山の翁、異世界に行く (新宿のショーター)
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チュートリアル

よろしくお願いします。


目を開けると目の前に眩しい人がいた。

 

「誰ですか?」

 

「私ですか、神です。」

 

あー…ヤバい人に絡まれたよ、眩しいし

 

「あははは、随分酷いね。あー、眩しいなら少し抑えよう。」

 

そういうと、眩しくなくなり顔が見えた。

けっこうイケメンだなー、流石神(笑)様

 

「ありがとう、でも神なんだから信じてくれないかな?こうやって心読んでいるんだし。」

 

そういえばそうだね。信じてあげなくもないぞ!

 

「なんで上からなんだろう、まぁいいやとにかく君に言うことがある。」

 

早くしてよ、帰ってだらけたいから

 

「実は君、もう死んでいるんだ。部下が間違えてね。部下に変わり謝るよ、すまなかった。」

 

頭あげて下さい。あなたが悪いんじゃないし別にいいですよ。だらけるぐらいしかやることないし

 

「優しいんだね、君は。」

 

別に普通ですよ

 

「けど、それじゃ気がすまないんだ。だから、お詫びとして特典をつけて新しい世界に転生する権利を与えたい。嫌なら言ってくれ。」

 

いいんですか!ありがとうございます!神はいたんですね!

 

「信じてくれてなかったんだね。あははは……………………………………まぁとにかく特典は何にする?」

 

じゃあ、fateのグランドアサシン"山の翁"の能力を下さい

 

「分かったよ。でもそうだな後一つ特典を上げよう。」

 

ありがとうございます。どういうのですか?

 

「まぁ、それは転生してからのお楽しみだね。」

 

じゃ、楽しみにしています!

 

「うん、それじゃあお別れだ。よい人生を。」

 

行ってきます、神様!

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「そういえば、赤ちゃんからだって言っていないけどしょうがないよね。よし!特典を考えよう。」

 

 

その後、神様を死ぬほど呪った男がいるが誰だろう?

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

あのやろう!赤ちゃんからなんて聞いてなかったぞ!いつか復讐してやる。

 

私が転生してから数年が経ち、いよいよおれも中学生になろうとしている。

 

山の翁の能力はプリヤのクラスカードになっている。

 

限定展開だと大剣と蒼い炎、夢幻召喚するとキングハサンさんになれる。

 

しかし、夢幻召喚するとオーバーキルになるためそんなには使えない。

 

後もう一つ問題があるがそれはまた今度話そう。

 

後、神様がくれた特典はロー・アイアスだった。

 

遠距離からの攻撃を防ぐ為嬉しいのだが、いちいち"体は剣で出来ている"と言わねば発動しない為恥ずかしい。

 

おのれ、神め!

 

このように能力を確認し鍛錬を積むこと9年間、いい加減飽きてきた。

 

この世界にキングハサンさんの力は、過剰だった。

 

「あーあ、なんか面白いことないかな」

 

そう呟きながら大剣を降っていると、天から一枚の手紙が降ってきた。

 

手紙には『木部 死音殿へ』

 

「!私に気づかせず手紙を送るか。面白い、さて何が書いてあるのかなと、」

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

その才能を試すことを望むのならば、

己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

我らの"箱庭"に来られたし』

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「わっ」

 

「きゃ!」

 

「何処だここ!?」

 

「助けて、神様!」

 

 

視線の先に広がる地平線は、世界の果てを彷彿とさせる断崖絶壁。

 

眼下に見えるのは、縮尺を見間違うほど巨大な天幕に覆われた未知の都市。

 

彼らの前に広がる世界はーーーーーー完全無欠に異世界だった



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第1章
第1話


よろしくお願いします。


転生してから数年、早くも死ぬ。

 

「死いぃぃぃぃぃぃぃぃぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

 

そう叫びながら湖に着水、他の三人も同じように着水していた。

 

「し、信じられないは!まさか問答無用で引き摺り込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

「……。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう。身勝手ね」

 

二人の男女はフン、と互いに鼻を鳴らして服の端を絞る。

 

その後ろに続く形で死音が岸に上がる。

 

適当に服を絞り終えた金髪の兄ちゃんが髪の毛を掻きあげ、

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前たちにも変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずオマエっていう呼び方を訂正して。ーー私は久遠飛鳥よ。以後は気をつけて。それで、猫を抱えている貴女と、白髪の君は?」

 

「……春日部耀。以下同文」

 

「はい、私は木部死音です。よろしくお願いします。」

 

「そう。よろしく春日部さん、死音君。最後に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。みたまんまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「はは、まじかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

そんな彼らを物陰から見ているものがいた。

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいないんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねぇよか?」

 

「そうね、なんの説明もないのでは動きようがないもの」

 

「……。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

(全くです。まぁ、悩んでいても仕方がないデス。これ以上不満が噴出する前にお腹を括りますか)

 

と、黒ウサギが出てこようとしたとき、

 

「じゃあ、あそこに隠れている人に聞きませんか?」

 

物陰に隠れていた黒ウサギは心臓を掴まれたように飛び跳ねた。

 

「なんだ、貴方も気づいていたの?」

 

「うん。空間の掌握は当たり前だからね。」

 

「やはははは、面白いなお前」

 

軽薄そうな十六夜の目は笑っていない。理不尽な仕打ちを受けた四人は殺気を含んだ視線を向ける。

 

「や、やだな皆様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?此処は一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますよ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「すみません、無理です。」

 

「あっは、取りつくシマもないですね♪」

 

バンザーイ、と降参のポーズをとる黒ウサギ。

 

しかしその眼は冷静に四人を値踏みしていた。

 

そうすると、春日部耀が黒ウサギの横に立ち、黒いウサ耳を鷲掴み、

 

「えい」

 

「フギャ!」

 

力いっぱい引っ張った。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心の為せる業」

 

「自由にも程があります!」

 

「へえ?このウサ耳って本物なのか?」

 

「じゃあ、私も」

 

「あっ、私もやります。」

 

「ちょ、ちょっと待ーー!

