バトルスピリッツ リヴァイヴ(rivive) (()())
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プロローグ ~終わらない旅路~
身体が焼けるように熱い。
手や足の感覚は既に無く動かせず、深い…深い真っ赤な世界を沈んでいく。
俺はこのまま死んでしまうのか、それも悪くない。もう何も考えたくない。でも・・・。
異界王を倒したのは俺だ。だから俺が異界王の代わりに世界を救った。そのためなら自分の命だって厭わない。
そう覚悟を決めたはずなのにあの女のせいで生を手放したく無くなってしまった。生きて帰って皆で笑ってバトルしたい、そう思ってしまう。
だけどそれは叶わない、叶う訳がない。だって俺はここで死ぬのだから。
俺はその瞬間不思議な光に包まれた。
『死なないわ。』
どこからともなく女性の声が聞こえてくる。
―――… 何だ?幻聴ならやめてくれ。
『あら?私の事覚えてないの?』
―――… すまない、俺はお前を誰か知らない。
『じゃあズングリーのカレーも忘れちゃった?』
―――… それを知っているのは俺と一緒に旅をした元コアの光主の皆だけのはず・・・いや、もう一人いる!けど…まさかそんな。
俺はあり得ないと思いながらもこの声の主を知っていた。あまりの驚きに錯乱しかける。
『フフフ、まだまだ子供ね。もっと歳を取らないと、私みたいにね?」
―――… マギサ!?そんな事ありえるはずがない!だって帰ったんじゃ・・・。
『そう・・・私は帰ったわ。そしてまたここに来た、おかしな話じゃないでしょ?だって私、マザーコアの光主だから♪』
―――… あまり深くは聞かないようにしておく、それで俺はどうなる。
マギサは少し間を置いて話始めた。
『ダン、貴方は死んだわ。【あの世界】ではね。』
―――… どういう事だ。
『転生って知ってるかしら。』
―――… 分からない。バトスピの話か?
『残念だけど違うわ。転生って言うのは死んだ人が新しく生まれ変わる事を言うの。それと似たような事をダンにはして貰うわ。』
―――… 生まれ変わりという訳か。だったら俺の記憶は全部無くなるんだな・・・。
『いえ、無くならないわよ。ダンはそのまま他の世界に転生するの。身体は勿論心も記憶も全て前の世界のまま、どう?ワクワクする?』
姿は見えなくてもマギサの笑っている情景が思い浮かぶ。昔と変わらず良い女だな。
―――… まゐ・・いや、もう元の世界には戻れないのか?
『私が全て分かる世界はグラン・ロロだけなの。』
―――… その世界はグラン・ロロじゃないのか?
『違うわ、もっと言えばそれは私も知らない世界なの。私に出来たのはその世界にダンの魂を宿す現身を作る事とその現身にダンの魂を送る事だけ。』
―――… もう長くないのか・・・。
話が少し胆略化し過ぎている。声は落ち着いているがかなり焦っているみたいだ。
『ごめんね、もっと一杯色んな事話したかったけど世界が移り変われば私はもう干渉出来なくなるの。だけど久しぶりにダンと話が出来て楽しかったわ。』
―――… 俺もだ。
『違う世界と言っても根本的にはグラン・ロロと同じだからね。それじゃあ行ってらっしゃい、新しい道がまだ続いているわ。」
光がより一層眩く光る。この先には俺の知らない世界があるんだ。俺は初めてグラン・ロロに来た頃を思い出した。知らない人達、知らない土地なのに不思議と心臓の鼓動が早くなる感覚。
今の俺に身体は無いけれど分かるんだ、俺はワクワクしている。
クラッキー、剣蔵、硯 そしてまゐ。ごめん、俺はまだ生きているのに帰れそうにない。でもきっと帰って見せる。この先何が起ころうとも絶対に帰って見せる。
もうマギサの声も聞こえなくなった。俺の視界は真っ白に覆われる。何も見えなくなり俺は次第に身体の感覚が甦り始める。
「行こう!新しい世界へ!」
初めまして。ここ最近ブレイブについて思い出して後味があまりにも悪すぎると自分でハッピーエンドを書いて満足する事にしました。
タイトルのリヴァイブというのは完全にオリジナルでソードアイズから見ていなかったのでリバイバルというのが存在していたとは気付きませんでした。ですがまぁこのままでいいんじゃないですか?
