ぐだ男がサーヴァントとしてぐだ子に召喚されたそうです (橘 翔)
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始まり

やってみたかった
反省はしている後悔はしていない


絶望的な状況だった。

 

人理継続保機関カルデア。人類の未来を守るなんていうなんとも壮大な計画に、私は一般人として参加していた。もちろん、第一線で働くのはエリートの魔術師達。私は窓際族かなー、なんて思っていた。

 

突然の轟音。

 

私と一部のスタッフを除く全ての職員が集まった所が爆破された。当然、エリート達は全員死亡。残ったのはたまたま居合わせなかった僅かなスタッフと、なんの魔術の心得も無い私だけ。そんな中見つけた唯一の生存者、右も左も分からない頃の私を助けてくれた娘、マシュの手を握ることしか出来なかった私は、

 

何故か訳の分からない所にいた。

 

何やら機械が作動したのは覚えているのだけど、生憎専門用語すぎて何が何だかだった。そしてさらに驚いたことに、マシュがデミサーヴァントとかいう存在になっていた。人間と言うよりはヒーローに近いよね、アレ。群がってくる骸骨を蹴散らすマシュはカッコよかった。幸い、Dr.ロマンと通信も繋がったし、所長とも合流できた。そう、とても順調だった。だから油断していたのかもしれない。

 

黒いサーヴァントと交戦した。

 

それまで、馴れない様子ではあったものの、確実に勝ってきたマシュが、

 

一撃で吹き飛ばされた。

 

ギリギリ盾は手放さなかったようだが、もう立ち上がる気力も残っていないだろう。

 

「ごめんなさい、先輩……私が、弱いばっかりに……」

 

それでも傷ついた体で戦おうとするマシュに、どうしようもなく申し訳なさを感じる。

今まで楽勝ムードだったこと。強敵がいなかったこと。マシュを過信して、任せすぎたこと。全てが私のせいなのに……マシュは、戦おうとしてくれている。

 

せめて、その気持ちに報わねば、と思った。

 

サーヴァントが目の前にいる。正直、怖くて怖くてしかたない。でも、ここで逃げるなんて考えれなかった。

 

「だめっ!先輩、逃げて!」

 

ごめんね、マシュ。それでも逃げる訳にはいかないの。マシュの前に立って両腕を広げる。せめて、マシュを守れるように。あぁ、でも、私が死んだらマシュも消えてしまうんだっけ?

 

あぁ、悔しいな。

 

諦めの心の中に、必死で叫ぶ声が聞こえた。

 

嫌だ!死にたくない!マシュと、所長と、ロマニと、まだ、まだ生きていたい!

 

誰か、助けて……

 

気づくと、男が1人立っていた。私とサーヴァントの間に、いつの間にか。そして、

 

「っと、問おう、君が俺のますt」

「■■■■■■■―――!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹き飛ばされた。

 

 

 

 

え?何か言おうとしてたけど、え?いいの?絶対大事な場面だったよね!?

 

そりゃ、攻撃態勢のサーヴァントの前に急に現れたら攻撃喰らうけど!タイミング考えろとか言いたいけど!

 

思わず固まる私に今度こそサーヴァントの凶刃が迫って、

 

今度はサーヴァントが吹き飛ばされた。

 

目の前には拳を振り抜いた姿の男。

 

「痛ってーなおい!!さっきの重要な場面だったろ!?サーヴァントになったら言ってみたいセリフトップ3に入るセリフを言えるチャンスだったろ!?感動的な雰囲気だったろ!?空気読めよバーサーカー!!!!」

 

と、ようやくこちらの唖然とした表情に気づいた。彼は少しバツの悪そうな顔をしながら、

 

「あー、なんだ。締まらないけど……コホン。問おう、君が俺のマスターか?」

 

手を差し伸べてきた。

 

―――◇◆◇―――

 

その日、俺はいつも通りの生活を送っていた。人理修復も終わりのんびり暮らす中で、数多の女性サーヴァントのちょっと(いやかなり)過度なスキンシップをくぐり抜け、サーヴァントに稽古をつけてもらい、新たなサーヴァントを召喚しようと、召喚サークルに向かったのだ。

 

そしたら、なんか吸い込まれた。

 

いや、すまん。何言ってるか分からんよな。俺も分からん。気づいたら懐かしの冬木にいた。んで、なんか

 

サーヴァントになってた。

 

正直、意味わからんが飽和して逆に冷静になった(こう、サーヴァントとして最低限の知識が頭に流れ込んでくるのだ。逆に納得しちゃったわ!)。そんで、俺は目の前にいる可愛い女の子(恐らくマスター)に名台詞を言おうとしたのよ!な!の!に!

 

ヘラクレスさんに吹き飛ばされた。

 

いやー、さすがにあたたまったよね、うん。とりあえず丸太式(誤字にあらず)格闘術で吹っ飛ばしたんだけど。

 

気・ま・ず・い。

 

すっごく気の毒そうな顔で見られて心折れかかった。

 

とりあえず魔術経路(パス)は繋がってたからマスターで間違いないと思う。不思議なもんだな、サーヴァントって。明らかに知らなかったはずなのにサーヴァントの常識としての知識がちゃんとあるんだよ。怖いわー、有能すぎるわー。

 

「えっと……なに、これ?」

 

うん、ごめん。俺も全く同じ心境だよ。マスター。

 

「■■■■■■■―――!!!」

 

ヘラクレスさんが飛び起きた。流石に素手じゃ落とすのはキツいかー。

 

「よし、マスター。とりあえずマシュ連れて下がってくれ」

「え……でもアイツは!」

「ええい鬱陶しい!庇いながらは流石に無理!下がれ!」

「…………助けてくれてありがと」

 

おうふ、ちょっとキュンってしました。君ってツンデレ?

 

「立花!アイツだれなの!?」

『間違いない、サーヴァントだ!信じられない!一体どうやって!』

 

懐かしの所長もいるし、ロマニもいるし、うーん、負けられないねぇこれは。

 

てか、立花?

 

俺と同じ名前?

 

少し違和感を感じるが、ヘラクレス激おこなので無視!

 

「……あれ?」

 

そういや、俺ってクラス何?

 

あ、無いわ(白目)

 

クラス無しってどゆことー!!!

 

涙目になりながら影ヘラを殴りつけたよね、うん。

 

―――◇◆◇―――

 

「ちょっと立花!説明して!」

「えーと……」

 

正直、私も訳分からんって感じです、所長。

 

『ちゃんとした準備も無しにサーヴァントを召喚した……?そんなことがありえるのか……?』

「とりあえず、私達の命運は彼に掛かってることだけは確かです」

「そうね、そうよね。詳しいことはこの状況をなんとかしてからよね」

「……先輩」

 

マシュが手を強く握ってくる。大方、彼一人に戦わせることに抵抗と罪悪感があるのだろう。だから私は言ってやった。

 

「大丈夫だよ、マシュ」

「えっ……?」

「アイツ」

 

 

 

 

 

そんな真面目な思考吹き飛ばすくらい馬鹿なヤツだ。

 

 

 

 

 

 

黒いサーヴァントの剣を素手で弾いたり、受け止めたりしているのを見てついついため息を吐いた。

 

―――◇◆◇―――

 

決め手に欠ける。

 

この戦いはそれに尽きる。ヘラクレスの攻撃は単調で大したダメージにはならない。剣筋が素直だから避けることもできる。逆に、こちらの攻撃は効かない。泥沼じゃないですかやだー。

 

そんなときふと、なんの脈絡もなく、自分の宝具が何かを悟った。これが噂の天啓……!?

 

どうやらこれだったらそこまで立花ちゃんに負担をかける心配もなさそうだ。エコで、激強な宝具だな、これ。

 

「宝具展開……」

 

一度弾き飛ばして多く距離を取る。ヘラクレスは……変化を感じたのか様子見だ。

 

勝つる。

 

我が家への扉(ゲート・オブ・カルデア)

 

俺の宝具は、俺の世界(・ ・ ・ ・)からサーヴァントを1人、呼び出す。

 

召喚(サモン)!!アルトリア・セイバー!!!」

「呼びましたか、マスター」

 

あぁ、自分とは格が違うこの魔力。俺の嫁はたいそう強いですねぇ……つらぁ。

 

そして俺の右手には、黄金に輝く剣(・ ・ ・ ・ ・)が握られていた。クラスもセイバーになっている。

 

「お揃いだな、アル」

「えぇ、マスター」

 

少し頬を染めて照れているアルトちゃんを鑑賞したいのは山々なのだが、残念ながら空気読まない系バーサーカーことヘラクレスがうずうずしているのがよく分かる。

 

「とりあえず、ここでも力を貸してくれ」

「私はマスターの剣です。どこまでもお供しましょう」

 

飛びかかってきたヘラクレスを、アルトリアは難なく受け止める。

 

「バーサーカーがこの程度ですか……拍子抜けですね」

 

そして、あっという間に左腕を切り飛ばした。

 

「さっすが青王。強いね」

「いえ、これくらいは当然です」

 

だが、残念ながらヘラクレスは簡単にはくたばってはくれなさそうだ。実際、1回は首の骨をへし折ったけど死ななかった。

 

「ふむ、また12度殺すことになろうとは。運命とは分からない」

「そっかお前冬木で戦ったのか」

「えぇ……あの時は随分苦戦しました」

 

またアルトリアが首を斬り飛ばした。俺?ちまちま斬ってるけど流石に魔力放出のあるアルトリア様と比べちゃいけないよね。

 

「マスター、このままではキリがありません。一気に決めます」

「了解!共同作業……かな?」

「なっ!……ふふっ」

 

二人で同時に魔力を溜める。おぉ、俺でもこれで剣からビームを出せるぞ!

 

約束された(エクス)……」

勝利の剣(カリバー)!!!」

の双撃(デュアル)!!」

「え」

「え」

「マスター。それはなんですか」

「いや、二人だからさ。ノリってあるじゃん?二人で叫んだらカッコいいかなーって」

「う、……やめてくださいマスター。そんな純粋な目で落ち込まれるともの凄く罪悪感があります」

「いや、いいんだ、終わったことだし……」

「ううぅ……あの、マスター。もし暇があれば私の部屋にいらしてください。その、埋め合わせはちゃんとしますので」

「ほんと?」

「剣に誓って」

「……期待してる?」

「し、してません!危なくなったらまた呼んでください、マスター」

「ん、ありがとな」

 

ん?バーサーカー?消滅してるに決まってんだろ。

 

―――◇◆◇―――

 

「なに!?また新しいの!?敵!?敵なの!?」

「落ち着いてください所長。彼と協力関係みたいですよ」

『信じられない……もう一体のサーヴァントだ!いや、実際はちょっと違うみたいだけど……彼が召喚したのか!?』

「……すごい……あのサーヴァントとああも簡単に圧倒しています!」

「うんすごいねー、ちょっと意味わかんないよねー」

「なに!?何が起こってるの!?もういやああああああ!!!」

『ちょ、所長落ち着いて!』

 

絶賛カオス。

 

あ、魔力が少し抜けていく感覚がある。彼が使ったのだとしたら、恐らく……決める気だろう。はたして、

 

二人の剣から眩い光が放たれ、

 

黒いサーヴァントは消滅した。

 

危機は去った、のだろう。だが何故だろう。

 

飄々と帰ってくる彼を見ていると頭が痛くなってきた。

 

「いやー!!!!今度は私達が殺されるのよー!!!」

『所長!あれは立花くんのサーヴァントです!』

「か、カッコいい……」

 

「はぁ……」

 

訂正、胃も痛くなってきた。




どうも橘です

最初に言っておく

見切り発車だ(白目)

FGO始めて30日の筆者です
イベントに構ってるから筆者のメインストーリーは進んでいません
このSSは筆者のメインストーリーと共に進みます

よって亀更新必須( ̄▽ ̄;)

日常回も挟むからね!許して!

書き溜めも無いのでほんと気ままに更新します
あまり期待しないで

批判等はやめていただけると助かります……




真名・藤丸立花
マスター・藤丸立花
クラス・???
サーヴァント属性・混沌・善
スキル
・カリスマA+
・直感EX
やり直し(強くてニューゲーム)による知識(ユニーク)
自身のNP回収率と星発生率をアップ(3ターン)&自身の攻撃力をダウン(1ターン)&ヒット数を3増やす(スキル最大時リチャージ12ターン)
クラススキル
・女難の相(ユニーク)
女性サーヴァントに対し攻撃ダウン&防御アップ
・マスターの資質(ユニーク)
サポート枠まで全て埋まっている場合、自分のBuster、Arts、Quickの性能アップ&1人倒れる度にNP30%獲得&埋まっていない場合NP100%で開始する

宝具
我が家への扉(ゲート・オブ・カルデア)
クラス???
種別???
任意の自分の世界のサーヴァントを呼び寄せる。一時的な召喚なので完全体ではない。ちなみに、自身が向こう側に行くことも可能。
本来なら異世界を行き来するなど不可能だが、全てのサーヴァントの絆レベルMAXによって奇跡が起こった。

正直、ぐだ男の能力自体が高い
散々スカサハ師匠に搾られたり、らいこーままと酒呑ちゃんを宥めていたらいつのまにか強くなってた
それに加え90レベの鯖呼んだらそりゃ無敵だわ。
呼んだ鯖のクラス、宝具を得る。
つまり

いつでもクラス相性でアド取れるんですよ!

なにこれチート(白目)

頑張って続けたいな……


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キャラが被るぐだ子とキャラを奪われるぐだ男

思ったより反響あって
急いで仕上げた

完成度低くても気にするな


帰って来たらなんかカオスだった。

 

「やめてー!!!こないでー!!!」

『所長落ち着いて!』

 

所長がなんか怯えてるし

 

「先輩、すごかったですね!」

「うんそうだねー」(遠い目)

 

マスターがこっちを見てくれないし

 

『ますたぁのためならこんな壁ぇぇ』

 

どこかの蛇姫さんが無理やり出てこようよしてるし……

 

一体どうしてだ!

 

俺のせいだ!

 

…………ははっ(乾いた笑い)

 

―――◇◆◇―――

 

「ほら、みんな、いつまでも現実逃避してても意味無いから、ね?」

 

全ての根源に言われるのは癪だったものの正論だったので観念することにする。

 

「マスター!?なんでそんな露骨に嫌そうな顔するの!?」

「自分の行動振り返ってみようか?」

「ふむ……颯爽と登場してヒロインのピンチを救ったヒーロー?」

「それ別世界よ?現実見なさい?」

「えぇ!?」

「だって……」

 

私はコイツが薙ぎ払ったあとを指差す。

 

「塵一つ残ってないじゃない!何やってるの!?」

「もともと何にも無かっただろ?」

「そーゆー問題じゃないのよ!被害むしろ拡大してるじゃない!建物どころか火まで消し飛んでるじゃない!」

『いや、立花くん。ここは人理の変換点でのもう一つの可能性、つまりパラレルワールドみたいなものだから現実には何も影響は』

「うるさい、なよなよ男子は黙ってて!」

『あ、はい。……なよなよ男子?』

 

Dr.ロマンが地味にショックを受けているが無視だ無視。ネガティブ男子ほど面倒なものは無い。

 

「し、辛辣だねマスター……」

「誰かさんのせいで気がたってますからぁ!?」

「それはいけませんね。カルシウム、ですよ、先輩」

「ア"ア"ア"ア"ア"マシュまで煽るの!?ねぇ!?」

「え」

 

周りはこんなのばっかりか!?

 

「まぁまぁ、落ち着いて」

 

どこから取り出したのか畳が敷かれ、ちゃぶ台が置かれて……

 

「いつの時代よ!」

「なんか所長とキャラ被ってる?」

「………………」←所長

「所長はあっちで気を失ってるからしょうがないでしょ!?ツッコミいないと地獄よ、ここ!」

「ふむふむ、ヒロインがギャグ枠なのもそれはそれで」

「脳内桃色かぁあああああ!!!」

 

あ、この緑茶おいしい。

 

「マスター、人から出された物は無闇に口にしないほうがいい。罠の可能性がある」

「あなたが出したんでしょうがああああ!!!」

「てへぺろ」

「令呪をもって命ずる、じg」

「まてぇ!!!」

 

ハッ!!私は何を?

 

『ははは……令呪を無意識に使おうとしてたみたいだね』

「何この子、怖い」

「誰のせいでこうなったと?」

「……俺ですね」

 

ようやくボケの攻勢が終わったらしく落ち着く。緑茶を飲む仕草がやけに似合うな、こいつ。おじいちゃんっぽい。

 

「マスターに褒められたの?貶されたの?」

「褒めてる……と思う」

 

しまった、サーヴァントとマスターはある程度心が通じてるんだっけ?

 

『いや普通は心を読めることなんてありえないんだけど……まぁ、いいか。君は……セイバーのサーヴァントかい?』

「そうだとも言えるし、そうでないとも言える」

「どーゆーことよ」

「自己紹介がまだちゃんと済んで無かったね」

 

突然、目付きが鋭くなる。真剣な時の表情は、悔しいがカッコいい。

 

「真名は明かせないが、俺にクラスは無い。いや、あるんだけど、全てのクラスになれるんだ」

『なんだって!?』

「そのときそのときで変わるってこと?」

「そ、俺の宝具は他の英霊を呼び出す。その英霊のクラスに俺はなるわけよ」

「へぇー」

『いやいやいや!立花くん。実はこれ、かなりイレギュラーだからね?』

 

知らなーい。私、元一般人だからね。

 

「まぁ、自分でもそこそこ強い方だと自負してるから、がんがん頼ってよ」

「あらそう?じゃあまずはボケないで」

「ごめん、それは死んじゃう」

「ただのウザくて迷惑なやつじゃない!」

 

こんなんが強いのだろうか?

 

「あ、あの先輩、この方はどうお呼びすれば?」

「んんーそうだねー、まりも」

「うん、なんでそうなったのかなマスター?あ、髪の毛……そうですか……とりあえずぐだ男って呼んでよ。世界がそう言ってる」

「はぁ、じゃあぐだ男さん」

「ストップ、マシュはぐだ男先輩で」

「?」

「寂しくて心が死んじゃうんで」

「は、はい」

 

一緒本気で寂しそうな顔をしていた。何かあったのだろうか?でもマシュは不思議そうな顔してるし……うーん?初対面なのは確実そうだけど。あとまりもの何がいけなかったの?(キョトン)

 

「あっ、あの!ぐだ男先輩!」

「ん?」

「私に稽古をつけていただけませんか?」

「断る」

「ッ!!」

 

随分勇気を出したであろうマシュのお願いをぐだ男はバッサリと切り捨てた。マシュが悲しそうに目を伏せる。

 

するとぐだ男は優しい目になるとマシュの頭を撫でた。

 

「マシュ、君は強くなりたいんだね?でも、それはマスターを守るためだろう?敵を倒すための強さじゃない」

「……はい、けど!」

「目的を履き違えるな」

「……?」

「俺は壊すことができても守ることは……できるっちゃできるけど」

「うぅー、やっぱり」

「けど、君のその力は、本質的には守るためのものだ。壊すのも殺すのも俺がやるから問題ない。俺に任せろ」

「でも……」

「君はマスターを守れ。それができたなら一人前さ」

「…………」

「今は納得できないかもしれない。けど、覚えておいて欲しい。君の強さは守るためにあると」

「……はい」

「……よし、シリアスはここまで!」

「あんた誰よ」

「ひどい……」

 

いや、絶対誰か別人だった。あんなのぐだ男じゃない。

 

「うぅーん……ここは?」

 

所長が起きた!これはツッコミを譲るチャンス!と思ったが、ぐだ男を見た瞬間に震え始めた。相当トラウマになっていらっしゃるらしい。

 

「ひぃ!こない」

「マリー、怯えないで」

『「「「へ?」」」』

 

だが、ぐだ男は飛びっきり甘い声で所長を誑かす。

 

「貴女は美しい。その顔を恐怖で歪めることなどあってはならない。ね?」

 

自然な動作で所長の手を取り手の甲に唇をつける。うわー……馴れてるっぽいわー……

 

「これでも紳士なんで、女の子は絶対に傷つけやしません、絶対に」

「あ……ぅ……」

「照れてる?」

「う、うるさいわね!ちょっとぼーっとしてただけよ!」

「はいはい可愛い可愛い」

「むきー!!!」

 

完璧にトラウマを払拭したぐだ男。

 

 

 

誰だよこいつ。

 

 

 

 

ちなみに冬木の惨状を所長が見て最初と同じようなボケとツッコミが再び始まったのは言うまでもない。

 

―――◇◆◇―――

 

スキル、後輩を宥める、所長を宥める、を発動した後(様々な女性サーヴァントを相手にしてきた俺に死角はないぜ!)現在は目標の確認を行っていた。正直全部知ってるけどここは黙っとくことにする。

 

「そういえば……マスターの名前は?」

「あれ?言ってなかったっけ?藤丸立花だよ。よろしくね」

「そうか……」

 

やはりここは俺とは違う、もう1人の俺が存在する世界らしい。なんでこんなとこに英霊として呼ばれたんだか……ん?俺が女だったらマスターみたいになるの?なにそれ怖い。

 

「ほら、早く行くわよ!」

「はい!」

「はーい」

「うぃっす」

 

結局は所長がリードすることになった。まぁしかたないよね。弄りやすいしね。

 

ふと、悪寒が走った。

 

そう、それは例えば

 

肉食獣に狙われているような

 

キラリと何かが光って、

 

「はぁ!!」

 

マスターに当たる寸前で叩き落としたのは、矢だった。

 

「マスター!下がって!」

「ッ!!先輩!私の後ろに!」

「ごめんマシュ!」

「嘘でしょ!?どこから!」

『アーチャーのサーヴァントだ!前方2キロ!』

 

確か冬木のアーチャーは……

 

「ヤバい!おかんかよ!」

 

よりにもよってあいつか!骨の折れる!

 

とりあえず飛んでくる矢を片っ端から叩き落とす。

 

「なんで素手で何十本も同時に落としてるの?」

「所長、考えたら負けですよ」

「す、凄い」

『相変わらず無茶苦茶だねぇ……』

 

なんか後ろで呑気に喋ってる気がするが気にしない。いや、気にする余裕が無い。

 

流石エミヤといったところか。無駄のない攻撃がより効率的に打ち込まれてくる。少しでも気を抜けばやられる。

 

「マシュ!耐えてくれ!このままじゃジリ貧だから一気に攻める!」

「ッ!!はい!」

「信じてる!!」

 

きっとやってくれるだろう。なんたって、うちの最強の盾だから。

 

「宝具展開!我が家への扉(ゲート・オブ・カルデア)!」

 

今は一気に近づく!

