バカとオリと召喚獣 (孤独なバカ)
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試召戦争編
プロローグ


出会いと別れのきせつ

4月だと春の花と言うと桜と言う人は多いだろう。

春の風物詩の一つだが俺は別のことを考えていた。

朝7時30分

学校が始まる一時間前だ。

「大沢」

校門前いかにもがたいの大きい全身真っ黒な人が声をかけてくる。

「ちわっす。鉄人。」

「お前、今鉄人って。」

「そんながたいの大きい姿してるからでしょ。それに趣味がトライアスロン、夏でも生徒で鉄人=西村教諭というのは確定ですよ。」

俺は校舎に向かう。さて

「んじゃ、鉄人早速いつものあれくださいよ。結果は知ってるけど。」

「全く……お前本当にそのクラスでよかったのか。」

「はい?」

俺は鉄人の方を見る。

「いや、お前の成績だったらAクラスにも入れた。」

「だってクソ真面目なやつしかいないでしょう。ただ面白くないやつと勉強すると成績伸びないだろうし、なんか雄二がおもしろそうなことをかんがえていたので」

「おまえらしいといえばおまえらしいが。」

するとため息をついているけど

「ほらうけとれ。」

「どーも。」

封筒を受け取ってからあることを思い出す。

「そういえばあの倒れた女の子大丈夫なんですか?確か、姫路だったかな。教師をぶん殴ってきちゃったけど…」

「お前な…教師を殴るやつなんか初めてだぞ。」

「あんなくずを殴って何が悪いんですか?病気なやつを見過ごして自分の評価をあげようとしてるやつを。それよりも姫路は?」

「もともと体が弱かったらしい。ご両親からもお礼をいっておいてくれてくれといわれてる。」

「なら、いいんだけど……」

俺は封筒を開く。

すると古びた紙にたった一言

 

大沢 楽………Fクラス

 

知っていたので紙を破って捨てる。

「そういえば、教師を殴った罰を受けに来たんですけど。なんかすることありませんか?」

「お前は……」

すると鉄人が、頭を搔く。

「今回は厳重注意と言う判決だそうだ。ただし清涼祭のときに頼みたいことがある。と学園長が言ってたぞ。」

「……?」

少し考えながら

「まぁいいですけど、俺の本気の点数誰にも言ってませんよね。」

「学園長以外にはな。」

ていうことは俺の本当の点数をしっているのは……

明久くらいか

多分同じクラスだろうしちょうどいいか。

「あとひとつ。姫路はFクラスですか。」

「そうだが。」

もしかしたらやれるかもな。

ムッツリーニ、秀吉、姫路、雄二、明久

このメンバーさえいればいけそうだな。

俺だって学校の点数はかなりいいし、問題はAクラスの戦力だけど。

やってみるか。

雄二がきたら提案してみるか。そして、始めようじゃないか。

打倒Aクラスを



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実力

「……まじかよ。」

俺はAクラスを見てびっくりする。1クラス50人が普通に授業受けるにはかなり広い。しかもノートパソコンや冷蔵庫がある。他のクラスもここから見れるがかなりいい施設だ。

正直ここまでする必要があるのかと聞きたくなるような設備だ。

クラス代表は霧島、次席は久保だろう。

BクラスCクラスはどちらかと言うと普通のクラスよりも良い設備、D、Eクラスはは普通のクラスだった。

ほんとうに教室に格差があるな。

EクラスとDクラスは教室に違いがあるわけではないが、旧校舎にあるか本校舎にあるかの違いだろう。

とりあえず一通り見ていると

「おい、楽なにしてるんだ?」

後ろから雄二がやってくる。

「あぁ戦争の準備を」

「はぁ?お前まさかDクラス代表か?」

「まさか。」

俺は雄二に破れた紙を投げる。

「……はぁ!?お前ならD〜Cのクラスまでできたはずじゃ。」

「クズな教師をぶん殴ったらこうなった。お前もFだろ。」

「……バカにしてるのか?」

「事実だろうが。ついでに俺はAクラス並には点数あるぞ。しかも上位並のな。一年のときは理数系は全教科学年トップだぞ。保体も学年2位だし。」

「はぁ!?」

雄二は固まる。

「数学、化学、物理、生物については600オーバー英語と保体は500点オーバーだぞ。そのぶん国語、社会がBクラス下位並だから学年5位が最高だけど。」

「……今お前の総合点数は?」

「振り分け試験の翌日受け直してある。総合4300点ってところだな。」

すると苦笑して雄二は

「ならメイン戦力になるな。ついでに俺はFクラス代表だから。」

「つまり俺と雄二で作戦を組み立て明久たちが駒だな。まったくおもしろそうなクラスじゃねーか。」

「まったくだ。」

悪い顔になる俺と雄二。そういえば

「ついでに姫路もこっちのクラスだ。あいつ俺と一緒に途中退席してる。」

「それ、本当か?」

「嬉しい誤算だろう。多分明久も同じクラスだろうし。操作技術でもかなり有利だな。どうせ仕掛けるんだろう試験召喚戦争。」

この学校には試験召喚戦争っていうシステムがある。一時間の上限なしのテストを受けて点数に応じた強さの召喚獣を呼び出し戦うことができ、そのシステムによって戦争ができる。

そのシステムでAクラスを倒すとそのクラスの設備を手に入れることができるのだ。

「もちろんだろ。ってかもしかしておまえ一年の時実力隠してたのかよ。」

「もちろん。こっちの方が面白いし。」

「はぁ、全く良い性格してるな。」

「だろ。いままでバカにしてたやつに反撃できるしな。」

「ところで」

と雄二が俺たちが目をそらし続けていた事実に触れようとしていた。

「ここ本当に教室か?」

「……らしいな。一応2ーFって書いてあるしな。」

ボロボロの教室だからな。だれもが現実逃避したくなるよな。

中に入るとかび臭い教室に綿が入っていない座布団、ほぼ壊れたかけた卓袱台

勉強させる気なさすぎるだろ。

「さて、クラスメイトが来るまで作戦会議といこうぜ。こんな教室嫌だし。」

「あぁ、そうだな。」

俺と雄二は作戦会議に移った。

 

「んでここに誘い出して。」

「それなら、こっちの教室なら誘い出せるんじゃないか?」

俺と雄二が教卓で話し合いをしてると。

「すみません、ちょっと遅れちゃいましたっ♪」

「「早く座れウジ虫野郎」」

聞き覚えのある声がしたのでつい反射的にいってしまう。

そこには見た目はいいのだが鈍感、たらし、バカという最悪な要素を持っている俺の幼なじみの明久だった。

「……雄二、楽、何やってるの?」

「作戦会議に決まってるだろうが。」

時間を見るともう始業のベルはなっている時間だった。

「結構話してたんだな。まぁもういいか。最初に攻めるクラスは決まったし。」

と適当な席に座る。なんとなく先生が来そうだったのでおとなしくする。

すると教室を寝癖のついたよれよれのシャツを来たおっさんが入って来る。

まぁすごくどうでもいいことなので欠伸をする。

担任は福原ってことか。チョークはさっき見たけどまったくなかった。

本当にろくなものがねーな。

とりあえず不備だらけの教室は改善されないだろうし自己紹介まであまりきかなかった。

「では、自己紹介でも始めましょうか。」

するとすごく女の子ぽい男子がたちあがる。

「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。」

俺が知っている友達の一人だ。女子ぽい容姿から女子に間違えられやすい。バカ五人集の一人だ。

「……土屋康太。」

またしてもバカ五人集の一人の康太が挨拶する。他にドイツの帰国子女の島田美波、バカの吉井明久が自己紹介

する。

なんか見知ったやつばっかりだな。

すると教室のドアを開き急いで来たのか息を切らした少女が現れる。

「あの、、遅れて、すみま、せん……」

クラス中がざわざわと騒ぎ出す。

やっぱり知らないやつはいないのだろう。

「丁度よかったです。今自己紹介しているところなので姫路さんもお願いします。」

「は、はい!あの姫路瑞希といいます。よろしくお願いします。」

とりあえず一通り全員集まっていたので少し寝るか。

早起きしてたん眠いし少し寝ようか。

目を閉じると眠りに落ちた。

 

少し小さな声が聞こえ目を開く。

「おい、楽次お前の番だぞ。」

雄二の声を聞き思い出す。

おれはゆっくり立ち上がり教卓へ向かう。

「大沢楽、一応ここの副代表に任命されてる。姫路より理系科目、保健体育に限ったら姫路より点数は上だ。ちょっとした事故でFクラスにはいった。理数系で教わりたいことが聞いたら聞いてこい。以上」

すると教室がざわざわしている。

「どうせ、雄二が最後だろ。代表さんちゃんとしめろよ。」

「全く楽は。ついでにようがあるからのこれ。」

とりあえず教卓にたっておく。

雄二が教卓へ向かって来る。ふざけた雰囲気はなく空気が張り詰めている。

さすがに元神童ってところか。

「Fクラス代表のの坂本雄二だ。俺のことは代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ。さて、皆に一つ聞きたい。」

雄二は全員の目を見て雄二に集まった後クラスの設備に視線を向ける。

「Aクラスは冷暖房完備のうえ、座席はリクライニングシートらしいが……不満はないか。」

『おおありじゃぁっ!!』

クラス中の魂の叫び

まぁ振り分け試験で点数を取れって話なんだけどな。

「みんなの意見はもっともだ。そこでこれは代表としての提案だが、FクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う。」

不敵な笑顔の雄二が戦争の引き金を引いた。



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最弱、いいや最強だ

クラス中がざわめき出す。

まぁそれもそのはずFクラスは成績底辺者。つまりは学年最低クラスだ。

それが成績最上位のAクラスを攻めるとなっては無謀だと思うだろう。

「んじゃ、ここからは俺も入らせてもらうぞ。いいな、雄二。」

「ああ。どっちにしろ説明は楽の方がいいからな。」

「皆とりあえずさっきも言ったとおり副代表の大沢だ。基本前線は俺が指揮を持つ。早速だがこのクラスには学年1位の実力なものが5つある。それを一つずつ説明していく。最初に康太。ってどこいった?」

悪友の一人を探す。

「おい、康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いてないで前に来い。」

「…………!!(ブンブン)」

「は、はわっ」

急いで姫路がすそを抑える。だけどもう遅い。

「土屋康太。こいつがあの有名な、寡黙なる性識者(ムッツリーニ)だ。」

すると教室中が騒ぎ始める。ムッツリーニというあだ名は男子生徒からは畏怖と畏敬を女子生徒からは軽蔑されている。

また保健体育においては俺に唯一勝てる保険体育の帝王なのだ。

「次は身体能力。いいか?間違ってもこれは戦争なんだ。ただ突っ立っていてもしょうがない。撹乱し不意を突く。これが大切なんだ。そうしたら少ない人数で首を切ることができる。」

すると頷く。

「ついでに学年次席の姫路についてはみんなも知っていると思う。ついでに俺も総合は4000オーバーだ。」

「うぉー!!」

「もちろん俺も全力を尽くす。」

雄二の昔神童って言われていたし士気は高い。リーダーをやるには十分だろう。

「そして吉井明久だっている。」

クラスがざわめいていたのが一気に静かになる。

「ちょっと楽どうしてそこで僕の名前を呼ぶのさ!」

「んなもんお前がかなりの戦力だからに決まってるからだろうが。お前観察処分者だろうが。」

すると教室がざわざわしている。

観察処分者はいわゆるバカの代名詞として有名だ。まぁ教師の本を質屋に売ったと知った時絶句してたからな。

「まぁバカの代名詞と言われている観察処分者だけど利点と欠点がある。欠点はダメージが術者にフィールドバックされることだ。しかし雑用によって召喚獣の扱いにおいてはずば抜けている。正直腕輪持ちさえいなかったら最強といえる。つまり300点以上400点未満の相手に勝てる可能性がある。それもひとりでな。」

すると教室中の指揮は最高潮になる。

「ついでに敵の幹部クラスを打ち取ったやつには1000円の図書カードを与える。これで参考書を買うなり聖本を買うなり自由にしてもらっていい。」

「とにかくだ。俺達の力の証明として、まずはDクラスを殲滅する。皆、この境遇は多いに不満だろう?」

『当然だ!!』

『ならば全員ペンを執れ!出撃の準備だ!」

『おおっーー!!」

「俺達に必要なのは卓袱台ではない!Aクラスのシステムデスクだ!」

『うおおーー!!』

「お、おー……」

姫路は遅れたけどまぁいい。

「明久、Dクラスへの宣戦布告にいってくれないか?今日の昼食にかけうどん(198円)奢ってやるから。」

「分かった。いってくるよ。」

すると立ち上がりすぐにむかう。

「あいつよく行ったよな。」

雄二がびっくりしている。

「まぁ、幼馴染だからどうやって嫌な仕事を押しつけるのは飯でつればいいから扱い楽だぞ。」

すると数分後、遠くからバタバタと悲鳴をあげて教室に逃げ込んできた明久の姿があった。

 

明久にかけうどんを奢ってから屋上に上がる。

「いやー久しぶりに個体物食べたよ。」

「お前なぁ、趣味ばっかりに金使うからだろうが。仕送り俺と同じ金額なのにそこまで減るってどんな使い方してるんだよ。」

正直な話なんで生きているのか疑問になのだが……

屋上につくと島田、秀吉、康太、姫路、雄二がすでに来ていた。

「おう明久久しぶりのまともな昼飯はどうだったか?」

「えっ吉井君って昼食食べないんですか?」

「いや、一応食べてるよ。」

「あれは食べると言えるのか?」

俺はため息をつく。

「塩と水だろ。主食。」

「失礼な砂糖も食べてるよ!!」

「明久君。それは食べるといいませんよ。」

「……性格には舐めるが正解」

「……」

全員が明久に同情の目線を送る。

「ま、飯代を遊びに使い込むお前が悪いよな。」

「しッ仕送りが少ないんだよ!……趣味ってお金かかるから」

「普通生活の方優先するだろう。お前以外のやつなら。」

とりあえず俺は菓子パンをかじる。

「とか言って楽も外食ばっかりじゃん。」

「仕方ねえだろ。料理苦手なんだよ。」

俺は料理が正直苦手だ。簡単なもの以外しか作れないので基本外食がメインになる。

「…あ、あのよかったらわたしが弁当作ってきましょうか。」

「「ゑ?」」

「はい。明日のお昼でよければ。」

どうしようかなぁ。さすがに悪いから適当な理由をつけて断るか。

「俺はパス。久しぶりにロー○ンのシュークリーム食いたいし。それにさすがに悪いしな。一応余裕があるし。明久は貰えば金欠なんだろ。」

「本当に楽はシュークリーム好きだよね。」

「ってことで俺はいいや。ついでに島田も作れるんじゃないのか?」

するとビクッと反応する島田

「えぇ、一応作れるわよ。」

「さすがに姫路にも悪いし島田も明久に作ってきたらどうだ。」

「えっ!?」

島田が明久に好意な気持ちをもっていることは知っている。だから一年からの付き合いだから少しでも応援してあげたいのだ。

「いいの島田さん?」

「まぁいいわ作って来てあげるわよ。そのかわりあんたの分はないわよ。」

「だからいらないって。そんなことよりシュークリーム食べたい。」

「はぁ。」

といいながら機嫌が良くなる島田。分かりやすいなぁ。

「もしよければ皆さんも……」

「俺たちもいいのか」

「はい。嫌じゃなかったら。」

料理が好きなのか雄二たちにも勧めてくる。まぁ俺はシュークリーム島田に奢って貰えそうだしいいか。

「そういえば、Dクラス戦について説明しないといけないよな。まず全員が気になってるなぜDクラスを攻めるかだ。」

「うむ。気になってはおったのじゃが、どうしてDクラスなんじゃ?段階を踏んでいくならEクラスじゃろうし、勝負に出るならAクラスじゃろう?」

「あぁそれはAクラス戦は今のままじゃ確実に負けてEクラス戦は余裕すぎるんだ。正直Eクラスは文系と部活動組が集まっているから俺が数学と化学で突っ込んだら勝てるんだよ。明久は俺の理数系の点数の高さは知っているだろう。」

「学年2位の霧島さんと100点差つけていたからね。理数系に限ったらムッツリーニの保健体育レベルだとおもうよ。」

「ってことまぁだから、俺一人で倒せないDクラスを選んだってわけ。理系だけに限ったら平均600オーバーだからな。英語と保体も500点オーバーだし。」

「あんた、なんでここにいるのよ。」

島田がため息をつく。

「他にもDクラスを攻めるには次に攻めるBクラス戦の準備でもあるんだよ。」

「Bクラスにも攻めるんですか?」

「あぁAクラス戦を有利に進めるのにな。」

雄二と俺の考えて一番いい策を採用した結果だ。

「負けるなんてありえない。そうだろ雄二。」

「あぁ、お前らが俺に協力してくれるなら勝てる。」

「「いいか、お前ら。ウチのクラスは最強だ。」」

ニヤリと笑う俺と雄二

「いいわね。面白そうじゃない!」

「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの。」

「………(グッ)」

「が、頑張りますっ」

俺らは頷き

「そうか、作戦を伝えよう。」

雄二の作戦に耳を傾けた。



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Dクラス戦

靴が擦れる音

悲鳴や歓声が聞こえる。

「村田化学のほうに応戦。宮崎は現国に迎えいいか戦死だけは逃れろ!!持久戦に持ち込め。」

『了解』

と野太い声が聞こえる。先陣を指揮しているので俺は動かない。正直厳しいよな。

一応おれは全員の点数を把握しているけど、基本80〜100点のそれを60〜80点の点数で押し切らないといけないのだ。

時刻を見るとまだ20分も経っていないけど使うか。

「一旦下がるぞお前ら。」

「えっでも。」

高橋が言うけれど

「いいから、下がれこれは命令だ。」

宮崎と村田は前もっていっておいた。そして旧校舎にわざと引く。

「追え!!今こそ大沢を打ち取れ!!」

そしてEクラス前にDクラスの先方が全員入ったところで

「高橋今だ。」

高橋がするとドアから秀吉達の隊がEクラスの教室から出てくる。

「なっ!!」

「Fクラス大沢、Dクラス塚本隊全員に数学で試験召喚勝負を挑みます。試獣召喚(サモン)

すると下に魔法陣が描かれ両手に銃を構えた俺そっくりの召喚獣がでてくる。

「くっせめて大沢だけでも討ちとるぞ試獣召喚(サモン)

一斉に魔法陣が描かれるけど……

 

Fクラス        Dクラス 

大沢 楽【数学】 塚本隼人&モブ×8

658点  VS   150点&平均95点

 

「なっ。」

「ごめん数学得意なんだ。んじゃほいっと。」

腕輪を触ると約30点引かれ銃口から散弾銃が放たれる。それはDクラスの中心に入り一気に殲滅する。

 

 Fクラス      Dクラス会

 大沢 楽    塚本隼人&モブ×8

 629点  VS   Dead&Dead

 

「Dクラス塚本の首Fクラス大沢が討ち取った。」

『うおおーー!!』

Fクラスの士気が一気に上がる。

「戦死者は補習!!」

どこからか現れた、鉄人がDクラス9人を担ぎあげる。鉄人の補習はかなり厳しいからなぁ。運がなかったと思ってくれたらいいけど。

「Fクラスは前線を一気にあげろ!!これからは力押しだ。敵将の首取りに行くぞ!!」

『イエッサー』

クラスメイトが渡り廊下を渡りきり前線をあげる。まぁ數十分は持つだろうし時間稼ぎくらい大丈夫だろう。

「秀吉俺は一旦戻る。前線の指揮頼むぞ。」

「分かったのじゃ。しかし、本当にお主頭よかったのじゃのう。」

「まぁな。ちょっと色々あってな。一応明久の隊に入るから前線持たせろ。お前以外は戦死でもいい。」

俺は前線から離脱する。そして第一陣は勝利したことを雄二に伝えに行った。

 

「先陣二人の犠牲によって9人潰して来たぞ。」

「えっもう。」

明久がびっくりしている。

「ってことはもしかしてお前の点数は」

「多分Dクラスに知られてるだろうな。数学思っていたより高かったし。まぁ塚本討ち取れただけましだろ数学は塚本Bクラスなみだったぞ。俺が古典だったら点数負けてたし。」

「ちなみに古典お前何点だよ。」

「139点。正直文系の中で一番苦手なんだよ。」

文系科目で200点以上なのは、英語と日本史くらいだからな。いつかはバレてそこを攻められるだろうし。

「んじゃあ明久の隊で少し暴れてくるかな。次は化学でいいや。そのあとは雄二の近衛部隊に合流でいいか?」

「あぁ、期待してるぜ副代表。」

「まぁ、首を長くして待っとけ。明久出るぞ。」

「了解、島田さんも準備はいい?」

「ええ、いいわよ。」

「んじゃ行くか。もうそろそろ秀吉隊も下がるだろうしな。でも島田、あのクラス清水がいるらしいから気をつけろよ。」

「……忠告ありがとう。」

これくらいか。

さて前線はどれくらい押されてるか見てくるか。

そして前線は意外にも新校舎のままキープしていた。

どうやら一人から聞くと秀吉が俺が一階から奇襲をかけると言う虚報をかけたらしく前線を保っているらしい。教科は

「おっラッキー化学あるじゃん。」

「何がラッキーよ。このグループは化学平均が低いわよ。」

島田が言ったとうり化学は点数が低い。

「いや、その奥が高橋先生がいる。隊はここで分けるか。前田、内藤隊は秀吉隊の護衛、明久、島田隊は高橋先生のところにいけ。ついでに明久隊は逃げたら殺すからな。」

「全員突撃!!」

明久たちは秀吉隊の方に走って行く。多分あいつならちゃんと役割をはたせるだろうし。

「さーて俺も戦線に加わるか。」

あそこの化学のフィールドを使えばいいか。

「Fクラス大沢白石隊全員に化学で試験召喚勝負を挑みます。試獣召喚(サモン)

