不思議な姉妹と生活する陰キャラ学生!? (ユキ・E.L.F)
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絶望の日そして出会いの日

E・L・Fです。初めて投稿します
もしかしたら色んな作品に似ていて混ざっているかもしれないですが
御手柔らかにお願いします


〝明日ありと思う心の仇桜〟と言う古文のことわざがある。意味は桜は明日もまだ美しく咲いているだろうと安心していると、その夜中に強い風が吹いて散ってしまうかもしれない。人生もそれと同じで、明日はどうなるか、わからないという人生のはかなさを言った言葉である。Webより...。

 

日に日に、明日は何が起きるか分からない。もしかしたら、明日、毎日いつも喋る友人が転校するかもしれない。(友人いないけど...)

 

・・・・・もしかしたら、好きな人に告られるかもしれない(100%いじめorいじめられてるよね。その人か俺...)

 

・・・・・まぁ、切り替えて、地球が回る限り...いや、時が止まらない限り、時間が過ぎるごとに、人とは世界では生まれ、亡くなるの二択しかない。

 

結論、地球が回る限り、何か大切な者、大切な人が失う時、それは新たな誕生、出会い、発見があるかも知れない。反対も同様。あくまでも余談だがな。

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

聖夜の夜、真っ白な雪が降っている季節、1人の男子高校生が久しぶりに地元長野県の帰省にボチボチと電車を降り、徒歩1分もかからない家まで歩いていった。

 

しかし、そこに待っていたのは...

 

 

絶望だった...

 

 

空を見上げると黒い煙が出ていて少し声が聞こえてきた、何事かと思い何か嫌な予感がした。

 

学生は慌てて走り突き当たりを曲がると馴染んでいた家が、赤い炎に包まれていたそれを見て学生は膝をつき言葉を失った。

 

 

な、何でこうなっているんだ...えっ...?おじいちゃん...おばあちゃん...母さん...父さん...姉さん...。

 

 

絶望していた学生の耳に遠くから鐘の音が聞こえて消防車が来たらしい、見馴れた近所の人たちが学生の周りを囲むように集まり幼馴染みの女子が背後から学生に悲しそうに慰める。

 

 

「だ...大丈夫だよ、〇〇ちゃん希望はあるよ」

 

 

勇気を振り絞って弱々しい声で話しかけた幼馴染み、だが学生にはその声は届いていない次に、顔を伺った。

 

学生は涙一杯に今にも泣け叫びそう顔で堪えていた。

 

消防車が到着し学生の家族を救助・消火活動を即座におこなった後に、警察から火事の原因の調査を消火が終えるまで事情を聞かれたが、ショックが大きく答える様子が無かった為、明日伺いますっと言われた。

 

一時間くらいかけて消火が終えた消防隊に変わり、警察が火事の原因を調査をおこなった後に、消防員は暗い顔をしては学生の近くまで行き、家族の報告に来た。

 

 

「申し訳ございません。もう我々が救助時には息がもうありませんでした。つまり...ご家族とご親戚方々はお亡くなりになりました...」

 

 

隣にいた幼馴染みはそれを聞いて涙を流した。

 

 

っ...な...何でこうなったんだ昨日まで電話越しで話していた家族が...親戚が...何で...遠くに行くんだよ...。

 

 

何度も何度も思い、頭を抱え我慢していた憎しみ悲しみの線が切れて泣き叫んだ。数分間にわたり学生の泣き声は近所の夜に響き渡った。

 

 

泣き止んだ学生に幼馴染みに「泊まる場所無いでしょ?」と聞かれ、゛うん゛と言えざる負えない状況だった。しかし、幼馴染みとはいえ年頃の男女が...家族もいるけど流石にと思ったけれど、論破され強制的に連れてかれ一日過ごした。

 

次の日、朝早くから警察が伺いに来て事情聴取され自分の名前は葵 光(あおい こう)高校1年生、葵家長男で名古屋の高校に、寮で通っている事や自営業のお店は両親が共働きなど話した。

 

事情聴取は終えたが警察官が改まって衝撃的な事を話した。

今回の火事は事故では無い、殺人事件言われた犯人は家の裏や玄関にあらかじめガソリンばらまき準備をして引火をした。まだ証拠や目撃者がおらず、犯人を捕まえるまで時間が掛かると言い残し警察は丁寧にお辞儀して背中を向けた。

 

 

その後、1週間は祖父の弟にあたる親戚が集まり葬式をおこなわれ悲しみの泣き声と共に終わった。

 

そして、ここからが問題だった遺産と葵光とお店をどうするか祖父にあたる親戚同士の話し合いが始まったちなみに、お店は売ると決めた様子、葵光は引き取った場合遺産の6割を貰える条件がある。

 

遺産の金額は被害額や保険などを計算したら、億を超えるお金に目が膨らんだ親戚はピリピリした空間で話し合っていた。

 

葵光は考えた...このままだと自分が生まれ育った場所から離れてしまう事を...り

 

 

どうしよう...俺はここから離れたくない...高校生がこんな身勝手なことを言ってもいいのだろうか?...言ってしまえば必ず親戚達は反対をするだろう…だけど必ずしも全員が反対はしないわけじゃない......うん...決めた。

 

 

葵光は親戚たちが話し合い中に弱々しい声で言い合いを止め自分はどうしたいかを言った。

 

 

「自分は生まれ育った場所から離れたくないです。高校2年になると同時に地元に転校して、一人暮らしをしたいです...」

 

 

もちろん。反対する者がいる。

 

 

「何を言っているんだ! 例え一人暮らしが始まっても億を超えるお金を自分の欲望のままに使うのが落ちに決まっている!!」

 

おっ俺よりお金の問題かよ...そ...そうだよね...やっぱりこうなるよな...(苦笑)

 

 

右頬にでかい傷が付いている怖い叔父さんに怒られた。予想通り反対された葵光は諦めた...

 

 

葵家の中で1番偉い人がずっと目を閉じて腕を組んでいた。その人は祖父の弟のかた大叔父が結論を言い渡した。それは俺にとって予想外の判決を言い出した。

 

 

「俺は光くんの意見を認める」

 

...............?!

 

「えっ?...ほんとですか?」

 

ヤベェっ!!思わず声を出してしまった。

 

 

親戚達も驚き隠せなかった。その中で最も右頬に傷がついている怖い叔父さんが反論していた。

 

 

「お父さん何を言っているんだ!、高校生が億を超えるお金を持って一人暮らしするんだぞ!!。そんなの俺は反対だ!!!」

 

お、親子だったんだ似てない...祖父の弟さんは優しそうなのに叔父さん怖すぎるだろ...実はヤクザでは?。

 

 

葵光はビクビクしながら2人を見ていた。

 

「問題ない。お金の管理は私がする、銀行で週一で見に行くよ...もしお金の減りが酷かったら私が面倒を見るよ...だから光くん一人暮らししていいよ。あと、兄さんの孫だから大丈夫だよ。困った事や相談事のってあげるよ」

 

 

大叔父は優しい声で言ってくれた。祖父と話しているかのように感じてしまった葵光は嬉しかった。泣きそうになった。こんなワガママが賛成してくれたことが・・・・・。

 

ここからは、大叔父と2人でこれからどうやって一人暮らしするのか話した。提案された事が光くんの家を作ろうと言ってきた流石にびっくりした。

 

 

「億を超えるお金の6割だそれでも、でかい家を建てても学校費や日用品や5年分の食事を払える余裕はあるからな。別にいいんじゃないかな?」

 

「えっ...でも家が広すぎても困るような気がしますが...」

 

「大丈夫だよ、光くんは4~5年後には仕事に就き、彼女だっているよ。家族になれば子供だって出来るそのための家だと思えばいいよ。あと、家の設計は家族と過ごした設計にしておく。光くんがこっちに転校する時には出来ていると思うから」

 

「は...はい...わかりました」

 

 

こうして、話は終わった俺はお墓参りをして故郷を背を向けた。そして、名古屋に戻り4月には転校することを学校と寮の先生に言った。

 

 

~April~

 

 

終業式が終え、転校する準備をして名古屋を背後にした葵光は、故郷に近づく度に思い出してしまう数ヶ月前の事件の事を...彼は耐えた。

 

完成していた家が目の前にあり、思わず走ってしまった。家族がいるかもしれないと玄関を開けると誰もいなかった。

 

 

そっか...当たり前かいないんだよな...みんな...みんな...。

 

 

葵光は玄関に荷物を置き家の近くにある裏山の方まで軽く散歩に出ていった。葵光はのんびりと歩いた...そう...あの事件を思い出さないように。

 

外は少し寒くのんびりと山の近くまで歩く途中...。

 

 

寂しそうな2人の少女に出会う...。

 

 

少女達の見た目は身長が140ぐらいの黒髪で腰辺りまで長く、俺と違って顔立ちが整って凛々しそうな子と120ぐらいのキラキラとした綺麗な金髪で肩ぐらいの長く、その子も顔立ちが整っていて凛々しそうな子と違って性格が真逆に見え、何となく姉妹に思えた。

 

しかし、少女達の少し様子が変だったため、葵光は腰を下ろし話しかけた。

 

 

「君たちご両親はどうしたの?子供2人で歩いていたら危ない。もうすぐ暗くなるし寒いから帰ったほうがいい」

 

 

葵光は何となく質問してはいけない事だと思った。それでも聞いてしまった。同じ目をしていたから力になれるか分からないけど救って上げたい思ってしまった。

 

お姉ちゃんっぽい子が弱々しい声で答えた

 

 

「母は亡くなりました父は知りません...家族は妹だけです......だ...から......か...える...場所......は...」ウルウル

 

「そうか...それ以上言わなくていいよ。ごめんな辛い事を言わせて...」ナデナデ

 

 

お姉ちゃんは一生懸命に涙を堪えていた。そんな頭を撫でて慰めた。

 

 

多分妹に不安な気持ちにさせたくないから、だから意地を張っているんだろう...優しいな

 

 

妹は限界が来ているようだ今にも涙と声が出そうになっている。

 

 

「うぐっ....」ウルウル

 

 

葵光は悩んだ自分も経験した状態だから、救って上げたい。でも、なんて慰めたらいいか分からなかったそれでも言った。

 

 

「泣いてもいいんだよ...泣いても...悲しいだから、いつまでも堪えてると天国に行ったお母さんが心配するよ...だから...いいんだよ...泣いても...」ナデナデ

 

 

俺は姉妹を撫でた姉妹は大きな声で泣き始めた。

 

 

「うわーん」泣ダキ

 

 

姉妹たち俺に抱きついて服が濡れそうな位に泣いた大きな声で山の頂上まで響きそうな声で、1番辛くて悲しい事を短い人生でこの子達は辛い経験をしたのであろう。少し落ち着いた時に自分の話をしようと思った。

 

 

「少し落ち着いたか?」ナデナデ

 

「うん...」グスン

 

「じゃあ...次は俺の少し話聞いてくれる?」ナデナデ

 

「いいよ」ニコ

 

 

妹は表情がマシになって少し元気に返事をしてくれたお姉ちゃんは凛々しい顔で頷いた。

 

 

「俺も家族が火事で亡くなったんだ...今一人ぼっちでね...家に帰っても誰もいないから、家族がいない気持ちが分かるんだよ」

 

 

姉妹は驚いた顔をして最後まで話を聞いて、「お話は以上!」と言って帰ろうとした時、お姉ちゃんから腰を抜かす事を言われた。

 

 

「あの...私達姉妹と家族になってください!」

 

....えっ?!

 

いや、小学5年ぐらいの子に「家族になってください」って言われて驚かない奴いないよ、色んな意味があるからどういう意味で言ったんだ?。しかも、言っている意味に気がついたのかお姉ちゃんの顔が少し赤い。恥ずかしいなら、もう少し言い方を変えなさい。もし、俺がロリコンだったら姉妹とも食われているぞ。

 

「それは...どういう意味で?」アワアワ

 

「まちぃ...イタ...間違いました。親戚もいないので帰る場所もありませんだから、私達を引き取って下さい。何でもしますからお願いします!」ペコ

 

噛んだね...凄いギャップだな。さっきの発言が無かった様な凛々しい顔に戻った。

 

 

お姉ちゃんに頭を下げられそれに続いて妹も下げた、葵光はどうするか迷った親もいない子供を見捨てるわけにも行かないだけど、面倒見る自信が無い葵光は考えた数分間、沈黙が続いた考えて答えが出た

 

 

「...わかっただけど、何でもはしなくていいよ、血は繋がっていないけど家族の様に接していいから」

 

 

姉妹は喜んで葵光の方に走り出し抱きついて来き、受け止めた。

そして、自己紹介をしていない事を気づき、姉妹に改めて自己紹介した。

 

 

「改めまして、お兄ちゃんの名前は葵光だ」

 

「私の名前は雪菜(せつな)と言います。妹は...」

 

「雪音(ゆきね)!」ニコ

 

 

改めてお互い名前を知った。

 

しかし、俺は何で引き取ったのか分からない。もしかしたら、俺はこれからの一人暮らしに寂しく怖かったのかもしれない。家に帰ってきて「ただいま」って言っても返事が返ってこない事や食事が1人のなのが怖いのかもしれないな。

 

 

「わかった雪菜と雪音だね。イイ名前だな」

 

「だけどお兄ちゃんの事なんて呼ぼっかなぁ...」ウーーン

 

「何でもいいよ、雪音、呼びやすい名前で」

 

「えーとじゃあ...パパって呼んでいい?姉ちゃんもお兄ちゃんの事をこれからはパパでいい?」ウワメヅカイ

 

「べっ...別にいいんじゃないの?」 チラリ

 

えっ...?!そんなに老けてるように見える?まだ、高校二年生なんだけどあと、2人とも上目遣い止めて可愛いから今にも抱きたくなるから。

 

「うぅーん・・・参った。まぁ...いいよ」ハァー

 

「やったー!。パパこれからよろしくね」ピョンピョン♪

 

「パ.....お父さんこれから宜しくお願いします」デレ

 

なぜ?言いかえた恥ずかしがり屋なのか?。

 

 

2人は最初と見違えるぐらい表情がマシになっていた。同じくらい葵光もだるそうにしているが満更でもない顔をしていた。

 

 

「もう暗いから2人の家に帰るよ」

 

 

雪音は「はーいパパ」♪って返事して雪菜は頷き2人は葵光を挟み並んで、雪菜は恥ずかしそうに雪音は嬉しそうに手を繋ぎ、夕御飯の話をしながら、新しい我が家に帰った。

 

しかし、葵光は姉妹達の正体に気づいていない。

 




さぁ~
これからの生活はどうなるのでしょうか
姉妹達の正体とは?


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姉妹の正体?

相変わらず下手くそですが宜しくお願いします


人とは他人に知られないようにすること。隠して人に見せたり教えたりしないこと。また、そのようなさまやそのような事柄、二字の漢字に変えると秘密という言葉がある。

 

例えば、アニメが好きだけど、それが広まり「アイツ、キモイ」とか言い出す人が必ずいるから変な恥や黒歴史が生まれるだろうと思い、口を固くして、結局クラスに馴染めず、ずっとボッチのまま家庭の事情により転校するハメになる男子(俺だな・・・・・)

 

・・・・・はぁ、いま思うけど、碌なことが無い。

 

結論、秘密ができる時、それと同時に黒歴史の1ページが出来る。しかし、秘密がバレても誰かが受け入れて楽しい思い出が生まれるかもしれない。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

夕方、カラスの鳴き声が聞こえ子供たちが帰る時間帯に、雪菜と雪音の手を繋ぎながら一緒に新しい家に着いた。見た目は白い石で出来た少し一軒家にしては大きめな家だった。

 

家の中を入り3人で見回りと、ソファやテレビなどはあらかじめ祖父の弟さんが買ってくれていた。

 

 

本当に何から何まで頼ってしまった弟さんには感謝の言葉しか出ないな。

 

 

しかし、葵光は姉妹を見て気がついてた。

 

 

「雪菜着替えとか持ってない?」

 

「はい服は今着ているのだけです」

 

涼しい顔で答えるなよ、雪菜カワイイナ、白いワンピースが少しボロボロだなヤバイな、連れてきたのは良いが、この子達の着替えの服や布団がない、少し遠いがイ〇ンモールでも行って食材や日用品など買わなければいけないな、お金の心配は・・・・・無いな。

 

「帰ってきて早々、重大の事に気づいたから今から雪菜と雪音の服と日用品を買いに行くぞ」

 

「やったぁ家族の初めての買い物だね」ワクワク♪

 

俺はこの笑顔の為に生きているんだな。カワイイナ

 

 

3人は行動に移し、家族で初めての買い物イ〇ンモールに向かい少し時間が掛かるからバスの中で今後に生活について話し合った。

 

 

「雪菜と雪音はどうするんだ学校とか行きたいのか?」

 

葵光はスマホに買う物のメモをしながら聞いた

 

「...お金は大丈夫なのですか?」

 

「優しいな...子供がお金の心配しなくていいよ、俺も子供か」ナデナデ

 

「...」デレデレ

 

 

気遣いをしてくれた雪菜の頭を撫でた。雪音が少し不安そうにまた質問する。

 

 

「本当に大丈夫なの?」

 

「あぁ、大丈夫だよ雪音、心配するな」

 

「やったー」ニコニコ

 

 

葵光は姉妹たちの笑顔を見る度に幸せを感じていた

 

 

「そう言えば何歳だ?俺は今年高二で16歳だけど雪菜と雪音は?」

 

「私は今年小学5年生で11才です」

 

「雪音は小学2年生8才です」

 

雪菜と雪音は3歳差か・・・・・そう言えば姉さんと俺も3歳差だったな...

 

 

葵光は雪菜と雪音を見ていたら、よく喧嘩をした亡くなった姉を思い出した。話していたら目的地に到着し3人は心を踊らせながらお店に入り買い物を始めた。

 

 

 

雪菜は葵光の左側に並び、雪音も葵光の右腕に抱きつきこっちを見て、葵光はメモを見ながらぶつぶつと独り言した。

 

 

「えーと、2人のベットは宅配便で、2人の服とリンスとその後に、夕食と明日のご飯を買うか。」

 

「女子力ありますね女性にモテてそうですよね、パ...お父さんって」

 

「俺はモテないぞ、寧ろ影が薄いキャラだからな、まぁ...そっちの方が良いんだけど、」

 

「お姉ちゃんは、前の学校だと静かだけど、すっごく人気があってモテてたんだよ」

 

「告られても断るけどね。好きな人なんていな...いし」チラリ

 

「へぇーそうなんだ、確かにモテてそうだよね。」ウンウン

 

 

雑談をしながら買い物をしたら、目的の品は買い終わってお会計を済まし、お店を出てバスに乗り家に帰った。

 

3人はバスを降りて、家に着き葵光は台所に買い物袋を置き、夕食の準備を始めた。

 

 

「2人ともお風呂先に入りな」

 

「えぇーお風呂ぉ、パパと入るならいいよ」

 

「俺は無理だぞ、雪菜と一緒に入れ、それでいいだろ。雪音」ハァー

 

「えぇーじゃあ入らない」プィ

 

これが新手の反抗期か、このままだと本当に入らなそうだし・・・・・致し方が無い

 

「わかった、夕食の下ごしらえ終わったら、一緒に入ってやるから少し待ってろ」ハァー

 

「決定だね。お姉ちゃんも一緒ね」

 

「...えっ、なんで?!」

 

 

買い物の時に買ってあげた小説を読んでいた雪菜は手を止めた。

 

 

「それは無理難題だ、風呂はそんなに広くは無い。後、雪菜はいいだろ男と一緒にお風呂なんて嫌だろ。なぁ、雪菜」

 

「...嫌では無いけど...パパだから」ボソッ

 

「えっなんて言ったんだ?雪菜」

 

「わかった・・・・・一緒に入る」セキメン

 

えぇーどこのロリコン育成ギャルゲーだよ。俺は求めてないから本当だよ。・・・・・ホントだから!!

 

「その代わりお父さんは変な事しないで下さいそれが一緒に入る条件です」

 

「・・・・・いいよ。それで下ごしらえ終えたら先にお風呂入るよ」ハァー

 

 

葵光は下ごしらえを終え着替えを持ち一足先にお風呂に向かい全体を洗い腰にタオルを巻き湯船に浸かった。その後、2人の声が聞こえた。

 

 

「お姉ちゃん早く」

 

「分かってるから、ちょ、ちょっと待って!」ムズムズ

 

そりゃそうだ、年頃の子が高校生と入るなんて嫌だろうな...。上がるか

 

葵光は腰に巻いたタオルを持って立ち上がろうとした時に、

雪音たちが入ってきた。

 

「お待たせパバ~♪」

 

「待って雪音、最初に体洗わないと汚いよ」

 

「はーいお姉ちゃん」

 

「お父さん、イヤらしい目で見ないでください。お願いしますね」ゴゴォ

 

怖い!、声がマジで怖いから雪菜さんどうやったらそんな声出るの、

思わず、さん付けするくらい怖いからブルブル

 

 

そして葵光は再び湯船に浸かった。

雪菜たちは頭から体を隅々まで洗い終えた。

 

 

「パパお風呂入るね」

 

「そんなに広くないからねどうやって入るの?」

 

「パパの体の上で浸かる」

 

「いや無理だよ雪音はともかく雪菜は嫌だろ」

 

 

やや気まずそうに葵光は答えて、髪をくるくると回し少し恥ずかしそうにしている雪菜に話を振る

 

 

「お父さん動かないでね」ニコ

 

 

雪菜は満面の笑みなのに、どこから低い声を出しているのか、鳥肌が立つくらい怖さを感じた。

 

 

「えッ、笑顔なのに、怖いんだけど」ブルブル

 

いや、マジで怖い!

 

 

雪菜たちは葵光の体の上で浸かった。葵光は腕を2人を抱擁する様な感じにして、気まずそうに一緒に浸かった。

 

この状況で一つだけ気になったことがある。雪音の頭の上に動物の耳みたいのが、付いていたことに疑問に思った。

葵光は2人に聞いた。

 

 

「なぁ、俺の目が悪いのか分からないんだが雪音の頭の上にある奴なんだ?」

 

「雪音隠して!!」

 

「えッ?・・・・・あっ!」

 

 

葵光の発言に雪菜は反応をして、

急いで雪音の頭の上にある奴を隠した

 

 

「...お父さん見ましたか?」

 

雪菜は恐る恐る聞いてきた。葵光は冷静に答えた。

 

「あぁ、見てないって言ったら嘘になるな、猫の耳っぽいのが見えた」

 

 

雪菜は少し覚悟をしたような目で、葵光を見て冷静に話しかけた。

 

 

「・・・・・お父さんに一つだけ、秘密にしていたことがあります。私たち姉妹は普通の人間ではありません」

 

「・・・・・ホント?」

 

 

葵光はコスプレだと思ったが、雪菜は目を閉じて黒猫の耳と尻尾を出し、海に光が透き通った様な綺麗な青色、雪音を改めて見ると白猫の耳と尾を出し、瞳が光が透き通て輝いた黄色に変わった。

 

 

「・・・・・これが私たちの本来の姿です」

 

 

葵光は衝撃な事実を知って言葉を失った。

 

 

「知ってどうですか、失望しましたか、気持ちが悪いですか、今すぐ追い出しますか?」ウル

 

 

雪菜は泣きそうな顔で問いかけ、葵光は目を閉じて心を落ちつかせていつもの様に少し笑って答えた。

 

 

「・・・・・知って可愛いなと思った...失望なんてしてない逆に嬉しいよ、言ってくれて、気持ちが悪いわけが無い、追い出したりなんかしないよ...こんなセリフ恥ずかしいからあまり言いたくないけど、俺は2人を...雪菜と雪音を守り幸せにすると決めたからね、だから居ていいよ」アタマポンポン

 

 

雪菜と雪音は驚きのあまり瞳が大きく開いた。

 

 

「本当?...」

 

 

雪音が今にも笑って抱きついてきそうな顔、雪菜は嬉し涙なのかそれでも信用してないのか次々に詮索をしてくる

 

 

「本当ですか?・・・・・可笑しいと思わないですか?こんな体バレたら国が私たちを捕まえに来ますよ...それでも私たちを守り幸せにしますか?...」ウル

 

「あぁ、誰がなんと言おうが守って幸せにするよ大袈裟かもしれないけど命と犠牲にしてまでもお前たちを救うよ」

 

「良いんですか?・・・・・後で後悔しても知りませんよ?」ウル

 

「後悔なんて散々してきたらから慣れたよ、逆に慣れた俺、怖っ!」ハァー

 

「本当ですか?」ウル

 

「本当だよ」

 

「本当に...本当にですか?」ウルウル

 

「本当だよ、雪菜は俺の事は信じてるのか?」

 

「信じてます」ウルウル

 

「じゃあ何で詮索するの?」

 

「パパと話してると幸せだからです」

 

あっ、雪菜が初めてパパって言ってくれた。何か照れるな。

 

「話してると幸せって何だそれ」クックッ

 

「パパも夢が私たちを幸せにするって夢がちっちゃいです。だけど、嬉しいです」ニコ

 

 

雪音は抱きつき雪菜頭を葵光の胸に寄せて、葵光からは雪菜の顔は見えないけど顔に隠しきれないくらい幸せな笑顔

 

 

「夕食にするから上がって...2人とも...急いでくれ」ブクブク

 

 

葵光は話を切って限界が来ていた。

何故なら1時間くらい風呂に、浸かったいるからのぼせているのだ。

 

 

「はーい」♪

 

「5分待ってください覗いたら目を潰します」

 

「分かってるから...早くしてくれ...」ブクブク

 

5分か長く感じるんだが...早くしてくれマジで・・・・・

 

 

2人は上がり着替え髪を乾かしリビングに行った葵光は顔を真っ赤にして上がり着替え夕食を作りに行った。

 

2人はリビングのソファに座って世界の果てまで〇ッテQを観ていた葵光は夕食を作り終わった

 

 

「夕食は約束通りのシチューを作ったから手を洗えよ」

 

「洗(いました)ったよ」

 

わぁ!初めて聞いた漫画とかで出るハモりかた

 

「じゃあ食べるか」

 

 

雪菜と雪音はTVをあとにしてシチューを置いている机に向かい座り葵光もジュースを準備をして椅子に座り3人で手を合わした

 

 

「いただきます」

 

「いただき(ます)まーす」

 

 

葵光は初めて家族全員で食べたこの状況を見て家族が生きていた頃で手を合わして「いただきます」なんてやった事あるかなと思った葵光にとっては初めての経験で嬉しかった

 

 

「2人とも・・・・・美味しいか?」

 

「美味しい(ですよ)よ」ニコ

 

おぉーすげぇな、またハモったしかし、良かった美味しいって言ってくれてハァー

 

 

葵光はシチューにトラウマがあったそれは中学の調理実習の時にシチューを混ぜる時ゆっくり混ぜないといけないのに早く混ぜてしまって色が変になってクラスの人に変な目で見られた記憶がある

 

 

「お父さん少し聞いていいですか?」

 

「?なんだ」モグモグ

 

パパからお父さんに戻っている何か駄目だったのかな

 

 

雪菜から質問された葵光はシチューに問題があったのかと思って食事を止めて少しハラハラしている

 

 

「何でこの家は広いのですか?私たちが来なかったら一人暮らしだったんですよねリビングだって2階にもありますよ」

 

「あぁ、それはだな祖父の弟さんが俺の将来に気遣いしてくれたんだ」ホッ、ヨカッタ

 

「そうですか」

 

「パパ私たちどこで寝るの?」

 

「雪菜と雪音は2階のリビング行って廊下が通って近くに俺の部屋があるからそこで寝てもらう」モグモグ

 

「お父さんはどこで寝るのですか?」

 

「2階のリビングのソファで寝る」

 

「何で一緒に寝てよパパ」ダダコネル

 

「無理、ベットが狭い」

 

「えぇ、おねがい」ウワメヅカイ

 

 

雪音は最終奥義涙目で上目遣いを使い出した。葵光は心になにか刺さった様な感じがした。

 

 

「くっ、わかった一緒に寝てやるから」

 

雪音はいつか男をこき使ってそうで心配だ、そうなった男性よドンマイ

 

「わぁーいやった良かったねお姉ちゃん」ニコニコ

 

「えぇ、少し心配なんだけど、なにかイヤらしい事をやりそうで...」

 

「何にもしないから安心しろ、俺は影が薄い一般人だ」

 

「余計怪しいじゃない」

 

「確かに...」

 

「とにかくパパ決まりね」

 

 

葵光と雪菜が楽しそうに茶番をしていたら、話に置いてかれた雪音が話を切って、3人が食べ終わり手を合わせた。

 

 

「ごちそうさま(でした)」

 

「お粗末さま」

 

「2人とも2階のリビングにもテレビあるからそこで観てくれあと歯を磨けよ」

 

「わかった」

 

 

雪音は2階に向かった雪菜は残って葵光の食器を洗いの手伝いをした。

 

 

「ありがとう雪菜」ニコ

 

「別に...自己満足でやってるだけだから」プィ

 

「・・・・・そうか」

 

 

2人は黙々と作業を終わらせ、雪菜は雪音のところに行かせ。葵光は洗濯物をリビングの奥の部屋に向かって、洗濯物を干し2人のところに向かい、3人で歯を磨き部屋にベットに入った。

 

 

「やっぱり狭いな3人だと」

 

「そうね...」

 

「少し気になったんだけどさ、人間と元の姿どっちが楽とかあるの?」

 

「正直に言うと元の姿の方がいいですね」

 

「じゃあさ他人がいない時ぐらいは別に元の姿でもいいよ」カワイイシ

 

「えッ?良いんですか?」

 

「人に猫耳と尻尾が付いたくらいだよ別に気にしないよ」w

 

「本当に優しいですね」ボソッ

 

「?なんか言ったか」

 

「なにかイヤらしい事をしたら覚悟してくださいねって言ったんです」ニコ

 

「だから何もしないって」ハァー

 

「お姉ちゃんばっかり構ってないで雪音にも構って」プクゥ

 

「ごめんごめん」

 

「いいもん今日はパパの体の上で寝る」

 

 

雪音は葵光の体の上に寝転がった。

 

 

「やめろ雪音息がしにくい」

 

「良いじゃん...パパ...ベット...気持...ち...いい......よzzz…」スゥー

 

「おい寝やがった・・・・・まぁいいや今日は大変だったよな、だけど明日から大変な事がもっとあるかもしれないからな」ナデナデ

 

 

雪音は葵光の体ベットで寝た。雪菜は隣で少し笑っていた。

 

 

「ふふ、そうですねだけど私たちならいけると思います...きっと...信じ...て...ます......からzzz…」スゥー

 

「・・・・・ありがとう」ナデナデ

 

俺も寝るか・・・・・zzz…

 

 

葵光は2人を抱擁して寝た。3人は少し狭いベットで静かで涼しく、

そして幸せそうに眠りについた。

 

家族を失った3人の新しい生活が始まる。




読んでくれてありがとうございます。
葵光の新しい生活がスタート


追伸、少し編集したいので投稿は遅れます。ご了承ください。申し訳ございません。


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青春を求めない転校生

遅れてすいません。可笑しかったらコメント下さい。御手柔らかにお願いします。


窓から柔らかく粉ように白っぽい朝の陽ざしが瞳にうつり、あくびして学生が起きてベットから降りた。

 

 

ふたりが寝相で抱きついてくるからまともに寝れなかった・・・・・ネム

 

 

葵は可愛い姉妹の為に、朝食を作りに一階のリビングまで眠そうな顔で向かった。

 

一方ふたりは雪菜が雪音の抱き枕にされていて、苦しそうに寝ている。

 

朝食を和食の鮭焼き、玉子焼き、なめこ汁などの下ごしらえを作り、手を洗い2階に上がり、ふたりを起こしに行った。

 

 

「朝だぞ、起きろぉ」

 

 

ふたりはとろんと眠気に残った声で起きた。

 

 

「おはよう......パパ」ゴシゴシ

 

「うーーーん...」バタン

 

 

雪音は目を擦りながらベットから降りた、雪菜はまだ眠いのか、再び横になり、寝た。葵光は溜息をつき、雪菜の体を横に揺らし声をかけた。

 

 

「雪菜、朝食出来るから起きてぇ」

 

「・・・・・うーん、まだ眠い...」ウトウト

 

雪菜は朝が弱いのか、意外だな。いつもしっかりしている子だと思ってたけど、まだ子供なんだな・・・・・

 

 

葵光は雪菜の意外な面を知れて、少し微笑んだ。しかし、今の状況としては別の話。葵光は仕方なく腰を下ろし雪菜に背中を向けて指示を出した。

 

 

「おんぶしてリビングのソファで少し寝ていいから乗って」

 

「・・・・・うん」ウトウト

 

 

雪菜は背中に抱えられ葵光は立ち上がり。リビングに行こうとした時、雪音が羨ましそうに甘えてきた

 

 

「雪音もおんぶして」ピョンピョン

 

「おんぶは無理だよ、雪菜が占領している」ヨイショッ

 

「じゃあ、抱っこして」ダダコネル

 

俺はふたり専用の便利な運び屋ではないぞ。ここ重要!!(別にいいけどね)

 

 

雪音は顔を膨らませて両手を高くあげ、「はやくはやく」と言いながら甘え、葵光は溜息をつき腰を下ろした。

 

 

「今日だけな。次からはしないからな」ハァー

 

「やった」ニコ

 

 

雪音は右手を葵光の首のに手を通して肩を組んだ。葵光の左腕をイスにして、右腕は雪菜のお尻を支え、そのまま抱え立ち上がった。

 

 

「おぉ、パパ、力持ちだね」ワクワク

 

「まぁな、これでも人並みに鍛えてきたからな」

 

 

ふたりに怪我をさせないように慎重にリビングに向かった。

 

 

 

リビングに着き、雪菜をソファに寝かし、起きているふたりは腰の高いテーブルに朝食の準備をした。

少し時間が立ち、そろそろ起こしてもいいだろうと思い葵光は雪音に起こすように頼んだ。

 

 

「雪音、そろそろ雪菜を起こして」

 

「お姉ちゃん、起きて」ユサユサ

 

 

雪音は雪菜の体を大きく揺らし、雪菜は目を擦り背筋を伸ばして起きた。

 

 

「・・・雪音、おはよう」

 

「おはよう、お姉ちゃん」

 

「おはよう、よく寝れたか?」

 

「おはよう、お父さん、気になったんだけど...何で私、ここで寝てるの?」

 

 

雪菜は可愛らしく首を傾げて聞かれた。葵光は誤解が招かないように細かく説明すると、体を真っ赤になりそうなくらい恥ずかしそうに顔を抑えて、ソファに顔を埋めた。

 

雪菜がソファで恥ずかしがっている時に、朝食の食べれる準備が出来て、食卓に3人は揃って朝食を食べた。葵光は朝食を食べながら今日の予定を話した。

 

 

「俺は今日から学校なんだよ。夕方にふたりの小学校の入学手続きをするから、お留守番よろしくね。」

 

「早く、帰ってきてね」

 

「分かりました。時間は大丈夫なんですか?」

 

 

雪菜に言われて時間を見た。葵光は箸を止めた。

 

 

「・・・・・・・・・・30分ぐらい遅刻している。」アハハ

 

 

葵光は苦笑いをして誤魔化したが、しかし、最後の言葉にふたりの手が止まり、沈黙が続いた。

 

 

「パパ、早く学校に行って!!」

「お父さん、早く学校に行ってください!!」

 

「だがなぁ・・・・・」モグモグ

 

 

ふたりは血相を変えてテーブルに手を叩きつけて立ち上がった。

 

葵光はふたりより早く朝食を食べ終わり皿を洗い始めようとしたが、雪菜に右腕を掴また。

 

 

「皿洗いぐらい、私たちがやるので急いで学校に行ってください。」

 

「わかった。ありがとう」ニコ

 

 

葵光は二人にお礼を言って学校に行く準備をした。

 

着替えている途中3人だけで話したいことを思い出し、リビングで皿洗いをしている、ふたりのところに向かった。

 

 

「雪菜、雪音そのまま洗いながらでいいから、改めて約束してほしいことがあるんだけどいいかな」

 

「いいよ」

 

「いいですけど...今更、なんですか?」

 

 

カバンにテーブルを置いて、ふたりの綺麗な目を見て、3人の約束事を話した。

 

 

「今、ふたりが出している尻尾と耳は、他の人にバレてはいけない、例え、友達でも、多分、君たちのお母さんも言ってたんじゃないか?」

 

「はい、お母さんによく言われてました」

 

「うん、言われた」

 

「約束な」

 

 

葵光はふたりに近づき小指をだした。雪菜と雪音も小指を出し、指切りげんまんをして、葵光は玄関に向かった。

 

「あっ、そうだ、言い忘れてた。テレビ前のテーブルに大切な事が紙に書いてあるから雪菜頼んだ。じゃあ、行ってきます」

 

「わかった。行ってらっしゃい」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

真っ黒なASICZの靴を履いて玄関口を開けて走って学校まで向かった。ふたりは尻尾と耳を引っ込めて、外に出て葵光の姿が見えなくなるまで見守った。

 

 

 

これから向かう学校は地元では有名な私立の小中高一貫学校で、高校は10年前まで女子校だったが、共学になり設備も良く、校舎改修で綺麗、制服が可愛い等などで人気が高いところに、これから2年間、葵光と明日から2人がお世話になる。

 

ちなみに選んだ理由は家から学校まで徒歩10分、走れば5分足らずで着く、要するに近いからである。

 

 

 

走っている途中、長身のモデル体型に、一目でわかるハーフとわかる鮮やかな青い瞳、アッシュホワイトの髪をハーフアップして、周りの男共が足を止めてガン見するくらい綺麗な制服を着た女子高生が周りを見ながらウロチョロしていた。

 

葵光は普段困っている人を見かけたら助けてしまう体質、しかし、過去に迷子になっていた女の子に話しかけたら、目つきが悪く泣かれた。

 

それでも彼女に少しずつ近づき弱々しく話しかけた。

 

 

「あの〜、大丈夫ですか?」

 

「えっ!えっと、実は迷子になりまして、スマホのマップに写っている高校はどこか、わかりますか?」

 

 

彼女はスマホのマップを見てきて、葵光は内心少し驚いてしまった。世の中こういう人もいるんだなと思った。

なぜなら・・・・・

 

 

「君、向かっている方向、逆だよ」

 

「・・・・・えっ!」

 

 

彼女は片手に持っている。スマホが落としそうになり、顔を林檎のように赤くなっていた。葵光はどうやら彼女に恥をかかせたような気がした。

 

 

「良かったら、一緒にいくか?、俺もその高校に向かっているから」

 

「えっ、お願い致します。」

 

 

彼女は頭を下げて、葵光の隣に並び付いてくる。沈黙が続く中、彼女からクリスタルグラスを打つような声で話しかけてた。

 

 

「あの、お名前を聞いてもよろしいですか?」

 

「高校二年生の葵光、家庭の事情により転校することになった」

 

「転校生なんですね。」

 

「まぁな」

 

「高校一年、藤白玲美(ふじしろれいみ)です。先輩と同じ高校に入学させていただきます。」

 

 

彼女は凛々しい笑みで上品な言葉遣い、どこかのご令嬢なのかと思えるくらい綺麗な声で、再び話しかけられた。

 

 

「ちなみに、なんて呼べばいいんですか?」

 

「覚えなくてもいいよ、これから学校で会うことは2度とないだろうから」

 

「そんなことはないと思いますよ」ニコ

 

 

藤白はそう言って、そこら辺の男子高校生が胸にときめく様な笑顔で答えた。そんな綺麗な笑顔で葵は勘違いしそうになった。

 

 

一般的な男子高生なら勘違いしていただろうが、俺はは無い。黒歴史を作るような行動はしない。正直、危うく新しい黒歴史を更新しそうになったわ。

 

「着いたぞ」

 

 

話しているうちに校門まで来ていた。

 

クリームのように白いコンクリートで四階建て校舎が東西南北に創られていて、グランドや体育館の設備が良くできていた、ありふれたマンモス校である。

 

葵光は背筋が凍るように思い出した。彼女はお礼を言って「入学式に遅れてしまいます。」と言って体育館に向かった。しかし、彼女は気づいていなかったようだ。

 

 

俺たち遅刻しているから、入学式始まってるけどね、

 

 

葵光は遅刻した事に怒らない。怖い先生でありませんようにと祈って少し覚悟をして校舎に入り、職員室に向かった。

 

職員室前まで来て、少し深呼吸をしてドアをノックして入った。コーヒーを飲んでいる、黒髪ロングのサイドダウンをしている。赤い眼鏡をかけた女性教師に話しかけた。

 

 

「転校して来た。高校二年の葵光といいます。自分のクラスが分からないので二年の学年主任に会いたいのですが、いらっしゃいますか?」

 

「君が転校生か、君の担任をする萩本愛香(はぎもとあいか)だ。どうして遅刻をした」

 

「えっと、色々とありまして・・・・・遅刻しました」

 

 

葵光は萩本先生の目を合わしていたが、質問に対し目を逸らしながら答えた。

 

萩本先生は少し目を鋭くしていたが、溜息をつき「まぁいい、次は気をつけるんだぞ」と言われ安心した。

 

「君のクラスを案内するから、キャラの印象は最初が肝心だぞ」

 

「ご気遣いどうも」

 

「では行くぞ」

 

 

萩本先生は鉄パイプの椅子から立ち上がり、ふたりは南三階の教室に向かい、少し静かな廊下を通り、「廊下で待ってて」と言われ先に教室に萩本先生が入っていった。

 

 

「みんな、早く座って、このクラスに新しい子がはいります」

 

 

萩本先生の言葉に期待を上げた。生徒たちは教室が騒がしくなった

 

 

「男かな、女かな?」ザワザワ

「イケメンの男子がいいよね」ザワザワ

「可愛い女子でありますように」ザワザワ

「二次元並みの美女でありますように」ザワザワ

「三次元に興味無いな」フッ

 

 

クラスの声が廊下で立っていた葵光に聞こえてきた。

 

 

変な期待しているが、性別が男以外はずれているから、俺が知っている限り二次元並みを超えた美女なら高校一年にいるけどね。

 

 

内心で独り言を思っていたら先生に「入れ」と言われてドアを開けて入り、教卓の前まで歩いた。

 

 

「初めまして、葵光といいます。宜しくお願いします」

 

 

クラスから葵光の印象は身長175cmぐらい少し低めの声、だるそうな顔、目つきが少し悪い陰キャラだ。

 

 

クラスメートはヒソヒソと話し出した。先生は「それだけか?」と言いそうな顔で見てきた。

 

 

「はい、以上です」

 

「葵の席は空いてるところだから、座ってくれ」

 

 

葵光は廊下側の前から2番目の席を座った。

 

ホームルームが終わり、転校生が来た場合、席を囲むようにクラスメートが来て話しかけてくるが、葵光は目立つのと話しかけてくるのが嫌な為、寝た振りをして回避した。しかし、

 

 

「こうちゃ・・・・葵?」

 

 

小さい頃から聞いたことがある凛々しい声だった為、顔を上げると、黒髪ロングのポニーテール、馴染みがある顔、火事の時に泊まる場所がなかった為、泊めてくれた子、彼女の名は竹見花(たけみはな)、幼馴染みだった。

 

 

「花か、お前この高校だったんだ。」ウトウト

 

「こっちのセリフよ、何でいるの!?」

 

 

彼女は机の上を叩きつけて詮索してきた。葵光はビックリして目が覚めた。周りを見るとクラスメートが鳩が豆鉄砲を食らったような顔で二人の会話を見ていた。

 

竹見花は昔から男子とはあまり話さず、馴染みのある葵光しかまともに話さない。

 

 

「あぁ~、説明しないといけない?」

 

「私が納得する説明で、お願い」

 

 

彼女は真剣な目で彼の目つきが悪い目を見た。少し省略をしている説明で彼女を納得させた。もちろんの事、雪菜と雪音の事は話してはいない。ふたりの為でもあるから、

 

 

「という訳だ。ついでに学校案内とか頼めるか?」

 

「別にいいけど...何時くらい?」

 

「空いてる時間で」

 

「わかった。昼休みね、健康診断だから、またね。」

 

 

細い手を振り創立されてまもない体育館に向かい、葵光は席から立ち上がり、少し威厳が保たれている体育館に独りで向かった。特に異常はなく、健康診断が終わった。

 

 

 

昼休みになり、小学校校舎に行って入学手続きをして、教室に戻り、

独りで昼ご飯を食べようと思ったが、廊下にハーフ美女1年生がいると言って少し騒がしかったが、黙々と自分で作った弁当を食べ始めた。

 

だが、廊下から最近聞いた事がある声が耳に通った。

 

 

「すいません、探している人がいるので教室を拝見してもよろしいですか?」

 

「それって僕のことかな?」

 

 

ハーフ美女1年生改めて藤白玲美の後ろから肩を組んできた。他のクラスの金髪に染めて服が乱れている。チャラ男が話しかけて来た。

 

 

「いいえ、違います。あと、離してください」

 

「えぇー、探している人よりもさ、俺と昼ご飯を食べながらお話でもしない?僕、君に興味あるんだけどね。」

 

「私は興味が無いので」

 

 

段々騒がしくなったので、葵は箸を止めて、廊下に出たら、藤白が人が密集している廊下の中心にいた。

 

あいつ、こんなところで何やってるんだ?

 

 

よく見ると葵の教室の前でナンパされていた。

 

 

ナンパされている...まぁ、美人だからな。ナンパされてもおかしくないな・・・・・

 

 

少し藤白に近づいたら、彼女が心から嫌がっている目を見て、心にチクリと刺さった。

 

葵光は頭を掻きながら溜息をつき、彼女のもとまで歩いていく。

 

 

新しい黒歴史が更新するようだ・・・・

 

 

葵はチャラ男の彼女の肩を組んでいる腕を掴み離し、藤白は葵の背後に回り助けてくれた人の顔を見て驚いた。

 

 

「葵先輩!!」

 

「大丈夫か?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「そうか、なら良かった」

 

 

チャラ男は、葵に鋭い顔で睨みつけて近づいてきた。顔色変えずに藤白を庇った。彼女は葵の右袖を掴んだ。

 

 

「オイオイ、転校生くん何邪魔してくれてんの?ボコボコにされたいのかい?」コキコキ

 

「それはごめんだね。出来れば、面倒な事は避けたかったんだけど、彼女、困ってたから」

 

「なに、ヒーロー気取りか?、無理無理、君みたいな弱そうな奴は」

 

「まぁ、自己満足ってやつだ。忠告しておくけど、もう少しで先生くるから、今回は引いてくれないか」

 

「誰が先生を呼ぶんだよ。転校してきたばかりの奴が、」アハハ

 

 

葵は顔色変えずに心を冷静に保ち、チャラ男の質問に対して答えた。

 

 

「なぁ、知っているか、人間の情報って流れるのが速いんだぜ。」

 

 

そして、中央階段から威厳のある先生の声が聞こえてきた。

 

 

「お前ら何やっているだ!!」

 

チャラ男は舌打ちをして、自分のクラスに戻った。先生は葵のところまで来て「何かあったのか?」と聞かれたが、「いいえ何も」と伝え、職員室に戻った。

 

溜息をつき、彼女に何故ここにいるのか聞いた。

 

 

「何で、二年の廊下にキミがいるんだ?」

 

「探している人がいて・・・・・」

 

「探している人?一緒に探そうか?」

 

「いいえ、もう見つかったので、いいです」

 

 

彼女は嬉しそうに目を輝かして葵を見ていた。

 

葵は彼女の目の先の後ろを見たが、特にそれらしき人はいなかった。

 

 

「えっ、もしかして俺?」

 

「いいえ、違います」

 

やべぇ、穴場があったらそこに入りたいくらい恥ずかしい・・・・・

 

「冗談です。先輩と屋上で昼ご飯を誘おうと思って来ました」ニコ

 

「その冗談はやめてくれ、俺のガラスの心が割れそうになったから」

 

 

葵は心臓を右手で抑えた。藤白は再び問いかける。

 

 

「いいですか?」

 

「無理、君といると目立つから」

 

「そんなこと言わないでください」

 

「いや、だからな・・・・・」

 

「そんなに嫌なんですか?」

 

あざとい、そういうの勘違いするからやめろ

 

 

藤白は上目遣いで頼んできた。

 

藤白玲美を見に廊下にいた二年生たちは、ふたりを見ながらヒソヒソと考察をしていた。

 

それに気づいた。葵は目立つ事が嫌なので、藤白の誘いに乗った。

 

 

「わかったから、場所を移ろう。すごく目立っている・・・・・」ヒソヒソ

 

「やった!では早速行きましょう」

 

 

ふたりは弁当を持って屋上に向かい、葵は藤白が座ったベンチに1メートルあいだをとって座った。

 

 

「先輩もう少しこっちに来てください」

 

「嫌だ、周りに変な噂が流れてもお互い困るだろう。特にキミは」

 

「何でですか?」

 

 

藤白は唇に手を当てて聞いてきた。葵は先に食べ終わり、続き話した。

 

 

「キミは美人なうえに人柄がいい、俺みたいな影が薄い性格がクズな奴と絡むと、周りからの評価がおちて、友達からハブられイジメになるのが落ちだ」

 

 

葵は予想を説明して、はっちゃんのりんご味を飲んだ。

 

 

「別に私は気にしないです。先輩の性格は優しいですよ。迷子になった私をたすけてくれたじゃないですか」

 

「それは単なる自己満足だ。もしかしたら、キミを恩を売って、男子共がやりそうな事やるかもよ。だから、俺とは関わらない方がいいよ」

 

 

葵は今後関わらないように、藤白から引いてくれる返事を待った。

しかし、彼女は美しい顔を表情変えずに答えた。

 

 

「先輩はそんな事をしない人だってなんとなく分かります」

 

なるほど、要するに度胸が無いと言うことですね。

 

「度胸が無いからですよ」

 

「おい、心を読むな。てか、遠まわしにディスってるじゃん」

 

 

彼女はやり取りが楽しいのか、フフフと笑い出し、

葵は少し安心した。

 

チャイムが鳴り、弁当を片付けて途中まで、一緒に話しながら彼女の教室前まで送った。

 

 

「じゃあな」

 

「放課後、一緒に帰りませんか?」

 

「善処する。じゃあな、授業遅れるから」

 

 

彼女は葵の姿が見 えなくなるまで見ていた。葵は急いで教室に向かった。

 

真面目に授業を受け清掃、終礼をしてその後、理由を言われず、萩本先生に呼び出され講義室に向かった。

 

 

「失礼します。何か御用ですか?」

 

「あぁ、取り合えず、座りなさい」

 

 

葵は空いている椅子に座った。萩本先生はコーヒーを2つ持って葵が座っている机に置き先生も座った。

 

 

「本題なんだが、君は部活動はどうする?」

 

「入る気は無いです」

 

 

葵はキッパリと断言をした。

萩本先生は腕を組んで、コーヒーをすすり再び聞いてきた。

 

 

「はぁー、そうか、キミは部活動には興味が無さそうだが、何故だ?」

 

「理由は単純です。楽しく無かったからです。」

 

「なるほど、一応は前の学校では、部活動はしていた様だが、何をやっていた?」

 

「一応はバスケを少々やっていました。すぐに辞めましたけど・・・・・」

 

 

萩本先生はそうかそうかと頷き、立ち上がった。

 

 

「わかった。今日は帰りなさい。ドアの前で誰かが待っているぞ」

 

えっ?、誰かが待っている。俺には友達はいないぞ。自分で言って可哀想に思えてきた・・・・・

 

 

葵は立ち上がり、ドアを開けると藤白が少し慌てて、咳払いをして話しかけた。

 

 

「何で、キミいるの?」

 

「先輩と一緒に帰ろうと思ってきたんですけど、講義室に入るのを見かけたので、講義室の前で待っていました。」

 

 

葵は頭を抑えた。萩本先生は誰なのか気になり彼女を見た。

 

 

「なんだ、彼女か?早くないか、まぁ、ちゃんと青春しているではないか」

 

「いいえ違います。あなたの目は節穴ですか?こんな完璧美人が俺の彼女のわけが無い」

 

 

萩本先生は変な誤解をして、納得していたから葵が説明した。藤白は少し顔を赤らめていた。

 

 

オイオイ、何で顔を赤くしているの

 

「帰りますので、先生、お先に失礼します。藤白帰るぞ」

 

「えっ!・・・・・やっぱり優しいですね」フフ

 

「次は無いからな」

 

 

ふたりは学校を出て、真っ赤な夕日を背後にして、会話をしながら歩いた

 

 

「先輩の家ってどこですか?」

 

「ここ」

 

「えッ!、歩いて10分ぐらいじゃないですか。」

 

「あぁ」

 

 

藤白は「私こっちなので、ではまた明日」と言い彼女は駅に向かった。

 

葵は姿が見えなくなるまで見送った。葵は自分の人格を変えて、やっとの思いで可愛いふたりが待っている家に帰ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 




見てくださりありがとうございます


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思い出の1枚

短いですが・・・・・お願い致します。


玄関のドアを開けると白い猫耳を出し尻尾をフリフリして、黄金色の髪が肩に掛かっている少女が出迎え、葵の抱きついてきてお腹に顔を埋めて上げた。

 

 

「おかえり。パパ」ニコ

 

「ただいま。雪音」ナデナデ

 

 

葵は少女の綺麗な髪を撫でた。墨みたいに真っ黒な髪が腰まで長く凛々しい艷麗な少女が雪音の後から来た。

 

 

「おかえり。お父さん」

 

「ただいま。雪菜、今日の夕食はハンバーグだから、テレビでも見て待っててくれ」

 

「少しは手伝います。疲れてるじゃないですか?」

 

「そうだよ」

 

 

雪音と雪菜は心配そうに気を使ってくれた。

心遣いに葵は微笑んでふたりを撫でた。

 

 

「ありがとう。じゃあ...お言葉に甘えて、一緒に作るか」

 

「わぁい、ハンバーグだ」ピョンピョン

 

「早く作りましょう」

 

雪菜は少し楽しみにしているな。料理を作るの好きなのか?

