銃を使わないとある武偵 (宗也)
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武偵殺し編
第1筋 新学期は大抵何かが起こる


「今日もいい天気だな。」

 

そう言い俺は栄養ゼリーのキャップを開けて10秒で飲み干す。おっと、初めまして、俺は山本風雨だ。

 

「やっぱり栄養ゼリーはウ○ダーに限るな!!さて、そろそろ出発するか。」

 

そう言い俺は制服に着替え、押し入れから日本刀を二本持ち出し、1本は腰に差し、もう一本は制服の中に仕舞いこんでおく。それと机に立て掛けてある小太刀も制服の中に仕舞いこむ。

 

「よし、キンジの奴を起こしに行くか。」

 

言い忘れたが、俺の住んでる所は学生寮みたいな所だ。そしてキンジっていう奴は遠山キンジ、小さい頃からの親友。まあ、腐れ縁みたいなもんだ。

 

「あ~さが来~た!あ~さが来~た!ど~こ~に来たぁ~?」

 

俺は大声で歌いながらキンジの住んでいる部屋に向かう。近所迷惑?違うな、俺は皆が遅刻しないように起こしてあげているんだ!!

 

「や~まに来~た、さ~とに来~た、き~んじに~キタ~~~!!!」

 

おっ!歌っていたらキンジの部屋の前に着いたな。というわけで。

 

「ダイナミックお邪魔しまーす!!」

 

キンジの玄関の扉を飛び蹴りでぶっ壊して部屋に入る。部屋に入ると、キンジがこっちに銃を向けていた。

 

「お前なぁ!!朝から大声で歌いやがったり、人の玄関の扉をぶっ壊して入ってくるとか、常識という言葉を知らないのか風雨!?」

 

「常識?そんなものはあんパンの如く、空の彼方にスパーキングしてきた!!」

 

キンジに向かってどや顔で言ったら銃を撃ってきやがった、うわあぶね!!

 

「落ち着けキンジ!!深呼吸するんだ!!ヒッヒッフー、ヒッヒッフーっと!!」

 

「それは違う呼吸法だ!!いいから外に出やがれ!!」

 

へいへーい。キンジ、朝からそんなに叫んでたら血圧上がるぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、扉はしっかりと直して置きました。まあ、アロ○アルファでくっ付けただけだかな!!

 

「ったく、お前のせいで朝から疲れる。今日から高校二年なのに。」

 

「褒めても何も出ないぞ?」

 

「褒めてねぇから。」

 

今は自転車に乗って漕ぎながら学校に向かってる。ちなみに俺らは高校生、通ってる所は東京武偵高校だ。武偵って言うのは近年凶悪化する犯罪に対抗するために新設された国家資格らしい。

 

身も蓋もない事を言えば、警察の手に負えなくなってきてるから、警察以外で犯罪者を捕まえられるようにしようぜって事だな。

 

でも警察と違うのはあくまで武偵は金で動き、金さえ貰えれば武偵法の許す限りどんな仕事でも請け負うから何でも屋の側面があるな。どこぞの万事屋みたいなもんだ。まあ、あっちよりは金は手に入るけどな。

 

そして、武偵は拳銃、刀剣類の所持が義務付けられている。銃刀法違反涙目だな。

 

そして、武偵にはランクがある。上からS、A、B、C、D、Eとある。

 

さらにクラスもある。確か強襲科(アサルト)狙撃科(スナイプ)諜報科(レザド)尋問科(ダギュラ)探偵科(インケスタ)鑑識科(レピア)装備科(アムド)車輌科(ロジ)通信科(コネクト)情報科(インフォルマ)衛生科(メディカ)救護科(アンビュラス)があったな。

 

「ちなみに、キンジは元強襲科のSランク。だけど、ある出来事が起きてからは探偵科に移動。今は探偵科のEランクだ。武器はM92Fとバタフライナイフを持ってるぞ。」

 

俺は衛生科のEランクだ。どうだ?すごいだろ!?

 

「誰に説明してるんだ風雨?」

 

「誰でもいいじゃん。ところでキンジ、何やらピッ、ピッ、って音が聞こえるんだが気のせいか?」

 

もしかして、爆弾とか仕掛けられてたりして。

 

「まさかな、ストップウォッチの音と聞き間違えたんじゃないのか?」

 

『この自転車は ジャックされやがりました。』

 

「おいおい聞いたかキンジ?俺達現在進行形で自転車ジャックされたぞ?俺達も有名になったもんだな!」

 

「何でお前はそんなに余裕ぶっていられるんだ!?」

 

人生楽しまなきゃ損だからな。スリルがあった方が楽しいし。

 

『助けを 呼んだら 撃ちやがります。』

 

「おい風雨!!後ろからセグウェイが追い掛けてくるぞ!!しかもUZI付きだ!!」

 

「マジか、見たところ無人だな。どうする?」

 

今は自転車をこいでいるから攻撃出来ねえしなぁ。

 

「これって、噂の武偵殺しじゃないのか風雨!?」

 

「まあ、そうなるな。」

 

「どや顔なのが腹立つ!!」

 

しかし武偵殺しねぇ、もっとランクの高い人を狙うと思ってたんだが。

 

「あっそうだ、逃げる為に自転車止めればいいんじゃね?」

 

『スピードを 落としたら 撃ちやがります。』

 

「ハハハ、手も足も出ないとは正にこの事だな。いやーまいったね。でも本当に自転車に爆弾付いてるのか?」

 

脅しという可能性もありえるしな。

 

「よし、キンジ。自転車止めてみて。」

 

「お前は俺に死ねと言ってるのか!?」

 

「もちろんさー!!」

 

「だったら、お前が自分の自転車を止めてみろよ!!」

 

「よしわかった!!」

 

俺はそう言って、自転車のペダルを思いっきり踏んでジャンプし、キンジの自転車の後ろの部分に座る。俺の乗っていた自転車は、その後。

 

ドッカーーーーーン!!

 

「「………。」」

 

ま、マジで爆弾仕掛けてやがったのな。

 

「よしキンジ、馬車馬の如くキリキリと漕げ!!」

 

「いや何で俺の自転車の後ろに乗っかってくるんだよ!?そのまま地面と激突しておけよ!?」

 

「擦り傷は負いたくありませーん。」

 

俺がそう言った時、急に俺達の目の前の上空から少女が落下してきた。おっ、パンツ見えた。そのまま地面とキスをするのかと思ったらパラグライダーを開き、低空飛行でこっちにやって来る。

 

「あいつ!まさか俺たちを助ける気か!来るな!このチャリには爆弾がしかけられてる!お前も巻き込まれるぞ!」

 

「頭を下げなさい!!」

 

「大丈夫で~す、頭固いですから。」

 

「いいから頭を下げなさい!!」

 

俺は仕方なく少女の言う通りにする。すると少女は腰のホルダーから2丁拳銃を取り出し、後ろのセグウェイのUZIを破壊した。

 

「すげえな。」

 

「見事な腕前だな。パンツはトランプ柄のくぶえっ!!」

 

顔面にパラグライダーの金具をぶつけられ、俺は自転車から落ち、ゴロゴロと地面を転がる。

 

「痛てぇ、あの少女人を救う気あるのか?」

 

まあ、傷はほぼないからいいんだけどな。さて、あの二人と合流しますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分くらい歩くと、体育倉庫が見えてきた。その中に入ると、跳び箱の中にキンジと少女がいた。

 

「おーいキンジ、無事か?」

 

「ヘンタイ!!チカン!!人でなし!!」

 

「ちょっと待ってくれ!!あれは不可抗力だ!!」

 

少女に罵声を浴びられてオロオロしてやがる。ぷっ、だっせー。

 

「あっ、あんた!!生きてたのね!!あんたも人でなしよ!!」

 

「キンジ、何をやらかしたんだ?」

 

「俺は悪くねぇ。」

 

「あたしを無視!?いい度胸してるじゃないの!!」

 

少女はそう言って跳び箱の中から出てくる。こいつ、小さいな、いろんな所が。

 

「っと、そろそろここを出ないとな。キンジ、早く跳び箱から出ろよ。」

 

「何!?逃げる気!?」

 

「そうじゃねえよ。倉庫の外見やがれ。」

 

倉庫の外には先程のセグウェイが10台いた。しかもUZI付きだ。

 

「犯人は余程の金持ちだな。」

 

「あんた!!ぼさっとしてないで!!」

 

少女はそう言いセグウェイに向けて発砲する。だがセグウェイは少女の拳銃の射程外に逃げる。

 

「射程外に逃げられたらどうしようもないわね。ってあんた銃を持ってないの!?」

 

「俺は銃を持たない主義でね。というわけで頑張れ!」

 

「あんた、後で風穴空けてやるわ!!」

 

おおこわいこわい、でもどうすっかな。ここから逃げるにしてもセグウェイからにげ「やれやれ、俺達を狙う物好きもいたもんだ。」この声、やっとか。

 

「セグウェイは?」

 

「この少女が今近付けないようにしてる。」

 

「射程外まで追い払っただけよ。」

 

「強い子だ。それだけでも上出来だよ。」

 

そう言いキンジは少女に向けてウインクし、少女をお姫さま抱っこしてマットに座らせる。キンジの奴、変態モード、すなわちヒステリアモードになったのか。まあ、そうさせるようにこっそりと少女のスカートの中をキンジが見れるよう捲っておいたんだけどな。

 

「後はおまかせを姫。大人しく待っているんだよ。」

 

「あ、あんた?どうしたのよ?」

 

うん、ヒステリアモード時のキンジは変態だな!!

 

「ここは俺一人で十分だ。」

 

そう言いキンジはM92Fでセグウェイ10台に向けて発砲する。その瞬間、セグウェイが爆発する。

 

「う、そ。」

 

「銃弾1発で1台を壊すのか。相変わらずチートだな。」

 

俺がキンジのヒステリアモード時の強さに呆れていると、俺のすぐ横の物陰から1台セグウェイが飛び出して、俺に向かってくる。

 

「ちょっとあんた!!セグウェイが来てるわよ!!」

 

「明日の朝ごはん、目玉焼きにしようかな?」

 

「ふざけてる場合じゃないのよ!!ああもう!!」

 

そう言い少女が拳銃でセグウェイを撃とうとした時、キンジが手で制したな。やれやれ、実力を見せろってことかい。

 

「どうして止めるのよ!?」

 

「加勢は必要ないよ。すぐにわかるさ。」

 

人前で見せたくなかったんだけどねぇ。

 

「さて、やりますか。戦術殻 天。」

 

俺は背中の制服の中から小太刀を二本取り出し、右手に持った小太刀でセグウェイの車体に突きをして動きを止めてから、セグウェイを滅多斬りにしてバラバラにする。

 

「ふぅ、じゃ、先に学校に行ってるわ!!」

 

少女が俺を問い詰める事が分かっているため、対応をキンジに任せ、小太刀をしまってダッシュで学校に向かう。

 

「ちょっと待ちなさいよ!!」

 

待てと言われて待つバカはいない!!少女に呼び止められるが無視してダッシュだ!!

 

「こんの~!!待ちなさいよ!!」

 

「逃げるが勝ち!!あっ、ちょっと、撃つのは、駄目だとおもギャァァァァ!!尻に撃つのは駄目だろ!!」

 

「あんたが止まればいいのよ!!」

 

こうして、学校に着くまでの間、俺は少女と鬼ごっこをしていた。キンジ?知らんな。



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第2筋 転校生は小学生?

あの後、なんとかおっかない少女を撒いて教室に着いた。朝からいい運動が出来たよこんちくしょう。

 

「どうした風雨!?元気ないぞ!?」

 

「珍しいね、風雨君が元気ないのは、どうかしたのかい?」

 

「朝から色々あったんだよ武藤、不知火。」

 

最初に話し掛けたのが武藤、次が不知火。その二人に適当に返事を返しておく。

 

「それよりも、キンジ、何で不機嫌なんだ?まさか女の子に振られたか!?」

 

「うるさい武藤、今の俺に女の話題を振るな。」

 

キンジが武藤にギロリと睨み付ける。キンジはヒステリアモードになった後、大体不機嫌になる。まあ、中学の頃にヒステリアモードで遊ばれてたからな。

 

「恋愛相談なら、いつでも乗ってやるからな!!」

 

「武藤君の恋愛相談って意味ないと思うんだよね。」

 

「それな不知火。もし武藤に彼女出来たら赤飯炊いてやるよ。」

 

「お前ら!!あとで轢いてやるからな!!」

 

しばらくワーワー騒いでいたらホームルームの時間になった。内容はまあ、業務的な話だな。

 

「では最後に、今日からこのクラスに来る転入生を紹介します。」

 

転入生、まさかね。そんな偶然が重なることはないよねー。

 

「では入ってきてください。」

 

先生に言われて入ってきた生徒は、ピンク色の髪で、緋色の双眸をもつ、小学生くらいの身長の女の子だった。

 

「偶然って怖いなキンジ。」

 

「確かにな、ここは初対面の振りで行こうか。」

 

前の席にいるキンジに話し掛け、初対面の振りをしようという事になった。既に知っていました、なんて周りの生徒にばれたら面倒だからな。

 

「神崎・H・アリア。」

 

アリアはそう言いぐるりと辺りを見渡す。こいつ、外国人だったのか!?つーか学校間違えてませんかね?アリアは小学校に行くべきじゃないんですかね?

 

「先生。」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

アリアはキンジに向かって指を指した。キンジ、御愁傷様です。骨は拾ってやるからな。

 

「あいつの席の隣に座りたい。」

 

アリアがそう言った瞬間、クラス中が大声を上げてキンジを見る。強く生きろよキンジ。

 

「じゃ、じゃあ俺は違う席に行きます!!」

 

そう言いキンジの隣の席だった武藤がいそいそと立ち上がり、空いている席に座る。やったねキンジ、これでアリアと隣同士確定だよ。

 

「これ、借りてたから返すわ。」

 

アリアがキンジの隣の席に座った時に、ベルトをキンジに返していた。それを見た瞬間に、一人の女子学生が立ち上がった。

 

「理子分かっちゃった分かっちゃったよ!!これはフラグが立たさっているね!!」

 

こいつは、確か峰理子だったな。髪は金髪か、周りから聞くに、探偵科でロリ巨乳だそうだ。どうでもいい。

 

「キー君は彼女にベルトを取られるような何かをした!!これは熱い恋愛が始まる予感!!ねえねえ、何処までいったの!?何処までいったの!?」

 

うるせぇ、テンション高過ぎるだろ。

 

「れ、恋愛とかくだらない。本当にくだらないわ!!」

 

「の割に顔が赤いぞアリア、さてはお前、図星だな?見た目通り恋愛には疎いんだ「うるさい!!」危ね!!」

 

躊躇なく顔面に銃弾をぶちかましてきやがった。まあ、当たらないけどな!!

 

「全員覚えておきなさい!!そういうバカな事を言う奴には。」

 

そう言いアリアは一呼吸置く。なんだ?決め台詞でも言うつもりなのか?

 

「風穴開けるわよ!!」

 

「先生、アリアさんが武偵憲章第9条を破る気満々でーす!!」

 

「あんたは余計な事言わなくていいわ!!」

 

本当の事言っただけなんだか?まあ、その後、キンジがクラスメイトに質問責めにあったり、理子のハチャメチャな推理でクラスが大騒ぎになったり、今日は授業どころじゃなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寮に帰宅してからキンジの部屋に行って、二人でのんびりしていた。

 

「いやぁ、今日は大変だった。」

 

朝から武偵殺しの事件に巻き込まれるわ、アリア柄身で色々起きるわ、大変な1日だった。こりゃ平凡に暮らすのは無理だな。

 

「しかしアリアの奴、からかいがいがあるな。」

 

「お前は誰が相手でもぶれないよな風雨。」

 

キンジが呆れ顔でこっちを見ながら言ってくる。俺、人を弄らないと生きていけないんで!!

 

ピンポーン

 

「キンジ、客だぞ?出てやったらどうだ?」

 

「面倒だからパス。」

 

ピンポーン

 

「キンジ、嫌な予感がするから俺隠れてるわ。」

 

「風雨の嫌な予感はほぼ当たるから嫌なんだよな。」

 

嫌な予感だけしか当たらないけどな。さて、ソファーの陰に隠れてと。

 

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン!!

 

「ああもうわかった!!わかったからそれ以上鳴らすな!!」

 

キンジはそう言って玄関に行ったな。さて、キンジが戻ってきたらやるゲームの種類を考えておくか。

 

「遅い!!わた「バタン!!」ねぇ何で閉めるの!?」

 

あれ?今アリアの声が聞こえたんだが?仕方ない玄関に行きますか。

 

「キンジ、誰だったんだ?」

 

「今日の転入生だよ。嫌な予感がしたから閉めた。」

 

「開けてよ!!開けなさいよ!!」

 

外からドアをドンドン叩く音がする。仕方ねえ、開けてやるか。

 

ガチャ!!

 

「私を前にしてドアを閉めるなんていい度胸して「バタン!!」だーかーらー!!何で閉めるの!?」

 

さて、鍵を掛けてと。

 

「キンジ、マリ○カートでもするか。」

 

「そうだな、久し振りにやるか。」

 

「開けてよ!!開けてってば!!ねえ聞いてるの!?」

 

あー、俺最近難聴だからなぁ。何言ってるかわからないなー。もっと大きな声で言ってくれないとなー。

 

「可愛そうだから開けるか、どうする風雨?」

 

「しばらくそのままでいいんじゃない?ついでに玄関の廊下に罠でも仕掛けるか。」

 

「流石に開けてやろうぜ!?何かこっちの心が痛くなってきたんだよ!!」

 

「可愛そうだがアリア、これも転入生の試練なのだ。強く生きるんだぞ!!」

 

「本当に最低だなお前!!」

 

それは褒め言葉だぞキンジ?おっ、外が静かになったな。

 

「ねぇ、グスッ、開けてよ~。ヒック、お願いだから開けてよぉ。」

 

「なあ風雨、アリアもああ言ってるし開けようぜ。」

 

「だが断る!!」

 

「お前には慈悲という言葉がないのか!?」

 

「ないね!!俺の辞書に慈悲という言葉は存在しない!!あったらご飯にでもかけるわ!!」

 

キンジは甘ちゃんだな~。泣いて物事が進むとでも思ったら大間違いなんだよ。

 

「うぇぇぇぇぇぇぇん!!!」

 

「あれま、マジで泣いちゃったか。キンジ、開けるなよ?絶対に開けるなよ?なにがなんでもドアを開けるなよ?」

 

「知るか!!」

 

キンジは俺の言葉を無視してドアを開けた。急いでソファーの陰に隠れてよっと。

 

「くずっ、あれ?開いた?」

 

「取り合えず入れよアリア。用なら中で聞くからさ。」

 

「うん。」

 

ガチャ!!

 

入れちゃったか、アリアは、目が真っ赤になってるな。

 

「それで、何の用なんだアリア?」

 

「ごほん、キンジ!!あたしの奴隷になりなさい!!」

 

「はぁ!?何でだよ!?」

 

おおう、まさかのSMプレイ宣言ですか。これは物を準備しておかないとな!!

 

「奴隷が口答えしない!!」

 

「いや!!意味わかんねーから!!」

 

「おーい、お二人さーん?ちょっとよろしいかい?」

 

「「うるさい!!」」

 

お二人供、仲が宜しいようで、へへっ!!

 

「SMプレイをこれからしようとするお二人にささやかなプレゼントを持ってきました。」

 

「何よ!?プレゼントって!?」

 

「まずは手錠、これが無ければSMプレイは始まらないからな。次に縄、これも必需品だな。次にロウソク、これも必需品だな。次に「「ちょっと待った!!」」なんですかい?」

 

まだまだ渡したい物があるんですけどねぇ。(ゲス顔)

 

「何でお前がそういうのを持ってるんだ風雨!?」

 

「いやだって、アリアがSMプレイ宣言したからさ、それを手助けする道具が必要だと思って用意しました。」

 

言葉責めだけでも十分って言うなら道具は回収するぞ?

 

「第一こんなものをどう使うのよ!?」

 

「えっ?キンジを手錠や縄で縛って、それから言葉責めを浴びせたり、踏みつけたり、あとは「それ以上は止めろ!!」ちぇっ、これからだったのにな。」

 

道具は回収しておくか。ん?アリアが拳銃を二丁こっちに向けてるな、何で?

 

「ところで、あんたには風穴をたくさん開けてやらないと気が済まなかったのよね。」

 

俺アリアを怒らせるような事したっけなー?俺わからないなー。

 

「とぼけたフリしても無駄よ!!玄関の鍵閉めたのはあんたでしょ!?」

 

「キンジも閉めました!!」

 

「逃げようとしても無駄よ!!」

 

俺に全ての怒りをぶつけるのはいけないと思いまーす!!

 

「キンジ、あとは任せた。んじゃあなアリア!!SMプレイを楽しむんだぞ!!」

 

「丁度いいわ、あんたもアタシの奴隷になりなさい!!」

 

「嫌でーす!!俺、MじゃないでSなんで、奴隷とか勘弁でーす!!」

 

「ちょっと待て風雨!!」

 

キンジの言葉を無視してベランダに出て、そこからジャンプして俺の部屋のベランダに行く。俺の部屋はキンジの部屋の一つ上だからな。

 

「明日覚えておきなさいよ!!絶対に奴隷にさせてやるんだから!!」

 

あー、聞こえない聞こえない。



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第3筋 バスジャックには気を付けましょう

翌日

 

「あっー、昨日は銃声で寝れなかった。」

 

夜遅くまで下の階で銃声が響いていたからな。キンジとアリア、どんだけ喧嘩したんやら。

 

「さって、朝飯朝飯。」

 

俺は冷蔵庫の中に入ってる栄養ゼリーを三つ取り出して飲む。料理?出来ませんが何か?

 

「今日はキンジを起こしに行くのは止めよう。アリアと鉢合わせたら面倒だ。」

 

絶対に追いかけ回される。そんな未来が見える。

 

「んじゃま、行きますか。今日の授業は、げっ!!射撃訓練、よしサボろう!!」

 

銃は使いたくない。というより使えない。まあ、銃なんか無くてもなんとかなる!!

 

ピンポーン!!

 

「アリアか?それともキンジか?」

 

朝にインターホン鳴るのは珍しいからな。どうせアリアだろう。

 

「はいはい、今開けますよ。」

 

玄関の扉を開けたら、キンジでもアリアでもない人がいた。

 

「あっ!!風ちゃんおはよう!!」

 

「その風ちゃんは止めてもらえるか白雪?」

 

扉の前にいたのは生徒会長の星伽白雪だった。珍しいな、こんな所に来るなんて。

 

「キンちゃんの所には行ったんだけど、インターホン押しても出なかったから風ちゃんの所に来たの。」

 

「だから風ちゃんは止めてくれ。」

 

何故女子からちゃん付けで呼ばれなきゃならんのだ。

 

「風ちゃんは風ちゃんだから止めないよ。それよりも、はいこれ。」

 

「ん?これは?」

 

「お弁当箱だよ!!風ちゃんは栄養ゼリーしか取らないし、心配だから作ってきたんだよ。」

 

失敬な、カロ○ーメイトも食べてます!!

 

「まあ、受け取っておくよ。ありがとな。」

 

「お礼はいいよ、幼なじみの仲だからね。」

 

俺と白雪とキンジは幼なじみだ。まあ、色々あったんだよ、色々な。

 

「あっ!もうこんな時間!!じゃあ私行くね。」

 

「おう、じゃあな。」

 

俺は白雪を見送った後、自転車がないのでバスで学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業は何事もなく、平凡に終了した。ただ、たまにアリアがこっちを睨んでくる。なぜだ?

 

「風雨!!見付けたわ!!」

 

放課後、寮に帰ってのんびりしようと思ってたらアリアが校門前で待ち伏せしていた。

 

「ちょっと付いてきなさい。拒否権はないわよ。」

 

「嫌だ。というわけでさらば!!」

 

「あっ!!こら!!待ちなさい!!」

 

アリアに付いていくとろくな事がないから逃げるぜ!!俺は平凡に学生生活を過ごしたいの!!

 

「止まりなさい!!さもないと風穴開けるわよ!?」

 

「じゃあここにいるキンジに風穴を開けてればいいんじゃねえのか?」

 

俺が走ってる目の前に資料を見ているキンジがいたので、キンジの制服の襟を掴んでアリアに向けて投げ飛ばす。

 

「「フギャ!!」」

 

キンジとアリアはぶつかって、アリアがキンジを押し倒してる姿になった。

 

「おっ!お二人さん、昼間から熱いねぇ!!」

 

「「あんた(お前)のせいだ!!」」

 

「青春を謳歌しろよ?んじゃあな!!」

 

さあて、帰ったらデスク○ムゾンでもやるか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらく経ち。

 

「自転車~、まだ直らないのかよ~。」

 

自転車が直ってない為、まだバスで学校に向かっています。武偵殺しめ、自転車代と迷惑料請求してやる。

 

「おう風雨!!何暗い顔してるんだ!?」

 

「朝から武藤の顔を見たからだ。うっぷ!!」

 

「お前!!轢いてやる!!」

 

武藤がそう言ってラリアットしてきた、ふん、馬鹿めと言ってやるわ!!

 

「カウンターのモンゴリアンチョップ!!」

 

武藤のラリアットをしゃがんで避けて、武藤の両肩にチョップを喰らわせる。

 

「いてぇ!!くそっ、何で風雨は衛生科なのに強襲科と変わらない実力を持っているんだよ!?」

 

「知らん!!というか、衛生科でもこれくらいの実力は必要だろ?」

 

「お前みたいな衛生科がいてたまるか!!」

 

などと、武藤と雑談していた時。急に運転手が倒れた。

 

「居眠りか?余程疲れていたんだな、よし永遠に眠らせてやるぞ!!」

 

「止めろよ!!」

 

「じゃ、武藤運転よろしく。」

 

武藤に運転を任せてと、このパターンはあれだよなぁ。

 

『このバスは バスジャック されやがりました。』

 

デスヨネー、バスジャックですよねー。あれか、俺は今年から事件に巻き込まれる体質に変わったのか?後で神社でお払いしてもらおう。

 

「これってまさか!!」

 

「うそ!!どうしよう!!」

 

おーおー、周りの奴等がパニクってるパニクってる。こういう時こそ冷静にって教わらなかったのかねぇ。

 

「武藤お茶飲む?」

 

「お前は何でそこまで冷静でいられるんだ?って何茶菓子とお茶を用意してのんびりしてるんだ!?」

 

「やっぱり、お茶はほうじ茶だな!!」

 

『余計な事を しやがりますと 撃ちやがります。』

 

撃つ?バスの後ろか横にどうせセグウェイにUZIを付けたのが待機してるんだろう。

 

「余計な事ってわかるか風雨!?」

 

「知るかよ、テロリストの心境なんて知らん。ふぅー、煎餅は何処だったかな?」

 

「余裕だなおい!!こっちは必死なのによ!!」

 

いやだって、前にも巻き込まれたからね俺。

 

「武藤、何処かのお坊さんも言ってたじゃないか。慌てない慌てない、一休み一休みって。」

 

「それ絶対違う状況の時のだからな!!」

 

まあ、慌てても俺達はどうすることも出来ないし、助けが来るのを待つしかないね。

 

「くそっ、俺らは武偵だぞ!!やってやる!!」

 

ある男子学生三人が外のセグウェイに向けて撃つつもりだな。運転手がいると思ってんのか?

 

「おい馬鹿、今窓に姿を現したらセグウェイのUZIに撃たれるぞ?運転手がいるとも限らない。」

 

「うるせぇ!!衛生科のクズが口を出すな!!」

 

人の忠告を聞けっての。どうなっても知らね。

 

「行くぞ、1、2、3!!」

 

男子学生三人が窓からセグウェイに銃を向けたな。どれどれ、様子は。やっぱ、無人だったか。

 

『余計な 事をしやがったので 撃ちやがります。』

 

そうアナウンスが聞こえ、バスの両脇にいたセグウェイのUZIが発砲された。

 

「おいやべーぞ風雨!!」

 

「わかってるよ。」

 

俺は武藤を守るように、自分の前に刀を突き出し、刀を回転させて銃弾を弾く。

 

「お前、そんなことも出来るのかよ!!」

 

「まあな、おっ!着信だ。」

 

誰からだ?キンジか。こりゃ好都合だな!!

 

「もしもしキンジ?」

 

「風雨か!!今何処にいる!?」

 

「教えなきゃ駄目か?」

 

「ふざけている場合じゃないのよ!!武偵生徒を乗せたバスがバスジャックされたのよ!!」

 

アリアもいるのか、しかしアリアよ、大声で叫ばないでくれ。鼓膜破けるから。

 

「それは大変だな。」

 

「風雨の力を借りたい!!今何処にいる!?」

 

「バスの中。」

 

「「えっ?」」

 

あれ?二人とも固まったのか?そんなに俺がバスの中に入るのが珍しいのか?

 

「アンタ、まさか。」

 

「そう、バスジャックされたバスの中でーす。またジャックに巻き込まれたよ。」

 

「このバカ!!何でアンタがそこにいるのよ!?」

 

「そこに公共交通機関があったからさ!!」

 

「はあ、もういいわ、取り合えずバスの中の状況を教えて頂戴。」

 

アリアよ、溜め息をついたら幸せが逃げるぞ?

 

「運転手が倒れて、今は武藤が運転している。そして、馬鹿な生徒のせいでセグウェイに付いてるUZIが発砲して、中にいた学生のほとんどが軽傷から重傷を負った。」

 

いくら学生服が防弾仕様だからといっても完全には防げないしな。それに、女子生徒は素足の部分は何も防御出来ないからな。

 

「アンタは無事なの!?」

 

「無傷、そんなくらいで傷なんて付いたら衛生科の名折れだ。」

 

「アンタ、アサルトに移った方がいいわよ。」

 

衛生科は自分の身は自分で守らないといけないから、これくらいは出来て当然だと思うんだけどな。

 

「応急手当はアンビュランスの人達がやってくれてる。キンジ、どれくらいで着きそうか?」

 

「5分はかかる。」

 

「5分だな?よしわかった。それとキンジ、何故アリアとコンビを組んだんだ?」

 

それが気になるな。どうせアリアに強く言われて断れなかったんだろうけど。

 

「どんな依頼でも一回だけコンビを組むと約束した。」

 

「その一回がどでかいのになっちまったな。」

 

「んじゃ、切るからな。」

 

キンジは来るのは確定っと。でも来てもセグウェイが邪魔だな。

 

「仕方ない、武藤、あとは任せた。」

 

「任せたって何処に行くんだよ風雨!?」

 

よっこらしょっと、まあ、窓からバスの屋根に飛び移ってと。

 

「来いよセグウェイ!!UZIなんて捨ててかかってこい!!」

 

俺がそう言った瞬間にセグウェイに付いてあるUZIが発射された。UZIを捨ててかかってこいって言ったのに。

 

「まあ、当たりませんけど。」

 

両手に小太刀を持って、それを回転させて銃弾を弾く。流石に切り飛ばせねえよ。

 

「んー、攻撃は防げるけど、反撃が出来ないんだよな~。銃以外の遠距離攻撃手段を考えておくか。」

 

しばらく防いでいると、急にセグウェイのタイヤがパンクしてクラッシュした。おっ、アリアとキンジが来たか?

 

「風雨!!無事か!?」

 

「俺は無事だ。で、これからどうすんだ?」

 

「爆弾が仕掛けられてる筈よ、まずはそれを探すわ。」

 

「それならバスの下の部分にあったぞ?」

 

一瞬だけ、見えたからな。

 

「わかった、私が爆弾を解除するからアンタ達は見張ってて!!」

 

「解除出来んのか?」

 

「武偵憲章第1条!!仲間を信じ、仲間を助けよよ!!」

 

アリアがそう叫んだ時、新たにセグウェイがやって来て、備え付けてあるUZIでキンジを狙撃してきた。マジかよ!!キンジ気付いてねえし!!

 

「この、バカ!!」

 

「バカはお前だアリア!!」

 

アリアがキンジを庇おうとしていたから、代わりに俺がキンジを庇う。

 

「ぐっ!!あっ。」

 

なんとか銃弾は額を擦った程度にしたが、そのせいで屋根から足を踏み外した。まーた擦り傷を負わなきゃならんのか。

 

「「風雨!!」」

 

「じゃ、後は任せた。それとアリア、下着はもっとお洒落なのにした方がいいぞ?」

 

「アンタ!!1回死になさい!!」

 

仕方ねーじゃん。道路に背中から落下してんだから、スカートの中見えるから。とまあ、そんなこと考えてたら道路に激突し、ゴロゴロと転がる。

 

「痛てえ、冗談抜きに痛てぇ。」

 

あれだ、食べ物が擦られる感覚がよく分かった。痛みで意識が飛びそうだ。

 

「っ!!これは後で病院だな。」

 

とかぼやきながら、小太刀を地面に刺して立ち上がる。言っておくけど、俺は最強ではないからな?

 

「しかも、お掃除と言わんばかりにセグウェイが三台こっちに向かって来てるし。」

 

そんなに俺を殺したいのか武偵殺しさんよ。まあ、UZIが無いだけましか。

 

「殺したいならご自由にどうぞ。だが、俺を甘く見るなよ?」

 

俺は2つの小太刀の柄を合わせて嵌める。よし、準備完了。あとはセグウェイを引き付けて。

 

「戦術殻 風!!」

 

合わせた小太刀を上に掲げ、体を回転させて竜巻を作る。俺に向かって来たセグウェイ三台は竜巻に巻き込まれて、海に飛ばされた。

 

「はぁ、はぁ、俺は衛生科でもありながらSSR所属だぞ武偵殺しさん?」

 

超能力の説明は、また今度な。もうだめだ、意識が保ってられん。

 

「おやすみー、いい夢を見よう。」



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第4筋 リュパン・ザ・フォ~ス!

あの後、目覚めたら病院でした。しかも担当医が俺が目を覚ました瞬間に驚いたような顔をした。何故だ?

 

「ようやく目を覚ましたんですね!!」

 

「ようやく?俺ってどれくらい寝てた?」

 

「ざっと3日です。」

 

3日、おいおい結構重傷だったのか。でもあの時はそれほど痛みは感じなかったし。アドレナリンすげー。

 

「3日間の間で、何かありました?」

 

「さあ?でもキンジさんとアリアさんが喧嘩してましたよ。パートナーがどうやらこうやらで。」

 

まーた喧嘩か。どんだけやれば気が済むんだよ。

 

「そうですか、ところで先生。ものすごい腹が減って死にそうです。食べ物ありませんか?」

 

「貴方はまだ重傷を負ってるんですから固形物は食べさせられません!!」

 

「どうでもいいです!!食べ物くれーーーー!!」

 

オラに食べ物を分けてくれーー!!少しずつでもいいからくれーーーー!!

 

「駄目なものは駄目です!!大人しく寝てなさい。」

 

「先生、寝るためにエネルギーを使うこと知ってます?つまり、食べ物をくれないと俺は寝れません。いや、寝てたまるか!!」

 

なんでもいいからくれよ~。くさやでもマーマイトでもウナギゼリーでもいいからさ~。

 

「医師の言うことが聞けないんですか?」

 

「聞けません!!いい加減に食べ物をくれないと泣きわめきます!!」

 

「勝手に泣きわめいてください。」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

この医師鬼だ。悪魔だ!!

 

「点滴で栄養は補給してるんだから、死にません。というわけで寝ろ!!」

 

「ふぐえっ!!」

 

辞書で頭殴られた。重傷患者を鈍器で殴る医師なんてサイテーだ!!この世の悪魔だ!!

 

「あら、ここに丁度いい大きさの椅子がありますね。」

 

「すいません、マジ勘弁してください。」

 

「わかればいいのよ。退院は明明後日くらいだから、それまで大人しくしてるのよ。」

 

そう言って担当医は部屋から出ていった。おー、痛てえ、頭がジンジンする。

 

「あー暇だ。やることないって本当に暇だ。」

 

ゲームとかも持ってきてねえし、携帯ゲームはそんなにないし。

 

「仕方ない、大人しく寝ますか。」

 

寝る子は育つからな。これ以上育ってどうすんだって話だけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?夜か。」

 

四時間は寝ていたな。それにしても、腹へった。

 

「せめてりんごくらい置いていってほしかったんだけどな。ん?着信?」

 

相手は、キンジか。

 

「もしもし?」

 

「風雨!!目覚めたんだな!!」

 

「どした?そんなに慌てて?30文字以内で纏めろ。」

 

「アリアと喧嘩して、拗ねてイギリス便の飛行機でイギリスに帰る。その飛行機に武偵殺しがいる。その飛行機に向かってる。」

 

60文字じゃねえか!!倍の数オーバーしてるぞ!!

 

「で、何で俺に電話かけたんだ?」

 

「風雨が目覚めたか確認しておきたかった。それだけだ、じゃあな。」

 

ふむふむ、なるほどな。それってつまり。

 

「俺もアリアが乗っている飛行機に行けって事だな!!」

 

キンジの奴、来てほしいなら素直にそう言えばいいのに、素直じゃねえな。

 

「ここから飛行場までは、わりと近いな!!」

 

間に合うかどうかわからないが、行ってみるか。

 

「というわけで、脱走じゃぁぁぁぁ!!」

 

ロッカーに制服と刀二本あったから、それを装備し、窓を思いっきり開けて飛び出す。

 

「パー○ンの如く窓から出勤!!」

 

あっ、部屋三階だから受け身さえすれば問題ない『グギィ!!』アシクビヲクジキマシタ!!

 

「不幸だ、って言ってる場合じゃねえな!!」

 

急いで移動しないと、病院の医師に見つかったら面倒だ。

 

「何か乗り物は、おっ!!バイクあんじゃん!!」

 

しかもキーは付いたまま!!これに乗っていくか。

 

「でも無断で借りるのはよくないからな。ちゃんと置き手紙を置いてと。」

 

じゃあバイクに乗って出発!!ん?いつ返すかって?死んだら返す!!

 

「ヒャッハー!!バイクは気持ちいいーー!!」

 

なんかこう、気分が上がるよな。なんでかは知らんが。

 

「ぬ~すんだバイクでは~しりだす!!おっと赤信号だ。」

 

交通ルールは流石に守るぞ。警察にお世話になりたくないし。

 

「飛行機が発着まで30分。あと15分で着くとして、余裕があるな。」

 

そのまま行ってもいいんだけどな、なんかこう、インパクトを与えたいよな。

 

「何かいい方法は、着ぐるみ屋?」

 

いいところにあんじゃん!!これでインパクトは与えられるぞ(ニヤリ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから無事に飛行場に着いて、アリアが乗っている飛行機に潜入出来ました。いやあ、段ボールって素晴らしいね!!

 

「そろそろ何か起きてもいい時間なんだけど。」

 

今は飛行機の中にあるバーにあった。ゆるキャラの着ぐるみの中に隠れてるぞ。何故バーに着ぐるみが置いてあるのやら。

 

「お客様にお詫び申し上げます。当機は台風による乱気流を迂回するため、到着が30分ほど遅れることが予測されます。ご理解の程、よろしくお願いします。」

 

台風か、まあどうでもいいか。と考えていたら銃声が聞こえたな。ついに来たか?

 

「動くな!!」

 

この声はキンジか。キンジも無事に着いたんだな。

 

「Attention please でやがります。」

 

この声はフライトアテンダントか。でも何かどっかで聞いたことある声だな。

 

「そろそろ始めるのか。ってか足が痛い!!」

 

軽く三時間は同じ姿勢を取ってるからな。飛行機が発着してからしばらくは普通のお客さんにばれないようにしてたからな。子供は俺の着ている着ぐるみ見て、めっちゃ喜んでたけど。

 

「ん?機内放送か?」

 

ポーンポーンポーンってしか聞こえねぇ。これは暗号だったな。

 

「えっと、オイデ オイデ イ・ウー ハ テンゴク ダヨ オイデ オイデ イッカイ ノ バー ニ イルヨか。」

 

挑発だな、しかしイ・ウー☆ってなんだ?

 

「まあ、この後わかるか。」

 

さてさて、音を拾う機械をセットしてと。

 

「いたわ!!」

 

この声はアリアだな、ようやく始まるのか!!

 

「今回も、キレイに引っかかってくれやがりましたねぇ。」

 

さっきの気になる声が聞こえて、ベリベリと何かが剥がれる音が聞こえる。おそらくマスクかな。さて、誰かな?

 

「理子!?」

 

「Bon soir。」

 

アリアが驚いた声をあげたな。どれどれ、着ぐるみの目の部分から見てみますか。

 

「おおう、本当に理子だ。」

 

よし、後で自転車の修理代と迷惑料払ってもらおう。

 

「アタマとカラダで人と闘う才能ってさ、ケッコー遺伝するんだよね。武偵高校にも、そういう遺伝的天才が少なからずいる。でも、お前の一族は別だよ、オルメス。」

 

オルメス?オムレツの聞き間違いか?

 

「アンタ、一体何者なの?」

 

それ気になる、めっちゃ気になる。

 

「峰・理子・リュパン4世。これが本当の私の名前だよ!!」

 

そう言って理子は高らかに笑ったな。しかもリュパンって。あのとっつあんにいつも追いかけ回されてるっていうあのリュパンか?

 

「ふむふむ、それに出てくる峰不○子みたいにスタイルいいな。」

 

ハニートラップとかも仕掛けて来そうだな。気を付けよう。

 

「理子はね、家の人間たちからずっと、4世、4世、4世様って呼ばれてたの。どいつもこいつも、4世様って。ひっどいよねぇ。」

 

「4世の何が悪いのよ?」

 

アリア、ストレートに聞きすぎ。これ理子の奴ぶちギレるぞ。

 

「悪いに決まってるだろォ!あたしは数字じゃない!ただのDNAなんかじゃないんだ!!」

 

さっきまでと比べて苛烈に、怒りを露にしているな。この怒りっぷりは、何か過去にあったな理子。

 

「イ・ウーに入って手に入れたこの力で、あたしは曾お爺さまを超えるんだ!!」

 

超えたきゃ勝手に超えてろ。ただ、払うものはきちんと払ってもらうけどな。

 

「待て、理子。お前が、本当にお前が、武偵殺しなのか?」

 

キンジが信じられないといった表情で理子に訊ねてるな。キンジは優しいからな、信じたくないんだろう。

 

「そうだよ、ついでにあの自転車ジャックやバスジャックはほんのついでのお遊びさ。」

 

理子はそう言いながらヘラヘラと笑いながらアリアに近付いて行く。最近の若者のお遊びは度が過ぎてるぜ全く。

 

「そして本命は、お前だ。オルメス。オルメス4世。」

 

理子はそう言ってアリアに向けて指を指す。あぁ、アリアの事言ってたのか。にしても理子の目がヤバイな。ギラギラしてやがる。

 

「100年前の戦いは引き分けだった。だから今度こそ、決着をつける。オルメス4世を殺せば私は曾お爺さまを超えたという証明になる。」

 

それって、ただの自己満足じゃね?そう思うのは俺だけかな?

 

「だから、お前も役割を果たせよキンジ?」

 

「何もかも、お前の計算通りってわけか理子!?」

 

キンジが声を荒げて理子にそう言うが、理子は首を横に振った。

 

「それがそうでもないんだよなー。余計なものまで混ざっちゃったから計算通りってわけじゃないかなー。」

 

余計なものって俺の事かい。何気に傷付くわー。

 

「でも今は病院にいるから余計な心配はしなくて済む。あとついでにイイコト教えてあげる!!キンジのお兄さんを殺したのはこの理子でーす!!」

 

「おまえが!!おまえが兄さんを!!」

 

キンジはだいぶ頭に来てるな。無理もない、目の前で兄を殺した人がいるんだからな。

 

「キンジ!!落ち着きなさい!!嘘に決まってるわ!!」

 

「んもう、何でそんなすぐにネタバラシするかなー?オルメスの言う通りキンジのお兄さんは殺してないよ。」

 

だろうな、明らかに挑発しているように見えたからな。ってか何か気まずくなってきた。

 

「理子!!本当の事を言え!!兄さんは今どうしているんだ!?」

 

「くふ。ほらアリア。パートナーさんがおこだよー?一緒に戦ってあげなよー!あとねキンジ。もう一ついいこと教えてあげる。あなたのお兄さんは……今、理子の恋人なの!!」

 

「いい加減にしろ!!」

 

そう言ってキンジは理子に突っ込んで行ったな。それを見た理子はキンジの攻撃を避けて回し蹴りでキンジをアリアの所まで吹き飛ばした。

 

「しかもご丁寧にキンジのベレッタを掠め取って分解しやがった。」

 

手癖も相当だな。そろそろ出てもいいかな?

 

「キンジ!!アンタはしばらく頭を冷やしてなさい!!」

 

そう言いアリアはガバメントを二丁持って理子に向かっていく。理子の武器は確かワルザー一丁だったな。

 

「アハハ!!アリアだけが二丁拳銃だと思ってたら大間違いだよ!!」

 

マジか、これで手数は互角。これはジリ貧になるな。

 

「くっ!!このっ!!ちょこまかと!!」

 

「アハハハハ!!」

 

しばらく、二人の撃ち合いが続いていたが、弾切れを起こしたアリアは両脇で理子の両手を抱えた。

 

「キンジ!!」

 

アリアはそう叫び、キンジはバタフライナイフを理子に向けた。こりゃ勝負あったかな?

 

「終わりだ理子。」

 

「奇偶だよねアリア、理子とアリアはいろんなとこが似てる。家系にキュートな姿、それと2つ名のカドラ。」

 

な、何だ?理子から嫌な気配が漂ってきたぞ?

 

「あたしも2つ名を持ってるのよカドラの理子。でもねアリア。」

 

理子がそこまで言うと、理子のツインテールが自我を持ったように動き出した。あんなのありか!?

 

「アリアのカドラは本物じゃない。お前はまだしらないこの力のことを。」

 

そう言って理子はツインテールの先にナイフを構え、アリアに向けて切りかかる。あれ反則だろ!!

 

「くっ!!」

 

アリアは一発目は体を捻って回避したが、もう片方のツインテールにもナイフがあり、アリアは避けきれず、頭から鮮血が舞った。

 

「アリア!!」

 

倒れるアリアをキンジが支える。まずいな、ショック状態になってる。早くラッツォを打たないとヤバイぞキンジ!!

 

「アハハハハ!!遂に遂にやったよ曾お爺様!!理子は、理子は曾お爺様を超えたんだ!!」

 

「くそっ!!」

 

キンジは高らかに笑ってる理子に背を向けてバーから出たな。よし、やっと出番が来たな!!

 

「何処に行くのかな~?キン「そこまでなっしよ!!」えっ?」

 

「これ以上見ていられなくなったから参上したなっしよ!!」

 

「……何してるのフウフウ?」

 

げっ!!一瞬でバレた。だが押し通す!!

 

「フウフウなんて知らないなしよ?ここにいるのは前までテレビに出まくっていたふ○っしーなっしよ!!」

 

そう言い体をめちゃめちゃに動かす。ヤバイ、かなり疲れるこれ。

 

「いや、フウフウだってバレてるから。」

 

「ちえっ、上手くいったと思ったのに。」

 

じゃあ、着ぐるみは脱いでいいな。あー暑かった。

 

「フウフウは最初からいたのかな~?」

 

「いた、飛行機が発着する前からスタンバってた。」

 

俺がそう言うと理子はなんとも言えない表情をしていた。

 

「まさかフウフウも来ていたなんて思わなかったよ。それで、理子をどうするのかな~?重傷の身で何が出来るのかな~?」

 

「ん?理子のスリーサイズでも聞こうかなと思ってな。」

 

俺がそう言うと理子はゲラゲラと笑い出す。

 

「あはは!!やっぱりフウフウは面白いね!!でも理子ちょっと今立て込んでるんだよね~。」

 

「なら俺と色々話そうや。理子について俺全然知らないからさ。」

 

「いいよ~。お話(物理)は大得意だよ!!」

 

おいちょっと待て、何かお話の意味が違ったような?ってぶね!!

 

「やるね~。理子の早撃ちを避けるなんて。でも、意気がるのもそれまでだ。」

 

そう言って理子は両手に二丁拳銃、ツインテールにナイフを構えて突進してくる。

 

「結局こうなるのかよ。んじゃ、ぽいっと。」

 

俺は持っていた刀を手から落とす。それを見た理子が動きを止めた。馬鹿め、それは罠だ!!

 

「降参かな~?じゃあ「しねえよ。時雨蒼炎流 攻式三之型 遣らずの雨。」なっ!!」

 

俺は刀がワンバウンドした時、刀の柄を蹴って理子のツインテールに刺す。

 

「何だ今のは!?刀を蹴るとかあり得ないぞ!!」

 

まあ、俺も最初見た時、びっくりしたけどな。ちなみに、原作の技とはちょっと違うけどな。

 

「今のはな、俺の剣術の技だ。さて、覚悟しろよ武偵殺しさん?逮捕して自転車の修理代と迷惑料を払ってもらうからな!! 」



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第5筋 衛生科でも強い奴はいる

「まさか剣術を習っていたなんてね~。でも理子には勝てないよ?」

 

理子はツインテールに刺さった俺の刀を抜き、左手に持った。っておい!!

 

「おい、返せ!!」

 

「え~?聞こえないな~?この刀はフウフウが理子にプレゼントしてくれたんじゃないの?」

 

誰がプレゼントするか。お前にあげるプレゼントなんてねぇ!!

 

「でもいいのかな理子?その刀持っちゃって?」

 

俺はポケットに手を突っ込んで、中にあるスイッチを押す。すると刀から炎が出現した。

 

「熱!!てめえ図ったな!?」

 

理子は熱かったのか、刀を俺に投げ付ける。やった、返ってきた!!

 

「言わなかったっけ?他人から貰うものには気を付けろって?お母さんに習わなかったのか?」

 

刀を手で受け止め、柄を持つ。やべ、まだ熱い。

 

「調子に乗んなよ落ちこぼれが!!」

 

理子は俺の態度が気に入らなかったらしく、さっきよりも怒りを露にして向かってくる。

 

「すーぐキレるのな。どうした理子ちゃん?激おこぷんぷん丸なの?」

 

「殺してやる!!てめえはギッタンギッタンにしてやる!!」

 

理子はそう叫びながらワルザーを撃ってくる。まあ、自分の前に刀を出して回転させれば当たらんけどな。

 

「お前のその態度が気に入らない!!余裕そうなその表情も気に入らない!!」

 

「これでも超焦ってますが?」

 

いつ意識が落ちるかヒヤヒヤしてますが?ポーカーフェイスを維持するのは大変だぜ。

 

「だから、イ・ウーに来ないフウフウ?」

 

「はぁ?どうした理子?」

 

怒り狂ってる表情から一転して笑顔を見せてとんでもない事を言ってきやがった。

 

「フウフウならきっとイ・ウーのメンバーに入れば今以上に強くなれるよ!!理子が保証してあげる!!」

 

「そうかそうか、で、イ・ウーって何だ?韓国人の名前か?」

 

俺がそう言った時、理子は盛大にこけた。何故?

 

「フウフウって本当に変わってるよね。」

 

「褒めても何もでないぞ?」

 

「褒めてないから。それで、イ・ウーに来るの?」

 

「面倒だから行かねえ。」

 

俺の回答に理子はまだなんとも言えない表情をした。

 

「それよりも、俺は理子に自転車代と迷惑料と治療費を払ってもらわなきゃなんねえんだ!!」

 

「もしかして、ここに来たのってその為?」

 

「当たり前だ、正直理子がイ・ウーで何やらかしてるかんてどうでもいいし、アリアとの関係もどうでもいい。因縁とか決着とかやりたきゃやってろ。」

 

俺はそこまで言って、刀を鞘に納める。

 

「けど、他人を巻き込むのは良くないよなぁ?バスジャックとハイジャック。更にその前の事件。」

 

「フウフウ、今激おこ?」

 

「激おこファイナルストリームぷんぷん丸だ!!というわけでちょっと本気出すわ。」

 

そう言い俺は地面を蹴って、理子の懐に潜り込んでアッパーカットを放つ。

 

「ッ!!」

 

ちぃ、かろうじて理子は反応して首を横に振って回避したやがった。

 

「ちょっと!!何の躊躇いもなく女の子の顔面を殴るとかどうなの!?」

 

「同じ人間だから何も問題ない。ましてや、そこまで反応するって事は殴ってほしいっていう解釈でいいんだな?」

 

「良くないよ!!」

 

続けてハイキックで顔面を蹴ろうとしたが、理子のツインテールで防がれる。便利だなそれ。

 

「キックは駄目だよ、がら空きになるからね!!」

 

そう言い理子はツインテールを俺の足に絡めて、動きを封じようとしてくる。確かにキックは駄目だな。

 

「くふふ、これで勝負あったね?後は気絶させれば「ところがそうはいかないんだよなぁ。」!!」

 

絡めてきたのなら、絡めた本人を吹き飛ばせばいい。俺は思いっきり足を蹴り上げて理子を吹き飛ばす。

 

「ガッ!!」

 

「まだまだだな、絡める力が弱い。」

 

「フウフウって、何者なのさ!?常識が通用しないよ!!」

 

「知らないのか理子?常識に囚われてはいけないもんなんだぜ!!」

 

そう言い理子に近付くが、理子は何やら不敵な笑みを浮かべていた。

 

「スキアリだよ!!」

 

そう言って理子は隠してあったらしいワルザーで俺の頭を狙って撃ってきた。理子との距離は1メートル、この距離なら外しようがないと思ったのか?

 

「よっと。」

 

俺はブリッジで回避するが、理子は立ち上がって俺の股間を蹴ろうとしてくる。

 

「ちょ!!おまっ!!」

 

「ここを蹴られたらどうなるかな?悶絶するフウフウを見てみたいな~?」

 

そう言って理子は俺の股間を蹴り上げた。ふっ、甘いな。

 

ガギィィィィン!!

 

「痛ったぁぁぁぁぁ!!!」

 

「男の急所の部分に何も手を加えてないと思ったか?ズボンの股間の部分に鉄板を仕込んであるんだよ。」

 

俺は地面をゴロゴロ転がってる理子に向けて言う。いやー備えあれば憂いなしだな。

 

「一瞬フウフウって女の子かと思ったよ!!しかも何でそんな対策してあるのさ!?」

 

「カップラーメンの染みが股間部分に付いたから、その染み抜きのついでに鉄板を仕込んだ。」

 

「理由がなんかとんでもなかった!!」

 

そうこうしている内に、キンジがやって来た。キンジは俺の顔を見た瞬間にやっぱりかという表情をした。

 

「何でここにいるんだ風雨?」

 

「あそこの着ぐるみの中に隠れてた。」

 

「なるほど。」

 

あれ、今ので通じたんだ。という事は変態モードになったんだな。

 

「どうせアリアとチュッチュしたんだろキンジ?」

 

「あぁ、アリアとチュッチュした。ところで何故理子が涙目になっているんだ?」

 

「固いものを蹴ってから。さて。」

 

俺は涙目になりながら飛行機の壁に何やらセットしている理子に向かって歩いていく。

 

「何処へ行くんだぁ?一人用の「頼むから真面目にやってくれ。」へいへい。」

 

「うぅ~、まさかフウフウがこんなに強かったなんて。理子侮ってたよ。」

 

「慢心、ダメ、ゼッタイだぞ?さて、峰・理子・リュピャン4世……。」

 

やべっ、思いっきり噛んじまった。

 

「お前、今噛んだよな?」

 

「えっ?何が?」

 

「いや明らかに噛んでたよねフウフウ?」

 

「いや噛んでねえよ。何言ってんだよ二人とも?」

 

「いや、誤魔化しようがないからな風雨?」

 

「噛んでねえって言ってんだろ!!」

 

人聞きの悪いこというなよ二人とも。噛んでないからな?

 

「いや、リュピャンって言ったよな風雨?」

 

「そんなこと言ってねーし!!本人が噛んでないって言ってんだから噛んでねーことになるし!!」

 

「今認めたよねフウフウ?録音してたから聞いてみる?」

 

止めてくれ、頭が痛くなる。

 

「誰かバファ○ンくれ。今は半分でもいいから優しさが欲しい。」

 

さて、気を取り直しますか。

 

「峰・理子・リュパン4世。殺人未遂で現行犯逮捕する。」

 

「「(あっ、なかったことにしようとしてる。)」」

 

「さて、もう逃げられないぞ理子?俺に自転車代と迷惑料と治療費と着ぐるみ代を払ってもらうからな。」

 

「何か一つ増えてない!?」

 

知らんな。決して着ぐるみ代が思った以上に高かったから理子に請求してしまえとは思ってないからな?

 

「でも、もう遅いんだよ。ぶわぁーか。」

 

理子がそう言うと急に飛行機が傾きだした。どっか爆発でもさせたか?

 

「うおっと。ってマジかよ。」

 

理子の後ろの壁が無くなっていた。そこも爆発させたのか、ということは。

 

「知ってるとは思うけど理子は爆弾使いですから。」

 

「見たらわかる。」

 

「そこ即答しないで欲しいかな~フウフウ。こういうときって唖然とするもんでしょ~?」

 

いや、目の前で爆弾を爆発させたらどんなに鈍いやつでも気付くだろ普通。

 

「ねえキンジ。この世の天国、イ・ウーに来ない?1人ぐらいならタンデムできるし、連れて行ってあげるから。それにね、イ・ウーにはお兄さんもいるんだよ?」

 

理子はスカートをつまんで少し持ち上げ、お辞儀しながら言う。

 

「おい理子、これ以上俺を怒らせないでくれ。あと一言でも兄さんの事を言われたら俺は衝動的に9条を破るかもしれない。」

 

キンジが怒りで声を震わしながら言う。ヒステリアモードの時のキンジが怒ってるなら相当頭に来てるんだな。

 

「おーこわいこわい。それにキンジに武偵を辞められるのも困るし黙ったほうがいいか。だけど、もしその気があるならあたしたちはいつでも歓迎するよ。もちろんフウフウも歓迎するよ。」

 

「おい理子!!」

 

俺がそう言って理子を掴まえようとした時、理子は穴から外に飛び出した。パラシュート無しで。

 

「あっ、やべっ。」

 

「風雨!!」

 

その時に突風が吹いて、俺は足を滑らせて穴から飛び出てしまった。またこのパターンですかい!!

 

「風雨ゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

キンジの叫び声を聞きながら俺は理子と同じく、パラシュート無しでスカイダイビングする羽目になった。

 

「ちょっと!!何してるのフウフウ!!」

 

理子がこっちにやって来た。驚愕の表情をしていたけどな。

 

「おー理子。さっきぶり。」

 

俺は自由落下しながら理子に手を振る。やべっ、目が乾燥してきた。

 

「なんで飛び出して来たの!?馬鹿なの!?死ぬの!?」

 

ひどい言われようだ。

 

「ヘックション!!寒い!!スカイダイビングって思った以上に寒いな。」

 

「そんなこと言ってる場合!?パラシュートとかないの!?」

 

「そういう理子はあるのか?」

 

「あるから飛び出して来たんだよ!!」

 

マジか、用意周到な奴だな。

 

「にしても、鳥になった気分だ。体が軽い、まるで鳥のように飛んでるみたいだ!!」

 

「現実逃避しないで!!このままだと死ぬよ!?」

 

分かった分かった、そんなに怒るなよ理子。

 

「無事に着地する手段はあるんだよ。」

 

俺は小太刀を2つ取り出して、柄と柄を合わせて嵌める。そして地面に小太刀を合わせたものを向ける。

 

「そいや!!」

 

戦術殻 風を発動させながら落下する。こうすることで無事に地面に着地する事が出来る。

 

「よっと。うえっ、回りすぎた。」

 

ある平原に着地出来た。けど、難点は長時間、戦術殻 風を使うと気持ち悪くなる事だな。

 

参考となる映像は鬼○者3のオープンニングを見てくれればわかるぞ。

 

「そんな着地の仕方があったなんてね。」

 

理子がゆっくりと降りてくる。っておい、パラシュートって制服を改造した物かよ。下着姿で落下してきたのかい。

 

「ふむ、推理通りに来たみたいだね。」

 

暗闇から突然男の声が聞こえてきた。それを聞いた理子は驚き、固まってるな。

 

「初めまして山本風雨君。僕は、シャーロック・ホームズでも名乗っておこうかな。または教授とも呼ばれている。」

 

二十代か三十代くらいの青年が杖を付きながらやって来た。あの有名なシャーロック・ホームズか。

 

「教授!?どうしてここに!?」

 

「ここに風雨君が落ちてくると推理して来たまでだよ。理子君、お疲れ様。今日は戻ってゆっくり休みなさい。」

 

「分かりました。」

 

そう言って理子は何処かに歩いていった。おそらくイ・ウーのアジトかな。

 

「シャーロック・ホームズ。まさかあんたに会えるとはな。女装して結婚式場に乗り込んだり、友人の妻を何の躊躇いもなく列車から湖に突き落としたり「事実だけど、思い出したくなかったな。特に女装。」そうかい。」

 

シャーロックは苦笑いしながら頬をかいていた。

 

「風雨君は僕を見てもそれほど驚いた表情は見せないね。これでもイ・ウーの頂点に立つ者なんだよ?」

 

「あー、はいはい。それで、イ・ウーの頂点に立つ者が俺に何の用だ?」

 

俺がそう言うと、シャーロックは後ろを向いて歩き出す。

 

「とりあえずついてきたまえ。」

 

「何でついて行かなきゃならない?」

 

「理由を説明してなかったね。どうだい?これからディナーでも一緒にいかがかな?」

 

「腹減ってるし、いいけどさ。何処に向かうんだ「つ○八だけど?」思った以上に庶民的だな!!」



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第6筋 きちんと生存報告をしましょう

「ふむ、やはり日本の飲食店は素晴らしいね。」

 

「何で、ディナーの場所が居酒屋なんだよ?」

 

俺とシャーロックは今、居酒屋の個室にいる。せめてカウンターにしろよ、ある意味ラスボス的な奴と二人っきりになんなきゃいけねえんだよ。

 

「好きなものを頼むといい。大丈夫、お代は僕が持つよ。」

 

「んな事言われてもな。はいそうですかってなるわけねーだろ普通。あっ、店員さんすいません、メニューに書かれてあるもの全てお願いします。」

 

「じゃあ僕も彼と同じものを。」

 

シャーロック、お前もどんだけ食べる気だよ?ここの居酒屋の食い物無くす気か?