「くっ、大沢が出たぞ!!」

さて何人抵抗できるか、楽しみだ。

 

白石隊の全員を戦死させたことで士気の向上したので俺は教室に戻る。

今日俺が動くことはもうない。ミッションコンプリートってわけだ。このことによって俺は警戒される一人になるだろう。

「雄二役割終わったぞ。」

「本当に仕事早いよなぁ。お前」

「てか、正直俺だけでも勝てるぞ。武器が強いのもあるけど。」

俺は攻撃力特化の召喚獣だからな。ダメージくらいやすいし

「なら今日はもう今日はやすんでいてくれもう放課後はいるしな」

「なら補充テストでも受けるか暇だし。布瀬呼んで来てくれ。その後数学受けるから先生を適当に呼んで来てくれ。」

俺は教室の中で集中する。

そしてFクラスの歓声が聞こえるまで、補充試験を受け続けた。



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放課後

Dクラス戦は放課後までかかった。

姫路がDクラスの代表平賀を討ち取ったらしい。

しかし今回俺は戦後対談には参加しなかった。

俺にはあることを康太と行っていた。

「めんどくさいことになったな。」

「……(コクリ)」

今少しBクラス代表のことを調べると根本だった。

根本は卑怯者の烙印を押されていて喧嘩にナイフはデフォルト装備とか球技大会で相手に一服盛ったなど悪い噂が絶えない。さらに悪いことが重なって

「……まさか小山と付き合っているとは。」

康太の一言に力なく頷く。

Cクラスの情報係の友達に声をかけたところ正直かなり痛いところをついてきた。

絶対このことにつけこんで戦争を有利にしてくるだろう。

Fクラスは今ただでさえ先生から目をつけられている。

後二戦、これが試召戦争をFクラスが有利に進められる最後の戦争だ。

「そういえば康太今回のテスト保体結構低かったな。」

「性の問題が出たからつい書き過ぎてしまった。」

「納得。次のAクラスまでにはいつもの点数に戻しておけよ。」

「……もちろん」

「んじゃ俺らの仕事は終わりっと。さっさと帰るか。」

「……またな」

「じゃーな」

康太と別れた後作戦を考えようとするがまったく思いつかない。初めての試獣召喚戦争を行った疲れもあるだろう。ついでに島田から近くの洋菓子専門店のシュークリームの割引券もらったし甘いものかってかえるか。

おれは駅前にある洋菓子店に向かった。

 

運が悪いことは続くことである。

俺はため息をつく。

「ねぇ、ネェちゃん俺らと遊びにいかない?」

近道しようと人通りの少ない道を通ろうとしたらうちの女子の制服を着た女の子が不良3人に絡まれていた。

「えっと」

とまどっている女子生徒。たぶんあまりからまれたことがないんだろう。あきらかにかもにされるタイプだろう。

見過ごすのも悪いし助けに入るか。

「おっさんたちなにやってるの?明らかに嫌がってるじゃん。」

「はっ?」

すると完全に俺の方を見る。

「嫌がってないよなネェちゃん」

「アハハ。」

「どこがだよ。それともただのバカだからそんなこともわかんないのか?」

「このクソガキ」

と殴りかかってきた。それを見て俺は腰の隠しポケットから自家製のスタンガンを取り出し不良の首筋にあてる。

俺は雄二や明久みたいに力は強くないけど親の仕事を見ていたせいで色々なものを作れる。だからスタンガンや電動ガンなどの機械は簡単につくって護身ように持っているのだ。

「はぁまったく」

ため息をつきながら首筋に電流の流す。雄二の攻撃に比べては全く相手じゃない。

ドスンと音がして不良は崩れ落ちた。

「なっ!!やすお」

俺は素早く電動銃を取り出す。

「お前ら最後の通達。さっさとそこの奴つれて逃げろ。んじゃねーとこの不良と同じめにあわすぞ。」

「ひぃ!!」

不良たちは逃げて行く。おれは近くにあったカバンをってかばんが財布込みで三つ落ちていた。金だけ抜き取ってと

「大丈夫か?」

見ると色の薄い髪をショートカットした、ボーイッシュな女の子だった。しかもふつーに可愛いし。こんなところ入ったらまず声をかけられるだろう。

「うん。ありがとう。助けてくれて。えっと、同じ学校だったよね。」

「2ーFの大沢楽。同じ学校だろ。」

「うん。Aクラスの工藤愛子です。趣味は水泳と音楽鑑賞で、スリーサイズは上から78・56・79、特技はパンチラで好きな食べ物はシュークリームだよ。」

「スリーサイズとパンチラは言う必要ないだろ。一応聞かなかったことにしとくけど…あとあんまこんなところ歩くなよ。こんなところにかわいいやつがいたら襲ってくるにきまってるだろ。ここ不良の溜まり場だし。」

「へ?」

すると急に工藤は顔が真っ赤になる。

「とりあえずここから出るぞ。ちょっと失礼。」

「えっ?」

手の引いて大通りに出る最短距離を走る。ここのあたりは慣れているので楽に決まっている。

そして2分ほどで大通りに抜ける。

「ここまで来たら大丈夫かな。」

「えっと、大沢くん?」

すると顔が真っ赤になっていた。もしかしてこいつかなりのウブなのか

「悪い。手を離すから。」

俺は工藤の手を離す。そういえば工藤って去年の3学期に両親の都合で転校してきて保健体育で康太の次の猛者だったはずだ。そいつがこいつなんてかなり意外だった。ちょっと興味あるし、少し話しておきたいな。

「そういえば、大沢くん時間ある?お礼もかねてシュークリーム食べにいかない?」

「別にいいぞ。どうせ買いに行く途中だったし。」

クーポンを見せる。

「うんじゃあ行こう!」

「そうだな。」

しばらくは雑談しながら店に向かった。まぁ先生の愚痴とか勉強の話とかだけど。

 

「やっぱりうまいな。ここのシュークリーム」

「うん。このカスタードクリームとパイ生地のサクサク感。本当においしい!!」

工藤と席でシュークリームを食べる。

「そういえば今日Fクラス試召戦争Dクラスにしかけたよね。どうなったの?」

話は試召戦争の話になる。明日にはわかることだし別にいいか。

「結果的には勝ったぞ。結果的に姫路のおかげで楽になったからな。」

本当のことはいわないでおく。これはDクラスとの和平条約の締結の一つに俺の成績のことは他のクラスには漏らさないという条約を含ませておいたのでBクラス戦で初めて俺の成績を公表することになるだろう。

「でも二つの隊をさせたのって君だよね。」

「姫路の隊と同じだったからな。」

「やっぱり姫路さんはFクラスにいるの?」

まぁバレているだろうしいいか。

「あぁいるな。」

「ついでに坂本くんがFクラスの代表なんでしょ。代表がいってたよ。」

「霧島か。」

俺は足を止め立ち止まる。

霧島翔子全クラスの憧れの的であり成績優秀、才色兼備の学年主席が雄二の幼馴染って霧島から聞いたことがある。

「そっちのクラスは霧島、久保、工藤、木下、佐藤、羽田、松田、杉村、鈴木の成績上位トップ10が9人いるんだよなぁ。」

正直Aクラスの50人中40人はBクラスとさほど差があるわけじゃない。その代わり上位10人がすごいって一年生のとき明久が言っていた。負ける気は無いけど。

「なら、保健体育の勉強教えてあげようか?」

「うーん。それよりも古典習いたいな。保体はなんだかんだ言って点数はAクラス並みはあるしな。」

「ふーん。それを私に言っても大丈夫なの。」

「別にこっちには康太がいるから保体に関しての攻撃力はだてじゃねーぞ。」

「ムッツリーニ君か。」

一気に目が鋭くなる。なるほどこれが本性か。Aクラスが真面目なやつばかりじゃなく工藤みたいな奴がいるんなら…手強いな。

工藤の得意教科も保健体育。正直康太の発火材に使えるか。

「そういえば甘いもの好きなの?」

「まぁな。考え事をするときは甘いもの食べるといい案を思い出せるしな。」

などと雑談する。正直にこういったやつは俺の友達にはいないから新鮮だった。クリームをとってあげたときはかなり顔を赤くしているしけっこうおもしろいやつだとわかった。

コーヒーを飲み終えて時間をみるといい時間だった。

「そろそろ帰ろうぜ。」

「うん。今日はありがとうね。シュークリームもご馳走になっちゃったし。」

「別に気にすることでもねーよ。ただちょっと女の子に奢ってもらうのはちょっと抵抗あるし。」

「そういえば。明日の昼休憩の時間空いてる?私まだあまり友達いないから一緒にたべない?」

うーんまぁいいかな。次の雄二の作戦は俺は情報係だしいいか

「いいぞ。昼休み中にそっちのクラスに行くわ。」

「うん。じゃあね!大沢くん」

「またな。」

と言って別れる。

Aクラスの友達が一人増えたかな。そう考えると今日はいいひだった。



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逃走

工藤とシュークリームを食べた翌日

「待てー!!大沢!!」

「待てって言われて待つ奴がいるかよっと」

階段を四段とばしながら走る。

今絶賛FFF団と言われる組織から絶賛追いかけられている。

なぜ追いかけられる訳になったというと朝のHRにあった。

 

「えー出席をとります。」

先生は生徒一人一人の名前を呼んでいく。今日は俺以外は補充テストのためだからかテンションが低い。

「坂本君」「はい。」「島田さん」「はい。」

いつも通りの教室

「須川君」

「…………大沢が昨日女子とデートをしていた。」

「「「「殺せぇぇっ!!」」」」

殺気がしたので卓袱台を盾にする。そこにはシャーペンやハサミ、カッターナイフが刺さっていた。

「ってあぶねーだろうが」

卓袱台に刺さっていなければ直撃コースだった。てか

「それって昨日のことだろう。工藤と飯食っていたあれは色々あったんだよ。」

「なら聞かせてもらおう。」

俺は昨日のことを説明する。

「んで工藤から不良から助けたらお礼にシュークリーム奢ってもらうことになったわけだよ。まぁさすがに女子に奢ってもらうわけにはいかないからおれがはらったけど。」

すると

「諸君構えろ。」

「「「イエッサー」」」

上履きや文道具を構えだす。

「……とりあえずなんでか聞こうか。」

俺が言うと

「「「「デートをしてうらやましいのであります。」」」」

「理不尽すぎるだろっと。」

今の瞬間に俺はカバンに荷物を詰め込みドアから一番近いので逃走に入ったと言う訳である。

今は二階から三階に逃走している途中だった。

俺は足は早いが体力面ではFクラスの中では無い方だ。

だから俺はある場所に向かっていた。あまり使いたくなかったけどしょうがない。

そしてその教室のドアを開ける。

「高橋先生、総合科目で召喚許可をください。クラスメイトが暴走しているので、補習室送りにします。」

「えっ、は、はい。」

「えっ、大沢くん?」

「いたぞ!やれ。」

須川たちがやってくる。いつものメンバーはいないので少し痛い目に合わすか。点数消費したくないし一発で決める。

「Fクラス全員に総合科目で試験召喚勝負を仕掛けます試験召喚(サモン)

「大丈夫だこっちにも人数的に有利だ。取り囲んで補習送りにしろ試験召喚(サモン)

一斉に飛び出す魔法陣しかし

 

Fクラス      Fクラス

大沢 楽【総合科目】 モブ 約40人

 

 4825点   VS 500〜700点 

 

「なっ!!」

「ふきとべや!!」

100点消費のグルネードをつかう。

すると多くの数の召喚獣が吹き飛んだ。

「戦死者は補習」

「ギャー」

なるほどこりゃ強いはずだな。1発放っただけでダメージが680ダメージかよ。

おれは最後の須川の召喚獣を撃ち抜いた。

「これで終わりっと、」

騒ぎを聞きつけたのか雄二がやってくる。

「おい楽。」

「悪い、点数晒した。」

すると雄二は俺の点数を見てため息をつく。

「やっぱりお前端数きちんと計算してなかったのか。お前結構手を抜くところは抜くからなぁ。」

「Aクラスの人すいませんでした。んじゃこれで。」

と抜け出そうとするが

「ちょっと待てなんで大沢がそんなに点数高いんだよ。これもしかしたら霧島以上の点数じゃないのか。」

「カンニングでもしたんじゃあねーのか。」

と言いたい放題言われている。

「はぁ、数学687点 化学670点 物理665点 生物659点 英語W598点 英語 560点 保健体育548点…今のところ俺が学年一位をとっている教科だ。言いたいこと分かるよな?」

「極端な理系に傾いている。英語も久保君以上って。」

「伊達に鉄人の補習受けてるわけねーぞ。鉄人の英語補習かなり辛いから嫌でも覚えるぞ。それに理数系は二位の霧島と200点離れているからカンニングも無い。」

俺の点数の4分の3は理系でとっている。

「……入学試験では数学と理科の点数は学年で一位だった。」

急に霧島が入ってきた。

「だけど急に成績が落ちたから高校の勉強についていけなかったと思っていたけど」

「ちゃんとわかってるぞ。ただ面白そうな雄二たちのクラスにいておかしくないようにテストでは成績が悪いふりをしていただけ。そしたら案の定面白そうなことやっていたからな。」

「そ、そんな理由で」

「そんな理由って言われるいい筋合いはねーぞ。俺にとったら成績よりも1日1日を楽しくバカやってるほうが俺にはあってるしな。」

「確かにFクラスは楽しそうだね。」

工藤が笑っている。

「HRの邪魔したことはFクラス副代表として謝らせてほしい。クラスメイトとトラブルにまきこんでしまって本当にすまなかった。」

「まったくだ。」

少しいらっとくるけど無視する。

「んじゃ、雄二戻るか。まぁ俺は後からもう一回来るけど。」

「あぁ。邪魔したな。翔子。」

と言って教室をでる。

「全くお前な作戦考え直しじゃないかよ。」

「ごめんな。でもお前でも助けるだろう。その女の子が霧島だったら。」

すると急に足を止める。

「……お前あのこと知ってるのか。」

「霧島から聞いてる。なんでお前が中学になってから喧嘩ばっかりしてたのかも。だから俺はお前のことを信頼してるんだ。そしてお前が目的を果たすのをサポートするために俺はこのクラスにはいったからな。ついでに他の奴に言ったりしないから安心しろ。ただなやるからには徹底的にやるぞ。だって」

俺は雄二の方を向き笑う。

「お前に従っていたら俺たちは最強なんだろ。」

するといつも通りの雄二に戻り

「あぁもちろんだ。」

自信満々に笑う。

「まずはBクラス戦だろ。作戦案は考えてあるから放課後話すわ。」

「昼休憩でいいんじゃないのか。明久たちもいるから」

「んじゃあ時間があればな、とりあえず補充試験がんばってこい。まずはそこからだろ俺は自習だから。」

「あぁ、楽しみにしている。」

さて古典でも少しでもいいから読むか。



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弁当

「失礼するぞ。」

昼休憩に入ってからAクラスの中に入る。朝のことがあってからAクラスの奴らからいいように見られていない。だからあまり来たくなかったのだが

「あっ大沢君こっち。」

工藤と約束したから来るしかなかった。

「おう。」

俺は工藤の席らしき席に行く。すると

「君は工藤さんと付き合っているのかい?」

すると眼鏡をかけたいかにもイケメンと言う男子生徒がいた。

「ちげーよ。俺みたいなバカみたいなやつ誰も相手にせんだろ。お前みたいなイケメンとは違うんだよ久保」

「相変わらず君は口が悪いな。」

「悪いな。あいにくだけど本音は隠せない体質でな。」

「全くテストの点数がいいからって。」

「調子にのるなだろ。それは一番Aクラスに言いたいことだけどな。」

すると一斉に殺気がまきおこる。

「てか喧嘩する方があるんだったらCクラス戦の準備でも始めた方がいいんじゃねーのか?あっちのクラス戦争する気満々だけどな。」

「だれがFクラスの意見なんか聞くか!!」

「まぁ聞くか聞かないかはどうでもいいけど今日は工藤と飯食いにきただから邪魔すんなよ。」

俺は笑う。そして俺は工藤へと向かう。

「よう。きたぜ。」

「うん。こっちこっち。」

すると椅子が二つある。まぁリクライニングシートなんだけど

「さすがAクラス相変わらずの資源の無駄遣いみたいな教室だよな。Fクラスは貧乏な家みたいだし、常識が麻痺してくるな。」

「えっとまぁこの学校の特徴の一つだからね。でもさっき言ってたことって」

「さぁ。まぁいずれにはくると思うぞ。やる気がなくてもやる気にさせたらいいからな。」

「君よくそんな知恵まわるね。つまり確実にAクラスに攻め込んでくるってこと?」

「そうだけど。」

ビニール袋を取り出り惣菜パンとコーヒーとシュークリームを取り出す。

「とりあえず食おうぜ。昼休憩は短いしな。」

「まぁ後から聞くけど、健康に悪そうだね。」

工藤は俺の昼飯を見て苦笑してる。

「両親が海外いるから自分で何もかもしないといけないんだよ。」

俺はため息をつく。

「俺は料理がまったく作れないからなしょうがないんだよ。」

サンドイッチを食べる。こんな簡単なものなら作れるけど包丁などは危なくて禁止されてる。

正直不器用なので裁縫や料理、楽器は全くできない。まぁ、唯一物作りだけは明久のプラモデルを組み立てていただけあって別なんだけど。

「うーん。じゃあ僕がつくってきてあげようか。昨日のお礼ってことで。

「やめとく、さっきみたいなことがまた起こりそうだしな。」

一回工藤と飯食ってこれなら…

ちょっと待てなら今明久とかどうなっているんだ。

確か今日は姫路と島田に弁当を作ってもらっているんだっけ。

後から見に行くか

「じゃあ。僕がお弁当作ってきてあげようか?」

「は?」

思考が停止する。

「いいのか?」

「うん。昨日のお礼もあるし。」

まぁ姫路や島田みたいに気遣いする必要はないしいいかな?

「んじゃお願いしていいか?でも来週からで」

「うん。いいけどどうして?」

「今日の放課後でも分かると思うぞ。」

すると目を見開く。多分気づいたのだろう

「どのクラス」

「Bクラス。」

「うーん、いくら姫路さんや大沢君がいても無理なんじゃ無いかな?」

「そうか?油断しなければ勝てる相手だぞ。特に俺と姫路にとっては有利すぎる。」

俺は笑う。

「まぁ、問題点はCクラスの介入だけど、どっちにしろAクラスに攻め込ませようとしてたからな。」

「でもCクラスの介入があるってなんで分かるの。」

「代表同士が付き合ってるんだよ。全くめんどくさいことしやがって。」

「うわーそれは大変だねー。」

「大変とかそんな次元じゃーねーよ。まぁ逆にそのことを使わせてもらうけど」

まぁその情報を漏らした時点で負けなんだけどな。試召戦争も同じだ。相手に点数を教えることなんてある条件を整えておかない限りはダメだ。

「じゃあ、絶対に勝てるの?」

「絶対と言えることなんてない。もしかしたら作戦が失敗するかもしれない。逆に俺たちがAクラスに仕掛けて勝つかもしれない。勝負は時の運なんだよ。高校野球でも弱小校が強豪校に勝つ試合があるだろう。だから絶対に勝てるなんて無いんだ。」

「大沢君も?」

「あぁ、もともとそんな強くはないしな。一戦一戦ずつ勝つ。そうしないと勝てるもんもかてねぇよ。」

俺は文系科目を攻められたらかなりの戦力ダウンだ。文系だけだったらだけど。

「さてそろそろ戻るか。ミーティングの時間だし。」

「じゃあ最後にいい?」

「なんだよ。」

「大沢君は彼女とかいるの?」

「……こんな性格だからいたことすらないな。喧嘩売ってるのか。」

「違うよ。昨日あの挨拶しても反応なかったから」

「……」

ちょっと言いづらいことだけどまぁいいか。

「なかよくなりたかったからかなぁ。そんなところに食いついてかわいいやつと仲良くなるチャンス逃すの嫌だったし。それになんか面白そうだったしなあ。」

「か、かわいいって。」

顔を真っ赤にしてる工藤に笑ってしまう。こういったところがかわいいんだよな。

「んじゃ、ミーティングあるから先戻るぞ。」

「う、うん。」

「じゃーな。」

俺は手を振る。もしクラスメイトが襲ってきたら補習室にぶちこめばいいか。

さてあいつらも昼食食い終わっているだし屋上に行くか。

今頃女子二人の弁当を明久たちはいいよなぁ。

数分前はそう思っていたけれど屋上に着いた途端。

バタッと秀吉がタッパーにあった物質を飲み込んだ瞬間ぶっ倒れた。

そして震える康太と雄二

そして申し訳なさそうにしている明久

「一体何があったんだよ。」

「あっ楽。ちょっと緑茶買ってくるから秀吉見てて!!」

「おい明久!」

すると話も聞かずの出ていった。

「雄二、康太どうしたんだ?」

「楽……姫路の料理のこと知っていたのか?」

「知らないけど察した。」

なるほど本人には自覚はないが料理がかなり下手だった。しかも全員が恐怖するほどの。

工藤は料理できるか聞いてこればよかった。心底そう思った。



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Bクラス戦

「はぁ。なんで俺はこんなところにいるんだろう。」

ため息をつく。

たった一人真っ暗なところにいた。

壁が肩に当たるほどの狭いところにいて、さらに匂いもひどい。

雄二と康太はBクラスと交渉しにいっているはずだし、明久と島田、秀吉と姫路は前線だ。

Bクラス戦が始まってから俺は雄二の指示でロッカーに隠れていた。

Bクラス戦は正直な話俺と姫路以外の奴らはかなりの役立たずだ。

試験召喚獣の操作に慣れている明久を除き一教科なら対抗出来るやつは少しはいるが全教科になると俺と姫路ぐらいしか抵抗はできない。正直俺の苦手教科で二人以上で攻められたら終わりだろう。