先人のブレイブ様を参考にしつつ話を組み立てて行こうと思います。しかし新しくカードを考えたり、バトスピはかじってはいますが状況を考えるのは手間がかかり過ぎるのでアニメとは違いバトルはなるべく排除もしくはカットしてストーリーに重点を置こうと思います。
漫画版ではダンさんが生きているらしいのですがアニメでのハッピーエンドが見たいので言わないでください。
作中ではダンさんはダンと片仮名を使います。だってダンさんですから。弾さんじゃないと自分の中では思います。
更新に関しては活動の方を見て貰えれば分かると思いますが他のサイトでも小説を投稿しているのでかなり遅くなります。1年…2年…もしくは3年もかかるかもしれません。3年という月日はとても長くもしかしたら未完のまま終わってしまうかもしれません。
予定ではそうですね・・・15万文字、つまり大体ラノベ1巻分ぐらいで終わらせるつもりでいます。感想や疑問に思った点は随時修正して行きますのでよろしくお願いします。
先人様であるブレイブ様にはこのアカウントのお気に入りから飛べると思うので興味のある方はどうぞ。許可とか取っていないので怒られたらこれも消します。
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第一話
ダンは気が付けば海なのか、湖なのか・・・少なくとも周りに地面のような物は見えない。
首を横に捻り辺りを確認すると手を握ったり動かしたりして自分の身体が動く事を確認する。そしていつもの所に置いてあるデッキケースが・・・無い。
マギサが言っていた通り俺の元の身体は消滅したことでデッキも全て無くなってしまったのだろう。
それに服も着ていない。これに関してはダンはあまり関心を示さなかった。
「バトスピ、この世界にもあるのかな。」
ダンはため息をつくと陰に覆われた。
ダンは顔を上げて後ろを確認するとそれは・・・船だった。
中からアフロヘアの男がこっちを見下ろしてきた。
「お頭!変な奴がいますぜ!」
アフロの男は大きな声でお頭という人を呼んだ。
変な奴とはダンの事だろう。
アフロは船の真ん中を見つめると「へい!」と返事をしてロープを垂らしてきた。
「起きてんだろ!こいつに掴まれば引き上げてやるぞ!」
今の俺には何も出来ないとダンは自分に選択肢がない事を悟り俺はロープに掴まりそのまま引き上げて貰った。
船に入るとアフロは毛布のような物を貸してくれた。
ダンはそれを腰に巻いてイチモツを隠すとアフロに質問をし始める。
「ここは?」
「ここはお頭の船の上だ。お前を拾ってやったのもお頭の慈悲から来るもんだでな。早く顔を見せに行け。」
俺は今からそのお頭という人に会えばいいのか。
ダンは船の真ん中に作られている大きな家のような所に歩き出した。
ドアを3回ノックする。
「入りな。」
声から分かる、かなり女王様気質なタイプだ。
ダンはドアを開け中に入ると、スタイリッシュな女性が机に脚を乗せふんぞり返りながら椅子に座っている。
「名前は?」
「馬神弾だ。」
彼女は見下ろしながらダンを見てくる。ダンも負けじと彼女を睨みつける。
「良い面構えをしているじゃないか。ダン、私はお前を気に入った。」
「そうか。」
「ダンには私の船員になって貰う。それでいいな?」
「それは出来ない。」
彼女は意外そうな顔をする。
「異界では何が起こるか分からない。ならばその世界で生きている人についていく方が安全と分からないような男ではないだろ?」
「それは分かってる。だけど俺は帰らなきゃいけないんだ。元の世界に。」
彼女は脚を下ろし、前のめりになって俺に興味を示す。
「詳しく話せ。」
