PACIFIC EXTERMINATION ~特生自衛隊第2海上機動部隊~ (阪奈瑞洋)
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設定集(マニアックなものが多いです。一応見なくても本編は読めます。)
各編の概要と世界観について


皆さんはじめまして、この作品の作者である阪奈急行です。
この作品は初投稿の作品なので下手な部分があると思いますが暖かい目で読んでいただければ幸いです。
投稿ペースが遅くなるかもしれないのでご了承ください。


各編の概要

 

第1編 初年度編(2018年)

主人公が基地に配属して一から部隊を編成していく最初の1年間の話。

 

第2編 艦隊創設編(2019年)

基地に新たに艦隊(艦娘ではない)が編成され(立場上は艦娘部隊の支援艦隊)、艦娘たちと共闘する話。

 

第3編 ふゆづき編(2021年)

基地に艦娘としてDD-118 ふゆづきが配属し、一人前に成長していく話。主人公はふゆづき。アニメ版(1期)をベースとする。

 

第4編 鉄底海峡編(2022年)

第3編から半年が経った主人公の基地と横須賀基地の各部隊が鉄底海峡を奪還する過程を描く。劇場版艦これのストーリーを元にしている。

 

第五編 終戦編(2023年)

全ての元凶を米軍と共に撃破する話。この話でこのシリーズは完結する。

 

 

この世界における艦娘(以下WGと呼称)の設定

深海棲艦(以下DSFと呼称)に対抗するべく異世界人の持っている技術と人類(概ね日本)の科学技術により誕生した一種の自我を持ったクローン人間。異世界人の元いた世界の守護者と呼ばれた少女たちの力を持っており、常人の1.75倍の身体能力と2倍の生命力がある。人間とほぼ同じ身体構造をしているため人間としても生活が可能。

同じWGを量産することもできるため全国の基地で全く一緒な少女が誕生することも多々あるが性格やスペックには個人差がある。

艤装の多くは彼女たちの元となった艦をベースに造られている。ただし取り回しの観点から6分の1にスケールダウンする。

 

人間界の設定

1944年までは現実と同じだが1945年の3月31日に大日本帝国は連合国に降伏している。その結果史実のように以降の海戦・空襲等で沈んだ艦船は沈没を免れたがサンフランシスコ平和条約が締結されるまで連合国軍に接収されていた。この接収されていた艦船は日本の主権回復後、自衛隊の発足と同時に日本に返還されている。

これら返還された艦船は護衛艦として幾度の改修を経て最終的にミサイル護衛艦としてこんごう型が就役する90年代まで現役だった(但しこんごう型は日本初のイージスシステム搭載艦では無い)。

1954年にはゴジラが東京に襲来。返還された自衛隊の艦船が応戦したが、複数の艦船が放射熱線により炎上・沈没する。その後ゴジラ出現による世界的な生態系の乱れにより様々な怪獣が現れ、その都度陸海空の自衛隊により撃退・駆除されてきた。1966年には特生自衛隊法が施行され特生自衛隊が創設されたため怪獣駆除は特生自衛隊が行うようになる。

1990年代に入るとレイバーが大量に製造され、さらに1998年には当時警察で使用されていた98式レイバー『イングラム』の陸自仕様である『ヘルダイバー』を陸自と特自が配備。その後は2003年と2004年に三式機龍とゴジラが戦っている。

また、2010年には9条関連の憲法改正がなされていたり、国連の活動に消極的な反面、友好国との関係を重視していることで国際的な信頼を確立している。

政治、防衛以外の点では1999年から2004年にかけて呉港と広島湾の沖合に三つの人工島から成り立つ海洋新都市瀬戸内新都市が開発され、特生自衛隊の基地が新設されている。

 

 

時系列(2000年以降の特生自衛隊関連の動向)※2018年以降は瀬戸内新都市基地の動向が中心になる。

 

2003年以前

・1999年に機龍の製作が決定、それと同時に二体目となるゴジラが45年ぶりに出現し千葉県館山市に上陸。特生自衛隊のメーサー部隊が迎撃に向かったがゴジラの侵攻を止めることはできなかった。

・2003年に再びゴジラが出現し八景島、品川に襲来。特生自衛隊は最新型の対特殊生物用兵器として開発した二機の三式機龍のうちの骨格にゴジラの骨を使ったα型を出動させて損傷率34%で追い返す(途中でα型が暴走するトラブルがあったが完全人工製造のβ型により阻止された)。

・レイバーの運用コスト増大や戦術思想の変化により全国の空挺レイバー団が廃止される。

・1999年から瀬戸内新都市の開発が始まり、2001年には高層マンションや高級住宅が立ち並ぶ竹ヶ丘区が完成し分譲が始まる。2003年には重工業が発達した北区が完成する。

 

 

2004年

・品川にゴジラが再び襲来。特生自衛隊は三式機龍α型を改良した三式機龍改と機龍‪α‬型の放棄を促しに飛来したモスラたちとの共同戦線を構築して対抗、最終的に機龍改がゴジラと共に日本海溝に沈んだことによりゴジラとの戦いを終える。

・残ったβ型はこの年に完成した瀬戸内新都市中央区に隣接する瀬戸内新都市基地(当時)に配備された。

 

 

2010年

・憲法及び自衛隊法の改訂・改正により積極的防衛(不審船・領空侵犯機には当事者の判断による先制攻撃を可能とするなど)化、また憲法に自衛隊が明記された。また、これに合わせ特生自衛隊法も改正され、作戦行動範囲が拡大された。

・さらに国連に対する拠出金を10分の1に減らし、国連の運営に影響を与えるが、日本は独自の外交ルートを駆使したことで影響を最小限に抑えた。

 

 

2013年

・ハワイ沖で異常な地殻変動が発生、それにより形成された地殻の裂け目(異世界への入口)から謎の武装海洋生物群が現れる。

・米国の第三艦隊が応戦するが相手の物量攻撃により多数の艦船が撃沈し、さらに多数の犠牲者を出すという敗北を喫してしまう。更にハワイ本島にも上陸し、住民にも犠牲者が出る。奇跡的にその生物たちを真珠湾近郊には侵攻できなくしたがアメリカ政府によってハワイ州が放棄される事態に。他にも南太平洋の島々がその生物たちの被害を受ける。

