バーサーカーしかいねえ! (安珍)
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第一話「おのレフ!」

前回のFGO!

ついに特異点Fのラスボスであるアルトリア・オルタを倒したカルデアのマスター藤丸立香。
だがしかし、裏で手を引く人物の魔の手が襲う。
嫌がらせの達人レフ・ライノールにより、カルデアにはバーサーカーしか呼べないと言う陰湿じみた呪いにかかったマスター。
果たしてこんなに脆いチームで世界を救えるのか。
そして唯一の盾役であるマシュの胃は持つのだろうか。

その日、(割と深刻な)運命と出会うーーーー。




藤丸立香は慟哭していた。

 

特異点Fで出会ったキャスニキことーークー・フーリンがカルデアへと来なかったからだ。

理由はわかっている、あの外道ピエロであるレフの呪いだ。あいつが裏切り、そして去るときの置き土産として召喚器になんやかんやと細工をし、バーサーカーのみしか召喚できないよう設定されていたのだ。

 

Dr.ロマンとダ・ヴィンチちゃんの三日がかりの奮闘虚しく、かなり高度なセキュリティに守られたそれは、本来ならば敵からのハッキングを防ぐための壁が今では逆の役割を果たしていた。

 

「キャスニキ……序章が終わったら来てくれるって攻略サイトに書いてあったのにぃぃぃな"ん"で"だ"よ"お"お"お"ぉ"ぉ"!!!」

 

「先輩、その発言は危ないです」

 

マシュのツッコミにも聞く耳を持たず、立香はただただ絶望した。

召喚器を回せば出てくるのは、筋肉むきむきの叛逆者や、筋肉むきむきの斧王や、筋肉むきむきの迷宮ボスなのである。彼らを非難するつもりはないし心から尊敬をするが、かといって彼は他のクラスがいなくてもいいと言うわけではない。

 

セイバーが欲しいが出るのはバーサーカーのみである。

アーチャーが欲しいが出るのはバーサーカーのみである。

ランサーが欲しいが出るのはバーサーカーのみである。

ライダーが欲しいが出るのはバーサーカーのみである。

キャスターが欲しいが出るのはバーサーカーのみである。

アサシンが欲しいが出るのはバーサーカーのみである。

攻略サイトに載っていたエクストラクラスが欲しいがいるのはマシュのみである。それでも十分ありがたいが。しかし召喚器から出るのはバーサーカーのみである。

 

バーサーカーのみであるのだ。

 

「と、とりあえず10連引いてみませんか? まだフレンドガチャしか引いてないですし」

 

「うん……そうする……」

 

序章を経て先輩に尊敬の念を少し抱いていたマシュは、幼児退行しそうになっているその相手に少しだけ顔を引き攣らせた。

 

立香はトボトボと召喚器の方へと歩いて行くと、震える手で聖晶石注ぎ込んだ。ドバッと30個。初期では考えられないコスパの良さである。やったぜ。

 

眩しい光が空間に瞬き、二人は思わず目を閉じた。

なんかこう……回す際に鳴る音が響く。きっちり10回。初心者なためほとんどが新規加入SEだ。

 

1人。

1人の新しいサーヴァントが召喚されたようだ。閉じている目の前からそんな気配がする。10連引いてサーヴァントが1人だけというのはこの召喚機の闇がうかがえる。

 

ゆっくりとその目を開けるとーーそこには、

 

やっぱり、バーサーカーがいた。

 

美しい、バーサーカーがいたのだ。

 

 

 

「吾の名は茨木童子。大江山の鬼の首魁よ」

 

 

 

こちらをニヤリと見つめたその少女は、見た目人型でありながらも、人間ではなかった。

 

赤く染まった手足、口から生える牙、そして額から伸びる二本の角。

 

本人も言ったようにーー彼女はまさしく、鬼であった。

 

立香は思う。

 

ーー人類の業は深い、と。





茨木童子は、私の母になってくれるかもしれない女性だ!


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第二話「コミュニケーション・ブレイクダンス」

前回のFGO!
10連回したら一発で星4サーヴァントが来たよ!でもバーサーカーだったよ!そして人嫌いそうな鬼だったよ!やったねマシュ!胃痛が増えるよ!
命が一個しかない藤丸立香くんはちゃんとパーフェクトコミュニケーションできるかな?


第一特異点に行く前にサーヴァントと親交を深めてみようということで、立香は茨木童子の元へと向かった。

いくらバーサーカーと言えども自分のサーヴァントだ。恐れてはいけないという心意気で彼女の部屋をノックする。一応菓子折りは持って来たけども。

 

「…………誰だ」

 

中から不機嫌そうな低い声で問われる。内心少し怯えながらも、自身がマスターであること言う。

 

「ふん、何の用だ」

「ちょっと話にね。俺のサーヴァントなんだし挨拶くらいはしておこうと思って」

「挨拶ならしたではないか。藤丸立香、汝の名前であろう。それくらい知っている、それ以上何か必要か?」

 

茨木童子は全く立香に興味を示していないかのように拒絶する。

 

「まぁそう言わないで……お菓子持って来たけど、食べ「それを早く言わぬか馬鹿者め!!」るーー?」

 

突如として茨木童子が部屋の扉を開けて食いついてくる。立香は混乱しながらも、ほぼ茨木童子に引っ張られるようにして部屋の中に入った。

 

「菓子はなんだ? 煎餅か? 饅頭か? もしや洋菓子ではないだろうな!?」

「えっと……大福だよ。餡子の」

「ふむふむ、良いではないか。しかし汝よ、次持ってくるときは洋菓子を頼む。和菓子は食い尽くしたのだ。吾が大江山にいた時代は洋菓子が今ほど普及していなかったからな! 吾、ちょこれいと(・・・・・・)とか、ましゅまろ(・・・・・)が食べたいぞ!」

 

先ほどの威圧的な態度とは打って変わり、今は見た目通り子供のようにはしゃぐ立香はなんだか微笑ましくなってつい微笑んだ。

 

「あぁ、分かったよ。ロマンに頼んでみる。他にも何か欲しいものはある?」

「そうだなぁ……あ! あいすだ! 冷たくて甘いのであろう? 食べてみたいぞ!」

「了解。それも頼んでみる。……なんだ、甘いものが好きなの?」

「む、悪いか。鬼は嗜好品は大好物だ。特に娯楽が好きでな、こと旨いものにおいては吾は酒呑よりも貪欲であった。酒は酒呑の方が好きであったが」

「酒呑?」

「酒呑童子、吾の友人だ。大江山で一緒に過ごしていた。マイペースな奴であったが、吾にとって親友だったのだ」

 

酒呑童子の話になると、茨木童子は少し声のトーンを下げた。事情は立香には分からなかったが、なんとなく、本当につい、茨木童子の頭を撫でた。

 

「……む?」

「あ、えっと……ごめん、嫌だったかな」

「……ふん、人ごときが鬼の頭を撫ぜるなど、貴様は余程の大バカものか、それとも度胸のある者か。その顔はどうやら前者らしいな、マスター?」

 

確かに立香は、茨木童子のことを鬼だと思って接してはいない。実感が湧かないのだ。茨木童子は鼻をもう一つ鳴らし、立香の手を払いのけた。

 

「人は脆い。少し弾けばすぐさまバラバラになる。吾をあまり舐めてかかるでないぞ」

「あ、あぁ……」

 

素直に取れば脅しとも取れる言葉だが、裏を返せばそれは。

 

「(俺の身を案じてくれたんだろうか……今のは)」

 

やはり、どうしても立香にはそれが人の敵であると言うことは思わなかった。

 

「……そういえば、ここは呪いによって吾のようなバーサーカーしか来ぬのであったな」

「あ、うん。っとそうだ、酒呑って子のクラスは分かるかな? もしかしたら呼べるかもしれない」

「さぁな……酒呑は鬼だが無鉄砲に暴れるような奴ではなかった。気品に溢れ、人を甘くは見ても油断はせんかった……あの最期以外はな。吾と同じバーサーカーとは思えんがな」

「……そっか」

「ふん……お前が気に病むことではない。世界を旅するのであろう。どこかで巡り会えるとも。吾と酒呑の絆は呪いなどで妨げられるほど脆いものではないからな」

 

口ではそう言うが、茨木童子の横顔は少し寂しげだった。

立香は一つ頷くと、もう一度茨木童子の頭の上に手を置く。

 

「む、だから吾に触れるなと」

「茨木童子、今はまだ無理かもしれないけど……だけど俺、頑張るから」

「む?」

「俺だってバーサーカーばっかりじゃ難しい。だから絶対呪いを解く方法を解明して、酒呑って子を呼んで見せるよ。約束だ」

 

立香の唐突な宣言に茨木童子は目をパチクリとさせて、次の瞬間堰が切れたように大笑いし始めた。

 

「ふふ、フハハハハハ! ハハハ! ハハハハハハハハ!! これはいい、傑作だ! さすがは吾のマスターだ! 鬼と約束を交わすなど、並大抵の人ではできまい!」

「え、えと……」

「ククク……いいか、マスター。鬼は嘘が嫌いだ。よって、その約束を破った場合、吾は汝を殺すことに決めた」

「!」

「どうした、怖気ついたか? 今ならまだ撤回できるやも知れぬぞ?」

 

ニタニタとこちら眺める茨木童子に、立香は強い眼差しで返す。

 

「撤回は、しない。約束だ。きっと酒呑童子をここに呼んで見せる。俺は、君のマスターだから」

「ふむ、良かろう! その約束が履行されるまで、汝を吾の主と認めてやる。鬼の主となるのだ。生半可な覚悟で吾の手綱を握れると思うなよ」

「元より、そのつもりだ」

 

ククク、と茨木童子は笑いながら残りのお菓子に手をつけ始める。

 

そう、この時藤丸立香はまだ知らなかったーー

 

もし、召喚器が直ったとしても、酒呑童子が現れるのにはーー

 

 

ーー大量の犠牲が必要なのだと。

 





サブタイトル詐欺

早くも立香くんの命は風前の灯火。
何故なら酒呑童子が来ることはないから(ネタバレ

うちにも来なかったし……


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第三話「イバラギンといっしょ」

前回のFGO!
あの後イバラギンとスマブラで遊んだら(鬼仕様コントローラーを使った)「少しは手加減をしろこの鬼!」と泣かれた。(ほっこり




 

茨木童子が来て早三日目。

お菓子で餌付けしたり、ゲームで娯楽提供したりして割と仲良くなった。

彼女はやはり自由なものが好きみたいで、専らやるゲームといえばーー

 

「おい、マスター! 追っ手だ、早く物をトラックに入れろ!」

「ちょっと待ってくれ今運んでる!」

 

絶賛銀行強盗の途中である。

題名はあえて出さない。分かった人は今日から君もフレンズだ。

 

「ちぃっ、吾が時間を稼ぐ。汝は荷物を運べ!」

「死ぬなよ! 体力に気をつけろ」

「誰に物を言っておる!」

 

向こうの画面では茨木童子が警官に向かってショットガンを連発していた。かなり数が多く苦戦しているようだ。

しかしそこはサーヴァント。持ち前の反射神経を使って対応している。

 

「後一つ……茨木、撤退だ!」

「あぁ、今ーーぐぁっ!?」

「茨木!」

 

最後の荷物をトラックに乗せたところでトラックに乗り込もうとしたところ、茨木が撃たれてダウンしてしまっていた。

 

「くぅ、抜かったか! 吾のことはいい! マスターは先に離脱しろ!」

「ダメだ、俺は茨木のマスターだ。見捨てるなんてできるかよ!」

 

すぐさま茨木の元へと戻り戦闘を開始する。

警官は無尽蔵に沸き、立香を見つけるやいなや撃ち始めた。

 

「くっ、愚か者め……」

「今更だろ、俺がなんとか隙を見つけて蘇生させる!」

「ふん……礼は言わぬぞ」

 

その後、なんとか態勢を立て直しダッシュして見事クリアした。

 

