ハイスクールDxD 書き換える者  (裕 紫翠)
しおりを挟む

死後転生のリライトドラゴン
0話 死にました


初投稿です
初心者なので誤字や脱字がありましたら
ご報告お願いします


天地ともに広がる青い空

地面はうっすらと膜の様に張っている水が反射しているようだ

目の前には中学生位の男の子が立ってる

服?は布のようなものを巻き付けているだけに見える

 

....これは夢か、起きたらきっとベットの上で―――――

「―――横になっている。本当にそう思ってる?」

 

俺が考えていたことに続く様にして男の子が喋った

心の中でも読めんのか?

 

「そうだよ僕は君の心を読んでいる」

...ってことは俺はあれで

 

「そう、君は死んだ爆発に巻き込まれてね」

あれは流石に死ぬか...他にも沢山の人いたはずだどうなった

 

「どうして考えていることがわかるのか聞かないのかい?

因みに君以外の人は生きているよ。勿論あのテロリストもね」

 

そうか、生きているならそれで良い

それに考えていることがわかるのは大方あんたが神様か悪魔だからだろう?

 

そう考えると

「へ~、良く知ってるね。確かに僕は君たちが神様と呼んでいる者さ」

とたいして驚いたとは思えない反応をされた

そう言う類いの創作を良く読んでいたしなそれくらいすぐわかる

 

「そうみたいだね。それにしても君、何で喋らないのさ」

少し訝しそうな顔をしながらこちらを見つめてきた

いや、考えていることがわかるのに喋る必要なくないか?

 

「確かにそうだけどさ、ほら気分的にね?

君だって少年とただじっと見つめあうのはいやだろう?」

 

ちょっと自分が町のど真ん中で少年と見つめあっている風景を想像してみた。

 

「······確かにな」

回りから見るとかなり可笑しな奴に見えるだろう。俺が

 

「それじゃいきなりだけど。どんな特典が欲しいか言ってみてくれないか?」

あ、転生するのは決まってんのね

「もちろん。で、どんな特典が欲しいんだい」

 

「その前に特典はどんなものがどれだけ貰える?」

これだけは確認しておかないと何を貰うか決められない

 

「そうだねもらえる特典は人や神の力によってまちまちだからね

君のしてきたこと、僕の力を合わせると十個位かな」

 

思ってたよりも多かった。それに

「なあ。それって間違いなく俺が耐えられねえよな」

 

「おっ頭の回転が早い子は嫌いじゃないよ」

ってことはそんなことをすれば俺は転生しても身体の方が耐えられなくて良くて障害あるいは消滅でもするのか...それなら

 

「決めた...。一つ目はドラゴンの身体をくれ。見た目、能力はモンハンのディスフィロアが良い」

 

「お安いごようさ」

 

「二つ目はRewriteの天王寺 瑚太郎の力全てだ」

 

「血流操作。リライト能力。魔物の使役だね。一つにまとめて来る辺り賢いね」

誉めてもなにも出せやしないさ

 

「三つ目は神器が欲しい」

「指定はあるかい」

「それなら、モンハンのゼルレウスとアンノウンを神器にしてくれ」

「それで良いのかい?」

形はこっちで何とかする

「最後に一つに転生する世界のことで頼みたいんだけど」

「ハイスクールD×Dだね」

「ああ、それで頼む」

 

「ん~こんなとこかな他にして欲しい事ってある?」

いや、特にこれと言ったことは無いな

 

「そうだ。ガコン!とキラキラ~だったらどっちが良い?」

 

ガコン!とか嫌な予感しかしないぞ

「じ、じゃあキラキラで」

と答えると俺の足もとに大きな魔方陣が現れた

 

俺が前を向いたとき「新しい人生を楽しんでね」

彼は、はにかみながらそう言って俺を転移させた

 

最後に「困ったらいつでも呼んで」と付け加えて

 

 

 

~神様side~

まったくどうして僕の所に来る転生出来る子はあんなにしっかりしているのだろうか。あのバカ以外。

そう言えば彼「身体が耐えられねえ」そう考えてたけどちょっと惜しかったね

正確には身体が消えるんじゃ無くて魂が消えてしまうから。

でも器の壊れた存在で特典を10個も渡せる奴なんてそう居ないのに

それに彼。僕がゾッとするくらい心が壊れていた。

壊すことに置いて他よりも圧倒的に強い僕が言うのもアレなんだけど

でもあれは正確に言うと壊された、かな。じゃなきゃあんなこと...

まあ良いやこれで呼ばれるまで僕の仕事は――――

 

―――――あ!送る時代を間違えた!

うーん。一時間位したらもとの時代に送ればいっか




前座ですがいかがでしたか?
感想やこうした方がいい等の指摘もお待ちしています


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1話 転生しました

短いですかね?
どうぞ


上を向いたら空が紫でした

 

何言ってんのか分かんない?

俺が分かるのは、ここは冥界のどこかってことだけだ

 

ドラゴンであるせいか視界がかなり高い

とりあえず見つからない内に人型になろう

見つかったら面倒だ

 

後で確認したのだが人型の時の姿は

髪の色が白く大人になった天王寺 瑚太郎だった

 

ゼルレウス、アンノウン会話は出来るか?

まあ、普通会話ができるわけ―――

 

『できます』『はいマスター』

まじ!?

まさか本当に会話が出来るとは思わなかった

 

『ご用ですか』『私たちはマスターの神器ですから会話くらい雑作(ぞうさ)も有りません』

簡潔に話すのがゼルレウス、俺をマスターと呼ぶのがアンノウンだ

 

しかしだ。

なんで二人とも敬語なんだ?

『強者であるからです』『私が神器であるからです』

 

...答えが違うのか。考える事は人それぞれってことか

そうだ神器はどんな感じなんだ?

『太刀です』『刻竜剣と呼ばれている武具です』

もともと会話が出来ると思ってなかったから形は自分で変えるつもりだったけど輝界白竜刀と刻竜剣かなかなか格好いいじゃないか

 

禁手(バランスブレイク)』はどうなる?

『フルフェイスの鎧になります』『······』

アルテラシリーズの剣士装備かとなると『輝界龍の鎧(アルテラナイト・スケイルメイル)』ってとこか

...アンノウンどうした急に黙りこんで

 

『.....言いたくありません!』

アッ、はい分かりました

言いたくないなら、無理に言わなくてもいいです

鬼気迫る勢いでそんなこと言われたら誰だって聞きにくくなる

実際ちょっと怖かったし

 

(あるじ)よ』

どうしたゼル

 

『ゼル...ですか。それよりも血の匂いと戦いの音が聴こえます』

あだ名だけど安直だったかな?

血の匂いは俺にも分かる。割と近くで戦争でもしてんのか?

 

『そのようです。この戦いに介入なさいますか?』

『ゼルだけあだ名。羨ましい...マスター私もあだ名が良いです』

ちょっとだけな、平和的に解決出来るようにするさ

そしてアンノウン、なぜあだ名が良いのだ

まあちゃんと考えるけどさ

うーん。ゼルレウスがゼルだからアンでいっか(真面目に考えるとは言ってない)

 

「それでゼル、戦争の起こっているのは何処だ」

『はい。ここから南西の方角と思われます』

分かった

念のために輝界白竜刀の『禁手』で行く

『何故でしょうか』

「フルフェイスなんだろ?それなら身元が分かりにくい

それから刻竜剣も展開して行く。その方が安全だし」

というのは建前で神器を早く使って見たいだけですハイ

 

『早速使ってくれるのですね』

もちろん。使える物はなんでも使うのが俺のやり方だからな

「それからゼル。『輝界龍の鎧』に翼って生やせるか?」

『...主が望めば神器はそれに必ず応えます』

解ったじゃあ行くぜ

守るべき者のところへ

言って見たかったけでどんな奴がいるのか知らないけどな

 




感想、指摘お待ちしております


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話 喧嘩止めました(物理)

前回よりも少し長めになっています
どうぞ


鎧に翼出てこい!と願ったらゼルレウスの翼が出てきてビックリした

只今血の匂いが漂ってくる方向に向かっております

 

そうそう、聞きたい事があるんだ

(アン。これって刻竜剣でいいんだよな)

『?はい。そう呼ばれる武具のようですが』

 

刻竜剣は本来片手剣に部類される武器なんだがこれは片手剣ではない。

本来の十倍近くの大きさの剣と『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』に良く似た紅黒い刺々した籠手がセットになって出てきたのだ

 

『確かに刻竜剣と呼ばれていますが。マスターの知る物とは全くの別物であると断定します』

アンノウンの話を聞きながら

やっぱり原作とは違うものなのかな~と呑気なことを考えていると

 

『っ!主』『マスター炎です!』

俺の真横に巨大な炎が迫ってきていた

気が付いた頃にはもう避けることが難しい距離まで迫っていて

咄嗟に左手を突き出した

 

ぶつかる直前に誰かが「危ない!」と叫んだのが聞こえた

 

パキイィン

ガラス玉の割れる音。そう表現することがもっとも近いのだろうか

目の前に存在していた巨大な火球は左手が触れるのと同時に氷の塊となって粉々に砕け散った

 

「何!?」

威厳のある声でとても大きな存在感を放ちながら火球を放った者は姿を見せた

大きな赤いドラゴンだった

いや竜化したときの俺とそんなに差はないと思うけど。それでも大きいと思った。思ってしまった

 

「貴様。何者だ」

「俺は鈴木 凡人。とでも名乗っておこうか」

そう言っておれは右手で思い切り目の前のドラゴンを殴り付けた。

「――喧嘩するならよそでやれ赤トカゲ」

....天王寺 瑚太郎の方が良かったかな?

 

赤い龍が地面にめり込んだのを確認したあと後ろから視線を感じとったので振り向くと

ツインテールの少し魔力の強い女の子がへたり込んでいた

 

 

〜サーゼクスside〜

信じられないモノを見た

 

私たちはもともと三つの勢力で戦争をしていた

しかし、そこへ『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』と『白い龍(バニシング・ドラゴン)』が現れた事によって戦争などすることすら出来なくなってしまった

これはこの戦争でまだ生き残っている者達が共有している記憶だ。しかし

 

「セラフォルー危ない!」

私は赤い龍に襲われる友人を見守ることしかできなかった

そこに横入りするように彼女を庇った、全身鎧姿の存在が現れるまでは。

その者はセラフォルーに対して放たれた炎に触れた瞬間。

炎を周囲の空間と共に凍らせてしまった

本来なら凍るはずのない炎が。

 

「貴様何者だ」

「俺は鈴木 凡人。とでも名乗っておこうか」

彼はそう名乗った瞬間。剣を使わず変形させた紅黒い右腕で赤い龍を殴り付けた

「――喧嘩するならよそでやれ赤トカゲ」

地面に叩きつけられた赤い龍を見下ろしてそう呟く姿は

絶対的な王者の様に見えた

 

凡人と名乗った彼は見下ろしていたドラゴンから目を離し、後ろにいたセラフォルーに近づいた

何か話しているようだったのでコンタクトを取ろうと私たちが近づいた瞬間―――

殴られたのだと思った

接近した彼から。叩き付けられたと押し潰されたと錯覚を起こす程濃密な殺気が放たれた。

息が詰まった。文字通り呼吸も止まった

いきなりの出来事に対応出来たものは少なかった、それでも上級悪魔の殆どが耐えていた。

いや耐えられる程度に抑えられていた。その方が正しいのだろう

赤龍帝と呼ばれるドラゴンをたった一撃で沈めたのだ。そうに違いない

私と他で殺気を放ちわけでもしたのだろうか。

だとしたら私と彼には計り知れない力量差がある。

と思っているとセラフォルーが彼に何か懇願する仕草を見せたと思えば、彼から放たれていた殺気が嘘のように消えた。

おそらく私たちは敵ではないから殺気を収める様に頼んでくれたのだろう。

 

他の上級悪魔は警戒して近づこうとはしなかったが。今度は近づいても殺気がを叩き付けられる事はなかったので、私は彼にセラフォルーを助けてもらったことに感謝を述べた。

すると彼は「時間がない、赤トカゲの喧嘩相手は何処だ」と聞いてきて、私はこの時頼もしいと思った

同時に恐ろしいとも思った。

鎧の奥の瞳に写ったその眼の色と、感じ取った魂の色があまりにも酷く歪みぐちゃぐちゃなった緋い色をしていたから

彼に白い龍は近くにいる空の方だ。と伝えると。剣の様な翼を羽ばたかせて飛んでいってしまった

 

私たちはそのあとを追った

 

~主人公side~

 

へたりこんでいたツインテ女子にに

怪我はないか。どうしてこんな所にいるのかなどいくつか質問した

途中、紅髪のイケメンが近寄ってきたのでついうっかり殺気をぶつけてしまったが俺は悪くない

『主が悪いですね』『マスターが悪いです』

 

うっ...神器の二人から精神的ダメージを負った。

それからこの魔女っ子に言われて気が付いたのだが身体が消えかかっているのだ

あの時の転移魔方陣と同じ匂いがするので特に心配することはしなかったが

何故か分からないがとても悲しそうな顔で「消えないで!」と懇願された

 

フラグを建てた覚えはないので単純に心配してくれているのだろう。

でも、そろそろこの戦争にケリつけないと。また転移してしまう

 

喧嘩相手は何処かな?と考えていると丁度例のイケメンがきたので「赤トカゲの喧嘩相手は何処だ」と聞いた

上から?気にすんな

一応近くにいるようなので、叩き落としてやろう。と翼を展開して一直線に飛び上がった

 

「あ。」

「貴様!よくもドライグを」

本当にすぐ近くにいた

って言うか目が合った。目と目が合う~♪と云うのはこの事か、と納得してしまった自分が憎らしい

「落ちろ白トカゲ」

「な!?―――ぐぁぁぁぁああああ!!」

俺の方が位置的に高い所にいたので、背中翼の付け根目掛けて右腕を突きだして火球を放った

羽の焼け爛れたトカゲはそのまま地面に向かって真っ逆さまに落ちてった

 

各陣営のトップらしき人物は着いてきていたらしい警戒されてる気がするけどまぁ良いか

ツインテが息を切らしながら寄ってきたところで

 

「タイムアップ...かな」

「え?」

ツインテ女子は目を見開き驚いていた。とても悲しそうな顔で

これで少しは楽になったかな?まあもともとこんなところに来る予定なんて無かったんだろう。身体に慣らすためとか?いや俺にそんな必要はないんだけどなぁ

そんなことを思っているとツインテ女子が質問してきた

「また、会えますか?」

胸に手を当てて不安そうにしているその姿が不謹慎だが、一瞬可愛いと思ってしまった。

「また、会えますか?」か何か答えてやらなきゃ。

今度はあの時みたいに―――いや、それはもう関係ないか

「ああ、約束しよう。また何時かどこかで」

 

言い切った直後俺は再び転移した

 

 

 

 

 

 

あっ。剣の方使ってねぇや




感想、指摘お待ちしております


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話 色々ありました

目指せ日曜投稿です!
短いですがどうぞ


三度目(・・・)の転移から17年

色々あった。本当に色々あった

何があったのか。まず始めに挙げるとすると、原作に少しだけ手を加えていたのだ

具体例を挙げるなら、姫島 朱乃の母の生存。木場 祐斗以外の聖剣計画の被害者の生存。などだ

 

細かく説明すると少し時間がかかってしまうが

簡単に説明すれば原作において理不尽に生命(いのち)を奪われた人や壊れてしまった人を救ったのだ

 

次に、俺が天王寺 瑚太郎であるせいかrewriteのキャラが存在しているのだ。

これも例を挙げると、神戸 小鳥や鳳 ちはやだ

小鳥は幼馴染みだった、ちはやは同じクラスに一年生(・・・)の時の転入してきた。

もちろん他のメンバーもいた。それに天王寺 瑚太郎の存在しないオカ研(オカルト研究会(・・・・・・・))があった

もちろんオカルト研究部もあったのだが、なんで一つの部にならないのか?と、駒王学園の七不思議になりつつある

 

それから。駒王学園の変態三人について

原作に手を加えていた時点で考えていて実行した内の一つ

あの三人が変態になる原因を徹底して狩り潰した

 

その結果、松田が陸上の天才的な能力を発揮し地区大会で優勝を連発

元浜は座学での成績をほしいままにしている

そして、兵藤 一誠は俺の下で武術を習っている

はっきり言ってセンスや才能は皆無だったがそれを努力で越えた

本当の主人公の強さというものを知った

 

この三人は駒王学園の三銃士と呼ばれるほど良い意味で有名になった

三銃士と呼ばれる由縁はこの三人がいつも一緒にいるからだ

小学生の頃から一緒に行動してきたのでなに考えてるのかお互いによくわかっているのだ

それによって裏では薄い本が作られているとかいないとか

 

俺自身は駒王学園の何でも屋と呼ばれている

こう呼ばれるようになったきっかけは

頼み事をよく引き受けていたという事が原因だろうと推測している

内容は雑用や部活の助っ人、更には恋愛相談なんてのもあった

 

それから俺自身に関する事でもう一つ

二度目の転移の時に原作知識をほとんど失った、その代わりと言ってはアレだがちょっとした治癒能力を手に入れた

因みに俺が覚えているのは一誠がリア充の仲間入りをする所までだ

.....うん。全然覚えてねぇな

 

これに関してはどうしようもない、傷ついた二人を助ける為にあの神様を呼んで能力と交換したからな

どうして助けようと思ったのかは未だによく分かっていない

以前の俺なら無視していたと思う

もう忘れてしまったが原作に関わりのある人達だったのだろう

男の人が八重垣という名前だったはずだ

 

そうそうこの間家の近くで黒猫を拾った

黒猫の名前は黒歌だ

きっかけはそう呼んでしまったのだ

 

実は拾って家に連れて帰った時

ついうっかり黒歌と呼んでしまったのだ

そりゃあ警戒されたよでも全身傷だらけでろくに動く事ができなかった黒歌は人の姿になったが俺に拾われた時点で満身創痍だったらしくそのまま気絶してしまった

 

その後、例の治癒能力で黒歌を癒したあと起きてるまでずっと手を握っていた...いや正確には握られていただな

ずっと一人だったんだ寂しかったんだろう、辛かったんだろう。

 

黒歌は起き上がると共に仙術で俺に攻撃をしてきた

でも俺に仙術が効かないと分かると悪意まで取り込もうとしたから止めた。もちろん仙術で、といっても黒歌が取り込んだ悪意を俺に移しただけなんだけど

 

その後、いろんな事を聞かせてくれた

自分が悪魔の下へ連れて行かれると思ったのだろう。それでもずっと妹だけは助けて欲しいと言い続けた

俺が悪魔達に自分を差し出す様な事をしないと分かると礼を言われたありがとう。と

理由は聞かなかったそれでもその一言にどれだけの気持ちが篭っているのかは分かった

 

黒歌にしばらく此処に置いて欲しいと頼まれた

もちろん承諾したよ。

気の済むまででもいいし、ずっとここにいても良いんだよと答えた。

そう言うと黒歌は泣いていた。嬉しかったそうだ

その日から黒歌が俺のベッドの中に忍び込む様になった

 

追っ手?ああ、灰になったり粉々に砕け散ったりした方々ですねそれがどうかしたか?

 

あ、原作知識がほとんどないと言ったが

登場人物がどんな種族なのかどんな能力を持っているのかはしっかり覚えている

 

例えば、リアス・グレモリー

彼女が悪魔で滅びの力を持っている

ソーナ・シトリーと親友である

これくらいか.....って全然覚えてねぇ!!

分かってたよ。分かってたさでも、ここまで出てこないとちょっと悲しくなってくるよ

 

ああ、黒歌の事も少しだけ覚えている

元猫又でSSランクのはぐれ悪魔。罪状は主殺し。

理由は妹を守る為だったはずだ

尚、この世界の黒歌は主を殺し切れなかったらしい

もし、もしもソイツが俺の前に現れたなら俺は―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――俺は間違い無くそいつを壊す




説明回になりましたがいががでしたか?
主人公の詳しい設定は後々投稿すると思います
感想、指摘お待ちしております!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

主人公の設定(随時追加)ネタバレ注意!!

後々と言ったなあれは嘘だ!!



...何書いたらいいのか分かんなくて設定書き出しましたすいません!
とりあえずどうぞ!


名前

天王寺 瑚太郎/鈴木 凡人/本名(??? マリ)

 

容姿

髪の色が白く、大人になった天王寺 瑚太郎。遠くから見るとうっすらと青みがかっている

感情によって髪の色は変えられる

目付きが鋭い

しっかりと鍛えられた体を持っている(細マッチョ

両腕にリストバンドを着けていて力を抑え込んでいる

 

性格

基本的に優しい、そして軽い

気さくなところがあり、他人を嬉し泣きさせるのが得意

身内には甘い、鍛練や修行になると容赦しなくる

大切な人を失うことを極端に恐れているところがある

身内に手を出されて、傷付く様な事があるとその相手を壊す(・・)

前世で心を破壊されている

可愛い女子を一人で街中を歩かせるのを嫌う

壊れている

女の子の涙にとっても弱い

 

二つ名

『戦争の英雄』『凍えさせ焼き尽くす者(アブソリュート・バーン・アウター)』『白銀色の断罪人(グリムオブシルバーリッパー)

 

特典

天王寺瑚太郎の能力(リライト能力/血流操作/魔物の使役)

ディスフィロア(ドラゴン)の身体、能力

二つの神器

治癒能力

???

???

二人の体

(詳細は下記参照)

 

能力

rewriteから

書き換え(リライト)能力

自身を書き換える事で身体能力や耐性を大幅に強化する事ができるただし、一度使う事に人間を辞めていく

尚、主人公はそもそも人間では無いのでその影響は小さい

 

血液操作

自身の血を操る事で武器を作ったり、止血を行う事ができる

血液のあり方そのもの変幻自在に操ることが出来るので、顔の形、輪郭を自由に操ることが出来る。なお主人公(???)は瑚太郎の顔を気に入っている模様

 

モンハンから

ディスフィロアの能力

冷気を放って周囲を凍土へ変えたり

焔を放ち大地を焦土へ変える

威力や熱量の操作によって効果は変動する

 

オリジナル

治癒能力

他者へ生命力を譲渡する事によって、相手の怪我や病を治す力

どんな症状でもどんな種族であっても完治させる事ができる

ただし死者蘇生は難しい。

 

神器

輝界白竜刀(アルテラ・ロングソード)』/ゼルレウス

見た目... モンハンフロンティアの輝界白竜刀

能力 常に雷電を纏っている太刀。込める力によって焔や冷気を纏う

 

禁手(バランス・ブレイカー)』は『輝界龍の鎧(アルテラ・ナイト・スケイルメイル)

見た目... アルテラシリーズ《剣士》

鎧の各所に力を加える事でその部分を変化させ攻撃を防いだり攻撃の手段とする事ができる

全身から電気、粒子を発し、移動速度や身体能力を超強化できる

 

刻龍剣(ルイン・ギア・バースト・ブレイド)』/unknown

見た目... 剣の方が刻龍剣で本来の十倍以上の大きさ。

本来盾である右腕は『赤龍帝の籠手』が黒く刺々しくなり宝玉の色が紅く変質した物になっている

能力 黒と蒼い炎を螺旋状に纏った大剣で持ち方によって火力を上げる事ができる

籠手には滅びの力が込められている

 

禁手(バランス・ブレイカー)』は『刻龍の滅翼(ルイン・ルイニング)

見た目... モンハンのunknownが持つ翼が三対となって現れる

能力 自分の周りに夥しい数の滅びの力の球体を出現させる

翼そのものが黒い炎を纏っていて触れたものを灰燼へと還す

 

亜種禁手『刻輝龍の死鎧(セイブル・グリッター・ネクロメイル)

本来は『輝界龍の鎧(アルテラ・ナイト・スケイルメイル)』であるが『刻龍の滅翼(ルイン・ルイニング)』と同時に『禁手化(バランス・ブレイク)』させたもので白銀に輝く鎧は黒く染められ、蒼く輝きを放った宝石部分は深い紅に変わり果てた物。

背中から生える四対の黒い翼は見るものの心をすり減らしていく。

常に右腕から血が滴り落ちる様になっていて、瑚太朗以外が装備すると失血死する。

武器は血で作った、両刃剣(モデルはド〇クエのダー〇ドレアムの持っているアレ)

 

ラグナさんギフト(世界に恐怖のプレゼント)

 

Fateから

王の財宝(ゲートオブバビロン)

ランク:A++

種別:対人宝具

レンジ:1~99

最大補足:不明

 

原作における『王の財宝』とは異なり主人公が知識として名前と見た目さえわかればどんな物のでも取り出し可能な倉庫となっている

性能は実際の宝具そのものとほぼ同じ。

射出速度は瑚太朗(???)が全力で物を投げた時よりも遅い。

一時期色々な武器を見て触れる事のあった主人公の頭の中には凄まじい数の武具が記憶されている。

 

『忘滅剣カイダ』

『乖離剣エア』だった何か。

赤く光を帯びていた部分は全て白く染まり柄の部分も白くなっている。刀身その物は黒い構造を保っている。

忘却に特化した剣で殺傷能力は全くと言っていいほど無い。

ただ、瑚太朗(???)が持ち自らの意思でこの剣を使った場合のみ、凶悪なまでの殺傷能力を生み出す。

普段は天王寺家の発電源となっている。

おかげで自家発電によりそこらの発電所よりも電力を提供している。

ソーラーパネルもついているから、さらに発電力も上がっている。

 

全て無に帰す忘却の星(カイダ・オルビド・エストレジャ)

『忘滅剣カイダ』真名解放

元々は『天地乖離す開闢の星(エヌマエリシュ)』だった。瑚太朗(???)の心の奥底にある物に触れた事により、剣の性質その物が変質。

効果範囲内にいる者に忘却と滅びをもたらす。

正確な能力は効果範囲内にいる人から特定の記憶だけを奪うことが出来る能力。

剣が元々持っていた力が強化され凶悪な破壊力を持つ空間断絶を引きき起こす。威力、範囲は使用者の筋力によって変動する。

2つの能力が存在している。

尚、効果をどちらか一つにする事が出来るため。

物理的な被害を出すことなくその場を鎮圧する事が出来る

あるいは物理的に全てを無かった事に出来る。

さらに、使用者自身にその気があれば記憶を返す事も可能。

ただし、忘れてしまった記憶は戻す事ができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




サブタイトルにある通り随時追加です

(2017/08/28 )ちょこっと追加、修正
(2018/01/14)ちょい加筆
(2018/02/08)加筆
(2018/10/12)性格加筆
(2019/01/14)ちょこっと加筆
番外編で前回の話での黒歌と主人公のやり取りを書く予定です
番外編って分けて作った方が良いかな?(独り言)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編のブレイクスルー
ノラ猫、飼い猫になりました


番外編です
基本的に本編とは関係ない話になると思います
今回はちょっとだけ本編に関わる様なお話です
どっちだよ!と突っ込んで頂けるとナメクジは喜びます


――――ハァハァ.....

どれ位の間逃げ続けたのかな、私をアイツを殺そうとして失敗した

何年も追われて、何度も殺されそうになって、何百回も傷ついて

 

私は今、何処にいるにゃ、ここはどこ?

ガサガサと草木をかき分ける音だけが耳に届く

走って逃げて逃げて逃げ続けて追っ手に深手を負わされて

傷を癒すためにまた逃げて

 

あの子は、白音は無事?

最近はずっとこの事ばかりにゃ

こうなる前に本気で力を使えばよかったかにゃ────

 

ふと、視界が朧気に揺らいだ。

私は倒れたのかにゃ?視界には土しか入らなかった

動かそうにも自分の体が自分の体じゃ無いみたいに重くて苦しくてとても辛くて。あぁ…もう流石に限界かにゃ……

出来ればもう一度白音に会いたかった、にゃ──

 

目を閉じかけ飛び掛けの意識の中

確かに誰かに拾い上げられた。僅かに残った感覚が暖かくて心地いい腕を感じ取る

 

「どうしたらこんな怪我すんだよ普通じゃねぇぞ」

虐待か?と彼は言う

そのあとも何か言っていたみたいだけどもう、どうとでもなればいい

そう思う間もなく意識を失った

 

 

 

次に目が覚めると見知らぬ家だった

「あ、良かった。目が覚めたか」

「にぁ~」

私を拾ってくれた人、普通の人みたいだった

ごく普通のどこにでもいるような一般人。悪魔なんて存在知りもしないような白髪のそんな普通の男の子

特に何かするような素振りも見せずにただ見守るそんな雰囲気を出している

足には包帯が巻かれていたほつれた様子もなくとても綺麗に巻かれていたにゃ

とても巻き慣れているのかなと思った。それだけ

ただ、それだけ。

包帯を舐めていると彼が私に声をかけてきた

「そうだ、なあ黒歌......あっ!」

「にゃ!!!」

しまった。そんな風にあっと叫んだ彼

名前を呼ばれた私は反射的に人の姿になった

でも無理に人化し妖術を行使しようとした為にそのまま意識を失った

 

起きたら手を握られていたにゃ

暖かい手で、優しく包み込んで、まるで大切な物を守るように

瀕死と言って相違ない程酷い怪我をしていたのに私の身体には擦り傷どころか古い傷跡一つ残っていなかった

ハッキリ言って異常な回復の仕方。でもこの時の私はそんな単純なことにも気が付かなかった。

目が覚めた私に彼は「おはよう」とうっすらと隈の出来た少し窶れた様な顔で、でも笑顔でそう声をかけてくれたにゃ

それなのに私は、まだ追われていた時の感覚が残っていて、名前を呼ばれたときの恐怖感から仙術で彼を壊そうとした

 

彼は一瞬驚いたような顔をすると同じように仙術で対応してきた

私は仙術で対抗されたことに驚いてまた(・・)悪意を取り込み始めてしまった

私が悪意まで取り込み始めた直後。彼は面白くなさそうな顔をして

私が取り込んだ悪意全てを仙術の応用で奪い去ってしまった(・・・・・・・・・)

あれだけの悪意を完全に取り込みそれなのに尚平然としたいる彼には勝てない。そう思ってあらゆる抵抗をやめてしまった

たとえ私が彼にに犯されても、殺されても、悪魔に引き渡されても仕方ない抵抗したところで負けるそんな風に納得してしまったにゃ

ただ、どういう訳か彼は丁寧に私の手当をして話を静かにきいてくれた。

私に起こったこと、どうしてあの場所にいたのか、ずっと逃げ続けていること、白音のこと。ほかにも色々なことを話したにゃ

それに何があっても白音だけは助けて欲しいそう言い続けたにゃ

 

彼は私の話を聞いている間、時々真剣な表情で相槌を打ちながら聞いていたけど

悪魔のところへ連れて行こうとはしなかったにゃ。時折見せる真剣で真摯な顔付き以外は慈しむ様に慰める様に話をきいてくれた。

私の名前を知っているのなら、彼は悪魔側の人間で私に懸賞金がかけられている事も知っているはずなのに、彼はそんなことをする素振りを全く見せなかった

 

彼は話終えた私に微笑んでゆっくりと包み込む様に抱きしめてくれた。

「ずっと一人だったんだな、寂しかっただろ、辛かっただろ。悪魔連中に突き出すようなことはしない。約束だ」

「ーーーーっ‼︎.....ありがとうございます。にゃ」

私はこの人の下で生きよう。そう思ったのはきっとこの時だにゃ

 

これからよろしくね私のご主人様

 

 

───────────────────

 

 

初めて会ってから一週間くらいたった日の事

 

「ご主人様、しばらくの間で構わないからこの家においてくださいにゃ」

「ん?何言ってんだ?」

本気で訳が分からない、といった風に言われた

出て行け、そう言われると思って俯いて情けないことにちょっと泣き出しそうになってしまった

「お前は俺の飼い猫だ。気の済むまま居るのでも構わないし。ずっとここに居てもいいんだぞ」

その言葉を聞いて私は嬉しくて本当に泣き出してしまっていた

その時のご主人様は、自分が何か悪いことを言ってしまったんじゃないかって

あたふたしていてとても可愛かった

 

ご主人様に出会って一ヶ月くらいたったある日

「あ、そうだ黒歌。ご主人様、禁止な」

学園へ行く直前突然そんな事を言い出した

「な、なんでにゃ!!」

「何か恥ずかしい、それにご主人様より名前で呼んで貰った方が嬉しいからな」

ご主人様がそう言うのなら、名前で········

「こ·······こた、ろう?」

何か恥ずかしいにゃ!!

「────良し、それで行こう」

一瞬ポケーっとしていた彼は、それだけ言うと足早に家を出ていってしまった

「ちょ、ちょっと待つにゃ!」

こんな感じにこの家にも慣れてき始めた。

そんな時だった。

 

ある日の夕方

「こーんにちは、はぐれ悪魔の黒歌さんはいらっしゃいますかぁ?」

「誰にゃ!」

悪魔が家に来るようになったのにゃ。要求は私の身柄

拒否すれば瑚太郎を殺すと

だから私は手紙を置いて家を出た

 

公園?······どうしてこんなところに?

「よぉ、目ェ覚めたか。安心しなまだ手ェ出してねぇからな。お楽しみはこれからだしよォ!」

「この!」

魔力で作り出された鎖によって身動きが取れなくなっていた

何で!?この程度

「あァそれ、特別な素材で出来てるらしいからお前じゃ外せねェよ」

クソ悪魔が抵抗する私に、鎖について説明した。変な所で親切にゃん。

そこに悪魔が一人戻ってきた。

「おォい!、ちゃんと連れ来たんだよなァ」

「ああ、バカみたいについてきたよ」

「こ、瑚太郎」

そこにはいつもと雰囲気の違う瑚太郎が立っていた。見た目は確かにリストバンドがない。日焼けのあともくっきり残ってるからすぐにわかった。でも違う。そういう違いじゃなかった。

今ここにいる瑚太郎は私がよく知っていて、私が好きになった瑚太郎だ。

 

だけどどうしてか人から|離れた()()()に見えた

 

「ああ、いたいた。助けに来たぞ黒歌」

「逃げて!瑚太郎!」

何でこんな所に瑚太朗が、手紙読んだの?でも人間なのに·······!

「そうだ、さっさと逃げてってくれていいぞ。俺たちはこのはぐれ悪魔の黒歌で楽しむからなぁ」

この、クソ悪魔!

でも私の事を知っていて仙術に妖術までつかえ無くなる様にするなんて上級、下手をすれば最上級クラスの悪魔にゃ

いくら瑚太郎が強いからといっても人間の力じゃ

 

「黒歌」

瑚太郎が柔らかい言い方で少し微笑みながら私を呼んだ、だけど────

「すぐ助ける」

───瑚太郎の体から発されているオーラは人間のそれとは明らかに違っていて。私に不安と怯えそれを感じさせない瑚太郎の態度が

大胆不敵で真正面から敵に立ち向かうその姿が

まるでお伽噺の中に出てくる英雄がそのまま現れたみたいで。とても強くて頼もしかった

 

「ヒィィ!!こ、このォ!人間の癖に!」

「そ、そうだ奴は人間だ」

「う、うわぁああ!」

 

三人いる内の一人

恐らくこの中で1番下級の悪魔が瑚太郎に向かって走り出した

「死ねェェェェ!!!」

上級クラスの悪魔が走って来ているのに瑚太郎は別段驚いた様子も無くただ、ゆっくりと左手(・・)を向けた

 

その瞬間、悪魔の全身が白く染まったと思ったら『パキッ』という音と共に瞬きをする間も無くサラサラと粉々に砕けて散った

粉を吹いた様に跡形もなく消滅した悪魔を見て、クソ悪魔共は相当狼狽えていた

 

でも、私は瑚太朗が悪魔を消滅させた時、恐怖よりも嬉しさを感じたにゃ。だって瑚太郎の姿がおとぎ話の英雄様と同じ様に感じたから

手を閉じたり開いたりして何かの感触を確かめる様に、何度もその動作を繰り返しながら、何かに話しかけているように言葉を呟いている。

 

「くそぉぉぉ!人間の癖にぃぃ!」

「1人で何言ってんだ?アイツ、クソ震えが止まらねぇ」

確かに瑚太郎は独り言が多い、それも誰かに話しかけているみたいに、瑚太郎の家にいた時も時々見る光景だったから、私は特に気にしなかった

 

「死ぃねぇぇぇぇぇ!!!」

私を縛っていたクソ悪魔の一人が瑚太郎に向かって走って行った

すると瑚太郎は今度は右手をクソ悪魔に向けて灰に還したにゃ

やっぱり魔法の発動を視認する事が出来なかった普通な────

「──っくう!?」

 

「おい!さっきの奴らを殺ったみたいに俺を殺して見ろよ!」

卑怯にゃ!!最後に残ったクソ悪魔が私を盾にするような形で回り込み首もとににナイフを突き付け瑚太郎に見せつける様に立った

「出来ないみたいだな。じゃあ───」

ゾワッとした。瑚太郎の纏うオーラが明らかに変質したから。今までの強くて優しいオーラじゃない。黒くて悍ましい()()()が噴き出していた。

 

 

「────じゃねぇよ」

私でも少ししか聴き取れなかったでも何故か黒く悍ましいオーラを放っているのにどうしてか私には悪い様には思えなかった

「あぁ?聞こえないぞ!」

「ハァー、よく聞いとけクソ悪魔。」

すると瑚太郎はゆっくりとこちらに向かって一歩だけ踏み込み

 

 

 

 

 

「──────────!!」

ゴシャァ!!

気付いた時には私は瑚太郎に抱えられていた

悪魔の野郎がどうなったのかは分からないけど音からして死んだみたいだけど。瑚太郎が悪魔の方を見せないようにしているから詳しくは分からないにゃ

瑚太郎としては見られたくないだけかもしれないけど優しくでも力強く抱きしめられている。今はこれだけでいいかなにゃ〜

 

「終わりか…………ったく、黒歌!」

「は、はいにゃ!」

怒られる?怒られるよね。でも助けてくれてありがとう

ちょっと変わった、おとぎ話の英雄そっくりな私の大事なご主人様

「ふふっ」

それなのにそれだけの強さがあるのに、私の為だけにあんなに怒ってくれる、そんな事実がおかしくて。たまらなく嬉しくて。

つい、笑ってしまった

 

「む····何、笑ってんだ?」

「なんでも無いにゃ」

「ハァ·····帰るぞ」

さっきの言葉ずーっと覚えてるからね。瑚太郎

 

家へ帰るとこの手紙は何だー!って怒られたにゃ

もしまた、悪魔共が来るようなら俺に言え。そんときはまた追い払ってやるから、そう言いながら頭を撫でてくれた。抱き締めてもくれた。

やっぱり瑚太郎の手は暖かくて優しいにゃ

 

手紙の内容?こんな感じにゃ

 

えー、短い間でしたがお世話になりました

私は追われている身なので迷惑をかけてしまいます

瑚太郎はずっとこの家にいて良いぞっていってくれたっけ

もしも、もう一度会うことができるなら、私は貴方の飼い猫になって

なっても良いですか?瑚太郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クソ悪魔を殴る時のあの一言ずーっと覚えているからね忘れてなんかあげないんだから

 

「俺の飼い猫()に手ェ出してんじゃねぇぞクソ悪魔!!」

 

はい、私は貴方の飼い猫です。

どんな時でも、どんな所でも一緒にいます

 

例えそれが地獄でも、天界でも。

貴方がそこにいるのなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしは黒歌、飼い猫になりました

ただ幸せを望むだけの黒猫です。だけどホントは──────




どうでしたか?
瑚太郎が制限無しに能力を使ってる様子は
えっ?もっとしっかり戦闘描写をしろって?
スミマセン、今の自分にはこれが限界っす

っと、まあこんな感じで番外編もよろしくお願いします!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺、憧れました

番外編第2弾
イッセーが瑚太郎に憧れるだけのお話


ヒーローに出会った。いや、ヒーローなんかよりも格好いい奴って言う方が正しいかも知れない

 

小学5年、夏

夏休みで俺と松田、元浜、瑚太郎の3人でいつもの様に公園で気で探る隠れんぼをして遊んでた。

何故か瑚太郎だけには未だに勝てないのだけど...まぁそんなことは良いや

いつもの様に馬鹿みたいにはしゃいで帰るそれだけ

けどその日はよる遅くまで遊んでた、具体的な時間は忘れたけど夜遅くだったと思う

みんなで『ヤベェ怒られる!』って言って慌てて帰った

その日、俺は瑚太郎の家で泊まる予定だったのだけど、瑚太郎の両親はいない

瑚太郎の家に行ったのはそれが初めてだった。

親もいないのに1人で生活していて凄いな〜何て思っていた

確かに瑚太郎の家には塵一つ落ちているように見えなかったし、武家屋敷みたいな大きさの家はとても憧れた

 

聞けば、瑚太郎は色々な事を教えてくれた

そのお陰で夏休みの宿題だって日記以外全部終わったし勉強の手伝いをしてくれるのは単純に嬉しかったし、ありがたかった

そこで噂で瑚太郎が道場を開いているだとか、修行中の身であるとか変なことを聞いたので、事実かどうか確かめた。と言ってもただ、この噂は本当なの?とか俺にも修行付けてくれよ、と言って見たりした

噂は大半が嘘だったけど修行しているという事実は教えてくれたし、何なら道場に通うか?とまで聞いてきた。

その時の瑚太郎は本当に嬉しそうだったな.....

 

瑚太郎の下で修行もとい門下生となってから

数日、瑚太郎がカツアゲされていた奴を助けていた、大人気(おとなげ)もなく小学生相手に大人3人で路地裏に連れていくとか最低だなって思った、ボコボコにされた連中が瑚太郎を『 白銀色の死神(グリムオブシルバーリッパー)』と呼んでいたのは何故だろう。それはこの地域の不良達の支配者の名前だって瑚太郎が教えてくれたんだけど。

そんなに似てるのかな瑚太郎、何て思っていた

瑚太郎が助けてた奴から質問攻めにされていたけど、適当に返してたな、後で後悔しそう.....

瑚太郎に憧れたのはこの時だったと思う、自分よりも何倍も大きい大人に向かって行った瑚太郎は子供だった俺にはヒーローに見えた

 

 

中学生2年、秋

瑚太郎に「基本をやれ」と言われる事が無くなった

家でも出来る事を少しずつやってみたところ、体幹や筋力は瑚太郎を除いた同級生の誰よりもしっかりしたものになった

最近の練習内容は組手だ、ずっと組手。「基本的な形や動きは全部教えられたから、組手で良いか」との事。初めて組手をした時の事はよく覚えている、他の門下生の仲間達はどんどん組手や応用に入っているのに俺だけがずっと基本、筋トレ体幹と言った土台作り(・・・・)をやらされて、他の奴らに見下されているも自覚してた。

でもそういう連中は、直ぐに辞めて行った。理由は色々とあったみたいだけど、一番多かったのは瑚太郎が強すぎて勝てない事に苛立って辞めていくパターンだ。どいつもこいつも、基礎吹っ飛ばして、勝負しろ!って瑚太郎に吹っ掛けて行って、一撃でやられて行った

そんなある日に、瑚太郎が「イッセー、ちょっと組手しないか?」と声を掛けてきたのだ。

俺はここの門下生になって初めての組手で喜んで受けていたと思う。

そして、組手がはじまって絶望した。

 

始めの合図がかかった瞬間、瑚太郎が軽く踏み込んで来た。

いきなりの出来事で慌ててガードした、正解だった

ガードの体勢を取った瞬間、瑚太郎の拳がブレて俺は吹き飛ばされた。

初めて感じた痛み、恐怖、そして今までよりよ強い憧れ。それらの感情を持って瑚太郎に向かって行った。

瑚太郎の攻撃を避けつつこっちからも攻撃をする、基本的な攻撃ばかりだけど、それも極めれば大きな物になる

ずっと基本的なことをしていたお陰で瑚太郎の攻撃を捌いたり避けた時に、無茶な体勢になっても直ぐに元に戻って反撃が出来るようになっていた。

組手が始まって一分経った時に、俺の意識は刈り取られた。頭をやられたせいであまりに覚えてはいないけど、あの一瞬瑚太郎が笑った様に見えたんだ。どういう事かはよく分からないけど、いつも無表情でいる瑚太郎が笑っていたのだ

 

中学生2年、冬

誰かを助ける。これが俺の最初の憧れだった、困っている人がいたら、手を伸ばす事の出来る人間になる

そして、その気持ちに突き動かされる様に、裏路地に女の子が連れていかれたのを見て、走って追いかけた。

瑚太郎に連絡する事も考えたけど、俺は瑚太郎みたいに誰か助けるんだ、その為には瑚太郎の力を借りてちゃ駄目なんだ!そう考えた俺は

「お前ら、何してんだ」

既に踏み込んでいた。

 

「あぁ?何だてめぇ」

不良だ、見るからに馬鹿だ。でも、油断はしない

こういう連中は馬鹿でも喧嘩ではかなり強いから油断するな。って瑚太郎に言われたから

「その子、放してやれよ。いやがってるだろ」

「あぁん?中坊が何いきがってんだオイ」

.....こいつは正真正銘の馬鹿だな。そうすると注意しておくのは女の子を掴んでいる奥の2人

「無視してんじゃねぇよコラ―――!?」

1発掠らせてから殴ったから、正当防衛かな?後で瑚太郎に確認しよ

「てめぇ!」「クソが!」

奥にいた2人が女の子を放してこっちに走って来た

人を殴ろうとしているのに躊躇がない、こいつら慣れてるな

「まず1発!」「オラァ!」

両サイドからの大振りの攻撃、殴ってきた手に腕を当てて後ろに跳ぶ、これで正当防衛になるでしょ。通りの方まで飛んで来たから何事かと多くの人が近寄って来るはず。俺は人が寄って来る前に路地裏に戻った

 

「なっ!」「てめぇまだ!」

こいつらのコンビネーションは何なんだろうな、凄く息が合っている

「お返しだ!」

それぞれの急所に一撃ずつ、あまりやり過ぎると過剰防衛になるって瑚太郎に教わったから、一撃ずつに留めた

あの3人が完全に行動出来なくなったのを確認して俺は捕まっていた女の子に近づいた

 

女の子は篝というらしい

暗くてよく分からないけど、瑚太郎と同じように綺麗な白い髪だ

容姿は凄く可愛いのに言葉が上からの様に感じるのが玉に瑕だと思った

篝を抱えて路地裏から出ようと、通りの方に向かっていた時

後ろから頭に対して凄まじい衝撃が走った

視界がボヤけて来た、通りまであと少し、あといっ――――!

篝を歩いていた人に向かって咄嗟に投げつけた、初対面でしかも女の子を投げるなんて俺の信念に反する、けどそんな余裕はない。襟首を掴まれた、後ろに引っ張られる前に篝から離れなきゃ行けなかったか、だから投げた

襟首を引っ張られて、息が出来ない、これじゃ意識が、薄く、なって。

意識が薄れて目を閉じそうになった瞬間。

急に呼吸が軽くなった、しかも放されたのに地面に落ちること無く、誰が支えてくれているみたいだった

「大丈夫か?」

優しく労わってくれるこの口調、本当は怒っている筈なのに俺の頭を撫でてくれる優しい手。

ボヤけてハッキリとは分からない。けど白い髪がそれが誰なのか教えてくれた

「ごめん、瑚太郎。俺、全然駄目だった」

「そんなことないぞ、ただ女の子を投げるのはいただけないな。俺じゃなきゃ受け止められなかったぞ」

そっか、あの娘投げた先にいたの、瑚太郎だったのか、じゃあ安心かな。

頭を殴られたせいで、うまく思考がまとまらなかったけど

「瑚太郎、ありがとう」

「おう、後は任せな」

瑚太郎はゆっくりと俺を下ろすと、もう一人の一番奥にいた奴に向かって行った

その背中は紛れもなく、俺の憧れたヒーローの背中だった

 

 

 

 

 

 

 

 

事件後

「おう、起きたなイッセー」

「あぁ、うん。おはよう?」

「ん、おはよう。起きてすぐで悪いがイッセー、お前の練習内容変えるからよろしくな」

「うん?分かった」

「安心しろ、多分、死なないから」

多分!?

事件後、俺の練習内容は今までよりみっちりと、内容の濃い地獄の様な練習に変わった

 

俺が憧れたヒーローの背中はまだまだ遠くにあることをこの事件で思い知った

でも諦めない、いつか必ず瑚太郎を超えてみせる!




どうでしょうか
瑚太郎の行動に憧れて、少しずつ強くなっていくイッセー。
今後の成長が期待出来そうですね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始のディアボロス
彼女が出来たらしいです!


どうも日曜投稿するんじゃ無かったんかオイ!と
怒られるんじゃないかとビクビクしている紫翠です
今回は初の戦闘シーン(笑)があります
三話目に戦闘シーンモドキがあったって?
あれは殴って、燃やしただけで戦闘じゃないですよ
っと長々と語ってしまいましたが
本編をどうぞ


高校2年

春の下旬ほんのりと暖かいい風を頬に受けながら登校している

私立駒王学園、俺の通っている学校で元女子校

原作の主人公達も通っている学校だ

 

本来ならおっぱいおっぱい叫んでいる変態三人も俺の涙ぐましい努力によって校内でも人気の三人組となった

実力もあるのに何で駒王学園なのかって?

元々男子校を志望していた三人が俺の「可愛い女の子に応援してもらった方が良くなるんじゃね」という発言に乗せられる形で駒王学園に入学することにしたそうだ

 

一応原作(無いに等しい知識で)に沿うようにしたいと思っていたため都合が良かった

俺が覚えているのはイッセーに天野 夕麻という彼女ができる所まで覚えているのだが――――

 

「おはよ、瑚太郎君」

「おはよう何時もより早いな小鳥」

「ふふん、褒めて良いよ」

「いや、何で上からなんだ」

 

こいつは神戸 小鳥

rewriteのヒロインだガキの頃から知っているが原作程キツイ性格では無かった。むしろムードメーカーだ

ただ、大勢の人の前や知らない人の多い場所ではカチコチに固まってしまう所がある可愛いやつだ

 

「まぁ、この時間帯ならいつも寝てて起きてこないから少しだけ褒めてやろう」

「やった、瑚太郎君に褒められた」

まったく、可愛い奴め

そんなことを考えながら、小鳥に少し提案をする

「明日もこれ位早くおきてくれると有難いんだけどな」

「それは無理」

即答!?

「一応聞いておくが何でだ?」

「ただの気まぐれだから、明日は寝てるよ」

「さいですか」

自信満々にそんな事を言われたら言い返す気も起きません

 

『主は小鳥殿に優しいですね』『そうねー、イッセー君にはとっても厳しいのにねー』

そりゃそうだ、男と女じゃ扱い方が違うからな。女の子の方が大切に扱うぞ俺は

 

『はい。主が女性に優しいという事は承知しています。一誠君が不憫でなりません』『私にすら優しいんだものマスターは良い人よ。でももう少し男に優しくても良いと思う』

うん、なんか褒められてるようには聞こえねえぞ二人とも

『『そんな事はありません』』

なぜ合わせたし、まぁ良いや一応褒められてるという事にしておこう

 

いつもの様に二人で登校する

そして、いつもの様に三人組と合流する

この五人が揃うと毎朝必ずこう言うのだ

「「「「松田(君)、お前朝練どうした(の)?」」」」

 

 

――――放課後

「なぁ、これ本当にやらないとダメか?」

「ああ、君が初めて僕との試合を受け入れてくれたんだ、全力でやらせて貰うよ」

武道館の真ん中でそんなやり取りをする俺と木場

元々こんなことになってしまったのは俺が試合の約束を受けてしまったのが原因なのだが、あれは昼休みの時間帯まで遡る―――

 

―――昼休み

「おい!天王寺 瑚太郎!今日こそは俺と決着をつけてもらうぞ!」

いきなり決着とか言い始めたこいつは吉野 晴彦

説明は...いいか

 

「なんか今失礼なこと考えて無かったか?」

何故バレたし

「で、何の決着だ?料理か?喧嘩か?50m走か?」

「そうそう、この間の体力テストでお前に勝てなかった50m走のリベンジを―――って違う!」

良いツッコミだね漫才コンビでも組むか

「喧嘩だ!今度こそ俺と決着を付けて貰うからな」

「そうか、で何処でするんだ?」

「ふん、それでこそ俺のライバルだ。時間は放課後、場所は武道館中央の柔道場だ」

「分かった」

「逃げるなよ」

ああ、木場にさえ見つからなければどうという事はな―――

「その話、詳しく聞かせて貰えるかい」

―――oh...

 

野生の木場が現れた

どうする?

逃げる←

逃げる

 

 

「あ、逃げちゃダメだよ瑚太郎君」

どうやら俺はここまでのようだ

 

その後、木場と剣道で戦う事が決まった

防具は邪魔だから要らない、と言うと驚かれた

放課後になったので、まず吉野と軽く動こうと思っていたが急な腹痛で保健室に行ってしまったらしい

なんか悪いもんでも食ったのかな

 

そんなこんなで今俺は動物園の檻の中にいる動物のような状態であるもちろん木場も

才色兼備の木場と学園で何でも屋とされている俺では応援の格が違うな

殆どが女子だろうここにいる子達

アイドルのライブでよく見るうちわとか持ってる子いるし

 

あーあ、帰ってイッセーと組手したいな〜

何て事を考えていると

「瑚太郎君、先に三点取った方の勝ちで良いかな」

とやる気満々で話しかけてきた

 

「ああ、自由に打って来て構わないぞ」

「分かったよ、怪我をしても知らないからね瑚太郎君」

そりゃ防具付けてなかったら怪我するでしょうね普通なら(・・・・)

 

「それじゃ片瀬さん審判、お願いするね」

「は、はい!木場きゅ―――木場君の頼みなら仕方ないよね。それでは両者構えて!!」

....今、木場きゅんって言おうとしたか?片瀬

「―――はじめ!」

なんて下らない事考えてるうちに始まっちった

木場ははじめの声が掛かると同時に踏み込んで来た。しかもバカ正直に真っ直ぐ面を狙ってきた

この場にいるほぼ全員が終わったと思っただろう―――

 

 

―――木場の持っていた(・・・・・)竹刀が打ち上がっているのを見るまでは

「面...ってな。さあさっさと終わりにしようぜ」

片瀬の目が完全に点になっていた、もちろん木場も

周りの人間に至っては何が起きたのか理解出来ていなかった

ただ、原理を説明するならば、手練れ特有の握り方を利用した巻き上げ、そのまま上に振り上げた竹刀を面に当てただけだ

 

ただ木場は驚きながらも何か疑う様な目を向けていた

「そうだね、あと三点だね今度こそ取る!」

「うん、あと二点な、サラッと増やしてんじゃねえよ」

「えっとそれじゃあは、はじめ!」

 

「め―――」

「小手!」

はじめと同じ様にバカ正直に突っ込んで来たので竹刀を叩き落とすついでに小手を取ったつもりだ

若干、本当に若干だが先ほどの私怨が混ざってしまったのはご愛嬌という事で、俺は悪くない!

それから周りがざわついてるのがよく分かる

(今の見えたか?)(いや、全然分からなかった)(木場くーん頑張ってー!)

.....応援されてる。う、羨ましくなんか無い!

 

「は、速すぎないかい?」

「そうか?早く取らないと負けるぞ祐斗」

動揺しているのか少し言葉が詰まってしまったようだ

でも、早くないぞ今の俺は

 

「か、構えて」

木場が竹刀を正眼に構えてきた、ヤベェ目がマジだよ

 

「はじめ!」

「めぇぇぇぇん!!」

声が掛かると同時に踏み込んで来た木場先ほどとは速さのレベルが違う、悪魔の力を使っての本気の踏み込みだ

流石に速い、剣道初心者にこの仕打ちはないぜ

 

だから自己流の剣術で対応させて貰う

高速で振り下ろされた竹刀を横に流す様にして、いなす

その状態から右足を軸にして回転する

そして、相手の懐に少しだけ踏み込み竹刀を左から右へ薙いだ

「胴.....これで良いか、祐斗俺の勝ちだ」

「あ.....うん」

 

木場は少し惚けた様子だった

俺はこの後イッセーと組手をしなきゃいけないから帰る

そう言って、その場を後にした

 

家に帰るとすぐに着替えて道場?と呼ばれる広い部屋に入った

「ようイッセー待たせたな」

なにやらボーっとしているらしいので声をかけた

「あ、瑚太郎か」

「どうしたいつもみたいに馬鹿騒ぎしてないじゃねぇか」

「ああ、そうだな…って、いつもってなんだいつもって」

「いや、少しボーっとしてたみたいだから声かけたんだが、バカ騒ぎしてるのはいつもの事だろ?」

正確には時々遊びに来る松田と元浜がバカ騒ぎしているのだが、この際三人まとめても問題無いだろ

 

「んな事してねぇ、俺はただ数分前に―――が出来たのが信じらんなくて惚けてただけだ」

「ごめんイッセー、俺耳壊れたみたいだからもう一回言ってくれ」

「即答かよ!.....はぁ、まあなんとなく予想は付いてたんだけど」

そしてイッセーは深呼吸をすると再び分かり安い大きな声でこう言った

「俺、彼女出来ました」

 

 

 

 

 

 

 

「.......イッセー」

「な、なんだよ」

「いい、精神科紹介してやるよ」

「なんでだよ!」

どうやら俺の知らない所で原作は始まっていたらしい




次回予告!

彼女が出来たイッセー
それを羨む男三人
それを冷たく見つめる少女
楽しそうに笑う二人
別れ際に放たれた光の槍
血だまりの中に倒れるイッセー
初デートの行方はいかに?



尚、以上の事はすべて適当である


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

デートのためのデートです!

遂に日曜投稿してやりました
あ、前回の最後に出てきた次回予告とは全く関係ないですよ
それでは、どぞ(っ´∀`)っ


 

この世界で生きること、それは同時に多くを悩み多くを失うこと

それは多くの幸せなを望むこと

 

俺はあの世界で何を得ることが出来たのだろう

多くのアニメやラノベで見た、自分の様に大切なものを失った主人公たち。

けどその多くは幸せな最後を迎えている

 

俺はどうだろうか...あいつは俺といて幸せだっただろうか

 

 

 

 

 

 

 

先ほどイッセーから聞いた話では

学校からの帰り道にいきなり「付き合ってください」だそうだ。

その時のイッセーはいきなりの告白で舞い上がっていたらしく、ついOKを出してしまったらしいが、冷静に考えて見るとなんで告白されたのか心当たりがないらしい

だから、「お前よく絡まれたりしている女子助けるだろ、それでいて他校の女子ですら助ける様な事をするんだからその時助けた子の一人じゃねぇの?」と答えた

原作知識を殆ど失った俺でもその時のイッセーが凄い幸せそうだったのはよく覚えている。俺も同じ様な事があったから

 

その後、俺や松田、元浜にはなんと言いたいか

気になって聞いてみた。そしたらコイツ満面の笑みで

「俺は勝った!」と言い放ってくれたのだ

咄嗟に殴ってしまった俺は悪くない、しかも顔じゃなかったんだ感謝してほしいね

 

「あー疲れた」

イッセーとの稽古(という名のイジメ)をして帰って来た所だ

帰って来たと言っても家の敷地で稽古してたんだけど

「おかえりにゃん。イッセー君強くなってたにゃん?」

「あぁ、彼女が出来たらしい。前より生き生きしているよ」

「そう、彼女が―――――ニャン!?」

黒歌、だいぶ家に慣れてきたよな。

黒猫の状態で学校にもよく忍び込んで来るし

リアスに見つかったらどうすんだ?と聞いたことがあるが

仙術で気配を自然と同化させているから普通なら気づかないらしい

 

「ねぇ、瑚太郎。今イッセー君に彼女が出来たって言った?」

「あ、ああ確かにそう言ったけど」

な、なんだ黒歌が凄い勢いで近づいてきたぞ

 

「デートは!?」

「ら、来週の日曜日だそうです」

「計画、プランは!!?」

「ま、まだだそうです」

本当に何なんだ、女子はこの手の話が好きというのは聞いたことがあるけどこんなに凄いのか

 

「じゃあ、私達が考えるにゃ!!」

「はい」

咄嗟にそう応えてしまったが具体的には何をするのだろうか

「もしかして―――」

 

 

 

という訳で今日は土曜日。来週にはイッセーがデートをすると言うので俺と黒歌でデートすることになった

意味が分からない?