「あの大沢君本当に来るんですか。」

布瀬先生がロッカーの中に話しかけてくる。教室には化学のフィールドを張らせてある。

「多分ですけどって言ってる側からきますね。」

かすかに声が聞こえる。ってかこれもう出てよくねぇか。ロッカーをそっと開ける。音を立てないようにそっと開ける。

するとちょうど出てきたところにドアが開く

「さて荒らすかって誰かいるじゃなねーか。」

「根本の野郎誰もいないって言うからやるっていったのに。」

「ふーんまぁいいんだけどさ。どうせひとりくらい楽勝だろう。」

俺は何も言わずただ息を吐く。

「しかも、なんで一人きりでいるんだよ馬鹿じゃねーの。」

「しかもこいつ五馬鹿の大沢じゃねーか。」

「ふーん。それが分かってるなら早いわ。さっさとやろうぜ。Bクラスさん。」

「そうだな。ささっと終わらせようぜ。」

「「「試獣召喚(サモン)」」」」

幾何学的な魔法陣が描かれ召喚獣が出てくる。

 

Fクラス        Bクラス

大沢 楽  【化学】  モブ×2

670点    VS  187点&198点

 

「「は?」」

「んじゃほいっと。」

銃弾を放ち戦死させる。

「戦死者は補習。」

鉄人がBクラスの生徒を担ぎ上げる。一体どんな体してやがる。

「いや、何かの間違いだ。大沢がそんな点数。」

「馬鹿か。点数を隠してたんだよ。んなことも分かんねーのかよ。」

「先生、カンニングですよ。」

「お前ら、布瀬先生でも取れない点数をどうやったらカンニングできるんだ。」

呆れながら連れていく鉄人。

「ちょっと鉄人待ったちょっと聞きたいことがある。」

そして俺はあることを条件にして施設の入れ替えを行わないことを条約で結ぶかわりに聞きたいことを聞き出す。しかもやっぱりそうだったか。

「はぁ全く。ミッションクリアしたし後どうしようかなぁ。暇だし前線にでもいくか。布瀬先生お願いします。」

「えぇ、分かりました。」

俺は前線に向かった。

 

「「「試獣召喚(サモン)」」」

 Fクラス          Bクラス

 大沢 楽  【化学】   モブ×3

480点    VS 167点&165点&187点

前線に出てから点数が200点程削れていた。それも結構きついのだが。

 

 Fクラス         Bクラス

 姫路 瑞希 【数学】 モブ×2

  290点    VS  167点&158点

やばいな多対一で姫路が押されてきた

「横溝、横田姫路のフォローに向かって一旦補充させろ。俺が数学入るから誰かフォローしてくれ。」

「俺が入る。大沢隊長は数学に。」

「そういえば島田はどうした。あいつは数学得意だろうが。」

「島田さんは敵の捕虜になってます。」

ちっ仕方ねえ。

「なら明久を呼んでこい。數十分で明久の犠牲だけで解決する。それ以外のやつは持ち場を離れるな。」

「「「了解」」」

「いいか。ここが踏ん張りどころだ休戦まで粘るぞてめーら。」

「「「応」」」

本当にここが踏ん張りどころだ。最悪俺が戦死してもかまわないから前線を保つことが大切だな。少し下がって士気が上がること。そうだ

「ついでに根本はCクラス代表の小山と付き合っているらしいぞ。」

「諸君構えろ。」

「「「はっ」」」

どこからか構える文道具をもつクラスメイト

「とりあえず文房具はしまえ暴力はやめろ。」

「しかし隊長。」

「俺がお前らのグループに勝手に入ってないから。全くどうでもいいけどやる方法は痛みは痛みでも精神的な痛みが一番痛いんだぜ。」

「つまりそうしろと。」

「今回くらいは許してやる徹底的にやれ。」

「「「イエッサー」」」

教室を荒らそうとしたぶんの報いは受けてもらわないと。

「諸君やれ。全員根本に向かって突撃。」

俺が一言言うと全軍が突撃していく。後一時間ぐらいはもつだろ。

そして放課後が来るその瞬間

俺らの勝ちだ。

 

キーンコーンカーン

チャイムがなり帰宅の時間になる。

ここで一時停戦になると雄二が言っていたので教室に戻る。

「お疲れ様です。大沢君。」

「あぁお疲れ姫路。んじゃAクラスいってくるわ。予定どうり。」

「しかしお主よく商談成功させたのう。」

「まぁ代表が霧島だからなぁ。何が好きか分かってたし。」

「ちょっと待てお前何を交渉条件にしやがった。」

「明日霧島と俺たちが一緒に飯を食べることで一致した。あっちは霧島、工藤、木下、久保が来るらしい。あと俺の全教科点数を教えることだな。」

「ふむ。こっちのメンバーはだれじゃのう?」

「絶対にでないといけないのは俺、雄二、姫路、明久だった。女子の人数的に島田を連れていくと確定して、記録ががりに康太、後秀吉に木下の考えを読んでほしい。俺あの人苦手だし。」

「ということはいつものメンバーってわけだな。」

「そゆこと。姫路も明久も明日の昼休みAクラスな。さて霧島と工藤呼んで来るか。雄二もついてこい後姫路と明久島田もついて…っていねーし。」

「明久ならいつものだ。」

「なるほど島田にやられてるってわけか。」

関節を逆方向に曲げられているんですね。分かります。

「さて決着をつけようか。」

俺はAクラスへと向かった。

 

「失礼すんぞ。Fクラス副代表の大沢だ。そっちの代表の小山に用がある。」

「私だけどなんか用かしら。」

「あぁBクラスが協定違反をしていると聞いているので調査させてもらうがいいか?」

するとざわざわと教室内がざわめき始める。小山は俺を見る目が変わった。

「どういうことかしら?」

「話のまんまだよ。ね小山さん。」

俺の後から霧島と工藤が入って来る。

「残念だけどあいにく俺はAクラスに知り合いがいてね。根本と小山が協定を結んでいることがわかったんだよ。Bクラスの一人から聞き出すともともとそう言うつもりだったらしいじゃねーか。ついでにそこにいる黒マッシュルームもうこのクラスは包囲されてるから逃げ場はないぞ。」

そこに隠れている根本に向かって言う。

「ついでに証拠もそいつから聞き出してあるから誓約書を取りに来たってわけ。分かったか?」

「くっ。それでそこのAクラスの代表たちはなにしにきたのよ。」

すると今まで無言だった霧島が口を開く。

「……私たちAクラスはCクラスに試召戦争を申し込みます。」

「「「はっ?」」」

そこにいるC、Bクラスの全員が固まる。それを無視して工藤が続く

「開戦時間は明日のHR終了後。正々堂々戦おうね。」

「ってことだ。ついでにBクラスの連中は協定を破ったと西村先生と高橋先生は認めておりただ今から協定はなかったものとすることを認めているだから、言いたいことは分かるな。」

「畜生。」

「逃すか。大塚先生根本に物理で試獣勝負仕掛けます。いいですよね。」

「はい承認します。」

「くっ?代わりに召喚します。試獣召喚(サモン)。」

するとCクラス内にFクラスの生徒が流れ込む。だけど本命はそっちじゃない。俺たちがBクラスの近衛部隊を引きつけてCクラスの友達にドアを開けておいてもらっていた。

出入り口は俺と姫路でふせぎ逃げ場はない。

そして成績の高い奴に人数を集めるので今は一人だ。

「……美味しいとこもってけ康太」

まどからばたっと音が聞こえる。

「……Fクラス土屋康太」

「き、貴様。」

「……Bクラス根本恭二に保健体育勝負を申し込む。」

「ムッツリーニ!!」

根本が騒ぐがもう遅い。

  Fクラス           Bクラス  

 土屋 康太  【保健体育】 根本 恭二

  441点     VS     203点

「チェックメイトだ。」

康太の召喚獣がからの一閃で一撃で戦死する。

Fクラスの勝利が決定した瞬間だった。 



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Bクラス戦後

「さて、交渉といこうとしようか負け組代表さん。」

Fクラスの主力が全員集まった後、俺がとてもいい笑顔で言う。対象に静かな根本、まぁ渾身の策を使われて負けたから仕方ないだろう。雄二もいるけど今回は俺が仕切らせてもらう。

「といっても、ある条件を三つのめば別に何もしないからな。」

するとざわざわと騒ぎ始める。

「条件はなんだ?」

「まず、一つ目Fクラスへの戦線布告を1年間禁止すること。ただし別のクラスに関する戦線布告はしてもいいからな。」

するとざわざわと騒ぎ始める。これはDクラス戦と同じだった。

「そして二つ目BクラスはFクラスの提案に賛成すること。まぁ行事など優先的にしろってことだな。」

本当はこれでよかったんだけど、

「そして、三つ目は、あんただよ。」

「俺、だと?」

俺は根本を睨みつける。Fクラス連中に言われたことをはたさないと

「お前ら俺が教室にいなかったら姫路のカバンをあさろうとしてたそうじゃないか。」

「「「えっ?」」」

「なるほど協定を結ぼうとしたのはその作戦があったからか。」

「あぁ。別にそのことをせめようってことじゃないけど、やったからにはちゃんと報いは受けてもらわないとな。秀吉言ってたものを頼む。」

「こんなもので良いのかのう?」

するとフリフリのメイド服と女子の制服を取り出す。なんで持っているのかは秀吉の威厳のため聞かないでおくけど

「これを着てもらう。ついでに撮影会もして、今日はそのまま家に帰ってもらう。これさえあれば絶対に裏切れないからな。」

すると根本の顔が青ざめていく。

「ば、バカなことをいうな!この俺がそんなふざけたことを。」

「Bクラス全員でやらせよう。」

「まかせて絶対にやらせるから。」

すごい手のひら返しだな。

「なら決定だな。じゃあ交渉は結ぶってことで。」

「くっ、よるな変態!ぐふぅ!」

Bクラスの男子生徒が根本のみぞに拳をいれる。

「とりあえず黙らせました。」

「あ、あぁ着付けは誰かこのマッシュルームの」

「私がやるわ。」

「お、おう」

こいつら正直根本のことどう思ってるんだよ。大丈夫かよ。このクラス

「じゃああとは頼む。雄二もこれで大丈夫か?」

「あ、あぁ」

さすがの雄二もすこし引いていた。

このあと康太に撮影され、明久によって制服が捨てられたために女装のまま帰った根本の目撃者が多かったことは触れないでおこう。

 

「……AクラスがCクラスに勝った教科は数学、現社、英語W。」

三時間目に入る前俺と雄二(他は補充試験を受けている。)に康太から連絡が入る。

「んじゃあCクラスはとことん潰させてもらうか。Dクラスに作戦を実行しろっていえ。教科は現社と数学、英語Wに固定とな。開戦は来週の月曜日ホームルールからだ。」

「……分かった。」

すると康太が走って行く。

「これで後ろからつかれるってことはないし安全だろ。作戦も伝えてあるし。」

「でもやっとここまできたな。」

「やっとってまだ二年生になってからまだ4日だけどな。でもここまできて負けたらかなり批判を集めるぞ。」

「だな。」

でも

「正直5対5の一騎打ちっていうのがちょっと気が食わないけどな。」

正直俺が考えた案は雄二とは違ったがどっちにしろ勝算があったため賛成した。

「指定教科は三教科あればなんとかなるだろうな。俺、康太、雄二が指定で明久、姫路が外せばいいだろう。多分4勝はできるな。」

「あぁ。明久くらいじゃないか?負けるのは。」

明久は多分勝つだろうけど黙っておく。

「さてと最後に戦おうぜ。これさえ終わればシステムデスクだ。」

まぁオレは戦えたらいいだけだしな。

「まぁその前にAクラスと食事会だからな。逃げ出すなよ。」

オレは雄二に忠告しておく。こいつは霧島のことを避けているイメージがあるからな。

「あぁ、分かってる。」

最後の締めくくりなだけあって雄二も真剣な表情になる。

でも真剣に考えているのはAクラス戦なのか霧島になのかまったく分からなかった。



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食事会

「よう。ちゃんと約束通りきたぜ。」

「……待ってた。」

屋上で先に霧島たちAクラスが待っていた。

「ヤッホー。大沢くん。」

「よう。工藤。」

「えっと?」

不思議そうに明久が首をかしげる。

「工藤愛子。保健体育三位。学年順位四位の強化版の康太だよ。保健体育の成績以外だけどな。2月に学校にきてからトップクラスの成績をとってる秀才。苦手教科は文系だが250点を超えている。これでいいか?明久。」

「あ、うん。」

「ちょっとなんで私の成績知ってるの?」

工藤がびっくりしてる。

「楽は情報を集めることに関しては康太並だからな。先生からの評価も高いし何より交友関係はかなり広いからな。」

「まぁ成績に関しては基本教師とか妙に詳しいCクラス生徒がいるからなぁ。」

「なるほど。だからこっちのテストの点数が漏れていたんだね。」

久保が言う。

「あぁとりあえず飯食いに来たんだろう。さっさと食おうぜ。」

「そうね。あんまり長居したくないから。」

「全く相変わらずじゃのう。姉上は。」

秀吉がため息をつく。

こいつも家では苦労してるんだろう。

「んでさっきから影になってやつも入ってこいよ。一応姫路は指名されているだし。」

「は、はい。」

「ちょっとこれうちまでくる必要あったの?」

「あぁ、ちょっと島田こっちに。」

「えっ?」

俺は島田を呼ぶ。大切な役目があるんだよ。

「島田お前前に姫路の弁当食べれないってむくれてたよな。あれ姫路の弁当のせいなんだよ。」

「どう言うこと?」

「俺が用事から戻ってくると3つの屍があったんだよ。どうやら話を聞くところ姫路の弁当を食べてそうなったらしいんだよ。」

「えっ?」

「姫路の料理は兵器並に下手なんだよ。だからAクラスのやつに絶対食わせないように姫路を見張っといてくれ。」

「えっちょっと。」

後は島田に任せよう。死人が出ないことを祈るばかりだ。

「明久ほら」

「えっ?」

俺は菓子パンを投げる。

「さすがにいつものお前の昼飯はひどいからな。今日くらいは奢ってやる。」

「あ、ありがとう楽。」

「じゃあ食うか。各自適当に座ろうぜ。」

「おい。これって本当に食事会なのかよ。」

雄二が突っ込む。

「だから言っているだろAクラスのやつと会食ってな。」

「ちょっと待て翔子お前はクラスの交渉材料に私用を持ち込んだのか?」

「……変?」

「おかしいだろうが。」

雄二が突っ込むけど霧島は不思議そうにしている。

「まぁいいや。工藤食わねぇか。ちょっと聞きたいこともあるし。」

「うん。もちろんいいよ。」

「なら私も一緒に食べてもいいかしら。ちょっと大沢くんに聞きたいことがあるんだけど。」

「じゃあわしもいいかのう。」

「康太もこっちでいいか。」

「……(こくり)」

あっちには雄二がいるしなんとかなるだろう。

「そういえば坂本くんと代表って距離が近いわね。」

「そりゃ幼馴染だからな。って康太そのカッターナイフとスタンガンをしまえ。」

「……なぜ邪魔をする。」

「せめてオレがいないところでやってくれ血を落とすのは大変なんだよ?」

「心配するところはそこなの?」

大事なところだからな。

「んじゃソバ食おう。」

「あ、あの大沢君。」

「なんだよ工藤。」

「前に約束してたお弁当。」

オレの手に女の子らしい弁当が渡される。

「えっと、そんなに上手くないんだけど。」

「あぁ。サンキュー。」

弁当を受け取る。

「そういえば、おぬしはムッツリーニたちから何もされないのじゃな。」

「一応締結結んでいるんでな。」

盗聴器やスタンガンを渡すかわりに女子関係のことでいいことがあっても、干渉しないという契約を結んでいた。

「明久ソバ追加」

「えっ?本当にいいの」

「ほら。」

「ありがとう!楽」

うれしそうにソバを持っていく明久。

「まぁ、明久が一番扱いやすいからな。」

「アハハ。やっぱりFクラスは面白いね。」

「それじゃあ貰うな。」

弁当を開くと唐揚げやエビフライの男子の好きそうな弁当だった。

軽く唐揚げを一口食べる。醤油とおろししょうがの下味がしっかりしてあって

「……うまいな。」

「本当!!」

「あぁ。かなり手間かかっただろうこれ作るのに。」

俺は弁当を食べる。

料理のことはあまりわからないけど下味からしっかりしてあったらさすがに手間がかかっているってことはわかっていた。

「へぇーでも愛子って料理できたんだ。」

「えっ?ちょっと勉強中なんだ。」

「ふーん。家庭的なんだな。」

俺は弁当を食べる。

その後も勉強や試召戦争の話などなんだかんだで盛り上がる。基本的に話の中身はオレと工藤が盛り上げる。

なんだかんだといって工藤とは気が合いそうだな。でももうそろそろいいだろう。

「さてともうそろそろいいだろう。楽。」

「あぁ、お遊びは終わりだ。」

飯が全員が食べ終わったタイミングを見てオレと雄二が立ちあがる。すると明久、秀吉、康太、島田、姫路も立ち上がる。

「どうしたのかな?」

「久保なら予想できてるくせに。じゃあいまさらだが。」

オレ達はさぞかし悪い顔をしてただろう。

「「我々FクラスはAクラスに試召戦争を申しこむ。」」

Aクラスの目がこっちに向く。

これから最終決戦が始まる。



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交渉そして戦争へ

「ただし戦争のルールは違う。5対5の一騎打ちの個人戦だな。」

「あんた達何が目的なの?」

木下が聞いてくる。

「もちろんFクラスの勝利が狙いだ。」

雄二が言い切る。

「というか勝算がなければオレが止めてる。」

「まぁ、そうよね。あなたが負け確実の試合を考えるはずないわね。」

木下がため息をつく。

「まぁ、Aクラスには拒否権はないけどな。」

「どういう事よ。」

「まず断ったらこいつが代表のBクラスに攻め込まさせさせる。康太例の物を」

「……了解。」

康太はある本をオレに投げる。

「……それは?」

「Bクラス代表の趣味だよ。あっ女子はあまり生理的に受けつけない可能性があるから見ないほうがいいぞ。」「一体なん……」

1ページ目を見て木下は固まる。

ムッツリーニが1日で編集、撮影した根本の女装写真集、生まれ変わったワタシを見て!!だ。正直かなり気持ち悪い

「もし断ったらこの代表にメイド服姿でオレ達の前に戦ってもらうぞ。」

「……ちょっと待って。トイレに行ってきていいかしら。」

「……別にいいぞ。木下すまなかった。」

さすがに女装写真集の威力が強すぎたか。

「……まぁ、こんな変態に攻め込まさせたくなかったら戦争しろってこと。ついでにCクラスはDクラスに宣戦布告されているから脅すことも無駄だぞ。」

「……やられたな。とことん先手をとられてる。教科はどうするつもりだい?」

「選択制にしようと思っている。Fクラス3、Aクラス2でどうだ?ちょうどいい妥協点だと思うが?」

「うーん。」

「ついでに一つだけ。オレ達は教室の交換は行わない。一年間の同盟が目的と言っておこう。」

「「「えっ?」」」

すると全員が驚いたような顔がしている。

「ちょっとどういうことだよ。楽。」

「明久、落ち着けよ。正直オレと雄二が一生懸命考えた結果、3ヶ月後Aクラスから責められたならよほどなことがない限り守りきれないんだよ。」

「ちょっとどういうこと?」

「簡単だよ。戦力が違いすぎるんだ。」

オレはため息をつく。

「正直、クラス全員の戦力はAクラスにかなわない。」

「まぁ、それが妥当ね。」

木下が戻ってきた。

「だけどFクラスは個性の固まりだ。団体戦なら厳しいが個人戦だと勝てるものがある。オレの理系がその一般例だ。」

「なるほど。」

明久達が納得する。

「ってことでちゃんとしたやつじゃないからこれくらいが妥当じゃないか?」

「なるほど。でも僕達に利点はあるのかい?」

久保なら絶対聞いてくることだと思っていたのて切り札を出す。

「あるぞ。普通に。まぁ、簡単に言うと、一年間の互いのクラスに宣戦布告されないことそれと、勝ったクラスの勝ち数の分だけ相手の言うことを聞くっていうのはどうだ?」

するとガチャガチャと音が聞こえるが無視しておこう。

「……受けてもいい。」

とやはりそうだった。その言葉にニヤリと笑う。

「だ、代表。」

「その条件受けてもいい。」

「交渉成立だな。」

明久が雄二に何か言っていたがオレは交渉を続ける。

「ついでにもちろん命令と言っても学生程度だからそこには安心してくれ。」

「分かったわ。時間帯は」

「明日の放課後でどうだ?補充テストも終わっているだろうし。」

「えぇ。いいわよ。」

「なら。それで決定だ。」

「んじゃ明日の放課後オレ達がそっちの教室に行くと言うことでいいか?」

「えぇ。いいわよ。」

「じゃあ正々堂々と戦おうぜ。じゃまた明日な。あと工藤、うまかった。サンキュー。」

弁当箱を投げる。

「明日は負けねえから覚悟しとけ。」

「こっちこそ負けないよ。」

「んじゃまた明日。」

「うん。また明日。」

オレらFクラスは屋上をあとにする。ここまできて負けるとなったら完全オレのせいだな。

 