俺はこの世界に来た経緯やこの姿はその女神が作ったと少し脚本を加えて語る。
「興味深いな、ますますダンを私の船員に置いておきたくなった。条件を出そう、私もダンがその元の世界に帰れるように手助けをする。その間私の船員になれ。」
「いいのか?見ず知らずの男だぞ?」
「気にするな、これも何かの縁だ。」
彼女は気分良く笑っている。そろそろこちらも質問をしてもいいだろうとダンは彼女にこの世界や彼女自身の事を聞く事にする。
「お前の名前を教えてくれ。」
その時腰に巻いていた毛布が落ちた。ダンは生まれたままの姿で彼女の前に立っている。
「な!?ば、馬鹿!早く隠せ!」
彼女は手で両目を隠しつつも人差し指と中指に隙間がありそこからジロジロとダンのイチモツを覗いている。
「だから名前を教えてくれ。」
ダンは答えてくれない事で若干不機嫌になりつつも毛布を拾ってまた腰に巻く。彼女は安心して力を抜くとまた先ほどまでの彼女に戻った。
「私はマリーだ。」
「じゃあマリー、この世界についてとこの船の事を教えてくれ。」
「いいだろう、今の私は気分が良い。教えてやる。」
マリーは机の下から何かの地図を取り出し机に広げる。
俺は近づき地図に目をやる。
「これはこの世界全てが描かれている世界地図という物だ。」
ダンは地図が読めないのでこの世界の大きさや地形をこの地図から読み取る事は出来なかった。
「なるほど。」
「しかし私はこれが全てじゃないと思っている。私はこの世界の全てを見るために旅をしているがこの地図の端に行っても反対側の地図の端とは到底違う地形だったんだ。」
「つまりこの世界地図は欠陥品という訳か?」
「欠陥品ではあるが間違って描いてしまったとも思えない。私の予想だがこの世界は動いているんだ。」
「動いているって・・・どういう意味だ。」
「つまり地面がずれているという事だ。信じたくはないがな。」
ダンでも地球のプレートは動いているという話は聞いたことがある。しかし確か1年に数センチとかだったはず。この地図は古そうには見えないし、明らかに違うと分かるほど地面が動いている世界なのか。
ダンは新たな知識に関心しつつ、彼女は話を続ける。
「そこで私は端ではなくこの地図の真ん中、この世界の中心を目指す事にした。」
マリーは深刻そうな顔をしている。何かトラブルがあったに違いない。
「行けなかったのか?」
「あぁ、中心に近づけば近づくにつれて天候がすぐに変わってこの船では中々近づく事が出来ない。それで私は一旦引き返したんだ。そこでダン、お前を見つけた。」
ダンは今の話俺には関係があるのかと思った時マリーは新たに机の下から分厚い本を取り出した。タイトルが書かれているとは思うがこの世界の文字なのかはたまた古代文字なのか読み取れない。
マリーはその本を開いて一つのページに目を留める。
「ここには《この世界のへそには扉があり、更にその先に扉があり無限の世界に繋がっている。≫と記されてある。もしかしたらダンの世界がそこ・・・退屈そうだな。」
ダンは目を細めてその本をただ見つめていた。
「俺は難しい事は良く分からないんだ。それよりも気になる事がある。」
「ほう、世界の真相よりも気になる話か。」
「バトスピって知ってる?」
「は?」
マリーは目を丸くさせ意味不明そうに首を傾げる。
ダンは(バトスピを知らないのか?)とダンもダンで理解不能に陥っている。
「バトスピだよ、バトルスピリッツ!カードゲームの!」
ダンは必死に説明するがまだ理解出来ないのかしわを寄せて椅子に背を預けた。
「そのバトルスピリッツは知らないがカードなら知ってるぞ。そこの箱があるだろ?」
マリーが親指で指した場所には如何にも宝箱な物が置かれていてダンも普通に気付く。