ノープランのイッセーのために俺と黒歌が代わりにプランを考える事になり、プランの為にという名目でデートすることになった

黒歌の正体はバレるとまずいので俺とお揃いで認識に齟齬が生まれる手作りのリストバンドをプレゼントした

 

現在、午前9時駅前のオブジェの前で待ち合わせをしている

今は8時45分だからあと15分か。

こういうのって結構緊張するな

普段、一緒に暮しているのにこうやって同じ時間に違うタイミングで顔を合わせるなんて―――っと来たみたいだな

 

一つに結わえられた髪

いつもの様な着崩した黒の和服ではなく

肩の出た服、少し大きい男物のジーパン

.....っておい。全部俺の服じゃねぇか

「瑚太郎、ごめん待った?」

「黒歌」

「にゃん?」

「服屋行こうか」

 

お店を出たのは11時でした

とりあえず近場の服屋に駆け込んだのだか

黒歌の下着攻めに遭い店員さんを呼んだら

今度は黒歌が着せ替え人形の様になりとても大変そうだった

黒歌の服だけでかなり時間を使った。その間に俺も少し買い物が出来た

 

モデルが良かったおかげで店員さんがこぞって集まり色々なコーディネートをされていた

今の黒歌の格好は

カットソーという黒い服の上に灰色の薄いカーディガン

ショートパンツの下にタイツを履いているらしい

服はよく分からない

途中で気づいたのだがショートパンツの上の所に猫の刺繍が施されていた。可愛いな黒歌

ただ、財布が少し軽くなった

 

本当は映画を見る予定だったのだが残念ながら時間がなかったのでカラオケに行った。

昼は近くのファミレスに寄った

他にも、アクセサリーショップやゲーセンなどデートの定番と呼ばれる場所に行ってみた

 

休日でもあるせいで俺たち以外にもデートをしているカップルは沢山いた

こちらを見ていた彼氏の顔を引っぱたいている彼女の姿をチラホラ見かけたが、あれはいったい何だったんだろう

今は少し小高い丘の様な所にいる、人気(ひとけ)は少ないがここからの景色は俺が知っている中でも最高だ

特に夕方の日の入り時が

 

「うーん、今日は楽しかったにゃ」

黒歌は気持ち良さそうに伸びながらそう呟いた

「それなら良かった」

「ただ最初のお店はちょっと戸惑ったにゃ」

「まあそれはいつもと違う可愛さを持った黒歌が見れたから良しとしますか」

「もう!からかっちゃダメにゃ」

別にからかってないんだけどなぁ

 

『お二人とも今日は楽しそうにしておられましたな』

『私は黒歌ちゃんが楽しそうにしてたからそれでいいと思う』

お前ら今日はありがとな

『いえ』『デートの邪魔なんて野暮な真似はしませんよ』

今日1日中静かに過ごしていてくれたこの2人にも感謝だ、と言っても普段も神器の調整で殆ど喋る事がないのだが

 

「ねぇ、瑚太郎」

「どうした?」

黒歌が元気よく俺の事を呼んだ

 

「この街にはこんなに素敵な景色の見れる場所があるんだね」

「あぁ、俺のお気に入りの場所だ。気に入ってくれたか?」

「もちろんにゃ」

気に入ってくれたみたいで良かった

「なぁ、黒歌」

「どうしたにゃん?」

「また一緒に来ような」

「―――うん...」

嗚咽混じりに返事をした黒歌は少しだけ小さく見えた

嬉しかったのかな、そうだといいな...

 

「そうだ黒歌」

「にゃん?」

俺は黒歌に渡したい物がある。そう言って紙袋を差し出した

 

「これは...」

袋の中に入っていたのは黒猫をかたどったネックレスだ

「黒歌にプレゼント。リストバンドはただの認識齟齬だけの道具だから。俺から黒歌にちゃんとした物を贈りたくて―――いやだったかな?」

「そんな事ないにゃ、ありがとう」

黒歌にネックレスを着けてみて貰った。凄く綺麗だった

その日の黒歌はとても嬉しそうで、夕日なんかよりもずっと美しかった

 

 

 

〜黒歌side〜

今日は、ご―――瑚太郎とデート

自分でもかなり強引に誘ったつもりだったけど

瑚太郎は嫌な顔をせずにOKしてくれたにゃ、ただ私の正体がバレたら不味い。って理由でお揃いのリストバンドをくれたにゃ

瑚太郎は認識齟齬だけと言っていたけどそれだけじゃない

仙術で編まれた特別なリストバンド、これに触れるだけで体の疲れが取れていくにゃ

 

それはいいとして、そもそも瑚太郎とデートに行くなんて考えもしなかったから服がないにゃ。こういう時は―――

 

「瑚太郎、ごめん待った?」

ふふん、どうだにゃ。ビックリしたにゃ?

瑚太郎は私の姿を確認すると直立不動のまま硬直していた

しばらくの間フリーズしていた瑚太郎は

ハッとした様子で我に返ると私を服屋に引っぱっていった

 

 

服屋での出来事は絶対に思い出したくないにゃ!

 

デートとしてはとても短かったけど最後にいい事があった

瑚太郎からプレゼントをもらったにゃ

黒猫のネックレスでとても似合ってるって褒めてくれたにゃ

 

.....でも、また言えなかったにゃ

どんなに瑚太郎が強い人間(・・)だとしてもきっとまた迷惑をかけてしまうから。

出て行くって言わないといけないのにそれが出来なかったにゃ

きっとこれから先また同じ様な事があっても言えないと思う

だってあの時瑚太郎は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――って言ってくれたんだにゃ

 




どうでしょうか
作者はデート経験皆無なので完全に適当になったのですがそれっぽく書けてたかな?(デート内容ほぼ無し
最後にはどんな言葉が入るのかはそのうち投稿されるであろう番外編をご覧下さい


タグにメインヒロインは黒歌って付けた方が良いかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オカ研入れませんでした

先週は作者が遠出していたために投稿できずに申し訳無いです
目指せ毎週投稿!
なのですが、この分だと相当先になりそうです(泣)

っと言い訳はこれくらいにして(たったの一行)
果たして一誠くんのデートはどうなったのでしょうか
それではどうぞ!


あのデートから1週間程したが一誠からデートに行ったという報告を受けることは無かった

それどころか一誠に彼女なんていたか?

という雰囲気をみんなが放っている

 

月曜日に元気が無さそうな感じだったから

「どうかしたのか?」とデート上手くいかなかったのか?というニュアンスで聞いたのだが、一誠は

「そうか、お前も覚えて無いんだな」と言うとどんよりとしたオーラを放ちながら寝てしまった

 

いつもなら元気良く反応するのだが振られて、そのショックで寝不足にでもなったのかもしれないな

その日はそれ以降一誠とは全く話していない

 

そうそう、イッセーが悪魔になってたんだけど、二つのオカ研と生徒会に殴り込みに行った方が良いかな

 

 

一誠side

あの日、あの時、俺は確かに夕麻ちゃんとデートをしていたはずだった

楽しかった、その思い出だけは覚えている

待ち合わせの時に変なチラシを貰ったけどその後は夕麻ちゃんと合流してフツーにデートを楽しんだ

カラオケ行ったり、洋服店で髪留めを買ってあげたり。

素直に可愛いと思って、そのまま口に出しちまったけどあまりよくなかったかな

ほら、言葉にすると軽くなるって言うだろ?

でも、彼女は笑ってありがとうと言ってくれた

 

 

でも、デートが終わりに向かうに連れて悲しそうに笑う様になった

気になって聞いてみたら、先輩から色んな事を命令されて困っていると言っていた

本当はこの後も大きな仕事をしなきゃいと少し落ち込んでいた

 

俺も手伝おうか?と言ってみたでも無関係の人間を巻き込む訳にはいかないし、それに―――と言葉に詰まっていた

だから、「何かあったらすぐに呼んでよ俺、飛んで行くからさ」そう言って励ましたつもりだ

 

すると夕麻ちゃんは、「.....うん。ありがとう、ちょっとだけ勇気が出た」と言って俺の前に立ち

「最後に一つだけお願いがあるんだけど良いかな?」と言ってきた

公園で、しかも二人っきりの状態、こういう時にする事は一つだ!!

と気合いを入れて「なっ、何かな?」と聞いた

瑚太郎、俺はヘタレだったぜ...

 

夕日のせいか、夕麻ちゃんの顔が真っ赤に染まっていて

振り絞って出た言葉が

「き、キスしてもらってもいい?」

だった、即OKしたよもちろん

「俺の彼女最高ぉぉぉぉ」って叫ばなかった俺は偉いぞ

夕麻ちゃんが苦笑いしていたのは、キノセイダー(棒)

 

ゆっくりと近づいて行く俺

目を閉じて待っている夕麻ちゃんは、とてもか弱く見えた

そして俺の唇が彼女の額に触れそうになった瞬間

俺は夕麻ちゃんを真横に突き飛ばした

それは、明るい何かが凄い勢いで飛んできたからで、とっさだった

 

そこからの記憶は曖昧で、覚えているのは

とても悲しそうな顔をした夕麻ちゃんと

俺の腹に空いたデカイ穴

 

 

 

それから、誰でもいい彼女を助ける力をくれと願った事だ

 

 

 

起きた時そこにあったのは、見慣れた天井。俺の部屋だ

いつもと違うことそれは、重たく感じる体、酷い倦怠感

それから数日間、色んな人に夕麻ちゃんのことを聞いた

 

誰も覚えて無かった、夕麻ちゃんが着ていた制服の学校にも行ってみたけど「そんな子いたっけ?」とすべてあしらわれた

瑚太郎でさえ「どうかしたのか?元気ねぇけど」と夕麻ちゃんのことを覚えているとは思えない発言をしていた

 

 

クソッ、俺は異常者か何かなのか?

デートがあった日から、夜に近づくほど体からチカラが溢れてくる

暗闇でもハッキリと物が見えるし、異常なまでに遠くのおとが聞こえる

オカルト的な所に行けばこう言うことも教えてくれんのか?....

行くとしてもオカルト研究会の方には行けないな、あそこには瑚太郎の知り合いが多い、もう瑚太郎に迷惑を掛ける訳にはいかないんだ

 

 

 

その日、何度も悩んだ末に俺はオカルト研究部に行ってみることにした

 

 

 

周りを木に囲まれて妖しげな雰囲気を出している旧校舎

その入り口には『1階、オカルト研究会部室』『2階、オカルト研究部部室』と書かれた板が、ドアノブに掛けられていた

本当に二つの部活に分かれてるんだなぁ

 

この学校では割と有名な話だ

部長同士の反りが合わないとか、お互いにライバル視しているとか。色々な噂は立っているが、その事実は誰も知らない

まぁ、そんな事はどうでもいいや

 

今は俺に起こっていること。それから、この学校に木場みたいにほかの人とは違う雰囲気を纏っている人について聞きたい

瑚太郎が他の人と同じ雰囲気を纏っているのが信じられないけど

とにかく、話を聞いてもらおう

 

扉を開けるとそこには如何にも旧校舎ですって感じの空間が広がっていた

俺は足速に旧校舎の2階に向かった

旧校舎特有の不気味さが少しこわかったんだ

中がホコリが見えない程スゲェ綺麗だったのが余計怖かった

 

少し進んだ所でそれらしき扉を見つけて

コンコンコンとノックをして、返事を待った...

ノックをした、返事を待った。ノックを(ry

それから何度もノックをしたけど返事は無かった

もう諦めて、帰ろうと来た道を戻り始めたとき

 

「あれ、一誠くんどうしてこんな所にいるんだい?」

と前からよく知る声がかけられた

「木場じゃねぇか、お前こそどうしてここにいんだ?」

「僕は部活で来たんだよ」

部活?ってことは

「お前、もしかしてオカルト研究部の部員なのか?」

「そうだけど何かあったのかい?」

噂では剣道部だって聞いてたんだけど、案外噂はあてになんねーな

これでやっと話が聴ける!

 

そう意気込んで

「オカルト研究部の部長に話がある」

って言ったら

 

「.....分かった、おいでよ一誠くん」

と真面目な雰囲気で返された...

あれ?これ、ひょっとして不味かった系の奴?

どうしよう、助けて瑚太郎。俺今よりやばい人間になっちゃうかも

 




はい、イッセーオカルト研究部に入れませんでしたね(部屋的な意味合いで
次回もイッセーがメインの話になると思います
どうやってrewriteのメンバーと絡ませていこうかな〜と今からウキウキしているので次回も読んで頂けると有難いです
それではまた次回


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オカ研入れました

投稿遅れてすいません。
この作品を待っていて下さっている方々に感謝と謝罪を込めてありがとうございます
今回でイッセーくんsideを終わらせようと思いましたが駄目でした
とりあえずどうぞ!


ふと鉢合わせてしまった木場について行って、例の扉の前までいくと

木場がノックをして

「木場です、それからもう1人話があると言っている子を連れてきました」と言うと

入ってちょうだい。と女性の声が聞こえた.....

あれ、おかしいな、人いたの?俺、ずっと無視されてたの?

そう考えると少し、ホントォーに少しだけ虚しくなった

 

中に入ると、ザ・オカルトといった雰囲気だった

壁のいたる所に魔法陣が書いてあったり、一つだけ明らかにデカイ椅子があったり、他にも色々怪しい物が置いてあって、ヤバイ雰囲気を醸し出していた

(オカ研ってもしかして中二病集団なのか?)

 

「いらっしゃい、ようこそオカルト研究部へ」

部屋の中を眺めていると、そんな言葉をかけられた

 

「どうも、二年の兵藤一誠っす」

ストロベリーブロンドよりも紅の髪が視界の中で鮮やかに映えた

リアス・グレモリー

この学校でトップクラスの美貌を誇る二大お姉さまの1人、知らない者は居ないだろう

 

前見た時はここまで圧倒的な美しさを感じることは無かった、せいぜい綺麗だなぁと思う程度だった

でも、今は圧倒的な美しさと支配者を目の前にした畏れを感じる。流石に瑚太郎程キツくは無いけど

 

「あらあら、瑚太郎くんのお友達の」

「知ってるんですか瑚太郎のこと」

リアス先輩の前に割り込むような形で入って来たのは姫島 朱乃

瑚太郎から何度か話は聞いたことがあるけど、ドSと言うことは知ってる

「ええ、駒王学園の何でも屋。雑事や部活の助っ人から恋愛相談まで何でも引き受けるとても凄い人でしょう?」

「ソイツで間違ってないです。てか恋愛相談なんてこともしてたんだアイツ」

「ええ、結構評判良いのよ―――」

「はいはい、おしゃべりはそこまでにして。一誠くんだったわね?話があるそうだけど、立ち話もあれだから座ってもらいましょうか」

 

そう促されたのでソファーの方に向かうと、小学生...じゃなかった

一年生で駒王学園のマスコットと称される搭城小猫ちゃんがいた。

こちらをちらりと見ると、ぺこりと頭を下げてきた。挨拶らしかったので俺もこんにちはと返した

 

小猫ちゃんが羊羹を美味しそうに食べていたので、うまそうだな~なんて感じで見ていると「あげませんよ」と真顔で言われてしまった。噂通り感情の起伏が少ない子だ。

「あはは、取ったりしないから大丈夫だよ」

「そうですか」

そう言うと子猫ちゃんは何事もなかったかの様に再び羊羹を食べ始めてしまった

 

ソファーに座り直すと丁度目の前にリアス先輩が来るように座りその隣に姫島先輩が座る、その後ろには木場が立っている。小猫ちゃんは俺の隣に座っている

いいのかな?木場みたいに後ろに立たなくて

 

「さて、兵藤一誠くんだったわね。話があるそうだけどなにか(・・・)あったのかしら」

つい先ほどまで小猫ちゃんに向かっていた意識がその一言で引き戻された。

この人達やっぱり何か知ってるな、そう思っただから―――

「はい、まず一つ。一昨日位から夜に近づく程、体の内側から力があふれて来る感覚があります、実際に視力や聴力も強くなって今までとは明らかに違うので気持ち悪いです」

―――とりあえず全部話すことにした

 

 

それから部長からいくつかの話を聞いた

自分たちは悪魔で俺は部長の眷属、下僕なんだとか。

夕麻ちゃんの本当の名前はレイナーレという堕天使で、俺の命を狙っていたらしい。

しかしそれも俺自身の手によって夕麻ちゃんの手による俺の殺害は失敗したらしい。どうして殺さなくなったのかは全くもって身に覚えが無いのだが

それで後から付けていた堕天使によって俺が殺されそうになった。あの駅前で貰った変なチラシによって俺は部長を呼んで助けて貰った

オカルト研究部はグレモリー眷属の隠れ蓑の様なものだとか

色々教えてもらった

一番驚いたのは俺が殺される事になった原因。神器(セイクリッド・ギア)とか言うやつ、堕天使たちは危険因子だなんだかんやと騒いでいたらしいが俺の神器は龍の手(トゥワイスクリティカル)とかいう割と普通のやつだったらしい。

その後、部長がなにかブツブツ言っていたけどよく分からなかった

そうそう、俺オカルト研究部のメンバーになったんだぜオカルト研究部はグレモリー眷属で構成されているからなんだとか

道場のこともあると言ったのだが、活動するのは夜中だから大丈夫と言われて押し切られた

 

.....はぁ。俺、夕麻ちゃんを助けてあげられるかな?

瑚太郎、ちょっとだけでいいから俺が助けて欲しくなったぜ

...その前に俺の体が持つかな?

 

 

初めての部活から数日俺はひたすらチャリを漕いだ

悪魔の力で超常的に飛躍した能力のおかげで楽なのは楽なんだけど、いかんせん体が重たい。これが疲労から来るものなのは理解してるんだけどやっぱり納得が行かない。

あの日初めての部活を終えた俺はいつもと同じように瑚太郎の家に向かった。

遅れるという事は伝えてあったし、部活に入ったということも伝えた。いつもと同じで安心していた俺は悪魔になった事で、瑚太郎との組手に余裕が出来ると思ってた。

でも、蓋を開ければどうだ。いつもと変わらない。いや、それ以上の速さとパワーで攻撃を、繰り出して来た瑚太郎に戦慄しながら全力で避け続けた。

組手が終わる頃には夜になり瑚太郎が疲れ始めたこともあって俺からも攻める事が出来た。

それでも11時を回る頃になってようやくだぜ。本当に瑚太郎が他の人達と同じ雰囲気を放っているのが不思議でならない

 

そんな事はどうでもいいか、今日は俺自身の初仕事だ

昨日は子猫ちゃんの変わりに森沢さんの下へ行った、契約こそ取れなかったが喜んで貰えた

今日こそはと意気込んで来た。学園から30分程離れたマンションへ、飛ばしてきた筈なのに30分かかってしまったのはヤバイと思ったけど俺は素直に遅れた事を謝ろう、それから契約を取ろうと意気込んで行った

呼び鈴を鳴らすと『あいてますにょ。どうぞですにょ。』

.....にょ?.......にょ。ってまさか

そ、そんなはずはない。と俺は心にそう言い聞かせて靴を脱いで部屋へ上がった。

奥に行くとヤツ(・・)はいた

昨年、瑚太郎の道場に五ヶ月だけ入門して僅か三ヶ月で免許皆伝を成し遂げた化け物、あの瑚太郎と1体1で張り合って瑚太郎を追い詰めるという偉業を成し遂げたあのミルたんだ

だからつい、「あ、やっぱりミルたんじゃん。願い事ってやっぱり魔法少女?」とタメ口で言ってしまった。

 

「そ、その声は瑚太郎さんの一番弟子の一誠くんだにょ!」

どうして一誠くん悪魔さんにおちたんだにょ!?ミルたんの宿敵の悪魔さんになっちゃったんだにょぉぉぉぉ!!!

と凄まじい勢いで叫び出したこの距離で意識を飛ばさなかった俺を褒めて欲しいな...

というか、そろそろ止めないと不味い壁がいまミシッていったぞ!

「お、落ち着いてミルたん、とりあえず願い事を教えてください、相談位なら乗ってあげるから」

そう言うとさっきまで壁にヒビを入れるレベルで叫んでいたのが嘘のように、静かになった

「じゃあ、一緒に『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』を一緒にマラソンするにょ、そこから始まる魔法もあるにょ」

上等だ、だけどなミルたんマラソンは流石に無理だ。そうして俺の長い長い夜は始まった

 

 

次の日、俺は表向きの部活が終わっていつもの様に瑚太郎の家に向かっていた

流石にDVD見ただけで契約が取れるほど悪魔も優しくは無かった

魔法少女なんて、と最初は馬鹿にしていたけど、びっくりする程作り込まれたストーリーで、とても感動させられた

.....俺、何やってんだろうな

 

「はうぅ...」

少し気分の落ちていた俺に、そんな可愛いらしい悲鳴が聞こえた。




いかがでしたか?
まさかのイッセーとミルたんが顔見知りという設定で行きました(メインのお話にはあまり関係しませんが
次回でイッセーside終了にしたいと思っています
では、また次回お会いしましょう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

シスターと出会いました

日曜投稿ですよ!!


「はうぅ」

そんな可愛いらしい悲鳴が聞こえた。いやそんな事は言っちゃ行けないか

 

声のした方を向くとシスターの格好をした女の子が倒れていた、手元にビニール袋がある事から買い物帰りなのはすぐに分かった。

助ける程のことじゃ無いのは誰が見ても明らかなんだけど、それでも自然と体が動いていた

「大丈夫か?」

「はい、ありがとうございます。どうして転んでしまったのでしょう?」

確かに、何も無い所で転んでいるのは不思議だ。おっちょこちょいなのかな?なんて、勝手に思っていると。

彼女はビニール袋を持ってフラフラと歩き始めてしまった

 

「.....ちょっといいかな?」

「?はい、何でしょうか」

シスターさんはキョトンとした様子で俺の方を振り向い

「手伝うよ、そのままだとまた転びそうだし」

「ですが...」

「大丈夫、気にしないで」

そう言って彼女の持っていったビニール袋を一つ預かった

歩き始めて少しした頃

「ありがとうございます、この街には優しい方がたくさんいらっしゃるのですね。」と言われた

 

どうやら昨日も誰かに助けられたらしい、その人のことをシスターさんが楽しそうに話して居たから

少し羨ましくなった、こんな可愛い子に慕われている存在が少しだけ。こんなにも簡単に人を助けることの出来る存在が。

 

教会につく少し前に名前を教えて貰った、アーシア・アルジェントと言うらしい

それ程時間もかからずに教会の近くまで来る事が出来た

その代わり身体中に経験した事の無い悪寒が走った。

アーシアにお礼をしたいと言われたがそれどころの話じゃない、悪寒によって凄い吐き気に襲われているから。「俺は兵藤一誠、皆からはイッセーって呼ばれてる、またなアーシア」それだけ言って立ち去った

夜、部長に叱られたもう二度と教会関係者や教会に近づいてはいけないと、念を押された

 

その日の夜、はぐれ悪魔とやらの討伐に連れて行ってもらう事になった

夜いつものように部室に集まった俺たちは、はぐれ悪魔のいる廃墟に向かった

「はぐれ悪魔.....か」

どんな気持ちで主を裏切ったんだろう、私利私欲?それとも仕えるべき主がクソ野郎だったからのかな?

何にしても俺は、俺の主は最高と言ってもいいくらいだと思う。優しいし、美人さんだし、他のメンバーもいい人ばかりだ

ただ討伐依頼と聞いて部長の顔が曇ったのは少し気になったな

まるでいつも倒す前に獲物を横取りされているみたいなそんな感じがした

 

「...血の臭い、それからいつもの(・・・・)匂い」

小猫ちゃんがつぶやく様に言ったいつものという言葉に少し引っかかる感じがした

「.....そう、また」

部長がそう言うと皆から感じる殺気が少し増した気がした

やる気に満ち溢れた皆を前にそのまま歩き続けて行くと、急激に室温が下がったように冷たくなった、俺たちの目の前に氷漬けにされた、巨大なはぐれ悪魔がいたからだ。

 

みんなが『またか』という雰囲気を纏っている中、俺は氷を眺めていた。

悔しそうに氷に触れた部長がはぐれ悪魔の氷漬けを消し飛ばして、その日は解散となった

 

部室に戻ってから聞いたことだけど俺はポーンというチェスで最も弱いらしい性質だった

チェスのプロモーションについて部長に聞くと驚かれたけど、主であるが部長が敵地であると認めた場合そこでプロモーションが可能になると教えてもらった

 

プロモーションを使えば教会に乗り込んでも戦えるかな、と馬鹿なことが頭の片隅によぎるようになったのは間違いなくこの時だ

 

 

 

~主人公side〜

シスターさんを助けました。

ドラゴンの体でほんとに良かったよ俺、英語とか全然話せないからね。そのシスターさんの名前はアーシアと言う名前だった。メインメンバーの一人、イッセーとは会ってないみたいだったけどそのうち会うでしょと楽観していた

 

アーシアさんとは割と会話が弾んだ、神器を持っているという共通点からなのか、俺が初めての友達だからなのかは知らないが、とても嬉しそうに笑ってくれた

家に帰ったら黒歌が「瑚太郎から知らない女の臭いがするにゃ!」と叫んでいたけど何も聞かなかった事にした

 

ああそうだ、一応確認としてオカルト研究会の方には行ってみたけど、朱音は知らなかった。というかイッセーがいなかった

いい加減咲夜が出てきてもいい頃だと思うのに一向に姿を見せない

同じ能力を持つ化け物として仲良くしたいんだけどなー

 

これは余談だけどイッセーのトレーニングメニューを悪魔に転生する前の10倍の質と数をこなすように調整させてもらった。いつもよりキツくなってるのに音をあげないのは悪魔に転生したからなのか、俺が人間じゃねぇのに気づいているからなのか。まぁ恐ろしい速さで成長しているのは間違いない、リアスが掛けたであろう封印を三つも壊してるからなー

 

 

 

「うーん、暑くなって来たかなー」

イッセーが悪魔になってから暇になってしまったので、今は黒歌とまた出かける時の為にルートを考えながら散歩をしているとこ―――ん?

.....涼む為に廃墟らしき前を通った瞬間に強い鉄の臭いがした、ついでに言うなら悪魔の臭いもする。

 

中に入ると血の臭いは強くなった。

何度も何度も嗅いだ事のある、俺の嫌いな臭いだ

「美味そうな匂いがするぞ。人間だ食事が自分からやって来たぞ」

.......あぁ、はぐれか。またか、そう.....

「まぁいい、死ね人間!!」

上半身が女の裸で下半身が化け物のはぐれ悪魔は奇声をあげながら俺に突っ込んできた

「.....いい加減、依頼無しでもはぐれを狩って欲しいね」

俺ははぐれ悪魔に聞こえ無い程度の声でつぶやいて、左手を上に突き上げた

「ギィィィアアアア!!!!」

その叫びと同時か少し早くはぐれ悪魔を覆い尽くす様に魔力がはぐれ悪魔の足元から氷の柱を組み立てた

氷の冷たさ故か、少し叫ぶとカタカタと震え始めた。

俺ははぐれ悪魔が震え始めたのを確認すると

「.....俺の目の前に現れた事を後悔しろ。グレモリーの悪魔に発見される迄そこで地獄を味わい続けろ。最期にはぐれ悪魔になったことを懺悔しろ。」

それだけ言って廃墟から出た

 

子供みたいに、依頼を待っているだけ?

ふざけんな、自分の領域なんだろ?だったらはぐれ悪魔なんて寄せ付けてんじゃ―――いや、リアスがはぐれ悪魔がどれだけいるかマメに確認しなかったから黒歌と出会えたんだ。それに今はまだ子供だ、はぐれ悪魔は俺が狩るか。

そんな事を考えながら帰路についた

 

数日後

アーシアと公園で出会った、どうして教会の外にいるのか理由は聞かなかったけど、周りをキョロキョロと気にしている様子だったのは一目瞭然だったからスグに声を掛けた。ブランコに座ってボッチ感をすごく醸し出していたから凄く雰囲気暗かったよ

 

その後はイッセーと合流してメックに行ったり、ゲーセンで遊んだりして楽しんだ

アーシアは悪魔をも治療出来る神器で悪魔を癒している所を見られてしまったらしい、教会のスグそばでだ。その事で今まで聖女とされてきたアーシアは魔女として疎まれて、巡り巡って日本に赴任することになったらしい。

神ってやつは何してんだろうな、こんなにも他人に優しくて、たった一つの行動によって明るい未来を断ち切られてしまって、望みの少ない人間で、救うべき人間とは彼女の様な人間じゃ無いのか。

 

夕方、教会から逃げてきたアーシアをどうしようかと考えていると、レイナーレが出てきた。なんでも儀式とかいう事をしてアーシアから神器を抜き取るのだと言うそんなことをしたら間違いないアーシアは死ぬ。それでもレイナーレはあまり乗り気には見えなかった。本当はいい奴なのかも知れないな。

途中ドーナシークとか言うコート野郎が俺とイッセーを盾にしてアーシアを連れ去って行った

あのまま攻撃しても良かったんだけど、アーシアの立場やイッセーの主であるリアスにバレるには少し早いと思って何もしなかった

 

イッセーがイライラしている姿を久々に見た。友達を守れなかった自分が腹立たしいのだろう。

儀式が行われるのは今日、俺の仲間の一人銀髪の悪魔祓いから教えて貰った、イッセー達とは障壁として立ち塞がるつもりらしい

 

というかそれ以前に気がついたら家の前に立っていた、うーん流石に人間クラスまで落としてると上級悪魔程度の魔力干渉にも負けるか、魔法その物は俺の方が強いだろうけどリストバンド外して、少し教会の方を見に行くか。

そういやドーナシークって原作だと確か中級クラスだったはず、でもあの魔力保有量だと.....何か嫌な予感がする。

 

 

 

 

 

 

俺という存在がこの世界に与えた大きな影響に、俺自身はまだ気づいていなかった




文才が欲しいですね、ハイ
瑚太郎(???)は世界にどんな影響を与えているのでしょうか、気になりません?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

親友覚醒しました

日曜投稿じゃないのは気にしないで行きましょう
どうぞ





皆さんこんばんは瑚太郎です

現在は夜中、アーシアが連れて行かれて、気がついたら家にいて。

俺は今オカルト研究会に来ております

そんなところでなにしてんの?って

「やっ、放しなさい瑚太郎!!」

追い剥ぎです

 

真顔で何言ってんだ。とか言われそうだけど追い剥ぎだ

再三言おう、追いはG

パシンと乾いた音が部室に響いた

 

「痛ぇ」

「痛ぇ。じゃないわよ。いきなり飛びかかって来て、私のマントを剥ぎ取って、一体どういうつもり?」

 

おぉう、怒ってらっしゃる。

いやまぁいきなり入って来てマントを追い剥ぎしようものなら普通キレるな。

俺でもキレる、黒歌以外なら。

「まぁ、少し借りていくだけだよ」

「お前という奴は...そんなマントで良ければくれてやるわ。と言うかお前フードの付いたコートはどうしたのよ」

「ほら、いきなりフード被って家出てったらびっくりするだろ?家にいる奴に迷惑かけたくねえし」

「私には迷惑をかけてもいいと」

 

しまった。声色がかなり低くなってる、朱音さんマジでキレてるよ

「...すみませんでした」

「もういいわ、お前が馬鹿なことするのはこれが初めてではないのだし。というかお前がマントを使うということはそういうことでしょう?」

「すまない、迷惑をかける....これから色々な方面でな.....」

どうせ原作には介入するつもりだったしな。いや、もう手を加えているか。

まあ、どっちにしろ二つのオカ研はこの先騒動に巻き込まれるんだからな、全部まとめて助けてやる

それに、もしもまたあの組織(・・・・)のような物ができるなら―――――――

 

 

 

 

――――この手で破壊してやる

 

 

 

「悪かったな朱音、この礼は必ず返すから。しっかり覚えてろよ」

「私に礼とは高く出たわね。覚悟しなさい瑚太郎」

「あいよ」

それだけ言ってオカ研を出た

 

朱音と話をしている間何度か一誠の声が聞こえた

「――――――アーシアは敵じゃないです!」か

あっちもあっちで色々やってんな、頑張れよ主人公

 

 

 

 

教会の前にいるんだけど、どうしようか

「さてさて、完全に出遅れちまったな~」

アーシア関連の騒動なんて完全に終わってそうな雰囲気だぞ。

これで原作通りなら問題ない。でもドーナシークの存在は消さないといけないな

いまのリアス達じゃ勝つのは不可能だ

 

まあいいか、なる様になれ

教会の扉は開いていたので堂々と入ることができた

儀式は完成仕切らなかったみたいだ、アーシアがイッセーの側に立っているからすぐにわかった

イッセーと向かい合わせに立っているのはレイナーレ

話し合いもちょうど終わったところらしい

レイナーレは泣いていた、けれど嬉しそうに笑ってもいた

二人一緒に救ったか。やったなイッセー

 

ふたりはゆっくりと近づいていく、惹かれあう様に

二人の影が重なり合おうと手を繋いだ時

光の槍が二人を貫かんとするために高速で飛んで行った

 

 

 

 

 

 

~イッセーside~

 

「イッセーさん!レイナーレ様!逃げてください!」

アーシアの叫び声が聞こえた

とっさに夕麻ちゃんの後ろを見ると光の槍がすぐそこまで迫っていた

またか、今度はあの時の槍よりも速く、逃げようと体を逸らそうと動き出すことも出来なかった

 

今まで経験してきた物が目の前に流れる様に現れた

あぁ......これが走馬灯か、そういやあん時もできなかったな。キス

もう二度とできなそうだけど、せめて離れる事の無いようにと願って、強く夕麻ちゃんを抱きしめた

そして、目を閉じて槍に体がを貫かれるのを待った

 

 

でも、いつまで経っても槍が刺さる事は無かった。その代わり

 

「ナイスだゼル。アン!このまま全力で力を抑えておいてくれ」

聞きなれた声に目を開くとそこには、雷を纏った蒼白の太刀を片手で振り抜いた瑚太郎がいた

虚空に話しかけているのは気になったけど、助かった安心感からか、俺と夕麻ちゃんはその場にすとんと落ちた

 

「良くやったイッセー、こっから先は俺の仕事だ」

「瑚太郎、どうしてお前がここにいるんだよ」

「うーん、説明が面倒だから後でいいか?」

おい!

瑚太郎はいつも通りだな、ここにいるのは凄く気になるけど

 

「隠れてないで出てこいよ、堕天使ドーナシーク」

「これはこれは、人間如きが私の名前を知っているとは。それにしてもつくづく使えないなレイナーレ、貴様の様な奴がどうして堕天使であるのか、悪魔に堕ちた下等な種族に恋をする様なお前が不思議でならない。そんなものであるから半端者と言われるんだ。言われた事だけをしていればいいものを、貴様のせいで私の計画が台無しだ!!」

 

アイツ!あの時夕麻ちゃんに酷いこと言ってた堕天使だ

それじゃあ夕麻ちゃんに命令していた先輩ってのはアイツの事か!

クソ野郎が!!

 

このままやられっぱなしでいられるか、今はあのクソ天使を瑚太郎が引き付けてくれているから、何とかして.....でもどうやって?

『神器は想いの力によって強くなる』部長にそんな事を言われた

想いの力?

俺の中にある想いなんて、アーシアが助けたかった。夕麻ちゃんの事が好きだ!くらいしか――――

 

――――いや、あった。俺にもあったよ。絶対に誰にも譲れないし譲るつもりも無い、今の俺の中での1番強い想いがそれであるなら

 

「なあ、神器は想いの力で強くなるんだろ?じゃあ応えて見せろよ!俺にあの絶対的な存在(天王寺 瑚太郎)を超える力を寄越せよ!もう護られるだけの人間じゃねぇんだ!超えて護って貰った分。誰かを救う力を寄越せ!!!神器(セイクリッド・ギア)!!」

 

 

〜主人公side〜

「――――――セイクリッド・ギア!!」

へぇ、イッセーはそんなこと思ってたんだなぁ。

もう護られるだけの人間じゃねぇんだ。か、なるほどねぇ

 

 

良いじゃん、格好良いじゃねぇか

それよりも、漸く目覚めたか赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)。とりあえず、思ってたよりも強力な波動だな、特訓(という名の虐め)の成果か?

「イッセー」

「んだよ。瑚太郎、俺は護ってくれなんて言わねぇぞ」

覚悟を決めた悪魔()に護ってやるなんて失礼にも程がある

「ちげーよ、見守ってやる。お前の想い見せてみろ」

「ハハ、言ったな瑚太郎。お前の虐めの成果見せてやるよ」

 

そこは特訓って言って欲しかったなー

「瑚太郎君?」「瑚太郎先輩?」

ああ?この声、祐斗と小猫か?

「よう、元気か?」

「よう、じゃないよ瑚太郎君。君どうしてここにいるんだい?確かに家の前まで送った気がするんだけど」

 

「ああ、確かに家の前まで送って貰ったな」

「ならどうして―――」

「まあまあ、良いじゃねぇのそんなこと。そんな事より決着、もうすぐつくぞ」

 

さすが、俺の動きを完全に捉えてただけはあるな。ドーナシークの動きには完全に追いついているし、むしろアレより速い。時々『Boost!!』って言ってるし、今ので4回目、単に力が16倍になっている、これ以上上げるのは今はダメだ

 

「イッセー!」

「わーってるよ!」

そう言うとイッセーは「プロモーション、騎士(ナイト)」と叫び

飛び去ろうとしたドーナシークの腕を掴んだ。

「逃がさねえよ、バカ」

「この、悪魔如きが」

掴まれたドーナシークは槍を創り出して、素早く攻撃に移った。が

「遅せぇよ。クソ鴉」

「な、速い!」

ドーナシークが振りかぶった槍はイッセーに当たることは無く、虚空を切り裂いた。

だろうな、いまのイッセーは騎士(ナイト)だタダでさえ速いのに更に速くなったんだお前程度じゃ追いつけない。さぁ止めだ、決めろイッセー。

「天流、無手・落龍!!」

ドゴォォン!!

イッセーの体重が乗ったことにより、ドーナシークがバランスを崩した。その瞬間にドーナシークを軽く押して地面に背がつく様にした

そして、最後に神器の力によって16倍にまで膨れ上がった力で全力でイッセーが殴りつけた

落龍は俺の作った技の一つ。使用条件は2つ。

1つ、相手の腕をしっかりと掴んでいること

2つ、使用者の体が空中に浮いていること

後は殴ろうが、蹴ろうが、叩き付けようが好きにしろとは言ったけど、中々良い使い方をするじゃねぇか

 

「良かったなイッセー」

「おう、やったぜ」

そういや、アーシア放置しっぱなしだったな

 

「アーシア、良かったなイッセーが助けに来てくれて」

「はい!瑚太郎さんも助けに来てくれたんですよね?」

「まぁな」

イッセーが格好良く解決してくれたから俺はいる必要無かったけどな

それじゃあ、帰りますか〜

 

「あっ、瑚太郎君逃げちゃダメだよ」

oh....どうやら俺はここまでのようだ(凄まじいデジャヴ感)

「そうよ逃がさないわよ瑚太郎」

あ、これはもうダメだわ




(瑚太郎)さぁ、アーシアを助けに行くぞ
(瑚太郎)よし、教会に着いたぜ
(瑚太郎)扉を開けると、アレ?もう終わってる!?
(瑚太郎)俺の活躍は無いのか!!
主人公には次回、頑張って頂きましょう
瑚)次回は俺の活躍あんのか?
作)どうでしょう?
瑚)スッ(瑚太郎君は両手を突き出した)
作)チュドオオォォォォン!!(作者はお星様になったようだ)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

正体バレました!?

久々の投稿で貴様何処で何をしておったァ!!
日曜投稿は何処に行ったァ!!
と叫ばれるんじゃないかとぷるぷるしております

久々の投稿ですがどうぞ
楽しんで頂ければ幸いです



「さぁ、どうして貴方がここにいるのか洗いざらい話して貰えるかしら、瑚太郎?」

 

えーっと、どうしよう。リアスの綺麗な笑顔がめっちゃ怖い

誰か助けて下さい、色々な方向から視線を向けられて、名前まで―――名前?

いや、馬鹿な、そんな事はない。そんなことは―――

震える手で恐る恐る、フードがあるべき場所に手を伸ばした。しかしそこには、少し硬いフサフサとした感触あるだけ。俺の髪があるだけ.....

フードを被っていない、その事実に気がついてしまった俺は膝を付いて絶望した。そして、さらに数分前の出来事を思い出して絶望した

「瑚太郎君!人間の身で堕天使と戦ったからどこかに怪我を――」

「違う、違うんだ祐斗」

「なら一体―――」

ハハハ、心配してくれるな祐斗何故なら俺は

「タダ、フードを被り忘れた事に絶望しているだけたから気にしないでくれ」

その瞬間みんなから、なんだこいつみたいな雰囲気を感じた

しょうがないでしょ!今までずっとフード被ってると思ったんだもん。自分の愚かさに気がついて絶望してんだ、悪いかこんちくしょう!!

 

「あ、悪魔。キサマよくも俺の顔を顔をぉぉぉぉ!!!」

あぁ?.....俺が絶望している間に堕天使ドーナシーク君が起きたらしい。全く、馬鹿だなぁ、コイツ。だって―――

 

 

 

―――わざわざ、俺に殺されに起きたんだろ?

俺は絶望とか叫んでふざけるのを辞めて、起き上がった鴉を見つめた。まっすぐとその鴉しか見えなくなる位に。なんでそんなに見つめるかって?

 

 

そりゃあアイツが『――――』だからだよ。

 

 

ただ見つめていただけだがそのうち、鴉と目が合った.......なんだよその目、痛々しく腫れた顔に2つ怯えを表す様に震えている瞳が見えた。

俺は鴉から目を離すことなくゆっくりと立ち上がった。

『瑚太郎(君)(先輩)?』

何人か息を呑む様に俺を呼んだのが聞こえた、でも何人だったかまでは聞き取れなかった。そして心做しかその声は震えていた

 

アン、ごめんな。いつもこんな役割ばっかりで。怒りで俺の理性が崩れない様に拘束し続けている、俺の大切な『相棒』に謝った

『この程度なら大丈夫です。ですからマスター、あのクソ天使をぶっ飛ばして下さい。ゼルもそれを望んでいます』

『愚か者に粛清を』

ゼルの声に呼応して右手に持っていた太刀が雷を帯びた

 

「堕天使ドーナシーク、正直今すぐぶった斬りたい気分だ。だけど、うちの相棒はお前をぶちのめすのがお望みらしい。だから、1発だけどぎついのを食らわせてやる」

右手に握っていた太刀を左手に持ち替え、剣先をドーナシークに突き付けた

 

ドーナシークは明らかに怯えている、しかも何故か奴から感じていた違和感も消えていた

.....今ならイッセーでもぶっ飛ばせんじゃね?そんな事を考えながらドーナシークに太刀の腹を叩き付けた

直後、太刀が帯びていた雷と冷気がドーナシークを覆う様に拡がって行きバリリリィィィィィ!とかパキパキパキッ!!という音をたてながらドーナシークは口から煙を出しながら凍った

 

「これでおしまいっと」

本当、毎度毎度助かるよアン。

ドーナシークが起き上がった時に感じた怒りが初めから無かったかのように消えた。と言ってもこの鴉を見ていると無性に怒りが沸いて来るのだが、そこはアンの能力のお陰で相殺してくれているから大いに助かっている

とまぁそんな事より

 

「.....瑚太郎、その力は何?それからどうして此処にいるのか説明して頂戴」

「デスヨネー」

ドーナシークを完全に気絶させたせいで、さっきよりも格段に警戒されてるな。どうしようか

 

「公園でアイツらにアーシアが攫われてから部長達と一緒にお前の家の前まで送って行ったはずなんだけど」

ナイスだイッセー、俺が説明しやすくなった。ナイスフォロー

「OK、説明してやるからその前に警戒するのをやめてください、リアスの笑顔がものすごく怖いです。」

その時何かが切れた様な気がしたが、気が付かなかった事にした。そして何故か朱乃は笑ってた

 

リアス達に家まで送られた後、アーシアを助ける為に色々と準備をしてから此処に来たと言う事だけ教えた。

具体的に言わなかったのは追い剥ぎの部分だ。だって完全に蛇足じゃん。マント借りて来た意味がないじゃん。

リアスやら朱乃がマントをジト目で睨んできたのは気のせいだと思う、思いたい。

そして今は、俺の使っている太刀についてお話し中です

 

「それで、さっきの力何かしら」

神器(セイクリッド・ギア)ですが」

「!?そう、それで何時からその力について知っているの?」

神器と分かっているとは思わなかったんだろうなー。今思っいきりピクッてなったし

「結構前からとだけ言っておくよ」

「そう.....ねぇ、提案があるのだけど瑚太郎、あなた私の――「眷属にはならないぞ」!?どうしてか理由を聞いてもいいかしら」

残念そうに驚いた割には直ぐに立ち直ったな。理由は色々とあるけどこれは朱音にも言った事

「悪魔にはならない、それからお前の力じゃ俺は眷属には出来ないよ」

と悪魔が人間如きに眷属には出来ないと言われたら、さぞかし腹立たしいのだろうが、俺は残念ながらドラゴンだ。

人間じゃないし、過剰なまでに力が強いからな。魔王でも連れてこない限り、俺を眷属にするのは無理だろ

 

「なんなら試してみるか?」

沈黙していたリアスに俺からの提案。これも朱音にした事、悪魔にはなれない(・・・・)という事を教えないといけない

「ええ、やって見せるわ」

声色に少しだけ落胆が混じっていたような気がする、それでもリアスは俺に騎士(ナイト)のイーヴィルピースを使った

 

そして結構は直ぐに現れた、俺の中に入って行ったイーヴィルピースを見て喜んだ様子だったが、直ぐに出てきてしまった。

「どうして!?こんなこと聞いたことが無いわ。イーヴィルピースを受け付け無いなんて.....」

リアスが目に見えて落ち込んでいるのを見て何だか罪悪感が湧いてきてしまった。いや、俺は悪くないんだけど何かそのね?

 

因みにアーシアは既に悪魔になっている、自分を助けてくれたイッセーが悪魔である事は知っていて、自分も並び立つんだという勢いでなった。若いっていいねとしみじみ思ってしまった

 

さて、リアスはどうするか朱音の時は溜息一つで終わったのに、今回はかなり落ち込んでるっぽいんだよな。

「と、まぁこんな感じで悪魔にはなれないんだよ。」

「.....その言い回し、過去誰かに眷属にされそうになったのね?」

「ああ、千里 朱音だよ下の階にいるだろ。駒王学園の魔女と呼ばれてる」

それを聞いて、リアスは先程よりも更に落ち込んだ様に見えた

「そう。彼女の眷属だから無理なのね」

「いや、俺は朱音の眷属じゃねえぞ。さっきも言ったけど、俺は悪魔になれないんだよ」

「じゃあどうして.....」

「知るか、俺に言われてもわからん」

納得がいかないと言った風だが何か思い付いたのか直ぐに、気丈なリアスが帰って来た

 

「瑚太郎、あなたを眷属にすることが出来ないと言う事は分かったわ。でもあなたは私たちが悪魔であると言う事を知ってしまったの、普通は話しても信じられないでしょうけど。あなたには私たちオカルト研究部に所属して貰うわよ。」

うん。リアスはこのくらい強気な方がしっくりくる

「一応理由は聞いて置こう」

「一つはあなたが私達のことを知ってしまったから。もう一つは、あなたが欲しいの。あなたが今まではぐれ悪魔を勝手に討伐していたのでしょう?だったらその力を他に渡したくは無いもの」

二つ目は何か誤解を生みそうな発言があった気がする。というか流石に氷の力の使ったらバレますよね

「分かった。オカルト研究部に所属してやるよ、明日部室行くから入部届け持ってきてくれ」

 

「あら、意外とあっさりと受け入れたわね」

「ん?断った方が良かったか?」

「「「そんな事は無い(よ)(ですわ)!!!」」」

イッセー、祐人、朱乃の3人が同時に叫んだ、リアスよりもこの3人の方が喜んでんじゃね?

3人が同時に色々と喋るからどんなことを言っているのかよく分からなかったが最後に嬉しい一言をいただいた。

 

「私も嬉しいです、瑚太郎先輩の作るお菓子は美味しいですから」

と子猫から嬉しい言葉を貰った俺は、明日小猫に何かお菓子を差し入れようと思いながら帰った

 

 

 




瑚)前回何の為に朱音からマントを剥ぎ取って来たんだアァァァ!
作)しょうがないよ、君一応マントに着いていたフードは被っていたんだよ、学園から出る時は
瑚)じゃあ何で俺はフードを被って無いんだ!
作)いや、だって君走るの速いじゃん?風圧でね?
瑚)マジかよ!変なところでリアルな事を持ち出すなよ!
作)ドンマイ瑚太郎。
瑚)(・・・普通にうぜえ)ファイアー!
作)ぎゃあああ!!!!!



登場する人が偏っているのは作者が未熟者だから、ということで暖かい目で見守ってください


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

スタートライン

今回は談笑とか回想っぽいのがあります!
どうぞ!


昨日、アーシアを助け出したイッセー達に色々な物を見せて俺の正体を少しだけ明かした。

漸く準備してきた物が実を結んで来た、これからは流れに乗って身を任せることしか出来ないのだが

その前に一つだけ、(なあ、一つ聞いてもいいかラグナさん)

『おっ!久々に僕を呼んでくれたね、何だい何だい?お兄さん何でも聞いちゃうよ』

 

声だけが聞こえるこの人―――神様は俺を転生させた時に出会った少年。今は青年の姿になっている

この姿にも色々あるんだけど、まぁそこは追々でいいか。とりあえず今は聞いておきたいことがあるから、それを済ませよう

(嬉しそうですね、聞きたい事はですね。―――――あんた本当に原作の記憶消したのか?って事なんだけど)

『そりゃあ数少ない僕が転生させた子だからね話しかけてくれるのは嬉しいもんさー。原作の記憶?ああ、治癒能力と引換にって奴ね』

(はい、それです)

『消してないよ』

(はい?)

ちょっと意味が分からなくて即答で聞き返してしまった

『だから、消してないよ(・・・・・・)

(でも、特典の追加には代償と引換って、それで俺は原作の記憶を...)

『うん、確かに特典の追加には代償が必要だよ、それこそ生命を削るようなね、でも君は10の特典を持つ事が出来る人間だったから、余った分のを1つ使って代償無しでプレゼントさせてもらったよ』

でも、確かに代償として原作の記憶は...

(もしかして、思い出せない様にしたか、忘れさせました?)

『うーん、惜しい。僕は君の望み道理にしたつもりだったけど、救うべき者の名前が分からないのだと意味がない。と言う事で棚の奥にしまうような感じで、封印したよ。そこまで強い封印じゃないから、取り出そうと思えば何時でも原作の記憶は取り戻す事ができるよ』

なるほど、それで中途半端に覚えている訳だ。何にせよ色々と配慮してくれてんだなラグナさん

(ありがとうございます、また何かあったら呼びますね)

『良いとも、僕は君を見守る者だからね好きな時にお呼び』

ラグナさんは優しい口調でそう言って、それ以降声が聞こえる事は無かった

 

ラグナさんとの会話を終えた俺はオカルト研究部に顔を出しに行った

「おーっす、天王寺 瑚太郎でーす入部届け持ってるか?」

「入って来ていきなりそれは失礼じゃ無いかしら?瑚太郎」

こ、この声は!

 

「何で此処にいんの?朱音」

「リアスに呼ばれたのよ、お前の事で聞きたい事があるって言っていたから、しょうがなく話に来てやったのよ」

せっかくの睡眠時間が、と小さく呟いていたのは気のせいだと思いたい

「待っていたわよ瑚太郎、それじゃこれにサインしてもらえるかしら?」

「あいよ」

内容は普通の入部届けだったから何も迷うこと無くサインした

その時、オカルト研究部部員+αが俺の持って来た三つの箱を凝視していたが、そんなに見つめてもまだやらんぞ、イッセーとアーシアがまだ来てないからな

「おはようございます、遅くなりました」

俺が来てからそれほど時間をあけずにイッセーとアーシアが部室に入って来た

アーシアはイッセーの家に住むことになったらしい、いつその話をイッセーの両親にしたのかは未だに謎だ。ちなみにイッセーに確認したところ、両親は魔力を使って操ること無く、『娘が出来たみたいで嬉しいからだから大丈夫よ』『可愛いからいいんじゃないか、母さんも娘が欲しいって言ってたからね』とあっさりOKだったらしい。

イッセーの両親恐るべし。

 

「そういや瑚太郎、その箱何が入ってんだ?」

「これか?まあ全員揃ったからそろそろ始めるか、リアス準備するぞ」

「あなたが仕切っているのが少し疑問だけれど、そうねそろそろ始めましょうか」

そう言いながら朱乃のと一緒にパーティーの準備を始めた

 

新入部員歓迎のパーティーが始まってすぐに俺が帰ったあとどんな事があったか聞いた

まずはレイナーレの処分だろう。彼女は消滅させられた2人の部下の羽根とボロぎぬみたいになったドーナシークを持って堕天使の組織神の子を見張る者(グリゴリ)に一度戻ったらしい、イッセーはまた会えると信じているようで、「また会うまでにもっとカッコ良くなってやる!」と高らかに宣言していた

「瑚太郎あの箱開けても良いかしら?」

リアスだ。朱音の眷属じゃないと、本人から聞いてから、凄く距離が近くなった気がする

「あぁ、どんどん開けて良いぞ、その白い猫が書いてあるのは小猫の奴だから好きに食って構わないぞ」

「なんか作ってきたのか?」

もちろん、昨日考えてたお菓子に、パーティーをするって事は事前に聞いていたから、ケーキを作ってきた、あまり凝った物は作れなかったけど、そこは我慢して欲しい

「口に合うかどうかは知らんが、喜んで貰えると嬉しいな」

「うわ、ケーキだ!」

「ケーキの上に何か書いてありますが私は読めません。瑚太郎さん何て書いてあるんですか?」

「ホントだ。ええっと『入部おめでとう!ようこそオカルト研究部へ!!』だって、瑚太郎が書いたのか?」

「そうだ。なかなかにいい出来だろ?」

良かった、喜んでくれたみたいだ、最近はお菓子作って欲しいって言うイベントが少ないから腕が落ちたと思ってたけど、意外と何とかなるもんだ

 

「美味ぇ!何だこれ!?」

「美味しい、です」

「瑚太郎君、今度良かったら作り方教えてくれないかい?」

「瑚太郎さん!とても美味しいです」

「あらあら、これは美味しいですわ。少し妬いてしまいます」

「瑚太郎、定期的に私に作りなさい、お礼はそれでいいわ」

「そうね、うちには小猫がいるから2つ位、作って来て欲しいわ」

気に入ってくれたようで何より、腕がなるぜ健康的なお菓子を作って来てやる

 

 

『主、嬉しそうですね』『マスターの料理は世界一なんだから当然でしょう』

うん、俺としてはお前達まで喜んでくれているのが不思議だけどな。

『何を言っているのですか、今まで頑張って来たじゃないですか。昨日の鴉の件でいい事あったって主だいぶ呟いてましたから』

.....まじ?

『ええ、それは黒歌ちゃんが近づくのを戸惑う位に』

嘘だと言ってくれぇぇぇ!

『『マジです』』

ハモるな!

 

でもまぁ、本当に頑張ったな。

何度も何度も自分を殺して、少しずつ絶望を喰らって。

『俺』の様な全てを奪われて、壊された人を少しでも、知ってる限り助けると自分に誓って漸く、辿り着いた

 

朱音と初めて話した時に知った。あの時、ラグナさんが俺を送る時代を間違えてくれたお陰で、あの時俺がドライグとアルビオンを叩きのめした事で助かって今も存続している家があると、自分の家もその一つであると教えてくれた。俺の正体までは知らなかったけど、朱音は伝説、逸話として鈴木 凡人の名前が残っている事を教えてくれた。

 

聖剣計画の時は祐斗は既にいなかったけど

治癒能力を全員に同時にかけることによって助けた、後遺症が残ってしまった奴らのそれは【特別な力】で奪い取った

そのおかげで、全員生存させて北欧のとある人物に面倒を押し付けてきた。「コイツら一人でも死んだら、お前らの存在を消す」としっかりお言葉を掛けるのを忘れずに。

 

朱乃のお母さんは日課のランニングをして階段ダッシュをメニューに取り入れようと考えてた時に見つけた神社でたまたま助けた

その時は血の力を久々に人前で使った

 

そして、漸くアーシアだ

教会のあのクソ蝙蝠を助ける前に手を打っても良かったんだけど、それをしてしまうと、貴重な悪魔が減ってしまうことと、アーシアが日本に来なくなると思ったから、手をつけなかった

しかも、原作が始まっても俺の活躍はなく、イッセーが原作以上の活躍をして、見事救って見せた

 

他にも助けた人なんてたくさんいるけど、それを持ってやっと本当にやっとだ。

俺はこの物語のスタートラインに立つことが出来た。

原作知識も1部だけ引き抜いたし、後はどんな事があっても、俺の力で望む結末に持って行くだけ、だから――――

「瑚太郎、料理終わっちまうぞ!」

「ああ、今行く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――もう二度とあんな思いはしたくない。

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか!!
基本先を考えずに書いているので時々内容がぐっちゃぐちゃになってるかも知れませんが、温かい目で見守ってあげてください
次回の話はまだ未定です
使い魔入れるか、焼き鳥入れるか迷ってます!
ではまた次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

過去英雄とフェニックス
頭ん中がパニックです!


原作2巻開始
今回は短いですね、文字数を増やすのは中々難しいものです

それではどぞ(っ´∀`)っ!


「世界を守る」昔そんな事を言っていた奴がいた

そいつは大人になって「愛する人間が守れれば十分だ」と思う様になった。

しかし、愛する者も家族も友人さえも守ることが出来ず壊され、奪われ、殺された。

何一つ守れずに、そいつは全てを奪われた後、小さい頃の夢を思い出した「世界を守る」そんな夢を再び思い描く様になった。

でも、少しズレがあった。そいつは世界全てを守るのではなく、『害ある者を殺さず、心を砕き打ちのめして、普通である人を守る』という自己満足に満ちた望みを抱いた

元々事件に巻き込まれやすい体質だったのもあり、色々な事件に巻き込まれた。

そして最期は広場でテロ行動を起こした犯人の精神が崩壊する1歩手前まで追い込みそして――――――止めとこう、これ以上思い出す必要はない

 

 

 

それでも忘れたくない、もう届かない、届けられない過去にひとつだけ言えるのなら。なぁ『桜架』俺はお前との約束守れてるかな?

 

 

 

入部パーティーから数週間たった、あれから変わった事はほとんどない。が2つ程変化があった所を挙げるのなら。

 

まずひとつ。イッセーとアーシアが使い魔をゲットしに行った、この時に生徒会の悪魔メンバーとオカルト研究会の面子(めんつ)の全員と初めて顔合わせをした

まぁそれなりにカオスな空間になったとだけ言って置こう、具体的に何かあったという訳じゃ無いけど、匙にめっちゃ睨まれた。

親の敵を睨むくらいに睨まれた、特に俺が生徒会長をソーナと呼び捨てにした当たりから特に。

 

その後イッセーやアーシアと話していて、自分が少しポーンの中でも特別だと思っていたようで「俺は四つも駒を消費したんだぜ!」と高らかに宣言していた

まぁスグにイッセーが駒八個消費と聞いてガックリしていたが、感情表現の豊かな元気な奴だと思った

 

オカ研(研究会)の面子は全員と知り合いで、それとなく俺の正体を知っている。朱音や小鳥、ちはやにルチア、今年入学した静流

俺としてはどうしててこの五人が同じ部活で活動しているのか分からない。

というのも原作では瑚太朗に引き寄せられて集まった五人が自然とオカ研に集まっているという不思議な点だ。事実、俺は集まる様にはしてない。

間違いなく、ちはやはオカ研に来るって分かってたけど他の奴の理由が分からん

因みにだが、ガーディアン及びガイアに関してはこの世界に来て、最初の転移の時に完膚なきまでに破壊して、二度と組織を再生出来ないようにした。ドルイドに関してはそれらしき物が確認出来なかったから放置だ

そして、それが関係しているのかは知らんが、朱音とちはやは悪魔。

ルチアと静流は教会関係、小鳥は堕天使の三つの種族に分かれている。

「どうしてこんなにも敵対組織に分かれるのかなぁ!?」と一時期いたたまれない時があったが、お互いがどの組織に属しているか知っているみたいだったから、何もしなかった。と言うか普通仲悪いはずなのに、それどころか仲良いし、特に静流と小鳥は二人で良くスーパーで秋刀魚を買っている所を目撃している。七輪で秋刀魚を焼いて食べるのがとても美味いらしい。静流、小鳥によると

 

そうだ、ガーディアンで思い出したけど、俺のクラスの担任は西九条先生だ。因みに目は閉じている、開くと怖いと噂が立っているが実際はどんなモンなのかはしらん。

ただ、うちのクラスの一人が問題起こして、西九条先生に怒られて帰って来た時、某たけしの様にガタガタ震えていたのは覚えてる。

ついでにオカルト研究会の顧問をしている

 

そして、原作通りイッセーは使い魔を手に入れられず、アーシアはスプライトドラゴンを使い魔にしていた

ついでに匙だが、奴は幼体のバジリスクに「美味そうだなー」という視線を向けられ、全力で逃げ回って、使い魔にしたそうだ

 

そして変化した事もう一つ。最近リアスが良くぼーっとしている。

俺を見ては溜息を吐いたり、空虚を見詰めて、何かを夢見ているような顔をしたと思ったら、途端に現実に返ってくるという事を繰り返していた。

 

特にアーシアが「花嫁修行、頑張ります!」と初々しく癒しオーラを放ちながら宣言した日からそれが増している様に感じた

リアスが何に悩んでいるのかは分からない。

「花嫁」という単語に顕著に反応しているから、何かあるのだろう

原作知識を引っ張り出せば、簡単に分かるけど、そんな事をしたら物語の楽しみが無くなるという個人的な見解でストーリーにおいてあまり関係ない所の原作知識や過ぎた話の所だけを記憶している。

幾つかどうしても思い出せない部分があったんだけど。そこはラグナさんによると「今の君が知るのはダメかなぁー」と言われたのでどうせ碌でもない事だろうと割り切った。

 

という訳でリアスの元気が無いのでオカ研全体の雰囲気が重い。

何時もなら直ぐにケーキに飛び付くのに最近では反応すらしない、っていうか俺と目を合わせてくれない。

イッセー達がチラシ配りから帰って来ても空返事だったり、気が付かなかったりする。

おかしくなっているのは一目瞭然だった

 

おかしくなったと言えば今日、イッセーもアーシアの初仕事の時に、尋常じゃない程に過保護な一面を見せていた。

アーシア自身は心配させてしまった事にあたふたしていたり、他のメンバーもイッセーの過保護具合に苦笑いだった

 

 

 

そしてイッセーとアーシアが部室に帰って来たのを見て、スムーズに行ったと喜びあっていた二人を見て俺は帰った

 

その日は珍しく黒歌がソファーの上で眠っていた。

こんな所で寝かせると風邪を引いてしまうのでちゃんと、黒歌の部屋のベッドに寝かせてきた。

今日は一人で寝られる、そう思って汗を流した後、ベッドで横になっていたらグレモリーの魔法陣が部屋に浮き出てきた

 

そこから出てきた人物はリアスだった。

切羽詰まった様子でキョロキョロして、

俺を視界に収めるとあっという間に距離を縮めてこう言い放った

「瑚太郎、私を抱きなさい」

 

・・・・・・・・・・・・はい?今何と?