 

 

玄関を上がり、リビングに向かい、3人でハンバーグを作り始めた。

 

三人が一緒にいる時間は、とてもゆっくりで楽しく笑顔が絶えない。いい時の流れだった。

葵はずっとこの光景が続けばいいなと思った。

 

 

「あとはやるから、ふたりとも先に風呂入って」

 

「今日も一緒に入るぅ」ダダコネル

 

「ダメだ。早く入って来い...」

 

「お姉ちゃんも一緒がいいよね」

 

 

雪音は雪菜に話を振った。雪菜は顔を赤らめて髪をクルクルと指で回しながら答えた。

 

 

「別に一緒に入りたいわけじゃないけど、雪音だと背中を洗う時、痛いから、お父さんが洗ってくれる助かります・・・・・」クルクル

 

「・・・・・・・・・・わかった」

 

結局、入る目になったか。

これが毎日続きそうな予感・・・・・

 

 

小さな溜息をつき。一緒に入り、ふたりの背中と頭を洗った。流石に体までは自分で洗ってもらい、

ふたりより先に風呂に浸かった。

 

 

「疲れた~、今日は特に...」プクプク

 

「何かあったんですか?」

 

「まぁ...色々・・・・・」

 

 

雪音と雪菜が一緒に葵の体の上で湯船を浸かり。

心配そうに聞いてきたが、細かい事は言わず、誤魔化した。

 

 

「ふたりとも今日の留守番は大丈夫だったか?」

 

「はい。メモに書いてあった。届いた荷物は二階の奥の部屋に運んでもらってあります」

 

「そうか。雪菜ありがとう。じゃあ先に上がるな」

 

 

タオルが落ちないように手で抑えて上がり、「俺はまだまだ強くなる」というセリフが書いてあるバスケTシャツを着て、料理を作り始めた。

 

ふたりが風呂から上がってくる時には、もうすでに腰の高いテーブルに夕食が置かれていた。

 

3人は白い椅子に座って手を合わせて「いただきます」と言って食べ始めた。

 

 

「明日から学校行けるから。準備しろよ」

 

「はい」

「はーい」

 

「ちなみにどこの小学校なんですか?」

 

 

雪菜が箸を止めて聞いてきた。

雪音は自分で作ったハンバーグをふうふうして食べていた。

 

 

「私立桜花(おうか)学園。俺と同じ学校だ」

 

「小中高一貫校のところですか?」

 

「そうそう」モグモグ

 

 

ハンバーグを箸で小さくして切ってご飯と食べながら答えた。

 

少し時間が立ち。葵は一足先に食べ終わった。

 

 

「今日は早く寝ろよ。食器は台所に置いて洗うから。今から、ふたりのベット組み立てるから」

 

雪菜が何か言いたそうな顔をしていたが、二階に上がり。二人のベットの設計図を見ながら組み立て始めた。

 

 

 

少し時間が立ち、ふたりは雪音が食べ終わり。台所に食器を置き、ふたりは二階の奥の新しい寝室に向かい入った。

 

 

「ふたりのベット出来たぞ」

 

「わぁ!、大きい」

 

 

嬉しそうな顔でベットに飛び込んだ。

雪菜はテクテクとベットに近づき、手で寝心地を調べ始めた。

 

その様子を見ていた葵は少しニアニアした顔で雪菜を見た。

 

 

「どうだ。いいベットだろう」

 

「はい、朝が弱い私でも早く起きれそうです」

 

自覚あったんだ.....。

 

「そうか。歯磨きして寝ろよ。明日から学校だから、じゃあ、おやすみ」

 

 

あくびをしてドアを閉めようとしたが、ふたりに袖を掴まれて後ろを向いた。

 

 

「どうした?」

 

「今日も一緒に寝よう...」

 

「今日の朝、パパが居なくなってから怖い夢見たから・・・・・」

 

 

ふたりは不安な顔で見てきて。葵は心の中で強く「そんな顔はさせたくない」と思い、腰を下ろし綺麗な目を見た。

 

 

「・・・・・わかった、良いよ。寝れる準備しろよ。俺はまだやる事が残っているから」

 

「やった。良かったね。お姉ちゃん」

 

「うん」

 

 

喜びをほほに浮かべていた。二人の顔を見て安心した葵は家事をテキパキと終わらせて、ふたりと一緒に広々としたベットで寝た。

 

 

 

瞳に太陽の日差しが指し起き上がり、いつものように朝食を作り始め、少し早めにふたりを起こしに行ったが雪菜がなかなか起きなくて昨日と同じ日課になってしまった。

 

葵は二人より先に学校に行ける準備が出来て、玄関でスマホをいじりながら座って待っていた。

 

朝早くからインターホンが鳴り、葵は「朝早くから誰だ?」と思い、玄関を開けた。

 

アッシュホワイトの髪にハーフアップしている女子が笑顔で立っていた。思わず即座に閉めて鍵を掛けてしまった。

ふたりが丁度、準備が終わり玄関にいた。

 

 

「どうしたの?パパ」

 

「いや...なんでもないって言いたいが・・・・・」ハァ-

 

「?」

「?」

 

 

ふたりとも頭にクエッションマークをつけて首を傾げて、面倒くさそうな顔をした葵を見ていた。恐る恐る。再び玄関を開けた。

 

 

「・・・・・なんでお前がいるんだよ。藤白」

 

「酷くないですか?先輩と一緒に学校に行こっかなと思い来たんですけど...」

 

「なら、1人で行ってくれ。」

 

周りの男どもの嫉妬の視線が感じるから。ヤダっ

 

「何でですか?一緒に行きましょうよ。先輩」

 

 

会話をしているうちに、話し相手が気になりふたりは葵の背後から覗き、藤白と目が合った。

 

 

「えッ!、この子達可愛い~♡。ふたりとも先輩の妹ですか?」スリスリ

 

「えっ・・・・・まぁ、そんなところだ」

 

 

雪菜たちを抱擁して頬をすりすりしながら撫でていた。葵は彼女の意外な面を見て驚いたが、それよりも危機的な状況だった。

 

彼女、いや学校に、今の生活がバレたら、この子達と離ればなれになり、正体まで分かってしまうと、葵は少し平常心な顔をしているが心臓はバクバクと焦っている。

 

しかし、雪音から強烈な一言を聞いてきた。

 

 

「パパ。この綺麗なお姉さん誰?」

 

 

藤白を置いて、ふたりを家の中に引っ張り、無理やり3人だけにした。

 

 

「ふたりとも、学校の時だけ俺の事をパパって呼ぶのはやめて、違う呼び方で名前を呼んでくれないか。雪菜なら分かるだろ」

 

「うん、そうですね。分かりました。学校の時だけ、おっ...お兄ちゃんでいいんですか?」

 

「どういう事?」

 

 

雪音は会話の内容を掴めていなかった。葵は参ったなと思い、雪菜に任せた。

 

 

「雪菜から藤白が聞こえないように登校中、説明してあげて、学校遅れるから行くよ」

 

 

玄関を開けて、藤白に待たせたことを謝り、結局一緒に登校した。

 

 

 

登校中に、ふたりを自己紹介をした。やはり藤白玲美と一緒に歩くと、周りの男どもから黒いオーラが出るほど嫉妬の視線を感じた。

 

歩いてる途中、藤白と並んで歩いていた。ふたりが足を止めて、広くもない公園に大きなソメイヨシノに見とれていた。

 

 

「どうしたの?ふたりとも」

 

「あのサクラ、キレイだね」

 

「綺麗ですね」

 

 

葵はとても懐かしく思えた。幼い頃、祖父と姉で一緒にソメイヨシノを埋めた記憶がある。祖父はとても厳しく、近所の人に避けられるほど怖い人だった。

 

しかし、俺と姉は知っている。祖父は誰よりも優しかった。このソメイヨシノは近所の人たちが笑顔にする為に埋めている事を。

 

葵はスマホを取り出し、3人がサクラの木の前に並ぶように頼んだ。

 

3人は喜んでサクラの木の前まで雪音はピースをしていたが、ふたりは特にポーズも無く並んだ。

 

 

「撮るよ」カシャ

 

 

撮った写真を確認して、スマホを閉じようとしたが藤白に止められた。

 

 

「先輩も一緒に撮りましょう。拒否権は無いですよ」

 

「えっ...わかった。ちょっと待て」

 

 

藤白が少し圧をかけられ、葵は負け、犬と一緒に散歩している女性に写真を2枚撮るように頼んで、雪菜の後ろに立った。

 

 

「撮ります。はいチーズ」カシャ

 

「すいません。ありがとうございます」

 

 

女性は犬を引いて去っていった。

撮った写真が少し気になり、スマホのファイルを押して写真を見た。

 

サクラが乱れ散り、やんちゃな妹と凛々しい姉、まさに美少女姉妹にハーフの上品な美女、そして、目つきの悪い男がいた。

 

 

「パパだけ、怖い」

 

「なんか怖いです。おとぉ...じゃなくてお兄ちゃん...」

 

「そうですよ。先輩、もっと笑顔になってください」

 

「・・・・・無理、てか早く学校に行かないと遅刻する」

 

一気にダメだし食らった。あと雪音、パパ言わないでバレるから...まぁ気づいてないからいいけど・・・・・

 

 

時間を見て、3人は文句を言うが、葵は「善処する」と言って、4人で一緒に学校に向かった。

 




読んでくださり、ありがとうございます。


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悪魔な生徒会長

誤字があったら教えて下さると助かります。
続きどうぞ


窓際から運動部の熱血の掛け声が聞こえ、教室二つ分の広さに豪勢な調度の並ぶ生徒会室。中央にある大卓に着席している。脅迫され呼び出された。少し目つきが悪い男子高校生

 

男子生徒が着席している反対側で腕を組んで、壁に背中を寄せている赤メガネをかけた担任

 

先生の前に大卓に着席している。

雪のように白い髪色、長い髪を一つに編んで左肩前に出している。上品な美しさをもった色っぽい姿をしている女子高生が偽りのない笑顔で見つめられていた。

 

 

何故、こうなった・・・・・

 

 

葵は絶対関わってはいけない気がすると本能が言っていた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

川が静かに流れ、人の気配がない。桜が散る細い一本道に、ハーフ美女とやんちゃな金髪少女が手を繋いで喋っている。

 

その後ろに、大人しい黒髪少女と朝から精神的な疲れている男が無言で並んで歩いていた。

 

有意義に話している雪音と藤白を見ているうちに、

いつの間にか土地を広々と使った学校に着いた。

 

「ふたりとも、小学職員室まで送るから行くぞ」

 

「バイバイ。れいみお姉ちゃん」フリフリ

 

「バイバイ。雪音ちゃん、雪菜ちゃんも」

 

「・・・・・」ペコリ

 

 

右手を大きく振った。藤白は小さく手を振り返した。

雪菜は無言で少し頭を下げて、3人で職員室に向かおうとした時、藤白に呼び止められた。

 

 

「あっ、先輩。昼食また一緒に食べませんか?」

 

「いやだ。同級生と一緒に食べろ」

 

「同級生と一緒に食べても楽しくないです。屋上で待っているので来てください。来なかったら先輩の教室まで行きます。嫌なら来てください。では失礼します」

 

「ちょっ・・・・・」

 

 

人の話を聞かず、勝手に話を切って小走りをして姿を消した。スッキリしないまま小学職員室まで送り、自分の教室に向かった。

 

教室に入って自分の席に座り。丁度、萩本先生が来て他校と変わらない朝礼をして終わった。

 

 

 

一時間目は体力測定をおこなう際、パートナーを組めと言われたが、友だちがいない葵は話しかけるまで待った。

 

後ろから爽やかな笑顔で目立たないイケメン君に話しかけられた。

 

 

「葵くん、組まないかい?」

 

「お願いします。えっと~」

 

「速水駿(はやみずしゅん)同期なんだから、敬語はいいよ」

 

「わかった、よろしく。これから何をやるんだ」

 

「反復幅跳び」

 

 

反復幅跳びは全国の男子高校二年で20秒で65回以上いけば、なかなか凄いと言われる。

 

 

「最初は俺がやるから葵くんは数えて」

 

「わかった」

 

 

先生がホイッスルを鳴り、皆が一斉に左右に飛び始めた。その中でも駿は周りの人より五本の指に入る速さだった。

 

 

「ハァハァ...なんかい?」ハァ

 

「64回・・・・・」

 

「マジか...」

 

「キミ、部活バスケやってるだろ」

 

「そうだけど・・・・・なんで分かったの?」ハァハァ

 

「そうだなぁ・・・・・腕と足の筋肉のつき方。反復幅跳びの記録。バスケはスライドステップに癖が強いからすぐに分かる」

 

「凄い分析力だね」フゥー

 

「たまたま思っただけだ。次、頼む」

 

「オッケー」

 

 

立ち上がり三本の白いラインの真ん中に立った。少し周りから視線を感じる。転校生がどのくらいの実力なのか気になっているのだ。

 

しかし、葵は本気を出す気は無い。何故なら面倒くさいからである。

 

「次行くぞ」と言われ構えて、ホイッスルがなった。

 

葵は1秒に2回のペースで始めた。結果は40回である。

周りのクラスメートは少し笑っていた。

 

この学校は運動が出来る人が多いからである。しかも、葵のクラスの男子は運動神経が悪い人が少ないとか...

 

 

たぶん...ビリだからな。まぁ別に気にしないけど...

 

「えっと...」

 

「フォローしなくていいぞ。あぁー疲れた。2回目もやるのか」

 

 

何も変わらない記録で授業は終わった。男臭い更衣室で着替えて、教室に戻り。残りの授業はノートの隅から隅までを残さず真面目に受けて昼休みに入った。

 

 

はぁ...藤白に来られたら困るな...行くか。面倒だけど

 

 

クラスメートがグループを作って、弁当を食べながら会話しているなか、一人行動をして屋上に向かおうと教室から出ていこうとしたら、背後から体育のペアになった速水に話しかけられた。

 

 

「葵くん、屋上に行くんだろ。一緒にいいかい?」

 

「悪い、屋上で約束している人がいるだ。また今度にしてくれ」

 

「あっ!、この前葵くんを探していた。噂のハーフ1年の藤白さんかな?」ニアニア

 

こっ...こいつ何ニアニアして上がる。あと、そんなに話せる仲か、俺たち・・・・・。

 

「いや、違う。待たせたら悪いから、じゃあな」

 

「今度どんな関係か聞かせろよ」

 

 

教室のドアを強く開けて全力で屋上に向かった。後ろから答える気がない質問が聞こえたが無視をして走った。

 

 

 

屋上のドアを開けるとひとりだけ可憐な花が置かれている様に上品に座っていた。

 

 

「あっ、先輩遅いですよ」

 

「悪い、ちょっと面倒な事があってな」

 

「まぁいいです。では一緒に食べましょう。隣に座ってください」

 

「あぁ」

 

 

藤白が床をトントンと軽く叩き、1メートルくらい間をとって座った。

 

 

「先輩また周りの目を気にして、別にいいじゃないですか」

 

「いやいや、そこは気にしろよ。俺といると嫌われるぞ」

 

「別にいいですよ。先輩がいるんで」

 

「あまり、男を勘違いするようなことを言うな。あざとい」

 

これ以上黒歴史を作りたくない...そう言えばこの前作ったわ。ナキナキ

 

 

藤白は少し顔を暗くして、昼食を食べ始めた。

葵は彼女の表情に気づいたが見なかった事にして、話を逸らした。

 

 

「お前はクラスではどうしてる?」

 

「えっ...えっと、女子は私の机に集まって話しかけて、男子の方は遠くから私を見てますね。この前、初日に同級生で人気の方が私に告白しに来ましたが、断りました。」

 

「勿体ないな。どうしてだ」

 

「好きな人がいるからですよ・・・・・」

 

 

藤白は瞳をそらさず葵の瞳を真っ直ぐに見ていた。

すると、授業五分前のチャイムが鳴り、周りを見たら誰もいなかった。さっきまでの会話が無かったように葵は弁当を片付けて立ち上がった。

 

 

「授業遅れるから行くぞ」

 

「・・・・・そうですね」

 

 

藤白も弁当を片付けて立ち上がり、ふたりは屋上を背後にして、藤白を教室まで当たり前のように送り教室に戻った。

 

 

 

6時間目が終わり、周りの人達は憂鬱そうに「これから部活か、面倒だな~」と言いながら学年主任が来て終礼を終えた。

 

カバンを持って帰ろうとしたら校内放送が鳴った。

直感だが嫌な胸騒ぎがした。

 

その声は非常に静かで女の魅力を感じた。女子の声がクラスの特に男子生徒の騒がしい声が教室に響き渡る。

 

 

〝「2ー2の葵くん、2ー2の葵くん、帰宅をしないで、至急高校生徒会室に来てください」〟

 

 

教室にいる生徒、全員の視線が葵に集まる。

 

 

ボッチには拷問だな・・・・・。

高校生徒会室分かんないから、帰るか・・・・・。

 

〝「葵くん、生徒会室分からないなら友達に聞きなさい」〟

 

「俺に友達はいないけどね...」ボソッ

 

〝「キミ、友達いないんだったね。本当にごめんなさい...」〟

 

なんで!?盗聴器でもあるのか。てか憐れむ声で謝るな!

 

〝「5分後に来てください。来なかったらキミの担任から弱みを握って・・・・・」〟

 

今・・・・・弱みを握ってて言ってなかったか?

 

〝「・・・・・じゃなかった交渉して貰った。キミの個人情報バラすよ...うふふ」〟

 

俺の個人情報保護法!!。悪魔だろ。

 

〝「あっ!今、心の中で私に悪魔って言ったでしょ。罰として葵くんの情報をちょっとだけながしまーす♪」〟

 

 

教室にいる生徒達は興味津々に耳を傾けた。葵はそれどころでは無かった。

 

 

「何故バレた!!マジかよ。花、生徒会室教えてくれ」

 

 

幼なじみの竹見花を目で探したがいなく、葵は脳を凝縮して、クラスで話せる人がいないか考えた。

 

 

いない・・・・・いや...いるぞ。一人だけ話せる奴が体育のペアになった奴、確か名前は・・・・・清水じゃなくて速水だ

 

 

急いで速水俊を目をこらしめて探そうとした。丁度、速水がこっちに近づいて話しかけようとしていた。

 

 

「速水、生徒会室の場所わかるか」

 

「あぁ、北校舎三階の中央階段を使ったら、正面の教室だ。ここからだと反対側だから、走っても1分は必要だぞ。間に合うのか?。もう1分もないぞ」

 

「40秒あれば十分だ」

 

「だけど、キミは50m走と1500m走もビリだったはず、間に合う訳が無い」

まぁ...本気出さないからな。本気を出すのは試合だけ...

 

「教えてくれてありがとう。今度、なんか奢る」

 

 

速水にお礼を言って、トップ・ギアで北校舎三階の生徒会室に向かった。

 

天井から葵の一部の個人情報が流された。

 

 

〝「葵くんは小学校6年生の頃、親離れがなかなか治らなかった・・・・・」〟

 

なんで知ってんの?!てか、なんで個人情報にそんなこと書いてあるの

 

 

廊下にいる生徒たちに笑われながら、葵は顔を抑えたいくらい恥ずかしさのなか、走りながら突っ込みを入れた。

 

 

〝「他には・・・・・何これ?葵くんは中学卒業後・・・・・」〟

 

 

誰だか知らない女子から雪音と雪菜にも言ったことが無い秘密を言おうとした。

 

 

ちっ・・・・・間に合うか...

 

〝「親に内緒でN........」〟

 

彼女が言おうとした瞬間。ドアを勢いよく開けて、背後から目つきの悪い男子生徒が少々荒々しい呼吸をしながら近づいて。彼女が持っている紙を奪い取って丸めてポケットに入れた。

 

「ハァハァ・・・・・要件はなんですか?」フゥー

 

 

葵は棒立ちになりながら呼吸を整えて彼女の顔を見た。どこかで見たことがあるが、今はどうでもいいと思い切り替えた。

 

 

「キミ速いね。そこの大卓の椅子に座って、このまま会話すると校内放送で聞こえちゃうから切るね」

 

 

彼女は頭と口元によくテレビのカメラマンやディレクターとかに使っている。高級そうなマイクを外して、大卓にマイクを置いて座った。

 

葵も言われた通りにして、大卓の椅子に座った。

 

すると、もう1人ドアを開けて入ってきた。赤メガネをかけた黒髪ロング。うちの担任の萩本先生だった。

 

 

「なんで先生がいるんですか...。てか、教え子の個人情報を簡単に渡さないでください」

 

「ごめんごめん。正確には取り引きをしたんだ・・・・・。」アハハ

 

「先生に何を取り引きしたんですか?」

 

「えっと・・・・・」

 

 

先生の左ポケットから紙がはみ出ていた。よく見るとシャトー・モンペラ・ルージュって書いてあった。

 

スマホで詮索するとアジアで最も人気のあるフランスのワインだとか、予想だがこの担任はワインに目がないんだろう。

 

 

「紙きれ1枚に自分の情報を取り引きしたのか・・・・・」

 

「まぁ...すまない・・・・・葵」

 

「いいですよ。原因は先生じゃなくて自分の前に座っている人ですから・・・・・」

 

 

偽りのない笑顔で葵をずっと見つめている女子に質問をした。

 

 

「貴方は誰ですか?」

 

 

彼女は「そうかまだ自己紹介はしてなかったね」と可愛い笑顔で質問に答えた。

 

 

「私の名前は藤白色美(ふじしろ しきみ)。この学校の生徒会長をやってるんだ」

 

「で...その生徒会長様は個人情報を流そうと脅してまで自分に何の御用ですか?」

 

 

彼女は立ち上がり、葵に指をさし予想外の事を言われた。

 

 

「キミは生徒会の総務になって」

 

「無理です」

 

「最後まで言わせてよ」

 

「何故自分なんですか?」

 

「面白いから」

 

「何そんな理由かよ」

 

存在するだけで面白いとかとNー1を1位取れんじゃね

 

 

彼女は腑に落ちない顔で椅子に座った。彼女の後ろにいる腕を組んでいる先生が口を動かし始めた。

 

 

「葵は人と関わろうとしていない。だから、いい機会だから入ればいいと思うが...どうだ」

 

「無理です。家に帰ったら忙しいので」

 

「忙しいって言ってるが...家で何をやってるんだ」

 

「家事です」

 

 

萩本先生はそれでもしつこく葵を説得させようとした。

 

 

「偉いことだが、それは親にやってもらって、キミは青春をしたいと思わないのか」

 

「そっ...それは無理です。色々と事情があるんです...」

 

 

学校側には家族の事を言っていないから少し動揺してしまった。

 

先生と話していると生徒会長が「そろそろかな」と呟き立ち上がった。

 

 

「どこ行くんですか?」

 

「いや、そろそろキミを説得させる。姉妹が来るんだけど・・・・・」

 

・・・・・姉妹・・・・・えっ?

 

 

生徒会長がドアに近づくとドアをノックして「失礼します」と聞き覚えのある声とふたりの姿が見えた。

 

 

「なっ・・・・・なんで雪音と雪菜がいるんだ・・・・・」

 

「このお姉さんにお兄ちゃんを説得させてって頼まれたから・・・・・」

 

「パパを説得させに来たの」

 

 

雪音が失言をして、葵と雪菜が凍りつくように固まってしまった。雪音もあっ!って顔をしていたが、

 

生徒会長と先生は言い間違いたのかと勝手に納得して話を進めた。

 

生徒会長、藤白色美はふたりを使って葵を説得させようとした。

 

 

「お兄ちゃんを生徒会に入ってくれなくてお姉ちゃん困ってて」ナキナキ

 

 

生徒会長は誰も見ても嘘泣きだとわかる下手な演技を始め雪菜に頼んだ。

 

 

「おと・・・・・お兄ちゃんは優しいです。だから家事をひとりでいつもやっています。私と雪音は無理しないで三人でやればいいと思っています。会長も泣いてますし、だから生徒会入ってあげてもいいんじゃないですか」

 

騙されてる子がこんな所にいた!!。本人も驚いて嘘泣きやめだした。

 

「そうそう、雪菜ちゃんがこういってるんだし入ってよ。生徒会は人手が少なくてだからキミみたいな実力を隠している人材が欲しいんだ。あと、面白いよ。キミは特にお気に入りだよ」

 

 

生徒会長はコロッと嘘泣きをやめて、雪菜の肩をポンと置き、葵に話しかけた。雪菜は生徒会長が嘘泣きだと分かり、少し顔を赤くしていた。

 

 

この人...俺と同じ人間だ・・・・・てか何故、気に入られている?

 

 

葵は腕を組んで、おでこにしわを寄せて考えた。

 

 

「・・・・・・・・・・分かりました。生徒会の総務をやらせて頂きます。」

 

「やった。ありがとう。詳しい内容は明日ね。もう遅いから解散。」

 

 

葵は面倒くさそうな顔をして、ふたりを連れて生徒会室から出ていった。

 

校門に向かうと藤白玲美がひとりで誰かを待っていた。

 

 

「誰か待っているのか?」

 

「わぁ!...不審者かと思いました。丁度良かったです。一緒に帰りましょう」

 

酷くない・・・・・泣くよ

 

「俺を待っていたのかよ。何でだよ」

 

「先輩しか楽しい会話ができる人がいないので」

 

 

葵は「あっそ」っと言い、4人で一緒にカラスの鳴き声が聞こえ、夕日を向かうように帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくださりありがとうございます。
少し投稿遅れる可能性があります。ご了承ください。


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生徒会初仕事

遅れてしまい本当に申し訳ございません。
3週間ぐらい、入院をしておりまして手術する羽目になってしまい、全くスマホを持てる気力も無く、ずっと寝ていました。
言い訳ですが、本当に申し訳ございません。



太陽が出て数時間も立っていない頃、サッカー部が眠そうにボールを蹴っているのを北校舎の生徒会室から見えた。

 

大卓にパソコンを置いてカタカタと扱う音が聞こえる。

 

目つきの悪い男子生徒がパソコンを打っている黒髪を腰まで下ろして、馴染みのある顔をした女子生徒に「コーヒーを持ってきて」と言われた。

 

竹見花専用マグカップにすり潰したコーヒー豆とお湯を入れ、かき混ぜて、彼女のもとまで運んだ。

 

 

「どうぞ、熱いから気をつけろよ」

 

 

葵は彼女の左手もとに、こぼれない様にゆっくりと置いた。

 

 

「ありがとう。昨日は災難だったね」

 

 

彼女は一旦パソコンを打つ手を止めて、ほほ笑んで話しかけてきた。

 

 

「生徒会長にはなるべく関わりなくないけど、生徒会に入った以上、関わってしまう・・・・・」ハァ

 

 

心から本能が嫌がるくらい苦手な人だと思った。その様子を見ていた竹見は苦笑していた。

 

 

「私も同じような感じだったな・・・・・」

 

「えっ...花も脅されて生徒会に入ったのかよ」

 

「こうちゃんよりはマシだけどね」

 

 

今の葵を見て、過去の自分を見ているように感じた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

桜が舞い散って、まだ汚れも無い新しい制服を来て登校する女子生徒。

 

周りの学校より二倍近く広いマンモス校、私立桜夜学園に着いた。女子生徒のクラスの印象は無愛想な口数が少ないクールな女子

 

そんな彼女が生徒会に入る事になったのは、入学して一ヶ月すぎた頃

 

 

天井からピン、ポン、パン、ポーンとよく耳にする音が聞こえた。

 

 

〝「1ー1の竹見花さん、1ー1の竹見花さん、至急生徒会室まで来てください。繰り返します。1ー1の竹見花さん、1ー1の竹見花さん、至急生徒会室まで来てください。お願いします。」〟

 

 

その声は非常に静かで女の魅力を感じた。女子の声がクラスの特に男子生徒の騒がしい声が教室に響き渡る。

 

 

・・・・・何だろう?

 

 

アクセサリーも付けてないカバンを持って、ドアを開け教室を背後にして、疑問に思いながら生徒会室に向かった。

 

彼女の学園でも五本の指に入る。容姿である。廊下で歩くだけで目立つ。

 

だか、同時に同性のカースト上位に余りよく思われていない。竹見花が悪いことをした訳では無い。気に食わないと言う。一方的に、矛盾した理由だ。

 

歩いているうちに、生徒会室前まで来ていた。ドアを開けたら、入学式に歓迎の言葉を言っていた。生徒会長が大卓に座って待っていた。

 

 

「あっ、待ってたよ。竹見花さんだね。どうぞ、座って座って♪」

 

「はい、失礼します。」

 

 

竹見は高校生徒会長、藤白色美の反対側の椅子に少し緊張しているが座って、要件を聞いた。

 

 

「それで、私に何か要件があるご様子で・・・・・」

 

「そうそう。花ちゃんさ~、生徒会書記になってくれない」

 

「はなちゃ......無理です。集団に入るのが嫌なので...特に生徒会に入るなんて・・・・・もっと嫌です。」

 

「あっ、そう~♪」

 

 

藤白色美は「フッフッフっ」と竹見花の瞳を離さず見ながら、余裕そうに笑っていた。

 

 

「じゃあ、こんな事言ってもかな」

 

 

藤白色美は胸ポケットから白い紙を取り出した。竹見は胸騒ぎがした。

 

 

「えっと~、小学校5年生、登校の時、一緒の班の幼なじみの男の子が当たり前の様に寝坊して・・・・・」ゴッホン

 

 

竹見は快適な涼しいところなのに汗が出てきた。

徐々に顔もりんごの様に赤くなっていた。

 

 

「仕方が無いから、毎日の様に自宅にお邪魔して、起こしに行った。それは彼女にとって、とても幸せの時だった・・・・・」ニアニア

 

「・・・・・そっ、それは、そっ、そんな事より・・・・・」アワアワ

 

 

段々、竹見は恥ずかしそうな震え声で藤白色美の話をそらそうとしたが、藤白は無視をして音読を続けた。

 

 

「何故なら、好きな子の寝顔を見れて、天にも登る心地ってこういう事なんだと思いながら、2年間・・・・・」

 

 

反応がないなと思い、彼女を見たら、真っ赤にした顔を伏せて、頭から湯気が出そうなくらい、うなされていた。

 

「どう、入る気なった?」ニコニコ

 

「わっ、分かりました...書記にならせて頂きます...」ウゥゥ

 

「やった~。これからもよろしくね。花ちゃん♪」ニコニコ

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

竹見は一年前の生徒会に入る事になった自分を葵に重ねて見ていた。

 

 

思い出したく無かったのに・・・・・

 

「おーい、どうした。ボーとして」

 

 

竹見は葵の顔が近くて驚いて、思わず生徒会室に日常では出さない声が響いてしまった。

 

 

「キャ!。びっくりした…」

 

「うわっ!、こっちのセリフだ。急に落ち込んだり、顔を赤くなったり、どうした?」

 

「・・・・・何でもない」ボソッ

 

昔からクールな子だから、少し違う一面が見て、可愛いと思ってしまった・・・・・

 

 

ニアけそうで口元が上がりそうになったので、彼女の視線に入らないような角度で、口を手で隠して堪えた。

 

すると、赤い顔をして、ビクビクと体を震えてた彼女は葵に向かって拳をぶつけようとしたが、葵は軽快に受け止めた。

 

 

「何、ニアニアしてるの・・・・・。殴るよ。」

 

「危ねぇ...もう実行しているから、取り合いず、拳をおろして...下さい...お願いします。」

 

 

彼女はすんなりと拳を下ろし、肩にかかった髪を後ろに直して座った。彼女の行動に手を右胸に当ててホッとした。

 

 

「ところで、呼び出した会長がいないんだが、寝坊か?」

 

 

噂をすると後ろからガタンとドアを開ける音が聞こえてきた。

 

来たかと思い振り向くと眠そうな顔が一つも無く、爽やかな笑顔でドアを開けた。高校生徒会長・・・藤白色美は「おはよう」と言いながら、葵に抱きついてきた。

 

 

「ちょっ...離れてください...暑苦しいです。」ウットウシイ

 

会長のウォーターメロン2つが腕に挟んで当たってる。この人は新手の童貞キラーか・・・・・

 

「童貞の葵くんには刺激が強かったかな?」ニアニア

 

 

会長は葵の頬を突っついて、更に胸を押し付けた。

 

 

「なぜ、自分が童貞前提なんですか?否定はしませんが・・・・・」

 

「キミ、自分をアピールしないからね、モテないんだよ。知ってた?」

 

「知らないですね。小林修(こばやしおさむ)先生も初耳ボタン押しますよ。その知識」

 

まず、目立ちたくないからムリだけどね。

 

「そうやって自分を否定して、だから、他人と関わろうとしないんだね。キミは...」

 

 

周りからしたら、イチャイチャとしているようにしか見えない会話をしていると、同じルームにいるにも関わらず、一言を喋らず、ドス黒いオーラを放ちながら、葵をジッと見ていた。

 

 

「花ちゃん、嫉妬しているの?」ニアニア

 

 

藤白会長は挑発するような口調で、さらに、葵に胸を谷間の奥まで押し付けて腕に当てて密着した。

 

 

「......冗談はやめて下さい、それよりも、今日の予定を教えて下さい。」

 

 

竹見は少し羨ましそうな顔をしたが、頭を抱えて溜め息をついた。

 

 

「そうですよ。藤白会長」

 

「はぁ、ノリが悪いよ。まぁいいけどね」

 

 

会長は頬を膨らませて、葵から離れ大卓の中央にある椅子に座った。

 

 

「そろそろ、学園生が登校してくるから、校門で風紀が乱れてないか見ながら挨拶運動をする。以上、では葵くんこっち来て、中腰になって」

 

「えっ...何でですか?」

 

「いいからいいから、先輩&会長命令だよ。」

 

「・・・・・威厳の無い命令ですが。分かりました」

 

「威厳が無いとか、失礼だよ。」

 

 

葵は何をするのだろうと分からないまま仕方なく中腰になり、竹見も頭を傾げて見ていた。

 

会長はニアニアしながら、葵の肩を掴んで、足を「葵くん、手を後ろにして、私の足を持って」と指示を出して、細くて傷一つも無く折れそうな人差し指を校門に指した。

 

 

「Go!」

 

「「Go!」じゃないですよ!」

 

てか、太もも柔らかい。胸を当たっている。二人っきりだったら俺の理性がぶっ飛ぶかもしれない。

 

「柔らかい?理性、飛んじゃう?」ボソッ

 

 

彼女は葵の耳元に囁いた。

 

 

こっ、この人はサキュバスか。世界中の童貞を殺す気だな...

 

「降りてください。こんなところ見られたら、転校早々、変な噂が流れますよ。」

 

「大丈夫♪大丈夫♪人気の無いルート知ってるから、そこを通ればいいよ。ほらほら、早く行かないとみんな来ちゃうよ。」

 

「ちょっ、暴れないでください。分かりました。分かりました。花、行くぞ」

 

 

一足先に会長の指示を聞き、誰もみられてない事を願いながら校門まで全力疾走して向かった。

 

 

「・・・・・えっ?、ちょっ、ちょっと待って」

 

 

少し羨ましそうに会長を睨みつけながら、葵の背後を追った。

 

一心不乱で走っているうちに、校門が見えてきた。女子生徒の声が聞こえたが、何とかギリギリ誰も見られず到着した。

 

葵は会長を下ろした。会長が何故かスマホの画面をストップウォッチにしていたが、特に気にしないで挨拶運動を始めようとした。

 

後から竹見が膝に手をつけて荒々しく息を上げていた。

 

 

「はぁ、はぁ、あっ、葵、昔はそんなに速くなかったのに、凄く足速くなったね・・・・・」ハァハァ

 

「そうか?」

 

まぁ、中学時代、高校生と一緒にバスケしていたからな...それに、今では...

 

 

中学時代の地獄のような練習の日々が脳裏にフラッシュバックしたが、今はどうでも良いと思い、目の前のことに切り替えた。

 

 

「おっ...おはようございます...」

 

「「えっ...お..は...よう...ござい...ます......」」

 

 

登校した女子高生達に挨拶し、返したのだが距離を取り、葵を見ながらヒソヒソと話しながら通り過ぎた。

 

それを見ていた会長は葵にアドバイスを言おうと近づき話しかけた。

 

 

「葵くん、警察に止められて取り調べされそうな顔してるよ。もっと笑顔に」ニコニコ

 

どんな顔だよ。Wikipediaで調べたら出そうだな...

 

「自分、笑顔作る苦手なんで...(大きな声を出すのも)」

 

「問答無用。一回やってみ」ホラ

 

 

言われるがままに笑顔を作ってみた。

 

 

「えっ......こんな...感じ...ですか?」

 

 

笑顔を会長に見せたが言葉を失い固まっていた。右手を葵の左肩にポンと置いた。

 

 

「葵くん.........捕まるよ」

 

最初の一言がそれか!。等々、捕まったか!!

 

 

周りを見渡すと登校してきている学園生達は葵の作り笑顔に恐怖を覚え避けて校門を通ってた。

 

 

そんなに酷いのか......警察に気をつけよ。

 

 

ショックと不安が葵の脳裏に焼き付いた。

 

不安と言うのは雪音と雪菜のことである。一応、保険をかけているが、朝食を作り置きして学校に向かったので、ちゃんと起きれているか朝食を食べているか、ふたりの事が心配なのである。

 

噂をすると3人の登校姿が見えてきた。保険というのは藤白玲美のことである。藤白なら面倒見がありそうでふたりの事を知っているので頼んだ。

 

その代わり、条件を出され、内容は「いつか、先輩の家でお泊まり会をして良いのなら、いいですよ」だそうだ

 

正直言うと頼み事と条件のメリットとデメリットの差がありすぎるような気がしたが了承した。

 

 

「パ...お兄ちゃん~」

 

 

金髪少女が大きな声で葵に向かって走って来て、葵のお腹に顔を埋めて抱きついてきた。

 

後からふたりがゆっくり歩いて来た。特に無駄な心配だったようで安心した。

 

 

「雪音。ちゃんと朝食を食べたか?」

 

「食べたよ。美味しかったよ」スリスリ

 

「そうか、ありがとう」ナデナデ

 

父親の今日も頑張ろうという気持ちがわかってしまった。

 

 

やはり愛娘が笑顔で抱きついてくるとついつい微笑んで撫でてしまった。その様子を見ていた。会長が少し驚いた顔をして見ていた。

 

 

「先輩、おはようございます。約束どおり連れてきましたよ。」

 

「あぁ、ありがとう」

 

 

普通にお礼を言ったのに関わらず、何故か不満げな顔をしていた。

 

 

「何だよ...不満げな顔をして...」

 

「雪音ちゃんみたいに撫でてくださいよ。」

 

 

綺麗に整って高そうなシャンプーを使ってそうないい匂いする髪を近づけてきた。

 

 

はっ?、何言ってんだこの娘は、なんで俺がリア充イベントみたいな事をしなければならないのだ。

 

「そう言うのは好きな人にやってもらえ」ハァ…

 

「だから、そうしてもらおうと思って...」ブツブツ

 

 

何かブツブツの言っているがほっといて、家では少し明るいが学校だとクールなキャラになってしまう雪菜に話しかけようとしたが様子がおかしいと思った。

 

 

「雪菜、大丈夫か?」

 

「おと...お兄ちゃん...大丈夫です。藤白さんが...」グッタリ

 

「藤白?、藤白がどうかしたのか?」

 

「お兄ちゃんの部屋に入ろうとしていたので、止めるのに疲れて...」

 

 

それを聞いて、愛娘を疲れさせた本人を睨みつけた。彼女は目を逸らしてぎこちない顔をしていた。

葵はいつもより低い声で話しかけた。

 

 

「藤白」

 

「いや...そのォ...好奇心に勝てなくて......ごめんなさい...」アワアワ

 

 

彼女は落ち込んだ顔をして、頭を下げた。別にそこまでしなくていいのだけれど、彼女が反省しているのが伝わった。

 

 

「いいよ。部屋に入ってないなら、雪菜、ありがとう」

 

「別に......自己満足だから...」プイ

 

 

顔を少し赤くしてそっぽ向いた。葵はこれはツンデレなのかな?それとも自分を認めていないかと思った。

 

 

「あっ、玲美ちゃん、彼おもしろいね~♪」

 

「えっ?、姉さん!!。何でここにいるの!?」

 

「.........会長と藤白って姉妹だったのか?」

 

確かに、名字が同じだもんな......

 

「そうだよ。ちなみに君を知ったのはこの子が頬赤く染めて君との出ぁ・・・・・」

 

「あぁーー!、待って待って!!、言わないでー!」

 

 

口を塞ごうと両手を会長の口に当てようとしたが、すんなりと避けられた。

 

唐突に驚きの事を知った。このふたりが姉妹だと言う衝撃な事実を、正直言うと容姿や人望の厚さ以外、似ているところが一切無い。

 

 

「姉さんは何をやってるの?」

 

「私?、生徒会のお仕事。」

 

「一応、これでもお前の姉さんは生徒会長だぞ」ボソッ

 

「えっ!、本当に?」

 

「えっ、知らなかったの?。始業式の時、歓迎の言葉を言っていたじゃん」

 

まぁ...藤白は遅刻して来たからな。タイミングが悪かったんだろうな。

 

 

生徒会長と美人ハーフ1年生が姉妹という所を聞いていた竹見は疑問に思っていた事を言い出した。

 

 

「そういえば、葵にくっついてる少女たちは誰?」

 

「...誰って、葵くんの妹じゃないの?」

 

「えっ?、何言ってるんですか?葵の兄弟はお姉さんだけですよ。妹がいるなんて聞いたことないですよ。」

 

 

竹見の一言により、葵は時間が凍ったように感じてしまった。

 

 

花はドSの将軍だったのかな...

クールの限度を超えて禁句の摩訶鉢特摩(マカハドマ)使った...それともキング・クリムゾンか.....

どの道、災厄だ......

 

 

3人の女子高生の視線が集まるなか、葵と美少女姉妹は青ざめた顔をして言い訳を考えていた。

 

 

 




短くてすいません。誤字などがあれば、教えて下さると、とても助かります。読んでくださりありがとうございます。
ちなみに摩訶鉢特摩(マカハドマ)の意味を知らない方は「アカメを斬る」と言う作品を見て下さい。
キング・クリムゾンは「ジョジョの奇妙な冒険」を見て下さい。
興味のある方はご覧になってください。


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藤白姉妹は世界の童貞を殺す気だ・・・・(大袈裟)

最近、モンストでソロで玉楼をクリアするのが少し遅れて、
なかなか、作れませんでした。こんな短いのに、申し訳ございません。頑張って、1週間以内に投稿する所存です。
では、どうぞ


現在、危機的状況に凍りつくような空気に立たされている。葵は姉妹の関係と藤白姉妹には葵の過去の事件を触れ、バレる事をなんとしても避けたい。

 

 

事件の事は花の口からは出ないであろう。何故なら他人に言わない約束をしているからだ。姉妹の件はどうやって誤魔化そうか。何択かある。

 

 

1、姉妹との関係を全て話す。

秘密にしたいのに自分から白状するとかアホだな。

 

2、「......血が繋がってない、赤の他人の子を引き取った」と少し気まずそうに言う。

誘拐犯確定だな。

 

3、「親戚から引き取った」と言う。

これは安全策だな。だが、少し、花に疑われそうだな。

 

4、「実は......生き別れの妹なんだ...」と言う。

2次元にしかねーよ。そんな物語!、...いや待てよ。絶対ないという可能性がある訳では無い。意外とありなのかもしれない......

 

 

ガァー!、自問自答するほど可笑しくなってる!!

どうする。葵、よく考えろ。何を守りたい。自分が恥をかこうが守りたい。ならば選択肢は一つだ。

 

誰もが1を選択するであろうが、しかし、意外と安全なのは2である。何故ならば、竹見花は俺には家族が失ったのは知っている。生き別れの妹がいるとなれば、妹の親に引き取られたと自己解釈するであろう。気がつかないなら、「妹の親に引き取られた」とふたりに聞こえないように密かに言えばいい。

 

1の選択がダメなのは、3人で暮らしているということになる。3人には否定が生まれる。例えば、「一人暮らしの学生に姉妹を預ける親戚がいるはずが無い」と思うだろう、ならば、2が得策である。

 

頬を人差し指でかきながら、動揺して答えた。

 

 

「あっ...と、えっ...と...実は...生き別れの妹でな...親父には愛人がいてだな...二人の間に生まれたのが俺なんだけど...それは違くてな...もう二人お腹に宿してて...それが妹なんだ...それが母にバレて...離婚...俺は実の母である...その人に身を預けたんだよ...正直...俺もびっくりしたよ...」

 

いくら何でもベタ過ぎるような理由だな...上手くいくか...。

 

 

すると、彼女達は口元を手で抑え、声が思わず出てしまうくらい驚いていた。何故か知らないが雪菜達も驚いていた。

 

 

「うそっ!!、先輩にそんな事が...」

 

嘘だけどね......

 

「そんなドラマチックなことがあるんだね~」ウンウン

 

そんなドラマチックな事は3次元には無いだろう。多分...

 

 

一番葵の過去を知っている竹見花を見ると、少し泣きそうな顔をしていた。

 

 

「よかったね...こうちゃん...少しでも血の繋がりが近い家族がいて...」クスッ

 

何かホント、すいません!!

 

 

雪菜と雪音を見ると何故かふたりは落ち込んで頭を抱えていた。どうやら、俺が言った事が嘘だと気づいていないようだった。

 

 

パパは、じつはお兄ちゃん?、兄弟ってけっこんできるのかな?

 

パパが、実はお兄ちゃんということは...つまり...結婚が......できない...

 

「嘘だからな。真に受けるな」ボソッ

 

 

葵はふたりに密かにふたりの耳元に呟いて伝えた。そしたら、ふたりは飼い主が帰ってきて喜んでいる猫のような表情で明るくなった。

 

放送朝礼の五分前のチャイムが流れて来たので、藤白会長が話を切った。

 

 

「葵くんは機械に触ってもらうから放送室行くよ。花ちゃんも」

 

 

藤白会長は生徒会長っぽい指示を出して歩き出した。

 

 

「雪音、雪菜、じゃあな、頑張れよ。」

 

「うん、バイバイ、お兄ちゃん」フリフリ

 

「お兄ちゃんも頑張って下さい」

 

 

ふたりの元気な声を聞いて、放送室に向かおうとするが、藤白に呼び止められた。

 

 

「せんぱ~い、私にも何か一言はくださいよ」プクゥ

 

キミ、稀にあざとくなるよね。いや、いつもか...

 

「何かって・・・・・・・・・・適当に頑張れ」

 

「雑!」

 

 

落ち込んだ顔をして顔を地面に向けた。葵は彼女が10分前くらい前に言っていた事を致し方無く実行した。

 

 

「ありがとう・・・・・」

 

 

藤白の頭に2~3秒だけ手を乗せた。驚いて顔を上げようとしたが、目を合わすのが恥ずかしすぎて顔もいつも以上に赤くした。

 

頭から手が離れるのを感じて、葵を見ようと顔を上げたが彼は既に後ろを向いて、さっきまでの行動が無かったような雰囲気を出して放送室に向かった。

 

 

「いつも、面倒くさそうで目つきが悪いのに根は誰よりも優しい人ですね。ホント」ボソッ

 

 

藤白は頬を赤くして照れながら葵の事を呟いた。

その本人は数秒前の行動に恥ずかしすぎて死にそうになっていた。

 

 

もし...アイツの嫌がらせや冗談だったら......終わった・・・・・そういえば、何であんな恥ずかしい事を言ったんだ?本心が掴めん...

 

 

屈辱と後悔しながらノロノロと歩き、放送室に向かった。

 

 

 

放送室に到着して、初めて触れる機械を片っ端から藤白会長に叩き込まれ、普段、慣れない事や黒歴史を作るような事を朝からやり、メンタルがすでにボロボロである。

 

こんな時に朝から体育が待っており、面倒なので「体操服を忘れました」と減点されるが朝から散々なのでサボり、2時間目は担任の萩本先生の「授業中に寝てたから」という訳で書類運びを手伝わされた。あとの授業は適当に流した。

 

昼休み、やっと休めると思いきや。藤白の約束を思い出し、憂鬱そうにいつものように屋上まで向かった。

 

重いドアを開けると、快晴な空にいいそよ風が吹いて、いつもの場所に彼女だけポツンと置かれ、ブツブツと独り言を呟きながらご飯を食べていた。

 

 

「約束するの忘れてたな~。言わないと来ないだろうな...」ハァ...

