最弱無敗の神装機竜と機竜喰いの道化師 (クステラ)
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第0章 レイの過去
「episode0 孤児院と帝国」とレイの設定


初投稿です。マイペースに投稿していきますのでこれから宜しくお願いします。

それでは本編をどうぞ

(5月現在、非常にゆっくりではありますが続きを執筆します)


アーカディア帝国の南に位置する場所に孤児院がある。

名はシャテル孤児院。

その孤児院は事故等で親を亡くした子供達をアーカディア帝国各地から集め、預かっていた。

その孤児院はたった一人の女性が管理している。

名はユテス・ノア。

孤児院の隣にある修道院のシスターもしている。

 

「みんな~、起きる時間よ~、起きて~!」

 

毎日、この孤児院にいる年長者に朝早く起こし、今日やるべきを伝えそれから修道院に行く。

年長者は全員、シスターに言われた事を確認してからそれぞれの役目を行う。

ただ一人を除いて・・・

孤児院の子供が皆で朝食を食べた後は数人の年長者で外に出て孤児院の庭で自分達より年下の子供達な面倒を見ている決まりになっているが、

同じ年長者のはずなのに、子供達の面倒も見ずに木の下で本を読んでいた男の子がいた。

それを見た同じ年長者の女の子がその子に近づいて本をいきなり取り上げた。

 

「こ~らぁ、何度言ったら分かるのよ‼レイ‼あなたも年長者なんだから本ばかり読んでないで子供達の面倒を見なさいよ‼」

 

「・・・」

 

レイはその場でゆっくりと立ち上がり本を取り上げた女の子を睨み付けながら近づいた。

 

「僕はゆっくり読書していたいんだよ。だから・・・早く本を返してよ」

 

女の子は後ろにたじろいた。

 

「なっ何よ!?本を取り上げた位でそんなに怒らなくても良いじゃない!」

 

女の子はレイから取り上げた本を返して、そそくさとその場を立ち去った。

レイは女の子がいなくなった事を確認すると座り込み、また本を読み始めた。

それからもレイは子供達の面倒を見ずに木の下で1人本を読んでいた。

しかしある日の朝、朝食の席でレイは妙な違和感を感じた。

いつもいる筈の同じ年長者の女の子の姿が何処にもなかったのだ。

朝食を食べ終わった後、レイは廊下を歩いていた子供達に話しかけた。

 

「ねぇ」

 

レイに話しかけられた子供達は振り返りレイに顔を向けた。

 

「ん?どうしたの、お兄ちゃん?」

 

「あのいつもいる年長者のお姉さん、見てない?」

 

と子供達に聞いた。

しかし子供達は全員、お互いの顔を見て首を横に振った。

「そういえば昨日の夜から見てないね~、あのお姉ちゃん」

しかし、一人の子供が何かを思い出したかのようにレイに話しかけた。

 

「そういえば昨日の夜、そのお姉ちゃんとシスターが一緒にいるところを見たよ」

 

「どこで見たの、教えて?」

 

レイはその子の話を聞いた。

その子の話によると昨日の夜、寝る前に外を見ていたらシスターと年長者の女の子がある部屋に入っていくのを見たという。

レイはいなくなった女の子が気になりシスターを探した。

暫く(しばらく)孤児院内を走り回りシスターを探し回った。

 

「何処にもシスターがいない・・・」

 

椅子に座って休んでいると遠くからレイを呼ぶ声がした。

 

「レイ~、私を探してどうしたの~?」

 

そこにはレイにむかって手を振っているシスターの姿があった。

レイはシスターと合流して女の子の事を聞いた。

 

「ねぇ、シスターいつもいる年長者の女の子の姿が見えないけどあの子どうしたの?」

とシスターに聞いた。

シスターはその質問に対して笑顔で答えた。

 

「あの子は今朝早く、新しい家族に引き取られたのよ

。それじゃあ、私は修道院に行かないと行けないからまた後でね、レイ」

 

と言ってその場を急ぐかのように立ち去った。

しかし、レイはどこか違和感を感じていた。

 

(新しい家族に引き取られたなら最後に孤児院の皆に挨拶でもしたら良いのに・・・)

 

そんな疑問を抱えながらも、レイはいつも通りの生活を送った。

そんなある日、レイは夜中に目が覚めた。

寝ようとしてもなかなか寝付けずにいたので少し散歩をしに外へ出た。

しばらく歩いていると門の方に二人の人影があることにレイ気づいて、レイは気づかれないようにそっと、人影の方に近づいた。

レイは二人の人影の正体を見て驚いた。

人影の正体はシスターと帝国兵だった。

レイは二人が何を話しているのかが気になり、木の陰に隠れて話を聞いた。

 

「今度はこの子供を実験所に送るわ」

 

「了解した」

 

そう言うと帝国兵は懐から袋を取り出しシスターに手渡した。

レイは話に夢中になりシスターをじっと見ているとシスターの後ろに青い煙みたいなのが見えた。

レイは驚き、まばたきをすると煙のようなものは消えていた。

そうしてシスターと帝国兵が居なくなったあと、レイは自分の部屋に戻って二人の話していた内容について考えてた。

 

(実験場ってなんだ?あの子が家族に引き取られたということは嘘なんじゃ・・・。でも、シスターが僕たちに嘘をつくなんてあり得ない。もしかしたらシスターの部屋に実験場に関わる何かがあるかもしれない)

 

そして夜が明けると、レイは朝食を食べ終えて誰にも見つからずにシスターの部屋に向かった。

レイは誰も周りにいない事を確認すると音をたてないように中に入った。

レイはシスターがいつもこの時間帯は修道院にいて孤児院に帰って来ない事は分かっていたので、シスターがいないこの時間を狙っていた。

 

「急がないとシスターが戻ってくる・・・

早く、何でもいいから実験場の事が分かる物を見つけないと・・・」

 

レイは、シスターがいつも使っている机の引き出しをすべて開けた。

 

「あった!これで実験場の事が分かる」

 

実験所の事について記してある紙を複数枚、見つけ服の内側に隠し、自分の部屋でそれを見た。

紙には人体実験の事に関する内容が記されていた。

とある島で実験をしている事。

その実験に必要な人間をこの孤児院から出している事。

そして、帝国から多額のお金を受け取っていた事が記されていた。

そして次に実験場に出す子供が記されていた。

そこには自分の名前が書かれていた。

レイがあの時、木の陰に隠れて話を聞いていた事がシスターにはバレていた。

レイは、

 

「ここにいたら殺される、何処かに逃げないと!」

 

と思い孤児院から出ようにも行く宛が無い事に絶望して独り泣き出した。

暫く(しばらく)泣いたあとレイは涙を拭い、冷静に生きるために必死に考えた。

 

(何か無いか、実験場に送られずに済む方法は・・・

そうだ!確かあの時、シスターの後ろに煙の様なものが見えた・・・あれは結局何だったんだろう?)

 

その日からレイはあの煙の様なものを見るためにいろんな事を試みた。

そして、実験場に送られる当日。

部屋に戻ろうとしたレイをシスターが引き止めた。

 

「レイ、ちょっとお話しがあるの一緒に来てくれるかしら?」

 

レイは実験所に送られる事を分かっていても知らないふりをしてシスターについていった。

そして裏の門まで連れてこられ、帝国兵が乗っている馬車が来たのでそれにシスターはレイを乗せて

 

「あなたは今からこの馬車に乗って新しい家族の所に行くのよ。元気でね、レイ」

 

と言ってシスターは手を振った。

レイはシスターを見つめるとまた煙の様なものが見えた。

煙の色は白色だった。

レイは煙の色は大体把握しており。

(なんにも感じていないんだ・・・)

 

馬車に乗ってから数時間後・・・。

レイは一緒に乗っていた帝国兵に話しかけた。

 

「これから何処に行くの?」

 

「さぁな」

 

「人体実験が行われている場所?」

 

「ッ!何故、貴様な子供がその重要機密を知っている!」

 

レイは帝国兵に意識を集中し煙の色を見た。

帝国兵からは黄色の煙が出ていた。

 

「答えろ‼何故貴様が知っている!?」

 

「シスターの部屋で見つけた紙に書いていたんだ」

 

「あの女・・・普段から子供の警戒は怠るなと言っていたのに・・・」

 

レイは帝国兵に取り引きを持ちかけた。

 

「安心して人体実験の事は誰にも言わないから」

 

「本当か!?それはこちらとしても助か」

 

「だけどひとつだけ条件があるんだ」

 

「ん?なんだ言ってみろ」

 

「もうあそこの孤児院から子供達を人体実験に使うのはやめてほしいんだ」

 

しかし帝国兵は首を横に振り、

 

「・・・・悪いがそれは出来ない話だ」

 

「そう、それならアーカディア帝国で一番偉い人に会わせてよ」

 

「それはつまり、皇帝に会わせろと?」

 

「そうこう事になるね」

 

「ふっふはははは‼何故貴様のような子供に皇帝を会われなければいかんのだ」

 

そう聞かれたレイは下を向きながら答えた。

 

「僕は他人の感情が分かるんだ」

 

「なんだと!それは本当か?」

 

「本当だよ」

 

それを聞いた帝国兵はレイに質問した。

 

「どうすれば他人の感情が分かるんだ?」

 

という帝国兵の問いにレイは、

 

「見たい相手に意識を集中すれば見れるよ」

 

「それにこの力を使えば帝国の内部にいる裏切り者も排除できるよ」

 

と答えた。

 

「どう?僕を皇帝に会わせる気になった?」

 

帝国兵は頷き、

「あぁ、分かった。帝都に帰ったら隊長に王に謁見できるかどうか聞いてみよう」

と言った。

そうして馬車で走ること丸一日。

レイは帝都に着いた。

そして、帝国兵と一緒に帝国の中心にある城に向かった。

帝国兵はレイにある部屋で待っているよう命じた。

数十分後、

レイは外の風景を見ていると扉が開く音がしたので

振り返った。

そこには馬車に乗っていた帝国兵ともう一人、大柄な男がそこに立っていた

 

「おい、隊長を連れてきたぞ」

 

レイは隊長と言われた男に挨拶をした

 

「初めまして、レイと申します。以後お見知りおきを」

 

そう挨拶された隊長は一緒にいた帝国兵に、

 

「おい、本当にこのような子供が役に立つのか?」

 

とレイに指をさした。

 

「さっきもお話したようにどうやら、この子供は他人の心が分かるそうです。」

 

「どれひとつ試してみるか。

おい俺が、今何を考えてるか当ててみろ」

 

レイは隊長に意識を集中した。

 

「今は黄色ですね。隊長さん僕の事

警戒していますね」

 

言い当てられた隊長は特に驚きもせずに、

 

「・・・ほぅ、話は本当のようだな」

 

「どうです?僕をあなたの隊に入隊させてはいただけませんか?」

 

「・・・・よし、分かった。だが、入隊の前にまずは皇帝に謁見してからだ。」

 

「本当ですか。いい返事を待っていますよ。」

 

と嬉しそうに返事を返した。

 

あれから2か月後に皇帝に謁見した。

 

レイはあの時の隊長が指揮官をしている「第0騎士団」に入隊していた。

レイは、隊長に何故この騎士団が第0とつくのかを聞いた。

 

「この騎士団はけっして表には出ず、裏の仕事をこなすのがこの第0なのだ。主な仕事は裏切者やこの国に仇なすものを殺すことだ」

 

「そうなんですか・・・」

 

「辛いか?」

 

「いえ・・どうせ僕はこの力がなければ、人体実験されて殺されていたかもしれないのですから」

 

そうして話をしていると、とある場所に着いた。

 

「ここは何をする場所ですか?」

 

「ここは装甲機竜(ドラグライド)を使い訓練をする場所だ」

 

装甲機竜(ドラグライド)?」

 

「なんだ装甲機竜を知らないのか?」

 

「はい」

 

「それなら少し装甲機竜について話をしよう」

 

装甲機竜(ドラグライド)は十年前 遺跡から発掘さ れた古代兵器である」

 

「この古代兵器は対となる機攻殻剣(ソードデバイス)抜剣し詠唱符(パスコード)を唱えることで召喚される」

ふ「しかし装甲機竜は数が少なく希少かつ高価なものとなっている。持つことができるのは王国の騎士か一部の権力者だけだ。聞いた話によると普通の装甲機竜より数が少なく普通のより強大な力を持っている装甲機竜があるらしい」

 

「そうなのですか」

 

「どうだ?少し試してみるか?」

 

「試してみるとは?」

 

「もちろん、装甲機竜の適性能力が高いかどうかを調べるんだ」

 

「分かりました」

 

レイは隊長から機攻殻剣を受け取り、そして詠唱符を唱えた。

 

「来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜 我が剣に従い飛翔せよ」

《ワイバーン》接続・開始」

 

レイは一回でワイバーンを纏う事ができた。

周りの人達は訓練の手を止め、レイを見ていた。

隊長も呆気にとられていた。

レイは現状が理解できずに隊長に聞いた。

 

「あの~、何故皆さん、僕の方を見ているのでしょうか?」

 

「当たり前だ‼ここにいる全員、私も含め、たった一回で機竜を纏った事は無いのだぞ‼」

 

「・・・・・・・え?」

 

この一件によりレイは自分の持つ力を改めて実感した。

 

 

――――――――――――――――――――――――

ここからはレイの設定になります。

 

「レイ」

本作の主人公

外見は短めの黒髪

目は赤色

年齢は7歳(本編開始は5年後なので本編は12歳になる)

好きなもの 本

苦手なもの 女性

名前はシスターがつけてくれた

 

レイはまだ赤子の時に孤児院の前に置かれていた。

その赤子を修道院と孤児院の管理をしているシスターに拾われ、レイと名付けられた。

 

レイは他人の感情がわかってしまう。

正確にいえば言葉ではなく、周りに漂う煙みたいのでレイはその人が何を思っているのかを理解していた。

しかし最初の1回目は理解ができなかったが、2回目で色には意味があることを理解した。

見る方法は煙を見たい相手に意識を集中すれば、ゆっくりと浮かび上がってくる。

見たい相手が複数の場合は通常よりも少し小さくなる。

色の意味は、

 

赤色は「敵意」

 

黄色は「警戒」

 

青色は「安全」

 

緑色は「気になる」

 

紫色は「不信感」

 

桃色は「恋」

 

白色は「何も思ってない」

 

黒色は「殺意」となっている

 

クーデター以降 装甲機竜使い達からは「機竜喰いの道化師」

という二つ名を付けられている。

王国主催の公式模擬戦では「瞬撃の道化師」と呼ばれている

レイが「機竜喰いの道化師」だということは限られた人しか知らない

レイは女性とは会話は多少出来るが目が合うとフィルフィの事を思い出してしまうため基本は目を逸らしながら会話をする

 

オリジナル神装機竜

倶利伽羅(クリカラ)

レイが使う謎の神装機竜

その機攻殻剣はとある人物から貰った

形態によって近距離、遠距離型になる

色は暗い青色

吸収の仕方は相手の使っていた機攻殻剣(ソード・デバイス)を機竜の腕で持ち、レイが殻剣吸収(デバイスドレイン)と言うと持っていた機攻殻剣(ソード・デバイス)が光の粒子となりレイが使うチップになる。

レイの考えた武器や様々な形態のチップも作ることも可能

武器の場合はソードチップとガンチップに記録可能だが、形態のチップは何も記録されてないチップが必要となる

 

主に使う武器は

青炎長牙剣(ファイラスブレイド)

機竜と同じ色をした大剣

機攻殻剣(ソードデバイス)の形状は他の機甲攻剣と異なっており、持ち手の付近にメモリーチップを入れるための穴が3つある。

メモリーチップには3種+αのチップがある

 

一枚目は吸収した各汎用機竜の能力が使える

機竜能力(ドラグライドスキル)

 

二枚目はレイが作り出した様々な剣が記録されている

《ソード》

 

三枚目はレイが作り出した様々銃が記録されている

《ガン》

 

+αのチップ種類は今のところ二種類

 

一枚目は背中に翼が生成され空を翔べる

《飛翔形態》

 

二枚目は装甲が厚くなり空は翔べなくなるが地上戦では無類の強さを誇る

《陸戦形態》

 

クリカラの特殊武装は他の汎用機竜を一定の量を吸収すれば性能が上がるようになっている

 

能力吸収(スキルドレイン)

 

もうひとつは吸収した汎用機竜の能力が記憶されている メモリーチップを使用して能力を解放する

能力開放(スキルレリーズ)

 

神装は炎の竜を複数呼び出し、相手を攻撃する

炎竜召喚(ドラゴンズサモン)

 

 

詠唱符は「古の時代より語り継がれる竜よ その力を解き放ち 燃え盛る炎で敵を焼き尽くせ倶利伽羅(クリカラ)

 

 

 




作品を読んでくださりありがとうござます。
機竜の形態は今後も増えていく予定です。
時間ができしだい次の話を執筆します。
それではまた
次回「episode1初めての任務」


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「episode1 初めての任務」

最近、暑くて眠れないクステラです。
皆さまも熱中症に気をつけてお過ごし下さい。

それでは本編をどうぞ


レイが機竜を初めて纏ってから数日後・・・

機竜の扱いにも慣れ第0騎士団に入隊して初めての任務に参加した。

隊長が隊員全員に

 

「全員集合‼」

 

と号令すると機竜を使って訓練をしていた隊員は

 

「はっ‼」

 

と言い隊長の前に整列した。

レイはその列の最前列にいた。

そして、隊長は隊員全員に今回の任務の内容を伝えた。

 

「今回の任務は、裏切り者を始末することだ。

人数は十数人、潜伏場所はここらから南に位置する廃村だ。」

「裏切り者は全員、機攻殻剣(ソード・デバイス)を所持しているとの情報だ。任務の開始は明日の明朝とともに廃村に向かい、裏切り者を始末する。それでは、各自解散‼」

 

言い終えた直後、隊長がレイの方に向かって歩いてきた。

 

「レイ、少しいいか?」

 

「はい?なんでしょうか?」

 

「おまえはこれを毎回、任務の前に着けて任務にいけ」

 

そう言われたレイは道化師の顔をかたどった仮面を手渡され首をかしげた。

 

「これは?」

 

「お前は他人の心が分かるからな、その仮面を着ければ例の煙を見なくても済むと思ったのだが」

 

「お気遣い、ありがとうござます。

ありがたく着けさせていただきます。」

 

隊長にお礼を言うとレイは道化師の仮面を着けた。

 

「顔にぴったり合います。

こんな便利な物をくださりありがとうございます。」

 

「何、気にするな」

 

隊長はそう言うとその場を立ち去った。

そして夜は明けて・・・

第0騎士団の隊員は力を温存するために馬車で廃村に向かった。

廃村に着くと隊長が

 

「これより任務を遂行する。

隊員各員は五人一組となり、任務をしてもらう。

レイは初めてなので私と共に行動してもらう。

いいな、レイ?」

 

「はい」

 

そして隊員全員は装甲機竜(ドラグライド)を纏い、レイは隊長と共に任務を開始した。

数時間後・・・

 

「隊長~誰もいないじゃないですか~」

 

「うるさいぞ!敵に見つかったらどうする!」

 

「ひぃぃぃ、すみません」

 

「う~ん?」

 

「ん?どうかしたのかレイ?」

 

(何故、敵が姿を見せないんだ?隠れているのか?いやそれならすぐに他の組が見つけているはずだ。そう考えると、それとも僕たちをおびき出しているのか?)

 

「レイ!」

 

レイは隊長の一言ではっと我にかえった。

 

「すみません、考え事をしていました。」

 

「考え事?」

 

「はい」

 

レイは隊長に考えていたことをすべて話した。

 

「裏切り者が我々をおびき出そうとしている可能性があると?」

 

「はい」

 

「そんなわけが無いだろう」

 

「ですがk」

 

レイが最後まで言おうとした時に不意に後ろから

仲間の悲鳴が聞こえた。

 

「おい‼どうした‼」

 

隊長は悲鳴の聞こえた方に行こうとするがレイが上から気配を感じて上を向くと機竜を纏った裏切り者が剣を持ちながら隊長の方に接近してきた。

とっさにレイは剣を抜き空中に飛び上がり、隊長と裏切り者の間に入り裏切り者の攻撃を防いだ。

互いに拮抗するなか、レイは裏切り者に話しかけた。

 

「どうして帝国を裏切ったんだ!?」

 

レイの問いに裏切り者は怒気を孕んだ声で答えた。

 

「うるさい!貴様は帝国は何をしているのか分かっているのか!」

 

裏切り者の問いにレイは無表情で答えた。

 

「それって人体実験の事?」

 

とレイは答えた。

 

「貴様!それを知っていて帝国に味方をするのか!」

 

レイは隊長にも聞こえない程の小さい声で裏切り者の耳元で囁いた。

 

「僕は僕なりのやり方があるから」

 

そう言うとレイは裏切り者と一旦距離を取り銃を構え、裏切り者にむかって弾を数発、撃った。

 

「無駄だ!」

 

裏切り者はそう言うと弾をすべて剣で弾き、裏切り者はレイの方向に向かって、銃を構えるがそこにはレイの姿はなかった。

裏切り者はレイの姿を見失った。

 

「何処だ!何処に隠れた!」

 

裏切り者は辺りを見回すがレイの姿は何処にも無い。

レイはあの時、上に飛んでおり裏切り者の頭上から銃を撃ちその場に倒れた。

その後もレイの活躍により裏切り者は全員倒した。

幸い、味方の隊員は負傷者を数名出したが死人は出ずにすんだ。

無事、任務が終わり第0騎士団が帝都に戻ると隊長宛てに王からの使いが来ていた。

 

「一度、レイという者を私の元につれて参れ」

 

という命令が入った。




最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回は戦闘シーンがメインでしたがいかがだったでしょうか?
それではまた

次回「episode2 褒美と出会い」


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「episode2 褒美と出会い」

最近熱中症で倒れそうになったクステラです。
皆様も水分補給は忘れずに

それでは本編をどうぞ


レイは隊長と馬車に乗り帝都の中心にある一番大きな城に向かっていた。

何でも、皇帝から直々にレイを連れてこいという命令が入ったので、隊長とレイは城に向かった。

その途中、レイは街の風景を見ていると傷だらけの女性達が男性に対して酷く怯えているように見えたのだ。

レイは隊長に

 

「何故、女性達は怯えているのですか?」

 

隊長は悲しそうな目をして理由を話した

 

「この国は男の方が権力を持っている。

逆に女は道具として扱っているんだ。

酷い話だろう・・・・・いつか皆が平等に暮らせる日がくることを願っているよ」

 

 

「そう・・・なんですか」

 

 

そして

 

 

城に着き、しばらく歩いていると前方から歩いてくる銀髪の少年とすれ違った。

レイは貴族だと思い軽く会釈をしてその場を去った。

そして、皇帝がいる謁見の間の前まで行くと隊長が

 

「レイ、此処からは一人で行くんだ」

 

「何故でしょうか?」

 

「皇帝はレイだけに会いたいと言っていたからな。

私がこの謁見の間に入る事は出来ないのだ。」

 

「そうですか、では此処からは僕一人で皇帝に会ってきます。」

 

「そうしてくれ。私は城の外にとめてある馬車で待っている」

 

「分かりました」

 

そうしてレイは隊長と別れると扉の前で

 

「第0騎士団のレイです!皇帝に謁見しに参りました!」

 

そう言うと扉が開き、奥には一人の人物が玉座に座っていた。

 

そこにはこのアーカディア帝国の皇帝が座っていた。

 

皇帝は

 

「久しいなレイよ。

あの時以来だな、お前と会うのも。

先の任務での活躍は聞いておるぞ」

 

「いえ、私はただ任務を遂行しただけでございます。」

 

「そんなにかしこまるな、レイよ。頭をあげよ」

 

そう言われたレイは頭をあげた。

 

「今回、お前を呼んだのは任務で活躍した事に対する褒美をやろうと思ってな」

 

「褒美ですか?」

 

「あぁ、お前が欲しい物を言ってみろ。

可能なものならばそれをお前に与えよう」

 

「そうですね・・・」

 

 

そう言ったレイはしばらく考えた

 

そして

 

「それならば、別荘と村が欲しいです。」

 

「ほぅ、別荘に村とな。何故そんなものを欲する?」

 

「理由などはございません。ただ頭に浮かんだからでございます。」

 

「ならばお前にこの国が管理する村を一つお前の与えよ う。

お前に与えた村はお前の好きなようにするがよい。」

 

「ありがとうございます。」

 

「別荘はお前が村に行く前までには完成させるから心配は無用だぞ。」

 

「了解致しました。」

 

話は終わり、レイは謁見の間を出て隊長の待つ城の門まで向かった。

歩いていると横の部屋からガシャンという何が割れる音がしたのでレイはその部屋の扉を音がしないように開け中を覗いた。

そこには二人の貴族だと思われる装いをした子供が2人いた。

どうやら、聖像を割ったらしい

レイは音がしないようにそっと部屋に入った。

 

「おい、どうする!?この聖像‼」

 

「この事がバレたら、ただじゃ済まされないぞ!」

 

「そうだ!この城にいるアイングラム家とかいう商家の娘のせいにしようぜ!」

 

「そうだな、あの女のせいにすれば俺達は大丈夫なはずだ!」

 

レイは二人の会話を聞いて、立ち去ろうとした時

一人の少年が部屋に入ってきた。

 

(あれはさっき廊下ですれ違った人だよな?)

 

そこには廊下ですれ違った銀髪の少年が驚いた様子でそこにいた。

 

「どうしたのですか!?これ!?もしかしてお二人が割られたのですか!?」

 

「そうだ、この聖像に触ろうとして割れたんだ。

だけど大丈夫だ。今、この城にいるアイングラム家とかいう商家の娘のせいにすれば俺達は大丈夫だ。」

 

「もしかして、あの子の事ですか!?

ダメだですよ‼ちゃんと自分達が割ったって言わないと!」

 

「うるさい‼お前にごちゃごちゃ言われる筋合いは無い‼」

 

そう言うと聖像を割った二人は部屋から出ていった。

 

そして、その2人は大人達に聖像は城にいるアイングラム家の娘が割ったと伝えた。

 

その聖像を割ったとされる少女は執事長の部屋に呼び出されていた。

 

「貴方が聖像を割ったと聞いたのですが、本当ですか?」

 

「私は・・・」

 

するとそこに

 

「待ってください‼」

 

いきなり入ってきた少年に少女は

 

「あなたは?」と問いかけた。

 

すると少年は

 

「僕はルクス。ルクス・アーカディア」

 

「ルクス?」

 

そして少年は

 

「僕があの聖像を割りました。」

 

そうして許してもらった二人は部屋から出ると聖像を割った二人がいた。

 

その二人はルクスに近ずき

 

「つまんないことすんなよ‼俺達の計画を潰しやがって‼」

 

「まぁいいさ、せいぜいそこの女に謝っておくんだな‼」

 

ルクスは少女の方に振り向き

 

「・・・ごめん」

 

「その・・・」

 

「・・・かばってくれたんだよね?