 

「君と同じく3日間何も食べていなかったからね。」

 

「ちなみに理由は?」

 

「TRPGに夢中になってしまってね。あれは中々に面白いゲームだ。」

 

おいこら、名推理を持つシャーロックが推理ゲームやるなよ。すぐ結末に辿り着くだろ。

 

「敢えて分からないふりをしておくのさ。あとは他の人の推理の妨害かな?」

 

「シャーロックとTRPGをした人、絶対涙目だろ。」

 

って何か俺の考えている事を読まれるな。なんでだ?

 

「僕の推理力が常軌を超えてるからだよ。そして、卓越した推理は何時しか推理越えて予知に変わる。僕は条理予知(コグニス)と呼んでいるよ。」

 

「予知ねえ、じゃあこれからの事も分かるのか?」

 

俺はいつの間にかテーブルに置かれてあった料理を食べながらシャーロックにそう尋ねる。

 

「もちろんだとも。でも、それを言ったらつまらないだろう?」

 

「それもそうだな。何が起きるか分からないからこそ面白い。」

 

俺とシャーロックは一旦そこで話を切って、次々に運ばれてくる料理を食べていく。3日間何も食べていなかったからどんどん入るな。

 

「まるで吸引力の変わらない、ただ一つの掃除機みたいだね。」

 

「だから俺が考えている事を予知すんなよ。」

 

「ついからかいたくなるんだよ。ところで風雨君、君に一つ良いことを教えよう。」

 

良いこと?まーた予知とかで見たものか。ってか良いことって何だ?

 

「もうすぐ君に彼女が出来るよ。」

 

「ブッッッフォォォォォ!!」

 

いきなり何を言い出すんだ!?流石に動揺するわ!!

 

「しかも同棲が出来るだろう。その時を楽しみにしたまえ。」

 

「んなもんに予知を使うな!!もっとましな事に予知を使えよ!!」

 

「暇つぶしに推理したまでだよ。思った以上に推理するのが大変でいいトレーニングになったよ。」

 

もっと違う方法でトレーニングしろよ。

 

「さて、これから君達は色んな困難にぶつかる。僕から役に立つ物をあげよう。」

 

そう言ってシャーロックは俺に籠手みたいなものを渡してきた。

 

「君は自分の能力を使う時、いちいち武器を取り出したり、しまったりして面倒じゃないかな?」

 

「まあ確かに面倒ではある。」

 

「この籠手を左腕にはめれば、君がこの武器が使いたいと念じたら自動的に出てくるようになる。逆にしまいたいと念じたらしまえる。」

 

何その四○元ポケットみたいなもの。どうやったらそんなもの作れるんだよ?

 

「その籠手は属性毎に色を変える。だから赤色にして、俺の左腕が真っ赤に燃える!!なんて遊びはしないようにね?」

 

「誰がするかそんな中二臭い遊びを!!」

 

「もしくは静まれ!!俺の左腕!!とかもやらないようにね?」

 

なんでシャーロックはそんなネタを知ってるんだ?

 

「日本のアニメは素晴らしいからね。」

 

「はぁ、まあいいや。それで、この籠手は着脱可能なのか?」

 

「その籠手は一度はめたら2度と外れないよ。」

 

ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!今なんて言いやがった!?

 

「大丈夫、蒸れないように設計してるし、消臭効果を搭載している。汚れも拭けば落ちる仕組みにしてるよ。」

 

「そういう事を聞いてるんじゃねえよ!!何で最初に説明しないんだよ!?」

 

「最初に説明すると、君は絶対に着けないと推理したから説明しなかったんだよ。」

 

すべてお見通しかよ。弄られるのは好きじゃねえんだよ。

 

「ところで、アリア君は元気かな?」

 

「元気だ。ただ、我が儘で自分勝手だからすげー迷惑してるけどな。」

 

「それを優しく受け入れるのが英国紳士ってものだよ。」

 

俺ジャパニーズピーポーだからそんなの知らね。

 

「元気なら何よりだ。さて、そろそろお開きの時間だね。」

 

そう言いシャーロックはレジに向かう。丁度全メニュー食べ終わった所だしな。

 

「それじゃあ風雨君、また暇が出来たらディナーにでも誘うよ。」

 

「これっきりにしてくれるとありがたいんだかな。」

 

「そうなるように祈っておくといいよ。」

 

会計を済ませ、シャーロックは俺に微笑んだ後、いきなり消え去った。つーかまたディナーに誘う気満々だなあれは。

 

「あっ、帰り道わからねぇ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、なんとか寮に帰ってこれた。そして、また数日間寝てしまった。その後、学校に登校してクラスの扉を開けた瞬間に皆が叫び声を上げた。何故だ?

 

「ギャァァァァァ!!デタァァァァァ!!」

 

「悪霊退散!!悪霊退散!!悪霊退散!!」

 

「南無阿彌陀仏!!南無阿彌陀仏!!」

 

お前ら、俺を幽霊扱いしてんじゃねえよ。ちゃんと生きてるわ、足生えてるわ。

 

「風雨!!生きていやがったのか!!」

 

「人を勝手に殺すんじゃねえよキンジ。」

 

「風雨!!生きていやがった!!とりあえず轢いてやる!!」

 

後ろから武藤がドロップキックしてきたから、足を掴んでジャイアントスイングで教室の隅に投げ飛ばす。

 

「うぶえあ!!」

 

「風雨君、無事で良かったよ。」

 

「不知火、お前本当に冷静だな。」

 

「風雨君は何をしても死なないと思ってるからね。」

 

その後、クラスメイトからどうやって生き延びたのか詳しく聞かれた。まあ、適当に答えたけどな。

 

「それよりも、キンジ。お前らはあの後どうなったんだ?」

 

「かいつまんで話すと、あの後は空港に着陸出来なかったから空き地島を使って着陸した。」

 

「なるほど、大方空港側が否定したんだな。それで空き地島に着陸したと。」

 

今は放課後、俺はキンジと寮に向かって歩きながら俺が飛行機から飛び出た後の話をキンジから聞く。

 

「クラスメイトの人達の力を借りてだけどな。空き地島には照明が何もなかったから、あいつらが照明器具をありったけ持ってきてくれたおかげで着陸出来たんだ。」

 

「へぇー、で、その右腕に巻いてある包帯は?怪我でもしたのか?」

 

「流石に止まれなかったから、風力発電の装置の柱に飛行機の羽をぶつけてスピードを殺した。」

 

すげー強引に止めたな。相変わらずヒステリアモードになったキンジのやることは予想の斜め上を行くな。

 

「その後、アリアとも正式にコンビを組むことになった。あんな奴と組みたくないのに。」

 

「そう言ってる割に嬉しそうな顔をしてるぞキンジ?さてはお前、アリアに振り回されるのが嬉しいんだろ?このロリコンめ。」

 

「何でそうなる!?俺はロリコンじゃねえ!!」

 

説得力が皆無だぞキンジ?アリアでヒステリアモードになれるんだから、立派なロリコンだろ。

 

「まあ安心しろよキンジ。警察には通報しないでおくからさ。」

 

「安心出来ねえよ!!」

 

「その話は置いといて、今日はキンジの部屋でゲームしたいんだがいいか?」

 

久しぶりにやりたいゲームがあるからな。

 

「嫌だって言っても来るんだろ?勝手にしろ。」

 

「それよりもキンジ、お前の部屋からアリアと白雪の声が聞こえるんだが?」

 

「あいつら、何やってるんだ?」

 

そう言ってキンジは先に玄関の扉を開けて部屋に入った。待て待てって。

 

「んぎぎぎ!!なんなのこいつは!!」

 

「キンちゃん達の前からいなくなれ!!この泥棒ねこ!!」

 

アリアと白雪がキンジの部屋の中で鍔迫り合いをしていた。なぁにこれぇ?

 

「お前ら、何してるんだ?」

 

「あっ!!キンちゃんさま!!」

 

そう言って白雪は鍔迫り合いを解除してキンジに向けてジャンピング土下座をした。速い土下座だ、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね!!

 

「それに、部屋が見るも無惨な姿になってるな。これアリアと白雪がやったのか?」

 

「キンちゃんごめんね!!キンちゃんに取り付く悪い虫を退治してたらこうなったの!!でも大丈夫!!もうすぐ悪い虫を浄化出来るから!!」

 

「私は虫なんかじゃないわよ!!」

 

「うるさい害虫!!キンちゃんと恋仲になったからってすごく羨まし…じゃなくて羨ましい関係になるなんて!!」

 

おい白雪、言い直す必要あったのか?しかも俺空気になってるんだけど?

 

「こここ、恋仲!?違うわよ!!あたしはキンジと恋仲じゃないわよ!!」

 

「噂によればキンちゃんとキスしたんでしょ!?」

 

「おい待て白雪!!その噂誰から聞いたんだ!?」

 

さあ~て、誰なんでしょうね~?(ゲス顔)

 

「ちょ!!ちょっと待って!!大丈夫だったからもも問題ないわよ!!」

 

「何が問題ないのよ!?キンちゃんとキスした害虫には天罰を下さないと!!」

 

白雪はそう言い制服から分銅を取り出し、アリアに向けて放とうとする。だが、その前にアリアは顔を真っ赤にしてどや顔をしていた。何してんだこいつ?

 

「子供は出来てなかったから!!」

 

アリアの衝撃的な発言を聞いた白雪は目を回しながら気絶した。アリア、お前そっちの知識も小学生か!?

 

「もしもし警察ですか、知り合いのロリコンが小学生相手ににゃんにゃんしてたんで至急逮捕してください。」

 

「ちょっと待て風雨!!何さらっと警察に通報してるんだ!!」

 

「何よ!!こっちは結果が出るまでヒヤヒヤしてたんだからね!!」

 

「ったく、アリア、お前一度キンジに赤ちゃんの作り方を教えてもらえ。」

 

さて、白雪を起こすか。何して起こそうか、鼻でも摘まんでみるか。

 

「キンジ!!赤ちゃんの作り方を教えなさい!!」

 

「何で俺が教えなきゃならねえんだよ!?」

 

「いいから教えなさい!!」

 

後ろで痴話喧嘩か、それにしても白雪起きねえな。

 

「おーい白雪?おーきーろー。」

 

「う、ん。この声は、風ちゃん!?風ちゃんなんだね!?」

 

「まそっぷ!!」

 

白雪が俺の声を聞いた瞬間に飛び起きて抱き付いてきたんだが?

 

「生きてるよね!?足生えてるよね!?本物だよね!?」

 

白雪が俺の体をペタペタ触ってくる。何この状況?

 

「風ちゃんは無茶し過ぎだよ!!昔からいつもそうだったんだから!!大体病院から抜け出して……。」

 

やばっ!!これ説教が始まる!!

 

「キンジ、助けて。友人なら助けてくれるよな!!」

 

「アリア、夕飯買ってくる。」

 

「ちょっと待ちなさい、あたしも付いていくわ。」

 

あっ、これ見捨てられるパターンですねわかります。

 

「風ちゃん、今日という今日は許さないんだから!!正座!!」

 

「白雪~?説教はここじゃなくても「せ・い・ざ!!」ハイ。」

 

涙目で怒る白雪の表情には勝てなかったよ。というわけで、二時間正座のままで白雪に説教されました。




この物語の白雪はヤンデレ成分は少な目かつ弱めに設定してます。ヤンデレは好きじゃないんです。実体験済みで、とんでもない目に合いましたので。


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デュランダル編
第7筋 ぼったくりには気を付けましょう、対策?知らん


「あー昨日は酷い目に合った……。」

 

白雪に正座で二時間説教させられ、その後キンジとアリアが帰ってきたから白雪は帰っていったけど、二時間も説教する必要あったかねぇ?

 

「装備科は、確かこっちだったよな。」

 

今日は午前中は突如自由時間になったから、今は新しい装備を貰いに装備科の教室に行く。

 

「ここだな、平賀ー!!いるかー!?」

 

「ただいま開けるのだ!!」

 

装備科の教室からアリアと同じくらいの身長の女の子が出てくる。こいつは平賀文で、有償で武器や防具や道具を作ってくれる。たまに不良品渡してくるけどな。

 

「いらっしゃいなのだ!!頼まれた装備品はここにあるのだ。まずはこれなのだ。」

 

「おっ!いい刀じゃん!!」

 

平賀が刀身が朱色の刀を渡してくる。ふむ、普通の刀よりも重いな。

 

「風雨の作ってほしい武器や防具や道具は、大体ゲームの装備にあるものだからとても助かるのだ!!ちなみに鬼○者シリーズの武器はとても参考になるのだ!!」

 

これは、炎龍剣を参考にして作った刀だな。炎龍刀でも名付けるか。

 

「いい武器だな、これなら能力と相性が合いそうだ。」

 

「それと、その刀には面白い機能を付けてみたのだ。」

 

へぇー、面白い機能ねぇ。刀から醤油が出たりとかか?

 

「試しにその刀を思いっきり振ってみるのだ!!」

 

「わかった、そいや!!」

 

『もっと、熱くなれよぉぉぉぉ!!』

 

えっ?刀を振った瞬間、この刀から炎の妖精の声が聞こえてきたんだが?

 

「平賀、これは?」

 

「あの有名な炎の妖精の応援を録音したチップを、その刀の中に埋め込んだのだ!!これで何時でも熱くなることが出来るのだ!!」

 

「んないらねえもん埋め込むなよ!?何で刀を振るう度に炎の妖精の声を聞かなきゃいけねえんだよ!?」

 

シリアスな戦闘が一瞬でシリアルになるぞ!?あと集中できなくなるわ!!

 

「ちなみに刀の柄にあるボタンを押すと声は出なくなるのだ。もう一回押すと再び音が出るのだ!!」

 

「最初から入れんな!!」

 

平賀はいい奴なんだけどな、たまにこういう事をやらかすんだよな。腕はいいのに。

 

「次に、この弓を渡すのだ。風雨専用の弓なのだ!!」

 

やれやれ、ようやく来たか。これで遠距離からも攻撃が出来るようになるぞ。

 

「矢も用意してくれたか?」

 

「もちろんなのだ!!」

 

さて、どれくらいもらえるか。最低でも10本はほしいところだな。

 

「まず、普通の矢が30本。火の矢が10本、雷の矢が10本、氷の矢が10本、毒の矢が10本、麻痺の矢が10本、最後に特別な矢を10本渡すのだ!!」

 

「多すぎるわ!!何で100本も用意した!?」

 

「作っているうちに楽しくなったのだ!!だからつい作りすぎたのだ!!」

 

こんなに矢を持てねえよ。待てよ?あいつからもらった籠手に収納出来ないかねえ。

 

「平賀、とりあえず全部くれ。」

 

「持てるのか?」

 

平賀が不安そうな顔をして渡してくる。さて、しまえるかな?おっ!しまえた!!

 

「その籠手はなんなのだ!?」

 

「ある人からもらった。俺の能力をサポートする籠手みたいなもんだよ。」

 

「そうなのかー。これは新しい装備が思いつきそうなのだ。」

 

その後、刀を4本追加でもらったり、道具を何種類か買った。もちろん、籠手の中にしまったぞ?便利だな。

 

「さて、お会計はいくらだ?」

 

「全部で500万なのだ!!」

 

「高いわ!!」

 

予想以上に高くてびっくりだわ!!なんでそんなにするんだ!?

 

「主に矢に結構時間や材料がとられてしまったからこのお値段なのだ!!」

 

「俺こんなに矢を頼んだ覚えはないんだが?」

 

「普通の矢以外、お遊びで作ったものなのだ!!だけど、製作費用を全く考えてなかったのだ!!」

 

「商人として失格だぞそれ!?」

 

くそう、便利そうだから買うしかねえ。

 

「ほらよ、500万ポンッとくれてやる。」

 

懐から500万を出す。くそう、貯金の十分の一削れちまったじゃねえか。

 

「毎度なのだ!!またの利用をお待ちしてるのだ!!」

 

「へいへい、次に用があるときにまた来てやるよ。」

 

もう来たくないけどな!!さて、時刻は昼だな。昼飯でも食いに『デデーン!!』なんだぁ?

 

「山本風雨、今すぐこっちにこいやぁ!!」

 

呼び出しの仕方よ、まるでヤクザじゃねえか。しかも呼び出し音もなんか違ったし。

 

「行きたくねえなー、でも行かねえとなー。よし、無視しよう。」

 

見付かっても、聞いてませんでしたーって言えばいいし。

 

「さて、食堂にでも行きますか。」

 

「おうおう?先生の呼び出しを無視して食堂に行くとは、どういう神経してんだぁ?」

 

「何で後ろにいるんですかね綴先生?」

 

放送で呼び出した意味無くない?綴先生は尋問科の先生で、年中ヤバイ煙草を吸ってるヤバイ先生だ。もう血液がタールになってんじゃね?

 

「とりあえずこいやぁ、来ねえと星伽呼ぶぞぉ?これは先生からの指示だぞぉ?」

 

「先生、それは指示ではなくて脅迫だと思います!!」

 

まーた白雪の説教は聞きたくないからな。とりあえず付いていくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!風ちゃん!!」

 

あれ?何で教務科に白雪がいるんですかね?しかもなんで涙目になってんですかね?俺、気になります!!

 

「さてと、これでようやく話が出来るなぁ。」

 

そう言い綴先生は1枚の紙を持ちながら俺をじろじろ見てくる。なんだ?俺の後ろにスタンドでもいたか?

 

「先生、なんでじろじろ見てくるんですかね?まさかショタコ「んな訳あるかぁ。」危な!!」

 

マッチ投げてきやがった!!危うく服に引火するところだったぞ!!

 

「山本風雨。衛生科なのに強襲科のAランクの人以上の実力を持っている。にも関わらず、銃を装備してないため、Eランクになっている。評価は、よくわからないとかいてあるなぁ。」

 

そう言って綴先生はもう1枚紙を取り出した。

 

「好きなものは栄養ゼリー、嫌いなものは梅干し。友人はそんなにいなく、ましてや彼女も出来たこともない。それと、人を弄るのが大好きで容赦のない弄りをしてくるが、本当は友達思い。貯金は五千万。そして、星伽白雪には頭が上がらな「ちょっと待ったーーーー!!」うっせえ。」

 

「先生は個人情報保護法を知らねえのかよ!?」

 

「なんだぁ?んなもん知るかよぉ。続けるぞ。」

 

いや続けんなよ!!そして白雪!!何驚いたような顔をしてるんだよ!?

 

「風ちゃんって日本人なのに梅干し食べれないんだ!!」

 

「驚く所そこぉ!?」

 

日本人は全員梅干し食べれるっていう常識なんて知らん。

 

「能力は多彩な属性を操って使う。今の所は天と風、まだまだあるんじゃねえのかぁ?」

 

「あるけどいいませんよ先生。」

 

「まあいいか、お前らを呼び出したのはぁ、お前らを狙ってる奴がいるからボディーガードを付けろっていう話をするために呼び出したんだよぉ。」

 

 



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第8筋 見た目小学生とロリコンが護衛って……

お久しぶりです、ようやく時間が取れるようになったので書いていきます。


「「ボディーガード?」」

 

やべ、白雪と声ハモった。にしても、白雪を狙うならまだしも俺も狙ってるってどういうことだか。

 

「もしかして、その俺らを狙ってる奴はホモですか?」

 

「ええっ!?もしそうだとしたら、風ちゃんが筋肉モリモリマッチョマンの変態に、キャー!!」

 

「山本はゲイっと、新たな情報が聞けたなぁ?」

 

「先生、俺はちゃんと女の子が好きです!!」

 

何故ゲイの疑いが付けられたのか、ぐぬぬ。

 

「で、でも風ちゃんの初めては私が守り抜くんだから!!安心してね!!」

 

「わー、すごくあんしんだなー。」

 

言葉と体が一致してねえぞ白雪、口ではそう言いながらも息は荒いし今にも飛び掛かろうとしてるし。

 

「イチャイチャすんなら他所でやれよぉ、まあ、星伽は狙われてる奴にもう接触されたんだったよなぁ?」

 

「どんな人物なんですか。」

 

「魔剣、別の名をデュランダル。」

 

デュランダル、最近有名な武偵だな。しかも超能力を使える武偵(超偵と言われている)を狙う誘拐犯だったな。とは言え存在は都市伝説程度の存在の筈。

 

「だから俺にも護衛を付けろ、そういうことですか?」

 

「そういうことだ。つうわけでさ、お前ら護衛つけろ。アドシアードの期間だけで良いからさ。」

 

アドシアード、まあ運動会みたいなもんだな。ただ、物騒な運動会だけどな。チアがポンポンではなくて銃でダンスしたりとかな。

 

「でも……。」

 

「何度も言わせんなよ?星伽ぃ?山本は、どうでもいいかぁ。」

 

おお怖い怖い、綴先生が白雪を睨み付けてる。普段は駄目そうな雰囲気を漂わせてるけど、スイッチが入ったら俺や白雪なんか一瞬であの世行き確定たからな。

 

「何で俺に対しては適当な考えなんですかね綴先生?」

 

「あれだ、山本ならそう簡単に拐われる事も無いだろうしなぁ、重傷の身でハイジャック事件に乗り込んだアホだからなぁ。」

 

うげっ、誰にも言ってねえのに。本当にこの先生の情報網はどこまで広いんだよ?

 

「で、話はずれましたけど誰にボディーガードを勤めさせるんですか綴先生?」

 

「んー、そうだなぁ、こいつらがてきに「その話聞いたわぎゃ!!」おー、派手に転んだなぁ。」

 

換気口の入口からアリアが落ちてきたな、そして綺麗に着地、足を滑らせて盛大に転けた。

 

「いたた、って誰よ!?換気口の入口の直下にワックスをかけた奴は!?」

 

「さあ、誰がかけたんでしょうね~?」

 

「やっぱりアンタの仕業ね!!風穴空けてやるわ!!」

 

アリアは顔を真っ赤にしながらガバメントで俺の頭目掛けて撃ってきたが、それを近くにあった銃で弾く。

 

「うわあああ!!」

 

「あっ、メンゴメンゴ(笑)」

 

弾いた銃弾は天井に当たって、その衝撃でキンジが落ちてきた。やーい、間抜け!!

 

「あー、こないだのハイジャックカップルか。遠山くーん?サツに通報されねえようになぁ?」

 

「どうして俺があたかも罪を犯している前提なんですか!?」

 

「いやほら、アリアと一緒にいる時点で立派な犯罪だぞ?幼女誘拐容疑でな。」

 

キンジは無愛想だからな、アリアといると犯罪臭がプンプンするんだよ。

 

「んん!!さっきまでの話は聞かせて貰ったわ!!星伽白雪の護衛、あたしが受け持つわ。」

 

アリアは無い胸を張ってどや顔をして「ちゃんとあるわよ!!」んー、見えませんなぁ。

 

「ふーん、神崎・ホームズ・アリア、二つ名は『双剣双銃』。欧州で活躍したSランク武偵。書類上では功績は全部ロンドン武偵局が持って行ってる、協調性がないからだマヌケェ。」

 

「先生、そういうのはマヌケって言いません、アホって言うんです。」

 

「うっさいわよ風雨!!あたしは功績なんか興味ないだけよ!!」

 

口ではそう言ってるが、握った拳は震えてるぞアリア?精一杯の強がり乙!!

 

「何事もこなせるが、幼少期に家の池に落ちたのがトラウマで泳げ「わあぁぁぁぁぁ!!う、浮き輪があれば平気だもん!!」神崎ぃ、自爆してんぞぉ?」

 

綴先生にそう指摘されてアリアは顔を真っ赤にしてパニクっていた。面白いから写真撮っておこ。

 

「次に遠山キンジくん、性格は非社交的で、他人から距離を置く傾向有り。しかし、強襲科の生徒には遠山に一目置いてる者も多く、潜在的に一種のカリスマ性を持ち合わせているものと思われる。」

 

「俺にカリスマなんてありませんよ。」

 

無自覚だなぁ、これが今流行りの鈍感系主人公か。

 

「解決した事件は猫探し、ANA600便のハイジャックか、なんでやることがこう極端なのかなぁ?」

 

「俺に言わないでください。」

 

そう言い綴先生はキンジの違法改造された銃に対して注意していた。しかも注意しながら根性焼きをしてるし。

 

「だとさ星伽ぃ、なんか知らないけどSランク武偵が無料でやってくれるって。」

 

綴先生は手に持っていた合法ギリギリの草を使っている煙草を吸いながら言う。うわっ、煙臭!!

 

「嫌です。汚らわしい!!」

 

「どうしてよ!?なら、うんと頷かないとこいつらを撃つわよ?」

 

そう言いアリアは俺とキンジに銃口を向けてくる。物騒な手段使うなアリア、お前本当に貴族か?

 

「まあ待てよぉ、アリア。この依頼を受ければアリアと一緒にいるキンジも付いてくるぞ?」

 

「しかも護衛となれば24時間365日何時でもキンジと一緒に居られるんだぞ?」

 

「俺を景品扱いすんなよ!!」

 

えー、だってそうしないと白雪がうんと言ってくれないしなぁ。その為の軽い犠牲だよキンジ。

 

「キンちゃんと一緒にいられる!!で、でも!!」

 

うわぁ、白雪の顔がどんどんダラけていくな。でもおかしいな?キンジを景品にすれば頷くとは思ってたんだが?

 

「まだ頷かないかぁ、なら山本ぉ、お前もキンジの所に住め。」

 

「そうか、そうすれば護衛対象をまとめることが出来るな、って何でですかね綴先生!?」

 

「お前も一応狙われてるんだからぁ、四人で住めばいいだろぉ?」

 

いや、俺の部屋キンジの部屋の一つ上だし、別に一緒に住まなくても良くね?

 

「風ちゃんと一緒に住める!!そしてあんなことやこんなことが!!おお、お願いしますすすすぅぅぅ!!」

 

「おい、それでいいのか生徒会長?」

 

白雪が俺の名前に反応してかなり舞い上がっていた。勘弁してくれよ本当に。

 

「俺は住みたくない。」

 

「ボディーガードとして命令よ、アンタもキンジの部屋で暮らすこと。」

 

「嫌だ。いいかアリア、俺は部屋の中ではゆっくりしたいんだ。だらだらする時は、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで「黙りなさい。」へい。」

 

ああ、俺の静かな暮らしが。まあ、少しの間我慢するか。

 

「なぁ、俺の意思は?」

 

「んなもんあるわけないだろキンジ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけでキンジの部屋にアリアと俺と白雪が住むことになったんだが、問題があるんだよなぁ。荷物?それはあの武藤が運んでくれたよ。俺に殺気を浴びせながらな。

 

「キンジ、アリアと白雪が同じ空間にいると絶対喧嘩が起きると予想していたわ。」

 

「奇遇だな風雨、俺もそう思っていた。」

 

キンジもか、そりゃそうだよな。アリアと白雪が最初に顔を合わせた時の状況を見ればそう考えるよな。

 

「銃撃戦とか始まって部屋が滅茶苦茶になると思ってたんだけどなぁ。」

 

「風雨、いい加減現実に戻ってこい。」

 

はいはい、ん?何で俺が現実逃避してたかって?

 

「えへへー、風ちゃんと一緒!風ちゃんと一緒!嬉しいなぁ!!」

 

白雪が満面の笑みで俺に抱き付いたまんま離れないんだよ。アリアと喧嘩させようとしても無駄だったしなぁ。

 

「アンタと白雪ってどんな仲なのよ?」

 

「よくぞ聞いてくれましたアリア!!風ちゃんと私は生涯永遠の愛を誓いあったパートナーなんだよ!!」

 

「そ、そうなの!?キ、キンジ!!私達もパートナーの理解力を深めるために永遠の愛を誓い合うわよ!!」

 

「どういう理屈でそうなったアリア!?全然関係ないからな!!あと風雨、なんか白雪に言ってやれよ!!」

 

あー、早く俺らを狙ってる奴来ないかなー。早く静かな暮らしに戻りたいなー。

 

「そういえばアリア、キンちゃんとキスをしたって言ってたけど、ど、どんな感触だったの?」

 

「うえっ!?しし知らないわよ!!わ、私もよく覚えてないのよ!!」

 

あっ、何か嫌な予感がするからある準備をしておこ。

 

「キンちゃん、アリアとキスをした感想は!?」

 

白雪が俺から離れてキンジに詰め寄ったな。ふむ、窓の位置はあそこか。

 

「お、俺も必死だったからよくわかんねえよ!!」

 

「よくわからないんだね!!なら風ちゃん、今すぐ私とキスを!!」

 

白雪はテンパりながら俺に向かって飛び込んできた。おいおい、行動力ありすぎな大和撫子だな。

 

「右から、右から、何かが来て~るぅ。」

 

「いきなり歌い出してどうしたんだ風雨?」

 

「それを、俺は、左に受け流すぅ~!!」

 

「ちょ!?おまっ!!うわあああ!!」

 

白雪のダイブを俺は受け流してキンジに向かわせた。キンジは吹き飛ばされて東京湾に落ちていったとさ。

 

「「キ、キンジ!?(キンちゃん!?)」」

 

「悪い、ふざけたくなったからやっちゃったぜ!!」

 

まあこの後、アリアと白雪にこっぴどく怒られました。ふざけたっていいじゃないか!!



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第9筋 イ・ウーからスカウト?いや誘拐だね

「風雨、お前マジで許さねえ。」

 

「おこですかキンジ?激おこぷんぷん丸?」

 

「風雨のせいで風邪引いたんだよこんちくしょう!!」

 

キンジが東京湾に落とされた翌日、ものの見事に風邪を引きました。ざまあ!!

 

「キンちゃん大丈夫!?お水持ってくる?お腹空いてない?汗拭いておく?暑くない?」

 

「白雪、そろそろ出掛けないと学校に遅刻するぞ?」

 

「そうだったね!!キンちゃん何かあったらすぐに連絡してね!!」

 

白雪は時計を見てハッとして慌てて出ていった。俺?俺は有給休暇を取った!

 

「風雨、学校に行かなくていいのか?」

 

「行かねえよ。有給休暇取ったからな!!」

 

「要はサボりじゃねえか、ゲホッ!!」

 

わーお苦しそうだな。まあ、俺は風邪なんて引いたことないんでその苦しみはわからないけどな!

 

「風雨、あれ買ってきてくれないか?今あれを切らしているんだ。」

 

「あれならあるぞ。ほれ。」

 

「サンキューってこれ風邪薬じゃねえか!!俺は薬は効きにくいんだから意味ねえよ!!」

 

あっ、そうだった。キンジは何故か薬が効きにくいんだったな。

 

「悪い悪い、こっちの方だったな。」

 

「これだよこれ。これを首にぐるっと巻き付ければ風邪なんてすぐに治らねえだろうが!!何で長ネギなんだよ!?」

 

「キンジキンジ、あまり叫び過ぎると熱が上がるぞ?」

 

「お前風邪治ったら覚えておけよ?」

 

キンジはジト目で俺を睨んでくる。うわー、野郎のジト目を見ちまった。

 

「とまあ、おふざけはこの辺にして。これだろ?特濃葛根湯。」

 

「ふざけてる自覚はあったのかよ。」

 

だってねぇ、人生は面白可笑しく生きないと。

 

「ん?何か電話が来た。キンジ、安静にしとけよ。」

 

さあて誰からかな?番号を見ても知らない番号だし、ちょっと部屋から出て電話するか。

 

「もちもち?」

 

「やあ風雨君。元気にしてたかな?」

 

おいこら英国探偵、人のギャクをスルーすんなよ。

 

「はいはい元気ですよ。同居人が風邪引いたけどな。」

 

「風雨君には移らなかったんだね。馬鹿は風邪を引かないということわざは本当なんだね。」

 

「おい迷探偵シャーロック、誰が馬鹿だ。」

 

「英国紳士の軽い冗談だよ、君も紳士なら軽い冗談くらいは受け流すべきだよ。」

 

「へいへい、それで何で電話してきたんだ?」

 

俺がシャーロックにそう言った時にインターホンが鳴った。おいおいまさかねぇ、取り敢えず玄関のドアを開けてみるか。

 

「やあ!」

 

バタン!!

 

「風雨君、ドアを急に閉めないでくれるかな?」

 

「いや、杖を持った不審者が目の前に現れたら普通に閉めるだろ。」

 

つーかこんな近距離で電話を掛けてくるなよ!!

 

「ひどいなぁ、ちゃんと一般人っぽく振る舞っていた筈なんだけど。」

 

「お前のような一般人がいてたまるか!見た目が青年の人が杖を持っていたら怪しむだろ。それで何の用なんだ?」

 

「ここで話すのもあれだ、下に車を止めてあるからそこで話そう。」

 

うわぁ、これ俺を車の中に閉じ込めて誘拐する気なんじゃねえか?まあいいや、断ったらなにされるか分からないもんな。イ・ウー☆の頂点だし。

 

「風雨君、ウー☆の星はいらないよ。」

 

「無表情で考えていた筈なんだけど、何で読まれてんの?」

 

「僕の条理予知は何にでも使えるからね。」

 

その条理予知をくだらないことに使わないでほしいもんだな。

 

「取り敢えず移動しよう、ここだと何かと目立つからね。」

 

シャーロックはそう言い1階に向かって飛び降りた。おい階段使えよ。

 

「はあ、行きたくねえな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、俺に何の用なんだ?」

 

あの後、俺も飛び降りて車に乗り込んだよ。てっきり高級車にでも乗ってくるのかと思いきや普通の車だったよ。

 

「まあまあ、ドライブしながら話すよ。」

 

そう言いシャーロックはエンジンを付けて車を発進させる。片や普通の高校生、片や世界最高の犯罪組織のトップ、うわシュールな絵が出来上がってんだろうな。

 

「ところで風雨君、学校はどうしたんだい?」

 

「面倒だからサボった。まあ今日は行かなくてもいい日だったからな。それでシャーロック、この車は何処に向かっているんだ?」

 

「ん?イ・ウーの本拠地だけど?」

 

そうかそうか、イ・ウーの本拠地か。

 

「って降ろせぇぇぇぇぇぇ!!これ誘拐じゃないか!!何平日の朝から堂々と誘拐しようとしてんだよ!?」

 

「誘拐とは人聞きの悪いことを言うね。これは立派な誘拐(スカウト)だよ。」

 

「漢字ぃぃぃぃ!!それアウトだろ!!」

 

誰か助けてくれ!!そうだ携帯で電話をすれば!!

 

「ちなみにこの車は強力な電磁妨害が備え付けてあるから電話しても意味ないよ。」

 

「だったら飛び降りて、ってドアも窓も開かねえ!!」

 

「さあ、楽しいドライブをしようじゃないか!!」

 

シャーロック!!謀ったなぁぁぁぁぁ!!

 

「ああ、空はあんなに青いのに。で、さっきスカウトとか聞こえたけどどういう意味だ?」

 

「意外に切り換えが速いね。そうだね、風雨君をイ・ウーにスカウトしに来たんだ。」

 

もしかして、シャーロックが俺の所に来た理由って。

 

「勿論、スカウトしに来たんだ。大丈夫、誰にも見付からないように計画したからね。」

 

「そういう問題じゃねえよ。でも何で俺なんかをスカウトしに来たんだ?」

 

「実はね、君とディナーを嗜んだ後、ある人物に君の事を話したら是非見てみたいという人がいたんだ。」

 

シャーロック、どんな事を話したんだ?

 

「詳しくは本人に訊ねてみてくれないかな。それと風雨君、前に僕が君の今後について話したことをおぼえているかな?」

 

「確か、もうすぐ彼女が出来るし同棲も出来るだろうだったな。てっきり白雪の事だと思ってたんだが?」

 

「星伽の子ではないよ。大丈夫、君の好みに合わせた子だから。きっと気に入るさ。」

 

それも条理予知で推測したのかよ。本当にどうやって推理したんだよ?

 

「それは言えないな。それを推理するのにかなり時間がかかったからね。まあそんな訳で風雨君を拐いに来たわけだよ。」

 

「教授のやることかよそれ。それでイ・ウーの本拠地って何処なんだ?」

 

「悪いね風雨君、ここから先は見てはいけないからしばらく眠っててもらうよ。」

 

どういうこッ!!シャーロックになんか変なガスを掛けられた!!あ、れ?だん、だん、意識が、遠く。

 

「おやすみ風雨君。」

 

「って普通の人ならなるんだろうけどな。あいにく俺は薬が効きにくい体質でな。」

 

眠るわけねえじゃん。はっはー残念だったなシャーロ「薬で駄目なら物理だね。」何処からその発想が飛びうげぇ!!

 

「それ、英国、紳士、のやること、かよ。」

 

「延髄切りはやり過ぎたかな?じゃあもう1回睡眠ガスを吹き掛けよう。おやすみ。」

 

絶対泣かせてやる。シャーロック。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ、いってぇ、延髄切りはねえだろ。しかもあの狭い車内でどうやったんだよ。」

 

ここは、知らない天井だ。テンプレだな。

 

「見たところ、何処かの部屋らしき所だが。」

 

しかもご丁寧に布団で寝かされていたんだな。さて、ここが何処なのか慎重に探索してみ「うぅん、すぅすぅ。」what?

 

「……これは夢だな。シャーロックの奴、夢の中まで何か仕掛けたのか。」

 

いやー、俺はキンジみたいに女たらしじゃねえよ。決して隣に右目に黒い眼帯を掛けた黒髪おかっぱ頭の女の子が寝てたから焦ってる訳ではありませんよ?

 

「ここはあれだ。クールに立ち去るぜ。」

 

起きんなよ?絶対起きんなよ?フリじゃないからな!!

 

「ん?何か嗅いだことのない香りがする。」

 

あっ、起きちまった。体を起こして俺の方を見てきた。

 

「……!!な、ななな!!」

 

おお、みるみる顔が赤くなっていくな。ちょっと可愛いじゃないか。って見惚れてる場合じゃねえな!!

 

「えっと、Could I say and dream?(いい夢見れましたか?)」

 

「ま、まさかさっきまで隣で寝ていやがったのか?」

 

「わーお日本語上手だな。まあその通りだな。けど大丈夫だ、俺もなんだか知らない内に寝かされてたから何もしてない。」

 

うん、何もしてないからな!!寝顔が可愛かったから写真を数枚撮った以外は何もしてないぞ!!

 

「せ、せせ、せせせ!!」

 

けどおかっぱ頭の子は更に顔を赤くしてわなわなと震えていた。あっ、これもう駄目ですわ。

 

「責任取りやがれーーーーーーー!!!」

 

「どうどう落ち着け!!落ち着いて、頼む落ち着いてくれ、いや落ち着いてくださいお願いします!!」

 

駄目だ、必死に弁解しても聞く耳を持ちやしねえ。それよりも、何かおかっぱ頭の子の周りに水が浮かんでるんだが?

 

「あ、あたしは初めてだったんだぞ。それを、よりによってこんな知らない奴なんかに!!」

 

ちょっとぉぉぉ!?何この子盛大に勘違いしてんの!?あれだよ、君が考えてる事は何もしてないからな!!

 

「こりゃ説得は駄目だ!!となれば一時撤退!!」

 

「逃げんなてめえぇぇぇぇぇ!!!」

 

シャーロック!!お前の仕業だろ!!俺をおかっぱ頭の子の隣に寝かせたのは!!

 

「そうだよ。言っておくけど、君寝てる間にあの彼女を抱き締めていたからね?」

 

嘘だ!!そんなことはない、よな?

 

「事実から目を背けない方がいいよ風雨君。さあ彼女との異文化交流を楽しんでくれたまえ。」

 

放送使って答えるんじゃねえよ!!本当に絶対泣かせてやるからな!!




はい、原作よりもかなーり先にある人が登場しました。誰かは分かったかな?


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第10筋 人生楽しんだもん勝ち

拝啓天国にいるお父さん、お母さん、お元気ですか?俺は元気です。二人が生きてた頃、男と女がキャッキャッウフフしながら追い掛けるドラマを見てなつかしんでましたね。

 

その時俺もいつかあんな風な事が出来たらなと考えていましたが、遂にそれが実現出来ました。

 

「逃げんなてめえぇぇぇぇぇ!!!男なら自分のやったことに責任持ちやがれ!!」

 

まさか、リアル鬼ごっこで夢が叶うとは思わなかったよこんちくしょう!!

 

「だから何度も言ってるだろおかっぱ頭!!俺は何もしていないって!!」

 

「だったら何であたしの着ている服からあたし以外の匂いが付いてんだよ!?」

 

「知るかそんなもん!!あっ、ちょっと待て!!水を飛ばすのは止めろ!!」

 

俺は今シャーロックに連れ去られた所でおかっぱ頭の女の子とリアル鬼ごっこしてます。何処がリアルかって?捕まったら死だからな。

 

「つーかここ何処だ!?シャーロック説明しやがれ!!」

 

俺は叫びながら走っておかっぱ頭の女の子から逃げるが、あいつ水の弾幕撃ってくんだよな。いかにも魔女っぽい服装してるし魔女か?

 

「ってかお前のその服なんだよ?コスプレか?コスプレすんなら隠れてし「コスプレじゃねえよ!!」じゃあ中二病か?」

 

「あたしが魔女のコスプレしている痛い子だと思ってんのかてめえ!?」

 

「もちろんさー!!って危ね、今頬にかすったぞ!!」

 

「あたしは、正真正銘の魔女なんだよ!!絶対てめえを捕まえてボコボコにしてやる!!」

 

嘘ぉ、本当の魔女だったんかい。魔法使いって聞いたらあの第2話まではほのぼのとしているあの子供が見るようなアニメじゃないのが思い付くんだが。

 

「くそっ!!走ってるから狙いが付けづれぇ。止まれよ逃げんな!!」

 

「誰かー助けて!!うわっと!!」

 

やべぇ、転んじまった。あっ、ということは。

 

「やっと止まったな。何処の奴か知らねえがあたしを侮辱した罪は重いぜ?」

 

「ボクニホンゴワカラナーイ!!」

 

「ここで頭が吹っ飛ぶか、それとも溺死するか選べ。」

 

うわぁ、メチャクチャ怒ってるよ。けど何でだろうな?怒っていてもその姿が可愛いんだが。

 

「ちなみに侮辱って、何?」

 

「白を切る気かてめえ?」

 

「あっ、もしかしておかっぱちゃんが布団を抱き締めながら顔を赤くしている写真や可愛い寝顔を披露している写真や顔を真っ赤にしながら走ってる写真を撮ったことか?」

 

いつ撮ったって?盗撮は武偵の基本技術だぞ?ほらほら~おかっぱちゃん、刮目して見るんだ!

 

「い、いつの間に!!こんなあたしの姿を見せるわけにはいかねえ!!捨てろ!!今すぐ捨てろ!!」

 

「ごめーんね☆もう何人かに写真を送付しちまった。いやぁ俺ってばお茶目だなー!!」

 

「~~~~~~~ッ!!」

 

おっ!!早速シャーロックから返信来た。『早速異文化交流を楽しんでいるようだね。カツェ君の貴重な写真をありがとう。』このおかっぱちゃんカツェって言うのか。

 

「理子からも来た。『フウフウやるね♪その子の写真が欲しかったんだぁ!!今度お礼するね♪』だとさ。」

 

「し、ししし。」

 

「ん?どした?恥ずかしさのあまりオーバーヒートでもしたか?」

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「ブルァァァァァァァ!!」

 

今日の教訓、初対面の人を弄るのは程ほどにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、てめえは何処の誰だ?」

 

「シャーロックに誘拐された可哀想な普通の男子高校生です。」

 

あの後、水の弾幕を浴びせられて彼女の部屋に引き摺られてました。今は椅子に縛られて尋問されてます。

 

「一体何処に縛られながら尋問されてるのに目を輝かせている高校生がいるんだ!?」

 

「現にいるぞ、ここにな!!あとフルネームおし「今度勝手に喋ったら窒息させるぞ?」おお怖い怖い。」

 

「まずてめえから名乗りでるもんじゃねえのか?」

 

そう言いカツェは持っていた箒の棒の部分で俺の顎をくいっと上げる。おおっ、映画のワンシーンみたいだな。

 

「ウインドレイン・マウンテンブックです。あだっ!!」

 

「バレバレの嘘を付くんじゃねえよ。」

 

嘘は言ってないのに。にしてもあれだな、カツェは脅しのつもりで怖い顔で睨んでくるけど、黒雪の状態の白雪と比べると全然怖くねえな。

 

「山本風雨。しがない日本男児さ。あっ、ちなみに東京武偵高校に通ってるぞ。」

 

「武偵か、それでここイ・ウーの本拠地に何の用で乗り込んで来た?」

 

「乗り込んだも何も、シャーロックに誘拐されて来たんだが?」

 

俺がそう言った途端、水の弾幕を顔面に撃ってきた。おお、かなり痛いぞこれ。

 

「嘘を付くのが好きらしいな?まあいい、今のを喰らいたくなかったら本当の事を喋るんだな?死にたくはないだろう?」

 

「いや、こんなの喰らっても死なねえし。」

 

あれ?カツェが驚いてるぞ?鳩が鉄砲玉を喰らったような顔になってるぞ?これも可愛いから写真撮っとこ。

 

「て、てめえ。何故平気な顔をしてやがる!?」

 

そんなこと言われてもねえ、どう説明すれば「その辺にしておきなさいカツェ」ん?この声は?

 

「カナ、何故てめえがここに来た?」

 

「やっほー!!すげぇ久しぶりだな!!」

 

カツェの部屋に入ってきたのは見た目は超美人な女性、名前は遠山カナ。誰が見ても美人たと思うが、実はこれ女装なんだぜ?

 

「……風雨、貴方仮にも縛られて尋問されているのにどうしてそんなに元気なのかしら?」

 

だってねぇ、一生に一度体験出来るかどうか分からないからなこういうのは。初めて体験することはわくわくしないか?

 

「まあ、貴方ならこんな縄直ぐに破るでしょうね。大方、楽しんでいたのでしょう?」

 

「あっ、バレた?」

 

そう言い俺は身体に巻き付けられている縄を引きちぎる。あっ、結構跡残るんだな。

 

「そうか、何時でも抜け出せるから舐めた態度を取ってやがったのか!!」

 

「その通り、それとこっちの名前教えたからそっちも名前教えてくんね?」

 

「……カツェ・グラッセだ。」

 

カツェはそう言うと部屋から出ていった。いい名前じゃん。

 

「風雨、厄介な相手に目を付けられたわね。」

 

「どゆこと金一さん?」

 

「本名で呼ぶの止めて。この格好ではカナで名前を通しているんだから。」

 

カナって呼ばれてるけどこの人の本当の名前は遠山金一さん。まああいつの兄って訳だ。小さい頃からお世話になってます。

 

「分かったよ金一さぐぶほっ!!」

 

「や・め・て・ね?」

 

止めますよ止めますから不可視の銃弾(インヴィジビレ)で心臓を撃たないでください。

 

「とにかく、ここから移動するわよ。」

 

部屋から出たカナさんに付いていく。いやぁ、鬼ごっこしてたからわからなかったけど、結構広いんだな。

 

「カナさん、ここって何処かの建物の中ですか?」

 

「違うわよ。ここは巨大な潜水艇の中よ。」

 

おいおい、こんな潜水艇があってたまるかよ。潜水艇って言われなければ窓のない建物の中と勘違いするな。

 

「着いたわ、入って。」

 

「お邪魔します。」

 

おっ、カナさんの部屋ってかなり広いな。俺の部屋の何倍だろうか。

 

「さて、貴方はとても厄介な相手に目を付けられたわ。」

 

「カツェの事ですか?そんなに厄介そうな相手には見えませんでしたよ?」

 

俺がそう言うとカナさんはため息を付いた。えっ?何か変なこと言ったか?

 

「カツェがどんな人物か知ってる?」

 

「全く知らないんで教えてください。」

 

「カツェは魔女連隊の9代目連隊長、別名で厄水の魔女と呼ばれているのよ。」

 

「へぇー、本当に魔女だったんだ。今度カツェと契約して魔法少年になってみようかな?」

 

男だって魔法を使いから別にいいよな?

 

「そんなこと出来ないわよ。ところで風雨、魔女連隊って知ってる?」

 

「なにそれ?軍隊の魔女バージョンって事か?」

 

「大体合ってるわ。詳しく話すとナチス・ドイツの秘密部隊で、ハインリヒ・ヒムラーが育成したアーネンエルベの超能力部隊の事よ。」

 

思っていた以上に凄い部隊なのか。そしてその部隊長と知り合いになったと。

 

「やったね!!海外の人と友達になれたぞ!!」

 

「友達、というよりは敵として見られてるわよ?現在の魔女連隊はその残党で、ならずものの国家に高給で雇われる札付きのテロリスト部隊よ。」

 

テロリストと知り合いになった。ということは!

 

「これから毎日テロをしようぜ?」

 

「止めなさい。でも彼女をあそこまで怒らせるなんて一体何をしたのよ?」

 

「いやぁ、目が覚めたらカツェの隣で寝ていたからさ。そっと居なくなろうとしたらカツェが目覚めてあらぬ勘違いでああなった。」

 

全てはあの迷探偵シャーロックのせいだ。

 

「でもこの写真は風雨が撮ったのでしょう?」

 

「可愛いからつい撮った。」

 

俺がそう言うとカナさんは急にニヤニヤしだした。なんか面白いことでもあったか?

 

「風雨も遂に来たのね。でもあの子のハードルはかなり高いわよ?」

 

「いや何の話をしてるんですか?」

 

「気にしないで。それより教授が呼んでいたわよ?」

 

うわぁ、行きたくねえ。絶対録でもない事だよ。

 

「少なくても風雨君には利がある話だよ。」

 

おい、何処にベットの下から登場する迷探偵がいるんだよ。心臓止まるかと思ったぞ。

 

「……なあシャーロック、あんたイタズラ好きだろ?」

 

「大好きだよ。」

 

シャーロックはそう言うと指を鳴らした。すると広い部屋にいつの間にか移動していた。

 

「えっ?えっ?えっ?何が起こった?」

 

「軽い手品だよ風雨君。さて君をここに呼んだのは模擬戦をしてもらうためさ。」

 

模擬戦、まさかシャーロックとか?

 

「残念ながら僕ではないよ。それよりもどうだったかい?カツェ君と一緒に寝れた感想は?」

 

「やっぱりあんたの仕業かよ。こっちは色々と大変だったんだぞ?」

 

「そうかい、ならもっと大変になってもらおう。」

 

シャーロックがそう言うと部屋の扉が開いて誰かが入ってきた。

 

「あっ、山本!!模擬戦の相手はてめえか。」

 

「じゃあカツェ君、風雨君と模擬戦をしてもらうよ。」

 

シャーロックがそう言うとカツェはニヤリと笑った。あれだな、何か絶対良からぬ事考えてる。

 

「山本、てめえがあたしに負けたら奴隷として扱き使ってやるからな!!」

 

「風雨君はどうだい?カツェ君に勝ったら何かしてもらうのかい?」

 

そうだなぁ、何してもらおうかなぁ。

 

「んー、特に決めてないから後ででいいや。」

 

「死にそうになったら止めるから存分に戦っていいからね。」

 

「山本!!覚悟はいいな!?」

 

カツェは好戦的だなぁ。けどそういうのは嫌いじゃないな。

 

「そっちこそ、負けて泣きべそかくんじゃねえぞ?」

 

「ぬかせ!!」



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第11筋 キャッキャウフフ(物理)

うーん、ラブコメっぽく書いてみましたが、やっぱりラブコメを書くのは苦手です。

過度な期待はしないでくださいね?


「さて、模擬戦開始の前に風雨君にはこれをあげよう。」

 

「何くれんだよ?って携帯かよ。何に使うんだよ?」

 

「じゃあまた後で来るよ。」

 

そう言ってシャーロックは何処かに消えていった。意味わかんねえことするな本当に。

 

「まあとにかくだ、来いよカツェ!!杖なんて捨ててかかってこい!!」

 

「じゃあ山本も武器を捨てろ!!」

 

シャーロックのせいでカツェを模擬戦をすることになったじゃねえか。腹いせにまたカツェの写真を撮りまくってやる。

 

「さっきの分たっぷりとお返ししてやるぜ!!」

 

「やれるもんなら、やってみうわっ!!」

 

なんだなんだ?水筒から水をばら蒔いたぞ?

 

「さっきはろくに使えなかったからな。さっきまでのあたしだと思うなよ?」

 

「その台詞そんな始めの方に言うのかよ。もうちょっと後で言おうぜカツェ?」

 

「口だけは達者だな!!」

 

そう言いカツェはばら蒔いた水を俺に飛ばしてきた。便利だなぁそれ。

 

「よっ、ほっ、あらよっと。どうしたどうした?そんな水じゃあ俺に勝てないぜ?」

 

「お前さぁ、格好つけてるけど、全部当たってっからな?」

 

「え?マジで?マジだこれ!?避けた筈なんだけど!?」

 

やべ、自覚し始めたから痛みが出てきた。鉛弾じゃなくて助かったな。

 

「いやはや、油断してたなっと!!」

 

後ろから気配がしたからしゃがむと俺の上を一匹の烏が通過した。

 

「ちっ、気付かれたか。」

 

「その烏は使い魔って事か?」

 

「ああそうだよ。こいつはエドガーって言うんだ。」

 

「えっ?その烏エクリカリバー撃てんの!?対象から遠ければ遠いほど威力を増すというあり得ない事を言いながら脚からエクリカリバー撃つのか!?」

 

「何の話だ山本!?」

 

あっ、でもそいつイギリス人だったわ。カツェはドイツ人らしいから違うか。

 

「山本、お前武器とか何かねえのかよ?出し惜しみすんなよ?」

 

「使わせてみなカツェちゃん、寝顔見られたくらいでかなり取り乱すカツェちゃんに出来るもんならな!!」

 

「その口いい加減に閉じやがれ!!」

 

カツェがそう言うとルドガーはバサバサと何処かに飛んでいった。あれか?敵前逃亡ってやつか?

 

「烏何処かに飛んでいったけど、カツェ、ちゃんとペットの世話しとけよ。」

 

「違えよ!!何処か安全な所に行けって命令したんだよ!!」

 

「嘘は付かなくていいんだぞ?大丈夫だ、ペットの扱いには心得があるからな。意地張んなくていいぞ。」

 

「その哀れむような目を止めろ。お前なんかあたし一人で充分だ!」

 

なーんだ残念、まあ2対1でも1対1でもいいけどな。

 

「さあて、ここからバリバリ行くぜ!!」

 

そう言いカツェは水が入った小瓶を取り出して、その中身を弾丸のように飛ばしてくる。

 

「逃げろや逃げろー!!」

 

「ほらほらどうした!?逃げてばっかじゃあたしには勝てないぜ?」

 

「だってカツェみたいな可愛い女の子に傷を付ける事はしたくないからなぁ。」

 

俺がそう言うとカツェはボンッっていう効果音が付いてもおかしくない速度で顔を赤くした。いやいや初ですなぁ。

 

「かかか可愛い!?あ、あたしは可愛くなんかない!!」

 

「その仕草とかも可愛いんだよなカツェ。」

 

「ま、またあたしを侮辱しやがって!!もう許さねえぞ!!」

 

ありゃ?怒っちゃった。ってルガーを取り出してきたよあの子。

 

「死んでも恨むんじゃねえぞ!!」

 

「大丈夫だ、恨むのはシャーロックにしておくからな!!」

 

どわっと、ルガーを撃ってきたから避けたら水の刃が迫ってきたよ。応用がかなり効きそうな力だなぁ。

 

「まあ当たらないけどな!!」

 

さあてそろそろ反撃しますか。水の刃を横っ跳びで避けて地面を思いっきり踏んでカツェに近付く。

 

「っ!!」

 

俺が向かって来てると見たら水を操って壁を出現させたな。機転は効くみたいだが、甘いぞカツェ!!

 

「よっこいしょ!!」

 

壁を登ってカツェの後ろに回り込む。どうやって昇ったかって?頑張って登った。

 

「ん?あいつは何処だ?」

 

水の壁を解除してきょろきょろと辺りを見渡してるな。おーい俺は後ろだぞ?

 

「何処かに隠れやがったな?せこせこすんなよ!それでも男か山本?」

 

「何処にも隠れてねえぞカツェ、とんがり帽子もーらい!!」

 

俺がカツェの帽子を取った瞬間にぐるっと後ろを振り返ったな。ついでに膝かっくんもすれば良かったか。

 

「いい、いつの間に!ってかあたしの帽子返しやがれ!!」

 

「やーなこった!!そして奪った帽子を装備、これで俺も魔法少年だぜ!!似合うかカツェ?」

 

「絶望的に似合わねえから返しやがれ!!」

 

そんなー、似合うと思ったんだけどな。

 

「でもこういうとんがり帽子を被ると言いたくなる言葉があるよな。」

 

「何考え込んでんだよ。早く返せ。」

 

「グリ○ィンドーーール!!」

 

「ああもう本当に調子狂うなぁ!!」

 

ああ満足した。さてとんがり帽子を外したカツェの姿の写真も数枚撮ってと。

 

「ってかさ、さっきから戦って思ったんだが。カツェ、何でそんな辛そうにしてるんだ?」

 

「は、はぁ!?お前何言ってんだよ?このあ、あたしが何時辛い顔をしたんだよ?」

 

口ではそう言ってるけどな、目は泣きそうになってんだよ。目は口ほどに物を言うからな。

 

「俺の振る舞いを見て何か感じてるのかカツェ?」

 

「べべ、別に何も感じてね「もしかして一緒に居てくれる友達とかいないのか?」ううう、うるせえ!!!」

 

図星か、何となくで言ってみたんだが当たったのか。ん?携帯が光ってるな。

 

「あたしは魔女だぞ!?人々から恐れられてなんぼ、嫌われてなんぼ、怖がられてなんぼなんだよ!!」

 

カツェはそう言ってフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。さて携帯を開いて、ははぁ、なるほどねえ。

 

「それで学校の皆から嫌われてんのか。」

 

「てめえ、その情報を何処で仕入れてきやがった!?」

 

「それは秘密だな。」

 

まあ、今持ってる携帯の画面に書いてあるんだけどな。カツェは普段お嬢様学校に通ってるが、周りから避けられてると。

 

「あたしがナチスの関係者の血筋ってのは噂程度にバレてるみたいだからな、学生も先生もあたしを避けるのさ。」

 

「何処の国も異端者にはそういう態度をとるのは同じなんだな。」

 

「けど、魔女連隊の皆がいるからその皆が理解してくれればそれでいいんだ。」

 

そう言いカツェは力なく笑う。無理してんのが見え見えだっての。

 

「はぁ、携帯を渡した理由ってこういうことかよ。」

 

「何言ってるんだよ?」

 

「お前見栄張り過ぎだし強がり過ぎ。たかが十三くらいの餓鬼が大人ぶるな。」

 

俺がそう言った瞬間にカツェが俺の頭目掛けてルガーを撃ってくるが首を横に傾けて避ける。

 

「うるせぇよ。たかがあたしの事情を最近知ったばっかのてめえが何でも見透かしたような口調で喋んな。」

 

「その口調も皆から恐れられるために使ってんだろ?」

 

「うるせぇよ!!」

 

カツェは俺に小瓶の水を投げ付けて、俺の顔に当たる直前に水が鋭利に尖った形に変形するが籠手を付けてる左腕で弾く。

 

「てめえにあたしの何がわかる!?」

 

「何も分からねえ。ついさっき知り合ったばかりだからな。」

 

「だったら「構うなってか?ふざけんな。」っ!!」

 

俺は籠手から槍を取り出して地面に突き刺し、戦術殻 氷で辺りを氷らせる。

 

「あ、あたしはあの人さえいればいいんだよ!!魔女連隊があればいいんだよ!!」

 

「……。」

 

「あそこは大切な居場所だ!!魔女とか悪魔とか言われてるがあたしは魔女連隊があればいいんだ!!」

 

「そうか。」

 

俺は槍を地面から抜いて籠手にしまう。やれやれ、シリアスは苦手だ。

 

「悪かったな、ちょっと意地悪してみたくなってな。カツェの気持ちを知りたかった。」

 

「だ、だからってあんな殺気を出しながら睨むなよ。本気でビビったぜ。」

 

「俺より環境に恵まれているんだな。その環境を壊すなよ?」

 

大切な人がいるだけ恵まれている。大切な居場所があるだけ恵まれている。俺もそういうのが欲しかった。

 

「お前、一体過去に何があったんだ?お前こそ、携帯を投げ捨ててから悲しい顔をしてたぞ?」

 

「戻りたくても戻れない。幸せだった一時を思い出していたのさ。」

 

俺はカツェに近付いて帽子を取って頭を撫でる。カツェはいきなりの事で顔を真っ赤にしてるな。

 

「な、ななな、何しやがるてめぇ!?」

 

「魔女連隊だけじゃない。辛かったり悲しかったら俺にも相談しろ。俺もカツェの味方になってやるからな。」

 

俺はそう言ってニッコリと笑う。それを見たカツェは俯いてモジモジしてるな。これをすれば女の子の機嫌は取り戻せるって変態モードのキンジから教わったが大丈夫かねぇ。

 

「か、格好つけやがって、……ありがとな。」

 

「ん?何か言ったかカツェ?」

 

「な、何でもねえよ!!」

 

カツェの帽子を元の位置に戻してと。さあ、シリアスはおしまいだ。こっからシリアル全開で行くぜ!!

 

「というわけで、今からさっきまでのカツェの本音と顔写真を魔女連隊に送りたいと思いまーす!」

 

「……はぁ!?冗談だろ!?止めろ!!」

 

「止めろと言われるとやりたくなるのが人間だ。さあ送信ボタン押しちゃうぞ~?いいのかな~?」

 

「だったら水でって全部凍ってる!?ならルガーってこれも短剣も凍ってる!?」

 

はっはー!!そのために戦術殻 氷を使ったのさ。

 

「ってか魔女連隊に送るってどう送るんだよ!?」

 

「いやぁ、魔女連隊の居場所に送るのさ。大丈夫、ちゃんと居場所知ってるからな!」

 

何処で知ったかって?あの迷惑探偵ホームズが教えてくれたぞ。

 

「やーめーろー!!」

 

カツェが突っ込んでくるが、カツェの頭を押さえて止める。ジタバタ暴れてる姿もいいね!