 

召喚(サモン)!金時・ライダー!!」

「よう大将、呼んだかい?」

「前方2キロ、フルスロットルだ!」

「おうよ!任せな!」

 

まさかエミヤもバイクですっとんでくるなんて予想していなかったのだろう。どちらを狙うか迷った。その一瞬が今はありがたい。マシュもまだまだ未熟者だ。長くは持たないだろう。

 

いや違う!チャージ中か!

 

偽・螺旋剣Ⅱ(カラド・ボルグ)か!!」

 

思わず戻って援護したい気持ちに駆られるが、ぐっと堪える。俺はマシュに信じてると言った。なら、信じ切る。

 

エミヤがいる丘まであと、1キロ。

 

―――◇◆◇―――

 

ぐだ男先輩が飛び出すと、ピタリと攻撃が止みました。なんというか、嵐の前の静けさのようです。

 

「マシュ、ぐだ男からの伝言。宝具が放たれるからなんとか耐えろ、信じてる。だってさ」

 

やはり予感は的中していました。もし、ここで私が耐え切れなかったら、全滅。そんな重い役割に心が潰れそうになります。でも

 

「信じてる」

 

みなさんが、先輩が、ぐだ男先輩が、信じてくれるから。

 

この一瞬だけは

 

それに応えたいです。

 

「きた!」

「はあああああああああ!!!!」

 

私は宝具が使えない不完全なサーヴァントだけど

 

だけども!

 

この瞬間(とき)だけは!

 

「マシュ、君はマスターを守れ」

 

「それができたなら一人前だ」

 

先輩のサーヴァントとして!

 

力に!!

 

―――◇◆◇―――

 

轟音。まるで、あの時の爆発のような。でも違う。

 

何よりも信頼できる後輩が、守ってくれている。

 

「ほ、宝具を展開できたの?」

『あぁ……土壇場で宝具の展開を確認。危なかったね』

「よか……た……」

「マシュ!!」

『大丈夫、気を失っているだけだ』

 

 

 

「なかなか見どころのある嬢ちゃんじゃねぇか」

 

 

 

不意に何かがぶつかる音がした。

それが私に向かってきた矢を撃墜した音と知って思わず背筋が寒くなる。マシュの倒れた今、完全に無防備だった。

 

「その嬢ちゃんの根性に免じて、力を貸してやるよ」

 

そんな私を助けてくれたのは、

 

『サーヴァント!?』

 

黒化していないサーヴァントだった。

 

―――◇◆◇―――

 

凌いだ!!

 

「金時!俺をアイツにぶん投げろ!」

「流石大将だ!意味わかんねぇぐらいデンジャラスだぜ!行ってこい!!」

 

一刻も早く、あの後輩が作ってくれたチャンスをものにする!吹き飛びながら宝具展開!

 

帰還(リバース)、金時。召喚(サモン)、クーフーリン・ランサー!!」

「おうよ!」

 

光と共に出てきたのはアイルランドの光の御子だ。アーチャー相手には中々頼りになる。

 

 

「一撃で仕留める!」

「了解した!」

 

明らかに届かない距離、でも、やる。

 

前方100メートルあたりに佇む影エミヤに向かって放つのは、結果が先の槍。無理にでも届かせる。

 

「マスター!合わせな!」

「届けぇ!!」

 

「「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)!!」」

 

クーフーリンの槍と俺の握る槍が、螺旋状に絡み合いながら伸び、伸び、伸び、

 

驚愕の表情のエミヤを貫いた。

 

―――◇◆◇―――

 

サーヴァント。しかも、黒くなっていない。どうやら敵対する様子はない。むしろ助けてもらっている。

 

「あ、ありがとう」

「いいってことよ。俺は嬢ちゃんに感心したから手を貸しただけだ」

「見た感じキャスターのサーヴァントかしら?」

「ほぉ……魔力の質も量も一流なのにマスターの適正が無いとは……なんかの呪いか?」

「うっさいわね!」

 

それでもちゃんと矢を撃ち落としているあたり、悪い奴ではなさそうだ。

 

「お、あっちも終わったみたいだぜ」

 

矢の攻撃が終わる。アイツのことだ、またなんかトンデモをやって勝ったに違いない。

 

負けるとは微塵も思っていないあたり、末期だなと思いました。まる。

 

―――◇◆◇―――

 

急いで帰ってくるとなぜかクーフーリンがいた。キャスターで。

 

「そういやお前もいたなぁ」

「は?」

「え?知り合い?」

「いいや、全く」

「……そうだな」

 

影薄くて忘れてたとかじゃないからね!もともと覚えてなかっただけで(ひどい)

 

どうやらクーフーリンとも契約したらしい。うん、俺の時と同じだね。

 

「まぁいい、協力関係なら歓迎するよ、キャスター」

「お前さんも随分と変わってるなぁ……よろしくな」

 

まぁ、クフニキは社交性高いしなんとかなるっしょ。それよか

 

「マスター、すまない。完全に判断ミスだ。マシュに負担を掛け、マスターを危険に晒してしまった」

「は?」

 

さっきから罪悪感やばい。なんでこう考えなしに突っ込んでしまったのか。少なくとも冷静に考えるべきだった。

 

「結果オーライじゃない?」

「いや、それでは意味がないんだ」

「…………令呪をもって命ずる、気にするな」

「ふぁ!?」

「おいおい!」

「ちょっとあなた!?」

『あはは……』

 

罪悪感が綺麗に払拭され心が洗われたそうじゃない。

 

「なにやってんの!?ボケは俺の領分だろ!?」

「いやー、ネガティブ男子ほど面倒なものはないからさ」

「令呪使ってまですることかなぁそれ!」

「うるさい、自分が悪いんだから諦めな」

「うぐっ……」

 

それを言われると弱い。

 

それに、とマスターは付け加えた。

 

「あんたなりに頑張ったなら、それでいいよ。少なくとも私は感謝してるし」

 

きゅん!

 

「おいおいマスター。それはデレとみてよいか?」

「よくない」

「はっはー、参ったなー!」

「……自害させればよかったかな」

「すいませんでしたぁ!」

 

これは気を遣わせたかな?失敗失敗。

 

いいマスターだな。これからも頑張ろう。

 

 

 

 

 

 

 

クフニキ「お前ら実はめっちゃ仲いいだろ?」

ぐだ子「あぁん?」

クフニキ「(自覚無しかよ……)」

 

 




どうも橘です

みんなFGO好き過ぎかよ……
予想以上のお気に入り、感想でした。正直見向きもされないと思ってたし(ボソッ)

今後もこのノリでいきます。なんだこれハイテンションすぎてウザいとかなる人はオススメ出来ません……

よっしゃばっちこーいな人は是非期待し……ないで!笑

戦闘描写は無理です!そもそもぐだ男が瞬殺します!

異世界とはいえ本人と契約してるので心が読めたり、遠くでも意思疎通できる設定です。

こんなぐだぐだな作品でよければお付き合いくださいませ!


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決戦、冬木!(なお、戦闘描写はほぼゼロな模様)

頑張った……よ……

みんなの応援(仮装)で頑張れたぜ!


キャスター曰く

 

「ここまできたら最後の障害はセイバーのみだ」

 

らしい。他のサーヴァントはキャスターが倒したみたい。ただねぇ、

 

めっちゃ強いらしいんだけど、ども!

 

絶対ぐだ男がなにかやらかすんだよね(白目)

 

……何があっても驚かないつもりで臨もうかな……

 

―――◇◆◇―――

 

セイバーが強いってクフニキが言った時のマスターの視線が熱い。絶対期待されてますやんこれ。

 

やるっきゃないだろ(`・ω・´)ふんすっ!

 

―――◇◆◇―――

 

「ほぅ、そこの小娘、興味深いな」

 

はい、やってきました決戦。うーん、ぐだ男がソワソワしていたのがどーーーーーーしても気になりますが、うん、無理だ。ああなったアイツは止めれない。

 

「我が宝具、受けてみよ!!」

 

あ、現実逃避してて黒セイバーさんの話聞いてなかった……

 

とりあえず、相手の実力をたしk

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガーン)!!」

 

 

 

 

 

え、ビーム?死ぬの?

 

 

 

 

 

仮装宝具擬似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)!!」

 

 

凄まじい轟音。アーチャーの宝具が霞むレベル。だが、しかし、

 

 

「く……うぅ……はあああああ!!」

 

我らが頼れるシールダーさんは耐えきった!怖かったー!!

 

ふと、嫌な予感がしてぐだ男を探す。

 

い な い

 

 

 

冷や汗が頬を伝った。

 

―――◇◆◇―――

 

さっすがマシュマロ後輩!防ぎ切るねぇ!

 

てことで、殺りますか。

 

召喚(サモン)、モードレッド・セイバー」

「おう!って父上!?」

「うむ、そして奇襲で殺るぞ」

「うえええ!?」

「心配するな、世界軸が違うから嫌われる心配はないぞ」

「はぁ!?別に心配なんてしてねぇし!」

「……本音は?」

「…………罪悪感がすごい」

「目をつぶれ」

「そんなぁ……」

 

結果、

 

クフニキとマシュが頑張って戦っており、

 

マスターと所長が半ギレで俺を探していたりする戦場の

 

オルタ側、つまり

 

セイバーオルタの背後(・ ・)から特攻宝具ブッパします。

 

 

「「我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)!!!」」

 

「ぐ……モードレッド卿……!?ちぃ……」

「父上ぇえええ!!」

 

最後のオルタの視線に心折れたモーさんを宥めるのに30分かかった。ごめんよモーさん。

 

―――◇◆◇―――

 

「まったく!あなたって人は協調性というものが」

「はい、すいません……」

『まぁまぁ、彼のお陰で勝てたんですから』

「あの宝具とか死ぬかと思ったのよ!?」

「はい、すいません……」

 

只今、所長によるありがたーいお説教の時間です。被害者(?)はぐだ男。まぁ、自業自得よね。

 

まさか背後から宝具で一撃とは……

 

しかも黒セイバー側から飛んできたもんだから私達は完全に死を覚悟していた。あのセイバーが消えたあとの凍りついた空気は筆舌にし難いものがあったよ、うん。

 

よってぐだ男が帰ってきた瞬間に令呪によって正座させ(使い方がおかしい気がする)、所長の説教が始まったわけだ。いやー、あれはダメだわ。ほんとに怖かったもん。セイバーの魔力の数倍強力な宝具よ?

 

『しっかし、あれが聖杯か』

「信じられないほどの魔力を感じます」

「そうね、あれを回収したら帰りましょう」

 

「ダメだ!所長!」

 

ぐだ男が令呪を破って動き、所長の裾を掴む。らしくない必死さに周りが一瞬だけ留まった。

 

「まったく、とんだイレギュラーだよ。君は」

 

そして聖杯の前に現れたのは

 

死んだはずのレフ・ライノールだった。

 

―――◇◆◇―――

 

「まったく、とんだイレギュラーだよ。君は」

 

オルガマリーを止めたのは、彼女を殺さないため。ちゃんとさっきからキャスター勢と連絡をとって所長を生かす手段を模索しているのだ。勝手に死なれても困る。

 

そ、れ、と♪

 

「(れ、レフが……)」

 

素材にしか見えない。

 

―――◇◆◇―――

 

「れ、レフ!?レフなの!?」

『そんな!死んだはずじゃ!』

「ッ!!先輩、下がってください。あの人は……いえ、あの存在は、危険です」

 

それぞれが混乱するなか、真っ先に動いたのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素材を寄越せぇぇぇえええ!!!れぇぇぇふぅぅぅううう!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ぐだ男(あの馬鹿)だった。

 

今までの動きなど本気ではなかったかのような素早さでレフ教授を、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殴る、殴る、殴る。

 

 

 

 

 

 

「君はぐぼぁ、いったいがはぁ、なにをぐふっ」

 

 

まともに喋らせないぐらい、殴る。

 

 

「お前のような下劣なそんざぐぼら!」

 

 

罵倒なんて気にせず、殴る。

 

 

「あのおかt」

 

 

重要そうなことを言おうとしても、殴る。

 

 

「く、何をしても無駄だ!人類の消滅は免れな(殴」

 

 

もはやレフが涙目だった。

 

 

「お、覚えてい、ひぃ!」

 

 

小物臭さを感じさせるセリフさえ言わせなかった。

 

レフが消えた後もしばらく地面を殴りつけていたが、

 

「はああああ!?素材は!?」

 

突然キレて、バーサーカーしてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

これじゃどっちが悪役かわかんないや(白目)

 

「ちょ、あんたレフになにしてんのよぉおお!!!」

「いや、アイツ美味しいし」

「食べるんじゃないわよぉぉぉ」

「いや素材がね……」

 

もう止めるのも面倒くさい……

 

―――◇◆◇―――

 

うーむ、トリップしてたようだ。

 

素材も落ちなかったし、ちっ、使えん。

 

『うぉ!?空間が崩壊し始めた!すぐに脱出してくれ!』

「せ、先輩!手を!」

「うん!」

「ドクター!早くしなさい!」

「ストップ!所長!こっち来て!」

 

このまま帰ったら所長は死ぬ。それを回避するには……

 

「ちょっと、なによ!」

「この空間に入ってください」

 

まずは所長の魂を一時的に避難させる。

 

「なに、これ……見たことない魔法陣……」

 

そして肉体を治してから、戻す。ん?死んだ肉体?うちのキャスター勢を舐めんな。

 

『転移、開始!』

 

視界が白く染まり、

 

不安そうな所長の手を握り、

 

「あなたを必ず助けてみせる」

 

そう、約束した。

 

 

 

 

―――シフト先、カルデアス前に座標を固定。

 

―――レイシフト先からの帰還を開始。

 

 

 

 

 

「っだぁ!!」

 

よっしゃ、戻ってきた!

 

周りの瓦礫をどけ、オルガマリーだった肉片(・ ・)を見つける。ん?遺体なんて木っ端微塵だよこんちくしょう。

 

これに、この特製の成長促進剤をかっけてーっと

 

(グロ描写が発生しています)

 

よし、できた。全裸の所長(魂無し)の完成。とりあえずこのジャケットを着せてっと。所長もどうして中々御立派じゃないの。

 

魔法陣をもう1度書いて、所長の肉体を載せる。

 

「んぅ……」

「所長、起きてください」

「あれ、ここ……」

 

成功だ!さっすがマーリン!

 

「戻ってきたんですよ、カルデアに」

「なに、あれ?カルデアスが真っ赤じゃない」

「レフによって人類の歴史が歪められたんです」

「そ、そんな……嘘でしょ?」

「残念ながら……」

「わ、私はどうすれば」

 

所長は、見たことがないほど動揺していて、不安げで

 

 

ただの(・ ・ ・)女の子みたいだった。いや、事実そうなのだろう。ここで慰めなくて何が男か。

 

「このカルデアを、人類を引っ張ってください。そして人類を救うんです。あなたならできますよ」

「む、無理よ!私なんかじゃ!」

「いいえ、あなただけじゃありません。僕もいます、マスターもいます。もうひとりぼっちで背負い込む必要はありません。僕達が支えます」

「でも……私なんかじゃ……」

「マリー?自分を卑下する必要なんてないよ。君は今までよく頑張ってきた」

「そんなの、私の力なんかじゃない」

「でも、あなたの意志だ!!」

「ッ!!」

「自信が無いなら俺が肯定する!辛いなら、俺が支える!自分に自信を持て、オルガマリー・アニムスフィア!」

「……なにそれ……馬鹿みたい」

「あなたが望むなら道化になろう」

「頼りないわよ?」

「俺がその分強くなろう」

「……泣き虫……よ?」

「いつでも付き合いますよ、マリー」

「う……うわああああああん!!!」

「よしよし」

 

気の済むまで泣けばいい、

 

あなたには、明日があるのだから。

 

救えなかった所長を思い出すと、少しだけ、泣けた。




どうも橘です

シリアスなんて似合わない?俺も思ったよ。

優しくするときは僕、普段は俺が一人称。
知ってると思うが、ぐだ男はタラシ。そもそも元のカルデアに数十人の妻(サーヴァント)がいる時点で察せ。

戦闘描写はこれからもないと思われたし。

次はちょっと説明入れて、待望の日常回だ!


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様々な人達との距離感……を全力で踏み外す

Q.ねぇ、毎日投稿だよ?どうしたの?変なものでも食べた?精神科行く?

A.全ては予想以上の評価によって調子に乗った作者が原因だ。


あの後所長には、

 

「うぅ……ぐす……って、え!?私どんな格好してるのよ!?」

「いやー、爆発で服が吹き飛んでて……ごちそうさまです」

「〜〜〜〜!!!死ねぇ!!」

「無理無理効かなぐはっ!?」

「お、覚えてなさい!!」

 

殴られ(あの人、並の魔術師より魔力あるから想像以上のダメージだった。)、逃げてしまったのを少しだけ寂しく思いながら瓦礫の片付けをした。あまり女の子に死体の処理を任せるのも、まぁ、あれだからな。

 

「やぁ、ぐだ男くんだね?」

 

大方片付いた頃にやってきたのは、ロマニだった。

 

「ロマニ……」

 

この世界のロマニは俺のことを知らない。それはやっぱり心にクルものがあって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思わず酒を取り出した。

 

 

 

 

 

「え……、今どこから」

「気にするな。それよか、晩酌に付き合えよ、折角だしさ」

「う、うん?まだ作業が残ってるんだけど……」

「どうせ働き詰めなんだろ?たまには息抜きしないと」

「……じゃあお言葉に甘えて」

 

実際、疲れていたのだろう、倒れ込むように座った。

 

「ほーら言わんこっちゃない。適度な休息は仕事の効率を上げるぞ?」

「うぅーん……大急ぎでやらないといけないことが多すぎてね」

「お疲れ様、乾杯」

「君こそ、乾杯」

 

ちなみに、自家製の果実酒(エミヤ監督による)なのでかなり上手い。

 

「……お、美味しい……」

「だろ?ささ、も一杯」

「あぁ、悪いね……」

 

少しは血の気もよくなってきた。まったく、どれだけ真面目に働いていたのか……

 

「カルデアは回りそう?」

「なんとか……ね。それでもやっぱり人手が足りないかな」

「そうか、俺も手伝うよ。疲れないサーヴァントは無敵だろ?」

「確かに……よろしくたのむよ」

 

ところで、とロマニがおどけた様に言う。

 

「マスターの心配はしなくていいのかい?」

「んー、存在を感じるから放ったらかしな部分はあるなぁ」

「告げ口するぞー?」

「ぐだ男らしい、で片付けそうだな……」

「確かに……彼女もマシュもバイタルは安定してる。今は眠っているよ」

「そうか、王子様のキスで起きるかな?」

「どちらかと言えば危機を察知して起きそうだね」

「ひでぇ……」

 

実際ありえるからタチが悪い。

 

「君とは仲良くやっていけそうだ」

「まぁ、元が人間に近いサーヴァントなんだ。反英霊とか気をつけろよ?」

「どんな子でも仲良くなれると思うけどね」

「優しいんだな」

「人類を信じてるだけさ」

 

ロマニは、こういう奴だ。

 

「ロマニ、俺やっぱお前のこと好きだわ。よろしくな」

「……え?男色かい?ちょっとそれは……」

「いい話が台無しだよ!!!」

 

うん、こういう奴だ。はぁ……

 

―――◇◆◇―――

 

夢を見ていた。

 

その男は、数多の英霊と契約を交わし、

 

幾度の危機を乗り越え、

 

世界を平和へ導いた。

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーヴァントと訓練をしていた(←は?)

 

 

 

 

 

視認出来ない速度の槍を避け、自分より大きな岩を砕き、死角からの銃弾を止めて見せた。

 

女性サーヴァントからの過激なスキンシップもなんのその。何事も無かったかのようにくぐり抜け、

 

日常を楽しそうに送っていた。

 

ってかぶっちゃけリア充していた。

 

なんだよ妻が数十人って。

 

夜とかサーヴァント相手に耐えれるのかよ。

 

そんな無粋な疑問を抱いてはいけない。

 

なぜなら、彼こそは

 

正義を極め、性技を極めた、最強のマスターなのだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っはぁ!!!」

 

なんか、とてつもない夢を見た。とりあえず、

 

 

 

 

 

「ぐだ男ぉぉぉぉぉぉおおお!!!!」

 

 

アイツをどうしてくれようか。

 

―――◇◆◇―――

 

っ!?何故か悪寒が!

 

「どうかしたのかい?」

「んー、多分なんでもない。ごめんごめん、ダウィンチちゃん」

「ホントだよー、こんな絶世の美女を目の前にして他の女のことを考えるなんてー」

「いやそんなこと考えたなんて一言も」

「君と私の仲だろう?」

「出会って1時間のね」

 

ただいまダウィンチちゃんと雑務中、なう。

 

「ぶー、連れないなぁ」

「なんでそんな軽口叩きながら俺より作業早いんですかね」

「わたしぃー、天才だからぁーできちゃうんだよねぇー」

「何その太古の大昔のギャルみたいな口調。わりと似合ってるし……どこで調べたんですか」

「ロマニのパソコンにね」

「ここにプライバシーは無いのか!?」

 

ロマニ……ご冥福をお祈りします……

 

「ふむ、なんならロマニの性癖の暴露でも」

「やめて、絶対やめて。ロマニが立ち直れなくなるから」

「ふむ、そうか。残念だ」

「ほんとに残念そうだな……」

 

まぁ、自作のAIにアイドルやらせたりしてる時点で察しだけど……

 

「よし、後は私がやろう。君はマスターの様子でも見に行ってあげるといい」

「お、いいの?」

「あぁ、いつも1時間はいるだろう?」

「すまんな」

 

てことで、マスターの自室へ向かう。ダウィンチちゃん相手だとツッコミに回らざるをえないのは悔しいですね。

 

「失礼しまーす」

 

帰ってきてから今日で3日目。まだマスターは目を覚まさない。

 

「はやく起きないと心配だよーっと」

 

1日1時間は、こうやってマスターのもとで時間を潰す。それが何故なのかはイマイチわからないが……やっぱり心配なんだよな、俺も。

 

マスターの手を握る。どこかへ行ってしまわないように。

 

「へぇ、いっつもこうしててくれたんだ」

「……………………」

 

ん?幻聴だろうか?今マスターの声が……

 

マスターが少し赤い顔でこちらを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、ぐだ男、死す!

