ダブルクロスー Last Plan ー (ククルス)
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PCハンドアウト・設定

▼PC①:金剛 仁 (PL:ジョニー)

シナリオロイス:PC②

覚醒/衝動:死/闘争

 

君はある種、模範的なUGNエージェントだ。

正義感が有り、任務に実直で内外の評価は高い。

そして何より仲間を大事にしていることで知られている。

 

だが、そんな君はなにか様子がおかしい。

この事件の解決に進めば進むほど、それは大きく、歪んでいく。

それでも事件の解決の手は抜けない。

この"君のよく知った"事件の解決だけは、決して。

PC①を選択した場合、裏ハンドアウト①を確認すること。

 

=====================================

■設定

 

彼は極道の家に生まれた。

海外にも組が手を出したときに現地のマフィアとの抗争が勃発し

相手側がオーヴァードを雇っていため、金剛組は本部まで乗り込まれて全滅した。

 

本人もそこで殺されるが覚醒。

そこであとからきたフィン・ブースロイドに拾われ、

行くところもないのでUGN入り(10代前半の時)

 

フィンの手によって魔改造された滅びの刃長巻verを使う。

 

粗暴ではあるが仁義、義を大事とし友情に熱い。

 

不義を許さず悪を許さない現代の仕置人。

 

 

 

▼PC②:夢霧 葵 (PL:West)

シナリオロイス:PC①

覚醒/衝動:感染/妄想

 

君はUGNの研究科で活動する内部エージェントだ。

レネゲイドの調査・研究を主に行う研究主任である。

人との接点が乏しい君は唯一とも言える友人はそう多くはない。

 

PC①の様子が変わった原因は、君ですらも何もわからない。

一つだけ確かなのは、PC①には確固たる決意があるということだ。

君以外の全員の裏ハンドアウトが公開された際にPC②の裏ハンドアウトを確認すること

 

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■設定

 

レネゲイド研究班「アールラボ」所属、

現状では研究主任として長谷川奈津美や姫宮由里香の下で働いている。

 

長らく自分自身の力について他とは明らかに違う部分があり、

それについて疑問に思っていた。

それがレネゲイドであるとUGN研究班に知らされた時、

必然的に彼女の探究心はまず自身の能力の解明…他者の能力を励起し、

進化を遂げさせる変異種である自らに向いたのだという。

弱冠19歳にしてアールラボ主任という肩書きを得れた辺り、

その後もレネゲイドの力に魅せられ、探求を続けたに違いないのだろう。

 

あるいは、忘れかけた何か―――尤も、本人すら何を忘れたのかすら覚えていないが―――を思い出すために、必然的に研究にのめり込むことになったのかもしれない。

 

だが勿論代償もあった。

それは狭いアールラボでの勤務には当然つきものであり、

他の研究員も大体患っているもの……コミュニケーション能力の欠如、

そしてそれに纏わる友人の少なさだ。

元来没頭してしまうと周りが見えなくなる性格もこれに災いし彼女の元には

現在友人と呼べるのが、調査任務の際に助けてもらったのを機に知り合った金剛仁と、研究補助を行っている「ブロント]くらいしかいない。

強いて言えば後は上司である2人だが、これもまた癖の強いもののせいで

中々話が噛み合わない。

なんでも最近特に長谷川奈津美が結婚したのはショックで、

一体どこでどうやって知り合いどうやってそうなったのか

一切想像がつかないと漏らしている。

 

なお、両親も根っからのレネゲイド研究員。

こちらは現在も活動中であるが支部が異なる為、

あまり顔を合わせることもないようだ。

 

そんな性格であるが、これが思ったよりフランクで軽い。

しかし同時に嫉妬深く、どこか根暗な雰囲気がある。

 

 

▼PC③:楠木 奏 (PL:kukursu)

シナリオロイス:PC④

覚醒/衝動:死/憎悪

 

君はUGNで働く非戦闘オーヴァードだ。

事件の調査、情報収集、およびその整理を専門に行うエージェントである。

戦う力をあまり持たない君だが、それでも仲間達の力になりたいと思っている。

 

君はこの事件に関わった時から力をうまく発揮できない。

その原因がどうやら自分にあることもなんとなくわかるのだが

詳しくはわからない。

クライマックスフェイズの戦闘終了時にPC③の裏ハンドアウトを確認すること

 

