遊戯王の世界に生まれたのですがどうすればいいのでしょう? (火影みみみ)
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原作前
こんな世界で
&月$日
天気は晴れ、清々しいくらいに快晴。
天気予報のお姉さんも降水確率0%と報じていましたし、こんなにいい天気はめったにありません。
……まあ、私の心はこれでもないくらいに曇天なのですけどね。
今日も少しチャンネルを変えてみれば、別の番組が目に入っていく。
競馬、相撲、今日のラッキーカード、サッカー、料理、アクションデュエルetc……。
……そう、この中に二つほどおかしいものがあります。
今日のラッキーカードって何!? アクションデュエルって何!?
もしかしてここって遊戯王!? あの精霊と融合したりDホイールと合体したり謎の背後霊とオーバーレイしたりするあの!?
私も大会には出たことはないけれど、仲間を遊戯王で遊ぶ程度にははまっていたこともあるからルールなどはすぐに思い出せた。
私がそのことに気が付いたのは今朝、目の前に散らばるカードを見つめていた時に、それまで頭の中にあったモヤみたいなものが唐突に消えて、前世(死んだのかはわからないけれど)の私のことを思い出したのです。
ええ、当然のごとく混乱しましたとも。
それに拍車をかけるように、名前が変わっていたり、両親がすでに死別していて時々両親と知り合い(?)の家政婦さんが面倒を見てくれていたりと、前世と環境が変わりすぎて何をしていいのかわからなかった。(性別が変わらなかったのは唯一の救いかな?)
今日この日記を書いているのは何かいいものはないかと遺品を漁っていたら珍しい手帳を見つけたから。
思い出してから今までの人生を振り返ったり、これからの出来事を記録していくのもいいかもしれない。
そう思い、今書き記している。
カードゲーという名の戦闘アニメの世界に生れ落ちてしまった私ですが、できる限りのことはしていきたい。
と言いますか、何もしないでいていきなり世界の危機に直面するなんてことはご勘弁願いたい。
ある程度の実力をつけて、この世界のことをもっと知っておくべきだと思う。
世界の危機ほどじゃないけど、通り魔紛いのデュエリストに襲い掛かられた時のために強さは必要不可欠だから。
今の私には不安しかないけれど、ここで過ごすうちに自信と実力をつけて、願わくば遊戯さんのようにデュエルキングを目指したい。
世界一のデュエリストに、私はなる!!
……ところで、今ニュースに出ていた『榊遊勝』って主人公じゃないですよね?
&月>日
とりあえずこの世界の特徴をつかみたい。
遊戯王の一作目とGXは(一部を除き)現代社会風な世界観だったけれど、5D'sとZEXALはDホイールやD・ゲイザーなどその作品の特徴を表すようなモノが登場してきます。
となるとこの世界での特徴と言えば、やはり連日テレビで放映される『アクションデュエル』なるものでしょうか。
私はあまり体験したことはないけれど、実体化したモンスターとともにフィールドを駆け巡って、『アクション・カード』を取り合ってデュエルするらしい。
……まあモンスターが実体化するのはいつものことだとしても、アクション・カードは厄介極まりない。
たとえ手札0フィールド0に追いつめたとしても、このカード一枚で形勢がひっくり返ることすらあり得るかもしれない。
さらに、そのカードを手に取るまでは除去もできないというおまけつき。
それに私的にアクション・カードを使ってのデュエルは遊戯王している感じがしなくてい嫌だ。どうせなら手持ちのカードのみで勝利をつかみたい。
幸いにも私は自分のデッキを持ち合わせている。これらのカードと相談してアクション・カード対策をするとしよう。
…………私のデッキ、純蟲惑魔だけど大丈夫かな?
&月=日
まさか冗談で書いたカードと相談が現実になってしまった件。
昨日日記を書いた後すぐに寝てしまったのだけれども、夜中にキャッキャウフフと騒ぐ少女の声に目を覚ましてみれば、そこには楽しそうに遊ぶ蟲惑魔たちの姿が!!
私が起きているのに気づくとすぐに消えてしまったけど、見間違いではないと思う。
あれですか、デュエルモンスターズの精霊というものですか? 私、精霊見えたのですか?
その後デッキを指でつついて話しかけてみてみたものの、何やらひそひそ話が僅かに聞こえる程度で、姿を現せてはくれなかった。
この蟲惑魔たちは恥ずかしがり屋らしい。疑似餌なのに。
この娘たちとはたぶん長い付き合いになると思うから、今のうちから信頼関係は築いておきたいものである。
……そういえば、ランカの蟲惑魔なんてモンスター、前世にあったかな?
#月V日
先行ドローがないのになかなか慣れない今日この頃。
今までの遊戯王は先行有利だったけれど、それがなくなってしまったのは悲しい気がする。
けど、フィールド魔法を確実に自分が発動できるのはいいような気がする。前世だと合計一枚しか発動できないわけでしたし。
けど、今日テレビで見たフィールド魔法『海』&『山』はなかなかにカオスな光景でした。
……やっぱり先行ドローがなくなったのは残念。
それはそうと今日は暇でしたので散歩に出かけてみることにしました。
この舞網市という場所は前世と比べてもなかなかに奇妙?な場所かと思う。
一歩外へと足を踏み出せばデュエルモンスターズのキャラクターが看板のほとんどに描かれ、ふと視界を別の場所へ逸らしてみるとデュエル塾という学び舎があちらこちらに点在しているのが見える。
デュエル塾ってあれかな? 遊戯王のルールを学ぶのかな? 一年くらいで終わりそうな気がするけれど……、いや、そういえばGXで三年かけて学んでたし、いろいろ教えることがあるのかもしれない。
……
…………
………………しかし、二時間も歩いていたわけではないのにもう20枚くらいカードひろったんですけど。
*月>日
小学校の帰りにパックを八つほど買ってみる。
遊戯王だとデッキは一人一つみたいな謎の習慣があるけれど、いくつかデッキを作っておかないと落ち着くかないもの。
デッキなんて対策してしまえば(事故らない限り)簡単に勝ててしまうものですし、三沢みたいにいくつかのデッキを使い分けるスタイルで行きたいと思う。
……でもね、適当に買ったパックの中身が影霊衣と儀式関係だけだったのは、何か作為的なものを感じずにはいられない。
これはもう影霊衣デッキを組めという精霊のお告げなのかな? 何か釈然としないけれど、今私に足りないのはデッキなので文句は言えない。(しかも、見る限り影霊衣ってなかなか強そうだし)
……それにしても、やっぱり見たことのないカードがちらほらと見受けられる。
私が死んで(?)から新しくカード増やしたのかな、コナミさん。
~月!日
取り敢えずデッキを組んでみる。
マンジュ・ゴッドとか入れたから純影霊衣というわけにはいかないけど、なかなかにいいデッキだと自負している。
それはそうと、日記をつけ始めてから何日か過ぎたんだけど、何か家政婦さんの様子がおかしい。
しきりに私の様子を伺ってくるし、昨日なんかデッキを組んでいるところを見て何か考え込んでいた……。
私、何かしたかな?
☆月☆日
ヒャッ―――――――――。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚――――ハ――――――!!
*月+日
昨日の日記を読み返して頭を抱える私。興奮のあまり意味わかんないこと書いてるし……。
昨日何があったかというと、なんと私! 念願の『デュエルディスク』を手に入れました!!
美田さん(家政婦さん)の様子がおかしかったのは私の誕生日プレゼントについて悩んでたみたい。
そういえば昨日は私の誕生日だったのをすっかり忘れていた。最近ずっと散歩だったりデッキ組みだったりで忙しかったから……。
まあそんなことはさておき、念願の、念! 願! の! デュエル! ディスク!
綺麗な白銀で、カードプレートは澄んだ瑠璃色!
何か、携帯のような機能などが付いているけれど、それよりも一人でソリッドビジョンを試してみたところ、ちゃんと起動できた!
もふもふのレスキューキャットに
これ以上ないくらいに満足。
今日は蟲惑魔たちを呼び出していろいろと親密度を高める予定。
楽しい一日になるといいな。
………………………………アクションフィールドじゃないとモンスターは実体化しないってまじ?
主人公の能力:*月+日時点 6歳
☆『デュエルモンスターズの精霊が見える』NEW
☆『モンスターの実体化』NEW
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ある日、濃い人たちに、であった
A月B日
物は試しにとソリッドビジョンを起動してみたところ、問題なく機能しました。
→レスキューキャットに触れた、やったー!
→ほかに何かないかと説明書を読む私。
→『ソリッドビジョンは立体映像なので、触ることはできないよ』と優しく説明してくれるブラックマジシャンガールの絵を発見。
→( ゚д゚)!?
→(;゚Д゚)……
→( ゚д゚ )どういうことなの?
つまりですか、あれですか。
あれはデュエルディスクの機能じゃなくて、私の力なのですか?
二十代さんやアキさんみたいにモンスターを実体化させることができるようになったということなのですか?
その気になれば町中に|銀河眼の光子竜皇《ギャラクシーアイズ・プライム・フォトン・ドラゴン》と|超銀河眼の時空龍《ネオ・ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン》でゴジラVSキングギドラごっこができるというわけですね!
あらヤダ私、危ない子。(物理的に
………それともう一つ思うことがありまして。
ラムペンタたちと戯れたワタクシなのですけれど、あれもデュエルディスクの機能じゃないとするのならばすなわち、あの子たちも精霊だったということに!?
いや、確かに全カードに少なからず精霊が宿っているのですけれども!?
ていうか、ラムペンタ君追い回しちゃったよどうしよう!?