そのままマリーは補足を加える。
「あの中にカードのような物が沢山入っている。もしその中にそのバトスピのカードがあったなら好きに持って行って構わない。」
ダンはそれを聞いて安心し、宝箱の傍に近寄り宝箱を開ける。その宝箱の中身には大量のカードが適当に詰められていた。
2千字程度なら30分で書き終われるので続けられるかもしれません。二日に1回はたぶん更新するかなぁと言った感じです。ただ約束は出来ません、自分にも色々とあるので。
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第二話
宝箱を開けようとすると蓋がかなり重い。それに少し触っただけで手に埃が付いてどれほど放置されているかが分かる。
ダンは両手と両足を使って蓋を思いっきり持ち上げるとようやく蓋が開き、宝箱の中身を見ると確かにカードは入っているが見慣れないカードも入っている。
手に取ってその知らないカードを見てみると裏には茶色の渦巻きや全体的に青色なアルファベットが書かれた物もある。
ようやく見つけた。これでまず一枚・・・。3時間して何とか宝箱からある程度のバトスピのカードを発掘し終えた。
ダンはカード一枚一枚を吟味し、デッキを構築していく。しかしどれも殆ど能力の無い基本的なカードばかりでXレアも無い。
マリーはずっとバトスピの事を考えているダンに話しかける。
「そのカードゲームとやらばかりして飽きないのか?」
「飽きる飽きないじゃなくて俺はバトスピが好きなんだよ。好きなのに飽きる奴がいるのか?」
マリーは「ふーん。」と納得してダンが色事に分けているカードを眺める。
「どうした?やってみるか?」
「私かい?そんなものに興味はないね。」
ダンは興味があるのかと尋ねるが即答され少しショックを受ける。
マリーはすぐに離れて元の椅子に座って足を机の上に乗せる。ダンはそのままデッキを組んでいく。
暫くすると外からあのアフロが部屋に入ってきた。
「お頭、着きました。」
「アフロご苦労。おい、ダンもっとこの世界を案内してやる。」
ダンは「この男はアフロって名前なのか。まんまだな。」と思いながらマジックを何入れるか考えていると襟をマリーに掴まれ無理やり立たされた。
「何だよ。」
デッキ構築の途中に邪魔された事でダンは不機嫌になる。
「無視をするな無視を。ほら行くぞ。」
「行くってどこに・・・。」
首裏の襟を掴まれながら俺は無理やり船を下ろされ地面に立たされる。ダンは顔を上げるとそこには空を飛んでいる人やグラン・ロロの青の世界に居たような大きな人やその逆で小さい子供のような人達が道を徘徊している不思議な街があった。
ダンはすぐさまカードショップを探そうと足を前に出すがマリーに止められる。
「まずは食料調達だ。アフロ、番を頼むぞ。」
「お任せを!」
また襟を掴まれて引っ張られる。ダンは持ってきたカードを見比べて今のデッキに必要なのはどっちかを見極めながら食料調達につき合わされてしまう。
後ろでダンッ!と足を地に強く叩きつける音が聞こえる。」
「あ?これが70?」
「何だよあんた。ここじゃあ当たり前の値段だろ。」
「どう見てもこの傷だらけのじゃ70もしないだろ!」
どうやら値切り交渉をしているみたいだ。ダンは黙々とカードに目をやる。
「もしここの人間じゃないからってぼったくろうとしたらただじゃ置かないよ!?」
「いいぜ?俺ぁ腕っぷしには自身があるんでぃ。」
ダンは二人の喧嘩を止めに入る。
「マリー、ここは俺に任せてくれ。」
ダンはデッキがひとまず完成し余ったカードをポケットに・・・入れようとしたがダンは今服を着ていない。
何で誰も疑問に思わないんだ?
