ミズキの担当上忍生活 (ディア)
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1話

アカデミー教師であるミズキは火影執務室に呼び出されそこに来ると目の前に老人が口を開いた。

「条件付きでお主を上忍にしてやろう」

何故、今更? その疑惑がミズキの頭の中を埋め尽くしていた。

 

数年前、ミズキは上忍試験を受けていた。確かに能力そのものは上忍クラスであり、筆記も実技も手応えがあった。だがそれでも落とされた。掌を返してミズキを上忍にしようとする企みが理解できず困惑する。

 

「火影様、お尋ねしてもよろしいでしょうか?」

目の前にいる老人、三代目火影に尋ねると三代目はキセルから煙を出し答えた。

「条件のことか?」

「はい。それもありますが私でなくともよろしいのでは?」

「……お主、雲隠れの忍びと手を組んでいるそうじゃな」

その一言で一気にミズキが挙動不審となってしまった。

「ま、まままままさか!?」

ミズキがパニックになりすぎて口から魂らしきものを出すが三代目の声で元の世界に戻る。

「動揺しすぎじゃ。アホウ。そんなわかりやすい動揺の仕方じゃ成り立ての下忍でもわかるわい」

「なななな、何のことですか!?」

「まだ白を切るか。まあいい。時にお主、例の4班を知っておるか?」

「例の4班?」

ようやく平常に戻ったミズキは三代目に尋ねた。

「こう言えばわかるかの。最キョウの下忍三人組」

ミズキはその名前を聞いて寒気を感じ取り、サブイボを立たせ沈黙する。

「……その様子だとお主もやられたそうじゃな」

「はい……」

三代目とミズキは揃えて溜息を吐く。

「狂気の科学者 凱旋タキオ、凶悪貴婦人 木道アキホ、うちはの恐怖 うちはフブキ。この三人の担当上忍が先日胃をやられて病院送りされたんじゃ」

「ま、まさか……条件というのは私にその担当上忍をやれと?」

恐る恐るミズキが三代目に尋ねる。ミズキは例の三人がアカデミーの頃に面識がある。一言で言えば最悪そのもの。その三人が自由研究の協力を募集していたので評価を良くする為に笑顔で申し出たところ、意識を刈り取られ目が覚めたら人間大砲の玉となって火影岩に発射させられたのだ。その結果、ミズキは火影岩の鼻の穴に入り込みほぼ無傷で済んだが、アカデミー生からはハナクソ扱いされ心の傷を負った。それ以降彼らに関わらないように逃げた。彼らしくない選択だが、上忍になる為にはそう言ったことも受け入れるしかなかった。

 

「うむ。一年の間お主はその三人の担当上忍となり、三人を中忍にさせたら正式に上忍にしてやろう」

「本当ですか!?」

正式に上忍。つまり里公認で認められるのだ。これほど嬉しいことはない。

「木の葉を裏切らなければ何をしてもよい。工作をして中忍試験の過程を変えさせたり、何でもありじゃ。ただし一年以内に三人を中忍に出来なかった場合、どうなるかわかっているな?」

ミズキの中で考えられる限りの最悪のパターンを想定する。中忍に降格、牢獄行き、死刑。それらの単語が浮かび上がり、ミズキは震えた。

「拒否権は?」

「んなもんないわい」

「わかりました。しかし何故私にそのような事を?」

 

「通常であれば適当な上忍でも捕まえて担当上忍にさせようとしたのじゃが……問題があり過ぎる」

「問題?」

「取り敢えず有力候補だった三人のプロフィールを見てくれ」

「はたけカカシに猿飛アスマ、マイト・ガイ……どれも大物ばかりじゃないですか!? この人たちなら簡単に出来るでしょう!?」

「カカシは最低30分は遅刻をするしのう。ワシの倅のアスマは長期任務で不在。ガイは性格の矯正は出来そうと言えば出来そうなんじゃが……予想の斜め上にぶっ飛んだ方向に歪みそうでな」

「では他には!?」

「他の上忍はあの三人にやられたんじゃよ、ワシ直属の暗部から取り込もうにも三人一班で動いたことがないから協調性を鍛えるには不向き。だからといって特別上忍は一つの分野にしか優れていないから実質班を指導する能力は中忍以下じゃ」