 

「来なくてよかったのか。帰るわ。」クルッ

 

「えっ!」ガバッ

 

 

鳩が豆鉄砲くらったような顔をして、卵焼き落としたが弁当箱に見事に戻り、硬直していた。

 

 

「じゃあな。」

 

「あーー!。待ってくださいーー!!」

 

「何だよ。帰らせて」

 

「今!、先輩の机はグループの誰かに占領されているんで、優しい先輩なら、違う所で食べるでしょ。!!」

 

何でわかるんだよ。葵検定5級を合格できるぞ・・・・・

 

 

説得させようと必死にどんどん近づき、葵の手を掴んで来た。

 

 

「だ~か~ら~!。」

 

近い!近い!近い!。そしていい匂い!!

 

 

彼女自身は無意識に大きくも無ければ小さくも無い、男の理想サイズの胸を谷間に葵の手をよせた。

 

 

ヤバイ、ヤバイ、姉妹揃って童貞キラーかよ!。

 

「一緒に食べましょう!!」

 

 

さらに深くよせてきた。

 

 

深くなってるー!・・・・・落ち着け、俺・・・・こういう時は気を逸らして冷静になろう。そうだ、πをもとめぇ......って、今触れてやつと関係ありありじゃねえか。

中学校の頃、πを教える時、先生は必ず「男子共、胸を想像するなよ」って言ってたわ。紛らわそうとしてるのに余計、意識してしまう!!

 

「わかったから!取り合いず、離して...」

 

「あっ・・・すいません。」

 

 

藤白は「あっ」と我に戻り手を離した。葵は少し残念と思ってしまった。

 

 

「はぁ・・・・昼休みが無くなるから食べよう。」

 

「えっ!、良いんですか?」

 

「唯一食べる場所がココしか無いからな。正直...」

 

「そうですね。先輩、友達いないですもんね。」

 

 

昼ごはんを食べようと座り、パンを食べようとすると

記憶の奥底に封印していたのに、一瞬にして思い出してしまった。

 

 

「うぐっ・・・あの放送聞いてたのかよ...」

 

「はい、どっかで聞いた事がある声だなと思いましたが、まさか、姉さんだとは思いませんでした...」

 

「お前の姉さんどうにかしてくれ。嫌がらせしかしないんだが......おかげで疲れる一方だ...」

 

「あっ!でも珍しいですよ。姉さんが男性に興味持つのは、いつも、興味無さそうな顔をしているのに、先輩にはいつもハイテンションですよね~。何かしたんですかね?」

 

「余計な事をしたのはお前だろう。」

 

「あっ・・・そうでした。テヘッ♪」

 

・・・・可愛いと思ってしまった...

 

 

一足先に食べ終わり、曇一つもない青い空を見上げた。不意に思ってしまった事が口に出た。

 

 

「クラスでも素なのか?」

 

「・・・・・なんでそんなこと聞くんですか?」

 

「なっ、何でって・・・そうだな。今のおまえは少なくとも、いつも俺の前だと本音で話してくれてるんだな・・・と思っただけ。」

 

 

その言葉を聞いて彼女は黙り込んでしまい、少し気まずい雰囲気なった。

 

 

あれ・・・?、言っちゃいけないこと言ったかな?

 

 

すると、彼女はいきなり大きなため息をつき出した。

葵は首をかしげて藤白を見る。

 

「なぜ、ため息をつく」

 

「いや、何かもう、嬉しいのか、嬉しくないのか分かんなくなりました。」

 

本当は先輩がそんな事を気づいてくれて嬉しいんですけど・・・・・ずっとアピールしているのに何で気づかないですかね。プンスカ

 

 

表情が怒ってるように見えるのに、どこか嬉しそうにしていた。

 

 

「で、どうなんだ?」

 

「そうですね~正直、猫かぶってます。ニャ~♪」

 

あざといが可愛い・・・・今の雪菜と雪音にやってくれないかな・・・・・絶対可愛い!!動画に収めたい!!トップ画にする!!

 

「なんでだ?」

 

「わかりません。まぁ~でも、素で話しているって事はその人に好意があるんじゃないんですか?」チラッ

 

これで先輩に気づくはず!

 

「へぇー、そうなのか」

 

 

興味無さそうに空を再び見上げた。その様子を見てイラッときた藤白は葵の腕をつねった。

 

 

「イタイ、イタイ。なにすんの?」

 

「全然、痛くなさそうじゃないですか!。しかも棒読みですし。」

 

「まぁ、痛くもないしな」

 

「えっ!、力一杯つねったのに!」

 

「弱すぎ...護身術とか習えよ。心配だわ...」

 

なんでそんなに力入れたの、恨みでもあるわけ?

 

「習ってますよ。」

 

 

そんな答えを聞いて、少し半信半疑で不安そうな目で彼女を見た。

 

 

「じゃあ、今度、雪音と雪菜にも教えて...心配だから俺も」

 

「先輩の妹ちゃん達、カワイイですからね。もしもの為に教えないといけないですね。」

 

 

のんびりと話してたら、授業五分前のチャイムがなり、屋上におり教室に戻った。

 

 

 

 

「学生の本文は学問である」と言われる今日の学問は幕を閉じ、皆は「部活だ」「遊ぼうぜ~」「ゲームしようぜ」「今帰るからね。僕だけの(2次元)フィアンセ♪」など、声が聞こえてくる。

 

生徒会室に向かおうとカバンを持つと、体育のペアになった。爽やか系地味イケメン、速水駿が話しかけてきた。

 

 

「葵、放課後時間があるなら、一緒にみんなで遊ばないかい?」

 

でた。ボッチに気をまわす人。いるよね~そういう人。悪いことではないけど...

 

「悪い、パスだ。生徒会の仕事があるから、じゃあな」

 

「あっ・・・・・」

 

 

適当に流し歩き去った。だるそうな目で、生徒会室まで左ポケットにスマホを入れ、Bluetoothをして、アニソンやラブソンを聴き、夕食の献立を考えながら歩き始めた。

 

 

夕食どうしようかな。パスタ?お好み焼きとか?いや、プレートが無いな・・・・寿司でも作るか?魚は大好きだろう。猫の血を引いているから・・・・あれ?そういえば、どうやって生まれたんだ?。お母さんは人間らしいけど、お父さんが猫?それともふたりみたいに人にコスプレさせてるような感じなのかな?・・・・・謎だらけだ。ふたりのお母さんは病院はどうしていたのだろう?

 

 

独りで考えてるうちに、生徒会室前までいつの間にか着き、ドアを開けた。

 

 

「ウッス...」

 

 

挨拶をして入ったが、どうやら葵が一番乗りの様だ。

大卓にカバンを置いて、窓側の一番端の椅子に座り、窓越しからいろんな部の活動を見ていた。

 

 

へぇ~、上手いな。特にサッカー部やテニス部が・・・・誰も来ないな...愛娘は先に帰ってるから、帰っていいかな?よし、帰ろう!

 

 

立ち上がり、カバンを持って帰ろうとした時、ガラガラとドアを開ける音が聞こえた。

 

長身でスタイルがいい割には胸部の成長があまりよろしく無さそうで、ブロンドヘアーをポニーテールして、お姉さん的なオーラがあり、そんな美女に冷たい眼差しを向けドアの前に立っていた。

 

 

「男......誰ですか。あなたは、此処はあなたがいるような場所ではないですよ」

 

正直、面倒くさそうだから、帰って少しでも休もう...

 

「すいません。教室と間違いたようなので失礼します・・・・・」

 

 

誰だか知らない金髪女子の横を通ろうとすると、「ちょっと待った!」と止める声が聞こえ、「うわぁ・・・」と思わず声が出てしまった。声のヌシは藤白色美、生徒会長だ。

 

 

「総務に承認した葵光くんだよ。立派な関係者だよ!」

 

「色美、なんで男を選んだの?!」

 

「何でって?」

 

「私が男が苦手なのは知ってるでしょ」ボソッ

 

「大丈夫、大丈夫、彼、面白いよ。薫も気に入るよ」

 

 

ふたりで葵に届かない声でヒソヒソと討論して、どうやら、会長が論破をしたようで、そして、葵に災いの矢が向いてきた。

 

 

「そして葵くん!」

 

「はい...」

 

「なんで帰ろうとするの。これはお仕置きが必要だね...」

 

「・・・えっ」

 

 

彼女はニアニアと考え出し、少し待つと。案が決まったようだ。

 

 

「玲美をいつでもいいから、ゴールデンウィーク辺り止めてあげて、私も途中から泊めて」

 

「無理、嫌、却下です」

 

「でも、どの道、泊める約束をしてるんでしょ♪~」フフ

 

 

まるで何もかもがわかってるような口調でフフフと笑っていた。

 

 

くっ...この人の情報の流れが早い過ぎる。情報屋かよ。ならついでに、ソロで90層の裏ボスの弱点を教えて欲しいくらいだよ。

 

「君が裏ボスの弱点知っても、ソロではクリアできません」

 

「マジかよ...ソロプレイヤーに限界が...って自分の心読まないでください...いや、コールドリーティングですか。そこまで的確に当てます?」

 

「っ!・・・・・よく知ってるね。葵くん、今まで知らないフリをしてたでしょ」

 

 

コールドリーティングとは、話術の一つで、外観を観察したり何気ない会話を交わしているだけで相手のことを言い当て、相手に「私はあなたよりもあなたをよく知っている」と信じさせる話術である。

 

観察力がある人には誰でも出来るテクニックである。

世の中には悪用して、人を騙したりする人も存在する。

 

驚きのあまり、副会長も思わず何気なく話しかけてきた。

 

 

「・・・あなた、よく知ってますね」

 

「たまたま知ってるだけですよ。それで、今日は何ですか?」

 

 

話を切って、今日の要件を聞いた。

 

 

「今日は葵くんに副会長と会計を掛け持ちしている風月薫(ふうげつかおる)を紹介しようと思って」ニコニコ

 

 

パッと爽やかな顔になり、副会長の肩をポンッと置いかれ副会長は気まずそうな顔をしていた。

 

 

「はぁ・・・3ー4の風月薫です。よろしくお願いします。最初に言わせてもらいますけど、私は男が大嫌いなので、いつも、下心丸出しで話しかけてくるから・・・」

 

 

また、氷のように冷たい眼差しを向けた。この人の過去に何があったんだと思うくらい冷たくて重い視線だと感じた。

 

 

「2ー2の葵光です。よろしくお願いします。自分そんな風に見えますかね・・・・・」

 

「いいえ、あなたの場合は目つきが気持ち悪いです」

 

とうとう、気持ち悪いと言われた・・・・・

 

「だけど・・・下心がある感じはしません」

 

あぁ...スタイルがいい割には胸に成長ホルモンが届いて無いなと思ったからだろう。

 

「・・・今、失礼な事を思いませんでしたか?」ゴゴゴ

 

 

さっきまで冷たい視線だったのに、いきなり、獲物を狩るような目になった。そんな怒りの視線に動揺してしまった。

 

 

「いや・・・そのぉ・・・副会長は会長よりは魅力的だなと・・・・・」

 

 

目を逸らし適当に誤魔化した。会長は頬を膨らませた顔で向かって来た。

 

 

「葵くん、私の事、魅力が無いと?」

 

「はい、会長はあまり魅力が感じません」キッパリ

「そんなハッキリ言っちゃう!、お姉さん、泣くよ」ウェーン

 

 

白々しい嘘泣きを始めた。

 

 

チラチラとこっちを見て嘘泣きしてやがる・・・・・まぁ、会長は大人しければ可愛いなとは思うけど・・・・・コレだからな...

 

 

嘘泣きをしている会長を無視して、副会長は獲物を狩る様な目をしておらず、何故か硬直していた。

 

 

はっ...初めて可愛いと言われた。どうしよう、どう反応したらいいのかわからない。

 

「あ...あの~、副会長?」

 

「・・・・・・・なっ...何ですか?。私を口説いても何もありませんよ」

 

 

何故か慌てて早口になり、オドオドとして、口をパクパクして言った。

 

 

「いや、口説いてないですけど・・・・・」

 

「しっ...色美より私の方が...み、魅力的と言いましたよね。」

 

「あ〜、それは事実だと思います。こんな悪魔な人よりは先輩のほうが断然いいと思いますけどね」

 

「酷いよ。葵くん、また個人情報流しちゃうよ。」

 

「誠に申し訳ございませんでした!、会長は魅力的な女性です。」

 

「それで、よろしい」ウンウン

 

 

即座に葵は会長に頭を垂れて謝った。その様子を見ていた副会長は一瞬、微笑んだような気がしたが、冷静な雰囲気に戻り呟いた。

 

 

「・・・・・益々、あなたの事が嫌いになりました。」

 

何故!

 

「今日は帰ります。色美、後は任せます」

 

 

前髪を後ろに戻して教室から出ていき、トントンと足音を立てながら生徒会室から離れた。

 

残されたふたりは書類まとめを実行した。沈黙のなか、素朴な疑問を会長に質問した。

 

「会長、花はどうしたんですか?」

 

「はなちゃんは用事があるって帰ったよ。」

 

「そうですか・・・・そういえば、会長と副会長の関係は何ですか?」

 

「葵くんと花ちゃんと同じ関係だよ」

 

「へぇー、そうなんだ。また、話が変わりますけど、庶務は誰なんですか?」

 

「その件に関してはキミが頼りになると思える人材を選べばいいよ。」

 

 

友達いない=頼れる人はいないので、どうするか、考えながら書類をまとめた。

 

 

「うーーん、終わった。葵くん、もう帰っていいよ。」

 

 

立ち上がり腕と背筋を伸ばした。葵も書類まとめが丁度終わった。

 

 

「えっ...会長はどうするんですか?」

 

「うん?、私はまだ萩本先生に用事があるから」

 

「そうですか・・・・・あまり、ひとりで抱えないで、誰かに頼ってもいいんじゃないんですか。まぁ、自分はお言葉に甘えて帰りますけど...」

 

「・・・・・!、君は本当に面白いね。益々、私も興味が湧いてくるよ。」

 

「それは嫌ですね。じゃあ、帰るので失礼します」

 

 

カバンを持って、会長にお辞儀をして、生徒会室から出て、日が差す廊下を歩いていった。

 

会長は葵の後ろ姿がいなくなるまで見届けた。

 

再び腰を下ろし、大卓に自分のノートパソコンを開いて葵の関しての個人情報を探っていた。

 

だが、彼の情報を探っても家族構成と中学二年と高校一年の履歴が一部、消されているところがある。

 

ついでにと、葵の妹、雪菜と雪音に関しては名前、生年月日、成績などはあるが家族構成、血液型の情報だけが皆無だった。

 

そんな結果を知り、パソコンを閉まって椅子から立ち上がり、紅く染まった空を見て呟いた。

 

 

「あの子...いや、あの子達は一体何を隠して、守ってるんだろうね」

 

 




読んでくださりありがとうございます。
誤字などがあれば教えてくだされば助かります。
次回は1週間以内に頑張って投稿したいと思います。
今後とも、よろしくお願いします。


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新しい家族 (キュ~♪)「誰!?」

本当に申し訳ございません。5日ぐらい更新遅れました。
しかも、短くて申し訳ございません。
次回こそ、一週間以内に頑張りたいと思います。
では、どうぞ


紅く染まった空、まだ寒さを感じさせる風が吹いて、カラスの鳴き声やグランドから運動部の暑苦しいかけ声が聞こえてくる。

 

パッと見たら、陰キャラで目つきの悪い男子高校生がおもりを体にへばりついたように重く感じるくらい体に疲れが溜まり、だるそうに歩いている。

 

 

疲れた・・・・・早く帰って夕食も作らないといけないのか。ダルイな・・・。まぁ、あの子達の笑顔を見たら疲れも取れるけど...

 

 

歩きながらBluetoothを耳にかけ、曲を流して学校を出ようとすると、校門で藤白玲美が壁によって誰かを待っている様子だった。

 

 

今回は俺じゃないな・・・・・どうせ、彼氏でも出来て、約束して待ってるんだろ。

 

 

藤白の堂々と目の前を通り過ぎた。だが、彼女は見逃さなかった。

 

近づき声をかけたが音楽を聴いてるため聞こえず、急に足を止めたので、昼の力の無さの要件で屈辱を思い出し、彼女は拳を作り、大きく息を吸って葵の背中を殴った。

 

 

「痛てぇ!」

 

「あっ!、痛がった」

 

 

背中を右手で抑えた。内心で世間の嫌がらせかよと思いながら後ろを向いた。

 

 

「痛がったじゃないよ。痛がって欲しかったかよ。Sなの・・・・・」

 

「あっ!、でも意外と快感でしたね。少し扉が開いたかもです。」

 

Close!!

 

 

痛みが引いてきたので膝についた土を落としながら、立ち上がり背筋を伸ばし一呼吸入れた。

 

だが、彼女はやや呼吸が荒々しく、頬を赤らめて可愛らしげのある顔で少し興奮していた。

 

 

マジで、変な扉開いたのか・・・・・

 

 

だんだん落ち着いてパッと表情が変わり、本題に変えた。

 

 

「まぁ、冗談は置いといて、何で無視したんですか?」

 

ホントに冗談かよ・・・・マジで目覚めた表情してたぞ......

 

「無視って、お前、彼氏でも待ってたんじゃないのかよ」

 

 

肩掛けの黒いカバンを拾って、土をはらって自分の推測を答えた。

 

 

「彼氏?私、彼氏一回も作った事はないですよ。イコール、私はれっきとした。しょ...処女です」

 

 

思春期真っ盛りの男子高校生がいる前で、ハーフ美女が堂々と処女宣言をして、葵はそんな発言に驚き、周りに人がいないか確認を行い、幸い人がいなくて安心した。

 

 

おい、コラ、いい直せてないぞ。痴女。(言葉の綾だがな)

 

「まぁ・・・悪かった。で...俺に何のようだ・・・・・」

 

「もちろん、先輩と一緒に帰るんですよ。妹ちゃん達がいないのが悲しいですが、たまには、いいですね。」

 

たまにはと言うか、まだ、片手で数えれる数しか一緒に帰ってないけどね・・・・・

 

 

正直、そんな理由で先輩を殴ったのかと拍子抜けに呆れつつあるし、藤白は何でこんな陰キャラと関わろうとするのかが、葵にとっては理解不能だった。

 

 

「ところで、先輩。」

 

ハイハイ、何ですか?、藤白妹よ。

 

「そこに落ちているフルーツ缶みたいな物、近づいて来てません?」

 

 

約10メートル先にある。フルーツ缶みたいな物が銀ピカな開け口の反対を向けて転がっている。

 

 

「お前、等々、目がおかしくなったんじゃないか。今から、眼科でも行くか?」

 

「先輩と一緒なら喜んで!、じゃなくて、いや、本当に向かって来てますって!」

 

 

半信半疑で聞きながらやり取りしていたら、だんだん前からカランカランと音が聞こえて来た。

 

ふたりは「何だ?」と思い、小首を傾げて前方を見ると、本来なら、円形の缶は横に転がって来るが、しかし、この缶は開け口の反対側を葵たちに向けながら不規則に向かってくる。

 

藤白は葵の背中に隠れた。

 

 

おいっ、さり気ないく俺を盾にするな。

 

「やっぱり、そうですよ。センパイ...見に行ってくださいよ。」

 

「えっ・・・マジかよ。どうするよ。大きなGだったら...」

 

「そんなこと言わないでください。早く早く」

 

 

背中を押してきた。葵は抵抗したが覚悟を決めて止む負えなく、藤白の壁になりながら、じゃりじゃりと音を立てて近づき、様子を見ると、どうやら、銀色の毛をした子犬?が誤って缶に顔をハマってしまい、一匹で取れなくなって、困っていた様だ。

 

 

「・・・可哀想に、取ってあげましょう。先輩」

 

「そうだな」

 

 

缶を掴み、ゆっくり上に引っ張りあげた。子犬は痛そうに、声高く鳴き声をあげていた。

 

 

「キューーーん!」

 

?・・・・・犬ってこんな鳴き声か?

 

 

すると、スポンと抜けて、一安心したところで子犬の状態を伺った。

 

しかし、ふたりは子犬だと思っていたが、ここら辺に生息しない別種の動物だった。

 

 

「・・・・・キツネか?」

 

 

背後からひょっと顔を出して、手を少し震えわせながら、小動物を見て答えてきた。

 

 

「・・・・・キタキツネの突然変異種、ギンギツネですね。野生環境では非常に珍しく、模様は黒を基調にして顔の周りや体は白毛が混ざった銀髪が特徴です」ブルブル

 

「随分と詳しいな」ヘェー

 

「小さい頃、本しか読んでないので」ブルブル

 

 

ギンギツネの子どもは葵の足に近づき、愛くるしい顔、フワフワした毛並みでスリスリと擦り付けた。

 

 

「キュー」スリスリ

 

「藤白、なんで震えてるんだ?」ナデナデ

 

「動物触ったこと無くて...それで...怖くて」

 

 

清らかな顔が少し青ざめた顔に変わり、子ギツネが近づこうとしても、怖がり葵を壁にして隠れてしまう。

 

その様子を見て、昔、5歳の頃の葵が、藤白に重なり、葵が動物嫌いを克服させてくれた。亡き姉がしてくれた事を思い出した。

 

 

「藤白、手を貸せ」

 

「えっ......何でですか?」

 

 

背中でオドオドと慌てているが無理やり彼女の手を掴み、子ギツネに近づけた。

 

すると、子ギツネは傷一つもない綺麗な人差し指の先をぺろぺろと舐め始めた。

 

 

「えっ......何か舐められてる。先輩が舐めてるんですか?」

 

「な訳あるか!!」

 

どさくさに紛れて美少女後輩の指を舐めるとか、どこの変態野郎だよ。

 

 

背中に隠れながら彼女は未だに目を瞑っていた。

 

 

「えっ...誰が・・・・・」

 

「子ギツネがお前の指を舐めてるんだよ」

 

「えっ・・・・・そうなんですか?」

 

 

ゆっくりと目を開けた。藤白にとっては初めての経験なのであろう。段々、子ギツネとの距離を縮めて、無意識に抱き上げていた。

 

 

「怖くないだろ」

 

「はい、とても可愛いです。♪~」ナデナデ

 

「キュ~♪」

 

 

すっかり、数分前と表情が変わり、すごく良い表情になって愛玩にしていた。

 

 

「可愛がっているところ悪いが、この子にも親がいるから離して、帰るぞ」

 

「たぶん...それは無いと思います」

 

 

彼女の一言に、ピクリと足を止めた。

 

 

「どういう事だ・・・・・」

 

「ギンギツネはこの辺りには生息していません。つまり、捨て狐かもしれません」

 

「キュー......」

 

 

彼女の説明により、空気が重くなった。子ギツネも人の心がわかったのか、寂しそうな表情をして葵を見つめていた。

 

親もいない一人ぽっちの子ギツネを見て、葵は昔の自分が脳に通り過ぎるの様に思い出し、そんな状況に心が動かされた。

 

 

「こいつの飼い主が見つかるまで、俺が預かるよ」

 

「えっ、親の方たちに迷惑にならないんですか?」

 

「大丈夫だ。許してくれる」

 

俺が家主だからな・・・・・

 

「そうですか。良かったです。私は家系が厳しいので・・・・・すいません」

 

 

彼女は視線を下にして、しょぼくれた表情で子ギツネ撫でながら謝った。

 

 

「謝るな。また、こいつに会いに来てくれ」

 

「そうですね。じゃあ、これからどうしますか?」

 

「とりあえず、近くに動物病院があるから、徒歩で行って健康診断してもらう」

 

「私も一緒に行ってもいいですか?」

 

 

子ギツネを抱えて歩きながら。彼女はあざとらしい甘えた声、心細いそうな瞳、少しずつ近づき頼んできた。

 

 

「お前は帰ってろ、時期暗くなる。もしもの時があっては、困るからな」

 

「もしもの時?」

 

学校中の男共に釘付けにする程、人気があるからな。(二次元にしか興味無い奴まで、藤白姉妹の美貌にメロメロだし) いつ、ナンパされてもおかしくない・・・・・

 

「とにかく、今日は帰ってろ。分かったな」

 

 

道中、看板に色々な動物の絵を書いてある動物病院に着いていた。玄関口で彼女はしつこく「私も一緒に」と何度も言っていたが、どうにか納得させて、寂しそうに帰ってた。

 

やっとの思いで、病院に中に足を運び、獣医に健康診断を受けてもらい、特に異常がなかったので安心した。

 

 

「良かったな」ナデナデ

 

「キュ~♪」

 

 

抱えている子ギツネに話しかけたりして帰ったが、愛娘たちがお腹空かせて、少し心配なので歩くスピードを上げ我が家に帰った。

 

 

 

少し大きめの黒いドアを引いて開けると愛娘たちが尻尾と耳を出してお迎いに近づいてくる。

 

 

「ただいま・・・」

 

「おかえり、パパ~」

 

「おかえり、おとうさん」

 

 

雪音がいち早く抱えている子ギツネに気づき、尻尾をフリフリと興味津々に距離を縮めた。

 

 

「まっくろくろすけだ!」

 

何、その名前ジバリ作品じゃん。だけど、可愛いな。

 

 

雪音に指摘され、雪菜も気づいたが、足を一歩引いて、まっくろすけ(子ギツネ)を集中的に見ていた。

 

 

「まっくろくろすけじゃないぞ。ギンギツネの子どもだ。」

 

「ギンギツネの子ども~♪。初めて見た。」

 

 

嬉しそうに子ギツネと触れ合っていた。その様子を見て微笑ましいが、距離をとっている雪菜は子ギツネに未だに近付こうとしない理由に察した。

 

 

「雪菜、お前もか・・・・・」

 

「・・・大丈夫です。犬では無かったので・・・・・」

 

キツネはイヌ科だぞ。

 

 

本心では「知らない方がいい事もあるんだな」と学んだ。耳を尖らし雪菜は警戒しつつ近づき、子ギツネのちっちゃい耳をチョンと一瞬触った。

 

 

「怖がりすぎ...」

 

「だって。怖いんだもん...」

 

 

うじうじとしている雪菜を見て。葵と雪音は話さずとも同じ案が思い浮かび、ふたりは目を合わせた。

 

 

「雪音、分かってるな」

 

「ガッテン♪」

 

 

雪音は心を小悪魔にみたいに楽しそうに敬礼をして、迅速に行動に移し、雪菜の後ろに周った。雪音の行動に雪菜は悪寒を感じた。

 

 

「えっ、雪音、何する気なの・・・・・」

 

「えい♪」

 

 

雪菜の小学生だとは思えない。スタイルの良い(一部除いて)軽い体を雪音は勢いよく押した。

 

前に倒れそうになったが、子ギツネを抱えている葵が転びそうな雪菜を前に出たら、雪菜はそのまま抱きついた。

 

「大丈夫か。雪菜」

 

ナイス!。雪音、作戦通りだ。

 

 

葵はナイスサインを送り、笑顔で雪音も同じ事をして返した。

 

 

「えっ、うん...大丈夫...」デレ

 

このまま、時間が止まってくれないかな・・・・・

 

 

頬を真っ赤に染めてぼーっと葵を見つめながら非現実的な事を思った。

 

 

「そうか。すまないが、子ギツネ持ってくれないか。雪音を追いかけるから」

 

「うん。分かった」

 

 

何も動揺も無く無意識に子ギツネを抱えた。渡した葵は雪音を追いかけに元い、褒めにリビングに向かった。

 

取り残された雪菜はあんなに怖がっていた子ギツネと頬を染めてなんの躊躇も無く触れ合っていた。

 

 

 

一方、ふたり・・・・・

 

 

「良くやった。雪音」

 

「えへへっ♪」

 

「雪菜をいきなり驚かせて自然に近づける作戦成功だな。お陰で子ギツネに対して恐怖心が無くなった」

 

あれ?。ホントはパパにおねえちゃんを抱きつかせたら、苦手な動物でもいい事があったら、無意識に触れ合っちゃう作戦なんだけど・・・・まぁ、いいか。

 

 

雪音はまぁいっかと思い、葵に白い尻尾をフリフリと揺らして甘えてきた。

 

 

「だけど、おねえちゃんだけパパに抱きついたから、ずるい・・・・・」プクー

 

「そんな事で膨れるな。雪音、いつでもしてあげるから」

 

「やった~♪」

 

 

満面の笑みで抱きついてきた。ダルそうな顔だが、そのまま抱き上げ、ふたりで雪菜を呼んだ。

 

 

 

夕食や風呂に入り少し時間が過ぎ、葵一家は緊急会議をしていた。その内容は・・・・・

 

 

「子ギツネ・・・正確には、ギンギツネの子どもに名前を決めるから、相応しい名前を考えて・・・・・」

 

「おぉ~。さんせい~♪」

 

 

リビングのソファに座って提案をして、雪音も賛同した。同時に雪菜は子ギツネに問いかけた。

 

 

「何が良い、名前?」ナデナデ

 

「キュ~?」

 

それにしても、すごい変わりようだな。あんなにビクビクしてたのに、等々、話しかけてるよ。

 

 

不思議でいっぱいだが、今は関係無いので新しい考えた。誰よりも一番早く、案を出したのは雪音だった。

 

 

「やっぱり、まっくろすけ♪」

 

「いや、それまっくろくろすけのくろを取っただけだろ。却下だ。相応しい名を考えろ」

 

「えぇ~。じゃあ、パパも言ってよ」

 

「えっ...えっと......英語でダークとか......」

 

「・・・・・パパ、それ中二病だよ」

 

「グハッ...よくそんな単語知ってるな...」

 

ヤベぇ...愛娘の発言の威力が効果抜群だ。お陰で黒歴史を思い出しそう......

 

 

改めて考え始めると雪菜からポロっと名前がこぼれた。

 

 

「・・・・・紺(コン)とか良いじゃないんですか?」

 

「紺か...良いじゃないか。雪音はどう思う」

 

「さんせい~♪」

 

 

雪菜の案にふたりは同意をして、雪菜がギンギツネの子どもに名前を呼んだ。

 

 

「今日からあなたの名前は紺、良い?」

 

「キュ~~♪」

 

 

抱いている紺はぺろぺろと雪菜の手を舐め始めた。雪菜はくすぐったそうに笑って、その様子をを見ている葵と雪音も微笑んだ。

 

こうして、新しい家族が増えた。だが、葵はこんな幸せな時間が時に怖くなりそうになった。

 

 

俺はやはり思う。いつか、こんな時間が壊れてしまうのではないのかと・・・・。だから、俺は守らなければならない。何が何でも2度とあんな思いはしたくない・・・

 

 

そんな嫌な予感はまだ先の話である・・・・・




読んでくださり、ありがとうございます。
次回こそ、一週間以内に更新していきたいです。


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葵という人間&働きたくない休日

3週間ぐらい開けてすいません。
また、言い訳になりますが、なかなか、書く時間が無くてコツコツと書かせていただきました。
御手柔らかにお願いします。


周りに誰もいない。何も無い。暗い不思議な空間に一人でいた。「また同じ夢か」と思った。いつも、何も無い暗い空間に中学時代の自分が現れる。

 

毎回この夢を見ると無意識に中学時代の自分と今の自分を比較してしまう。

 

 

今も昔も変わらず、惨めで残酷な救いようがない人間で、目標が無ければ才能すら無い。本当の自分が見えていない。未だに変わらない、ちっぽけな自分が嫌いだった。

 

まぁ、それなりに変われたところはあったな...

 

中学時代、俺は人生で初めて努力というものをした。それは、険しい道だった。正直、辞めたいとも思った。だけど、楽しいという感情が体の奥底から湧き上がる。ワクワクが止まらなかった。何回、何十回、何百回、負けても笑って立ち上がっていた。

 

その時、その瞬間に勝ちを取った時、才能とかではなく、自分の力で勝てた嬉しさがあった。得るものがあった。

 

だが、逆に上手くいかないことがあった。

 

人と人が繋がる。人間関係が上手くいかない。と言うよりか、自分から避けていた。

 

例えば、A君が座っててB君が話しかけてきたとしよう。だが、A君の心の内は“相手は俺と喋って楽しくないであろう。ただ気を使ってるんだろう”と思う自分がいる。

 

だから、寝たフリや教室から姿を消すなどを繰り返していたら、いつの間にか、B君は他の人と喋っているのだ。自分の教室の居場所は自分の机だけになった。

 

俺はこれで良いと思った。何故なら、俺は人と関わりたくないからだ。人間と関わったら、葵光という一人の人間が本当の自分を見失ないそうだからだ。いや、既に見失っているかもしれない。

 

そして、相手にも利益があるからだ。楽しくない会話しても意味が無い。

 

何故、人と関わりたくないのに、生徒会や藤白に関わるのか・・・・・自身がお人好しなのだ。絡んで来るから応じるだけだ。だけど、同時に希望を寄せているのだろう。

 

あの人達と一緒にいたら、多分、今の自分の中に何個もある人間関係の黒いモヤの悩みが消えるだろうと期待をしているのだろう。

 

だけど、そんな救いを求めているのであろうか...自分でもよく分からない

 

あの子達も同様。出会ってから、いつか心の底から頼られる。血は繋がってないけど、ふたりの父親でありたい。と新しい目標が見つかった。

 

しかし、本当に俺は“あの子達にお父さんと呼ばれて本当にいいのであろうか”とよく思う。あの子達は「俺でいいのか」って聞きたいぐらいだった。

 

こういう事を考えてしまうのは、葵光自体の性格上の問題だった。

 

昔、母親に「光ちゃんは私に似て、捻くれてる」って言われた。確かにそうだと思った。いつもいつも自分を否定している。相手が褒めても〝そんな訳がない〟と誤魔化していた。

 

周りの人にもヒソヒソと「アイツ、捻くれてるよな。何、考えてるのか、分からん」とか耳を傾ければ聞こえてくる。

 

だけど、一部の人達は葵光に「優しいな」ってよく言っている。挙句の果てには「優男」なんて呼ばれた。見た目のギャップとニックネームが合わないのがイイネとも言われた。

 

俺は〝優しい〟という言葉を自分に投げかけてくるのが、虫唾が走るぐらい大っ嫌いだった。そんな言葉は俺に合わないと嫌なほど感じた。

 

何故なら過去に色々と悪い事をして来た。今の自分が過去に罪滅ぼしをして生きている人間だ。俺は最低な人間だ。自分の気持ちが罪悪感でいっぱいだから、消したいと思いながら生きているんだ。

 

きっと、俺の罪は重すぎた。その罪が家族の死まで巻き込んだ。家族を殺したのは自分と言ってもいいくらい・・・・・きっと悲劇はまた来るだろう。

 

中学二年生に起きた事件は一生消える事の無い罪だ。消えるとしたら、自分がやったのと同じ事がふりかかるだろう。

 

もし、その時が来たのなら、俺は堂々として向かい打とう。愛娘達に俺の罪が巻き込まらないように体を張って守る。二度と失いたくない...

 

・・・・・幾ら何でも、大袈裟だな。俺の考えすぎかもしれない。これも、もう一人の自分なのかもな。

 

 

変な事を考えてると、ふと、いつの間にか目が覚めていた。時間を見ると午前5時だった。まだ、太陽も出てないがバイトの準備の為、ジャージに着替えようと雪菜たちを起こさない様に起き上がった。

 

葵のお腹の上で寝ていた。ギンギツネの紺がコロンと転がり、目をぱっちくりと起きた。

 

 

「ごめん。起こしちゃったな...」ボソッ

 

「キュ〜♪」

 

 

黒に少し銀色が入った綺麗な毛並みが整った小さな頭を撫でた。起き上がりペットに降りて、歩き始めた葵に紺は可愛らしく歩いてでついてきた。むしろ目が覚めてしまったようだ。

 

自分の部屋に入り、スポーツ用の黒いショルダーバッグに貴重品、着替え、タオル等など入れ、服装は少しまだ寒いので、高校一年の頃に部活に使っていた。“俺はまだまだ強くなる”と、どっかのアニメのキャラセリフが書いている長袖Tシャツを半袖シャツの上に来て、下も同様に半ズボンの上に長ズボンに着替えた。

 

特に目立たない格好に着替えたつもりだ。むしろ悪い意味で警察に呼び止められそうで不安であるが、それはダストボックスにシュートして、ふたりへの置き手紙すらすらと書いた。

 

荷物を持つと紺が甘えに近づいてきた。動物に言葉が通じるわけがないのに、紺を胸まで持ち上げて頭を撫でながら呟やき歩いた。

 

 

「紺、ちょっと、出かけてくるからふたりを頼んぞ」ナデナデ

 

「キュー♪」

 

「まだ、朝まで時間があるから、ふたりと一緒に寝てろ」

 

 

紺をふたりが寝てるベットに下ろした。紺も小さなあくびをして、再び眠りについた。

 

寝ている様子を見て、ついスマホを取り出し、色々な角度から起こさない様に写真を10枚ぐらい雪菜たちの寝顔を撮ってしまった。

 

 

やばいぞ...やはり、この可愛さの破壊力...これはなかなかいい写真だ。トップ画確定だな。

 

 

小さくガッツポーズを作り、ひとりで元気を出して家を出て行った。

 

目的地は自転車で一時間ぐらいかかる。少し遠いがこことは違い土地が盛んな場所に向かった。

 

 

 

葵が外出して少し時間が経ち、太陽が見えてきた頃に最初に雪音が大きなあくびをして起き上がった。

 

 

「ふぁ~...おはよう...パパ...あれ?いない」

 

 

周りを見渡しても葵光の姿が無い。隣で寝ていた雪菜が眠そうに目をこすりながら起き上がった。

 

 

「おはよう...雪音、どうしたの?」

 

「パパ...いない......」

 

 

雪音に指摘され、言われてみれば居ない。いつもは起こしに来てくれるのに、それどころか紺も居ない。

 

すると、紺が手紙をくわえてテクテクと持ってきてくれて、雪菜が手紙を受け取った。

 

 

「お父さんからの置き手紙だ。えーと...」

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

ふたりへ

 

昨日、言い忘れてたけど、朝からバイトに行ってくるからお留守番よろしく。一旦、昼には帰ってくるから。朝食は昨日の晩にカレー作ってあるから温めて、しっかり食べろよ!。もし、困った事があったらスマホ買ってあるので連絡してくれ...。ホントに一秒一秒心配だから!。何回も電話して欲しいくらい不安だから...。

 

 

追伸、紺はまだ、子供なのでミルクを上げてください。暇であれば、俺を呼んでいいよ。今すぐ駆けつけるから!!。働きたくない!。

光より

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「...だって」

 

 

最後の追伸にはお父さんらしいと思いながら、シンプルなライトがある机にスマホを置いてあるのを見つけて取り出した。雪音が赤ちゃんのハイハイ歩きで近づいて来た。

 

 

「...おねえちゃん、パパ、呼ぼう!スマホ貸して!」

 

「ダメ!お父さん、バイトに行ってるんだから」

 

 

即座にスマホを後ろに隠した。雪音は思いっきり手を伸ばし取ろうとするが届かないかった。

 

 

「えぇー、なんで~おねえちゃんもパパ、居てほしいでしょ~」ブゥー

 

「そうだけど、お仕事の邪魔になるからダメ!」

 

 

雪音は目をうるうると葵が相手だったらチョロいが、姉が相手ならもっとチョロい。しかし、雪菜とって初恋の人と最愛の妹を選ぶなら強く初恋の人を選び、心を鬼にして雪音に言いつけた。

 

 

「いつもより、おねえちゃんが厳しい......うん?あ〜、なるほど~」

 

「何...ニアニアしてるの...」

 

 

雪音が時々出てくる小悪魔の様な笑みで雪菜を見ていた。雪菜は頬を赤らめてアワアワとしていた。

 

 

「ちっ、違うから」アワアワ

 

「えっ、何が?、あれれーどうしたの?、おねえちゃん」ニアニア

 

 

雪音改めてデビル雪音があからさまに満面な笑みで鎌をかけた。それに気づき、余計、頬が益々膨らみ赤くなった。

 

 

「とっ、とにかく!、ご飯食べるよ。紺も」

 

「えぇ~、話は終わってないよ。おねえちゃん」

 

 

話を逸らして朝食の準備の為に寝室から出ていった。背後でずっとニアニアとしながら、後について行った。

 

 

一方、葵は・・・・・

 

 

とある建物で廊下の自動販売機の側の椅子に座っていた。周りに避けられるほど、まるでトラクエのザギでも唱えてるような漆黒のオーラを纏ってアグエリアスを持って休憩していた。

 

あくまでも周りの人から見たらの話であり、内心ではふたりの事が心配しているのである。

 

 

大丈夫かな...凄い心配なんだが、速攻帰りたいまでもある...

 

 

不安に不安が溜まり、頭を抱えて落ち込んでいた。自分に近づく足音が聞こえ、日本語になれてない外国人に呼ばれた。

 

 

「アオイ、キュウケイオワリ、イクゾ」

 

「すいません。ヴェールさん」

 

二十代半ば、身長190cmくらいありそうなガチムチな黒人に呼ばれた。応答して急いで後について行った。

 

 

 

ふたりは朝食を食べ終わり、今日は休日なので、雪音は何をするのか考えていた。

 

 

「何する?おねえちゃん」

 

「私はお父さんに買って貰った小説で読書する」

 

「よく、そんなむずかしい本、読めるよね。おねえちゃん」

 

「とても面白いよ。夏目漱石の〝吾輩は猫である〟オススメするよ」

 

それ、おねえちゃんが猫が好きだからじゃないの...パパ帰ってこないかな~かまって欲しいな・・・・・

 

 

ピンポ~とインターホンが鳴った。雪音は誰だと思い玄関に向かった。雪菜が大きな声で呼び止めた。

 

 

「雪音、耳と尻尾!!」

 

 

言われて気づき、ふたりは耳と尻尾を引っ込めて玄関に向かった。

 

ゆっくり、ドアを開けると何処かで見た事がある。少し雪菜に似ている清楚な黒髪ロングのお姉さんが立っていた。

 

 

「あの~、どちら様ですか?」

 

「そうか、自己紹介して無かったね。竹見花って言います。君のお兄さんの幼馴染です」

 

 

中腰になり雪菜たちと同じ目線で丁寧に挨拶&自己紹介をした。

 

 

「えっと、わた...」

 

「知ってるよ。雪菜ちゃんと雪音ちゃんだね。光から聞いてるよ。自慢の妹(娘)だと五月蝿いくらい言ってたから」

 

 

葵の自慢話を思い出し、あまりのシスコンっぶりに少し苦笑いをしていた。

 

 

おとうさんがそんな事を言ってたんだ。嬉しいな~♪って子供扱いされてる!。一人の女性として見て欲しい・・・・・

 

パパがそんなことを・・・・・もっとアピールしていずれは♪・・・・・

 

 

その話を聞いたふたりはそれぞれの想いを抱え、頬を紅潮させた。

 

 

「花ねえちゃんは、何か用でもあるの?」

 

 

雪音は雪菜の前に出て、花に近づいた。

 

 

「光に少し用事があるんだけど居るかな?」

 

「お兄ちゃんならバイトに行きましたよ」

 

 

雪菜の答えを聞いて、冷静な顔が葵に対して少し苛立ちに変わった。

 

 

休日に生き別れの妹を残してバイトに行ってるとか有り得ない...

 

 

腕を組んで右手で頭を抱えて深く溜息をつき呆れた。

 

 

「じゃあ、お父さんかお母さん居る?」

 

「えっ...と、お母さんもお仕事で居ないです...」

 

 

ふたりはピクリっと体が不自然な反応してしまったが、雪菜が何とか誤魔化して落ち着いた。

 

 

「そう...ごめんね。お邪魔したね。今日は帰るから」

 

 

と言い残し、くるっと反転して背中を向けた花を雪音が呼び止めた。

 

 

「おねえちゃん、今日は時間空いてる?」

 

「えっ...まぁ...空いてるかな?たぶん...」

 

「じゃあさ、パ...おにいちゃんに用事があるなら、来るまで雪音たちと一緒に遊んでよ」

 

「何を言ってるの。無理に決まってるじゃない。高校生は大変なんだから、おにいちゃんも...」

 

 

腕の袖を掴み花に甘えた。その言葉を聞いた雪菜は雪音を呼び止めた。

 

 

「・・・・・別にいいよ。どうせ、暇だから一緒に遊ぼうか」

 

「やった~♪」

 

 

喜びのあまり花の腕を引っ張り家に無理矢理招いた。雪菜は自由、身勝手さに呆れて戻った。

 

1階のリビングとは違い、家具は一切置いておらず狭目で少し和風なリビング連れてこられた。

 

大人ふたり座れる黒いソファに座り、周りを見渡した。すると雪菜がおぼんにお茶とお菓子を運んできた。

 

 

「竹見さん、どうぞ...」

 

「さん付けは堅苦しいから、名前でいいよ。ありがとう。光とは大違いでしっかりしてるね。本当に兄弟かなって思っちゃうよ」

 

「分かりました。花お姉さん...」

 

血繋がってませんから、繋がってたら逆に困りますけどね...禁断の恋になってしまいますから...

 

 

光と同じで人と滅多に関わらない為、どう誤魔化したらいいのか分からない。いつもは光が誤魔化してくれるが、今は居ないから、取り合いず、作り笑顔で誤魔化した。

 

 

「花ねえちゃん、何して遊ぶ?」

 

 

雪音が竹見の隣に座り、光が来るまで何をするのか聞いてきた。同時におぼんを机に置いて雪菜もソファに座った。

 

 

「何があるの?」

 

 

尋ねると机の上にあるダンボール箱の中に色々と遊び道具があった。これは光が気を使って買ってきてくれたものだった。

 

 

「えっと~、トランプ、UNO、チェス、オセロ、将棋、あっ!、花札もある。花札やろう♪」

 

「へぇ〜、花札できるの?」

 

「昔からおねえちゃんと一緒にやってた。」

 

「ちなみにお互い275勝275敗31引き分けです。」

 

 

小説を読みながら今までの勝負の記録を答えた。その言葉を聞いて花は驚愕した。

 

 

「すっ...凄いね...」

 

「今度こそ決着つける。勝負だ!。おねえちゃん!!」

 

「そうだね。雪音、そろそろ終止符つけようか」

 

 

ふたりの間にジリジリと電気が走った。花は場違いなのではないかと思ってしまった。

 

 

 

花札を始めて数時間過ぎ、今現在の状況は・・・・・

 

 

「もう1回勝負だ」

 

「そうです。もう一回お願いします」

 

「花ねえちゃん!!」

「花お姉さん!!」

 

 

声を合わせて綺麗な瞳を向けて花に勝負を再び申し込んだ。

 

 

ふたりとも凄い負けず嫌いなんだな...。それにしてもこれで何回目なんだろう。

 

 

これまでの61ゲームやった記録は・・・・・

 

雪音・・・・・2勝59敗

 

雪菜・・・・・2勝59敗

 

竹見花・・・・・59勝4敗

 

 

ちなみにふたりの2勝は花が初心者だった為であり、ルールを理解した時には、圧倒的の差で勝ち越ししていた。

 

 

「ふたりとも休もうか。もう昼ごはんの時間だよ....」

 

「花ねえちゃん、勝ち逃げはダメだよ!」

 

「そうです。逆に手を抜くのもダメです!」

 

 

ふたりは一回でも勝ちたいという一心で申し込んだ。花は“早く、光が帰ってこないかな”と救いを求めていた。

 

すると〝ガチャッ〟と玄関の鍵を開ける音が聞こえた。どうやら、救いが来たようだ。〝トン、トン〟と階段を駆け上がり、〝シャーー〟とスライド式のドアを開けた。

 

 

「ふたりとも上にいたのかって、何で花いるの?」

 

 

気だるそうな顔で、花がいる事に反応する気力が無いくらい疲れた様子で帰ってきた葵光だった。

 

 

「おかえり。パパ~♪」

 

「おかえりなさい。お父さん」

 

 

ふたりはいつものように接してきた。何故か、花がピクリと反応した。

 

 

「ハッキリと光の事をパパ、お父さんって読んでなかった。何か隠してない?」

 

 

3人は花の一言に再びフリーズした。

 

 

・・・・・やっぱ、花ってディスニーのアニとエリザの雪の女王のアニじゃね....部屋が寒く感じる...

 

「ごめんなさい。お父さん」ボソッ

 

「ごめん。パパ」ボソッ

 

「いいよ。俺に任せろ。ふたりも協力してくれ」ボソッ

 

 

花にはバレないように耳打ちをして、葵は雪の女王に立ち向かった。

 

 

「実はな、パパって呼ばれている理由がな。俺のニックネームなんだよ。」

 

「パパみたいにしっかりしているから、ニックネームはパパに決定したのです」

 

「だけど、外では恥ずかしいからってお父さんが言ってたから、じゃあ、おにいちゃんでいいかな~って思って....」

 

 

葵に引き続き雪音が話に合わせ、後に雪菜も合わせた。特に様子が変わらず、特に葵光をじーっと見つめていた。

 

 

なんでそんなに見てるの...。そんな可憐な瞳で見つめられると、ジバリ作品の天空城のサングラスをかけたオッサンみたいになっちゃうから...目が浄化されちゃう...

 

「そうなんだ。外でパパって呼んでも良いと思うよ」

 

「やった~♪」

 

「分かりました。そうします」

 

「えっ、本当に大丈夫かよ...」

 

「私はてっきり、光が誘拐したのかなって思っちゃって、そんなわけ無いか」

 

 

表情が柔らかくなり肩の力を抜いた。

 

 

あながち間違っていないような気がする...無理矢理ではないから大丈夫だよな...たぶん...。

 

 

非汗をかいて将来的に世間に生きていけない人がここに居た。

 

 

「ふたりともお腹空いたか?」

 

「お腹減った~」

 

「はい」

 

「下で昼ごはん作るから、待っててくれ。ついでに花も一緒に食べるか?」

 

 

後ろ向きなことを考えてしまったが、今はどうでもいいと切り替えて誘った。

 

 

「お言葉に甘えさせていただきます。少し、心配だから私も手伝うね」

 

「おいっ、俺の腕を信じろ!」

 

「あっ、忘れてた。折角の休みに生き別れの妹を放ったらかしにして、バイトに行くなんて最低だよ。ていう事で一発、腹パンね」ニコッ

 

 

普通に話しかけられたと思ったら、階段降りている途中で、急に足を止めて後ろに振り向き、笑顔で拳をグーを作り出した。

 

 

「えっ...冗談ですよね・・・・・助っ!」

 

「えいっ!」

 

「ぐはぁ!......」

 

流石に...一瞬の拳にゼロ距離の腹パンは防げない......

 

 

可愛い掛け声と共に、一人、腹を抱えて階段に倒れた。

 

 

葵の助けを呼ぶ声はふたりの耳には聞こえなかったようだ。ふたりは二階で雪菜は葵光と竹見花のやり取りに嫉妬していた。

 

 

「おねえちゃん、顔に出てるよ。やっぱり、パパの事、好きなんだね」

 

「別に違うから!」

 

ツンデレだな。私もパパの事、大好きだから取られないように頑張ろう!