……とにかく、明日朝一で土下座しよう、そうしよう。
あ、蟲惑魔ちゃんたちとは仲良くなりました。
B月C日
ラムペンタ君マジ天使。
朝一で謝ったら許してくれた。本当にいい子(ノД`)・゜・。
本題が解決したので、今日あった出来事を書くことにする。
最近日課になりつつある舞網探索、今日はとりあえず河川敷を風の吹くまま気の向くままに歩いてみたところ。
……小さい子供と戯れる榊遊勝さんがおられました。
ふむ、テレビで見るより二割増しくらいでダンディなおじ様……。
そして、彼と一緒にいるなんとなくカラーリングと髪型が似ている子供は……、息子さんかな?
たしか、『ユウヤ』(漢字わからないけれどたぶんユウの字は遊のはず)って言ってたから息子さんっぽい。
こんなところで何してるのかなあっと、少し三角座りで観察してみたところ。
何やら『エンタメデュエル』なるものの特訓をしているらしいのがわかった。
そういえば、遊勝さんも有名なエンタメデュエリストだったはず。
その父親に憧れて、息子さんもエンタメの特訓をしているのかな?
笑顔はいいよ、笑顔は。
十代さんも最後はいつも「ガッチャ!」って言ってしめてたし。(覇王と二十代さんから全力で目を背けつつ
それ以外には特に面白いことはなかったので日も暮れてきたことだし、早々に引き上げた私。
帰るちょっと前にユウヤ君と目が合ったような気がしたけど、まあすぐに忘れると思う、子供だし。(私も日記がなかったら忘れてそう)
C月D日
個性というものは得ようとして得るものではなく、すでに得ているものだ。
その人物の今まで過ごしてきた環境、生まれ持った性格、周囲の人間や出会いによって培われ、金銭などでは決して買えないその人だけの宝物である。
……まあ、つまり何が言いたいかと申しますと。
私、キャラ薄くない?
昨日の榊親子や街のデュエリストを見ていて思ったのですが、みんなキャラがもう濃い濃い……。
水泳デュエリストや料理デュエリスト、さらには武闘家デュエリストや占いデュエリストなど、もう濃すぎる人材があふれかえっているように思う。
今話題の榊遊勝さんもエンタメという特技で皆を魅了しているみたいですし。
世界一のデュエリストになるためにも、私だけの個性を表に突き出していくことが大切だと思う。
しかし、元々が異世界生まれの私にこの世界の住人ほどはっちゃける(死語)ような人格はしていない。(学生時代……、魔眼……、中二病、うっアタマガ……
私だと、どういうデュエルが似合うのだろうか?
蟲惑魔を使う小悪魔系デュエリスト? ないない恥ずかしい。
影霊衣を使う黒魔術系デュエリスト? 痛すぎる!
しかもそれだと使うデッキが固定されるから対策されやすいし、却下。
この世界特有のデッキを一つに絞る傾向を無視して複数のデッキを使い分けられることは強みだからなるべくそれを損なうことはしたくない。
けど、それだけだと三沢君みたいに最後には空気になりそうだし……。
出きれば周りの人を引き付けるような強烈な個性、そうでなくても印象に残るような強い個性が欲しい、切実に欲しい。
……え? 何、アトラ? 今さっき自分が書いたこと見直してみなさいって?
…………ワタシ、ナニモ、ミエナイネ。
いやいやいや、だってしょうがないじゃないですか、私あちら世界の出身ですし、D・ホイールと合体したり、裸で海岸を走り回ったり、かっとビングしたり、胡散臭い日本語を話すような隻眼の外国人みたいに、強烈な個性という名のアピールポイントがないと世間というものはまるで過ぎてゆく季節のように忘れ去ってしまうものなのですよ!!
しかし、強烈すぎるものだと私の羞恥心が限界を超えちゃいそうですし。
うむむ……。
ん? 何、ランカ? これをお父さんの部屋から取ってきたって?
………………ほう( ̄▽ ̄)。
D月E日
早速美田さん相手に実践してみたところ。
「あら懐かしい、お母さんそっくりね……」
と涙ぐみながらありがたいコメントを頂きました。
え? 私のお母さんってこんなのだったの?
――――☆――――☆――――☆――――☆――――☆――――
その日、ミエルは朝から最高の気分だった。
今日の占いだって今年一番のラッキーな日になるって出てたし。
何より今日、運命を変える相手に出会うって占いに出ていたんだもの!
占いは最高! ミエルの占いは百発百中! 外したことなんて一度もないんだから!!
なのに、なのに……。
「どうしてこうなっちゃったのぉーーーー!!」
目の前に聳え立つは壁、紛うことなき行き止まり。
ここは知らない路地裏。人の気配なんて全然ない。
ミエルがここに来てしまったのは、ちょっとした不運があって、いつもはつけているリボンをその時はたまたま手に持っていたことに始まるの。
けど、その時不意に吹いた風がミエルのリボンを持って行ってしまって、あれよあれよという間に、遠くの方へ。
当然、ミエルはリボンを追いかけたわ。
走って走って、見失ったら占って。
ようやく追いついてリボンを拾い上げてみれば、そこは見知らぬ路地の裏。
もちろん占って帰ろうとしたわ。けどなぜか結果がおかしいの。
右に行けばいいと出た次には左に行けばいい。
後ろに行けばいいと出れば次には前に行けばいいと。
結果的に元の場所へ帰ってきてしまうの。
「う、うぅぅ…………」
帰りたい。
帰ってご飯食べて、暖かい布団に入って寝てしまいたい。
そう、ミエルが悲しみにくれて泣き出してしまいそうな時だった。
ミエルが、彼女とであったのは。
「おやおやぁ? そこにいらっしゃるのはどちら様かしら?」
バッと顔を上げる。
見ればいつの間にか目の前に、ミエルと同じくらいの歳の少女がそこにいた。
腰まで伸びる薄青みがかった白い色の髪に、綺麗な浅緑色の瞳を持った少女。
彼女は不思議そうに首を横に傾げ、ほほに人差し指を当てている。
「まぁまぁとりあえず、そんなところで座っていてもなんですし、中に入ります?
あまーいお菓子や、温かいココアくらいならだせますので~」
これから、ミエルの親友とも呼べる存在になる女の子。
「ああ、申し遅れました、そういえば自己紹介がまだでしたね~、私の名前は――」
――――☆――――☆――――☆――――☆――――☆――――
☆月★日
夕ご飯の買い物から帰ってみれば、裏口前に女の子が落ちていた件について。
いや、それだけ書くと犯罪っぽいかもしれないけれど、事実そうだったし。
何か知らないけれど、今にも泣きそうだったその子をとりあえず、家に上げて事情を聴いてみる。
すると、飛ばされたリボンを追っていたらここについたことが判明。(アニメか、いやアニメだったわ、たぶん
いつもは占い?に頼って道がわかるらしいけど、今回は働かなかった模様。
デュエルディスクに電話の機能が付いていたはずだけれど、忘れてきたらしい。
仕方ないのでいくつかお菓子を渡して、保護者さんの電話番号を聞いて家の電話からかけてみることにする。
この子の両親にしては常識的な親御さんだったことにびっくり。(失礼かな? いや、でもすべてを占いに掛けるような勇気は私にはないし
それにしても、よくここまでたどり着いたものだと感心する。
ここら一帯の道は分かりづらくて美田さんでさえたまに迷うというのに。
これもこの子の占いの成果なのかな?
少しして、車で迎えに来たご両親に連れられてあの子は去って行った。
…………あの子もご両親も、私のこのキャラ付けには無反応だったなぁ。
もしかして、これもこの世界じゃ一般的?
いけると思ったんだけどなぁ……、『不思議ちゃんキャラ』。
【主人公の情報を、更新しました。】
名前:主人公→千樹 優華
年齢:6歳
性別:女
性格:『不思議系に見えて実は常識人』
能力:『デュエルモンスターズの精霊が見える』
『モンスターの実体化』
交友関係:
『美田さん』育ての親
☆『方中ミエル』友人 NEW
【おまけ】
ランカが持ってきた本:「古今東西不思議っ娘全集」
ランカ(悩んでるから助けてあげたい)
↓
ランカ(そういえばあの使ってない部屋のベッドの下に何かあったような?
↓
ランカ(段ボールの箱だ)
↓
ランカ(あれ? 二重底になってる?)
↓
ランカ(あ、何か綺麗な人間が描いてある! これでいいや!)