お楽しみに〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「心配してくれたの?」

「うわあああああああああああああああ」

 

これは人生最大の黒歴史まであるぞ!?

思わず奇妙な動きをしながら手を離す。

 

「いやー、ロマニが『このまま眠った振りをしていると面白いものが見られるよ』って言ってたから何かなーと思ったら……これはこれは」

「くっ、殺せ!!」

 

これぞ悪役っばりの笑顔。いや、小悪魔的な笑顔を満面に貼り付けて、俺に迫る。

 

「なになにー、普段はあんなに飄々としてて」

「ぐっ」

「実際はめっちゃ心配してたのですかー」

「がはっ」

「可愛いとこあるじゃーん」

 

「うわあああああああああああああああ!!!」

 

耐えれなくなり逃走した。

 

 

後にダウィンチちゃんが俺を早く行かせたのはロマニ氏の犯行と判明。報復としてロマニ秘蔵の画像フォルダをデリートした。めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっふふーん♪……あれ?無い?」

 

―――1時間後

 

「ロマニー?……うわぁ!?灰になってる!?」

 

―――◇◆◇―――

 

あー、まだ心臓がばくばくいってる。

 

だって、予想外過ぎたのだ。

 

ロマニに

 

「お!起きたのかい!!よかった…………お……そうだ立花くん、もう少し寝ているととても面白いものが見れるよ?」

 

なんて言われて、寝た振りをしていたら

 

やけに心配そうなぐだ男が入ってきた。

 

正直、年頃の乙女の私室にノックも無しに入ってきたのにはイラッときたが、そもそも私物なんてほとんど無いし、寝ている設定なのでスルー。

 

するとぐだ男は

 

「はやく起きないと心配だよーっと」

 

なんて言いながら手を握ってきたのだ。

 

あまりに予想外過ぎて頭が真っ白になった。

 

なにより、

 

私を心配する気持ちがぐだ男の仕草から伝わってきて、こう、胸がきゅーってなった。

 

それでも動揺しているのを悟られまいと必死に撃退したものの、上手くいっただろうか?

 

「顔真っ赤だ……」

 

不意打ちは、卑怯だと思うんだ……

 

あ、

 

あの夢について聞きそびれたな……

 

―――◇◆◇―――

 

数日は雑務で顔を会わせずに済んだものの、今後についてのミーティングとなれば行かないわけにはいくまい。

 

「あ、ぐだ男……」

「………………」

 

会ってみると気まずいね……うん。

 

「マスター、すまない。勝手に……その……うん……」

「いや、こっちこそイジりすぎたかなー……って」

「お、お互い様……かな?」

「そ、そうだね」

 

「「…………」」

 

やべー、会話が続かねー。

 

「その、俺は疚しい気持ちじゃなくて、ただ心配してただけだからな!?変なこと一切してないからな!?」

「それくらいは信じてるって……ふーん、そっか。心配してくれたんだ」

「あ……」

 

BO☆KE☆TU掘った。

 

「よーし、ミーティングを始め……どうしたの二人とも」

「「いえ、なにも」」

 

ロマニ達が入ってきた瞬間に高速でお互いから顔を逸らす俺達。誤魔化すの下手すぎる……

 

一部スタッフから生暖かい眼差しを向けられている気がするが、気のせいだろう。ついでにロマニに冷たい目線が向けられている。

 

気のせいなんだよ、いいね?

 

「これから僕達は特異点にレイシフトして……」

 

ここらへんは省略する。このSS読むようなFGOファンには必要ないだろう。え?何言ってるのかって?そんなの俺に聞くな、世界が指示してんだから。

 

―――◇◆◇―――

 

次のレイシフトまで休んどけって言われたけど、この人材が足りないカルデアで何もしない訳にはいかない。ということで、

 

『準備はいいかい?立花くん』

「いつでも大丈夫だよ、ドクター」

 

召喚サークルに来ています。サーヴァントがぐだ男とマシュだけな現状、新しい戦力が欲しい。

 

『召喚サークル起動、英霊、顕現します!』

「ッ!!」

 

眩い光が収まると、

 

「アーチャー、エミヤだ。宜しく頼む、マスター」

 

立っていたのは赤い衣の男だった。

 

―――◇◆◇―――

 

「へっくちゅ!」

 

んーなんだー?

どこからか便利キャラの立ち位置を奪われるぞーって言われた気がする。




どうも橘です!

祝、お気に入り100件突破( ̄∇ ̄ノノ"パチパチパチ!!
こんな設定ガバガバな小説を根気よく読んでいただいてると思うと頭が下がる思いです

次こそはちゃんとした日常回……かなぁ?

違うんだ、ラブコメっぽくするつもりはなかった。ただ俺の腕が勝手に……メインヒロインっぽいのが既に2人いる件について(白目)

正直、召喚されるサーヴァントはかなり悩みました!もし機会があればリクエスト募集して召喚させるのもありかなーと。是非お楽しみに……


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お料理バトル!!!

おかん出たやろ?
サブタイから察しろ


「…………」

「…………」

 

二人の男がまるで決闘するかのように睨み合っている。

 

片方はエミヤ。ついさっき召喚したアーチャーのサーヴァントだ。

 

片方はぐだ男。色々ありすぎて説明できない。

 

ともかく、何やら険悪な雰囲気が漂っている。

 

そこは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キッチンだった。

 

 

 

 

 

その近くで頬を緩ませているマシュもいる。

二人が作った料理に舌鼓を打っているのだ。実際、二人の出す料理は美味しい。普段レーションが多い最近の食生活からすれば宝具に勝るとも劣らない価値があるだろう。

 

「先輩先輩!この煮付け美味しいですよ!でもこの茶碗蒸しも中々……ふふふ」

 

マシュが楽しそうにしているのを見ると和むのも確かだ。

 

だが、

 

だがしかし言わせて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ことは1時間前に遡る。

 

 

「アーチャーのサーヴァントなのね?よろしく!」

「とりあえず、近況を教えてくれないか?」

「えっとね……」

 

ざっとだが、近況を伝える。

 

「ふむ……とりあえず、私をキッチンに連れて行ってくれないか?」

「うん……?別にいいけど?」

「これでも料理には心得がある」

「なるほどね、ついてきて」

 

そして料理をさせてみたら、

 

美味しいのなんの。

 

思わず周りの職員を呼び集めてしまった。

それからは連鎖反応のように職員が集まり、集まり、集まり、結局全ての職員が集まった。食事は娯楽の一種になりうる。レーションだけの料理に飽きていた職員達にとって美味しい料理はもはや麻薬だった。

 

そこかしこからおかわりの声が上がる。エミヤはそれを満足気に眺めていた。

 

それまではよかった。

 

「エミヤ!?」

 

あの馬鹿が来るまでは。

 

―――◇◆◇―――

 

いやー、新しいサーヴァントを召喚するとは聞いていたけど……エミヤとは……

 

とりあえず、勝負を吹っかけてみるか。

 

キッチンに俺も立ち、様々な料理を作っていく。エミヤ(俺世界)に教えてもらった俺に死角はないっ!エミヤも最初は気にもかけない様子だったが、俺の料理の腕前を見ると

 

「ふっ、面白い……」

 

熱が入ったように腕をふるい始めた。そこからは言葉を交わさなくてもわかる。試合のゴングが鳴ったのだ。

 

踊る包丁。

 

刻まれた材料が宙を飛び、

 

短時間に何品もの料理が並ぶ。

 

それはまるで戦場。

 

いや、料理人にとってはまさしく戦場なのだ!

 

数時間後、職員全てが満足した。溢れ出る精気が違った。やはり料理は世界を救う。

 

そして二人の料理人はお互いを見つめると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「見事だ……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう一言呟くと、固く手を握りあった。

 

「すごい……!!これが男のゆーじょーですか!?先輩!」

「よし、マシュを汚したやつをぶっ殺すからそいつの名前教えろ」

「?ドクターが」

「殺す」

 

男二人は不気味に笑い合うだけだった。

 

―――◇◆◇―――

 

こうして、第一次カルデア料理戦争は幕を閉じた。しかし、ぐだ男曰く、

 

「俵のお兄さんが来たならばまた勃発するであろう」

 

とのこと。正直よくわからんが、メシウマなのは歓迎です。いやまじで。

 

「凄いですね。一度共に料理をしただけであそこまで仲良くなれるなんて……はっ!!まさかあれは料理によって世界を救ったBI☆SYO☆KU☆YAと呼ばれる方々なのですか!?」

「違うからね?」

 

マシュ、どこからそんな情報を……あー、ロマニね、おーけー。……本格的に締めてやろうかな……

 

あの2人?今は……

 

「じゃあ世界樹の種は?」

「ほぅ、確かにあれは独特の苦味がある、が、ちゃんとした下準備によって……」

 

よくわからん世界に入っていらっしゃる。

 

エミヤも嬉々として教えてるし、ぐだ男もキラキラした目でエミヤから教えを乞うている。こーゆーとこ子どもっぽいのよねー、男子って。

 

そこに誰かが駆け込んできた。

 

「ちょっと私の分は!?」

 

あ、さっき見かけなかった所長だ。

 

「ちょっと立花!!私の分は!?」

「来てない人の分なんてあるわけないじゃないですか。まるで飢餓の群れでしたもん」

「もん、じゃないわよ!私も食べたかったのにぃぃ!」

 

あ、ここにも涙目のお子様がいらっしゃった。

 

「なんで来なかったんですか?」

「う……それは……みんな頑張ってくれてるから……私の分は後回しでもいいかなーって」

「ぐだ男早く作ってあげてお願い!!」

 

指をつんつんさせながら理由を述べる所長を見ていたら先ほどの自分を殴りたくなった。なにこの可愛い生物……

 

「あ、マリー!遅いじゃんか、どしたの?」

「みんなに気をつかって遠慮しちゃったらしいの!だから早く作りなさい令呪使ってでも!!!」

「おうおう、マスター落ち着けって。マリーの分を忘れる訳なかろう、ほれ」

 

冷蔵庫から取り出したのは今日出てきた料理一種類ずつが一口大に盛られたお皿だった。とはいえ、様々な料理が作られていたためそこそこの量となっている。

 

「え、これ、私の分?」

「もちろん。作りながら取り分けるの大変だったんだぞ?一瞬で無くなるしさ」

「なんだ、それは自分の分ではなかったのか」

「ばーか、エミヤとの勝負に私情を挟むかよ。人の為だっつーの」

「ふむ……それで私のペースに追いついていたとはな」

「ギリギリだったけどな」

 

ふと見ると所長が泣いていた。

 

「ちょ、ぐだ男!泣かしてんじゃないわよ!」

「ふぁ!?え、ごめんマリー!残り物嫌だった!?新しく作ろうか!?」

 

あたふたする私達に首を振ると、所長は途切れ途切れながらも言った。

 

「ち、ちが……ひっく……うの。嬉しくて……ぐす」

 

 

 

ドキューン!!

 

「ほらほら所長、食べて食べて?」

「ストップ!温めてくる!」

 

そこからはひたすら所長を甘やかした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マスター、何やら美味しそうな匂いが』

「来るな!絶対出てくるなよ!?やめ、おま、こじ開けるなあああああああ」

『何故ですかマスター。食物は誰にでも平等に分配すべきではありませんか』

「お前が来ると平等なんて吹き飛ぶからだよぉぉぉ!!!」

 

何かぐだ男が叫んでいるが私は所長にあーんするので忙しいのでパス。

 

―――◇◆◇―――

 

その後、所長室にて、

 

 

「ほれほれ」ヨシヨシ

「えへへー」ニマニマ

 

軽く鼻血吹きそうなレベルで甘い所長とイチャイチャしておる。しゃあない、所長から呼ばれたんだもの。不可抗力。

 

「その……今日はありがとう……」

「どういたしまして」

「なんで私がいないこと分かったの?」

「ちらっと見えたけどすぐ引っ込んだから遠慮したんだろうなーって思った。えらいえらい」

「見られてたの……!?」

 

頬に手を当てて赤面する所長可愛い。誰だこいつ。

 

「でも意外ね。料理できるなんて知らなかったわ」

「そりゃ、サーヴァントには食事も睡眠も要らないからね。ここんとこずっとダウィンチちゃんと雑務してたなー」

「……ごめんなさい、貴方に負担を強いてしまって」

「いや、いいんだ。俺がマリーを手伝いたいだけだし」

「もうっ!」

 

あれ?俺達って恋人?(もはや間違いでは無い)

 

「これからもせいぜい頑張りなさい……頼りにしてるわ」

「おう、任せとけ」

 

いや、紳士なんで襲わないよ?(震え声)

 

―――◇◆◇―――

 

「ろーまにっ!」

「なんだい立花く……その手に握っているバールのようなものは一体何かな?」

「マシュに何を教えてくれちゃってるのかなー?」

「ナンノコトヤラー」

「ほうほうほう、死にたいのかー、そっかー」

「待ってくれそんな死んだ魚の様な濁った目で近づいてこないで、ちょ、え、まっ、アッー!」

 

 

 

 

 

「ドクター?職員さんがよんで」

「マシュ、ドクターなんていないよ」

「はい?」

 

―――◇◆◇―――

 

ぐだ男ズカルデア

 

青王「マスターがご飯を作ったのに呼んでくれませんでした」

おかん「それで私の所へ来たと?」

青王「はい。大変美味しいです」

黒王「もっとハンバーガーは無いのか?」

白王「すいません、私達まで」

 

ロマニ「ふぁ!?食料庫が半分消えた!?」

おかん「済まない……アイツらを止められなかった」




どうも橘です

こいつらの日常はこんなんばっか
楽しいならいいだろう?

ぐだ男は料理ができない?
んな訳ねーだろ!
専業主夫プレイの一貫で習得してる
(なんのプレイかはご想像にお任せします)

所長はチョロイン、イイネ?

これから24:00に投稿しようと思います。
毎日は無理でも2日に一回は(白目)


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ぐだ男は強くなりたい

昨日投稿出来なかった理由?

10連爆死してショックだった……

すまん……


「「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!」」

 

「「麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)!!」」

 

「「牛王招雷・天網恢恢!!」」

 

「「黄金鹿と嵐の夜(ゴールデン・ワイルドハント)!!」」

 

……………………

………………

…………

……

 

何してるかって?

 

種火集めだ察しろ。

 

―――◇◆◇―――

 

どうも、立花です。今は今後の特異点についての資料を確認してるとこかな。

 

―――ドサッ!

 

「おー、ぐだ男おかえりー。もうそろそろ休んだらどう……ってもういないし」

 

振り返った私の目に入るのは、黄金の輝きだけ。

 

「あいつどんだけ働いてんのよ……」

 

最近のオーダーはもっぱら霊基再臨の素材や種火集めだ。1人で私達の五、六倍ほど素材を持ってくるぐだ男に呆れるしかない。それにしても……

 

「あいつ……ここんとこ潜りっぱなしじゃない?」

 

料理はエミヤが作ってくれてるし、特に問題がある訳ではないんだけど……(むしろいない方がストレス軽減?)

 

「サーヴァントは疲れないから……大丈夫……なのかな?」

 

ちょっとロマニにカウンセリング頼むかー。

 

―――◇◆◇―――

 

足りない。

 

強さが足りない。

 

宝具を使えば戦える。

 

なら、使えなかったら?

 

魔力が枯渇したら?

 

俺は弱い。

 

 

 

 

 

先日、エミヤと手合わせをした。

 

結果は惨敗。

 

宝具の使用を禁止すると

 

何も出来なかった。

 

もちろん、エミヤは歴戦のサーヴァントだ。

 

圧倒的な力ではなく策で戦いにくるタイプだし、実戦経験の浅い俺の適う相手では無いのかもしれない。

 

それでも、だ、

 

 

 

 

負けた、負けた、負けた。

 

 

 

 

手も足も出なかった。

 

尽くの攻撃をいなされ、反撃された。

 

一撃も入れられなかったのだ。

 

足りないのはなんだ?

 

経験?力?

 

なにをすれば

 

 

 

 

 

 

 

「俺は守ることができる?」

 

 

 

 

―――◇◆◇―――

 

―――ぐだ男の反応が消失(ロスト)した。

 

そうロマニに告げられたとき、馬鹿なと思った。

 

今までの戦闘で危なげなく勝利していたアイツが?

 

さして苦戦した様子もなく、飄々としていたアイツが?

 

「ぐだ男の英霊としての格は高くない」

 

エミヤは厳しい顔つきで言った。

 

「他のサーヴァントを召喚することで一時的に自分自身も強化していたようだが……召喚していない状況で奇襲を受けたのなら」

 

静かに首を振った。

 

「そ、そんな!?ぐだ男はあんなに強くて……」

「それも真の強敵に出会っていなかっただけだろう?この世界にはバケモノが山のように存在する」

 

実際、今までに戦ってきたのだろう。エミヤは苦々しげに言い切った。

 

「じゃあ……救出は?」

「そもそもまだ生きているのかどうか」

「生きてる」

 

だって、感じるから、

 

「アイツの魔力が極わずかだけど感じ取れる」

「……ふっ、しぶとい奴め」

 

なら、とロマニが続ける。

 

「立花くん、令呪は使えないのかい?」

「あ……」

 

確かに、令呪なら……………………ッ!?

 

「ダメ、使えない!!」

「は?」

「わかんない、けど、繋がりが薄くなってる」

「そんな……」

「ドクター、救出しにいこう」

「……いや、待とう」

「ドクター!?」

「別に見殺しにしろってことじゃないさ。まだ生きてるんだろう?なら、」

 

―――まだやれるんじゃない?

ロマニは薄く笑いながら言った。

 

「きっとまだ消滅しないのは意地だよ。男には、カッコつけたいときがある」

「…………は?」

「きっとぐだ男くんは、このまま助け出されるなんて真っ平御免なんじゃないかな?」

「なるほど、な……あの男なら有りうるな」

「………………は〜〜〜!?ぜんっぜんわかんない!」

 

これだから男は!変なとこで意地張って!

 

「僕はぐだ男くんなら帰ってきちゃう気がするな〜」

「同感だ。何事も無かったように帰ってくるだろうな」

「はいはいわかりましたっ!もー、何があっても知らないからね!」

 

2人に苦笑いされて言えなかったけど、

 

実は私も思ってます。

 

なんてね。

 

はやく戻ってきなさいよ。乙女を心配させた罪は重いんだから。

 

―――◇◆◇―――

 

しまったなぁ……

 

無意識のうちに焦っていたせいか、

 

 

 

 

 

 

背後からのキマイラの奇襲にまんまとかかった。

 

 

 

 

 

 

クリーンヒットして気づいたことだが

俺って紙耐久すぎる……

 

一撃で右半身の殆どが複雑骨折した。

 

あのヘラクレスと渡り合えていたのも、何らかのスキルで軽減していたっぽい。

 

よって不意の一撃にはスキルも発動せず致命傷になってしまったと……

 

俺が悪いのは重々承知だ。それでも言わせてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キマイラってなんだよ!!こちとら種火周回中なんだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場は必死に離脱しようとしたものの、右腕を持ってかれた。満足に動くのは左半身のみ、隻腕状態。

 

 

 

いいじゃねぇか。

 

上等だ、ここでくたばるようじゃ誰も守れない。

 

―――◇◆◇―――

 

 

獣は血の匂いに誘われて大樹の下に辿り着いた。

 

 

獲物をすんでのところで逃したのだ。腹が減ってたまらない。

 

 

そこには美味しそうな肉があった。

 

 

何も考えずに飛びつき、貪ろうとした、その時、

 

 

上から何かが落ちてきて、

 

 

生きていく上で大切なものを砕いた。

 

 

―――◇◆◇―――

 

早熟な個体で助かった……

 

自分の右足を切り落とし、おびき寄せる餌とする。

結構危ない(精神的に)作戦をよくもまぁ成功させたものだ。

 

傷口は握り潰して止血しているが、流石に限界かな?

 

目眩を覚え思わず座り込む。いや、倒れ込む。敵は屠ったからセーフ?いや、まだ敵がいそうな場所で意識を失うのだからアウトか。

 

もういいや、疲れた。

 

そっと目を閉じようとすると、

 

 

 

ロマニの困った様な顔が見えた。

 

マリーの怒った顔が見えた。

 

エミヤの皮肉げな顔が見えた。むかつく。

 

マシュの笑顔が見えた。

 

マスターの、泣きそうな顔が見えた。

 

ん?

 

マスターのあんな顔見たことあったっけ?

 

あぁ、そうか、

 

このままじゃあんな顔させちゃうのか。

 

それは頂けないなぁ。

 

「あーあ、まだ休めないのか」

 

目の前には、もう一体のキマイラが迫っていた。

 

―――◇◆◇―――

 

誰かが戻ってきた音がする。いや、誰かが、なんかじゃない。

 

「ごめん、待った?」

 

散々心配させておいて開口一番が、これ。

 

笑わせてくれる。

 

でも、アイツらしい。

 

「ちょっとあんたねぇ!!」

 

怒った声を出そうとしたけど声が震えてしまった。しょうがないじゃないか。音信不通で2日なんて思ってもみなかったんだから。

 

なんど自分の魔力経路(パス)を疑ったことか。

 

「お待たせ、マスター」

「ちょ、別に頭撫でろなんて言ってな」

「目が真っ赤だよ?」

 

それ以降、お互いに言葉を発しなかった。

 

―――◇◆◇―――

 

「ぐだ男先輩!よかった、無事だったんですね」

「ご迷惑をお掛けしました……」

 

「ぐだ男!ちょっとなによ!心配したじゃない!」

「ご心配をお掛けしました……」

 

「ふっ、やはりしぶといな」

「ご心配……してねぇなお前」

 

「ほら、やっぱり帰ってきた」

「あぁ、なんかもういいや」

 

多くの人(?)に心配を掛けてしまった。反省しなければ。

 

だってさ、

 

 

 

 

 

 

キマイラの群れに遭遇するなんて、思わないじゃん?

