別に古代ベルカ人が神様転生しても良いよねって話 (海洋竹林)
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プロローグ

何時までたっても原作爆焔が見つからずこのすばSSが更新出来ないので息抜きで書いた小説です。
誰か失せ物を探すいい方法知ってたら教えてください(ヽ´ω`)


ー彼女の笑顔が好きだった

 

ー自然と皆が笑顔になるような、そんな彼女が好きだった

 

ーだから生贄になろうとした彼女を止めたくて、止められなくて

 

ーそうして僕は、”覇王“になった

 

 

 

 

 クラウス・G・S・イングヴァルトが目覚めると、自分が青年期の姿に若返っていることを発見した。

 

「あ、目が冷めたようですね。」

 

何か走馬灯のような光景を見ていたような……。

 

「唐突ですがクラウスさん、貴方は死にました。」

「なんだって……!?」

 

混乱し叫ぶクラウス。しかし直ぐに、確かにあんな状況で生き残るってのはないかと冷静さを取り戻したが、今度は国は大丈夫だろうかと心配しだして最終的に、

 

「国を遺して一人自分勝手に死んでしまった……。」

 

と両手を地に付きどよ〜んと落ち込んでいる。あまりの落ち込み具合に病的なほど真っ白な部屋が灰色に見えるようだった。

 

「ずずっ……。貴方の百面相は大変愉快なのですがそろそろ話を進めていきたいわけでして。そろそろ今行っているこの部屋の白に黒を混ぜ込んで灰色にする作業を止めて貰ってもよろしいでしょうか?」

「……あ、ああ。済まないレディ、僕としたことが恥ずかしい所を見せてしまったようだ。」

「それならばいいのですけど。」

 

………ふぅ、と湯呑みに入ったお茶を飲み干すと、システムデスクを挟んでこの部屋の主はまず自らの名を名乗った。

 

「私は   、俗に言う神です。」

 

見事なゲンドウポーズである。背後にヤンデレ中年のスタンドを背負っていた。

 

「失礼だがレディ、貴女の名前が聞こえなかったのだがもう一回教えてくれないだろうか?」

「ああいえ、私の名前は基本的に聴こえないので、好きに読んでいただいて結構です。」

 

どのみち二度と会うことはないのですから、と笑う部屋の主。

 

「それでは神と呼ばせてもらおうか。しかし、死者は全て貴女と会うのか?」

「そのようなことはありませんよ。これはあくまで特例、たまたま条件を満たしていたから貴方がたをお呼びしただけで、一般の方々はそのまま輪廻の輪へと戻ることになっています。」

「貴方がたということは、僕以外にも既に何人か?」

「ええまあ、皆さん快くお話を聞いてくれましたよ………っとすいません、まだ本題をお話していませんでしたね。」

「いや、こちらも質問は話のあとにするべきだったかな。貴女に否はないから続けてほしい。」

 

部屋の主はデスクの中から何か書類を取り出して

 

「クラウス・G・S・イングヴァルトさん、貴方は惜しくも道半ばで、戦死という最期をとげました。ですが、貴方には生前の行いによって特定の条件を果たしているため、記憶を保持しての転生が許可されています。」

「転生………とは?」

「記憶を保持したまま新しい時代で生まれ直し、第二の人生を生きるという事です。どうされますか?」

「いや、しかし………うーん。」

 

突然のことに困惑し考え込むクラウス

 

「まあ貴方に拒否権はないんですけどね。」

「えっ」




今回は凄く短いですがだんだん長くなるかもしれません


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『これは愛の試練です』

まだ爆焔が見つからずこのすばssの更新はまだまだ先になりそうです。


「これは”愛の試練“です。」

 

部屋の主は語った。

 

「同じ年齢で転生しますが、この広大な次元世界の何処で生まれるのかは完全にランダム。そこで貴方は、貴方の愛する方を探さなくてはいけません。」

 

だからこそ、試されるのは愛の力であり

 

「片想いでは届かない。両想いですらまだ足りず、必要なのは運命を勝ち取るだけの意志と愛。」

 

それだけのモノがあって初めて届く

 

「それを乗り越えたならば、真にあなた方は両想い。その生涯を、手と手を取って暮らしていけることでしょう。」

 

