【非公式】 ダンガンロンパⅤ2 (九星)
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【非公式】ダンガンロンパV2 prologue1

注意事項です。
※この話はダンガンロンパV3の一部のネタバレを含みます。ダンガンロンパV3をクリアしていない方で、ネタバレが嫌な方は見ないことを推奨します。
・グロくはないと思いますが、一応R-15です。
・この話は【非公式】です。
・プロローグを何回かに分けて投稿します。またその先もそのようになる予定です。

・≪pixiv≫に上げているものと同じものです。また、キャラクターと地図は≪pixiv≫にてあげています。


 もしも、この世界が嘘だったら。なんて思うことがある。今、俺だってそう思うことがあって。

 あの日の事が、あの日の後悔が無かったら。手に入れたものはあったけれど、失ったものは大きすぎた。どうかこの世界が嘘であってほしかった。

 

 そんな時、俺は希望ヶ峰学園から通達を受けて入学する事になった。

 希望ヶ峰学園は全国のあらゆるところから、様々な分野で活躍する”超高校級の才能”を持つ者を集め、彼等の才能を育成するという政府公認の超特権的な学校。

 そんな学校に俺は選ばれた。

 

???「皆さんに俺の事を紹介しようと思うっす」

???「俺の名前は天海 蘭太郎(アマミ ランタロウ) 。”超高校級の冒険家”として希望ヶ峰学園に選ばれたんす」

 

天海「俺は行方不明になった妹たちを探すために旅をして、偶然見つけた秘境の民族にしかないDNAが、なんかの病気の薬になったとかで。俺が旅をする時にスポンサーがつくようになったんす」

天海「親のおかげで旅が出来ているので、俺が選ばれるのはおこがましいっていうか、なんというか・・・」

 

天海「・・・って、俺は一体誰と話しているんすかね?」

 

 希望ヶ峰学園に入ったことで少しでも早く、妹たちが見つかればいいのだが・・・。

 

 俺は希望ヶ峰学園に一歩一歩近づいた。

 

 期待に胸を膨らませながら。

 

 足に確かな感触を感じながら。

 

 目的を果たすために、希望に近づく。

 

 

 

 はずだった。

 

天海「なんすか?・・・・これ」

 

 確かに足に感じていたはずのものがいつの間にか無くなっていて。

 地面が、割れて何も無い。ただただ暗くて、寒い。そんな場所に俺は落ちていく。

 

 希望が遠のく。

 

 音もない静かな場所に、闇に包まれるように俺は深い眠りに落ちた。

 

 

天海「う・・・」

 

 目が覚めると白い天井があった。天井から吊るされている電灯が、一つしかないはずなのにまぶしく見えた気怠く、重い体を無理矢理起こし、現状を確認する。

 

天海「どこ、すかね・・・」

 

 ゴウン ゴウンと重々しい機械音が近くで聞こえる。自分のいる場所以外は薄暗く、奥は何も見えなかった。しかし機械は何らかの装置のようで、大量にあった。

 

天海「まいったっすね・・・。誘拐でもされたんでしょうか?中東に行った時以来っすね」

 

 その割には拘束は無く、見張りもいない。それに誰かに攫われたという記憶もない。

 とりあえず、ここを出なければ何も分かりはしない。拘束や、見張りも無いのなら俺には好都合だ。

 出口は案外近くにあり、鍵が掛かっている様子も無い。少し重い鉄の扉を開ける。

 

 

???「うあぁっ!」

 

 ゴン、と扉に何かが当たった。・・・人?

 

 誘拐犯か、監視役か。

 どちらにせよ身の危険を感じた俺は咄嗟に身構える。

天海「・・・誰っすか?」

 鉄の扉は自然と閉まる。扉の向こうにいた、扉に当たった人物は額を抑えて立っていた。

 

???「うぅ・・・ただ歩いていただけなのに・・・」

 

 同い年くらいの少年だった。ワイシャツにパーカーを羽織っている。

 

???「君は誰?」

 涙目の少年は額を抑えながら俺の方を見る。

 

天海「あんたが、俺を誘拐したんすか?」

 

???「えぇっ!?な、何の事?」

 少年は身構える俺に怯えている様子だった。

???「それに、ボクだってなんでこんな場所にいるのか分からないんだよ!」

 彼の様子からしてそれは嘘ではないようだ。

 

天海「・・・ごめんなさい。怖がらせてしまった見たいで」

???「いえ、こっちこそ・・・ごめん」

天海「その、自己紹介より先に、君はこの場所に来る前に何をしていたのかを聞いてもいいすか?」

???「・・・希望ヶ峰学園っていうところに入るはずだったんだ。でも直前で穴?みたいなものに落ちて、それで気がついたらここに」

天海「・・・なるほど。俺も同じような感じっす。すみません。試すような真似をしてしまって」

???「いや、それよりも君も希望ヶ峰学園の生徒ってこと?」

天海「正確には入学前だから違うんすけど・・・。俺は天海蘭太郎。超高校級の冒険家という内容で希望ヶ峰学園に選ばれたっす」

 

 

???「冒険家か・・・。あ、すみません!ボクは”超高校級の小説家”の、名前は鏡崎 橙榎(カガミザキ トウカ)。よろしく」

 

 

鏡崎「主にミステリ小説を書いているんだけど、ファンタジーとかも書くんだ。知らない?」

天海「すみません。国内にいる事が少ないので、本屋とかにはあまり寄らないんすよ」

鏡崎「そっか・・・」

 

鏡崎「・・・・・・・」

天海「・・・・・・・」

鏡崎「・・・・・・・」

天海「・・・鏡崎君?」

鏡崎「あ、すみません!ボク、人とのコミュニケーションというか、会話が苦手で・・・。それに考え事をすると周りが見えなくなって・・・」

 