【おまけ②】不思議ちゃんにした理由
1、そこまで痛くないから
2、少し言動を緩くして、気軽に話すだけでいいから。
3、精霊と話していても不思議ちゃんなら許されそうだから。
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融合もシンクロも、エクシーズすらもない
若干のシリアス注意。
次回以降はコミカルになるといいなぁ……。
〇月×日
方中ミエルと友達になりました。
……いやね、最初は話を聞くだけだったのだけど、あの子の勢いに押されに押され、いつの間にか連絡先を交換してしまっていました。
若い子って恐ろしい。(私も若いけど
ま、まあ。 (たぶんおそらくきっと)あの子も悪い子じゃないと思うし、しばらくはこのままでもいいと思う。
…………それにしても、あの子の声を私どこかで聞いたことがある気がする。
どこだっけ? 何か急に歌ってたような気がする。
■月□日
不思議系キャラがだんだんと根付いてきた今日この頃。
クラスのみんなも最初は驚いていたけれど、最近は慣れてきてくれて普通に接してくるようになった。(前世だとたぶん引かれるよねぇ……
家政婦の美田さんも私が最初からこの性格だったかのように接してくれる。これは私の母に慣れていたからかもしれない。
私も最近はこのキャラを演じるのが楽しくなってきたし、キャラ付けとしては成功したと言ってもいい。
それにしても、蟲惑魔デッキで勝率九割五分を越えるのはこの世界独特の引きの良さ故なのか、それとも小学生相手じゃさすがに弱いものいじめなだけなのか……。
明日は町の強そうな人に声をかけて見よう。
きっと私を楽しませてくれるはず。
☆月▼日
放課後、さっそく影霊衣デッキを持って街へ出かける。
蟲惑魔じゃない理由は、蟲惑魔自体が対策しやすくほぼデッキだけで勝敗が決してしまいそうだから。(サイコショッカーだけで割と勝ちの目が消える
五人くらいとデュエルしたけれど、そんなに強くはなかった。
次は場所を変えてみよう。
<月<日
収穫なし。 次は時間帯を変えてみることにする。
<>月<>日
収穫なし。 何がいけないのだろう。
<・>月<>日
収穫あり。ただしカード。
いまだ
<・>月<・>日
収穫なし。今日も満足できない。
<●>月<・>日
まん……、ぞく……。
<●>月<●>日
おい、デュエルしろよ。
◎月◎日
ふと日記を読み返し、正気に戻る私。
いけない、ライバルがいなさすぎて情緒不安定になってる。
ここ数日、この街一帯をまわって年上の人たちにどんどんデュエルを申し込んでみたけれど、どれもこれも大差がなかった。
せっかくチューナーを出したのにシンクロしなかったり、星がそろったのにエクシーズしなかったり、なぜか基本皆アドバンス召喚しか使わない。だから負ける。
…………いや、わかっている。
今の今までその問題から目をそらしてきたけれど、これは私がデビューする上で避けては通れない存在であり、いつかは直面すること。
ただ、私はそれを認めたくなかった。それを認めてしまうと私の中の情熱の炎が消えてしまうような気がして。
みな、使わなかったのではなく、
しようとしなかったのではなく、そもそも
……この世界、実はエクストラデッキから召喚するタイプの特殊召喚が存在しない。
わかりやすく言えば、シンクロ、エクシーズ、さらには融合すらも、この世界には存在しない。
図書館のデュエルモンスターズについての関連書籍は端から端まで調べたし、友達にもそれとなく聞いてみたこともある。さらには父の部屋にあったパソコンを借りて検索をかけてみたけれど、そんなものは一片たりとも存在しなかった。
つまりは、この世界には通常召喚と儀式しか
超融合もできなければ、フィールを感じてアクセルシンクロを行うことも、さらには
それは、私にとっては失望でしかなかった。
それは、私が憧れた彼らのようなデュエルができないということを意味していたから。
それを自覚した途端、私は悲しくなった。
転生しようとも現実は厳しく、重く私にのしかかってくる。
所詮私は紛い物、彼らのように離れないということか。
私は、楽しいデュエルがしたいのに。
次は有名な人にあたっていくのがいいのかな?
まだまだ不安が残るけど、大会に出てみるのもいいかもしれない。
あとは優勝経験者をあたってみるとか?
まだまだいろいろあるけれど、考えがまとまらない。
この日記のおかげで多少はまとめられるけど、それどもまだぐちゃぐちゃ。
もう寝よう、寝てしまおう。
幸い明日は休日だ、このまま丸一日寝ていても何の問題もない。
ああ、頭が痛い。
――暗闇の中、声だけが聞こえる――
――1人2人のものではない、大勢の人ならざるものの声が静かに響く――
『やっと寝たみたい』
『今日は一段と荒れてたね』
『致し方あるまい、この次元において彼女ほどの担い手はそうそういるものではない』
『それに相手のデッキも悪いわ、影霊衣相手に並のアドバンス召喚のみでは勝てるわけないじゃない』
『……そろそろ頃合いかもしれぬな』
『いいの?』
『問題ない、主は全ての召喚法を熟知しておられるご様子』
『じゃあ、最初はどこにする?』
『融合はだめ、今のままじゃ危なすぎる』
『シンクロも……ダメ、……あそこは、まだ早い』
『なら決まりだな』
『ええ、最初はエクシーズにしましょう』
『うまくいくかな?』
『いくといいね』
『はやいとこ蟲惑魔の仲間と、あっちにいる星座の戦士たちと合流しないとな』
『少しずつではあるけれど奴らの気配を強く感じるようになっている……、たぶんそう遠くない未来、おそらく10年以内には復活すると見た方がいいかもしれないわ』
『それまでに我らは備えなければならぬ、再び世界が滅びぬように』
『奴に凌駕するほどのポテンシャルを秘めたこの子なら、必ずあの覇王を討ち取れる』
『私たちの声を聞いて、なおかつ実体化できるだけの魔力を持つこの子なら、きっとできる』
『そのために、俺たちはここに集った』
『アヤツも悪い人間ではなかったのじゃが、いかんせん環境が悪かった』
『優華もああなってほしくはないのだけど』
『そのために我らが存在する』
『この子を誤った道へ歩ませぬよう、我らが導かねばならぬ』
『ダイジョブ~ダイジョウブ~』
『大丈夫~大丈夫~』
『能天気ね、あなたたち』
『ああいう種族だからね』
『では、主が起きぬうちに』
『じゃあね』
――その声を最後に、物音ひとつ聞こえなくなった――
『舞網市に現れる、謎の影』NEW
・最近、謎のデュエリストによる無差別デュエルが頻発しています。
・被害にあった方々からは金品が盗まれた様子はなく、ただデュエルをしていただけとの証言を得ることができた。
・しかし、相手のことを思い出そうにも記憶にモヤがかかったかのように黒い影しかおもいだせないとのこと。
・この症状は被害にあったデュエリスト共通のもので、全員がその影に敗北していることも関係があるのかもしれない。
・最近ではこの事件の影響か、夜間に外出する人の姿をみなくなっている。
・我々も独自の調査を行ってはいるが、手がかり一つ発見することはできなかった。
・この事件がこの街の七不思議の一つとなる日もそう遠くはないのかもしれない。
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扉を開ければそこは異世界
朝が来た。
いつも通り朝が来た。
カーテンの隙間から差し込む朝日が、少し煩わしい。
外は今日も晴れ模様、しかし私の心は厚い雲に覆われたまま。
「はぁ……」
どうしてこうもうまくいかないものか。
人が夢を持つと書いて儚いと読むけれど、まさにその通り。
あると思っていたものが、実はないと知らされた時の悲しみと絶望は、想像以上のものでした。
この世界に存在しない別の召喚方法、あれらを組み合わせればデュエルはもっと面白く、予想もしえないものになるのに。
だからこそ惜しい。
願うことならば、それらを使いこなす強者たちとしのぎを削るデュエルをしてみたかった。
「……起きよ」
しかし、ないものをねだっても仕方がない。
たとえそれらがなくてもここが遊戯王の世界であることには違いない。
きっと私が想像できないようなことが起きる決まっている。
だから今はとりあえず身支度でもするとしよう。
休みの日だからといって、寝てばかりなのは少しもったいないような気がするから。
「んんーー」
体を起こし、背を伸ばす。
眠気を覚ますためにカーテンを開け、陽の光を浴びる。
「……まぶしい」
太陽なんて直接見るようなものじゃない。
目は冷めたけれど、今度は目がチカチカする。
ええっと、確かデュエルディスクは枕元においたような…………、あった。
階段を下りて、一階へ。少し歩いて洗面所に入り、顔を洗う。
『――――♪』
「ありがとう、アトラ」
アトラの蟲惑魔が持って来てくれたタオルで顔を拭いて、そのまま台所へ。
冷蔵庫にあった材料で、適当な朝食をつくる。
朝食にそれほど時間はかけたくないので、本当に簡単なものをつくることにする。……目玉焼きとトーストでいいや。
一人で食べる朝食にも最近は慣れてきた。
時々美田さんもいっしょに食べてはくれるけれど、それでも一人でいる時の方が長い。
学校に行けば友達や、放課後にはミエルがいるけれど、家にいる時などはずっと一人。
少しさびしさを感じてはいるが、孤独とまでは思ってはいない。
『――♪♪』
私にはこの子たちがいるから。
今も私の周りではしゃぐ小さな蠱惑魔たち、そして彼女らを遠くから見守る影霊衣の面々と、霊獣たち。
彼らがいるから、それほど寂しくはない。……何か最近勝手に実体化してははしゃいでいるけれど、大丈夫かなあ。
朝食を食べ終わったら、着替えて出かける準備をする。
ウエストポーチを腰にまわし、二つのデッキを入れて蓋を閉じる。
子供用の鞄に必要なものとデュエルディスクを入れて、背負う。
「……うん、これでかんりょ~」
いつも通りのキャラ作りも完璧。
そのまま裏口へと向い、お気に入りの靴をはいてドアノブに手をかける。
そのまま扉を開いて、目に入るのは天高くそびえる奇怪な塔……。
「……?」
再び閉じる。
あれ、おかしいな? 今視界が変だったような。
具体的に言えば、あるはずのないものがなくて、あってはいけないものがあったような。
「……」
再びオープン・ザ・ドア、視界に入るハートの塔、そして今一度クローズ・ザ・ドア。
「うーん、疲れてるのかな……」
昨日の疲れが響いているのかな? 別の召喚がしたいがために幻覚を見ているのかしら?
しかし二回見た、そして二回ともそこにあった。
ともすれば……。
「……うわぁ」
三回目もそこそれらがあるのは当然なわけで。
ねえ、私はいったい誰にこの心中を打ち明ければいいのでしょう?
扉を開けたらそこがハートランドシティだったなんて、さすがに予想できませんわ。
―――☆――――☆――――☆――――☆――――☆――――
♥月♥日
トンネルを抜けると雪国ならぬハートランドシティだった。
まあ実際がトンネルじゃなくて扉でしたけどね。
ま、文章で書くとコミカル染みていますがやられた側はもう大混乱。
そりゃあ二度見くらいしてみたくなるものです。
混乱しつつも、とりあえず探索開始。
こういう時に立ち止まっていてもどうしようもないので、行動あるのみ。
幸いにもZEXALが終わったのはつい最近、町並みはよく覚えていました。
しかし迷わないとも限らないので、しっかり道順をマッピングしながら進む私。
特徴的なものや、写真などを駆使して道を記録していきます。
探索開始から約二時間。
少しずつですがこの街のことがわかってきました。
まず一つ、ここはZEXALのハートランドシティではないということ。
公園でデュエルをしている子供たちを見かけるのですが、彼らが身に着けているのはD・ゲイザーとD・パッドではなくリアルソリッドビジョンが出る方のデュエルディスク……。
試しに子供たちに「D・ゲイザーって知ってるかな?」と問いかけたところ、「何それしらない」との回答が多く寄せられました……。Oh, my gosh.