 

 

 

 

 

 

流石に諦めようかと思ったけど、

 

俺の本当の宝具(・ ・ ・ ・ ・)が判明したことによって形勢逆転。ただまぁ、強力過ぎる宝具なため反動が凄くて死にかけたけど……

 

ん?それって何かって?

 

 

 

やだよ使いたくないほんとキツかったんだもん!!!

 

 

種火も結構取り込んだし、レベルアップしてる感もある。うむ。いい感じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、エミヤと再戦したらボコられたよね……

くそぉ、おかんめぇ……

 

 




どうも橘です

始まりましたね、二部。
10連爆死して泣きそうでした笑

詫び石でマリー来たからいいけどね!(歓喜)

アルトリアちゃんよりマリーの方が欲しかった人だから!朝っぱらから奇声上げてました。

あれ?宝具レベル?課金?聞こえないなぁ。

昨日のショックのせいで前半ものっそいシリアス……



ちょっと注意してほしいのが
この作品はこの先、キャラ崩壊などを多数引き起こします( ̄▽ ̄;)でも、この世界のサーヴァントと皆さんの中のサーヴァントは全く別人と考えてください。

しょうがないじゃない。すべて僕の妄想なんだから(白目)

その分、皆さんをクスッとさせれたらいいなー、なんて思います。

次はオルレアンである。みなさんお待たせ、邪ンヌだよ!


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白の聖女様!!

イベント間に合うかな……

フォウ君手に入れるの諦めそう……

あと師匠のゲイボルグ取れない……辛い……




さぁさぁ、やって参りましたオルレアン編!

 

今回で二度目となるこのレイシフト、今回はどんな物語が待ち受けているのでしょうか!(既にネタバレしているせいでつまらないから、やけクソテンションなんだよ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやって邪ンヌおちょくろうかな?(ゲス顔)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆◇―――

 

第一特異点。

 

正式なレイシフトは今回が初めてとなる。場所はフランス。今回は、私、ぐだ男、マシュ、エミヤの4人で挑む。所長は再びレイシフト適正が無くなったらしく来れなかった。レイシフト前に真剣な顔で言われたのが、

 

「あの男を放っておくと危険よ……くれぐれもよろしくね」

「アッハイ」

 

大変ぐだ男を警戒しているようだ。誰だってそーする。私だってそーする。

 

頑張って集めた(八割ぐだ男なのが悔しいが)種火で充分強化出来ているみたいだし、エミヤみたいな常識枠がいるのだ。大丈夫と思いたい。

 

 

大丈夫、かなぁ?

 

 

―――◇◆◇―――

 

よーし、フランスに到着!エミヤに目配せして索敵、半径2キロ圏内に敵影は無し。

 

「凄い……草原ですね!先輩!」

「うん?そうだねー」

 

はしゃいでいるマシュ可愛ええ……

 

「っ!!マシュ!」

「ふぇ!?」

「ふぁ!?」

「いや、なんか私の愛しの後輩が誰かに狙われたような気がして……」

 

鋭っっっっ!!!

 

「敵影は無しだ。そろそろ移動するか?」

「エミヤさんに賛成です!」

「どうしたのそんな冷や汗かいて……そうだね、誰か人はいないのかな?」

『お、生体反応をキャッチした。北西方向に3キロだ。人間のようだよ』

「りょーかいロマニ。接触してみる」

「ここってフランスだっけ?マスターはフランス語喋れる?」

「まさか」

「デスヨネー」

 

ん!?なんか不思議な電波をキャッチした!

 

「不思議設定で相手も日本語喋るから大丈夫!」

「うわ!?どうしたの急に叫んで」

「いや、なんか言わないといけない気がした」

「は?病院紹介しようか?」

「ハハ、冗談キツいなぁ。人理焼却で何も無いだろうに」

(無言で令呪を構える)

「すいませんでした」

 

いやー、令呪つらいわー。割と対抗出来てるけど(三話で所長を掴んだ時とか。ん?三話?何言ってんだ俺)

元がマスターだけあって令呪とか魔術礼装とかのスキルと相性がいいんだよね。

 

「マスター、人影を視認した。数十人規模の武装集団だ」

「うぇ、流石アーチャー。何も見えないや」

「本来ならもっと遠くまで見れるのだがな。生憎傾斜で隠れていて確認出来なかった」

「どう接触しようか?」

『うーん、言語が通じるか分からないんだから慎重にいかないとね』

「だから大丈夫だってば」

『?』

 

根拠?世界が言っているから!

 

『!!別の生体反応を確認!あれは……ドラゴンか!?』

「こちらも確認した。このままだと人が襲われるぞ」

「エミヤは牽制して!ぐだ男、マシュ!走るよ!」

「はい!」

「そんじゃ、失礼してっと」

「わぁ!」

「ちょ、ぐだ男!?」

 

生憎、悠長にしている暇なぞないので、マスターとマシュを小脇に抱える。なんか喚いてるが無視無視。

 

「喋るなよ、舌噛むから」

 

全力疾走!敏捷B、筋力B+だけど魔力放出噛ませればよゆーよゆー。

 

と思ったら後ろからからどぼるぐ!?

 

「あっぶね!?」

「わわわ!?」

「きゃ!?」

 

いやらしいギリギリさだな!?

 

バランスを崩しそうになったことに恐怖を覚えたのかマシュが強く抱きついてくる。そうなると必然的にマシュのマシュマロがマシュマシュッてなるわけで痛い痛い痛い!

 

「マスター!?サーヴァントでも痛いってどんな握力してるんですか!?」

「知らなーい。可愛い後輩を守るためですからー」

「(うっへぇ、気づかれた)」

 

女の勘って怖いね。

 

よし、到着!

 

「マシュ!あの人達とワイバーンの間に入るよ!」

「了解です!」

「マスターはあの人達とコミュよろしく!」

「は?私フランス語喋れな」

「ぐっどらっく!」

「おいいいいいい!!!」

 

しょうがないじゃないか!世界が言ってるんだから!

 

―――◇◆◇―――

 

ぐだ男達は危なげなく勝利した。ぐだ男が暴れて、撃ち漏らしはエミヤとマシュがカバーする陣形だ。思った以上に機能している。いや、

 

「エミヤ、カバーありがと」

「マシュはまだ戦闘経験が浅い。フォローは必要だろう」

 

エミヤが上手いこと立ち回っていた。ナイスおかん!

 

「いやー、暴れた暴れた。どうだった?日本語だっただろ?」

「これ以上その話題に突っ込むと収拾がつかなくなるからやめようか?」

「…………そっすね」

 

メタい話題は危ないんだよ!

 

「とりあえずワイバーンを撃退したから信用してくれるっぽいよ」

「うへぇ……現金な奴ら……(俺の時は問答無用で包囲されたし)」

「?」

「すまん、こっちの話だ」

 

それより、とぐだ男が話題を切り替える。

 

「ヨーロッパにドラゴンってありえないよね?」

『ああ、やはり歴史が歪んでいるな』

「今の時代って?」

『うーんと……百年戦争のあたりだ』

「じゃあやっぱりなにかがおこっているんだー」

「どうしたのそうな棒読みで」

「……なにいってるんだい?いつもどおりじゃないか」

「……」

 

まぁ、色々隠しているのは知ってるからいいけどさ。

そんなこんなで彼らの拠点に到着。まぁ、なんて言うか……

 

『うわっ、ひどい状況だな』

「外壁もボロボロだ。これでは城壁と呼べるかどうか」

「さっきのワイバーンが?」

「いや、この厚さは壁を壊せないだろう」

「サーヴァントが絡んでるみたいだね」

 

うっへぇ……冬木にわんさかいた時点で察してたけどさ。

 

「とりあえず……どうする?」

「ふむ……物資は足りているのか?」

「うん、大丈夫」

「はいはーい提案!!」

 

突然ぐだ男がキラキラした目で(この時点で嫌な予感しかしない)手を挙げた。

 

「………………ぅんんん〜…………あぁぁぁ…………はい、どうぞぐだ男くん」

「なんでそんなに躊躇するんですかね」

 

しょうがない。全てはお前が悪い。

 

「まぁいいや、俺の提案はこのまま首都オルレアンに向かう、です!」

「んぁ?どうしたのボケないの?」

「おーけー、マスターの俺に対する認識はよく分かった」

 

だって、ねぇ?

 

「敵の大将って中心地にいるのが定番だし、もし居なくても情報収集するのが楽でうぃんうぃん!」

「まぁ、それが妥当だろうな」

「私は先輩に従います」

「……よし、大変不本意ながらぐだ男の案を採用します」

「真面目に言ったのにひどくない?」

 

ぐだ男には常に注意、これ基本ね。

 

『よし、方向性は決まったみたいだね。とりあえず周りの魔物を倒していこう』

「そうですね、ここの人達を守りたいですし」

「よっしゃー暴れるぜー!!」

「あっ、こら!突っ込むな!!」

「……はぁ……しょうがない、援護する」

 

どうやら平常運転のようです。

 

―――◇◆◇―――

 

一通りは殺ったかな?

 

「お疲れ」

「サーヴァントは疲れないけどね」

「あれ?そうだっけ?」

 

マスターの指示も的確になってきたし。いい傾向だな。

 

「あの……」

 

物陰から姿を現したのは、お、ジャンヌだ。

 

『ごく薄いけどサーヴァントの反応だ。どうしたんだろう?』

「敵対意思は無さそうだね」

「(久しぶりと言いたいけど言えないうずうず)」

「ちょ、ぐだ男?また何かやらかす気?」

 

最近マスターの扱いが酷い……

 

 

 

いつもか(白目)

 

 

「兵を助けていただいてありがとうございました。それで、オルレアンに行かれるのですか?」

「うん。何か情報ある?」

「恐らく、そこに敵の本陣があります。フランスの英霊ですし、道案内くらいは出来るかと」

「へぇー、フランスの……真名は?」

「ジャンヌ・ダルクと申します」

「ふぁ!?」

『ジャンヌ・ダルク!?救国の聖女じゃないか!!』

「と、とんでもない!私は聖女なんかじゃありません」

「どうしましょう先輩、ジャンヌさんが可愛いです」

「マシュー?戻ってこーい?」

 

後輩が妙な道に突き進もうとしているんですがこれは。

 

「ジャンヌにマスターはいないの?」

「はい。この聖杯戦争自体がイレギュラーすぎて既存のものとはかけ離れたことになっています。単独行動のスキルを持たない私が無事なのもそれが原因かと」

「なるほど……それじゃ、短い間よろしくね!」

「はい!」

 

その後軽く自己紹介をして、移動を開始した。相変わらずジャンヌも可愛いなぁ(節操無し)

 

―――◇◆◇―――

 

今は森の中で野宿中。ぐだ男とエミヤは周囲を警戒していて、マシュは静かに寝息を立てている。

 

「あの、立花さん……」

「んー?なに?」

 

珍しく二人っきりの状況だ。押し倒されたりしちゃうのかな、きゃー(棒)

 

「実はお伝えしたいことが」

「ん、なんでもどうぞ?」

「私は、サーヴァントとしての力が不足しています」

 

ジャンヌが申し訳なさそうに語るには、特集な召喚だったためか力が不完全な状態で召喚されたそうだ。ジャンヌのクラスはルーラー。敵のサーヴァントの位置が分かったり、真名を看破できるらしい。ただ、それも完全な状態の時であり、今はぼんやりとクラス程度しか分からないんだとか。

 

「すいません……もしかしたら連れていってもらえないのではと不安で……」

「んー……」

 

ジャンヌの後ろに周り、抱きしめる。

 

「り、立花さん!?」

「そうやって一人で戦おうとしてたの?」

「……はい」

「馬鹿だなー」

 

そうやって抱え込むのは良くない。それに、

 

「私はジャンヌが弱いなんて思わないよ?戦うだけならうちにはあのバカもエミヤもいるんだし、それより一人でも勇敢に戦おうとしてたジャンヌは凄いよ」

「そう、でしょうか?」

 

ゆっくりとジャンヌの頭を撫でる。

 

「もう私達もいるから、一人でなんとかしようしなくていいんだよ。自分に出来ることをやればいいの」

「……はい、マスター」

 

ジャンヌは泣いていたと思う。それだけ彼女は色んなものを背負っているんだ。

 

それから言葉を発することはなく、お互いに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うーん、百合も正義だよね』

「あーうん」

『……珍しい。君ならノッてくると思ったんだけど』

「なんか成長してく姿を見ると微笑ましくなるんだよなー。子を見守る親みたいな心境だよ」

『誰だお前』

「ロマニまで言うか!?」

 

てか、ロマニ!性癖が歪み過ぎてるよ!!




どうも橘です

これからも二日に一話になりそうです。前回のやつが早めに仕上げたらクオリティが下がったなぁと感じたので、推敲をしてクオリティを上げていこうと思います。

今回は白聖女、なら次回は?

みんなお待ちかねだよね!!!!


あの、FGOでフレンドになってくれる心優しい方を募集しています(震え声)

フレンド3人の可哀想なやつなんだよ……

始めて1ヵ月なのでサポートはクソ雑魚です(TT)
プロフィールに載せとくのでよろしければお願いします┏○ペコッ


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黒の聖女様(笑)

たくさんのフレ申請ありがとうございました!

20件が最大なんだね……知らなかったʬʬʬ



「近くに小さな街があります。情報収集がてら寄りましょうか」

「うん、わかった!」

「うーん、先輩とジャンヌさんの距離感が縮まっているような……?なんでしょうこのモヤモヤする感じとドキドキする感じは」

「!?」

 

寝取られ……趣味……!?

 

「ロマニ……後で殺す」

『え!?なんで!?』

「どうせお前だろうがぁぁぁぁ!!」

『なにが!?なにがなのかな!?』

 

マシュが汚された!この人でなし!!

 

「……もうすこし静かにすることは出来ないのか?」

「まぁまぁ、ぐだ男はいつもあんなだから」

「マスター耳貸して……」(こしょこしょ)

「!?ロマニぃぃぃぃ!!」

『立花くんまでかい!?』

 

全てはロマニが悪い。

 

「てか違うからね!?私はマシュのことも大好きだから!!」

「先輩!?苦しいです!」

 

マスターがマシュに抱きつく。

おぉ、マシュマロとマシュマロがぶつかり合って変形してとても眼福なこうけ「ガンドぉぉぉ!!」ふぁ!?

 

「あっぶな!?サーヴァントが危機を感じる攻撃だと!?」

「……なんかいやらしい目をしていた」

「すいませんでした」

「ほらぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「あの、みなさん?着きましたよ?」

 

 

 

 

 

 

 

ジャンヌのいたたまれなさそうな様子に気づいたのはしばらく経った後だった。目のハイライトが消えてた。こわ!!

 

ん?この駄文はなんだって?俺達の日常(笑)をお届けしてみただけだ。特に意味は無い。

 

―――◇◆◇―――

 

小さな街に着いた。は、いいんだけど、

 

『……ダメだ。生体反応はキャッチできない。アンデッド系の魔物がうじゃうじゃだ』

「街中に魔物が跋扈しているな」

「そんな……どうして……」

「ジャンヌ……」

 

街は既に蹂躙されていた。生まれ育った国が蹂躙されているのだ。ジャンヌにはショックが大きいだろう。

 

「マスター、ジャンヌに付いていてあげてくれ。街中の魔物を排除してくる。エミヤ!」

「わかっている」

「マシュは守備よろしく」

「了解しました」

 

ぐだ男は先に飛び出していった。恐らくジャンヌへの配慮だろう。こうゆうとこは気が回るんだよなぁ。

 

「ジャンヌ、大丈夫?」

「はい……すこしショックですが……」

「…………」

 

この世界はパラレルワールドで、現実世界には関係ない。そう言うのは簡単だが、それでは意味が無い気がした。

 

「絶対に、この国を救おう」

「はい……よろしくお願いしますね、マスター」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むむむ、やはり先輩とジャンヌさんがラブラブですね」

『僕は何も言わないぞ!?言わないからね!?』

「?」

 

―――◇◆◇―――

 

そぉおおおい!!

 

「ギャアァァァァ」

 

殲滅完了!!

 

「こちらも終わったぞ」

「うし、おつかれ」

 

これでこの街から魔物は居なくなったはずだ。

 

「彼女達も来たみたいだぞ」

「ん、了解」

 

ジャンヌは落ち着いたんだろう。そこらへんはマスターは得意だろうし。

 

「おまたせしました」

「ありがとう2人とも」

 

うん、顔色もいい。流石マスター、といったところか。

 

『ちょっと待って!!サーヴァント反応だ!速いぞ!?』

「なっ!?」

「数は?」

『……5騎だ!』

「は!?5!?」

『だめだ、速すぎる!逃げきれないぞ!』

 

あぁ、ありましたねぇこんなこと……ん!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

師匠と拳交えるワンチャン!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

滾ってきたぁ!!!

 

―――◇◆◇―――

 

「あらあらあら!!こんなことってある!?」

 

やってきたサーヴァントのうち一人は、

 

「あれは……私?」

 

ジャンヌと瓜二つだった。

 

「あははは!!ねぇ、ジル!私可笑しくて可笑しくて壊れちゃいそう!っていないんだったっけ」

「ジャンヌが2人!?」

「こんなことが……」

『しかもあっちの方が反応が強い……』

「ふむ、これは……」

「ジャンヌさんが2人……これはメシウマですね!」

 

なんか色々私達が混乱している時に

 

 

―――パァン!!

 

 

乾いた音が鳴った。拳と掌を打ち合わせた音だ。

 

発生源はもちろん

 

 

「さぁ、こいよ、師匠」

 

 

ぐだ男(あのバカ)だ。

 

誘うように一人のサーヴァントに手招きをする。

 

「なるほど、乗ってやろうじゃないの」

 

そのサーヴァントも答えるように前に進み出て、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

得物を投げ捨てた(・ ・ ・ ・ ・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「「「「「は?」」」」」』

 

周りが呆然している中、2人は拳を構えた。

 

「いざ」

「狂化かかってるから手加減はできないわ、よ!」

 

2人の正拳突きがぶつかり合い、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衝撃波が周りの瓦礫を吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「「「「「はぁ!?」」」」」』

 

「あら、結構やるじゃない」

「狂化やべぇ!一撃が可笑しい威力なんですけど!」

 

殴り、受け止め、殴り返し、

 

ほぼシンクロした動きでお互いを殴りあっている。

 

「私と同じ構え?教えたことなんてあったかしら?」

「ちょっと訳ありでね!」

 

それでもお互いに一歩も引かない。

 

まるで一種の芸術でもあるかのように完成された武闘に周りが見とれる。

 

あれはまるで、

 

「ボクシング……?」

 

そうとしか言えない。

 

二人の高い身体能力がそれを芸術まで押し上げているのだ。

 

だが、その均衡も続かない。

 

疲れからか、はたまた何かに躓いたのか、

 

ぐだ男の上半身が揺れた。

 

「もらったぁ!!」

 

相手のサーヴァントもその隙を逃すまじと、渾身のアッパーを叩き込もうとして、

 

ぐだ男がニヤリと笑い、

 

ほんとうにスレスレで避けた。

 

驚愕している相手にぐだ男がカウンターのアッパーを叩き込こむ。

 

相手も満足げに微笑むと、

 

凄まじい威力の回し蹴りが突き刺さった。

 

遥か先の建物を倒壊させながら吹き飛び、

 

『サーヴァント反応……消滅……』

 

消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なに、これ?

 

 

 

 

―――◇◆◇―――

 

っべー!!死ぬかと思った!!

 

マルタはチャンスの時って絶対アッパー打ち込む癖があったから予想できたけど……別の手だったら死んでた!!!狂化のせいで威力馬鹿みたいに上がってるしさ!

 

「ありがとうございましたぁ!!」

 

師匠が飛んでった方に90度の敬礼。

 

「ちょ、はぁ!?あんたライダーに何したのよ!?」

「ん?拳闘士なら勝負の誘いは断らんだろうに」

 

まぁ、本人に言ったら絶対否定されるけど。

 

「よっしゃ、次はエリちゃん!じゃなかったカーミラさん!かもん!」

(ブチィ)

「ふふふ、いいわ、血祭りにしてあげる。男の血なんて欠片も興味無いの、早く消えてちょうだい」

「大丈夫、すぐ終わる」

 

俺じゃないからな、

 

「ッ!!アサシン!避けなさい!!」

 

邪ンヌには気づかれたが、問題無い。

 

カーミラの死角から偽・螺旋剣Ⅱ(カラドボルグ)が迫り、

 

避けようとしたカーミラが不自然に止まり、

 

直撃した。

 

『サーヴァント、消滅!!』

 

おかんがいるあたりに親指を立てておく。みんなが見蕩れてる中、気づかれないように移動していた彼には拍手喝采だ。

 

「ちぃ、一旦引く」

「させません!!」

「あの白髪のオッサンは任せたぞ!マスター、マシュ!」

「一人で大丈夫!?」

「任せろぉ!!」

 

エミヤがいるのだ、ウラドさんは大丈夫だろう。

俺が相手するのは

 

「はろー、デオンくんちゃん」

「ふむ、真名が尽くバレているな……君は一体何者だい?」

「誰でもいいじゃないか。そんなことより」

「うん?」

「男なの?女なの?」

「…………」イラッ

 

むむ、結構気になるんだけどなぁ。願わくば女。

どうやら地雷だったらしく無言で斬りかかってくる。

 

それを素手で止め……無理!!

 

避ける、避ける避ける!!

 

「えぇいちょこまかと!!」

「ひぃ!やっぱ狂化かかってるな!!」

 

ほんとならもうちょい優しいんだけどなぁ……マリーに手を出したと知って後ろから斬りかかってくるくらいには(白目)

 

「もう下がる場所は無いよ」

「む……」

 

懐かしんでたらいつの間にか追い詰められていた。うーん……

 

「運が無かったね、終わりだ」

「そうだな、殺れジャック(・ ・ ・ ・)

「な!?」

 

鋭利なナイフが心臓を貫く。

 

「ふふ、油断した……な」

「これは俺が卑怯かなぁ」

「おかあさん、私失敗した?」

「いや、助かったよ」

「ん!」

 

さっきのカーミラが止まったのもジャックのお陰だ。

頭を撫でると気持ちよさそうに目を細める。可愛いよぉ……ん?まだロリだから手を出してません。紳士なんで。イェスロリータ・ノータッチですよ!