 

言葉にならないほどの悲鳴をあげ、その絶叫は近隣に木霊した。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

その後、小一時間程黒ウサギで遊んだ後、箱庭の説明を受けた。

 

要約すると、箱庭ではコミュニティに属すること、全てがゲームで決まること、ゲームは主催者と参加者に別れ互いに自己責任であること、だ。

 

聞いた感じだと神様から与えられたものは恩恵に当たるらしい。

 

というか、早くゲームというのに参加したい、力を使いたい、などと考えていると静かにしていた十六夜が黒ウサギに質問する。

 

「この世界は…………面白いか?」

 

それは正に、私の思っていたことと同じだった。他の二人も返事を待つ。

 

「YES。ギフトゲームは人を超えたものたちだけが参加出来る神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギが保証いたします。」



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第2話

ありがとうい
感謝感激雨霰!


黒ウサギの話を聞いた後、箱庭を目指し後ろをついて行っていると、

 

「なぁチビ、ちょっと世界の果てでも見に行かねえか?」

 

十六夜が話しかけてきた。

 

確かに世界の果ては気になるな、しかも少し不思議な気配がするし、よし世界の果てに行こう。

 

でも、

 

「行きますけど、チビはやめて下さい。私はもうすぐ中学生です。気軽に死音と呼んで下さい、金髪のお兄さん」

 

「ああ、悪い悪いヤハハハハ。お前も十六夜でいいぜ死音」

 

「分かりました、十六夜さん。少し飛鳥さんたちに言ってきます」

 

「おお、早くしろよ」

 

そういい、飛鳥さんたちに話しかける。

 

「耀さん、飛鳥さん。」

 

「……。何?」

 

「何かしら、死音君?」

 

「少し十六夜さんと世界の果てまで行ってきますので、後で黒ウサギさんに言ってもらえますか?」

 

コクッ

 

「ええ、分かったわ」

 

そういい、承諾してくれた。

 

「ありがとうございます。じゃあ、十六夜さん行きましょう!」

 

「ああ」

 

こうして十六夜さんと私で世界の果てまで目指し行くのだった。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「ジン坊っちゃーン!新しい方を連れてきましたよ〜!」

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性二人が?」

 

「はいな、こちらの御四人様がーー」

 

クルリ、と振り返る黒ウサギ。

 

カチン、と固まる黒ウサギ。

 

「………え、あれ?もう二人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から俺問題児ってオーラを放っている殿方と、かなり不思議なオーラを放ち、ジン坊っちゃんと同じくらいの背丈の殿方が」

 

「ああ、二人のこと?それなら死音君が後で黒ウサギに言っておいてといい、駆け出して行ったわ。あっちの方に」

 

あっちの方とは上空4000mから見えた断崖絶壁。

 

黒ウサギは、ウサ耳を逆立てて二人に問いただす。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

 

「すぐ行ってしまったもの」

 

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか⁉︎」

 

「後で黒ウサギに教えてと死音に頼まれたから」

 

「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっだだけでしょう御二人さん!」

 

「「嘘じゃない、でもそれもある」」

 

ガクリ、と前のめりに倒れる黒ウサギ。

 

ジンは蒼白になって叫んだ。

 

「た、大変です!世界の果てにはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」

 

「幻獣?」

 

「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、世界の果ての周りには強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ちできません!」

 

「あら、それは残念。もう彼らはゲームオーバー?」

 

「ゲーム参加前にゲームオーバー?………斬新?」

 

「冗談を言っている場合じゃありません!」

 

ジンが必死に事の重大さを訴えるが、二人は叱られても肩を竦めるだけである。

 

黒ウサギはため息を吐きつつ立ち上がった。

 

「はあ………ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御二人のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「わかった。黒ウサギはどうする?」

 

「問題児たちを捕まえに参ります。事のついでにーーー箱庭の貴族と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」

 

悲しみから立ち直った黒ウサギは髪を緋色に染めていく。

 

「一刻程で戻ります。皆さんはゆっくりと箱庭ライフをご堪能ございませ!」

 

全力の黒ウサギは地面に亀裂を入れ、弾丸のように飛び去り、あっという間に三人の視界から消え去った。

 

「………。箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」

 

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが…………」

 

そう、と飛鳥は空返事をし、ジンに向き直り、

 

「黒ウサギも堪能くださいと言っていたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」

 

「え、あ、はい。コミュニティのリーダーのジン=ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。二人の名前は?」

 

「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが」

 

「春日部耀」

 

「それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」

 

飛鳥はジンの手を取り、笑顔で箱庭の外門をくぐるのだった。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

さっきぶりです、皆様。

 

今こちらは、滝まで来ております。

 

どうも、偉そうな蛇が、試練を選べ、と上から物を言ってきた。

 

どうやらそれが気に入らない十六夜が、俺を試せるのか試させてもらう、といい殴り今に至る。

 

「たくよー、見掛け倒しにも程がある。」

 

「確かに、見た目よりは弱かったですね」

 