Aクラス戦の朝最後の作戦を雄二がクラスメイトにつげていく。

Aクラス戦の一騎討ちと言ったらビックリしていたがあっさりと賛成してくれたことには素直に驚いた。そして基本的に昨日全部聞いていたのでオレは今日のオレが対戦カードになる数学、保健体育の教科書を見ていた。その二つは今日補充テストがあるのでしっかり勉強しておかないといけない。

正直オレ、康太が負けたら他は勝てるかどうかは微妙なところだ。

100%落とせるところで落とされたら流れは完全にもっていかれる。だから絶対に負けるわけにはいかない。

士気を上げたり、作戦を考えるのならば雄二の方が向いている。オレが相手の行動を読み罠にはめることを得意としていた。つまりここは雄二に全部任せた方がいいだろう。

多分オレには工藤、久保、佐藤、木下を当ててくるだろう。絶対にここは倒さないといけない。一番有効なのはその2教科だ。

「楽。根詰めすぎじゃない?」

明久が話してくる。

「そうか?テスト前なんてこんなもんだろ。」

「うーん。そうかなぁ?」

「お前は勉強しなくていいのかよ。お前も今日出すって言っておいただろ。」

「ちゃんと勉強したよ。」

「……総合は?」

「653点」

「……」

こいつ、オレの七分の一もとれてないのかよ。

「まぁ、いいけど。作戦は伝えた通りにな。」

「…でも本当にそれで勝てるの。」

「お前ならできるだろ。」

「一応できるけど……」

「なら大丈夫だ。オレが作戦を立てて明久が動く。いつものことだろ。」

「そうだね。」

明久が頷く。

「だから、絶対に勝つ。やるなら勝って終わらないと胸くそ悪いしな。」

「相変わらずだね。勝てるかな?」

んなもん決まっているだろう。

「絶対勝つさ。」

オレは明久の頭を思いっきり叩く。

「何するのさ。楽。バカになったらどうするのさ。」

「お前、これ以上バカになる要素あったのか?近所の中学生にバカなお兄ちゃんって言われたんだろ。」

「なっ!そんな半端なリアルな嘘をつかないでよ。」

「ごめん。小学生だったか?」

「…人違いです。」

「ちょっと待て本当に言われたのかよ。」

こいつ小学生にバカにされるって。

「まぁ、明久は単純なところが強みだからな。」

「それ遠回りにバカっていってない?」

おっと珍しく勘がいいな。

「まぁ、簡潔にいうとバカにはバカの戦い方があるってことだ。卑怯でも勝てれば相手は文句言えないだろ。Aクラスを見返してやろうぜ。」

「まぁ、僕はバカじゃないけど……楽、借り一つね。」

「今度飯奢ってやるから。明久は二戦目頼むぞ。」

「任せて。」

すると雄二の方でも演説が終わりそうだった。

「楽は少し休んだ方がいいよ。召喚獣の扱いは集中力を使うから。」

「あぁ、んじゃ少し寝るか。一時間ほど寝てくるから誰か起こしにきてくれ。屋上にいるから。」

「分かったよ。」

オレは屋上に上がる。

さてとどこまでやれるか。

そしてどれだけ楽しめるか期待しておこう。



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Aクラス戦1

「では、両者共準備はいいですか?」

学年主任でありAクラス担任の高橋先生が立会人を勤めることとなっていた。

「あぁ」

「……問題ない。」

Aクラスの中に特別に作ったフィールドを挟み頷く。

「それでは一人目の方どうぞ。」

「アタシから行くよっ。」

木下が手を上げる。ってことは

「頼んだぞ。明久」

「うん。分かったよ。」

明久が前にでる。

「教科はどうしますか?」

「数学でお願いします。」

木下が高橋先生に言う。なるほどやっぱりそうだったか。

「それでは開始してください。」

「「試獣召喚(サモン)」」

幾何学的な魔法陣から二人の召喚獣が出てくる。

 

 Fクラス          Aクラス

吉井 明久  【数学】 木下 優子

  51点     VS     376点

あいつ本当にどうしようもないな。あいつ。でも良かった。腕輪が使えないから。

「これで終わりよ。」

かなりスピードを載せて槍を突き出す木下の召喚獣。だけど

「よっと。」

明久の召喚獣がその槍を避け

「えっ?」

「がら空きだよ。」

木下の召喚獣の胴に明久の召喚獣の木刀が当たる。

 

 Fクラス          Aクラス

 吉井 明久  【数学】  木下 優子

  51点      VS      336点

今の直撃で40点か。結構与えられるもんだな。

「ちょっと、大沢どういうことよ?なんでアキの召喚獣の召喚獣は戦死してないのよ。」

「観察処分者の唯一の利点だよ。なんども召喚許可をもらっているから召喚獣の操作に関してはこの学年トップなんだよ。だからただ点数が高いだけの召喚獣の動きなら避けられるんだよ。」

と言っている間にも明久は避けてカウンターを決める。オレも明久と最後の召喚獣テストの時に戦ったのだが腕輪を使わないと点数が減らせなかった。

「だからあいつは腕輪がなかったらこの学年で一番強いんだよ。それに」

オレは明久の動きを見る。かわしてカウンターを繰り返しているから、かなりエグい。

「ちょっとなんで当たらないのよ。」

「ああ言うことに木下はかなり弱いんだよ。秀吉から聞くにかなりの短気らしいからな。だから粘られた後には」

すると槍を大きく振りかぶったのでバランスが崩れ大きな隙がうまれる。

「明久今だ。」

「これで終わりだ!」

明久の召喚獣が助走をつけ、捨て身の突進をする。だから普通だったらオレでも避けられる簡単攻撃だがバランスが崩れていたので木下の召喚獣に直撃する。

 

 Fクラス           Aクラス

 吉井 明久   【数学】  木下 優子

36点       VS     DEAD

 

教室中が静寂に包まれる。

「嘘でしょう。」

木下の声が聞こえる。だけど

「明久よくやった!」

オレが明久の頭を思いっきり叩く。

その声に高橋先生は我に返り

「初戦はFクラスの勝利です。」

するとAクラスから悲鳴が、Fクラスからは歓声が聞こえてくる。それほどまでにも初戦は大きかった。

「ちょっと楽痛いよ。」

「お前最初に言うことそれかよ。」

苦笑してしまう。

「だって、楽の作戦だから勝てたんだから。」

「一人で勝てるように頑張れよ。まぁ、よくやった明久。後は下がってろ。後姫路。」

「はい?」

「点数高いからと言って油断してると明久みたいな奴に負ける可能性があるんだよ。点数が高いからって油断するな。」

「分かりました。」

「では次の方どうぞ。」

「んじゃオレだな。教科は数学。」

高橋先生の声にオレがステージに立つ。

「じゃあ、私がいくわ。」

とメガネをかけておかっぱ頭の女の子が前に立つ。

「佐藤かよ。確か理系はかなり高かったな。」

「えぇ。あなたほどじゃあないけどね。」

「あぁ。でも運が悪かったな。佐藤。」

「なんですか?」

「もうお前の負けが確定してるだよ。」

「まだわからないじゃあないですか?そっちのクラスの吉井君が木下さんに勝ったように。」

「まぁ、そうだけどな。」

「それでは開始してください。」

「「試獣召喚(サモン)」」

オレの召喚獣が現れる。そしてすぐに腕輪を使った。

 Fクラス         Aクラス

 大沢 楽  【数学】  佐藤 美穂

  301点    VS DEAD

「あれ?なんで?」

「オレの腕輪の能力だよ。テストの点を500点消費するかわりにフィールド全体の召喚獣を戦死させる。」

「……えっ?ちょっと待ってキミの点数元々何点だったの?」

「801点だけど。」

明久の言ったとおりに寝てからテストを受けたら集中力が上がったのかケアレスミスがかなりへっていた。

数学限定だったのけど。

「元々遠距離タイプの召喚獣なのに1対1だったらかなり不利だったから使わせてもらった。とりあえず高橋先生。」

「はい。Fクラスの勝利です。」

するとまた歓声が上がる。

「よくやった。楽。だけどなんでその腕輪試召戦争の時に使わなかった?」

「これ味方にも有効なんだよ。点数消費も激しいしそれなら一人で戦った方が強い。」

「確かに理数教科ならお主に勝てるのは先生にもおるかどうか分からないからのう。」

「それに通常攻撃にも点数消費するからかなり使いづらいんだよ。」

弾丸にも点数消費があるし。

「なんかごめんな。」

「別に。でもこれで2勝か。ほぼ勝ちは確定だな。」

「あぁこの次はな。」

「では三人目の方どうぞ。」

「………(スック)」

康太が立ち上がる。

「じゃ、ボクが行くよ!」

やっぱり工藤が手を挙げる。

「教科は?」

「……保健体育」

康太には伝えてある。工藤も保健体育が得意であることも。

「土屋くんだっけ?随分と保健体育が得意みたいだね。」

無言の康太。

「でも、ボクだってかなり得意なんだよ?……キミとは違って、実技でね。」

「お前、まだそんなこと言ってるのか。」

ため息をつく。

「大沢くん?」

「お前Fクラスの連中を前にそんなこと言うな暴走止めるの大変なんだぞ。お前みたいな可愛いやつがいうと本気にするやつがたくさんいるしな。」

すると工藤の顔が真っ赤になる。

「ふぇ?大沢くん何言ってるのさ。」

「この場合は大沢くんのいってることが正しいとおもうわよ。」

意外にも賛成したのは木下だった。

「えっ優子まで。」

「……愛子は可愛いから心配したほうがいい。」

「ちょっと代表!」

「だからお前は少し気をつけろっていってるんだよ。近くにいたら守ってやれるけど。」

「……」

顔を茹でダコのように真っ赤にさせる工藤。

「ねぇ、楽お前工藤と付き合ってるのか?」

「つきあってないけどそれがどうした?」

「あぁ、なんか珍しくお前が女子と話してるからな。」

「別に。なんでもねえよ。」

こいつにちょっと気になったからと言うとからかわれる原因になるので絶対に言わない。

「あのそろそろ召喚を開始してください。」

「大沢くん後から覚えておいてね。」

小声で工藤から聞こえてきた言葉には目をそらさせてもらおう。

試獣召喚(サモン)

「……試獣召喚(サモン)

すると前にみた小太刀の二刀流。対して工藤は巨大な斧か。

「ちょっと楽、ムッツリーニが。」

「知ってたか?明久、俺が唯一得意教科でトップになれない教科があること?」

「それと何がかんけいあるのさ!」

「バイバイ、ムッツリーニくん。」

工藤の召喚獣が康太の召喚獣を両断しそうになった。だけども

「……加速」

「えっ」

康太の召喚獣は射程外に出ていた。

「俺が康太に勝てるのはあいつの調子が悪い時で俺の調子が良かった時だけだ。」

「……加速終了」

 

  Fクラス            Aクラス

 土屋 康太  【保健体育】   工藤 愛子

  572点     VS      446点

 

血が吹き出して倒れる工藤の召喚獣

この結果Fクラスの勝利が決まった。



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Aクラス戦2 そして戦後交渉

「Fクラスの勝利です。」

Fクラスから歓声が聞こえてくる。

「ナイス康太。」

「……当たり前。」

康太のすごいところは得意な教科の努力を怠らないところだ。一教科限りなら学年一位から落ちたことがなかった。

俺が康太から一位になれたのは康太の試験が振り分け試験だったからだろう。この学年は振り分け試験ではスポーツと医療系統が多く完全に俺の管轄だったからだろう。

「う、嘘だ。こんなクラスに僕たちが負けるはずが。」

「負け犬は黙っててくれないか。特に選ばれてもいないやつが言える口じゃないだろう。」

俺がニヤリと笑う。

「ほら、四戦目にいこうぜ。底辺とバカにしてたやつにはいい制裁になっただろうし。」

俺は笑う。

「では四戦目には移ります。」

高橋先生、この人だけは本当に読めない。自分のクラスが負けていても気にならないのか。それとも負けることがわかっていたのか。

「あ、は、はいっ。わたしですっ。」

こっちは当然姫路だな。

正直なところここまでは負けるつもりはなかった。ここかなり厳しいところなんだよなぁ。

「それなら僕が相手をしよう。」

やっぱり久保か。

姫路が欠席したおかげで学年次席。まぁ俺を含めても学年五位以内に入る強者だ。俺とは全く反対で文系科目に関しては霧島以上の成績を持っている。

「科目はどうしますか?」

「総合科目でお願いします。」

絶対に勝てる自信があるのか総合点数で挑むらしい。

……決まったな。

見ないでも試合は結果がわかった。

そして結果は予想どうりになった。

  Fクラス          Aクラス

 姫路 瑞希 【総合科目】  久保 利光

  4409点    VS     3397点

『マ、マジか!?」

『いつの間にこんな実力を!?』

『この点数霧島翔子に匹敵するぞ。」

当たり前だろう。もともと頭がいいので俺が少し教えるだけで理系科目がずば抜けて上がった。特に数学に関しては500点オーバーというかなり高い成績を残している。

「ぐっ……!姫路さん、どうやってそんなに強くなったんだ?」

久保が悔しそうにしている。

そりゃ少し前は同じくらいだったのがこんなに差をつけられたのだ。

「……私、このクラスの皆が好きなんです。人の為に一生懸命な皆のいる、Fクラスが。」

これ絶対に明久のことだな。

多分あの時から明久のことが好きなんだろう。

「姫路ちょっとこい。」

「なんですか?大沢くん。」

試獣戦争が終わった姫路がこっちにやってくる。

「お前が言ったことって明久のことか?」

「な、何を言ってるんですか。大沢くん。」

「顔を真っ赤にしながら否定しても嘘だってわかるぞ。」

「うぅ。」

「全くお前は本当に変わってないなミズ。」

「……えっ?」

姫路がこっちを見る。

「小学校同じだっただろ。」

「覚えてたんですか?」

「明久が唯一仲が良かったと言える女子だったからな。あの時はさっさとくっつけってずっと思ってた。」

「えっどういうことですか。」

「自分で考えろよバカ。」

すると姫路はすごく傷ついたように座り込む。

「まぁ一つだけ言っとくけど明久はたらしで鈍感だから競争率高いぞ。今一番距離が近いのは島田だから姫路にとったら不利だと思うけど。」

「分かってます。でも吉井くんのことが好きですから。」

いい目をしているな。多分これじゃあちゃんといい恋をするだろう。

「なら、言うことはないからいいぞ。こんどはがんばれよ。姫路。」

「はい。頑張りますね。楽くん。」

「大沢にしろ。あいつらにバレたら面倒だ。」

「わかりました。ありがとうございます。大沢くん。」

姫路は明久の所に向かってく。

たぶん雄二の試合を、見に行くのだろう。

「お主姫路と何話しておったのじゃ?」

「秀吉か。ただのコイバナだよ。」

「どうせお主のことなら姫路をからかっていただけだろうに。」

「そうともいう。」

おれは苦笑する。

「しかしお主は雄二が霧島に勝てると思ってはおらんじゃろう。」

「……どうしてだ?秀吉?」

俺なんかバレるようなことしたか?

「お主は明久が勝つと確信してたからのう。雄二から四勝一敗ときいておったのじゃ。お主がこういった場面で予想を外すとは思えんくてのう。」

「正解だよ。霧島に雄二は負けるさ。」

「ふむ。なぜじゃ。霧島の弱点をちゃんと見抜いたじゃろ。」

大化の改新を絶対に間違えることを雄二は知っているので小学生レベルの上限ありの社会で挑んだよな。

「じゃあ。秀吉お前は小学校のテストで100点取れるか?」

「どういうことじゃ?」

「まだ数学とかなら分かるけど文系科目だろ。いくら昔神童と言われた雄二でもなにも勉強せずに社会で100点とるなんて無理ってことだよ。ってか俺が今受けても公民でつまずくから100点は絶対に無理ってこと。」

そして一時間後

 

 Fクラス       Aクラス

 坂本 雄二 【社会】 霧島 翔子

  53点    VS   97点

 

「本当じゃったのう。」

「うん。知ってた。」

「以上で4対1でFクラスの勝利です。」

高橋先生の声に少しの間静寂になる。

まぁ最後の試合がかなり締まらなかったからなぁ。

「とりあえず。俺たちの勝ちだけど雄二何か言い訳はあるか?」

「……」

俺は少し笑ってしまう。

「どうせ小学生レベルのテストってだけあって油断してたんだろ。」

「言い訳はしない。」

だろうな。

「霧島に勝つんだったら。俺の理数系か康太の保体で勝負するべきだった。この二つに関しては確実に霧島に勝っているからな。」

「……あぁ。」

「お前の成績だけがすべてじゃない。確かにそうだろうよ。ただ成績があったほうが武器になる。だからないがしろにしていいことじゃない。だからといって成績が全てといってるAクラスのやつ。そう言う奴がいるからAクラスは負けたんだよ。」

全員が俺の方を見る。

「今日のMVPは明久だ。誰がなんと言おうともその事実は変わらない。」

「えっ?ぼく?」

「お前以外に誰がいるんだよ。初戦木下に教科選択権があったにもかかわらず勝った。しかも6倍もある相手にな。」

木下が悔しいのか唇を噛む。

「康太も得意科目なら一生懸命に勉強して俺の点数を抜いた。姫路はFクラスの奴らが好きって言う理由で点数を伸ばす為に俺と鉄人に勉強を教わりにいっていた。明久は自分の唯一の強みを生かして格上の相手を倒した。雄二も今日は締まらなかったけど指揮する能力、弱点を的確につくことに限ったら霧島より凄いぞ。」

「……結局何が言いたいんだい?」

久保が聞いてくる。

「簡単だよ。つまりどこかで負けない。Aクラスだからまけるはずがないって言う油断があったからお前らは負けた。雄二もな。どうせ姫路と俺だけ警戒しとけば勝てると思ってたんだろ。Aクラスの奴らは。そんな思考がある限り俺たちには勝てない。まぁ勝ったことで油断するバカがいたら話は別だけどな。」

するとFクラスの生徒数人が反応する。

「さて、戦評も終わったし、戦後対談といこうぜ。Aクラスさん。うちのクラスは4でそっちが1だな。明久、姫路、康太、俺か。んじゃ俺からまずFクラスとAクラスは行事、勉学の向上目指す為に協力しあうこと。まぁ授業や学校行事でAクラスの設備を共同で使わせてくれ。ついでに勉強を教えてくれってことだな。」

「大沢くん。それは」

「ついでに学園長の許可はとってあるから言い逃れはできないぞ。まぁ、Aクラスに勝つことが条件だから勝ったし問題ないだろう。」

「くっ。」

Aクラス(主に男子が)嫌な顔をしていた。

「次、明久。」

「えっと。負けたことを木下さんや久保くんたちのせいにしないでほしいなぁ。」

なんか明久らしいよなぁ。

「んじゃ二つ目はそれだな。次姫路。」

「はい。久保くん、霧島さん私に勉強を教えてくれませんか?」

これには全員言葉を失う。

こいつはまだ成績をのばそうとしてるのか。

「もちろん、大沢くんもですよ。」

「まぁいいけど。俺も文系科目は教わりたいしな。んじゃ康太。」

「……もう終わった。」

「ふーん。じゃあAクラス。」

「……私が決めていい?」

「うん。結局代表以外はFクラスの人に勝てなかったからいいよ。」

「そうね。代表が決めていいわよ。」

するといつの間にか康太がカメラを取り出していた。

 

「それじゃ、雄二私と付き合って?」

 

教室中がまたもや静寂に包まれる。

「やっぱりな。お前まだ諦めてなかったのか。」

「……わたしは諦めない。ずっと雄二のことが好き。」

「楽お前こうなることが分かってたのか?」

睨みつけてくる雄二。

「まぁ知ってたな。霧島から相談されてたし。ついでに拒否権はないので。」

「だから、今からデートに行く。」

「ぐぁっ、放せ!楽おぼえてやがれ。」

「嫌に決まってるだろ。」

霧島に引っ張られている雄二を見送る。

「さーてと明久。勝ったから飯でも食いに行こうぜ。奢ってやるから。」

「いいの!!」

「あぁせっかくだし豪勢に焼肉に行くか。」

「ちょっと待って、アキは今日ウチにクレープ奢ってくれる約束なのよ。」

「ちょっと美波それは今週末の予定じゃ。」

「違います。私と映画に行くんです。」

「ちょっと姫路さん。それは話すらあがってないよ。」

明久は取り込み中の用だから別のやつ誘おうかな。

「あの。大沢くん。」

工藤が話しかけてくる。

「うん?」

「このあと見たい映画あるんだけど一緒に行かない?」

「映画?別にいいけど。」

どのみち暇だし

「本当!!じゃあ行こう!!」

「ちょ、手を引っ張るな。自分で歩けるって」

すると明久も二人に連れられて商店街の映画館に向かうらしい。

なんかこれからも騒がしい日々が続きそうだと頭を抱えた。



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映画

工藤と一緒に歩くこと数分俺たちは映画館に着いた。

「なんか久しぶりだな。映画とか。」

「そうなの?」

「いつもDVDを買って見てるからな、映画は結構秀吉の影響で見るけど映画館まで行くことは少ない……」

俺は足を止めてしまう。

「どうしたの?」

「いや。あれ。」

俺が指差した先には鎖で繋がれた手錠に囚われている雄二とそれを管理している霧島がいた。

「あっ代表と坂本くんだよね。」

「あぁ。」

「なんで坂本くんは監禁されてるのかな。」

「俺が知りたいなそのことは。」

なんか試召戦争で雄二が決めたことだがかわいそうになってくるな。

「……そ、そういえば何見たいんだ?」

「え、えっとこれ。」

工藤が指差したのは恋愛映画で前作もある有名なものだった。

「なら金払ってくるからちょっと待ってろ。」

「えっいいよ。ボクから誘ったんだし。」

「さすがに女子に払わせるわけにはいかねーよ。一応仕送りには余裕あるからな。」

それに明久もここにいるだろうし恩を売っておいてもよさそうだし、霧島達と話してきても面白そうだな。

「じゃあボクも行こうかな。することもないから。」

「まぁ、それくらいならいいけど。」

俺はチケット売り場に行くとやっぱり明久達がいた。

「よう。明久。」

「あれ、楽と、工藤さんなんでここにいるの?」

「お前ここにきて映画見にきたっていわなかったらなんていうんだよ。」

ため息をつく。

「じゃあ、大沢くんは工藤さんとデートなんですか?」

「……え?」

「うん。そうだよ!!」

工藤が代わりに答える。多分同級生がいるから学校モードになってるな。

てかそうだよな。よく考えたら二人きりなんだからデートと言ってもいいんだよなぁ。

……エスコートできるかなぁ

「いいなぁ。楽。工藤さんとデートなんて。」

「お前は…」

後ろで姫路と島田からすごくさっきが出ている。

「とりあえず、世界の中心で初恋を2のチケットを二枚ください。ついでにお前ら何見るんだよ。試召戦争で役に立ったから奢ってやるよ。」

「えっいいの?」

「えっ。いいんですか?」

「べつに。金には困ってないしな。」

「じゃあ、同じ映画でいいですよ。」

「んじゃ5枚」

俺は5000円を財布から出し払う。

「んじゃ、工藤行くぞ。飲み物なんかはさすがに払わないからな。」

「うん。ありがとう楽。」

「んで工藤は何かいるか?」

「それくらいボクに奢らせてくれないかな。ボクから誘ったんだし。」

気つかわせちゃったかな。それなら甘えとこうかな。

「なら、コーラLサイズとポップコーンSサイズ。」

「うん。じゃあちょっと待ってて。」

「サンキュー。」

俺は座ってると

「……あれ?大沢?」

霧島が気絶した雄二を引きずってきた。

「……」

後から雄二に何か奢ってやるか。

「そういえば愛子は?」

「買い出し。ってなんで工藤ときたって分かったんだ?」

「大沢が愛子以外の誰かと出かけるなんてありえないから。」

「どういうことだよ。」

「……愛子と付き合ってるんじゃないの?」

……はい?

