更識家の長男 (ゆけむり)
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プロローグ

亡き女を想うと書いて妄想なんですよ。
(意味不明)


 とあるアメリカの港の古びたコンテナ内。

 その中には複数人の黒服を着た男達がいた。

 ガチャ、

 その中の1人がおもむろに手に持っていたジュラルミンケースを開け

 「例の物だ」

 その中には小さめの袋に小分けされた白い結晶の様なものがぎっしりと入っていた。

 「確かに本物だな、おい!金持ってこい」

 「はいっ!」

 一人の男がそう部下に指示を出す。

 「こちらです」

 先ほど指示された部下がジュラルミンケースをもってきた。

 「ご苦労」

 そう言うと取引相手に向き合い

 「きっかり八千五百万円用意した」

 ジュラルミンケースを開き相手に見せる。

 「確かに受け取りました」

 そして一拍おくと

 「今回は良い取引が出来ました。これからもどうかご贔屓に」

 そう一礼して去ろうとした時

 

 

 

 自分たちが入ってきた入口に誰かが立っていた。

 そして

 「あなた方を現在時刻午前一時をもってこの世から強制排除させていただきます」

 男の声が響いた。

 否、叫んだ訳ではないコンテナ内にいる人間にのみ聞こえるような音量だった。しかしその声はよく通った。

 そして次の瞬間その声の発信者を除くその場にいた全員の視界が反転してその数秒後に意識が暗転し二度と覚めることは無かったという。

 何が起きたかと言えば単純にその場にいた自分以外の人間の首と胴体をなき別れにさせたのだ。

 少年が持つ返り血が着いた刀によって。

 「また命を散らしてしまった」

 その場でたった一人の生き残りにしてこの惨劇を生んだ少年。

 

 

 更識刃鉄(さらしき はがね)は涙を流しながら一人呟いた。

 

 

 

 

 

 あの惨劇から三年が経ち彼は今、不殺を胸に世界を点々としていた。

 ある時はアメリカで気まぐれに人助けをして、ある時はイギリスの貧しい姉妹を手助けしたり、またある時はドイツで独りでいる者に手を差し伸べた。

 そして彼はまた日本の地に帰って来たという。

 家族に会えるという喜びと自分の双子の妹に対する後ろめたさを胸に抱きながら。

 

 

 

 

 

 

 日本到着から三時間。

 今刃鉄はとある屋敷の前にいる。

 その屋敷とは・・・

 「帰って来たんだな、僕」

 彼の実家であり更識家の総本山の屋敷だった。

 インターホンへと手を伸ばす。

 しかしボタンに触れる前にその手は止まってしまう。

 (刀奈がいたらどうしよう)

 自分の都合で”楯無”の名を受け継がせてしまった妹のことを思い出す。

 (たぶん嫌われてるんだろうな)

 胸の奥が締め付けられる様な感触に襲われる。

 (このままじゃダメだよな)

 再度インターホンに手を伸ばし今度はボタンを押した。

 ピンポーン・・・

 それから数秒後門が開き

 「はい、どちら様でしょうか」

 中からメガネをかけた女の子が出てくる。

 「お久しぶりです虚さん」

 懐かしいな、なんて思いながら適当に挨拶をすると

 「は、刃鉄様!お、お久しぶりです!と言うか今までどこにいたんですか!?」

 虚さんは僕だと分かると一気に詰め寄ってきた。

 「わわっ!虚さん落ち着いて!その事も諸々含めて今日は父上に報告に来たから!」

 そう言って虚さんの肩を優しく掴んで自分から離した。

 「も、申し訳ございません取り乱しました」

 顔を真っ赤にして俯きながら離れてくれた。

 (助かった、いつの間にか虚さんとても綺麗になってたからびっくりしたな)

 「こちらこそすみませんいきなり肩を掴んでしまって」

 そう言うと

 「い、いえお気になさらず。ワタシハウレシカッタノデ」ボソ 

 「そうします」

 最後に何か言っていた気もするがよく聞き取れなかったのでスルーした。

 「刃鉄様、とりあえずここで立ち話もなんですので上がりましょう」

 「そうですね父上にお話したいこともありますので」 

 そう言って門を潜った。

 

