これが私の暗殺教室 (Unknown)
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第一話 僕らは殺し屋になった。
ある日を境に僕らは殺し屋になった。
ターゲットは先生。
日直の号令と共にクラス全員で――あ、一人を除いて先生に向けて銃を撃つ。
先生は銃の弾を回避しながら出欠を取り、それに僕らが答える。
最高時速マッハ20の先生は楽々それを回避し――こう言うんだ。
「残念ですねぇ、今日も命中弾はゼロです」
――――と。
僕、潮田渚がこの先生に出会ったのは3年生の初めだった。
月が7割蒸発し、一生三日月しか見ることができないとニュースで流れ、学校に来てみるとその犯人がいた。
黄色い2メートルはあるタコのような生物、そしてタコのような生物は言ったのだ。
「初めまして、私が月をやった犯人です。来年には地球もやる予定です。君達の担任になったのでどうぞよろしく」
色々と突っ込みたいところはクラスの一人を除いて思っていただろうがあんまりな状況に全員無言だった。
それから防衛省からきた烏間先生が色々話してくれた。
国家機密なので他者に話さないように念を押してだ、中学三年生の僕たちに向けて――――。
纏めるとそのタコは来年の三月に地球を破壊すること、そして秘密裡にそのタコを暗殺することだ。
――――そして椚ヶ丘中学校の3年E組の担任をそのタコがすることだ。
意味が分からない。
どうやらこの珍妙な生物は僕達に危害を加えず毎日教室に訪れ僕達31人が狙うことができ、驚くべきことにその暗殺の成功報酬は――――百億円。
その額を聞いた僕達は目がお金のマークになっていたかも知れない。
金額が途方もなさ過ぎて想像しようにもできないくらいの金額だった。
そして一通り説明が終わると武器が配られ、そのタコは麻婆豆腐を食べに中国まで飛んで行った。
意味が分からない。
その月を壊したタコだった先生は授業を受けてわかったが教えるがとても上手だった。
ユーモアもあって、色んなことをして僕達を楽しませてくれた。
タコ型の超生物で僕達に命を狙われるのにあの先生は普通に僕達に先生のように接してくれている。
――――でも、僕達E組は少しだけ普通と違う。
エンドのE組、どんなに良い授業を受けても暗殺を頑張ろうとしてもある空気が僕達を包み込んでいた。
頑張っても仕方がない、どうしようもない――――と。
山の上の隔離校舎まで通わされてあらゆる面で差別されている落ちこぼれだからだ。
僕は見返したい一心で先生の観察を始めた。
先生を観察していて色々わかったことがある。
結構というか、かなり顔に出るのだ――あの先生は。
そして先生は僕を警戒していない、殺れるかもしれないのだ、先生には
そう考えながら寺坂君から受け取っていた秘密兵器を小袋に入れてぶら下げて歩いていた僕は視線を感じた。
この学年になって、いや彼女がこのクラスに入ってきてから何度も感じている視線だ。
上から観られているようで、何か薄皮一枚を通して視られているようで、何もかも見通されているような感覚でもある。
いやな――――視線だ。
彼女、鈴村楓は3年生になる前、2年の学年末テストを全て白紙で出しこのクラスに落ちてきた。
地方からこちらにある椚ヶ丘学園に入学しに来たようで、入試試験トップで入学しそこからは2年2学期になるまで学年1位。
同じAクラスの浅野学秀と並ぶか勝つかの人物で容姿端麗、文武両道、性格もいいようで小説やゲームにいるような高嶺の花として君臨していた。
――――が2学期の試験からは成績は落としていていて、浅野君と何度かトラブルになっていたようだ。
彼のなぜ成績を落としたのかという問いに対して「飽きた」と返答したことが原因だったとか。
そんな優秀な生徒だった彼女が僕を見ている。
期待しているようでもなく、侮られているわけでもなく、ただこちらを見ている。
「あー、えっと鈴村さん? 何か僕についてる?」
「別に何も」
淡白な答えがいつも通り帰ってくる。
その返答はいつも通りで、今までと変わりがない。
そう思った直後に彼女から今までなかった二度目の返答がやってきた。
「ねぇ、渚君。これ"終わった後"読んで?」
「え? 終わった後って」
「んー、多分わかるよ。じゃあ終わった後読んでね?」
ニッコリと鈴村さんは笑みを作り封筒を渡してくる。
よくわからないまま僕は受け取りその日の授業を受け取ったまま中身を見ることなく受けることになる。
昼食後の授業、僕らが眠くなる時間、その頃に先生の顔がうすいピンクになる時がある。
この時は先生の反応が遅くなり油断している時間ということが観察で分かっている。
授業で使っている短歌の紙の裏にうまく対先生用ナイフを隠し、ゆっくりとゆっくりと先生の方へ
この進学校で落ちこぼれているままではいられない、どこかで見返さなければいけない。
そんなことを強く思いながら一歩また一歩先生に近づく。
先生がプシューと音を鳴らしている、どうやって鳴らしているかはわからないけど油断している――――このタイミングだ!