軽く談笑をしていると、

 

「もう、一体何処まで来てるんですか⁉︎」

 

どうやら黒ウサギが追いついたようだ。

 

それにしても、よく此処まで半刻でこれたなー、結構速く走ったのに。

 

「しかし良い脚だな。死音に合わせて走ったとはいえこんな短時間で追いつけるとは思わなかった。」

 

合わせてくれてたんだ、十六夜。

 

まあ、別に夢幻召喚すればもっと早く走れるけど。

 

「むっ、当然です。黒ウサギは箱庭の貴族と謳われる優秀な貴種です。その黒ウサギが………」

 

うん?どうしたんだろう、急に黙って、

 

「どうしたの黒ウサギ?急に黙って」

 

「あっ、いえ、なんでもありません。まあ、ともかく!御二人が無事で何よりデス。水神のゲームに挑んだと聞いて肝を冷やしました」

 

「「水神?ーーーああ、アレのこと?」か?」

 

え?と黒ウサギは硬直する。

 

二人が指したのは川面に浮かぶ白くて長いものだ。

 

突然、その巨体が鎌首を起こし、

 

「まだ…………まだ試練は終わってないぞ、小僧ォ‼︎」

 

「蛇神…………!って、どうやったらこんなに怒らせられるんですか⁉︎」

 

「なんか偉そうに、試練を選べ、とかなんとか、上から目線で素敵なこと言ってくれたからよ。俺を試せるのか試させてもらったのさ。結果は、残念な奴だったが」

 

「瞬殺だったもんね十六夜さ……面倒くさいや呼び捨てでいい?」

 

「好きにしな」

 

「付け上がるな人間共!我がこの程度で倒れるか‼︎」

 

蛇神の甲高い咆哮が響き、巻き上がる風が水柱を上げて立ち昇る。

 

「十六夜さん、死音さん、下がって!」

 

黒ウサギが庇おうとするが、

 

「何を言ってやがる。下がるのはテメェだ黒ウサギ。手を出せばお前から潰すぞ」

 

「そうだね。十六夜の言う通りだ。黒ウサギは下がってて」

 

そうだ、やっとなんだ。

 

神様からもらったものを試せる、生まれて12年この機会を待っていたんだ。

 

誰であろうと邪魔立ては許さない!

 

「その心意気はかってやる。それに免じ、この一撃を凌げば貴様らの勝利を認めてやる」

 

「寝言は寝ていえ。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。敗者を決めて終わるんだよ」

 

「そうだね。早くしてよ蛇さん」

 

そうだ、早く来い!

 

「フンーーーその戯言が貴様らの最後だ!」

 

「十六夜さん!死音さん!」

 

竜巻く水柱が十六夜と私にそれぞれ襲いかかる。

 

しかし、死音は慌てず一枚のカードを手に持つ。

 

「山の翁、限定展開」

 

すると、手には背丈に合わない大剣が現れ、死のプレッシャーが場を支配する。

 

常に山の翁のオーラを浴びていた大剣はオーラがこびりつき居るだけで周りにプレッシャーをかける。

 

これが夢幻召喚をするとさらに濃密になり精神の弱い者は気絶してしまうため、あまり夢幻召喚が出来ない理由の一つになる。

 

そして、静かなだだその場に少年の声が響く、

 

「何処だ」

 

瞬間、地面から蒼の炎柱が立ちのぼり、水柱を消滅させる。

 

「嘘⁉︎」

 

「馬鹿な⁉︎」

 

驚愕する二つの声。

 

どうやら十六夜も同時に防いだらしい。

 

蛇神は人間に防がれ放心するが、十六夜がその隙を見逃さない。

 

「ま、なかなかだったぜオマエ」

 

といい、十六夜が胸元を蹴り蛇神は地面に打ち付けられる。

 

って、うわー!めちゃくちゃ水がかかったー!

 

「くそ、今日はよく濡れる日だ。クリーニング代ぐらいは出るんだろうな黒ウサギ」

 

そうだ、そうだ。

 

と、心の中で同意し、限定展開を解除して二人のやり取りが終わるまで座る。

 

しばらくたち、

 

「すいません、死音さん。このおバカ様のせいで待たせて」

 

「ヤハハハハ、悪りー悪りー」

 

「別に良いですよ、見てて楽しかったですし」

 

「ありがとうございます。ところで先程のは?急にオーラが変わりましたが?」

 

「そうだぜ、なんだあの面白そうなのは?」

 

あー、確かに急にアレは驚くよな〜けどアレが面白いって十六夜すげーな

 

「アレ?まあ今度話すよ。それよりも十六夜、気づいているよね?」

 

「もちろんだ、黒ウサギ。今は死音じゃなくてオマエが話す番だ。」

 

「……………なんのことです?箱庭の話ならお答えすると約束しましたし、ゲームのことも」

 

「違うよ、黒ウサギ。聞きたいのはそういうことじゃなくて、どうして私たちを呼び出す必要があったのかということだよ」

 

黒ウサギは動揺を隠すが山の翁の魂を宿している私には通じない。

 

どうやら、十六夜も確信があるようだ。

 

「それは………」

 

「これは俺の勘だが、黒ウサギのコミュニティは弱小のチームか、もしくは訳あって衰退したチームかなんかじゃねえのか?だから俺達を召喚し、組織を強化しようとした。そう考えるとお前の必死さや、今の行動も合点がいくーーーーーどうよ?百点満点だろ?」

 

「っ………………!」

 

「おー、十六夜すごいね。探偵みたい」

 