「なんだ?ダンお前がやるのか?」
「あぁ、デッキが完成したんだ。大丈夫、負けはしないさ。」
ダンはデッキが完成した事とこの世界に来てから一度もバトルをしていない鬱憤からここに居る誰よりもやる気に満ちていた。
「デッキ?何言ってんだい?この世界で言い争いになったら腕と腕のぶつかり合いに決まってるじゃないか。」
「バトスピじゃないのか!?」
ダンは声を荒げてマリーに顔を近づける。マリーは「近い近い近い!」ダンの顔を掴み押し返す。
「この世界にカードゲームに没頭できるほどゆとりのある奴は少ないよ。」
マリーはもう戦闘モードで拳を堅く握りしめている。ダンには止められそうにない。
この世界にはバトスピはありつつもカードの影響力が少ないみたいだ。ダンの元居た世界と同じただのお遊戯のバトスピ。
ダンは完全にやる気が無くなりマリーの近くから離れた。
「ゲートオープン解放。」
全員がマリーとその男の殴り合いを観戦している中、ダンは人ごみから外れた所でゲートを開こうとするが無理。コアブリットのような物も船には無かったしダンの常識はこの世界では通用しないのかもしれない。
バトスピが出来ないなんてどうすればいいんだ。
ダンは空を見上げながらこれからどうしようかと考えているすぐ横には男と女の殴り合いが起きている。
「ダン、終わったよ。」
マリーの用事が終わるのをデッキに他にも必要そうな物を考えていると終わったらしくダンはデッキをまとめて手に持つと血だらけで人ごみを掻き分けてきた。
「大丈夫か!?」
「何言ってんだい。この世界じゃ日常茶飯事さ。食べ物は命、だったら食べるこっちも命を張るのが流儀さね。」
「そういうもんなのか・・・。取りあえず治療をしよう。」
「ちょいと待ちな。ダンの服買わないといけないだろ?」
「だけどその傷はまずいだろ。」
「大丈夫だ。ちゃんと治してくれる所がある。だからまずはそのほとんど全裸をどうにかしろ。」
ダンとしてはボロボロのマリーの方が気になるがその右手にはしっかりと戦果が掴まれている。ここで引くのはただ相手を怒らせるだけなのでダンはマリーと共に服の売っているお店に足を運んだ。
「いらっしゃいませ。」
「おう、こいつの合う服を仕立ててくれ。」
「はい、かしこまりました。彼氏さんですか?」
「馬鹿を言うな。じゃあ終わったらここで待ってろ。私は他に行く所があるからな。」
マリーは照れる様子も無く店を出て行った。ダンは店員の女性に連れられて鏡の前に立たされる。
良かった。見た目は前と同じだ。
ダンは万が一見た目が変わっていたら合わせる顔というか知らない顔になってしまった事を薄々不安になっていたが大丈夫のようだ。
「さて、どんな服にしましょうかね~♪」
店員は何か服を選ぶというよりも着せ替え人形のような目でダンを見ている。
店員によるダンの仕立てという名のお人形遊びが始まる。
2日に1回は無理そうです。忘れそうなので。
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第三話
ダンはカーテンによって誰からの目にも止められない個室に入れられそこで身体の大きさを測ってもらう。
そして今まで疑問に思っていた事を女性の店員に投げかける。
「この俺の恰好はおかしくないのか?」
ダンの恰好は前にも言った通りほぼ原始人のように古風が出ている。ここの住民の服も見ていたが少なくともダンの今の恰好よりは上半身も下半身も隠しているしまともだ。
ダンの今の恰好だけが浮いている事は例え朴念仁であろうが分かってしまう。
「もしかしてこの国来たの初めてですか?」
「あぁ、初めてだ。」
別にこの国が変では無いと思うけど・・・。
女性はダンの腕の長さを測りながら説明を加える。
「でしたらこの国の王様を見てないんですね。私はてっきり真似をして遊んでいる方かと思いました。」
「真似?その王様のか?」
「椅子でございます。」
「椅子?」
王様の椅子?ダンの頭の中にある王様の椅子は豪華で大きく、正に王座と言う感じだがこの世界では違うのだろうか。
気になる。
ダンは意識をそちらに集中し、その間に上半身の測定を終えた。
「では下の方も測りますので脱いでくださいね~。」
女性の店員が測りを片付けながら言ってきた。
ダンは躊躇わず脱ぎ下半身を露出させる。