・国際連合の安保理でこの異世界の生物たちを深海獣(英語表記:Deep Sea Beast 略称:DSB)と呼称し始める。一方国連での活動に消極的な日本は独自に深海棲艦(略称:DSF)と命名・呼称し始める。

・この騒動により西太平洋沿岸の国々は物流ルートを大西洋回りのルートに取らざるを得なくなった。

・ハワイ本島侵攻から5日後、小笠原諸島で10cm大の人型生物が大量に発見、保護される。

 

 

2014年

・日本近海にDSFが侵攻、ゴジラなどの怪獣との戦闘で鍛えられた陸海空自衛隊と特生自衛隊の迎撃により侵攻した分のDSFは全滅。

・内閣と国会は特生自衛隊の環太平洋諸国への派遣は憲法改正後に定められた特生自衛隊の活動範囲(西太平洋沿岸、及びハワイ島以西)内でのみ許可するとして特生自衛隊にDSFの殲滅を下命。

・前年に小笠原諸島で保護された小人は政府により異世界人と正式に命名される。特生自衛隊は彼らと共同で対DSF用歩兵として艦娘(WG)を開発、そして彼女たちを運用するため横須賀、瀬戸内新都市、大湊、舞鶴、佐世保、伊丹に実動部隊である海上機動部隊という海上戦闘から強襲揚陸まで出来る海兵隊じみた部隊(伊丹は特殊機動部隊)を創設する。異世界人たちは特生自衛隊の海上機動部隊専用技術者として各地の基地に配属された(後でわかったことだが日本以外で異世界人が現れた国はなかった)。

 

 

2016年

・総理大臣が暗殺未遂で倒れ、自衛隊の活動に消極的な代理の総理が誕生、下命が取り消される。

・その影響で沖ノ鳥島と南鳥島の制海権が奪われてしまう。

・怒った国民が政権打倒のデモを展開。

 

 

2018年

・国民によるデモや与野党からの反発、そして倒れた元総理が復帰したことによって代理は失脚、再び積極的防衛を推し進める政権が復権した。

・しかし、この時期になると与那国島も制海権から外されるといった事態にまで発展していた。

・その後、特生自衛隊は人事を変更し、新たに航空自衛隊から自衛官を派遣する。

・年度末には与那国島を奪還するための作戦である「オペレーション・サンセット」が開始され、与那国島までの制海権を奪還した。

 

 

 




どうだったでしょうか。
自分なりに設定が細かいと思っています(中には自分の思想も入っています)。
次回はこの話に出てくる組織や人物(普通の人間のみ)の紹介です。


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主な登場人物(普通の人間)と組織の紹介

二つ目を投稿しました。
今回は予告通りこの話に出てくる主な人物と組織の紹介です。


瀬戸内新都市統合司令基地

正式名称は「防衛省特生自衛隊第3防衛隊所属瀬戸内新都市統合司令基地」である。呉港と広島市から橋と海底トンネルで結ばれた人工島都市『瀬戸内新都市』に隣接している。海上機動部隊(FG隊)と基地航空隊(第三航空隊、第二救難隊、第一輸送隊、第五哨戒隊)と陸戦隊(メーサー隊も含む)と機龍隊が1箇所に集まっており、後に特自艦隊も編成される。

 

中田 龍一(なかた りゅういち)

このシリーズの主人公。航空自衛隊のエースパイロットである。縁があって瀬戸内新都市統合司令基地の総監として特生自衛隊に派遣される。

年齢:30歳

 

身長:183cm

 

階級:三等空佐→3等特佐→2等特佐→特将補→特将

 

経歴:大阪生まれ。私立の名門中高一貫校から防衛大学校に進学し航空自衛隊に入隊。あちこちの基地で基礎訓練をした後小〇基地にパイロットとして配属し、その後〇城基地に転属するが3ヶ月後に一等空尉に昇格して推薦を受け、特生自衛隊に3等特佐として入隊、瀬戸内新都市統合司令基地総監及び第三海上機動部隊司令として瀬戸内新都市統合司令基地に配属する。その後数々の功績を立てたため最終的に特将まで上り詰める。

 

特徴:戦闘機や軍艦などの知識が豊富。

:F15Jから最新式のF3Aの操縦ができる(しかも凄腕)。

:魔改造が好きである。

:飲酒や煙草はしない。

:後の特自艦隊司令官も兼任することとなる。

 

性格:基本真面目で常識がある。

:基本優しくて面倒見がいいので自分の基地の艦娘たちに好かれることになる。

 

 

相田翔(あいだ しょう)2等特佐

陸戦隊の隊長で攻撃ヘリ隊の隊長でもある。年下の中田を軽視せず寧ろ兄弟のように接している。何故か艦娘に慕われている。

 

年齢:34歳

 

身長:180cm

 

特徴:けっこう艦娘部隊の敷地に入ってくる。

 

好物:ドンパチ

 

 

細田弘一(ほそだ こういち)3等特佐

基地航空隊の隊長で戦闘機隊の隊長でもある。

 

年齢:33歳

 

身長:183cm

 

特徴:よく相田と一緒に艦娘部隊の敷地に入ってくる。

 

 

特生自衛隊

正式名称は「防衛省対特殊生物自衛隊」。1966年創設。日本を特殊巨大生物(俗に言う怪獣といわれる生物)の脅威から守る自衛隊だったが深海棲艦といった怪獣のようで怪獣ではない異形の特殊生物が出没したことで更に活躍し始めている。略称は『特自』である。元ネタの『ゴジラ×メカゴジラ』シリーズのものと違い陸海空の部隊がある。そのため基本的に自衛隊とは別に作戦を実行するが、陸海空の自衛隊の支援を受けることもできる。また、国家による国内への侵攻といった有事の際には緊急手段として他の自衛隊との共同作戦を行うことも内密だが想定されている。2018年現在、八王子に統合司令部が、横須賀、舞鶴、瀬戸内新都市、佐世保、大湊、伊丹に海上機動部隊もしくは教導部隊と各基地の司令部(その他の部隊は併設されている基地もあれば最寄りの自衛隊の基地を共用している基地もある)が設置されている。

 

三宅浩一(みやけ こういち)統合司令長官

中田が配属した時の統合司令長官で12代目の統合司令長官である。

 

年齢:62歳

 

身長:178cm

 

前配属:特生自衛隊第五防衛隊所属佐世保統合司令基地

 