「なんとかクリアできたな」

「うむ、この緊張感、そして蹂躙感、たまらぬな。何かを強奪するというのは素晴らしい」

「はは、ゲームもいいもんだろ。しても文句言われないしな」

「フハハ、体を動かせぬのは物足りないが、良い、気に入った。しばらくはこれに興じるとしよう」

 

そう言ってもう何回か強盗を繰り返す。もう夕飯の時間になり始めていたので、一旦ここで解散、というときに茨木はあるものを発見した。

 

「む、これはなんだ? マスター」

「あぁそれは漫画だよ。読んでみたら?」

 

そう言うと、茨木はペラペラとページをめくり始める。

 

「ふむふむ……戯画というやつか。随分と絵柄も変わったな」

「まぁ時代が変わったからね。一応全巻あるけど、読む?」

 

今茨木が読んでいる漫画は、鬼の手を持つ教師が小学校で妖怪を退治しながら生徒と絆を育む物だ。中々に面白い回もあれば、怪談や妖怪ならではの怖い回もあった。今では古き良き名作として語られている代物だ。

 

「うむ、人に宿る鬼の手とは面白そうだ。持っていくぞ、マスター」

「分かった。夕飯が終わったら運ぼう」

 

そう言い交わし、夕食の後、茨木の私室に某漫画を全巻持って行った。楽しんでくれると良いのだけど、と立香は思う。

 

その日の夜のことである。

 

いつものようにマスター訓練をマシュと終え、慣れない戦闘訓練でヘトヘトになりながら自室に帰宅した立香はシャワーを軽く浴びてすぐに布団にダイブした。

そしてそのまま眠りにつき、ふと目を覚ますと、ゴソゴソと自分の布団の中に何かが蠢いている気配を感じる。

 

「な、なんだ!?」

 

ガバッと掛け布団を上げ中を見ると、そこには涙目で震えながら立香にしがみつく茨木童子の姿があった。

 

「な、汝ぇぇ……なんだあの漫画はぁぁ!」

「え、え?」

「あんな妖怪なぞっ、見たことも聞いたこともないぞ!」

「妖怪って……えっとどの話?」

「ぶ、ブキミちゃん……」

「あぁ……」

 

ブキミちゃんとは、夢で現れる少女の幽霊だ。ややこしい道筋を覚えて進まないと夢に取り込まれる話だったか。

茨木童子は平安時代の妖怪である。つまり現代妖怪については全く知らないのだ。

 

「わ、吾はこういう結界などという卑怯な手は嫌いなのだ。怖いとかではないぞ! 嫌いなだけだ! しかし、汝は吾に嫌いなものを見せた!」

「う、うん……ごめん」

「よって! ……よって、今宵は」

「うん?」

「今宵は……吾と共に眠れ。あと……腕枕だ、腕枕をしろ」

「うん!?」

 

最後の要求についてはさっぱりわからなかった。怖いから一緒に寝ろというのは分かるが腕枕も所望するとは何事か。

 

「……実は面白くてその後のもちょっとだけ見たのだ」

「あぁ……枕返しの回か」

 

枕返しとはブキミちゃんを収録した巻数のもう一個後の巻にある話だ。枕を返されるとパラレルワールドに行ってしまい酷い目にあわされるという。

 

「いいか!? 怖いわけではないが汝には責任を取ってもらうだけだからな!」

「分かったからその言葉を大きな声で叫ばないでくれ……」

 

もしこれマシュが聞いていたらと思うと心臓に悪い。立香としては貸したのは自分だしと断る理由もなく布団をかけ直す。

 

「吾より先に寝るなよ、絶対だぞ」

「はいはい、ほら、腕枕だったでしょ」

 

左腕を伸ばし、その上に茨木が頭を乗せる。そして安心したのかすぐに寝息を立てた。

その様子に立香は微笑みながら、少し頭を撫でて明かりを消し、自身も寝に入る。

 

「……………」

「……………」

「……………ううん」

「いっつ!?」

 

角が刺さった。

 




この小説は100%にわか知識でできています。

Q:どうして鬼であるイバラギンはブキミちゃんを怖がるの?
A:鬼は大抵精神攻撃に弱いと相場が決まっているから(作者調べ)


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第四話「襲来! 隣の晩御飯(ますたぁ)」

前回のFGO!
イバラギン「唸れ! 羅生門大怨起ぃぃぃぃ!!」
邪ンヌ「ぐああああああ!!」




 

藤丸立香は枕を涙で濡らしていた。

その理由は先ほどの特異点オルレアンで出会った英霊、マリー・アントワネットに想いを馳せているからである。

 

「うわああああああああんマリイイイイイイイイイイイイ!!!! あ"い"だ"い"よ"お"お"お"お"ぉ"ぉ"ぉ"!!!」

 

しかしバーサーカーしか来ない。

現実は非情である。

 

「エリちゃああああああああんんん!!! あの歌を……あー……それはいいや」

 

さすがに無理である。

 

「はぁ〜〜〜っ、ほれ、マスター。気落ちしていないでゲームをするぞ。最近はずっとフランスにいたからな」

「ぐすん……そうだね。来ないものは仕方ないよね……」

「まったく……ほら、涙を拭け。顔が大変なことになっているぞ。あーあー鼻水も、ほれ目を閉じていろ、拭くぞ」

 

ぐしぐしとティッシュで立香の顔を拭く。

 

「ほれ、チーンしろ」

「うぅ、ズズ……チーン! ……ありがと、茨木」

「情けないぞマスター。吾の主たるものもっとしっかりしておれ。この間の意気はどこへ行った」

「ごめんよぉ……不甲斐ないマスターでごめんよぉ」

「あぁもう泣くな泣くな、ちり紙が何枚あっても足りぬではないか」

 

その後立香は茨木に慰めてもらい、ようやく落ち着いた。

オルレアンの旅を経て、茨木との仲はかなり良好になった。マシュがふくれっ面になるほどだ。

しかしマシュの功績も凄まじいものである。彼女のスキルがなければバーサーカーである茨木一人では辛い戦いになっていただろう。そう考えると、いつまでも落ち込んではいられないと立香は奮い立った。

 

「明日にはマシュへのお礼のためにクッキーでも作ろうか。あんまり上手くはないけど」

「む、それは吾への分もあるのだろうな?」

「もちろん、茨木にも頑張ってもらったしね」

「うむうむ、貢ぎ物はとくと用意せよ。吾への感謝の褒美を忘れぬとは汝も出来るようになったな」

「はは、じゃあゲームを始めようか」

 

そう言ってコントローラーを手にした瞬間、部屋の扉がノックされた。

 

「む、間の悪い客だな」

「茨木は先に進めてて。はーい」

 

返事をし、扉を開ける。

そこには、見覚えのある顔が立っていた。

 

「先ほどぶりです、ますたぁ。あなた様の清姫ですよ」

「き、き、きよひー!?」

 

きよひーこと、清姫。

先のオルレアンで仲間として行動を共にしたサーヴァントの一人である。

立香のことを安珍という彼女の逸話の重要人物の生まれ変わりだと思い込み、そして慕っている少女だ。ちなみに歳は数えで13歳、つまり12歳。なのにかなり身体は……その、なんというか、素晴らしいですはい。

 

「はい、今お時間よろしいですか?」

「あ、うん。というかどうしてカルデアに? ってあぁそういえば攻略サイトに書いてあったっけ。バーサーカーだから来れたのか……」

「はい! バーサーカーしか召喚できないという呪い、しかしそれは私にとっては無に等しいのですよ、ますたぁ。いえ、どちらかといえば好都合。なんということでしょう、やはり私とあなた様は運命で繋がっているのです! これはもう結婚するしかありません!」

「ははは、嬉しいけど今の日本じゃ俺も清姫もまだ結婚できないんだ……あれ俺って何歳だっけ……まぁいいや」

「あぁ……私にまだ待てをされるのですね。ですが良いでしょう、私はますたぁの忠実な下僕。ますたぁが待てとおっしゃるのならば10年20年いえ100年でも待ちましょう……でも、私はますたぁの愛が欲しいのです。手始めにまず頭なでなでから……」

「今は茨木とゲームしようとしてるから後でで良いかな? あ、きよひーもする?」

「……………………はい?」

 

きよひーが固まる。すると部屋の奥から茨木が「おーい、話はまだ終わらんのかー」と声をかけていた。その声によってきよひーの雰囲気がどんどんと黒い靄のようなものを噴出し始め、ぎぎぎと部屋の中を覗き込んだ。

愛しの旦那様の部屋で、オルレアンでいたパツキン鬼が寛いでいるではないか。

 

これは浮気ですか? はい、ばっちり見ちゃいました。

 

「燃やさなくては……」

「え!? うわっダメだよきよひー! 室内で炎は厳禁だってば!」

「ますたぁ? 私を置いて他の女と室内で何をしていたのです? ……もし嘘を吐こうものなら……」

「えっと……今からゲームしようとしてた、かな」

「ゲームとはなんですか!? いけない遊びですか!? こう、くんずほぐれつイチャイチャ遊戯ですか!?」

「そんなんじゃないよ!?」

「……むぅ、エステでもしているか。吾に似せようとするにはやはりこのデューマンでなければならぬか……」

 

茨木は画面に映るキャラクターを自分に似せようと頑張っていた。

ツノが細くて不服らしい。

 

「……本当に、いやらしいことはしてないと?」

「当たり前じゃないか。きよひーもやってみようよ、人数は多いほうがいいしね」

「え、えぇはい。……では、私もやってみます」

 

清姫の部屋の中に招き入れ、自分のコントローラーを手渡した。3人でやるならもう一台ハードとモニターがいるなと考えながら、清姫にキャラクリエイトをさせる。

 

「どうすればよろしいんでしょうか?」

「自分の分身を作ってみようか。細かく設定できるから、出来るだけ似せてみよう」

 

操作に四苦八苦しながら、数時間。ようやく清姫に似たキャラクターになった。

 

「へぇ……現代の遊戯は凄いんですね……わぁ……」

「喜んでくれて何よりだよ。茨木、きよひーに操作させるから色々と頼める?」

「仕方ない、吾についてこい」

 

きよひーのクラスはフォースとなり、武器は自分のボックスの中に確か扇があったので、それを目指すことにした。さすがに清姫の衣装は似たものがなかったので着物を着せている。

 

こうしてまた一人、カルデア内に娯楽者が生まれることになる。

だが忘れないでいただきたい。彼らはちゃんと世界を救っていることを。

 

そして一番の娯楽者はここのトップのドクターロマンであることを。

 




第一章でマリーと叫んだ人間は俺と握手。
そして一章する前の星4鯖配布でエリちゃんを選んだ人間は俺とフレンドになってください。

今回のゲームは某オンラインゲーム。今はしてない。
キャストでアタランテを作ったのはいい思い出。


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第五話「恋の抑止力(防火服)」

前回のFGO!

ついにミッション10まで到達した立香、茨木、清姫、ロマンの四人パーティ!
時間は残りわずか、果たして1/3になってしまったチームでクリアなるか!
というか四人残して全員リタイアするってどういうこと?



