東方蒼記伝 (桐生皆無)
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プロローグ

初めまして、桐生皆無と申します。

処女作となりますが、皆様に楽しく読んでいただけたらと思っています。

至らぬところもあるとは思いますが、これからよろしくお願いします!



第十三階層都市カグツチ。

第一次魔道大戦以降、濃度の高い魔素に汚染された大地から逃れるために人々が考案した建築様式。階段状にいくつもの区画が重ねられた高層都市で、上層には身分の高い貴族などが、下層には平民や亜人などが住む。「カグツチ」はその階層の中の一つである。

 

そして、その「カグツチ」では赤いコートを羽織った白髪の青年「ラグナ」と、同じく白髪だがどこか機械のような体をした少女「ニュー」が熾烈な戦いを繰り広げていた・・・。

 

二人の戦いは、最初の方こそ拮抗していたが、段々とラグナの方が分が悪くなり・・・・。

 

「ぐっ・・・・・・!(体が・・・・もう、動かねぇ・・・・)」

 

「どうしたの、ラグナ?もうおしまい?」

 

「はぁ、はぁ、うるせぇよ。」

 

「ふふふ、いいよ、わかった。ニューもね、もう我慢できないから。

 ラグナ、ひとつになろう・・・?」

 

「や、めろ・・・!」

 

ズガガガガガガガガガッッッ!!!

そう音を立てて、複数の剣がラグナに突き刺さった。

 

「ぐあぁっ!」

 

「ああ、凄く気持ちいいよ、ラグナ・・・。もっと・・・もっと深く繋がろう?」

 

恍惚の笑みを浮かべて、ニューは巨大な剣を振りかぶる。

腕を絡ませるようにして身を寄せると、重なる二人の体を一気に刺し貫いた。

 

「がぁっ・・・・!」

 

「ラグナ・・・・。」

 

誘うようにニューが身を倒す。

大剣によって繋がれた二人の体は、大きく開かれた窯の中へと吸い込まれていく。

 

「兄さん!行っちゃダメだ!兄さーーーーーーーーん!!!」

 

落ちる自分を誰かが追いかけてきていた。

けれどそれが誰なのか、すでに判別できる意識もなかった。

 

混濁とした意識の代わりに、黒々とした感情が腹の底から湧き上がってきた。

自分が何か別のモノに変貌していく。

 

やがて・・・・。

 

 

 

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」

 

そして、また世界が終わりを迎えた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・同じね。『また』同じ。」

 

そう、黒いドレスの少女はつぶやいた・・・。

 

「結末はいつもそう・・・何度繰り返しても、結局は同じ終わりへとたどり着く。

 なんて、滑稽でつまらない物語。」

 

「そして滑稽とわかっていてなお、世界はまた繰り返す・・・。

 はたして、次の『彼』はこのループを壊せるのかしら?」

 

「・・・だから・・・ねぇ?聞こえていて?この世界で失敗したあなたに、

 もう用は無いの・・・・。」

 

「だから・・・・・さようなら。」

 

そう言って、少女「レイチェル=アルカード」は消えた・・・・・・。




プロローグだから短いですね^^;
というか東方キャラ出てないというw

次回からは出していくのでよろしくです!w


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1話 気がつけば幻想郷

どうもこんにちは!桐生皆無です!

1話書くのにすごい疲れましたw
駄文が多いと思いますが、よろしくお願いします!

一応、ブレイブルーの用語説明は、前書きか後書きとかを使ってやりますので、
まぁ「知ってるよ!」って方は無視してください^^w

ご指摘を受けたので書いておきます!
一応この世界の幻想郷には、ご都合主義で若干の魔素がある設定にしていますw

用語説明
○術式・・・「魔法」と「科学」を融合させ、人類にも魔法の断片を扱うことを可能にした技術。


 初めは、多くの木々のざわめきが聞こえてた。

 次に、肺いっぱいに緑の匂いを感じた。

 そして瞼の裏からは眩しい光を感じた。

 

 それらを感じ取った白髪の青年は、ゆっくりとだが目を開けようとしたが、それは日の光によって遮られた。

 

(眩しいな・・・・。)

 

 ようやく目を開けると、辺り一面の緑が目に入り込んできた。

 可能な限りで辺りを見回すが、どこを見ても緑、緑、緑。そこで青年はふと思う、

 

(ここは・・・どこだ?なんだって俺は、こんなところに・・・。)

 

 とりあえず、自分が今どういった状況なのか確認してみた。

 青年は、木に身を預けるように四肢を投げ出して座っていた。自分の体を見てみるが、いつも着ている赤いジャケットが少し汚れているぐらいで、特に怪我をしている訳でもない。座ったままで、体がしっかり動くか確認してみたが、特に異状はない。そして、すぐ近くには自分の使用している、刀身が幅広いセラミック製の剣が地面に突き刺さっていた。

 

 しかし、そうなるとますますを持って自分が何故こんなところにいるのか不思議に思った。だが、思い出そうにも頭に靄がかかっていて、全くといっていいほど思い出すことができなかった。

 

(くそっ・・・何なんだよ。わけわかんねぇ・・・。)

 

 1つずつ、青年は自分に必要な情報を思い出し始めた。

 

(まずは俺の名前だ。えーっと、・・・・・あ、ちょっと待て。・・・・・・いや、大丈夫だ。さすがに名前は覚えてる・・・はずだ。)

 

 はっきりとしない頭の中で、自身の名前を探す。

 

(そうだ・・・俺の名前はラグナ・・・だよな。)

 

 そう結論づけて青年「ラグナ」は納得した。そして、自分が現状に至るまでの経緯を思い出そうとして、目を閉じ記憶を探った。

 

(だんだん頭もはっきりしてきたな・・・。そうだ、俺はカグツチであいつと戦って・・・そして、窯に落ちたはずだ・・・よな。)

 

 思い出しはしたが、ラグナは自分の置かれている状況に余計に納得することができなかった。何故なら、窯の中に落ちたのならこんな緑が生い茂る森の中にいるはずがない。それに、ニューと戦った時の傷さえもないのだから。

 

(幻覚でも見せられてんのか?・・・いや、ひょっとしたらあのウサギが何かしたのか?・・・・・そうと決まりゃぁ、)

 

 ラグナは木に寄りかかりながら立ちあがると、

 

「おいっ!ウサギっ!いるんだろ!?」

 

 一応、声を張ってみたが反応はない。

 

「レイチェルっ!!」

 

 やはり反応は帰ってこなかった。その代わりに木々のざわめきが返ってきた。

 

(ウサギの仕業じゃないとなると、ますます訳分かんねぇぞ・・・?窯の中に落ちて無事なわけはねぇしな・・・。しょうがねぇ、いつまでもこうしてるわけにわけにはいかねぇし、少し歩くか。)

 

 そう思い、ラグナは地面に突き刺さっていた自身の剣を腰に差し歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく歩ってみたが、一向に森の出入り口は現れなかった。その代わり、さっきまで気づかなかったが、この森には魔素のようなものが満ち溢れているのを感じ取った。

 

(あー、くそっ・・・一体どこまで続くんだよ、この森は!いっそのこと術式を使ってみるか?・・・いや、まずこの場所自体よくわかってねぇからな。探知系の術式は意味ねぇか・・・。)

 

 そんなこんなしている間に目の前に1本の獣道が見えてきた。

 しかし、先ほどまでさんさんと輝いていた日は、いつの間にか木々の陰に隠れてしまっていた。

 

(ふぅ、とりあえずこの道なりに進んでいけば森は抜けられそうだな・・・。ったく、日が落ちる前には抜けられると思ってたのによ。・・・一応『迷彩』の術式は使っておくか。)

 

 ラグナは赤い宝玉のはめ込まれた右手を宙にかざした。

 短い言葉を唱えると宝玉がほのかに光を帯び、宙に大きく円を描くと青白い光の輪が浮かび上がった。ラグナはその輪を、少し身を屈めてくぐった。

 これで獣や人間からは、簡単にはラグナの気配や姿を感知できなくなるのだ。

 

 

 道なりに進んでから1時間ほど経ち、日も完全に落ちた頃、ラグナは少し道の開けた場所で足を止め、敵意を込めて振り返り、

 

「・・・で?どこの誰か知らねぇけど、いつまでこそこそ人の後ろつきまとってんだよ。」

 

 そうラグナは、さっきから妙に強い気配を感じていた後方に対して言い放った。

 すると、いきなり空間が裂けた。裂けた空間内には多くの目のようなものが見て取れたが、そんなことよりもそこから出てきた1人の少女が印象的だった。

 その少女は雨が降っているわけでも、日が差してるわけでもないのに傘をさし、長い金髪に白の帽子をかぶり、白と紫色の服を着ていた。

 

「あら、よく私に気づいたわね。」

 

「テメェが俺を尾行し始めた時からずっと気配がしてたからな・・・。」

(しっかし、一体コイツは何者だ?いきなり空間を裂いて出てきやがった・・・。気配をずっと感じてたから空間転移ってことはねぇだろうけどな・・・。)

 

 ラグナが思案しながら応えると、その少女は笑みを浮かべて話しかけてきた。

 

「そう。あなたは見たところ外来人のようだけど、ただの人間には見えないわね。」

 

「・・・・・。んで?何の用だよ、こっちは生憎と暇じゃねぇんだけどな。」

 

「ふふふ、あなた面白いわね。名前はなんていうのかしら?」

 

「・・・今の応対のどこに面白さがあったんだか。てか、テメェが先に名乗れよ。人の名前を聞くならまずは自分から名乗るのが礼儀じゃねぇのか?」

 

「あら、それは失礼したわね。私は八雲紫。この幻想郷の住人よ。」

 

 そう言って、八雲紫と名乗った少女はスカートの裾をつまんでお辞儀をした。

 

「八雲紫、ね。俺は・・・・。」

 

 自分の名前を言おうとして、ラグナは考えた。仮にも自分は指名手配されている犯罪者だ。しかもSS級の。しかし、彼女の言った幻想郷とやらがどこかは知らないが、少なくとも自分のことを知っている可能性は低い、と考えたラグナは結局名乗った。

 

「・・・ラグナだ。」

 

「ラグナさんね。わかっ・・・。」

 

「待て待て、ラグナでいい。んな『さん』とかつけられると、居心地がわりぃんだよ。」

 

「ふふ。わかったわ、ラグナ。」

 

「・・・・・でだ、話を戻すぞ。俺に一体何の用があってつけてたんだ?」

 

「そうね・・・・興味があったから、では駄目かしら?」

 

 紫は微笑しながらそう答えた。

 

「興味?」

 

「えぇ。さっきも言ったけどあなたは外来人ではあるけど、ただの人間ではないわよね?普通の人間だったらこの魔法の森に入って無事じゃ済まないもの。それに、さっきラグナが使った魔法のようなもの、あれは私の知る限りの人間では到底できないものよ?・・・これだけ揃えば興味を持つのも当然だと思うけど?」

 

 ラグナは紫からそれを聞いて唖然とした。

 

「ちょっと待て、紫。確かに俺は普通の人間とはちげぇーが、俺がさっき使った術式は適正さえ合えば誰でもできるもんだぞ?」

 

「あれは術式というの?」

 