認めさせなきゃ――――そんな思いはたやすく否定される。
「そんなにストレートに来てもいけませんよ」
短歌の裏に隠したナイフを逆手で握り顔に突き立てようとした右手を触手でやんわりと止められる。
でも、まだだ――――僕には寺坂君から受け取っている秘密兵器がある。
そのままの勢いで先生に抱き着き胸元から秘密兵器が露出する――――その瞬間。
後ろで何かを押す音が聞こえ胸元の秘密兵器、対先生用BB弾グレネードが大きな音を立て破裂する。
耳鳴りがする。
どこか遠くで寺坂君の喜ぶ声が聞こえる、成功したのだろうか。
あれ――――痛みがない、火薬の量を増やした特別性だ、ケガをしないわけがない。
なのに痛みがないのはなぜだろう、耳が聞こえてくるとなぜ痛みがないのかわかった。
先生が教えてくれた、月に一度ほど脱皮をし――脱いだ皮を爆弾に被せて威力を殺したらしい。
月イチで使える奥の手らしいけど反則だ、失敗してこれからどうしようかと悩んでいるときにそれを僕は見た。
先生の顔色は真黒、ド怒り状態になり。
協力者であった寺坂君達を呼び言い訳も聞かず教室を飛び出し一瞬のうちに何かを抱えて帰ってきた。
クラス全員の家の表札だった。
そして先生は僕達に警告する。
僕達には危害を加えないが次に今の方法で暗殺をしようとしたら僕達以外をどうにかする――――と。
クラスのみんながこの先生から逃げることはできないと怯え身を後ろに引いた。
僕も汗が出て、恐怖を感じている――――そうみんな怖いはずだ、それなのに僕の背中にあの視線が突き刺さる。
――――先生が怖いはずだ、目を離してはいけない、それなのに後ろが気になる。
先生から目を離し、後ろを見た。
鈴村さんが僕らを見ている、僕らを視ているはずなのに僕らを観ていない。
わけのわからない何とも言えないような感覚が僕を襲った。
そんな時、寺坂君の迷惑だと、迷惑な奴に迷惑な殺し方をして何が悪いと怯えるような泣き叫ぶ声で僕は正気に戻った。
先生はそんな寺坂君に対して顔に○を浮き出した状態で迷惑ではないアイデア自体はよかったと褒めた。
そのあとに僕の頭を撫でながら見事隙を突かれたと褒めてくれた。
ただ、自分を大切にしない、人を大切にしない生徒は暗殺をする資格がないと叱った。
「人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君達全員それが出来る力を秘めた有能な暗殺者だ。暗殺対象である先生からのアドバイスです」
僕はそんな異常な教育がうれしかった。
僕を警戒していない先生は、
「さて、問題です渚君。先生は殺される気などみじんもなくエンジョイしてから期限がくれば地球を爆破します。渚君はどうしますか?」
暗殺なんてしたことないし僕達には色々これから先しないといけないことがる。
それをするためにもそう――――先生を殺さなければいけない。
つまり僕は先生にこう返す。
「――その前に、先生を殺します」
先生は嬉しそうに僕の答えを受け止めて
「ならば今から殺ってみなさい。殺せた者から今日は帰って良し!!」
と僕達が帰ることができなくなる無茶を言ってきた。
暗殺するのに笑うというのは不思議な感覚だけど、この時僕は笑っていた。
そんな中僕の知り合いである茅野が突然立ち上がりこう言ったんだ。
「殺せない先生。あ、先生の名前、殺せんせーがいいんじゃないかな?」
殺せないと帰れない、なのに殺せない先生、その時茅野がつけた先生のあだ名は皮肉が聞いていてクラスのみんながすぐ使うようになった。
「ああ、結局殺せなかったなあ。殺せんせー」
そんな愚痴が口から洩れた。
クラスのほとんどの人が帰り、教室にもまばらに人がいるくらいだ。
思わず口から洩れた愚痴は誰にも聞かれてないと思う。