 

=====================================

■設定

 

・人物

外部から見られた彼女は理性的であり、人格者の様にも見える。

しかし自身が抱いている自己評価はこの世で最も憎い人物としている。

惰性と思考放棄、”自分が”他者を傷付ける行為を由と出来ない。

つまり、奏にとって十八年間という時間は後悔の連続だった。

自死を望むがその勇気も、他者を傷付ける責任も持つ自信がないのだ。

 

・能力

ノイマン/ソラリスのクロスシンドロームとして登録されている。

思考や情報調査、追跡、後処理等のエキスパート。

非戦闘員として戦闘能力を持たぬ後方支援を主に活動。

UGN組織の評価は"素養に欠けるも忠実且つ、任務達成率の高さから優秀"と

望外な評価を下されている。(疑惑あり。)

 

・略歴

先天性色素欠乏症であり両性具有。

母の胎内では男女の双子であった・・・が、出産された時、

存在していたのは彼女だけである。

 

見目は美しいが日本人らしからぬその異貌から世間からは奇異の視線を集め、

両親のどちらの面影を残さぬ彼女に夫は妻の不貞を疑いその仲を引き裂いた。

奏の周囲では不可思議な現象が多発しそれもまた彼らの精神に影響を与えたのだろう。

 

奏が12歳になると、それまで薄氷の上を歩く様だった関係も終焉を迎える。

父に性的虐待を受ける様になったのだ。

例え人為らざる力を持とうと自らの腹を痛め産んだ子には違いない。

母が愛そうと努力した十数年を無に帰すように、父娘の情事を目撃する。

憎悪に駆られ夫を殺害すると奏と無理心中を図り一度は確かに死亡した。

 

がオーヴァードとして覚醒すると、衝動のまま母を手に掛けている。

ことが発覚し警察機関からUGNの突入の際にもエージェント含め重数名を死傷させるも

霧谷により"暴走事故"として処理され命を救われる。

恩義ではない、がそのままUGNに在籍。

 

※奏の能力、暴走事故に関しては情報改竄の跡がある。

 

 

 

▼PC④:街風 える (PL:悠)

シナリオロイス:PC③

覚醒/衝動:探求/解放

 

君はPC①のバディとして活動するUGNエージェントである。

そしてPC③の幼馴染である。

PC③と対象的に君は戦う力に特化した。それはある種の反動とも言える。

 

PC①の様子から君は何かを感じ取る。

それは悪い予感だ。取り返しのつかない、何かとても悪い予感だ。

しかもそれは、些細な余談も許されないことだけを強く直感させる。

事件の解決時、裏ハンドアウト④を確認すること。

 

 

=====================================

■設定

 

街風えるはFHで製造されたアンドロイドの試作機である。

とある研究所で製造されたがUGNにより研究所は潰され

試作機であった彼女はUGNに保護された。

 

保護された当初はただのチルドレンと思われたが、

精密な検査の結果精巧につくられたアンドロイドであることが判明

そのままUGNのエージェントにされた。

 

この事実を知っているのはUGN上層部だけである。

 

なお中身はわりとブラックボックス。

ほぼ人間と変わりない代謝機能と肉体性能を有する。

感情や表情の起伏に乏しく、かなり機械的(機械だし)かつ受動的。

また一般常識にも疎い。

一応人と同じように成長していたが一定年齢で見た目が変化しなくなったため

年齢は不明。

 

戦闘時は小型浮遊砲台によるオールレンジ攻撃。

当たり前のようにロボット三原則は無視される。

 

名前は自身のエフェクトの雷・風を辞書でひいて適当につけられた。

旋風→つむじ→人名に使う漢字に

Lightning→エル→可愛くひらがなに「える」にされた(本意ではない)

 

なおこの名前はアールラボで検査を受けたさいに「千城寺薫」につけられたので

いつか撃とうというメモ(いつか殺す.txt に300バイト程度 )に記録されている。

 

 

 

▼PC⑤:ブロントさん (PL:笑)

シナリオロイス:PC②

覚醒/衝動:感染/妄想

 

君はUGNに保護されたレネゲイドビーイングである。

普段はPC②の手伝いをしているが、非常時には事件の手伝いに参加することもある。

PC②と繋がりの深い他のPCたちの影響を強く受けて育った。

 