特徴:髭は生やしておらず黒髪で禿げていない老紳士。書類を見る時だけ眼鏡をかける。

:中田に肩入れしており、後の護衛艦隊基地の横須賀呉案の提案者。

:昔メーサー隊の隊長として怪獣と戦ったことがある。

 

 

武本泰彦(たけもと やすひこ)2等特佐

横須賀の総監で中田の生涯の戦友となる人物。しかし最終的にソロモン諸島沖で殉職する。

 

年齢:31歳

 

身長:185cm

 

配属:特生自衛隊第一防衛隊所属横須賀統合司令基地

 

特徴:いつも眼鏡をかけている。

:中田と同じく真面目。

:アメリカで訓練したことがあるため英語は喋れる。

:妻と1人の子供がいる。




どうだったでしょうか。
今回は一部ですが話が進むにつれて登場人物も増えていくのでその都度後書きで紹介します。
因みに前述していますがこのシリーズの特生自衛隊は『ゴジラ×メカゴジラ』、『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』に出てくる特生自衛隊とは立場上同じ組織ですがオリジナルに比べて装備・人員が大幅に増えています。
次回はこの作品に出てくる兵器を紹介します。


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装備の紹介

今回はこの作品に出てくる主な戦闘装備の紹介です。
正直僕の妄想やオリジナル兵器だらけです。
但し、ここに掲載されている物はこの世界の特生自衛隊の主な装備というだけで全部出るとは限りません。


基地航空隊

主に海上機動部隊の航空支援を行う部隊。そのため制空に加え対艦攻撃や爆撃ができるようマルチロール機が主戦力となっている。

 

F-2A戦闘機

防衛省と〇菱重工がアメリカのF-16をベースに開発した航空自衛隊と特生自衛隊の戦闘機。中田が空自時代によく搭乗していた機種である。元々特生自衛隊用に配備する戦闘機として設計されていたが航空自衛隊の支援戦闘機が老朽化していたため航空自衛隊仕様も開発、配備された。そのため配備数が航空自衛隊仕様が90機程度とかなり少ないのに対して主力戦闘機として配備された特生自衛隊仕様は150機と配備数にかなりの差が出た。ステルス性能と高い機動力を備え、また空対空ミサイルや対艦ミサイル、通常爆弾を搭載できるマルチロール機である。特生自衛隊仕様はさらにハープーンと対特殊生物用誘導弾を搭載できるようにもなっている。

現実の機体との違いはAGM-84(ハープーン)が装備可能な点と95式対特殊生物用誘導弾(※1)、98式対特殊生物用誘導弾(※2)を搭載できる点。

 

※1:95式対特殊生物用誘導弾

特生自衛隊が90式空対空誘導弾をベースに開発したミサイル。配備当初は対物ミサイルとして運用されたがベースが対空ミサイルのため威力が弱かった。そのため、後継のミサイルが開発されてからはシステムを書き換えて対空ミサイルとして運用されている。

 

※2:98式対特殊生物用誘導弾

特生自衛隊が93式空対艦誘導弾とハープーンをベースに開発したミサイル(ハープーン型は2002年に採用)。ベースが対艦ミサイルのため従来よりも威力は桁違いに高い。例えるなら95式が駆逐艦級の深海棲艦単体にしか対応できないのに対してこちらは重巡級で構成された群れ(3体)を1発で撃破できる能力を持つ。

 

 

F-4EJハイパー改

航空自衛隊が四半世紀以上運用していた戦闘機。F-35Aが航空自衛隊の新型戦闘機として配備されたため特生自衛隊の戦闘機として機体素材の大半をボーイングの旅客機B787に使われた炭素複合繊維に換え、エンジンをF-15J改と同じエンジンにし、アビオニクスをF-35と同じものに改修するという魔改造を実施して再配備された代物。愛称は『翼付きジェットエンジン』。

現実の機種との変更点は、95式対特殊生物用誘導弾、98式対特殊生物用誘導弾、12式対特殊生物用誘導弾(※3)が搭載できる点と最高速度と巡航速度。

 

※3:12式対特殊生物用誘導弾

特生自衛隊がマーベリックをベースに開発した対地ミサイル。主に陸上型の深海棲艦と怪獣といった巨大生物に対して使われるミサイルである。従来の対特殊生物用誘導弾の中でトップクラスの爆発力を持っている。

 

F-3A戦闘機(架空機なので説明が長いです。すみません。)

防衛省と多数の民間企業が開発した純国産の戦闘機である。2018年現在、航空自衛隊と特生自衛隊で運用されている前進翼機である。航空自衛隊ではF-2の後継機として配備されているが、特生自衛隊ではF-2の増備型として配備されている。航空自衛隊仕様機と特生自衛隊仕様機で外見は大きく異なっており、航空自衛隊仕様機は現実のATD-Xを大型化した感じなのに対して、特生自衛隊仕様機はシューティングゲームの『ACE CONBAT Assault Horizon』で航空自衛隊の戦闘機として登場したF-3 震電Ⅱそのものである。塗装は洋上迷彩で、震電Ⅱの愛称がある。

最大速度はM2.5、航続距離は5,000km、エンジンは国産のF5-IHI-2(架空)というアフターバーナー付きターボファンエンジン2基を上下に配置。固定武装はJM61A1 20mmバルカン砲が1基、対空ミサイルは短距離射程空対空ミサイルがAIM-7(サイドワインダー)と90式空対空誘導弾 (AAM-3)と04式空対空誘導弾(AAM-5)、中距離射程空対空ミサイルが99空対空誘導弾 (AAM-4)と16式空対空誘導弾(AAM-6)(架空)を4発(ウエポンベイ2発、主翼下ハードポイント2発)、対艦ミサイルについては93式空対艦誘導弾 (ASM-2)と16式空対艦誘導弾(ASM-3)[XASM-3]を4発(主翼下ハードポイント)、対特殊生物用誘導弾は95式対特殊生物用誘導弾と98式対特殊生物用誘導弾と12式対特殊生物用誘導弾と18式対特殊生物用誘導弾(※4)をそれぞれ4発、通常爆弾は91式爆弾とJDAM 500lb誘導爆弾を搭載できる。

 