 

「ほらほら~、早く携帯を取らないと3秒以内に送信しちゃうぞ?」

 

「てめぇぇぇぇぇ!!」

 

俺の手を弾いて携帯を取ろうとしてるけど、カツェの身長じゃあ手を伸ばしても俺が手を伸ばした先には届かないぞ。

 

「返せ!!返せ!!返せ!!」

 

顔を赤くしながら必死でぴょんぴょん跳ねながら携帯を取ろうとしているカツェは最高だな!これも写真に撮ってと。

 

「ちなみに俺は携帯は五種類持ってるからな。」

 

「誰に説明してんだ!?」

 

「ほ~らカウント始めちゃうぞ~?い~~ち。はい送信っと。」

 

「山本!!2と3はどうしたんだよ!?まだ1秒しか経ってねえぞ!?」

 

「世の中な、1さえ覚えておけばなんとかなんだよ。ちなみにマジで送信したから。」

 

カツェに送信画面を見せる。それを見たカツェはポカポカ殴ってくる。

 

「取り消せ取り消せ取り消せ馬鹿野郎!!」

 

「カツェ、本気で俺を殴ってるみたいだが痛くも痒くもないぜ!!」

 

水と武器を使えなくすればカツェは弄り放題だからな。いやー、微笑ましいわ。

 

「ってあれ?なんかいつの間にか氷溶けてる。」

 

何か部屋の室温が上がってる。シャーロック、お前の仕業か!?

 

「そうみてえだな。さあて山本?覚悟しやがれよ?」

 

今床が数センチ浸水してますなぁ。ということは、カツェの力が使いたい放題か。

 

「カツェ、この超絶スマイルで許してくれたまえ!!」

 

「許すわけねえだろ馬鹿が!!」

 

あるれぇ?許してくれなかったぞ?

 

「どう山本を料理してやろうか?」

 

「俺は美味しくないぞ!?食べても腹壊すだけだからな!!」

 

「そういう意味で言ったんじゃねえよ!!」

 

ヤバイヤバイ!!もう1回戦術殻 氷使っても無駄だろうな。どっかで見てるシャーロックがまずさせてくれないだろうし。

 

「どうするぅ?絶体絶命のピンチ!!」

 

「遺言はそれだけか?」

 

「な訳ないだろ、戦術殻 風!!」

 

籠手から二本の小太刀の柄を合わせて竜巻を発生させて水を吹き飛ばせばいいんだ!!その隙にてっ、た、い。

 

「っ!!てめぇも能力持ちか。だったら手加減はいらね、え、な。」

 

「あー、その、なんだ。ごちそうさまです!!」

 

カツェは固まってるな。何が起きたって?いやさ、カツェの着ているスカートって結構短いんだよ。それで下から上に吹き上げる風が近くで発生するとなるとさ。

 

「こ、ここ、こここ。」

 

つまり、スカートが捲れてカツェの下着が見えちゃったんだよな!!

 

「この変態クソ馬鹿野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぎょえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

ぐふ、あちこち、水の刃で串刺しにされたぜ。でもな、ちゃんと携帯で写真を撮ったから、弄れるぜ、ガクッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、やっぱりあの二人を組ませると面白いね。僕の思った通りだね。」




ちなみにシャーロックからもらった携帯の画面の内容

『この下にカツェ君の情報が書かれてあるよ。これを読んだ後は、是非シリアスな展開を頼むよ。シリアルばっかりじゃつまらないからね。』


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第12筋 決してロリコンではない!

あの後、俺は模擬戦に負けた。女の子って何処の国の人でも怒らせると怖いんだなって事が身に染みたよ。けど、カツェのすっごく恥ずかしがってる姿を見れたからボク満足!

 

「でも、弄りまくってやるんだけどな!」

 

カツェの反応は面白いからな、見ていて飽きないな。あっ、カツェが模擬戦に勝ったから俺がカツェの奴隷になるわけだが、そこは日本式謝罪術(土下座)をして免れた。

 

「次は何をして弄ろうかな~。怒ってるカツェもいいけど恥ずかしがってるカツェもいいんだよな。」

 

「山本、お前あたしがいる前でよくそんなこと言えるな。」

 

一応やり過ぎたと思ってたのか、俺の傷を手当てしてくれるカツェ。うん、いいイェェアァァァ!!

 

「カツェ痛い!!魔女なんだから回復魔術的なものとかねえの!?」

 

「ねえよ。黙ってじっとしてろ。」

 

カツェはそう言ってるけどな、面白いものを見付けたと言わんばかりのニヤけ顔でこっち見るな。俺はSだから弄る方がいい!あっ、でもカツェに弄られるならいいかもな。

 

「いやはや、カツェは強いんだな。水の魔術を使う人なんて初めて見たぜ。」

 

「あたしは山本があそこまで強い事に驚いてるけどな。そう言えば武偵にはランクがあんだろ?山本はランク高いのか?」

 

「ふふふ、聞いて驚けカツェ!!俺は衛生科のEランクだ!!」

 

「めちゃくちゃ低いじゃねえか!!」

 

いやだってねぇ、銃を持ってないからでEランクとかになっちゃってるかな。解せぬ。

 

「まあ、そんなわけで俺は落第ギリギリにいるわけなんだよ。驚いたか?」

 

「ああ、別の意味ですげえ驚いたよ。」

 

「ところでカツェ、何かカツェから香水みたいな香りがするんだが?」

 

これが女の子の香りなのか?ならば思いっきりスーハースーハーしなくては!

 

「さ、さっきの模擬戦でちょっと汗をかいたからな。山本が気絶している間にシャワーを浴びてきた。」

 

「ほほう、それで俺に汗の匂いを嗅がせたくないからか。カツェも女の子だな!!」

 

「う、うるせえよ!あたしは女の子だぞ!!」

 

そう言いカツェは顔を赤くして睨んでくる。その睨んでくる目もいいね!

 

「そんなことは知ってるぅ!さて、そろそろ手当ても終わったし、俺は、あれ?」

 

な、何か頭がボゥーっとしてきたんだが?あれか?疲れが溜まってきたか。

 

「お前さぁ、あたしは魔女なんだぞ?少しくらい警戒した方がいいんじゃねえのか?」

 

「俺の中の魔女はな、カツェみたいな女の子じゃなくて、ヨボヨボの婆さんが鍋に怪しい液体を入れて奇声を上げながらかき混ぜていく姿なんだ。」

 

「一体どんな魔女を想像してんだよお前は!?」

 

いやだってねぇ、昔読んだ本の魔女はそういうのしかいなかったからな。

 

「うーん、カツェ。なんか視界が回りだしたんだが、もしかしてさっきの香水みたいなのが原因か?」

 

「正解、厳密に言えば男にしか効かねえ香水みたいなもんだ。この香水は本来魔女が男と寝るために用いられるものなんだよ。」

 

へぇー、そんな香水もあるのか。世界は広いねぇ。

 

「まあ、毒っつうか薬っつうかそんなもんだ。」

 

カツェが何やら説明してるけど、駄目だ、座っていられないほど視界が回ってやがる。あれ俺座ってたっけ?

 

「カツェ、お前これから何する気だ?俺を怪しい液体が入った鍋に入れるつもりか?俺を食っても腹壊すだけだからな!!」

 

「んなことしねえよ!!まあ食うってのはある意味あってるかもしれねえけどな。」

 

おいおいおい、何か嫌な予感がするから対策練らねえと。けど、体に力が入らねえ。

 

「山本、魔女はな本当は怖いんだぞ?さっきの土下座で奴隷の事を許してもらえるとでも思ったか?」

 

「めちゃくちゃ思ってた。これから何する気だよ本当に?」

 

「ある儀式の準備さ。」

 

そう言ってカツェは着ている服の胸元を全開にした。あっ、これはあれですね。

 

「大丈夫だ、時間はたっぷりとあるんだ。書物でしか読んだことないけど、安心しな。」

 

そう言ってカツェは俺を組み伏せようとする。ああ、抵抗出来ずにカツェの奴隷になるのか。

 

「全て私に任せろ。お前は身を委ねてれ「ところがぎっちょん!!そうは問屋が下ろさないんだな!!」や、山本!?」

 

カツェが俺を組み伏せようとした瞬間に、逆に俺がカツェを組み伏せる。

 

「な、何でだよ!?香水の匂いはちゃんと嗅いでた筈だろ!?」

 

「思いっきりスーハースーハーしてたぜ?けどな、俺は薬が効きにくい体質なんだよ。」

 

「くそがっ!!さっきまで演技してやがったのか!?」

 

もちのろん。カツェみたいな女の子に迫られる事は滅多にないからな。いい体験が出来たぜ。

 

「さあて、カツェは何をしようとしていたのかなぁ?んん~?言ってみ?」

 

「いいい、言わねえよ!!離しやがれ!!」

 

無駄無駄、カツェがジタバタ暴れようとも完璧に組み伏せたから動けねえぞ?

 

「まあ落ち着けよ。やられっぱなしは嫌なんでな。」

 

「おい、何する気だよ?」

 

「カツェを大人の女の子にしてやるよ。」

 

俺はさっき言った言葉で顔を赤くしているカツェの顎をくいっと持ち上げる。

 

「あわわわわ!!やや、止めろ!!あ、あたしはこういう経験はしたことないんだぞ!!」

 

「だったら、さっきは何で自分からしようとしてたんだ?自分からしようとしてたんだから、自分がされることも覚悟してたんだよな?」

 

「うう、山本の馬鹿!!」

 

俺はカツェにそう言うと、カツェは体を震わしながら涙目になっていた。

 

「大丈夫だ、ゆっくりと、そして優しくしてやるからな。」

 

「いい、痛くしたら絶対許さねえからな!!」

 

俺は顔をカツェに近付けると、カツェはキュッと目を瞑った。本当に反応が初々しくて可愛いなぁ。

 

「なんてな、冗談だ。」

 

「へ?」

 

「そういうのは、大切な人としろ。知り合ってまだ間もない奴とすんな。」

 

俺がそう言うとカツェはプルプルと体を震わしていた。これまずいパターンだな。

 

「さて、逃げるか!!」

 

「待ちやがれてめぇぇぇぇぇ!!」

 

うわっ!やっぱりか!カツェが顔を真っ赤にしながら追い掛けてくる。これが、これが青春というものか!

 

「待てと言われて待つ奴はいない!!悔しかったら俺を捕まえてみろよカツェちゃん?」

 

「てめえ、絶対に、ぜぇーーーーーーたいに奴隷にしてやるからな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というのが数日前にありまして、あの後はなんとか逃げ切った。そしてその翌日から何故かシャーロックとの模擬戦ばかりしてました。

 

「ふむ、風雨君も中々やるようになったね。」

 

「うるへーよ、人を散々ボッコボコにしている奴が言う台詞かよ?」

 

もうね、容赦ないんだよ。涼しい顔をしながら俺を殺しに掛かって来るんだよ。悪魔だ!人間のような見た目をした悪魔だ!

 

「さて、そろそろ出掛けていたメンバーが戻ってくるから、風雨君を元の場所に戻してあげるよ。」

 

今は模擬戦専用の部屋にいるぞ。

 

「一体何の為に俺を拐ったんだよ本当に。」

 

まあいいか、元の場所に帰してくれるなら。でも一つやり残した事があるな。

 

「山本、お前帰るのか?」

 

「んん?カツェ?何でここにいんの?」

 

「そ、そんなことはどうでもいいだろ!!」

 

ははーん、もしかして寂しいのかカツェ?全く素直じゃねえな。

 

「まあ、また会えるからな。そうだ、こいつを渡しておくよ。」

 

俺は自分の電話番号が書いてある紙をカツェに渡す。それを見たシャーロックはニヤニヤしてやがる。見せ物じゃねえぞ!

 

「じゃそろそろ行くよ風雨君。」

 

「ふ、風雨!!」

 

おっ!俺の下の名前を呼んでくれるようになったか。こいつは嬉しいねぇ。

 

「またな!!」

 

「ああ、またな!!」

 

俺とカツェは互いに笑顔を浮かべる。さあて帰るとし「そい!!」あぎゃ!!

 

「潜水艦は見られたくないからね。また気絶してもらうよ。」

 

「だったら、ペリィ、ドゥ、ペリィじゃなくてもいいだろ。」

 

もうシャーロックとは関り合いたくねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きなさいバカ風雨!!」

 

「まそっぷ!!」

 

あれ?ここはキンジの部屋だな。本当に帰ってこれたんだな。

 

「アンタ何処行ってたのよ!?」

 

「アリアか?そうだな、武者修行の旅に出ていた!」

 

「だからそんな傷だらけなのね。けど!アンタは魔剣から狙われてるのよ!?どっかに一人で行くんじゃないわよ!! 」

 

一人で行った訳じゃねえんだけどなぁ。あの迷惑探偵に連れてかれただけだ。

 

「ところでアリア、キンジと白雪は?」

 

「祭りに行ったわよ。あのバカの事なんて知らないわ!!」

 

「喧嘩でもしたのか?まあ、どうせキンジの奴が魔剣なんていないって言い出したんだろ。」

 

「な、何で知ってるのよ!?」

 

何年あいつと友達やってるんだよ。これくらいはあいつの態度とかでわかる。

 

「まあいいわ、アンタの言った通りキンジと喧嘩したわ。でもこれは必要だったことなのよ。」

 

「敵を騙すにはまず味方からってことだろ?」

 

「アンタ本当にアサルトに移った方がいいわよ?」

 

あんな死ね死ね団の所になんか行きたくねえよ。

 

「じゃあ、あたしはレキの所にいるからなんかあったら連絡してちょうだい。」

 

「アリア、キンジ以外に友達いたんだな。」

 

「うっさいわね!!早速風穴開けるわよ!?」

 

アリアはプンプン怒りながら部屋から出ていったな。さて、日付は、GW前か。

 

「あっ、アドシアードの事なんもしてねえや。」

 

明日登校したら絶対文句言われんだろうな。あーやだやだ。



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第13筋 気になる人とは案外すぐ再会するもんである

「あー、鬱になりそうだ。帰って寝たいだらだらしたい働きたくないでござる!」

 

こっちに戻ってきた後、登校したら蘭豹先生にもの凄く怒られた。

 

「働くも何も、今はGW中だろ。しかもここ俺の部屋の中だぞ?」

 

「あっ、そうだったなキンジ。忘れてた。」

 

まあ、酒という賄賂を渡したら酒瓶で数回殴られるだけで済んだけどな!

 

「あー、暇だ!!どっか出かけていい?」

 

「駄目に決まってるだろ風雨?お前今は謹慎中なんだぞ?」

 

そうなんだよ、GW中は謹慎期間だと蘭豹先生が勝手に決めやがって外に出れねえんだよ。

 

「謹慎?なにそれおいしいの?」

 

「頼むから大人しくしてろよ。ボディガードする身にもなってくれ。」

 

そう言ってキンジは頭を抱え込む。大人しく?それは俺に死ねと言ってるようなもんだ!

 

「アリアと白雪がいない貴重な時間なんだから、俺の体を休ませてくれ。」

 

アリアは多分レキの所にいるんだろう。白雪はアドシアードの打ち合わせみたいなもんに参加しに行ったぞ。

 

「はいはい、ロリコン根暗スケベ野郎は苦労するんだねぇ。」

 

「何だよそのあだ名は!?誰が決めたんだ!?」

 

「俺が今さっき思い付いた。中々いけてるだろ?」

 

「何処をどう判断していけてると思ったんだよ!!」

 

あー面白え、やっぱりキンジを弄るのは楽しいな。GW中外に出れねぇからな。

 

「にしても、あいつは元気にしてるかねぇ。」

 

「あいつって誰の事だ?」

 

キンジは麦茶を飲みながら聞いてきた。おっと、ここでイ・ウーの事について話したらヤバイな。

 

「武者修行先で知り合った人だよ。」

 

言葉は荒くてすぐに人を追い掛ける。そして時々ドジを踏むけど、年相応の反応をする魔女だな。あいつは元気かねぇ。

 

「ん?何で俺はあいつの事を考えてるんだ?」

 

「どうした風雨?お前まさか彼女でも出来たのか?」

 

いやいや、そんなわけないじゃないか。いやあるのか?うーむ、このもやもや感は一体何だ?

 

「俺彼女とか出来たことねえからな。キンジもだろ?あっ、現在進行形でアリアという彼女が居たか!」

 

「お、俺はアリアのパートナーなだけだ!!彼女とかじゃねえよ!!」

 

キンジ、顔を赤くして言っても説得力ないぜ?モテる男は辛いだろうねぇ、アリアしかり白雪しかり。

 

「まっ、後ろから刺されないように気をつけな。」

 

「どんな状況だよそれ?ところで風雨。お前武者修行で何処に行ったんだ?」

 

「色々有りすぎたから忘れた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じでGW中はキンジと駄弁り、白雪が帰ってきたら三人でわいわいしていたな。ただ、時々白雪が携帯が鳴ったらすぐに返信していたけど。

 

「まあ、その事についてはキンジが解決してくれるさ。」

 

そして今はアドシアード当日。まあ、アドシアードは武偵のイメージアップを図るために行われている行事だ。ここの高校偏差値40だしな。

 

「でも、イメージアップなら普通の体育祭みたいなもんにすりゃいいんじゃねえかな?」

 

徒競走とか幅跳びとかそんなんじゃねえもん。普通に銃を使うからな。それでいいのか教師達?

 

「ふわぁ、暇だなぁ。」

 

一応競技に出ない生徒は受付とか競技の審判とかの役割が与えられるけど、俺はその時いなかったから何も無し。

 

「何もしなくていいのはいいんだが、こうも退屈だとなぁ。あーあ、何か起こらねえかな。」

 

まあ、そんな都合よく起こるわけ「おい風雨!!お前聞いたか!?」なんだよゴリラ?

 

「ここにすげえ奴が来てるぜ!!」

 

「うるさいゴリラ(武藤)、発情すんな。」

 

「てめえ!!轢いてやる!!」

 

武藤は俺にラリアットをしてくるが甘いな!!そんな攻撃見え見えだ!!

 

「そおい足払い!!」

 

「うごぎげ!!」

 

おおう、武藤が顔面から地面に激突しやがったよ。痛そうだなー。

 

「落ち着けよ、バナナやるから落ち着け。あっ、それとも草の方がいいか?」

 

「俺は人間だ!!」

 

おいおい、そんなに興奮すんなよ。ドラミングとかするなよ?

 

「それで、すげえ奴とはどんな奴なんだ?」

 

「超絶美少女が来てるんだよ!!しかも黒髪!!今すげえ話題になってるぜ!!」

 

「あっ、そう。」

 

美少女が来たくらいで大袈裟な。まあ、非モテの武藤からしたらビックニュースなんだろうな。

 

「なんだよ反応薄いな、お前も見たいんだろ?恥ずかしがんなって。」

 

「どーでもいい。美少女が来たくらいで大袈裟なんだよ。そりゃアドシアードなんだから来る事もあるだろ。」

 

「そうか、ならもう1つとっておきの情報を教えてやる!!」

 

武藤のとっておきはなぁ、凄くどーでもいい話ばっかなんだよな。無視するか。

 

「まるでお嬢様学校に通ってるような高級な制服を着て右目に眼帯も着けてるんだ!!」

 

右目に眼帯、そして黒髪。まさかな、そんなまさかな。

 

「武藤、そいつの髪型ってなんだ?」

 

「お前も気になってきたか?お前も男だな!!良かったぜ、風雨はホモ疑惑がかけられていたから安心したぜ。」

 

おい誰だ俺にホモ疑惑をかけた奴は?吹き飛ばすか切り刻むか凍らせるから出てこいや!!

 

「武藤、とりあえず後でブッ飛ばす。」

 

「なんで!?っと髪型の話だったな。美少女の髪型はおかっぱなんだよ!!しかも神崎さんと身長はそこまで変わらない!!」

 

んん!?俺はそいつに似た知り合いを知ってるぞ?頼む、頼むから人違いであってくれ!!

 

「そして極め付きに魔女が被っているようなとんがり帽子を被っている!!」

 

おいぃぃぃぃぃ!!完璧にあいつじゃねえか!!何しに来てんだよ!?

 

「こうしちゃいられねえ!!風雨に話したら無性に見たくなってきた!!じゃあな風雨、美少女は校門前にいるから見てくるぜ!!」

 

そう言って武藤はテンションmaxな状態で走っていった。落ち着け俺、落ち着け。ドイツ人は狼狽えない!

 

「ふぅー、まあ世界には73億人の人がいるんだ。人違いって事もあるからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校門前

 

「すげえ!!本物の魔女みてえだ!!」

 

「なあなあ!!魔法とか撃てんのか!?杖からビームとか出せんのか!?」

 

「君と契約して魔法少年にならせてよ!!」

 

「あーもう!!お前らなんだよ!?一辺に話し掛けてくんな!!」

 

チクショウメェェェェェェ!!やっぱり美少女ってカツェの事かよ!!

 

「最高だな!!なあおい風雨?どうした風雨?」

 

本当に何しに来たの?日本でテロでも起こすつもりなのか?何で堂々と校門から入ってきてんの?馬鹿なの?死ぬの?

 

「いや、何でもねえよ武藤。俺ちょっと競技の方を見てくるわ。」

 

俺がいることをバレたら大変な事になる。ここは段ボールを被ってやり過ごすし「あっ!やっと見付けたぞ!!」バレた!?

 

「何こそこそしてんだ!!あたしはお、お前に会いに来たんだぞ!!」

 

「お、おい風雨?まさかお前、あの魔女っ子みたいな美少女と知り合いか?」

 

「あんな子知りません。あの子は少し頭がお花畑が咲いている子じゃないか?」

 

カツェ・グラッセとかいう女の子なんて知りません。あんな可愛い子なんて知りません。

 

「ほーう、てめえ折角会いに来てやったのにそんな態度を取るのか?」

 

あっ、カツェが俺に向かって歩いてくる。やめて、来ないで!!周りの男子からの目線が痛いから!!

 

「い、いやこれはあれだよ。俗にいうツン=デーレという奴だ!!」

 

「ふ、風雨。お前いつこんな美少女とのフラグを建築しやがった!?答えろ!!」

 

そんな血の涙を流しながらこっちくんな武藤、知らねえよそんなの。

 

「キンジだけじゃなく風雨もリア充かよ!!」

 

「「「ヒャッハー!!リア充は消毒だぁぁぁ!!」」」

 

カツェとはただの友達だっての!!こうなると本当に手が付けられなくなるな!!

 

「や、山本!?あいつらが凄い剣幕でこっちに向かって銃を撃ってくるぞ!?」

 

「とにかく、こうなった武偵の男達は手がつけられねぇ!!逃げるぞ!!」

 

「ちょ!?や、山本!?」

 

俺はカツェをお姫様抱っこして武藤達から逃げる。ちくしょう、今ならキンジの気持ちが少しわかるぜ!!

 

「風雨が裏切った!!絶対轢いてやる!!」

 

「風雨死ね死ね死ね死ね死ね!!」

 

「パルパルパルパルパルパル!!」

 

「そんな、魔法少年になりたかった。目からビームとか出したかった。」

 

おい最後の奴、それ魔法少年関係ねえだろ。



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第14筋 段ボールさえあれば潜入なんて楽

教室

 

「と、とりあえず撒いたようだな。」

 

「ああ、ってあいつらなんだよ!?いきなり撃ち出すしすげえ剣幕で追い掛けてくるし本当にここ学校か!?」

 

武藤達から逃げてきた俺とカツェは教室の机に腰をかける。あー疲れた。

 

「言っておくけどなカツェ、こんなの日常茶飯事だからな?」

 

「おいおい。それで山本は何であたしを見た瞬間に隠れようとしたんだ?」

 

カツェはジト目で俺を睨んで来た。その目もいいね!

 

「カツェが来るとは思わなかったんだよ。どういう要件で来たんだ?」

 

「武偵がどんなものか興味を持ったからな。いやー、結構来るの大変だったん「当たり前だろうが!」いてぇ!!叩くなよ!!」

 

「お前今の状況わかってんの?何イ・ウーのメンバーが堂々と武偵高校に入ってきてんの?ここでテロとか起こすつもりなの?」

 

教師達にバレたらどうなるかわからないからな。退学とか勘弁だ。

 

「休暇を利用して来たんだよ。テロとか起こすつもりはないぜ。そんなに心配するなよ!」

 

カツェはそう言って笑い出す。だったらとんがり帽子を着けてくるなよ!!

 

「せめてとんがり帽子を外せよな。カツェを知ってる人がそれを見たら一発でバレるぞ?」

 

「これを外せばお前があたしを見付けれないと思ったんだよ。」

 

「はぁー、まあ見学とかは自由にしていいけどさ。身分がバレねえようにしとけよ本当に。」

 

「山本は心配性だなぁ、あたしがそんなヘマをするわけねえじゃねえか。」

 

カツェはケラケラと笑い出す。あーあ、フラグにしか聞こえねえよ。

 

「ほーお?随分と舐めた口を聞いてくれるなぁ、魔女連隊隊長カツェ・グラッセ。」

 

「あ、オワタ/(^o^)\」

 

教室のドアに蘭豹先生がいた。なーんーでーこんなにも早くフラグを回収するかなぁ!?

 

「なな!!何であたしの名前を知ってやがる!?」

 

「うちを舐めんなよがきんちょが!!それと山本!!何でこのがきんちょと知り合いなんだ?」

 

「いや、それはあれですよ。偶然の賜物という奴ですよ!!」

 

やべーよ、蘭豹先生めちゃめちゃ怒ってるし。カツェは動揺して冷や汗流してるしやべーよ。

 

「偶然かぁ、そうかそうか。って納得するわけないだろうがボケがぁ!!言い方を変えてやる、何で魔女連隊の隊長と知り合いなんだ?」

 

「だから言ってるじゃないですか、偶然!!奇跡!!たまたま!!」

 

「なわけないだろうがぁ!!うちをなめとんのかぁ山本!?」

 

うわっ!!銃を撃ってきやがった!!これは本当に激おこだ!!

 

「大人しくお縄につけや、そしてたっぷりと尋問してやるからなぁ、覚悟しとけよ餓鬼供。」

 

「どどど、どうすんだよ山本!!見逃してくれそうにないぜ!?」

 

「ああ、マジでヤバイ。となればとる手段は1つ!!」

 

俺は籠手から刀を出現させて右手に持って構える。それを見た蘭豹先生は少し驚いてるな。

 

「うちに歯向かうか。その意気に免じて山本は九分殺しで勘弁してやる。」

 

「それってほぼ死んでるじゃないですかやだー!!」

 

「な、なぁあの女強いのか?」

 

カツェは恐る恐る聞いてきた。強くなかったら人生オワタの顔をしてねえよ。

 

「めちゃめちゃ強い。多分勝てないだろうな。」

 

「どうすんだよ!?こうなったらあたしのま「カツェは手を出すなよ。」お、おい山本!!」

 

俺は蘭豹先生の近くのところまで警戒しながら歩く。さて、ふざけてたら人生詰むからな。

 

「腹は括ったかクソ餓鬼?」

 

「ああ、おかげさまでな。行くぜ!!」

 

そう言い俺は気合いを入れて蘭豹先生の向かって駆け出……さずにカツェを左脇に抱え込んで窓から飛び降りる。

 

「逃ぃぃぃぃげるんだよぉぉぉぉぉ!!」

 

「……待てやゴラァァァァァ!!何逃げてんだクソ餓鬼ぃぃぃぃ!!」

 

よし、逃げる距離は稼げたぞ!!バカ正直に突っ込んでもボコボコにされて終わりだし!!

 

「見たかカツェ!これが俺の秘技、戦略的撤退だ!!」

 

「要するにただの逃走じゃねえか!!何格好つけてんだよ山本!?」

 

「男にはな、たとえ強大な相手に挑むときに背中を見せて走らなければならない時があるんだ!!」

 

「それを逃走っていうんだよバカ!!つーか降ろせ!!この状態だとすす、スカートの中が見られるだろ!!」

 

んなこと言うけどよ、あの鬼の形相をした蘭豹先生に追い掛けられてながら人を降ろせるかよ。

 

「我慢しろよ、それともあの人に捕まって人生終わりにしたいか?」

 

「嫌だよ!!だからさっさと逃げて安全な場所で降ろせよ!?なるべく早めにな!!」

 

「そうと決まれば全速前進DA☆」

 

しかし、今も全力疾走で走ってるのに疲れねえな。これもカツェとおいかけっこした結果か。

 

「ん?山本、携帯が光ってるぞ?」

 

「どれどれ、マジかよ!!蘭豹先生、ちょっとタンマ!!」

 

俺がそう言うと銃を撃とうとしていた蘭豹先生が止まってくれた。ってあと数メートルの所まで来てたのか!!

 

「クソ餓鬼供、とりあえず尋問は後にしてやる。さっさとケースD7を解決してこいや!!」

 

「蘭豹先生そんなに大声で言ったらメールで来たケースD7の意味がないんじゃないですか?」

 

「あぁん!?何か文句あるかクソ餓鬼?」

 

「いえ、ないです。」

 

蘭豹先生は何処から取り出したかわからないけど、一升瓶を取り出し、酒を飲みながら校舎の方に戻っていった。何処に一升瓶しまってあったんだよ。

 

「と、とりあえず首の皮一枚繋がったな。あの女何者だよ!?」

 

「すぐに切れそうだけどな。蘭豹先生は中国のあるマフィアの娘だからな。」

 

カツェを降ろしながら説明する。さて、メールの中身を再チェックしてと。

 

「はぁー、白雪が行方不明か。恐らく魔剣の仕業なんだろうな。」

 

「なあ山本、ケースD7って何だ?」

 

「D7は事件かもしれないがわからないので連絡は一部のものに行き、保護対象者のためむやみに騒いではならない。武偵高もアドシアートを予定通り遂行し、極秘裏に事件を解決せよという意味だ。」

 

さて、まずはキンジに電話だな。

 

「……繋がらねえか。恐らく誰かと話の最中か。カツェ、魔剣って誰だか分かるか?」

 

「分かるけどよ、言ったら面白くないだろ?あたしは仲間は売らないぜ?」

 

カツェはニシシと笑いながら言ってくる。まあ、そりゃそうだわな。

 

「次にこいつにかけるか。もしもしレキ?」

 

「風雨さん。今何処に要るんですか?」

 

1コールも待たずに出たよ。予想でもしていたのか?

 

「うーん、地下倉庫近くだが?恐らく白雪も魔剣も地下倉庫にいると思うが合ってるか?」

 

「はい、先程白雪さんが地下倉庫に入っていくのを確認したので合ってますよ。」

 

良かった、これで外れてたらカツェに大笑いされていたな。現にカツェは当てるなよという顔をしてるし。

 

「サンキュー、あとレキ、キンジの奴と電話したか?」

 

「はい、キンジさんも地下倉庫に向かうように促しました。では健闘を祈ります。」

 

さて、地下倉庫に潜入しますか!!

 

「あ、カツェこれ被っといて。」

 

「段ボールじゃねえか!!これで潜入なんか出来んのか山本!?」

 

「出来んる!!」

 

「どっちだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下倉庫

 

さてさて、今は魔剣がいると思われる場所に待機しているぞ。お前が解決しろって?そんなのヒーローに任せておけばいいんだよ。

 

「この段ボール意外と中は広いんだな。」

 

今はカツェと二人で段ボールの中から様子を探ってるぞ。にしてもさっきからカツェから甘い香りしてヤバイぜ!!

 

「まあ、潜入任務の為に特別に作った段ボールだからな。これがないと潜入なんてやってけない。」

 

「だからと言って段ボールかよ。ところで山本、この地下倉庫はどんな所なんだ?」

 

「武器や火薬の保存倉庫だな。ここでは銃が使えねえから誘拐にはもってこいの場所と考えたんだろうな。」

 

まあ、俺には関係のない事だけどな!!

 

「おいおい、おっ来たぜ!!」

 

遠くからコツコツという足音が聞こえてきたな。む、巫女服を着ている白雪が来たか。

 

「何で私なの?私なんか対したことのない魔女だよ?」

 

あれ?白雪って魔女だったっけ?

 

「ふっ、随分謙遜するのだな。謙遜は日本人の美徳だがそうするものじゃない。事実お前はこの学校の中でも指折りの実力者だ。」

 

「そうなのか山本?あの巫女はすげえのか?」

 

「勉強も出来て戦闘の実力もある。おまけに家事もそつなくこなして面倒見もいい。パーフェクトな巫女だよ。」

 

まあ、キンジが絡むと面倒な事になるけどな!

 

「お前がこれから行く場所はそういうダイヤの原石を探しているのだよ、我々イ・ウーはな。」

 

「そうなのかカツェ?」

 

「魔剣の言った通りだぜ。ダイヤの原石を探して集めて、そして互いに研鑽し合う。それがイ・ウーだぜ。」

 

無理矢理シャーロックに誘拐されたからな俺は。そんな目的があったのか。

 

「1つだけ聞きたいの、私が貴方に付いていったらキンちゃんやアリアに手を出さないでくれるんだよね?」

 

おーい?俺の事忘れてない白雪さん?それとカツェ、腹を抱えて笑うな。

 

「だってよ、クク、お前のとぼけた顔がプッ。面白くてなブッ!!」

 

声を出すなよバレるだろうが。

 

「ああ、それは約束しよう。フォロー・ミー、白雪お前は選ばれた。イ・ウーにな。」

 

「(ごめんねキンちゃん、アリア。そして風ちゃん、いつまでも元気でね。)」

 

「逃げるんだ白雪!!」

 

おっ!キンジの登場か。にしてもキンジが俺達が隠れている所の反対側から出てきてくれて助かったぜ。

 

「キンちゃん!?」

 

「来たか遠山キンジ。」

 

白雪は目を見開いて驚き、魔剣は姿は見えないけどあまりびっくりしてないな。

 

「キンちゃん来ちゃダメ!!武偵は、超偵には勝てないよ!!」

 

「そんなの、やってみなくちゃわからねえだろうが!!」

 

そう言ってキンジは魔剣に向かって駆け出した。おいおい、下見ろって。

 

「あいつが遠山キンジか?バカかなのか?」

 

「そう言ってやるなカツェ。お前もキンジの立場だったら気付いてたか?」

 

俺がカツェにそう言うとカツェは唸って黙りこんだ。そこは否定しろよ。

 

「うわっ!!」

 

キンジの足元が凍ったな。ふむ、あんな使い方があるなんてな。参考にしよっと。

 

「無様だな遠山キンジ。」

 

魔剣はそう言ってキンジに曲刀を投げ付ける。だがキンジに当たる前にアリアが飛び出して小太刀で曲刀を弾いた。

 

「そこにいるわね魔剣デュランダル!!未成年者略取未遂の容疑で逮捕するわ!!」

 

アリア来た、これで勝つる!!なんてな。

 

「なんだあのちびっこいの?」

 

「あれが神埼・H・アリアだよ。ちびっこい割には強いぞ?」

 

俺がそう言うとカツェは感心したような表情になっていた。見ると魔剣が曲刀を飛ばしてくるのに対して、アリアは小太刀で全て弾いた。

 

「何本でも投げてくれば?こんなのバッティングセンターみたいなモノだわ!!」

 

何の応答もないな。恐らく逃げたな。

 

「さて、俺らも移動するぞ。」

 

「えっ?何でだよ?」

 

「ここに来る前に水路に細工がしてあった。恐らくこのフロアを浸水させる気だろ。アリアは泳げないしな。」

 

制服に救命胴衣みたいなものを着ければいいのにな。さて、アリアにもデュランダルにも気付かれないように移動しますか。



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第15筋 大人しい人ほど案外強い

移動完了、ここでもバレないように段ボールを被ってと。

 

「や、山本。ちょっと寒いんだけど。」

 

そうだな、確かにちょっと寒いな。

 

「これでも持っておけよカツェ。少しは暖まるぞ。」

 

「なんだよこれ?」

 

「もっと熱くなれよぉぉぉ!!という商品名のカイロだ。おっ、キンジが来たぞ。」

 

さてさて、浸水したフロアから脱出してきたのか。全身濡れてるけど、ははん、成る程ねぇ。

 

「や、山本。あの遠山キンジの雰囲気がさっきと違わないか?」

 

「気付いたか?キンジはな、性的に興奮するとスーパーキンジ君になれるんだよ。」

 

「もっと違う方法でスーパーキンジ君になれよな。」

 

カツェは呆れた様子でキンジを見ていた。言っておくけどスーパーキンジ君は強いぞ?

 

「白雪!!無事だったのね!!」

 

「ア、アリア!!」

 

座っている白雪を見付けたアリアは駆け寄ったな。どれどれ、カメラを起動してと。

 

「何してるんだ山本?」

 

「下のフロアが浸水するまでの様子をカメラで撮ったから見てる。」

 

白雪が柱に縛られていて、それを解こうとしたら水が流れて来たと。アリアは泳げないから先に行かせてキンジが解錠してたと。

 

「けど、間に合わないから白雪にキスをしてスーパーキンジ君になって一瞬で解錠したと。」

 

「本当にせ、性的興奮でスーパーキンジ君になるんだな。」

 

カツェが若干引いた様子でカメラを見ていた。それは遺伝だから仕方ねえよ。

 

「アリア離れろ!!そいつは白雪じゃない!!」

 

キンジがそう叫ぶと白雪?がアリアの首もとに白雪が持っていた刀を突き付けたな。

 

「こいつ!!うっ!!」

 

デュランダルがアリアの両手に息を吹き掛けたな。アリアは苦痛に耐えてる表情だ。となると、これが本当の凍える息か。

 

「油断したなホームズ。何処か動かしたらその箇所を凍らすぞ?」

 

「キンジ、あたしに構わないでデュランダルを撃って!!」

 

「舌を動かしたな?ならその舌はいらないな?」

 

そう言ってデュランダルはアリアにキスをしようとしていた。これはあれか?キマシタワー?

 

「デュランダルってバイだったのか。」

 

「違うだろ!!あれは恐らく口の中を凍らせるつもりなんだよ。」

 

分かってるってのカツェ。ちょっとふざけただけだ。

 

「デュランダル!!」

 

「!!」

 

白雪が鎖で刀を奪いとったな。巫女服の何処にしまってあったんだよ。

 

「ごめんねアリア、助けるのが遅くなって。」

 

「上出来だよ白雪、白雪が来てくれなかったら危なかったさ。」

 

アリアの握力はかなり弱まってるな。それとデュランダルが袖から缶を取り出したな。

 

「白雪、まさかお前が命を捨ててでもホームズを助けるとはな。」

 

ん?缶から煙が出てきたな。それに反応してスプリンクラーが作動したか。恐らく自分に有利なフィールドを作り上げたのか。

 

「ディランダル、本当は貴方を斬りたくないけど、斬らせてもらいます。」

 

「そのディランダルという名前は嫌でな。本当の名前を教えてやろう。」

 

ディランダルはそう言うと白雪の巫女服を脱ぎ捨てた。

 

「私の本当の名前はジャンヌ・ダルク。正式にはジャンヌ・ダルク30世だがな。」

 

なんつーか、すげえ美人だな。キンジもアリアも驚いてるな、ディランダルが思った以上に美人で驚いてんのか。

 

「違うと思うぞ?つーかそこに驚くのかよ山本。」

 

「率直な感想を思っただけだカツェ。」

 

「ジャンヌ・ダルク!?火炙りの刑で死んだはず!!」

 

アリア、すぐに思い出せるな。俺はジャンヌが何の刑で死んだか忘れてたよ。

 

「あれは影武者だ。」

 

ジャンヌはフンと鼻を鳴らして剣を構えた。それと同時に白雪が一歩前に出たな。

 

「キンちゃん、アリア、ここは私に任せて。」

 

白雪はそう言ってアリアの手を握って何かしてるな。恐らく凍傷を治してるのか。

 

「ふん、まさか私に勝てると思っているのか?」

 

「思ってるよ。貴方の力は凡そG8前後、でもね私はG15あるよ。」

 

そんなに高かったのか。全然知らなかったな。

 

「ブラフだ。極東の島国の、しかもその年でG15はあり得ない。」

 

「本当にそう思う?」

 

そう言って白雪は頭に着けていたリボンを外そうとした。あれを見せるのか!

 

「キンちゃん、今から私は本気を出す。すごく怖いかもしてないけど、嫌わないで?」

 

「安心するといいよ白雪。お前を俺が嫌いになる?100%あり得ないな。」

 

白雪は顔を僅かに紅潮させてからリボンを一気に取ったな。

 

「(いいないいな、あたしもあんな台詞言われてみてえな。)」

 

カツェが何を考えてるのか表情で分かるな。そんなに羨ましそうに眺めんなよ。

 

【我が白き雪よ、あらゆる物に流される弱き己よ、今その戒めを解き、あらゆる厄災を焼き払う紅蓮の業火とならん】

 

白雪がそう唱えると持っていた刀から炎が溢れ出した。それを見たジャンヌが苦虫を噛み締めた表情になったな。やっぱり炎は嫌いなのか。

 

「白雪という名は隠し名。私の本来の名は、【緋巫女】!!」

 

そう言い白雪はジャンヌに向かって行く。おおう、剣と刀の応酬だな。白雪ってあそこまで強かったのか。

 

「今度白雪に剣術でも教わろうかな。」

 

「えっ?お前あの巫女より剣術の腕は低いのか?」

 

ジャンヌとの応酬を見てたら教わりたくなった。でも素直に了承してくれるかねぇ。

 

「多分低い、実際俺はどこまでの実力かを把握していないんだよな。」

 

「ふーん。けど、あの巫女先にバテるぜ?」

 

「ん?何でだカツェ?」

 

「お前知らないのかよ?Gが高ければ高いほど強いけど、その代わり長く戦えねえんだよ。」

 

なーるほど、まあ当然か。

 

「お前も超偵だろ?それくらい知っておけよ。」

 

「俺の超能力は体力あまり関係ないんで!!」

 

何故かは言わんけどな。

 

「これが貴様の本気か。」

 

白雪とジャンヌが鍔迫り合いの状態で会話してるな。

 

「そうだよ。本来はこの力を使うのは禁止されてる、多分後で星伽に怒られる、でも関係ない!」

 

そう言って白雪はジャンヌから距離を取って居合いの構えを取った。

 

「愛があれば大体の事は許されるんだよ!!」

 

「「なわけねえだろ。」」

 

やべ、白雪の決め台詞に俺とカツェがツッコミを入れちまった。

 

「キンジ今よ!!」

 

おっ!アリアとキンジが駆け出したな。ジャンヌがアリアに氷の弾幕を放つが、アリアに近くにあった白雪の衣装で防いだな。

 

「ただの武偵が超偵に勝てると思うなよ!!」

 

キンジがジャンヌに向けてベレッタを撃とうとした時にジャンヌがキンジに向けて剣を振り下ろした。

 

「キンジ!!」

 

アリアの叫び声と同時にキンジは、右手の人さし指と中指でジャンヌの剣を白刃取りしていた。白雪もだけどキンジもやべぇな。

 

「やっぱスーパーキンジ君の時のキンジのやることは常軌を逸してるな。」

 

「あんなん普通出来ねえよ。両手ならまだ分かるけど二本の指でかよ!!」

 

カツェも驚いてるな。ジャンヌはキンジに剣を白刃取りされたことに驚いてるけど、すぐに剣を凍らせようとしてるな。

 

「咲き誇れ!!オルレアンの氷華!!」

 

「なっ!!」

 

「星伽天候流奥義!! 緋緋星伽神!!」

 

白雪がジャンヌの剣をしたから切り上げてまっ二つにしたな。しかも炎を思いっきり真上に噴出したから天井まで焦げてるな、今度やり方を白雪に教わるか。

 

「そ、そんな!!聖剣デュランダルが!!」

 

「ジャンヌ!!逮捕よ!!」

 

アリア、決め台詞を言ってる所申し訳ないけど、ジャンヌはまだやる気みたいだぞ?

 

「逮捕?まだ私は負けていない!!」

 

そう言ってジャンヌはもう1つ剣を取り出したな。

 

「ジャンヌ、もうやめようよ。貴方は負けたんだよ?これ以上の争いは意味ないよ?」

 

「聖剣を折られても、まだ私の心は折られていない!!」

 

「アリア!!白雪!!ジャンヌから離れろ!!」

 

キンジの叫び声と同時にアリアと白雪はジャンヌから距離を取った。その瞬間にジャンヌの周りの地面が凍っていた。あの剣、何かあるな。

 

「どうして!?ジャンヌはもう超能力は使えない筈よ!?」

 

「これを使うのは誤算だったが仕方ない。超能力者が超能力を使えなくなった時の対処を考えていないとでも思ったか?」

 

「「「くっ!!」」」

 

恐らく回復の何かをしたんだろう。やーれやれ、仕方ないか。

 

「行くのか山本?」

 

「ちょっとこれ以上は傍観出来ねえな。ちょくら行ってくる。」

 

「お前の闘い楽しみにしてるぜ!!」

 

カツェ、そんなに俺の闘いが見たかったのか。なら存分に見せてやるよ。

 

「形勢逆転だな?どうする?」

 

「白雪、もう超能力は使えない?」

 

「うん、もう使えない。ごめんねアリア、キンちゃん。」

 

「咲き誇れ、オルレ「おーっとストップだぜジャンヌ?」誰だ!?」

 

ここは格好よく登場するか!!

 

「山本風雨!!華麗にけんじゃん!!」

 

「「「「……。」」」」

 

か、噛んじまった。やらかしたー!!だからそんな何してんの?みたいな目をやめてくれ。

 

「ふ、風ちゃん!?何でこんなところに要るの!?それより来ちゃダメ!?」

 

「何をしに来た山本風雨?まさか私と戦うなんて言わないだろうな?」

 

「ああ、そんなことは言わないさ。俺はただ。」

 

そこまでで言葉を切って俺はジャンヌに向かって駆け出して、ジャンヌを蹴飛ばす。

 

「ジャンヌをぶちのめしに来たからな。」

 

「私をぶちのめす、か。面白い事を言ってくれるな。」

 

ちっ、剣で蹴りを防がれたか。今の蹴りで剣が折れれば楽だったんだけとな。

 

「風雨!?逃げなさい!!アンタじゃジャンヌに勝てないわ!!」

 

「ホームズの言う通りだ。お前じゃ私には勝てない。」

 

ジャンヌはそう言って俺に氷の弾幕を飛ばしてきたな。随分と舐められてますねぇ。

 

「お前の超能力は風しか使えない。風じゃあ私の氷は消せない。」

 

「風雨!!避けろ!!」

 

「大丈夫だってキンジ。教えてやるよジャンヌ、俺は風しか使えないわけじゃないぞ?」

 

赤色の刀を持って体を1回転させて炎を直線上に放つ。ジャンヌはあり得ないといった表情になってるな。

 

「お前も炎を!?」

 

「そうだ、戦術殻 炎。さて、勝負といこうじゃねえかジャンヌ!!」



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第16筋 ヒーローは遅れてやってくる。えっ?遅過ぎ?

「戦術殻だと?そんな超能力は聞いたことないぞ!?」

 

「誰にも言ってねえもん。つーかこの超能力は俺だけのもんだし。」

 

俺は刀をくるくる回しながらジャンヌに言う。そこまで俺が炎を使えた事にびっくりしてんのか。

 

「それよりも風ちゃん!?何でこんなところに要るの!?理由を説明して!!」

 

「分かったから分かったから落ち着け白雪。そんなにぐいぐい顔を寄せてくるなよ。」

 

怒りながら白雪は俺の所にずんずんと歩いてくる。白雪の後ろを見ればアリアも説明しろと言わんばかりに俺を見てるし。

 

「ケースD7が発令されたのを見て、ジャンヌはここにいるだろうと予想して来た。そしたら案の定いたから様子を伺ってた。」

 

「様子を伺ってたなら加勢に来なさいよ!!」

 

「それなりの事情があったんだよアリア。そして白雪、何を怯えている?」

 

事情を説明したら白雪が泣きそうな顔で俺を見ていた。何で?俺白雪を泣かす言葉なんて言ったっけ?助けてスーパーキンジ君!

 

「それは出来ないな。」

 

「心を読むなキンジ。で、何で白雪は泣きそうな顔をしてるんだ?」

 

「様子を伺ってたってことは、あの、私の真の姿を見たってことだよね?」

 

真の姿?ああ、あの緋巫女か。

 

「バッチリと近くで見たな。」

 

「うぅ、風ちゃんだけには見せたくなかったのに。怖かったでしょ?恐ろしかったでしょ?」

 

「全然、寧ろ凛々しい白雪が見れて嬉しかったぜ?」

 

俺がそう言うと白雪はパアァという効果音が付きそうな笑顔を見せた。おいおい大袈裟な。

 

「はぁ、いいか白雪。俺は白雪がどんな姿を見せても嫌いにならないぞ。」

 

「本当に?」

 

「本当だ。それと白雪、白雪は何時も笑顔でいてくれよな。白雪の笑顔を見ると元気が出るからさ。」

 

俺は白雪にそう言った後、ジャンヌの方に向き直す。白雪の顔が赤くなって固まっていたけど、大丈夫かねえ。

 

「話は済んだか?」

 

「悪いなジャンヌ、待っててくれて。お前敵なのに気遣いも出来るなんて、いい人なんだな。」

 

「空気を読んだだけだ。お前の実力を見させてもらうぞ。」

 

ジャンヌはそう言って俺に向かって走ってきて、剣を振り下ろしてくるがそれを刀で受け流す。

 

「くっ、予想以上に重い一撃だな。」

 

受け流した後、ジャンヌに向けて刀を横に振るうが剣の腹で止められる。俺はパワープレイは苦手なんだよ。

 

「いい反応速度だ。だが注意力はないようだな?」

 

「何言ってんだよジャンヌ?」

 

「バカ風雨!!下を見なさい!!」

 

下、マジか。いつの間にか足元凍ってるし。

 

「お前の炎は白雪みたいに常時刀から出るものではない。これでチェックメイトだ。」

 

ジャンヌは俺の首元に剣を近付ける。俺の人生ここまでか。

 

「風ちゃん!!今助け「動くなよ白雪、遠山、ホームズ。動けばこいつの首を跳ねるぞ?」くっ!!」

 

「どうするのよキンジ!?アンタ何か出来ないの!?」

 

おーおー、焦ってる焦ってる。まあ、俺が人質に取られたから当然か。

 

「少しは助けを求めたり動揺したりしたらどうなんだ山本?」

 

「忠告どうもジャンヌ。けど、心配は無用だぜ?」

 

俺はジャンヌが白雪達の方を向いた瞬間に刀を足元の地面に刺し、そこから炎を出現させて氷を溶かす。

 

「何!?」

 

「驚いてる暇があったら逃げた方がいいぞ?」

 

刀を地面から取って空中に飛び上がりながら回転し、炎を俺の周りに出現させる。

 

「っ!!熱い!!」

 

ジャンヌはバックステップで逃げたが、少し炎を喰らったみたいだな。

 

「風雨!!アンタ逃げ出せるならすぐに逃げ出しなさいよ!!何でそうしなかったのよ!?」

 

「皆の慌てる姿が見たかったからな!!」

 

「後で風穴!!」

 

解せぬ。キンジは当然だという表情で頷いてるし、白雪はジト目で俺を見てるし、ふざけてもいいじゃないか。

 

「山本風雨、お前は危険な男だ。たかが衛生科のEランクに何が出来ると思っていたが、まさかここまでやるとはな。」

 

「そりゃどーも。じゃあ諦めてお縄に付いてもらえねえか?」

 

「そうはいかないな。白雪だけを連れ去ろうと思ったが気が変わった。山本、イ・ウーに来ないか?」

 

「あっ、宗教的な勧誘ならお断りなんで。」

 

もう実際にイ・ウーに行ったしな。ジャンヌはあのシャーロックから何か聞かされてないのか?

 

「なら、無理矢理連れてく「連れていけると思ってんの?」なっ!!」

 

ジャンヌが話してる時に俺は地面を強く踏んで高速の突きを放つ。だがジャンヌはギリギリの所で横に動いて避けた。

 

「ちぃ、当たったら丸焼きにしようと思ってたのにな。」

 

「お前武偵か!?そんなことされたら死ぬぞ!!」

 

「大丈夫、ちゃんと加減はするさ。」

 

突きを避けられ、まだ硬直が解けない時にジャンヌが剣を下から上に振り上げてくる。腕を斬る気か?

 

「風ちゃん!!」

 

「大丈夫だ白雪、ちゃんと避けれる!」

 

ジャンヌの攻撃を重心移動だけで避けた後、ジャンヌにボディーブローを放つ。

 

「がっ!!この!!」

 

「おおっと、危ない危ない。」

 

怯んだジャンヌは膝が付きそうになる前に俺に向けて剣を横に振るったが、それをバク転で避ける。

 

「はぁ、はぁ。」

 

「そろそろスタミナ切れじゃねえかジャンヌ?」

 

「何故だ?何故お前は超能力を使っても涼しい顔で居られる!?」

 

「知らんな。さて、これ以上長引くと待ってる人が退屈しそうだからな。終わりにするぞ?」

 

俺は刀を肩に担ぎながら言う。だってねぇ、アリアがそろそろ決めろってまばたき信号で送ってくるし。白雪は何か不安そうな目で見てくるしキンジはヒステリアモード解けてるし。

 

「ふっ、舐められたものだな。」

 

「舐めてるからそう言ってんだよ。」

 

俺はジャンヌに向かってそう言いながら指でカツェに合図を送る。上手くいけばいいんだがな。

 

「さて、行くぜ!!」

 

俺は地面に溜まっていた水を刀で掬い上げてジャンヌの目を眩ませる。

 

「小賢しい真似を!!」

 

ジャンヌは俺が掬い上げた水の中を突破して剣を振り下ろしてくる。ここまでは予想通り。

 

「小賢しい真似しないと勝てないんでな。」

 

「嘘を付くな。お前はただふざけていただけだろ?」

 

ジャンヌと会話しながら剣と刀を打ち付け合う。よし、今だ!!

 

「隙ありだジャンヌ!!」

 

「いつの間に!!」

 

ジャンヌは後ろから現れた俺にびっくりしてるな。これでジャンヌを気絶させれば勝ちだな。

 

「だがそれは読めていたぞ!!」

 

ジャンヌは背中から氷の弾を俺に放ってくる。ヤバイヤバイ!!

 

「間に合わねぇ!!」

 

急いで炎で溶かそうとした瞬間にジャンヌの剣が俺の胸を貫いていた。

 

「か、は。」

 

「ふざけているからだ。後で思う存分後悔するんだな。」

 

「風ちゃん!!風ちゃん!!いやぁぁぁぁぁぁ!!」

 

白雪は串刺しにされた俺の姿を見て泣いているのか。ちょっと悪いことをしたかな。そしてジャンヌ、俺は生きてるぞ?

 

「次はホー「悪いな、それはダミーだ!!」!!」

 

串刺し状態の俺から大量の水がジャンヌに降り注ぐ。ジャンヌが串刺しにした俺はカツェが作った水人形なんだよ。しかしよくできてたな。

 

「本物の山本は何処だ!?」

 

「ここだぜ、もう遅いけどな!!」

 

ジャンヌの後ろから飛び出し、刀でジャンヌの頭を叩き付ける。もちろん峰打ちだぞ。

 

「ばか、な。」

 

「時雨蒼炎流、俺がある剣術を参考にして作った技だ。攻式九の型だったかな。」

 

何故燕じゃなくて炎なのかって?いつかわかるさ。

 

「ジャンヌ逮捕よ!!」

 

「風雨、心臓に悪いからもうその技使わないでくれ。」

 

アリアが気絶しているジャンヌに対能力者用手錠を付けてる時にキンジがげっそりとした表情で言ってきた。

 

「えーどうしようかなー?皆の滅多に見れない表情が見れたしなぁ。」

 

「風ちゃんのバカーーー!!」

 

どわっふ、白雪が俺に向かって飛び込んで来た。まあ、心配かけちまったしな。

 

「悪かった悪かったから強く抱き締めなんでくいだだだだ!!」

 

骨折れる骨折れる!!ミシミシ言ってる!!あっ、でも柔らかい感触が。

 

「と、とりあえず説教とかは後で聞くからな。ここから出ようぜ?」

 

「逃げないでね!!」

 

「分かってるよ、じゃあキンジ、ジャンヌを運んでいってくれ。」

 

「何でだよ?」

 

「アリアが運べるわけないだろ。身長的に考え「風雨、風穴開けるわよ!!」現時点で開ける気満々について。」

 

開けるわよってガバメント撃ちながら言う台詞じゃないと思いまーす。

 

「俺は後始末があるからよ。」

 

「わかったよ。ほらアリア行くぞ?」

 

キンジは溜め息をつきながらジャンヌを運んでいった。その後ろからアリアと白雪が付いていった。

 

「ふぅー、さてカツェ出てきていいぞ?」

 

「ったく水人形を作れってあたしがいることをジャンヌにバレたらどうすんだよ?」

 

カツェが段ボールの中からひょこっと出てきたな。

 

「別に良くね?」

 

「良くねえよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、ジャンヌは綴先生の所に連れてかれたらしい。綴先生はジャンヌの態度を見て顔をニヤけさせていた。ジャンヌ、何があっても生きるんだぞ。

 

「いやー、今年のアドシアートは中々大変だったな。」

 

今は閉会式のチアのダンスを見てるぞ。アリアや白雪も出てるな。にしてもなんかな、白雪のおっぱいぷる~んぷる~んが凄いな!!

 

「山本!!何処見てんだ!?」

 

「いだだだだ!!耳を引っ張んなよカツェ。」

 

嫉妬か?嫉妬なのか?大丈夫だカツェ、俺は胸の大きい小さいは気にしないぞ!!

 

「にしてもようやく篭の中から出られたな白雪。」

 

「ん、何か言ったのか山本?」

 

「何でもねえよ。さて、この後カツェはドイツに帰るのか?空港まで送っていくぞ?」

 

俺がそう言うとカツェはきょとんとしていた。可愛いな、魔女姿のカツェもいいけど制服姿のカツェもいいな!

 

「いやドイツには帰らねえぜ。」

 

「まだ休暇が残ってるのか。じゃあ観光を楽しんでこいよ。」

 

「ん、まあそういうことにしておくぜ。」

 

そう言ってカツェは校門に向かって行ったな。なーんかカツェの言い回しが気になるけど、まさかな。

 

「風雨、さっきの子は誰だ?」

 

「キンジか、さっきの子が武者修行中に会った子だよ。」

 

「お前、ロリコンだったのか?」

 

「はっはー、何を言ってるのかねキンジ君?はっ倒すぞ?」

 

少なくともキンジには言われたくねえな。

 

「それよりジャンヌの様子はどうなんだ?」

 

俺がキンジにそう聞くと、キンジは冷や汗をかいていた。え?何?そんなにやべえの?

 

「聞かない方がいいぞ?」

 

「んじゃそうするわ。」

 

「じゃあ俺は帰るからな。風雨、もう少ししたら白雪が来るから待ってろよ?」

 

へいへい、あーあ、説教何時間コースかねぇ。今のうちに逃げよっかなぁ。

 

「風ちゃんお待たせ!!待った?」

 

「いやそんなに待ってねえよ。」

 

「良かった、じゃあ帰ろう!!」

 

「そうだな、色々あったから早く帰って寝たいな。」

 

俺が寮に向かって歩いていると白雪が俺の隣に来る。あーた女子寮はこっちじゃねえよ?

 

「白雪?女子寮はこっちの方向じゃねえよ?」

 

「そうだね。女子寮は確かにこっちの方向じゃないね。」

 

「いやそういうことを聞きたい訳じゃなくてな。もしかしてキンジの部屋に行くのか?」

 

「違うよ風ちゃん、風ちゃんの部屋に行くんだよ?」

 

はい?ワンモアプリーズ?何で白雪が俺の部屋に来るんだ?もう護衛は終わったぞ?

 

「今回の事件で分かったの、風ちゃんはいつも無茶をするからね!!一緒に居させてもらうよ!!」

 

「積極的過ぎやしませんかね白雪?別に学校で会えるんだから部屋に来なくてもいいだろ?」

 

俺がそう言うと白雪は涙目になっていた。泣くなよ!!

 

「そうなんだ、風ちゃんは私といるのが嫌なんだね?」

 

「そういう訳じゃねえよ!!ったく、居てもいいけど面倒事は起こさないでくれよ?あと風ちゃん呼びは止めてくれないか?」

 

「うん、分かった風ちゃん!!」

 

聞いてねえし、これ武藤が聞いたらとんでもないことになるぞ。

 

「はぁー、おっ、着いたな。」

 

さーて誰にも見つからない内にドアを開けて靴を揃え……えっ!?

 

「どうしたの風ちゃん?玄関で固まってたら入れな、この靴誰の?」

 

いやまさかな!!そんなことないよな!!あいつは俺の部屋は知らないもんな!!

 

「とと、とりあえず中に入ろうぜ?」

 

戦術殻使いすぎたか?いやー最近疲れてんな。居間のドアを開けたら誰かいるってことは「おっ!帰ってきたな!!」ドアクローズ!!

 

「どど、どうしたの風ちゃん?さっきから変だよ?」

 

「白雪、部屋間違えたみたいだ。」

 

「間違えてねえし!!何あたしの顔を見た瞬間にドアを閉めてんだよ!!」

 

カツェがドアを開けてきた。アレー?ナニコノコー?ボクハシラナイナー?

 

「「あっ!!」」

 

これから大変な日々になりそうだ。つーかカツェ!!お前ドイツに帰れよぉぉぉぉぉ!!