まあそれはさておき、つまりここはZEXALのハートランドシティによく似た場所、ということになる。
名称はハートランドシティだけれども、ZEXALではない。パラレル的な何かかな。
二つ目、ここは私がいた舞網市との交流はない。
試しにデュエルディスクで私が知っている人全員に片っ端から通信をかけてみたところ、全員不在。
前世でいうところの「おかけになった番号は現在電源が入っていないか、電波が届かない場所にあります」状態。
となると、これは私一人がこちら側へ迷い込んだとみて間違いない。
そう考えると、舞網市にエクシーズがなかったのも納得できる。
デュエルディスクの通信範囲ってたしか前世の携帯電話くらいの性能のはずだから、これが通じない場所となると、何らかの理由で電波が届かない場所か、そもそも別の世界ということになる。
三つ目、こちらにも私の知らないカードが存在すること。
試しにパックを30袋買ってみたところ、私の知らないフレシアの蟲惑魔とデュエルターミナルでお馴染みのセイクリッドによく似たテラナイトなるモンスター群を引き当てました。
しかし、完全に私の知らないものだけというわけではなく。よく知るガガガシリーズやアーティファクトなども混ざっていたことから、既存カテゴリに新規が混ざっているような感じです。
以上のことから考えるに、ここはZEXALではないものの様々な理由があって独自発展したハートランドシティと考えるのが近いのかもしれない。
となるとナンバーズやバリアン世界、並びにアストラル世界もあるかどうか疑わしい。
せっかくだから遊馬先生やカイトさんに会いたかったけれど、少し難しいかも。(いるという保証がないし
今日は疲れたので早めに帰る。
ハートランドシティのことが衝撃すぎて吹き飛んではいたけれど、念願のエクシーズを手に入れたのだからこれはもう感動もの。
試しに召喚してみても問題はなかったので、これはあちらでも使えるということになる。(まあ、最悪最後まであちらでの出番はないかもしれなけれど
夕食後さっそく新しいデッキを作ろうかな? 遊馬デッキとかロマンがありそう。
……いや、それ以前にこのままで大丈夫なのだろうか?
扉を開けたらハートランドシティということは、明日学校なので私はどうやって登校したらいいのだろう?(今さっき気が付いた、私鈍感すぎ
……とりあえずご飯たべよ。明日のことは明日考えればいいや。
♥月〇日
なんか元に戻ってた。不思議。
夢だったんじゃないかとカードを確認すると、ちゃんとガガガとテラナイトはあった。
遊戯王で精霊界に行く話はよく聞くけれど、こういうパラレル系(?)の話は聞かないな。
まあ、何はともあれエクシーズが手に入っただけ良しとしよう。
このカードたちでどんなデッキを作ろうかな……。
♥月♠日
再び扉を開けたらハートランドシティ事件発生。寝て起きたらまたハートランドシティに繋がっていました。
前回からちょうど一週間たっていたので、今日も日曜日なのは幸いだった。
とりあえず探索を再開することにする。今度はもっと広く探ることにしよう。
朝起きた時なんだか体が怠い気がするけれど、すぐに治った。
♥月♧日
なんとなく周期がつかめてきた。
どうやら一週間に一度のペースであちらへと繋がるみたい。
にしても体が重い、風邪薬を飲むことにする。
今日はとりあえずデュエルスクールを中心に探っていく予定。
[結果]
疲れた。
いやぁ広いわ、さすがハートランドシティ。
体力の続く限りあちこち回ってみたけれど、うん……、広すぎてまわれない。
それにしてもハートランド学園が見当たらない。
それっぽい場所は見つけたど、そこはハートランド・デュエル・スクール、スペード校と言われていた。
近くにいた同い年くらいの女の子に話を聞いてみたところ、ほかにもクローバー校というところがあるらしい。
なんでもプロデュエリスト養成校とか。
そのまましばらくその子と世間話をした後、いくつかパックを買って帰る。
やはりここはZEXALではなくよく似た世界だということを実感する一日だった。
……せめてD・ゲイザーだけでもないかなぁ。あれかっこいいのに。
♥月♢日
今日もいつも通りあちらへ繋がる扉。そして感じる体のだるさ。
もしかしなくてもこれって、私の体力を引き換えにあちらへと繋いでない?
今日は家電屋さんをまわってみることになった。
D・ゲイザーについて知っている人はほとんどいなかったものの、電気屋さんのお爺さん店員がそのようなものがあったことを教えてくれた。
なんでも、リアルソリッドビジョンが導入されてから急速に廃れたそうだ……。
がっかりしていた私だったけど、お爺さんが売れ残りのD・ゲイザーを譲ってくれた!
ただ、デュエルディスクとは連動していなし、サービスも終了のでただの飾りらしいけれど、それでもうれしい。
次からはこれをつけてデュエルすることにしよう。
そういえば、一週間前にあったあの女の子に偶然会った。
なんでも家族でお買い物に来ていたらしい。
その後すぐにお兄さんに呼ばれて行ってしまったけれど、こちらには知り合いがいないので話せてよかった。
また次会えるといいな、黒咲さん。
ここから時間を徐々に飛ばします。
そうでないと原作に追いつけないので(必死)
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舞網チャンピオンシップ―ジュニア編―
∴月〇日
ハートランドシティに通うようになってたぶん二年くらい過ぎたと思う。
六歳だった私も八歳になり、身長も若干伸びました。
まあ、だからと言って何が変わったかということもなく、あちらとこちらを行き来する以外は普通の小学生生活を過ごしております。
そこで少し思ったのですが……、もしかしてハートランドシティには、いや
一年過ぎたあたりで違和感を感じ、そこから半年くらい後にその違和感の正体に気が付きました。
たしかZEXALではエクシーズこそ主流ですが、融合もある程度使われていたはずなのでこれには少し驚きました。
ここ二年で友好を深めた黒咲瑠璃ちゃん(以下瑠璃ちゃん)も、融合なんてしらないと言っていましたし……。(あ、儀式はありました)
となれば、ある程度の推測が立ちます。
もしかして融合とシンクロも、それぞれ隔絶された別の場所で独自の発展を遂げているのではないでしょうか?
エクシーズはあった。なら融合とシンクロもどこかにあってしかるべきのはず。
あと忘れてはならないのは新召喚法。
5D's以降の遊戯王は、新番組になると新しい召喚が登場するようになりました。(まあ、まだ二つしかないけれど)
それを含めて考えると私の知らない場所があと最低二つはあることになる。
精霊たちに聞いてもだんまりだし……。(何か知ってると思うのになあ)
それと関係あるかわからないけれど、このデュエルディスクにもおかしなところがある。
なんで、エクシーズ使えるの?
遊戯王だからといってはそれまでだけれども、これは少しおかしい。
もともとそれが『ある』と考えて作らなきゃ、こんなことできるはずがない。
……いや、ちがう。それならもっと舞網市にほかの召喚法があふれているはず。
ならなぜ?
……もしかしてデュエルディスクには、召喚法に関するプログラムを一切していないのじゃはないのか?
私は今までTFなどのゲームのようにデュエルディスクに一定のパターン通りにしかデュエルできない仕掛けがあると思い込んでいたけれど、そうじゃなくて。
デュエルディスク本体はただ召喚するだけの道具に過ぎなくて、召喚法はもっと別のところにあるのじゃないか?
禁止カードなどはこちらの人たちでも決めることができる。しかし、召喚法は?
あらかじめ知るはずのないものをプログラムできるわけがない。
ならばどこ?
――――精霊界――――
ふとそう頭に浮かんだ。
きっとこちらにもあると思われる精霊界。
あそこならば、すべての召喚を熟知しているはずだ。
つまり、デュエルディスクは精霊界のルールに従って召喚を実行しているということになる。
最初にソリッドビジョンを開発したのは海馬、カード作ったのはペガサス。
しかし、この二人の名前はこちらの歴史にはなかった。
では、誰がこの二つを作り上げたのだろう?
調べても調べても、それら二つに行きつくことはできなかった。
ただ気が付けばあった、という気楽さしか感じ取ることはできなかった。
まぁ、製作者についてはそれほど重要ではないので放置するけれども。
このデュエルディスクの発案者はどうやって作り上げることができたのだろう。
ただ少し、それが気になった。
……シャイニングドローってほんとどんな原理なのだろう。ルール的に。
∴月×日
昨日気になったことについて、一つ実験してみた。
まずデュエルディスクを起動して、場に灰流うららとアトラの蟲惑魔を召喚する。
次にこの二体でシンクロ召喚を行うとどうなるか?