「ちょと!私が出てからにしてくださいよ!」
「え?あ、ごめん。」
最近ちょっと無頓着過ぎるなと思う。虚無感というのだろうか、この世界に来てから戻りたいとは思うがじゃあ(この世界で俺は何をすればいい。)そう感じてしまう。
前なら女性に下部を露出するのは恥ずかしいはずなのに今はどうでも良くなってしまう。
女性の店員はカーテンから出て俺は全裸のままこのままどうなるのか待っているとカーテンが開き大男が入ってきた。
「どうする?パンツ履くか?」
「あるのか。履かせてくれ。」
このままズボンを履いたとしても絶対スース―するので履きたいと宣言すると手のひらを見せられる。
「85だ。」
単位も付いていないが数字からするとマリーが買おうとしていた野菜よりは少なくとも高いだろう。
「すまない、この姿を見れば分かると思うが俺はお金がない。」
遠くから「その子連れの人いますから大丈夫ですよ~。」と先ほどの女性店員と同じ声が飛んでくる。
しかしダンには一つ気になる事がある。
「俺は『服』を買いに来たんだ。パンツが服に入るか分からない以上パンツを買う事は出来ない。
「大丈夫だろ、パンツは服だ。」
「怒られたら俺がどうする。」
「加勢してやるぜ!」
男はグッと親指を突き立てる。実にいい笑顔である。
この世界の奴らは血気盛んな事だ。もっと安全にバトスピで決着を決めようとは思わないのか。
ダンはこの世界は自分の住んでいた世界とは異なるとは理解しつつも違和感を感じてしまう。
男をパンツを持ってきてくれたがブリーフ、トランクスの方が締め付けが無く楽なので出来ればそちらの方がありがたい。
しかしせっかく持ってきてくれた事で断るのに気が引けて仕方なくブリーフを履く事にした。
その後男が脚の長さなどを計測し、帰っていった。ダンはまた待っていると女性の店員が帰ってくる。
「ではまずは合ったサイズの方から試着して行きましょう!」
「試着?サイズが分かるんならする必要ないじゃないか。」
「何言ってるんですか!どんな形の服が良いとか似合いそうな色とか実際に着ている所を見ないと分からないじゃないですか。」
そこまで言うなら仕方ないと身を任せていると様々な服を着せられてしまった。
所々破けた服に虹色という微妙なセンスの色や調べているというよりも楽しんでいるように女性の店員は楽しそうにダンに服を着せている。
何十着着たから数えもしないでようやく色と服の形が決まった。
ダンは無駄な体力を使ってしまったと後悔し、パンツを履き毛布を腰に巻いて座って待っている。
その間にダンは暇つぶしにデッキを真面目に構築する。ほぼ最終系に近い完成度だ。しかしそれはあくまで今持っているカードの中での話、殆ど捨てられてたようなカードの中にはキースピリットと言えるようなカードは存在しない。
勝つには圧倒的な力を持つスピリットが必要だ。それを補うためにマジックは要チェックしなければならない。
戦術は序盤速攻型、スピリットを並べて相手がコアが溜まってキースピリットを出す前に叩く。しかし何もスピリットを出せば良いと言う訳では無く強力なマジックについている軽減を上手に使って一気に敵を殲滅する。
ダンはカードを見比べているとさっきの大男がやってきた。
「さっきから気になってたんだけどそれバトルスピリッツって奴だよな。」
「知ってるのか!?」
ダンは顔を上げて男を見つめる。そのダンの表情に「おぉう。」と変な声を出してしまう。
「いや、俺はやってねぇけど丁度今日バトルスピリッツの大会がこの国で開かれるんだよ。お前も出ねぇか?優勝賞品は豪華なカードだぜ?」
「出る!出る!」
ダンはようやく出来るバトスピが待ち遠しい。マリーには無理に言って大会に参戦させて貰おう。
ダンはより一層デッキ構築に力を入れ服が完成するのを待った。
カードプールは主に一期の物を使用します。基本的にスピリットの殴り合いになりますが自分にはそれぐらいしか出来ません。
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第四話
「出来ました~。」
およそ1時間半ほどで服が完成した。服とズボンの柄は黒い世界に赤く燃えるイメージとなっており逆立っているダンの髪と実に似ている。
ダンはすぐに着替える。
