幽香さんを赤面させたいだけの人生だった (棚の上からお餅)
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第1話 僕と花妖怪
「あの.....」
「何かしら?」
そう言って優しく微笑み返してくるのは、昨晩から俺と付き合うようになった彼女「風見幽香」さん。幽香さんはとても可憐で可愛く、そして世界で一番美しい。
美しい.....美しいのだが.....
「包丁を...下ろしてください.....」
「あら、じゃあ今日の朝のアレは何かしら?」
アレ、と言うのは今朝、俺がリグルと少し楽しそうに会話していたことである。楽しそうに会話と言っても、そこまで深い話ではなく、ただ「向日葵の手入れ少し大変だねぇ。」とか、「あ、虫いるよ気を付けて。」とか、「あ、ゴキブr」などのくだらない会話である。
「ちょっとだけ楽しそうにリグルと話していただけで.....ひっ!」
「あらぁ、楽しそうに、ねぇ?」
包丁を更に首元まで近づけてきた幽香さんは、そう言って再び笑顔を見せた。普通の笑顔なら可愛い、可愛いのだが.....幽香さん。今の笑顔はとても怖いです。
包丁を突き立てられている。側から見れば、それは強盗が人質を捉えて脅しているようにしか見えない。
両親の亡き後、花屋さんを受け継ぐ事になった俺「
幽香さんは俺の顔を見ると、初めて会うのに優しく微笑んでくれて、俺が店の裏で丹精込めて育てた百合の花を買ってくれた。
それから毎日幽香さんは通ってくれるようになり、俺はだんだん彼女に好意を抱いて行き、今に至ると言う訳だが.....
「さて、今の私はとても腹が立って慎二、あなたを殺して私のものにしてやりたいぐらいなのだけれど?」
「ご、ごめんなさい......その、幽香さん? 刃が直に首の皮に当たってるんですけどおぉぉぉ!?」
「あら、当ててるのよ?」
「ごめんなさい、本当に悪気は無かったのです。 だから、その許してください。」
向日葵の手入れ、この作業をしている時は基本暑さにやられそうになる。そんな中、誰か1人でも話せる人いないかな。そう思って話しかけたのがリグルなのだが、まさかこんな事になるとは思わなかった。
だってリグルだぜ? 一応幼女だぜ? 俺そんなロリコンに見える?
「幽香さん、そのロリコンじゃないので許して?」
「ロリコンじゃなくても、幼女体型に少し惹かれたんでしょ!? ねぇ!?」
ひぃっ!
幽香さんはそう言うと包丁で軽く俺の首筋を撫でた。鳥肌が物凄く立つと同時に、俺の首筋から垂れた一滴の血。
「俺が惹かれるのは幽香さんだけです。」
そう俺はしっかり誠心誠意込めて幽香さんに言うと、幽香さんは俺の首筋から垂れた血を優しく舐める。
その舐めかたがとてもエロエロしく、俺のムスコが何故か立ち始めてくる。それを何とか抑えるため必死に別のことを考えるが、そんなことを考えれないぐらい、俺のムスコは大きさを増して行った。
その時
「ふぅん、そう.....分かったわ。」
幽香さんはそう言い、俺からそっと包丁を離した。
やっと分かってくれた!
俺はそう思って幽香さんの方を見るが、幽香さんはまだ笑顔を崩してはいなかった。
「なら、あの害虫を消せばいいのね。」
「な に も 分かっていませんがあぁぁぁぁぁ!?」
包丁を持って外に出ようとする幽香さんを、何とか羽交い締めの状態にして止めたのは、ムスコを抑えきった俺である。そして次に、幽香さんの手から包丁を手放そうとする、が.....
「あら慎二? あなたごときの握力で私の手から包丁を手放せるとでも?」
「ふっ、君の手から包丁は手放せなくても、僕は君の手は一生離さないよ?」
「.....馬鹿。」
「あれ、幽香さん? 顔赤くなって.....?」
「死ね、ばかぁ!!」
「ブフォァッ!?」
頰に思いっきり幽香さんの拳を喰らった俺は、幽香さんの手を呆気なく離してしまい、後方に勢いよく吹っ飛んで行ってしまった。
☆★☆
「ん.....あぁ、寝てた、のか?」
花を少しツンと刺激する匂い、これはきっと花の匂いだろう。
パッと目を覚ました俺は、重たい体を起こす。
次に俺の目に映ったのは.....
半涙目でプルプルと震えている幽香さんだった。
「え、ちょ、幽香さん?」
「うぅ、慎二のばかぁ!」
幽香さんはそう言って俺に思いっきり抱きついてきた。
腕はしっかりと俺の後ろに回っていて、とても離してからそうにはない。ていうか離さなくていい。
こんなめっちゃ可愛い幽香さんは初めて見るので、困惑している俺に幽香さんは一言。
「浮気じゃないなら浮気じゃないって言ってよ?」
「言ったんですけど。」
半涙目で俺の胸に蹲る幽香さんの頭を撫でながら、俺はこんなに甘えてくる幽香さんに少しだけ感動を覚えた。
「ねぇ、幽香さん?」
「何よ。」
ゆっくりと顔を上げた幽香さんに、僕は思いを伝えるような一言をぶつけた。
「好きだ!」
「私も!」
その時僕たちは熱い抱擁を交わし、寝起きにはまだ辛いキスを交わすのだった。
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第2話 僕と花妖怪の愛情表現
本当に『微』なので過度な期待はしないでね!