 普通に話せているように感じるのは俺だけなんすかね・・・。

 

ブブッ

 

 ポケットの中が震えた。どうやらそれは鏡崎君も同じだったらしく、驚いていた。ポケットの中には手のひらサイズの端末が入っていた。画面に自分の名前が映しだされ、そして通信簿というばしょに鏡崎君のプロフィールが追加されていた。

天海「なんすかね・・・これ」

鏡崎「うん・・・」

 端末からは特に情報が得られなかったので、ポケットにしまう。

 ここにいる人物と会えば、このプロフィールが追加されるみたいだ。

 

鏡崎「天海君、この後どうする?」

天海「そうっすね・・・とりあえず見て回ってみるっす。もしかしたら他にも人がいるかもしれないですし」

 

鏡崎「・・・・・・」

天海「どうかしたんすか?」

 鏡崎君は俺の方をじっと見る。

鏡崎「ボクもついていっていいかな?」

 頬を掻きながら鏡崎君は言う。

 確かに彼の言う事には一理ある。もしもの事が、あるかもしれない。

天海「いいっすよ。さぁ、行きましょう」

 俺の後を親鳥に続く子鳥の様について来る。なんだか妹の事を思い出してしまう。

 

 廊下は一周できる形でいくつも細かい部屋はあったが、誰もいなかった。階段は上に上がるための物しかなかったから、ここは1階か地下だっていう事だ解る。

 白く、無機質な鉄の廊下と扉。ハッチの様なドアノブ。重々しい機械音が鳴る最下層。

鏡崎「ねぇ、あれは何だろう」

 大きなモニターが廊下の一角に備え付けてあった。また、そことは違う門には監視カメラが2台設置されていた。

天海「モニターは分かりませんが、監視カメラは俺等を監視している可能性はあるっすね」

鏡崎「えぇ!?じゃあ、脱出したのばれているんじゃあ・・・」

天海「もし、脱出が相手に不都合であれば、今頃、捕まっているっすよ」

 

俺は階段を見つめて一つ息を吐いた。



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【非公式】ダンガンロンパV2 prologue2

注意事項です。
※この話はダンガンロンパV3の一部のネタバレを含みます。ダンガンロンパV3をクリアしていない方で、ネタバレが嫌な方は見ないことを推奨します。
・グロくはないと思いますが、一応R-15です。
・この話は【非公式】です。
・プロローグを何回かに分けて投稿します。また、その先もそのようになる予定です。

≪pixiv≫に上げているものとおなじものです。また、キャラクターと地図は≪pixiv≫にて上げています。


天海「上の階へ行ってみるすか・・・」

鏡崎「大丈夫なの?」

天海「はは、もし俺等が事件に巻き込まれたなら、今は無事じゃないっす」

鏡崎「そういうものかな・・・」

天海「冒険家の経験って奴っす。前にも似たような事があったもんで」

鏡崎「前にもあったんだ・・・」

 

 慎重に階段を上った。

鏡崎「梯子・・・?」

 俺らが思っていた上の階層とは違い、現れたのは上に続く鉄格子。そんな高さは無く1階分の高さしかなかった。しかし、その先はハッチのようなもので閉ざされている。

鏡崎「やっぱり、誘拐なのかな?それでボク等を閉じ込めるために・・・」

天海「・・・・ここは俺に任せてください」

 俺は梯子を上ってハッチに手を掛ける。

 すると簡単にそれは開いた。辺りが見えるまで顔を出し、危険が無いかを見る。

 

天海「どうやら、大丈夫そうっすよ」

 俺は先に上の階へと出て、そのあと上ってきた鏡崎君を引っ張り上げる。

 

鏡崎「うぅ・・・怖かった」

天海「鏡崎君はこういうのは不得意なんすか?」

鏡崎「うん。あまり家から出る事も、運動する事も無かったから・・・」

天海「そうなんすか・・・」

 ハッチを閉じ、再び辺りを見る。赤い絨毯に豪華な装飾。先ほどみた殺風景な景色とは全くの逆だった。そんな小さな部屋。

天海「とりあえず部屋の外に出て現状把握しないと」

 部屋の隅に1つだけ存在するドアのノブに手を掛け、外へと出る。

 すると広い空間が目の前に広がった。

 装飾から絨毯まであの小さな部屋と同じで、まるでどこかの高級ホテルを思わせるような場所だった。接客カウンターのようなものもある。でも、明らかにそこには足りないものがあった。

鏡崎「人が・・・いない?」

 仮にここがどんな施設だろうと、真新しく、広い空間に誰もいないのは不自然だ。

鏡崎「・・・どうする天海君?やっぱりここを」

 

???「あ!こんなところに人はっけ~ん」

 

 鏡崎君の言葉を遮るように女の子の声がした。吹き抜けになった2階から彼女は階段を使って下りてくる。ショートカットの女の子だった。

 

???「君らは何者?あたしは九塔 渚(クトウ ナギサ)。”超高校級の演劇部”をやってまーっす」

 

 突然、目の前に現れて元気に自己紹介されたは少し俺達は少し身を引いた。九塔を名乗った少女は上目使いで、俺等の顔を覗いている。

九塔「自己紹介は?」

天海「え?」

九塔「自己紹介。早く」

 さっきの口調とは違う、圧倒されるような暗い声で彼女は言う。

天海「えーっと俺は・・・」

 俺と鏡崎君はそれぞれ彼女に自己紹介をした。急に口調や表情が変わった彼女に驚いたが、それが終わると彼女は笑顔に戻った。

九塔「へぇ~、貴方、蘭太郎っていうのね!?」

 次に鏡崎君の方を見て

九塔「貴方は橙榎っていうのね!?」

 どこかで聞いたようなセリフを彼女は言う。

・・・彼女の才能と何か関係があったすかね?