わたしのこと・・・」

 

「・・・えっ」

 

「ありがと・・・助けてくれて」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・そんなことないよ。ごめん僕は・・・」

 

「めっだよ」

 

「?」

 

「あなたは悪くないのに謝っちゃだめっ

それは悪いのに謝らないのと同じくらいだめだよ」

 

それを柱に隠れて聞いていたレイは

 

「そうだよ。聖像を割った本人がちゃんと謝らないと」

 

「誰!?」

 

そうルクスに言われたレイは

 

「僕はレイという者です。いごお見知りおきをルクス王子 」

 

「レイ・・・」

 

「君はいつから聖像を知っているの?」

 

「あの二人が聖像を割った辺りからです」

 

「・・・そうなんだ」

 

「なんでレイは二人が割った所を見ていたのに黙っていたの?」

 

「僕がたとえ「あの二人が聖像を割った」と言っても誰も僕の言っていることは信じてはくれませんよ」

 

「・・・・・」

 

ルクスは正論を言われ黙りこんだ

 

「ところでそちらの方は?」

 

そう言うとレイは少女の方に指を指した。

 

「そういえば僕も名前を聞いていなかったね。よかったら名前を教えてくれないかな?」

 

少女のゆっくり口を開き

 

「・・・フィルフィ」

 

「フィルフィ・アイングラム それが私の名前」

 

「フィルフィ・・・いい名前だね」

 

「僕もそう思うよ」

 

「ありがとう ルーちゃん、レーちゃん」

 

そのあだ名に二人は

 

「ルーちゃん?」

 

「レーちゃん?」

 

声を揃えて言った。

 

「ルーちゃんってなに?」

 

「あなたはルクスくん、あなたはレイくんだから」

 

とそれぞれに言った。

 

「フィー」

 

「「・・・・・・?」」

 

「わたしのことはフィーって呼んで」

 

「お母さんとお姉ちゃんはそう呼んでるから」

 

「よろしくね。ルーちゃん、レーちゃん。」

 

「「よろしくね、フィーちゃん」」

 

この日出会ったルクスとフィルフィはレイにとって初めての友達だった。

 

レイは二人と別れた直後に二人にどう思っているのか気になり意識を集中した

 

二人からは青色の煙が見えていた。

 

レイは安心して隊長が待っている馬車に急いで戻った。

 

それを遠くで見ていた一人の人物がいた

 

「ほぅ・・・なるほど、あいつはなかなか面白そうなや つだな。

そうだ、あいつがわたしの計画に使えそうなやつならこれをやつにわたそう・・・」

 

 

そう言った人物は特殊な形をした機攻殻剣を持っていた・・・

 




最後まで見てくださりありがとうございます。
最後の人物は一体誰なんでしょうかね~?
まぁ察しのいい人なら分かりますよね?

「episode3 初めての領主」


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「episode3 初めての領主」

クステラです。
今、頑張って車の免許を取りに行ってます。


それでは本編をどうぞ
(誤字がありましたら知らせてくれるとありがたいです。)


レイと隊長は馬車に乗っていた。

皇帝から使いが来て、別荘が完成したという知らせが入ったので、

さっそくレイと隊長は、城から北に位置するとある村に向かった。

 

「一体どんな村なんでしょうか?」

 

「私もどんな村なのかは聞いていないから分からんな」

 

そんな他愛もない話を馬車の中でしていた。

暫くして、村に着いた二人は馬車から降りた。

二人は村の道を歩いていると目的地である別荘に着いた。

それは帝都にあるような立派な別荘だった。

レイもこれには、

 

「流石に大きすぎませんかね?この別荘・・・」

 

「・・・まぁいいんだ。とにかく別荘に入ってみよう」

 

と言い、別荘に入った。

 

数十分後・・・

 

別荘の内装を見終わった二人は、外に出ると、

 

「村人に挨拶をしたいのですが・・・、一体村人の皆さんは何処にいるのでしょうか?」

 

「・・・それじゃあこの村の村長の所に行ってみよう」

 

そうしてレイ達は、村長の家に向かった。

この村の村長の家につき、ドアをノックすると一人の男性が出てきた。

 

レイは家から出てきた男性に、

 

「失礼ですが貴方がこの村の村長ですか?」

 

と質問した。

出てきた男性は、

 

「はい。そうですが?何かご用件ですか?」

 

「この度、この村の領主になったレイという者です」

 

「そうでございましたか。私はこの村の村長をしてます。ライルと申します。」

 

お互い挨拶をし終えるとレイが、

 

「ところで、村人の皆さんにも挨拶をしたいのですが、皆さんは何処へ?」

 

すると村長が急に悲しそうな顔をし、

 

「村の民は全員、翼の生えた化け物に何処かに連れ去られてしまいました。」

 

レイは少し驚きながら村長に、

 

「その化け物は何処から来たか分かりますか?」

 

「確か・・・、やつらは東側から来たはずです」

 

「東側ですか・・・、そこにはなにがあるんですか?」

 

「確か昔、鉄が取れる採掘場があったはず・・・、

でもあそこはもう何十年も使われていません」

 

「採掘場・・・・・・、分かりました。今からそこに向かい村の人々を救出してきます。」

 

「おぉ!それはありがたいのですが・・・、お二人だけで大丈夫ですか?」

 

「いえ、私たちの仲間をこちらに呼びますので、安心してください。」

 

「分かりました。お願いします・・・・・、村の民をどうか、どうか、助けて下さい・・・」

 

そうして村長との話が終わり帝都に連絡をし、第0騎士団の隊員全員を採掘場に呼んだ。

 

翌日・・・、

 

採掘場の前には第0騎士団全員が並んでいた。

 

「これより村の人々を救出する作戦を開始する」

 

「「はっ‼」」

 

「尚、採掘場内は暗い、気をつけて進むように!」

 

「それでは各自、作戦開始‼」

 

そうして隊員達は松明をつけて採掘場の中に入っていった。

しばらく進んでいると一人の隊員があるものに気がついた。

 

「隊長‼」

 

「どうした!?」

 

そう言うと隊員は壁に松明を向けた。

そこには何かが爪をたてて引っ掻いたような傷跡があった。

 

「レイ、これは・・・・・、幻神獣(アビス)の仕業か?」

 

「可能性は高いですね」

 

「ここから先に敵がいる可能性があるため、各自を機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜いて前に進むぞ‼」

 

「はっ!」

 

隊員達は機攻殻剣(ソード・デバイス)を手に持ちながら奥に進んだ。

 

 

機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜いて奥に進んでいると、採掘場には場違いの大きな扉があった。

隊長は扉の前まで行き、

 

「全員止まれ‼」

 

と号令をかけ隊員全員がその場に立ち止まった。

 

「なんだこれは?・・・こんな大きな扉が採掘場にあるわけがない」

 

しばらく扉を見ていた隊長の横に急にレイが立ち、

 

「隊長、ちょっとこの扉に触れてもいいですか?」

 

「あっあぁ、構わないが気を付けろよ」

 

「分かりました」

 

レイはそっと扉に触れた。

その瞬間、

レイが触れた場所から光の線が走り扉全体に行き渡ると凄まじい音をたてながら、突然開いた。

その光景に隊長は驚き、

 

(レイ・・・お前は一体)

 

大扉が開き中に入ると、村人達が部屋の真ん中に集まっていた。

レイ達は村人を助けようと近づいた時、

天上の方から「ギィエェアアアアァァァァ」という雄叫びが聞こえ、レイは上を見上げるとそこには幻神獣(アビス)が二体、翼を広げていた。

隊長は現状をすぐに理解し隊員に、

 

 

「各自、ドラグライド(装甲機竜)を纏い、幻神獣(アビス)との戦闘に備えろ‼」

 

「レイは村人を安全な所まで避難させろ‼」

 

「分かりました‼」

 

隊長の命令を聞いたレイは、村人達の方へ向かい、採掘場の外に避難誘導した。

 

数十分後・・・

 

村人達全員を外に避難し終えると、レイは急いで幻神獣(アビス)がいる場所へと引き返した。

 

幻神獣(アビス)がいた部屋に辿り着くと、第0騎士団の隊員達が奮闘していた。

どうやら一体は倒したようだが、もう一体は動きが素早く隊員達の攻撃が全く当たらない。

 

「隊長‼村人全員の避難、完了しました‼」

 

「レイか‼こいつは見ての通り動きが素早いから攻撃が全く当たらない‼だから、お前はこいつの動きを少しの間止めてくれ‼」

 

「分かりました‼」

 

レイは機竜の纏い幻神獣(アビス)にむかって剣を振りかざした。

幻神獣(アビス)はギリギリでそれを避けて、鋭い爪でレイに攻撃をした。

レイも幻神獣からの攻撃をかすりながらも後退した。

とっさにレイは、

 

「隊長、剣をもう一本貸してください。

これからあいつを倒せそうです。」

 

「それとひとつ提案が・・・」

 

「・・・分かった。」

 

隊長はレイに機竜が装備している剣を渡した。

 

「これでトドメだ‼幻神獣(アビス)‼」

 

そう言ったレイは勢いよく幻神獣(アビス)に向かって剣を投げた。

幻神獣(アビス)は投げられた剣を爪で弾き、レイに向かってきた。

するとレイはふっと笑い、横にずれた。

後ろでは騎士団全員が銃を幻神獣(アビス)にむかって構えていた。

そして隊長が大声で、

 

「全員、撃てぇぇぇ‼」

 

と言って全員、幻神獣(アビス)にむかって銃を連射した。

さすがの幻神獣(アビス)もこの攻撃には耐えられず雄叫びをあげながら跡形もなく消滅した。

そうして、幻神獣(アビス)との戦闘が終わり村に戻ると村長が出迎えてくれた。

 

「おぉ、領主様。それに騎士団の皆様方、村人達を無事に助けて下さりありがとうございます。皆様、お疲れでしょう?今日は新しい領主様もいらっしゃることですし、別荘で宴を催しましょう。」

 

レイ達は別荘に向かい、むらびとが作った料理などをご馳走になった。

隊長はこの男女関係なく笑いあってる光景見てレイに、

「いつか・・・・・、この帝国も男女共に笑いあえる日がくることを信じている」

 

「・・・・・そうですね」

 

そうして宴は朝まで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、

 

帝都の中心に位置する城では、二人の貴族が不穏な話をしていた。




ここまで見てくださり誠にありがとうございます。
次のepisodeですが少し長く書きたいと思っているので投稿が遅れる可能性がありますのでご了承下さい。
それではまた

次回「episode4 剣と反逆と囚われの少女」


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「episode4 剣と反逆と囚われの少女」

クステラです。
今回でレイの過去編は終わりとなります。
次のepisodeから本編が始まります。

それでは本編をどうぞ


村人を救出してから数週間後、

レイは村の人達と一緒に村を見回っていた。

そしてレイ達が村の出入口に向かっていると、黒のロングコートのような服を着ていて後ろには大きな荷物を担いでいる人物が立っていた。

レイは村の人達と別々に行動し、出入口に立っている人物に話しかけた。

 

「あの~どうなさいました?」

 

「おぉ、あなたはこの村の民でしょうか?」

 

「いいえ、私はこの村の領主をしているレイと申します。」

 

「領主様でいらっしゃいましたか、それでは話が早い。

どうか、私に食べ物を少しばかり分けてはくれませんか?

ここ3日程何も口にしておらず今にも倒れそうなのです。」

 

レイは少し気になりその人に意識を集中した。

その人からは青色の煙が見えた為、レイは食べ物を渡す事にした。

食べ物を渡し終えるといきなり、ロングコートを着ている人物は、

 

「ありがとうございます。お礼にこの荷物をすべてレイ様のご自由にしてください。」

 

そう言うと手荷物をおろし、レイの前にひろげた。

レイは驚いた。

その手荷物はすべて機攻殻剣だった。

その中でも一番目を引いたのは特殊な形状をした機攻殻剣だった。

 

「・・・これを何処で手に入れたのですか?」

 

「とある人物からの貰い物ですよ」

 

レイは不信に思ったが、

 

「・・・そうですか。ところでこの特殊な形状をした

機攻殻剣、錆びてはいませんか?」

 

「私もこの機攻殻剣を鞘から引き抜こう思ったのですが、錆びていて、私には無理でした」

 

「分かりました。こんなに多くの機攻殻剣をくださりありがとうございます。」

 

「こちらこそ、食べ物を分けてもらいありがとうございます。それでは」

 

そうして手荷物を担いでいた人は歩いて何処かに行ってしまった。

 

不敵な笑みを浮かべながら・・・

 

レイは怪しく思いすぐに荷物をまとめて急ぎ馬車を出し、帝都に戻り隊長にこの事を話した。

 

すると隊長は、

 

「レイ、この機攻殻剣は常にお前が持っていた方がいいだろう。」

 

「何故です?」

 

「私には分かる。この錆びれている機攻殻剣には強力な力が宿っていると。」

 

「この機攻殻剣に強力な力を宿っていると周囲の奴等に知られたらこの機攻殻剣を悪用しようという者が少なからずでるであろう。だから、お前が持っている方が安全だろう。」

 

「分かりました。僕がその機攻殻剣を持っています」

 

隊長は錆びれた機攻殻剣に布を巻き付けレイに渡した。

 

そうして話が終わり、部屋から出ようとしたとき隊長がレイを引き留めた。

 

「レイ、ちょっと待て」

 

「はい?なんでしょうか?」

 

「お前には関係の無い事だが一応、話しておこうと思う」

 

「話とは?」

 

「私に色々な事を教えてくれた、ウェイド・ロードベルト師匠が投獄された」

 

「何故、僕にその話を?」

 

「ウェイド師匠の孫にあたる、ルクス・アーカディア、妹、その二人の母親がこの城から追い出された」

 

「っ!ルクス達は何処に!?」

 

「ん?お前はルクス・アーカディアと知り合いか?」

 

「はい。この前、皇帝に呼ばれたときに友達になって、それから・・・」

 

「ところで何故、その人は投獄されたのですか?」

 

「帝国の政治に腐敗を諫言したしたんだ」

 

「そうですか・・・」

 

「ところでルクス達は?」

 

「確か・・・馬車に乗り此処から北に向かったはずたが?」

 

「分かりました‼」

 

レイは機竜を纏い急ぎ北に向かった。

しかし、向かっている途中に雨が降り始めた。

レイは雨を気にしてはいられず、濡れながらもルクス達を探した。

ルクス達を探していると丘の道に人だかりが出来ているのが見えた。

人だかりは丘の下に落ちていた馬車にむかって石を投げていた。

レイは馬車の方を見ると聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「誰か、誰か助けて下さい‼母が、母が・・・‼」

 

そこにいたのはルクスだった。

倒れている馬車の方をよく見ると母親と妹と見られる人物が倒れていた。

レイはルクス達の方に向かって飛んで行き、ルクスと人の間に割って入った。

 

「止めてください‼」

 

「レ、レイ・・・」

 

「なんだお前は、そこをどけ‼」

 

「嫌だ‼」

 

そう言うとレイは倒れている馬車の方を向き馬車を起こして三人を連れて急いで村に向かった。

村に着くとレイは村人達を呼び、自分の別荘でルクスの母親を看病するように言った。

その間にレイはルクス達を別荘に招き雨で濡れていた二人と一緒に湯船に浸かった。

 

「助けてくれてありがとう、レイ」

 

「友達として当たり前の事をしたまでだよ」

 

「ところで・・・、あっちで僕の事を物凄い警戒している子がルクスの妹だよね?」

 

「うん。アイリ~、この人は僕の知り合いだからこっちにおいでよ~」

 

するとアイリと呼ばれた少女はこっちにむかってゆっくり近づき、ルクスの隣に座った。

 

「アイリ、レイはアイリの事知らないから自己紹介して」

 

アイリはルクスの後ろに隠れながら自己紹介をした。

 

「アイリ・アーカディアです。いつも兄がお世話になってます・・・」

 

「・・・この子、ホントにルクスの妹?」

 

「なんで!?血は繋がってるよ!?」

 

「ごめんごめん、冗談だよ」

 

三人は湯船からあがるとすぐに床に就いた。

朝となり、

レイはルクス達の母親の様子を見に部屋に向かった。

部屋に入ろうとした時、不意に扉が開いた。

 

「あっ・・・、レイ様あの二人の母親は出血が酷く

今朝・・・・・・」

 

「・・・・・分かりました。急な頼みを聞いてくれてありがとうございます」

 

レイはルクス達に母親が亡くなった事を伝えた。

母親という心の拠り所が無くなり二人はその場で泣いた。

その日からルクスからは笑顔が消えた。

一週間後、

ルクスの母親を村の外れにある墓地に埋めた。

レイはルクス達に、

 

「これから二人はどうするの?」

 

「僕たちには行く宛がないから・・・どうしよう」

 

「それならこの村に住めばいいよ」

 

「えっ?」

 

「だって他に行く宛が無いならこの村にいれば安全でしょ?」

 

「いいの?僕たちがこの村に住んで?」

 

「大丈夫。この村の人達は帝国に恨みなんて無いから安心だよ」

 

「ありがとう。それじゃあこの村に住むことにするよ」

 

「分かった。それとひとつだけお願いがあるんだけど頼めるかな?」

 

「なに?」

 

「これからこの村にいる村人の手伝いをしてくれない?」

 

「分かったよ。基本的になにをすればいいの?」

 

「基本的には畑仕事かな。畑を耕したり、収穫したりだね」

 

「やり方は村の皆に教えてもらうといいよ」

 

「大変そうだけど頑張るよ」

 

「くれぐれも無理だけはするなよ」

 

「気を付けるよ」

 

「そうそう、アイリちゃんはどうする、ルクス?」

 

「アイリはまだ幼いからレイの別荘にある本とかを使って文字を教えてあげて」

 

「分かった」

 

そうして、ルクスは村の人の手伝いを、アイリはレイと一緒に別荘にある本を使い文字の勉強をした。

ルクスは村人達と一緒に畑仕事をしているうちいつしか笑うようになっていた。

アイリは物覚えが良く、どんどん色んな事を覚えていった。

そんなある日、

レイとルクスはいつも通り、朝早くに起き墓地に向かうとお墓の前に一人の少女が立っている事に気が付いた。

 

「ねぇ、ルクス。あそこに立っているのもしかして・・・・・」

 

「間違いない。フィーちゃんだ」

 

二人はフィルフィに声をかけた。

 

「「フィーちゃん!」」

 

「あっ二人とも、おはよう」

 

「「おはよう・・・じゃなくて‼なんでこんなところにいるの!?」」

 

「お姉ちゃんがルーちゃんのお母さんが亡くなった事を聞いてルーちゃん達がいるっていうこの村に来たの」

 

「そうだったんだ」

 

「ところでフィーちゃんのお姉さんは?」

 

「少し用事があるって言って何処かに行っちゃった」

 

「そうなんだ・・・ねぇフィーちゃん」

 

「なに?」

 

「こんなところにいたらお姉さんも心配するから村に行って僕の別荘に行かない?」

 

「行く」

 

レイ達はフィルフィを連れて別荘で遊ぼうと決め、

アイリも誘ったが断られ

 

「私は勉強がしたい」

 

と言うのでレイはアイリと、ルクスはフィルフィと共に行動した。

日が落ち始めた頃、

フィルフィのお姉さんが別荘に迎えに来た。

 

「フィ~、そろそろ帰るわよ~」

 

「あっお姉ちゃん」

 

「あら、ルクス君も一緒だったの?」

 

「うん」

 

「こんばんは、レリィさん」

 

「こんばんは、ルクス君」

 

言い終わるとレリィはレイの方を向き、

 

「あなたがレイ君?」

 

「初めまして、レイと申します」

 

「礼儀正しいのね。レイ君は」

 

「フィルフィの姉のレリィ・アイングラムよ。

フィーから色々と聞いてるわ。

これからもフィーと遊んであげて、レイ君」

 

「分かりました。レリィさん」

 

そうしてレイ達はフィルフィが来る度に一緒に遊んだ。

しかしその日は突然やって来た・・・

レイ達はいつも通り、フィルフィと遊ぶ準備をしていると別荘の扉が突然開いた。

そこにはレリィが一人で泣きながら立っていた。

 

「ルクス君!レイ君!フィーが・・・フィーが!」

 

「どうしたの、レリィさん!?」

 

「フィーがいなくなっちゃの‼」

 

「あの子・・・昨日から家に帰って来ないの・・・!」

 

「ッ!」

 

「少し落ち着いて下さい。レリィさん、大丈夫です。

ルクスと一緒にフィーちゃんを捜します」

 

「いいよね?ルクス」

 

「うん」

 

「ありがとう、二人とも」

 

「とは言ったものの・・・何処にいるのかも分からないんじゃ~捜しに行けないな」

 

「・・・」

 

「どうかしたか?ルクス」

 

「もしかしたらフィーちゃんが何処にいるか知っている人がいるかも知れない」

 

「なんだって!その人はいまどこに!?」

 

「帝都にいるはずだよ・・・フギル兄さんは・・・」

 

翌日、アイリの事は村の人に任せて二人は帝都にある城に向かった。

 

そして・・・

 

「久しいな賢弟。あの時以来か」

 

「お久しぶりです。フギル兄さん」

 

「お前の隣にいるのは?」

 

「彼はレイ、僕の友達です。」

 

「初めまして、レイと申します」

 

レイはフギルに挨拶をした。

 

「フギル・アーカディアだ。よろしく」

 

「さて、二人は俺に何の用だ?」

 

「兄さんはフィルフィの事はご存知ですよね?」

 

「フィルフィ?あぁ、お前と仲良くしていたあの少女か?」

 

「はい、兄さんならフィルフィがいまどこにいるのか、知っていると思って会いに来ました。」

 

「あぁ、知っているとも」

 

「「フィルフィはいまどこに!?」」

 

「リエス島いう島に連れていかれたそうだ」

 

「リエス島・・・そこにはなにがあるのですか?」

 

「帝国の軍事施設だ」

 

「そこでは人体実験をしているらしい」

 

「‼」

 

レイは人体実験という言葉に覚えがあった。

孤児院にいた時、レイはそこに連れていかれそうになったからだ。

 

「ルクス‼急いでそのリエス島に行くよ‼」

 

「どうしたの急に?」

 

「いいから急いで‼もしかしたら・・・、もしかしたらフィーちゃんはもう・・・」

 

「っ!」

 

二人が部屋から出ようとしたときフギルが、

 

「待て行くならこれを使え、賢弟」

 

そう言ってフギルは黒い機攻殻剣をルクスに渡した。

 

「いづれそれを使う機会が来る。その前にそれになれておけ」

 

「それとリエス島の頂上にある修道院が帝国軍事施設だ」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

そうして二人は部屋を出た。

 

「・・・これで俺の計画はまた一歩進む」

 

「ハ・・・ハハハハハハハ‼」

 

その声は誰にも聞こえることはなかった、

 

二人は機竜を纏い急ぎリエス島に向かった。

リエス島に着くと二人は修道院に赴いた。

 

「僕が先に行って様子を見て来るよ。ルクスはここで待ってて」

 

「分かった」

 

レイは修道院の中に入りフィルフィの名前を呼んだ。

奥に進んだレイは想像を絶する光景を目の当たりした。

そこにはバラバラになった無数の人だった物が転がり落ちている。

流石のレイもこの光景に言葉を失った。

すると奥の方から微かに声が聞こえた。

レイは声が聞こえた方に向かうとそこにフィルフィがいた。

しかし、フィルフィは出血が激しく辛うじて右目が見える位であった。

 

「ッ!フィーちゃん‼」

 

「あっ・・・・・レー・・・・・ちゃん」

 

「酷い出血だ。大丈夫今ルクスも呼んでく――」

 

フィルフィはレイの服の袖を摘まみ、

 

「だめ・・・ここにルーちゃんを呼んじゃ」

 

「なんで‼」

 

「私もう意・・・が・・・・ねぇレー・・・ちゃん」

 

レイは今にも流しそうな涙を堪えながら、

 

「なに・・・フィーちゃん?」

 

「私を・・・殺し・・・て」

 

「ッ!なんで!?もしかしたらまだ助かるかもしれないのになんでそんな事言うの!?」

 

「私はもう助から・・・ないから。せめ・・て・・・・レーちゃんの手で・・・・・殺して」

 

「・・・・・・分かった」

 

レイはフィルフィの前に立つと、機攻殻剣を構えフィルフィを右肩から斜めに切りつけた。

 

「ありがと・・・う、レーちゃ・・・」

 

フィルフィは言い終わる前に息絶えた、その顔は満足そうに微笑んでいた。

 

「う・・・うぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ‼」

 

レイの悲痛な叫び声は、修道院の中で虚しくこだまする。

 

「フィーちゃん!ごめんよ!僕が早くここに来ていれば、助かったのかもしれないのにごめんよ!フィーちゃん!」

 

レイはその場で堪えていた涙を流した。

初めて出来た友達を自分の手で殺してしまった。

もう少し早くここに来ていればフィーちゃんは死なずに済んだのにそう何度も何度も思い、レイは泣き続けた。

 

(・・・こんなことをする帝国は僕が滅ぼしてやる!)