ほんと凄い、私はキングハサンさんの勘で何かを隠しているのは分かったがそこまでしっかりとは分からなかった。

 

「おい、黒ウサギ。なんか言えよ。黙っても状況は悪化するだけだぞ。それとも他に行って良いのか?」

 

「や、駄目です!いえ、待って下さい!」

 

「だから待っているんだろ」

 

「そうだよ、黒ウサギ。いいから隠していることを教えて」

 

しかし、黒ウサギは下を向いたままだ、

 

「ま、話さないなら俺は他に行くだけだ」

 

「……話したら、協力していだけますか?」

 

「ああ。面白ければな」

 

「出来ることなら協力するよ」

 

決心がついたのか、ゆっくりと話し出す。

 

まず、黒ウサギのコミュニティは旗と名を奪われたノーネームであること。

 

次に、中核を担う仲間達は居なくなり、黒ウサギとジン以外は子供たちだけであること。

 

そして、それらは全て魔王と呼ばれる存在にやられたこと。

 

新しく作っては?という意見も仲間達の帰るところを守りたい為ダメだという。

 

「茨の道ではあります。けど私たちは仲間が帰る場所を守るため、コミュニティを再建し……………いつの日か、コミュニティの名と旗印を取り戻して掲げたいのです。そのためには十六夜さん、死音さん達のような強大な力を持つプレイヤーを頼るほかありません!どうかその力、我々のコミュニティに貸していただけないでしょうか……………⁉︎」

 

黒ウサギの偽りのない気持ちが分かった。

 

もとより、そうだったが

 

「私は協力するよ」

 

「死音さん」

 

「もし嘘をついても力は貸すつもりだったんだ。私は救われたからね」

 

「救われた?」

 

「うん。この世界の招待された、その時私は黒ウサギ達に救われたんだ」

 

そう、私は一人だった。

 

一人、異常な力を持ち誰からも避けられた。

 

世界を旅して闘ったが誰一人私傷つけることさえかなわなかった。

 

過剰、オーバーキルだったあの世界では孤独になるはかなく、一人剣を振っていた。

 

そんな時、黒ウサギは私を呼び招いてくれた、久しぶりの人とのふれあいだった。

 

だから、

 

「何があっても私は黒ウサギ達のコミュニティに入るよ」

 

「死音さん………ありがとうございます」

 

こうして私は黒ウサギのコミュニティには入り、十六夜もコミュニティに参加した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第3話

ありがとうございます


「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

「黙らっしゃい‼︎」

 

私達がジン達と再会すると黒ウサギの怒声が響いた。

 

なんでも、絡んできた大柄の男性、ガルド?がどうしようもないカスだったらしく喧嘩を売ってしまったそうだ。

 

まあ確かに、罪人が平気な顔で生活するのは許せない。

 

ハサンさんの力を使っているからか、今すぐにでも断罪、首を切りたくなる。

 

だから、もし私がその場にいたら、殺してしまっていたので大変なことになっていた。(注:キングハサンなので証拠は一切残りません)

 

ゲームが相手に有利なのはジン達のミスだが、見て見ぬ振りをしないのは、仲間としても好感が持てる。

 

「そろそろいいんじゃない、黒ウサギ?確かにゲームの内容をその場で決めなかったのはダメだったけど、それは相手がどうしようもなく許せなかったからだ。私は、見て見ぬ振りをしないジン君や飛鳥さん、耀さんの行動はこれから付き合って行くとして信頼が出来るよ」

 

「死音さん………確かにそうです。少し怒りすぎました。でも!このゲームは勝ったも当然ですね。フォレス・ガロ程度なら十六夜さんか死音さんが一人いれば楽勝でしょう」

 

「何言ってんだよ。俺は参加しねえよ?」

 

「当たり前よ。貴女なんて参加させないわ」

 

二人は当然のことを黒ウサギにいう。

 

うん、私も参加しないよ。

 

「だ、駄目ですよ!同じコミュニティの仲間どうしなんですから協力しないと」

 

「そうじゃないよ。これは飛鳥さん達の戦い、だから私や十六夜が手を出すのは余計なんだ」

 

そうそう、もし私の戦いに手を出されたら怒りで鐘鳴ってアズっても仕方ない。

 

仕方ない、ですよね?

 

「………。ああもう、好きにしてください、」

 

丸一日振り回された黒ウサギは言い返す気力もなく、肩を落とすのだった。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

あの後、ジンは先にコミュニティに帰り、私達はサウザンドアイズというコミュニティの支店へ向かっている。

 

なんでも、ギフト鑑定を、するそうだ。

 

はっきり言って、9年間も一人研鑽してきたので理解できている。

 

必要あるかなー?などと考えていると、

 

「ねえ、死音君」

 

後ろから声、飛鳥さんだ。

 

「なんですか、飛鳥さん?」

 

「さっきはありがとう。貴方が止めてくれなかったらもっと黒ウサギの説教が長引いていたわ」

 

「そんなことですか、別にいいですよ。逆に感謝するのはこちらです」

 

「どうしてかしら?」

 

「恥ずかしいことに平気で人を殺すような輩と会うと感情が押さられず、もしその場にいたら殺していました。だからです飛鳥さん。」

 

「そ、そう、随分物騒ね。」

 

「あー、でも証拠は一切残しません。完全犯罪です。」

 

「やらないわよね?というか証拠残さないって、貴方もしかして暗殺者?ふふふ、そんなはずないわよね。まだ小学生だもの。後、飛鳥でいいわ、死音君」

 

