Fate/Grand Order vs ALL RIDER ー幕間の物語ー (ジュンチェ)
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【嘘イベント予告】FVA.仮面ライダーサンタクローズ編~星降る聖夜と銀龍と少女騎士~

Q.クリスマスも終わったのに、なんでこんなものを書いたのか………

A.思いついたのが酒呑んで酔ってたクリスマスの夜に思いついたからです。




「…さて、どうしたものか。」

 

……アルテラ・サン(タ)は困っていた。

 

 

そろそろ良い子が待つクリスマス。サンタの季節クリスマス。……なのに、次のサンタは決まっていないのだ。

 

 

別に自分が2年連続でやってもいいが、大人の事情でそれは出来ない。……が、次を任せて良い相手がなかなか見つからない。取り敢えず、今回は謎のシュメル熱とか謎の幼女スパムリリィ等は発生していないので今回は黒への原点回帰(?)と子供が喜ぶものなら用意出来そうだと選ぼうとしたのは我等が神・仮面ライダーゲンム……だったが

 

 

「貴様にサンタを譲るものかァ!!モルガァン!!!」

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

【GAME OVER】

 

 

先代サンタと仲が悪かったのが運の尽き、ゲームオーバーしてしまった。まあ、性格的に難があったしかえって良かったかもしれない。

……というわけで、食堂にやってきたものの食事時などとうに過ぎた深夜に例えサーヴァントとてそう居ることはない。

 

「これは本当に2年連続で私が………む?」

 

望み潰えたかと思われたその時、食事の片隅にいたのは南米の女神………

 

 

 

 

………ではなく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、プロテイン醤油ラーメンは最高だぜ!!うんめェェ!」

 

 

「…」

 

食堂の主エミヤが見たらガチギレしそうな自前の夜食を漁るバカの姿があった。

 

「お前は…確か、仮面ライダークローズ。万丈だったか…」

 

「お?アルテラじゃねえか! その格好…プレゼントでもくれるのか? というか寒くないの?」

 

万丈龍我…仮面ライダークローズ。(自称)天才物理科学者の桐生戦兎=仮面ライダービルドの相棒である上に希少なフォーリナーのサーヴァント。……なのだが、いかんせん頭があまり良くないというかバカなのである。それなりに強いがバカなのである。(大事なことなので二回言いました。)

 

「フォ、フォ、フォ! 私は確かにサンタだよ。だが、今年のサンタではない…故に今はプレゼントは出せないのだ。すまんな、若いの。次のサンタにお願いをするのじゃ。」

 

「…? よくわかんねえけど、取り敢えずあれだな。プロテインくれよ。」

 

「お前話きいていたのか。」

 

ちょっと、セイバーの時にテンションが戻りかけたアルテラ。バカは文明ではなく生まれつきなので破壊出来ないが、流石のサンタさんでも呆れる。というか、プロテインをサンタにまでねだるとか頭おかしいだろ。

 

「プロテインは良いぞ。大抵のことは全部解決してくれる……そのまま喰ってもうまいし、ごはんにふりかけてもうまい。機械の燃料にも建材にもなるし、良質な筋肉の育成だってしてくれるんだぜ。最高だぜ本当。」

 

「凄いなプロテイン。そんな夢の物質、何処のダークサ●スが生産してるんだ?」

 

万丈のプロテイン万能説はさておき、とにかく時間が惜しい。このままではクリスマスに間に合わない……

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーピロン♪

 

 

【チャオ♪ 暇かアルテラ? エボルトだ。】

 

 

「! (直接、脳内に!?)」

 

 

その時、本物の宇宙人からの通信が届く。うん、本来ならクリスマスどころかそれ以外でも関わったらいけない系のド外道宇宙人エボルト。その悪名は既にアルテラだって把握している…そう、それは『本体』も然り。黒幕系サーヴァントは数いるがコイツが善意で行動することはまずないのは確かで今回はわざわざ何を企んでいるのか。

 

「…(何の用だエボルト? 私は忙しい。貴様に構っている暇など……)」

 

【釣れないなぁ相変わらず……ま、知ってるよ。だから、アドバイスしにきてやったんだよ。】

 

「…(助言?)」

 

【そうさ。お前、サンタを託す相手がいなくて困ってるんだろ? このままだと、大事なクリスマスに間に合わないのは明白だ。】

 

「…(不要だ。誰が貴様の言葉なんぞ……)」

 

耳を傾ける必要は無い。聖夜に悪魔の囁きなどもってのほか……だが、エボルトはお構い無しに続ける。

 

【お前が俺の助言を聞かないのは勝手だ。だがその場合、誰が今年のサンタクロースを務めることになると思う……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…… 万 丈 だ 。】

 

 

 

 

 

「!」

 

 

【だが、奴にはサンタは出来ない。何故なら奴がサンタをやろうと思い至った時にはもうクリスマスは終わっているからな。お前の悩みに気がつかなかった奴は自分を責めるだろう…。それで良いのかアルテラ? お前のつまらん意地で万丈だけじゃなく、子供たちの夢まで台無しにするのか!? それでも、お前はサンタなのか!?】

 

「…!!」

 

多分、セイバーだったら『待て、その理屈はおかしい。』と考えられたんだろうが、サンタであることで思考がふわっとしてしまっていたアルテラ。勢いだけの言葉の衝撃が頭を駆け巡り、あわわ… とおののいてしまう。そこからは完璧にエボルトの流れだった。

 

【(おちたな。)…良いか、この事態を乗り切る手段はただひとつだ。サンタの力を今すぐ万丈に託せ。そうすれば、今年のクリスマスは無事に幕を開けれる。】

 

「…(し、しかし……)」

 

【仮面ライダーの霊基は変質を受けやすいが、その分だけ柔軟だ。特に万丈はその性質が強い。さあ…!!】

 

万丈をサンタにする…。確かに仮面ライダーが何故かサンタの能力を持っている奴がいたりした…エグゼイドとか。でも、先は謎のプロテイン論を展開したのを考えれば不安しかない。一方でバカも見方によっては純粋であり、黒歴史・トラウマで殴りかかる先輩サンタよりマシなのではと思ったり…

その頃、蚊帳の外の万丈はプロテイン醤油ラーメンを食べ終えて羊たちと戯れている。呑気なことだ。

 

(……下手な奴に任せるよりマシか。)

 

妥協点というのも大事かもしれない。騎乗スキルあるからと言っておいそれとそこらのサーヴァントに任せれば聖夜どころか災厄を招きかねない。いっそ悪巧みなんて縁遠そうな存在こそかえって最適かもだ。

 

「クローズ!!」

 

「おぉう!? どうした…?」

 

「私は決めたぞ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……今回のサンタはお前だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、新たなサンタクロースの物語が幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【サンタクロース!!】

 

 

蒼銀に輝きを放つブリザードナックルにサンタクロースフルボトルを装填する万丈。そして、ブリザードナックルをビルドドライバーへ接続してハンドルを回せば、白銀のパーツが構成されていく。

 

 

【クロス・オン・クローズッ!!!】

 

 

【Are you ready?】

 

 

「変身!」

 

 

 

【 聖 拳 咆 哮 ☆ サ ン タ ク ロ ー ズ !メリィィークリスマスッ!!! ドララララァァ!!!!(若本ボイス)】

 

 

そして、氷柱が弾けるようなエフェクトで現れたのは白銀の仮面ライダークローズ……否、それはただのクローズではない! 由緒ただしきブラックサンタやスパムリリィ、羊と受け継がれてきたサンタを宿す龍! 背中のクリスマスっぽい緑と赤の二又マントがその証…その名も…!!

 

「仮面ライダーサンタクローズ!! 俺のサンタが迸る…!! クリスマスでも負ける気がしねぇ……ってダジャレじゃねえか!?」

 

「フォ~~!フォ!フォ!そこは気にするな若者よ。禿げるぞ。」

 

…取り敢えず、引き継ぎはうまくいったみたいだ。これで一安心だろう。エボルトのことは気になるが、様子を見てマスターと対処すれば良いだろう。

 

「では、これからサンタの流れについて説明していくぞ。ついてくるのじゃ、サンタクローズ…。」

 

「…」

 

「? …どうした?」

 

「いや、なんでもねえ。いくか。」

 

何やら思うところがある様子で自らの姿を眺めていたサンタクローズ…。特にアルテラは気にしなかった。同時に気がつかなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……サンタクローズ誕生の瞬間に謎の赤いスライムのようなものが分離していたことに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【嘘予告】

 

 

Fate/Ground order vs ALL RIDER

 

番外編

 

 

 

仮面ライダーサンタクローズ ~~星降る聖夜と銀龍と少女騎士~~

 

 

 

 

サンタクローズ「クリスマスも明日の地球も護ってやるぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「や…がて……星が降る…星が降る………」

 

 

 

 

 

NEXT ???……

 

 

 

 

 

 





一応、シナリオとかサンタクローズの設定は考えたけど本編もろくに更新してないんでちゃんとやるかは謎。諸事情により公務員試験受けなくちゃいけなくなったんで更新はかなり絶望的、畜生め。



サンタクローズはマグマではなく、通常クローズの色ちがいバージョンをイメージしてもらえれば…




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特別編 セミ様のバレンタインFVA版その後…


☆アマゾンズseason2ネタバレ注意!

☆アマゾンズたっぷり。

☆セミ様のハザードレベルあげるお話。

☆シリアスっぽいギャグ的ななにか

☆次回作への布石あり



「ふぅ……」

 

女帝セミラミス……愛称・セミ様。オガワハイムとかバビロンとか新宿とかアガルタとか散々出番が無くて、気がついたらセイレムでもう実装されないんじゃないかと思っていたらまさかのバレンタインでメインヒロインを飾る形になった彼女。『シロウに会いたい』って言ったら正義の味方のシロウと勘違いされてブチキレてなんでさ案件になったけど、取り敢えずチョコ作りを教えてもらう形で和解した……けど、スパムリリィを見た途端にまたカオスな空気になって、あとはやたらと因縁の相手が勢揃いして同じ顔がいくつもあったり、女だと思ってたら実は生えてたりして……

 

「なんかこう……もう余は疲れた。」

 

そして、セミ様は考えるのをやめた。もう目的は達成したし、もう充分だろう……ため息をついて玉座によりかかる。というか、今回はマジで大変だった。

 

 

 

チョコの噴水を見るや……

 

 

(;0M0)<コレクッテモイイカナ?

 

 

 

カカオの木が育つや……

 

 

(;0M0)<コレクッテモイイカナ?

 

 

 

チョコ量産態勢が整う度々……

 

 

 

 

 

 

 

(;0M0)< コ レ ク ッ テ モ イ イ カ ナ ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええい、駄目に決まっているだろうがァ!!!!」

 

 

ああ、駄目だ…思いだしギレしてしまった。というか、なんなのあの仮面ライダー?気がついたら『(0M0)<ジー』って物陰から見てるし、量産施設が整う度にここぞと例の台詞を言ってくるし、なんか滑舌がおかしいし……アーチャーらしいが全く話が通じない。まあ、世にはバーサークなんちゃらとかあるらしいが、そんなのが出回ったらバーサーカー涙目である。バーサーカーの意味無いじゃない。

いや、もう良い…もう終わったんだ。あのオンドゥル星人からの侵略を防ぎきったんだ。あとはもう次のイベントまで一休み……

 

 

 

 

 

『…と、そんなセミ様の前に皆のアイドル、ブラッドスタークたん登場★』

 

 

 

 

「帰れ。」

 

 

いや、なんでこのタイミングで現れるんですかね?声のお仕事をしている今、話題の仮面ライダービルドから主役を差し置いてブラッドスタークが(*≧∀≦*)★とポーズをとりながら登場。これにはセミ様のハザードレベルではなくストレスレベルも上がる。 なにしに来たのこのオッサン?

 

『いやいや待ってくれ女帝さんよ。俺はあんたに大事な報告があってきたんだぞ?』

 

「…報告?」

 

『いや、まあまずきいてくれ…』と、スターク。取り敢えず、録でもないことは確かだが……

 

『実はこっそり、あんたのチョコでバレンタインフルボトルを造ってみてな…それを戦兎たちに持っていったらなんか万丈が凄くシリアスな空気になっちまって……』

 

「おのれ外道。」

 

『いやいやそれほどでも…』

 

「誉めてない。取り敢えずなにがあったのだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『異☆物☆混☆入☆。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!?」

 

 

え?今、なにサラって言ったのこのコブラ!?

いつも余裕を崩さないセミ様も流石に飛び上がって自らの耳を疑う。バカな、自らの完璧な生産ラインにそんなことが起こりうる可能性は万にひとつも無いはず。なんかしでかしそうな奴は予め関わらないようにするか、拘束なり無力化なり色々と策を施しておいたはずなのに……

 

「ば、ばばばばばば、馬鹿な!?まさか……あのウヴァとかいう蟲の怪人が妙なメダルを入れたのか!?」

 

『違う違う、それに関してはメダルに両替(セイヤー)しておいたから実質、無害さ。』

 

『で、ではあれか!!無責任な科学者が奇妙な森の変な果実を!?それとも、自称・神が変なふりかけでもやったのか!?!?』

 

『ブッ、ブー。どれもハズレ。』

 

「では、なんだ!?場合によっては必要な施設は閉鎖せねばならんのだぞ!!さっさと教えんか!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『溶源性アマゾン細胞。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全生産ラインをはやく止めろオオオオオ!!!!!!生産したチョコも全て回収!!急げぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

ほんっっっっっっっっっっっとう、クソだよね!!っと、スタークは笑っているがかなりヤバイ事態である。アマゾンズパンデミックを起こしたら今までの苦労が台無しになる。というか間違いなくカルデアに殺される。

 

しかし、スタークが出て来た時点で御察し……既に取り返しのつかない事態になっているのだ。

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

『僕は、人間だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』

 

 

「いいや、チョコだろ。」

 

ズブッとオメガに似たチョコサーヴァントを最もなツッコミをいれつつ背後から素手でぶち抜いたのは仮面ライダーアマゾン・アルファ…クラスはバーサーカーである。ふらりと庭園に来てみれば何やら騒がしいので様子を見てみればチョコレートで出来たサーヴァントたちが暴れまわっていたため応戦することになったのである。今は菜園を守るためにランサーたちをはじめ、多くのサーヴァントが奮闘している。さて、なんでこんな事態になったかというと……

 

「さて、……なにをした、千翼?」

 

振り向くとそこには仮面ライダーアマゾンネオ……腕からは切り傷による出血。本人は無言のまま……アルファも今はそれ以上の追及はしない。

「今はこいつらを片付けるぞ。」

 

優先順位はチョコサーヴァント殲滅が高い。アルファもネオもそれを理解しており、迫りくる茶色い軍団へと突っ込んでいく。

一方、

 

 

 

「うぽぽぽ~~~~い!!!!!!エウリュアレたあ~~ん!!!!!!!」

 

 

隣のシリアスな空気などお構い無しにチョコサーヴァントにむしゃぶりつくのはやはり黒ひー。ここぞと本物にぶつけられない邪な欲望をぶつけにかかり、マシュが声をあげる!

 

「黒ひげさん!!」

 

「フッフフフフフ、某は騒動を比較的に被害が出ないように鎮圧しているだけですぞww。勘違いしないでほしいでござるなぁwwwマシュ殿w。」

 

この時、黒ひげは知らない……AMAZONZ絡みでふざけるとどうなるか。シリアスを台無しにするような愚か者にはそれ相応の報いがくる。徐々に彼の身体が熱を帯び始め、やがて凄まじい蒸気をあげながら彼は変異をはじめた。

 

「え……ちょっとまっ…身体が……なんか、あつ……い…?」

 

 

「!? 黒ひげさん!!?」

 

 

 

 

 

 

ザシュッ

 

 

次の瞬間、彼の身体は横に真っ二つに裂かれて霊子へと還っていた。異変を察したニューオメガが素早く処理したのだとマシュが気がついたのは1秒もいらなかった。

ニューオメガはマシュの安否を確認すると、周りの面々に叫ぶ!

 

「皆、チョコのサーヴァントに直接、触ったら駄目だ!!食べたり、傷口に入らないように注意して!!」

 

 

 

 

 

 

 

それから、クエスト周回から戻ってきたGとサーヴァントたちが合流し事なきを得るのであった。

 

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

 

 

「……うむ、被害はこれで全部か?」

 

取り敢えず、くろひーに目を瞑って人的に大きな被害は出なかったが…アマゾン細胞混入により発生したチョコアマゾンサーヴァントたちにより施設は滅茶苦茶…ランサーたちの耕した畑は踏み荒らされ、科学者たちが造った機械類も3割近くが大破。またそれぞれ施設に循環させるパイプなんかもズタボロでチョコが溢れ出ている…

あまりの凄惨さに子供サーヴァントたちは泣きじゃくり、ランサーたちもやるせない表情をしている。

セミラミスも『こうなってしまったものは仕方ない』と、これを機にサーヴァントやGに施設の片付けを命じ…今回の騒動の『発端』となったとおぼしき人物へと目線を向ける。

 

「さて、千翼と言ったか…?此度の原因は貴様にあるらしいな…どういった経緯があるか妾が納得するように述べよ。」

 

千翼……彼は項垂れていた。仮面ライダーでありながら溶源性アマゾン細胞のオリジナル個体である彼の左腕からは出血の痕。恐らく、彼の血がチョコに混入してチョコの魔力と反応してチョコアマゾンサーヴァントが発生したのだろう。しかし、過失にしろなんにしろ経緯はあるのは違いないので確認しようと問うセミラミスだが、千翼は……

 

「俺が悪いんです。罰は俺が受けます。」

 

「質問に答えよ。妾がききたいのはあくまで真実で貴様の善し悪しも罰もそのあとじゃ。」

 

この一点張り。彼女はあくまで審議のためにも真実を推し測りたいのだが……

すると、背後から鬼神に迫る顔をした仁がアマゾンズドライバーを巻いて千翼へと向いた。

 

「…あんたはさがってろ。子供の責任は親がとる。」

 

いつもの破天荒な雰囲気は鳴りを潜め、裁く者として猛禽のような瞳が彼を見据え…アマゾンズドライバーに手をかける。しかし、彼女は譲らない。

 

「黙れ、妾の庭園のことは全ては主たる我が裁く。勝手な私刑など許さん。」

 

「こいつがカルデアに来た時、もしものことがあったら始末をつけるって話をマスターとしてある。これは俺達の問題だ。」

 

「貴様…」

 

一触即発。睨みあう仁とセミラミス……その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「びええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(TдT)」

 

 

 

 

 

 

突然の泣きじゃくる声に遮られ事態は急ブレーキがかかった。泣いているのは某スパムリリィ…見るなりセミラミスはうげぇと表情に出てしまうが、同伴していたGにまあまあと宥められる。

 

「わわだしが、悪いんでずうううううう、びぃああああああああああああああああ(TдT)!!!!!!」

 

「セミラミス、ちょっと話きいてくれないかな?」

 

「今はこちらで話を……」

 

 

 

 

「びぃああああああああああああああああああああああああああ(TдT)」

 

 

 

 

「わかった、わかった!わかったからそこのガキを黙らせろ!!五月蝿くてたまらん!」

 

 

 

 

というわけで回想はいります……

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタークおじさん『 好 き !!(挨拶)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかった、もういい。もうこれだけで大体、誰が悪いかハッキリわかったから。」

 

「いや、まだ回想開始から全然経ってないんですが……」

 

うん、もうスタークおじさんが出てきただけでコイツが悪いってわかるもんね!流石のセミ様も心労でふらつくよ。もう、これに長い間付き合ってきたナイトローグ蒸血おじさんは実は純粋で良い奴だったんじゃないかって思うよ本当。

取り敢えず、セミ様には我慢してもらってスタークおじさん劇場を見てもらおう!(拷問)

 

 

 

『さて、まずはコーヒーを……うわっ、まず!!…そういえば、牛乳パック1本分の牛乳を完全に影響が無くなるまでに埋めるには海ぐらいの水が必要なんて話を何処かで聞いたが……』

 

すると、スタークおじさん…自分のつくったくっそ不味いコーヒーをすぅっとチョコレート貯蔵プールに……まさか……

 

『……なぁんて、するわけないよね★ もしかしてビビっちゃった???HAHAHAHA☆☆』

 

 

「スタァァァァァァァーク!!!!!!(デイリー達成)」

 

回想でも平然と人を弄んでくるとかもう職人である。セミ様も怒りとストレスのスーパーベストマッチでヤベェほどキレており、Gがなんとか羽交い締めでおさえつけているからなんとかなってるがもう毒の大噴火しかねない勢いだ。しかし、煽りの匠であるスタークおじさんに余念は無い。

 

『んじゃ、これは花壇のとこに捨てとくか…。大丈夫、バレやしない。』

 

「!? やめろ…そこはシロウと大切に育てた薔薇の…!?!?やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

非情!!もしくは、外道!!!セミ様の大事な大事な花壇にコーヒー(自称)を流しこむあまりにも卑劣な行い…!数秒後、庭園の薔薇とかはなんか知らんけどあっという間に枯れてしまう!おのれ、スターク!!セミ様の悲痛な叫びが虚しく響く…

 

『栄養(ガス)が多過ぎたんだなこりゃ。まあ、良いや。』

 

いくら古代だろうがなんだろうが薔薇がガスで成長するわけがない。まあ、確信犯だな間違いない。

只今のセミ様の怒りストレスレベル105%……ヤベェーーイ!!!!!

 

『さて、そろそろ終わるかな…?おお、大漁大漁!!』

 

で、今更ながらスタークおじさんが何をしにきてたかというと……明らかに某・稼ぐ2号ライダーのミルクタンクのようなアイテムにパイプを接続し、チョコプールから堂々とくみあげ…もとい、盗みを働いている。あまりにも自然に悪事など行っているように見えないため通りすがるサーヴァントたちも『きっとなんかの検査だろう』『そういえばあんな奴いたっけ?』などと多少は気にかけても不振がることはない。それにしても、胡散臭いコブラのオッサンが何故にこんなことをしているかは謎だが割りとノリノリなのが質が悪い。うん。

 

『さて、こんなもんか……』

 

暫くして明らかに許容量を超えたチョコレートを内包したタンクをポンプから外すや、よっこらせっと背負いその場をあとにしようとする。もう流石のセミ様ももう呆れの感情まで覚えはじめてきた。

 

……と、その時!!

 

 

「待ちなさい!!」

 

『お、お前は…!?』

 

悪の前に立ちはだかったのは我等がジャンヌ・スパム・ダルク・スパム・サンタ・スパム・オルタ・スパム・リリィ……!!

「あなたはカルデアのサーヴァントではありませんね!!実に怪しいです!」

 

『失敬な。おじさんはカルデアのサーヴァントじゃなくても立派な声のお仕事をしているんだ……ちっとも怪しくなんかないぞ(大嘘)、スパムお嬢ちゃん』

 

「ジャンヌ・ダルク・サンタ・オルタ・リリィですっ!」

 

『長くね名前?そんな君にコーヒーミルク(毒物)をあげよう。』

 

「わ~い☆ ……はっ!?トナカイさんが言ってました……悪い人は物で釣ろうとするって…!危うく、乗るところでした。危ない危ない…」

 

『…ちっ』

 

別にマスターの言う悪い人ととは某髭紳士のことなのだが、ここは思わず功を奏したということか。ちょっと面倒臭くなってきた展開にスタークおじさんこっそり舌打ち。さあ、どうしたものか……そろそろ周囲の目もこちらに向き始めている。

 

『わかった、じゃあ飴ちゃんをあげよう。だから、皆には内緒だぞ☆☆』

 

「だから、そんな手には乗りませ…………(ガブッ)…(´ω` )スヤァ」

 

だが、ここはプロ。手元の飴ちゃんで注意を引いてこっそり後ろからコブラでひと噛み。あっという間に気絶毒で眠りの世界へ直葬☆ これくらい戦争を引こ起こすスタークおじさんにとっては朝飯前だ。

 

『さて、今度こそ失礼す……』

 

 

【BLADE Roading…】

 

『!? おっと!!』

 

…が、ここはサーヴァントたちの集まる庭園。こっそり行ったつもりでも誰かの目につくことがある。

ヒラリとブレードをかわし、距離をとるとそこには仮面ライダーアマゾン・ネオの姿があった。

 

「お前っ!!!」

 

『おっと、油断したか。コイツはまずい……』

 

やばいな……他のサーヴァントたちもこちらに向かってきつつある。流石に幹部で手練れの怪人であっても英雄たちの群はまともに勝負して勝てる相手ではない。

 

「チョコを、かえせ!」

 

『返せと言われて返す馬鹿がいるか…よっ!!』

 

バシュッと放たれるスチームガンからの弾丸。これをネオは弾き、一気にスタークに斬りかかろうとするが……

 

『甘い!!』

 

「!」

 

スレ違いざま、ネオはスタークを見失う……直後、右腕に裂けるような痛みが……

 

 

「……しまっ!?」

 

気がついた時、既にネオから飛び散った赤い血が…チョコプールの中に…… そして、濃い魔力を含んだ高い栄養のチョコレートの中でネオのアマゾン細胞が活発に活動をしはじめる……。

 

 

そう、最悪の事態が起こったのだ。

 

 

アマゾン細胞はそれぞれが独立して怪人として形を形成しはじめる。そして、ある程度の形を成した者から次々と本能のまま暴れはじめた。

 

『お?これはラッキーかな……?』

 

この騒動を好機とスタークは逃走。そして、はじまりへと至るのである。

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

「……ということだったらしい。全く、お騒がせな奴がいたもんだな。」

 

カルデア食堂の夜……そこは、サーヴァントたちが集う大人のbarへと顔を変える。仁はそれを肩を並べてカウンター席へ座る悠に伝えていた。相席など本来の世界ならありえることのないことだが、今は休戦協定を結んで共に戦う仲間という形で落ち着いている。まあ、自分や千翼も含めて本能に負け暴走したと同時に令呪の自害が前提だが……

今はバレンタインというなごやかなイベントということで血気盛んなことは必要以上は彼とて避けているし、隣の悠も笑みを浮かべている。

 

「…でも、安心しました。3回も繰り返さなくて。」

 

「…」

 

脳裏に過る本来の時間軸の記憶。ネオにトドメを刺し、その息の根を止めたあの感覚……どうあっても、鷹山仁という存在が消えるまで拭えないあの感触は呪いであり、また彼にとってもトラウマである。普通の人間ならとっくに発狂しているだろう…でも、彼は信念というがむしゃらかつキツく喰いつく鎖で締め上げられたような精神でまだ狂ったままで自我を保っているのだ。その痛みは完全に彼が全て砕け散るまで呪い続ける。

 

「だが、いざとなったら……俺が殺す。千翼も……お前も………」

 

そして、彼は砕けない。己の信念と誓いを果たすまで…

無論、それは悠も充分に承知している。だからこそ……

 

「わかってます。でも今は…夢を見てもいいんじゃないですか?サーヴァントになって、アマゾンを狩る必要も無いし、僕たちが同じ目的…人類のために戦える。ありえないことだらけなら、もう少しありえないことをしても良いと思いますよ。」

 

このカルデアは英雄が集う場所。過去のしがらみ、因縁、呪い、ありとあらゆる全てを乗り越えて隣り合う人類の未来のための揺りかご。そして、一時にありえるはずのない奇跡を垣間見る奇跡の夢でもある。なら、少しだけその鎖を緩めでも良いだろう?