 

レイは帝国を恨みそして憎み滅ぼす事を決めた。

その時、レイは腰に差していた錆びついている機攻殻剣が光を放ち錆が取れているのが分かった。

錆が全て取れると機攻殻剣からの光が消えた。

レイは落ちた機攻殻剣を握ると頭にその機攻殻剣に関する情報が一気に流れ込んできた。

レイは情報を理解すると機攻殻剣を腰に差し、外に出ていった。

外にはルクスが待っていた。

 

「フィーちゃんは!?」

 

レイは首を横に振り、

 

「嘘だよね!?ねぇ、嘘だって言ってよ!?レイ!」

 

そうしてこの出来事は悲劇的な結果で終わった。

二人は村に戻るとレリィにフィルフィの事を伝えた。

 

「そう・・・そんな事が・・・」

 

「レリィさん?」

 

「ありがとう二人とも。フィルフィを捜し出してくれて

私もこれからリエス島に向かうわ」

 

「「えっ?」」

 

「あの子もこっちの方が安らかに眠ってくれると思うから・・・」

 

「レリィさん・・・」

 

二人はなにも言えなかった。

そうしてレリィは村を出てリエス島に向かった。

その夜・・・

アイリが寝ている横で二人は椅子に座っていた。

 

「ねぇ、、ルクス」

 

「この帝国をどう思う?」

 

「なんで?」

 

「なんでってフィルフィが死んだのも帝国のせいなんだよ!?」

 

「レイ」

 

「なんだよ」

 

「この際だから言っておくよ。僕はフギル兄さんと一緒にこの帝国を滅ぼす作戦を立てているんだ。」

 

「なんだって!?」

 

「レイ、このアーカディア帝国を滅ぼして皆が平等に生活出来る国を作るためにこの作戦に加わってくれる?」

 

「・・・分かった。ルクス達の作戦に僕も加わるよ」

 

そうしてレイはルクス達の作戦に加わった。

 

翌日・・・

レイ達はフギルに会いに帝都に向かった。

そして、レイ達はフギルのいる部屋に入った。

 

「今日はどうした、賢弟よ」

 

「フギル兄さん。レイも作戦に加わってくれるそうです」

 

「そうか。では明日の夜この部屋にて作戦を話す」

 

「ひとまず、お前達は一旦村に戻って準備をしてこい」

 

「分かりました。今日はこの辺村にで戻ります。」

 

レイ達は一旦村に戻って村人達にしばらく戻らない事を伝えアイリの事を村人達に任せた。

隊長にもしばらく帝都から離れると言って了承を得た。

ルクスは村人から一通の手紙を渡された。それはレリィからの手紙だった・・・

―――――――――――――――――――――――

それからフギルの部屋にて・・・

 

「よし、揃ったな。では作戦について説明する」

 

「帝都より北東の領主、アティスマータ伯は近隣諸国の支援も受け総軍七万

機竜使い二百七機を束ねることに成功した。

我々も十日後、各地のレジスタンスを集め帝都に攻め入る。

「賢弟は外の機竜使いを、君は城にいる機竜使いを殺せ」

 

「しかし・・・」

 

「分かりました」

 

「レイ!?」

 

「どうせこの国は滅ぶんだ。だからこの帝国に賛同する奴等は全員殺す」

 

そして十日後、

クーデターが始まった。

レイは隊長から貰った道化師の仮面を被り作戦通りに、青き神装機竜を纏い城の中にいる帝国の機竜使いを殺して機攻殻剣を奪い吸収して、メモリーチップを何枚か手に入れた。

ルクスは漆黒の神装機竜を纏い外にいる帝国の機竜使いを殺さずに倒していった。

そしてレイは、城の中に帝国兵の生き残りがいないか確かめるために歩き回った。

レイは牢屋のある部屋に入った。

そこでレイは鉄格子越しに一人の少女が鎖に繋がれているのが分かった。

レイは扉を開け、中に入り声をかけようとした時、

 

「私に近寄るな!!貴様も私を殺しに来たのか!?」

 

「・・・・・違いますよ」

 

「それならお前はここに何をしに来た!?」

 

「生き残った帝国兵を殺しに来んですよ」

 

「ッ!」

 

「ところで貴女は?」

 

「私はリーズシャルテ・アティスマータだ」

 

「アティスマータ?もしかして貴女はアティスマータ伯の・・・・・・」

 

「父を知っているのか!?」

 

「はい」

 

「そうか、やはり父は私を見捨てたのか・・・・・・」

 

「えっ?」

 

「ところで貴様、名前は?」

 

レイは暫く黙り混むと、

 

「ゼロと言います」

 

「ゼロ、何故貴様はそんな仮面を被っているのだ?」

 

「これには少々事情がありまして・・・・・」

 

「まぁ、あんまり聞かないでおこう」

 

レイはほっとして、

 

「助かります」

 

「ところでレイ」

 

「はい?」

 

「私を・・・私を殺してくれ」

 

「ッ!」

 

「私は父に見捨てられたからな。生きている価値が無い。いっそ殺してくれた方が・・・」

 

「なんでッ!?なんでそんな事が簡単に言えるのですかッ!?」

 

 

「・・・・・何故お前が泣く?」

 

「僕は大事な友達をこの手で殺しました。もうこれ以上、あんな思いはしたくないんです‼だから貴女も生きてください」

 

そう言うとレイはリーシャに繋がれた鎖を機攻殻剣で切り、

 

「いつかまた会いましょう」

 

そう言うとレイは牢屋を出てルクスを捜した。

 

(何処にいるだよ。ルクス・・・)

 

牢屋を出たあとレイは皇帝陛下がいた謁見の間に向かっているとルクスの声が聞こえた。

 

そこにはルクスとフギルがいた。

 

「ルク・・・」

 

「どうして殺したッ‼フギルッ!」

 

レイはそこで足を止めた。

 

「軍の機竜使いも・・・皇帝陛下もみんなっ・・・」

 

「こんなのっ・・・こんなの予定と・・・!!」

 

「くっ はっ・・・ハハハハハハハハハハハハ!!」

 

「お前はッ・・・お前は尊敬に値するよ!!」

 

「その歳で誰よりも機竜を使いこなし、権謀術数を巡らせ・・・、この腐れた帝国の歴史に終止符を打った!!!」

 

「お前がロクに軍を倒さずやられたら・・・、

俺が《笛》を使って幻神獣を呼び寄せるしかなかったからな」

 

「手間が省けたよ」

 

「・・・・・!?」

 

「だが・・・お前は運がなかった。

信頼していた俺に裏切られてしまったんだ」

 

「教えてやろう愚弟よ」

 

「俺は最初からこの帝国の皇子なんかじゃないのさ」

 

「俺の目的はお前が望んだ平和じゃない」

 

「帝国崩し。ご苦労だったな」

 

「ク・ソ・王子」

 

「どう・・・して・・・」

 

「・・・・・・そうだね」

 

「最後に話してやろうか」

 

「賢弟、お前が理想を果たせなかった理由だよ」

 

そう言うとフギルはルクスに近ずき首を絞めながら、

 

「無意味だよ。ルクス」

 

「お前はな何も世界が分かってない」

 

「王の器なんかじゃないんだよ、最弱よ」

 

「・・・・・・・・どれほどの覚悟を抱こうとお前は

「国」や「人」が尊いものだと信じている。たがなお前は何も世界が分かってない」

 

「だから手加減して生かした兵士たちと話し合いの場を作ろうなど絵空事が言えたのだ」

 

「感謝してほしいものだな。賢弟よ」

 

「俺がその兵士どもを皆殺しにしなければお前は連中に暗殺されていたのだから」

 

「これから何をするつもりだ・・・」

 

「僕は・・・お前を・・・」

 

「賢弟よ」

 

「自らの意思で「悪」を行使する覚悟が無いものなど誰も犠牲にできないものなど」

 

「どれほどの力を持とうがなんの意味もない」

 

「無意味なんだよ。ルクス」

 

「お前は「悪」になりきれなかったんだ」

 

「だからお前は「最弱」なのだ」

 

そう言い終えるとルクスを床に降ろしレイの方を見た。

 

「さぁ、次は君の番だ。隠れてないで出て来い」

 

レイは慣れた手つきで特殊な機攻殻剣にメモリーチップを三枚挿入し抜剣、詠唱符を唱え神装機竜を纏った。

 

「ほぅ、その特殊な機攻殻剣をまともに使えるようになったのか」

 

「何故、貴様がこの機攻殻剣の事を知っている!?」

 

「あぁ、そうえばあの時、村でお前に大量の機攻殻剣を渡したのは俺だよ」

 

「なっ!?」

 

「ついでにお前が他人の考えていることが分かるのも知っている」

 

「ッ!その事はまだ数人にしか話してないのに・・・」

 

神装機竜を纏い道化師の仮面を被ったレイは生身のフギルに闘いを挑んだ。

しかし結果はレイの敗北だった。

 

「お前もまだまだ弱いな。もっと強くなることだな。今度会ったときは容赦はしない」

 

「そうだ。お前にこれをやろう」

 

フギルはレイが使うメモリーチップによく似た赤黒いチップをレイに向かって投げた。

 

「まて・・フギル・・・アーカ・・・・ディ・・・」

 

そう言うとレイは意識を失い倒れた。

フギルはその場から立ち去った。

 

クーデター後に謁見の間で意識を失っていた二人をリーシャの叔母でありのちの新王国の女王「ラフィ」女王陛下に拾われた。

王城の崩落があったせいなのか《バハムート》と

《クリカラ》は奪われずに済んだ。

その後《バハムート》と《クリカラ》は王都の地下にある極秘の第零格納庫に保管され女王陛下の命のもと

管理している。

そして「咎人」として旧皇帝族の生き残りであるルクスは「あらゆる国民の雑用を引き受ける」という条件のもと釈放。レイは自ら咎人となることを望みルクスと同じ条件で釈放され、課せられた莫大な借金を返すため日々働いて行くことを決めた。「黒き英雄」と「機竜喰いの道化師」としての素性を隠しながら雑用王子と雑用兵としてこのアティスマータ新王国の為に尽くすと決め。




ここまで読んで下さりありがとうございます。
次のepisodeからは2000文字位で1話とします。
それではまた

次回 第1章 朱の戦姫 episode5 「学園への侵入者」

(基本的に単行本とラノベを見ながらオリジナル展開していきます)
(ついでに単行本であったフギルとリーシャの出会いはカットします。)


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第1章 朱の戦姫
「episode5 学園への侵入者」


クステラです。
このepisodeから物語が始まります。

それでは本編をどうぞ



あのクーデターから五年後・・・

 

その日もルクスとレイは新王国の人達の雑用をしていた。

ルクスとレイが雑用を終え一息つくと一人の少女が二人に話しかけてきた。

 

「ルクスくーん、レイくーんおはよー!」

 

「おはようございます」

 

「お・およう・・・」

 

「昨日はよく寝れた?」

 

「おかげさまで泊めてくれてありがとう」

 

「いいっていいって気にしないでよ、二人とも」

 

「あら?掃除までしてくれたの?もしかしてパパに頼まれた?」

 

レイは少女から目を反らしながら、

 

「あ、いや・・これは・・・」

 

するとルクスが、

 

「自分達を宿に泊めてくれたからそのお礼にしているんですよ」

 

「そうなんだ。他にもお仕事があるのにこんな雑用まで大変だよね・・・ありがとうね二人とも!」

 

「別に大したこと無いよ」

 

「とにかく今は人の役に立てるのが嬉しいんだ。ね?レイ?」

 

「う、うん」

 

そんな会話をしていると後ろから猫が近ずき少女の持つポシェットを猫がくわえどこかへ走っていった。

 

「あぁっポシェットが――――――!!」

 

ルクスとレイの行動は早かった。

 

「レイ!あの猫を追いかけよう!」

 

「分かった」

 

そう言うとルクスは少女の方を向き、

 

「絶対にポシェット取り返すから」

 

と言ってレイと一緒に走り出した。

 

「む、無理しなくていいんだよー?」

 

ルクスは微笑みながら、

 

「一食一泊の恩返しですよー」

 

(・・・ところでレイ君はなんでルクス君は平気なのに

私だと目を反らすのかな?)

 

そうしてルクスとレイは猫を追いかけた。

 

それから一時間後・・・

 

「「そろそろ止まれー!」」

 

ポシェットをくわえた猫はルクス達の行動に驚きポシェットを落としてどこかに行ってしまった。

 

ビキ・・・

 

「ねぇ、レイ?」

 

「どうしたの、ルクス?」

 

「僕たちどこまで来たんだろ?」

 

「さぁ、どこだろここ?」

 

「とにかく戻らな・・・!」

 

最後まで言おうとした直後、屋根が崩れ落ち二人は下に落ちた。

 

「「うわああああぁっ!!?」」

 

下はどうやら水で二人は助かったらしい。

 

「いっててて・・・」

 

「大丈夫、レイ?」

 

「あぁ、なんとかね」

 

「これは・・・お湯?」

 

「ここは一体・・・?」

 

考えていていると天井に亀裂が入っていき、

その下には小柄な少女がいることに気がついた。

天井の破片・・・

その塊が下にいた少女に向かって落ちてくる。

 

「なっ、天井がっ!?」

 

ルクスは咄嗟に、

 

「危ないっ!」

 

ルクスは少女を突き飛ばし、覆い被さった。

 

「大丈夫?」

 

ルクスは手の感触に違和感を覚えた。

すると、少女から

 

「おい・・・変態共」

 

「死ぬ前に何か言い残すことはあるか?」

 

「「・・・・・・!!」」

 

(どうしてこんなことに・・・!?)(ル)

 

(あ、終わった。僕の人生・・・)(レ)

 

ルクスは咄嗟に、

 

「えっと・・・可愛いですよ!!胸は結構あってエロいですっ・・・・・ん!?」

 

ルクスは助けを求めてゆっくりとレイの方を見た。

 

しかしレイは壁の方を見ながら、

 

「ルクス~、流石にそれはアウトだと思うよ」

 

「なんで壁の方を見ながら言ってるの!?」

 

するとレイが壁の方を見ながら、

 

「ルクス~もういいから準備をしようよ?」

 

「準備って?」

 

「そりゃ、もちろん・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「逃げる準備だよ‼」

 

「この痴れ者共があああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「「ごめんなさぁぁぁぁいぃぃぃ!!?」」

 

ルクス達は勢いよく逃げ出し、大浴場にいた女子達は一斉に悲鳴を上げた。

 

大浴場を出る直前、レイはあることを思い出した。

 

「そうだ、ルクスっ!ポシェット、ポシェット!!」

 

「あぁ、そうか!」

 

ルクスはポシェットを手に取り、

 

「僕達はただこれを取り返そうとしただけで!」

 

するとポシェットのボタンが取れると中からは

女性物の白いブラジャーとパンツがルクスの足元に落ちた。

 

それを見た全員が黙った・・・

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

「「・・・・えっ?」」

 

そして、

 

「下着ドロ!!覗きの上に下着ドロだわっ!!!」

 

「衛兵!誰か衛兵を呼んで!!!」

 

「剣を取ってきて!今なら正当防衛が成立するわ!!」

 

「ち、違うんですぅぅぅ!!?」

 

大浴場から脱出したルクス達は互いに廊下を走っていた。

 

「ルクス!二手に分かれよう!!」

 

「分かった!」

 

そう言うと二人は二手に分かれた。

 

しばらくして・・・

 

「待ちなさぁぁぁいっ!!!」

 

「ひぃぃぃぃぃ!!!」

 

「あいつよ!あいつが覗き魔よ!」

 

「いや痴漢よ!」

 

「胸もまれた子いるって!」

 

「足も触られたって子もいたわ!」

 

「ちょっ・・・なんで話が大きくなっているのさ‼?」

 

(どうしよう、この状況‼この状況下で誰も話を聞いてくれる人なんていないだろうし・・・)

 

(とにかくここから一旦出よう‼)

 

(それからもう一度ちゃんと説明しに・・・)

 

ルクスがそう考えていると目の前の壁に突然亀裂が入った。

 

「えっ?」

 

凄まじい音と共に機竜を纏っている蒼髪の少女が現れ、それに驚いたルクスはしりもちをついた。

 

(なんでこんな所に機竜がっ!)

 

「ふぅむ、変態で覗き魔のしかも下着ドロにしてはいい顔つきじゃないか」

 

「そ、それは誤解ですってば~」

 

「だが降伏しろ、次は当てるぞ」

 

ルクスは周りを見回した。

 

(もしかしてここはっ!)

 

すると機竜を纏っていた蒼髪の少女がルクスに向かって攻撃をしてきた。

 

「!!うわぁあぁぁぁぁ!!?」

 

ルクスは咄嗟にその攻撃を回避した。

 

「あ、危ないな~!!!」

 

ルクスは機竜の方に振り向くと目の前に大きな手があった・・・

 

「おぉう・・・」

 

凄まじい音が鳴り終わるとルクスの居た場所に大きな穴が空いた

 

「「・・・・・・・」」

 

「しまった!!スピードを抑えすぎたか!?」

 

「いやいや!死んじゃうんですけど僕!?」

 

「下か!!」

 

ルクスは少女から逃げるため走り出した。

 

「むぅ・・・」

 

「しかし・・・あの変質者、装甲機竜を生身で避けるとは・・・」

 

「だが出口は一つ 絶対に逃がさん!」

 

「もう一人の変質者もなっ!」

 

一方その頃・・・

 

レイは一人の黒髪の少女と相対していた。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

レイは渋々少女に意識を集中させた。

思った通り目の前の少女からは黄色の煙が見えていたのでレイは少女に目を反らしながら話しかけた。

 

「あっあの~」

 

「yes.何でしょうか?」

 

「なんで君はここにいるの?」

 

「yes.それはあなたを捕まえる為です」

 

そう言うとその少女は機攻殻剣に手をかけ機竜を纏った。

 

「えっ?」

 

「警告します。おとなしく私に捕まって下さい」

 

「見逃すということは~」

 

「NO.それは出来ない相談です」

 

「やっぱりねぇ・・・」

 

「yes.だから・・・捕まって下さい」

 

そう言った瞬間、機竜を纏った少女は一気にレイとの距離を詰めて捕まえようとしていた。

 

「うぉ!」

 

「NO.避けないで下さい。捕まえられないです」

 

「いやいやいや、そのスピードは捕まえようとしてないよね!?明らかに殺ろうとしてるよね!?」

 

「No.そんな事はありません」

 

レイは階段の方に逃げようとしたが少女の方が先回りをした。

 

「もう逃げ道はありません。おとなしく捕まって下さい」

 

レイは辺りを見回し、窓を見つけ、

 

「いや、まだ逃げ道はあるよ!」

 

レイは窓の方に走りだし窓に体当たりをして外に出た。

 

機竜を纏った少女は割れた窓から外を見たがレイの姿は無かった。

 

「そうゆう手もありましたか。しかし出口には・・・」

 

なんとか逃げ切ったレイは、走っているとルクスと合流し門の手前まで走った。

 

「あれが出口だっ!」

 

「これで外に出れ・・・」

 

すると門の横から一人の少女が出てきた。

 

「あら?随分と可愛らしい覗き魔で痴漢で下着ドロね?」

 

「まだ、どちらも子供じゃない」

 

(こっ子供・・・)

 

ルクスははっと我に返り、

 

「ちっ違うんです。僕達は・・・」

 

「でも、ごめんなさい。私は子供相手でも犯罪者を見逃すわけにはいかないの」

 

「そうだよルクス、この状況でまともに話を聞いてくれる人なんていないよ」

 

「そうかもしれないけど・・・」

 

「だからっ」

 

「あの人を抜いて外に出よう‼」

 

「分かったっ!」

 

二人は勢いよく走りだし門の方に向かった。

 

しかし・・・そうはいかず

 

「二人とも、私を甘くみすぎよ」

 

そう言われた瞬間、二人は天地が逆転していた。




ここまで見てくださりありがとうございます。
個人的にルクスが風呂場からの逃走するのが好きシーンです。アニメでは全カットされてしまい残念です

それではまた次のepisodeで

次回「episode6 新王国の姫」


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「episode6 新王国の姫」

クステラです。

お気に入り登録してくださった方々誠にありがとうございます
20件越しました。

それでは本編をどうぞ


薄暗い地下室でルクス達は目を覚ました。

石壁所と鉄格子で囲まれた、何一つ無い簡素な独房。

手枷と足枷はつけられてはいなかったが持ち物が全て

独房の外に置いてあった。

レイは床に座りながら

 

「ねぇ、ルクス?」

 

「なに、レイ?」

 

「僕達、これからどうなるんだろね・・・」

 

「僕達の正体もバレたと思うよ・・・」

 

そんな会話をしていると、一人の少女がルクス達に話しかけてきた。

 

「お目覚めかな?「旧帝国の王子様」?」

 

「「うぉ!?」」

 

少女は笑いながら・・・

 

「昨晩は助けてくれてありがとう・・・」

 

「ついでに素晴らしい口説き文句だったぞ?

思わず惚れてしまいそうになるくらいにな」

 

笑顔と裏腹にその言葉はレイが意識を集中しなくとも怒っていることが見て分かる。

 

「助ける?・・・!!」

 

「き・・・君はもしかして!!」

 

「ルクス、この子は昨日ルクスが大浴場で助けた子だよ」

 

「やっぱり!!」

 

「貴様らには聞きたいことが山ほどがその前に学園長から話があるそうだ」

 

「ついてこい」

 

「「学園長?」」

 

「なんだ?この期に及んでまだしらを切るつもりか?」

 

「知らずに忍び込んだ訳じゃあるまい」

 

「この学園の女子寮に」

 

レイ達は互いの顔を見て

 

「「じゃあ、やっぱりここは僕達が今回」」

 

「「働きに来る予定だった・・・!」」

 

((城塞都市王立士官学園‼))

 

(アティスマータ新王国が設立した機竜使いを育成するための女子学園‼)

 

「リーズシャルテ・アティスマータ」

 

「「え?」」

 

「それが私の名だよ」

 

「新王国第一王女、通称「朱の戦姫」」

 

「五年前・・・お前達の帝国を滅ぼした新王国の姫だ」

 

「宜しくな?二人とも・・・」

 

「えええええええ!!?」

 

(リーズシャルテ・アティスマータ?・・・その名前どっかで・・・)

 

そうしてルクス達は手錠を付けられ学園長のいる部屋に向かった・・・

 

 

 

「ふぅ・・・・・。それじゃあ今回のは不幸な事故、という事でいいのよね?ルクス君、レイ君?」

 

「「はい・・・」」

 

この騒ぎに至った経緯を全て学園長であるレリィに話した。

 

「それじゃあ、この話はこれで終わり!!」

 

「学園長っ‼それだけなのか!?」

 

「そうねぇ」

 

「ルクス君とレイ君は旧帝国時代から親交があった訳じゃないけど」

 

「二人の話を聞くと故意にした訳じゃないのよねぇ」

 

「だがっ・・・」

 

「それに・・・「疑わしきは罰せず」それが新王国のの方針では無かったかしら?」

 

「リーズシャルテ・アティスマータさん?」

 

「それは・・・」

 

「二人とも」

 

「「はっはいっ!」」

 

「ということであなた達に頼んでおいた仕事の内容だけど

貴方達には装甲機竜の整備をお願いしたいの」

 

「機竜の整備・・・ですか?」

 

「難しい話じゃないのよ?」

 

「装甲機竜が《遺跡》から発掘されてから十余年」

 

「理由があれどその構造は全くと言っていいほど解明されていないの」

 

「私たち女性は旧帝国が敷いてきた男尊女卑の風潮によりその使用はほとんど禁じられていたの」

 

「だけど五年前のクーデターで新王国設立以降

装甲機竜との相性適正は男より女の方が上だという事が判明したの」

 

「そしてこの学園でも他国に負けない機竜使いを育成しているのよ」

 

「でも装甲機竜を独占していた旧帝国の使い手はほとんどがクーデターで死んで絞まって・・・」

 

「機竜整備士も機竜使いも足りてないなの」

 

「機竜の整備は汚れるし 危険もあるでしょう?」

 

「あなた達にぴったりな仕事でしょう?」

 

「ルクス君、レイ君?」

 

その問いにルクスは

 

「僕は整備の方はほとんど素人ですよ?」

 

「僕も同じく素人です」

 

「これから覚えればいいわ。機竜使いとしての予備知識があるだけでも貴重なの」

 

「それに・・・「無敗の最弱」と「刹那の道化師」と呼ばれているあなた達のような人材は特に・・・ね」

 

無敗という言葉に反応したリーシャが

 

「無敗の最弱」というと王国主催の公式模擬戦

最多出場にして最多の無敗記録を持つ・・・あの

機竜使いか?」

 

「そして「無敗の最弱」と同じく公式模擬戦 最多出場で道化師の仮面を被り、試合開始から10秒以内に終わっているという機竜使い・・・」

 

「そう・・・それが彼らよ」

 

「機竜使いの実力としてはこの学園でも相当の実力者であるあなたにも引けをとらないんじゃないかしら?」

 

「「がっ学園長っ!?」」

 

その言葉にリーシャは

 

「学園長やはり私は納得できない」

 

そう言うとリーシャは機攻殻剣を鞘から抜きルクス達の方に向け

 

「ルクス・アーカディア、レイ

私と装甲機竜で勝負だ‼」

 

「私に負ければお前達は犯罪者として牢獄行きだ。

勝てば無罪放免働いてよし」

 

「どうだ、お前達が本当に「最多無敗」と「刹那の道化師」というのならこんな有利な条件はあるまい?」

 

「そ・・・それはそうですが・・・」

 

リーシャは扉の方に歩いていき扉を開けた

扉の外には沢山の女子生徒がいた

 

「それでいいな、野次馬たち‼」

 

その光景にレイ達は唖然としていた

 

「学園の皆に伝えろ‼」

 

「新王国の姫が旧帝国の王子共を倒す見せ物が始まるとな!!!」

 

ルクス達は学園長の方をゆっくりと見た

 

「一応真面目な学校なのよ?」

 

((いやこれは絶対にあなたの影響ですよね?・・・))

 

「えらい事になっちゃったね。ルクス」

 

「うん、これからどうしようね・・・」

 

「兄さん‼レイさん‼」

 

「「んっ?」」

 

ルクス達は声が聞こえた方を向くと遠くから一人の少女がこちらに向かってきていた。




ここまで見てくださりありがとうございます。

次のepisodeではリーシャ様との対戦です。
オリジナル展開にしていきたいと思っています。
それではまた

次回「episode7 黒き獣」


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「episode7 黒き獣」

クステラです。
さぁいよいよリーシャ様との対戦ですね。
あの二人は一体どんな戦いを繰り広げるのでしようか?