まず、シンクロ召喚お馴染みの片方のモンスターが星となり、もう片方のモンスターに組み合わせられる
このerrorは例えばモンスターゾーンに魔法カードを置いたり、なんの効果もなしに上級モンスターを召喚しようとすると起こるデュエルディスクの機能の一つ。
この機能があるから、対戦相手は相手が行っている手順を正しいものと確認できる。
そこはわかってる。重要なのはerrorが出る少し前のところ。
今回はerrorだったけれど
逆に言えば、
まあ、まだ確証も何もないけれどあるかもしれないという程度には希望が持てる。
こんなことも考えられないほど荒れていたあの頃がすこし恥ずかしい。
今日はこのくらいにして寝ることにする。
明日はもっといいことが起きるといいな。
Θ月&日
何もないまま半年以上が経過。悲しい。
あれから一向にほかの召喚を探る手掛かりがつかめないでいる。
正直一人では限界があるのも確かなので、これは気長にやっていくしかないみたい。
そういえば、あと何か月かすれば舞網チャンピオンシップなるものが開催されると聞いた。
私は年齢制限でジュニアコースしか登録できないし、優勝しても特に何かあるというわけでもないので放置していたけれど、もうそろそろ参加しておいた方がいいかもしれない。(実績作りは大事)
Θ月Σ日
とりあえず参加条件を満たすように一日一回はデュエルする。(まあ、勝率は満たしているからあまり必要はないけど)
私の初めての公式大会なので少しわくわくするけれど、相手が小学生なのが少し残念なくらい……。
私を驚かせるような人がいるといいけど。
月 日
美田さんにお願いして参加登録終了。
あと少ししたら大会が始まる。
使用するデッキは蟲惑魔とアーティファクトの混成デッキにアクションデュエル用のカードを混ぜたもの。
これならある程度勝ち抜けるし、
あと、うっかり召喚してしまいそうだからエクストラデッキのカードをすべて抜いておく。
……そういえば、将来的にはアクションデュエルが主流になるわけだから今のうちに体を鍛えておいた方がいいのかもしれない。
明日からランニングを始めてみようかな。
月 日
明日は大会ということもあってか、クラスの雰囲気が心なしか騒がしいように思える。
同時に参加したかったけどできなかった子の嘆きも聞こえ、ここが遊戯王の世界だったということを改めて実感しました。
できる限りのことはやったので早めに寝ることにする。
目指すは、初出場初優勝。
できる限り派手なデュエルをやってみたい。
――――☆――――☆――――☆――――☆――――☆――――
まあ正直なところ、これが現実なのよね。(たぶん新シリーズだけど)
唐突に何を言っているかわからないと思うけれど、今私はデュエルの真っ最中。
私の場にはモンスターが五体、蟲惑魔たちがそれぞれ一体ずつ。
相手の少年の場にモンスターはなし、伏せカードもなし、手札は残り三枚。(フィールド魔法はあり、『破邪の魔法壁』だけど)
「私はアトラの蟲惑魔で、ダイレクトアタック~」
その宣言と同時に、目の前にいたアトラは相手へと走り出す。
『おっとぉー! 優華ちゃんここで勝負を決めるきだー!! さあ、茂武君、この攻撃が通ると君は負けちゃうぞー』
実況するアナウンサーの声が、少しうるさい。
あちらも仕事かもしれないけど、いい加減イライラしてきた。
「あ、アクション・カード!」
相手の少年はアクション・カードを探しに走り出す。
彼のライフポイントは残り1000、アトラの蟲惑魔で十分に削り切れる。
手札のカードを使わないところを見ると防げるカードはないのかもしれない。
……あっても使わないっていうこともあるから、少し残念かな。
「あ!!」
どうやら少年はアクション・カードを見つけたみたい。
それに向かって一目散に走り出す。
確かにそれがあればこの場はしのげる。
「でも残念♪」
そんなの許すはずがない。
「足元注意だよ~」
「え、あ!?」
私のモンスターは一体じゃない。
彼の足元が崩れ、バランスを崩した少年はそのままこけてしまう。
『――♥』
足元から現れたのはトリオンの蟲惑魔。
彼女が地中から地面を崩して彼をこけさせたということ。
お子様用アクションフィールドのおかげか、柔らかい素材でできてるみたいだから怪我はしてないはず。
けど、これは致命的な隙となる。
「あ……」
『♪』
彼の目と鼻の先にまで迫ったアトラの蟲惑魔は、ニコリとほほ笑む。
そして右手の中指と親指で円を作り、軽く彼の額にその中指を当てた。
いわゆる、デコピン、というものだ。
「うわー!!」
軽くあてただけでもデュエルモンスターズのルールは適応されるもので、彼のライフはゼロとなる。
『決まったー! ジュニアコース準決勝戦、勝者は千樹優華ちゃんだー!!』
「ブイ!」
観客が少ないのが残念だけど、決めるときには決めておく。
その後にインタビューがあったような気がしたけどあまり覚えていない。
キャラを作りつつ適当に答えたとおもう。
やっぱり、ジュニアコースに出たのは失敗だったかなぁ……。
今回の相手は違ったけれど、小学生だからかプレイングミスが目立つ。
先行ドローをしようとしたり、上級モンスターをいきなり召喚しようとしたり……。
まあ明日で最後だし、さっさと決めて帰ろう。……ん?
「やぁ、君が僕の対戦相手かな?」
帰ろうと思った私の行き先に、同い年くらいの金髪の少年とその取り巻きっぽいのが三人がいた。
「おや、君はどちら様かな?」
私はそう尋ねる。
大体予想はついているけど、これはお約束というもの。
「は、君は対戦カードも見ていないのかい? しかたないから教えてあげるよ、明日の決勝戦で君と戦い、そして勝利する男!」
そう少年が言い放つと、取り巻きーずが彼を目立たせるようにポーズを決め。
「沢渡シンゴさ!」
と爽やかに名乗る彼。
いや、それはいいから早くそこをどいてよ。
次回、やっとデュエルができる。
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ハートランドを歩く
先に日記を投稿していきます。(ほんと、ほかの遊戯王二次作者は偉大ですわ……)
原作開始を区切りにいったんお休みして、
その間にミス直しをやっていく予定。
3000字って程よく書きやすくていい。誤字訂正もしやすいし。
次にデュエルをするときにはルール確認と文字数軽減を目標にしたいです。
『何があったのかダイジェスト』
・優華、チャンピオンシップジュニア戦優勝。
・ミエル、原作前に遊矢たちと会う。
米月餅日
チャンピオンシップで優勝しました。
いや、相手がまさか人造人間使ってくるとは思わなかった。
ぎりぎりで勝てたけど一歩間違ったら普通に完封されて終わっていたかも。
正直に言って、私この世界舐めてました。
同年代に私以上のデュエリストはいないなんて気分で大会出てました。
いやー、怖いわー、デュエリスト怖いわー。
やっぱり慢心してはだめね。子供でもあんなデュエルできるんだから、大人になったらもう考えるだけでも怖い。
そういえばそうと、子供らしい簡易な表彰とか終わってミエルのところに行ってみれば榊遊勝さんとユウヤ君+知らない人と知らない子供がいたのには驚いた。
話を聞くに、今日のドームの方の試合を見に来たついでにこちらも観戦しにきたらしい。(あらやだ恥ずかしい
その時なぜアクション・カードを使わないのか尋ねられたけどはぐらかしておいた。
確かに足元にあったときとか、少し遠めの場所に数枚あったのは知っていたけれど、わざと無視した。
アクション・カードは確かにルールで認められた正当な権利だけど、歴代の遊戯王ルールを知っている私には使うのに少し戸惑いがある。
だから、私は基本使わない。
どうしても負けられないような時以外は使わないように自分にルールを設けている。
しかし、それだと相手だけが有利になる展開が続くということになるので、それだとさすがの私もきつい。
なので私はそれに対抗するために私流のアクションデュエルを編み出した。
私のアクションデュエルは妨害に始まり妨害に終わる。
私のデッキも妨害に特化しているし、蟲惑魔の性質的にもあっている。
私と相手がデュエルしている間に場に《《出ていない》》蟲惑魔の精霊たちがフィールドのアクション・カードを探す。
そしてそれを取らない取らせないようにあちこちに罠を仕掛け、取らせないように注意を引き付けることが私のアクションデュエルということ。
罠を仕掛ける役は場に出ている蟲惑魔と私の役目。
蠱惑魔たちは落とし穴とかを作り、私がそれに誘い込む。
もしくはアクション・カードに近い位置に私が移動し、わざと相手に気付かせてそれを取らせるように誘導したりと。
これなら観客のウケもよさそうだし、私も自分流のデュエルができるというわけ。
これをもっともっと伸ばしていけば、頂点を狙えるはず。
……まあ、今のところ蠱惑魔たちとしかできていないのが難点ではあるけど。(しかもまだまだ練習不足
私のほかのデッキ、影霊衣・ガガガファンデッキ(ホープ抜き)・テラナイトでこれをどうやったらいいのか悩みもの。
しかも、ガガガとテラナイトはまだこちらでは使えないし……。
まだまだ沢山ある問題点に頭を悩ませつつ、今日はお休みすることにする。
こっちでもガガガとテラナイト使いたいなぁ……。
見月麺日
今日も今日とてハートランドシティ探索。
いつも通りカードを拾ってはみるものの、さすがにばらつきがあって使えないものも増えてきた。
パックを買ってはみるものの、あまりいいものはでない。
ということでここらあたりで探索を切り上げ、純粋にここを楽しむ方面へ切り替えるとする。
こちらの学校へ通うことはできないけれど、瑠璃ちゃんやこちらで知り合った子供たちと遊ぶことにしよう。
油月蕎日
朝は早くに起きてのランニングと筋力トレーニング。
夕方は学校帰りのランニング。
夜に適度に筋力トレーニング。
女の子としての自覚が薄れてきたかもしれないと危機感を覚え始める今日この頃。
前世だとこの歳(八歳)でこんなことしてたら将来よくて腹筋が割れた女の子、悪くてゴリラ女になりそう。
ここは遊戯王の世界、美男美女が多いから大丈夫だと信じたいけれど、一抹の不安が私を感じる。
けどアクションデュエルをしていくためには体力も筋力も必要だし、筋肉が付きすぎたと感じたら止めたらいいよね?