遠回しな言い方だが、仁は気がつく……

 

「……千翼のことか。」

 

「はい。」と悠は頷いた。途端、仁はグラスの酒を煽り乱暴にテーブルにドンッと叩きつけた。

 

「無理だ。俺はあの子を2回も殺したんだ。そんな奴に親の喜びを味わう資格があるか!」

 

「あなたは父親として責任を果たして千翼に向き合った!なら、親としての喜びを味わっても良いはずです!!」

 

「黙れ!!」

 

激昂し立ち上がる彼。辺りの職員やサーヴァントたちも何事かと顔をこちらに向ける……いざとなったら、力強くでも制止しなくてはならないかもしれない。緊張した空気が張りつめ……冷や汗が首筋からずっと下へ伝っていく感覚が暫く続いたが、

 

そこへ、「失礼…」と割って入るサーヴァントがひとり……

 

 

「…話はそれとなく聞かせてもらった。私はランスロット、円卓の騎士であり今はセイバーのサーヴァントとして貴公らと同じくマスターと共に戦う者だ。ミスター鷹山で良かったかな?まずは、非礼を詫びよう。」

 

「…」

 

ランスロット、ブリテンの円卓の騎士の中でも最強と名高い彼。真っ向から掴みかかっても分が悪いことくらいは仁もそれとなく察しテイルので黙っている。取り敢えず、暴力沙汰にはすぐになりそうにないことを確認するとランスロットは話を進める。

 

「しかし、私としても思うことがあり言葉を述べさせてもらいたい。

 

 

……貴公は自分の息子と接することが怖いのではないか?」

 

 

 

「!」

 

見るからに動揺していた。ピクリと止まり…何か縫いつけられたように歩が動かない。まるで、ランスロットの言葉が杭になったかのように…

 

「その…私も言えた身では無いのだがな、我が子に拒絶されるのが怖い…傷つけたことが後ろめたい…だから、どう接して良いかわからないのだろう?」

 

「…あんたに何がわかる?」

 

「私も父親だ。私の場合は責任も何も果たせなかった最低の父親だが…」

 

そう言えば……悠はマシュの中に宿る英霊について思い出した。確か、ギャラハッド…ランスロットと同じ円卓の騎士で彼の息子。その性格は宿主であるマシュにも影響しており、ランスロットに対して辛辣な態度を時折みせるのはこれが関係しているのだとGから聞いた…

悠もブリテンの物語についてはよく知らないが、どうやらランスロットとギャラハッドの仲は険悪だったのは明白。だからこそ、彼なりに仁に対して思うところがあるのだろう。

 

「しかし、親と子の繋がりは責任だけではないはず……責任を逃げる言い訳にしては、貴方も私と同じ親失格ですぞ。私が御身に何があったかは図りかねますが、同じ父親仲間のサーヴァントとしてこのカルデアの時間を大切にして頂きたい。責任を果たす意志と力があるなら、子とだって向き合えると私は思います。」

 

「…」

 

黙る仁。実際、ランスロットの言うことは全て図星だった……。本来の時間ととある亜種特異点で彼は結果的に2度も我が子を手にかけることになったのである。その後、親子共々カルデアに召喚こそされたが自分はどう接して良いかわからず、千翼もまた父親から距離を何となく距離をとってしまっていた。そのまま時間が過ぎて溝は埋まらず現在……

 

「簡単に言いやがる……」

 

最後、不貞腐れたように再び椅子に座る。悠がなんとかフォローしようとしたが、そこをランスロットが肩に手を置き『それでは、我々はお邪魔のようなので…』とその場を引きずられる形で後にする。

そして、残される仁は……

 

 

「わかってるんだよ……そんなことは…!!」

 

 

悶える。そう、言われなくたって自分が臆病で怖じけづいて…責任を言い訳にしてるのは解ってる。でも、良いのか?無責任にこの世に命を与え…責任という言葉を振りかざして命を理不尽に奪った自分に父親として本当に千翼は認めてくれるのか?

 

 

怖い……怖い怖い怖い怖い怖い怖い

 

 

七羽さん(甘えさせてくれる人)はいない。

 

七羽さん(寄り添ってくれる人)はいない。

 

七羽さん(愛してくれた人)はいない。

 

七羽さん(千翼の母親)はいない。

 

 

……どうしたらしいい?どうしたらしいい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの! 父さん!!」

 

 

「っ!?」

 

 

その時、一番に心臓を殴りつけるような声が背後でした。振り向くと、そこには一番に会いたいが会いたくない相手が立っていた。よりにもよって……今…

 

「千翼……」

 

何故、ここに……ああ、それで悠とランスロットは察して立ち去ったのか…!

まあ今更、そんなこと考えたって遅い。静かに低い声で……仁は問う。

 

「……何の用だ?」

 

違う、そうじゃない。こんな脅すような声じゃなくてもっと父親らしく話したいのに、脳ミソが上手く語彙を紡げず、口を思うように動かない。これが戸惑いと怖さからくる裏返しだと自分で理解しているぶん恥ずかしいし怒りすら覚える。

それでも、千翼は臆せず手元の包みを父親に渡す。

 

「これ……バレンタインだから!」

 

「…?」

 

「チョコレート……お世話になった人に渡すってマスターから聞いて、頼光さんたちと一緒につくってみたんだ。だから、父さんに食べてもらいたくて……」

 

 

…放心した。だけど、すぐに我に戻る。バレンタインで父親にチョコレートをおくる息子など普通はまずありえないが、これの意味は何なのか……まさか、仲を縮めたいという意志のある種の表現なのか…

そうならば、彼の行動力に応えるべきだろう。

 

「……俺になのか?」

 

「うん。もしかして……チョコ嫌いだった…?」

 

「いや…そうじゃない。そうじゃないんだ…」

 

 

しかし、その前にハッキリさせなくては…

 

 

「なんで、俺に渡す?仲が良い奴なら他にもいるだろう…。」

 

「…父さんと仲良くしたいんだ。俺が生きてる時は出来なかったから……だから…!!」

 

「俺はお前を殺したんだぞ?勝手に生まれさせて、勝手に殺した最低の父親だ。そんな奴と仲良くしたいって本気で言っているのか?」

 

「…」

 

「マスターとかに薦められたっていうのならやめておけ。お互いのためにならない。」

 

彼は本当にどう思っているのか、確めなくては。ただ、周りの空気に流されて仕方なしにやっているならお互いに重荷になるだけだ…。まだカルデアに来て日が浅い仁だがマスターをはじめランスロットといい、お節介焼きが多いのはもううんざりと熟知しているのだから。彼等なら千翼に気乗りしなくてもそう仕向けてもおかしくはない。しかし、

 

「違うよ。これは俺の意志。俺の意志でやったことなんだ。」

 

(…!)

 

我が子は怯まず、自分の胸の内を伝える。

 

 

「父さんとは命のやりとりでしか今まで繋がってこれなかったから、ちゃんと親子として向き合いたいんだ。こんな機会はもう無いかもしれないから…!」

 

「…」

 

暫く動けなかった。まさか、こんなに千翼から寄り添ってこようとするとは予想すらしなかった。不意討ちの強打は仁によく効いており、弱点にクリティカルに入ったダメージは脳内のパニックを招く。

そして、恐る恐る包みを受けとると『開けて良いか…?』の一言。千翼が頷くのを確認すると赤い袋から小箱が…その中には鳥を模したチョコレートが入っている。

 

「……かわいいなぁ~。七羽さんもこんな趣味だったけなぁ…」

 

ひとつとって頬張るとむしゃむしゃと咀嚼する。甘い……ああ、なんて甘いんだろう。チョコレートなんて食べたのなんかいつ以来か覚えたてないけど……多分、この先にこれより美味なものを口にすることはないだろう。

 

「おいしい、父さん?」

 

「ああ、おいしいよ千翼。あぁ……ぁ…俺には勿体ないくらい、おいしいよぉ………千翼ぉ……」

 

気がつけば涙腺から滴が零れおちて止まらなかった。畜生、嗚咽が邪魔しやがる。

 

「すまねえなぁ…こんな情けない父親でよぉ。本当、こんなどうしようもない奴の息子で、ごめんなぁ…。」

 

 

 

 

 

……その後の鷹山親子についてまたいつか語るとして

 

 

 

 

 

(……さて、私も腹を括らねば…)

 

場所はかわり、ランスロット。とある廊下にて……

 

彼の目の前には

 

 

 

 

「こんにちは、ランスロット卿!!相変わらず、外は吹雪ですが本日はお日柄も良いですね!!」

 

「ま、マシュ……」

 

娘(仮)。うん、なまじ大見栄をきったからには自分も逃げられない。背後は笑顔で堅められている……退路はすでに絶たれたということか。

 

「ところで、今はバレンタインデーですね!!!」

 

「む、むぅ……」

 

「私も日頃、お世話になっている方にチョコレートを用意したのですが!! う っ か り 、作り過ぎてしまって、残してしまっては非常に 勿 体 な い ので、別に、世話になった記憶などこれっぽっちもないですが、

し ょ う が な い ので、余り物ですが差し上げます!!」

 

「……あ、ありがと…」

 

 

 

「チェストォ!!!」

 

 

ズドンッ(チョコを渡す音)

 

 

その後、ランスロットはカルデアの廊下の片隅にとんでいってチョコレートを抱き締めたまま死亡しているのが復活した黒ひげに発見される。本人曰く『親って難しい…』と言い残しており、美女による看護を要求したため、望み通りにナイチンゲール女史のもとへ搬送され蘇生を受けている(はず)。

 

 

 

その頃、当のマスターはというと……

 

 

 

「……マスター、こころして聞け。」

 

マイルームには仮面ライダースナイプこと花屋大我先生…別名・ブレイブいわく無免許医。でも、ちゃんと医療知識も技術もある。今、マイルームは大我先生の診療室……患者はマスターであるG。別にゲーム病とかそういうわけじゃない。ではなにかというと……

 

「診断の結果、お前は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「糖尿だ。」

 

 

 

 

その日、カルデアのマスターは泣き崩れて復帰出来なかった。

 

 

 

 

おわり

 

 

 





・登場人物

☆セミ様
作者のカルデアには来てくれたよ!やったね!!取り敢えず、バレンタインデーの黒幕かと思ったら気がついたら謎の杖やおじさんとか(0M0)のせいで一番の被害者になってた。どういうことだってばよ。

☆きよひー
好 き (挨拶)!!!

☆くろひー
好 き (幼女)!!!いや、お前はいい加減に懲りるべき。


☆仁さん
自分の責任を果たそうとしている辺り俺は良いお父さんだと思うよbyマッハ バレンタインデーのあとカルデア父親の会に入会するも、殆どやらかした人たちしかいなくて全く参考にならなかった。

☆千翼
せめて、カルデアでは幸せであってほしい仮面ライダーぶっちぎりのNo.1。お父さんと仲良くなれたし、めでたしめでたし。なお、幸せであってほしい仮面ライダーNo.2は我等がたっくんである。


☆スタークおじさん
だ い た い 、 お 前 が 悪 い 。
何故、チョコをわざわざ盗みに入ったかは後々わかるかもしれない。庭園を好き放題荒らしてセミ様のハザードレベルとストレスレベルを上げた。相変わらず、煽りには余念がない職人。
最近、大抵のことは万丈が身代わりになる。 万丈「解せぬ。」

☆(0M0)
<コレクッテモイイカナ?








バレンタインデーにあげようと思ったらこのボリューム。うん、2月だからまだせふせふ。いや、こんな長くなるなんて思わなかったんだ。




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仮面ライダーアマゾン・オメガ編
DELINEATION.Ⅰ


★時系列

FGO新宿終了後

仮面ライダーアマゾンズ season1終了後、season2中盤

(↑)のネタバレを含みます。ご注意ください。



side???

 

 

…アマゾン細胞

 

または人喰い細胞とも言うべき、人工生命体。これの集合体によってデザインされた異形を『アマゾン』と呼ぶ。アマゾンはその由来故に人間のタンパク質を好み、本能のままに人間を襲い喰らう。

 

そう…勿論、僕だって例外じゃない。なのに、なんで…僕は『仮面ライダー』に……

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

マイルーム…

 

 

 

「令呪を持って命じる、食人衝動を抑えろ…アサシン。」

 

ギュィン!!と走る閃光がGの右手から迸り、嵐のように体内で荒れ狂う魔力の奔流を青年は黙って噛み締めて耐え…やがて沈静化すると額の汗を拭って、ふぅ…と顔をあげた。彼…『水澤 悠』は魔力の痛みと忌むべき衝動熱が引いていくのを感じ、わざわざ大事な令呪を使ってくれたマスターに礼を述べる。

 

「ありがとう、マスター。これで、暫くは衝動を抑えられるよ。」

 

水澤悠…仮面ライダーアマゾン・オメガ。風都ではバーサーカーだった彼だがカルデアではアサシンのクラスチェンジし、雰囲気もかつてより大人びていた。彼は仮面ライダーであるとされるが、同時に人を喰らう怪人・アマゾンでもある。それはサーヴァントになっても変わりは無く、魔力供給のおかげで食事の必要が無いサーヴァントであっても『食人衝動〈アマゾンの本能〉』は健在であった。これはもうアマゾンとしてのあり方として仕方ないものなのだらしい…

よって、マスターであるGが令呪を使用することで強引に人間の血肉を欲すアマゾン細胞を抑えつけている。

 

「気分は悪くない?」

 

「平気。毎度、迷惑をかけるねG。本当はこんなつもりじゃなかったんだけど……」

 

「悠は悪くないよ。」

 

悠としてはとても申し訳ない限りだった。今の自分の燃費の悪さは下手なバーサーカーより悪いし、最悪の場合はGやカルデアのスタッフ…他のサーヴァントにて危害が向かいかねない。こんなつもりで契約したのではないのだが……

 

(何でだろう…生身の頃より、アマゾンの力が制御できない。もうバーサーカーでもないのに……)

 

 

 

 

 

 

…バァン!!

 

 

「マスター、助けてくれ!!」

 

その時、マイルームに飛び込んできたのは貴利矢…その後ろにはシャァァ!と怒りの形相の嘘つき絶対に許さねぇガールきよひーこと清姫。彼はGを盾に後ろへ隠れ、まさに焼き殺さんばかりの勢いの清姫はジリジリと狙う……これでは、Gまで丸こげにされかねない。

 

「退いて下さい旦那様!この嘘つきを焼き殺せないではないですか!!」

 

「大袈裟な!ちょっとジョーク言っただけですよ自分!?あ、ちょっと火とばさないで!?大事な一張羅が黒くなっちまう!?」

 

(…関わりたくない。)

 

流石にGも白目。まず、初対面から胡散臭い奴認定を清姫から受けた貴利矢……以来、仲はすこぶる悪い。まあ、時と場合によって真実を伏せたりポーカーフェイスなど行う彼と何があろうと愛想や気遣いだろうと嘘であれば何であっても許さない彼女とでは相性が良いはずもないだろう。取り敢えず、Gの制止でまだ黒焦げにならないでいるが……

そんな様子を悠は微笑みながら眺めていた。

 

(騒がしいな…。でも、悪くない。)

 

…この愉快な空気はサーヴァントになる前は感じる機会など殆ど無かった。あったけど、本当に短い時間だった。別に自分もあの輪に入ろうなんておこがましいことは思わない…ただ、いつまでも続けば…なんて、思ったけど…

 

 

 

 

「…!」

 

 

ードックン

 

 

 

やっぱり、そうもいかない。

 

 

 

【マスター、至急管制室へお願いします!】

 

 

天井のスピーカーから響く緊急事態を告げるマシュの声。一転してあわただしくなる空気…Gはマイルームを飛び出し、勢いに便乗して貴利矢も清姫の追撃から逃れる。

 

…さて、自分も向かわなくては

 

 

悠もまた、Gのあとを追って駆け出した。

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

 

…亜種特異点 新宿

 

 

 

 

今回の目的地であるこの場所はかつて亜種特異点の舞台になった場所。ネオンの輝きが交錯する美しい夜の街並みだったが…人理修復が進んでいるためか以前に比べれば七色の光は弱々しく、ビル街には人も魔も気配も皆無。

そこへ、カルデアにいるマシュからのオペレートがGたちに届く。

 

【マスター、今回の特異点の類似反応はこの新宿から観測されています。それほど強力ではありませんが、周囲に何かしらの異常は確認できませんか?】

 

「…特には見当たらないけど?」

 

見回たす限りでは特にこれといった異常は無い。最初にこの新宿に来た時には既に大半の一般人と定義される人間は皆、死に絶えていた。生きていたと言えるのはサーヴァントと悪辣な金持ちに魔術師もどきのチンピラくらいだった…。

そんな魔境の街に連れてきたのはジャンヌ・オルタにセイバー・オルタ…あとは、自主希望で清姫と悠。前者はかつて、この新宿で縄張りを張っていたこともあり頼りになるだろうと連れてきた…

 

 

…のだが……

 

 

「では、マスター…私はあのファーストフード店を見回ってくる。何やらあそこから怪しい匂いがするのでな…」

 

「え?」

 

…と、セイバー・オルタが消え

 

 

「なにやってんのアイツ?あー、私もあの服屋怪しいと思うわ!ちょっと偵察してくる。」

 

「ちょ!?」

 

…と、ジャンヌ・オルタが消えた。

 

 

もう何なのこのオルタちゃん。自由すぎる。因みにこのあと、騎士王オルタちゃんは行った先で人肉ハンバーガーを出されたためにブチキレて店舗をモルガンして粉砕するのは誰も知らない。

結局、残ったのは清姫と悠。清姫の場合は現代の時代への興味という理由で悠は何やら思うところがあるらしく同行してきた。(貴利矢ん?あ~、自分は本編で今日出番が(大嘘〈ゴルフ〉))

 

「本当、緊張感の無い人たちですわね。流石の私も怒りどうこうより呆れます。」

 

「まあまあ。悠、何か感じる?」

 

「…」

 

取り敢えず、悠までいなくならなかったのは幸いだった。彼は現場でマスターから離れずにある程度の索的が出来るのでかなり有難い。

 

「……!」

 

すると、暫く周囲を睨んでいた彼は昔のライブハウス…所為、ディスコの前まで走っていき扉の前で足を止める。

 

「ここだ。ここに、居るッ!」

 

「ディスコか…時代感じるなぁ。」

 

Gは自分が生まれる数十年前に消えた遺物に呑気なことを口走っていたが、彼の表情からはかなりの警戒心が窺えるほど怖い。マシュからも『恐らく、そこが今回の起点です。』と通信が入り気を引き締めなおす。

 

「G、俺から離れないで。清姫も辺りに注意して…」

 

警告。今、Gには風都で味方をしてくれたベルトさんはいないため自衛手段は礼装と精々、ガンドくらいだ。加えて、いつもなら一緒のマシュはバックアップにまわり清姫はあまり戦闘に強いサーヴァントではない。現状、一番頼りになるのは悠のみだ。

息を呑み、ギィィ……と開けるディスコの扉。中では極彩色の光と耳が痛くなりそうな爆音の音楽で溢れ、中はゴミやら汚物やらで荒れ放題。ミラーボールが乱反射しているが、リズムに乗る観客など生憎いない。

 

【マスター、どうですか?】

 

「…目立つようなものは見当たらない。」

 

マシュのナビゲーションを疑うつもりは無いが、このあらざる新宿ではさして珍しくもない気もする。普通に管理者の人間が死んだとか……?

一方、悠はステージの上へと上がりグルグルと周りを見る…………

 

 

『シュゥゥ……ッ!!』

 

…その様子を涎を垂らしながら窺う影…

 

 

「! マスター、上だッ!!」

 

「!」

 

 

『シャァァ…!!!!』

 

天井から襲いかかってきたのはコウモリアマゾン!鋭い牙は新鮮な人間の血肉を求め、勢いよくGの頭上目掛けて急降下してきたのだ…!!

 

「旦那様、下がって!」

 

…しかし、間一髪。ゴウッ!!と放たれた清姫の炎により阻まれたために、異形はバランスを崩してあさっての方向へ着地する。

 

「やはりか…!」

 

『ギィィィ!!!!』

 

「…くっ!?」

 

すぐさま、引き返そうとした悠だったがこちらはクモアマゾンがステージの裏方から飛び出して行く手を阻む!仕方ない……彼はアマゾンズドライバーを取りだし、腹部に装着し起動させる。

 

【OMEGA】

 

「…アマゾンッ!!」

無機質な音声が発せられるとグリップをまわし、全身のアマゾン細胞を活性化させ己の狂暴な『力』を解き放つ……

 

 

 

【E.E.EVOLUTION】

 

 

 

ーーゴォォォォォォォォォウ!!!!!!!