 

九塔「ふふふ、今、あたしの才能がなんで”女優”や”俳優”ではなく”演劇部”なんだて思ったでしょ」

天海「いや、あまり・・・」

九塔「答えてしんぜよう!あたしは人と演じるのが嫌だからなのだ!」

鏡崎「え・・・どういう事?演劇部なら、舞台とかでみんなと演じているってイメージだけど」

九塔「あたしの場合は小道具から大道具まで自分で作って一人芝居を演じるのさ!」

 

九塔「その方が演じやすいし、役振りで喧嘩する事も無いしね!」

 

九塔「それに、学校以外の舞台だと緊張しちゃって・・・。こりゃ参ったね。てことで演劇部なんだ!」

・・・あまりよくわからないっすね。

九塔「ところで貴方達はここで何をしていたの?」

天海「・・・それはこっちが訊きたいっす。俺等はいつの間にかここにいて、何かヒントになるような物を探していたところっす」

九塔「あたしもそんな感じかな。あ、そうだ」

 

九塔「色んな所に他の子たちがいるんだ!それじゃあねー!蘭太郎ちゃん、橙榎ちゃん!」

 

行ってしまった。嵐のような人だな・・・・。

鏡崎「うーん、ちゃん付けは止めてほしいな」

天海「そこなんすか・・・」

 

天海「とりあえず、他の人を探してみましょう」

鏡崎「でも、ヘタに動いて大丈夫なの?」

天海「彼女が言っていることが本当なら探してみた方が良いと思うんすよ。彼女も超高校級のひとだったし。もしかすると何か事情を知っている人がいるかもしれないっす」

 鏡崎君は少し考えた後、俺の方を見て

鏡崎「・・・・うん。確かにそうかも」

そう言った。

 

 

 1階の廊下を歩いていると快活そうな男子と大人しそうな女子が話し合っていた。いや、女子の方は嫌がっている気が・・・。

 

???男「ねぇ、この後お茶しない?」

???女「困ります!というか何ですか?!その古臭い口説き文句は」

 

 どうやら、男子の方が女子をナンパしているようだ。

天海「あの、お取込み中のところ申し訳ないんすけど」

???男「あ?なんだよ・折角いい雰囲気だったのによ」

鏡崎「そんないい雰囲気だったかな・・・?」

 小さな声で言う。

 

???女「助かりました!ありがとうございます」

???男「えぇっ!なんか地味に心にグサリと来たんだけど」

???女「もしかして、さっき九塔さんが言っていた人達かな?」

 

???女「私は黄良 星奈(キラ セイナ)。”超高校級の天文学部”って呼ばれているんだ」

 

鏡崎「天文学部って?」

黄良「うん。私自分で見つけた星に名前を付けた事があるんだ」

天海「へぇ。それは凄い事っすね

黄良「あはは、偶然だけどね。あと、文化祭でプラネタリウムをつくって、それが割と評判だったんだ。詳しくは数えていないけど2千人くらい入ったんだよね。その後、講演してくれって依頼も殺到しちゃったんだ」

鏡崎「星、好きなんだね」

黄良「うん。一度話し出したら止まらないくらいにね。友達にもひかれちゃったよ」

鏡崎「だったらさ、神話とかにも詳しいの?」

黄良「もちろん。神話上だけど、星が出来た過程を知るのは楽しいよね!ちなみに私は有名どころだけど、こと座の話が好きなんだ。お嫁さんのために冥界に助けに行くけど、最後の最後で振り向いちゃってえ。永遠に会えなくなっちゃう。悲しすぎるよ」

黄良「・・・あ、ごめんね。話しすぎちゃったみたい」

鏡崎「ううん。ボクもその気持ち分かるから」

 

天海「あはは、なんか置いてけぼりっすね」

???男「・・・なんかオレの時と話し方、違くね?」

天海「そっちの君も自己紹介いいっすか?」

 

???男「ん。オレは超高校級のサッカー選手、武皐 蒼汰(ムコウ ソウタ)だ!」

 

鏡崎「聞いたことがある。確かU―18に選ばれたミッドフィルダーで、しかもそのキャップテンを務める。そして彼の率いるチームは士気が上がってどんな相手でも倒す力を持つとか」

武皐「おい、てめー、オレを解説するんじゃねえ!」

鏡崎「うっ、すみません!」

武皐「・・・いや、そんな風に謝るなよ。なんかオレが悪いみたいじゃねぇか」

天海「というか、知っていたんすね」

鏡崎「ニュースを観てた時に知ったんだ」

武皐「まぁ。大体ソイツの言うとおりだ。神やら宇宙人やら名乗るチームに勝った。というのは出なかったみたいだがな」

天海「そりゃあ、報道されたところで信じる人物は少ないと思いますし、現実的じゃないと思います」

武皐「あ?オレの事を疑っているのか?」

天海「あ、そういう事じゃなくて・・・」

鏡崎「世界って広いんだね」

 

武皐「そんな事より黄良ちゃん、オレと一緒に・・・アレ?」

天海「彼女なら俺等が話している時に何処かに行ったっすよ」

武皐「んな!クソッ、お前らのせいだからな!」

・・・理不尽な言われようっすね。

 

黄良さんを探しに走る武皐君の背中を俺等は見送った。



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【非公式】ダンガンロンパV2 prologue3

注意事項です。
※この話はダンガンロンパV3の一部のネタバレを含みます。ダンガンロンパV3をクリアしていない方で、ネタバレが嫌な方は見ないことを推奨します。
・グロくはないと思いますが、一応R-15です。
・この話は【非公式】です。
・プロローグを何回かに分けて投稿します。またその先もそのようになる予定です。

