造られた大罪の少女と白龍皇の少年 (bear glasses)
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設定集
人物設定(最新話までのネタバレ注意!!)


人物設定が漸く千文字超えそうなのでアップします。
※随時更新します


アリア・エーベルヴァイン

髪色:白

髪型:腰までのストレート

瞳:赤

種族:ホムンクルス

神器:『呪怨の鎌(カース・デスサイズ)

異能:『七大罪の権能』

 

とある転生者に作りだされたホムンクルスで、冷静沈着なリアリスト(と思ったら書いてるうちにはっちゃけてた)、感動に正直。

生きる意味を探す旅をしている。

肉体年齢は二十歳ほどに見えるが、作られてから十三年ほどしか経過していない。

日光に弱いため、いつも魔術で紫外線対策をするほかない。

神の子を見張る者(グリゴリ)』に拾われてからはヴァーリの世話役になっている(この世界のヴァーリはイッセーと同い年)。

 

呪怨の鎌(カース・デスサイズ)

漆黒の鎌の刃の部分に赤い宝玉が嵌ったモノ。

効果は、攻撃した時、『鈍足』、『永続ダメージ』、『麻痺』、『魔力封印』等のデバフをランダムに付加するというもの。

 

呪怨の暗黒盟主(カース・デスサイズ・ダークネスロード)

呪怨の鎌(カース・デスサイズ)』の禁手。

大鎌は更に禍々しさを増し、黒に赤い宝玉が付いた籠手、脚甲、胸当て、ローブ、インナー、足元までのスカートを身に纏う。

 

呪怨の暗黒盟主(カース・デスサイズ・ダークネスロード)暴食形態(フォルム・ベルゼブブ)

呪怨の鎌(カース・デスサイズ)』は何時ものような無機物な造形でなく、宝玉は複眼の様に、刃の反対側にはハエの羽の様な飾り、鎌は刃先が二股に別れて口の様になっている。

更にはオーラまでもがハエの群のように放出されていて、鎧にも機械的かつ有機的なハエの羽、複眼の様なモノクル、複眼の様にカットされた宝玉となっている。

 

『七大罪の権能』

傲慢、怠惰、暴食、嫉妬、憤怒、強欲、色欲の七大罪と詳細不明の原罪の権能を使用できる。

傲慢(プライド):相手の能力を封じる空間を創り出す。

怠惰(スロウス):『動き』を停滞させる。

暴食(グラトニー):相手を『食らう』。

嫉妬(エンヴィー):妬みを力に変える

憤怒(ラース):怒りを暴走させて力に変える。

強欲(グリード):強く欲することで、相手の武器の所有権を一時的に強奪する。

色欲(ラスト):性欲を暴走させる。

   催淫する。

   フィードバックでエロくなる。

 

完全付加(フルエンチャント)

禁手状態でのみ十全に扱える特別な技能。

魔法や権能の力を余すことなく、完全に付加する。

それにより特別な形態や特別な魔法、様々な恩恵を得ることが出来る。

 

『■■■■■』■■■■■

アリアに封じられた■■。

アリアの精神を少しの間乗っ取ったこともある。リリスではない(壮絶なネタバレ)。

そう、リリス『では』ない。

 

紫電龍の穿槍(ドラゴニック・スピアー)

『紫電の龍蛇(ライトニング・ドラゴン)シオン・アルデウス』が封印された人工神器で、白い槍に紫の宝玉がはまっている。この形態の能力は単純明快で、紫電を操る。ただそれだけ。

 

紫電龍の螺穿槍(ドラゴニック・ドリルスピア)

紫電龍の穿槍(ライトニング・スピアー)暴走(オーバードライブ)させることで擬似的な禁手(バランスブレイカー)とするもの。槍の刃の部分はドリルのようになり、石突きに宝玉が移動する。

 



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プロローグ:幼き日のメモリーデイ
少年少女、邂逅


遂に連載です。慣れない書き方に四苦八苦。
ぶっちゃけ短編の方がいいんじゃないだろうか・・・と、思いましたが、どうに書き上げました。
悪い所はどんどんご指導お願いします!!


 

俺は『神の子を見張る者(グリゴリ)』に引き取られて幾日か経った頃、アザゼルが「そろそろ顔合わせしても良いだろう」と、いう事でアザゼルに連れられ、幹部の堕天使達と会った。

……しかし、堕天使の幹部はあれでいいのだろうか……?

 

「……お、着いたぞ。ヴァーリ」

「ここは?」

「開ければ分かる」

 

ニヤニヤ、と笑う様子が気に入らない。蹴っておくとしよう。

 

「痛ぁ!?ヴァーリ!お前脛を蹴ったな!?」

「……ふん」

 

と、キレるアザゼルを尻目に、俺は扉を開けようとすると、

 

ガシュゥ。と、先に扉が開いた。

 

「うるさいですよアザゼル総督。……?ねぇ、銀髪の君。君の、名前は?」

 

そこから出てきたのは、絹のように美しい白い髪と、紅玉の様な輝きを持つ赤い瞳の少女だった。

 

「ヴァーリ、ヴァーリ・ルシファーだ」

「ルシファー……?魔王の?」

「ああ。それより、俺はお前の名前を聞いてないぞ?」

「私はアリア、アリア・エーベルヴァインよ。あ、アザゼル総督。ヴァーリ君って何歳?」

「お前の三つ下の六歳だ」

「そうなの!?なら、ヴァー君ね!」

「なっ!?」

 

なんだその呼び名は!?

 

「……嫌?」

 

うっ……そんな顔をされると、断れない。

 

「……ヴァー君でいい」

「うん、よろしくね!ヴァー君!」

 

さて、これからどうなることやら……

 

 

 

 

「あ、アリアとヴァーリは今日から同じ部屋な」

「おいちょっと待てどういう事だ説明しろアザゼルゥゥウウウウウ!?」

「だってよぉ。俺も忙しいし。かといって、お前らをほっとくわけにもいかないだろ?だから、同じ部屋に住んで仲良くなって、ついでに一緒にいてくれたら面倒も見やすいからな。アリアは嫌か?」

「ううん、いいよ!弟が出来たみたいで嬉しいし!!」

「なぁっ!?」

「ヴァー君は、やなの?」

「嫌というわけでは……」

「じゃあいいよね!」

「そうだな!」

 

この後、俺の必死の説得も虚しく、アリアと相部屋になった。

 

 

「ヴァー君!好き嫌いしちゃダメ!」

「嫌だ。なんでこんな苦みの塊(ピーマンなんか)を食わなければならない……!」

 

ピーマンを食べなくたって死にはしないだろう!

 

「いいから食べなさい!それとも、ピーマンも食べれないおこちゃまなの!?」

「なんだと?いいだろう、ピーマン位幾らでも食べてやる!」

 

俺がおこちゃまで無い事を証明してやろうじゃないか!

 

「その調子だよヴァー君!」

 

うっ……やっぱりにがい。

 

 

「ヴァー君、お風呂入るよ!」

「はぁ!?ちょっ、待て!」

 

羞恥心が無いのかこいつは!?

 

「いいからゴー!!」

「うぉおい!?」

 

どうにか振り払t駄目だこいつ力強い!お助けぇええええええ!!

 

「ヴァー君、一緒に寝るよー!!」

「オイやめろ抱き着くnぐぼぁ!」

 

鳩尾がっ!

 

「すぴー……」

「寝るの早いな!?……思えば、こんなに騒がしい一日なんて、アザゼル以外とは初めてだ」

 

俺の鳩尾に頭をグリグリと押し付けながら眠る年上とは思えない少女。

張り詰めていた俺の心を解きほぐしてくれた明るくも不思議な少女。

よくわからない感情が胸に広がっていって、思わず————

 

「—————ありがとう、アリア」

 

感情が、言葉としてあふれ出た。

 

この感情の答えは出ていない。

だが、この少女に恩返しする為に、せめて、せめて、この日常を守れるぐらいには強くなってみせよう—————

 

 

 

 

 

 

 

「さて、アリアとヴァーリはもう寝たか?」

 

アザゼルは、二人の様子を見るために部屋を覗くと、

 

「……随分優しい顔するようになったなぁ、ヴァーリ」

 

ふと、優しい笑顔を浮かべた。その先には、ヴァーリに抱き着きながら眠るアリアと、それを受け止めながら、穏やかな表情で寝ているヴァーリが居た。

 

「さて、明日からかってやるとするか♪」

 

次の日の朝、今日の事をからかうアザゼルと、それに怒って殴りかかるヴァーリがいたそうだが、それはまた別のお話。

 




ここのヴァー君はマセガキです。


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第1章:人造少女のスクールデイズ
少女の日常


※時間軸めっちゃ飛んでます

ヴァー君(12歳、堕天の狗神 ―SLASHDØG―後)とアリア(15歳)のお話です

※遅ればせながら、松影様、モモンガー03様、蒼空@様、レティシア姫様、マッキー147様、お気に入り登録ありがとうございます!!


少年の(ささ)やかな誓いから6年。

今日綴るのは少女の日常、平穏な、よくある一日のお話。

 

少女、アリア・エーベルヴァインの朝は早い。

 

PiPiPi!というアラーム音と共に起床し、身だしなみを整え、厨房に立つ。

 

「今日は何を作ろうかな……うん、和食にしよう。メニューはご飯に豆腐のお味噌汁、鮭の塩焼き、ほうれん草のお浸しね」

 

早速準備を進めていると、

 

「おはよう、アリア」

 

ヴァーリが起きてきた。

 

「おはよう、ヴァー君」

 

三年前から、ヴァーリとアリアは同じ家に住んでいる。

アリアが中学校に通うことになった折、家がなかったら怪しまれる。

ということで、人間界にも家を作ったのだ

 

「はい、ご飯出来たよ」

「ああ、では」

「「いただきます」」

 

 

 

 

「「ごちそうさまでした」」

「あ、ヴァー君、私日直でこれから直ぐに学校行かなきゃ駄目だから、洗い物しておいてね」

「ああ。アリア、俺は今日、帰りが遅いから先に寝てもらっても構わない」

「オッケー。じゃ、行ってきます、ヴァー君!」

「いってらっしゃい、アリア」

 

 

————中学校にて

 

「ねぇアリアー」

「どうかしたの?瀬那(せな)

 

この少女は御神(みかみ)瀬那。

アリアの親友で、テニス部の元部長だ。

 

「アリアは進路どうするの?」

「私は高校に通うつもり。瀬那は?」

「ウチも高校かなー。どこの高校?ウチは駒王なんだよね」

「あそこのテニス部強いもんね。私は坂嶺高校に行くつもり」

「坂嶺かー、アリア頭良いもんね」

 

坂嶺高校とは、周辺でも屈指の学力を持つ私立高校だ。

因みにアリアの成績は学年1位である。

是非もないネ!