 その後久々に父上に今までやって来たことを全て話した。

 そして不意に父上にこう言われた。

 「お前確かIS使えたよな」

 「は、はい。一応オリジナルカスタムの打鉄がありますが」

 「そうか。では今度お前にはIS学園に行ってもらいたいんだが」

 「構いませんよ?」

 「まだ話してないことがあるのだが・・・」

 「だいたい分かりますよ。織斑一夏君が関係してくるんですよね?」

 「その通りだ。そしてここからが本題なのだが彼を守って欲しい。上からの命令だ。当初は楯無に任せるつもりだったがお前が帰ってきてくれたからな。帰ってきて早々悪いが頼む」

 「いえ、お気になさらずに。僕は今まで自分の都合で皆に迷惑を掛けてしまっていたんですそんな事でお役に立てるなら本望ですよ、父上」

 「そうか、では頼んだぞ」

 「分かりました。ところで父上僕は何学年になるんですか?」

 「お前はまだ高校を出てないからな1年からになる」

 「了解しました。それでは失礼します」

 こうして更識刃鉄のIS学園行きが決定したのだった。

 

 

 

 

 その頃IS学園では

 「ウワ~ン!虚ちゃんだけなんで本家に呼び出しなのよー!この仕事が多い時期に!」

 一人机に向かって愚痴を言いながら職務を全うしている楯無の姿があった。

 しかしその彼女に追い打ちを書けるように1通のファックスが届いた。

 その内容は

 新入生に1名追加

 氏名

 更識 刃鉄

 その先は全く楯無の頭に入ってこなかった。

 

 

 

 

 「兄さんが・・・ここに」

 一人生徒会室で呟くのであった。

 

 




次回の予定は一応オリジナル展開です


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入学試験

どもゆけむりです。


 

 僕は今IS学園のアリーナにいる。

 何でも僕だけ試験を受けずに半ば強引に入学を決定したためだ。

 それは仕方のないことなんだが、今少しだけ危機感を覚えている。

 理由は

 「それでは更識、試験を始めるぞ」

 目の前の織斑千冬さんが原因だ。

 何でも彼女曰く本日は職員がいないそうな。

 なので織斑先生が試験官を務めると言ったのだ。

 でもいますよね?いましたよね?てか初めてあった時一緒に横にいましたよね?

 まあいいか、一応入学は決定してるしたぶんそこまで本気でやることはないだろう。

 「分かりました。来てくれ打鉄」

 僕は自分で改造に改造を重ね余分な装甲を全て取り払い攻撃力と機動性に特化させたフルカスタムの打鉄を起動した。

 「ほお、フルカスタムの打鉄か。面白い」

 不適に笑う織斑先生。

 『それでは試験を開始します。準備は宜しいでしょうか。織斑先生、更識君?』

 「ああ、いつでも」

 「僕も大丈夫です」

 『分かりました、それでは・・・』

 一拍おき

 『始め!』

 

 

 合図が出た瞬間千冬と刃鉄が同時に動いた。

 ガキン!

 互いのブレードがぶつかり合う。

 そして鍔迫り合いになるかと思いきや刃鉄が押し始めた。

 機体の性能差が色濃く出たのだ。

 千冬の搭乗している打鉄は教員用にカスタマイズされているとはいえ量産機としての汎用性は失っていない。

 それに対して刃鉄の打鉄は完全に自分専用にカスタマイズしているためかなりピーキーな機体に仕上がっている。

 「くっ、やはり機体の性能が違うか」

 千冬が後退して距離を取る。

 「やっぱり世界最強は違うな、一瞬だけ止められた」

 これだけの性能差があるにもかかわらず一瞬とはいえ初撃を止められたのだ。

 これには刃鉄も驚いた。

 「さてと、久々に私も本気でやろうか」

 「マジですか?冗談ですよね?」

 ぎこちなく笑い聞いてみる。

 「冗談ではないさ!」

 問答無用と言わんばかりに切りかかってきた。

 先程以上のスピードで

 「瞬時加速(イグニッションブースト)か!」

 ガキン! 

 再度ブレードがぶつかり合う。

 そこからは刃鉄は一方的に追い詰められている。

 ダメージこそないがきつくなってきていた。

 「ここまで耐えるとはやるな、ではこれならどうだ!」

 千冬がリズムを変えてきた。

 「くっ!」

 迫り来る刃、咄嗟に刃鉄は

 

 

 もう一本のブレードを展開した。

 

 

 ガキン!