「それでアカデミー教師である私に白羽の矢が立ったのですか」

「うむ。お主の忍びとしての能力は上忍クラス。じゃがお主に足りぬものは経験じゃ」

「経験ですか?」

「うむ、今までお主は何度失敗したか覚えているか?」

「5回ですね。中忍試験で一発合格出来なかった時と上忍試験二回連続の不合格」

「うむ。任務の成功率も高く、評判も良い。これだけ見れば上忍のものと勘違いしてしまうほどじゃ。故に惜しいのじゃよ」

「何がですか?」

「お主は今まで運良く自分と同じくらいのレベルの忍びとしか組んでおらず、格下の忍びを扱う経験が全くと言っていいほどなかった。上忍ともなれば自分よりも弱い忍びを誘導する事もある。その誘導する力がお主には足りなかったのじゃ」

「それで私をアカデミー教師に推薦したのですか?」

「そうじゃ、そこでアカデミー生の行動パターンを観察し下忍がどういった動きをするのかを頭に入れされる。それがお主をアカデミー教師に推薦した第一の目的じゃ。第二にお主はエリート街道を歩みよったが故に下積みの辛さというものを知らぬ。下積みを経験させ、お主の糧となるのはアカデミー教師しかあるまい」

「さ、三代目ぇ……!」

まさか自分をここまで見てくれるとは予想できずミズキは涙を流す。かつて目が節穴かと思っていた老人は自分を信用し、しかも手助けをしていたのだ。それにも関わらず自分はこの老人を裏切るようなことをしてしまった。後悔と感謝、両方が入り混じった涙が床に染みる。

「泣くのはまだ早い。これを見よ」

三代目が指差したその箱には紙がいくらか入っており、ミズキはそれを手に取る

「これは今忍びとして働いている者達がかつてお世話になったアカデミー教師達に送るものじゃ」

「これは、三代目が?」

「いやいや、お主の教え子が企画したものじゃよ。だから必然的にお主宛ての手紙が多い」

「……ち、くしょう、何でこんなきた、ない俺を、慕ってくれるんだ……! これじゃ、木の葉を、裏切る俺が馬鹿、みたい、じゃない、か」

手紙を見たミズキは膝をつき、涙でボロボロになった顔を手で隠した。

「アカデミー教師のミズキはお主の本当の顔じゃなくともそれによって救われた者も多い。それの恩返しということでこのような形で返したんじゃろう」

三代目はミズキの肩を叩き、ミズキの涙声を聞く。

 

「三代目……俺は全うに生きて、上忍になってみせます! 例え下忍達が中忍になれずとも、上忍試験に落ちようとも関係ありません!」

数分後漸く涙が止まり顔を手持ちのハンカチで拭いたミズキは生まれ変わったかの如く、三代目にそう宣言した。

「その意気込みならその必要もあるまい。お主を上忍(仮)と認める! 明日から担当上忍として励むがよい」

「はいっ!! では失礼します!!」

かくしてミズキは上忍(仮)となり、三人の担当上忍となった。

 

多分続く




なんでイタ転ではなく、新たにこの小説を書いていたかお察し出来ますね? キャラ崩壊が酷すぎて載せられないからです。


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2話

「にしても頭痛え話だ」

ミズキは自分の担当する班員のメンバーをもう一度確認し頭を抱える。この班はルーキーという訳ではない。ナルトが入学してきた当初の同期、つまりナルトの二歳年上の世代だ。それにもかかわらず、上忍数十人が(胃を)やられた。つまり2週間弱のペースで上忍達を病院送りにしてきたということで自分に耐えられるだろうかとミズキが悩むのは無理なかった。

 

「そもそも何で担当上忍が下忍の迎えに行かなきゃならないんだ?」

普通であれば担当上忍が迎えにいくなんてことは無く、自ら集合場所に向かうものだ。だが先任の担当上忍の話によると忍具作りに夢中になり過ぎて任務に来ないこともしばしばある為にこのようにして迎えに来なければならない。

たしかにミズキを打ち上げた人間ロケットは彼が制作したもので、完成度も高かった。

だからと言って遅刻や欠席して良いという理由ではない。無理にでも引っ張って任務を遂行させるしかない。そうしなければ中忍試験を受けることすらもままならないからだ。

 