君はこの事件の調査を進めていくとあることに気がつく

PC①が、変わっていくことを。

いや、変化というのも生々しい別の何かに"成って"いくことを。

トリガーイベント①を終了後、PC⑤の裏ハンドアウトを確認すること。

 

 

=====================================

■設定

 

ネット上に上げられた様々な意志が集合し、具現化した存在。

理由あってアイドル全ての人間であり、誰でもないともいえる

彼は彼であって彼ではないのだ。

実際のところ名前は存在しないが、頭に浮かんだ名前が ブロント だったらしい

野獣先輩にしようとしたが、職員に拒否されている。もうこれ訳わかんねぇな。

言葉を武器とし、言葉を盾として戦う。言霊の力は時に全てを超える

 

ネットスラングを多用するため、若干煩いしめんどくさいが彼自身に悪気は無い。

 

 

 

 

 

 



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一話

 

 

とある街、L市。そこの夜にとある事件が起こった。

時刻は深夜11時、ビル街の一角で暴走するオーヴァード二名が

暴れたという事件が起こった。

 

それだけなら、いつもどこかで起こっているようなオーヴァード事件、

それだけで終わるはずだった。

 

UGNの一室、そこにPC達は集められていた。

呼び出したのは支部長、霧谷である。

 

 

霧谷 「今日集まってもらったのは君達に先日起こった事件の調査をお願いしたい。」

 

   「この事件なんだが、1点気になる点があってね。

    可能ならばなるべく穏便かつ慎重に調査して欲しいと思っている。」

 

街風 「つまり撃てば良いんですね。」

 

霧谷 「穏便に…。」

 

楠木 「える・・・?」

 

夢霧 「…そもそも私は研究員の筈では…?何か、特異な点でもあったのですか?」

 

金剛 「どんな人物だ?」

 

霧谷 「データベース上はFHエージェント、

    しかしどうやらそうでもないようなんだ。」

 

   「それも含めて君達に調査を依頼したいと思っている。」

 

   「僕はどうしても書類と、ごく一部の知り合いの声しか聞こえない。」

 

楠木 「調査でしたら、お任せ下さい。」

 

霧谷 「ありがとう、だから君達現場の人間に調査・判断をお願いしたい。」

 

夢霧 「…まぁ、支援なら出来ます。わかりました。」

 

霧谷 「調査が必要になる機会もあるだろう。」

 

   「特に今回の事件は、どうやらただの事件というわけではなく。」

 

   「少々込み入った事情があるように感じられる、

    だから気心の知れた君達にお願いしたいんだ。」

 

ブロント「任せておけ。」

 

街風 「つまり犯人を撃ち殺せばいいんですね。」

 

楠木 「だから、える?」

 

霧谷 (人選を間違えてしまっただろうか・・・。)

 

金剛 「あぁよく慣れている、任せてくれ。」

 

ブロント「我々に任せておけば事件は早くも終了ですね。」

 

夢霧 「……ひとまず捕縛、然る後に情報整理といったところですか。」

 

楠木 「調査と事後処理は私ですね、他のことはおまかせします。」

 

霧谷 「……少々気になる点もあるが、任せる。各員よろしく頼む。」

 

 

   そうしてPC達に一つの事件が届けられた。

   この事件が、後々各々の記憶に強く刻まれることになるのであった。

 

   そして、霧谷から依頼を受けた君達。

   それを待ち構えていたかのように、部屋の前で待機していた女性がいた。

 

   

※各自、登場侵食をお願いします。

ブロントさん:1d10

DoubleCross : (1D10) → 7

夢霧 葵:1d10

DoubleCross : (1D10) → 1

金剛 仁:2d10

DoubleCross : (2D10) → 16[10,6] → 16

街風える:1d10

DoubleCross : (1D10) → 9

楠木 奏:1d10

DoubleCross : (1D10) → 5

 

 

鷺宮 「皆さんですね?霧谷さんから依頼を受けた方々は。」

 

   「私は鷺宮、このUGNのデータベースの管理をしているものです。

   よろしくお願いします。」

 

街風 「うん、誰を撃てば良いの?」

 

楠木 「・・・える?」

 

夢霧  (sYレにならなさそう)

 

金剛 「それで、何の用だ。」

 

夢霧 「…こほん、お伺いしますね。」

 

鷺宮 (なんか、すごい怖そうな人たちですね。)

 