 

 

 「まさか、こうも簡単に二本目を抜かされるとは思いませんでしたよ」

 「貴様さっきまでは本気ではなかったのか?」

 「いいえ、本気でしたよ。それにこの状況で本気を出さないほど僕も馬鹿じゃない。ただ自分の手の内を晒したくなかっただけなんです」

 「そうか」

 「はい、それと次はこちらから行かせてもらいますね」

 「来い!」

 お互い構える。

 「行きます!」

 そこからは刃鉄が優勢で試験は続き最終的には刃鉄の勝利で終了した。

 理由としては機体の性能差と手数の多さだ。

 「ふぅ、まさか私が負けるとはな、更識刃鉄、貴様は合格だ、そしてようこそIS学園へ」

 腕を組み仁王立ちで言い放つ織斑先生だった。

 




次はしっかり学園から始まります












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セシリア編 1

どもゆけむりです。



 入学式が終わり今僕は教室にいる。

 そこで自己紹介をすることになっているのだがそこで一騒動あったのだ。

 織斑一夏くんの自己紹介のヘタさ、織斑先生の登場などなどで教室は今やカオスな状態だ。

 這い寄ってくる邪神様を最近見つけて読んでみたけど面白かったね。それにしても主人公と母親のあのフォークの扱い方少しだけ教えて欲しいと思ったよ。

 閑話休題

 

 あの後何とか織斑先生が収拾を付けたみたいで自己紹介が続いた。

 「次は・・・更識 刃鉄くん」

 「はい」

 山田摩耶先生に呼ばれたので短く返事をし起立した。

 「皆さん初めまして更識刃鉄です。僕は少々特殊な事情があり皆さんよりも一つ年上ですがどうか気軽に話しかけてください」

 そう言うと一礼して着席した。

 「織斑、アレが正しい自己紹介だ分かったか」

 「わ、分かりました」

 こうして自己紹介が終わった。

 

 

 

 

 「織斑くん少しいいかな?」

 「あ、えと、更識さん?先輩?」

 「あはは、刃鉄でいいよ。敬語もいらないし」

 「そ、それじゃあ、刃鉄さんで」

 「さんも要らないけどまあいいや。じゃあ僕も一夏くんと呼んでいいかな」

 「は、はい是非」

 まだ緊張しているのか敬語だ。

 「気楽にしていいよ。それにしてもお互い大変だね僕らしか男がいないから。」

 「そうですね。確かに居心地は悪いです」

 そこからはちょっとした世間話をしていた。

 すると・・・

 「ちょっといいだろうか」

 黒髪のポニーテールの女の子が話しかけてきた。

 「うん?箒か?箒だよな!」

 「あ、ああ私だ久しぶりだな一夏」

 「本当に久しぶりだな!六年ぶりか!」

 「それくらいだな」

 そんな挨拶を交わしている二人。

 うわー、僕空気だ。

 そんなふうに考えていると、

 「あっ!刃鉄さん、こいつは俺の幼馴染みの篠ノ之箒です」

 「篠ノ之箒です。えっと、更識さん」

 「あはは、やっぱさん付けなんだまあいいや、はじめまして箒ちゃん。僕は更識刃鉄、刃鉄でいいよ。出来ればさん付けもなしだと今はとても喜ぶよ」

 「そ、そうですか。ところで刃鉄さん、少し一夏を借りて良いですか?」

 「彼次第かな。彼は僕のものでは無いし」

 「分かりました。一夏少しいいか?」

 「ああ、構わないぜ」

 「そうか、それでは少し2人きりで話すとしよう」

 そう言うと箒は一夏を連れて教室を出ていった。

 一夏くんがいなくなってしまったので自分の席に戻ろうとした時、

 「ハー兄久しぶり〜」

 凄く間延びして凄く懐かしい声が聞こえた。

 声の主は

 「久しぶりだね、本音ちゃん」

 そう言ってつい本音ちゃんの頭に手を伸ばしかけて手を止めた。

 「?どうしたのハー兄?いつもなら頭なでなでしてくれるのに」

 「いや、ちょっとね」

 (こんな汚れている手で本音ちゃんに触れることなんて出来ない。そういえばこの間虚さんに触れちゃったな。今度謝らなければ)

 そう言って手を引っ込める

 「うーん、ハー兄何か雰囲気変わった?」

 「そ、そうかな」

 昔からこの子はそういう所に非常に敏感なんだよな。

 「まあでもたぶん昔よりも弱くはなっているかもね」

 「え〜なんで〜?ハー兄はいつも強かったじゃん」

 「いや、あの頃も強くなんてないさ。ただ何も知らない子供だっただけだよ」

 「うーん?よく分かんない」

 「本音ちゃんはそれでいいと思うよ」

 「そっか、じゃあいいや〜、ってもう時間だ〜私は行くね〜」

 「うん」

 そうして本音ちゃんは席に戻っていった。

 

 

 

 授業中、内容は初歩的な知識だった。

 皆しっかりノートを取るなどしていてそれでもしっかり前もって理解しているようだ・・・ただ1人を除いては。

 (一夏くんまさかアレ読んでないのか?)