 

 

 

『進化〈EVOLUTION〉』…緑の炎に包まれ現れた姿はそう言ってもいいかもしれない。人間という皮を喰い破り、表層へ出て来た悠の『Ωの名を冠する怪物〈アマゾン〉』……

 

仮面ライダーアマゾン・オメガが衝撃波と共に君臨した。

 

 

 

 

→→DELINEATION.Ⅱ へと続く。





どうでもいい茶番

☆父の日

モードレッド「父上ッ!今日、父の日だぜ☆ ミ●ドからドーナッツ買ってきたから一緒に食べy……」

アルトリア「大義であった、そのままドーナッツを置いてさがると良いぞモードレッド卿。」←安定の塩対応


マシュ「はぁぁぁぁ~~(溜息)」

ランスロット(剣)「態度が露骨!?」


~~~


ランスロット「…ということがあってな、こう…理想のお父さんってどんなものなのだろうか。」


マッハ「…」(無言のシンゴウアックス)


G「その人に訊いちゃ駄目!?」


…イッテイイヨー‼



☆父の日2

ランスロット「…理想のお父さんって(ry」


ダークキバ(音也)「OK、理想の父親について俺がしっかり教えて……」


マシュ「…ただの類友じゃないですか。」


……昼ドラ属性持ちお父さん



☆親子

ランスロット「理想のお父さ(ry」


ゲンム(社長)「…父親だとぉぉ!?!?あんな男、私の会社と仮面ライダークロニクルを奪ったただのコソドロに過ぎ……!!!!!」


【ポーズ】


クロノス「おっと、この質問は無効だ。」


…仮面ライダーの父親って大半がろくな奴じゃない説。



感想お待ちしてます。


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DELINEATION.Ⅱ


分かりにくそうだったんで、先日タイトルを変更しました。


★今日のエグゼイド…

清姫「シャァァーーーーーーーッ!!!!!(憤怒)」


貴利矢「んアァーーーーーーーーーーッ!!?」


…やはり、貴利矢んときよひーは相容れないことが証明された。




「…ォオ!!」

 

降り下ろされるクモアマゾンの爪を払いのけ、パンチにキックと叩きこむオメガ。幸い、思ったほど技術は落ちておらず生身と同様のテクニックで充分に相手に出来る。出来るのだが……

 

 

『ギギギギ…!!』

 

(ッ……力が出ない!)

 

問題…かなりのパワー不足。生身の自分なら一方的に圧倒できる相手のクモアマゾンだが、ダメージは蓄積すれど勢いは留まらず挑みかかってくる。加えて、オメガが戦いに集中出来ない理由が……

 

「ええい、ちょこまかと!」

 

「清姫、周りに燃えうつってる!気をつけて!!」

 

Gと清姫である。Gはガンド程度しか対応が出来ないために必然的に清姫が出なくてはいけなくなるのだが、如何せん彼女は守りを得意とするサーヴァントではない。自分はまだ変化のスキルによる竜化で防御力は上げられるが、マスターを護るには捨て身の盾になるのが限度だ。となれば、彼女に残されるのはありったけの火炎放射をばらまいて弾幕を張るくらいだ。逸話通りの愛(増悪)した人を焼いたそれはまぁ強力な炎だが、これまた相手が悪い。室内という閉塞された空間なれどダンスホールというそれなりに広さがあればコウモリアマゾンの飛翔能力にはそこまで障害にはならず、炎は機動力によってかわされ続けている。おまけに、この炎はダンスホールの至るところに燃えうつりはじめていた…。このままではディスコ中に火が燃え広がるのも時間の問題だろう。

 

 

…と、目線を逸らしたのが仇となる。

 

 

『シュシュッ!!』

 

「!…しまった!?」

 

クモアマゾンが放った糸の網がオメガに吹きかかり、床に貼り付けにされてしまう。そのまま、クモアマゾンは飛びかかるやマウントし捕らえた敵を勢いのまま滅多打ちに……

 

「……ぐっ!?あ!?」

 

「悠さん!…ちぃ!!」

 

飛び散る血。何とか清姫も助けようとするもこっちはこっちでコウモリアマゾンが阻む。彼女の意識が少しでも護りから逸れたのを執拗に狙い、隙あらば後方の人間〈マスター〉を喰いちぎらんとする。

 

されど、この程度の劣勢…人類を救ったマスターには何を今更という話だ。

 

 

「ガンド!」

 

 

バシュッ!!と放つ黒い魔力弾がコウモリアマゾンの合間を縫って、離れたクモアマゾンの顔面を砕く!

 

『ギギギギ!?』

 

「悠!」

 

「!」

 

この機を逃さない。オメガはアマゾンズドライバーのグリップへなんとか手を伸ばし、これを捻って腕のアームカッターを展開。纏わりつく粘着質な糸ごと彼は悶えるクモアマゾンの胸部を斬りはらうッ!!

 

 

【VIOLENT PUNISH】

 

 

ズジャッ!!

 

 

無機質な電子音の死刑宣告に…生き物の身体が千切れる生々しい音。辛うじて背部の皮一枚で繋がった肉塊からドス黒い噴水が立ち昇り、ベトベトとオメガの翠色の表皮を汚す…

この相棒の絶命の瞬間を見たコウモリアマゾンは戦況の流れが敵側に変わったのと自らの生命の危機を察し、慌て清姫から離れるや燃え朽ちる壁に突撃して強引にその場から離脱した。

 

【疑似特異点反応、移動します!】

 

「逃がしちゃ、駄目だ!清姫!!」

 

「承知しました。逃がしません…。」

 

マシュのオペレートと同時にGの指示。清姫はコウモリアマゾンを追うためにこの場から霊体化…オメガも続くためにジャングレイダー…所為、バイクを呼び出しGを後部座席に乗せディスコを扉を突き破り飛び出した。そして、清姫の気配を追ってハンドルを切りアクセルを蒸かす。華やかな夜道を駆けるジャングレイダー…そこへまたマシュからの通信が入る。

 

【悠さん、今のエネミーは……】

 

「ああ、『アマゾン』だよ。人を喰う怪物…!」

 

【…やっぱり……】

 

彼女はカルデアの計測器から今回のエネミーたちの霊基を観測し…彼等が非常に悠=アマゾン・オメガと近い霊基パターンを持っていることを知った。まさかと思ったが、やはり結果は予想通りとオメガからの答。つまりは……

 

「待って悠、それって……」

 

「…」

 

 

……彼の戦う理由。

 

Gとマシュは既に知っている。悠が自身の物語でどう『線引き』をしたのか……

 

つまり、自分たちは彼に何をさせて何をさせようとしているのか……

 

 

すると、オメガは応える。

 

「…良いんだよ。この新宿〈時代〉が僕達の時間に続くかはわからないけど、少なくとも今はアマゾンが産まれているはずが無い…産まれてちゃいけないんだ。だから、狩るだけ…何も気にしなくて良い。」

 

アマゾン…と呼ばれる異形が産まれた正確な時間はとにかく、彼等が人間の世界に放たれたのは西暦2000年代である。つまり、この人喰いがバブル時代の新宿にいるわけが無い。則ち、彼等はこの時間に置いて存在しないはずの異物なのだ。そうなれば、狩るには充分な理由になる。

オメガは冷静に語り、角で再びハンドルを切った。

 

(そう……ここに僕の護るものは無い。でもっ…)

 

狩るべきものは狩る。それが今の水澤悠=仮面ライダーアマゾン・オメガの戦い。

何度も言い聞かせた言葉を胸に再度、唱えながらふと…ある場所でジャングレイダーを止めた。コウモリアマゾンと清姫の気配もそこからする……だけど、

 

「ここは……」

 

知っている。一見、物静かで砂ぼこり臭い廃車置き場…

『悠?』と首を傾げるGを後に座席から降りると錆び付いた柵の扉を押して開けて中に入るオメガ。先の新宿の街並みが嘘のように光も音も不気味に静まりかえり、生き物の気配すら無く…風が廃車の隙間をヒュウヒュウと無機質に吹き抜けている。

 

【…特異点反応、清姫さん共にこの先で動きません。先輩と悠さんからは何か目視で確認できませんか?】

 

「悠、どう…?悠…?」

 

後方でGがマシュが通信をしているが、オメガの耳には届かない。

 

「なんで、なんでここが……?」

 

自分の記憶を切り取ってジオラマにしたようだ。

この場所はとてもある種の深い意味合いがあった所にとても酷似していた…。奥にある廃車置き場の主の小屋に車の座席に押し込まれた『人間の死体』。脳裏に甦る身勝手で最低最悪な人間…傷つけられた仲間。

 

……何で?

 

…………どうして?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ココハ、オ前ノ【線引キ】トヤラニ強ク影響シタ場所ダカラサ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

唐突にかけられた声にオメガは顔をあげる!廃車の積み上げられた山の上に満月をバックに『奴』はいた…。見覚えのある異形のシルエットに左手がぐったりする傷だらけの清姫の頭を鷲掴みにし、オメガとGを見下ろしている。

 

「仁さ………いや、……お前は誰だッ!!?」

 

オメガは一瞬だけある男の名を呼びかけたが、違和感に正体は彼ではないと察す。すると、奴は鼻で笑うと清姫もろとも飛蝗の如く飛び上がり…彼の前に着地。目線の高さに来るや白い月光に照らされ、正体を晒してみせ……Gは目を見開き戸惑い、オメガは警戒心をマックスまで上げる。オペレートしていたマシュも『え…?』と一瞬だけ思考が止まった。

 

確かに『奴』は異形だ、間違いない。だけど、…その翠のボディは……赤い複眼は……

 

 

『ヨウ、俺〈兄弟〉…?』

 

 

…オメガだ。アマゾン・オメガからベルトを外して刺々しく有機的に……いや、怪物らしくしたと言ったほうが解りやすい。

オメガを俺〈兄弟〉と呼ぶアマゾン。対する彼は問いかける……

 

「何で、……何でお前が外にいるんだよ!?」

 

ありえない。ありえてたまるものか…自分の『本能』が自分の目の前で形を得ているなど!!

タイミング同じく、マシュからのオペレートが入る。

 

【目の前の敵性とおぼしきサーヴァント、解析結果が出ました。クラスはバーサーカー……そして、霊基パターンは非常に悠さん…仮面ライダーアマゾン・オメガと酷似しています…】

 

『アタリマエダロ?クラスガ違ウダケナンダカラサ。』

 

異形…取り敢えず、この場では『オメガオリジン』としておこう。奴の言うクラスが違うとは…?

サーヴァントとはそもそも、英霊から剣士や魔術師といった側面を(一部、例外こそあれど)削ぎ出して現世に召喚したものだ。例えるなら乱暴だが、切り分けられたホールケーキのようなといった具合。元々は同じだが、別々に成ってしまった存在…それがサーヴァント。ややこしい言い方になるが、オメガとオリジンは同一人物であり別々の独立した意識を持つ別人なのだ。

 

『アァ、良イネ…ヤッパリ生身ハ自由デ良イ。』

 

オリジンはボキボキと首や指の関節を動かして鳴らす…まるで、その感触を味わうように。そして…

 

 

 

ーーガブリッ!!!!

 

 

「…ああっ!?」

 

持ち上げた清姫の首筋目掛けて牙の並ぶ口で喰らいつく!!

 

 

「その娘を離せェ!!」

 

すぐさま、彼女を救うため突撃するオメガ。直後、オリジンとのアームカッターの衝突が起こり火花が散る!

 

『自分ノ狩ッタ獲物を喰ッテナニガ悪イ?!!』

 

「ふざけるなァ!」

 

 

 

ーーガキィィン!!

 

 

響き渡る衝突音。これが、更なる戦いの狼煙となった…

 

 

 

 

 

 

 

 

→→DELINEATION.Ⅲへと続く

 

 





アマゾンズseason2は次回の配信で最終回なんですが、千翼と仁さんにあまりに救いの無い展開に涙。そして、イユ退場フラグとか色々…(鳥で人外はもう前例があるよね) 最後、生き残ることを望むたちと決意した者たちの結末はどうなるのか…目が離せません。


さて、次回はFVA本編を更新できたらと思います。


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DELINEATION.Ⅲ


アマゾンズ最終回感想。

誰か、仁さんを救ってあげてください。
そして、然るべき人たちを裁くべき。

ゾンビライダーがまた増えるのか。



…人間がいた。

 

ソイツは他人を傷つけ、辱しめなければ生を実感出来ないどうしようもない奴だった。

 

 

 

 

…男がいた。

 

男はどんなに救いようが無い罪人でも、力を人間には絶対に振るおうとはしなかった。それが、彼の『線引き』……

 

 

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

 

「オォォ!!!!」

 

『グルァァ!!!!!』

 

互いのアームカッターが相手の身体をかすめ、ドス黒い異形の血飛沫が舞う。直後、オリジンは清姫を投げ捨てると飛び退いて態勢をたてなおそうと距離をとる。この隙にオメガは血塗れの彼女を抱き上げ、駆け寄ってきたGに引き渡した。

 

「マスター、彼女を頼みます!」

 

「わかった。」

 

数秒後、再び戦線復帰する両者。オメガが殴りかかるが、素早くオリジンは彼の頭上を飛び上がり肩を蹴っ飛ばして背後へ。そのまま、オメガの背後に飛びつくや首筋に喰らいつきキバを立てる!

 

「ぐっぁあああああ!?!?」

 

苦悶の声をあげるオメガ。引き剥がそうと頭を掴み振り払おうと暴れるが離れようとしない……ならばと、アマゾンズドライバーのグリップへと手を伸ばしアームカッターを展開する!

 

【VIOLENT PUNISH】

「ぐっ!!」

 

そのまま、後ろへ凪ぎはらわれた刃はオリジンの脇腹を穿ち…流石の狂暴な異形もこれには離れずにはいられない。さて、引き剥がすことには成功したがオメガの首筋からはおびただしいドス黒い出血が起こり想定外の大きく蓄積したダメージに片膝をつく。一方でオリジンは脇腹の傷こそあれど、まだまだ戦闘は可能なようで再び雄叫びをあげながら獲物へと跳びかかる…!

 

 

 

ーーバシュッ!!

 

 

『!』

 

…が、空中で黒い弾丸が当たりバランスを崩し不時着。見れば、清姫を庇いながらもガンドを放ったGの姿。

 

『チッ…』

 

すると、オリジンは狙いをサーヴァントからマスターへと変えた。手負いの獲物を抜き去り、目障りな蝿を潰さんと地を駆けるッ!無論、Gも身構えるが…

 

『ギギギギ…!』

 

「…なっ!?」

 

不意をつき後ろから何者かに羽交い締めにされた!振り向けば、コウモリアマゾン…しまった完全に忘れていた。オリジンの爪先が新鮮な血肉を引き裂かんと空を切る……されど、怪人の力の前にはただの人間である彼では抜け出すことは不可能に近い。

 

 

 

 

やめろ

 

 

 

 

手を伸ばす…だが、届かない。

 

 

『ァァァァァアアア!!!!!』

 

【先輩!】

 

 

通信機越しのマシュの悲鳴が響く…

止まらない本能の凶器……

 

 

 

やめろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤメロォオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、『ナニカ』が弾けた…

 

 

 

 

 

 

 

ジャキン!!!と鈍い音がしたかと思うとオリジンが背後より鋭い無数の槍らしきもので串刺しにされており、絶命していた。さながら、ヴラド三世の宝具である極刑王〈カズィクル・ベイ〉 のようだが勿論だが彼はここにいない。

 

では、誰が……?

 

 

 

「ゥゥゥ……」

 

 

聞き覚えのある低い唸り声。間にはさんでいたオリジンの肉体が溶けていくと同時にその姿が露になりGは息を呑む…。槍に思えたモノの実は触手であり、その全てがオメガから生えていた。…怪人……否、獣か…それとも化け物と呼ぶべきか。針山触手と化したオメガからはシャドウサーヴァントの如くドス黒い魔力が洩れだし、眼が血走るように赤く光っている。

 

「悠…?」

 

「…ゥッ!!」

 

あまりの変貌に戸惑っているGに目線すらあわせることなく直後、オメガは触手を収納して跳び上がり…Gを突き飛ばして逃げようとしたコウモリアマゾンにマウントをとった。狩る側から獲物へと一転した哀れな異形…今度は自分が逃げる術が無い…生憎、自慢の翼は誰がを乗せて翔べるほど強靭ではないのだ。なら、このあとはどうなるのか…?

 

 

「ォォォォォォォォォ!!!!」

 

 

…グシャッと命ある有機物を潰す音。オメガの咆哮の中でもあまりに生々しく響いたグロテスクな響き。

捕食者の手が皮を裂き、肉を千切り、臓物を引きずりだし、脊椎を砕く。暴力なんて生易しい言い方で形容出来ない嵐の行為にGと清姫が目を背けた。

 

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

やがて、被捕食者は異形としての形すら留めず物言わぬ肉塊へと変質していった…。在るべきモノ殆どがあってはいけない所に飛び散り、引き裂かれて無残にあたり一面に転がる……その中心で尚も吼えるオメガ。勝者の勝鬨如く熱を帯びた声…

 

しかし、熱というものはやがて冷めるというもの。やがて、眼から本能の光が消え失せ…黒のモヤも止まる。

はっ!?と我にかえった彼は辺りを見て自分が何をしてしまったかを理解する。

 

「……そんな…どうして……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…それが、お前の『本質』だからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

抑えきれなかった自分に困惑する…と同時にが歩み寄ってくる新たな気配。車の影からゆっくりと現れたのはオメガと同じ『仮面ライダー』であり、『怪物〈アマゾン〉』だった。だが、アマゾンズドライバーを身につけてこそいるが姿はオリジンと酷似しており、色は無機質なグレーで眼が紫色に灯っている。

馬鹿な…確かに自分がサーヴァントになっているならあり得なくは無いだろうが、よりにもよってこのタイミングで現れるのか!?

 

「初めましてだな……カルデアのマスター。お前たちの流儀にあわせて言うなら『仮面ライダーアマゾン・シグマ』とでも名乗っておこうか。」

 

『Σ』…そう番付された名にアマゾンズドライバーからしてオメガと同様タイプの仮面ライダーだろう。ただ、このタイミングで現れたのとオメガの凄まじい警戒具合からしてとても友好的な存在とは思えないが…

 

【霊基情報、出ました!これは……『ルーラー』!?ジャンヌさんと同じエクストラクラス!!?】

 

「…何だって!?」

 

更に、マシュからの衝撃の報告。『裁定者〈ルーラー〉』とは本来の聖杯戦争において通常なら召喚されず、適性を持つ英霊もまた限られてくるクラス。エクストラというだけあって、能力は強力で真名看破など基本7騎には持ち得ない固有スキルを持っている。それが、仮面ライダーでアマゾンなどと全くGたちは予測すらかなわない。

これは彼を知らないが故の話であり、彼を知る者〈オメガ〉からすれば話は別。

 

「お前!何でサーヴァントに…!?」

 

「決まっているだろう。抑止力だ…人の歴史を脅かす害を排除する。それは、貴様がよく解っているだろう。」

 

シグマがオメガを指さす。

『抑止力』…人の歴史の存続に害悪・消滅の危機を与える存続に対する世界の防衛機構。召喚された土地かまたは害悪性存在に縁のあるものが世界により呼ばれ特異点においてもこれに該当するサーヴァントと遭遇したGは契約を結んだりすることもあった。

されど、シグマの言い回しは…まるで、オメガを『害悪』だと指しているように…いいや、確実に指していた。侮蔑するような視線がその証拠だ。

 

「…カルデアのマスター、貴様は甘い。コイツは紛れもない人喰いだ。人間に仇なす者…相容れないもの。そして、俺はアマゾンを狩るために産み出された者。即刻、この虫との契約を破棄して俺と契約すべきだ。」

 

そして、Gとの契約とオメガとの契約破棄を持ちかける。いきなり出てくるなり何を…とGが後退りするや、不思議そうに首を傾げた。

 

「何を躊躇う?正しい選択など見るに明らかだ。俺は人喰いの衝動は無い…それにエクストラクラスの霊基もある。何がが論理的かは考えるまでも無い。」

 

仮面ライダーアマゾン・シグマ…正確には『Σ』と分類されるアマゾン怪人にはある理由から仮面ライダーであるオメガですら持つ食人衝動が全く無い。つまり、令呪で縛る必要も無く…また、ジャンヌや天草四郎と同じルーラーのクラスならば強力な戦力になることだろう。何よりも…

 

「コイツが戦う理由は人類史が滅びれば必然的にアマゾンが産まれなくなるからに過ぎない…ただの利害の一致に過ぎないだろう。」

 

Gと悠の契約はあくまで利害が一致しているということ。アマゾン怪人は人の手によって産み出された怪人であるが故に人間の存在が無かったことになれば親無き子が産まれようが無いように誕生しようが無い。確かに、とっくに全ての黒幕である統括局ゲーティアは葬られたが未だに残る亜種特異点など不穏な影を拭いきれないためにズルズルと協力関係にあるに過ぎない。

 

「G……」

 

最も見られたくなかった異形の側面を見られてしまったオメガ。仮面ライダーという形の枷からはみ出た力は危険な因子そのものだと戦慄させるには充分だ。

 

だけど……

 

「?」

 

「……悠は人を襲わない。悠は仮面ライダーだ!」

 

「!」

 

Gはそんな計算人間ではない。悠は…仮面ライダーアマゾン・オメガは何度も共に死線を乗り越えてきた仲間だ。理屈や損得云々では無いものでマスターとサーヴァントの関係にある。ポッと出て来ていきなり自分が優れているだの契約破棄させろだの言って、はいそうですかと言うはずが無い。

すると、見かねた清姫が立ち上がりシグマに問う。

 

「シグマさん…と仰いましたか?私も訊きたいことがございます。貴方がルーラーというのなら聖杯にかける願いは無い…のだと同じルーラーの方から聴いておりますので貴方もそうなんでしょう。なら、何のために戦い…何のために旦那様と契約するのですか?」

 

戦う理由。カルデアにいるサーヴァントは皆、理由があってGに協力している。人類史救済に協力したい者や冒険を共にしたい者、清姫のようにGを慕う者など様々。なら、シグマはどんな思いでマスターに悠を排除させてまで契約しようと言うのか…

 

「……それが合理的だからだ。俺に人を喰う衝動も無い上にエクストラクラス、申し分ないだろう?」

 

合理的。そう簡単に言い放たれたどのサーヴァントよりも淡白か理由。オメガより利点が多い、ただそれだけ。

この答に清姫は顔をしかめる。

 

「気に入りません。私、嘘は大の嫌いですが血の気の通わないような理屈も好きません。つまり、旦那様より都合の良さそうな魔術師が現れればそちらに乗り換えることも意にかえさないということでしょう?」

 

随分と突飛した解釈…まあ、0か1の清姫の狂化思考回路なら仕方あるまい。されど、

 

「ああ、そちらが合理的…であればな。」

 

シグマの答もまた耳を疑うものだった。これが契約を持ちかけるサーヴァントの言い分だろうか…

この答と同時に清姫はキッとシグマを睨みGへと警告した。

 

「マスター、どうやらこちらの方は敵のようです。言葉の全てに嘘は感じませんが、明らかに自分の意思で口を動かしていないのは明らかですわ。」

 

「ほう?低ランクのバーサーカーとはいえ、少々侮り過ぎたようだな。」

 

真実。一転してシグマは敵として構えをとる。

咄嗟にオメガと清姫も臨戦態勢をとり、マスターを守るための陣形を組む。

「悠、俺はお前を信じる…!」

 

「G…ありがとう。」

 

 

―ドックン!!!!

 

「!」

 

その時、オメガが光に包まれアマゾンズドライバーが変化する。鋭い獣の眼のような赤いベルトに注射器のようなパーツがついたそれはアマゾンズドライバーの発展型『ネオアマゾンズドライバー』である。

 

「貴様、それは…!?」

 

危険を察したシグマ。咄嗟に襲いかかるがオメガがネオアマゾンズドライバーを操作するほうが早い。

 

 

【ν.O.ME.GA.】

 

「ウォォォ!!!!!霊基再臨〈アマゾン〉ッ!!!」

 

 

―ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

吹き荒れる緑の熱風!シグマを弾きとばし機械的な模様を描きながら、オメガのボディは変化していく……。不完全ながら銀に輝く機械的な鎧が上半身に覆われ、翼のようなバイザーが顔に形成される。

 

 

『仮面ライダーアマゾン・ニューオメガ』

 

 

オメガの秘める力を更に引き出した姿だ。

 

【霊基再臨!?触媒も無いのになんで……!?】

 

その変身はオペレーターであるマシュも驚いた。本来、カルデアのサーヴァントはその特殊な召喚である故か本来の力より僅かしか力が出ない。故に力を取り戻すためには触媒となる素材を用いた育成・霊基再臨が必要となる…勿論、仮面ライダーのサーヴァントも例外ではない。しかし、オメガは触媒など無しに新たな段階…否、本来の力を取り戻してみせたのだ。

 

「マスター…!」

 

「悠、任せた!!」

 

「!」

 

一声。それだけで充分だった…信頼していると背中を押す。ニューオメガは地を蹴り、真っ直ぐにシグマへとむかう。咄嗟に腕を突き出してガードするシグマだが降り下ろされるアームカッターに力負けし、弾きとばされる。何とか、踏みとどまるもそこへ清姫の炎が追い討ちをかけた!

 

「シャァァァッ!!」

 

「…ぢっ」

 

直撃するやあっという間に炎がまとわりつくが、力任せに振り払う。

 

「ヴォォォ!!!!」

 

無論、そこから反撃など許さない。一気に距離を詰めたニューオメガの荒々しいラッシュがシグマの腕を裂き胸を裂き、眼を殴りとばす。飛沫をあげる反り血、ドス黒く染まっていく両者のボディ…

 

 

【AMAZON PUNISH】

 

「…ォオッ!!!!」

 

 

【VIOLENT STRIKE】

 

「…ッ」

 

そして、一瞬の間合いが空いた時…オメガのアームカッターとシグマの回し蹴りが激突したッ!!死の三日月が喰らいあい、獲物の命を刈り取るためだけに最高の威力を叩き出す!

キチキチと軋むアームカッターと亀裂が入る脚……振り抜いたのは…

 

 

「…オォゥ!!」

 

 

―斬!!

 

 

ニューオメガの一撃。シグマの脚をへし折り、バランスを崩した所へ容赦なく顔面に拳を叩きつけた。全体重とパワーを乗せた一発はいくらアマゾンといえど骨を粉砕するには充分だっただろう。地まで砕ける音と共に彼は動かなくなった…。

「…やったのか?」

 

「…」

 

決着はついた。終わった…………

 

血をはらい、Gの元へと戻っていくニューオメガ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……待て。」

 

 

 

 

 

「「!」」

 

しかし、息絶えたはずのシグマはムックリと立ち上がる。首と脚はあらぬ方向に曲がっているが、力任せに元の位置へ戻す。普通の生き物なら…いやサーヴァントだって麻酔も無しにやれば激痛に悲鳴をあげ失神してもおかしくない行為を平然とやり、逆に見ているGと清姫が顔をしかめる。一方、ニューオメガは振り返ると構えることなくその様子を見据えていた。

 