 

―――◇◆◇―――

 

『サーヴァント消滅!あとはジャンヌだけだ!』

 

ぐだ男の方も上手くいったらしい。

 

「邪魔を……するなぁ!!」

「きゃあ!!」

「ジャンヌ!!」

 

ジャンヌと黒ジャンヌの戦いはジャンヌが劣勢のようだ。

 

「ほんとなんなのよあんたたち!!あああああ、憎い憎い憎い憎い憎い!!」

「くっ!」

「ジャンヌ!気をつけて!」

 

 

 

 

 

 

「へーい、ジャンヌ下がって!邪ンヌはこっちで相手する」

 

 

 

 

 

 

そんな中、ぐだ男が私達とは反対側に現れた。

 

「来いよ、偽物」

「ッ!!殺す!!殺す殺す殺す!!」

「ちょ、ぐだ男!!」

 

黒ジャンヌはぐだ男に真っ直ぐ突っ込んでいき、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落とし穴に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沈黙が場を支配した。

 

見事に腰まで埋まっている。

 

「やーいやーい!引っかかった!!」

「……………………」

 

もはや怒りで声も出ないのか飛び出し、一歩踏み出そうとして、

 

 

 

 

 

透明な糸に引っかかり、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落とし穴に頭から落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛々しいほどの沈黙が場を支配する。

 

かなり深いらしく、足首ぐらいしか見えていない。

 

「なんかもう、狙った通り過ぎて楽しすぎる!!邪ンヌサイコー!!」

 

『「「「うわぁ……」」」』

 

敵の私たちでさえ同情を覚える仕打ち。

 

これは酷い……

 

黒ジャンヌは無言でゆっくりと這い出してくると、

 

「お、覚えてなさいよ!!!」

 

逃走した。

 

恐らく敵の大将だ、追ったほうがいいんだろう。けど、

 

 

 

 

 

あの目尻の涙を見ちゃ追えないよ……

 

 

 

 

 

とりあえずあの腹を抱えて笑っている鬼畜外道をどうにかしないと……今後の世界のために。

 

ここにいる全員がそう誓った。

 

―――◇◆◇―――

 

ジャックを召喚してたのはかなり前から。それで落とし穴とかの準備をさせていた。そのせいで俺は素手で戦っていた訳です。気配遮断A+って凄いねほんと。

 

「この鬼!悪魔!黒ジャンヌ泣いてたわよ!?」

「え?怒られるの!?」

「当たり前でしょうがああああ!!!」

 

絶賛叩かれている。痛い。

 

「ぐだ男先輩……あれは……」

「まさに外道だったな」

「あははは……」

『よっ、さすが!』

 

みんなの視線が痛い……

 

ねぇ、なんで?敵撃退したよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

楽しんでたけど、致し方ないよネ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マリー「私達」

アマデウス「出遅れたね」

 

―――オルレアンにて

 

「じぃぃぃるぅぅぅぅ!!!」号泣

「!?」

 

 




どうも橘です。

いやー、はっちゃけた。
みんなも望んでるからいいよね!

連日投稿の理由?
フレ申請が大量に来たから
これは恩に答えないと(錯乱)
ってなったから。

ほんと大量のフレ申請ありがとうございました。
こんなに反応あるとは……みんな暖かいね(TT)
早い者順に出来るだけ登録しました。
外れてしまった人わざわざしていたただいたのに、すいません!

ねぇ、ほんとにいいのみんな?
クソ雑魚だよ!?貴重な一枠使っていいの!?(錯乱)

ありがとうございました!更新頑張ります!

FGOも(ボソッ)

追加・最後にマリーとアマデウス追加しました


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進撃のオルレアン

フォウ君集め終わった……
カルデアライフセーバーは諦めていい?いいよね?( 涙目 )



あの後、

 

「こんにちは!実は近くで待ってたんだけど、みんな倒しちゃうなんて思ってなかったわ!」

「君たちの強さはよーくわかった。力になれるかどうか怪しいが、一緒に行かせてくれないか?」

 

マリー、アマデウスと合流し、

 

「マリーちゃん?素敵な名前ね!是非そうやって呼んで欲しいわ!」

「り、了解です、マリーちゃん」

「ごめんね、マリーはいつもこうなんだ。言い出したらテコでも動かない」

「アマデウスもマリーに対する変態性なら誰にも負けないくせにー」

「ちょぉ!?一体なにを言ってくれてるのかな!?」

「へぇー、そうなんだ」

「いや、違うんだマスター、それは」

『あれ?立花くん知らない?アマデウスは幼少期にマリー・アントワネットにプロポーズしているんだよ』

「あぁ、あれね!すっごく素敵なプロポーズだったわ!今でも思い出すと胸がドキドキしちゃう」

「ひゅー、熱いねぇ」

「僕の黒歴史を……」

 

少々騒がしくなりながらもオルレアンを目指し、移動していた。

 

うむ、もうそろそろかな。

 

「マリー、確かライダーだったね?」

「そうだけど、どうして?」

「オルレアンまでドライブしない?」

「まぁ、素敵ね!でも、実は移動手段を持っていないの。ライダーっていう点では期待に添えそうにないのだけれど」

「うむ、ということで後部座席に乗ってもらおうと思います!」

「ぐだ男?またなんかやらかすの?」

「もはやその扱いに慣れてきた節がある……」

 

宝具展開、我が家への扉(ゲート・オブ・カルデア)

 

接続(リンク)、金時、ライダー

 

現れたのは黒塗りの車体。

 

『これは……』

「冬木の時のバイク?」

「あったりー!」

 

俺の宝具のもう一つの使い道、それが、

 

 

 

 

宝具だけ(・ ・)の召喚だ。

 

 

 

 

それによるメリットは2つ。

 

まず、魔力消費が極端に少ない。

元々、キマイラの群れに襲われた時に習得したものだったため、少ない魔力で如何に火力を出すか試行錯誤してたら出来た。

 

もう一つは、本来の宝具の8〜9割の力を発揮できる。

実は、召喚(サモン)時の模倣宝具の性能は低い。例えば、約束された勝利の剣(エクスカリバー)をアルトリア抜きで放つと恐らくランクC相当にまで下がる。2人で放つからこその相乗効果であり、威力なのだ。だが、宝具のみの展開だとランクAがランクA-になる程度まで性能低下を抑えることが出来る。ただまぁ、2人で宝具撃つとランクがむしろ上がるから一長一短かな?

 

 

それはともかく、

 

 

この前乗せてもらった時にクセになったんだよね、このバイク。ヒャッハー!!飛ばすぜ!!

 

 

 

「これに乗ればいいの?」

「そ、振り落とされないようにしっかり掴まってて」

「マリーと相乗り……だと!?」

「(へ、ざまあアマデウス)」

「きぃいいいい!!!」

「アマデウス落ち着いて!!ぐだ男も煽るな!!てか、ほんとにドライブしに行く気!?」

「落ち着けマスター。恐らく敵陣営の様子見だろう」

「そゆこと。それにちょっかいかければ追加でサーヴァントを呼ぶのを阻止できないかなーって」

『なんだって!?あの黒ジャンヌはサーヴァントを召喚出来るのかい!?いや、だからこそのあの狂化が掛かったサーヴァントか!』

「ご名答、てことで行ってきマース」

「ちょ、なんでマリーまで連れてくのよ!」

「経過を見てマリーだけ返す!!俺は行けそうだったら攻め込む!!」

「相変わらず無茶苦茶ね!?」

「フルスロットルぅぅ!!」

 

 

一気にトップギアまで上げる。幸い、ここは街道だ。舗装されていて障害物は無いだろう。

 

「きゃ!こんなに速いの!?」

「慣れてくると楽しいよっと」

 

大体、200キロくらいか?さすが宝具、性能がぶっ壊れてやがる。

 

 

 

 

 

 

風になるぅぅぅぅ!!!千の風になるぜぇぇ!!ってそれは死んでるか。

 

 

 

 

 

 

―――◇◆◇―――

 

「見えてきた、オルレアンだ」

「えー、もうおしまい?楽しい時ほど時間って経つのが早いのね」

 

マリー王妃、途中から全力で楽しんでいらっしゃった。このお転婆娘は物事を楽しむ才能がありそうだ。今度はチキンレースとか教えてみたい(期待)

 

「とりあえず外周を回ってみる、警護が薄いようだったら俺が突っ込むからマリーはマスター達にそのことを伝えてくれ」

「ええ、わかったわ!」

 

とりあえず、正門は……

 

ッ!?

 

―――キキーッ!!

 

「きゃ!?どうしたの?」

「マリー、今すぐ戻って急ぐように伝えろ」

 

正門には、

 

 

 

 

 

 

邪ンヌが待ち構えていた。

 

 

 

 

 

 

「緊急事態だ。何らかの方法で居場所がバレてる」

「でも、逃がしてくれる気はなさそうね」

「あぁ……みたいだな」

 

 

真っ直ぐこちらを見据えて、凛とした声が届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まっふぇ………………待っていたわ、そこのサーヴァント!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(噛んだな)」

「(噛んじゃったわね)」

 

何あのポンコツ聖女、可愛い。あ、涙目だ。

 

「いつもいつもなんで馬鹿にされるのよ!!呪いでも掛けてるの!?」

「いや、ただ単に君がポンコツなだk」

「来なさい、ファヴニール!!あの愚か者を焼き尽くせ!!」

「八つ当たり!?」

 

しかもここで邪竜か!!

 

「不味くないかしら?ここは私が……」

「おっと、舐めてもらっちゃ困るな」

 

そもそも、この第一特異点での俺の目標をなんだと心得る。

 

 

マリーを死なせないことだよ。

 

 

特異点での出来事だ。無意味なのかもしれない。それでも!

あの死に方は頂けなかったもんでね!

 

「えぇ、これくらいじゃ貴方は倒れないのでしょう?」

 

だが、ジャンヌオルタは不気味に笑う。

 

「なら、それ以上の憎しみで!怒りで!焼き尽くしてあげましょう!」

「おい、一体何を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファヴニール!!私を喰らい(・ ・ ・)なさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

主人に命令された通り、呪われた竜は彼女を喰らった。

 

「あはははは!!憎め、憎め憎め!!全てを燃やし尽くせ!!」

 

聖杯を得た邪竜はたちまち2倍近く(・ ・ ・ ・)まで巨大化し、

 

一声吠えると

 

大地が震えた。

 

 

 

「おいおい、マジか」

 

 

額に冷や汗が浮かぶ。流石にこれは想定外だな……

マリーが心配そうにこちらを見ている。

 

どうするかね……

 

 

―――◇◆◇―――

 

『!?超巨大生体反応を確認!!オルレアンでだ!』

「ッ!!ぐだ男達は!」

『近い!恐らく襲撃に気づかれたんだろう!』

 

まぁ、アイツのことだ。その時のための対策もあるんだろう。

 

『……は?』

「?ロマニ?」

 

だが、その予想は裏切られる。

 

『反応が強化された……こんなのちょっとした魔術炉心並じゃないか!?』

「こちらでも確認した。なんて魔力だ」

「マリー……」

「だ、大丈夫ですよ!ぐだ男先輩なら!」

 

 

 

 

「いや、ヤバいかもしんない」

 

 

 

 

ぐだ男からぼんやりとだが伝わってくる焦燥、後悔、

恐らく彼は隠そうとして、それでも隠しきれていない。こんなこと今まで無かった。

 

「早く合流した方がいいかも」

 

ぐだ男でさえ苦戦する相手になにか出来るのだろうか?

 

みんなが顔を引き攣らせていた。




どうも、橘です

今回は短めかな……変なところで切ってしまいすいません。ここからまた説明が入るとグダってしまう気がしたので一旦切りました。え?いつもグダグダ?

べ、別にいいだろ!

オルレアンでのマリーが死ぬのは絶対嫌だったのでここでは死なさない。とかいいつつ危険に晒しててつらひ。

フレンド強いといいな……
イシュタルさん、ランダム効果のNPチャージ強すぎん?2回宝具撃てるんだけど……
ブリュンヒルデの単体宝具に惚れた……
ジャックは女性特攻効くし……
楽しいぃぃぃ!!
ただしセイバーは誰を借りるといいのか分からない模様。

あ、オルレアン編が終わると

僕のストーリーに追いつきます!!(白目)

なのでストーリーを進める間、日常っぽいのが入るのですが……(イベント回れない!?え!?フォウ君回収したならストーリーやれと!?)

召喚するサーヴァントをアンケートしたいと思います!票数の多さもありますが、僕の執筆のしやすさで選ぶつもりです。この鯖よく知らない……けど書くか!だと大事故起こす未来しか見えないので……すいません……多分一体。多くて二体の予定です。

ぜひ、この鯖がいるぐだ子ズカルデアを見てみたい!って子を推してくださいね!
感想が混雑するかもなので僕個人にメッセージを送ってもらえると助かります。もし間違えて感想に来ていてもカウントはしますのでご安心を!


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邪竜in邪ンヌ(激強)

今回は割と長め?



正直、不味い状況だ。

 

前回の攻略から勝手に相手の能力を決めつけていた。同じ結果になるなんて保証は無いのに。

 

この時点で自業自得乙!でもいいんだけども、マリーがいるからそうはいかない。てか、俺のせいで死なれたら後悔で死ねる自信がある。

 

だから、なんとかするしかないのだ。

 

「ガァァアアアアアア!!!」

 

このクソでかい邪竜in邪ンヌを。

 

ねぇ、質量ってどうにもならない壁な気がするのですが、どう思いますか?

 

 

 

アレ(・ ・)の出番かなぁ……

 

 

―――◇◆◇―――

 

数分ちょっかいかけて分かったこと。

 

・邪竜の体を覆うようにして高密度の魔力の壁が発生しており、ろくに攻撃が通らない。

・サイズは全長70mくらいか?

・1回脚に引っかかって吹き飛んだ。軽い挙動が一撃必殺級の重さ。

・離れようとすると目に入るらしく、ブレスの予備動作の様なものをする。脚元に隠れると巨体のため見えなくなりやめる。ブレスを受けたくはないので威力は未知数。ただまぁ、やばそう。

 

そしてなにより、

 

・近隣の街まで移動中。動きは鈍いものの、一歩がデカすぎる!!

 

うん、なにこのクソゲー。魔神柱より余程硬いのは何故だ!!

 

「とりあえずマスター達と合流したいわね」

「そうだな……」

 

冷静であろうと心掛けてはいるものの、やはり一度対策を……話し……合う……時間が無いよ!!

 

「不味い、街が見えてきた」

「そんな!」

 

よっしゃ、こうなりゃ一か八かだ!

 

「マリー、左方向に全力で走るぞ。気づかなかったら宝具で俺が挑発する」

「…………わかったわ!」

 

ブレスはどうするのか、だとか色々言いたいことはあっただろうに彼女は頷いた。まったく、よく出来た王妃だよ。

 

「3、2、1、ゴー!!」

 

邪竜は……こっち向いたか!!

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

今更気づいたけど超怖いこれ!!

 

上空で何かが焼ける音がする。来るか?これを凌がないと……

 

「ぐだ男!!」

 

丁度良いタイミング!(最悪とも言う)マスター達までここで合流か!!避けるって選択肢無くなったよチクショー!!

 

「みんな!俺の周りに集まれ!!」

 

切り札、御開帳!!

 

―――◇◆◇―――

 

竜の脚元でなんかやってるぐだ男達を発見した。ん?こっちに必死の形相で走ってくる。

 

「いた!なんか走ってくる!!」

「ふむ、どうやら竜の気を引くためらしいな」

「僕の見間違えでなければ、竜は何かを吐こうとしているように見えるんだが」

「恐らくブレス系の攻撃です!皆さん私の後ろに!!」

「マシュさん、サポートします!」

『無理だ!!あのレベルはもう僕達にどうこうできる次元じゃない!』

「でも!!」

 

そんな狂乱していた私達は

 

「みんな!俺の周りに集まれ!!」

 

その一言に吸い込まれるように従った。

 

アイツならなんとかするだろう。

 

 

 

 

今まで、数々の無茶を通してきたぐだ男なら。

 

 

 

 

そんな確信めいたものがあった。

 

―――◇◆◇―――

 

World for me.(世界は私のために)

 

Mine for world.(私は世界のために)

 

Tie,knot,spin,resound transmigration.(輪廻を結べ、繋げ、紡げ、鳴らせ)

 

Fate is in my hand(運命は私の手の中に)

 

Because,(何故なら)

 

I create and protect world.(私は世界を創り、守るゆえ)

 

宝具展開、

 

この世界は我が物なりて(ワールド・イズ・マイン)

 

莫大な魔力が抜けていく感覚。この分だとマスターにもかなり負担を掛けただろうか?

 

この宝具は見た目は何も起こらない。

 

何かが出てきたりしないし、

 

自分の魔力を高めることも無い。

 

傍から見ればただ魔力を消費しただけだ。

 

しかし、

 

俺の心臓から半径3mの球。

 

その範囲に入った者は分かるだろう。

 

この宝具の異質さを。

 

―――◇◆◇―――

 

莫大な魔力が抜けていく。恐らく、ぐだ男が使ったのだろう。あ、やば、倒れそ

 

「大丈夫か、マスター」

「あぁ、ありがとう、エミヤ」

 

助け起こしてもらってようやく立てる状態だ。けど、あれ?

 

「何も起こってない?」

「いや、それは違う」

 

エミヤが厳しい顔している。

 

「これは世界を否定している(・ ・ ・ ・ ・ ・)

「は?」

 

言われた意味が分からず呆然とする。

 

世界を否定?

 

なんじゃそりゃ。

 

「簡単に言うなら」

 

―――ここはヤツの世界だ。

 

厳しい顔のまま、エミヤは呟いた。

 

―――◇◆◇―――

 

邪竜がブレスを放つ。

 

圧倒的な高熱により白く光る熱線。まるで破壊光線だ。

 

『そこに、火など無かった』

 

だが、それも俺たちには届かない。

 

「まぁ、これは……」

 

正確には、俺たちにだけ届いていない。

 

実際、この世界は我がものなりて(ワールド・イズ・マイン)の範囲を抜けた後ろは光線により破壊されている。

 

「何が起こってるんでしょうか……?」

 

この宝具は、

 

 

 

 

 

 

俺が(ルール)の領域を創り出す。

 

 

 

 

 

 

邪竜は俺達が無事なことに苛立ったのか、丸太を束にしたような太さの尻尾を叩きつけてくる。

 

『そこは、誰にも侵されない』

 

だが、それも止められる。

 

俺が願うこと全てが叶えられる絶対領域。

 

それがこの宝具の本質。

 

 

 

世界の理(ルール)を無視する、俺だけの世界。

 

 

 

 

もちろん、使いにくい所もある。

 

まず、この領域内でのみ願いが叶う、つまり外に対しては何も出来ない。そのため、邪竜を倒すには心臓部に近づいて潰す必要がある。

 

そしてなにより、維持に集中しないと簡単に解除される。展開時に大量の魔力をくうが、そのあとは要らない。俺が魔力供給を望めばいい話だからだ。だが、願う内容が増えたり難しくなると維持が危うくなっていく。故に簡単な願いしか実現出来ないのが現状だ。

 

「マスター、これは受けの宝具だ。倒すにはちょっと準備がいる。それまで時間を稼げるか?」

「誰にもの言ってんのよ、あんたのマスターよ?多少の無理は押し通す!」

 

立っているのも辛いはずなのに気丈に言い切ったマスターには頭が下がりますわぁ。

 

『民は、万全であれ』

 

「な!?急に楽になった!?」

「私達サーヴァントの魔力の回復も確認しました。これは一体……」

「んじゃ、気を引くのよろしく!防御系統全部無くすから攻撃来たら死ぬんで」

「はいはい、任せときなさいって」

 

『侵す者を、切り裂け』

 

今まで尻尾を留めていただけだったが、最後に一仕事とばかりに斬り飛ばす。まさか反撃されると思っていなかったのか、邪竜がこちらに本格的に殺意を向けてきた。

 

「とりあえず散開!!やばくなったら令呪で移動させるから出来るだけ引き付けて!!」

「先輩!!私とジャンヌさんならなんとか防げると思います。一緒に行動しましょう」

「マスターは私達が守ります」

「よろしく!」

「では、私は遊撃としよう」

「僕達はちょこまかしているしかないね、マリー」

「でも、動く物に随分気を取られていたわ。私達も頑張りましょう!」

 

全員が俺を信じて動き出した。こんな美味しいシチュ無いよなぁ。

 

我が家への扉(ゲート・オブ・カルデア)

 

宝具を2つ展開するなんて本来自殺行為だが、そこは俺TUEEEE領域、なんとかなる。

 

一気に3人ほど召喚。召喚するのは攻撃力UP系と宝具威力UP系のスキル持ち。

 

バフましましだぜー!

 

―――◇◆◇―――

 

最初は脚元に張り付いているつもりだったが、それだとぐだ男に注意が向いてしまう。結果、

 

「エミヤ!避けて!!」

「わかっている!!」

 

危ない賭けをすることになった。

現状、一番動けるエミヤが挑発しつつ、ブレスを回避。私達はやや安全な脚元から指示を飛ばし、マリー、アマデウスコンビはとにかく走って注意を引く。アマデウス意外と動けるのね……

 

「うわぁ!!」

「アマデウス!!」

 

流石に目に余ったのかアマデウスが脚で薙払われてしまう。それだけで戦闘不能になったようだ。

 

「なんなのよほんと!攻撃が通らないのにあっちは一撃必殺とかおかしいでしょ!」

 

ぐだ男!はやくして!

 

そう思ってふとぐだ男を見ると

 

彼は全身から血を流しながら立っていた。

 

―――◇◆◇―――

 

痛い、痛い。

 

規格外の魔力が体を蝕んでいる。

 

そりゃそうか。

 

バフなんてそんな何重掛けするもんでもないし、

 

でも、これくらいしないと

 

倒せない。

 

何を?