※4:18式対特殊生物用誘導弾

特生自衛隊が16式空対艦誘導弾をベースに開発した史上最強の対特殊生物用誘導弾。マッハ3以上で飛行し、通常兵器や98式対特殊生物用誘導弾では単発撃破が難しかった空母・戦艦級やelite・flagship、姫級(水上型)や鬼級の群れを1発で撃破できる破壊力を持っている。ただし値段が98式の3倍近くする。

 

 

E-2D早期警戒機(AWACS)

空中戦には欠かせない航空機。しかしこの話で登場するかどうかは不明。

 

 

P-1哨戒機

日本が独自開発し、海上自衛隊と特生自衛隊が運用している哨戒機。現実の機種との変更点は通常兵器に加え98式対特殊生物用誘導弾(ハープーン型)、12式対特殊生物用誘導弾、15式対特殊生物用魚雷(※5)が搭載可能な点。

 

※5:15式対特殊生物用魚雷

特生自衛隊が93式魚雷をベースに開発した対特殊生物用兵器。誘導方式はベースと同じ。

 

 

基地防空用地対空誘導弾

航空自衛隊と特生自衛隊が配備しているミサイル。その名の通り基地を敵機の攻撃から防護するための装備である。特生自衛隊仕様は対特殊生物化されている。

 

 

陸戦隊

 

※AH-1Z攻撃ヘリコプター

陸上自衛隊が実際に配備しているAH-1S対戦車ヘリコプターの最新型。アメリカ海兵隊が実際に配備している。通称はヴァイパー。メインローターが4枚に増設されたり、エンジンが改良されたため2枚ローターの従来型に比べ機動性が向上し対空にも使用できる。また、米海兵隊向けに開発されているため水面下での戦闘も可能。特生自衛隊の主力攻撃ヘリコプターでオリーブドラブ色と空自の青系洋上迷彩色と海自のグレー系洋上迷彩色がある。基本性能や仕様は全て同一だがオリーブドラブ色のみキャノピー形状が曲面ではなく従来の陸上用戦闘ヘリと同様に平面で構成されている。海上機動部隊に近接航空支援(CAS)用として洋上迷彩色機が、陸戦隊にはオリーブドラブ色が配備されている。また、全機が対特殊性物弾を搭載できる。製造は川〇重工が担当。

 

以下は実物がある、または架空でもゴジラシリーズに登場した装備のため説明は省きます。

 

90式メーサー殺獣光線車

 

90式戦車

 

99式155mm榴弾砲

 

12式地対艦誘導弾

 

10式戦車

 

87式戦闘警戒車

 

82式指揮通信車

 

74式小型車

 

高機動車

 

各種トラック

 

偵察用バイク

 

88式地対艦誘導弾

 

03式地対空誘導弾

 

UH-60JA多用途ヘリコプター(通称ブラックホーク)

 

OH-1偵察ヘリコプター(通称ニンジャ)

 

 

 

海上機動部隊※ここでは艦娘(FG)を支援する航空機や艦艇の紹介のみ

 

 

AH-1Z攻撃ヘリコプター

概要は陸戦隊の欄に記載

 

C-130R

国内外での中・小規模な作戦、もしくは大規模作戦での斥候部隊の輸送、展開に使われている。

 

SH-60K哨戒ヘリコプター

海上自衛隊と特生自衛隊が運用している哨戒機。哨戒に加え基地・艦艇からの艦娘の輸送、展開にも使われている。また状況によってはAH-1Zと同様にCASの任務に就くこともある。

Mk-46短魚雷、12式短魚雷、15式対特殊生物用短魚雷、150kg対潜爆弾、150kg対特殊生物用爆弾(150kg対潜爆弾の炸薬を対特殊生物用炸薬に替えただけ)、AGM-114MヘルファイアⅡ、AGM-114MS対特殊生物用ヘルファイア(普通のヘルファイアⅡに対特殊生物用炸薬を搭載したもの)といった多彩な武装を搭載できる。

 

UH-1Y多用途ヘリコプター

海上機動部隊にのみ配備されている多用途ヘリコプター。部隊の輸送・展開とCAS任務両方で運用が可能なSH-60Kとは違いこちらは専ら部隊の輸送・展開に特化している(搭載可能な武装がロケット弾と機関銃と貧弱なため)。

 

UH-60J救難・汎用ヘリコプター

陸海空の自衛隊で実際に配備されているヘリコプター。こちらも本来の救難に加え部隊の輸送・展開に使われる。

 

MCH-101

海上自衛隊で使用されている掃海・輸送ヘリコプター。

基本性能は海上自衛隊の機体と同じ。艦娘の輸送、展開に使用。

 

 




どうだったでしょうか。
※が付いている兵装と一部の航空機は僕の妄想やオリジナルです。
また、ここにはなかった兵装が出てくることもあると思うのでその都度、登場した各話の後書きで紹介します。
ちなみにこの世界の日本では全国の道路は90式戦車等重量級の装備が自走できるように改修されています。

さて次回はいよいよ本編です。
次回、初年度編第1話『スクランブル』 お楽しみに!


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1.初年度編
第1話 スクランブル


ついに本編です。
今回は主人公が特生自衛隊に派遣される前の話です。



地球上で最も広い海、太平洋。そこには多くの生態系が存在する美しい海である。

だがしかし、今この海はある特殊生命体に奪われている5年前の2013年にハワイ沖に突如として現れた武装した謎の生物群のことである。国連はそれらをDSF(Deep Sea Freet)と命名し、怪獣と同様に特殊生物と分類した。DSFには駆逐艦級から巡洋艦級、空母級、戦艦級までがいるということが既に各国により確認されており、太平洋に面した強大国のA国やC国はそれらに対抗したが返り討ちに遭いその結果多くの国々がシーレーン(制海権)を奪われた・・・

しかし、DSFに真っ向勝負を挑んだ国が出る。国土を海に囲まれ、科学技術が発展し、毎年のように巨大怪獣と戦っていた国、日本である。

DSFが日本近海で確認された時点で日本政府は対特殊生物自衛隊、通称『特生自衛隊』に殲滅を下命。既に憲法改正で陸、海、空の装備が揃えられていた特生自衛隊は以前の怪獣退治屋から外国から要請があれば集団的自衛権を行使して駆除する組織へと変わった。そんな組織でDSF用歩兵として開発されたのが現在、各国の軍艦の魂を持ち、水上を自在に滑りながら特製のスティックで敵をぶった斬り、血の滴る寿司を作る天才料理人(と呼ばれている)、WG(Warship Girl)である(所謂艤装と呼ばれる兵装を装着し強靭な肉体と精神を駆使しDSFたちを容赦しないまさに人☆間☆武☆器☆娘のこと)。