   「えぇ、霧谷さんから情報面でのサポートをするようにと言われています。」

 

   「ひとまず先日のオーヴァード事件の情報を整理しましたので、

   お渡ししようかと思いまして。」

 

金剛 「…そうか。」

 

街風 「情報は奏ちゃんに任せるよ。」

 

楠木 「!」

 

街風 「誰を撃てばいいか教えて。」

 

楠木 「うん、任せてっ。」

 

鷺宮 「えーっと、説明しちゃいますね。」

 

夢霧 「…お願いします。」

 

鷺宮 「犯人は二名、片方の名前が”田所 匠"もう片方が”佐々木 修平”、

    両名ともFHエージェントとデータベースに残っています。」

 

ブロント「まずいですよ。」

 

楠木 「えっと・・・お知り合いですか?」

 

ブロント「いや、似ているが違う。彼はもっと有名。」

 

鷺宮 「あまりおおっぴらに動いていたエージェントではなかったらしく、

    わかったのは名前と彼らが普段は繁華街によくいる、

    ということくらいでした。」

 

夢霧 「ブロントさん、そこはそれを挟むタイミングじゃ無いような。」

 

楠木 「何にしても、目立つ場所で随分と堂々していた様ですね。」

 

金剛 「データベースと聞き込みの情報が違うという話だったが?」

 

夢霧 「…しかし、情報が実際と違う、と?」

 

街風 (お腹すいた・・・。)

 

鷺宮 「はい、主に佐々木なのですが。」

 

   「おそらく、軽く聞き込みをすれば正体はわかると思いますが……。

    まるで一般市民かのように、堂々と動いていたようです。」

 

   「私から皆さんにお伝えする情報はこんなところになります」

 

ブロント「侍は大体嘘つきだからな。」

 

金剛 「…そうか?」

 

楠木 「新情報ですね・・・侍と。」

 

   (あれ?)

 

街風 「銃は剣よりもつよい。」

 

鷺宮 「いえ…侍かどうかh…ちょっと。」

 

夢霧 「いや、彼の言葉はあまり気にしないように。

    ちょっと表現が独特ですから。」

 

鷺宮 「あ、わかりました・・・。」

 

楠木 「言葉には力がありますから、

    何か意味があるのではないかと思ってしまいますね。」

 

ブロント「言霊の力は計り知れないからな。」

 

楠木 「・・・・・・判りますか。」

 

ブロント「あまりに文字を馬鹿にすると頭がおかしくなって死ぬ。」

 

街風 「すごいなーあこがれちゃうなー。」

 

 

    ではおおまかな事件の概要の説明を受けた君達は本格的に調査に動き出す。

 

 

楠木 「侮れない。」

 

 

 

    ――   調 査 開 始   ――

 

 

GM  まず貴方達が現在わかっている情報は、3つです。

   ①先日ビル街夜の11時にオーヴァードの事件があったこと

   ②その犯人が田所、佐々木の2名であること

   ③その二人が主に繁華街で情報が出ているらしいこと

   

   どれを調査するか、または新たに提案した情報を調査しても問題ありません。

 

 

ブロント それぞれ判定は。

 

GM  それぞれ情報です。

   ①は《UGN》か《噂話》

   ②も同様です。③は《噂話》、《裏社会》となります。

 

   それぞれの達成値は「8」です。

 

 

楠木   裏社会で出せます。

 

夢霧   UGNなら問題ないわ。

 

金剛   2を噂話で。

 

1dx

DoubleCross : (1R10[10]) → 8[8] → 8

 

 

夢霧   1かな。レネゲイド的に変な部分を調べたい。

 

5dx+3

DoubleCross : (5R10+3[10]) → 10[1,2,3,7,10]+4[4]+3 → 17

 

 

ブロント 2で。田所だし2だな。

     2を《UGN》 オリジン:サイバー(固定値+10)

 

10dx10+10

DoubleCross : (10R10+10[10]) → 10[1,2,3,3,3,6,6,6,9,10]+10[10]+5[5]+10 → 35

 

ブロント 「とりあえずggっておこう。」

 

    ブロント→「②田所、佐々木について UGNでの調査成功」

    田所と佐々木の情報をUGNのデータベースで調べたところ、

    両名がFHのエージェントという情報と表記されていたが

1点気になる情報があった。

    