それでは本編をどうぞ


 声が聞こえた方に顔をむけるとそこにはルクスの妹であるアイリ・アーカディアの姿があった。

 

「アイリ!!」

 

 ルクス達は笑顔でアイリに話しかけたが

 

「アイリ、来てくれたん・・・」

 

「久し振り、アイ・・・」

 

 アイリは二人の言葉を遮り

 

「兄さん、レイさん・・・」

 

「「どうしたの?」」

 

「・・・二人とも、最低です」

 

 そう言われた二人は下を見ながら

 

「「・・・・・・・・・・返す言葉もございません」」

 

 そうして二人は学園の廊下を歩きながら今回の経緯をアイリに全て話した。

 

「覗きに下着泥棒ですか・・・」

 

「二人とも、私の学園での立場ってのも考えて行動してください。」

 

「分かったよ、アイリ」

 

「分かりました・・・」

 

「アイリには迷惑をかけたね。ごめん」

 

「でも、アイリが元気そうで安心したよ」

 

「ね、レイ?」

 

「うん、元気そうでよかったよ。それにしてもアイリに会うのはクーデター以来だよね」

 

「そう・・・ですね」

 

「あっ・・・ごめん」

 

「いえ、気にしないで下さい」

 

「そんな事より今は兄さん達がリーズシャルテ様に勝てる作戦を立てないと」

 

「あの子はそんなに強いの?」

 

 アイリは足を止め

 

「はい。軍事力秘匿の為にこの学園にいる生徒は王国主催の公式模擬戦には参加できません。」

 

「代わりに校内戦というものが定期的に行われているのですが・・・」

 

「リーズシャルテ様は現在「無敗」」

 

「圧倒的な強さで勝ち続けています」

 

「そんなに人に勝てるのかなぁ?」

 

「相変わらず兄さんは謙虚ですね」

 

「でも大丈夫ですよ」

 

「え?」

 

 そう言うとアイリはレイの方を見て

 

「兄さんにはレイさんという心強い味方がいますから」

 

「えっ?僕?」

 

「そうだね。レイも僕と同じぐらい強いからね」

 

「ルクス程の実力は僕には無いよ・・・」

 

「相変わらずレイさんも謙虚ですね」

 

「でも、まだ誰にも負けていないというのなら兄さん達も同じでしょう?」

 

「リーズシャルテ様の対策は私の部屋で行いますので先に機竜格納庫まで案内します。模擬戦の前にきりゅうのチェックします。」

 

 三人は機竜のチェックを終えるとアイリの部屋に向かった。

 

「ただいま、戻りました。ノクト」

 

「yes. お帰りなさい。」

 

「ノクト、兄さん達が来ているのですがこの部屋に入れてもいいですか?」

 

「yes.私は構いませんが・・・」

 

「ありがとう。さぁ二人とも中に入ってください」

 

 二人は部屋に入った

 

「しつれいしま~す」

 

「しつれいし・・・」

 

 レイはノクトの方を見て叫んだ

 

「あぁー‼君は昨日僕を捕まえようとした‼」

 

ノクトと目が合いレイは咄嗟に目を反らした

 

「yes.そうゆうあなたは昨日私が捕まえようとした、隣にいる覗きで下着泥棒で痴漢した人のお仲間さんじゃありませんか」

 

 それにたいしてルクスが

 

「だからそれは誤解なんだってば‼」

 

 とツッコミをいれたが誰一人として反応しなかった

 

「まさかの全員が無視!?」

 

「まぁ兄さんは放っておいて、ノクト自己紹介をお願い」

 

「yes.一年のノクト・リーフレットと申します。

 レイさん、昨晩は失礼致しました」

 

 レイは相変わらず目を反らしながら会話をした。

 

「きっ気にしないで下さい。あれは仕方のないことでしたから」

 

「自己紹介は終わりましたね。それではリーズシャルテ様の対策会議を始めます。その前にノクト?」

 

「yes.何でしょうか?」

 

「人数分の紅茶を用意してくれますか?」

 

「yes.それでは私は紅茶の用意をしてきます」

 

 ノクトは紅茶の用意をする為に一旦、部屋を出た。

 

 三人は椅子に座り、対策会議を始めた。

 

「リーズシャルテ様が使う機竜は神装機竜《ティアマト》

 神装機竜だけが使える専用の特殊武装

 一つは超高火力の主砲七つの竜頭(セブンズヘッズ)これだけでも脅威ですが更に警戒してほしい武装があります。それは・・・」

 

「「それは?」」

 

空挺要塞(レギオン)という武装です」

 

「「空挺要塞(レギオン)?」」

 

「空挺要塞はそれ自体が破壊的な推進力を持つ遠隔投擲兵器です」

 

「それともうひとつあるのですが・・・」

 

 アイリがもうひとつの武装の事について言おうとしたとき部屋の扉が開きノクトが入ってきた。

 

「紅茶の用意が出来ました。それとクッキーも焼いてきたので皆さんでどうぞ」

 

「ありがとう、ノクト」

 

「ありがとうございます」

 

「僕は・・・遠慮しときます」

 

「なんで?美味しそうだよ?レイ」

 

「僕は後でいただくよ」

 

レイはノクトにバレないようにノクトの方を見て意識を集中した。

 

ノクトからは青色の煙が見えた。

 

(はぁ、よかった。安心してる)

 

 そうしてルクスとアイリはノクトが焼いてきたクッキーを食べながら紅茶を飲んだ。

 そうしてクッキーを食べ終えたルクスとアイリは再び、 レイを加え対策会議を始めた。

 

 そして・・・翌日

 

演習場にて・・・

 

「これより‼新王国第一王女リーズシャルテ対旧帝国第七皇子ルクス・アーカディアと旧帝国兵レイとの機竜対抗試合を執り行う!!」

 

大勢の学園関係者達に見られてルクス達は緊張していた。

 

観客席にいた学園の女生徒達は

 

「「キャー‼リーズシャルテ様頑張ってー!!」」

 

等と言っておりルクス達は完全にアウェイな感じだった。

 

その様子にルクス達は

 

「レイ、この状況は精神的に辛いね・・・」

 

「ルクス~僕は今すぐここから逃げたいよ・・・逃げていい?」

 

「ダメに決まってるじゃん!?」

 

「ですよね~」

 

そんな会話をしていると障壁が展開され向こうの入り口からリーズシャルテ様が歩いてきた。

 

「貴様ら、負ける準備はできているか?」

 

「僕達にも負けられない理由があるからこの試合は勝たせてもらいます」

 

「ふんっ・・・まぁいい。その言葉が現実になることはありえんがな」

 

「「何故です?」」

 

「何故って、私がこの試合に勝つ事はこの学園の皆が分かっている事だからな!!」

 

「そうですか。なら最初から全力でいかせてもらいます。いいよね、ルクス?」

 

「うん」

 

「ところで、何でこんなに人が集まっているんだろう?」

 

「皆、暇すぎない?」

 

すると突然リーズシャルテがルクス達に

 

「ルクス・アーカディア、レイ。何故、お前達に試合を挑んだかその理由が知りたくないか??」

 

リーズシャルテは不適に笑っていた。

 

リーズシャルテの問いにルクスは

 

「僕達が旧帝国の関係者だから?」

 

「さぁな、私に勝ったら教えてやろう」

 

ルクスは理由が気になるが今は目の前の相手に勝つ事を最優先に考えていた。

 

「えっと・・・その前に少しいい?」

 

「なんだ?」

 

「この試合がもし引き分けだったらこの試合は無かったことにしてくれない?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「おい、今なんと言った?」

 

「だからこの試合は無かったことに」

 

するとリーズシャルテが

 

「ふざけるな‼」

 

「「!!」」

 

リーズシャルテは機攻殻剣の柄に手をかけた。

 

「ルクス選手、レイ選手、接続の準備を!!」

 

レイは隊長に渡された道化師の仮面を被り、接続の準備をした。

 

するとリーズシャルテが教官に

 

「その前にもう一人この試合に出たいという者がいたので出してもいいか?」

 

リーズシャルテの問いに教官は

 

「あっあぁ別に構わないが」

 

「教官の許しも得た。参れ!!」

 

するとかリーズシャルテが入ってきた入り口から見覚えのある生徒がこちらに歩いてきた。

 

レイとルクスはその人物に驚いた

 

「なっ‼なんで、あなたがこの試合に出るんですか!?

ノクトさん!?」

 

その人物はノクトだった

 

「yes.それはレイさんと戦うためです」

 

「なっ何で僕!?」

 

「yes.それは昨日私がレイさんを捕まえられなかったからです」

 

「そっそんな理由で・・・」

 

「ですがもうひとつ理由があります」

 

「えっ?」

 

「もうひとつの理由としてレイさんの強さがどれ程のものなのかを知っておきたいと思ったからです」

 

「えぇ~」

 

「それではいきますよ。レイさん」

 

そう言うとノクトは機攻殻剣(ソードデバイス)の柄に手を掛け鞘から抜き詠唱苻(パスコード)を唱えた。

 

「――来たれ、根源に至る幻想の竜。幾重にも瞬いて姿をなせ《ドレイク》」

 

詠唱苻を唱え終えるとノクトは緑色の機竜を纏った。

 

「っ!やるしかないようだね。ルクス」

 

「そうだね。いこう、レイ!!」

 

そう言うと二人はそれぞれの機竜の詠唱苻を唱えた。

 

「――来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜。我が剣に従い飛翔せよ《ワイバーン》」

 

「――来たれ、不死なる象徴の竜。連鎖する大地の牙と化せ《ワイアーム》」

 

二人は機竜を纏った。

レイは通常のワイアームにルクスと同じく装甲を追加した。

ルクスもワイバーンに装甲を追加し防御よりになっている

 

機竜を纏った二人を見たリーズシャルテは

 

「ふっ、お前達は汎用機竜で私に挑もうというのか?」

 

「まぁいい、私の勝利は確実だからな‼行くぞ‼」

 

リーズシャルテは普通の機攻殻剣(ソードデバイス)

とは違うもう一本の機攻殻剣(ソードデバイス)を鞘から抜き詠唱苻(パスコード)を唱えた。

 

「――目覚めろ、開闢の祖。一個にて軍を為す神々の王竜よ。《ティアマト》‼」

 

接続・開始(コネクト・オン)‼」

 

「っ!あれは神装機竜‼」

 

「これが新王国の王族専用機 神装機竜《ティアマト》」

 

「そこらの機竜とは比べ物にならないほど強いぞ‼」

 

ルクス達は驚きのあまり言葉を失った。

 

しかし・・・ルクスは

 

「それでもこの対戦に負ける訳にはいかない‼」

 

演習上にいた四人が機竜を纏った事を確認すると教官が

 

「双方、戦闘開始!!」

 

レイはノクトと、ルクスはリーズシャルテと戦闘を開始した。

 

「行きますよ‼ノクトさん!」

 

「yes.どんな攻撃も受け止めて見せますよ。レイさん」

 

レイはノクトに特効を仕掛けた。

すぐにノクトを倒しルクスの加勢しに行こうと考えていた。

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

レイは掛け声と共に剣を振り上げ、ノクトに攻撃をした。

 

しかし・・・

 

その攻撃は防がれ鍔迫り合いとなった

 

「なっなんで!?」

 

「yes.レイさん、あなたの実力はその程度ですか?」

 

「私は王立士官学園(アカデミー)では三和音(トライアド)ですので他の生徒に比べ実力はそれなりにある方です」

 

三和音(トライアド)?」

 

「yes.学園の自警係です」

 

「それにしても強すぎません!?」

 

「No.どうやら、私とレイさんの実力は同じぐらいだと思います」

 

「そんなっ‼こっちはパワーでは勝っているワイアームなのに‼」

 

「それでは今度はこちらから行かせてもらいます。レイさん」

 

そう言うとノクトはレイを押し退け後方に下がり、ノクトは《ドレイク》の能力の一つ、迷彩を使い姿を消そうとした時、上空から「ギィアァァァァ!」という不可解な叫び声が聞こえ二人は上空を見上げた・・・

 

 

 

 

 

 

(ルクス視点)

 

ルクスはティアマトの特殊武装《空挺要塞(レギオン)》を全てかわし弾いていた。

 

「っ!空挺要塞(レギオン)全発射!!」

 

しかしルクスはそれを全て弾き返し一気にリーズシャルテとの距離を詰めた

 

(このままでは私が負ける?学園で無敗の私が?)

 

(こんな奴に負けてたまるか!!)

 

「舐めるなぁぁぁぁぁ!!」

 

突然、空中にいたルクスは地上に落下した。

 

「なっなにが起こったんだ!?」

 

「驚いたか‼「無敗の最弱」‼」

 

「これが私の纏う《ティアマト》の神装《天声(スプレッシャー)》だっ‼」

 

「がっ!」

 

ルクスは天声(スプレッシャー)の影響で地面に倒れた。

 

「このままじゃ・・・やられる‼」

 

「リーズシャルテはチャージし終わった七つの竜頭(セブンズヘッズ)をルクスの方に向けた。

 

「終わりだ!没落王子‼」

 

しかし天声(スプレッシャー)は突然解除された

 

(天声(スプレッシャー)が解除された?なんで?)

 

(・・・・・・!もしかして!!!)

 

ルクスはリーズシャルテの方を見た。

 

(やっぱり‼)

 

リーズシャルテは暴走前兆に陥っていた。

 

ルクスは咄嗟に

 

「危険です‼今すぐ機竜を解除してください‼」

 

「私がお前ごときに負ける訳にはいかないっ‼」

 

リーズシャルテは七つの竜頭(セブンズヘッズ)に全エネルギーを集中しルクスに向けて発射しようとした。

 

「これで終わりだ!」

 

しかしその攻撃は発射されることはなかった。

それは叫び声と共に現れた幻神獣によって妨げられた。

しかも幻神獣は二体いた・・・

 




ここまで読んで下さりありがとうございます。
そして、前回より間が空き申し訳ございません。

さぁ、二体同時に現れた幻神獣に対してあの四人はどうするのでしょうか?

それではまた次回

次回「episode8 幻神獣との戦闘」


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「episode8 幻神獣(アビス)との戦闘」

最近、小説を書くのが楽しくなり他の好きなことをしていない事に気がついたクステラです。
皆さんは何か好きなことはありますか?
自分が好きなことをしていると時間が早く過ぎていきますよね

前置きはさておき幻神獣との戦闘回です。

それでは本編をどうぞ


それはルクス達のいる演習場の上空にいた・・・

 

黒い翼に鋭い爪、そう幻神獣(アビス) 識別名、ガーゴイルがそこにいた

ガーゴイルはこちらをじっと見ていたが・・・

 

「ギィアァァァァ!」

 

という雄叫びをし演習場にいた学園の生徒はパニックに陥っていて至るところから悲鳴が聞こえていた。

 

その光景に教官は

 

(何故幻神獣(アビス)がここにいる!?早くこの場にいる生徒を避難させなければ!!)

 

「落ち着け!!出口は向こうだ!早くこの場から避難するんだ!」

 

(一体何が起ころうとしているんだ?)

 

一方ルクス達は演習場の入り口に集まって作戦を立てていた。

 

「何てことだ・・・この学園に幻神獣(アビス)が出現するなんて・・・」

 

「yes.どうなさいますか?リーズシャルテ様?」

 

「どうすると言っても幻神獣(アビス)を倒すしかあるまい!」

 

「yes.ですが私達は先の戦闘で疲弊しています」

 

「ここは僕が二体まとめてガーゴイルの相手を・・・」

 

「お前は何を言っているのか分かっているのか!?相手は遺跡(ルイン)より機竜と共に発見された幻獣だ‼異形の力を備えた化け物なのだぞ!?」

 

「それこそお前の半壊した機竜でまともに戦えると思っているのか!?」

 

しかしルクスは笑顔でリーズシャルテに

 

「ご心配してくださりありがとうございます。リーズシャルテ様」

 

「僕もただで済まされないのは重々承知しております」

 

「それなら何故!?」

 

「僕はリーズシャルテ様を(含めこの学園にいる人全員)

を守りたいんです」

 

リーズシャルテはその言葉に

 

「なっ‼何を言っているんだ、お前は‼」

 

と頬を赤く染めていた

 

ルクスはリーズシャルテの反応を見てレイに

 

「何かまずい事でも言ったのかな、僕?」

 

その問いにレイは

 

「自覚が無いということはこんなにも恐ろしいんだな」

 

と答えた。

 

流石のルクスもレイのこの答えに頭を傾げた。

 

そんなルクスはさておきレイは思い付いた作戦を皆に伝えた。

 

「あの~皆さん、僕にいい作戦があるんだけど・・・」

 

リーズシャルテはレイに聞いた。

 

「いい作戦とはなんだ?」

 

レイは他の三人に作戦の内容を説明しその考えにルクス達は

 

「確かにその作戦ならあの幻神獣(アビス)を倒せそうだね」

 

「よし、ではその作戦で行くぞ‼」

 

そうしてルクスはリーズシャルテと、レイはノクトと一緒に二体のガーゴイルとの戦闘を開始した。

レイが先攻して片方のガーゴイルに向かっていき、ノクトから借りた剣と自分が持っていた剣を使いガーゴイルに攻撃を仕掛けようとしていた。

しかしガーゴイルはレイがこっちに向かっている事を確認するとレイに向かって光弾を放ち攻撃した。

 

向かってくる光弾をレイは剣を使い全弾弾き返したが。

 

「No.レイさん、それでは弾き返した光弾が観客席に・・・」

 

ノクトの言うとおり弾き返した光弾の何発かは観客席に当たった。

 

(っ!これじゃあ僕のせいで被害が大きくなるだけだ‼一体どうしたら・・・)

 

レイが対策を考えていると観客席の方から竜声を使い誰かが話しかけてきた。

レイが観客席の方を見るとそこにはアイリと機竜を纏った二人の生徒がいた

 

「こちら、三和音(トライアド)のシャリスだ‼レイくん、大丈夫か!?」

 

「どうして僕の名前を?」

 

「そんな事はあとで話す‼観客席は私達に任せて君は幻神獣(アビス)を倒す事だけに専念したまえ!」

 

「私達?」

 

レイは機竜を纏っている生徒の方を再び見た。

レイに向かって手を振っている生徒がいた為、すぐにもう一人の三和音(トライアド)の人だと分かった。

 

レイはシャリスにたいして

 

「ありがとうございます‼それでは観客席の方はお願いします‼」

 

「あぁ!任せてくれ‼」

 

アイリは横にいた三和音(トライアド)の二人に話しかけた。

 

「やれやれ、やはり学園の皆さんはまだ候補生らしく急な騒動には対処できないみたいですね」

 

「仕方ないよ~幻神獣(アビス)と汎用機竜での戦闘の場合は最低でも上級階層(ハイクラス)機竜使い(ドラグナイト)が三人は必要なんだよ~」

 

「しかも今回は警報も鳴らなかったしな」

 

「なんで鳴らなかったんだろうね~」

 

「その事は後で調べるとして今はこっちの問題をなんとかしましょう」

 

(兄さん・・・レイさん・・・無理はしないでくださいね)

 

レイは再びガーゴイルに向かっていき戦闘を開始し、その間にノクトはレイの作戦に従いレイとガーゴイルが見える位置に移動していた。

 

「うおぉぉおぉぉぉ!」

 

レイは二本の剣を使いガーゴイルに攻撃したが大したダメージでは無いことは攻撃している本人も分かっていた。

レイは時間稼ぎをするために攻撃をしていたのだ。

 

(もう少しでリーズシャルテ様の七つの竜頭(セブンズヘッズ)のチャージが終わる‼だからそれまでは相手の意識を僕に向けておかないと‼)

 

するとリーズシャルテから竜声で

 

七つの竜頭(セブンズヘッズ)のチャージが終わったぞ!いつでも行けるぞ!」

 

「分かりました‼ノクトさん、お願いします‼」

 

レイの言葉にノクトは頷き、

 

「yes.作戦通りにいきます」

 

レイとガーゴイルが見える位置に移動していたノクトは両腕に持っていた銃を構え、

弾が無くなる程の勢いでガーゴイルに向かって撃ち始め、ガーゴイルは空中でその攻撃を防いでいる為、

身動きを封じられた。

ルクスは幻神獣(アビス)の放った光弾を全て剣で受け止めた。

 

「はぁ・・はぁ・・・なんとか光弾は防ぎきれたけど・・・」

 

その光景を見ていたリーズシャルテは七つの竜頭(セブンズヘッズ)を撃つ為にエネルギーをチャージしながら

 

(「無敗の最弱」よ・・・確かにお前は強いが何故そこまでして戦うんだ?私にはそれが分からんよ・・・)

 

その頃アイリはルクスの戦闘の様子を見ていた。

 

(必要最低限の回避・・・真下の観客席(わたしたち)にガーゴイルを向けさせない為・・・ですか?」

 

(でもそろそろ兄さんは相手の手の内は読めた頃でしょう)

 

ガーゴイルは勢いを付けてルクスの方に攻撃を仕掛けてきた

 

(来た‼)

 

ルクスは剣を構えたがなんとガーゴイルはルクス横を通りすぎ観客席の方に向かい攻撃をしようとしていた

 

(なっ‼向こうにはまだ避難できていない生徒が‼)

 

ルクスはその攻撃をさせないため急ぎ、

ガーゴイルの方に向かいガーゴイルに攻撃しようと剣を大きく振りかぶるがガーゴイルは分かっていたかのようにルクスの攻撃を避け、

ルクスに攻撃をしルクスの纏う《ワイバーン》の機能は停止しルクスは落下していった

だが地上でその時を待っていたリーズシャルテは

 

(今だ!今ならあいつが立てた作戦のおかげで二体(・・)まとめて倒せる‼)

 

「これで終わりだぁぁぁぁぁ‼」

 

リーズシャルテは隙を晒したガーゴイルにチャージし終えた七つの竜頭(セブンズヘッズ)をガーゴイルに向けて放った。

そしてノクトの攻撃を防いでいたガーゴイルも横から来た七つの竜頭(セブンズヘッズ)に当たり

 

「ギィアァァァァァァァァァァアァ・・・」

 

断末魔と共に爆散し跡形もなく学園内から消えた。

空中落下しているルクスをレイは受け止め

 

「ルクス、大丈夫!?」

 

「うっ・・・あぁ僕は大丈夫だよ。少しかすりはしたけど」

 

そうしてこの騒動は幕を閉じた

 

その後、ルクス達はリーズシャルテ達との戦闘とガーゴイルとの連戦のせいかその場で二人は背中合わせに寝てしまった

 

その光景にリーズシャルテとノクトは

 

「ふっ、流石の二人も疲れて寝てしまったか」

 

「yes.私はお二方を医務室まで運びます」

 

「あぁ。頼んだぞ」

 

ノクトは再び機竜を纏い二人を医務室まで運んだ

 

(ルクス・アーカディアにレイ・・・か。男など私達の敵だと思っていたがこんな奴等もいるのだな・・・)

 

二人を最後まで見届けたリーズシャルテは大声で

 

「聞け‼この場にいる皆の者よ‼新王国の王女である私から重大な話がある‼」

 

と言って演習場にいた生徒に自分の考えを話した・・・

 




「episode8 幻神獣との戦闘」を見ていただきありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
自分なりのアレンジを加えてみましたが楽しんで見ていただけたのならありがたいです。
皆様にお知らせがあります。
実は別の小説投稿サイトにも小説を書く予定です。
平日は交互に書くのでもしかしたら遅くなるかもしれませんがご了承下さい。

それではまた

次回「episode9 過去の因縁」



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「episode9 過去の因縁」

クステラです。
今回は戦闘シーンはありません。
ご了承下さい。

それでは本編をどうぞ


二体のガーゴイルを倒したその日の夜、

レイとルクスは医務室のベッドで寝ていた。

しかしレイだけはベッドの上で(うな)されていた。

 

(ここは・・・・・あの時の)

 

レイの目の前には修道院が建っていた。

この修道院でレイはフィルフィに「殺して」と言われ殺した。

 

(なんで今さら、こんな場所を思い出して・・・)

 

レイは夢だとと分かっていたが、修道院の中に入ろうと歩き出した。

しかし入り口直前でいきなり辺り一面が暗くなりレイはそこで目が覚めてしまった。

目が覚めてしまったレイは隣のベッドで寝ているルクスを見ながら

 

(ルクスにだけにはあんな辛い思いはさせはしない。

辛い思いをするのは僕だけで十分だ)

 

そうしてレイは再び横になり眠りについた。

夜が明けて、

ルクスはベッドの上で目が覚めて隣を見た。

隣ではレイが寝ていたのでルクスはレイを起こすためにレイの肩に手をかけた。

が、まだ寝ていたレイはルクスの腕を掴み自分の方に引っ張った。

ルクスは寝ているレイに対して覆い被さるような形でベッドに乗ってしまい、ルクスは焦った。

 

(はっ早く退かないと・・・‼)

しかし、寝てるレイは何か違和感を感じ目を開けた。

目の前にはルクスの顔があり二人は目が合った。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

「なにしてんの?ルクス?」

 

「レイが引っ張ったからこうなったんでしょ!?」

 

「まっまぁ、いいから早く降りてよ。この状況を誰かに見られでもしたら・・・・」

 

「う・・・うん」

 

そう言われたルクスはベッドから降りようとしたが、遅かった

医務室の扉がいきなり開きそこには二人の様子を見に来たリーズシャルテとノクトが立っていた。

 

「おぉ~い、二人とも起きてた・・・」

 

「リ・・・リーズシャルテ様!?」

 

「ノ・・・ノクトさん!?」

 

リーズシャルテとノクトはルクス達の光景に頬を赤く染め、

 

「じゃ、邪魔したな・・・」

 

「yes、お、お邪魔しました・・・」

 

と言い残し逃げるように扉を閉めた。

二人は揃って、

 

「ごっ誤解ですぅぅぅぅぅうぅぅぅぅ‼」

 

と大声で叫んだ。

 

(その後、一部の女生徒の間で二人の関係が色々と噂されたのは言うまでもない)

 

そしてリーズシャルテとノクトは再び医務室に戻ってきて、二人に謝った。

 

「さ、さっきはノックもせずに入ってきて悪かったな」

 

「yes、今度からは・・・気を付けます」

 

「いえ、気にしないで下さい。あれはただの事故ですから」

 

「それはそうと昨日の戦闘での傷はもう大丈夫なの

か?ルクス、レイ?」

 

「まだ少し痛みますが大丈夫です」

 

レイはリーシャに目線を目を逸らしながら、

 

「はっはい!傷の方はだだだっ大分良くなりました・・・はい」

 

「レイ、お前は何故、私の目を見て話さないんだ?」

 

「ちょっと・・・女性は苦手なんです・・・」

 

「そうか、ならばしかたがあるまい」

 

三人の会話が終わると、ルクスはノクトの方を向き、

 

「ところでノクトさんはどうして、リーズシャルテ様と一緒にここに来てくれたの?」

 

「no、ノクトでけっこうです。私はアイリからルクスさんとレイさんの様子を見てきてほしいと言われたので来たのです」

 

「そうなんだ。じゃあ、アイリに伝えておいてもらえるかな?「僕たちは大丈夫だから、心配しないで」って」

 

「分かりました。レイさんはアイリに伝言はありますか?」

 

急に名前を呼ばれたレイは、

 

「ひゃい!?でっ伝言はとっ特に無いかなぁ)

 

「yes、分かりました。それじゃあ私はこの辺で失礼します」

 

ノクトは医務室にから出る直前にルクス達の方を向き、

 

「早く元気になってくださいね。ルクスさん、レイさん。アイリが少し寂しそうにしてましたので」

 

そう言い、医務室を出た。

 

ノクトが出ていった瞬間、リーズシャルテは、

 

「コホン」

 

と、わざとらしく咳をした。

 

「とっところでお前たちには話しておかないとな」

 

リーズシャルテの言葉に二人は首を傾げて、

 

「「何をですか?」」

 

「もう忘れたのか!?お前達に勝負を仕掛けた理由だ」

 

ルクスとレイは互いの顔を暫く見て思い出したかのように、

 

「「あぁ~すっかり忘れてました」」

 

帰って来た答えにリーズシャルテは、

 

「なんで・・・お前達は揃いも揃って大事な事を忘れるんだぁぁあぁぁぁ‼」

 

「すっすみませぇぇぇぇぇえぇぇん‼」

 

一旦落ち着いたリーズシャルテは椅子に座り、

 

「はぁ・・・まぁいい浴場でアレを見られたからにはそのまま逃がす訳にはいかなかったんだ」

 

「アレ・・・?」

 

ルクスは浴場での事を思い出し、

 

「・・・・・‼」

 

リーズシャルテはルクスの顔を見て、

 

「おい、ルクス?どうかしたか?」

 

「いっいえ!なんでもないです!?」

 

「そうか、よしお前達は後ろを向け」

 

ルクス達は首をかしげ、

 

「「何でですか?」」

 

「いいからっ!後ろを向かんかぁぁぁ‼」

 

「「はっはい!」」

 

ルクス達はリーズシャルテの言うとおりに後ろを向いた。

リーズシャルテの方からパサッという音が聞こえ、

 

(これってもしかして・・・)

 

 

「よっよし!お前達、前を向いてもいい・・・ぞ」

 

ルクス達はリーズシャルテの方に顔を向けた。

そこにはスカートをおろし、少しだけ下着をずり下げていた。

 

ルクスはリーズシャルテの顔を見た。

その顔は羞恥で頬が赤く染まっていた。

 

「こっ・・・これがお前達に勝負を挑んだ本当の理由だ」

 

「なっ何をしているんですか!?リーズシャルテ様」

 

「・・・・・・・・・」

 

レイはその光景に慌てて目を隠し、

ルクスはじっとリーズシャルテの体を見ていた。

いつまでも体を見ていたルクスに対してリーズシャルテは、

 

「なっ何を黙っているっ!?何とか言ったらどうだ!?」

 

「あっあの、その~」

 

「僕は何も見ていませんから大丈夫です‼」

 

ルクスは咄嗟に思い付いた言葉を口に出した。

 

「とてもよく似合ってますよ、その・・・下着」

 

「なっ!何を言っているんだお前は!?私が見てほしいのは下着の上の方だ!」

 

「「下着の上?」」

 

そう言われルクスとレイはリーズシャルテの下腹部に目をやった。

そこにはルクス達にとって見覚えのある紋章があった。

 

「ねぇ、ルクス、この紋章ってまさか」

 

「うん間違いない。旧帝国の紋章だ。なんでリーズシャルテ様に?」

 

リーズシャルテはスカートを引き上げ、

 

「やっと気が付いたか、その言動からしてまだ誰にも話してはいないな?二人とも?」

 

ルクス達はうなずき、

 

「頼む‼この紋章の事は誰にも言わないでくれ‼」

 

と言いリーズシャルテは二人に頭を下げ、ルクス達は事の重大さを感じた。

 

(リーズシャルテ様の身体に、旧帝国の紋章がある。

確かにこの事が公になればあらぬ疑いをかけられる可能性もある)

 

ルクス達はリーズシャルテに、

 

「頭をあげてください、リーズシャルテ様。この事は誰にも言いませんから」

 

「僕も・・・ルクスと同じです。この事は誰にも言いません」

 

「本当か!?」

 

「はい。僕たちの機攻殻剣(ソードデバイス)に誓って誰にも言いません」

 

レイもルクスの横で頷いていた。

 

「ありがとう!二人とも‼」

 

「よし、この件はこれで一件落着だ。とっいうわけで

お前達には明日から、この学園に士官候補生として通ってもらうぞ!」

 

「「分かりまし・・・・・・・・えっ?」」

 

 

当初の予定ではルクス達は整備士見習いとしてこの学園に来る予定だったが、

いつの間にか士官候補生として学園に通う事になっていたのだ。

ルクス達はリーズシャルテの方を見て、

 

「なんで僕達がこの学園に通う事になるんですか!?