特生自衛隊は彼女たちを全国に点在する基地に配備、DSFに対して反抗戦を展開し、最終的に平和な太平洋を取り戻した。この話は一人の戦闘機乗りが日本を勝利へと導いた物語である。

 

 

ここは大分県にある航空自衛隊〇城基地、ここには領空侵犯をする航空機を見つけ対処する航空隊がある。

 

「今日はアラート待機か。」

 

そう言って僕は後輩の空士長とアラート待機室に向かう。今は午前9時、これから明日の9時まで僕はアラート待機をしなければならない。

 

「二十四時間同じ部屋にいるのはきついですね。」

 

空士長が四月の快晴の青空に向かってぼやく。

 

「でも僕らは自衛官だ。弱音なんてはいていられない。」

 

「そうですね。」

 

既に部屋には別の3チームが待機していた。新聞を読んでいたりほかの隊員と会話をしているのもいた。

 

「おっ、中田じゃないか。同じアラート待機になるとはなぁ。」

 

同期の友人が話しかけてきた。

 

「ああそうだ、一日よろしく。」

 

「そういえば聞いたか中田。また貨物船が『ヤツラ』に襲われたらしい。」

 

「ホントかよ!日本の船か?」

 

「いや、C国の船だとさ。」

 

「何だよ、驚かさないでくれよ。」

 

「まぁ日本は『ヤツラ』を殲滅するための部隊が活躍を始めてからはそんな事件はめったに起きなくなったからな、驚くのは当然か。」

 

「今じゃ太平洋側どころか東シナ海にも『ヤツラ』の存在は確認されてきているのにC国ときたら日本への領空侵犯を続けているからね。気が知れないよ。」

 

「「同感だ」(です)。」

 

何か同期と後輩がハモったが気にしないでおこう。

会話が一段落したところで自己紹介をしよう。僕はこの話の主人公の中田龍一。航空自衛隊のエースパイロットだ。ミリタリー以外にも様々な知識を持っているということで色々な人から頼りにされている。戦闘機は航空自衛隊で最古参のF-4EJから最新鋭のF-3AやVTOL機まで操縦でき、さらにテクニックが凄すぎるということでみんなから天才と呼ばれている。ちなみに階級は三等空佐だ。

こんな感じで僕らはスクランブルアラートの時を待っていた。そして遂に出動する時が来た。

アラート待機室にサイレンが鳴り響く。僕と後輩は反射的に座っていた椅子から飛び出し、待機室に隣接している格納庫へ走りだす。格納庫にはこの基地の主力戦闘機であるF-2A戦闘機が格納されている。A国の戦闘機をベースに日本が開発した機体だ。航空自衛隊の戦闘機は制空メインの戦闘機と対艦/対地攻撃もできる戦闘機の二つのタイプがあり、F-2Aは後者のタイプだ。そのため塗装が洋上迷彩という二種類の青を使った迷彩になっている。この塗装は陸上ではかなり目立つ塗装だが海上だと目立ちにくい塗装だ。最新鋭のF-3Aにもこの塗装が施されている。

僕は整備員にラダーという梯子を支えてもらいながら上ってコックピットに乗り込みシートベルトを締めヘルメットを被り空気マスクを着けると直ぐにエンジンをスタートさせキャノピーを閉める。格納庫のドアが開いたので各部の動作を確認してから機体を滑走路へ走らせる。後ろからは後輩の機体も付いてくる。

 

《バイパー01(バイパーというのはパイロットのコードネームである)、スクランブル指令、方位250度、高度30000フィートまで上昇、チャンネル1でレーダーサイトとコンタクト。》

 

管制塔の管制官が概要を伝えてきたので僕も復唱する。

 

「バイパー01、方位250度、高度30000フィートまで上昇、チャンネル1でレーダーサイトとコンタクト。」

 

復唱する間にも僕はコックピットから見える範囲で機体に以上がないか視認する。

 

《バイパー01、その通りです。》

 

どうやらうまく伝わっていたようだ。

 

《バイパー01、風は微風、滑走路07からの離陸を許可する。》

 

「了解、離陸する。」

 

離陸許可が出たため僕は滑走路に入る。後輩の機体が入ってきたところで僕はアフターバーナーを焚きスピードを上げ離陸する。

 

「こちらはバイパー01、離陸した。」

 

実はこの時既にレーダーサイトと通信をしている。

 

《バイパー01、無線機の感明度良好、レーダーで補捉した。方位250度、高度30000フィートに上昇せよ。》

 

「バイパー01、了解。」

 

そして僕と後輩は30000フィートまで上昇する。侵犯機を発見しやすくするためだ。

 

《目標機の方位は250度、距離200マイル、針路120度、速度280ノット、高度15000フィート。》

 

「バイパー01、了解。」

 

レーダーサイトから侵犯機の位置や速度、高度が伝えられてきたので僕らは機体を傾けて指示された方向に移動し侵犯機を探す。

暫くすると僕の機体のレーダーが航空機を発見した。

 

「方位250度、距離80マイル、高度15000フィートを飛行する目標をレーダーで捕捉した。」

 

すぐにレーダーサイトから返事が来る。

 

《それが目標機である。目視確認急げ。》

 

「バイパー01、了解。」

 

そう言うと僕らは目標機に接近するため速度を上げ侵犯機のいる方向へ向かう。

暫くするとターボプロップ4発の日本には無い輸送機を視認した。僕らはその機体がはっきり見える距離まで接近する。その機体にはC国の軍隊を示すマークがあった。

 

「目標機の国籍はC国、針路120度、高度15,000フィート、速度280ノット。」

 

僕は目標機の国籍、針路、高度、速度をレーダーサイトに伝える。

 

《了解、国籍C国、1機、針路120度、高度15,000フィート、速度280ノット。領空まで35マイル、通告を実施せよ。》

 

通告の許可が降りたのですぐにその航空機に無線を繋いで通告をする。

 

「東シナ海上空を飛行するC国機に通告する。こちらは航空自衛隊である。現在貴機は日本の領空に接近中である。直ちに逆方向に変針せよ!」

 

