嗚呼、本日モ晴天ナリ (アマッカス)
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chapter0 プロローグ

初心者がふとした思いつきで書いたものです。
ぶっちゃけ支離滅裂、キャラ崩壊が起きてるものです

というか青葉カワイイヤッター!球磨カワイイヤッター!をやりたいだけの人生だったな物です。




「あーづっい……」

 

夏の日差しが差し込む一室にて、溶けかけの氷が浮かぶ麦茶を喉へ流し込む青年。

顔中から吹き出す汗でベタベタになった書類から目を背け、窓の外を眺める。

 

 

「え、えーっと!海3!敵7!あ、違った!駆逐イ級……ギャァァァァ!!!!」

 

若い少女の叫び声が洋上から聞こえると同時に水しぶきが舞う。

 

 

此処は日本国防省深海棲艦対策課 ショートランド泊地。

 

近年突如侵攻を開始した未知の生命体、深海棲艦。

それと同時に護国という使命を背負った少女達、艦娘。

 

即ち、此処は彼女たちの最前線。

 

「……、中破判定かな。」

 

顎に手を置きながら、ずぶ濡れになった少女とアホ毛がぴょんぴょん跳ねる少女を見つめる。

 

 「全く……。それじゃ旗艦に伝わらないクマー。

  迅速に、そして正確に。それが索敵の基本クマ。」

 

 「ぅ~……」

 

 「でも、昨日と比べて少しずつ速くなってるのは確かクマ。

  そうやって、少しずつ少しずつ確かな一歩を踏みしめるクマー?」

 

 「はぁーい。」

 

洋上訓練を取りやめ、陸へ上がる二人。ちょうど良いと判断したのか背中の艤装を取り外し

食堂のある棟へ足を進め、他愛のない会話で盛り上がる。

 

そこへ、また別の艦娘が通りかかり、アホ毛がキュートな少女に敬礼する。

 

 「うん?」

 

 「お疲れ様っす、球磨さん。」

 

 「お疲れクマー。摩耶はこれから訓練クマ?」

 

 「うす。青葉さんがこれから対空訓練の指揮を取ってくれるって言ってくれたんでシゴかれてきますわ!」

 

軽巡洋艦球磨。第二次世界大戦にて、最後まで奮闘した重雷装巡洋艦北上の姉に当たる球磨型のネームシップ。

的確で冷静な判断、誰にも優しく、時にはおちゃらける彼女は泊地において絶対の信頼を置ける武勲艦娘である。

 

話題は変わって、今日の昼食はなんだ、訓練の調子はどうだったなど、他愛のない話をしてる三人に

青みがかった髪色をしたポニーテールの少女が近づく。

 

 

 「……お疲れ様です。」

 

 「おっ、青葉もお疲れクマ。これから訓練だって、摩耶が……」

 

 「――――その件ですが、申し訳ございません。中止とさせていただきます。」

 

 「「……えっ?」」

 

重巡洋艦青葉の唐突な訓練中止の発言に目を丸くする球磨と摩耶。

 

 「それと、最先任。司令官からのご命令です。

  重巡洋艦青葉、軽巡洋艦球磨。司令室へ来られたしとのこと。青葉は伝えましたから、着替えてからでも構いませんので出来るだけ早めに。」

 

そういうと踵を返し、すたすたと去っていってしまった。

 

重巡洋艦青葉は第二次世界大戦でソロモンの狼という異名を付けられたほどの武勲艦娘であった。

だが、姉妹艦達や仲間たちの最後を見取り過ぎたせいで、こちらではどうも弄れてしまい

近づく艦娘はあまりいなかった。

 

泊地最先任である球磨と同じ重巡洋艦の摩耶の二人以外とはあまり喋ろうともせず

任務や訓練で一言二言、必要なことを一方的に言うだけであった。

 

 「……なんか、怖いっすね?なんつーか、鬼気迫るみてえな感じで」

 

 「あ……。そういえばなーんか提督から誰かが来るって聞いてた気がするクマ。」

 

 「おっ?栄転かそれとも連合艦隊への編入が決まったとかそういうのっすかね?」

 

 「んー……」

 

手を後頭部へ持っていき、面倒くさそうな仕草を見せながら

軽巡寮へと向かう球磨はポツリと呟く。

 

 ――――球磨は青葉が前に居れば怖いものなしクマー。連合艦隊だって目じゃないクマ。

 