「はぁ!?お前、まさか術式を知らねぇのか!?」

 

 ラグナは愕然としたが、当の紫は思い当たったような顔をして、

 

「ラグナ・・・。この幻想郷は、あなたの居た場所とは全く別の世界よ?」

 

「なっ・・・・どういうことだ!?」

 

「ちょうどいいわ・・・。この世界のことを教えてあげる。」

 

 

 

 

 

 

少女説明中・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・つまり、ラグナは何らかの影響があって幻想郷へ来てしまった、というわけね。」

 

「・・・・なるほど、な。」

 

 説明を聞き終え、ラグナは最初こそ混乱したものの、なんとか整理をし1つ1つ納得していった。

 

(確かに、俺はあの時窯に落ちた。・・・・そして何らかの事象が起こってこの世界に飛ばされた。そう考えりゃ確かに納得はいく。だが、何か引っかかりやがる・・・。)

 

「あーーーくそっ!うだうだ考えててもしょうがねぇか。紫、俺は元の世界に戻れんのか?」

 

「えぇ。私の境界を操る程度の能力を使えば帰れるわ。」

 

「・・・紫、お前・・・人間か?」

 

「ふふふ。私は人間ではないわ。・・・・・スキマ妖怪、そう呼ばれてるわ。」

 

「スキマ妖怪ねぇ。」

 

「・・・ラグナのいた世界には、妖怪なんていなかったかしら?」

 

「俺のいた世界には変な奴はすげーいたけど、少なくとも紫みてぇな可憐な妖怪はいねぇな。」

 

「なっ・・・」

 

「ん?どうした?」

 

「な、なんでもないわ。・・・それより、ラグナを元の世界に返すという話だけど、悪いけどすぐには無理よ。」

 

「はっ!?なんでだ!?・・・・っ!」

 

「っ!!」

 

 ラグナが問いただそうとした時、不意に周囲から不穏な空気が漂った。その気配を察知したラグナは剣の柄に手をかけ、紫は周囲に殺気を放ちながらスキマを開いた。

 

「話の続きは後ね・・・。ラグナ、この道をまっすぐ進めば博麗神社という社があるわ。とりあえずそこへ向かいなさい。申し訳ないけど私の力で今あなたを運ぶことはできないの。ごめんなさい。」

 

 そう紫が言うと、暗闇の木々から低級妖怪が6体ほど現れた。その全員が敵意をむき出しにしている。

 

「はっ!謝る必要はねぇだろ?・・・・紫、こいつらはぶった切ってもいいんだよな?」

 

 ラグナは久しぶりの戦闘に高揚していた。

 

「えぇ。人に仇なす妖怪はこの幻想郷に必要ないわ・・・。それじゃぁラグナまた後で会いましょう。」

 

 そう言うと、紫はスキマの中に消えていった。

 

「さて、始めるか。」

 

 ラグナはうすら笑みを浮かべると、妖怪の中に斬りかかっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紫side

 

 紫はスキマの中を移動しながら笑っていた。こんなに気分が高まるのは久しぶりのことだったからだ。今まで幻想郷に入り込んだ外来人たちは、本当にごく普通の人間だけだった。しかし、今回初めてイレギュラーな存在が現れた。

 ラグナに対して最初は警戒していたが、彼と話すうちにその警戒心はどんどん薄れていき、次第に彼に対しての興味の方が上回っていた。

 

「ふ、ふふふ・・・・。」

 

(全く不思議な男ね、ラグナ。・・・・・・・・さて、霊夢を説得しないといけないわね。)

 

 そうして紫は博麗神社へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナside

 

「うおらぁ!!」

 

 ラグナは紫に言われた道を進みながら妖怪をなぎ払っていた。『迷彩』の術式の効果はまだ続いているが、妖怪相手には通用しないみたいだ。

 

「チッ!うぜぇ!邪魔だっ!!」

 

(キリがねぇな・・・・・。しょうがねぇ走るか!)

 

 ラグナは一本道をひたすらに走った。それを多くの妖怪が追ってきていた。

 道の先を見ると開けたところが見えた。小さく社が見える。おそらくあそこが博麗神社だろう。

 

(うしっ!あとちょい!・・・・・なんだけどな。)

 

 後ろは妖怪の大群。このまま行けば神社で戦うことになる。

 ラグナは急に反転して妖怪たちに向き直った。

 

(しょうがねぇな!)

 

『デッドスパイク!!』

 

 ラグナがそう言い、剣を逆手に持ち振り上げると、地面から黒い獣の顔が這い出て直線上に妖怪を食らっていった。

 

「大方、片付いたな・・・・・。よし、神社に向かうか・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 博麗神社は、幻想郷の東の端、外の世界との境界に位置する神社であり、外の世界の人里からも幻想郷の人里からも離れた山奥に存在する神社である。

 山奥に存在しているだけあって、博麗神社の夜はかなり暗い。

 そして、ラグナはその神社を見上げていた。そして思ったことは、

 

(何か、ボロいな・・・・・。師匠から聞いた神社ってのはもうちょい違った気がしたが・・・。ま、とりあえず紫を探すか。)

 

 そうして、境内を歩いて紫を探しているとある箱が目に入った。

 

(確か、賽銭箱って言ったか・・・・。金を入れて願い事言うんだっけか?・・・・特に願うこともねぇけど、まぁ入れとくか。)

 

 ラグナはジャケットのポケットに手を突っ込むと、コインを何枚か取ってそれを放り投げた。

 そしてラグナは苦笑して思った。

 

(こんなんで願いが叶ったら誰も苦労しねぇだろうな・・・。)

 

 

「やっと来たわね、ラグナ。」

 

「うおぉっ!!」

 

 不意に声が聞こえ、ラグナは驚いて辺りを見回した。そして、後ろには紫ともう一人、紅と白の服が特徴的な少女が立っていた。そして頭にはこれまた特徴的な大きなリボンが付いていた。

 紫はラグナの驚いた顔を見て、クスリと笑った。

 

「何をそんなに驚いているのよ、ラグナ。」

 

「う、うるせぇ。」

 

 そんなラグナと紫のやり取りを見て、紅白の少女は呆れたような声で、

 

「それで、紫?彼がそうなのね?」

 

「えぇ。約束通りお願いね、霊夢。」

 

「はぁ、わかったわよ。・・・・お賽銭も入れてもらったし。」

 

「おい、何の話だ?」

 

 ラグナがそう訪ねた。そして、その少女はラグナの方を向き少し笑いながら、

 

「初めまして、ラグナ。私は博麗霊夢。この博麗神社の巫女をやってるわ。そして、これからあなたの面倒を見ることになったわ。よろしくね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ここから新たな蒼の物語が始まる。

 

 




以上で1話は終了です^^

次回更新は未定ですが、なるべく早く上げたいと思います^^;

それでは、また(o・・o)/~


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2話 苦悩

こんにちは!桐生皆無です!

更新が遅いのか、それとも普通なのかわかりませんが、今回は4日もかかってしまいました^^;
おまけに、前回と比べると文字数減ったという;;

ふぅやっぱり小説書くのは難しいなぁ。


「初めまして、ラグナ。私は博麗霊夢。この博麗神社の巫女をやってるわ。そして、これからあなたの面倒を見ることになったわ。よろしくね。」

 

 そう紅白の服を着た少女「霊夢」は少し笑い、言った。

 ラグナは一瞬硬直し、そして、

 

「あ、あぁよろし、く。・・・・・・・・・・・・・・・じゃ、ねぇだろっ!!おい、紫!どういうことだ!?」

 

 ラグナは荒々しく紫に詰め寄った。

 それに対して紫は、キョトンとした顔で逆に尋ねた。

 

「どう、って?」

 

「俺は元の世界に戻れると思ってここに来たんだぞっ!!それがなんで面倒見るとかそんな話になってんだよっ!!!」

 

「あら?私はここに来れば元の世界に帰れるなんて一言も言ってないわよ?私はあの時、単に博麗神社に向かいなさい、と言っただけであって、ここに来れば元の世界に戻れるなんて言ってないわ。」

 

「いや、だからお前の境界を操る程度の能力とか言うので、すぐ元の世界に戻せんじゃねぇのかっ!?」

 

「それもさっき言ったわ。・・・『すぐには無理』ってね?」

 

 と、紫は何かたくらみの含んだ顔で笑った。

 

「ぐっ!・・・・テ、テメェ。」

 

 ラグナは今にも紫を殴り倒さんばかりの怒気を露わにしている。

 それを見かねた霊夢が、それを遮るように二人の前に立った。

 

「はいはい。とりあえずそこまでにしておきなさい。」

 

「おい、霊夢って言ったか・・・。そこをどけ、そいつは一発殴らねぇと気が済まねぇ・・・。」

 

「まぁ、怖い♪それじゃぁ霊夢、私は身の危険を感じるからお先に失礼するわね。彼のことよろしく。」

 

 そう言って、紫はスキマを自分の後ろに展開し、中へ消えていった。

 

「待ちやがれテメェ!!・・・・・クソッ!」

 

 ラグナは追おうとしたが、すぐにスキマは閉じてしまった。

 霊夢は疲れたようにため息をつくと、

 

「はぁ。・・・ラグナ、1つ言っておくけど、元の世界に戻れる方法はなにも紫の能力だけじゃないわよ。」

 

「な、マジか!?」

 

「えぇ。でも、その方法も今すぐには使えないわ。」

 

 それを聞いて、ラグナは一瞬険しい顔をしたが、半ば諦めたように霊夢に聞いた。

 

「・・・・・理由があるんだろ?」

 

「そうね。・・・あなたは一応、この幻想郷について紫から聞いているのよね?」

 

「あぁ。たしか、結界の作用で『幻となったものを自動的に呼び寄せる土地』だったか?確か結界が2種類あるみてーなことをいってたな。んで、その結界に関わってるのが紫と博麗・・・あんたか。」

 

「そう。そして、あなたを元の世界に戻せない理由は、その2種類の結界が起因しているのよ。・・・今、この2種類の結界はかなり不安定な状況になっているわ。紫が『すぐには』って言ったのはそのせいよ。」

 

「だから俺のことを帰せねぇってわけか・・・。」

 

「えぇ。ラグナには申し訳ないけど、しばらくはこちらの世界にいてもらうしかないわ。」

 

「謝る必要はねぇよ。・・・実際、俺もどういう経緯があってこの世界に来ちまってるのかわかんねぇし、それに・・・・・まぁ、気長に待たせてもらうわ。」

 

 そう言うと、ラグナはジャケットのポッケに手を突っ込み、小さな袋を取り出して霊夢に渡した。

 

「これは?」

 

「一応これから世話になるらしーからな、こっちの世界で使えるか知らねぇが。」

 

(本当は『右腕』の事もあるから一緒にいたくねぇんだけどな。いつ元の世界に戻れるかもわかんねぇし。)

 

 霊夢は袋の中を見ると、そこには金貨のようなものが何十枚も入っていた。それをみた霊夢は目を輝かせて言った。

 

「あら♪まだ全然持ってたのね♪」

 

「ま、この世界でも使えんなら使えよ。俺には必要ねぇしな。・・・それよか霊夢。そろそろ休みてーんだけど。」

 