 「せ、先生」

 僕は挙手をする。

 「どうしましたか、更識くん」

 「えっと、一通りの説明をもう一回だけお願いします」

 「も、もう一回ですか?」

 狼狽えている山田先生、すみません。僕じゃないんですよ、僕じゃ。

 「更識、入学前に渡した資料は読んだのか」

 「読んだのですが今まで全く関わらなかった男子なので内容は読めても理解が追いつかなくて・・・」

 「そうか」

 「あ、あともう一部発行して貰っていいですか?あの資料実家に置きっぱなしにしてしまって持ってきてないんですよ」

 「はあ、分かった。渡すのは放課後でいいか?」

 「構いません」

 頷くと

 「よし、では授業の再開だ、山田先生」

 「は、はい!」

 その後もう一度説明をしている山田先生に心の中で手を合わせて謝っていたのはまた別の話。

 

 

 

 授業も終って休み時間。

 ごっ!

 「イテッ!」

 僕は一夏くんに拳骨を落とした。

 「は、刃鉄さん」

 「一夏くん、君必読の資料全く読んでないでしょ」

 ギクッ!

 「な、何のことですか」メヲソラス

 「はあ、やっぱり。とりあえず放課後貰える資料を君にあげるからしっかり暗記すること、分かった?」

 「えっ?でも刃鉄さんも分からないって」

 「嘘も方便だよ、一夏くん」

 「へっ?」

 「だから、わからないって言うのは嘘だよ。それは織斑先生も知ってるし、たぶん教職員の方々はもう知ってると思うよ。一応専用機も持ってるし」

 最後の部分は少し音量を下げて言った。

 「そ、そうだったんだ・・・えっと、刃鉄さんありがとうございます。」

 「いいよ別に、困った時はお互い様なんだから」

 そう言った後は雑談をしていた。

 すると

 「少しよろしくて?」

 「へっ?」

 「うん?」

 急に話しかけられたので二人とも間抜けな返事になってしまう。

 「まあ!なんて返事なのかしら!やはり男性とはまともに返事もできないようですわね」

 「なっ!」

 挑発的な言葉に一夏くんが反応する。

 「落ち着きなよ一夏くん」

 それを刃鉄は右手で制する。

 「確か君はイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットさんだよね?」

 「あら、私のことを知っているのですね」

 「ええ、まあ」

 「そうですか。まあそんなことはどうでも良いですわ。それにしてもあなた、更識さんは無知なのですね。あのような基礎中の基礎も理解出来なかったなんて。まあ、でも、同じクラスの嘉として土下座して頼むのでしたら教えて差し上げても宜しくてよ」

 と、こちらをあからさまにバカにしたように言ってくる。

 「なっ!お前な!刃鉄さんは・・・」

 「一夏くん待って!」

 一夏が口を滑らせそうだったのでそれを制した。

 「とりあえず本当に落ち着こう」

 「刃鉄さんなんであんなに言われて平気なんだよ!」

 「ごめん、僕のために怒ってくれるのは嬉しいけど少し静かにしてて」

 少しだけ声を低くする。

 「ッ!分かりました」

 一夏は苦い顔で引き下がった。

 「オルコットさん確かに僕は無知だ。でもね・・・」

 一拍おいて

 「君に教えて貰うくらいなら独学かこの学園の教職員の方々に教わりに行くよ」

 声色をそのままに言い放つ。

 そこでチャイムが鳴った。

 そしてここで解散となった。

 

 

 

 

 「これより来月行われるクラス代表戦に参加するものを決めてもらう。自推、他推は問わない」

 織斑先生がそう言うと、

 「はいっ!私は織斑くんを推薦します!」

 「私も!」

 「じゃあ私は更識さんを推薦するよ!」

 「おお~いいね~私もハー兄に一票だ~!」

 やはり男性に白羽の矢がたった模様。

 「お、俺!」

 「何となく予想してたけどここまでとは」

 驚く一夏と苦笑する刃鉄。

 しかしこの教室の空気をぶち壊したのは・・・

 バン!