 

あの邪竜だ。

 

だめだ、思考が混濁している。

 

「ら、すとぉぉ!!」

 

最後の2人、マーリンと孔明のバフを受けると、ついに内蔵が何個か逝く感覚がした。

 

「うぉおおおおおお!!」

 

もはや痛みでなにがなんだかわからない。

 

身体が満足に動かない。

 

それでも、やれる。

 

信じてくれたみんなのために、

 

放て、俺の渾身の一撃、

 

『我が一撃は、裁きであれ』

 

最後の一押し、自バフで口から血が溢れる。だが、立っている。

 

なら、いける!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流星一条(ステラ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呟いた声は、酷く掠れていた。

 

―――◇◆◇―――

 

「転移、エミヤ!!」

 

ブレスに当たりそうなエミヤの姿がギリギリのところで掻き消える。

アマデウスとマリーはダウン。現状、エミヤだけに支えられている。令呪は残り一個。

 

「マスター、もう一つは何かあった時のためにとっておけ。次は使わなくていい」

「そんな!!」

「それが合理的な判断だ」

「出来ないよ!!」

 

仲間を見捨てるなんて出来ない!!

 

「くっ、来ます!」

「皆さん、私達の後ろへ!」

「くっ……」

「耐えれる……?」

 

流石に竜も私達が固まっている所を見逃してはくれないらしい。この攻撃を防げるのだろうか?

 

絶望しかけたその時、不意に竜が空を向いた。

 

釣られて私達も見上げると、

 

 

 

 

 

隕石が落ちてきた。

 

 

 

 

 

そう表現するしかないだろう。

 

「これほどとは……」

「これは……ぐだ男先輩が?」

「凄い……」

「ぐだ男……」

 

凄まじい魔力を内包していることが分かる隕石。それが竜目掛けて一直線に飛んでくる。竜は図体が大きく動きは速くない。当たるのは確実だろう。

 

ぐだ男は血塗れになりながらこちらに親指を立てていた。

 

思わずこちらも親指を立てる。

 

隕石を竜が受け止めようとし、

 

触れた前脚が弾けるように爆散し、

 

「ガァアアアアアア!!!」

 

怒りとも怨みともつかぬ声をあげながら、隕石を体に受け、

 

激しい轟音と閃光。

 

爆風をマシュに止めてもらう。

 

煙が風で流れると、

 

大きなクレーターのみ(・ ・)が目に入った。

 

―――◇◆◇―――

 

「(頑張ったなぁ……)」

 

やりきったという達成感に満たされながら、薄れていく指先を見つめる。

 

これこそまさに捨て身の一撃ってやつだ。

流星一条(ステラ)を選んだ理由は、威力と攻撃方法だ。

奴はデカかった。そのせいで対人宝具はまず役に立たない。そして生半可な攻撃は魔力により減衰され大したダメージにならない。なら、純粋な質量と魔力を併せ持った流星一条(ステラ)なら?ってことでバフガン掛けで撃ってみました。すげぇ威力。

 

もう痛くないし、最後に役に立てたのだから悪い気はしない。

 

この世界は我がものなりて(ワールド・イズ・マイン) で即死を無効化しようかと思ったが、抑止力に目をつけられそうなのでやめておく。

 

この宝具の3つ目のデメリット。

それは強力過ぎる性能ゆえ、抑止力による排除を受けることだ。抑止力とは簡単に言えば、世界を守ろうと世界が自衛する働き、だろうか?世界の理を否定し続ければ、いつか抑止力に存在ごと消されるだろう。それは流石にいやだ。今はまだ見逃してもらえているようだが、これではいつ消されるかわかったもんじゃない。

 

マスターの嬉しそうな顔も最後に見れたし、悔いはないかなぁ。

 

いや、もうちょっと、彼女の成長を見守りたかった気もする。

 

今更意味無いか。

 

後は頑張れ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『令呪をもって命ずる、生きろバカ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣きそうな声と共に流れ込んでくる魔力に目を見開く。

 

なんだ、

 

まだ休ませてくれないのか。

 

人使いの荒いマスターだな。

 

「なら、今一度、力を貸そう」

 

―――ありがとう。

 

そう、聞こえないように呟いた。

 

―――◇◆◇―――

 

ぐだ男が倒れる、が、まだ無事なようだ。

 

「自爆系の宝具か。あの威力も納得だな」

「ぐだ男先輩は無事なんですか!?」

「なんとか、令呪でギリギリ繋ぎとめたみたい」

「私は聖杯を回収してきます。行ってあげてください」

「ごめん、ありがとう」

 

ジャンヌの言葉に甘えて行かせてもらう。

 

なんとなく嫌な予感がしたのだ。

 

ぐだ男がどこか遠くへ行くような。

 

咄嗟に魔力経路(パス)を確認したら、消えかかっていた。

 

慌てて令呪を使って魔力を流し込んだものの、気づかなかったらどうしていたのか?

 

そもそも、そんな危険な宝具をどうして使ったのか?一言相談してくれてもいいんじゃないか?

 

色々言いたいことはたくさんある。

 

でも、今はこれだけでいいと思える。

 

「ありがとう、ぐだ男」

 

真っ白だった服は自らの血で赤に染まっている。

 

それでも、彼は子供のようにあどけない顔立ちで眠っていて、

 

今日だけ特別だよ?なんて言いながら膝枕をしてあげる。

 

「本当に、ありがとう」

 

聖杯を回収したジャンヌ、マリー、アマデウスも戻ってきて

 

眠っている私達の英雄(ヒーロー)を、皆で見つめていた。




どうも、橘です

ステラぁあああああ!!!

バフましましステラ(星5ステレベル100)ってやばいと思うんだ!!

オルレアン編は次でラストとなります。ストーリーがぁあああ( 涙目 )

カルデアライフセイバーは凸させれました!
あとさ、トネリコの木の推奨90のやつさ
あれ?バーサーカーだけしか出ないのか……邪ンヌ連れてくか!
邪ンヌスキル2、3と邪ンヌにマスタースキルの攻撃バフ、頼光のスキル2で
デュヘイン→天網恢恢→邪ンヌB
で落とせた!
マジで!!コンテニュー無し!フレンド様々ですありがとうございます!

フレンドのおかげで周回が余裕……楽しい……

色々誤字を修正しました
通りすがりさんありがとうございました(´;ω;`)


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新しい英霊(問題児)がやってくるそうですよ?

おまたせ!
え?待ってない?アッハイ

英霊正装はジャンヌにしたよ!


何か、柔らかいものが包み込んでくれている。

 

なんだかまだ眠たくて、寝ていたくて、

 

「もうちょっと……」

 

僅かばかり寝返りをうつ。柔らかい、これは人肌だろうか?

 

あぁ、膝枕か。こんなことをしてくるのは……ウチの女性陣なら誰でもやりそうだな。

 

頭を撫でられるととても安心して、またウトウトしてきた。

 

「おやすみ」

「……うん……」

 

その声は、聞いたことはあるんだけど誰か思い出せなくて、でもとても安心して、

 

思わず縋り付くように腰に抱きつく。

 

彼女(男の可能性は無いと信じたい)はまるで母親のように背中を撫でてくれて、

 

今度こそもう一度、眠りに落ちていった。

 

―――◇◆◇―――

 

ぐだ男が倒れてからの話をしよう。

 

私達がぐだ男が起きるのを待っていると、大量の魔物と共に恐らく今回の首謀者であるジル・ド・レエが攻めてきた。ジャンヌジャンヌ連呼していたのだから、たぶん間違いない(あの顔であの言動は流石に寒気がした)。ただ、それも

 

ジ「私達は今」

マ「とてもいい気分なの」

ア「そして英雄を守っているところなのさ」

マ「なので、ぐだ男先輩の邪魔をするのなら」

エ「消えてもらおう」

 

頼もしいサーヴァントが速攻で倒してくれた。聖杯の効果か分からないが魔力供給がほぼ絶え間なくされていたお陰か、宝具を解放しまくったようだ。それにエミヤの宝具は空間を隔離する能力があるようで、戦闘の余波は遮断されていた。お陰でぐだ男はよく寝ている。

 

こうして見るとぐだ男と私って同い年くらいなのかも。いつもは飄々としているくせに、寝顔はやたらと幼い。普段の立ち回りから少し年上のように錯覚していた。

 

「もうちょっと……」

「はいはい……」

 

仕方ないなぁ。サーヴァントに睡眠は必要ない、とぐだ男は言っていたものの、ここで起こす気にはなれない。

 

「おやすみ」

「……うん……」

 

腰にしがみついてきたので背中を撫でてやる。ふふ、なんだかお母さんになったみたいだな。

 

『やっと繋がった!!立花くん、大丈夫かい!?』

「しーっ!ロマニ、静かにして」

『え、あ、うん』

 

ぐだ男は微かに身じろぎしただけで起きなかった。

 

「私達は無事、聖杯も回収したよ」

『こちらでも確認した。お疲れ様。急に通信が切れた時はどうしたかと思ったよ』

「そういえば切れてたなぁ」

 

具体的にはぐだ男が宝具を展開した時から。これは地味に痛いデメリットかも。

 

『心配したんだよ?まぁ、無事ならいい。これから帰還の準備を……』

「待って。もうちょっと寝かせてあげたい」

『え?』

 

そこでようやくぐだ男に気づいたらしい。少し意外そうな声がした。

 

『……あぁ、そういうことだったのか。なら大きな音をだしてはいけないね』

「ん、ありがとう」

『それじゃ、また連絡してくれよ』

「りょーかい」

 

あ、エミヤたちも帰ってきた。

 

「お疲れ様。ありがとうね」

「これぐらいどうということはない」

「エミヤさん、獅子奮迅の大活躍でしたよ。普段はツンケンしているのにちゃんとぐだ男先輩のために戦ってあげるの、とっても優しいと思います」

「……働いた者には対価を与えねばならない。当然のことだろう?」

「……はっ!これがいわゆるツンデレ!?」

「…………ぐだ男がいなくても頭が痛くなるとはな……」

 

エミヤは少し照れているのかみんなから背を向けて立っている。なんだかんだで皆に優しいのだ。ぐだ男がおかんと呼んでいる(本人は凄く嫌そうな顔をする)のもよくわかる。そしてマシュのキャラがもうそろそろヤバい。

 

「立花さん達はこれからどうするのですか?」

「うーん、自分たちの時代に帰るよ。ジャンヌ達とももうすぐお別れだね」

「そうですか……寂しくなりますね」

 

ジャンヌは少し目を伏せた。

ほんとに、寂しくなる。僅かだったが彼女達と過ごした時間は楽しかった。

 

「私達もお別れってことね。私、もう一度アマデウスのピアノが聴きたかったわ」

「うーん、生憎ここにピアノは無いんだよね。またの機会ということで」

「そうね!こうして出会えただけでもとっても嬉しいわ!」

 

この2人も、まだまだ語りたいことが沢山あっただろうに。でも、終わりとは確実にやって来るもので。

 

「そんな顔しないで、マスター」

 

気がつくと、ぐだ男が起きていた。

 

「きっとそう遠くないうちに、また会えるよ」

 

「なんでか分からないけどそんな気がする」

 

「だからここでは笑おう、ね?」

 

そこで自分が泣いていたことに初めて気づいた。

 

「立花さん、お元気で」

「ジャンヌ……」

 

ジャンヌと抱き合う。どうだろう、うまく笑えただろうか?

 

「あら、私達もする?」

「遠慮しておくよ、マリー」

 

皆はちゃんと笑顔だ。私だけみっともないのは嫌で、慌てて目を擦る。

 

「それじゃ」

「また、いつの日か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、ロマニに連絡してないや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、オルレアンを去ったのはそれから五分後だった。あのジャンヌの複雑そうな顔は辛かった。カッコよくさよなら出来ると思った私が馬鹿だったよ……

 

―――◇◆◇―――

 

うむむ、マスターの膝枕……だと!?記憶が混乱してウチのカルデアの誰かがやっていると思っていた。じゃなければあんなに甘えねぇよ恥ずかしい。

起きた時は焦った。ついでになんかしんみりしてたからそれっぽいことを言ったけど……正直それまでの話の流れ知らないんですよねー……

 

 

 

それよりも

 

 

 

 

もう少し膝枕を味わっておけばよかった(後悔)

 

 

 

 

 

「おかえり!みんなお疲れ様」

「ただいまー」

 

とりあえずオルレアンは定礎復元完了!次は……ローマ?

 

「あっ、そうだ」

 

ふとおもむろにマスターが懐から出したのは……虹色に輝く石。

 

……!?

 

「……え?マスターそれどこで」

「落ちてた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おお、聞こえるぞ。ホームズ爆死の霊、水着ネロ爆死の霊たちの怨嗟が。

いーしーよーこーせー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

いけない、かなり危ないところまで逝ってしまった。

改めて見ると……結構な量がある。

 

「これは聖晶石といって召喚サークルを起動するのに必要なものだよ。まさか拾っているとは思わなかったけど……」

「え!?そうなの!?」

 

実はエミヤのときは電力で召喚した。その方法だと一ヶ月に1回召喚出来るかどうか、といったところか。

 

「ロマニ、これダウィンチちゃんに渡して。そしたら多分恐らくきっといいようにしてくれるから、メイビー」

「そこは確証持ちなさいよ……」

 

しょうがないだろ?あのマッドサイエンティストだぞ?

 

「うーん、とりあえず持って行ってみるよ」

 

ちゃんと働いてくれることを願おう。ダウィンチちゃんだってやっていいことと悪いことは分かる……よね?

 

「ということは……新しい仲間が増えるの?」

「そゆこと」

 

是非使えるサーヴァントを召喚してほしいものだ。可愛いじゃないよ?使えるだよ?きよひー来ちゃダメよ?出番無かったからって拗ねないでよ?

 

「お、恐ろしや……」

「?」

 

この予感が間違ってることを願おう。

 

―――◇◆◇―――

 

「すごい、すごいぞ立花くん!!」

 

ダウィンチちゃんに呼ばれぐだ男と共に研究に入ってみたら物凄い勢いで肩を掴まれた。ダウィンチちゃん?目が血走ってるんですが?

 

「聖晶石といったか?あれは高濃度の魔力の塊だ!これでカルデアはあと1年は保つ!!」

「へ、へー……」

 

ところでダウィンチちゃんの後ろにある物体はなんだろう。縦長の……クローゼット?ロッカー?

 

「ん?これが気になるかね?これはぐだ男くんが使っている宝具の転送技術を真似て作ったものでな!名付けて四次元ロッカーだ!以前は魔力の燃費がネックで使えなかったのだが今なら聖晶石がある!これを使えば「すとーっぷ!!」なんだいぐだ男くん」

 

なんか、科学者ってヤバい……ぐだ男が止めてくれて助かった。

 

「ダウィンチちゃん……これ、聖晶石幾つ使った?」

「うっ」

 

だが、ぐだ男の厳しい声にダウィンチちゃんが固まる。あれ?聖晶石って召喚に必要なんじゃ?

 

「さ……」

「さ?」

「30個ほど」

「貴様殺すぞこらぁあああああ!!!」

 

!?ぐだ男がキレた!?

 

「10連分とかなにしてんの!?ねぇ!?恨まれて死にたいかこのポンコツ!!」

「な!?この稀代の天才であるレオナルド・ダ・ヴィンチに向かってその言い草はどうかと思うよ!?」

「うるせぇお前は今全てのマスターに喧嘩を売ったんだよ!!」

 

え?そうなの?

 

「回しても回しても礼装ばかりの悪夢を知らないやつは引っ込め!!」

「べ、別にこの四次元ロッカーも使えるだろう!?」

 

へー、四次元ロッカー……うわ、ほんとだ。中を見ると奥行が無限にある。これなら幾らでも物が入りそうだ。

 

「そりゃ倉庫要らなくなるけどさ!!そもそもそんな素材落ちないからな!?泥率の渋さはダウィンチちゃんも知ってるだろ!?」

「さ、さて?なんのことやらー」

「きぃさぁまぁああああ!!!」

「お、落ちついてよぐだ男!!」

 

正直、聖晶石の貴重性がよくわからない。そんなに半狂乱になって求めるものかな?

 

「甘い!甘いよマスター!!君はこれから地獄を見るよ!!」

「は、はぁ?」

「ダウィンチちゃん!!残り何個ある!?」

「ろっ……こ……」

 

ぐだ男の動きが固まる。そしてハイライトが消えた目でこちらを見つめた。ひぃ……

 

「よかったねマスター。これが1周年前なら1回しか召喚出来なかったよ」

「え、え?うん?」

「今更だけど俺の発言随分メタいな……」

 

ごめん、何話してるのか全然わからん。

 

「とりあえず召喚サークルの起動!ダウィンチちゃん働け!!」

「え、でもまだ四次元ロッカーの最終調整が」

「は、た、ら、け!」

「……はい……」

 

お、おう。あまりの剣幕にダウィンチちゃんでさえ従った。

 

「よし、それじゃあ行こうか……」

「う、うん」

 

さっきから「2回?2回で何が出るっていうんだ?」みたいなことを呟いているぐだ男が怖い。

 

―――◇◆◇―――

 

はぁ、2回。2回かぁ……あの馬鹿ダウィンチちゃんめ……

 

『召喚サークル、起動します!』

 

―――クルクルクルクル、バァーン!!

 

「……全く……奇妙な縁もあったものだな……」

「うぇ!?冬木の黒いセイバー!?」

 

 

あ、ダメだ。心折れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――少々お待ちください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よーし!回復!!

 

「よろしくね!」

「……馴れ合うつもりはない」

「えー」

 

しねぇ!!なんだそれ!オルトリアさん!?

 

「マスターは変なの召喚するね……」

「あんたには言われたくないわよ、カルデア1の変人」

 

失礼な!

 

マスターに抗議しているうちにオルトリアはさっさと部屋を出ていってしまった。まぁ、いいか?仲良くなるにはご飯が一番だろうか?ハンバーガーくらいなら作れるか?

 

「ま、まぁ気を取り直してもう一回いこう!ダウィンチちゃんよろしく!」

『了解!起動するよ!』

 

眩しい光が収まるとそこに立っていたのは、

 

 

 

「はぁ!?ばっかじゃないの!?」

「黒ジャンヌ!?」

 

えっ(思考停止)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうやだこのマスター。引き強すぎ(色んな意味で)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、とりあえず

 

「ひぃ!!」

 

邪ンヌのトラウマ払拭しないとまともに話できるか怪しいんですが(白目)

前途多難だ……




どうも、橘です。

色々ガチャ報告します。主に爆死。

まずホームズ。10連で礼装コンプでした。
まぁ、こないよな?しゃーない。むしろ二周年礼装のカルデアパーティみたいなの出てラッキー。

水着
20連爆死。礼装さえすり抜けで恒常の星4。
つらたん。

福袋。我慢出来なくて人生初課金。
らいこーまま。


!?


被る可能性はモーさんと頼光ママで、
52騎からピックアップで?
そこ被るか!?

ヤンデレお母さんに愛されすぎて辛い。

いいもん……オルトリア水着だすもん(フラグ)


オルターズは邪ンヌとオルトリアをイチャイチャさせたい一心で出した。後悔はしていない。
日常回は3回くらい挟む予定。


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オルターズ攻略!!

最初に言っておく

キャラ崩壊ってレベルでチョロい

すまない……可愛い邪ンヌが書きたかったんじゃよ……

砂糖を吐く準備はいいか?


「なぁ、マスター。どうすんのこれ?」

「そんなの私が聞きたい」

「うーん……」

 

私、ぐだ男、マシュで集まって話し合っている。何についてかって?

 

あの黒ずくめの乙女たちについてだよ(白目)

 

最初に召喚した以来からオルトリア(ぐだ男命名)は部屋から出てこないし、邪ンヌ(ぐだ男命名。イントネーションが独特で、ジャンヌと呼び分け可)は邪ンヌで廊下とかで出会うたびに焼かれる。睨まれると出火するんだよ!?

 

うーん……一応敵だった子達だもんなぁ……

 

「オルトリアはなんとかできる」

 

突然、ぐだ男はそう言い切った。ふぁ!?

 

「え、ちょ、まともに喋れてすらないのよ!?」

「え?うん、まぁ……コツがあるんだよ」

 

そう言うとぐだ男は1枚のメモを渡してくる。

 

「これは?」

 

どうやら大量の……食料について?

 

「オルトリア鉄壁城塞を落とすにはこれくらい必要なんだよ……」

 

ぐだ男は何故かそこで遠い目をしていた。

 

「でもこれ相当な量よ?それこそ一般人一ヶ月分くらい」

「……マスター、舐めないほうがいい。食料庫の半分が消える覚悟が必要だ」

「は?半分?」

「デミサーヴァントの私はともかく、サーヴァントは食事を必要としないはずでは?」

「ま、そこが攻略のキーポイントって訳よ。集めるのは任せた!」

 

ん?この量を?

 

「あんた面倒なこと押し付けたわね!?」

「えー?なんのことでしょー?」

「先輩!だめです!拳を下ろして!」

「マシュ!止めないで!コイツ一発殴らないと気が済まない」

 

うがー!!!

 

「ぐだ男先輩!先輩の力が凄くて止められません!」

「!?!?!?マシュって仮にもサーヴァントだぞ!?」

「喰らえ、昇〇拳ッ!!!」

「へ!?拳が赤くなってるんだけどぐぼら!?」

 

ぐだ男は壁を突き破りながら吹き飛んでいった。あ、やば、ロマニに怒られる!

 

「マシュ!今すぐ食料集めにいくよ!」

「え?あんなに渋っていたのに?」

「いいからいいから!」

 

あとはぐだ男が全ての罪を被ってくれるさぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛てぇ……マスターも順調に人間辞めてるなぁ……」

「うわぁ!?なんだこれ!?」

「おうロマニ。どした?」

「どうしたもこうしたもないよ!!なんで壁が壊れてるのさ!!」

「マスターが赤い拳を振り抜いたらこうなった」

「何訳の分からないことを言っているのかな?立花くんは人間だぞ?こんなこと出来るのは」ニコニコ

「サーヴァントだけだと?」

「(こくこく)」ニコニコ

「いや、まてロマニ。目が笑ってないぞ。え、なんで腕を掴むんですか?え、資材集め?今からやることあるんだけど見逃してくれな痛い痛い痛い!!分かった!分かったから!行くから!!……はぁ……ロマニまで人間辞めてたのか……」

 

―――◇◆◇―――

 

酷い目にあった……え?自業自得?反論出来ん……

 

高速周回は慣れたものなので問題無いけどな!