 気がつけば、もう月が頭上まで上がっていた。

 

「あ、部屋ね。こっちよ。」

 

 そうして案内された神社内の部屋で、ラグナは休息を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢side

 

 霊夢はラグナを一室に案内してから自分の部屋へ戻った。

 今日は散々な目にあった。急に紫が現れたと思えば、外来人の面倒を見てくれと頼まれた。流石にすぐには引き受けなかったが、とある賭けをして私は負けてしまい結局その外来人の面倒を見なければならなくなった。まぁ、その代わりお賽銭が入ったわけだが。

 そうして一息つくためにお茶を淹れてから、ある人物を呼んだ。

 

「紫、いるんでしょ?出てきなさい。」

 

 そう言うと、スキマが出現し中から紫が出てきた。

 

「呼んだかしら?そろそろ寝ようと思っていたのだけれど。」

 

「その前にちゃんと説明してもらえるかしら?なぜ、私にあんな嘘までつかせて彼をこの幻想郷に留めようとしている理由を。」

 

 先ほどラグナに言った、結界が不安定だから帰せないというのは嘘だった。紫との賭けに負けてしまったから、仕方なく言われた通りにしたが、それでも納得はできない。

 

「そうねぇ。・・・興味があったから、かしら。」

 

「あんたねぇ、それだけの理由で、低級妖怪の群れの中に彼だけ残してきたり、幻想郷に留めようとしたりする?」

 

「ふふ、彼をあの場に1人で残したのは彼がどれほど強いか見たかったからよ。それに、あんな低級妖怪に負けるような奴なら、魔法の森の瘴気に耐えられるはずないでしょう?それに、霊夢は気づかないかしら?彼は今までここにやって来た外来人達とは全く異質な存在よ?・・・普通の人間とはどこか違う、それに、今までに見たことのない『術式』というものを使っていた・・・。そこに興味を持つことは不自然かしら?」

 

「別に不自然ではないわよ。ただ、それだけを理由に彼を幻想郷に留めるのは賛成できないわ。・・・彼にも元の世界での生活というものがあるはずよ。」

 

 そう言うと、紫は急に真剣な顔になり、

 

「霊夢・・・。おそらくだけれど、彼はもう元の世界に帰れないわ。」

 

「へ?どういうことよ!!」

 

「・・・一応、彼のいた世界を見に行こうと思って、私の能力を使って境界をつなげてみたの。」

 

「・・・それで?どうだったのよ。」

 

「結論から言えば、つながらなかったわ。そして、ここからは私の仮説だけど、彼の世界は・・・・消滅しているわ。」

 

「消滅!?そ、そんなことってありえるの!?」

 

「えぇ。なにも世界は1つだけではないわ。並行世界・・・ラグナはおそらく何かの拍子で幻想郷に来てしまった。ラグナがこちらに来る前に世界が消滅したのか、それともこちらに来たあとに消滅したのかはわからないけれど。まぁあくまで仮定の話だから。」

 

「はぁ。こればっかりは、本人に聞くしかなさそうね。」

 

「それが一番手っ取り早いわね。とりあえず明日にでも聞いてみましょう。それじゃ、私は寝るわ。お休み、霊夢。」

 

 そう言うと、紫はスキマの中に消えた。

 

「・・・これは面倒なことになったわ。」

 

 霊夢はそうつぶやき、寝床に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナside

 

 ラグナは案内された部屋で、赤いジャケットを脱ぎ、適当なところに大剣を立て掛けると、壁にもたれ掛かるようにして座った。今日1日でいろいろなことがあったため、ラグナの頭の中は少々混乱していた。その中でも一番引っかかっていることがあるせいで、余計に混乱していた。それは、幻想郷に来る前の出来事だった。

 

(もう1度、じっくり思い出せば光景が思い浮かぶ。・・・俺は確かにニューに大剣で貫かれ、窯に落ちたはずだ。それなのに、俺は死んでねぇ。目を覚ましたらあの森にいた。なんでだ?)

 

 しばらく考え込んだが、それらしい答えは全く出てこない。そして考えれば考えるほど、ニューに負けた自分の弱さにイラついてきた。ラグナは畳に拳を打ち付けた。

 

(クソッ!!俺は、強くなったんじゃねーのかよ・・・・・。この右腕があったって、これじゃぁあの時と同じじゃねーか。何も、変わってねぇ。)

 

(チッ、いつまでもこんなこと考えてもしょうがねぇ。それに、この世界のことも多少気になることがある。まず術式が使えるってことは、この世界には魔素があるってことだ。紫の奴が言うには、俺の世界とは全く別の世界とか言ってたが・・・。)

 

(まぁ、いいや。とりあえず今日はもう休むか・・・・。)

 

 そうして、ラグナは瞼を閉じ、座りながら壁にもたれかかるように眠った。

 

 

 

 

 

 この時、ラグナはまだ知らない。自分がもう元の世界に戻れないということを・・・・・。

 

 

 

 

 




次回更新は未定です、すいません;;

なるべく早く上げたいと思っていますのでご容赦ください><


また、ストーリー内でこうした方がいいとか、原作はキャラはこんなだったよとか、誤字・脱字あるよ~。など教えて頂ければ幸いです^^;

ただ、ご都合主義andにわか知識なので、原作の細かいところなどはあまり気にしないで、というか見逃してくださいw

それではまた^^/


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3話 新たな出会い

こんにちは!桐生皆無です^^

まず、更新遅れてすいませんでした!m(_ _)m
今回は1週間もかかってしましました;;

というのも、リアルが忙しすぎて^^;

と、そんな話はどうでも良いですね。
でわ、第3話どうぞ~



 障子の隙間から陽の光が入り、部屋の中を照らし出した。ラグナはその光をまぶたの裏に感じ、目を覚ました。

 

(・・・・・朝か。)

 

 ラグナは立ち上がると、頭を掻きながらため息をつき、辺りを見回した。

 

(・・・夢なわけねぇよな。)

 

 そしてラグナは赤いジャケットを羽織り、部屋の外に出ようとするといきなり障子が開き、特徴的な紅白の服を着た、博麗霊夢が現れた。

 

「ちょっと!いつまで寝て・・・なんだ、起きてたのね。」

 

「・・・あのなぁ俺もガキじゃねぇんだから、わざわざ起こしに来んじゃねーよ。」

 

「ふふ、それは失礼したわね。」

 

 そんなやり取りをしていると、廊下からいい匂いが漂ってきた。

 

「朝餉の準備が出来ているわ。あなたには聞きたいことがあるの。・・・来なさい。」

 

 そう言って、霊夢は部屋を出た。

 

「なんか、そこまでされると悪ぃんだが。・・・つーか、俺に聞きたいことねぇ。」

 

 ラグナは少し困った顔をすると、立てかけてあった剣を腰に差してから、霊夢の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 居間には霊夢が先に入り、それに続いてラグナが入った。そして、霊夢とラグナは先客がいたことに気付いた。

 

「・・・おはよう。」

 

「紫、なんであんたがいるのよ。」

 

「いけなかったかしら?せっかくあなた達の様子を見に来てあげたのに。」

 

 そう言って、紫はお茶をすすった。

 

「ふん、なにが様子見よ。タダ飯を食べに来ただけでしょ。」

 

「ふふ、私はもう食べてきたわよ。・・・・・それにしても、昨日ぶりね?ラグナ。」

 

「・・・あぁ。」

 

「あら?昨日のことがあるから、てっきり掴みかかって来ると思ったのだけれど。」

 

「霊夢におおまかなことは聞いたからな。・・・もう気にしちゃいねぇよ。」

 

 そう言って、ラグナは腰から剣を抜き、壁に立てかけてからテーブルの前に座り、それに倣って霊夢も定位置に座った。

 

「それで、俺に聞きたいことがあんだろ?」

 

 ラグナがそう聞くと、霊夢は紫と目を合わせて頷いて、ラグナと向き合い口を開いた。

 

「そうね。まず話して欲しいのは、あなたの世界について。」

 

「俺のいた世界ね・・・。つってもどこから話せば言いのかねぇ。」

 

 んー、と紫がうなった声を上げ、人差し指を唇に当てながら言う。

 

「あなたの記憶の中で、最も新しいものの年号を教えてもらえるかしら?」

 

「・・・・・2199年、いや年が明けたから2200年、だな。」

 

 それを聞いた霊夢が目を見開いたのに対して、紫は予想通りといった顔をしていた。そして紫は口を開いた。

 

「ラグナ、この幻想郷は今は2003年の7月よ。」

 

「・・・・・・。」

 

 ラグナは黙った。紫は続ける。

 

「私たちからしてみれば、あなたは未来から来ている、もしくは別次元に存在している世界から来ているってことになるわね。普通の外来人は、この幻想郷と同じ時間軸に存在している世界から来るのだけれど、未来か別次元の世界に存在していたラグナが、なぜこの幻想郷に来てしまったのかは、私にはわからないわ。」

 

 紫は、そこで言葉を止めた。ラグナは目を閉じ、深く思案していた。

 

(・・・この幻想郷に来る前の記憶は、ニューと戦闘して窯に落ちた記憶だ。そこで意識は途切れちまって、気づいたらあの森にいた。普通に考えりゃ、窯に落ちた時に何かしらあったってことだよな。まさか・・・境界のせいか?実際、境界について、人類はまだよくわかってねぇ。なら、可能性はある・・・か。)

 

 ラグナは目を開けて、霊夢と紫を見ると、できるだけ詳しくラグナのいた世界のことを話した。

 

 約100年前に起きた、黒き獣の大厄災・それに対抗するために作られた術式のこと・六英雄と呼ばれた者たちのこと・統制機構のこと・階層都市についてなど、様々なことを話した。

 そして霊夢が口を開いた。

 

「あんた、とんでもない世界から来てたのね。」

 

「こっちの世界から見たらそうなのかもな・・・。」

 

 そんなことを言っていると、紫が口を開いた。

 

「ラグナの世界のことを聞いても、やっぱり確証は掴めないわね・・・。ラグナは未来から来たのか、それとも別次元に存在している世界から来たのか・・・・・。」

 

「・・・・・。」

 

「まぁ、わからないことをいつまでも考えていてもしょうがないわね。・・・次に聞きたいことだけれ―――「よっ!霊夢、いるか!?」―――ど。・・・」

 

 いきなり部屋の襖が空き、紫の話が遮られた。声のした方向を見ると、黒と白が特徴的な服を着た少女が立っていた。頭には黒いとんがり帽子を被っている。

 その少女を視認すると、霊夢はため息まじりで、

 

「魔理沙、あんたねぇ。・・・・・はぁ、で、何の用よ。」

 

「いや、特に用は無いぜ?お、久しぶりだぜ、紫。」

 

「無いなら何で来るのよ!」

 

「まぁそう怒るなよ。・・・うん?見たことないやつだな。外来人か?」

 

「・・・そうよ。彼の名前はラグナ。・・・ラグナ、この子は、」

 

「おっと霊夢。自己紹介ぐらい自分で出来るぜ。私は普通の魔法使い、霧雨 魔理沙だぜ。よろしくな!」

 

 魔理沙は胸を張って、ラグナに向かって言った。

 

「あ、あぁ。」

 

(・・・普通の魔法使い?・・・まさか、魔法を使えんのか?)