・≪pixiv≫に上げているものと同じものです。また、キャラクターと地図は≪pixiv≫にて上げています。


???「フハハハハハハハハハハハハ!!!」

天海「うおっと」

 俺達が武皐君と別れて歩いている最中、すぐ横を何か小さなものが通り過ぎていった。

???「っとと。通り過ぎちゃった」

 キキッと止まった少女は歩いて俺達の所に戻ってくる。

???「君たちが渚が言っていた人達だね」

 近くに来るや否や顔を覗きこんでくる。さっきからこんな感じが多い気が・・・。

???「うんうん、君等映像映えしそうだねぇ。ところで二人でなにをしていたの?」

鏡崎「ここの、探索かな」

???「ふぅん、そうなんだ。つまんない」

 俺達はこの娘に何を期待されていたのだろう・・・。

天海「ところで、名前を聞いてもいいすか?」

 

???「はいはーい!狩眞は野絽岐 狩眞(ノロギ カルマ)!”超高校級の映画監督”なのだー!」

 

野絽岐「監督兼カメラマンをやっているよー!その方が指示を出す手間が省けるし、思った通りの映像がとれるんだ。えっへん」

 

野絽岐「さらに、海外でも絶賛、自分でも諸王さんするほどの腕前で、撮った映画は皆が泣いちゃうほど感動しちゃうんだ」

鏡崎「自賛しちゃうんだ・・・」

天海「映画を観た全員が泣くなんて軽くホラーっすね」

野絽岐「えへへ~、狩眞すごいでしょ!ホメて、ホメて~」

天海「ところで、急いでいたみたいですが、大丈夫なんすか?」

野絽岐「ん~?大丈夫だよ。ま、狩眞はもう行くね~」

野絽岐さんは走り去ってしまった。

やっぱり、似たような人がいた気が・・・。

 

 

???女「困りましたわね・・・」

 ロビーに戻ってくる。と青色の髪を後ろに1つでまとめた少女と、金髪の男性が話し合っていた。行こうとすると急に物陰に引っ張られた。

鏡崎「あの男の人、外国人じゃない?」

 小声で鏡崎君が言う。

 見ると確かに彼の金髪は地毛っぽいし、目も碧眼だった。

鏡崎「ボク、英語話せないよ・・・・」

天海「あはは、大丈夫っすよ。俺は話せるんで。よかったら通訳もしますし、それにあの女性は日本語を話していたみたいなんで」

 俺は鏡崎君を連れて2人の所へ歩いた。

 

天海「ちょっといいすか?」

 普通の人と会うより一層、鏡崎君の警戒心が強くなっていることが、捕まれる腕から伝わる。

???女「えぇ。何かご用ですか?」

天海「今、自己紹介して回っているんすよ」

 

???女「あら、そうなんですか。わたくしは”超高校級の歌手”の仲 奏葉(ナカ カナハ)と申します。以後お見知りおきを」

 

天海「へぇ、超高校級の歌手っすか」

仲「えぇ。最初は動画投稿サイトに歌っていた動画を上げたのです。それからいつの間にか、メジャーデビューをしていました」

 

仲「幼い頃は森に入っては歌って、気が付いたら日が暮れて・・・よく怒られていた。というのが起源なんですけど」

天海「意外とアグレッシブなんすね。動画を投稿しはじめたのはいつ頃なんすか?」

仲「中学校時代です。友達に誘われて、俗にいう”うたったー動画”というものですね」

天海「もし、今度機会があったら聞かせてほしいっす」

仲「えぇ、もちろん。・・・あの、ところで」

 

仲「天海君の後ろにいる彼はどうして怯えているのですか?」

天海「あぁ、それは」

???男「十中八九、私の事でしょう。このなりだから、この国の人には怖がられますが、言語は大丈夫です」

 

???男「申し遅れました。私は”超高校級のディーラー”、ヨハネス・ベルシュタイン。気軽にヨハンと呼んでください」

 

ヨハン「君も・・・えっと」

鏡崎「鏡崎・・・橙榎、です」

ヨハン「鏡崎君、怖がらないでください」

鏡崎「・・・すみません」

鏡崎君は俺の腕から手を放し、横に立つ。過去に外国人と何かあったのだろうか?

 

天海「高校生のディーラーなんすか?」

ヨハン「そうです。私は元々ヨーロッパ出身なのですが、今まで世界のあらゆる国のカジノでディーラーを務めていました」

鏡崎「過去形・・・だよね?」

ヨハン「それについては秘密です。まぁ、ゲームでの不正には人一倍厳しいと言われるのは今も昔も変わりはしないのですけどね

天海「・・・・不正をしたらどうなるんすか?」

ヨハン「・・・さぁ?」

ヨハン君の笑顔は(かげ)った。

鏡崎「怖いよ・・・!」

ヨハン「なんてね。見合った罰を下すんですよ」

 

天海「ところで先ほど、お二人は何を話していたんすか?」

仲「それはですね。わたくし達にとって致命的な事が、この場所にあったのです」

ヨハン「私はカジノ、仲さんはステージがここには無いのです」

 

それは致命的なのか・・・?

 

鏡崎「でも、どうしてカジノとステージがあると思ったの?」

確かに、こんな豪勢な場所ならあるかもしれないが・・・、この国にカジノはまだないはずだ。

ヨハン「ここは船内だからです。おそらく豪華客船かと」

天海「・・・どうしてそう思うんすか?」

仲「2階から、デッキに出る事ができるのです。もしよろしければ行ってみた方がよろしいかと」

天海「そうなんすか。ご親切にどうも」

仲「いえいえ。・・・ではわたくし達はもう少し例のものを探してきます」

ヨハン「そうですね」

 

彼らの才能には確かにカジノやステージは必要でも、そこまでする事なのだろうか・・・?