それこそが、愛の試練なのだと。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「オリヴィエ…………。まさか、貴女なのですか?」

「クラウス………!?本当に会えるなんて………」

 

 二つの小さな影が走り出す。

 もう二度と離れんとばかりにお互いを強く抱きしめた。

 一時はもう二度と感じることは叶わないとすら覚悟したその温もりが、その存在を確かなものだと感じさせる。

 あの決闘の日から、笑顔捨てて武に全てを捧げた少年の顔には久しく忘れていた笑顔が浮かび、

 あの離別の日、涙を見せることなく別れた少女の瞳には涙が浮かんでいた。

 ゆりかごが起動した運命の日から幾百年か、分かたれた二人の道は再び出会い、ここに一本の道となった。

 

 これは、悲しき恋の終章の物語(エピローグ)

 悲しき運命によって別れた二人は、神の悪戯によって再会する。

 

 

 

ーここに

 

ーあなた方の愛は証明されました

 

ー試練を越えたあなた方には不要かもしれませんが

 

ーどうか二人の道先に

 

ー幸多からんことを

 

 

 

 

新暦79年 ミッドチルダ とあるカフェ

 

「クラウス、この店は当たりですよ。このケーキ、とても美味しくて止まりません。」

「ははは、それは良かった。」

 

 雰囲気のいいカフェの中、甘味に頬を緩める少女とその正面で穏やかに笑う少年。

 即ち、デート中のカップルの姿がそこにはあった。

 

「……ふぅ。………あ、そうだクラウス」

「どうしたんだい?」

 

 ケーキを食べて一息ついた後、ふとクラウスに話しかけたオリヴィエ。

 

「今日のお代は私が払いますよ。いつも払ってもらってますし。」

 

だからその伝票を渡して下さいと、何やら凄みのある笑顔を見せながら伝票に手を伸ばすオリヴィエ。

 しかしクラウスとしてもこれくらい奢らなくては男の、いや覇王の名折れ。

 故にーー

 

「いや、僕が払おう。」

「いえいえ、流石にいつも奢ってもらうわけには」

 

 ミシッ

 

「しかし、ここはやはり男としてだね」

「そういう考えは古いと思いますが。」

 

 ミシミシッ

 

「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや」

「いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえ」

 

 ミシミシミシミシッ!!っと伝票(カード)が引きちぎれそうな勢いで引っ張り合うバカップル二人だったが、

 

「なら、ここはアレで勝負をつけましょうか。」

 

そう提案し構えをとるオリヴィエ。

 

「しかたがない………か。」

 

クラウスも同様に構えを取ると、

 

「「じゃん」

 

先に動いたのはクラウスだった。真正面に向け勢いよく繰り出すはフラットに握られた右の拳。

 そしてオリヴィエも優れた動体視力でそれを確認すると同時、硬く握られた右手を繰り出す。

 

「「けん」」

 

 ここで動いたのはオリヴィエ。硬く握られた拳を解き、フラットに握り待ちの姿勢をとったクラウスを揺さぶっていく。

 クラウスはそれを確認すると、グーはないと確信し安全策でチョキを出しに行った。

 そう、それこそがオリヴィエの狙いだと気づかずにーー

 

「「ぽん!!」」

 

そして、勝負はついた。

 クラウスはチョキ。そしてオリヴィエは、()()()()()

 

「あなたの敗因はたった一つですよクラウス。あなたには賭けに出るだけの覚悟がなく、安易な方法に頼ってしまったのに対し、私は一歩踏み込む勇気を持っていた。これは、それだけの違いです。」

「くっ………」

 

駆け引きでチョキ出させ隠しておいたグーを出すというオリヴィエの戦法に覚悟もクソもないのだが、その言葉はクラウスのトラウマを抉った。

 

「僕の拳では………、何も守れないのか……!」

 

トラウマを抉られ、大戦時代を思い出して沈むクラウスを他所に、レジで支払いを済ませたオリヴィエ。

 こうして武術の極意たる見を使った無駄に高度なじゃんけん勝負は、幕を閉じたのであった。

 

 

 

新暦79年 ミッドチルダ とある歩道

 

 

「これは聞いた話なのですが」

 

 帰り道、ふとオリヴィエが話始めた。

 