 

 

ーー深夜二時

 

金色の髪がひょこひょこと不可思議な動きをする。あっちへこそこそ、こっちへキョロキョロ、その持ち主が夜のキッチンを漁っているからだ。

 

「確かここにマシュが作ったお菓子の試作品が……」

 

茨木童子、好きなものは甘いもの。

今日も今日とて盗人のようにお菓子を漁っている鬼の首魁だ。

 

「昼間はマシュが鉄壁の防衛を行なっているからな。夜は吾の時間だ」

 

鼻歌でも歌いそうなほど上機嫌な茨木は、業務冷蔵庫上段の隠された場所にある冷やされたチーズケーキを発見する。

 

「おほっ、見つけたぞぉ……」

 

ヨダレを垂らしながらニヤリと笑みを浮かべ、そーっと皿を取り出す。

皿に触れたその瞬間、ぱちりとキッチンの明かりが灯された。

 

「何奴!?」

 

バッと振り返ると、そこには呆れ顔の清姫がいた。

 

「なんだ、焼き殺しの蛇ではないか。こんな時間に何の用だ」

「それはこちらの台詞です。ますたぁを困らせる行いはほどほどにしろと、あれだけマシュさんに叱られているでしょう?」

「む、それはマシュが悪いのだ。吾に甘いものを供物するよう言っておるが、あれでは全然足らぬ。いつもの二倍、いや三倍、もっと寄越さぬのならこうして奪うまでよ」

「……それでいつもの量を減らされては本末転倒というものではないですか」

「ならばもーっと奪うまでではないか」

 

意見は平行線を辿り、反省の気のない茨木に清姫はさらに深くため息を吐く。

そんな様子を茨木は愉快そうに笑った。

 

「……話が通じないようであれば、実力行使しかないようですねぇ」

「ククク、やってみるか……龍もどきが鬼の吾にかなう道理はないと教えてやる」

「そうですか、では……私はこれを燃やしましょう」

「なっ、それは!?」

 

それは、茨木が大切にしているチョコボールの銀のエンゼルであった。その数は四枚。五枚貯まれば缶のお菓子が貰えるのだ。

 

「私もこのような外道な行いはしたくないのですが……ですがそれもますたぁを思ってのこと。おいたの過ぎる鬼は退治しなければなりません」

「ま、待て! 話せばわかる!」

「では、ここで私に嘘偽りのない約束を交わしてくださいな。もうお菓子を盗まないと」

「ぬおおおおおお、き、貴様……人質とは卑怯だぞ!」

 

涙目で清姫を非難する茨木。

立香に頼んでチョコボールの発注し、ようやく集まった四枚だ。ここで手放すにはあまりに惜しい代物、しかしこの夜食を食べられないのは嫌だ。特にこのチーズケーキは食べたい! 今!!

そんな葛藤が生まれる茨木は、咄嗟にあることを思い出した。

 

それはオンラインゲームをしていた時のこと。

トレードと呼ばれるアイテムの交換の際に茨木はどうしても欲しいアイテムがあり、どうすれば手に入るのか立香に聞いていた。その際に立香はこう言っていた気がする。

 

『欲しいものがあるけど手に入らない? そういうときは値引き……まぁ交渉してみたらいいんじゃないかな? 自分と相手が妥協できる範囲を相談して決めるんだ。話ができる相手ならもしかしたら安値で手に入るかもしれない』

 

交渉!

そういうのは自分の親友、酒呑童子が悪辣なほどに上手かったのを思い出す。

優しく言っているようで凶悪な脅しであったり、相手の言葉を挙げ足取り自分の呼吸にしたりと、ずば抜けた交渉術の秘訣を茨木は聞いたことがあった。

 

『んー……相手が何を求めとうて、何を捨てられるか。何を好んでおって、何を必要としとるか、それを見極めんとあかんなぁ。要は相手のことをどれだけ知っとって、どれだけ理解しとるか、それさえ分かりゃああとはこっちの手のひらの上や』

 

これだ! と茨木は清姫に人差し指を突きつける。

 

「マスターの部屋にあるマスターの幼い頃の写真本の在処、それを教えてやろう!」

「なっっっ……!?」

 

その時、清姫に電流走る。

コンマ二秒、清姫の脳内には立香の子供の時の光景が妄想として流れ続けた。

 

「な、なぜその様なお宝本……ごほん、その様なものの在処を知っているのです?」

「ふふん、さて、それを教えては答えがわかってしまうかもしれんからな。どうだ? 吾を見逃す代わりに、それで手打ちにしようではないか」

「くっ……!」

 

清姫は天秤にかける。

ここで茨木を止め、ますたぁとマシュさんにお礼を言われるか、それともますたぁのお宝本をこの目に焼き付けるか。

 

『きよひー、茨木の盗み食いを止めてくれたんだって? 偉いじゃないか、ほら、よしよし』

 

頭の中のますたぁが優しげな笑みで清姫の頭を撫でる。

そんな傍ら、子どものますたぁがこちに笑いながら手を振っているのが見えた。

清姫は虚空に手を振りながら、鼻血を垂らして笑っていた。

 

「ま、ますたぁ……そんな、当然のことを……」

「む、うおっ」

「いえ、手を止めないでくださいまし……ふへへ……」

「ち、違う! 吾は悪く、悪くないのだぞ!」

「あぁ、そんな……ますたぁが小さく……あぁ、なんて愛らしい」

「待て! 待て待て! 吾が悪かったからその盾はやめろ!」

「小さいますたぁがまるで我が子の様に……こ、これは、普通のますたぁと小さいますたぁが私と並んで……これはもう親子なのでは!?」

 

ぶしゅっと清姫の鼻から鼻血が勢いよく噴出する。

そしてそのまま後ろにバターンと倒れた。

 

「やめっ、やめろーー!!」

 

ついでに茨木も何者かによってガツーンと殴られ気絶した。

一体何シュ・キリエライトだったのだろうか……謎はついぞ解けることはなかった。

 

 

 

清姫が目を覚ますと、ますたぁの部屋だった。隣では立香が椅子に座りベッドにもたれかかって寝ているのが見える。

 

「私は……どうして……」

 

その呟きに、立香がううんと唸り、その目を開けた。

 

「あ、すみませんますたぁ。起こしてしまわれたのでしょうか?」

「……おはよう、きよひー」

「おはようございます、ますたぁ」

 

寝ぼけ眼を擦りながら挨拶する立香に、清姫は返答する。

立香は大きくあくびをすると、椅子の下から一冊の本を取り出した。

 

「……これは?」

「俺のアルバム。きよひーが見たいって言ってたってマシュから聞いたんだ。ちょっと恥ずかしいけど、茨木を止めてくれたらしいし、そのお礼」

「そんな、よろしいのでしょうか?」

「うんまぁ……減るもんじゃないしね。じゃあ、俺はもうちょっと寝るから……」

「あっ、ますたぁ」

「どうした?」

 

清姫はそっと布団の片方を開けると、ポンポンとそこを叩く。

 

「座りながらでは姿勢が悪くなってしまいます。お休みになられるのであればここへどうぞ」

「……いいの?」

「えぇ、もちろんです。ここは元々ますたぁのお部屋。何を遠慮する必要がありましょうか」

 

立香は眠気のせいか、フラフラと布団の中に入った。

そしてそのまま眠りへと着く。

 

「ふふ……ますたぁ。ゆっくりとお休みなさいませ」

 

立香の頭を撫でながら、清姫は優しく微笑むのだった。

 

 

 

一方、朝方。

廊下では『もう摘み食いしません』という掛け看板を肩から掛けて正座している茨木の姿が目撃された。





きよひーに潜入ミッションさせてスネーク!ってさせたかったと思ったら眠気と前置きが長くなってやめた。反省も後悔もしていない。

今更ながらお気に入り件数80件突破、UA6000突破しています。
閲覧された方々、お気に入り登録してくれた方々、そして感想をくださり評価してくれた皆様、本当にありがとうございます。
こう言ったものは非常に励みになり、モチベを随時回復させてくれますので続々応募しております。

それではまた次回お会いしましょう。


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第六話「新・清姫伝説20××」

前回のFGO!

清姫「二番と八番と十番の方が嘘を吐いています」
茨木「おい誰だこいつに人狼教えたの! ちっとも楽しくないぞ!!」




ぎしっと、ベッドが揺れて目を覚ました。

薄暗い室内に誰かの影が映る。寝ぼけた頭で思考が正常に起動せず、それが誰か分からない。いや、今チラリと見えた角は……。

 

「きよ……ひめ……?」

「はぁい、ますたぁ。あなたの清姫ですよ」

 

ようやく頭が動き始めた。

頬を赤く染め、幼さを伴いながら妖艶に微笑む清姫がそこにいるのだ。

 

「どうしてここに……まだ起きる時間じゃないけど」

「うふふ……少しばかり一人の夜が寂しくなったので。ますたぁもそう思いませんか?」

「……一緒に寝るのはマシュに禁止されてるはずだ」

 

以前一緒に寝た件以来、マスター独占禁止法というものがマシュによって設立された。立香はそれを拒めなかった。理由は彼女がいつもロマンから胃薬を貰っているからである。

 

「えぇ、ですので……こうして夜に這い寄って来た次第。さぁ、安珍様。今宵こそ一緒に……一緒に……」

「……どうかした?」

 

突然清姫は顔を爆発させたかのように真っ赤にさせると、鼻を押さえて部屋の隅にトテテテと移動する。

 

「だ、大丈夫!?」

「み、みひゃいへくらひゃい、まふはぁ……」

「いや見ないでって……あ、あー」

 

見ると清姫は鼻から大量の鼻血を噴出させていた。

そして自前のティッシュを情けなく鼻に詰めている。

 

「うぅ……むひゃひもひょうひゃったのひぇふ……はひはなひひょうひょうぉひゅるひょ、ほうやっひぇはにゃひひゃ……」

「『昔もこうだったのです、はしたない想像をすると、こうやって鼻血が』? あぁそういえばマシュもきよひーが鼻血出したって言ってたっけ……」

 

そういう理由だったのか、と立香は清姫を不憫に思う。状況的には完全に自爆であるが。

とりあえずティッシュとなけなしの鼻血知識を思い出し介抱する。先ほどまでの妖艶な雰囲気はすっかり消え失せ、そこには微笑ましさしかない少女がいた。

 

「昔もってことは……もしかして安珍に夜這いした時もこうだったの?」

「うぅ……はい、お恥ずかしながら……」

 

そりゃ断られるわ。立香は思ったことを寸前で口に出すのを止めた。

 

「しかしその後にもう一度寄ってくれると約束し、私も心の準備を決めていたのに……嘘を吐いてまで来て下さらず……」

 

安珍は清姫の屋敷には寄らず、追いかけて来た清姫に嘘を吐き姿を隠した。

彼女の嘘嫌いはそこからである。愛しい男から騙され、逃げられた憎しみが彼女を伝説と化してしまったのだ。

 

「ますたぁ、ますたぁは私を抱いてくれますか……? こんな不甲斐ない私を、こんな醜い私を……抱きしめてくださりますか?」

「…………それは無理だ、今の君に愛を囁いても、君は俺を許さないと思う」

 

それは、ただの憐れみでしかない。

彼女が求めているのとは全く違う代物だ。

 

「ふふ……そうですわね。あぁ、ますたぁ……私に嘘を吐かないでくれてありがとうございます……」

「でも」

「ふぇ?」

 

立香は清姫の頭を優しく撫でる。

突然のことに驚いた清姫は言葉を失った。

 

「でも、君を慰めることはできると思うんだ」

「ま、ますたぁ……」

 

 

 

 

 

「慰めるってそういう」ブシャッ

「き、きよひーぃぃぃっ!」

 

着物が真っ赤になって再臨したみたいでしたまる




オチが思いつかない時は大体やっつけるんですが、これじゃいけないって思って研究したんですよ。
思いつきませんでした。

きよひーは13歳(数え)の女の子なんです! しかも貴族の娘なんですよ!? 超初心に決まってるじゃないですか! そんな子が夜這いしたらそりゃ興奮して鼻血吹き出しますよ! 相手超絶イケメンですよ!? そして女の子が自分のせいで鼻血吹いてるなんて思ったら普通近づきませんよ!