 

「私の処女を貰って頂戴、大至急お願いするわ」

 

「・・・・・・・はい?」

そして今度こそ俺の思考はショートした。

 

 

 

 

 

そして――――――

 

 

 

『キャー!、ゼル!見ちゃ駄目よ今すぐ目を瞑りなさい!さぁ早く!潰すわよ!』

『いや、ま、待て、今瞑るからま、アァー!目ガーー、目ガァァーー!』

『さぁマスター!これで邪魔する者はもういません!思う存分楽しんでください!キャーッ!』

(いや。しないから、楽しまないから)

――――――俺の神器達はテンパった。本人以上に

 

 

 

 




瑚)おいおいおい!お前ら二人が俺以上にテンパってどうすんだよ、おい!
アン)面目ございません、久々のそう言うイベントが発生したのだと思って、つい
瑚)いや、ついじゃねぇよ。ゼルめちゃくちゃ叫んでたじゃん
ゼル)目ガァーーー
瑚)ゼル、大丈夫?
アン)大丈夫です、この程度次回には治っていますから
作)こらそこ、メタい発言はいかんぞ!
アン)うふふ、何のことでしょうか♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺、ちょっと怒りました

色々と好きな巻なので頑張って書いていこうと思ってます!
今までで一番長いです。
5千字突入!
ではいつもより少し長めですがお楽しみ下さい!


美しい。そのひと言で表すのが最も正しく、間違っている

とかなんか、そんな哲学的な事を考えてないと今にも理性がぶっ飛びそうです。

 

彼女がいきなり服脱ぎだした時はそんな事を考えていた。

本当だ。確かに綺麗だ、触れたら壊れて汚れてしまいそうな程白く美しかった。でも

 

「私の処女を貰って頂戴、大至急お願いするわ」

その言葉は心から言ったものであるのは理解出来た。

俺自身も役得として受けてしまってもよかった。

でもそれをしてしまったら一生後悔する、俺がじゃない。リアスがだ

 

事実、今現在俺に馬乗りになっている彼女は自分の発言とは反対に、震えていた。今は夜だ、俺か相当夜目の効く人間でもない限りまず、気が付かないだろう。

だからその話は受けない、仲間が傷つくのはもう見たくないから。

 

「リアス?」

できるだけ柔らかい口調で

「っ!何かしら」

「止めよう、後で絶対後悔するから」

言い聞かせるように、傷つけないように

「私ではダメ?」

そうじゃない、でもそれは出来ない。だから俺は辛い方を選ばせる。

「リアス、お前の悩みはこんな事で解決するものなのか?おおよその予測は立ててみた、『花嫁』って単語にかなり敏感に反応してただろ。その感じからして、好きでもない相手と政略結婚でもさせられそうになってるんじゃないのか?」

 

そこまで言うとリアスが驚いたように、目を大きく見開いた

「っ!貴方どこまで知ってるの!?」

「いや、お前の事情なんて知らない」

「じゃあ何でそんな事を・・・・・」

「言っただろ、ただの仮説、俺の推測だ」

そう、おれの仮説、ただの推測。実際リアスが何に悩んでいるかなんて知らなかった。原作におけるメインの記憶はまるっきり抜いているからな。そんなもの俺は持ってない、だから俺にはリアスがどうしてこんなにも必死になっているかなんて分からない。

 

けど

 

「何があったのか話してくれ、リアス」

「・・・・ええ、分かったわ。でも、もうソロソロかしら」

リアスがそう呟くと、俺の部屋にまたグレモリーの魔法陣が輝きながら現れた。

そこから現れたのは、銀髪の、昔あの戦争で見た事のある女性。

そして、俺の知り合いの悪魔よりも格段に強い

レベルが違う、少なくとも完全に解放した状態のイッセーでもない限り勝てないだろう

 

「こんな事をして破談に持ち込もうという訳ですか」

分かりきっている、そんな感じだ。

そして、破談と言う言葉から、リアスが拒んでいるのは結婚、もしくは婚約と言うことになる。

「こんな事でもしないと、お父様もお兄様も私の意見を聞いてくれないでしょう?」

「このような下賎な輩に操を捧げると知れば旦那様やサーゼクス様が悲しまれますよ」

 

フフッ、下賎か。まぁ人間にしか思えない力で過ごしてるから仕方な――――

『この蝙蝠!立場が分かっていないようだなぁ!!!主、コイツを切り刻む許可を!』

『マスター、現界してこの蝙蝠を滅ぼす許可を下さいませ!』

――――え、ちょ

ヤベェ、俺の神器さん方マジ切れされてるわ、コワーイ(棒)

『『主!(マスター!)許可を!!』』

(しません)

『何故ですか!』

『あの者は何が何でも滅ぼさないといけません!』

(いや、身内が気の迷いを起こしたら怒るだろ普通、そんな感じだぞアレでもって本人の前でそいつを否定する良くある事だろ。俺も経験あるし)

 

「私の貞操は私の物よ。私が認めた者に捧げて何が悪いのかしら?それに彼を下賎呼ばわりしないでちょうだい。彼は私の大切な―――友人よ。グレイフィア」

大切な。か俺はまたそう思って貰える様になったんだな

『よく言ったリアス嬢』

『ただ、友人というのが少し残念でしたね』

『うむ、至極残念だ』

(何が残念なんだ?)

『『いえ、何でもありません(ございません)』』

アレ?今度は俺が怒られてる?なんで?

 

「何はともあれ、あなたはグレモリー家の――――」

グレイフィアと呼ばれた女性はそこまで言って全て理解出来た。本当、この頭が嫌になる。嬉しくない経験豊富だな・・・

 

グレイフィアさんが俺に自己紹介をしてくれたので俺も自己紹介をしておいた。あまりいい目を向けてこなかったけど俺がオカ研の仲間と知ると記憶を消すのは渋々といった感じで止めた。

そんな事をしようものなら、本当にリアスが切れそうだからな

 

でも、俺がオカ研メンバーって知ったと言うことは、リアスもしかして俺のこと報告してない?

その後二人で何か話していたようだけど、内容は聞いていなかった。

別れ際にリアスが頬にキスをしてきた、正直に言って嬉しかった。

だから「リアス、困ったらちゃんと『助けて』って言わないとダメだぞ」俺はお前の友達なんだからと言っておいた

リアスは何も言わなかった、グレイフィアさんも何も言わなかった。

ただ、転移する直前、リアスがコクリと頷いたように見えた。

 

リアス達がいなくなってスグに扉が開いた、黒歌だ

よく知っている臭いとまた知らない女の臭いがする!と睨まれた

浮気はしてませんよ黒歌さん

その日は温かい物に包まれてぐっすりと眠ることが出来た

やっぱり黒歌は柔らかい

 

〜翌日〜

何時もの様に簡単な授業を終え放課後になった、ただちょっと違う所があるのなら、オカ研部室にグレイフィアさんが来ている所で、昨日の話の続きをしてくれるのだと期待している

 

俺が部室の前に到着した時に祐人が「僕がここまで来て初めて気配に気づくなんて・・・・」とか何とか、カッコイイ台詞を呟いていた。イケメンはいいよなどんなにクサイ台詞呟いても毛嫌いされないんだから。

そんなことを考えながら部室に入っていった

 

室内には不機嫌な面持ちのリアス、冷めた笑顔の朱乃、寒いオーラを放っている二人から離れた位置に小猫が座っていた。

ついでにグレイフィアs―――――さんは要らねぇかグレイフィアもリアスの近くに立っていた

「ちわーっす」

「瑚太朗お前よくこの状況下で普通にしてられるな」

「凄いです瑚太朗さん」

だってねぇ、暗い雰囲気は良くないよ。暗い雰囲気では誰か一人がいつも通り過ごしていればそのうちいつものように明るくなる。それなら俺が一番うってつけだ。一番空気を読まないからな。

 

「瑚太朗さま、昨日は失礼致しました」

「別になんとも思ってないから、気にしなくてイイっすよ」

何故かグレイフィアに突然謝られた。下賎呼ばわりしたことに付いてだろうけど、俺は気にしてないからな。

それから、リアスは俺のことをグレイフィアに伝えたらしい、俺に向けられる視線や雰囲気が昨夜よりも柔らかいものになっている

 

「・・・・全く、どうして瑚太朗はこう、私達のできないことを簡単にやってのけるのかしら。イライラしてるのが馬鹿らしくなってきちゃたじゃない」

「うふふ、そうですわね。なんだか瑚太朗君のおかげで暗い雰囲気が晴れた気がしますわ」

そりゃどーも、俺はそんな事よりも早く昨日の話の続きか聞きたいなー

「瑚太朗がいつも通りなのは良いこととして、みんなに部活を始める前に話しておく事があるの」

「お嬢さま、私からお話ししたほうがよろしいでしょうか?」

リアスは大丈夫、とグレイフィアを手で制した

 

「実は―――」

 

リアスが説明してくれる、そう思って少しだけスイッチを入れようとした瞬間の出来事だった。部室に見た事のない、魔法陣が現れた

「――――フェニックス」

木場が呟くように口からこぼした。そして俺は

「ん?焼き鳥?」

全然まともに聞いて無かった、と言うかフェニックスのイメージを口に出した。イッセーが吹き出した、めっちゃ笑ってる

 

魔法陣から炎が上がる、熱気は室内にあっという間に広がる。でも俺の焔よりも熱くないな、むしろ冷たいくらいだ。

うーん、このまま放置でも良いんだけど、火事になるよなこれ。

そして魔法陣の中に誰か現れ、炎が天井に届きそうになった瞬間、左手で指パッチンをした

 

全員が驚いている、アーシアが震えているのは寒さからなのか俺が怖いのか、まあどちらにしてもあまりいい感情は抱かないだろう

魔法陣の方はと言うと俺が指を慣らすと共に、炎の柱は消えて中の人物が呆けた瞬間に氷漬けになった、因みに顔は出しているので会話は出来る

 

「何、を、した。そこの、人間!」

「あぁ?お前は馬鹿なのか?室内であんな炎放ったら火事になるだろうが、引火点知らねえのかフェニックス」

ちょっとイラッとしたな

「瑚太朗様、この氷を解いて頂いてもよろしいでしょうか?」

「何故でしょう」

いや元々解除するつもりだったから構わないんだけどただ解除するのもねぇ

「この方はライザー・フェニックスさま。純血の上位悪魔であり、古い家柄をもつフェニックス家の三男であらせられます」

「それで?」

リアスが瑚太朗!?と物凄く心配した様子で声を掛けてきたが、攻撃されても問題はない。彼女は俺より弱いから。

それは初めてあった時に、俺が力をセーブしているのに気づけなかったということから、把握済みだ

 

「そして、グレモリー家次期当主の婿殿でもあらせられます」

なるほど、ほぼ完全に理解出来たかな

「もっとはっきりと申し上げればリアスお嬢さまとご婚約されておるのです」

ほら、思った通り

 

―氷を溶かしたぜ―

 

「いやー、リアスの『女王(クイーン)』が淹れてくれたお茶美味しいものだな」

「痛み入りますわ」

朱乃は至極笑顔だった、というのもお茶を褒められたからではないだろう。だってアイツの肩が上下に細かく震えているから、氷漬けになったやつを思い出して笑ってるんだろ

 

「先輩、止めてもらっていいですか?」

「ん?何でだ?」

「部長や副部長の視線が怖いです」

「ん?小猫が羨ましいのか?言えば何時でも撫でてやるぞ」

今、小猫を抱えて頭をなでている。癒しが欲しかったの。

リアスには近づけないし、朱乃は色々と不味い気がしたので止めておいたのだが、そうか羨ましいのか後で二人共撫で倒してやる

実際、何時でも撫でてやるぞと言った途端にこちらに向けられる殺意のこもった視線はライザーに向けられた

 

そして、小猫を撫でてぼーっとしていたら

「私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」

ライザーが笑った、アンが不機嫌になった

どうしてかって?『汚い笑顔ですね』だそうだ

「さすがリアス!じゃあさっそく俺と―――」

「でもあなたとは結婚しないわ、ライザー。私は私のいいと思った人と結婚する。古い家柄の悪魔だって、それくらいの権利があるわ」

ライザーの言葉を遮りハッキリと告げた。お前何かとは結婚しないってさどうする?ライザー

 

リアスの言葉を聞いて目に見えて機嫌がわるくなった、目が細くなり、舌打ちまでし出す始末、予想以上のクズ。三下だなコイツ

俺は小猫を祐人とイッセーの間に立たせるとリアスの座っている、ソファーの横に向かった

ライザーは俺が近づいていることに気づいているのか、いないのか。こう口を開いた

 

「俺もな、リアス。フェニックス家の看板を背負った悪魔なんだよ。この名前に泥をかけられるわけにもいかないんだ。こんな狭くてボロい人間界建物なんかに来たくなかったしな。というか、俺は人間界があまり好きじゃない。この世界の風と炎は汚い。炎と風を司る悪魔としては耐え難いんだよ!」

また、炎をチラつかせて、火事になったらどうすんだよ。

それに、炎はお前方がよっぽど汚いよ焼き鳥。

ここまでなら耐えられた、でも次の一言がいけなかった

 

「俺はキミの下僕を全部燃やしてでもキミを冥界に連れて帰るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────アァ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ア)こうなって当然ですね
ゼ)あんなことを言われて、主がお怒りにならない訳がないからな
黒歌)瑚太朗はハーレム一直線?
ア)そうなりそうですね、主は力を
ゼ)異性を引き寄せるドラゴンですから
作)作中で会話したことの無いメンツが会話をしてもいいのだろうか?
アン・ゼル・黒歌)ファイアー!
作)何でー!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

焼き鳥怒りました!

前回のお話しの後半に書いてあった。アァ?の部分の下に書いてあった物をこちらに移動させて少し内容を調整させて頂きました

遂に修行が!と思ったらそこまで行きませんでした
文才が欲しい!
楽しんで頂ければ幸いです
それでは、どぞ(っ´∀`)っ


イッセーside

 

あ、と思った。

一瞬だけライザーから殺気らしきものが飛んできたけど、もっと大きな圧力によって、簡単に圧殺された

瑚太朗がキレるなんて滅多にない事だ

でもライザーは、あの三下は、沸点の高い瑚太朗を怒らせた。

瑚太朗は身内や仲間が傷つけられるような事があると本気で怒る、自分を罵倒されて怒った所を見たことがない。

 

そして、その瑚太朗がここまでキレている所なんて見たことない。

「は、ハハハ。なんだよアレ」

「こ、こたろう。さん?」

「瑚太朗、くん。キミは、一体、何者なんだい?」

「瑚太朗、せん、ぱい?」

震えが、止まらない、これは畏怖じゃない恐怖だ。

だってそこにいるのは。何時もの優しい瑚太朗じゃない。俺の知らないナニカだ

部長や朱乃さんは瑚太朗の視界に入っているからか、強いのかは分からないけど俺たち程酷い震え方はしていなかった。

一番惨いのはライザーだろう、流石にあんなクズでも同情する。

歯がガチガチとなり、体はガタガタ震えている

あんなの至近距離で喰らったら誰だってああなる。

これだけ離れてる俺だって息が苦しい、けどそれは俺だけじゃないと思う。

現に俺にくっ付いているアーシアからは明確に震えが感じ取れる

木場や小猫ちゃんは戦闘態勢をとっているみたいだけど足が震えていた。

部長や朱乃さんは瑚太朗を見て大きく目を開いていた。

唯一平然とした態度をとっているのは、グレイフィアと呼ばれたメイドさんだけ、彼女は強いと俺の中の何かが訴えていた

 

魔力の解放と共に瑚太朗に変化が現れた。

髪がうっすらと紫色になってる、これがどんな意味を持つかなんて見当もつかないけどヤバいのはとても良くわかる。

魔力を解き放っている瑚太朗に近づこうと、1歩踏み出した時。

魔力の波は収まった、その代わり

 

「『『貴様程度の存在が俺の大切な友人を燃やし尽くす?片腹痛いわ。不死?フェニックス?そんなものただ死なないだけの力であろうが、その程度の力で我らの前に立つとは立場をわきまえよ三下』』」

何時もの瑚太朗の声に2人ほど声が混じっているような変な声だった。一人は理知的で言い聞かせる様な男性の声、もう一人は感情を表に出しながらも温かみを感じる女性の声、圧倒的な力の差を感じた。

何より瑚太朗の声には色を感じなかった。

ただ言っているだけ、ただ言葉の列を読み上げているだけ。

そんな感じだった

 

瑚太朗がライザーを見つめてある時間は途方もない位長く感じた。

時間にしては1分も満たないだろうけど、とても長く感じた

とても怖かった

 

 

 

「瑚太朗様、落ち着いて下さい。ですが、その程度の能力であることにとても安心致しました。それでも、もしこれ以上やるのでしたら私も遠慮も手加減も致しませんので。」

グレイフィアさんから放たれた静かな殺気に瑚太朗の荒れ狂う魔力が落ち着いていった。

でも、グレイフィアさん。今、瑚太朗のことを遠回しに馬鹿にしなかったか?その程度って事は自分なら対処出来るって事だろ?

瑚太朗が人間(・・)だからって、そんなの――――――

 

「・・・・ふぅ、俺の神器が申し訳無かった。意識をもって行かれてたけど、何かあったのか」

魔力の収まったそこに立っていたのはいつも通りの優しい口調の瑚太朗だった

 

 

〜主人公side〜

 

ライザーの言葉に完全にブチ切れた、ゼルとアンに身体の制御までもって行かれた。

ここまでするとは思わなかったよ

いやー、神器が身体をもって行くなんてことをあるんだねぇー

凄い凄い。俺の体に二人とか窮屈そうだから、俺が完全にコントロール出来る様になった時にラグナさんに二人の体を創って貰おうか。

なんか、言ってるねぇー俺には少し遠くて聴こえないや。

もう少し、近くに寄って、みようか

 

『―――フェーー死?』

フェ死?なんだそれ面白そうだな

もう少し近づこう

 

『――――ただ死なないだけの力であろうが―――』

あぁ、フェニックスの力について解説をしてるのか。

確かにフェニックスは死なない。

でも、それだけだ。炎の火力も俺のと比べて大したこと無かったし、心を完全に砕くことが出来れば、奴も復活出来なくなる。

圧倒的な力で圧殺出来れば奴も消滅させることが出来る

もしくは溶けない氷で凍らせる。俺が知っているのはこれくらいだ

 

『その程度の力で我らの前に立つとは立場をわきまえよ三下!』

あーらら、言っちゃったまぁそこまで強くないって所は合ってるけど。せめて焼き鳥と読んであげなさい。可愛そうだから

 

 

グレイフィアが何か喋ってるな・・・・・ん?

 

ブチッ

 

あ、これは不味い

ゼル、アン。交代しなさい

『主!』『しかし!』

実力差が分からないのは俺のリストバンドがしっかり働いているって事だ、お前らの主が創った物がしっかり機能してんだ、喜んでおけ。

『『ですが!』』

それに20代位の一番クソ生意気な時期のガキの牽制程度に切れる必要はない。言いたければ言わせておけ、奴が行動に移した段階で俺が仕留める事が出来る気にすんな

 

『『しかしあの女は!』』

うん、お前らの気持ちは良くわかる。だから少しだけ強がってる様に言ってやるんだ

 

「・・・・・・・ふぅ、俺の神器が申し訳無かった。意識をもって行かれてたけど何かあったのか」

これでいいだろ

『いいえ』『足りません!』

oh...俺の神器達が過保護です

『『過保護じゃ無いです!』』

俺の事はいいじゃないですか、俺はコイツらが幸せならそれで良いよ。もちろんお前らもな

だから少しだけ我慢だ、俺は俺自身と身内には厳しいからな。

『『・・・・はい』』

納得、はしてないな。むくれている姿が容易に想像できる、ごめんな、お前らばっかに辛い思いさせて。

俺、もうちょっと頑張ってみるからな

 

「なぁグレイフィア、どうせ反発すんの分かってたんだろ解決策くらい用意してあるだろ?」

「瑚太朗、あなたよくグレイフィアを呼び捨てに出来るわね。」

「ん?そんなに歳上なのか?俺はせいぜい22、3位だと思ってたんだが違った?」

 

「いえ、その認識で間違ってません」

「グレイフィア!?」

リアスがすっごく驚いてた。

違うのか?俺があの戦争で遠目に見かけた悪魔の子孫じゃないのか?

 

「瑚太朗さまのおっしゃる通り解決策は用意してあります」

「で?それは何だ?」

「レーティングゲームでございます」

 

よく分からなかったのか、イッセーが祐人からレーティングゲームの説明を受けていた

 

レーティングゲームと聴いてなんかリアスが更に腹を立てていたが、これで解決出来るならそれでいいだろう。

「――い、オイ!貴様聞いているのか人間!」

「あぁ?んだよ焼き鳥」

「貴様ぁぁぁ!―――ふっ、まぁいい貴様もレーティングゲームに参加―――――「しないぞ」何!?」

 

お前は馬鹿なのか?人間の俺が参加する訳ないだろ?

どうせ非公式だから参加出来るんだろうけど。俺は参加しない。

リアスが自分の望みを叶えるために、このゲームに参加することを選んだんだ。頂点に立つものに対して、無駄な助力は失礼だ。それに

「リアス、俺の手助けが必要か?」

「必要無いわ、私自身の力と下僕の皆の力を合わせて、ライザーに打ち勝って魅せるわ」

「よく言った。それでこそリアスだ」

そう俺に言われると、心のそこから嬉しそうな顔をした

 

「という訳で俺は参加しない。観戦は出来るのか?」

「はい、シトリー家の次期当主の方とともに見て頂く事も可能です」

「それでよろしく頼む」

 

リアスの下僕が15人揃って居ないことにライザーが鼻で笑いながら、自分の下僕をひけらかしてきた、まぁ頭数は揃ってるそんな感じがした。

クイーンの女と半仮面の女は強いなと思った。一人ドリルがいたけどライザーと同じ、フェニックスの匂いがした。

イッセーがライザーの下僕を見た瞬間に「え?弱くね?」と呟いていたのに思わず吹き出さないように笑いを堪えていた

 

ミラと呼ばれた少女が棍をもってイッセーに突っ込んで行った

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を展開して力を倍にしていたが正直展開する必要無かったと思う。

そして、突っ込んで来たミラという少女に『無手・狡龍』で対応無力化していた。少女に傷を付けずに無力化したのは100点満点をあげたいね

 

自分で攻撃させたのに無力化させられたミラを見て激昂するというバカなことをしていたが、グレイフィアに睨まれてスグに引き下がった。

「ゲームは十日後、貴様らを完膚なきまでに叩きのめしてやる!」

そう言い残して去って行った。

 

 

 

翌日、緊急召集があり朝早くから叩き起こされるハメにあった

レーティングゲームに向けて修行するそうだ。

何で俺までいるのか物凄く不思議なんだけどまぁそこは俺だからという理由で納得しろと言われた。

イッセーとアーシアは昨日何某かがあったらしい前より少し距離が近づいていた。さすが赤龍帝。

 

しばらく家を開けると黒歌に伝えて置いたが、やっぱり一人にするのは心配だ、猫は寂しいと死んでしまうと言うだろ?、やっぱり一日一回は黒歌に顔見せないとなと思っている、おれも黒歌に会いたいしな。家の事は黒歌なりに色んな事をして俺を助けてくれる。

初めの頃よりも料理上手くなったし、可愛いし、家事全般を一人でこなしてくれるようになったし、綺麗だし、料理中の黒歌とか割烹着がめっちゃ似合うし絵になるし、俺に擦り寄って来るところなんか特に可愛くて、あの俺だけに、俺だけがいる時に見せる砕けたというか蕩けたような表情が堪らなく愛おしくて、縁側で一緒に日向ぼっこしてふにゃ~ってなったり、時々褒めてあげると真っ赤になって上目遣いで「ありがとう」って言うもんだから可愛いくって仕方がないし、「ありがとう」の感謝の言葉は1番嬉しいのか他のどの言葉よりも喜んでくれて黒歌もお礼なんていらないとか言いながらものすごく恥ずかしそうにでもとても照れたように嬉しそうに笑うあの顔が好きだ、よくイタズラをしてきて、俺にじゃれて来るけど、それは構って~という合図というか、信号というか―――――他にも挙げればあるのだが、キリがないから止めとこう顔に出る。ニヤニヤしちゃう

 

「瑚太朗、笑顔だけどなんかあったのか?」

「黒歌のこと考えてたんだよ」

「あぁそういう事か、綺麗だもんな黒姉」

こんな感じでイッセーも黒歌の事を知っている。もちろん黒歌も知っている。わざわざイッセーと俺のリストバンドに消臭効果を付与したので子猫にはバレていない。

イッセーは黒歌がはぐれ悪魔だって事は知らない。

ていうか悪魔ってことに気づいてない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ゼ)主の黒歌様への愛情が素晴らしい
ア)今のマスターには黒歌ちゃんしか目に入ってないわ、リアスちゃんとか朱乃ちゃんに頑張って貰わないと、子猫ちゃんは黒歌ちゃんが許してくれるかな?
ゼ)黒歌様の事だ、主だからという素晴らしき理由で全て受け入れてくれるであろう
ア)それもそうね、なんて言っても正妻だけもの
瑚)お前らなんの話してんだ?
ゼ・ア)いえ、何でもございませんお気になさらず主(マスター)
瑚)そうか、それにしても今日はよくセリフが合うな
ゼ)そうですね、これはきっと
ア)作者の手抜きでしょう
作)いやそんなことはー
ゼ・ア・瑚)天誅!
作)ブホォォォォヘェ!(作者は再びお星様になった様だ)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修行開始です!

遅くなりました!
最後の部分を足すか足さないかと悩んでいて、書いてみたら気に入らなくて―――――と順調にグダってました
お気に入り百記念もまだ製作段階に入ってすらいませんが、取り敢えず。
どぞ(っ´∀`)っ


グレモリー家が持つ別荘に到着した

別荘に着くまでの道のりは徒歩だったけど割とイッセーは余裕に見えた。そりゃあ、あのレベルの特訓してたら体力に余裕が出てくる。普通の人間だったらまず間違いなく死んでるしな。

この程度の登山で息を上げるなんてことはまずないだろう、というかもう着替えて準備運動始めてるし。どんだけあの焼き鳥を潰したいんだよ・・・・

 

 

Lesson 1

 

木場と全力運動

「ふっ!――――はぁ!」

「っ!はっ!」

 

イッセーが攻撃して、祐人がいなしつつ返す

時々出すイッセーの速攻に祐人が防御してから少し重めの一撃を出すなんてことをしていた。ちなみに20までで数えるのを止めた

まだ修行始まったばっかだぜ?

速すぎない?特に祐人、俺と剣道の試合(のような何か)をした時より全然速えじゃねぇか。

 

まぁでも、祐人は速いだけって感じがするな。

そのせいでイッセーが出すトリッキーな攻撃に反応して防ぐ事が出来てもその後の返しが弱く、どうしても決定打に欠けている

対してイッセーは、速さはそこそこのもので時々出すトリッキーな攻撃で祐人を翻弄しつつ確実に祐人の体力を削って行っている。

火力もそこそこあるから祐人の様に決定打に欠ける事もない。

 

丁度ほら

「っく――――やあぁ!」

「とった!――らぁぁぁ!」

どこかで見た事のある光景、祐人と剣道の試合をした時と同じ様な終わり方。

祐人の上段からの振り下ろしに対してイッセーが十八番である、天流『一ノ刀・鯉』を使った。

これは相手が剣を振り下ろす時に起こる剣を握る力が緩む一瞬に下から斬りあげるという技。

俺でもイッセーに対して上段斬りは使わない。

振り下ろしの瞬間をイッセーは完全にに見切って来る。

だからイッセーに対して上段からの振り下ろしは愚行だ

なんせ俺が完全に弾かれるレベルの速さで打ち上げてくるのだ。正直祐人は何が起こったかよく分からなかっただろう

「勝負あり、だな」

「降参だよイッセー君、まさかここまで剣術が得意だとは思わなかったよ」

「めっちゃキツい修行してるからな」

嫌でもこうなっちまう、とイッセーは続けた。

 

さてさて今度は俺の番だ、

「イッセー、休憩いるか?」

「いや、このままやろうって言いたいけど。少し休んでからやるよ。流石ナイトだな、目で追って速攻で先手を撃たないと負けてたのは俺だよ」

ふむふむ、なるほどあの速度が目で追えるのか。

少しだけ意地悪したくなったな

 

「祐人はどうだ?」

「僕は大丈夫、このままお願いするよ」

「了解」

少し無理してるな、まぁそれはそれでゲームまでにいい感じに仕上げられればいいか

 

「じゃあ行くぞ」

「うん、いつでもいいよ」

「ふぅ――――」

 

息を限界まで吐く

思考を止める

体が軽くなる

ただ速く剣を振るうそれだけを考えろ

俺の修行は絶望と壁を与える事

修行開始の合図は――――

「木場!逃げろ!」

「―――――――ぐっ!」

―――――イッセーの逃げろだ

 

「・・・・・・・・スッ」

「は!―――っ!?―――ぐっ!!」

間合いに入った瞬間に高速で木刀を振る

祐人が反応できない様に

力を入れる必要はない

自分よりも速い存在がいると言う事を自覚させ絶望させる

そしてそれを乗り越えるための壁を与える

さぁどうする祐人、もっともっと俺は速くなるぞ!

更に加速しようと、力を込めて振ったら――――――

 

―――バキッ!

祐人の木刀に接触した瞬間俺の持っていた、木刀が真ん中からへし折れた。

「――――あ」

「ハァ、ハァ」

残念、まだまだ速くするつもりだったけど木刀が先に逝っちまった

「は、速すぎるよ瑚太朗君。君は一体何者なんだい?」

疲れと俺の剣撃を受け続けたせいで腕が痺れているみたいだ、小さく腕が震えている

肩で息をしている、祐人の目に恐怖は――――――――ない。

むしろ、いい目をしてる、あれだけの剣撃を受けて、次はどうしようか懸命に考えているのだ。

何かに向かって一生懸命頑張ってんだ、応援したくなっちまうな

「祐人この後お前には変わった素振りと筋トレをしてもらう。」

「変わった素振りと筋トレ?」

「お前は速さはあるが圧倒的な火力不足で決定打に欠ける。それを少しでも補う為に筋トレだ、変わった素振りはやれば嫌でも効果が分かる」

「うんやってみるよ」

よし次はイッセーだな

「よし、どんと来い!」

 

 

――――――――――――――――――――――

「··············痛い」

剣術では瞬殺してやった。

今は小猫と格闘中だ

 

Lesson 2

 

小猫と格闘訓練

「イッセー先輩も瑚太朗先輩も私よりも強いです。」

私が一番弱いとイッセーに聴こえない程度の声で呟いていた

「俺はそんなに強いとは思わないけどね、瑚太朗が強過ぎんだよ」

そんなイッセーの発言はさも当然の様にスルーして少し気にかかった事を小猫に聞いた

「なぁ小猫、何で仙術使わねぇんだ?」

「っ!?どうして、それを?」

「俺は仙術使えるからな、他に使える奴が近くにいると分かるんだよ。それに使える物は使わないと勿体無いぞ?」

「私はそんな力いりません!」

怒った様な、脅えた様な、強い否定の篭った声で返された。

そうだった、この娘は黒歌の一件で仙術を使うことに怯えているんだ。

悪意に呑み込まれて壊れてしまい、自分が周りの人を傷つけるのが怖いのだ。

「そうか、小猫が嫌なら使わなくていい、でももし使いたくなったら、俺に言いな。絶対に悪意には呑み込ませないから」

小猫はコクンと頷くだけで答えはしなかった

 

その後何度も組み手をしたが小猫は俺に勝つ事が出来ず

イッセーと五分五分だった

一応小猫にも課題を伝えておいた

攻撃が打撃中心なのは構わないが技の一つ一つを極める様にすること、色々な体の使い方を覚えて流動的になったり、ずっしりと構えてカウンターを狙ったりと自己流以外にもちょっと違う動きを身につけた方がもっと上手く立ち回れると言う事。

仙術に対する認識を変えてみて、というアドバイス。のような事

最後にうちの道場に通わないか!とめっちゃ宣伝した

俺があまりにも必死だったせいか、イッセーには俺がいるじゃねぇか!と突っ込まれ、ウチの道場には華が無いんじゃあ!とイッセーに言い返すと俺たちの馬鹿みたいなやり取りに小猫も笑っていた。

笑うと可愛いじゃねぇか、小猫さんや

そういう所は黒歌そっくりだ

 

――――――――――――――――――――

Lesson 3

 

朱乃と魔力操作

「ふぬぬぬぬぬぬぬ!」

「できました!」

 

見よ、これが才能がある者とない者の差である

と上から目線で物をいってみたのだが、決してイッセーに才能がないわけじゃない。現に小さな魔力球を作っている、米粒程度のだけど。

それでもこれは凄い事だ。 イッセーは俺と似たようなリストバンドを付けている。これが意味することは力の抑制、つまり実際のイッセーよりも弱いと言う事。まぁイッセーは魔力が極端に少ないってだけなんだけど。それでも俺が着けてるやつの劣化版だ、魔力に偏っているものの、装着者の力(イッセーの場合は魔力)を抑制しているのだ

それで魔力球を作っているのだ凄いと思う。

悪魔になった事でイッセーの成長速度も少しだけ上がったし、何より篭手の力に体が付いて行けるように日に日に進化しているんだ。

まったく、大したもんだ。このまま行けば、あの焼き鳥も『禁手(バランスブレイカー)』に至りさえすれば余裕だろう。

 

「あらあら、イッセー君も頑張って下さいね。アーシアちゃんは次のステップに進みましょうか」

朱乃は気がついているのだろうか、イッセーが作っている魔力球の密度の濃さを、幾ら俺でもあれ喰らったら流石に痛いぞ

 

「はい!イッセーさんも頑張って下さいね」

「おう、スグに追いついてやるからな。」

「はい!」

 

仲睦まじいねぇと白色の魔力球を作りながら俺はウトウトしていた

「瑚太朗君の魔力は綺麗な白色ですわね、羨ましいですわ」

「そうか?気に入って貰えたなら何よりだよ。」

俺の魔力を綺麗だと言ってくれた人は彼女が三人目だ、あの時の様に荒れ狂う黒い魔力では無いからな

「アーシアちゃんはさっき見せたお手本の様に魔力を変化させる訓練を練習して下さい」

そう言うと朱乃はこっちに寄ってきた

「あっちの面倒見なくて良いのか?」

「ええ、あの二人なら大丈夫ですわ、ちゃんと言いつけ通りにしてくれていますからね。」

「そうか、俺もあの二人みたいに魔力変化の訓練に移った方がいいかねぇ?」

「いえ、瑚太朗君には少しだけお願いがあります。」

「お願い?」

「はい、昨日子猫ちゃんにやっていたあれ、私にもしてくださりませんか?」

昨日の?あぁ、頭を撫でて欲しいのか。

「俺で良ければ構わないぞ、言えば何時で撫でてやるって言ったのは俺だし、男に二言は無い!って事でどうぞ」

「では、失礼しますわ」

そう言うと朱乃は俺の上に座ってきた。うんやっぱり冷静に考えるとこの絵面はやばいな。

まぁゲームまでまだ九日程あるから他のメンバー(主にリアス)にもしてやれるだろう。朱乃も朱乃で色々頑張ってたんだろう波長が少しだけ乱れていたから仙術で穏やかな流れに変えてあげると、朱乃はスグに眠ってしまった。

俺に体を預ける様な形になり、首に負担がかかると思って体勢を変えさせてもらった。普通逆だろうけど俺が膝枕をしている状態だ。

 

女王(クイーン)として心に精神的にかかる重圧は相当なものだっただろうに。お疲れ様朱乃、ゆっくりおやすみ。」

そう言って俺は朱乃の頭を撫でた。

彼女の穏やかな寝顔は俺の心を少しだけ埋めて(・・・)くれた

 

 

~一時間後~

 

「ごめんなさいね瑚太朗くん。お膝の上で眠ってしまうなんて、足は痺れてない?」

「あはは、大丈夫。痺れてないし、俺は朱乃の可愛い寝顔が見れたから大満足だよ」

「そんな可愛いだなんて―――――」

うん?、朱乃が真っ赤になってる。トマトみたいだ

いま、一瞬『マスター、既にトドメを刺しているのにオーバーキルしましたね?』とアンの声が聞こえたのは気の所為だろうか

 

 

Lesson 4

 

夕食の準備

俺はこれから夕食の準備、調理をする事になっている

「イッセー、頑張ってこい。リアスとの修行はお前とリアスの2人だけだからな。俺の地獄よりは楽だと思うから頑張ってこいよ」

俺はここでイッセーと行動が別になる。リアスはイッセーの事をあまり理解していない。

だから今日はどこまで出来るか、という実力測定みたいなことをするって言ってた。さてさて俺は飯を作りましょうかね。

今日は何を作ろうか

キッチンにあるものは自由に使っていいとの事だし

(何作ればいいかねぇ?)

『主が!』『マスターが!』

『『我(私)たちを頼ってくれた!』』

え?なんだこの反応、前にもあったような気がする様な·········

まぁいいか

(それで?何がいいと思う?リアスが魚とか猪とか取って来てくれたし。それを〆た物を使えばいいんだろうけど、俺一人で全員分作るのきついし、持ち寄った物もあるから手伝ってくれ)

『『はい!喜んで!』』

魔力を解放して形を作る。人の形を一つは男、一つは女の形を持たせる。服はそれぞれのイメージに合うように、同じく魔力で作り出す。

 

 

 

――――――さぁできた。

白銀の髪に蒼いメッシュが所々に入っている。蒼い服に身を包んだ男性。

紅みがかった黒い髪で、スタイルのいい。黒い服に身を包んだ女性。

 

説明するまでもないと思うけど、前者がゼルで後者がアンだ。

体を作った瞬間に神器を俺の体に置き去りにして一目散に自分の体に意識を移動させやがったこいつら

「やはりこの体は素晴らしい出来ですね!」

「ん~、気持ちいい!」

手を握って感触を確かめたり、思っいっきり伸びをしたり。各々が自由に動いている。

俺が最終的に望むのはゼルとアンに今の様な体を、今度は本当の肉体をプレゼントする事だ

でもそれまでは時間がかかる。今はこいつらと料理を楽しもうか。

「それじゃあ始めますか!」

「「おー!」」

 

 

―○●○―

 

作った料理はグレモリー眷属みんなに大好評だった。

ゼルとアンは料理を作り終えた瞬間に、体が消えてしまったので。既に俺の中にいる。

また機会があればお願いします!と言われてしまった。

 

夜の修行には参加しなかった。

幾ら悪魔越えする能力でも、身体のスペックは人間レベルだ。

俺は疲れたから早めに寝た。

 

 

 

夢をみた。

俺の望む最高の夢

ゼルもアンも身体を手に入れて、一緒にはしゃいでいる

そこには当然、二つのオカ研のみんなもいる

黒歌もまだ出てきてないメンバーもみんないる。

みんな楽しそうに笑っているのにどこか、悲しそうな雰囲気を纏っていた。それに───

 

 

 

 

 

─────そこに、俺は居なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ゼ)主が
ア)マスターが!
ゼ・ア)体を作ってくれた(くれました)!
ゼ)感謝だ感謝しか湧いてこない。
ア)本当は私たち二人分の肉体を魔力で作るなんて疲労は相当なものでしょうに
ゼ)あの方は疲れを見せること無く我々に振る舞って、共に料理を作って下さった
ア)味見したけどやっぱりマスターの料理が一番美味しかったわ!
ゼ)あぁ、で我々は何を作ったのだっけ?
ア)・・・・・・・・・・・
ゼ)沈黙!?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

彼女の本音と修行の終わり

お待たせしました
修行の成果に乞うご期待!
最後に今出来る全力の戦闘シーンを書いてみたので
アドバイスなど気になった所など指摘して頂けると有難いです
それでは!
どうぞ(っ´∀`)っ


2日目

午前中の特訓は返上して勉強だ

リビングに集まってイッセーとアーシアに悪魔の知識を教えるそうだ。

俺は早起きして、茶菓子作って準備していたし。

寝ているみんなに仙術で強化した気を贈ったりしていた。

今は小テストみたいな事をしているみたいだ。

 

俺?俺はいまイッセーが昨日乗せていたという岩がたくさんある所に来ている。力の制御をするための特訓に来たのだ。

リアスには少し席を外すという事は伝えてある

さあ、2時間で仕上げようか。

俺の右の力、ゼル曰く『焦焔』というそうだ

どういう意味なのかは詳しく聞いて無いけど主はもう使い方を知っているとだけ言われた

岩に近づく。ゼルとアンに調整はしないでくれとだけ伝える

リストバンドを外して岩にそっと右手を添える。

そして、「解放」

 

パァン

 

弾けた、風船が破れた。

その辺が最も表現しやすいだろうか。

俺の触れた岩は風船が破れた様に弾け飛んだ

右手だけならまだまだ余裕で火力も温度も上げられんだけど。

地球を焦土に変える予定は今の所ない

そして右腕を氷で覆う、吐く息が白くなる

 

先程弾き飛ばした物とは違う岩に近づき、右手を添える

すると、岩が赤くなる程度に抑える事ができた

少しだけ柔らかくなってるのはご愛嬌という事で、この程度の温度ならライザーでも耐えられるだろ。

摂氏で表すなら3000度から3500度位だと思う。

 

「この位かな」

 

出力する焔の温度の調整は自分で出来る

でも威力の調整が難しい

 

氷の方は周囲に被害があまりでないのではぐれ悪魔狩りついでに訓練をしていた。だからこっちよりも圧倒的に使いこなすことが出来ているのだが

「勢い余ってバァン!とか洒落にならねえからなぁ」

仮に全力でライザーに左の火焔を放ったとしよう。その場合俺が放った焔の温度でまず俺の服と前方にある視界に入る全てが消し飛ぶ。

ライザーは俺の焔で燃えるし、そもそも放った時の威力で木っ端微塵になる。

.......うん、冷静に考えてみるとやっぱりあの部屋で鍛錬した方が良いな。

ここじゃうっかり暴発した時大変だからな。

さてさて、もうちょっと出力落としてやってみっか。

 

軽く昼食を作って。午後の訓練を始めた。

 

 

―○●○―

 

 

山に籠って一週間

 

精神的にも肉体的にもそこそこ鍛えられた様に感じる

小猫はうちの型を幾つか覚えたし、

祐人はあの鬼畜素振り訓練でいい感じに筋肉を痛め付けていた。まぁこの数日で筋肉はどうにかなるもんじゃ無いけど。

朱乃とリアスは対して問題にならねぇだろ、相手はイッセーが弱いって感じる程度の強さだからな

まぁリアスを真っ先に潰す様な事はしないだろうから、このメンバーで行けば余裕かな~そんな事を考えながら、俺は夜の別荘を歩いていた。

 

どうしてもこんなに夜更けに出歩いてるのかって?

別に大した理由があるとかじゃなくて、ただ眠れないだけ。

これは昔からの。転生する前からもあった事で、今更気にする事でもないんだけど、何か胸騒ぎを感じて眠れないそんな程度のこと。

だけど、こういう時は必ずと言っていい程良くない事が起こる。

俺にじゃない、その周りにいる人にだ。

それで眠くなるまで少し歩こうと思って軽く散歩していた所だ

 

ん?リビングに灯りが着いてるな。

こんな時間まで起きてるなんて明日の訓練がきつくな――――ってそうかリアスか。

熱心だな、それだけこのゲームに全力を注いでいるのだろう

 

「よう。こんな遅くまでお疲れ様。何か暖かいもん入れようか?」

「あら瑚太朗、お願いするわね」

ふむ、この時間帯ならミルクティーでいいか。

俺はこういう時は水くらいしか飲まねえからよく分からないんだよな。言ってみただけで。

「かしこまりましたリアス嬢。ちょっと待ってな」

「ふふっ。なんだか執事みたいね瑚太朗」

そう言うとリアスはまた戦術の書き込まれたノートに目を走らせた。

 

―数分後―

 

「待たせたな。ミルクティーとちょっとした茶菓子だ」

「ありがとう頂くわ」

リアスの分のミルクティーを注いで俺もリアスの隣に座った。

テーブルに広がった学校の地図、フォーメーションや陣形。

そしてリアスが自分で作ったと思われるノート

いつもこんなこと一人でやってたのか。

 

俺がノートを読んでいるのに気づいたのか。リアスはノートを閉じてしまった

「·······色々と書いてあるでしょう?でも、こんなの気休めにしかならないのよ」

「そんなに実力差があんのか?」

「正直、彼の眷属に対してそこまでの脅威を感じないわ、でも問題はライザー本人なのよ」

俺としてはリアスの力でもライザーを叩きのめすだけの力を持ってると思うけどなぁ。と無神経な事を考えていると

リアスがフェニックスの描かれた書物をテーブルに置いた。

そこに描かれたフェニックスはあの時みた、いかにもホステスですみたいな雰囲気を放ったチャラ男とは比べるまでも無い程雄々しいもので。

いつか、俺が敬意を表してもいいと思える程綺麗な炎を纏った幻獣を思い出させた

いや、まあ絵なんだけどね······

「あの時、ライザーが部室に現れた時あなたは言ったわ。たかが不死、その程度って確かにライザーは倒せる。でもそれは理論上の話、私の眷属でも可能性があるのが私と朱乃、それとイッセーの三人。けど可能性があるというだけ」

リアスはそこまで言葉を続けると「可能性があるだけじゃ·····」と聞き取れないほど小さな声で呟いた

······何か昔の俺みたいだな。ってそう思った全部無くして奪われる前の俺によくにている

可能性があるのにそれにすがり、意地でも何とかしようとする気持ちが弱い。

その点ライザーの奴は絶対と言い切って良いほど自信に満溢れていた。

この差はきっといつか、何処かで必ず実力的に現れる。このままであればの話だけど

 

「リアス。少し外にいこう気分転換だ」

なるべく柔らかく優しい口調で話しかけたつもりだ。

何事も根を詰めすぎるのは良くない。

この一週間ずっとこんなことしていたんだろう。

気分を変えようぜ。そう言ってリアスを連れ出した。

 

リアスを引っ張って来たのは別荘にある大きな池

それを眺めることの出来る別荘の横に建てられた大きなガゼボ

俺はリアスをここに連れてきて月を二人で眺めていた。

リラックス出来てるかな、悲しそうな雰囲気だな。と色々と考えてしまっている。

「ねぇ瑚太朗?どうして貴方は私に力を貸してくれるの?」

ん?色々と考えていたのは俺だけだったのか。

いつもの様なトーンでリアスが沈黙を破った

「どうしてって、俺はオカ研部員だし。そもそも友達だからな。友達が困るから助ける。理由なんて要らねえだろ」

「友達だから、ね。」

何故かリアスはホッとしたよな、悲しんでいるような声で呟いた。

友達という部分が特に落ち込んでいたような気が·····まぁいいかそれより一つ確認しておきたい事があるんだった

「なぁリアス」

「何かしら?」

「どうして今回の、ライザーとの縁談を拒否しているんだ?」

あの下賎呼ばわりされた日からずっと気になっていた。

そしてとうの昔に自分の頭の中では結論が出ているそれの答えが知りたい。という自己満な質問だけど。

「私は『グレモリー』なのよ」

うん、知ってる。でもリアスが言いたい事は違うのだろう。

「リアスはグレモリーと呼ばれる事が嫌なのか?」

「そうじゃないわ、私はグレモリーの名には誇りを持っているもの。でもね同時に私個人を殺す名でもあるの。誰しもが、ライザーでも私をグレモリーのリアスとして見ているから、私を『リアス』として見てくれる悪魔はいないの、人間界でしか私をリアスとして見てくれる人はいないの。」

遠い目をした彼女の、寂しげな瞳に映っているのはどんな光景だろうか、周りにいる者はみなグレモリーとして自分を見ていて。

リアスとしての感情を存在の一切を排斥して見てくる。

ただグレモリーとして見られる。そんなのに俺は耐えられるのだろうか。同じ様な相談を一度受けたことがある。

その時の俺は·········

 

「瑚太朗、私には夢があるの」

「··········夢?」

「そう小さな夢よ。私の事をグレモリーではなく『リアス』として愛してくれる人と一緒になりたいの。ライザーは私の事をグレモリーとして見ているから、グレモリーのリアスとして愛している。それが嫌なの。矛盾した想いだって知ってる、でも私はリアスとして最後の瞬間までこの夢を持っていたいわ」

そっか、夢ちゃんと持ってるんだ。

じゃあ何がなんでも護ってやらなくちゃいけないな

「リアス、夢に大きいも小さいも無い。その人の価値観によっては違うだろうけど。かけがえのないもの、だからその誠実な夢は大切にしろよ」

例え絶望的な状況になったとしてもだ。

「ええ、ライザーに勝って私は夢を掴んで見せるわ」

「ああ、その意気だ」

それだけ言って立ち去ろうとして、何を思ったのか俺は昔同じ事を相談してきた彼女に言ったことを思い出して振り返った。

そういやあの時の俺こんなこと言ってたな。って

 

「リアス。今日は月が綺麗ですね。」

直後、意味を理解したのかリアスの顔が髪の色と同じような真っ赤に染まった。

俺は足早に立ち去った

『『ナイスです。主(マスター)』』

『あの奥手な主がこんなにもご立派になられて』

『マスター、ロマンチストですね!』

(止めてくれ恥ずかしい。)

黒歌に何て言い訳しよう。

『主よ、奥方なら許してくれるかと』

『ついでに帰ったら色々暴露しましょう。私黒歌ちゃんとお話したいし』

これ帰ったら死ぬ奴じゃん。ってかゼル今奥方って言った?

黒歌を完全に嫁認定したよねゼル君。俺もしてるけど。アン?黒歌と話がしたいんだったら言ってくれれば良かったのに。俺以外にも声聞こえるようになってんだろ?話くらいすればいいのに。

『いえ、主(マスター)以外には私共の声は聞こえておりません』

え·······?

何じゃあ俺もしかしてずっと独り言しゃべってるみたいに見えてたの?

『『はい』』

 

・・・・・嘘だァァァアアア!

 

転生してからこれ以上ないくらいに。めちゃくちゃ落ち込んだ

 

 

ー修行最終日ー

「イッセー、祐人、小猫、アーシア。あなた達の修行の成果見せてもらうわ。瑚太朗、相手をにしてどこまで立ち回れるか見せてもらうね全力でやりなさい。それからイッセーあなたは『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』を使って戦いなさい。いいわね」

「「「「はい!部長!」」」」

一昨日の一件からものすごくやる気に満ち溢れているリアス。

ただ俺と目を合わせてくれないのがものすごく悲しい。

それと相まって独り言みたくなってた事実を知り相当参ってます。

 

四対一か、ちょっときついな。

特にイッセー、昨日夢の中で篭手に封印されたドラゴンとお話をしたらしい。

あと少しで至れるとか言われたそうだ。

名前はドライグでかなり大きな、真っ赤なドラゴンだったと笑顔で語っていた。

 

祐人も無駄な動きを削り取りかなりコンパクトに動く様になったし、俺が引っかかるレベルのフェイントを掛けて来るようにもなった。

 

小猫は結局仙術を教えて欲しいとは言って来なかったけど。うちの型を自分なりにアレンジ強化を施した技を使うようになってきた。

 

アーシアは魔法による補助、支援を中心にする完全なヒーラーになった。更にその性格と相まって癒し効果が絶大なのだ。

 

「さてさて、始めますか。」

「みんな行くぜ!『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』」

「突撃するよ!」「イッセー先輩、アーシア先輩守りは任せてください」

「おう!」

「はい。皆さん怪我をしたら戻って来てくださいね。ちゃんと治しますから。」

ふむ、祐人が俺の気を引いて。小猫はイッセー(・・・・)の守りそしてアーシアがイッセーの近くにいることで小猫がふたりを同時に守れるようにしているのか。

神器(セイクリッド・ギア)を積極的に使ってこい祐人。お前の攻撃だけだと俺には届かないぞ。どんな地形も自分の有利な形になるように持っていけ。」

魔剣創造(ソード・バース)!」

祐人が地面に手で触れる事で地下から剣が飛び出してきた

俺はこれを上空へ飛んで回避すると

「はぁぁぁぁ!」

気合いのいい声を放ちながら祐人が、創り出した剣で俺を切りつけてきた

「ふっ!」

ガリ!という音をたてながら祐人の一撃を氷の力で弾いた

刀身のかけた剣を祐人が即座に炎を纏う剣に作り替えると真っ直ぐ突っ込んできた。

「えい!」

「うぉ!?」

俺は迎撃しようと構え直すがいつの間にか近づいていた小猫による回し蹴りを防御した事で構えが崩れた。

「今だ!はぁぁぁぁ!」

そして止めと言わんばかりに祐人が炎をを纏った剣で切りつけてきた。

しかしザクッ!という切断音はなく。

切りつけた本人の祐人は嘘だろ?みたいな顔をしている。

 

俺は今、炎を纏う剣をそれを上回る焔を纏う右手で握っている。

剣はそのまま握り潰した

「残念、俺にはもう一つ能力がありました」

さあ、どうする?

小猫は俺に回し蹴りを打った直後に離脱してイッセーとアーシアの元に戻ってこちらの様子を窺っている

祐人はまさか握られるとは思っていなかったようで。

ワンテンポ遅れて神器を発動させようとしたから、屈んだ瞬間に一撃で落とした。

「ごめん、イッセーくん頑張って。」

さあ祐人は潰した次はどう出る?

動き出そうと脚に力を込めた瞬間

「やあぁぁぁぁぁ!」

小猫が走ってきた。

全身に魔力を纏う技能、まだ腕のみではあるけど。それを一週間で会得したのだから讃賞に値する

「はっ!」

バコォーン!!

突き合いになり俺が小猫をぶっ飛ばした。が、今ので右肩が外れた痛ぇ

左手で力任せに戻したがまだ激痛がする

 

護衛がいなくなったのでアーシアを狙う

「凍えろ!」

祐人の真似だ。左手を地面につけ力を地面に撃ち出す、そうすればあっという間に氷の国だ。普通に歩けば滑って転ぶ。

「行くぞイッセー」

「何時でもこい!」

イッセーが身構えた瞬間

ペチン!

「はうぅっ!」

隣にいるアーシアの前に移動しデコピンを放った。

「アーシア脱落。祐人と子猫の看護をたのむ」

「はい、わかりました。ちょっと痛いです。」

アーシアが離れたのを確認してイッセーの方を向くと

「らァァァァ!はっ!」

腕の大振りの一撃、身体を反って避けることを予測した、足首に対しての的確な回し蹴り。

空中に浮き上げられた俺はイッセーに殴り飛ばされた。

「遊び過ぎだぞ瑚太朗。全力で頼む。」

確かにちょっと遊びすぎたな。

「じゃあ全力でやるわ。リアス先に謝っとくよ、ごめん」

頭に疑問符を浮かべながらリアスはこちらを見た

直ぐに目を俺から逸らしてしまったけど

 

イッセーが魔力弾を準備。

俺はゆっくりと腕を上げた。

長い沈黙のあとイッセーの強化状態解放の『Explosion』の音声がなると共に全力の攻撃と今の全力が放たれた

氷の波動は俺の視界全てを真っ白な雪景色にかえた。

対してイッセーの放った魔弾は山一つを消し飛ばしその余波で俺の雪景色を吹き飛ばした。

ちなみにイッセーは氷漬けになっている

 

それにしてもたった一週間で良くここまで成長したよ。

並大抵の努力じゃ到達できねぇしっていうか普通無理だ。

これだけの実力があれば問題ないだろう。

 

 

最後に別荘周辺を白一色に染めたことをめちゃくちゃ怒られて修行合宿を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 




ゼ)主よ!
ア)マスターよ!
ゼ・ア)ご立派でございました。
瑚)止めてくれ!ホントに恥ずかしいんだよ!
ア)ええ、マスターがあんなにロマンチックなセリフが言えるとは思ってもいませんでした
瑚)おいこら、今さりげなく罵倒したよな。おい
ゼ)主の気の所為でしょう。して、どうやって奥方に伝えられるのです?
瑚)合宿中にあったことを正直に話す。リアスをどう思ってるかも話す。黒歌が一番なのに変わりはないけど、俺は相当クズだからな。
ア)マスター大丈夫です。悪魔側に付けば一夫多妻可です。
ゼ)いっそのこと主自身が新しい陣営を作るのでも良いかもしれませんね。
瑚)止めてくれ、冗談じゃすまない気がする。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゲーム開始です!

ものすごく遅れました!すみません!
言い訳をさせて下さい。私に三連休などというものは無かったのです!
とつまらない言い訳はここまでにして。
一向に投稿ペースの改善が出来ない紫翠です。
文字数が五千字を超えるのは多いのでしょうか?
とりあえず楽しんでいただければ嬉しいです。
どぞ(っ´∀`)っ


『助けて―――――』

彼女の流した、哀しみを持って、助けを求めた、そして何より悔しさを孕んだその涙は『俺』を突き動かした

 

 

 

 

 

 

 

ゲームまでもう一時間もない

流石にみんな緊張しているようで、部室内の雰囲気がとてもピリピリしている。

でも、どこか落ち着きを持った行動でそれぞれが思い思いに過ごしている。

俺?俺はだな――――――

なでりなでりなでりなでり

「ふにゃあー」

リアスをなで倒している

ゲーム前に何してんだオラァ!