そしてミズキはタキオの家にたどり着き、扉を開く。そしてミズキは吹っ飛ばされた。

「げほぉっ!?」

ミズキは何が起こったのかすらもわからず壁に張り付くと水が上から流れ、ズルズルと落ちていく。そして落ちた直後にそれがトラップだと気がついた。

「(くそっ、まさかトラップを仕掛けて来るとは……! 油断した! 上忍ってのはこれを避けられるってのか!?)」

避ける避けない以前にこんなトラップを予測するほうが難しく、例えカカシなどであっても避けることは無理であろう。

「誰だ?俺の昼寝の邪魔をする奴は?」

 

マイクの声がミズキの耳を通し、その場に響く。

 

ここで言っておくが凱旋タキオという男はかなりの面倒くさがり屋である。それこそ自分のチャクラを動かすよりも道具を使って撃退した方が良いとまで考えるくらい体を動かなさい。故に姿を現さずカメラでミズキを覗いていた。

 

「新しく担当上忍になったミズキだ。お前を迎えに来た」

「……そこでおとなしく待っていろ。下手に動くとトラップが発動するから何も触るな」

「わかった」

ミズキが壁に寄りかかり、タキオを待つ。

「うぎゃぁぁぁぁっ!?」

その瞬間、ミズキに電流が流れ轟音と断末魔が響き渡る。

「何もせず大人しくしていろと言っただろうが……」

呆れた声でタキオがミズキを回収し、班の集合場所へと移動した。無論自動車で。

 

「…う、ここは?」

目を覚ましてミズキが最初に目にしたのはかつてハバネロと恐れられたうずまきクシナを彷彿させるような赤髪。ただしリーゼントである

「よう、お目覚めか? 班長さんよ」

赤いリーゼントの持ち主の下忍と物語に出てくる可憐なヒロインがそっくりそのまま出てきて下忍の格好をしている少女がミズキを覗く。

「ああ、最悪な気分だがな」

ミズキは律儀にもそれに答え、返事を返した。

「だったら今日の任務はなしか?」

「今日は自己紹介だけする。俺はミズキ、お前達の担当上忍になった」

「そうかい。それじゃ俺も話すぜ。俺はうちはフブキ。好きなものはバイク、嫌いなものはチンタラ走っている奴。趣味はバイク。特技はバイクで人を殺すことだ」

いきなり物騒極まりない自己紹介が始まり、ミズキは不安になる。

「な、なるほど。バイクが趣味なのか。うん。隣にいるタキオ行ってみようか」

「……」

「タキオ?」

「タキオは見て通り寝ているから俺が自己紹介する…それまでの間、フブキ起こしておいてくれ」

その隣にいた少女が手を挙げ、自己紹介を始めた。

「俺は木道アキホ。好きなものは拷問すること。嫌いなものは拷問させられること。趣味は拷問。特技は拷問。以上」

「拷問ばっかりじゃねえか!?」

唯一まともそうに見えたアキホの自己紹介に思わずミズキが突っ込んでしまう。拷問が一つだけ入っているならまだギャップ萌えと言えるが拷問しか言っていない。どれだけこの少女は拷問が好きなのだろうか。

「ん〜? 自己紹介終わったのか?」

タキオが目をこすり、あくびをして口を開く。

「それじゃ俺のターンだな。知っているとは思うが俺の名前は凱旋タキオ。好きなことは昼寝。嫌いなことは面倒なこと。趣味は忍具や罠などの開発。特技はどこでも寝れることだ。自己紹介終わったから寝るわ」

タキオが眠りにつき、ミズキは改めてこの班が問題児ばかりだと認識し、頭を抱えた。

「お前達には重大な目標がある。それは中忍試験に出て合格することだ」

「去年はタキオが肝心の試験日に眠っていて受験出来なかったから、まあ大丈夫なんじゃないのか?」

「他の里の連中をぶっ殺しにいくか? そうすれば中忍試験に受かる可能性高くなるかもしれないしな」

「よし決まりだ。殺すのは専門じゃないからフブキに任せるわ」

「あのなぁ……」

ミズキは両手で頭を抱え、二人の言うことにドン引きしていた。確かに効率が良く合理的な判断だ。だがそれ以上にリスクが高く、何よりも中忍試験を受けられなくなる恐れがある。そんな真似をさせない為にも釘を刺しておく必要がある。そう思い、口を挟んだ。