これが事件の真相だよ。(ロンパ感


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第七話「君の夢」

前回のFGO!
ぐだ「呪いを解け! レフ!」
レフ「ふははは! 良かろう! ならば私を倒して見せるのだな!」
アルテラ「フォ『の小説にはバーサーカーしか出ない』トンレイ!」
レフ「ぐああああああああああ!!!」
ぐだ「れ、レフダイーーーン!!」




 

マスターである立香が部屋に閉じこもったまま出て来ない日々が続いた。

理由は簡単、呪いが解けなかったせいで二章クリアで送られるママ、ブーディカが訪れなかったせいである。

この事態を重く見たカルデア組織内はすぐさまマスター慰安会と称し、サーヴァントたちに立香を慰めるよう提案した。

 

だがしかし、マスター世話係筆頭のマシュの励ましは先輩としての尊厳のために立香はこれを拒否! 流石に恥ずかしかったらしく強がっていた。マシュはショックで寝込んだ。

そして続く清姫はその幼くも隠しきれない母性は案外いけるかと思いきや、泣きじゃくる立香を前に鼻血を噴出、再起不能である。

 

というわけで茨木童子に最後の希望が託された。

 

「吾ヤダ」

 

にべもなかった。

 

 

 

茨木は自室で漫画を読みながら菓子を貪っていた。

 

「…………」

 

漫画の内容は地獄の鬼が面白おかしくたまに皮肉りながら地獄の紹介などをする漫画で、茨木は割とお気に入りであったが、今はあまり楽しめなかった。

お菓子は美味しいし、何も問題はない。しかし、どうにもモヤモヤするというかイライラするというか、茨木は次第に不機嫌になっていく。

 

「…………マスターのところで違う漫画を借りてくるか」

 

そう呟くと、漫画を閉じ立ち上がった。

立香の私室の前、 ノックもせずに開けようとし、先ほどの話を思い出す。

 

「……ふん、情けない」

 

扉を開ける。

 

「お、マカライト鉱石ゲットだぜ!」

「おい」

 

立香はモンスターをハントするゲームで鉱石集めをしていた。

さすがの茨木もこれには低い声を出す。

 

「ん? 茨木もする?」

「いや待て、何だ、汝は無様にも落ち込んでいたのではないのか!」

「あはは、そうだけど……恥ずかしながらね。でもちょっと寝て、マシュのご飯食べたらいつまでもしょげてられないと思って」

「何だそれは!」

「そりゃ一日経ったら気分転換もするさ」

「一日って…………一日?」

 

茨木は言葉を反芻し、時計を見る。

時刻はもう丑三つ時。集中できないと思いきや結構な時間漫画を読み耽っていたらしい。

 

「あ、あー……つまり吾の心配は杞憂だったわけか」

「心配してくれたの?」

「なっ!? すす、するわけなかろう! 誰が汝の心配をするというのだ、吾は別に、ただ汝が吾との約束を反故したと思い、怯えているのではないかと楽しみにしていただけだ!」

「あー……そうだね。その通りだ。……残念だけど、酒呑童子を呼ぶことは、できないみたい」

 

マスターは気まずそうに茨木から目を背ける。その様子に、茨木は重いため息を吐いた。そして、唐突にベットに向かい、その上で正座をする。

 

「おい、おいマスター。こっちに来い」

「茨木?」

「ふん、鬼の気まぐれは多いが長くは続かん。気が変わる前に早く来い」

 

太ももあたりをタシタシと叩きながら、茨木は立香を呼んだ。恐る恐るといった形で、立花は近づいていく。

 

「寝転べ」

「え」

「早くしろ。それとも力づくでされたいか」

「はい……」

 

戸惑いならも、誘われたように、立香は茨木の太ももを枕にして寝転がった。

茨木は立夏の頭を粗雑に、しかし優しく撫でながら、不機嫌そうに低く唸る。

 

「……昔、吾がまだ幼い時、母上にこうやって慰められたことがある。吾はこうされるのが好きでな。……そうだな、甘えん坊というものだったのだろう」

「…………」

「吾は……あー、幼い時はあまり鬼らしくない鬼であった。闘争ごとは苦手であったし、人はともかく動物を殺すのも、酒呑がやっていて母上にやれと言われたから、というのがあったからかもしれん。クク……あの頃から酒呑とは親友であった」

 

茨木の顔を盗み見ようとも、頭を撫でられている手がこっちを見るなというように力がこもる。

 

「ともかく、あまり鬼らしくもない吾は皆とのズレを矯正するために母上の教えに従った。あの頃は、いや今でも、真似事をしている気しかせぬ。首魁になってからも手下の鬼たちとはどこか隔意があったように感じる。まぁ鬼は細かいことは気にせぬ故、気づかれることもなかったがな」

 

クハハ! と彼女は高笑いした。

やはり、どこか無理して出したもののように聞こえた。

 

「……だが、酒呑は気付いていた。あいつは鋭く聡明であったからな。吾のことなど御見通しで、そしてーーそして吾はそれに強がった」

「茨木……」

「逃げたのだ。酒呑に嫌われるのではないかと、本音を隠した。人間と争わずに逃げようなどと、鬼としては失格以下だ。極刑ものだ。だから吾はそれを恐れ、より一層となりきった。おままごとを続けたのだ。酒呑はそれ以上何も言わず……吾の仮面を裂くようなことはしなかった」

「……どうして、その話を俺に?」

「ふん……寝物語のようなものだ。いや……重なって見えたのかも知れぬ。汝が、吾と」

「重なって?」

「……吾はどうしようもなく臆病で、どうしようもなく欠けていた。汝は……無謀なほど勇敢で、愚直なまでに気丈だ。だがそれでも、汝は人だ。脆く、弱い人間なのだ。昔と違い今は命のやり取りが日本では少ないと知った。汝が闘争や、殺しに慣れていないことはすぐに気付いた」

「そう、だね……ここに来る前はそういうのと無縁だった。死ぬなんて考えられなくて、程遠かった」

「そんな人間に人類を救えだなど、あまりにも狂った話ではないか。だが、汝は今もそれに立ち向かっている。強大な敵に、人類の存亡の責任に。何故だ、何故そうまでに強く振る舞える。汝は、何故立ち上がれるのだ」

「それはーー」

 

決まっている。

簡単な話だ。

彼女は強がった。親友はいても同類はいなかったのだ。だから孤独と立ち向かった。

 

「それはーー君たちがいるからだ。茨木」

「……吾、らか?」

「あぁ、俺は弱い。だけど、心強い仲間がいる。マシュやサーヴァントのみんなや、カルデアの人たちがいる。もちろん、茨木もね」

「…………」

「一人じゃどうしようもないかもしれない。でもみんなとなら立ち向かえる。立ち上がれる勇気をくれる。君だってそうだろう?」

「……さぁな」

「茨木は自信が無かっただけだ。でも、今は違う。俺は知ってる。茨木が勇敢で、高貴な存在だということを」

「……そうだろうか」

「一緒に戦ってきたんだ。それくらいは分かるさ。仲間のために体を張り、俺を引っ張ってくれている。それがどうして、君を否定することができるか」

 

そうだ、茨木は臆病ではあるが、決して逃げるような者では無かった。

仲間を見捨てず、自分も生きることを諦めない。それが間違っているなど、誰にも言わせない。

 

「それに、茨木が慎重なのは結構知ってるし」

「……なに?」

「だってゲームとかでもボスになったらヒット&アウェー戦法で回復重視、敵の動きを観察するために序盤はあんまり攻撃しないじゃん」

「む、む……」

 

無意識に図星だったのか、茨木は返答に窮した。

彼女は臆病だが、良い意味で慎重な性格であり、観察眼も高い能力がある。

 

「……そうか、もう知られていたのか。幻滅したであろう。こんなものが鬼などと」

「全然、むしろ助かってるよ。茨木は茨木だ。人間にだって色んな人間がいる。それと何も変わらないさ」

「…………マスター、酒呑の件だが」

「なに?」

「いや……諦めるなよ。吾との約束を破れば、わかっているな?」

「あぁ、必ず果たしてみせるよ」

 

立香がそう答えると、茨木はどこか安心したように笑った。

それから、立香が寝るまで茨木は黙って頭を撫で続けていた。そして寝たことを確認すると、小声でボソリと言う。

 

 

「……酒呑がおらずとも、汝がいてくれれば……なんて、莫迦げた話だな」

 

 

夜は更け、鬼は終ぞ眠らず主君を見ていた。

 




文字数3000オーバー
唐突なシリアス
UA15000突破
お気に入り500いきそう
感想20件到達
総合評価550突破

え、なにこれは(困惑
ありがとうございます(土下座

最初イバラギンにバブみを求める話が何故かこうなりました何故だ私にもわからん。サブタイトルなんか「ママを求めて三千里」とかいうふざけた感じだったのに。
修正後のサブタイトルは分かる人には分かる。分かったら握手。

アガルタの女クリアしました。
ネタバレは控えますがとにかくママと叫びましょう。

新しいバーサーカーが追加されましたね! うちに来るかな!
……扱いきれるかな。

たくさんの感想ありがとうございます。大雑把ながらに返信していますが、これからもどしどし待ってます。
あと誤字修正もありがとうございます。日本語技能高めなくちゃね、ごめんね。

あとがきが長い。まだなんか言うことある気がするけど後の話で書きます多分。


やっぱりあった追記:
なんか日刊9位になってるうううううううううううう!!!


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第八話「ますたぁを八十万で買います! by清姫」

前回のFGO!
?「私の出番を心待ちにしているファンには申し訳ないのだがまだ先なのだな。大人しく玉ねぎサラダでも食べておけ、しかしニンジンは私の物だワン。ところでここにはバーサーカーしか来ぬとご主人は言ったのだな。ということはオリジナルは永久に来ぬということである、やったぜ」





死屍累々であったと、後に立香は語る。

目の前に広がるは三つの死体(のようなもの)はピクリとも動かずに倒れ伏していた。

 

どうしてこうなったのか、思い出してみる。

 

あれはーー

 

「さぁ、ますたぁ? 結婚しましょう」

 

違う。もっと前だ。

 

あれは、茨木が暇つぶしに立香の部屋を漁っていた時のことだ。

 

 

 

「何してるんだ? 茨木」

「おぉ、汝よ。何か新しいゲームはないか? 気分転換に短いのがやりたいぞ」

「だからって漁らないでくれよ……うーんなにかあったかな……」

「む? この箱はなんだ」

 

茨木が棚の隅にあった大きな箱を取り出した。

 

「うわ、懐かしいなそれ。なんであるんだ」

「汝よ、これはなんだ」

「人生ゲームっていうボードゲームだよ。うーん双六のような感じかな。双六と違うのは最初にゴールした人が勝ちじゃなくて、最終的に一番お金持ちな人が勝つんだ」

「……なんというか、金があれば勝者などと下賎なゲームだな」

「ま、まぁ分かりやすいじゃない?」

「ふむ……暇だしやってみるか」

「じゃあ人数揃えようか。四人くらいがいいかな。マシュと清姫を呼んでこよう」

 

そう、そうして立香、マシュ、茨木、清姫の四人で人生ゲームを始めたのが、全ての始まりだった。

最初は順調だった。ちまちました数千円程度のやり取りや、アイテムカード取得に、職業選び。

ちなみに立香はサラリーマン、マシュは医者、茨木は弁護士、清姫は花屋となった。意外にも合ってるな、と立香は思う。自分はサラリーマンという地味さは少し複雑だが。

 

そしてーー事件は起きる。

 

「あら、このマスは?」

「これは……結婚マスですね。確定マスのようです。自分の車に異性の駒を乗せて他プレイヤーから祝義を貰うそうです。祝義は出目によって変化するようでーー」

「では……これからますたぁと協力プレイですね!」

 

空気が…………凍った。

 

「……あー、きよひー? プレイヤー同士はできないんだ」

「ですがますたぁ以外の男などと結婚したくありません。ますたぁの駒をこちらに乗せてくだされば、あとは私とゴールを目指しませんか?」

「ちょっと待ってください清姫さん、それはルール違反では」

「ですが、ルールブックにはプレイヤー間の結婚は禁止されてはいません。つまり大丈夫ということです」

「しかし……っ!」

「それにますたぁ? ますたぁは私と将来を約束した身。例えゲームの中でも、いえゲームの中だからこそ夫婦の関係を築いてみませんか」

「えーと……」

「ダメですダメです! 先輩は……先輩は!! 私と結婚するんです!」

 

再び…………空気が凍った。

 

「ふ、ふふふ、マシュさんはまだ結婚マスに着いていませんよ?」

「それなら先輩も結婚マスに行っていません! そして次は私のターンです! ほら!」

 

カラララとマシュがルーレットを回すと、それは都合が良いのか悪いのか、結婚マス行きとなった。

 

「ほら!」

「ぐぬぬ……」

 

何がぐぬぬだ(様式美)。

 

「さぁ先輩! 清姫さんか私、どちらと結婚したいですか!?」

「私ですよね! ますたぁ!」

 