すいません、暗殺者は暗殺者でも冠位の暗殺者です。

 

「わかりました、飛鳥、でいいんですよね?後!もう中学生です!間違えないように!」

 

「あら、ごめんなさい。あまりにも小さいものだから」

 

グサァ!飛鳥の何気ない言葉はゲイボルグのように私の心を貫いた。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

飛鳥と少し仲良くなり、話しているとサウザンドアイズに着いた。

 

しかし、営業時間が終わり締めるところだった。

 

黒ウサギが店員に何度も頼むが相手にされず、こちらがノーネームと分かると意地悪な質問を繰り返す。

 

頭に来た。よし、少し痛い目にあってもらおう、と気配を消し忍びよろうとすると、

 

「いぃぃぃぃぃやほおぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギいぃぃぃぃ!」

 

和装ロリが飛び出て来た。

 

和装ロリが投げられた。

 

和装ロリが足で受け止められた。

 

信じられないかもしれないが本当だ。

 

後、十六夜変なことをお願いするな、たっく、何なんだあの幼女は?

 

「誰だ!そこにいる奴!姿を見せい!」

 

おっと、気配を消していたことを忘れていた。

 

「「「「「っっっっ!!!!」」」」」

 

姿を表した死音、気づいた白夜叉でさえ今いたことに確信し驚いた。

 

「すみません、何もするつもりはありません」

 

素直に気配を消したことを謝る死音。

 

「ならよい。生憎と店は閉めてしまったのでな、私の私室で勘弁してくれ」

 

そういい、私達は幼女の後ろに着いて行った。

 

 

 

 

 

 

「もう一度自己紹介をしておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えているサウザンドアイズ幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

投げやりな言葉で受け流す黒ウサギ。その後は、外門について耀さんが尋ねたり、私は水柱を防いだだけだが十六夜と蛇神を見たおしたりしたことを話す。

 

すると、十六夜が

 

「じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」

 

「ふふん、当然だ。私は東側の階段支配者たぞ。この東側の四桁以下に

あるコミュニティでは並ぶものがいない、最強に主催者なのだから」

 

この発言に問題児三人は立ち上がり挑もうとする。

 

しかし、

 

「おんしらが望むのは挑戦かーーーーもしくは決闘か?」

 

刹那、和風の室内から風景は外になり、そこは水平に太陽が回る世界だった。

 

「……………なっ………………⁉︎」

 

「今一度問う。白き夜の魔王、太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、挑戦か?それとも対等な決闘か?」

 

すげー!これが魔王の力!これで全力じゃないんだ。

 

しかし、どうするか?私の願いだった全力を出して戦うことは叶うだろう。

 

だが、あれ程の強者と戦うならば死を覚悟しなければいけないだろう。

 

本来ならそれでもいいが、今の私はコミュニティに所属する身。

 

私の勝手で危険を犯すことは出来ない。

 

故に、

 

「私は降参。大人しく挑戦にしとくよ」

 

「そうか…………して、他の童達も同じか?」

 

そうして、私達は試練を受けることとなり見事に耀さんがクリアした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おお!空を駆けている。

 

耀さんはどうやらお父さんからの首飾りがギフトで動物の特性を手に入れるものだそうだ。

 

素直に凄い能力だと思う。

 

白夜叉が首飾りを買い取ろうとするが、耀さんは売るつもりはなさそうだ。

 

親から贈り物なんだから譲るわけないだろ、白夜叉。

 

と話していると黒ウサギが白夜叉にギフト鑑定を頼む。

 

がしかし、白夜叉は出来ないらしく困っているとギフトカードというものをくれるらしい。

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム、正体不明

 

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム、威光

 

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム、生命の目録、ノーフォーマー

 

ブラックのカードに木部死音・ギフトネーム、暗殺者の祖、死告天使、ロー・アイアス

 

それぞれの名とギフトが記されたカードを受け取る。

 

黒ウサギが驚いたような、興奮したような顔で四人のカードを覗き込む。

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「お手紙?」

 

「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息が合っているんですか⁉︎このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!」

 

「つまりは素敵アイテムっていうことでいいか?」

 

「あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

黒ウサギが疲れたように言う。

 

「本来なら名と旗印も記されるのだが、まあよいそのギフトカードは、正式名称を、ラプラスの紙片、即ち全知の一端だ。鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

「へえ、じゃあ俺のはレアケースな訳だ?」

 

ん?白夜叉は覗き込むが、書いてあるのは正体不明の四文字。

 

「………いや、そんな馬鹿な」

 

「まあ、俺はいい。おい、死音、オマエのはどうだ?」

 

と言い十六夜が私のカードを覗き込む。

 

「別にいいけど覗き込むぐらいならどうぞ?」

 

「いやいい、だがオマエ暗殺者なのか?」

 

その言葉に場が凍る。

 

「死音さん!」

 

黒ウサギが驚き叫ぶ。

 

「黒ウサギ落ち着いて、疑問には答えるから」

 

それに対し死音は冷静に応答する。

 

「じゃあいいかしら?」

 

飛鳥が手を挙げる。

 

「いいよ。何?」

 

「暗殺者の祖、というのは?」

 

核心に迫る質問だった。

 

「それは、ある方の魂を私が宿しており、その力を扱えるからだと思う」

 

「ある方っていうのは誰だ?」

 

「おんしの先程の気配のを断ち方尋常ではない。それ程の暗殺者かのう?」

 

十六夜と白夜叉がさらに深く聞く。

 

「それは………………」

 

正直、いうか悩むが

 