 

「そういえば、ヴァーリ君?だったよね?彼氏君とは上手く行ってるの?」

 

ニヤニヤしながら聞いてくる瀬那に対して、アリアは

 

「ヴァー君?ヴァー君は彼氏じゃなくて弟みたいなものだよ?」

「へぇー」

「何ニヤニヤしてるのよ」

「なら狙っちゃおうかなー、ヴァーリ君」

「……なんであんな格好つけで皮肉屋で可愛くないヴァー君を?」

「ルックスはいいじゃない」

「————ヴァーリ君をルックスだけで決めつけるなら私はそれを許すわけにはいかないかな」

「なんだかんだ言ってヴァー君が大好きなんじゃない」

「弟みたいなものだもの」

「本当に?」

「本当よ」

「(無自覚か!しかもヴァーリ君の方はあんなにあからさまに好意を抱いてるのに。気づいてないあたりアリアらしいけど……ヴァーリ君が可愛そうに見えてきたわね)」

 

と、まぁ、そんな感じで一日を過ごし、

 

 

「ただいまー。さて、お風呂の準備でもしよう」

 

いつも通り家に帰って家事をこなす。

 

 

 

 

 

 

夜十二時、いつもなら寝てるであろう時間に、アリアは起きていた。

 

「遅いなぁ……」

 

と、欠伸をしていると、

 

「ただいま」

 

ヴァーリが帰ってきた。

 

「おかえり」

 

二コリ、と微笑むアリアに面食らったヴァーリは、嬉しさを滲ませた声で皮肉を放つが、

 

「……寝ていていい、と言ったんだがね」

「そうしちゃうとヴァー君も私も寂しいでしょ?」

 

純粋で無自覚な殺し文句に、何も言えなくなってしまう。

 

「……卑怯だな」

 

ボソリ、と呟いた声はアリアには届かず。

 

「どうしたの?ヴァー君」

 

アリアはただ疑問符を浮かべるしかなかった。

 

「何でもないよ。アリア、しかし、俺が居ないと寂しいとはね」

 

と、ニヤニヤと笑うヴァーリに、

 

「そうだよ、悪い!?」

「いや、全く?そうかそうか、寂しいのか」

「……明日の夕飯は野菜一色にしてやる」

「勘弁してくれ」

 

と、ひとしきり下らない会話を続けていると、なんとなく二人は笑ってしまい、怒りが吹き飛んでしまったので

 

「ご飯にしましょう、ヴァー君」

「ああ、そうしよう」

二人の家族(アリアとヴァーリ)は穏やかに夕食を共にし、就寝するのだった————

 

「なんで早く起こしてくれなかったの!?」

「だから寝ていて良いと言っただろう!?」

 

次の日、自分達が寝坊するとも知らずに

 

 

 



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私の異能とラーメンと

UA500突破および、kazue3a26様、霧沢 白虎様、織斑和人様、チューピー様、ういろい様、Lan様、BLACK_READ様、DISASTER様、アハト様、お気に入り登録ありがとうございます!!

白虎さま!名前を間違えてしまいました!許してください!何でもしますから(なんでもするとは言ってない)


 

 

ある休日の朝、ヴァー君が出かけた後、私はアザゼル総督と通信していた。

 

「はぐれ悪魔の討伐?」

『ああ、本来なら悪魔側の領分なんだが、そのはぐれ悪魔が、俺たちの研究している『人工神器(セイクリッド・ギア)』の研究成果を盗んで使用してるみたいでな。その尻拭いとして』

「私が抜擢されたと」

『そういうことだ。行ってくれるか?』

「いいですよ。では、行ってきます」

『わかった。無事に帰れよ?』

「それは勿論」

『ならいいんだ。座標は———————だ』

「了解しました。では、転移」

 

 

 

————とある廃工場

 

「————貴方ね?私たちの、『神の子を見張る者(グリゴリ)』の研究成果を盗んだはぐれ悪魔、ヴァルザードは」

 

そこに居たのは、鈍い金髪にメガネ、白衣が特徴的な青年だった。

 

「ええ、そうですよ。レディ?」

「なら、討伐させてもらうわ」

 

私は神器(セイクリッド・ギア)、『呪怨の鎌(カース・デスサイズ)』を展開する。

 

「『呪怨の鎌(カース・デスサイズ)』……確か、攻撃時にランダムでデバフを付加してくる厄介な神器でしたね、なら————」

起動(アクティブ)傲慢領域(フィールド・オブ・プライド)

 

面倒だから相手が何かしてくる前に『傲慢』の力(相手の異能を掻き消す能力。

打ち破るには圧倒的なオーラか、禁手に至るレベルの思いが必要)で相手の異能を掻き消すしかない。

格上には通用しないから、相手が格下(最低でも出力は)でよかったよ。

 

「なっ!?神器が!魔力が!発動しない!?何z「せいっ」ぐはぁ!?」

 

取り敢えず鎌で切り裂いて、

 

起動(アクティブ)怠惰(スロウス)付加(エンチャント)————怠惰の掌底(スロウス・インパクト)!」

 

掌底に『怠惰』の力(『動き』の減速)を付加させて打ち込み————

 

「—————禁手化(バランス・ブレイク)

 

禁手で終わらせた。

 

 

 

 

報告の為、アザゼル総督に通信を入れる。

 

「————終わったよ。アザゼル総督」

『やっぱりお前の『力』と相性が良かったか』

「そうだね。実際滅茶苦茶楽に終わったよ」

『そうか、そういえば、ヴァーリもさっき仕事が終わったようだから、一緒に飯を食ってきたらどうだ?』

「うん、そうするよ。またね。アザゼル総督」

『おう』

「さて、行きますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

————駒王町にて

 

「ヴァー君、今日はラーメンにしようか」

「珍しいな。何時もなら『外食なんていけません!』とか言うのに」

「嫌なの?ならやめてもいいんだけど」

「よし今すぐ行くとしよう!」

「現金ねぇ……」

「偶にしか行けないからな!これを逃したら次は何時になるか!」

「一人で行ってもいいのに……」

「家族と行くのは少ないだろう?」

 

————ッ!!う、嬉しい事言ってくれるじゃないの、ヴァー君!

 

「……生意気ね」

「顔が赤いぞ?」

「煩い、本当に外食やめようかs「やめてくれ!?」なら最初からからかわないの」

「俺は本気で言ったんだが」

「えっ」

「本気で言ったんだが」

「なっ、ななな、なっ——————————————」

 

顔が火照る、やばい、駄目だ……!!今見られたら、姉としての威厳が……!あ、でも、ヴァー君ならって何を考えてる私ぃいいいいいいいいい!?

 

「顔が熱いぞ?熱でもあるのか?」

 

おいちょっと待ておでこくっつけるな心臓に悪いからやめろくださいなんでもしますからぁ!?

 

「——————!!」

 

私の頭はショートして、意識は闇に沈んだ。

最後に、ポカンと呆けた顔のヴァー君を視界に写して

 

 

 

 

 

ふと、目が覚めると、

 

「起きたか」

「うん…ごめん」

 

膨れっ面のヴァー君が居た。

うぅ、恥ずかしい……

 

「とりあえず、一緒にラーメン屋行くから許して?」

「……今回だけだぞ」

「ありがと、ヴァー君」

「ふん……」

 

 

 

 

「おいしいねぇ」

「そうだな」

 

二人で食べる味噌ラーメンは絶品でした!

 

 

 




あれ?目的だった戦闘シーンがオマケっぽくなってる気が・・・・・・気のせいか!


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ヴァー君と私とナニカの胎動

UA1000突破及び、焼き鳥君様、お気に入り登録ありがとうございます!

今回は難産だったので、更に駄文かも知れません


夏の某日、アリアは学校から出された課題に忙殺されていた。

 

「ヤバい、死ねる。何だよこの量……多いってレベルじゃないぞ」

 

思わず、口調が少し崩れる程に追い詰められているようだ

 

「そんなに多いのか?」

「うん、残りは数学のワーク10ページに国語のワーク11ページ、理科のワークに至っては20ページ。提出は明日だよ!」

「サボってたのか?」

「アザゼル総督の依頼に忙殺された」

「なら、最近食卓のメニューがグレードダウン気味だったのは……」

「依頼のせい……とは言いたくないけど、無いとは言い切れないわね」

「ちょっとアザゼルボコってくる」

「ちょっと待ちなさないこの腹ペコドラゴン」

「なら、手伝おうか?大体……高校卒業程度の頭脳は持ち合わせているぞ?」

「ホント!?ってか誰に教えてもらったのよ」

「シェムハザ」

「成程」

「他ならないアリアの為だからな」

「おいしいご飯食べたいだけでしょ?」

 

じとぉ、と睨むアリアの視線に耐え切れず、ヴァーリが目を逸らすと、

 

「こっち見よっか?」

「よし、課題を始めるぞ!!」

「話を逸らすなぁ!」

 

と、口論を続けていながらも、課題を終わらせ続け……

 

 

「「終わったぁ—————」」

 

午前十二時半、飲まず食わずで遂に終わった。

 

「じゃあ、軽食作るね」

「ああ、頼む」

 

出てきたのはおにぎりだった。

 

「……しかし、面倒な物だな。学校というのは」

 

二人並んでおにぎりを食べながら、他愛の無い話をしていく、

 