とか言わないで、リアスがあまりにも緊張してガチガチになってたからこうやって緊張をほぐしているんだから。あまり表に出しては無かったから俺がいきなり撫で始めた様に見えてもだ

他のみんなの視線が若干厳しいんだけど。

いい感じになるまでなでほぐしてやる!という気合入れてなでたら

ふにゃんふにゃんになってしまった

 

 

開始十分前

流石に撫でるのを止めて、リアスがゲームに集中できるように離れた

ついで、と言うと可哀想だけどイッセーに一つ伝えておかないといけないことがある

「イッセーリストバンド外して行け」

「ん?どうしてだ?」

「その、なんだ。お前が魔力をほとんど使えないのそれのせいだからさ」

「·········まじ?」

意味がわからないという表現が最もふさわしい顔をした

そして今までとても大事そうに付けていたリストバンドを外して「よしっ」と満足気に呟いた。

俺が悪いの分かってるんだけどさ思ったより傷つくねこれ。

大事にしてもらってたリストバンドを捨てさせるのは、中々に厳しいものだと思っていた俺は、あっさり外されてゴミ箱にぶち込まれたリストバンドの無残な姿を見てかなりショックを受けた

 

すげぇ複雑だ······だけどまあ

「それでいいだろ。それでだイッセー。お前ライザーに対してどんな評価をしてる?」

「うん?それなりに強い、でも弱いかな〜くらいだけど?」

何の悪びれることも無くそう言い放った。まぁそうだろうな〜俺から見ればそんな感じなんだけど·········ちょっと気になるんだよなーイッセーの他人への評価が。

そして理解した

「そうか、お前の判断基準を理解した。その認識改めろ、イッセー。」

「なんで?」

やっぱり、こいつ気づいてないな。自分が判断基準が俺より強いか弱いかで判断してるか。

「一応確認で聞いておく何より強いんだ?」

「そりゃあ、瑚太朗よりに決まってるだろ」

 

ハァ、呆れて物も言えない。予想通り過ぎる。

「何で自分より強いかで判断しない?」

「何でってそりゃあ·······何でだろう。」

弟子に答えを教えることは師匠の仕事ではない、けどまあヒントを与えるくらいだったらいいか、それでこいつがこの先挫折をしようものならその時のにまたヒントを与えればいい。

 

「イッセー、一つ忠告しておく、今すぐその判断を改めろ。ライザーは今のお前より圧倒的に強いぞ。それは比べるまでもない分かりきっている事だ。それからお前の判断基準が俺になる事はおかしいぞ。奴と戦うのはお前で俺じゃないし、お前がこれから戦おうとしているのも俺じゃない。自分以外の人間を判断基準にする事がどれだけお愚かなことか思い知る事になるぞ」

そんなまさか、といった顔をしてるな。

大いに悩んで貰って結構だ。でも

 

でもなイッセー間違っても、俺一人で何とかするとか言い出すなよ、お前は視野が狭いから。大事なものをみんな取りこぼして行くんだ。

昔の俺みたいにな。

そもそも、イッセーいつお前が俺と同等の力を持ってると思うようになったんだ。全力の欠片も出してねぇってのに。

特訓内容更に濃くしてやろうかこの野郎。

 

困り顔のイッセーを眺めていると、部室の扉が開いた。

ソーナたち生徒会組とオカルト研究会のみんなだ。

「こんばんはリアス」

「こんばんはです、リアスさん」

「激励の言葉をかけに来てやったわ、感謝しなさい。」

 

上からソーナ、ちはや、朱音だ。

ソーナ、ちはやこんばんは

しかし朱音さんや、あんた上から目線過ぎないか

「こんばんはソーナ、ちはや。そしてありがとう朱音。」

「頑張れよ兵藤!相手はあのフェニックスなんだ、油断してたら負けちまうぞ。」

「おう!任せとけ!って何で生徒会と研究会のみんながここにいんだ?」

そんなイッセーの疑問に答えたのは、委員長もとい此花ルチアだ

「激励の言葉をかけに来たのと、中継係としての挨拶だ」

「中継係?今回のゲームどっかに配信でもされるのか?」

「そうよ、グレモリーとフェニックス、それにこの両家に関わりのある家に中継されるわ。」

と今度はリアスがイッセーの疑問に答えた

「小猫、差し入れだ、後で食べるといい」

「ありがとう、後でお返しするね。」

小猫と静流は同学年で同じクラスということもあってお菓子をお互いに分けっこしたり、スイーツの店に一緒に行っているらしい

俺も二人に差し入れをしたりしているのだが、七輪で焼いた秋刀魚に勝てた試しがない。········悔しい。

 

少しの間匙やソーナ、朱音やルチアに中継場所について、話を聞いていた。

「そろそろか」

オカ研部室の入り口付近に魔法陣が現れ、そこからグレイフィアが出てきた。

「時間ですお嬢様、こちらへ」

「みんな行くわよ!」

「「「「「はい!」」」」」

リアスの掛け声に、オカルト研究部のみんなが元気よく返事をした。気合い十分って感じだ。

「がんばれよ!特訓期間を作らせたことを後悔させてこい。」

「おう!任せとけ!」

イッセーの言葉を最後に全員ゲーム会場に転移した

「それじゃ、俺らも行きますか。匙案内してくれよ。」

「なんだ天王寺、生徒会室知らないのか?」

「知ってるよ。気分だ気分。」

ただ何となくそんな気分なんだ、胸騒ぎがどんどん酷くなってきてるから。それを悟られない様にいつもの様に振る舞う。

「なるほど、じゃあ行きましょう会長。ついて来いよ天王寺」

「あいよ」

こっちはこっちで匙が元気だった。同じ兵士(ポーン)としてイッセーのことを応援しているのだろう。いつにも増して声に張りがある

 

リアス応援してるぞ!

 

 

―イッセーside―

ついさっきゲームが開始された。

ゲームが始まってすぐに、部長からインカムみたいなやつと作戦を言い渡された。

俺たち前線組は陽動中心に行動で俺達が気を引いている間に朱乃さんに魔力を貯めて貰うという作戦だ。

一番初めに落とすのは体育館らしいけど、木っ端微塵に吹っ飛ぶだろうなぁと心の中で呟いた

 

それから、瑚太朗が言っていた事は正しかった、俺の魔力は相当抑制されていたらしい。さっきドライグのやつが、急激に流れてきた魔力に驚いて声を掛けてきた、あのリストバンドは何だ!人間ごときに作れる代物では無いぞ、と叫ばれた。

知るか、俺だって急に溢れてきた魔力を抑えるのに必死なんだから。

 

「イッセー、小猫そろそろ出番よ体育館に向かってちょうだい。」

「了解しました」「はい」

二人で体育館に向かう、木場は違う所から攻めて行くそうだ。

 

 

「·····イッセー先輩、一ついいですか?」

「どうした?小猫ちゃん」

「先輩の近くに私達以外の悪魔っていますか?」

俺の近くに悪魔?

「オカ研とか生徒会のみんなとは違う悪魔の事?」

「はい」

「いや、居ないと思うよ、瑚太朗が人間だって言うのが疑わしい位で」

オカルト研究部、研究会、生徒会以外で俺の近くに悪魔はいないな、雰囲気というか纏っている物が違うから悪魔とか堕天使とそういうのは直ぐに分かる様になってるし

 

「そうですか。」

「ん?どうかしたの?」

「いえ、大した事じゃありません、それよりもうすぐ体育館です。気を引き締めて行きましょう」

そう言うと小猫ちゃんはオープンフィンガーグローブをギチギチと鳴らし始めた。

あの小猫さん?ちょっと目が据わってて怖いんですけど·········

駄目だ、言ったら最後。この場で体育館まで殴り飛ばされる未来しかみえない。

 

 

「······誰かいるな」

「はい、でもどんな相手だろうと倒すだけです」

体育館の中でステージ付近から体育館に入ったけど。誰かいるのをすぐに感じとった。

小猫ちゃんの言葉からどれだけこのゲームに真剣なのかが良くわかる。俺も負けてられないな

「そこにいるのは分かっているわよ、グレモリーの下僕さんたち」

ああ、知ってる。アンタらが俺たちずっと見てる事くらい知ってるよだからこそこそせずに堂々と出ていってやらぁ!

出ていったさきに四人。細かく言えば『兵士(ポーン)』三人、『戦車(ルーク)』一人。

ポーンの内ひとりはあの時俺が無力化した女の子だった。

「小猫ちゃんどういう振り分けで戦う?」

「私が『戦車』をやります、イッセー先輩は『兵士』をお願いします」

「了解。行くぜブーステッド・ギア!」

Boost!!(ブースト)

 

倍化の音声と共に戦闘が始まった。

「こんばんはライザーの『兵士』さん方、早速だかお前らの相手は俺だ」

ステージから飛び降りると同時に魔力を少しづつ解放していく。一気に解放すると危険だって分かっているから。

思っていたよりも俺の魔力量はずっと多かったから全部身体強化に回せるまで、少しづつだ

 

そして相手は双子がチェーンソーに力を込め始め、もう一人の『兵士』は空中にいる俺に走って棍を放ってきた

「悪いな、空中動作は得意なんだ」

「なっ!きゃあああああ!」

相手の放って来た棍をギリギリで躱して着地。しっかりと地に足着けた状態で棍を持った少女を双子に向かってぶっ飛ばした

悪いな、手加減しないって決めたんだ。

Boost!!(ブースト)

二回目の強化。さっき『兵士』を飛ばした方へゆっくりと歩いて行く。

さぁ、どう出る?俺にはまだまだ余力が残ってるぜ

「「ミラ大丈夫?」」

「え、ええ大丈夫。」

ちゃんと受け止めたのか、以外だな。あのライザーの下僕だからてっきり邪魔だの何だの言うもんだと思ってた。

「ブーステッド・ギア!」

Explosion(エクスプロージョン)

全力で相手しねえと失礼だな、手加減出来ないぞ!

 

「こんな男に負けたら」

「ライザー様に怒られちゃう。」

慕われてんだな、ライザー。

双子がチェーンソーに魔力を回して刃の回転速度が数段増したな。

「まだ、これからよ!」

ミラと呼ばれている女の子は、棍に風を纏わせ炎が螺旋を描いている。

あれはちょっとやばいな。今の俺が食らったらひとたまりもないぞ。

小猫ちゃんの方は、って早っ!もうすぐ終わるのかよ!。

なら俺の方も決着付けないといけないな。

「天流奥伝、無手―――――」

どっしりと重心を真っ直ぐ落として重心と一緒にゆっくり拳を引く、更にゆっくりと拳に魔力を纏わせる。そこに少し回転を含める事で威力は更に増す。

「「絶対バラバラにする!」」「やあぁぁぁあああ!」

三人共、真正面から突っ込んできた。それでいい、それなら

「――――――穿龍」

この技で、全員壁にぶち当てられる!

「ぶっ飛べライザーの『兵士』!!」

放たれた拳圧が魔力という質量を纏って、三人の『兵士』を壁に叩きつけた。

ゴオゥ!

思ったより魔力を解放していたみたいで、若干壁が罅だらけになっている気がする。

よし、これで無力化できた。

「小猫ちゃん!」「こっちも終わりました」

『イッセー、そっち様子はどう?』

「今さっき終わった所です」

小猫ちゃんにアイコンタクトで部長から連絡が来たことを報告

『そう、朱乃が魔力を貯め終えたから、急いでその場から離脱しなさい』

「了解です、でも予定よりも早いですね。」

『そうね、この調子で頑張りなさいと子猫にも伝えておいて。』

「はい」

部長との通信を切って子猫ちゃんに離脱の合図を送った

まだリタイアになっていないのにも関わらずに体育館から出ていこうとする俺たちに当然の様に相手は驚いて声を上げてきた

「なっ、重要拠点を捨てるつもり!?」

「悪いがここでさよならだ。ミラって言ったっけ?また勝負しような!」

少しだけ言いたい言葉を返して俺と小猫ちゃんは体育館から飛び出た

 

 

 

直後――――

ズドオオオオォォォン!!!

という爆音と爆風が背後から襲ってきた。

「うおっ!?」

 

『ライザー様の戦車一名、兵士二名(・・)リタイア』

 

あまりの衝撃、そして放送の声を聞いて後ろを振り向くと――――

「マジかよ······」

――先程体育館が建っていた場所は瓦礫の山と化していた

「これが朱乃先輩の力です。最近はぐれ悪魔を瑚太朗先輩が狩り潰していたので、若干欲求不満だったのかと」

自信に満ち溢れた小猫ちゃんの声にいっそうやる気を上げた自分がいるのに対し何処かで、絶対に朱乃さんを怒らせない様にしよう。と思う自分がいた

 

(うふふ、瑚太朗くん褒めてくれるかしら)

体育館を吹き飛ばした彼女はある男に褒められている自分を想像して、ニコニコしていたのだが。中継を見ていた側からは体育館を消し飛ばした自分に愉悦を感じているのだと思われていた。

 

「子猫ちゃん次の作戦は?」

「はい、新校舎裏に回って祐人先輩と合流、その後にグラウンドにいる敵兵を殲滅です。」

「了解、さっき部長からこの調子で頑張れってエールを貰ったよ」

「はい······絶対に負けません!」

俺たちは二人で戦力を高め合いながら新校舎へ向かった。

 

 

 

 

だけど――――――――

 

 

 

 

 

 

「!? 小猫ちゃん危ない!」

急激な悪寒に子猫ちゃんを急いで抱き抱えた。

ドッ――――――――――!!!

 

 

一瞬爆発音と凄まじい衝撃に体が襲われて、俺は何も聞こえず何も見えないただ痛みだけを感じる無に体を支配された。

 

 




瑚)おお、朱乃か今のすげぇな!
朱音)最近お前のお陰ではぐれ悪魔を狩っていなかったから相当ストレスが溜まっていたのでは無くて?それに朱乃ならもっと私たちに脅威を与えられることの出来る能力があるのよ。
瑚)部活内の優しいお姉さんっていうのが素直な感想かな
ア)本人の前でそんなことを言ったら嬉しさと興奮で倒れてしまいそうですね。
瑚)???


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゲーム、終わりました。

お待たせ致しました!
休みの無い日々を送っています、紫翠でございます
ようやく書き切れたので投稿しました!
遅いぞ!と思った方々、お待たせ致しました。
駄文ですがお楽しみ頂ければ幸いです


それでは、どぞ(っ´∀`)っ


「ふふっ撃破(テイク)

この声·······

「あぁ痛ってぇ······」

そして爆発。この特性の攻撃をして来るって事は

「ライザーのクイーンか!」

「!?ご名答、でもその傷じゃ碌に動けないのでは無いかしら」

ふふ。と不敵に笑っているそいつに次の瞬間天罰が起きたと思った。

真正面からしかも顔面に向かって雷撃が飛んで行ったのだ。

「うふふふ、ごめんなさいね。少し手が滑ったみたいですわ」

怖ぇよ朱乃さん顔は笑ってるのに笑ってないよ。

あんなにキレてる朱乃さん初めてみたよ

 

「イッセー、せん、ぱい?」

「お、気がついたか小猫ちゃん、怪我はない?」

「はい、でも――――」

なら良かった、俺も盾になった意味があるってもんだ。

「────先輩、背中が!」

「ん?大丈夫、大丈夫。これくらいならまだ動ける。小猫ちゃんは先に木場と合流してくれないか?」

本当はしんどい、今にも倒れそうなくらいボロボロさ。でも、後輩の前でカッコ悪く倒れるわけには行かないからな、意地でも逃がしてやる。

「俺は一旦戻ってアーシアの治癒魔法を掛けて貰って来るから。」

「······分かりました。先に祐人先輩と合流してイッセー先輩を待っています」

「ありがとう。朱乃さん!」

「あらあら、イッセー君たらまだ元気そうですわね。ですがこの方相手は私がするのでイッセー君は一度回復しに戻って下さい」

うん、思った通りだ

 

「分かりました。お願いします!じゃ小猫ちゃんまた後で」

「はい」

朱乃さんにお願いして、小猫ちゃんに合流するように催促できた。

後は俺自身がオカ研部室まで戻ってアーシアに回復してもらうだけだ。

そして、走りながら俺は部長に連絡をする

「部長、すいません一旦部室に戻ります」

『どうしたの?イッセー』

少し慌てた様な声で部長と通信が繋がった

「相手の女王(クイーン)から攻撃を受けました。小猫ちゃんは木場と合流するようにうながして、女王(クイーン)の相手は朱乃さんが務めてくれています。」

 

『そう、分かったわ。少し作戦が変わってしまうけど。イッセー戻ってらっしゃい』

「了解しました。」

早く部室まで戻んねえと。

背中に走る激痛に気を取られない様にその事だけを考えて走った。

 

 

~瑚太朗side~

「兵藤!?」

突然の爆破に匙が驚いた。

いや、皆口には出してないけどかなり驚いてるな。

でもそれが自然な反応だ。

まぁ驚いてない奴って言ったら朱音とソーナと副会長くらいだな。

俺?俺は驚いてないよ、この程度の攻撃で倒れるんだったらイッセーの訓練を百倍位にしないといけなくなるし。

 

煙が晴れた事で、イッセーと小猫の無事が分かり、イッセーの行動に賞賛と朱音からの苦言を言い渡された。

「兵藤っ!お前って奴は。男だな!」と匙や他の女子からはそこそこの賞賛をされたが。

 

「イッセーと言ったかしら?彼はバカなのかしら?どうなの、瑚太朗」

朱音さんからとても厳しいお小言をいただきました。俺も否定はしないけど。

「まぁ、馬鹿だな」

「ん?天王寺、兵藤の行動の何処がバカなんだ男らしくて格好良かったのに」

 

·······まあ、悪魔になりたてだもんなしょうがないか

「確かに男としてなら100点だろうな、でも今のリアスの陣営からすれば0点だ。イッセーは大事な戦力なんだよ。それこそ明確に勝敗を分ける位のな」

そうだ、リアスの陣営からすれば今イッセーが抜けてしまえば間違いなく崩れる。あっという間に

 

「ここでイッセーが仮に倒れてしまえば、ゲームでリアスの要がいなくなる。そうすれば、ライザーにとって怖いものはないだろう」

すると匙が「仮に兵藤が倒れたとしてもまだリアスさんや朱乃さんみたいに高火力の人はいるだろ?なんで怖いものは無いなんて言えるんだ?」と質問してきた。

「あのチームで、最も恐ろしいのはブーステッド・ギアだ、イッセーじゃない。恐らくライザーはブーステッド・ギアという不確定要素を最も危険視してるからな。イッセーさえ倒せればどう転がっても持ち直せるだろうな、あっちには数の利があるから」

 

あのチームなら俺でもイッセーを最初に潰す。その方が楽だしな

合宿最後の模擬戦の時はどうしてイッセーを初めに潰さなかったのかって?

いや、だって何もせずに潰したら可愛そうじゃんせっかく特訓したのに·······ねぇ?

 

 

モニターに目を戻すと小猫と祐人が運動場で戦闘を始めていた

騎士(ナイト)同士の戦いに、小猫と兵士(ポーン)二人か。

ゲーム前半で祐人が兵士(ポーン)三人リタイアさせてたからな。割と余裕そうだな。

リアス、アーシア、イッセーの三人は作戦を変えてライザーに直接攻撃しに行くようだ。

 

 

 

少しずつ胸騒ぎは酷くなっている。まるで───

 

 

 

 

 

──「もうすぐだ」と告げるかの様に

 

 

 

 

~イッセーside~

回復しに戻ったら、部長から作戦変更を言い渡された。

もうほかの二人には伝えてあるらしい。

「イッセー、アーシア、私と一緒に来てちょうだい、私が直接ライザーを叩くわ」

なるほど、俺は部長とアーシアを守るために行動すればいいんだな。

兵士(ポーン)は後()()だし、戦車(ルーク)も一人倒せた。

部長の読みでは残った戦力を運動場に集中させて、ライザー本陣が手薄になると踏んだらしい。

もし仮に戦力が残ったとしても、倍加させ続けた力と魔力を使えばあの魔弾を放って一網打尽に出来るから、俺は部長とアーシアの方に残るそうだ。

女王(クイーン)は朱乃さんが抑えていてくれるから安心して本陣に突っ込めるって事だ。

 

旧校舎から出た俺たちは真っ直ぐ新校舎へ向かった。

大きな見落としをして

 

 

よしっ!新校舎へ無事入れた。

「お待ちしておりましたわ。リアスグレモリー様」

声だ、階段の上の方から聞こえる。誰だ?あの金髪何て考えながらプロモーションをした

「プロモーション、女王(クイーン)

「貴方がリアス様の兵士(ポーン)ですわね。残りの駒騎士(ナイト)僧侶(ビショップ)ですわ。ここであなた方の足止めをするように仰せつかりましたが、私は参加致しませんわ。元々戦う為に来た訳ではありませんもの」

金髪でロール髪の女の子がそう言った

にしても何か何処となく雰囲気がライザーに似てるな

「なあ、あんた若しかしてライザーの妹か?」

「ええ、そうですわ。私の名はレイヴェル・フェニックスと申しますの以後お見知り置きをリアス様の兵士(ポーン)殿」

まだほんの少ししか話はしていないけど、素直で礼儀正しい子だな〜と思った。

彼女は戦いに参加しないみたいだし、頭数に入らないと考えて良さそうだな。

「俺は兵藤一誠知ってると思うけど兵士(ポーン)だよろしくな。」

「それで?お話は終わりかしら、悪いけどこの先に通させてもらうわ。私はこの勝負に絶対に勝たなくては行けないの。」

部長がオーラを滾らせ始めた。じゃあ俺も魔力を集め始めるか。

「イザベラ、シーリス後は任せますわ」

「部長、今から新校舎ふっ飛ばすんで後ろ下がってて貰えますか?」

部長は俺の言葉に一瞬疑問符を浮かべたけど直ぐに分かったようで俺の後ろに下がって、アーシアと一緒に扉に向かって走り出した。

「逃げるのか!?リアス・グレモリー!」

「いいや、これでいいんだよ。レイヴェルさんよ、あんた戦わないんだったら逃げた方がいいぞ」

「······?どう言う事ですの?」

すぐに分かるさ

三割くらいの魔力を球体として、作り出した

前よりも格段にデカくなってる。これなら一発でいける!

「ドラゴンショット!」

 

球体を殴りつけると。特訓の時とは比べ物にならないほど大きな波動が生まれ、新校舎を破壊した。

このまま、ライザー諸共木っ端微塵になってくれてたら楽なんだけどなぁ

まぁ流石に無理か。俺のこの力が誰かに渡すことが出来ればかなり強力なんだけどな·····ってそうだ。

 

ドライグ、ちょっといいか?

『なんだ小僧調整ならあと少しで終わるぞ』

あ、マジ?って俺が聞きたいのはそれじゃなくて。

このブーステッ・ギアってさ、誰かに力を分け与えたりって出来んの?

『端的に言えば出来る。がしかし小僧さっさと逃げろ建物が倒壊してお前さんに落ちてくるぞ』

「うわぁああああ!忘れてた!」

走って新校舎から出た。運動場の方も終わったみたいで木場と小猫ちゃんがボロボロになってだけどまだ立っていた。

部長とアーシアも新校舎から離れた所に立っていた。

 

ありがとうドライグ。

『ふん、建物に潰されて終わるなど、そんなみっともない死に方を俺が許すはずがないだろう』

だろうな、ドラゴンがそんな死に方してちゃ目も当てられないからなぁ

『それから、先ほどの質問についての続きだが。強く思え、それだけでいい。思いの力で神器は動く前にそう教えられただろう?』

ああ、わかった

 

 

『ライザー様の兵士(ポーン)二名、戦車(ルーク)一名、騎士(ナイト)一名、僧侶(ビショップ)一名、リタイア』

おお!まとめて放送が流れた。ビショップが一人だけなのはレイヴェルが残っているからだろう。でも、レイヴェルは頭数に入らないから残るは()()何が何でも勝って見せる!

「クソッ何だ今の攻撃は!」

「俺の、学生のロマンだ!」

瓦礫の中からライザーが出てきたので適当な言い訳を始めてみた。

「なに?」

ポカーンという擬音が心底似合う表情をしているライザー

「学校に行きたくない。憂鬱だなぁ〜って思ったりするだろ。そんな時学校ぶっ壊れ無いかな〜って考えるだろ?だから俺はそのロマンを実現しただけだ」

半分本当で半分嘘だ、最近は学園生活が楽しいから俺は壊れないかなーなんて思ってないし。

でも、擬似的に作り出した校舎だったらいいか。と自己完結してぶっぱなしたんだけどな。

 

「そうか、よくわからないがさっきの攻撃はお前が放ったという事でいいんだな」

「ああ!そうだ。文句あっか!」

「ふっ、どうも何もあの程度の攻撃で俺を倒せるとでも思っていたのか?残念だがお前の攻撃で傷一つ負わなかったぞ、ガキ」

あれはライザーの挑発か、こんなわかりやすいのに乗っかる訳ないだろ

「そうみたいだな、でも俺だってまだ本気じゃねえぞ!」

「そうだろうな!あの程度の攻撃が本気だったとしたらまず俺に勝つなんて出来ないからなぁ!」

クソッ!挑発だって分かってんのに!イライラする!

 

「ふん、もうそろそろだな」

何言ってんだ?また挑発か?

『リアス様の女王(クイーン)一名、リタイア』

········は?

俺に考える時間を与えないとでも言うように、続けて近場で爆発音がした

『リアス様の戦車(ルーク)一名、騎士(ナイト)一名、リタイア』

嘘だ、どうして。

思考が追いつかない。

朱乃さんがやられた?

ついさっきだって相手の『女王(クイーン)』に一撃叩き込んだじゃねえか。

どうして、どうしてお前がそこにいんだよ

「ライザーの『女王(クイーン)』!!」

 

「ユーベルーナよ、と言っても貴方とはもう会うことはないでしょうけど」

明らかに見下した目で、奴は俺を見て名乗った

「ブーステッド・ギア!!!」

『Boost!!』

木場を小猫ちゃんを!よくも!!

「イッセー··········イッセー!!」

部長が俺の名前を叫んでいるけど、気にしてられるかよ。

今は()()奴を倒さなきゃ行けないんだ!

もう何回倍加したかなんてわかんねぇけど。今全力で魔弾を撃てば()()勝つ!

何があっても絶対に俺が勝つ!!でもここではライザーを狙った方が絶対に優位だ、だからここでライザーの『女王(クイーン)』に突っ込んでいくのは愚策。力の受け渡しを出来るとドライグは言った。なら俺はそれを成すために強く()()事しか出来ないんだ。

 

「部長」

「何かしらイッセー」

いつもよりも少し低い声で俺に応えてくれた

「ライザーに向かって魔力の塊を撃って下さい」

「·················」

鋭い瞳が俺を見ている。色々見透かされてるんじゃないかと思った。でも、勝つにはこれしかないから

「信じて下さい必ず、成功させます。」

「·······分かったわ。但し、チャンスは一度だけよこれが失敗すれば私達は負ける。イッセー貴方の可能性に賭けるわ」

「はい!」

ユーベルーナとか言うやつはライザーの隣にいる。

ようやく最終決戦だ、部長が魔力を貯めている間俺が────

「イッセー!」

「イッセーさん!」

────ズドッ!!

横腹に感じる鈍い痛み、少しの間浮遊感を味わったと思ったら。地面に叩きつけられた。それにより吐き出された空気と血の混ざった唾液。

視界までもが朧気に霞んで見える

クソッ·······痺れて動けない。

起き上がろうと体に力を込めようとしたその時。

「良くやったぞ、ミラ」

なっ·········!

「なんでお前がそこにいるんだ!?」

「ふふ、教えてあげるわ」

そして、ミラは俺に告げた。自分の攻撃が中途半端だった故にその勢いを利用して、体育館の外に逃げ出せたと

そのあと、ライザーと通信してライザーの読みから本陣が手薄になると予測していて、誰もいない部室でプロモーションをしたことも

ここで、俺の気が逸れるか、誰か一人に攻撃を集中するのを待っていたそうだ。

 

「まだ、だ」

「いいえ、終わりよ」

風と炎をを纏った棍に突き飛ばされた。それと一緒にアーシアの悲鳴が聞こえた。

俺はライザーや部長から離れた所に突き飛ばされ、アーシアは爆破の衝撃で気絶してしまった様だ。アーシアを庇った部長はボロボロになっているのにまだ立っている。

「はっ、これで三対一だな。いい加減投了したらどうだ君の負けは確定しているだろリアス」

「この程度で諦めないわ、私は私の眷属達を最後まで信じているもの」

あぁ、まだ諦めて無いんだ部長、だったら俺が諦める訳には行かねえよな。

魔力を解放する。─────まだ、まだだ。魔力全部解放しろ、掌の先に魔力の塊を作り出して、球体を維持しろ、せっかく特訓したんだ、この程度で諦められるかよ。

ドライグ、神器は思いの力で動くんだよな、それでいいんだな。

『そうだ、今更そんな事を確認して何になる』

最終確認みたいなもんだ、気にすんなってかどうせ俺が何考えてんのか分かってるだろ。

『そうだ、ほとんど筒抜けだな。だが、やってみる価値はある筈だ』

おうよ

立ち上がり何かし始めた俺を見て、ミラが走って来た。

悪いな、お前の相手はまた今度だ

さっきまで作っていた、魔力の塊を握り潰す。

大きな魔力の流れに全員の視線が俺に集まった

「部長ぉぉおお!受け取ってください!」

そう言うと部長も魔弾の準備を始めた

赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

赤色の魔弾を握り潰すした事で大量の魔力が爆発した。同時に紅い光が篭手を包み込んで形が変形した。

そして爆発した魔力を変形したブーステッド・ギアに取り込む事で、大きな力の塊に変換する。後はこれを部長に飛ばすだけ。

「届けええぇぇええええ!」

高密度の力の塊が部長に向かって一直線に飛んでいった。

ミラの奴は魔力の塊に目もくれずに真っ直ぐ俺に突っ込んできて、棍による打撃を放ってきた。

「はっ!」

肩口を狙った一突き、普通なら既に貫かれてるものをギリギリで止めた。

「悪いな、負けてやる訳にはいかねぇんだよ」

思いっきり棍を引っ張り、浮かんでこちらに飛んできたミラを地面に叩きつけた。

「お返しだ。それから、少し眠ってろ」

部長はすでに魔力を貯め終えたみたいだ。俺の飛ばした力と合わさって教室一つ分くらいの魔弾が出来上がっていた

いける!あのデカさなら

俺は部長の元に跳んだ。体力なんてもう欠片も残っちゃ居ないけどそれでも部長の元に跳んだ。盾としてどんな事があっても守る事が今の俺に出来る事だから。

部長が魔弾を打ち出して、無防備になったその時の為に。

そして遂にうち放った、俺なんかじゃ測りきれないくらい大きな魔力の塊をライザーに向かって。

「部長!」

部長は魔力を使い果たして、その場に座り込んでしまった。

大きな魔力の塊は、ライザーと相手の『女王(クイーン)』を飲み込んで更に大きくなった。

滅びの魔弾は校舎の瓦礫ごとライザー達を消し飛ばし、跡には大きなクレーターを残して消えた

 

「やったか………!?」

気が付けば、そう呟いていた。

本当に勝利を確信したからこそ出た言葉だし、部長も既に満身創痍だったからかこれ以上戦うことは出来ない。

願わくばそうあって欲しいと思ったからそう呟いていたんだと思う。

 

 

けれど俺の願いはそれが起き上がると共に打ち砕かれ、一瞬の殺意に身がすくんだと思うと希望も潰えた。

 

 

 

 

『リアス様の戦闘不能によるリタイアを確認、ライザー様の勝利

です』

 

俺たちは負けた。せっかく頑張った1週間も、瑚太朗に鍛えてもらった事さえも全て水の泡として消えていった。

 

瑚太朗の言っていた事は正しかった。ライザーは俺なんかよりずっとずっと強かったんたんだ。

それを俺は──────

 

 

 

 

 

~瑚太朗side~

 

「予想通り。とでも言っておこうかしら。」

朱音が無慈悲に言い放った。

この場にいる、リアスの勝利を確信していた者達に対して。

「そうだな、リアスの負けだ。」

俺もそう言葉にする事で他の人にも、俺自身にもこれが事実どと納得させた。

オカ研の敗北だ。リアス達の負けなんだと。

でも、見えたんだ。

リアスが消えてしまうまでのあの一瞬で。

過去に()()()()()影響で、リアスが、何と言ったのかを読み取る事が出来た。

 

「………助けて」

 

俺の呼び寄せた不幸で負けてしまったのだろうか。そうだとしたら俺はどんな顔してリアスの前に行けば良いのだろう。

いや、リアスの事だ。俺のせいだとは絶対に言わない、自分の実力が足りなかったと俺を責めないで、自分を責める。

ならば、どうすればいいか。手を強く握った。

『主、手が……』

『マスター、方法はまだ残っていますよ。だからその手を開いてください。リアスちゃんはマスターが傷つく姿なんて見たくないとお思いですから。』

俺の心配をしてくれる、二人のドラゴン。

 

悪いな、こんな不甲斐ない主で。

『ご謙遜を、それにまだ終わっていません』

『それに彼女は約束を守ったんですよ。マスターがどうするかなんて一つしかないじゃないですか』

 

そうだな。

約束守らなきゃいけないか。

………ゼル、アン。力を貸してくれ。

あの時の、俺なら絶対に見捨てないからな。

何があっても俺はリアスを奪い返して見せる

 

俺は静かに生徒会室を出た。

後で匙から聞かされたけど。俺が座ってた所、特に席の右側に血溜まりが出来ていたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー婚約式一時間前ー

 

「瑚太朗?」

「悪い、黒歌家の事頼むわ」

「……わかった、待ってるにゃん。けど、なるべく早く帰って来て欲しいにゃん」

「大丈夫、今夜で決着を着けてくるから」

「行ってらっしゃい」

「ああ」

 

 

 

 

俺宛に魔王の名前で、招待状(挑戦状)が送られてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




瑚)はっ!家に帰ったら招待状だ!
黒)う〜ん?瑚太朗誰かの婚約式に参加するの?
瑚)………うん、ちょっとぶっ潰してくるわ。
黒)瑚太朗?そう言う事は笑顔で言うことじゃないと思うの。
瑚)ス、スミマセン


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

婚約、潰しに来ました

大変長らくお待たせしました。orz
漸く新しいお話しが投稿できました、ちょっと仙台の方まで遠出してまして──言い訳(殴)
2巻の内容はまだ続きます出来ればあと二話で終わりにしたいです
それでは
どぞ(っ´∀`)っ


―リアスside―

「はぁ………」

これで何度目のため息になるのだろう。

私はあのゲームでライザーに負けた。負けてしまった。

あの1週間頑張って来た意味も、すべて無駄になってしまった

そう思うくらい位に私は負けたのだ。

なぜならあの大きな火の鳥としてライザーが復活した瞬間私は怖くて動くことが出来なかったんだもの。心のそこからそう思ってしまうのも仕方ないと思っている。

それにこの格好、ライザーは暗に理解させようとしているのでしょうね。

私はライザーに負けた、だから身も心も自分の物だと知れと。

『夢』なんて物は忘れてしまえ。と

 

それにしても無礼な男ね。

先程男子禁制のこの部屋に入って来たのだイヤミもオマケで。そう言う点では『彼』と少し似ているかしら?

……いいえ、そんな事を考えたら彼に失礼ね。

それにゲームで消える直前、何とか振り絞って出た言葉。

「助けて──って届いたかな」

届いていて欲しいな。届いていれば彼はきっと────

 

 

 

 

───きっと、私を救い出してくれる

 

 

 

そんな淡い期待が微かに心の奥で燻っていた。

気がつくと私は式場に召喚されていた。けれどそれに気が付かないほどぼーっとしてしまったみたい。それに気付いても私は顔を上げることが出来なかった。

あんなに啖呵切ってゲームに参加したのに敗北したのだ。当然と言えば当然のこと。

顔を伏せてライザーの口から出る言葉に耳を貸すこともなく。ただ待った。早くこのつまらない式が終わりますようにと願って

 

 

 

そして彼は現れた、誰かの叫びと。

 

包み込む様な優しい冷気と暖かい風が私の涙を掬い取りながら

 

「何者だ!」

ライザーの叫んだ言葉に、黒コートの人は少しだけ微笑んだ様に見えた。

まるで悪役のようにでも決して嫌味を感じさせない、むしろ清々しいくらいね。彼に似た雰囲気の人物に当てられてしまったのか無意識にけれど言葉にはならないくらい小さな声でもう一度口が動いた。

 

 

『瑚太郎、助けて』と

 

 

―サーゼクスside―

それが現れた時、僕はいつか見たあの騎士の姿を重ねた

燃える半分の扉、凍り尽きボロボロに砕けた半分の扉。

全て昔見た彼の持つ力、でもその扉を突き破って来たのは普通の人間を平均して作ったかの様な人間だった。

浅はかだと自分でも思った、あれは千年も前の事で今彼が生きているとは思えない。そんな事はありえないと、しかし片隅に残って拭い切れない恐怖が浮かんだ。

少し間を置いて、ようやく気が付いた。私が招いた、リアスの認めた、ただ一人の男だと。

あの時リアスが語っていた事に嘘は無いと思っているし、そんな人がいるならば僕も是非リアスを貰って欲しいと思っていた。

 

事実、私はその男以外に人間に招待状を渡した覚えはない

「奴を捕らえろ!人間などこの神聖な挙式に誰が呼んだ!」

ライザー君の声だ。それはせっかくのリアスとの婚約の儀だというのにそこに人間がいるのは腹立たしい事だろう。

彼の声に反応して衛兵達が男に向かっていった

 

フードを被った彼が衛兵達を見た瞬間。

僕に久しい恐怖を与えてくれた。そして───

 

 

──彼に向かっていった衛兵のただの一人も起き上がる事すら出来ず、その場に崩れ落ちた。

 

 

 

そんな光景を目にして衛兵など自分には取るに足らない存在と認識したのか彼は「ふっ」と鼻で笑った

 

 

 

 

―主人公side―

なんか鬱陶しい蝙蝠が突撃して来たからつい睨んでしまった。

それにライザーが式に神聖な、という言葉を付けたのを聞いて、つい吹き出してしまった。

そもそも悪魔が神聖なって何だよ、アホ過ぎて笑う事しかできねぇよ。だって神聖なものは悪魔にとって相当な猛毒な筈だろ。

「何者だ!」

声が聞こえた。ライザーの方じゃない

 

俺が守りたいと思った女の子の声だ。

「瑚太郎、助けて」か

任せろ必ず救う、助け出してやるその為に今ここに俺が来たんだから

どうすれば奴はここにいるヤツらは納得するか、絶望するか。そんなことを考えながらライザーの前まで歩いていった。

誰も俺を止めようとしない、いや正確には止めようとはしている。

ただ、俺を知りうる者以外に対して撒き散らす様に殺気を敵意を向けているんだこれで向かってこれる方がおかしい。

 

「な、何者だ!貴様は!」

2度目だ。このセリフも俺とお前が会うことも

「天王寺 瑚太朗だ」

低く唸る様な声で名前を応えながら奴の目の前に出て、フードを取った。

コイツの隣にいるリアスが俺の事を信じられないものでも見るかのように見つめてきていた

「黒い?………でも瑚太郎?」とリアスが呟いた事でリアスが凝視して来た理由を察した。

あぁ、髪の色が変わっているのだろう。何故か知らんが俺の髪の色は感情によって操作出来るみたいだからな。

「やあ、ちょっと良いかな?天王寺瑚太朗君」

随分と昔に聞いた声に振り返った。そこに立っていたのは――――

 

「私はサーゼクス・ルシファー、魔王をやっている者だ。早速だが君に頼みたい事がある」

 

かつて、ドラゴンの喧嘩の仲裁に入った時についうっかり、睨んでしまった紅髪のイケメンだった

「魔王ルシファーが俺みたいな一般人に何の用で?」

「なんて事を!」

うるせぇな。外野は黙ってろよ

消すぞ

本気で殺意を飛ばした。耳障りなんだよゴミ虫が!

 

それに気付いてかルシファーが外野連中の声を遮るかのように大きな声で話を続けた

「この式を盛り上げて欲しいのだよ。具体的にはライザー君とゲームをやってくれないかい?」

「……へぇ、俺にメリットは?」

「代価を支払おう」

ほぉそう来たか。

「何故です!何故人間如きに代価など!」

また、外野がうるさくなってきたな。少し間引けば静かになるか?と更に殺気を増しながら考えていると。

「黙れ、彼を呼んだのは私だ。それなりの代価を支払うのが筋だ。それとも私を礼儀知らずの魔王と呼ばれる事をあなた方は望むのか?」

「い、いえ。しかし―――」

ドスの効いた低い声で魔王の男が周りを鎮めたことに対して、尚も食い下がる蝙蝠の声。それを遮り

「お受けしましょうその勝負。私とその男が、レーティングゲームで勝負すれば良いのですね。それならばこのライザーフェニックス身を固める前の最後の炎をお見せしましょう」

とライザーが喋り出した。

 

……飛んで火に入る何とやらだな。

「そうだ。それで対価は何がいい瑚太朗君」

それにしてもいいねぇ、魔王サマ。

望みを自ら答えさせるとは、しかも指定はない。

望めば幾らでもいいって事ですか?

なら最高じゃねぇか、後悔するなよ?

 

「なら二つ程、一つ明日少し俺と少し話をしましょう」

え!?という声が凄く聞こえた気がする。

リアスを奪いに来たことを真っ先に言うんじゃねえのかよって?黒歌が先だこんちくしょう。

が。先に言いたいのは山々なんだけど流石に黒歌の事をこの場で言う事は出来ない、そんな事を持ちかければパニックになるだろうからな悪名高いんだから(悪くないけど)。

だからこそ違う場を設けた。悪いか!?

 

「いいだろう、もう一つは?」

「この勝負、俺が勝ったらリアス・グレモリーを貰って行くぞ。異論は認めない」

目の前の男を睨みつける。さあ、どう出るサーゼクス・ルシファー。

いやサーゼクス・グレモリー。

「いいだろう、ゲームを始める!」

そう言うと、サーゼクスは紅い髪の壮年の男性の下へ歩いていった。リアスのお父さんか綺麗な紅色の髪だ

その隣に薄ら冷めた笑顔をこちらに向けている可愛らしい女性がいる。リアスの姉か?いや雰囲気的にお母さんか………ふむ、そりゃあリアスも綺麗になる。

にしても思ったよりあっさり──────というかそもそも自分で言った手前ダメって言えないか。

なんて少し考えていたらリアスがそばに寄ってきた。

「瑚太朗、どうして?」

「ん?“約束”しただろ?助けてって言ったら絶対助けるって」

自然と殺気も敵意も飛んで行った。純粋に笑顔を向けるべきだと思ったからだ

「そんなことで本当に来たの?………そんなの、そんなの──」

俺の答えにリアスが俯いた。耳が真っ赤だ。恥ずかしかったのか、それとも嬉しかったのだろうか。俺には分からないが不快感を示しているわけではないからきっと嬉しかったのだろう。

「そんじゃ、行きますか。行くぞリアス」

手を差し出しリアスを迎える

「ええ、朱乃たちの所に向かってエスコートして貰えるかしら?」

「了解致しました」

リアスの手を優しく握りオカ研のみんながいる所へ連れていく。みんなの心配するような顔を一瞥し一言

「リアスを頼む。それじゃー行ってくるよ」

それだけ言って何も言わせず振り向いた

 

魔法陣に近づく俺に一人走って来たやつが、あぁイッセーか。

「待てよ瑚太朗。俺も―――――」

「いや、いい邪魔だ」

「っ!?何で!」

俺が突き放した事にキレたのか、邪魔だと言われた事にキレたのか、まあ兎に角いまのイッセーは邪魔だ、全力が出せなくなる。ただでさえもう余裕が無いのにイッセーが来たら確実に死ぬ

「おい待てよ瑚太朗!―――うわっ!?」

イッセーの靴の裏を凍らせて動けなくした、まあ俺が転移したらすぐ解けるけど。

 

「瑚太朗君」

朱乃だ、少し寂しそうな声で俺の名前を呼ばれ、立ち止まってしまった。

「「瑚太朗君(先輩)」」

「「瑚太朗」」

佑人に子猫、朱音にちはやまで。

「連れて行かないぞ」

イッセーが喚くなか他のみんながただ一言だけ思いを込めて、俺に送ってくれた。

「「「「「勝って来て(ください)」」」」」

それを聞いて、俺は魔法陣に乗った。イッセーは最後の瞬間まで、ライザーは俺が倒すとヤケになっていた。

どこで育て方を間違えたかな……

 

 

――チェス盤上――

赤いな、何もかも血で染めたみたいに赤くなっている

持って来たナイフを握りしめて目の前の全て揃った十六の駒を見ていて思った

「ライザー、お前に聞きたい事がある」

「なんだ、冥土の土産に答えてやっても構わないぞ。」

もう切り替えて来たか、流石はキングって所だな。

「何でリアスだったんだ?他にも純血の悪魔はいるだろう?」

「あれ程、美しい美貌で肢体を持つ者などそういない、それに夜の方も俺を楽しませてくれるだろうな!」

予想通りの言葉が返って来た。というか予想よりも頭の悪い返答だった

 

「それで?」

俺が聞きたいのはそこじゃないんだよ。

お前がどれだけリアスの夢を理想を叶える事が出来る奴なのか聞きたいんだよ。悪いが勝手ながら測らせて貰うぞ

「何?」

「お前は『リアス』をどう見ているんだ?」

「どうも何も先程言った通りだ。分からないのか?」

·········はぁ

「あの、瑚太朗様私はこの勝負降ろさせて頂きますわ」

「いいよ、俺の後ろに避けてな」

一人だけ、俺の聞かんとしている事が彼女の心に秘めた気持ちが分かったのだろうか、レイヴェルだけが、この勝負を降りた

「どういう事だ、レイヴェル!」

兄の声に応えること無くレイヴェルは俺の後ろに座った。

奇襲を仕掛けて来る気配も度胸も感じない、感じ取れるのは親近感に似た感情だ。

「俺が見てきたリアスを教えてやるよ」

「そんなもの聞いて何になる」

さぁ、少しでも巻き込まれる子が減ってくれれば良いと思う。でもお前は分からなくていいよ。ライザー。最初の質問でリアスをどう見てどう思っているのかなんて分からないほど馬鹿じゃない。

下半身だけでものを考える獣コレは原作のイッセーが言われていた事だが俺にはお前がそう見えるよ。

それに彼女は2度俺に助けを求めた。それに応える義務があるだから一方的に奪われる感情の恐怖を叩きつけてやらないといけない

 

「リアスは魅力的な女性だ。お前が言っていた事にも共感できる所も無いわけじゃない。でもな?リアスはまだ高校生の女の子なんだよ。たとえそれが悪魔であるとか、グレモリー家の娘だからとかじゃない普通の女の子なんだましてや純血の悪魔だからなんて関係ない。自分の望んだ相手と結婚をしたい、そんなごく普通の夢を持つ女の子だ」

ライザー側にいる女性の俺への態度が変わった。興味深いものを見る様な物に変わったのだ。

 

「この間のレーティングゲームの準備期間中いつもとはちがう頑張り屋の一面がみえて誰よりも努力をする子だって教えてくれた。普段の学校生活だって、学園の二大お姉さまとか呼ばれながらも学校生活を楽しんでるし。球技大会の時もソーナやクラスの連中と楽しげに活発に活動してた、面白く無いことがあったり上手くいかないとむくれて頬を膨らませる様な普通の女の子だ。それを純血の悪魔だから、ゲームで負けたからなんて理由で彼女の大切な夢を奪っていいはずがないんだ」

少なくとも女性からしたら俺の発言はかなり痛いものだろう。勝手に他人の気持ちを代弁して、勝手に自分からみた話をする。そんなの面白くなんてないだろうとは思っていた

 

「─────ッ!!そんな事聞いた所で何だと言うんだ!」

·········ダメだな

一発殴り掛かろうと体重を前に移した時。ライザー側の陣営の女性が一人手を上げて質問して来た。

「天王寺瑚太朗。代表して私が返答する。『女王(クイーン)』であるユーベルーナ殿を除き全員がこの戦い降ろさせて貰いたい。構わないだろうか?」

この子確か、イザベラとか言ったっけ

以外にも俺の熱弁は上手く働いてくれたみたいだな

「ああ構わないよ、その代わり絶対に俺の前に出ない事、不意打ちとかはべつに構わないけど。後悔するなよ?」

「分かった、ではよろしく頼む」

丁寧に礼をして、こちらの後に回った。

「!?貴様ら、揃いも揃って何故だ!何故そこにいる!」

俺も分からないがお前ほどじゃない。たとえ怒りで視野が狭まっているのだとしてもコレはキングとしては最悪だ。どちらにせよ今のままのこいつに未来はない。ならここで本当に1度へし折ってしまおう。あくまでも再起できるギリギリのラインで

 

それにしても女性陣には何か自分にも思い当たることがあったのだろうか。後にいる子達からリアスに対して同情、共感それから羨望を感じる

けどあの女王は動かないなきっと。

女王としての役割、ライザーへの忠誠、愛を感じる。こういう人は言葉では動じない。

 

「そろそろ始めようかライザー」

「………いいだろう、初手は譲ってやる一度だけだがな」

何処か悔しさを孕んだ言葉は俺の心を射抜く様に真っ直ぐに飛んできた。……まだまだ、子供だなこいつも。俺も

「分かった」

そう言って持っていたナイフを握り締める。

自分に突き立てるとでも思ったのだろうライザーが笑いユーベルーナが爆破の準備をはじめた

 

「リアス」

ゲームやこれまでのことを思い出してかなり頭にきている筈なのに、酷く穏やかで、何かを届ける様な声が出た。

「約束まもらせてもらうよ」

そう言ってナイフを使って自らの両手首を切り裂いた

頼もしい二人の相棒と共に一つの理に至るための言葉を紡いで

「『『────禁手化(バランスブレイク)』』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─イッセーside─

それ(・・)が盤上に現れた時、俺が邪魔だと言われた理由を悟った

パーティー会場で騒いでいた上級の悪魔たちが急に黙って画面を見つめ、魔王ルシファー、部長のお兄さんがいきなり笑い始めたこと。

 

それから俺に最もそれがやばいと悟らせてくれたのはドライグだ。

瑚太朗に何かあった時にという理由で出しっぱなしにしていた俺の左腕、正確には『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が勝手に震え出したのだ。

俺の頭ん中でドライグが呪詛の様に何かブツブツと呟きながら

『ダメだ、ダメだ、ダメだ。まだ早い早すぎる。こんな状況であれと戦えば間違いなく死ぬ、それどころか今度こそ消される、あぁ嫌だ殴るな殴らないでくれ、寄るな、寄るな、寄るな!その腕を見せないでくれ。嫌だもう一度あれを食らうなんて絶対に嫌だ。嫌ダアアアァァァ!!精神が燃える、すり潰される嫌だ嫌だよあんなの、あんなの、あ───』

 

………さっきからずっとこの調子だ。

さっきまでライザーを倒すことで頭がいっぱいだったのに、それがどうでも良いくらいドライグがうるさい。

本当にうるさい。てか怖い

あ、何人かの悪魔が血相変えて出ていった。

 

すげぇなあれマジで何なんだ?画面越しだって分かってるのに体はガタガタ震えるし。

嬉しそうにしている人もいれば泣いている人もいる。かと思えば、何か恥じる物を見るような、恨みのこもった様な目で画面を見つめる人もいた。

「瑚太朗、帰ったら色々聞かせて貰おうかしら」

「ええ、まさかあの『鈴木 凡人』だなんて私も思いませんでした。今度学園の悪魔を揃えて瑚太朗君を問いただしてみましょう」

「いいわね、私も手伝おうかしら」

「ええ、ぜひ」

なんか朱音さんと、会長が怖いこと話してた。

俺は何も聞かなかったことにしよ。

 

ふと気になって部長の方を見た。

なんかもう泣き崩れていた、近くに朱乃さんもいて部長の背中をさすっているのが見て取れた。

瑚太朗が何ものであるか初めて知った様な気がした。

思えば瑚太朗は俺たちのことをよく知っているのに俺たちは瑚太朗のこと何も知らないんだ。とそんな風に思わされた。

 

何か少しだけ話をしているように見えたけどそれが終わると同時に処刑(ゲーム)は始まった。

 

 




ア)あと少しであの焼き鳥に引導を渡せる。ウフフフフッ!
ゼ)アン、怖いよ。
瑚)取り敢えず奴は真正面から叩き潰してやる
ゼ)死なない程度に殺しましょう
瑚)ああ、作戦はいつも通りだな。
ア)死なない程度にぶっ殺し
ゼ)死なない程度にぶっ壊し
瑚)仲間に手ぇ出したヤツは地獄の果てでも清算させる。の3ヶ条だな
作)怖えよ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺ちょっと本気出しました

遅ばせながらあけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします!
たくさん、たくさん詰め込んで収集がつかなくなってんな感が否めないですが。
お楽しみください

どぞ(っ´∀`)っ


「なんだ……何なんだその姿は!?」

明らかな怯え。畏怖、恐怖

コチラを見るその目に宿る暗い色

 

そして何より自分を殺すために纏うこの鎧

ダメだなこの感覚、やっぱり俺には敵がいる。

そうじゃ無ければこの高揚感は得られない。俺は本気を出す事が出来ない

『主』

『マスター』

『『やはりこの格好はいいものですね(気持ちがいいですね)』』

蒼と白銀の交じる鎧。その肩口や尻尾の先から吹き出る青白い粒子や電子群、紅く脈動する禍々しい右腕と剣。ねっとりと纏い付けられた紅黒い焔

何より『俺』が抑えられるこの格好は何よりも気分がいい

「ライザー、この格好は何かと言ったか?」

「っ!!………あ、ああ」

「これは『輝界龍の鎧(アルテラナイト・スケイルメイル)』俺の持つ『神器(セイクリッド・ギア)』の禁手だ」

本当はもうひとつ使ってるんだけどな?そっちは通常顕現状態だから細かい説明は省く

「バ、『禁手(バランス・ブレイカー)』だと!?いやしかしその鎧は!」

ライザーでこの反応どうせ会場にいる奴らも気が付いているだろう、なら

大々的にかましてやる。

「俺は鈴木凡人だ!」

 

事実を述べた事によりライザーの瞳の色が拡がるように顔が歪む

「う、嘘だ!千年前の出来事だぞ!人間が生きているはずがないだろう!」

まあ、そりゃそうだ

俺は人間じゃない、そもそも千年も生きてない

「いや、事実さ。この鎧を証拠としようだ 。特に赤龍帝やら魔王様は見覚えのあるものだろうな。俺は赤龍帝を一撃で沈め破壊した英雄らしいが。どうする?諦める?」

「ふざけるな!例え相手が過去の英雄だとしても諦めるなんてことを俺がするわけないだろう!」

わぁおコレは驚いた

単純な怒気、そこには先程まで恐怖に顔を歪ませていた男の姿は無く。紛うことなき『(キング)』がそこにはいた

あくまで戦闘に置いてはってだけの話しだけど

 

悪魔からすれば伝説への挑戦なんだろう。それもいい

ライザーがどう思おうと、会場の悪魔たちが何を思おうが俺は俺がしたいようにするだけだ

(頼むゼル・アン全力で『俺』を抑え(殺し)てくれ)

『『……御意(分かりました)』』

 

その返事を聞いて内側に棲む(・・)者が表に出てきた。

「じゃあ。後悔するんじゃねぇぞ!」

それと同時に前方に全力の凍気を放つ

サッ!と視界が白く染まった。一部を除いて。

「へぇー、やるじゃん。いいねぇそう来なくっちゃ!」

 

ライザーが咄嗟に自分自身を燃やして凍結を防いだ。しかしライザーの『女王(クイーン)』は全身真っ白。つまり凍結の中だ

『ライザー様の『女王(クイーン)』戦闘不能によりリタイア』

「くっ。何て威力だ俺じゃ無ければ一撃でやられて───そうかユーベルーナは送られたか」

体にうっすらと霜が下りている事から防ぐ事は出来ても辛うじてってところ

 

(おい、ゼル・アンかなり『俺』の力抑制してるだろ)

『フン、当たり前だ。貴様が勝手な真似をすれば主に迷惑がかかる』

(酷いこと言うな〜『俺』だってお前らの主なんだぜ?)

『黙りなさい。貴様ごときが私達のマスターであるとは認めません』

(ちっ、わーったよ変わってやるよ。お前らの大好きな主様によ、ちゃんと殺せよ )

(すまないな『(マリ)』)

(………………)

少し哀愁が漂ったかと思うと『俺』は何も言わずに心の奥の方に潜ってしまった。やはり怒っている当然と言えば当然か。コレは俺が悪いな。

 

『主、これで良かったのでしょうか』

ああ、ここでライザーを壊すのは間違いだろう。殺しはするが壊しはしない。

あくまもヤツが乗り越えられるような壁になってやればきっといつか今日までの行いを反省して強くなれる時がくる。それに

(今はこの試合に集中しよう。そうじゃないとほら)

 

「なぜ何もして来ない。鈴木 凡人、いや天王寺 瑚太朗!」

(あちらさんに失礼だろう)

『承知!』『了解!』

「待つだけか?ライザー・フェニックスそれじゃあいつまで経っても俺には勝てやしないぞ!それから準備運動もここらにして、そろそろ本気で始めようか!」

 

言い切った直後、間合いを詰めて一発

 

バキッ!!

 

腰を入れ腕を飛ばすように、顔に抉り込むように撃った

音からして確実に顎+‪αの骨が砕けただろう

更にそこから振り抜く様に拳の軌道を下にずらす。

するとどうだろう首が高速で回転して───

 

ゴシャッ!

 

───頭が吹っ飛んで行った

初めはリアスの分にするつもりだったけど…

 

…まぁいっか。これが小猫の分

 

「かはっ……何故だ。何故今このタイミングで貴様が出てきた。何故俺の邪魔をするんだぁ!」

吹っ飛んだ首から上がボッ!!と燃え上がったかと思うとライザーの頭が再生していた

お?意外だなぁ、あんな殺され方したのに普通に復活するとか正気じゃねぇなコイツ

「俺は別にお前の邪魔をしたくてこんな所に来ているわけじゃない。俺はただ。女の子との約束を守りにきただけだ。それとライザーさっきも少し言おうと思ったが、防戦一方じゃ俺に勝つなんて夢のまた夢だぞ!」

横腹目掛けてもう一度右手で殴る。そしてインパクトと同時に──

「『──滅焔』」

 

ボオォン!と黒い焔が爆ぜる

「ぐあぁぁぁぁぁ!!」

これが『刻龍剣(ルイン・ギア・バースト・ブレード)』の籠手の方の能力。ちょっと変わった滅びの力を使うことができる

事実、黒い焔が爆ぜたライザーの腹は再生速度が落ち痛みに悶えていた。

これがリアスの分

 

しかしライザーは消滅し続ける部分を更に上から焼き落とし修復しながら後退した。

中々いい反応を見せてくれるな。でも

「逃がすか、馬鹿」

 

後退したライザーを逃がさぬ様に一歩踏み込み背中に背負っている得物に左手を伸ばし重さに身を任せそのまま地面に叩きつける様に振り抜いた

 

ブォン!!

 

大きく風を斬る音と同時にライザーの身体が真っ二つに裂けた。

剣先は地面を割る。のではなく刃の通った筋をはっきりと残しながら地面に突き刺さっていた

けれど剣撃はそれだけに留まらず、盤上を滑り壁をも両断したした。

能力使ってないから。ただ重さ任せにぶった斬っただけでコレ。随分といいイカレ具合だ。本当にこれで力を抑えているなんて本当におかしな話だ

 

まぁ、これが祐斗の分

 

「があぁぁぁぁぁ!」

あいつ、叫んでばっかだな。

それでも自身の傷を癒す事ができる。

真っ二つに裂けた体を繋ぎ合わせるかのように中心に炎が走る。そしてまた戦闘前のライザーが現れる

再生しきったライザーの顔は苦痛だろうか精神的なダメージからだろうか苦悶の表情をしていた。再生速度も初めと比べると随分と遅くなったように感じる

「まだだ。まだ俺はやられんぞぉ!」

なんて根性だよコイツ。

傷後を中心に吹き出た炎を全身に纏わせて突っ込んできた。

 

全身に雷電を纏わせて。突っ込んできたライザーに脚をかける。そして前のめりに体勢を崩したライザーの背中に向け踵落とし。文字通り地に叩き付けた。雷も倍の圧力でかけながら

これが朱乃の分。

ん?……再生速度が急に落ちたな

 

「何故だ。何故そこまでして俺の邪魔をする」

「…………」

そりゃあ、主役であるライザーからしたら俺は姫を攫っていく魔王か何かに見えているだろう。

でもそうじゃない奴もいる。人の見え方、考え方は千差万別だ。

完全に一致する物なんて絶対にない。

「言っただろう?俺は女の子(リアス)との約束を守りに来たって」

「フッ、そうかそう言う事だったのか。俺は………」

気がついたのか、諦めたのか。

 

不意にライザーから感じ取れるプレッシャーが大きくなった

コレは確かに、うん。イッセーじゃどう足掻いたって勝てやしないな。仮に『禁手』に至っているとしてもコレは多分イッセーが負けるだろう。

本気でコチラに勝とうという気概これはいいな。

イッセーがこういう目を向けてくる事はほとんど無くなった。

久々にいい目をする奴に会えたな

ライザーから目を放すことなく白い魔弾を生成する

 

「はああああああぁぁ!」

ライザーは全身から炎を噴き出してそれを自分自身に纏わせ、大きな火の鳥と化した

「おぉ」

思わず感嘆した。

それだけ目の前にいるフェニックスが美しく見えた。

雄々しく翼を広げ、高くも威厳のある声を響かせ、鋭く何者をも貫くような嘴を、こちらに向け真っ直ぐなその瞳でコチラを睨んできた

負けが分かっている戦いで、自分の意地を相手にぶつけるためだけに人はここまで出来るものなのだと。

俺にはできない(・・・・)ことを見せてくれたと。

そう素直に思った。

 

その火の鳥は脇目も振らず一直線に俺に向かって飛んできた。

「ドラゴン・ショット!」

目の前に生成した魔弾を殴りつけてライザー・フェニックスにぶち当てた

これがイッセーの分

 

だけど込める魔力が少し足りなかったみたいだ。

大きな火の鳥は体に当たってきた魔弾を意に介さずに俺に当たりに来た。

「手加減し過ぎたかも」

 

そして一直線に向かって来た大きな火の鳥を弾かず俺は受け入れた。

その程度じゃ俺を倒すことなんてできないと証明する為に

フェニックスの大きな嘴を掴み単純な膂力のみで抑え込む

 

……でも。一歩も動かずに耐えるって言うのは無理があるかなぁ!

実際ジリジリ後に下がってるし、地面に足がめり込んでるし!