 

マスターに押し付けた理由?面倒だし疲れるんだよね、あれって。

 

「邪ンヌー?入るよー?」

 

オルトリアはマスターが戻ってきたら攻略。ってことで邪ンヌの部屋に突撃します。

 

「ん?居ないのか?」

 

返事が無かったので部屋を覗いてみる。あ、鍵はマスターキーもってるので問題無い。プライバシー?おま、ラッキースケベの可能性に賭けたくないのか!?

 

「邪ンヌ?」

「デュヘイン!!」

「ふぁ!?」

 

あっ、居たのね。

 

「え……!?効いてない!?」

「そりゃ霊基が育ってない状態だからな。散々きよひーに焼かれたせいで炎自体に耐性ついてきたし」

 

レベル差って偉大なのさ。

 

「ッ!!今度は何!?何をしにきたの!?」

 

そう、これだ。邪ンヌが上手くここに馴染めていない理由の1つは俺だ。特異点が修復された時点でそれまでの記憶は残らないのだが、あの特異点で生まれたサーヴァントたからか、はたまた相当強いトラウマなせいで忘れられなかったのか(後者な気がする)、特異点での記憶を彼女は持っている。

 

まぁ、簡単に言うと、

 

「こ、こないで!!」

 

めっちゃ避けられてます。辛い。

 

「特に何もしないってば……ただ仲良くしようと……」

「そうやって罠を仕掛けるんでしょ!?」

「思ったんですが……」

「落とし穴!?また落とし穴なの!?」

「ねぇ……」

 

話すら出来ないよ!?

 

「あれは俺が悪かったよ。悪ふざけが過ぎた」

「…………」

 

ぶっちゃけ敵同士だったのになんで謝ってるのか自分でもわからないけどな!邪ンヌはまだ疑い深い目で見てくる。そうやって他人を疑って憎んで、疲れるだろうに。

 

「無理に仲良くしようとしなくていい。俺のことを憎むのも構わない。ただ、全てを拒むのはよくないよ」

「ッッ!!あんたに何がわかる!!」

「わかるよ」

 

その返事が意外だったのだろう。少しだけ威勢が失われる。

 

「ばっかじゃないの?そんな気休めを言っておけばいいとでも思った?」

「いーや、知ってる。ジャンヌの(偽物)であることを地味に気にしていることとか、ジャンヌを想ってフランスを憎んだこととか、ほんとは優しくてお人好しなとことか」

「は……?何言って……」

「君が知らないことも沢山知ってる。人の温もりに飢えていることとか、憎まなければいけないと思い込んでいるところとか」

「やめてよ……」

「ほんとは、みんなと仲良くしたいのに、出来ないことを悔やんでることとか」

「やめろって言ってるでしょ!!」

 

あれ?お腹が熱いや。

 

あぁ、なんだ。邪ンヌの旗か。

 

「なんで、そんな、笑ってるのよ……」

「あれ?笑ってる?」

 

ああ、本当だ。俺は今、腹を貫かれて笑っている。

 

これじゃまるで変人みたいだ。

 

「すまんすまん。シリアスには似つかわしくなかった」

「そうじゃなくて!!……私は殺す気だったのに……なんで……なんで笑えるのよ……」

 

それは自信をもって答えることができる。

 

「邪ンヌのことが大好きだから。だから、ようやく向き合って貰えて嬉しい。避けられて辛かった」

「な……に……言って……」

 

そりゃそうか。ここの邪ンヌとウチの邪ンヌは違う。でも、違うけど、きっと同じで。

 

「今は人の優しさが怖いかもしれないけど、ゆっくり慣れていけばいいよ」

「意味わかんない……」

 

ふむ、そろそろ旗を抜きたいんですが。

 

イテテテテテ!!

 

引き抜いた旗は血で真っ赤になっていた。邪ンヌはそんなこと気がついていないかのように俺の顔を凝視している。

 

「あーあー、血で汚れちゃった。ごめんね」

「自分が傷ついて……それでも好きだから大丈夫だって……まるで……まるで……」

「ジャンヌみたい?」

「ッ!!」

 

ほんと、優しい子だ。

 

「そろそろジャンヌの代わりに憎むのを辞めてもいいんじゃない?人を憎むことについては、君は向いていない」

「そんな訳……」

「無いとは言い切れない、でしょ?」

「…………」

 

呆然としている彼女は、迷子の子猫みたいだった。

 

「おいで」

 

両手を広げる。

 

「は?ばっかじゃな……い……」

 

邪ンヌを抱きしめる。

 

「の……」

 

役得ッ!!おっと本音が。

 

「よしよし、辛かったね。頑張ったね」

「…………」

 

邪ンヌは何も言わなかった。それでも、離れなかった。

 

 

 

 

 

貧血で俺が倒れるまでその抱擁は続いた。しまった、傷を治すの忘れてた。

 

 

 

 

 

―――◇◆◇―――

 

「先輩!右方向、来ます!!」

「エミヤお願い!!」

「承知した」

 

あの馬鹿ぁぁぁぁあ!!!

 

4時間くらい狩りをしてようやく半分って

 

ふざけるなぁぁああ!!

 

「え、エミヤさん!先輩が!」

「ふむ、魔力を拳に纏って殴りつけているのか。あれなら確かに戦えるな」

「いやそうじゃなくて!!」

「わかっている。マスターの成長は喜ばしいことだ。少し食材を多く調達しよう」

「そうでもなくて!!というかこれ以上増やすんですか!?」

『はっはっはっー!!四次元ロッカーが役に立つだろう!!』

「あぁ、こんなところでフラグ回収なんて誰が想像したでしょうか!!あとロッカー自体の持ち運びがとても面倒です!」

『うぐぐ……』

「マシュ、それ以上はいけない。メタいのはぐだ男だけで十分だ」

「おらおらおらー!!」(3メートルほどの熊を殴り飛ばす)

 

あいつ帰ったら殴る!!

 

―――◇◆◇―――

 

うぬぬ……ここは、医務室か?

扉が開く音、そしてちらっと見えた黒いドレス。おおかた側で待ってたはいいけどなんて顔合わせればいいか分からなくて逃げ出したんだろう。

 

邪ンヌちゃんったらツンデレすぎ!

 

特に体に異常はなさそうだったので

 

邪ンヌの部屋に直行します。

 

「やっほー」

「え!?ちょ、はぁ!?」

 

傷?全て遠き理想郷(アヴァロン)というチートを知っているかい?

 

「もう動いて大丈夫……なの?」

「心配してくれるんだ」

「〜ッ!!ばっかじゃないの!?」

 

ふむ、

 

「おっと」

 

試しに倒れる振りをしてみる。

 

「ちょっと!!」

 

おおう、必死の形相で抱きとめられた。優しい。

 

「やっぱ優しいよね」

「え……大丈夫なの?」

「うん、演技」

「死ねっ!!」

 

はっはっはっー!過激だな!!殴りかかってきたよ!

 

「旗は使わないの?」

「あんたの血で汚れたから、ね!!」

 

嘘だ。

 

「さっきのこと気にしてる?」

「そんなわけ!無いでしょ!!ああもう!ちょこまかと!!」

 

ちなみに邪ンヌの部屋はそんなに広くない。つまり、暴れていると、

 

「「あっ」」

 

物を壊す。今回犠牲になったのはベットでした。思わず2人で顔を見合わせる。

 

「……なんかごめん」

「別にいいわよ……昔はカチコチのベットで寝てたし……今更床で寝るくらいどうてこと……」

 

それでも少し未練がましくベットを見ている。うぬぬ……

 

「よし、俺の部屋で寝ろ!!」

「はぁ!?ばっかじゃ」

「ん?2人一緒じゃないよ??え?想像したの?」

「(口パクパク)」

 

顔を真っ赤にして口篭ってしまった。可愛い……

 

「あ、あんたはどこで寝るのよ」

「んー?廊下?」

「ばか!風邪ひくに決まってるでしょ!」

「えぇー、いいじゃんかー」

 

邪ンヌは気づいていないのだろう。無意識に俺の体調を心配していることに。そもそもサーヴァントって風邪ひくの?沖田さんぐらいだと思うんだが……?ん?俺?気づいてからニヤニヤしてます。

 

「あぁもう!一緒に寝ればいいんでしょ!!いいわよ、それくらい!」

「……ありがと」(ニヤニヤ)

 

ここで新しいのを新調する、とか出てこないあたりポンコツで可愛い。

 

「あ、あんたの部屋どこ?教えなさいよ」

「ん、じゃあいこっか」

 

少し寝るには早いが、まぁ、いいか。

 

 

 

 

 

 

「ここだよ」

「へぇ……何にもないわね」

「まあね」

 

俺の部屋にあるもの?

 

・ベット

・観葉植物

 

以上!!

 

「少なすぎない?あのころのフランスでさえもうちょっと洒落っけがあったのに」

「余計なお世話だよ!」

 

そもそもこの部屋に入ること自体が片手に数えるほどしかないのだ。模様替えなんてやってられないよ。

 

「そ、それじゃあ、寝る?」

「ん?まだ早くないか?」

「そ、そそそそうね!」

 

なんだコイツ、可愛い(本日3回目)

 

「ま、いいや。横になりながらお喋りしようか」

「へ?」

 

ベットに横になると前の空間を叩く。ほれほれ、こいよー。

 

「ここに寝て?俺が後ろから抱きしめてあげるから」

「……ん」

「え!?」

 

ここで一悶着あると思っていたら案外素直に横になった!?

あまりに予想外すぎて恐る恐る手を廻す。

 

「いいの?」

「なによ、あんたが言ったんでしょ?それとも嫌になった?」

 

邪ンヌの声は震えていて、でもそれを必死に隠そうとしていて、

 

「んーん、嬉しいよ」

 

出来るだけ優しく彼女を抱きしめた。

 

「私は……」

「ん?」

「あんたみたいな偽善者が大嫌い」

「うん」

「自分が傷ついても気にしない自己犠牲が大嫌い」

「うん」

「裏切られることが大大大嫌い」

「……うん」

「あんた……」

 

邪ンヌが俺の手を掴む。固く、強く。

 

「さっきの言葉、嘘だったら絶対許さないから」

「……ん、分かった」

「裏切ったら殺してやる」

「うん、わかった」

 

彼女の体は震えていた。

 

「もう、独りになりたくない」

「うん、もう独りぼっちになんかさせない」

「裏切られて、絶望したくない」

「大丈夫、俺も、マスターだって裏切らない」

「もう、誰も……」

 

―――ジャンヌ(わたし)を傷つけないで。

 

あぁ、美しい。

 

ただ、そう思った。

彼女は最後の最後で、ジャンヌを想った。復讐者(アヴェンジャー)としての性質に歪められてしまったものの、彼女の本質とはジャンヌを守りたいという思いだった。ジャンヌのための怒りだった。ジャンヌが最後まで気づくことのなかった、自分のために働くはずだった感情だった。

 

「君は綺麗だ」

 

泣き疲れて寝てしまった邪ンヌの頭を撫でながら呟く。

 

「おやすみ、ジャンヌ・ダルク」

 

こーゆーシリアス求めてる訳じゃないのになぁ(白目)

 

―――◇◆◇―――

 

「おかえりマスター!ありがとね!」

「……はははは」

 

殴る気力すら湧かない。

 

「あの、ぐだ男先輩。実はこれ、先輩が5割ほど集めていて……」

「……………………はい?」

「マスターは武闘術の才能があるのかもしれんな。我流であそこまで戦えるなら大したものだ」

「……守られるはずが、戦ってたと?」

「「(こくこく)」」

 

ふふふ、ぐだ男が驚愕しているのが面白い。あ、ちょうちょだー。

 

「マスターごめん!だから正気に戻ろうか!!なんか目がイッちゃってるよ!」

「はっ!!ぐだ男ぉぉぉお!!」

 

正気に戻る→殴る

 

「キレが増してるだとあべし!?」

 

ふぅ、スッキリした。

 

「エミヤさん……先輩って本当に一般人ですか?」

「ふむ……さあな」

「もはや信じられません……サーヴァントと渡り合える一般人なんているのでしょうか?」

「まぁ、一般人(バケモノ)も偶にはいるのだろう」

 

なにやらマシュ達が失礼な事を言っているが無視無視。私は無害な常識人です!

 

「「「それはない」」」

 

そんなぁ……

 

「あ、そういや」

 

ぐだ男がフラフラしながら戻ってくる。ちっ、壊さないように手加減したのが不味かったからか……

 

「マスター、いい加減に正気に戻ろうか。それよりも、邪ンヌ攻略終わりましたよ」

「は?攻略?」

「そそそ。少なくとも今までよりは仲良く出来ると思う」

「……いったい何したのよ……」

 

あれか、催眠術とかか。

 

「失礼な。ちゃんと話を聞いてお腹を貫かれただけですよ?」

「貫かれた……!?それってだけ(・ ・)なの!?」

「うんうん。貧血で死にかけたけど」

 

駄目だこいつ……早くなんとかしないと……

 

「それじゃあ、オルトリア攻略しますか!エミヤ!!忙しくなるぞ!!」

「ふむ……?」

「先に厨房で仕込みしといてくれ」

「ふっ、なるほどな」

 

何か通じ合うものがあったらしくエミヤが素直に従う。

 

「厨房……ということは料理で釣るのですか?」

「そーゆーこと!マシュとマスターには料理を運んでもらうからよろしく」

 

なるほどね……でもそんなんで大丈夫なのかな?

 

「アルトリア・ペンドラゴン、と呼ばれる人物においては物凄く効果的だと思うよ」

 

そんなこんなでオルトリアの部屋に到着。

 

「セイバーさん、お食事一緒にどうですか?」

「馴れ合わんと言ったはずだ、帰れ」

 

うわっ、バッサリ。流石のぐだ男でもこれは……ん?ぐだ男が何かを取り出した。あれは……ハンバーガー?なんでまたハンバーガーなんか……?

 

「王よ、味見だけでもどうですか?美味しさは保証します」

「…………」

 

目にも留まらぬ速さで手が伸び、ハンバーガーを咀嚼する黒セイバー様。

 

あ、少し頬が緩んだ。美味しかったのかな?

 

「……お代わりは?」

「食堂にたっぷりと」

「行きましょう」

 

即答だった。もはや食い気味に答えていた。あのツンツンしてたオルトリアがこうもあっさりと!?

 

「よし、こっからが戦いだ。マシュ、マスター頼んだよ」

「「?」」

「行けばわかる」

 

早歩きで食堂に向かうオルトリアを追う。あれ?場所って知ってるのかな?あ、匂いで分かりますかそうですか(汗)

 

「食事の用意をお願いしても?」

「喜んで。もしご満足頂けた場合は僕らの戦いに協力をしていただけますか?」

「いいだろう。しかし私の判定は厳しいぞ、若き料理人よ」

「いざ」

「勝負」

 

それから先は、地獄だった。

 

エミヤが初めて召喚された時に勝るとも劣らない早さで料理が運ばれ、それをまた信じられないほど早くオルトリアが平らげる。まさに動くことをやめたら死ぬ戦場。その中をぐだ男とエミヤが協力して(途中からなりふり構わなくなったらしい)料理を作り、私とマシュが飛ぶようにそれを運ぶ。途中からロマニや所長、はたまたダウィンチちゃんまでもを駆り出して皿洗いをさせる始末。

 

そう、料理戦争とは、まさにこれだった。

 

「見事だ……これほどの美味と出会えるとは……」

 

全ての食材を使い切り疲労困憊の私達の前に王は毅然とした態度で立つ。

 

いや、まじでどんだけ食うのよあいつ……

 

「その働きに私も報わねばな。貴殿の力になることをこの剣に誓おう」

 

おぉ、攻略終わり?終わりでいいよね?

 

もう疲れたよ……

 

「次はもうちょい自制してくれ……」

 

ぐだ男が呟いた言葉に皆が大きく頷いた。

 

「ふむ、そうか?次からは気をつけよう」

 

もっとも、当人には自覚がなさそうだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――少し経った食堂での黒聖女との記録

 

「ちょ、ちょっと!私にも作りなさいよ!」

「うん、いいよ…………はいどうぞー」

「(もきゅもきゅ)あ、これ美味しい」

「ほんと?ありがとう」

「まったく、あの女にばっかり構ってるんじゃないわよ」

「……寂しかった?ごめんごめん」

「ばか、誰がそんなこと」

「本音は?」

「…………少しだけ」

(無言で抱きつき頭を撫でる)

「ちょ、なによ!」

「いや、可愛いなーって」(ニヤニヤ)

「はぁ!?ばっかじゃないの!?あ、ちょっと、撫でるのやめろとは言ってないんだけど!!……なによその目は!!悪いか!!」

「(あかん、こいつ可愛い……死ぬ)」




どうも、橘です

可愛いは正義……だろ?

正直チョロインにしすぎな感はありますが(今更)どうしても可愛い邪ンヌを書きたかったんだよ。後悔はしていない。

書いててニヤニヤが止まらなかった

黒王を流しすぎたので次は黒王メイン?

書くから水着来てくれよ……


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息抜きしたっていいじゃないか

願、オルトリアライダー!!

出ろ!頼光ランサー!!

うおおおおお!!!(なお、作者はまだ回していません)

もしかしたら読めばご利益ある……かも?

書いたから出るよね!(錯乱)


オルトリアと邪ンヌとはそれなりに仲良くなれたと思う。こうやってマスターやマシュと一緒に食事をするようになったのも大きな進歩だ。

 

「え!?邪ンヌぐだ男と一緒に寝てるの!?」

「し、しょうがないでしょう!?ベット壊しちゃったんだから!あいつを利用してやってるのよ!」

「……ベットを新調すればいいのでは?」

「……あっ」

 

マシュめ、余計なことを……

結局、邪ンヌのベットは新調されることになった。

 

もう一緒に寝るのも終わりかと思ったら、夜中に枕を抱えて部屋を訪ねてくるという極悪コンボを決めてきおった。うぬぬ、少し恥じらいながら枕をぎゅっと抱きしめ立ち尽くす邪ンヌ。極めつけは「あ、あんたが寝れないかもって思ったの!!」

 

かはっ(吐血)

 

そのあと存分にイチャイチャした。本人に言ったら否定するだろうけども。

 

オルトリアは相変わらずで

 

「今日はチーズバーガーなるものを頼む」

 

ほいほい、こだわり素材のチーズバーガーでーす。

 

「これは…………」

 

おうおう、無言でがっつくねぇ。

ちなみに材料は自分で調達するようにした。働かざる者食うべからず、だ。てかそうしないと死ぬ。

 

「では、前回の照り焼きバーガーを……あとは……」

 

これまた2時間コースかな?

 

なんてことが多々ある。

 

なんにせよ友好的になってくれて嬉しいかぎりだ。

 

 

 

もうそろそろやってみるか?

 

 

 

「オルトリア!邪ンヌ!ちょっといいか?」

「「?」」

「少しだけ霊基弄らせてくれない?」

「は!?何言って」

「構わん」

「!?あんたどうしちゃったのよ!あたまイッちゃってるの!?」

 

正直、俺もビックリですわ。黒王様意外とノリノリ?人間で言えば心臓触らせてくださいみたいなもんだぞ?

 

「考えてもみろ、ここまで苦労して我々を篭絡したのだ。その結果を投げ出すようなことはするまい」

 

篭絡とは聞き捨てならないな。主に俺の命的な意味で。

とりあえずきよひーは俺の世界で大人しくしてような!?(扉を閉じながら)

 

「た、確かに……」

「ふっ、私はこやつを信じているのだよ。貴様は信じられんのか?」

 

お、おう。オルトリアが挑発するように俺の腕を取った。なんかヒンヤリしてますね。あと相変わらず無いですね。どこがとは言わないが。おふっ……足踏み抜かれた……

 

「な、なななな!?なにしてんのよ!?」

「なに、軽いスキンシップだ。これくらい大したことあるまい?」

 

いや、こんなことしたの今日が初めてですよね?アッハイ、黙ります。今オルトリアは甲冑を脱いでドレス姿だ。生地が薄いから防御力(意味深)が低いんだよね……

 

「ぐぬぬぬぬ」

 

邪ンヌはオルトリアに取られた腕(もはや腕と腕が絡み合って密着して至福な感じになってる)を見て暫く躊躇すると、反対の手を取った。

 

「私だってそれくらいできるわよ!」

 

いや、なんで対抗心燃やしてんですか。ていうか、何について争っているんですか。やめて!私のために争わないで!

ほらほら邪ンヌ真っ赤になってるよ。無理しなければいいのに……

 

「ほう?ならこれくらい出来るな?」

 

オルトリアはおもむろに心臓辺りに俺の手を押し付けた。む、これは……微かな……しかし確かな柔らかさ……って違うわ、霊基弄るか。えっとー、ここかな?

 

「ぅん……ふっ……」

 

妙に艶っぽい声を出すのやめぃ。俺の理性が溶ける。え?揉んでないですよ?いやまじで。

 

「わわわわわわわわわわ!?」

 

邪ンヌ、完全にパニック。目がグルグルしていらっしゃる。

 

「わ、私だってコレクライ」

 

おぉ……もはや何も言うまい。……幸せですとだけ言っておこう。出来るだけ無心で(尚且つ楽しみつつ)霊基弄りまーす。

 

「あっ……んっ……」

「あぁ……ぅあ……」

 

これはR18ではない?イイネ?

 

「出来たよー」

「む……」

「これは……」

 

俺がしたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オルターズ、新宿バージョン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれカッコ可愛い最強の衣装だと思うんだ!!

 

「ふむ……この装いも悪くない」

「へぇ、あんたにしては上出来ね。褒めてあげるわ」

 

おふたりの反応も上々。いや待てよ?

 

いいこと思いついた♪

 

―――◇◆◇―――

 

ぐだ男が職員をメインホールに集めた。何を企んでいるやら……というか、あれ?マシュがいない。

 

『皆さん、長らくお待たせいたしました。ただ今より……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『美女たちのファッションショーの時間だ!!準備はいいかみんな!!』

「「「「「うおおおおおおおお!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ!?」

 

え!?なに!?聞いてないんだけど!?

 

『まずはこの子!!みんなの頼れる盾役。後輩として先輩を支えます!!マシュ・キリエライト!!!』

 

「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」

 

マシュが少し恥ずかしげに出てくる。ええええ!?