 「そのような選出認められませんわ!」

 セシリア・オルコットだった。




次回はとりあえず目指せセシリア編完結。


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セシリア編 2

ど、どうもお久しぶりです、ゆけむりです。
まずは投稿が遅れてすみませんでした。

ここからは言い訳になってしまいますが私は今年になって働き始めた言わば新社会人に当たるものでして、就職先でも新入社員という扱いなのでまだ研修中の身でございます。
そして私が行った研修先は残業が多い部所だったため蓄積される披露などで文章を書く気力がわかない状態でした。
以上の理由から長期に渡り投稿しませんでした。
今後もこのような事があるかもしれませんが暖かい目で見守って頂けると幸いです。


 「そのような選出認められませんわ!」

 大きな声で言い放つセシリア。

 クラスが一気に静かになる。

 「第一男がクラス代表だなんていい恥晒しですわ!この私にそのような屈辱を一年間味わえと!」

 更に続ける

 「だいたい、実力から行けば私がクラス代表になるのは必然。それを・・・」

 「織斑はともかくとして、更識は強いぞ」

 セシリアのセリフを止めたのは意外な人物、織斑先生だったのだ。

 そしてクラス全体が驚いている。

 それもそのはず、世界最強が強いと認めているのだから。

 「そうだな、諸君らに面白いものを見せてやろう」

 そういうとスクリーンが現れ・・・ってまさか!

 「織斑先生!ちょっと待ってください!まさかアレを見せるつもりですか!?」

 僕は声を荒らげてしまった。

 「別にいいだろう。知られて困ることではあるまい」

 「し、しかし・・・あまり目立ちたくないのですが・・・」

 「ちふ、織斑先生、いったい何を見るんですか?」

 一夏くんが質問する。

 「ああ、今からそこで声を荒らげている奴の入試の試合を見せてやろうと思ってな」

 そう言いながら無常にも映像がスタートしてしまった。

 そこに写っているのは打鉄を纏う織斑先生と打鉄らしきISを纏う刃鉄の姿が写っていた。

 そして試験が始まった。

 初めこそ互角だったが少し間を置いたあたりから織斑先生が押し始める。

 この時点ではまだブレードを互いに一本使っている。

 それを見ていた生徒は誰しも刃鉄の実力が分かった。いや思い知った。

 今の自分たちでは足元にすら及ばないほどの実力があると。

 そうこうしているうちに刃鉄にブレードが当たりそうになった。

 しかし

 刃鉄はもう一本のブレードを展開し織斑先生の攻撃を防いだ。

 そこから先もクラス中が驚愕していた。

 刃鉄が一方的に押し始めたからである。

 そしてその攻撃が止むことはなく織斑先生の敗北という形で終了した。

 「さて、これで更識の実力は理解しただろう」

 織斑先生が言う。

 しかし、

 「こんなこと有り得ませんわ!男があんなに強いわけがありません!」

 「静かにしろオルコット。あれは事実だ。それでも信じられないのなら自分の目で確かめてみたらどうだ」

 「ッ!分かりましたわ、織斑先生がそこまで言うのなら・・・更識刃鉄!あなたに決闘を申込みます!」

 指を指しながらセシリアが言う。

 「断らせて貰うよ、そんなことしたって無意味だからね」

 刃鉄はそう答えた。

 「あら、負けるのが怖いのかしら。それともただの腰抜けなのでしょうか」

 「そう取って貰っても僕は構わないよ。僕に対するその評価は君個人のものでしかないからね」

 セシリアの挑発を何処吹く風で受け流す。

 「そうですか。本当に腰抜けなのですね。更識と聞いたので身構えてしまいましたが、やはり裏でコソコソするしか能のない一族でしたか」

 嘲笑と共にそういった。

 しかしそれはこの場において最も言ってはならない一言だった。

 バキッ

 あまりにも聞きなれない音が響いた。

 その音の発信源には椅子に座ったままの刃鉄とその前に”壊れた机”があった。

 辺りが静まり返る。

 その静寂を破ったのは・・・

 「初めてだなあ、こんなに人の命がどうでもいいと思ったのは」

 両眼から光が消え薄らと笑みを顔に貼り付けた刃鉄だった。

 

 これは後日談だがその時の教室にいた人達は口を揃えてこう言った。

 

 『自分が今ここでこうして生きていられるのが不思議だ』

 

 と。

 あの織斑千冬でさえもそう口に出したのだ。

 

 「ねえ、セシリア・オルコット」

 「ッ!は、はい」

 「君の決闘の申し込み受けるよ」

 「・・・」

 決闘を受けるという言葉にセシリアは何も答えられなかった。

 そこから先はまるでお通夜の様な雰囲気で一日が終わって言ったという。 




いやー、久々の投稿だと言うのに見事な駄文。
なんかスミマセン。
次はとりあえずクラス代表決定戦を予定しています。
下手な戦闘シーンになると思いますが楽しみにして頂けると幸いです。