「そういうものなのよ」

「ねぇヴァー君」

「ん?」

「私たちお風呂入ってないわよね」

「……そうだな」

「————入りましょうか」

「ああ」

「一緒に」

「おい!?」

「だって、時間的に厳しいでしょ」

「いや、いい!俺が我慢する!!」

「駄目よ。不衛生だわ。そんなの」

「それ以上に不純だろうが!?」

「つい最近も一緒に入ったでしょう?」

「一年前の話だ!!」

「十分近いじゃない」

「そうだけど!」

「いいから行きましょう」

「三十六計逃げるにs「起動(アクティブ)傲慢領域(フィールド・オブ・プライド)」畜生逃げ道失った!!」

「いいから行くよ?」

「くッ……!」

「そんなに……」

 

ふと、アリアの顔が曇る。

 

「そんなに、私とお風呂入るのが嫌なの?ヴァー君」

「いや、あの「嫌なの?」」

 

泣きそうな顔で、問いかける。

それを見たヴァーリは、覚悟を決めた様子で、告げる。

 

「……恥ずかしいんだよ言わせるな」

「嫌じゃ、ない?」

「勿論だ」

「じゃあ、入りましょう♪」

「ああ、いいだろう」

 

そうして、ヴァーリはアリアと混浴するために風呂場に向かっ(死地へと赴い)た——————

 

 

「—————フフッ」

 

一人の少女(?)の、蠱惑的な笑い声は、少年(子羊)の耳へ届くことはなかった。

 

 

————風呂場にて

 

「さて、ヴァー君♪」

「なんだ……」

 

生き生きとしているアリアと死んだ目のヴァーリ。

対照的な二人はお互い身体を洗うのを終わらせ、湯船で向かい合っていた。

 

「キス……しようか」

「なっ!?」

 

戸惑うヴァーリだが、ふと、気づいた。

 

「(アリアじゃ、ない!?)」

 

ふと、急速に頭が冷めて行く。沸々と、怒りが沸いた。何故、どこぞの馬の骨が、俺のアリア(・・・・・)の身体を操っているのか。

訳のわからない輩が、自分の大切を操るのに我慢ならなかった。

 

「……貴様、誰だ?」

「っ!?や、やだなぁ私はアr「嘘を吐くな。貴様は違う。俺の大切(アリア)じゃない。今すぐアリアから消え去れ」————バレちゃったか。ちぇっ、また会おうね?私の旦那様(ルシファー)♪……あれ?ここ、どこ?」

「アリア!戻ったのか!?」

「戻った?どういう……」

 

ふと、アリアは今の状況を確認した。

 

場所:お風呂場

自分:裸

ヴァー君:裸

 

「なっ、ななななななななななななななななな…………!!」

 

顔が赤くなるとともに、魔力が右手に収束されていく。

 

「ちょ、落ち着け!話せばわk「ヴァー君のえっち!!!」たわらばっ!?」

 

ヴァーリの意識は、沈んでいった。

 

 

 

 

————暫くして

 

アリアは、服を着たヴァーリを膝枕していた。

 

「————ここは?」

 

ふと、ヴァーリが目を覚ます。

 

「————ヴァー君!」

 

アリアは、たまらず抱き着いた。

 

「アリア!?」

「良かったぁ……!死んじゃったらどうしようかと思ったよぉ……」

「……大げさだな。あの程度で死ぬような鍛え方はしてないぞ?」

「わかってるけど、わかってるけどぉ……!」

 

泣きそうなアリアに、思わず苦笑してしまう。

 

「(ああ、何時もの彼女だ。これでいい。しかし、ならば)」

 

あの時の『ナニカ』は何だったのだろう?

 

ヴァーリは、アリアを慰めながら、思考を巡らすのだった。

 

 




2017/7/14 少し書き足し


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ヴァー君と私とすれ違い

UA1500突破及び、静流様、スモークパンダ様、KURAHIDE様、血霧熾苑様、amariris01様、お気に入り登録ありがとうございます!

かなり難産だったので、質が落ちてるかも知れません。これからは出来て週一ぐらいになります


とある日

 

「ヴァー君、デートしましょう」

「……ハァ?」

 

アリアは、ヴァーリをデートに誘った。

 

 

 

次の日、17:00

 

デートの当日、ヴァーリは黒のズボンに白のシャツ、黒いパーカーを身に着け、待ち合わせ場所に時間三十分前に来て、

 

「買い物はデートと呼ぶのだろうか……?」

 

と、割と真剣に悩んでいた。

というのも、アリアの言う『デート』とは、学校帰りに買い物に行く事なのだ。

これは最早荷物持ちではないだろうか?やっぱり騙された気がするが、夕食をハンバーグにすると言われたら許すしかあるまい、と微笑ましい事を考えていた。

 

すると

 

「あ、ヴァー君。早いね」

 

制服に身を包んだアリアがいた。

 

「(やはり似合ってるな。可愛い)アリアが遅いだけじゃないか?」

「まだ待ち合わせのニ十分前ぐらいだけど」

「……さて、行くか」

「話を逸らすのやめようか」

「何を買うんだ?」

「せいっ」

 

肋骨付近に貫手を打ち込む。

 

「ごふっ!?」

 

ヴァーリ に 30の ダメージ !!

 

「な、なにをする……!」

「話を逸らすのはやめなさい」

「もう少しやり方g「だまらっしゃい!」解せぬ」

「さて、とりあえず買い物に行きましょうか」

「そうだな」

 

 

————商店街にて

 

八百屋で

 

「へいらっしゃい!おっ、アリアちゃん、その坊主はコレ(・・)k痛え!なにしやがる!?」

 

と、ニヤニヤしながら親指を立てている店主のガタイの良い男性の頭をその妻と思しきふくよかな女性が叩く。

 

「やめなみっともない!ごめんねえアリアちゃん。ウチのバカ亭主が」

「いえいえ」

「そうだ!お詫びに今日は野菜全部半額にしたげるよ!」

「えっ!いや、でも」

「いいのいいの!ウチのバカ亭主が揶揄っちまったからね。そのお詫びさ」

「やった!じゃあ、これと、これと、これに……これで!」

「あいよ!はい、全部で五百円ね!」

「じゃあ丁度で!」

「毎度!また来ておくれよ!」

「は〜い!」

 

「……いつもこんな感じなのか?」

「うん、そうだよ?」

「元気だな」

「そんなものだよ」

「そうか」

「そう」

 

肉屋で

 

「おうアリアちゃん!いらっしゃい!今日は何買ってくんだい!?」

「豚肉を600gぐらいかな」

「おし!まってな!って、ん?坊主、見ねえ顔だな。名前は」

「ヴァーリ・ルシルフルだ」

「よし、ヴァー坊だな!覚えた!よし!アリア、ヴァー坊!今日はオマケだ!豚肉600gの他にタダでウチの特性牛肉コロッケを付けてやらぁ!」

「わーい!」

「あ、ああ」

 

と、商店街を歩いていると

 

「お、アリアちゃんお久ー」

「あ、先輩」

 

長髪の女子に出会った。アリアの先輩らしい。

 

「アリアちゃん、その子は彼氏君かい?」

「ち、違いますよ!」

「へぇ……なら狙っちゃおうかしら」

「やめてください!?」

「なんで?」

「なんでって……なんでもです!」

「(可愛い)」

「ふーん」

 

ニヤニヤと先輩が笑う。

 

「行くよヴァー君!」

「ん?あ、ああ」

「またね〜」

「ふんっ」

 

先輩の挨拶に、アリアはぷい、と顔を背ける。やはり

 

「(可愛い)」

 

と、思わずにはいられないヴァーリだった。

 

 

家に帰って

 

「「いただきます」」

 

食事を終えて

 

「「ごちそうさまでした」」

 

 

次の日

 

「暇だねぇ……」

「暇だな………」

 

ヴァーリとアリアはだらけていた。

 

炬燵に入り、ミカンを剥き、ただ、だらける。

何人も抗えない炬燵の魔力に、二人も囚われていた。

 

「ねぇ、ヴァー君」

「なんだ?」

「夕ご飯、何にしようか」

「鍋か湯豆腐でいい」

「じゃあ、鍋にしよう」

「そうだな。それがいい……」

 

だらける、ただただだらける。

 

少女(アリア)は思う。

嗚呼、平穏だ、と。幸せだ、と。少女(アリア)は願う。この日常が、ずっと続けばいい。

と、この少年が、復讐すらどうでもよくなってしまうぐらいに

 

叶うはずがない願いを、願ってしまう。

ドラゴンは力を引き寄せるから、神器を目覚めさせてしまった彼は、何時かは戦いに身をやつしてしまうのだろう。

ドラゴンは女を、異性を引き寄せるから。

私よりずっと綺麗で魅力的な女性(ヒト)と、ずっと一緒に入れるような(悪魔の)女性と、結ばれてしまうのだろう。

嗚呼、やだなぁ…、と思ってしまう。

誰に恋をするかなんて彼の自由なのに。

嫌な女だ、と自嘲する。

 

「アリア?どうかしたか?」

「……なんでもないよ」

「そうか、なら、よかった」

 

でも、君の笑顔を見れるなら、それでいい。

 

 

 

「(大丈夫だろうか)」

 

少年は、不安だった。

度々、この少女の顔は暗くなる。

心が痛む、この愛おしい少女に、暗い顔は似合わないから、笑顔で居て欲しい。そう、思った。

アザゼルは、俺のこの思いを恋だという。

恋の病だと。治ることのない不治の病だという。

確かに、そうだろう。全てを捨てて、母と己を苦しめた父と祖父に復讐に己の生をつぎ込もうと誓った。

けれど、アリアに出会って、過ごして、恋に堕ちて。

復讐なんかどうでもいい。

そう思えるほどに甘美で、苦しい感情が荒れ狂った。

彼女が悲しめば胸が痛み、彼女が喜べば胸が高鳴り、彼女が楽しめば胸が躍る。

そして何時からか、こう思うようになった

 

「(例え俺が彼女(アリア)と結ばれなくとも、彼女を幸せにしてくれる者が現れたら、そいつとアリアと、その家族を守り続けよう)」

 

自分はドラゴンだから、力を呼び寄せる。

自分の道は覇道だから、必ず滅びが待っている。

自分は『明けの明星(ルシファー)』だから、きっと

 

「(彼女を幸せには、出来ないだろうかから)」

 

 

 

 




2017/7/14 少し添削


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第2章:放課後のラグナロク
赤龍帝のコーチ


時系列は原作に入りました。後一、二話で本格的に始まります!

