ダンジョンを生き抜くのは間違っているのだろうか (卯羽李)
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過去編
プロローグ


処女作です。 よろしくお願いします。


 

本当にロクでもない人生だった。

中学生の頃に親は離婚して、高校3年の時には母親は死亡。

大学には金がないから行けずに仕方がないからヤクザになったら、鉄砲玉にされて死んだ。

 

それでも生きたかった。 でももう終わりだ。

 

腹に弾丸を受けてしまって血はドクドクと流れ出している。

このままでは失血死するだろう。

 

手先の感覚が無くなってきた。

体が寒い

 

意識が白くなっていく

 

ああ、次の人生があるとしたら、あるとしたならば

 

 

 

次こそは全力で生きたいな

 

今、1人の男が命を落とした

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

気がついたら真っ白な部屋にいた

 

何処なのだろう

 

《あ、起きましたか?》

 

そこに居たのは身体中にモヤを纏わしている変な1人の男だった

 

《変な男は少し酷くないですか?》

 

ん?…なんでこいつ心を読めているんだ?

 

《あぁ、それはね今の貴方の魂が剥き出しの状態だからですよ》

 

は? なんでだよ?

 

《あれ?、なんか設定ミスりましたっけ?》

《あの、名前と死因思い出せます?》

 

俺の名前は…ダメだ思い出せない

死因は、弾丸うけて死んだって事は覚えてる

 

《なんか変に冷静ですね。 まあ、いいや。》

 

《えー、貴方はヤクザに鉄砲玉として扱われた結果、違う組に襲撃をさせられ撃ち合いの結果弾丸を受けて死にました》

 

《そんな貴方に二つの選択肢があります。 まず、普通の人は天国も選択肢に入っているのですが、貴方は違う組の人を殺しました。だから天国には行けません。》

 

じゃあ二つの選択肢ってのは何なんだ?

 

《よくぞ聞いてくれました! まず一つ目。 これはお勧めできません。 地獄で貴方が生前犯した人殺しという罪を償うことです。 二つ目が私はお勧めなのですがね。二つ目 神様転生です。》

 

転生?… なんだそれ

 

《転生も知らないのですか? 日本ではメジャーだと思ってたんですけど。 神様転生っていうのは、ざっくり言うと一つぐらいプレゼントやるから他の世界行って来いって事です。》

 

なるほど そりゃいいな

 

《いいでしょう? さぁ、どうします?》

もちろん転生だ

《分かりました! それでは貴方の潔さに敬意を評して、私プレゼント二つあげちゃいます! それで…何にします?》

 

………死なない能力とアホみたいな力をくれ

 

《アホみたいな力は、いいでしょう。めっちゃ力強いって事ですよね? 死なない能力ですか… 良いんですか? 能力の都合上だいぶ使いづらくなりますよ?》

 

ん?、なんでだ?

 

《絶対に死なないんだったら強すぎるでしょう。》

 

良いんだよ そんくらいの方がいい

 

 

《分かりました、それでは第2の人生 楽しんで下さい》

 

 

おう、行ってくる

 

 

《じゃあ、行ってらっしゃーい。 そこの門くぐったら転生しますから》

 

 

《…さて、あの男はどんな人生を歩んでいくのでしょうかねぇ?》

 

 

 

 

 

 

 




怪力にはロマンがあると思います


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転生したら幼児だった

握力やばい人って全力で握ったら自分の拳が砕けそう


○月▽日

これから、日記を付けてこうと思う

 

まずこれまでのことを書いていく。

 

門をくぐったら急に眠くなっちゃって、起きたら幼児だった。それも結構将来有望そうな。自分でも何書いてるかわから無いけどガチなんだ。

 

そこでテンパってたら、変な爺さんが俺を拾ってくれた。名前は?って聞かれたけど、知らないから分からないって答えたらスッゲー悲しそうな顔してた…。 なんか同情してくれたのか家に連れて行って、ここが今からお前の家だって言ってくれた。なんだか物凄く嬉しかった。

 

カインって名前もくれた。フルネームはカイン・クラネルっていうらしい。結構良い名前だと思う。

 

それで爺さんからこの世界の事や読み書きを教えてもらった。なんでもこの世界にはオラリオと言う迷宮都市があるらしく、魔物とかがめっちゃ出るダンジョンと言うものがあるらしい。 すげー行ってみたい。

 

 

それから転生の時のプレゼントなんだけどガチでやばい。アホみたいな力略してアホ力を試してみたんだけど、ヤバい。物握ったらもの壊れるし、外で棒振ったら棒が根本残して折れる。 不死身は怖くて使えない。

 

外で棒振ってるところ爺さん見てたらしくて、なんか爺さんが稽古つけてくれる事になった。 …何で?