整備士の件はどうなるんですか!?」

 

ルクスの問いにリーズシャルテは笑顔で答えた。

 

「あぁ、あの件は解約させてもらったよ」

 

「えぇぇええぇぇぇ!?」

 

ルクスは驚いていたがレイはルクスの肩に手をかけ。

 

「まぁ、仕方ないよルクス。これから学園にお世話になろうよ」

 

「本気で言ってるの、レイ!?僕達は男なんだ――!?」

 

ルクスはレイの顔を見たがレイは今にも泣きそうな顔になっていた。

 

 

「僕だって女性は苦手だからこの学園には通いたくないよ‼でも―――」

 

「でも?」

 

「ここでなら・・・僕はもっと機竜使い(ドラグナイト)として強くなれそうな気がするんだ。

―――あの時のような辛い思いは二度としたくはないから」

 

「レイ・・・」

 

唐突にリーズシャルテが二人の会話に加わり、

 

「あの時?」

 

「あっ・・・リーズシャルテ様はお気になさらないで下さい。こちらの話ですので・・・」

 

「・・・分かった。そっそれとこれから学園に通うなら私の事は級友らしく「リーシャ」と呼んでくれ」

 

ルクスは改めてリーシャに挨拶をした。

 

「では、改めてこれから宜しくお願いします。リーシャ様」

 

「宜しく頼むぞ!ルクス‼」

 

そしてレイは相変わらずリーシャと目を合わせないまま、

 

「こっこれから宜しくお願い致します。リーズ・・・シャルテ様・・・」

 

レイの挨拶に対してリーシャは頬を膨らませレイに近ずいて

 

「むぅ~、リーズシャルテではなくリーシャだっ!リーシャ!分かったな!レイ!」

 

「はっはいぃぃぃぃ!」

 

「よし!ではこれから宜しくな!二人とも‼」

 

そうしてルクスとレイは女性しかいないこの王立士官学園(アカデミー)に通う事になった。




ここまで見ていただきありがとうございます。
次の話からはルクスとレイの学園生活が始まります。


それではまた

次回「episode10 運命の再会」


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「episode10 運命の再会」

クステラです。
今回はの話は短いです。
申し訳ございません

それでは本編をどうぞ

(ルクス達が戦闘をする回はもう少し先になりそうです本当に申し訳ございません)


突然、王立士官学園(アカデミー)に通う事になった二人は翌日・・・

医務室で学園の方で用意されていた服に着替え学園長室に行きレリィと話をして、二人を迎えに来ていた担当教官に教室を案内され学園の二階、二年生の教官に教官と一緒に入り中にいた生徒達に教官が二人の事につい説明をした

 

「――――という訳で彼らは今日からこの学園に通う事になったルクス・アーカディアとレイだ。慣れない事もあるだろうが皆仲良くしてくれ」

 

「それと私の名はライグリィ・バルハートだ。これから宜しくな二人とも」

 

「「はっはい・・・」」

 

ライグリィ教官の自己紹介が終わったのと同時に教室の中で静かに座っていた生徒は隣の生徒とひそひそ話をしていた。その間にルクスは内心

 

(この学園で僕とレイ以外は全員女性、彼女達にとって僕達は未だに警戒される対象なんだよなぁ、・・・なんでレリィさんも「将来は共学を検討しているからこの学園に通ってくれるわよね?ルクスくん?レイくん?(ニコッ)」なんて言うのかなあ・・・

流石に自由すぎますよ・・・レリィさん)

 

内心で愚痴を言い終えるとルクスはゆっくり深呼吸をして

 

「えっと・・・ルクス・アーカディアです。皆さんこれから宜しくお願いします」

 

とぎこちなくルクスは挨拶をしレイはというと緊張しておりずっと下を向いていた。

その様子を見てライグリィ教官はレイの代わりに紹介をした

 

「彼は名はレイ。レイは女性付が少し苦手らしいが皆仲良くしてやってくれ」

 

自分の代わりにライグリィ教官に紹介をしてもらったレイは誰にも気付かれないように上目で全員の感情を見た

大半は黄色の煙が見えたが黄色の煙の中に青い煙が二つ見えた

 

(はぁぁ、僕もルクスみたいにちゃんと挨拶ができればなぁ、それにしても青い煙が二つ?一つはリーシャ様だとしてもう一人は誰からだ?)

 

その時、教室の後ろの方からレイにとっては不可解な、ルクスにとってはとても懐かしい人の声がした。

 

「あっルーちゃんにレーちゃんだ」

 

「「えっ?」」

 

その声に反応してルクスとレイは声のした方に顔を向けた。そこには五年前リエス島で死んだ筈のフィルフィ・アイングラムが座っていた。

ルクスはフィルフィに近づこうとしたがレイがいきなり大声で

 

「なんで!?」

 

と言い放ちルクスは足を止めてレイの方を見た

レイは頭を抱えて、五年前のあの悲惨な出来事を思い出していた。

 

「なんで・・・なんでここにフィーちゃんがいるの!?」

 

「レイ!?どうしたの!?少し落ち着いて!」

 

ルクスはレイに近づき落ち着かせようとしたがレイは自分の手を見ながら

 

「嘘だ!こんな所にフィーちゃんがいる筈が無い!確かにあの時・・・僕はこの手でフィーちゃんを・・・フィーちゃんを!うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!」

 

レイは勢いよく教室の扉を開け逃げるように廊下を走った。

認めなく無い現実から逃れるように・・・




ここまで見ていただきますありがとうございます。
ルクスも五年前、レイと一緒にリエス島に行きレイからフィルフィは死んだと思われたがなんで落ち着いていたのでしょうか?
それは次のepisodeで判明します。

それではまた

「episode11 これからも三人で」


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「episode11 これからも三人で」

クステラです。
最弱の最新刊を買って少しずつ読んでいます。
(まぁ1時間もあれば読み終わりますがねw)

それでは本編をどうぞ


レイはただひたすら教室から逃げるように走っていた・・・

五年前に死んだはずのフィルフィが何事も無かったかのように生きていてレイにはその事が受け入れられずに教室から走り立ち去った・・・

その後レイは考え事をしていた。

 

(なんで・・・なんでフィーちゃんが生きているんだ!?だってフィーちゃんはあの時確かに死んだはずなのに!)

 

レイは走りながら何故フィルフィが生きているのかを考え、そしてレイは曲がり角を曲がった直後、廊下に立っていた生徒に勢いよくぶつかりお互いに転倒した

 

「いってて・・・あっ!ごめんなさッ!?」

 

レイはぶつかった相手を見て驚いた

そこにはレイとぶつかりしりもちをついていたノクトがいた

 

「ノっノクトさん!?」

 

「yes.レイさん廊下は走らないで下さい」

 

二人は立ち上がり、レイは目を逸らしながら申し訳なさそうにノクトに謝った。

 

「すみません・・・ノクトさん」

 

「yes.私は大丈夫です。ですが・・・何故廊下を走っていたのですか?」

 

レイはノクトの問いに暫く黙り込んで今までの事を話した。

 

「――――という訳・・・なんです」

 

「yes.つまりレイさんの話をまとめるとフィルフィさんは五年前に死んだはずなのに生きていたという事ですね?」

 

レイはノクトの問いに頷きどうしたらいいかを聞こうとした瞬間レイの後ろにあったドアが開きそこから一人の少女が出てきた。

 

「あっ・・・レイさん?こんなところでどうかしたんですか?」

 

ドアから出てきたのはアイリだった

 

「ねぇ・・・アイリ」

 

「何でしょうか?」

 

レイはアイリにフィルフィの事について話を聞いた

 

「アイリはフィーちゃんが生きていた事は知っていたの?」

 

「・・・はい、知っていました。」

 

レイの問いにアイリはすぐに返答した

 

「それじゃあなんで僕に教え――!」

 

「その事について学園長から「レイくんはフィルフィに必ず会うと思うの。もしフィルフィの事について聞かれたら学園長室に一人で来てちょうだい」と仰せつかったのでレイさん、今すぐ学園長室に行って下さい」

 

アイリは学園長の伝言をレイに伝え終えた

学園長からの伝言を聞いたレイは

 

「・・・分かったよ。それじゃあ僕は学園長に行くよ、アイリ」

 

レイは学園長室に向かおうとしてなにかを思い出したかのようにアイリに

 

「あっそうだ、アイリ・・・、もしルクス達が来ても僕が学園長室に向かった事は言わないでくれる?」

 

アイリは首をかしげた

 

「何故ですか?」

 

レイはアイリから目を逸らし

 

「・・・今は、ルクス達に会いたくないんだ・・・・」

 

レイの表情からなにかを察したアイリは

 

「分かりました、兄さん達が来たら適当に誤魔化しておきます」

 

「ありがとう・・・、アイリ」

 

そうしてレイは学園長室に向かった

レイの姿が見えなくなった後、アイリはノクトにある場所に行くように頼み事をした。

アイリの部屋から学園長室に向かったレイは学園長室の扉の前で立っていた。

 

(これから学園長から話されるのは五年前のあの出来事から後の筈・・・・・僕はもう逃げたりなんかしない‼)

 

レイは学園長室のドアをノックした

部屋の中から女性の声がした

 

「どうぞ、入って」

 

「失礼します」

 

レイはドアを開けお辞儀をして中に入り

 

「アイリから伝言を聞いて参りました」

 

「そんなしゃべり方はやめてもっと楽にしてもいいのよ?レイ君?」

 

「・・・分かりました、レリィさん」

 

レイの目線の先には一人の女性が椅子に座っていた

この王立士官学園(アカデミー)の学園長でありレイ達の知り合いでもある「レリィ・アイングラム」が座っていた

 

「来たわね、レイくん。それじゃあ話しましょうか・・・あの後の事を」

 

いままで笑顔でいたレリィは急に真面目な顔になり話を始めた

 

「・・・私はあの後、すぐにリエス島に行きフィルフィの遺体を見つけたわ」

 

「・・・・・」

 

レリィはレイの顔を見ながら話を続けた

 

「でも・・・私がフィルフィの遺体に触れたのと同時に不思議な光と模様とともに蘇ったの」

 

「えっ?」

 

「蘇ったフィルフィから色々と聞いたわ、レイ君が頼まれてフィルフィに切りつけた事も」

 

「・・・・・・」

 

レイはその話をされた途端、拳を強く握り歯を食い縛った

 

「でもね、私はレイ君をどうこうする気は無いわよ」

 

レイはレリィの言う事に驚き大声で

 

「っ!何故ですかっ!?僕はフィーちゃんを殺したんですよ!?」

 

「フィルフィに言われたのよ「レーちゃんは私の事を最後まで助けてようとしてくれたの・・・、でも自分が一番分かっていたの、もう私は助からないからレーちゃんにはとても辛い思いをさせる事も分かっていたの・・・だからお願い・・・レーちゃんを責めないであげて」ってね」

 

「フィーちゃん・・・!!」

 

「だからこれからも――」

 

レリィが最後まで言おうとした途端、ドアをノックする音が聞こえレイはドアの方に顔を向けた

 

「失礼します」

 

そう言って入ってきたのはルクスとフィルフィだった

二人を見たレイは

 

「なんで二人がここに!?」

 

「なんかノクトさんが僕らの教室来て「今すぐ学園長室に行って下さい」て言われたから来たんだけど・・・」

 

レリィは笑顔で

 

「あら、ちょうどいい所に来たわね、二人とも」

 

レイは少し焦った様子でレリィに

 

「レリィさん、これで僕は失礼します」

 

そう言うとレイはドアの方に向かい部屋から出ようとしたがフィルフィとすれ違ったときにフィルフィに腕を掴まれた

 

「ちょ・・・離して!!フィーちゃん!!」

 

「・・・・やだ」

 

レイはフィルフィから離れようとしたが腕をしっかり掴まれていたので振りほどくのを諦めたその瞬間、フィルフィは自分の胸にレイの手を押し当てた

フィルフィの驚くべき行動にレイとルクスは驚きそれたを見ていたレリィはニヤニヤし始めた。

 

「あら、大胆ねぇ、フィルフィ」

 

「なっなななななな、何をしてるの!?フィーちゃん!?」

 

「・・・レーちゃん、私は今生きてるよ?いつまでも過去に囚われていちゃダメだよ」

 

「分かった!!分かったから!!手を離してお願いだから!!」

 

フィルフィはレイの腕を離しレイはフィルフィと少し距離をとった

 

「本当に・・・フィーちゃんなの?」

 

「・・・うん、私は私だよ、レーちゃん」

 

フィルフィがそう言うとレイは急に泣き出しフィルフィに抱きついた。

 

「ごめんよ!フィーちゃん!!あの時はフィーちゃんを助けられなくて!!でも今度こそなにがあってもフィーちゃんを守るから!!」

 

「・・・うん、分かった、レーちゃん」

 

するとルクスが

 

「僕の存在忘れられてない!?」

 

フィルフィと今まで泣いていたレイが涙を拭い同時に

 

「忘れてなんか無いよ、レーちゃん」

「忘れてなんか無いよ、ルクス」

 

「はぁ~、良かった、てっきり僕が忘れられてるかと思ったよ」

 

「忘れるわけないよ、だってルクスもフィーちゃんも大切な友達だから」

 

「―――・・・ルーちゃん、レーちゃん」

 

「「ん?どうしたの、フィーちゃん?」」

 

「―――・・・これからも三人で遊んだりしようね」

 

「うん!」

 

そうしてレイ達の学園生活が始まった・・・




最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回からはレイ達の学園生活が始まります。

それではまた次回

「episode12 学園での生活」


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「episode12 学園での生活」

クステラです。
諸事情により書く時間が無く間が空いてしまい大変申し訳ございませんでした。
今回からルクスとレイの学園での生活が始まります。
二人はどうなるんですかね~w

それでは本編をどうぞ


レイがフィルフィと再会したその日の午後・・・

ルクス達は教室に戻りライグリィ教官に今に至る経緯を話した。

ルクス達から話を聞き終えたライグリィ教官は二人に

 

「・・・事情は分かった。それじゃあ、お前達の席はその子の両隣の席が空いているからそこに座ってくれ」

 

ルクス達はフィルフィの方を見て両隣の席が空いている事を確認するとルクスは右の席に、レイは左の席にお互いに座り、レイはフィルフィに挨拶をした

 

「フィーちゃん、改めてよろしくね」

 

声をかけられたフィルフィはレイの方を見て優しく微笑み

 

「うん、よろしくね、レーちゃん」

 

その瞬間、教室中から笑い声が漏れ始めた。

 

「かわいいー」

「フィーちゃんだってさ」

「へぇ~、あの二人はそういう関係だったんだ~」

「という事は・・・」

 

ルクスは、周りに座っていた女生徒から自分に向けて視線が集中していること事に気付機体の、恥ずかしさのあまり下を向きながらフィルフィに

 

「ちょっと!!フィルフィさん!?」

 

とフィルフィに言うが当の本人は

 

「・・・・・・・・」

 

レイの方を向きプイッとそっぽを向いた。

 

「・・・えっ?」

 

ルクスはその反応に困惑し、暫く考えたすえにあることを思い出した

 

(そっそうだった・・・!フィーちゃんは気に入った人には、愛称で呼びたがるんだった・・!)

 

その事を思い出した瞬間、窓の方を向いていたフィルフィはルクスの方を見て

 

「・・・フィーちゃん、でしょ?」

 

フィルフィはそっぽを向いたままポツリと言い、レイはルクスに小声で

 

「ねぇルクス、もうフィーちゃんって呼んだ方がいいんじゃない?別に恥ずかしがる事なんて無いよ?」

 

レイに言われてルクスはため息をつき

 

「はぁ~・・・分かったよ・・・これからよろしくね、フィーちゃん」

 

その言葉に反応しフィルフィはルクスの方を向き

 

「・・・・・・うん、よろしくね、ルーちゃん」

 

その瞬間、また教室中から笑い声が聞こえ始めた

その状況にルクスは

 

(恥ずかしすぎるっ・・・・・!早くこの教室から出たい!)

 

ルクス達のやり取りを遠くで見ていたリーシャは

 

「むぅ・・・・・」

 

と頬を膨らませながら不機嫌そうにしていた。

しかしこのやり取りが功を奏したらしく、クラスメイト達はルクス達への警戒を解いたらしく、授業が終わった直後に大勢のの女生徒がルクス達に近づき

 

「ねぇねぇフィルフィちゃんとルクスくんってもしかして婚約者だったりするの?」

「レイくんって男性にしてはかわいい顔してるよね?ねぇ、今度、私の部屋に来てよ」

 

等と女生徒からの質問責めに合い、ルクスとレイは戸惑っていると一人の女生徒が―――

 

「そういえばルクスくんとレイくんって雑用のお仕事もまだやっているんだよね?」

「えっと。はいやってますよ、僕達の義務ですから」

 

ルクスがそう返事をすると

 

「じゃあ、私がルクスくん達に頼めばやってくれるんだ。それじゃあ、さっそく頼んじゃおうかな」

 

その言葉を皮切りにルクスとレイのまわりにいた女生徒が

 

「あ~、ずるいずるい!私もレイくんに頼みたいことがあったのに!」

「ルクスさん、そんなことよりわたくしとお茶でもいかがですか?」

ルクス達が困惑していると一人の女生徒が木箱を持って

 

「みんなー、依頼なら私がまとめるよー、一度に言い寄っちゃルクっちとレイっちも大変でしょ?」

 

とクラスメイトのティルファーがやって来て、みんなをまとめ始めた

 

しばらくして・・・

 

「ふぅ、やっと終わったよ~、いや~それにしてもルクっち達は人気だね~」

 

ティルファーがそういうとレイは下を向きルクスは

 

「あはは・・・」

 

と苦笑いをした

すると教室のドアの方からルクスと達にとって聞き覚えのあるから声がした

 

「―――ちょっといいかしら?」

 

凛とした声が教室中に響き渡った。

そこには誰もが目を奪われる程、美しい少女が立っていた。




ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
次のepisodeは早く書き終わるように努力します。

それではまた

次回「episode13 二人の英雄を探す者」


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「episode13 二人の英雄を探す者 」

クステラです。
最近、寒くなってきましたね。
皆様も体調を崩さないように気を付けてください

それでは本編をお楽しみ下さい


「―――ちょっといいかしら?」

 

そう言った少女を見たルクスはその顔に見覚えがあった

クルルシファー・エインフォルク

学園に侵入したルクス達を投げ飛ばし気絶させた少女がそこには立っていた

クルルシファーを見たリーシャが

 

「なんだ、クルルシファーか。用なら後にしてくれ。

今、ルクス達に雑用の依頼をだな―――」

 

リーシャの言葉を遮りクルルシファーが教室の中に入り

 

「学園長から用事を頼まれて、昼休みにそこの二人に学園を案内してほしいって言われたの。ちょっとの間、借りていくわ、いいわね?ルクスくん、レイくん?」

 

そうクルルシファーに言われたルクスとレイは

 

「「あっ・・・はい」」

 

返事をしたルクス達は席を離れた

案内の事は初耳だったが教室から出れるチャンスだと思ってその話に乗り、クルルシファーと一緒に教室を出た。

ルクス達はクルルシファーと一緒に学園中を歩いてまわった

そして階段を上り屋上に辿り着いたクルルシファーは手すりに近づき、学園の景色を一望した。

そんなクルルシファーを見たルクスとレイは

 

「え~と、ありがとう、クルルシファーさん」

 

「ありがとうございます。クルルシファーさん」

 

ルクス達にお礼を言われたクルルシファーは学園の景色を見たまま

 

「なんのことかしら?」

 

「・・・助けてくれたんですよね?困っていた僕達を」

 

「あなた達って顔は子供っぽいのに意外と鋭いのね」

 

クルルシファーの言葉に反応したルクスは

 

「それは関係無いよね!?人が一番気にしてる事をさらっと言わないでよ!?」

 

ルクスが顔を赤くしてると横にいたレイが

 

「それで・・・僕達をこんな人がいない所に連れてきてなにか人に聞かれたくない話でもあるんですか?クルルシファーさん?」

 

そんなレイの言葉に今まで学園の景色を見ていたクルルシファーがルクス達の方を向き

 

「察しがよくて助かるわ。あなた達に聞きたいことは二つあるわ。まず一つ目、どうして昨日の戦闘で倒してしまわなかったの?」

 

その言葉にルクス達は首を傾げて

 

「それって、リーシャ様達の事?それとも幻神獣(アビス)の事?」

 

「どっちもよ、私には二人とも相当な実力があると思っているのだけど?あなた達がその気になれば―――」

 

二人はクルルシファーに全て見透かされているようで下を向いた。

レイは下を向いたままクルルシファーに

 

「僕には・・・クルルシファーさんが思っているほどの実力なんて無いですよ・・・」

 

そんなレイの言葉にルクスも

 

「・・・そうだよ、クルルシファーさん。僕を・・・買い被り過ぎだよ」

 

そう答えたルクス達はどこか悲しそうな目をしてた

 

そんなルクス達を見たクルルシファーは

 

「ちょっと、安心したわ」

 

「えっ?」

 

二人の反応を見たクルルシファーはクスッと笑い

 

「あなた達は帝国の人間だとは思えないほどお人好しなのね」

 

ルクス達は褒められているのか、それともバカにされているのか分からず苦笑いをした

そして、クルルシファーはルクスとレイにあることを尋ねた

 

「そして二つ目、あなた達は「黒き英雄」と「機竜喰いの道化師」って知ってるかしら?」

 

「噂くらいなら聞いたことはあるけど・・・?」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

クルルシファーはルクスの答えになにも言わずにレイに

 

「そういえばレイくん。なんであなたは戦うときに道化師の仮面を付けているの?もしかしてあなたが―――」

 

レイはクルルシファーの言葉を遮り

 

「僕は・・・「機竜喰いの道化師」の真似事をしているだけですよ 。所詮は真似事だから意味なんて無いですよ」

 

「そう、分かったわ、ありがとう二人とも」

 

クルルシファーは再び屋上の手すりの前で、学園の景色を見下ろしながらルクス達に

 

「あなた達に雑用の依頼を頼もうかしら?」

 

「「えっ?」」

 

「『黒き英雄』と『機竜喰いの道化師』を探して。私はその人達に用があるの』

 

その雑用依頼にルクスとレイは息を呑んだ。その瞬間、時計台からゴーンゴーンと大きな鐘の音が響き渡った

 

「もうこんな時間、午後の授業が始まるわね。次の授業は装甲機竜(ドラグライド)の実施演習だから、二人も急いだ方がいいわよ」

 

そう言ったクルルシファーは屋上から降りる階段にへとゆっくり歩いていきそのまま階段を降りていった

クルルシファーがいなくなってすぐにレイはルクスに

 

「ねぇルクス、クルルシファーさんにこんな見え透いた嘘を言っちゃったけど大丈夫かな?」

 

「あの場はああ言うしかなかったと思うよ。僕も本当の事は話せないから・・・」

 

そうしてルクス達も階段を降りて午後の授業を受けた

 

「「はぁあぁぁぁぁ・・・・・・」」

 

その日の夜

ルクス達は女子寮に併設された大浴場の浴槽と床を二人で掃除をしていた。

午後の授業を終えたあと、ルクス達に数えきれない量の雑用の依頼が来ていた。

初めて女学園に転入した男という事と昨日の幻神獣(アビス)との戦闘で色々と学園中の注目を集めた

そのせいで依頼は今も増えている

 

「はぁ・・・僕達は本当にこの学園に転入しても良かったのかな、ルクス?」

 

「僕としては良いと思うよ。だってここは勉強もできて借金も返るし何より装甲機竜(ドラグライド)の訓練が日常的に可能だからね」

 

「それもそうだね。(僕も大切な人達をもう誰も失わない為にもっと強くならないと・・・!)