モブ5090様、お気に入り登録ありがとうございます!!


 

高校を卒業し、本格的に『神の子を見張る者(グリゴリ)』の仕事してたら

 

「弟分がグレてテロ組織に入ってるとか」

 

もう、笑うしかないよね?

 

まぁ、閑話休題(それはともかく)

なんだかんだヴァー君には一通りお説教をしたから大丈夫ではあるんだけど、今から今代の赤龍帝君の所に行ってテクニックタイプとの戦いにおける立ち回り方を覚えてもらわなきゃいけない。

なんでも、今代の赤龍帝君は才能はないしスケベだけど、もの凄い爆発力を持った子なんだそうだ。

 

「……楽しみだなぁ」

 

ヴァー君は手が掛からなかったからなぁ。

教える方としては、バカなぐらいが教え甲斐があるんだけど。

 

「さて、と」

 

転移先は赤龍帝君の家の地下。

さぁ、楽しませてね?赤龍帝君♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育祭も終わり、ひと段落着いた頃、俺はアザゼル先生に呼ばれて地下のトレーニング場に来たんだけど……

 

「コーチ?」

「ああ、お前もこれからテクニック、ウィザードタイプと戦うことが多くなる。そこで、『神の子を見張る者(グリゴリ)』所属のテクニック、ウィザードタイプの奴を一人呼んである」

「どんな人なんですか?」

 

気になる。

アザゼル先生の所属っていうとぶっちゃけ嫌な予感しかしないけどな。

 

「美人で、スタイルもいい、なにより……」

「おお!」

 

それは是非お近づきになりたい!

 

「ヴァーリの想い人で姉貴分の一人だ」

「えっ」

「ヴァーリの想い人で姉貴分の一人だ」

「えぇええええええええええええええええええ!?」

 

あ、 あの(・・)ヴァーリに想い人ぉ!?っていうか姉貴分の一人!?まだいるのかよ羨ましい!!

 

「お、来たな」

 

アザゼル先生の隣に魔法陣が現れ、一人の女性が現れる。

 

雪の様な、シルクの様な白い髪に、紅玉の様に輝く紅い瞳が特徴的な女性だった。

 

「来たよ。アザゼル総督。で、君が赤龍帝君だね?私はアリア・エーベルヴァインだよ。私の事は……まぁ、『アリア先生』って呼んでくれると嬉しいかな」

「は、はい!アリア先生!今代の赤龍帝で、リアス・グレモリー様の眷属の『兵士(ポーン)』、兵藤一誠です!」

「うん、よろしくね。イッセー君って呼んでもいいかな?」

「勿論っす!」

 

寧ろこんな美人さんからなら呼ばれたい!!!

 

「じゃあ、早速始めようか」

 

と、アリアさんは、赤い宝玉の填め込まれた漆黒の鎌を手にする。

神器(セイクリッド・ギア)だろうか

 

「これが私の神器(セイクリッド・ギア)呪怨の鎌(カース・デスサイズ)。攻撃時に相手にランダムでデバフを付加する神器(セイクリッド・ギア)だよ」

「了解っす!」

 

ランダムでデバフ……避けまくるしかないか。

俺は禁手のカウントダウンを始める。

 

何処まで食らいつけるかな……

 

 

 

 

「じゃあ、いくよ!」

「はい!」

『Boost!』

 

アリアは魔力弾を発射しながらイッセーに切りかかる。

 

「早っ(避けられない!!)、くっ!アスカロン!」

『Blade!』

 

イッセーは籠手からアスカロンを取り出して右手に持ち、鎌を受け止め、籠手で魔力弾を握りつぶし、アスカロンの刃に籠手をあてて押さえる。

 

「ぐっ!」

『Boost! Explosion!!』

「(まずっ!)」

 

アリアはすぐさま脱力し、イッセーの体勢を崩し、イッセーの顔面に膝を打ち込む。

 

「がっ……!」

「力押しだけで勝てると思っちゃ駄目だよ」

 

そして鎌を一閃。

イッセー君は慌てて飛びのいたけど、鎌が掠った。けど、それでいい(・・・・・)

この神器の能力は飽くまで『攻撃にランダムでデバフをつける』。

ただそれだけなのだ。

どんなかすり傷だろうと、当たれば(・・・・)デバフを付与できる。

 

「ぐっ……!動か……ねぇ…!?」

『相棒!麻痺が掛かっているぞ!』

「王手」

 

アリアは一瞬で移動して、イッセーの首元に鎌を当てる。

 

「……参りました」

 

結局、イッセーは禁手どころか、洋服破壊すらも使用できないまま敗北した。

 

 

 

「うん、イッセー君は搦め手に弱いね。私としては戦いやすいけど、イッセー君はどうだった?」

「……完全な力の差を感じました。なにより、禁手を出す前に負けたのが痛かったです」

「そうだね。場合によっては全力を出す前に負けることだってある。まずそれを忘れないでね。じゃあ、次は禁手でやってみようか。私も使うから」

「はい!」

 

アリアとイッセーの訓練は第二ラウンドへと続いた。

 

 

 



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悪神討伐1

どうも、bear glassesです。遅れて申し訳ございません。部活や資格試験などで筆があまり進まず、ちまちま書いておりました。不定期なのですが、これからは一ヶ月が二ヶ月に一回かと。あと、7巻はカットしながら進めるので2〜3話で終わるかと


「はっ?」

 

私、アリア・エーベルヴァインは驚愕した。何故かって?それは———————

 

「久しぶりだな。アリア」

 

禍の団(カオス・ブリゲード)』に入り、テロリストになったはずの弟分、『ヴァーリ・ルシファー』がいきなり訪ねて来たからだ。

 

「何があったの?ヴァー君」

「実は———————」

 

 

 

 

「成程ね」

 

まさか、北欧神話の悪神にして、『トリックスター』と名高いロキが戦いを挑んでくるなんて。

 

「それで、ミドガルズオルムに攻略法を聞いて来たんだ。で、その後にここに訪れさせて貰った。戦力が欲しくてね」

「……成程ね。了解、で、具体的にどうすればいいの?」

「先ず、アリアの異能————能力無効化はロキに効くか?」

「効かないわ。まぁ、正しくは本人の神力に速攻で打ち破られるだけだから、遠距離攻撃位ならある程度の物は打ち消せたり、弱体化は出来る筈」

「成程。それだけでも充分助かるな。しかし、すぐ打ち破られる。と言う事は、ロキは範囲に指定しない方が良いか?」

「というより、軛か何かに付加して操作した方が良いわね」

「ん?それではその操作用の異能も打ち消されるのではないか?」

「『傲慢』だもの。『自分に不利益の有る(異能)は認めない』けど、利益があるなら許すのよ」

「傲慢だな」

「傲慢よね」

 

自分でもご都合設定過ぎる、って思うもの

 

まぁ、それは兎も角(閑話休題)

 

「で、具体的には如何するつもりなの?」

「簡単なことだ。俺と兵藤一誠で協力してフェンリル——————ひいてはロキを討つ」

「でしょうね」

 

現時点の戦力でロキ、つまりは神を討つなら、二天が協力するしかない

 

「じゃあ、次だが、『怠惰』で鈍足化するとしたら?」

「10秒から20秒が良いところね。それ以下かも。しかも、種が割れるだろうから使えて1、2回」

「と言う事は」

「切り札を確実に当てるための布石として取っておくしかないわね」

「それしかないか」

「まぁ、でも、イッセー君の『倍加』、『譲渡』を使用すればもっと時間は伸びる筈よ」

「確かにな。なら————————————」

「えぇ。———も使えば——————————」

 

 

と、対ロキの戦闘プランを立てて行き

 

 

 

遂に、当日。私たちは旧校舎のオカ研部室にて集まっていた

 

神々の黄昏(ラグナロク)にはまだ早い。お前ら、気張って行くぞ」

『はい!』

 

 

———決戦の時刻

 

「————小細工無しか。恐れ入る」

「えぇ、本当に」

 

ホテル上空の空間が歪み、大きな穴が開く。そこから、悪神ロキとフェンリルが姿を現した。

 

「目標確認。作戦開始」

 

巨大な結界魔方陣と大型転移魔方陣が展開されて——————————

 

転移が完了すると、古い採石場だった。

 

「逃げないのね」

「逃げる必要はない。どうせ抵抗してくるのだろうからな。遅いか早いかの違いでしかないし、会談していてもしていなくても、オーディンには死んでもらう」

「貴殿は危険な考えにとらわれているな」

「それはそちらが先だろう。聖書の三大勢力————更には、各神話の協力などと」

「話し合いは不毛か」

 

バラキエル様が、手に雷光を纏わせ、十枚のもの漆黒の翼を展開する。

 

その時、

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!!!』

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!!!!』

 

ヴァー君とイッセー君が禁手になった。

 

さぁ、悪神討伐を始めよう————————

 

ヴァー君とイッセー君がロキの相手をする中、私は大規模魔方陣を展開。詠唱を開始する

 

「星よ瞬け」

 

魔法力を練り上げる。

 

「執行者たる我が名はアリア(独唱)

 

魔方陣に行き渡らせる

 

「輝きたる連星(ほし)の名は焼き焦がすもの(シリウス)

 

そして、余剰魔力を更に練り上げて行き渡らせ無駄を出来るだけ無くす。

 

魔法の原典はシリウス、おおいぬ座α星にして、太陽の次に眩い恒星。

そして、二つの星から成る連星である。

また、太陽の二倍の質量に、二十四倍の光度持つ星でもある。

シリウスという名はギリシャ語で『焼き焦がすもの』、『光り輝くもの』という意味があり、エジプト神話のオシリスとの関係も示唆されている他、豊穣の女神ソプデトとして知られていた。

この魔法はそんなシリウスの光と熱量を弾丸として再現したものである

 

「撃ち抜け—————天狼の咆哮(シリウス・ストライク)

 

赤と青の入り混じった弾丸が発射される。

 

「離脱するぞ!兵藤一誠!!」

「おう!」

 

閃光は真っ直ぐロキへと向かう。

 

「ふむ。珍しい魔法だ、な!」

 

が、ロキは神力を右腕に纏わせて無理やり打ち砕く。けど————

 

甘い。

 

「変質、天狼の枷(シリウス・ベルト)!!」

 

弾丸は解けて紐のような、鎖のような幾条もの光になってロキを縛る。

 

「なに!?」

「光条よ。炸裂せよ。天狼爆砕(シリウス・エクスプロージョン)!!」

「がぁあああああ!?」

 

拘束の光条は炸裂し、ロキにダメージを与える。

 

「おの、「おいおい、俺達を忘れんなよ。ドラゴンショット!!!」れぇ!?」

 

反撃しようとしたロキにイッセー君がドラゴンショットを撃ち込む。ロキには牽制程度にしかならなかったけど、余程腹が立ったのか。

 

「おのれぇ・・・・・・・・・!!」

 

悔しそうに歯ぎしりをする。いい気味だ。

っと、魔法練らなきゃ。

 

「Magic Bullet, One, Two, Three, Fire!!」

 

魔力弾を三発、一気に放つ。

 

「洒落臭い!!」

「俺も忘れて貰っちゃ困るぜ!!ドラゴンショット!」

「ぬぅ、ぜぇい!!!」

 

巨大な赤い魔力弾と、弾丸型の白い魔力弾三発がロキに襲い掛かるけど、ロキは腕で薙ぎ払った。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』

「アリア先生!!」

「了解!!」

『Transfer!!』

「ッ————————!!!!!」

 

あっ、これ・・・やば・・・!!平常心平常心・・・・・・!!!