麺月塩日
九歳になりました千寿優華です。
半年くらい前から遊矢君(漢字教えてもらった)とその友達の柚子ちゃんとミエル経由でお友達をやらせていただいています。
まぁ、学校が違うのでそんなに会う回数は多くないですけれど、そこそこ仲がいいと自負しております。
その縁で、彼の親である遊勝さんが塾長をやっている遊勝塾を見学させてもらったのですけれど、……うん。
なんといいましょうか、遊勝さんよりもその後輩の柚子のお父さん、柊修造さんがこれまたすごい濃い人でした。
名前通りといいますか、1に熱血2に熱血といった感じの人で、少し話しただけでも熱血という単語を何回か聞いた。
私は塾に通っていないので来ないかと誘ってもらいましたが(ミエルは占いをする塾に入っているらしい)、あまり生活費を無駄に消費するわけにはいかないのでお断りさせていただいた。(カードなどは必要経費)
……早くバイトができる年齢になりたい。
温月蕎日
今日は雨。
今日は両親の命日なのでお墓参りに行ってきた。
私に彼らの記憶はないけれど、私は彼らの娘であることには変わりないし、私を生んでくれたことには感謝しているのでこういうことは欠かさず行っている。
ただ、お墓の前で手を合わせる時に少し思う。
今この人たちが生きていたらどんな感じだったのだろう?
そう考えると、すこししんみりした。
素月麺日
もう何度来たかも覚えていないほどにやってきましたハートランドシティ。
街を歩いていたところ瑠璃ちゃんと出会った。
しばらく話をしていたところ、彼のお兄さんらしき人がやってきた。
少し目つきが怖いけれど、妹思いのいいお兄さんだと思った。
そうそう、瑠璃ちゃんによると
聞いたことないけれど、鳥と聞くと5D'sの
きっと強いんだろうなぁ……。
炒月飯日
なんだあれ。
炒月麺日
昨日、いつもいつも同じところだとさすがに飽きるので、一度しか探索していないクローバー校方面へ赴いた私。
すると途中の広場で人だかりができているのを発見。
何かな?と覗いてみれば、その中央で二人の少年がデュエルをしていました。
一人は普通の少年でしたが、もう一人を見た時の衝撃を私は忘れません。
ZEXALでお馴染みの天城カイトさんを幼くして、少し爽やかにしたような少年が、そこにいました。
あまりの出来事に私は硬直、気が付けばデュエルは終わっていました。(それで昨日の日記も一言だけというありさま
急いで彼を探すものの、もうすでに姿はなく。
仕方ないと切り替えてその日は帰りました。
しかし、遊馬も小鳥もいないのに、カイトさんだけがいるというのも奇妙な話。(まるでゲスト登場みたいな中途半端さ
いや、そういえば元々ハートランドシティもZEXALのもの。
いても不思議じゃないけれど、どうしてカイトさんだけなのだろう?
またわからないことが一つ増えて、今日の日記を終えることにする。
別のキャラもいるかもしれないので、もう一度探索しなおす必要があるかもしれない。
来週模試のため、更新が遅くなりました。
たぶん来週もあまりできないかもしれません。
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スラム街に迷い込む
新テーマに新たなトリックスター。
聖杯関連の背景など胸が躍りますね!
漫画版Arc-Vも面白い展開になってますし、今後が楽しみです。
……まあ、マスターガイド発売はずっと先なんですけどね。
◤月◤日
【朝】
十歳になりました。優華です。
最初にハートランドシティに行ったのがもう四年近く前ということに驚きつつ、それまでにあったいろいろな出来事を振り返ったりしてみる今日この頃。
思えばいろいろなことがありました。
精霊と出会い、ミエルと出会い、ハートランドシティに迷い込み、瑠璃ちゃんと出会い、遊矢君や柚子ちゃんと出会ったり……。
様々な出会いと発見を繰り返し、今日にいたることの感慨深さと言ったらそれはもう日記には記すことはできないと思う。
だからね、たぶんすっかり腑抜けていたと思うんだ、私。
四年間という時間、それがハートランドシティに迷い込んだこの異様さをすっかり日常の一コマとして受け入れてしまっていた。
だからね、今朝起きて扉を開けた時、すごい驚きました。
……なんで扉開けたらスラム街に繋がってるん?
【昼】
扉を開ければそこはスラムなどという超常現象。
若干混乱したものの、四年前と似たようなものだと思い探索を開始。
それで分かったことと言えば、ここは私の知らない場所らしいということくらい。
活気あふれるとまではいかないものの、ある程度の人はいるようで。
適当に物陰に隠れつつ、街の人たちの様子を観察する。
けれど、なんというかこう。
ハートランドシティと比べると、覇気がない、いや、元気がないように思える。
なんだろうこの違和感。
あとどうやらここは『シティ』と呼ばれているらしい。
そして、ここにはシンクロ召喚が存在していることがわかった。(たぶんシンクロ担当
ハートランドシティのことがあったからネオドミノシティ辺りでも行けるのかと思っていた私のわくわくを返してほしい。
今、この日記は適度にこのスラムを探索してる途中で、いったん家に帰って書いている。
次は夜になると思う。
【夜】
今日の調査終了。
結果としてはちょっと嫌なことが分かった。
昼から夜の探索は変装してやってみた。(そのための一時帰宅
個々の雰囲気が異様だったのも気になったし、嫌な予感がしたから。
目元を隠し、髪型も帽子で隠し、服装もいつものおしゃれではなく、目立たたないものに変える。
そうして出てみれば、……なんともまあここはひどいところだった。
まず格差社会がひどい。
シティのトップスと呼ばれている人口1%の人たちが資産の99%を独占し、その他の人間はスラム街に住むことを強制されるとかすごいディストピア。
あと噂によればセキュリティと呼ばれる警察っぽい組織につかまると収容所に入れられるらしい。
所々にちりばめられた5D's要素はうれしいけれど、さすがにこの状況では楽しめない。
さすがに動きすぎたので今日は早々に寝ることにする。
◤月►日
【朝】
まさか寝て起きても景色がそのままとは思わなかったよ。
ふとカレンダーを見てみれば連休を記す赤い日付……。
ああ、なるほどね。連休だったからまだまだ遊べるドン!ということですかそうですか。(orz
……幸いにも予定はなかったので今日も探索にあてることにする。
【夜】
今日も一日が終わる。
今日の探索結果といえば年に一度フレンドシップカップという大会があるらしいということと、その大会にでた人のうち、負けた人は帰ってきてはいないということ。
あとシンクロ召喚があるからということか、アクセルシンクロで有名なライディングデュエルも健在。
地下では違法デュエルが行われ、道路ではあのデュエル優先の迷惑システムが通常通り機能している。(今日もあったけど、結局負けてセキュリティに連行されていった。
ライディングデュエルがあることはうれしいけれど、そこでふと気が付いた。
ワタシ十歳じゃん……、年齢と身長が全然足りないじゃん……。
一応探してはみたけれど、デュエルボードはなかった。(やっぱりネオドミノじゃないからかな?
確か遊星が十八歳でアキが十六歳、龍亞龍可が十一歳だったはず。
それで双子はDホイールに乗ってなかったはずだから(アニメ)……、ちょっと厳しいかなあ。
◤月◢日
連休三日目、ある程度調べが付いたのでここからは趣味に走ることにする。
それで、今日分かったことは三つ。
一つ、ライディングデュエルについて。
5D'sではシンクロ召喚はすごい昔からあって、それと共にライディングデュエルもあったと思われる。(初代とGXにはなかったけど。
しかし、こちらでのライディングデュエルの歴史は浅く、トップスに不満を持ったコモンズの人々が始めたことがきっかけらしい。(シグナーなんてなかった。
またこちらのデュエルもリアルソリッドビジョンを使用しているため、事故が起こりやすいとのこと。(というか大丈夫? 死人とか出たりしない?
私もいつかはライディングデュエルをする予定なので、それまでにテクニックと知識を蓄えておきたいところ。
二つ、もはや恒例のカード拾い。
昨日と一昨日もいくつか拾ったけれど、今回は力を入れて探した。
結果? 結構拾うことができた。
知らないシリーズだと竜星と不知火、知っているものだとあのジャンクやシンクロン、ウォリアーなどのシリーズ。(これで遊星ファンデッキ作れるかな?
あとカードが落ちてることに疑問はないけど、もうちょっとカードを大切にしてほしいと思う。
三つ、D・ホイールについて。
ライディングデュエルには必要不可欠なこのバイク。
普通なら完成品を買い、説明書や専門誌などで整備の方法とかを学ぶべきなのだけれども、そんなものこんなスラムにはない。
トップスの所にならばあるのかもしれないけれど、この街の住人ですらない私に買えるとは思えない。(そんなお金もない
Q、つまり? A、頑張って作ってね♡
というのは冗談で、正直この点に関しては手詰まり感がすごい。
知識方面はいずれは学ぶべきなのだけれども、さすがに自作まではできない。
一からパーツを揃えて、作り方調べて組み立てる。
これだけでも一体何年かかることやら……。
◤月◆日
連休最終日。
たぶんおそらくきっと明日には帰れるはず。
かなり刺激的な四日間だったけれど、今思い返せばすごく楽しかったように思う。
特に今日はあちこち動きまわってすごく疲れた。
さすがにそこら辺をふらふらするのももったいないと思ったので、思い切ってシティの地下にあるという怪しい施設に潜入してみることにした。
伝説の傭兵のように段ボールをかぶって潜入……できたら面白かったけれど、さすがに怪しまれるのでそれはなし。
かわりに自分が気づかれにくくなる魔法を影霊衣の大魔導士にかけてもらい、それっぽい人の後ろをついていく。
監視カメラには十分に気を付けて、廊下の端から端をそそくさと、もしくはカサカサと壁に張り付くようにスニーキング。
怪しげな地下へのエレベーターに同伴させてもらい、ついたところは労働施設。
右を見ても労働者左を見ても労働者。しかもみんな明らかに強制労働させられているご様子。(後ろにかなり屈強な監視員が見張ってたし
どうかしようかと一瞬考えたものの、今助けても社会自体が変わらない限りまだまだ同じことが続くのは目に見えてたし、正直全員助けられる実力も余裕もない。
なので少しの申し訳なさを感じつつ、彼らのことは放置。
まあ、運が良かったり囚人のように期限が決まっているのならいつかは出られると思う。(たぶんおそらくきっとメイビー
そこでどうでなら何か使えるものはないかとあちこち漁ってみたところ、結構ジャンクパーツが多いけれど、中には使えそうなものがいくつか混じっているのがわかった。
ただ、私にはどう使えばいいのかわからないので放置。(そしてなぜかここにも落ちている遊戯王カード。どこかから紛れ込んだのだろうか?