こういった内容を僕は英語、後輩はシナ語で繰り返し伝える。

しかし目標機に変化はなかった。

 

「対象機の行動に変化なし、写真撮影を実施する。」

 

そう言って僕はカメラを取り出し、(あぁ、また領空に侵入するんだろうな)と思ってその機体の写真を撮る。

すると、その機体は突然旋回を始め接続空域を離脱していった。

 

「航空機は転針した。」

 

僕はすぐにこのことをレーダーサイトに伝える。

 

《目標、接続空域外、通告中止、行動の監視を実施せよ。》

 

「バイパー01、了解。」

 

そして僕と後輩は監視を行う。

そして五分ぐらいたった頃、

《バイパー01、RTB》という帰投を示す通信が来た。

 

「バイパー01、了解。」

 

そして僕らは周辺を確認してもと来た空路を辿って基地に戻る。

暫くすると基地が見えてきたので無線機のチャンネルを管制塔に替える。

 

「こちらバイパー01、着陸許可を願う。」

 

《バイパー01、滑走路はオールグリーン、着陸を許可する。》

 

「バイパー01、了解。」

 

そして僕らは滑走路に着陸し、エプロンに戻り、機体を降りた。

 

「今回は領空侵犯しなくて良かったですね。」

 

後輩が言ってきた。

 

「ああ、こんなこともあるもんだね。」

 

その時、僕は上司である航空隊長がいるのに気づいた。

 

「隊長、お疲れ様です。」

 

僕らは敬礼した。

 

「ああ、ご苦労だったな。」

 

僕よりも10歳も年上の隊長も敬礼した。

 

「しかし何故隊長が我々を出迎えたのですか?」

 

後輩が尋ねる。

 

「今日は中田に用があってね。」

 

「えっ、私にですか?」

 

「君は今から総監の所に行ってくれ。」

 

「えっ、この格好でですか?」

 

なんせ今僕はパイロットスーツを着ている。こんな姿で会ってもいいのだろうか。

 

「もちろん、急用で呼び出しているからな。すぐに行きたまえ。」

 

「分かりました。」

 

そう言って僕は直ぐに総監の執務室に行った。

3分後、僕は執務室に上司と入っていた。総監は50歳代で元戦闘機パイロットだ。

 

「中田三佐、君を呼んだのは他でもない、君に辞令を言い渡すためだからね。」

 

何だ、てっきり身に覚えのないことを責められるのかと思っていたがそうではないみたいだ。

 

「中田龍一三等空佐、貴殿に対特殊生物自衛隊への転属を命ずる。」

 

えっ何だって!あのエリート部隊の特生自衛隊に転属!!こんなことがあるなんて。

 

「以前、上層部の交流会で特生自衛隊の幕僚長に天才と呼ばれているパイロットとして君のことを話したらぜひとも特生自衛隊に派遣させてもらえないだろうかと頼まれてね、既にうちの幕僚長も許可している。まあ、詳しいことは幕僚監部のある八王子で聞いてくれ。」

 

「分かりました。お役に立てるよう尽力して参ります。」

 

こうして僕は特生自衛隊に派遣されることになった。

2日後、僕は多くの荷物を持って八王子に出発した。

 




どうだったでしょうか。
アドバイスなどがありましたら感想で指摘していただければ幸いです。
さて、次回はオリジナルの艦娘が登場します。
第2話 『八王子駐屯地』 お楽しみに。


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第2話 八王子駐屯地

大変お待たせ致しました。第2話です。
文章を書くのは大変ですね。最近自分は設定を考える方面が得意なのではと考えるようになっています。

航空自衛隊から特生自衛隊に転属となった中田悠一。幕僚監部のある八王子駐屯地で彼はとある艦娘と出会う。


大分から日豊本線の特急に乗り博多まで行き、博多から新幹線で新横浜に、新横浜から横浜線で八王子というルートで特生自衛隊の幕僚監部がある八王子まで行った。大きな遅れなどがなかったので予定どおりに夜には八王子に着いていた。その日は八王子のホテルで体を休め、翌日、僕は指定されていた時間より早く特生自衛隊八王子駐屯地に向かった。

・・・とそこまでは順調だった。ところがここで問題が発生した。駐屯地の正門がさっぱり分からない!どこの門も似たような作りのため幕僚長の執務室への近道である正門が分からないのだ。

 

(まずい、どこがどうなってるのかさっぱり分からない。時間はまだあるけど・・・。そもそもの話、執務室はどこにあるんだ?聞こうにも警務の人は特自のようだしどうしよう。)

 

と僕が迷っていると・・・

 

「失礼いたします。」

 

と後ろから声をかけられる。

振り返ってみるとそこには変わったセーラー服に身を包んだ栗色の髪の見た感じ高校生ぐらいの少女が僕を見ていた。

 

「もしかしてと思いお声を・・・、中田・・・龍一三等空佐でしょうか?」

 

「いかにも自分が中田です。あの、あなたは?」

 

「よかった! あっ、すみません申し遅れました、私、特生自衛隊統合司令部所属、あたごと申します。以後お見知りおきを。」

 

そう言うと彼女は海軍式の敬礼をする。

 

「中田龍一三等空佐です。えっとその・・・」

 

僕も反射的に敬礼する。

実は今、僕は少し混乱している。

というのも彼女が特生自衛隊の隊員であるという事が気になったからだ。基本的に自衛隊は高校を卒業してからでないと入隊することは出来ない。ましてやエリート部隊である特生自衛隊に彼女のようなか弱い女の子が入れるわけがない。

 

「?、どうされました?」

 

ふいに彼女に声をかけられたので我に返る。

 

「三宅幕僚長から申し付けられまして、迷っているだろうから迎えに行ってきなさい・・・と。でもすぐに見つかって良かったです。」

 

確かに、ここは政府の重要機密がある場所だから一自衛官では場所がわからないのも当然である。なるほどそのために迎えを出したのか。

 

「さあ参りましょう。司令部までご案内いたします。」

 

そう言って彼女は駐屯地の中に入っていく。僕も警務の自衛官に身分証を見せて駐屯地に入る。

 

「あたごさんでしたっけ。」

 

暫くして僕は彼女に声をかける。

 

「あたごでけっこうです、三佐。」

 

「あ、じゃああたご。」

 

僕は彼女にある疑問を投げかける。

 