 

「大きいの撃ち込むから、時間稼ぎをお願い!!」

「「了解!!」」

 

増大した魔法力を、無駄のないように式に変える。イメージは大砲。撃ち出すのは禁じられた力。

 

魔方陣展開(プログラムスタート)————」

 

魔方陣を前方に展開。

 

魔力循環開始(サーキット・ドライブ)

 

魔方陣に内蔵された回路(サーキット)に魔法力を流し循環させる。

 

魔方陣立体化(バレルオープン)

 

魔方陣を立体化させ、砲身をつくりだす。

 

魔力装填、収束(バレット・ローディング)

 

砲弾となる魔法力を魔方陣に装填。そして————

 

「行くよ!」

「離脱するぞ!」

「おう!」

 

解放。

 

偽・神滅撃(ロンギヌス・ブラスター)!!!!」

 

映像資料で見たロンギヌス・スマッシャーを参考に作りだした、私だけの魔術。

 

「なっ、くっ!うぉおおおおおお!!」

 

イッセー君の影響なのか、私自身の元々の魔力の色、白に赤が混ざって、ピンクに変わった莫大な光がロキに襲いかかる。

 

「ぬぅううううううぁああああああああああ!!!!」

「なっ・・・!!!」

 

けど、この一撃までもロキは耐え切った。

 

「アリアのロンギヌス・ブラスターでも無理か・・・!!」

「くっ、はぁはぁ・・・!ふぅ・・・ククク・・・我をここまで愉しませるとは・・・!!見くびっていたよ。少女よ。ならば————フェンリル」

 

ロキのその言葉と共に

 

 

————神をも喰らう狼が現れた。

 

否、それだけではない。

 

「ミドガルズオルム!?」

「フェンリルも小さいのが2体いるわ!」

「ふふふ、ふはははははははは!!!さぁ、第2ラウンドだ!」

 

絶望が、去来する————————

 




2017/7/14 少し添削


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悪神討伐2

今回は何時もよりは長いです。後1話ぐらいでぱっぱとラグナロクを終わらせたいですね。


「な、何故フェンリルが三頭も……!?」

「この二体はスコルとハティ——————ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて交わらせた。その結果生まれたのがこの二匹だ。無論。親と同じく神殺しの牙を持つ。一度でも噛まれればたちまち死をもたらすぞ?」

 

面倒な……歯噛みしていると、リアス・グレモリーが手を挙げる。すると、

 

「にゃん♪」

 

黒歌が微笑み、術式を展開。魔法の鎖、グレイプニルを取り出して親フェンリルを縛り付ける。

 

 

「ふはは!無駄だグレイプニルの効果など、とうの昔に————————」

「残念、強化済みです」

「ふぁっ!?な、ならば、スコル!ハティ!鎖を引きちぎれ!!」

「させない」

 

瞬間、フェンリルの周りに結界を張る。

一時しのぎにしかならないのはわかってる。

でも、やらないよりましだ!

 

「イッセーとヴァーリは基本ロキの相手を!アリアはスコルとハティをやれ!他の奴らは量産型ミドガルズオルムを片付けろ!いいな!」

『はい(了解/おう)!』

 

アザゼルさんの号令を皮切りに皆が戦闘に入る

 

 

 

 

 

 

 

 

眼前には血走った瞳の神喰狼二頭。

—————さて、使うしかないよね。

私は神器(セイクリッド・ギア)、『呪怨の鎌(カース・デスサイズ)』を取り出し、鍵言を謳う

 

禁手(バランス)———————(ブレイク)

『Balance Break!! Wake Up The Lord Of Darkness!!!!!!!!!』

 

呪怨の鎌(カース・デスサイズ)』の禁手(バランスブレイカー)。『呪怨の暗黒冥主(カース・デスサイズ・ダークネスロード)』。大鎌は更に禍々しさを増し、黒に赤い宝玉が付いた籠手、脚甲、胸当て、ローブ、インナー、足元までのスカートを身に纏う

 

『Venom・・・・・・!!』

 

鎌の宝玉から音声が鳴り、刀身に禍々しい黒のオーラが静かに、しかし激しく迸る。

 

「せいっ!」

 

鎌を振り、オーラをスコルとハティに飛ばす。当然避けるけど・・・

 

「ふっ・・・!」

 

「「ガッ!?」」

 

短距離転移(ショートワープ)で2人の後ろに転移して斬り裂いた。

 

縛れ(バインド)偽・獣縛りの鎖(グレイプニル・レプリカ)

 

最後の仕上げのために、グレイプニルを真似た魔法を放つ。

何時もは『獣を縛る』っていう効果を付加してるけど、今回は少しアレンジした。

『フェンリルを縛る』こうして種族を絞ることで、他の獣には意味が無くとも、フェンリルには絶大な効果を発揮する。

それに加えて、

 

付加(エンチャント)呪毒の茨(ソーン・オブ・ヴェノム)

 

魔法を付加する事で鎖は棘を持ち、毒を纏う。

 

「グルッ!?グルァ!!!」

「ギャンギャン!!」

 

二頭は苦しみに悶えながらも鎖を破ろうとする。

まぁ、種族特効に加えて動けば動く程絡まるようにしてあるから無意味なのだけれど。

 

「丁度いいから、神殺しの牙をこの鎌に加えましょう。完全付加(フルエンチャント)暴食(グラトニー)!!」

『G-G-G-Glu-Glu-Gluttony・・・・・・!!

Beelzebub Scythe!!!』

 

Beelzebub Scythe———————即ち蝿の王(ベルゼブブ)の大鎌。呪怨の鎌(カース・デスサイズ)は何時ものような無機物な造形でなく、宝玉は複眼の様に、刃の反対側にはハエの羽の様な飾り、鎌は刃先が二股に別れて口の様になっている。

更にはオーラまでもがハエの群のように放出されていて、鎧にも機械的かつ有機的なハエの羽、複眼の様なモノクル、複眼の様にカットされた宝玉となっている。

 

「さぁ、太陽を追う神喰狼(スコル)月を追う神喰狼(ハティ)、私の糧に成ってもらうわ」

 

笑う、嗤う、可笑しそうに、嬉しそうに、誰かがこのアリアの姿を見ていたら、間違い無くこう呼ぶであろう。

魔王と———————

 

ザシュッ——————————————

 

『Double Fenrir, Power is taken!!!』

 

肉と骨を切り裂く音と共に、鎌から音声が鳴り、二頭の神喰狼の亡骸をハエのオーラが喰らい尽くして鎌へと還元される。

 

「なっ、フェ、フェンリルを喰らい尽くしただと———————!?」

「えぇ、ちょっと可哀想ではあったけど、フェンリルの力は欲しかったから。ごめんなさいね」

 

さて、状況確認ね。と、アリアは周りを見渡す。

親フェンリルとヴァーリ居ないところを見ると、ヴァーリは親フェンリルを討っているのだろう。

それに、あれ!?もう1匹フェンリル!?何で!?と、いきなり狼狽えたアリアは急いでアザゼルに念話を送る。

 

「〈アザゼル総督!なんでフェンリル増えてるの!?〉」

「〈ロキが出しやがったんだよ。スコルとハティの弟だそうだ!〉」

「〈はぁ!?何それ!何時出したの!?〉」

「〈ついさっきだよ!隠し玉だってよ!クソが!〉」

 

と、アリアがアザゼルと念話をしているなか。

ロキは言い様のない恐怖に襲われる。

分からない、ワカラナイ———————『コレ』は人間なのか?

フェンリルを喰らい、糧にする人間などいてたまるか

人間の皮を被った『化物(ナニカ)』では無いのだろうか?

分からない、分からない、ワカラナイ———————

 

そんな中———————

 

「おっさん!」

 

イッセーが声を張り上げる。

何かと思って念話を打ち切ってイッセーの方向へ向くと、

 

「乳神様って、何処の神話体系の神様だ!?」

 

・・・・・・・・・はっ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・リアス嬢ォオオオオオオ!!!アイツの頭に回復魔法かけてやってくれぇ!致命傷だぁっ!!!」

衛生兵(メディック)!!衛生兵ーーーー(メディーーーーック)!!急患!!急患よ!!!精神科医呼んできてぇ!!SAN値直葬されてるわ!!!」

「もちつけアリア!!こんな時は頭を叩けばなんとかなる!」

「総督こそしっかりしてください!それは一昔前のテレビの直し方です!」

「イッセー!しっかり!しっかりして!幻聴よ!あぁ、なんてことなの!?フェンリルの毒牙は精神にも影響を!?」

「ち、違うんです!なんか、朱乃さんのおっぱいが!自分は乳の精霊だって!」

「赤龍帝・・・貴様ァ・・・うちの娘がそんな訳のわからん巫山戯たものだと言うのか・・・・・・!おのれおっぱいドラゴン!!」

 

 

あ、アーシアがイッセーくんの頭に治癒の光飛ばしたわね。と、アリアがどうでもいい事に気を取らている中———————

 

『い、いや、皆聞いてくれ。確かに俺にも乳の精霊とやらの声が聞こえる・・・・・・俺の知らない世界の力を感じる。残念な結果だが、こいつは異世界の神の使いを呼び寄せたらしい』

「バカな!」

「そんな!」

「ドライグまでダメージを!!」

『うおおおおんっ!どうせおっぱいドラゴンの言葉なんて誰も信じちゃくれないんだ!おれなにもわるくないもん!あいぼーが、あいぼーがぁぁぁぁ!!』

 

 

 

今度は鎧の宝玉に光が飛んだ。

まぁ、聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)には精神回復効果はないんだけどね。

 

 

 

さて、カオスが跋扈するこの戦場。

勝利を手にするのは、悪魔か、悪神か。

 

To be continued・・・・・・

 

『あいぼーのバカぁあああああああ!!うわあああんっ!』



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邪神討伐3

間に・・・合ったァ・・・!!