摩耶と訓練を受けていた駆逐艦の少女はきょとんとしながら彼女を見送った。

 

 

          ○    ○    ○    ○ 

 

 「てーとくー?入るクマー」

 

訓練中にカブった海水を洗い流し、磯の匂いが染み付いた服を変えて

身奇麗になった球磨は司令室へと足を運ぶ。

 

 「……。」

 

中では既に青葉が待機しており、汗を垂らしながら一枚の書類を見つめている。

 

 「ほら、球磨ちゃん。お前も見ておけ。」

 

 「なーんかしっとりとしてるクマ。きーったない……」

 

 「俺の汗をしっかり吸い込んだ、大本営直々の辞令だ。しっかり目を通せ?」

 

球磨は大本営から?と疑問に思いつつも、しっとりとした書類を手に取る。

 

 「……ショートランド泊地勤務、防衛省深海棲艦対策課所属堂河内吉鷹(どうこうち よしたか)中将殿。」

 

 「貴殿をラバウル基地提督を命ず……?」

 

 「はい、というわけでね」

 

青葉と球磨を見つめる青年、堂河内吉鷹中将は頭を抱え、机に突っ伏す。

 

 

 ――――これって、栄転に入んのかなぁ。

 

 「「う、うーん……」」

 

通達書には数名の艦娘を引き連れて行くことを許可されており、

新たな提督も着任すると書かれていた。

 

 「で、提督?誰を連れて行くクマー?」

 

 「ただでさえ、そこまで人数も居る訳ではないですし……本当に少数しか連れていけませんねぇ。」

 

 「あ、それは決めてる。お前達二人だよ。」

 

球磨と青葉は知ってた、という顔を見せてため息を吐く。

此処ショートランド泊地は十数名の艦娘しかおらず、年中無休で新たな人員を募集していた。

そして、泊地最大練度の球磨と青葉を連れて行くとなれば、それを引き継ぐ者をまた決めなければならない。

 

 「んでぇ!今回二人を呼んだのは――――」

 

 「どーせ、戦隊旗艦を決めて欲しいって事クマ?」

 

 「ハイ、ソウデス。僕じゃ誰を指名すればいいかなんて……」

 

 「それじゃ、青葉に良い人選が……」

 

すっと指を立てて青葉が進言する。

戦隊を引き連れて、最前線にて指揮をするとなるとそれ相応の教練や座学を受けなければならない。

それをクリアしている艦娘は日本国全体を見ても本当に僅かであった。

 

          ●    ●    ●    ●

 

 

 「……え゛っ?アタ、シが、戦隊旗艦……?」

 

司令室に呼ばれた女性に、こくりと頷く青葉。

 

 「で、でも、待ってくださいよぉ?!あたし、確かに戦隊旗艦の座学は受けましたし、訓練もそれなりにやってはきましたよ?!

  そ、それでも、なんつーか、急っていうか、心の準備が……」

 

戦隊旗艦として指名したのは青葉の副官として、教鞭、訓練

そして艦隊小隊長として数多くの海戦で活躍した対空に特化した姐御肌の重巡洋艦摩耶であった。

 

 「大丈夫です。青葉は貴方に必要な知識は全て教えたと思っています。

  それとも、もしかして……。青葉の判断が間違っているでしょうか?」

 

 「いや、えーっと、そんなつもりはなかったんっすけど……なんて言ったら……」

 

 「要は、自分が一人でやるのが怖いだけクマ。」

 

司令室のソファに腰をかけながら、麦茶を煽る球磨は少々キツめの視線で摩耶を見つめる。

 

 「今まで、自分の目の前に青葉が居たからやってこれた。だけど、これからは自分が一番前。

  それで今まで通り動けるのかどうかが怖い。だから、こうやって吃るんだクマー。」

 

 「そう、っすね。はい……」

 

 「確かに、摩耶はまだ練度不足クマ。それはもう、球磨や青葉と比べると鮭児と冷凍鮭クマ。

  だけど、青葉の下で今までやれてきたこと。何より……」

 

 「絶対な信頼が摩耶さんにあります。」 

 

球磨の言葉を遮り、摩耶に詰め寄る青葉。

一方、球磨は言葉を遮られたのが不服なのか冷蔵庫から追加の麦茶を取り出し、煽り飲む。

 

 「あ、青葉……?ち、ちょっと目が怖いぞ……?」

 

 「それはもう、少し怒ってますから。」

 

ジリジリと壁に追い詰め、摩耶の背中が壁と接触する。

所謂、壁ドンである。

 

 「今回の辞令がなければ、今日の訓練で対空戦闘課程を終わらせ、貴方を副官から解除し

  第一艦隊大隊長を譲るつもりでした。これは勿論、司令官にも報告しています。」

 

 「それがなんです?自信がない?」

 

次第に声が大きくなり、目も据わっていく。

 

 「ふざけるなってもんですよ?!最初は誰だって自信なんかありません!