「誰が言ってた?」

「ううん。そう見えたから。」

「付き合ってないぞ。最近よく言われるけどな。」

「そうなの?」

「あぁ。」

すると首を傾げて

「……そう。」

「あれ?代表どうしたの?」

買い出しから戻ってきた工藤が戻ってくる。

「大沢が見えたから挨拶してた。」

「そうなんだ。」

「もう私たち映画の時間だから。」

「そういや、霧島たちは何みるんだ?」

「…地獄の黙示録完全版。」

それ三時間あるやつでしかもデートに見る映画じゃないな。

気絶している雄二がかなりかわいそうに思えた。

 

「けっこう面白かったな。」

映画を見終わってオレと工藤、そしてなぜか明久たちがいた。

「そうですね。大沢くんは映画はよく見るんですか?」

「秀吉の影響でな。演劇や映画のビデオをよく貸してくれるんだよ。でも明久お前たぶん寝てたんじゃないか?お前こういった恋愛物よりアクションとかホラーとかの方が好きだろう。」

「うん。正直眠かったけど美波に寝そうな時に関節技かけられて起きた。」

なるほど一回後ろから叫び声が聞こえたのはそのせいだったのか。

「そういや、工藤どうする。このあと時間あるようだったらどっか飯でも食いに行くか。」

「うんいいよっ。」

「ちょっと楽焼き肉は?」

明久が裏切られたって顔してるけど。

「お前今日島田にクレープ奢るんだろ、その分週末があくだろうから雄二や康太たち呼んで派手にしようぜ。」

「ちょっと大沢。」

「お前らこいつの飯を塩水と砂糖水から公園の水道水にさせるつもりか。流石にこいつ死ぬぞ。」

「アハハ。面白い冗談だね。」

あっそうか。工藤は知らなかったんだっけ。

「工藤、こいつの仕送りを自分の趣味に使いすぎて食生活がちょっとおかしいんだよ。今はほとんどオレがおごらない限り塩水と砂糖水だけ生活している。まぁこれでもマシなほうだけど。今月はガスも水も止まってないし。」

「「「止まっていることがあるの(んですか?)」」」

「うん。先月はガスが止まってた。」

平気そうにいうけどこいつどういう生活しているんだよ。

「ってことだ。今週末焼き肉するときはお前らも呼ぶから。付け合わせは明久が作れるし。」

「えっ?明久くん料理できるんですか?」

姫路が驚いたようにしている。

「こいつめちゃくちゃうまいぞ。こいつの母さんと姉さんは料理下手だったから。」

「へぇー。アキが料理ね。」

「オレもけっこうお世話になってるしな。味は確かだぞ。雄二や康太も料理できたはずだからな。」

「康太って土屋くんのこと?」

「そうだけど?」

「それボクも出たいかな。保健体育の借りもあるし。」

工藤がかなりいい目をしているし康太のいいライバルになりそうだな。

「別にいいぞ。面白そうだし。」

「でも坂本くん生きてたらいいよね。」

「……そうだな。」

「うん、そうだね。」

オレと明久は工藤の冗談に肯定することはできなかった。



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ラブレター

何も変哲のない水曜日。

「んでここのXをここに置いて。」

「あっ、なるほど。」

「秀吉ここ違う。この式は、」

俺はAクラスの女子と秀吉に数学をおしえていた。

「でも本当にあなた数学できたのね。」

木下が数学を教わりながら言う。

「理系はあまり覚えることないからな。実験とかも楽しいし。」

楽しめたり視覚や体で覚えるのが得意だからな。

「でもまさかまだまともな男子が木下君と大沢君だけとはね。」

女子生徒はため息をつく。今Aクラスの豪華な教室には俺と秀吉以外の男子はいない。

「まぁ霧島、久保がいなくなるとはのう。」

「姫路さんもいなくなったのは意外だったけど……」

ついでに姫路、島田、霧島も教室にはいなかった。

「まぁ霧島はとにかくそのほかは絶対に今日の雄二の発言が問題だろ。Aクラスの男子も付き合いたくないランキングの上位になっているやつも結構多いし。」

正直ガリ勉ばっかりだもんな。

なんでこうなったのかは今日のHRの時間に戻る。

 

「今日からAクラスの設備を使ってAクラスと一緒に授業を受けてもらうが俺たちは補習を数日放課後と土日に受けることが条件になってる。」

俺が今教卓に立ちAクラス戦のメインだったクラス設備の共有化について話していた。

「んで補習回避したのは俺、姫路、雄二。以上3人。それ以外は補習を受けてもらう。また授業の妨害、勉学の低下がみた生徒は俺が判断してAクラスの教室が使えなくなる。また担任も福原先生から高橋先生になった。以後HRはなぜか俺がやることになった。まぁ後はFクラスでも授業が受けられるとか色々あるけどどうでもいいか。」

昨日とおとといのテストで何故か雄二の点数が異常に上がっていた。まぁ霧島にいつかリベンジするためだろう。

「まぁいくつか言いたいことがあるが一つだけ。Aクラス戦は…

 

 

俺たちFクラスの勝ちだ。

「「「「っしゃぁぁぁぁぁーーーーっっ!」」」」

Fクラス中が歓声に包まれる。

「ついにこの教室とはおさらばだな。」

「俺たちがシステムデスクが使えるなんて坂本と大沢様様だな。」

と俺が言うと騒ぎ出すFクラスのメンバー。しかし雄二だけなにか考えるような顔をしていた。

「はい。一応だけど出席とるぞ。井上」

と大きな声でいうけどあまり届かないまぁさっき全員いるのは確認しているので続ける。

「雄二。」

「…………明久がラブレターを貰ったようだ。」

「「「「殺せぇぇっ」」」」

あんなにざわめいていたのにだれも雄二の言葉を聞き逃さなかった。

「どういうことだ!?吉井がそんな物貰うなんて!」

「それなら俺達だって貰ってもおかしくないはずだ!自分の席の近くを探してみろ!」

「ダメだ!腐りかけのパンと食べかけのパンしか出てこない!」

「もっとよく探せ!」

「……出てきたっ!未開封のパンだ!」

「お前は何を探しているんだ!?」

「てかそんなもんなんであるんだ?」

おれがため息をつく。

「ほら静かに。明久を処刑にするのは後からにしろ。でもAクラスで授業受けるんだったら処刑できないけど。」

「「「Fクラスで受けるから大丈夫だ。」」」

「あっそ。ならホームルームを終わる。心変わりした奴がいたならい一時間目終了前まで待つぞ。」

俺は教室を出ようとすると、

「ちょっと楽助けてよ。」

「前に俺が追われてる時助けなかったからな。一回俺の苦労味わえよ。」

「……ごめん。」

まぁさすがにかわいそうだし明久はAクラスで受けさせてやるか。

「楽お主はどこに行くのじゃ?」

「Aクラスだよ。さすがに誰も行かないってわけにはいかないだろ。」

「あれ?大沢は明久に制裁を与えないの?」

島田が首を傾げる。

「別に明久がモテようが彼女作ろうが幼馴染だぞ。あいつ。それに喧嘩は好きじゃないしな。俺はAクラスで授業受けてくる。」

「じゃあわしも一緒に行こうかのう。」

秀吉も当然のごとく不参加。

「姫路はどうするんだ?俺たちと一緒にAクラスにいくか?」

「いえ、私も明久君から話を聞かないといけないといけないので。」

姫路もFクラス色に染まってきたな。

 

「んじゃ失礼するぞ。」

「楽よ。今日からわしらの教室になるのじゃ。その挨拶いらないとおもうのじゃが。」

Aクラスの教室に入ると

「あっ。大沢君。」

「よう。工藤。」

工藤が俺の方に来る。

「今日の予定はどうなっているんだ?」

「班を決めてから席を決めることらしいわよ。後は自習ね。今日はDクラスとEクラスの試召戦争があるらしいから。」

木下が説明してくれる。

「へぇ。DクラスがEクラスにか。まぁCクラスの設備手に入れたから三カ月の休戦が目当てかな?」

「えぇその通りよ。」

まぁ今のDクラスは普通に強いからな。よほどのことがない限り負けないだろ。

「そうだ。たぶん今日はこのメンバーが多分全員。よって席は俺がFクラス全員の分決めるんで。」

「「「はい?」」」

「あー。じつはな。」

俺が説明すると

「そ、それは吉井くんがかわいそうね。」

「ラブレターもらったからひどい目にあうってどういうことだよ。まったく。」

女子からはかわいそうだと言われていた。そうたぶんこれが普通だろう。

「大沢、吉井がラブレターもらったって本当か?」

「あぁ。そうだけど。」

「う、うそだろ。Aクラスの俺はモテなくてあのバカがもてるって。」

……えっ?

「そ、そうだ嘘だ、嘘に決まってる。」

「お主らは何を言っておるのじゃ?」

秀吉が正論を言っている。

教室内が悲鳴をあげている。久保に至っては膝まで震えている。

「ちょっと落ち着けよ。」

「「「うるさい。リア充は黙ってろ。」」」

あっ。そういえばこのクラスの男子ってFクラスと似てるな。ってことは

「「「吉井を殺せ!!」」」

と言いながら久保以外の教室を出て言った。

「……頭がいたい。」

「ちょっと僕が止めてくるよ。」

久保はなんとか立場と言うものが勝ったのであろう。それなら大丈夫か。

「あぁ頼んだ。」

「なら言ってくるよ。」

すると久保も教室から出て行った。その後久保もまだ戻ってきていない。

「あれ?霧島は?」

「待ってたのに坂本くん来ないから迎えに行くって。」

「まともな奴はいないのか。」

俺はため息をつくしかなかった。

 

「とりあえずこれでいいか?」

「うん。ありがとう。」

「でも本当にわかりやすいわねあなたの数学。」

木下が驚いたように俺を見る。

「得意科目だしな。その分古典がひどい。100点はこえるのが精一杯だ。」

「わしの最高点より高いのじゃが。」

「あんたはひどすぎるのよ。大沢くんのところは捨てるんじゃなくて古典で戦った方がよかったわね。吉井君があんなに強いとは思わなかったわ。」

「……明久はやるときはやる。」

「しれっと参加してるけど康太いつのまにきたんだ?」

「ついさっき。俺も勉強しにきた。」

時間を見るとまだ一時間目が終わっていなかった。

「まぁ、いいか。後久保は?」

「……隙を見て奪おうとしていた。」

「了解。はぁ明久は悪くないからこっちにくるよう鉄人に言ってあるから別にいいとして。」

「鉄人?鉄人がどうしたのじゃ?」

あっ伝えてなかったな。

「もしあのままFクラスで授業を受けたいといっていたらよく考えてみろ。ここと授業一緒にやるって言うのにFクラスは誰が授業するんだ?」

「……なるほど。」

「あーそういうこと?」

「この学校でAクラスの授業に関係しない先生は高橋先生と鉄人だけだ。だから今日の残りの授業はあいつらは鉄人の特別補習だ。」

その後明久がボロボロでやってきた後はAクラスとFクラスのバカどもは鉄人の補習授業を受けていたらしいがどうでもいいか。



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清涼祭編
約束


「んじゃ。このメイド、執事喫茶でいいのか?」

「……問題ない。」

「はい。大丈夫です。」

姫路達が頷く。

今なぜかオレと木下が清涼祭の準備に当たっていた。ついでにオレと秀吉以外の男子はグラウンドで野球をやっている。

「でも、執事とか誰がやるんだ?このクラスに執事とか似合いそうな奴いるか?メイドだったら工藤とか姫路とか出ればいいけど。」

「大沢君がやればいいんじゃない?似合うと思うよ。」

工藤からの提案が上がるけど

「悪い。オレその日用事あって基本は手伝えないんだよ。それにオレが着たって似合わないだろう。」

「じゃあ吉井君はどうでしょうか?」

「あいつはキッチンに回らせる。あいつは料理うまいしな。正直料理の上手さなら雄二にもやってほしいんだけど。前回の反省としてホールに回ってもらう。」

あのラブレター事件後雄二達はFクラスで鉄人の授業があったらしくかなりボロボロで帰ってきた。

「じゃあ、久保君は?打倒でしょう?」

「あぁ、あいつも強制的にやらせるから。後は……島田お前だけキッチンとメイド両立させてもらうぞ。」

「ごめん。大沢。ウチは召喚大会に出るからちょっと困るかな?」

「……お前らもかよ。了解。木下お前がメイド班仕切ってくれ。」

「ごめん。わたしも代表と一緒に召喚大会に出るから。都合が悪いわね。」

「……はぁ。ならどうしようかな?……よし秀吉お前がメイド班仕切れ。お前なら演劇で何回かメイドやっていただろう。」

「うむ。分かったのじゃ。」

「ついでに久保は執事班のリーダー頼んでいいか?」

「別に構わないよ。」

「んじゃ後は随時連絡する。以上解散。」

オレが言うとため息や安息の声が聞こえる。

「なんでオレが雄二の代わりにやらないといけないんだよ。」

「アキ達は今ごろ鉄人に追いかけられているわよ。」

「マジでうらやましいわ。オレだって野球したいのに。」

「…そこ?」

まぁ今ごろ明久は鉄人、雄二は霧島においかけられているだろうしいいか。

「そういや工藤、お前清涼祭の日空いてるか?」

「うん。空いてるけど?」

「なら、召喚大会一緒に出てくれないか?オレも出たいんだけどペアがいないんだよ。」

するとザワザワと騒ぎ始める。

「ちょっと大沢、あんたは誰と行くのよ?」

「大沢君、誰と行くんですか?」

「はっ?どういうことだ?」

オレは首を傾げる。

「オレが欲しいのは白金の腕輪だから他の商品見てないんだけど、何かもらえるのか?」

「白金の指輪?」

「あぁ、ちょっとあることで教師を殴ってしまって召喚獣システムの実験台になっていたんだけど、そのときは不具合があったらしいけどすごい効果でさぁ。」

「ちょっと待って、今教師を殴ったって言わなかった?」

「言ったぞ。だけど理由を話したらその教師が解雇されたらしいけど。」

「……あなたいったい何があったの?」

えっと、まぁ簡単にまとめるか

「振り分け試験で体調不良で気絶した姫路の途中退席を認めなかった教師をぶん殴って姫路を明久と一緒に保健室に運んだ。」

「あの?もしかして大沢君がFクラスに入るきっかけって」

遠慮がちに姫路がオレにいうけど

「いや、もともとテスト中寝てたから関係ないぞ。」

「それはそれで問題あると思うけどな。」

てか話それすぎだろ。

「んで何をもらえるんだよ。」

「如月グランドパークって知っている?」

「確か…来月オープンする遊園地だろ?」

明久から聞いたからよく覚えている。

「そこのプレオープンプレミアムペアチケットがもらえるんだよ。」

「ふーん。あーなるほど。そういうことか。」

霧島は雄二とあの二人はどちらかが明久と行く予定だろう。

ってことは

「オレはどうでもいいな。ただ試召戦争をたのしめればいいだけだし。」

「じゃあ、ボクが参加したらそのチケットもらってもいいの?」

工藤が食いついた。

「別にいいけど。」

「じゃあ、ボクでよければ参加してもいいよ。だけど勝っても負けても如月グランドパークに連れてってよ。」

「まぁ、別にいいけど。オレはプレチケット簡単に手に入るしな。」

「ならいいよ。」

「交渉成立だな。ついでにやるからにはやれるだけやるぞ。」

「大沢と愛子のペアはきついわね。」

「…苦労しそうね。」

「まぁ文系で霧島と木下に当たったらほぼ負け確だけどな。島田が文系」

オレは頭をかく

「そういえば、坂本君たち遅いね。」

Fクラスメンバーが帰ってきているのにまだ戻っていなかった。

「そういえばそうだな。」

「どうせ、霧島に捕まっているか鉄人に捕まっているかのどちらかだろ。工藤受付してこようぜ。秀吉、木下、Fクラスメンバーに説明頼むな。」

オレは教室から素早く抜け出した。

後ろから怒った二人の声が聞こえたが気のせいだろう。



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文化祭の死作品

「あれ、楽も召喚大会出るんだね。」

「それはこっちのセリフだよ。」

俺と明久が話す。ブロックは違うが明久と雄二が召喚大会にエントリーされていた。

「しかも急に雄二がやる気になってるしお前何したんだよ。」

雄二が一気にやる気を出したせいで装飾、そしてメイド服(康太が制作)が本格的に集まった。

「べ、別に何もないよ。」

「絶対何か隠してると思うが……まぁいい。会うとしたら決勝か教科は日本史か。まぁ雄二の点数次第かな。そっちはかなりの激戦区らしいし。」

一回戦目は数学、二回戦目は英語W、三回戦目は現社、四回戦は古典、準決勝が保健体育、決勝が日本史となっていた。俺たちのブロックは正直一回戦目と二回戦目は2−A、3−Aの人とあたり三、四回戦は二、三年生のD〜Bが当たる予定だ。準決勝は3-Aの二人が上がってくると思うが教科が保健体育だ。油断さえしなければ勝てるだろう。得意科目でAクラスを相手にできることがよかった。

対して明久たちは一戦目からBクラス、その後は根本、小山コンビ、その後も姫路、島田コンビ、霧島、木下コンビとなる。

「でも雄二だったらなんとかできると思うよ。」

「ならいいけど。」

俺はため息をつく。確かに雄二だったらなんとかなる可能性はあるな。

「おーい。大沢くんと吉井くん早く更衣室から出てきてよ。みんな待ってるよ。」

……はぁ

俺と明久は軽くため息をつく。

しょうがないので俺と明久は更衣室から出て行きAクラス教室に行く。

するといつものメンバーが勢揃いしていた。そして女子たちが歓声をあげる。

「似合ってるわよ。アキ。」

「吉井くん、大沢くんカッコイイよ。」

「本当にどうしてこうなった。」

「ほんとにね。」

俺と明久は今執事服をきている。文化祭の出店に久保から人数が足りないと言われ雄二がなら俺と明久に執事服をきて接客することになったのだ。今はA組の工藤と木下、Fクラスの秀吉と島田が教室に残っていた。