「おい、スイッチ姫!あいつに今必要なのはお前のおっぱいだろ!」

 

と、美猴が叫ぶ。

 

「っ!また妙なことをする気か!?させん!!!!」

 

と、ロキは自身の背後に召喚魔法陣をいくつも出現させ、そこから

 

「なっ!?量産型ミドガルズオルムがあんなに!?」

 

数十程にもなる量産型ミドガルズオルムの大群

 

「イッセー君。私が食い止めておくから、乳神の精霊云々は任せるわね」

「えっ、で、でも、あんな大群……」

「大丈夫よ。所詮量産型だもの。原型よりは弱いわ。それに………」

 

ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

瞬間、黒い炎が大地より巻き起こり、量産型ミドガルズオルムを包み込む

 

「————このオーラは!?」

「そう………『黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)』ヴリトラ……『神の子を見張る者(グリゴリ)』から帰ってきたようね。シトリー眷属の匙元士郎君」

 

そして、地面の魔法陣から黒い炎で形作られたドラゴンが現れた。

 

 

———————————————————

 

俺、兵藤一誠は混乱していた。乳神ってなんだ?あの黒い炎のドラゴンが匙?どういうことだよ。

 

『兵藤一誠君。聞こえますか?私は神の子を見張る者(グリゴリ)の副総督のシェムハザです』

 

聞き覚えの無い声だ。成程。アザゼル先生の同僚の方か

 

「あ、どうも、あの……匙はどうしたんですか?」

『あー……アザゼル(あのアホ)がちょっと加減を間違えまして……』

 

気まずそうにするシェムハザさん。一体何をしたんだ?

『ぶっちゃけると、ヴリトラの神器全部くっつけました』

「……なんつー無茶を」

『一から説明しますと……まず、前提として私達グリゴリは神器もちの人間を保護する代わりに、死後、神器を提供してもらうことがあります』

「ええ」

『それで、ヴリトラの神器は大まかに四種類あるんです』

『『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』、『邪龍の黒炎(ブレイズ・ブラック・フレア)』、『漆黒の領域(デリート・フィールド)』、『龍の牢獄(シャドウ・プリズン)』。その四つが多少の違いを持って様々な所有者に分けられています。その中で、グリゴリに保管されている三種を匙君にくっつけたわけですね』

「……その結果がアレなわけですか」

『そうなります』

 

————————————————————

 

 

「……さて、闖入者はいろいろあったけど、イッセー君。乳神の使徒と交信を続けて」

「了解です」

「さて、匙君に関してはなんか意外と力をコントロールできてるから大丈夫ね。さぁ、行きましょうか」

 

形態を元の禁手状態に戻し、魔力を喚起させる

 

「————召喚(Summon)。人工神器、『紫電龍の穿槍(ドラゴニック・スピアー)』。疑似禁手化(オーバードライブ)!『紫電龍の螺穿槍(ドラゴニック・ドリルスピア)』」

 

私は、アザゼル総督の造り出した神器。『紫電龍の穿槍(ドラゴニック・スピアー)』を召喚。暴走(オーバードライブ)させて疑似的に禁手化。『紫電龍の螺穿槍(ドラゴニック・ドリルスピア)』にして、雷を迸らせて、回転。

 

「何もさせんぞ!!」

 

ロキは邪魔しようとしてくるけど

 

『させるかっ………!!!』

 

邪龍状態の匙君がラインと黒炎を伸ばして、足止めする

 

「これはっ……!ヴリトラの邪炎……!?面倒なことを!!」

「形成術式、展開。」

 

詠唱を始める。今から使うのは、魔術と科学の複合。

 

召喚(Summon)成形(Forming)装填(Reload)

 

鉄塊を召喚し、レールの様な砲身と、自身を乗せられる台座に成形。そして、槍を砲身に転送させる。

 

紫電解放(Release)統制(Control)

 

雷を解放させ、砲身に雷を付与。コントロールして、とある役割を与える

 

発射(Ignition)超電磁砲(Rail Gun)龍式(Type-D)

 

言霊と共に、発射。高速回転している槍が———————————

 

「ガッ……」

 

フェンリルを貫いた。流石のフェンリルも雷速で迫る槍には反応できず、呆気無くその生は終わりを告げた。

 

「なっ————————————————————!」

「さて、露払いはしたわよ」

『JET!!』

「————————————イッセー君」

 

後方より高速接近するのは、雷神の槌(ミョルニル)を振りかぶるイッセー君

 

「ありがとうございます。アリア先生」

「くっ、食らってたまr「させないわ」なに!?」

起動(アクティブ)怠惰(スロウス)傲慢(プライド)付加(エンチャント)超速魔弾(ハイスピードバレット)発射(ブラスト)!!」

 

放った魔力弾はロキに当たるけど。

 

「……ダメージがない?……!?なんだこれは!?動きが緩慢に、力も使えないだと!?」

「喰らいやがれぇええええええええええええええええええ!!!」

 

ドンッ!!と、ミョルニルは打ち込まれ———————————

 

「今だぁあああああああああああああ!!!!!!」

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!』

『Transfer!!!!』

 

力を譲渡した刹那、膨大な量の雷が発生する。

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!

特大の一撃が、ロキを呑み込んだ。

雷が収まると、襤褸布の様になったロキが墜落していく

 

「……聖書に記されし神は、何故、神滅具(ロンギヌス)禁手(バランスブレイカー)を残したのか……こういうことが起きると想定していたのか……?何故、ヒトに神殺しの術を持たせた……?」

 

ロキは討ち倒され、量産型ミドガルズオルム達もすべて倒された。こうして、ロキの起こした戦いは、一応の終わりを迎えたのだった。

 

 



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修学旅行はパンデモニウム
修学旅行はどうなる事やら


オッス、俺、兵藤一誠。早速だが、

 

「————————————○○学園から転校して来たヴァーリ・ルシルフルだ。宜しく頼む」

 

テロリストになったライバルが何故か転校してきました。如何すればいいのでしょうか。

 

「ねぇねぇ、趣味は!?」

「ラーメン屋巡りと釣りだ」

「友達は居るの!?」

「ああ、そうだろう?————————————兵藤一誠」

『えっ!?』

「———————————まぁ、険悪じゃないけどよ・・・・・・」

『ええっ!?』

「ヴァーリ君×兵藤・・・・・・?」

「兵藤×ヴァーリ君・・・・・・?」

「やめろぉ!?」

 

何で腐女子が沸いてるんですかねぇ!?

 

「兵藤一誠、さっきからこの女子たちは何を言って——————————」

「お前は知らない方が良い!寧ろ知るな!いいな!」

「あ、ああ。わかった」

「なぁ、一誠。お前こんな知り合い居たんだな。知らなかったよ」

 

と、元浜が反応に困る事を言ってくる。

 

「あー・・・それは」

「アザゼル繋がりなんだ。俺は元々父親に虐待されていてな。命からがら逃げて、それを拾ってくれたのがアザゼル。というわけだ」

「そうか・・・悪い」

「気にしなくていいさ」

「あ、そういや修学旅行の班は如何する気なんだ?」

 

と、いきなりの爆弾発言に教室中が色めき立つ。

 

「そのことだが———————————」

「うちの班に来ない!?」

「いや、ぜひうちに!」

「兵藤一誠の班にお邪魔するつもりだ」

「はっ!?」

「駄目だろうか」

「いや、駄目じゃねぇけどよ・・・・・・・・・」

 

何か・・・・・・複雑なんだよなぁ・・・・・・一度は殺し合ったわけだし。

 

「ならば良いだろう?」

「まぁ、いいか」

 

キーンコーンカーンコーン・・・・・・

 

「はーい。授業を始めまーす。皆さん席についてくださーい」

 

 

 

時は流れて放課後。

 

「ああ、兵藤一誠。俺もオカ研の部室に向かうぞ」

「なんでだ?」

「少し、連絡事項がな」

「?・・・・・・わかった」

 

 

 

 

 

 

 

「———————————で、説明をしてもらいましょうか。アザゼル先生」

「何のだ?」

「惚けないで!何でここに禍の団(カオス・ブリゲード)に行った筈のヴァーリ・ルシファーが居るのかってことよ!」

「あー、そりゃあな」

 

オカ研の部室に着くと、アザゼル先生とリアス部長が口論をしていた。

アザゼル先生は耳をほじり、面倒そうに告げる。

 

「ヴァーリが所謂スパイだからだよ」

「なっ・・・!?」

「そういうわけだ」

「ヴァーリ・ルシファー・・・・・・!」

「それで、偵察の名目で駒王へ転入してきた訳だ。俺自体は自由行動だが、今回、京都で『英雄派』の曹操が動くらしくてな。君たちに死なれてはこちらが困る。だから急遽助っ人に入ったわけだ」

「何が困るというの?あなたに実害はないでしょう?」

「もし何らかの間違いで兵藤一誠が死んだ日には、俺は兵藤一誠にリベンジする事が出来なくなってしまうからな。それだけは避けたいんだよ」

「戦闘狂ね・・・・・・」

「ふっ、別にいいだろう?白龍皇なのだから」

「はぁ・・・わかったわ。ただし、人間世界の学校に通う以上、人間世界のルールに従ってもらうわよ」

「それは勿論。では、また明日会おう」

 

と、ヴァーリは転移して行った

 

「これからどうなるのかしら・・・」

 

 

リアス部長の疲れたような声が虚しく響いた。

 

 




繋ぎ話です。書き上がれば近日中に意外ともう1話出せるかも


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修学旅行は波乱万丈

全部曹操って奴の仕業なんだ!
ΩΩΩ<ナ、ナンダッテー!?