「死音さん………………」

 

黒ウサギ達の顔を見るとやはりいうのが正解だろう。

 

これから、共に過ごすのだ。

 

私はできれば末長く皆と付き合いたい、だから、

 

「分かったよ。けど怯えないでね?」

 

そう言い、暗殺者のカードを手に持ち、

 

「夢幻召喚」

 

瞬間、膨大な知識が私に流れ込む。

 

狂信と言える程の信仰、教義を違えた愚か者を幾人も断罪してきた記憶、暗殺者を殺す暗殺者となったものの生涯。

 

強すぎる我を持つのは魂を宿しているものへも影響を及ぼす。

 

これが一番夢幻召喚を使えない理由、山の翁の情報が一気に流れ込み意識は残るがどうしても影響を受けてしまいハサンさんよりに思考が片寄り、そして、

 

「我が面は翁の死。我が剣は翁の裁き。我は山の翁にとっての山の翁。ーーーーすなわち。ハサンを殺すハサン、初代山の翁である」

 

濃密な殺気と共に最強の冠位暗殺者、キングハサンが君臨した。



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第4話

皆さんありがとうございます。


場を支配するは濃密な殺気と、一瞬にして姿、雰囲気そして口調を変えた死音に対しての驚き。

 

飛鳥と春日部はあまりの迫力に呆然とし、口を閉じる。

 

しばらく無言が続くと、最初に喋り出したのは、十六夜、白夜叉ではなく死音だった。

 

「安心しろ、我は汝らの敵ではない。」

 

そういうと、殺気は抑えられ無意識のうちに息を吐き出す。

 

最初に質問をしたのは十六夜だった。

 

「やっぱあの時は本気出してなかったんだな、ヤハハ。なんであの時その姿になんなかったんだ?」

 

「使う必要がないからだ。今は姿を見せてはいるが、この姿を見せることは少ないだろう」

 

「なんでだ?」

 

「我が攻撃には常に死が付いて回る。故に我が宿主は我を使う場においては一切の容赦はせぬ」

 

またもや衝撃が駆け抜ける。

 

「では、貴方の剣が少しでも掠ると私は死んでしまうのかしら?」

 

飛鳥が聞く。

 

「運命によるがその通りだ」

 

「それなんてチート?」

 

春日部が呟く。

 

「しかし、おんしは本当に山の翁なのか?何人かは既に箱庭に呼ばれたことがあっての、会ったことはあるのだがおんしみたいな者はおらんかったぞ?」

 

白夜叉は長くを生きているため、数回だけだが幾人かの歴代山の翁と面識がある。

 

しかし、目の前にいるような暗殺者らしからぬ大剣を使い、尚且つ弱体化しているとはいえ白夜叉を萎縮させる程の殺気を放つ山の翁は見たことがない。

 

だからこそ、

 

「おんしは本当に山の翁なのか?」

 

「然り。我は山の翁であり、ハサンを殺すハサン也」

 

「ハサンを殺すハサンとはどういうことなのデスか?」

 

「それは私も気になるわ」

 

黒ウサギの疑問に飛鳥も賛同する。

 

「我は……すまないそろそろ時間だ。それは我が宿主に聞くが良い。」

 

その瞬間、身体を黒の霧のようなものに包まれ出てきたのは元通りの死音だった。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

ふう、解除、解除っと。

 

やっぱあの姿になると山の翁に身体の操作を取られてしまう。

 

夢幻召喚すると意識はあるけど身体や口は勝手に動く。

 

イメージとしては、勝手に動く身体とは別に意識があり、解除したい時は強く頭に訴える感じだ。

 

「すいません皆さん。あの姿になるとどうしても山の翁さんが強く表に出てしまい」

 

「そのことなら大丈夫よ。貴方の言葉によるとあれは貴方の意思とは別にうごいているのかしら?」

 

「はい、こればかりはどうにもできなくて…でも、意識はあるのである程度は大丈夫です」

 

多分、ギルガメッシュのカードみたいなものだろう。

 

乗っ取られたくなかったら、無感情な人形でもないとダメだろう。

 

「だから、最後の質問。黒ウサギの質問なんですが」

 

「そうデス!どういうことなのですか?」

 

まぁ確かにハサンなのにハサンを殺すというのは意味がわからないだろう。

 

「あの方は、山の翁の始まりであり、同時に教団の腐敗を断罪する監視者としての人生を選んだんだ」

 

「それがどうしてハサンを殺すハサンになるの?」

 

耀さんの疑問は暗殺教団ハサンサッバーハを知らぬものなら当然の疑問なのだろう。

 

「十六夜は分かる?」

 

「なんとなくだが、わかったぜ。けど、お前が質問には答えろよ」

 

やっぱ十六夜は気づいたか。

 

おそらく黙ってはいるが白夜叉も気づいているだろう。

 

「もちろんだよ。耀さん、教団の腐敗とは、即ちトップである山の翁の堕落なんだ。精神、技術の堕落であれ衰退した者に山の翁の名は与えられない。衰退には即ち死の引導を。首を断つことで罪を許し次の山の翁に名が送られるんだ。酷いと思うかもしれないけど歴代の山の翁達は初代山の翁に断罪されることは光栄に思っているんだ」

 

「分かった。あと耀でいい」

 

意外とあっさりしていたな、あと呼び捨て許可貰えたゼ!