「シグマタイプの特性か……」

 

「……お前のデータは摂れた。5手で詰ませてもらう。」

 

小枝のほうがまだ安定するような足を踏み込み、神経と筋肉だけでかろうじて支える砕けた首をもたげながら突撃してくる…!されど、ニューオメガは動かない。

 

「悠!」

 

Gが叫ぶ!…が、ニューオメガは冷静に言い放つ。

 

「大丈夫。もう、彼は何も出来ないよ。」

 

「…!」

 

このタイミングと同じく、まるでプツッと糸が切れたように地面に転がるシグマ。踞る彼の身体からは…随所から融け……崩壊がはじまっていた…

 

「シグマタイプ…ダメージを感じないかわりに、自我も無い。それこそが強みで致命的な弱点の…兵器としてのアマゾン。」

 

ニューオメガ……悠は思い出していた。このシグマと戦ったのは初めてじゃない。その時も自分のダメージを認識出来ず戦闘続行した結果、限界を突破して今のように倒された。あの場合は倒すことで頭がいっぱいだったが…今は崩れていく彼がとても哀れに見えた。彼だって、元々は『人間』だったはずなのに…

 

「……自我が無い…?それは違う…」

 

「…!」

 

そんなニューオメガに…否とシグマは語る。

 

「シグマタイプにも自我はある……ただ、『記憶』に価値を見いだせない…何も感じない。サーヴァントになったところで、所詮は『死体』…願いになるはずのものがわからない。だから、かける願いもわからず………だから、ルーラー適性がある…」

 

無機質に違反者を裁く機械として……

 

「…死体?」

 

「G………シグマタイプのアマゾンのベースは人間の死体なんだ。」

 

「…酷い。」

 

こんな…こんなこと命への冒涜に他ならない。安らかに眠るべき死人の尊厳を踏みにじり、異形へと変えて感情までも兵器には不要と奪う。Gは見知らぬ傲慢な存在に怒りを覚える………が、そんな若き青年に死体は問う。

 

「酷い?お前に言えるのか………同じ死者を従えるお前が………?」

 

「…」

 

死者…即ち、サーヴァントのことか。確かにそうかもしれない…英霊とは死んだ英雄が世界に祀りあげられた魂で、これを召喚術にて分霊させ受肉させたものがサーヴァント。ある意味、墓穴を掘り返すような行いとしては同じなのか………

 

されど、『それは違いますわ!』と声をあげたのは清姫だった。

 

「私たちは確かに既に本来ならこの世にはいない存在ですが、しっかりと『願い』があります!ただ、動く死体では無いのです!!例え、一時の夢でも生きている…そんな私たちに寄り添ってくれるからマスターと一緒に戦っているのですよ。」

 

「清姫…」

 

彼女は否定する…自分たちは道具ではないし、自分の従うマスターは無情な冷血な人間でもないと。

すると、シグマはそうか………と立ち上がろうとするのを止め、膝をついた。

 

「ああ…俺には解らない。それが、サーヴァントだというのなら………俺は………………何の………ために………」

 

「もう良いよ。もう苦しまなくていい………ゆっくりと眠れ。」

 

再び、オメガはアームカッターを展開した。今度は敵を倒すための必殺技ではなく、処刑でもなく、まだ死体に縛られる魂を解放するための介錯であった。

次の瞬間、ヒュンッと刃が空を裂き…異形の首が宙を舞って地面に落ちた。これに呼応するようにシグマの肉体は完全に溶解し…そのまま、光の粒子となって消えていった。

 

【特異点反応、消失しました。マスター…悠さん、清姫さん、帰還の準備を。】

 

マシュのオペレーションが此度の異変の終わりを告げる。丁度、そこに『『無事かマスター!?』』とダブルオルタちゃんが駆けつけて探索はピリオドとなり…Gたちはカルデアへと戻っていった。

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

「………と、まあ…これが今回の一部始終だ。」

 

そして、今回の探索をどういうわけか食堂にてドヤ顔で語るセイバーオルタ。あれ?何かしてたっけ?とか言ってはいけないとエミヤとマシュは微妙な顔をして彼女を眺めている。

 

「…だからな、あの蜥蜴(悠)の進化には必要な試練だとあえて身を引いて様子を見ていたのだ。な?だからな………頼むからこの消毒液くさい御飯はやめ…っ」

 

「つべこべ言わず食べなさい!」

 

「ふべらっ!?」

 

そして、涙目で懇願した彼女はナイチンゲールにより消毒液に満たされたフルコースディナーに顔面をぶちこまれた。此度、独断行動かつ全く役に立たなかったこのオルタちゃんにマスターが言い渡したのは3食ナイチンゲール飯1週間の刑である。勿論、当然の報いといえばその通りなのだが………

ここに、無慈悲に清姫が追い討ちをかける。

 

「旦那様、この不届き者は嘘をついていますわ!」

 

「宜しい、もう3日プラスだ。」

 

「ッ!? この人でなしーーーーーーーッ!!!!!? お前に人の心は無いのか!!」

 

これには我等がおかんエミヤも『自業自得と思いたまえ。』と切り捨て、暫くこのオルタちゃんがナイチンゲール飯に血の涙を流す日々が続いた。一方………

 

「さあ、ジャンヌオルタ…もう逃げられませんよ。」

 

「大人しく、罰を受け入れなさい。」

 

もう1人のオルタちゃんこと、ジャンヌオルタは目が妖しく光る天草四郎とオリジナルであるジャンヌ・ダルクに壁際に追い詰められていた。『ひぃぃ……』と怯えるジャンヌオルタの目線の先には天草が握る謎の小瓶に入った液体状の薬品。知っている…これを飲んだら自分はどうなるか…ジャンヌオルタは知っている…。

 

「「ハァ…ハァ……(狂気)」」

 

「来ないで…来ないデッテ、言ッてるのォーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

 

聖人なはずなのに、完全にキャスターのジルのような眼光の2人。明らかに犯罪的な変態の詰め寄り方をする聖人たちに最期、ジャンヌオルタの断末魔がカルデア中に響く。そのあと、季節外れのクリスマスのサーヴァントが現れたのはまた別の話。

これが通称・サンタリリィの刑である。このあと、録画されて元に戻った本人の前で観賞するという二段構えというジャンヌオルタ特攻の恐ろしい刑(笑)だ。

 

 

 

……さてさて、真面目な所に戻るとしよう。

 

 

悠はダ・ヴィンチちゃんと話をしていた。今回、自分のニューオメガへの進化とオリジンとの関連性…そして、今回の探索の一部始終に彼女はフムフムと頷くと天才なりに考えた結論を出した。

 

「悠くん、やはり察するに今回の特異点の発生は君のクラスチェンジが原因ではないかと私は思うんだ。」

 

「クラスチェンジ…ですか?」

 

「そうさ。君は元々バーサーカーだったのをカルデアに召喚されるにあたってアサシンにクラスチェンジした。その時、無意識に人喰い〈アマゾン〉の部分を強引に切り離してしまったんではないかな?本来、クラスチェンジなんて芸当はそう簡単には出来るもんじゃない…それなりの代償を伴うものさ。結果、君の欠けた霊基は不安定になり食人衝動がそれを補うために強くなった…皮肉なことにカルデアで迷惑をかけないようにした行為が裏目に出たわけじゃないかな。」

 

成る程、頷く悠。確かにバーサーカーで召喚されるのはカルデア側にも危険だと感じていたし、欠けた霊基を補強しようとしていたなら生者の時より強い食人衝動に説明がつく。

 

「…で、切り離された君の霊基を核に擬似特異点が発生した。そして、失われた部分を補填したことで君は本来の力を取り戻した…って所かな?実際、似たような事例は以前より報告されてるしね。」

 

最終的に独立した霊基の欠片…本能〈オリジン〉を倒し吸収したことでニューオメガへと霊基再臨できたという結論。確かに、筋は通っている。

 

でも……

 

 

(シグマ……アイツは何で現れたんだ?)

 

 

残る疑問。それなら、どうしてシグマが現れたのか?コウモリアマゾンやクモアマゾンはオリジンに反応して発生したと考えられるがシグマは明確に悠やカルデアのメンバーに敵意を持って立ち塞がった。本人は抑止力と言っていたが、それを聞いていたエミヤは考えにくいと言っていた。たかが、サーヴァント1騎でオメガ程度の力で働くものではないと……

 

(仁さん……千翼………)

 

過る元の世界の仮面ライダーたちに戦いを共にした仲間。彼等は無事なのだろうか……

何だか嫌な予感がする。自分がカルデアにいるのは本当にGと結んだ風都での縁だけなのだろうか…

 

(……それでも)

 

 

この身がサーヴァントなら……信じてくれるマスターがいるなら………帰れる場所があるなら………

 

別れの刻が来るまで戦おう。彼と彼の仲間たちのためにこの狂暴な力を牙とし、刃とし…………

 

 

(仁さん、甘いって言うかもしれないけど……これが今の『線引き』です。)

 

 

 

…水澤悠=オメガ改め、仮面ライダーアマゾン・ニューオメガのカルデアにての戦いはまだまだつづく。

 

 

 

 

 

〈〈仮面ライダーアマゾン・オメガ編 DELINEATION. END 〉〉

 

 

イメージED『DIE SET DOWN』

 

 





★NEXT SARVANT

マシュ「仮面ライダーアマゾンズseason2、完結おめでとうございます。」

???「随分と楽しそうじゃないか、G…?ゲームマスターの私を差し置いて!!?」

セイバーサンタオルタ「ギャアァアアアアアアア!!!!!!!!?!!!!?」

レーザー「嫌ですよ、こんな役回り。」

???「夏の新・檀黎斗祭り……開幕だァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!」

次回『仮面ライダーゲンム 夏の新檀黎斗祭り(大嘘)』

こーたーえー、大☆切☆断ッ!!


マシュ「ああもう、台無しです。」


次回もお楽しみに!!


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profile:水澤悠=仮面ライダーアマゾン・オメガ(ニューオメガ)

★仮面ライダーアマゾン・オメガ(ニューオメガ)

 

 

クラス…暗殺者(Assassin)

属性…悪

 

魔力…E

耐久…A+

筋力…B+

敏捷…B+

騎乗…C

幸運…B

 

出典:『都市伝説』『仮面ライダーアマゾンズ』

 

宝具(オメガ時):バイオレントパニッシュ(Quick)

宝具(ニューオメガ時):アマゾンパニッシュ(Quick)

 

カード構成:Arts×1 Quick×2 Buster×3

 

 

・スキル

 

『食人衝動E+(Busterカードの性能3%アップ。回復バブ効果確率でアップ)』…… アマゾン怪人が持つ本能が具現化したスキル。この程度なら制御されている状態だが魔力供給を怠れば一気にEXまでランクアップし事実上狂化と同じになる危険性があるため注意が必要。

 

『騎乗C』……仮面ライダー補正がかかってアサシンにしてはそれなりのスキル。ジャングレイダーが専用マシン。

 

『気配遮断C』……アサシンにしてはかなり低めの値。元々がバーサーカーだから仕方ない。人間の姿でなくては効果を発揮しない。

 

 

 

戦闘スキル

 

『変化A(攻撃力アップ+防御力アップ)』……アマゾン細胞による恩恵で細胞を様々な形質に変化できる。

 

『戦闘続行C(ガッツ)』……腹に穴が空くほどでなくてはアマゾン細胞の与える生命力で止まることはない。

 

『第3のアマゾンEX(HP回復+NPチャージ+宝具威力アップ)』……オメガの固有スキル。アマゾン怪人の更に上位の存在として体現したスキル。

 

 

 

 

profile.Ⅰ……水澤悠、彼は文字通り育ての親に半ば隔離されるように飼われていた。最初、彼は何の疑問も思わなかったがそんな彼に転機が訪れる。

 

profile.Ⅱ……自らの本能の声に導かれ、鷹山仁=仮面ライダーアマゾン・アルファの戦いを目撃しアマゾンとして覚醒する。やがて、自分は人喰いの怪物かそれとも人間なのか答を得るために対アマゾン怪人チーム駆除班と共に戦いはじめる。

 

profile.Ⅲ……彼は仮面ライダーとされるが、必ずしも人間の味方とは限らない。もし、彼の『線引き』を越えたなら、末路を覚悟すべきだろう。

 

profile.Ⅳ……宝具『アマゾンズドライバー』『ネオアマゾンズドライバー』。オメガの力を制御するために必要な変身ツール。無くてもオメガオリジンとして戦えるが事実上、理性無きバーサーカーとなるためやめたほうが良い。

 

profile.Ⅴ……カルデアに本来、彼が守ろうとした者はいない。でも、マスターが彼を信じるなら怪物は仮面ライダーとして共にあるだろう。人の歴史が完全に復元されるその時まで。

 

 

 

 

 

マイルームボイス

 

絆1……悠「あまり僕に近寄らないほうが良いよ。」

 

絆2……悠「僕は必ずしも人間の味方とは限らない。マスター、君が僕の『線引き』を越えるなら…」

 

絆3……悠「…戦闘かい、マスター?」

 

絆4……悠「マスター、あんまり気を許したら駄目だよ。」

 

絆5……悠「僕が仮面ライダーなんて…そんな資格があるとは思えないけど、信じてくれるなら力の限り僕は戦うよ。」

 

好きなもの……悠「好きなもの…昔は水槽で魚の世話をしてたよ。」

 

嫌いなもの……悠「嫌いなもの…自分のエゴで命を弄ぶ奴は絶対に許せない。」

 

聖杯にかける願い……悠「聖杯か…そんなものはアテにしない。大きな力にはきっと、大きな代償が伴うから。」

 

マシュについて……悠「僕と彼女が似ている…わけないか。あの娘は人の未来のために産み出されたんだから、僕とはちっとも似てない。」

 

鷹山仁=仮面ライダーアマゾン・アルファについて……悠「仁さん…ある意味、僕の師匠と言える人。結局、相容れなかったけど…こうして戦えるのは嬉しいよ。」

 

千翼=仮面ライダーアマゾン・ネオについて……悠「マスター…彼は危険だ。いざとなったら、容赦はするな。この世界の人間のためにも。」

 

アマゾンライダー(昭和)について……悠「アマゾン?…ん?アマゾンじゃない………でも、何でだろう…奇妙な縁を感じる。」

 

エルドラドのバーサーカーとアマゾネスについて……悠「いや、多分関係ないよ?マスター?そんな目で見ても僕から羽なんて出ないから!」

 

 

 





作者の悠のイメージを投影したプロフィールなんで違和感とかあるかもしれません。



これでアマゾンズのファンが増えてくれたら嬉しい。アマゾンプライム会員になれればseasonⅠもⅡも見れるぞ!Ⅰに関してはレンタルもしてるから是非、見てほしい…

そういえば、エグゼイド終わったら日アサの時間変更するってマジですかい。

★☆ ★☆


さあ、今日からFGO水着イベントだよ諸君! このために、涙を呑んで我慢したアガルタガチャで妹がキャスターもアサシンを当てた件について。水着は課金するって言ってたからエミヤ(その先は地獄だぞ)と黒桜(予想される末路)の画像をLINEしてやったZE。皆さん、課金はほどほどに……そして、いくらガチャしても仮面ライダーのサーヴァントは出ませんぞ!(事実)

尚、Gのカルデアは夏の新檀黎斗祭りによって水着復刻イベントは行われないそうです。


G「ンァーーーーーーーーッ!?!?(絶望)」



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仮面ライダーゲンム編
仮面ライダーゲンム 夏の檀黎斗祭り(大嘘)


カルデア マイルーム

 

 

 

「仮面ライダーアマゾンズseason2完結おめでとうございます悠さん。」

 

「ああ、ありがとうマシュ。それに、マスターも…」

 

「お疲れ様、悠。」

 

カルデアではない本来の悠…仮面ライダーアマゾン・オメガの物語が一区切りがつき、それを祝うGとマシュ。結末はとても明るいとは言えず血生臭いものだったが、またこの先も物語は続いていくのでまた時が来たら見届けよう。取り敢えず、今だけでも落ち着いて少しでも彼が幸せを感じられたなら支える側としても嬉しい。

 

「仁さんと千翼もいれば良かったんだけど…やっぱり、サーヴァントになるのは抵抗あるのかな。」

 

因みに、もうふたりのアマゾンズライダーは元よりカルデアに召喚されていない…

 

 

シグマ?知らない子ですねぇ…

 

 

 

「やはり、元の世界の仲間…というのは恋しいですか?」

 

「そうだね。特に仁さんはここに来てもらいたかった。あの人はずっと、ボロボロで苦しんでばかりだったから。(千翼はアヴェンジャー適性とか得てなきゃ良いんだけど…)」

 

仁さん…仮面ライダーアマゾン・アルファは悠の生き方において重要な役割を担った存在であり、アマゾンズという物語で最も傷ついた人間であろう。恐らく、彼はボロ雑巾のような身体を引きずりながら今も元の世界をさ迷っているはず…そう思うといたたまれないと悠はずっと考えていた。せめて、このカルデアでサーヴァントになれば一時の夢でも痛みを和らげることぐらいはと…思わずにはいられない。

 

「大丈夫、信じていればいつか会えるかもしれないし?」

 

「…うん、そうだね。」

 

でも、カルデアの旅もまだまだ続くのだ。亜種特異点の発生やそれに連なるものは止む様子は無いし、希望的観測だが会える可能性だってあるのだ。Gの言葉に励まされ、頷き…『さあ、ケーキを切りましょう』とマシュが用意したホールケーキにナイフを入れる。

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と楽しそうじゃないかGィ…?ゲームマスターの私を差し置いてッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「…」」

 

突然、現れた社長(変身済み・レベルX)が全てを台無しにした。

Gとマシュは白眼を剥き、悠は戸惑ってしまう…ちょっと待って何なのこの人?

 

「そこの奴の絆クエストは前回終わっただろう!この私の絆クエスト放置ばかりか、育成まで放置するとはどういうつもりだァァ!!?」

 

「あ、あの…」

 

「悠さん、ご紹介します…この間、召喚されました仮面ライダーゲンムこと檀黎…『〈新〉檀黎斗だッ!』…新・檀黎斗さんです…はい。貴利矢さんと同じ世界のライダーだそうですよ。」

 

仮面ライダーゲンム……新・檀黎斗こと自称・神。貴利矢曰く、自分たちの世界のダークライダー。自称じゃないプロフィールとしては幻夢コーポレーションというゲーム会社の社長であり、貴利矢の使うゲーマドライバーやガシャットなどを開発した張本人にである。性格は自分最高主義、俗にいう自分の才能に酔っている奴でその才能を十二分に活かしているのだから質の悪い。(酔い過ぎるがあまり足許をすくわれたりしているのだが…)

 

カルデアに呼んでもないのに来た。しかも、『神を召喚するには相応の供物が必要』とのことでGが数ヶ月フリクエとか配布やらでちょくちょく貯めていた貯金を勝手に全てを食い潰して。これには☆5サーヴァントの方々もびっくりであまりのショックに発作を起こしたGは集中治療室でナイチンゲールの治療を受ける羽目になった。この件について全く、ゲンムは謝りも反省していない……

 

「…で、何か用?」

 

まぁまぁ、今更過ぎたことは気にしない。用があるからわざわざ来たんだろう……実際、経営者兼技術者の彼が現在の人手不足のカルデアに貢献しているのは事実。あまり邪険にして拗ねられても面倒だ。

 

「フフ、G…この夏には仮面ライダーエグゼイドの劇場版が控えている。それに、際してこのカルデアにおいて壮大なイベントを催すことにした……まさに、『神』による『神』のための『神』イベント………その名もッ!!」

 

「……その名も?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夏の新・檀黎斗祭りだァァァァァアアア!!!!!神の威光に恐れおののくが良い!!!!!ワーハハハハハハハハハ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスター、このうるさい自称・神を殴る許可を。」

 

「まぁまぁ落ち着いて、マシュ。」

 

基本、盾の少女はかつて特異点で敵として立ちはだかったサーヴァントであっても仲間なら本気でキレることはまず無い。この辺りでゲンムのウザさをご理解頂けるだろうか?

取り敢えず、Gは殺気を放つマシュを宥めながら『夏の新・檀黎斗祭り』なるものについて訊くことにした。

 

「よくぞ訊いたな、マスター!この祭りの概要は至って簡単ッ!!私の用意したステージに赴き、クエストをクリアし、上質な『死』のデータを集めることで豪華な景品を手に入れることが出来る!!!さらに、何と私の育成も出来るという素晴らしいモノ!!まさに、神イベ!!!!!」

 

「キャラクエだけどな。」

 

要はちゃんと準備もしてるから育成しろということだな。別に、種火なり素材なりの不足で駄々をこねるサーヴァントはいるにはいるがここまでやる奴は早々いない。だが、今は悠の……

 

「大丈夫、マスター。僕は留守番してるから、気にしないで。」

 

なんてできた子なんだ。この爽やかな笑顔がマッドサイエンティストママに育てられたとは思えない。思わず『本当に申し訳ありません』と謝るマシュ。なんだろうね、研究者属性つくと倫理観とかとち狂うとかあるのかね仮面ライダーは…

 

「ものわかりが良いのは良いことだ。さあ、夏の新・檀黎斗祭り…開幕だァァァァァアアア!!!!!」

 

 

 

……バグヴァイザーⅡ、無かったかな。

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

 

レイシフト……行き着いた先は雪原地帯。これといって、市街地には何か特別な様子は無さそうだ。

 

【先輩、そちらはどうですか?】

 

「こっちは平気。そっちは?」

 

【はい。ダ・ヴィンチちゃんが用意を進めてくれています。】

 

こっそりと作業を裏方に依頼し、挑む新・檀黎斗祭り。一体なにがはじまるかと謎のゾンビダンスをするゲンムを見ていると……

 

 

「最初の出し物はこれだ…ッ!『デンジャラスクリスマス!!仮面ライダーレーザーは何度も死ぬッ!!』。」

 

 

そして、やってきたのは『解せぬ。』と首を傾げた仮面ライダーレーザーターボ。おまけに、アルトリアサンタオルタまで……

いや、サンタオルタは良いとして良心の塊のようなレーザーターボまで何故…

 

「貴利矢ん…」

 

「いやっ、この役回り嫌ですよ自分。こんなの当て付けでしかないですし……でも、そこの怖いサンタさんに脅されて…」

 

…で、サンタオルタの言い分は何なのだろう。

 

「ふむ、マスター……この場に私がいることは意外だと思っているだろう。無論、ちゃんとした理由がある。私はこの男と決着をつけねばならん理由が……」

 

随分と神妙な顔をしているが、ゲンムは仮面の下で笑っているのが窺える。まさか、この恐ろしいブラックサンタに何かしたのか…?一応、ブリテンの王の彼女に…

 

「…社長?(恐る恐る)」

 

「いいや、私は彼女に何もしていない。ただ、あえて言うなら彼女と私は相容れなかったということだ。まあ、逆怨みもいいとこだがな。」

 

「そう…コイツがいる限り、私の存在は脅かされるのだ!!」

 

 

 

 

【…回想入ります。】

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

サンタオルタの回想……カルデアの子供組サーヴァント部屋。

 

 

「むっ、夜更かしをしている悪い子の気配がしたので来てみれば……」

 

 

と、訪れたサンタオルタ前にはいつもの仲良し子供トリオ…ナーサリーにジャックとサンタオルタ後輩であるジャンヌサンタオルタリリィ。1人だけマジなげぇ…

面子としてはさほど珍しくはない、仲良くテレビゲームをやっているだけだ。ただ、眼があるべきところにはバイザーを箱形にしたような珍妙なる機械をつけているのがとてもサンタオルタには不気味に見えた。

 

「な、何なのだ……そのつけているものは……最新の洗脳するマシンか何かか?」

 

「あ!その声は先代ですね!!これは『VR』と呼ばれるモノでこれをかけるとゲームに入ったように見えるんですよ!新・檀黎斗さんに貰ったんです。」

 

「…ほう。」

 

シゲシゲとVRを眺める。自分も普通の時につけるアイマスクのほうがイカしてるような気がしなくもないが、別にそこは良いだろう。ふむ………本来なら、子供は寝る時間と注意するべきなのだが…

 

(……気になる。)

 

我ながら大人気ない。自分もこのVR…試してみたくて仕方ない。でも、自分はサンタだ…提供する側で遊ぶ側ではない。そんな葛藤をしながらぷるぷるとしていると、察したのかクイッとジャックが額にVRをあげると指さした。

 

「サンタさんもこれで遊んでみる?」

 

「…む?」

 

な、なんてお利口さんなんだ。意外と気遣いができるジャックちゃんにはあとで飴ちゃんをあげようと思いつつ、VRを被るサンタオルタ。しかし、彼女は気がついていなかった……この少女たちが遊んでいたゲームは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【デンジャラスゾンビィッッ!!!!!】

 

 

 

「!? ギャアァァァァァァアアアァァァァァアアア!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ホラーゲーム、デンジャラスゾンビ。いきなり視界がグロテスクな屍軍団に包まれたサンタオルタはコントローラではなく愛剣を握りモルガンをぶっ放してしまう。勿論、子供部屋は爆発しVRは全て炭になった……

 

そして、サンタオルタの株は子供たちから大暴落して、また新しいゲームを与えた新・檀黎斗の株が上がることになる。

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

「おk?」

 

「OK(ズドン」

 

Gの半ギレのガンドがレーザーターボに当たった。スタンした彼がビクンビクンしてるが、スルーされる。

 

「このままではサンタとしての沽券に関わる!ここは元凶である貴様を排除して、サンタの座を守り抜く!!」

 

【先輩!本当にどうしようもないほどの逆怨みです!?】

 

呆れてるんだが、驚いてるんだがよくわからないマシュのナビゲーションを耳にGは頭を抱える。もう本当に自分は巻き込まないでほしい。頼むから他所でやってくれ。

 

「ふははははは!!!!なら、最初の死のデータは貴様らから採取してやる!いくぞ、マスター!ついでにカルデアのサンタの座も頂きだ!!」

 

 

……ああ、もう既に帰りたい。

 

【取り敢えず、死なないで下さい先輩!】

 

 

To be continued.

 

 



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仮面ライダーゲンム 夏の檀黎斗祭り(大嘘)~女神の目に涙編。~