「全くこんなもん俺なんかが着たって人増えないだろうに。」

「そんなことないとは思うわよ。」

オレがいうと木下が否定してくる。

「あんた、知らないと思うけど顔だけだったら女子から人気あるのよ。」

「その性格が最悪だったら意味ないだろう。木下。」

「……あんた自覚あるんだったら治しなさいよ。」

呆れたようにいう木下。

「治す気はあると思うか?」

「ないわね。」

「そのとうり。ところでそこにあるシフォンケーキとクッキー食べていいのか?」

目の前には美味しそうなシフォンケーキとクッキー、紅茶が置かれてあった。

「別にいいわよ。味見用だし。」

「なら一つ。」

俺はクッキーを一口食べる。するとなんということでしょう。

表面はゴリゴリでありながら中身はパサパサして口の中の水分がなくなり、甘すぎず辛すぎる味わい。

「……これ誰が作った?」

「えっ?ムッツリーニくんと島田さんだけどって大沢くんどうしたの顔が真っ青になってるよ。」

「あ、それはさっき姫路が作ったものじゃな。」

原因が明らかだった。やばい。

「く、工藤み、水くれ。」

「えっ。は、はい。」

俺は工藤が持っていたポカリを取り出し思いっきり一気飲みする。しかし舌の痺れが全く取れないが

「これシャレになってねぇぞ。」

なんとか喋れるようになった。

「えっと。だ、大丈夫?」

「あぁ。なんとかな。」

「楽大丈夫。」

「あぁ。お前の姉さんのおかげで耐性はできてるから。」

俺は汗を拭う。

「工藤もサンキュー。あれないと結構やばかった。」

「そんな大げさな。」

「秀吉。この中で姫路が作ったものは?」

「えっと、後はうさぎの形のクッキーとシフォンケーキじゃが。」

俺はそれを一つとって

「明久、これ島田に食わせてこい。」

「えっ。うち?」

「まって。楽。美波が死んじゃうよ」

「ちょっと。あんたたち姫路さんがかわいそうじゃないの。」

木下がいうけど。

「じゃあ木下お前が食えよ。俺たちの辛さがわかるから。」

「えっ。別にいいわよ。」

するとうさぎ型のクッキーを取り出し口に運ぼうとしたところで

「うーっす。戻ってきたぞ。」

「おっ雄二シフォンケーキの死作品できてるぞ。」

「へぇーなんだうまそうじゃないかどれどれ。」

シフォンケーキを迷わずに口に入れる。

「お主鬼畜じゃのう。」

「嘘はいってないぞ。しは死亡のしだから。」

「雄二。キミは最高に輝いているよ。」

「?お前らが何をいってるのかわからんが……ふむふむ。表面はゴリゴリでありながら中身はパサパサして口の中の水分がなくなり、甘すぎず辛すぎる味わい。んゴパっ。」

あっなんかデジャブ。

雄二は床に倒れてガクガク震えている。

木下が顔を真っ青にしクッキーを置こうとしてる。

「木下。とりあえず死にかけの雄二をみて一言。」

「……大沢くんごめんなさい。」

木下が謝ってくる。ついでに絶対にキッチンに姫路はいれないということで意見は一致した。



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メイド服

「しかし、姫路の料理があんなに壊滅的とな。」

明久が雄二を三途の川から救いあげた後俺達はオレの昼食の菓子パンで口直しをしていた。

「て言うか木下お前だけなんで残っているんだよ。女子はみんなどっか行ったぞ。」

今残っているのは雄二と明久、秀吉に木下の5人だ。

「私は、キッチン担当なのよ。だから衣装は必要ないのよ。それに姫路さんをキッチンの中に入れないようにしないといけないでしょう。」

「あぁ、そうだな。」

あんなお菓子食ったら死者が何人出るかわからないしな。

「ところで楽。楽って姫路さんみたいなタイプ苦手じゃなかった?」

「そうなのか?」

雄二が意外そうに聞いてくる。失礼だな

「違うぞ。明久。オレは胸が大きい奴が大嫌いなんだよ。」

「お主、なんでそんな堂々と言えるのじゃ?」

秀吉が呆れたように言う。

「だって嘘つくの嫌いだし。」

「オイ。さっきオレに対して嘘ついてなかったか?」

「嘘はついてないぞ。騙しただけだ。」

「…何事もいいようじゃのう。」

嘘はつかなくても騙せる。これ豆知識。

「衣装ってことはメイド服ってことだよな。なるほどムッツリーニがいない理由が分かったよ。」

明久ため息一回つく。まぁ、写真を売るのは当たり前だろう。まぁ最近お得意様が増えたって言っていたからな。

「お待たせ!!」

すると工藤が走ってくる。白主体のフリフリのドレスがよく似合ってる。そして、いつもよりも雰囲気が違うって、なんというか凄くかわいい。

「……」

「おーい。楽?」

「あっ。悪い明久。聞いてなかった。」

「ん?楽どうした?お前が話聞いてなかったことって珍しいよな。」

「雄二、今の工藤さん、楽のストライクゾーンど真ん中だから。」

「そうなのか?」

「そうだけどさ。なんでオレの好きなタイプ知ってるんだよ。」

「だって、楽はスレンダーな女の子がスカートやフリフリのドレスを着ているのが好きって中学校の時言っていたよね。」

よく覚えているな。でもなんでその記憶を勉強に使わないんだろう。

「それなら島田さんとかも好きなの?けっこうタイプに入っているんじゃないの?」

「ただし、常識的でやさしい女の子に限るっていえばいいか?」

「楽よ。それじゃ島田が常識外れな暴力的な女の子と言ってないかのう?」

そう言ってるんだよ。

「でも今の愛子は大沢くんのストライクゾーンど真ん中らしいわよ。」

「……そういえば、これ本人いるんじゃ。」

「うん。全部聞いてたよ~」

後ろを見るとニヤニヤとしている工藤がいた。

「ふーん。大沢ってこういうのが好きなのね?」

「意外ですね。」

しかもFクラスの女子二人にも。

「まぁ好きだけどさぁ。」

「否定しないどころが楽だよね。あれ雄二は?」

「あそこ。」

オレが指さすと霧島に目潰しされている雄二の姿があった。

「さっき、姫路が現れた時に目潰しされてた。多分露出が多いように設計された服だろうしな。」

「うぅ。恥ずかしいです。」

「てか康太1人1人に別のメイド服作ったのか。しかもかなり似合っているし。」

霧島は上品な感じで、工藤のは可愛さ、島田は料理もしないといけないので家庭的な感じのメイド服だった。他の女子にも各自メイド服を取り入れている。

「とりあえず雄二と明久は一回戦行ってこい。もう始まるぞ。霧島も雄二をはなせ開店するぞ。」

午前中はオレと明久、雄二で店を回さないといけない。

時刻は9時になる。それが開店の時間だった。

「工藤、姫路、霧島は出てホールに回れ。木下姉弟と島田はキッチンの管理。絶対に奴だけは入れるなよ。」

「「「了解。(分かったわ)」」」

「じゃあ、オープンするか。」

オレはドアを開ける。やる気はいっぱいなんだけど。

「これより、メイド、執事カフェご主人様とお呼びをオープンします。」

この名前はどうにかならないかな?



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初戦

「もうそろそろ、初戦の時間だから抜けさせてもらおうぜ。」

「えっ?もうそんな時間だっけ?」

工藤が時計を見ると開店から30分が過ぎていた。

「雄二たちも勝ったって連絡きたし入れ替わるにはちょうどいいだろ。」

明久からメールがきて勝ったと書いてあった。

どうやら雄二の点数がかなり上がっていてBクラス上位並みにあったらしい。

本当はAクラス並みだと思うけどな。

元々神童と呼ばれていた

あれからの努力の山はオレが一番知っている。

特にその教科が数学だったらなおさらだ。

あいつ、数学はかなりとれてたからな。

オレは待合室につくと工藤に話しかける。

「……工藤、多分決勝に上がってくるのは雄二と明久だな。」

服を着替えてからオレは真面目な顔で言う。

「えっ?でも代表と優子たちや姫路さんと島田さんのペアは?」

「勝てない。Fクラスはこの学校の二学年の中で唯一の理系のクラス。特に古文ってことを姫路たちは知らなかった。」

正直雄二は悪知恵だけはずば抜けている。

「あいつら姫路たちのトーナメント表細工しやがったからな。」

「……えっ?」

「内緒だぞ。オレも姫路たちに時間確認したいふりしてトーナメント表みたら見事にごまかしてあった。まぁ、雄二たちが姫路に渡していたからな。いやー見事だった。んで準決勝は保体だから康太を多分だしてくるか木下を秀吉にすり替えるかのどちらかだろ。」

「……それ反則じゃないの?」

「……バレなきゃいいんだよ。あいつらもけっこう本気出してきたということだろ。」

オレはトーナメント表を見る。

オレは決勝戦を見る。

教科は日本史

……ここまで上がらないといけないのか。

正直オレも古典、現社は全然自信がない。

オレも得意科目で試合はしたことがあるが。苦手科目で戦ったことが全くないんだよな。

「……工藤、初戦は基本お前に任せる。多分オレは時々明久の雑用を手伝っていたから召喚獣の扱いは多分工藤よりも上手いはずだしな。」

一回戦は数学、もし工藤が戦死してもカバーはできるはずだ。

「さすがに高すぎたらオレが潰すけどな。」

「……君の腕輪、本当に強すぎるよね。」

「消費点数はエグいけどな。」

500点ってかなり厳しいぞ。

まぁ、500点消費しなくても1つだけ使える方法はあるけど。

まあ今回は使わないだろうけど。使う時があれば使うつもりだ。

「そういえば何点くらいか分かる?」

「初戦の3-Aと3-Bの奴は正直データが殆どないんだよな。三年は去年の殆ど試召戦争してないし。」

操作スキルはオレたちとあまりかわりはないが、でも格上だと思っていいだろう。

まぁ、数学じゃなかったらだけど。

でも1つ思っていたのは明らかに雄二たちに運が良すぎるよな。教科が当たる相手の弱点になっているし、決勝についてもオレはまだ文系の中で得意な科目だけど、工藤が一番苦手科目なんだよな。

……まさかな。

「大沢くん何怖い顔してるの?」

「……いや、ちょっと考え事。」

オレは切り替える。

「工藤、やっぱりすぐ終わらせる。腕輪は使わないけど。」

「急にどうしたの?」

「いや、ちょっと油断してたかなって。相手は一応A組だから、本気出していこうと思っただけ。」

さすがに相手を舐めすぎていた。理数系が600点越えだったら負ける可能性は充分ある。

そういえば相手の点数がわからない敵と戦うのも初めてか。

「……ちょっと気を引き締めるか。工藤もいるか?」

オレはため息をつき鞄からシュークリームを取りだし一口食べる。

「ボクはいいよ。」

ちょっと焦りからか油断をしてたようだ。口の中にカスタードクリームの甘さが広がる。

「甘いよな。」

自分自身に言ったのか、シュークリームの甘さなのかそれともその両方か。

オレは全く分からなかった。

さらに鞄からブラックコーヒーを出す。

甘さが一転苦味が口の中に残る。

「それじゃ、次の試合に移ります。」

「んじゃ行くか。」

「うん。」

オレたちが歩く。どうやら次の相手はもうスタンバってるようだった。

「えーそれでは、試験召喚大会一回戦を始めます。」

目の前にはギャルっぽい女の子とチャラ男みたいな金髪の髪の二人が出てくる。

「あんたらが工藤と大沢。」

「そうだけど。」

「へぇー。出来損ないのFクラスと優秀なAクラスのコンビって珍しいけど、思った通り男子の方はバカそうだな。」

「先輩の方がバカ面してますよ。軽薄そうで。女の敵みたいなキャラですね。」

「……」

今ピキって音が聞こえたような気がする。

しかもこの人けっこうな人と関係持っているから事実に近いんだよなぁ。けっこう悪評になってるし。

「……それに先輩、Fクラスは今回試召戦争に全勝中ですよ。最低片のクラスじゃなくて今は最強のクラスですよ。それに先輩、Fクラスを舐めると痛い目にあいますよ。」

「……大沢くんが言うと妙に説得力があるよね。」

工藤がぽつりと言うけど相手には聞こえないだろう。

「あの、もうそろそろ召喚してください。」

「はいはい。試獣召喚(サモン)

試獣召喚(サモン)

するとヤンキーみたいな召喚獣と鉈を持った女の召喚獣が出てくる。

 【数学】

 Aクラス剣下上 刀 & Bクラス馬路奈 いわ

   350点     &    218点

「思っていたより高いな。」

「アハハ。オレたちの実力に驚いたか。恥をかきたくなかったら降参していいんだぜ。」

「アホか。勝てる試合に降参するほどバカじゃねぇよ。」

「ボクたちも召喚しようか。」

「「試獣召喚(サモン)」」

すると斧と二丁拳銃を持ったいつも召喚獣が出てくる。

 【数学】

 Fクラス大沢 楽 & Aクラス工藤 愛子

   850点    &    325点

「「……えっ?」」

「んじゃ。オレは点数高い方潰すからもう一人の方よろしく。」

「うん。」

オレは驚いている男のすきだらけの召喚獣に貫通弾をセットし一撃で男の召喚獣を潰す。

そのすきに工藤が斧で対戦相手を真っ二つにする。

そしてあっけなく試合は終わった。



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一回戦後

「……つまらないな。」

「いや大沢くんが強すぎるんだよ。なに?850点って聞いたことないよ。」

「あ〜数学だけは高橋先生と鉄人レベルだからなぁ。」

「……あの二人もおかしいよ。」

「うん。高橋先生に限ったら俺数学でも勝てるか微妙なラインだぞ。あの人全教科点数いかれてるから。」

一回戦が終わったあと俺と工藤は看板を持って校舎の見回りをしていた

「でもさ、この模擬店の名前もおかしいと思うけどなぁ。なんで俺が報告した10分間でこんな名前になったんだよ。絶対に霧島の仕業だろ。」

「うん。よくわかったね?」

「こんなふざけた名前をつけるやつはFクラスでも明久くらいしかいないからな。バカと天才は紙一重と言うし。なんか俺には黙っているけど明久たちが企んでるし……なんかきな臭いんだよ。元々明久はともかく雄二はこんなことをするような奴じゃないし学園長も何か隠してやがる。……なんか裏で大掛かりな作業をしてる。嫌な予感がしてるんだよなぁ。」

「いや、そこまで予測してるんだったら気付こうよ。絶対なにかあるよね?」

だよな。正直面倒だしほっとこうと思ってたけど…

「はぁ。まぁ大体予想はつくけどな。どうせ。理事長がまたやらかしたんだろ。腕輪の調整。」

「……腕輪って白金の腕輪?」

「あぁ。性能は良いんだけど俺が動かしたとき最後の一回以外失敗してたからなぁ。多分俺が出るって聞いて俺とそのパートナーとだけが使えるようにしたんだろうけど……後は予備で使える人材が雄二と明久だったんだろ。」

ほぼ100%そうだと考えていた

「試験召喚獣の欠陥はかなり問題視されるし嫌な感じが結構してる。だから今回は俺と雄二が話し合って決めた。俺は工藤の警備って感じだ。」

「……いつのまにそうなったの?」

「昨日どういうことか話してきてな、決勝戦にあいつらか俺らが優勝すればいいだけだろ?って言ってきやがった。多分このままだったら正直なところ決勝戦俺たち負けるぞ。明久腕輪持ち以外になると最強の戦士だからな。それに雄二も最近じゃ成績が上がってる。もう文系になると俺も工藤も勝てないほどになってるし」

「へぇ〜そうなんだ?」

「あぁ努力したんだろうな。単純な動機だからこそあいつらは強くなる。好きや認めてほしい奴がいるからあいつらは強いんだ。いつか俺よりもすごい奴になる。……やっぱりあいつらはすげぇよ。」

明久は誰か知らないけど守りたい人がいるようだしそれだけの力はある。

「…なんか大沢くんたちって凄いね。」

「……そうか?」

「いつもはあんなふざけたことばっかりしてるのにAクラス相手に勝ったり色々してるよね?…間違えなく今の二年生はFクラスが最強のクラスだと思ってるんじゃないかなぁ?男子も認めたくはないと思うけど多分Fクラスの実力は認めていると思うけどなぁ。」

「……それなら布石は一つ積めたかな。」

「布石?」

「あぁ。ちゃんとした試召戦争をするような理由になるだろ?」

すると工藤の目が真剣になる。この感覚は本当凄いな。

「えっ?」

「……伊達に雄二に敗北積ませたわけじゃねーぞ。あいつに敗北を一度教えてやるのも手の内だ。それにAクラスも悔しいだろうし模擬戦くらいなら学園長も許してくれるだろう?……なにより俺らはちゃんとした試合で勝ったわけじゃないし、ちゃんとした試合をやりたいと言うのが本音だ。」

それまでにFクラスも何度か試召戦争してちゃんとした試合を申し込もうと案を繰り出してた。雄二の敗北と明久の成長、この二つは絶対に欠かせないものだった。

もう勝てる条件は揃ってる。

「それが俺がただ見てるだけだと思ったら大間違いだぞ。腕輪だってそのための布石だ。……まぁ、本当は雄二の応援が一番大きいんだよなぁ。あいつも霧島にはちゃんと自分から告白したいだろうし。」

「えっ?」

「お前さっきから驚きすぎ。あいつ嫌がってはいるけど、一度も拒絶はしたことないだろ?本当素直じゃないんだよなぁ。ちゃんと自分の中で理解はしてるんだろうけどさ。やっぱり過去が邪魔するのだろうなぁ。」

霧島から聞いたときは驚いたけど元々俺たちのクラスはお人好しの塊だ。

「本当にバカばっかり。少しくらい素直になればいいのになぁ。」

明久も雄二ももう少し素直になればいいのになぁ。

嫌われる役の立場にもなってほしいぞ。

「でもさ、それってお互いの得になるの?」

「元々学力向上のためにやってるんだ今度は一騎討ちじゃなくてちゃんと試召戦争したい奴もAクラスにもいるだろ。…だいたい男子だけど。それに木下と久保はもうやる気だぞ。俺に模擬戦でいいからやらせてほしいって言ってきてるし、それに工藤だってもう一度康太とやり合いたいだろ?」

「それよりはボクは君と戦いたいな。保健体育に私保険体育でも君には負けてるから。」

「俺の腕輪の能力で一撃だけどな。」

「……その腕輪強すぎない?」

「強くはないだろ。この腕輪使うタイミングなんかほとんどないぞ得に一対一の試合だったら基本は使わないぞ。一対多だったら分かるけど。」

「でも、それ総合科目だったらかなり強いよね?確か3000点以上で腕輪使えるから。」

「まぁ最低な。でもさそこまでしても面白くないだろ?やっぱり掛け合いとかそう言うのも楽しみたいし。」

「……大体一撃でみんなを潰してる大沢くんがいうことじゃないよね?」

「でも試験召喚システムはやっぱりこの学校のいいところだし、せっかく入ったんだったらやっぱり楽しまなきゃ損だろ。」

やっぱり俺の召喚獣にも弱点はあるしな

耐久だったらやっぱり明久とか雄二の召喚獣はやっぱり凄い。

それに比べ遠距離型の俺の召喚獣はやっぱり接近戦には弱いのだ。

「やっぱり大沢くんは面白いなぁ。」

すると工藤が笑う。

「悪いかよ。」

「ううん。でも、」

少しだけ小さな声で

「ボクも頑張らないとね。」

何をとは聞かないでおくか。

「まぁ、頑張れ。」

「うん。そういえば大沢くんは明日シフト入っていなかったんだよね?」

「俺たちはほぼ決勝進出できると思われてるらしいからな。」

そのためか俺も工藤も二人とも明日はオフになっていた。

「じゃあボクと一緒に清涼祭回らないかな?」

「別にいいけど。てかそのつもりだったし。」

「えっ?」

「お前とシフト合わせてるからどうしようもないだろ?明久達と普通だったら回ってるのをあいつら明日も働き詰めなんだし。それだから工藤誘った方がいいだろ?」

付き合ってもらったのもあるしできれば、お礼もしたかったから丁度いい機会だ。

それにもうお前の気持ちに気付いてるしな。

「……それに俺もちょっと交友は広く浅くがモットーだからあんまり付き合ってくれるひとがいないんだよ。だからちょっと付き合ってくれると嬉しいんだけどダメか?」

「う、うん。勿論いいよ。」

顔を真っ赤にしてる工藤に笑ってしまう。こいつ恋愛ごとになるととことん弱いよな。

「一種のバカなんだろうな。俺も工藤も。」

「えっ?」

「だから驚きすぎだ。」

工藤は純粋な少女だと思う。今までずっと見てきたが積極的でいることによって本来の純粋な部分を隠そうとしてる。

いやそれも工藤愛子という女の子だろうか?保健体育の実技を得意にしてるんだろうか?

この少女のことをもっと知りたい。

なんだろう?