 

 ラグナが心の中で疑問に思っていると、紫が口を開いた。

 

「ラグナ、あなたに聞きたいことは、また今度聞くことにするわ。」

 

 そう言うと、紫はスキマを開いた。それを見た魔理沙は、

 

「なんだ、もう行くのか?」

 

「えぇ、それじゃ失礼するわ。」

 

 紫はスキマの中へと消えていった。

 

「・・・何か、まずいタイミングに来ちゃったか?」

 

 そう魔理沙は気まずそうな顔で言った。

 

「えぇ。あまりいいタイミングとは言えないわね。」

 

 と、霊夢が怪訝そうな顔で言うと、魔理沙は帽子の上から頭を掻き、すまんと言った表情で苦笑いした。そこにラグナが口をはさんだ。

 

「ま、別に気にしなくてもいいんじゃねぇか?そんな重要な話ってわけでもねぇし、それにあいつは能力使って来ればいつでも話せるだろ。」

 

「それもそうね。・・・とりあえずご飯を食べちゃいましょうか。」

 

「お、霊夢。私の分も頼むぜ。」

 

「はぁ!?なんで食べてきてないのよ!」

 

「いやぁ、勢いで飛び出してきたから、すっかり食べるの忘れてたぜ。」

 

「いい加減、人の家の食糧無駄に消費させるのやめてくれる!?」

 

 それから、しばらくそんなやり取りが続いた。ラグナは、それを見てどこか微笑ましいと思いつつ苦笑し、先に朝食を食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝食も終わり、ゆっくりしていたが、ラグナはどうしても気になったので聞いてみた。

 

「魔理沙、だったよな。・・・魔法使いってことは、やっぱ魔法が使えんのか?」

 

「もちろん使えるぜ!特に、光と熱に関する魔法は得意中の得意だぜ!・・・まぁ他の魔法も使えないわけじゃないんだけどな。」

 

「そうか。・・・あのよ、時空転移って使えるか?」

 

「時空転移!?そんな大それた魔法はさすがに使えないぜ・・・。」

 

「・・・・・だよな。」

 

 分かっていたことだが、ラグナは少し落胆した。そして今度は霊夢に向き直る。

 

「んで、結局その結界が安定するのに、どれくらい時間がかかるのか分かったのか?」

 

 霊夢は少し考え込んだ。昨日、紫から聞いた話を彼に話すべきかどうかを考えていたからだ。

 

「・・・ごめんなさい。まだわからないわ。」

 

「そうか・・・。」

 

 ラグナは立ち上がり、立てかけていた剣を腰に差して、部屋を出ようとした。

 

「どこ行くのよ。」

 

「・・・昨日、俺がいた場所だ。もしかしたら、何かあるかもしんねぇだろ?」

 

「ちょっと待ちなさい!私も行くわ!それと、魔理沙。あんたも来なさい。」

 

「はぁ?なんで私まで・・・。」

 

「あんたの方が魔法の森に詳しいでしょ?」

 

「おい、別に俺は一人で―――「居候は黙ってなさい!」―――・・・・。」

 

 霊夢はそう言うと、部屋から出て自分の部屋へ向かっていった。

 それを見たラグナは、ため息をつきながら言った。

 

「・・・人の話聞けよ。」

 

「ははは。まぁ霊夢に限っちゃそれは無理だな。」

 

 と、魔理沙は苦笑しながら言った。

 

「というか、ラグナは魔法の森にいたのか?」

 

「あぁ、気がついたらその魔法の森だかで、訳のわかんねぇまんま歩ってたら紫と会って、まぁそっからいろいろあって現状に至るわけだ。」

 

「そっか。」

 

(ってことは、ラグナは少なくとも普通の人間ってわけじゃなさそうだな。一般人が魔法の森の瘴気に耐えられるわけないし。・・・それに魔法について若干の知識があるみたいだな。はは、面白いやつが来たもんだぜ。)

 

 そんなやり取りをしていると、霊夢が戻ってきた。

 

「さ、準備はいいかしら?」

 

 それにラグナと魔理沙は頷いて応えた。

 

「行くか。」

 

 そうして、3人は魔法の森へ向かった。

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか^^;
駄文ですがご容赦ください;;というか、紅魔郷編の幻想郷の年表ってあれでいいんですかね?^^;一応ググって調べたのですが、ちょっと自信がないので、もし正確な年号を知っている方がいたら教えて欲しいです><

さて、これから先、ラグナには紅魔郷編からの異変解決の協力をしてもらおうと思っているのですが・・・

ラグナって空飛べないですよね?
もういっそのこと術式で飛べる仕様にしちゃおうかなw

それでは、次回もよろしくお願いします!


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4話 異変

こんにちは、桐生皆無です・・・。

また、仕上げるのに1週間かかってしまいましたm(_ _)m
もっと早く書ける努力をしようと思います^^;

でわ、第4話!どうぞ!


 時刻は、ちょうど昼を回ったあたり。それだというのに、魔法の森は所々陽は射してるものの、夕刻と勘違いしそうなぐらいの薄暗さである。

 

 その森を歩く人影が3つ。ラグナ、霊夢、魔理沙である。3人は、すでに人が通るような道にはおらず、道なき道をただひたすらに、奥へ奥へと進んでいた。すでに、魔法の森を歩き始めてから半刻ほど経っていた。

 

 耐え切れなくなった霊夢が声を上げた。

 

「ちょっと!まだ着かないの!?」

 

「・・・うるせぇな。だから1人でいいって言っただろーが。」

 

「あら、そんなこと言ってた?」

 

「言ったわ!お前が俺の話を最後まで聞かねーのが悪ぃんだよ!」

 

「聞いてたわよっ!でも、こんなに時間かかるなんて聞いてないわ!」

 

「たったの1時間だろうがっ!」

 

「飛べばすぐなのよ!」

 

「あのなぁ、普通、人は飛べねぇんだよってさっきも言っただろーが!」

 

 魔法の森に向かう前、霊夢が空を飛んで行く、と言ったが、もちろんラグナは飛べるはずもなく、仕方がないという理由で3人で歩くことにしたのだ。

 

 そんな言い合いを黙って聞いていた魔理沙は、見かねて2人のあいだに割って入った。

 

「まぁまぁ2人とも落ち着けって。あんまり騒ぐと、低級妖怪に見つかるぜ?」

 

「ふん。だったら、このストレスを妖怪にぶつけてやるわ!」

 

「はぁ、やれやれだぜ。・・・・・なぁラグナ、あとどれくらいかかるんだ?私はいいけど、霊夢のやつがもたないぜ?」

 

「わーってるよ。確かこの辺のはずなんだけどな・・・・・。」

 

 そうしてラグナは辺りを見回して、昨日、自分が倒れていた痕跡を探した。

 

 そして、少し離れた地面に違和感を覚えて、ラグナはそこに向かって歩いた。地面には、刀身の幅広い剣が刺さっていた跡がついていた。

 ラグナは足を止めて2人に呼びかけた。

 

「ここだ。昨日、俺がいた場所は・・・。」

 

「なんだ、もう着いてたのか。良かったぜ。」

 

「まったく・・・・。」

 

 2人が近づいてくるのを認識しながら、ラグナは辺りを見回した。

 

「どう?何かありそう?」

 

「・・・・まだわからねぇ。」

 

 首を振ってラグナはそう応えた。

 

(もし、境界を通ってここに来たんだとしたら、何かしらの痕跡が残っててもおかしくはねーんだけどな・・・・。)

 

「はぁ・・・疲れ損かしら。」

 

「まぁ霊夢にはいい運動になったんじゃないか?最近、異変も起きてないし、それにどうせ修行もしてないんだろ?」

 

「あんたには言われたくないわよ。いつも、暇さえあればうちの神社に来て遊んで行くくせに。」

 

「私はやることはちゃんとやってるぜ?」

 

「私だってやってるわよ!」

 

 と、霊夢と魔理沙の言い合いが聞こえてきたが、ラグナはそれを無視して、辺りに痕跡がないかどうかを探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナは、しばらく辺りの大木の側や地面を探してみたが、それらしい痕跡は見つけられなかった。

 

(くそっ、なんにもねぇ・・・。やっぱり、境界は関係ねぇのか?)

 

 心の中で悪態を吐きながら、ラグナは2人のところ戻ってきた。戻ってきたのだが、2人はいまだに言い合い、というより、もはや口喧嘩に発展していた。

 

「ったく。霊夢がそんなんだから、いつまでも賽銭箱が空なんだよ!」

 

「・・・・今何か言った?」

 

「はは、何回でも言ってやるぜ!」

 

(・・・なんか、さっきと立場逆になってねーか?)

 

 霊夢の額に青筋が浮かんでいるのが見たラグナは、さすがに止めに入った。

 

「おい。そこまでにして・・・っ!なんだ・・・?」

 

 最後まで言い切る前に、ラグナは辺りの光景に目を見開いた。それに気付いた2人も、同じように辺りを見回した。

 

「なによ。この紅い霧・・・。」

 

「・・・ただの霧じゃないみたいだぜ?」

 

「これは、妖霧ね。」

 

 霊夢はそう言うと、一度ラグナを見た。

 

(・・・・なんともなさそうね。紫から聞いてはいたけど、やっぱり普通の人間とは違うのね。)

 

 霊夢がそう考えていると、いきなりラグナの背後からスキマが現れ、中から紫が出てきた。

 

「うおっ!!」

 

「あら、失礼したわ。」

 

「テメェ!毎度毎度、人を驚かすような位置から出てくんじゃねぇよ!」

 

「だから今、失礼、と言ったでしょ?・・・ってそんな話をしに来たんじゃないわ。」

 

 怒るラグナを無視して、紫は霊夢の方へと寄ってきた。

 

「霊夢、わかってると思うけど、異変よ。」

 

「えぇ。この紅い妖霧ね。」

 

「人間の里の方でも被害が出ているわ。・・・異変を解決するのが博麗の巫女の仕事、でしょ?」

 

「わかってるわよ!魔理沙、ラグナ!一旦神社に戻るわよ!」

 

「わかったぜ!」「あぁ。」

 

「そうそう、驚かしたお詫びに、ラグナは私のスキマで送ってあげるわ。」

 

 そう言うと、紫はラグナの真下にスキマを開いた。

 

「は?おい、ちょっとま・・・・・・。」

 

 そして、有無を言わさずにラグナをスキマへ落とした。

 

「紫・・・あんた、またラグナに怒られるわよ?」

 

「ふふふ。・・・それじゃぁ先に神社にいるわよ。」

 

 そして、ラグナの後を追うように、紫も姿を消した。

 

「はぁ。私たちも急ぐわよ。」

 

「あぁ!」

 

 霊夢は宙に浮き、魔理沙は箒に乗って、2人は文字通り飛んで神社に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナside

 

 ラグナは、境内に横になっていた。好き好んで横になっているのではなく、紫のスキマに落とされ、気づいたらこうなっていたのだ。

 

(あのヤロォ・・・・。)

 

 紫に対しての怒りの感情を抑えながら、身を起こして立ち上がり、ラグナは空を見た。

 