「なぜ僕だってわかったんだい?駐屯地の前であんなに人がいたのに。」

 

「知りたいですか?」

 

「差し支えなければね」

 

「三佐の航空自衛隊の蒼い制服が人混みの中で目立っていましたから。」

 

とあたごは目を輝かせながら答えた。

僕は思わず照れて下を向きながら歩く。

 

「到着です。」

 

前を行くあたごが足を止めたので僕も足を止める。

 

「ようこそ特生自衛隊八王子駐屯地へ。」

 

と僕に振り返ってあたごは言った。

顔を上げるとそこには白い鉄筋コンクリート製の六、七階建ての建物があった。

 

「ここが・・・」

 

一見僕が元いた基地の建物と変わっている点はなかったが何故か僕は緊張した。

 

「そうです。白塗りの壁で清潔感があって良いと思いませんか?」

 

とあたごは再び目を輝かせながら言うが、実際自衛隊の基地の建物はほとんどこんな感じだ。なので僕は正直反応に困った。

 

「中もご案内いたします。」

 

「いや、あんまり時間ないんだ。じゃあありがとう。ここから先は自分ひとりで行けるから!」

 

と言って僕は慌てながら建物の中に入る。実際建物の中は基本的に全ての基地が統一されているのでここから幕僚長の部屋に行くことは自衛官にとっては容易なのだ。

 

「あのっ、私も一緒に・・・!」

 

あたごの慌てた声が聞こえたが僕は「大丈夫だから。」と言って入っていった。

 

 

「約束の五分前に来ているとはさすが空自のエースパイロットだ。」

 

「お褒めの言葉、ありがとうございます。」

 

ここは特生幕僚長の執務室。今僕は幕僚長と面談をしている。特生自衛隊の幕僚長は雰囲気のいい老紳士だった。

 

「とりあえず、私は特生自衛隊の幕僚長をしている三宅浩一という者だ。これから長い付き合いになると思うがよろしく。」

 

と言うと三宅幕僚長は右手を差し出す。

 

「はい、航空自衛隊第四航空隊所属 中田龍一三等空佐と申します。これからよろしくお願い致します。」

 

僕も自己紹介をして握手を交わす。

 

「さて、君は特生自衛隊に配属された理由は分かるかな?」

 

と三宅幕僚長は質問を投げかける。

 

「それが、人間的にも技術的にも優れているとしか向こうでは言われてなくて詳しくは・・・」

 

実際向こうで言われた理由はこんな内容だった。

 

「そうか、まぁ座ってくれ。立ったままでは私の説明も頭に入らないと思うし過度に緊張してしまうからね。」

 

僕は返事をして既に用意されていた椅子に腰を下ろす。

 

「現在、太平洋に面した国々では未曾有の事象が起こっている。これは自衛官だけでなく国民のほとんどが理解している事だ。」

 

幕僚長はそれまでの穏やかな目つきから一転、真剣な目つきに変わって話を進めていく。確かにこれまでに無い事象が太平洋で起こっていることは僕も理解している。

 

「2013年の12月の事件は君も知っていることだろう。ハワイ沖に突如として現れた異界の武装海洋生物群。生物と兵器両方の性質を持っているこれらによって太平洋のあらゆる海域が制圧され、日本以外の国々は鎖国状態になっている。」

 

幕僚長が日本以外という言葉を加えた理由も僕は既に知っている。というのも、今(2018年)から4年前の2014年にその武装海洋生物群が初めて日本に侵攻したが創設以来多くの怪獣たちに対処してきた陸海空の自衛隊と特生自衛隊で撃破されたというのを聞いた。

生憎戦闘には参加出来なかったが。

 

「そしてそれらを私たちは公的に深海棲艦、自衛隊内ではDSFと呼称している。」

 

「ディーエス・・・エフ・・・」

 

僕は深海棲艦という名前は知っていたがDSFのほうは知らなかった。特生自衛隊のような専門の部隊でしか使われていない名称なのだろうか?

幕僚長の説明は続く。

 

「この生物たちは特生自衛隊の兵装はもちろん自衛隊の通常兵装でも撃破できることは分かっている。しかし陸海空自衛隊を海外に派兵することは『専守防衛』の域を超えることになってしまう。」

 

「特生自衛隊の海外派兵は『専守防衛』の域を超えないのですか?」

 

「2010年に憲法と特自法が改正されたことは知っているね。この中に特生自衛隊の立ち位置や行動目的が明記された。特生自衛隊の行動目的は極東地域を怪獣といった脅威から守るということであって、決して国や人間相手に戦う軍隊ではない防衛省直属の自衛隊という内容がね。そういうことで今、特生自衛隊は海外からの駆除要請を受諾しているんだ。」

 

「なるほど。」

 

「話を戻すが、個体数が未知数のDSFの生物に対して特生自衛隊の既存の兵装をそのまま使用するのではコストや万が一の大型怪獣の出現に対応できないという点が懸念された。そこで我々はDSFが出現した5日後に小笠原諸島で保護された『異世界人』たちと協力して、『海上機動部隊』を創設し、とある兵装を開発・投入した。それがWGこと艦娘なのだ。

先程君を案内してきたあたごもああ見えてFGだ。最新のね。」

 

「WG?・・・艦娘??」

 

僕はその言葉を聞いた途端、頭の中に正門で出会った少女、あたごを思い出していた。

 

「話には聞いていましたが、一見普通の少女にしか見えないのですが。」

 

「確かに、異世界人たちの話では彼らの世界にいた『守護者』という少女の一種らしいからね。」

 

「とは言っても・・・」

 

僕は正直あんな少女達に日本、ましてや太平洋の平和を守ることが出来るのかと困惑していた。

僕の心中を察したのか幕僚長が立ち上がりパソコンの画面を僕の方向に回す。

 

「まあ、まずは映像を見ればわかるだろう。最初の映像は2015年7月の台〇派遣時のものだ。」

 

と言い幕僚長は映像を再生する。

そこには金属の塊にアームや小銃くらいにスケールダウンした連装砲や魚雷発射管が付いた背嚢みたいなものを背負い、肩に小銃を掛けた少女たちがヘリコプターからラペリングし、海面を30km程のスピードで滑っていく姿が映っていた。

しばらくすると映像が替わり戦闘ヘリからのものに変わった。よく見ると少女たちが銃や連装砲を禍々しい生物に向かって撃っている。

 

