奈落の妖星、生きる骸 (あばたか)
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骸まとう龍

依頼人 骸の様な容貌の老人

@依頼内容@
あの日、村は一夜にして消えた。
海の傍で共に暮らした仲間たちも、
生まれたばかりの幼子も、みんな
奪われてしまった。何の因果か残
されたわしは、ただ一つも望みを
抱いて生きてきた。オストガロア
…奴を文字通り骸に変えてくれ。


「ここか?竜ノ墓場っつーのは」

 

骨、骨、骨。骨が積み重なり、島のようになっている。

上からわずかな光差し込む、洞窟のような場所の内部、

 

竜ノ墓場。

 

そこに足を踏み入れるはハンター。モンスターを狩る―を生業としている者だ。

と、いうことはここにもモンスターがいるのだ。

 

そのモンスターとは―

 

 

______________________________________________________________________________________

 

 

 

ある日、村は一夜にして消えた。

 

 

 

ある日、その村に異形のモンスターが現れた。

 

双頭の龍、頭が2つあるのだ。目と思われる部分からは妖しく光を放っている。

そして他のモンスターの骨を纏っている。

外観、骨格はヒドラに近く、体には大きく目立つ2つの骨がある。

これも双頭の龍のものでは無い――。

 

 

 

「逃げろー!村の外へ避難するんだ!」

 

「子供が中にいるのよ!?そんなこと…」

 

「熱いいぃ助け」

 

「お母さん!お母さん!お」

 

 

 

双頭の骸は片方の頭から青いビーム―獲物を狩るための粘着液だ―を吐き出した。

村の建物、木に人が絡められる。

 

もう片方の頭を持ち上げ、振り下ろす。

海の上の木の板、床は折れ、子供を抱えた女が海に落ちる。

せめて子供を救おうとしたのか、子供を投げたが、

双頭の後ろ、体にある穴から飛び出た粘着液に絡められる。

 

双頭の龍は頭を後ろへもっていき、背中の骨がおおきく動く。

上に、上がる。そこには、龍とは思えない異形の真の頭があった。

 

黄色く光る二つの目。眼球に縦の瞳がある。

口は頭の半分くらいの高さで中に無数の紅い牙が生えている。

 

そして青い。

 

片方の「腕」が村を破壊し、もう片方が人と建物を粘着してゆく。

そして巨大すぎる口がそれを飲み込む。

 

ほとんどは噛まれず、丸のみだった。

 

 

 

突如、頭の中心が赤黒く光る。腕から同じ色のビーム状のブレス。

残された建物は消し飛んだ。

 

そしてひときわ大きな光が頭を覆った。

一瞬、村は明るく輝いた。それは希望の輝かしい光とは異なり、

絶望に満ちていた。誰もが自分の死を悟った。

それは道端の草木も例外ではなかった。

 

赤黒い極太のビームが村を薙ぎ払い、すべてを焼き払い、

命輝かぬ絶望の地へと変えた。

 

 

 

「せめてあなた様だけは!」

「だが!しかし…!」

「早く!」

「くっ!!」

「最後にお名前を…!」

「あぁ?俺の名前!?俺の名前はドゥランだ!生きて覚えとけよ!」

 

 

 

 

「あぁ…なんということだ」

 

そこに一人の老人が立っていた。

すでに龍は去ったが、彼に怒りは見えなかった。

 

果てしない絶望、家族、仲間、すべてを失い、

「生きてしまっている」のだった。

老人は1週間、さまよい続けた。

その辺の草などしか食べるものはなく、老人は痩せていった。

 

その様は、まるで骸だった。

 

老人は、村を見つけた。

ベルナ村というらしい。

 

「これは…?私たちを襲った…?」

 

老人が問うと、茶髪の女性が答えた。

 

「オストガロアといい、骸龍、オストガロアです」

 

「……」

 

老人は決意した。

 

「オストガロア…奴を骸に…」

 

 

 

 

老人はオストガロアの討伐を依頼した。

 

6か月後…

 

1人のハンターが名乗り出た。

老人は感謝し、彼を竜ノ墓場へ送った。

 

そして、生きる骸を本物の骸へ変わった。

 

 

 

「本当に感謝します。私はもう死ねる…」

「何言ってるんだよじーさん」

「私はオストガロア村を滅ぼされ、何もかもを失いましたが、

 いままで抱えて生きてきた奴を骸に変える、というのが、も

 う叶ったのです。私は…」

「いやいや、いいっすよ。つかじーさん、名前は?おせーてよ」

 

「私の名は、……ですが…?」

 

「ふーん、俺はね…ドゥラン」

 

 

 

老人は奇跡、というものを、体験したと今も子孫へ語り継いでいるらしい。

自らが犯した過ちの中にあった奇跡、

出会いの中の奇跡、

そして、この世界そのものの奇跡を。

 

 

 

 

 

奈落の妖星、生きる骸

 

               <<終わり>>




この物語はMHXXのクエスト、「骸まとう龍」の
依頼内容から推測、妄想した物語です。


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