(・・・さっきまで太陽が出てたのに、この霧のせいか、日が遮られてやがる。)

 

 そう思いながら見ていると、背後から紫の声がした。

 

「ラグナ。・・・あなたに話があるの。」

 

「・・・なんだよ。」

 

 そう言い、ラグナは振り返って紫を見た。ラグナは、文句の1つでも言ってやろうと思っていたが、紫の顔を見て止めた。これから真剣な話をする、という雰囲気を感じたからだ。

 紫はラグナの目をまっすぐに見つめると話し始めた。

 

「さっきの場所で何か見つかったかしら?」

 

「・・・・・・なにも見つかってねぇよ。」

 

 ラグナは頭を掻きながらそう答えた。

 

「そう。・・・ねぇ、ラグナ。私、能力を使ってあなたの世界につなげてみたの。」

 

「結界、直ったのか?」

 

「まぁ、その話は後でするわ。」

 

「・・・・・・。」

 

「話を戻すわね。・・・あなたの世界につなげてみたのだけれど、結論から言うと、つながらなかったわ。」

 

 それを聞いたラグナは、押し黙った。それに構わず、紫は話を続けた。

 

「私の仮説では、ラグナの世界は消滅しているわ。・・・あくまで仮説だから、違うのかもしれないけど。」

 

「・・・・・・。」

 

「黙ってるってことは、心当たりがあるって事かしら?」

 

 その問いに対してもラグナは沈黙していた。

 

(心当たり、か。・・・・・あぁ、あるな。本当はこの世界で目を覚ましてから、今日まで忘れてなんかいなかった。ただ、見えないふりをしてただけだ。見えないふりして、この世界に来ちまった理由を探し続けた。ま、実際この世界に来ちまった理由はわかんねぇままだが。)

 

(そう、ニューと窯に落ちたあと、俺は全く別の存在になった。世界の災厄とも破壊者とも呼べる存在に・・・。そして・・・。)

 

 ラグナが目を瞑って思案していると、紫が声をかけた。

 

「もし、今はまだ話せないような事なら、言わなくていいわ。ただ、私の言った仮説が正しいのなら・・・・・ラグナを元の世界に戻すことはできないわ。そこはわかってちょうだい。」

 

「・・・そうか。」

 

「・・・ねぇ、ラグナ。1つ、私なりに考えてみたのだけれど、あなたがこの幻想郷に来たのは偶然ではないかもしれないわ。」

 

「どう言う意味だ?」

 

「ラグナには、この幻想郷でなすべき役目があって、運命に導かれた。そしてあなたの行いは、いつかこの幻想郷に大きな結果をもたらす。」

 

 その話を聞いたラグナは、子供の扱いを受けているような気になって、渋面になった。

 

「そう思うんなら、ついでに俺にどんなお役目があるのかってあたりも、教えてもらえると助かるんだけどな。」

 

「ふふふ。言ったでしょ?これは私が考えた、あなたの可能性の1つ。本当に役目があるかなんて、私にもわからないわ。」

 

 それに対して、ラグナは苦笑しながら言った。

 

「テメェで考えついといてそれかよ。・・・・・でも、まぁ確かに、そう考えれば俺も少しは気が楽んなるな。」

 

「そう。なら、良かったわ。」

 

 そう言いながら、紫は微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナと紫がそんな話をしていると、霊夢が神社の境内に降り立った。霊夢は紫とラグナの方に近づいて言った。

 

「この霧、幻想郷全体を覆ってるわね。」

 

「・・・そうね。何が目的かは知らないけれど。あら?魔理沙はどうしたの?」

 

「人間の里に様子見に行ってるわ。すぐ戻ると思うけれど。」

 

「そう。・・・って言ってるそばから、もう来たみたいね。」

 

 そう言って、空を見上げると箒に乗った魔理沙が境内に降りてきた。

 

「待たせたな。人間の里の方は、今のところは大丈夫みたいだぜ?ただ、人間はこの妖霧に長時間耐えられないから、みんな家の中に閉じこもってるけどな。」

 

「でしょうね。・・・それで、どこからこの霧が出てきてるのかわかってるんでしょ?紫。」

 

「えぇ。・・・霧の湖の畔に建つ、紅く窓が少ない洋館。おそらくそこに今回の犯人がいるわ。」

 

「洋館ね、わかったわ。準備が済んだらすぐに向かうわ。魔理沙、霧の湖で待ち合わせましょう。」

 

「あぁ。わかったぜ。」

 

 そう言って、霊夢は社の中に入っていき、魔理沙は魔法の森の方へと飛んでいった。

 

 

 紫はラグナの方に向き直り、どこか試すように言った。

 

「ラグナ、あなたはどうする?ここで霊夢たちの帰りを待ってる?それとも、異変解決を手伝ってくれるかしら?」

 

 その問いに対して、ラグナは苦笑した。

 

「はっ。選ぶ必要はねぇ。霊夢には借りもあるしな。それに、お前がさっき言ったんだろ?俺には、この幻想郷でなすべき役目があるって。・・・だったら、やることは一つだろ?」

 

「ふふ。そうだったわね。」

 

 その答えを聞いた紫は、微笑みながら、紅い霧に覆われた空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、このあとラグナは、霊夢たちと共に異変を解決するために、霧の湖の畔にある洋館へ向かうことになる。

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?^^

相変わらずの駄文で申し訳ありません;;

次の話では、戦闘シーンが多くなるかもです^^;
まぁ温かく見守ってやってくださいw

それでは、また(o・・o)/~


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5話 霧の湖

こんにちは!桐生皆無です!

更新が遅れて本当にすいませんm(_ _)m

なるべく早く仕上げたかったんですけど、テストが;;
しかも今回、文字数少ないです^^;

相変わらずの駄文ですが、第5話どうぞ;;


 紅い霧に覆われた夜空の下、ラグナはただひたすらに地面を駆けていた。時折、上空を飛んでいる霊夢の方に目を配りながら、見失わないように彼女の後を追った。

 

「気持ちいいわね。」

 

 そんな呑気なことを言いながら、霊夢はラグナを見た。息切れした様子もなく、平然と霊夢の後を追っていた。

 そんなラグナを見て、霊夢は出発する前の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出発前 博麗神社 境内

 

 霊夢は異変解決に向かうための準備を済ませると、神社の境内に出てきた。そこには、こちらに背を向けたラグナが、空を見上げながら立っていた。辺りを見回してみたが、紫の姿は見当たらなかった。霊夢の気配に気づいたのか、ラグナは霊夢の方に向き直った。

 

「あら?紫はいなくなったの?」

 

「あぁ。言いたいことだけ言って、スキマの中に戻ってったよ。」

 

「そう。なら、私はそろそろ行くわ。」

 

 そう言って、霊夢が飛び立とうとした時、ラグナが口を開いた。

 

「その異変解決ってーの、俺も手伝っていいか?」

 

「・・・は?あのねぇ、紫になに言われたのか知らないけど、この幻想郷がどういうところなのかもよく知らないあんたに、異変解決を手伝わせるわけにはいかないでしょ?」

 

「だろうな。・・・でもよ、人は多い方にこしたことはねぇだろ?それに、俺は普通の人間じゃねぇし、簡単には死なねぇよ。」

 

「そうは言ってもねぇ。・・・・・ま、いいわ。でも、あなた移動はどうするつもり?飛べないんでしょ?」

 

「問題ねぇよ。霊夢の後を追っかけりゃいいだけだろ?」

 

「・・・あなたのペースに合わせて飛んでる暇はないわよ?」

 

「あぁ。いつも通りの速さで飛んでくれて構わねぇよ。」

 

「そ。じゃぁ行くわよ。」

 

 そう言って、霊夢は飛び立ち、ラグナはその後を走って追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在

 

(ああは言ったけど・・・・・まさか、本当に走って付いてくるなんてね。)

 

 そう思いながら、霊夢は前に向き直った。多少遅れてるにしても、ラグナは一定のペースを保ちながら付いてきている。普通の人間ならば、置いていかれても不思議ではないが、ラグナは霊夢の姿を見失うことなく走り続けている。霊夢は、多少の驚きと感心を持ちながら、ただ前へと進んだ。

 

 数分経つと、2人が視認できる距離に湖が見えた。

 

「あれか・・・。」

 

 そうラグナがつぶやくと、急にラグナの前方に黒い塊が現れた。

 

「なんだ?」

 

 ラグナは足を止めて、剣の柄に手を掛けた。

 それと同時に、少し離れた霊夢の方には複数の氷の弾幕が飛んできていた。

 

「くっ!」

 

 霊夢はそれを全てかわし、霊夢は空中で、ラグナは地上で、それぞれ動きを止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢side

 

「あたいの攻撃をかわすなんて、やるわね。」

 

 霊夢は声をした方向を見た。1人は水色の髪に白と青の服を着て氷の羽を持った少女、もう1人は緑の髪に青い服を着て、これまた羽を持った少女がいた。

 

「チルノちゃん!いきなり攻撃したら危ないよ!」

 

「大丈夫だよ大ちゃん!あたいは最強だから!」

 

 霊夢は、そんなやり取りをしている2人を見て、ため息を吐きながら言った。

 

「何の用よ。・・・あなた達みたいな妖精に構ってる暇はないんだけど?」

 

「ここは、この最強の妖精チルノ様と大ちゃんの湖だ!とっとと出て行け!」

 

「チ、チルノちゃん。私は別に・・・。」

 

 困り顔をした大妖精をよそに、チルノは霊夢に向かってまたも攻撃を仕掛けた。

 

「くらえ!氷符『アイシクルフォール』!!」

 

 霊夢は、チルノから放たれた氷の弾幕を余裕の表情でかわすと、ラグナを気にかけた。

 

(ラグナの方で妖気を感じたけど、ま、大丈夫よね。それよりも・・・こっちね。)

 

 そう思い、霊夢はチルノたちに向き直った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナside

 

 ラグナは剣を抜き、構えたまま自分の正面にある黒い塊を見つめた。その塊は、ゆっくりとラグナに近づき、次第に晴れていった。そして中から、黒と白の服を着て、金髪の髪に赤いリボンをつけている幼い少女が現れた。

 

(おいおい。この前見た低級妖怪と違って、随分とちいせぇガキが出てきたもんだな・・・。)

 

「・・・おい。テメェ妖怪か?」

 

「そうだよ~。私はルーミア~。」

 

 そうルーミアが答えた。そしてにっこり笑うと、

 

「あなたは・・・・食べれる人類?」

 

 ルーミアがそう言った直後、ルーミアとラグナを覆うように闇が迫ってきて、2人を飲み込んだ。

 

「ちっ!」

 

 ラグナは辺りを見回すが、一面闇に染まってしまい何も見えない。ラグナは、視界が闇に染まる前の地形を思い出し、近くに木がある事を思い出した。ラグナは、そこに向かって剣を振り、木に刺さった感触を確かめると、そこへ移動して背を預けた。これで少なくとも背後を取られることはない。

 

(・・・油断したな。さて、どうするか・・・。)

 

 ラグナがそんな事を考えていると、

 

 

 ゴンッ!!