 

そんな会話をしていると後ろからコンコンというノックの後、脱衣場の扉がいきなり開いた。

ルクスとレイは驚き

 

「「ごめん!お風呂はもう終わってて今はちょっと掃除を―――」」

 

「期待に添えなくてごめんなさい、兄さん、レイさん。

そんなに見たかったですか?私たちの裸を」

 

「「えっ?」」

 

そこにはアイリと友人のノクトが立っていた。もちろん服は着ていた

アイリの言葉に対してルクスは

 

「な、何を言ってるんだよ!?そんな訳無いじゃん!?」

 

「あっ、ノクトさんもこんばんは・・・・」

 

「yes.ですが仕方がないかと。思春期の男性は、色々と大変だと聞いています。まぁ、肉親に対して欲情するのはいかがなものかと思いますが」

 

「何で!?僕がアイリ達の裸を期待してる前提になるのさ!?」

 

「まぁ、別に私は構いませんよ。唯一の家族ですし、たまには一緒にお風呂でも入りましょうか?」

 

「アイリ~、恥ずかしいから、人前でそういう冗談は言わないでよ」

 

アイリはルクスと会話をしてる途中からレイがずっと下を向いていた事に気づき

 

「レイさん?」

 

アイリに呼ばれてレイは返事をした

 

「なに?アイリ?」

 

「さっきからなぜ下を向いているのですか?」

 

「その~・・・アイリは昔から一緒にいたから顔を見て会話ができるんだけどやっぱりアイリ意外の女の人と話すのがまだ少し抵抗が・・・」

 

「そうでしたか・・・やはりレイさんは私意外の女性とちゃんと会話ができるようにならないとダメですね。後で学園長にその事について相談してみますね」

 

「うん、ありがとう、アイリ」

 

「それにノクトさん・・・ごめんなさい」

 

レイに謝られたノクトは

 

「No.謝らなくても大丈夫です。ですが私としてはレイさんとはきちんと顔を見て会話してみたいものです」

 

「努力します・・・」

 

会話が終わるとルクスが

 

「ところで僕たちになにか用?今日の依頼はこのお風呂掃除で最後だから、急ぎの仕事じゃ無いならちょっと待ってて」

 

「いえ、仕事ではありません。私たちはリーズシャルテ様から伝言を預かってきたんです」

 

ルクスとレイは手を止めた

 

「「伝言?」」

 

「はい、明日の早朝、機竜の工房に来てくれとの事です」

 

「「工房って?」」

 

「場所は私が案内しますので安心してください。伝言は伝えましたので私たちはこれで。おやすみなさい兄さん、レイさん。」

 

「yes.おやすみなさい。ルクスさん、レイさん」

 

そうして二人はルクス達にお辞儀をしてお風呂場から出ていった。

ルクス達は残っていたお風呂場の掃除を急いでやり、依頼主である寮母さんに終わったことを伝えてルクス達は自室に戻り床に就いた。

 

翌日、約束通り早朝にルクス達はアイリと合流し工房へと向かった。




最後まで読んでくださりありがとうございます。
早くあの戦闘シーンを書きたいのですが投稿が遅いためもう少し先になりそうです。申し訳ございません。

それではまた次回

次回episode14「機竜の工房」



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「episode14 機竜の工房」

どうもクステラです。UA5000件突破‼ありがとうございますm(__)m
これからもオリジナル展開を加えた最弱無敗と機竜喰いの道化師を宜しくお願いします‼

それでは本編をどうぞ

活動報告に今後の事について書いてありますので宜しければそちらもお読みください



ルクス達はアイリの案内で工房に向かいながら他愛ない話をしていた。

 

「そういえば、兄さん達は学園に慣れましたか?」

 

「僕は慣れたけど未だに仕事の依頼が増える一方だから大変だよ・・・」

 

ルクスは肩を落としながらため息をついた。

そんなルクスを見たアイリは

 

「何を言っているんですか、兄さん。仕事の依頼が増えることはいいことじゃないですか、大丈夫ですよ、兄さんならできますよ」

 

「確かに皆からの依頼が増えれば借金も早く返せるからいいけど、まぁ・・・それなりに頑張るよ」

 

そんな兄妹の会話を黙って聞いていたレイは赤黒いチップを手に持ち考え事をして歩いていた。

 

「・・・・・・・・」

 

レイが黙って歩いている事に気がついたアイリはレイに話しかけ

 

「なにか考え事ですか?レイさん?」

 

アイリに話しかけられたレイは我に帰り、手に持っていたチップをポケットに入れて

 

「あっいや・・・何でもないよ」

 

「それでこの学園に慣れたかどうかだったよね。まぁ慣れたとは思うけどやっぱりまだ女性がなぁ~」

 

「その事については昨日も話しましたが学園長に相談してきますので安心してください、レイさん。」

 

「その件は任せたよ、アイリ」

 

そんな会話をしているとアイリが

 

「見えてきましたよ。兄さん、レイさん。あれが工房(アトリエ)ですよ」

 

ルクスとレイは顔を前に向けると一戸建ての建物があり、アイリは工房(アトリエ)の扉の前まで歩いていきルクス達の方を向き

 

「私の役目はここまでです。後の事は中にいるリーシャ様に聞いて仕事してくださいね。兄さん、レイさん」

 

「分かったよ、ここまで案内してくれてありがとう。アイリ」

 

「それではこれで失礼します」

 

アイリはルクス達と来た道を戻っていった。

 

ルクス達は扉を少し開け

 

「すみませ~ん、ルクスですけどリーシャ様~、中にいますか~?」

 

ルクスは大きめの声で挨拶したが、リーシャからの返事はなく、

 

「・・・あれっ?いないのかな?」

 

そんな様子を見ていたレイはルクスに

 

「中に入ってみようよ、ルクス。もしかしたら中にいるけど何か作業をしていて僕達の声が聞こえてない可能性もあるよ?」

 

「分かった、中に入ってみよう」

 

ルクスとレイはゆっくりと扉を開け、中に入った。

中は金属と油の匂いがたちこめていて、無数の部品やら工具が辺り一面に転がっていた。

ルクス達は工具を避けながら奥に進むと異形の姿をしていた機竜があった。

それは〈ワイバーン〉を主軸に〈ワイアーム〉のパーツを融合させたような姿をしていた。

それを見たルクス達は

 

「「これは・・・一体――?」」

 

ルクスが呆然とそれを見ていると近くのソファーから声が聞こえてきた

 

「う~ん・・・。一体誰だよぉ?騒々しいな――」

 

「リーシャ様?」

 

ソファーで寝ていたのは制服の上に、白いガウンを羽織っていたリーシャだった。

ここで一晩中、作業していたのか、白いガウンも汚れ、目の下にクマができていた。

 

「リーシャ様!?大丈夫ですか!?」

 

「ん・・・あぁ、ルクスとレイか、私は大丈夫だ、心配するな。ところで二人はなんでここに―――?あぁ、私がここに来るように言っていたな。ふあぁ・・・」

 

リーシャはルクス達に近づきながら寝ぼけ眼を擦り、

ルクス達に

 

「今日、ここにお前達を呼んだのはあれを見てほしかったからだ」

 

リーシャはあの異形の姿をしていた機竜に指を指した。

するとルクスがリーシャに質問をした。

 

「ひとついいですか?」

 

「なんだ、ルクス?」

 

「あの機竜も遺跡(ルイン)で発掘された物ですか?」

 

ルクスの質問にリーシャはふっと笑い両腕を組ながら

 

「違うぞ、ルクス!あれは私が開発した、世界初のオリジナル機竜、名は《キメラティク・ワイバーン》だ!」

 

「「―――!?」」

 

リーシャの言葉にルクスとレイは耳を疑った。

古代兵器である装甲機竜(ドラグライド)

遺跡(ルイン)から発見され、既に十余年が経っていたが今でも、未だにその具体的な構造は今も解明されておらず、既存の部品を取り付けるか、交換する程度でしか調整できていない。

それを一国の王女が、全く別の機竜の作るなんて聞いたことがない。

リーシャは両腕を組ながら悩んでいた。

 

勾玉鉄鋼(ミスリルダイト)と、幻創機核(フォース・コア)を加工できれば他にもあんな事や、そんな事ができるのだがな・・・。

もうひとつの問題点としてあの機竜は性能と出力とは申し分無いのだが起動に機攻殻剣(ソード・デバイス)を二本使わないといけないのが、ちょっとネックなんだ」

 

二種類の別々の機竜の融合。

そして、機攻殻剣(ソード・デバイス)の二刀流など、前代未聞だ。

誰もが思い付かない事をしたリーシャは技術者としての高い才能秘めていた。

レイは目を逸らしながらリーシャに

 

「リーシャ様、奥の方がやけに焦げた跡があるのですが、あれはもしかして、実験の失敗ですか?」

 

レイに指摘されたリーシャは微かに動揺して

 

「・・・・・失敗は成功の母って言うだろ」

 

リーシャは小さい声でそう言い切った。

 

「そういえば、なんでここで寝ていたんですか?」

 

「あぁ、それはだな、お前達の機攻殻剣(ソード・デバイス)を修理していたんだ、ほれ、お前達の機攻殻剣(ソード・デバイス)だ」

 

「「えっ?あっありがとうございます」」

 

当たり前の用に言われ自分達の機攻殻剣(ソード・デバイス)を返されたルクス達は困惑した。

 

「学園の危機を救ってくれた英雄達の機竜だ。私が直々に修理しといたぞ」

 

「「ありがとうございます‼」」

 

ルクス達はリーシャに深く頭を下げた。

二機の機竜をバラして、新たなる機竜を作り上げるほどの腕を持っているリーシャからしてみれば修理など簡単なのかもしれない。

だが、二機の機竜を一人で直すのがどれだけ大変なのかはルクス達にも想像がつく。

 

「それじゃあ、お前達、ちゃんと機竜が動くか、テストをするぞ」

 

「「はい、分かりました」」

 

ルクスとレイは、腰のベルトにつけた機攻殻剣(ソード・デバイス)の鞘を払い、詠唱符(パスコード)を唱えた。

 

「――来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜。我がに従い飛翔せよ、《ワイバーン》」

「――来たれ、不死なる象徴の竜。連鎖する大地の牙と化せ、《ワイアーム》」

 

ルクスとレイは詠唱符(パスコード)を唱え、機竜を纏った。

しかし、ルクスとレイは違和感を感じ首を傾げた。

明らかにルクス達が今まで使っていた機竜とは外見が変わっていた。

ルクスの機竜は、両肩に連結された機竜息砲(キャノン)と背部には無数の小さな機竜爪刃(ダガー)で構成されていた羽根があり、以前使っていた大型のブレードは残っていたが厚かった装甲は半分以上が削ぎ落とされていた。

レイの使っていた《ワイアーム》は、ルクスと同じく装甲は削ぎ落とされていたが、肩に機竜息砲(キャノン)は無く、その代わりに機竜爪刃(ダガー)が数十本ついていて、

脚部にも数本の機竜爪刃(ダガー)がついていた。

大型のブレードは今まで使っていた物とは違い、刀身は少し伸びていて両方についていた刃は片方だけになっていた。

 

「あの~、リーシャ様?」

 

「ん?どうした、ルクス?」

 

「なんで・・・こんなに僕達の機竜が変わってるんですか?」

 

ルクスの質問にリーシャは笑顔で答えた

 

「修理しているうちにお前達の機竜にはかっこよさが無い事に気付いてな、ちょっとだけ改造した」

 

「ちょっとってレベルじゃないですよね!?ねぇ、レイも何か言って―――」

 

ルクスがレイの方に顔を向けるとレイは目を輝かせていた。

 

「レ・・・レイ?どうしたの?」

 

「リーシャ様!」

 

いきなり大きな声で呼ばれたリーシャは肩をビクッとさせた。

 

「な・・・なんだ、レイ!?いきなり大声を出すな!びっくりするではないか!!」

 

「す・・・すみません、リーシャ様、ですがひとつ言わせてもらいます」

 

リーシャは首を傾げ

 

「なんだ?」

 

「こんな素晴らしい改造をしてくださりありがとうございます‼これからはこの姿の《ワイアーム》を使っていきます‼」

 

「・・・えっ?」

 

レイの言葉にルクスは困惑し、リーシャは仲間を見つけたかのように目を輝かせた。

 

「レイ!お前は私が改造した機竜の良さを分かってくれるのか!」

 

「はい!」

 

レイは纏っている機竜の接続を解除しリーシャの方に行き暫く(しばら)の間二人は、機竜の事について椅子に座りながら語りあった。

その間にルクスは一旦、機竜から降りて、ソファーで二人の会話が終わるまでの間、横になって寝ることにした。

 

「二人共、楽しそうだなぁ・・・――」

 

ルクスはゆっくりと寝息をたてながら眠った。

ルクスが寝てから数時間後、二人は機竜の事について語り尽くした後、リーシャはあることに気づいた。

 

「そう言えば、レイよ」

 

「なんですか?リーシャ様?」

 

「お前・・・普通に私と目を見て会話をしているぞ?」

 

確かにレイはリーシャと普通に会話ができていた。

するとレイの顔が赤くなり、リーシャから目を逸らしながら謝った。

 

「すっすすす、すみません、リーシャ様!」

 

「なに、気にするな、私もお前とこうして会話ができて楽しいぞ」

 

「そっそう言ってくれると僕も嬉しい・・・です」

 

「ん・・・ん~?」

 

レイの謝る声でソファーに横になっていたルクスは目が覚めてあくびをした。

 

「ふぁ~」

 

(んっ?ルクスか、そうだ、いいことを考えたぞ)

 

あくびをしているルクスに気づいたリーシャは、ゆっくりと後ろからルクスに近づいた。

そして・・・大きな声で。

 

「おはよう!ルクス!よく眠れたか?」

 

リーシャに驚いたルクスは、

 

「うわっ!?リっリーシャ様!?びっくりしたぁ~、驚かせないでくださいよぉ~」

 

「すっすまん、そんなつもりでは無かったのだが、嫌・・・だったか?」

 

「いっいえ!嫌では無いですよ、リーシャ様」

 

「そうか!それは良かった!」

 

ルクスの言葉にリーシャは笑顔になった。

そんなリーシャを見ていたルクスは、改造された機竜の事を思い出しリーシャに。

 

「あの、すみません・・・。リーシャ様、あの改造された機竜を元に戻してくれませんか?あの方が一番使いやすいので、お願いします」

 

「あのままでもいいじゃないか!だいたいお前の使っていたちっともかっこよくないから、私自ら、手を加えてやったっというのに・・・、はぁ、分かったよ。元に戻すのはすぐにできるからな、ルクス、ちょっと機攻殻剣(ソード・デバイス)を少し借りるぞ」

 

「分かりました、リーシャ様」

 

ルクスは自分の機攻殻剣(ソード・デバイス)をリーシャに渡した。

渡された機攻殻剣(ソード・デバイス)を手にリーシャは工房(アトリエ)の奥にある、機竜を修理する部屋へと向かった。

 

「なぁ、ルクス、武装等は同じでいいんだよな?」

 

「お願いします」

 

ルクスがそう答えると、リーシャは整備を始める。

待っている間にルクスはソファーに座っていたレイの隣に座った。

 

「ねぇ、レイはなんでリーシャ様に改造された機竜を使う事にしたの?」

 

「ん?あぁそれはね。もしかしたら自分で考えた武装を作れるかも知れないと思ったからだよ」

 

「武装を作る?既にあるものじゃなくて?」

 

「うん、確かに既にある武装でもいいんだけどね。

と言っても僕一人じゃ、無理があるからリーシャ様と共同研究したいけど・・・」

 

「早く女性に慣れるといいね」

 

「うん、自分なりに努力はするよ」

 

ルクスとレイの会話が終わったのと同時に機竜を修理し終えたリーシャが部屋から出て来てた。

 

「おーい、ルクス、機竜を元に戻し終わったぞ」

 

「ありがとうございます、リーシャ様」

 

ルクスはリーシャに頭を下げ、機攻殻剣(ソード・デバイス)を受け取った。

 

「さてと、機竜を戻した事だし、そろそろ行くか」

 

「「どこに行くのですか?」」

 

ルクス達は首を傾げてリーシャに問う。

 

「決まっているだろう、お前達の新たなる仕事場だよ」

 

目を輝かせながらそう言ったリーシャを見て、ルクス達は何かとてつもなく嫌な予感がした。




ここまで見ていただきありがとうございます。
次のepisodeまで間が空くかもしれませんが、見ていただけるとありがたいです。

それではまた 次回

「episode15 騎士団(シヴァレス)


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「episode15 騎士団(シヴァレス)

皆様、どうもお久しぶりです。
クステラです。
いやーリアルでの仕事だとか今後のオリジナル展開をどのようにするかで悩んでいたらもうこんな時期になってしまいましたねw
本当に申し訳ございません!m(__)m
ですがこれからは一週間に一回ぐらいは投稿できればと思っています。


それでは本編をお楽しみ下さい。


ルクス達はリーシャに連れられ、やや広めの部屋に案内された。

その部屋には装衣を纏った女生徒が十数人、椅子に座りながらルクス達を待っていた。

装衣を纏っている女生徒の中に顔見知りの人が数人いた。

クルルシファーにフィルフィ。

それにノクト、ティルファー、シャリスの三和音(トライアド)の三人。

その光景を見てレイは相変わらず目線を反らしリーシャに質問した。

 

「あの~リーシャ様、この人達は一体・・・?」

 

レイに質問されたリーシャはそれに答えようとしたが女生徒がいきなり立ち上がり、

 

「本当に彼らを「騎士団(シヴァレス)」に入れるのですか、リーシャ様?」

 

「何だ不満か?この二人の実力はこれから示してやるさ。そのためにルクスの装甲機竜(ドラグライド)を直したんだからな」

 

ルクス達はリーシャが女生徒と何を話しているのかがまったく理解しておらず首を傾げていると、

 

「リーズシャルテ姫はね、君達をこの部隊に入れることを推薦しているんだ。士官候補生でありながら、実技演習以外でも装甲機竜(ドラグライド)を使用できる遊撃部隊。「騎士団(シヴァレス)」にね。

でも・・・見ての通りまだ君達を信用してない者達がいて、この「騎士団(シヴァレス)に君達が入隊するのを嫌がっているんだよ・・・」

 

三年生のシャリスが少し寂しそうに話してくれた。

ルクスはシャリスに詳しく説明を聞いたところ、どうやらこういう理由らしい。

現在の新帝国では実践で行える機竜使い(ドラグナイト)の人材が不足しているらしく、しかもここは王都の防衛拠点ともいえる場所。

故に若く、才能と実力がある生徒を、規則で戦わせずにしておくのは宝の持ち腐れ。

そこで士官候補生でありながら特別に戦闘許可を許された部隊、「騎士団(シヴァレス)」が設立されたという。

騎士団(シヴァレス)に所属すれば、報奨が得られる。

それにより、ルクス達の「雑用」という意味でも有用な場所なのだが。

 

レイは騎士団と聞いて、昔のことを思い出していた。

 

(騎士団かぁ・・・そういえば第0騎士団の皆は今、何してるのかなぁ)

 

そんなことを思い出していると少女が、

 

「だけどさー、望めば誰でも入れるってゆうわけじゃないんですよ。この騎士団(シヴァレス)には」

 

シャリスの説明が終わると、アイリと同じぐらいの少女がそう呟いた。

入団する条件はさほど難しくはないらしいが、最後のひとつだけはルクス達は苦戦すること間違いない。

 

「大丈夫であろう。先の三つの条件のうち、二つはただの前提に過ぎない。

ここにいる程の生徒なら知っているはずだぞ?ルクス達の実力を・・・な?」

「まぁ、それはそうですが・・・」

 

リーシャの勢いに押され、長身の女生徒は口籠った。

 

「でも、今は三年生の騎士団(シヴァレス)のメンバーがいないじゃない。

何も、今やらなくても・・・・」

 

小柄な女生徒が付け加えるように言うが、リーシャが反論するように、

 

「だが、全体の過半数はちゃんとここにいる。仮にいない人間全員否定派でも、 ここの全員が賛成すれば、問題はないだろ?」

 

結局、リーシャが話をまとめてしまった。

ルクスは三年生がいない理由を隣にいるシャリスに小声で聞いた。

 

「三年生の人たちがいないってどうゆうことですか?」

 

ん?あぁ、三年生は今、二週間ほど王都へ行っているのさ。私は色々とやることがあって、今回は行けなかったんだ」

 

「だったら、三年生が戻ってきてからでも・・・」

 

「それは違うわよ、ルクス君」

 

ふいに今まで黙っていたクルルシファーがルクスの疑問に答えた。

 

「三年生がいない今だからこそ、あなた達を入隊させるチャンスだと、お姫様はそう思っているのよ。三年の騎士団長がかなりの男嫌いだから・・・」

 

「「えっ・・・」」

 

「三年生のセリスティア・ラルグリス。公爵家の令嬢で学園最強と呼ばれている実力者よ。人望もあって、大勢の生徒が彼女を慕っているわ。たぶんだけど、今この学園にあの人がいたら、あなた達を編入させる話は取り消されていた可能性が高かったわね」

 

クルルシファーからセリスティア・ラルグリスの事を聞いたレイは、

 

(セリスティア・ラルグリス・・・・・。一体どんな人なんだろう?もしかしてこの学園でその人と鉢合わせになったら、僕はどうなるんだろうか・・・)

 

そんな事を内心、考えていたレイは、この学園で彼女に絶対に会いませんようにと心から願った。

 

「クルルシファー、妙なことを言うなよ。私はただ新王国の姫として、やるべき事をやっているんだぞ」

 

クルルシファーの話を聞いていたリーシャは、頬を膨らませて反論した。

 

「先日の、警報なしで唐突な幻神獣(アビス)の襲来。大事には至らなかったが、原因は未だに分からず調査中だ。ルクス達のような即戦力になりそうな者の確保は当然の判断だと思うのだが、さらに言えば三年生が留守にしている今だからなおのこと、な?ルクス、レイ?」

 

「「そっそうですね・・・・あははは」」

 

と返事をするしかなかった二人であった。

ルクスはリーシャ様らしくないと思っていたが、以外と政治的なこともできるようだ。

 

「だが、さすがの私も何の手続きも無しに入隊できるとは、思ってないさ」

 

「今からチームを組み、機竜対抗戦をしようと思う。その結果をもとに、ルクス達の入隊を検討してくれ」

 

そう言ってリーシャは部屋の中央に立ち、ルクス達の対戦相手をてきぱきと選び始めた。

 

それを見ていたレイはリーシャに、

 

「あ、あの~リーシャ様?ちょっといいですか?」

 

「何だレイ、今おまえの対戦相手を決めているんだ。話ならあとにしてくれ」

 

「・・・・・はい」

 

レイとリーシャのやり取りを見ていたルクスは、

 

(この感じじゃあ、僕たちの意見は完全に無視されるなぁ・・・・)

 

対戦相手を選び終わったリーシャはルクス達の方に向かって歩き、

 

「ルクス、レイ。騎士団(シヴァレス)での任務や警備の仕事をすれば、報奨金が出るから、借金の返済に少しは役立つだろう。喜んで働くがいい!」

 

リーシャの満面の笑みを向けられた二人は今更、断っても無駄なんだろうなぁと思い、諦めた。

レイはため息をつきながら周囲を見回すと、部屋の隅っこでお菓子を食べていたフィルフィを見つけ、声をかけた。

 

「ねぇ、フィーちゃん、隣に座っていい?」

 

「うん、いいよ」

 

レイはフィルフィの隣に座り、

 

「ねぇ、フィーちゃんって騎士団(シヴァレス)の中ではどれぐらい強いの?」

 

レイはこの学園に来てから、まだ一回もフィルフィが装甲機竜(ドラグライド)を使っている所を見ていない。

それ以前にこんな穏やかなでマイペースなフィルフィが騎士団(シヴァレス)に入れる程の実力があったなんてレイは驚いていた。

暫くしてお菓子を食べ終えたフィルフィからの答えは

 

「ふつうだよ」

 

「・・・・・えっ?」

 

なんともシンプルで分かりやすい答えが返ってきた。

だが、よくよく見ればその腰には汎用機竜の機攻殻剣(ソード・デバイス)とは違う、鞘からして独特の意匠が施されている短剣が差してあった。

 

すると突然、クルルシファーがレイ達の方に近づいて、

 

「レイ君、彼女は強いわよ。だって神装機竜《テュポーン》の使い手だもの。

私の《ファフニール》と一緒でね」

 

クルルシファーの捕捉にレイは驚き、再びフィルフィを見るが当の本人はまた、お菓子を食べていた。




いかがだったでしょうか?
楽しめたならこちらとしてもありがたいです。

それではまた。

次回、「episode16 対抗戦」













そういえば・・・メインヒロインの筈のノクトさんの出番が無いような・・・









謝罪兼茶番(キャラ崩壊あり)

とある場所・・・
そこにこの小説の作者、クステラと、
最弱無敗メンバー達がそこにいた。
クステラはメンバーの前で正座をしていた。
「なぁ、クステラよ、何故このような事になっているか分かるか 」

「わっ分かりません」

「お前は2017年10月26日から今日まで何をしていた」

「今後のストーリー展開を・・・」

「そんな事はわかっている。前書きで散々言ってるからなぁ」

「10月のあの日を最後に貴様は投稿しなくなったなぁ 」

「そっそれは」

「まぁ、過去の事など、どうしようもない」

「そっそれじゃあ、許し」

「バカ者!」

「ひぃ!」

「他のメンバーと話し合ってだな、こういう結論に至った、ルクス」

「はい、リーシャ様」

「クステラさん、あなたには、今から罰ゲームをしてもらいます」

「罰ゲーム?」

「あなたにはサイコロを振ってもらいます。出た目によって罰ゲームの内容は異なります」

ちなみに内容はこんな感じです

1・3・5スプレッシャーを生身で受けもらう
2・4・6ノクトさんの回し蹴り

「それじゃあ振ってください」

「1・3・5は死ぬ可能性のあるものなのですが!?」

「いいから振ってください。クステラさん」

「はっはい・・」

クステラは嫌々サイコロを振った.
出た目は2

「2ですね、ノクトさん、お願いします」

「yes、わかりました」

(良かったー、人の回し蹴りならまだなんとかなる・・)

と思っていたのも束の間そこには機竜を纏ったノクトがいた。

「えっちょっ、これはさすがに死」

「no、受けて当然の報いかと」

「慈悲は、慈悲はないのですか、ノクトさん!?」

「NO、そんなものはありません」

「あぁぁぁぁんまりだぁぁぁぁぁ!」

クステラは(機竜を纏った状態の)ノクトから回し蹴りをくらい無事、死亡


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「episode16 対抗戦」

皆さん、どうも!クステラです。
今回は対抗戦になります。

果たしてルクスとレイは騎士団(シヴァレス)に入隊出来るのか?

それでは本編をお楽しみ下さい。


対抗戦を行うためルクスとレイは、リーシャから渡された装衣に着替えようと仕切りの中に入った。

途端、ルクスは、

 

「はぁ・・・」

仕切りの外には聞こえない程の小さい声でため息をした。

ルクスのため息を聞いたレイは、

 

「どうかした?ルクス?」

 

「いや、何でも無いよ・・・レイ」

 

(どうしょう・・・)

 

「そのためのもうひとつの目的、忘れていませんよね。兄さん?」

 

早朝。食堂にてアイリに言われた言葉が、ルクスの脳裏に蘇る。

 

(変な注目を浴びる前に入隊を辞退したいなぁ・・・)

 

ルクスが悩んでいるのに反して、仕切りの外からは、

 

「何だよ?仕切りに隠れずに着替えればいいじゃないか。ルクス、レイ?」

 

「yes、覗きはするけど、自分達から見せたい派ではないのですね」

 

リーシャとノクトからのからかいに対してルクス達は、

 

「そんな趣味はありませんよ!」

 

「そんな趣味はありません‼」

 

「も~、リーシャ様もノクトさんも人が悪いな~」

 

リーシャ達のからかいにルクス達は顔を赤くし、装衣に着替えたルクス達は仕切りから出た。

出てきたルクス達にリーシャは椅子に座りながら、話しかけた。

 

「そう言えばまだお前達に、話してなかったな。対抗戦の対戦相手を」

 

「あっそう言えば・・・」

 

「あっそうだった」

 

「まぁ、とりあえず座ったらどうだ?」

 

ルクスとレイはリーシャの前にある椅子に座り、話をした

 

「今回はわたしとお前達が組んで、相手のチームと戦うことになった」

 

「なるほど、分かりました。それでは相手チームは何人なんですか?」

 

すると、ノクトがリーシャの横に立ち、ルクス達に対戦相手について説明した。

 

「yes、この場にいるクルルシファーさん、フィルフィさん、私たち三和音(トライアド)を除く、二人と初対面の人たちが対抗戦の相手チームになります」

 

ノクトの説明を聞き終えた二人は、

 

「リーシャ様?さすがにこれは、いくらなんでも無謀なんじゃ・・・」

 

(こんな人数を相手に出来る訳がないじゃん!?)