    佐々木修平の情報をよく見てみると、

    どうやら不自然に齟齬が起こっているように見受けられる。

    なんらかの情報改竄が行われた形跡があります。

 

ブロント つまりホモではないし野獣先輩は関係ない。

 

夢霧 「…ひとまず、まずは社内ネットワークから見て回ろうかしら。

    しかし、現場とネットワークの情報が違うってのも面倒ね。」

 

金剛 「偶々、とはならんよなぁ。」

 

ブロント「大体管理職はクソ。」

 

夢霧 「もうちょっと遠回しに言ったほうが、

    後々裏社会でひっそり幕を閉じることになるわよ?」

 

ブロント「吉田を呼べ。」

 

街風 (夕ご飯何食べようかな。)

 

 

    夢霧→「1:ビル街での事件について 情報UGN」

   UGNのデータベースを使用し、調査を進めた夢霧はビル街での事件で

   おかしな点を見つけます。

   どうやら、その事件は何かを狙ったかのようにものもなく、

   ただ無作為に暴れただけの事件でした。

   ですが、当時その事件前にオーヴァードが暴れるような動きは

   そこからは一切見受けられません。

   前兆なく唐突にオーヴァードが暴走した、という不可解な点を君は見つけます。

 

夢霧 「ただ無作為に暴れただけ、にしては突発的ね。

    ディメンジョンゲートでもあったのかしら?」

 

 

楠木   3→《裏社会》

 

4dx10+4

DoubleCross : (4R10+4[10]) → 10[4,8,10,10]+10[6,10]+5[5]+4 → 29

 

 

    楠木→「3:二人が繁華街にいたらしい 情報、裏社会」

   人づてに、暗がりに住む住人達から情報を集めた君は

   そこで二人の情報を集めます。

   ですが、佐々木がよく繁華街に顔を出し、買い物などをしている情報は

   出てきますが田所については一切情報が出てきません。

   田所が繁華街ではあまり活動していないことがわかります。

 

楠木 「佐々木だけではなく、こちらも何かありそうですね。」

 

ブロント「やはり田所のリアルを割るというのは無理がある。」

 

金剛 「場所がわからんと手は出せんな。」

 

楠木 「確かに、難しいですね。」

 

夢霧 「新説云々の前に、まずなんでそこにいたかって所からになったわね。」

 

街風 「奏ちゃんが分からないなら私には無理。」

 

ブロント「グーグル先生も全ては教えてくれない。」

 

楠木 「・・・ちょっと待ってね、える。」

 

金剛 「むしろ教えてくれたら問題だろう…。」

 

ブロント「そうでもない。」

 

夢霧 「結局、行かない事には分からない、か…。」

 

 

GM   そして各々が情報を集めたところで本部から情報が届きます。

    内容は以下のようなものです。

 

   『繁華街にて、佐々木、田所両名の姿があったとの情報が入りました。

    至急現場に向かってください。』

 

 

ブロント「リアルで凸ってぼこるぞ。」

 

夢霧 「噂をすれば、ね。」

 

金剛 「出動か。」

 

楠木 「戦闘は・・・あまり、ですが後処理は任せて下さい。」

 

街風 「うん戦闘は任せて。」

 

金剛 「あぁ、多分忙しくなるからな、頼む。」

 

 

GM   では各々が繁華街に向かいます。

    遠目で繁華街が見えてきますが、どうやらまだ暴動が起こっている様な

    そぶりは感じられません。

 

    そしてここでUGNから佐々木と田所の顔写真が届きます。

 

 

 

 

 

 

 



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楠木 奏 の場合

忘れない。

忘れる事が出来ない。

 

これはそういう記憶。

そういう記録。

 

 

『不思議のアリス』

 

 

切っ掛けは彼だ。

この男が私を救った。

結果さえ違っていたならば、

今も私はこの場所に居たのかも知れない。

居なかったのかも知れない。

あるいは…意味もない想像だ。

 

 

UGN日本支部。

支部という収まりの良い言葉に反して

幼き私からすれば遥かに大きく、強大な組織は

とある暴走事件の重要参考人として私を保護した。

 

その大きなビルの一室に私と彼は居る。

スーツをきっちりと襟まで締め、

私を見つめる彼の眼には疲労が見える。

だけど真摯な光を宿していた。

 

「さて、改めて名乗らせて欲しい。

僕の名前は霧谷 雄吾、ここ日本支部の支部長を

させて貰っているよ。」

 