 

 

 という音が聞こえた。

 すると、みるみる視界が晴れていった。そして、近くの木に突っ伏すように倒れている、ルーミアを見つけた。

 

「・・・・・。お前も見えてねぇのかよ・・・・。」

 

 ラグナはルーミアが完全に伸びてしまっていることを確認して、彼女を木に座らせるように寄りかからせた。

 

(ま、こいつはここに置いときゃいいだろ。)

 

 そう思うと、ラグナは湖の方を目指して走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナが湖に到着すると、上空で、霊夢とチルノが激しい弾幕合戦が繰り広げていた。

 

(紫から聞いてはいたが、これが弾幕合戦か。・・・すげぇな。)

 

 そんな事を思っていると、チルノがラグナの姿に気付いた。

 

「あ!またあたいの湖に人が!」

 

 チルノはラグナの方に意識を注いだ。その隙を見逃す霊夢ではなかった。

 

「がら空きよ!霊符『夢想封印』!!」

 

 霊夢から放たれた弾幕は、全てチルノに被弾した。

 

「きゃああああああ!!」

 

「チ、チルノちゃーん!」

 

 直撃したチルノは、湖を越えた向こう側まで飛んでいき、それを大妖精が追いかけていった。

 

「ふぅ。ただの馬鹿だったわね。」

 

 そう言って、霊夢はラグナの近くに降りてきた。

 

「そっちは大丈夫だった?」

 

「あぁ。なんか、幻想郷に住んでる奴は、すげぇのか馬鹿なのかわかんねぇな。」

 

「・・・まぁ否定はしないわ。」

 

 霊夢が呆れ顔でそう言うと、上空から魔理沙が箒に乗って降りてきた。

 

「悪い悪い!待たせたな。」

 

「別に待ってないわ。ちょうど終わったところだったし。」

 

「ん?なんかあったのか?」

 

「ま、いろいろとな。」

 

「そっか。って、それより湖の向こう側見たか?紫の言ってたとおり、紅い洋館があったぜ!」

 

「そこに今回の元凶がいるのね。」

 

 そう言うと、霊夢は湖の畔の方を見据えた。

 

「さあ、行くわよ。」

 

「「ああ。」」

 

 そして、3人は紅い洋館へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




短くてすいません><

次回はもっと書く予定なので、ご容赦くださいm(_ _)m

それでは、また~^^


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6話 紅魔館

更新が半年ほど遅れてしまい申し訳ありませんでしたm(_ _)m
PCが激しく破損し、買い替えるまでずっとお金を貯めており、やっと執筆できると思ったら、法事やら試験やらでドタバタしてしまいまして;;

これからも、そんなことが起きて更新が遅れてしまうことがあると思いますが、ご容赦ください ><

それでは、本編どうぞ!


 紅い洋館を目指して、歩くこと数十分。

 3人は、紅い洋館を視認できる位置まで、近づいてきていた。

 

「また随分とデケー建物だな。」

 

「ええ。それに本当に紅いわね。」

 

 そんなやり取りをしながら、霊夢とラグナは紅い洋館を見上げた。

 

「ここに今回の異変の元凶がいるのね。」

 

「よし。ふたりとも、早く行こうぜ。」

 

 霊夢とラグナを急かすように、魔理沙が言った。ふたりは、魔理沙に続くように屋敷の門へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ~すぅ~。」

 

 門前に着いた3人は、門に寄りかかって眠っている女性に目を向けた。その女性は、赤い髪で緑を基調とした服を着ており、龍の文字がついている帽子をかぶっていた。

 

「・・・なんだ?こいつ。」

 

「門の前にいるってことは、門番なんじゃない?」

 

「門番が寝てていいのかよ・・・。」

 

「まぁなんにせよ、寝てるんだったらチャンスだ。入っちまおうぜ!」

 

 そう言って、魔理沙は門を飛び越えて中へと侵入した。

 

「そうね。私たちも行きましょうか。」

 

 魔理沙に続いて、霊夢が門を飛び越えようとした瞬間、門番の女性が目を覚ました。

 

「ぅん、ん~ん。・・・あれ?あなたたちは・・・侵入者!?」

 

 そう言って、門番の少女は戦闘態勢を取った。

 

「やべぇ、霊夢!早く行け!」

 

「わかってるわよ!」

 

 霊夢は、門を飛び越えようとするが、門番の放った弾幕によって遮られた。

 

「くっ!」

 

「行かせませんよ!!ここを通りたければ私を倒してからにしてください!」

 

「もうすでにひとり入ってるぜ!」

 

 声のする方向を見ると、魔理沙が門番に向かって弾幕を放った。それを躱しながら、門番はため息をついた。

 

「はぁ。また咲夜さんに怒られる。」

 

「テメェが寝てんのがいけねーんだろーが!」

 

 それにツッコミをいれるように、ラグナは言った。

 

「ま、いいです。この場で全員始末すればいいだけです!!」

 

(ちっ!こんなとこで足止め食らってちゃこいつの味方が来ないとも限らねぇな。しょうがねぇ。)

 

 そう考えると、ラグナは霊夢の近くに寄り、霊夢を抱え上げた。

 

「ちょっと!!いきなりなにすんのよ!?」

 

 霊夢は赤面して抗議するが、ラグナは霊夢を無視して魔理沙の方を見た。

 

「魔理沙!!受け取れっ!」

 

 そう言って、ラグナは門を越えた先にいる魔理沙に向かって、霊夢を力任せに放り投げた。

 

「きゃあ!」

 

「うわっと!」

 

 なんとか霊夢をキャッチした魔理沙。霊夢は魔理沙の腕からすぐ飛び降りると、ラグナに向かって罵倒しようとしたが、ラグナが先に声を上げた。

 

「お前らは先に行けっ!!こいつは俺がやる!」

 

 それに対して霊夢と魔理沙は反論しようとしたが、門番の弾幕によって遮られた。

 

「行かせないと言ったはずです!」

 

「ちっ!おらぁっ!!」

 

 門番は、すぐに霊夢と魔理沙を追いかけようとしたが、ラグナがぶん投げた大剣によって遮られた。

 

「なっ!」

 

 大剣をかろうじて躱した門番を見て、ラグナは霊夢と魔理沙に向かってもう一度声を上げた。

 

「こんなとこで全員が足止め食らってちゃしょうがねぇだろうが!さっさと行け!このバカ!」

 

 その言葉を聞いて、霊夢と魔理沙は目を合わせて頷き、屋敷の中へと入っていった。

 ふたりの姿が屋敷内へ消えるのを見てから、ラグナは門番がいる方へ向き直った。

 

「つーわけだからよ。テメェの相手は俺がしてやるよ。」

 

「・・・・・退くなら見逃してあげますよ、って言おうと思いましたけど、こうなった以上あなたには責任を取ってもらうしかありませんね。」

 

「はっ!できるもんならやってみな!」

 

 そう言ってラグナは、投げて地面に刺さっていた大剣を抜き、構えた。

 

「そうですか。・・・・・1つ言っておきますけど、普通の人間では私には勝てませんよ。」

 

「そーかよ。」

 

(普通の人間・・・ねぇ。)

 

 ラグナがそう返すと、門番も戦闘態勢を取った。

 

「覚悟はいいみたいですね。華人小娘、紅美鈴!参ります!」

 

 そして、ラグナと門番・紅美鈴との戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢・魔理沙side

 

 屋敷の中へ入り込んだ2人は、薄暗い廊下をただひたすらに進んでいた。ふと、魔理沙が振り返り、それに合わせて霊夢も足を止めた。

 

「なぁ霊夢。本当にラグナのこと置いてきてもよかったのか?」

 

「・・・。本人がそう言ったんだからしょうがないでしょ?それに、ラグナなら大丈夫よ。」

 

 そう言って、霊夢は歩き始めた。

 

「そう、だな。」

 

 魔理沙は、霊夢に続くようにその後を追った。

 

「それにしても、館の中も紅いのね。なんだか、目がチカチカしてきたわ。」

 

「おまけに広すぎだぜ。・・・なぁ霊夢、手分けして探索したほうがよくないか?」

 

「そうね、それじゃぁ魔理沙はあっちをお願い。」

 

「わかったぜ!」

 

 そう言って、魔理沙は箒に跨って飛んでいった。

 

「さて、私も急がないとね。」

 

 魔理沙を見送った霊夢は、地から足を離して魔理沙とは違う方向へと飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナside

 

 霊夢と魔理沙が分かれて探索している頃、ラグナは美鈴と一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

「ちっ!やるじゃねぇか・・・!」

 

「あなたこそっ!人間にしてはやりますね!」

 

 お互いそんな事を言いながらも、休まずに攻撃し続ける。

 

「これはどうですか!華符「芳華絢爛」!!」

 

 美鈴がそう唱えると、美鈴を中心としてそこから無数の弾幕が放たれた。ラグナは舌打ちをして、必死に弾を避け続ける。

 

(くそっ!これじゃ近づけねぇ。)

 

「弾幕も使えない人間が私に勝とうなんて考えが甘いです!!さぁ、これで最後です!」

 

 そう言うと、美鈴から放たれている弾幕の勢いが増した。それを見たラグナは、にやりと笑って剣の柄に手をかけた。

 

(近づけねぇなら!!)

 

『デッドスパイク!!』

 

 ラグナが剣を逆手に持ち振り上げると、地面から黒い獣の顔が這い出て弾幕を喰らいながら美鈴目掛けて突っ込んだ。

 

「なっ!」

 

 美鈴は迫ってきていた黒い獣の顔を横っ飛びに避けるのと同時に弾幕を止めた。

 

「やっと止めやがったな!」

 

「っ!しまった!」

 

 美鈴が気づいたときにはすでに、ラグナが迫っていた。

 

『へルズファング!!』

 

 ラグナは黒いオーラを腕にまとわせ、それを美鈴に叩きつけるのと同時に、門壁に吹っ飛ばした。

 

「かはっ!・・・・・ぐっ、うぅ。」

 

 吹き飛ばされた美鈴は、体を起こしてまだ戦おうとする素振りを見せたが、そのまま壁にもたれかかるように倒れて気を失った。

 それを見たラグナは、剣を腰に収めた。

 

「はぁ、ったく。手間かけさせんじゃねぇーよ。」

 

 そう言いながら、ラグナは気絶している美鈴に近づいた。

 

「わりぃな・・・。普通の人間じゃねぇんだわ、俺。」

 

 ラグナは、美鈴を仰向けにしてその場に寝かせると、門を開けて館の扉の前に立った。

 

(あの2人・・・。先に行かせといてなんだが、大丈夫だろうな。)

 

 そんな事を思いながら、ラグナは館の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???side

 

 ここは月明かりが差し込んだ広い部屋である。月明かりといっても空が紅い霧に覆われているため、あまり明るいとは言えない。

 そこには2つの人影があった。1人は椅子に座っており、白い服を着て白い帽子をかぶり、水色の髪で大きいコウモリのような翼を生やしており、口元には牙、そして紅い瞳をもつ少女。もう1人は、その座っている少女に対して片膝を付き、頭を垂らしたメイドである。

 

「屋敷内が少し騒がしいようだけど?」

 

 座っている少女が、薄ら笑みを浮かべながらメイドに言った。

 

「申し訳ございません、お嬢様。どうやら侵入者が3名ほど屋敷の敷地内に入っているようです。」

 

「ふふ、そうみたいね。・・・1人は博麗の巫女かしら?」

 

「はい。・・・・・あとの2人は、おそらく博麗の巫女の仲間かと。」

 

「そう、なら存分におもてなししてあげてね?・・・咲夜。」

 

 少女がそう言うと、メイド・十六夜咲夜は顔をあげた。

 

「かしこまりました。お嬢様。」

 

 咲夜は少女にお辞儀をすると、部屋を出て行った。それを見送った少女は窓から外の空を見上げ、そして笑みを浮かべた。

 

「ふふふ。素敵な月夜だわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか。
ぶっちゃけ久しぶりに書いたので、文がかなりグダグダになってしまってると思いますw
もしおかしな所やここはこうしたほうがいいんじゃないか、とかありましたら気軽に感想にかいてください^^;

ではでは、次話もいつ上げられるかわかりませんが(なるべく早めに上げたいと思っています  )、よろしくお願いします!!