気温はそれほど寒くはなかったが風によって体温が奪われている今、どれほどダンにとって暖かかった事だろうか。
冷え切った身体を布が包み、ダンの肌の色も良くなっていく。
「ありがとう。」
そこへ丁度良いタイミングでマリーが帰ってきた。
「どうだ?お、良い感じじゃないか。いくらだい?」
「替えの衣服を入れて2620です。」
マリーは袋を取り出しそこからお金を渡す。
女性店員は受け取り「ありがとうございました~。」と元気よく声を出す。
「よし!用事は済んだね、ダンさっさと出発するよ。」
「ちょっと待ってくれ。」
ダンはマリーが帰ろうとする所を止める。
「ん?」
「この国でバトスピの大会があるらしいんだ。出来ればそこに参加したい。」
「この国そんな事してたのか、あの国王も物好きだねぇ。」
「知ってるのか?」
何か知っている人について話しているようにと思いダンは尋ねるがマリーは「まぁね。」とはぐらかす。
「ただダンが思っているほど人数は多くないはずだよ。せいぜい集まって16人、トーナメント式だと勝ち進んでも4回だけだ。」
「構わない。」
「分かったよ、食料はアフロに積ませてある。会場は恐らく城の傍の広場だろうから案内するよ。世話になったな。」
マリーは店の女性店員に声をかけると女性店員は一度礼をして見送ってくれた。
ダンはマリーの後を追い、この世界に何があるのかをもう一度詳しく眺める。
様々な姿の人達がいるが基本的に同じ姿、つまり同種族の人達で固まって生活しているようだ。
あるところでは巨人の人、あるところでは小人、あるところでは翼の生えた人・・・。
それぞれの種族の人達は共存しあい、しかし互いを尊敬し必要以上には踏み込まないように気を付けている。
しかし、あの店の人が言っていた奴隷、どこへ行っても立場や位が存在してしまう。
「ついたよ。」
ダンはマリーの声で思考を散らし広場を見る。人は確かに少ないがどの人達も楽しそうにバトルしている。
この空気、思い出す。
皆が皆自分の持っているカードの中で一生懸命デッキを考え、プレイする最中も何をするべきか、何をすれば良かったかなどを考える。
今のダンはこれまでの経験から自ずと最善と手が瞬時に脳内に浮かび上がってしまう。
こうなってしまってはデッキの内容、運。この2つのみが楽しみとなってしまいバトルスピリッツの一番の楽しい時はもう得られない。
しかし、それは本気のバトルの話で今この広場にいる人達は楽しんでいる。勝ち負けなど気にせず出したいカードを出し、負けても笑う。
張りつめた空気では無く寧ろ逆、ほのぼのとしたバトル。
ダンは一体どんなバトルが出来るのか胸が高まってしまう。
≪皆の者!!!!!≫
大きな声と共にこの場にいる全員がその声の方向に顔を向ける。
姿はダンと変わらず人間のよう・・・。違う点は金ぴかに光った服に・・・人間の椅子だ。
その椅子の人はみすぼらしい以外に説明がつかないような恰好をしている。
服はダンが着ていた物よりもボロボロで髪は遠くからでも見えるほどベタベタ、所々に傷があり見ているだけで痛々しい。
そんな椅子に誰も目も行かずその椅子に座っている人を見つめている。
「あれがこの国の国王だよ。」
「あれが・・・。」
見た目はかなり良い人そうだ。恐らくこの国民からもかなり慕われているのだろう。
ダンにはあの奴隷が気にかかり良い人には見えないがそれがこの世界の理、もしたてつこう事ならこの世界を敵に回す事だろう。
国王は手に持った拡声器のような機械でこの辺り一帯に聞こえるように大きな声をあげる。
≪これよりバトルスピリッツ大会を始める!!!!≫
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第五話
「エントリーの受付を始めます。参加者は名前の記入をお願いします。」
黒い服を着た人が紙とペンを持っており、参加者であろう人達がその紙とペンを受け取りに行く。
ダンもマリーを置いてその紙とペンを受け取りに行き、名前を記入すると紙とペンを返した。
「・・・ダン様ですね。それではトーナメントを開催します!」
「え!?もうなのか!?」
さっきから見ていたが六人程度しかしてはいない。
これではすぐに終わってしまいそうだ。
ダンは少し落ち込んでしまう。
「景品には王よりこの「輪廻龍サンライトドラゴン」が送られます!」
ウォー!!!