「これが彼女たちの戦闘なのですか?」

 

「そう、彼女たちはこのようにして戦うんだ。まるで海上専門の歩兵みたいにね。」

 

「なるほど、よく分かりました。ですが二つほど疑問に思ったことがあります。」

 

さっきの映像を見る前から僕は幾つか疑問があった。

 

「どんな疑問かな?」

 

「なぜ彼女たちは兵装扱いになっているのですか?先程会ったあたごを見たところ、彼女には我々人間ど同じく感情がありました。個人的には彼女たちを兵装とするには少々酷かと。」

 

「確かにそうだ。ただ誤解しないでほしいのは彼女たちは“書類上”兵装とされているだけで自衛隊内では兵士として扱っているからそのことについては安心してくれ。」

 

「なるほど、ではあと一つだけ、何故この映像を公表しないのですか?少なくとも私は今まで見たことがありません。」

 

「その事についても教えよう。こういった映像を公開してしまうと世論からの反発や、WGを狙った犯罪が起きる可能性が高くなるからだ。一連の作戦を遂行するためには致し方ない事だと理解してもらいたい。」

 

「よく分かりました。ありがとうございます。」

 

「まあ、詳しいことは後でWGに関する資料を渡すから心配しなくてもいい。」

 

「わざわざありがとうございます。」

 

「話を戻そう。」

 

そういうと幕僚長は再び椅子に座る。

 

「君には今後、海上機動部隊の主戦力となるであろう第2海上機動部隊を組成、運用してもらい、この一連の作戦に終止符を打ってもらいたい。」

 

「なるほど、ですが昨日まで一戦闘機乗りであった私にそのような大役が果たせるのか、いささか不安は残ります。」

 

航空隊の隊長すら経験していない僕がたくさんの少女たちの上に立ち、彼女たちの命を預けることになるのだ。不安しかない。

すると幕僚長はこう話を切り出した

 

「三佐、その気持ちは分かる。私もそういう気持ちになったことは沢山ある。しかしだね、今現在世界中には君の助けを求めている人が沢山いる。どうかな、やってくれるかな?」

 

その言葉で僕は決心がついた。

 

「分かりました。私の力が世界中の人々の助けとなるというのであればその下命お引き受けします。」

 

僕はこの下命を引き受けることとした。

 

「分かった。ありがとう。」

 

そう言うと幕僚長は立ち上がり、僕の手を握った。

 

 

「それじゃあ中田3等特佐、君の秘書艦を紹介しようか。」

 

「ひ・・・秘書艦ですか?」

 

また聞いたことのない名前が出てきた。秘書艦ってなんだ?名前のニュアンスからして僕の秘書なのは間違いないが・・・

 

「幕僚長、秘書艦というのは何でしょうか?一般的な秘書とは違うのですか?」

 

「そうだった、君にはまだ説明していなかったね。秘書艦というのは君の部隊運用をサポートしてくれるWGの事なんだ、基本的に彼女たちは前線に出ることは少ないが戦闘に関してはかなりのベテランだ。」

 

「なるほど」

 

つまりその名前の通り、僕の秘書でもあり、前線にも出れるWGのことなのか。

 

その時、幕僚長の執務室のドアをたたく音がする、そして

 

「幕僚長、ただいま参りました。」

 

どこかで聞いたことのある声がした。

 

「いい頃合いに来たみたいだね。入りなさい。」

 

幕僚長がそう言うとドアが開き、一人の少女が入ってくる。その少女を見た途端僕は「あっ!」と声を漏らした。

 

「あたご型ミサイル護衛艦一番艦 あたご、参りました。」

 

そう、そこには正門から執務室のある建物まで案内してくれた少女、あたごがいた。

 

「いいタイミングで来たねあたご。早速だけど今日から君と一緒に部隊を運用する司令官を紹介しよう。」

 

幕僚長がそう言うと僕は立ち上がり、あたごを見下ろす。

 

「あ、また会ったね、あたご、まあなんだ・・・これからよろしくね。」

 

と挨拶としてどうなのか怪しい挨拶をする。

 

すると、

 

「はい、改めて、これからよろしくお願いします。三佐!」

 

とまんべんの笑みで彼女が挨拶をした。

 

 

その後僕は瀬戸内新都市という海上都市に隣接する瀬戸内新都市統合司令基地の総監兼第2海上機動部隊司令として僕の秘書艦となったWGことあたごと共に基地のある瀬戸内新都市に赴くこととなった。




後書きです。取り敢えずオリジナル艦娘を紹介します。

あたご

兵装
62口径127mm単装速射砲(対空よりは寧ろ対艦・対地向け) × 1門
90式対艦誘導弾 4連装発射機(実は艦これの艦娘の主砲と同じくらい使用頻度が多かったりする) × 2基
68式3連装短魚雷発射管(彼女たちにとってはミサイル=空飛ぶ魚雷みたいなものだから使用頻度は結構少なめ?) × 2基
Mk.15 Mod25 高性能20mm機関砲(CIWS)(これで砲弾等を着弾する前に堕とすので敵にとってはかなりの脅威になる) × 2基
Mk.41 Mob20 VLS(SM-2艦対空誘導弾(対空戦闘では欠かせない装備) SM-3弾道ミサイル防衛用誘導弾(DSF側が弾道ミサイルを出してこない限り使わないはず) VLA SUMアスロック対潜ミサイル(艤装内に異世界人はいないので何処かのタイムスリップしたイージス艦みたいに誤発射はしない)搭載) × 96セル

艦載機
なし(ただしヘリ甲板と格納庫はある)

外見
身長は軽巡ぐらいある(胸部装甲は意外とある)
髪は栗色のセミロング
服装はセーラー服を模した半袖ワンピース(赤の幅広リボン)+グレーと赤で塗り分けられたブーツ。戦闘時のみ部隊識別帽(青い帽子)を被る。

特徴
・自衛艦型WGの中では新型のWGで年頃の少女らしい気質である。そして稀にドジる。
・性格は落ち着きがあって明るく優しい


お気づきの方もいるかもしれませんが、あたごとの出会いから幕僚長の話まで某艦これまんがをベースに書きました。

さて次回で遂に中田が瀬戸内新都市基地の総監として、また第2海上機動部隊の司令としての活動が始まります。第3話「瀬戸内新都市基地着任」お楽しみに!


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