  青葉だって、最初は失敗したらどうしようとか毎日毎日考えてましたよ!」

 

 「ひっ!」

 

 「青葉はですねぇ!摩耶さんの性格が羨ましかった!駆逐艦でも軽巡でも重巡でも戦艦でも空母でも!

  どんな他人でも屈託のない笑顔で、持ち前の明るさで、接してあげられる貴方が羨ましかった……!」

 

 「……。」

 

青葉の怒号を聞きながら、若干目を細める球磨と吉鷹中将。

 

 「青葉は、以前……沢山、過ちを犯しました。助けられた仲間も見捨てました。

  それを思い出すと、今も誰かと接するのが怖いんですよ……。次、同じことがあったらどうしようと。」

 

 「……。」

                 

 「ぶっちゃけ言いますと、この役割(センタイキカン)は誰かに押し付けたかったです。

  最先任や貴方、他の誰でも良かったです。それだけ、毎日恐れながら勤めていました。

  ですが、最近は違ったんです……。」

 

青葉はすっと摩耶の頬に手を当て、うっすら涙を浮かべる。

 

 「どれだけしごいても、どれだけ難題を言おうとも、決して折れず立ち上がりながら

  何度でも青葉の後ろを付いて来てくれる摩耶さんに感謝をしていたんですよ?」

 

 「感…謝…?」

 

 「はい。万が一、青葉が沈んだとしても……摩耶さんなら、青葉の代わりになってくれる。いえ……

  青葉以上の戦隊旗艦を、戦隊大隊長を務めてくれると信じて、最近を過ごしていました。」

 

 「だから、お願いします。」

 

  ――――貴方は、貴方のできる最善を尽くしてくれればいいんです。摩耶さんのように付いてきてくれる子が後ろに居るんですから。

 

屈託のない笑顔を見せ、そっと離れる。

その光景を見て、細めた目を閉じる球磨。

 

 「……青葉、さん。それ、譲ってもらってもいいっすか?」

 

摩耶は青葉の腰に下がっている指揮刀に指を刺す。

本来、指揮刀は序列を示す証。青葉の刺す指揮刀は大隊長を示すものではなく

重巡洋艦最先任を示す物であった。

 

 「えっと、大隊長用の指揮刀は別にあるのですが……」

 

 「あたしは、それがいいんです。」

 

青葉をまっすぐ見つめる摩耶の瞳はいつも青葉の後ろを付いて回る物ではなく

旗艦に相応しい自信に満ち、覚悟を決めた凛々しいもので、どうしても折れることは無いと青葉は理解した。

 

 「……こーんなお古でいいなんて物好きも居たものですね。どうぞ。」

 

カチャカチャと留め具を外し、両手で手渡す。

それに対して、摩耶は片手で受け取り、胸を張り高らかに宣言する

 

 「重巡洋艦摩耶!重巡洋艦最先任青葉に代わり、当泊地において最先任及び艦隊旗艦を勤めることを!

  提督と重巡洋艦青葉、軽巡洋艦最先任球磨の三名が帰還するその時まで誰ひとり欠落なく、泊地死守することを!

  此処に宣言致します!新しい任地でもどうかご無事で在られますよう、心よりお祈り申し上げます!」

 

若干、涙を溜めながらハキハキと宣言した摩耶に敬礼をする三人。

 

 

 

三人は少ない荷物を片手に、ショートランド泊地を離れた。

新天地ラバウルで何が起こるのか、それとも何を起こすのか。それは未だ不明なれど帰る場所がある。

 

帰る場所は、支えとなり、彼らの力となると信じ、空を見上げ……

 

 

    ――――嗚呼、本日モ晴天ナリ。

 





はい、というわけで

どうでしょうか?多分、見づらいと思います。
もしよろしければ、まだまだ続くと思いますので読んで頂ければと思います。

それでは、次回の更新でお会いできたらと。

ばーいにゃー(なぜなにナデシコ感)


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