たった六人のカードバトラー達が歓喜に満ちる。
その中にもダンはいた。
カードが赤というのもあるが何よりこのデッキには決めて、キースピリットがいない。見たところXレアでは無く、マスターレアみたいだがレアければいいという訳ではない。
「嬉しそうだねぇ、ダン。あんなのが欲しいのかい?」
「欲しくないカードは無いさ。」
「一回戦!ダン選手対ホクト選手!」
早速ダンの出番のようだ。
「じゃあ行ってくるよ。」
「さっさと終わらせてきなよ、あたしだって暇じゃないんだ。」
「分かってるさ。」
ダンは黒服の人の近くに行くと、地面から台が浮き上がってきた。無駄に技術がある。
「スタートステップ!」
「ちょっとストップストップ!何いきなり始めてるんだい?」
ダンがバトルをスタートしようとしたら黒服に止められてしまう。レフリーの役割もあるみたいだ。
「何ってスタートステップ・・・。」
「まずはじゃんけんからだろ?」
(しまった!)
そういえば普通のバトスピは最初にじゃんけんをするんだった!
ゲートでは遠いため、自動的にどちらかが宣言して始まっていた。
懐かしいが、非常識と思われてしまい少し恥ずかしい。
「「じゃんけん・・・」」
結局ダンが先行で始まる。
「スタートステップ。」
光らない。
「コアステップ。」
癖でたまたまでてしまったのだったが宣言すると台からグググッとコアが浮き出てきた。
今更どういう機能なのか気になる事はない。
「ドロ―ステップ、リフレッシュステップ。メインステップ!俺はコドモドラゴンを二体召喚!」
__________________
コドモドラゴン (赤)
コスト0
1 LV1 1000
2 LV2 2000
4 LV3 3000
____________________
「そしてビショップビジョップを1体召喚してターンエンド。」
_____________________
ビショップビジョップ (赤)
コスト1 軽減 赤1
1 LV1 2000
3 LV2 3000
4 LV3 4000
______________________
「え、え~っと。俺はこれを召喚。」
_______________________
ガーディアン (白)
コスト2 軽減 白1
1 LV2 2000 LV1~
3 LV2 3000 このスピリットがブロックした時+2000
5 LV3 4000
________________________
「ターンエンド。」
この人は間違いなく初心者だ。
ダンは思った。
カードを持つ手が若干だが震えているし、落ち着きも無い。
ダンは思い出す。初めて出た大会で相手が何やってるのか自分が何をやるべきなのか分からず頭が真っ白だった頃の記憶。
すっかりあの時とは別の刺激を求めてしまっている自分の事を考えると人は変わる物だなと感じる。
しかし容赦をする気は無い。
カードを手に入れるべく、ダンはより一層気合を入れた。
ルールよく覚えていないので最初のターンは3つ。次のターンからコアステップでコアが増え4つとします。
それと遅れてすみません。やる気が・・・無いんです。
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