開かれた口からは想像通りの温厚そうな声が聞こえる。

ただ表面からは察することの出来ない圧力をひしひしと肌で感じた。

意図してか、それとも無意識かは分からない。

 

彼もまた私と同じ様な存在だと改めて理解して。

 

その時の私は本能のまま、怖いと感じた。

 

「君の名前は、言葉 奏ちゃん…だね。」

 

小さく頷く。

言葉を発することすら恐怖して。

 

「…説明を受けた、と思うんだけれど君自身が思っている様にその力を扱える者をオーヴァードと呼称する。」

 

「だから、あれは…不幸な事故だった。いいね?」

 

今度は頷けない。

 

「奏ちゃん、君は死を身近に体験して力に目覚めた。

まして君は感情の制御が難しい状況に立たされていた。」

 

彼は続けるのだろう。

だから悪くないのだと。

 

でも違う。

 

「そうした覚醒は度々、暴走を引き起こすんだ。

本人が望まざるともね。」

 

違う、違うのだ。

なぜ彼は自身にすら嘘を吐く。

部下の犠牲を仕方が無いと切り捨ててまで、

赤の他人…殺めた私を庇うのか。

 

「…まだ納得出来ないかい?」

 

「心を読めても、私は信用に足り得ないか…そうだね。

なら君が自身を許せないと感じるなら君の過去を。

罪を聞かせて欲しい。」

 

それは…。

耐え難い苦痛だと思った。

 

「……。」

 

「辛いだろうね。

でもね、それなら尚のこと話べきだ。

私にはないが死んだ人々には理由が必要だから。」

 

私が殺めた人々は、誰もが悪を成した訳ではなかった。

普通に生き、小さな良心に沿って。

あるいは大義と納得して行動し、そして死んだ。

 

彼の言葉に拒否権はないと諦めて、

私はぽつぽつと小さな言葉で語り始める。

 

 

=========================

 

 

私は愛が欲しかった。

他者から信頼を求めた。

 

元々、”私達”は双子の筈だった。

たった一人母の胎内から産まれた事が全て始まりだったのだと思う。

 

出産室で喜びから一転して呆然とした母の顔を私は朧気に覚えている。

覚えている筈もないのに。

 

それでも赤子の内はまだそれだけ。

大きくなり、髪が生えて、

幼少期を迎える頃になると私の面影は

母にも父にも似通らないものになってゆく。

 

父の詰め寄る声。

母の泣き喚く声。

 

あぁ、まただ。

 

自室で人形を抱き締めながら、

その不快な音が過ぎ去るのを待つ。

 

 

毎日の様に続くそれは、母にとってどんなに苦しかったのだろう。

 

 

自らの異貌に自覚はあった。

外を出ずとも周囲を見渡せば、

私と周りが違うのは理解出来るから。

 

自らが普通ではないと察してはいた。

私は”一人”ではなかったから。

聴こえるはずのない声が聴こえ、

見たくもない人の感情が透けて見えた。

 

 

それでも違和感を自覚したのはその後だ。

学校に通う様になり人と多く接する様になってその異能を理解した。

 

異貌や大人達の良くはない噂とは真逆に子供同士の関係は悪くなかった。

正しくは良過ぎたというべきだろうか。

 

互いの距離が近ければ近い程、

彼らは私と仲良く振る舞い笑顔だけを張り付かせ、時にはすれ違ったばかりの他学年の生徒までが親しい友達かの様に話掛けてくる。

 

皆が皆、恍惚とした表情を見せていて擦り寄り崇める様に。

 

流石に普通ではないと思った。

学年一つが意のままに動く様になると

その子達の両親も遅ばせながら違和感に気付いたのだろう。

 

覚悟はしていたつもりだったけれど

私ではなく、私の家族が孤立した。

 

人の口に戸を立てる事は難しく、

私は化け物と謗られ母はそれを産み落とした魔女の様に揶揄される。

私は狭い社会で広まってゆく噂を呆然と眺めるしか出来なかった。

 

人と比べ、頭が良かったらしい私は少しでも認められたくてと勉学にも手伝いも頑張って…頑張ったが更に気味悪がられていく。

 

私では為すこと全てが裏目になる。

全てが母を苦しめる。

 

そうして外に出る事を止めた。

 