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【非公式】ダンガンロンパV2 prologue4

注意項目です。
※この話はダンガンロンパV3の一部のネタバレを含みます。ダンガンロンパV3をクリアしていない方で、ネタバレが嫌な方は見ないことを推奨します。
・グロくはないと思いますが、一応R―15です。
・この話は【非公式】です。
・プロローグは何回かに分けて投稿します。また、その先もそのようになる予定です。

・≪pixiv≫に挙げているものと同じものです。また、キャラクターと地図は≪pixiv≫にて挙げています。


 ヨハン君と仲さんが言った通りだった。2階へ上がるとすぐ、窓があって、デッキへ出るドアもあった。

 先に広がっていたのは爽やかな空と、穏やかな海だった。どこに向かっているかは、分からないが、この船は動いている。島が一つも見当たらない。今、どの辺りにいるのだろう。

 

???「ぬわあああああああああぁああああぁあぁぁぁぁぁあ!!!」

 先の方から叫び声が聞こえる。何か起こったのだろうか?

鏡崎「うああっ!な、なに?」

天海「行ってみましょう!」

 

 声が聞こえた方へ走った。

 

 そこにいたのはヘルメットを被った大柄の男性と、小柄な少年。そして、ロングヘアーの少女だった。どうやらヘルメットの男性がさっきの声の主らしい。

???男1「ぬわああああああああぁぁぁああぁぁぁああああぁ!!!」

???男2「お、落ち着けって。叫んだってこの状況が変わる事はねぇんだ!」

???女「ほら、ゆっくり深呼吸。ひーひーふー、ひーひーふー」

???男2「いや、それは違うから」

???男1「落ち着ける訳がない!儂は船の上が苦手で・・・!・・・うぷ」

???男2「わわわ!吐くな、吐くなよ!」

 

鏡崎「・・・特に事件は起こっていなかったみたいだね」

天海「起こってなくて何よりっす」

 すると俺達に気が付いた小柄の少年がヘルメットの男性に言う。

 

???男2「ほら、心配かけちゃってるね」

???男1「うぅ・・・すまないぃ」

 

天海「とりあえず、中に入るっす。椅子に座れば少しは良くなるかもしれないですし」

 

 ぐったりしたヘルメットの男性を力を合わせて船内へと運んだ。

 

???女「助かったぁ。ありがとう」

???男「・・・ありがとう。少し良くなったぞ。あと、お見苦しいところを・・・」

天海「いえ、助けるのは当たり前っす」

???男2「ところでアンタ等、さっきは見なかったが、どこにいたんだ?」

鏡崎「えっと、1時間くらい前に1階のロビーに出たかな?それでついさっき2階に上がってきたんだ」

 腕時計を確認しながら鏡崎君は言った。

???女「じゃあ、会うのは初めてだね。私たちは結構前から2階にいたから」

 

???男2「そんじゃあ、挨拶しねぇとな。オレは堂階 逢瑚(ドウカイ アイゴ)。”超高校級の釣り人”だ!」

 

堂階「モットーはキャッチ&リリース!自然に優しい釣り人だ。これでも世界大会で優勝しまくっているんだぜ!よろしく!」

 

???女「えっと、わたしは”超高校級のカウンセラー”やってます。伊世渓 ゆかり(イセタニ ユカリ)です」

 

???男1「・・・”超高校級の登山家”岳 郷代(ガク ゴウダイ)・・・・です」

 

 それぞれ簡単に挨拶をする。

堂階「実はオレたちもついさっき会ったばかりで名前は知らなかったんだ」

鏡崎「え?だってさっき皆で結構前から2階にいたって・・・」

堂階「確かにそうだけど、お互い話さなかったんだ。見かけただけね」

 なぜ、話さなかったんだろう?

 

天海「ところで伊世渓さんの”超高校級のカウンセラー”っていうのはどういう才能なんすか?」

伊世渓「えぇっと、個人的にインターネットで相談窓口のサイトを立ち上げて、そこで利用者の悩みを聞くんだけど・・・。なんでもそれが結構、解決しちゃったみたいなんだ」

 なんかカウンセラーというより、占い師の方が合っているような・・・。

伊世渓「今、占い師の方が合う。と思った?」

天海「え?!なんで分かったんすか?」

伊世渓「学校でも、相談にのっていてね。表情とか声で思っている事が分かるようになっちゃったんだ」

 ・・・この人の前では嘘はつけないっすね。

鏡崎「どんな相談があったの?」

伊世渓「う~ん、色々かな。小学校の女の子や高校生男子の恋の相談。あと、旦那さんの不倫を知った奥さんとか、その逆もあったなぁ」

鏡崎「も、もういいよ!なんか重いから!」

伊世渓「そう?まぁ昼ドラ的な相談が多いんだよ」

 

岳「うぅ・・・」

天海「・・・岳君。大丈夫っすか?」

 船内に備え付けてあったベンチにぐったり座る岳君はなにやら口を動かしているが、声は聞こえない。そして顔色が悪いままだ。

伊世渓「えっと、『船だと分かる前は大丈夫だが、分かってしまうとこのようになってしまうのだ』だって」

鏡崎「読唇術もできるんだ」

伊世渓「うん、一応ね。『儂は世界1の山を制した男だ。今までほとんどの山を制してきた。そこに山があるから登るのだ』」

伊世渓「『しかし、船の上で海を見てしまうと今みたいに酔ってしまうという弱点を持っているのだ。うぅ・・・我ながら情けない』」

鏡崎「そんなに、話しているの?」

伊世渓「とりあえず、もう少し休めば治るみたい」

 