駄目だ、社長を描くのが楽しすぎるww



……並行世界のカルデアのマスターの皆様、お元気ですか?マスターのGです。

 

恐らく、大半の方が復刻の水着イベントを楽しんでいることでしょう。俺もね、楽しみたかったよ復刻ッ!!気がついたら、夏のゲームサイコゾンビ祭りになってたんだよこん畜生ッ!?

 

 

「サンタからの贈り物だ…聖夜に沈め……!」

 

 

んで、何だってクリスマス属性のサーヴァントに真夏に殺される寸前なんですか社長!?

 

「落ち着け、マスター!ここは仮面ライダーの伝統的な防御方法で凌ぎきるぞ!!」

 

「…と、言いつつお前なんで自分のこと掴んでやがるんだ……?」

 

パニックになりかけのGに対し、ゲンムが起こしたアクションは未だスタン中のレーザーターボをひっ掴むこと。何をするつもりなのか……

 

「…モルガァァンッ!!!!!」

 

そして、サンタオルタが魔剣を振り抜くと同時に…

 

 

 

 

 

 

「ガードベントッ!!」

 

 

 

 

 

 

「後で覚えてろテメェェェェェェェェ!?!?」

 

文字通り、盾にした。まさに外道。

真っ暗な魔力の奔流にレーザーターボは呑まれて消えた。多分、霊基情報は残っているからカルデアに戻れば大丈夫だろうが…

無論、全体宝具をそれだけで耐えきれるわけもなくふっとばされたゲンムだが…倒れて僅かな時間でゾンビダンスをしながら立ち上がる。

 

「ンンンッ……流石に今のは効いたぞォ?サンタとはいえ、流石は騎士王といったところか!」

 

ゲンムのデンジャラスゾンビゲーマーの力…『死』。不死ではない、既に死んでいるので殺しようが無いと言ったほうが正しい。現にゲンムのHPゲージは胸のソレもFGO的メタなゲージも0なのだが、サンタオルタは基本的にゲームはやらないため理解は出来ない。

 

「貴様、いくら身代わりを使っていたとはいえこうも平然と立ち上がるとは…まさに、ゾンビだな。だが、それも腰巻きについているアイテムのお陰だろう?ならば、今度はそれごと破壊するまで!」

 

されど、彼女もカルデアに所属するサーヴァント…身内のことは全く無関心というわけでもない。ある程度の情報は本人なりに収集しており、仮面ライダーのサーヴァントの弱点は大半が変身ツールということは知っている。ましてや、相手はゾンビだろうと仮面ライダーで中身は一般人の人間。ならば、騎乗兵クラスだろうと仮にも騎士王…遅れなどとるはずが無い…

 

……勿論、普通に戦うならの話だが

 

 

 

「待て。それ以上、恥を上塗りする気かァ…?」

 

「何?」

 

 

ピタリと動きを止める。そう、彼女は気がつくべきだった……相手は祭りの主催者(ゲンム)であり、自分はただの駒(ゲームキャラ)に過ぎないのだと。ゲームの開発者がわざわざ自分の作品でゲームオーバーするなんて阿保らしい結末などこの男がするわけも無く、 この催し物は彼が参加する時点で出来レースならぬ出来ゲームなのだ。

 

「後ろを見るが良い!!」

 

「…ッ!?」

 

ゲンムが指差した先…そこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…本当に、見損ないました先代。」

 

 

「なっ!?何故、お前がここに!?!?」

 

 

彼女の後継者であるジャンヌ(スパム略)リリィ。いつの間にいたのであろう…いや、サンタオルタにとって問題はそこではない。致命的なのは一部始終を見られてしまったであろうことだ。

 

「私たちのVRを炭にしたには飽きたらず、今度は八つ当たりなんて全くロジカルではありませんね!」

 

「ち、違うんだ!私はただ……」

 

「言い訳は聴きたくありませんよ!新・檀黎斗さんのように子供に優しい人を傷つけるような貴女に最早、サンタの資格はありません。子供の希望を壊すような貴女からはサンタの資格を剥奪しますッ!」

 

「……や、…やめっ!?ぐわああああああああああああああ!!!?私からサンタが抜けていくぅぅ!!!!!!」

 

(サンタが抜けていくって何だろう…)

 

ギルティ判定を受けるや身体から凄い勢いで魔力的なナニカが抜けていくサンタオルタ。するとゲンムはすぐさま、ガシャコンバクヴァイザーを外して彼女に突き立てると溢れ出るエネルギーを吸収していく。

 

「第1クエストクリアッ!!最初の死のデータは『ブラックサンタの死』!これは最初から高得点だぞ、ハハハハハハハハ!!!!!!!!!!」

 

大喜びのゲンムに白眼を剥いてただのセイバーオルタになってしまった元サンタ。前者と共に喜ぶべきか後者を哀れむべきかGには分からない…ただ、ジャンヌオルタリリィは何処から現れたのだろう……さっきまで確かに気配は無かったはず。

その種明かしもちゃんと、社長がしてくれる。

 

「よし、実にご苦労だったぞ。変装を解け、アレキサンダー。」

 

「はいはーい!」

 

「【へ?】」

 

指示を受けるや、サンタ少女の姿はボヤけて消え…代わりに赤毛の美少年が現れた。Gとマシュは唖然とする……まさか、こんな奇妙な祭りに協力するとは思えない人物だった。制服王イスカンダルのまだ幼き姿でありながらも王者としての風格を持つサーヴァント『アレキサンダー』…加えて後ろにはタキシードを着こなす孔明ことロード・エルメロイⅡ世の姿(大人)もある。この組み合わせはカルデアではよく見掛けるがやはり、ゲンムに協力するとは考え辛い。

 

「マスター、びっくりした?変装は先生がやってくれたんだけど声真似は僕がやったんだ。自分でもこんなにクオリティ高いなんてびっくりだよ本当。」

 

「……(坂本●綾が成長すると、大塚●夫になる…)」

 

【先輩、今なんか変なこと言いませんでした?】

 

Gが謎の電波を拾っているが気にしてはいけない。

一方、孔明は真剣な顔でゲンムに向き合うと手を出した…

 

「では、約束の物を受け取ろう。」

 

「ああ、わかっている。」

 

ゲンムが渡したのはガシャットギアデュアルβ。タドルファンタジーとバンバンシュミレーションの2つのゲームが内包しているアイテムだが、これはあくまで玩具である。それと、2つのVRを渡すや孔明は静かに口角を上げる。

 

「確かに受け取った。では、我々はこれで…。」

 

「やったぁ!先生、今夜は先にどっちからやる!?やっぱりタドルファンタジー?でも、バンバンシュミレーションも捨てがたいなぁ…」

 

ああ、そういうことなのか。あのコンビはカルデアきってのゲーマーである…正確には孔明が憑いた人のせいであるが、これを利用して新しいゲームで買収したのだ。流石、ゲーム会社の社長らしい策略だと呆れながらも感心してしまうGとマシュ。

 

「異世界とはいえ、私のゲームのファンが増えるのは嬉しいことだな。」

 

ゲンムもゲンムで満更ではない。フフンッと彼等を見送りながら満足げに鼻を鳴らし…これに機嫌をよくした彼は高らかに告げる!

 

 

「さあ、新・檀黎斗祭り…次のステージへ向かうぞォォ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

レイシフト……目標地点 バビロニア

 

 

 

現在地 地底・冥界

 

 

 

 

「待っていたのだわ、G!」

 

「「…」」

 

待っていたのは自称ではなく本物の神様、金髪のツインテに何故かビキニ水着の我等が冥界女神『エレシュキガル』である。 到着するや、何故かノリノリで出迎えてくれた彼女なのだが……

 

「社長、純情なエレちゃんに何を吹き込んだです?」

 

「濡れ衣だ。普通に『デンジャラスツアー!バビロニア冥界巡り!!』をやるとしかメールしていない。」

 

うん、さっぱりわからん。

取り敢えず、女神様から話を聴いてみよう。

 

「わかっているわよ!今、カルデアは復刻水着イベント中でピックアップで私がとうとう実装されるんでしょう!!ウフフ、だからちょっと奮発してちょっと刺激的な水着を買ってみたの………どう、似合う?」

 

「凄く…(エロ)可愛いです。」

 

日曜朝8時にはだいぶ目の毒なくらいセクシー…流石、女神様。とはいえ、どういうわけかとんでもない勘違いをしているらしい。どうしたものか………と考えるまでもなく、恥じらい赤らめる顔から弾ける笑顔を輝かせてGに手を拡げるエレシュキガル。

 

「それじゃあ、G!はやく私を南国のトロピカルなアイランドに連れていって頂戴!!フレッシュでいちご味な夏休みが私たちを待っているんだわ!」

 

「…」

 

本当にそうだったらどれだけ良いんだろう。確かに、そうだったら並行世界のマスターたちも大喜び間違いなしだし、まあ夏休みくらいだったら彼女に与えてあげても良いような気がする。本当に希望に満ちる純情な笑顔がとてつもなく罪悪感を感じるのだが、残念ながら慈悲など無い社長は残酷な真実を突きつける。

 

「おい、駄女神…貴様、ちゃんとメールは見たか?」

 

「誰が駄女神かっ!?ええ、ちゃんと来てたわよ…イベントやるってカルデアから………」

 

「…ちゃんと中身は読んだか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………中身?」

 

 

 

 

 

あ…(察し)。そそくさとこの時代に無いはずのスマホを取り出してメールボックスを確認するエレシュキガルから目を背けたG。これより真実を知った冥界女神の表情をご覧ください。

 

 

 

「!(真実知った衝撃の顔)」

 

「…(絶望して死んだ魚の眼になる顔)」

 

 

「……(今の自分が急に恥ずかしくなる真っ赤な顔)」

 

 

「………(ぷるぷるぷるぷる)」

 

 

エレちゃん?恐る恐る話しかけるG…そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 騙 し た な ッ !!!!!」

 

 

 

 

「「言い掛かりだっ!!?」」

駄女神様は逆ギレし、Gとゲンムのリアクションがハモる。完全に向こうに非があるのに怒りを露に涙目で訴えてくる!

 

………可愛ry(そんなことを言っている場合ではない。

 

 

「こうなったら、ただでは帰さないわ!!冥界の女神を怒らせたことを後悔なさい!」

 

【マスター、女神エレシュキガル…サーヴァント召喚!!こちらとの戦闘体勢に入ります!】

 

「面白い!神対神と洒落こもうじゃないか…!いくぞ、G!!」

 

 

………本当にとんだ祭りであると心の中でぼやくGであった。

 

 

 

 

 

To be continued…

 

 

 

 

 




次回でゲンム編完結予定です。

★次回予告

ソウサー、エクステイト、エクステイト…

エミヤ「次回、仮面ライダーエグゼイド(大嘘)ッ!!!」




黎斗「嫌だ、嫌だァ!!死にたくない!死にたくないッ!!」

社長、最大の危機ッ!?


G「おこなの?」

レーザーターボ「マジおこ。」

ついに始まるレーザーの逆襲ッ!!!


ジャンヌオルタ「あんたを倒すために地獄からピッタリのサーヴァントを読んだわ。」

???「…」

???「…」

祭りの最後に現れるのは………


次回『仮面ライダーゲンム 夏の新・檀黎斗祭り(大嘘) ~地獄から来たDEAD MANS~』


ゲンムLv.0「いくぞ、マスター。コンテニューしてでも、クリアしてみせる!!」




★☆ ★☆


清姫「なんですか、この次回予告?」イライラ

社長とエレシュキガルちゃん描くのが本当に楽しい。実際、エレシュキガル実装されないかなぁ…最終決戦に出番あったのに味方で実装されてないの彼女だけのような………

エレシュキガルは可愛い(事実)。


次回、社長の前に地獄からの使者が迫る!




???「地獄から来た男、スパイダー●ッ!!!」


エレシュキガル「その人は仮面ライダーでもなんでもないのだわッ!?」



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仮面ライダーゲンム 夏の檀黎斗祭り(大嘘)~地獄から来たDEAD MANS~ 前編

エレシュキガルちゃん可愛ry(そんなことを言ってる場合ではない。




………ガッ!!ガンンッッ!!!

 

 

「…ぐっ!?」

 

 

先のサンタオルタ戦に続き、新たなサーヴァントに苦戦を強いられるゲンム。エレシュキガル、彼女が召喚したのは………

 

「………貴様はあと4手で仕留める。(死体に労基なんて無ぇってハッキリわかんだね!畜生ッ!!)」

 

仮面ライダーアマゾン・シグマ。ゲンムとは違い、正真正銘の動く死体のゾンビライダーであ………え?前回のオメガにも出た?シグマタイプに人権は無いって並行世界のドクター真木も言ってたもん!つまり、慈悲は無い。

一方のエレシュキガルちゃんはというと………

 

「やっぱり、ここでこの格好は流石に寒いのだわ!へっ………へぷちっ!!」

 

冥界で水着なんて格好をするあまり寒がる冥界の女神。戦闘どころか、隅っこでちーっと鼻をティッシュでかんでいる。

 

 

………可愛ry(そんなことを言っている場合ではない。

 

 

「ええい、腐敗臭が移る!」

 

【ガシャコンスパロー!!】

 

徐々に圧されているゲンムは機械弓ガシャコンスパローでエネルギー矢を放ちまくるが、全弾命中するもお構い無しに前進して首根っこをひっ掴んで投げ飛ばすシグマ。流石、本物の歩く死体(ゾンビ)なだけに戦い方も普通のライダーとは違う。しかし、やられてばかりの社長ではない。

 

「私に触れるな!」

 

【デンジャラスゾンビィ!!クリティカルデッド!!!】

 

「ッ!」

 

バクヴァイザーのボタンを押して発動する切札。同時にゲンムの幻影が無数に邪悪な霧と共に現れ、ゾンビ映画さながらにシグマを取り囲みまとわりつき…アマゾンズドライバーに腐食が起こる。今こそ好機ッ!立ち上がるゲンムはガシャコンスパローにデンジャラスゾンビガシャットをスロットし、分離させるとそれぞれ鎌形態にして身構えた!

 

【デンジャラスギリギリッ・フィニッシュ!!】

 

「…ハアアッ!」

 

 

ー斬ッ!!!

 

 

まさに、空を舞う死神の鎌だろう。ゾンビ軍団ごとX字に斬り裂き、シグマはドス黒い体液を吹き出しながら倒れ伏した。

ゾンビ対ゾンビ…文字通りの死闘を制したゲンム。勝利者は高らかに笑う。

 

「ハーハハハハハハハ!!!たかが死体ごときがッ!この神にッ!!勝てるとでも思ったかァ!!?」

 

「…(面倒くさい。)」

 

「って、あーッ!?ちょっと目を離した隙になに負けてるのー!?てか、まだ戦えるでしょアンタ!!お願いだから戦いなさいよ!きっと、このままだとあの山の翁がやってきて『働け。』ってオチになるに決まっているのだわ!?嫌よ、私は絶対に水着南国夏休みを諦めないんだから~~!」

 

そして、シグマは哀れな駄女神を見捨てた。Gとしても、どうにか救いの手を差しのべてあげたいのは山々だがこればかりはどうしようも無い。加えて………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「働け。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃぃぃいィィ!?!?やっぱり、でたーーーーッ!!!!?」

 

 

ご期待にお応えしてと現れたキングハサンこと山の翁。グランドクラスに適正があるだけに存在感も実力もそこらのサーヴァントを凌駕する死神の鎧武者。エレシュキガルは以前、彼にチョンパされたことがあるので以来、苦手よりかは天敵に近い。その姿を見るや、目にも止まらぬ速さでGの後ろに隠れて小動物のようにぷるぷると小刻みに震えている………

 

 

…………可愛ry(後輩が通信越しに睨んでいる

 

 

「久しいな、カルデアのマスター。」

 

「お久しぶりです。あんまりエレシュキガルちゃんをいじめないであげて下さい。」

 

「ほう?これが噂にきく山の翁…グランドに値する霊基を持つアサシンか。」

 

挨拶を済ませるG。あと、社長…あんまり失礼だと冥界女神もファラオも逃れられなかった首チョンパされちゃいますよ。

と、まあそんな危惧は杞憂でゲンムを無視してGと会話をする。

 

「失敬な。我はあくまで警告しにきたに過ぎぬ…カルデアのマスターよ、早くここを立ち去るのだ。災厄と怨念の化身がここに近づいてきておる。」

 

なにそれ?社長も『私もそんなもの用意した記憶が無い。』と首を傾げている。ほぼこれとタイミングは同じだった……

 

 

「どいてどいてどいてぇぇ!!!」

 

「ん?…ぐはっ!?」

 

「轢き逃げ案件!?」

 

唐突に現れた金色の光にエレシュキガルが跳ねられた。何事かと思えば光の正体はエレシュキガルと同じ、バビロニアにてGと戦った女神『イシュタル』ではないか。エレシュキガルと同じ依り代かつ鏡面存在である故、しなやかな黒髪以外は瓜二つの彼女だが、妙に慌てているようだ。

 

「な、何なのよ一体………また勝手に冥界に…!」

 

「そんなことより、さっさと逃げるわよ…!てか、何その格好…?ん…?」

 

ふと、目線を逸らしたイシュタルはシグマに気がつく。すると、ジト目をしながらエレシュキガルに問う。

 

「あんたさ、まさか勝手にあの王様(ギルガメッシュ)の召喚魔法陣使った?」

 

「え?」

 

「…使ったの?」

 

「ええ、ちょっと借りてサーヴァント召喚を………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の仕業かァ!!!!」

 

 

 

 

「へ!?」

 

どうやら、この駄女神はGたちの預り知らぬところでとんでもないことをやらかしたらしい。鬼の形相で彼女の肩を掴んで振るイシュタルから見るにかなり大事のようである。神様の不祥事とか考えたくもないのだが……

 

「我はこの件に関わる気はない…さらばだ。」

 

真っ先にエレシュキガルを見捨てたのは山の翁。本当にただ警告して帰っていったよあのアサシン…

 

「ええい、このお馬鹿!アホ!!駄女神!!!なんてことしてくれたのよ!?お陰でとんでもないのが来ちゃったじゃない!」

 

「痛い!痛い!痛いのだわっ!?」

 

(目くそ鼻くそを罵る………)

 

「G、私も言えたことじゃないが、女性に失礼すぎじゃないか?」

 

イシュタルの罵りがもろにブーメランな気がするG。貴女、バビロニア魔獣戦線攻略で自分がどんな様か忘れたんですかね…?というか、仮にも女神がとんでもないとかサラッと言ってる時点でもうビーストとか来ても不思議じゃない。

 

 

「はッ!?うわァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?来たァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?!?」

 

 

数秒後、現れた時のように猛スピードで去っていったイシュタル。よって、解放されたエレシュキガルは地面に投げだされ…けほっと咳をする。

 

「…もう、一体なんだっていうのよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あら~?ここにはパツ金の姉さんもいるんですね…?』

 

 

 

 

 

 

 

直後、エレシュキガルは『ヒョォォォォォ』と声にならない奇怪な悲鳴をあげた。正確には依り代側の少女の側面が…だが……

 

『確かこっちはエレシュキガルさんでしたっけ?本当、おかしい……なんで姉さんばっかり女神をふたりもかけもちしてるんです?』

 

黒い…黒い……何処までも黒い少女。赤い瞳に銀の髪は美しく妖しく禍々しく……『彼女』はエレシュキガルを姉と呼び不気味にせせら笑う。噴き出す邪悪な魔力は恐らく、ビーストに連なるこの世全ての悪〈アンリ・マユ〉からくるもの。それでも、まだ人間の姿で呼ぼうというなら『間桐桜』と名がある。

 

『私はね…ずっと、我慢してたんですよ?桜セイバーとか実装されても、アルトリアシリーズが無駄にぽこしゃか増えてもッ!水着イベントにお呼びがかからなくてもッ!!ジャガーマンとか出ても!!ずっと、ずっと、待ち続けたんですよ?なのに……挙げ句の果てにBBちゃんってなんですッ!?stay nightのヒロインをッ!第3の真ヒロインをッ!!!なんだと思ってるんですか!?私への義理を通すなら、私→BB→桜セイバーでしょう!?順序が逆じゃありません?』

 

「わ、私に言われても困るのだわ!?」

 

(シン・ヒロイン……?)

 

(やめろ。)

 

あまりの恐怖的な迫力にあのゲンムすら小声である。桜…否、黒桜は口から怨念と呪いを垂れ流し…エレシュキガルにジリジリと迫る。このままでは、間違いなくただのデッドエンドより凄惨な末路が待っているのは間違いない。

 

「し、シグマ!!私を助けなさい!!」

 

「…(動かない。ただの死体のようだ。)」

 

早速、シグマに助けを求めたがとっくに彼は彼女をみかぎってやり過ごすつもりだった。死体にすら裏切られる冥界の女神…

 

「そんなっ!?じ、G…お願い助け……」

 

ならば最後の頼みの綱であるカルデアのマスターは……

 

「ここは逃げるぞ、マスター!」

 

ゲンムの宝具、コンテニュー土管で離脱しようとしている真っ最中だった。

 

「え…………嘘でしょ、G?お願い、私を置いてかないで……」

 

震えていた。まさか、世界を救ったマスターがこんな女の子を見捨てるわけがない。切なる女神の願いに対し、Gは答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アィルビーバック。(サムズアップ)」

 

 

 

 

 

ゲンムと共にコンテニュー土管に飛び込んで…

 

 

 

「うわああああああああああ!!!!!!!!!この人でなしぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!あとで絶対に呪ってやるぅ!!!!!!!!!!!」

 

 

『あらあら、可愛いそうな姉さん?じゃあ、私がたっぷり可愛がって(八つ当たり)してあげますね。』

 

 

このあと、不気味な笑い声と駄女神の悲鳴が冥界中に響き渡った。

 

 

「はいはい~~、最後に桜ちゃんからカルデアのマスターさんたちにお知らせ。Fate/stay night heaven's feel第1章は2017年10月14日公開ですよ~。見に来ないと……ウフフ……」

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

テッテテ、テテ、テ~~♪

 

「ふぅッ!」

 

「いでっ!?」

 

 

コンテニュー土管により何か特撮によくある採石場っぽい何処かにワープしたGとゲンム。勢いよく吐き出された彼等…Gは尻餅をつき、ゲンムはカッコよくヒーロー着地した。同時にマシュから通信が入る。

 

【……やっと繋がった!先輩、申し訳ありません…急に通信が途切れて……】

 

(エレシュキガルちゃんの尊い犠牲は忘れない。)

 

【……先輩?】

 

そう、エレシュキガルちゃんは犠牲になったのだ。

彼女の失われた純情な笑顔の記憶を噛み締めるG。そして、ゲンムはバクヴァイザーを確認する。

 

「まあ、多少のイレギュラーがあったが無事に冥界の死のデータは蓄積された。ステージ2はこれでクリアだが……」

 

言葉の歯切れが悪い。彼がクイッと切り立った崖に目線を上げると同時にそこへ人影が現れた。黒い甲冑に龍の戦旗と邪剣を握り、こちらを見下す彼女は…

 

「待っていたわよ、マスター!!」

 

「オルタちゃん!」

 

「ジャンヌオルタよっ!?オルタちゃん言うな!」

 

アヴェンジャー…ジャンヌオルタ。Gのサーヴァントであるが、わざわざ何の用だろう?ゲンムの様子を見る限り、催し物のスタッフというわけではなさそうだし普通に現れない時点で何か企んでいるかもしれない。

 

「まあ、それは良いとして…。マスター、随分と楽しそうじゃない…私を差し置いて?」

 

「私の台詞をパクるなァ!!!」

 

「うるさい!……っっ、調子狂うわね。気を取り直して、私がここに来たのはアンタとルーラーどもが持ってる私の黒歴史を全部処分させるためよ。」

 

黒歴史?はてさて何の事かわかりませんなァ…と某・アラフィフの如くすっ惚けるG。すると、勘にさわったのか眉間にシワを寄せジャンヌオルタは怒鳴る!

 

「シラを切ろうたってそうはいかないわ!ジルが全部、吐いたの…アンタたちが小さくなった私をビデオに撮って録画してるってね!で、私が元に戻ってる間はそれを見てルーラーどもと楽しんでるって!!」

 

成る程、彼女はGとルーラーたちが持つであろうジャンヌ(スパム略)リリィのデータを抹消したいらしい。ジャンヌオルタからすれば、黒歴史そのものをまるごと納められている映像なんて存在が許せるわけもない。

されど、Gとてルーラーたちとテレビの前でジャンヌ(スパム略)リリィの姿を一緒に見ながらほっこりする日課を無くすわけにはいかないし、

 

「大体、事情はわかった。だが、エクストラクラスとはいえこの神イベントを止めることなど許されない!神の慈悲が限界を迎える前に立ち去るが良い!!」

 

……何より、この自称・神がイベントの妨害など許さない。本当、神性皆無のくせにカルデアの中で神を名乗るとはある種の図太い男である。そんな彼にジャンヌオルタはフンッと嗤う。

 

「あ~ら、自称・神様ァ?あの忌々しいブラックサンタをぶちのめしたことは褒めてあげるけど…怒っているのは貴方だけではなくってよ?」

 

「何……?」

 

 

 

「そうだぜ、社長…マスター……?」

 

お、お前は!?と、ありがちなリアクションをとるGが見たのはジャンヌオルタの隣に立つレーザーターボ。しかも、様子がおかしい。

 

「貴利矢ん、おこなの?」

 

「マジおこ。社長は言うまでもないが、マスターもマスターでしれっと俺のこと見捨てやがって……お陰でアヴェンジャーにクラスチェンジしちまったぜ。」

 

【霊基情報確認……本当だ!?貴利矢さん、本気で怒ってますっ!!ジャンヌオルタさんはともかく、マスター、新・檀黎斗さんは今からでも貴利矢さんに謝って下さい!!】

 

「マシュ、俺は土下座のスフィアは持ってないんだ。」

 

「何故だ?私は何も謝るようなことはしていない。」

 

【ふざけてないではやくっ!!】

 

流石にこの展開は焦るマシュ。現状、Gに同行しているのはゲンムのみだ…。いくら、ゲンムが死なないサーヴァントでもジャンヌオルタはエクストラクラスの強力なサーヴァントであり、レーザーターボも仮面ライダーの名に恥じぬ実力者で今は彼女と同じアヴェンジャーなのだ。それなのに、このマスターとサーヴァントときたら逆に煽りだす始末…

最早、逃れようがなかった……。

 

「へぇ?それが貴方たちの答ですか…?なら、こちらも取って置きのサーヴァントを用意した甲斐があるものです。恐れるが良い…あんたを倒すために地獄からピッタリのサーヴァントを呼んだわ………さあ、出てきなさい!」

 

「…?」

 