せめて子供らしく振る舞い、童話を好んで読む様にした。

最初は両親を安心させたくて読み始めただけのそれは思いの他、

楽しく両親の表情も和らいだかのように見える。

 

 

私は次第に物語の主人公達に憧れ惹かれてゆく。

物語の彼らは皆、私以上の悲しい人生を歩みながらも最後は幸せになるから。

家族から、友から、愛され笑うのだ。

 

羨ましい。

 

真実、羨ましい。

悲しさには比例するだけの喜びが、

その逆もあるべきなのだ。

 

次第にそんな自分本位な感情に満たされて。

 

だから今まで口にした事のない願いを、つい口にしてしまった。

 

「愛してください」と。

 

それが最初の罪。

 

願いは叶った。

そんな独り言を聞いてしまった父は、

変貌したかの様に私を愛して壊れてしまった。

 

あぁ、でも愛されているならばそれでいい。

父の望む様に私もまた、振る舞う。喜ぶ様に。

 

 

 

 

 

気付けば陽は落ちて、窓から見える外はすでに暗闇を覗かせている。

続く情事に終わりはなく、されるがまま、その禁忌を悟りながら窓に反射した母を見る。

 

暗い瞳は何も映してはいなくて。

背中越しに母が居る事にも気付かず父は腰を振りながら虚ろに口にする。

 

「愛している、愛しているよ…奏」

 

見たこともない形相で母は台所にある包丁で父を刺した。

動かなくなるまで、何度も。何度も。

 

伸し掛かる様に倒れ、父から流れ出す父だった筈の何かを浴びながら呆然とする私に母はただ、ただ静かに微笑んだ。

 

 

その心は水面の如く。

先の顛末が嘘の様に。

 

父を私から引き剥がすと、父には目もくれず私の首に手を掛ける。

 

涙を流しながら少しずつ体重を乗せていく。

 

「ごめんね…っ」

 

気道が潰れ、息が出来なくなり。

されるがままだった私の思考とは裏腹に身体は酸素を求めて抵抗する。

 

子供の腕ではそんな抵抗は無意味ではあったけど。

 

母は更に悲しそうに力を込めてゆく。

 

「今までごめんね…奏。

愛していた…だから、一緒に…私も行くからね。」

 

あれだけ遠かった距離が。

これほど近くに母を感じ、読めなかった母の心が初めて見えた。

 

悲しみ、諦め、怒り。

そして愛。

 

私はこんなにも愛されていた。

それなのに。

 

音にならない言葉を口にしたくて。

ゆっくりと口を動かす。

 

うん、わたしもだいすき

 

「…っ、あっ…。」

 

伝わっただろうか。

そんなことを考えながら視界に幕が落ちた。

 

 

 

急激な目覚め。

無理矢理生かされる様な感覚に、

身体が酸素を求めて喘ぐ様に息を吸う。

 

周囲を見回すと、すぐ様倒れて動かぬ父と母だったそれらが目に入る。

母は握りしめた包丁を自らに突き立てていた。

 

…私は置いていかれたのか。

 

そう思えば思う程悲しくて、

全てがどうでもよくなったのだ。

感情に反応する様に私の力は暴れ始めた。

 

そこからは記憶がない、彼にはそう答えた。

でも嘘だ。

本当は覚えてる。

 

「私を一人にしないで…ッ」

 

私は二つ目の罪を侵す。

 

動かぬ者が動きだし、

生命を求めて彷徨って

貪り喰らう亡者達。

 

止まない悲鳴に流れる血潮、

生きていた筈の人々は倒れ倒れて重なって。

列を成して彷徨い歩く。

 

私を無視する様に。

私を護る様に歩く愚者の行進。

 

きっと私の力は、私の願いを叶えようと…。

仮初の生命を作ろうとした。

 

結局、一つの区間を丸ごと無かった事にして事故は納まった。

 

その過程できっと沢山死んだのだと思う。

この施設に来てから感じる悪意、

怨みや恐れが私の罪を浮き彫りにするから。

 

 

=========================

 

 

記憶していることを語り終えても、

彼の雰囲気は変わらなかった。

 

ただ静かにこう言い放ったことは、

今でも覚えている。

 

 

「なら、君には出来る事がある。」と。

 

 

私は三つ目の罪を重ねた。

 

 

 

 

 

 

 




過去話みたいな。


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