 

「それにしてもおねえちゃん。花ねえちゃんとパパお似合いだったね」

 

 

傷口に塩をかけるようなことを雪菜の前で躊躇なく口に出した。怒ると思いきや寧ろ冷静になった。

 

 

「・・・・・そうだよね。たぶん、お父さんは分からないけど、花お姉さんはお父さんの事好きだと思う...」

 

「何でそう思うの?」

 

「見てて分かる...」

 

だけど、負けない。お父さんを振り向かせて見せる!

 

私も負けてられないね。パパは私のモノにして見せる!

 

 

お互い強く決意を固めて、葵に呼ばれたのでふたりは一階のリビングに向かった。

 

 

 

 




読んで下さりありがとうございます。
あいも変わらず表現が下手くそですいません。
少し、でもまともにしようと努力する所存です。


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欲情ゴールデンウィーク・前編「折角の休日がー!!」

更新遅れてすみません。
再び言い訳になりますが、まだ、病気が治っておらず、ましてやこの時期になると体に痛みが走ったり過呼吸になったりの繰り返しで、いやぁ、参りました。
短くてすいません。では、どうぞ。


 

ゴールデンウィーク・・・日本語に訳したら黄金週間、あなたはこの6日間どうお過ごしですか。家族と、友達と、よく都会に出るとリア充がイチャイチャしながら、デートをしているところをよく見かけます.....別に羨ましい訳ではない....本当に...違うから。

 

まぁ、インドア派の俺なら家で午前中は寝て、午後はゲームや撮り溜めたアニメを観たり、音楽を流しながら読書を堪能するだろう。

 

せっかくのゴールデンウィークにバイトがあり、計6日間のうち5日間働き、バイトは6日目は休みなのだ。そんな最高なFree Two Dayに面倒なサキュバス姉妹が泊まるのだ。なんて日だ....グッスン。

 

 

午前中の家事が一通り終わり。一段落ついてリビングのソファで寝ていると雪音が葵の体に細い足を挟んでお腹に座った。

 

 

「うグッ...雪音、疲れたから休ませてくれ...」

 

「えぇ~。一緒にマリパやろうよ~」

 

 

と、激しく上下に揺らしながら甘えてきた。そんな可笑しくない行動なのに思春期真っ盛りな健全な男子高校生は・・・

 

 

・・・・・愛娘にいかがわしい事を考えてしまった。イカンイカン、これでは変態&ロリコンではないか!。落ち着け...俺、第三の目で見るのだ!。

 

「どうしたの?。パパ?」

 

くっ...ダメだ。てか第三の目とか発言してる時点で可笑しいですね。やはり、猫耳ロリ娘には負けた...可愛過ぎる。

 

 

気だるそうな目で逸らしたら、反対側に座っている雪菜はしっぽで猫じゃらしの様にして紺の相手をしながら、読書をして挙動不審にチラチラとこっちを見ていた。

 

 

凄いオーラ放ちながらこっち見てる・・・・・

 

「あそぼうよ~」ドスドス

 

「えぇ~、うっ、雪菜、うっ、取り合いず、うっ、動くのやめてくれ.....」

 

「あそんでくれるなら言いよ」

 

出た。子供がよくやる取り引き...。まぁ、でも甘えてくれるのは嬉しいな。2週間前まで時々だったのに。

 

この前、話し合って正解だった。親に子供が甘えるのが当たり前だ。お互いコミュニティを取り合い、信頼や愛情が生まれる。

 

・・・・・まぁ、だけど、雪音は相変わらずいつも以上に甘えるけど、雪菜は甘えないが、視線がな...やっぱり、言ったからって甘える訳ないな。少し時間が掛かるか....。

 

 

すると、ピロリンと何も設定してないシンプルなメールの着信音が聞こえた。

 

 

「...雪音、机の上にあるスマホ取ってくれ...」

 

「えぇ~。雪音と一緒に遊ぶならイイよ♪」

 

「えぇ~......分かったから取ってくれ...」

 

「やった♪。ハイどーぞ♪」

 

「あんがとぉ」

 

 

スマホを受け取り送り主が誰か見た。

 

 

・・・・・何で会長からメールが来てるんだ?。面倒いし嫌な予感がするから後でいいや...。

 

「......雪音、今の話はやっぱり無しな」

 

「えぇー!、パパの嘘つき!、パパが遊んでくれるまでパパの服の中に入ってこもってやる。」

 

 

雪音は前身頃を掴み顔を入れて、無理矢理、襟から顔を出した。

 

 

今日はたまたま伸びるような服だから別に気にしてない。しかし......顔近い!。

 

「おぉ~、パパの顔が近い~♪」スリスリ

 

「スリスリするのやめてくれ...くすぐったい...」

 

「やだ~、嘘ついたバツだ♪」

 

いや、それも嘘なんだけど...それに、ご褒美の間違いだろう...。なんで雪音の頬ってこんなにすべすべしてて柔らかく、癒されるの...もっと、雪音成分補充したい。まさに天にも登る心地だな~フニャフニャ。

 

雪菜もこういう事してほしいな~。頼んだら罵られそうだから止めとこう...。俺のメンタルもそこまで硬くないというか雪菜の攻撃力が強過ぎる大人でも泣くぞ...。

 

そう言えば雪菜はまだ、読書をしてるのか?チラッ。ワァ!、雪菜の背後に嫉妬っぽい黒いオーラが手になって何個もウヨウヨしてる!!。千手観音像と例えるよりか最近読んでるラノベの怠惰教の幹部の奴だよな。なんか俺を触れようとしてる!。心臓潰されるって!。

 

 

雪菜は本を閉じて、ゆっくりとゆっくりと近づいてきて葵の顔横に来た。

 

 

「お父さん...」ゴゴゴッ

 

「ひゃぃ!?。せつな....?」

 

ヤベぇ、思わず人生で出した事ない声が出てしまった。恥ずっ!

 

「私の世界一可愛い妹にニアニアしてるんですか。ロリコンですか?」

 

少し変えて言い返すよ。シスコンですか?。逆に、世界一可愛い妹がこんな事されたら口元が嫌でも笑みが出るよ。

 

「雪音もお父さんに接触し過ぎ、なんでお父さんの服の中に入って頬をスリスリしてるの!。ダメだよ。それはお父さんにとって御褒美みたいなもんだよ」

 

私もお父さんの服の中に入って頬をスリスリしたい。匂いを嗅ぎたい。一緒に寝たい!。ハッ!?、ヤバい、なんでこんな変態な事を考えてるの、私!。

 

「おねえちゃんも入りたいの?」

 

「えっ...いや、別にいい。男臭いから」

 

何、言ってるんだ。私!。折角のチャンスを!。

 

「ゲッ!、マジか、そんな臭い?雪音」クンクン

 

「まったく、そんな事ないよ。むしろ、パパの匂いするよ」クンクン

 

「どんな匂いだよ」

 

「うーーん。あんしんする。おちつく匂いかな?」

 

えぇ...何それ、結局どんな匂いだよ。癒す匂いするとかなんの効果だよ。アレか、段々、怠くなるとかじゃね。なかなか、危ない匂いだな。

 

「・・・・・」

 

羨ましい...。雪音と変わって欲しい...。

 

 

義親子団らんしている時に、電話がかかって来た。「俺に友達いたっけ、いないよな。悲しっ」とひとり思いつつスマホを掴んだ。

 

 

「もしもし、葵です」

 

〝「もしもし、葵くん、何でメールしたのに無視したの?」〟

 

「その声は...何のようですか?。会長、てか、俺の電話番号なぜ知っているんですか!?。」

 

〝「それは私が表は生徒会長。裏は情報屋さんだからだよ。葵くん♪」

 

何それ怖い!。等々、白状したよ。この人.....

 

「後、質問に質問で返さないでよ。まぁ、いいや、実は今日1日、急にお父さんの手伝いをしないといけないから泊まる約束無理なのよ。ごめんね。折角の美少女姉妹が泊まりに来るって言うのに、玲美も今回の件でお父さんと討論中だけど、あの様子は無理だね」〟

 

「おっ!...。そうですか。それは残念です」

 

「何、今の、おっ!は、喜んだでしょ」

 

「いいえ、まさかそんなことはありません」

 

〝「妹ちゃん達と一緒に、ゆっくりと1日過ごしてあげて、なかなか、相手にしないでしょ。キミって」〟

 

「別にそうでも無いですよ」

 

〝「じゃあ、さっきから雪音ちゃんから遊ぼうって聞こえてくるんだけど」〟

 

「午前中は寝たいんですよ。バイトの疲れがあるんで...」

 

〝「へぇー、バイトやってたんだ。で、今日は無いと」〟

 

「そうスっね」

 

〝「あっ!。お呼ばれしたから切るね。明日、学校で、妹ちゃん達にも宜しく伝えといて、またね♪」〟

 

 

と早く口になり電話を切った。それにして学園の美女姉妹の親父さんに感謝しないといけないな。ありがとうございます!。これで寝れる・・・・・訳ないな。雪音が遊びたそうに甘えてきてるし、雪菜は何か嫉妬してるし。

 

 

深く考えてると会長が言っていたことが脳裏に通り過ぎる。

 

 

そう言えば、まともに遊んだ事ないな。全部、花か自分たちに任せてるからな。はぁ...眠いけど....。

 

「マリパするか。眠いけど...」

 

「ホント!。やったー♪」

 

「雪音、俺に抱きついてないと落ちるぞ。このまま2階に行くから、雪菜、紺を連れて来て」

 

「わぁーい♪。」

 

「なぁ、雪音、3日前、客用のお菓子を密かに食べたろう...」

 

「エッ...、ナンノコトダカ、ワカラナイナ...」チラリ

 

オイオイ、紺が犯人の訳ないだろう。

 

「ほぉ~、しらばっくれるのか。白状するまで遠慮なく怖がらせてやろうかな」ニアニア

 

「びゃあーーー!!」

 

 

2階に上がろうとそのまま起き上がり、面白半分で走ったり、転んだフリをすると可愛い叫び声が廊下に響き渡る。

 

雪音を怖がる姿を見ながら階段をのぼった。(実は支えてるけど、あまりの怖さに気づいてない)

 

 

「で、お菓子食べたの誰かな?」

 

「ごめぇんなしゃい、わぁたしですぅ...うぅ」ウルウル

 

 

と雪音はがっしり葵にしがみついて、目をうるうるとしながら謝った。

 

 

「反省したならいい、次したら、こちょこちょの刑だからな。覚悟しろよ」ニアニア

 

「お父さん、そんな事してたら変態にしか見えませんよ。」

 

 

紺を抱えた雪菜が葵の発言に鋭い言葉が出た。

 

 

否定できない自分がいるから悲しい...。

 

「とっ、取り合いず、俺から下りて雪音。ふたりともコントローラー持って、マリパーティ始めよう。」

 

 

ふたりは受け取ってソファに並んで座り、電源を入れて葵も雪菜の隣に座った。紺が葵の膝の上にフラフラと移動した。さっきまで縦横無尽に動いたから疲れたのだろう、そのまま寝てしまった。

 

 

「何モードにする」

 

「ミニゲームモードにしよう。20回ね。パパ」

 

「長いな...。まぁいいや、」

 

それにしても懐かしいな。小学生の頃、友達...って言うよりか知り合いか...。よくやってたな。3人で懐かしい...。アイツらは何故、俺みたいのを誘ったのかよく分からないが、アイツらといてそれなりに楽しかったな...。

 

「お父さん、ミニゲーム始まってますよ」

 

「あぁ、悪い...」

 

うわぁ、出た。炭酸振って高さを決めるヤツだよな。ある同期がよくこのゲームを「射せぇ」って言いかけてるたんびに、毎回のように「馬鹿野郎!」って二人でツッコミ入れたっけ。

 

まぁ、確かにコントローラーが白いし振るからな。納得してしまうよな。それを女の子がやってたら余計エロい...。

 

「お父さん、今、私たちの行動にいやらしい事を考えてませんでしたか」ゴゴゴッ

 

「イヤ、気のせいだ。うん、気のせい、気のせい」ウンウン

 

今の二人の行動に欲情なんてしてない・・・・・。

 

「パパって強いよね。コレ」

 

それやぁ、思春期の中高生あるいは童貞共は多分毎日何回かやってますから、俺はヤッてないよ。週に1回...いや、3回...5回ぐらいやってますから...。ほぼ毎日じゃん...。

 

致し方ないじゃん!。童貞だよ!。ボッチだよ!。彼女出来るわけないじゃん!。俺のジェントルマン魂が言ってるんだよ。あと、10年くらいは卒業出来ないよ!...。何、語ってんだよ。俺は...。

 

「よし、次は絶対パパに勝つぞ」

 

また、エロいやつだ...穴の中に棒を入れるヤツな。これも過去にある奴が「あの穴に肉棒発射!」とか言いながら投げる奴いたな・・・・。また、勝ってしまった。

 

「次こそ......」ボソッ

 

雪菜の負けたくないオーラが出てきた...。次は手を抜こうって運ゲーじゃん!。引っ張ったらハズレだったら牛乳が流れてくるで、アタリは流れて来ないヤツな。

 

さっきから、俺の欲情を試してません?!。最近、ヤッてないからって、毎日、ヤれってか?。嫌だよ。娘たちがいるから...。

 

もし、流しそびれて「パパ、何か白い液体が浮いてた」って言われたら、それが他の奴ら特に藤代会長に伝わったら嫌な予感しかしないよ。

 

 

それから何回もやり、結局のところミニゲーム一つ一つに碌でもない事が詰まっていた。

 

 

いつの間にか、1時じゃん。丁度いい切り上げよう。

 

「ふたりとも終わり、何、食べたい?」

 

「ラーメン」

 

「パスタ」

 

雪音はラーメンで雪菜はパスタか。意見が別れたな。俺はラーメン派だからな。この前、パスタは夕食にするか。

 

「じゃあ、昼はラーメンで夕食はパスタでいいか?」

 

「わぁーい♪。ラーメン、ラーメン♪」

 

「いいですよ」

 

「流石、お姉ちゃん」ナデナデ

 

「子供扱いしないでください...」ボソッ

 

「そうだな。悪い悪い。作るから待っててな。午後は出かけようと思うから、ふたりで相談して買いたいもの考えといて」

 

「はーい♪」

 

「はい、分かりました」

 

インスタンドだと体に悪いからな。もやしと肉あったかな?。

 

 

そんなこんなで、葵にとって貴重な休日の午前は何やかんやで時が過ぎた。

 

 

 




読んでくださりありがとうございます。
誤字などあれば報告よろしくお願いします。(誤字ありませんように)
次回の更新は頑張って1週間以内に更新したいと思っております。
今回はお詫び申しわけます。


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後輩ゴールデンウィーク・後編 「ビッチかよ...」

2日遅れました。すいません。
どうぞ


ぶるぶると体に振動が伝わり懐かしい匂いが充満して、田舎だなと実感させるバス、後方の左側の2席の窓側に葵の膝の上に雪音が座っており、隣に雪菜が座って何か話したげにうずうずと様子を腕袖を引っ張り上目遣いで伺っていた。

 

「・・・・・これから行くところは、この前のところではなさそうですね」

 

「そうだな。なんか普通のデパートより2~3倍広さがある新しいデパートが出来たとか、そこに向かう」

 

「色々、ありますか?」

 

「かなり設備がいいらしい。テレビでどっかの財閥のお偉いさんが長野出身で長野をより良く、豊かにしようと頑張って、夢の一歩目がデパートだとか...。雪音、あそこにドトロいるぞ...」

 

「あっ!、ホントだ!。大きいね」

 

「お父さん、その財閥って・・・」

 

「おっ、話しているうちに着いたぞ」

 

 

バスが止まると同時に座席から立ち上がりお金を払った。降りると目の前にはガラスを中心に広々しく作られ、多分、このデザイナーさんは美しさの強調をするのを感じ、そこら辺のデパートとは格の違い感じた。

 

 

「わぁー、スケスケだね」

 

「そうだな。最近の流行りか?。長野駅や富山県の金沢駅もリニューアルしてガラス張りだよな」

 

「そうですね。ちなみにデザイナーさんは同じ人だそうです」

 

相変わらず、知識と情報量は小学五年生とは思えない愛娘だよ。雪音は小学生を代表する感想だったって言うのに。

 

「・・・パパ、かたぐるまして~」

 

「えぇ...、嫌だよ。恥ずかしい」

 

なんでいきなり...、っ!。なるほど、そういう事か.....。

 

 

雪音の向いている目先を見ると笑顔絶えない4人の親子が仲良く歩いていた。周りを見ると色んな家族、親子が四方八方にいた。

 

 

「・・・・うわぁ!、たかぁーい♪」

 

「満足したか。じゃあ、下ろすぞ」

 

「えぇ!、はやいよ。きょうはこれでいどうする」

 

「わかったよ。今日はワンピースなんだから、暴れないでよ。後、ちゃんと下を隠せよ」

 

「だいじょうぶだよ。隠れてるよ。見せるのはパパだけだよ♪」

 

「っ!?、雪音、どこからそんな事を覚えた!」

 

周りの視線が痛い、あれっ?、誰か電話している。警察?、いや、違うよね...。助けて、せつなっ...なんか怒ってるぅ...。

 

「警察呼んだ方がいいかもですね...」

 

「雪菜!、早まるな!、まだ、俺は何もしてない!」

 

「まだですか、何をするんですか?」

 

「えっ...、家族として一般の事をするだけだ...」

 

ホントは抱きついたり、抱っこしたり、モフモフしたり、服に入ってスリスリとかして欲しい!。しかし、父親としての威厳が無いといけないのだ。だから、俺からは愛娘たちに甘えてはいけないのだ。

 

「で、雪音、どこからそんなこと覚えたんだ...」ハァ

 

「えっと、たしか...、しきみおねえちゃんがパパがよろこぶって言ってた」

 

原因は会長かよ!。うちの愛娘に何ていう事を教えてるの!。

 

毎度の如く断言しよう。俺はそんな性癖は、なっ、い訳では無い...が、今更だが、どちらかと言うと妹キャラ、髪の長さがロングでバストは普通ぐらい、性格にギャップがある萌えキャラのほうが好きだ。(身近にいるような気がするが...)この世にいる訳ないがな!。

 

「雪音、それを他の人には言うなよ...色々、誤解を招くから、分かったな」

 

「うん、分かった♪」

 

「はァ...買い物するぞ...」

 

切り替えたいのだが、正直、精神メンタルをゴッソリ削られて帰りたいまでもあるが、我慢しよう...。

 

「雪菜、迷子になるから俺の腕袖を掴むか、手を繋ぐかどっちが嫌?...」

 

嫌って聞くっけ?。普通はどっちが良いだよな。こういう時。どこまで自虐的なんだよ俺は...。

 

「・・・・・どっちも嫌です。恥づかしいから」

 

「Very sad!!、引きづらないでよ~。さっきの話...」

 

「だけど、致し方ないので...後者をお願いします...」

 

「えっ...手か?。まぁ雪菜が言うなら...」

 

 

細く傷一つもない純白で可憐な手をゴツゴツして男だなと実感させる手を優しく握り、壮大にツインビューティと美しさにこだわりでもあるのかと思わせるネーミングセンスのデパートに足を踏み入れた。

 

 

「・・・・・雪菜、腕細いな」

 

「お父さんの腕が大きいんですよ。どうなったらそうなるですか」

 

「そうだな。毎日、木刀振ったり、走ったりてるからな」

 

「何でそんなことをしてるんですか?」

 

「・・・・・そうだな。趣味にしておいてくれ」

 

「・・・・そうですか、言えるようになるまで待ってます」

 

「・・・・・鋭い娘だな。ありがとう。雪菜」

 

 

何故かいい雰囲気に包み込まれて、二人だけの空間みたいになっていた事に雪音センサーは引っかかり、葵の頭上で、かまって欲しいと言わんばかりの顔でふくれていた。

 

「雪音にもかまってよ~」プクゥ

 

「悪い悪い、どこか行きたい場所とかあるか?」

 

「うーーん?、あっ!、あそこいきたい!」

 

「うん?...、ゲームセンターか...いいぞ」

 

「やった♪」

 

「雪菜もいいか」

 

「・・・・・いいですよ」

 

改めて見回すとさまざまな店があるし、不便なく買い物が出来そうだな。それにしても、やけにうちの高校の人が多いな。特にリア充が!。(チャラ男も)

 

・・・・・まぁともかく、そんなことはどうでもぉ・・・良いのだ。今の俺もリア充ではないが癒されるというか、今まで生きているなかでこの時間は俺にとって大切だ。

 

「パパ、ドンドンしてるのやりたい」

 

「あぁ、太鼓の仙人かいいぞ」

 

 

腰をおろして雪音をゆっくり下ろし、100円入れてバチを渡してやり方を教えると曲、難易度をかんたんに選び叩き始めた。

 

 

さんぽか、雪音。ジバリ作品好きだな~、頑張っているところを見ると癒されるな~。しかし、初めてだから致し方ないけど、凄く慌ててるからミスが多いな...。

 

「パパ...これ嫌い...」

 

 

バチを戻し頬を膨らませてうるうると目から涙が出そうな顔で諦めて抱きついてきた。すると、横にいた雪菜が目つきが鋭くなり葵に頼み事をした。

 

「お父さん、一緒に太鼓の仙人やりませんか...」メラメラ

 

「えっ...マジで」

 

「本気です...」メラメラ

 

「・・・・・はぁ、わかったよ」

 

何で怒ってるの・・・・・そういう事か、愛妹を泣かせてたから怒ってるのか。シスコンだな~。

 

 

ふたり分の料金200円を入れて曲を変えずに難易度を選択した。

 

 

「えっ!...、それ鬼の裏だぞ。大丈夫か...」

 

「大丈夫です...音楽は得意です」イライラ

 

「・・・・・ホントかよ」

 

やや心配なんだが...、泣きついてこないよな。俺も鬼いけるかな...音ゲー苦手なんだけど...。

 

 

ドンっと太鼓の真ん中に叩いて決定して始まった。

 

 

鬼、むずっ!!。何これ、待て待て!。手が追いつかない!。雪菜はだいじょぉ...えっ!、上手いとかいうレベルではない気がするのだが、何より腕以外動いてない事と冷血さが感じて驚きを隠せないだけど!、ヤベぇ、俺も頑張んないと。

 

 

葵も自分のことに精一杯だった。それから20秒経つと段々、雪菜の画面を見ると可が増え、挙句の果てには全部、不可になっていた。

 

太鼓を打ちながらどうしたのかと横を見ると、太鼓に両手を当ててしゃがんで疲れていた。

 

 

「雪菜、大丈夫か!」

 

「...だいじょぅぶです...ハァハァ、筋肉の無さが仇となりました」

 

そこかよ!。

 

「パパ!、おねえちゃん!、がんばってー!」

 

 

ギャシャギャシャと様々な音が混ざり合うなか、背後から応援する雪音の声が聞こえた。

 

 

「・・・・・まだ行けます。魂まで目指します」

 

流石、お姉ちゃんだ。妹の前だから負けてられないな。俺も頑張んないと...ヤバい、よそ見している場合ではない。ノルマ達成しないかも...。

 

 

曲が終わった。スコアは葵はノルマ達成どころか半分もいっていない。そして、雪菜はギリギリ魂がいった。

 

 

「おねえちゃん、すごぉい!」

 

「凄いな、やった事あるのか?」

 

「・・・いいえ、初めてです。ただ唯一、音楽に関係する事は得意です」

 

「パパは...どんまい♪」

 

「笑顔でも慰めにもなってないぞ...」

 

無駄に恥晒しになってしまったな。次から修業しよう...。

 

 

バチを片付けて買い物しようと場所を移ろうとすると葵立ちを囲むように隙間が無いくらい人が集まっていた。そして、動画を撮っている事に気が付いた。

 

 

めんどうなことになったな...だけど、この子たちの顔をあまりネットワーク中に晒したくないんだよな。有名になられても正体がバレたらこの子達の人生は確実に終わる。ならば選択肢は一択しかない...。

 

 

唾を飲み腹をくくってふたりを庇うように前に立ち、大声で注意を呼びかけた。

 

 

「噂程度に拡散するのは結構なんですけど!、今、撮った動画や写真など投稿するのはやめてください!。それでも投稿した場合は警察に訴えるので消してください!」

 

と呼びかけ、増しては数人、店員さんが来てちゃんと消したか確認をしてくれた。呼びかけても消さなかったのは特に10代が多く、計3人は消さなかったそうだ。意外と効果があったようだ。正直、大袈裟さな気がするが...。

 

 

これ以上この場にいてもいる意味が無いので、雪音を肩ぐるまして、雪菜と手を繋ぎゲームセンターを背後にした。

 

 

「雪菜が好きな本屋行くか。雪音も欲しい本があったら言えよ」

 

「わーい♪」

 

雪音が喜ぶなか雪菜が不意に葵を読んだ。

 

「・・・・・お父さん、さっきの大丈夫なんですか」

 

「なんの話だ?」

 

「注意の呼びかけ、あんな喧嘩売るようや言い方で...まるで...」

 

「自己犠牲か...ちょっと違うな。親の本能ってやつだ。娘を守るのが親の義務だ。さっきみたいに標的を雪菜から俺に変えることで雪菜には害が及ばないくなる。例え。俺を犠牲にしてもだ...。多分、本来であれば華麗な雪菜の太鼓を叩く姿がネット上に公開されるが、あえて喧嘩を売るようなことをすれば標的は変わり、アイツうぜぇな。女の子に負けてやがる。陰キャラキモイなど、俺、中心にdisるだろうからな」

 

例えとはいえ、自分でdisるとかMに目覚めてしまったか...俺。

 

「害だなんてっ」

 

「思ってないって、それは違うよな、雪菜、舐められるような視線が嫌なんだろうよう。だから、クラスでも本でも読んでるんだろう」

 

「・・・・・分かってたんですか」

 

「そりゃあ、義理とはいえふたりの親であるし、一ヶ月過ごせばわかるよ。他にも理由がいくつかあるがそれは今度三人で話し合おう」

 

 

いつの間にNew Bookとアートを感じる店名入り、かなりの人数がいるがとても静かな場所で狭そうに見えるが奥ゆきがあり思ったより広い。

 

欲しい本がないかと適当に見回しながら歩き回ると魅惑の美貌を持つあざとい後輩が居た。見かけた瞬間、葵はふたりを連れて彼女から遠ざけた。何故かって面倒だから...。

 

「あっ!、せんぱ~い」

 

はァ...バレた...。

 

「あっ!れいみねえちゃんだ。こんにちは♪」

 

「雪音ちゃん♪こんにちは、雪菜ちゃんも」

 

「こんにちは...」

 

逃げようとした本人は目を逸らして眠そうで怠そうな顔でひとり気まずくなっていた。

 

「なんで逃げようとしたんですか」

 

「いや、だってめんどくさそうだから...」

 

「酷い!、先輩はストレートだから友達いないんですよ」

 

「悪かったな、こんな性格なんでね。で、なんの用だ」

 

「せっかく会えたんですから一緒にデパートまわれたらなと思って、いいですか?」

 

「嫌だ!」

 

「即答ですか!」

 

「前にも言ったように君といると目立つから嫌だよ」

 

美少女姉妹、ハーフ美女、陰キャラ俺とか場違いにも程があるだろう。

 

「致し方ないですよ。雪音ちゃんと雪菜ちゃんと私は美少女、美女ですから目立ってもしょうがないですよ」

 

等々、それを言ってしまうか...。まぁいいや、段々だが藤代といるのは馴れてきた。メンタル削らるけどな。

 

「わかったよ...一緒にまわればいいんだな。」

 

「やった♪、ではでは先輩端から端まで店を見ていきましょう♪」

 

 

そんなこんなで彼女に引っ張られ、後からふたりは楽しそうにしている高校男女ふたり組について行った。最初に着いた場所はとある売り場である。

 

 

「おい、藤白、ここになぜと俺は入らないといけないんだ?...」

 

「先輩がどんな下着が好きなのかなと思って」

 

男に聞くとかこいつは痴女だろつか...。

 

「男に聞くとかバカだろう...ましては俺みたいなヤツが下着売り場にいるとか不審者だろ...」

 

あーヤバい...、様々な角度から目線を感じる...。ここから消えたい...(もはや、口癖になってるな。嫌な口癖だ...)

 

「じゃあ、ふたりに選んでもらおうかな♪」ニコニコ

 

「良いよ♪」

 

「私はお父さんといます」

 

「お父さん?」

 

「俺のニックネームだ...」

 

「先輩が?」

 

「そうだよ。♪いえではパパってよんでるんだよ。パパみたいだから、おにいちゃんっていうのも、こんらんするから、けっきょく、おとうさんってそとでもよぶようにした。」

 

彼女は笑いを噛み締めるように口元を抑え必死に頑張って話を繋げた。

 

 

「フっ...フフっ...、先輩がお父さんって良いニックネームですね。」

 

「笑いたきゃ笑え...早く、雪音を連れて買いにいけ...。こっちは雪菜の買い物が終わってないから買い終わったら連絡くれ、行くぞ。雪菜...」

 

 

少し違う趣味だが本が好き同士、雪菜を連れて再び藤代玲美と会った本屋に向かった。下着売り場にいる残ったふたりはどんなのがいいか選んだ。

 

 

 

あっという間に時間が立ち、それぞれ自由気ままに買い物をして満足になり、連絡をもらってデパートの入口付近に落ち合った。

 

 

「どうでしたか。デパートは?」

 

「どうでしたかって...お前はここのオーナーかよ」

 

「そうですよ♪」

 

「・・・・・・・・・・はっ?」

 

 

呆気に取られて気の抜けた声が出てしまった。

 

 

「実はですね。正確にはお父さんの代理なんだけど、それで今日は先輩の家に行けなかったんです」

 

「すごいね、れいみおねえちゃん♪」

 

「えっ、凄い?、ありがとう~♪。雪音ちゃん」

 

「あっ...思い出した。このデパートを作ったのは藤白財閥ですよ。お父さん」

 

「よく分かったね♪。雪菜ちゃん」

 

なんでだろう?。玲美お姉さんに褒められるとお父さんと同じ気持ちになる・・・・・。

 

「そうだったのか・・・・・。親父さんは確か社長と仕事に趣味でバスケチームを作り、監督やってるよな」

 

「先輩はそんなことも知ってるんですね」スゴイ

 

「まぁな、情報は命っていうだろう」

 

まぁ、俺の立場からしたらバイトの社長であり監督だから頭が下がる一方だ。なるべく会いたくないな。正直・・・・・。

 

「あっ!。そろそろ私、お父さんにデパートの評価の報告を伝えないといけないので、じゃあ先輩♪、また学校で会いましょう。では、失礼します」

 

 

彼女の先輩とはいえ庶民に価値のある頭を下げ、藤白を待っていたスーパーカーの代名詞、全体が黒く染まったフェラーリーに乗って窓越しから手を振って去っていった。

 

 

「ガチのお金持ちじゃねえかよ...」

 

「凄いね。おねえちゃん」

 

「あれがフェラーリーですか。初めて見ました」

 

「俺もだよ...。そろそろ暗くなるから帰るか...」

 

「そうですね」

 

 

雪音が眠そうにウトウトしてたのでおんぶをして、雪菜に軽い荷物を持ってもらい。バス停に向かった。

 

 

 

 

 

 

 




次回は遅れるか2週間ぐらい忙しいので無理かも知れません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回はさまざまな学校トラブルでも書こうかなと思います。(青春も)


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人は裏切る&藤白財閥と葵「怖ぇ~…」

なかなか時間が取れなく、更新遅れて申し訳ございません。
では、どうぞ


五月中旬、ゴールデンウイークが終わり、一般的な人は学校が楽しみかもしれないが、友達いない俺にとって、これから毎日学校に登校する事は、Lv1の村人が魔王の城に向かっているのと同じと言っても過言では無い。

 

しかぁし!、姉妹愛娘と一緒に登校するとによりLv1の村人パーティにLv99のエンジェル姉妹が加わる事により、ラスボスどころか裏ボスまで倒せるまでもある。

 

年が離れている為、強制的に別れて教室までステルスを使って行動しているが、生徒会にすぐ捕まり連行される。

 

俺の学校生活は、ほぼ一日、生徒会のサキュバス会長(姉)、毒舌鬼副会長、冷血女帝の幼馴染の手下になる。キリクエVじゃねぇかよ。主人公が魔王に捕まって7年くらい奴隷になるやつ...ゲーマーのトラウマだ...。

 

この人達と別れてもサキュバス後輩(妹)が無駄に関わってくるので、一緒にいると周りからのバフ視線で、俺のステータスが100%1になる。

 

放課後なり、生徒会の書類、部費、活動報告のまとめを一足先に終わり腕を伸ばし机に頬をつけて休んだ。反対側、パソコンを打っている竹見は疲れきった葵の様子を伺った。

 

 

「終わったの?。光」

 

「オワタ(1日が)...、あのさぁ、疑問に思ったんだけどさ、花って人前だと葵とか光って呼ぶけど、誰もいない時だとこうちゃ...」

 

「これ以上、言ったら...ネ...」

 

「...スイマセン......」

 

 

間隔が5センチくらい顔が近づき威圧をかけてきた。すると、副会長が立ち上がり会長の机のもとまで歩き出した。

 

 

「会長、これから部活動を見学させてもらいに行きますから準備してください。竹見さんもイチャイチャしてないで下さい」

 

「副会長!、イチャイチャなんてしてません!」

 

「会長も動画なんて撮っている場合ではないですよ」

 

「薫ちゃん、ダメだよ。止めちゃ、折角いいところだったのに~」

 

「会長!、なに撮っているんですか。消してください!」

 

 

放課後の生徒会室は、会長のおちょくりモードか、仕事が多すぎて真面目過ぎる空間になるか、副会長が俺を罵っているかの三択。

 

花は慌てて、会長のスマホを奪い取ろうと手を伸ばすが会長は余裕な笑みで避ける。葵は仕事があるなら早く終わらせたいので副会長に問いかけた。

 

 

「あの...副会長...」

 

「なん...貴方は話しかけないでください。キモいです。変態!」

 

「くはぁ!......もう...シンドい...」

 

 

「何ですか」と言いかけたのにも関わらず、男だと気づいて、罵ってきた。葵にとっては副会長の罵声は一番心に響き、葵の残りわずかなライフが消えた...。

 

 

「皆さん、一日の最後の仕事を終わらせに、部活を見学させてもらいに行きますよ」

 

 

副会長が締めのある言葉により収集がつき、諸々の部活を見学をさせてもらう為に移動をした。

 

 

FIRST・・・・・吹奏楽部、この時期はコンクールが近いので、日々、必死に練習をしているとか、ソロのオーディションだと甲子園で演奏ができるとか。まぁ、余計なことを言うと個人差はあるけどな。

 

 

生徒会が音楽室を入ると男女共々、憧れの人、先輩、好意のある人がいれば、やる気を出し張り切って演奏を再開した。

 

だが、どうやら、俺はお邪魔の様だ。俺と目が合うと舌打ちや耳打ちや睨みつける事が多い。

 

 

はぁ...トイレでも行くかと言いながら帰るか...。

 

 

見学をやめて帰ろうとすると、吹奏楽部の部長と話し合いをしている会長が生徒会は音楽室を後にした。

 

 

NEXT・・・・・硬式、軟式野球部は甲子園、全国大会予選が二月前なので地獄の様な練習を行っている。ひたすら走って、バットを振ったり、投げたりを繰り返している。

 

 

野球か小学校の頃、6年やってたけどな。センスなかったからやめた気がする...。

 

 

野球野郎共の視線に五本の指に入る美少女達が視線に入ると声が大きくなってプレーのキレが増した。

 

 

しかし、またもや、生徒会の独りだけ歓迎されている訳では無いので、練習ボイスに罵声が入っていた。

 

 

「男!」「誰や!」「消えろー!」「キモい!」「陰キャラ!」「ボッチ!」

 

えぇ...、キミたち、打ち合わせでもしてるのかよ。凄いね...なんで感心しているの、オレ...。

 

 

溜息をつき、帰ろうとすると再び、まるで分かり切った様子で会長がマネージャーの話を切って、無言で次に移った。

 

次々と見学をさせてもらい、生徒会は歓声が多いが、どの部活でも葵に対しての視線や態度は変わらない。

 

 

LAST・・・・・バスケ部、3年最後大会が近く、顧問がいないが、キャプテンの指示を聞いて必死超えて練習している。何故、会長は最後にバスケ部を選んだのか不思議というか、嫌な予感がして、不気味さに悪寒を感じる。

 

 

バスケ部専用体育館に着き、片側は女子、反対側は男子と別れて、男子の方を見学をさせて頂くと、やはり、どのでも単純なヤツが多く、五本の指に入る美少女達が来ると張り切り出した。

 

 

すると、バスケ部2年の久我仁(くが じん)という、3年生を超えた天才エースが、部活中に葵を見て大声で注目を集める。

 

 

「あそこに生徒会と美少女1年の弱みを握っている。転校生の葵光って奴がいるぞ!」

 

えっ...誰それ、いや、寧ろ、弱みを握られているのはオレ...。

 

 

副会長や花はその発言に反応して対抗しようとする前に会長が前に立った。

 

 

「どこからその噂が入ったのかな?久我仁くん」

 

「生徒会の様子を見れば分かりますよ」

 

「キミ、葵くんは私のお気に入りなんだよ。その彼を悪者扱いにする気だろう」

 

「いや、まさか、本当の事を話しているだけじゃないです」

 

 

一方に引かないので会長はわざとらしい演技で困った様子を作り、久我仁に提案をした。

 

 

「よし、では葵くん、彼とバスケでハーフコートで1on1、先に5本先取で勝負しなさい。葵くんが勝った場合は認めなさい。」

 

「プッ...フハハァ!、かいちょ、マジで言ってるんですか。そいつ、運動神経悪いですよ」フハハ

 

「そうなの?」

 

「そうっすよ。くっくっく...体力測定、学年どころか高校でビリですよ。そんな奴に天が地にくっついても負けるわけが無い。やべぇ!、笑いが止まらない!」

 

 

久我仁はお腹を抑えて爆笑して、周り部員もクスクスとあるいは爆笑していた。

 

 

「じゃあ、葵くんには一本取ったら勝ちでいい?」

 

「えっ、それでも構わないですよ。どの道、変わらないですからね」

 

 

笑いが収まらない様子で問いかけて、会長はあざとらしい演技で綺麗な瞳を葵に向けた。はぁ...と溜息をついてコートに立った。

 

 

この人、今までの原因を知っていて最後にバスケを選んだのか、いや、まず、勝てるわけねぇ...。

 

「おっ、やる気かい転校生くん。いいよ。おママごとのように遊んであげまちゅよ」ニアニア

 

「ハイハイ、黒歴史が増えるだけだからな」

 

 

久我仁がボールを持ってゴールを背後にして、上着を脱ぎ捨て葵は反対側に立ち対面をした。

 

 

「会長が負けた場合はバスケマネージャーと俺の彼女になって下さいよ」

 

「うん、いいよ」

 

「「「えっ...ええぇ!!」」」

 

 

やすやすと久我仁の提案に乗って、周りは顎が外れるほど驚き、多くの人の声が体育館に響いた。

 

 

「じゃあ、ルールはさっき言った通りだから、ではスタート!」

 

 

ちなみに1on1はディフェンスがボールを持っていて、オフェンスにパスをすることにより勝負が始まる。

 

さっきの会話が無かった様に切り替え、会長のあざとらしい声と共に久我仁からボールを渡された。だが、渡された直後、ドリブルをしようとしたが一瞬でカットされた。

 

 

「ほら、言った通りだろう。俺には勝てない。まず、3年生が俺に勝てない時点でお前は終わりだけどな」ニアニア

 

そうだな。まぁ、適当に流すか。

 

 

そっから、まだ、経った5分しか経過していないのに、久我仁が攻める時、必ず抜かれてシュートが入り、ディフェンスでは必ずカットされる。

 

そして、葵の最後のかもしれない攻撃、途中で会長にタイムをして呼ばれた。

 

 

「葵くん、分かってる。お姉さん、見ず知らずの人の彼女になっちゃうんだよ。頑張ってよ」ボソッ

 

「いや、普通に無理でしょう」ボソッ

 

「普通はね...。奥の手は君がやる気を出しちゃう、おまじないを言ってあげるよ♪」

 

えっ、何それ、怖い。

「キミの秘密、バラしちゃおう」ボソッ

 

よし!、やる気が出たぞう!。

 

 

会長の怖~い一言により、葵はやる気を出してコートに立ち上がった。

 

 

「そんなにやる気を出して、会長にエロい何かでも吹き込まれたのか。もしそうだとしても、勝負に勝てないよ。」ニアニア

 

「気にするな...」ハァー

 

俺からしたら、それよりヤバいことだ...。

 

「これで最後になってしまうのか、ではスタート!」

 

自分の危機っていうのに、会長は凄いノリノリだな...。

 

 

葵は会長の心から楽しそうな顔を見て、安心するというか、呆れるというか、癖の溜息をつき、久我からボールを受け取る。

 

久我はいつもの様にボールをカットしようとするが、葵は「あぶねっ」と言いつつ、避けてボールを取られないように体を壁にボールを背後にして勝負で初めて構えて、そのまま適当にシュートを打ち...入った。

 

会長以外の外野は唖然として見ていた。葵は頭をかきながら会長に問いかけた。

 

 

「会長、一本入れたので勝ちですよね...」

 

「う~ん、そうだね~。呆気なかったから、葵くんも5本先取にしようか♪」

 

オイオイ、あんたの名誉をかかっているのに、さらに自分の首を絞めるような事を言うなよ。俺もこれ以上やるのシンドいんだけど...。

 

 

彼女は表情変えずに曇りのない笑顔でルールを変えて、久我仁はラッキーと思い、不敵な笑みでボールを持った。

 

 

「ルールの考案者が言ってるんだから、やるぞ。」ニアニア

 

はァ...めんどくさい...一層の事、負けよ...やめよう...。俺が負けたら変な噂を流れるし、会長もあんな条件は嫌だろうし、しょうがない。

 

 

いつもの様に、気だるそう面倒くさそうにコートに立ち久我仁と再び対面。

 

 

「これで終わらせて、めでたく、ハッピーエンドだよ。陰キャラくん」ニアニア

 

「そう...勝手にしてくれ」

 

「じゃあ、そうさせてもらうぜ」ニアニア

 

 

久我仁がシュートを入れれば、会長が久我仁の彼女になる。しかし、葵が止めればまだ分からない勝負。葵から久我へボールを渡し、ドリブルで葵を抜かそうとした。

 

 

「これで終わりだな。陰キャラくん」ニアニア

 

「勝手にしろって言ったけど、俺も勝手にするから...」

 

 

葵は一言、久我に言いながら、久我のドリブルボールがコートに付く時、葵は左手でボールを叩き転がったボールを奪った。その動きに久我はえっ、と思い、背後を振り返った。

 

 

「おっ...たまたま取れた。すげぇ、俺...」

 

 

特に喜びの感情に出さず、ボールを持ってボー立ちしていた葵。今の動きに会長以外はやや驚いていたが、まぐれだろう。と誰かが呟いき、皆は、そうだな。と勝手に納得していた。

 

 

「たまたま取れただけだろう。まだ俺にはチャンスがある。次はまぐれで取れないぜ」

 

 

久我はボジティブに受け取り、ディフェンスに切り替えた。しかし、この後、交互に勝負しても久我は点数入らず、寧ろ、葵がたまたまカットでき、シュートが入り、いつの間にか点差が縮まり、次は葵の攻撃で、シュートが入れば、葵に対して嘘が撤回される。

 

 

「最後か...」ボソッ

 

「最後だぁ!、てめぇ!、なに勝ちヅラしてやがる!」

 

「キミはバスケ部エースで学園で一番上手いんだろう?、止めればイイじゃない、ね♪」

 

 

ボソッと言った声が久我の耳に入り、喧嘩腰で久我は葵の胸ぐらを掴むが、会長の匠の言葉で久我は舌打ちをして離した。

 

 

「じゃあ、これで最後になるのか、葵くんがボールを持てば勝負が始まります。さぁ、運命の戦いです♪」

 

 

久我からボールを受け取り始まった。すると、久我が葵の足を思いっきり踏んだ。本来であれば、ファールを取られるが、しかし、誰も気づいていない。

 

 

「いてっ...!」

 

「お前に負けるとか一生の恥だからな。徹底的にお前を潰す。しかも、お前は今までの勝負1回もドリブルをしていない。ならば、ドリブルをさせてカットしたら確実に勝てるし、シュートも打てない。終わりだ!」

 

 

必死に葵に圧力のあるディフェンスで押し出す。増しては葵より少し身長があるから、確かにシュートは打てない。だが、彼の考えすぎる思考が...ハズレる...。

 

葵は踏まれた足を引いてドリブルを突き出す。その瞬間を狙った久我はボールをカットしようと手を出したが、葵は※レッグスルーで避けて距離を保った。

 

※レッグスルーとは、バスケットボールにおけるドリブルテクニックのひとつであるスポーツ用語、自分の股下でバウンドさせるように、足の間を通してドリブルをする方法のこと。右手に持っているボールを、左手に持ち替えるためのドリブル、もしくは、左手に持っているボールを右手に持ち替えるためのドリブルであり、対峙したディフェンスにボールをスティールされづらくするために、自分の足の間を通して相手ディフェンスとの距離を保つ。

 

 

会長以外は驚愕していた。運動神経悪いと言われる奴がいとも易々とレッグスルーをしたことに...。

 

 

「オイオイ、どうした。ボールを取らないとまぐれでシュートが入って負けるぞ...」

 

 

そう言って葵は挑発した。久我がシワを作るほど、怒りの顔が出して、葵のボールを取ろうとカットしようとするが、楽々と避けて、5分間ぐらい、久我が葵をオモチャにするつもりが、久我は寧ろ、逆に....自分がオモチャにされているのを気づいた。

 

 

「テメェー!、ふざけんな!」

 

 

久我は葵のボールをカットしようとするが、カットする手が、いつの間にか両手でコートに付いて尻もちついていた。

 

葵はそのまま、転んでいる彼の隣でぎこちないシュートを打って、勝負に終止符を打った。

 

葵のプレーで周りは唖然と呆然と驚愕で混乱しているが、男子バスケ部3年生が葵に近づき、その後に、2年のや1年が続き、葵を囲んでバスケ部の勧誘をし始めた。

 

 

「キミ、上手いね!」「バスケ部に入らない?」「勿体ねぇぞ」「キミなら全国は夢じゃねぇよ!」「女子にモテるぞ!」

 

 

この状況に、俺は会長の本心に気づいた。それは居場所を悪くしない為、将来の為に友好関係を作らせる為に会長は最初っから差し向けるように誘導して予測道理にさせた。運悪く久我が会長に喧嘩を売った...、だが、俺は会長の予測を......裏切る。

 

 

「それにしても、久我って最低な奴だな」「そうだな。もう、関わらないどこうぜ」「そうしようぜ」「明日からさ、嫌がらせしようぜ。今までの」ボソッ

 

久我を応援していた部員、仲間、友達、親友だった奴らに裏切られ、罵声や罵倒が飛んでいた。

 

久我は絶望していた。どん底に...。何も答えれない。友も裏切られ、もはや、高校の嫌われ者になってしまった彼。

 

 

「まぁ、それぁ、負けるだろう。だって、俺が作らせた芝居だし、コイツは単なる濡れ衣だぜ。久我の弱みを握って踊らせたんだよ。しかし、滑稽だよな。仲間に裏切られ、光り輝いていた自分が失い、絶望のどん底にいる気分はどうだ?、久我仁...」

 

 

葵の発言に誰もがはっ?、と声が出るが、1番驚いている久我は訳も分からず目を大きく開いて葵に顔を向けた。

 

 

「いやいや、お前ら可笑しいと思わないか?、バスケ部のエースがド素人に負けたんだぞ。それは俺が久我の弱みを握っているからに決まっているだろう」

 

 

葵は暑苦しい男子バスケ部サークルから力任せで抜け出し、久我の近くまで歩いて、人格を変えて、悪そうな不敵な笑みを作り、性格を変えて、怪しまれず嘘、ホラを吹き出した。

 

そして、誰かは言い出す......。

 

 

「サイテー!」「テメェー!」「久我を虐めるなんて!」「だから、可笑しいと思ったんだよ...」「裏がありそうだったんだよな...」

 

 

そして言い返す。人間関係を壊す言葉......。

 

 

「いや、キミ達の方がサイテーだろう。仲間だったのに、久我より一瞬でも上だと思ったらすぐに裏切って...、それで、よくも仲間、親友、友達なんて言えるな...、増してはバスケとはチームプレーだ...お互いを信頼し合えない時点でチームは終わりだ...」

 

 

この状況で人間関係を壊す言葉を発し、バスケ部一同、体育館にいる生徒は黙り、葵は脱ぎ捨てた上着を拾い体育館を背後に、荷物があるので生徒会室に向かった。この後の体育館の様子は葵は知らない。

 

生徒会室に着くと、人間関係崩壊状態のバスケ部の収集を副会長や竹見に任せ、葵の後からついてきた会長が憐憫な表情で問いかけた。

 

 

「あれがキミの答え?」

 

「何がですか?」

 

「・・・・・自分を物理的、精神的苦痛を与えた相手を救って、状況に応じて久我仁が流した嘘を、そのまま利用して自らを悪者扱いにさせる。自己犠牲かな?」

 

「物理的に...、会長...人が悪いですよ。最後の俺の攻撃で足を踏まれているの、気が付いていたでしょう...」

 

「テヘェ♪、いや、面白そうだったから、ついつい口が塞がちゃって♪」

 

「オイオイ、重要でかつ大切なところを口を塞ぐな...」

 

「まぁ~、でもお姉さん的に、一番驚いたのは、私の為に勝ってくれた葵くんだけどね。嬉しかったな~♪、ありがとう♪」

 

 

彼女は、普段、人前で見せない、一番魅力的な笑顔で葵に向けてお礼を言った。葵はそれに気が付いたが、気が付いていないフリをしてそっぽを向いた。

 

 

「な訳無いじゃないですか...、どちらかと言うと俺の秘密をバラされたくないから勝ったんですよ...」

 

「えぇ~、そんなこと言っちゃってイイの、お姉さんのフラグ立てた方がいいよ~♪」

 

なんのフラグだよ...。

 

 

「まぁ、でも久我仁くんはキミのおかげで、いい刺激になって大人しくなったでしょうし、キミの嫉妬や玲美のナンパが無くなるだろうから、大丈夫かな...」

 

「ナンパ?、あぁ、久我仁って藤白をナンパしてた奴か...ナンパを俺が止め、しかも、一緒にご飯を食べてるから嫉妬していると...なるほど...何気に会長ってシスコンなんですね...」

 

「キミ程じゃないよ♪。」

 

「で、俺の秘密事なんですけど、約束してくださいよ...」

 

「秘密事?、なんのこと?」

 

 

彼女はキョトンとした顔で首を傾げた。

 

 

「いや、会長が勝負の条件に俺の秘密事を...」

 

「あぁ~!、アレね。嘘だよ♪」ニコッ

 

「・・・・・マジかよ...」

 

「面白い事を言ったら、やる気を出すかなと思って」アハハ

 

この人...嫌い...。

 

「まぁ~でも、今回の件はあまり好きじゃないな。心が痛かったよ...」

 

 

彼女はガチトー音で今回の件のやり方に納得いかなかった。そんな会長を見て、少し驚いたが真に受ける訳でも無く、いつも道理に答えた。

 

 

「それは気のせいですよ...」

 

 

葵は真面目の顔をしている会長の横を通り過ぎ、怖いくらい静かな廊下を歩いてった。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

部活・・・・・「部活動」の略。主に中学・高校の、スポーツや文化面で教科外に行う団体的教育活動。

 

部活、そんな言葉を聞いて俺は前に通っていた。中高一貫校の部活動を思い出した。ただ何となくで白い紙にバスケと書いて若い顧問に提出して始めた部活。

 

4年間やってきて、何故、部活如きであんなに熱くなるのか、足が、手が、肺が、心臓が、体が動くのかよく分からなかった。

 

只只、ひたすら肺が潰れるまで心臓が痛くなるまで走って、脂肪を筋肉に変えるぐらい痛めつけ、厨二病みたいなことを言うと己の限界を超えて新しい世界を自分で開いた時、周りの人達より上達した時、得た答えは、優越感と達成感だった...。

 

小学校の頃からバスケを始めた同級生や上級生からは「なんだアイツ、調子に乗りやがって」 「下手くそだったくせによう!」と罵倒や罵声が耳に通り過ぎ、一人また一人と消えていった。

 

俺は誰かに認めて欲しかったのであろうか。と言ってしまうとまるで俺が誰かに認めてほしいと言っているのと同じだ。だがそれは無い。

 

 

退部届けを渡しに顧問に渡すと事情を理解した上で話した。「お前ならNBA選手になれるレベルだ。興味があるのならそこに行け」と強く進めた。言われるがままに入団テストを受け、ギリギリっぽかったが合格した。

 

しかし、家族を失って実家に戻る事になり、夢も目標もない自分にはいい機会だと思ったが、自ら、折角のチャンスを下りなければならなかった。

 

ある日、実家に帰る一週間前、スマホに一本の見知らぬ電話番号が表示されていた。

 

 

えっ...、詐欺?、詐欺だよな。まぁ、普通に考えたら間違い電話だよね。ハズっ!。

 

 

躊躇いもなく緑ボタンをプッシュして耳にあてた。

 

 

「こんばんわ、初めまして藤白財閥、社長であり、バスケグループのコーチの藤白美蓮(びれん)と申します」

 

「・・・・・どうも、葵光と言います。あのーすいません」

 

「なんだい?葵くん」

 

「・・・・・新手の詐欺ですか?」

 

「フフッ、キミは面白いね。だけど、本当だよ」

 

「いやいや、藤白財閥ってSuperficiality(訳・超)が付くくらいの会社が陰キャでボッチの高校生をスカウトする訳がない!」

 

「陰キャでボッチって、フフッ、面白いな。しかし、今現実に起きている事だよ。ちなみに、すでに君の後ろにいるよ。葵くん」

 

 

真に受ける訳ではないが、一応、怖いので後ろを振り返ったがそれらしき人はいなかった

 

「冗談はやめて下さい...。怖いし」

 

「ごめんごめん、キミの目の前にいるよ」

 

「えっ...」

 

 

目の前を見ると自分と同じくらいの身長で真っ白な白髪をオールバックにして、ハーフで少し老けているが優しそうな笑みを浮かべて、耳にあてたスマホを下ろし、葵の様子を伺っていた。

 

 

「改めまして、初めまして、藤白財閥、社長でありバスケグループのコーチの藤白美蓮と申します」

 

そう言って、右後ろにいる体の大きい黒ずくめでサングラスかけた男が名刺を差し伸ばし、葵は恐る恐る受け取った。

 

「これで信じたかい?葵くん」

 

「エッ!、ハイッ!」

 

ヤベぇ...、片言になってしまったが、テレビで観たことがある...。

 

「そんなに畏まらなくてもいいんだよ。さっきみたいな感じでもいいよ。葵くん」

 

「わかりました。じゃあ、遠慮なく。何故、自分をスカウトするのですか?」

 

「フフッ、遠慮がないね。葵くん」

 

「遠慮をするのも、失礼ですから」

 

「いい性格をしていね。その質問は、車の中で答えるとしよう。葵くん」

 

 

高級車フェラーリーの中で話し合い、都合により藤白財閥も長野を発展させる為に移転し、中心としてこれからも活動するらしい。

 

これが藤白財閥と関係がある物語。

 




読んでくださりありがとうございます。
次回の投稿は年越しです。皆様、良いお年を


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葵は会長の全て思い道理に動かされている。「えっ…」

あけましておめでとうございます。
そして、遅れてすみません!。
お気に入り件数が少しずつ増えてきたので正直嬉しかったです。
下手な小説でベタですが、これからもお付き合いお願いいたします。
では、どうぞ


13話

 

 

青春・・・・・高校生がよく口にしている言葉、青春とは若い時代。人生の春にたとえられる時期。希望をもち、理想にあこがれ、異性を求めはじめる時期。

 

だが、俺にとって青春とは人生の黒歴史が多い時期。周りにクスクスと影で笑われる日々、絶望をもち、目標が無く、人間関係を求めない時期である。

 

だから、青春なんて味わうべきではない。寧ろ、個人で趣味に没頭した方がいいに決まっている!。

 

しかし、他人と触れ合い友達となり、様々な友情が生まれ、困難が立ち上がり共に乗り越える事によって親友、憧れの先輩後輩、恋人と長く続く関係はそれはとても大切なのは変わらない・・・・・よな?。(まず、友達いないからな...)