そして殺せないけど帰ることになった僕はふと思い出した。
鈴村さんから受け取った手紙――――。
終わった後に読んでと言われたけど今ならわかる、
近くに誰もいないのを確認して白い封筒を開け、僕は中を見た。
中には一枚の手紙が入っており綺麗な文字でそれは書かれていた。
暗殺開始から暗殺の終わりまで、僕のしたこと先生の対応、そのすべてだ。
――意味が分からない。
だってあの秘密兵器はそのまま持っていたわけではない、小さな小袋に入れて外からは見えないように持っていた。
寺坂君達と話していた時も彼女はいなかった、いや隠れて聞いていたとしても先生の行動や奥の手まで彼女は知っていた。
――おかしい、彼女はおかしい。
未来予知でもできるのだろうか――――それとも別の何かがあるのだろうか?
もう一度手紙を確認する、どうやら裏にも何か書いてあるようだ。
『このことは誰にも内緒だよ?』
さっきの綺麗な文字とは違い丸い可愛い文字で書いてある。
いや、可愛く書かれたって怖いものは怖いよと思わず突っ込みそうになったけど――――。
うん、なんだろう――――怖いけど少しだけ彼女の意味の分からない視線とこの手紙を僕にくれた理由が気になった。
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第二話 私の現実
記憶を保持したまま新たな人生を歩めるのなら――――そんなことを妄想した人は結構いるのではないのだろうか?
もしそれが身に起きた時貴方ならどうする?
私は後悔ばかりの人生だった、中ほどの底辺というのも表現としてはおかしいが同じ感じの人にならきっとわかってもらえるはずだ。
そんな私が記憶を保持したまま次の生を奇跡的に得ることができた、前世の性別と変わってしまったけど。
男から女へ、中の下の生まれから上の下へ。
私が私であるとはっきり自覚したのは5歳くらいだろうか。
そして私が私であると自覚したその時に私の目的は決まった。女として生まれたのならアニメやラノベに出るような最高の美少女になろうと。前回ほとんどすることのなかった努力をしようと、最高の美少女になるために。
元から多数の習い事がありまずはそれを頑張り始めた、前世の考え方や記憶があるためそれはとても簡単であった。
ピアノ等芸術的なものを除いてにはなるが――――。
うまく怪しまれないように段々と興味ある物をアピールし、増やしながら色々なことを覚えていった。
世の中出来る出来ないは基本的に考え方と慣れだ、出来ると思わなければ出来るようにならないし何度もしなければ出来ない。
慣れ、意識を割かずに出来るようになることはとても重要なことだ。
作業と思考――料理は慣れれば手を動かしながら様々なことを考えることができる。
複数の作業――ピアノでも最初は無理でもなれれば両手を別々に動かせるようになる。
前世では左手コントローラー右手にマウス、足でキーボードを操作してゲームの神プレイ動画を作る人物がいたくらいだ。
同時に多数のことができればそれだけ学べる量が増やせる、少ない時間で様々なことができるようになるのだ。
授業を聞きながら別の授業のことを考えることから始め、少しずつ出来る幅を広げ効率的に色々できるように体を考え方を慣れさせていった。
小学生3年になる頃には同時に二人の講師から学びながらそのわずかに空いた時間で別の講師の宿題をするくらいはできるようになっていた。
運動についても体の動かし方を細かくしっかり意識して動かせば体力の消費を少なくし効率的に動けることに気付くことができた。
理想の美少女へと昇り詰めていく感覚が楽しかった、途中から家族にもう少しゆっくりでいいと言われたが止まることができなかった。