 

 

○月◇日

 

稽古がヤバい。

 

何がヤバいかってとんでも無くキツい。 なんで爺さん木刀振って衝撃波出せるんだよ。

 

一回アホ力を全力で使って木刀を使って爺さんをぶっ叩こうとしたんだけど、隙だらけだとか言われて吹っ飛ばされた。

 

 

あいつ(爺さん)人間じゃねぇ。

 

 

○月♤日

 

稽古がキツい。

 

○月◎日

 

ヤバい。

 

◇月▽日

 

かゆい うま

 

◇月◇日

 

数日死にかけてた。

地獄のような稽古が終わったら、急に爺さんが外行ってくるって言ってどっか行ってしまった。

 

どこにいくのだろう?

 

◇月○日

 

爺さんが居ないから、爺さんと稽古してる時になぜ負けるかを考えてみた。 俺はアホ力を使うとすぐ木刀と木刀がぶつかると、ぶっ壊れるので

全力を木刀で防がれる可能性がない時にしか使えない。 だから力を抜いた時に、よく木刀を叩き落とされる。 全力でぶっ叩くと、爺さんが死なないかって?…あれが死ぬとは思えない。

 

話を戻すと俺は木刀を叩き落とされて負ける回数が多い。だから木刀を叩き落とされでも大丈夫なように、格闘を鍛える必要がある。 いつ帰ってきても良いように稽古を再開する。

 

◇月△日

 

ついに完成した。

どうやったら格闘を極められるか、考えたところやはり一撃必殺が最強だろうと思った。 だからどうやったら全てのものを壊せるかどうか考え、実践した。 そしたら、夜の二時を越すぐらいの頃に同時に二回攻撃したら全部ぶっ壊せんじゃねと思い、何時も稽古してるところの近くの巨岩に向けてやって見たら…見事に巨岩が砕けた。

 

これを二重の極みと名付けよう。

 

 




主人公が使った技は二重の極みのまんまです。


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平和な生活の終わり

二重の極みを試した人って多分めっちゃいるよね


◇月☆日

 

爺さんが子供を連れて帰ってきた。

どうやらあの少年…ベルの親が死んでしまい、だから爺さんが育てる事にしたらしい。ベルには、前世のこともあるので共感する。

 

ベルの歓迎会をするから稽古は、中止らしい。

 

歓迎会をした。もう、ベルが可愛くて仕方がない。 前世での友達がブラコンだったのもわかる。

 

明日に備えて早く寝る。

 

△月○日

 

やった! ついに爺さんから一本取ってやった! 内容は爺さんがいつも通りに木刀を、叩き落そうとして居たので木刀を手放して二重の極みを叩き込んだ。

 

巨岩を砕く二重の極み食らっても、ピンピンしてるってやっぱりあいつ(爺さん)人間やめてる。

 

今日はご馳走だな。

 

 

まあ、勿論二本目以降はいつも通りにボコボコにされたけど。

 

△月△日

 

今日はベルが稽古に混じり始めた。

なんでも先日の稽古を見てたらしくて、爺さんに稽古つけて下さいって頼んでた。 ベルが爺さんみたいな化け物になんないかお兄ちゃん心配です。

 

稽古の合間にたまたま夢を聞いたのだが、夢の内容が『ダンジョンでの女の子との出会い』らしい。 ダンジョンには出会いがあると爺さんに聞いたらしい。

 

クソジジイぶちのめしてやる。

 

 

 

勿論その後ぶちのめされたんだけど。

 

 

△月☆日

 

ベルが来てから一ヶ月経った。

 