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

久我仁を庇いって言うと助けた事になってしまうが違う。ガセを真実に変えて変な濡れ衣をかぶった、昨日の件が噂に広まり、周りから葵のの印象が只でさえ、久我のガセで良くないのに余計、悪化した。

 

久我仁は別のクラスだが、教室を通った時は、いつもだったら自分がリーダーでグループを作ってアホな事をしてそうだが、今は一人で窓越しの空を見上げて、ぼーっとしている。

 

例えばと言うよりか、現時点で朝から教室で唯一の居場所、自分の机に着きにくく、座れば、同期は「アイツだろう。久我や生徒会や美少女1年の弱みを握ってる奴」 「その流れだとさ、他に私たちの弱みを握っている可能性があるんでしょ...怖い」 「アイツ関わると何されるか、分からないぞ」などの耳打ちが葵の耳に右から左へと流れて聞こえる。

 

自分の席で肘を付いて、ため息をつき一眠りしようとすると、目の前に人が立っていた。誰だと思い眠そうな顔をあげると清水...じゃなくて、速水駿がキョトンとした顔で問いかけた。

 

 

「なぁ、葵、何かあったのか?」

 

「えぇ...お前、知らないのか...そうか、いなかったな。昨日の部活...」

 

「あぁ、昨日、少し用事があったから」

 

「そうか...取り合いず、俺に関わるな。理由は周りから聞いてくれ...」

 

「・・・・・俺は葵の口から聞きたい。聞いても葵の悪口しか聞こえない」

 

「・・・・・めんどくせぇな、きよ...速水」

 

「えぇ!?...酷くない葵、てか俺の名前、間違えそうになるなよ」

 

「ハイハイ...、じゃあ、場所を変えよう」

 

 

朝からダルいと思いつつ、爽やか隠れ系イケメンくんを引き連れて廊下にいる女子のれいとうビームを耐えながら屋上まで移りドアを開けた。ふたりはやや暖かい風を当たって壁に背中を当てて座り口を開いた。

 

 

「・・・・・そうだな、どこから話そうか。ザクっと言うと、久我仁が俺の変な噂を流して以下略って事なんだよ...」

 

「以下略って言って重要なところで省略するな、ちゃんと説明しろよ」

 

 

だるそうな男の適当なボケで、速水はクールにツッコミををいれ、謎に包まれる空気をほんの少しだけ和らげた。そして、昨日の事を全て隅から隅まで話し、速水駿という人間は真剣の眼差しでしょうもない話を聞いていた。

 

 

「・・・てことだ...眠い...教室に戻ろう...」

 

 

そう言って葵は膝に手をついて腰を伸ばし屋上を降りようと歩き始めると、速水は聞いてきた。何を?、何に対して?、この話に聞かれることは無いと思うが振り返った。

 

 

「葵、なんでそんな事をしたんだ。わざわざ、自分を犠牲にして、しかも、自分を悪く言っていた人を助けて、なぜ?お前は自分の事を大切にしないんだ...」

 

 

彼は真面目な声、真剣な顔を向けて答えを求めていた。ならば、応じようと普段と変わらずいつものトー音で答えた。

 

 

「・・・・・そうだな、俺自身が醜く哀れで救いようが無い人間ってことだ...眠い...」

 

 

鉄で作られた重いドアを開き、ダラダラと階段を降りた。威厳のなく眠そうな葵の背後を見て、速水...速水駿は「それは間違っている」と言おうとしたが、今の葵には話が通じないと思い口を塞いだ。

 

 

 

至って平凡な...ヘビーな空間で授業を4時間受け、やっとの思いで昼休みが来た。ふらふらと屋上に向かいOpen the doorをすると、案の定、面倒なサキュバス後輩がいた。

 

 

「せんぱい、来てくれたんですね。えらいえらい♪」

 

「オイ...子供扱いするな」

 

「そんな事より...昨日、何かあったんですか?」ゴゴゴッ

 

出た...笑顔で声低くして近づいてきて、こうくん、ビックリ!...キモい...オレ。

 

 

会長が葵に話しかけた時と同じ顔をしている藤白を見て、面倒くさそうだし、敢えて何も言わないでおこうと口を塞ぎ、いつもしつこい彼女は珍しくため息をつき諦めた。

 

 

「実は昨日、その場にいたんですけどね....」ハァー

 

「いたのかよ...なら、聞かなくていいじゃん...てか、なんでいんの?」

 

「少し騒がしいなと思って、体育館に向かったんですけど、最初は「あっ、噂で学園一運動神経悪い先輩が私をナンパし続ける男と勝負しているな~、ナンパやめさせる勝負かな♪」って感じ少しトキメキが出たんですけど...」

 

「それは無い」キッパリ

 

「そんなこと言わないでくださいよ。私のフラグ立てても悪くないですよ?」ニコニコ

 

「何のフラグだよ...」

 

さすがサキュバス姉妹...同じことを言っている...まぁ、正直、悪くなくても嫌な予感はする...。

 

 

彼女は上品に口に手を当てて笑った。葵は〝流石お嬢様〟と何故か感心して、口に当てた手を下ろした。

 

 

「それにしても噂で学園一運動神経悪いと言われる先輩が実は運動神経抜群だったとは、噂だけにとらわれていけないですね。でもなんで隠してるんですか?」

 

「別に隠していた訳では無い...ダルいから本気を出さない...後、お前だけじゃないが勘違いしている...俺は特別運動神経がイイ訳ではない...努力して掴んだのがバスケだけであり、それ以外はからっきしだ...」

 

「そうなんですか?」

 

「そうだよ...」

 

「だけど、カッコよかったですよ♪。最初は先輩って運動神経良くないんだなって思ってたんですけど、シュートを入ってきた時、適当に投げているように見えてしっかり狙ってたり、最後だけは動きにキレが一段と増して、プロでも通用する動きでしたね。お父さんのチームに入って欲しいくらいですよ♪」ニコニコ

 

・・・・・社長や会長と同じ綺麗な瞳で鋭い観察力を持ってるな...この親子マジ怖い......うん?。

 

「なぁ、藤白...質問あるんだが...」

 

「改めて何でしょうか?まさか...告はぁ」ワクワク

 

「そういうのいいから、お前の親父さんのチームに黒ずくめな格好して練習している奴いないか?」キッパリ

 

「えぇ...酷くないですか...はい、確かにいますね。いつも全身黒ずくめの格好をしてスポーツメガネ掛けて練習している人ですね。名前は伏せてますけど...」ハァ

 

てことはバレてない...社長...しっかり条件を飲んでくれてるんだ...助かる...あまり世間に名前や顔を晒したくないからな...加入するかわりに世間に葵光のプライバシーや個人情報を流さない条件を飲ませたのは正解だったな。

 

「何故か、あの人の情報だけはお姉ちゃんすら知らなくて、お父さんしか知らないんですよね~、そう思うと気になると思いません?」

 

「あ、あぁ...そうだな...だけど、あまり関わらない方が身のためだ」

 

目の前に居るんだがな...。

 

「そうですね。お父さんのパソコンいじって調べます♪」

 

・・・・・人の話を聞いてないな...この子。

 

 

脳に引っかかっている何かが外れてふと思いだし藤白玲美に呟いた。

 

 

「お前...会長にお礼言っとけよ...」

 

「えっ、何でですか?」キョトン

 

「久我仁のナンパを止めさせようと考えて、オレを利用して止めたのはお前の姉貴だからだ...」

 

「お姉さんが!、そうなんですか!」

 

「なんでそんなにビックリしてんだよ...」

 

「いや...なんと言うか、私はお姉さんと接触しているように見えて、そうでもないんですよ...、姉妹関係は嘘偽りの関係にしか感じなくて...」

 

「・・・・・じゃあさ、丁度、生徒会に庶務の枠が空いているから入って、新しく姉妹関係を作れば...」

 

「えっ!、私でいいんですか?」

 

「いいよ...決定権は俺が持ってるし、俺...友達いないし...」

 

「そういう理由で選んだんですか!、かなりショックなんですけど、もう少しなにか無いんですか?。例えば、私のことを好きだから、なるべく長く時間を過ごしたいとか!」プクー

 

「なるべく、お前には関わりたくないの間違いだろう...」ハァ

 

「こんな美少女が近くにいるのに何でですか!、まさか!...ボーイズラブ...」

 

「そんな訳があるか...」

 

さすが姉妹、自分で美少女って言ってやがる。否定しないけど...。

 

 

暖かな風が吹くなか優雅な時間を過ごし時が流れるのが早く感じた。学園中に5時間目開始五分前のチャイムが鳴り、生徒達はざわざわと各自、教室に戻った。

 

 

 

放課後、萩本先生に呼び出され、葵は案の定、仕事を押し付けられ、その後にまだ仕事をある事に気づき萎え、先が思いやられながらも生徒会室に向かった。

 

途中、目が悪いせいで見えないが、廊下のかどに誰か待ち構えているのが見える。目的地に向かうには通りざるおえないので止めないで歩く。すると...

 

 

「あの...すいません。葵光さんですか?」モジモジ

 

「えっ、そうだけど...」

 

 

急に飛び出してどこの輩も知らない人に声をかけられ、驚愕してつつ曖昧な返事をかえす。

 

 

「あの...オ、オレのなまえは十五夜 凛(じゅうごや りん)です...単刀直入に...申し上げます...オ、オレを!バスケの弟子にしてください!お願いします!」ペコ

 

 

彼は勇気を振り絞った言葉を言って頭を下げた。葵はその申し出に「はぁ?」と声が漏れ、何故なら、バスケ関係は、昨日、喧嘩売ったばかりなのに、まさか...こんな人が出てくるとは思っていなかった。

 

 

「何で、俺なんだ?」

 

「えっ、えっと...それは、オレ、あまりバスケ得意じゃなくて、ましてはチーム内では一番下手くそで正直諦めていたんですけど・・・・・」モジモジ

 

「・・・・・」

 

「でも昨日、葵さんが久我さんとの勝負でバスケプレイを見て「すごい...オレもあんな動き出来るといいな」と思ってそれで、葵さんの名前を知って弟子入りをお願いに申し上げました...」モジモジ

 

 

震えながら彼は顔を上げた。顔を伺うと、以外にも、バスケをやってなさそうな美少年だった。

 

身長は約160cmくらい中学3年にしては少し低い、綺麗なアッシュゴールドでサラサラとした髪を纏めて、愛らしい顔をして美少年と言うか美少女の間違えても可笑しくない、声変わりがまだ遅く美声で、腕や足が細くてバスケをやっているようには見えなく、寧ろ、かよわい女の子にしか見えない。しかし、熱意は感じる。バスパンやバスケTシャツがボロく、所々の指にテーピングをしている。

 

だが...

 

 

「悪いがそれは無理な話だ」

 

「なっ、何でですか...」

 

「何でって...お前、知らないのか、高校バスケをこの前喧嘩売ったばかりなんだぞ...仮の話だが、お前が俺の弟子になったとしても、お前は今まで仲良かった友達や親友がいなくなるぞ...更に、高校生から虐められるぞ...それでもいいのか...」

 

 

彼は何か確信を得たのか、表情がコロッと納得した顔に変わった。

 

 

「今の言葉で確信を得ました。やはり、葵先輩は優しい人ですね」

 

「何故、そうなる...」

 

「久我さんは日頃から態度がデカくて自分の思い通りにならないと気が済まない人です。そして、部活内での虐めも多いです。だから、久我さんが言っている事は嘘で、しかも、久我さんはバスケは上手いですがプレイが荒く、一緒にバスケするのは苦痛でした」

 

「・・・・・」

 

「しかし、葵先輩のプレイは自分も楽しそうで、周りにも「バスケは楽しいよ」って伝えてる様に感じました。だから、自分は葵さん、いいえ、葵先輩に何がなんでも教えてもらおうと思いました。だから、お願い致します!。オレにバスケを教えてください!」

 

 

彼の最初の申し付けよりあらゆる良い感情が入った心のこもった言葉を聞いて思う。

 

 

果たして、これは彼の言葉を尊重した方が良いのであろうか...、やはり、今後の彼の学校生活や人間関係の為にも断るべきか...今...俺は十五夜凛という人間の人生と人間関係の道を掴んでいる......。

 

「...あの...せんぱい...」

 

「なんだ...」

 

「...目が怖いです...」

 

「あっ、悪い...」

 

 

彼はカエルに睨みつける蛇の様に硬直し震え潤目になり口に右手の人差し指を付けて、その表情に初めて恋をしたように感じた。

 

 

うわぁ可愛い...じゃねぇ、アホか...オレは...ボーイズラブにはなる気ねぇよ...、しかし...この子ならありかもって思ってしまう自分がいる事に隠せねぇ...。藤白...なワケがあってしまったかもしれん...。

 

 

内心でボーイズラブに目覚めそうな自問自答を繰り返し、葵が険しい顔に段々変わると十五夜はあわあわと挙動不審になる。

 

 

「あ、あの...せんぱい、別に今日までって訳では...」

 

「はぁ...分かった、お前の熱意に負けた...いいよ...」

 

「えっ!、本当ですか!」

 

 

十五夜は不安な顔が一転代わり、豊かなで頬をさくらんぼ色に染めて喜びのあまり、段々、葵との距離感覚が短くなっていた。

 

 

「だが、条件がある。一つ、オレの関係していると親友であろうと話すな。二つ、教える場所は学園ではなく近くの大きなソメイヨシノが咲いている公園の運動場で練習する。三つ、俺と関係している限り部活を休部。この三つの条件を飲むならいいけど...」

 

「なんで、部活を休部しないといけないんですか?」

 

「それは部活に支障でても困るし...、身体を壊されても困るからな...」

 

「そんなにキツいんですか!」

 

「いや、結構楽だ...。ただ俺が教えるのと部活が教えるのは違うからな。適当に一から叩き込むから...」

 

「わっ、わかりました。ありがとうございます」

 

「どうする...いつから始めるんだ...今日からか?」

 

「えっ!、今日からでもいいんですか!?」

 

「いいよ...」

 

生徒会もサボれるからな。丁度いい...別に、ボーイズラブに目覚めた訳では無い...だよな...オレ。

 

「あの校門の前で待っててください!。オレは顧問に伝えていきます!」

 

 

彼は職員室に慌てて向かい上履きが蹴る音が廊下に響き渡り、彼の姿が消えて葵は会長の電話をかけた。

 

 

「もしもし、会長...」

 

〝「分かってるよ。葵くん、弟子が出来たんでしょ、良かったね♪」〟

 

「会長の差し金かよ...」

 

〝「ご名答♪、あの子から頼まれたんだけど、葵くんにはいい人材だから」〟

 

「えっ、何のことですか?...」

 

〝「さぁ~♪、なんのことだろうな♪」〟

 

「まぁいいや...あともう一件お話があるですけど、庶務をあなたの妹さんを選んだんで...」

 

〝「やっと、選んでくれたね♪、まぁ、キミはあの子しか選べないけどね♪」〟

 

「でしょうね...じゃあ、切ります...あとはお願いします...」

 

〝「じゃあね。頑張ってね♪」〟フフフ

 

 

電話を切り、運動に関わる情報を少しバラしたのが後悔に繋がったが、ゲームの様にレポートして電源切って捕まえることができる訳でも、死んでタイムリープする訳でもないので、苦痛でもあるが、今更だと切り替え、玄関に向かった。




読んで下さりありがとうございます。
主人公がいい青春っぽい感じの生活に仕上げました。
これからどんなことが起きるか。脳をフル回転させて面白くしたいと思います。


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オトコの娘後輩と一緒にプレイします!。

本当にすいませんでした!。(いきなり謝罪する私、だが、謝罪文を書いている時は無表情)
またか、と思いますが遅れました。
こんな面白くない作品に付き合っている。読者の皆々様には感謝しております。(アクセス数は2桁だけどな)
取り合いず、言い訳させてください。
一週間前には完成していたのですが、全選択してコピーしようとしたのですが、削除してしまい、この始末です。
本当にすいませんでした。次から...今度から気をつけます。
次から一万文字を目指したいです。
案の定、短くてすいません。



上下関係・・・社会的に上のものと下のものとの関係。ボッチの俺が言うのアレだが人間社会は必須である。俺は中学生の頃から上下関係の意識が高い学校環境に居た。

 

それなりに大変だった。まず、敬語で話しかけないと、上の人たちは無視をされるかシバかれるかの二択。

 

高校に上がり、先輩いても上からモノをいうだけで面倒だし、後輩がいても少し会話をしただけで調子に乗るから苦手だ。人も同様。

 

だから、関わらない。面倒なことに巻き込まれたりするのも嫌だから...だけど、十五夜になぜ頼み事をされ、断らずに飲み込んだのか...たぶん...彼の知性と努力と勇気の結果が出た時、十五夜凛は俺が知らない世界を見せてくれるだろう...勝手な期待を寄せて結果を見たいだけである。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

広々とした土地の中心に一本の大きなソメイヨシノが散り、葉っぱが散っ公園(運動場)に、フェンスに囲まれたバスケコートやゴールが全て設置されている公園に性格、雰囲気、見た目が似るところもない数十分前に出来たて新生の師弟。十五夜は元々バスケTシャツとバスパンを着ていて、葵がブレザーを脱ぎネクタイを取った。Tシャツをインから出してボールを持ちあげた。

 

 

「そうだな...実力がわからないから、1on1で十五夜の攻撃を2~3回やるぞ...」

 

「はっ、はい!」

 

 

彼は張り切った緊張気味の声を出してコートに立ち、葵は十五夜にボールを渡した。

 

 

「さぁ...どこでもこい...」

 

「わ、わかりました」

 

 

その場でトンっトンっとドリブルをつき始めたが、葵はディフェンスの構えすらしないで突っ立っていた。

 

 

「気にするな...俺の前で本気で抜いてこい...」

 

「わ、わかりました」

 

 

彼は本気で全力で葵を抜いた...抜けた。彼は「アレ?可笑しいな」と思い振り返ると葵はポケットに手を入れて十五夜をずっと見ていた。

 

 

「あと2回やってくれ...」

 

「分かりました...」

 

 

ちょっと納得いかない表情で返事をして、再開...結局、回数分やっても葵はずっと立っているだけだった。質問しようと十五夜は近づいた。

 

 

「あの...葵先輩...これになんの意味が...」

 

「なるほど......十五夜、ボール...」

 

「はっ、はい、どうぞ」

 

 

さっきの呟きは何なんだろうと思うが、そんなことは気にしないでボールを渡した。

 

 

「ありがとう...、そうだな...取り合いず、オールコートを全力で二往復してくれ...」

 

「あっ、はい!」

 

 

彼が本気で走り出すなか、葵は軽くドリブルをつきながらスマホを取り出し、十五夜の走る姿を動画にして撮り、走り終わった彼に近づいた。

 

 

「はぁ...はぁ...」

 

「十五夜、今度は俺の走ってる姿の動画を撮ってくれ」

 

「はぁ...はぁ...はっ、はい!」

 

 

十五夜はシンドくても我慢して葵に言われた指示に従い、動画を撮り始めた。十五夜は葵の本気で走る姿を見れるかと期待を高めたが、全く予想外、十五夜とほぼ変わらないスピードで走り終え、葵にスマホを渡したら、

 

 

「はぁ...はあ...はぁ~...、さて十五夜、質問だ...自分の走りと俺の走り動画を見比べてなにが違うと思う?...」

 

「うーーん...、スピード...とかですか?」

 

「身体能力ではなく、ヒントは足の動き方を見比べてくれ...シンドっ...」

 

 

十五夜は動画を何回も逆戻り、再生をして見比べて、可愛く首を傾げて考えていた。その様子を呼吸を荒立てる葵は無慈悲な可愛さを癒されながら整えていた。

 

 

「うーーん...あっ!方向を切り替える足の動きですか?」

 

「正解...、お前の場合、わざわざ後方の足を次の1歩目を出して方向転換しているが、それは切り替えが遅くスピードをリセットし、またスピードを上げなければならない...、俺の場合は左利きだから、後方の左足を軸にして前方の右足を最初の1歩目に出すことによって、方向転換する時には勢いが増して速くスタートが出来る...」

 

 

出来る限り細かく繊細に実際に動き説いた。十五夜は真剣な眩しい眼差しで葵のダルそうな目を見ていた。

 

 

「・・・・・凄いですね。よく見てるんですね」

 

「教えるなら徹底的にやるのが、俺の心情なんだよ...てことでさっき教えたところ馴れるまで練習してくれ...俺はシュート打ってるから...馴染んだらテストな...」

 

「はい!」

 

 

彼はやる気のある返事を返し、コートを往復を繰り返し走り続けた。葵はシュートを打ちながら十五夜凛専用練習メニューを短所と長所をいつもの様な光を通さない瞳で観察して考えた。

 

 

 

そして、しばらく経つと十五夜は徐々に馴染んできたのかスピードが上がり動きが良くなってきたが、体に疲れが溜まってきたようだ。

 

 

そろそろ休憩を挟もうか...。

 

「十五夜、休憩だ...」

 

「はぁ...はぁ...はぁ...はい...」

 

 

彼は少し歩き呼吸を整え、その場で尻もちをついた。葵は近くの自動販売機でスポーツドリンクを2本買い、十五夜のところまで歩き、無言で差し出した。

 

 

「あっ、ありがとうございます。お金は後で...」アワアワ

 

「いいよ...奢りで...」ハァ

 

「えっ、でも...」アワアワ

 

「本人が了承してるんだから、甘んじろ...」

 

「ありがとうございます!」

 

 

遠慮なくドリンクをガブガブと半分まで飲んだ。休憩が終わり次第、5時半まで1on1を何十本も相手をする練習を行った。(容赦なく叩きのめすがな)

 

師弟たちが練習熱心に励んでると、どっかで見たことのある。あざといサキュバス後輩と我が愛しい姉妹であり愛娘が、ネット越しで新生師弟たちの練習を一人は嫉妬と胸キュン♡、一方は驚愕と好感度上昇、一方は瞳をキラキラと輝かせていた。

 

 

「パパ~♪。ふにゃ♪」

「雪音...どうしてココに?」

 

パパ?

 

 

我が家の天使?小学二年次女の雪音が可愛く愛らしい声で手を振ってコートに入って最愛の家族の一人に抱きついた。

 

 

「お父さんってバスケ上手なんですね...正直、お父さんの性格上...驚きました...」

 

お父さん?

 

 

十五夜にとって次々と疑問が飛び出てくる状況、パパ、お父さんと呼ばれている葵に、頭上に??を付け混乱真っ最中。後から面倒な後輩が手を振って。

 

 

「お兄ちゃん~♪、なんで私みたいな美少女後輩が居ながら、ボッチの先輩が他の可愛い子に手を出すなんて珍しいですね...しかも、二人っきりでボールで遊んで、熱く汗を流して激しく運動して、気持ちよかったですか...」ヤンデル

 

「誰がお兄ちゃんだ...後、その言い方...様々な誤解まねくから止めろ...十五夜もなんか混乱してるし...」

 

後半あたりの発言、思春期真っ盛りの男にその発言は下ネタに感じるから止めろ...あと、なんか病んでる...。

 

 

まさに蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)、もしくは喧喧囂囂(けんけんごうごう)とわかりやすく言うと騒がしい状況に俺はものすごく面倒くさく頭が痛くなる。

 

取り合いず、収集は付けた。藤白に十五夜は美少女に見える美少年であるのと...いや、日本中の男にボーイズラブを目覚めさせる男の娘の間違いだろう。世界は残酷だ。こんな可愛い子が男の娘って...やべえ、漢字まちがいた...男の子って...てか神様の...趣味ですかね。

 

 

「えぇ!男の子、女の子にしか見えない!。でも良かった、女の子だったら、美少女後輩キャラを奪われるところだった♪。危ない危ない♪」

 

お前...最近、キャラがブレて会長に似てきたよな...すげぇ嫌なんだど...面倒だから...。

 

 

「で、なんで雪音と雪菜と一緒にいるんだ...藤白」

 

「探しても先輩が居なくて、丁度、雪音ちゃん達が先輩の居場所をお姉さんから聞いたってことなので、私も一緒に来たわけです♪」

 

うわぁ...この後輩マジあざとい...。

 

 

で、十五夜にはパパとかお父さんと呼ばれる理由を細かく...細かく!(重要だから強調)説明した。お兄ちゃんは論外だ。呼んでいいのは愛姉妹娘だけだ。それ以外許さん。

 

十五夜はモジモジと可愛らしく、愛らしい仕草で葵に問いかけた。

 

 

「あっ、葵さん、もし良かったら...お兄さんとお呼びしてもいいですか?」モジモジ

 

「是非喜んで...」ポッキリ

 

「あっ、ありがとうございます...では、お兄さん...」テレッ

 

アレ?可笑しいな。なにか重要な掟を誓ったような気がするが...まぁいいや...。

 

 

男の娘にコロッと心を奪われ掟をすんなりと破った葵は、十五夜に絶賛ハートを奪われた。

 

 

「お兄さん、オレは用事があるのでお先に失礼します...」

 

「分かった...じゃあな。くれぐれも男に気をつけろよ」

 

「えっ?、はい...」

 

 

彼はカバンを持ちお辞儀をしてコートを背を向けた。葵は無言でイヤホンをして個人的に練習を始めた。三人は自然とベンチに座り葵を視線を向けて雑談し始めた。

 

 

「雪音ちゃんと雪菜ちゃんはパパの事どう思ってる?」

 

藤白は不意に思ったことを普段、共に生活する姉妹に聞いた。雪菜と雪音はうーーんと深く考え始めた。

 

 

「パパはいつもやさしい♪。だけど、たぶん...ムリしてる...」

 

 

何となくなのか、あながち間違っていない答えだった。雪菜も小さく艶のあるピンク色の唇を開けた。

 

 

「一日一日、一人で必死に家事をやっています。手伝いますって言っても、9割は断って一人で家事をしています。そして、会長さんからとある話を聞いて、お父さんに本気に怒りたいと思いました。しかし同時に、私の考察が確信に変わりました...」

 

「・・・・・」

 

「それは自分のことを大切にしなくて、常に周りを観察して配慮を行い、何よりも相手に利益があれば自分も犠牲にする性格です。そんな性格のお父さんはとても疲れストレスが溜まる人です」

 

 

日本刀のように鋭く的確で記憶に染み込む言葉を残し不安そうな顔をしている雪菜。藤白玲美はうしろから雪菜の小さな体を抱擁した。

 

 

「大丈夫だよ...何故なら、私がお父さんを変えてあげるから安心して...ね♪」ニコッ

 

 

なぜか根拠の無い言葉なのに安心する一言。とても繊細で美々しい笑顔。雪菜は身体中が温まり心が楽になった。

 

 

「さてと、女子会はここまで、先輩呼んで帰りましょう♪」

 

「うん♪帰る」

 

「そうですね」

 

 

話を切って雪音がさっき雪菜の話はイマイチ分からなかったような顔をしていた。難しい顔が笑顔に変わり返事をして、葵のところまで走った。後から二人が着いて行った。

 

 

「パパ~♪帰ろう」ニコニコ

 

「うん?、そろそろ、時間か...今日の夕食なに食べたい?」

 

「おにく♪」

 

「雪音...太るぞ...野菜もちゃんと食べろよ...」

 

「だいじょーぶ♪、パパのごはん、すごくおいしいからやさいも食べてるよ」

 

言われてみれば...雪音って好き嫌い激しくないどころか好き嫌いがないか?。

 

「先輩が料理!、以外ですね。男なんてもやしと肉を炒めてBBQソースをかけて完成とかじゃないんですか?」

 

「な訳あるか...どっからそんなイメージが出たんだよ...」

 

 

何かしらの印象と予想が違って信じられない顔をして驚いていた藤白。それと同時に、よからぬ思惑を考え始めた。

 

 

「二人が好きそうなサーロインステーキでも作るか...」

 

「おぉ!、はじめてきいた♪どんなの?どんなの?」ワクワク

 

「ざっくり言うと厚さおよそ1cmスライスされている生肩ロースに火を通して味付けをする肉料理...」

 

「おぉ!、美味しそう~♪。早く帰ろう」グイグイ

 

「オイオイ...引っ張るなよ。雪音...」

 

 

星のように瞳をキラキラにしてワクワクしながら葵の袖を引っ張りそのまま手を繋いだ。その背後で葵たちを見ている二人も後からついて来た。

 

 

「あっ、先輩」ボソッ

 

 

不意に耳に息がかかるくらい近づいてきた藤白の唇に反射的に即座離れようと思ったが重要そうなので我慢をして(自分の性欲を...だってこんな美少女に耳打ちなんてされたら...なんかドキッとするしエロいじゃん)と思いつつ耳を傾けた。

 

 

「なんだよ...」ボソッ

 

「さっきの二人の話聞きましたよね」ボソッ

 

「お前が聞かせたんだろうが...妹たちと喋る前に「何も言わずに電話モードにしてイヤホンを耳につけてシュートを打つ練習をして黙って聞いてください」って言ったのはお前だろうが...」ボソッ

 

「そうですよ...で、どうなんですか?、妹たちをこんなに不安にさせて少しは気持ちは変わりましたか?」ボソッ

 

「あぁ...分かっている...、ったく...会長が余計なことを言うから...」ボソッ

 

「まぁ、お姉さんはともかく、私も同じですよ...と言うよりは、先輩に関わっている人は全員同じ気持ちだと思いますよ...」ボソッ

 

「・・・・・それは有り得ない。妹たちはともかくお前達に心配される筋合いはないと思うがな...まぁ、でも善処する...妹たちに不安させないためにも...」ボソッ

 

「そこは私たちも含めてくださいよ...特にわたしを」ボソッ

 

「なんでだよ...」ボソッ

 

 

相も変わらず、ダルそうに答えたのだが、何故か藤白は頬を赤くして急に黙り込んだ。

 

 

「...先輩...近いです...」カァー

 

「えっ...あぁ、悪い...」ボソッ

 

 

言葉のキャッチボールをしていたら、お互いに少しずつ距離が短くなっていることに気づき、二人は恥ずかしくなり顔を赤く染めた。

 

 

「ねぇねぇ、ふたりだけでイチャイチャしないでよ。私を入れて」プクゥ

 

「イチャイチャなんてしてねぇよ...雪菜もそう思うだろう...って何で怒ってんの...」

 

「いいえ、怒ってません...」ジー

 

「怒ってんじゃん...ほら、怖い顔するな...親から受け継いだ可愛い顔が台無しになるだろう...」

 

 

葵は雪菜に近づき、人差し指で頬をつんつんと突っついた。その行動に雪菜も赤面になった。

 

 

「子供扱いしないでください...あとズルいです...」プクゥ

 

「雪菜はまだ子供だろうが...てか、ズルいって何が?」

 

ズルいのは雪菜の頬さくらんぼのように赤くなって膨らんだ時が、可愛すぎてほうがズルいだろう...。

 

 

歩きながら楽しく会話をしていると、いつの間にか見覚えのある家に着いていた。すると、藤白のぷにぷにして可憐な唇が動いた。

 

 

「先輩、今日泊まって良いですか?、明日、また学校の事情で休校ですから」

 

「ダメだ...」

 

「えぇ!、約束したじゃないですか?」

 

「いつの話だよ。それはゴールデンウィークの時の話だろうが、その話は無しだ...そもそも、泊まっても着替えとかどうする気だよ...」

 

「女性セバスチャンに持ってきてもらいます♪」キラーン

 

「そうだ...コイツ一応、お嬢様だった...」ハァ

 

「一応って酷くないですか!?」ショック

 

 

頭が痛くなる話を吹きかけられ、どうにかして諦めさせる方法を考えていると、雪音が袖を引っ張った。

 

 

「パパ、いえはにぎやかのほうがいいから、れいみおねえちゃんを泊めようよ~」

 

「私もいいと思いますよ」

 

 

とても寂しそうな顔をしていた。なにか藤白の家庭の事情があるのかもしれないときっと思っているのであろう。二人は...。

 

 

「はぁ...わかった。二人に免じて今回は許す。だか、条件がある。俺の部屋には絶対入るな。それだけは約束してくれ...誰にも見られたくない物があるからだ...」

 

 

葵は年中無休でダルそうにしているが今回はそのダルさが抜けて藤白にお願いをした。その真剣の眼差しに目を疑ったが藤白は頷いた。

 

 

「分かりました。深く胸に刻みます...」

 

「悪い...ここまで強く言うつもりは無かったんだがな...」

 

「いいえ、じゃあ、よろしくお願いします」

 

 

藤白玲美が泊まると決まった際に、雪音が一番に喜んだ。

 

 

「わぁーい♪、れいみおねえちゃん♪、いっしょにおふろ~♪」

 

「じゃあ、一緒に入ろうか♪。雪菜ちゃんも一緒にね♪」

 

「はい、お風呂は三人で入るには狭いので、先に雪音と一緒に入りますので、体が洗い終わったら呼びます」

 

「分かった、先輩も一緒に入ります?」ニアニア

 

「入るわけねぇだろう...夕食を作るの遅れるから...雪菜の言った通りにしてくれ...」ハァ

 

 

気だるそうに溜息をついたが、愛娘たちが表情豊かなので、満更でもない顔をして我が家に入った。




読んで下さり、ありがとうございます。
これから卍解したいと思う所存です。


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葵は藤白玲美の痛みの過去を少し知る。

黒歴史の1ページになりそうな小説ですが、付き合って下さりありがとうございます。
今回は珍しく早く書けました。
(一日遅れてるけど)心の声
いや待てよ...2日遅れてる・・・・・
・・・・・・・・・・ではどうぞ


 

台所から香ばしい匂いとジューと油が飛ぶ音が聞こえ、そこには葵光が4人分の夕食、スーパーで少し高級な牛の肩ロースを焼いき、栄養バランスを考え、サラダポテトやピーラーで薄くした野菜を入れたスープを作っていた。

 

しかし、彼は心を無にして精神統一を行い野菜を切ろうとするが集中ができない。何故、彼はここまで苦しんでいるのかと言うと・・・・。

 

 

「れいみおねえちゃん、むね大きいね♪」

 

「あと十年後くらいには雪音ちゃんも大きくなるよ」ニコッ

 

「私も大きくなるかな...」ペタッ、ボソッ

 

 

ドアが開いているせいで三人の声がお風呂場から廊下に通じてリビングまで聞こえ、全く集中ができなく、野菜に刃を通せず、寧ろ、俺の娘or息子が段々元気になって、とある部位をある部位に通したくなる気持ちが高まっていく。

 

ならば廊下のドアを閉めればイイじゃんと思われがちなのだが、閉めたいよ...閉めたいけど、体が動かないんだ。このまま聞きたいと思ってしまって動けないんだ。思春期男子には欲望、欲情の法則には勝てねぇよ。(今考えた)

 

そして、葵は気づく。

 

 

ヤバい!ヤバい!落ち着け葵光!、なに興奮をしている!。俺は永遠に童貞を貫くのではないのか、否、それは間違っているのか。待てよ...俺には十五夜が...違う違う.....愛しい愛しい愛娘たち雪音と雪菜がいるではないか。慣れているはず...。あんなアザトイ後輩に欲情せねばならないといけないのだ!。よし...落ち着いた...。

 

 

左胸に右手を当てて深呼吸をして冷静になった。だが、まだ終わっていなかった。ピンポーンとインターホンが鳴り、包丁を置き玄関のガチャとドアを開けた。

 

 

「どちら様でしょうか?...」

 

「初めまして、藤白玲美お嬢様の専属セバスチャンでございます。お嬢様のお着替えを持ってきて参りました」ペコリ

 

 

高級素材を活かした小さめの白い手提げバックを持った黒いタキシードを着た長髪の黒髪をまとめた女性が頭を下げた。初めてセバスチャンを見て目を疑ったが、礼節がよく言葉遣いに品があり納得した。

 

 

「いま、藤白はうちの子と一緒にお風呂に入ってるんですけど、直接渡すなら、家に上がりますか?」

 

「えっ、殿方の家でお嬢様がお風呂に入っている?、しかも、うちの子ってすでにお嬢様と子作りをなされ、子供と一緒にお風呂を入っていると、コレは旦那様に連絡をしなければ」シュッ

 

「それは無い!、うちの子と言うのは妹のことなので、あとスマホも下ろしてもらっていいですか...」

 

 

見た目によらず凄いことを言うセバスチャンは不服そうで残念そうな顔をしてスマホを胸ポケットしまい、変な誤解を解き話を戻した。

 

 

「で、どうするんですか...」

 

「・・・・・では、あなたに直接お嬢様に渡してもらいます。面白そうなので...」オネガイシマス

 

「あなた、セバスチャンですよね...最後の一言は余計なのでは...」ハァ

 

 

セバスチャンから藤白の衣類や下着が入った手提げバックを受け取り、お願いしますと頭を下げ背を向けた。

 

正直、ダルいとしか言いようがないが、まぁ、致し方なく...致し方なく...お風呂場の入口付近に置いとけばいいやと思い、玄関の鍵を閉めた。

 

 

お風呂場の入口付近に立ち、ノックをして藤白に伝えようとすると、お風呂場のドアが急に開いて、スッパ裸の雪音が出てきた。

 

そのまま勢いよく葵にぶつかり、体格の差で葵は何ともないが雪音は弾き返され倒れそうになるが、反射神経の良く雪音の背中を支え倒れずに済ませた。

 

 

「雪音、大丈夫か...」

 

「うん、だいじょうぶ」

 

 

雪音を立ち上がらせ、どこも怪我が無く済ませたので一安心した。だが、前方にお風呂場...いや、男のロマン、湯けむり楽園から白いフワフワした体にタオルを巻いて右手にも白いタオルを持って出てきた後輩と頭をタオルで拭いて出てきた愛娘(姉)が雪音に声をかけた。

 

 

「雪音ちゃん、まだ頭吹いてないから出てきちゃダメだよって...なっ、なんで先輩こんなところにいるんですか...」

 

「雪音、頭拭いてよ...って、お父さん何やってるんですか」

 

「い...いや、藤白、お前のセバスチャンから着替えを渡されてな...お前に渡そうと...思って...」

 

「・・・・・そうなんですか?、ありがとうございます。私はてっきり、先輩が女風呂を覗いてるのかなって思っていたんですけどね。よかったですよ。警察を通報せずにすんで」ニコニコ

 

「マジで違うから...携帯構えないで...」

 

 

取り合いず、誤解されずに済んでよかったと思い、藤白に手提げバックを渡した...のはイイのだが...藤白のスタイルの良さやいい匂いがして、思わず目を凝視して見とれてしまった。

 

 

「あっ、あのぅ...先輩...あまり見られると...照れるというか...恥ずかしぃ...ですけど...」テレッ

 

初めて男の人にバスタオル姿を見せてしまった...しかも、センパイに...。

 

「・・・・・わっ、悪い、いや、その、なんというか...スマン、人生で初めて見とれてな....つい...」ワルイ

 

「えっ、今、なんて?」

 

ホントは聞こえてたんですけど...。

 

「・・・・・お前じゃなく、相変わらず可愛い妹たちに見とれてしまってな。うっかり、じゃあ、渡したから戻るわ」ニゲル

 

 

雪音を藤白に任せ、台所に向かい、包丁を持って料理に再開したが・・・・・。

 

 

危ねぇ...本音が漏れてしまった...、ギャップ萌えしてしまった...いつもだったら、「センパイ一緒にお風呂入りたかったんですか♪」みたいな事を言うと思っていたが、アレは藤白の素だな...今更だけど、あんな美少女後輩がいたら、あるマンガの海賊コックの金髪黒足兄貴みたいに目が奪われるよ。(あの人の場合は異常だけどな)

 

 

だが、葵には気になったことがあった。藤白玲美の首筋のあたりに変なアザがあったことは口にしなかった。

 

時計の針が10度進み、テーブルに4人分の料理を置いた。丁度、藤白たちがリビングに来て、一番に藤白から声が出た。

 

 

「すっ、凄いですね。これ全部、先輩が料理したんですか?」

 

「当たり前だ、これくらい出来なきゃ二人の面倒をみねぇよ。出来なくても、最善の努力はする。ちゃんと筋は通すのが俺の心情でもある」ウンウン

 

 

やっと一段落がつき、料理を置いてあるダイニングテーブルの4つある背もたれ出来る長足椅子のいつものポジションに座った。雪音は葵の隣に、雪菜は雪音の前に、藤白は葵の前の椅子に座り、4人は手を合わせた。

 

 

「いただきます♪」

「頂きます」

「頂きます...」

「召し上がれ...」

 

 

藤白、雪菜は左手でフォークをサーロインステーキに刺し、右手でナイフを丁寧に、上品にひと口サイズに切り、フォークで口元まで運んだ。雪音は見てて真似しようと頑張っているが、なかなか上手くいかない。

 

 

「雪音...やってあげるよ.....ほら、くち開けろ...」

 

「ありがとう、あ~ん♪モグモグ、ほっぺたが落ちるね♪。いつもより美味しい♪」ウゥー♪

 

 

雪音は自分のぷにぷにした頬を抑えて幸せそうな表情を浮かび上がらせた。

 

 

「それは大袈裟だ.....」

 

「ちがうよ。パパ」

 

「・・・・・?」

 

 

首を振って否定し、葵は何が違うのか、普段使わない脳を働かしたが、それでも雪音の言葉の意味が分からなかった。そして、雪音は口元にソースをつけて答えをいう。

 

 

「かぞくで食べるからおいしんだよ。それに、きょうはれいみおねえちゃんがいるから、さらにかくべつになんだよ」ニコッ

 

「そうだね。雪音ちゃん♪」

 

「・・・・・そうだな」

 

あまり、ここ最近は忙しくて娘たちと食べることは無かったからな.....。悪いことしたな...。

 

 

葵は雪音の口元についたソースを拭いて、その後も葵の太ももの上に座らせ、雪音の口元にひと口サイズに切り料理を運び、同じフォークを使い葵も食べ始めた。

 

 

「・・・・・お父さん、私も上手くフォークを扱えませんので切ってください...ついでにあーんもしてください」

 

「雪菜...ちゃんと切れてるじゃないか...」

 

 

雪音の最愛の家族の太もも椅子&あーんをしてもらい幸せそうな顔を見た雪菜は嫉妬し、急にわかりやすい困ったフリし始めた。

 

 

「とにかく、私にも雪音と同じことをしてください...」

 

「・・・・・わかったよ。雪音...悪いが交代だ」

 

「えぇ~、分かった。後でね♪」

 

「えぇ...まだやるんかい...、まぁいいや」

 

 

葵は立ち上がり雪菜のもとまで反対側に周り雪菜の椅子に座った。その後、雪菜もモジモジと恥ずかしそうに座り、雪音と同じことをし始めた。

 

 

「雪菜...おまえ恥ずかしいだろう...もう小5なのに...」ハァ

 

「いいえ、恥ずかしくないです...続けてください」デレッ

 

実は、恥ずかしすぎて心臓がドキドキして、しかも、この状況に幸せすぎる...。

 

 

徐々に体温が高まり顔が熱く赤くなり、折角の美味しい料理が味がわからないくらい味覚が感じず、パクパクと食べていた。

 

 

雪菜はこんな状況でも見逃さなかった。葵が食べる時にフォークを変えていることを・・・・・。

 

 

「お父さん...フォークは変えなくていいですよ...」

 

「えっ...さすがに嫌だろう...オレが使ったフォークなんて...」

 

「フォークをいちいち変えるなんて...面倒じゃないですか...だから、変えなくていいですよ...」

 

「でもな.....雪菜がいうなら...」

 

 

葵が使ったフォークを変えず、ひと口サイズに切った肉に刺し雪菜の口元まで運び、食いつきよく噛んで飲み込み硬直した。

 

 

「・・・・・?、どうした。雪菜」

 

「・・・・・いいえ、何でもないです。お父さんのフォークを使うとただ少し不味い気がしました」

 

「えぇ...マジかよ...オレのフォーク使ったからなの...ショック...」

 

「冗談ですよ。美味しかったです...」

 

・・・・・フフフっ♪、ご馳走様です♪。

 

 

心の中で最愛の人と関節キス出来て、いつもの倍は機嫌が良くなった。その様子を見ていた藤白玲美は羨ましそうな顔をしていたが、今は兄妹の空間だと気をつかい、三人を微笑んで見て思った。

 

 

私もこんな家族だったらな.....。

 

「雪音...藤白にあーんしてもらえ...」

 

「そのほうほうがあった。れいみおねえちゃんやって」

 

えっ、そんなにすぐに納得しちゃうの...雪音。お父さん...悲しい...。グッスン

 

 

そんな言葉を聞いて藤白は不思議と驚いている。驚いている理由がよくわからないが

 

 

「えっ...その輪に私が踏み込んでもいいのですか。先輩?」

 

「えっ?、その質問はよく分からないが...やってほしいって言ってるから...雪音のワガママに付き合ってあげて...」

 

「そうですか、では、あーんして雪音ちゃん♪」

 

ありがとうございます、先輩...。

 

「うん、あーん♪、モグモグ、美味しい」

 

 

葵にとって面倒事が多かった1週間、娘達と藤白との安らぎの時間が過ぎた。葵はテーブルに肘をつき頬を触れ顔を支え、三人の有意義な風景を伺い何故か微笑んだ。

 

 

何でだろうか...いつもより安心する...藤白がいるからか...らしくないな。オレ、季節外れの風邪でも引いているのか...。捻くれた風邪だな...人のこと言えねぇな。

 

 

もはや癖とも言える自問自答を繰り返し、どうでもよくなり立ち上がり「片付けるぞ」と呼びかけ、四人はそれぞれ自分が使った食器を持ち、台所に置いた。

 

 

「俺が片付けるから...」

 

「先輩は先にお風呂入ってください。片付けくらいは私たちがやるので」

 