修学旅行の朝。

事情を説明して、誠意を見せた(スライディング土下座した)俺は如何にかまたアリアと一緒に住む事が出来た。

 

「ヴァー君。荷物ちゃんと持った?」

「ああ」

「じゃあ、いってらっしゃい」

「……行ってきます」

そっけなくても、温かい言葉についつい笑みをこぼしてしまう。

「(あぁ。オレは)」

幸せ者だなぁ……

 

 

 

 

————————————————

 

京都へ向かう電車の中で、『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』の精神世界に入る。

 

「ふぅ……」

『どうした?ヴァーリ』

「あぁ、いや、特に何も用は無いんだがな。不安材料が多くて困る」

『英雄派か』

「ああ。あいつ等—————————特に曹操がどう動くかがわからん」

『ああ、聖槍の所持者か』

「そうだ。あいつがどう動くかで俺の初めての修学旅行がどうなるかが決まる」

『動いたら?』

「潰す。自分だけ青春謳歌して人の修学旅行潰すとかクソだろう。消し飛ばしてくれる」

『動かなかったら?』

「箪笥の角に五連続で小指ぶつける呪いかける」

『しょぼいな!?』

「いいだろ別に」

『いや、もう少しあるだろう……』

「じゃあ格好いい台詞言う度に舌を噛む呪いで」

『一々陰湿だな!?』

「煩い。こっちはあいつの事後処理にどれだけ……思い出したら腹立ってきた。百〇ビーンズのゲロ味とハナクソ味だけ詰め込んで渡してやる」

『金掛かるうえに悪意しか無い!?』

「なんなら魔法のフルバーストでも………!?」

『一気に過激になったなぁ!?』

「冗談だよ……………一割はな」

『九割は本気じゃあないか!?』

「それだけムカついているんだ……!!曹操マジ許さん」

『ヴァーリの目が……殺意に満ち満ちている、だと…………!?』

 

 

—————————————————————————

 

さて、場面は移り変わり古の都、京都。

「」

「おい、曹操が某ニュータイプの様な効果音と共に顔を青ざめさせているぞ」

「深刻な顔ね。まるで死期を悟ったかのような……」

「おい、曹操。何があった!」

「いや、何か、何か、こう、俺の身に何かが起きる気がする……!!禄でもない何かが……!!」

曹操は一人、己の死期を悟ったのか、なんなのか。大急ぎで身辺警護と対呪術用術式を強化したそうな……

 

 

—————————————————————————

 

京都駅を降りたヴァーリ達は、宿泊する場所である『京都サーゼクスホテル』へと向かっていた。

 

「京都だぜ!」

「ふむ、広いな。駅も独特な雰囲気だ」

「見ろ!アーシア!伊〇丹だ!」

「は、はい!ゼノヴィアさん!伊〇丹です!」

「天界にもこんな素敵な駅が欲しいわね!」

と、はしゃぐヴァーリ達に、

「集合はホテル一階のホールだったわね。ほーら、男子ぃ、あとアーシア、ゼノヴィアっち、イリナさんも。駅に夢中になるのもいいけど。さっさと集まらないと午後の自由時間消えちゃうわよー」

班のまとめ役である桐生がイッセーたちに声をかける。

「えーと、ホテルは駅周辺なのよねー」

 

 

 

—————————————————————————

 

 

午後。ところ変わって稲荷駅。イッセーは部屋の格差に涙を呑みつつ、自由行動と言う事で気持ちを切り替えて、修学旅行を楽しんでいた。

鳥居を通り抜け、階段を上り、頂上らしき場所に着く。

 

「っ!?(これは、まさか!?)」

「どうした?ヴァーリ」

「いや、何でもない。折角だ。なにか願い事でもしようじゃないか(気のせい、であって欲しいな)」

「そうだな」

 

パンパン!

 

「(おっぱいを見てたくさん触れますように!彼女が出来ますように!部長や朱乃さんとエッチできますように!)」

「(様々な強者と戦えますように。復讐を完遂できますように。アリアが幸せでありますように)」

 

二人が二人なりの願い事を済ませると、

 

「……貴様、京の者ではないな」

 

突然、声が聞こえた。

 

「—————兵藤一誠」

「ああ、囲まれてるな」

 

見知らぬ声に身構える二人の元に、

 

「……女の子?」

「狐の妖怪の様だが……」

「余所者め、よくも……!かかれ!」

 

少女の掛け声に合わせ、山伏の格好をした烏天狗と、狐面を付けた神主が大量に現れた。

 

「おおっと、なんだなんだ!?烏の、天狗!?狐!?」

「烏天狗は確定だな。狐はよくわからないが」

「母上を返してもらうぞ!」

「は、母上ェ!?何言ってんだ!?お前の母ちゃんなんて知らないぞ!?」

「なんと白々しいッ……!私の目はごまかしきれんぞ!」

「はぁ……京都に来て早々の災難だな。兵藤一誠」

「全くだ畜生!とりあえず逃げるぞ!」

 

しかし、逃がさないぞと言わんばかりに、天狗の錫杖がイッセーを襲う。が、

 

「どうした?イッセー、ルシルフル」

「何々?妖怪さんよね?」

 

木刀を持ったゼノヴィアとイリナが受け止めた。

 

「……そうか、お前たちが母上を……最早許すことは出来ん!不浄なる魔の存在め!神聖な場所を汚(けが)しおって!!絶対に許さん!」

「ヴァーリ!」

「なんだ?」

「絶対に怪我させるな!殺しもだめだ!」

「———————はぁ、甘いな、まったく。まあいい、折角の修学旅行だ。血生臭いのは勘弁だからな(さて、曹操。オボエテオケヨ……?)」

 

ヴァーリの心に、『曹操絶殺(そうそうぜっころ)』。

という確たる目的が出来た。

 

 

 

———————————————————————

 

「っ!?」

「どうしたの?曹操君」

「い、いや、何でもないよ。あはははは(な、なんだ今の悪寒。九尾を拉致した事で呪いでもかけられたか?後でゲオルグに聞いてみよう)」

 

と、修学旅行で同じく京都に居た曹操は何とも言えない悪寒と恐怖を味わった。

呪いがかけられたわけではないと知って更に怖くなったのは内緒の話だ。

 

 

———————————————————————

 

 

「プロモーション『騎士(ナイト)』!」

『Explosion!!!』

「ゼノヴィア、イリナ、ヴァーリ!よくわからんがここは京都。理不尽な状況ではあるけど、相手と周辺は傷つけちゃまずい。出来るだ追い返す方面で!」

「「「了解」」」

 

という声を皮切りに、俺も意識を戦闘に移す。

 

「(アルビオン。今回お前の力は使わん。いいか?)」

『まぁ、良いだろう。それも一興だ』

「さて、かかってくるといい」

「ナメくさりよって!」

属性付加(エンチャント)麻痺(パラライズ)

「そらぁ!」

「ふん」

「がっ、なぁ……!?」

 

かかってくる烏天狗の攻撃をいなしつつ、麻痺で完全に行動不能にする。

 

「さて、何人狩れるか……」

 

ニヤリ、と、ついつい笑みを漏らしてしまう自分に内心苦笑しつつ、烏天狗と狐神主に殴りかかっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———————————

 

 

戦闘を開始して暫く。俺の周りには痺れて動けなくなった烏天狗と狐神主達が転がっている。

 

「……撤退じゃ。今の戦力ではこやつらには勝てぬ。おのれ、邪悪な存在め。必ず母上を返してもらうぞ!」

 

それだけを言い残し、狐の娘は一陣の風と共に去って行った。

はぁ、やっと終わったか。

全く、何でこう、面倒事が立て続けに起きるのやら。

 

「(曹操。やはり貴様は—————————————————)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぶ ち 殺 す 。

俺の初めての修学旅行を台無しにしようとしたツケ。

必ず払ってもらうからな⋯




ヴァー君根に持ちすぎィ⋯


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誤解

今回は薄味すぎて読み応えがないです。
やっぱりスランプかなぁ⋯
次回投稿に関してはバイトを始めなければなので、これ以上に遅れるかもとしか⋯
ぐぅ⋯執筆意欲ほすぃ⋯


—————————夜

 

夕食を食べ終えたヴァーリは、ホテルの屋上で夜景を眺めながら物思いに耽っていた。

 

「——————母上を返せ。ときたか」

 

そう、あの狐娘の発言。

決意と悲しみと怒りが感じ取れる、あの言葉。

 

「そうか、"母上"か——————————————」

 

やはり、思い出してしまう。あの事(・・・)を。今も心に灯る、昏い憎悪を。

 

「いや、やめよう。今考思い出しても得なんてない。しかし、そういえば、あの狐娘。烏天狗や明らかに年上の狐妖怪を率いていたな。何故だ?力量的にもあの狐娘が偉いわけではないな。まさかあの狐娘の親か?狐で上位、尚且つそれなりの地位を持ち、稲荷神社辺りで信仰されている『狐の妖怪』——————————————」

 

そんなもの、一つしかない。そう、

 

「九尾の狐……!?いや、流石にない。か?いや、曹操ならやりかねんが、しかし———————————」

 

何をする気だ……?

 

「まぁ、『狐の妖怪』がどんな存在にせよ、だ。幸せに暮らしていた親子を引き離すというなら、曹操」

 

覚 悟 ハ 出 来 テ イ ル ン ダ ロ ウ ナ ?