さてそう答えたものかと立香は悩んでいると、今まで黙りきっていた茨木が、静かにルーレットを回した。

それは結婚マスへ行く数字となり、自身の駒を進ませると、茨木は妙に赤くなった顔で告げる。

 

「わ、吾も……どこぞの男と結婚するよりも……うー……汝の方が、いいぞ……」

 

空気が死んだ。

ついでに立香の呼吸も止まった。

 

「な、ぁ……!?」

「茨木さんまでも……!?」

「わ、悪いか! 吾だって生前は伴侶などいなかったのだ。ゲームとはいえ婚約は大事な事柄だと、母上が言っていた。相手を選んで、何が悪いというのだ」

 

顔を真っ赤にしながら唸るように言う茨木に、二人は言葉を窮する。

 

立香は止まった呼吸をなんとか再起動させながら、ギャーギャーと本人の意見も聞かず立香は誰のものかを言い争っている隙を突き、部屋からの脱出を試みる。このままここにいてはダメだと、死んでしまうと直感しながら。

 

しかし、無駄である。

 

「あら、ますたぁ? どこへ行こうと?」

「先輩! 逃げないでください!!」

「汝よ、は、早く決めろ!」

 

逃げられなかった。

壁際まで追い詰められ、立香は死の覚悟をした。

 

「私で決まりですよね。料理を筆頭とした完璧な家事。掃除は少しアレですが、まぁそれはそれ、愛嬌というもの。何より大切な愛は誰にも負けません!」

「先輩、私は先輩の隣を歩いていくと決めているんです。選んでくれますよね、先輩?」

「吾は……う、うー……な、なんでもない!」

 

どうしろというのか、まさか人生ゲームで三人の女性から求婚されるとは全くもって思わなかった立香は軽くパニックになる。

 

「「「さぁ!!」」」

「お、俺はーー」

『そこまでである!』

 

どこからともなく声がした。

かと思えばそれはものすごい俊敏さで三人の背後を取り、目にも留まらぬ速さで当身を繰り出した。

崩れ落ちる三人、それを見下ろす一匹の獣。

 

そう、彼女の名はーー

 

 

「タマモキャット、召喚に応じ参上したのだな! ご主人、そなたが我のマスターか?」

 

「あ、あぁ……」

 

キャッツ(good)! ではニンジンを寄越せぃ、ご主人よ。私はそう気が長い方ではないタマモなのだワン!」

 

その日、割と本気で意味不明な運命と出会うーーーー

 

 

人生ゲームは後日ダ・ヴィンチちゃんに頼んで封印してもらった。

過ちを繰り返してはいけない。(戒め)

 

 

 

「我の出番はまだ先だと言ったな? あれは嘘だ」




キャッツ!(挨拶)

日刊二位、ですって奥さん。思わず二度見どころか五度見しましたよ。
何回リロードしてもバグじゃないらしく消えませんでしたよ。

報告:
【朗報】アガルタのバーサーカー出演決定【回したら出た】

いやー……二万で出るなんて何て優しい設計なんだ(白目
でもキャスターもアサシンも出たし、今回のガチャは大勝利であった。やはり書けば出るのか(小説

たくさんの誤字報告ありがとうございます!
なんかもう……なんかもうすみませんね!!出来たらすぐに投稿してるもんで!

お気に入り件数1000も突破したし……あれ七話の後書きにお気に入り件数500突破しそうって書いた気がするんだけどな……ダブルスコアとか聞いてないよ。

たくさんの励ましメールもいただき、モチベがうなぎのぼりでございます。これからもどしどし送ってくださいね!(催促


では、また次回お楽しみに!


修正報告:アンケート内容を修正。


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第九話「キャッツコミュニケーション」

前回のFGO!

茶々「茶々じゃ! 茶々ー、実際のところイベント鯖じゃしー、時系列とか特に気にならんじゃろ? もう出てもいいと思うじゃが? なーなーそなたー」
ライコー「ならば私も……」
イバラギン「帰って!!」




 

良い匂いがして、立香は自然と目を覚ました。

どこかで嗅いだことのある食欲を掻き立てられる匂い。耳障りに良い焼ける音。そして香ばしく感じるーー肉の匂い。

 

「なんで人の部屋でケバブ焼いてんだこのバーサーカー!?」

「起きたかご主人! 新しい朝だぞ、希望の朝だワン!」

「重圧すぎるよ希望が! ちょ、換気。換気しないと部屋に肉の匂いが充満する!」

 

もう若干手遅れであるが、立香は部屋の換気扇をつけた。

どこから持ってきたのか分からない機材で、タマモキャットはケバブを焼きながら鼻歌を歌っている。

 

それから数分後、出来上がったケバブを朝から食べるという苦行を味わいながら、立香は改めてキャットに向き直った。

 

「さてーー」

「先制攻撃だワン! ご主人の部屋を片付けと称して調べさせてもらった!!」

「なにしてくれちゃってんの!? 色んな意味でフリーダムすぎる!」

「フハハハハ! ご主人はキャットのマスター、キャットはご主人のサーヴァント。故にご主人の身の回りのなんたるかを身を以て知っていたのである。うむ、褒めて遣わせ」

「図々しいよ!」

「して、ご主人よ。ご主人は一般男子のくせにエロ本の類は持ち合わせておらんようだな!」

「図々しい通り過ぎて馴れ馴れしいよ!! あと持ってるわけないだろ!」

 

キャットの自由気ままな言動に早速疲れてきた立香は、息を整える「隙など与えるか! 伏せカードオープン! キャットは正座して膝を叩いた!」

「ぐあああ!! ひき、引き寄せられる……!」

「こっちだ……こっちに来いご主人。万夫不当の膝枕を堪能させてやろう」

「くっ、俺は屈しないぞ! その尻尾を使われない限り! その尻尾をモフらせてくれない限り!!」

キャッツ(good)! ご主人の我が儘っぷりは我輩は嫌いではないぞよ。アタシの尻尾をモフらせてやる」

「キャットーーー!!」

 

立香は抗えなかった。

全速力でキャットの膝上に行き、そこに頭を乗せて寝転がる。

そしてお腹にふさぁっと乗っかった尻尾を思う存分堪能した。

 

「んっ、ご主人良い手つきだな。以前はペットでも飼っていたか」

「亀を少々」

「ほぅ良い趣味だ。んむ、手つきと関係無いな」

 

ケバブに起こされたせいか、またも眠気が襲ってくる。

立香はこの尻尾の手触りをまだ味わっていたくて眠気に耐えながら、会話で意識を繋ぐ。

 

「どうして……こんなことを?」

「ふむ、それを聞くか。まぁあれだな、キャットはこれが初の契約であるため勝手がわからぬ。キャラ的にもフリーダムさが売りであるしな。猫を被っても我輩は我輩であるために長続きしようもないしするつもりもないので、まずアタシのキャラを知ってもらうためにさせてもらった」

「そうか……色々と考えてるんだな」

「失敬な。キャットは聡明でかつ良妻であるぞ。ご主人が予想だにできないこともちゃーんと考えているのだ。なので、あれだ、まぁ……もし気に食わなければ、契約を切ってもらって構わぬ。キャットは奥ゆかしいからな、ナイン以外には。今ならまだ契約は切れるぞ、クーリングオフ期間中だ」

「そんなことは……しないよ……」

「眠そうだなご主人。ふむ、契約を切らないというのであれば、もうこれ以上は死ぬまで、いや死んでも離さぬ。クーリングオフ期間は終了した。特典として毎日キャットの餌付けと散歩と毛並みを整える権利をやろう」

「…………」

「ふふふ、ようやく寝たか。我の尻尾でここまで保ったことを褒めてやろうご主人」

 

器用に尻尾で眠る立香を撫で、キャットは笑う。

 

ーーーーーーニヤリ(・・・)と。

 

キュポンと、手、肉球? で持っていたマジックを取り出す。

 

「ふふふ、フハハハハ、キャットの手の届く場所で眠るとは油断大敵慢心だぞ。よく身を以て思い知るが良い」

 

キュッキュッと立香の顔に落書きを施して行く。

そして出来上がったものを見て、キャットはさらにニンマリと笑った。

 

「さて、あとはーーご主人が起きるまでにここに誰も来ないことを祈るだけだ」

 

『キャット専用』と書かれた、拡散型地雷を製造した犯人は、優しく微笑むのだった。




キャッツ!(挨拶)

いやー……日刊一位ですって奥さん。
大丈夫? 本当にこの作品が一位で大丈夫かハーメルン。あ、そっすかはい、あざーす(小声

皆様の応援があり、ついにこの作品が日刊一位に輝きました!
これからも頑張って行きたいと思います!

番外編について色々な意見、そしてこちらの不手際の件もありましたので……うん、全部ね! 了解!
とりあえず次の記念すべき十話は二本立て。
本編としての十話、そしてEX十話を書きたいと思います。

あと前回書いた選択肢とちょっと変わるかもしれないけどそこは勘弁してください! 思ったのと違う? 俺もそう思う!

イベント鯖を出すタイミングを計りつつ適当にこれからも書いて行きます!
では次回また読んでくださいね!


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第十話「その後彼の行方を知る者は誰もいない」

前回のFGO!

助けて





 

マシュ・キリエライトの朝は早い。

早朝五時に起き始め、ささっと身嗜みを整えてすぐさま食堂へと足を運ぶ。

 

カルデアメモ①:マシュは藤丸立香や茨木童子へのおやつのために昨日から仕込みを始め朝に仕上げる。

 

『お菓子作りは大変ですか?』

 

「えっと……これについて触れてはーーあぁ、ダメですか。いえ、そうでもありませんよ。先輩も茨木さんもカルデアの職員さん達も美味しいって言ってくれますので、今は作るのがとても楽しいです」

 

そう彼女は笑顔で朗らかに言った。我々は微笑ましく思いつつも彼女の後をついていく。

 

カルデアメモ②:カルデア職員達は四時起きで特異点の目下調査中ですが、廊下まで怨嗟の声が響いていますが無視して結構です。慣れています。

 

彼女がキッチンへ向かうと、そこには既に先客の姿がーー

 

「ここをこうして……ここで必殺! 隠し味の愛情(ハバネロ)であるのだな! これでご主人もイチコロだ」

「なるほど、ちょっとした刺激味で意識をーーあぁ、おはようございます。マシュさん」

「お、おはようございます。清姫さん、キャットさん」

「うむ、おはようなのだな!」

 

タマモキャットさんと清姫さんが料理教室を行なっていた。

 

カルデアメモ③:最近の食堂では花嫁修行が行われている。

 

「む、それは」

「ダメですよキャットさん、ますたぁから触れないよう言われていますよ」

「うむ、であるがそう言われると触れたくなるのが猫の心情というもの。我々は先に向こうに行っておいてやろう。吾輩の我慢が効いているうちにな。うずうず」

「あ、ありがとうございます」

「では、頑張ってくださいね。マシュさん」

 

そう言ってキャットさんと清姫さんは後片付けを終え食堂から去っていった。

しかしスタッフは見ている。キャットさんが最後、『ご主人用』と書かれた料理を持ってこちらを一度振り向きニヤけたのを。

マシュさんには見せずカメラだけに表情を出す。流石である。

 

カルデアメモ④:気遣いはするが遠慮はしないサーヴァント達。

 

マシュさんは手際よくおやつの仕上げに入る。

今日のおやつは何かな?