 

「わかりました、耀、でいいんですね?」

 

「うん」

 

「黒ウサギも理解しました。先程は慌てて大声で呼んでしまいすみませんでした」

 

おそらく、十六夜の発言に反応しときのかな、

 

「全然いいよ。誰でも暗殺者が近くにいたら驚くよ」

 

本当、最初のみんなの警戒は当たり前だと思う。

 

暗殺者が近くにいるなんて普通はないからな。

 

「しかし、暗殺者なのに大剣使うんだな死音」

 

「それは…………………あまり言わないであげてください」

 

キングハサンさんが暗殺者っぽくないのは今更ですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

その後、色々合ったが私たちはサウザンドアイズを出て黒ウサギ達のコミュニティへ向かっていた。

 

「この中が我々のコミュニティでございます。本拠の館は入り口から更に歩かねばならないので御容赦ください。この辺りはまだ戦いの名残がありますので………」

 

「戦いの名残?噂の魔王って素敵ネーミングな奴との戦いか?」

 

「は、はい」

 

それは気になる。

 

魔王というのがハサンさんより強いのかは気になっていた。

 

黒ウサギが躊躇いつつ門を開ける。

 

死音達の視界には一面の廃墟が広がる。

 

「っ、これは………⁉︎」

 

「おい、黒ウサギ。魔王のギフトゲームは今から何百年前の話だ?」

 

十六夜の言う通り、既に地面は死んでいて周りを見ても既に何百年かは経っているかのように感じる。

 

「僅か3年前でございます」

 

これを、3年⁉︎

 

ハサンさんの能力を使っても流石にこれは無理だ。

 

魔王、今死音の心にあるのは戦いたいという欲求と、必ず魔王を倒し黒ウサギ達に恩返しをするというおもいだけだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第5話

満月が輝く夜、白い髪をなびかせ目を閉じ立っている一人の少年がいた。

 

「おい、死音。こんなとこでどうしたんだ?」

 

「うん、あー十六夜か。ちょっと疲れてね。色々あったし」

 

「子供達に人気だったからな」

 

「あはは………………」

 

あのあと、コミュニティの子供達とあったのだが、他の異世界人と違い年が近いためかものすごい懐かれた。

 

遊ぶのはいいのだが、数が多いためとても重労働だったと言っておこう。

 

「そういえば、十六夜ありがとね」

 

「何がだ?」

 

「さっき、子供達を守ってくれたでしょ」

 

「気づいてたんならお前も来いよ」

 

「十六夜が向かってるのが分かったからね」

 

さっき、子供達の館の方に知らない気配が近づいていた。

 

おそらく、明日飛鳥達が戦う相手が送り込んでいたのだろう。

 

しかし、子供達を攫い人質にしようなどとは十六夜が対処したからいいものを、もし私だったら…………

 

「おい、ヤバいもん出てるぞ」

 

「!ごめん、つい」

 

想像しただけで殺気が出てしまっていたようだ。

 

「気をつけろよな」

 

「分かったよ。そういえば十六夜って結構面倒見が良いんだね、こうして話してくれるし」

 

「別によくはねーよ。ただ、あっちで弟妹みたいなもんがいたからな、こういうのにはなれてんだよ」

 

「へー、十六夜に……………」

 

「まぁそういうことだ、夜ふかしすんなよ」

 

そう言い十六夜は館に戻っていった。

 

「オカンかよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

「黒ウサギ!早くこちらに!耀さんが危険だ!」

 

「すぐコミュニティの工房に運びます。あそこなら治療器が揃っていますから。御三人は飛鳥さんと合流してから共に」

 

あっという間に時は過ぎゲームは飛鳥達の勝利で終わった。

 

ならなぜこんなに焦っているのかそれは耀が怪我を負ってしまったからだ。

 

ガルドは小癪にも指定武具でなければ倒せないという条件を付けた。

 

その結果、使い慣れない武器で十分にポテンシャルを出せず怪我を負ってしまった。

 

「待って、工房って昨日子供達が案内してくれたところでいいの?」

 

「そうですが、今はそれどころでは!」

 

「なら、私が黒ウサギと耀を運ぶよ」

 

「どうやって?!」

 

「限定展開」

 

瞬間、死音の手に大剣が現れ最初より抑えられてはいるが殺気が漏れる。

 

「今はそれどころでは!」

 

「いいから、掴まって」

 

しょうがないように耀を慎重に持ち上げ死音に触れる黒ウサギ。

 

「じゃあ、いくよ」

 

そういうと死音の体を蒼炎が包み込み、十六夜達の前から姿を消してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黒ウサギ、ついたよ」

 

「これは⁉︎」

 

「瞬間移動的な?」

 

「なんで疑問形なんですか!」

 

ほんとハサンさん便利ですね。

 

ゲームで瞬間移動的なものをやっていたので試していたらできたものだ。

 

でもさっきのように動かないなら長距離の移動が出来るが、戦闘中だったりいったことのないところは行けないという欠点もある。

 

「まさか、境界を操れるなんて………」

 

「黒ウサギ!考えるのは後にしてそれより耀の治療を」

 

「そうでした!」

 

そういい黒ウサギは中に入って治療を始めた。

 

死音は黒ウサギに任せ館で十六夜達の帰りを待とうと外に出る。

 

だがそれは叶わない、何故なら、

 

「あーーー!死音だ」

 

「死音にいちゃんがいるよーー!」

 

「遊んで!」

 

子供達が続々現れ死音のてを引っ張る

 

「ま、待って」

 

悲しいかな、無情にも死音の声は子供達の声にかき消され聞こえない。

 

十六夜達が帰ってくるまで鬼ごっこをすることになった。

 