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そうだ、ドイツに行こう
第17筋 シャーロックは逮捕したら後処理が面倒なので放置します


「あっ、違うよカツェちゃん。この食材はこう切るの、ちょっと戸惑うかもしれないけどね。」

 

「うっ、これはやりにくいぜ。こうで合ってるか?」

 

「そうそう!良く出来ました!」

 

「だーもう!!いちいち教えられた事を出来た時に頭を撫でるんじゃねえ白雪!!」

 

微笑ましいな~、どうも久しぶりだな風雨だぞ。今の状況までの説明をするか、白雪が俺の部屋に済むことになったんだが、帰ってきた時にカツェが居たんだよな。

 

「だって、こうした方が早く覚えるからね。」

 

取っ組み合いの喧嘩になると思って、慌ててトイレに逃げ込んで数分待機してたんだよな。あっ、俺の部屋のトイレは防弾性、防刃性、防火性に優れたトイレだぞ。

 

「だ、だからってあたしを子供扱いすんなよ!」

 

それで数分待機した後、恐る恐る居間に入ってみたら、何が起きてたと思う?白雪が笑顔でカツェを抱き締めてたんだぜ?

 

「にしても、山本って料理出来ねえんだな。」

 

何か白雪曰く、カツェを妹にしたいらしい。まあ義妹含めて7人くらいいるのにまだ足りねえのかよと思ったけどな。

 

「男子全員が料理出来ると思ったら大間違いだぞカツェ。ラノベの主人公みたいな家事上手じゃねえんだよ。」

 

それで、時間が夕飯に丁度いい時間だから白雪が料理を作ろうとしたんだよな、それでカツェが和食に興味があるらしく、何か一緒に作ることになったらしい。

 

「でも、風ちゃんはお菓子作りは上手だよね。」

 

まあ、それは俺が甘いもの好きっていうのもあるけどな。料理は出来ねえがデザート類は自信あるぞ。

 

「だからって、冷蔵庫の中身の大半を栄養ゼリーで埋まってるのもどうかと思うけどな。」

 

うっさいわカツェ、手軽に栄養取れて便利じゃねえか。

 

「けど、こうして見ると、白雪とカツェって姉妹って言われても何ら違和感はねえな。」

 

「な、何言ってやがる山本!?」

 

同じ黒髪だからかねぇ。並んで見ると本当に違和感ねえように見えるのは俺だけ?俺だけかぁ。

 

「照れなくてもいいんだよカツェちゃん!」

 

「だーかーらー!!頭をよしよしすんじゃねえ!!」

 

白雪は笑顔でカツェをよしよししてるな。カツェもカツェで嫌がってる素振りは見せてるけど、満更でもないようだな。

 

「白雪ー、カツェを可愛がるのもいいけど料理に集中しなくて大丈夫なのか?」

 

「大丈夫だよ風ちゃん!」

 

「山本!!こいつを何とかしてくれよ!!」

 

知らんな、微笑ましいからそのままでいい。さて、さっきまでのカツェの状態は写真で保存と。

 

ピンポーン

 

「ん?誰だこんな時間に?」

 

夕飯近くだってのに、キンジかアリアだろう。出るの面倒だな、居留守使うか。

 

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン

 

「だーうるっせえな!!」

 

「風ちゃん、ちょっと出てくれないかな?今火使ってるから離れられないの。」

 

「あたしが出てこようか?」

 

やめてくれ、二人は気付いてないっぽいけど、ここ一応男子寮だからな?

 

「二人が出て、知り合いにバレたら確実に面倒な事になるからやめてくれ。」

 

武藤とかにバレたらヤバイ、毎日追い掛けられる。野郎になんかは追い掛けられたくねぇ。

 

「大丈夫だよ!その時は目撃者を浄火させるから!」

 

浄火=灰にするんですね分かります。さて、誰がいるのやら、頼むからあいつは出てくるなよ。

 

ガチャ

 

「やあ!!」

 

「ドアクローズ!!」

 

ってドアしまんねぇ!!あっ、杖をつっかえてドアをしまらねえようにしてんのか!!

 

「やらせないよ?ひどいなあ風雨君は、前にもこうして会ったじゃないか?」

 

だからさ、何でよりによって来るのかな?本当に勘弁してくれよシャーロック!!

 

「俺はあんたの事は知りません。新聞勧誘ならお断りです。」

 

「まあまあ、そんなこと言わずにちょっと話そうじゃないか風雨君。大丈夫、星伽の子とカツェ君が作ってくれてる料理までには間に合わせるさ。」

 

「はぁ、わーったよ。」

 

どーせ断っても無理矢理連れていくんだろ?

 

「白雪、カツェ、ちょっと出掛けてくるからな。」

 

「夕御飯が出来上がるまでには帰ってきてね!」

 

さて、白雪の許可ももらったし、この胡散臭いオーラを全身から滲み出してるシャーロックと出掛けますかね。

 

「ちなみに何処へ行く「マ○クだよ。」何で!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処かのマ○ク

 

「それで、話ってなんだよシャーロック?」

 

本当にマ○クに来たよ、夕御飯があるから俺はバニラシェイク、シャーロックはハンバーガー全品頼んでムシャムシャ食ってるよ。

 

「そうだね、まずはデュランダルの逮捕おめでとうと言っておこうかな?」

 

「まあ、手柄はあいつらにあるけどな。」

 

俺は最後に手を貸したくらいだからな。

 

「そうだね、アリア君とキンジ君はいいパートナーだよ。」

 

「途中何回も喧嘩してたけどな。キンジの奴、アリアを泣かせたみたいだし。」

 

「そうか、キンジ君には今度お礼をしなきゃね。」

 

キンジぃ、お前の事は忘れないぞ。シャーロックは笑って言ってるけど、目はガチの目になってたからな。

 

「さて風雨君、ジャンヌはイ・ウーの中でもどれくらいの強さだと思う?」

 

「恐らく1番弱いんじゃねえの?」

 

「ほう、どうしてそう思ったのかな?」

 

どうしてって言われてもな、少し考えれば分かるはずなんだがな。

 

「対象の人を連れてこられたらラッキー、連れてこれなくても対して支障はない。そういう人選を選ぶんだったら1番弱い人を向かわせる。そう考えただけだ。」

 

「なるほど、中々合理的な考えだね。」

 

「まあ、慢心してくれたお陰でなんとかなったけどな。ジャンヌはまだまだだな。」

 

いくら策を練っても予想外の事に対応出来ないじゃ駄目だな。戦場は予想外が常に起こるからな。

 

「なるほど、風雨君は普通の武偵じゃないみたいだね。これなら次の刺客を向かわせても大丈夫みたいだ。」

 

「武偵の目の前で犯罪犯す気満々かよ。逮捕してぇ、今すぐこの場でシャーロックを逮捕してぇ。」

 

「別に逮捕してもいいんだよ?ところで風雨君、彼女は出来たかな?」

 

ブフゥ!!毎度毎度その話題を振るのかよシャーロック!!

 

「その様子だと、無事に同棲出来たみたいだね。」

 

「星伽の子ではないと言っておきながら白雪も同棲してきたんだが?」

 

「ああ、あれね。あれは嘘を教えたんだよ。」

 

嘘かよ!!何で嘘の情報を教えんだよ!?

 

「そんなこと、僕が楽しむためだよ。」

 

「本当に勘弁してくれよ!!」

 

「嫌だね、それにもう1つ良いことを教えよう。」

 

頼む、頼むからましな情報であってくれ!!

 

「君はね、ハーレム状態になるよ。頑張りたまえ!」

 

いい笑顔でサムズアップすんな!!カツェと白雪以外にも増えるのかよ!?

 

「ハーレムになるのはキンジだけで充分なんだよ!!ん、待てよ?」

 

白雪は火を操る、カツェは水を操る。あっ。

 

「気付いたみたいだね、君の周りにくる女性は皆超能力を持った人達だよ、誰が来るかは教えないけどね。」

 

一人予想出来てるけどな!!

 

「さて、全品食べ終わったし、ここらでお開きにしよう。」

 

あー、帰りたくねぇ。部屋に帰りたくねぇ。カツェは白雪の姉パワーで何とかなったけど、あいつまで来たらどうなるんだよ。

 

「お代は済ませたから、寮まで送るよ。」

 

「アリアにはバレんなよ?」

 

「大丈夫、透視でこっそり見てるだけだからね。」

 

ただのHENTAIじゃねえか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男子寮

 

「本当に送ってくれた。前回は置いていきやがったのにな。」

 

「やることがあったからね。そうだ風雨君、このグローブをあげよう。」

 

男子寮の前でシャーロックが車の窓からグローブをくれた。なんかカッコいいグローブだな。

 

「いざというときに役に立つよ。それじゃあ風雨君、アリア君を陰から見守ってくれたまえ。」

 

そう言ってシャーロックは車を発進させて帰っていったな。陰から見守れか、要するに死なせんなよということか。

 

「死なせるつもりはねえけどな、アリアもキンジも白雪もカツェも。」

 

これ以上、何も失いたくねえからな。失うのは一度で充分だ。

 

「ふぅ、ただいま。」

 

「おかえり風ちゃん!!先に夕御飯食べてるよ!!」

 

「山、風雨の分はちゃんと残してあるからな。あたしに感謝しろよ?」

 

まあ、深く考えるのは止めだ。まずは腹ごしらえをするのがさ、き、だ。

 

「遅いぞ山本、ご飯は皆で食べなくては駄目だろう?」

 

「……。」

 

「どうした山本?私の顔に何か付いてるか?」

 

「もしもし警察ですか?はい、部屋に不審者が入って来まして、えぇ、勝手に夕御飯も食べてるんですよ。なので今すぐとっちめてください。」

 

「待て待て待て待て!!何故警察に連絡する!?私は不審者じゃないぞ!!」

 

いやいや、目の前に未成年を拐おうとした罪で拘束されていたジャンヌが部屋にいたら警察に連絡するけどな。

 

「つーかジャンヌ、何で俺の部屋にいる?」

 

「詳しい話は夕御飯を食べてからだ。和食というものは美味しいな。」

 

「ほら、風ちゃんも立ってないで食べよう!!」

 

「早くしねえとあたしが全部食べちゃうぞ?」

 

お前ら、それでいいのかよ?何平然と笑顔で食卓を囲んでるんだよ?

 

「はぁ、もう追加で誰も来ないでくれよ。」

 

 



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第18筋 一応ここ男子寮です

「で、何で俺の部屋に来たんだジャンヌ?」

 

あー、洗い物面倒くせぇ。普段の4倍の量だから終わる気しねぇ。

 

「まあ待て、そんなに怖い目を向けるな山本。」

 

向けたくもなるわ、一気に同居人が三人?も増えたんだからな。あっ、風雨だぞ。

 

「武偵高校の尋問科の先生から尋問を受けたのは知ってるな?」

 

「ああ、キンジから聞いた。尋問の内容とかは聞かないでおく、いや聞きたくない。」

 

綴先生の尋問はなぁ、何と言うかまあ、滅茶苦茶おぞましいからな。

 

「それが懸命だな、私も二度と受けたくもないし思い出したくもない。」

 

用意していた言い訳も簡単に見抜かれたしな、とジャンヌは小声で言ってるな。捕まった時の策も練ってたんかい。

 

「それで、尋問が終わってジャンヌを何処に居させるかとなった時に俺の名前が出てきたのか?」

 

「その通りだ山本、全く、武偵高校に潜入してから誤算しか起きないな。」

 

常識に囚われない学校、それが武偵高校だからな!

 

「しかし、何で俺の名前が出てきたんだ?」

 

さて、洗い物も終わったし、椅子に座ろうかねぇ。

 

「さあな、私にも良くわからん。」

 

そう言ってジャンヌはコーヒーを飲む。今俺とジャンヌはテーブルを挟んで向かい合って話してるぞ。白雪とカツェはどうしたって?

 

「あーもう!!白雪そこをどけよ!!キノコが取れねえじゃねえか!!」

 

「ディーフェンス!!ディーフェンス!!」

 

白雪、カツェの操作しているキャラの通行妨害するのはいいけど、そのミニゲーム終わらねえぞ?

 

「やっと取れた、覚悟しやがれ白雪!!」

 

「残念!キノコ取って巨大化して突進してきても、ジャンプで避けれるんだよ!」

 

めっちゃタイミング良くないと無理だけどな。

 

「はぁ!?そんなのありかよ!?」

 

「動揺してるねカツェちゃん!キノコは頂きだよ!」

 

「突進してきても白雪がやってたようにジャンプして避けれねぇじゃねえか!!」

 

あっ、白雪が操作しているキャラの突進を喰らったカツェのキャラが吹っ飛ばされた。ざまぁ!

 

「……あの二人は何をしているんだ?」

 

ジャンヌは白雪とカツェを見て怪訝そうな表情を浮かべてるな。白雪とカツェはマ○パ3のゲームをしてるぞ。

 

「あれはゲームをしているぞ。ったく、勝手に起動させんなよ。」

 

「げえむ?ゲームとは何だ山本?」

 

えっ?ゲームも知らねえのかジャンヌ?

 

「それ真面目に言ってる?」

 

「大真面目だ!!一体なんなんだその表情は!?」

 

「憐れみの表情だが?ああ、時代が遅れてるんだなジャンヌ、可愛そうに。」

 

「貴様ふざけているのか!?」

 

失礼な!9割ふざけているけど、1割は本気で憐れんでるぞ!

 

「こっちに雪玉を放つな白雪!!あぶねぇ!!」

 

「甘いよカツェちゃん!!」

 

「ああぁぁぁ!!」

 

あっ、カツェの操作しているキャラが場外に落っこちた。白雪ゲーム上手いな。

 

「だぁぁぁ!!何で白雪はこんなに強いんだよ!?」

 

「風ちゃんに鍛えてもらったからね!あっ!風ちゃんもジャンヌも一緒にやろうよ!」

 

いそいそとカセットを取り替えるなよ、どんだけやりたいんだよ?

 

「わ、私はいい。」

 

「おやおやぁ?逃げるんですかいジャンヌちゃん?」

 

「べ、別に逃げてなんかいないぞ!!」

 

おーおー必死だねぇ。顔を赤くして怒ってますねぇ、もっと煽るか。

 

「まあ仕方ないもんねぇ、さっきまでゲームのゲの字も知らなかったジャンヌちゃんだもんねぇ。そりゃやりたくもないよねぇ?」

 

「ええい!!やればいいんだろう!?山本を必ず負かしてやるからな!!」

 

やれるもんなら、やってみな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

「何故だ、何故勝てない!!」

 

顔を赤くしてぷるぷる震えてるジャンヌいいね!写真撮って保存しとこ。

 

「おやおやぁ?1時間前の威勢はどうしたのかなぁジャンヌちゃん?1回も俺に勝ててないぞ?」

 

四人で仲良くマリ○カートをやったぞ。やる前にジャンヌは操作説明を白雪に教えてもらったけどな。

 

「風雨、お前なんでそんなに上手いんだよ!?」

 

「何年もやってれば上手くなるでしょうよ、まあカツェがゲームを知っていたのが意外だけどな。」

 

「理子とたまにやってたからな。」

 

ああ納得、あいつゲーマーだったもんな。目を閉じながらマリオ○ートの全コース走破出来るもんな。

 

「あっ、そう言えば風ちゃん。風ちゃんが出掛けてる時に蘭豹先生から連絡が来てたよ?」

 

「何の連絡?」

 

「明日職員室に来いだって。」

 

行きたくねぇ、嫌な予感しかしねぇ。でも行かねえと何されるか分からねえしなぁ。

 

「ぐぬぬ、何故だ、山本の操作しているキャラはあんなに速く走れるのに私のキャラは速く走れないんだ!?」

 

「そりゃ、カーブを曲がる時に釣られて体も曲げてるからだろ。はい一位通過と。」

 

「くそ!!絶対に山本を負かしてやるからな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

あの後、日を跨ぐまでずっとゲームをしてたぞ。最後は敢えてジャンヌを勝たせてやったら凄いドや顔をしてきたけどな。

 

「ふわぁ、眠い。眠すぎるぜちくしょう。」

 

ゲームが終わった後、寝ようとしたけど、布団が3つしかなかったんだよな。それで女性3人に布団を渡して俺はソファーで寝ました。寝違いが痛いぜ。

 

「早めに目が覚めたし、さっさと用事を終わらせるか。」

 

今は朝の6時だからな。白雪とカツェとジャンヌはぐっすりと寝ているぞ。寝顔可愛かったです!

 

「学校開いてるといいんだけど、む?着信か。」

 

相手は、うげっ!蘭豹先生かよ!!

 

「もしもし?」

 

「おーう山本、起きてたか。今周りに誰もいねえよなぁ?職員室に来させんのも面倒だから電話で済ませるからなぁ?」

 

「いませんよ、それで俺に何の連絡をするつもりなんですか?」

 

カツェの事か?それともジャンヌの事か?

 

「山本、お前しばらく日本から離れろ。」

 

「先生、朝から飲み過ぎは良くないですよ?」

 

「喧嘩売っとんのか山本!?」

 

うわうるさっ!大声で叫ぶなよマジで。鼓膜破れそうになったぞ。

 

「朝から大声で叫ばないでくださいよ。それで、何で俺が日本から離れなきゃならないんですか?」

 

「山本、お前自分の部屋の中に誰がいるか分かった上で聞いてるんやろうな?」

 

えっと、白雪にカツェにジャンヌだが。何か問題でもあるのか?

 

「もしかして、ヤバイことになってます?」

 

「そのまま生活してたらな、はっきり言ってやるわ。公安0課に目を付けられてる。」

 

うげっ!それは不味すぎるな。あっ、公安0課って言うのは正式名称は警視庁公安部 公安第0課。職務上の殺人が容認されている、「殺しのライセンス」を持つ公務員が所属しているヤバい組織。

 

「なるほどそれはヤバい、行動は早い内にした方が良さそうですね。」

 

「そういうことやから、早めに動け。でないと殺されるからな。お前を強襲科に編入させるまで死なせんからな。」

 

あっ、切れた。予想以上にとんでもない事になってきてるな。オラわくわくしてきたぞ!!

 

「さて、シャワーでも浴びてきますか。」

 

その間に何処に行くか考えるか。折角の海外旅行だ、いい場所を選ばないとな!

 

「しかし、飛行機取れるかねぇ。」

 

そこが1番の問題だな。さて、洗面所の扉を開けてっと。

 

「白雪、意外と発育がいいのだな。少し羨ましいぞ。」

 

「そんなことないよジャンヌ!!」

 

「くそっ、白雪もジャンヌもあたしより大きいし、なんか悔しいぜ。」

 

ええっ、こういうハプニング起きます?いやまあ、起きないとは断言出来ないけどさ、あんたら三人さっきまで寝てたんじゃねえの?

 

「カツェちゃんもあと2~3年すれば大きくなるよ!」

 

「だーかーらー!!頭を撫でんなよ白雪!!そしてジャンヌは微笑ましそうに見るな!!」

 

ジャンヌの気持ちは分かるぞうん。分かるけどさ、仲良く雑談してないでタオルくらい巻いたらどうなんですかねあんたら。

 

「つーか、なんか寒、い!?な、なな、なななんでここに風雨がいるんだよ!?」

 

おっ!やっと気付いたかカツェ。あと数秒間気付かなかったらここから去ろうと思ってたのにな。

 

「えっ!?風ちゃん!?駄目だよ見ちゃ駄目だよ!あっ、でも見てもいいよ!」

 

白雪、顔を赤くして目をぐるぐるさせてパニックになってるから、とんでもないこと言ってるぞ?

 

「や、山本!!貴様いつからそこにいた!?」

 

咄嗟にタオルを取って体を隠すジャンヌの反応いいね!ってか白雪、早くタオルで体を隠しなされ。

 

「数分前からいたけどな。つーか鍵閉めろよ、無防備過ぎんだろ。」

 

「だったらノックぐらいしろ!!このクソ馬鹿変態スケベ野郎が!!」

 

えっ?これ俺が悪いの?俺は悪くねぇ!!

 

「「クロス○ァイア!!」」

 

ちょっと待てちょっと待て!!カツェ何処からサッカーボールを取り出した!?そしてジャンヌと白雪、炎と氷を纏った足でサッカーボールを蹴るな!!

 

「皆、洗面所やトイレに入るときはノックを忘れずにな!!ブルァァァァァァ!!」



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第19筋 ドイツに行こう

評価バーがいつの間にか赤くなってました。マジかよ思わず三度見したよ!?ありがとうございます!


「もう!分かった風ちゃん!?」

 

あー死ぬかと思った風雨だぞ。白雪とジャンヌのコンビ技を喰らった後、土下座の状態で説教されました。なんでや、俺は悪くねえだろ。

 

「充分過ぎる程分かりました。で、ジャンヌ?何で顔を両手で覆ってるんだ?」

 

いやーようやく解放されたぜ。白雪は頬を膨らませて怒ってるし、カツェはジト目で俺を見てくるぞ。

 

「うぅ、山本に肌を見られた。」

 

「風雨!!ちゃんと責任とれよな!!」

 

いや、何の責任なんですかねカツェ?それと火を使っているときに余所見をするなよ。

 

「この話は取り敢えず置いておいて、朝食にしない?」

 

「そうだね、簡単な物だけど昨日の内に作り置きしたものがあるからそれを食べようか。」

 

白雪が冷蔵庫からきんぴらごぼうやホウレン草のおひたし、カツェが焼いた鮭と味噌汁を持ってきたな。わーお、ザ・朝食って感じだな。

 

「おーい、ジャンヌ?朝食を食べるぞ。」

 

「わ、分かった。山本、本当にいつか責任を取ってもらうからな!」

 

だから何の責任だよ?俺が裸になる責任か?野郎の裸見ても気持ち悪いだけだぞ?

 

「もぐもぐ、美味しいよこの鮭!カツェちゃん上手に鮭を焼けたね!」

 

「ま、まあな。焼くくらいは出来ないとな!」

 

その焼くって事も俺は出来ないんだよなぁ、ホウレン草のおひたしうまし!

 

「これが日本の朝食か、中々に美味しいな。」

 

ジャンヌもようやく通常になったか。もっと悶絶している所見たかったけどな、まあ写真に撮ってあるからいいか!

 

「そう言えば風ちゃん?蘭豹先生から何の連絡があったの?」

 

「聞こえてたのか白雪?」

 

まあ、蘭豹先生はうるせえくらい大きな声で話したからな、聞こえていてもおかしくはないか。

 

「途切れ途切れだけどね、何か不味いことでもあるの?」

 

「いーや、何も不味いことはないぞ白雪。ちょっと変な奴に目を付けられただけだ。」

 

「それが公安0課ってやつか風雨?」

 

うおい!カツェ聞いてたのかよ!?

 

「ふ・う・ち・ゃ・ん?何で嘘を付いたのかな?とても不味い組織に目を付けられてるよね?」

 

こ、怖っ!白雪がかなり怒ってる!違うって言ってもむ「無理だからね?嘘はいけないよ風ちゃん?」はい、事実です。

 

「公安0課か、理子から聞いたが殺しのライセンスを持ってる人が集まる組織らしいな。その中でも獅童って人が不味いらしいな。」

 

「そんなヤバい組織に目を付けられたって、風雨お前何をしたんだよ?」

 

原因は主にカツェとジャンヌ、あんたら二人だからな!恐らく俺をイ・ウーのスパイとか思ってんじゃねえの?

 

「カツェとジャンヌの顔を赤らめてる写真を理子に送ったからかねぇ?」

 

「「何故送った!?」」

 

「面白そうだったからな!」

 

理子からは「フウフウ、お主もやりますねぇ!りこりんの秘蔵アルバムの素材提供ありがとね♪」って来たからな。あいつは男女問わず人の恥ずかしがってる写真や顔を赤らめてる写真を見るのが好きだからな。

 

「風ちゃん!風ちゃん!」

 

「し、白雪!風雨に何か注意してやってくれよな!」

 

「あとで私の携帯にもその写真を送ってね!」

 

「任しとけ!バリバリ送ってやるぞ!」

 

いやー、こういうものは共有しておかないといけないからねぇ(ゲス顔)

 

「やめろ馬鹿風雨!そして白雪も欲しがるんじゃなくて注意しろ!!」

 

カツェ、ツッコミのキレが半端ないな。一体誰のせいでこんなことに「貴様しかいないだろ山本!」サーセン。

 

「はいはい、反省も後悔もしていません。次から気を付けます。」

 

「気を付ける気皆無だろ風雨!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、カツェもジャンヌも反応が初でからかいがいがあるな。」

 

あの後は、ギャーギャー騒ぎながらも朝食を済ませたぞ。白雪とジャンヌは洗い物をしていて、カツェは知らん。

 

「さて、水やりはここまでにしてと。今年はいい具合に成長してるな、収穫が楽しみだぜ。」

 

「何一人で話してんだよ風雨?ん?ブロッコリーを育ててるのか?」

 

「まあな、家庭菜園は俺の趣味でもあるし。」

 

男らしくない趣味だって?分かってないなぁ、自分で育てた野菜は店で買う野菜より旨いんだぞ。ベランダでやってるからあまり数は多くないけどな。

 

「ブロッコリー以外にも育ててるのか?」

 

「トマトに胡瓜、ネギにキャベツ。他にもあるぞ。」

 

「ブロッコリーか、あいつがよく食べてたな。」

 

おろ?ブロッコリーが好物な人がいるんかい。是非会ってブロッコリーとかの育て方のコツとか教えて貰いたいねぇ。

 

「あっ、風雨。今日であたしドイツに帰るからな。」

 

そうか、カツェドイツに帰るのか。ん?いいこと思い付いた!

 

「そうか、よし俺らもドイツに行くか!」

 

「何言ってんだよ風雨!?」

 

「いやだって、公安0課に目を付けられてるから日本を出なきゃいけねえんだよカツェ。それで何処行くか悩んでたんだよな。」

 

そうだよ、カツェはドイツ人だからドイツに行けばいいんだよ!泊まれる所とか色々聞けるしな。

 

「だからって、飛行機のチケットとかどうするんだよ!?即日に取れはしないだろ!!」

 

「風ちゃん!!カツェちゃんと同じドイツ行きの飛行機便のチケット3人分取れたよ!!」

 

「よっしゃ!!でかした白雪!!」

 

こういう時に白雪は行動してくれるから助かるなぁ。

 

「何で取れるんだよ!?しかも3人分ってまさか!!」

 

「俺と白雪とジャンヌで合ってるか白雪?」

 

「うん!海外旅行なら皆で行かないとね!でも3人分しか取れなかったからキンちゃんとアリアにはお留守番してもらわないとね。」

 

いや、このメンバーに更にキンジとアリアまで加わったらカオスになること間違いなしだからな。

 

「よし、そうと決まればキンジとアリアにドイツに行くことを伝えてくるぞ。」

 

「分かった風ちゃん!荷物は纏めて車に詰めておくね!」

 

「本当かよ!?本当にドイツに来るのかよ!?」

 

さて、しばらく外出してもいいように水やりの機械のタイマーをセットしてと。そして1つ下の部屋に飛び降りる!

 

「来たわね風雨!あんたの部屋昨日からうるさいのよ!近所迷惑なのよ!」

 

キンジの部屋に降りたらももまんを食べてるアリアに怒られたぜ。けどな、アリアも充分に近所迷惑な事してたからな?

 

「風雨、頼むから静かにしてくれ。俺の胃に穴が空きそうだ。」

 

「大丈夫だキンジ、今日から俺らドイツに行くからな。静かになるぞ。」

 

「そう、ならいいってドイツ!?あんた何でドイツなんかに行くのよ!?」

 

アリアー、驚きでももまんの中身を吹くなよ。キンジに全部かかってんぞ?

 

「ちょっとした海外旅行だ、お土産何がいい?」

 

「待ちなさい!!あんた以外にも誰か行くのね!?誰が行くのか言いなさい!」

 

おっと、ここでカツェとジャンヌの名前を出したら不味いな。ここは逃げるか!

 

「まあ、そんなわけで帰ってきたらお土産持って行くからな!」

 

「逃がさないわよ!!あんたの部屋にあんた以外に3人いるでしょ!?誰がいるか言いなさい!」

 

おおっと、ガバメントを撃ちながらの尋問ですか、だが当たらねえぞ!

 

「えっと、ファイアーとアイスとウォーターだけど?」

 

「あんたねぇ~、1回本気で風穴開けてやろうかしら!?」

 

ええっ、嘘は言ってねえのに。

 

「風雨、頼むからアリアを刺激しないでくれ。八つ当たりを喰らうのは俺なんだよ。」

 

「キンジ、それが彼氏の役割だ。諦めなされ。」

 

「なんでだよ!?」

 

うおっと!キンジもベレッタを撃ってきたか!こりゃ相当怒ってますね。

 

「ん?ケータイが光ってる。」

 

えっと、荷物を纏め終わって車に詰め終わったのか。よし、時間稼ぎはここまででいいな。

 

「キンジ、こいつを捕まえて知ってることをキリキリ吐かせるわよ!」

 

「やだねったら、やだね!ではさいなら~!」

 

ベランダから1階に飛び降り~る!

 

「風雨!!帰ってきたら覚えておきなさいよ!」

 

覚えていたらな!さて白雪が出してくれた車の横に着地してと。

 

「山本?何階から飛び降りてきたんだ?」

 

「4~5階からだぞジャンヌ。お陰で超足が痛い。」

 

「馬鹿だろ風雨。」

 

必死に時間稼ぎしたのにこの言われ様。何故時間稼ぎしたかって?普通に出てキンジとアリアに鉢合わせになるのは避けたかったからな。カツェとジャンヌを見られたら面倒な事になるのは目に見えてたからな。

 

「じゃあ出発しよう!風ちゃん、運転よろしくね!」

 

「足が超痛い中で運転させるこの鬼畜、泣けるぜ。」

 

俺しか運転出来ないから仕方ないんだけどさぁ。ジャンヌやカツェにはさせたくないし。

 

「さて、楽しいドイツ旅行の始まりだ!!」

 

「おやつは300円までだからね皆!!」

 

「「遠足かよ!?」」

 

「ふむ、旅行に行くときのおやつは300円までか。」

 

いやジャンヌ?メモまでして覚えることでもないからな!?

 

「大丈夫かよ……。」

 

大丈夫じゃねえなカツェ、まあ諦めよう!諦めも肝心だしな!

 

「諦めんなよ!?」



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第20筋 前もって旅行先の国の情報を調べましょう

作者はドイツどころか海外に行ったことがないので、色々調べて書いてます。

なので今回はシリアル成分は少な目です。

ちなみに風雨の見た目ですが、fa○eの衛○士郎の黒髪バージョンと考えてくれればいいです。性格は全然違いますけどね!


ドイツ フランクフルト空港

 

「「ドイツに来たぁ!!」」

 

やべえよ海外だよ本物の海外だよ映像じゃねえよ生身で海外に来てるよ!!おっと失礼取り乱したな、風雨だぞ。

 

「んな大袈裟な。風雨も白雪も海外には行ったことあるだろ?」

 

「一度もありませんが?」

 

「ドや顔で答えるものなのか山本?」

 

そういうもんなんだよジャンヌ。あっ、ちなみに武偵っていうのは隠してるぞ。色々と面倒な審査とか書類とか書かねえといけねえからな。

 

武器とかないのかって?俺には籠手があるし、白雪とジャンヌは異能でなんとかしたらしい。カツェ?知らん。

 

「風ちゃん風ちゃん!!何処に行く!?」

 

わーお白雪テンション高ぇ、まあ無理もないよな。白雪も海外旅行なんて始めてだしな。

 

「取り敢えず、市街地まで行くぞ。お前らホテルとかも取ってないんだろ?」

 

「やべぇ、カツェが珍しく頼もしく見える!」

 

「風雨!お前の分のホテル予約してやんねえぞ!?」

 

おっと、それは困るな。異国の地で野宿とかしたくねえからな!

 

「そうだな、荷物を何処かに置きたいな。」

 

そう言いジャンヌはふぅっと息を吐いたな。まあずっと飛行機に揺られてたし、疲れが貯まってるんだな。ちなみに皆私服だぞ!どんな私服かって?そりゃ読者の皆様の想像力の出番だぞ!

 

「風ちゃん?誰に向かって言ってるの?」

 

「画面外にいる紳士に向けてだよ白雪。」

 

さて、思いっきり楽しむぞ!!

 

「ところでよ、ちゃんと換金はしたのか?」

 

「大丈夫だカツェ、ドイツは確かポンドだったよな!?ちゃんと換金してあるぜ!」

 

「全然違うぞ風雨!?ドイツの通貨はポンドじゃねえよ!!」

 

マジかよ!ポンドじゃねえのかよ。結構な金額を無駄にしちまったぜ!

 

「ちゃんと調べないと駄目だよ風ちゃん。」

 

「白雪の言う通りだよ。白雪はそこんとこしっかりしてそうだからな。風雨みたいに間違うなんてことはねえだろ?」

 

「うん!ちゃんとウォンで換金してきたよ!」

 

ウォンって、白雪それ韓国の通貨だぞ?

 

「白雪もかよ!?お前らドイツの事について勉強してこいよな!!ジャンヌは大丈夫だろ?なぁ?」

 

「心配するなカツェ、リラで換金してきてある。」

 

「違ぁぁぁぁう!!何でジャンヌも間違えるんだよ!?ユーロだよ!ドイツの通貨はユーロだよ!!」

 

「「「何、だと!?」」」

 

まあE.Uに加盟してるからねぇ。ユーロだよなやっぱり。

 

「何でこんな基本的な事も知らねえんだよ。うぅ、イヴィリタ長官助けて……。」

 

おお、しゅんとしているカツェの写真を撮らねば!ふざけた甲斐はあったな。

 

「とまぁ、おふざけはこの辺にして。ちゃんとユーロで換金してあるぞカツェ。安心しろって。」

 

「だったら最初からそう言え風雨!!そしてジャンヌ!!お前も悪ふざけに乗るなよ!?」

 

おおっと、カツェがぽかぽか叩いて来るな。全然痛くないから癒されるわぁ。

 

「たまには乗ってみようと思ったんだが。駄目だったか?」

 

「いーや、駄目じゃなかったぞジャンヌ。むしろグッド!!」

 

「お前らあたしをいじめてそんなに楽しいか!?」

 

めっちゃ楽しい。カツェはいい反応をしてくれるからな。ん?白雪の顔が青くなってるな、おいまさか。

 

「白雪、ないとは思うけど念のため聞く、本当にウォンで換金したのか?」

 

「う、うん。」

 

マジか、白雪もそういうミスをするんだな。

 

「おいおいどうすんだよ風雨!?」

 

「俺の所持金の半分を渡すよ白雪。」

 

「ごめんね風ちゃん。ユーロだと思ったらウォンだったの、ごめんね。」

 

別に気にしないけどな。帰ったらまた稼げばいいんだし。

 

「ちなみにどれくらい換金したんだ山本?」

 

「日本円で400万換金したからな。半分渡しても大丈夫!!」

 

「どんだけ持ってきたんだよ!?」

 

たくさんお土産買うためだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランクフルト市街地

 

「こ、これがドイツの市街地!!」

 

なんつーか、本当に外国に来たんだなあっていうのが実感出来るね!!

 

「風ちゃん風ちゃん写真撮ろうよ!!たくさん撮ってお土産の1つにしよう!!」

 

「そうだな!カメラなら任しとけ!たくさん持って来てるからな!カツェもジャンヌも一緒に撮らねえか?」

 

「あ、あたしはいい。自分の国に帰ってきただけだ「そんなこと言わずに撮るぞ。」は、離せよジャンヌ!」

 

おろ?ジャンヌがカツェの服の襟を持ってこっちに来たな。もしかしてジャンヌもテンション上がってんのか?

 

「こーいうのは皆で撮った方が思い出になるからね!」

 

「だからってあたしを抱き締めてよしよしすんな!」

 

「よし、じゃあ撮るぞ。」

 

パシャ、うんいい写真が出来たな。どうやって撮ったかって?俺が頑張って撮った!

 

「もういいだろ!?あたしはホテルを取ってくるからな!そこのレストランに入って待ってろよな!」

 

カツェが顔を赤くして小走りで去っていったな。全く恥ずかしがりやだなぁ。

 

「ここのレストランか、そう言えばドイツは何語で話せばいいんだ?」

 

レストランの中に入って席に座ってと。おお、中々雰囲気の良いレストランだな。

 

「ドイツは基本的に英語で大丈夫だ。ドイツ人は真面目で優しい人が多いからな。何かあったら地元民に聞けば教えてくれるらしい。」

 

へぇー、ジャンヌはよく知ってんな。ノリと勢いでドイツに来たから知らんかったな。

 

「ところで山本と白雪。お前達は英語は話せるのか?」

 

ジャンヌが流暢な英語でメニューを見て料理を頼んでるな。まあ料理はジャンヌのセンスに任せるか。

 

「うん、私は大丈夫だよジャンヌ。風ちゃんは大丈夫?英語話せる?」

 

「大丈夫だ、I can not speaking Englishだからな!」

 

ん?ジャンヌが頭を抱え出したな。英語くらい話せなくても大丈夫でしょ。

 

「風ちゃん、英語の勉強もちゃんとしようね?」

 

「山本、本当に大丈夫なのか?」

 

「大丈夫大丈夫、世の中には訳のわからない英語でアメリカのニューヨークで地元民と話してる人もいるんだからな。」

 

あの人は本当に尊敬するよマジで。

 

「不安だ、むっ?料理が来たみたいだぞ。」

 

どれどれ、ジャンヌのところに来たのはパスタ料理か?その割にはチーズがすごくかかってるな。

 

「わぁ!ジャンヌが頼んだ料理美味しそうだね!」

 

「これは一度食べて見たかったんだ。」

 

おおう、ジャンヌが嬉しそうに言ってるな。その隙を逃さずに料理とジャンヌが写るように写真を撮る!ご馳走さまです。

 

「おっ!ジャンヌが頼んだのは『ケーゼシュペッツレ』か。久し振りに見たなぁ。」

 

「来たかカツェ、ホテルは取れたのか?」

 

「あぁ、なんとかな。」

 

ケーゼシュペッツレ?言いづらい料理名だな。

 

「カツェちゃん、ケーゼシュペッツレってどんな料理なの?」

 

「見たまんまだぜ?細長く伸ばしたパスタに、溢れ出そうなほどのチーズをかけて焼いた一品だぜ。」

 

ほうほう、ドイツにいる時に食べてみようかねぇ。

 

「あっ!私のも来た!これはシチューかな?」

 

確かに白雪の言う通り、白雪のところに来た料理はシチューみたいな見た目の料理だな。

 

「それは『ヒューナーフリカッセ』っていう料理で、鶏肉を生クリームで煮たシチューのような料理だぜ。まあ、フランスから伝わってきた料理だけどな。あっさりしていて食べやすいぜ?」

 

解説ご苦労さんカツェ、その間に料理と白雪を撮らせてもらったぜ!

 

「風雨は何を頼んだんだ?」

 

「ジャンヌが頼んでくれたからな。おっ、来た来た!」

 

俺の所に来たのは、何か肉料理とカレーみたいなものが来たな。

 

「肉料理の方は『ザウアーブラーテン』っていう料理で、酢などの香辛料に付けてからローストした肉の料理だな。」

 

どれどれ、うお酸っぱ!けど旨いぞ!

 

「カレーの方は『グーラシュ』っていう料理で、日本でいうカレーのような牛肉のカレー料理だぜ。作る人によって味のバリエーションが違うぜ。」

 

「解説ありがとさんカツェ。カツェは、ジャンヌと同じ料理を頼んだのか。」

 

「久し振りに食べたかったからな。」

 

さて、初めてのドイツ料理、味わって食べるぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カツェ、もうすぐその男の呪縛から助けてあげるわね。」



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第21筋 旅行先でのトラブルは欠かせない

翌日

 

「いやぁ、外国で迎える朝は清清しいな!!」

 

朝からテンション上がっちまうぜ!どうも皆さん風雨だぞ。ホテルの窓から見えるドイツの街並み、写真にも撮ったが、絵になるなぁ。

 

レストランでご飯を食べ終わった後は、今日はもう休もうという事でホテルに移動したぞ。ドイツに付いた時にはもう夜だったしな。時差ボケ?関係無いね!

 

「けど、一人だから何か空しい。」

 

ホテルの部屋は俺が1人部屋でカツェとジャンヌと白雪が3人部屋だぞ。俺だけ仲間外れだぜ畜生。

 

「さて、ドイツの朝食は豪華だと聞いたからな。着替えて食べに行きますか。」

 

パンツ一丁で出るわけには行かないからな。にしても左腕に付いてる籠手が邪魔くせぇ。服を着るのに苦労するんだよな。

 

「シャーロックめ、着脱可能な設計にしとけよこんにゃろう「山本、起きてるか?」あっ。」

 

ノックもせずにジャンヌが部屋のドアを開けやがったな。鍵かけたつもりだったんだが?

 

「な、なな、ななな!!」

 

おーい、どしたんジャンヌ?顔を赤くして固まっちゃったぞ?

 

「全く、何なん……忘れてた。」

 

今俺パンツ一丁だったわ。ジャンヌは俺の格好を見て固まったのか、ふむ。

 

「構わん、もっと見るがいい!!」

 

刮目して見るんだこの肉体美(笑)を!

 

「ふざけるな貴様!!」

 

おぶふ、顔面に氷の弾幕をぶつけられたぜ。全裸じゃないからいいじゃないか。全裸だったら俺も焦るけどさ。

 

「は、はや、早く服を着ろ!!何て差恥な格好をしているんだ山本!!」

 

「別に下着は着けてるから差恥的な格好じゃなくないジャンヌ?」

 

「私の言うことに反論をするな!早く服を着ろ!!でなければ全身を凍らすぞ!!」

 

おお、それは勘弁願いたいな。ちゃっちゃと服を着ますか。

 

「でもさ、俺が服を着るよりもジャンヌが回れ右した方が早くないか?」

 

何でずっと見てるんだよ?見て恥ずかしがってるなら見なければいいじゃん。

 

「もしかして、もっと見たいのか?」

 

「……オルレアンの氷華!!」

 

図星なんですね分かります。って部屋ごと凍らせるつもりか!?落ち着けよ。

 

「させるか!」

 

「ふぎゃ!!」

 

ジャンヌに少しの間気絶する薬が入った容器をぶん投げて気絶させる。容器と言っても水風船並みの脆さだけどな。俺一応衛生科なんでこういう薬とか持ってるんです。皆忘れてそうだけどな。

 

「やっと静かになったか。にしてもふぎゃって、可愛い悲鳴をあげるもんなんだな。」

 

さて、服を着終わったし気絶しているジャンヌの写真を撮って朝食会場に向かいますか。ジャンヌはおんぶして行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食会場

 

「朝から大変だったね風ちゃん。」

 

「白雪?もしかしてこうなることが分かっててジャンヌを俺の部屋に向かわせた?」

 

「うん!!」

 

わぁお見事なまでの清清しい笑顔なことで。今は朝食会場の四人用のテーブルに座ってるぞ。白雪と俺はテーブルにもう料理は取ってきてあるぞ。カツェはジャンヌの分と自分の分を取りに行った。

 

「ジャンヌ、いい加減機嫌直したらどうだ?」

 

「うるさい!!」

 

ツンツンしてやがる。これはこれで可愛いんだが、これがずっと続くと困るからなぁ。

 

「お詫びに何か奢ってやるからさ。それで機嫌直してくれよ?」

 

「その言葉に嘘はないな?」

 

「嘘言ってどうするんだよ。本当に奢ってやるからさ。」

 

よし、何とかジャンヌの機嫌を直したぞ。でもジャンヌがニヤリと微笑んだから高いものを奢らされるんだろうな~。それと白雪、微笑ましそうにこっちを見るなよ。

 

「まあ風ちゃんは体を鍛えているからね。見たくなるのも無理はないよジャンヌ。」

 

朝のシチュエーションは白雪は経験済みだからな。その時は顔を真っ赤にしながらもずっと俺の体を見てたからな白雪。

 

「ち、ちがっ!!私はそんなつもりじゃ!!」

 

「でももっと積極的に行動してもいいんだよジャンヌ?私だったらその格好の風ちゃんを押し倒して、ね。キャーー♪」

 

白雪~?駄目だ、完全に妄想モードに入っちまった。顔を赤くして何を妄想してるのやら。恐らくピーーやピーーの事だろうな。

 

「おお押し倒す!?わわ私には無理だ!!」

 

うんうん、顔を赤くして両手を顔の前でぶんぶんと振っている姿を見れば一目瞭然だな。さてもう少し弄るか。

 

「でもやってみたい。もしくは押し倒されたい。そう思ってるんだろ?」

 

「~~~~~~~ッ!!」

 

おーおー、ジャンヌの顔で目玉焼きが焼けるんじゃないかっていうくらい赤くなってるな。面白いから動画撮っとこ。

 

「おーい朝食取ってき、って何なんだこの状況?」

 

「それはねカツェちゃん。」

 

白雪、頼むから変なこと教えん、駄目みたいですね。

 

「な、なん、朝から何話してんだよお前ら!?」

 

白雪?あーたカツェに何教えたんだよ?カツェの動揺している様子から何となく察せるけどさ。

 

「これが思春期真っ盛りの者達の健全な会話だよカツェ。」

 

「んな訳あるか!!」

 

発言してから1秒も経たずに反論されたぜ。カツェのツッコミ力が高くなってきて嬉しいねぇ。あと周りの皆様、うるさくしてごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖バルトロメウス大聖堂

 

「最初はここだな。どうだ?中々いい大聖堂だろ?」

 

朝食を食べ終わった後、必要な物だけ持ってホテルを出たぞ。それでカツェの案内でドイツを観光してるぞ。

 

「大きい大聖堂だね風ちゃん!!写真撮れる?大丈夫?」

 

「なに、ちょちょいと工夫すればどうってことないぞ白雪。よし撮れた。」

 

レンガ造りの大聖堂なんて見たことねえな。まあ日本に大聖堂という建物があまりないからなぁ。

 

「中は入れるのかカツェ?」

 

「ああ、入れるぜ。入場料は無料だからな。そして中に入ったら塔を登ってくれよな。」

 

へいへい、こりゃ中々に登るのは大変だな。

 

「よし着いた。ってすげぇぇぇぇぇ!!」

 

「どうしたの風ちゃん?わあ!凄いね!」

 

「フランクフルトの景色を一望出来るのか。中々にいいな。」

 

やっべ、感動した。涙でそう、これは是非とも写真に納めないとな!

 

「こんなに美しいんだね!」

 

「まあな、風雨写真は撮れたのか?」

 

「バッチリな!」

 

でもこんだけ高いとあれをやりたくなるな。

 

「カツェ、こっからイーグ○タイブしてもいい?」

 

「何言ってるんだよ風雨!?ダイブするつもりなのか?駄目だからな!!」

 

ちえっ、エ○ィオさんの気分を味わいたかったのにな。まあ仕方無いか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ショッピングセンター

 

「ふぅ、感動し過ぎてちょっと疲れたぜ。」

 

あの後は、美術館や映画館や色んな所に行ったぞ。いやはや日本では見られない景色や物が見れて大満足だぜ。

 

「でもまだフランクフルトのみなんだよな。」

 

明日からは違う都市に行くからな。心の準備をしておかねえと。

 

「ん~、土産は大体買ったな。」

 

今はフランクフルト屈指のショッピングセンターに来ていて、自由行動をしているぞ。俺は一人だけどな。

 

「ちょっと休憩がてらにあのカフェに行くか。」

 

土産が意外と重いもんな。ちと買いすぎたか?

 

「やれやれ、帰る頃にはどれくらいの量になるのやら。」

 

コーヒーを注文してと、おお、日本のカフェで出されるコーヒーの味とは違うな!

 

「すみません、相席宜しいでしょうか?」

 

「いいですよ。」

 

何か前の席にドイツ人の女性が座ってきたぞ?ん?英語は話せないんじゃなかったのかって?yesと言っただけだよ言わせんな恥ずかしい。

 

「貴方は東洋の人なのよね?名前を聞いてもいいかしら?」

 

やっべ、何言ってるか全然わからねぇ、なんてな。しかし、金髪碧眼のすげえ美女だなおい。武藤とか目の前の美女見たら発狂しそうだな。

 

「人に名前を聞くときはまず自分から名乗るもんじゃないのか?」

 

「意外と英語は上手なのね。私はイヴィリタ・イステル、しがない少将ですの。」

 

うわっ、名前言いやがった。これじゃ俺も名乗らねえといけねえじゃねえかよ。

 

「山本風雨だ。ドイツに観光旅行に来た只の男子高校生だ。」

 

「あら、冗談が上手いのね。」

 

どのへんが冗談なんだ?嘘は言ってねえぞ?

 

「それで、イステルさんは何の用で俺に話し掛けに来たんですかね?」

 

「少しお話をして見たかったのよ。でも安心したわ。」

 

何をどう判断して安心したんですかね?深紅の唇が蠱惑的に孤を描いたから嫌な予感はするけどな!

 

貴方は何も思い出していない(・・・・・・・・・・・・・)。」

 

「どういうこッ!!」

 

あぶね!ゾワッってしたから慌てて姿勢を低くしたのが幸いだったな。誰かが俺に向かって狙撃してやがる!しかもヘッドショットかよ!!

 

「今の狙撃を避けるのね。」

 

ってカツェと同じような服装をした魔女達がぞろぞろとカフェテリア内に入ってきやがった。しかも銃や軍刀持ちかい。

 

「何のつもりだ?」

 

「カツェの洗脳を解きなさい。そして死になさい。」

 

「嫌だと言ったら?」

 

「殺します。でもカツェの洗脳を解いてくれたなら半殺しで済ませてあげます。」

 

あっ、どっちを選んでもdead or deadなんですね分かります。

 

「俺はカツェを洗脳した覚えはないんだけどな。」

 

「そう、なら人質がどうなっても宜しいのね?魔女二人がどうなってもいいのね?」

 

人質?ってまさか白雪とジャンヌのことかよ!

 

「このタイミングを狙ってやがったのか?」

 

「ええ、貴方がカツェから離れる瞬間をね。」

 

ずっと監視されてたってことかよ!!

 

「戦術殻 ふ「遅い。」な、に!?」

 

ッ!!フラッシュバンか!?や、べ、え。

 

「カブッ!!ゴフッ!!」

 

くそっ、左肩と右手を撃たれたか。しかも色んな奴が俺を切り刻んでやがる!

 

「貴方を殺しはしません。二日後にハイデルベルグ城へ来なさい。もし来なかったら人質の命は無いと思いなさい。」

 

「待ち、やがれ。」

 

「ではさようなら。貴女達、彼を死なない程度に痛め付けてから帰還しなさい。」

 

「待てって、言ってんのが、聞こえねえのかぁ!!」

 

「うるさい!!私達の隊長を返しやがれ!!」

 

ぐあっ!!足を撃たれたか、くそ、こんなやつらに!!

 

「ねー、こいつどうやって痛め付けようか?」

 

フラッシュバンの効果がまだ収まらねえ!!それがなきゃこんなやつらなんかに!!

 

「うーん、取り敢えずボコボコにしよう!」

 

「「「「「賛成!!」」」」」

 

駄目だ、左肩と右手と両足撃たれちまった。体が動かねぇ、白雪、ジャンヌ、ごめん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、私が出なきゃいけないのね。前金をふんだくってやろうかしら?」



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第22筋 金欠とブロッコリー

今現在夏休みなので毎日更新出来てますが、あともう少ししたらまた不定期更新になります。

あとサブタイトルとかって付けた方がいいんでしょうか?


貴方は何も思い出していない(・・・・・・・・・・・・・)。」

 

何だ?この言葉が妙に頭から離れない。俺は記憶喪失にでもなってたのか?

 

そんなことはないはずだ、去年は武偵高校に入学してその前は、あれ?俺は何をしてたんだ?

 

父親は?母親は?駄目だ、いたということは思い出せるが、顔がぼやけた感じでしか思い出せねぇ。

 

そもそも俺は何処で何をしてたんだ?何処で生まれたんだ?白雪とはいつ知り合ったんだ?キンジともいつ知り合ったんだ?

 

そして、俺は何者なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテル部屋

 

「ッ!!」

 

あれ?なんかに見たことある部屋だな?確かここは。

 

「俺がドイツで泊まっていた部屋だな。」

 

確かイヴィリタ・イステルという人に会って、カツェみたいな服装をした集団にボコボコにされて、よく生きてるな俺。

 

「生かされたという方が正しいのかねぇ、しかもご丁寧に包帯まで巻かれてるし。」

 

第三者が巻いたのか?にしてもちょっと解れてるな、素人がやったのか?

 

「随分とうなされていたようだけど、ようやく目が覚めたのね。」

 

「誰だよ、お前?」

 

洗面室から女の子が出てきたぞ?見た目は十代前半か、ストレートの長い銀髪でコバルト色の目、何かジト目で見られてるのは気のせいか?

 

グレーのブレザーを着ていて、スカート丈はちょっと短いな、武偵の女性服のスカート丈と一緒だな。そしてニーソックスを履いていると、ロリコンが見たら発狂しそうな見た目をしているな。

 

「セーラ・フッド。」

 

「フッド、ロビン・フッドの末裔か?」

 

俺がそう聞くとセーラはコクンと頷いたな、マジかよ。ジャンヌの次はロビン・フッドかよ。

 

「風、何でお前は生きてるの?」

 

「初対面の人に言う台詞かよ、ん?この包帯はセーラが巻いてくれたのか?」

 

セーラはまた頷いたな、基本的に無口なんかねぇ。

 

「……数ヶ所の銃創、全身打撲、数十ヶ所の斬り傷、数ヶ所の刺傷、大量出血、それだけの傷を負って死なないっていうのがおかしい、風は何者なの?」

 

「何者って言われてもな、俺もわかんねえよ。」

 

人間なのか俺は?

 

「それで、何で俺の名前を知ってるんだ?そして何故俺を助けた?」

 

「名前は教授から聞いた。助けた目的はある依頼のため。」

 

ある依頼?まあ深くは聞かないでおくか。

 

「そうか、でも何で風なんだ?もしかして風雨って言えないのか?」

 

まさかな、そんなわけないよな。

 

「……うるさい。」

 

マジか、しかも若干顔を赤くしてジト目で睨んできたな。でも全然怖くないね!寧ろ可愛い!

 

「ところでセーラ、俺が倒れてから何日経った?」

 

「二日経ってる。」

 

二日か、って二日かよ!こうしちゃいられねぇ、早くイステルの奴に言われた所に行かねえと。

 

「包帯ありがッ!!」

 

めっちゃ痛ぇ!!なんだよ傷口とか塞がってねえのかよ!!

 

「いきなり動こうとしても無理、傷口がまだ塞がってない。生きてるのがおかしい。」

 

二度も言われたよこんちくしょう。でもいきなり動こうとしなければいいだけだ。

 

「ふぅ、さて乗り物とか探さねえとな。」

 

「その状態でハイデルベルグ城に行くつもり?死ににいくの?」

 

「死なねえよ俺は、それに白雪とジャンヌを見殺しにするわけにもいかない。」

 

武偵憲章第一章、仲間を信じ、仲間を助けよ。白雪とジャンヌは俺が助けに来ることを信じてるからな、ジャンヌは武偵じゃねえけど助けにいかないとな。それに、カツェも気になるしな。

 

「無理、風一人じゃ助けられない。」

 

「そんなもの、やってみないとわからな、ってなんだよその手は?」

 

まるで何かを差し出せっていう雰囲気だな。

 

「私は傭兵、風の依頼金次第で助けてあげなくもない。」

 

「傭兵ねぇ、どれくらいの金額を払えばいいんだ?」

 

「純金50kg」

 

「無理に決まってんだろセーラ!?」

 

どんだけぼったくる気だよ!?見た目の割に恐ろしいなこの子!?

 

「冗談、風の気持ち次第。」

 

「そう来るのかよ、ったく。」

 

ここで中途半端な金額を出すと助けてくれないんだろうな。俺の貯金が寂しくなるな。

 

「ほらよ、百万ユーロをポンっとくれてやる。」

 

「……それだけ?」

 

「後できっちり払う。それでも駄目なら、そうだなぁ。」

 

ロビン・フッドの末裔だから、まさかな。

 

「日本で育ててる自家製の野菜をセーラにやる。これでどうだ?」

 

うわっ、すっげー悩んでる。これ以上支払うとなると借金生活が始まるぞ。ピク○ン2の社長の立場にはなりたくねえよ。

 

「その野菜の中にブロッコリーは入ってる?」

 

「ああ、入ってるぞ。」

 

セーラはブロッコリーが好きなのか?

 

「ひとまずはそれでいい。後でこっちの提示した金額を払わなかったら風の頭を矢で打ち抜くから。」

 

ひとまずは納得してくれたようだな、良かった良かった。

 

「よろしくなセーラ。」

 

「……。」

 

だんまりかよ、ちょっとムカついたからいたずらしてやるか。

 

「今はセーラだけが頼りだからな、よろしく頼むぜ。」

 

「~~~~~ッ!!」

 

おおう、セーラの帽子を取って頭を撫でたらめっちゃ顔を真っ赤にしたな。結構可愛いとこあるじゃん、写真撮っとこ。

 

「気安く触るな!!」

 

「うぶぇ!!」

 

な、何か風で吹っ飛ばされて壁に激突したぞ。俺重症人だぞセーラ!!

 

「いだだ!!傷口が開いた!バックリと開いた!」

 

「風の自業自得。」

 

「撫でられたからって、そんなに怒るなよセーラ。もしかして嬉しか「それ以上喋ったら風の頭を打ち抜く。」はい、すみませんでした。」

 

顔の横に矢が刺さったからな、次は当てる気ですねちくしょう。でも顔が赤くなってたから図星なのか。こりゃいじりがいがあるな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どう助けるつもり?」

 

「どうって言われてもな、何も考えてねえよ。」

 

あの後は包帯を巻き直してハイデルベルグ城へバイクで向かってるぞ。

 

「呆れた、それでなんとかなると思ってるの風?」

 

「なんとかするしかねえんだよセーラ。俺は人殺しとか出来ねえからな。」

 

俺が運転してセーラが後ろにいるぞ。しかし、また一人知り合いが増えたなぁ。そして俺の理性よ頼むから持ってくれよ。

 

「そう言えばセーラは風を操るのか?それと弓を使うのか。」

 

「風や気流を操る。弓は使うけど、矢筒にあまり矢がない。」

 

「なんだ?セーラって意外とおっちょこちょいな、って痛いから脇腹をつつくなよ。」

 

運転中だぞこっちは、事故っても知らねえぞ?

 

「風を助けるために使った。」

 

「そうか、そりゃ悪いことをしたな。なら俺の持ってる矢を使ってくれ。」

 

籠手から普通の矢を20本取り出してと、矢のサイズが合ってるかは知らん。

 

「……ありがと。」

 

「どういたしまして。」

 

さて、あと二時間で日が跨いでしまうな、その前にハイデルベルグ城へ行って白雪とジャンヌを助けねえとな!



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第23筋 だいなみっくお祈り☆

白雪side

 

「起きろ、起きろ白雪。」

 

ん?あれいつの間にか私眠ってたみたい。

 

「おはようジャンヌ。あれ?何か暗くない?」

 

「そりゃそうだ、独房に入れられてるからな私達。対能力者手錠も付けられてるから脱出も出来ないな。」

 

独房って私何かしたかな!?盗み食いはしてないよ!?万びきもしてないよ!?

 

「白雪は山本と別れてからの事を覚えているか?」

 

「うん、ショッピングセンターで風ちゃんと別行動をして、3人で買い物をして、あっ!」

 

カツェちゃんに何かの気体を吹き掛けられたんだ!でも何の為に?

 

「起きたみたいだな二人とも。」

 

「この声は、カツェちゃん!」

 

「カツェ、何故私と白雪を誘拐するような事をした?」

 

そうだよ、一体何の為に?

 

「長官からの命令さ、風雨をここに誘き寄せる為に白雪とジャンヌを拐った。」

 

「風ちゃんに何するつもりなの?」

 

「風雨を殺すのさ。」

 

ふ、風ちゃんを殺す?き、聞き間違いだよね?カツェちゃんの口からそんな言葉が出るはずないよね!?

 

「信じられないといった表情をしているな白雪。でも事実なんだよ、二人を拐う時に風雨も死なねえように痛め付けたからな。」

 

「なんで、そんなことを?」

 

嘘だよ、カツェちゃんがそんなことするはずがない!

 

「そして、約束の日が過ぎるまであと数分。それまでに風雨が来なかったら、二人を殺す。」

 

「そんな!!」

 

「あのな、あたしは魔女連隊隊長だぞ白雪?魔女連隊は軍隊なんだよ。人を殺す事には慣れてんだ。」

 

魔女連隊?その隊長?

 

「なるほどな、異性恋愛罪か。カツェの長官はカツェに異性恋愛罪を犯さないようにするために山本を殺すという訳だ。」

 

「ジャンヌ、異性恋愛罪って?」

 

「軍隊にはな、異性と恋愛した者は処刑という罪が着せられるんだ。」

 

そんな罪が、じゃあ風ちゃんはその事を知らずにカツェちゃんに関わってたってこと!?

 

「そういうことだ。このまま風雨達といるか、それとも魔女連隊の皆といるかを比べたら、魔女連隊の皆といる方を選ぶ。風雨なんてどうでもいいんだよ。」

 

「嘘だ、風ちゃんと一緒にいたカツェちゃんはとても楽しそうだった。風ちゃんがどうでもいい筈がない!」

 

「黙れよ!!もう決めたんだ。風雨を殺すってな、皆を裏切る訳にはいかねえんだよ!!」

 

「……カツェちゃんの気持ちはよく分かったよ。」

 

本当はカツェちゃんも風ちゃんを殺したくないんだね。本当に殺したいと思ってるなら、殺すって言った時に悲痛な表情なんかしないもん。

 

「残り1分、風雨は逃げたんだな。やっぱり自分の命が惜し「た、隊長!!」どうした?」

 

カツェちゃんの部下みたいな人が息を弾ませながら来た、ということは!

 

「れ、例の奴が来ました!!」

 

「分かった、お前はあれの準備をしてこい。」

 

カツェちゃんが命令して部下を退避させたみたい。やっぱり風ちゃんは来たんだね!