堂階「うぅん。船の上はダメなのか・・・」

天海「堂階君?」

堂階「オレは船の上で過ごす事が多かったからな。こんな奴もいるのか。ってね」

天海「そっすか。・・・では俺等はもう行くんで」

 

???「・・・なんだ、ただの船酔いか」

 いつの間にか俺の後ろに白衣を羽織った少女が立っていた。彼女は呆れた顔で岳君を見ていた。

天海「君は?」

 

???「私は帆邑 季京(ホムラ キキョウ)。とてつもない悲鳴だったから殺人でも起こったのかと思った」

 

伊世渓「岳君が申し訳ないって」

帆邑「そう、べつにいいよ。それじゃあ」

 帆邑さんはそう言って去ってしまった。

堂階「不思議な人だったなぁ」

鏡崎「帆邑さん。肩書を言わなかったけどなんでかな・・・?」

 

 確かに、今まで自分の才能を言わなかったのは彼女だけだ。人の事に深く付け入るきはないけれど、敢えてその話をしなかったような・・・。

 

 俺達は、岳君の事を伊世渓さんと堂階君に任せて2階の奥へと進むことにした。



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【非公式】ダンガンロンパV2 prologue5

注意事項です。
※この話はダンガンロンパV3の一部のネタバレを含みます。ダンガンロンパV3をクリアしていない方で、ネタバレが嫌な方は見ないことを推奨します。
・グロくはないと思いますが、一応R-15です。
・この話は【非公式】です。
・プロローグを何回かに分けて投稿します。またその先もそのようになる予定です。

・≪pixiv≫に上げているものと同じものです。また、キャラクターと地図は≪pixiv≫にてあげています。


 堂階君達と別れた後、俺等は2階を探索した。

 同じようなドアが廊下に並んでいる。そのドアには自分の名前が書かれたネームプレートが付いていた。他のドアには鏡崎君をはじめ、他の人の名前が書かれたものもある。

 自分の名前のドアを開ける。

天海「あれ・・・?」

 鍵がかかっていて開ける事が出来ない。

 試しに鏡崎君の部屋のドアも本人に開けてもらおうとするが

鏡崎「・・・開かない」

 このドアは一体何なのだろうか。

 

 ネームプレートのドアのある廊下は一周回るようになっていて、その上の階にも同じようになっていた。上の階が女子、下の階が男子のネームプレートが付いていた。また、下の階には、ネームプレートが無い部屋が2つあった。一つはランドリー。そしてもう一つの方の前に俺等は立っている。

鏡崎「ここは、食堂なのかな?」

 足元にナイフとフォークをクロスさせた看板があった。成程、ここで食事ができるのか。俺等は扉を開けて、中に入る。するとそこに、一人男子がいた。

???「あれ、君等は・・・?」

天海「俺は超高校級の冒険家の天海蘭太郎っす」

鏡崎「超高校級の小説家、鏡崎・・・橙榎、です」

 

???「あぁ、そう言う事ですね。自分は須ヶ原 均継(スガハラ ナオツグ)。一応、”超高校級の美化委員”やっています」

 

天海「美化委員?変わった才能っすね」

須ヶ原「えぇ、自分はよくボランティアで町の清掃や花壇の花植えをやっています。ただ、なぜか他の町に呼ばれたりして、自分でもよく分からないんですよ」

鏡崎「ボランティアって町の人が呼ぶものだったっけ?」

須ヶ原「いや、なんでも自分の場合、町の印象や景観もよくなるみたいで」

 須ヶ原君は照れくさそうに言った。

鏡崎「でも、あちこちの町から呼ばれるって結構大変な気がするような」

須ヶ原「大丈夫です。交通費も出してもらっていますし、それに、掃除も花植えも好きなんで」

天海「結局、町はボランティアを呼ぶのにお金を出すんすね・・・」

 

鏡崎「ところで、須ヶ原君はここで何をしているの?」

須ヶ原「お手伝いです。結構汚れているみたいで、これじゃ、料理が不味くなると言っていました」

???「そりゃそうだよ!」

 厨房の奥から女子が現れた。

???「美味しい料理は、健全なる魂と健全なる場所で生まれる。そうわたしの脳が言っているの!」

須ヶ原「あはは。この2人は挨拶をして回っているみたいですよ」

???「そうなの?じゃあ自己紹介ね」

 

???「わたしは速弥 芽依(ハヤミ メイ)。巷じゃ”超高校級の大食い選手”って呼ばれているよ!」

 

鏡崎「え、大食い選手には見えないよ」

速弥「疑ってる?でも、本当だよ。ふふふ、わたしはどんなに食べても太らない体質なんだ!」

 

速弥「・・・て、本当にわたしの事知らない?バラエティ番組によく出ていたんだけど」

鏡崎「ゴメン・・・。バラエティ番組はあまり見ないんだ」

天海「俺もっすね」

速弥「そっか。・・・あ、謝らなくていいよ!気にしないから」

天海「ところで、速弥さんは厨房にいて料理をしていたんすか?」

速弥「うん。わたし、食べるのも、つくるのも好きなんだ」

 

 バタン

 後ろの、入り口のドアが開かれる音がした。

 

 そこには段ボール箱を抱えた黒髪の少女がいた。

???「速弥、須ヶ原、これだけあれば大丈夫か?」

須ヶ原「はい。これだけあれば大丈夫です。すみません。女の子にこんなに荷物を運ばせてしまって」

 段ボール箱の中身は洗剤やスポンジ、雑巾といった掃除用具だった。

???「1階の倉庫にあった。・・・ところでそこの2人は?」

速弥「天海と鏡崎。さっきここに来たの」

 