「藤白はお客だ...俺一人で充分だ.....はぁ...諦める気ねぇな...分かったよ...任せた...紺、どこにいる?...」

 

「こん?」

 

「お前は知らないはずがない...」

 

 

可愛らしくあざとい仕草で深く考えたが、思いあたることがなく、誰だろうと思った。階段からトントントンと軽い音か聞こえてきた。ドア越しガラスからから小さな黒い影が見え、ドアを開けるとギンギツネの紺が葵の足元で尻尾をフリフリと揺らして座った。

 

 

「あの時のギンギツネですか?!。1ヶ月ぐらい見ない間に大きくなりましたね」ビックリ

 

「それはよく思う...動物って成長が早いからな...俺と紺はお風呂に入るから...、その間に片付け終わったら二階の客間に居といてくれ...風呂あがったら行くから...」

 

 

足元にいた紺は葵の服に爪を引っ掛けよじ登り、前脚を右肩に、後ろ脚は左肩にのり、マフラーの様に巻きついた。

 

 

「よく懐いてますね。少し先輩に似てますね。特に目付きが」フフフ

 

「そうか?、コイツ...俺の肩に乗る癖があるんだよ。しかも、よく寝てる...呼んだらすぐ起きて来るから助かるけど...」ハァ

 

「それは確かに似ていますね」フフフ

 

「まぁ...あとは任せた...」

 

 

紺を肩に乗せたままお風呂に向かった。藤白たちは葵に頼まれた事をスムーズに進み、洗濯物もネットに服や下着を分けて乾燥ができるダム式洗濯機に入れ、洗濯→乾燥を押し、二階に上がり藤白を教師になってもらい二人の勉強を手伝った。

 

一方、葵は最初に自分の体を洗い、その後に紺の黒色の中に銀色が混じった毛洗いをして水を流しタオルで拭いて、風邪をひかないようにドライヤーで乾かし、葵も体を拭きバスケ上下の衣類を着て、紺のご飯を持ち、三人がいる二階に向かった。

 

二階のスライド式のドアを開けると三人はソファに座ってテレビを見て休んでいた。葵も座り紺にご飯を与えながら見ていた。

 

 

「何か面白いのやっているのか...」

 

「あまり子供向けではないですね」

 

「おもしろくなーい」プンプン

 

 

藤白は苦笑いで答え、雪音も不機嫌になりリモコンを持ちテレビの電源を切った。雪菜は紺にご飯を与えたそうな顔をして、無言でじーっと見ていたので雪菜に渡し任せた。会話のない空間から雪音がいきなり話題をふった。

 

 

「ねぇねぇ、パパとれいみおねえちゃんって大人だよね?」

 

「まぁ、一応そうだね」

 

「そうだな...」

 

 

二人は答えた。だが、このあと、雪音はふたりには予想もできない言葉が出てきた。

 

 

「じゃあ、パパとれいみおねえちゃんはこどもって出来るの?」

 

「それは私も興味ある...」

 

 

一瞬、時が止まったように感じた(質問された二人だけ)。雪音も紺にご飯を与えていた雪菜も興味を示した。

 

「雪音、どこからそんな情報を得た...」バクバク

 

「えっ?、ともだちから、きのう、お父さんとお母さんがゆうがたからあさまでプロレスごっこしてたっ言ってて、きいていた男子が「大人の男女が一緒にベットに寝たら、子供を作る為だって」って言ってたから、じゃあ、ふたりもできるのかなってぎもんにおもって、どうなのかなって」ウーン

 

・・・・・正直な感想、凄いハッスルな夫婦だな...、しかも、よく知ってるな...その男の子...どっから聞いたんだよ...細かい事までは知らなさそうだけど...まぁ、昔、俺も見たことあるんだけどな...たぶん。

 

 

自分の親ではなく、泊まりに来た父方の妹とその旦那がヤっている所を発見してしまった記憶がある...。ちっちゃい頃だから、よく覚えてないけど、親父やお袋にここ入っちゃいけないよって注意されたけど、好奇心に勝てなくて、少し、お邪魔しますしたら、ハッスルしていた...たぶんな。

 

 

「雪音...それは外で聞いちゃいけないよ。雪音もいつか分かるから...なぁ、藤白...」

 

 

注意深く雪音と雪菜に口封じをした。藤白にも助けを求めたが、顔を赤くしてぷるぷると震えながら黙り込んだ。

 

 

藤白らしくねぇ...いつもだったら...あざとくふざけて冗談を言っているのに...今日に限って可笑しい...。

 

「おい...藤白...大丈夫か?」

 

「・・・・・えっ!、私そんな、心の準備が...」

 

「いやいや待て!、そんなことは言っていない!。落ち着け...まず、俺にはそんな度胸がない...Do you understand?(理解できた?)」

 

「えっ...すいません早とちりして、そうですね。先輩にはそんな度胸がないですね」

 

自分で言って納得されたのは傷ついたが、まぁいいや...。

 

 

自分の首を絞めるような発言をしたが忘れて、何回か噛んだが無理やり話題をそらした。

 

 

「そっ...そう言えば、なんで明日、学校休みなんだろうな...」

 

「えっ、先輩なにも聞いてないんですか?」

 

「・・・・・なんか言ってたか...?」

 

「6月の中旬に記録会があるじゃないですか、先生方の職員会議で重要なことがわかり、それは記録会で使った物品がボロボロで使えなく、新しく買わなければならなくて、それで予算の会計などは生徒会にすべて任せて、先生方は経費や物品の確認などがあり、明日は休みだそうです」

 

「だから無駄に生徒会こ仕事が多いのかよ...そんな理由で...学校休みかよ...」

 

記録会って運動会みたいなヤツか...ダルいな...雨降らねぇかな...。

 

「次から生徒会には私が加わるので任せてください」

 

 

藤白は男の理想なサイズで童貞のロマンが詰まった胸を右手で抑えた。いつもより賑やかに会話をしていたら、時計の短い針が9に指していた。

 

 

「歯を磨いて...ぼちぼち寝るぞ....」

 

 

背伸びをして立ち上がり話を切り、みんなで歯を磨いて雪音たちのベットに向かい美少女三人は広々としたベットに座った。

 

 

「藤白、雪音たちと寝るか一人がいいなら、俺の部屋のベット使うか...どっちがいい...」

 

「えっ、先輩の部屋入っていいんですか?」

「見られてく無いものは閉まったから...いいよ...」

 

本当に見られたくないものは閉めてあるからな...。

 

「なにを隠したんですか?」

 

「隠したとか言わないでくれ...別にお前が想像しているものでは無い決してな...いや、マジで信じてくれ...」

 

 

いつの間にか、普段の仮面を被った藤白玲美になっていた。おちょく様に冗談を言って口元を抑えてニアニアして見ていた。

 

 

「でも、今日は雪菜ちゃんたちと一緒に寝ます」ニコッ

 

「おまえ後悔するぞ...」

 

「それの口調だと雪菜ちゃんたちと一緒に寝てるんですね」

 

「...うグッ...そうだよ...雪菜たちが一緒に寝たいって言うから、いつも寝てるんだよ」

 

「そうなの?。雪菜ちゃん」

 

「そうですよ...」

 

「そうなの?良かったね。その歳で子供できること無くて」ヨカッタ

 

「おまえは俺を犯罪者にするつもりかよ...」

 

 

藤白のボケで茶番劇が始まり、それを真に受けた姉妹は葵に声を揃えて聞いてきた。

 

 

「「子供でもできるのパパ(お父さん)?」」

 

「できないよ...藤白の言うことは真に受けるなよ...」ハァ

 

 

頭が痛くなる質問をされて、どうでもよくなり自分の部屋に戻ろうとするとまた呼び止められ提案された。

 

 

「よにんでねようよ。パパ♪」

 

「いや...それは藤白が迷惑だろうから...今日は無理だよ」

 

「先輩ならいいですよ」ニコッ

 

「いや、しかしな...」

 

俺が寝れない...

 

「ねぇ、おねがい~♪」

 

 

愛娘の頼みであるが、男のして、ましては思春期男子にはとてもキツい話であるが、まともに寝れない覚悟を決めて答えた。

 

 

「分かったよ...寝るか...」

 

「やった♪」

 

 

愛娘の喜ぶ表情が見れたのでいいが、それと同時に改めて覚悟を決めた。(寝れない覚悟を...)

 

大人4人だと狭いが、子供二人、大人二人の場合は少し余裕があるからベットに落ちないようで助かったと思い、部屋の電気を消して、引き出しがついている小さな机の上のミニランプをつけて寝た。

 

ベット右から葵、雪音、雪菜、藤白と子供二人を守るように並んで寝ている(紺は姉妹の間で寝ている)。愛娘たちが寝た時、葵も目を瞑った。しかし、藤白の声が聞こえた。

 

 

「先輩、まだ起きてますか」(ボソッ)

 

「あぁ...どうした...」(ボソッ)

 

「この状況、まるで親子みたいに思いません?」(ボソッ)

 

「おまえ...よくそんな恥ずかしいこと言えるな...」(ボソッ)

 

「じゃあ、さらに先輩にはサービスします」(ボソッ)

 

 

と彼女は起き上がり、雪音と雪菜を起こさないように位置をヅラし、葵の上に空間ができて、そこに無理やり藤白が入って葵と対面して、接触してうずくまって寝た。

 

 

「おっ、おまえ、どういうつもりだ...部屋に戻っていいか...」(ボソッ)

 

「ダメです。先輩には拷問を受けてもらいます」(ボソッ)

 

「何でだよ...いつ俺はお前に恨みを買ったんだよ...」(ボソッ)

 

「買いましたけど、この状態はとても安心するですよ」(ボソッ)

 

 

彼女は前と同じ様な柔らかく安心する表情を作り、葵の光が通らない瞳とキラキラと輝かせるオーシャンブルー色の瞳の目が合い言葉を進める。

 

 

「私には5歳上の兄がいます。その兄は先輩に似ています」(ボソッ)

 

「それは、その発言はお兄さんに失礼じゃないか」(ボソッ)

 

「けれども、その兄は今どこにいるか分かりません...」(ボソッ)

 

「・・・・・何でそんな話を俺にするんだ...」(ボソッ)

 

「そんな兄に似ているからです.....それで...」(ボソッ)

 

「藤白...その話は終わりにしよう...その先はお前にとって話しにくそうだ...」(ボソッ)

 

「・・・・・すいません...先輩...」(ボソッ)

 

 

彼女は誰にも知られたくない言いにくそうな話しを俺に話してくれたのは、信頼されているからこそなのかもしれないが、たぶん...その藤白が語ろうとした過去の物語はきっと...とても辛く、残酷な話であり、藤白の首筋のアザと関係があるのかもしれない。と勝手に推測してふたりは寝た。

 

 

 

 

 

 




付き合って下さりありがとうございます。
また、早めに更新します。
次回は記録会本番設定で作ります。だいぶ飛びますが、読者様に飽きられないように面白く作りたいと誠心誠意やらせて頂きます。


葵たちのお母さん出張設定ですので、すいません。本文に付け足しときます。まぁ、いないんですけどね


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記録会前日・・・・記録会準備

やっぱり、記録会当日を止めて前日にしました。
前置きは必要かなと思いやめました。
優柔不断ですいません。
1ヶ月ぐらいあけてすいません。
謝ってばっかですね・・・・・ではどうぞ。


6月...水無月の語源でもあり、夏の初め(初夏)である。北海道を除く各地では梅雨の時期であり降水量が多く、ジメジメとした毎日が続くシンドい1ヶ月である。

 

一部の人は大イベント、ソーシャルネットゲームではジューンブライド、訳せば六月の花嫁、作品によっては二次元の美少女達がウエディングドレスのコスプレをしてガチャに登場する。

 

ある人は梅雨を活用してラブコメに走り、相合い傘をして学校を登校、下校をしている人達が目を逸らしても見える。(逸らしてるのに見えるとか...心が痛むから...やめて...)

 

とある生徒会室はドス黒い空気が漏れている。遊びや青春をしている状況ではなく、とても深刻な状況に追い込まれている。記録会当日まで天気予報では雨が降るって予報されていたので、中止になるのかと思いきや、前日になり空を見上げると青空が広々と壮大に見え、雲ひとつもない快晴である。

 

生徒会男子1名は外でテントを張ったりブルーシートを広げて敷いたり、放送チェックをする。(主に男教師と俺が協力して力仕事を任されてる)

 

残りの美少女3人は生徒会室でパソコンと対面している。予想外の立て続けて生徒会は頭が痛くなる一方。俺がある程度の準備を終わらせ生徒会室に戻ると、五時になると救世主が生徒会に来るので、それまでしばしばの辛抱と言わんばかりの表情である。

 

 

「大丈夫ですか...」

 

「葵くん助けて~私を気持ち良くすることできない?」

 

「出来るわけないでしょ...」

 

何をやればいいんだよ...会長の言い方が卑猥に感じるから、如何わしいことしか頭に出てこない自分が恥ずかしいと言うのは内緒だ...だ、だって男だし...しょうがないじゃん。

 

「あなたに心配される必要性はありません...変態ロリコン」

 

「そうですか...」

 

心配したのに罵倒が帰ってきた...しかも変態ロリコンとか言われたんですけど、副会長はどっからそんな言葉が俺に定着してるんだよ。娘のこと話したことないのに。

 

「光、紅茶お願い...」

 

「ダジャレ言える余裕あるならやらなくてよくないか...」

 

「殴るよ...ロリータ・コンプレックス」

 

「すいません、今すぐお作りします」

 

殴る以前に幼馴染の口から副会長の罵倒よりレベルアップしたロリコンの通称名がとんできたんですけど...。

 

 

「もう少しでアイツが来ますので頑張ってください...」

 

 

花の次いでに自分のと先輩方の分もアイスティーを作り、無言で手元に置いてフカフカの椅子に一息つき腰を下ろし休憩すると廊下から走る音が聞こえてきた。ガラガラとドアが開き、そこには新しく入った生徒会庶務の藤白玲美が呼吸を荒立て膝をついた。自分の貧乳でなければ巨乳でもない男の理想サイズ成長ホルモン豊富な胸にあてて一呼吸ついた。

 

 

「た、ただいま参じました」

 

「待ってたよ...救世主が来ましたよ...三人ともって...死んでる...」

 

 

アイスティーに口をつけずに手を止めて三人は口を揃えて「疲れた...」と呟き机に顔を当て休憩した。それを見て苦笑した。

 

 

「藤白...あとは頼んだ...」

 

「わかりました」

 

 

何故、藤白玲美が救世主と呼ばれるのかって言うのは生徒会の誰よりも姉である会長をしのぐほど作業の処理が2~3倍はやい。だから、救世主と呼ばれるのだ。

 

それから藤白(妹)は集中モードに入り無言になった。その様子を長く机に肘をつき手を顔にあてダルそうな瞳で見守った。少し時間が経つと「ふぅ...」と終わったような声が聞こえた。葵は立ち上がりアイスティーを彼女の手元に置いた。

 

 

「お疲れ様...」

 

「ありがとうございます」

 

「悪いな...お前を毎回まかせっぱなしで...」

 

「いいですよ。珍しく滅多に誰にも頼らない人から頼まれたんですからね。私はとても良い気分です♪奢るか私の質問に絶対に答えるか先輩の情報を請求します」

 

「何でだよ...奢るのはいいけど、質問の請求するのはおかしくないか?」

 

「だって先輩は自分のことを喋ってくれないじゃないですか」

 

うわぁ...あざとい...俺のこと知ってどうする気だよ。あれだな俺の弱みを握ろうとしているか。

 

「まぁ今日は助かったからな...それで...寝たフリして盗み聞きするのやめてくれませんか?、会長」

 

「いやぁ~バレちゃったか」テヘッ

 

姉妹揃ってあざといな。

 

「会長の口車にのって副会長も花も何やってるんですか...」

 

「色見の口車にのせられただけよ」

 

「副会長と同じく...はぁ疲れた」

 

 

一度立ち上がり背筋を伸ばして再び座り、アイスティーをすすった。藤白玲美は楽しそうに話を進めた。

 

 

「ではでは質問です。先輩の誕生日はいつですか?」

 

「えっと...忘れた...」

 

「・・・・・何でですか!それくらい絶対覚えてますよね?」

 

まぁ覚えてるけど、俺じゃなくても、幼馴染の花や会長に聞けば一発でわかるのに何で聞かないんだ?。

 

 

予期せぬ答えが聞こえ、笑顔ながらも怒りの圧をかけ、もういちど声を低くして葵に質問をした。

 

 

「えっと...確か、受験を控えている学生達が夏休み明けに自殺をする多い日だったような気がする...」

 

「そんな怖い覚え方しないでください。先輩が可哀想に見えてくる...いつかやりそうです...」

 

「おいやめろ、そんな可愛そうな目で見ないでくれ、俺は自殺をしない。何故なら・・・・・」

 

「何故なら?」

 

ぐっと拳をつくり言葉に気合いをためて答えた。

 

 

「妹たちを置いていけないからだ...あとアニメと小説も見終わっていないから、その後なら別にいいけどな...」

 

 

そんな返答を聞いて前者の一言は感心したのだが後者で見事に呆れた表情に変わった三人。一人だけ因明な空気のなかで第一声は腹を抱えた会長である。

 

 

「ぷっ...ダメ...耐えきれない...葵くん...面白すぎ...ふふふっ」

 

「光...呆れた...本当に...」

 

「妹さんがいるんですね...シスロリコン...」

 

「先輩...どうなったらそんな性格に...」

 

 

葵は至極マジメに答えたつもりだったのだが ツボに入るほど笑っている会長もいれば、呆れてモノも言えない幼馴染、葵に対しての罵倒用語が更新した副会長、感心が抜けないが返答に疑問に思う後輩。変な地雷を踏んだなと思い次に進めた。

 

 

「ほ...他に質問がないのかよ...無いなら終わりだ」

 

「まだあります...けど、今さら先輩がこんな性格なのはいつもの事なので切り替えます」

 

余計なお世話だ...。

 

「次は質問と言うよりか勧誘に近いんですが、単刀直入に言わせて頂きます。先輩...いいえ葵光さん、私の父の藤白財閥のバスケ球団の選手として契約しませんか?」

 

 

空気がまた変わり一人の交渉者として言葉を並べた。流石に姉の藤白色見も瞳をわずかに広げた(二人も同様)。言葉を聞いて心臓にグサッと矢が刺さったように思えた。そして慎重に一言一句まちがえがない様に答えた。

 

 

「嬉しいお言葉ですが...丁重にお断り致します...」

 

「何故ですか先輩、断る理由を聞かせて頂きたいです」

 

もうすでにあなたのお父さんとは四ヶ月前に御対面し契約しているなんて言えたもんじゃねぇからな。秘密にする必要性はないがなんか俺は嫌だから。しかし近々こうなるとは思ったが、まさかこのタイミングだとは予想外だ。

 

「えぇ...そうだな。おふくろが忙しい...俺が妹たちの世話をしなければならないから...それは理由にはならないか?」

 

「ならお母さんには仕事を辞めて妹さんの世話をしてもらい、先輩が選手として活躍すればお金の心配しないほど家を支えれ親孝行ができます。どうですか?」

 

今度は提案が来たか。

 

「・・・・・そうだな。それは俺にとっても利益がある話だ...だが断る」

 

少しジョジョったな。

 

「何でですか?」

 

「・・・・・面倒だから...それに他人の家庭に口出しは無用だろう。一応、頭の隅っこに置いておくよ」

 

「それもそうですね...わかりました。考えといて下さいね。先輩♪」

 

 

一旦引いてくれ、さっきとは爽やかな表情にコロッと変わった。猫かぶるの得意だなと警戒心と緊張感が抜けなくなった。

 

面倒なことになったなと素朴に思いながら、椅子に座り背もたれしてアイスティーを口に運んだ。

 

廊下から二人くらい軽い足音が聞こえ急にドアが開いた。今度は何だと思いチラ見すると我が愛娘、雪音と雪菜ではないか心の叫びが出てしまいそうになったが堪えた。

 

 

「どうした二人とも...今日は早く終わったのか?」

 

「うん、早く終わったから遊びに来た。あとパパと帰りたいから」

 

遊びに来たのかよ。雪音...まぁ...一緒に帰りたいのは同意見だ。

 

「そうか...雪菜は」

 

「お父さんを待つの面倒だから、放課後毎日、雪音と一緒に生徒会室に来て勉強と読書することにしました」

 

面倒なのかよ...てか大丈夫なのかよ。許可とか?

 

「すでに先手を打って生徒会担当の萩本先生には許可をもらっています」

 

行動が早く冷静沈着な愛長女よ。流石だ。

 

「あの...会長...いいんですかね」

 

しぶしぶ会長に一応きいた。二回言うがアレでも生徒会長だからな一応きかないと...礼儀だし。

 

 

「別にイイよ。むしろ大歓迎だよ。二人が居たら賑やかになるし癒されるからね」フフフ

 

「そうですか....」

 

「そうだ。パパに見せたいものがあるんだった。まってて」

 

「?」

 

 

天使の羽の赤いランドセルの中から二つに折られた何かが書いてある清書用紙...習字の練習用の紙を取り出し、自慢げに紙を開いた。そこには・・・・・。

 

 

パパ 大すき ゆきね 書

 

 

とまだ小学生の腕だなと思える清書だが、周りの字より大を強調している様にも見える。正直すなおに喜んだ方がいいのであろうけど、これは雪音は恥ずかしくないと思うが、俺がとても恥ずかしい...。

 

 

「どう?パパ」

 

「・・・とても綺麗に書かれてるじゃないか?」

 

「ヘェェ♪そうでしょう。先生にもほめられたから作品として提出した」キラン

 

えっ...マジで...そんなキメ顔で言われても困るわけでは無いがお父さんは犯罪者扱いされそうで心配なのだが...。

 

「とてもいい字でかけてるね。雪音ちゃん」

 

 

横からほぅほぅと頷きながら見ていた藤白玲美は他人事の様に...他人事だけど....会話を進めた。それに続いて会長、副会長、花も褒めて盛り上がっていた。その中にどっかのダルそうな人に見せたそうにうずうずしている子がもう一人。それに気づいた葵は話しかけた。

 

 

「どうした、雪菜も何か書いてくれたのか?」

 

「・・・・・うん、だけど見せるほどではないけど...」ムズムス

 

「オレは見たいな。雪菜の作品...ダメか...?」

 

「・・・・・見せたくないわけじゃないけど...恥ずかしいから...だけどお父さんが見たいって言うのなら...はい」

 

 

そっぽを向いてA4紙を裏面にして渡された。いつの間にか後ろには雪音や生徒会美少女が興味津々に少し楽しみに葵が表面にひっくり返すと・・・・・

 

背景にはどこかで見た事があるソメイヨシノ。その手前には俺と藤白、更に前には雪菜と雪音が並んでいるのがかかれていた。これは四月上旬くらいに4人で撮った写真がそっくりそのまま描かれていた。

 

 

「おねえちゃんすごーい!」

 

「凄い...上手いな。これ...小学生が書ける絵なのか?」

 

雪菜って幅広く才能があるよな。太鼓の仙人だってそうだったけど...その代わりなにか欠点があるんだけどね。だけどそこが雪菜の可愛いところだよな。

 

 

生徒会美少女達も目を大きく開いて思わず「凄い...」と言葉を漏らしてしまうくらいだ。

 

 

「二人ともいい作品だな。帰ったら玄関か階段に飾ろう...」

 

 

二人の頭に手を乗せて撫でた。

 

 

「パパのなでなできもちい~♪」ニャー

 

「・・・・・♪」ニャー

 

 

頭皮から猫耳が出てきそうな感じがするがギリギリ耐えたようだ。それくらい気持ちよさそうな表情にしている。しかし葵はまだ知らない背後で雪音の発言に反応した会長がわるだくみを考えついたことを。

 

 

「ねぇねぇ葵くん、私の頭も撫でてくれない?」

 

「なにいうとん...」

 

〝「「・・・・・とん?」」〟

 

 

会長があまりにもふざけた事を言い出したので、博多弁?関西弁?なのか中途半端な言語だが治したいと思っていた口癖が思わず出てしまった。

 

 

「・・・・・気にしないでくれ昔からの口癖だ」ハァ

 

 

今までの疲れもあり溜息をつき誤魔化すように流した...つもりだったのだが、笑え声が聞こえた...どうやら流せていないらしい。流れてよ...。

 

 

「先輩にそんな口癖が...可愛いですね...くっ...ぷっ...」

 

「そうだね...可愛いね...くっ...ぷっ...可愛いよ...」

 

可愛いを二回も言わなくていいよ。姉妹揃って笑いながら褒めるのは褒め言葉とは言わないぞ。...よくあるじゃん...例えば髪の毛切った翌日、学校行ったら似やってるねって笑いながら褒める人...結構...深く...深く心に響くんだよ...。しかもそれで学校過ごさないと行けないし。ツラい...。

 

「光にそんな口癖があったなんて幼馴染の私ですら知らなかった...」

 

知らなくて当然だろう。名古屋に滞在の頃。唯一喋れた先輩の口癖からうつったのだからな。小学校以来あった事なんて無いのに知ってたらストーカーだろうが...怖ぇよ。

 

「なにいうとん...可愛い...」(ボソッ)

 

「どうしたのですか...副会長?」

 

「なっ!殴りますよ...」

 

理不尽!?

 

「パパのくちぐせカワイイ、ゆきねもマネしてみる。きいてきいて♪」キラキラ

 

「あぁ聞いてやるぞ」

 

「いくよ......なにいう...とん?」

 

なんで疑問文?だが寧ろ疑問に思って首を傾げて上目遣いをされるとお父さんとしては口がゆるんでしまうんだが...うちの娘マジでカワイイ...。

 

「わ、私もお父さんの真似してみます。聞いてください...」モジモジ

 

「あぁ...いいよ」

 

なんか姉妹で張り合ってるんだが・・・・・それよりお父さん・・・・・精神が保てなさそうなのだが・・・・。(娘の可愛さに)

 

「言いますよ・・・・・なにいうとん?」ムッ

 

なんで雪菜は疑問文でやや怒ってるの?。雪音と全く同じ仕草をしないでくれるとお父さんとしては二人を抱きしめて頬をスリスリしたくなるのを今は抑えたいのだが.....。(今ここでやったら副会長に通報される...家でも雪菜にされそうな気がする.....やっちゃいけない?)

 

「あっ...先輩、明日の記録会は何に出場するんですか?」

 

藤白、グットタイミング!。これで精神を紛らわすことが出来る。危ねぇ・・・・・。

 

「えっ...と、なんだっけ?忘れたわ...」

 

「ここに出場表がありますので探してください」

 

何であるの?...俺が作ったんだった。自分の首を絞めたな...やらかしたー。

 

「えっ...と、俺は出場競技回数は5つ...多くない?」

 

「確かに...多いですね」

 

「そうだね。普通は3つくらいかな?。何で葵くんだけ?」

 

 

藤白姉妹は周りの人より競技回数が多いのに不思議に思った。

 

 

「あぁそれ、光がいない時に同じクラスの男子が勝手に決めたけど」

 

「えっ...マジで?」

 

「本気と書いてマジよ」

 

私的にはそんないい笑顔で答えないでほしいんですけど、てか俺の性格上、長い付き合いなんだから、提出した時に修正してもよかったんじゃないんですか?。花さん...。

 

「で先輩が出場する競技はなんですか?」

 

スラッと流さないでよ.....。

 

「えっ...と、50メートル走、人生リレー、クラス対抗リレー...男女合同学年対抗リレー.....小学生保護者リレェ.......」

 

 

スラスラと述べた文章が徐々に遅くなり沈黙した。

 

 

コレってイジメですよね。50メートル走は案の定で、保護者リレーは娘の為だからしょうが無いけど...残り3つ全部リレーって超目立つじゃん!.....イヤだよ...これ以上黒歴史を作りたくないよ...。

 

 

一人...競技表を見て机に両手をつき心の底の闇まで沈み落ち込んだ。

 

 

「これってどうしようもないんですかね...会長権限で全部なしって出来ないですかね」

 

「うーーん、どうしようも無いね。会長にそんなに権力ないから~なにげに参加しない宣言してたけど、今から変えると人数を合わせないといけないし時間も無いから無理だね」

 

あの会長が無理っていたら諦めるしかないな。

 

「あっ!でもでも、先輩のカッコイイところ見せれば、中高校在学中の人達は先輩の悪口を言うどころか、憧れたり見直されたりモテたり出来ますよ.....あぁ...やっぱり今の発言は撤回させていただきますぅ...」

 

どうやら俺の性格上を察したようだ。まず余程のきっかけがない限り本気を出さない。

 

 

一方、さっきの発言を撤回した藤白玲美の心のうちは・・・・・葵が思っている事と食い違っていた。

 

 

先輩がカッコイイアピールしてモテたりしたら.....やっぱり先輩には今までどうりにしてもらいましょう・・・・・(ウンウン)。そもそも先輩は目つきが悪いせいで近づかないはず...しかもあの性格が捻くれた先輩ですからね。誰も興味示すどころか陰キャもしくは不審者扱いですからね。

 

「お前...今...失礼なこと思ってないか...」

 

「!?.....ソンナコトはオモッタことがアリマセン...ア...アハハ...」

 

「あっそう.....」

 

 

明らかにカタコトになり挙動不審な反応・・・そして塩笑い。確信を持てる・・・・後輩に馬鹿にされた。雪音と雪菜が袖を引っ張り葵を振り向かせた。

 

 

「パパすごーい。頑張って全部1位取って♪」ピョンピョン

 

「お父さん...頑張って...」プイッ

 

「ヨシッ!やる気が出た...いつだ...記録会」

 

〝「「うわぁ...シスコン(ロリコン変態)」」〟

 

「違う...ロリコンではない.....ユキコンだ!」

 

 

新しいコンプレックス発言をした葵に対して生徒会美少女役員が変態な人を見る目で葵からの距離をとった。そこまで離れないでよ...。別にイイじゃん、親が子を思うことは大切だよ。そして翌日を迎える。

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

何日か前の藤白が家に泊まった時の後日談。朝、目覚めると藤白に力強く栄養豊富な胸を背中に押し付けられ抱き枕にされていました。そして俺は健全な男の子なゆえ、朝から下半身が元気でした。

 

何とかしてこの状況を打破しようと粘ったのだが、なかなか離れなかった。むしろもっと強く押し付けられ体温が上がる一方である。ちょくちょく聞こえる寝言は・・・・・。

 

 

「せんぱーぃ...また...引っかかりましたね」

 

夢でも俺をおちょくってんのかよ。

 

「せんぱい...ちょっと、急に何をするんですか...そこは...心の準備が...」

 

何やってんの夢の中の俺!。待て待て心を落ち着かせるのだ・・・・・。ヨシッ。

 

「お前・・・・・起きてるだろう」

 

「あっバレちゃた♪」テヘッ

 

なにが...バレちゃったテヘッ♪...だ。ちょっと可愛いと思ったじゃねえかよ。あざといサキュバスめぇ.....。

 

「はァ...朝から疲れるわ。まぁ...おはよう」

 

「おはようございます。先輩♪」

 

「雪菜たちはまだ寝てるな」

 

 

起きた二人は寝ている美少女姉妹に近づき、寝顔を眺めていた。

 

 

「それにしてもカワイイですね。二人とも~私も妹ほしいな。先輩お持ち帰りしていいですか?」

 

「拒否!」

 

「ですよね。まぁ先輩にいつもくっついてますからね」

 

 

・・・・・会話が何故か続かない。葵はふと思った事を口にした。

 

 

「こうして見ると夫婦が娘たちを見守っているように見えるな・・・・・」

 

「・・・・・えっ」

 

ガっ!、会話を繋げようと思った仕打ちが空気を濁すとはミスった・・・・・。どうせ、猫かぶって笑い事に変えるだろうから大丈夫だろう。黒歴史だ・・・・・。

 

 

チラリと藤白玲美の方を見ると一瞬目があったが頬を赤らめてソッポを向いて綺麗なアッシュホワイトの長髪を少しクルクルと弄っていた.....たぶん...アレはきっと素の彼女なんだろうか。

 

 

その先、雪菜たちが起きてくれなかったら、数日は会話が続かないどころか顔すら合わせれないだろう。

 

 

 

 




読んで下さりありがとうございます。


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波乱万丈の記録会

ハイすいません。
ベタな小説に付き合って下さりありがとうございます。
二週間くらい開けてすいませんでした。
では短いですがどうぞ...。


本日は晴天なり梅雨の季節だと思えない広々とした青空。もう夏だなと感じさせる眩しい灼熱の太陽。記録会するには絶好の一日である。そのなかゲッソリした表情で記録会準備に手伝っている人が一人。

 

イヤっだってさ、クソ暑いなかでわざわざ走らないといけないんだぞ。増してや人によっては自ら黒歴史を作ろうとするんだぜ。そんな無駄なことをするなら趣味を優先した方がいいと思うのはオレだけか?めんどくせぇ...過去の事を気にしてない人はいるけど、だけどオレは性格が気にしてしまうので無理だ。

 

そう・・・・・八割の人々は頭の中がお花畑や暑っつい青春を胸に秘めて力を入れているだろうが、オレ含め残りの二割の人々は負の感情が湧く一日が始まろうとしていた。

 

学園校舎を前にして学園生は男女一環で白い半袖Tシャツに黒い半ズボン必ずズボンの右側ポケット辺りには小さく名前があり体操服を着ている生徒たちは校庭で整列している。

 

少し気になるのが女子だけ服に大きく平仮名で名前が書かれているのは何故だ。誰の趣味だよ.....何か校長が興奮してる...ゲッ...まさか...会長に頼んで取り調べてもらうか...。

 

うちの学園は小中高一貫なのだが一日で終わるかって思うのだが、学園の1クラスが20~30人ぐらいで小学校が全学年あわせて12クラス、中学は6クラス、高校は9クラスある。それぐらいだったら午後4時~5時までには終わる。競技のスケジュールは一競技に学年順で進めていく。もちろんリレーは最後だ。

 

小学生は運動会みたいなもんだが、中高生は記録会となっているので名前通りに個人競技のみ記録を測る。

 

会長が「静粛に」とマイクで呼びかけるとシーンと静まり開会式の宣言をして選手宣誓、既に闇に手を染めてそうな校長先生のお話、体育科担当教師からの注意事項、スムーズに進み競技の準備に移った。

 

俺は後半しか競技を参加しないので愛娘たちの思い出アルバムでも作ろうと思い、この日のために買ったソニーの最新型ビデオカメラ。自分で稼いでるお小遣いを少し消費させた。理由は叔父に大金を使ってないのをバレない為でもある。だけどそんなやり方もしばしばの辛抱...あともう少し...。

 

それにしてもかなり高かったよ。手元にいた学問のすすめの福さんが10枚以上はいなくなったよ。これも学生には早い親心ってやつなのかな?。

 

ビデオカメラを競技に参加する娘たちが見える位置まで保護者を避けて移りカメラを合わせ構えた。大体、最初の辺り競技に出場するのは雪音である。それに気づいた雪音は「パパ~♪」と手を振って小走りで俺に近づいてきた。

 

 

「なにやっとん?」

 

「思い出アルバムでも作ろっかなっと思ってな.....てかまだそれを続けてるのかよ...止めたら...俺の口癖...いじられるぞ...」

 

「みんなむしろカワイイって言ってたよ」スリスリ

 

「まぁだろうな...」ナデナデ

 

いじられるのは俺だけだ...なんて理不尽な世界...雪音が言ったら好評で俺だと笑いものって酷くね...当たり前か...。

 

「パパ見ててね。一位とるから♪」

 

「おう...頑張れよ...くれぐれもケガだけはするなよ...」

 

「分かった。そろそろだから行くね♪」

 

 

手を振って先生に指示されたコースに整列し体育座りして待機した。その間の待っている時間を雪音が周りの女の子達と仲良く会話している様子をビデオカメラに収めた。心の中では俺みたいに孤立せず周りの子たちと上手く馴染んでいて不安が消え心が落ち着いた。

 

そろそろ雪音の番なので愛しい愛娘の姿を撮ることに集中してカメラを向けた。愛娘が立ち上がると小学2年生たちが声援の嵐が巻き起こった。めっちゃビックリした。どうやら小学2年生の一番人気のアイドル存在らしい。流石だ...我が娘...パバは眩しくて目が向けれない...カメラだけは向けるけど...。

 

体育科の先生が「位置について~よーい」と運動会号令の次に「ドン!」と掛け声とスターターピストルが鳴ると雪音たちは一斉に土を踏み込み走り出した。

 

娘達は何割ぐらい人間の血と猫の血が混じっているのかはよく知らないが、瞬発力、反応速度は周りの人よりも一番たけている。だからか最初のスタートダッシュが良く、先頭を走っているのは雪音である。このままスピードを落とさなかったら一位取れるまでもある。

 

カメラを誘導しながら撮っているとゴールから10メートル離れたところで雪音は小石につまずき転んだ。

 

 

「ッッ!」

 

 

驚き、動揺、不安が頭の中でグルグルと混乱してきた。だけども何とか堪えた。心の中で応援しながらカメラ越しで娘をみ届けた。雪音は泣かずに立ち上がり擦りむいた痛みを我慢して最後まで諦めず1人だけ抜かしゴールインし完走した。順位は6人中5位だった。

 

雪音は不服そうな表情を浮かばせ、仲の良さそうな子達に励まされ笑顔で対応して保健テントまで先生に連れてかれていた。次は雪菜だがまだ先なのでカメラを閉じて俺も保健テントまで向かった。

 

テントについている時には応急手当はされていて右膝に絆創膏が貼られ落ち込んだ表情でパイプ椅子に座っていた。娘に近づき頭に手を乗せ声をかけた。

 

 

「惜しかったな...雪音...」ナデナデ

 

「あっ...パパ...ケガもして一位もとれなくて...約束まもれなかった...」

 

「雪音...まだ擦り傷で良かったよ...最後まで諦めずに擦りむいた痛みを耐えながら完走したことに良かったと思うよ。普通はそこら辺の子だったら諦めてテクテクと屈辱感を感じながら走ってるよ...この結果は一位取るよりも価値のある結果だったと俺は思うよ...」

 

「えっ...ホントに?」

 

「ホントだよ...まだ次の競技もあるんだからクヨクヨしないで心を切り替えて一位を目指せ...」ナデナデ

 

「うん!分かった」フフフ

 

 

いつもの雪音に変わり立ち上がり、一緒に雪菜の応援に駆けつけた。丁度いいタイミングで雪菜が走る前だった。人ごみが多く雪音の身長では可愛くジャンプしても見えないので雪音を肩車して雪菜を見えるようにさせた。

 

 

「お姉ちゃん~がんばってぇ!」

 

 

雪菜に対して大きな声援を贈り手を振った雪音。運動するので青いリボンで纏めたポニーテールの雪菜は小っ恥ずかしそうな表情を浮かばせていたが、それでも可愛い妹のために小さく手を振り返した雪菜。やはり面倒くさそうだ。

 

そして順番が来て雪菜がスタートラインに立った。その光景はなんと例えようか...他人には一人だけ凛々しい女神が舞い降りた様に見えると思うが...家族からしたら俺と雪音からはすっごく...ダルそうに見える...。

 

「おねえちゃん...ダルそうだね...」

 

「そうだな..けれども多分...誰かの為に一位取ってくれるよ....」

 

 

先生が掛け声と共に「バンッ」と鳴るとランナーは走った。さすが運動神経抜群の雪菜は長い黒髪をポニーテールが風に煽られながらもトップに走っている。

 

だが雪菜には欠点がある...それは体力の無さである。段々2位の子との距離が徐々に縮み始めたがわずか数1秒も無い秒差でゴールインをして雪音一位を取って当たり前みたいな表情をしているが地味に雪音に「一位取ったよ」とチラチラ見ている。その瞬間をカメラに収めた。

 

ちょくちょく知り合いが出場していたら一応カメラに収めた。まぁ...オトコの娘中学生。ハーフあざとい後輩。冷血の女帝の幼馴染。謎が深いビッチサキュバス会長。一番の困難は副会長である俺が撮ると今にも気迫で脳に罵ってきそうなので娘に頼み撮ってもらった。

 

午前中のスケジュールが終わるとランチタイムが挟まり、一枚シートを広げて家族で食べている。葵も愛娘たちと一緒にお弁当を囲んで有意義に親子団らんしてたら横から何故か生徒会一同が無理矢理お邪魔された。

 

「お邪魔しマース♪」

 

「お邪魔します先輩♪」

 

「お邪魔するね。光...」

 

「お邪魔します...雪音ちゃんと雪菜ちゃんと...ロリータシスターコンプレックス野郎...」

 

「シスコンは認めてますけど...ロリータと呼ぶのやめてくださいよ...副会長...」

 

副会長の罵るような目もそうだが...周囲の保護者方の視線が痛いからやめて欲しい...。

 

 

慣れていると思っていた心が痛む気持ちが蘇る。昼食を一口入れ飲み込み藤白玲美が話題をあげた。

 

 

「それにしても姉さんと副会長はとても人気でしたね♪」

 

「言われてみればそうだな...まぁ...学園の五本指に入る美少女が出場してれば盛り上がるだろうな...俺と違って...」

 

会長に関しては...たぶん...二つのメロンが大きく揺れてたからに男子高校生は興奮していただけなのでは...というのは男子だけの秘密だ...。

 

「先輩の場合は高校生からのブーイングが凄かったですね...」

 

「本当に凄かったわ...びっくりしたよ...まぁ...周りの期待に答えて...ビリだったけどな...」

 

「いや、そこは答えるところではないですよね...」

 

 

後輩とのショートコントのやり取りが続き、会長は爆笑、娘達は複雑な気持ちが溜まり、幼馴染は呆れ、副会長は興味無さそうに昼食を口に運ぶ。

 

そろそろ午後の競技が始まるので弁当をしまい、みんなで立ち上がり各自仕事や競技の準備に移った。葵もテキトーに一日を過ごすきだったのだが、ふと娘達のリレーの約束ごとを思い出し、これ以上迷惑をかけるのでもしの災厄の自体も予想しておいて気持ちを切り替え娘達に呼び止めた。

 

 

「雪音...雪菜...」

 

「なに...パパ?」

 

「何ですか?」

 

「あぁアレだ...気にするな...リレーだけは一位とるよ...だから...なんだ...思い違いかもしれないけど...心配してくれてありがとう...」

 

 

頭をかきながら恥ずかしそうにそっぽを向き伝えた...予想外の言葉が出てきたので姉妹は目を大きく開いた。そして答えた・・・・・。

 

 

「じゃあ、ちゃんと一位とってね♪パパ♪」

 

「あぁ...」

 

「お父さん...それは思い違いですよ」

 

今すぐ穴があったら入りたい...そして死にたい...。

 

「冗談ですよ。頑張ってください...お父さん♪」

 

「冗談かよ...死ぬかと思った...あぁ頑張るよ」

 

 

長女の発言で一瞬...黒歴史ができたと思ったが冗談でよかった。最近...冗談が多いよ...雪菜さん...まぁ...一種の愛情表現なのかもしれないと思っておこう。

 

雪音の純粋さと雪菜の捻くれた思想の愛情表現を密かに心の拠り所に置いた。そして決意を込めてリレーの準備にウォーミングアップを軽くし始めた。

 

少し時間が経つと放送から呼ばれレーンに並び順番を待った。それまでヒソヒソ話や愚痴が聞こえてくる。今オレの心の中には娘達の約束がある。そんな事で挫けない。それに除け者にしている人間に外野は笑うがそんな除け者の人間に負ける外野の顔を見るのが楽しみである。(やべぇ...悪役のセリフじゃん...光りが闇に飲まれてる...)

 

一周100メートルだがアンカーは一周目と最後は二周走るので合計300メートルだ。そして時がきた。クラスリレーはナレーションが右レーンからアンカーだけ順番に名前と印象が述べ、呼ばれた人は個人によっては軽く会釈をしたり、手を振ったりする。もちろんオレはしない。

 

〝「只今から高校二年リレーを始めます!。では第1レーン野球部の未来のエェースそれにイケメンで優しい!その名はぁ霧山~エイジィ!」〟

 

「「「フォーー!!」」」

「「「キャーー♡!!」」」

 

うわっ!声援ウルサッ。そしてウザいタイプだ。

 

〝「第2レーン高校サッカー部界で呼ばれる二つ名は「鉄壁」!。鉄島~鉄郎ぉ!」〟

 

えぇ...足関係なくね...まだ「迅速」とか「雷」なら分かるけど...鉄壁ってディフェンスじゃん...。体ごついけど...絶対...体が重いだろう...。

 

〝「第3レーンバレー部の中で脚力最強!身長低くてもアタッカーに参加している!飛岡(ひおか)~龍ぅ(りゅう)!」〟

 

いつか...小さな巨人と呼ばれそうな子だな...。

 

〝「第4レーン~陸上部で短距離走を得意とするムードメーカァー地山(ちやま)陸ぅ(りく)!」〟

 

絶対...この子一位なるじゃん...。

 

〝「第5レーン~バスケ部で三年を超える天才...だがこの前...陰キャに弱みを握られ敗北を知ったこの男...ついに復讐する時が来た...その名は久我~仁!」〟

 

えっ...マジで...隣に居たのに気が付かなかった...。

 

「・・・・・」

 

なんかやけに大人しいな...まぁ俺が原因かな...。

 

〝「第6レーン~無所属で深い闇を秘めて何をするのか分からない、そして久我仁の復讐相手このリレーのダークホースか~葵~光ぅ!」〟

 

「「「ブーー!!」」」

 

わぁ~oh......凄いブーイング...。高校生以外理解してないな。このブーイングの意味...。見事に嫌われているなオレ...。

 

 

選手たちの自己紹介が終わったところで先生が合図をかけた。

 

「位置について~よーい」

 

構える選手達そして・・・・・

 

「ドン!」

 

 

スターターピストルの引き金を引き大きな音が鳴ると選手達はほぼ一斉に走り出した。

 

 

〝「さぁ~先頭を走り出したのは...なっななんと葵光だぁ!。速い速い一体彼は何者だ!」〟

 

いい実況しているな...シンドい...。

 

〝「たった今、会長から彼の情報が届きました」〟

 

何してるの...あの人...変なこと書いてないよな...。

 

〝「えぇっと、彼は前の学校ではバスケ部選手で周りには「神速」と二つ名で呼ばれ、相手もチームメイトも応援席にいる人達でさえ、いつの間にか相手のコートに速攻をかけている選手だとか...だけどもバスケを止め今は趣味に没頭しているとか...宝の持ち腐れですね」〟

 

うっせぇ...余計なお世話だ...ちゃんと...娘達の為に働いてます...うグッ...シンドい...。

 

変な実況している間に一周目が終わり、残り三人が走る最後にアンカーは二周も走る。そろそろ順番が来たようだが...最下位になっていた。そのままバトンを受け取る時には一位との距離は10メートル先に走っている。

 

 

チッ...体中が痛みが通るぐらい走らないといけなそうだな。これやるのシンドいから嫌なんだけどな...善は急げって言うし....。

 

 

全身に力を込めて酸素を取り入れるのを止め、数十秒間だけ無酸素運動に変えた。徐々に5位との距離が縮まり抜かし、次々に順位を上げ一位との差が数メートル...これなら行けると思ったら...いつもより呼吸が苦しくなってきた。無酸素運動は何回もやっているから慣れているがいつもと違い体に違和感を感じたがそれでも我慢した。

 

そしてゴールが見え走り抜いた。順位は・・・・・。

 

 

〝「なっなんと...一位は葵光ぅ!二位は鉄島鉄郎ぅ!三位は久我仁!、四位地山陸ぅ!五位は飛岡龍ぅ!六位は霧山エイジぃ!この結果は誰が予想しただろうか!まさに波乱万丈!葵光...彼の速さは光陰矢の如し!。まさしく光の速さ!」〟

 

実況うまいな...てか鉄島っていう人...足はえぇな...人を見た目で判断するなってこういう事なんだな...。

 

 

実況者が順位を発表するとブーイングやら罵倒がとんでくるがガン無視だ。寧ろオレは達成感に満足している。また新しく限界を超えた我が現れた。

 

その後のリレーはなんか一位になっていた。高校側の生徒はどんよりとした空気が悪くなり、少し時間が過ぎ記録会は幕を下ろした。

 

 

その後、俺は生徒会なので記録会の片付けは面倒なので手っ取り早く終わらせ、もういちど生徒会室に生徒会は集まり会長の最後の一言。

 

「えっと...みんな集まったかな?。ではでは無事に記録会が終わったので今からみんなでディナー食べに行こう!」

 

「じゃあ...俺は帰るんで妹たち待たせるので...お疲れ様でした...」

 

「はい、そこすぐに帰らない」グッ

 

「ちょっと...引っ張らないでくださいよ...今日は疲れたし体を一秒でも休めたいんですよ...」

 

「さっき妹ちゃん達に聞いたけど行きたそうにしてたよ」

 

「会長なら妹達は任せられるので...帰らせてください...」

 

「あれ?私のこと随分と信頼してるのね。まさかのフラグ立っちゃった?」

 

「今の一言を訳すと会長なら例えば不審者を論破やら投げ倒しそうなで任せられるという意味ですよ...」

 

「まるで私がなんとかモンスターの野生のトレーナーみたいじゃない」

 

「いや、その例え方はアレだが...どちらかと言うと旅を始めたばかりのトレーナーがいきなりチャンピオンと戦うようなもんだろうな...」

 

その人はご愁傷様です...てか無理ゲーだな...。

 

 

軽な茶番が継続しているが話の趣旨を戻し、不敵な笑みで会長は奥の手を使った。

 

 

「妹ちゃん達~お願い♪」

 

「はい♪」

 

「はぁ...」

 

「また...その戦法かよ...」

 

てか...行きたそうにしてるのは雪音だけじゃん...雪菜がとてもダルそうなんだが...。

 

 

会長の背後から元気よく手を上げて返事をした愛娘(妹)そしてダルそうに頭を抱える愛娘(姉)。愛娘の登場に葵も頭を抱えた。

 

 

「パパ~行こうよ~」グゥー

 

「えぇ...雪菜どうするの?...」ウゥ

 

「お父さんに任せます...」

 

 

次女の娘が俺の腕袖を引っ張り駄々をこねる様子を伺い。性格が似ている親子(仮)or兄妹(仮)ダルそうに相談をする...どっちも仮だな...。

 

 

「分かった分かった...行くよ...雪菜もいいな...」

 

「やった~♪」

 

「...お父さん...もう少し粘ってくださいよ...」

 

「いや、だけどもな...可愛い妹のお願いだぞ...逆らえないだろう...雪菜も」

 

「それは...」チラリ

 

 

雪音のキラキラとした瞳をチラリと見た。

 

 

「それもそうですね...」

 

「雪菜もなかなかのシスコンだな...」

 

「それはお互い様ですよ...」

 

「それもそうだな...だけど少し違うぞ...雪菜...オレはユキコンだぞ...」

 

「葵くん、シスコンだね~捕まるよ」

 

「先輩...キモいですよ」

 

「本当にキモいですね...変態」

 

「光...バカ...」

 

「パパ~ユキコンって?」

 

「なんですか...それ...」(ボソッ)

 

 

生徒会一同に罵られ、雪音には何度も袖を引っ張られ、照れくさそうに呟く雪菜。葵は「可愛すぎるうちの娘...」と癒されてスマホを取り出して動画を撮りたかったが手を引いた。

 

 

「じゃあ、行きますか~レッツゴー♪」

 

 

マイペースな会長が先頭を歩き、残りの高校生四人と小学生ふたりは後に着いていった。その後はどっかのステーキ屋で女子会みたいな雰囲気で俺はココに居てもいいのであろうかと思っていたが無理やり会話に入れられ疲れた。

 

 




次からはたぶん...早めの投稿ができると思います。
出来れば面白いようにしたいと思う所存です。
読んで下さりありがとうございます。


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己の未熟さを知り、覚悟と決断・・・・・。

更新遅れてすいませんでした。
ベタな小説に付き合っていただきありがとうございます。
ではどうぞ。


人は誰しもが悲惨で困難な状況から目をそむけ、不安から逃れようとする心理的意思を四字熟語で表すと現実逃避という。でも時には現実と向き合わなければならない。

 

例えば。師が弟子に嫌な現実を告げる時が来れば信頼、絆、友情、繋がりを捨てる覚悟が必要である。彼らに彼女らに嫌われようが遠ざかろうが言わなければいけない言葉が必要であるのならそれでも構わない。

 

何故ならば、俺はサキュバス後輩...生徒会に出会って...こんなことを思うのは、自分が可笑しくなったのではないかと今でも思うが、それでもオレは彼ら彼女らを根拠も無く信じている。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

夏祭り・・・・・一般的理論は家族連れ、カップル、友達、親友と理由は様々だが息抜き、愛情や絆を深める...空気を読んで来たとか...知り合いに誘われて嫌々で来たら誰もいなくて一人で楽しんだとか...なんか深刻になってきた。まぁ...切り替えて楽しむ場でもある。

 

駅で大きな夏祭りをやっていると聞いた葵家御一行は娘達に浴衣を買ってあげて参加した。俺は私服...理由...動きにくいから...。娘たちが「れいみおねえちゃん!」と強く強調して念を押されたので、気まずく藤白玲美を誘ったらなんか浴衣姿で来てくれた。

 

 

「藤白...」

 

「なんですか...センパイ...」

 

久々に反応してくれた...だけど...気まずい...。

 

「いや...なんでもない...」

 

 

なぜ娘たちを挟んで歩いて葵が気まずそうな理由と藤白が激おこぷんぷん丸状態かと言うと・・・・・1ヶ月前にさかのぼる。

 

 

 

いつもと変わらない放課後。小さな屋根付きのベンチに座っている。7月なゆえ持参のうちわを仰ぎながら、外用バスケコートで汗をかきながらドリブルして青春を励んでいるオトコの娘中学生の十五夜凛を何か思いつめながら見ていた。

 

オレの右隣に藤白玲美と雪音が楽しそうに女子トークに盛り上がり、左隣に雪菜が読書に没頭していた。ちなみにタイトル名は「坊っちゃん」である。夏目漱石ファンなのかな?。

 

順番に雪菜や雪音にさり気なく藤白にもうちわを仰ぎながら、十五夜に助言を入れながら相手をしていたが...十五夜を弟子にして約2ヶ月そろそろ頃合いだなと立ち上がり彼のぉ...彼に近づいた。

 

「十五夜...」

 

「ハイ!お兄さん!」

 

「言いたいことがある...よく聞け...」

 

「?...はい」

 

 

葵は十五夜の瞳を合わせ、覚悟をしてストレートに言葉を発した。

 

 

「バスケ辞めろ...」

 

「えっ...」

 

 

彼の予想を裏切る一言で十五夜は唖然とした表情でボールを落とし、女子トークしていた藤白が耳に入り大きく瞳を開き葵を見た。風が吹いてセミが鳴いているのに、オレもきっと...十五夜も...藤白も...たぶん...雪菜も雪音も周りが静かに感じているだろう。

 

 

「えっ...お兄さん...それはどういう意味ですか...」

 

「そのままの意味だ...この2ヶ月みてきたが...動きにキレがない...筋力、体力がない...シュート率が低い...これはキミの一番の欠点だ...要するに才能がない...」

 

 

葵は呆れて愕然と表情。十五夜は何も言い返せないまま棒立ちして顔を下げ、彼は瞳から小さな雫が流し手で抑えながら走り、ベンチにあるカバンを持ちコートを出た。

 

 

「・・・・・」

 

これでいいんだ...彼の為でもある...強者は眩しく存在し弱者は消える...正しい判断だ...彼は...消える立場である。だが...その可能性を塗り替えるのは・・・・・。

 

バシッ!!