 

幼少時代、虐待されていたからこそ分かる。

束の間の平穏の幸せ。

手作りの料理と、母の愛の温もり。

それを幼い子供から奪い取り、自身の下らない目的の為に利用するというならば。

 

「俺は貴様の悉くを叩き潰す」

 

白龍皇としてでもなく、禍の団(カオス・ブリゲート)の一人としてでもなく、一人の『ヴァーリ・ルシファー』という半人半魔(にんげん)として。

『英雄』などという妄執にとらわれる事すら馬鹿馬鹿しいと思えるほどに。な。

 

 

 

 

 

 

 

 

—————————————————

 

次の日の朝。

イッセーたちは観光を続けた。(描写はダイジェスト)

 

「三年坂って、転ぶと三年以内に死ぬらしいわよ?」

「はぅぅぅぅぅぅぅ!怖いです!」

「いや、流石にないだろう……ないよな?兵藤一誠」

「うん、ねぇよ。だからそんな心配そうに見てくんな。戸惑う」

 

「銀閣寺だっ!って銀じゃないぞ!?」

「建設に携わった足利義尚が死んだから銀箔貼るのやめた、とか。単純に幕府の財政難だったとか。諸説あり。ってところね」

 

「金だっ!今度こそ金だぞ!!」

「金だぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「キャー!痴漢よぉ!!!」

 

と、皆で修学旅行を楽しんでいると。

ふいに、ケータイが鳴った。

 

「はい、もしもし。どうしたんですか?朱乃さん」

『もしもし、イッセー君。いえね、大した事では無いのだけれど』

 

朱乃が言うには、イッセーが送った写メに狐の妖怪が何体か写っていたので、何となく心配になっていたそうだ。

イッセーが電話を切ってお茶屋の方を振り返ると、松田、元浜、桐生の三人が眠りに落ちていた。

電話をしていた少しの間に三人が同時に眠るなどありえない。

現にアーシアたちは起きているわけだし。

イッセーは、ゼノヴィアが女性店員を睨みつけていることに気づく。

それもそのはず。女性店員にはなんと、狐の耳と尻尾が生えていたのだ。

これでは自分から『私は妖怪です』と言っているようなものだろう。

周りの観光客は全員眠りこけ、その代わりに獣耳の人々が周りを囲んでいる。

そんな中、ヴァーリは—————————————

 

「」もぐもぐもぐもぐ。ごくっ。んぐんぐ。ふぅ……

 

羊羹を食べつつお茶を飲み、一人ほっこりとしていた。

 

『おい!?』

「?どうした?」

 

思わず全員で突っ込みを入れてしまう。

 

「いや、どうしたじゃねえよ!今の状況解ってんのか!?」

「わかっているさ。———————————————ドッキリというヤツだろう!?」

「ちっがああああああああああああああああう!!!」

「冗談だよ。冗談。単純に戦う理由がないし、相手に敵意が無いからな」

「敵意がない……?」

 

言われてみれば、確かに昨日の様な敵意を感じない。

 

「それ以外にも、単純に羊羹と茶が美味くてね。いやぁ……羊羹とはいいものだ。茶とよく合う。アリアへのお土産に買っておくとしよう」

「なんか……お前への印象が滅茶苦茶変わったんだが……」

「そうか……?」

 

と、シリアスどころか戦闘を続ける気概すらも喪失した。そんな時。

 

「すいませーん」

 

ロスヴァイセが現れた。

 

「ロスヴァイセさん!?どうしてここに?」

 

その問いに、ロスヴァイセは息を吐きながら答える。

 

「貴方たちを迎えに来るようアザゼル先生に言われまして」

「先生に?何が起こってるんですか?」

「停戦です。というより、誤解が解けた。という方が正しいですね。

————九尾のご息女があなたたちにに謝りたいというのです」

 

停戦?誤解が解けた?つまりどういう事だってばよ?というイッセーの疑問をよそに、

 

「私は九尾の君に使える狐の妖でございます。先日は申し訳ございませんでした。我らが姫君もあなた方に謝罪したいと申されておりますので、どうか私たちについてきてくださいませ」

 

ついていく?どこへ?と聞こうとするイッセーが口を開く前に、狐の妖怪は話を続ける

 

「我ら京の妖が住む——裏の都です。魔王様と堕天使の総督殿も先にそちらへいらっしゃっております」

 

どうやら、イッセーたちが観光する間に誤解は解かれていたようだった。

 

 



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狐娘と戦姫

間違って削除したので再投稿。何してんですかね。ほんと


場所は変わって、裏京都。ここは妖怪たちの住処。現世を離れた幽世の世界。一誠たちはその中の屋敷に案内された。屋敷の中には、

 

「お、来たか」

「やっほー☆」

 

アザゼルと着物姿のセラフォルー。そして二人に挟まれて、小さな狐の姫が居た。

 

「九重さま。皆様をお連れしました」

 

狐妖怪はそう報告をし、そのままドロンと炎を出現させて消えた。

すると、九重と呼ばれた狐の姫は一歩前に出て、口を開く。

 

「私は表と裏の京都に住む妖怪を束ねる者——八坂の娘、九重と申す」

 

自己紹介をした後、深く頭を下げてきた。

 

いわく、襲ってしまって申し訳ない。とのことだが、ゼノヴィア達もさらりと流して許した。子供のしたことであるし、理由が理由だ。

 

しかし、九重は一誠たち以上に気にしているようで——————————

 

「ええと、九重でいいかな?九重はお母さんの事、心配なんだろう?」

「と、当然じゃ。」

「なら、あんなふうに間違えて襲撃してしまうこともあるさ。まあ、場合によっては問題になってしまったり、相手を不快にさせてしまうこともある。でも、九重は謝った。悪い事をしたから、誤解してしまっていたとわかったから、謝ったんだろう?」

「勿論だとも」

 

すると一誠は九重の肩に手を置き続けた。

 

「それなら俺は九重の事を咎めたりしないよ。」

「……ありがとう」

 

九重は一誠の言葉に顔を真っ赤に染めて、もじもじしながら呟いた。

 

「(……これ、堕ちたんじゃないか?アルビオン)」

『(もしかしたら、な。ドラゴンは異性を惹きつける。なにより今代の赤龍帝は乳以外ならまともで誠実だ。惚れても仕方あるまい)』

「(確かにそうか。良くも悪くも優しいからな。兵藤一誠は)」

 

と、そんな邪なことを考えているヴァーリは、そんなことをおくびにも出さず、(表面上)真面目に話し込んだ。

 

 

 

 

 

—————————————————————

 

舞台は変わって、翌日。朝にヴァーリ達は京都駅に向かっていた。

 

「おい、イッセー、何難しい顔してんだ?」

 

おそらくサイラオーグや自身の今、トラウマについて考えていたであろうイッセーに、松田が話しかけた。

 

「い、いや、別に、って、お前も元浜もすげーケガだなぁ」

「まぁな」

「名誉の負傷だ」

 

そう答える松田と元浜の顔ははれ上がっていて、バンソーコーも張られていた。

まぁ何時ものことであろう。

 

 

天龍寺に着くと九重が居て、桐生と元浜がデレデレになっていた(元浜に関しては下手をしなくても警察モノだが)。なんでも天龍寺を案内してくれるらしい。

なんやかんやで天龍寺を見終わり、湯豆腐屋。

 

「わたしはよっぱらていやしないのれすよ。だいたいれすねぇ!」

 

ロスヴァイセさんが酔っ払っていていてとても可愛らしく愚痴を零した。

 

「わらしはおーでぃんのクソジジィのおつきをしているころから、おさけにつきあわされてれすねぇ…だんだん、おもいだしてきた。あのジジイ、わらしがたっくさんくろうしてサポートしても、やれさけだ。おんなだ、おっぱいだってぇ!ヴァルハラのほかのぶしょのひとたちからはクソジジイのかいごヴァルキリーだのなんだの……こっちはやすいおきゅうきんでジジイのみのまわりのせわをしてたんですよ!?そのせいでかれしはできないし、かれしはできないし、かれしはできないんですよぉおおおおおおおおおおお!!うわぁああああああああんん!!!」

 

代号泣するロスヴァイセ。それを見かねたイッセーが、

 

「よく、頑張りましたね」

 

頭を撫でた。頭 を 撫 で た !(大事な(ry)

 

「辛かったですよね。行き遅れだ、介護ヴァルキリーだなんだって」

 

因みにヴァーリは空気を読んで幻術で会話の内容を少しカモフラージュしている。

その間にもイッセーはロスヴァイセの頭を撫で、話を続ける。

 

「ロスヴァイセさんはいい人ですし、魅力的ですよ。俺たち生徒を大切に思ってくれてるし、優しいし」

「でも、かれしできませんよ?」

「ロスヴァイセさんが美人だから二の足を踏んでるんですよ。キリッとしてて、クールで、綺麗ですから」

「ほんとうですか?」

「本当です」

「……よかったぁ。わたしはしあわせれすね。こんなにせんせーおもいのせいとがいて」

 

突如、ロスヴァイセが、

 

「あいがとうございます。いっせーくん」

 

イッセーを抱きしめた。

 

「ちょっ!?」

「イッセーェ!貴様ァ!」

「そこ代われ畜生!」

「は、離して下さい!駄目ですって!」

「や、やっぱり、こんないきおくれにだきしめられたくないですか……?」

 

うるうるとしたロスヴァイセの瞳にまた焦ったイッセーは

 

「そ、そんなことありません!」

「ならいいですよねっ!」

 

ぎゅぅううううううううううう!!!っと、効果音が聴こえるくらい、ロスヴァイセはイッセーを抱きしめた。

 

「なっ、ちょ!」

「ぎゅうううううう、ですよ!」

「「イッセェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」」

「(……俺もアリアを抱きしめたいなぁ)」

「ロスヴァイセさん!イッセーさんを離して下さぁい!」

「先生!ダーリンを離して!」

「イッセーを離すんだ!さもなくば私にも抱き着かせろ!」

「「あははははははははははは!!」」

「あ、あわわわ、どうすればよいのじゃ…?」

 

戸惑うイッセーと、抱き着くロスヴァイセ(酔っ払い)。怨嗟を叫ぶ松田と元浜。幻術と遮音を強化しつつブレずにアリアを思うヴァーリと、イッセーとロスヴァイセを引きはがさんとす三人娘。呵呵大笑するアザゼルと桐生に、一人オロオロとする九重。

 

京都の修学旅行は益々混沌を極めんとしていた————————

 



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