 

「やっぱり来たか風雨、仕方無い。あたしの手で殺すしかないな。白雪、ジャンヌ、妙な真似をしてみろ、その時はすぐに殺すからな!」

 

「そんなことはしないよ。風ちゃんは私達を必ず助けてくれる。もちろんカツェちゃんもね。」

 

「はん、その前にあたしが風雨を殺してやるさ。」

 

そう言ってカツェちゃんは出ていったね、風ちゃん。風ちゃんなら私達も助けて、カツェちゃんも助けれるって信じてるから!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡り

 

風雨side

 

「さて、ハイデルベルグ城付近に着いたのはいいんだが、見張りが結構いるな。」

 

日を跨ぐ少し前に着いたんだが、思った以上に見張りがいやがる。ざっと十数人か、まあ当然だな。

 

「風どうするの?」

 

「そうだなぁ、もたもたしている時間もないし。」

 

やっぱり、正面突破しかねえか。

 

「セーラ、俺がバイクで城の内部まで走るからその間援護よろしく。」

 

「まさかあの見張りを突破する気?風は馬鹿なの?」

 

ジト目で睨まれて呆れられたぜ。けど馬鹿正直に突っ込んだりはしねえよ流石に。

 

「数は減らしていくさ。」

 

籠手から弓矢を取り出してと、久し振りだから上手くいくかねぇ。

 

「風も弓を使うんだ。」

 

「まあな、じゃあ行くぜ!」

 

俺とセーラは同時に矢を放って見張りの肩に当てる。よし、当たったな。

 

「ちゃんと弓使えてる、意外。」

 

「そんなに驚いたような表情すんなよセーラ!俺が弓を使えることがそんなに意外か!?」

 

「うん。」

 

解せぬ、とまあセーラと話ながらも見張りの奴等の肩や足に矢を当てていく。

 

「ん?あの人影は……。」

 

「どうしたの風?」

 

「いや何でもねえよ。よし、ある程度は減らせたな。じゃあしっかり捕まってろよセーラ!!」

 

「わ、わかった。」

 

バイクを発進させて城の唯一の玄関に向けて走り出す。緊張感半端ねぇ。

 

「いた!例の奴だ!!」

 

うわっ、城の内部から増援が来やがった。対応早いな。

 

「風!!見張りに気付かれた。どうするの?」

 

「んなもん、こうするさ!!」

 

ポケットから手榴弾を取り出して、ピンを抜いて見張りがいる所に投げる!!

 

「手榴弾って!お前人を殺すつもり満々じゃないか!?」

 

ワンバウンドして爆発したな。大丈夫大丈夫、軍隊なら手榴弾の避け方くらい知ってるだろ。知ってなかったら、死んでない事を祈るしかないな!

 

「大丈夫だセーラ、人はそう簡単には死なねえからよ!!」

 

これで見張りの奴等は混乱し「魔女連隊をなめるな!」てねえなら次はこれだ!

 

「セーラ!これを前に投げて目を瞑れ!!」

 

「これは何!?」

 

と言いながらもセーラは俺の渡したものを投げてくれたな、それは手榴弾じゃなく。

 

「ま、眩しい!!」

 

「まさか閃光玉!?」

 

「目がぁ!!目がぁぁぁぁぁ!!」

 

閃光手榴弾だな、にしてもなんか一人ム○カ大佐みたいな人がいたんだが。

 

「投擲物は無くなったから後は任せたセーラ!!」

 

「もっと用意しておいて!!」

 

仕方ないやん、投擲物の大半は寮の部屋に置いてきたからな。

 

「逃がすな!殺せ!」

 

おーおー、俺らを狙って撃ってくる撃ってくる。当たらねえけどな!俺のドライビングテクニックをなめるなよ?

 

「あっ、人は殺すなよセーラ?」

 

「分かってる!」

 

どれどれセーラの弓の腕前は、すげぇな、揺れるバイクに乗ってるのに離れた敵の肩や足に正確に矢を当ててやがる。

 

「上手すぎだろセーラ。百発百中じゃん!」

 

「余所見しないで運転に集中して風!」

 

褒めたのに怒られたぜ。ん?前方に人が集まってるな。

 

「ここを通すな!撃ち殺せ!」

 

わぁ、団体様のお出ましだぁ!アサルトライフルを持ってるって、殺す気満々だな。

 

「風!!なんとかして!!」

 

「よっしゃ任せろセーラ!!」

 

「任せろってどうやって掻い潜るつ「喰らえ特製火炎瓶!!」ちょ!!」

 

火炎瓶を団体様の方へと投げる。おお、めっちゃ慌ててるな!

 

「「「「「「た、退避ぃぃぃ!!」」」」」」

 

避けてくれたな、その隙にスピードアップして団体様がいる所を走り抜ける!

 

「風!!やること無茶苦茶!!」

 

「どうだ?周りが明るくなっただろう?」

 

「うるさい!!」

 

いて、セーラに頭を叩かれたぜ。でもな、こうでもしないと生き残れないし。

 

「日本にはこういう言葉があるんだよセーラ。殺られるなら殺さない程度に殺れってな!!」

 

「そんな言葉絶対ない。ってこのままだと扉にぶつかる!」

 

「ぶつけるつもりだが?」

 

あっ、セーラが鳩が豆鉄砲を喰らったような表情になった。これも写メっとこ。

 

「どういうつもりなの!?このまま扉に突撃って、本当に馬鹿じゃないの!?」

 

「いやだって、律儀に入る必要なんかねえじゃん。こっちは殴り込みに来たんだからな。」

 

さて、籠手から蒼色の野太刀を取り出してと。

 

「本当に何するつもりなの!?」

 

「ダイナミックなお邪魔しますをするつもりだセーラ!!」

 

よし、そろそろだな。何時でも戦術殻 空を出せる準備をしてと。

 

「少将殿~!!あ~そ~ぼ!!」

 

前方に鎌鼬を放つ戦術殻 空を使って扉を脆くして、扉の前の段差を使ってジャンプしながらお邪魔しま~す!!

 

「セーラ!!飛び降りろ!!」

 

中に入るとあれま、魔女連隊の皆さんが驚愕の表情でこっちを見てるではありませんか。その隙に俺はバイクを魔女連隊に向けて放り投げる!!

 

ドンガラガッシャーーーーーン!!

 

「そして着地!!いやぁバッチリと注目されましたね。」

 

「もう風と一緒に行動したくない。」

 

セーラがジト目で睨んでくるがキニシナーイ。

 

「やはり来ましたね山本風雨。」

 

魔女連隊の奴等の後ろの方にイヴィリタがいるな。てっきり安全な場所にいると思ったんだけどな。

 

「来てやったぜ少将殿?それで、このお出迎えの量は何なんだ?」

 

「颱風のセーラを味方に付けたのには驚きました。でも貴方は生かしてはおけない。」

 

イヴィリタが何か合図をすると俺とセーラの周りを魔女連隊が囲んだな。

 

「風、これからどうするの?」

 

セーラと背中合わせの状態になる。どうするも何も決まってんだよ。

 

「魔女連隊全員ぶっ飛ばす。そして白雪とジャンヌを助ける。」

 

2対何百人、暴れるには丁度いいな。

 

「さて、命が惜しくない奴からかかってこいや!!」



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第24筋 戦場で友人と会うっていうのはよくあること

「うひー!!数が多い!!」

 

「無駄口叩いてないで数を減らして!」

 

んなこと言ってるけど相手はルガーを撃ってくんだぞ!あっ、風雨ですぅぅぅ!!

 

「火炎瓶とか何かないの!?」

 

「何もない!さっきで全て使い切った!!」

 

くっそ、やっぱ無理があったか。ちなみにセーラが2階から動きながら弓で敵を打ち抜いてるぞ。俺?俺は1階で魔女連隊達を無効化してるぞ。

 

「戦術殻 炎!!」

 

前方に直進する炎を放って動きを止める。炎に当たっても大丈夫かって?非殺傷設定にしてあるから大丈夫!

 

「こいつ能力者か!?」

 

魔女達が驚いてるな、その隙に一人を背負い投げで気絶させ、軍刀を持って斬り掛かってくる奴の顔面に拳底を喰らわせて転ばず。どっかの流派の朱雀って名前だったかな。

 

「足を止めろ!!」

 

むっ、足に抱き付いて動きを封じて来たか。その隙に俺にルガーを向けてきたな。

 

「けど、あめえよ!!」

 

抱き付いてきた一人の服の襟を掴んでルガーを向けてきた奴に向けて投げ飛ばす。

 

「「ふぎゃ!!」」

 

そしてもう一人抱き付いてきた奴を蹴り飛ばす。女相手なのに容赦無いって?容赦なんかしてたら殺られるからな。

 

「強い!!」

 

「怯むな!!」

 

続けて俺の背後から軍刀で斬り付けようとしてくる相手の軍刀を籠手で防いでハイキックを顎に喰らわせる。その後にナイフで斬り掛かってくる相手を受け流して顔面にエルボーを喰らわせる。

 

「こいつを本当に殺せるのか!?」

 

慌ててるな、まあ隙をみせたらセーラに打ち抜かれるぞお前ら?

 

「風!そこから離れて!」

 

「ヘイヘイ!」

 

さて、何かするみたいだなセーラ?手のひらを魔女連隊達に向けてるな。

 

竜巻地獄(ヘルウィンド)!」

 

うおお!セーラが手のひらを振り下ろすとセーラを中心に烈風が巻き上がったな。風速は50km以上あるんじゃねこれ?大多数の敵を吹き飛ばしたな。えげつねぇ。

 

「けど、ちょっと距離があるから風に耐えてる奴等もいるな。だったら戦術殻 風!!」

 

赤い刀を籠手にしまって小太刀を二本取り出す。そして魔女連隊のいる中心に突っ込んで竜巻を発生させる。

 

「セーラ!!俺が出してる風を操って奴等を吹き飛ばせ!!」

 

「わかった。」

 

おお!こりゃすげえ。セーラが俺が出した竜巻を操って魔女連隊の奴等を吹き飛ばしてるな。

 

「ふいぃー、これで全滅させたかな?」

 

顔面殴ったり、蹴飛ばしたり、吹き飛ばしたりしたけど死人は出してねえな。

 

「あーやっぱり全滅させられたか。流石風雨だな。」

 

おっ、カツェが来たか。右手にはルガー、左肩には烏のエドガーがいるな。戦闘準備万端じゃん。

 

「半分はセーラのお蔭だけどな。それで、俺を殺しに来たのかカツェ?」

 

「あぁ、てめえがいると邪魔だからな。あたしの手で殺してやるよ。」

 

怖気付いてる様子は無し、慢心もないか。こりゃやべーかもな。

 

「セーラ、手を出すなよ?」

 

「そんなこと言わなくてもあいつなら分かってるさ。さあ、覚悟しやが「た、隊長!!失礼します!!」っておい!空気読めよ!」

 

外から来たカツェの部下が慌てた様子で来たな。俺ら以外にも襲撃してきた奴がいるのか?

 

「す、すみません!城の外をうろついていた怪しい奴等を拘束したんですけど、どうしますか!?」

 

「怪しい奴等?取り敢えずここに連れてこい。」

 

カツェが部下に命令すると部下は外に向かって走っていったな。誰が来たんだよ?

 

「風雨、これもてめえの仕業か?」

 

「知らねえよ、俺はセーラと二人で来たんだよ。」

 

「それは違いねえか。」

 

本当に誰が来たんだよ?まさか知り合いとかは「連れてきました!」ありましたねこんちくしょう!

 

「痛ぇ!!」

 

カツェの部下に連れられてゴリラ(武藤)が押されて倒れこんだな。

 

「ったく何なんだよお前らは!?俺はこの城を観光してただけだぞ!?」

 

「なら何故城の敷地内に居た!?お前らも襲撃してきた奴等の仲間じゃないのか!?」

 

カツェは部下は武藤の服の胸ぐらを掴み、掴んでない方の指を俺に向けて指したな。

 

「仲間って、てめえ風雨!!何でお前がこんなところに居やがる!?」

 

「その台詞そっくりそのまま返すぞ武藤。お前こそ何でドイツに来てんだよ?」

 

「ドイツ車を見に来たんだよ!本場でしか見れない物や買えねえ物があるからな!」

 

それなら納得だな。つーか武藤、戦場のど真ん中にいるのに存外余裕があるな。

 

「それでこの城を観光しようとした時に魔女みたいな服装をした女性が居たから話し掛けたんだよ!それで話してる時に拘束されたんだ!」

 

ナンパしたのかよ。タイミングがすげえ悪かったな武藤、今度神社でお祓いしてきた方がいいぞ?

 

「それで何なんだよこの状況は!?」

 

「武藤、ここ戦場。お前人質。」

 

わっかりやすい説明をしたら武藤の表情が青ざめていったな。今頃気付いたんかい。

 

「た、助けてくれぇぇぇぇぇ!!」

 

「風雨の仲間か。」

 

「仲間つうか、友人だな。それでカツェの部下、そのゴリラ殺っちゃっていいぞ。」

 

「見捨てんなよお前!?助けろよ!!」

 

へいへーい。ってあれ?一歩武藤に向かって踏み出したらカツェの部下が武藤の頭にルガーの銃口を当てたな。

 

「動くな!動いたらこの男の命は無いぞ!!」

 

「っち、面倒くせえ事をしやがる。」

 

「この男を助けたかったら武器を捨てて投降し「おりぁぁぁ!!」ぎゃぁぁぁぁ!!」

 

武藤に向けて小太刀二本を投げ捨てる!!あっ、セーラも武藤に向けて矢を放ったな。

 

「ちょ!!お前ら人質が見えてねえのかよ!?何武器を人質に向けて投げたんだ!?そしてセーラも人質に矢を放つな!」

 

「いや、捨てろって言うから捨てただけだがカツェ?」

 

「あの男ならどんなことしても死なない気がする。」

 

「だからって投げ捨てんなよ!?」

 

あっ、武藤が凄い怒った表情をしながらこっち来た。よく両手を縛られてるのに走れるな。

 

「てんめえ風雨!!俺を殺す気か!?」

 

「残念だけど、武藤には人質の欠片もないからな。」

 

「絶対後で轢いてやる!!」

 

武藤がギャーギャー言ってる隙に縛ってる縄を斬ってと。

 

「真面目に助ける気があるなら最初から助けろよ風雨。」

 

「しばらくシリアルがあまりなかったからな。無理矢理ぶっこんでみた。」

 

反省も後悔もしてないぞ!

 

「それで風雨はここに何しに来たんだよ?何が起こってんだよ?」

 

「時間もねえからかいつまんで話す。白雪ともう一人の女の子が拐われてここにいる。それで魔女みたいな格好をしてる奴等は俺を殺そうとしている。OK?」

 

「まさかここにいる魔女みたいな人達は白雪さんを誘拐したのか?」

 

武藤、お前めっちゃマジな表情になったな。

 

「風雨、白雪さん達は何処に入る?俺が助けに行ってきてやる!」

 

「そりゃ頼もしいねぇ。この城の地下にいる筈だ、多分。セーラ、このゴリラみたいな見た目の奴と一緒に行ってきてくれ。」

 

セーラと一緒なら多分死なねえだろ。

 

「……追加料金貰うから。」

 

「分かったよ。」

 

「風雨!!白雪さん達は任しとけ!!」

 

そう言って武藤とセーラはこの広場から出ていったな。

 

「さて、待たせたなカツェ。」

 

「随分待ったぜ、お前を殺したらあの男も殺さねえとな。」

 

「あいつを殺すなら、まず俺を殺すことだな!」

 

俺は籠手から赤い刀を取り出して戦術殻 炎でカツェに炎を放つ。

 

「ふん、お前が炎を使うのは知ってるぜ!」

 

カツェが自分の前に水の壁を出現させて炎を防いだな。けど、防ぐことは想定内だ。

 

「時雨蒼炎流 攻式一の型 車軸の雨!!」

 

水の壁が消えた瞬間に高速の突きを放ってカツェの肩に刀を突き刺す。

 

「っぐ!!これが狙いかよ!!」

 

「ああそうだ、俺ももう限界に近いからな。早めにけりを付けさせてもらう。」

 

「へっ、早めにけりが付けばいいな!」

 

何で笑って、って俺が突き刺したカツェは水人形(ダミー)かよ!

 

「しかもそれは只の水人形じゃねえぜ?爆泡(バオバオ)入りだ!吹き飛びやがれ!」

 

「やべ!!」

 

刀を離すのと同時に水人形が爆発しやがった!

 

「ゲホゲホ!ってーな!!」

 

あと1秒でも反応が遅れてたら体が粉々になってたな。あぶねぇ。

 

「これでチェックメイトだぜ風雨。」

 

「ッ!!」

 

俺の目の前にカツェがいて、額にルガーの銃口が付けられる。

 

「変な気は起こすなよ?てめえが動くよりも先にルガーでてめえの脳みそ撃ち抜いてやるからな?」

 

まあ、この状況だ。カツェの言うことが正しいな。

 

「最期に遺言くらいは聞いてやるよ風雨。何か言い残すことはあるか?」

 

「ねえよ、そんなもん。だが強いて言うなら、それは零距離射撃じゃねえぞ(・・・・・・・・・・・・・)?」

 

俺がそう言うとカツェはほんの一瞬だけ悲しそうな表情になったな。

 

「そうかよ、なら死んでくれ。」

 

そう言いカツェはルガーを持ってる人差し指に力を込めたな。俺の頭を撃ち抜くために。

 

ジークハイル(勝利万歳)

 

その言葉を聞いた瞬間に俺はある術式を発動させる。師匠に教えられたものの一つ、魔女連隊に襲われて意識を失った後に思い出したもの一つ。上手く発動してくれよ!!

 

time alter double accel(固有時制御 二倍速)!!」



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第25筋 奥の手は重傷の身で使うのは控えましょう

オリジナル編は書くのが難しい、はっきり分かるんだね。


time alter double accel(固有時制御 二倍速)!!」

 

俺が心の中でそう叫ぶのと同時に世界の流れがスローモーションになる。無事に発動出来たみたいだな。

 

「にしても、二倍速が限界か。」

 

怪我とか一切なければ三倍速はいけるかな?っと呑気に考えてる場合じゃねえな。

 

「(まずは銃弾に当たったように見せ掛ける為に後ろに倒れ込む!)」

 

そんな余裕ないんじゃないかって?さっき発動した魔術は自分の中の時間の流れを倍速させる魔術だぞ。簡単に言うなら、人の倍速く動けるってことだ。

 

「銃弾が発射されても筒の中を通って銃口から銃弾が出る。その間は僅かな時間だけど、今の状態なら充分に避けれる時間は取れる!」

 

よし、銃弾は避けれたな。けどこれで終わりにはしないぜ?そこから両手を地面に付けて跳び跳ねるように起きながらカツェが持ってるルガーを天井に向けて蹴り飛ばす!

 

「そこから更に対能力者手錠をカツェに付ける!」

 

よし、固有時制御解除!

 

「な、ん!?」

 

カツェからしてみたら、気が付いたら零距離射撃をしたのに避けられて、ルガーも何処かに飛んで両手には手錠をかけられたように感じだな。

 

「はいそこまで、その手錠は対能力者手錠だ。ルガーも蹴飛ばした。まだやるかカツェ?」

 

「あたしは死ぬまで戦いを止めるつもりはないぜ?能力を封じられてもまだ近接があるからな!」

 

カツェは落ちていた軍刀を持って斬り掛かってくる。仕方無い、気絶してもらうか。

 

「そうか、なら殺すだけだ。戦術殻 雷。」

 

赤い刀を籠手にしまって青い刀を取り出してカツェに突きを放つ。カツェは避けずに軍刀で防いだな。

 

「ッ!!なん!?体が痺れて!!」

 

動揺しているカツェを無視して青い刀に雷を纏わせてカツェを斬る。右上から左下に斬り下し、左上から右下に斬り下す。

 

「っぐ!!あぐ!!あぁ!!」

 

さっきのコンボを十回程喰らわせ、最後に下から上に斬り上げて、斬り下ろす。斬り下した際に追加でカツェに雷を浴びせる。

 

「悪いな、カツェ。」

 

「ちぐ、しょう……。」

 

カツェは気絶したみたいだな。あっ、さっきの刀の攻撃は全部峰打ちだぞ。

 

「「「「「「た、隊長!!」」」」」」

 

「ここまでの強さとはね、流石と言うべきかしらね。」

 

カツェの部下達はカツェの所に殺到し、イヴィリタは感心したように俺を見てるな。

 

「それで、まだやるのか?俺としては白雪とジャンヌを解放さえしてくれればここから去るんだが?」

 

これ以上余計な争いはしたくないし、俺の体力が持たない。

 

「そうね、彼女らは今頃あの二人組によって解放されていることでしょう。」

 

そう言ってイヴィリタは俺に頭を下げてきた。えっ?何?これどういう状況?

 

「風雨君の力を見るためにあの二人を拐って申し訳ありませんでした。」

 

んなことだろうと薄々思ってたぜ。本気で殺すつもりなら戦車とかもっと物騒な物を使うからな。

 

「し、少将殿!?こんな奴に頭を下げる必要なんかありません!!今すぐ上げてください!!そしてこいつを磔の刑に!!」

 

「止めなさい、風雨君が本気を出せば貴女達は一瞬で殺されるわ。」

 

殺しはしねえけどさ、まあ戦術殻 氷を使えば辺り一面を凍らせて凍死させるって事は可能だけどな。

 

「これは私が風雨君の力を見るために仕組んだの。」

 

「仕組むなら、部下にも伝えておけよ?」

 

部下達は本気で俺を殺すつもりで来たからな?

 

「風ちゃん!!」

 

おっ、白雪とジャンヌは無事に解放されたな。

 

「じゃあ俺達はこっから去るからな。武藤、白雪達を先に車に乗せていてくれ。」

 

「ささ、白雪さん達!!どうぞこちらに!!」

 

うわきも、武藤がめっちゃ敬語で白雪達を車まで案内してるな。

 

「カツェは連れていかねえよ。だからそんなに警戒すんなよお前ら。あとカツェは気絶しているだけだからな?」

 

俺がそう言うとカツェの部下はカツェを何処かへ連れていったな。部下に愛されているんだなカツェ。

 

「部下を一人も殺さないでくれたのね。何と非礼を詫びたら良いのかしら?」

 

「殺したら武偵法第9条を破ることになるからな。詫びなんかいらねえよ。」

 

武偵法第9条を破ることだけは避けたいからな。

 

「カツェは異性恋愛罪で処罰されるのか?」

 

「いえ、不問にしておきます。」

 

「ありがとな。じゃあなイヴィリタ長官殿。」

 

そう言ってハイデルベルグ城を後にして、武藤が乗ってきた車に乗り込む。

 

「ふぅ、もう駄目だ。」

 

「駄目だって何がって風ちゃん体中から血が吹き出してるよ!!」

 

あの魔術の反動だな、さっきまで必死に押さえ付けていたけどもう無理だ。

 

「病院に行こう!!ねえ武藤君!!」

 

「その必要はねえよ白雪。武藤、何か食い物が食える所に行ってくれ。」

 

これ以上金は使いたくねえからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもの時は、カツェを頼むわね風雨君。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レストラン

 

「あむあむむしゃむしゃがつがつはぐはぐもぐもぐんぐんぐもちゃ~んごくごく!!」

 

「よく食べるな風雨。そんな怪我した状態で。」

 

エネルギーを取らねえと治るものも治らねえからな。あと怪我の治療くらい自分で出来る。

 

「山本、少しは落ち着いて食べたらどうだ?」

 

「食べるのを止めたら意識を失いそうだからな落ち着けねえよジャンヌ。それに血が足りねえんだ。」

 

「……あれ?」

 

ん?セーラが俺の方を見てビックリしているな。何か俺の体におかしな部分とかあったのか?

 

「傷が少しずつ塞がってる。」

 

「食い物食って傷が治るって、風雨お前ト○コかよ!」

 

どれどれ、本当だ!傷口が塞がり始めてるぞ!

 

「今なら釘パ○チが出来そうだな!」

 

「本当に出来そうで怖いわ!!っと、俺はここで離脱するぜ。」

 

武藤、もう行くのか。

 

「武藤君、本当にありがとね。武藤君は何も関係がないのに巻き込んじゃって。」

 

「いえいえ!男として当然の事をしたまでですよ白雪さん!!」

 

うわぁ、すげえデレデレしてやがる武藤の奴。まあ、見なかったことにしよう。

 

「風雨、何かあったら俺も呼べよ!?友達(ダチ)として助けに行ってやるからな!!」

 

「りょーかい。サンキューな武藤。」

 

武藤は会計をして車に乗って去っていったな。学校に戻ったら何か礼でもしてやるか。

 

「風ちゃん、風ちゃんも本当にありがとね。」

 

「気にすんなって。だから涙を流すなよ白雪。」

 

「私とジャンヌの為に、酷い傷を大量に付けさせてごめんね!ごめんね!」

 

あーもー、店内で泣くなよ白雪。生きてるんだから別にいいだろ。

 

「山本、お前は本当に無茶をするんだな。」

 

「武偵だから無茶をするのは当たり前だろジャンヌ?」

 

「その考えはおかしい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテル内

 

「いてて!!いだだ!!やっぱり傷口を麻酔なしで糸で塞ぐのはいだぎゃあ!!」

 

くそう、何で麻酔を持ってこなかったんだ俺の馬鹿。あっ、飛行機の手荷物検査で引っ掛かるか。

 

「ふぅ、これで大体の傷口は塞いだな。後は包帯を巻いて安静にしてればいいか。」

 

ピンポーン

 

「ん?こんな遅くに誰だ?」

 

白雪か?ジャンヌか?

 

「あっ!風ちゃんまだ起きてる?」

 

「起きてるぞ。こんな夜遅くにどうしたんだ?」

 

「えっとね、その、えと。」

 

なんなんだおっと!いきなり抱き付いて来たな。

 

「どうしたんだ白雪?まさか怖くて眠れなくなったのか?」

 

「うん、誘拐された時からずっと思ってたの。私の知らない所で風ちゃんが死んじゃったらどうしようって。」

 

あー、まあ今回の傷は死ぬのが当たり前の量だったからな。死ななかったのが奇跡だよ。

 

「それを考えたら眠れないの。だからね、今日は。」

 

「ちょっと待てちょっと待て!!何で服を脱ぎ始めるんだ白雪!?」

 

服を畳んで机に置いてスカートも下ろしてんだよ!?

 

「風ちゃんと、一つになってずっと風ちゃんを感じていたいの。」

 

おいおいおいおい!こういう時どうすんだよ!?どんな対応すればいいんだよ!?助けてスーパーキンジ君!

 

「白雪、取り敢えず服を着てくれ。確かに白雪の気持ちはわからなくもない。けど、そういう行為はしなくてもいいだろ?」

 

落ち着け、耐えろ俺の理性。耐えるんだ!

 

「でも!!こうでもしないと不安で不安で!!」

 

白雪が涙目でずいずいと寄ってくる。やーめーてー、その大きな2つのものを揺らさないでくれ!!

 

「大丈夫だよ!ゆっくりとするから!」

 

「そういう問題じゃないんだ白雪。すまんな、ぶっちゃけると今の状態でその行為をされると傷口がバックリと開くんだ。」

 

完全にムードを壊したな俺。でも事実だもん!

 

「そう、そうだよね。ごめんね風ちゃん、早とちりな行動をして。」

 

うわあ、白雪がすげえへこんでる。けど、このまま帰すのもなんだかなぁ。

 

「だから、これで我慢してくれ。」

 

「ふ、風ちゃん!?」

 

白雪を抱き締めながらベットに倒れ込む。白雪めっちゃい香りする。

 

「風ちゃん!風ちゃん!私強くなるからね、誰にも負けないように強くなって風ちゃんを守ってあげるからね!」

 

「守るのは俺の役目なんだけどな、まあありがとな白雪。」

 

俺今日眠れるかな?あとこっそりと覗いてるジャンヌとセーラ、明日説教な?

 

「「!!!」」




はい、これにてオリジナル編終了です。次回からは原作ルートに戻ります。

風雨の部屋の住人

山本風雨
星伽白雪
ジャンヌ・ダルク
カツェ・グラッセ OUT
セーラ・フッド IN


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無限罪 ブラド編
第26筋 イベントシーンは黙って見るかぶち壊しましょう


あの後、覗きをしていたジャンヌとセーラにデコピンしてドイツ観光を再開したぞ。お前怪我人じゃないかって?糸で塞いだから大丈夫。

 

「いやー、ドイツ観光は中々に楽しかったな!」

 

色んな景色も見れたし、旨い物もたくさん食べれたし、皆の写真も撮れたしな!

 

「久しぶりに部屋に帰ってきたけど、やっぱ落ち着くな。」

 

今は寮の自分の部屋にいるぞ。カツェがいなくなった代わりにセーラが来たからな。なんでもここを拠点の一つにするらしい。

 

「さて、キンジにお土産を渡さねえとな。」

 

まあ、白雪の作るブロッコリー料理に釣られて来たとも言うけどな。ブロッコリー料理を食べた時のセーラはめっちゃ可愛かったぞ!

 

「これと、これでいいか。」

 

部屋には俺以外今いねえぞ。白雪はSSRの合宿の説明会に行ってるし、ジャンヌは司法取引の手続きに行ってる。セーラは何処かへ出掛けたぞ。

 

「よっと、あれ?窓が閉まってるしアリアがいねえな?」

 

キンジと誰かがベットの上で何かをしてるな。○○○するならカーテンも閉めろよ。

 

「キーくぅーん。このまま理子をカノジョにしちゃおうよぉ。理子はとってもおトクな女の子だよ?キーくんはいつでも好きな時にこのお部屋に来て理子に好きな事をしていいの。」

 

うわ、世の中の男子が理子が言ったことを聞いたら歓喜してんだろうな。キンジにとっては地獄だろうけど。じゃ、静かに窓から失礼しま~す。

 

「いつでも待ってる。お外でも理子はOKだよ?いつでも、したい時に、したい場所で、理子に何をしてもいいの。」

 

さて、理子はキンジを誘惑するように唇をキンジの耳元に寄せたな。RECっと。

 

「そうすれば、HSS。キーくんはヒステリアモード(・・・・・・・・)って呼んでるんだっけ?あのチート状態にも、いつでもなれるんでしょ?」

 

おーおー、キンジの奴悩んでる悩んでる。まあキンジは理子を受け入れなければキンジの兄である金一さんの情報源を失うからな。

 

「さあさあどうするキンジ?このまま流れに身を任せて、理子を受け入れて(・・・・・)しまえば兄の話を聞けるぞ?」

 

あっ、キンジや理子に聞こえないように小声で言ってるからな。

 

「流石リュパンの血を引いてるだけはあるな。キンジの崇拝に近い兄への想いを分かった上で(・・・・・・)言ってるのか。」

 

おっ、キンジが理子の制服を押し留める指の力が抜けたな。そろそろいたずらするか。

 

「やっ「なーにやってんだ二人とも?」!!」

 

部屋の電気を付けたらあれま、理子はキンジをベットの上で押し倒してるではありませんか。それで武偵高のセーラ服を胸元まで捲ってるな。

 

「……。」

 

「フウフウ?もしかしてキーくんとのイベントを邪魔するのかなぁ?」

 

理子がこっちを見て不機嫌そうな表情をしたな。邪魔をする?馬鹿言うなよ理子。

 

「あっ、俺を気にせずに続きをしたまえ。恥ずかしがってるキンジの写真でも撮るか?」

 

「さっすがー♪フウフウ分かってるぅ!」

 

「じゃあ電気を消してく「止めなさいよバカ風雨!!」うわらば!」

 

アリアがSAWTみたいにガラス窓を蹴り破って、俺にドロップキックをしてきやがった!背骨曲がるぅ!

 

「あぁんもー。アリアが出るまでもうちょいかかると思ったんだけどなー。」

 

「この……汚らわしいドロボーの一族!あたしのモノ(・・)は盗めないわよ!」

 

キンジモノ扱いされてる、それで何故かアリアの顔面は真っ赤だな。湯気が出そうなくらい真っ赤っ赤だな、ある程度見てたなムッツリスケベ。

 

「アリアぁー?イベントシーンに別ヒロインが飛び込んでくるなんて、ちょぉーっとシナリオ的にムリあるんじゃなーい?」

 

「確かにな、見てたんなら最初から飛び込めばいいのに。」

 

「あんたは黙ってなさい風雨!!」

 

おわっと!俺にガバメントを撃つな、理子に撃てよ。

 

「キーくんだってその気(・・・)だったんだよ?ねーフウフウ?」

 

「理子の言う通りだな、キンジは理子が制服脱ぐのを止めるのをやめたからな。理子の胸に溺れる何秒か前だったぞ。キンジ、何秒前だった?」

 

「俺に、話を振るな!!」

 

俺の発言にアリアはわたわたしてるな。拳銃を落っことしかねない勢いで動揺してるな。お前何を想像した?やっぱりムッツリすけ「風穴!」あぶな!

 

「そう、女の子の胸の前にひざまずかない男子はフウフウ以外いないのでーす。」

 

「ひでえ言われようだな理子。」

 

「だってぇー、理子が色仕掛けしてもフウフウ無関心なんだもん。」

 

無関心じゃねえぞ?心の中で色仕掛けしてんなー、とは思ってたぞ?

 

「でも、くふっ、アリアには関係ないか。」

 

理子は自分の胸を見た後にアリアの胸を見たな、確かにアリアの胸はペッタンコだからな。あっ、絶句してる。

 

「か、か、風穴!開けてやる、開けてやる!開けてやるわ!!」

 

おーいアリア、そこで地団駄踏むとキンジの頭を踏み潰すぞ?

 

「くふっ、理子はね男の子の好きなもの、ゲームでいっぱい勉強してるんだもん。お子様アリアと違って、男の子の喜ばせる知識、いーっぱい持ってるんだからぁ。」

 

ゲームで勉強かよというツッコミはした方がいいのか?

 

「それをジャマするなんて、ぷんぷんがおー。だぞっ!」

 

うわあざと、って懐中時計を投げたな。

 

「きゃっ!」

 

懐中時計が閃光手榴弾になったな。しかも音がしないって事は改良版か、まあどんな猛者でもいきなり閃光見せられたら萎縮するもんな。

 

「り、理子!何処よ!?」

 

「扉を開閉する音は無かった。」

 

「十中八九屋上だな。しかも女子寮の、行くなら早く行けよ?」

 

俺がそう言うとキンジとアリアは部屋を出たな。やれやれ、お土産は適当な所に置いて理子を追い掛けるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女子寮屋上

 

俺が女子寮の屋上に着くと、理子がにやっとしていたな。

 

「キーくん、アリア、一緒にドロボーやろうよ!」

 

「もしもし警察ですか?知り合いが泥棒宣言してるので逮捕してください。」

 

「ちょっとフウフウ!?何で警察に電話してるの!?理子はまだ何も盗んでないよ!?」



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第27筋 見た目小学生の扱い方はかなり難しい

ブラド編は少し駆け足で行きます。原作とあんまり変わらなくなりそうなので。


「みんな~、りこりんが帰ってきたよ~!」

 

「「「ウォォォォォ!!りこりん!!」」」

 

「アイドルのライブ会場かよ。」

 

やあやあ風雨だ、理子が泥棒宣言した翌日、世界旅行をしてきたという名目で理子が学校に戻ってきたぞ。つーか男子うるせぇ。

 

「みんなありがとう~、今回の服装は、シーズン感を取り入れてみました♪」

 

「「「「可愛いぃぃぃぃぃ!!」」」」

 

しかも今度は男子に混ざって女子もうるせぇ。つーかてるてるぼうずが可愛いって、鞄に付ける意味ねえだろ。

 

「風雨、なんとかしなさいよ。」

 

「出来たらなんとかしてる。ここは静かになるのを待つしかねえよアリア。」

 

こりゃしばらく授業は出来なさそうだな、おやすみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「ふわぁ、だるっ!」

 

そういえば中間テストがあったんだったな。午前中は座ってテストをするタイプだからな。お通夜状態だったな教室が。

 

「おらぁ何ぼぅとしてんだ山本ぉ?さっさと定位置に付けや!」

 

おっと、50m走が始まることを忘れてた。なので綴先生、こっちに向かって拳銃を撃たないでください死んでしまいます。

 

「っち、じゃあ始めるぞぉ?」

 

面倒くせえなー、そうだ目下特訓中のあの技を使えば!

 

「おらぁ!走れやぁ!」

 

よーいドンじゃないんですかい。そこで俺は地面を10回蹴る!

 

「ゴール!っていででで!足つった久し振りにつった!」

 

痛い痛い痛い!やっぱ無理があったか、縮地はまだ完璧じゃねえなぁ。

 

「山本ぉ?お前何をしたんだぁ?タイムが異様に早いぞぉ?」

 

「能力は使ってないですよ?なので反則じゃないのでスタート位置まで引き摺らないで綴先生ぇぇぇ!!」

 

「もう一度やり直しじゃボケがぁ!ちゃんと走れや!」

 

蘭豹先生まで来るのかよぉ!

 

「おら走れや山本!言っとくが6秒切るまで終わらせねぇからな!」

 

「ちくしょょょょょょょょ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ、ひゅー、ぜぇ。」

 

「最初からちゃんと走らないからよ。」

 

うっさいわアリア、ちょっとふざけてみたくなったんだよ。

 

「今度からそーする。スポドリうめぇ!」

 

「ふーん、あんたって運動神経いいのね。」

 

人の成績を勝手に見るな、小学生かよ。

 

「ねぇ、あんたはブラドって聞いたことある?」

 

「ねえな、ブラドがどうかしたのか?」

 

「なんでもない。……風雨まで巻き込むわけにはいかないわね。」

 

「気になるな、ブラドについて教えてくれよアリア。」

 

俺がそう言うとアリアは首を横に振ったな。あんまりブラドの事分からねぇのか?

 

「だめ、教えられないわ。」

 

「なんでだよ?俺にも教えないって事はキンジにも教えてねえんだな?」

 

俺がそう言うとアリアは頷いたな。よっぽどの理由とかあんのかねぇ。

 

「聞いたら消されるからよ。イ・ウーの事も。」

 

「消される、殺されるって意味か?」

 

「それでは済まないわ。戸籍、住民登録、銀行口座、レンタルショップの会員情報に至るまであんたの痕跡は全て消える。」

 

「つまり、俺は存在しなかった(・・・・・・・)ことになるって事か。」

 

恐ろしいなおい、まあ俺には関係無いな。

 

「イ・ウーの事はイギリスでも王国A機密。日本でも特Ⅰ級国家機密だわ。ヘタに知って公安0課や武装検事に狙われたくないでしょ?」

 

イ・ウーの事を知ったらそんなことになるのか。ちょっと気を引き締めて生活しよ。

 

「悪いなアリア、俺はもうイ・ウーの事も知ってるし公安0課に目を付けられてる。」

 

「は、はぁ!?どういう意味よ!?」

 

「そのまんまの意味だぞアリア。」

 

あっ、アリアが怒った表情でこっちを見てきたな。まあ当然か。

 

「あ、あんた!!一体何したのよ!?」

 

「いやぁ、何かいつの間にかこうなってたんだよな。ヨソウガイデス。」

 

「予想外なのはこっちよ!!」

 

まあ、シャーロックに会ってる事や俺の部屋の事情は話さないけどな。

 

「はぁ、もういいわ。死なないように気を付けなさい。」

 

「大丈夫だ、一度死にかけたからな!」

 

「……ねぇ、あんたもり、り、理子に。」

 

何だよ?急に挙動不審になって?しかも顔真っ赤だぞアリア?

 

「へ、へ、ヘンなことされて、トリコになったんでしょ!?」

 

「お前は何を言っているんだ?」

 

「ふ、ふん!理子はブリッ子だから、男子ウケがいいもんね。む、むっ、胸もあるし!」

 

へ、へんなこと言い始めたな。それにしても、顔を真っ赤にして何想像したんだよ?

 

「キ、キンジは教えてくれなかったけど、あんたは教えてくれるのよね!?」

 

「すみませーん、ここに壊れたラジカセがあるので誰か修理してくださーい。」

 

「あたしは機械か!?風穴開けるわよ!!」

 

おー怖い怖い。まるで今のアリアは猫だな、いつか威嚇する咆哮とか使ってくるんじゃね?

 

「教えなさい!ど、ど、どんなハレンチなことされたのよ!包み隠さず白状しなさい!」

 

「おいおい、何でそんなこと聞きたがるんだ?」

 

「え、あ、それはその、う、うるさいうるさい!このピンク武偵!」

 

それは否定出来ねえなぁ。

 

「さあ白状しなさい!理子とふふふ二人で、べべべベットに入って何したのよ!?」

 

「だからキンジに教えてもらえよ。俺がキンジと同じような事をされたという情報は無いだろ?」

 

「うるさいうるさいうるさい!!あんたの部屋から女性三人の声が聞こえるのよ!どうせあんなことやこここんなこともしてるんでしょこのタラシ(・・・)!」

 

してないぞ、白雪とはしかけたけど俺はあいつらに何も手は出してねえぞ。してないよな?

 

「はぁ、キンジも大変だな。」

 

アリアの相手がこんなにも大変だとは思わなかったな。今度キンジによく効く胃薬でも持っていってやるか。

 

「何!?話をはぐらかそうとしてもそうはいかないわよ!?」

 

「逆に聞くが、へんなことの内容を具体的(・・・)に話してもいいのか?」

 

「そ、そ、それは、その……。」

 

あっ、アリアが萎縮した。無理に聞こうとするなよ。本当に小学生みたいな奴だな。

 

「ああああんたなんか人間レンコンにしてやるーー!!」

 

そう言ってアリアは俺にガバメントを撃とうとしたけど、弾薬が無かったことに気付いて走り去っていったな。

 

「キンジ、めげんなよ。」

 

これだけは言っておきたかった。

 



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第28筋 最近のファミレスは何でもある

ファミリーレストラン

 

あれから特に何もなく過ごしたぞ。まあ、キンジが生物の小テストで理子と何かやらかしたのと、学校に獣が現れたくらいだな。

 

その獣はレキが武偵犬として飼ったらしい。その時にキンジはレキを下着姿のまま公道を走ったらしい。よく逮捕されなかったな。

 

「そうなんだ、理子さんが帰って来たんだね。」

 

「お陰で男子も女子も騒ぐ騒ぐ。事情を知らない人達は気楽でいいよなぁ。」

 

授業が終わった後、白雪とジャンヌとセーラとファミリーレストランに来てるぞ。一応武偵高から離れた所に来てるから誰にも会わないはず。

 

「でも何でこの時期なんだろう?もっと早くに帰ってこれた筈だよね?」

 

「まあ、深く考えても答えは出ねえな。」

 

キンジとアリアに泥棒をやらせる。大切な物でも盗まれたのかねぇ。

 

「ところで風ちゃん、セーラちゃんが野菜をたくさん食べてるけど大丈夫なの?」

 

「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ!!」

 

セーラはサラダバーの所にあるブロッコリーを取ってきてむしゃむしゃ食ってるぞ。確かにここのファミレスのブロッコリーは美味しいけどな。

 

「大丈夫かセーラ、ブロッコリー食った分は払わないといけねえんだぞ?」

 

「もぐも……えっ?」

 

セーラがギョッとした表情でこっちを見てきたな。面白いからサラダバーの事は黙ってよう。

 

「すでにブロッコリーが置いてある容器二皿分食べたからな、高く付くぞ?」

 

「聞いてない、白雪本当?」

 

「風ちゃんの言ったことは嘘だよ。あそこにある野菜はどれだけ食べてもいいんだよ?でも野菜ばかり食べても駄目だからねセーラちゃん。」

 

事実を教えるなよ白雪、セーラがこっちを睨んでるじゃねえか。

 

「白雪、事実を教えるなよ。GJ!」

 

「何がGJなのか、風の考えてる事はいまいち分からない。」

 

ジト目のセーラを見れたからな、あれ?ジャンヌは何処に行ったんだ?

 

「や、山本。これは何だ!?野菜が大量にあるぞ!?」

 

「それはサラダバーって言ってな、事前にメニューに組み込んでおけば自由に取ってきて食べられるんだよ。量に制限はないぞ、現にセーラがめっちゃ食べてるからな。」

 

そう言い隣にいたセーラの頭をポンポンってすると若干顔を赤らめたセーラに睨まれたぜ。可愛い。

 

「そ、そうなのか。日本のファミレスというのは凄いものなのだな。」

 

ジャンヌは感心したように頷いてるな。ぶっちゃけ俺にとっては必要ないからいらないんだよな。

 

「それで、あの機械は何だ?」

 

「あれはボタンを押すと飲み物が出てくるんだよ。全部飲み放題だからな。」

 

「飲み放題?」

 

「いくらでも飲んでも良いってことだよジャンヌ!」

 

ただ、節度は守ってだけどな。ミックスジュースを作ろうとは思うなよジャンヌ?

 

「本当にいくらでもいいのか山本?」

 

「そうだが?」

 

「じゃあ、100リットル飲んでもいいのか?」

 

「……いいんじゃねえの?」

 

飲めるならだけどな。

 

「飲めるわけがないだろう。お前は馬鹿か?」

 

「馬鹿ってなんだよジャンヌ?馬鹿って言った方が馬鹿なんだぞ馬鹿野郎!」

 

「野郎とは何だ!!野郎は抜かせ!!」

 

えっ?ジャンヌ何言ってるんだ?

 

「えーとジャンヌ?野郎を抜かしたら馬鹿しか残らないよ?」

 

「うっ!!」

 

あっ、ジャンヌが拗ねた。白雪、そういうのは分かってても言っちゃだめだぞ?

 

「ご、こほん!山本、白雪、お前らは理子を見てどう思う?」

 

強引に話を切り替えてきたなジャンヌ。

 

「私は理子さんはいつも元気な人だと思うけど。」

 

「なるほど、山本はどう思った?」

 

「何かとおしゃれにこだわる、そして何かを必死に変えようとしている風に見えるな。いつも元気なのは周りの人達に何かを悟られないようにしてるからと思う。」

 

あくまで個人の見解だけどな、ん?ジャンヌと白雪は何を驚いてるんだ?

 

「風ちゃん、人の事よく見てるんだね!」

 

「普段はそんなによく見てねえよ。」

 

普段から見てたら疲れて生活どころじゃなくなる。

 

「山本は心理学者にでもなる気か?山本の言う通り、理子はあることを得るために必死になって変えようとしている。」

 

「自由の為だろ?」

 

「風、何で知ってるの?」

 

「色々と調べたからな。」

 

方法は教えねえぞ?犯罪すれすれの事をしたからな。犯罪者になりたいっていうなら教えてやるが?

 

「理子はな、少女の頃は監禁されて育ってきたんだ。今のあいつからは想像出来ねえけどな。」

 

俺がそう言うと、白雪は言葉を失ったような表情になってジャンヌは顔を俯かせたな。知ってたんだな。

 

「理子が未だに小柄なのは、ロクに物を食べさせてもらえなかったから。」

 

「知ってるのか雷電!?」

 

いだ、ふざけたらセーラから足踏まれた。真面目に話すとしますよ。

 

「衣服に強い拘りがあるのは、ボロ布のような物しか着ていなかったから。」

 

「そ、そんな!!でも理子さんって怪盗だけど高名な一族なんでしょ!?何で!?」

 

「リュパン家は理子の両親の死後、没落しているんだよ白雪。使用人たちは散り散りになり、財宝は誰かに盗まれたんだ。」

 

俺はそこまで話してコーンスープを飲む。うん、ここのファミレスのコーンスープうまし。

 

「そ、その後はどうなったの?」

 

「セーラ、説明よろしく。俺はここまでしか知らん。」

 

「何で私が、没落した後は親戚を名乗る者に養子に取ると騙されて、フランスからルーマニアへ渡った。」

 

「そこで理子は監禁されたのだ、ある人物によってな。」

 

ある人物?どんな人物なんだよ?

 

「『無限罪』のブラド、イ・ウーのNo.2だ。種族は吸血鬼だ、普段は紅鳴館に住んでいる。」

 

ブラド、なーんか何処かで聞いたことあるな。あっ、アリアが言ってたな。

 

「気を付けろよ白雪、特に山本。ブラドは世界中に下僕がいて、それぞれが直感に似たもので行動をする。」

 

「ブラドが危険だと直感で思ったら下僕に襲われる。風、お前は特に注意しろ。」

 

指示じゃなくて直感かよ、にしてもジャンヌもセーラも俺に警告してくるな。まあドイツでドンパチしたから目は付けられてもおかしくないな。

 

「それにしても詳しいなジャンヌ?」

 

「ブラドは理子が倒したい相手でもあるし、私も出来れば倒したい。」

 

「ジャンヌの一族は3代前..、双子のジャンヌ・ダルクが初代アルセーヌ・リュパンと組んで戦い、ブラド本人に引き分けている。」

 

マジか、ジャンヌにも因縁がある相手なのか。

 

「ブラドの姿はどんなんなんだ?」

 

俺がそう言うとジャンヌは眼鏡をして紙に絵を描き始めたな。見えないのか?

 

「ジャンヌって眼鏡掛けるんだね!」

 

「普段は掛けてないぞ?ただ、少し乱視気味だから絵とかを描くときは眼鏡を掛ける。よし出来たぞ!」

 

どれどっ!!じゃ、ジャンヌ?真面目に描いたのか?

 

「こういう見た目だ。○で囲った所はブラドの弱点である魔臓がある場所だ。」

 

「「「……。」」」

 

「奴は吸血鬼でありながら銀の弾丸は効かない、デュランダルで刺されても死なないらしい。」

 

あぁ、ジャンヌは絵が下手くそなんだな。まるで幼稚園児が描いた絵だな。

 

「イ・ウーで聞いた情報だと、奴は魔臓が4つあり、4つを同時に破壊しないと倒せないらしい。」

 

「ジャンヌ、ごめんな。絵が下手くそって気付いてやれなくてごめんな。」

 

「私が代わりに特徴を聞いて描けば良かったね。気付けなくてごめんねジャンヌ。」

 

「ええい!本当にこのような見た目なのだぞ!お前達信じてないな!?」

 

いや、その絵がブラドです。って言われても、信じようがねえよ。

 

「大丈夫だ、ジャンヌもきっといつか絵が上手くなるさ!ファイトだ!」

 

「ぐぬぬぬ!!」

 

「話が進まない。ジャンヌ、事実は否定しないで認めて続きを話して。」

 

「お前も酷いなセーラ!?」

 

まあ、俺も絵心ないし、お互い頑張ろうぜジャンヌ?

 

「ごほん、ブラドは理子を拘束することに異常に執着していてな、檻から自力で逃亡した理子を追ってイ・ウーにきて、理子と直接対決をして理子は負けた。ブラドは檻に戻すつもりだったが、成長著しかった理子に免じて、ある約束をした。」

 

「約束?約束って何ジャンヌ?」

 

「ああ、理子が初代リュパンを超えるほど成長し、それを証明できればもう手出しはしない。とな。」

 

初代を超える、なーるほど。だからハイジャックの時に初代を超えなきゃならないって言ってたのか。

 

「胸糞悪い、ジャンヌ、理子はブラドが約束を守ってくれると信じてるのか?」

 

「恐らくな。」

 

約束なんか絶対守るわけねえだろ。まあ、理子は信じざるを得ないんだろうな。

 

「それとブラドは鬼って言われてる。」

 

「鬼……ッ!!」

 

な、何だ!?鬼って聞いた瞬間に頭に痛みが走りだしたぞ!?

 

「風ちゃん!!大丈夫!?」

 

「あぁ、大丈夫だ白雪。痛みは治まってきた。」

 

「いいか、ブラドに会ったら戦わずに逃げろ。」

 

冗談ではないな、ジャンヌが真剣な眼差しで視てくる。吸血鬼相手に真正面からぶつかったりしねえよ、多分。



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第29筋 逃げずに立ち向かいましょう

その後も特に何か起きるわけでもなく過ごしたぞ。強いて言うなら白雪が青森にある星伽神社に行った事と、ジャンヌが武偵高に来たことだな。

 

「はぁ、風雨。俺の受けてる依頼変わってくれないか?」

 

今は放課後、キンジと一緒に歩いているぞ。

 

「嫌だ、アリアと一緒に依頼なんかしたくないな。面倒くせえもん。」

 

俺がそう言うと隣にいたキンジは深いため息をついたな。まあがんばれ!

 

「明日から二週間も住み込みで仕事しないといけねえんだぞ?」

 

理子の計画で紅鳴館にある十字架を取りにいくんだろ?上手くやれよ?

 

「頑張ってねー!」

 

さて、土足に履き替えて帰るとす、何か手紙が入ってるな。何だ?

 

「どうした風雨?手紙?誰かのイタズラじゃねえか?」

 

「だといいんだけどな。」

 

中身を拝借っと、ははん、なるほどねぇ。

 

「……。」

 

「お、おい風雨!?何手紙を破いているんだよ!?何が書いてあったんだよ!?」

 

「ただのイタズラだから腹が立ったから破った。キンジ、俺先に帰ってるからな。」

 

「お、おう。」

 

土足に履き替えて俺は止めてあった車に乗って寮の部屋に帰る。手紙の内容、これは他人には言えねえな。

 

「白雪は出掛けてる、セーラも多分出掛けてるな。」

 

問題はジャンヌだな、俺の部屋にいない事を祈るぞ。

 

「服装はこのまんまでいいな、おっ、着いたな。」

 

考えながら車を走らせてたらいつの間にか寮の前に来てたな。

 

「部屋に誰もいませんよーに。」

 

車から降りて、ダッシュで部屋に向かう。玄関開けたら俺以外の靴は、ありましたね。

 

「おっ、帰ったか山本。」

 

ジャンヌがソファーで本を読んでいたな。好都合だ、そのまま読んでいてくれよ?

 

「ジャンヌ、ちょっとしたら出掛けてくるからな。」

 

俺はジャンヌにそう言って自分専用の部屋に入る。出し惜しみは無しでフル装備でいかねえとな。

 

「よし、忘れ物はねえな。」

 

手榴弾は持ったし、刀も持った。弓矢は置いていこう、多分効かねえだろ。

 

「よし、行ってくる。」

 

「待て山本。お前何処に行くつもりだ?」

 

ジャンヌの方を向けば不安そうな表情をしていた。あれ?バレたか?

 

「ちょっと依頼でな、まあすぐに帰ってくる。」

 

「……嘘だな、山本は嘘を付くとき耳を動かすからな。」

 

マジか、そんな細かい所まで見てるのかよジャンヌ。

 

「正直に言ってくれ。まさかブラドとた「すまん!」うっ!!」

 

ジャンヌにドイツの時にも使った薬を顔に投げる。ごめんな、帰ったら土下座して謝るから許してくれ。

 

「さて、死地へと向かいますか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処かの広い創庫

 

「ここだな、奴が指定してきた場所。」

 

時間は夜、にしてもジャンヌには申し訳ねえ事をしたな本当に。

 

「そろそろ来る頃ッ!!」

 

何だ?この尋常じゃない殺気は!?全身が総毛立つぞこれ!

 

「これはこれは、ちゃんと時間通りに来てくれましたね。遅刻をしないのは偉いですよ。」

 

「小夜鳴先生、あんただったのか。」

 

小夜鳴徹、うちの武偵高の救護科の先生だ。

 

「さて、ここに山本君を呼んだのは訳がありましてね。あの出来損ないのグズに加担する前に殺そうと思ったんですよ。」

 

「出来損ない?理子の事か?」

 

「おや、これだけの情報で分かったって事はあの出来損ないの過去を聞いたか調べた訳ですね。勉強熱心で感心です。」

 

本当にこいつは俺の知ってる小夜鳴先生なのか?気配が全然違うぞ?

 

まるで人格が入れ替わったような。

 

「さて、山本君。ここで一つ授業をしましょう。」

 

こいつは今行動不能にさせた方がいい。けど、動いたら殺される!

 

「遺伝子とは、気まぐれなものです。父と母、それぞれの長所が遺伝すれば有能な子、それぞれの短所が遺伝すれば無能な子になります。」

 

「まさか、理子は遺伝の失敗(・・)のケースのサンプル、とか言いてえのか?」

 

「その通りです。私は10年前にブラドに依頼されて、出来損ない、リュパン4世のDNAを調べた事があります。」

 

小夜鳴は携帯を取り出して何かを見てるな。一体何を見てやがる?片耳にイヤホンまで付けて?表情が興奮しているように見えるぞ。

 

「リュパン家の血を引きながらあの出来損ないは、優秀な能力が全く遺伝していなかったのです(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)。」

 

そう言う小夜鳴は、クククと笑っていた。本当にこいつ携帯で何を見てやがる?

 

「リュパン4世は無能(・・)な存在だったんですよ。極めて希な事ですが、そういうケースもあり得るのが遺伝です。ねぇ?鬼の出来損ない(・・・・・・・)。」

 

小夜鳴は、何を言ってやがる?俺が鬼?いや今1番聞きたいのは。

 

「俺が出来損ないだと?」

 

「おや、今は記憶を失っているんでしたね。実感が無いのも無理はないです。」

 

こいつも、俺の記憶を失っている事に気付いているのか?

 

「山本君、人間はね、遺伝子で決まるんですよ。優秀な遺伝子を持たない人間は、いくら努力を積んでも、すぐ限界を迎えるのです。」

 

「科学で人の価値を決めんじゃねえよ。」

 

「決まるものなのです。現に明日からあの無能は遠山君と神崎さんをつれて十字架を取り返しに来ます。」

 

理子の計画を知ってやがるのか!!

 

「さっきから携帯で何を見て聞いてやがる?答えろ小夜鳴!!」

 

「あの無能の絶望している表情を見て声を聞いているんです。本人がいればもっといいんですけどね、今夜はこれで充分です。」

 

理子の絶望している表情や声?そんなもの見て聞いて何になるんだ!?

 

「疑問ですよね?何故なら彼を呼ぶには絶望が必要なんです。今日はここに来るまでに数人の女性の絶望した表情や声を見て聞いて来ましたからね。」

 

「このゲス野郎が。」

 

「山本君、よく見ていて下さいよ?私は人に見られている方が、掛かりがいい(・・・・・・)ものでしてね。」

 

見る?それにしてもこの感じ、何処かで見たことがあるような!

 

「まさか、ヒステリアモード!」

 

「遠山家でもないのによく知ってますね。そうです、これで彼が呼べます。」

 

遠山家以外にも使える奴がいるのかよ!!もし、それが増えれば、とんでもねぇ事になる!!

 

「さて、私が呼ぼうとしている方は誰かわかりますか?ヒントは『吸血』です。このくらいのヒントを出せば出来損ないの山本君でも分かるでしょう?」

 

吸血、そういえば武藤が言ってたな。小夜鳴先生が間借りしていた研究室から、フラフラになって出てきた女子がいたと。

 

「ブラド、吸血、鬼、ドラキュラ伯爵か!ルーマニアに実在した人物。またの名をワラキアの串刺し公、ブラド・ツェペシュ!」

 

「ご名答です。山本君、しはじの別れです。さあ、かれ、が、来たぞ!!」

 

ッ!!小夜鳴の雰囲気が更に変わっていく!!

 

「最後に山本君の疑問にお答えしましょう、私はね、動物虐待でも愉悦できる加虐嗜好の持ち主なんですよ。」

 

小夜鳴がそこまで言った時、小夜鳴が着ていた洒落なスーツが紙みたいに破け、その下から出てきた肌は赤褐色に変色していく。

 

「へ、変身!?」

 

肩や腕の筋肉は不気味な音を立てて雄牛のように盛り上がっていく。露出した脚はケモノのように毛むくじゃらだ。

 

「はは、嘘だろ?」

 

こんなバケモノが身近にいたのかよ。しかもジャンヌが描いた絵はかなり下手くそだったけど、嘘じゃなかったのかよ。嘘だったらどんなに良かったことか。

 

Ce mai faci(フィーブッコロス)。いや、日本語の方がいいだろう。初めまして、だな。」

 

「お前がブラドか。」

 

くそっ、恐怖で足がすくむ。逃げるなよ俺、逃げたら白雪達までブラドに襲われる!!

 

「あの手紙を見て逃げないでここに来たのは褒めてやろう、だがてめえも4世と同じ出来損ないだ。」

 

「どうかな?科学で人の価値を決めつけるてめえらはボコボコにしてやる。遺伝子だけが人間の価値じゃねえ!」

 

逃げるな、立ち向かえ。たとえ絶対に勝てない相手でも逃げるな。立ち向かえ俺!!

 

「ほぉ?だったらてめえが証明してみせろ小鬼が!!」



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第30筋 吸血鬼の容姿って結局何が正解なのだろうか?

夏休みが終わってしまった、なので不定期更新になります。


「てめえがどれほどオレと戦えるか楽しみだぜ!!」

 

「せいぜい余裕ぶっこいてろ、てめえはブッ飛ばす!」

 

俺はすぐさまポケットから手榴弾を取り出し、ピンを抜いてブラドの顔面に投げ付ける。

 

「そんなもの効くかぁ!!」

 

ブラドは腕で手榴弾を弾き飛ばしたな、その隙に足元に近付いて両足を斬る!

 

「ぐぬっ!?」

 

よし、ブラドは両膝を着いたな。その時に両目を斬り払う!

 

「小賢しい野郎だ!!」

 

ブラドは俺をブッ飛ばそうとラリアットをしたきたが、目が見えないのか誰もいない空間にラリアットをしていた。

 

「まずは一つ!」

 

一つ目の魔臓があるところに向けて突きをして魔臓を潰す。よし、あのマーカーは本当に魔臓の位置を指しているんだな!

 

「やるな、オレの両足と両目を斬って一時的に行動不能にしてから弱点の魔臓を狙う。理に適ってるが、詰めがあめえな。」

 

「どういうこッ!!」

 

何!?刀が抜けねえ!!野郎、筋肉で俺の刀を抜けないように押さえ付けてんのか!!

 

「そうらブッ飛べ!!」

 

「やばっ!!」

 

ブラドがアッパーカットをしてきやがった!反応が遅れたから避けれねぇ!

 

「ゴブッ!!」

 

腹にもろにアッパーカット喰らっちまった!

 

「ガバッ、ゴホッゴホッ!!」

 

ブラドにブッ飛ばされて倉庫の壁に激突した。くそ、たった一撃受けただけでこんなにも痛てえのかよ!