 

「今日はプリンと生クリーム、さくらんぼを掛け合わせたプリンア・ラ・モードを。プリンは昨日のうちにカスタードと一緒に冷やしておいたので、後はこれに飾り付けをして冷蔵庫に入れておきます」

 

そう言って彼女は作業に移った。

出来栄えのいいデザートはスタッフの目にも美しく感じ自然と涎が出る。

今日のお昼がとても楽しみだ。スタッフはカメラを置いて手伝いを申し出た。

 

カルデアメモ⑤:デザートはカルデアの人数分作るので量が多い。

 

デザートの支度が終わり、彼女は私室に戻る。と思いきや、違うところへ行くようだ。

 

『どこに行かれるのですか?』

 

「先輩のお部屋です。もう七時なので起こしてあげないと」

 

マシュはカルデア唯一のマスターであり彼女の慕っている人物、藤丸立香の世話を積極的に行なっている。我々スタッフ一同も彼女らの関係をいつも微笑ましく眺めているのだ。

ん、何か忘れているような。

 

「先輩、おはようございーー」

「辛っ! 重っ! うまっ!!」

「にゃっふっふーご主人。そんなに急がずともその料理は逃げぬぞ。遅かったらキャットが横取りするかもしれぬがな」

「ふふふ、お水はいかがですか? ますたぁ」

 

そこには先ほどサーヴァント二人が作っていた料理を、懸命に汗を流しながら食べている藤丸立香の姿があった。

失念していた。キャットの思わせぶりを見ていたはずであったのに。

 

カルデアメモ⑥:いつも修羅場は唐突に。

 

『マシュさん大丈夫ですか?』

 

「もう、清姫さんにキャットさん! 朝からそんな重いものを食べさせては先輩の胃がもたれてしまいます! 今日の予定は種火狩りなのにそれでは先輩の体調が危ないです!」

「ふっふー、そこは抜かりがないのだマシュよ。ちゃーんとその為のサラダも用意してある。良妻とはこういう気配りも大切であるぞ!」

「なるほど……! 夫の体調面も気遣う、勉強になります」

 

修羅場は……にはならなかったが、カオスな状況である。

 

カルデアメモ⑦:前振りなどない。

 

「マシュ、おはよう」

「はい先輩、おはようございます。今日も頑張りましょう」

「あぁ、頼りにしてる。っとこれ食べたら支度するよ」

「ますたぁ、こちらお召し物です。洗濯しておきましたよ」

「ありがとう清姫」

「ご主人、こちら新しいパンツだ。ちゃんとキャットが洗濯しておいたぞ」

「その情報はいらなかったかなキャット」

 

カルデアメモ⑧:お世話係は多すぎる。

 

『そういえば……まだ茨木さんを見ていませんね。寝ているのでしょうか?』

 

「あれ、そういえば昨日一緒にゲームしてたけどいつの間にかベッドで寝てたからな。部屋に帰ったのかも」

「…………ますたぁ、その掛け布団、捲ってもらってもいいですか?」

「ん? あぁーーえ」

 

藤丸立香が布団を捲ると、そこには丸くなって寝ている茨木童子の姿が。

 

カルデアメモ⑨:知らなかったのか? 修羅場からは逃れられない。

 

「ますたぁ……」

「にゃっふっふー、ご主人……」

「先輩……」

 

「いや! これは違う! あの時ほとんど徹夜だったから記憶がなくて」

 

「やっちゃってください清姫さん」

「ペロ! これは嘘の味なのだな!」

「えぇ、ではますたぁ、お覚悟をーー」

 

「え、ちょっ待っ!」

 

 

カルデアメモ⑩:デザートは美味しかったです。

 




エルドラドのバーサーカーの筋肉めっちゃエロいんだけどこれが恋なの……?(キュン

案の定アンケートは運営に怒られましたけど私は元気です。
ハーメルン運営、読者の皆様には多大なご迷惑をおかけしましたことをここにお詫びします。


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EX話「アヴェンジャーズ アッセンブル!」

前回のFGO!
ついに新宿を打破し帰還を果たしたぐだ子こと立香。
なんやかんやあってアヴェンジャーしか呼べない呪いをレフから受けていたが、もう諦めている。今度こそレフ消滅しちゃったしね!
そして新しいアヴェンジャーはお犬様であった。




 

 

このカルデアのチーム、藤丸立香とマシュとアヴェンジャーズの一日は大体決まっている。

もうすでに育成もやり切ってしまい次の特異点まで暇なので大体個人でやりたいことをしているのだ。

具体的にいうと、藤丸立香は趣味に没頭し皆と遊んでいる。マシュはそんな先輩のお世話を喜んで行なっているし、ジャンヌオルタこと邪ンヌとアンリ・マユは立香とゲームでよく遊んでいる。ロボは退屈そうに立香の人をダメにするソファになっているか寝ているし、ヘシアンもぼーっとしているかゲームの画面を眺めている? だけだ。エドモン・ダンテスとゴルゴーンはもっぱらに読書三昧、さらに口頭でチェスをやっている時がある。

 

しかし一つ、共通するならばそれは、大体立香の部屋に集まっていることなのだろう。

 

 

「もうっ! 何よこいつ全然倒れないじゃない!」

「慌てなさんなって。耐久値は高いが動きは遅い、攻撃モーションさえ掴めれば楽勝さ」

「あ、マシュ。六番行きそうだから、先に行って罠張っといてくれる?」

「了解しました、先輩」

「おわっ! 尻尾の当たり判定めちゃくちゃ広くない!?」

「タゲ取っとくから回復してきていーよジャンヌ」

「さすがに攻撃力高いな。もうちっと装備新調してくりゃ良かったか?」

「先輩! 落とし穴とシビレ罠、どっちがいいですか?」

「シビレ罠で」

「了解です!」

「うっしやり返してやるわ! 私の大剣のサビとなりなさい!」

「もうそろ逃げるか?」

「多分ね。追撃はいいから移動させて」

「おっけ、適度にダメージ与えてらぁ」

「あ、こら逃げるな!」

「話聞いてた? いいんだよ逃して。つーか逃がせ」

「ジャンヌ、次のエリアいくよ」

「ふん、私に指示しないでもらえませんか。あ、ちょっと置いていかないでよ」

「「すたこらさっさー」」

「何ですかその呪文」

「先輩、お疲れ様です」

「ん、あとはこっち来るまで待つだけだね」

「…………」

「…………あれ?」

 

「「「六番じゃないのかよ!」」」

 

「あはは……間違っちゃいましたね、先輩」

「ってペイント玉の効果切れた!?」

「見失う前に行かないとまだ移動されたら面倒だぞマスター! 恐らく七番だ!」

「あぁもう! せっかく準備万端だったのに! 見つけたら絶対叩き潰してやるんですから!!」

「もういねえぞ! どこ行った!」

「先輩! 私は千里眼の薬持ってます!」

「でかした!」

「さすが一番頼れるメガネが似合う後輩ナンバーワン!」

「四番です! 先輩!」

「そこがあなたの墓場ということを教えてあげるわ!」

 

 

「…………平和だな」

「ふん……おかげで本を読む時間がある」

「それもそうだ」

 

「グルゥ……」

 

今日もカルデアは平和です。

 





短いし中身がねえ!
と思ったそこのあなた、正解です。

クラス分けの設定がイマイチ分からんのですが、エルドラドのバーサーカーってアヴェンジャーっぽいですよね。
ロボと被るからバーサーカーにしたのかな?

気が向いたらオリジンというかEX一話するかもしれません。多分。

ではまた次回。


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第十一話「恋と病熱」

前回のFGO!

Which would be worse, to live as a monster or to die as a good man?




 

 

目を覚ますと、そこは自室ではなかった。

見たこともない光景が目の前に広がる。どこかの、寺だろうか。

星々が綺麗な夜であった。半月が空に上る、どこか哀愁の漂う夜だ。

 

ふと、寺の中に入ってみる。そこには梵鐘の前に佇む一人の少女がいた。

 

綺麗であった長い髪は乱れ、痛々しい傷が残った足は見るに耐えず、そしてその背には悲壮しか残ってはいなかった。

 

彼女は梵鐘に縋り付きながら絶えず問い続ける。

 

『どうして、どうしてーー』

 

返答はない。

 

『どうして、嘘を吐いたのですかーー』

 

返答はない。

 

『どうして、私を恐れたのですかーー』

 

返答はない。

 

『どうして、何も言ってはくだされないのですかーー』

 

返答は、なかった。

 

『嫌いであるのなら嫌いと、私の願いを聞き入れてくださらないのなら嫌だとーーただそう言ってくだされば、私はこのような想いになどならなかった。それなのにーー』

 

彼女はただひたすらと縋り続ける。

返答がないから。まだ信じているから。彼が自分を受け入れてくれるのではないかと希望を持っているから。

 

それでも、返答はなかった。

 

『どうして、どうしてーーそれでも何も言ってくださらないのです。貴方様は、何を恐れているのですか』

 

いくら言葉を紡いでも、彼は少女に何も応えない。

 

「当たり前ですよ。ここは夢の世界。私の夢なのですから」

 

「……清姫?」

 

いつの間にか、隣には少女を悲しげに見ているもう一人の彼女がいた。

いや、隣にいる彼女こそが、知っている少女なのだろう。

 

「ここは、私がまだ縋っている世界。だからこそ、私はまだ蛇になっていない。ここはまだ焔に包まれていない。ーーそして、あの人は応えない(・・・・・・・・)

 

答える前に、殺してしまったから。

死んだ者は語らない。

そこにあるのは想像でしかない。妄想に過ぎない。

なれば、返答は全て嘘でしかない。

 

嘘は嫌いだと、彼女は言った。

 

「私は心の中でまだ問い続けています。あの時の安珍様の真実は何だったのかと。事情があるのならその事情を、心情が何だったのかのならその心情を、私は知りたいと願い続ける。でも、きっと私は例え聖杯に願ったところでそれには納得しないのでしょう」

 

知る権利があったのも、時期があったのも、あの時だけだ。

そして彼女は怒りに呑まれ、それを手放した。

 

「人だけが嘘を吐く。それが人が人であるための証明なのですから。それでも……私が嘘のない世界を望むのは、もう人ではいられなくなったからなのでしょう」

 

「君は、人に失望しているのか」

 

「きっと。私は化け物に成り果ててしまいました。これからも嘘を憎む化け物として生きるのでしょう。でもこの結末は、私は嘘にしたい。化け物だからと言って、私は、私を化け物にしたくない」

 

梵鐘に縋り付く少女は弱々しくその手を離すと、ふらつきながら自分たちの前を通り過ぎる。

場面が変わる。そこには川が広がっていた。少女は一歩、また一歩とゆっくりと川に入っていく。

 

「あの時の私に必要なのは、嘘を憎む心ではなかった。嘘を赦す、好きな人には生きていてほしいと、願う心だった。私は幼かった。望めば何でも手に入るのだと驕っていた。私は……私は、失って初めて、それに気付いてしまった」

 

少女は川へ自身の身体を沈めていく。

 

「後悔しています。後悔しているから、私は、この結末を望んでいるのでしょう」

 

「…………それじゃあ君は」

 

「……ますたぁには、感謝しています。こんな化け物でも嫌いならないでいてくれて。嘘を吐かないでいてくれて。でも、私はきっと化け物となり、貴方様を殺してしまう。それだけは嫌です。それだけは、嫌なのです。だから、私は私であるうちにーー私を殺してしまいたい」

 

彼女は怯えている。

自身が化け物と成ってしまうことを。

そのせいで、また自分の大切な者を失ってしまう恐怖を。

 

「ますたぁ、お願いです。私を嫌ってください。自害しろと命令してください。貴方様の答えならば、私はーー私であり続けられる」

 

「…………」

 

答えは決まっている。

彼女の願いがそうであるのなら、彼の答えは決まっている。

 

「そんなのは、駄目だ」

 

彼は走る。

川の中へ。

この行動に意味はない。

所詮これは夢でしかない。それでもーー

 

それでも、

 

「誰かの幸せを願い自分は死んでいくなんて、悲しすぎる」

 

少女の肩を掴む。水底から浮かし、耳や口に入った水を取り除く。

 

「……それが貴方の答えですか、ますたぁ」

 

抱き寄せた少女がこちら見て呟く。

その目には、怒りとも、悲しみとも取れない曖昧な表情が浮かんでいた。

 

「誰かの幸せを願うのなら、自身も幸せであるべきだ」

 

「私は、私でいられるのなら、それで幸せです」

 

「それは嘘だよ、清姫」

 

「嘘は嫌いですよ、ますたぁ」

 

「嘘だよ……だって、君が泣いているから」

 

彼女の頬に伝う涙を指で拭う。

 

「君は彼に何を恐れているのかと問うていた。それは君もだ。君が恐れているんだ。彼に否定されることを、怖がった。嫌いだと、言われるのを恐れていたんだ」

 