「お前ら、そんなことをすれば国際問題になるんだぞ? やるんなら別のことにしろ」

「やっぱり殺すのはやり過ぎか?」

「それだったら拷問して中忍試験に出させないようにしようか?」

「だーかーらーっ、国際問題になることは止めろって言っているだろうが!」

「ミズキ上忍、大丈夫大丈夫。口封じはしておくし、万一バレてもタキオが開発した核兵器を使って火の国以外滅亡させればいいんだからさ」

「絶対にするな!!」

「フリか」

「フリじゃねえよ!! 何でこうもお前らは話が通じないんだよ!?」

その後、ミズキが必死の説得により三人が他の里の下忍を襲うようなことはしないと誓い、言質を取った。



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3話

三代目火影執務室に単体で呼び出されたミズキ。これは担当上忍となって以来いつものことである。その内容も状況を報告したり、連絡したり、相談したり、依頼を受けたりなど火影執務室に呼ばれること以外は何も変わらない。だがミズキが一人で呼ばれるのには理由がある。それは任務を普通に成功させる為である。

彼らの任務成功率は非常に高く、評価も高い。だが些かやり過ぎてしまう傾向が非常に高いのも事実だった。

 

例えばCランク任務の盗賊退治。とある村に現れた盗賊達を撃退して欲しいという依頼を引き受けた彼らが任務終了後にやったことは、花火だった。

花火と言ってもただの花火ではない。八尺玉の超特大の花火玉の中に捕らえた盗賊達を一人ずつ詰め込み、それを打ち上げるという実に残酷かつ非道なものだ。彼ら曰く「盗賊ってのは奪うのが仕事だ。なら人の心を奪う花火になるんだから本望だろ?」とのことらしい。打ち上げた花火の中に盗賊が入っていたことなど知らない依頼人達はその美しさに心を奪われ、彼らの依頼の評価を最高評価にした。ちなみにその時の担当上忍は「世の中には知らない方が良いこともあるんだな……」などと悟りながら胃を壊した。

 

そんなことをさせない為にも急に任務を告げ、急に行く。それによって班員達の凶行を潜めさせていた。

 

「という訳でお主らにはAランクの任務を遂行させてもらう」

「何がという訳でなんですか? 三代目。私だけならともかくあの下忍達にAランク任務なんて無理ですよ」

いきなりこんなことを言われたミズキは抗議した。担当上忍になって以来初めての任務がAランクだ。確かに上忍ならばそう言った任務もあるが下忍を従えた状態でAランク任務を遂行するとなれば必ず誰か一人は犠牲になる。そうなればミズキは中忍に降格してしまう為、抗議するのは当然のことだった。

「ミズキ、お主はあの下忍達を過小評価している。フブキはあのうちは一族の生き残りじゃ。フブキは事件当時国外に出ていて帰国するまでにうちはイタチを始め多くの刺客に狙われた。しかしそのフブキが生き残れたのは儂等の保護によるものではなく、自らの力によるものじゃ。保護するように命令した暗部達を追手と勘違いしたフブキが振りまいたくらいじゃからな」

「暗部情けなさ過ぎだろ。というか警戒され過ぎ……」

ミズキは頭を抱えた。実力のみで言えば上忍を上回る暗部達が下忍にもなっていない子供相手に振りまかれるという失態をやらかして、暗部達の未来を気にしてしまった。この前までは暗部は別次元の世界の住民だと思っていたが今の話を聞いて脱力してしまう。

「とにかく刺客や暗部達を振りまいた以上、実力に関しては問題なしと判断し、儂等はフブキを保護対象から外し、その分ナルトやサスケに回したんじゃよ」

それを聞いたミズキは冷や汗をかきながら一息ついた。もしナルトを利用して殺そうとしていたなら暗部達が駆けつけていて自分が殺されていただろうという想像だ。

「な、なるほど。しかしフブキについてはわかりましたがアキホについてはどうなのですか? 彼女はAランク任務を遂行出来るだけの力があるとは思えませんが」

「今回の任務は情報が少ない」

「何ですか? そのラノベみたいな言い方は」

「今回の任務の目的はとある巻物を回収することにある。その巻物の行方が不明だったが、波の国に存在することが判明した。そこでお主らには波の国に向かい、至急それを回収して貰いたい」