 

「オレのアッパーカットを喰らう瞬間に、後ろに飛んで威力を流したか。出来損ないの癖にはやるが所詮出来損ないだ。」

 

くそ、ブラドの両足と両目の傷が回復してるなもう。やっぱ本格的なダメージを与えるには魔臓を狙うしかねえな。

 

「オラオラどうしたぁ!?久し振りにこの姿になれたんだ、もっとオレを楽しませろぉ!!」

 

「うるっせえよ!!戦術殻 炎!!」

 

前方に直進に進む炎を放つ。様子見は無しだ、ここから全力で行くぜ!!

 

「炎か、小賢しい!!」

 

ブラドは拳圧で炎を消火しやがった、デタラメだなこんちくしょう!

 

「戦術殻 氷!!」

 

刀を籠手にしまって槍を取り出し、ブラドの体に槍を刺す。

 

「オイオイ、その程度か?オレにお遊びは通用しねえぞ!!」

 

ちぃ!ブラドの内部から凍らせようと思ったけど、駄目だったか!

 

「なあ鬼の出来損ない、お前はトマトを握り潰せるか?」

 

「そんなこと聞いてる暇があんのか!?」

 

でもブラドの体に穴は空けれたな!槍を籠手に戻して、空いた穴に手榴弾を突っ込む!

 

「っぉ!!」

 

爆風から逃れる為にバックステップをしたけど、若干巻き込まれたな、でも軽い火傷なら行動に支障はねえな。

 

「……ククク、一つ教えてやる。オレは人間の頭をトマトのように握り潰せるんだぜ?」

 

「くうっ!!」

 

ブラドの野郎!拳圧の突風で俺の動きを封じて来たか!ヤバイ、ヤバすぎる!

 

「戦術殻 風!!」

 

ブラドに頭を掴まれる瞬間に竜巻を発生させてブラドを離す。あ、危なかった。

 

「ふん、悪あがきが。だが気が変わった。てめえは殺さずに4世と同じ檻に入れてやる。」

 

「檻、だと!?」

 

「てめえと4世、出来損ない同士が交尾して子を生めば少しはましなものが出来上がるだろうよぉ!!」

 

さっきから聞いてれば、好き勝手なこと言いやがって!

 

「戦術殻 炎。」

 

「また炎かぁ?そんなもの放ってどうすんだぁ?」

 

「こうすんだよ!!」

 

ブラドに向けて進む炎にダッシュで追い付き、炎の真ん中まで進む。

 

「自殺かぁ?ゲハハハッ!!やっぱりてめえは出来損ないだ!!」

 

「自殺なんかするわけねえだろ、時雨蒼炎流。」

 

炎を周りに纏った俺がブラドに向けて突進する。炎を纏って剣術を放つ、これが時雨蒼炎流だ!

 

「特式十之型、名前はまだねぇ!!」

 

「ぐおおっ!!」

 

ブラドの体に突っ込み、デカイ穴を開ける。よし、これなら再生にも時間がかかるだろ!

 

「ククク、クククククク。」

 

「何が可笑しい!?」

 

「てめえは何にも分かっちゃいねえんだな。いくら攻撃しても魔臓を破壊されねえ限りオレは倒せねえぞ?」

 

んなことは百も承知だ。それに同時に4つ破壊しなければならないこともな!

 

「ああ、魔臓を破壊しねえと倒せねえのは、知ってる。こっちは4つ目の魔臓の位置を探してんだよ。」

 

お陰様で見付けたけどな!

 

「見付かったか?けど見付けてもてめえは4つ同時に攻撃する手段がねえんだろ!!」

 

「っち、確かにその通りだッ!!」

 

ブラドが俺の頭を掴もうとしてきた為、横っ飛びで避ける。掴まったら終わりだ。

 

「だからてめえは出来損ないだ、グハハハッ!!」

 

だけど、俺の目的はここから生きて帰ること!別にブラドを倒さなくても(・・・・・・)いいんだよ!

 

「オラオラァ!!逃げろ逃げろ小鬼がぁ!!」

 

「ッ!!」

 

ブラドが俺の頭を掴む為に手を伸ばしてくる。それをバックステップ、サイドステップ、バク転などで回避する。

 

「逃げ足は速いな、だがこれならどうだ?」

 

ブラドが右腕で地面を叩く。その振動は地震並みか!動けねぇ!

 

「けど、だからッ!!」

 

な、何だ!?いきなり両肩に鋭い痛みを感じたぞ!?

 

「よーし、よくやった下僕供。どうだ出来損ない?オレは部下を直感で操れんだぜ?」

 

ブラドの部下の獣に噛まれたのか、気配も何も無かったぞ!?

 

「このッ!!さっさと離れろ!!」

 

俺は左肩を噛んでる獣の腹を殴り、右肩を噛んでる獣の頭を掴んで投げ飛ばす。

 

「オイオイ、下僕と遊ぶのもいいが、オレを忘れんなよ?」

 

「っがぁぁぁぁぁ!!」

 

ブラドが右腕を振り下ろしてくるのを、両腕をクロスさせて受け止める。

 

「んぎぎ!!このクソ野郎がぁぁぁぁ!!」

 

手は抜けねぇ、一瞬でも抜いたら潰される!!

 

「左腕も忘れんなよ?」

 

「どっ、ぼっ!!」

 

左腕で殴り飛ばされたのか?気付いたら地面を転がっていたぞ?

 

「ハァ、ハァ、ハァ。」

 

やべぇ、意識が朦朧としてきた。しかもブラドの攻撃を受け止めたから両腕がイカれちまった。

 

「もうそろそろ限界か?出来損ないの割には楽しめたぜ?しぶとさならてめえは優秀だ。」

 

ゴギリッ!!

 

何してやがる?風力発電の装置を地面から引っこ抜いて使わねえ部分はへし折ったぞ?

 

「てめえには礼として串刺しにしてやるよ。人間を串刺しにすんのは久し振りだな。」

 

「ああ、そうかよ。」

 

喋るのも、きついな。血を流しすぎたか。全身から血を流してるもんな。

 

「それと、オレは吸血鬼の弱点であるニンニクや十字架も効かねぇからよぉ?」

 

「そうかい、だが「ヒステリアモードは時間が経てば解ける。だから時間が経てばブラドも居なくなると思ってんのか?」!!」

 

こいつ!俺の考えを読んでやがったのか!

 

「てめえが生きてる間に解ければいいなぁ?」

 

「それまで、生き延びればいいだけの話だ!!」

 

両腕はイカれた、平行感覚もぐちゃぐちゃだ。けど、武偵憲章10条、諦めるな、武偵は決して諦めるな。両足はまだ動く。まだ呼吸は出来る。まだ心臓は動いている!

 

「時雨蒼炎流 攻式三之型 遣らずの雨!!」

 

俺は落ちてある刀の柄を蹴り飛ばし、ブラドの顔面に刀を刺す。

 

「まだそんな気力があるか、いい加減楽になれェ!」

 

「楽になんのは、てめえだブラド!!」

 

最後の気力を振り絞って、ブラドが怯んだ一瞬の隙を狙って手榴弾が入った袋を取り出して蹴り飛ばす。

 

「ぐおおおおおお!!!」

 

蹴った瞬間にピンが外れ、ブラドに当たった瞬間に大爆発を起こしたな。

 

「ゼェ、ゼェ、ゼェ。」

 

今の内に、遠くへ逃げねえと!!

 

「ククク、あめえよ。」

 

「グハッ!!」

 

な、何が起こった?俺は何で地面に埋もれてる?

 

「ゲゥバババババババ!!!惜しかったな、4つの内3つの魔臓は今の爆発で破壊されたなァ。」

 

ブラドの持ってる風力発電の棒で叩き付けられたのか。

 

「ちく、しょう……。」

 

クソっ、俺はまだ死ねねえんだよ!死ぬわけにはいかねぇんだよ!

 

「さっさと絶望したツラ見せろォォ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンヌside

 

「……きて。」

 

誰だ?私の事を起こそうとしてるのは?

 

「起きて、ジャンヌ。」

 

「セーラ、か?」

 

私が顔を上げれば困惑した表情のセーラがいた。何故困惑しているのだ?

 

「何で玄関の前で寝てるの?」

 

玄関の前?そうだ!!

 

「セーラ!!山本を見なかったか!?」

 

「見てない。風がどうかしたの?」

 

「山本が、ブラドに戦いを挑みに行ったんだ!!」

 

私がそう言うとセーラも驚愕の表情を浮かべた。山本一人ではブラドに勝てない、何故挑みに行ったんだバカ!

 

「何処に行ったかわかるジャンヌ?」

 

「いや、それを聞く前に山本に気絶させられた。」

 

誤算だった!!いや、悔やむより早く山本を見付けないと!

 

「ん?ジャンヌ携帯が鳴ってる。」

 

「こんな時に誰だ!?」

 

小夜鳴先生?まさか病院に運ばれたのか!?とにかく出なければ!!

 

「もしもしジャンヌさん?夜分遅くに申し訳ありません。ジャンヌさんに伝えておかなければならないことがありまして電話しました。」

 

「伝えておかなければならないこと?」

 

「山本君が住んでいる寮の近くの倉庫に行ってみてください。では。」

 

近くの倉庫に何が、まさか!!

 

「セーラ!!」

 

「分かってる!!」

 

無事でいてくれ、山本!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小夜鳴が言っていた倉庫

 

「そん、な。」

 

「……ッ!!」

 

何故だ!!何故ブラドに挑んだんだ!?

 

「このおびただしい量の血、おそらく風はもう。」

 

「白雪に、なんて伝えればいいんだ!?馬鹿者!!」

 

遠山や神崎、皆になんて伝えればいい!?

 

「串刺し、物語の本の通りね。」

 

「私は、大馬鹿者だ。もっと早く目が覚めてさえいれば!!」

 

私が倉庫で見たのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十字架に張り付けられ、人間が流していい量の限界を超えた血を流して、胸の真ん中に巨大な棒が刺さっている山本がいた。



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第31筋 重傷の身でもやらねばならない事がある

今回の回からあるアニメのキャラが参戦です。なのでクロスオーバーが嫌いだ、見たくないという人はブラウザバック推奨です。




「ねえお父さん、お母さん。僕はね、大きくなったらヒーローみたいな人になるんだ!」

 

何だ?俺は夢でも見ているのか?何故目の前に小さい頃の俺と男性と女性がいるんだ?

 

「それでね!それでね!皆を僕が守るんだ!」

 

小さい頃の俺の言葉を聞いて男性と女性は微笑んでるな。まさか、あの二人が俺の父さんと母さん!?

 

「っ!!あがっ!!」

 

頭が割れるように痛てえ!!意識が飛びそうだ、けど飛ばすわけにはいかない!

 

「行きなさい風雨、後ろを振り返らず真っ直ぐ走るのよ!」

 

こ、れは!そうだ、あれは確か!

 

「で、ても。お父さんとお母さんは!?」

 

「……俺達なら大丈夫だ、向かってくる敵を倒してくるだけだよ。」

 

「駄目だよお父さん!!数百人もいるんだよ!?そんなことしたらお父さんやお母さんは!!」

 

そうだ、俺が無能な存在を知った奴等が俺を抹消しに来たんだ。

 

「大丈夫よ風雨、あんな奴等にお父さんとお母さんは負けないわよ。」

 

「そういうことだ、風雨。お前は言ったな、皆を守るヒーローになりたいと。だったらここに記してある場所に行きなさい。」

 

「さあ!走るのよ風雨!決して振り返らないでね!」

 

「わあああああああ!!!」

 

父さんと母さんはこの後死んだんだ。俺をあの島から逃がす為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病室

 

「…………。」

 

目を開けると白い天井が見えた。おそらく病室か?消毒液の臭いもするし。にしても薄暗いな、夜か?

 

「確か、ブラドに殺されたんだったな。」

 

何故生きてるのかって?死んだら身代わりになってくれる木札を持っていったからな。一度だけなら死は免れる物だよ。今はボロボロに砕け散ったけど。

 

「風ちゃん、風ちゃん……。」

 

体を起こすとベットに突っ伏して寝ている白雪がいた。ずっと俺を看病してくれてたのか。

 

「行かないで、何処にも、行かないで。」

 

「……ごめんな白雪。心配ばかりかけさせて。」

 

多分たくさん泣いたんだな、目の周りに涙の痕が残っている。

 

「でも、行かなきゃ。ブラドの事を知らせないとな。」

 

俺は白雪の頭を撫でてからベットから降りる。ッ、体中が痛むな。けど関係無い。

 

「起きたか、随分と遅い目覚めだな。」

 

病室の服から武偵の制服に着替えてると後ろから声が掛かってきた。ああ、俺はこの人も忘れていたんだな。

 

「あんたが助けてくれたのか?」

 

「私が助けた訳ではない、銀髪の二人組が貴様を助けた。私は少し治療をしただけだ。」

 

結局助けてくれたんじゃねえか、素直じゃねえな。

 

「どれくらい俺は寝てたんだ?」

 

「二週間程だ。そこで寝ている女に感謝しろ、寝ずにずっと貴様を看てたんだからな。」

 

「ああ、分かってるさ師匠(・・)。」

 

俺の発言で後ろにいる師匠は驚いているな。いや、師匠じゃなかったなここで言うのは。

 

「それか、女たらしさん?」

 

「それは貴様もだろう!?全く、その台詞が出てきたということは全てを思い出したな(・・・・・・・・・)?」

 

「ああ、その通りだよ。」

 

お陰様でな、まあ俺の過去は後程ゆっくり話すことにしよう。今はこの三股が何故ここにいるのかを聞かないとな。

 

「だから私は三股などしていない!!まあ、こういうやりとりも久し振りだな。」

 

「俺は心の中で思ってただけで口には出してないんだけど師匠?」

 

「表情に全て書いてあるぞ山本。」

 

マジか、ポーカーフェイスは難しいな。

 

「さて、冗談はこれくらいにしてっ!!」

 

この殺気、まさかまた現れたか!!

 

「貴様を殺った吸血鬼か。それで、そんなボロボロの体で何処に行こうというのだね?」

 

「ブラドをぶん殴ってくる。」

 

戦ってるのはアリアとキンジと理子だろうな。だったら、こんなところで寝てる訳にはいかねえ。

 

「その体でか?死に急ぐようなものだ。」

 

「分かってる、けどあいつらを見捨てる訳にはいかない。決めたんだ、もう二度と誰も失わせないと!!」

 

キンジやアリアなら、対策は練っているんだろうけど、嫌な予感しかしないんだ。それが的中してあいつらが死んだらどうする?

 

「この手で守ると誓ったんだ。俺は父さんと母さんを見殺しにした。だから、もう誰かを見殺しにするのは嫌なんだ!!」

 

「貴様の行動は無意味に終わるかもしれないぞ?」

 

「それでも、やっておけば良かったっていう後悔はしたくない。後悔するなら行動して後悔した何倍もましだ!!」

 

俺はそう言い師匠の方を向く。白い髪に褐色の肌、黒の軽鎧を着ている人が俺を鋭い眼差しで見ている。

 

「やはり貴様はよく似ている。」

 

師匠はそう言うと呆れた表情でため息を付いた。俺と師匠?ないない、皮肉で悲観的な師匠だぞ?俺がそんな奴な訳がない。

 

「似ているって誰にだよ?」

 

「こちらの話さ、行くなら急いだ方がいい。銀髪の子も吸血鬼に挑みに行ったそうだぞ?」

 

銀髪の子、ジャンヌか!?

 

「ああ、ありがとう師匠。」

 

「礼などいらん。私と同じ道は歩むなよ山本風雨。」

 

同じ道か、歩むつもりはない。全てが救えないなら、手の届く範囲のものを全力で救うだけだ。

 

「それから、私が教えた技術は覚えているかね?」

 

「覚えているさ、でも大部分は出力が落ちていると思う。」

 

「ふん、これから精進しろ。」

 

そう言って師匠は消えていったな。どういう体の構造してんだよ?普通体が消えるなんてあり得ないだろ。

 

「まあいいや、久し振りに師匠の顔も見れたし。行くか。」

 

白雪、直ぐ帰ってくるからな。我が儘な俺を許してくれ、埋め合わせはきちんとするからな。

 

「う、ん。行って、らっしゃい。」

 

起きたのか?いや寝言か。でも安らかな顔をしてるな白雪。いい夢見れてるんだな。

 

「はは、行ってくる。」

 

病室の扉を開けてと、そう言えば籠手は外されなかったな。本当に取り外し不可なのかよ。手術した医師涙目だっただろうに。

 

「さて、覚悟しとけよブラド。てめえは絶対捕まえてやるからな。」

 

「……また無茶をする。」

 

「うわっ!?セーラいたのかよ!?」

 

気配が全く感じなかったぞ?ジト目で見てくるし。

 

「本当なら風を無理矢理でもベットに寝かしたい。でも行くんでしょ?」

 

「悪いなセーラ。心配してくれてるのに無茶してばっかりで。」

 

「べべ別に心配なんかしてない!!」

 

おっ!セーラの顔真っ赤、写真撮ろう。

 

「風が死なれると私が困る。生きて帰ってきて。」

 

「任せろ、もう死なねえよ。」

 

セーラの頭をポンポンっと撫でてから玄関に向かう。セーラはムスッとしてたけど、なんでかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランドマークタワー

 

ようやく着いた。ってなんか終わりそうな雰囲気を感じるな。ここ地上だけど。

 

「確か、エレベーターがあるはずだ。」

 

それに乗り込み、屋上へ行くスイッチを押してポケットに入っている機械のスイッチを押す。この機械は盗聴用に持っていたもの。キンジの制服のポケットに隠し付けてるぞ。

 

「ブラドぉ!!」

 

この声は理子か、本当に終わりそうだな。嫌な予感は取越苦労だったみたいだな。

 

「4世っ!!」

 

ブラドが叫んだ後に銃弾が放たれる音が4回聞こえた、ということは4つの弱点を同時に撃ったんだな。

 

「ぶわぁーか。」

 

多分ブラドに向けてあっかんべーでもしてるんだろう。理子ならやりかねないな。

 

「は……ハハハハハ。」

 

「やったな。理子。」

 

まだ屋上には着かないか。キンジやアリアがエレベーターを使うときに鉢合わせたらなんて言おう?気まず過ぎる。

 

「まさか、こんな無能にやられるとはな。」

 

「ブラド、逮捕よ!!」

 

「グァババババ!!逮捕?何勝ったつもりでいやがるんだ鼠共?」

 

ブラドがそう言った瞬間にズシンと地響きが起こったぞ!?なんだ?何が起きている!?

 

「遠山、まだ伝えていなかったなァ?ヒステリアモードには、もう1つ上がある(・・・・・・・・)ってことをよォ!!」

 

「アリア!!」

 

キンジの叫び声と同時に誰かが吹き飛ばされる音がした、アリアが吹き飛ばされたのか!?

 

「ゲハハハハ!!おいおいなんだよ、さっきよりもスゲェ力が出るゼェ。」

 

「ブラド!!お前!!」

 

「おう4世?初代を超えた気分を味わえて良かったなァ?」

 

まさか、死に瀕した時に発動するとかそんな奴か!?だったらまずい、ブラドの一撃は経験した俺がよく知っている。アリアは戦闘不可能だ!!

 

「そ、んな。」

 

「ゲハハハハ!!所詮てめえは俺から逃げられねぇんだよ!!」

 

まだ着かないのか!?くそ、階段で掛け上がれば良かったか?いや、この体でそんなことしたら途中で力尽きる。くそが!!

 

「ブラド!!」

 

誰だ?この声はキンジでもアリアでも理子でもない。まさかジャンヌか!?

 

「久し振りだなジャンヌ・ダルク。山本の仇でも取りに来たかァ?」

 

「風雨の仇?どういうことだブラド!?」

 

「そう言えば話してなかったな、てめえらが紅鳴館に来る前に4世と同じ無能を殺して置いたんだよォ!!」

 

「貴様ァァァァァ!!」

 

駄目だジャンヌ、普通のブラドならともかく、更に強化されたブラドには勝てない!!

 

「ジャンヌ!!」

 

「あぐっ!!」

 

金属が弾き合う音、ジャンヌが持っている剣とブラドが持っている金属の何かがぶつかったのか。

 

「どうしたジャンヌ・ダルク?てめえも無能だな。」

 

「ブラド!!こっちを向け!!」

 

キンジのベレッタの発砲音か、そうだ、1秒でもブラドを足止めしてくれ!!

 

「無理だよ、もう無理だよ。」

 

「ああああぁぁぁぁ!!」

 

「いい声で鳴くじゃねえか?もっと聞かせろよ?」

 

「ジャンヌを放せ!!」

 

ジャンヌの叫び声!?ブラドの奴に掴まれたか!?

 

「ゲハハハハ!!そうら返すぜ遠山ァ!!」

 

「「「あぐっ!!」」」

 

誰かにぶつかった音と壁に激突した音、ブラドが掴んでいたジャンヌをキンジの方に向けて投げたのか。

 

「そろそろ飽きたなァ。4世、てめえのすがる奴等全員串刺しにしてまた檻に入れてやるよゲゥババババ!!」

 

「キ、ンジ。ごめん、もっと対策を練るべきだった。」

 

「謝らなくてもいいよアリア。アリアはよくやった。」

 

あと少しで屋上に着く、もう少しだ!!

 

「遠山、私は!!」

 

「ジャンヌ、無理はしないでくれ。そんな傷だらけの君は見たくない。きっと風雨も悲しんでる筈だ。」

 

「キー君。」

 

「そんなに震えなくても大丈夫だよ理子。理子を狙う悪い奴は俺が退治するからね。理子は一人じゃないんだよ?」

 

「グァババババ!!美しき友情ってやつかァ!?だがそれもてめえらを殺せば無意味だけどなァ!!」

 

着いた!!間に合ってくれよ!!

 

「山本から説教でも受けてくるんだな、グァババババ!!」

 

「「「キンジ(キー君)!!」」」

 

詠唱なんか中二病臭いからやりたくねえけど、やらねえと発動できないからな!!

 

A vision is produced by feelings(空想は想いで造り出す)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

っち、七つのうち二つしか出せなかったか。けど、ブラドの突進は止めれたからよしだな。

 

「そうだぜ。理子、お前は一人なんかじゃねえんだ。アリアやキンジやジャンヌ、それに武偵高の皆もいるんだ。もうそんな男に縛られなくていいんだ。」

 

「嘘、何で、ここに。」

 

「フウフウ?」

 

ジャンヌは俺を見て涙を流してるな。まあ、死んだと思ってた人間が現れたらそうなるよな。

 

理子とアリアは唖然としてるな。無理もないか。

 

「状況は大体聞いた(・・・・・)。後は、任せてくれ。キンジ、行けるな?」

 

「大丈夫だ風雨。」

 

「てめえ山本ォ!!何故生きている!?」

 

「てめえの串刺しが甘かったからじゃねえの?人一人串刺しで殺せねえなんて、腕が落ちたんじゃねえのブラド?」

 

俺の言葉を聞いたブラドは怒り狂ってるな。それでいい、精々怒ってろ。

 

「こうしてキンジと二人で戦うって久し振りだな。」

 

俺は小太刀を二本取り出して装備する。時間はあまり掛けられねえな。

 

「そうだな、足を引っ張るなよ風雨?」

 

「そっちこそなキンジ!!」



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第32筋 リベンジ戦は必ず勝ちましょう

「キンジ、言っとくがちんたらしてる暇はねえ。」

 

今でこそ皆無事でいるがブラドがアリア達に向かっていったらあいつらは死ぬからな。

 

「速攻で片付けるさ、これ以上お姫様達に危険な思いをさせたくないからね。」

 

うん、やっぱりきもいなヒステリアモード時のキンジ。まあすげぇ頼りになるけどさ。

 

「ゲゥババババ、まあいい。もう一度出来損ないを串刺しにするだけさ。」

 

「出来損ない?誰の事を言ってるんだ!?」

 

っち、今ここでその話をすんのかよ。まあ、こちらとしては好都合(・・・・・・・・・・)だけどな。

 

「そこの死にぞこないの事を言ってるんだぜジャンヌ・ダルク。」

 

「山本?どういうことだ!?」

 

「4世と同じだぜ?この死にぞこないは優秀な遺伝子が全く遺伝されてねえんだからよォ!」

 

そう言いブラドは鉄柱を俺にぶつけてくる。ただぶつけに来てるだけだが、桁外れの腕力で俺を木端微塵にしようとしてくるな。

 

「フウフウ!!」

 

「そんな悲鳴に近い声を上げるなよ理子、こんなもの、どうってことはねえよ。」

 

2本の小太刀で鉄柱を受け流す。小太刀の耐久力が不安だが、安物でもねえし大丈夫だろ。

 

「何ィ!?」

 

「隙だらけだぜブラド?」

 

キンジは驚いてるブラドの両目に銃弾を放ったな、うわあえげつねえ。

 

「この鼠共ガァ!!無能の癖に何故この俺と渡り合える!?」

 

「無能だったからこそだ。」

 

ブラドの両目が塞がっている内に小太刀をしまって弓矢を取り出す。そして人間の心臓の位置くらいに炎を纏った矢を放つ。

 

「無能だからこそ、何でも学んだ。何でも吸収した。」

 

凡人が天才に並ぶにはなりふり構わずに何もかも吸収することなんだよ。現に理子だってそうだったからな。

 

「串刺しは止めだ、ミンチにしてやるぜェ!!」

 

ブラドは鉄柱を持った手と何も持ってない手で俺を殴り飛ばそうとしてきたな。

 

「や、山本!!」

 

「だから、そんな悲鳴に近い声を上げるなよジャンヌ。俺は大丈夫だからよ。」

 

ブラドの拳が当たる寸前で小太刀を滑らせて回避し、もう片方の拳を下から小太刀で切り上げて上にずらして回避する。

 

「くそが!!俺の方が強いはずだ!?なのに何故こんな無能に受け流される!?」

 

「言っただろブラド?何でも吸収したって、体で劣るなら技でそれを補えばいい。それと、俺ばかり気に掛けていいのか?」

 

「なっ、遠山ァ!!」

 

俺の方に集中していたブラドがキンジの攻撃に気付かなくてもろに受けたな。キンジはブラドの両足のアキレス腱に銃弾を放ったぞ。

 

「戦術殻 天!」

 

両膝を付いたブラドに、今持ってる二本の小太刀をしまって、籠手から黄色に光る脇差二本を取り出してブラドの右肩、左肩、頭、胴を切り刻む。

 

「援護は任せろ風雨。」

 

ったく、本当にヒステリアモード時のキンジは頼りになるな。最高の援護をしてくれる。現にブラドが俺に攻撃させないように牽制してくれてるし。

 

「この無能がぁ!調子に乗ってるんじゃねえ!!」

 

おっと、体勢を戻したか。なら乱舞を止めて後ろに下がらないとな。

 

「風雨、ブラドは何時まで立てるんだ?」

 

「もうそろそろくたばると思うぞ?ブラドの強化、あれは火事場のバカ力って奴だよ。人間だって死にかけたらとんでもない力を発揮するだろ?あれと一緒。」

 

「長時間は持たないって事か。」

 

俺とキンジが話しているとブラドが鉄柱を横凪ぎに振るってくるのを俺はスライディングで、キンジはバク宙で回避する。キンジお前何処の盗賊だよ?

 

「なっ!!」

 

「調子に乗ってる暇なんかねえんだよ、戦術殻 炎!」

 

籠手から朱色の鞭剣を取り出してブラドに巻き付ける。直線的に炎を出す方だと思って油断したな。

 

「小賢しい真似事だ!こんなの直ぐに引き裂いて「出来るならな、燃えろ!」ぐあぁぁぁぁ!!」

 

柄から炎を出現させ、それをブラドに巻き付いてる鞭に伝わせて全身火だるまにさせる。

 

「え、えげつないな風雨。」

 

「こ、殺すんじゃないわよ風雨!?あいつにはママの為にも生きたまま捕らえないといけないの!!」

 

おろ、アリア起きたんかい。けど大丈夫だ、こんなんじゃくたばらねえよ。くたばったらすまん!

 

「くそが!!だったらまず後ろにいる女共から殺し「俺の前で大事なお姫様達にそんなことはさせないぜ?」おっ!!」

 

キンジがベレッタを発砲して鉄柱を持ってるブラドの手首の尺側手根屈筋、短掌筋、長掌筋を撃って握力を失わせて鉄柱を落とさせたな。

 

「ガキどもがァ!!もうこうなったら仕方ねぇ!!」

 

「なっ!!風雨!!」

 

ちぃ!ブラドがジャンヌ達の方に向かっていったか!キンジがベレッタを発砲して止めようとしてるけど、全然止まらねぇ!

 

「まずはてめえから殺してやるよォ!!」

 

誰に行く?アリアか!?理子か!?ジャンヌか!?

 

「させるかよ!!」

 

アリア達の前に縮地で移動する、うっ!やっばりまだ慣れねぇから足がつった!

 

「グァババババ!!予想通りだぜェ山本ォ!!」

 

「なっ!!またかよ!!」

 

ブラドの下僕が俺の肩に噛み付いてきた、牙は皮膚に刺さらなかったけど、動きを止められた!

 

「そうらぶっ飛びやがれェ!!」

 

「ば、ぐっ!!」

 

ブラドの左フックを喰らってエレベーター近くの壁に激突した。や、ば、意識が……。

 

「山本!!」

 

この、声は、ジャンヌか?けど、視界が回ってよく見えねえ。

 

「もういい!!お前はもう戦わなくていい!!そんな血まみれの状態の山本を私は見たくない!!」

 

そう、なのか?俺血まみれなのか。全然感覚ねえや。眠くなってきたから寝ても……。

 

「もう、やめて……。」

 

ん?何か温かい水が、これは涙か?

 

「グァババババ!!いいシーンじゃねえか!!けど、俺ァそういうシーンをぶち壊したくなるんだよなァ!!」

 

そうか、ジャンヌを泣かせたのか。白雪も泣かせてしまった、そうだ!こんなとこで寝てる暇はねえ!

 

「なあに安心しろ無能、ジャンヌ・ダルクは4世みたいに可愛がってやるからなグァババババ!!」

 

「おいブラド。」

 

「しぶてえな、まだ立ち上「その薄汚ねえ口を閉じろ。」ぶっ!!」

 

ブラドの口に雷と風を纏った矢を放つ。くそ下衆野郎が。

 

「俺の大切な人に手は出させねえ。」

 

「てめえみてえな無能が誰一人守れるわけねえだろがァ!!それがわからねえのかァ!?」

 

もういい、こいつには何言っても無駄だ。

 

「キンジ、ブラドの下僕を頼む。」

 

俺はそう言い籠手から特殊な矢を取り出す。平賀が何故これを造れたのかは謎だけど。

 

「任せろ風雨。」

 

キンジはベレッタを発砲して弾丸を下僕の背中をかするようにして当てたな。あっ、行動不能になった。

 

「山本ォ!!」

 

ブラドが俺に向かって突進してくるが、気にせずに矢の先端に魔力を溜める。

 

A vision is produced by feelings(我が螺旋は捻れ狂う)!!」

 

「っ!!」

 

ブラドが俺の矢の射程範囲外に逃げようとするがもう遅いぜ?

 

偽・螺旋剣(カラドボルグⅢ)!!」

 

俺の放った矢が螺旋状に回転し、ブラドの右胸に当り、ブラドが螺旋状に回転しながら壁に激突した。

 

「グァ、バババ。」

 

「ぜぇー、ひゅー、ぜぇー、ひゅー。終わりだブラド。」

 

ブラドは前のめりに倒れたな。やっと倒したか。

 

「終わったのか風雨?」

 

「ああ、終わった……。」

 

安堵した瞬間、俺の視界はブラックアウトした。そーいや血まみれだったもんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、俺は再び病院に戻され白雪からこってりと説教された。いや確かに無茶したことは悪いと思ってるよ?だけど俺を簀巻きにして説教するってどういうことなの?

 

「もう!!分かった風ちゃん!?」

 

「充分に分かりました。だからこの簀巻きの状態を解除して下さい白雪。」

 

「駄目!!」

 

ケチ、なら無理矢理引き裂くのみ!!

 

「よっと、それでなんでジャンヌもいるんだ?」

 

「山本が無茶してないか見てるだけだ。白雪だけだと不安だからな。」

 

ジャンヌは俺を見て溜め息を付く。そういや、ブラドの騒動は一切報道されなかったな。余程イ・ウーの存在を隠したいのか。

 

「風ちゃん、いつ退院出来るの?」

 

「明日には退院出来るぞ白雪。」

 

「「えっ!?何で!?」」

 

ブラドと戦ったのが2日前、それで薬がベットに置いてあったんだよな。その薬を飲むとあら不思議、傷が治りましたとさ。師匠が置いてったのか。

 

「秘薬って便利だな!」

 

「どういう体の仕組みをしてるんだ山本!?」

 

知らん、というか白雪?何故服を脱ごうとしてるんですかね?

 

「なら、ドイツで出来なかった風ちゃんと1つになることが出来るんだね!!」

 

「白雪!!ここ病院、そんなことをする場所じゃねえから!!ジャンヌも何か言ってやれ!!」

 

「~~~~~~っ!!」

 

ジャンヌは顔を真っ赤にして、スカートの裾を掴んでモジモジしてる。可愛い!!

 

「ジャンヌ!!ここで迷ってたら次のチャンスがいつ来るか分からないよ!?」

 

「だ、だが!!そういうのは時と場所を弁えるものだろ!?」

 

そうだそうだ!!ジャンヌの言うと……ってジャンヌも服を脱いでんじゃん!!さっきの発言を撤回しなさいよ!!

 

「で、でも。今回は予行ということにしよう。うん、それがいい!!」

 

「全っ然良くないぞジャンヌ!?」

 

俺の傍に近寄るなぁぁぁぁぁぁ!!そして白雪は何がとは言わないが大きいし、ジャンヌも意外と大きかった!!

 

「風ちゃん、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。天井の染みを数えてれば終わるから!!」

 

「山本、私はもっと山本を感じたいんだ。それに、ドイツでは何でもするって言ったよな?」

 

ジャンヌがニヤニヤしながら言ってきやがった!しかもそれは何でも奢るって言っただけで、何でもするとは言ってないぞ!?

 

「「さあ!!山本(風ちゃん)も服を脱ぐ!!」」

 

「誰かヘルプスミィィィィィ!!!」

 

この後無事に病室から脱出した。いや、そういう行為をするのは嫌じゃねえよ?ただ、避妊具無しでするってどうなのよ?




はい、これにてブラド編終了です。ちょっと駆け足気味でしたかね?

次はオリジナル編に入ります。それと朗報です、次の編で女装をするよ、やったね風雨!!

風雨「なんで!?」


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魔女狩り裁判 祝光の聖女 編
第33筋 男一人に対して女二人の時は両手に花っていうことわざがあるけど、女三人の時の場合のことわざってないよね?


9/17 最後の部分の話を修正しました。


「風ちゃん!ほら早く早く!」

 

「分かった分かった、そんなに焦らなくてもいいだろ白雪。」

 

ブラドとの戦いから3日経ち、いつもの学生生活が戻ってきた。まあ、今日は日曜日なんですけどね!

 

「今日は山本が面白い所に連れていってくれると聞いたからな、楽しみにしてるぞ?」

 

「あー、変な期待するなよジャンヌ?俺が良く行くところを行くだけだからな?」

 

日曜日だからって事で白雪とジャンヌとそしてセーラの四人で出掛けてるぞ。

 

「まずはここだな、100円を払って色々なゲームが出来る建物だぞ。」

 

通称ゲーセン、流石に知ってるだろ。

 

「こ、こんな建物も日本にはあるのか!?理子から聞いてたが予想以上だな。」

 

「このゲームの景品にブロッコリーってある風?」

 

「いや、ゲームの景品にブロッコリー等の生物が入ってたら色々問題だろセーラ。」

 

どんだけブロッコリー食いたいんだよ?昨日も塩で茹でたブロッコリー食ってたよな?

 

「取り敢えず中に入るぞ三人共?」

 

ゲーセンの建物の中に入ってと、今日はそんなに人はいないみたいだな。良かった良かった。

 

「や、山本!?ピカピカ光ってる機械が大量にあるぞ!?こんなにあるものなのか!?」

 

ジャンヌが建物の中に入った瞬間に唖然とした表情で周りを見てるな。面白いから写真取っとこ。

 

「これくらいが普通だぞ?って白雪とセーラは何処に行った?」

 

いつの間にかいなくなってるし、白雪は分かるけどセーラもかよ。

 

「風ちゃん風ちゃん!!」

 

「いたいた、勝手に何処かに行くなよ白雪。それで、まずはこのUFOキャッチャーからやるのか?」

 

どれどれ、ワンプレイ100円で景品は、ペンギンのぬいぐるみか。ってセーラめっちゃ欲しそうな顔をしてるな。

 

「このペンギンのぬいぐるみが欲しいのかセーラ?」

 

「べっ!!別に欲しいわけじゃない!!これは貧しい子供達の土産にと考えてただけだ!!決して私が欲しいわけじゃない!!」

 

いや、そんなに焦って言ったら自分が欲しいですって言ってるようなもんだぞセーラ?慌てた表情のセーラの写真も撮ってと。何に使うのかって?ある人に渡すんだよ。

 

「じゃあ私が取ってあげるねセーラちゃん!!」

 

「だから私は欲しいとは一言も言ってない!!」

 

変な意地張んなくていいのに。って白雪、100円入れてアームを動かして取ろうとしてるけど、ぬいぐるみに掠りもしてねえぞ?

 

「山本、これは一体どういうゲームなんだ?」

 

「これはUFOキャッチャーって言ってな、100円払って景品を取る機械を自分で動かして景品を取るゲームだ。見た目以上に難しいぞ?」

 

俺がジャンヌに説明している間にも白雪はぬいぐるみを取ろうとしてるけど、全然駄目だな。

 

「このUFOキャッチャー難しい。セーラちゃんやってみる?」

 

「多分、直ぐに取れると思う。」

 

セーラが100円入れてぬいぐるみを取ろうとしたな。おっ、アームがぬいぐるみに引っ掛かった。

 

「凄いね!あとは景品受け取り口に落とせば手には……あっ!」

 

惜しい、運ぶ途中で落としたな。もう1回やれば手に入るかもな。

 

「…………。」

 

めっちゃ膨れっ面の表情をしてるなセーラ。写真取って武藤とかに見せれば発狂しそうだ。

 

「よし、私もやってみるぞ!」

 

ジャンヌ、鼻をフンスと鳴らして意気込むのはいいけど多分取れねえぞ?

 

「止めとけジャンヌ、ジャンヌじゃ手に入らないと思うぞ?」

 

「風ちゃんの言う通りだよジャンヌ。ゲームセンターに入ったことがないジャンヌは取れないと思う。」

 

「大丈夫だ、白雪とセーラのやり方を見てたからな。必ず取ってみせる!」

 

ジャンヌが100円入れてアームを動かしてぬいぐるみを、おい掠りもしてねえぞ?

 

「ジャンヌ、今のはわざと?」

 

「こ、これは予行練習だ!決して間違えて操作をミスした訳ではないからな!!」

 

操作ミスしたのか、苦しい言い訳はセーラには通用しないぞ?

 

「次は取ってみせあっ!」

 

また掠りもしなかったな。うう、可愛そうに。

 

「その同情の目をするな山本!!次こそは必ず取って……。」

 

「ジャンヌ、もう止めようね?」

 

3回やって1回もぬいぐるみに掠りもしなかったぞ。ある意味天才だな!!

 

「みみみ見るな!!私を可哀想な人を見る目で見るな!!」

 

おー、顔真っ赤だな。大丈夫だ、誰にも得手不得手はあるからな。

 

「風ちゃん!!お願い!!」

 

「はいはい、分かったよ。」

 

俺は500円入れて回数分だけペンギンのぬいぐるみを取る。ジャンヌがorz状態になってるのは気にしないでおこう。

 

「ほら、三人共。俺だけこんなに持っていても仕方無いからやるよ。」

 

「ありがとね風ちゃん!!相変わらずUFOキャッチャー上手いね!!」

 

コツがあるんだよ白雪。まあ教えないけどな。

 

「……別に私の分まで取らなくてもいいのに。」

 

「とか言ってぬいぐるみをギュッと抱き締めてるぞセーラ?意地張るなよ。」

 

「違う!!これは落とさないようにしてるだけだ!!」

 

嬉しそうな表情で怒っても俺が喜ぶだけだぞセーラ?しかし、ペンギンのぬいぐるみの中に1つ変なのがあったな。

 

「何故山本が手に入れたペンギンのぬいぐるみの中に女性のキャラクターのぬいぐるみがあるんだ?」

 

金髪でエメラルド色の目で剣を持ったキャラクターだな。まあ名前にペンギンのペンは付くけどさ。

 

「このぬいぐるみは師匠に渡そう。」

 

きっと喜んでくれるんだろうな~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後は音ゲーやったり、レースゲームをやったりしたぞ。ってかセーラが意外とゲーム上手かった。ジャンヌ?察するんだ。

 

「今日はいっぱい遊んだね!ジャンヌもセーラちゃんも楽しめた?」

 

「楽しかった、あのレースゲームはまたやりたい。」

 

今はファミレスにいるぞ。主にデザートがメインのファミレスだけどな。

 

「また来たいとは思うが、もっとゲームに慣れてからだな。誤算だった。」

 

「気負い過ぎるなよジャンヌ、下手でも楽しめばいいんだよ。」

 

「そうだな、楽しめばいいもんな!」

 

そうそう、それでいいんだよ。

 

「それで、風は何故デザートをそんなに食べてるの?」

 

セーラが呆れた表情で見てきたな、別にパンケーキ3品、ケーキ3品、パフェ2品しか食べてねえけどな。

 

「見てるこっちが胃もたれしそうだ。」

 

「太田○散の薬あるぞジャンヌ?飲むか?」

 

「何故持ってるんだ!?そしてその薬は山本が使うべきだ!」

 

苦いから嫌だ、って会話してたらデザート無くなったな。最後にモンブランでも頼みに行くか。

 

「俺は注文しに行くけど、食べたいものとかあるか?」

 

「私は無いよ、これ以上食べたら夕御飯が食べられなくなるからね。」

 

「私もない。風食べ過ぎ、お腹痛くしても知らない。」

 

「私も無いな。」

 

あれま、じゃあさっさとレジに行きますか。

 

「うわ、ちょっと混んできたな。席に行くまで少し時間が「掛からないよ風雨君。」って何で居んの!?」

 

隣にシャーロックが居やがった!!何でこんなにも遭遇率が高いんだよ!?

 

「たまたまだよ。脳を使うと甘いものが食べたくなるからね。」

 

「それは言えてる。で、俺に何かを伝えに来たんだろシャーロック?」

 

俺がそう言うとシャーロックは懐から手紙を取り出したな。何だ?俺宛か?

 

「この手紙は読まなくてもいいよ。この手紙を読むには相応の覚悟が必要になるからね。」

 

「どういう意味だよ?」

 

「少しくらいは話そう、カツェ君が処刑される。」

 

……冗談って訳じゃ無さそうだな。

 

「明明後日にはバチカンの広場で公開処刑される。見せしめの意味も込めてね。」

 

「何で急にカツェは捕まったんだ?」

 

「それは言えないな、自分で確かめるといい。でも僕はこの話を聞かなかった事にするのが賢明だと思うよ?」

 

カツェは魔女連隊の隊長、魔女連隊は雇われたら何でもする組織。シャーロックが言いたいことは想像出来る。

 

「カツェを助けない方が世界的には幸せになる、テロが減るかもしれないからな。もし助けようとでもしたら世界中を敵に回す事になる。そうだろ?」

 

手紙の内容は、ふむふむ。マジかよ。

 

「よく分かってるじゃないか。それで、よく分かってる上で手紙を読んでいるんだね風雨君?」

 

「ああ、誰に何を言われようが俺はカツェを助ける。」

 

例え世界中を敵に回しても俺は○○○○○○○○○○○○○○○○する訳にはいかねえからな。

 

「そうかい、なら僕は何も言わないよ。」

 

そう言ってシャーロックはレジでケーキ3品が入った箱を受け取って店から出たな。こりゃデザート食ってる場合じゃねえな。

 

「風ちゃん?遅かったけど何してたの?」

 

「悪い皆、用事を思い出したから先帰るから。会計の金はここに置いていくからな。」

 

俺はそう言って皆の分の金をテーブルに置いて店を出る。手紙に書いてある内容、これが本当ならあの人の力を借りないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテルロビー

 

「全く、急に電話を掛けてきたから何事だと思ったぞ?」

 

「すみません金一さん、急に電話掛けてしまって。」

 

金一さんに聞きたいことがあったから電話して、金一さんが寝泊まりしているホテルのロビーに来たぞ。まさかこんな近くのホテルに居るとは思わなかったな。

 

「言っておくがこれから寝るところだから手短に頼むぞ?」

 

と言うことはさっきまで長時間のH.S.Sを発動させていたのか。

 

「分かってますよ金一さん。とても大事な事を聞きます。」

 

俺が真剣な眼差しで言うと金一さんも真剣な表情になったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女装のやり方、変声術等教えて下さい!!」

 

「…………。」

 

「いや、冗談とかじゃなくて本気で訊ねているのでその殺気とシングルアクションアーミーをしまってくださいお願いします。」

 

怖い怖い!金一さんは怒るとやっぱり怖えな!

 

「一応聞くが、何の為にだ?」

 

「ある人がバチカンで処刑されそうになってるのを救う為です。けど、このままの状態でイタリアに行ったら目を付けられます。」

 

ドイツでドンパチしちまったからな。それにカツェと一緒に行動していた所も多分見られてるだろうしな。

 

「それで、女になって敵の目を欺こうという訳か?」

 

「言いたくないなら別に言わなくても大丈夫です。自分で何とかしますから。」

 

うーん、教えてくれそうにないな。仕方無い、自分で何とかしますか。

 

「少し待ってろ。」

 

そう言って金一さんはエレベーターに乗っていったな。何をしに行ったんだ?

 

15分後

 

「これを風雨にやる。これを見て自分で何とかしろ。」

 

金一さんから1冊の大学ノートを貰う。この中に色々書かれているみたいだな。

 

「ありがとうございます。それで、何故金一さんは日本に来てるんですか?」

 

「第二の可能性の為にだ。風雨、キンジを頼むぞ。」

 

金一さんはそう言ってエレベーターの所に向かって行った。さて、まずは部屋で金一さんがくれたノートを見てみますか。




○の部分は敢えて隠してあります。何が入るか予想してみて下さい、多分分かる人は分かると思います。


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第34筋 別に仲間は同級生じゃなくても構わんのだろう?

今回からAA勢も混ざります。

9/17 話を少し修正しました。


寮の部屋

 

「さて、イタリアに行く飛行機は明後日だから余裕あるな。」

 

金一さんから貰ったノートの内容は何とかマスター出来たし、あとは衣装と情報だな。

 

「まあ、その2つは理子に頼んであるから大丈夫だろう。衣装の方は嫌な予感しかしないけどな。」

 

理子に頼んだ時にあいつ満面の笑みでサムズアップしてきたからな。あーやだやだ。

 

「あとはカツェを救出するメンバーだな。」

 

出来れば白雪とかジャンヌ、セーラとか連れていきたいけど、無理だな。あいつらが危険な目に合う。

 

「風ちゃん、何を考えてるの?」

 

「何でもねえよ、夏休みの計画を考えてただけだ。」

 

おっと危ない危ない。戦略を書いてある紙を白雪に見られるところだった。

 

「山本、また無茶をする気だな?」

 

「何を言ってるのかわからねえぞジャンヌ?」

 

「カツェちゃんを助けに行くんでしょ!?もう私達に隠し事は出来ないよ風ちゃん!!」

 

バレテーラ、誰かに話したりとかはしてねえぞ?まさか心を覗い「理子さんが話してくれたからね!」よし、あいつ明日説教だな。

 

「出来れば今回は白雪達を連れて行きたくないんだ。分かってくれ。」

 

「嫌だよ、これ以上風ちゃん一人に無茶をさせたくないの!私も行くよ!」

 

白雪は真剣な表情で俺を見てくるな、ジャンヌもセーラも同じだな。

 

「カツェは私の知り合い、死なせる訳にはいかない。」

 

「分かってるのか?世界中を敵に回すかも知れねえんだぞ?生半可な気持ちで言ってるんじゃねえだろうな三人共?」

 

俺は本気の殺気を三人に浴びせるが、三人は怯んだりは一切しなかった。

 

「分かってないのは山本だ、そんなに私達を信用していないのか?」

 

「……はぁ、好きにしろよ。」

 

こりゃ負けたね、白雪達の決意は本物か。

 

「それで、明明後日に刑が執行されるけど、どう救出するかは考えてあるの風?」

 

「取り敢えず出発は明後日だ、飛行機のチケットは俺を含めて5枚取ってある。」

 

あとは情報だな。情報がありと無しの場合では全然作戦とかの立てやすさが違うからな。

 

「あれ?何で5枚も取ってあるの風ちゃん?」

 

「まあ、元から白雪達は連れて行くつもりだったんだよ。さっきの脅しはコレクションの為にやった。」

 

恥ずかしがってる姿や嬉しそうな表情の姿は撮ってあるけど、凛凛しい姿の写真は撮ってなかったからな。

 

「写真を撮る為に本気の殺気をぶつけたってことだな山本?」

 

「悪いな、まあ白雪達の気持ちも知りたかったって言うのはあるけどな。それで、何で三人共こっちに近付いてくるんだ?」

 

ジリジリと近寄って来てるが、何する気だよ?

 

「いつもやられっぱなしだからな。理子から山本の弱点は聞いた。今度はこっちがやり返す!」

 

「風、梅干しの匂いは好き?」

 

「もちろん、大嫌いだ!だからセーラ、その手に持っているタッパーの蓋を閉めてくださいお願いします!!」

 

理~子~!!いらねえ情報を白雪達に教えやがって!!

 

「そう、ならもっと嗅がせてあげる。ジャンヌ、あれをやって。」

 

「セーラお前うぷっ!気流を操って梅干しの匂いを俺の方に向けるなよおえっ!!」

 

くそっ、兎に角だっし「させないぞ山本。足元と左腕を見るんだな。」ダニィ!?

 

「謀ったなジャンヌ!!」

 

両足と左腕が凍らされていたぞちくしょう!!おかげで身動きが取れねえ!!

 

「山本、100%梅ジュースは好きか?」

 

「おい、まさかそれを身動きの取れない俺に飲ませる気じゃねえよなジャンヌ?」

 

「もちろんだ山本、たくさん飲ませてやるからな。」

 

止めろぉぉぉぉぉ!!死にたくない、死にたくないぃぃぃぃ!!死にたくないぃぃぃぃぃぃぃぃ!!

 

「ジュースが無くなったら駄菓子の梅干し、自家製の梅干しもあるからね風ちゃん。遠慮なく食べてね?」

 

セーラとジャンヌ、ニヤニヤしながらこっち来るな!

 

「風ちゃんには色々反省してもらわないとね。セーラちゃん、ジャンヌ、梅干しをたくさん飲ませたり食べさせてあげてね?」

 

「風、無茶をするお前が悪い。大人しく梅干しを食べて。」

 

「今日は私が山本をからかってやるからな。白雪、撮影は頼んだ。」

 

キンジぃぃぃぃ!!アリアぁぁぁぁ!!助けてぇぇぇぇ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「来たか山、って凄い顔になってるぞお前?昨日一体何されたんや?」

 

蘭豹先生に呼び出しを喰らったから教務科に来ているぞ。けど、蘭豹先生が俺の顔を見た瞬間にギョッとした表情をしたけど、俺今どんな顔になってんだ?

 

「地獄(梅干しを食べさせられたり飲まされたりした)を経験した、怖い梅干し怖い。」

 

数時間くらい梅干しを食べさせられたり飲まされたりしましたよええ。お花畑が鮮明に見えたぞ。

 

「詳しくは聞かんとくわ、呼び出しの理由や。お前、戦徒(アミカ)とかいないやろ?」

 

「面倒だから取る気にもならないですね。」

 

戦徒(アミカ)って言うのは先輩の生徒が後輩の生徒とコンビを組み、1年間指導する二人一組(ツーマンセル)特訓制度の事だぞ。

 

「それに、衛生科のEランクの奴とコンビを組みたいっていう人なんていないと思いますけどね。」

 

ちなみに男子の場合は『戦兄弟(アミコ)』、女子の場合は『戦姉妹(アミカ)』って呼ばれるぞ。男子生徒と女子生徒が組む異性間契約も可能。

 

キンジは風魔陽菜っていう風魔一族の末裔の子と、アリアは間宮あかりっていう子と戦姉妹契約を結んでいる。

 

「山本の言う通りやな、けど一人の生徒が戦姉妹を探していてうちに相談が来たんや。」

 

「言っておきますけど、俺は戦徒とかは取りませんから。」

 

「けど、その戦姉妹を探している子は山本を指名しているんや。」

 

うわっ、物好きな奴もいたもんだな。ドタキャンしようかな。

 

「ドタキャンしたらどうなるか分かってるんやろうな?一升瓶飲ませるからなぁ?」

 

ドタキャンしたら死ぬって事ですね分かります。あーやだやだ。

 

「まあ、行ってきますよ。」

 

そう言い俺は教務科を後にして強襲科に向かう。俺は人に何かを教えるって事は出来ないから戦姉妹や戦兄弟なんて取りたくなかったんだよ。ん?白雪から電話だ。

 

「もしもし?」

 

「あっ風ちゃん?風ちゃん戦姉妹の子を探しているんだよね?」

 

「まあそうだけど、誰から聞いたんだ?」

 

蘭豹先生にさっき聞いたばっかりだぞ?また他の誰かから聞いたのか?

 

「その戦姉妹の子からだよ。強襲科の広い広場にいるみたいだから行ってあげてね!」

 

「分かったよ。」

 

さて、電話を切ったらもう強襲科の入り口が目の前にあったな。誰がいるのやら。

 

「お邪魔しま~す。」

 

「誰だてめぇ?取り敢えず死ね!!」

 

中に入ったら男子生徒3人が俺に向かって突っ込んで来たな。やれやれ、これだから強襲科には行きたくないんだよ。

 

「まあ落ち着けよ、暴力反対!」

 

「なら死ね!!」

 

駄目だこりゃ。仕方無いから向かって来た三人の内の一人にスライディングして転ばせて、残りの二人に向けて転ばせてた奴を蹴飛ばす。

 

「「「うわらばっ!!」」」

 

「それで、この中に俺と戦姉妹契約を結びたい人がいるって聞いたんだが?」

 

「あたしです。」

 

んん?女の子か。随分と長身だな、それに金髪ポニーテールか。ハーフの子かな?

 

「強襲科Bランク一年、火野ライカです山本先輩!」

 

うんうん、元気な子だな。にしても火野、火野、何処かで聞いたことがあるな?

 

「それで、火野はどうして俺と戦姉妹契約をしようと思ってるんだ?俺は衛生科のランクEだぞ?」

 

「えっ!?そうなんですか!?」

 

な、なんだ?火野はともかく周りにいる奴等もざわざわし始めたぞ?

 

「てっきり強襲科だと思ってました。でもあの先輩も強襲科って言ってたんですけど?」

 

「おいおい、ちゃんと情報を得てから指名とかしような?それで、誰から俺が強襲科って聞いたんだ?」

 

「アリア先輩から聞きました。」

 

よし、あいつ後でシバくか。

 

「何だよ強襲科のすげー奴が来るかと思ったら衛生科かよ。帰れよ、それか今すぐ死ね!!」

 

「そーだそーだ!!死ね!!死ね!!」

 

周りの強襲科の生徒が煽って来てるな。まあこんな奴等は無視だ無視。

 

「で、どうするんだ?止めたいなら止めるでもいいぞ?」

 

「いえ、戦姉妹試験を受けて下さい。アリア先輩が間違いとかであんなことを言わないと思いますので。」

 

火野は本気みたいだな。仕方ねえな。

 

「分かったよ、ルールは知ってるな?」

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

そう言い火野はトンファーを構えたな。おっ、近接戦闘型か。俺も武器を構えないとな。

 

「あの、先輩?」

 

「ん?どうした火野?ああ、開始はそっちのタイミングで構わねえからな。」

 

「分かりまって何でカメラを持ってるんですか!?」

 

「これが俺の武器だよ。このカメラは耐衝撃、耐防刃、耐防弾、耐水性、耐火性、耐電性に優れたカメラだからな!」

 

値段はかなり掛かったけどな。おのれ平賀め。

 

「ふざけないでください!!」

 

「至って大真面目だぞ火野?ほら、時間はあまりないんだぞ?かかってきなされ。」

 

「くそっ、すぐにケリ着けてやる!!」



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第35筋 調子に乗ったら大体痛い目を見る

「くそっ、ちょこまかちょこまかと!!」

 

「ハッハー!どうしたどうした?そんなんじゃこのバッチは取れねぇぞ火野?」

 

うんうん、トンファーを使った攻撃は中々目を見張る物があるけど当たらなければどうってことないね!

 

「っは!!」

 

「へ?あうち!!」

 

トンファーで俺の顔面を狙うふりをして足払いを掛けてきたか、いやはや油断し「貰いました!!」うっそ間接技!?

 

「いだだだだだ!!腕引き十字固めとか腕の骨を折る気じゃねえか!?」

 

「山本先輩なら腕の一本や二本折っても大丈夫って峰先輩が言ってましたから!!」

 

よし、理子も後でシバく!!

 

「でもさ火野、この格好は色々と大丈夫なのか?」

 

いやね、火野のスラッとした足が目の前にあるんですよ。足綺麗だな。

 

「~~~~~~~ッ!!」

 

「しかも極められてる手に柔らか~い感触と温か~い感触が伝わってく「ふんっ!!」ゲシュペンスト!?」

 

痛い、顔面を思いっきり蹴飛ばされた。顔を赤らめてる火野は中々だな。

 

「真面目にやってください!!」

 

「やってるだろ?現にバッチは取られてねぇからな。そろそろ30分経つぞ?」

 

一年生にしては実力はある方だけど、セーラとかカツェとかと比べるとまだまだなんだよなぁ。

 

「こうなったら!!」

 

ん?火野が突っ込んで来たな?腕引き十字固めをやられた時点で予測が付いたけど、火野は寝技が得意みたいだな。

 

「闇雲に突っ込んでも何も変わらねえぞ?」

 

「どうでしょうかね!!」

 

火野からの右フックをスウェーで避けて、その隙に大外刈りをしてきたな。

 

「あからさまな狙いは駄目だぞ火野?」

 

「技が効かない!?」

 

倒れないように踏ん張れば大外刈りなんて効かん効かん。これで終わり「まだです!!」うおっと!!

 

「違う柔道技を仕掛けるふりをして直接バッチを取りに来たか。いい作戦だったけど、もう少し早めにやるべきだったな。」

 

あっぶねぇ、あと少し反応が遅れてたらバッチは取られてたな。

 

「どうして、反応が出来たんですか?」

 

「残り少ない時間で単調な技を仕掛けるとは考えにくいからな、何かしてくると思って身構えてただけだ。」

 

避けれたのは本当偶然だったけどな。

 

「ふぅ、30分経った。残念だが俺の戦姉妹にはなれねぇな。でもよくやったよ。」

 

「っ!!ありがとう、ございました。」

 

やべぇ、火野が泣きそうな顔になってる。すげぇ罪悪感が沸くなぁ。写真撮っとこ。

 

「へっ!!男女が衛生科の落ちこぼれなんかに負けてやんの!!」

 

「しかも泣いてやがるぜ!!ざまあみやがれってんだ!!」

 

外野がうるせぇな。まあこの時期の一年生は高ランクの奴等ほど調子に乗るからなぁ。

 

「戦闘が出来ない男女は何が出来るんだ?言ってみろよほら!!」

 

「「「男女!!男女!!男女!!」」」

 

「ううっ、ぐすっ、酷い。何でこんなに酷い事を言われないといけないの……。」

 

火野がマジ泣きしちまってる。しかもそれを見た外野が更に煽ってきたな。

 

「男女が女の真似なんかしても気持ち悪いんだよ!!」

 

「いつもの調子はどうしたんだぁ!?そうだ、この光景を皆に知らせようぜ!!」

 

「……ったく馬鹿ばっかだな。」

 

えっと、蘭豹先生の電話番号は、これだな。

 

「どうしたんや山本?って音声から伝わる声とかで大体の用件はわかるわ。」

 

「強襲科の一年をぶちのめしてもいいですか?」

 

「思いっきりぶちのめしてこいや!!」

 

それでいいのかよ担当教師?まあ許可も貰えたしこの馬鹿どもにお仕置きしないとな。

 

「男おん「ちったぁ黙れよ。」ああ!?」

 

「男女ってのは火野の事を言ってんのか?」

 

「そうだぜ?女なのに男みたいな身長と態度だからな!!」

 

それの何がいけないと言いたそうな表情だな。道徳教育もちゃんとしてくれよほんと。

 

「男にでも生まれ変わればいいんじゃねえの?ギャハハハ「ならお前は女に生まれ変わればいいんじゃねえの?」何だとこらぁ!?」

 

「さっきまではスルーしてたけど、女の子一人に対して大勢で罵声を浴びせるって男して恥ずかしくねえの?」

 

俺がそう言うと外野の奴等は銃とかナイフとか構えだしたな。

 

「うるせぇ!!衛生科の落ちこぼれが偉そうな口を叩くんじゃねえよ!!事実を言って何が悪いんだ!?」

 

「俺は火野が男っぽく見えねえけどな。中々可愛い女の子じゃねえのか?」

 

「こいつ頭ラリってるぜ!!おいてめえら、このラリってる落ちこぼれに勝てばあの男女に勝ったことになるぜ!?」

 

はぁ、話し合いで解決しようと思ったけど駄目だな。やっぱ物理で分からせるか。

 

「その前に、ちょいとごめんよ。」

 

「ふぇ!?せせ先輩!?」

 

近くにいる火野をちょっと離さねえとな。お姫様抱っこしたらなんかパニクってたけど大丈夫か?