パチンッ!とジャンヌオルタが指を鳴らすとGとゲンムの前にニョキッと生える2本のコンテニュー土管。『地獄直通』と書かれた貼り紙があり、そこから這い出してきたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「祭りの場所はここかァ…?」

 

 

「さあ、地獄を楽しもうぜ…カルデアのマスターさんよ?」

 

 

最強、最狂、最凶の3テンポが揃う最悪の仮面ライダー……否、悪の仮面系譜〈ダークライダー〉たち。

 

 

 

Gはやっと、理解した……

 

 

 

 

オルタちゃんは本気で自分たちを殺しにかかっている。

 

 

 

 

 

後半につづく

 

 




★エレシュキガルちゃん
夏休みを期待して水着までAmaz●nで買ったのに無情の『働け』の一言に号泣する冥界の駄女神。

……でも可愛いから許ry(後輩が盾を構えて睨んでいる


★イシュタル
ツインテで実装されてるほうの女神。まさか、依り代の妹がこの世全ての悪なんて夢にも思わなかった。


★黒桜ちゃん
stay nightの真ヒロインである。罪でもなければシンでもない。目下の目標はトーサカシリーズの撲滅とBBちゃんと桜セイバーという自分を差し置いて実装された不届き者への天誅である。
映画もコミックも見てね!


★山の翁
働け。(無慈悲)


★地獄から来たお祭り男
ルールは破るためにあるもの、イライラしたら平気で人を殺すダークライダーの中でもきっての重犯罪者。地獄でもイライラしてたらオルタちゃんに誘われて乗った。

★地獄から来たゾンビ傭兵
最近、ゾンビライダーが増えてますが多分この人が元祖。地獄は楽しむモノ。
狂ってるのは勿論だが、実は歌が上手い。


☆地獄から来た蜘蛛人間
地獄から来た男、スパ●ダーマッ!!
特技:すり替えておいたのさっ!



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仮面ライダーゲンム 夏の檀黎斗祭り(大嘘)~地獄から来たDEAD MANS~ 後編


エグゼイドが…ッ!あとすこしで終わってしまう!!

取り敢えず、映画までに間に合ったぜ。


「落ち着け……落ち着くんだ、オルタちゃん。わかった、ここはひとつ冷静に話し合おうじゃないか?」

 

今回ばかりは本当にヤバい面々に再交渉をジャンヌオルタに持ちかけるG。よりにもよって、おふざけのギャグパートでマジの地獄で封印されていたであろう悪逆の化身を呼び出すなんて空気を読まないにも程がある。彼等は敵だろうと味方だろうと何かの拍子で平気に殺しにかかるような連中だ。

 

「……イライラするんだよ…」

 

まず、『仮面ライダー王蛇』。クラスは見たところバーサーカー……

コブラを思わせる紫の仮面ライダー…。変身者は浅倉威、殺人や暴力といった重犯罪をイライラしたという理由から物心つく時から繰り返した狂人である。

ライダーとしての能力も龍騎系に属であるためベントカードを使用した多岐にわたる戦術に彼自身の暴力の嵐のような戦闘スタイルからかなり危険なサーヴァントだ。

 

「久しぶりの外の空気だ……まあ、これから地獄と変わらなくなるが…?」

 

もう1人は『仮面ライダーエターナル』。こちらもバーサーカーだろうか?

白い3本角に∞を模した複眼の純白のボディに黒いマントと仮面ライダーダブル同様にシンプルなれど、胸部や随所にはガイアメモリをスロットするマキシマムスロットが装着されている。変身者は不死身の傭兵部隊NEVERのリーダーである『大道克己』。王蛇に比べれば落ち着いているが、翔太郎曰くかつて風都を恐怖と混乱に陥れるだけではなく街の守護者の仮面ライダーをも追い詰めた狂気と実力の持ち主。こちらも、ダークライダーの系譜に恥じぬ者なのだ。

 

 

そんな彼等をよくわからけど取り敢えず、強そうとかっていうノリでジャンヌオルタは地獄から解放してしまったのだろう。加え、怒りでアヴェンジャー化したレーザーターボも含めると4体1である。見るからに、不利だ……されど…

 

「クククッ…」

 

ゲンムは……新・檀黎斗は笑う……

 

「ハハハハハァ!!?何を呼んだかと思えば、その程度かジャンヌオルタ!!地獄の囚人を引き連れたところで無駄ッ!この神である私に勝てるものかァ!!!九条貴利矢もろとも、神の前に立ったことを後悔するが良いィィ!!!!」

 

神は咎人を裁くもの、神に届く罪人などいるはずが無いと彼は自らの勝利を疑わない。いや、これがまっとうな戦いとすら感じていないのだろう…

そのあまりの傲慢さに溜息をつくジャンヌオルタ。

 

「はあ…私が言うのもおかしいけど、いっぺん聖女さまか鉄拳女に説法でもしてもらったら?まあ、神様なんてカルデアに割りといるけど録なのいないし……」

 

カルデアではだけではなく、型月にまともな神様なんてまずいないだろう。因みに仮面ライダーにも神様なんてろくなやつがいた試しが無い。しかも、割りと理不尽な理由で人類を滅ぼしにかかってくるとかザラである。ん……?

 

<コウタサンヲワルクイウナー!!

 

<ミツザネェ!!

 

 

「…なんか今、変なの聞こえたんだけど?」

 

もしかしたら、神様の声かもしれない…Gもとうとう聖人になってしまったのか。仮面ライダーの聖人…………妖怪ボタンむしり753315DETE。

 

「いくぞ、G!こんな犯罪者ごとき、私の敵ではない!!」

 

【ガシャコンソード!】

 

 

「…ハッ」

 

【SWORD VENT】

 

 

ああ、もうやっぱりこうなった。

ゲンムは黒いガシャットを起動させてゲームのコントローラと剣が一体になったような武装ガシャコンソードを構え、王蛇も蛇の尾のようなベノサーベルを召喚し、両者は激しい剣の打ち合いをはじめる。

 

「いいねぇ……久しぶりだァ、俺をもっと楽しませろ!」

 

「…ぐっ!?」

 

乱れる刃の中、王蛇は笑い…頭突きを繰り出す。これを顔面に受けたゲンムはよろよろと後退りし、追い討ちにとレーザーターボが迫るッ!

 

「はああっ!」

 

「おおっと、そうはいかないぞ?」

 

しかし、寸前で彼の腕は掴まれ手が届くことはなかった。

レーザーターボが狙ったのは自分の変身ツールであるLv.0ガシャットによるゲンムの弱体化。されど、元々それを作ったのは開発者である黎斗だ…そこまで彼はアホじゃない。が、こちらもレーザーターボとしても承知の上……

 

「…喰らえッ!」

 

「ぬっ!?」

 

突然のレーザーターボを巻き込むほどの炎の津波!ジャンヌオルタの放つ業火だ…!!贋作なれど竜の魔女を焼き、その憎悪と憤怒の灼熱は死を司るゲンムとてかなりのダメージを与えるもので、骸と骨のような装甲を焼いていく。まずいっ…と感じたゲンムはガシャットソードに先と同様の黒いガシャットを装填した。

 

【タドルクリティカルフィニッシュ!!】

 

「ハッ!!」

 

そのまま、刃を振り抜き放つ絶対零度の旋風を起こして捩じ伏せるように炎を相殺してみせる。彼が使用したのはプロトタドルクエストガシャット……武器の召喚は勿論、通常のガシャットとは桁違いの力を出すことが出来る代物。

 

「倍返しだ。」

 

【タドルクリティカルフィニッシュ!!】

 

加え、タドル系ガシャットの性能として炎と氷の力を操れるのだ。今度は自分がやり返さんと黒炎を刃に燃やすゲンム…その前にエターナルが立ちはだかり、自らの獲物のナイフのエターナルエッジにガイアメモリをスロットし、迎えうつ!!

 

【エターナル!マキシマムドライブ!!】

 

 

「「はああっ!」」

 

放たれる2つのぶつかりあう斬撃の三日月。どちらも同じ威力で拮抗するかに思えたが、一瞬でゲンムの攻撃が掻き消え彼は直撃を受けて近くの岩に叩きつけられた。まあ、結局は強力な攻撃を受けても当たり前のようにゾンビダンスしながら立ち上がるのだが……胸には今の攻撃でついたであろう傷痕が不気味に熱と蒸気を帯びている。この様子にGは違和感を感じ警告をする!

 

「黎斗!!何かおかしい、気をつけろ!」

 

「黙れ!神に指図をするなァ!!」

 

そう、あの技が相殺でも何でもなくゲンムに当たった時から嫌な予感がしていたのだが本人は聞く耳などあらず。再び、ガシャコンソードを構えようとするが……

 

「……何?」

 

握った剣は装填されていたガシャットを残して消えてしまう。それだけではない、ゲンム自身にも激痛と電撃が走りその場へ膝をついてしまう。

そんな彼を見てエターナルは不敵に笑った。

 

「残念ながら、無力化の能力を持つのは1人だけじゃない。ライダーシステムが違えば…まあ、少し時間がかかるようだがエターナルメモリの力も効くようだな?」

 

「……ァ!?……がっ!?」

 

仮面ライダーエターナルの力…エターナルレクイエムは自らと同じガイアメモリを扱う者を無力化できるとうもの。しかし、今回はゲンムに直接エネルギーを送りこんだことでシステムは違えど機能不全を起こすことが出来たようだ。

 

「馬鹿な!?あり得ない…っ!!そんなこと……!」

 

「お前はもう不死じゃない。さあ、地獄を楽しみな。」

 

直後、エターナルに蹴飛ばされてゴロゴロと転がり…そこを王蛇がマウントしリンチがはじまる。ベノサーベルを何度も…叩きつけられ、装甲に亀裂が走り…とうとう殴りとばされた拍子に変身が解除されてしまう。

 

「嫌だぁ!!嫌だぁ!!死にたくない…!!!死にたくないぃぃぃ…!!!」

 

神と自身を語った男のなんと情けない姿か。ボロボロになり、四つん這いでなんとか逃げようとするもご機嫌な王蛇がその背中を逃げる蜥蜴の尾を掴むように踏みつけた。満身創痍の生身の人間が仮面ライダーの力から逃れる術は無い。

 

「どうした……?もっと俺を楽しませろ!!」

 

「ちょっと、ストップ!!そこまでにしなさいよあんた!!死んじゃったらどうんすんのよ!?」

 

続けて痛ぶろうとした王蛇だったが、慌てジャンヌオルタが叫んで止める。このまま続ければ黎斗は間違いなく死んで消滅してしまう…そうなったら、お仕置きどころの話では済まない。本気で自分の立場が悪くなってしまう。

 

「そこまでしたらもう良いから。あとはソイツからデータを取り上げれば良いだけだから退がりなさい。」

 

「…あぁ?」

 

「私の言うことが聞けないっての?地獄からアンタらを引っ張りだしてやったのはワ・タ・シよ!!」

 

王蛇は一時手を止めた。すると、ベノサーベルを手離して再びベノバイザーにカードを装填する。

 

「お前…黙れ。」

 

【ADVENT】

 

『シャアアア…!!!!』

 

 

「……なっ!?」

 

同時にいつの間にかジャンヌオルタの目の前に現れた巨大な紫のコブラ。簡単に彼女など一呑みに出来そうな大蛇の名はベノスネーカー…王蛇の契約するミラーモンスターだ。まさか、キャスタークラスでもないのにいとも簡単にこんなサイズの怪物を術式や詠唱も無しに呼び出すとは予想すらしておらず、面食らったジャンヌオルタにベノスネーカーが吐く毒液が迫るッ!

咄嗟に『危ねぇ!?』とレーザーターボが庇うが代わりに強酸の猛毒が彼を遅い…ジュゥゥと音と共に苦悶の声をあげた。

 

「久しぶりのエサだ。喰っていいぞ?」

 

『『グルルル…』』

 

それだけではない。王蛇は更に人型サイズのサイのようなミラーモンスター、メタルゲラスにエイ型の赤いミラーモンスター、エビルダイバーを呼びよせる。恐ろしいことにこの2体も王蛇の契約モンスターで主が暫く地獄にいたこともあり、とてつもなく餓えていた。今のジャンヌオルタたちは極上のご馳走にしか見えないだろう……

 

「さて……お楽しみはこれからだ……」

 

「…あ、ああァア……!!」

 

自分のペットはペットでお楽しみだ。ならこっちはこっちで楽しもう…と、王蛇が更に踏みつけ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秘技ッ!!女神直伝・マジカル☆八極拳!!」

 

 

ドゴォ!!

 

「なにっ!?」

 

 

…る直前に弾丸のように飛んでくる肘ッ!

不意討ちを喰らった王蛇は軽いダメージだったものの後退し当てられた腹を片手で押さえる。一体、何なのだ今のは?

 

その様子を遠くの崖からイシュタルが見ていた。

 

 

「ふ~ん、やっぱり筋がいいわ。教えた甲斐があったわね。」

 

 

ニコニコと小悪魔敵に笑う女神様。さて、このまま自分は観戦といこう…………冥界から悲鳴が聞こえるけど知らない。

 

「社長、回復です。」

 

さて、王蛇を後退させたGは黎斗に回復魔術を使用した。焼け石に水より少しマシなくらいだが、無いよりは良い……黎斗もなんとか立ち上がりデンジャラスゾンビガシャットのスイッチを押すが起動しない。

 

「……!?、何故だ!!何故だァ!?」

 

「当たり前だ。エターナルの力を喰らったんだ…使えるわけがない。」

 

「……ぁ?…ぁあァ!!?」

 

何度も押すが無機質にカチッカチッと音が鳴るのみ。加えてエターナルの宣告に完全に取り乱してしまう……

そこへ、王蛇が再び襲いかかろうとするがエターナルが制止する。そして、Gへと呼び掛ける。

 

「カルデアのマスター……今のは見事だった。流石、世界を救っただけはある。そこで、お前に質問がある……」

 

「…?」

 

「そこの契約しているサーヴァントは俺達と同じ『ダークライダー』のサーヴァントだ。人を越えた力を我が物顔で振るい、災厄をばらまき、悪徳を美とした仮面の悪魔……何故、ソイツや竜の魔女と契約している?お前は善人だろう?悪を許さず、大義を掲げそれらを挫いてきたお前の旅と相反する者だぞ?」

 

彼の問いは最もだった。Gの旅は人類の破滅を望む『悪』を駆逐する旅で、それは何処の特異点だろうと変わらないものである。結果、人理修復を完遂させ人理を救済したGは『善人』『正義』とされるであろう…

しかし、反面で彼は『悪』に定義されるサーヴァントと契約しているのだ。ジャンヌオルタは元々、邪竜百年戦争オルレアンにてワイパーンを操って多くの人々を殺している。そして、黎斗も自身の世界にバグスターウィルスを放ち…多くの惨劇の種をばらまいた。どちらも、多くの死をもたらし罪を犯した…許されざる者のはず。

 

すると、Gは黎斗を見据えて語りはじめる……

 

 

「確かに、突き詰めればあなたの言うとおりかもしれない……うん。だけど、まあ…なんていうか俺の我が儘というかさ。ぶっちゃけた話………そんな大義だとか俺には無い。助けたい……っていう想いと勢いで気がついたらここまで来てただけ。」

 

彼の旅のはじまりは燃え盛る炎の中で自分に手を伸ばした儚い少女の手だった。そこから駆け出して、走り抜けて……泣いて、笑って、挑んで、挫けて、苦しんで、もがいて……それの繰り返しで許せないエゴと向き合うことがあっても自分が正義だと理屈的に考えたことなど一度も無い。全力で都度の死線と試練を超えるので精一杯だったのである。

 

「ジャンヌオルタがやったことはこの目で見たし、社長のことも一応は教えてもらった。多分、犯したことは許されないことだと思うけど……今、契約して生きている今を大切にしたいんだ。悪いことは勿論、止めるし…サーヴァントでも生きているなら他にも生き方は選べるはずだって。」

 

でも、Gは知っている。恐れられた海賊たちが杯を仲良く酌み交わし、斬り裂き魔の名を冠す無垢な少女が幼い者同士で笑いあっていることを。悪だからといって可能性はひとつじゃない……生きるからこそ、見いだせる可能性があると。

「……それに俺、社長の作ったゲーム好きだし。カルデアのファン1号ですから!」

 

「!」

 

この一言が、黎斗を再び立たせるには充分だった。

使えなくなったバグヴァイザーを外し、代わりにゲーマドライバーを装着して新なガシャットを起動する。

 

「とんだお人好しだな……本当に呆れるくらいにお前は……」

 

 

【マイティアクション・エックスッ!!!!】

 

 

使用するのはモノクロのゲーム。ゲンムの持つもう1つの切り札……

 

「…ダークライダーァ?大いに結構!!私の才能を縛る正義など邪魔でしかない!!この神の力は私のためと…私の才能を愛するプレイヤーのためにあるッ!!」

 

【ガシャット!!】

 

 

「グレード0!変身ッ!!」

 

 

【ガッチャーンッ!!レベルアップ!マイティジャンプ!!マイティキック!!マイティ・アクショォォン……エックス!!!!】

 

 

再び現れたゲンムの姿はデンジャラスゾンビの時とは違い、非常にシンプルでスラッとした姿だった。眼もオッドアイから赤に…スーツ部分には白いボディラインが走っている。『仮面ライダーゲンム レベル0』…死の力こそ無いが、扱いと強力さは前者と退けをとらない。クラスはバーサーカーからアヴェジャーへ…

 

「いくぞ、マスター……コンテニューしてでも、クリアしてみせる!」

 

この時の発した『マスター』の響きは今までと違っていた。形式的なものではないそれに気がついたマシュだったが、既に戦闘はエターナルの斬りこみにより再会していた。ゲンムはかわしながら、青いガシャットをGへと投げ渡す。

 

「受けとれ、神の恵みだァ!!」

 

「!」

 

受け取ったそれは『パーフェクトパズル』とラベルされたガシャット。取り敢えず、起動してみると…

 

 

【パーフェクトパズル!!】

 

 

「!」

 

目の前に展開されるコインを象った幾つものエナジーアイテム…これらが綺麗に空中に整頓されていた。

ああ、成る程そういことね…彼は理解すると指先をクイクイッと動かしてエナジーアイテムを重ね、ゲンムへと投げる!

 

【高速化!!マッスル化!!鋼鉄化!!】

 

【ガッチャーンッ!!】

 

受けたゲンムはバフ効果が発動。バグヴァイザーをチェンソー形態で右腕に装着し、王蛇が降り下ろしたベノサーベルは片手で止め、キックによりふっとばされる。続けて、素早くエターナルの間合いに入り腹部を突く!

 

「…ぢぃ」

 

無論、この程度で倒れない。王蛇は立ち上がるが、そこにすかさずGがエナジーアイテムを操作する。

 

【混乱!!】

 

「しばらく、ピヨッてろ!」

 

「!?!?」

 

王蛇に付与されたのは混乱のエナジーアイテム。文字通り、使用者に目眩など混乱にあたる症状を与えるデバフアイテムである。

これがパーフェクトパズルガシャットの力…エナジーアイテムをパズルに見立てて操ることが可能なのだ。これは操作者自身にも有効なのでかなり戦術の幅が拡がるガシャットだ。

 

「…クソが!!」

 

 

【U-NIGHT VENT】

 

 

しかし、パーフェクトパズルの力をもってしても混乱は相手の動きを完全に封じるわけではないので、もがきながらも王蛇はカードを使用。すると、彼の契約モンスターたちが合体してドラゴンがごとき邪龍『ジェノサイダー』へと変貌。が、契約モンスターたちが予測してなかった動きのために大きな隙になり、ジャンヌオルタとレーザーターボは逃げ出す。

取り逃がした獲物を追いたいジェノサイダーだが、主からの命令は逆らえずに自らの胸を食い破りブラックホールを発生させる!

 

「…なにっ!?」

 

「…もらったァァ!!!」

 

 

【回復!!キュア!!】

 

【ガッチャーンッ!!キメワザッ!!デンジャラスクリティカルストライク!!!】

 

 

流石のエターナルもあまりの事態とブラックホールの引力に動けず、そこにゲンムのライダーキックが一撃!!ビリヤードのように飛ばされ王蛇を巻き込みエターナルはブラックホールに呑まれていった。同時にジェノサイダーも断末魔をあげ消滅する。

 

 

「神が本気を出せば、まあこんなものだ。フンッ!!」

 

不遜に笑い勝利を確信するゲンム……だったが……

 

 

「ほう?中々面白いな……」

 

 

「「!」」

 

なんと、そこにはボロボロになりながらも立つエターナルの姿があった。が、彼は手を前に出し制止する、

 

「待て、もう戦う気は無い。そろそろ地獄の門限なんでな…。それにしても、悪でも共にあるなら拒まない…か…。悪くない。」

 

すると、彼は背を向け変身を解くと……死神が描かれた黒に赤いラインが入ったジャケットを見せる。顔は影になってしまっているが不敵に笑っているようにも窺えた…。

 

「カルデアのマスター…。悪も悪魔も拒まないなら、そして……地獄に気が向いたら俺を召喚すると良い…。俺は仮面ライダーエターナル…不死身の傭兵『大道克己』だ。覚えておけ。」

 

そして、彼は炎に包まれ消えた。

こうして、事態は一段落したのである……

 

「ふぅ~……疲れたぁ。」

 

「やれやれ、先に景品を渡してしまってはこの先に意味は無いな。カルデアに戻るぞ、G。」

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どー、ちー、らー、にー、しー、よー、うー、かー、なー?あー、んー、ちー、んー、さー、まー、のー、いー、うー、とー、うー、り!!」

 

 

ゴォォウ!!!

 

 

「「ギャァァァァァァァァァァァァ!?!?」」

 

 

カルデアに帰還するなり、マイルームできよひーが貴利矢んとジャケットオルタちゃんを焼いていた。やめてくれ、人の部屋で火刑とかマジやめて…

取り敢えず、駆けつけたジャンヌと他エグゼイドやニューオメガなどのライダーたちがきよひーを押さえつけてふたりを救出して治療に向かわせた。全く、竜の魔女が竜に焼かれるわ、医者が怪我人では面目まる潰れである。

そんな彼等を傍らにGは黎斗と話をしていた。

 

「さっきも言ったが、そのパーフェクトパズルガシャットが本来なら新・壇黎斗祭りの最後に手に入る景品だった。あの愚か者たちのおかげでまあ台無しになったが……」

 

「取り敢えず、許してあげて。」

 

「フンッ、神は寛大だからな。すでにバチは当たっていたようだから不問としよう。」

 

先のアクシデントから狂気イベントは中断となり、ゴタゴタこそあれどやっと一息つけることになった……

そんなGを黎斗は観察するように眺め、Gもその視線に気がついた。

 

「……なに?」

 

「いいや、私は君を見くびっていたと思ってね。」

 

今更だろう。でなきゃ、こんな暴挙にうって出るか普通……

すると、彼は笑みながら続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ふむ、決めたぞ!ゲンムコーポレーション〈私の会社〉に来い。G!!」

 

 

 

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……はい?

 

 

 

「君の才能はやはり、優秀だ。数々の英雄を束ねる力は私の神の力と同じ価値がある。会社をより円滑にまわすには君のような人材が必要になるのは事実!何、問題はない…就職に必要な知識と技術はこの私が直々に叩き込んでやろう!」

 

いやいや、就職先が決まるヤッターなんて話ではない。

いくらなんでも話が突拍子が無さすぎるし、大体ゲンムコーポレーションはこの世界に無い……

 

「……と言うのは察していたからな。既に聖杯を用意してある!心配は無い!!」

 

わーお、やっぱ神様って今も昔もどこもロクなのイネー!(呆れ)

神性なくてもハッキリわかんだね!!ていうか、先までの祭りのセッティングもこれ使ってたな。もう呆れるのも馬鹿馬鹿しくなるゲームマスターである。

 

「ああ、これはいつぞやの亜種特異点まがいにレイシフトした時に私が回収したものだ。気にするな!」

 

「気にするわ!!」

 

1サーヴァントに聖杯の所有を許すとか、下手をしたら他のサーヴァントの暴走を招きかねない。本来なら血塗られた儀式『聖杯戦争』を勝ち抜いてやっと手に入る代物をただ拾ったというだけで所持するなど争いの種でしかない。

 

「これで君を私の世界に呼び出せる…!さあ、神の下で働くためまずは…!!」

 

 

 

 

 

 

「そうはいきません!」

 

 

 

「! あぁああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

こんな時の頼れる後輩。バグヴァイザーらしき青色のアイテムで黎斗をすいとり、中に吸収した。

 

【な、何故だァ!?何故、貴様がそれを…!?】

 

「あなたが制作中だったバグヴァイザーを拝借してこっそりダ・ヴィンチちゃんに組み上げてもらいました!これで、もう我が儘は出来ませんよ!!」

 

【なにぃぃぃ!?!?!?貴様ァ、神の作品によくも!!!!】

 

「あとこの聖杯は没収です!」

 

ダ・ヴィンチちゃん製バグヴァイザー……本来の担い手とは別の者に造られたこれを『バグヴァイザーオルタ』としておこうか。この中で自らの才能と作品を汚された神は怒り狂っている。それから、暫く辺りに響きわたるやり取りが続き……遠くではダ・ヴィンチちゃんが自らの自室でクスクスと笑っていた。

 

「…やっぱり、彼も創作家〈クリエイター〉か。芸術家だろうと作家だろうと、大事なのは自分の才能を愛してくれる誰かだからね。そして、その誰かを愛せる彼は幸せ者だよ。まあ、私も実はファンなんだけど。」

 

全く、愉快になったものだよカルデアも。結構、結構と笑っていたが……ふと、あるものに目が留まる。

 

「あれ?私、PCつけっぱなしにしてた?」

 

バグヴァイザーオルタ制作中に使ったあと電源を切ったはずのマイPC。うっかり忘れていたのか…

と、思っていたら管制室から呼び出しがあり、電源を一旦放置して向かう彼女。別に放置したところで部屋には勝手に誰も入れないし、スタンバイになる。

 

 

……そう安心していたが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【 仮 面 ラ イ ダ ー ク ロ ニ ク ル 】

 

 

 

 

直後、不気味なホログラムが浮かび上がったのに気がつかなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

★仮面ライダーゲンム 夏の新・壇黎斗祭り(大嘘) 〈Fin〉

 

 

 

 

 






☆仮面ライダークロニクル
???…(詳細不明)






★☆次回『勇気の外科医と斬り裂き少女』

仮面ライダーブレイブ×ジャック編


感想おまちしてます。






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profile…新・壇黎斗=仮面ライダーゲンム

★仮面ライダーゲンム

 

 

クラス…ライダー(レベル1~3)

バーサーカー(デンジャラスゾンビ)

アヴェジャー(レベル0、Xー0)

 

属性…秩序・悪

 

魔力…ー

耐久…B+

筋力…B+

敏捷…C

騎乗…C+

幸運…B+

 

・宝具

 

1~3&デンジャラスゾンビ→『デンジャラスクリティカルデッド(Buster)』……敵単体に強ダメージ&強化解除&呪い付与&防御力ダウン&スキル封印

 

0&Xー0→『ガンバライジング(Buster)』……敵全体に超強力な攻撃&確率で攻撃力ダウン&確率で防御力ダウン付与&悪特攻

 

 

Arts×2 Quick×2 Buster×2

 

 

 

 

戦闘スキル

 

1.『カリスマE--』

 