なんでこんなに工藤のことが気になるんだろう。

「……まぁいいか。工藤二回戦行くぞ。これ終わったらホールだからな。一応教科は英語Wで相手は平均250〜300点前後だから多分大丈夫だろう。お前も最近は成績上がっていってるからなんとかなるはずだ。」

「……うん。でも私結構厳しいかも。」

「フォローはするけど俺も500点台だしBクラスだけだからなんとかなるはずだ。前衛は任せた。」

「普通は男子が前衛をするところじゃないかなぁ。」

「うっせ。召喚獣が後衛型なんだから仕方ないだろ。」

軽口で言うけど忘れてないぞ。

あのときに言った近くにいれば守ってやるって言ったしな

俺は嘘は嫌いっても言っただろ

ちゃんと守ってやるからな



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葉月ちゃん

「……相手にもならなかったな。」

「あはは。」

結局二回戦は589点をとった俺の召喚獣に驚く二人に当てるだけの簡単なお仕事だったので余裕で二人の召喚獣を蹴散らしました

「……明久と戦いてぇ。あいつの召喚獣とガチの喧嘩をしたい。」

「……大沢くんって戦闘狂?」

「まぁ。自覚はあるけど……今の二年で手応えがあるのって今の所明久しかいないんだよなぁ。結構俺も明久と模擬戦してるのに全くっていっていいほど勝てないし」

「えっ?」

「あいつに腕輪なしで勝ったことなんか一度もねぇよ。だからあいつは凄いんだよなぁ。」

あいつがなんでそこまで強いのか知らないけど模擬戦してるが最近じゃ一度も当てられてない。

なんであんなに強いんだよ。

唯一の観察処分者だが俺や姫路よりも強いのは明久だ。

そしてそのことを一番理解してるのは俺と雄二。

ただ点数が高いやつよりかも重要な戦力だとわかっている

「でも吉井くんって点数は低いよね?」

「低くてもたった一つでも相手より優れていたら勝てるチャンスはあるさ。あいつはバカだけどいい方でのバカだ。何事も決めたら一直線で後先考えず自分がやりたいことをやる。まぁ、後始末をやるのが大変だけどな。」

あいつのいいところはバカなところだ。誰にだって理由があれば謝るし、間違いはちゃんと言ってくる。

だからこそ憧れるんだよ。あのバカは。

「……大沢くんが強い理由分かったかもしれない。」

「ん?」

「何でもないよ。それよりもクラスの手伝いに戻らなくてもいいの?」

「だって執事服とか着るの面倒くさいじゃん。それでいらっしゃいませお嬢様とかいうの真面目にやだ。」

「大沢くんって子供?」

「否定はしない。でもさ、好きな人なら別にいいけど、そういうのって嫌じゃないか?」

「うーん?そうかなぁ?でも好きな人ならいいんでしょ?」

「そりゃな。別にもっと恥ずかしい姿見られるし別にいいだろ?」

「もっと恥ずかしい姿?」

すると考え始めて少し経った後

「えっ?」

すぐに顔を真っ赤にさせた。こいつよくエロいキャラでいようと思ったな。

「な、なに言ってるの。」

「お前キャラ忘れんなよ。それただの恋する乙女みたいだぞ。」

「な?」

顔を真っ赤にしてるけど自爆してることは気づいてるんだろうか?

「うぅ。」

「……やっぱりお前面白いな。」

少し笑ってしまう。やっぱりこいつからかうの好きだわ。

そうしながら教室に向かっていると

「あっ!優しいお兄ちゃんだ。」

小さい女の子が抱きついてくる。

「ゴフっ」

「大沢くん?」

その女の子の頭が俺の溝に当たり腹部に激痛が走る。

「……さっきまでボクをからかった罰だよ。」

「工藤聞こえてるぞ。……俺を優しいお兄ちゃんって呼ぶのは、確か葉月ちゃんだったよな?元気だったか?」

「はい。」

「知り合い?」

工藤は知らなかったか。

「明久と葉月ちゃんの姉ちゃんのために人形を買ったことがあるんだよ。あいつその時に色々あって観察処分者の称号を手に入れたからよく覚えてる。」

「なんで吉井くんは人形を買っただけで観察処分者になったの?」

「後から話す。ここが分かったのは制服のせいか。」

「はい。でもバカなお兄ちゃんが見つからないんです。」

「あ〜明久は今頃大会行っているからなぁ。もうそろそろ戻ってくるだろうしもしよかったら一緒にくるか?カップケーキぐらいだったら奢ってやるぞ。」

「ほんとうですか!!」

笑顔になる葉月ちゃんに笑う

「あぁ。バカなお兄ちゃんも戻ってくるだろうし、別にいいぞ。」

「ありがとう。優しいお兄ちゃん。お兄ちゃんが作ったお人形と優しいお姉ちゃんがくれた人形と一緒に寝てます。」

「……へぇ〜大沢くんって裁縫できたんだ?」

工藤が興味ありげで見てくるけど。

「できねぇよ。」

「えっ?」

「できないから必死で本やインターネットで探しながら作ったんだよ。俺も仕送り前だったから半分しか出せなかったし、あまり時間がなかったからな。めちゃくちゃ下手なものを渡したんだよ。結局明久が金銭をもう半分出したから必要なかったけどな。」

あの時作った物は渡さないと思ったら最後に落としちゃったんだよなぁ。少し恥ずかしかったけど最終的にお礼を言われてしまったらさすがに照れくさかった。

「でも葉月は嬉しかったですよ。」

「……それだけで嬉しいよ。じゃあ、俺らも仕事しますか。そういえば優しいお姉ちゃんって誰だ?」

「えっと、胸が大きなお姉ちゃんでした。」

「……大体分かった。」

「わかったの?」

成る程あの時明久が姫路とあったのはこのせいか。

少し無言で歩く。すると途中まで歩いていたのですぐに教室につく

「戻ったぞ。」

「お、戻ったか遅かったな。」

雄二がもう戻ってきていて、こっちを見る。

「諸事情がある。後明久にぬいぐるみの子が来てるって伝えてくれ。ついでにカップケーキをこの女の子に作ってあげてくれ俺は着替えてくる。」

「ボクも着替えてくるね。」

「ちょっと待て楽どういうことだ?」

「知り合いだから多分通じるはずだ。あと忘れてるようだったら数発殴れば思い出すと思う。葉月ちゃん多分ここにバカなお兄ちゃんいるはずだから少し待っててね。」

「はい。優しいお兄ちゃん。」

「……んじゃ後たのんだ。」

俺が着替えに戻ると少しため息をつく。

仕事嫌だな

そんなことを思いながら着替え始めた



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久保

「あれ?雄二達は?」

俺が服を着て戻ってくるとさっきまで働いていた雄二や秀吉の姿がなかった。

「さっき、姫路さん達と一緒に敵情視察しに行ったよ。君がいない間にクレーマーがやってきてね。」

「……久保。本当か?」

「あぁ。坂本くんがめちゃくちゃな交渉術で追いはらったけど…どうやら他のクラスでもここのクレームをしてるらしい。」

するとやっぱり確信に変わる。

「久保それは何て言う先輩か分かるか?」

「えっと常村先輩と夏川先輩だったかな?」

ビンゴってことは

「…久保。少し頼みがあるんだがいいか?」

「なんだい?」

「俺と雄二、明久がいない間女子が攫われないように見ていてほしい。」

すると驚く久保

「どうして、そう言い切れるんだい?」

「どうやら理事長の方でトラブっているらしくそれに明久、雄二が関わっている可能性が高い。それが召喚大会の賞品がきっかけだと思う。だからもし俺と工藤か雄二と明久がいなくなった時ここで何か起こすことが多い。雄二と明久は多分負けないし俺らも後は二つ勝てばその二人と当たる。俺はパートナーを守るから他の女子をお前に任せたい。」

一番信頼できるのは久保だ。あの中だったらちょっとこいつだけ異質だし

「……でも僕だけじゃさすがに無理があると思うが。」

「万が一のために今鉄人に頼んでる。ちょっとさすがに清涼祭の途中だ。外部の人間が紛れ込む絶好の機会だしどうやら教師の中で派閥もできてるらしい。今は鉄人には姫路、島田姉妹、霧島、木下姉弟、を守ってもらうことになってる。関わりが多いのはその六人だからな。でも一応のためここで働いてる女子は守ってやってほしい。」

「……Fクラスの人材は使っていいかい?」

「もちろんだ。女子を攫おうとしているんなら多分協力してくれるはずだ。……報酬は明久の子供の頃の寝顔写真」

「やらせてもらおう。」

よし買収完了。これでなんとかなるはずだ。

「でも、先輩方がそんなことをするつもりかい?」

「いや、多分教頭派だと思う。さっき派閥争いがあるって言っただろ?それがババ…学園長側とたぬ…教頭側で分かれてるんだ。先輩方は多分教頭側に推薦か何かでつられていると予測できる。竹原教頭ってあまりいい噂聞かないし。裏のつながりを持っていてもおかしくない。」

「……そういえば君は情報通だったね。」

久保は少し考えてから

「それなら先輩が妨害してきていたのは吉井くん達の妨害と考えていいのかな?」

「十中八九そうだろう。それか俺らの妨害か。」

「……成る程。」

「それとこの件は霧島達には言わないでくれ。こんなことで手を抜かれたら明久達にも迷惑だろうしな。」

「……分かった。」

「頼むぞ。」

久保は頷く。

「それで、売上はどんな感じだ?」

「かなりいい。吉井くんと須川くん、土屋くんの考えたメニューは売れている。特に烏龍茶と胡麻団子は売り上げがすごいな。」

「なんでメイド喫茶に中国の飲茶と烏龍茶が出るんだろう。」

「気にしたら負けだと思うよ。」

久保もおかしいと思ってるのかため息をついている。

「でも、売り上げがいいんだったら打ち上げを豪勢に合同でやってもいいと思うし。」

「そこらへんは君に任せるよ。僕たちは詳しくないから。」

「了解。」

「あの二人ともそんなところで話してないで出てくれない?昼時だから忙しくて。」

佐藤の声が聞こえる。

「了解。すぐ出る。」

「あぁ。僕は休憩時間だから少し休むから大沢くんお願いしていいかな?」

「わかった。」

俺は現場にでる。

さて労働の時間だ。

 

「いらっしゃいませ。お嬢様。」

もう何人目だろうか。本当に人の足が止まらない。

「大沢くん凄い人気だよね。」

「工藤。お前もな。」

基本俺と工藤が今は接客の中心となっている。

「どうやら康太主催で人気投票もやってるらしいぞ。男性部門と女性部門で。売上に応じた投票らしいから余計に客足が伸びてきた。」

ああいうことに関しての康太は天才的だ。売上ついでにムッツリーニ商店の客を増やすんだろうな。

「妨害とかも多いのによく持ちこたえてるな。」

「うん。やっぱり施設と実際の味が伸びてる原因だと思うよ。」

なんでこういうときまともな回答を工藤はしてくるんだろうか?

まぁAクラスだからか

「どうやら営業停止の店が一つできたっていうのが一番の大きな原因じゃないかな。どうやら食中毒がでたらしいよ。」

するとメガネをかけた男子が戻ってくる。

「おっ?久保か。復帰してくれ俺たち三回戦近いから。」

「あぁ。そのためにきたんだけど多分二人とも三回戦は不戦勝だと思うよ。さっき言ってたように一年E組が食中毒事件を起こして営業停止になったらしい。」

「うげ。それを俺達のクラスに流れ込んだのか。」

「坂本くん達の対戦相手もどうやら巻き込まれてるらしい。後理事長先生から飲食店は管理を整えてほしいそうだ。」

「料理長の須川に連絡してくれ。そして木下に殺戮兵器を絶対にキッチンにいれるなとも。」

「……うん。まさか姫路さんがあんなに料理が下手だとは思ってなかったよ。木下さんから聞いたが坂本くんが倒れたんだろ?」

久保も殺戮兵器が姫路だと知らされているらしい。

「あぁ。俺もあんなに下手だとは思わなかった。俺が食った時かなりきつかったから。」

「あはは。さすがのボクもあの後に食べようとはおもわないかなぁ?」

工藤が引きつっている。

「……そういや久保はなんで俺の対戦相手について知ってるんだ?」

「さっき布施先生にあって伝えてくれって頼まれたんだよ。今休憩時間だから。

「まぁ俺Bブロックの初戦だからなぁ。開始時間が色々不安定なんだよなぁ。一応のため行くか。」

「うん。でも次古典だよ?大丈夫なの?」

「一応最近伸びてきて140点代だからCクラス並にあるから大丈夫だと思う。」

「それでも140点代なんだ。」

「……これでも学年平均は超えてるのになぁ。」

Aクラストップ10にとったらさすがに低いんだよなぁ

「……はぁ。一番苦手の教科もう少し点数伸ばそう。せめて200はほしいな。」

「勉強する気はあるんだ?」

「あるに決まってるだろ。元々教師になりたいし勉強するにきまってるだろ?」

「……」

二人とも驚いたような顔をしてる

「なんだよ?」

「いや、意外だな。先生になりたいって。」

結構久保って正直なんだな。

「悪いか?」

「いいや。おかしくないと思うよ。」

「うん。でも意外。」

「まぁ色々あったんだよ。少し霧島の過去とか聞くと少し考えさせられてな。」

「代表?」

俺は頷く。

「……また今度でもこの話はしてやる。隠せなんて誰にも言われてないしな。とりあえず俺は三回戦行ってくるよ。一応のためだけども。」

「うん。不戦敗になったら嫌だからボクも行こうかな。」

「……もしかして僕って信頼ないのか?」

何を今更

「お前明久のラブレターの件忘れてないだろうな?」

「……」

「今俺の中でのお前の信頼度って島田以上、Aクラス女子未満だぞ。」

「ねえ。案外Aクラス女子の信頼度高いよね。」

「あんだけまともな女子だったらさすがにな。男子はFFF団並だけど…。」

「そして島田さんの評価低くない?」

「だって暴力振る自体で俺的に少し。」

「「あぁ。」」

二人とも納得したようだ。

「…まぁ久保はそういうところはないから安心できるけど前のことがあったからなぁ。」

「なんだろう。一番異常だと思ってた大沢くんが一番の常識人なんだけど…」

「てか俺5バカって言われているけど基本俺何もしてないし。てかいつのまにか5バカ認定されるしバカって自覚はあるけど、さすがに常識くらいは分かるぞ。……少しこの学校にきて俺の中の常識が歪みかけてるとこはあるけど。」

なんでなんだろう。女子ってあんなに凶暴な生物だったか?

「……うん。ボクも自覚あるな。」

「だろ。」

工藤も頷く

「ってか行くぞ。この話も後からだ。」

「そうだね。せっかくの試召戦争なんだし楽しまなきゃね。」

「お前も大概戦闘狂だろ」

そんな感じで二回戦から三回戦開始までのんびりとしていた。



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過ち

「……本当に食中毒起こったんだな。」

「うん。かなり重大な問題だと思うんだけど…」

俺と工藤は話している。三回戦の相手は結局食中毒でリタイヤ。四回戦の相手も一人がリタイヤして何故か横溝と横田のペアと当てることになっていた。彼奴らも何故か上がってきてるんだよなぁ。

「最近FクラスはEクラス並に成績があるしトーナメント表に恵まれていたのもあると思うよ?」

「思考読むなよ。まぁ、それならいいんだけどなぁ。」

成績の向上はやっぱりこの学園にもいい印象を与えられるし何よりも観客にもいい印象を与えられる。

それにほぼ勝てるしな。

「召喚獣の扱いは慣れてると思うけど…成績は確か80点〜60点くらいだったはずだ。両方俺と同じ理系タイプだしな。」

「ついでに理系の成績聞いていい?」

「80〜100点だ。」

「うん。でも脅威なのは今までにCクラスとDクラスの人たちを倒してきたんだよね?」

「あぁ。どうやらかなり操作技術はうまい。やっぱり戦争に慣れてるだろうからな。特にDクラスは俺たち以上に戦争をしているのに勝ったというのが大きい。」

原因は多分リア充の殲滅というなの八つ当たりだろうがそれでも今までの中で一番の強敵になることは間違いはないだろう。

「それに俺の一番の苦手な科目っていうのが大きいな。ちょっと工藤頼りになりそうだけど、大丈夫か?」

「うん。任せて。」

……そういや苦手科目で戦うのは初めてになるんだよなぁ

「……はぁ、苦手科目で戦うのがこんなに不安だなんて思いもしなかった。」

「いつもだったら500点超えてるからね。」

苦笑する工藤にため息をつく。

それにもう一つ気になることがあるんだよなぁ

「……工藤走るぞ。」

小声で工藤に話す

「えっ?」

「つけられてる。多分二人だ。……倒すこともできるけどさすがに喧嘩はまずいし逃げるぞ。」

さっきから話してる背後にずっと視線がつきまとっていた。

……しかも凄く敵意を感じる

「あの角を曲がって階段を一気に降りるぞ。走れるか?」

「うん大丈夫。」

「んじゃ。行くぞ。西村先生に会うか教室までノーストップで走るぞ。」

俺は後ろを見ると見覚えのある二人組みがついてきている。

制服は近隣の高校のもので…

ってかナンパしてた男子高校生じゃねーか。

たしかヤスオとか言ってたか?

……足速くないこと願うぞ。

そして

曲がり角を曲がった瞬間俺と工藤は走り始めた

そして少し離れると

「おい。バレたぞ。」

「追いかけろ。」

「……なんでこんなことになるんだよ。」

「知らないよ。」

全力疾走で階段をおりその後玄関前を通る。

玄関前は人混みで溢れており見学者が大勢学校に上り込む

「……悪い工藤。」

俺は工藤の手を引く。

「えっ?」

「ちょっと失礼。」

人混みの少しの隙間を入り込み俺は混雑している所を潜り抜ける。

よく安売りセールにいくのでこれくらいなら楽勝だった。

そしてもう一度二階に上がり教室の中に入る。

「…おかえり楽ってどうしたのじゃ?なんで息を切らしておるのじゃ?」

とりあえず当分の間は息を切らしていたが

「…追われてるんだよ。どうやらどっかの他校の生徒が見張っててな。だから少し全速力で逃げてきたわけ。」

「なんじゃと?」

「……気をつけろ。結構慣れてやがる。」

息を整え

「工藤も大丈夫か?お前こういうの慣れ。」

と言いかけた途端俺は声を止めてしまう。

顔を真っ赤にあの時のようにしているけど、どこか前よりも魅力的にみえる。

あれ、こんなにもかわいかったかこいつ。

元々可愛いとは思ってたけどこんなにも可愛いとは思ってなかった。

顔が熱く工藤の方を見れない。

……

「……楽?」

すると明久が首を傾げてる

「えっ?あ、わり。聞いてなかった。」

「……お主顔赤いのじゃが大丈夫かのう?体調でも悪いのかのう。」

「……多分体調不良じゃないと思うぞ。」

どこからか現れた雄二がニヤニヤと笑ってる。

「ところで楽はいつまで工藤の手を握ってるんだ?」

「えっ?あ、悪い。」

俺が手を離す。

「あ、ううん大丈夫だよ。」

「……」

「……」

ヤバい気まずい。

「なんか初々しいのう。」

「そういや追われていたって言ってたけど大丈夫なの?」

明久の言葉に頷く

「あぁ。教室入ったから大丈夫だとは思うぞ。一応ここはお客がいるからさすがに手は出しづらいはず。」

一応お客がいる場だ。

それに何かあったら雄二に任せておけば大丈夫だろう。

「それで俺も出るけど何すればいい?」

「じゃあ接客頼む。あとすまん。」

「分かってる。後から詳細だけ聞かせろ。」

雄二の言葉にため息をつく

俺は接客に急いで戻る。

今工藤の近くにいたら心泊が早くなり胸が張り裂けそうになる

「……何なんだよ。これ。」

その一言は誰の耳にも聞こえなかった。

 

二時間後

「工藤行こうぜ。」

「あ、う、うん。」

「……お前いつものキャラもう見る影もねぇな。」

顔を真っ赤にして動揺している工藤に苦笑する。

「……うぅ。ボクこんなキャラじゃないのに。」

あのさ。俺は明久みたいに鈍感じゃないからさすがに気づくぞ。……少しは隠せ。

と言いたかったがこらえる。

こいつ本当に恋愛ごとになると弱いよな。

「……これじゃ予定を早めたほうがいいか。」

「……えっ?」

「何でもない。」

俺は少しため息をつく。そして歩き出すと今やってるAブロックの明久達を思い出す

「そういえば今雄二と明久ペアと島田と姫路達が戦ってるんだよなぁ……明久生きてたらいいなぁ。」

「島田さんと姫路さんってなんか絶対に吉井くんのこと好きなのに、なんであんなこと信じるんだろうね?」

「明久がロリコンなはずないだろうが。あいつどれだけ信用されてないんだろうなぁ。」

少し残念だと思う。

「でも吉井くんモテるよね。」

「まぁ、そこそこイケメンで明るく誰にも優しい明久がモテない理由がないだろ?バカだけど自分の信念は絶対に曲げないし、何事にも熱心だからな。」

あいつのいいところは沢山あるけど何よりもその姿勢だろう

「それに、料理などの家事はできるし思いやりだってできる。まぁすごく不器用だけどな。だから明久がモテても別に俺はおかしいとは思わないけどなぁ。」

「でも、前優子が坂本くんと一緒に女子更衣室で二人を見かけたって言ってたけど。」

「……あいつ何してるんだよ。」

頭が痛くなってくる。なんでそんな奴を褒めたんだ俺

「でもさ、大沢くんってそういうことはしないよね?」

「まぁな。まぁそういうことに興味がないわけじゃないけど、好きな奴以外の物見たってなぁ。」

あまり覗きとか興味がないのはそこだ。

好きな人なら興味はあるけどな。やっぱりなんか気が進まないんだよなぁ。

「もしかしてHな本も持ってないの?」

「持ってないなぁ。たまに康太と明久からもらうことはあるけど、あまり趣味が合わないんだよなぁ。あの二人巨乳派だし。」

エロ本は持ってないなぁ。基本PCか携帯に保存するくらいで

ってかバレるとすごく面倒くさいしな。

「……そういえば巨乳の人が嫌いって言ってたけど何かあったの?」

「あぁ。…ちょっと姫路並みの料理の下手な人の料理を毎日食べさせられると言う拷問を昔胸の大きな人にやらされてたから。」

「……よく生きてたね。」

「本当にな。」

もう本当に耐性ができるまで食べさせられたからな。

「でも、ボクはどうなの?吉井くんが言ってたよね。大沢くんのタイプなんでしょ」

「……黙秘する。」

「それもう肯定してることと変わりないと思うんだけど。」

「仕方ないだろう。工藤かわいいし、常識があるしタイプど真ん中なんだから。」

正直性格もすこし可愛いし何より暴力を振るわない。

料理だってできるしな。

「……えっと。大沢くん褒めすぎじゃないのかな?」

「……仕方ねぇだろ好きなんだし。」

「……えっ?」

「あっ!」

やばい思いっきり口を滑らせた。工藤も立ち止まり顔を赤くさせる。

「……」

「……」

互いに無言が続く。

「……えっと、それって」

工藤が顔を真っ赤にしている。

「こんなとこで言うつもりじゃなかったんだけどなあ……」

頭をかきため息をつく。仕方ないか

「俺は工藤のことが好きだ。俺と付き合ってくれ。」

シンプルで単純な告白。本とかじゃあ緊張で言いづらいと言ってたけど何故か言いやすかった。

なんでだろうか。

心拍数は過去にないくらい早いのに緊張だってしてるのに

でも自然と口に出た。

ムードも何もないからだろうか?