 

確かにリーシャは強い。

ルクスとレイが今まで相手をしてきた機竜使い(ドラグナイト)と比較しても、群を抜く実力者なのだろう。

だが、それはここにいる「騎士団(シヴァレス)」のメンバー達も同じ事。

 

「大丈夫だ、安心しろ。私の計算ではこれでも十分いけるはずだぞ。物足りないなら、そうだな・・・ルクス!今からでもお前の機竜を近接特化型にしない―」

 

「・・・・・・このままで頑張ります」

 

ルクスに断られたリーシャはレイの方を向き、

 

「ならば、レイ!この前の装甲機竜(ドラグライド)に更なる武装をだな―――」

 

「まだあの機竜に武装を取り付けるのですか!?流石にあれ以上、武装を取り付けるのはちょっと・・・」

 

レイにも断られたリーシャは、

 

「そっか・・・ならば仕方ないな。私は《キメラティク・ワイバーン》で戦うが―――まぁいい。どうせ多勢に無勢だからな。始まればすぐにお前達も戦わざるをえなくなるからな」

 

少し残念そうにしているリーシャにルクスはため息をついた。

お互いに準備を済ませて、演習場に出ようとして、

 

「yes、ルクスさん、レイさん」

 

急にノクトが二人に声をかけた。

 

「どうかした、ノクト?」

 

「どっどうしたの、ノクトさん?」

 

「頑張って下さい」

 

そして、模疑戦が始まった。

しかし、数十分後・・・・・

 

「なんなんだよー!もう」

あっという間に終わった、模疑戦の直後。

演習場の部屋に戻ってきたリーシャは駄々っ子のように喚していた。

既に「騎士団(シヴァレス)」のメンバーはほとんどが着替えをして退室していた。

部屋に残っているのはリーシャ、ルクス、レイ、クルルシファー、フィルフィ、三和音(トライアド)の三人だけだった。

「そろそろ機嫌を直して下さいよ、リーシャ様。一応対抗戦には勝ったじゃないですか?」

 

「そっそうですよ・・・あれでも僕達はベストを尽くしましたよ?」

 

そう言い、ルクスとレイはリーシャを(なだ)めるが、

 

「あれでベストを尽くしただと・・・・・」

 

ルクスとレイの言葉にリーシャは、

 

「ルクス!お前は何故、一度も「騎士団(シヴァレス)」のメンバーに攻撃をしないんだよ!?私も相手のチームに入っていればよかったぞ!せっかく「騎士団(シヴァレス)」に入隊出来るチャンスを台無しにじゃないか!」

 

「それにレイ、お前はお前で何をしているんだ!

私が改造した機竜を使っていようだが、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、お前は何がしたかったんだよ!少しは真面目に戦えよ!」

 

やや涙目になっていたリーシャの説教を受けたルクスとレイは二人揃って、

 

「すみません」

 

と申し訳なさそうに言った。

ルクスとレイの「騎士団(シヴァレス)」への入隊をかけたチーム対抗戦。

二対十という圧倒的なハンデがありながらルクス、レイ、リーシャのチームが勝ってしまった。

 

ちなみに、相手の機竜を倒したのは、リーシャが八、レイは二、という結果である。

ルクスは誰ひとりとして「騎士団(シヴァレス)」のメンバーを倒していない。

理由は簡単。

ルクスは敵の攻撃を回避して、防いでる内に対抗戦は終わってしまった。

レイに関しては敵に攻撃を仕掛けようとしたが、まだリーシャに改造してもらった機竜を扱いきれておらず、壁に何度も激突していた。

それに巻き込まれた二人の「騎士団(シヴァレス)」のメンバーが運よく倒れた。

結果的に勝ったものの、多数決でルクスとレイの入隊は却下された。

それでリーシャは不機嫌になっていた。

賛成票を稼げなかった理由としてはルクスとレイは一切の攻撃をしていなかったせいだろう。

ルクスはリーシャには悪いことをしたと思ったが、ルクスは内心、ほっとしていた。

 

「私の作戦が失敗だったのか?それとも・・・、相手チームの編成に何か問題があったか。だが、当初の予想ではこうはならなかったはずだぞ・・・」

 

ぶつぶつと呟きながら、リーシャは仕切りの向こうで着替え始めた。

 

(流石に勝手に帰っちゃ、まずいよなぁ・・・・)

 

ルクスはレイに声をかけ、ルクス達も仕切りに入り着替えた。

 

先に装衣から制服に着替え終えたルクスとレイは椅子に座りながら、リーシャを待っていると、

 

「お疲れさま、ルーちゃん、レーちゃん」

 

対面に座っていたフィルフィが、ふいに声をかけてきた。

 

「「うん、お疲れさま。フィーちゃん」」

 

 

 

制服に着替えていた幼馴染みの少女は部屋に残り、果物を剥いて食べていたフィルフィがルクスとレイに話しかけた。

 

「果物・・・食べる?」

 

「うん、いただくよ」

 

「じゃあ僕も」

 

フィルフィは頷くと果物の皮を剥きはじめた。

はずなのだが―――。

 

「・・・・・剥き終わったよ」

 

「ありがと―――。って、何これ?」

 

「オレンジ」

 

簡潔な答えがオレンジの剥き身と共に返ってきた。

 

白い内皮が外された瑞々しい果肉が、フィルフィの細い指先につままれて、ルクスの目の前に差し出されていた。

困ったルクスはレイに助けを求めようとしたが、ルクスの隣に座っていたレイは、そんな二人の光景をニヤニヤしながら果物を食べていた。

ルクスは小声でレイに話しかけ、

「ちょっとレイ!見てないで助けてよ!?」

 

(え~、どうしよっかなぁ~)

 

「ルーちゃん」

 

ふいにフィルフィに話しかけられた、ルクスはフィルフィの方を向き、

 

「どっどうしたの?フィーちゃん?」

 

「・・・・・嫌だった?」

 

何処と無く悲しそうにしているフィルフィを見たルクスは、

 

「いっいや、そんな事は無いよ!」

 

「じゃあ、食べて」

 

迷った隙に、フィルフィはオレンジの果肉を、そっとルクスの口の中に入れた。

 

「美味しい?」

 

「う、うん・・・・」

 

「よかった」

 

二人のやりとりを隣で見ていたレイは、

 

「よかったね~、ルクス、フィルフィにオレンジ食べさせてもらってさ」

 

ルクスの方を見てニヤニヤしていた。

どこか嬉しそうなフィルフィを見て、ルクスが戸惑っていると、

 

「仲がいいのは結構だけど、もう少し人目を気にした方がいいと思うわ、ルクス君?」

 

「あっ・・・!い、いやこれは――」

 

「yes、クルルシファーさんの言うとおり、もう少し人目を気にしてほしいものです、はぁ」

 

「ノクトまで!?」

 

部屋の隅にいたクルルシファーと部屋の窓側に座っていたノクトにからかわれ、ルクスは慌てる。

他の人に見られてはいないかと思い、ルクスは周囲に視線を向けたとき、

 

「ふっ・・・。私が珍しく悩んでいるというのに、目の前で他の女とイチャついているとはな。羨ましいぞ・・・、ルクス」

 

着替えを終えて出てきたリーシャが、呆れたように呟く。

 

「しかし・・・・、そうか。その手があったな」

 

そして、早足で座っているルクスの前にやってくると、

 

(まずい!怒られる!)

 

そう思って、ルクスは目を閉じると。

目の前のテーブルに、何かを叩きつける音がした。

 

「ん・・・・・?」

 

テーブルに置かれたのは一枚の紙、それは雑用の依頼書だった。

 

「この後は、特に雑用の依頼は、請け負っていないな?」

 

口元を尖らせているリーシャの顔がすぐ近くある。

てっきり怒っているかとおもえば、心なしかその頬は赤く染まって、ルクスから視線を逸らしていた。

 

「え、まぁ・・・・・はい。それがどうかしましたか?」

 

ルクスが不思議そうに思って聞き返すと、リーシャはすっと息を吸って、胸を張った。

 

「じゃ、じゃあ追加の依頼だ。その――、今から私とつき合ってくれ」

 

「わ、分かりました・・・」

 

すると窓側の椅子に座っていたノクトが立ち上がり、

レイに近づいて、

 

「レイさん」

 

急にノクトに話しかけられたレイは、

 

「ひゃっ!な、なんですか、ノクトさん?」

 

目線を逸らしながら、答えた。

するとノクトも同じく雑用の依頼書をテーブルにおいた。

 

「あ、あの~、ノクトさん。これは?」

 

「yes、見てわかる通り、雑用の依頼書です。レイさん、私たちも今から街に行きましょう」

 

「えっ?えぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇ!?」




最後まで読んでいただきありがとうございます。
レイと一緒に街に外出しょうというノクトの真意とは!?


それではまた

次回、「episode17 一番街区」


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「episode17 一番街区」

皆様、どうも、クステラです。
何時になるかは分かりませんが、設定集を書くつもりでいます。

それでは本編をお楽しみください。


(はぁ・・・・、どうしてこうなったんだ・・・)

 

「さぁ行きましょう、レイさん」

 

「う、うん・・・・・」

 

十字型の城塞都市、クロスフィード。

その中央にある一番街区は、日の出から夜明けまで、人々の賑わいがやむことはない。

春先だからであろうか、まだ日差しの強い夕刻。

人通りが多く、整備されている石畳の大通りを、ルクスとリーシャ、レイとノクトのペアに分かれて、歩いていた。

 

リーシャと歩いているルクスは内心、

 

(よかったぁ・・・・・、つき合うって買い物のことだったんだ。ビックリした)

 

と心の中で呟いたいるとリーシャが、

 

「そっその・・・・・、連携を組むためには、まずお互いの事をよく知ることが大事だと思うんだ。私は機竜の事については詳しいが、同年代の男のことはよく知らないからな・・・・・」

 

リーシャがルクスを外出に誘った理由もそんなところらしい。

 

(でも、やっぱり緊張するなぁ。同い年のお姫様と二人きりだなんて――」

 

そう思って隣を見ると、どこかリーシャもそわそわした様子で、 町並みを眺めていた。

 

(それにしても・・・・・・、レイは大丈夫かな。)

 

レイはノクトと一緒に歩いている。

しかし、レイはノクトの少し後ろを歩いていた。

 

そんなレイを見かねたノクトは、

 

「レイさん」

 

「は、はい!?」

 

ノクトに呼ばれたレイは、目線を逸らしていた。

 

「私の隣に来て、一緒に歩いてはくれないのですか?」

 

「い、いや・・・・・、なんてゆうか、僕はこのままでも―――」

 

目線を逸らしながら答えていたレイにノクトが近づいて、いきなりレイの手を握った。

 

「な!?ななな、何をするですか!?ノクトさ―――」

 

「yes、レイさんとはぐれると困るのでこうしたのです」

 

ノクトに手をしっかりと握られているレイは、

 

「は、離してください‼ノクトさ――」

 

「no、学園(アカデミー)に戻るまでは、放しませんよ」

 

「分かりましたよ・・・・」

 

レイはノクトから手を離すことを諦め、ノクトに手を握られながら一緒に歩いた。

暫く二人は一緒に歩いていると、ノクトが急に足を止めた。

 

「うぉ!?ど、どうしたんですか、急に止まって・・・ん?」

 

レイはノクトの方を見ると、

どうやらノクトは、アクセサリーショップのショーケースの商品が気になり、足を止めたらしい。

 

「この店の商品が気になるんですか、ノクトさん?」

 

ノクトは頷き、

 

「yes、あの赤色の花を模した髪飾りが気になるのですが・・・・・・」

 

「あぁ、あれです――!」

 

レイはその髪飾りの値段を見て驚いた。

その髪飾りは、とてもじゃないが、買うのを躊躇(ためら)う値段だった。

 

「・・・・・そろそろ、移動しましょうか、レイさん」

 

「えっ、いいんですか?」

 

「yes、確かにあの髪飾りは綺麗でしたが、私には、似

合いませんから」

 

ノクトは何処と無く、落ち込んでいた。

そんなノクトを見たレイは、

 

「そ、そんなこと・・・・・」

 

しかしその声はとても小さく、

 

「レイさん、何か言いました?」

 

「い、いや、何にも言ってませんよ?」

 

二人はその後も手を握ったまま、街の至る所を歩いて回った。

気づくと何時の間にか、夕方になっていた。

二人は歩き疲れたのか、近くのベンチに座って休んでいた。

 

「レイさん、今日はどうでしたか?」

 

「た、楽しかったです・・・・・はい」

 

相変わらずレイは目線を逸らしていたが、レイの言葉を聞いたノクトは、表情は変わらないが少し嬉しそうに、

 

「yes、そうですか。それは良かったです」

 

(そういえば・・・・・、ここからあの場所に行けた筈だけど・・・・・)

 

急に黙り混んだレイにノクトは、

 

「レイさん、どうかしました?」

 

「んっ?え、え~とですね、ここから少し歩いた場所に景色のいい所があるんですよ・・・・・。行きますか?」

 

ノクトはベンチから立ち上がると、

 

「yes、ぜひとも行ってみたいです」

 

「わ、分かりました。あ、案内します」

 

レイもベンチから立ち上がり、目的地に行こうとするが、

 

「yes、忘れてました」

 

「どうかしまし――!」

 

ノクトはまた、レイの手を握ってきた。

 

「言いましたよね?学園(アカデミー)に戻るまではずっと手を握っていると」

 

「そっそんな~」

 

レイはまたしても手を離すのを諦めて、ノクトに手を握られたまま、歩き出した。

 

数十分後、

 

「ノ、ノクトさん、着きましたよ」

 

「yes、ここが・・・」

 

そこは町外れにある高台だった。

その場所から見える景色は、夕焼けで染まった街を一望することができた。

美しいオレンジ色に染まった街の景色を見たノクトは、

 

「ここから見る街の景色は綺麗ですね、レイさん」

 

「そうですね。そのうち、ルクス達も誘ってここに来たいですね」

 

するとノクトが突然、

 

「レイさん」

 

「な、なんですか?」

 

「また、()()()()でこの景色が見れると良いですね」

 

レイはノクトの言葉の意味がよく理解出来ず、

 

「?、そ、そうですね・・・」

 

そう返すしかなかった。

そうして、レイはノクトと手を握ったまま、一緒に学園(アカデミー)に帰った。

その日の夜、

浴場の掃除を終わらせたルクスとレイは、会話をしながら廊下を歩いていた。

 

「今日は肉体的にも精神的にも疲れたから早くベットで寝たいな。そういえば、ルクス達の方はどうだった?」

 

「どうだったって言われてもなぁ・・・・、特に何事もなく楽しくリーシャ様と、色んな所を歩いて回ったよ?それじゃあ聞くけど、レイの方はどうだったの?」

 

「どうだったって・・・・」

 

ルクスに聞かれたレイは今までの事を思い出し、顔を赤くした。

 

「ど、どうしたの?レイ、いきなり顔が赤くなったけど大丈夫?」

 

「だ、だだだ大丈夫だよ」

 

「そう?それならいいけど・・・・・」

 

二人の会話は終わり、自分達の部屋に戻ろうとしたが、

部屋の前に誰かがいることに気がついた。

 

「ねぇ、ルクス誰だろう、あれ?」

 

「さぁ?」

 

ルクスは警戒して機攻殻剣(ソード・デバイス)に手をかけた。

しかし、その警戒もすぐに解けた。

 

「おいおい、ルクス警戒し過ぎた。私だよ、私」

 

部屋の前にいたのはリーシャだった。

 

「リ、リーシャ様!?す、すみません!」

 

「いや、いいんだ。ちょっとルクス達に用事があって来たんだ」

 

リーシャの言葉にルクスとレイは首を傾げた。

 

「「こんな夜中に僕たちに用事・・・・・ですか?」」

 

「あぁ、とりあえず部屋の中に入れてくれ」

 

ルクスは部屋の鍵を開け、リーシャを中に入れた。

 

リーシャは部屋にあった椅子に座り、ルクス達も椅子に座った。

 

「そういえば、リーシャ様」

 

「なんだ、ルクス?」

 

「すみませんでした。「騎士団(シヴァレス)」に入隊できなくて」

 

リーシャは満面の笑みで、

 

「まぁ、気にするな。入隊の推薦は一週間後にも出来るからな。明日の放課後から、さっそく連携の練習をしょう・・・・・レイも一緒だぞ?」

 

急に話の矛先が自分に向いたレイは驚き、

 

「えっ、僕もですか!?リーシャ様!?」

 

「当たり前だろう!せっかく私が改造してやった機竜をまともに使えなくてどうする!」

 

リーシャに痛いところをつかれたレイは、目線を逸らしながら、

 

「そ、それは、そうですが・・・・・、そ、それより!リーシャ様の使っていた《キメラティック・ワイバーン》・・・でしたっけ?あれ、すごかったです!」

 

「なんか・・・・・話を逸らされた気がするが、まぁいいか。あの機竜を作るのは苦労したんだが、なんだ、欲しいのか、レイ?」

 

「あ、いや、そういうわけでは・・・・・」

 

「しかし、あれを操るのは大変だぞ?汎用機竜よりは強いが、操作難度が神装機竜並だからな。使ってみるか?」

 

「いえ、結構です」

 

話を聞いていると《キメラティック・ワイバーン》は現状、リーシャ以外の生徒には扱える代物では無いことがよく分かる。

 

「もっと扱いやすく改良したらどうですか?それこそ、「騎士団(シヴァレス)」以外の生徒にも扱えるような、王女として――」

 

そう、ルクスは自然と言葉が出た。

永きに渡る、帝国の支配。

そこから解き放たれた今だからこそ、民に慕われるような王女になってほしい。

そんなルクスの願望が、思わず出たのかもしれない。

 

「王女として?」

 

ルクスは頷き、

 

「は、はい・・・・・。新王国の姫としてその方がもっと、民のためになるかと―――」

 

しかしその言葉を断ち切るかのようにリーシャは、

 

「必要ない」

 

リーシャから返ってきた声の冷たさに、ルクスとレイはぞっとした。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

ノクトと一緒にデート?をしたレイ!
そして、リーシャは何を想い、何を語るのか!?

それでは次回!

次回「episode18 警報」


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「episode18 警報」

クステラです。
もう少しで原作1巻が終わりそうです。
早くあのシーンを書きたい・・・・。

それでは本編をお楽しみください。


「必要ない」

 

その声は、怒りでも、憎しみでも、悲しみでもない。

全ての色を失った、虚ろな声。

ほんの数秒だけ、周囲の空気が凍てつくような感覚にルクスとレイは襲われた。

 

「よく言われるよ。機竜開発の技術力も、校内戦での成績も、王女として誇らしいものだとか、素晴らしい成果だとか、そのことで王都に呼び出される度に、わたしはうんざりしていた」

 

それを聞いた二人は、

 

「「どういう・・・・・・、ことですか?」」

 

「その前にわたしの問いに答えてくれ。ルクス、レイ。

王女とは、なんなんだ」

 

たった一言の、簡単な疑問。

だが、それに対する答えを、二人は返すことができなかった。

 

「クーデターを起こしたわたしの父、アティスマータ伯は、その時に受けた傷により新王国の王座に座ることなく死んでしまった。

だが、その名前だけが残り、わたしの叔母である、ラフィ女王が国を継いだ。

そしてわたしは、亡き英傑の忘れ形見として、新王国の王女という座に就いた。

わたしはただ、「王女」というなの、ただのにんぎょうにすぎないんだ」

 

「「そんなことは・・・・・・・」」

 

「だが、国民はありがたがって、私という偶像を称えるんだよ。

面白いだろ?笑える話だ。

旧帝国が散々圧政を敷いてきたからな。

代わりとして、私に王女らしい、立派な人格者であることを強要するんだ。

それができなければ責め立てる。

お前には責任がある、逃げるな、使命を果たせと、訳のわからない事を言ってくる」

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

レイは下を向き、ルクスはリーシャを見ていた。

リーシャは立ち上がり、ベランダに出て、ルクス達の方に振り返った。

月明かりに照らし出されたリーシャの顔を見たルクスとレイは恐怖を覚えた。

普段のリーシャからでは、想像できない表情をしていた。

その表情を言葉で表すならば、

―――絶望―――

 

そして、リーシャはその表情のまま話し出した。

 

「なぁ、教えてくれよ。ルクス・アーカディア、レイ。

私に正しい王女の在り方というものを、帝国を滅ぼされた王子のルクス、帝国兵でもあったレイ。

そのお前達が教えてくれ」

 

「・・・・・・・僕には答え――――」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

二人は答えられなかった。

 

「私に押された烙印を、覚えているか?二人とも?」

 

リーシャが光無き瞳をルクスとレイに向けて、乾いた笑みを浮かべて言う。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・」」

 

「国民の大半は父を賞賛した。帝国を滅ぼした歴史に残る英雄なのだと、父はクーデターが起きる何年も前から、帝国と対立していた。その方針に異を唱えていた。当然、帝国側の人間から恨みを買った。

その息女が誘拐されるなど、珍しくないほどに――」

 

「・・・・・まさかっ!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

ルクスがその想像に至ったとき、リーシャはふっと笑った。

 

「そう、わたしは旧帝国に捕らえられていたんだ。

五年前のあの時にな。

わたしは父に見捨てられ、この烙印を押された」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

「実際、父は英雄だったんだろうな。あの旧帝国を倒すために、父は全ての力を注いでクーデターを計画していたはずだ。

わたしひとりの命なんかで、全てを台無しにするわけにはいかなかったんだろう。

私は父に見捨てられ、伯爵令嬢でもなんでもなくなった、わたしは牢屋で自害することを考えたが、怖くてそれすらもできなかった」

 

涙を流しながら、語ったリーシャ。

 

「だがそんな私を助けてくれた者がいた。

奴は名をゼロと言った。」

 

(‼・・・・やっぱりあの時の牢屋にいた女の子がリーシャ様だったんだ!)

 

「私はゼロに殺してくれと頼んだが、奴は怒り、私に生きろと言って鎖を壊し何処かに行ってしまった。

わたしは嬉しかった、こんなわたしに生きろと言ってくれる者がいてくれる事に」

 

(それってレイのことなんじゃ・・・)

 

ルクスはレイの方をチラッと見た。

レイはぶつぶつと何か、考えことをしながら呟いていた。

 

「レ、レイ?どうかした?」

 

「ん?あぁ、いやなんでもない」

 

「・・・・・、お前たち‼わたしの話を聞いているのか‼」

 

「「は、はい!ちゃんと聞いてます!」

 

何時の間にか、普段のリーシャに戻っていた。

 

「この時代では、機竜使い(ドラグナイト)が全てだ。

遺跡(ルイン)の調査他国との資源の縄張り争い、治安と主権。

全てに装甲機竜(ドラグナイト)が絡んでいる。

わたしが強くなることが、ある意味、国のためになる」

 

「確かにそうですけど・・・・・」

 

「ルクス、レイ。わたしはな、自分が何者なのかを知りたいんだ」

 

「わたしは誰にも負けない最強の機竜使い(ドラグナイト)になって、わたしというの存在理由を確かめたいんだ。そのためには、お前たちのちからが必要だ。

異論はないな、ルクス、レイ?」

 

「異論って・・・・・、もう決めてるんじゃないんですか?」

 

「出来る女は決断も速いんだよ」

 

リーシャは得意気に笑う。

 

「「あはは・・・」」

 

「まずは学園内の小隊対抗戦。それに勝利した後―――

次の戦いに臨む。各国代表との、校外対抗戦だ」

 

「「校外対抗戦?」」

 

聞き慣れない言葉に、ルクスとレイが首を傾げると、

 

「なんだ、知らないのか?色んな所で雑用をしていた割には世界情勢を知らないんだな?よし、良いだろう!

わたしが直々に教えてやろう!現在、この新王国では、いつ起こるかもしれない、三つの危機があるんだ」

 

一つ目の危機は、クーデター後に潜伏している、旧帝国軍の反乱軍。

二つ目の危機は、遺跡(ルイン)から出没する、幻神獣(アビス)の存在。

三つ目の危機は、遺跡(ルイン)自体の調査における、他国との縄張り争い。

 

「新王国が誕生したとはいえ、旧帝国の残党がまだまだ残っている。

帝国を支持していた(やから)が隣国に等に逃れ、

協力する組織を得て、今なお―――武力による政権の奪還を狙っているんだ」

 

実際、旧帝国の反乱軍は、現在の新王国の正規軍より、その数は多いとも噂されている。

ただ、ここ数年間、その姿を見せていないだけで。

 

「・・・・・・」

 

そんなこと、させはしない。新王国に牙をむくなら、誰であろうと僕が敵を全員殺す

 

レイの方から何か聞こえたルクスは、

 

「レイ、何か言った?」

 

「ん?なにも言ってないよ?」

 

「おい、話の続きをしていいか?」

 

「「お願いします」」

 

リーシャは咳払いをして、

 

「次に―――、幻神獣(アビス)の問題だ」

 

遺跡(ルイン)そのもの、あるいはその周囲から現れる、謎の生命体。

遺跡(ルイン)から装甲機竜(ドラグライド)をはじめ、様々な物が発掘されることがわかっていながら、なかなか各国の調査が進まないのは、幻神獣(アビス)が関わっているからだ。

遺跡(ルイン)での調査を強行した結果、出現した幻神獣(アビス)により、一夜にして付近の村や、都市、小国が壊滅したという事例もある。

分かってることは、幻神獣(アビス)の体内にある核を破壊できれば、殺すことが可能だということ。

だが、それには多くの危険が伴う上に、装甲機竜(ドラグライド)以外の戦力では歯が立たない。

 

「そして―――、三つ目が各国との縄張り争いだ」

 

何処の国の領地か曖昧な場所の遺跡(ルイン)もある

そこでひとつの協定が結ばれ、各国での「遺跡(ルイン)調査権」ともいうべきもの勝ち取るための、機竜使い(ドラグナイト)たちの摸疑戦を開催されることになった。

 

「じゃ、じゃあそれまでに僕たちは」

 

「あぁ、わたしは対抗戦までに最強の部隊を揃えたいんだ。

そのために、わざわざ、お前達を学園に入れ、「騎士団(シヴァレス)」に入隊させようとしたのに―――」

 

リーシャは頬を膨らませている。

「いや、その・・・・・。気持ちはよく分かりますが、僕はその、防御しかうまくないし―――」

 

「攻撃の練習をしろ!」

 

リーシャに指をさされて、怒られるルクス。

 

「だいたい、あれだけの攻撃を避けられるんだから、攻撃の経験さえ積めば、お前はわたしの見込み通り、「騎士団(シヴァレス)」でも指折りの実力者として、認められるはずなんだ。そして、わ、わたしの初めてのパートナーとして―――」

 

顔を赤くしているリーシャを見てレイは、

 

「僕はじゃあ、リーシャ様が改造したあの機竜を扱えるようなればいいですよね、リーシャ様?」

 

「う、うむ。そうだな」

 

「それじゃあ、僕は今からそこら辺で機竜を使って、訓練してきます」

 

レイは、足早に部屋を出た。

 

「と、とりあえず、ルクス。お前の課題はそれだ。

わたしの護衛として、特別に「騎士団(シヴァレス)」と同じ権限が持てないか、学園長に掛け合っておく」

 

「えぇっ!」

 

「攻撃はできないが、やられない機竜使い(ドラグナイト)というのも、十分に価値があると思うんだ。

まぁ、要するに、わたしの盾として活躍してほしい」

 

「それはちょっと、酷いんじゃないですか?」

 

色んな意味で酷い。

 

「―――それより、お前が持っているもう一本の機攻殻剣(ソード・デバイス)だが、ちょっと興味があるんだが、見せてくれないか?いい素材なら改造してみたいんだ」

 

「こ、これはちょっと・・・・・」

 

ふいに目を光らせるリーシャを見て、ルクスは慌てて、

 

「どうかしたか、ルクス?」

 

「これは一応・・・・・。僕が厳重に管理しなさいと女王陛下に言われておりますので・・・・」

 

「なんだよー、ケチー。見せてくれたって良いじゃないか」

 

不満げに、リーシャは口を尖らせる。

 

「そうゆうことなら、後で女王陛下に許可を貰っておこう、それまでお前がしっかり責任を持って、その剣を守っておけ」

 

「分かりました・・・・・」

 

「どうした?具合でも悪いのか。疲れているなら横になった方が――」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「ならいいんだが・・・・・、じゃあまた明日な、ルクス」

 

リーシャは、ルクス達の部屋を出た。

 

「・・・・・・・・はぁ」

 

そうして、ルクスはベッドに寝て、考え事をしたのち眠った。

 

 

 

 

 

一方その頃、レイは中庭に一人で星空を見上げていた。

 

(・・・・・・、今のままじゃ僕は誰も守れない。強くならないといけないんだ。この国にいる人々と、学園(アカデミー)の皆を守るために・・・・・)

 

そして、レイは訓練を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

太陽が昇りはじめた頃、レイは訓練を終了した。

 

「はぁ・・・はぁ・・・もう朝か、今日はこのくらいでいいかな。また、明日も練習しない―――」

 

ゴオォォオオオォォン‼

 

「な、なんだぁ!?」

 

突然、一番街区の時計塔から、大きな鐘の音聞こえてきた。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

訓練をしたレイは、リーシャが改造した機竜を扱えるようになったのか!?