「ここ最近、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がいるそうです。貴方なら大丈夫だとは思いますが、気をつけて下さいね、クラウス。」

「そうだね、()()()()()()()()()()。教えてくれて感謝するよ、オリヴィエ。」

 

 こうして、二人は現代に暮らす王達と関わっていくことになるのだが…………、それはまた、次のお話である。




前回より長くしてみましたが、これくらいが限界かもしれません。


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「やあ、こんばんは。」

久しぶりの投稿です。


 古代ベルカ諸王時代に名を馳せた王の一人、覇王イングヴァルト。古代ベルカで覇を競った数々の王の中でも随一の近接戦闘能力を持つと言われ、その拳は海を割り、雲を裂くほどのものだったと言う。

 

 そしてその直系の子孫である、ハイディ・アインハルト・ストラトス・イングヴァルト。彼女は度々学校の帰り道に寄り道をしては、路上格闘技に明け暮れていた。

 

 名のある格闘家や魔導士を見つけては、戦いを挑む。そうした日々を送りながら、彼女は決して晴れることのない陰鬱さに苛まれていた。

 

 無論、彼女自身も自分の行いが行けないことだとは理解している。指定区域外での魔法を用いた決闘に加え、路上での明らかな障害行為。捜査は行われていないものの、巡回中の管理局員に見つかれば補導に加え、厳重注意や親への連絡は免れないだろう。そうなれば、両親へも迷惑をかけてしまう。

 

 しかしそんな罪悪感を背負いながらも、彼女は闘争を続けていた。日々を無為に過ごしていては堪えられない、やるせない思いが彼女をそうさせる。

 

 それは、覇王と呼ばれた先祖であるクラウス・G・S・イングヴァルトへの想いと、その記憶。かつてあったベルカの戦火、救えなかった愛する人、何もできなかった自分への怒りや、直系としての責務。その全てに振り回され、結果として意味のない闘争や違法行為に手を染めている。

 

 それでも自分は――

 

 

 

 

新暦79年 ミッドチルダ とある歩道

 

 

 

 

「ありがとうございました。」

 

 倒れ伏した相手に対し、静かに一礼する。それが、アインハルトの敗者に対する礼儀だった。それは今回の相手もまたまごうことなき強者であったのだと思い出し、自分を戒める為のものもでもある。

 

「さて、そろそろ帰らなくては。………ぐっ!」

 

 変身を解いてもダメージは残るし、もちろん本来の姿の方がダメージに対する耐性は低い。動けなくなる事を恐れたアインハルトは、しばらく変身したままで帰る事にした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 通常はきゅっと閉じている口元は、力が入らずあんぐりと開き、見開いた目は眼前を映しているようで、その実何も見ていない。戦闘においては最善手を一瞬で選択する、その優れた頭脳は完全にフリーズし、それに従って全身も硬直する。

 

 

ーーアインハルトは、今までにないほどの混乱状態に陥っていた。

 

「やあ、こんにちは。………いや、こんばんはの方が正しいだろうね。それじゃあ改めて。」

 

目の前にいる少年。アインハルトと同い年であろう彼の姿に、脳髄が刺激される。髪は茶髪で目も黒色だが、他の誰もがわからなくても、アインハルトにはそれがわかる。

 

「やあ、こんばんは。ちょっと、お話なんてどうかな?」

 

あり得ない現実に目を瞬かせ、息は無意識のうちに止まっていた。その顔、その仕草、その表情は記憶の中の()にそっくりでーー!

 

 

 

 

「カフェラテで良いかな?好きなんだよね、これ。」

「あ、は……はい。構いません。」

 

 ーー彼は、誰なんだろう。

ふわふわとした定まらない思考で、アインハルトはふとそんな事を考えた。

 彼に声をかけられ、道端のベンチに座って自販機のカフェラテを飲むまでの記憶が、はっきりとしていない。確か何やら話術に呑まれてあれよあれよと言う間にこのベンチに座ったような………?