D・ホイールでも捨ててないかな?と都合がいいことを考えつつ、あちこち動き回っていたのですが、どうもここに面白そうなものはないことがわかっただけでした。
仕方ないので家路につこうとしていた帰り道の途中、急に警報が鳴り響いたかと思うと警備員に囲まれる私。
……魔法の効果、切れてんじゃん。
そこからは全力で逃げました。
私の持っている技術とカードのすべてを導入して夜のシティを駆け巡りました。
アトラに糸を張ってもらって追手をからめとったり、源竜星-ボウテンコウに乗って飛び去ったり、もう一度魔法かけ直してもらったりと全力で、もう全力で逃げ回りました。
そして追手をまいたと確信して、さらに念のために回り道を使って家に帰る私。
汗を流し、夕食を食べて、体力が尽きる寸前で日記を書いている。
明日、舞網に戻っていると信じつつ、今日はお休みなさい。
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少しずつ変化する日常
⒜月⒜日
初めてシティに迷い込んで半年がたったと思う。
時間の経過は前世よりも心なしか遅く感じ、このままだとD・ホイールに乗れる年齢になるまでかなり長い間もやもやすることになりそう。
小さい頃は「早く大人になりたい」と何度か思ったこともあったけれど、生まれなおしてもう一度同じことを思うようになるとは思いもしなかった。(転生自体予想外だったけど。
あの後無事に舞網に戻ることはできたものの、扉が二週間に一度の割合でシティに通じるようになってしまった。
そのせいかは知らないけれど、ハートランドシティに行ける日も二週間に一日の割合に減ってしまったのは残念な気がする。
そういえば、前に瑠璃ちゃんに会った時どこの学校か聞かれたけれどとりあえず誤魔化しておいた。
というか言えない、学校名だけでもそれがハートランドシティ近くにないことは調べればすぐわかると思うし、そもそもあちらとこちらを行き来もできないような場所なので説明もできない。
しばらくあちらでも不思議キャラを続けよう。
その方が誤魔化しやすいし。
⒝月⒝日
最近やけに塾の勧誘のチラシが増えた気がする今日この頃。
塾に興味がないと言われるとウソになるけれど、あまり通う気がないので今のところスルー。
遊矢君たちとは会いたいと思えば会えるし、ドローの練習とかよくわからないオカルト的な行為をするのはさすがに恥ずかしいから……。
今振り返ると前世ではややインドアよりだった私も、あちこち歩きまわるせいで立派なアウトドア系女子。
もはや前世で同じくらいだったころの私をはるかに超えているかもしれない。
例えばこの前シティで屋根から滑り落ちた時、そこまで高くはなかったとは言え猫のように四肢で着地したことがあった。
あれはさすがに驚いた。
意識したわけではないのに勝手に体が動くというものを体験した。
やはりここが遊戯王の世界なのか、もうすぐで十一歳のこの体であの身体能力はすごいとしか言いようがない。
そのうち壁から壁へ蹴りあがることや、走りながらデュエルできるようになるかもしれない。
……いや、走りながらデュエルはやっぱなし、危ないから。
⒞月⒞日
事件発生。
遊勝さんが失踪した。
今日あるはずだった予定の試合に来ないどころか、現在進行形で行方不明。
今日一日じゃ何があったのかもわからなかった。
精霊たちに聞いても不明、どうやらこの街にはいないみたい。
まあ行方は早くわかるに越したことはないのだけれど、それよりも遊矢君がやばい。
観客からのバッシングのせいか、それとも父の失踪という事件のせいかかなり情緒不安定になってる。
柚子ちゃんやミエル、権現坂君(私とは最近知り合った)が励ましてるけれど、あれは立ち直るのに相当時間がかかりそう。
ああもう、今どこにいるのやら……。
⒟月⒟日
遊勝さんが失踪してからだいたい三ヶ月、今だに手がかりすらない。
遊矢君も最近では笑顔が増え、失踪のことを少しずつではあるものの受け止められるようになっているみたい。
ニュースに失踪事件のことが話題にされることも少なくなっていった。
いや、正確にはそれどころじゃないと言ったほうが正しいかもしれない。
それは数日前に赤馬零児という少年がジュニアユース選手権で優勝したことに始まる。
この少年、この舞網市で一番有名なデュエル塾、LDSの御曹司で最近まで無名だったのだけれども、この優勝を皮切りに一気に有名になった。
しかしそれだけではなく、大会後にLDSが重大発表を行った。
それは
これによりニュースや新聞は連日LDSや赤馬零児並びに融合召喚のことでもちきりになって、遊勝さんの失踪などそれらに掻き消されるように話題に上ることはなくなっていった。
待ちに待った融合がまさかあちらからやってくるとは意外だったけど、それを学ぶにはLDSに入らなければならないのはさすがにちょっとなぁ……。
幸いにも融合系魔法カードや融合モンスターは市販のパックにて販売されるとのことなので入手は簡単。
ただし、使い方を学ぶ必要があるけどね。私以外。
私も試しに買ってみたところ、融合と炎の剣士や金色の魔像といったかなり初期の融合モンスターを引き当てられた。
……けど、肝心のカードがこれじゃあ融合主体のデッキを作ることになるまでまだまだ時間がかかりそう。
もしくはきっとどこかにある融合担当の都市へ先に行ってカードを集めるのも楽しそう。
ま、どこかわからないんですけどね。
⒠月⒠日
今日はシティをぶらぶら探索。
もはや探索というよりかは散歩にちかいノリだけれども、気にせずふらつく。
あっちへふらふら、こっちへふらふら。
風の吹くまま気の向くまま歩き続けたところ、古びた孤児院を発見。
壁を登り、顔だけ出して庭の覗き見たところ、机か何かの上でカードを並べデュエルをしている子供たちを発見。
本来なら少し見て飽きたら帰るつもりだったけれど、ある少年が取り出したカードの名前を聞いた途端、少し興味がわいた。
カード名は【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】。
シンクロの名を持つドラゴン族のカード。
珍しいそのカードに惹かれ、観察すること十数分。
まあさすがにそれだけ覗いていれば気づかれるのも当然なわけで。
先ほどのドラゴンを出した子供、ユーゴと呼ばれていた少年がそばにいた緑色の髪の少女(リンというらしい)をかばうように前に出て私を警戒していました。
当然といえば当然の行動なので、まずはこちらから何かする必要がありますね。
そう考えた私は完全に壁を登り切り(今までずっと腕で支えてた、しびれた)、あのキャラのまま丁寧に自己紹介。
最初は完全に不審者扱いでしたが、私が子供ということもあって少し話せば受け入れてくれました。
今日は限界ぎりぎりまでこの孤児院で過ごし、彼らが夕ご飯になる前には帰宅しました。
それにしても、少し見せてもらったけれどあのシンクロ・ドラゴンの効果はちょっとやばい。
レベル5以上のモンスターが効果を発動、または効果の対象になった場合、それを無効にして破壊し、その攻撃力をシンクロ・ドラゴンに加えるという嫌な効果。
対策があれば別だけれど、これじゃあうかつに上級以上のモンスター効果を使うことができない。
なかなかに侮れないカードだなぁ……。
⒡月⒡日
二週間ぶりのシティ。そして二週間ぶり、孤児院のみんな。
今日も暇だったので遊びに行った。
いやぁ子供とは言え遊戯王世界、やっぱり強い。
蟲惑魔デッキでユーゴ君やリンちゃんとデュエルしてみたけど、結構勝率は五分五分くらい。
やっぱエクストラデッキ使わない戦法だと不利になるねこれ。
舞網でシンクロやエクシーズ導入し始めたら迷わずにこっちも使い始めようそうしよう。
⒢月⒢日
すっかり忘れていた遊勝さんの行方はいまだ知れず。もうそろそろ一年が過ぎようとしていた。
私も十二歳になり、来年には中学生となる年齢まで来ていた。
そう言えば今年も舞網チャンピオンシップが開催されたのだけれども、ユース選手権はあの赤馬零児が優勝をかっさらっていった。
このまま来年には異例の十五歳という若さでプロ入りするかもしれないとニュースで言っていた。
……私の勝手な予想だけど、たぶんプロ入りしそう。強キャラみたいな感じがするし。
そうそうこの前シティの孤児院で気になるうわさを聞いた。
なんでもこのスラム街に隠された秘密の通路があって、その通路の先には伝説のD・ホイールが眠っているというらしい。
まあ、もちろん伝説といっても太古の昔から存在しているとかそういうのではなくて。
ある有名なD・ホイールの製作者が作り上げた傑作ともいえる作品を、それを欲しがったトップスたちの手から隠したという。
その人が作ったD・ホイールは通常のものでも高性能で、さらに傑作ともなればどんなものなのか想像もつかないといわれ、数年前までトップス・コモンズの両方の人たちは血眼になって探していたらしい。
そんな噂、普通ならばただのうわさを切り捨ててしまいたいところなのだけれど、何が起こるのかわからないのがこの世界。
何よりD・ホイールを求めていた私にはまさに渡りに船、暇つぶしにはちょうどいいし、私も本格的に探してみることにする。
…………それはそうとすごい見覚えのある元キングのポスターがシティに溢れてる件について。
誰かいるとは思いましたがあなたでしたか……。
・原作開始まで、あと二年(⒢月⒢日終了時)
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伝説の始まり―前編―
シティにも他と変わらず夜が来る。
当然人通りも減るし、人々は明日に備えて床につき始める。
そんな時間に、なぜか屋根の上にたたずむ少女が一人。
どうもみなさまこんばんわ、千樹優華です。
いやぁ……うん、やっぱ見つからないね、伝説のD・ホイール。
右へ左へ上へ下へと探してはみたけれど、シティ中の人が必死に探して見つからないものが、こんな小娘が短期間で見つけられるはずもないですもんね。
なので、正攻法で探すのはやめます。疲れるだけだし。
古今東西どうしても探し物が見つからないとき、人は様々なものに頼ってきました。
霊視、タロットカード、ジンクスetc……。
今私が行おうとしているのもその一種。
普通なら若干引かれるようなオカルトですが、いまさらそんなことを気にしていてはこの世界では暮らしていけません。
……まあ、半信半疑なのは事実ですけど。
というわけでポケットから取り出したるは、今朝拾った適当にきれいな金属と家にあった適当な鎖をくっつけてできた私特製ペンデュラム!