爺さんからはあの時とった一本から全く勝てない。 アホ力は、全力出したら木刀と木刀がぶつかったら壊れるし、不死身はまだ使ってない。

二重の極みは、あの試合以降めっちゃ警戒されてる。

 

こうなったら手数を増やそう。

 

 

△月▽日

 

俺には手数を増やすということが向いて居ないらしい。爺さん曰くそうらしい。これからは一撃の強さを磨いていく。

 

ベルも頑張っているのだがいかんせんパッとしない。 二重の極みを教えようとしたら爺さんに必死に止められた。体が耐えられないらしい。 悲しい。

 

 

▽月▽日

 

ちょうど明日が俺が来てから5年が経つ。

爺さんに、なんかサプライズしてやろうと思ってベルと相談して色々と買い出しをした。

 

今日の稽古はだいぶ善戦したと思う。

 

明日はスッゲー派手なパーティーにしてやろうと思う。スッゲー楽しみだ。

 

▽月□日

 

パーティーは途中ハプニングもあったが成功だった。

 

朝起きて料理の仕上げに取り掛かろうとしたんだけど、ケーキの材料が足りなかった。 だから俺が稽古で時間稼ぎをしている間にベルが材料を買いに行き、料理を完成させるという作戦を立てた。

 

ベルが参加しないということを爺さんは怪しがったけれど、腹痛という言い訳を押し通した。 爺さんはめっちゃ微妙な顔をしていた。

 

稽古は熾烈を極めた。 数十分ぐらい打ち合っても埒があかなく、アホ力を使ったら躱され、二重の極みは避けられて追い詰められていて、木刀を叩き落とされる瞬間だった。 世界がスローに見えて、気づいたら爺さんの木刀を叩き落としていた。 あれを自在に使えたら強いと思った。

 

そうこうしている間にベルは料理を完成させ、パーティーが始まった。

 

なぜか爺さんは初めて会った時のように悲しい顔をして泣いていた。

 

なぜかその涙は、嫌だった。

 

爺さんは俺たちにプレゼントをくれた。 俺には太刀、ベルには手甲をくれた。

 

物凄い嬉しかった。

 

今日は3人で寝た。

 

こんな平和な生活がずっと続けばいいのにな。

 

 

 

 

 

□月☆日

 

爺さんが死んだ




二重の極みって全力で打ったら指折りそう


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ゼウスから見たカイン・クラネル

お気に入りが伸びない…


儂が初めてカインを見た時は、なんて悲しい子じゃろうと思った。

 

幼い子が一人ぼっちでいた時には何事かと思ったが、名前を聞いた分からないと言う。

 

恐らく名前をつける前に捨てられたんだろう。 これではあまりにこの子が不憫だ。 儂の家で育てよう そう決意した。

 

だから儂は『おい、お前さん。今から儂の家がお前さんの家だ。』そう言って、名前を与えた。そうしたら、今にも泣き出しそうな顔をしていた。

 

住み始めてから分かったのはこの子はこの世界の事を全く教わってないとう事だった。 だから読み書きや、オラリオの事を教えたりしていた。

 

カインが住み始めて10日でカインが捨てられた理由がわかった。

 

あまりにも力が強すぎるのだ。 あの力はいつか、周りの人まで傷つける。 儂はカインに稽古を付けることにした。

 

カインには武に対する天賦の才がある。 稽古を始めて二年で一本取られると思っていなかった。

 

だが、カインにも問題がある。

 

それは儂やベルに依存しすぎているということだ。親の愛を知らなかったからだろう。

 

だから儂は自分が死んだということにして、カインには1人でオラリオに行かせることに決めた。 ベルはこう言ってはなんだが、あまり冒険者の才能はない。 本人の意思で決めさせるべきだ。

 

最後の稽古の時には完敗した。

あいつがよく使っているパンチや、強すぎる力を全て見切っていると思っていた。 カインはまだまだ成長する。

 

そうして稽古が終わり家に帰ると、儂のためのパーティーを開いてくれた。 『俺を五年間育ててくれて、ありがとう』 カインはそう言った。

ベルからは沢山の料理を貰った。 儂は満足だ。涙がとまらなかった。

儂は明日には居なくなる。 だからカインとベルにプレゼントをする事と遺書を書く事を決めた。

 