 

「これから馬鹿どもにO・SHI・O・KIしてくるからそこで待っててくれよ?」

 

「山本先輩!!さ、さっき言ったことは本当なんですか?あたしが可愛いって?」

 

「嘘言って何になるんだ火野?スタイルはいいし顔も整ってる。しかも金髪ポニーテールって充分可愛いだろ?あいつらの考えがいまいちわからねえな。」

 

火野と会話してる最中にあの外野供は銃を撃ってきてるぞ。まあさっきも言ったけど当たらなければどうってことない!

 

「それと、戦姉妹の事だが、試験は合格だな。さっきの戦姉妹になれないっていうのは嘘だからな。」

 

さて、いい加減にうざくなってきたからあの外野供を仕留めますか。

 

「なんで当たらねぇ!?」

 

「さあな?さて、そっちから攻撃を仕掛けたから怪我等の責任はそっち持ちだからな?」

 

「くそが!!囲んで叩け!!」

 

リーダーの奴が指示すると数人の奴等がナイフを持って襲い掛かってきたな?

 

「おいおい、ちゃんと考えて突撃してこいよ。でないと。」

 

向かってくる一人の攻撃を避けて背中を押す。すると反対側から来た奴と顔面をぶつける羽目になるぞ?

 

「「ぶえっ!!」」

 

そして残った二人にボディブローをぶちかまして適当な所の壁に投げ捨てる。

 

「な、なんだよこいつは!?」

 

リーダーが怯んでる隙に顔面をぶつけて倒れている奴の一人を蹴り飛ばす。

 

「ボールを相手のゴールに向けてシュゥゥゥゥト!!」

 

「「「おぶぁ!!」」」

 

超エキサイティング!!普通の人じゃ絶対に出来ねえなこれ。

 

「もらった!!」

 

いつの間にか一人が俺の後ろに回り込んでいてのか。首を締めてくるが甘いぞ一年。

 

「よくやった!!あとは「そぉい!!」はぁ!?」

 

首を締めてくる奴の腹にエルボーを喰らわせて投げ飛ばす。ちなみにわざと後ろに回り込させました。

 

「近距離で駄目なら銃で攻撃だ!!」

 

残ってる5人が銃で俺を撃ってくるけど、銃口の向き、相手の目、自分の急所の場所を分かっていれば銃弾なんて避けれるんだぜ?

 

「撃って撃って撃ちまくれ!!反撃させんな!!あいつは遠距離の攻撃手段がねえ!!」

 

「あるぞ?まあいい機会だし見せてやるよ。」

 

籠手から弓矢を取り出してと、向かってくる銃弾の内の1つに向けて矢を放つ。

 

「へっ!!弓矢なんて使ってんのかよ。銃には敵わねぇぜ?」

 

「お前らの目は節穴か?」

 

「どういうこって何ィ!?」

 

放った矢が銃弾を逸らして一人の肩に刺さったからな。まあ銃弾撃ち(ビリヤード)の弓矢バージョンだな。

 

「あ、有り得ねぇ!!」

 

おろおろしてる隙にリーダー以外の3人の両方の肩に矢を放って壁に張り付ける。残り一人だな。

 

「ま、待ってくれよ!!男女って言ったことは謝るから攻撃しないでくれ!!」

 

「おいおい、武偵の強襲科の奴が命乞いみたいな事をすんなよ。」

 

リーダーの奴に近付きながら言うと隠し持っていた銃を俺の顔面に向けて撃って来たな。

 

「バーカ、油断して近付くからだ!!殺しは訓練中の不慮の事故で済まされるから俺に罪はねぇ!!」

 

「せ、先輩!!」

 

俺は脳みそを銃弾で撃ち抜かれた。とはならないんだよな、持っている弓で銃弾を逸らしてと。

 

「へぇ、じゃあ俺もお前を殺しても訓練中の不慮の事故で済まされるんだよな?あぁ?」

 

あっ、リーダーの奴が泡吹いて倒れた。本気の殺気を浴びせただけだろ。

 

「ふぅ、さて帰るか。」

 

「先輩!?さっき顔面を撃ち抜かれましたよね!?なんで生きてるんですか!?」

 

「ちょっとした手品だよ。」

 

そう言った方が火野は面白い反応をしてくれるだろう。あっ、ポカンとした表情になってる。

 

「そ、それよりも何であたしを合格にしたんですか?バッチは取れなかったんですよ?」

 

「取らせるつもりは最初からねえよ。俺が見たかったのは不合格と言われた際の反応だよ。」

 

「えっ?」

 

強襲科のホールを出て火野と隣同士で歩きながら説明する。火野はどうしてと言った表情だな。

 

「つまり、素直に負けを認められるか(・・・・・・・・・・・・)どうかをテストしたかったんだよ。」

 

自分の弱さを知り、それを受け入れる事は難しいからな。

 

「じゃあもし再試験の事を言ったり、時間切れにも関わらず突っ込んでたら?」

 

「本当に不合格にしてた。」

 

俺がそう言うと火野はほっと息を吐いたな。まあ諦めないっていうのも大切なんだけど、事と状況次第だからな。

 

「あ、あとあたしの事は火野じゃなくてライカって呼んでください。ふ、風雨先輩。」

 

ん?火野の顔が真っ赤だな。こうして見ると本当に男女って言ってた奴の考えがわからねえな。

 

「分かったよライカ。」

 

さて、いい時間だし寮に帰るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風雨の部屋

 

「それで、またフウフウは女の子を口説いたんだね~?フウフウはハーレム王国でも築き上げるのかなぁ?」

 

「事実を言っただけなんだけどな理子。それで何故俺にワルザーを向けてるんだ?」

 

帰宅して居間の扉を開けたら理子が両手でワルサーを持っていやがった。おい待てどうやって入った?

 

「鍵ならりこりんのピッキングにかかればないようなものなのです!!」

 

「普通に不法侵入なんだがそれ?それで俺の問い掛けは無視か?」

 

「誰もいない男部屋に女の子がいたらどれくらいときめくのか試してみただけだよぉ!」

 

「ワルサーの銃口を向けてきた時点で全て台無しだぞそれ?やるならキンジにやれよ?」

 

「キー君の部屋に入るのはちおょっと恥ずかしいかなぁ。アリアんに見付かったら面倒だし~。」

 

ついこの間キンジの部屋に入ってただろお「ただいま風ちゃん!!」あっ、白雪が帰ってきた。

 

「理子さんもいたんだね!!」

 

「あれぇ?ユキちゃんってここに住んでるの?」

 

「そうだよ!!他にもいるよ!!ジャンヌやセーラちゃん、前にはカツェちゃんもいたよ!!」

 

「おい山本どういうことか説明しろぉ!!」

 

急に裏モードの口調で話し掛けんなよ理子。

 

「説明しろって言われても、成り行きでこうなりましたとしか言えねえぞ理子?」

 

「ジャンヌはまだ分かるよ!?でもセーちゃんとカッちゃんとも住んでるのは何で!?」

 

「知らん!!」

 

全てはあのシャーロックが原因なんだ!!文句ならあいつに言えよ本当に。

 

「それよりも、理子がここにいるって事は情報は集めて来たんだな?」

 

「もちのろんですぜ!でもぉ、情報よりもりこりんはこの衣装をフウフウに着てほしいなぁ~。」

 

理子はそう言って傍にあった鞄から女性用の衣装を取り出し、逃げる!!

 

「逃げちゃ駄目。」

 

「何でこんなタイミングよくセーラが帰ってくるかなぁ!?」

 

風の壁を進行方向に張られたぜ、だったら窓から逃げ「駄目だぞ山本?あの衣装を大人しく着るんだ。」ジャンヌぅ!!何で窓の近くにいんの!?

 

「りり理子さん?それを風ちゃんに着させるの?」

 

「イエス!!絶対に似合うと思うんだけどなぁ~、ユキちゃんは反対かな~?」

 

「だよな?白雪は駄目って言ってく「いいと思う!!」ださいよ!?」

 

逃げ道を完璧に塞がれた、諦めるしかないのか。

 

「ほらほら、フウフウ恥ずかしがってないで早くこの衣装に着替えて!!」

 

「嫌だよ何でスカートなんだよ!?せめてスボンとかにしてくれよ!?あれか?理子の趣味か!?」

 

「イエス!!」

 

ちくしょう理子に衣装を頼んだ俺が馬鹿だった!!

 

「さあさあ、差恥心なんて捨てるべきだよフウフウ!」

 

「もう空の彼方にファラウェイしてきたわこんちくしょう!!」

 

ハハッ、もうどうにでもなりやがれぇぇぇぇぇ!!



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第36筋 差恥心はそこら辺の犬に喰わせましょう

風雨の女装時は心の中ではいつもの口調ですが、言葉で発する時は女の口調で話します。


「…………。」

 

「「「「か、可愛いぃぃぃ!!」」」」

 

「な!!ん!!で!!この格好なんだよ理子!?もっと違うものとかあるだろ!?」

 

白い半袖の服に胸元に緑のリボン。髪色は金髪でポニーテールにしてるぞ。完璧あれですね。

 

「ねえねえ風ちゃん!!とっても似合ってるよ!!」

 

「ドウモアリガトウゴザイマス。」

 

下は膝くらいまでの青いスカートに黒のタイツを履いている。これ師匠に会ったらなんて顔をすればいいんだよ!?髪型だけが違うのが唯一の救いだよ!

 

「り、理子!!私にもあの服装を!」

 

ジャンヌが着たら可愛いんだろうな、けど出来ればこの格好で出掛けたくないわ!

 

「男だって知ってなかったら普通に女性に見える。」

 

「冗談でしょセーラ?」

 

「何で女性口調になってるの?」

 

いや風雨って事がバレないようにするためには口調も変えるしかねえだろセーラ。

 

「くふっ、フウフウとっても似合ってる!!顔を赤らめてるフウフウもいいね!」

 

イタズラ成功みたいなその満面の笑みを止めろ!!恥ずかしくて死にそうなんだよ!!

 

「そりゃどうも、そういえば理子にやらなければならない事があったわね。」

 

何故か左腕に付いてる籠手がきえたんだよな。あれか?女装したら勝手に消える仕様になってるのか!?

 

「お礼ならいらな「大丈夫よ、たっぷりとお礼してあげるから。」痛い痛い痛い!?」

 

けど、体中から力が湧いてくるんだよな。シャーロックの奴どんな効果を籠手に付与したんだよ。

 

「フウフウ!?女装してから何か腕力上がってない!?」

 

「籠手が消えたからかもね。理子、何か言うことがあるわよね?」

 

しかも女装してから体全体が女性らしい体つきになったからな。声も高くなったし。流石に胸は変わらんぞ?

 

「アイムソーリー!!スベルソーリー!!」

 

ほほう、そこまでふざけるって事はカリバってもいいって事なんだな?

 

「魔○光とかめ○め波、どっちを喰らいたいのかしら理子?」

 

「何で使えるのフウフウ!?」

 

今なら使える気がしてきた。えっと構えはこうだったよな?

 

「ジャンヌ、ちょっと理子の両足を凍らせてもらえるかしら?」

 

「わ、分かった!」

 

「さあて、覚悟はいいかしら理子?まあ覚悟なんか無くてもブッ飛ばしますけどね。」

 

両手から何かエネルギーを集める感じでやれば、おっ出来た。

 

「風ちゃんすごい!!あっ、理子さんは夕飯食べていく?」

 

白雪は料理を始めたな。さっさと理子をブッ飛ばして白雪の料理を食べないとな!

 

「食べていく食べていく!!だからユキちゃんとびっきり美味しい物をお願い!!」

 

「夕飯食べれたらいいわね理子?」

 

食べさせる気は毛頭ないけど。さて前宙して左足を高く上げて、その先から青い透明な剣を出現させてと。

 

「フウフウ!?それ喰らったら理子死んじゃう!いくら痛いのが大丈夫な理子でもそれは駄目!!」

 

約○されし勝利の剣の方じゃないから大丈夫大丈夫。これサッカーのシュート技だし。

 

「知らないわよ、さあ覚悟しなさい。エク○、カリバァァァァァァ!!」

 

「僕はしにましェェェェェェェェん!!」

 

理子は透明な青い剣に飲み込まれながら部屋のドアを破壊して遠くに飛んでいった。

 

「まあ、いい奴だったよ。」

 

「あいつは話を聞かないから。」

 

「お(か)しい人を亡くしたね。」

 

「いや色々と待ってくれ!!何処から何を指摘したらいいか分からないぞ!?」

 

ツッコミお疲れ様ジャンヌ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

「んも~死ぬかと思ったよぉ。」

 

白雪が作った料理を食べながら理子がぶぅと頬を膨らませてこっちを見てくるがが気にしない気にしない。こんな服装を用意したのが悪い。

 

「はぁ、白雪?違う服を着たいから服貸してくれるかしら?」

 

「ええっ!?そのままでいてほしいな!!」

 

残念そうな顔をするなよ!!そしてジャンヌとセーラもうんうんと頷くんじゃねぇよ!!

 

ピンポーン

 

「ん?誰かなこんな時間に?」

 

「白雪、ここは私が出るわ。」

 

嫌な予感がするからな。さっきも大きな音を鳴らしたし、恐らくあいつだろう。

 

「はいはい今出るわ。」

 

ガチャ!!

 

「遅い!!私がチャイムを鳴らしたら5秒以内に出るこ、と?」

 

「えっ?ここ風雨先輩の部屋じゃないんですか!?」

 

アリアとライカか、大方俺の部屋に来たくてアリアに訊ねたのか。

 

「あ、あんた誰よ!?まさかあんたも風雨に口説かれた一人の女なの!?」

 

違うわい。さて、予行練習といこうか。

 

「違うわよ、私は山本風華。風雨の姉よ。」

 

「風雨先輩に姉さんがいたんですね!!」

 

よしよし、ライカは信じたようだな。でもアリアは怪しんでるな。

 

「風雨に姉?そんな話聞いたことないんだけど?」

 

「全く風雨ときたらちゃんと話していないのね。それで、風雨に何か用かしら神崎・H・アリア?」

 

「アタシの名前を知ってるって事は風雨から聞いたのね?」

 

いえ本人は目の前にいますよ?

 

「そう、風雨から色々聞いてるわよ?最近出来たボーイフレンドと一緒に住んでいてキスまでしたな「わあぁぁぁぁ!!わあぁぁぁぁ!!」微笑ましい反応だこと。」

 

「アリア先輩!?アリア先輩は彼氏いるんですか!?どんな人なんですか!?」

 

「ちちち違うわよ!!ああああいつはただのドレイよ!!そうドレイよ!!」

 

アリア、顔を真っ赤にしながら手で顔をパタパタ扇いで否定しても説得力ないぞ?

 

「ふふ、風雨の言ってた通り子供の反応をするのね。キスしたら赤ちゃんが出来ると本気で信じていて検査までう「もうやめて!!アタシの嫌な思い出を語らないで!!」嫌よ。」

 

やべっ、超楽しい。俺の女装姿が姉だと信じているからなのか弄ってもガバメントで撃ってこないから弄り放題だな!

 

「姉弟揃って嫌な性格してるわね。」

 

「それは褒め言葉と捉えるわよ。それで、ここに来たのは今空気になりつつあるライカちゃんを風雨の部屋に案内するためよね?」

 

「ど、どうしてあたしの名前を!?」

 

いや、持ってる鞄に火野ライカって名前が書かれているからな。小学生か!?あっ、目の前にいましたね。

 

「いまアタシを馬鹿にしたわよね?」

 

「ええしたわよ?で、用はもう済んだのかしら?」

 

「用は済んだけど、あんた風雨の姉ならちゃんと注意してよね!?風雨の部屋うるさいのよ!!」

 

どうもすみませんねぇ。まあ静かにするつもりはないけどな!

 

「分かったわ、ちゃんと注意しておくわ。」

 

「いいライカ?風雨に変なことされたらアタシの所まで来なさい。風穴開けてやるから!!」

 

そう言ってアリアは去っていったな。やれやれ、上手くいったか。

 

「さて、部屋に案内するわね。」

 

「お、お邪魔します。」

 

ライカが緊張した様子で俺の後ろに付いてくるな。まあすぐに解けると思うけど。

 

「来たねライちゃん!待ってたよぉ!」

 

「ライカちゃん、ゆっくりしていってね!」

 

「ふむ、日本人とアメリカ人のハーフか。」

 

「身長大きい、ちょっと羨ましい。」

 

「え?ええっ!?ここ風雨先輩の部屋ですよね!?何で理子先輩達がいるんですか!?」

 

ライカは驚愕の表情を浮かべているな。まあ、こんなんで驚いてたら身が持たないぞ?

 

「それはここに住んでるからだよ。風ちゃんの許可は得てるからね。」

 

「その風雨先輩は何処にいるんですか白雪先輩!?」

 

ライカは忙しなく辺りをキョロキョロしてるな。まーだ気付かないのかい。

 

「フウフウなら、ライちゃんの隣にいるよ。」

 

「隣って、この人は風華さんですよ?」

 

「風、変装を解いて。」

 

はいはい、指を鳴らして元の制服姿に戻ってと。何故か指パッチンで女装に切り替えられるようになったんだよな。何故?またシャーロックの仕業だろうけど。

 

「ビックリしたかライカ?」

 

「ふふ風雨先輩!?全く気付きませんでした。」

 

よし、これならなんとか向こうでもやり過ごせそうだな。

 

「それよりも、自己紹介してやってくれライカ。」

 

「あっ、はい。火野ライカです。風雨先輩の戦姉妹です、よろしくお願いします!!」

 

「よし、ライカはなんのために俺の部屋に集まるかは知ってるか?」

 

ジャンヌとセーラは後で自己紹介させよう。

 

「はい、風雨先輩達の知り合いがイタリアで処刑されるので、その救助ですよね?」

 

「ちなみにライちゃんはイ・ウーの戦いに巻き込まれてるから余計な心配はしなくていいよぉ!」

 

違う意味で心配になってきたぞ。

 

「それで、風は教授から手紙を貰ったはずだから読んで。」

 

「へいへい。」

 

最初に読んだ時はさっとしか読んでねえからな。どれどれ。

 

『は~ずれ~!!』

 

「ふざけんなあの迷探偵!!最初に見た時と文の内容が違ってんぞゴラァ!!」

 

「風ちゃん!!手紙を地面に叩き付けちゃ駄目だよ!!ちゃんと燃やさないと!!」

 

「いや、それもおかしいからな白雪!!下の方に文が書いてあるぞ!」

 

ったく、本当にいい性格してるぜシャーロック。

 

『ありがとう、最高の褒め言葉だよ。』

 

「手紙で会話すんな。」

 

『さて、冗談はここまでにして。これをじっくり見てるということは明日にでもイタリアへ出発するということだろう。』

 

「こ、この手紙を書いた人は未来予知でも出来るんですか!?」

 

「いいとこ付いてるねライちゃん、大体当たってるよ!!」

 

ライカは冗談半分で言ったことが本当だということに驚きを隠せてないみたいだな。惚けた顔面白いから写真撮っとこ。

 

『ホテルとかは取っておいたよ。ただし気を付けるといい、カツェ君の救助に失敗したら君達も処刑されるからね。』

 

「「「えっ!?」」」

 

そりゃそうだろ。つーか白雪とライカは驚くのは分かるけどジャンヌ、お前も驚くんかい。

 

『一応ある人に依頼はしておいたよ。イタリアに着いたらまずその人と合流してほしいかな。名前はE・Lだよ、頭文字しか教えないけどね。頑張りたまえ!』

 

「いや、頭文字だけじゃなくてフルネーム教えろよ!!」

 

ったく、こんな時まで遊び心を忘れないんだな。

 

「取り敢えず、今日はゆっくり休んでくれ。布団とかはあるから各自用意な。」

 

「分かった!この後は自由行動って訳なんだよね風ちゃん?」

 

「ん?まあそうだが?」

 

な、何だ?白雪がなんかそわそわし出したぞ?そして理子とジャンヌが鞄をガサゴソとしている時点で嫌な予感しかしねえ!!

 

「というわけでぇ、フウフウに色んな種類の女装をしてあげましょう大会は~じまるよぉ!」

 

「お断りします!!」

 

ふざけんなよ理子!?本当に必要な時以外女装なんかしたくねえよ!!

 

「ライちゃん、ゴー!!」

 

「ごめんなさい風雨先輩!!でも女装姿の風雨先輩可愛らしかったのでもっと見てみたいんです!!」

 

やーめーろー!!ガッチリホールドするなぁ!!セーラ、助けて!!

 

「ちょっと見てみたいから助けない。諦めて。」

 

「まーだ恥ずかしがってるのぉ?フウフウ、その恥ずかしい気持ちはそこら辺の犬にでも食べさせればいいんだよ!!」

 

くそっ、理子にいつかゲイ○ルグを喰らわせてやる!

 

「白雪、私が写真を撮るから動画の撮影は頼むぞ!」

 

「任せてジャンヌ!さあ風ちゃん?お着替えしましょうね?」

 

くそっ、ジャンヌはカメラを持ってるし、白雪はビデオカメラを持ってる。これは、あれだ。お決まりの台詞を言うしかないね。

 

「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




明後日には死ぬかも知れないのにこの緊張感のなさ。これが高校生か。

風雨「んな訳あるか!?」


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第37筋 英国紳士、参戦!

イタリア フィウミチーノ空港

 

「ふう、ようやく着いたわね。」

 

「こ、ここがイタリアの空港なんですね!!」

 

飛行機に揺られて数十時間、ようやく着いたな。まあ飛行機の中ではほとんど寝てたけどな。

 

「折角の海外だから本当なら観光を楽しみたいところだけど、今回の目的は別にあるからね。」

 

ドイツの時みたいにはしゃがないで気を引き締めないとな!あっ、今は女装姿だぞ。入国してからすぐ着替えたぞ、服装は前日と同じな。

 

「風華先輩、白雪先輩達何処かに行きましたけど?」

 

「もうちょい緊張感持ってくれないかなぁあいつら!?」

 

俺だけ真面目になって馬鹿みたいじゃねえかよ!!

 

「理子さん理子さん!!このお土産キンちゃん達に買っていこうよ!!」

 

「ユキちゃん!?5箱も買うってちょっと買い過ぎじゃないかなぁ?」

 

土産は帰る時でよくね?ジャンヌとセーラが呆れた表情をしているぞ二人供。

 

「全く、遊びでイタリアに来たわけではないんだぞ?そうだろうセーラ?」

 

「…………。」

 

あれ?セーラが微動だにしねえな?どうかしたのか?

 

「セーラ?どうしたのよ?飛行機にでも酔ったのかしら?」

 

「山本、これは病院に連れていった方がいいんじゃないか?」

 

うむむ、ここで戦力が減るのは痛いな。せめて微動だにしない理由が分かればな。

 

「心配しなくても大丈夫ですよ風華先輩、ジャンヌ先輩。セーラはただ立ったまま寝てるだけですよ?」

 

「……クピー。」

 

「「器用だな!?」」

 

目を開けたまま寝るなよ!!しかも何でこのタイミングで寝たし!?

 

「大丈夫かしら?このメンバーで。」

 

「私も不安になってきた、これ以上の誤算が起きなければいいが。山本、貴様だけはまともでいてくれよ?」

 

へいへい、むっあの店気になるな。ちょっと行ってみよ。

 

「おお!ここの店のカフェラテ美味しいわね!!あとここのスイーツも美味しい。」

 

「言ったそばから誤算を起こさないでくれないか山本!?勝手にフラフラするな!」

 

なんか白雪達見てたらはっちゃけたくなった。悪気はないんだよジャンヌ?

 

「ジャンヌ先輩、ガンバです!!」

 

「カツェ、早く戻ってきてくれ。」

 

ジャンヌはため息をついた、そんなんじゃ幸せは寄ってこないぞ?

 

「誰のせいだと思ってるんだ山本?」

 

「白雪と理子のせいね。」

 

「自分を除外するな!!」

 

ハハ、ナニヲイッテルノカワカリマセンネ。

 

「皆お待たせ!!」

 

「んもぉ、ユキちゃん買い過ぎ。」

 

ようやく白雪と理子も戻ってきたか。じゃあセーラを起こすか。

 

「ほら、セーラ起きなさい。」

 

「……寝てないし、最初から起きてた。」

 

嘘つけ、寝息も聞こえたし鼻提灯も出てたぞ?

 

「じゃあイタリアで合流する人を探すわよ。」

 

「風ちゃん?イタリアの何処で合流するか手紙に書いていなかったけど大丈夫?」

 

……あっ。ま、まあなんとかなるでしょ(震え声)

 

「っていうか、何で理子もいるのかしら?」

 

「何でって、理子も飛行機のチケットを取ったからだよフウフウ!」

 

イタリアに行くのを伝えたのは2日前なんだが?まあ理子なら取れるか。

 

「風、何かスーツ姿の人が来る。」

 

おっ、ほんとだ。頭にシルクハットを被っていて、黒色のスーツを着ているな。いかにも紳士って感じだ。

 

「貴女達が風華と愉快な仲間達の人かな?」

 

「ねえその呼び方はなんなのしら?喧嘩売ってんのかしら?」

 

「風ちゃん!!気持ちは分かるけど抑えて抑えて!」

 

いやだってなぁ、初対面の人にあんな呼ばれ方したらねぇ。キレたくもなりますよ。

 

「ハハハ、すまないすまない。こう言った方が面白い反応が見られるよと依頼人から言われたのでね。」

 

「だからって、実行しますかね普通?」

 

この人雰囲気が少しシャーロックに似てるな?只者じゃなさそうだ。

 

「英国紳士の軽いジョークさ。それに、そんな言葉使いを淑女がしてはいけないよ。」

 

何だろう、俺ごく自然に女性として扱われてるんだが?

 

「それよりも、貴方は誰なんですか?」

 

「おっと、英国紳士とあろうものが自己紹介を忘れていたね。私はエルシャール・レイトン、ナゾを解くのが大好きなごく普通の大学教授さ。」

 

あぁ、だから手紙にE・Lって書かれてたのか。

 

「詳しい話は車で移動しながら話そう。付いてきなさい。」

 

そう言ってレイトンは出口の方へ向かっていったな。

 

「一般人をイ・ウー絡みの事で巻き込みたくはないんだが。山本、貴様はどう思う?」

 

「いいんじゃないかな?」

 

「真面目に答えろ!!」

 

痛い、チョップしなくてもいいんじゃないかジャンヌ。今の俺はか弱い少女なんだぞ?

 

「「「「それはない。」」」」

 

「心を読まないでくれるかしら?」

 

もっとか弱い少女を演出しなきゃ駄目なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車の中

 

「ふむふむ、君達もあの処刑に関わっているんだね?」

 

「まあそうなりますね。」

 

レイトンが運転して俺が助席、真ん中に白雪と理子とジャンヌ、後ろにセーラとライカが乗ってるぞ。

 

「ねえ風?風の鞄から変な匂いがするんだけど?」

 

「うーむ、ちょっと密封が足りなかったのかしら?セーラ、そこら辺に袋があるから匂いの元が入ってる袋を密封して。」

 

「わ、分かった。ってネバネバしてる!?」

 

「風華先輩!?一体何を持ってきたんですか!?」

 

何って、秘密兵器だよライカ。効くかどうかはわからんが、怯ませることは出来るものだよ。

 

「それで、レイトンさんは誰に何の依頼を受けたんでしょうか?」

 

「恐らく、君達も知っている人物さ。」

 

シャーロックしかいねえだろ。

 

(その通りだよ。風華君。)

 

(こいつ直接脳内に!?)

 

「シャーロック・ホームズ。まさか彼が生きていたなんてね。彼から依頼は受けたよ。日本から来る子達をサポートしてほしいとね。」

 

「おい、その名前を出すなよ!?」

 

聞かれたか?ライカはうとうとしてるから大丈夫、白雪は理子に説教中で今の話は聞いてないみたいだな。良かった。

 

「レイトン、その名前は白雪とライカの前では言わないでね?」

 

「おっと私としたことが失言だったみたいだね。気を付けるよ。」

 

冷や汗かいたぞ全く、おっ、カーナビが付いてるのか。情報収集も兼ねてニュースを見ますか。

 

「彼とは少し話をしたけど、とても有意義な時間だった。私はまだまだと思い知らされたよ。」

 

「ふーん、ぽりぽり、そふぇれ?レイトン教授はふぉのへひとひっへるほはらぁ?」

 

「理子さん、食べながら喋っちゃ駄目だよ?」

 

おいおい、あんまり散らかすなよ理子。この車は借り物なんだからな。

 

「風ちゃん、関係無いって顔してるけど風ちゃんもだからね?食べ物をこぼしちゃ駄目!」

 

「ふぁい。」

 

お母さんかよ白雪?そしてライカ、寝るのはいいけどセーラを抱き枕にするなよ。セーラがめっちゃ困ってるぞ?

 

「実に賑やかでいいね。さて、そろそろ情報交換といこう。まず君達がこの処刑についてどこまで知ってるのか教えてほしい。」

 

「と言われても、どこまで話せばいいのか正直分からないのよ。レイトンがどこまで知ってるのかにもよるしね。」

 

一から説明しなければならないのか、それとも部分部分を補足する程度でいいのか。

 

「それもそうだね。私が知ってるのは処刑される子の名前がカツェ・グラッセ、様々な大罪を犯したとして処刑される。あんな小さな子がね。」

 

「色々と質問したいことがあるけど、後の方がいいわよね?」

 

「そうしてほしい、処刑は明日の昼頃、バチカンの広場で公開処刑される。くらいしか知らない。」

 

うーん、まあイ・ウーに関わりがない人にとってはここまでが情報収集の限界かな?

 

「まずカツェ・グラッセがどういう人物なのか、調べても出てこなくてね。君達は何か知ってるかな?」

 

「カツェ・グラッセは魔女連隊(レギメント・ヘクセ)という組織に所属している。」

 

「ふむ、聞いたことがない組織だね。」

 

俺もイ・ウーと関わるまでは知らなかったからな。

 

「んへへ~、セーラの太股はモチモチ~。」

 

「へ、変なことを言うな!くっつくな!」

 

あーあ、寝ているライカに絡まれてるなセーラ。どうすることも出来ないからこっちに助けてという表情をしても無駄だぞ?

 

「……魔女連隊というのはどういう組織なのかな?」

 

「一言で言えばならずものの国家に高給で雇われているテロリスト部隊だ。」

 

「なるほど、これで一つナゾは解決した。カツェという人物は恐らく魔女連隊の隊長かな?」

 

すげぇ、まだ何も説明してないのに当てやがった。

 

「その通り、カツェは9代目連隊長。魔女連隊において重要な人物だ。」

 

「そうか、貴重な情報をありがとうジャンヌさん。」

 

「カツェちゃんがそんな組織にいたなんて。」

 

あ~、白雪にカツェの事を話すのはちょいとまずかったかな?今まではぼかして説明していたからな。

 

「白雪、大丈夫「助けたらちゃんと更正させないとね!」そうみたいね。」

 

「さて、今度は私から君達に質問するよ。君達は魔女狩り裁判(・・・・・・)というのを聞いたことはあるかな?」

 

「理子は聞いたことないなぁ~、ユキちゃんはどう?」

 

「ごめんね、私も聞いたことないかな。」

 

いやまあ、知ってたら相当な物知りレベルだぞ?

 

「ジャンヌは知ってる?」

 

「……知ってるが、私の口からは言いたくない。」

 

まあ、魔女狩りは今でも行われてるからな。

 

「魔女狩りとは、魔女とされた被疑者に対する訴追、裁判、刑罰、あるいは法的手続を経ない私刑等の一連の迫害を指すのよ。」

 

「風よく知ってるね。」

 

「たまたまよ。」

 

「本当かな風華さん?君はこの処刑を魔女狩りじゃないか(・・・・・・・・・)と予想して調べたんじゃないかな?」

 

鋭いな、まあアリアのお母さんの件と似たような感じだったから調べただけなんだけどな。

 

「その通りよ、カツェがいくらテロリストの組織の隊長だからといってあんなに罪を被せるのはおかしいのよ。」

 

強盗罪、殺人罪、殺人未遂罪、不法入国罪、傷害罪、遺棄罪、脅迫罪、略取・誘拐罪、強姦罪、騒乱罪、etc.

 

一つおかしいのがあるが、まるで罪のバーゲンセールだな。こんなのを一人に被せるのはおかしい。

 

「酷い、いくらなんでもこれは酷いよ!!」

 

「ユキちゃんは優しいんだねぇ~、大抵の人は同情とかせずに本気でこの罪を犯したと信じてるよ。」

 

「私はすぐに疑問に思ったけどね。さてここまでの情報を聞いて君達はどうしたい?」

 

そんなこと言われなくても決まってるさ。

 

「もちろん、助けに行くわよ?そのためにイタリアまで来たんだから。」

 

「君が国際指名手配されてもかい?風雨君(・・・)?」

 

っち、バレテーラ。まあバレてもいいんだけどさ。

 

「ああ、そのつもりさ。」

 

「そうか、なら仕方ない。私も手伝おう、何、私もそれなりの場数は踏んできたから足手まといにはならないよ。」

 

「サンキュー、レイトン。」

 

俺の意思だけでカツェを助けるって言ったけど、皆は、うん大丈夫そうだな。

 

「大切な人を失う悲しみは私もよく知っているからね。」

 

「何か言ったかしら?」

 

「独り言だよ。」

 

バッチリ聞こえたけどな。まあ追及はしないでおこう。

 

『続いてのニュースです。明日処刑されるカツェ大罪人についてですが、恐らく助けに来る人が現れます。』

 

「「「「「「…………。」」」」」」

 

『身長170cmくらい、体重60kg、性別は男、髪は黒色で少し跳ねており、顔は中性的で、日本で有名なアニメの家庭教師ヒッ○マンの山本というキャラクターの顔そっくりです。』

 

おいおい、これってまさか?

 

『名前は山本風雨、写真を載せますので、この人を見たら直ぐに通報を!!』

 

「ハハハ、風華さん。有名になったね?」

 

「こんな形で有名になんかなりたくねえよ!!」

 

しかも何で俺だけ!?ご丁寧に写真まで載せやがって!!女装してきて本当に正解だった。

 

『そして、その事を懸念して処刑時刻を明日ではなく、今日の夕方頃に変更します!!』

 

はいぃぃぃ!?何で!?

 

「夕方って、残り数十時間もない。どうするの風?」

 

「どうするもこうするも、全速前進で向かうしかないわよ!!」

 

なんで処刑時刻が変更されるんだよ!?そんなのはBL○NCHの尸○界篇で充分だっての!!

 

「とにかく急ぐわよ!!」

 

しかし、一体誰が俺の情報や写真をイタリアの奴等に送ったんだ?くそったれ!!

 



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第38筋 魔女っ子救出!

最初は三人称視点からスタートします。寝不足気味の中書いてるので変な所があるかも。


バチカン とある広場

 

この広場は普段は観光客や家族連れの人達が集まる場所だが今日は違った。世界中から集まった人達で溢れ返っていた。

 

「静粛に!!これより大罪人であるカツェ・グラッセの処刑を開始する。」

 

裁判長らしき人物がそう叫ぶと、一人の少女が大男に囲まれながら姿を表す。

 

「この者の罪はとても多く、そして重い。」

 

カツェの姿は白装束を着ているだけであり、顔や露出している腕や足に複数の火傷の跡、切り傷など付いていた。これを見る限り、どのような拷問を受けていたか想像は容易い。

 

「世界を崩壊させようとする企み、これは何としても阻止せねばならない!!」

 

裁判長らしき人物が声を荒らげると、見物人達が騒ぎ始める。

 

「最近の事件も、全てはこの罪人が企てたものだ!!事件で何人の人が死んだ!?何人の人が傷付いた!?果たしてこの罪人を生かすべきか?いや断じてない!!」

 

「そうだ!!そうだ!!」

 

「殺せ!!殺せ!!殺せ!!」

 

見物人達は狂乱し、早く殺せと叫ぶ。それを聞いた裁判長らしき人物は一瞬だけニヤリと悪微笑んだ。

 

「許される筈はない!!よって、ここで公開処刑をする!!」

 

その声と同時にカツェは周りにいた大男によって木の柱に縛られる。抵抗などしても無意味、誰も助けに来ないとカツェは悟った。

 

「(あたしが死ぬことによって、レギメント・ヘクセの皆が助かるなら安いもんさ。)」

 

いつか殺される時が来る。それが早まっただけと、カツェは周りの風景を見ながら考える。

 

「(いつでも死ねる覚悟はしてるさ。)」

 

そう思い、カツェは目を閉じる。だがその瞬間に目から涙が流れ落ちた。

 

「(あれ?なんであたしは泣いてんだ?死ぬのは怖くない、はず、なのに。)」

 

自問自答していると、カツェはある数日間を思い出していた。自分がテロリストの軍隊の隊長というのを忘れる事が出来た日。

 

「(くそが!!なんで、どうしてこんな時にあの風景を思い出すんだよ!?覚悟が揺らぐだろ!!)」

 

自分をまるで妹のように接してくれた人、真面目だが何処か抜けている人。そして、一緒にいて楽しいと感じた人。

 

「(ああ、そうか。これが、走馬灯ってやつか。本当に見れるもんなんだな。)」

 

四人で楽しく話をしながら食事をする風景、ワイワイ騒ぎながらゲームをした風景。そして、自分の事をたくさん見てくれた人の顔。

 

「(白雪、ジャンヌ、悪いな。あたしはもう二人の顔を見ることは出来ないぜ。)」

 

カツェが走馬灯を見ている間にも処刑は進んでいく。カツェの周りに燃えやすい木が設置され、裁判長らしき人物が松明を持って近付く。

 

「(ああ、あいつと喧嘩別れしたみたいに別れたのは失敗だったぜ。)」

 

初めて気になった男、その男に謝ることが出来ない事がカツェのいつでも死ねる決意を揺らがせる。

 

「(もう一度、風雨に会いたかった。)」

 

「大罪人カツェ・グラッセ、最期に言い残す事はあるか?」

 

裁判長らしき人物にそう聞かれてもカツェは何も言うことが出来なかった。

 

「(誰か、助けて……。)」

 

「ふん、忌々しい魔女め。これより処刑を開始する!!」

 

裁判長らしき人物はそう言い松明を設置されてある木に放り込んだ。その瞬間に火は燃え上がり、カツェは炎に包まれた。

 

「(…………あれ?)」

 

だがここでカツェは疑問を感じた、火が燃え上がって数十秒は経過している。その頃には自分の体の何処かから火傷の痛みが感じる筈。

 

「(熱くない?それより、寒い?)」

 

有り得ない、寒いという感覚は火に囲まれてる中では感じない筈、カツェは恐る恐る目を開ける。

 

「ん?誰か大罪人を守ってる奴がいるぞ!!」

 

カツェの目の前にいたのは、カツェの周りの火を凍らせた人物がいた。

 

「な、何やってんだよてめえ!?」

 

カツェの声に反応して槍を持っている人物はカツェの方へ振り向いた。その人物は、カツェが謝りたかった人物だった。

 

「見て分からねえのかよ?」

 

「そういう事を聞いてんじゃねえよ風雨!!今すぐ逃げろよ!!殺されちまうぞ!!」

 

カツェがそう叫ぶと、風雨は呆れた表情をして槍を地面に突き刺し、燃え上がっている火を全て凍らせる。

 

「き、貴様!?自分が今何をしているのか分かっているのかね!?」

 

「ギャーギャーうるせえよ。少し黙ってろ。」

 

裁判長らしき人物の言葉を無視して風雨は槍を地面から抜き、回し始める。

 

「お、おい風雨?何する気だ?」

 

「何って、カツェを縛っている柱を壊すんだよ。」

 

「バカ野郎!!いいから逃げろ!!あたしを見捨てて日本に帰れよ風雨!!」

 

カツェは必死に風雨に訴えかけるが、風雨はカツェの言葉を無視して槍を回すのを止める。

 

「いいから、黙って見てろ。」

 

そう言い風雨は地面を思いっきり踏んで槍を柱に突き刺した。その瞬間、柱は粉々になり、その余波と爆風で周りの氷も吹き飛ばす。

 

「何やってんだとか、今すぐ逃げろとか、帰れとかごちゃごちゃうるせえんだよてめえはよ。てめえの意見は全部却下だ。」

 

そう言い風雨は力なく倒れるカツェを横抱きにして抱える。

 

「言うのが遅くなったな。助けに来たぜカツェ!!」

 

「……礼なんか、言わねえぞバカ風雨。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風雨side

 

さて、処刑からカツェを助けることは出来たしあとはあれだな。

 

「ところでよ風雨、これからどうすんだ?かなり目立っちまったから周りの奴等の目を眩ませる方法なんかあるのか……。」

 

「逃げる。」

 

「はぁ?風雨今なんて言った?」

 

あっ、カツェが唖然とした表情になった。この表情も久し振りだな。

 

「聞こえなかったのかカツェ?逃げるんだよ、エスケープすんだよ。」

 

「無理だぜ!!ここの広場には数え切れない程の武装したシスターがいるんだぞ!?それにそのシスターを仕切る奴もいるんだぞ!?」

 

「じゃあ全員ぶっ倒してとんずらするだけだ。」

 

カツェと言い争ってると武装したシスターに囲まれた。あらら、剣とかフレイルとか火炎放射機とか、物騒な物持ってんな。

 

「ほら見ろ!!囲まれちまったじゃねえか!?」

 

「大丈夫だって。」

 

そろそろだな。あっ、奥の方にいるシスターが吹き飛ばされていってるな。セーラが狙撃してくれてるのか。

 

「風ちゃん!!こっちに来て!!」

 

よし、セーラが狙撃してくれて、怯んだ隙にライカがトンファーでシスター達を無効化してくれてる隙に逃げますか!!

 

「逃がすな!!」

 

あれ?何か俺を囲んでるシスターの数が増えたんですけど!?奥の方にいるシスターは減ってんのに!!

 

「く、来るぞ風雨!!今のあたしは風雨の邪魔になるだけだからあたしを置いていけ!!」

 

「自ら犠牲になるなカツェ。大丈夫だって、このグミを食べればな。」

 

カツェの口に星形の黄色いグミを強引に入れる。よし、飲み込んだな。

 

テテテテレッテテテ~テテテテテレッテテテ~テ

 

「お、おい風雨!?何か頭の中で変な曲が流れているし、体が虹色に光ったんだが!?」

 

「さっきカツェに食わしたグミはスー○ースターの効果が得られるグミだ。」

 

「お前なんていう物持ち歩いているんだよ!?」

 

備えあれば憂いなしだよ、だからシスターがカツェに攻撃しようとしてるけどカツェに何かが触れた瞬間、シスターを吹き飛ばしているぞ。俺は気合いで耐えてます。

 

「さて、俺も食べないとな。ペロペロキャンディーを、うまうま!」

 

デーデッデデッデッデッデデデデデ!!

 

「食べてる場合かよ!?って風雨の体も光始めたぞ!?」

 

「さあて突撃突撃ィィィィィ!!」

 

全速力で駆け抜けて白雪と合流じゃい!

 

「そのペロペロキャンディーは何だよ!?」

 

「これもな、食べた人に無敵を付与してくれるペロペロキャンディーなんだよ。ちなみに、うら、うら、うら何とか商店で買ったぞ!!」

 

相変わらず頭の中で流れる音楽がうるさいけどな。シスターが吹き飛んで行くぅ!!

 

「風ちゃん遅いよ、待ってる間に周りのシスター倒しちゃったよ?」

 

「すまん白雪、さてジャンヌ達が脱出の乗り物の所で待機してるから合流するぞ!!」

 

 




風雨がペロペロキャンディーを食べた時に流れる音楽が分かったらその人は恐らく作者と同年代です。


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第39筋 毒を吐くシスターはお好きですか?

風雨side

 

「カツェちゃん大丈夫!?酷い傷、落ち着いたらすぐに治すからね、風ちゃんが。」

 

「俺に振るんかい!!」

 

バチカンの広場から走って抜け出す。ライカは先に抜け出してるぞ。カツェは大人しくしてるな。

 

「白雪まで来たのかよ、あたしがどういう組織にいたか知った上で来ているのか?」

 

「うん!!知ってるよ、カツェちゃんが国際テロリスト組織の隊長だって事を。」

 

白雪がそう言った時にカツェは目を見開いたな、拒絶されると思ってんのかねぇ。

 

「でも関係ない!!カツェちゃんは私の義妹だもん!!」

 

「勝手にあたしを義妹にするなよ!?」

 

とか言いつつもカツェは嬉しそうな表情をしてるな、やれやれもう少し素直になれよ。

 

「ところでよ、この後どうするんだ?」

 

「もう少し行った先に車を停めてある、そこで皆と合流して脱出する。」

 

あと少しで見えるは、ず?オイオイオイオイ!!

 

「残念ですが、貴方達の運命はここまでです。」

 

武装したシスターに理子とライカとセーラが取り押さえられいたぞ!?3人とも気絶しているみたいだし、何があったんだよ!?

 

「理子とライカはともかく、セーラまでもかよ!?何者だよあのシスター!?」

 

「やっぱりてめえか!!メーヤ!!」

 

武装したシスター軍団の前にいるイタリアと恐らく日本のハーフらしきシスターに向けてカツェが叫んだ。身の丈程の大剣持っているんですが、物騒過ぎて怖いんですが?

 

「その声は、はん、惨めにも生き延びたらしいですが結局は穢れたゴミクソ魔女は死ぬんだよ!!」

 

「「口悪すぎじゃないかなあのシスター!?」」

 

毒を吐きすぎだろあのシスター!?あれですか?戦闘になると口が悪くなる系ですか?

 

「そしてゴミクソ魔女を救おうとした貴方達、大人しくお縄に付いてもらいましょうか?」

 

「それは出来ないよ、だってカツェちゃんはうあっ!!」

 

「白雪!?くそっ、狙撃兵か!!」

 

白雪が撃たれた!!左肩と右足か、しかも理子とライカとセーラも数ヵ所撃たれているし!!今は武偵の制服を着てないからやべぇ!!

 

「断るからそうなるのです。さあ、山本風雨、カツェ・グラッセを引き渡しなさい。」

 

メーヤがそう言うと後ろにいる武装シスターは各々が持っている武器を構えたな。断ったらどうなるかは一目瞭然だなこれ。

 

「カツェを渡した所で俺らを見逃す訳じゃないんだろメーヤ?」

 

「いえ、引き渡してくれれば貴方は見逃します。」

 

なるほど、ってそんな悲しそうな顔で俺を見詰めるなよカツェ。

 

「分かったよ。」

 

「風雨!?」

 

「貴方は賢いですね、さあカツェ・グラッセを「引き渡すわけねえだろバーカ!!」!!」

 

よし、メーヤの左側から大型車が来た。武装シスター達は乱入者に驚いてるな。おまけにスモークグレネードも投げてと。

 

「風雨君!!」

 

「分かってる!! 固有時制御 三倍速(time alter triple accel)!!」

 

三倍の速さで動けるようになった俺は、開いてるドアに向けて拘束が緩んでる理子とライカとセーラを投げ入れ、白雪とカツェも投げ入れる!!

 

「もういいぞレイトン!!」

 

俺は助席に座っているぞ。俺の声を聞いたレイトンは目を見開いていたが。

 

「全員乗ってるみたいだね。にしても風雨君、淑女を投げるとは紳士らしくないんじゃないかい?」

 

衝撃は最小限にしたけどな。

 

「そんな余裕ねえよ、だって「おのれおのれおのれおのれおのれ!!」バーサーカーシスターがこっちに向かってきてるからな。」

 

いやAUOか、とにかく荒っぽい声を上げながらバイクに乗って走ってくる。おいまてバイクかよ!?

 

「汚い、流石クソ魔女の味方。山本風雨、貴方だけは心臓と肺だけを治癒で再生しながらジワジワと爪先から斬り刻んでやるわ!!」

 

「風雨君、あれはシスターと言っていいものなのかな?私はそうは見えないのだが?」

 

毒を吐きながらメーヤは俺達が乗ってる車めがけて爆走してくる。レイトンはメーヤを見て若干引いてるな、当たり前か。

 

「俺もそう思う、あれはシスターじゃない。シスターの皮を被ったバーサーカーだ!!」

 

「風雨君それは失礼だよ!!バーサーカーは言い過ぎだと私は思う。」

 

「ってシスターじゃないのは認めんのかよ!!」

 

レイトンですらシスターじゃないと認めるメーヤ、今は瓦礫を此方に飛ばしてきてます。うお危な!!

 

「カツェ、貴女は火炙りに、山本、貴方は四肢をバラバラにして聖水を掛けて噴火口に沈めてやるわ!!」

 

おい!!何で俺の方が罰が重くなってんだよ!?

 

「このままじゃ追い付かれる!!」

 

しかし、レイトンの運転技術は凄いな。サイドミラーやバックミラーを見ながら銃弾や瓦礫を避けてるし、車体を斜めにして狭い道を通ったりしてるな、何処かの大泥棒並だな。

 

「大丈夫だ、手は打ってあるさ。」

 

俺がそう言った途端にメーヤ達の前に氷の壁が出現したな。タイミングばっちりだぜジャンヌ。

 

「遅いぞ山本、って白雪達が怪我をしてるぞ!!」

 

車を停めたら路地からジャンヌが現れたな、もしもの時の為に待機させておいたんだが、正解だったな。

 

「ジャンヌ!!お前は無事だったんだな!!」

 

「カツェか、よく生きててくれたな。」

 

車に乗ったジャンヌが白雪達の怪我の手当てをしているカツェを抱き締めたな。感動のさ「ゴミ虫供が、細切れに斬り刻んであげますよ!!」あるれぇ!?

 

「ちょいジャンヌ!!氷の壁はちゃんと張ったんだよな!?メーヤはいとも簡単に壊して来たぞ!?」

 

すぐに氷の壁が粉々に砕け散ったぞ!?やっぱあのシスター怖えよ!!

 

「くそっ、やっぱりメーヤには効かねえか。」

 

やっぱり?カツェは何か知ってるみたいだな?あとレイトン、全速前進でおなしゃす!!

 

「風雨達はメーヤの能力を知らねえんだったな。あいつは戦運の加護が付いているんだよ。」

 

「もっと分りやすく言ってくれよカツェ!!」

 

「つまり幸運の加護で銃弾とかが逸れるんだよ!!しかも敵の場所とかを探し出せたり、色々と厄介なんだよ!!」

 

ナニソレ?幸運があれば自分に害するものは当たらないってか?師匠が喉から手が出るほど欲しそうな加護だな。

 

「なるほど、ボインボインの加護か。」

 

「おい、メーヤの何処を見てその発言をしたかじっくり聞こうじゃないかバカ風雨?」

 

存外余裕あるなカツェ。そしてジャンヌ、ボインボイン発言で顔を赤らめるな。どんだけ初なんだよ?

 

「惨めな嫉妬は辞めようかカツェ。」

 

「しばくぞ風雨!!」

 

「おお怖い怖い。まあつまり、メーヤに弓矢とか銃とか効かないってことかカツェ?」

 

「そうだって風雨何してんだよ?その矢か剣か分からない物を持って?」

 

「何ってメーヤに向けて放つんだが?」

 

「お前話聞いてなかったのかよ!?」

 

ばっちりと聞いてましたよ?でもな、目で見ないと実感が掴めないんだ!!

 

「大丈夫だカツェ、ただの矢じゃねえからこれ。」

 

「はぁ?何をい「偽・螺旋剣(カラドボルグ)Ⅱ!!」お前バカだろ!?」

 

放った矢は、メーヤの頭に当た、らないでごく自然に上を通り抜けたな。幸運ってすげー!!

 

「まああの矢は爆発するんだけどな。」

 

ドガーーーンっと、おおうやっぱりメーヤは無傷か。

 

「風雨お前武偵だよな!?今の爆発は殺す気満々じゃねえか!!」

 

「そうだけど?寧ろ殺す気で攻撃した方が被害は少なくて済むかなと。」

 

取り巻きのシスターは爆発に飲まれたり、爆発による衝撃で地面や建物に叩き付けられて動かなくなったな。大丈夫、これ一応非殺傷だから。

 

「何処までも汚いウジ虫が!!生きてバチカンから出られると思うなよ山本風雨!?」

 

「いや何で!?何で俺だけなの!?」

 

カツェを目の敵にしてたのに、いつの間にか俺にシフトチェンジかよ!?俺大ピンチじゃん。

 

「さて、実際に当たらない事が分かったな。」

 

「切り替え早いな山本?」

 

そうでもしないとやってられません(涙)

 

「何か策は見付かったのか?」

 

「そうだなジャンヌ、手も足も出ない事が分かったな。いやぁ参った参った。」

 

もう笑うしかね「真面目に考えろバカ風雨!!」いって殴るなよカツェ!!だって無理じゃん!!遠距離の攻撃は幸運で逸れるし、近接で挑んでもあんな大剣受け止めれません!!

 

「ジャンヌの超能力でなんとかならんの!?」

 

「何とかしたいが、氷がすぐに溶けるのが目に見えている。現にメーヤを縛ろうとしたが氷が蒸発したぞ。策の立てようがない。」

 

「無理ゲーじゃん。動けるの俺とジャンヌしかいねえんだぞ?」

 

大人しく鞄に入ってるある食材をかき混ぜることしか出来ねえじゃねえか。

 

「山本の超能力では駄目なのか?」

 

「駄目だな、あんなパワータイプは俺にとっては相性最悪なんだよ。」

 

それよりも、早く安全な所で白雪達の怪我を応急処置したいからな。混ぜ混ぜ、やべ、容器に穴空いた。

 

「おい風雨?さっきから何をしてるんだ?」

 

「ん?最終兵器を使う。レイトン、車内の換気は大丈夫か?」

 

「大丈夫だよ風雨君、けどもうそろそろ追い付かれてしまうよ。」

 

それも計算の内だ。ちゃんと当たらないとこいつは効果を発揮しないからな。

 

「惨めに逃げるゴミ虫供が、追い付いたらすぐに磔にしてやるわ!!」

 

「やれるもんなら、やってみな!!その前にこいつでも存分に味わいな!!」

 

かき混ぜていたあるものをメーヤに向けて投げ飛ばす。メーヤはそれを大剣で斬ろうとしたけど、臭いを嗅いで停まったな。

 

「何、これ!?なんて卑劣な!!」

 

「おいメーヤの奴が止まったぞ?風雨お前何を投げたんだよ?」

 

「知りたいかカツェ?それはな、タッタラタッタッターン!!NA☆TTO☆U!!」

 

「「はい?」」

 

おおう、納豆を知らないのかジャンヌとカツェ?悲しいなぁ、有名なジャパニーズフードなのに。

 

「まあ、試しに臭いを嗅いでみろ。」

 

「それが一体なブファ!!くくく臭いぞそれ!?」

 

「やや山本!?今すぐ捨てろ!!」

 

納豆の臭いを嗅いだ二人が吐きそうになってるな。まあ日本人じゃない人が臭いを嗅げばそうなるか。

 

「これは大豆を発酵させた食材、納豆だよ。臭いはクセがあるけど食べると旨いぞ?」

 

「食える訳ないだろそんなもの!?」

 

納豆旨いのに、まあ慣れてない人が食べれるわけないよなこれ。

 

「ちなみにメーヤに投げた納豆は俺が持ってる物の数倍も臭いを濃くした物を投げました。」

 

要するに、完全に腐ったものを投げました。不法投棄?有効活用だよ。

 

「風雨お前鬼畜だな!?」

 

「光栄の極み~!!」

 

「誉めてねえから!!」

 

さて、今のうちに距離を離して白雪達の怪我の治療をしますか。

 

「そういえば山本は衛生科だったな。」

 

「そうだぜジャンヌ、俺はか弱い衛生兵。僧侶ポジションなんだぜ。」

 

「「絶対違う!!」」

 

即答すんなよ、それとレイトン、ウンウンと頷くんじゃねえよ。間違ったことは言ってないぞ?



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第40筋 ランクEはExtraのEとも読み取れる

「とりあえず、撒いたようだね。」

 

メーヤにNA☆TTO☆Uを投げて行動不能にした後に、全速力で逃げてきたぞ。やっぱレイトンの運転技術すげー!!

 

「ありがとなレイトン、それからもう1つ頼みたい事があるんだが?」

 

「分かっているさ、今回の処刑の件については私の方で調べておくよ。」

 

さて、メーヤがこっちに来るまでに調べ終わるかねぇ。まあ俺は何も出来ないから治療に集中っと。

 

「しかし、風雨って本当に衛生兵だったんだな。」

 

今は白雪達の怪我の治療を終えてカツェの怪我を治療しているぞ。幸いにも皆の怪我は大事には至らなかったから良かった。

 

「当たり前だろ、戦闘能力はあくまでオマケだ。」

 

「そのオマケがとんでもないんだけどな。自覚してるか風雨?」

 

「もちろんさー。」

 

あっ、カツェが頭を抱えだした。そんなカツェには悪戯してやる!

 

「ちょちょ!!痛いぞ風雨!?」

 

「我慢しなさ~い。仮にも軍隊長だろ?ならこれくらいの痛みは耐えられるよな!」

 

「だからって傷口に塩を振るなよぉぉぉぉ!!」

 

おっとカツェが痛みに耐えれなくて泣き出してしまった。誰だカツェを泣かしたのは!?

 

「貴様だ山本!!ふざけていないでさっさと治療をしろ。」

 

「悪かったよジャンヌ、お詫びにジャンヌの傷も治してやろう。」

 

もちろん、傷口に塩を振ってな!!

 

「やめろ山本!!そもそも私は怪我をし「風雨、ジャンヌは足の太股部分に擦り傷が出来てるぜ!」ややややめろカツェ言うんじゃない!!」

 

なんだって!?女の子の足は傷が付いてはいけないんだ!!だったら治してあげないとねぇ?

 

「ほらほら~、ジャンヌちゃん?痛い所はお医者さんに見てもらいましょうね~。」

 

「くく来るな山本!!こんな擦り傷程度痛くも痒くもないんだ!!だから治さなくていいんだ!!」

 

必死だねぇ、でもそこまで必死な姿を見ると余計に傷を治したくなるねぇ(ニヤリ)

 

「カツェ、ゴー。」

 

「ジャンヌにもあたしが体験した痛みを味合わせてやるんだぜ!!」

 

カツェがジャンヌの体を押さえたな、さあて治療のお時間ですよ~。

 

「そのニヤニヤした顔で来るな山本!!」

 

「大丈夫だジャンヌ、塩は使わねえよ。」

 

俺の言葉を聞いた瞬間にジャンヌはホッとした表情になったな。

 

「その代わり、これを使うけどな!!」

 

「ん?なんだそれは?」

 

ジャンヌは俺が取り出した物を見て怪訝な表情になったな。ころころ表情変わって面白いな。

 

「あっ。」

 

カツェは察したようでジャンヌに哀れみの眼差しを向けてるな。

 

「おいカツェ?何故私にそのま「じゃあこれを患部に塗るぞ?ちょっと痛むからな~?」だからいぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「風雨、お前鬼畜過ぎるだろ。」

 

ジャンヌには水絆創膏を塗りました。あれスッゴク痛いんだよね。

 

「何がちょっと痛むだ山本!?貴様はやはり誤算の権化だ!!」

 

「お褒めに預かり光栄恐縮~!!」

 

ジャンヌが顔を赤くして涙目になっている姿を撮ってと、鬼畜だって?なら麻酔無しで糸で傷口を縫ってもいいんだぜ?

 

「風雨君!!」

 

おぶっ、レイトンから紙の束を投げつけられた。ってこれは今回の処刑の内容のレポートか。

 

「やっぱりそうだったか、それでレイトン、何でレポートを顔面に投げ付けたんだ?」

 

「すまない、少し動揺してしまったからね。」

 

「おい風雨!!やべぇぞ!!メーヤが来たぞ!?」

 

もう来たのかよ、結構距離を離した筈なんだが?

 

「くそっ、やっぱりあたしが相手するしかねえか!」

 

カツェが車のドアを開けようとするのを止め、やべぇお尻触っちゃったぜ。

 

「ひゃん!!ふふ風雨!?」

 

「怪我人は大人しくミルクでも飲んでなさい。ジャンヌ、お前もな。」

 

「いい今、あああたしのお尻をささ触ったよな風雨?」

 

カツェが顔を赤くして睨んでくるな。はて、これはどう答えるのがいいんだろうか。ここは紳士らしく答えるか!!

 

「とても柔らかくてもっと触りたいです。」

 

「しばくぞバカ風雨!!」

 

うぶぇ、顔面蹴飛ばされて車から放り出されたぜ。バッドコミュニケーションだったか、紳士らしくって難しいな。

 

「いってぇ、さてメーヤ、よく追い付いてこれたな。」

 

「ええ貴方達が逃げた方向を虱潰しに探しましたので、さあ山本風雨、あの魔女の首を此方に差し出してください。あと鼻血出てますよ?」

 

「その前に1つ聞きたいんだが、お前は今回のカツェの処刑に何か疑問とか持たなかったのか?あと鼻血じゃない、赤い鼻水だ。」

 

俺がメーヤに訊ねるとメーヤは何の表情も変えずに首を横に振ったな。

 

「疑問をもつ必要がどこにあるのでしょうか?あの魔女は大罪人、処刑されて当然です。」

 

「バチカンが情報操作したとしてもか?」

 

「貴様っ!!」

 

うおっと、いきなり斬りかかってくるなよ。しかも大剣の振り下しで地面が割れてるし、喰らったら一溜りもないなこりゃ。

 

「バチカンを侮辱したその罪、死をもって償わせてやります。クソ魔女もろとも死ね!!」

 

「頭に血が登りすぎだろ。あれか?上からの命令は絶対守るってやつかメーヤ?」

 

メーヤの大剣の攻撃を避けながら訊ねる。避けれない時は小太刀で受け流す。腕が痺れるなこれ。

 

「落ち着け、まず俺の話を聞いてくれ。」

 

「聞く必要などない!!」

 

危ね!!メーヤの大剣の振り回した後の衝撃波で吹き飛ばされかけたぞ。小太刀を籠手にしまって矢を数本メーヤに向けて撃つが、やっぱ逸れるか。

 

「魔性を持つ者は排除するべきだということが分からねえガキが吼えるんじゃねえよ!!」

 

怖っ!!メーヤの顔怖い、気迫で押されそうになりそうだ。

 

「害悪と見なす者は絶滅すべきってか、それは上から自分が都合のいいように利用されてもなのかメーヤ?」

 

「何が言いたい?戯れ言は死んでから吐きなさい!!」

 

こりゃ駄目だ、話すにしても1回落ち着かせないと。どうする?パワープレイは苦手だが、やるしかねえか!