それにここで被害を御して置かないと()に被害が出る。

 

『マスターそろそろ限界かと』

(分かった)

そう返事を返して、左手を後ろ(・・)に向けた。そして……

 

地面から大きく厚みのある氷壁を瞬きの間もつかずに作り出した。

 

シュウゥゥゥ....。

氷が溶ける音が。蒸気にで蒸れるがぬるいくらいだ。

視界は水蒸気に寄って奪われているけどすぐに晴れた。

いや、正確には『晴らした』の方が正しい

腕を横薙ぎに振ったらすぐに白いモヤは消えた。

 

満身創痍。その表現が正しいのか少し分からなかった。息は絶え絶えなのに、外傷は全くと言っていいほど無い。それなのにのに大きなダメージを負った様にとても辛そうだった。

でもまだアレの目はまだ死んでない──なら

「リアス達の仇討ちは終わりだな」

最後くらいの俺からの攻撃で叩きのめした方が奴もスッキリするだろうしな。

 

「やはり、そう言う、攻撃の、仕方だったのか、天王寺、瑚太朗」

喋る言葉すら絶え絶えだった。あの姿にになるのは相当魔力や体力を消費するんだろう。

「トドメ位は俺の本気(マジ)を受けて見たいだろ?」

「はっ。まだ俺は負けると認めた訳じゃないぞ、俺をどう倒すつもりなのかは知らんが。『投了(リザイン)』だけはしないぞ」

嘘つけ、俺がどうやってお前を倒すのか大体想像ついてるだろうに。

 

そうライザーの言葉に内心愚痴をこぼしながら鎧を解いた。

「フェニックスを倒すには2つの方法がある」

ライザーは何も言わない、ただじっとこちらを見ている

「一つ、ひたすら攻撃し続け心をへし折る」

「二つ、圧倒的な力による完全な消滅……だろう」

俺が言おうと思っていた事に合わせる様にしてフェニックスを倒す二つ目の術をライザー自身が答えた

「流石フェニックス自分の弱点は把握済みってことか?」

 

「天王寺 瑚太朗、貴様は恐らく後者の選択を取ることがいくらでも出来たはずだ!」

戦っている最中に気が付いたか、それとも俺が凡人であるからという理由だからか。

どちらにしろ俺が一撃でライザーの存在を無に帰す事が出来るという事に気がついたらしい。

いや、まだそこまで辿り着いてはいないか。行ってもせいぜいフェニックスを倒す程度の力があると確信したって所か。

「ああ、出来た。そして今も出来る」

「何故その力を始めから使わなかったんだ!?」

 

「ライザーコレはあくまでもお前の為に行っている、ハッキリ言ってあの場に到着した時点で俺はあの場の全員を殺す事が出来た。でもしなかった、もとよりそんなつもりも度胸もないけど。でもな仮にも1度勝負に勝った男相手に、いきなり部外者がやってきて勝手に花嫁を横からかっ攫うのは理不尽だ。だからさっき魔王が提案した様にゲームの形をとって正面勝負でお前を負かす。って言う俺なりの気遣いだ」

 

嘘です。全くそんな事思ってません。出来るなら一点集中の最大火力で消滅させようかとも思っていたくらいだ

ただリアス達グレモリー眷属の思いを一発ずつ丁寧にやり返すって決めたからこうなっただけで。俺は悪くない!

『アン、最近主はことある事に心の中で叫んでいないだろうか。』

『……気のせいでしょ、気にしない気にしない。』

 

何か『神器』達に酷いこと言われた気がする

 

「んじゃ、まあ眠って貰おうか。冷やせ、凍らせ、眠らせ給へ、汝に授するは心の崩壊、我が(たつ)力に(しずみ)給へ永凍(コキュー)──あっ」

途中で詠唱を止めた。元々ただのカッコつけだったから別に言わなくても良かったんだけども。そんな事より

1人分忘れてた。締まらねえな。

 

「はぁー。忘れるところだった。つーか忘れてた、ごめんアーシア。お前の分も一発ぶっ飛ばしてやらねぇとな」

そう呟いて胸の内ポケットから小瓶を取り出した。

「聖水!?何故そんな物が」

「あぁ、俺の知り合いに元シスターさんがいてな、そいつに貰ったんだ。だって火を消すには『水』だろ?」

「だが、聖水如きでは俺は倒せんぞ!」

分かってるよ、そんな事言われなくたって。

「じゃあこれを使って特殊な氷を作ったら?そうだな例えば俺の放つ広範囲凍結に聖水の力を乗せるとかどう?」

「なひっ!?」

よし、それで行こう。アイツ今物凄くわかりやすくビビったから。

 

「そんじゃ終わりだ。おやすみ、ライザー」

聖水の瓶を握り潰して割った。

血が滴っているけど気にする必要はないどうせ止まってる(・・・・・)から。

少し血の混じった聖水を媒介に頭の中で白い世界のイメージを作り出す。

そして、パチンッ。と指を鳴らす。

それだけで、ほら。目を開くと一面どころか視界全てを飲み込んでいく白い世界に包まれる。

ライザーも流石に一瞬で絶対零度の世界に引きずり込まれたら耐えきれなかったか。

こちらに向かって手を伸ばしている白い像が白い世界にポツンと立っていた。

これがライザーの最初の敗北。後をどうするかは奴次第だからな、俺が与えたのは救いのある挫折だ。

本当は再起不能にしたかったんだけどなぁ〜

 

それと自分で言って置いて正直なんだが。よく絶対零度、マイナス273度の世界に突っ立ってられるよな俺。

取り敢えず後に被害が及ばない様にはしておいたけど

これが俺の左手の力『凍遠(とわ)』と呼ばれる能力だ。実質まだ全然温度を下げられるのは皆には内緒だ。全力を出せばどうせ形も血も存在した痕跡すら残さずに消し飛ばすからな。サラサラ〜っと

ちなみに『凍遠』の名付け親はアンだ。なんでも、可愛い名前が付けたかったらしい。全くもって俺には理解できなかったが。

一応手加減をしたから、ライザーもそろそろ。っ始まったか。

ライザーの像は光に呑まれる様にして会場から消えて言った。

『ライザー様、戦闘不能によりリタイアこの勝負天王寺様の勝利でございます』

 

さて、この物語のお姫様を攫いに行きましょうか。

 

 

─リアスside─

「そんな、こんな事って」

今ライザーが倒された。

その事実に涙が止まらない。

悲しいんじゃない、嬉しいから。

願った望みが叶えられて小さな頃の夢まで叶って。

今一番来て欲しかった人に助けられた。

そして彼は降り立った。私の前に

泣いている私におどおどしながら

「うおっ!どうしたリアス。何で泣いてんだ!?も、もしかして俺なんかやらかしたか?」

すまん、何したか全くもってわかんねぇけどごめん!と謝られてしまった。

「ふふっ、いいのよ瑚太朗。私、嬉しくて泣いているんだから」

「そうなの?じゃあいっか」

何で泣いているのか、理由を聞かなかった瑚太朗はやっぱり瑚太朗だと思った。いいえ、若しかしたら全部分かってるのかもしれない。だってあの鈴木 凡人なんですもの。

「あっ────」

瑚太朗にいきなり手を繋がれた

「行くぞリアス」

「はい」

顔が熱くなるのを自覚した。

コレ絶対顔赤くなってるよ〜恥ずかしい。

そして、私は手を引く瑚太朗に大人しく従った

「はじめましてグレモリー卿」

お、お父様のところに何で?でも言葉遣いが丁寧だから穏便に───

「はじめまして、英雄鈴木 凡人殿。それで何用かな娘を奪い去ろうとしている君が私に」

「いきなりで悪いがリアスは預かるぞ、こいつが本当に心の底から結婚したいって男を見つけるまでは。もし同じような事があるのであれば、その時はまた阻止させて貰う。リアスとその眷属に誓って」

それだけ言うとお父様の返事も待たずにまた私を引っ張って移動を始めた。

────ってそうじゃないわよどうしてお父様に喧嘩を売るような真似を。

恐る恐る振り返ってお父様とお母様の顔を見た。

あんな事を目の前で言われたのに、二人とも何処か嬉しそうで、清々しい顔をしていた。

「魔王ルシファー話し合いは何時がいい?」

ちょっ、瑚太朗!?

お父様に喧嘩を売ったと思ったら今度はお兄様に!?

「あぁ、こちらから遣いを出そう。私の眷属が直に君の元に行くのであれば特に悪い事は起こらない筈だからね。」

「出来れば穏健な奴にしてくれ、攻撃的だとうっかり消しちまうからな」

「分かった、詳しい話は明日という事でいいかな」

「あぁ、それで構わない」

 

お兄様と話し終えた瑚太朗は、いかにも終わった〜。という雰囲気で私の手を引き続けた。

「あ、あのぅ瑚太朗?」

「ごめんリアス。もうちょっとこのままでいてくれ。」

「え、ええ分かったわ」

瑚太朗と手を繋げるのは嬉しいのだけどそれ以上に周りの視線が恥ずかしい。

ぽわぽわするよぅ。

そんな私を気にもかけず、瑚太朗はほかの部員や他の知り合いに声をかけて式場の外に出た。

 

「来い。ティアマット」

「「「「「「「えっ」」」」」」」

瑚太朗はとんでもない使い魔を持っていたみたい。

巨大な魔法陣に浮き出る様にして。蒼穹の鱗を持つ大きなドラゴンがゆったりとした面持ちで現れた。

「どうした。瑚太朗私を呼びつけて。滅ぼしたい種族でもいるのか?」

「いきなり物騒だなおい!」

「だって瑚太朗、最近私のこと全然呼んでくれないんだもん!私も瑚太朗と遊びたい、戦いたい〜!」

どうしてかしら、さっきまでの恐怖心が嘘みたいに消え去ったわ。

「俺とリアスを学園まで送ってくれ」

「リアスって今手繋いでるその紅髪の女?」

「そうだ」

「嫌よ。私は女を乗せるために存在するんじゃないものことわ─「仕方ないな。じゃあアンと勝負させてやるから」─ごめんなさい何でもないです。喜んでお受け致します」

瑚太朗ってやっぱり不思議ね。あの五大龍王の一角にして現役のティアマットを完全に御しているわ。

アンって人が気になるけど。そこは気にしない、気にしない。気にしてないから手に力が入っているなんてことは無いわ。

「て、手がギリギリ言ってるぞリアスさん!?」

「何のことかしら?」

私がどんなに瑚太朗の手を強く握っても瑚太朗が私の手を離すことはなかった。

みんなに一通り挨拶をしてから私と瑚太朗はティアマットの背に乗り学園に向かって飛び立った。

 

 

繋がれた手が離れること無く

 

 

─イッセーside─

朱乃さんに鈴木 凡人という人物の話を聞いた。

何でも天使、悪魔、堕天使の3大勢力の戦争を止めた人物ということらしい。

そしてその人物が瑚太朗という事らしい。

 

だとすると瑚太朗は1000年以上生きている事になるんじゃねぇの?

って話になんだけど。俺は瑚太朗の幼馴染みと言っても過言じゃない筈だ。

それくらい小さな時からずっと一緒にいるんだ。それに───

『おい、奴のことをあまり考えないでくれ。トラウマが掘り起こされる』

(わーったよ。でも途中から『禁手』解いて戦ってたよな。何でわざわざ、鎧纏って戦ったんだろ。自分が鈴木 凡人だって知らしめるためなのかな?)

『そんな事俺が知りうる訳がないだろう。というか頼む凡人とか言わないでくれ』

(あ、悪い、悪い。以後気をつけるよ)

『そうしてくれると助かる』

 

 

 

その時はまだ何であの『禁手(バランス・ブレイカー)』の姿になって戦ったのか俺たちは知る由もなく、その事実を知ったのはもう何もかもが手遅れになってからの事だった。




ア)次回!
ゼ)部室での初夜
ア・ゼ)お楽しみに!
瑚)ちょっと待て。そんな事しねぇよ!
作)……………
瑚)ちょっと!?否定しろよおいぃぃ!
作)…………(泡を吹いて白目を剥いている)
瑚)だ、誰がこんなことを……
ア)うふふふっ
瑚)お前かー!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

魔王様にお話です!

これで2巻ラストです!
楽しんで頂ければ幸いです。



─部室へ向かう途中─

「ねぇ、瑚太朗?どうしてこんな事をしたの?」

ギュッと、俺のお腹に回されている腕に少しだけ力が込められた。

「ん?言っただろ、約束守りに来たって」

「そう………瑚太朗は“約束”を守りに来ただけなのだったわね」

ん?なんかリアス落ち込んでる?

『主よ』『マスター』

『『貴方は鈍感なのですね。本当に』』

何かいきなり辛辣なことを言われた!?ひでぇ!

確かに約束を守りに来たけどそれ以外に何かする事あったか?

黒歌のことをリアスが知ってるとは思わないからな。

そこんとこどうなんだろ。

 

それに一つ聞いておいておきたい事があるし

「リアス」

「な、何かしら?」

「戦闘中の俺はどう見えた?」

「え?それは戦争の英雄が私の為に戦っているってそう思ったらとても頼もしいな。とは思ったわよ」

「そっか。なら良かった」

頼もしく見えたんだ、それなら良かった

でも本当は────

 

「ねぇ、瑚太朗」

「ん?どうし────ッ!」

チュッ

 

振り向いたその瞬間に思考が一瞬止まった。そしてすぐに戻ってきた

何が起こったのか理解は出来た。

 

キスだ。

 

リアスの柔らかで甘い唇が俺の唇を塞いだのだ。

だけど理由があまり分からなかった。

助けたから、そのお礼?

約束を守った事への感謝?

それともあの夜の事をハッキリ覚えていたのか?

 

どれだけ思考を働かせても答えにたどり着く事はできなかった。

やがて満足したのかリアスが唇を離し俺の目を見てこう言った

「ファーストキスよ、日本では女の子が大切にするものでしょ?」

「ああ、そうだな───って!ファーストキス!?」

そんな大事なもん俺なんかが貰って良かったのか?

いや、でも。

「あの夜、貴方は言ってくれたわ。月が綺麗ですね。って」

やっぱ覚えてたか、慰めのつもりで言ったんだけど。

……自分で言ったんだ責任持たなきゃダメだよな。

 

「それに対しての返答は。死んでもいいわ。それでいいかしら?」

「あぁ、それで十分だ」

あぁ、帰って黒歌になんて言おう

 

──次の日の朝

「何?この状況……」

普段俺のベッドに潜り込んでいるのは黒歌なのだが。

何故だ、何故ここにいるんだ「リアス」

 

「うぅん」と艶かしい声を出しながら寝ている女の子にツッコミをいれたくなった。

道理でいつもと違う匂いがする訳だ。

強化された嗅覚はリアスの甘く爽やかな香りを鋭敏に感じ取っている、おかげで熟睡出来たんだけど。

 

ただ───うん、なんで裸なの?キミ

 

──数分後

「ごめんなさいね。今日から貴方の家で暮らす事にしたから宜しくね瑚太朗」

あの、話が全くもって見えないのは俺だけなのかな?そうだよね?そうだと言ってくれ!

 

リアスの説明によれば

昨日の件について色々と思うところがあったらしく。

花嫁修行という事で俺の家に住むことにしたという事と、その方が俺との距離は格段に近くなるからな。

それと悪魔サイドが俺と仲良くしておきたいらしく、その架け橋的な存在になれとのお達しらしい。

リアス自身はこの提案を喜んで受けたそうだ。

そりゃ、悪魔サイドが公に俺と一緒にいてもいいって言ってんだから断らないだろうな

 

「そう言えばこの家の持ち主は誰かしら、出来れば挨拶ををしておきたいのだけど」

「手、あわせてくれるか?」

「っ!そう、分かったわ」

リアスは酷く驚いていた。

そうだろうな、手を合わせるという事はこの家の持ち主は既に死んでる事になるんだからな。

同時にやってしまったという少し後悔が見て取れた。

 

「この部屋だ」

襖を開くと、質素ながらも確かな存在感のある少し大きい仏壇だけが置いてある

「この部屋は……」

「俺を拾ってくれた人達の仏壇さ」

 

10年前、俺が一人で街を歩いている時に声をかけて、そして拾ってくれた夫婦の仏壇だ。

あの時この屋敷に住むことが出来なかったらここまで上手く話を進められなかったと思う。

二人には本当に感謝している。本当の子供の様に育ててくれて、屋敷の所有権すら俺に移譲してくれて。

至れり尽くせりの生活だった。

二人には本当の子供がいたらしいが実際にあった事はない。その子が中学生の頃に行方を眩ませたそうだ。

そいつの名前が『瑚太朗』という名前だった。

 

「ねぇ、この家には他に誰か住んでいるの?ほら、もう既に二本もお線香がたてられているわよ」

「あぁ、いるよ後で紹介する」

俺の答えに納得したのかリアスは仏壇の方に歩いて行った

そういや二人が亡くなったのは黒歌に出会うすこし前だったよな。

 

葬列に並ぶ人はいなくて、俺だけが一人で花を二人に手向けていた。

不幸な事故、そう聞かされていた。

でも、そういうのじゃ無いって俺はそう思った。

だってこの二人が亡くなる少し前からあの胸騒ぎは起こっていたから。

いつもだ、いつもいつも、気付くのが遅いんだ。

全部事後で、手遅れであの二人の時だって────

「瑚太朗?どうしたの?」

「───。何でもない、さぁーてうちの同居人って言うか唯一の家族を紹介するよ」

リアスにはそう言って、先を歩くように一軒家の方に向かった。

そうでもしないと涙を見られてしまうから。

 

この家は広い。それこそ軽い城並みの敷地は持っている。

普段使っている武家屋敷風の和式の建物が建っている

そしてそれに併設するする様に普通の一軒家が建っている

 

武家屋敷の方は黒歌とイチャついたり、日向ぼっこしたり、寝たりするための建物だ。あと他にも色々。

普通の家の方は──うん。普通に生活するための家だ

他にも地下室とか高さと階層数がおかしいとか言われる家だが俺にとっては普通の家だ。普通の家なのだが。

 

本音を言えば─────もう慣れちゃったから、半分諦めてる。

 

ウチは基本的に土足厳禁だ。

ちなみに屋敷と家の通路は全面ガラス張りの渡り廊下になっている。

断熱性も完璧で常に快適な気温に保たれている。

これは、俺の能力を応用して作ったものだ。

なんて、家の特殊な所の1つを紹介したわけだが──

 

それは兎も角どうしようかこの状況…………

目の前にはリアスと黒歌の睨み合っているという風景が広がっているのだが………あの、火花散ってません?

 

「瑚太朗、今すぐそいつから離れなさい!そいつSS級のはぐれ悪魔の黒歌よ!超超危険人物なの今すぐ離れなさい!」

あ、はい。すいません、知ってます。知ってて一緒に住んでました。

 

「それでもこの街を統治している、悪魔なのかにゃ?私がここにいるのは瑚太朗の意思にゃ。それに瑚太朗は私がはぐれ悪魔であることくらい知ってたにゃん♪」

……あの黒歌さん?売り言葉に買い言葉で返すのはよろしくないかと。あぁほらリアスから紅いオーラが迸り始めてるよ。怖ぇ、怖ぇよ

 

「瑚太朗?これはどういう事かしら?」

「あ、あのだな?黒歌と会ったのは中3の頃で───」

「そういう事を聞いているんじゃないの!」

 

(すみません、助けて下さい。俺こういう修羅場に弱いの)

『いつもの様に切り返せば良いかと。あと主が悪いですね』

『自分で考えて下さいマスター。マスターがどう考えても悪いですから』

 

神器の御二方が冷たくて俺泣きそうなのですが。

まぁ、ゼルの言ってた通りにいつも通りにしてればいいのか。

「まぁ聞けって。俺が黒歌を拾ったのは中3の頃で、随分と酷い怪我をしていたんだ、まぁ追っ手の悪魔に傷付けられたみたいでな、そん時は猫の姿だったから気づかなかったんだよ。」

「悪魔だ。って事に?」

「そうだ」

ごめん嘘だ。おかしな気を感じ取ったから様子を見ようと近寄ったら、猫化してた黒歌が倒れてたの。

「それで、俺は軽い手当をして起きるのを待った」

「で、その途中で黒歌が悪魔だって気づいたのね」

「その通り」

「そして起きた私の名前を呼んで、自分で『あっ』て驚いていたにゃん」

「どうしてその時点で私に言わなかったの?」

「いや、中3の頃だぞ?」

「その後もよ、事情を知っていたのならどうして私やソーナ、朱音に言わなかったの?」

リアス今さりげなく話を逸らしたな。

うん、『しまった』っていう雰囲気が滲み出てる、なんか可愛い。

 

「それは、黒歌の事情を聞いて。俺自身が大丈夫だと判断したから。一緒に暮らしててそれは確信に至ってるから間違いない」

その後あった色々も話した。追っ手に黒歌が攫われた事。

少し読み取りの難しい手紙のこと。

リアスも「文末の文字って繋げると───」て呟いていたからまぁ気づいたんだろうな。って思った。

因みに黒歌は俺がその時の手紙をまだ持っているとは思わなかったらしく。真っ赤になりながら俺の横で悶えていた。

とても愛おしく思った。

やっぱり俺は黒歌に『桜架』の姿を重ねて見ているようだ。

ダメだって、分かっているんだけどな。

 

しばらくして、グレイフィアが俺の家にきた。

真面目な格好で、具体的にはメイドとしてでは無く。魔王の『女王』としての格好で来ていた。

当然、黒歌を視界に捉えて驚いていたが、リアスが落ち着いていることや。俺と黒歌が外出用の服に着替えていた事から何となく察したらしい。

「そう言う事ですか……」と少し冷たい視線で言われてしまったが。俺の話したい事について察してもらえたようで何よりだ。

 

留守番はリアスに頼んだ。家事全般が出来る様なので「黒歌とリアスどっちの方が部屋を綺麗に出来るのかな?」と呟いたら快く請け負ってくれた。

流石にその時のグレイフィアの視線は怖かった。

 

 

魔法陣に乗って辿り着いたのは、どっかの社長室とか校長室みたいな豪華なというか、荘厳な場所だった、相向いになる様にサーゼクスが座っていた。

しまった、人数言ってなかったから椅子が1つしかねぇや。

「話の前に椅子をもう1、2脚程用意してもらっていいか?」

「理由を聞いてもいいかい?」

当然だな、理由を聞くぐらいしなけりゃ用意なんてできないだろ。

「人数に対して椅子の数が少ない。俺は自分が座って他の人物に立たせたままっていうのがあんまり好きじゃないんだ」

「どうして1、2脚なんだい?」

「第1に黒歌の分だ、別に俺が立っててもいいんだが。それだと黒歌が納得しない。だからもう一脚欲しい。もう一脚については何て言われるかわからんが、グレイフィアの分だな折角『女王』としてこの場にいるんだ、対等に話そうぜ。それにさっきも言ったけど。俺は自分が座っているのに他人に立たせ続けるのは好きじゃないからな」

教師は例外だけどな、と続ける。

 

「分かったすぐに用意するよ、それで話というのは、そこにいるはぐれ悪魔の黒歌についての事でいいのかい?」

話がわかるようで何よりだ

「そうだ、黒歌の事についてだ」

結局、話は立ったまますることになりそうだな。

 

「では、質問だ。天王寺 瑚太朗あなたの望みは何かな?」

昨日は公の場所だったから。言えなかったから堂々と言ってやるか。

「黒歌のはぐれ悪魔の認定を取り消せ、そして事細かにその原因を調査しろ。可能ならばこいつの元主を俺の目に触れさせないで欲しい」

目に入ろうものなら俺は多分止まれないからな。

 

俺は自分本位だ。俺がやりたいからやる、気に食わないからしないなんてよくある事だ。最近は歳で丸くなって来たけどな。

でも、やっぱり体に心が引っ張られる事ってのはあるみたいだ。

どうしても自力じゃ止まれない

 

「細かい話は黒歌からしてもらう。その為に連れてきたんだからな」

「それで構わない、それじゃ話してもらってももいいかな?黒歌君、君の主が君に何をしたのか」

そして黒歌は実際に起こった事を掻い摘んで説明していた。

俺が聞いた事との違いは無いし。

特におかしなところはなかった。

ただ俺と出会ってからの話を熱心にしていたように思えたが───気にしないでおくか。

 

「分かった。すぐに部下に調べさせよう。今すぐとはいかないかもしれないが必ず黒歌君のはぐれ悪魔の汚名を払拭しよう」

「ありがとう。魔王の寛大な措置に感謝を」

とりあえず形だけ取り繕っておいた。

黒歌も嬉しそうだし、これで万事解決かな。

 

────サーゼクスの次の発言までは

 

「さて、真面目な話はここまでとして。瑚太朗君、君うちのリーアと何処まで行ったんだい?僕のことを義兄さんと────」

ドスッ!!っという低く響く様な音が2回(・・)しかもほぼ同時に鳴り響いた。

「サーゼクス様?お戯れを、面白いご冗談ですね」

「────ぐふっ!!い、や、別に戯れでも、冗談でも、な───ははは、少し戯れ過ぎてしまったようだね」

「ええ、そのようです」

サーゼクスはグレイフィアの刺さる様な突きが横腹に突き刺さり。

 

 

「瑚太朗?今の話はどういう事にゃ?説明するにゃん」

もう1発は丁度俺の鳩尾に黒歌さんの拳が突き刺さった。

 

「────ふぅっ!ライザー戦の前の合宿の時にリアスを落としました。ライザーぶっ飛ばして完全に落ちました。は、反省はしてる後悔も少ししてる。でも、笑っていて欲しかったから。俺はリアスにしたことは後悔してないよ。ちゃんと幸せにしてやるつもりだ。1番は黒歌なんだけどな。」

 

 

……最後の二言目当たりから黒歌の殺気が抑えられた。

正直首に鎌を当てられた気分だった。あのまま選択を誤ったら。恐らく黒歌の全力の黒い一撃が飛んできて、俺もかすり傷ではすまなかったはずだ。

「そう、ならいいにゃん。どうせ瑚太朗には女の子ご沢山寄ってくるにゃん、その点に付いてはどうしようもにゃいけど、みんな幸せにするならいいにゃん」

語尾が完全に猫化していらっしゃる。

かなりキてますな。これは。

最近やってないからな。今日当たりにでも1回やっておこうか。

リアスも一緒に。

 

「瑚太朗君。リーアのことをよろしく頼んだよ。君の周りは力に溢れている。君や赤龍帝は大きな力を呼び込むだろう。その時はどうか──」

こいつが言わんとしていることは分かった。

「安心しろ、どうしてもダメだなってなったその時は俺が支えてやる。それでもダメなら俺が出る」

それでいいか?サーゼクス・グレモリー

「分かった。先程は冷たい対応をしてすまなかったね黒歌君。君は良い主人に拾われたようだ。これからも少しだけ、追っ手が来るかもしれないが彼に守ってもらうと良い。出来るだけ早く対処するつもりだから、それまでに待っていて欲しい」

 

「は、はいですにゃ!」

あはは、黒歌緊張してたんだな。気負うものが無くなれば俺も黒歌と堂々と外を歩ける訳だ。

あぁ、楽しみだなデート。

 

「瑚太朗様。先程の件と先日のお部屋での件は申し訳ございませんでした。魔王の『女王』ともあろう者が実力を見誤るなど……」

あぁ、気にしてたんだ。あの程度のこと別にどうって事無いのに。

寧ろ俺が気休め程度で作ったあのリストバンドが思っているよりも絶大な効果を発揮していることを知れて良かったよ、今はそれを強化した奴を着けてるんだけどね

「気にすんな、俺だってグレイフィアのおかげで収穫があったし実際にサーゼクスとの縁も出来た。リアスと正式に付き合えるようになったら義兄(にい)さんと義姉(ねえ)さんって呼ばせてもらうさ」

 

グレイフィアは少し複雑な表情をしていたがサーゼクスは随分と義兄(にい)さんという呼び名を気に入ったらしく。子供みたいに喜んでいた。即座にグレイフィアに沈められていたが。

 

その後は少しだけ談笑した。

好きなものや今後の学園行事(・・・・・・・)、学園にいる悪魔達についてどう思うかなどの話をした。

まぁ、俺の目的は達成出来たし、サーゼクスも楽しそうだったからいいか。と俺一人で納得した。

 

 

家に帰る前にリアスが家に来たお祝いをするために。色々と買い出しをする事にした。

何だかんだで、黒歌はリアスが家に来たことを喜んでいるみたいだった。だって、買い物中の黒歌はいつもよりも笑顔の数が多かったから。

 

久々にキッチンに立ってて、本気の料理、ケーキ作りをした。

何故か二人に揃ってキッチンに立つのを禁止された。

リアスはせめて差し入れ作る時だけにして、と割とガチな懇願をしてきた。俺、そんなに料理下手だったけ?

でも、その割には二人とも蕩ける様にケーキを頬張っていたような。

気のせいか。

 

 




ア)マスターがついに二人目を!
ゼ)この調子でどんどん増やして行きましょう。
瑚)何をだよ!
ア)それをは兎も角、マスターお二人とは何処まで行ったのでしょうか
ゼ)そうです、私共が眠っている間にナニをしていたんですか?
瑚)お前ら聞き方に悪意を感じるぞ。
ゼ・ア)気のせいですね。
瑚)ここぞとばかりに揃えてきやがって。特に何もなかった。これでいいだろう。
ア)ダメです!もっとはっきり言いましょう!
瑚)誰が言うか!規制かかるだろ。って言うか消されちまうだろ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

凍焦憤怒のクロスカリバー
なんか貰っちゃいました。


今回は割と早いペースで投稿出来ました。流石不定期、時々早いです。
今回は主人公君にとっても素敵なプレゼントが渡されるお話です。
3巻開始がこんなのでいいのか?という若干の疑問はありますが気にしないで行きましょう(投稿者がそれでいいのかヾ(・д・`)ォィォィ)

短いですが、どぞ(っ´∀`)っ


黒歌の1件から数日、リアスと黒歌そして俺の3人で暮らし始める様になった。

そして、毎日の様にイッセーが特訓をしに来て、それにアーシアがマネージャーとして付き添いに来る様になった。

元々イッセーは道場生として来ていたから、アーシアが増えた事でうちの女子率が上がり会話に華が咲いているようだった。

因みに俺の特訓に黒歌達が参加する事もある。

アーシアは分かっていたが他メンツもイッセーと同じメニューをこなすと完全に動けなくなる様だった。

 

黒歌はまだ仙術の基礎的な生命力の循環を早くすることですぐに回復していたけど、リアスは俺が掛けてやらないと軽く1日倒れたままだった。

アーシアは基礎体力的に同じメニューにはできないから。イッセーと二人で走り込みをしてもらっている。

毎日早朝に家まで二人で走ってくる。何か孫が遊びに来るみたいで、凄く微笑ましい気分になる。

 

ついでと言っちゃ何だが神器の強化もやっている。

イッセーは順調にドライグと仲良くなっている様だし。『禁手(バランス・ブレイカー)』に至るまでそんなに時間はかからなそうだ。

 

アーシアは───うん。あれだ観てるだけで心が浄化される気分だ。

道場の端の方で『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』を発動、効果範囲の拡大、回復球の打ち出しとかしてもらってるんだけど。

俺との組手で疲れたイッセーに神器で回復している姿は何とも微笑ましいものを感じた。

 

それと2、3日前に質問攻めにあった。

オカ研(研究部)の部室で周囲を悪魔の皆様、ルチア、静琉、小鳥に囲まれた。

質問内容に関しては実に単純なものが多かったけど、如何せん数が多くて少しだけ疲れた。精神的に。

今度誰かに何かされた時は淡々と質問しながら殴るのもいいなと、物騒なことを考えながら質問に答えていた。

 

実に質問された内容はこんな感じだ。

オカルト研究会から

『瑚太朗、お前本当に鈴木 凡人なのかしら?』

『1000年前に本当に戦争を止めたんですか?』

『瑚太朗、どうしてもっと早く言わなかった』

『静琉の言う通りだ。何か理由があったのか。瑚太朗』

『瑚太朗君、ドライグさんと白い奴さん倒した後は何処に行っちゃったの?後、今何歳?』

 

会長から

『天王寺君、お姉様を救って下さりありがとうございました。おかげで今は魔王の一端として頑張って下さっています。それと簡単な質問ですが何故この学園にいるのでしょう』

 

グレモリー眷属

『瑚太朗、私からも質問よ。その、好きな女性のタイプはどんな人かしら?』

『あらあら、それは私も気になりますわ。ですが、瑚太朗君はどうしてそんなに料理がお上手なのですか?出来ればでいいのですが、是非教えて頂きたいものですわ。』

『瑚太朗先輩、またお菓子作って来てくれますか?』

『瑚太朗、君は誰かから剣の指南をされていたのかい?出来れば僕にも指南してほしいな』

『なあ、瑚太朗俺とお前って幼馴染だったよな。小鳥も含めて俺たち同じ小学校だったよな?俺がおかしくなった訳じゃないよな?』

 

おい待て、グレモリー眷属。

お前ら聞きたい質問の内容が個人的過ぎないか?

唯一困惑気味にまともな質問してんのイッセーだけじゃねぇか。

研究会のみんなの方がまともに質問してんだけど。後ソーナ。気にしなくていいんだよ。俺たまたま直線上にいただけだから。

 

───とまぁ、こんな感じに質問をされた。

質問には全て簡潔に答えた。

いくつか嘘も付いた。

転生して、元々こんな力を持つような人間じゃなかった。なんて、怖くて言えなかった

みんなが離れて行ってしまう気がして、だから嘘をついた。

 

──あの戦争の後。俺は転移させられて、その後は俺はイッセーや小鳥の近所に住む少し強い男の子として過ごしていた。

何故転移したか、何故ここにいるのか俺は全く分からないんだ。と

 

みんな少し悲しそうだった。

俺はそんな顔をさせたくて嘘をついた訳じゃ無いのに。

俺自身が独りになる事を恐れてついた嘘なのに。

ただ、それよりも俺は、怖がられ、離れられていく事が無いことに安心している自分自身に何よりも腹が立った。

 

その日に俺からも少し話をした。

俺の2つの神器についてだ。これは黒歌とリアスにしか言ってない。

ゼルとアンを展開すると酷く驚かれた。

鎧と紅黒い籠手はセットだと思って新しい。

そもそも、神器を2つも所有しているという事実を知った時点で物凄い迫りようだった。リアスが

サーゼクスに話すか。でもそんな事をすれば俺は普通に生活なんてできないし。でもこの事を魔王である兄に話さない訳には行かない。と1人で逡巡していた。

可愛いからつい撫でたおしてしまった。もちろん黒歌も一緒だ。

もうすぐ夏だ。日向ぼっこが気持ちいい。

 

昨日、ラグナさんの方から珍しく連絡があった。

新しくこの世界に転生者が来るとの報告らしい。

因みにこんなに気にかけて貰えているのは俺だけらしい。ラグナさん曰く贖罪らしいけど。俺はあの神に何かされた覚えは無いし。

あの神様の性質上俺の様な奴が生まれるのは必然だと思っているから

 

ついでと言ってしまうと飛んでもない事なのだが

ラグナさんからプレゼントをもらった。

本当、まじでヤバイ奴を貰った。

 

『王の財宝』と言えば分かる人はいるだろう。

あの『王の財宝(ゲートオブバビロン)』だ。

何でもこの宝具を欲しがったらしく、宝具自体は渡したらしいけど、器的に中身を扱えないから俺に丸投げしてみようと思ったそうだ。

思いたった時は中身だけ渡すつもりだったらしいけど。

それじゃしまう場所が無くて困るよね〜と言われ

倉庫の方もとい『王の財宝』を貰った。

 

中身については戦慄するしかなかった。

いくらぶっ飛んだスペックの体を持っていても少し怖かった。

というかそのせいで寧ろ怖かった。

 

俺の知識上に存在する武具全てとか馬鹿げてるだろ!

ラグナさんによると俺が生前、転生後に見たり知った武器・防具・盾などの武具を知識として覚えている限りその全てを射出、取り出しが出来るそうだ。というか出来た。

ラグナさんからの言伝では聖剣、魔剣、神刀、妖刀etc.出し放題だそうだ。

エアが入ってた時はほんとに怖かった。

『約束された勝利の剣』も2本入ってた。

プロトタイプとアルトリアって言ったら分かるかな。

個人的にはプロトタイプが使うエクスカリバーの方が好きだ。

元を使っていたキャラが男性だった事から。個人的に使い安かったから。

 

1度だけ特別な部屋(・・・・・)で宝具解放して見たけど十三拘束解放(シール・サーティーン)は無かった。

そもそも円卓の騎士でも何でもないからね俺。

 

そしてちょっと調子に乗った俺はエア以外の内包している武器を全て(・・)射出してみた。

まぁ、うん怖かったです。

俺だけが使うかなり特殊な作りになっている部屋が物の数秒で木っ端微塵だからね。流石に壊れるまで力を解放した事は無かったけど、武具出しただけであそこまで部屋がボロボロになるなんて想像すらしてなかった。

部屋に亀裂が走った瞬間に宝具を回収する宝具を使って武具を回収出来たから良かったけどあのまま出したままにしておいたら。

と思うとゾッとした。

 

ちなみに余談だがプロトカリバー(プロトタイプのエクスカリバー)は風王結界(インビジブル・エア)で消したまま常時帯剣する事にした。

えっ?何で帯剣する必要があるのかって?

だって格好いいじゃん。心はオッサンでも爺でも体はまだ青き青春真っ只中の17歳なんだから。

ちなみに鞘に入ってた。

 

あっ、そういえば。

エアを1度だけ全力全開の状態でぶっぱなした。

次元の狭間で

もう二度と使いません。というか使えません。

あの時はつい出来心だったんだ。

どこまで出力出んのかな〜って。

で流石に人間界では無理だ、冥界もダメだなリアスにバレたら怒られる。

 

という事で幾度となく遊びに行っている次元の狭間に向かった。

行き方?単純明快、俺の特別な部屋(直した)に行く魔力を手に集める。手刀の形にして空間を引き裂く。

後は開いたその穴の中にはいれば、次元の狭間って訳だ。

当然そこにはグレートレッドがいる訳だが、昔俺の修行中に邪魔してきたから龍化してガチの凍結をプレゼントしてやった事がある。

それ以降近づかなくなった覚えはあるな。俺の実力認めてくれたのかな。

 

ちなみにそん時は、顔以外全部凍らせてやった。

範囲はまだ広げられたから、雪だるまの中からドラゴンの首が出てる様な姿にして放置した。

暫くして出てきたけど。その後、少し焦ったみたいにまた次元の狭間を浮遊し始めた。

何がしたかったんだろうなあいつ。

 

で、問題はそのあとだ。

倉庫からエアを取り出したのは良いものの真名の解放の仕方を忘れていたのだ。別に俺はAU王じゃ無いからあの詠唱そのまんまじゃ無くていいとも思うんだけど。

 

取り敢えず格好つけた詠唱で撃ってみた。

───絶望を破壊を混沌を知る我が剣よ。

海を断て、天を断て、世界を切り裂き、時空を絶て。

この世に我知るべき物はなく、この世に我討つべき敵は存在せず。

何もない世界など必要はなし。ならば全て儚き灰燼と帰せ。

全て無に帰す忘却の星(カイダ・オルビド・エストレジャ)

 

そして軽く振り抜いた。

その時俺は大事な事を忘れていたのだ。

この宝具元々(STR)筋力依存だってことに

そもそも『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』じゃない時点で気づかなかったのがいけなかった。

…………本当、マジ反省しています。

何故か本来の真名よりもより凶悪な名前になって放ったがために軽く、本当に軽く振っただけなのに次元の狭間に亀裂が入った。

ザクッ!とかそんなに生易しい音じゃ無かったのは覚えているけど。

明らかに異変に気づいて戻って来たグレートレッドを見て俺は逃げ帰って来た。

ごめんねグレートレッド次元の狭間に亀裂入っちゃった。

後悔はない、人がいない所で打ったから。良かった物のあれ人前で使えねえわ。

という事でエアもとい、カイダはアンの能力で封印する事となった。

 

 




ア)やっと黒歌ちゃんと会話したよー!可愛かったなぁー
ゼ)リアス嬢もかなりの慌てぶりだったがやはり主の手は魔性の手だな。あの手に撫でられたら正気を保ってはいられないだろう。
黒)アンの人型の姿が見てみたくなったにゃん♪今度瑚太朗に相談してみようかしら
瑚)俺は一向に構わんぞ。
黒)やったー。じゃあ次回は
黒・瑚)アン、黒歌とリアスと女子会です
祐斗)瑚太朗君、僕のこと忘れて無いよね。3巻は僕が───
イッセー)木場落ち込むな、きっと次は出番あるさ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

問題、発生しました!?

お待たせ致しました!
久々の更新ですよ!


それではどうぞ(っ´∀`)っ



球技大会、それは俺の最も苦手なイベント。

何故なら──────ガギィィィィン!!

「あ、また割っちまった」

これで通算20個目。

どうも俺は球という物と凄まじく相性が悪いらしい。

加減をして振っているはずなのに野球のボールを真っ二つに割ってしまっている。まぁ倉庫から幾らでも出せるから困らないんだけどさ………

「瑚太朗。お前またボールを割ったの?」

「すんません。これでもすっげぇー加減してるんだけどさ、何か球を見るとスマッシュしたくなってつい力が……」

「お前女性相手に下ネタぶっ込んでじゃないわよ。狩るわよ」

何でや!下ネタなんて使ってないぞ俺!

あらぬ疑いを掛けられて、抗議の一つでも言おうと朱音に向くと。

それを遮る様に俺に向かって声がかけられた。

「瑚太朗~まだですかー投げちゃいますよー」

「ああ、いいぞ!投げて来い!」

投手はちはやだ。ググッと振り絞ってスパーンッ!!と投げるって教えたら

「よいしょ、えーっと。ググッと振り絞って」

ドッ!

「スパーンッ!!と投げる!」

ズパァァァァン!!

「お、いい速さだ。うらぁ!」

ガギィィィィン!!

とこんな事を毎日やっている。何故ってそりゃあ球技大会があるからに決まってるだろう?

が、ここで問題が発生した。それは────

 

「「「「「オカルト研究会、球技大会参加禁止!?」」」」」

「そうよ。私たちオカルト研究会は今年から球技大会に参加出来なくなったわ。もちろんクラスで参加や個人参加については自由だけど。私は動くくらいなら、部室でFPSをやってたいわ」

「でも、朱音さんは球技大会中は『眼』としての活動があるから出来ないんですよね」

「お前達もやるのよ」

「「「「「えぇーーっ」」」」」

『眼』というのは、学園内の監視、及び不法侵入者の発見をするかかりだ。要は監視カメラの映像を観ているだけの仕事だ。

朱音の家が持つ能力にも関係しているのだけど、それは置いておこう。

勿論表向きの理由で学生警備隊という名前でサボりの最強格であるが故に物凄い人気だ。

 

しかし、この仕事残念ながらオカルト研究会に枠全てを持っていかれてしまった。何故って?

ちなみにだがその理由に関しては、俺とちはやは全く納得していない。

理由は直接ソーナに聞いてきた─

─『その、物凄く言い難いのですが……あなた方があまりにも強すぎるので、オカルト研究会の参加を停止させて頂きました。これもパワーバランスを保つためです。ご理解の程よろしくお願いします。その代わり、というのは少々問題があるのですが学生警備隊の仕事を今年はオカルト研究会の皆さんにおまかせします』

との事だ。

ソーナに練習風景を見せたのが間違いだったな

その時にも何度もボールをぶち割っていたので、危険と見なされたんだろうな〜。

なんてやり取りが少し前にあった。

 

そう言えばここ最近祐斗の様子がおかしい、何かボーッとしているというか、心ここに在らずと言った風でずっと何かを考え込んでいるようだ。

というか違うクラスなのにウチのクラスはその事で話が持ちきりだった。女子のみだが。

 

「う~、優勝チームにプレゼントされる食べ放題に行きたかったです~」

あぁ、なるほど。それでちはやはあんなに張り切ってたのか。

うーん、今度黒歌とリアスに言って家でパーティーしてみるか。そん時にゼルとアンの身体をラグナさんに作って貰えればいいかもな。

 

と、そんな事よりも祐斗だ。

イッセー、リアスによるとこの間旧校舎の大掃除を使い魔立ちにやらせて、イッセーの家で部の会議を行ったそうだ。

俺はその時、研究会の方で静流と秘密の教え合いみたいな事をしていたのでそっちには参加していない。

で、イッセーの家で会議をしている時にイッセーのお母様がイッセーが小さい時のアルバムを持って来たらしい。イッセーは地獄だったと語っていたけど。リアスは楽しんだそうだ。

 

………また話がそれてしまった。

そのアルバムの中に有る写真があったそうだ。

俺とイッセー、そしてもう1人の3人で写った写真を見てから様子がおかしいらしい。

近くにいたイッセーが祐斗の「聖剣……………」という呟きを聞いていたらしい。

まぁ今回の件については俺があまり手を出してしまうと祐斗が覚醒できない事態に陥りそうなので、静観することに決めた。

 

静流に昔使っていた、ウォークメンをあげた時の話だが。

何でも灯花先生の好きなCDを手に入れたもののそれを聞く機械を持っていなかったらしく。

オカルト研究会の部室で機械を持っている人がいたら譲って欲しいと話があった。

 

それでちょうど使わなくなった機械が家に置いてあるのを思い出して静流に挙げることにしたのだ。

にしても、いい子だな〜静流。

もし娘が出来るのなら静流の様な子が欲しい。そう思った。

ちょうどその時にうちに黒歌とリアスが住んでいるという事を教えた。

静流は瑚太朗の秘密を知ってしまった。と畝っていたが俺は大した事じゃないと言って自分の部屋に上げた。

CDプレイヤーに曲をダウンロードさせたり、新しいイヤホンを買いに行ったりした。

 

そして今日。自分も秘密を持っていると言って少し話をしてくれた。

少し離れた町に案内されて薔薇の綺麗な少し古い感じの家に案内された。

しばらく家の前で家の人が帰って来るのを待っていた。

夕方、その家に帰って来たのは静流のお父さんとお母さんだった。匂いですぐに気づいた。こんなにも優しくて、ほんわかとした匂いは静流以外では血縁者以外ありえない。そう思ったから。

 

少しだけ立ち話をしたけど。静流がすぐに「薔薇、綺麗だった」 と言って先に行ってしまったので、俺も「綺麗な薔薇ですね。また見に来ますね」と言って静流を追いかけた。

 

すぐ下の坂で話をしてくれた。

静流の昔話だ。

 

貧乏だったけどすごく中が良かった両親の事。

秋刀魚を焼いて食べるのが何よりも幸福だった事。

新しい家を見に行った事。

そこで()()にあったこと。

その事故の後にオッドアイになった事。

そのせいで虐められた事。

静流のお母さんが火を見れなくなり、秋刀魚が食べられなくなった事。

不思議な力を持つ自分を教会のある組織が引き取り預かると話を持ちかけて来たこと。

自分が行くと答えたこと。

久々に家に帰ったら父と母の仲が悪くなっていた事。

昔に戻って欲しいと願って能力を使ったら暴走してしまったこと。

 

 

二人の数年分の記憶を消してしまったこと。

そして何より、静流の妹の存在は一番静流を苦しめるはずだ。

 

 

俺も見ていて、とても辛かった。

 

 

帰り道は灯花先生に送って貰った。

そこでも話を聞いた。

もっと知りたいとも思った。原作のRewriteはもう碌に覚えてはいないけど。今目の前にいる彼女たちの事は知る事ができるんじゃないかと思って。

 

静流は親の記憶を消してしまった事を自分の罪と思い込んで、自分を追い詰めるような事をしていた。

自分の人生を変える事になったあの事故の起こった家を自分で稼いで買うのだと。生半可な気持ちで出来る事じゃないのは間違いなかった。

でも、静流自身はやりがいを感じている様だった。

それと静流に少し試された。というのが正しいのだろうか。

静流に関する記憶を弄られた。

原作では静流の名前が思い出せなくなる程度だったけど。俺は忘れなかった。

記憶に関する操作を一切受け付けなかった。

だから、『瑚太朗、私の名前は?』という質問に対して

「静流、中津 静流。俺の後輩でオカルト研究会に所属する小さくて元気な女の子だ」

間を置くことなく。すぐに口に出せた『俺はお前を忘れない』と

泣かれた時は流石に焦った。

何となくだったけど、嬉し涙だったのは分かった。

だって、あんなに「ありがとう」って嬉しそうに言われたら。悲しくて泣いてるなんて思いたくなかった。

だから、嬉し涙だと心の底から思っているよ。

 

 

っと。ボーッとし過ぎだな最近は考え込んでいることが多くなった気がするな。

「お前、明日はどうするのかしら?」

朱音が唐突に質問してきた。

明日?────ああ、球技大会のことか。

「クラス競技と個人参加はしないからずっと見回りしてる予定だけど」

「そう、ならいいわ。何かあったら戻って来なさい。明日は割と人が集まるかもしれないから」

「ん。そうなのか?分かった、どうせ千里眼で見えてるだろうけど。問題が発生したりしたらすぐに連絡する。今年もどうせ普通に終わるだろうけどな」

ええ、そうね。と冷めた感じて返されてしまった。

まぁさっきからカチカチ音がなってることからFPSに夢中みたいだ。

 

明日大丈夫かな〜?

こんな朱音に対して少し不安になる俺だった。

 

そして球技大会当日、事件は起きた。

「私は触りたくないと言っているだろう!」

ん?ルチアか潔癖症なんだっけか。

花壇に飛んで来ていたボールを掴み軽く投げ返した。

「ご一緒にポテトもいかがです?な〜んてな」

「ボールくらい取ってあげれば良いじゃないですか。」

 

ちはやか。まぁ、正論ちゃぁ、正論だな。

「そうじゃない……触りたくないからだ

「え?なんて言ったんですか?」

「おい、ちはやもその辺にしとけって」

間違いなく事あと喧嘩になるから、止めるの俺の仕事になるから、頼むから面倒事を起こさないでくれ。

 

「花に触りたくないからだ!」

「花でさえ不潔だと言うんですか!?」

それ言っちゃダメなやつ!

 

「触りたくないものは触りたくない!」

「きゃ!……いったぁ」

トンッとルチアがちはやを押し倒した。

「大丈夫か?ちはやルチア流石に───」

ちはやの棘のある言葉が俺の言葉を遮った。

「私にはそう感じるあなたの心を変に感じます!」

 

「───ッ!」

酷く驚いた様な顔をするとルチアは走り去ってしまった。

「あっおいルチア!」

「おーい瑚太朗くーん、アレ?ちーちゃんどうしたの?」

「悪い小鳥、ちはやを頼む」

グッドタイミング、これならちはやのそばを離れても問題ない。

ちはやを小鳥に任せて、ルチアを追った

 

「ルチアさんや、もうちょい器用にだな────っ!」

「私だって好きでこんな生き方してると思うか!?」

 

ルチアはそれだけ言って走り去った。

いや、それだけじゃないか。

 

 

 

俺を見た彼女は確かに泣いていた。

 

 

 

 




祐)イッセー君また僕が出なかったよ。
イ)大丈夫だ、木場次こそはきっと出られるさ!
祐)前向きだね、イッセー君は。主人公が羨ましいよ。
イ)俺だってお前のイケメンフェイスが羨ましいわ!
作)次こそは祐斗君が表部隊に上がれるように頑張るぞ!
祐)ソードバース!
作)ギャアァァァァ!!
(身体中に剣が突き刺さって気絶した)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

白い子とエンウントしました。

投稿です!
いつも通りのナメクジ更新です


どうぞ(っ´∀`)っ


水飲み場から走り去ったルチアを追う事は出来なかった。

あんなに悲しそうな表情を見たのは初めてだったから。

ルチアの涙は初めて見たから。戸惑って動くことが出来なかった。

 

どうしたらいい?アイツが悲しんでいるのは何故だ?原作はどうだった?俺は、『天王寺 瑚太朗』は此花 ルチアに何をしてあげた?

思い出せ………思い出せ!

必死にRewriteの原作を思い出そうとそれらしい物を思い浮かべてみる。けれども、そのどれもが霧がかった様にモヤに包まれて消えてしまった

 

結局思い出すことは出来なかった

あれからルチアを探しながら校内をうろちょろしていたのだが、結局見つけることは出来なかった。

今は少し離れたところからリアスとソーナのテニスの試合を見ているところだ。

 

………プルプル、プルプル──────

あ、携帯鳴ってる。

 

「はい、どうも、コチラてんのう………」

『今すぐに部室に戻って来なさいこの大馬鹿者!』

うぇ!?いきなり怒鳴られた!?

しかも切られたし。

うへぇ、ルチアとちはやが喧嘩したのもうバレたのか?

それとも不審者でもとっ捕まえたのか?

まぁどっちでもいいや。部室戻ろ。

部室に向かって歩いているとゼルから声をかけられた。

『主、ドンマイです。こんな日もありますよ』

(うん、サンキューなゼル。アンはまだ戻って来てないみたいだな。パスが繋がったままだから)

『ええ、でもよくあんなもの作れましたね』

(うん?ああ、簡易ボディの事か。長くて1週間しか持たないのが玉に瑕何だけどな)

 

 

主、あなたはご自身が何をなさっているのか時々理解していない節があるように感じますね。

我々に仮初の身体を()()()()で作りあげる………否、創りあげると言った方が正しいか。

ともかく、人間と全く同等の耐久、身体スペックを持って自由に動ける身体を創り出すなんて神にも等しい行いです。

しかもそれを1週間もの間保たせるなど普通は絶対にできないのですよ。主よ

 

 

(ん?どったの?ゼル)

『いえ、何でもございません。それにしてもアンは主の造られた身体をよほど気に入っているようですね』

(そうみたいだな、お前の分も作ってやれれば良かったんだけど。流石に魔力が持ちそうにないからな。すまん)

本当に何をそこまで気に入ったんだか。俺にはよくわからんよ。

実は最近アンは俺の()に殆ど戻っていない。黒歌と会話できる様になったアンはものすごく喜び、話すだけじゃつまんない一緒に遊びたい。と言い始めたので、また身体を作ってみた。

今回作った体に込めた魔力は俺の全力の4分の1程度で、更に体の維持の為に魔力の全体量の半分近く持って行かれてしまった。

そしてアンは基本的に黒歌と行動を共にしている。

 

ちなみに身体は以前合宿の際に作った物と同じタイプの体にした。

何でもあのシリーズが一番お気に入り何だそうだ。

その他にもいくつか種類があるけど

本当、何を気に入ったんだろうなぁ

 

って、おお。

考え事してたらなんか、部室の前に突っ立ってたし。

じゃあ入りますか…………ん?

部室の戸に手をかけた所で気が付いた。

強者のオーラってやつ、何か、なんだろう。

感覚だ。強い力の波動を感じる。しかも二人。

何で気が付かなかったんだろうな〜?これだけ強けりゃ嫌でも感じ取れると思うんだけど。

 

まぁ、誰だろうとまずは話して見ないと、何しに来たんだい?てな。

「ちわーっす。おい朱音、あの呼び出し方はいくら俺でもおこ────あのー。どちら様です?」

美女がいた。銀髪のロングの子が。

「どうも、久しぶりだね鈴木 凡人」

「おいおい、まさか忘れちまったのか?こいつの事。ひでぇ奴だな、英雄サマってやつ───フグッ!」

あ、隣の男の人が女の子に殴られた。しかも見事な顔面ストレート。

 

「お前、彼女の事を知っているのかしら?」

ごめんなさい。記憶にないですこんな美少女

「そう、忘れてしまったのね。まあ、仕方ないわね何せ10年近くも昔の事だものね」

「ごめん」

 

10年近くも前の事?確かにそれなら思い当たる節が無いわけじゃ無い。

あの頃は子供の姿をしながら。同時に大人の今の高校生としての姿も使って、色々な所に向かった。

天使、悪魔以外の各神話体系のトップの元へ、冥界、コキュートス、日本、その他の国々、次元の狭間。

今考えると、とんでもない生活をしていたんだな、って思わせられる。ただ俺と似通った道だけを辿って欲しくなくって。

自己満足の救済を続けた。その結果が今、各所にて英雄と名を馳せる様になった。

 

まぁ名義は全部鈴木 凡人であって。天王寺 瑚太朗ではないんだけど。もっと言えば『・・・マリ』ではないんだけどな。

「瑚太朗?」

「す、すまない。ボーッとしてたわ」

「はぁ、お前と言う奴は本当に………」

『ええ、もう少し考えを持つ短くまとめることくらい出来た方がいいかも知れませんね。主は考え始めると長いですから。』

(うわぁーひでぇ、何か最近お前ら俺に遠慮が無くなって来てないか?)

『ええ、そうでしょうともなんせ。我々はあなたともう100年は軽く共にいますから』

(だな、それよりも聞かなきゃ行けないことがあるか)

「あなたの名前は?何と言うんですか?」

「あら、名前を尋ねる時は自分から名乗るのが筋じゃないかしら?」

おや?思ったよりまともな返しだったな。

 

「君は俺の事、覚えているんだろう?名前の事も」

「ええ、でも鈴木 凡人としか聞いたこと無いわ」

なるほど。そういう事か。

「じゃあ、改めまして、俺は天王寺 瑚太朗あなたのお名前は?」

「うふふ、素直なのね。いいえ、真っ直ぐなのかしら?」

どちらでもないって言ったらなんて思うかな。

『主、ダメですよ』

(いや、冗談だからね?)

『……………』

うわーい、自分の神器に信用されてなーい(棒)

『前科持ちですので』

(うぐっ、それを言われると何とも言えないな)

「それにしても……そう、瑚太朗と言うのね。私の名前はヴァーリよ。どう?思い出したかしら?」

 

その瞬間、俺の思考は停止した。もっと言えばゼルも

「え?」『は?』

「その顔を見たら思い出したみたいね。なら一言だけ言わせて貰うわ瑚太朗。私は女よ、男の子じゃないわ!」

「エエエェェェ!!!」『うぇぇぇぇぇえええ!!?』

あ、あのヤンチャっ子が?この綺麗な女の子?

いやいやいや。アレはどう見ても男の子だったぞ。

俺やアザゼル、シェムハザすらも手こずった、あのヴァーリだぞ!?

バラキエルなんてもう。…………ダメだ。思い出しちゃダメだ。

『アハハハハハハハ!お腹が、腹が、HAHAHAHAHAHAHA』

……おい、ゼルお前キャラ崩壊してんぞ。

確かにあの時のバラキエルは面白かった、ものすごく面白かった、だがやめろ、思い出すな、俺を今ここで笑わせないでくれ。

 

いくらバラキエルがドMで変態だからって、朱璃に縛られてムチでぶっ叩かれるのをヴァーリや俺たちに見られた挙句、ヴァーリに蹴りを入れられて喜んでたおっさんなんていなかったんだ。

「アァーー!」とか野太い声で喘いでたおっさんなんていなかったんだ!!

きっと気のせいだったんだ!

『アハハハハハハハ、ハヒヒヒヒヒヒヒ』

って。おーいゼルぅー?完全に壊れてるぞーおーい。

と、止めだ止め、これ以上バラキエルのことを思い出そうものなら俺まで笑いが止まらなくなっちまう。

 

「瑚太朗その反応は何かしら?女性に対して向けていい反応だとは思わないわよ」

おおぅ。なんかびっくりした俺に驚いたのだろうか朱音のちょっとトーンの低い声が響いてきたぞ。

 

「しょうがないわ、だってあの頃の私は男の子としか思えないほどヤンチャな子だったもの。その反応も頷けるわ、アザゼルだって自分で育てた癖にお前誰だよ。って言うくらいだもの」

「ちなみに俺っちは美猴。闘戦勝仏のまつ─────グボォ」

おお、隣のイカスあんちゃんが喋り始めたと思ったら腹パン食らって沈んだぞ。ヴァーリ・ルシファーに闘戦勝仏の末裔の美猴。ヴァーリチームの面子が二人もいる事になるじゃん。ヤベぇじゃん。イッセー今のままだとヴァーリに勝てねぇぞこの力量。

 

「何か用があったのか、ヴァーリ?」

「いいえ、ただこの学園で面白そうな事をしてるって聞いたから見に来たのよ」

「そうなのか?連絡くれれば案内したのに───ってそうだ。お前俺の連絡先知らないんだっけ」

まだ、携帯すら持っていない時の話だもんな。しょうがないわ

「ええ、是非教えてもらいたいわ。」

「了解した俺の番号は………あったあった。これだ。」

「ありがとう、登録させてもらうわ」

 

それから、少しの間雑談をした。

俺がいなくなってから起こったこと、バラキエルと朱璃の仲があまり宜しくないとか。新しい仲間が増えた事とか。他にも色々。

大変だったみたいだ、あまり付いてやれなかった事を凄く悔やんだ。

ヴァーリは楽しかったって言っていたけど。

それでも助ける事が出来なかった人達のことを考えると。

凄く、凄く悔しかった。幾らこの体になったとしても全ての人間を救える訳じゃないのは分かってる。けど、やっぱり俺と同じ道を辿る人間だけは助けたかった。

「───それで?結局、ヴァーリは何をしにここに来たのかしら?」

「観光兼瑚太朗探し、という所ね。あの馬鹿この街にいるって言って私一人でこの街に置いて行ったんだから」

そうなんだ〜、へ〜。

「あら瑚太朗突然立ち上がってど────ひっ」

酷いなぁヴァーリどうして怯えているんだい?俺はこれから電話しないと行けない場所があるんだ。

『主、私からも少しお話させてください。ひとつ、ふたつ、みっつ程言わなければいけない事がありますので』

(奇遇だな、俺もだよゼル。あぁ、何なら直接出向くか。)

『そうですね。ですが、主の記憶によれば後にこの街に来るようではないですか。その時に手を下しましょう。楽しみですねぇ』

(だな、あのノートをコピーして冥界中にばらまく準備をしなきゃ行けないなぁ)

「朱音さん。ヴァーリに校内を少し案内してあげてくれないか?俺少し電話してくるから。な?」

「ひっ!……分かったわ。後でケーキ作りなさいよ」

「了解」

さぁ、屋上に行こう。

 

 

─アザゼルside─

プルルルル、プルルルル、プルル───

あぁ?ったく誰だよこんな時間に電話してきた奴はよ

まだ昼過ぎだぞ?時間を考えろってぇの。

「はい、もしもし?」

「やあ、未婚総督アザゼルさん、こんにちは。」

「ああ?誰が未婚総督だコラ!ってかその声、瑚太朗か?いや、凡人の方がいいのか?」

何だ、何だ?こいつが電話してくるなんて面倒事を持って来る時だよなあ。うぉ、何か寒気してきた。

「ヴァーリとあったんだけどさ」

「あぁ、アイツ無事にお前を見つけられたのか。良かった、よか────」

「良かっただぁ?てめぇあんな美少女町に一人でほっぽり出したまま放置してんじゃねぇよ。ノート一冊冥界にばら撒いていいよな。うん」

「やめろおおおおおおおおおおおおお!!やめてくれぇ!何がそんなに気に触ったのか知ら───あっ」

確かアイツ女性一人で街中歩かせるの好まなかったな。

今やヴァーリは誰が見ても美少女だろう。

………うん、やっちまったなこりゃあ

「理解したな、ならばよし。ノートを冥界中にバラ撒こうか」

「頼む!!やめてくれ!すまなかった!ヴァーリの実力を鑑みても大丈夫だと思ったから一人で行かせた。変な男に捕まることはまずないと思ったからで───「美猴は?」は?」

美猴?そいつは確か孫悟空のジジイんとこのクソ猿の名前じゃ無かったか?絶賛反抗期の。

「その美猴がどうした?」

「ヴァーリと一緒にいる」

なるほど、ヴァーリを誘ったか。アイツの基本的な目的は強くなる事。瑚太朗を越えること。

そういう意味じゃ自由に動ける奴と組むと色んなとこでドンパチ出来るって事か。

「お前から見て美猴はどう思う?」

「俺?兄貴系の爽やかイケメンってとこだな。物理的に精神的にもヴァーリにゃ勝てんみたいだが。腹パンされて部室で気絶してるぜ美猴」

ヴァーリの奴一体何やったんだよ

 

「まぁヴァーリが元気なら良かった。お前のとこで預かれるなら預かってくれ。それと、コカビエルの野郎が馬鹿やらかしてくれてな。ちょっと後始末頼んでいいか?」

「あの、戦争狂が?………あいよ。その代わり後で人工神器の研究俺にも手伝わせろよ。ちょっと作りたいものがあるんでね」

「大歓迎だ、それとこちらから少し援軍を出させて貰う、と言っても1人だけどな」

「あいよ、その子はイッセーに任せるよ」

そういうと、奴は通話を切った。

イッセーってのは確かアイツが言ってた今代の赤龍帝だったか?