「えっと、とりあえず言いたいことは沢山あるけど……」

うん。分かってる。俺だってこんなところで告白することになるとは思わなかった。

こんなところで告白するってかなり恥ずかしいよな。

「……本当にボクでいいの?」

「……あぁ。」

「えっと。じゃあよろしくお願いします。」

「いいのか?」

「うん。ボクも大沢くんのことが好きだから。」

「……ならよかった。」

少しだけホッとする

「でも、あの告白はないと思うんだけど。」

「いうな。分かってるから。」

かなり視線が痛い

「はぁ。さすがに目立ちすぎたな。行くぞ。工藤。」

「うん。」

すると周りから囃し立てる声が聞こえてくる

「逃げるか。」

「うん。」

俺と工藤は走り出す。もう今日は散々な一日だと確信していた。



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四回戦

「……えっと。工藤?」

「何かな?」

「さっきから目の前に黒ずくめの男が斧を持ってるのってこれ現実だよな?」

すごくおかしいと思うんだけど

「あはは。」

「笑い事じゃねーよ。いや真面目に危ねぇって。」

さすがに殺意しかないだろ。あれ

「えっと、大沢くん。どう言うことですか?」

「俺が聞きたいんですがそれは。」

布施先生の言葉にため息をつく

「えっと、横田と横溝お前ら何をしてるんだ?」

「黙れ。異端者には聞く耳を持たぬわ。」

「異端者?」

意味不明な言葉に聞き返してしまう。

「あぁ。罪状。被告、大沢楽は我が文月学園の第二学年生徒であり。」

「御託はいいから結論だけ聞かせろ。」

「彼女がいて羨ましいであります。」

「何その理不尽。ってかもう広がってるのか!!」

「そりゃ、あんなところで告白したらFクラスの誰かが見ててもおかしくないと思うよ。」

「……もう、なんで口滑らしたんだろう。」

やっぱりちゃんとしたところで告白したかったなぁ。

「まぁ、切り替えるしかないけどさ。……とりあえず勝つしかないよなぁ。後衛でチビチビダメージ削っていくからお願いしていいか?」

「うん。ボクも余り文系は自信ないんだけどね。」

「しかもかなり強いんだよなぁ。こいつら試召戦争のとき前線で名のある奴打ち取ってるしかなり腕は立つし俺も点数低い方だからな。」

「協力して倒そうか。」

「あぁ。」

「それでは召喚してください。」

布施先生の言葉に頷く

「「「「試獣召喚」」」」

するともう見慣れた幾何学模様が出てきて四体の召喚獣が出てくる

 

2ーF   2ーA 【古典】  2ーF  2ーF

大沢楽  工藤愛子 VS  横溝浩二 横田慎二

149点 & 256点     68点   49点

 

横田お前点数鯖読んでたな。

俺の一番苦手科目で100点差って酷すぎるだろ

聞いていたところ60点は取れたと言っていたけどその10点も低いじゃねーか

「……作戦に死傷がでるからやめて欲しかったが仕方ないか。彼奴ら俺を罰することしか考えてないようだし。」

「あの勢いじゃ絶対に姫路さん達が吉井くんにやってることと同じようなことが起こるよね。」

「大沢殺す。大沢殺す。」

「工藤さんと別れろ。そしたら苦しめてから殺してやる。」

「……あんなことするからモテないんだと思うけどなぁ。」

「でも面白いよね。Fクラスの皆は。」

「それは同感だけどな。」

面白いからこそ苦労も多いけど。

「それじゃあ始めてください。」

「工藤、防御を固めてくれ俺は横田を潰す。」

「うん。わかった。」

すると工藤が召喚獣の点数の高さを使い攻撃を受け止める。俺は集中し横田の召喚獣の頭を狙い撃つ。

するといつもより少し遅いスピードで銃弾は飛んで行く。そして

「工藤」

すると横田の召喚獣は回避する隙を工藤は見逃さず武器を点数で押し切り横田の召喚獣に近づき斧を横田の召喚獣に振り下げた

「横田。」

「お前もとどめだ。」

俺は威力は低いが広範囲にひろがる散弾を打ち込む

横溝は回避するけど一対二ではさすがに部が悪い

回避した横溝を工藤が打ち取る

「ナイス工藤。」

「大沢くんもね。」

一度手を叩く。これで試合終了だ。

「そこまで、いいコンビネーションで相手を翻弄し敵を打ち取った大沢、工藤ペアの勝利です。」

すると歓声が湧くそういや三回戦から観客が入れるようになってたな。

そんなことを考えながら俺は一礼した。

 

「危ねぇ。」

急いで教室の中に入る。

「あっ!お帰りなさい。大沢くん。」

「どうしたのよ大沢。そんなに焦った様子で

姫路と島田が出迎えてくれる。

「もう。今日何回追いかけられたらいいの?」

「愛子おかえり。」

「あぁ。疲れた。」

「大沢くん悪いけど、シフト入ってもらっていいかい?味に定評がきたのかお客さんが増えてね。」

「マジか。」

久保の言葉にゲンナリしてしまう。

「そういえばどうしたんだい?誰かに追われてたみたいだけど。」

久保が聞いてくる

「あぁちょっとやらかしてな。FFF団に追われてた。」

「……もしかしてあの噂は本当なのかい?」

「噂って?」

「廊下の真ん中で告白した男子生徒がいるって噂なんだけど。」

……もうこんなところまで伝わっているのか。

「あぁ。俺だよ。」

「……」

「本当なんですか?」

「口を滑らしたんだよ。告白はするつもりだったんだけど……あんなところでする予定じゃなかったんだけどなぁ。」

深くため息をつく

「……えっと相手は工藤さんですか?」

「そうだけど……やっぱり分かりやすかったか?」

「うん。」

「工藤さんも大沢くんもお互いをよく見てたからね。気づいてない人はいないんじゃないのかな?」

「……そこまでか。」

「えぇ、ウチもアキも気づいてると思うわよ。」

「だよな。ってか明久達はどうした?」

「今木下さんが抜けているからキッチンで働いてると思うよ。」

「……なるほどな。ってか真面目に工藤大丈夫か?俺はもう慣れかけているけどお前はあのバカに追いかけられるの始めてだろう?」

「うん。ボクは大丈夫だけど……大沢くんこそ大丈夫?体力ないって吉井くんが言ってたけど……」

「大丈夫だよ。……ってか体力も平均男性レベルはちゃんとあるぞ。明久と雄二に比べたらないだけで。」

「あの二人なんで運動部にいないんだろう?」

本当体力の無駄使いなんだよなぁ

「……はぁとりあえず仕事しよ。どうせ対戦相手は決まってるだろうし。」

「えっ?そうなの?」

「対戦相手見てみろ。Dブロックに三年A組のコンビがいるだろ?どうやら理数系で腕輪持ちの実力者らしい。」

すると二人は驚く

「俺よりも理系は低いが文系が強いって感じだ。普通に強いだろうな。」

「……でも教科って。」

「保健体育。今回俺は510点だったし最悪腕輪使えばいいかな?」

「ちょっと待って。ボクより点数高いの?」

「お前何点だよ?」

「489点だよ。」

「うん。康太にも負けてるぞ。あいつ俺の一点上だし」

すると工藤は明らかに落ち込んでいる様子だった。

「そ、そんな。また負けるなんて。」

「……今度俺が得意なスポーツ教えようか?一応スポーツ医療とかそういうのに関しては俺は得意だし。」

「そういえば大沢ってなんで保健体育できるのよ?」

「昔野球やっててその時に健康管理や応急処置については一通りやったからな。性の問題は苦手だけど他に関しては康太以上にあるからなぁ。所謂タイプが違うんだよ」

元々スポーツをやっていたせいかそういう問題については得意だった。

「まぁ今でも草野球チームに入ってるし使うことが多いんだよ。やっぱり野球に怪我は付き物だし。」

「ということは普段使っている知識をそのまま書いてるだけってこと?」

「まぁ、少し勉強もするけど、基本はそうかな。」

「大沢くん話しているところ悪いんだけど。」

すると久保が呼びにくる

「悪い久保すぐ行く。ごめん。この話はまた後で。」

「うん。ボクもすぐ手伝うよ。」

「了解。とりあえず着替えるから3分間だけ待っててくれ。」

「あぁ。」

俺は急いで着替えに更衣室に向かった。



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トラブル

「明久と雄二、それと木下と霧島、もうそろそろ行かなくていいのか?」

「えっ?あ、もうこんな時間。それじゃ行ってくるね。」

「おう。いってら。」

明久を送りつけると俺は苦笑してしまう。

「須川調理班今何人いるか?」

「二人しかいないけど。」

「島田、キッチン入ってくれ姫路はホールでメイドリーダー。佐藤は客寄せに行っている松井と杉野にホール戻るようにしてくれ。」

「えぇ、でも客寄せがいなくなるわよ?」

「もう客寄せはいい。今日限りはもう客は何もしなくても回る。それよりも接客する人が欲しい。」

今の盛況ぶりを見ると今は客寄せよりも接客業に傾けたほうがいいだろう。

「分かったわ。瑞希にもそう伝えておけばいい?」

「佐藤にも伝えておいてくれ。」

とりあえず雄二が抜けたので責任者になったのだがやることは基本は同じ接客と店の管理くらいだし

……ふう。まぁ俺も30分後には試合なんだけどな。

「さてと俺たちも抜けるか。工藤もうそろそろ着替えて行くぞ。」

「うん。でもいいの?」

「大丈夫だろう。一応鉄人が見てくれるらしいし……これで引っかかってくれたらいいんだけどなぁ。」

「西村先生なら大丈夫じゃないかな?」

「だと思うんだけどな。」

なんか嫌な予感がするんだよなぁ

「まぁ、いい。それで常夏コンビなんだけど、あまり腕輪の効果を知られたくないだろ?ここまできたんだったらそのまま腕輪を使わないようにするほうがいいだろ。だからさっさとトドメを刺すぞ。グルネードを開始と同時にはなつから。」

「分かった。その漏らしたのに追撃加えればいいよね。」

「あぁ、威力的には200点くらい減らせるはずだ。」

「相変わらず凄い威力だね。」

「だから初っ端相手の」

とここで一旦口を占める

「どうしたの?」

「……盗聴の気配がする。壁越しに聞いてたな。」

「えっ?」

「多分お客さんに隠れていたんだろうな……厄介な真似しやがって。」

「……なんで気づくの?」

ありえないように見るけど

「康太で察してくれ。」

「ムッツリーニくん何してるの?」

「盗聴及び盗撮。さらに盗撮した写真でカメラを整えたりしてる。」

「……それ犯罪だよね?」

「バレなきゃ大丈夫だろうな。姫路の料理が許されている時点で。」

「……この学校大丈夫かな?面白いけど。」

「それは同感。」

苦笑してしまう。

でも少し気になることがあるんだけど…

「次の試合保健体育だったよな?」

「うん。そうだけど。」

それなら俺らに妨害してこないっていうのがおかしいよな?

保健体育はほとんど俺と工藤の領域だ

康太以外ならほとんど俺たちにかなう奴はいない

工藤は点数を一度さらしているし、二人掛かりなら工藤に勝てると思ってるだろうか?

ということはもしかして俺の点数が露見してないんじゃないのか?

そうすると点数が把握できる

300点以上だな。

「…工藤、やっぱり腕輪使うわ。一年のブランクの差って結構激しいし。」

「えっと。何で?」

「多分お前の保体の点数は知っていると思うんだよ。保体だったら学年3位だろ?」

「……」

凄く悔しそうだな。

「でも、相手も学年でトップ10に入るほどの秀才なんだ。理数系では主席の高城先輩についで2位と3位を張っている……もしかしたらの為に使っておいた方が確実に決勝に進めるだろ?」

「トップ10に入るってもしかして。」

「三年も同じように上位10人の点数がかなり高いらしい。これは二学年と同じだ。そのうちの二人と戦うわけだから…」

「そうだね。ここは切り札切った方がいいかも。」

「ここだな。使いどきは。」

「そうだね。とりあえず着替えてきていいかな?」

「おう。俺も着替えてくるから。集合場所どうする?」

「教室でいいんじゃないかな?」

「了解。じゃあまた後でな。」

「うん。」

すると女子更衣室の方に向かって行く工藤

それが失敗だったと分かるのが少し後のことだった。

 

着替え終わって工藤を待っていると

「お主どうしたのじゃ?」

秀吉と康太がやってくる。

「俺は工藤待ちだよ。雄二達の試合は終わったのか?って何で観戦に行っただけでそんなボロボロになるんだよ?」

「……雄二の作戦が失敗した。」

すると納得してしまう。

「なるほどそっち木下に化けるのが失敗したんだな。」

「……」

康太が一度頷く。

「でも、遅いな。工藤。もう10分待ってるのにこないんだよあいつ。」

「……?」

「そういえばもうそろそろ行かないとまずいと思うのじゃが。」

俺も頷く。もう試合15分前だから行かないといけないんだけど…

「……なんか嫌な予感がする。」

康太が少し嫌なことを言ってくる。

「……なぁ、雄二は?」

「霧島が薬を盛ったから明久が今吐かせておる。」

「霧島と木下は?」

「今は女子更衣室で着替えに」

「……」

俺たちはもう分かってしまった。

「康太場所を特定してくれ。俺の携帯を貸す。秀吉は鉄人に事情を話して女子更衣室の確認。俺は雄二と明久を連絡してくる。」

「「了解(分かったのじゃ)」」

「……ちっ!さっきのは盗聴じゃなく監視して攫うためかよ。」

俺は全力で走る。

やばいやられた。確かに女子更衣室は基本男子は入ってこれず人目もつきにくい。

攫うには絶好の場所じゃないか。

俺は会場近くのトイレ周辺を探すと

「明久、今日という今日はお前をコロス。」

「あはは。やだなぁ雄二。目が怖いよ。」

「おい。明久。雄二。」

俺は大声で叫ぶ。すると二人とも気づいたらしくこっちを見てくる

「どうしたの?楽そんなに慌てて。」

「工藤が行方不明なんだよ。もしかしたらやられたかもしれない。」

「……それ本当か?」

「女子更衣室で着替えてる最中にやられたかもしれない。」

「大沢。」

すると鉄人が走ってくる。

「どうでした?」

「ダメだ。先生方に頼んだが見つからない。」

「……やっぱり召喚大会で俺と雄二と明久達を優勝させないようにしてるな。」

「……霧島と木下も攫われている。」

「なっ?」

すると康太がやってくる。

「俺のカメラに映っていたのか?」

すると頷く。なるほどな

「攫われたのは霧島と木下、工藤の三人か。西村先生携帯電話の使用許可を。まぁもう使ってますけど」

「あぁ。許可する。」

俺の携帯は親の仕事の関係上学校内の様子を見渡すことができるようになっている。

「…康太居場所特定できるか?」

「……」

すると一度頷く。こういった時の康太はすごく頼りになる。そして数分後

「……分かった。」

「どこだ?」

「ここから近くのカラオケ。」

ってことは走ったら5分もかからないか

「……雄二、行くか。」

「あぁ。」

ぎらりと獲物を狩る狼みたいな目になっている。

「きっちり落とし前つけないとな。西村先生すみませんが俺たちは棄権ってことにしてください。」

「……分かった。」

すると今回の一件は見逃してくれるのか補講については何も言われない。

「んじゃ。さっさと片付けるぞ。」

「あぁ。絶対ゆるさねぇ。」

「僕も行くよ。秀吉のお姉さんも助けないとね。」

「……俺も行く。」

「わしもじゃ。姉上を助けなければならないからのう。」

雄二の掛け声に俺たちは頷く。

そして走り始めた。



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救出

『さてどうする?坂本と大沢と、…吉井だったか?そいつら、この人質を盾にして呼び出すか?』

『待て。吉井と大沢っていうのは知らないが坂本は下手に手を出すとマズい。坂本は今は聞かないが中学校時代相当ならしたらしい。』

『大沢っていうやつもマズい最近俺らがナンパしようとした時にスタンガンを持ってやがった。しかも相当使い慣れてるぞ。』

康太が持ってきた盗聴器からそんな声が聞こえてくる

「思いっきり殴りたいんだけどまだダメか?」

「まて、工藤のことが心配なのはわかるが落ち着け。楽。」

小声で話しかけると雄二に止められる。

「まずは人質の救出が先ってことはわかってるんだろ?」

「……」

分かっているけど

工藤が嫌な思いをしてると思うと嫌な気持ちになる

くそ。何もできないのが本当に腹ただしい

『あんた達何が目的なのよ。」

『俺たちは三人を動けなくすることを依頼されてるんだ。』

「雄二、この連中って」

「あぁ、黒幕に依頼されたチンピラだろうな。」

「多分俺を付けてきたのもこの内の一人だと思う。三回戦後に付けられてたし。」

「そういえば言っておったのう。」

てか俺以外冷静だな。落ち着いてるし

……はぁ。俺も一旦落ち着かないといけないか。

『あなた達一体何が目的なの?これ犯罪なの分かってるのかしら?』

「……木下分からないでやるわけないだろ。動揺してんのか?」

「そうじゃのう。姉上はこういった場面にあったことがないからのう。」

「まぁ、俺とは真逆の性格だからなこういった場面に慣れてないのも当たり前か。」

「そういや、俺とあったのも薄汚い路地裏だったな。……今思い返しても怖すぎるだろ。」

「いや、それよりこの学校の女子の方が怖いと思うんだが。」

「「「「同感」」」」

といつもの雰囲気が取り戻しつつある俺たち。

「……まぁ、せっかくだから俺らがつけた後始末しっかりけりつけるか。30秒後作戦を開始する。康太頼む。」

「……まかせろ。」

「雄二。今回の件は思いっきり暴れろ。情報は漏れないように何とかしてやるから半殺しまでは許可してやる。俺もそのつもりでやるから。でも情報収集するために一人は意識があるようにしとけよ。」

「あぁ。」

「お主ら……」

と秀吉は呆れているが止める様子はなさそうだ。

俺はハンドサインで康太と明久にサインを送る。

ここからは油断している隙を狙うのみなんだが

『……雄二、助けて。』

『大沢くん。』

今まで聞かなかったようにしてたトランシーバーから今にも泣き出しそうな声を聞いて何かがプツンと切れた。

「……楽、雄二。」

「悪い。明久。一つ貸しな。」

「同じく流石に限界だな。」

俺と雄二がドアを開く

「失礼すんぞ。」

殺意を込め俺は扉を開く

すると目の前に広がっているのは縛られた三人の姿とそして八人の他校の生徒。……制服から落水高校だな。

「……えっ?」

「お、大沢くん。」

「雄二。」

そんな声が聞こえているけどもう気にしない

「……なんだこいつら。」

と近づいてくる高校生の顔を掴み思いっきり力を入れる。ミキミキと音を立てながら浴びせ数秒立った後

「雄二。」

「おうよ。」

離した瞬間雄二チンピラの腹部に拳をいれる。どうやら全員無事らしい

「工藤。悪い遅くなった。」

「大沢くん?なんでこの場所が。」

「話は後でな。さて、喧嘩は嫌いだけど……少し本気で潰そうか。」

さすがに俺だって気分が悪いしな。そしておれはカラオケ店のテーブルの上の飛び乗りその勢いで工藤から一番近い奴に飛び蹴りを喰らわせすぐ立ち上がり手短な奴から自分が持っている一番強力なスタンガンで気絶させる。

それの繰り返しだ。後は雄二達がなんとかしてくれるはずだろう。

そして俺の後ろは

「イィッシャァァーー!!」

「ゴファァッ!」

明久がハイキックをお見舞いしていた。

「貸しイチだよ。」

「んなもんわかってる。秀吉と康太は女子を連れて学校へ迎え。警備は忘れるんじゃねーぞ。後理事長を呼び出せ。明久と雄二の件で話があるって言えば教室にくるだろう。」

「…了解」

「姉上、霧島、工藤こっちに。」

「わ、分かったわ。」

「でも……」

「翔子。先戻ってろ。後から全部説明する。」

すると霧島は心配気になりながらも渋々頷く。

「後、楽も工藤の元にいてあげなよ。……恋人なんでしょ?」

そんな明久が俺の方を見て笑う。

俺は少しだけ考え、憂さ晴らしよりも確かに大事なことだと判断する。

「なら、言葉に甘えるけど。雄二後お願いしていいか?」

「あぁ。それにしても丁度いいストレス発散の相手ができたな。生まれてきたことを後悔させてやるぜぇーーー!!」

「殺すなよ。」

と笑って最後の一人に回し蹴りを放つと俺はドアを開ける。雄二と明久なら後は確実に大丈夫だろう。

そして俺は扉を閉めた。



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