「……でも、私は、嘘偽りなく答えてくだされば、諦められた」

 

「あぁ、でも人の心は(・・・・)そう単純じゃない」

 

「……私を、人だというのですか」

 

「当たり前だ」

 

彼がそう言うと、少女は呆れたように、嬉しそうに泣き崩れる。

 

「酷い人……女の意地も、願いも踏みにじるなんて」

 

「俺には君が必要だ、清姫。だから、勝手に死ぬなんて許さない」

 

「……本当に酷い人。安珍様のように、自分勝手な……私が愛する人」

 

世界が白くなっていく。

眩しさに目が開けてられなくなる。

 

「きっと、そちらの私はこの夢を覚えてはいないでしょう。夢は忘れるものですから。でも、取り込まれた貴方は覚えている。私になんて言うのです?」

 

「……いつも通りさ。何も変わらないよ」

 

 

 

目を覚ますと、いつもの天井が見えた。

隣には、すぅすぅと眠っている件の少女がいる。

 

「まったく……だからか」

 

彼はボリボリと頭を掻き、彼女を揺すった。

 

「んにゅ……おはようございます、ますたぁ」

「あぁおはよう、清姫」

「……良い夢を見ました。ますたぁが、私を抱きかかえる夢を。ますたぁはどんな夢を見ましたか?」

 

 

 

「……君と同じ夢さ」

 

 




ほのぼの(大嘘

清姫の幕間やwiki見てると色んな伝承があって、彼女の望んだ世界が、伝承の一つ『蛇にならず安珍も殺さず、自分は入水した』というものにしてみました。

実はこの話を書く前に、前振りとなる話があるのですが、それがこの英文の映画を見る話なのです。ネタバレとなりあまりに危険なため書きませんでした。
なので唐突に感じるかも知れませんがまぁそれも今更なのでお許しください。

前書きの英文はググらないほうがいいです。


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第十二話「王様が言うことは」

前回のFGO!

「ますたぁが私と同じ夢を! もうこれは結婚するしかないのでは!?」
「それはそれとして、勝手に寝室に入ってきた罰をしないとね。マシュさん、お願いします」
「はい、先輩」
「あ、ちょっ、ちょっと待ってくださいまし。それはさすがに乙女には、あっ、あ、あーーーっ!!」





 

 

「なぁなぁご主人。ここに割り箸があるのだが」

「え、あぁうん。そうだね」

「じゃあ王様ゲームするぞー」

「前振りを面倒くさがるのそろそろやめない?」

 

いつものようにダンプカーの如く唐突に物事を起こすキャットの提案で、立香たちは集められた。

 

「汝よ、王様ゲームとは何だ」

「えーと、人数分の割り箸に王様とその他に1からの数字を入れてくじ引きをするんだ。王様を引いた人は王様もしくは数字を言って、命令を下せる。まぁ程度にもよるけど不可能じゃないなら絶対に遂行させなくちゃいけないゲームだよ」

「…………つまり、王様になったらますたぁと、いえ、王様になったますたぁから命令を、も悪くありませんわね」

 

じゅるりと、隣に座る、と言うか寄りかかってくる清姫の口から変な音が聞こえてくるがスルーした。

 

「ふむ、であれば吾が引いて何番かにお菓子を作れと言うのもアリか……」

「あ、王様はご主人固定だワン」

「にゃんとぉ!?」

「あの、それはゲームとして機能しているんでしょうか?」

「ご心配には必要ないマシュ嬢よ。本来ご主人はマスターで我々はサーヴァント。即ち必然的に命令を下せる立場になるのは当然である」

 

キャットルールに、茨木はグググと唸りを上げる。そんなにお菓子が食べたかったのか。

 

そんな折、キャットが立香以外を集めてヒソヒソと話し始めた。

 

「まぁまぁ聞いて驚け。ご主人から合法的に命令されるのであるぞ? つまりはだ、ご主人からのお願いを十二分に達成すればーー」

 

ピキンと、三人の頭脳が閃く。

(ますたぁからの命令……上手くいけば褒めてくれる。上手くいかなくても……あぁ、そんな、はしたない。けれど……!)

(先輩からのお願い……より一層指示を受け取りやすくするためには必要かもしれない。何より先輩はレイシフトの疲れが溜まっているはず。癒すのも後輩の役目ですよね、先輩)

(お菓子)

 

各々想いを馳せながら乗り気になる。キャットはそれに満足しながらーーニヤリと笑う。

 

「では、ここからは運との勝負である。誰が当たっても恨んでくれるな」

「もちろんです。クジを引いてから命令を受ける。これでイカサマも不可能でしょう。それでよろしいでしょうか?」

 

清姫の提案に皆が頷く。

と、キャットは思い出したかのようにポンと手を叩いた。

 

「ご主人、命令は全部一つの数字の者からご主人にするされることで頼むぞ。でないと我々が面白くないからな!」

「これもう王様ゲームじゃなくて違う何かだよね……まぁいいけど、どうしようかな」

「では考えておくとよろしい。じゃあ行くぞーー」

 

キャットが持つ割り箸にマシュ、清姫、茨木が手をつける。

 

「奴隷はだーれだ!」

「何その掛け声」

 

立香の無粋なツッコミにも聞く耳を持たずクジは四つに分かれる。

皆自分のクジをちらりと見ると、立香に視線が集中した。

 

「んー……そーだなー……じゃあ、二番が俺の膝に座る、とか?」

「うぐ」

 

立香がそう答えたとき、誰かの変な声が出る。皆の視線は一様に二番の者へと移った。

そこには茨木が震える手で二番と書かれた割り箸を掲げている。

 

「むぅ、ますたぁ、三番でも良かったのですよ?」

「王様の言うことは絶対、である」

「むぐぐぐ、はぁ〜〜〜っ……ほれ、汝よ膝を開けろ」

「はい、おいで」

「優しげな声を出すな気色悪い……んっ」

 

ポスっ……と茨城は小さく立香の膝上を独占した。居心地が悪そうにモゾモゾとする茨木の頭を撫でながら、立香は満足そうな顔をする。

 

「むぅぅ、さぁもう一回ですわよ!」

「合点である! ではもう一度割り箸を繰り直して……よし、では引けぃ奴隷どもよ!」

「その呼び方どうにかならないのですかキャットさん……」

「ん……」

「じゃあ、奴隷はだーれだ!」

 

各々もう一度割り箸を取る。ちゃんと立香は目をそらして茨木の数字を見ないようにしている。

 

「じゃあ、一番の人が……犬耳セーラー服を着て語尾に『ワン』を付けること!」

「…………ふぇ?」

 

一番、清姫が顔を赤くして反応した。

 

「そ、そそそそんなはしたない格好と言動……!」

「おいご主人! それはキャットとだだ被りだな!? アタシに当たったらどうする気だったんだ!」

「というかどこからそんな衣装が……」

「おい、あんまり興奮するなマスター。グラグラする」

 

その後ダ・ヴィンチちゃんが持っていたコスプレ衣装を借り、清姫は着替えてきた。もちろん犬耳、そして本人たっての希望で首輪付きだ。

 

「ど、どうですかワン? ますたぁ、め、めす、雌犬清姫の姿は」

「…………」

「おい」ドスっ

「ぐふっ……た、助かった茨木。呼吸が止まってた」

「先輩最低です……」

「これにはさすがのアタシもご立腹であるぞご主人! それともメス猫ではダメなのかー!?」

 

仕切り直して、三回目。

 

「んーと、そうだな……じゃあ四番の人に、ちょっと水頼んでもいいかな。喉乾いちゃって」

「何ゆえそういう無難な頼み事の時にキャットを引くのだー! ちくしょう水だな頼まれたー!!」

 

ダダダと泣きながら走っていくキャットを残ったメンバーは気の毒そうに見ていた。

戻ったキャットの持ってきた水を飲みながら、四回目のゲームが始まる。

 

「奴隷はだーれだ!」

「じゃあ……三番の人が抱きつく!」

「ぬぁ!?」

 

今度もまた、立香の膝に座っている茨木が悲鳴をあげた。

そしてぎこちなく立香の正面に向き直ると、まるで油の切れたロボットのようにギギギとその腕を立香の首から背中に回して頭を預ける。

 

「…………これで満足か、愚か者め」

「あぁ! 先輩の呼吸がまた止まっています!」

「何で茨木さんはこんなに肉体的接触が多いのですかワン! はしたない羨ましい!」

 

茨木の角で立香を突き、正気に戻して五回目。

 

「奴隷はだーれだ!!」

「二番が背中に寄り添ってくれる!」

「わ、私ですか……。よろしくお願いします、先輩」

 

マシュが立香の背中に回りそっと体を寄せる。

 

「(……なんだかますたぁのテンションが異常なような……ここまで欲望をあらわにするお方ではなかったはずですが)」

「(にゃっふっふ……仕込みは上々である)」

「(貴女まさか……盛りました!?)」

「(左様。あまりにもご主人が遠慮がちな命令が多かったであるからな。少しばかりアルコールを……)」

 

続く六回目。

右腕に引っ付くことと、キャットが命じられた。

 

キャットは喜んで立香の右腕に縋り付く。

 

そして七回目を待たずに清姫が名指しで左腕へと命じられた。

四人全てが立香に触れ合う体勢である。

 

「おいこれはいつまで続ければいいんだ」

「無論、ご主人が飽くまでである」

「先輩の背中あったかいです……眠ってしまいそう」

「ますたぁ……」

 

結局のところ、アルコールによってもたらされた眠気によって立香はダウン。お開きとなった。

翌日になると立香はキャットの持ってきた水を飲んだ後の記憶はなく、マシュによって奴隷ゲームは禁止となった。

 

「ところで清姫さんはいつまでその格好をしているんですか?」

「もちろん、ますたぁが飽きるまでですよ」

「……ちょっと先輩、お話があります」

 

ダ・ヴィンチちゃんのコスプレ衣装はマシュによって全チェックされ、数多の衣装が封印される事態となった。





キャッツ!(挨拶)

意外とネタが枯渇気味である。もう四章まで飛ばしてしまおうか。
フランちゃんうふふ。

あー、清姫の犬耳セーラー服とか絶対嫁にするんだよなぁ。
水着イベはやく来ないかなぁ。


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第十三話「Amazonだと余裕」

前回のFGO!