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7話 元凶を探して

遅くなりましたm(_ _)m

とりあえず、本編どうぞ~^^


 紅魔館の門番・紅美鈴を倒したラグナが屋敷の中に入り探索を始めた頃、魔理沙は、見渡す限りが本に囲まれている、図書館にいた。

 

 

(すごい量の本だな・・・。おっ!この本、なかなか興味深いぜ。)

 

 そう思い本に手を伸ばすと、弾幕が魔理沙めがけて飛んできた。

 

「うわぁっ!!」

 

 かろうじて避けるのと同時に、弾幕が飛んできた方を見ると、少女がいた。魔理沙と同じくらいの身長で紫色の髪をしており、薄紫色の服を着た少女だ。

 

「いきなり攻撃するなよ!」

 

「あなたが私の本に勝手に触れようとしたからよ。」

 

 そう言って、紫色の髪をした少女が答えた。

 

「ちょっと借りようとしただけだぜ?こんなにいっぱいあるんだし。」

 

「悪いけど、素性の知れない人に貸し出す気はないわ。」

 

 少女は、言うが早いか魔理沙に向かってまた弾幕を放った。

 

「くっ・・・!!」

 

 魔理沙はそれを箒に乗って躱すと、少女に向かって弾幕を放ち返した。少女はそれを飛んで躱す。

 

「火符『アグニシャイン』!!」

 

 少女は飛ぶのとほぼ同時に、スペルカードを使った。

 

(この火は・・・!こいつも私と同じ魔法使い・・・。)

 

 迫ってくる火を躱しながら、魔理沙は少女を見た。

 

「逃げてるだけじゃ、私には勝てないわよ?それとも、魔法に恐れおののいたのかしら?」

 

「別に逃げてるわけじゃないぜ!それに・・・。」

 

 魔理沙は懐からミニ八卦炉を取り出すと、それを少女に向けて突きつけた。

 

「人間だって魔法が使えるんだぜ!!この私、普通の魔法使い、霧雨魔理沙がお前を退治してやるぜ!」

 

 それを聞いた少女は、ため息をつくと、魔理沙を見た。

 

「はぁ・・・。ちょっとした魔法が使えるぐらいで図に乗らないで。・・・いいわ。私が本物の魔法を見せてあげる。死んでも恨まないでよね!日符『ロイヤルフレア』!!」

 

 そう、少女が唱えると無数の弾幕が魔理沙めがけて飛んできた。

 

「っ!!!」

 

 魔理沙は、箒を上手く操って避けるが、避けても避けても弾幕が止まない。

 

「私を退治するんじゃなかったの?」

 

「くっそぉ!・・・・・こうなったら!魔符『スターダストレヴァリエ』!!」

 

 魔理沙もスペルカードで応戦するが、だんだん分が悪くなってくる。

 

(このままじゃ・・・。)

 

 弾幕を躱しながら考えを張り巡らせるが、良い案が浮かばない。

 

「げほっ!・・・こんな・・・時に。」

 

 いきなり少女が咳き込み始めた。それに伴い、弾幕の勢いが弱まる。

 

「今だ!!恋符『マスタースパーク』!!」

 

「きゃああああああああ!」

 

 魔理沙が放ったマスタースパークは、少女に当たるとそのまま吹き飛んだ。

 

「パチュリーさまぁー!」

 

 急に声が聞こえたかた思うと、近くの本棚に隠れていたのか、赤い髪にコウモリみたいな翼をはやした少女が、吹き飛ばされた少女を追いかけていった。

 

「ふぅ。危なかったぜ。」

 

 そう言って、魔理沙は額を拭うと、少女を吹き飛ばした方角を見た。

 

「パチュリーって言うのか。覚えておくぜ。」

 

 魔理沙は、本棚の方に向き直り、先ほど手に取ろうとした本とそのほか何冊か抜き取ると、図書館をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢side

 

「ようこそ。博麗の巫女。」

 

 そう言葉を発したのは、メイド服に身を包み、銀色の髪の毛をした少女。

 

「あんた、誰?」

 

 霊夢が尋ねると、メイドはスカートの裾を摘んでお辞儀をした。

 

「この館の主、レミリア=スカーレット様にお仕えしている、十六夜咲夜です。」

 

「そう。なら、あんたのご主人様に会わせなさい。外の紅い霧、あんたらの仕業ってことはわかってるのよ。」

 

 疲れたような表情で、霊夢が言うと、メイド・咲夜は薄ら笑みを浮かべると、どこから取り出したのか、ナイフを多数投げてきた。それを霊夢は、持っていたお祓い棒で弾いた。

 

「っ!!いきなり何すんのよ!!」

 

「お嬢様に代わって、私がおもてなしするよう申しつかっておりますので。」

 

 それを聞いた霊夢は、臨戦態勢を取って咲夜を睨んだ。

 

「あーそう!なら、人間だろうと容赦はしないわよ!」

 

 霊夢は複数の弾幕を咲夜めがけて放った。しかし、咲夜に当たったと思った瞬間、咲夜は姿を消し別の場所に現れた。

 

「このっ、すばしっこいわね!」

 

 そして、また弾幕を放つが。

 

「無駄よ。」

 

 その弾幕が、咲夜に当たることはなかった。その代わりに、また無数のナイフが霊夢めがけて飛んできた。

 

「くっ!!」

 

(全く、面倒な相手ね・・・!でも、この能力。)

 

 霊夢は、ナイフを全て躱しきると、咲夜を見た。

 

「なるほど。あんた、時間を操ってるのね。」

 

「・・・そうよ。よく今の短時間でわかったわね。でも、能力がわかったからといって、私には勝てないわよ?」

 

「それは、どうかしらね。」

 

 咲夜は霊夢を一瞥すると、ナイフを構えた。

 

「もう終わりにしましょう。メイド秘技『殺人ドール』!!」

 

 咲夜がスペルカードを唱えると、四方八方から霊夢めがけてナイフが飛んできた。

 

「これくらいで・・・!博麗の巫女がやれると思わないことね!霊符『夢想封印』!!」

 

 霊夢が放ったスペルカードは、様々な色の光を放ちながらナイフを弾いて咲夜に迫るが、当たる前に消えてしまう。

 

「何度やっても同じよ!私には当たらないわ!」

 

 そう言って咲夜はホールの端へと、能力を使いながら逃げた。それを見た霊夢は、にやりと笑った。

 

「かかったわね!夢符『封魔陣』!!」

 

 霊夢が次のスペルカードを唱えると、咲夜は驚愕の表情を浮かべた。気づいたときには、咲夜は逃げ場を失っていた。後ろは壁。前左右は霊夢の放った弾幕によって塞がれている。

 

「くっ・・・。まんまと誘導されたってわけ。」

 

「えぇ。こうすれば時間を止めたって回避できないでしょ?」

 

 咲夜は霊夢を睨みつけると、衝撃に備えて身構えた。そして、無数の弾幕が咲夜めがけて飛んでいった。

 

「お嬢様・・・申し訳ありません。」

 

 咲夜はそうつぶやくと、弾幕の衝撃により壁に打ち付けられ、意識を失った。

 霊夢は巫女服をポンポンとはたくと、気を失った咲夜を見た。

 

「まぁこの先、幻想郷で暮らしていくなら、私に迷惑をかけないことね。」

 

 そう言うと、霊夢は異変の元凶を探すため、先へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナside

 

 霊夢と魔理沙が、それぞれの敵を倒し終わった頃、ラグナは紅魔館の廊下をただひたすらに歩っていた。

 

(広ぇな・・・。だいぶ歩いたはずなんだけどな。)

 

 そう思いながら、歩みを止めず進んでいくと、右手の方に木でできた扉が見えた。その扉は頑丈な錠がいくつもされており、なんとも言えない雰囲気を醸し出していた。

 

(いかにも何かありますって扉だな。)

 

 ラグナは腰の剣を抜くと錠めがけて振り下ろした。すると、錠自体古かったのか、簡単に壊れた。

 拍子抜けしたラグナは、扉を開けて中を覗いてみると、地下への階段のようなものが、石造りで続いていた。

 

(地下か・・・。)

 

 それを確認したラグナは、迷いなく階段を下りていった。

 

(扉の状態からして、頻繁に開けられてるわけじゃなかったな・・・。何がいるんだか。)

 

 そんな事を思いながら下っていくと、目の前に1つの扉が現れた。

 

(また扉か。・・・今度は錠がされてねーな。)

 

 そうして、扉を開けたラグナの前に広がったのは、まるで子供の部屋。部屋の中心には小さめのベッドが置いてあるが、それ以上にあちこちに落ちている人形やぬいぐるみに目がいく。そのほとんどが首が取れていたり、足や手がもげていたりしているからである。

 ラグナは周りを訝しげな顔で見回した。

 

(気味がわりぃな・・・。どうする、戻るか。この部屋の先は無さそうだしな。)

 

 ラグナが踵を返して戻ろうとすると、頭上の方から声が聞こえてきた。

 

「誰?」

 

「っ!?」

 

 声に反応し、剣の柄に手をかけ振り返ると、そこには小さな少女がいた。赤と白の服、金色の髪に白い帽子を被り、翼の様なものを生やしている。

 そして、その少女の何よりも印象的なのは、その目。

 

 

 

 

 

 その目は、ラグナの右目と同じ色をしているが、そこにはラグナの目には無い狂気が見えていた。

 

 

 

 

 




今回、ラグナの出番が全くありませんでしたw

しかし、戦闘シーン難しい;;
次話は、ラグナ中心で書く予定です・・・多分w

感想・意見よろしくお願いします^^


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8話 スカーレット姉妹

ラグナメインにしようとしたら、ごめんなさいw
次話ですね^^;

本編どぞ~


「あなた、誰?」

 

 そう問いかけてくる少女は、無防備でラグナに近づいてきた。

 それを見たラグナは、剣の柄に手をかけたまま、呟くように答えた。

 

「・・・ラグナだ。」

 

「ふーん。ラグナって言うんだ。・・・あなた、人間?」

 

 少女はラグナの顔を覗き込むように、今度はそう問うてきた。

 

「俺が人間以外の何かに見えんのかよ。」

 

「私、咲夜以外で人間見るのは初めてだから。・・・ラグナはなんで右目だけ赤いの?」

 