 

 

突如、今まで頬に経験したことが無い痛みが通った。決して痛い訳ではないが思わず頬を手で抑えて見上げると、真剣な表情で少し涙目な藤白玲美が目の前にいた。一瞬で理解が出来た。彼女にビンタされたのであろう。

 

 

「先輩...何であんなことを...凛くんは一生懸命...努力していたのに...どうして...そんなこと言うんですか...」

 

 

彼女は震えた低い声で問いかけた。俺は表情変えずに答えた。

 

 

「はぁ...彼はバスケを向いてない...オレは最初の時点で気づいていた...なら無意味なことをさせるなら別の道に導くべきであると思った...アイツはチームの為に...人の為に練習を続けた...そこは評価に価する...だがな...それだけじゃ...これから先やっていけないんだよ...誰かに言われて諦めたらそこまでの努力だったって話だ...」

 

 

ぶっきらぼうに他人事の様にあくびをして彼の置いてったボールを拾った。

 

 

「先輩...なんでそんな余裕なんですか...」

 

「さぁな...」

 

 

冷酷な表情でビクとも変えず答える。藤白は葵が何を考えてるのか思考錯誤で頭を働かせたが理解不能だった。先輩には何か考えがあるだろうと心底...信じているのだが、彼女の瞳に写る先輩は...人間として...人として最低な先輩にしか見えなくなってきた。

 

 

「今日は先に帰ります...」

 

「お疲れ...気をつけて帰れよ...」

 

 

藤白玲美はベンチにある荷物を持ち早歩きで姿を消した。取り残された葵と娘達はベンチまで歩き娘たちの隣に座った。

 

 

「ありがとう...雪音...雪菜」

 

「本当に...お父さんの言った通りになりましたね」

 

「みらいでもいったの?パパえもん」

 

「流石に未来は見えないよ...雪音...あとオレはドラちゃんじゃないからね」

 

オレは海賊物語に出てくる覇気を極めすぎた人間じゃないよ...別に机の引き出しひいて未来いった訳でもないからね。

 

 

娘たちには葵の予想を事前に伝えてある。それが現実になった。だから見届けてくれて感謝している。娘達は十五夜に酷い事を言った理由も知っているが答えは知らない。

 

 

「まぁ...帰るか...ふたりとも」

 

「そうですね...」

 

「うん...あぁ...でも、パパのよそうがいのこともおきたね...それはどうするの?」

 

「うグッ...まぁ...でも藤白に関しても十五夜と同じだな...一応...予想はしてたけど...少し予想外だった...なんか精神的に痛かったし...」

 

「お父さん...唯一苦手な人間関係の課題が出ましたね...」

 

「はぁ...雪菜...雪音..俺に女神の手を差し伸べてください...」

 

 

申し訳なさそうに両手を合わせて頼み。雪菜は雪音に耳打ちをして声を揃えて答えた。

 

 

「「ダ~メ♪」」

 

 

愛でたくなる笑顔であっさり断られた。

 

 

 

それで何とか藤白に何度も学校で話しかけたが、オール無視で1ヶ月にもわたる大喧嘩になっていた。それで夏祭りでも誘って理由を話して謝罪をしようとしているのだが、一向に進歩が無い。

 

 

「雪音、雪菜、藤白...なに食べたいものはあるか...」

 

「わたあめ~♪」

 

「任せます」

 

「・・・・・」

 

 

娘達の対応は案の定なのだが、藤白は葵の目を合わせて射的に指をさした。雪菜が藤白と葵を見て提案をした。

 

 

「お父さん、雪音とわたあめ買いに行くので、ふたりで射的やってください。あとでそっち向かうので...雪音行くよ」

 

「うん♪」

 

「えぇ...雪菜...厳しくないですかね...」ボソッ

 

 

取り残された気まずそうな葵とツンデレモード藤白は無言で射的屋台に向かった。

 

射的なんてやったことが無いからな。少し楽しみである。それは藤白も共感しているらしい。理由は一目瞭然ねこの人形の商品を凝視してソワソワしてるから。そして無言で彼女にスナイパーのおもちゃとゴルフの弾5発を渡し受け取ってくれた。

 

藤白は構えて人形を集中して狙い引き金を引き「パンッ」と鳴った。見事にハズレた。その後の4発打ち3発は上の人形にあたるが落ちない。最後の1発はターゲットに当たったが落ちなかった。彼女は不機嫌になっていった。

 

次は葵の番が来た狙いが特にないため藤白が狙った人形の上にあるまっくろくろすけを雪音か雪菜の為に狙った。4発打ったが全部ヒットしているお陰で前に落ちそうである。

 

 

「先輩あともう少しですよ!あっ...えっ...と...その...スナイパー持ってると暗殺者みたいで子供たちが怖がるので...さっさと打ってください」

 

「あっ...あぁ...」

 

 

珍しく藤白から俺の袖を引っ張って話しかけてくれて少し会話がはずむと思ったのが、恥ずかしそうな表情を浮かべて考え始め、ツンデレモードなり罵ってきた。

 

あのまっくろくろすけはミスをしなければ貰えるからなと狙いを定めていたらある事に気づいた。やる価値はあると思い集中して当てる場所を定めた。引き金を引くとその弾はまっくろくろすけにヒットして前に転がった。下の段にあった猫の人形もわずか出ていた頭にあたり一緒に落ちた。

 

 

「これって...両方貰えるのですか?...」

 

 

店主のコワモテおっさんに聞いた。おっさんは目を大きく開いて吸っていたタバコを落としてとてもイイ笑顔で答えられた。

 

 

「お前、狙って落としただろう...久々にいい腕をした奴を見せてもらったよ。イイぞ、ほらよ」

 

「たまたま落ちただけですよ...」

 

正直...高野行動のお陰だけどな...関係ねぇけど。

 

 

おっさんから猫の人形とまっくろくろすけの商品を貰った。藤白がとても羨ましそうな目をしてジロジロと俺を見ていた。

 

 

「欲しいのか...」

 

「いっいいえ、別にそんなことは無いですけど...」

 

「そうか...ならいいや...いらないなら...」

 

「先輩がいらないなら...しょ、しょうが無いから私が貰ってあげてもいいですよ...」

 

うわぁ...あざといキャラがツンデレになるとここまでギャップが変わるとは...凄いな...。

 

「どうぞ...」

 

 

猫の人形を渡したらスっと受け取り人形でニヤけた顔を隠して機嫌が良くなったのは葵は知らない。わたあめ買いに行った娘達と合流しようとふたりは歩き始めた。

 

 

「なぁ...藤白...この前の事だがな...」

 

「何ですか...」

 

「今、十五夜には俺が密かに出した課題があるんだよ...」

 

「課題?いつそんなことを言ったんですか...?」

 

「それを気づくのは十五夜次第だ......オレが十五夜になんで酷い事を言ったのか意味を知るのは俺だけだ...お前に言わない理由はお前自身の優しさで十五夜に情報を漏れそうだからだ...」

 

「それは私を信用してないからですか...」

 

「まぁ...そうなるか...」

 

「先輩...もう少し...私を信じて下さいよ...」ボソッ

 

 

説明して彼女は納得してくれるだろうと思っていたが、それでも不満そうな表情を浮かべている。雪菜たちの姿が見える所まで歩いて行くと、そこには密かに課題を与えられた浴衣の姿をした十五夜凛も一緒にいた。

 

 

「お父さん、十五夜さんから言いたいことがあるそうです」

 

 

雪菜が俺に気づき、俺と十五夜に気配りをして話を繋げてくれた。そして十五夜と久々に目を合わせた。

 

 

「なんだ...十五夜」

 

「えっ...と...その...ぼっ...俺はバスケをやめる気は無いです...バスケの才能がなくとも...努力をしても無駄であろうとも...誰になんと言われようとも...やめる気はありません...なぜなら...」

 

「・・・・・」

 

「僕は誰よりもバスケが好きだからです...そして僕はお兄さんのバスケが一番好きです...表情に出てないのに誰よりもバスケを楽しそうにプレイをしてます...そんなお兄さんのバスケを学びたいんです...だから、お願い致します...また...ぼっ...ぼくに...バスケを...おしぃえて...くださぁい...」

 

 

十五夜は涙を凝らしながら震えた声で頭を下げた。

 

 

「・・・・・十五夜や頭を上げろ...」

 

 

彼は葵のいうことを聞いて頭をあげた。零れた涙を袖で吹いて「ヒクッ...ヒクッ...」と鼻を少しすすんだ。葵は泣いている彼の頭に手を乗せた。

 

 

「よく言った...合格...俺の目は間違っていなかったようだな...」

 

「えっ...それはどういう...意味ですか...」

 

「お前を試したんだよ...どのくらい真剣で真面目なのか...ついでに選手でもメンタルが弱かったら意味が無いからな...トレーニングにもなっただろうし...一石二鳥なわけよ...」

 

 

それを聞いた十五夜は呆然と安心して力が抜け尻もちついた。葵は十五夜の殻が破れた姿が見て、昔、お世話になった先輩に同じことをされた自分の姿が見えた。

 

まぁ...オレの場合はすぐに十五夜と同じ答えを出したがな...。

 

一安心したその時、右胸あたりから激痛が走る異変を感じ、呼吸が苦しくなり同時に頭痛も起きた。こんな状況は初めてなった。胸を抑えながら膝間づきうつ伏せになり倒れた。

 

 

「パパ!」

 

「お父さん!」

 

「十五夜くん!早く救急車呼んで!」

 

「ハイ!」

 

 

咄嗟の判断力で藤白は指示を出した。十五夜はスマホを取り出し119番に連絡をした。雪音たちはパニック状態になり葵の背中を揺らして何度も何度も繰り返して言う。

 

 

「パパ...死なないでぇ...お願いだから...おいてかないでぇ...」

 

「お父さん...また...二度もあんな思いをしたくないんです...だからお願いします...神様...パパを...助けてください...」

 

 

そんな言葉を聞いた葵は気を確かに保ち意識が途切れそうな状態で2人を抱きしめて告げる。

 

 

「だ...だいじょ...うぶだ...はぁ.....そんな...かん...たんに...しなねぇ...よ...はぁ...はぁ...」

 

 

そこから先の記憶は何も覚えてない。気づいたら月が射し込む見知らぬ部屋のベットの上で酸素マスクをつけられていた。酸素マスクを外し体が重いが起き上がり見渡すと、どうやらココは病院らしい。手元を見ると雪音と雪菜が腕を掴んだまま寝ていた。一緒に寝ていた藤白玲美が起き上がり目が合うと抱きしめられた。

 

 

「先輩!」

 

「イタッタッ!なんか脇あたりが痛いんだけど!あと色々と当たってる!」

 

将来の旦那のための栄養のある胸が!。俺なんかみたいなヤツに当たってる!。主に脇痛い!。

 

「あっ....つい...取り乱しました...すいません...」

 

 

素の藤白が出てきて慌てて猫をかぶるが癖は直らないようだ。彼女は恥ずかしくなったり照れたり素が出た時髪をクルクルと人差し指を中心にして回すが...今回は月の光で光り輝く髪をクルクルと回している風景が美しく柔らかで綺麗だとふと俺も素で思った。

 

 

「それで...この状況を知りたいのだが...何があったか教えてくれないか...」

 

「そうですね...ちゃんと聞いてください...先輩が倒れた理由は特発性自然気胸...通称...自然気胸と呼ばれる肺病になったからです...」

 

自然気胸とは肺から空気がもれて、胸腔(きょうくう)にたまっている状態をいいます。空気が漏れてたまっても、胸は肋骨があるために風船のように外側に膨らむことはできません。その代わり、肺が空気に押されて小さくなります。つまり、肺から空気がもれて、肺が小さくなった状況が気胸なのです。

 

10歳台後半、20歳代、30歳代に多く、やせて胸の薄い男性に多く発生します。肺気胸はタバコ吸っている人などがかかります。ちなみに肺気胸と自然気胸は発症理由は同じではありません。

 

 

「なるほどな...」

 

「それにしても医者は不思議そうに「こんなことで倒れるとか大袈裟じゃないかな~」と言っていましたよ」

 

「悪かったな...多分だけど...いきなりの事だから体が驚いたんだろう...それより藤白...帰らなくていいのか...もう11時だ...」

 

「それもそうですね...」

 

「なぁ...藤白...お願いがあるんだが...いいか?」

 

「どうしたんですか?」

 

 

彼女に真剣な眼差しで頼み事をした。

 

 

「退院するまで雪音と雪菜の面倒を見てくれないか...」

 

「誰も面倒を見れないですからね。任せてください」

 

「そうか...ありがとう...」

 

「・・・・・先輩がお礼を言うと違和感を感じます...何ででしょうか...」

 

「悪かったな...性格が陰湿で...」

 

 

重くなった空気が和やかになり落ち着きがある空間になった。セバスチャンが来て寝ている娘たちは藤白とセバスチャンがお姫様抱っこで車まで運び家に送り帰った。二人の面倒を1ヶ月は葵家にお泊まりして藤白が面倒を見てくれるので安心する。

 

数分後、目覚めたと聞いた緊急女性医師が来て、いま体に起きている現状を細かく説明しに来た。

 

 

「どうも葵くん、体の状態はどうですか?」

 

「脇が痛いんですけど...」

 

「それはね。ザックり言うと応急処置で体に穴を開けてポンプが繋がってるの」

 

えっ何それ怖っ!。

 

 

服を脱いで右脇あたりを見ると小さなチューブが体に通じポンプの中には血が少し混じった水が溜まっていた本当に繋がっていた。

 

 

ホントだ...気持ち悪ぃな...。

 

「それで本題なんだけど...もしかしたら君の身体にはもう一つ病気があるかもしれないだよ...葵くんは...いい体してるから運動選手なんだと思うんだけど...一応...言うけど...この先...その病気のせいで...運動をしてはいけない人生になる...」

 

「・・・・・そうですか」

 

「その病気は手術しない限り絶対治らないから...まだ...明日の検査するまで確信は持てないけどね...覚悟はしておいて...」

 

「わかりました...ありがとうございます...深夜遅くに足を運んで頂き...」

 

「いえいえ、私はあなたの持病の担当ではないので、明日の10時頃に呼吸器外科という場所に向かってください。では失礼します。お大事に」

 

 

案内図と病気の書類をライトのある机に置いて、礼儀正しく会釈をしてドアを開き影が消えた。

 

そして葵は目を閉じ覚悟と決断の思いを固め普通に寝た。だが、その日の夜はとても...時が長く感じた。

 




読んで下さりありがとうございます。
あと何話で完結させるか分からないですが、生暖かい目で付き合っていただくと幸いです。


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葵光は自我を失い脆くなる。

すいませんすいませんすいませんすいません!!。(更新遅れて)
ストーリーが段々ズレないように頑張らなければ...。
ぼちぼち、今後とも下手でベタな小説に付き合ってください。
ではどうぞ。


葵光という一人の人間は何者か・・・・・3月に藤白財閥のシルバーウォリアーズの創始者、藤白美蓮みずからの足を運び葵光をスカウトそして契約を結んだ。4月はチームに馴染むまで試合には出場せず、ベンチで応援に徹した。

 

5月にはチームに馴染み試合する時には、同じチームのエースである黒人のマイケル・ヴェールさんに「That's my best partner!(訳・さすが俺の最高のパートナーだ!)」と言われ背中を叩かれた。すごい痛かったがそれを忘れるくらい悪くないバスケだった。

 

6月、ヴェールさんはとても人気がある選手でもありメディアから注目されている。ある時、ヴェールさんのメディア取材に一緒に来いと言われて拒否ったら丸太を担ぐように連れてかれメディアに無理やり紹介された。ヴェールさんはメディアに「マイパートナーorフォロワー、ミスターアオイコウ、コイツ、イレバ、オレハサイキョウデス」と言った。

 

だけど、メディアは目を点として俺を見ていた。なぜなら試合に出ているが特に目立っていない人を紹介されても困るような反応された。そんな反応にヴェールさんはキレてメディアを放り出した。ヴェールさんは「NEXT GAMES リミットダッシュ!」と笑顔で言われ、言われた通り全力で走り...観察力のある一部のメディアに目をつけられていた。

 

7月、シルバーウォリアーズには3人の選手に二つ名が付けられていた。一人目はチームのキャプテンである塔山 導(とうやま みちび)選手は「狼王の瞳」。普段優しい人で目をしているのだが試合になると狼のように鋭い瞳に変わりキレのある判断力の持ち主。

 

二人目、マイケル・ヴェール選手は「牙王」。相手のすべての努力を無駄だと思わせる力の差。全てにおいて荒々しく。なぜNBAに行ける実力があるにも関わらず行かないのか分からないが、マイケル・ジョーダンの生まれ変わりだと言われる天才エース。

 

三人目、葵光は「閃光」。攻めようと見方が前を見た時には敵も見方も会場全体が気が付かないうちに、彼は相手陣地のコートを一人走って速攻をしていた。そして誰かが呟いたまさに「閃光」、「電光石火」だと・・・・・。

 

この三人が入れば最強だとも言われるほど、ニュースに報道されていた。葵光だけは外側から目が見えないくらい真っ黒なスポーツメガネをかけていて素顔が見えないが案外評判が良いらしい。他にも監督しか葵光の素顔を見たことがないというニュースにもなっていた。

 

俺には閃光や電光石火という二つ名には少し不満がある。一つは周りが気が付かないのではなく、単に存在感が薄いのでは?と思うのだが、そうなってしまうと今度は幻のシックスマンと言われそうなので口を閉ざした。

 

二つは電光石火って俺は電気ネズミじゃないからね!。昔は前歯が少し出てたから言われてたけど、今は歯の矯正したから何ともないけど。

 

三つは閃光は忍者物語の四代目火影じゃないですか!。いや、むしろ嬉しいけどね。カッコイイじゃん!。世界のパパの憧れだよ!。本当に泣けたよ。岸本さんありがとうございます!。

 

まぁ...正直、そこのところはどうでもいいかなって今となっては思う。これからもう俺はバスケが出来ないからな。まだ分からないが、走ることを許されないバスケ選手は引退をする道しかないと覚悟をしている。

 

 

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葵光の体の現状は応急処置で右脇の2cm下辺りに体にチューブからポンプに繋がっており、右腕がうまく動作ができない。そして、呼吸が荒々しい。正直、動くだけでも苦痛を味わい身体中が悲鳴をあげている。

 

朝、目覚めると雪音と雪菜が目の前にいた。ふたりは嬉しさと悲しみが開放された表情を浮かべ、胸に抱きつこうと思ったが葵の体の状態を気にして強く我慢した。

 

 

「パパ...大丈夫なの?」

 

「ああぁ...大丈夫だ...気にするな...すぐ治る...ハァ」

 

「お父さん...心配かけないでください...」

 

「悪いな...雪菜...ハァ」

 

 

弱々しい声で心配をする愛娘たちに対して、義父として酷く無力差を感じる。俺はこの子達の為に生きると決めたのに心配をかけてしまい尚且つ安心させる為に頭を撫でることしか出来ない...情けなくて心が痛む。

 

 

「せんぱい起きてたんですか。良かったです。」

 

「藤白...ありがとう...二人を連れてきてくれて...ハァ」

 

「...なんか...せんぱいがお礼を言うと...違和感と悪寒を感じる何ででしょう?」

 

「なんでだよ...前にも同じやり取りしたような気がするが...ハァ」

 

 

他わいもない茶番話に付き合い昨日の夜より藤白は少し楽な表情になっていた。ドアから俺の名前を呼ぶ声が聞こえカーテンが開いたそこには看護婦の姿が見えた。

 

 

「失礼します。葵光くんではそろそろ時間なので呼吸器外科に検診を受けてください」

 

「分かりました...ハァ」

 

 

横にある手すりに捕まりゆっくり体を起こしベットから降りた。大袈裟だと思うが、正直この動作だけでも50メートル走を全力で走らされた感じでシンドい。案内図と診断書を取ろうとすると雪菜が持ってくれた。

 

 

「お父さんは病人なので私たちに任せてください」

 

「そうだよ。パパ」

 

「...ありがとう...」

 

「良い妹がいますね...せんぱい...」グッスン

 

「なぜお前が泣く...そこは俺だろう...」

 

でも...いつも本当に...泣きそうだよ...いつか...この子達は...自立して俺から離れ...秘密を打ち明けてもいい相手が見つかり...その人と結婚するのであろうか...。

 

 

心に温かさとしんみりと冷たい感情が流れ込んでくるがグッと堪え、念の為、置いてある車椅子に座り藤白が俺に振動を与えないように優しく押してくれた。

 

廊下に出て周りを見渡すと、どこか見た事のある風景だった。エレベーターに乗り一階に降りてドアが開くとやはり見たことがある風景である。道中、見渡すと図書館。相談所、コンビニがあり病院の入口が見えた。そうか...思い出した。ここは祖父がお世話になった病院だと確信を得た。

 

そして呼吸器外科に到着して受付窓口に向かい体温計とアンケート用紙を渡され横に並んだソファに左から藤白、雪音、葵、雪菜の順番で座った。何故か美少女三人はじゃんけんをし始め、藤白がやけに喜んで藤白と雪菜が代わり隣に座った。

 

 

「せんぱい♪、脇を上げてください♪」フフフ

 

「何でだよ...体温測るくらい一人で...イテテッ...」

 

「ほーら遠慮なく♪」

 

「ちくしょう...ハァ」

 

「はい♪失礼します。」

 

 

素直に左脇を上げて藤白が抱擁するような形で脇に体温計を運び、葵は体温計を挟んだ。数秒待ちピピピッっと鳴ったので取ってもらい、雪菜に体温を伝えた。

 

 

「お前...ハァハァ...変なところ触っただろう...」

 

「ッッ!...そっそんなわけないじゃないですか」

 

「いや...お前は嘘つく時...左腕を右手で...ハァハァ...抑える癖が出てるんだよ...」

 

「えっホントですか!。よく私を見てますね」

 

「毎日...一緒にいれば気づくだろう...ハァハァ...シンドッ...」

 

 

左手で雪音と指相撲の相手をしながら面倒くさそうに吐き捨てた。藤白は嬉しさに頬が緩みそうになったが我慢をして気を取り戻し受付窓口まで体温計とアンケートを提出しに行った。

 

 

「パパずるいよ。力が強い~」ブー

 

「えぇ...じゃあ...しりとりやるか?...ハァ...雪菜も本を閉じて相手してあげて...ハァ...」

 

「分かりました...」

 

 

俺がプレゼントした四つ葉のクローバーのしおりを挟んで本を閉じた。丁度、藤白も帰ってきて参加した。葵→藤白→雪菜→雪音の順番で始めた。

 

 

「じゃあ...俺の名前でいいや...葵光...ハァ...」

 

「後ろ向きな人♪」

 

「友達がいない...」

 

「いつも一緒にお風呂とか寝てくれるパパ♪♪」

 

「いやいや...待て待て...しりとりでは無いよね...完璧に俺の日常的な事だよね...しかも最初の二人...絶対悪意あるよね...雪音に関しては公共の場でそんなことを言っちゃダメだよ...パパ...社会的に終わるから...」

 

 

キレのあるツッコミ担当になっている俺は冷たい視線を感じ取りながら、どうにかして、この状況を打破しようと思考を回すが、全く思いつかんので諦めたが、丁度いいタイミングで低くて冷めたアナウンスで受付に呼ばれた。

 

 

誤解だよ...マジで...アナウンスの人ガチで引いてる声じゃん...。

 

 

三人にはしばらく待ってもらい、一人で壁にある手すりを使って移動し、番号が3と書かれたドアにノックをして医務室に入った。

 

そこに居たのはスラぁーとした長身で左側に整えられた黒髪。眼鏡をかけていて爽やかで優しそうな男性医師がパソコンを打つのを丁度いいタイミングで終わりこちらに気がついた。

 

 

「どうもこんにちは、葵光さんだね。私の名前は複式 治(ふくしき

なお)と申します。どうぞ腰をかけてください」

 

 

椅子に寄りかかりたいのだが。椅子の背もたれが低いゆえ、楽しようにもできない。もはや癖の猫背になるにも脇が痛くなるので、ちゃんと背筋を伸ばし面と向かった。

 

 

「心拍数確認するから服あげて」

 

「はい...ハァ...」

 

 

手始めは聴診器で3か所胸に当て背後も同様。目にライトを照らされ瞳孔の差異、反応を確認。次は口にライトを照らし虫歯や喉の腫れが無いか検査をして本題に入ると思った。

 

 

「さっきは見かけたけど賑やかだったね。可愛い娘さんと奥さんがいて幸せそうですね」ニコニコ

 

「すいません...可愛い娘は...まぁ娘みたいなものですから...否定しませんけど...ハァ...アイツは奥さんではありません...ハァ...」

 

「えっ!そうなの!?。いやぁ~それは失敬失敬。ついついお似合いな家族に見えたので勘違いだったか」

 

「先生はアイツと自分が...ハァ...お似合いに見えたのなら...ハァ...一度眼科に行かれることを...お勧めますよ...ハァ...そして自分を再び見てください...ハァ...」

 

「私これでも眼科の医師でもあるから、つい最近、自分で検査して視力は両方2あるから大丈夫だよ」

 

oh......2あるのかよ...どうやら呼吸器外科と眼科を両立できるほどハイスペックなマサイ族かな?。

 

 

俺をリラックスさせそうということで、雑談をしているのであろうと既に理解をしている。複式先生の背後に看護婦から資料を受け取り、「あっホントだ。結婚できる年齢ではないね」と呟き、俺は「そんなに老けてるように見えるのか...俺」と思ったが心に閉まった。そして先生の口から本題に入った。

 

 

「さて本題に入るんだけど...昨日のレントゲンとCT検査を見ると残念な結果です...いくつか軽い質問していい?...この質問の答えによってキミの天から地に落とされる人生...例えるとルシファーみたいに天使から堕天使になるような人生に大きく変化する。分かったかい?」

 

「はい...」

 

 

そう...俺は覚悟をしていた11時間の間ずっとずっと短いと思うかもしれないが俺からしたら1日にも思えた。

 

 

「...ではキミは趣味や部活で運動しているかい?」

 

「はい...」

 

「そうか...非常に言い難い事だが...キミはこれからの人生...運動することは許されない...というよりか生まれた頃から既にそれは決まっていた...要するに生まれつきだね...」

 

「そうですか...」

 

「キミはなに部だい?」

 

「バスケ部です...」

 

「そうか...運命とは残酷だ。たぶん...バスケをやってなかったら...さらに酷くなることは無かっただろう...」

 

「・・・・・」

 

 

複式医師は再び気を改めて口が動いた。

 

 

「それで自然気胸以外にもう一つ病気がある...運動できない理由がその病気だ...病名は気管支拡張症という...キミの場合は右の気管支のみならず右肺にも菌が汚染されており...さらに左の気管支も少し汚染されている特に心臓の近くの気管支もやられている...」

 

「・・・・・」

 

「それ以上に深刻な事に右肺には3つの空間がある...それで右肺は3分の2が菌の塊だ。3分の1は自然気胸の穴だ...だが...そこにも変なでき物みたいな物がある...その部分も気管支拡張症で菌に汚染されかけている...気管支拡張症については一生かけても自然に治ることは無い...治る手段は右肺を取り除くのみ...」

 

 

思ったよりキツい事を言われた。つまり、手術以外治る手段が存在しないわけだ。医師は立て続けに語る。

 

 

「今日から入院してもらう。それで親御さんとお話をしたいのですが、今すぐ来てもらうことは出来るかな?」

 

はぁ...言うしかないのか...。

 

「他人に他言無用でお願いしたいのですが...」

 

「えっ...うん?」

 

 

葵は躊躇なく語る。

 

 

「家族はいません...1年前...自分が家にに帰ってきた時...家が発火して逃げきれなくて家族全員が一酸化炭素中毒になり亡くなりました...ハァハァ...」

 

 

医者と後ろの看護婦は驚きの声が漏れるほど驚愕して、医者の反応は分かっていたが俺のせいで空気が重くなった。

 

 

「そうか...親戚は?」

 

「遠い親戚なら...ただ一人相談できる人がいます...ですが...住んでいる地域が軽井沢なので...すぐ来られるかわかりません...」

 

「ならその方に電話で事情を話して。明日には来てもらう。細かい話はこちらで話します。分かりましたか。」

 

「・・・・・はい」

 

 

言われた通りスマホを取り出し叔父さんの電話番号を押し耳に当て「プルルルルッ」と鳴り出るまで待った。複式先生はとあることに気づき口を閉ざし、ふんわりと優しそうな表情を変えて葵に話しかける。

 

 

「キミは優しいね。もしもの事態を考え覚悟をしていたようだからね。だから、あの子たちを心配させたくないから来させなかったんでしょう?」

 

「まさか...たまたまですよ...ハァ...」

 

 

だるそうな声で軽く手を横に振り言葉を濁すように適当に誤魔化した。会話が途切れると入れ違いでスマホから懐かしく渋い声が耳に通った。

 

 

「もしもし...葵光です...ハァ...久方ぶりです...叔父さん...ハァ...」

 

「もしもし、葵 重春(あおい しげはる)です。丁度いいタイミングだ。急にだけど、光くんの様子を見に妻と電車でそっちに向かってるからもうすぐ着くから待ってなさい。」

 

「そうですか...すいません...叔父さん...ハァ...唐突ですが...そのまま...ハァ...とある病院に来てください...ハァ...訳はこちらで話します...」

 

「!?...そうか分かった...ちゃんとそこで話してくれるんだね。」

 

「すいません...お騒がせします...ハァ...」

 

 

表示されている赤いボタンを押し電話を切った。

 

 

「丁度、自分の様子を見に来たようで、今日の午後には来れるかと思います」

 

「保護者のお名前は?」

 

「葵重春です...」

 

「分かりました。ではそれまで病院内にある図書館で待ってもらって。来られたらそこに病院の受付窓口に誘導してもらうから、合流してこちらに来てください。ではまた改めてお願い致します」

 

「はい...ありがとうございました...」

 

 

膝に手を置いてゆっくりと立ち上がり、手すりを頼りに歩き始め半自動ドアを引いてしんみりと重くした部屋を去った。その後、藤白と合流して図書館で待機するように細かい理由を言わず無理やり説得をさせ移動した。

 

歩いて2分で図書館につき4人席があるが、叔父さんと叔母さんのことも考え6人席に座った。不意に藤白が問いかけた。

 

 

「誰を待ってるんですか?」

 

「えっ...ハァ...何のことだ?」

 

「えっ...だって、ココは6人席じゃないですか?。不自然じゃないです。来た時、目の前にある4人席を座らず、奥の6人席を座るのは誰か待っているんじゃないですか?」

 

うわぁ...さすがです。藤白お嬢様...洞察力、観察力が鋭くありませんかね..世の中で敵に回してはいけないかつ隠し事が出来ない人物を日本の三本の指に入りそうだな。

 

「はぁ...そうだよ...とある人を待っている...ハァ...重要な人達だよ」

 

「へぇ~先輩の親御さんはお母様は出張でいませんから...誰でしょう」

 

「俺のおじいちゃんの兄弟にあたる方だ...つまり叔父だな...ハァ...」

 

「えっ!まさかこの流れは先輩の将来の嫁である私を紹介する為にですか!?。ちょっと、お手洗いに行かないといけませんね。ちゃんと髪を整えていきます」

 

「イヤイヤ...なんで病院でそんな話するんだよ...ハァ...まず...お前が俺の嫁になることはありえない...ハァハァ...」

 

「えぇ~酷くないですか」

 

「そういうのいいから...シンドイ...ハァ...」

 

「ぶぅー、少しお手洗いに行ってきます」プンスカ

 

なんともあ・ざ・と・い仕草だな。

 

 

彼女は不機嫌気味に図書館のお手洗いに向かった。娘たちは少し心配そうな表情を浮かべ葵を見ていた。

 

 

「どうした...ハァ...」

 

「そのおじ?っていう人はお姉ちゃんと雪音のこと知ってるの?」

 

「あぁ知ってるよ...確か...雪音と雪菜を預かってから...ハァ...一週間後ぐらいに言ったかな?」

 

「「!?」」

 

 

ふたりは綺麗な瞳を大きく開き驚いていた。葵は察して話を続けた。

 

 

「なるほどな...叔父のことを気にしているのか...ハァ...大丈夫だよ...ある程度は事情を話してある...心配はないよ...寧ろ...ハァ...あの人は...ふところが広い方だから...しげ爺って呼んでいいよとか...奥さんの場合はしょう婆って呼んでねって言うから...ハァ...」

 

「そうなの?」

 

「そうだよ...」

 

「そうなんだ♪」

 

 

雪音が不安そうな表情が消えて、寧ろ、叔父さん達が来るのを楽しみにして待っていた。

 

 

「せんぱーいお待たせしました♪」

 

「待ってねぇよ...ハァ」

 

「あっ、ちょっと待ってくださいね・・・・・ココが図書館ですよ」

 

「ご親切にありがとうございます」

 

「探している方が見つかるといいですね」

 

 

どうやら道案内をしていたようだ。壁が影になって見えなかったが、お礼を言っているご年配な方だろうか...声が少し懐かしく聞こえた。それにしても藤白の猫かぶりっぷりが凄い。

 

壁が影になって見えなかったがゆっくりと姿を現した。まさかのその人は俺の叔父と叔母だった。そう...家族が亡くなった時、俺の一人暮らしに唯一賛成してくれた方。俺は咄嗟に立ち上がり叔父さん達の前に憐れみた姿で現した。

 

 

「光くん!。大丈夫かい!?」

 

「光ちゃん...生きててよかった...心配したよ...もし...もし...また...何かあったら...うぅぅ...うぅ...」

 

「すいません...叔母さん...泣かせるようなことになってしまい...」

 

 

泣き崩れる叔母に叔父は何も言わずに叔母の背中をさすった。俺はハンカチで涙を拭いている手を優しく握り、さっきまで座っていた椅子に移動し座らせた。

 

徐々に落ち着き改めて面と向かい合った。円形のテーブルである時計回りに葵。雪音。藤白。叔父の葵重春。叔父の奥さんの葵昭(しょう)。雪菜が叔父が買ってきた人数分の飲み物をテーブルに置いてある。周りは賑やかだがココだけどんよりと重い空気が漂っているなか叔父から口が開いた。

 

 

「自己紹介が遅れました。葵光くんと雪音ちゃんと雪菜ちゃんの叔父の葵重春です。」

 

「妻の葵昭です。」

 

「葵光さんにお世話になっています。葵玲美です。」

 

「違うだろうが...葵じゃねぇだろう...ハァ...藤白だろうが...勝手に人の名前使うな...ハァ...」

 

「あらっ、光くん、違うの?」

 

「もう~お似合いだから、一層の事、お嫁さんに貰えばいいじゃない。光ちゃん。こんな優しくて親切で綺麗なお嬢さんはなかなかいないよ。」

 

イヤイヤ、叔母さん...あざとくて面倒で猫かぶりのサキュバス後輩を貰えってか、無理無理無理無理!!。可愛いは否定はしないけどね...。

 

「お褒めいただき光栄です♪」

 

「もう...そういうのいいから...ハァ...」

 

 

いつも以上に面倒くさそうでだるそうにため息をついた。叔父と叔母が目と目を合わせて雪音と雪菜に話しかけた。

 

 

「初めまして、あなた達の叔父です。」

 

「叔母です。」

 

 

雪音と雪菜は人見知りなのか葵光に寄り添い少し恥ずかしそうに顔を伏せ雪音から声が出た。

 

 

「しげじいちゃん、しょうばあちゃんってよんでいいの?」

 

「あらあら、懐かしい名前が出てきたね。昔。光ちゃんがよく呼んでくれた。名前が出てきましたよ。重春さん」

 

「そうだね。懐かしいよ。美波ちゃんもよく呼んでくれた名前だね。もう...聞けないと思ってたんだけどね...嬉しいな。」

 

 

また、しんみりと重い空気に変わり、葵光が話の主導権を握ろうと割り切って入る。雪音と雪菜が叔父さんと叔母さんの初対面同士の疑問が藤白には生まれる為、事前に打ち合わせてある話をした。

 

 

「すいません...叔父さん...叔母さん...ハァ...今まで隠していて...」

 

「いいよ。最初は驚いたけど、寧ろ今の光くんには雪音ちゃんと雪菜ちゃんは必要な存在でもある。だから一緒にいてあげて」

 

「私も同意見です。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

叔父さんと叔母さんには雪音と雪菜の事は知っている。ふたりも俺と同じ経験をしてあることも、今回は外野がいるゆえ、そんな話も出来ない、叔父さんと叔母さんは生き別れの妹として表にはそうするように頼んだ。

 

 

改めて雪音と雪菜は立ち上がり叔父と叔母の近くによる。どうやら問題はなさそうだ...何故ならば...。

 

「しげじいちゃん♪」

「雪音ちゃん♪。雪菜ちゃん♪。こんなにも可愛い孫が...ワシはメロメロじゃのぉ~♡」

 

叔父は雪音にメロメロになっている。雪菜はそういうの恥ずかしそうに無理やりハグをされていた。ちょっと悪くない意味で嫌そうだ...。

 

「本当にふたりとも可愛いわね~♡、あっ果物あめ欲しい?」

 

「ほしい♪」

「はい...」

 

ふたりは叔母さんから果物あめを受け取り小さな口に含んだ。

 

 

「ありがとう♪」

「ありがとうございます...」

 

「どういたしまして、ふふふっ」ニコニコ

 

 

どうにか一区切りついたようだと思い、改めて本題にに入った。

 

 

「叔父さんと叔母さんは...自分の後に...ハァ...着いてきてください...」

 

「・・・・・分かった」

 

「藤白...雪音と雪菜のこと頼んだ...ハァ...」

 

「わかりました...」

 

 

自分のペースで歩いて来てくれる叔父さん叔母さんは無言で呼吸器外科に向かった。葵の背後を見た藤白の気持ちは不安、困惑、戸惑い、苦しみが浮かび上がるが葵光が口に出すまで見守るしかなかった。

 

その後、叔父と叔母は葵光の身体の現状を把握した。叔母さんはまた...葵光の為に...葵光の分の涙を流し続けた。もう二人...葵光がプロの選手として活躍していることを知っている人がいる。それが叔父と叔母である。

 

だからこそ。葵光は心配させたくないからずっと走り、苦しみ、足掻き、生きてきた。やっと、世間に注目されるくらいの選手になり迷惑もかけることもなくなると思いきや、突如、どこにも道が無くなり崩落された。

 

話が終わり、結論、俺は二週間の入院のなかで二度の手術する事を決めた。1回目は自然気胸の手術、2回目は気管支拡張症の手術を行う。

 

入院中は叔父と叔母が雪菜と雪菜の面倒を見てくれると言ったが、流石にそこまで迷惑をかけたくないと断った。

 

その代わり雪音と雪菜は藤白が面倒みてくれると一緒の学校で二人のことをよく知っている。そして、俺は信頼している。今日、熱でもあるのかな?。

 

話が尽きている頃には夕方になっていた俺は叔父と叔母を見送り、少し娘たちと雑談をして見送り病院に残った。俺は色々と検査をしなければいけないので、所々、病院中を回り疲れ果て自室のベットで寝た。

 

 

夜10時頃、葵家では雪音と雪菜を面倒を見ている藤白が、ふたりを寝かしつけ11時まで勉強していた時、気分転換に葵光の部屋にエッチなものがないかなってふざけて探してクローゼットを開けるとそこには信じられない光景が目に映った。

 

そこにあったものは葵の祖父、祖母、父、母、姉、各々の親戚の名前と写真が置かれている仏壇が、そこには広がっていた。

 

「えっ...どういう事...」

 

今日、藤白には疑問に思った単語が二つあった。叔母さんが「もし...もし...また...何かあったら...」の〝また〟という部分、そして二つ目は「美波ちゃん」という人の名前が頭に引っかかっていた。

 

藤白は自分のノートパソコンを取り出しある検索単語を詮索した。その検索単語は「葵家一家放火殺人事件」。そして、思わぬ所に藤白玲美と色見のお兄さんが関わっていた事は誰も知らない。

 

 

 

 




2週間くらい開けるかもしれないです。
申し訳ございません。
なるべく対処します。
読んで下さりありがとうございます。


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賑やか病室

色々と今までの作品編集したり、FGOでまさかの無課金勢で2日連続でジャンヌと魔神セイバーが当たったので、久々にFGOに力を入れ始め遅れました。まぁ...何してんだよ...で感じですけど...。
毎回更新遅くてすいません。
ではどうぞ。



藤白玲美は葵光に関連してそうな葵家放火殺人事件を調べていた。葵家と数多く親戚のような人達の名前があり、計14人の人達が亡くなっている。その死者の中に葵美波という名前があった。

 

 

歳からして...たぶん...先輩のお姉さんの名前....。

 

 

パソコンに顔を近づけ、マウスを動かす。キメ細かく、死者、詳細、原因、犯人を調べていたが、やはり、重要な部分の原因と犯人が一向に分からない。

 

他人が出しゃばるところではないけれど、先輩の場合は他人に頼らないし、相談もない、助けも求めない性格。ならば、こっちから出しゃばるべきところである。

 

明日はゆっくりと尋問しよう。そして、先輩から私に対して...いいえ...身近な人達に対して言葉に出してほしい...助けてくれ、協力してくれ、お前の力を貸してくれ...と声に出してほしい。

 

藤白玲美は心の奥底に神に祈り続けた。その頃、葵光はくしゃみをしたせいで応急処置をした体に激痛が走ると共に、何故か...特に何も無いのに...嫌な予感がした。

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

次の日、朝早起きして栄養バランスを考えられた朝食を食べ、仰向けでしか体が休めないので寝かせて、スマホを取り出し、最近ハマっているアニソンのカバー曲があるリズムゲーにイヤホンを耳にかけ没頭している。

 

しばらくすると。ノックする音が聞こえ、一時停止させて返事をする。ひょっこりと藤白と愛娘たちの姿が見えた。どうやらお見舞いに来たようだ。

 

 

「来てくれたのか...雪音...雪菜...藤白...」

 

「この子達が落ち着きがなかったので」

 

「そうか...」

 

 

次女の雪音がいち早くベットの隣に近づき、俺の顔を伺い話しかけた。

 

 

「ねぇ~まだ、なおらないの?」

 

「まだ...病気になって...3日しか経過してないぞ...そんなに早く治らないよ...雪音...」

 

 

しょぼくれた表情を浮かばせて顔をベットに埋めて、小さな唸り声を上げた。そして、いつの間にか逆側に雪菜がいた。悲しそうなオーラを出して葵の服を握ってじっとり見ていた。

 

 

「雪菜...いや...本当にごめんな...ちゃんと...家族の時間を作るから...堪忍してくれ...」

 

「ホントに?」

 

「俺が...悪い嘘をついたことがあるかな?...」ハァ

 

「ある...」ブゥー

 

「えっ...」

 

雪菜が頬を膨らませた...なんて可愛いんだぁ!!。いやいや...そんなことを思っている場合でもあるが...。

 

 

予想外の答えが飛んできた。葵は余計な思いがあったが、即座に切り替え、頭の中をいつものフル2倍回転させて考え込んだ。

 

 

...ちくしょう...そんな...バカな...いつ...指切り切って拳骨万回され針千本飲まされるような嘘ついたんだ...?。

 

「私たち姉妹を心配させたことです...」

 

「...そうだな...その約束は...天と地がひっくり返っても...絶対に...守らなければ...いけない事だったな...改めて...本当にすまない...」

 

 

葵は手を伸ばして雪菜の頬に手を優しくあてて、しっかりと彼女の綺麗な瞳を見つめた。

 

 

相変わらず、海に太陽の光が透き通った綺麗な瞳だ。だけど、俺のせいで少しうるうるとしている。

 

 

「あの...おと...お父さん...少し...今の状況が...あ、あのぉ...とても恥ずかしいです...」デレデレ

 

「...そうか...べつに家族なんだから...そんな...恥ずかしい事を...している様には...思えないのだが...?」ハァ

 

「パパのバカ...」(ボソッ)

 

 

そんな親子団欒に邪魔だと思ったのか、藤白は何か考え事かあるのか黙ってぼーっと見届けていた。

 

 

「そうだ...雪音、雪菜、何か...二人で...人数分のジュース...買ってきてくれないか...そこに俺の...長財布があるから...好きなの買ってきていいから...」ハァ

 

 

二人は机の上にある俺の長財布を取り、同じ階にエレベーターの近くにある綺麗な山景色が見える場所がある。そこに自動販売機があるので、そこまで向かっていった。

 

 

「どうした...藤白...」ハァ

 

「えっ...アレ...雪音ちゃんたちはどうしたんですか...?」

 

「ジュースを買わせに行かせた...」

「そうですか...」

 

 

藤白は安心したのかベットの隣にある背もたれが出来る椅子に座った。葵は今までの藤白の表情や態度で一つの仮説を試しに言ってみた。

 

 

「...どうやら...今の藤白にとっては...ふたりはいなさそうが...俺に何か質問しやすいと...勝手に推測しただけだが...」ハァ

 

「!?...ホント...凄いですね...先輩は...何でもお見通しですか?」

 

「何でもは言い過ぎだな...じゃあ...それも...当てようか...」ハァ

 

 

葵は考えた。深く深く、藤白の質問を当てるのではなく。藤白が聞こうとしている質問をウヤムヤにする為に...だけど...もし...アレが...バレていたら...。葵は敢えてふざけて口にした。

 

 

「何か...俺の部屋でエロ本でも見つようとして...見つからなかったか?...それで...答えを教えてもらうか...考えてるとか?...残念...俺はエロ本など持っていないからな...」ハァ

 

「・・・・・」

 

「はぁ...」ハァ

 

 

藤白のちょっとした動揺の反応で確信を得た。確実にバレている。

 

 

「見たのか...クローゼットの中...」ハァ

 

「はい...」

 

「そうか...じゃあ...素直に...独り言でもつぶやくか...俺の知り合いが...はぁ...俺が高校一年生の頃...クリスマスの記憶...それはとても冷たく残酷で悲惨で哀れな...一人の少年の物語...」

 

 

葵は諦めてとある物語を語り始めた。だが、少し偽りを語っている。愛娘たちの出会いと関係は、花が「葵には妹がいない」ということを言われた時の言い訳を繋げて告げた。

 

話し終わった頃には藤白は頑張って涙を流すのを堪えようとしているがポロポロと自分の手元に雫がゆっくりと零れていた。

 

 

「お前が...なんで泣いてんだよ...」ハァ

 

「そんな話し聞かされたら...誰だって泣きますよ!!っっ」グッスン

 

何故...怒られた。

 

「まぁ...アレだ...俺の運命が悪かったんだよ...人は...いつの日か...死ぬからな...俺の場合は...それが早かったって話だ...」ハァ

 

「なんで...グッスン...先輩は...そんなに余裕があるんですか...悲しくないんですか...」グッスン

 

「そりゃぁ...悲しいさ...だけど...今は...そんな事を言っている場合じゃないんだよ...雪音と雪菜が...いるからな...俺はいつまでも...ピーピーわめくわけには...いかないんだよ...俺はあの子達の前に立って守らないと...二度とあんな事を起こさせる訳にはいかないからな...」

 

同じ思いを二度とさせないたくないし...しなくない...俺はそう誓ったんだよ...藤白。

 

 

心に強く...誰よりも強く...誓った言葉を心に置いた。そして、何故か自然に雪菜と同じように彼女の頭に優しく手をおいた。

 

 

「いや...本当に...泣きやめ...俺が悪いみたいに...なってるから...」

 

「いや..グッスン...先輩が悪いんですよ...」グッスン

 

「確かに...そうだな...お前は純粋で裏がないからな...ハァ...こんな話したら...泣くのは...何となく分かってたけどね...くっくっく...イテェ...笑うと痛いな...」

 

 

彼女においた手を撫でるように動かして誤魔化しつつ慰めた。そして、少し落ち着いたようだなので撫でるのをやめて手を下ろした。すると、藤白が・・・・・。

 

 

「先輩...もう一回撫でてください...」

 

「なんでだよ...」

 

「だって...なかなか...撫でてくれないので...もう少し...堪能したいな~なんて...」

 

「調子に乗るな...誰がやっても変わらねぇよ...そんなもん...」

 

「変わりますって...先輩のゴツゴツと大きくて暖かいのが...もう一回欲しいです...」

 

「誤解を招く言い方はやめろ...」

 

「えっ!、どこがですか~」ニアニア

 

「チッ...コイツ...相変わらず...あざとい...」

 

それにしても...後輩の頭を撫でるとか...恥ずかしいことしてしまった...まぁ...泣き止んでくれて良かったけどな...面倒臭いし...本当に...。

 

 

藤白がいつもの調子に戻ったので落ち着いた。雪音と雪菜が初めての買い物を行かせて帰ってきたようだ。たぶん、一番上の段は二人の身長では届かなくて1.5ℓのペットボトルは諦めて。1ℓの缶にしたんだろうな。

 

 

「はい、パパ♪」

 

「ありがとう...」

 

「お姉さん、どうぞ...」

 

「ありがとう。雪菜ちゃん」

 

 

それぞれジュースを受け取り、愛娘たちは藤白が座っている隣にふたつの椅子に座った。藤白はもう一つ聞いてきた。

 

 

「雪音ちゃんたちも知ってるんですか?」

 

「あぁ、知ってる。それがきっかけで...二人にあったわけだからな...」

 

「なんの話ですか?」

 

 

雪菜が頭をかしげて聞いてきた。可愛い...。

 

 

「俺の家族の話...」

 

「?!...バレたんですね...」

 

「二人の...秘密は...守ってるよ...」(ボソッ)

 

 

驚いた表情を表した雪菜に、手で来てきてというサインを出して、雪菜に藤白がバレないように耳打ちをした。葵が溜息をつき呟いた。

 

 

「それにしても...なんで...思春期女子は...そんな変なもの探そうとするんだよ...」

 

「えぇー、それは男子の部屋に入ったら誰だって探しますよ」

 

 

藤白と雪音に挟まれた雪菜が両手でジュースを持って聞いてきた。

 

 

「何を探していたんですか?」

 

「雪菜には...少し早い話だから...気にしなくていいよ...」

 

「それはね♪」

 

「おい...バカ...やめろ...教育に良くない...」

 

「ごにょごにょ...ごにょごにょ.....つぅ.....おん...の...きぃ...しぃ.....らしい」(ボソッ)

 

 

最後の言葉で雪菜の顔が徐々に赤く沸騰して湯気が出た。

 

 

「!...何言ったんだよ...お前...」

 

「いやぁ~、貴方のパパは女の子とエッチがしたいんだよ。つまり、女の人とキス以上のことをしたいらしいって言ったんだけど...こんなことでわかっちゃうだね。今の小学生は。」

 

「違う...この子がそこら辺の小学生より...いや...高校生より...大人に負けないくらいの知識を持っているから...単語がわからなくても...少し考えれば...わかっちゃうだよ...雪菜...大丈夫か...」

 

「にゅ~...大丈夫です...お父さんが...そんな年頃なのは...男ですし...しょうがないです...」

 

「いや...待て待て...言っている事と...やっている事...違うから...スマホの電話番号を11押している時点で...お兄ちゃん...その次の番号わかっちゃってるから...お兄ちゃんの事...信じてないでしょ...」

 

 

スーッとスマホを下ろすところを見て、一安心と言うか...まぁ...ただの雪菜の捻くれた愛情表現茶番だけどね。全く...誰に似たのやら...。

 

ふと藤白に対して心配していた事が一つの思い出した。

 

 

「そう言えば...お前...料理とかできるのか?」

 

「えっ...それは...」

 

 

気まずく言いにくそうに、何故か左手を背後に隠した。

 

 

「お前...手...見せろ...」

 

「はい...」

 

 

彼女は手を葵の目の前に見せた。見ると思わずため息ついてしまった。左手が親指、人差し指、中指、絆創膏が合計5箇所あった。

 

 

「お前...はぁ...面倒を見てくれるのは有難いが...怪我はしないでくれ...心配だから...」

 

「ごめんなさい...」

 

 

シュンと表情がくもり、反省したような小さな声で謝ったので許した。

 

 

「昨日は誰が作ったの...」

 

「おねえちゃんがカレー作った」

 

「えっ...大丈夫だったのかよ...」

 

雪音の発言に動揺を隠せなかった。正直、小学生5年生が火と包丁を扱うことは避けて欲しいんだが...。(まぁ...俺は保育園児の頃から火を扱ってたけど...)