2.『星の開拓者 E-』

 

3.『ゲームクリエイター(真) EX』……自身のNPチャージ大&味方全体のエグゼイド系ライダーの攻撃力アップ

 

 

出典…『仮面ライダーエグゼイド』

 

 

 

profileⅠ……並行世界に存在するゲーム会社『ゲンムコーポレーション』の社長こそ彼。神の才能を持つと自称し、マイティアクションXをはじめとする大ヒット作を自ら造り上げ世におくりだした。

 

profileⅡ……しかし、それは表の顔。世にバグスターウィルスを放った張本人であり、才能に溺れ他者を省みない傲慢な性格。故に、彼は報いを受けることになる。

 

profileⅢ……そんな彼だが、自らが造った作品や自分の造ったゲームのプレイヤーには割りと優しい。ダ・ヴィンチちゃんいわく、悪逆を好む存在ではなく単純に価値観があまりにもぶっ飛び過ぎているため一般的な倫理観に共感出来ないのだとか。(どこの世界も天才すぎる奴は最早『天災』である。)

 

profileⅣ……『ゲームクリエイターEX(真)』。ガシャットやゲーマドライバーを産み出したことに由来する。ガシャットの開発・扱いはまさにゲームにおいて神と言っても他言ではない力。(気に入った相手ならゲームを作ってくれるかも?)

 

 

profileⅤ……クレイジーかつエキセントリックな彼だが、彼のことを少しでも理解出来ればそれなりに悪くない関係になれるはず。駄目ならバグヴァイザーに吸収してしまおう!! これで君も変神だ!! ※断じて変態ではない。

 

 

 

 

マイルームボイス

 

絆1……黎斗「ゲーム造りの邪魔だ。触るんじゃない。」

 

絆2……黎斗「対等だと思うなよ?私は神なのだからな!」

 

絆3……黎斗「私は…不滅だ…。」

 

絆4……黎斗「私のゲームで遊ばないのか…?」

 

絆5……黎斗「ふむ、今までの冒険をきかせろ。ゲームのアイディアになるかも知れん。」

 

好きなもの……黎斗「勿論、私はゲームを愛している!!創るのは私の使命であり生き甲斐だ。」

 

嫌いなもの……黎斗「不正なゲームは許さない!私の許可なくガシャットなど作るなどもっての他だ!!」

 

 

聖杯にかける願い……黎斗「聖杯か…特に持つことに超すことは無い。良いゲームの材料になりそうだ。」

 

イベント中……黎斗「神の力が必要なようだ。いくぞ、マスター!!」

 

 

宝条永夢について……黎斗「宝条永夢ゥ!!!認めたくはないが私と同等の才能を持っている……!だが、それが私のインスピレーションを刺激するッ!!クククッ……」

 

九条貴利矢について……黎斗「レーザーか…。別に私は謝るようなことは何もしていない。」

 

聖人たちについて……黎斗「あいつらは何なんだ!?神に向かって神を解くなんてふざけているにも程がある!?」

 

ダ・ヴィンチちゃんについて……黎斗「天才ダ・ヴィンチか……だが、神である私のほうが上だ!!ハーハハハハハハハ!!!」

 

ダークライダーについて……黎斗「私がダークライダー?そんな下らないことは気にしない……私は私がやりたいようにやるだけだ。」

 

千翼(仮面ライダーアマゾンネオ)について……黎斗「子供のくせになんて顔だ。アマゾンだかなんだか知らんが、ゲームのひとつくらい楽しめ。」

 

エミヤについて……黎斗「…エミヤ。お前の声どこかで……」

 

 

 




★おまけ 他のサーヴァントたちの壇黎斗について

ジャンヌ「壇黎斗!私が神について教えま……待ちなさい!?何故、逃げるんですか!?待ちなさい!!」

マルタ「…抑えるのよマルタ。あの神を語るゲームマスターの顔を殴りたいとか思っちゃ駄目。」

ジャック「お母さんの時代の神様はゲームをくれるんだね。まるで、サンタさんみたい……」

エミヤ「……ときめき…クロニクル…絶版…うっ、頭が…」

サンタオルタ「ええい、時かまわずゲームを子供たちに配りおって!これではサンタの意味が薄くなる!!奴とはいずれ決着をつけるべきだな…」

黒髭「壇黎斗殿!!拙者が主人公の恋愛シュミゲームを……駄目?そんなぁ。」

エレナ「天才か…うん、昔も今もいきすぎた天才は考えものよね。」




次回はブレイブ編とお話しましたが、あのライダーが見たいというリクエストも受け付けております。昭和・原作の掘り下げが少ないライダー以外なら出来るだけやっていく所存です。

あと草案はブレイブ以外にリュウガ×アルターエゴの話とか考えてます。あとは響鬼×鬼サーヴァントとか…


感想おまちしてます。


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仮面ライダーブレイブ編
命の責任・生きる意味 Ⅰ


カルデア 小ミーティングルーム

 

 

「さて、諸君……君たちに重要な報告がある。私は今、壇黎斗…そして、新・壇黎斗すら超越した存在になった。」

 

謎のスポットライトを浴びる黎斗。その前ではデスクに座る白眼を剥いたGとマシュ…あと、永夢にナイチンゲールにジャック…更にサンソンという奇妙な面々が集まっていた。

それにしても、これは何の御披露目なのか……

 

「……その名も!!」

 

「「……その名も?(白眼)」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……『壇黎斗神』ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいはーい、邪魔だから引っ込んでようね!」

 

コンテニューしてでもどうでも良い内容にスタンバイしてた貴利矢がバグヴァイザーオルタで自称・神を吸収・回収して退場させた。中で喚いているのが見えるがうるさいのでブチッと電源をOFF。ついでに部屋の明かりも元に戻した。

入れ替わりに白衣をなびかせてやってきたのは天才外科医と名高く、そして仮面ライダーのサーヴァントである鏡飛彩。今回、彼は普段は持たないマジックやら何やらを持っていきてる。

 

「少々邪魔が入ったが…予定通りはじめるぞ。」

 

「はーい!宜しくお願いします、飛彩先生~!!」

 

彼の講義開始の挨拶に元気よく返すジャック。ナイチンゲールやサンソンも改めて向き直り、真剣な眼差しを向ける。

 

さて、これに至るには少々事情があった……

 

 

 

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

 

 

「……ふむ、護身術を身につけたい…か…」

 

今から数時間前、アサシンのエミヤの元を訪れたGは唐突な願いを申し出していた。いつものように平然とした声のアサシンエミヤだが、内心は予想すらしていないことにかなり困っていた。

 

「僕以外にも適任はいると思うんだが……。正直な話、人に教えるような立場に立ったことは無くてね…マスターが望むようなことは出来ないと思う。それに、確か君はイシュタルに八極拳を教えてもらっていたはずでは?」

 

「いやぁ……女神様の受講料は割高(ぼったくり)で…」

 

実際、イシュタルから八極拳の師事を受けているGであったがその受講料であるQPは割高…もとい、ぼったくりである。女神に教えてもらってるんだからそれくらいの対価は安いものだと本人の談だが、実際は歩きまわってそこらの機械を次々と手当たり次第に破壊していくので修繕費のためにそれらを当てているのが真実。さらに、その中から自分の小遣いを1割~3割をちょろまかしていることが発覚したため杖ギルからもうコイツに教えてもらうのやめろとストップをかけられた。後、彼女は反省のためフリークエスト巡りに駆り出されている。全く、生産性があるだけ自称・神=壇黎斗のほうがマシに思える…。

 

というわけできたのがアサシンエミヤというわけだ。

 

「純粋な体術に近い技を使えて現代に近いサーヴァントってエミヤくらいしか思いつかなくて…」

 

Gの判断も単に暇そうにしていたからが理由ではない。そもそも、サーヴァントは自身の逸話が元になった戦闘技術や独自のスキルを持ってして自らの戦術を組み立てている。解りやすい例で言えば、セイバーのアルトリア……彼女はセイバーとしての剣の技術に加えて、魔力放出で自分の筋力を底上げし、更に直感スキルで素早く正確な騎士王に恥じぬ立ち回りをしてみせる。これを一流の魔術師ならそれなりに真似ることは出来るかもしれないが、残念ながらGはそんな魔力量も技術も持ち合わせていない。そのため、意外ではあるがGでもなんとか形だけでも会得が可能な八極拳をどういうわけか身につけているイシュタルが自ら手を挙げたわけだが…まあ、先の述べたような有り様である。あとはアーチャーのエミヤくらいだが、こちらは三食の準備に日々追われており手が離し辛い。

 

「お願い!このとおり…!」

 

「…」

 

ふむ。マスターの頼みを無下にするわけにはいかないだろう…それに、自分も今日は自室で重火器の手入れをするばかりの予定だったしたまには良いかもしれない。

 

「わかった…だが、その礼装では訓練にしても危険過ぎる。何か他の装備とかはないのか?」

 

「あ、それなら問題ないよ。」

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

……そして、シュミレーター室

 

 

 

「変身!!」

 

【仮面ライダークロニクル!!Enter the game!!Rideing the END!!】

 

Gが取り出したガシャットで変身したのはエグゼイド系ライダーの特徴的な装飾部を全部とっ払ってシンプルにしたような茶色い仮面ライダー、ライドプレイヤー。もとい、性能がお粗末この上ない量産型ライダーであるがそれでも耐久性などは下手な魔術礼装より高い。本来ならバグスターウィルスの感染による致死性のある代物だが、マシュからの対不浄の加護によりゲーム病の発症がない。 よって純粋なパワードスーツのように運用が出来るのだ。

 

……無論、使用している仮面ライダークロニクルガシャットは自称・神からの提供である。

 

「うん、確かに大丈夫そうだな。」

 

アサシンエミヤもこれには安心した。流石に魔術礼装だけのマスターだったら軽い組み手でも殺してしまう危険性もあるため渋っていたが、これならば幾らかは安心して教練が出来るというもの。自分の宝具の弾丸を受けたらまずいかもしれないが、今はナイフだけなので大丈夫だろう。

 

「では、宜しくお願いしますエミヤ先生!」

 

「先生はよしてくれ。」

 

ライドプレイヤーがライドウェポン短剣形態を構えたのを皮切りに、修練がはじまる。まず、ひたらすらライドプレイヤーがアサシンエミヤに斬りかかるが、全てをナイフで軽くいなしていく。

 

「例え三騎士クラスでなくても、サーヴァントとの接近戦は避けるべきだな!」

 

「!」

 

やがて、隙が大きい腹部に叩きこまれる蹴り。決して筋力ステータスが高いアサシンエミヤではないが、サーヴァントの脚力となればライドプレイヤー程度なら簡単にくの字でぶっ飛んでいく。

だが、やられてばかりのライドプレイヤーではない。

 

「まだまだ!」

 

【パーフェクトパズル!!】

 

 

受け身をとりながら、隠し玉のパーフェクトパズルガシャットを起動しエナジーアイテムを創作。選んだのは『高速化』『マッスル化』…これで、先とは倍のスピードで女神直伝の八極拳を叩き込みにかかるが……

 

「甘い!」

 

「うわっ!?」

 

これすらもあしらわれてしまう。全く、相手は1割も本気を出しておらず正面きっての戦いは不向きのはずの暗殺者のはずなのにここまで歯がたたないとは流石はサーヴァントというところか。

 

「アイテムでの効果は確かに悪くないが、まだ技術が追いついていない。踏み込みが甘すぎる。」

 

「なんの!」

 

地面にまたも投げ出されたライドプレイヤーだがまだ諦めない。またパーフェクトパズルガシャットを握りしめ……

 

 

 

 

 

「……ふぅ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーギャンッ!!

 

 

 

…次の瞬間、2つのガシャットとライドウェポンが宙を舞っていた。

 

それが、自分の目の前で切っ先を喉元に突きつけるアサシンエミヤの技だとライドプレイヤーが知るのはそれから直後より僅かに間をおいた時間だった。

 

「……残念ながらここまでだ。」

 

見据える眼は…師でもなく、光を灯さない鋭く無慈悲な暗殺者の眼。あと少し前に出たら簡単に喉仏など裂くなど容易い位置にナイフが鈍く輝きを放ち、敵からあっという間にライドプレイヤーから戦意を奪う。

数秒後、ヘナヘナと尻餅をつき…変身解除されたGはため息をつく。

 

「やっぱり、こうなったか。」

 

「…」

 

少しアサシンエミヤは考える。自分は元より機械のような存在であり、多分…この思考と行動にこれから移るのもそれ故なんだろうと……

彼は熱の無い口でGに告げる。

 

「マスター、やはりこの鍛練は無意味だ。君はいくら足掻いたところでサーヴァントに勝てる人間にはなれない。」

 

……悪いとは思わない…確固たる現実で夢を折ることで無謀に繋がるのを防ぐ。無謀は勇気と履き違えられ死を招く…それはあってはならないからだ。別にマスターである彼に不信があるわけではないのだが、サーヴァントである以上は無用な悲劇やリスクは避けるのは最低限の義務だろう。

 

「君の使ったアイテムは確かに運用として間違はいないだろう……だが、隙もそれなりにある。どちらかといえば後方支援向きだ。今までの戦い方に組み合わせたほうがよっぽど効率が良い。」

 

パーフェクトパズルのエナジーアイテムは開発者の改良により、仮面ライダーでもないサーヴァントでも効果を獲られるものになっている。なら、完全に後方支援に撤している今までの戦闘スタイルでも効果は十二分に発揮出来る。

 

「……うん、まあそうだよね。わかってる…」

 

 

わかってるんだけど……

 

 

割りきれない。その理由はアサシンエミヤにも察しがついた……

 

「クリム・スタインベルトか……」

 

「…うん。」

 

変身ツールというびっくりトンデモサーヴァント、ベルトさんこと『クリム・スタインベルト』。アサシンエミヤは風都でGたちと一緒に活躍したわけではないためよくは知らないが、Gを特異点風都にて仮面ライダーに変身させ…ソロモンの最終決戦でも力を貸したらしい。一時、直接契約を結んだらしいがやむを得ない事情で破棄せざら得なかったという話だ。基本、サーヴァントたちには差別なく接しているマスターだが彼には特別、マシュ並みに想い入れがあるようだった。

 

「俺は仮面ライダーなんて器じゃなかったけど、ベルトさんは俺を信じてくれた。だから、今度契約する時は胸を張って仮面ライダードライブに変身できるようになりたいんだ。だから、我が儘だけど俺はもっと強くなりたい。信じてくれたクリムに誇れる自分でありたい。」

 

「…」

 

…ふと、アサシンエミヤは擦り切れて微塵しか残っていない生前の記憶を浮かべていた。誰と何を話したかも、何を思ったのかも思い出せないが……月明かりに照らされて笑った顔があったような気がする。

 

そうだな…ここで突き放すのは簡単だ。でも、一度請け負った身として理屈をこねて投げ出すのは無責任だろう。

 

 

「…わかった。だが、やはり僕がこの役目は不向きだ。他のサーヴァントを捜してきてみるよ。少し、待っててくれマスター。」

 

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

 

 

「ジャックちゃん…!!それ返してぇ!?」

 

「駄目だよ。お医者さんがゲームで遊んでちゃ。」

 

「ナイチンゲール先生に報告なのだわ!」

 

「本当にやめてぇ!?!?あとそれ、僕の宝具!!」

 

騒がしいカルデアの廊下…。ジャックとナーサリーを追いかけ回すのは今日の医療スタッフの当番である永夢。彼もサーヴァントでこそあるが、現代の医師であるということでカルデアの医療班に組み込まれた彼。しかし、タイミング悪くやってきたガキンチョサーヴァントたちにマイティアクションXのガシャットを盗られてしまったのである。変身ツールなのでサボりとかそんなわけではないのだが、あのバーサーク婦長に見つかったらどうなるか…考えただけでも恐ろしい。なんとか取り返そうとして追いかけっこして気がつけばシュミレーター室前……

 

 

 

 

 

 

ードゴオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!ヒュルルルル~ドォンドォンドォン!!!!メキッ!!ドンッ!!!デ、デーーーーーーーーーン!!!!

 

 

 

「「「!?」」」

 

 

突然、とてつもない爆風やら衝撃やらでドアが吹き飛んだ。まさにいきなり戦争と嵐が一度に押し寄せたような事態に永夢はなんとかふんばるもジャックとナーサリーは軽すぎて転がっていき永夢を巻き込んで雪だるま状態に……

何事なのか…と思うや、ポイ捨てされるゴミのようにライドプレイヤーが投げ出されて変身を解いた。

 

 

【GAME OVER……】

 

 

「ぐへっ…」

 

勿論、中身はG。白眼を向いて身体のあちこちに生々しい傷とプスプスと焼け焦げた跡…仮面ライダークロニクルガシャットは過剰なダメージに耐えきれずパリンッと大破。

そして、シュミレーター室から現れたのは…

 

「どうした、まだ肩慣らし程度でこの様とは情けない。」

 

影の国の女王、クー・フーリンの師と名高いカルデアの中で屈指の強さを持つサーヴァント『スカサハ』。おまけに水着である。

事は簡単、アサシンエミヤが代わりにと頼んだのが彼女。よりによって開放的(色んな意味で)な時にそんなこと依頼したものだからこの師匠ノリノリだったのだ。アサシンエミヤも英雄を育ててきた逸話を持つ彼女なら安心だと思った。……しかし、よく考えてほしい。その逸話をマスターが知らないわけがないし、それならわざわざ真っ直ぐ彼女の元に行かないで何故、アサシンエミヤの元に行ったのか。

 

(……我ながら考えが浅はか過ぎた。)

 

彼はそう後悔した。ちょっと立ち止まっておけば解ることだった……戦闘民族ケルトの最強が普通の鍛え方をするわけがあるか……うん、あるわけ無いよね。ましてや、(頭の)リミッターも緩くなりかけている彼女の手加減なんて期待するほうがおかしい。

 

このあと、アサシンエミヤは責任感から置き手紙をGのマイルームに残して素材集めツアーに旅立った。

 

「おかあさん!!」

 

「ぐえっ!?」

 

…戻り、現在。もつれていた永夢を蹴っ飛ばしてGに駆け寄るジャック。怪我も出血も酷い…命に別状があるかは解らない彼女だが、とにかく『処置』をしなくてはと腰のポーチからメスを取り出す。

 

「酷い怪我だね、おかあさん。大丈夫だよ、すぐにちりょーしてあげるからね。」

 

「へ?」

 

 

ジャック・ザ・リッパー……スキル『外科手術E』。

取り敢えず、メスでザクザクしとけばまあなんとかなる医療スキル。勿論、この少女は医者ではない…

 

 

 

 

……言うまでもないが、麻酔も無い。

 

 

 

「いっくよ~?」

 

「まっ!?ジャック、たんm……!」

 

 

 

 

 

 

 

ザクザクザクザクブシュブシュブシュブシュ!!!!

 

 

 

 

 

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!?」

 

 

 

 

 

Gの受難はつづく……

 

 

 

To be continued.

 




こ ん ば ん は (挨拶)

ども、ジュンチェです。FGO夏イベントは順調ですが、艦これイベントはE3ではやくも沼り資源の危機!!全ては育成を怠った私が悪いのです……

さらっとFVA本編のネタバレっぽいのが入ってるけど気にしないでね?因みに、大我もカルデアにいて他のエグゼイドのメンバーと共にロマンの穴を埋めてます。あとBBちゃんもいるにはいますが、黒桜から逃走中。

さて、エグゼイドクライマックス間近!大我がクロノスに変身とか誰が予想したでしょう……あれ、ゲーマドライバーじゃポーズ出来なくね?ゲムデウスクロノスとかもう仮面ライダーじゃなくて怪人っぽいていうのが良い。でもあれ、CG合成でスーツは無いんだとか…最初、見た時には全く気がつかなかった。今のCGすげぇ。そして、あの眼に魔神柱を思い出したのは私だけか……

作品への多くのアイディアありがとうございます。全部ができるかわかりませんが自分には思いつかないものばかりだったので非常に参考になりました。更新は活動報告にあったように低速になりますがよろしくお願いいたします。


感想お待ちしてますぞ!





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命の責任・生きる意味 Ⅱ

E3で沼ってるの~

資源がなくなるの~

駆逐古鬼ちゃんマジ固すぎなの~

来ない支援艦隊は何してるの~


丹下艦を艦隊これくしょんではなく、何故FGOに出したし…



さて……あれからGはリアルデンジャラスゾンビに成り果て、自称・神はわざわざ造ったガシャットを破壊され『私のガシャットがぁ!?』と悲鳴をあげていた。こちらはともかく、マスターのまさにジャックの2号のような有り様な身体中の縫い目は見るに絶えず痛々しい。手術というよりはテディベアの下手な裁縫後と例えてもいいそれに無論、『鋼鉄の婦長』は黙っていない。

 

「どきなさい!彼女には処置をする必要があります!!」

 

「落ち着いてください、ナイチンゲールさん!!相手はまだ子供ですよ!」

 

「子供だからといって許されることと、許されないことがあります!!またこのような事例が起きてからでは遅い!!!」

 

バーサーカー…ナイチンゲール。純粋な医療技術を持つサーヴァントであるが、いかんせんバーサーカーであるため理性的な思考などがふっ飛んでいる彼女。その恐ろしさといえば、人間のカルデア職員から下手なサーヴァントまで彼女の『治療』となれば震えあがり…アルトリアシリーズもオルタであっても彼女には頭が上がらない。今もマシュが必死に押さえているが、ズルズルと前進していく…

そんな彼女の怒りは今や、永夢の後ろでナーサリーと共に怯えているジャックに向けられていた。普段の彼女たちならそんじゃそこらのエネミーだって笑いながら遊び道具にする始末だが、このバーサー看護士となれば話は別。げんこつでは済むまい…悪い子の指はいらないと切断されるか最悪の場合は思考する脳が悪性と取り出されても不思議ではないのである。

ここで、なんとか永夢も食い止めようとするが…

 

「ナイチンゲールさん、別に悪気があったわけじゃないし…」

 

「邪魔です!」

 

「うおおおおお!?」

 

生身など片手でぽーいと放り投げられておしまい。マシュも振り払われ、とうとうジャックの目の前に立つナイチンゲール、最早これまでとジャックは目を瞑り…

 

 

 

「待て。」

 

 

…しかし、寸前にナイチンゲールの肩を掴んだのは飛彩だった。止められた彼女はギロリと彼を睨む。

 

「離してください、鏡先生。彼女には適切な処置が必要です。」

 

「必要なのは処置じゃなくて『指導』だろう。この娘は患者ではない。そして、お前にも指導が必要だ。」

 

「…私にですか?」

 

首を傾げる彼女。端からみれば問題だらけだが、自身は全く気がついていない上に人の話を聴かない。これも彼女の恐ろしさであるが、あえて飛彩は会話という手段で『間違っている』と突きつける。

 

「ああ、そうだ。しっかりと怪我人に対しての処置について教えていなかった俺たちにも落ち度がある。なら、何を間違い何が正しいのか示すのが俺たち大人の役割だろう。」

 

「…」

 

黙るナイチンゲール。別に話を基本聴かないからといって理屈が通じないサーヴァントではないのだ。怪我とか病気というワードでバーサークするだけであって…

すると、今度はジャックへと目を向ける飛彩。

 

「これから手術(オペ)をする。ついてこい。」

 

そう促すやいつの間にか用意した担架にGを乗せてカルデアの手術室に向かう…

 

ジャックとナイチンゲールも共にこのあとを追っていった……

 

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

 

 

「……長い回想でした。」

 

時と場所は小ミーティングルームに戻り、溜息をつくマシュ。あれから、飛彩の外科手術(A++)と治療系の魔術を扱えるサーヴァントたちによりGはほぼ何事も無かったように回復した。尚、事を起こした発端のスカサハは全く反省はしておらず、代わりに弟子が謝罪することに…

そして、これからは基本的な怪我などへの対応をサーヴァントたちにも身につけさせるべきということで飛彩主催の講習会が行われることになった。なったのだが……集結したのは医者のサーヴァントたちが大半で気がつけばかなり踏み込んだ医学の話となり、あっという間に素人のGやマシュがついていけなくなってしまう始末。なんとか永夢もサポートを入れようとするが、彼自身も油断すると話についていけなくなりそうだ。

 

「…!…!」

 

そんな中でも、必死にノートをとったり辞書のように分厚い参考書を見比べながら対応しているのはジャック。眼にも留まらぬ速さでページを左右にめくり、ペンを走らせ、なおかつ飛彩の話を聴き逃さない。隣のナーサリーは飽きて『お茶会…』とぼやいており、軽い気持ちで参加したジャンヌ(スパム略)リリィに至っては目をまわして知恵熱でオーバーヒートする始末なのにこれは凄い。幼い少女の外見であっても悪名高きジャック・ザ・リッパー…その知恵と頭のキレに関しては逸話通りなのかもしれない。

 

「ジャック、ついてこれているか?」

 

「うん!もっと続けて!!」

 

「…!?」

 

飛彩の問いに笑顔で答える彼女。それに、サンソンすらギョッとした顔をし…ナイチンゲールは感心した表情をする。尚、ジャンヌ(スパム略)リリィはとうとう限界がきてボンッと気絶してしまった…

それから、暫くして講義は終わる。取り敢えず、ナーサリーとジャンヌ(スパム略)リリィは貴利矢が連れていき…残るは医療スキル持ちのサーヴァントとGとマシュになっていた。

 

「すまない、つい熱が入ってしまった…お前たちには解らなかっただろう。」

 

飛彩も自らがマシュたちには踏み込みすぎた内容だと理解していたが、勢いのままにやってしまった。本来なら医療サーヴァント向けの講習会の予定でカリキュラムを組んでいたのに予定外の参加者や(自称・神の乱入など)想定していなかった。何よりも…

 

(予想より遥かに呑み込みが良いな…)

 

ジャックの学習能力の高さである。とっていたノートや付箋紙がはられた辞書などを確認してみたところ、字の汚さ等は歪めないものの短時間で要点をまとめ他人が見ても解りやすく纏められている。Gの手術の時に熱心に見ていた様子からもしやと思っていたが…これは中々の素地があるかもしれない。

これにはマスターであるGもたじたじだ…

 

「うぅ…俺、おかあさんなのにさっぱりわからんかった。」

 

あれだ…子供に知識で置いていかれる親の気分。そもそも、サーヴァントに蘇生とか必要な事態なんてまず無いだろうに。

そんな彼にジャックは笑う。

 