 それを聞いたラグナは、顔をしかめながら頭を掻いた。

 

「・・・・。会ったばかりの奴に答える必要はねぇな。」

 

「・・・そっか。私はフランドール・スカーレット。・・・・・ここにずっと閉じ込められてるの。」

 

「はぁ?閉じ込められてるだ?お前ここの住人じゃねぇのかよ。」

 

 フランドールは、ラグナにそう言われると、何も答えずに後ろを向き、部屋の真ん中にあるベッドの方に歩いて行った。

 その様子を見たラグナは、踵を返し部屋の出口へ向かった。

 

「・・・ちっ、まぁいいや。邪魔したな。」

 

「待って!!」

 

 発せられた声に反応して、ラグナは歩みを止めると、後ろの方にいるフランドールの方へ顔を向けた。

 

「私、ずっと退屈してたの。おもちゃはすぐ壊れるし、遊んでくれる人はいないし。」

 

「ねぇ、ラグナ。遊びましょ?」

 

 フランドールがそう言うのと同時に、複数の弾幕がラグナを襲った。

 ラグナはそれを見ると、即座に腰の剣を抜いて全ての弾幕を叩き落とした。

 

「てめぇ!!いきなり何しやがる!!」

 

「ふふふ・・・!あははははははははははははははははは!!」

 

 ラグナの罵声を無視して、フランドールはさらに多くの弾幕を放ってきた。

 

「これはどうかなぁ!?」

 

「ちっ!・・・ぅおらぁっ!!」

 

 フランドールの弾幕をデッドスパイクでかき消すラグナ。

 

「あははは!すごいすごい!・・・じゃぁこれはぁ?禁忌『フォーオブアカインド』!」

 

 スペルカードを使うと、フランドールが4人に増える。

 

「ちっ面倒くせぇな・・・・・いいぜ、遊んでやるよ。後悔すんじゃねぇぞ!!」

 

 ラグナは剣を構えると4人のフランドールに突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢side

 

 咲夜を倒した霊夢は、1つの大きな扉の前に立っていた。

 

(この先ね。今回の元凶がいるのは。)

 

 霊夢が扉を開けようとした瞬間、聞きなれた声が聞こえてきた。

 

「お~い!霊夢~!」

 

「あら、無事だったのね魔理沙・・・って何よその本の量は!?」

 

 そう言って見た先にいる魔理沙は、大量の本のせいでバランスがうまく取れず、箒に跨りながらふらふらしていた。

 

「いや~。本当は数冊にしようと思ったんだが、何か気になる本がたくさんあったんだ。まいったぜ!・・・それにしても、ラグナはまだ来てないのか?」

 

 魔理沙がそう言うと、霊夢は僅かに表情を曇らせた。

 

(やっぱり、一旦助けに行くべきだったかしら。・・・でも。)

 

「ラグナなら大丈夫でしょ?・・・頑丈そうだし。」

 

「・・・頑丈そうか?ラグナって。」

 

「とにかく!ラグナは私たちを先に行かせるために残ったんだから、それを助けに戻ったら何か悪いでしょ?・・・もうここまで来たんだし。」

 

「・・・そうだな。」

 

 2人はやり取りを終えると、大きな扉を見上げた。

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか、ね。」

 

「ま、異変解決は巫女の役目だし、最初は霊夢に譲るぜ!」

 

「ふん。あんたの出番なんてないわよ!」

 

 そう言って扉を開いて中に入ると、少女が大きな椅子に座っていた。

 白い服を着て、白い帽子をかぶり、髪は水色で短く、背中にはコウモリのような翼、口元には牙、そして血のように紅い瞳をもつ少女だ。

 紅い月に照らされた少女は、ニヤリと笑みを浮かべると口を開いた。

 

「初めまして。私はレミリア・スカーレット。誇り高い吸血鬼であり、この紅魔館の主よ。」

 

 レミリアは霊夢と魔理沙を見ながらそう言った。それを聞いた2人は、威圧感のようなものを感じた。しかし、それにまるで臆することなく、2人は凛とした表情でレミリアを見た。

 

「あんたが元凶ね。あの外の紅い霧、迷惑だからやめてくれない?」

 

「ふふっ。博麗の巫女は礼儀がなってないわね。私は名乗ったのだから、次はあなたが名乗る番でしょ?それからそっちの白黒も。」

 

「取ってつけたように言うな!私の名前は霧雨魔理沙!普通の魔法使いだ!」

 

 2人のやり取りを聞いてた霊夢は、ため息を付きながら答えた。

 

「・・・博麗霊夢。言わなくても知ってるんでしょ?回りくどいことしないでくれる?」

 

「物事には順序ってものがあるでしょ?それが例え・・・これから死闘を繰り広げる時でも。」

 

 それを聞いた霊夢と魔理沙は身構えると、椅子から飛び上がったレミリアを見た。

 

「咲夜からは博麗の巫女以外に2人いるって聞いたけど・・・・・まぁいいわ。さぁ、どっちから生き血を吸ってあげようかしら?」

 

「生き血を吸わせることなんてまずないけど、私が相手してあげるわ!」

 

 霊夢は、そう言うとレミリアと同じぐらいの高さまで飛び上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先手必勝でやらせてもらうわ!!」

 

 霊夢の弾幕が多数、レミリア目掛けて放たれる。

 

「こんなんじゃ当たらないわよ?手加減しているつもりならやめときなさい。こんなに月も紅いから、本気で殺すわよ?天罰『スターオブダビデ』!!」

 

 そう言ってレミリアから放たれたスペルカードは、弾幕に加え網上の光線を放ちながら、霊夢に迫っていった。

 

「っ!!」

 

 その無数の弾幕を、紙一重で躱していく霊夢。それを見たレミリアは笑いながら弾幕を放ち続ける。

 

「ふふふっ!さすがは博麗の巫女!この程度じゃ捕まらないわね!」

 

「当たり前よ!!夢符『封魔陣』!!」

 

 今度は霊夢がスペルカードを発動させるが、レミリアもそれを紙一重で躱す。

 

「あんたも妖怪のくせにやるじゃない!」

 

「ふん、紅符『スカーレットシュート』!」

 

 レミリアは新たなスペルカードを使う。放たれた弾幕は四方八方に飛び、その全てが霊夢目掛けて迫っていた。

 

「霊符『夢想封印』!!」

 

 それを霊夢もスペルカードを使って相殺する。

 ここからは、スペルカードの応酬が続いた。霊夢が使えばレミリアが、レミリアが使えば霊夢が。

 

 

 

 

 

「楽しい時間だったけど、これで終わりにさせてもらうわよ、博麗の巫女。」

 

「ふっ。それは、私のセリフよ、吸血鬼。」

 

 レミリアは、手に身の丈以上もの大きな槍を持った。それを見た霊夢は、目を閉じ、自分の中で最強のスペルカードを唱える準備をする。

 

「「これで!!」」

 

「「終わりよ!!」」

 

 霊夢とレミリアの声が重なり、両者ともに最大のスペルカードをぶつけようとした。

 

 が、ぶつかることはなく、その代わり部屋中に爆音が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 no side

 

 霊夢とレミリアは、互いにスペルカードの行使を中断すると、音のした方を見た。すると、部屋の一端に大きな穴が空いており、そこから部屋の中まで煙が上がっていた。

 

 すると、煙の中から少女の狂気染みた笑い声が聞こえてきた。

 

「あはははははは!!もう終わりなの?」

 

「ぐ、がはぁっ!!」

 

 徐々に煙が晴れてくると、そこには血を吐き、赤いコートを所々血でさらに染め、頭から血を流した青年が、壁にもたれ掛かるようにして倒れていた。

 そして、その近くには同じ姿をした少女4人がいた。

 

「「ラグナ!!」」

 

 霊夢と魔理沙は同時に叫ぶと、ラグナを助けようとしたが、4人の内2人の少女に阻まれた。

 

「「今遊んでる最中なんだから邪魔しないでよ!!」」

 

「くっ!」

 

 そんな霊夢たちをよそに、レミリアは少女に向かって声を張り上げた。

 

「フラン!!なぜここにいるの!?地下に戻りなさい!」

 

「お姉様・・・。またそうやって私だけ仲間はずれにするんだ。・・・いつもだよ。いつも、いつも、いつもいつもいつもいつもいつもいつも!!!!!」

 

 フランは、癇癪を起こしたみたいに言うと、レミリア目掛けて弾幕を放った。レミリアは避けようとするが、霊夢との戦いで疲労したせいか、反応ができなかった。

 

「お嬢様!!!」

 

 当たると思われたフランの弾幕は、空を切ると壁にぶつかって、そのまま壁を壊した。

 

「咲夜・・・。助かったわ。」

 

「いえ。遅れてすみませんでした。」

 

 咲夜はレミリアを適当な場所に下ろすと、フランに声を掛けた。

 

「妹様!それ以上はいけません!」

 

「咲夜も・・・お姉様と一緒だよ・・・!」

 

 そう言ってフランは弾幕を放つ。咲夜はそれをかろうじて躱す。

 

「あ~あ。ラグナも壊れちゃったし・・・・・いいや、ちょうど4人いるし。」

 

 フランは、霊夢・魔理沙・咲夜・レミリアを順に見て、狂気が孕んだ笑みを向けた。

 

「遊ぼう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラグナside

 

「・・・・痛っ・・・!」

 

 ラグナは気絶から目を覚ますと、辺りを薄目を開けて見回した。霊夢と魔理沙、あとは知らない2人がフランと戦っていた。

 

(あの、ガキ・・・!)

 

 立とうとするが、思うように足が言うことを聞かない。

 

(くそっ・・・!寝てる場合じゃねぇんだよ・・・!)

 

 何とか剣を支えにして立ち上がる。そして、もう一度戦場を見渡す。何とか4人でフランとやりあってはいるが、限界が見えている。

 

(使いたくねぇとか言ってる場合じゃねぇな。)

 

 そう思いながらラグナは、右腕を抑えながら、脳に、体に刻み込まれた言葉を唱える。

 

 

 

「第六六六拘束機関解放!」

 

 

 

 手の甲にある丸い玉が、煌めく。

 

 

 

「次元干渉虚数方陣展開!!」

 

 

 

 ラグナを中心にして、押しつぶされそうな大きな力が部屋全体を覆い尽くす。

 戦っていた全員が動きを止めて、その力の発生源を見る。

 

「ラグナ!まだ遊べるんだ!!」

 

 そう言って、フランはラグナの方へと近づいてきた。

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 《蒼》が目覚める。

 

 

 

「《蒼の魔道書(ブレイブルー)》起動!!!」

 

 

 

 ラグナの目の前に、紋章が現れ、やがてラグナに溶け込むように消えていく。

 

 

 

 

 

 

「行くぞ!このガキがぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 




いやーやっとこさ、起動しましたよ~w

でも、いつものラグナのあのテンプレ、「行くぞ!○○がぁ!!」っというやつなんですが、フランのことガキ以外思いつきませんでしたm(_ _)m
もし、これ良くない?とか俺・私ならこうやるっていうのがあれば、教えてくれると助かります!ていうか、いいのあったらそれに書き換えさせていただきたいと思いますm(_ _)m

では、また次話で~^^


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