???「そうか、私は零源 和華(レイゲン マドカ)。”超高校級の弓道部”だ」

 

零源「まぁ、この中じゃ私の才能は薄れてしまうがな」

天海「どういった才能なんすか?」

零源「そのままだ。矢と的があれば必中させる事ができる。それだけだ」

 それって、すごい才能だと思うが・・・。

鏡崎「ところで、今、会ったのって、全員で15人か・・・。結構、この船の中にいるんだね」

天海「どこに向かっているのか分からない船に、ね」

 

すると、速弥さんと零源さん、そして須ヶ原君は顔を見合わせる。

零源「いや、全員で16人だ」

鏡崎「え、そうなの?」

速弥「もしかして、アイツには会っていない?」

鏡崎「アイツ・・・?」

速弥「黒いコートを羽織っていて、銀髪で長髪の、変人」

 そんな人物には会っていないな・・・。

 

鏡崎「変人?」

須ヶ原「超高校級の人物なら、少しは変わっていると思うのですが・・・」

 

 その時だった。扉が勢いよく開け放たれた。

???「こんなところにいたんだな!新入り君達!」

 彼らの話と同じ人物がそこにはいた。黒いコートに銀髪。長髪がぼさぼさと跳ね上がっている。

須ヶ原「新入りってなんですか・・・。鏡崎君がオーバーに驚いていますよ」

 鏡崎君は腰を抜かしたまま、固まっていた。

???「あぁ、すまないな。今はハイでローな気分なんだ」

天海「どっちすか」

 

???「自己紹介させてもらうよ。俺は飯田橋 景(イイダバシ ケイ)”超高校級の機械工学者”とは俺の事だ!」

 

飯田橋「そこの2人の新人君。今後ともよろしくな」

天海「・・・・・・」

鏡崎「・・・・・・」

須ヶ原「・・・・・・」

速弥「・・・・・・」

零源「・・・・・・」

 

飯田橋「な、なんか言えよ。俺が痛い奴みたいじゃないか」

天海「・・・あ、すみません。こちらこそよろしくお願いするっす」

鏡崎「・・・・・よろしく」

飯田橋「それでいい。今回は許してやろう」

 

飯田橋「実はロボットの高校生の従弟がいるというのは秘密の話」

鏡崎「秘密じゃなくなっているよ・・・・・」

速弥「ツッコんだら負けだよ・・・」

飯田橋「ま、俺は何よりオリジナリティを愛している」

天海「いきなり話が変わったっすね」

飯田橋「俺のつくる機械は独創性と実用性に溢れているのだ!設計からデザインまでこの俺がするからな!」

 飯田橋君はそのまま、自分が如何なる存在か、という演説を始めた。

 

零源「私達は先程聞いたが、人と同じ体温を発する介護ロボットを設計したことがあるらしい。仕事はちゃんとするようだ」

天海「意外っすね」

 

鏡崎「・・・なんか、この人苦手だな」

飯田橋「本人の前で言うかな?それ!」

 飯田橋君は大袈裟にのけぞる。

 

速弥「あの飯田橋が押されてる!」

零源「それも、意外な人物にな」



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【非公式】ダンガンロンパV2 prologue6

注意事項です。
※この話はダンガンロンパV3の一部のネタバレを含みます。ダンガンロンパV3をクリアしていない方で、ネタバレが嫌な方は見ないことを推奨します。
・グロくはないと思いますが、一応R-15です。
・この話は【非公式】です。
・プロローグを何回かに分けて投稿します。またその先もそのようになる予定です。

・≪pixiv≫に上げているものと同じものです。また、キャラクターと地図は≪pixiv≫にてあげています。
※このprologue6のみ、少し内容が異なります。
※このprologue6で、プロローグは終了です。


   ピンポンパンポーン

 

 そんな音が食堂内に響いた。すると食堂に備え付けてあった、モニターに映像が映る。なにかのシルエットだ。

 

『あー、あー、聞こえているかな?本日はご乗船いただき、ありがとうございます。船内放送です。乗客の方々は今すぐにロビーへとお集まりください』

 

零源「ロビー?それは1階のか?」

速弥「もしかして、誘拐した奴?そうだったら許せないんだけど・・・!」

飯田橋「フッ、面白そうだ。俺は早速行くとしよう」

 飯田橋君は勢いよく食堂から飛び出していった。

須ヶ原「・・・自分も行く事にします」

 続いて須ヶ原君が出ていく。速弥さんも零源さんも彼等の後を追うように食堂を後にした。

鏡崎「ボク等も行こうか?」

天海「そうっすね。・・・気は抜けないっすけど」

 

 1階のロビーホールへと駆け降りると、もうすでに先ほど会った面々が揃っていた。

九塔「うーん、すっかり忘れてたけど、あたし達誘拐されてたんだったよね」

武皐「おい、出てこい!この誘拐犯がよ!」

 

   ・・・・・・・・・・

 

???「もー、そんなにせかさないでよ」

 ロビーの接客カウンター。その上に半分がつぶらな瞳の白いクマ、半分が禍々しい黒いクマのヌイグルミが現れた。

 

???「アテンションプリーズ!ようこそディスパイアー号へ」

野絽岐「わー、かわいらしいヌイグルミが出てきたよ」

???「かわいらしい?いやいやそれほどでも。だがしかし、ボクこそは希望ヶ峰学園の学園長、モノクマなのだ!」

一同「「「「!」」」」

モノクマ「いやぁ、かわいいって言われたの、初めてだよ。生徒に愛されるなんて、まさにボクは学園長の鏡だなぁ」

 