「大丈夫だよ、おかあさん。私たち、もっと勉強しておかあさんの怪我も病気も治してあげるからね。」

 

「…ジャック」

 

駄目だ、ぶわぁ…と目許に汗が…

気がついたら全力で抱き締めていた。『苦しいよぁおかあさん…』なんて言う姿まで愛らしい…もう手術のこととかどうでも良い、暫く愛娘が出来た気分に浸っていたい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【…Gくん、こちらダ・ヴィンチちゃんだ。お取り込み中のとこ悪いけど、お仕事の時間だよ。】

 

 

 

 

 

…ちっ、空気の読めないやつめ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

 

 

第四特異点ロンドン…

 

 

現在、人理修復中のこの場所はかつて今、召喚された彼女とは違うジャックと出逢い…また、はじめて姿を現した黒幕たる魔術王ソロモンに大敗を期してしまった因縁の場所でもある。産業革命時代ということもあり、他の特異点に比べればだいぶ現代に近いが明らかに『おかしい』ことが起きている。

 

「これって…」

 

レイシフトした目の前には霧の壁。Gは似たような事象を知っている…。ついてきたジャックに目を向けると『うん…』と頷いていた。

 

「間違いないね、『わたしたち』がまた沢山でてきてるよ。」

 

「…やっぱり。だから、ナイチンゲールを置いてきたんだね。」

 

以前、ジャックとロンドンにレイシフトした際も彼女と同じ霊基のシャドウサーヴァントが大量に出現し、魔霧を発生させていた。シャドウサーヴァントといえど、宝具を抜かせばある程度はオリジナルに近い能力を扱えるためそこらのエネミーとは比較にならないほど危険である。ましてや、ジャックの霧は『標的が女性(雌)』『夜であること』など条件が揃えば問答無用で先手をとれるという恐ろしい力。故に、事前に事態を察知したジャックがナイチンゲールの同行を止めた……で、その代わりにきたのが…

 

「…直流!!直流!!」

 

「交流!!交流!!」

 

「もうやめてよふたりとも!!」

 

大統王ことエジソンによりによって彼と犬猿の仲のニコラ・テスラ……あとこれを止めようとしていたタケルである。運悪く、歯止め役のエレナがいないために代わりにとタケルが奮闘していたところをナイチンゲールの代打として同行。しかし、この始末。

唯一の救いはまともなサーヴァントとして飛彩と永夢がついてきてくれたこと……必然的に野郎ばっかりになってしまったが……

 

「成る程、この霧が今回の異常か…」

 

「ここいら一帯のシャドウサーヴァントを全て倒せば解決するはずです。」

 

飛彩に説明し、事態を深く把握するためにカルデアへと通信をつなぐG……だったが……

 

 

 

 

【ダ・ヴィンチだと思ったか?私だァ…!】

 

 

 

「!?」

 

ホログラムが映したのは本来いるべき主の姿ではなく、まとも自称・神こと壇黎斗神。予想外の登場にGだけではなく飛彩すらも目を見開き…永夢にいたっては微妙な目線を向けている。(なお、ジャックのみはプレゼントをくれる人と喜んでいる)

 

「黎斗さん、何をしてるんです?」

 

【壇黎斗神だ、宝条永夢ゥ!!私は今、彼女に代わってナビをすることになった。因みにダ・ヴィンチはこの特異点の起点になる場所を捜している。神のナビだ、ありがたく思え!!!】

 

「「…」」

 

頭をかかえる飛彩と永夢。このお調子者をどうにかできないのだろうか……というか、他にもいただろ候補。

 

その時、ジャックがサッと身構える!!

 

「来るよ!!」

 

合図と共に魔霧が一行を包み込み、あちこちの合間から黒い影が覗く………囲まれた。いつ靄の中から飛び出して襲ってきてもおかしくないだろう。飛彩、永夢、タケルはそれぞれ変身アイテムを構え…エジソンとテスラも臨戦態勢へと入る。

 

「…これより、手術(オペ)を開始する!術式Lv.2!!」

 

【タドルクエスト!!】

 

 

「…大変身!!」

 

【マイティアクションX!!】

 

 

「…変身!!」

 

【カイガン!!オレ!!】

 

 

そして、君臨する3人の仮面ライダー…ブレイブ、エグゼイド、ゴースト……

 

同時に、シャドウサーヴァントたちが一斉に襲いかかり、戦いの火蓋が切られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を物陰から窺う甲冑姿の女性に気がつかずに…

 

 

 

 

 

To be continued.

 

 





黒髭「更新しとる場合か!イベント詰まってるんじゃ!!」
ネロ「それよりも本編更新しろ!!」
アマデウス「ON☆ON!!」
鎧武「GE2どうしたんだよ!?」
ジャンヌ「アポピックアップガチャはよ!!」
武蔵「長門改二おめでとう(今更)」
おき汰「私とたっくんのラブコメまだですかぁ!?」
仁さん「アァァマァァゾォォォォォォォン!!!(第3期)」
イリヤ「プリヤイベ第Ⅱ期カモン!!」
JKセイバー「バーニングラァァブ!!」
謎のヒロインX「私以外のセイバー死ね。」
モードレッド「ス●ラトゥーンやろうぜ父上!!」
黎斗神「私は不滅だぁぁぁぁぁぁ!!!(エグゼイドの残り話数)」
エミヤ「ときめき…クロニクル…絶版……え、クリエイトも追加?」




黒桜「 う る さ い で す よ 。」



ぷちっ



……感想お待ちしてます。


美遊ってサーヴァントならないのかなぁ。



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仮面ライダービルド(桐生戦兎)編
仮面ライダービルド編 Build on Build



ブレイブ編、どうもオチまで持っていけず一旦停止。


時系列……セイレム後、ビルドジーニアス登場後




人類継続保障機関フィニス・カルデア……グランドオーダー発動直前当初に比べれば人も物質も大幅に減ってしまったが、 それでもいくつかの部署は未だに機能している。それもまあ、マスターの契約したサーヴァントの助けがあってこそ……

 

しかし、元から一癖どころじゃ済まない連中が固まって……おまけに『科学』とか変態とか集まるのが恒例の場所なら一体、どうなるか?

 

 

 

 

 

…………あんまり考えたくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幕間の物語 仮面ライダービルド編

 

―Bild on Bild―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!吸わないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!」

 

 

彼女、沖田総司は悲鳴をあげた。生前もサーヴァントになってからも今まで味わったことのない悲劇がまさに起こっていた。別に、いつものように悪友ノッブや最近なんか知らんうちに増えた沖田オルタと一緒にマスターのマイルームでぐだぐだしていただけなのに……いきなり、『赤と青の派手な仮面ライダー』が来たと思ったら……

 

 

「ちょうど良かった!君たちの成分を採取させてくれ!!」

 

「「「は?」」」

 

 

そこからは異を唱えさせずに小さなボトルらしきアイテムに何かこう生命力的ななにかを吸いとりはじめたのだ。最初に沖田オルタが犠牲になり、次はノッブが『是非も無いよね!?』と真っ白になった…驚きの白さ。そして、生き残った沖田さんも今まさに成分を抜き取られているのである。

 

「大丈夫!ちょっとで終わるから!!」

 

「無理無理無理無理!!あぁ!?!?なんか、ちょっと色抜けてきてるぅ…!?死ぬぅ!?死んでるのに、死んでしまうんデーース!!DETEだけに!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をしているんですか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、異変を察知して部屋に突入してきたマシュ。これに『あ、やべ!?』と赤青の仮面ライダーは脱兎のごとき勢いでマイルームから逃走。しかし、その前に突如としてコンティニュー土管が現れて飛び出した仮面ライダーゲンムが立ちはだかる!

 

 

「神の力をが必要なようだなァァァ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ゴリラモンドッ!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

――ドゴッ!!(神が粉砕される音)

 

 

 

 

 

【GAME OVER……】

 

 

 

「この役立たず!」

 

 

 

マシュの辛辣な一言はさておき、赤青の仮面ライダーはあっという間にレイシフトルームへと逃走し時空の穴へと飛び込んだ。その後、すぐに時空の穴は消失してマシュは追跡を断念せざら得なかった。

 

 

「くっ……またですか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、俺は無実です。」

 

「まだシラをきるか!!」

 

 

ダ・ヴィンチちゃんの部屋……そこに常駐している天才物理学者(自称)・桐生戦兎はG、マシュ、クロから取り調べを受けていた。ご丁寧に刑事ドラマあるあるの取り調べ室セットまで完備している。今回、特にクロに関しては怒り心頭といった勢いで戦兎に詰め寄っていた。

 

「あんたのせいで、最初は私に疑いがかけられたんだから!!いい加減ら私の潔白を証明するためにもさっさと吐きなさい!この際、免罪でも構わないわ。」

 

「いやいや、駄目でしょ。それでも俺はやってない。」

 

実は、沖田たちのような被害が出たのは今回がはじめてではない。当初、数名のサーヴァントたちが衰弱しているのが度々発見された……その全てがマタ・ハリやアルトリアシリーズたちや、清姫といった女性サーヴァントばかりだった。この件、何者かの襲撃者がいるのは明らかだったがその姿は掴めずにいた。だが……

 

 

―――それって、もしかしてクロじゃない?byイリヤ

 

 

…との発言により、真っ先の容疑者になったのはクロ。魔力供給という如何わしい行為(イリヤ談)は文字通り供給元の魔力を吸い上げ、結果的に相手を弱らせてしまうこともあるのはGとマシュも把握している。そして、彼女は数名の少女サーヴァントを毒牙にかけた前科がある……となれば、容疑者になるのも必然だった。

 

「しかし、戦兎さん……証拠の写真の仮面ライダーは間違いなくビルドです。それに、被害にあったサーヴァントたちの中にも変身するあなたを見たと証言している方もいます。」

 

…が、ギルティ判定を受ける直前で上がったのが彼、桐生戦兎の目撃証言である。その後、仮面ライダーや男性サーヴァントなど無差別な通り魔的犯行が相次ぎ、基本的に女性(主に少女)しか相手にしないクロの白さは証明され逆に戦兎は真っ黒な立ち位置に堕ちてしまったのである。おまけに、仮面ライダービルドの写真が監視カメラにおさめられており動かぬ証拠となっていた。

それでも、このままではいられないと反論する戦兎。

 

「待った待った!俺はさっきからここにいたし、そのビルド(仮)はレイシフトして逃げたんだろ?なら、そっちのレイシフト先を追うのが賢明じゃないか?」

 

「それが、レイシフトの記録そのものが消えているんです。どうやら、追われることを想定して特殊なウィルスを仕込まれていたようで…。」

 

「なにそれ……」

 

「加えて、短い時間ですが観測された霊基パターンは戦兎さんとほぼ同じ。かなり証拠が揃っています……白状するなら今のうちかと…。」

 

「だーかーらー!俺はずっとここにいたの!!それは、ダ・ヴィンチちゃんだって証明してくれるって!」

 

揃った証拠…だったが、不意にふられたダ・ヴィンチちゃんは頭に『?』を浮かべこちらを見ている。あ、これ駄目なパターンですね。

 

「嘘でしょ、ダ・ヴィンチちゃん!?」

 

「話は署できこうか?」

 

「待って、マスター!本当に俺は無実!!ああ、もう免罪は俺のキャラじゃなくて、万丈の役でしょうが!」

 

 

 

 

 

 

「待った、待った!Gくんにマシュ、少しふざけたのが悪かったね。彼はここにいたよ、その事件の時もね。」

 

 

 

 

 

 

 

なんだ、白か。つまんねー…と、ふんぞり返るクロ。アリバイが成立しちゃ仕方ない……なら、一体あのビルドは何者なのだろう?話は振り出しだ、一行はうーんと考えこむ。ビルドの能力は本物らしい、となると……

 

「……ビルドオルタ?……ビルドリリィ?……それとも、佐藤太郎?」

 

「最後の何でしってんのマスター?」

 

考えられる可能性を順列していく。同じ宝具を有しているなら、宝具となる原典を共有していたものか、或いは『別側面』などの可能性がある。まあ、色々と考えたところで所詮は妄想なのだが……取り敢えずと何処からともなくホワイトボードを引っ張ってきて要点をまとめ始めた。

 

「ええ、ここでビルド(仮)について情報をまとめましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★ビルド(仮)の特徴

 

 

・出現は神出鬼没、外見はビルドと完全に一致

 

・遭遇したサーヴァントは『成分?』を抜き取られる

 

・変身する直前の素顔や声は桐生戦兎と同じと証言

 

・ビルドドライバーやフルボトルといった宝具は本物と思われる

 

・ビルドになれるのは桐生戦兎のみだが、ビルドドライバーを使いこなしている

 

 

 

 

「……やはり、戦兎さんの別側面…或いはカルデアのシステム外で召喚されたサーヴァントなのではないでしょうか?変装の類いならアサシンといった方々が気がつかないのも変ですし。」

 

確かにこのカルデアには半端な変装など簡単に見破れるサーヴァントは多い上に、その道で歴史に名を残してきた者たちもいる。これだけ、被害を出しておいてみすみす見逃しているのもおかしな話。それに、カルデア以外の同じ霊基のサーヴァントが騒ぎを起こした前例もある……

 

「ま、何にせよそろそろ対処しないといけないわけだ。ちょっと、俺につきあってくれるかいマスター?」

 

頭をかいて、やれやれと戦兎は事態収拾のため重い腰をあげる。自分の無実を証明しなくては『研究』に没頭するのは無理だと嫌でもわかっていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★ ★★ ★★ ★★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………さて、前々から気になってけど…そろそろ頃合いだな

 

 

 

 

俺(アイツ)は一体、何を企んでるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued.

 

 

 

 

 

 

 





☆桐生戦兎(仮面ライダービルド)
自称・天才物理学者。クラスはアルターエゴ。
殆ど生前のフルボトルは使えるが、致命的なことにジーニアスフルボトルをロストしてしまっている。カルデアに来てからはビルド本編とは別に独自の研究を行っているが偽ビルド騒動で目をつけられ……


☆偽ビルド(?)
全く同じ姿どころか、戦兎とほぼ同じ霊基を持つ仮面ライダービルド(?)……いったい、何者なんだ(すっとぼけ)


☆沖田さん
…吸われた。


☆沖田オルタ
最近増えた沖田さんのオルタ……けど、吸われた。


☆神(自称)
ゴリラモンド見ると死んでしm……


ゴリラモンド『(イェーイ)』


【Game over】


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Build on build Ⅱ

……偽ビルド襲撃から数日。

 

 

 

 

 

 

「私オルタぁ!たっくんから離れなさい!!たっくんの麻婆豆腐をフーフーするのは私です!」

 

「何をっ言っている?それは私の役だ。オリジナルは血でも入ったらまずいから引っ込んでいると良いぞ。さあ、たっくんフーフーしてやるぞ…」

 

 

 

「いいや、お前らふたりとも離れろ。」

 

 

カルデアの食堂。W沖田に取り合いにされるたっくんの姿が…。最近は増えた沖田オルタにまでなつかれた上にだいぶ良い歳の姿で現界(仮面ライダー4号あたり)しちゃったたっくんの故に若干、危ない絵面に見えるのは気のせいだろうきっと……

 

「…いったい、沖田どもはたっくんの何がええのじゃ?え…?」

 

「茶々知ってるー!中の人ネタってやつ!!ネタにする人少ないけど!」

 

「やめんか、そういうの言うの。まー、わしもニチアサならプ●キュアとかあるんだよねぇ……キュ●ノッブとかもう本当、当時のトレンドで猿もびっくり……」

 

「叔母上、その頃まだ喉く●ゅうじゃなくね?」

 

 

 

 

 

「右●さんのプ●キュアはパワーワード過ぎる……まあ、そんなことはどうでも良いから君たちの成分を採取させてくれ。」

 

 

 

 

 

 

「わかったから、そう急がずとも……ん?茶々、主今、なんと言った?」

 

「……今の茶々じゃない…よ…?」

 

 

え…?じゃあ、今の声…どっかで聞き覚えが…

 

何か悪寒走る。

ゆっくりと……振り向くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【イェーイ!!(ゴリラモンド)】

 

 

「「うわあああああああまた出たああああああああああ!!?!?」」

 

 

偽ビルド再び。すかさずW沖田が斬りかかるがダイヤモンドの豪腕を刀が貫けず、ゴリラの腕力で一網打尽。巧も変身しようとしたがダイヤモンドの飛沫をとばされてファイズギアを取り上げられてしまう。

 

「さて、君たちのぐだぐだ粒子…? だっけ?中々、興味深いからまた採取させてもらうよ!」

 

「待て!俺にぐだぐだ要素は無……ッ!?」

 

「ハ●パーバトルビデオ。」

 

「…」

 

たっくんの『それは…ノーカンだろ…』という悲痛な訴え虚しく全員、成分を吸収されてしまった。全員、色素が抜けて動けなくなってしまう。

さて、これだけ煽ればそろそろ……

 

 

「……で、これで気は済んだか?」

 

 

やっぱり、来たか。本物の仮面ライダービルド=桐生戦兎…彼は偽ビルドを見据え、ビルドドライバーを装着していた。周囲にもG率いるサーヴァントたちやマシュの姿もある…逃げ場は無い。しかし、偽ビルドは余裕そうな姿勢を崩さない。

 

「久しぶりだね、桐生戦兎……」

 

「ああ、そうだな…葛城巧?」

 

挨拶のかわす様から両者は顔見知りだと理解できる。そして、偽ビルドはビルドドライバーからボトルを引き抜くとそこから現れたのは白衣を纏いガスマスクをお面のように被る桐生戦兎と同じ顔……

途端、周囲にどよめきが起こりGは戦兎に彼について一体何者なのかと問う。そして、答えはマスターである彼にとって予想外であった。

 

「アイツは悪魔の科学者<キャスター>の側面で現界した仮面ライダービルド…『葛城巧』。……

 

 

 

 

 

 

……俺の『大元<オリジナル>』だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

 

 

 

 

 

 

 

……説明が遅れたが、桐生戦兎の霊基はかなり特異なエクストラクラスの『アルターエゴ』である。

 

 

該当する霊基は『沖田総司オルタ』、『パッションリップ』、『メルトリリス』…最近では『メカエリチャン』なる者や、仮面ライダーで言うなら『エグゼイド』、『パラドクス』、『リュウガ』などかなり存在が特殊なものがあたる。このクラスの特徴としては(ごく一部を除いて)大元にあたる存在がいるのだ…わかりやすい例こそ沖田オルタあたる沖田総司、リュウガに対しての龍騎などなど。

 

無論、アルターエゴクラスの桐生戦兎もまた例外ではなく大元の存在がいるわけであり……

 

 

 

「……それが僕、悪魔の科学者<キャスター>『葛城巧』ってわけだ。」

 

 

 

シュミレータールームへと移動したGと戦兎に揚々と説明してくれた葛城。まあ、彼の提案なのだが…要は何にしろ戦闘は避けられないということだろう。取り敢えず、戦うなら食堂でドンパチやられるよりは良い。

さてさて、問題はこの悪魔の科学者が一体なにを思ってカルデアに乗り込んできたのか…だが……。それを問うのは警戒全開の戦兎。

 

「葛城、お前の狙いはなんだ?」

 

まどろっこしいのは無し。単刀直入に。

すると、彼は白衣から通常のものより遥かに大きいフルボトル…通常の飲料水の缶より少しばかり小ぶりでいて透きとおるような色合いのものを取り出す。それはビルドの『最終再臨<ビルドアップ>』に必要な最後のフルボトルであり、自分<桐生戦兎>が創りあげたものではなく自分<葛城巧>が創りあげたものの故か現界の際に持ち得なかったビルドの最強の力……

 

「…ジーニアスフルボトル……!!」

 

「そう。ビルドの最後のパーツであり、君の忘れ物さ。」

 

……オペレーターにまわっていたマシュやダ・ヴィンチちゃんも息を呑む。仮面ライダーは最強形態に至るために特殊なアイテムを使用するのは知っており、その全てが通常の形態より破格の力を発揮する。勿論、ビルドのジーニアスについても既に聞いていたわけだが…

 

【成る程、君は彼にそれを届けにきた。でも、それだけってわけじゃないんだろう?】

 

「ああ、勿論そうさ。僕には僕の目的がある。」

 

マイク越しのダ・ヴィンチちゃんの質問を肯定する葛城……まあ、でなくてはわざわざサーヴァントを通り魔なんてしないだろう。さあさあ、ここからが本題…

 

「桐生戦兎……。ジーニアス無いからって、怠惰を貪っていたわけではないだろう? 研究していたはずだろ…『更なる力』を。」

 

「…っ!」

 

「そして、それを察してきて君はその力をここに持ってきているはずだ。さあ、見せてくれ。」

 

更なる力…恐らくは新たなるフルボトルか、それともドライバーか何かか…葛城の狙いはそれ。戦兎の身構えるリアクションからして相当する存在があるのは確かだった。

しかし、ここはカルデア…サーヴァントたちが集うこの場所で不埒を働きただで済むだろうか?

 

「フハハハハ…! 我が友を貶めようとして自らの主張を押し通そうとは片腹痛い!!」

 

「凡骨とは今回ばかりは気が合うな! 左様、ここをカルデアと知っての狼藉か!? 」

 

高らかな笑い声をあげながら来る獅子頭にドレッド頭…戦兎と同じ科学者仲間のサーヴァント…『エジソン!ニコラ!』と声をあげるG。そう、この世を文明の光で照らした二大偉人である。カルデアきっての変人枠(科学的方向でのみ)であり、そんな気質故か戦兎とも交流があり彼も科学者として尊敬する英雄である。また、彼等からしても戦兎は研究する対象こそ違えど人類の未来のために科学の道を志す後輩であり、その顔に濡れ衣をかけるような所業は許すわけがない。

 

対し、葛城は余裕を崩さずペコリと彼等に礼をする。

 

「これはこれは、ニコラ・テスラに発明王エジソン…。お会い出来て拝謁の極み。いや、『憐れな発明強盗被害者』に『訴訟王』と言ったほうが良いかな?」

 

口は的確に逆鱗を撫で上げたが。『『ほう…?』』と科学者ふたりはコメカミをひくつかせ、手元にプラズマを走らせる……あ、まずいこれ激おこだ。これ絶対に灰にするまで止まらないやつだ。

 

「凡骨……言わずともわかると思うが………」

 

「気が合うな、スットコドッコイ…」

 

 

「「図に乗るなよ、若造が!!」」

 

 

待て!!と声をあげる戦兎の声も虚しく放たれる文字通りの雷の柱。かつて、雷神の権能と言われたそれを人の手元にまで落とし込み自らの宝具へと昇華したそれは容易く葛城を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【エボルドライバー!!】

 

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

貫くことなど無く、突如として彼の取り出した現れた『紅いビルドドライバー』に弾かれて四散する。サーヴァントの雷撃、如何に近代の英雄なれど威力は半端ではないはず。ならば、逸話の具現すら簡単に捩じ伏せるアレは何なのか………一堂が唖然とする中で、戦兎のみが正体を知り更なる驚愕をしていた。

かつての怨敵が血眼になってさがしていた切り札であり、ビルドドライバーのオリジナル…… しかし、それは主と共に世界新生時に失われたはずの……

 

 

「エボルドライバー……だと!?」

 

「ああ、そうだ。模造品ではなく、オリジナルのね。」

 

 

エボルドライバー…。しかも、オリジナルだという。しかし、本来ならば彼の所持していたものではなく地球外生命体の技術の産物だ。ましてや、オリジナルなんぞいくらハザードレベルが高かろうが主以外に扱える代物じゃない。そのはずなのだが…

 

「葛城……何故それを持っている!?」

 

「紆余曲折あってね、説明は面倒だ。まずは僕の研究成果を見てもらおうか?」

 

睨む戦兎を笑いながら見据えるとエボルドライバーを装着する葛城。取り出すのは『青いフルボトル』と『黒のフルボトル』…それをスロットへと接続していく。

 

 

【 タンク!! ライダーシステム!! エボリューション!!!】

 

 

【Are you Ready?】

 

同時に歓喜の歌にも似たメロディが流れ出し、エボルドライバーのレバーをまわす。前後に形成される青のパーツが人型を象り、邪悪な魔力を洩らす…

管制室にいたマシュも悲鳴にも似たオペレートを叫ぶ。

 

 

【魔力反応急上昇! 霊基変質を確認…これは!?】

 

 

「葛城…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………そして、悪意の科学者は戦兎に向かい鋭く口角を上げて言い放つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変身。」

 

 

 

 

【 タンク!! タンク!! エボルタンク!!! フーッ、ハッ! ハッ!! ハァッ!! 】

 

 

 

 

To be continued.

 

 





☆沖田さん
913のことになるとへいき、へっちゃらどころではなくなる。特に555小説版は特にNG。

☆たっくん
自分はシリアスの住人だと思っていたら、ハイパーバトルビ●オとかいう黒歴史を出された。夢オチとはなんだったのか

☆魔神さん
やっぱり、913は苦手。そういえば、9月13日に何かのお祭りがあるときいたぞマスター? 誕生祭とかなんとか……

☆マスター・G
か、影が薄いんですが今回……













☆ふたりは特命係
プ ● キ ュ ア ( 迫 真 )







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