ただし、死音が一人鬼で全員を捕まえるまで終わらないと記しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

「ふー、疲れた」

 

「ヤハハ、ご苦労なことで」

 

「お疲れ様なのデス」

 

やっと子供達から解放され、十六夜と黒ウサギと一緒にソファーでくつろいでいた。

 

「そういえば、例のゲームはどうなった?」

 

「実は……………」

 

十六夜が昔の仲間が景品にされているゲームについて聞くと、黒ウサギは泣きそうな顔で話し始める。

 

どうやら、主催者側の都合で延期、このまま中止の線もあるそうだ。

 

私も元魔王の仲間というのに興味はあったので少し、いやとても悔しい。

 

「黒ウサギ、元仲間の人ってどんな感じの人?」

 

「そうですね………一言で言うと、スーパープラチナブランドの超美人さんです。指を通すと絹糸みたいに肌触りが良くて、湯浴みの時になれた髪が星のように光るのです」

聞く限りとてつもない美人だということが分かった。

 

「そんなに綺麗なら一度会ってみたいよ」

 

「おや、嬉しいことをを言ってくれるじゃないか」

 

「レ、レティシア様⁉︎」

 

「様はよせ。今は他人に所有される身だ、箱庭の貴族ともあろうものが、ものに敬意を払っては笑われるぞ」

 

そう言い、窓から入ってくる。

 

「すまないこんなところから、ジンには見つからず黒ウサギに会いたかったんだ」

 

「そうでしたか。今すぐお茶を入れてきます少々お待ちください」

 

黒ウサギは仲間と会えて嬉しいのか駆け足で茶室に向かう。

 

レティシアはソファーに座ると死音の視線に気づき小首を傾げる。

 

「どうした?私の顔に何かついているのか?」

 

「っ!すみません、じっとみてしまい」

 

「別にいいのだか何か気になることでも?」

 

ここは素直にいうべきなのだろうか?とてもタイプで一目惚れしていたことを、稲穂のように輝く黄金の髪、ルビーのような真紅の眼、そして何よりも十人中十二人は美人と答える美貌。こんなに綺麗な人がこの世にいるなんて」

 

「っっっっ!!」

「ヤハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

 

顔を赤くし照れるレティシアと腹を抱えて笑う十六夜、十六夜の笑う声で自分の言葉が口から出ていることに気づき、死音は恥ずかしさのあまり顔を赤くして隠す。

 

「す、すみません!初対面でこんなことを!」

 

「い、いいんだ!世辞だと分かっているから」

 

「世辞じゃありません!本当です!」

 

「そ、そうか!あ、ありがとう」

 

「こ、こちらこそ」

 

何言ってんだ!どうした、私!平常心、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心

 

「ところで、元魔王で仲間のお前が何の用だ」

 

「そ、そうだった」

 

レティシアは本来の用を思い出し黒ウサギが戻ってきてから話し始めた。

 

要約すると、最初は黒ウサギを説得して解散させるつもりだったが、神格級のギフトを持つ者が入ったと聞きその新人の実力を試そうとした。

 

飛鳥と耀はまだ未熟で判断に困り、十六夜の力を試したいようだ。

 

「私はいいの?」

 

「ああ、境界の操作を見させてもらったからね。あそこまで強力なのは箱庭でも珍しい」

 

なんだろう?いつもより嬉しい。

 

あれか!美人に褒められると男は嬉しいっていう」

 

「っっっっ!!」

 

「漏れてるぞー死音」

 

「す、すみません!」

 

「いや、私も君に美人と言われて嬉しいよ。でも、恥ずかしいからできれば人前では言わないでくれ」

 

「分かりました。すみません」

 

あーーー!何やってんだ、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心、平常心

 

その後話しは進み外に出て十六夜とレティシアがお互いに一撃ずつ撃ち合いその時地に足が着いていた方の勝ちのようだ。

 

結果は十六夜が勝ち終わったが、レティシアのギフトが一つだけになっていることが判明した。

 

一悶着があったが館に帰ろうと歩いていると、空から光線が降ってきて、レティシアを石化させる。

 

「レティシア様!!」

 

「吸血鬼は石化させた!すぐに捕獲しろ!」

 

「邪魔をするのならノーネームも、切り捨てろ!」

 

死音は思考が追いつかなかった。

 

なんであんな者達の気配に気づかなかったのかーーーー油断していたからだ

 

レティシアが石化したのはなぜだーーーー私の不注意だ

 

俺は石化された時何をしたーーーー動けなかった

 

全部、全部私のせいだ、私が油断しなければ……………………

 

レティシアを石化させたのは上にいる羽虫と私の背後を通っている影の薄いやつだけか、ならば!

 

「黒ウサギも死音もまて」

 

十六夜が黒ウサギは耳を掴み、死音は肩を掴む。

 

「邪魔をするな十六夜!」

 

「落ち着け、ここで騒ぎを起こしたら本当にもう救えねえぞ」

 

十六夜の言葉で頭が冴えてきた。

 

「そうだね、ありがとう十六夜」

 

「分かったならいい」

 

そうだ、ここで問題を起こした方がレティシアを救えなくなる。

 

ピンチな時ほど冷静にならないと。

 

ジンは看病に残るといい、十六夜、飛鳥、黒ウサギの三人でサウザンドアイズの支店に向かう。

 

死音は自分から行くことを辞退した。

 

話し合いなら自分は邪魔をするだけと判断したためだ。

 

レティシア、待っていてくれ。

 

必ず助け出すからな

 

 

 




遅れてすみません


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