「聞いていれば普通の落し物を拾うのと変わりありませんがその任務がAランクの任務ということは何か理由があるんですか?」

「うむ。この巻物はただの巻物とは違い、二代目様が遺した巻物じゃ」

「二代目様の巻物!? そんな物を回収するとなればSランク任務にもなり得ますよ!?」

「うむ。回収する物が物だけにこの任務、お主の言う通りSランク任務にもなり得る。この任務がAランク任務であるのはまだこの情報が出回っていないと言うことと、ぶっちゃけ巻物の中身はそんな重要じゃないんじゃ」

「二代目様の巻物が大したことがない……?」

「あの巻物の中身は二代目様が個人的につけた家計簿みたいなもので、骨董品くらいの価値しかないんじゃよ」

「そ、そんな物の為に俺達が動くのか……」

「儂がその巻物を骨董品くらいの価値しかないと言っても信憑性なぞありもしない。故にこの巻物の中身が機密事項だと勘違いして狙う輩も大勢おる。重要ではないが危険度が高い任務。それが今回の任務じゃ」

三代目火影が依頼書を渡し、ミズキがそれを受け取る。

「はぁ……承知致しました。それではご朗報をお待ちください」

トボトボとミズキは三代目火影執務室から出て行き、班員達の元へと向かった。

 

「で? その巻物は波の国にあるのか?」

任務当日になってミズキが班員達に一通り説明し、フブキが確認する。

「ああ、間違いない。二代目様の巻物を取り返し、それを木の葉隠れの里に持ち帰るのが俺達の任務だ」

「面倒くせー」

「合法的な拷問のチャンスがーっ!?」

ただ面倒臭がるタキオと拷問が出来ないと知って絶叫するアキホ。その反応は別々だった。

「タキオ。これも任務だ。我慢しろ。そしてアキホ。お前は美人なんだから拷問が出来ないからって落ち込むな」

「拷問楽しいんだもん……」

「それに巻物を拾った奴がいて、そいつが拷問でしか口を割らなかったらお前の出番だ」

「シャぁっ!!」

拷問が出来ると知って喜ぶアキホ。それはスイーツを目の前にしてはしゃぐ女子のようだった。

「タキオ。お前は少しやる気になれ」

「やる気云々はともかく波の国までどうやっていくんすか?」

「んなもの徒歩に決まっているだろ」

ミズキがそう告げた瞬間、タキオは渋い顔をして拒否した。

「波の国まで何時間かかると思っているんですか? その移動している間に巻物取られたら意味ないすよ」

「他にどうやれと?」

「そんなことだろうと思ってこいつを作っておきました」

タキオが巻物を取り出し、印を結びそこから忍具を口寄せする。このやり方はタキオに限らず他の忍者達も実行している

やり方であり最もポプュラーな方法と言えよう。

「タキオ、なんだこれは!?」

だがそこにあるのは見たこともない鉄の塊。上の方には鉄の羽が四本あるがそれが何を意味しているのかミズキには理解出来なかった。

「軍用ヘリ」

「ヘリってなんだよ!?」

「ヘリと言ったらヘリコプターのことでしょう。TVの取材とかで取材ヘリとか飛び回るじゃないすか。これはその使えなくなった取材ヘリを修理して、魔改造したのがこの軍用ヘリす」

ミズキは抗おうとするが謎の力により抗えない。ヘリコプターについてどうこうとは何故か強く言えないのだ。

 

*補正及びご都合主義です。

 

「苦労したんすよ? 軍用にするために材料を雪の国から大蛇丸のいる音隠れまで各地を回って確保してきたんですから。さ、乗った乗った。徒歩で歩くよりこっちの方が早く波の国に着くんすから乗った方が良いすよ」

「わかった」

強く反対出来ないミズキ達はその軍用ヘリに乗り、波の国へと移動した。

 

ちなみに波の国に移動する際、抜け忍に木の葉隠れの里のルーキーの7班が襲われるのを見てタキオが軍用ヘリに装備されている砲弾を放って撃退したのはまた別の話である。



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