 

 

「………………………………………だよね。」

「はい?」

 

 しまった。聞き逃してしまった。

首を傾げるアインハルトに、聞いてなかった事を悟った茶髪黒目の少年は、その外見に見合わない貫禄を醸し出しながら語り始めた。

 

「別にさ、そこまで深くは考えていなかったんだよね。」

「何を……?」

 

覇王流(カイザーアーツ)

 

と、彼は困ったように笑う。

 

「ただ、騎士学校時代に教わった格闘術に納得がいかなくてさ。他の流派を取り込んで見たらって思っただけだったんだ。」

 

これは……

 

「それでさ、恥ずかしいことにやるからには最強だ!なんて、思い返せば若気の至りの黒歴史、厨二病って奴だったんだと思う。」

 

これは、もしかして………

 

「それも、ヴィヴィ達と出会ってからはすっかり忘れちゃってんだけどね。だけど、あいにく力が全然足りなくてさ。」

 

自分は、今…………

 

「別に最強じゃなくてもいい。最弱だって………、いや、流石にそれは凹むと思うけどさ。ただ、守りたいものを守り通す。それだけの力が、あの時はとても大きなものだった。ーーだから、子孫へのちょっとした贈り物のつもりだったんだよね。愚かな男の生涯を見て、こうはなるまいと思って、それをなすだけの力を付けてほしかった。……………まあ、あの時に必要だったのは多分、勇気を持って一言伝えるだけだったんだろうけどさ。」

 

覇王流(カイザーアーツ)と、記憶継承の始まりについて、聞いているんだろうか。

 

「いや、それも死んでから直接聞いてやっとわかったあたり、僕はどうしようもない奴だってことなのかな……………。」

 

少し凹んだ様子を見せながらも、彼ははっきりと言い切った。

 

「ーー覇王流(カイザーアーツ)は、最強なんかじゃない。最適でさえあれば、それでいい。」

「………………っ!」

 

 それは、アインハルトのこれまでを崩す言葉だった。

 それは、アインハルトの決意を否定する言葉だった。

 ーーそれは、アインハルトの行動を戒める言葉だった。

 

 首筋を嫌な汗が伝う、息が苦しい、目元が焼けたように熱くなり、頬を液体が伝う。必死に目を逸らしていた罪悪感と後悔がのしかかり、アインハルトの膝が折れる。

 

「あぁ、そう泣かないでくれ。別に、ーー僕は君のやった事が悪いことだとは、欠片も思っていないんだ。」

 

アインハルトが思わず顔を上げると、慈愛に満ちた黒い瞳と目があった。

 

「っ!」

 

何だか幼い子供を見るような目に反発を覚えて、プイとそっぽを向くアインハルト。耳に届いた苦笑する声が、だからお前は子供なんだと言っているような気がしてーージト目で眼前の彼を睨みつけた。

 

「なんで…………、なんでそんな事を言うんですか?」

 

自分の行いは犯罪とは言えなくとも、社会的なルールに反した非難されるべき行いである。それを肯定するなど、間違いだ。

 しかし彼は穏やかな口調のまま、笑顔でその理由を口にした。

 

「確かに路上での私闘はいけないことだし、魔法を使ってのものなら尚更だ。犯罪とは言わずとも違法行為だし、訴えられても文句は言えないだろう。」

 

ーーでも、と

 

「君は訴えられてはいないし、決闘に敗れた者達も、決闘相手の名に関しては、硬く口を噤んでいるそうだ。」

 

それは、彼らも納得していたからだと、彼は断言する。

 

「決闘前には必ず名乗りを上げる君の名前を、管理局は知らない。それは彼らが皆、格闘技に臨む者としての挟持と誇りを持って君と戦い、そして君の中に己と同じモノを見出したんだろう。」

 

君達は愉しんでいたんだ。

 

何処か羨望の眼差しで、何時からかそれを感じなくなった少年は語った。

 

「格闘技が好きで、強い相手と戦うのが好きで、自分を高めることが大好き。君の中にそれが見えるし、双方楽しんでの結果なんだ、傍から見れば子供の遊びと変わらないよ。」

 

自分と戦った対戦者達が、そんな事を………。とアインハルトは驚愕し、

 

「なにより武道家という生き物は、自らが最強だと証明したがるものだからね。」

 

その一言は確かに、彼女のココロを覆うナニカにヒビを入れた。




クラウス は SEKKYOU を くりだした

アインハルト に 400 の 精神的ダメージ

アインハルト は ポカーン と している



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