それではまた次のepisodeで。

次回、「episode19 黒き竜と青き竜 前編」


「お前はルクス達の敵だ。だから・・・ここで死ね」


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「episode19 黒き竜と青き竜 前編」

クステラです。
オリジナル幻神獣(アビス)を出したのはいいけど、どういう展開にするかで悩んでいて、間が空いてしまいました。
申し訳ございません。
また、間が空くかもしれませんが、気長に待っていてください。

それでは、本編をどうぞ

(誤字、脱字がありましたらご報告下さい。
それと今回は長くなるので、「前編」と「後編」に分けました。本当に申し訳ございませんm(__)m)


ゴオォォオオォン!ゴオォォオオォン!

 

「この音は一体・・・・!?」

 

時間を告げる音では無いのは確かだ。

しかし、レイは嫌な予感がして、

 

「一旦、部屋に戻るか」

 

レイは中庭を後にした。

部屋に戻ると、ルクスの他にリーシャ、クルルシファー、フィルフィ、三和音(トライアド)の三人、それにアイリまでもが、ルクスとレイの部屋に集まっていた。

 

「うおっ!?み、みみみ皆さんこんなところに集まってど、どうかした―――」

 

「おお、レイ。丁度良いところに来たな。それでは皆、急いで格納庫に向か――」

 

どこかに向かおうとしているリーシャを引き留め、

 

「あ、あのー、リーシャ様?この鐘の音は一体なんですか?」

 

「ん?あぁ、これはな敵の襲来を告げる鐘の音だ。急げ、レイ、お前も一緒に行くぞ」

 

「っ!分かりました・・・、すぐに準備します」

 

レイは壁に立て掛けてあった機攻殻剣(ソード・デバイス)を腰に差し、行こうとするが、

 

(・・・・・・・一応持っていくか)

 

そう言うとレイは()()()()()()()機攻殻剣(ソード・デバイス)を持ち、道化師の仮面を被り、リーシャ達と共に格納庫に向かった。

城塞都市クロスフィード、第四機竜格納庫。

ルクス達は、装衣を着用していた。

ルクス達の前にライグリィ教官が立ち、

 

「よし、全員揃ったな。では、諸君らに現在、どういう状況か説明する」

 

警鐘の理由は幻神獣(アビス)の出現。

機竜使い(ドラグナイト)の報告では、大型の固体、一体らしい。

城塞都市から遺跡(ルイン)の間には、三つの砦があるものの、既に砦が二つ突破され、事態は急を要するとの話。

 

「現在の第三の砦に常駐(じょうちゅう)している警備部隊の機竜使い(ドラグナイト)数名が、幻神獣(アビス)の討伐に向かっている。

しかし、敵は大型であるため突破され、城塞都市にまで被害が及ぶ可能性がある。

我々も迎撃部隊を編成し、戦闘に備える。

各自、準備整え待機していろ」

 

いつにもなく真剣な声音でライグリィ教官がそう告げ、話は終わった。

既に、王都にも救援要請をしているとの説明もあったが、

 

「王都に救援要請なんて無意味な事なのに・・・・・」

 

「「え・・・・?」」

 

格納庫の壁際に佇んでいたクルルシファーの呟きに疑問を感じたレイは、

 

無意味ってどういうことですか?クルルシファーさん?」

 

「王都からの応援なんて、期待できるものでは無いということよ」

 

「おいおい、クルルシファー。ストレートに言い過ぎだぞ」

 

ふいにやって来た三和音(トライアド)のうちの一人、シャリスが苦笑いしながらそう言った。

 

「・・・・・まぁ、事実だから仕方無いんだがな」

 

「どうして王都からの応援が期待が出来ないんですか?」

 

「なんだ知らないのか、二人とも?わたしは、てっきりこの国の軍事情勢について、知っていると思ってたんだが」

 

「要するにー、人手が足りないんだよ」

 

傍にいたティルファーがそう補足する。

 

「yes、ここが普通の都市ではないことは、ルクスさん達もご存じのはずですが?」

 

ノクトも言葉を添えるとシャリス達、「騎士団(シヴァレス)」の三人はゆっくりと扉の方へ、歩いていく。

 

「三人とも、どこへ行くんですか?」

 

ルクスの問いにシャリスが答えた。

 

「我々は、騎士団(シヴァレス)だからね。

有事の際には率先して出張らないといけないのさ。

まぁ、騎士団(シヴァレス)に所属すれば、確かに厚遇が受けられるが、そのほとんどは危険を伴う任務なのだがね」

 

シャリスの言葉に補足をするようにノクトが、

 

「yes、それに今は軍の機竜使い(ドラグナイト)のほとんどが出払っているため、幻神獣(アビス)に対抗出来る戦力が少ないのです。

なので私たちが行くしかないのです」

 

そして、格納庫から三人は出ていってしまった。

おそらく、演習場で機竜を纏い、幻神獣(アビス)の討伐に向かうのだろう。

 

「ルクス、レイ。それじゃあ、行ってくるぞ」

 

ルクスとレイに話しかけてきたのは、装衣を身に纏ったリーシャだった。

大型の幻神獣(アビス)の襲来。

緊迫した状況のにもかかわらず、リーシャの表情にはどこか余裕があった。

 

「お気をつけて、リーシャ様」

 

「気をつけて」

 

「わたしは全然平気だぞ。わたしは神装機竜を使えるからな、簡単には負けないさ。

しかし・・・・・、お前たちと一緒に行けなくて残念だよ。

わたしが立てた戦術で、大型の幻神獣(アビス)などあっという間に倒してやるというのに」

 

昨日、落ち込んでいたことなど無かったように、リーシャは二人に笑顔を見せる。

格納庫から、「騎士団(シヴァレス)」のメンバーはいなくなり、残ったのは、クルルシファー、フィルフィ、ルクス、レイの四人だけである。

どうやら、神装竜を使えるフィルフィは城塞都市の防衛のために残るようだが、他の機竜使い(ドラグナイト)は全員、幻神獣(アビス)討伐のために出撃していた。

 

「ねぇ、ルクス」

 

「どうしたの、レイ?」

 

「ちょっと用事があるから少し席を外す」

 

「分かった」

 

「すぐに戻ってくるから」

 

レイは格納庫から出てある場所に向かった。

 

一人になったルクスは辺りを見回すと、壁に寄り掛かるようにして立っていたクルルシファーの姿があった。

 

「クルルシファーさんは、討伐しに行かないんですか?」

 

「わたしのような他の国からの留学生には、学園(アカデミー)の校則で独自の戦闘基準が定められているのよ」

 

クルルシファーは表情を変えず、語り続ける。

 

幻神獣(アビス)との直接戦闘には、わたしが関わる理由はないのよ。協力するのは自由なのだけど、わたしが手伝えば、わたしの国からは何を言われるか分かったものじゃないから、そうするつもりはないわ」

 

クルルシファーは北の大国、ユミルからの留学生。

機竜の技術と知識を学ぶことが目的なら、他国の危機に率先してして戦い、命を失うことなどもってのほか、ということなのだろう。

つまり、「騎士団(シヴァレス)」の一員で、尚且つ神装機竜が使えるクルルシファーが討伐に向かわないとなると、リーシャ率いる「騎士団(シヴァレス)」が危険になるということだ。

 

「・・・・・・・」

 

ルクスが下を向き、黙っていると、

 

「気にすることは無いわ」

 

「えっ?・・・・・」

 

「私たちは、今は戦うべき人間ではない。

そういう状況が起きても仕方ないことなのよ。

それに、あなたは「騎士団(シヴァレス)」に入隊してない一般生徒。

今の状況で戦えない自分のことを、気にする必要は無いと思うわ」

 

クルルシファーとの会話が終わったのと同時に、格納庫の扉が開きレイが戻ってきた。

 

「ただいま、ルクス」

 

「あぁ、おかえりなさい」

 

「ところで、どこに行ってきたの?」

 

「自室だよ。コレが無いと、()()()機攻殻剣(ソード・デバイス)は起動しないからね」

 

そう言うとレイは袋を取りだした。

袋の中には、特殊な形をした機攻殻剣(ソード・デバイス)を起動するために必要なメモリーチップが数枚入っていた。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

「こいつが―――討伐対象の幻神獣(アビス)か?」

 

目標から少し離れた場所から「騎士団(シヴァレス)」のメンバー数十名は、幻神獣(アビス)の姿を確認する。

足などは無く、体内が透けて中に赤黒い球体――核と呼ばれる物が見える、ゼリーのような見た目の生物だった。

知性を持たないと言われている、スライム型。

しかしその幻神獣(アビス)は情報通り、城ひとつを飲み込めるほどの巨体だった。

リーシャは、どうやってこの幻神獣(アビス)を倒すかを考え、

 

「よし、機竜息砲(キャノン)を使って奴を倒すぞ」

 

笑みを浮かべ、部隊長を任されたリーシャはスライム型の幻神獣(アビス)に向けて機竜息砲(キャノン)を撃とうとするが突然、

 

―――キイィィイイィィィイイ

 

どこからか、奇妙な笛の音が辺りに響いた。

 

(なんだ、この音は?一体どこから―――)

 

リーズシャルテがそう思ったとき、スライム型の幻神獣(アビス)に異変が起き始めた。

 

突然、スライム型の幻神獣(アビス)が動かなくなると、下から半透明の身体がゆっくりと白くなっていった。

そして、完全に白くなったスライム型の幻神獣(アビス)はそれから動かなくなった。

それを見たリーシャは、

 

「動かない今なら奴に近づいても大丈夫だろう。

全員、主砲にエネルギーを最大充填しろ。

幻神獣(アビス)に一斉射撃をして、確実に倒すぞ」

 

リーシャは早速、行動しようとするがノクトが竜声で話しかけて来た。

 

「yes、リーズシャルテ様、あまり幻神獣(アビス)に近づくのは、危険かと」

 

「なに近づいても大丈夫だろう。現にあの幻神獣(アビス)はあの姿になってから動いていないからな、倒すなら今しかない、分かったか?」

 

「・・・・・yes、分かりました」

 

エネルギーを最大充填した装甲機竜(ドラグライド)幻神獣(アビス)の周りを取り囲み、

 

(これなら確実に倒せるだろう。私たちの勝ちだ!)

 

十数機の装甲機竜(ドラグライド)から放たれた砲撃は、全て幻神獣(アビス)に命中した。

が、しかし。

突如、幻神獣(アビス)の身体が茶色くなり、所々に突起物が発生し、そこから無数の光弾が「騎士団(シヴァレス)」のメンバーに向かって、放たれた。

 

部隊長であるリーシャは急ぎ、

 

「全員、障壁を展開しろ!機竜咆哮(ハウリングロア)も使――!」

 

リーシャの叫びは、無数の光弾によって掻き消された。

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「あれ?」

 

「なんだこれ?」

 

二人は当てもなく格納庫を歩いていると、外にフィルフィがいることに気づき二人は外に出た。

 

「フィーちゃん、こんなところで何してるの?」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

フィルフィからの返事はない。

まるでレイの声が聞こえていないかのようにずっと空を見つめていた。

 

「ねぇ、フィ――」

 

「音が、聞こえた」

 

「えっ?」

 

空を見つめたまま、フィルフィはぽつりと呟いた。

 

「音なんて聞こえないよ?」

 

レイがそう問い返すと、

 

「「騎士団(シヴァレス)」の皆が、いる方角から、聞こえてくる・・・・・・」

 

「・・・・・!?」

 

ルクスは、フィルフィから呟かれた一言によってある考えに至った。

 

「ま、まさか!?」

 

ドオォォオオォォン‼

 

ふいに、地鳴りのような振動で、格納庫が揺れた。

 

「嫌な予感がする、様子を見に行こう、レイ」

 

「あぁ、分かった」

 

「ルーちゃん、レーちゃん、気をつけて」

 

急いで演習場に向かったルクスとレイを、フィルフィは声だけで見送って、

 

「「騎士団(シヴァレス)」の皆を助けてあげて、わたしの代わりに――」

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

大型の幻神獣(アビス)と交戦していた「騎士団(シヴァレス)」の部隊は、全滅しかけていた。

幻神獣(アビス)から放たれた光弾により、装甲機竜(ドラグライド)は全機、半壊。

何人かの「騎士団(シヴァレス)」のメンバーは怪我を負っていた。

 

「くッ!まだ、動ける「騎士団(シヴァレス)」のメンバーは、他のメンバーを連れて一旦、下がれ‼」

 

「りょ、了解!」

 

勝利を確信していた攻撃の失敗。

幻神獣(アビス)の攻撃により、撤退も考えなければならない程の損害を出してしまったリーシャは呻いていた。

 

「わたしのせいで、作戦の続行不可能になってしまった…一体どうすれば・・・・・・」

 

リーシャは次の作戦を考え始めたが、

 

「お前が幻神獣(アビス)に対して、油断をしていたからこんな大惨事を招いたんだぞ。リーズシャルテよ」

 

「・・・・・・っ!?誰だ!?」

 

ふいに竜声を通じて、どこからか――男の声が聞こえてきた。

リーシャは辺りを見回すと、

灰色の機竜を纏った男が近くにいることを確認した。

騎士団(シヴァレス)」のメンバーでは無いことは確かだ。

男は竜声でリーシャに、

 

「やはり、お前は新王国の王女などという器ではない。帝国の所有物なのだよ」

 

「・・・ッ!貴様、なぜその事を知っている!」

 

男のからの一言によりリーシャは完全に男の方に意識が集中してしまった。

すると突然、

 

「くぅ――!」

 

男がリーシャに向けて、機竜息砲(キャノン)を放ち、リーシャはそれを避けようとするが間に合わず、機竜ごとリーシャは地面に落下した。

 

「う・・・・くぅ!一体何のつもりだ!?王都から配備された、警備部隊ではないのか・・・・・!?」

 

地面に落ちたリーシャは、上空に佇んでいる機竜使い(ドラグナイト)の男を睨んで、そう叫ぶ。

しかし、男は落ち着いた様子で、

 

「それは間違いでございます」

 

嘲るようにそう言い切った。

 

「わたしがやって来たのは、()()からでごさいますよ。

リーズシャルテ王女殿下。

()()()()()()()()()()()()()()()、ベルベット・バルトが、わたしの名です」

 

「・・・・・ッ!?」

 

竜声を介して、告げられた事実にリーシャは驚いた。

クーデターによって、旧帝国が滅びた後。

帝国側に辛うじて生き残っていた機竜使い(ドラグナイト)たちは、一度戦犯として牢に入れられた。

しかし、新王国に忠誠を誓い新王国の機竜使い(ドラグナイト)として、再び士官になっていたのだが――。

「帝都から来た」、という一言を聞いて、リーシャは男の正体を察する。

 

「新王国を裏切ったのか?わざわざ遺跡(ルイン)から、幻神獣(アビス)まで連れてきて――」

 

「裏切った?人聞きの悪いことは、言わないでいただきたい。

正道に立ち返ったのですよ。

力を得てね」

 

勝ち誇ったかのような男の声が、竜声を介して、聞こえてくる。

 

機竜息砲(キャノン)一発でわたしに勝てると思ってるのか?

お前こそ油断してると足元をすくわれるぞ、ベルベット」

 

ベルベットからの攻撃を受けてなお、リーシャは冷静にそう告げた。

それを聞いたベルベット余裕の表情をしていた。

 

「わたしはあなたのように戦場で油断なんかいたしませんよ。

こうしてここにあなたをおびきだしたのも、勝算あってのことですから。

まぁ・・・・・ひとつ想定外の事態が起きているのですが」

 

そう言うとベルベットは、ゆっくり動いている大型の幻神獣(アビス)に指を指した。

 

「あれは本来、笛によって大量の幻神獣(アビス)を生み出すためにあったのですが、あんなものになってしまいましたよ。

まぁ、このまま奴が新王国に向かえば、新王国も為す術なく滅びるでしょうがねぇ」

 

「――――そんなこと、させてたまるか!

――目覚めろ、開闢(かいびゃく)の祖。一個にて軍を為す神々の王竜よ《ティアマト》!」

 

リーシャは、破損した《キメラティック・ワイバーン》の接続を解除して、神装機竜《ティアマト》を纏った。

 

しかし、

 

「リーズシャルテ様、危険です!撤退してください!」

 

そこには、他の「騎士団(シヴァレス)」のメンバーを砦に送って戻ってきた、三和音(トライアド)の三人の姿があった。

 

「なッ!お前たち、なぜ戻ってきた!」

 

「リーズシャルテ様のことだから、一人で幻神獣(アビス)と交戦すると思い連れ戻しに来たのです」

 

「そうですよー!ここは一旦、砦に戻りましょうよー!」

 

「yes、せめてリーズシャルテ様だけでも、砦に戻ってください。

姫であるあなたが、ここでやられるわけにはいきません。

新王国の人々のためにも」

 

だが、リーシャは、

 

「・・・・・わたしが生き延びるのも王女としての責任―――そういうことか?」

 

リーシャの声が竜声を通じて返ってくる。

 

「・・・・・わたしはやはり、王女になんて向いてないのかもしれないな」

 

「「「えっ?」」」

 

「わたしはな――――辛いんだよ。

誰かの犠牲により生き残って、誰かの死を英雄と称え、残った市民に演説のひとつでもして、拍手を浴びるなんてさ」

 

「「「・・・・・・・」」」

 

「だからさ、わたしは戦うよ。

それがわたしに出来る、王女としての役目なんだ」

 

言い切ると同時にリーシャは、

 

三和音(トライアド)の三人に告ぐ。

シャリス、ティルファーはわたしの援護をしてくれ。

でも、くれぐれも無理はするなよ。

ノクト、お前は一度、城塞都市に戻り学園にこの事を伝えて指示を仰げ」

 

「yes、了解致しました、リーズシャルテ様」

 

返事の直後、ノクトはクロスフィードに向けて滑走した。

同時に、シャリスとティルファーは武装を構えた。

 

「さぁ、行くぞ、ベルベット!」

 

機攻殻剣(ソード・デバイス)を振るい、リーシャは付属武装を召喚する。

 

「口の減らない王女様だな」

 

警備部隊長のベルベットは幻神獣(アビス)に命令をしようと、再び笛を吹いた。

しかし、その行為が仇となった。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

「以上が、わたしが遠距離から視認し、わたしがノクトさんからの竜声を介して聞いた、現在の戦況よ」

 

神装機竜《ファフニール》の速度を以てクルルシファーが持ち帰った事実に待機中の生徒たちは、静まり返っていた。

 

「分かった、協力感謝する。クルルシファー」

 

幻神獣(アビス)を連れてきたのが、警備部隊長にして旧帝国の意思を継ぐ反乱軍の男。

そして、その幻神獣(アビス)の攻撃により、現状での城塞都市の最大戦力、「騎士団(シヴァレス)」が壊滅寸前であること。

 

「ねぇ、ルクス」

 

「・・・・言わなくても分かってるよ。行こう、レイ」

 

ルクスとレイは、格納庫の外に向かおうするが、扉の前に思い詰めた表情のアイリが立っていた。

 

「どこへ行くつもりですか?兄さん、レイさん」

 

覚悟を決めた顔つきのルクスと仮面を外したレイにアイリは尋ねる。

 

「「リーシャ様を助けに行く」」

 

「行ってはダメです!」

 

そうきっぱりと、アイリは告げる。

 

「今の兄さんたちには、出来ることなんてないんです。

だから、ここでおとなしく―――」

 

レイは、アイリの言葉を遮り、

 

「確かに、アイリの言うとおり、今の僕たちに出来ることなんて無いのかもしれない」

 

「それじゃあ―――」

 

「だけど、ただここで、リーシャ様たちの帰りを待つわけにもいかないんだ。

新王国には大切な人たちが大勢いるし、僕たちには大事な目的がある。

どちらも守るためには、この国に危害を及ぼそうとする敵を全て倒さないといけない。分かってくれる?アイリ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「大丈夫、僕たちは必ずここに帰ってくるから、アイリを一人にはさせないから。ね、ルクス?」

 

「レイの言うとおりだよ。

僕たちはアイリを一人にはさせない。約束するよ」

 

アイリは二人の言葉を聞き、静かにうつむいた。

 

「兄さんの機竜の出力調整は既に済んでます。

レイさんの機竜も一応、使えますが、不明な点がいくつもありましたので、あまり解析できませんでした。

兄さんは十分、レイさんは五分位が限界と思われます」

 

「ありがとう、アイリ」

 

「五分かぁ。まぁ、なんとかなるでしょ。ありがとう、アイリ」

 

「くれぐれも無理はしないでください。

二人とも。それと、レイさん、()()チップだけは使わないでくださいね」

 

真剣な顔でアイリはレイにそう告げる。

 

「・・・・・分かった。あれだけは使わないようにするよ」

 

レイは頷き、アイリはほっと安堵のため息をついた。

その間にルクスは、扉の外にいた、クルルシファーに話しかけていた。

 

「クルルシファーさん、お願いがあります」

 

「・・・・・何かしら」

 

「クルルシファーさんの《ファフニール》を起動させてください。僕の援護ではなく、リーシャ様を救うために。もちろん、対価は払います。

僕は「黒き英雄」と「機竜喰いの道化師」の正体を知っています。どうです?《ファフニール》を起動してくれますか?」

 

「・・・・・分かったわ」

 

クルルシファーは、ルクスの提示した条件を了解して頷いた。

 

「では、行きましょう」

 

「ええ、行きましょうか」

 

二人は、同時に機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜こうとした瞬間、二人の後ろからレイが走ってきた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・、ち、ちょっと待ってよ、二人とも、置いてくなんて酷いよ」

 

 

レイは呼吸を整えて、改めて三人で機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜き払った。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

「くっ・・・・・!」

 

「これは・・・・・なかなか!」

 

「さすがにこれを全部避けるのはきっついなー!」

 

リーシャたちは、地上にいる幻神獣(アビス)から放たれた光弾を必死に避けていた。

ベルベットも一緒になって。

 

「や、やめろ!なぜ、奴等と一緒にわたしを攻撃する!?幻神獣(アビス)!笛の力によってわたしはお前の動きを支配しているはず!敵は奴等だ!奴等だけを攻撃し――ぐぁ!」

 

幻神獣(アビス)がなぜ、ベルベットも一緒に攻撃しているかというと、ベルベットが笛を吹いた途端、幻神獣(アビス)は笛の音に反応して、ベルベットの方を向いた。

そして、突起物から、光弾を一斉に放った。

 

「はぁ・・・、はぁ・・・!守りに徹しているだけじゃ

、いつまで経っても幻神獣(アビス)を倒せない!・・・・・仕方ない、こうなったら、 「空挺要塞(レギオン)」、「天声(スプレッシャー)」、「七つの竜頭(セブンズヘッズ)」を全て使って、幻神獣(アビス)を倒す!」

 

リーシャは《ティアマト》の三大武装を発動させた。

合計十六機の「空挺要塞(レギオン)」で幻神獣(アビス)の突起物を切り落とし、「天声(スプレッシャー)」で動きを封じ、「七つの竜頭《セブンズヘッズ」の最大砲撃で攻撃した。

 

「ど、どうだ!さすがの幻神獣(アビス)も、この攻撃には耐えられまい。なんせ《ティアマト》の三大武装を全て使ったんだ、さすが倒せたは・・・ず・・」

 

しかし、幻神獣(アビス)は健在していた。

《ティアマト》からの攻撃を全て耐えて。

それどころか、幻神獣(アビス)の見た目が変わっていた。

先程まで棘の生えた球体みたいな見た目だったのが、完全に人型となっていた。

体色は赤黒い色となり、身体中は無数の棘で覆われ、背中には翼が生え、右腕には七つの竜頭(セブンズヘッズ)に似た巨砲が付いていた。

 

そして、幻神獣(アビス)はゆっくりと空を見上げ、

 

「グギャァァァアァァ!!」

 

空気が震えるほどの咆哮をあげ、その場にいた機竜使い(ドラグナイト)全員が耳を塞いだ。

 

「くぅ・・・・・!」

 

「み、耳がっ・・・・!」

 

「こ、これ以上は・・・・!」

 

耳を塞いでいるリーシャたちは、幻神獣(アビス)から離れようとしたが、

突然、機竜ごとリーシャたちは落下し、地面に叩きつけられた。

 

「こ、これは、《ティアマト》の「天声(スプレッシャー)」・・・!なぜ、幻神獣(アビス)が使って―――ぐぅ!」

 

リーシャは起き上がろうとするが、重くのしかかってくる重力によりそれは不可能だった。

幻神獣(アビス)は地面に倒れている()()

、右腕に付いている巨砲を向け、エネルギーを溜め始めた。

 

「くッ!ここまで・・・・なのか、ルクス、レイ・・・・!」

 

「最後に、学園(アカデミー)のみんなに会いたかったな・・・・」

 

「あはは、もう・・・・、みんなに会えないのかなぁ・・・・・」」

 

三人は諦め、涙を流した。

突然、竜声から聞き覚えのある声がした。

 

「「今・・・、助けます!」」

 

突然、幻神獣(アビス)の頭部が攻撃を受け、

リーシャたちは、重力から解放された。

上空を見ると、機竜を纏ったルクスとレイが降りてきていた。

 

「ご無事ですか、三人とも!?」

 

「大丈夫ですか、三人とも!?」

 

ルクスとレイの姿を見た三人は、

 

「ル、ルクス、レイ!!」

 

「ルクスくん、レイくん!!」

 

「ルクっち、レイっち!!」

 

三人は、ルクスとレイに近づいた。

 

「うぅ、ルクス、レイ。わたしはもう・・・・・、ダメかと思ったぞ・・・・・、ぐす」

 

「ルクスくん、レイくん・・・・・。ぐす、助かったよ、ありがとう」

 

「ルクっちー!レイっちー!来てくれるって、信じてたよー!」

 

三人の顔は、涙で顔がくしゃくしゃになっていた。

そんな三人を見た、ルクスとレイは、

 

「もう大丈夫ですよ。リーシャ様、シャリス先輩、ティルファー」

 

「ところで、何があったんですか、リーシャ様?あの幻神獣(アビス)の姿は一体?」

 

「それは、わたしから話そう」

 

涙を拭ったリーシャは、ルクスとレイにノクトがいなくなった後の出来事を話をした。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
オリジナル展開でしたが、いかがだったでしょうか?
原作にはない、展開を書くのも面白いものです。

それでは、また次回


強大な力を有する幻神獣(アビス)にルクスとレイは勝てるのか!?

そして、解放される倶利伽羅(クリカラ)の新たなる姿と力!


次回 「episode20 黒き竜と青き竜 後編」


(ちなみに今回のオリジナル幻神獣(アビス)はあるウルトラ怪獣をモチーフにしています。分かった人は、感想に書いてください。答え合わせは次回のepisodeの最後にします。
・・・そもそも、これを読んでいる人が特撮ものに興味があるのかすら謎)




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