瑚太朗も誰が来るのか分かってやがるし、俺も柔らかくなったもんだね。

さてと、コカビエルの野郎。死んだな、アイツ何故か駒王町にとんでもなく肩入れしてるし、小鳥にも手を出そうものなら、本当に消されるかもな…………

と、忘れないうちに特訓しまくってるアイツに永続任務を与えないとな。『死ぬまで好いた男の側にいろ』ってな。

 

 




瑚)そういや、ヴァーリ美猴とはどうやって知り合ったんだ?この街には一人で来たんだろ?
ヴァーリ)ああ、それなら街で普通に軟派されたわ。断ったけど。
瑚)ほぉ、軟派。軟派ねぇ〜
ヴァ)(あら?何か瑚太朗から黒いものが吹き出して見えるわね。言葉を選び間違えたかしら。電話するって言った時と同じ雰囲気だわ。ゾクゾクしちゃう)
瑚)美猴ぉ〜?どこにい〜るぅ!!?首をだせぇ!
ヴァ)うふふ、美猴ったら何をしでかしたのかしらね?
瑚)(ウチの可愛いヴァーリを軟派してくれた野郎に御礼をしなきゃ行けねぇなぁ。おい)
ゼ)主、協力させていただきます。
美猴)ひぃいいい!なんか恐ろしい寒気が。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雨、振り始めました

ナメクジ参上!
何とか3月中に書き上げることが出来ました
かなり詰め込んだのでごっちゃごちゃになってしまった所もあるかも知れませんが取り敢えず

どうぞ(っ´∀`)っ


あれからヴァーリは朱音に案内してもらって満足したらしく。

自分でとったホテルに戻って行った。

美猴は死に体で校舎の外にほっぽり出された。

不審者扱いでいいそうだ。(ヴァーリ曰く)

美猴死に体なのはちょっとOHNASHI☆をしたからで俺は悪くない。

 

雨が振る少し前に球技大会は終わり、ちょうどいいタイミングだった。

研究会の方は特にする事も無いので解散になった。

ただその時にルチアとちはやは戻って来なかった。

 

何もする事が無くなった研究会から出て、研究部に向かった。

誰もいない部室に一人で居ても寂しいだけだから。

「こんちわー、って何かあったのか?こっちもお通夜ムードじゃねぇか」

どんよりとした。不穏な空気でみんな俯き気味だった

「……ああ、瑚太朗か。木場の奴とすれ違わなかったか?」

「いや特に会ってはいないぞ」

「そう………ちょうど瑚太朗もいるし。祐斗の事について少し話をしましょう」

 

 

 

─祐斗side─

外は土砂降りだった。

僕は傘をさすこともせずに歩いていた。

熱の上がった頭を、体を冷ます為に

 

多分初めてかな、部長とケンカをするのは。

救ってくれた主に、命の恩人に反抗してしまった。

恐らく『木場 祐斗』としての『騎士(ナイト)』としての僕は失格だろう。

けど、聖剣エクスカリバーへの復讐心だけは忘れる事は出来ない。

否、忘れちゃいけないんだ。

僕の為に亡くなった同志の為にも、絶対にエクスカリバーだけは許せない。

 

ふと、人の気配を感じて横を向いた。

「た、す、け……………」

ドチャッ!

水溜りの上に神父が倒れ込んで来た

神父の腹部から水溜りに赤いものが広がっていった。

血だ。誰がこんなことを?────敵?

 

ゾッ!!

一瞬、ほんの一瞬だけ背後に殺気を感じ、魔剣を振り抜いた。

ギィィィイインッッ!!

後にいたのはそこに倒れている神父と同じ格好のフードを被った男

先程感じたおぞましい程の殺気はなく、様子を見ている様な感じだった。

「ん?神父じゃねぇ。それにその剣、木場 祐斗か?」

フードをとったその男の髪は白髪でいつかの教会の時にいた。

剣士と見て取れる。僕らとそう年齢は離れていないだろう男。

「フリード・セルゼン………」

「お?まだ覚えててくれたんだ。ちょっと複雑だけど嬉しいね」

この男は神父の癖にどうしてか憎めなかった。

神父らしくないからなのかな?それとも彼に何かあるのだろうか。けどそんなことはどうでもいい。

ただ、今その苦笑いだけはやめてくれないか?今絶対に思い出したくないんだよ。

神話の英雄で、何時も無表情なのに、時々表情を崩した様に優しくほほ笑む。とても優しい彼を思い出してしまうその笑いだけは。僕の前から消えてくれ!

 

ガギィッ!!

「さっきのお返しって感じか?そりゃよく確認もせずにいきなり斬りかかった俺も悪かったさ。でもこのイケメン顔に向かっていきなり切りかかって来るのは宜しくないな!──はぁ!」

「んなっ!」

彼が僕の剣を弾くと同時に長剣に聖なるオーラを纏い始めた

あの光は!あのオーラは!あの輝きは!

───忘れるものか、忘れらるものか!!

「悪いが今ここでアンタと殺り合うつもりは無い。今の目的は神父狩り、そして。この()()()()()()()()()の試し斬りだ」

彼の持つ剣は聖剣エクスカリバーそのものだった。

 

─主人公side─

「へっくしっ!」

「風邪でも引いたのか?瑚太朗」

「いや、大丈夫ちょっと鼻がムズムズしただけだ。噂でもされてんのかな?」

具体的には聖剣エクスカリバー関係で

「瑚太朗さんなら、噂も沢山されていそうですね」

実は俺、結構噂をされる人間だ。またの名を口コミと言う。主に何でも屋としてだけど。

「あ、やっぱりアーシアも俺のそういう話聞いたりする?」

「はい、桐生さんから瑚太朗さんの解決した事件は幾つも聞いていますし。その中にはイッセーさんと協力して解決した物もあったのでよく覚えていますよ」

へぇー松田好きのアイツがねぇ。

アーシアの面倒をよく見てくれてるみたいだし後で差し入れ入れとくか。

「ちょっと、話が完全にそれちゃってるじゃない。聖剣計画の概要。生き残ったのが祐斗だけだったという事は理解出来たかしら?」

そりゃ、復讐の一つや二つくらいしたくなるな。

というのが俺の感想。

まぁ、その、全員生きているという事実を知っている俺からするとそうとしか言えないし、事実を話さないことに対しての若干の罪悪感はある。

「それで?その事をイッセーと俺とイリナの写真見てそれを思い出したと」

取り敢えず、今はコッチの話に追わせておこう。

「ん?あの男の子イリナって言う名前だったっけ?」

「イッセーそれ本人の前で絶対言うなよ?あいつ女の子だからな?凄く失礼だからね君」

「マジか、俺ずっと男の子だと思ってたわ」

まぁ、あの様子を思い出せば男の子だと思ってもしょうがないと思うんだよな。

ヴァーリ程じゃ無いにしてもイリナも相当ヤンチャっ子だったからな。イリナのお父さんは家の道場通ってたから顔もよく覚えてるし。

あぁ、イリナが不憫だ。

『主、あなたも人の事言えませんからね?そしてブーメランですね』

何故に俺に振る?

『ハァー。主は一度身の回りにいる女性との関係を見直した方が良いと思います』

???分からん何故俺なんだ?イッセーじゃないのか?

確かに交友関係は広いけどそこまで深い付き合いの奴なんていないぞ?両オカ研とか、生徒会とか、()()()()()とかしか。

 

主はその助けた奴らという人物がどれだけいるのか理解してしないか、忘れているのですね。ああ、多くの女性を泣かせる主が容易に想像出来てしまう………

 

「そっか、イリナかアイツ今どうしてるかな?」

「さぁ?案外お前より強くなってたりしてな」

俺は冗談めかしてイッセーにそう言った。

「ははっ無い無い………無いよな?」

「いや、知らんよ。」

トウジの教え方にもよるし、何よりストラーダの奴に会えているのなら間違いなくイッセーよりも強い、技量として、の話だが。

まぁ、あれだ成長したイリナにはまだ会っていないが少し期待できる。

それにもし静流が言っていた組織のグループに所属していたのなら間違いなく()がいる。

生身で俺に傷を付けた化け物三人のうち一人。

江坂 宗源

「攻撃はシンプルに力強く、だ」アイツのよく言うアドバイスだ。

理解出来たし、俺も習うべきところが多かった為に実践してる事も多い。それを基に今の『天流・戰ノ型』が出来ているのだから。

ただ、アイツの自慢のギャグだけは病気の域を抜け出せなくて、教会の部下達の悩みの種になっていた。

とても厳しく、優しい奴だ。全盛期の奴の剣筋は全力の俺が辛うじて避けられる程の速さで、俺の身体に切り傷を………なんてレベルでは無く。

そうだな、近づいた瞬間に俺の腕がはね飛ぶくらい強いと言ったら大体の強さが分かるだろう。

結論だけ言えば世界で10本の指に食い込む程の強さだ。

 

踏み込んだ瞬間に腕が宙を舞ったのを見た時は今でもよく覚えている。だってこの世界で初めて()()と明確に認識した瞬間だから

江坂と会ったのは戦場だ、魔物狩りをして、戦争の中で幾度も対峙し、そして戦いあった中だ。最終的に決着を着けることなく俺が目的を果たしてしまい、それ以降会っていない。

ただ、可能性としているかもしれない、という俺のちっぽけな予測だ。

 

後のふたりはミルたんとゼルとアンの二人だ三人じゃないかって?

ミルたんで一人、ゼルとアンは二人で一人なので二人というカウントになる。まぁ傷って言っても致命傷の事だから擦り傷切り傷はしょっちゅうしてる。別に俺は化け物じゃないからね?本当だからね?

 

その後話すことも無くなり部活も夜の仕事だけとなったので各自解散となった。

「イッセー、今日は特訓休みだ。久々にイッセーのお父さんとお母さんに挨拶しておこうと思ってな。」

「休み?マジ?分かった母さんに連絡しとくよ。やったなアーシア今日はご馳走が並ぶぞ!」

「はい!私も精一杯お手伝い致します」

うん、仲睦まじい様で何より。

「リアスはどうする?一緒に来るか?どっちにしろ1回家に帰るから黒にも聞くけど」

「そうね、下僕との仲を深めるチャンスだもの、私も行くわ。黒も行きたがるでしょうしね」

部室での会話で黒歌の事はまだ名前を出せないから、黒歌ではなく『黒』として呼んでいる、それだけでイッセーには分かるし。

黒歌からのお願いでもあったから。『白音には自分から全部話したいから、はぐれじゃ無くなる事をまだ言わないで欲しいにゃ』といわれた。俺もリアスも了承した。黒歌が初めて言った我儘だ、きっと上手く出来ると信じて、俺は黒歌の願いを受け入れた。

リアスがどう思ったのかは分からないがとても優しそうな顔で笑っていたし。「そう、分かったわ」としか言っていなかった

 

─帰り道─

外に出ても雨はまだ止んでいなかった、しかも強いくらいだ。

動く傘は一つだけ、つまるところ相合傘って事だ。

「ねぇ、瑚太朗?」

「どうした?リアス」

リアスが俺に声をかけるのと同じタイミングで、リアスの肩が俺に触れる。リアスの方が少しだけ身長が低いんだな。

先程イッセー達と別れて今はリアスと俺の二人だけだ。

「私は祐斗を助けてあげられるのかしら?」

「………………」

リアスの持つ不安、自分の行動への自信が欲しいのだろう。

「正直私は、聖剣計画の事は忘れてこの駒王学園の一生徒として、私の『騎士(ナイト)』として過ごして欲しいと思っていたの」

「でも、それは叶わなかった。どうする、このまま祐斗を放置するのか?」

「そんな事絶対にしないわ!…………ただ、ただね。私にはどうすればいいのか分からないの。私が何を言った所で祐斗は反発してしまうでしょうし、だからと言ってこのままはぐれになんてさせるつもりもない。……………本当、どうしたらいいのかしらね?」

 

リアスはあの婚約の件以降俺に弱味を見せてくるようになった。

本当であれば『(キング)』として下僕のみんなに見せられない所だから。下僕以外でオカ研に在籍する俺に、愛おしいと思う俺に弱い部分を守って欲しいのだとか。

黒歌にも相談している事があるらしいが俺には言えない事らしい。

 

「言い方は悪いが、何もしないと言うのも一つの手だな」

「どういう事?」

少し怪訝そうな瞳で俺を見つめて来るリアス。

相当不安なんだな、自分の手元から下僕が仲間がいなくなってしまうことに。

「もう少し、自分の下僕()を信じてやりな、アイツらが祐斗がいなくなるって聞いて何もしない訳ないだろ?特にイッセーは仲間を大切にする奴だからな。あんな話聞いて、はいそうですか。って黙ってる訳がない。だから見守るだけの時が少しくらい有ってもいいんじゃないか?」

「そういう事ね………分かったわ。少しだけ、本当に少しだけ見守る事にするわ。それでもし、何かあったら………」

「そん時は俺も出張ってやる、言い出しっぺは俺だ、責任は持つ」

「責任、責任………既成事実?」

おいおい、何故そこで赤くなったリアス、今真面目なお話してたよね?確かに責任とは言った、言ったよ。だがそれがなぜ既成事実になるんですか!?

 

「………瑚太朗?明日、そのぉ…………」

これはまずいぞ、何とかして話を逸らさなくては

「明日?ああ、またあのマッサージするか?俺はいつでもいいぞ」

「えっ?ああ、ええ。そうねまたお願いするわ。アレは体の疲れがよく取れるものね、ええ、マッサージ最高!」

よし、なんとか話を逸らしたぞ。リアスにはちょっと悪い事をしてしまったと思うがそれでもまだ、今の距離感がちょうどいいと思う。

チキン?ヘタレ?うっせー知ってるよそんな事。でもまだそんな事する時期じゃないの!

 

ちなみにマッサージって言うのは『天流』の道場でやっている激安接骨院みたいなものだ。保険関係は前世で経験したことあるがどこの世界でも少し面倒なのは変わらなかった。

サーゼクスと黒歌の話をしに行った日に黒歌とリアスにしてあげたのだ。だから別にナニをしていた訳じゃないのだ。

 

「あら、もう付いてしまったの?」

「そういや、雨も止んでるな」

思ったより歩いてたんだな。俺たち

それにここまで近づけば────

「二人共、おかえりなさいにゃ!」

「「ただいま、黒歌」」

ほら、黒歌が出迎えてくれる。

「お疲れ様でしたマスター、リアスちゃん」

そしてもう一人出迎えてくれたのはアンだ。

容姿は俺が作った中で過去最高のモデル。

鋭い目付きをしながらも、すれ違えば老若男女関係無く振り返る様な美人、ひとつに纏められた髪は流れる様に風を受け、家から漏れる光でもハッキリとした体の凹凸が分かるほど理想系の体。

アンの理想を徹底的に詰め込んだ、ボンキュッボンなお姉さんだ、見た目はね。でも────

「おう、楽しかったか?アン」

「ええ、そりゃあもう最高でした!今度は一日だけでもいいのでゼルと行かせてください」

──この通り、ビックリするくらい性格が軽い。とても話しやすいいい人だ。

「ははは、なら良かった。できる限りの事はしてみる。楽しみにしててくれ」

「はい!」

本当嬉しそうで何よりだよ。

『ええ、アンの笑顔が見れたので今日はよく眠れそうです』

(そりゃ良かった)

 

外での会話を切り上げ、家に入った所で黒歌にも例の事を聞いた。

答えは即答で「行くにゃ!行きたいにゃ!!楽しみにゃ!!」と猛烈に張り切っていた。

 

─イッセー宅にて─

 

「「「……………」」」

バツの悪そうに黙っている三人、アーシア、リアス、フードを被った女性

「本当に可愛くなって!ねぇイッセー?お父さんは?元気?急に引っ越すって言うから、凄くビックリしたんだから!」

「いえいえ、可愛いだなんてそんな照れますよ。それにイッセー君も随分と変わられたようで………本当、しばらく見ないうちに変わったわね。イッセーくん?」

「………まぁ、色々あってな。一応元気だよ」

まぁ、会話から分かると思うが、イッセーのお母さん、イリナ、イッセーだ。黒歌は俺と一緒に厨房にいる。

そろそろ仕上がるしお母さん呼ぶか。

「お母さん出来たよ、持ってくの手伝ってくれない?」

「はーい、今行きまーす。ごめんねイリナちゃんもう少しだけ待っててちょうだいね、今ご飯作ってる所だからね」

「いえいえ、お構いなく。懐かしくなって寄っただけですので」

このままだと、色々気まずくなったまま去りそうだなこいつら。………そうだ『俺』の料理で釣ってみるか

「食わねぇのか?『俺』が作った飯」

「いえ、いただきます!瑚太朗君の料理だったらいくらでも食べるわ!」

「しかし、イリナ彼女達はあ…………私は遠慮しておこう。幼馴染の家なんだろう?ゆっくりしていくといい。先に私は教会に行っている────」

ゼノヴィアか、ちょうどいい

「食っていきな、作ったのはただの一般人の飯だからな」

黒歌も認識阻害で人間にしか感じられない魔力に抑えているから問題ないだろ。

「しかし、我々には任務─────!?」

「はーい、お待たせしました。どうぞゆっくりしていってね〜」

俺の作った料理をイッセーのお母さんがゼノヴィア達客人の前に持っていく。

どうやら目の前に並べられた料理の山に目を奪われて、言葉が続かなくなったようだ。お腹すいてそうな顔してたもんなぁ〜。

路銀は恐らくイリナが………うん、これ以上考えるのはやめとこう。

「……………では、少しだけいただくとしよう」

「召し上がれ、皆も遠慮すんな。アーシア欲しいもんあったらイッセーに言うんだぞ。リアスも黒歌もな」

「はい」「ええ」「はいにゃ」

さて、飯食ったら一悶着ありそうだなぁ〜

どうか平和に過ごせますように。

 

 

 

─翌日─

客人用のソファーに座る二人の美少女。

紫藤 イリナとゼノヴィア、昨日俺の飯を楽しそうに、美味そうに食ってた二人組。

それに対する様に大胆不敵に相手を推し量る様な瞳で二人を見つめるリアス。その後には祐斗以外の眷属悪魔が揃って立っていた。

因みにオレは今入ってきたばかり。

 

こちらに気が付いたのか全員の鋭い視線が俺に向けられた。

「………何?この状況」

どうやら本格的に三巻の内容が始まったようだ

 

 

 




ア)黒歌ちゃんとのお買い物はとても楽しかったですマスター。ですから何卒ゼルと二人の時間を作らせて下さい。デートコースの下見もしてきたので。
瑚)分かったできるだけ早く機会を設けられる様に努力しよう。取り敢えず魔力だけでの身体に作りが出来たから、他にも仙術、気、妖気etc.使って体作って見るか。取り敢えず俺は暫く魔力使えないし、アンが完全に魔力を使い切ってくれたから久々に魔力枯渇に陥ってるからな。もう少し待っててくれるとありがたい。
ア)魔力に関しては申し訳ございませんでした。でも、楽しかったので許して下さい。
瑚)楽しんで貰えたのなら俺も本望だからな魔力くらい持ってけ持ってけ。
ゼ)あのー、何か二人で楽しそうなお話をしているようですが、何かあったのでしょうか。
ア)体を動かすのはとても楽しいことですね。って話してたの。
ゼ)なるほど、今日のアンの笑顔は初めて見たし、とてもいいものだった、やはり人間の肉体は表情がハッキリと分かっていいものだな。主次は是非私にも体を………
瑚)(夫婦とはここまで考える事が同じなのだろうか?それともこいつらがシンクロしすぎてるだけ?まぁいっか)
ああ、魔力以外でも体作れないか試してみるよ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

感情、表出ました

たいへん長らくお待たせしました。
台風過ぎてこんにちは
雨の中からひょっこりと
岩の下ではヌルヌル動く
ナメクジこと、裕 紫翠でございます!

前回投稿日か約3ヶ月は経っての投稿です。
皆さん私の事を覚えていらっしゃるでしょうか。
そうです。投降鈍いナメクジ野郎です。

漸く書き上げた話、ちょっとだけ長めになっていますがぜひとも楽しんで頂ければ幸いです
それでは(っ´∀`)っどうぞ!



「「「「「…………………………」」」」」」

し、静かだねぇ〜。

一応話し合いをする迄の間昨日のイッセーの家にいなかった朱乃、小猫にどうしてこの領地にエクソシストがいるのか。という概要だけ説明して俺を待っていたらしい。

それにしても会話がない、こういうシリアスな雰囲気苦手なんだけどなぁ〜。まぁでも今回ばかりはシリアスブレイクも我慢我慢、俺が下手に手を出したりしたら祐斗の『禁手(バランスブレイカー)』がお披露目出来ないかも知れないからな。

「さて、役者揃ったようだしそろそろ始めようか、初めに君に感謝するよ天王寺 瑚太郎。昨日は美味しい夕食をご馳走していただきありがとう。あのままだと路上で寄付を募るハメになりそうだったのでね」

「ああ、その程度気にしなーい、気にしなー………っ!」

すわっ!!さ、殺気が。殺気が向けられているだと!?

何故だ、何故そんなに怖い瞳でこちらを見つめているんですか朱乃さん!?、小猫さん!?

 

「あらあら、瑚太郎くんの料理を食べられるなんて、とっても幸運な事ですのね?」

「そうですね、瑚太郎先輩の()()()夕食どんなものなのか凄く気になります」

 

ジッ

おうふ……こわ、俺の夕食食えなかっただけでそんな、睨まなくても……というか小猫、何故普段のを強調したんだ。普段を。

イリナたちは兎も角リアスに至っては一緒に暮らしてるんだから俺の飯くらい食べてるぞ。

3日に1回くらいのペースで。後なんで俺が睨まれなきゃならねぇんですか!?

(主、彼女たちは合宿の時に貴方の料理を食べています。その時に虜になっていたとしてもおかしくありません)

そんなにか?

前回だって別に大したものは作ってないし、それこそ今回なんて有り合わせのもので大半を作って、残りは家から持っていった漬物くらいだぞ?

とゼルと会話?をしていると

 

「朱乃、小猫。私たちは食べたわ。凄く美味しかったそれはもう他の料理なんて要らないって思うくらいにね……」

「うふふふふふ、羨ましいですわねぇ」

「イッセー先輩のお宅で食べたそうですね…………」

「ヒッ!?」

あぁ、なんで煽るようなこと言うのリアス。というか君は3日に1回食べてるじゃない。うちで暮らしてんだから。でも自慢にしてはローテンションだな

あと小猫イッセーにその目を向けたのはナイスだとおもうよ、流石にアーシアにそんな目を向ける訳には行かないもんな。

「あ、私も食べました。すっごく美味しかったです!」

アーシアさん!?

あの敵意の嵐に自ら突っ込んで行くのか君は、凄いな聖女様は。まあでもおかげでほんわかした雰囲気になったな。

「ええ、そうね瑚太郎の料理とっても美味しかったわよね………」

あの、リアスさん?なんでそんな遠い目してるの?もっと誇らしげに言ってくれてもイイんだよ?

(………主、さっきと思っていることが矛盾していますよ。嬉しいのはわかりましたが)

うっせ、黙ってろ

と言うものの実質褒められて照れてるのは本当だ。だってこんな美少女に料理がとても上手だって褒められて喜ばない訳がない。ただ照れているというのはあまり認めたくない事実である。

だって恥ずかしいじゃん。

────と、なんだ?リアスが重々しく口を開いたぞ?

「…………そしてね、私たちがどう頑張っても瑚太郎には勝てないと思ったわ」

 

「「……………そう(そうだったんですね)」」

なんか納得してらっしゃる!?

「確かに瑚太郎くんは一人暮しにしては色々と出来すぎる様に思いますわ」

「成績は文句無しのオール5、スポーツ万能、家事万能、更には処世術にも長けています…………確かに文句の付け所が見当たりません」

 

えぇー、何この雰囲気。何故か俺を題材に一致団結しておりません?

あと俺褒められてんだよね?そう受け取っていいんだよねぇ!?

(……………主)

なんだよ。

(強く生きてください。きっといい事がありますよ)

おいコラてめぇどういう意味だ

(…………………………)

黙らないでくれぇぇぇええぇぇええええ!

 

「話の腰を折る様ですまないが私たち教会側の考えを示して起きたいのだが」

「ええ、構わないわよ」

あれ?俺の話しどこ行ったの?確かに俺の話は終わったけど、ねぇ。君たち一体俺のことなんだと思ってんの!?

「それではまず───────」

俺の嘆きは誰の耳に届くことなく、そして話し合いも進んで行った。

ゼノヴィアの話は、まぁ要約してしまえば。

7本ある内の三本の聖剣が各管轄から盗まれてしまった、しかもご丁寧に1本ずつ。元々1本は紛失していたので所在は分からないらしい。

そして聖剣を盗んだ犯人様はどういう訳だかここ日本に逃げ込んで更にその中でも駒王町に入り込んでいるんだとか。

 

何かしらの意図を感じざるを得ないんだよなぁ〜と思うのが普通の感想だろう。

俺個人としては犯人も動機もその性格もよく知っているからこそ面倒臭い。としか言いようが無いわけで

その上、聖剣奪還は2人でやるから邪魔をするなという上からの方針も教えられリアスがキレそうになっていた。その辺はちゃんと諌めて彼女たち自身の意志じゃないからと言うことを()()してもらった。というか、耳元で「大丈夫」って言っただけなんだけど

 

けど、まぁそんなに赤くなられちゃうと俺も少し恥ずかしくなってしまう。だって皆が見てるんだよ?耳元で囁いた俺が悪いんだろうけど、周囲から向けられる目が少しばかり怖かったな。

なんか今日、怖がってばっかじゃない?俺

(アンがいない影響でしょうか?クールな面は保てていますが)

なんか最近ゼルの口調が辛辣になりつつあるのが明確に分かってきたよ俺

(そうでしょうか?確かにアンとイチャつきたいのにも関わらず、目の前でイチャイチャしてくれやがる主がいるのでしょうがない気がするんですよね。まじ爆発しませんか?主)

もう後半悪口じゃねえか!?オイ!

(何のことでしょうか?それよりも話聞いていなくて良いのですか?)

ああ?そうだな確かに聞いとかないと不味いか、体としては聞いてるスタンスだけどな。

「────それで、この領地にあの伝説御使い鈴木 凡人がいてこの部活動に参加していると聞いていたのだがそれは誰なのか教えては貰えないだろうか。挨拶だけでもしておきたくてね、私としては是非とも手合わせ願いたいのだが。もしかしてまだこの部活には来ていないのだろうか、かの伝説の御使いであるからにはどのような人物なのか知っておきたくてね。私個人としては─────」

今目の前にいるイリナとゼノヴィア以外の全員から視線を向けられた。

目の前に鈴木 凡人がいるとは知らなかった少女たちが周りの反応を見て俺を凝視し始めた。そして

「えーっと。なんか色々と語ってもらって悪いんだが俺が鈴木 凡人だよ。ゴメンな?そんな強そうに見えないだろ?」

と俺が言ったところで

「………何?それは本気で言っているのか?」

「ごめん瑚太郎くん。いくら瑚太郎くんでもソレばっかりはちょっと信じられないかなぁ〜。後───」

イリナがそこで言葉を区切った事で2人から感じ取れるプレッシャーが大きくなった。

 

「「もし、冗談だったら(であるのなら)許さないよ(許せないぞ)」」

誰かが後ずさる音がしたら、明確に二人悪魔になりたてのイッセーとアーシアだ。

他は臨戦態勢と言った所か、リアスも少しキレかかってるしこれは証明した方が早いか?

「嘘でも冗談でもない。俺が鈴木 凡人であってるよ」

ブゥン!!ヒュッ!!

風を斬る二つの音常人であればあっという間に間に首を飛ばされているであろう速度で振るわれたそれは

 

「……………ぐっ」

「……………うっ」

「室内でそんなもん振り回してんじゃねぇよ。危ねぇだろうが」

ただの威圧だけで俺の首筋に刃を掛ける形で止まった。

血は流れていない、切り傷もない。本当にギリギリのラインで止まった。もうちょい遅かったら俺の首がこの部室に舞っているところだったな。

「ひぃ!」

「…………なるほど、本物らしい。昨日と先程の無礼をお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。焼くなり、殴るなり、好きにして下さい」

イリナは完全にビビっちまったなこりゃ、ゼノヴィアはなんと言うか、俺をとんでもなく殺戮的な何かだと思ってないか?。そこは普通煮るなり焼くなり好きにしろ!が正しいだろうに。何?殴るなり焼くなりっていくら俺でもそなことしな………あっ、そういやした事あったわ。二天龍相手に

「大丈夫、その程度でそんな事しないから、イリナもそんなに怯えなくても大丈夫だから。ね?」

「………本当に?」

「あぁ、別に怒ってなんかいないから」

「良かったぁー、瑚太郎くんを怒らせたら私たちが本部からなんて言われるか分かんないから怖かったよ」

あら?そっち?

「瑚太郎くんが本気で怒った時はもっと怖いもんね?イッセーくん」

ドサッ!

「うぇ?」

一人後ろでへたり込むようにその場に崩れ落ちたやつが一人。

「び、ビビった〜瑚太郎が低い声出すと怖いんだよな」

そんなに!?

「マジ切れしてた訳じゃ無かったから良かったものの、あんまり驚かせないでくれよな、コッチはまじ心臓に悪いっての」

なんか、ゴメンね?

「さて、私たちの目的は果たしたそろそろ行動に移るとしようか」

「本当に二人だけでやるのか?」

「ああ、そのつもりだよ。いくら伝説の御使いと言えど私たちの問題に手を出されたら。他の勢力から何を言われるか分からないから、貴方からの協力だけは絶対に拒む様に上からも言われているからね」

えぇ〜。リアスどうすんのよ、それ思いっきり私用で俺が協力したじゃん。というか首突っ込んでったじゃん。

 

リアスも自分の事を思い出したのか少し恥ずかしそうに俯いていた。

「それでは、私たちはこれで失礼させてもらうよ。いつまでも教会関係者がここにいるのは迷惑だろうからね」

「そういう事、じゃあねイッセーくんまた会いましょ。後それとこ……ぼ……」

「瑚太郎でいいよイリナ」

「うん!瑚太郎もまたね!」

仮にも幼馴染みの1人が神話の中に出てくる人物だと知って混乱しているだろうイリナにちょっとした呪い(認識齟齬)を起こさせて貰った。本当だったら今までの俺が何だったのか問い詰めて来るはずだからな。

そうして、大人しく部屋を出ていくと思ったのだが────

 

「…………………そうだ」

「どうしたのよゼノヴィア」

─────────!?!?

何だ?悪寒?この気持ち悪さ、どこかで…………

(主!───るじ!────じ!───!!)

声が遠くなってる?………アレ?この声()の声だっけ?

 

「昨日、兵藤 一誠の家に上がった時少し気になっていたんだ。アーシア・アルジェントか?」

「えっ?は、はい」

何故だろうこれ以上先を俺は聞いてはいけない気がする。

(────────────────────)

ノイズ掛かったこの声も俺を止めようと必死になっている。

何故?

原作の記憶この箇所は確か抜けていた部分だ。

何故?

ラグナさんは俺が知るべきではないからキツめの封印を施したと言っていた。

何故?それは俺が───

 

まさかこんな地で『魔女』に会おうとはな

 

─────弱いからだ。

 

「───!」

随分と驚いた、と言うよりも明らかに怯えたような表情をしているアーシア

「ああ、『魔女』と呼ばれる様になった『元聖女』様ね?」

元?何故元なんだ?ドウシテ魔女になるんだ?

(──────────────)

ノイズが響く………頭が痛い…………割れそうだ……………

「悪魔や堕天使までもを癒す能力を持っていたが為に追放されたというのは聞かされてたけど、悪魔になっているとはねぇ」

ピシッ!!

割れる……頭の中で皹の入った音がする

「あ、の…………わた、しは…………」

「アーシア………」

心配そうな、アーシアを慮るイッセーの声が聞こえた。

皹が塞がることは無いが痛みが軽くなった。

 

「しかし『聖女』と呼ばれていた者が悪魔と堕ちれば堕ちるものだな」

パキッ!!

割れる、割れる何かが出てくる。

ノイズも酷くなっている

 

周りの音も少しずつ霞んで………痛い、痛い、痛い……………

 

 

 

「捨てきれないだけです、ずっと信じて来たのですから」

何故か聞こえた。はっきりと。

これが最後だとタメを作るためだけにノイズさえもなくなって。そして─────

「ならば今すぐ私たちに斬られるといい」

「────!!」

「その罪も今ここで断ち切ってしまえば我らの神は救いの手を差し伸べて下さるだろう」

「その辺にして────」

「おい!お前ら────」

二人が同時に声を上げる、しかしその次は続かない何故って?

 

 

 

 

 

 

──────ガラス玉は墜ちた。そして、砕けて割れた。

 

 

 

 

 

 

 

─イッセーside─

「──オイ」

その一言は誰に対して放った物なのか

考える余裕が無かった、怯える余裕すら無かった。

今その席に着いている黒い存在が部室をたった2文字で支配してしまったから。

 

前に何度か見た事がある、瑚太郎がガチ切れしている所を。

今回はそれの比じゃない、ライザーの時でさえもここまでキレてはいなかった。

それを今回は瑚太郎の許容量を越えて本当にキレている

「アーシアが『魔女』?こんなにも優しく、可愛く、()()子が?ふざけるな!アーシアの癒しの力は存在する生き物全てを癒すほど強いものだ、それを異端だと?教会の上官は能無しの集まりなのか!?本来のあるべき形をした癒しを異端と唱えるそいつらこそが異端になるべきだろう。神器は誰に授けられる力だ?神だろうが!それを否定するような奴らが信徒でいていいのか教会は!ただ制御出来ない力だからというクソみたいな理由でアーシアを『魔女』認定して、悪魔、堕天使までもを癒せる()()の優しい力が異端だというのなら、神器という力を持つ人間全てが異端に成るだろうが!それが教会の意に沿わないから、堕天使、悪魔を癒せるからとかいう理由で異端になるんだったらな。はなっから『聖女』なんかに祭り上げんじゃねえよ!てめぇら上のクソみたいな奴のせいで彼女がどんだけ傷ついて、どんなに悲しい思いをしたと思ってんだよ!聖女だろうと聖剣使いだろうと神器使いであっても、ただの人間なんだよそれを勝手な妄想、思い込み、勝手な自己解釈で納得すんな!たかが人間風情が調子に乗るな!それとなぁ!アーシア・アルジェントを『魔女』だと宣い、彼女を傷つける存在はこの鈴木 凡人がねじ伏せてヤるよ!」

 

初めて見た、瑚太郎が怒った表情。

感情の起伏がないと言ってもいいくらいに表情を変えないのが瑚太郎だ、笑っていても優雅に微笑むだけだったり、今みたいに大きく表情を変える事はめったにない。特にこんなにも感情的に怒っているのは本当に()()()見た。

 

「瑚太郎、お前」

「なんだ?どうした!?」

うおっ!びっくりした

「いや、そんな感情的に怒る奴だったけ?」

「知るか!あーでも、イライラしてるのは確かだ」

何かが変わった瑚太郎は昔までの機械みたいな作り上げた格好良さじゃ無くて、本当の瑚太郎が見えた気がした。

 

ただ、瑚太郎の言い分に納得出来ていないものも当然いるようで

「鈴木 凡人貴方は私たちの意見を分かってくれると思っていましたがどうやら私の勘違いだった様ですね」

「はぁ?教会側の意見なんぞ知らねえよ。そもそも俺は二人だけで聖剣奪還とか内心認めてねぇからな。なんで、こんな可愛い美少女二人だけで危険な所に向かわせてんだよ。そもそも正教会の人間何処だよなんで二つの所だけなんだよ。」

「なんか、瑚太郎くんさっきと雰囲気全然違くない?」

確かになんか我慢やめたみたいな感じだよな。

 

「なるほど、鈴木 凡人貴方は私たちの実力を不満があるのですね?」

「瑚太郎でいい。後敬語もいらねえ」

「そうか、ならそうさせてもらうよ昨日もこんな感じで話していたからね」

「あいよ」

なんだろう。今すっごいとこに立ち会ってるんだろうけど瑚太郎の変化が強すぎて全然頭が追いつかねえや

 

「二つ聞きたいことがある。いいかな?」

「どーぞ」

瑚太郎は手をヒラヒラっとさせて答える、なんか態度悪くない?

「一つ先程の魔言どこに向かって言ったんだい?返答次第で───」

「教会関係者全て」

「なっ!?」

瑚太郎のこの言葉に1番驚いていたのは部長だ。

朱乃さんはあらあら、と笑っているし小猫ちゃんなんて瑚太郎を凝視してる。

「そうか、ならば何も言うまい」

何も言えないの間違いじゃないの?とは言えなかった。

 

「もう一ついいだろうか」

「まぁ二つって言ってたからね、構わないよ」

あ、ちょっと戻ってきたかな?普段の瑚太郎

「私たち二人の実力が不安だというなら手合わせ願いたい」

「やってもやらなくてもどうせ行くんでしょ?」

「もちろん、それが我々の使命なのでね」

「いいよ」

二つ返事で返した?あの瑚太郎が!?

一体どうなって──────

「ここにいる兵藤 一誠と木場 祐斗の二人を倒したらね」

「「「「「えぇ!!」」」」」

今日1番のとばっちりだぁと思ったのは俺だけじゃないはず。

 

 

 

 

 

 




瑚)久々の投稿だ!俺が帰って来たぞー!
作)お待ちくださった皆様本当にノロマですみません。まる一日休めてガッツリ書ける日が無かったものでして。どうか暖かい目で見守っていただけるとありがたいです。
ゼ)それはそうと今回は随分とキャラがブレていたような。
瑚)俺の感情云々〜って言うのがちょっとだけ出てきたよな。
ゼ)そうですね、やはり私もアンとイチャイチャしたいです!
瑚)おま、それ結構根に持ってるだろ絶対
ゼ)ええ、もちろん。主が羨ましいのですよ。好きな人と好きな時にイチャイチャ出来るのが
瑚)まぁ、うんそうだね。
ゼ)最近アンが全然戻って来ないから一人で寂しいんですよ!
瑚)お、俺がいるじゃないか!
ゼ)何、当たり前のこと言ってんですか、アンノニウムを補給したいんですよ俺は!
瑚)アンノニウムってなんだ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖剣と張り合いました!

夏が過ぎ干からびていたナメクジに恵みの雨が降り注ぎました。
どうも紫翠です。
相変わらずのナメクジだなと塩を振り撒いて貰えればこの身を溶かすつもりで頑張ります。
突然ですが皆さんには夏休みがありましたでしょうか。
私はほとんど休むこと無く忙しない日々を送っておりました。
苦労自慢では無いですが、旅行に行ってみたいです。
出来れば温泉に!!

さてさて、私のくだらない忙し話はそこら辺のゴミ箱にぶち込んで。
今回も大して話が進んでいないのに文字数が増えております。
着々と書き進められるよう私も身に塩を振りかけながら頑張っていきます。
それではとても長い前書きになりましたが。
楽しんで頂ければ幸いです。
どぞ(っ´∀`)っ


祐斗の存在に気が付いて無理やり話を通した結果

力試し程度の範囲で戦うと言うことで話がまとまった。

途中から部室に入って来た祐斗にはずっと気付いていたので、どんな感じでけしかけてやろうかと思っているうちにあんな様になってしまった。

そして先程まで全身から噴き出す様に溢れ出ていた黒いオーラも俺らしからぬ言動と感情の起伏はどうにかいつも通りの様子に戻す事が出来た。

…………我ながら感情を御しきる事が出来なかったのは。今までアンにどれだけ依存していのか気が付く事が出来た。

という収穫になった………と思いたい。

途中から意識が混濁し始めてノイズによる頭痛に侵されていたけど、今はそれはなくなった。ちゃんとゼルの声も聴き取れている……ノイズなんかじゃない、大切な仲間の声が───。

 

 

 

旧校舎裏。運動場からは見えない位置にある開けた場所。

……………そうですあの球割をしたあの草原に来ております。

気を取り直して、ここでやろうと準備をし始めたものの一部のメンバーからはとんでもないくらいの()()の視線を感じる。やるせない。ハァー………

 

風はない、全くの無風。これにはちゃんとわけがある。

だから格好良い『決闘開始前のそよ風』なんてものはない。

もう一度言うがこれにはちゃんとわけがある。

その草原の真ん中に立つ四人。

 

協会側 紫藤イリナ・ゼノヴィア

グレモリー眷属側 兵藤一誠・木場祐斗

外野 オカ研面子上記の二人を除く

 

対戦相手は原作の如く。

イリナとイッセーの二人とゼノヴィアと祐斗の二人となっている。

そしてやはり風は────(しつこいですよ主)

 

酷い!良いじゃないか少しくらい!

俺だってやりたかった!イリナとサシの試合したかったんだぞ!なのにリアスが────

『瑚太郎、貴方は駄目よ。地形、変えちゃうでしょ?そうでなくても季節を変えてしまうものね?』という言葉とすんばらしぃまでに細められた目から放たれるジト目が怖かったから。それともう一つ…………

『どうしてもやると言うのなら夕食のおかずが1品減るからね』

こっちの方が主な理由だけど………だって逆らったら夕食のおかずが1品減るんだぞ。

死活問題じゃないか!リアスのご飯めちゃめちゃ美味いんだぞ!俺の癒しが減るんだぞ!鯖味噌無しは断固拒否なんだぞ!絶対ヤダ!ヤダヤダヤダ!!

(主!?幼児退行しかけてますよ!……それに風が外から吹き込まない理由は貴方の能力によるものでしょう?)

 

ああ、そうそう風が全く吹いていないのは俺が張った氷の影響だ。

この場所を完璧に覆い、さらに巨大でほかの人から見ても、ほかの悪魔でさえも()()()に分からなくできるようにしたがために。

すきま風もほとんど入り込む余地が無いが為に風がない。全く無い。

まぁやったことを簡単にまとめてしまえば、ここを完全に覆える程大きな氷の壁を創ってそれを繋げただけ。

ちょっと強めに視覚効果を出す為に氷の表面を溶かして鏡の様に周囲の情景を映し出せるようになっている。完全に反射させないのがまたミソなんだがそれについては置いておこう。

ついでに言っておくと酸素不足にはならない様に一応天井は設けなかった。

 

おっ、構え始めたな?イリナとイッセー。

「行くぞ!イリナ手加減出来ないかもだからな!」

「ああ、悪魔になっても私に優しいイッセーくん。久々に故郷に帰って来てみれば何と幼馴染みが宿敵である悪魔になっているなんて。あぁ、これは神が私に下した試練なのね。喜びなさいイッセーくん。あなたは私がこの手であなたを断罪してあげるわ!」

 

さて、そろそろ始めるかな?

お互いにやる気よし、準備よし。と言った所か

正直、祐斗とゼノヴィアの試合を見るつもりはない、視界には入るけど。───っとこの言い回しだと少し誤解があるか。

俺は今。積極的に祐斗の事に関してどうこう言うつもりはない。だから見はする。けど観ないだけ、結果が分かっていて。しかもそれが負けると分かっているものに気を回すほど出来た生き物じゃ無いからな。

だから俺は今まで傍にいなかった幼馴染の成長を優先する。

どこまで強くなったか見せてもらおうか()()()

 

─イッセーside─

「来い!『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』」

『Boost!!』

魔力解放、籠手周辺に集めて固める

「まさかイッセーくんがあの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を持ってるなんて、これも神の思し召しかしら?」

 

そんなの知らねぇな、けど油断したらやばいあの剣に1回でも斬られたら終わり、そんな感じがする。前にアーシアを教会に送り届けた時と同じ感じだからな。

「最初から全力だ!」

ドライグ、魔力操作のサポート頼む!

(何故俺様が貴様の魔力そ──「瑚太郎に色々言い付けるぞ」分かった手伝うだけだからな。いい加減自分の魔力程度操作出来る様になれ、なんの為に特訓なんぞしているだ。)

ご最も、でも今はイリナに集中───

ヒュン!

「────っ!?」

っぶねぇ!

鞭のしなった様な風切り音。先程まではリボン状に腕に巻き付けられていた筈の『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』が日本刀の形に変形していた。

 

危なかった、もう少し避けるのが遅かったら今頃俺は首から上がおさらばしてる所だった。ギリのギリで何とか鼻先三寸で避けきれたけどこれは………

 

ドライグとの話に集中しすぎた?

俺がイリナを侮ってた?

俺、いつイリナから目を逸らした?

太刀筋が見えなかった。と言うよりもどうやって近付かれたのか分からなかった。

「イッセー!絶対に攻撃を受けちゃ駄目よ!一撃でも直撃すれば貴方、消えてなくなるわよ!」

怖えぇよ!

でもそれが聖剣の力ってことかよ、本当に悪魔殺しだな。

触れたら終わりとか防御も出来ねえんじゃねえの?良くない方の予感が当たってて最悪だこんちくしょう。

そもそもイリナの攻め方は緩急の付け方が上手すぎる。止まったと思ったら目の前にいるとかどうやってんだよ。クソっ

 

とにかく距離を置く。相手を見て対処方法を練らなきゃ攻めに出られねぇ。

一番楽なのは遠距離攻撃だけどここでドラゴン・スマッシュを放つ訳にはいかねぇし。

そうだ。ドライグ、籠手に集める魔力を増やしてくれ、やってみたいことがある。

(分かった。中々面白い事を考えつくものだな。お前は)

褒めて貰えて嬉しいね。

もう一度倍加するまで距離を取りつつ旋回して相手を間合いに入れさせない。あと1回くらい倍加できれば………

「逃げちゃダメよ、イッセーくん!アーメン!」

また形が変わった!?

今度は鞭かよ

「危ねぇっ!」

斜め上に飛び上がった事で何とかによる攻撃を交わす………が

「スキあり!」

んなのありかよ!?

全くの逆方向に向かって行った鞭が急に速度を止めて一直線に俺に向かって来た。

バチイイイィィィン

「ぐぅ!!」

「「「「イッセー(君)(さん)(先輩)!!」」」」

『Boost!!』

「フゥ………ちょっと遅かったけどなんとかなったな」

「なっ!?何でエクスカリバーを『聖剣』を()()()()()()()()

驚いていたくれたようで何より

「うらああああ!!」

全力で引っ張っる!そんでもって右手で作った魔力球にぶつける

ドンッ!

「っくうぅぅ!」

おっしゃぁ!腹のど真ん中にヒット

威力はその場に留める様にゆっくりとイリナをその場に降ろす。そしてその眼前に左手の()()()()()()()を突き付ける

勝負あり(チェックメイト)だイリナ」

「あ痛たたた、うん私の負けになっちゃうかな。残念折角師匠から認めてもらえそうだったのに」

「ごめん、痛かっただろ。って言うか師匠か。瑚太郎みたいな感じの人なのか?」

そっかちゃんとした師匠かいるんだったらこの実力は納得が行く、独学であんな攻撃する奴なんてそうそういないだろうし。

瑚太郎あたりは出来るだろうけどどうなんだろうな。

「うーん、瑚太郎君みたいに優しいところもあるんだけど、それ以上に厳しくて怖い感じかな。イッセーくんは瑚太郎君から指南受けてるんでしょ?」

「ああ、そうだよ。何やかんやでメニューが毎日厳しくなっていくからきついぜ」

今年入ってどんだけ量が質が増えたんだろうな、本当マジで思い出したくないわ。でも慣れてきちゃうんだよな二、三日で悪魔の身体が特訓メニューに合わせる様にして成長していくからどんどん強くなって行っている。

瑚太郎によれば限界はまだ先わかんらしいけど。

今はまだ道の途中、先ずは目標持たなきゃだよな〜

 

「お疲れ様、イッセーよく戦ったわ。さすが私の『兵士(ポーン)』ね」

「お疲れ様でした、イッセーさん。お怪我はありませんか?」

「ああ、何ともないよ。大丈夫」

部長から褒められたぞ、もっと男らしくなれる様に頑張らなきゃな

アーシアは嬉しそうに駆け寄って来てくれた。ただほかの人からは少し心配したような目を向けられる。

「あらあら、まさか勝ってしまうとは思いませんでしたが、イッセーくん。手のひらは大丈夫ですか?エクスカリバーを直で握っていたようなので。いくら『神器(セイクリッド・ギア)』の籠手をつけているからと言っても流石に悪魔の手ではかなり痛かったんじゃないですか?」

「イッセー先輩。無茶は駄目です。我慢しているのだったら今すぐ出した方がいいです」

「そうなんですか?イッセーさん」

朱乃さん、小猫ちゃんの二人に心配されてしまった。それに感化されたのかアーシアまで、俺の事を心配そうに俺の顔を覗き込んできた。

「大丈夫ですよ、ほら何ともなってないでしょう?」

傷のない左手をみんなに見えるように差し出す。

「なるほど、それでイッセーの籠手に魔力がたくさん集まっていたのね?最初は貯めて大技をするんだとばかり思っていたけど、()()の強化に魔力を注いでいたのね?」

耐久的にと部長は言ってくれた。

正確には籠手その物が大きくならないかな?と思ったんだけど思っていたものよりずっと面白そうな結果になった。

ドライグも面白いと言ってくれたように俺の考えは間違っていなかったらしい。

(それにしても集めた魔力が籠手を包み込んで巨大な爪の形を成すとはな。やはり面白い使い方をする)

 

そう言って貰えると嬉しいな。

う〜ん。どんな名前がいいかな…………そうだ!悪魔龍の左手(デビルドラゴン・レフト)と名付けよう!

(………ネーミングセンスも師匠から授かった方がいいんじゃないか?)

えーっ?そうか?俺としてはかなり格好いい名前になってると思うんだけど。

(………………)

沈黙かよ!

(…………………怖い怖い怖い怖い怖い怖い)

ってなんかブツブツ呟いてる!?

「お疲れ様イッセー」

あ〜。なるほど瑚太郎が来たからか一体いつになったら慣れるんだろうなドライグ。

「ナイスファイトだったイッセー。今日の特訓は休みにしようと思う。最終的にはお前の自由意志に任せるけど、偶の休養も大事だからな大切に使う様に」

「よっしゃあぁぁぁあああああ!!!」

瑚太郎が瑚太郎が俺にご褒美をくれたぞおおお!!

初めてかもしれないこんなに直接的なそれでいて特訓に関するご褒美とか。いつも特訓になると怖くて恐くて仕方がなかった瑚太郎がこんなにも神々しく見えるなんて、貴方は一体どんなか─────

「アーシアとどこかに行ってやんな、今日は少し嫌なことがあったからなしばらく自主練にしてもいいけど。どうする?」

 

アッハイそうっすよね。俺の為の休みとか有り得ませんよね。ハイ、もちろん自主練トレはするけどしますけど!

「有難く自主練をさせていただきます!」

俺をもう少し労って欲しかったなぁ…………

「そうか、デート頑張れよ」

「!?おう、任せとけ!」

前言撤回、やっぱ瑚太郎最高の師匠だ!

 

「あぁ、そうだ。瑚太郎最後にエクスカリバー受け止めた時に使った魔力の使い方に名前付けてくんねぇかな。俺が付けた名前だとなんかドライグが気に入らないらしくって」

「あの紅い半透明の爪の事か?」

「そうそう。それそれ」

瑚太郎は話が早くて助かる。

「一応確認して置くけどなんて名前つけたんだ?」

「『悪魔龍の左手(デビルドラゴン・レフト)』」(ドヤァ

本当、何が気に入らないんだろうな。こんなに格好いいのに

「……………そうか、ドライグも大変だな」

えぇーなんかすっげぇー爽やかにこりゃ無いわーみたいな感じでスルーされた!?しかも同情するのがドライグってどういう事!?

「な、なんだよそんなに悪いのか?俺のネーミングセンス」

「悪くは無いと思うが安直だなって思ったのと。悪魔龍かよって思った位だな。せめて赤龍帝にしてやれよ。色々ごちゃ混ぜになってるからな」

そ、そういうもんなのか?

「それに魔力自体はイッセーのなんだろ?」

「あぁ、そうだけど?」

「それなら、そうだなーもし仮に俺が付けるのであれば『兵士の赤爪(ポーン・ネイル)』にするかな」

ポーンネイル?兵士の爪?なんだそりゃ

「お前は手に、正確に言えば籠手に集中的に魔力を集める事で爪を形成した、ただその手を攻撃じゃなくて、受けに回したことから兵士の赤い鉤爪。ポーン・ネイルと名付け様と思った。それくらいか?それに、お前のやり方次第でまだ伸びる筈だからな技も力も。まぉ実際に使うかどうかはお前に任せる。じゃ俺はイリナの方に行ってくるな〜」

流石瑚太郎だ!ネーミング・センスもバッチリだ!

………バッチリなのか?分かんなくなって来た。

ま、取り敢えず勝ったし、アーシアを馬鹿にした分これでチャラ……には出来ねえよな

 

 

 

どうしよう、これから。

アーシアの事だけで頭いっぱいになってたのに、聖剣って事は木場はこの件が終わるまで絶対にあのままだろうしなぁ………

なぁ、レイナーレ俺さどうしたらいいと思うかな?次会うまでにもっと格好良くなって男らしくなるって約束したのに。

俺、全然変われてないや。

そう思いながら空を見上げた。

紅く染まった空が少しづつ仄かにくらい雲に覆われていく。

良くない事が起こりそうだ。

その時の俺はそう思ったけど、今日の俺はやけに冴えていた。

 

 

─瑚太郎side─

「お疲れ様、イリナ」

そう言うってイリナの手を取る

「ありがとう、瑚太郎くん。やー勝てなかったか〜ちょっと悔しいわ」

「よく言うよ、めっちゃ手加減してただろ」

「えへへっバレてた?」

随分と可愛く茶目っ気のある返し方ができるようになったんだな。

昔の頃の面影が残ってないわけじゃないけど。それでも見違える程強くなった。何より女の子らしい姿になった。

「まぁな一目で分かった。本気でやったらイッセー消滅するもんな」

「ええ、そうなのよ。だからイッセーくんには内緒だけど結構手加減させて貰ってたし、それに()()相手に全力で行くのは大人気ないって師匠に言われてるから」

師匠は私を全力で潰しに来てるけどねとイリナは言う

なるほどなぁ。一理あると俺は思うな。態々雑魚相手に本気を出す必要はない。必要な時まで温存しておくっていう考えだ。と俺はそう考えるけど。

 

「なあ、一つ気になったんだけどイリナの師匠って───」

ドオォォォォオオオン!!

「きゃう!」

「おっと。大丈夫か?イリナ」

「あっ───うん大丈夫ありがとう瑚太郎くん。もう今のゼノヴィアね!いきなり地面を割るんだものビックリしたじゃない」

ん?なんか今変な間があったような………聞くのは野暮か

それにしても

「随分とまぁ派手にやってるね、あれ後で直さないといけないんですけど。トホホ」

「あはは、なんかゼノヴィアがごめんなさい」

「いやいいさ、これも必要な事だろ」

「うん?どういう事?」

あぁ、イリナは知らないのか。ゼノヴィアから祐斗に関してちょっとは話聞いてると思ったけど。

「祐斗はな、聖剣計画の逃げ延びた子なんだよ」

「ああ、それであんなにも聖剣に対しての怨みが表面化して私達に対しての敵意が他の人達よりも強いのね」

「なんだ分かってたのか。アイツはたった一人で逃げ延びてリアスに出会い、そしてエクスカリバーという聖剣に怨みを持ったまま今に至る」

「あれ?でも聖剣計画の被験者って全員失踪したって事になっているって前にお師匠と神官の方がお話してるのを聞いた事があるけど」

そう、全員失踪そういう事になっている。

一部上層の人間しか真実は知らないだろうな、バルパーガリレイによる聖剣計画。その被験者は唯の一人を除いて全員死んだと言うのが基本的な報告になる筈だった。それを無理やり全員失踪どこかに逃げ延びたという報告に塗り替えたのだから。

「あぁ、よく知ってるよ」

「なんと言っても、鈴木 凡人様ですものね?」

当事者だ、知らない方がおかしい。

大体そういう事にしろ、と()()で脅したのは俺だし後悔はしてない。

アース……北欧の知り合いから電話など特に連絡も入っていないからボチボチ元気にやっているんだろうとは思うけどな。

「そうだ。教えてあげないの?瑚太郎くん。あの子に真実を」

「まだ時期じゃない。もう少し後になるかなそれを伝えるのは」

「そっか、その時は上手く伝えられるといいね」

「あぁ、そうだな───いや、上手く伝えられる様に頑張るよ」

俺たち二人は祐斗がゼノヴィアに倒されるまでの間少しだけ思い出話に花を咲かせた。

 

やはりというか『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』の破壊力に対抗しようとして自分には扱い切れない大剣の魔剣を創り出し振る前に剣の鍔の部分で腹を殴られてそのまま気を失った。

倒れた祐斗を見て少しばかり残念だと思ったし、拭い切れなかった罪悪感が少しだけ増した気がした…………本当に少しだけ。

 

 




アン)!?マスターの方から不穏な気配が……この感じ感情が抑えきれなかったんですね?何があったのかしら。すごく気になる……けど
黒歌)アンちゃんどうしたにゃん?作業が止まってるにゃよ。
ア)あ、うん。ちょっとマスターが感情おさえきれなかったみたいで………
黒)にゃ!?それは大丈夫なのかにゃ?
ア)うーん、大丈夫かな?確証はないけどマスターは大抵の事が出来るから()()()一人でなんとかするわね。
黒)ふーん、それなら大丈夫かにゃ。瑚太郎は自分の事じゃ起こらないからまた誰かの為に怒ってるだにゃ。もうちょっと自分を大切にして欲しいとは思うんだけどにゃ〜。
ア)あ、やっぱりそれは思うよね!マスターったら自分の事なんて二の次三の次だから私達の方が冷や冷やする事あるもんね。
黒)でもその分愛されてる、護られてるって言う幸福感に溢れているのにゃ
ア)それは分かる!でもやっぱりさー───────

その後作業そっちのけでトークに花が開いたのは言うまでもない。
ちなみに話が終わる頃には日が落ちていたそうな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

復讐者と遂げられなかった者

久々投稿です!
回数を重ねる度にどんどん文字数が伸びております。
ナメクジこと紫翠です。

本来は時期的に勉強とかしないと行けないですが、どうしても書き上げたかったので。はっちゃけました。
と言っても殆ど書き上がっていたのですが。まともに時間が取れなくてこの時期になったのですが。

まあ、私のくだらない近状報告は塩を振って溶かしておいて。
今回のお話を
どうぞ!(っ´∀`)っ


祐斗が敗れイッセーは勝った。

教会組にゼノヴィアしか勝てなかったから俺との勝負はお預けだな。と言うとゼノヴィアがしつこく食いついて来るもんだと思っていたが思っていたよりもあっさりと引き下がった。と言ってもそもそもリアスがさせてくれなかったと思うけど

今、その二人はこの部室にはいない。そもそも先程の勝負をした時点ですぐにここから離れる予定だったらしい。なんか、他の教会からの悪魔祓い(エクソシスト)と合流しないといけないらしい。

なんだ、別に二人だけじゃなかったんだ。と思いながら「気をつけろよ」と一言だけ言って見送った。

 

まぁ、どうせ残りの神父?悪魔祓いはもう死んでるだろうしな。

一応銀髪の協力者から逐一報告は受けている。その時に明らかに使い手の力量が不足している()()使()()は殺したと言う報告は受けているから。まぁ大体どんな感じになっているのかは把握している。

 

俺達は今部室にいる。もう日も落ち始めて当たりは暗くなってきている。さっさと帰ろうとは思ったのだが、せめて祐斗が目覚めるまではここにいて欲しい。とリアスから頼まれてしまったので取り敢えず起きるまでは待っている事にした。

当の本人は未だ眠ったままだ。アーシアの治癒魔法で傷や痛みはなくなったものの精神的な物の影響かまだ目を覚ましていない。

…………こうして安らかに眠っている祐斗を見ていると無性に怒りが湧いてくる。昔の自分を見ているみたいで、復讐に囚われ飲み込まれた時の俺によく似ているから。八つ当たりだ。って分かっちゃいるだけどやりきれない気持ちになるのは変わらなかった。

 

何故そう思うのか、と問われれば昔助けてくれた友人に言われたある言葉が今の状況によく似ているからだ。

その時に言われた言葉が『お前さ、寝てる時だけは幸せそうだよな。夢の中だけでも復讐の事を忘れてくれてよかったよ。俺は何もしてやれないからな』だった。

当時の俺はそんな事を信じる余裕も心もなかったけど、その時と今のこの状況をみて良くわかると思った。1度でも囚われてしまえば周りはもちろん、前だって見えなくなってしまうから。

俺と祐斗はよく似てる、ただ違うのは状況と環境だけだ。

祐斗には明確な仲間がいる、助けてくれる人達がいる。なんなら俺もいる。普通なら幾分か精神的には余裕がある筈。ただその代わりと言ってか環境が最悪だ。復讐対象が目の前にある。と言うことはつまり何時でも復讐を実行出来ると言う事。

そんな状況で人間が感情を爆発させそうになった時、それを理性で縛り付ける事が出来る人間なんてほんのひと握りだと俺は考える。

誰しもが自分の憎い相手が復讐対象が目の前にいて自分は力を持っていると勘違いをしていたのなら、迷わず殺すだろう。

感情なんてものは自分の理性だけで抑えきれるものじゃないんだから。

俺もそういう立場の存在だ。リアスの時も然り、先程のアーシアの際も然りと言った風に基本的に俺は感情で動く。そこに損も得も考えてはいない。そんな事してたら感情で動いてなんかいられないしな。

 

祐斗のはそうだな。どこかで成長を辞めてしまった中学生みたいな所だろう。幼い時に憎しみを植え付けられ、それを持ったまま中途半端に大人になりかけている。復讐は悪い事ではないがそれ以外の原動力を持っていない人間に訪れるのは一本線の破滅だけだ。

復讐以外にも何か一つでも原動力があれば簡単に破滅する事はない。例えそれがあったとしても自覚していなければないも同然だ。

俺と祐斗の明確な違いはそこだ。俺はほかの原動力を全て失った状態で復讐をした。でも祐斗は違う。まだ()()()()()()()を持っているから。

 

「……──ぅうん───っ!!」

「祐斗!!」

「あらあら、おはようございます。漸くお目覚めになりましたのね」

「おはようございます。木場さん」

「おはようございます、祐斗先輩」

「ったく、遅せぇぞ木場。夜が明けちまうぞ」

「みんな………あの二人はどこに行ったんですか?」

 

起き抜けに聖剣使い二人を探すたァ。こりゃ、かなり深く根付いてんな。良くここまで執着出来るよ本当。復讐者ってすげぇよな。

「彼女たちだったらもう居ないわ、残りの神父と合流しないといけないらしいらしいの、連絡がないからもしもの事があるかもしれないって言ってね」

「………だとしたらもう手遅れですね」

「どういう事?教えてちょうだい」

「うふふ、私もちょっと気になりますわ」

おぉ………リアスと朱乃が怖ぇ。とんでもねぇ目付きだ

「……昨日、銀髪の神父と遭遇しました。イッセーくんと教会に行った時に出会ったあの不思議な神父です」

「アイツまだこの街にいやがったのか、クソっ次会ったらぶっ飛ばしてやる」

え?なんかイッセーめっちゃイラついてないか?