マシュ「ダメです先輩! 元いた場所に戻してください!」
ぐだ「やだー! うちの子にするのー!」
ジャック「するのー」
きよひー「(白い髪→再臨したら私もそうなる→つまり私とますたぁの娘)連れて帰りましょう、ますたぁ」
イバラギン「その理屈はおかしい」
狐娘「ポジティブシンキングすぎてある意味天才だワン」
フラン「ゥ…………ばか、ばっか……」





 

 

 

「ますたぁ、白無垢かウェディングドレス、どちらがよろしいですか? 私としては白無垢が良いと思うのですが」

「きよひー、物事には順序ってのがあってそれを守るのが世のためになるんだよ」

「では今月号のゼクシィを注文しますね」

「そういうことじゃないよ」

 

 

 

第四特異点ロンドンを踏破した立香は、そのあと加入したフランケンシュタインのために施設の案内をすることにした。

 

「ようこそ、カルデアへ。さっそく案内させてもらうけど、なにかリクエストはあるかな?」

「(フルフル)」

「そっか、じゃあ重要そうなところから行くとしよう」

 

フランを連れ立って、まずは一番重要な食堂へと赴く。

カルデアの食堂は内部の中で一番の戦場であり、甘食前線、正妻戦争などの二つ名で、ある意味職員からは恐れられている。

 

「ここが食堂、好きに料理できるし、まぁみんなが割と集まる場所かな。ほら」

 

立香が示す場所には、いつものようにマシュときよひーとキャットがお料理教室をしている。

ふと部屋を見渡すと、机の陰でコソコソとしている金色の髪が見えた。

 

「ゥ……ゥ…………?」

「うん? あぁ、あれは茨木だよ。いつものことだ。おーいマシュー!」

「あ、先輩。それとフランさんも、ロンドンではお世話になりました」

「ゥ……」

「『こちらこそ』ですか。ありがとうございます」

「マシュ、茨木が来てるよ」

「うぇい!?」

「ーーそうですか、すみませんが先輩。私はここで失礼します」

 

そう言ってマシュは室内を数度ばかり冷やし、茨木の方へと走って行く。茨木もまた泣きながら逃げた。

 

「にしてもマシュはフランの言葉がよく分かるな。さすがになんて言ってるかまでは分かんないや」

「ウゥ……ア……はなすのは、つかれる……」

「あぁごめんごめん。大丈夫、何が言いたいかはなんとなく分かって来たから」

「ゥ……」

「あら、ますたぁ。フランさんの案内ですか?」

 

ひと段落したのか、清姫とキャットがこちらに寄ってきた。

清姫は何を思ったのか、フランをジッと眺め、そして立香に耳打ちをする。

 

「ーーますたぁ、白無垢かウェディングドレス、どちらが」

「はいそれアバンでやったー」

「もう、釣れないお方。ですが私、もうあのお医者様にゼクシィとひよこクラブ、たまごクラブを注文しましたよ?」

「今日のきよひーは絶好調だなぁ」

「恐らくフランの花嫁衣装に恐れを抱いているようであるな。にゃふふ、しかしそう悠長にしても良いであるか、キャットは花嫁など通り越して裸エプロンの新婚衣装であるぞ」

「…………からだ、ひやす」

「フラン嬢、マジレスはいくない」

 

珍しくキャットが凹んだ様子でフランの肩を叩いていた。案外ボケをスルーされるのは相当応えるらしい。

 

「…………ゥ、ゥ」

「ん、もういいのか? じゃあきよひー、キャット。俺たちはもう行くから、今日の晩飯も楽しみにしてる」

「はいっ、お任せくださいますたぁ。と、とところで、食べ物によって赤ん坊の性別は変わるらしいですが……ますたぁはどちらがお好みでしょうか!? む無論、両方を望むということ、も"っ」

「はい、鼻抑えるワン」

「後は任せたキャット」

「最近フォロー役が多いことを我輩は嘆いている。……そろそろ発破でもかけるか」

「今日の猫缶は無しで行こうか、どう思う? フラン」

「ゥ」

「よーし謀反いくないであるな! キャットは良き正妻である故ご主人はキャットにお礼するがよろしい、言葉とともに即物的な? 的な的な?」

「分かってるよ。行こう、フラン」

「ゥ……」

「あぁ、ますたぁとの子……何人でも生みます、十人、二十人、いえもっと……!」

「この量はどこから出てるのか……いっそどこまで出るのか実験してみるか」

 

二人を置いて、立香とフランは立香の自室へと足を向けた。大体暇な時はここに集まるので、食堂にいなければここである。

 

「ここが俺の部屋。一応入る時はノックしてくれればいつでも来ていいよ。というか、俺がいない時も大体みんなここにいるし」

 

そう言って立香が入ると、中で茨木がゲームをしながら菓子を食っていた。

 

「うぉぉぅ、マスターか。驚かせるな、マシュかと思ったではないか」

「自業自得だろ、マシュは?」

「ふん、どっかの誰かのせいで未遂だったのでな。すぐに撒けた」

「……そうか」

「ゥ?」

「新入りか。ようやく、バーサーカーらしいのが来たな」

 

フランは言葉をあまり話せないからか、茨木が愉快そうに笑う。

立香は少しため息を吐き、茨木の頭をポンと叩いた。

 

「そういうことを言うんじゃない。それにちょっとは話せるし、意思疎通もちゃんとできる。大事な俺の仲間だよ」

「…………………ゥゥゥ」

「クハッ、歯の浮くような台詞だな。まぁそれに、言葉が話せても意思疎通ができるとは限らんからな。少し八つ当たりを言っただけだ、許せ」

「ゥゥ……かまわない……」

「ふん……うぉっ、デカイぞ!」

「ヒレがある……サメかな、マンボウかな?」

「どちらもまだ釣ってはいない。少し黙っていろマスター。こいつは釣って博物館に寄付する!」

 

三人は口を閉じ、静寂の中茨木は目を閉じながら標的が食らいつくのを待った。

長い焦らしの末、浮きはようやく沈みーー

 

「先輩! ここに茨木さんは」

「「あ」」

 

マシュの当然の乱入に、二人は間抜けにも声を上げ、そして反射的に茨木はボタンを押してしまった。

幸運にも、バシャバシャと音を当てて魚は釣り上げられ、大きなサメが姿を現した。

 

「「うぉぉぉぉ! 初めて見たーー!!」」

「え、あ、え?」

「おい、おい汝! スクショはどうやって撮るんだ!」

「このボタンだ! うわ、よくサメなんか素手で持ち上げられるな」

「ゲームに細かいことは気にするな! よしよし、あのフクロウめ。度肝を抜かせてやる」

 

テンションの上がった茨木は、意気揚々と博物館を目指した。

不意に、立香は裾を誰かに引っ張られている感覚に気づく。

 

「ん?」

「ゥ……ゥゥ……」

「どうした? フラン」

「先輩、フランさんも一緒にやりたいのではないでしょうか」

「そうなのか?」

「ゥ」

「そっか。茨木、それ寄贈したら代わってやってくれないか?」

「む。しかしだな……」

「茨木さんは私からお話があります」

「はい」

 

茨木はすぐさま寄贈を終えると、セーブをしてマシュに連れていかれた。

 

「どう……するの?」

「えっとね。あ、しまったな、四人いっぱいだ。どうしようかな……うーん」

 

セーブ数が限界でフランは新しく加入できず、立香は少し悩んだが、あることを思い出した。

 

「これでしようか。こっちもあったんだよね」

 

それは携帯機の方、さっきまでやっていたのは据え置き型なのだが、こちらならばデータは自分だけしか入っていないので、村ごと初めからにしてフランに渡した。

 

「ゥ?」

「これならここじゃなくてもできるし、みんなでも集まってもできるよ」

「ゥ」

 

理解しているのかしていないのか、フランは意識をゲーム機の方に移す。

 

それからして、ほのぼのとフランとゲームをしながら、立香はとりあえずロマンに携帯の追加の発注を頼むのであった。

 

 

 

その日の夕食、明らかに茨木の品が少なかったが、デザートはひと回り大きかった。

 





ゥ!(挨拶)

課金したいガチャ回したい給料日ってなんで色々違うの?全部末日で良いじゃん。って感じの作者。

話を見てわかる通り今回まじで難産。オチが思いつかない眠い。
イベント始まっちゃったし水着イベだしきよひー欲しいランサーきよひーLv5にしたいちくしょう。

後書きも思いつかないぐらい眠いので、感想お待ちしておりますとしか言えねえ。と言うわけでお休みなさい。



NGシーン

フラン「ゲームはいちにち……さんじかん!」ズバババ!!
茨木「みぎゃああああああ!! 割とリアルな数字と共にデータが消えたー!」
ぐだ「リセットさんか、最近見てないな」
マシュ「その前に、茨木さんにはこちらに来ていただきます」
ぐだ「どちらにせよだったか」


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第十四話「おにのフレンズ」


注意
今回の話は全く本編に関係ありません。
100%作者の趣味で書かれた、毒にも薬にも喉を潤す水にすらならない話なので、そういうのに寛容な人だけお読みください。

前回のFGO!

キャット「さぁ、始まるザマスよ」
きよひー「行くで、が? がんす」
フラン「フンガーーー(迫真)」
イバラギン「真面目に始めろよ」




 

 

イバラギン さんが入室しました。

 

イバラギン:こんばんは、皆さん。

 

こなこな:やっほー

 

Anzuchang:うぃーす

 

イバラギン:よろしくお願いします。

 

こなこな:堅苦しくしなくて平気だよー

 

イバラギンまだ慣れていないので、語調が荒くなるのは失礼だと思い、慣れたら変えようと思います。

 

Anzuchang:律儀だねえ

Anzuchang:んで今日どこ行く?

 

イバラギン:ドラグライト鉱石が足りないので、火山のクエストに行きたいです。

 

こなこな:おk

こなこな:ちょうどサブ垢でもグラビの装備作りたいなーって思ってたんだよね

こなこな:性別によってやっぱり装備の外見拘るよねぇー

 

Anzuchang:アタシはあんまりかな

Anzuchang:ずっと女キャラだし

 

イバラギン:今のキャラで精一杯です。

イバラギン:ナナミンさんは今日はいらっしゃらないのでしょうか?

 

ナナミン さんが入室しました。

 

こなこな:ちょうど良いところに来たね

 

Anzuchang:ある意味狙ったようにね。

 

イバラギン:こんばんは、ナナミンさん。

 

ナナミン:おっはー

ナナミン:ねみぃ……

 

イバラギン:お疲れ様です、大丈夫でしょうか?

 

ナナミン:だいじょぶ……

ナナミン:1時間仮眠したし

 

こなこな:みんなリアル多忙だねぇ

こなこな:私は学生だから完徹余裕だけど

 

ナナミン:私もだけどうちの学校少し特殊だからかなぁ

ナナミン:まぁいつも眠いけど

 

イバラギン:学校ですか。

イバラギン:あまり知らないのですが、寝なくて大丈夫ですか?

イバラギン:もうすぐ日付が変わりますが。

 

こなこな:よゆーよゆー

こなこな:あ、でも一時半になったら抜けるー

こなこな:深夜アニメ見たいし

 

Anzuchang:あ、アタシも

Anzuchang:あと流石に3時になったら寝ないと

Anzuchang:明日も仕事だし

 

ナナミン:Anzuchangって社会人だったっけ

ナナミン:大変ですなー

 

Anzuchang:ホントだよー

Anzuchang:仕事したくないのにいっぱい持って来ちゃってさー

 

イバラギン:何の仕事をしているのですか?

 

Anzuchang:あー……秘密

 

こなこな:うわ、気になる

こなこな:知られたらマズイ仕事なの?

 

Anzuchang:マズイ

Anzuchang:ってかイバラギンは学生じゃないっぽいけど

Anzuchang:社会人?

 

ナナミン:もしかして:保育園

 

イバラギン:一応、働いています。

イバラギン:どんな仕事かは言えませんけど。

 

こなこな:みんな秘密を抱えてるねぇー

 

ナナミン:そうだねー

 

こなこな:……さっき特殊ってナナミン言ってたけど、どこの学校?

 

ナナミン:あーっと

ナナミン:内緒ー

 

こなこな:ですよねー

 

イバラギン:ナナミンさん、クエスト、火山ので良いですか?

 

ナナミン:おkだよー

ナナミン:私たちで適当に戦ってるから採掘して来て良いよー

 

イバラギン:ありがとうございます。

 

Anzuchang:っと、ちょい電話

Anzuchang:クエ貼ってて

 

ナナミン:ん、私も電話ー

ナナミン:ちょい離席ー

 

こなこな:みんな忙しいようですなー

 

イバラギン:私も来客です。

イバラギン:少しの間失礼します。

 

こなこな:……私もちょっと電話しよーっと。

 

 

 

 

「何の用だ、マスター」

 

「ーーあぁ、分かった。フランの育成のために火種狩りに行くのだろう」

 

「あ? 今は戦友と一緒に狩りに行くところだ」

 

「ふん、分かっておる。口が滑るようなことはせん」

 

「では待たせているのでな。あぁ、おやすみ」

 

 

「ではーー狩りを始めようではないか」

 

 

イバラギンの夜は更けて行く……。




温い!(挨拶

まぁ待て、話せばわかる。
ただのクロスオーバーだ。そしてただネトゲとサブタイトルがしたかっただけなんだ。フランちゃん登場したのに何で出さねーんだよクズがって言いたいだろうし、これもうバーサーカーじゃねえ別キャラだろゴミがってのも言いたいだろう。俺もそう思う。

ただ俺の中のイバラギンのイメージがこれなんだ、許せ。頼む。

そしてアンメア水着と玉藻水着は出たのにサモさんだけ出さんとか何だこのガチャ壊れてるんじゃないのか。
これでマリーも出さんかったら許さんからな。(逆ギレ


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