 

「何を言っても無駄なら叩きのめして話すまでだ!!戦術殻 地!!」

 

メーヤの大剣が迫ってくるのを俺は避けずに籠手からある武器を取り出して受け止める。

 

「なっ!!お、斧!?」

 

「風雨お前パワープレイは苦手って言ってなかったか!?」

 

カツェが何か叫んでるがキニシナーイ。ってヤバイヤバイこの斧は重いからすぐ動けないんだよ!!メーヤの蹴りが脇腹に直撃しちまう!!

 

「風雨君!!」

 

直撃する前にレイトンがエストックでメーヤの蹴りを受け止めてくれたな。つーかエストック何処から取り出した?

 

「貴方も、あのクソ魔女の味方ですか?」

 

「そうだよ、それと淑女がそういう言葉を使ってはいけないよ。もっとおしとやかにならないと。」

 

そう言いながらレイトンはメーヤの大剣を重心移動で避けたり、蹴りをエストックで受け止めている。おいおい教授っていうものは武闘派が多いのか?

 

「何故貴方は攻撃してこないのですか?」

 

「生憎と淑女に攻撃する訳にはいかないのでね。」

 

レイトンはシルクハットを押さえながら言うけど、攻撃しないんじゃどうメーヤを行動不能にさせるんだよ?

 

「そうですか、なら潰れなさい!!」

 

「おっと、そうはさせねえよ。」

 

メーヤの大剣の振り下ろしを斧で受け止めて鍔迫り合い状態にする。レイトンと俺の二人がかりで均衡状態って、メーヤどんだけ力あるんだよ!?

 

「どこから斧を出したのですか!?」

 

「さあな、まあメーヤが大剣で来るなら俺もそれ相応の武器で対抗しないとな。目には目を、歯には歯をってやつだ!!」

 

「貴方それでも武偵ですか!?斧って、相手を殺す気じゃないですか!?」

 

「大剣をブンブン振り回すお前が言うなメーヤ!!」

 

身の丈くらいの大剣を持って振り回してる奴が何言ってんだ!!

 

「ふんぬらば!!」

 

体を1回転させて斧を横に凪ぎ払う。メーヤは大剣を盾にして受け止めてるが、相当な衝撃が入ってるな。顔がしかめっ面になってる。

 

「くっ!!何故これ程の力が!?」

 

「そりゃお前を救うためだぜ(・・・・・・)メーヤ!!」

 

俺の言葉に動揺して動きを止めたな?そのまま動かないでくれよ?

 

「どういう、ことですか!?」

 

「カツェの処刑は誰かに仕組まれた処刑で、救いに来た俺らとメーヤを共倒れさせてまとめて始末しようとしている奴等がいるんだよ!!」

 

「そんなわけがありません!!魔性の味方をする貴方の言葉なんか信じられません!!」

 

くそっ、思っていた以上に頭が固いなメーヤ。

 

「例えそうだとしても私はカツェ・グラッセを捕まえて始末する!!」

 

「こんの、わからず屋が!!」

 

メーヤの大剣の凪ぎ払いをジャンプして避けて斧を上から振り下すが、大剣で受け流される。狙い通りだ!

 

「もう争う必要なんかねえと言ってんだよ!!」

 

斧から手を離してメーヤの胸ぐらを掴んで叫ぶが、メーヤは俺の叫びに屈せずに蹴りを入れてきやがった!!

 

「邪魔をするな!!私は信じるものを信じて行動するまで!!」

 

「その信じてるものが間違ったことをしてると言ってんだよ!!」

 

「例えそうだとしても、私は信じることしか出来ないのです!!上の為に戦っているのではないのです、私は私のたっ!!」

 

しまった!!メーヤが何処からかの狙撃で脇腹を撃たれた。説得に時間を掛けすぎたか!?

 

「風雨、急いで車に乗れ!!何処からか狙撃されているぞ!!」

 

カツェ達が乗っている車はカツェが少し回復したから水の壁で銃弾を逸らしているな。

 

「分かってる、おい立てるか?」

 

脇腹を撃たれているメーヤに手を伸ばすが、その手を払われてしまう。

 

「やはり、こうなりましたか。」

 

「メーヤ、やっぱり知っていたのか?」

 

「ええ、上の人達はある人達と協力してましたから。私はもう用済みと判断されたのでしょう。さあ行きなって何故私を抱えるのです!?」

 

どうせ私を見捨てて逃げなさいとでも言うところだったんだろ?んなことはさせねえぞ。バットエンドは大嫌いなんだよ。

 

「ここでメーヤを見捨てたら目覚めが悪いからな。」

 

RRGの弾頭が飛んでくるのを、斧を地面に叩き付け、地面から衝撃波を上に発生させて爆発させる。つーかRRG使ってくるとかどんだけ俺らを消滅させたいんだよ?

 

「私はもういいです!!私を捨てなさい!!」

 

「風雨君、ミサイルが来る!!」

 

っち、RRGの次はミサイルかよ!?人間相手にオーバーキル過ぎるだろ!?

 

竜巻地獄(ヘルウィンド)!!」

 

この風はセーラか!?後ろから突風が吹いてそれに乗った矢がミサイルを爆破させてるな。

 

「風早くしろ!!第二波が来る!!」

 

分かってるセーラ、向かい風の中で全速力で走ってるから出している風を収めてくれよ!!えっ、無理?

 

「風ちゃん早く乗って!!」

 

白雪、目が覚めたんだな。よし、第二波が来る前になんとか車に辿り着いた。メーヤを乗せて車のドアを閉めてっと。

 

「皆乗ったかい?急いで出発するよ!!」

 

そう言いレイトンは車を発進させて、崖から落ちた。ってオイィィィィィィ!?

 

「ちょちょレイトン何してんの!?何で崖からフライアウェイしてんだよ!?」

 

「落ち着きたまえ風雨君。」

 

「いや何でそんなに冷静なんだよ!?」

 

今絶賛落下中だぞ!?セーラなんとかしてくれ~!!

 

「無理、この車を受け止める力は残ってない。」

 

「諦めんなよ!!諦めんなお前!!どうして諦めるんだそこで!?もうちょっと頑張ってみろよ!!あとパンモロ御馳走様です。」

 

「えっ?っ!!」

 

セーラの下はズボンじゃなくてスカートだからな、今逆さま状態だからスカートが捲れてる、白い下着が見えてるぞ?やったぜ!!

 

「みみ、見るな風!!」

 

顔真っ赤にしてスカートを押さえているセーラは絵になるね!!

 

「スカートを履いてきたセーラが悪いだだだだ!!頬をつねるんじゃねえよカツェ!!」

 

「スケベ野郎には丁度いい罰だろ。」

 

「んん?あっ、フウフウ生きって理子達落下してるぅぅぅぅぅ!?何でぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「なな何が起こってるんですか風雨先輩!?これ助かるんですか!?」

 

「任せとけライカ。」

 

俺がそう言うとレイトン以外の皆はホッとした表情をしたな。

 

「運にな!!」

 

「「「「「運かよ!?」」」」」

 

あっ、今の皆の表情面白いな。写真撮っとこ、と思ったけど逆さまだから撮れねえじゃねえかちくしょう!!

 

「皆、何処かに掴まるんだ!!」

 

レイトンはそう言って赤いボタンを押したな?あれ?何か風が入って来てるな?

 

「なな、何が起こったんだ!?状況が追い付かないぞ!?」

 

車の天井が捲れて、後ろからプロペラみたいな物が出現して回りだしたな。

 

「これは飛行機!?」

 

「私の知り合いに機械の改造が得意な人が居てね。彼に頼んどいたんだよ。」

 

車が飛行機みたいな乗り物に変わったぞ!?凄すぎだろこれ!?

 

「っぐ、かはっ、げほっ!!」

 

「こ、この人って!?う、撃たれて大量の血を流してるよ!?」

 

白雪がメーヤを見てギョッとしたな。まあ脇腹をスナイパーライフルの銃弾で撃たれたらそうなるわな。

 

「風雨、メーヤを助けて来たんだな?」

 

カツェはギロリと睨んでくるが、溜め息を付いたな。メーヤも今回の騒動の被害者だからな。見捨てるのは違うと思ったんだよ。

 

「まあ、直接メーヤには何もされなかったからいいけどよ、ちゃんと説明しとけよ?」

 

「分かってるさカツェ、でもその前に治療をしないとな。」

 

「風雨先輩!?脇腹撃たれてますよこの人!?早く病院に連れていかないと!!」

 

分かったから少し落ち着けライカ、あんまり動くと落っこちるぞ?

 

「むっ、まだ銃弾とか飛んでくる。」

 

「セーラ、ちょっとこの車を守っててくれないか?」

 

俺がそう言うとセーラはムスッとした表情で車を風の結界で守り始めたな。

 

「私だけじゃ守りきれない。」

 

「なら私に任せてセーラちゃんは休んでてね。」

 

白雪が守るとなると車体が炎で包まれるっておいおいおいおいその機関銃何処から取り出した!?

 

「ユキちゃん!?M60機関銃って、それ武偵が持っていい武器じゃないよ!?」

 

「皆を守れるならルールなんて破るよ!!」

 

「ええい私がこの車を守るから白雪はその機関銃をしまえ!!」

 

ジャンヌに怒られてショボーンと白雪はしてるけど、当たり前だからな?

 

「ところでフウフウ、この人の傷治せるのぉ?」

 

「なめるなよ理子?俺は衛生科のEランクなんだぜ?こんな傷すぐに治してやるさ。」

 

「うん、ドや顔で言ってるけどフウフウEランクなんだよね?すごく不安なんだけど!?」

 

理子がぎゃーぎゃー騒いでいるが気にしない気にしない、っと早速オペに取りかかるか。

 

「まずは胸にヒールゼ「ふざけてないで真面目にやれバカ風雨!!」いてえ殴られた。」

 

拳骨で殴らなくてもいいだろカツェ、まあ遊びはここまでにしてと。

 

「止めなさい、私はもう助かりません。自分の体の事は自分が1番理解しています。」

 

「とメーヤは言ってるけどどうすんだ風雨?」

 

「目の前で死にそうになってる人を放って置けるかよ。敵とか味方とかの前にまず医師としての役割を果たすだけだ!!」

 

俺がそう言うとメーヤは目を見開いて驚いていたが、そんなに驚くようなことか?

 

固有時制御 4倍速(time after square accel)!!」

 

4倍速で動けるようにしてメーヤの傷の治療をしていく。この傷は命に関わるからな、本当にこの魔術を教えてくれた祖父さんには感謝だよ。

 

「ですが、これ程の傷は治せ「よし、終わったぞ。」る訳が、えっ?治った?」

 

「早!?まだ数十秒しか経ってないよ!?」

 

「これがランクEの実力だよ。ところでこの後どうするんだ?」

 

「とりあえず、あたしの隠れ家まで行くぜ。」

 

メーヤもいるんだが、まあ動けないし大丈夫か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女連隊の隠れ家

 

『だいじょょょょょょょぉぉぉぉぉ!!!』

 

「ちょお前らいっぺんに来るなぁぁぁぁぁ!!」

 

隠れ家に着いたら魔女連隊の人達が一斉にカツェに向かって飛び込んだな。ってか君達スカート履いてるんだから飛び込むのは止めなさい。目のやり場に困るから。

 

「生きててくれたんですね!!」

 

「良かった、良かった。」

 

「ちゅーを!!私にちゅーをしてください隊長!!」

 

いやー、愛されてますなぁカツェ。

 

「風雨君、カツェを助けてくれて本当にありがとう。風雨君がいなかったらもう。」

 

イヴィリタが俺に頭を下げてくる、別に礼を言われる為に助けた訳じゃないんだけどな。レイトンや白雪達は外で止めてある車に待機させてるぞ。

 

「風雨、本当にありがとな。」

 

「いいっていいって。俺がカツェを助けたかったから助けただけだ。」

 

カツェが顔を赤くして俺に礼を言ってきたな。可愛い、写真とりたいけどカツェの部下達がいるからなぁ。

 

「このお礼は必ずしますので。」

 

戦場では兵隊なんて死んで当たり前っていうはずなのに、生きて帰ってきたカツェを罵らないで暖かく迎えたということはイヴィリタも人の子なんだな。

 

「分かった、じゃあなカツェ。今度はしくじるなよ?」

 

俺が隠れ家から出ていこうとするとカツェが淋しそうな表情になったな。おいこら異性恋愛罪はどうした?

 

「隊長がしくじるのは何時ものことだからねー。」

 

『ねー!!』

 

「お前ら!!あたしにぶっ飛ばされたいか!?」

 

カツェが側にあった軍刀を拾ってキャーキャー言って逃げる部下達を追い掛けていったな。おいおいそれでいいのか魔女連隊?

 

「まあ、カツェをよろしく頼むな。」

 

「ええ、また会いましょう風雨君。」

 

隠れ家を出て外に止めてある車に乗る、会いましょうって何か引っ掛かる言い方だな。

 

「あれ?メーヤは?」

 

「あの毒舌シスターなら、もう何処かに行っちゃったよフウフウ。」

 

しばらく動けない筈なんだが?そんなに魔性の人達が嫌いか。まあメーヤだしあの怪我でも生きてるだろ多分。

 

「あとメーヤさんから伝言を預かってるよ風ちゃん。貴方の事を少し信じてみようと思いますだって。」

 

「しかも顔を赤らめながらねぇ~、フウフウは何処に行っても女の子を口説くつもりなのかなぁ?」

 

そんなこと言われても知らんし理子、ただメーヤとはドンパチして、その後に傷を治してあげただけなんだが?

 

「火遊びも程ほどにね風雨君?」

 

「そんなつもりは毛頭ないんですが?」

 

人を女ったらしみたいに言わんでくれ、キンジじゃあるまいし。そこ溜め息をつくなセーラと理子。

 

「今回の処刑は中々に謎が深そうだ。私は引き続き調査していく事にするよ。折角だから空港まで送るよ。」

 

「今回は本当にありがとうレイトン。」

 

今回も色々あったな。まあカツェを救出出来たから良かった良かった。

 

「風ちゃん、蘭豹先生から連絡があって次登校してきたら覚悟しろとの事だって!!」

 

良くなかった!!これ絶対始末書書かされる奴じゃん!!ドイツの時は百枚書かされたから今回は何枚書かなきゃいけねえんだよ!!

 

「あと校長からの呼び出しもあるんだってぇ、フウフウ、生きてまた会おうね?」

 

「山本、お前との時間は中々悪くなかったぞ。」

 

「風、家庭菜園の事は心配しないで。あと依頼金はちゃんと払って。」

 

「風雨先輩、風雨先輩から教えてくれた事は忘れません!!ありがとうございました!!」

 

ちょっと待てぇぇぇぇぇぇ!!何で俺が死ぬ前提で話してんだよぉぉぉぉぉ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ、仕留め損なったか。まあいい、それにしても山本風雨。超能力ではない力(・・・・・・・・)を使う者、か。」

 

一連の騒動を見ていた海軍の軍服と軍帽を着たツインテール姿の少女はそう呟き、姿を消した。果たしてこの少女は何者なのか?



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第41筋 それでいいのか校長?

東京武偵高校

 

飛行機に無事に乗って日本に戻ってきた翌日、学校の玄関の扉をくぐった瞬間に蘭豹先生に捕まったぜちくしょう。

 

「おーう山本ぉ?今回も随分と色々暴れたみたいやなぁ?」

 

「情報が早いですね先生、俺も有名になってきた証拠か!!」

 

「有名になりすぎなんじゃボケがぁ!!誰がバチカンのシスター相手にドンパチせえと言った!?」

 

痛い痛い、酒瓶で叩かないで下さい先生。俺怪我人なんだぞ?ほぼ完治してるけど。

 

「自分の身に危険を感じたからドンパチしただけです。正当防衛なので問題はありません!!」

 

「過剰防衛だボケがぁ!!」

 

「まあまあ、朝からそんなに怒ると血圧上がりますよ蘭豹先生。」

 

「誰のせいだと思っとるんやクソガキぃ!?」

 

百パーセント俺だな、異論は認めないぞ?

 

「さっさと行くぞ、緑松校長がお前を呼んでる。」

 

「あっ、急にお腹が!!」

 

「はよ行けやクソガキぃ!!」

 

嫌だな、校長には会いたくないなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校長室

 

「失礼しまうま。」

 

「全く、相変わらずですね山本君。」

 

校長室に入ったら目の前に校長がいました。殺気を俺に飛ばしながらな!!

 

「てめえ自分がどれ程の事をしでかしたのか分かってんのか?」

 

「分かってなかったらそもそも行動してねえよ。」

 

校長と俺は殺気を飛ばし合いながら睨み付ける。蘭豹先生、ガクガク震えてるけど大丈夫か?

 

「事後処理がどれだけ大変だったか分かってんのかてめえ?揉み消すのも大変なんだぞ?」

 

校長はそう言って俺にペンを投げ飛ばしてくる。それを小さく展開した熾天覆う七つの円環(ローアイアス)で受け止める。

 

「それが発動できたって事は、なるほど。」

 

ローアイアスを見た校長は殺気をしまったな。やっぱ怖えよ校長、ただペンを投げただけなのにローアイアスの花弁が1枚割れたぞ恐ろしい。

 

「始末書は何時もの倍は書いてもらいます。それで不問にします。」

 

「ありがとうございます。」

 

校長に向けて礼をするが、後頭部に凄い衝撃が走ったぞおい!?

 

「ちぃ、防がれたか。蘭豹先生、下がってよろしいですよ。」

 

顔を上げるとナイフを持った校長が目の前にいた。完璧に俺を殺すつもりだったじゃないですかやだー!!後頭部にローアイアス展開してなかったら死んでたな。

 

「し、失礼します!!」

 

あれ?蘭豹先生が慌てて校長室から出ていったな。何があっ、やってしまったのか。アンモニア臭がプンプンしますな!

 

「山本君、掃除をお願いしますね?それと、例の物(・・・)はありますか?」

 

「ありますよ、今出します。」

 

俺が出したのは、今までに撮ってきた写真の数々だ。俺が写真を撮ってきた理由は校長に渡すためだ。

 

「やはり生徒が撮ってきた物の方がよく撮れてますね。助かりますよ。」

 

実は極秘依頼で、校長から卒業アルバムに乗せる写真の依頼を受けているぞ。

 

「星伽さんとジャンヌさんと峰さんの写真の提供ありがとうございます。予想以上にいい写真を提供してくれたので始末書は百枚にしておきますよ。」

 

わーい半分になったぞー、でも百枚だ(泣)

 

「あと山本君に二点程話すことがあります。」

 

「何でしょうか?」

 

床を掃除しながら緑松校長からの話に耳を傾ける。蘭豹先生、大量に漏らしたなこれ。写真撮っとこ。

 

「まず近々山本君に二つ名が付くかもしれません。」

 

うげっ、二つ名か。二つ名っていうのは優秀な武偵に付けられる名前の事だぞ。例えばアリアは双剣双銃(カドラ)のアリアっていう二つ名がある。

 

「あれ中二臭いから好きじゃないんですよね。」

 

「そう言わずに、誇らしい事じゃありませんか?滅多に付くことがないんですよ?」

 

せめていい名前が付くことを祈るよ。

 

「続いて二つ目ですが、まあすぐ分かるので私の方からは言いません。」

 

「そう言われると凄く気になるのですが?」

 

おい緑松校長、ニヤニヤしながらこっちを見るな。嫌な予感しかしねえよ。

 

「私から言っても面白くありません。そろそろHRが始まりますよ山本君?」

 

もうそんな時間か!?ってか校長室に時計置いておけよ!!何でな「見栄えが悪くなるからです。」どうでもいいだろ!!

 

「それでは失礼します。」

 

彼女の世話(・・・・・)をよろしくお願いしますね山本君。」

 

うわー、もの凄く嫌な予感しかしねぇ。HRサボろうか「駄目ですからね?」アッ、ハイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室

 

「風雨!!アンタ何処に行ってたのよ!?」

 

教室に入って席に着いた途端にアリアにガバメントを突き付けられました。新手の挨拶?

 

「ちょっと遠い所でドンパチしてただけさ。それよりアリア、キンジがアリアと話したそうな顔をしてるけど?」

 

「あんな奴知らないわ。」

 

ふん、と言いながらキンジと目を合わさないで前を向いたな。まーた喧嘩でもしたのか。

 

「はいはい、皆さん静かにね。これからもHRを始めますよ、でもその前にこの教室に新しい転校生がやって来ますよ。」

 

転校生?って野郎共うるせぇ。こりゃ今日の授業は潰れたかな。

 

「先生!!その転校生は女の子ですか!?」

 

「武藤君落ち着いてくださいね、転校生は女の子ですよ、仲良くしてあげてくださいね?」

 

「「「「「ウオオオオオオ!!!」」」」」

 

うるっせえ、てめえらはライブ会場にでもいんのか?テンション上がりすぎだろ。

 

「では入って来てください。」

 

担任が言って教室のドアが開いて中に入ってきたのは、ってそういう事かよ校長!!

 

「ふうん、黒髪のおかっぱ頭で右目に眼帯をかけている子ね。って風雨アンタ頭を抱えてどうしたのよ?」

 

いや、世話をしてくれって言われた時からなんとなく予想はしてたけどさ。いや本当何で来たの!?

 

「カツェ・グラッセです。」

 

「「「「「カツェちぁぁぁぁん!!」」」」」

 

カツェは男供からの声援にビクッてしてるな。武偵の制服姿も中々にい「先生、あたしあいつの席の隣がいい。」あれこれ何かデジャウ?

 

「山本君、ご指名ですよ?」

 

「ふ、風雨!!やっぱりてめえあの魔女っ子のカツェさんと知り合いだったか!?」

 

武藤の言葉で野郎共が俺に嫉妬の目線を浴びせてきやがった。つーか何でこうなんのかなぁぁぁぁぁぁ!?




山本風雨の部屋の住人

山本風雨
星伽白雪
ジャンヌ・ダルク
セーラ・フッド
カツェ・グラッセ IN

これにて第二回目のオリジナル編終了です。風雨の二つ名、考えないとなぁ。


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イ・ウー崩壊編
第42筋 司法取引って便利


食堂

 

「さて、カツェには色々と聞きたい事があるんだが?」

 

あの後はカツェが教室の皆の質問責めに合い、授業が潰れたぞ。質問責めの最中に武藤達に襲われたけどな、返り討ちにしてやったけど!

 

「いひゃいいひゃい!!頬をひっひゃるなよ!!」

 

「何故頬を引っ張られてるかは自分で考えろよ。」

 

今は昼休みで俺は日替り定食、カツェはパンを食べているぞ。それにしてもカツェの頬は柔らかいな、癖になりそうだ。

 

「とりあえず頬を引っ張るのを止めろよ!!」

 

よく伸びーるし、柔らかいからもっと触っていたいんだけどな。あと周りの男子の皆、嫉妬の視線を俺に向けてるけど、羨ましいのか?羨ましいよねぇ?

 

「ねえねえ今どんな気持ち?お前らどんな気持ち?」

 

周りの男達を煽ったら血涙を流す奴、ナプキンを噛む奴、テーブルにゴンゴンと頭をぶつける奴、いやぁ見ていて爽快だな!

 

「いい加減にしろ!!」

 

あっ、逃げられた。ジト目でカツェは俺を睨んでくるが、そんなことしても俺が得するだけだぞ?

 

「はいはい、それで何でここに転校して来たんだ?魔女連隊はどうしたんだ?」

 

「魔女連隊は抜けてきた。って待て待て待て!!きちんとした理由があるんだからまた頬を引っ張ろうとすんなよ風雨!!」

 

「可愛いからついやっちゃうんだ!!」

 

ん?カツェがもじもじし始めたな、まーだ可愛いって言葉に聞き慣れないのか。

 

「とと、時と場所を考えろよバカ風雨。ご、ごほん、魔女連隊を抜けた理由はイヴィリタ長官に自分の気持ちに正直になりなさいって言われたから風雨のいる学校に来たんだよ。」

 

「ふーん、なるほどねぇ。」

 

本当の事と嘘の事を混ぜて話してるな。まあ追求はしないでおくか。

 

「あと、カツェって俺より年下じゃないのか?それで何で俺と同じ学年に入ってきたんだ?」

 

「それは校長が決めたらしいぜ?あたしとしては嬉しい限りだけどな。」

 

校長ェ、まあ仕方無いね。校長だもの!

 

「それで、眼帯は違うものにしてるのか。」

 

今は花柄の眼帯だな。前の眼帯姿もいいけどこっちの眼帯姿もいいな。

 

「まあな、あと学科は強襲科にしたぜ。あそこが1番馴染みやすいからな。」

 

「カツェが救護科とか探偵科とか想像出来ねえからな。魔女連隊の人達から聞いたぞ?いつも何かしくじるんだってな。うっかり娘め!」

 

「うっ、うっさい!!」

 

ドジッ娘魔女か、いやはや面白いな。

 

「そんなうっかり娘に良いことを教えよう。あと二ヶ月後の9月末までに2年生はチームを組むことになってるんだぞ。」

 

「ふーん、それで?そのチームがなしたんだ風雨?」

 

「チームを登録すると、そのチームで将来ずっと行動しなければならないんだぞ?」

 

あっ、カツェの表情がみるみる内に青ざめていくな。察したか?

 

「つまり、もう魔女連隊に戻れないって事か?」

 

「イグザクトリー、もうちょっと武偵を調べてから来ようなカツェ。」

 

「そ、そんなー!!」

 

プギャーザマァ!!まあ厳密に言うと9月末までに2~8人のチームを組んで学校に登録しなければならない。チーム制度は重要視され、国際武偵連盟に登録される。武偵はチームで将来も活動し、仮に進路で分かれていてもチームの協力関係は最優先とされている。

 

魔女連隊に戻れないって訳じゃないぞ、カツェが面白いから言わんけど!

 

「しかも9月末って、今からチームメンバーを探さないといけないのかよ!!」

 

俺はどうするかねぇ、キンジと一緒のチームに入るかそれとも別にするか、今考えてもしゃあないな。

 

「うう、もう少し様子を見れば良かった。」

 

「いやぁ、カツェのころころ変わる表情で飯が旨い!」

 

「ぶっ飛ばすぞ風雨!!」

 

やれるもんなら、やってみなぁぁぁぁぁついわボケ!!味噌汁を目にかけるんじゃねえ!!そんな事で厄水行の魔術を使うんじゃねえ!!

 

「ここにいたのね風雨!!」

 

ん?アリアか、ガバメントの銃口をこっちに向けているから嫌な予感しかしないな。

 

「アンタに聞きたい事が山ほどあるわ。カツェ、アンタもよ!!」

 

「面倒くせえのに見付かったぞ風雨、どうす「ここにももまんがあるけど食うかアリア?」んなことしてる場合かよ!?」

 

「ふ、ふん。もももももまんなんかでアアアタシが釣られる訳ないじゃない。」

 

アリア、ももまんを凝視して口から涎垂らしながら言う台詞じゃないぞ?

 

「今ならこのレオポ「腹ごしらえは大事よね。」こいつチョロいわ。」

 

「いやそれでいいのかよお前!?」

 

カツェ、アリアがももまんを食べてる間に逃げるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風雨の部屋

 

「で、やっぱりここに住むのか。」

 

特に何事もなく授業が終わって帰ってきたぞ。途中アリアに追っ掛けられたけどな!

 

「いいだろ別に、部屋は余ってるだろ?」

 

カツェは女子寮じゃなく俺の部屋に住むことになった。男と女の比率がありすぎるんですが?

 

「余ってるけど、思春期の男女が同じ部屋に住むってどうなのか。」

 

「いい言っとくが風呂を覗いたり寝込みを襲ってきたりしたらぶっ飛ばすからな!?」

 

しねえから、したらジャンヌやセーラに何されるか分からねえからな。白雪が抜けてる?白雪は俺が風呂入ってる時に覗いてくるからな。

 

「もっと色々と成長してから言うんだな。」

 

身長しかり、胸のサイズしかり、まだまだチンチクリンだからなカツェ。

 

「おい、何処を見てその台詞を吐いたんだえぇ?っておいこら目線を逸らすなよ風雨?」

 

「大丈夫だ、俺は大きいサイズも小さいサイズも両方好きだからな!!」

 

「うっせえよ風雨!!今に見てろ、あたしはお前を見返してやるからな!」

 

ガンバガンバ、ん?着信だ、誰だろう?

 

「もしもーし?」

 

「風雨、とりあえず轢いてやる!!」

 

「うわっ、キンジの携帯を勝手に操作してクソカッコ悪いメールをアリアに送った武藤君じゃないか。」

 

「何で風雨が知ってやがる!?はっ、お前カツェさんの近くにいるな!?」

 

何で携帯越しでそんなこと分かるんだよ?ほら、カツェが気持ちの悪い目で俺を睨んでくるぞ、やったぜ。

 

「いるぞ、しかも俺の部屋にいるぞ?」

 

「なっ、てめえまさかカツェさんと同棲してやがるのか!?」

 

「ななな、何言ってやがるんだこいつ!?」

 

同棲と聞いたカツェは顔を赤くしながらあくまで部屋を借りてるだけ、部屋を借りてるだけとぶつぶつ言ってるな。

 

「け、けど、風雨とあんなことができる。へへっ!!」

 

「おーいカツェ?戻ってこーい。」

 

へんじがない ただのトリップちゅうのようだ!!

 

「羨ましいぞこんちくしょう!!何でキンジや風雨が美少女と同棲して俺は何もないんだよ!!」

 

「悔しいですか?悔しいでしょうねぇ?」

 

「あああああくっそ腹立つゥゥゥゥゥ!!」

 

やーい武藤の非モテ、変態、スケベ~!!

 

「っと、電話した理由を話忘れるところだったぜ。風雨、明日祭りがあるから俺も連れていけ!!」

 

「は?やだよ。」

 

何で連れていかないといけないんだ?

 

「どうせ風雨は数人の女子と行くんだろ!?なら俺が付いていってもいいじゃないか。なあ頼むぜ?」

 

「武藤の言いたいことは分かった。「じゃあ!!」だが断る!!負け犬は負け犬らしく一人で行ってこい。」

 

電話越しから○ルに引けをとらないチクショォォォォォォォ!!が聞こえたので切ってと。

 

「な、なぁ風雨?お祭りってどんな感じなんだ?」

 

「ん?口で説明するより行けばわかるぞ。」

 

「も、もしよかったらさ、その、えっと。」

 

言葉が出てこないのか?まあ、カツェの顔に次言う言葉が書かれているけどな!言わんけど。

 

「白雪達も付いてくるぞ?」

 

「い、いんだよ!!だから「じゃあ浴衣の採寸をしないとねカツェちゃん!!」し、白雪!?」

 

居間の扉を開けてからカツェを抱き締めて頭を撫でるまでの時間、およそ1秒。なんていう速さ、俺でなきゃ見逃しちゃうね!

 

「浴衣のコーディネートは理子に任せろバリバリー!」

 

「日本の祭りは一度行ってみたいからな、セーラも行くよな?」

 

「私は別に「セーラちゃんも行こうね!!」待て白雪引っ張るな、助けて風!!」

 

ドタバタと理子達が帰ってきてワイワイ騒いでるな。あとセーラ、興奮している白雪を止めるのは無理だから諦めてくれ。

 

「くふふー、セーちゃんとカっちゃん。身体検査のお時間ですよ~!!」

 

「待て理子!!そのワキワキとしている手を止めろ!!風雨も見てないで助けろよ!!」

 

「コンビニ行ってくるぅ~!!」

 

飛び火が来る前に逃走じゃー!!

 

「「帰ってきたら覚えてろ風雨!!」」

 

覚えてたらな、あとお前らギャーギャー騒いでるけどここ男子寮だからな?



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第43筋 祭りはどんな人でも盛り上がる

カツェ達の浴衣姿はどんな姿かは皆様のご想像にお任せします。フッアッションセンスは自分は壊滅的なので。


上野駅前

 

「フナムシが一匹、フナムシが二匹、フナムシが三匹、フナムシが四匹。」

 

どんだけフナムシがいるんだよ。どうも風雨です。

 

「フナムシが五匹、フナムシが六匹。」

 

今日は7月7日、夏祭りが開催されるから、カツェ達と行くために上野駅のジャイアントパンダ前にいるぞ。

 

「ってかフナムシ来すぎじゃね?しかも一匹毎に色の違うのが来るし、そんなに愉快なオブジェにされたいのかよ。」

 

俺の周りにカサカサと動き回るフナムシがいるんだよな。一匹ずつ矢で刺してもまた別に沸いてくるし、おっと七匹めと。

 

「しかし、カツェ達の浴衣姿かぁ。ちょっと見てみたいよな。」

 

ちょっとウキウキし過ぎて集合時間の30分前に来ちまったからな。ちなみに防弾制服姿と似ている服装の私服で来ているぞ。

 

「今日の為に一眼レフも新調したからな。あー早く来ないかねぇ。」

 

落ち着かないし、ここリア充の集合場所らしくて周り見てもカップルしかいないんだよな。爆発しろ!!

 

「ん?見覚えのある顔ってキンジかよ。」

 

「……何で風雨がいるんだよ?」

 

俺の顔を見た瞬間にキンジはゲッっていう表情になったし。そんな奴はフナムシの三色団子を食わせてやる。

 

「キンジ、これ食ってみろ。」

 

「何だよこれ?見るからに怪しい形をしてるぞ?」

 

「気にすんなって、形はあれだけど旨いぞ。」

 

俺がそう言ってキンジが食べ始め、っち投げ捨てやがった。

 

「おい風雨!?あの怪しい団子みたいな物から臭い匂いがしたぞ!?」

 

「だってあれ、フナムシだからな!!」

 

「なんつー物食わせようとしたんだお前は!?」

 

リサイクルだよ、モッタイナイの精神だよ。処分に困ってたし。

 

「まあまあ落ち着けよキンジ、それで何でここに来たんだ?」

 

「うっ、それは、だな。」

 

恐らく武藤に勝手に送られたメールを見て、もしかしたらアリアの浴衣姿を見れると思ったから来たんだろうな。

 

「アリアの浴衣姿を見に来たんだろ?」

 

「ち、ちげーよ!!俺はただ、こういうイベント時は犯罪事件が起きやすいから自主的に警備をしに来ただけだ!!」

 

「じゃあ何でこの集合場所のジャイアントパンダ前に来たんだ?」

 

俺が問い詰めるとキンジは苦虫を噛み締めた表情になったな。素直じゃねえなあ。

 

「ってか何で風雨がメールの内容を知ってるんだ!?」

 

「アリアにメールを送るように武藤に依頼したからな!!」

 

こうでもしないとずっとあんな険悪な雰囲気でいると困るんだよ。焦れったくて仕方ねえ。

 

「やっぱり風雨かよ。余計な事しやがって。」

 

そう言いキンジは辺りをキョロキョロ見渡してるな。アリアでも探してるのか。

 

「やっぱり、いないか。」

 

「そうとは限らねえぞ?あそこの自販機で飲み物でも買ってこいよ。」

 

俺がキンジにそう言った瞬間にピンク色の紐(・・・・・・)みたいなものが慌てた感じで巨大なパンダの向こう側に隠れたな。

 

「おい風雨、あれって。」

 

「言わなくても分かるだろキンジ。」

 

見覚えがありすぎるわ、つーか見えてるぞ?あれアリアのツインテールの片っぽじゃん。

 

「なあ風雨、何て言ったらいいんだあれ?」

 

「知らねえよ、頭隠してツインテール隠さずか。新たなことわざに載りそうだな!!」

 

「んなことわざあってたまるかよ!!」

 

まあ、普通のツインテールならともかく、ピンク色のツインテールなんて東京中探してもアリアしかいねえしな。

 

「ほらとっとと行けよ、彼女が待ってるぞ。」

 

「う、うっせえよ。」

 

キンジはため息を吐きながらアリアが隠れている所に向かったな。

 

「アリア。」

 

「にゃーー!!にゃーー!!」

 

ここには猫がいるだけですよってか?ベタすぎるし、猫の鳴き真似下手くそ過ぎるだろアリア。

 

「さて、お邪魔虫は退散するか。」

 

キンジとアリアがいる所の反対側に向かって行くと、カツェ達がやって来たな。

 

「ごめんね、風ちゃん待った?」

 

「そんなに待ってないから大丈夫だぞ白雪。それにしても、皆浴衣って俺浮いてるな。」

 

白雪とジャンヌとカツェとセーラ、皆浴衣姿だな。

 

「てっきり理子も来ると思ってたんだが?」

 

「理子なら祭りの仕事があると言って先に行ったぜ。そ、それよりも何か言うことあるだろ風雨?」

 

カツェが恥ずかしそうに俺に訪ねてくるな。

 

「浴衣姿、似合ってるぜカツェ。」

 

「へへっ!!そっか、似合ってるか。悩んだ甲斐があったな!!」

 

小さくガッツポーズをするカツェ、いいねいいね最っ高だねぇ!!

 

「白雪もジャンヌもセーラも浴衣姿似合ってるぜ。」

 

「ありがとね風ちゃん。」

 

あっ、ジャンヌとセーラが顔を逸らしてるな。耳まで赤くなってるからどんな表情をしてるかは手に取るように分かるな。

 

「そっぽ向いてないでこっち向けよセーラ。」

 

「だったらそのカメラを撮るのを止めろ!!」

 

仕方ないじゃないか、手が勝手にカメラのボタンを押すように動いちゃうんだ!!いつもセーラはブレザー姿だから何か新鮮だな!!

 

「や、山本。そろそろ行かないと間に合わなくなるんじゃないか?」

 

「そうだな、あと皆の浴衣姿100枚撮ってからだな!」

 

「そ、そんなに撮んなよ!!あーもうとっとと行くぞ風雨!!」

 

引き摺らないでカツェ~、今写真を送信するところだからさ~。

 

「おい風雨、何で携帯の画面が送信済みになってるんだ?誰に送ったんだえぇ?」

 

「魔女連隊に送っただけだぞ!!」

 

「ななな何してくれてんだよ!?」

 

おっ、返信来た。

 

『カツェの楽しんでいる姿を送ってくれて助かるわ。それにしても、それが浴衣というものね。皆羨ましそうに見てるわよ byイヴィリタ』

 

「あーたーしーのいーげーんーがー!!」

 

がっくりと項垂れるカツェ、大丈夫だって元から隊長の威厳なんて無いに等しいだろ?

 

「ちなみにジャンヌはテニス部の後輩に、セーラは理子に送っておいたぞ!!」

 

「「何してんの!?」」

 

こういうのは、皆で共有しないとな!!

 

「風ちゃん風ちゃん、私にもカツェちゃん達の写真って送ってくれてる?」

 

「1枚も残さず送ってるぞ!!」

 

「ありがとね風ちゃん!!」

 

「「「注意をしろ白雪!!」」」

 

いだだだ!!首を絞めるなジャンヌ肩を揺らすなセーラ脛を蹴るなカツェ!!

 

「風雨、何か言うことがあるよな?」

 

「……テヘペロ☆」

 

「「「よし、ぶっ飛ばす!!」」」

 

ああ、今回も駄目だったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祭り会場

 

「はっ!!ジャンヌにデュランダルで殴り飛ばされて、セーラの放った竜巻に巻き込まれて、カツェの放った水の渦潮に巻き込まれた夢を見たぜ。」

 

いやー、夢「現実だからな風雨。」であって欲しかった!!

 

「あんなことするお前が悪い。」

 

「悪かったよ、御詫びに何か奢るからさ。」

 

ムスッとしているセーラを宥めつつ、祭り会場の中へと進んでいく。ここの祭りこんなに活気があったか?

 

「や、山本!?あの綿みたいな物は何だ!?」

 

「風雨あれ食べ物なのか!?」

 

ジャンヌとカツェはわたあめを見て驚いてるな。あっ、そっか外国にわたあめなんてないもんな。

 

「あれはわたあめだな。子供の食べ物だぞ。もしかして食べたいのか?」

 

「べべっ、別に食べたいだなんて一言も言ってないぜ。なあセーラ!?」

 

「カツェの言う通り。」

 

とカツェとセーラは言ってるが、わたあめの屋台を凝視してる。食べたいなら素直に言えよ。

 

「仕方ねえな、なあおっちゃん。」

 

未だに凝視してるカツェとセーラを置いて屋台ののれんを潜る。カツェとセーラも高速で入ってきたな。

 

「ヘイヘイいらっしゃい!!安いよ高いよ!!」

 

いやどっちだよ?

 

「おっちゃん、わたあめ二つ。いや三つで。」

 

「あ、味は選べるのか?」

 

カツェが屋台のおっちゃんに聞いたな。セーラも横でウンウンと頷いてるな。

 

「勿論だぜお嬢さん方、オレンジ味からソーダ味、何でもあるよぉ!!」

 

「塩茹でしたブロッコリー味ってある?」

 

いや、そんなわたあめ聞いたことないぞセーラ?第一そんなわたあめ出して売れるわけないだろ。

 

「銀髪のお嬢さん運がいいね!数量限定で販売しているよぅ。」

 

いやあんのかよ!?

 

「じゃ、じゃああたしはソーダ味で。」

 

「あとオレンジ味も頼む。」

 

「毎度!!それにしても、ハーレムってやつかいお兄さん?かーうらやましいねぇ!!」

 

ハーレムと聞いたカツェとセーラが顔を赤くしているな。

 

「ちちち違うぜ!!なあセーラ!?」

 

「うん。絶対に違う。」

 

二人ともムスッとした表情をしてるけど、目線はわたあめが出来るシーンを見てるな。

 

「ほいお待たせ、特別に少し大きくしたからな。」

 

屋台のおっちゃんに料金を支払ってわたあめ三つを受け取って屋台を出る。

 

ソーダ味をカツェに、塩茹でブロッコリー味をセーラに、オレンジ味をジャンヌに渡してと。

 

「待て、何故私の分まであるんだ山本?」

 

「食べたそうに見てたからな。」

 

そんなことはないと言いながらわたあめを受け取るジャンヌ、ブツブツ言ってるが顔は嬉しそうだぞ?

 

「なあなあ風雨これどうやって食べるんだ!?」

 

「ふわふわしてる。何処から食べればいい?」

 

カツェは目を輝かせながら、セーラは俺の服をくいくい引っ張って聞いてくる。全くガキだなー、二人とも。

 

「ジャンヌ、白雪は何処に行ったんだ?」

 

「このわたあめというものは不思議だな。こんなに軽いのにとても美味しく、興味が引かれる。こんな食べ物があったとは誤算だな。もっと早く知っとくべきだった。」

 

そっとしておこう。恐らく遠くには行ってないとは思うんだけど。

 

「なあ風雨、次はあれが食べたい!!」

 

テンションが上がりまくっているカツェが指を差したのはタコ焼きの屋台だな。おっ、白雪もいるから入ろうっと。

 

「いらっしゃいませ、って山本さん!?」

 

屋台ののれんを潜ったら、タコ焼きをてきぱきと焼いてひっくり返しているメーヤが居た。おいシスター、こんなところで何してんだよ!?

 

「メ、メーヤ!?てめえ何でこんな所に居やがる!?」

 

「女性がそんな言葉を使うものではありませんよカツェ・グラッセ。」

 

いや、メーヤがそれ言う?戦闘中女性が言ってはいけない言葉を使ってたよなおい?

 

「色々とメーヤに聞きてえ事があるけど、とりあえずタコ焼き八個入り5つ!!」

 

「かしこまりました。」

 

「いやそれでいいのか貴様達!?この間まで敵同士だったのだろう!?何仲良くしているんだ!?」

 

「「お祭りだからな(なので)!!」」

 

お祭りってすげー!!



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第44筋 死の宣告をされた場合はどう反応すればいいんだろうか?

祭り会場

 

「で、何でここにメーヤがいるんだ?」

 

タコ焼きを買った後は休憩所みたいな所の椅子に座ってタコ焼き、焼そば、ポテトを食べてるぞ。

 

「日本にある用事(・・・・)があって来ました。け、決してお祭りに参加したかったからではありませんよ!!」

 

「言葉と行動が一致してねえよメーヤ。」

 

メーヤは仕事が終わったらしく、俺と向かい合わせで座っていて、食べ物を食べてるぞ。焼そば、フランクフルト、チョコバナナ、クレープ、よく食べれるな。

 

「風も人の事言えない。」

 

セーラが呆れた表情で見てくるけどな、俺はメーヤよりは少ないぞ?

 

「そうかセーラ?チョコバナナ6つ、かき氷3つ、クレープ3つ、わたあめ二つ食べただけだぞ?」

 

「充分に食べているからな山本!?」

 

これでもまだ足りませんが?

 

「山本さんはよく食べる人なのですね。」

 

「そうだよメーヤさん、風ちゃんはよく食べるの。でも風ちゃん?バランスをちゃんと考えなきゃ駄目だからね!?」

 

「分かってる分かってる。焼そば旨いな!」

 

「分かってない!!」

 

いて、白雪にチョップされた。体重のコントロールは出来ているからいいじゃないかよ。

 

「ガキだなー、風雨。」

 

ケラケラ笑いながらカツェは言ってくるけどさ、鏡を見てから言えよな。

 

「口の回りにソースを付けて、歯に海苔を付けてるカツェに言われたくないでーす。」

 

「いやいやそんな事はねえよ、なあジャンヌ?」

 

おいカツェ、冷や汗を垂らしながら言うな。ちゃんと拭けよ。

 

「一度鏡を見ることを進めるぞカツェ?」

 

「……まあ細かいことは気にするなよ、後で拭けばいいんだからさ。」

 

「良くねえよ、こっちを向けよカツェ。」

 

布巾でカツェの口の回りに付いてるソースを拭き取る。よし取れた。

 

「あ、ありがとな。」

 

顔を赤くしてそっぽ向くカツェを動画で撮ってと、おいメーヤ、ニヤニヤしながらこっち見んな。

 

「いえいえ、私を気にせずに撮影を続けてください山本さん。その動画を魔女連隊へと送るのでしょう?」

 

「勿論、ってか意外だな。メーヤはカツェを殲滅すべき対象として見てたんじゃないのか?」

 

「別の意味で殲滅するのですよ山本さん。」

 

要するに精神攻撃なんですねわかります。弄る同士が増えた、やったぜ!

 

「やめろバカ風雨!!」

 

「いい様ですねカツェ、山本さん、先程カツェの口の回りに付いていたソースを山本さんに拭かれている画像も送っときますよ。」

 

「サンキューメーヤ、やっぱりこういうのは共有しないといけないよな!」

 

「全くもってその通りですね。」

 

俺とメーヤは互いに笑い合う。こうやって悪のりしてくれる人が今まで白雪くらいだったから新鮮だな!

 

「あーもう!!てめえらそんなにあたしをからかって何の得があんだよ!?」

 

「「楽しいからです!!」」

 

「もうやだこいつら……。」

 

あっ、カツェが拗ねた。ちょいとやり過ぎたか。

 

「そういえば、理子の姿が見当たらないな。祭り会場は一通り見たのだが?」

 

「そうだね、理子さんは何処にいるのかな?」

 

「理子なら彼処にいるぞ。」

 

ジャンヌが指を指した方向を向くと、御輿の上で何やら奇妙なダンスを踊っている理子がいた。

 

「ソイヤ!!ソイヤ!!ソイヤ!!ソイヤ!!」

 

『ソイヤ!!ソイヤ!!ソイヤ!!ソイヤ!!』

 

暑苦しいおっさん達が御輿を担ぎながら理子の音頭に合わせて叫んでいるんだが?

 

「……さて、かき氷でも買ってくるか。」

 

「いや何故見なかったことにしようとしてるのだ山本!?あれは一体なんなんだ!?」

 

「あれは御輿を担いで祭りの舞台を回っているんだ。理子が何故あんな格好で御輿の上にいるのかは知らんけどな。」

 

法被にさらしに褌って、あの暑苦しいおっさん達は絶対に理子の姿見たさにあんな元気がいいんだろうな。

 

「御輿ですか、久し振りに見ましたね。」

 

「理子さん、とっても楽しそうだったね。」

 

「いや理子の服装に何か言うことないのかよ!?あと風雨が昨日電話していた人もいたぞ!?」

 

そこはスルーだぜカツェ、触れてはいけない部分なんだ。武藤があのおっさん達に紛れ込んでいることもな。

 

「風、何か面白そうな屋台がある。」

 

セーラに服を引っ張られながら後を付いていくと射的の屋台に付いた。

 

「いらっしゃい兄ちゃん、可愛い彼女の為にやっていくかい?」

 

「別にかか彼女ではない!!」

 

店員の人にからかわれて拗ねるセーラ、彼女というより妹みたいな感じなんだけどな。

 

「景品は、おっさん色々と用意し過ぎだろ。」

 

普通の店じゃ見かけない物ばかり置いてあるぞ!?

 

「ガッハハハ!!祭りだからな、張り切っちまったんだよ。」

 

だからといってぷ○ボール、はん○うこう、ポー○ョン、バイ○ルスター等色々と置いてあるのはどうなんだ?

 

「風、これどうやるの?」

 

「置いてある射的用の銃か弓矢で景品を落とせばその景品が貰えるんだよ。」

 

そう説明するとセーラは迷いなく弓矢を手に取ったな。頼むから全景品を取るなんてことをしないでくれよ?

 

「景品は3個まで取れるからな、お嬢ちゃんは弓矢の構えば結構様になってるから全部とっちまうかもな!」

 

「うん、3個取れた。」

 

まあ、外すわけないよな。知ってた。

 

「ガッハハハ!!お見事だお嬢ちゃん、ついでに一つ好きなの持ってけ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

射的の屋台を後にして、白雪達と合流する。ちなみにセーラが取ったのは青と緑のぷ○ボール、蒼いリボン、家庭菜園キッドだぞ。

 

「さて、そろそろ時間なんだが。」

 

「風雨?どうしって夜空が光ってるぞ風雨!!」

 

おっ、花火が上がったか。カツェとジャンヌとセーラは夜空を見上げて感動してるな。海外にも花火があるはずなんだが?

 

「綺麗だね風ちゃん、写真は撮ってるの?」

 

「まあな白雪、花火は写真で綺麗に撮るのは難しいんだけどな。」

 

まあ、何枚も写真を撮ってきた俺にかかれば余裕のよっちゃんなんですけどね!!

 

「では山本さん、ここで私は失礼します。」

 

「おう、またなメーヤ。」

 

メーヤは俺にお辞儀をして去っていった。お辞儀は中々様になっていたな、手にチョコバナナと一本浸けのキュウリをもってなければな!!

 

「じゃあそろそろ帰ろうか。」

 

「日本の祭りはこんなにも楽しいものなのだな。次も行く機会があったら是非行きたいものだ。」

 

「それは言えてるなジャンヌ。まああたしはもっと規模のデカイ祭りに行ってみてぇけどな!」

 

白雪が先頭でその後ろにジャンヌとカツェがわいわい喋りながら付いていく。満足してくれたなら良かったな。俺の財布はすっからかんになったけど!!

 

「風、少し待って。」

 

「ん?どうしたんだセーラ?」

 

セーラに腕を引っ張られたんだが、何か真剣な表情をしてるな。

 

「ブラドの時は黙っていたけど、今度はきちんと教えておく。」

 

重要な事を教えてくれるみたいだな、セーラの顔が真剣だし体が若干震えているし。

 

「風、お前は数日後に死ぬ。」

 

「……セーラ、今日は早めに寝ような?睡眠不足に気付けなくて悪かったな。」

 

「ふざけて言ってる訳ではない!!お前は数日後に死ぬんだぞ!?」

 

いや、いきなり死の宣告をされてもさ、どう反応すればいいんだよ?

 

「風が私の言ったことを信じられないのは分かってる。でも、これは本当。」

 

「実感が沸いてこねえな。あれか?セーラにはもうすぐ死ぬ生物が分かるとかの超能力(ステルス)持ちなのか?」

 

俺が冗談半分で言ったんだが、セーラはこくんと頷きやがった。マジですか。

 

「私は巨視報(マクロユノ)という能力で死期が近い生物や人間の動向を読むことが出来る。」

 

「じゃあ俺が今日取った行動はセーラは既に分かっていたって事か?」

 

「そうなる、でもこの能力はほぼ100%、確実というわけではない。」

 

へぇー、じゃあいつもセーラがからかわれたら顔を赤くするのに、今日はしなかったのは予め分かっていたからか。ナニソレエスパー?

 

「風、数日間は部屋から出るな。窓の近くにも行くな、薬も自分の手の届く範囲に置いておけ。」

 

「いまいち信じられないんだが。」

 

「信じてもらわないと駄目、風に死なれると私が困るから。」

 

へいへい、まあ何も起こらないでしょ!!

 

「変なフラグを立てないで風。」

 

「いや、変な死亡フラグを立てとけば大丈夫かなって思ったんだよセーラ。」

 

まあ何にせよ数日後は周りに警戒しながら過ごすとしましょうかね。



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第45筋 義理でも親からの手紙は時には恐ろしい

祭りから数日後

 

「何もなかったな。」

 

「そうだな~、何もなかったな。」

 

きちんとセーラの言いつけを守って数日間は部屋から出なかったぞ。

 

「一度出ようとしたらセーラと鉢合せてとんでもない目にあったもんな風雨。」

 

「やめろカツェ、思い出させるんじゃない。」

 

ずっと背中を蹴られました。半日くらいな、ジャンヌや理子や白雪が来てもお構い無しでな。お陰で新たな世界に目覚めちまったよちくしょう!

 

「自業自得だぜ風雨、今なら大丈夫!!とか言って玄関を出た瞬間にセーラと会ったからな。」

 

「フラグ回収速すぎるぜ、あっ、カツェのキャラクター死んでるぞ?」

 

「えっ?ああっ!!いつの間に!?ハンターならもうちょい機敏に動けよな!!」

 

「p○pのスペックでそれを求められても無理だろ。」

 

今はカツェと二人でモン○ンの2Gをしてるぞ。ジャンヌは情報科の人達と遊びにいって、白雪はキンジ達とカジノの依頼を受けに行ってる。

 

「それにしても、セーラお前ブロッコリー食い過ぎだろ。腹壊すぜ?」

 

「そこは大丈夫、ちゃんと調節している。」

 

「ブロッコリー5個入りの袋を4つ開けてる時点で調節出来てないと思うんだが?」

 

セーラは塩茹でしたブロッコリーをむしゃむしゃ食ってるぞ。よく飽きないよな。

 

「セーラもどうだ?このゲーム結構面白いぜ?」

 

「そのゲームのキャラクターの弓を使ってるとまどろっこしくなるから嫌。」

 

ムスッとした表情でセーラは答えるけど、実際は一人でコソコソプレイしているのは知ってるからな俺。

 

「ちぇっー、あっ、そういえば郵便物入れにこんなのが入ってたぜ風雨。」

 

「いや、しれっと人の部屋の郵便物を取ってくるなよカツェ。他の人に見られたらどうすんだよ。」

 

「んなこと気にすんな「ここ男子寮だからな?」だだ大丈夫だぜ問題ない!!」

 

目を泳がせて冷や汗を掻いていることは黙っておこう。

 

「これは、ビデオテープ?」

 

「おーいセーラ?しれっと郵便物を開けるなよ。」

 

まあいいんだけどさ、それよりも誰から来たんだこのビデオテープ?

 

「送り人は、シャーロック・ホームズだってさ。ってシャーロックからだと!?」

 

「よしカツェ、今すぐそのビデオテープに水をどばっとかけるんだ!!そしてセーラ、南極までそのビデオテープを飛ばすんだ!!」

 

「風、頭でも打った?」

 

あのー、そんな真面目な表情で引かないでくれませんかねセーラさん?俺はいたって正常です。

 

「だってあいつからの送り物って事はやべー事が起きる前か面倒くさい事が起きる前触れみたいなもんだからな。」

 

「それは一理ある。でも見なければもっと大変なことになる。」

 

デスヨネー、仕方ない。見るか。

 

「やあ風雨君、夏休みは満喫しているかな?僕はそこそこ満喫しているよ。」

 

「「「…………。」」」

 

プールで浮輪に浮かびながら頭にサングラスをかけて手にトロピカルジュースを持っていてそこそこなのかシャーロック?思いっきり満喫してるじゃねえか!!

 

「普段なら南国のビーチでもっと満喫しているんだけどね、今回はプールで我慢しているからそこそこなのさ。」

 

「本当なのかカツェ?」

 

「まあ、夏になったらシャーロックが南国のビーチに生徒全員を連れていったりするからな。」

 

シャーロック、お前子供かよ。

 

「子供の心を忘れないようにしているだけさ。」

 

だーかーらー、何で会話が成立すんのかな!?条理予知便利すぎだろ本当に!!

 

「さて、挨拶はこの辺にして。このビデオテープを見ているって事は明日にはイ・ウーが崩壊していることだろう。」

 

「「はあぁぁぁぁぁ!?」」

 

み、耳元で大きな声出すんじゃねえよ二人とも。でもセーラがあんな大声揚げるなんてな。あっ、顔を赤くしてそっぽ向いた。

 

「このあとすぐにジャンヌ君から電話が掛かってくるはずだよ。詳しい話は彼女から聞くといい。」

 

な、何か急展開過ぎて頭が付いていけないんだが?

 

「それで、僕が風雨君にこのビデオテープを送った本当の理由は、この手紙を届けるためさ。」

 

「あっ、シャーロックが送ってきた物の中に手紙が入ってるぞ風雨!!」

 

どれどれ、本当だ。見たところビデオテープに映ってる手紙と同じものだな。

 

「この手紙を読めば何故セーラ君が風雨君に死の宣告をしたかが分かるはずだ。」

 

「うわー、その手紙絶対に見たくねえ。」

 

「じゃあ風雨君、生きていたらまた会おう。あっ、僕はもうすぐ死ぬから無理だったね。ハッハッハ!!」

 

おいぃぃぃぃぃ!?最後シャーロック何かとんでもない事を言わなかったか!?

 

「ちなみに言い忘れていたけど、このビデオテープは最後まで見た後はね。」

 

おい、何で一区切り置くんだ?まさか爆発とかしたりしないだろうな?

 

「まさか爆発でもすんのか!?セーラ結界の準備!!」

 

「今やってるところだけど、駄目間に合わない!!」

 

「最後まで見た後は、自動的に巻き戻されるから結界を張ろうとしたセーラ君とカツェ君の慌てる姿を見て存分に楽しみたまえ風雨君!!」

 

本当に性格悪いよなシャーロック!!お陰でセーラとカツェが怒りでワナワナ体を震わせてるぞ!!

 

「二人とも落ち着け!!あれだ、この手紙を見て頭を冷やそうぜ!!」

 

「そうだな、シャーロックに次会ったら1発ぶん殴ってやるとするか。」

 

「私もそうする。」

 

シャーロックェ、まあ同情はしねえけどな。

 

「手紙の中身はなんじゃらほいっとな。」

 

えっと、何々……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風雨、話は聞きましたよ。最近は世界を飛び回って活躍しているそうですね。私は嬉しい限りでございます。

 

短い間ですが、面倒を見て育てた風雨は逞しく育ったのでございますね。

 

ですが!!はーれむ状態になっているとはどういうことです!?節度を持って過ごしなさいと言ったはずです、言いつけを守ってないではないですか!!

 

直接話す必要があるみたいですね!!手紙の下に場所を書いてありますからそこで待ってなさい!!

 

p.sあと最近ぷれす○ーしょんすりーというものがあるそうですが、風雨は持っていますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……コロサレル、コレハゼッタイコロサレル。ニゲルンダァ!!」

 

「お、おい風雨!?手紙を読み終わったと同時に頭でもおかしくなったか!?」

 

「カツェ、今までありがとな。元気で暮らせよ。」

 

「風、正気に戻って。」

 

そ、そうだ。正気に戻らないと、こういう時は素数を数えるのがいいんだよな。えっと、2、4、8、10?

 

「よし落ち着いた。おれはしょうきにもどった!!」

 

「戻ってねえだろ馬鹿風雨!!何処見て言ってんだ!!」

 

あふん背中蹴られた。いやまあ、正気に戻りたくないなって。

 

「手紙は誰から送られてきたの?」

 

「まあ、義理の母親?みたいな人からだよ。俺は幼い頃に両親と死別してその後に二人の義理の母親に育てられたんだよ。」

 

「二人?どういうことだ風雨?」

 

「数年間は一人目の人に、その後はもう一人の人に育てられたんだよ。今回は一人目の人から手紙が送られてきた。」

 

これ絶対に怒ってるよな。嫌だなー、会いたくないなぁ。弓矢で射られて首を捻られて薙刀で斬られて燃やされるじゃん。

 

「何で風はそんなにビクビクしてるの?」

 

「説教(物理)されるからだよ。あの人は怒ると本当に容赦ないんだよな、巨大な岩を持ち上げて投げてくるし、刀で斬り付けてくるし。」

 

怒りが最高潮になったら投げ飛ばされて業火の炎で燃やされるからなぁ、あの時はマジで死ぬかと思った。

 

「うわぁ、風雨のお義母さんえげつねえな。ん?もしかして風雨が色々な武器を使えるのはその人のお陰か?」

 

「まあなカツェ、不本意的にだけど。」

 

何があったかは想像に任せるよ。

 

「おっ、ジャンヌから着信だ。」

 

「風、スピーカーに「風雨!!今すぐ学校に来てくれ!!いいか?今すぐだぞ!!」しなくても聞こえた。」

 

近付いてきたセーラが耳を押さえながらジト目でため息を付いたな。

 

「こりゃフル装備で行った方がいいかもな。」

 

「そうだなカツェ、セーラ、40秒で支度しな!!」

 

「本当に頭大丈夫なの風?」

 

哀れな眼差しで俺を見るなセーラ。一度あのセリフを言ってみたかったんだよ。



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