アイツ何したんだよ、すっげー気になるんだけど。確かに煽ったとは聴いたけど。詳しく聞いとくべきだったか?

(次の定期報告の時でいいんじゃないでしょうか、急ぎと言うわけでもないですし)

それもそうか、あんま気にかける必要も無しだな。

 

「…………やつは聖剣エクスカリバーを持っていました。そして僕の目の前で神父と思しき人は斬り殺されました。おそらくその神父が聖剣使いだったのではないかと思います」

うんうん、その考察は正しいぞ祐斗。俺はどんな奴なのか全っぜん知らないけど。

「どうしてそう思うの?」

「エクスカリバーの試し斬りと神父狩り、この二つから奴が聖剣を盗んだコカビエルと繋がっているのは明らかですね、その上で聖剣を集めている何ををしているのかは気になりますけど。まぁ、僕としてはエクスカリバー以外別にどうでもいいんですけどね」

(…………主、このままで良いのですか?彼の目貴方にそっくりですよ。記憶に残っていたあの暗い目をしていますよ?)

………………様子見だ、祐斗にはここで覚醒してもらわないと困る。だから俺が下手になにかする訳には行かないんだよ

 

「祐斗、あなた───」

「なんです?部長。ああ、勝手な行動は許さないとかそういう事ですか?」

「それは──そうよ。貴方はこの私の下僕なの、勝手な行動は謹んでちょうだい。あなたの考えている事はよく分かるけれども───」

リアス、それは、その言い方は駄目だ───

「──僕の考えている事が良くわかる?貴方に僕の気持ちの何が分かるんですか!?悪魔で、貴族で、主である貴方に僕のこの気持ちの何が分かるって言うんですか!」

「──っ。それは、聖剣が──」

悪手に悪手を重ねるか………

「そうですよ、でも貴方に僕の考えは、この気持ちは、復讐心なんて絶対に分からないでしょう?何もかも最初から持っているあなたが僕の何が──「俺はお前の気持ち、よく分かるな」分かるって………はァ?」

これ以上リアスと口論はだめだ、溝が深くなり過ぎる。

唯一の居場所を見失い兼ねないから。だから俺が────

 

「祐斗、俺にはお前の気持ちが、復讐心が良くわかると言ったんだよ、聞き返すなよ?」

──俺が溝を作る前に埋めて、繋ぎ留めてやるしかない。例え敵愾心を持たれたとしてもだ。

「──けるな」

「ん?」

ガッ!!

胸ぐらを掴ま───「うおっ!」

「祐斗!?」「木場!?」「木場さん!?」「先輩!」「あらあら」

みなそれぞれに反応を返す。思い通りに行ってて面白いな、なんか。胸ぐら掴まれてなきゃの話だけど。

「ふざけるな!!君に僕の気持ちがわかる?復讐がわかる?何だよそれ、おかしいだろ!?大戦の英雄で、失う前に何もかも救ってしまえる君に復讐?ありえないだろ!」

確かに、今の俺はそうだ。でもそれだって完璧じゃない。

「復讐なんて知りもしない癖に、わかった様な事を言わないでくれ!」

だが祐斗お前の言い分は的外れにも程がある。

「復讐を知りもしない?祐斗、もう一度、言うぞ、俺は、お前の気持ち(復讐心)が、良くわかる」

祐斗に眼を向けながら()()()()()力を解放する。顔の輪郭が明らかに違うものに変わっていく。

「「「「「瑚太郎(くん)(さん)(先輩)?」」」」」

「何度言ったって────っ!!誰、誰なんだい?君は」

 

傍から見れば突然目の前にいた人物が違う人にすり変わった様に見えるだろう。だが目の前にいるのはどちらも俺だ、天王寺 瑚太郎という人物の名前と容姿を借りていた俺が、本来の俺を表に出しただけ、顔の形が変わっただけ。

「天王寺 瑚太郎お前らの前でそう名乗ってる人物だよ、顔くらい幾らでも変えられる。それだけだ。で、俺の()を視てどう思う?祐斗」

 

「眼?目なんて………………」

目を合わせた直後、吸い込まれる様に意識が無くなった祐斗立ってはいるが目に光はない。

「………ごめん」

「理解したな?一応、謝罪しておくよ。済まない、軽率な行動だった。()()()なんてそんな簡単に言って欲しくなかったんだろ…………先に帰る、ごめん」

少しして祐斗がコチラに戻って来たのを確認した後に、顔の輪郭を元に戻し、氷を割って見せる。ほらこれで()()()()には俺が氷を使って顔を違う人物にしていた様に見える。

さて、やりたい事はやったし、リアスとの溝が深まる様なことは無いだろう。祐斗が俺の事をどう思うかは勝手だが。

俺は帰る。というか帰りたい。

今日の料理当番はアンと黒歌なので飯の心配はしていないが。少しやりたい事が、というかやらなければならない事ができたから早く帰りたい。

 

「待ってくれないか?………」

「どうした、何か聞きたい事でもあるのか?」

特に答えてやる必要も無いので鞄を持って扉に向かう。返事くらいは返すけどな。

「そんなところ……だね。君にとっての復讐ってなんなんだい?」

 

ピタッ

 

……………………それは。

「………そうだな。一つ、昔ばなしをしてやるよ」

「?」

疑問、この場にいる全員から感じる何故昔ばなし?と言った所だろう。まあ、良い機会だし掻い摘んで話してみるか

「まぁ、聞けって。ある所に平凡でなに不自由ない普通の生活を送っていた青年がいました」

無言、反応はない。他のみんなもそうだ、ただ一つ言えるのは祐斗は俺を物凄い形相で睨んでる。

「そんな平凡な彼でしたが名前に肖ったとても強力な能力を持っていました」

「『彼』はとある事件でその力を覚醒、解放しました。彼のその力は凄まじいものでしたが、最後には失ってしまいました」

「事件は無事に解決しましたが、その青年は呪われていました」

「その呪いは、自分を周囲の人間を、大切なものを、全て不幸にする呪いでした」

「そんな『彼』は呪いに抗いました。でも勝つ事が出来ず。大切な人を、仲間を、家族を、友人さえも、失ってしまいました」

「『彼』は恨みました、呪いをかけた相手を、その呪いに勝てなかった自分自身を、生きている世界そのものを」

「『彼』は復讐を誓いました。呪いをかけた相手にはどう足掻いても勝つことは出来ません。じゃあどうするか、『彼』は考えました」

「その結果、『彼』は自分のいた国で罪を犯した者を、悪として生きる人間を根絶やしにしようと殺戮を始めました」

「そうして少しずつその国から人口が減って行きました。当然指名手配犯をされ、お尋ね者となりました」

 

「それで、どうなったんだい?その『彼』は」

「俺も、少し気になる」

「続き話してもらってもいいかしら?」

あぁ、勿論この間お前達みんなに話した時のでっち上げた話とは全く違う()()()()を言ってるからな、今は少しだけなら言える。と言ってももう殆ど最後の方だけど。

「そんな彼は最後に遊園地で爆弾を大量に持ったテロリストと対峙しました。その男にも家族がいましたが、『彼』と同じように失ってしまっていたのです」

「『彼』はそんな男を助けたい、と思いました。でもそんな事は出来ません。それでも考える事を諦めませんでした」

「考えた末に『彼』はそのテロリストを倒して爆弾を奪い去って行きました」

 

「その、彼はどうなったの?」

質問者は自信なくオドオドとして、普段の彼女とは違う普通の女の子のように見える。

そんな様子で、リアスがとても不安そうな顔でこちらをみてくる。

大方、この話の先が読めたんだろうな。読み取る力はキングに最も必要な力だと俺は思うぞ。他のやつでも状況が状況だから、どんな最期になるのか大体想像はつくだろうけど。

「さぁどうなったんだろうな?その爆弾を使って殺戮を続けたかもしれないし、或はどこかで野垂れ死んだかもしれない。まぁそんな事はどうでもいいだろう」

「どうしてそんな昔ばなしをしたんだい?」

「俺にとっての復讐と言われたら『俺』じゃない知っている経験か『俺』自身の事のどちらかを言うしかないからな。まぁ、一言で言ってしまえば俺にとっての復讐は「世界を敵に回してでも自身の想いを最後まで貫き通すこと」だと思うぞ。って言いたかったんだよ。遠回しで悪いな。そろそろ本当に帰るな。じゃあな」

 

扉の前、ドアノブに手をかけようとしたその直後、一つ伝えたい事があるのを思い出した。

「あっ、そうだひとつ忘れてた。祐斗、お前とそいつの違いを教えておいてやるよ」

「僕と『彼』の違いの事かい?」

「ああ、そうだ。祐斗はもっと周りに迷惑を掛けてもいいんじゃないか?『彼』にはそれが出来なかった事だからな。それだけだ、じゃあな」

 

もう誰に止められる事もなく、俺は部室を出た。

 

─祐斗side─

 

彼が、瑚太郎君が帰ってしばらくして、僕もこの場を去る事を決めたただ、少しだけ、少しだけ期待をして

「すみません、僕も帰りますね」

そう言うと誰かが引き止めてくれると思った。

「待てよ。木場」

「なんだい?イッセー君」

ほら、やっぱり君が止めてくれる。

「お前、明日もちゃんと学校来るか?」

「?ああ、登校ぐらいするさ部室にはもう来ないかもしれないけどね」

「なら良かった。また明日な木場!」

僕は何も言わずに部室を去った。もう、僕を引き止める様な言葉は掛けられなかった。

全く本当に君って人は、イッセー君。君は特に深く考えて言った訳じゃないんどろうけど。それでも、まだ僕は君の仲間なんだね。

 

部室を出てからも。しばらくぼんやりと、ただ街中を歩いているだけだった。いや、正確には考え事をしながら街中をぶらついていた。と言っても傍から見ればどちらも一緒だ。

 

考えていたのは『彼』の『瑚太郎君』の事

あの目を合わせた瞬間に見た光景。

あれは君の記憶なのかい?

平凡で、でも毎日を幸せに過ごしていた『彼』がどうしてあんな目に会わなくちゃ行けないんだい?

あれは君自身なのかい?

呪いは最後、どうなったんだい?

僕は君になんて謝ればいいんだい?

謝ったところで許してくれるだろうか。復讐じゃ足りないくらいの恨みと怨みを積み重ねて来た(殺戮者)に、(復讐者)はなんて言えばいいんだい?

君は『彼』と『僕』の違いを教えてくれた。

『彼』は全てを破壊された。僕はまだ迷惑をかけられる人達がいる。

それはつまり、復讐に他のみんなも巻き込めと言っているのだろうかでも、そんな事君が許すと思えない。

いや、頼ってもいいのだろうか?僕なんかが、仲間を傷つける様な事を、部長を裏切ってしまったのに………

 

その日、結局考えはまとまらなかった。

 

 

─瑚太郎side─

真夜中の道を1人歩く。

なあ、ゼル?

(なんでしょう主)

この世で。いや、存在する魔法の中で最も残酷な魔法って何だと思う?

(魔法、とは言い難いですが。私はアンやリアス嬢の持つ滅びの魔力と)

だよなー、普通そう思うよな。

(正直原理は理解し難いものがあります。しかし簡単に言い換えれば、毒ないしは腐蝕、侵蝕等の最上位に位置するものかと。触れたもの全てを崩御させ、魔力同士が触れ合っても消え去る。ここまで扱いずらいものはそうはありませんし、敵対したくもありません)

確かに触れれば消されてしまう恐ろしい力だな、でも俺普通に触ってるしな

(それは貴方が規格外過ぎるだけです)

あ、やっぱり?

(ええ、そうです。というかそんな事聞くなんて主にもそんなものがあるんですね?)

ああ、俺は欺瞞系の魔法だな

(なるほど、理解しました。つまり自分の()()得意な力が残酷だと言いたいんですね?)

まぁそうなる。

さっきの様子だって、傍から見れば俺が氷の力を使って顔を他人に変えただけに見えるけど実際には

(欺瞞の力で祐斗くん以外に見せた幻影とは言えないでしょうね)

まぁ、うん。よく見てるね。

(もちろんですとも、なんと言ったって主の中にいますからね。あなたの欺瞞の力も中に冴えいれば無効化出来ます)

仰る通りで

(それにしても主、自分では手を出さないとか言って起きながら思いっきし惨いことしましたよね?)

……………………

(黙って逃げようとするのは駄目ですよ)

はぁー、俺だってやっちまったとは思ったけど。復讐を知らないくせに!とか言われたら俺だってムキになるんだぞ。

確かに大人気なかったし、祐斗の復讐心を煽ったのも俺だけどさ。

(まぁ感情を爆発させなかっただけでも良しとしておきますかね。主はもう気が付いているみたいですし一応言って起きますけど。今日だけでかなり感情の起伏が激しくなっていますから。制御を間違えないでくださいね?それと、逢えて欺瞞の力を使わずにいるのは意地なんですか?)

お前絶対分かってて聞いてきてるよな。

(さて?感情が自分だけで制御出来ずに頑張って押さえつけようと必死になってた主なんて私は知りませんね)

みなまで言うな!虚しくなるだろうが!

しっかしまぁ。今日はキレ過ぎなとは俺も思ったな。あんな感情的になったのなんていつぶりだろうな?

転生してからまだ片手で数えられるくらいじゃないか?

(そうですね。目的が達成出来てから主の中で何かが解けたのはま違いないですが、それが何なのかどんな物なのかと言う事がハッキリしていないので安心するは早計かと)

いや、別に安心はしてないんだけど。今回の症状は我ながら異常だって分かってるからな。

(あの最凶神殿には確認していないのですか?)

これからするつもりだけど、相変わらずラグナさんの名称がおぞましいな。何だよ最凶神って、確かに能力的にというか存在的に最凶だと思うけど。

(フルネームで、しかも目の前で本人の全力の力を目の当たりにした人が言える台詞じゃないですよそれ。ハァァァ……)

ココ最近で1番大きな溜め息だな。

そんなに恐ろしい存在じゃないんだけどな。

(エエ、ソウデスネー。大した存在じゃ無いんデスヨネー。貴方にとっては)

ん?ん?どういう事だ?

(もういいですよ。貴方の規格外さに言葉が出ないだけですので。しばらく話しかけて来なくていいですからね)

酷い!?

 

その日、ゼルが俺の声に答える事は()()()なかった。




瑚)なぁ、ゼル機嫌直してくれよー
ゼ)………………(つーん。主なんて知りませんね)
瑚)ほら、この真っ暗な、夜中を一人で歩くとか寂しいじゃん?話し相手になってよー
ゼ)………………(しつこいですね、この主。あー爆発すればいいのに)
瑚)ねぇねぇ、また一緒に料理作ったりしたいしさー。メニューとか考えようぜ
ゼ)っ───(それを話題に持って来るとかズルいですよ主!!)
瑚)あっ!
ゼ)………………(なんだ?私が反応を示したのに気が付いたのか?)
瑚)今度二人に身体作るって話なんだけどさー
ゼ)いつ頃になるでしょうか!是非ともアンと共にデートをデートを!!!
瑚)おう!任せろ二人分の肉体を作って貰うからな
ゼ)はい!是非ともおねがい致します!……ん?作って貰う?
瑚)喜んでくれるなら何よりだ!
ゼ)(え?え?主作って貰うって誰にですか!?すごい上機嫌なのは痛いくらい伝わって来ますが。しかし、身体が手に入るならまぁいっか)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

日常的な非日常

大変お久しぶりでございます
皆様このナメクジ野郎を覚えていますでしょうか。
そうです、裕 紫翠でごさいます。
だいぶ前から投稿できない投稿できない状態が続いておりましたが最近はそこそこ落ち着いて来たので、できる限り早く書き上げて上げたいと思っていますので何卒よろしお願いします(o_ _)o

あった事を端的に上げてしまえば。
身内が死んだり、私自身事故ったり、体調不良のオンパレードで安定していなかった為中々集中して書けなかったのですが
言い訳ですね、ハイ

まぁ、私の事はちり紙と一緒にゴミ箱にでもシュートしておいて
それでは久々にどぞ(っ´∀`)っ!


「アサヒ ハルカの呪い?」

俺がその事を聞いたのは祐斗とイッセーがゼノヴィア達と決闘沙汰になったその日である。

「そうそう、この案件結構やばいやつでね?実害が何件か出でるやつなのよ」

「へぇ〜。で?何でそんなヤバそうな案件が俺の元に?」

「ヤダな〜分かってるでしょ。便()()()さん☆」

最後に凄まじくキラッ!!って光ってそうな勢いでウィンクをしてきたコイツは。井上という新聞部の女の子だ。

かつて、と言うか1年前に俺の起こした事件を大々的に校内新聞で公表してくれたとんでもない輩だ。

他にも俺のヤバい所を握っているので、何かと依頼をするようになった。それからというもの、新聞部で調べたい事。特に厄介事や危険な物の類を俺に持ってきて、調査をさせてくる。

まぁ、ちゃんと対価は支払って来るから無碍に扱いはしないが……

 

「実害ねぇ、どんな被害が出てんだ?それ」

「えーっとね、ガラスが割れたり、その朝日ハルカの事を言いふらしたり、詮索するような人には災いが降り掛かるらしいの」

おいコラ、具体的な例がガラスが割れるしかねえじゃねえか。もうちょい調べろよ。若しくは教えなさいよ。……しかしまぁそうなってくると

「確かに俺向きの案件だな。で?それ調べてどうすんだ?銘を打って校内新聞で公表すんのか?」

「いや、しないわよそんな事」

あら?思ったよりすっぱり切ったな。コイツ

「だって、そんな事したら私たち新聞部が呪い殺されるじゃない」

成程、成程。確かに新聞部の連中を危険な目に合わせる訳には行かないもんな───って

「おい待て!その理屈だと俺が呪い殺される事になるんだが!?」

「あはははっ、バレちゃった?」

「あはは、バレちゃった?じゃねぇよ!どうすんだよ俺呪われちゃうじゃねえか!」

「あはは、それなら大丈夫でしょ。天王寺くんは、呪いくらい片手で振り払えるものね?」

うむむ………実際に目の前で()()()()をした手前返す言葉がねぇ。

「………はあ、分かった分かった。受けてやるから資料もってこい」

「資料ならはい、これね。後私たちでも分からない事はあるから、7小出身者に聞いてみてね〜。じゃ、バイバーイ」

あんにゃろう、資料置くだけ置いて全部俺に投げやがった。

まぁイイか、こんなイベント。ハイDにはなかったし俺の頭から日に日に抜けていくRewriteの記憶が埋められると信じて進むしかないか。まさかFateじゃあるまいし。

はぁー、鬱だ

 

 

 

 

結局、資料を読み通しある程度知識を付けたが。

纏めてしまえばこうだ。

ある孤児院にアサヒ ハルカはやって来た。その日以来、ガラスや鏡が割れ、飼っていた動植物が死んで行ったという。

いつの日からか、生徒や先生までもが死に孤児院は閉鎖された。

七年前、7小にその孤児院にいた男の子が転入してきたらしいのだが。謎の奇病により死亡。

それ以来、アサヒ ハルカの安眠(眠り)を妨げる者は呪われてしまう。

といった感じだ。

 

俺からすれば、呪いなんて別にその程度。

って言う感じで、それ以上に何故アサヒ ハルカの周りにはそんなにも死で溢れているのかという純粋な興味が生まれた。

俺と似たような存在なら救って上げたいと、助けを求めるのなら俺は救いたいとそう思った。

もし本人がこの事で悩んでいるのであれば相当辛い筈だ。誰にも理解されない辛さはよく分かるから。

 

次いでと言ってしまうとかなり可哀想だが。一応吉野にも話を聞いてみた。

()()()問い詰めてみたものの、その話はするなの一点張り、その呪いとやらがそんなにも恐ろしいのかと思いつつ、諦めて帰ろうとした時に、「ヤバいと思ったら直ぐに手を引け、校内新聞である程度実力は把握してるが『ガラスが割れたら気を付けろ』」と警告された。

 

その後はまぁ、知っての通り決闘沙汰になってあれよあれよと流れていって、俺は自宅に戻った所で()()()()部屋に籠った。

 

翌日

曇りだ、どんよりとまるで誰かの機嫌が悪いのかの様に沈み澱んでいる。やっぱり何かが違うのだろう本来であれば今日は晴れるはず、それがこの曇天になるって事はそれなりに()()()()ってやつの影響もあるんだろう。

 

「他の世界」と言うのはラグナさんの統括する別次元の世界を指す。簡単な例をあげるなら転生する前の俺が生きていた世界の事だ。この世界と似ているようで全く違うものが幾つもあるのだ。

その影響がある。というのは誰かがほかの世界で間違って殺され、その詫びにとか。『異世界召喚!』とかいう物によるものだ。

因みにこの世界は中立の世界らしく漂白していたものを拾ったらしい。まぁ神に取って俺達はゲームのカセットのひとつのようなものなんだろう。と思うようになった。要らなくなったら捨てる。この世界の人間が最も多くする行動だ。

……いや。どの世界でもそんなもんか。

 

さて、今日も一日頑張りますか!

 

 

~昼休み~

「おい、天王寺。ちょっといいか?」

「なんだ吉野?なんか8日?」

「お前それわざとだよな………」

「はて、なんの事かな?」

「まぁいい要件だけ済ませたら終わりだからな。ほらよ」

そう、ぶっきらぼうに言いながら晴彦はプリントを差し出してきた。

「なんだ?コレ」

「プリントだ」

「そりゃあ、見れば分かるよただ名前がビッシリ書いてあるねこれ」

しかも電話番号と住所まで。と付け足しておく。

「元七小だった奴らの家と連絡先だ、自由に使え。それがお前の手助けになる様な事が合ってもそれはたまたまだ感謝なんかするなよたまたまだからな」

あらヤダさっきからこの子ったら玉玉連呼してるじゃないですか。ほら女子が見てるよ、玉玉言ってるから女子がこっち見てるよ!

「あぁ、そうだな偶然の産物だ。だから有難く利用するさ」

「ふん、じゃあな」

そう言って晴彦は────

 

 

 

 

────隣の席に戻って行った。………締まらねぇよ!?

 

結局放課後は電話掛ける作業で手一杯になりそうだな、バイト先の方に顔を見に行かなきゃ行けない人もいるし。はぁ……疲れる。まあ「アサヒ ハルカ」が誰なのかは大方検討は着いているけど、出来るなら幸せになって欲しいと俺は思う。

その為なら俺は───ぐうぅぅぅ。

 

 

───よし取り敢えず昼飯食おう。

(………主も大概ですね、締まって無いですよ)

…ごもっともです。

 

 

〜放課後〜

 

あーー終わったー、今日も1日お疲れ様でした。今日も授業が終わりました。いや〜それなりに勉強してる方だと思うんだけど数学が如何せん難しい。ってどうでもいいか。

 

取り敢えず帰りがけに聞き込みして、なんかあったらすぐ帰るかだって呪い怖いからね

(呪いが怖いとか一般人ですかあなたは、昼休みの時に井上さんが仰っていたように呪い程度片手で振り払えるではありませんか)

それは言わない約束でしょ、そもそも俺に対しての精神攻撃なんてゼロに等しいぞ。病は気から要は心の持ちようだし、それが嫌ならそもそも呪われる様な事をしなきゃいいだけの話だしな。

(そんな約束をした覚えはありません。だいたい呪い(カース)を喰らうってどんな化け物ですか)

それは秘密、俺の特殊能力って事で。

(はぁー)

えっ!?何その『ダメだコイツ』みたいなため息は。

(いえ、なんでもございませんよ、お気になさらず。私はもう諦めます。それよりも早く調査をして帰りましょう。昨日の続きもあるのですから)

それもそうだな………っとその前にちょっと印刷室寄って行くな。

吉野に貰ったこのプリントを少し増やしておきたいんだよ何が起きてもいいように。

 

〜印刷室〜

 

ルチアがいた…………

「おろ?先客がいたのか」

「ん?どうしたんだ瑚太郎、ここに何か様か?」

「おう、ちょっとプリンターが借りたくてね」

俺は手に持ったプリントをヒラヒラさせながら答えた。

「む、学校の設備を勝手に使用するのは感心しないぞ。そういうのはコンビニか自宅でするべきだぞ」

「まぁまぁ、1枚だけだから。ホイっとそれで?ルチアはなんでここに?」

そう聞くとルチアはプリントの山を見せながら

「ああ、私はこれを刷りにきたんだ……言っておくが私は先生に頼まれたものを刷りに来たのだからな、お前みたいに自分のものを刷りに来たわけじゃないからな」

「ああ、分かってるよ。流石委員長だな。っと終わったみたいだな。それじゃ」

「ああ、またな………」

 

そういやアイツ、まだちはやと喧嘩したままなんだよなぁどうにかしてやりたい所だけど俺が何をしたところであと二人の問題だしなぁ〜

アァー、もどかしいなーと思いながらとぼとぼ歩いていると

「瑚太郎、待てっ!」

「おろ、どったの?ルチアさんや」

「これ、お前のじゃないのか?」

少し上がった様に息をしているルチアから一枚の紙を手渡しされた。

綺麗に折りたたまれてるし、どれどれ中身を確認してみましょうかね

 

開いた紙には女の子らしさを感じる丁寧な文字で

『私を起こさないで さもなきゃあなたが』

と書かれていた。

まぁ、なんというか本人にとってはどうあっても詮索されたくない内容らしい。こんな脅しをしてくるとは中々に怒っているのだろう。

「いや、俺こんなん印刷した覚えは────」

 

パキィィンという空気の裂ける様な破裂音

カシャンというガラスの落ちる高い音

放課後の騒がしい廊下の中で響いたその音は瞬く間に校舎内にひろがり周囲の視線が集まる。

『ガラスが割れたら気を付けろ』か「なるほど、確かにこれは……な」

「何がなるほどなんだ?お前のまさか、また変な事に首を突っ込んでいるんじゃ無いだろうな」

「え?あ、いやまぁ───「何をしようとしているんだ?」ハイ素直に話すのでその目やめてください、怖いルチアさん」

「///誰のせいだ!!」

チラッと手を見てしまったのは悪くないと思う。あと何故赤くなったんですか。

 

 

 

 

「アサヒ ハルカの呪い?」

「そうそう、ちょっと小耳に挟んでさ、気になったもんだから調べてる」

「その、さっき窓ガラスが割れたのも──「いや誰かが石でも投げたんだろ俺結構狙われることあるし」──何!?そうなのか?初めて聞いたぞそんな事」

 

そりゃまぁ初めて言いましたから。

理由はよく覚えてる、後輩ちゃんの相談第一号からの相談を受ける切っ掛けになった上に態々人気(ひとけ)のない旧校舎付近に呼び出して告白でもする様な雰囲気を醸し出しながらだったからなぁ

 

始まりはこうだ

2年になり、新一年生が慣れ始めてきた5月の初旬頃。

下駄箱のなかに一通の手紙が入っていて、その手紙には旧校舎入り口付近に来て欲しいと言う旨の内容が書かれていて。そこに向かった。誰かと間違えたのか、それともイタズラなのか、或いは罰ゲームなのかと色々考えるうちに旧校舎付近まで、着いてしまった。

その所に目立つ位置で分かるように1人だけポツンと立っていた少女がいた。一般のレベルで言ったらそこそこモテるであろうルックスの彼女だが、遠目から見て少しだけ物憂れげな雰囲気を纏っていた。

『あの………えっとすみません。オカルト研究会、研究部。引いては三銃士の御三方から離れてくれませんか?』と言われた。

オカルトと言った瞬間から寸前までの初心な雰囲気の一切をかき消すように心の底からの嫌悪と軽蔑、そして悪意を彼女の()()から感じた。

彼女自身は心身共にあまり調子はよくない……って言うかもう泣きそうだった。

理由は『凡人の癖に生意気。釣り合ってない。お前に振り回される方々が可哀想。調子に乗るな。何でも屋とかくだらない事を気取ってんじゃねぇ』などその他もろもろを言われたが、最後はもうただの罵倒だった。

言われたこと自体は特に気にはしなかったがゼルとアンがかなりお冠だったから。それに()()()()()()()彼女の方が可哀想だったから。

「うーん、分かった「じゃあ──」でも俺が何しようが俺の自由だよなぁ?「「「はあっ!!?」」」これからも俺はアイツらとの関係を変えるつもりは無いし、お前()みたいにコソコソと下らない事しか出来ない様なゴミの言うことを聞くつもりもない。そもそも何でも屋は生徒会公認の個人的な相談をしたい人が使う場でカウンセリングみたいなものだ。それに文句があるのなら生徒会長に直談判して来いよ。そもそも俺を凡人呼ばわりするお前()は何様なんだよ。先輩ですらねぇ上に後輩だろ?生意気なのはどっちだ。入った先(駒王学園)で自分がチヤホヤされるとでも思ってたのに、いざ入ってみたら学園の二大お姉様、学園の三銃士、学園の魔女、そして何でも屋。自分たちが思い描いていた共学とは程遠いもので、しかもそれが絶対に敵わないと分かった上で諦めきれず、その矛先を一番落ち着いている名声と呼べる何でも屋の俺に照準(ターゲット)を合わせたんだろ?浅はかなんだよ考えが、『学園の何でも屋』って事は教師、生徒問わずに俺に話が回ってくるって事だ。ほかにも校内新聞で俺が行って来たことが書いてあったんじゃないのか?でもそれを知らないで来たんだろ?だからこう言う事をして自分たちは平然としてるんだろ?そうだろ、一年生。俺を敵に回すのは構わないが、周りの人間全てを敵に回すのと同じような事になるんだぞ。自分で言うのも何だが皆が少なくともそれだけ感謝をしてくれる様な働きをしてんだ。そりゃあ初めのうちは上手くいかなかったし上級生から殴られた事も少なくなかったさ。だけど自分の納得いかない事を他人にそれを擦り付ける様な事をするのは駄目だろう。この学校は進学校だからそこまで就職に回るヤツは多くないだろうけど。世間一般で同じ様な事をして他人にバレでもしてみろ誰もいなくなるぞ、バレなきゃいいなんて甘い考えは捨てちまえ。そんな考えが持ってたらいつか必ず破滅するぞ………それと君、この事言うの端から乗り気じゃなかっただろ、呼吸が浅くて、視線もチラチラと周りを気にしてた。ほかの人間が近くにいるのは直ぐに分かったし、冷たい緊張の仕方をしていた。本来ならこんな事になる前に止めなければならないんだけど、複数人に1人で呼び出されて伝言役を頼まれたんだろうと俺は思っているんだけど間違いないかな?」

「…………はい」

「そう、次からはこんな事にならないように気を付けなければ行けないだろうし、そもそも誰にも相談できなかったんだろう?アイツらが怖くて。」

「………」

「沈黙は是と受け取るよ俺は、という訳だから。偉かったね、よく1人で戦ったね。今回の件は教師並びに生徒会の方にも一報を入れておきます。安心……とは直ぐには行かないだろうけど。もう怖い思いはしなくて済むから。ね?」

「……はい」

「もしまた何か問題が起きたり依頼したい事があったらすぐに何でも屋である俺に声を掛けていいから」

そこまではなるべく優しげな口調を保った。

「んで……テメェらいつまで隠れてんだよ!腰抜けが!彼女1人に責任おわせるつもりか!?…………チッ」

…………黙りかよ。

こんなにイライラしたのは久々だが爆発はせずにすんだので良かった。

「もういい、隠れてれば分からないと思ってるんだろうが、全員の名前把握してるからな、後で職員室へどうぞ。さて、ごめんね取り敢えず部室の方で話聞かせてもらってもいいかな?」

 

 

 

「──って事があってそれから石が飛んでくるぞ」

「それでその彼女とやらはどうなったんだ?」

「あれ、そっちの方が気になる?一応、何でも屋の書記として記録を書いてもらってるけど基本的にフリーだね」

「そうなのか?それならば安心だな……しかし何故未だに石を」

そりゃまぁ相手は俺の顔を正確に見ているが、俺は見ていない、分かったのは体格、臭い、心拍数、視線の動き位だ。この学園やたら匂いが強い香水とか使う奴がいて何処にいるのか正確に特定出来ないんだよなぁ。別に今更投石なんざ気にしてねぇけど。でも思い出したらなんかイライラしてきたな………

「まぁ、それはともかく瑚太郎。お前これからどうするつもりなんだ?」

「これから?」

「そうこれからだ、アサヒ ハルカの呪いの事だ」

そういう事か、話を逸らせたつもりが結局戻ってきてしまったか、残念。ルチアの気を逸らさせてウヤムヤにしちゃおう作戦失敗。

「ああ、それならまだ続けるぜ多少の危険なら……と言うよりか、余程の事がない限り俺に危害が及ぶことなんてないからな。それに」

「それに?」

「もしも彼女が、今も尚その事で苦しめられているのであれば、俺は手を差し伸べたい。端的に言ってちまえば助けたいって事なんだけど。自分の意志に関係無くこんなふうに周りを壊してしまう。このことを独りで抱え込むなんて重すぎるだろ。だから誰かが手を差し伸べてやらなきゃ。だから俺はまだ先にすすむぞ」

「……………そ、そうか。そういう事なら私も手伝おう。幾ら瑚太郎でもその数を1人で連絡するのは大変だろう。女子は任せてくれ」

少し呆けた様に俺の顔を見ていたが何かを決心したかの様な表情を見せると直ぐに俺を手伝うと申し出て来た。

「分かった、そう言うことなら女子の方は頼むよ。ありがとうルチア」

「き、気にするな私はまたお前が何か問題を起こすんじゃ無いかと心配でそうならないように監視をするために手伝うだけだ」

「はいはい、それじゃ。それ半分貸してくれ先生の所まで持ってくんだろ?手伝うからさ」

「ああすまない助かる。しかしいいのか?」

「あぁ別に急ぎの用もないし、電話はうちに帰ってからゆっくりすればいいしな。何事も「急いては事を仕損じる」だからな。それに俺も手伝って貰うんだし、これくらいしないとフェアじゃない」

「そうだな。それじゃ半分頼む」

明らかに会話がぎこちなかったが何とか協力を取付けることが出来た。

 

朗らかな気分で帰ったその日。

確認を取った()()の家でガラスが、物が。と電話をした相手の家で何かしらかが必ず壊れた。

以前静流との会話で知った事もありやはりどうにかしてあげたいと俺は思ってしまった。そのせいで自分自身を傷つけることになったとしても。




瑚)よし、いつものやるぞ!
ゼ)と言いたいところですが、今日は電話をするんですね
瑚)そうなんだよなぁ、残念ながら井上からの依頼じゃ断れないから何とかするしかねぇんだよなぁ〜
ゼ)もう何軒か既に電話をしたそうですがその全てで何かしらの怪奇現象が起きているんですね?
瑚)いや、まだ七小だった人には連絡してないよ。
ゼ)では先程から誰に………
ル)『おい!瑚太郎!いい加減に私に電話を掛けてくるのを止めないか!調査をするんじゃなかったのか!?』
ゼ)何やってんです?主よ、ついに頭がおイカレになられたんですね?
瑚)いくらゼルでも俺ちょっと傷ついちゃうよ!?
ゼ)ドSなんですね?
瑚)なんでそうなった!?
どういう訳かゼルの誤解を解く方が時間がかかってしまった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

『世界』に拒まれる《世界》

はい、どうも皆さん
おはようございます、こんにちは、そしてこんばんは
身に塩を振るナメクジこと紫翠でごさいます。
今回はいつもより早く?長く書き上げる事が出来ました。
お風呂で執筆すると全身ふやけてものすごく歳を取った気分になります。どうでもいいですね。ハイ
そんな私の瞬間老化現象は下水道にでも流しておいて

それでは。どぞ(っ´∀`)っ


イタズラ電話も含めた七小の生徒に連絡をした翌日。

「ルチアが休み?珍しい事もあるもんだな」

「そうなんですよ。まだこの間の事謝ってないのに………」

「ちーちゃん……」

お互い気にかかってはいるみたいだけど、なかなか噛み合わないみたいだな………もどかしい。俺がイタズラ電話しまくってた時はそこまで落ち込んだりしてた様子はなかったんだけどなぁ〜

昨日の雨に続いて今日も朝から雨だ。イッセー達、フリード捜索班は相当辛いだろう、風邪引かなきゃ良いけど

その日結局学校にルチアは来なかった。

 

…………雨だ。雨にいい思い出は、あまりないな。

俺が壊れた日も雨だった、俺が死ぬ前日も雨だった。

望まない結果になる、若しくは思いもしない事が起こる。そういう時は大体雨だ。

何でかな?気分が落ちるからかな今日はゼルも俺の中に居ない。

お陰で魔力も仙氣も枯渇したけど。あいつはアンと一緒だ!って喜んでたから。俺はそれでいいと思う。

もう俺に縛られる必要は無いだろう。でも2人が居ないと困るな………力が、感情(想い)が。俺にはコントロール出来ないからな、ホント未熟な存在だな俺

 

って、いかんいかん。やっぱ雨はダメだな。気持ちがナイーブになる。あーも暗いし早く帰ってゼルとアンと黒歌の4人で遊びたい!

よし、そうと決まれば早くか────ギュッ

「わたしを起こさないで……」

!!!!???!!?!?

ててててててててて手?な、なんやなんや誰かおるんか?やんのか?やんのか!?

おばけ怖いぃ!!呪われるぅぅぅうう!!

全力でサイドステップをして逃げた。ドンッ!と結構大きな音を立てて壁に頭をぶつけた。普通に痛い。でもおかげで少しだけど冷静になれた、と思う。思いたい。おばけ怖い。

 

「私をおこさ───」

もう一度聞こえた声に、振り向くと誰かが街灯の下に立っていた。

逆光で顔は見えにくい。でもこのシルエット、この匂い……そこまで考えた所で、シルエットの人物が糸が切れた人形の様に倒れそうになった。

「おい、大丈夫か?…やっぱりルチアだったかこの匂い」

取り敢えず倒れる前に抱き上げたから汚れては居ないな、雨に濡れてるくらいで。

ちくしょうなんでこんな所に傘もささずに突っ立ってんだよ!

ああ、もう!俺も濡れちまうが、そんな事よりもルチアだ。

先程までさしていた傘を倉庫(王の財宝)に放り込み、ルチアを抱え家まで走った。

 

「ハァ、ハァ。ああ!黒歌寝かせる時いつもこの格好で抱いててよかったな。おぶるより全然楽だ。ハァ、ハァ」

にしたって、どうしてこう何かある時に限ってリストバンドの封印強化したりしてんのかねぇ。

黒歌然り、イッセー然り、リアスの時はまぁ特に無かったけど。今回のルチアこれもそうだ。昨日、調整して強化も施した上にこれだ。

パワーバランスがほぼ人間になるように調整が故に少々キツイ、重くは無いが走りにくい!でもおぶるよりは重心が前に寄るから楽。

っとここを曲がって。あとは直線!

家の前には、大体誰かが立ってる。要は出迎えです有難いことに今日も一人黒歌が立ってた。傘をさしながら。今日はゼルとアンが料理担当らしい。結構いい感じの香りがする。

物凄く食欲をそそられます。ハイ。まぁ料理は置いといて今はルチアが優先だな。黒歌にタオル持ってきて貰わねぇと

「黒!タオル2枚頼む!」

「はいにゃ!」

いつもと様子が違うのに直ぐに気が付き、急いで家の中に引っ込んだ。

玄関に着くと床にもタオルが敷かれていて、直ぐに対応出来るように風呂も沸かしてくれているみたいだった。

「瑚太郎タオルにゃ。あと私の服持って来るからアン着替えさせてあげてにゃ。ゼルっち鍋から離れちゃダメだにゃ!」

「ありがとう助かる」

「どういたしましてにゃ」

ホント対応が早いって、いうか早すぎません?

見ても居ないのによくゼルが鍋から離れたって分かったな。いや、俺も音と匂いで分かるからそんなもんか。

それにしても、よく出来た嫁さんだよなぁ。いや結婚してねぇしまだ嫁さん呼びは早えか。

黒歌に貰ったタオルで濡れた体を拭きながらそんな事を考えていた。

 

「ふぃ〜。何とかなったな」

取り敢えず、ルチアは俺の部屋に寝かせている、別にほかの部屋でも良かったんだが。この状況じゃ顔の知らない奴らの部屋よりも顔見知りである俺の部屋の方がまだ安心出来るだろうと思っての事だ。

「この手袋、少し特殊な作りになっているみたいですね」

「……うん付けるだけで何かを抑えられるみたいね〜。それよりも、ルチアちゃん起きたらご飯食べていくかな?ねー、マスター」

「あの子の手に触れない様に着替え。って言っても脱がせて瑚太郎のワイシャツ着せただけ、何だけど。あの子の手やっぱり何かあるの?瑚太郎」

三者三葉とはまさにこの事か

「まぁそうだな。起きてそん時の様子見て、話してみるから飯はもうちょい待つか。それとルチアの手に関してだけど、もう一度確認するけど誰も触って無いんだな?」

「ええ触ってません。肌を見る間もなく運ばれて行きましたからね彼女」

「私は特に触れてはいないかな〜。マスターのあの感じからすると手にまつわるナニカって言うことまでは読み取れたしね」

「私も直接触ってはないにゃ、瑚太郎お手製の仙糸手袋を着けてたからにゃ〜」

うん、なんか地味に気に入ってくれたみたいで嬉しいよ黒歌。今度マフラー編もうかな、空き時間使えば冬までには出来そうだし。

「OK、誰も触れてないなら問題ない。ルチアに確認取らないと行けないし、俺がこのことに気付いてるって事も多分まだ知らないと思うから。もう少し待っててくれ」

「「「はい(にゃ)」」」」

「そんじゃ、俺ちょっと様子見てくるわ」

「ご飯準備してて大丈夫かにゃ?」

「うーん、そうだな。8人分用意できそう?」

「了解にゃ!アン8人分ご飯の用意にゃ」

「あいあいさー」

ふふっ、楽しそうで何よりだ。

さて、本題に入ろうか。2階に登り俺の部屋に向かう。

質素な感じに作られている割に階層数と部屋数がやたら多いのが我が家だ。俺の部屋はその2階の1番奥にあるのでちょっと面倒だ。寝坊した時なんて特に。

さて、くだらん考え事をしてるうちに部屋の前に着いてしまった。一応ノックはした方がいいか、俺の部屋だが今この部屋で寝ているのはルチアだしな。

コンコンッと少し強めのノックをする寝ていたらいいがワイシャツ姿でうろついていたら不味い……がノックに返事はなかった。

 

ゆっくりと扉を開け、中に入る。

まだ寝てるな………魘されでもしてるのか?寝つきがあまり良くなさそうだな。手を握って………いや、今はやめとこう。

結局ルチアの目が覚めるまでネットで()の教会を探していた。

「──────っ!!はぁ、はァ。………ここは?」

「おっ目、覚めたか」

「瑚太郎?」

「おう、瑚太郎さんだ。着替えとかはうちにいる同居人がしてくれたから安心しな誰も肌に触れちゃいないってさ」

「そうか、ならいいんだ」

弱ってるな、しかも相当。精神的に参ってる切っ掛けというか原因は間違いなく俺のせいなんだろうな。

 

っとまた考え過ぎた、ルチアが立ち上がったのに気が付かなかったぞ今。

「見てくれ」

プチッと俺の部屋に置いてあった植物の葉を引きちぎると俺に見せてきた。ああ、ちなみにこの部屋の植物は全て小鳥の物です。置き場所ないから置かせて。と言ってその日から我が家に自然がやってきた。

 

ルチアのもっていた葉は紫色のナニカに侵食されるように崩れていった。

「おぉ、なんだそれ」

「アサヒ ハルカの呪いだ……」

呪いねぇ………手から滲み出る死臭、いや正確に死に近い気配だろうか。なんであんなもんが手袋ひとつで抑えられんのか不思議でたまらないけどアレはヤバいだろうな、ある程度耐性のついているこの体が危険信号を出すって事は相当だ

「俺のせいか?俺のせいでルチアが」

「気にするな瑚太郎、そうだとしても私はこれまでと変わらないだけだ」

辛そうに何かに耐える様なその笑顔は、俺が1番嫌いな表情だ。

これを教えるって事は相当狼狽して頭が回ってないんだろう。恐らくコイツは自分から俺を遠ざけようと必死になってる。

だからこそ自分の嫌っているこの手を、この()を俺に見せた。

 

「手袋は誰にも触れないようにするために着けていたんだ。穢れた私が触れてはいけないから、私が触れなければ誰も───「それは違うぞルチ」──っ!」

パシッと小高い音を立てて。手を払われた。

触れたのは一瞬、たかが一瞬でもそれがかえって毒がどれ程強力なものなのかを知らしめた。

触れられた瞬間に分かった、鼓動が変わった、悪寒がする、尋常じゃない痛み。これら全てを受け、表情を変えずに喋る自信は到底無かったけど。この顔で良かった表情が表に出にくい顔で本当に良かった。

「お前には分からない、私の悲しみも、アサヒ ハルカの苦しみも!分かってる、分かってたんだ、私たちを受け入れる世界なんてないって。私たちは生涯誰とも触れ合えず独りで、孤独に生きて行かねばならないんだ。だからもう、止めてくれ。」

「………そう、だな。うん明日を最後にするよ。これで最後。もう終わりにする。だからルチア。飯食ってけよ。な?」

話す内容にまとまりがない、グチャグチャだ。大分余裕がないけど、それでも言いたい事だけは何とか伝えられた。明日が最後と『一緒』に飯食おうって。きついなこれ、気ぃ抜いたら痛みで叫びそうだ。クソ

「何だそれは、私は1人で………」

「いいから降りるぞ。黒!ルチアの制服持ってきてくれ。もう乾いてるだろ!」

「はいにゃー、お待たせしました………ってなんでルチルチ泣いてるニャン?」

「こ、瑚太郎が………っていうかルチルチって何なんだ?」

「俺かよ!否定出来ないけど──ブゥン!!──うおっぶね」

「瑚太郎?後でお話ししよっか」

「あ、はい」

やべぇ、リアスがキレた時の比じゃないくらい怖かったんだけど。桜架に近いキレ方だよなぁあれ。

「ハイハイ出てって出てって、これから女の子どうしでお着替えするんだから。男子はお邪魔にゃん」

「あいよ、じゃあ下で出迎えでもするかね。そろそろ帰って来るだろリアスたち」

「お願いするにゃ」

「了解しました」

ビシッと二人揃って敬礼みたいなポーズをとる。あんまりここに長居してしまうと今度は違う女子がキレそうなので早めに退散するとしますかね。

 

下に降りるともうリアス達が帰ってきていた。

「お帰りリアス。それと、いらっしゃいイッセー、アーシア……ってどうしたイッセーそんなにケツばっか抑えて」

「それは後で本人に聞いてちょうだい。本当にあなたの言う通り仲間を大切にする子だわこの子達。我ながら誇りに思ってる部分もあるのよ。本人には絶対に教えないけどね」

いい性格してるわ、コイツめ撫で倒してやりたい所だけど今は我慢だ。明日まで耐えないと。

おっと、二人も降りてきたっぽいな。

「お帰りリアス!」

「ただいま黒」

ギューッと2人で抱き合っているのだが。変形の仕方が凄いっす!まじ眼福ですご馳走様です!あと挟まれたい!って顔でイッセーが二人を見てた。アーシアに思いっきり抓られてたけどな。

「こ、こんばんはグレモリー先輩」

「あら、此花さんじゃない。いいのよリアスでそっちの方が有難いわ。グレモリーじゃなくなってもそっちの方が呼びやすいだろうしね」何故ドヤ顔でコッチを見ているのかね。撫でたいの我慢してんのに我慢できなくなっちゃうよ!?毒が蔓延するゾ!?

「はぁ、そうですか。では今後はリアス先輩と呼ばせてもらいます」

懐柔されてない?ルチアさんや。まぁいっか

「よし全員揃ったし飯食うぞー!」

「「「「「おー!」」」」」

 

いつもより賑やかな晩飯になった。

これだから客を呼ぶのは止められないんだ。

飯のある日は修行はなしって事で決めてるんだけど、最近はイッセーがうちに来ないのでそもそも修行は無しだ。でもまあ、俺個人はずっと部屋に籠って特訓してるけどねまだ全ての力を完全に御しきってる訳じゃねぇし。

っと。飯時に考える事じゃねぇな。

それにしても、黒歌はルチアに我が家の今現在の構成を伝えたんだろうか。すごく気になるんだが。

「ゼル煮物取って〜」

「はい、あーん」

「あーん、……美味しいぃ!」

「イッセーさんもあーんです」

「お、サンキューアーシア。あーん」

「「瑚太郎も!」」

「すまん今日は───グボォ!!」

「………………」ジト

ゼルとアンに毒されてアーシアがすっかりあーんに慣れてしまった。それに乗るイッセーも中々に耐性が着いてきたらしくルチアがいるのに平然と食っている。

我が家の嫁さん2人はうん、たぶん分かると思うけど。珍しく拒否したので喉に激痛がする。もう拒否しないから喉は止めて喉は、いくら俺でも死んじゃうから。あとルチアさんのジト目コワイ。

 

そんなこんなでワイワイと夕食を楽しんでいると。

「あの、そろそろ帰ろうと思うのだが」

「ん、もうそんな時間か。アーシア、母さん達に土産貰って帰ろうぜ」

「はい、瑚太郎さんまたお土産作って貰ってもいいですか?」

「あいよ、すぐ持って来るから。ルチアもちょっと待っててくれ送ってくよ」

「いや、その私は」

「良いから良いから、イッセー。手伝え、お前いた方が早いし自由に選んでくれて構わん」

「了解。アーシア、部長と黒姉とルチルチと「おい兵藤!」此花さんと待っててくれすぐ戻ってくるから」

「はい、頑張って下さい」

いつものと言っても俺の作っている果実酒やジュース類、漬物に干物といった物を小分けして小さなボトルに入れ替えるだけなんだけどな。

イッセーを呼んだのは女子同士の時間を作るためで特に意味はない。という訳でも無いんだけど。これを機会にルチアに友達を作ってもらういい機会になると思ったのが主だ。案外のこの世界は1人じゃないんだぞ。って教えてあげたいだけなんだけどな。

 

浅漬け、干し芋、スルメ、いちご酒、ワイン、蒸留酒。イッセーたちでも飲めるフルーツジュースを数リットルを持って戻ってくると。ワインは流石に自家製のものは用意できなかったのがやっぱり残念だよな。

「あっ!戻って来たにゃん」

「あら、今日はいつもより早かったわね、いつもなら小一時間かかるとおもうのだけど」

「イッセーさん私にもお持ちできるものがあったらおっしゃって下さいね」

「ありがとうアーシアじゃあ漬物とか入ったこのトートバッグを持ってってくれ」

「はい、分かりました」

「いつも通りの時間だと思うけどな、そっちこそいつもより会話に花が咲いたんじゃないか?楽しそうな声がこっちまで聞こえて来たぞ。っとほい、ルチアこれお前の分な、暇があったら静琉なんかにも分けてやってくれ」

そう言って、イッセー達の土産よりも少しばかり小さなトートバッグを手渡した。

中に入っているのは、漬物や希釈用のジュースとその使用方法だ。

カ〇ピスと大差無いからそこまで苦労はしないだろうし、相当味覚がイッてるやつでもないくらい原液では飲めない。俺でも飲めない。というか体に悪い。糖分摂りすぎになるからな。

「よし、じゃあ帰るか。アーシアそろそろ帰ろう母さん達にお土産早く渡さなきゃ」

「はい!きっとお喜びになりますね」

「それじゃ、私もそろそろ帰る」

「おう、分かった。ルチア、家の近くまで送っていくよ、流石にこの時間に1人で帰す訳には行かないし」

「いや、それには及ばん多分そろそろ迎えが来るからな」

「親御さんか?」

「いや、お前も知ってる人だ」

 

ルチアの言う通り少し待っていると。インターホンが鳴った。

「はーい、いま行きまーす」

「黒、ゼルとアン呼んできてくれるか?」

「分かったにゃ」

リアスは迎えに来たであろう人物を出迎えに行った。

黒歌にゼルとアンを呼んできてもらったのは。恐らくルチアの迎えに黒歌の顔が割れるのはマズいと思ったから。

少し時間を稼いでくれよ二人共。

「こんばんは〜、あら〜。本当に、天王寺くんがいるじゃな〜い」

「ん!?先生!?こんばんは、ルチア迎えって先生のことだったのか?」

まぁ、なんと言うか予想通り西九条先生が来た。

彼女は守護者(ガーディアン)側の人間だから当然の事と言えば当然なのだが。

「よくウチが分かりましたね。ルチアから連絡は多分してないと思うんですけど」

「あら、変な所に気を回すのね。大丈夫よルチアちゃんの携帯に着いてるGPSを辿ってきただけだから。それにしても随分と立派なお宅に住んでるのね。先生妬いちゃうゾ。そ・れ・にこの間、静流ちゃんの迎えと一緒に乗って送って来たじゃない」

「あ、そう言えば。そうでしたね。それとこの家は2人が遺してくれたものです。本当に大事に住んでいますよ」

「そう言えばご両親は………とごめんなさい」

「いえ、もう昔の事です大丈夫ですよ」

本音を言うと今もまだ少し引きずっているところがある。がそれをここで言うのは違うだろう。彼女には全く関係が無いことなんだから

「さて、ルチアちゃん帰ろっか。本当はこんな時間まで女の子が男の子の家にいるなんて良くないんだから」

「はい、帰りましょう。瑚太郎今日はすまなかった。迷惑をかけたな」

「気にすんなっての、また何時でも来いよ。次は先生も是非いらしてください」

「ええ、機会があったらそうさせてもらうわ」

「そうだ、リアスさんも送って行くわよ。私は車だからそっちの二人もどう?」

あ、これ不味いんじゃね?

「いえ、大丈夫です俺らは2人で帰るんで」

「はい、お土産をもってイッセーさんのお家に帰るのもトレーニングです」

「私も大丈夫ですよ。西九条先生。私はここに住んでいるので」

「あら?……………うふふふふふふふ。聞き間違いかしら?天王寺くん?この二人とあなた達────」

「さあ!帰るんだろうもう遅いし、急いだ方がいいんじゃ無いか?」

「うふふ、天王寺くーん?来週オハナシしましょう、ね?」

「はい」

今、俺に死刑宣告を出された気がする

そう言えば西九条先生オカ研(研究会)の顧問だから俺の事知ってんじゃないのか?もしかして茜さん俺の事話してない?

そもそも教師に対して、はい同棲してますってにこやかに言えないわ俺

うーん、まぁいいや取り敢えず。俺、来週死んだ

 

4人を見送ったあとゼル、アン、黒歌の3人が奥の家から戻ってきた。

「あれ?もうみんな帰っちゃったにゃ?」

「おう。残念だったな見送れなくてって、それにしても随分と時間がかかったじゃないか何してたんだ?」

「「それは………」」

「ナニしてたにゃ」

「「黒歌殿(ちゃん)!?」」

まさかそっちの方向で時間稼いで………いや、コイツら素だな。素で

やってたな……はぁ。

「そうすか、いや、まぁ駄目とは言わないけどダチが来てる時に流石にそれは不味いだろう」

「俺らも最近してないし……ハッ!」

「何を最近してないの?」

危なかったのか?アウトなのか?どっちだ!?

怖え怖えよ!

「あー、なんつーか最近特訓してないなってちょっと思ってサ」

しくじった。何とか誤魔化そうと思ったのに最後変な感じでうわずった

「それもそうね、イッセー達が最近教会の子達と聖剣を追ってたからね。もう、全然私に話してくれないんだもの、心配でしょうがなかったわ。暫くして、匙くん?だったかしら?ソーナの兵士(ポーン)の子も一緒に何かしてるって言うんだもの。彼女と一緒に様子を見に行ったのよ」

500回で許してあげた私の方が優しわね。ソーナなんて1000回叩いてたんだから。と言っていたが。

本当に1000回数えて叩いたのか……怖いなソーナ。

五十歩百歩だなとは思ったが、口には出せなかった俺である

 

「さて、そろそろ俺らも寝ますかね。俺は少しやることがあるからまだ起きてるけど他は早く寝るんだぞ。特にゼルとアンいつまでもはっちゃけ過ぎるなよ」

「お任せ下さいそうならないように全力を尽くします」

「大丈夫ですよマスター。きっと、ええ」

そうですかこちらの声は届いてませんか。

2人はきちんとこちらに返事をした様に聞こえるがずーっと2人で向かい合ったまま、付かず離れずの距離を保っていた。

「もういいです。朝までごゆっくり」としか言えないです。ハイ

実際、リアスがいるのでそんな事は言えなかったが。

そうして今日も俺は1人。部屋に籠る。

 

 

─黒歌side─

最近の瑚太郎ずーっと部屋に籠りっぱなしで、つまらないにゃ。

 

 

それよりも今日の朝。突然ゼルくんを連れてくるんだもの。いきなり過ぎてビックリした。だけどアンちゃんが喜んでたから特に何も言わなかった、そもそもアンちゃんが来る時だっていつも突然だった。

そしていつも大体どちらか片方だけなのに今回は珍しく二人揃っている。なんか不思議。

ゼルくんとアンちゃんに『主』『マスター』って呼ばれてるの。何でかな、私は確かにこの二年、三年しか付き合いが無いけど。瑚太郎の人となりを信じてるし、愛してる。心の底から好きだーって言える。

でもそれ以上に瑚太郎は二人と長い間一緒にいたんだなって思った、負けたくないって思うけど、二人は私のことを最初から知ってるみたいだった。ずるいって思ったし。それが不思議でたまらない。

英雄で、強くて、格好よくて、なんでも出来て、私を好きでいてくれる。それから、どんな事よりも彼は優しい。人としての優しさじゃなくて『存在』としての優しさ。なんでそこまでするんだろう、なんでこんなに愛おしいのかな。もう恋なんてしないって思ったのにアイツだけ。って決めていたのに。叶わなくなってしまえばそんなものなのかな。

けどそんな事はないって何度も思った。けどやっぱりその愛おしさは変わらない。ずっと昔から縁があったみたいなそんな感じ。なんだろうこの気持ちフワフワしてるのにとても胸が痛くなった。アイツの時はそんな事思わなかったのに。これは不思議。だった

きっと《黒歌》である前に『私』としての記憶がそれを邪魔をする。そう思ったから。どうして?どうしてこんなにも悲しくなるの?