モノクマ「実はね、先生は皆が静かになるまでにクマになってしまったんだよ。ロビーとか2階のデッキとかで、わんやわんや、てんわわんや、騒いでいる内にね」

モノクマ「ま、嘘だけどね!」

 

天海「・・・希望ヶ峰学園の学園長ってどういう事っすか?」

モノクマ「ん?どうもこうも、面も小手もないよ。というか聞いちゃう?君達はゆとりなの?」

帆邑「アンタが私達を誘拐したの?」

モノクマ「誘拐?そんな事はしていないよ。そんな物騒な事をしたら。PTAから苦情が来るでしょうが!」

黄良「唐突に逆切れ?!」

帆邑「じゃあ、誰が誘拐したの?この状況は何?」

モノクマ「はぁ、何だろうね。少しは自分達で考えてみたら」

黄良「今度はすねちゃった・・・」

 

鏡崎「・・・・超高校級の才能を持った16人、完全な密室状態」

武皐「は?何言ってんだ?密室じゃねぇだろ。デッキに出られるし」

ヨハン「いえ、鏡崎君が言っていることはそういう意味ではないと思います」

須ヶ原「・・・確かに、今の状況は、はっきり言って危険ですよね」

速弥「どういう事なの?ちゃんと説明してよ!」

 

天海「海のど真ん中で、人を、助けを呼べない。そして逃げる事もできない状況。という事っす」

 

堂階「海とか船ならオレが詳しいよ?操舵室とかがあれば操縦できるし、助けも呼べるよ?」

九塔「それは無理」

堂階「どういう事?」

九塔「それっぽい所が全く見当たらなかったんだよ。仮にあったとしても鍵はかかっているだろうね。それも頑丈な」

岳「じゃあ、泳いでいくっていうのはどうだ?」

伊世渓「こういう船には救助ボートがついているよね?」

堂階「・・・岳、それは無理だ。船の底にはスクリューがあって、下手したら巻き込まれる」

九塔「そうじゃなくても、何処に島があるのかな?ゆかりちゃんの意見も同じ。島が見えないって事は、確実に1日以上はかかるよ」

 

速弥「せめて、ここがどこか分かれば」

天海「それに、どんな生き物がいるか分からない中、泳ぐのは非現実的っす」

仲「じゃあ、わたくし達はこれからどうなるのですか!?」

鏡崎「・・・多分、不自由なく暮らせると思う」

 

鏡崎「2階の厨房には食料はあるみたいだし、倉庫には雑貨があるみたいなんだ。だから生活っていう点は大丈夫だと思う。・・・ただ」

零源「なんだ?」

鏡崎「ただ、それだじゃない。と思うんだ」

飯田橋「フッ、そういう事か。伊世渓、お前はこの状況をどう分析する?」

伊世渓「なんでわたし?!」

 

モノクマ「あー、もう!!オマエラにコロシアイをしてもらうんだよ!」

 

 周囲が一気に冷えた。誰もが黙った。まさに”この場が凍りついた”という言葉が見合うような。

 俺は耳を疑った。いや、皆がそうだ。何も言葉を発せない。

 

モノクマ「議論は後でいいんだよ!・・・はぁ、手違いでまだ船は島に着かないのに、そんなこんなで疲れているボクに追い打ちをかけるなんて、ひどいや!

 

武皐「なぁ、聞き間違いだよな?殺し合いなんて」

黄良「そうだとありがたいよ・・・」

須ヶ原「というか、しませんよ。そんな事は」

仲「えぇ、そういう事は法律で裁かれます。常識ですわ」

モノクマ「それを打ち破るのがこのモノクマなのです!コロシアイについてはボクが保証するよ」

帆邑「どういう事?」

モノクマ「んもう、コロシアイが起こっても大丈夫。この場所ではボクがルールなの!」

 

モノクマ「オマエラの中で殺人が起こった場合、全員が参加する”学級裁判が行われるんだ!」

 

モノクマ「学級裁判では、殺人を犯した”クロ”とそれ以外の生徒”シロ”が対決する。そして学級裁判で≪誰がクロか≫をオマエラに議論して貰うんだよ」

 

モノクマ「そしてその後の”投票タイム”で、多数決によって引き出された答えが正解だった場合、殺人を犯したクロだけが”おしおき”されて、残ったメンバーで共同生活を続けるんだ」

 

モノクマ「でも、もし学級裁判で間違った人物をクロに選んだ場合は、罪を逃れたクロだけが生き残って、シロの全員が”おしおき”されてしまうんだ」

黄良「あの、”おしおき”って何の事?」

モノクマ「良い質問だね。おしおきは簡単に言うと処刑の事だよ」

 

モノクマ「それについては法で裁かれるのと同じだね。罪がバレたら裁かれる。ただ、自分達が自分達の運命を決めるって事」

 

モノクマ「これは、コロシアイは、”命掛けのゲーム”なんだからね」

 

モノクマ「コロシアイの内容は自由。視察?それとも殴殺?ラクチンな毒殺?」

モノクマ「絞殺、射殺、撲殺、轢殺、爆殺、溺殺斬殺呪殺焼殺出血殺落殺感電殺等々、なんでもあり!」

 

鏡崎「それが超高校級の才能を持った16人が行うコロシアイ、ね」

モノクマ「勝手に説明しないでよ」

鏡崎「え?あ、ゴメン?」

モノクマ「今後ここの生活でのルールをオマエラにプレゼントしたモノパッドに送っとくから、ちゃんと確認しておけよ!」

 

モノクマ「それじゃあ、島に着くまでゆっくりとお過ごしくださいな。ぐっばーい」

 

 モノクマはそう言い残し、カウンターの裏へと消えていった。



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