カインには不壊属性(デュランダル)がついた太刀 不知火(シラヌイ)を、ベルには本人の能力に応じて成長する手甲 鉄貫(テッカン)を。

 

儂は幸せだ。 本当はここから居なくなりたくない。 だが、このままではカインもベルも成長しない。 居なくなるしかない。

 

今日は3人で寝た。 明日が来てほしくないと思ったのは今日が初めてだ。

 

*********************************

 

「本当に良いんですか、ゼウス様?」

 

「良いんじゃよ、ヘルメス。ここに居てはあの子達は成長しない。」

 

「分かりましたよ。じゃあ、行きましょうか。」

 

頑張れよ、カイン ベル。 お前らがダンジョンに行くのだとすれば…儂はお前達を見守っているよ。

 

 

 

 




カイン「名前?…思い出せん。」

ゼウス「そうか親に捨てられたんやね、かわいそうやわー」

このすれ違いっぷり


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いざオラリオへ

お気に入り数50突破!
目指せ100!


次にはオラリオに行けると思います…(汗)


爺さんが死んでから二ヶ月経った。

葬式には沢山の人が集まった。

 

ベルは泣いていた。 俺はなぜか泣けなかった。爺さんが死んだという事を実感できていないのだろう。

 

遺品整理の時に遺書が見つかった。 いや、遺書と呼ぶには余りにも短いものだった。

 

『カイン、お前はダンジョンに行くべきだ。ベルは連れて行かんでいい。あいつはまだまだ成長させるべきだ。 オラリオには全てが在る。 お前の探し物も見つかるはずだ。』

 

こんな内容だった。俺の探し物とは一体何なのだろう。なあ、爺さん…教えてくれよ…っ…。

 

 

 

俺はオラリオに行くことに決めた。

 

ベルにはもう少し鍛錬を積ませる事にした。そして鍛錬が十分だと思ったら来るように伝えた。

 

日記は持って行かない事にした。 もう俺はこれを書くことはないだろう。

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出発当日。

 

「ねえ、カイン兄さん。 忘れ物はない? 刀は持った? お金は? 食べ物は?」

 

「ちゃんと持ってるよ…。 そんな心配するなよ、ベル。 お前もいつかは来るんだろ?オラリオ。」

 

「そうなんだけどさ……。やっぱり寂しいよ…。」

 

「大丈夫だよ! 稽古してたら時間なんてすぐ経つさ!」

 

「はぁ、分かったよ…。 じゃあ、元気でね! またオラリオで会おうね!」

 

「あぁ。また、オラリオでな。」

 

ベルとの別れは済ました。 けどちょっとだけ寄り道する所がある。

 

爺さんの墓だ。

 

俺は爺さんに最後まで伝えられなかったことがある。 それは俺が転生したという事だ。 自己満足だとは思うが、俺を拾ってくれた爺さんには隠し事はしたくない。

 

爺さんの墓についた。

 

「なあ爺さん… あんたが死んでから二ヶ月経ったよ…。

「俺、オラリオに行く。 ベルには遺言通りもう少し鍛錬を積ませるよ。」

「俺さ、爺さんに言ってなかったことがあるんだ…」

 

「俺、異世界人なんだ。 前世ではヤクザっていう組織にいいように使われて死んだ。 親の愛って奴を受けたことは無かった。 だからさ…っ! 嬉しかったんだよ…! あんたに拾って貰ってよかった…。」

 

「俺を拾ってくれて…俺を愛してくれてありがとう…っ…!」

 

涙がとまらなかった。 爺さんが死んだという事がやっと理解できた。

 

「もう俺は行くよ…。爺さん、本当にありがとう!」

 

もう此処に未練はない。 俺は爺さんに育てられた事を胸を張って生きて行く。 さようなら、爺さん。

 

 

きっとオラリオでは、いろんな出会いがあるのだろう。 もし縁が切れてしまうことがあるとしても…いつか別れがあるとしても……。

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カイン・クラネル設定その1

髪の色・・・黒

目の色・・・赤色


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