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セシリア編 3

ども、ゆけむりです。なんかとても久しぶりの投稿な気がします。


 一週間後

 

 「さ、更識君、準備の方は出来ましたか?」

 

 目に涙を溜めながら山田先生が聞いてくる。

 

 「ええ、いつでも大丈夫ですよ」

 

 そう、短く刃鉄は頷きながら言う。

 

 「分かりました、では自分のタイミングで発進してください」

 

 「了解しました」

 

 そう言い一息つくと、

 

 「更識刃鉄、打鉄出ます」

 

 そして刃鉄はアリーナへと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 「やっと来ましたのね。随分遅かったのですね、逃げ出したかと思いましたわ」

 

 セシリアが挑発的に言う。

 「三下相手に逃げる訳ないよ?それとも君は自分のことを過大評価しているのかな?」

 

 セシリアの挑発に対し刃鉄も挑発する。

 「ふ、ふふ、何を言うかと思えば笑い話にもならない冗談とは・・・呆れますわね」

 

 「そ、じゃあ始めようか・・・。山田先生開始の合図を」

 

 『分かりました。それでは両者位置に着いてください』

 

 お互いが定位置まで行くと。

 

 『それでは試合を開始します。

 

 

 

 

 

 始め!』

 

 

 

 

 その合図とともにセシリアのスナイパーライフルが火を噴く。

 その初撃は

 

 見事命中。

 

 刃鉄は始めの位置に自然体でただ静止している。

 そして数十秒後には

 

 『SE残量 残り全体の15%』

 

 刃鉄の専用機、打鉄がそう告げた。

 

 

 

 

 

 

 (何故動きませんの?)

 

 セシリアはとても混乱していた。

 初撃の命中、これはこちらにとっては嬉しい誤算だった。

 そしてそこから数十秒間攻撃に転じていた。

 しかし、

 

 「あなた!私をバカにしていますの!」

 

 セシリアは怒鳴った。

 

 「・・・」

 

 しかし何も返してこない・・・と思った次の瞬間。

 

 「残りSE残量15%、これ位のハンデをあげたんだ簡単には落ちないでよ」

 

 そう言った目の前の敵、更識刃鉄はブレードを展開しながら言い放った。

 そして、ノーモーションから一気に切りかかってきた。

 

 「!!」

 

 辛うじて反応したセシリアだが手にしていたスナイパーライフルは真っ二つに両断されてしまった。

 

 「やっぱりISでの戦闘は少しブランクがあるからな感覚がズレた」

 

 そう呟くと更に追撃してくる。

 しかし、セシリアも代表候補生だ。いくつかの斬撃は受けたものの落とされることは無く何とか距離を取る。

 

 「くっ、油断しましたわ。ですがこの勝負貰いましてよ!」

 

 そうセシリアが言うと腰部にあったスラスターのように見えていたものが射出され刃鉄に向かいレーザーを放つ。

 

 (なるほどこれが本当に第三世代兵器”ブルーティアーズ”か)

 

 しかし刃鉄は全く表情を変えない。

 

 (多少面倒ではあるけどやることは一つしかないよね・・・とりあえず)

 

 刃鉄がブレードを構える。

 

 「斬る!」

 

 そう呟くと刃鉄の姿が掻き消える。

 そして間髪入れずに四つの爆発が起きた。

 

 「なっ!何が起きましたの!?」

 

 混乱しつつもセシリアは当たりを見渡す。

 すると刃鉄は消える直前までいた所にいた。

 

 「あなた!一体何をしましたの!?」

 

 「邪魔な羽虫を切っただけだよ」

 

 さも当然なように刃鉄は言う。

 

 (そんな!ハイパーセンサーを用いても認識出来なかった!?)

 

 セシリアは驚愕し零コンマ数秒止まった。

 いや、止まってしまった。

 次の瞬間先程のように刃鉄の姿を見失う。

 そして

 

 

 

 

 

 ブルー・ティアーズはスラスター部分を残しバラバラに斬られた。

 

 

 

 

 

 (一体何が起こりましたの?)

 

 

 

 

 ピー、

 『勝者”更識刃鉄”』

 

 

 

 

 

 こうして意味の無い決闘は幕を閉じた。

 

 

 




次回は一応、セシリア編のその後の話。


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