不思議と前世の記憶はあせずしっかりと残っていた、そのことにより気付くことができたのだが――――どうやらこの世界は暗殺教室の世界らしい。
椚ヶ丘学園、小学校6年生になり進学先としてどうかと担任に言われたのだ。
そしてストンと私の中で何かがきれいに収まる音をその時に確かに聞いた。
ああ、こんなにも出来なかった私が上手くいっているのは漫画の世界の中だからだ、普通に考えてこんなに望んだ通りに成長することはできないだろう。
お前の前世は"アレ"だっただろと――――漫画の世界だからこそできたのだ、お前の努力は関係ない。
そうジワジワと頭の中にそんな言葉がしみ込んできた。
でも私にはそれでも積み上げてきたものがあった、自身にとっての最高を作り上げてきた気持ちがあった。
それを潰すわけにはいかなかった、
だから先生にお勧めされた進学先、椚ヶ丘学園を受けることにしたのだ。
最高の美少女は性格もよくなければいけないし先生の言うこともしっかり聞かないといけないのだ。
そのことが現実逃避だと気付いたのは大分先のことだった――――。
勉強もできて、運動もできる、美人で可愛くどんな人にも優しく、悪いことをした相手には叱って諭し、そんなキャラクターを維持できなくなってきたのは何時位からだろうか。
中学一年生までは"アレ"の時にイラつくことがあるくらいで上手くいっていた、中学二年になってからは勉強に費やす時間が増え、ちょっとしたことにイラつくことが増え、頭を悩ませることが多くなった。
成績が下がると入学当初に絡まれていた浅野学秀に再び絡まれるようになっていた。
なんで成績が下がったのか、体調は大丈夫なのか、お前にこんなテストで勝っても意味がないとか。
最初はちょっと難しくてとかその時は体調が悪くてと言い訳をしていたが、何度も言ってくるので勉強に飽きた、つまらないと本来の口調を忘れて苛立ちを含めて伝えをしその場を後にした。
私というキャラクターを考えるとE組に落ちるつもりはなかった――――だけど維持できなくなるのならもういいやと3学期になる頃には思うようになっていた。
もうこんなにも頑張ったんだから休んでもいいんじゃないかって、間近で彼らの物語を楽しもうと思うようになった。
そして私はテストを白紙で出した――――。
私はE組に入ることになり、彼らとの交流が始まった。
私は彼らに深く関わるつもりはなかった、その時は彼らをの物語を楽しもうと――――ただそれだけであり、私が深く関わることで原作から変わってしまうのがいやだったし傍観者になりたかったのだ。
彼らを遠くから見てほんわかしたかったともいえる。
ただ、それがいけなかった。私は今まで最高の美少女(笑)を目指していたのだ、男女の学力美醜問わず誰とも仲良くしていたし、男女交際を除いて壁は作っていなかった。
深く関わるつもりも仲良くなるつもりもなかったため、最低限の会話と受け答えで済ましていたのと、私がテストを白紙で出したことが知られ、彼らはエンドのE組でも笑いに来たのかと思われたのか彼らは私から離れていった。
少し寂しさは感じたもののこれから先のことを考えるとこれでいいんだと納得した。
ここから一人は寂しくなってこの暗殺教室のある意味主人公と言える渚君に未来を何度も教えて何だろうこいつと思わせて構ってもらおうとしたり、漫画の世界だしタコが何とかするだろうとあのお父さんに真顔でナイフを突き立てようとしたり(それで勘違いされる)色々問題を起こしつつ半分現実ではなく自身のありかに困っていることを最終的にタコに解決してもらったりとか考えていました。
続かない。
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