「ふぅ、この向日葵も育ったなぁ。」
朝方。まだ日も東から見えるか見えないかのギリギリのライン。
俺はそんな時刻に、向日葵の手入れをしていた。向日葵の手入れと言っても虫をどけたり、水やりをしたりするだけである。
向日葵はキク科の一年草で、日回りと表記されることもあり、また、ニチリンソウ、ヒグルマ、ヒグルマソウ、ヒマワリソウ、ヒュウガアオイ、サンフラワー、ソレイユとも呼ばれるそうだ。
これは1週間前ほどに、幽香さんから延々と聞かされた話の中のごく一部。
幽香さん、本当に向日葵とかの話になると長いんだよな。
そう思いながら俺は向日葵に水をやる。
水をやると向日葵は生き返ったかのように、葉を水滴を使って照らし出し、萎れたように見える茎を立たせた。
そんな光景に少しばかり感動していると、後ろから声を掛けられた。
「あら、今日も早起き? お疲れ様。」
そこにいたのは俺の彼女……幽香さんだ。
幽香さんはまだ日が昇るか昇らないかの時間帯なのに、すでに日傘をさしていた。因みに俺の太陽は幽香さんだけである。
「おはよう幽香さん。 今日も綺麗だね。」
「そ、そんな訳な……朝から何言ってるのよ……」
幽香さんはそう言うと、段々とリンゴのように頰を赤く染めて行く。
「あれ、幽香さん以外に照れ……」
「うるさい!」
幽香さんはそう言うと、俺に殴りかかろうとしてくる。
うん、知ってた。だって、これが幽香さんの愛情表現なのだから。
俺は幽香さんの拳をなんとか体を反らして避ける。
「幽香さん、そろそろその愛情表現やめたほうがいい、よ!」
迫り来る拳をまたなんとか避けると、俺はそう幽香さんに言うが。
幽香さんは頰を赤く染めたまま、何の悪びれもないように言った。
「あら、慎二? 私の愛情表現に不満があるのかしら?」
「いや、なんか抱き着くとかそう言う大胆な……危なっ!」
「ふふふ、避けるの上手くなったじゃない。 嬉しいわ。 分かったわ、慎二、貴方の首に抱きついてあ げ る。」
「それ、俺死ぬやつだよね?」
向日葵を踏まないよう足に全神経を、幽香さんに殴られないように目に全神経を注ぎながら、俺はそう幽香さんと会話する。
こんな愛情表現みたいなので戦闘をするのは、これで7回目。
7回目となれば、これの終わらせ方ぐらい学習する。
幽香さんには……コレだ!
俺は足に力を入れて、その場から少し跳ぶと幽香さんの背後へ回る。
幽香さんは戦闘慣れしているのか、それに合わせて後ろへと向く。
が、そんな事を気にせず、俺は幽香さんに飛びつくように
「!?」
「幽香さん、隙ありだよ。」
「ふぅん慎二、貴方一体なにを…? あっ…だめ…そこは……だめぇ!」
幽香さんの胸元へと飛び込んだ俺は、取り敢えず目の前の柔らかいものから目を離し、脇腹に手を伸ばし、刺激するように指先を滑らかに動かす。
それと同時に幽香さんの体はビクンと跳ね、幽香さんの頰はますます紅潮する。
「んっ……ぁっ…ぁ…」
それでも指を動かすのをやめない俺に、幽香さんは嫌そうな顔をしながらも、手を動かし行動で否定を表すことはしなかった。
(可愛い。)
ハァハァと吐息を漏らす幽香さんに、そう感じた俺は更に指を動かす速度を上げた。
それと同時に幽香さんの声のトーンも速さも上がる。
「あっ…くぅ…うっ…あっ…あぁぁぁぁぁ!」
俺の指もそろそろ限界に達して来るのと同時に、幽香さんの声の調子もそろそろと言うのを出させていた。
「あっ……しん…じぃ…らめぇ……」
「あれ、幽香さん前より体力落ちたのかな?」
「ひゃっ…! し…しんじ……もうげんか…あっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
絶頂に達したのだろうか、幽香さんの体は大きく跳ね、そして断末魔のような声を上げる。
そこで俺はようやくこちょこちょを止める。焦点の合っていない幽香さんは、舌を出しかけていて少しエロかった。
そしてようやく正気に戻った幽香さんは、真っ先に下を向いてプルプルと震えた。
顔は耳まで真っ赤になっており、怒っているのか、照れているのか、分からなかった。
「こ…の………」
顔を上げた幽香さんは傘を折り畳み、こちらへゆらりゆらりと歩いてくる。その歩いてくる姿はまさに殺人鬼のようだった。
「ゆ、幽香さん? さっきのはちょっとした冗談で……ほら、幽香さんだって喜ん「うるさぁぁぁぁい!」グボァッ!」
幽香さんの鉄槌を喰らった俺は、そのまま後方に吹っ飛ばされてしまう。周りにいた要請はみな、怯えた顔をして何処かへと逃げて行った。そして、そんな吹っ飛ばされた俺に躊躇なく、幽香さんは更に近づいてくる。
あ、これは終わったな。
俺はそう思ってギュッと目を閉じる。
最後にふと、手先に向日葵が当たるのが分かった。
向日葵の花言葉……それは『私はあなただけを見つめる』。
思いを伝えるのが少し苦手で、すぐ手が出ちゃうけど、本当は優しくてエロい花妖怪さん、俺は貴女だけを見つめます。なので、これからも末長くよろしくお願いします。
俺は心の中でそう思い、意識を手放した。
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