 

「どうやって作ったんだ...」

 

「レトルトカレーがあったからお湯を沸かした後、米を炊いた。」

 

「なら良かった...包丁を扱ってたらどうしようかと...」

 

 

雪菜が淡々と答え安心した。葵はカレーばかりだと栄養バランスが悪いので不安が伴っている。だが心当たりにある人がもう一人。

 

 

「いや...そう言えば...頼れる人がもう一人いたな...その人に頼むか...」

 

 

葵はスマホを掴みある人に電話をかけた。

 

 

「もしもし...」

 

「もしもし、何かよう。光ちゃん」

 

「この前...お見舞いに来てくれて...ありがとう...花...」

 

 

その相手は葵家の近所に住んでいる幼稚園からの幼馴染の竹見花だ。

 

 

「別に...大したことはしてないよ」

 

「それでさ...一つ...お願いしたいことがあるんだけど...イイかな...」

 

「別にいいよ。」

 

「妹たちに...ついでに面倒を見てくれてる藤白に...料理作ってくれるか?...」

 

「うん?...いいけど...なんで玲美さんがいるの?」

 

「何か...流れに流れたら藤白が...妹たちの面倒を見てくれている...状況...」

 

「・・・・・別にイイよ」

 

「頼んだ...ありがとう...助かる...」

 

 

ぶっきらぼう適当に答えたらなぜか花は数秒間反応がなかったが、この人は誰よりも優しく強い娘だから了承してくれ電話を切った。

 

 

「という事で...花がご飯を作ってくれるから...」

 

 

と説明すると藤白は再びメガティブになった。

 

 

「すいません...私が不甲斐ないせいで...花さんに弟子入りして勉強します...」

 

「気持ちは受け取るよ...けど...程々に...」

 

「ついでに私が先輩に思う気持ちも受け取ってください♡」

 

「ハイハイ...調子に乗るようなことを言うな...いらないから...さらに言えば...爆ぜろ...」

 

 

急な藤白の表情の切り替えに対応するのが面倒になっていく葵光...。電子時計を見てふと聞いた。

 

 

「いつまでいるんだ...今...午後の3時なんだが...」

 

「いつまで居たい?雪音ちゃんと雪菜ちゃん」

 

「ずっとパパのそばに居たい」

 

「私は帰りたい...」

 

「お兄ちゃん...ショック!。雪菜...そこは...もう少し居たい...とか言ってよ...」

 

「やだ...」

 

反抗期...ツンデレであってくれぇ!。

 

「じゃあ、もう少しお話しようか。なにか話題があるかな...そうだ...最近、雪音ちゃんと雪菜ちゃんはパパに聞きたい事とかある?」

 

 

雪菜の一言で俺の精神的がボロボロとポテトチップスのカスが落ちるように崩れている時に、藤白が中心になり話題を娘達にふった。

 

 

「うーん、あっ!そうだ。ハイハイ、パパにききたいことあった。なんでパパがトイレから出て、次に雪音がはいってたまにトイレに浮いている。ちっちゃな白いスライム、あれってなに?」

 

「寝ます...おやすみ...」

 

 

即座に顔を隠すように布団をかぶった。

 

 

アッレレ...おっかしいな?。エロ探偵くんの口癖が出るくらいおかしいな...ちゃんと証拠隠滅してるんだけどね...。

 

「ねぇねぇ~寝ないでよ。気になる~」

 

 

小さな足音が段々に近づくのが聞こえ、俺がかぶった布団を駄々をこねて揺らす。

 

 

「頼む...雪音...これ以上...お兄ちゃんの...精神メンタルを殺すような事を...言わないでぇ...」

 

 

と恐る恐る布団から顔を出すと精神が凍結した。雪音に対してなく。その後ろにいる雪菜がガチで引くような目でどんどんと遠ざかっているように見える。

 

 

「雪音...その人から離れて...」

 

「ちょっと...雪菜さん...本当に...もう...本当に...しょうがないんだよ...」

 

「今...認めましたね...」

 

「いやぁ...認めてないけどぉ...それより...雪菜が聞きたい事とかある...」

 

「なんで...お父さんは...変態なんですか...」

 

「傷口に塩を塗るような事を...言わないで...」

 

 

そう言えばと思い藤白に目を向けたら、あっら~やっぱり、にっこにこの笑顔で...この状況を楽しんでらっしゃる...このサキュバス後輩が...。

 

 

「藤白...お前のせいなんだから...なんとか...してくれ...」

 

「えぇ~先輩がいつもいつも、私を変態みたいな目線を送ってくるのに人のこと言えないじゃないですか?」ニコニコ

 

「・・・・・すいませんでした...すいませんでした...だけどな...一つだけ言わせてくれ...雪菜...週一くらい...うる覚えだけど...男の白いスライムを出さないと...スライムが腐っちゃうの...それを防ぐための行為だから...分かった?...」

 

「そんな事くらい...分かってますよ...ただ...快楽におちいてたら...ぶら下がっているの...切ります...」

 

娘からとてつもないこと言われたんですけど...。

 

 

娘の冷たいオーラに負けた。雪菜に言われたことを肝に銘じた葵光であった。そして、そろそろ時間であろう。窓を見ると太陽があと数分すれば姿を隠れそうだ。

 

 

「では先輩♪、お暇させていただきます。帰るよ。二人とも」

 

「じゃあね~パパ」

 

「お大事に...お父さん...」

 

 

改めて見ると藤白が二人と並ぶと藤白が母親のように見えていた。そして、ドアの先に姿を消しゆっくりと半手自動ドアが閉まった。正直、落ち着きがある空間になって楽になった...と思ったら、ドアの開く音が聞こえ姿を現したのは藤白玲美、一人だった。

 

 

「藤白...どうした...忘れ物か?」

 

「いいえ、少し先輩をおちょくりに来ました。」

 

「なんでだよ...」

 

「それで先輩、雪音ちゃんの質問の話ですけど...」

 

「なんで...それを話に出す...」

 

「まぁ、最後まで聞いてください...先輩が退院したら...私が手伝ってあげましょうか?」ニコニコ

 

「?...なにを」

 

「生理的処理」ニコニコ

 

「.....ちょっと来い...」

 

「...はい?」

 

 

疑問に思いながらもテクテクと藤白は葵が藤白の後頭部に手が届くくらいの近づいた。すると、葵がいきなり藤白の胸ぐらを掴み勢いよく自分の顔に近づけ、接吻をしようとしたが、藤白は反射的に反応して葵に頭突きをした。

 

 

「いてっ!...」

 

「痛っ!...」

 

 

お互いに自分の頭を撫でながら藤白は一歩下がり葵との距離をとった。

 

 

「という事だ...お前は...分かっていない...男の恐ろしさを...そういうのはさ...男に言うもんじゃねぇよ...今回は...俺が怪我しているから襲われずにすんだんだ...自分の身が危険に晒すだけだ...それに...反射的に対抗しただろう...それが結果だ...ついでに...お前は...俺のことが好きじゃない...分かったなら...早く...二人の元に行ってくれ...」

 

「いやぁ...その...そういうことでは...」

 

「早く行ってくれ...目障りだ...」

 

「はい...」

 

 

鬱陶しそうに葵は布団をかぶり寝た。起きて窓を見た時には真っ黒な空に満月の光が町を照らしていてそして肝心の藤白は流石に帰っていた。スマホを開くとLINEが来ていた。藤白玲美からだ。そこには謝罪文と言うよりか告白?に近いようなのが書かれていた。

 

 

〝先輩、私が悪かったです。反省してます。でも、本当に先輩の事が大好きだからふざけた事を言えるんです。でも気持ち的には少し本気でした。でも、いきなり、接吻されそうになったら、ビックリして、誰だって頭突きしますよ。あと、まだ頭が痛いです。今度、膝枕して頭を撫でてください♪〟

 

 

文章は謝罪しているように見えないが。まぁ、藤白の性格を考えれば反省しているだろうと思っておこうと信じて、〝分かった。分かった。撫でないけどな〟と返信して再び寝た。

 

 

 

 




次回は手術後の話になります。
呼んでくださりありがとうございます。
そして、FGO頑張ろう!!。


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平凡な一日は帰ってこない。

下手ですいません。試験勉強に集中していました。
ここまで読んでくださった方々に申し訳ないです。
ではどうぞ。


俺の記憶が正しければ散々な夏休みだった。自然気胸、気管支拡張症になり入院生活が1ヶ月は続き、その間、手術を2回おこなった。

1回目の手術は穴が空いた肺を塞いで、上葉と呼ばれる肺の一部に出来物があり、それを焼き消したらしい。

1週と4日おいて2回目の手術を開始した。右胸部から左胸部へ大きく15度斜めにメスを入れ、そして切り込みに手を入れて大きく開き、そうするとあばら骨が見える。

右側のあばら骨を数本折ると肺が見える。右肺には3つの空間があり肺の真ん中にある中葉と呼ばれる肺の一部の臓器が本来であれば動いているはずなんだが、葵の場合は菌の塊であり動いてすらしてない。

寧ろ、邪魔までもある。そんな状況で知らずに運動してきたのだ。中葉と繋がる気管支を取り除き、あばら骨をくっつけ胸部を閉じ糸で縫ったらしい。

 

俺が起きた時は・・・いや、起きれなかったな。正確には目が覚めたか・・・。身体中に痛みが・・・特に胸部が痛かった。まぁ当たり前だけどね。誰かに日本刀で切られたようなメスされ骨折しているわけだし。

 

退院後はまともに歩けなくて高齢者の方々が扱う杖を買った。なぜ松葉杖じゃないのかって?。それは右脇下の傷が痛いからである。あと片手松葉杖でも呼吸がしにくいからである。いや...本当にすごーく痛いんだよ。(とあるエルフキャラのマネ)

 

そんな困難な体で我が麗しい娘達と久々の登校。いつもだったら平然と歩いていた距離が凄くシンドい。未だに呼吸が荒々しい。時期に肺が慣れて3週間したら治るとか言われたけど、治る気配がないのだ。はぁ...シンドい...。

 

登校途中で葵は同じ学校の生徒の目線の的になってしまった。

 

教室に着いたら着いたらで、クラスは俺を見てザワザワと森に風が吹くような空気になり、担任の赤メガネをかけたスタイルのいいワイン好きの女性...萩本先生が教室に来た時はすぐにカウンセリング室に呼び出され、コーヒーを差し出し腕を組んで眩しい瞳を濁った瞳の生徒に合わせた。夏休みにあった体のことを隅から隅まで聞かれ吐き出した。

 

 

「そうか...事情は把握したから、まぁ...無理せず安静しろよ。てかそんなことになったなら連絡しなさい!」

 

「すいません...」

 

「お前は...私に信頼はないのか...」ハァ…

 

「すいません...正直...今まであなたと時間を過ごして...信頼は...なんとも...!、拳を握らないでください!...これでも病人なんで...一応...」

 

「はぁ...分かってる...当分はキミは病人だ...手は出さない...」

 

出来れば...病人でなくとも...今後とも...俺に手を出すのをやめてもらえたい...。

 

「キミは人を頼るということを知らない奴だな...まったく...困った生徒だ...はぁ...」

 

「まぁ...人を信頼してないので...」

 

「なぁ葵。その捻くれた根気が人を寄せ付けない性格が今回の病気の要因ではないのか。私の独自理論だが人間は怪我や病気になる事には何か...神様に人の日頃の欠点を教えてもらっている気がする。」

 

「そうですか...」

 

 

葵は適当に聞き流したつもりなのだが、なにか見破ったような表情が緩んで言い直した。

 

 

「...フフ...いや、訂正するよ。キミは夏休み明けて少し雰囲気が変わった。人に対して少し心を開いたようだな。それも成長の1歩というわけか...なるほどなるほど...興味深い...」

 

「先生...俺はあなたの人間観察モルモットではないんですよ...」

 

「ごめんごめん許してくれ、それにしても...そうかそうか、一体誰に頼ったんだろうな」フフフ

 

「アンタは俺のオカンかよ...」

 

「?...私はそのつもりだよ」

 

「えっ?...」

 

 

葵は頭に何か引っかかった。何故そんな返答をしたのか。不思議で且つ違和感を感じ取れた。萩本先生の目を合わせると純粋に平然としたその何かに感ずいた。

 

 

「...それは...まるで俺に親がいないと思われているよな...返答ですね...」

 

「やはり...今ので確信を持ってたよ、この4ヶ月間、キミには家に親がいない」

 

「.....」

 

「この違和感を覚えたのは葵の妹さん達の家庭訪問の時に失礼した時だ。」

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

あの時か...6月くらい萩本先生は小学校の方も担当をしている。具体的には小学生2年と5年の学年主任をされている。でもあまり仕事がない。だから主に俺の担任をしている。で家庭訪問に普通は小学生の担任が来るはずたのだが、問題児扱いされている俺の担任でもあるので家に来た。

 

その時は腰が抜けた。いや...インターホンが鳴って玄関を開けると萩本先生が

 

「よっ、葵、君の家に失礼するぅ...」

 

「雪音!雪菜!逃げろ!玄関にアラサー鬼が!」

 

「誰がアラサー鬼だ!」

 

「ぐはぁ!」

 

「私はまだ29だ!」

 

変わらねぇ...じゃねぇか...。

 

 

腹パンされた...。いや、俺、かなり腹筋鍛えてるんだけど、その腹筋を反射的に硬化させたのに...崩されるパンチ力に驚いた。赤い拳の跡ついたし...。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

そんな事があった家庭訪問に何か親がいないと思わせる根拠的な証拠となるものが俺には思い当たらない。

 

 

「なぜ私がそう思ったか...それは君たちの玄関だ。玄関にあったタンスが空いていたが、そのタンスには女性らしい靴が無く、兄妹の下駄3足。玄関にあるのも兄妹の靴が3足だった。」

 

「それで違和感を感じた。家の中は煙草の匂いもない。私が頼んで冷蔵庫を見せてもらった時、酒やワインがなかった。それで親がいないと言う理由にはならない。それに大人には酒やタバコを扱わない人だっている。だから根拠となるものは玄関の靴だった...まぁ...今ので確信を持てた。君たちには両親が今いない。それだけは私は言える」

 

「それはただの思い違いだと思いますけど...」

 

ここの人たちって何でこんなにも感がいいんだよ...。

 

「そういう事にしておこう。ただ一つだけ合わせてくれ」

 

「何ですか...」

 

「私はキミの味方だと心の片隅にでいいから置いといてくれ。」ニコリ

 

//っ...!...アラサーに惚れかけた...。

 

「考えときます...」

 

 

俺の病気になってもなお、適当極まりない返事を返しドアをガラガラっと閉めた。

 

カンッ...カンッ...と杖をつく音が廊下に響き渡る。教室に戻る時には授業が開始していた。担当教科の先生には事前に萩本先生から話されている。なので先生は承知して遅れた事に何も言わなかった。

 

それからいつも通りのダルく眠い授業が適当気ままに過ぎる。起きた時には終礼が始まっていた。内心、ラッキーと思ってしまった自分がいる。

 

帰る準備をしようと引き出しに手を入れるとクシャっとなり、取り出すとルーズリーフの二枚折りに畳んだ手紙があった。一瞬、捨てようと思ったがなんか嫌な予感しかしないから恐る恐る開いた。

 

文章には「教室に残れ」と雑な字で書かれて、嫌な予感が的中している。まるで空気を読んだように周りには誰もいなかった。それどころか教室内に3人の男がドア際にいるぅ。

 

 

やべぇ...なんか...一難去ってまた一難って感じだな...。まぁ...一難どころか...五難ぐらいなような気がするんだけどね...。

 

 

「葵くん...いいザマだな...クックック...」

 

「あぁ...滑稽だな...」

 

「これじゃあ...虐めてくださいって言っているようだな...」

 

あぁ...この人達...俺を虐める気だな...うーん...あ...思い出した...久我仁とかいう人のまわりにいつもいた奴だな...なるほど...なんとなく...察したわ...。

 

久我仁が俺をいじめの対象かつナンパの邪魔をしたことで逆恨みが俺が対象になった。まぁ...ここからは単略的に...俺と勝負して負けて挙句の果てには久我仁の人間関係を崩壊させた原因が俺。その元お友達が復讐しに来た。まぁ...久我仁の噂がパチなのに自ら事実に変えてしまったのが失敗だったかもな...。

 

 

「お前のせいで久我の様子がずっと可笑しいんだよ」

 

「だから、てめぇをボコって弱みを握ればお返しができるわけだ」

 

「そして、久我がいつも通りになる...俺たちの友情を崩すようなことをしやがって...やれ...」

 

 

誰だか知らないから真ん中のリーダー格をアルファとしよう。左側を ベータで右側はガンマと例えよう、アルファは2人に合図を出し、二人は葵の腕を掴み取り押さえた。

 

 

「おいおい...一応...これでも病人なんですけど...お前達には戸惑いはないのかい...」

 

「一切ないな。ましてはお前は学園の嫌われ者だぞ。そんな奴をいたぶっても何も言わねぇよ」

 

「確かに...一理ある...」

 

声が漏れるほど納得してしまった...自分がいる...ほんとうに...虚しいな...俺...。

 

「お前...妙に冷静だな...チッ...透かしたヅラしやがって...」

 

「まぁ...久我仁って...友達センスはないな...」

 

「あァ!、なんだとおいゴラァ!」

 

「ドスッ!」

 

 

葵に対する怒りが爆発して胸部に一発アッパーを入れ鈍い音がした。それと同時に葵の胸部に激痛が走り、葵の苦しむ声が教室に弱く響く。

 

 

「グゥ!...我ァ!...我ァ...ハァ...ハァ...ハァ...きょうぶは...やめろよぃ...」

 

「オイオイ、いきなり弱いとこ発見したねぇ。」クックッ

 

「ちぃと...拝見させて頂こっかな...」チョキチョキ

 

 

ベータが葵の弱みを呟き、アルファが誰だか知らない机の上からハサミを取り出し、葵のTシャツに力強く縦直線に切った。

 

 

「何コレ!超厨二病な傷が綺麗についちゃってるじゃん!写メ撮るかこれグループに送ろう」カシャカシャ

 

「ガハハハ!」

 

「ウケるぅ!」

 

「おいおい...やめてくれよ...照れるじゃねぇか...」

 

「いつまでそんな余裕ズラできるかな~?」

 

「えぇ...まだやんのかよ...流石に...やめてほしいんだけどねぇ...クッソ...痛てぇ...」

 

ヤベぇ...流石に何回も殴られたら激痛に耐えられないで気絶するぞ...。

 

 

ベータとガンマに腕を掴まれ激痛に耐えている状況だからこそ、脳を絞り...絞って...光を導き結論を出した。

 

 

「話を戻すが...久我仁の友達センスがないって話...」

 

「まだそれ言ってるのかよ。口が塞がらない奴だな」

 

「なぁ...久我仁って...元々は大人しく真面目な奴...だったろう...」

 

「.....それがどうした」

 

「で...だ...俺が目をつけたところはそこだ...1年の時は大人しかった奴が...2年生になって...あんなチャラ男になったんだ...1年のあいだに一体何があったんだ...と...それは環境にあるんだよ...」

 

「...何をペラペラペラペラと言ってやがる!」

 

 

葵が息を切らけながらも言い続けた。それを邪魔するように殴り始めた。特に胸部を痛みつけるように。

 

 

「グッ!...だから...グッ...そうなったのは...グッ...お前らが唆したからだろう...お前ら三人...中学の時から一緒だろう...グッ...」

 

「それがどうしたァ!」

 

「久我仁は...グッ...高等からだ...さぞかし...グッ...操りがいのある...人形だったろうな...」

 

「...」

 

「...」

 

「...」

 

 

葵の一言でアルファは殴るのを止め、ベータとガンマは腕を離し、葵は胸を抑えて膝をついた。三人は葵の視界内に集まり黙り始めた。そして・・・・・。

 

 

「「「.....くっ...くははははぁ!!」」」

 

 

高笑い始めた。それは廊下が響くほど、そして、廊下にいる一人の男の心が深く沈んだ。

 

 

「ハハハァ...そうだ...そうだとも...操りがいのある奴だったよな」

 

「だよな~。1年生の時に三人でアイツをターゲットにしてさ~」

 

「最初はお友達ごっこして奢らせたり調子を伺ってテンションを上げさせるのに苦労したよ~。ちなみにお前の噂の件は俺達が久我に唆したんだんだな」

 

「なるほどな...まだ...続き...あるんだろう...」

 

「まぁな。アイツはいい性格をしている友達を信じている。だから、俺達はうわべ上のお友達のまま卒業するまでアイツは俺たちのお小遣いでなければいけないからな。だから、まだバレちゃいけないんだよねぇ。」

 

「そうかそうか...だとさ...久我仁...」

 

 

黒板側のドアにアルファ、ガンマ、ベータの素性を知った久我仁が立っていた。今まで彼に聞かれたくないことをべらべらと喋っていた3人は動揺が隠せなかった。

 

 

「なっ!...」

 

「お前...いつから」

 

「じ...仁...なっ...なんでいんの?」

 

「ずっと...最初から...最後まで居たよな...」

 

 

葵は激痛に耐え、妙に静かな久我に問いかけた。

 

 

「葵光...少し時間をくれ...」

 

「お前の問題だ...興味ない...」

 

 

「それでいい...で...喜志島...北原...佐川...今の話は全て聞いた...そして...動画も撮ってある...これを職員室に提出する...どういう意味か...分かるよな...」

 

 

久我仁はスマホを掲げて証拠を三人の前に見せた。

 

 

「くっ...クソっ...なら...仁くんもコイツみたいに弱みを握るか」

 

「そうすればいいね」

 

「だな」

 

「悪いが...コイツ一人じゃねぇぞ...増援が来るから...」

 

 

葵は四人の会話を遮るように声を漏らした。そして・・・・・。

 

 

「変態。早く生徒会室に来てください。仕事が山のようにあるの...で...て...なんですか...この状況...」

 

 

葵が連絡を入れ、その増援が副会長だった。何故、副会長にしたかと言うとこの人は俺が見ている人の中で1番強いからである。そして、俺に気づいていない。

 

 

「あのぉ~...こっち...です...ゲホゲホ...副会長...あと...名前が...い...しかあってませんよ...」

 

「!?...あなた一体何があったんですか...この状況はなんですか...」

 

 

壁に背もたれて平然とツッコミを入れると副会長は葵に気づき、すぐさま慌てて近づいた。

 

 

「あのぉ...あとは久我の話を聞いてやってください...では...寝まs...」

 

 

最後の一言を放って激痛に耐えるのを諦め倒れた。

 

 

副会長が珍しく俺の名前で体を揺らしながら読んでいるが、意識が遠くなった。目が覚醒した時には保健室のベットにいた。その周りには副会長、藤白姉妹、萩本先生がいた。

 

俺が気を失った後の話だ。藤白玲美に聞いたところ1時間寝ていたようだ。傷の方は異常なし、俺が気絶したすぐに先生が来て、久我、喜志島、北原、佐川は職員室に連行され事情聴取しているらしい。俺は萩本先生に担がれて保健室に運ばれた。これは会長が言っていたことだが喜志島、北原、佐川は1ヶ月の停学処分。久我は部活停止らしい。久我が何故、部活停止になっているのかは知らない。

 

俺が久我仁を知ったような口で言えるのかというと、会長が久我仁のことについて少し呟いていたからである。

 

久我仁は高一の一学期は大人しく部活熱心で真面目な生徒だった。でも、日が進むごとに彼は変わっていた...と会長が呟いた言葉だった。

 

 

話は変わり、次の日、久我仁は髪の毛を黒に染まっていた。いや...戻していた。久我の行動に普段、久我に関わっている人達は「どうしたの?」っと聞くが久我は「気分が変わった...」っと答えたらしい。(盗み聞き情報)

 

俺の感想は覚悟と目的が決まっているように見えた。これから彼は何をしようが更生しようが知らないがな。娘たちには昨日あった騒動は知らない...というか言っていない。生徒会にも口止めをした。

 

 

そして、今日は学校が終わったら放課後に十五夜の練習を見に行かないといけない日。ゆっくりと立ち上がり杖をつき、道中、娘たちに合流、二人に挟まり手助けされながらいつもの公園に向かった。

 

 

「そう言えば...二人は...何かやりたい事とかあるか...」

 

「うぅーん...今のところない...」

 

「私は.....えっと...」

 

「?...何かやりたいことがあるのか...雪菜」

 

 

可愛い顔を伏せて何か言いにくそうに手をモジモジとして戸惑っていた。

 

 

「たまたま...ピアノ弾いてたら...知り合いに...吹奏楽に...誘われて...どうしようかと...迷ってて...」

 

「いいじゃん...やれば...?...問題ないだろう...太鼓の仙人も...上手かったよ...」

 

「うんうん♪お姉ちゃん、すごいよ♪」

 

「えっ...でも...お金がかかるかもしれないから...」

 

 

雪菜の言葉に葵は溜息をついて、雪菜の目の前に立ち片手で娘の頬を親指と中指では軽く挟んだが、雪菜の顔をますます可愛くしてしまった...罪だ...。これはこれでいいやと思い話を続けた。

 

 

「子供が...そんな事を...気にするなと...何度も言っているだろうが...」プニプニ

 

「...すいません...気をつけます...」

 

「やるか...雪菜次第だけどな...」プニプニ

 

「そうですね...で...それはそれで...そろそろ、ぷにぷにするのやめてください」

 

「ごめんごめん...」

 

 

でも雪菜の顔は満更でもない表情をしている。雪音が嫉妬でもしたのか...ぷにぷにを要求してきた。そうしているうちに公園に到着。

 

バスケットコートを探し、十五夜が練習の様子を見に行くと誰かと1on1をしていた。ネット越しで誰だか知らんが十五夜がボコボコにされているのは素人が見ても一目瞭然である。その相手の技術を見る限りは良か不可で審査すると良だ。

 

いつもと同じようにスポーツドリンクを十五夜と俺と知らん人の分も合わせ3人分と娘たちはジュースを買って針金ネットドアを開けてコートに入った。

 

音に気づいた十五夜が気まずそうに俺に視線を送った。疑問でしかなかった。だが、その疑問はすぐに打ち明けられた。十五夜が相手していたのは久我仁だった。

 

そして、久我は待ちくたびれた様な口調で・・・・・。

 

 

「葵光、俺と勝負しろ」

 

 

そして、俺は即答で・・・・・。

 

 

「無理...」

 

 

今までの過程で葵光という人間を妬み恨んでいるはずなのに、なんの企みか、久我仁は俺に勝負を挑んできた。(俺...一応...病人なんですけど...)

 




読んで下さりありがとうございます。スイッチ切り替えて試験に集中します。


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人との関係は未知なものだ...

4ヶ月ぶりの投稿、遅れて申し訳ございません。
いつの間にかお気に入りが23人になっており読んでくださり、大変ありがとうございます。
色々と小説の、表現が変わっています。仮名を今までやっていきましたがやめます。読みにくいかもしれないです。(例、イオンモール=リオンモール)と例えることをやめて現実に存在する建物に例えます。
間違えて投稿してしまったことがありました。すいませんでした。
どうか、優しい目で読んでくださると有難いです。


太陽が少し山に隠れて、秋ゆえに涼しい風が優しく肌が感じ、姉妹達のしっかりと整えられている髪の毛が右往左往と流れなびいている。現在進行形で面倒なことが直面している。久我仁がボールを片手に持ち命令形で決闘を杖を片手についている葵光に申し込んできた。

 

 

「あっ...と言ってもだ。流石に1on1はお前は無理だろうからな。スリーポイント勝負でいいか?」

 

 

彼なりの気遣いなのだろうか。病人である葵を体を気にして話を進めてきた。

 

 

「?...オイオイ...気遣っているのか...なっていないかはともかく...なんでやる前提になっている...」

 

「別にいいだろう。得体の知れないお前は学園のバスケエースである俺を倒した。だから、エースとしての威厳とプライドを取り戻さないといけない。そのための勝負だ。それにお前はどんな状態でも決闘にノる」

 

「何を根拠に言っているんだ...」

 

「だってお前...今...笑ってるぞ」

 

 

ハッと我に戻った葵は口元を抑えると確かに微かに笑っていた。いや...しかし可笑しい...何故、笑っているのか自分でも奇妙だと感じる。だが理由は一つあった。

 

絶望的な敗北をした彼が再び挑戦してきたことが嬉しいと思ってしまったかもしれない。これは同情に近い。昔に経験があったことがある。俺も挑戦者だった。そう...だった...過去形だ。だが受ける立場になるとは思わなかった。それがきっと俺は嬉しいのだろう。

 

 

「そうだな...相手してやる...」

 

「おっ!じゃあ、ルールは簡単だどっちかがシュートを入れるまで打ち続けること、先行が外して後攻も外したらドローで再びシュートを打つ。それでいいな」

 

「わかった...2~3本...調整させてくれ...」

 

「イイぜ~」

 

「という事だ...雪音...雪菜...ベンチで座っててくれ...」

 

「えっ...大丈夫なのパパ?」

 

「そうですよ...お父さん安静しないとダメ」

 

「大丈夫だ...少しはドクターに動けと言われている...問題ない...」

 

 

不安そうに気にかけてくれるが葵が引くことがいないと説得するのを諦めて素直に二人はベンチまで歩いていった。

 

 

 

「十五夜...疲れているところ悪いが...リバウンド頼む...あと俺と久我のシュートフォームも見ておけ...勉強になることがあるだろうからな...」

 

「あっ...はい分かりました。勉強させていただきます。」

 

 

疲れで返事が遅れた十五夜はリング下で構えて葵は杖をコートに置いて3本打った2本外したが調整は無駄ではなかった。やはり手術後の傷口は痛む。多分...どうにかなるだろう...。

 

 

「決めるの面倒だから...後攻で...」

 

「俺から行くか」

 

 

久我仁は真ん中のスリーポイントラインから約10センチ離れたところから片手シュートフォームを構えシュートを打った。よくよく見るとそこら辺の選手より磨かれた綺麗なシュートフォームだ。しかし、ガタンとリングには当たっていたが外した。

 

「クッソ...次は入れてやる」

 

「俺か...」

 

 

手術後の痛みが感じるが、ぎこちないが片手シュートフォームを構え右手をそえてシュートを打った。だが、葵はリングに当たることすらなく十五夜が直接手元に来てキャッチをした。

 

厳しいな...力、コントロールの調整が上手くいかない。たぶん...次はいける。

 

「...次こそ入れてやる!」

 

 

葵を見て何かを気にしているそぶりを見せるが、再び久我仁は気合を入れ直して右手にボールを構えシュートを打った。そしてスパッとシュートのいい音が聞こえた。

 

 

「ヨッシャー!」

 

「oh.....」

 

 

喜ぶ久我仁を見て思わず呟いてしまった。それでも切り替え、スリーポイントラインから10cm離れたところから左手にボール持ち構えた。そして.....、

 

リングにもかすらず外した.....、ということは葵の負けである。

 

 

「はぁ...外したか....」

 

「よっし!、これでスッキリした!。葵光」

 

 

久我仁がスッキリとした顔で葵を呼びかけ、清々しい表情から初めて見る真面目な表情に変えて顔を向けた。言葉を並べた。

 

 

「こんな立場で失礼極まりないが...今回は俺の勝ちにしてくれ...そして、俺がお前に対してやったこと謝らせていただきたい...」

 

 

そして彼は深く深く頭を下げた。彼の今までの行いは決して許されることではないだろう。しかし、なんて答えればいいのか躊躇していた。だが俺は今の関係だからこそ、葵光という人間しか似合わない答えを出した。

 

 

「今のお前の行動は見なかった...俺とお前は対立する関係がお互いの為だ...お前はいつもの様に俺を嫌えばいい...俺はそれを気にせず過ごす...それにお前と仲良くなんて出来ねぇよ...俺はお前が苦手だからな...」

 

 

それを聞いた久我仁は頭を上げ肝を抜かれた表情に変わり、そして、唇がピクピクと動き笑いだした。

 

 

「あはっははっはははっ!、そっ、そうだな。それが一番かもしれない」

 

「あぁ...そうだよ...」

 

「なら1人のバスケ選手としてお願いがある。これは学校の俺ではない。1人の選手だ」

 

「?...なんだよ...一言で終わるように要求する...」

 

「あぁ、一言で終わる」

 

「はい...終わり...よし帰ろう...」

 

「チョイチョイチョイ!?」

 

「なんだよ...一言っていっただろう」

 

 

思わず、久我は手を伸ばして呼び止めてしまいそうなツッコミを入れた。それを気だるそうに反応した葵。

 

 

「いやいや、今のはノーカンだろうが!とりあいず最後まで聞け!」

 

「はぁ...なんだよ...」

 

 

また彼は

 

 

「ごっほん、改めて、葵光、俺にバスケを教えてくれ」

 

「...は?」

 

「「えっ?」」

 

「?」

 

「.....」(集中)

 

 

葵と遠くから見守っていた藤白と十五夜が呆気に取られ、雪音は話の状況を理解してなくクエッションマーク、雪菜は夏目漱石のこころを熱心に読んでいる。葵は驚きに流れて。

 

 

「寝言は寝て言え...」

 

「いや、マジだよ」

 

「何故、お前にバスケを教えないといけねぇんだよ...また、嫌がらせか...?」

 

「違ぇよ。あんな事はもうしない...こんなこと言いたくねぇけど、お前は俺よりバスケは上手い所か俺とお前との差は...月とすっぽんが似合う...だから..オッ...俺はお前を超えたい...頼む!...俺にバスケを...お前のバスケを教えてくれ!」

 

 

久我仁は再び頭を下げた。

 

 

「...つまり...俺を超える存在を俺が育てると...」

 

何それ...疲れる...だけど...久我仁の眼は本気だなぁ...はぁ...どうしよっかな~...。

 

「はぁ...久我仁...その話には乗ってやる...」

 

「ホントか!」

 

「ただ...条件がある...学校ではそんなに馴れ馴れしく話しかけるなよ...なんか...色々と面倒くさそうだし...」

 

「そうか、分かった」

 

 

久我仁は葵光の予想を察した反応で返した。話の縄を繋げスラスラと進めた。

 

 

「てことで今日は帰れ...連絡は...はぁ...ほらよ...」

 

「わぁっ!...お前いきなりスマホ投げるなよ...」

 

「友達とかいねぇから...連絡の交換の仕方がわからねぇんだよ...だから...連絡先入れてくれ...」

 

「マジで言ってんのかよ...」

 

 

既にロック解除されてLINEに表示されている葵のスマホを連絡先を交換しようと弄り始めた。

 

 

「マッ!マジだ!。こんなLINEの友達の数初めて見たわ!。8人って...ぷっ...ぷはははあぁ!スゴすぎる!」

 

「うっせぇ...早く連絡先いれろ...」

 

「ほらよ」

 

 

久我仁が笑いのツボに入り、お腹を抑えつつも連絡先をいれ葵にスマホを返した。

 

 

「まぁ明日から頼むわ。アオ。」

 

「誰それ...アオ?」

 

「お前のニックネームだ。どうだ?気に入ったか」

 

「言っているそばから馴れ馴れしくするな...」

 

「まぁいいじゃねぇか。学校じゃねぇんだからさ。まぁ~今日は帰るわ。じゃあ明日から頼むわ」

 

 

久我仁は勝手に話を進めてコートから去った。葵は面倒くさいと頭をポリポリとかき杖を拾い上げ、ベンチに座っている姉妹と藤白に向かい熱読している雪菜の横に座った。

 

 

「はぁ...めんどくな事になったな...」

 

「ホントですね。さっきまでの光景が夢だと思いました」

 

 

未だに驚きを隠せない藤白が葵の呟きに答えた。

 

 

「夢だったら...楽でいいんだけどね...」

 

 

渋々、雪菜が読んでいる小説を横から見ながら雪菜の後ろに手を通し逆側の肩に手を置いて葵は雪菜に密着してボーッと文字の集合体の小説を見ていた。

 

 

「でも...まぁ...決まった事はしょうがない...メニュー考えてやるか...」

 

「...珍しいですね。先輩が人の為に動くなんて、ましては嫌いな人と関わるなんて」

 

 

藤白はぎこちない気持ちが横切るが問いかける。

 

 

「そうか?...俺は常に人の為にぐだぐだして人と関わらないんだけど...」

 

「それは人の為とは言いませんよ...先輩...はぁ...」

 

「哀れな目で見ないでくれます...お嬢さん...」

 

「でもお兄さん...本当にいいんですか...僕は不安なんですけど...」

 

 

藤白はため息ついて頭を抱える哀れな目で葵を見る。後ろからボールを持った十五夜が会話の中に入った。

 

 

「あまり気にするな...気にしたら負け...まぁ...いい練習相手になるじゃないか?...十五夜」ニヤァ

 

「お兄さん...笑みが怖いです...時々、オニいさんになるんで怖いです...」ウルッ

 

「あっ...悪い悪い...十五夜にとっていい相手になるからな...つい...うっかり...」

 

 

それは十五夜の半泣き目の顔が可愛いからついニヤけてしまった。だけど、本当にちゃんとした理由がある。十五夜にとっていい練習相手にもなるのもそうだが、ライバル関係というのも必要だ。今は久我仁と十五夜凛の差は大きいが、追いつける可能性が数%ある。ならそれに十五夜自信が努力すると俺は賭けている。

 

 

「あの...お父さん、離れてもらえますか...汗臭いです」

 

「あっ悪い...読み終わったのか...一度...本の世界に入ると周りが見えなくなるからな...雪菜は...」

 

「スンスン...スンスン...臭いです...」

 

お父さんの汗が染み込んだ服...今日...バレないようにあじわなければ...♪。

 

 

だんだん変態化してきた雪菜に葵は気づいていない。

 

 

「ごめんごめん...今日...そんなに汗かいたかな...早く帰って風呂入るか...雪音、雪菜...帰るぞ...十五夜...今日は家にこい...風呂だけ入れ...藤白は気をつけて帰れよ」

 

 

杖をついて自分の服を嗅ぎながら立ち上がり荷物を持ち、今日は十五夜を家に招き汗だけ流して帰るように呼びかける。すると藤白のあざモードが発動の音が聞こえた。

 

 

「先輩...女の子一人で帰る時間じゃないので...」

 

「無理...何を今更言ってる...お前は...」

 

「ええぇ~だって、私って一応~美少女じゃないですか~」

 

「また...自分で言いやがった...否定はしないけど...しかし、今日は帰ってくるように...セバスチャンを送らせた...とたった今...悟ったかのように...会長からのLINEが来た...」

 

 

会長からメッセージを彼女に見せたら一瞬、凍りつくような表情に変わり、彼女らしい表情に戻るが少し曇っているように見える。

 

 

「そうですか...それでは一足先に帰らせていただきます。じゃあね♪雪音ちゃん♪雪菜ちゃん♪十五夜くん♪先輩.♪」

 

「じゃあね♪おねえちゃん~♪」

 

「お疲れ様です...お姉さん」

 

「藤白さんお疲れ様です」

 

「気をつけて帰れよ...」

 

 

バスケコートから数メートル先にいつぞやのセバスチャンが黒フェラーリーを背にして凛々しく待っていた。それに気づいた藤白は急いで走っていった何だろうか...時々見せる...寂しそうな背中に今日は見えた。

 

 

 

藤白玲美を見送り徒歩で家まで帰ってきた4人は最初に十五夜を風呂に入れさせた。雪音と雪菜は二階で勉強中、十五夜は入浴中、葵は十五夜には着替えがないので、着替える服を自分のタンスから探していた。

 

丁度いい服が見つかり風呂場まで持っていくと体をバスタオルで吹いている十五夜に出くわした。その時、俺に疑問があった十五夜は本当にチンがあるのか...十五夜の上半身を舐めまわすように凝視をして、ゆっくり下を向き...本当に十五夜に男のぶら下がっている棒を本当に付いているのか...いわゆるチ〇チ〇があるか覚悟を決し...見た。

 

...俺は確信に至った...。

 

「本当にオトコの娘は存在したんだ...」

 

 

膝が崩れ両手をつき思わず涙が出そうになった。しかも一切の毛がなく小さく可愛い綺麗なチ〇チ〇がぶら下がっている...神々しい...。これでオッサンみたいな極デカだったら俺は出雲大社まで行って神を呪っているだろう。

 

「あの大丈夫ですか?」

 

「あぁ...生きててくれてありがとう...」

 

「えっ...あっどういたしまして...どうしたんですか。お兄さん?」

 

「いや...お前の着替えを持ってきただけだ...」

 

「あっありがとうございます。」

 

「着替えたら...リビングにこいよ...」

 

「分かりました」

 

 

今日は腕によりをかけて煮込みハンバーグを作ってみた。ソースは茸のホワイトソースとデミグラスソース。前菜はシンプルにサラダチキン。スープはオニオンスープ。ドリンクはよく母が作ってくれた葵家特製の絞りたてりんごジュースだ。デザートは朝早く作り置きしたラズベリー&チョコチップ味のズコットと呼ばれるイタリアのアイスケーキだ。

 

ズコットとは「ズッコットとはイタリアのトスカーナ地方の都市フィレンツェでルネサンス期に誕生した丸いドーム型の、セミフレッドを用いたケーキ」である。(ソースはWikipedia)

 

 

机にデザート以外、4人分の料理の準備が終わり、二階にいる二人を呼んだ。二人が座る頃には十五夜も丁度いいタイミングでリビングに来た。

 

料理が並んでいる食卓を見た十五夜は口を手に抑えて驚いていた。

 

 

「えっ!...これ全部お兄さんが作ったんですか?」

 

「あぁ...十五夜の分もある今日は食べろ...」

 

「えっ、いいんですか?」

 

「遠慮はいらない...さっさと座れ...」

 

「ではお言葉に甘えて、うわぁ~美味しそう」

 

 

十五夜は空いている椅子に引いて座った。4人が揃い息を合わせて...。

 

 

「「「いただきます」」」

「召し上がれ...」

 

 

十五夜がフォークとナイフ使いハンバーグを一口サイズに切り、ナイフを置いてフォークで刺したハンバーグを口に運ぶと手に頬をついて幸せな顔していた。

 

 

「すごく美味しいです~お兄さん♪」モグモグ

 

十五夜のモグモクタイムが始まった...可愛い...。

 

 

ほんのりと葵は十五夜のモグモクタイムを手を止めて堪能していた。そして紺が俺のズボンを引っ張って「ぼくにもごはん~」と言わんばかりに尻尾をフリフリしてアピールしていた。

 

 

「悪い悪い...紺...今...ご飯準備してやる...」

 

「紺?」

 

「もう一匹のちいさなかぞくだよ」

 

「あぁ...十五夜は知らないか...」

 

 

雪音が十五夜に答えた。葵はフラフラとした箸を置き黒色と銀色が混じってる毛で凛々しい顔の持ち主、ギンギツネの紺。我が家の家族を十五夜の目の前まで運ぶとフォークを置いて立ち上がり触りたそうに手をモジモジとしていた。

 

 

「可愛い~なんなんですかこの子♪」

 

「ギンギツネの紺だ...可愛いだろう...今は食事中だから...後で遊んであげてくれ...」

 

「そうですね。ではあとに楽しみにします♪」

 

 

少し残念そうな表情を見えたが一旦諦めた。食卓を前にした。紺にもいつもより豪華な食事を用意して葵が紺を管理できる自身の足元に置いた。

 

そしてデザートのズコットをお披露目して4人で分けて食べた。紺には高めの牛乳を用意して、それぞれ満腹な表情を浮かべて手を合わせた。

 

 

「「「ご馳走様でした」」」

「お粗末さま...」

 

 

それぞれ食器を洗い場まで持ち運び葵は食器洗いを愛娘姉妹は風呂場に行かせて十五夜が「手伝います」と言ってきたので俺は甘んじた。

 

二人で食器洗いするのは早いなと改めて実感した。十五夜は食器洗いを終えると紺とじゃれていた。が、十五夜自身は忘れているが俺は十五夜の帰宅時間を気にして十五夜に聞いたら...。

 

 

「十五夜...時間は...大丈夫か?...」

 

「あっ!..惜しいですがそうですね。そろそろ帰ります」

 

 

十五夜は荷物を持ち玄関に向かった。葵も体をゆらゆら揺らして壁に手を置き見送る。

 

 

「そうか...真っ直ぐ帰れよ...くれぐれも男には気をつけろよ...」

 

「お兄さん、僕は男ですよ」プンスカ

 

「あぁ...そうだな...でも気をつけろよ...着替えは...明日...返してくれればいいから...」

 

「ありがとうございます。失礼します。お兄さんまた明日」

 

 

玄関先で十五夜を見送り姿が見えなくなったのでリビングに戻り、紺の遊び相手になった。二人が風呂場から上がった。

 

 

「もういいよ...ふたりとも...」

 

 

愛娘姉妹は尻尾と耳をひょっこり出して本来の姿を現し背筋を伸ばす。

 

 

「パパ~湯浴みして♪」

 

「私も...お願いします...」

 

「あぁ...いいよ...最初は雪音からな...」

 

 

葵は座禅を崩し足を組んでその上に雪音に座り、1ヵ月ぶりの湯浴みを二人にやってあげた。愛娘姉妹と紺はいつも以上に葵はに甘えてきた。1ヶ月も心配させてしまった愛娘姉妹と紺には申し訳ないと思い今日は嫌な顔せず相手をした。

 




読んで下さり有難うございます。
読者の皆様に面白さと感動を届けるような小説を書きたいと思う所存です。


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