遊矢君の持ってる水晶っぽいあれが少し気になってたんだよね~。
時々オカルト雑誌とかでペンデュラムダウジングなるものを見かけて、これが本当だったら失せもの探しに便利だなぁっと。
前世での的中率は悲しいものだったけれど、この世界ならきっと驚きの成果をたたき出してくれると信じたい。
「うん……」
とりあえず早速試しに振り子を揺らす。
程よい重さが指先に伝わる感じがとてもいい。
「よいしょっと」
屋根にこのシティの地図をひき、その上にペンデュラムをかざす。
「振り子さん振り子さん、伝説のD・ホイールはどこですか?」
半ばふざけつつ、振り子を揺らして地図の上を滑らせる。
西へ東へそして北へと行ったところで突然振り子の動きが止まる。
「……ん?」
右にずらす→普通に揺れる。
戻す→ビタっと止まる。
「…………うん」
目の前で発生した怪現象はさて置き、たぶんおそらくここにD・ホイールがあると考えていいのかもしれない。
地図に目印をつけ、さっそくその場所へ向かう。
幸いにもこの近くなので今夜中には見つけられるかもしれない。
「…………」
絶句、もう絶句ですわ。
目の前にあるのはごみごみごみのごみの山。
そうよね、地下にゴミ処理施設があったから全部地下にあるとばかり思ってたけど、上にも一つ二つくらいあるよね。
……まあ、木を隠すなら森の中というようにゴミの中に隠すのは間違ってはいないのかもしれないけれど、屋外なのは予想外。金属とかさびてないよね?
というわけで再びペンデュラムの出番。
「振り子さん振り子さん、伝説のD・ホイールはどこです……か…………」
振り子を垂らした途端、鎖をピンと張りやや斜め右下を指す私のペンデュラム。
重力とかその他諸々の常識を完全無視して一点を指すその有様はある意味尊敬できるけれど、もうたぶんあまり使う機会はなさそう。というか使えない、さすがに遊戯王世界でもみんな驚くわ。
……気を取り直しつつ、ペンデュラムが示した方へ進む。
ひたすらその方向へ一直線に進むと、あるゴミの山にたどり着いた。
ペンデュラムはこの下を指しており、たぶん目的地はここで間違いないはず。
「ん?」
とりあえずゴミをどかしていくと、ごみの下に不自然な亀裂を見つけることができた。
いや、亀裂というよりかは何か塗装が剥げたような感じかな。
不思議に思ってその周囲をどかして調べてみると、その亀裂の四方に見つけにくいけれど溝があった。
「これってもしかして……」
デュエルディスクを装着、トリシューラの影霊衣を召喚してそれを切り裂いてもらうと、その先に暗い底へ通じる階段が現れた。
思った通りこれは隠し扉だったよう、あまり整備はされなかったから扉の塗装が剥げていたみたい。
これは本当にD・ホイールがあるかもしれない。
そんなわくわくを胸に抱きつつ、残骸をどかして階段を下りる。
足元は薄いライトで照らされていたからかろうじてわかったものの、普段からこんな階段を使っていたらいつか足を踏みはずしてしまいそう。
それから五分くらい階段を下りて行ったと思う。
そろそろ階段を下りるのにも飽き飽きし始めたころ、ようやく階下へと到着した。
うす暗い一本の通路を足元の蛍光灯の明かりを頼りに進む。
今度はそう長くなく、すぐに行き止まりへたどり着く。
ドアノブか何かないか探していると、右手のあたりからピッと電子音。
そして横へスライドする扉。どうやら気づかないうちにタッチするタイプのスイッチに触れたみたい?
扉が閉まらないうちにさっさと中へ入る。
さっきと同じ要領でぺたぺたと壁を触っていくと同じ電子音がして、この部屋の照明がつく。
「おおぉー……」
そこにあったのはまさに工房といった景色だった。
よくわからない機械部品が散乱し、作業台と思われる大き目の机にはいくつかの工具が揃えておいてある。
取り分けて目についたのは部屋の中央にあるそれ。
私が知る前世のバイクとも、このシティにある量産型D・ホイールとも異なる風貌をした、どこか懐かしさすら感じるそのD・ホイール。
全体が薔薇のような深紅で染められ、所々に白銀のラインが走り、見るものすべてを魅了してしまいそうなほど美しいそれは、まるで誰かを待ちわびているかのようにそこに鎮座している。
初めて目にした瞬間から理解した。
これが噂のD・ホイールだと。
さらに詳しくそれを観察して思う。
このD・ホイール、やはりどこかで見たことがある?
いや、この形自体をみるのは初めてだけれども、妙な既視感を感じる。
「……ああ」
少し考えて、思い出す。
前々作の5D'sの十六夜アキが乗ってたD・ホイールに似てるんだ。
色や形はちょっと異なるけど、並べて姉妹品と言ってしまってっも違和感がないほどに通っている。
あまりベタベタ触るだけでは面白くないので、ほかのところもあさり始める私。
一旦D・ホイールから離れ、資料など何か情報になるものを探す。
こんな素人目から見ても素晴らしい物を隠さなきゃいけなかったのは、何か理由があったからに違いない。
でなきゃこの子は今頃こんなごみの下なんかじゃなく、もっと輝かしい舞台で活躍していたはずだから。
そうやって探すこと数分、作業台の近くにあった段ボールの中に日誌らしいものを見つける。
他人の日記を盗み見るのはいろいろとマズイことだとはわかってはいるけれど、あのD・ホイールのことを知りたかった私は迷うことなくそれに目を通す。
読み始めてわかったことだけれどこれは前半は日記だけれども、後半になるにつれてこれを読む人へのメッセージとなっていた。
またこれを書いた人や関わった人の名前は後からぐしゃぐしゃに線をひかれ、まるで誰かから隠すようにすべて塗りつぶしてあった。
これの全文を要約するとこうなる。
・この日誌を書いた人はシティでも有数の研究員だった。
・トップスやコモンズという差別、またこのシティの現状をどうにかしたいと考えていた。
・今から七年以上前、リアルソリッドビジョンという未知の技術をもった怪しい人物が現れた。彼は瞬く間に行政評議会に取り入り、それ相応の地位を得たらしい。
・彼は治安維持局を半ば私物化し、怪しい実験を行っているようだ。また、このころからトップスとコモンズ間の溝が深まっているように感じる。
・彼は身体を改造する実験や、特殊なチップを埋め込むことによって人間を操作するなど明らかに非人道的な行為に手を染めていた。そのことに筆者は危機感を感じていた
・筆者の周りに怪しい影を感じ始める。
・身の危険を感じた筆者は前々から研究していたカードと友人とともに作り上げた最高傑作であるD・ホイールを友人に託し、自分が囮になる。これ以降の記録はない。
以上がこの日誌の内容、そして最後のページにはこう記されていた。
『これを見つけた人間が心正しき人物であることを願い、我が友と作り上げた最高傑作と必ずや力になりうるカードを託す。
どうか彼の野望を、ジャン・ミシェル・ロジェの凶行を止めて欲しい』と。
正直、私は戸惑っていた。
安易な気持ちで見つけたこれが、そんなに思いが込められたものだとは思いもしなかった。
ていうか重い、思いだけに?
そんな寒いことを言いたくなるくらいには、私は戸惑っていた。
最初はただD・ホイールが欲しかったから探してみたけれど、このような願いが託されたものだとは知らなかったし、何より私はシティ生まれの人間ではない。
このD・ホイールはこの場所で生まれ、現状に疑問を持ち、さらにこの社会を変えたいと強く思う人物にこそふさわしいのではないかとすら思えてくる。
「帰ろうかな……」
一旦帰ろう。
難しいことはまた明日にでも考えればいい。
私にはまだ時間がある。ちゃんとD・ホイールに乗れる年齢になってもまだこれが見つかっていなければ、私が乗ってこれを作った人の願いを叶えてもいいかもしれない。
保留、とりあえず保留する。
今の私には何の力も権力もない、ただの子供。
残念だけど、これは今の私にはふさわしくない。
いつかきっとこれにふさわいい人物が現れ、この悲惨ともいえるシティの現状を変えてくれると信じている。
そう思って帰ろうとしたとき、私が向かおうとした先、つまり私が下りてきた階段から人の気配を感じた。
それも一人ではなく、複数の人がこちらへと向かってきている。
それらが私が考えていたような人物だったらいいのだけど、残念ながら足音だけでは判断がつかない。
仕方ないので電気を消して物陰に隠れる。
「できれば、このカードを使うことがないといいけど……」
懐から取り出したカードを見つめ、そう呟いてしまう。
【時の魔術師】と記されたそのカードは、ただ無機質に私を見つめていた。
次回も日記はなし。
たぶんデュエルがはいるかも?
早くコミカルに戻りたい。
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