(瑚太郎)が────だから?私も同じだからなの?

この世界は()()()()()優しいあの人は教えてくれた。始めは楽しそうって思った。でもそれは私の首を強く締め付けてきた。

それがあのクソ野郎だった。あのクソ野郎も───だった。

でも瑚太郎は違う。彼は、彼だけは他とは違う。何故だか分からないけどそう強く思った。

 

「──か?──く─か。黒歌?大丈夫?ぼーっとしてたみたいだけど」

「あ、ごめんリアス。なんの話だっけ?」

「うふふっもう。今日は一緒に寝ましょって話してたじゃない。瑚太郎が部屋に籠って、何をしてるかなんて………気になるけど。すっごーく気になるんだけど。今日は女子会……って言うよりも嫁会よ。瑚太郎が部屋から出てきたらいっぱいいたずらするんでしょ」

にこやかに、楽しそうに私と会話をしてくれるリアス。嬉しかった、ありがたかった。さすが()()のメインヒロイン、流石キングね。

「そうだったにゃ、お家汚す系は瑚太郎が怒るからなしとして何しよっか?」

「そう来なくっちゃ、そうと決まれば黒歌の部屋にGOよ!ゴー」

「はいはい、嫁会するゾー」

「おーっ!」

たまには女子で二人っていうのもいいよね。女の子どうし万歳!

 

 

 

─瑚太郎side─

「フーッ、フーッ、フー」

「…………………………」

2人が抜けた穴を埋めるのは大変だな。

感情と理性このふたつの柱を支える『存在』が欠けた今の俺は他の人にはどう写っているのだろうか。

今の俺は何なんだろうか。静かで真っ赤な部屋の中絶えず滴り続ける水の音。誰が流したものだろう。誰が流させたものだろう。

考える必要はない。今この部屋の中にいるのは一人(二人)だけ。

『俺』と《俺》

 

倒れているのは俺だ、見下ろしているのも俺だ。

どっちも俺で、どっちも血だらけだ。

違うのは返り血なのか、自分の血なのか。唯それだけ。

「………復讐は、やめたのか?」

「いや、そんなつもりは無いけどな」

「………最近弛んでるぞお前、らしくない。復讐に駆られていた時のお前の方が強かったぞ」

「そうかもしれないな」

「………それに今のお前、何も無いぞ。絶対に〜するって気持ちが、殺る気がない」

「そうだな」

「………復讐は終わったか?」

「…………………いや、まだだな」

「………もうひと勝負するか?」

「ああ、そうしよう。もうすぐ日が昇る。コレが最後だ」

「………分かった」

「『禁手化(バランス・ブレイク)』」

「────────」

「『刻輝龍の死鎧(セイブル・グリッター・ネクロメイル)』」

そっちじゃなくて俺()()の力って結構強いんだぜ?

「────────」

 

 

決着はすぐ着いた。

勝ったのは『俺』だった

それともう一つ───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日俺は初めて仮病を使って学校を休んだ。




瑚)ゼル、一応希望にそった見た目の型は出来たけど。作る?身体
マジすか!?お願いします!)ゼ
瑚)?(おかしいゼルが変な感じになってる。まぁいっか。)理想としての型は出来た。あとはこれに仙気を流し込んで中を作るだけだからそこまで時間はかかんないよ
ゼ)ありがとうございます。大事にします!
瑚)(………戻った)期間は3日。消滅のタイミングがアンと重なるように調節してもらった。不祥事でアンが先に消滅したとしてもゼルは残る。そもそも魔力と仙気は別物だからな。
ゼ)心得ておきます。
瑚)さて、じゃあ次会うのは朝だおやすみゼル
ゼ)おやすみなさいませ。主─────うおっしゃああああああああ!!アンと一緒だあああ!!
瑚)(よく感情を人前で隠すよな。ゼルって)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

停滞する者、破壊する者

どうも皆さん覚えていらっしゃるでしょうか?
投稿遅いナメクジこと紫翠でございます。

さて唐突にしてどうでもいい事なのですが足の指のパックリ割れが治りませんヒビ〇ア塗ってもまた割れます。どうしたらいいでしょうかね?

さて割れ指ナメクジ話などゴミ箱にポイッしてしまい
お話の方に逝きましょう!(誤字にあらず)
今回は主題の方のタイトルに関する事でどうしてそうなったのかがわかりやすいんじゃないかな?と思っています。

ではでは長い前置きはここまでにして
どぞ(っ´∀`)っ


「よいしょ。っと」

サンタブローシア平安園。アサヒ ハルカがいたという孤児院だ。

流石に歩いて来るのは無茶があったな。体力的にも精神的にも歩きは辛かった。

今、俺は孤児院の門。にしては大袈裟過ぎるであろう柵を飛び越えた所だ。中に入って思った事と言えば。

ここが本当に孤児院であった。子供たちが元気に遊んでいたと言う過去が存在しているということ。

長く使われていないであろう遊具達から、若干の寂しさと使われていたという現実を感じたからそう思った。

 

教会、礼拝堂。目に付く中でも一番デカいその建物は、所々に苔が生えていたり、横から伸びてきた木々に囲まれて狭そうにしていても、しかしその存在感は意識せずともハッキリと示されるくらい大きなものだった。………それから漏れ出る毒の気配もあの教会は段違いに大きかった。

「入ってみるか、せっかくだし」

いつもより少しダルく()()()()()身体を引きずって教会の中へ入って行く。風邪なんてこの体になってから引いたこと無いんだけどな。と内心でぶつくさ言いながらも足を進めていく。毒であって風邪ではないんだけど体感的なだるさは“酷い風邪”そんな感じだった

教会の奥。礼拝堂のステンドグラスの下。

吊り下げられるタイプのもので、額のサイズこそは違うがそれでも沢山の笑顔の咲いた写真が幾つも飾られていた。

 

この孤児院で生活していた子供たちの写真だろう。

岸田と言う男の子は見つけた。

「アサヒ ハルカは………」

唐突だった。何の突拍子もなく写真を吊るしていた額のガラスが割れた。……いや、語弊があるなごく僅かだが、ガラスが割れる寸前、空気が振動した。超音波振動ってやつだと思う。普通の人間じゃまず感知なんて出来やしない。

 

そして、ガラスが割れたという事は………

「見つけたぜ。アサヒ ハルカ───いや、今は此花 ルチアで名乗ってるんだったな」

「よく私がアサヒ ハルカだと分かったな、瑚太郎。流石は『大英雄』鈴木 凡人と言うわけか」

やっと包み隠さず本心のまま俺の前に現れてくれた。

「まぁな、始めから全部分かってた。と言ってやりたい所だが。確信を持ったのはコレだ」

そう言って吉野に貰ったプリントのコピーを見せる

「名簿?」

「そう、名簿。この名簿は俺が吉野から貰ったものでコレを持っているのは俺、吉野、ルチアの3人。その上このメモの中には一人だけこの住所に住んでいない人物がいた。にも関わらずその家でもガラスは割れた。おかしいだろ?呪いが間違えるなんて普通はありえない。ここまで言えば大体察しは付くだろう?」

「ほとんど全部言ってるんだが……なるほど、つまらんミスをしたものだな」

 

「俺がコピー機を使おうと割り込んだ時、何をコピーしたのかログを確認したんじゃないか?それで俺が何を調べようとしているのかを知った。だから止めようとした。俺はそう考察したけど違うのか?唯ガラスを割った件については考察が足りない。ある程度当たりは付けてあるけどな」

「そうだ、ガラスを割ったのもわたしの力だ。触れること無くガラスを割るくらい造作もない。そしてこの地に未だ蔓延るこの毒も私の力によるものだ」

無感動、表情にあまり起伏が見られない。

全力で感情を押し殺して自分を偽っているのか、それとも本気でなんとも思っていないのか。まぁルチアは考える間もなく前者だろう。『俺』とは違う彼女は心優しい女の子なんだから

「一つ質問、だ。どうして、こんな事を?」

…………苦しくなってきたな

「無論お前の調査を妨害するためだ。警告文を偽装したのも、ガラスを割ったのも、全てお前を止めるためにした事だ。でもお前は()めなかった。生きている物に触れる事の出来ない私に近づこうとした。思えばずっとそうだった、一年の時に私と初めて会った時でさえ、潔癖として避けているという(てい)を、ぶち壊して来てくれたのだからな」

あの時は大変だったんだぞ。とルチアの口から少し愚痴が溢れた。

吐く息が少しずつ細くなって来たように感じる…………

「私とて産まれた時は普通だった。だがある所で『そういうモノ』に生まれ変わった。変えられてしまったんだ

「そういうモノ?」

「今の瑚太郎に話した所で解決出来るような事じゃない。私はこの忌まわしい過去とその正体を知られたくなかっただけだった。それからお前はアサヒ ハルカを助けたいと言ったが私にそんな資格はない。昔、鈴木 凡人の神話での話を聞いた時思ってしまったんだどうして私は『英雄』に助けて貰えないの?どうして助けに来ないの?って 」

「─────っ!!」

ルチアはそこまで思い詰めていたのか、それを考えれば早い段階で気が付くべきだったあの時アレを殺した時に、あの組織(ガイア)を潰した時に…………あれ?

「だからそんな私に──」

 

 

ドサッ

 

 

ち、力が抜けた。もう全身に毒が回ってんのか。少なくとも足は死んでいる、片膝を着けたのは奇跡に近い。

全身から油脂が吹き出て、呼吸も浅い。何より壊死したかの様に下半身に力が入らない。毒の回る位置調整位は出来たものの脚に負担をかけ過ぎた。原因は分かってる。右手昨日ルチアに手を払われた部分だ。

「瑚太郎!?────っ!!!」

右半身は完全に死んだな、くそっ痛え。

朧気な視界の中に右手が収まる。紫色、内出血の色?まぁ青くなってるのだろう。凄い色だ

「すまない瑚太郎。私は、私はまた──「待てよルチア」瑚太郎?」

「俺を誰だと思ってる?『英雄』だぞ?お前自信が言ったんだぞ『大英雄』だって、ハァ。本当は助けて欲しかったんだろう?すまなかった、俺の、手が届かなくて。はァ、ハぁ」

「もういい、喋るな!直ぐに病院へ………いや、そこまで毒が回ってしまえばもう────」

勿体つけ過ぎると死ぬなコレ。ははっ。簡潔に単刀直入に………

「ルチア、鈴木 凡人として単刀直入に聞く。俺にお前の《世界》救って欲しいか?」

「あぁ。頼む。お願いします。神様どうか。瑚太郎を助けて下さい! ……」

聴こえてねぇな。自責の念でいっぱいか………

ならもう本気で書き換えを────

 

ガギリ

 

「───────!!?」

しかし時計の針は動かない。固定されたかの様に、石にされたかの様に、錆び付いた時計は動こうとしなかった。

──なんでだ!?

クソっ。このままじゃ不味い!なんで、どうして動かないんだ!?

 

 

 

『ドアホ』

声が聞こえた。俺が嫌う《俺》の声が………

『ど阿呆、自分の力くらい自分でコントロールしろバカが。気に入らないんだろ?この結末が。だったら変えちまえよ、そんなクソルート(結末)『俺』が望んだ世界の形に』

ほらこの力はこうやって使うんだよ!と荒っぽくて、無愛想で、意地悪な癖に自分のことを1番に考える。《俺》は強ぇなって思った。そして俺はやっぱり《俺》が嫌いだ。

「─────っ!!」

全身に力が籠る、死んだはずの半身に熱が灯る。錆び付いた時計の針は少しずつ回り始め。そして1度付いた勢いに乗り───

「こ、瑚太郎?」

「──────っ!!!!!」

───狂った様に回り廻る

自分を書き換える、先に進む。アクセルを踏んだようなこの気分。ほんとうに久々だ。これでまた人間から離れてしまった。

でも大切な友をコレで繋ぐ事が出来るようになるはずだ。

書き換えろ、俺の肉体をこの毒を受け入れることの出来る身体を。この毒を全て()()身体を。書き換えるんだ、ルチアの悲しまないですむ世界になる様に

「綺麗だ────」

生命の輝きが綺麗で無いはずがない。それが例え醜いものであったとしても、憎き相手であっても、それが大切な人物であれば尚更だ。

 

小さかった火種は、命を糧に少しずつ大きく広がり、やがて全身を覆い尽くす。生きた火種が身体を癒すと身体は毒に適応し、そしてソレを身体の内に蓄えるように周囲の毒にも広がり始める。

ルチアの見た命の輝きはコレだ。広がり続ける大きな火種は、例えるならそうオーロラの様に広がる。1()()を除いて全ての毒を覆い尽くすとその全ては俺に集約された。

 

全身の虚脱感、痛み、吐き気、その他もろもろ。全て消えた。あるのは能力による一時的な万能感と能力しようによる疲労感

コレで()()方は完璧だな。

「いっつつ。よい、しょっと。これで此花 ルチアの───いや、そうだな、旭 春花の。二人の世界、受け入れたぜ。ルチア」

立ち上がり手を差し出す

「お、お前。何ともないのか?」

「ああ、ルチア風に言うなら俺は『そういうモノ』だ。英雄なんて呼ばれてるのは伊達じゃない」

「そんな、有り得ん、これは、奇跡だ」

恐る恐る俺の手を取りその嬉しさのあまり泣き出すルチア。…………まだだ、終わりにはしない。

「ここは礼拝堂だ。奇跡の一つや二つ起きたって不思議じゃ無いだろう?」

ルチアの手を握り思い切り引き寄せる。

「うあぁ!こ、こ、コた、瑚太郎!?何をする!?」

ギュッと抱き締め離さない、離れることのないようにと力強く、でもルチアの痛がらない強さで抱き締める。人の温もりを全身に感じられるように優しく包み込むように

「もう一つくらい奇跡起こしてもバチは当たらないよな?」

「何を言って───?」

もう一度、時計の針を回し始める。

今度は俺の為じゃない、ルチアの為に。

「まて、まて瑚太郎。お前一体私に何をしているんだ!!」

「大丈夫。全部俺が持つ」

「だから何を言って───くぅっ!身体が熱い!」

その体質が、毒を生み出さなければ生きていけないというのなら。俺はそれをぶち壊す。壊してそれを創り直す。この力で上書きしてしまえばいい。俺は俺自身に対して諦めてしまった『停滞』してしまった。でも誰かのために、今この抱き締めている彼女の為に『生命』を使う。

書き換えるんだ。この《世界》を俺の望む、彼女の夢見た『物語』へと《停滞した(とまった)》俺に出来ることは他の誰かを送ること、例えその先で迷ったとしても歩いて行けるように誰かの架け橋に、道になる事。だからこの《体質》を自在に扱うことの出来る『能力』へと進化させればいい。体質がマイナスならそれを自分の意思で扱うことの出来るようになった『能力』はプラスになるはずだ。そして彼女の根底にある楔ソレを()()()()()この力で見えたもの。この力で知り得た彼女を書き換える。そうする事で《未来》を『現在』にする事で彼女が苦しまなくても良いのであればこの命。惜しげも無く差し出させて貰おう!

アクセル踏みっぱなしのこの能力は進むことしか出来ない。もう戻ることは出来ない。それでもきっとこの能力ならば彼女の望みが叶うことになると信じて。

 

「『書き換え完了』此花 ルチア。………コレでもう自分の毒に怯えなくていい、必要な時だけ使えばいい、だからもう大丈夫」

抱きしめ続けた彼女を離しすぐそこの長椅子に座らせる。

まだ少し顔が紅い気がするが恥ずかしかったんだろう、少し悪いことした気分だが。──ルチアのしている手袋を奪った。

今まであまり日に当たって来なかったというのもあるのだろう。きめ細やかな肌、健康的で女の子特有の不思議な柔らかさを持つ綺麗な白い手だった。

どうしてこんなにも美しい肌が毒を帯びたのかはまた後々調べる事にするとして。彼女の手をそっと自分の頬へ近づける

「だ、ダメだ!私の手に触れては、手に触れたら────へ?」

ルチア手は完全に俺の顔に付いているにも関わらず毒に犯される様子もなく、まして紫色の痣が出来るなんてことも無かった。

「な?もう大丈夫だろ?お前は──ルチアは汚れてなんかいない。こんなにも清廉で綺麗のにどうして汚れてるなんて言えるんだ?」

「なん、で……私の手は、毒は………」

俺に出来たのはここまで、どう足掻いたところでルチアから毒を消し飛ばすことは出来なかった。その代わり『能力』という別の形に置き換え完全に制御出来る様にした。それがどういうことを意味するのか分からないルチアでは無いはずだ。今は混乱していたとしてもだ。

「もう手袋なんていらないよ、俺達に気を使って壁を作る必要もないよ。ただ、此花 ルチアとして俺達の友達として過ごしてくれよ。そもそも一人ぼっちなんかじゃなかっただろう。静流がいる、オカ研の皆がいる」

「しかし、ちはやとは喧嘩をしてしまった」

少し笑いそうになってしまった。そこでちはやが出てくるのか、同じクラスなのにまだ仲直りしてなかったんだな。

「んなこといつまでも気にしてんなよ、自分が悪いと思うんだったら謝ればいいだけの話だろ?それに向こうだってきっと悪いと思ってる」

「そ、そうだな瑚太郎。その──」

「1人で行くのが怖いんだったら俺も一緒について行ってやるよ。なんせ俺はルチアの友達だからな、他にもなんかあったら言ってくれよ俺に出来ることなら手伝うよ」

「ああ、ありがとう」

さっきは強引に手を引いたが今度はルチアからそっと寄り添うように顔を隠すように抱き着いてきた。きっと嬉しかったのだろう、と信じて俺もそっと抱き締め返した。

コレでルチアは大丈夫だろう。もう悲しまなくてもいいはずだ、これからはルチアの生きたいようにやりたいようにすればいい。

一つ問題となりそうなのはこの毒を切り離した事でルチアにどういう影響が現れるかだ。確かにルチアの()()()()()を《未来》から『現在』にする事は出来た。特に問題にはならないはずだがもし仮にルチアがこの毒を持つ理由となった出来事にもう一度遭ってしまえば、また同じ事の繰り返しになってしまう。そんな事にはならないように俺はルチアを支えないといけないと思う。後は仲直り───

 

バンッ!

 

教会の扉が強引に力強く開かれた。

……蹴破られたワケではなさそうだけど。ルチアの言っていた毒が残っているという言葉は事実だったのだろう。全身を防護服に包み、随分と重装備の中で教会には似つかわしく無い銃火器も備えていた。

あまりの仰々しい装備の集団に対しこちらも少し力が籠る

腕の中にいるルチアをステンドグラス側に引き寄せ、視線を逸らさないまま殺気を込めて睨み返す。

 

カチャリ

 

と銃をこちらに向けて構える音がした。

そうか、そちらがそういう態度であるのならばコッチは───

「瑚太郎、大丈夫だ、彼らは味方だ」

腕の中から聞こえた声に従い殺気を抑えた。視線はルチアの方へ

「そうなのか?」

「ああ」

あのままルチアに制止の声を掛けられていなければこちらに銃口を向けている集団の灰と氷漬けの像が出来上がっていたかもしれない。或は…………

「あらあら、青春ね」

「………先生」

「はぁい、天王寺くんこの毒の瘴気の中どうしてそんなに元気なの?って聞いてあげたい所だけど───この汚染された地域が正常な森に還ってるのよ、どうしてか知ってるかしら?」

 

急にトーンの下がった先生の声。そこに含まれていたのは明確な殺気と疑心。生徒である俺をギリギリまで信頼しようとしてくれている。それが痛いほど視線に込められていた。だが──

「先生、話す前に後ろ下げて貰ってもいいですか?じゃないとオチツカナイんですよね」

後ろの連中は警告や意識付けで殺意を向けている訳じゃ無いから、隙があれば許可が下りれば何時でも撃つつもりだろう。だけどそんなことはさせない、そんなこと俺が許すはずが無いだろう。旭 春花の思い出の残るこの場所を血と硝煙で汚すなど万死に値する

「……ええ良いわよ、下がりなさい彼は私の大事な生徒の1人だもの私が責任を持って処理するわ」

『了解』という短い返答のみを残し教会から武装集団は出ていった。

 

「さて、天王寺くん?どうして貴方がここに居るのか説明してくれるかしら?」

「勿論です露払いありがとうございます」

軽くお礼をした後に抱き締めたルチアをそのままに、ここに至るまでの経緯を話した。少し嘘もついた、先生には悪いがこの能力(リライト能力)を詳しく説明する訳にはいかない。

「なるほどね〜、天王寺くんがあの鈴木 凡人だったとはね〜」

「おかしいでしょ1000年も前の人物が目の前にいるなんて」

「いや、そんな事は無いけどちょっと以外だったなぁ〜って思っただけよ。上位天使、悪魔、堕天使には1000年くらい生きてる奴なんて結構いるもの、それよりも自分のこんな近くに伝説の使徒がいるなんて思わなかったわ。教会では神の使わせた『この世の希望にして最強の使徒(セイント・オブ・ゴッド)』っていう扱いだし」

「誰だよその聖人君子みたいな称号持ってるやつ!?」

いや、俺だよ知ってるよ。分かっちゃいたけど精神的に大ダメージを負ったのだが?

知り合いにこんなものを目の前で本人に向かって言わせるとかどんな罰ゲームだよ。言ってる本人はなんとも思ってないのがまた刺さるし

「あら他にも────」

「ヤメテ!それ以上言わなくていいから!」

「あらそう?まぁとりあえず話しておくけどこの件に関しては他言無用でお願いするわ。もし黙っている自信が無いのなら記憶の方を……って普通なら言うんだけど、『英雄』だしその必要は無いでしょうね。というよりもそんな事したら私たちが教会本部から消されかねないわ」

信徒というよりも戦闘集団という扱いからか、尻尾切りもよくあるらしい。熾天使組に繋がりのある人間はそれなりに優遇はされるらしいが。そこはそれ、という事で俺は関係ない。深くは聞かなかった。面倒だし

 

とりあえず、コレで毒に苛まれる少女を助けることが出来たかな?

あぁ〜疲れた。全身の痛みから解放はされたものの疲れだけはまだ体に残っていて気怠い。ルチアに関して詳しい検査は『守護者(ガーディアン)』がしてくれるだろ。

疲れているせいか、少しばかりの寒気と動悸がする。

昨日から鳴り止まないこの動悸………あ?

 

昨日から?毒は消した。じゃあなんで?どうして?

待て、もしかして昨日から感じてた動悸と嫌な予感って─────。

「すいません。先生後で学校で合流しましょう!リアス達が危ない!!────『纏え刻翼(バランス・ブレイク)!』」

 

─ルチアside─

「──『纏え刻翼!』」

慌ただしく吠えたかと思うと次の瞬間には既に教会の外にいて。

霊言だよろうか、『まとえこくよく』と叫んだ直後に黒いなナニカが全身を覆って飛び去ってしまった

「えっ、ちょっと瑚太郎くん?待って、待なさ───行っちゃった」

急に飛び出して行ったのは流石に西九条さんでも予想外だった様だけど。どういう訳か何処か懐かしむ様な慈しむような瞳で瑚太郎の方を見つめていた。

数秒だろうか、私と西九条さんが瑚太郎の飛んで言った方を見つめていたのは、気がつけば日はもう傾いていて夜に落ち込もうとしていた。どれくらいここにいたのだろうか。短い時間しかいなかったように思っていた。けど不思議と時間が経っていて流れた時間の幸せで、もう嫌な思い出は私を蝕もうとはしなかった。

『守護者』の病院へ向かう途中西九条さんにこんな事を聞かれた

「ルチアちゃん。知ってたの?彼が『英雄』鈴木 凡人ってこと」

「ええ、まぁ本人から直接。研究会と研究部のみんなは知ってますよ」

以外だった、教会の時にも思ったけど西九条さん。瑚太郎の事をよく知っているものだと思っていた。でも彼女の反応は明らかにあの場で初めて『英雄』である事を聞いた反応でかく言う私も初めて聞いた時はそんな感じだったと覚えているから。じゃあ西九条さんが瑚太郎に向けているあの()()()()()()()()何処か痛みの伴った視線は何なんだろうか

「そう言えば、朱音さんから何の報告もなかったんですか?あの人、私たちの中で一番早く瑚太郎に出会ってたのに」

「うん、凄くいい子がきたっていうのは知ってたけど。私自身正直唯の名義貸しだから詳しい活動内容とか知らないのよね〜。なんで研究部と合併しないのかしらね?本当に」

今度私も部活参加しようかしら?とそういう西九条さんはとても生き生きとしてとても先生と言う感じがした。だからだろうか何時もは他人行儀に近いのに、その時だけは

「それもいいかもしれませんね。西九条()()

と素直に先生と呼ぶことが出来た。




瑚)今回ほとんど人出てきてないよな
ブラック瑚太郎)あぁ?しょうがないだろタイトルに触れる内容にしたいって思ってたら詰め込み過ぎちゃって元の三巻遠ざかった!って嘆いてたんだから
瑚)次回漸く聖剣に!
ブッ瑚)コカビエルどうなるんだろうな?
瑚)貰った聖剣使うかな?
ブ瑚)動悸の正体なんなのか………っておい!くそナメクジ!ブッ瑚かブ瑚どっちかにしろよ!
作)ブラっ瑚リー?
ブラッ瑚リー)天誅!!
作)ぶぇー!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

困惑と内心

どうも皆さまお久しぶりでございます
塩ふりナメクジこと紫翠でございます
お元気でしたでしょうか
まず私のことを覚えていらっしゃるでしょうか

投稿間隔が桁違いに空いた事に関しましては申し訳ないとしか言いようがないのですが。
理由としてはまぁちょっと一時期、精神的に死んでました
今はなんともありませんむしろ元気です。ハイ
人間ってあんなにも無気力になれるんだな〜って、感情表に出なくなるんだな〜って初めて思いました。ハイ
そして今更ですが台風も特に荒事にはなりませんでした。
ですが被害に合われた方々の復興が少しでも早く進まれることを切に願います。


さて長い長い前置きはまだちょっと続くんですが
今回の話ちょっと短く戻して見ました。具体的には7000ちょいです
リハビリも兼ねて面白い作品作りをして行ければなーと思います。
あとやっぱり木場くんの出番は………ゲフンゲフン
さてさてくだらない長話もここまでにして、それでは行ってみましょう

どぞ(⊃ ´ ꒳ ` )⊃


〜数時間前〜

 

 

 

─イッセーside─

 

ゴクリと唾を飲み込む

足が震える、力の差を感じる

どうして?なんでだよって。

頭ん中はそればっかり、なのに

でもどうしても答えが出でこない、なんでこんなにも震えてんだよ俺

こんな奴よりも瑚太郎の方が何十倍も強えじゃねぇかって

分かってるのに、理解出来てるのに。

ちくしょうなんで動かねぇんだよ俺の足!

 

「ハッハッハ!どうした赤龍帝、足が震えてるようだが?先程までの威勢はどうしたほんの少し殺気を向けただけでこれか?まだそこに寝ている小娘の方が張合いがあったぞ、まぁコイツも震えていたがなぁ?」

 

昨日の夜フリードを見つけた後戦って、逃げられて、追いかけた三人とはぐれて、自分の弱さを痛感した。スグに追えなかった俺達は部長と会長に叱られた、心配された。降っていた雨が責め立てているように感じた。

 

少し前に部長の使い魔がイリナを見つけて駆け付けて、それでこのザマって俺今まで何してたんだよ!

睨み付ける、震えるからだで向けられた殺気に負けないように

「ほぉ、雑魚の癖に睨み返す程度の心は持ち合わせてるらしいな、まあ別に蟻に睨まれた所でなんとも思わないが」

「イッセー、落ち着きなさい今は彼女が最優先よ」

「そういうこったよ、イッセーくぅん?」

「フリード!てめぇ!」

イリナが倒れている所にずっと居続けたこのクソ神父、コッチの事分かったようにずけずけと言ってくる、弱点に成りうる場所を的確につく、憎たらしいやつだ。

「安心しろよ赤龍帝くん。彼女は気絶してるだけ、外傷も殆ど残ってない手もつけてない、強姦は俺の趣味じゃないんでね。ただ『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』は貰ったぜ?いいよな別にどうせ彼女には使いこなせてなかったわけだし」

そう言いながらやつは腕にまきつけたバングルを見覚えのある日本刀に形を変えた

「てめぇ!」

「あーそうだ、コカビエルの旦那自分で言う?俺が言う?どっちにする?」

俺なんてなんとも思っていない風にコカビエルに視線を向けた

「ふん、好きにしろ俺は奴と戦えればそれで充分だ、戦争まで発展すればなおいいんだがなぁ?」

「戦争ですって?」

「あぁ、そうですよ。グレモリーの時期当主様。旦那の根本的な欲は戦争による混乱と闘争そして戦うことに対しての愉悦これら全てを満たしたいがために戦争を吹っ掛けるんだってさ。聖剣もある、魔王の妹がいるそんなところで堕天使の主格が暴れるんだそりゃあ戦争にも発展するだろうね」

1000年前の戦争の続きをしたいんだとさと簡潔にまとめた。

「自分の欲のためだけに私たちの街で暴れようっていうの!?」

「そういう事になるね〜どうする?それともう一つこの街には『英雄』がいるそれを怒らせるにはどうするのが一番手っ取り早いと思う?」

「そいう事ね、はなから狙いは瑚太郎だったって事ね」

「そうでもないっすよ、言ったじゃないっすか───」

なんだ?雰囲気が…

「戦争がしてぇんだってさっきから何度も言ってるだろ?」

意図的に細められた目、トーンの落ちた声。どれも()()()()()()()()()もので恐怖に足がすくみ、声も、腰も弱く引けてしまっていた。

 

もっとも本人にはそんな自覚一切ないようだが

「あーあ、つまんね。旦那行きましょうぜ」

「貴様随分とおしゃべりなんだな、俺たちといてもあまり喋らないではないか」

「あはは、今そこ聞いちゃいますぅ〜?煽ってんですよ俺、コイツら雑魚共に全力で……」

「ふん、まあ貴様のことなどどうでもいい。リアス・グレモリー俺からも一つ教えておいてやろう。今夜貴様らの通う学園で聖剣の融合を行う。バルパーがどうしてもと言うのでな、それまでに力を『英雄』を連れてこいそうすれば俺とまともにやりえるだろう。一足先に待っているぞ」

そう言い残すと翼を広げて学園の方向に飛び去って行った。

「そういうこった、精々頑張れよ赤龍帝くん」

それだけ言うとフリードもいなくなってしまった。

 

「何なんだよ」

「学園で聖剣の融合ですって?ソーナ」

「はい、分かっています急ぎましょう、融合の完成にはまだ時間があるとはいえ完成してしまってからでは遅いでしょう。あの白髪の男に聖剣が渡る事は勿論、何より完成だけでは済まされないはずでしょうから」

「戦争……ですか」

「ええ、そうね。本当にそうなりかねないわ。……瑚太郎はいまどこに居るのかしら?」

「部長も知らないんですか?」

こんな時こそ瑚太郎の出番だろ、何してんだよ

すっげー力でまた皆救っちまうのが瑚太郎なんだ、どうせ今回もそうなる

「ええ、少し出てくるって書き置きが置いてあったのだけれど、瑚太郎の事だからまたどこかで誰かを救っているんだと思うんだけどね?少し心配だわ………それよりもソーナ、紫藤さんをお願い」

「ええ、椿。あなたの家で少し寝かせて置いてください。まだしばらくこのままでしょうし。私たちはこのまま学園に向かいます。椿は彼女の容態の確認ができ次第こちらに合流。行きますよ皆さん」

「「「はいっ!」」」

 

「朱乃、子猫、イッセー私達も行くわよ瑚太郎が帰って来るこの街に戦争なんて起こさせはしないわ!」

「了解ですわ!」

「はいです」

「はい!部長!」

「よっしゃー!やってやりましょう部長!」

いつもの通り元気よく返事を返した。しかし

何なんだよこの気持ち、クソっ気分わりぃな

 

内心、自分の感情ばかりに手一杯で何も出来ない、恐怖で震えているこんな奴がどうしたって他の人を救えるんだよ!

『随分と荒れているな相棒』

(んだよドライグ)

『いや何、昨日も言ったがお前は奴を少々美化しすぎていると言うことと自分を過大評価し過ぎているぞ』

(美化ってなんだよ瑚太郎は十分凄いやつじゃねえか、俺はそれに届くことが───)

『そこだ、そこなんだよお前さんが全く成長しない理由』

(は?)

なんだよ、どういう事だよそれ。

()の瑚太郎に俺の力は届いてるじゃないか、だったら俺があのくらいでびびってちゃおかしいだろ?

『奴も自分の弟子には甘くなるという事だ。一ついい事を教えてやる、相棒今のお前じゃアイツの本気の殺気を向けられただけで気絶するぞ』

(何言ってんだよ俺が気絶?そんなのありえない)

『理解したくないのならそれでも構わん。だが、忠告はしたぞ』

(ああそうかよ、そんなに俺は弱いのかよ。瑚太郎の全力だって俺は耐えられるんだ、だったらあのクソ堕天使にだって勝ってやるよ)

『…………』

 

〜駒王学園〜

「うおっ、もう結界が張られてる」

「流石、ソーナとその眷属ね。辺りも暗くなっているしこの程度なら当然じゃないかしら。それよりも」

「お待ちしていました、リアス」

「ええ、少し時間がかかったわごめんなさいね」

こうして見ると部長と会長って本当に幼馴染なんだなぁって思った。会話や態度が俺たちといる時よりもリラックスしてる様にも見える。瑚太郎と一緒にいる時ってどんなかんじなんだろうな部長って

「会長、ただいま戻りました」

「部長さん、私も戻りました」

っと部長と会長をボーッと眺めてたら副会長とアーシアが戻って来た。

「お疲れ様です、椿。それで彼女の容態は?」

「はい、アルジェントさんの宝具のお陰で傷は癒すことが出来ました。まだ眠っていますが呼吸も安定しているのでじきに目を覚ますかと」

「そう、それは良かった。アルジェントさんありがとうございました」

「いえいえ、イッセーさんの幼馴染さんですから、それに困った時は助け合いです。私に出来るのはこれくらいなので」

「それが凄いのですが…いえ、それよりもリアス。今回の件、あなたのお兄様、ルシファー様に連絡をした方が良いのではないですか?」

「お兄様の助けなんて必要ないわ。私の街よこれくらい自分で何とか出来るわ」

「しかし、いくらなんでもこれはあなた一人で解決出来──「ご安心ください、会長。」」

「朱乃?」

「もう魔王ルシファー様に打診致しましたわ」

「朱乃!!勝手に───」

 

俺にはよく分からないけど部長達も部長達で大変なんだな。

よし!俺も俺で気合いいれてくか!

 

話し合いでまとまったのか会長たち生徒会組が結界担当

俺たちとオカ研組はコカビエル討伐という事になった。

やってやる!勝つのは俺たちとオカルト研究部だ!

 

「この戦いはオフェンスよ、ゲームの時と違う間違いなく命懸けの戦いになるわ」

そうだ、この戦いはゲームじゃない。大怪我したら転移なんてないんだ

「だけど私達が負けることは許されないわ、お兄様達の軍勢が来るまでの1時間なんとしても持ちこたえるのよ。そして生きてこの学校に通うわよ!」

 

「「「「はい!!」」」」

よし、ならコカビエルは俺が───

「イッセーあなたは今回サポートに徹してちょうだい」

「───はい。分かりました任せてください!全力でサポートしますよ」

なんで?なんで俺じゃないんだ?

この街を守るための戦いだろ?

この中で俺が一番強いんじゃないのか?

それともまだ『禁手』に至ってないからなのか?

クソっなんだってこんな時に限って俺がサポートなんだよ!

『相棒、最近基礎トレしてるか?』

(なんだよ、なんなんだよ急に。してねぇよ悪いかよ)

『お前は自分がどいういう存在だか忘れてはいないか』

(はあ?天王寺 瑚太郎の弟子でリアス・グレモリー様の『兵士』で今代の『赤龍帝』だろ?それがどうした)

『間違ってはいない、だが足りんな。お前自分が努力をする事で伸びる人間だと言うことを忘れているんじゃないか』

(……それがどう関係あるんだよ)

『お前最後に特訓したの何時だ』

(……………)

『それが成長しない答えだ、奴はお前の事を信じていたようだがな、自主トレしてるって』

「イッセー?行くわよ、今回の戦いあなたに掛かっているのだから。頑張りなさい」

「はい、任せてくださいよ。俺頑張ります!」

(うるせえ、瑚太郎がいなくたって俺が何とかしてみせる)

 

「待ちくたびれたぞリアス・グレモリー、それで?誰が来る?『英雄』か?魔王ルシファーか?それともレヴィアタンか?」

「いいえ、この私リアス・グレモリーとその眷属が相手になるわ!」

 

「チッ」

軽い舌打ちと共に見たこともないサイズの光の槍が体育館に放たれそして

 

ズドオオオン!!と轟音と暴風が吹き荒れ体育館を消し飛ばした。

 

な、なんだよあれ、あんなの一撃でも食らったら終わりじゃねぇかよ。

あんな大きさの光の槍は初めてだ。見たのも、感じ取った悪寒もどれもこれも別格で『恐怖』の意味を初めて理解させられた気がした。

『なんだ相棒、ビビってるのか?』

(当たり前だ、あんな光の槍。掠っただけで消し飛んじまう)

『じゃあ逃げるか?』

(はぁ?何言ってんだ、アイツは()が倒す)

『そうか。今更だが神器の調整自体はとっくに済んでいるぞその気になれば何時でも『禁手《バランス・ブレイカー》』に至れる筈なんだがな』

(俺も瑚太郎みたいに『禁手』使えるってことか?)

『……いや、今の相棒では無理だな、致命的に足りていない』

(………どういうことだよ、何が足りないってんだよ)

『そのうち分かる、奴がここに現れた時に聞いてみるといい。俺には何が足りないんだ、とな』

結局『禁手』は使えねぇってことかよクソ。

まあいい、そんなの無くても天流と『赤龍帝の籠手』だけで勝つ

 

「つまらん、が。まぁいいどうせ奴も来るのだろう。この街が無くなりさえすれば。そうだな、聖剣が一つになるまでまだ時間はある、余興として楽しませて貰おう」

 

そう言うとコカビエルは魔法陣から三つ首の犬を呼び出した

「ケルベロスだ地獄の番犬とも呼ばれているが、こいつは少しばかり出来が違うものでなぁ」

そうニタニタと笑いながら続けるコカビエル

部長達の様子も少しおかしかった。

「確かにケルベロスみたいだけど、アレは……?」

「炎は元より氷に雷をも纏うケルベロス等聞いたことがありませんわ!?」

「くくくっ、そうだろう。俺も初めて見た時は驚いたものだ、他属性を同時に使いこなし、さらに通常のケルベロスよりも遥かに強靭な肉体を持つこんな犬が存在するなどと夢にも思わなかったさ」

何処か不快の混じる笑みに変わりながらも口調は先程と変わらずずっと楽しそうなままだった

「これを譲ってくれたアイツらには感謝しかないな、残ったのはこの1匹だけだったがそれでも十分に楽しめた。さぁ、お前たちはこいつでどう遊ぶんだ?この俺を楽しませてみろ」

あくまで余興なのだろうどちらが死のうがどちらが生きようが別にどうでも良いのだろう1つ確かなことはコカビエルの瞳は誰も映していなかった。

 

「相手の能力は未知数だけどやるしかないわね。……イッセーは力を貯めてちょうだい、朱乃は私と魔法攻撃、小猫は打撃で少しずつでもアレの体力を減らしなさい祐斗……はいないのよね、アーシア全力で逃げなさいもし私たちが怪我をした時はフォローお願い」

「了解です部長」

「はい、部長」

「はい」

「分かりました部長さん」

 

「コカビエルの前にまずあの大きな犬を討つわよ!」

「「「「了解(しました)!!」」」」

 

─コカビエルside─

つまらなかった、退屈だった。

神が死に、魔王も死に、戦争が終わって。

戦いに酔いしれることでしか、心を癒せなくなって

あの時見た輝きが強すぎて、昔の様な生活に戻れなくなった

以来、ずっと争いを戦いを求めた。この心の渇きを癒すために

昔は泣いていた気もする、愛する誰かを失って、心通わせた仲間を失って。人らしい感情など持ち合わせていた事もきっとあったのだろう。でもそれすらも壊れてしまった。

殺しに溺れた。

何故?殺さなければいけなかったから

何故?死にたく無かったから。

何故?仲間が殺されるのは嫌だったから。

どこかで歪んで

何故?殺しは愉しいから

何故?戦場こそが俺の生きる場であるから

何故?殺しすぎた者は殺されるべきだと思っていたから

 

でも何時だったかそんな心の渇きを癒すことの出来る変わり者がやってきた。随分と髪の白いけどその割に若い男だった。

奴は人間らしく、あまり長生きは出来ないんだろうなと笑っていた。

不思議な男だったよ、こんな戦争狂の所にまで足げく通って、話をする為にだとか、飯作ってきたとか、ヴァーリの遊び相手になれだとか、自分勝手に他人(ヒト)に踏み込んで来てペースを乱していつの間にか乗せられていて、気が付けば戦いとは無縁な生活に幸せを感じられる様にもなって、案外子供も悪くないもんだとも思わせられた。

正直笑ったな、あんなにも毎日戦争狂戦争と言い続けたこの俺が『平穏な日常』っていいなってポツリと呟くなんて、隣で一緒に座って茶を飲んでたアザゼルとシェムハザの顔と言ったらそれはもう。

アザゼルに至っては湯のみを足に落として足を火傷してたしな、あの頃は殺しなんて微塵も出て来なかった気がする何でなんだろうな。そう言えば時々朱乃もウチに来ていたな、日本家屋をモチーフにしていたからかバラキエルと朱璃と3人で遊びに来ていたな。本当なんであんなにもつまらない平穏な日常とやらを謳歌していたのだろうか。どうして俺はこんなにもまた戦争に狂っているのだろうか。

何故だろう、()()()()()()

 

そうそう、その白髪の人間なんだが何度か戦っている。そして俺はその全てに悉く負けている

初めて戦った時、何故か戦争時代に戻った様な感覚に陥った。不思議だった、特に鮮烈に思い出せるのはあの時、あの瞬間、唯振り下ろしただけの一撃で赤龍帝を殺害し堕天使である俺の眼を持ってしても捉えることの出来ない速さで飛行し遥かに上空で戦闘を行っていた筈の白龍皇を灰の塊として落下させた。あの蒼白の鎧に紅黒の右腕を持つ存在。アレに似た何かを感じ取った。そいつと戦う度に強くなっていくことを自覚したし、何か目標の様な物を見いだせた様な気もした。

だけどナニかと出会ってそれすらも失ってしまったような気もする。それがなんだったかは思い出せないが、特異ケルベロスを手に入れた時と同時だった気もする。

唐突の二択だった。何かを失った喪失感に向かって行くのか。

体のいい玩具を手に入れて好きな様に殺しが出来る喜びに浸るのか。

俺は後者を取っただから今こうなっている。

恐らく、と言うよりも間違いなく。俺はもう元には戻れない。

聖書に記された堕天使というのは幸か不幸か強すぎる。

失ったり欠けたりしたものが多すぎて余計な物を見にまとい過ぎたんだ。そんな中で俺がこうなっても、変えられてしまったと頭で理解していても自分ではどうすることも出来ない、もうこれが当たり前になってしまっているから。アザゼルには悪いことをしたな、奴がいた数年で俺は随分と変われたのに、またこんな戦争狂に堕ちてしまった。

全く持って不甲斐ない。

アザゼルは気づいているだろうか、この俺の心境を。アイツにもう一度出会うことが出来れば俺はまた元に戻れるのだろうか。あのミジンコ()()は成長出来たのだろうか。そうあって欲しい。

これが最後、いや最期になるんだ。アザゼルなら必ず俺をコキュートスに落とす、そうなればお終いだ。最後の現世だ派手に暴れたっていいだろう?

それにこの街には、かの有名な鈴木 凡人がいるらしいじゃないか。どうせ終わるのなら存在その物が最強と呼ばれる奴に殺されて終わりたい。『英雄』相手に死ねるのなら本望だ

しかしこれは理想だ。独白だ。

だがこの理想は最期の一瞬まで持っていようじゃないか、唯一俺にだけ真名を明かしたあの白髪の俺の友人に、あの日語らった夢を叶えるために『真理』苗字とか言うそんなものは忘れてしまった。けれどもこの俺様を、戦争狂を、一瞬たりともでそらすことの出来たその名にもう一度出会いと思うこの気持ちは傲慢だろうか。

『約束』は守る。死ぬと決めた時は自分のやりたい事だけを真っ直ぐ貫き通す。今この瞬間にお前の言葉を借りるならば、そうだな。

「邪魔をするなら立ちはだかるモノ全て壊して(殺して)やる」

 

そう決めた所で何か飛んできた。滅びの魔力か、大したことの無い威力だな。

魔力を最低限の質で量だけを多めに放出しながら飛んできたソレを片手でうち払った

 




瑚)音速飛行じゃあ!!
ブ瑚)急いでる癖にテンション高いなぁ、あとブ瑚に落ち着いたんだな
瑚)くっこの短期間でまたも動悸、嫌な予感がするなんて。ついてない
ブ瑚)大きな力の流れは駒王町に集まってる。一つだけかなりデカイな
瑚)コカビエルか!クソっ頑張って戦争狂から足を洗わせたのにどうしてまた戦争なんて……はっ!まさか最近構って貰えないからいじけて拗ねてるんじゃ!
ブ瑚)あー、なくも無いな
瑚)コカビエル置いて遊びに行くといじけるもんなアイツ
ブ瑚)アザゼルよく笑ってたしな、それ見て
瑚)しかしこちらにはノートブックと言う対アザゼルよう黒歴爆弾があるのだ。もちろん後から連れてきてもらったりもしたぞ、こコカビエルれ使って
ブ瑚)みんなで遊んだ方が楽しいはコカビエルにも通用したしな
瑚)まぁ若干洗脳臭いことはしたよね
ブ瑚)…………俺は何も見なかった
瑚)あぁ、お前でもそういう反応になるんだ
ブ瑚)知り合いのSMプレイ動画を延々と流されて、耳元で『戦争はいけないみんなで遊ぶ方が楽しい』とひたすら言われ続けて誰が正気を保っていられるんだ。むしろ普通に戻ったコカビエルがおかしい。
瑚)あ、やっぱり?
ブ瑚)その自覚はあったんだな………
瑚)てへっ
ブ瑚)褒めてねぇよ!可愛くもねぇよ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

やる気折れました

お久しぶりでございます
なめくじ野郎でございます
生きていました
例のウィルスにもかかってはおりません
本当にお待たせしました

と反省の色はこの程度にしておいて






続きじゃあ!
明るいお話じゃないし、人によっては嫌いという人もいらっしゃると思いますが!

どぞ(っ´∀`)っ


〜イッセーside〜

不意をついた攻撃のはずだった、なのにこちらに対して一瞥もせずに攻撃を弾き、なお無傷だった。

部長の魔力って滅びの魔力なんだろ?なんであんな簡単に弾かれるんだよ!そもそも部長だってもっと大きな魔力弾打てるだろ!

 

《いくら滅びの魔力であってもああすればいくらでも弾くことはできる、魔力を纏って肉体に触れられさえしなければ怪我をする事もない。その上やつは最低限度の質で放出量をあげて弾いていた。こちらを1度も見ずにだ。もう分かるだろう次元の違う相手だと。それでもお前はまだ()()で勝てると思うのか?》

 

なんなんだよ、なんだよ、どうなってんだよ!俺は瑚太郎の弟子だアイツにも勝ったことだってある。なのにどうして、どうしてこんなにも動けないんだよ。

さっきのケルベロスだってそうだ。木場とゼノヴィアが来てくれたから何とかなったものの、俺一人だったらアーシアのカバーはしきれなかった。クソっなんでだよ!

 

「この程度………か。余興も見るまもなく終わってしまったか。いや、まだ楽しみは残っているか」

コカビエルが残念そうに呟いたと思ったら今度は嬉々として何かを見つめた。それに釣られるようにして俺たちの視線もそちらに向く。

「おぉ!ついに遂にだ!私の悲願が達成されるぅ!!」

バルパー・ガリレイ、皆殺しの大司教。木場の仲間たちの仇

ずっと憎んできた相手、俺にそんなのいるか?

それにあの表情、アイツの悲願聖剣がなんとかって言ってたけどそんなの知らないし、あり遂げた成し遂げた、充分だって表情。恍惚までは行かないけど喜びに、歓びに満ちた表情

 

あんな顔、最後にしたのはいつだっけ?

最近は鏡すらちゃんと見てない気がする

 

「考え事に耽るのも悪くない。そう教えられたが………まぁいい、フリード!完成した聖剣の力俺に示して見せろ!」

「了解旦那。がその前に。これなーんだ?」

新しい玩具を見つけた子供のような顔で叫ぶコカビエル。

その声に答えてフリードも動くと思った、でも違った。

なんだあれ?何持ってんだ?アイツ。

「なんだいそれは」

「聖剣の因子か?」

木場の疑問に間髪入れずゼノヴィアが正答を出した

「正解、これ最初の聖剣の因子らしくてさ。分かるだろ同類クン」

「同類くん?いやそれよりもそれは……僕の仲間たちの!!」

「ああ、フリードには説明したな。私のこの研究の第一歩。人工聖剣使いの作成。中々に面白い研究だった。聖剣に憧れ、いつか使いたいと思い来る日も来る日も───「いや、あんたの説明長いから俺がするわ」……………( ´・ω・`)」

「要するにだ、これがあれば誰でも聖剣が使えるようになる。そのための研究材料にされたのが聖剣計画の子供たちだった。って話しさ。」

 

「そうだ、私の研究はあれで完成した。なのにその成果だけをむしり取り奴らは隠匿した。アレらに何をしたのかを全て、まぁどちらにせよ解放する気は無かった。私としては初めから因子を抜き取る事さえ出来れば良かった!不要になった抜け殻など必要ないだろう!?だから捨てたのだよ!「っ───バルパー・ガリレイ!!」───捨てた()()だったのだよ」

「どういう事だ?」

バルパーの言い草に違和感を感じたらしい。

木場が少し動揺してる

「お前は先口調からあそこから逃げ出せた子。なんだろう…………まぁいい残っているものをお前にやる。どうせもう必要の無いものだ。最期に仲間たちに会えればお前の気もそれなりに晴れるだろう。どうせこの街は消える。コカビエルが本気で暴れればな」

そう言ってバルパーは因子を投げ、そのついでだろうか、フリード()因子を投げた

 

「使えよ同類クン、聖剣の因子を。仲間だった奴らの想いを。見せてくれよ。聖剣を超える?出来るものならやってみせろ!」

いつもと違うその様子にアーシアと俺は大きく動揺した。いつものふざけた感じとは全くの別物、雰囲気も威圧も比べ物にならないほど大きくて鋭い。そう思った。

 

「これが皆の……」

二つの因子を抱え、祈る様に膝を着く木場。

「なんだ?……あれ」

その木場の周辺に朧気であるけど確かに人の形をした影が集まっていた。何を話しているかは聞こえない。でもどうしてこんなにも胸が熱くて、苦しくて、どうしようもなく()()()()と思ってしまうんだろう。

《ほぉう………相棒、残念でそして嬉しい知らせだ。たった今至ったぞ》

至った?何が?

《あの騎士が禁手(バランス・ブレイカー)に至ったと言ったんだ》

ああ、それで。こんなにも悔しいんだ。こんなにも羨ましいんだ。劇的な変化。あくまでも力じゃないんだ。失った何かを取り戻すことが出来たんだな木場、俺にはそんなものがないから羨ましくなったんだ。

明確に騎士(ナイト)と言う駒を与えられ、確かな力を持つ。お前なら確かに至れるよ。俺にはそんな物がない。失ったものがだから至れないんだ。その努力をしていないから。これが終わったら黒姉と瑚太郎にもう一度修行つけて貰おう。今までの甘えに。

 

何かを失うために

 

《………(致し方ない。こ、怖い、めちゃくちゃ怖いが奴に助力を得なければ。このままでは相棒が壊れてしまう)》

気がつけば木場の持つ魔剣が聖なる力を持った魔剣になっていた。

ゼノヴィアの方もデカい剣を持っているし。しかもエクスカリバーじゃないらしい。よくわかんねぇよ。あぁ無力だ

 

木場の力は凄かった。騎士の力を全力で使い聖剣を使うフリードよりも早く動き、翻弄しつつも少しずつダメージを与えていく。

そしてゼノヴィア、俺の苦手なシンプルでかつ力強い一撃で的確に伸びてくる聖剣を叩き折っていく。それだけじゃない。

たった数日の間であの二人互いの動きをある程度把握して、それに応じて死角カバーし合ったり、攻撃にフォローをしたりしていた。

そしてついに

 

歪な金属音とは違う、高くうねりを上げるような甲高くそれでいてどこか温かみのある音を上げて、聖剣は砕けた。

砕いたのは木場だ

……やったな、お前なら必ずやれると思ってたぜ

悔しいけどやっぱりお前は騎士だよ

空を見上げ、込み上げる感情を堪えるようとしているんだろうか、あんな顔初めて見た。

 

「聖と魔の融合。そうかそういう事か!?相反する二つの力が混じり合うことなどないつまり魔王だけでなく神も────────!!!!」

なにかに気が付いたといった風のバルパー・ガリレイそれに向かって体育館を消し飛ばしたものより一回り小さく誰も反応出来ない速度で光の槍が放たれ、そして弾かれた。歪で不快、不機嫌にさせる音が学園中に鳴り響く

「どういうつもりだ?フリード」

「いや、アンタを楽しませるのはここまで。聖剣(笑)も壊れたし俺の()()()()()の仕事はお終い。俺の主からの命令は一つこの小太りジジの護衛、殺すために活かしておけなんて、酷い主だよな〜。そこがいいんだけどさ」

「何を言っているんだい?」

「ふぃー、にしても本気じゃ無かったとは言えまさか切りつけられるとは思ってなかったんだよな。木場クン。君結構やるね、同類としてとても誇らしく思うよ。まぁでも、取り敢えずはコッチは無視してくれて構わないよ。君らの敵はアッチ。コカビエルだろう?そこの青髪、ゼノヴィアとか言ったっけ?聖剣の欠片は持ち帰って貰って構わない。コチラに手を出さないのなら。それが守れるなら後はどうぞご自由にってことで。君もどうせコカビエル倒すとか言うんでしょ?兵藤クン。まぁ君程度じゃ絶対に無理だけど」

「てめぇえええ!!」

「フリード貴様一体いつから俺を裏切っていた?」

「裏切るも何も端から俺はあんたの手駒じゃない。俺には正式な主がいるんでねその人以外に主なんて考えられないし。俺は認めない」

「そうかそういう事か………いいだろうお前の言う主が来るまで待っていてやる」

「ありがたいねぇ」

嬉しそうなどこか馬鹿にしたような笑顔

「一ついいかな?」

「私も聞きたいことがある」

「なんだい?俺の答えられる範囲であれば何でも答えてあげるよ」

「その剣は一体何なんだい?」

「その剣から出ているオーラ、恐らくソレは本来の聖剣エクスカリバーそのものだろう?なぜ貴様がそれを持っている!?」

「ん?あぁコイツか?俺の主からの贈り物。紛い物の急造品より本物の方がお前には扱いやすいだろってくれたんだよ」

「 なんだと!?」

「じゃあそれは聖剣エクスカリバーそのものということかい?」

それを聞いて奴は心底嬉しそうに笑った

「クハハッ!違うよ。こんな闇色の刀身の剣がエクスカリバーなわけないでしょコイツは『邪聖剣ネクロカリバー』って言うらしいよ。もっともコイツは聖なるオーラなんて放ってないけどね」

それだけ言うと奴はバルパーの上に座った。

「じゃほら頑張りなよグレモリー眷属の皆さん。主の命令によりあんたらの闘いぶりを拝見させていただくよ」

「ふざけんな!!そんな言い分信じられるかよ!」

「うるさいね君は本当に主の指示がなかったら殺してるよ。本当に何たってこんなのが出来上がるんだか」

「イッセー?彼の事は放っておいて良いわ今はそれよりもやる事があるのだから」

「部長!でも!」

「イッセー、聞き分けなさい。今ここにいるのはあなただけじゃないのそれ以前に私達の目的を忘れたの?」

「いえ、はい。すみませんでした」

ああ、クソっなんでこうも思い通りにいかないんだよ!

《相棒、今の貴様はただ地団駄を踏んでいる餓鬼に見えるぞ》

(なんだって?)

《言葉の通りだ。お前は別に力がある訳でもない、何かの才能に長けている訳でも無い。強いて言うなら運に恵まれている位しか取り柄のない男だ》

(お前、俺のことバカにしてるのかよ)

《いや、客観的事実だ》

(もういいよ。話しかけないでくれ。)

《……………》

「あああぁぁっ!!」

気がつくと朱乃さんがやられていた。

俺、なんのためにこの場にいるのかな、必要なくね?いるだけなんだし。

「セー………ッセー………イッセー!!」

パチンと頬に痛みが走った

「部長?」

「何をぼーっとしているの!?死にたいのあなた!?」

ははっ何言ってんだ?部長瑚太郎が来るんだからどうせ誰も死なないでしょ

「大丈夫ですよ、瑚太郎が何とかしてくれますから」

「彼は今ここにはいないのだから私達で何とか抑えないといけないのだから戦ってるそうでしょう!?」

「いや、俺いる意味ないじゃないですか攻撃もせず、ただひたすら逃げて倍加を溜めるだけ讓渡もしてない。ほら意味ないじゃないですか」

「イッセー?どうしたのあなた?らしくないじゃない」

「部長が言ったんじゃないですか俺は今回補佐だってだからずっと倍加溜めて待ってるんじゃ無いですか。何か間違ったことしてます?」

「それは………」

 

「クハハハッ中々面白いことをしているじゃないか。仲間割れか?なら赤龍帝、どうだ俺と組まないか?望むものなんでもくれてやる。女も金も力も。望むもの全てを思うがままに」

「そうすれば『禁手』にも至れるのか?」

「当然だろうこれから戦争を始め、幾千幾万の敵と戦って行くんだ。至らない方がおかしい」

へぇ、闘えば『禁手』に至れるのかなら

「今ここで俺を『禁手』に至らせてくれよ。そしたら考えてやるよ」

「良かろう大事なお仲間が数人死んで主も壊されればお前とてここで『禁手』に至る事は容易だろう」

「イッセー馬鹿な事は止めなさい!」

「部長」

「何かしら?」

「どうして俺は『禁手』に至れないんですかね?」

「……分からないわ。何か強い想いが必要なのは確か。瑚太郎は器は完成してるからあと少しって言っていたから力量的には問題ないはずよ。ただあなたの今の気持ちじゃ至れないのは私にでも分かるわ」

「どうしてですか?」

「あなたが辛い、嫌だと思っていることから逃げているからよ」

「…………………」

みんな揃ってそれかよ別にトレーニングをしたところで眷属の中でも断トツで強いんだから別にいいだろ?瑚太郎との試合にも互角レベルで戦えてるんだから俺はもう強くなっただからこれ以上トレーニングはいらないだろ。

「おい赤龍帝の小僧これが見えるか?」

「あ?」

目を向けた瞬間コカビエルが槍を投げ放った

誰に?ボロボロになっていた子猫ちゃんにそうか

誰か失えば俺はきっと────

 

槍が当たる瞬間二つの黒い影が子猫ちゃんを覆った

そして槍は爆発。あたりは砂埃でなにも見えなくなった。

あぁ、コレが仲間を失うって事か………

思ったより何も感じないんだなぁ

 

じゃあ俺はどうしたら至れるんだよクソ

 

 

『禁手』に至れない事に内心悪態を着いていると

少しずつ砂埃が晴れていった。

 

 




作)あれ?コレイッセー闇堕ちしない?
瑚)え?イッセー闇堕ちするの!?
作)こんなはずでは……どこだ、どこで道を間違えたんだ!?
瑚)叩けば治るか
作)昔のテレビかよ!
瑚)愛のある拳の力で軌道修正してやる!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。