 

『だがしかーし!これはファッションショー!!ってことで普段よりひと味もふた味も違った魅力、お伝えするぜぇ!!』

 

突然、マシュの周りを下から飛び出てきた壁が覆う。いつの間にあんな仕掛けを……

 

壁が下がると私服から霊装に変わっていた。

 

『少し過激?でもそこがいい!!この盾で皆を守ります!!霊装だああああ!!!』

 

「「「「「うおおおおおお!!!」」」」」

 

いい加減うるさいのだが……

 

『まだまだあるぜ!!』

 

また壁がマシュを隠し、今度は……

 

『夏の甘酸っぱい思い出、海辺でデート。水着だああああああ!!!!』

 

「「「「お……」」」」

「お?」

「「「「おおおおおおおおお!!!!!」」」」

 

今日1番の歓声が上がる。てか、水着!?いつのまに!?

 

『相変わらず可愛いですなー。ってこら!お前ら!あんまりジロジロ見るな!不愉快だから撤収!』

 

あ、主催者の私情入ったぞ。マシュ退場。

当然ながら観客からはブーイング。

 

『こらこら、ものを投げるな。……おい誰だ食べ物投げたやつぶっ殺すぞこら!!……こほん。お次はぁ!!みんな大好きツンデレ所長、オルガマリー・アニムスフィア!!』

 

「「「「………………」」」」

 

観客からは声さえ出ない。

何故なら、

あの所長が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バニー姿で登場したのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこかしこで人が倒れる。灰になった人もいる。菩薩のような達観した顔の人もいる。前屈みになる人がいる。

まさに阿鼻叫喚だった。

 

『いつもはお堅い所長がバニー!?恥じらいながら睨みつけるのがまたイイ!!はーいマリー、ニッコリスマーイル!』

「……も、もう!!…………(ニコッ)」

 

 

―――ドキューン!!

 

 

観客全員が倒れた。

 

わ、私まで倒れてしまった。破壊力がありすぎる……

 

所長は恥ずかしくなったのか駆け足で引っ込んだ。

 

そんな中、次に出てきたのは

オルターズとエミヤ、ぐだ男だ。

 

「え?なんで4人かって?え?男はいらないって?まぁまぁ、そう言わずに……ご覧あれ!!」

 

―――パァーン!!

 

突然白い煙が焚かれ、何も見えなくなる。

 

そして煙が晴れると。

 

黒系の衣装で統率された4人が現れた。

 

なんていうか

 

 

「「「「「カッケぇえええ!!!!」」」」」

 

 

もはや会場のノリに呑まれているが気にしない。私も叫ぶしかなかった。

邪ンヌとオルトリアはラフなノースリーブやタンクトップ。ぐだ男とエミヤはスーツでバッチリ決めている。

 

例えるなら……あれだ、

めちゃめちゃ仕事が出来る殺し屋達みたいな感じがする。

 

「どうだお前らー!!え?男は引っ込め?……つれないなぁお前ら!!ちなみにオルターズは水着もあるよ!」

 

壁せり上がる→壁取り払われる→オルターズ水着

 

『アルトリアだけずるい?大丈夫、お揃いの水着を邪ンヌにもプレゼント!!水鉄砲であなたのハート(物理)を狙い撃ち!!』

 

「「「「うぉおおおおお!!!」」」」

 

今ハートの表現おかしくなかった!?

心臓(ハート)とか言い出しそうな雰囲気じゃなかった!?

 

『そしてそして!我らがマスター、立花!!!』

 

「ほら、こっち来なさいよ!」

「ここは従った方が賢明だぞ」

 

オルターズに連行され私も舞台上に。

 

何にも聞いてないんだけど!?

 

「これに着替えるといい」

「拒否権は無いわよ!」

 

渡されたのはオレンジの水着。え?ビキニ!?これ着るの??

 

『壁が無くなるまでカウントダウンスタート!10、9』

 

アイツ後で絶対ぶっ飛ばす。

 

仕方が無いので急いで着替える。え?早すぎるって?これぐらいの無茶振りどうてことない!

 

「無駄な所でスペックが高いのだな」

「生身の人間がどうやってるのってツッコミしたいレベルの動きで早着替えしたわね……」

 

『2、1、0!!麗しのサーヴァントに囲まれて霞む?いえいえそんなことありません。カルデアの女性陣はレベル高すぎ!!藤丸立花!!』

 

「「「「うおおおおおお!!!」」」」

 

あ、これ満更でもないかも。そりゃ雰囲気に当てられているのかもしれないけど、やっぱり認めてもらえるのは嬉しいものだ。

 

『ちなみに結構ふくよかです!俺の見たてでは少なくともDいじょぐはっ!?いつの間に後ろに……』

『なななななななに言ってるのよ!!!』

 

変なこと口走らないでよね!!

 

「……今の動き、見えた?」

「いや……もはや瞬間移動に近いレベルだった」

「マスターって一般人なのよね?」

「さぁな」

 

なんてオルターズの不穏なやり取りは聞こえてない!(∩゚д゚)アーアーきこえなーい。

 

『これでファッションショーは終了だぜ……(がくっ)』

「ええ!?ぐだ男大丈夫!?立花の攻撃ってどうなってるのよ!?」

「所長、それは禁句です」

「とりあえず医務室に運ぶことをオススメする。マシュ、手伝ってくれ」

 

聞こえてないんだからね!!!

 

 

なお、その後の職員の作業効率が1.2倍ほどになった。まぁ、偶にはこういう息抜きがあってもいいのかな?って思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩!大変です!!」

「わわ!どうしたのマシュ?」

「あのファッションショーの写真が流出したらしくて……」

「は!?それヤバいんじゃ!?」

「あ、いえ、そこではなくて……それを知ったぐだ男先輩が怒り狂って……その」

「またやらかした……か……」

「……はい……男性職員の部屋は軒並み破壊。それに抗議する職員達と戦闘が……」

 

ごめん、撤回。息抜き出来ねぇわ、これ。

思わず頭を抱えた。

 

―――◇◆◇―――

 

……久しぶりにブチ切れてしまった……

 

いや、あのだな……なんか、こう、ね?

 

この世界では俺のサーヴァント()ではないと分かっているし、そこを履き違えるつもりはないけど、

 

他の男達の欲望に晒すのは……うん、嫌だったんだよね。だってあれだけの美女の水着姿の写真なんて使用方法が分かりすぎるほど明らかだろ?嫉妬……かな。それは所長やマスターに対しても同じ。あれ?でも俺はそれをサーヴァント(アイツら)にしてる訳で……うむむ……

 

「ならあんなの開かなければよかったじゃない」

「あれ?声に出てた?」

 

今?所長にお説教されていたんだけど様子が変なことに気付かれた。よって頭を撫でられている。これ妙に安心するんだよな……おかげで少し本音が漏れてしまった。

 

「それに、その……あなたが見たいっていうなら、私はいつでも着てあげるわ……よ?」

 

(理性から)逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ……

 

「うん、ありがとねマリー」

「あ、あのねっ!!私も撫でて欲しいなぁ〜なんて」

 

 

ひたすらなでなでした。

 

 

―――◇◆◇―――

 

2人の少女が対面する。

 

一方はブリタニアの王、一方はオルレアンの聖女。

 

どちらも由緒正しき英雄でありながら狂ってしまった存在。

 

「問おう、黒き聖女よ。何故やつらの味方をする?」

「なによ、呼び出したのはそんな理由?」

「答えろ」

 

空気が張り詰めていく。2人の魔力がぶつかり合い火花を散らす。

 

「……強いて言うなら楽しそうだから、かしら?」

「……その程度で従うのか?」

 

聖女は馬鹿にしたように王を笑う。

 

「じゃああんたは何なのよ?」

「……世界を……あの美しく優しい世界を守るため」

「あははは!それこそくだらないじゃない!!それも王の責務ってやつ?あはははははははは!!」

「……ちっ」

 

苛立ちを募らせる王とは対照的に、聖女は余裕を保っていた。

 

「やはり貴様は生かしておけない」

「あら?殺りあうっての?」

 

2人の間で殺気が膨れ上がる。

 

 

 

 

 

「はい、そこまで」

 

 

 

 

 

だが、突如現れた男がそれら全てをかき消した。

 

「俺の宝具(ワールド・イズ・マイン)を使わせた罪は重いぞ?」

「「なっ」」

 

2人の体から力が抜け、堪らず床に伏せる。それは彼女達にとって我慢のならないことだったのだろう。

 

「邪魔を……」

「するな!!」

 

立ち上がり斬りかかってきた2人を意外そうに見ながらぐだ男はその剣を受ける。血が飛び、四肢がもげ、

 

そしてその傷は瞬時に回復する。

 

「「なっ!?」」

 

心臓を貫き、首を跳ねても生きている。何度殺しても死なない。そのことに圧倒的な力の差を理解させられる。

 

「双方、剣を引け」

「……ちっ」

「……くっ」

 

彼女達は歴戦の勇者だ。だからこそ、彼に勝てないことが分かってしまう。それほどまでの圧倒的な存在感を彼は有していた。

 

「それじゃ、邪ンヌ」

「な、なによ……」

「今の邪ンヌのこと、嫌い」

「………………ぇ?」

 

その一言が余程ショックだったのか一気に蒼白になる。

 

「でも、許す。人は間違えるから。でも、仲間を傷つけるのは許せない。次は無い」

「……ッ!!」

 

首でも取れるのではないかと思われるほどに首を縦に振る聖女を見て、彼は苦笑する。

 

「反省した?」

「(こくこく)」

「ならこっち来なさい」

「(こくこく)」

「………………(じとー)」

「(ウルウル)」

「ったく、しょうがないなぁ」(ナデナデ)

「(ぱぁ!!)」

 

頭を撫でられた聖女はこの世の終わりのような顔から一転、気持ちよさげに目を細めた。

 

「気をつけろよ?」

「それくらいわかってるわよ」

「あ゛?」

「……ごめんなさい」

「ん、許す」

 

そうして聖女を退散させ、今度は王の方を向く。

 

「さて、アルトリア、理由を聞こうか」

 

その顔は惚れ惚れするような笑顔で、思わず王は身震いした。残念ながら目が笑っていないのである。

 

―――◇◆◇―――

 

どうしてこうなった。

俺が仲裁してなかった殺し合いしてたぞあれ。

 

「奴には……信用出来る証拠が無い」

「……?」

「裏切られ、寝首を掻かれるやもしれんと言っているのだ」

「あぁ……うん?」

 

予想以上に邪ンヌを危険視している。こちらを心配しているのかと思ったらどうにも違うみたい。自分の邪魔にならないか心配している?

 

「君が協力してくれるのは……俺たちを利用するため?もっとはっきり言えば自分のため?」

「……そうだ」

 

なるほどな。うむ、

 

「悲しいな」

「……許せ、守るためには手段を選べん」

「いや、最初から言ってくれれば喜んで利用されてあげるのに。まだ遠慮があって悲しいなーと」

「……は?」

 

理解できないものを目にしたかのように俺を見つめるアルトリア。まぁ、生前が生前だから1人でなんでもやろうとしてしまうのだろうか?

 

「いいよ、存分に利用してくれ」

「……お仲間ごっこをしているかと思えば……貴様は、いや、貴様()狂っているのか?」

「なんとでも言え。俺は大切な人の役に立ちたい。その大切な人の中にお前もいるんだ。文句は認めない」

「全く……お人好しなのか馬鹿なのか……」

 

アルトリアは生涯孤独だった。

 

信頼出来る部下はいても、友はいなかった。だから

 

「その代わり、友達になってくれないか?」

「……その友、とはどのようにしてなるのだ?生憎生前に身につけられなかったのでな」

「簡単なことさ」

 

俺が初めての友達になろう。

 

「一緒に悩んで、苦労して、涙して、楽しんで、笑い合う。そんな関係のことを指すんだよ」

「……理解できない」

「だろうね。君は1人で出来すぎた。他人に頼ることを知らなさすぎた」

 

手を差し出す。

 

「何かあったら言え。損得とかそんなの抜きにして、助ける」

「私は何もする気はないぞ?」

「それでもいいさ。でも、」

 

迷っているアルトリアの手を握る。

 

「気が向いたら助けてよ」

「善処しよう」

 

オルトリアは苦笑していた。おそらく相当馬鹿だと思われたのだろう。だが、それでいい。人との関わりを知らなかった彼女と周りの架け橋になる。そうしたらきっと、

 

「あと邪ンヌだけど」

「ああ、やはり」

「信用していいよ」

「……根拠は?」

 

 

「俺が信じているから!」

 

 

「……薄いな。確証もない」

「そりゃそうだけど」

「だが、まぁ、貴様に免じて見逃しておいてやろう。せいぜい痛い目を見ないように気をつけるんだな」

「……うん、ありがとうアルトリア」

 

黒き王は1度もこちらを振り返ることなく去っていった。なんとなく、本当の彼女に出会えた気がする。相変わらず無愛想だけど。

 

ちなみにオルターズはずっと新宿衣装。異論は認めない!




どうも橘です

怖くて引けない、けど引きたい
ジレンマ!!

邪ンヌはチョロイン、オルトリアは攻略対象外みたいな心情かな?もうちょいインパクトがある好感度上げがあればオルトリアもいける……か?どっちかというとビジネスライクな関係。

所長成分を補給しますた。

邪ンヌ成分を補給しますた。

WARNING!ぐだ子の存在が薄くなっています。
立花「なんでよ!?」
ぐだ男「ヒロイン力たったの3か……」


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頼れる盾系後輩の日常


久しぶりのマシュ視点(というか2回目)

読みにくかったりキャラ崩壊してたらすまぬ。


朝、目を覚ます度に安堵する。

 

まだ『自分』がいると。

 

消える恐怖なんて感じない。

 

だって、実感なんて湧いてこない。

 

でも……

 

不安が無い、訳ではない。

 

 

「マシュ、おはよう」

 

 

そんな不安も、先輩と会うと吹き飛んでしまうのだけど。

 

―――◇◆◇―――

 

先輩がなんだか忙しいみたいで構ってくれないんです。むむぅ……

なので!今日はカルデアを散策しようと思います!

 

「マシュさんおはよう」

「おはようございます」

 

職員の方々はとても優しくて、皆で頑張るぞっていう気合いが伝わってきます。目が輝いているんです。

 

それもこれも全て、

 

「エミヤ!!オムライス2つ!」

「ハンバーグだ!8番を鳴らせ!!」

「おいエミヤさん!?こんなに朝って忙しいのか!?こんなに忙しいとは思わなかったぞ!?」

「大体こんなものだ!それより手を止めるな!!」

「言われなくてもやってますぅぅぅぅうう!!!」

 

この食堂のお陰でしょうか?

 

エミヤさんの作るご飯は本当に美味しいのでやる気も湧きます!

 

「おおマシュ!!いい所に来た!言った番号のボタン押してくれ!!」

「は、はい!!」

 

あ、あまりに忙しそうだったのでお手伝いです!

 

食堂のシステムは、注文すると小型端末が渡され、料理が出来るとそれが鳴って知らせてくれます。あとは料理を取りに来るだけ、それだけのシステムなのですが……

 

人手が足りなさすぎます!!

 

なんですか、これ!

 

エミヤさんとぐだ男先輩でなんで20人分も捌いているんですか!?もはや腕が残像を伴うような速度で振るわれています!

 

「2!」

「13!」

「9!」

「14!」

「はわわわ!?」

 

作るの早すぎませんか!?

 

そんなこんなで職員の人が増えるペースも落ちてきたので何とかなりそうです。日頃から「早く人手、というかサーヴァント手を増やして欲しい」と愚痴っているぐだ男先輩の気持ちが分かった気がします……

 

「どうした、腕が落ちたか?」

「あ゛!?ほざいてろ弓兵」

 

罵りあいながらも凄まじいコンビネーション(食材を乗せた皿が必要に応じて右左に飛ぶんです!!食材を落とさない且つ相手が取りやすい適切な力加減で投げる2人……流石BI☆SYO☆KU☆YAですね!)を発揮する2人は、大変そうにしながらも楽しそうでした。

 

「あぁー、疲れた」

「これが毎日だ。これぐらいで音をあげてもらっては困る」

「お疲れ様です……」

 

やっと終わりました。まさかこんなに忙しいなんて……これを普段1人でやっているエミヤさんは何者なんでしょうか……

 

「お前無理しすぎだろ……また手伝いに来るわ」

「フッ、余計なお世話だ」

「はいはい、男のツンデレは需要ナッシング」

 

口では罵りあっているものの、お互いに認めあっているのが傍から見ると分かります。やはり数多の戦場(キッチン)を共に駆け抜けたからでしょうか?

 

「それで?マシュはこれからどうするの?」

「あ、えっとですね……」

 

お手伝いは一つ目完了ですね。また散策しましょうか?

 

「ん、おけおけ、俺もついてく」

「はい!」

 

―――ぐだ男が仲間に加わった!

 

―――◇◆◇―――

 

次に来たのは修練場です。ここはぐだ男先輩の強い要望で作られたみたいです。私達が着いた時には先客がいました。

 

「お!オルトリアじゃないか」

「おはようございます」

「む、若き料理人と盾娘か。どうした?」

「特に用は無かったけど目が合ったなら……」

 

 

 

 

 

 

「「手合わせ!!」」

「なんでですかっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ど、どうしましょう!?職員さんと目が合ったら手合わせしないといけないのでしょうか!?今までのあの優しそうな視線の裏で隙を狙われていたのですか!?

 

「あれは勝手に盛り上がってるだけよ、マシュちゃんは気にしなくていいの」

「あ、はい」

 

職員の方があれは『ノリ』と言うものだと教えてくれました。……目のハイライトが消えていたのですがどうしたのでしょうか?

 

「モルガーン!!」

「なんちゃってもるがーん!!」

 

―――ッガーン!!!

 

…………

 

「「モルガーン!!」」

 

―――シュバーンッ!!

 

…………………………

 

「魔力放出!」

「カリスマ、宝具アップ系バフ!!」

 

「「モルガーン!!!」」

 

―――ちゅどーん

 

…………………………なんとなく職員さんの気持ちが分かりました。

 

試しに壁を殴ってみます。えいっ!

 

―――ガツンッ!

 

サーヴァントの力でも傷ひとつつきません。

 

ですが、なんということでしょう。

 

修練場めちゃくちゃなんですが!?

 

宝具をあれだけ大量連打したらこうなるに決まってますよね!?

 

もはやいつもの事なのか職員の方々は表情を失った顔で彼らを見つめていました。

 

お、お疲れ様です……

 

―――◇◆◇―――

 

説教をされたあと(2人とも懲りていませんでしたが)こんどは邪ンヌさんの部屋に向かっています。やることがあるんだとか。

 

「入るぞー」

「き、来たわ……ね……ってなんでこの盾っ子がいるのよ!?」

「別にいいだろ?」

「うっ……そうだけど……」

「ならほら、マシュも座って」

「はい」

 

一体何が始まるのでしょう?

 

と、おもむろにぐだ男先輩が取り出したのは

 

「絵本?」

「そ、読み聞かせしてんの」

「……なによ、文句あるの?」

「いえ!全然!!」

 

照れている邪ンヌさんが可愛いです。

 

「そんじゃ、始めますか」

 

―――◇◆◇―――

 

ぐだ男先輩って読み聞かせの才能があるかもですね。声が耳に心地好くてどんどん引き込まれていきました。

 

「となりました……と」

「わぁ……」

「ひぐっ、えぐっ」

 

思わず拍手をしてしまいます。邪ンヌさんは……泣きじゃくってますね。

 

「おいおい……悲劇系のストーリーなんだからしょうがないだろ?」

「だっでがわいぞうじゃない!!」

「おおぅ……濁点が酷いことに……ほら顔拭いて、鼻かんで。折角の可愛い顔が台無しだ」

(ゴシゴシ、フキフキ)

「まったく、なんでこんな本選んでくるのよ!ヒロインが可哀想じゃない!!」

 

目元を腫らしながら文句を言う邪ンヌさん。……邪ンヌさんって

 

「優しいんですね」

「はぁ!?ばっかじゃないの!?」

「そうだね、邪ンヌは優しい」

「なっ、アンタまで!」

「じゃないと絵本のヒロインに入れ込んで号泣なんてできないよねー」

「ねー」

「な・い・て・な・い!!」

 

普段はツンケンしている邪ンヌさんの意外な一面を見れて少し嬉しいです。いつもは不機嫌そうなのにここでは凄く自然に笑ったり怒ったり泣いたり……

 

「なんだか……いいなぁ……」

 

じゃれている2人を見て思わず呟きました。

 

それが聞こえてしまったのか聞こえなかったのか、ぐだ男先輩はおもむろに立ち上がると暇を告げました。邪ンヌさんの名残惜しそうな顔に罪悪感を感じつつ、2人で部屋を後にします。

 

「さて、次はどこへ行こうか」

「そうですね……」

 

実は目的も無しにブラブラしていただけなので目的地はありません。困りました。

 

「ん、わかった。次はそこに行くかー」

「え?」

「顔に書いてあるよっと」

 

優しい笑顔をしながらぐだ男先輩が私の手を引きます。ぐだ男先輩は普段はおちゃらけた雰囲気ですが、稀に大人っぽい表情を見せます。普段からそうすればいいのに、とは思わなくも無いです。

 

―――◇◆◇―――

 

辿りついたのは事務室でした。

 

「マスター、マシュがお呼びだよー」

「はーい」

「!?ぐだ男先輩!?」

 

ひょっこり顔を出したマスターの手には書類。やはり忙しいみたいです。だから邪魔をしないようにしていたのに……

 

「ぐだ男先輩、邪魔しないうちに戻りましょう」

「マスター、その仕事代わるからマシュとお話してあげて?」

「え?」

「わかった!でもいいの?」

「なんだかんだで裏方仕事ばっかりやってるからねー。これくらい軽い軽い」

「え、え?」

「それじゃあ……私の部屋に行こうか」

「いてらー。それじゃ、やりますか」

「え、えぇぇ!?」

 

まるで互いの考えがわかるかのようにトントン拍子に話が進んでいきます!!というか、

 

「ぐだ男先輩!?ほんとにいいんですか?」

「よきよき、マスターに構って欲しかったんじゃろ?なら仕事を代わればいいじゃなーいってことで!」

「あ、あの!ありがとうございます!」

「マシュー?早く行くよー?」

「はい!」

 

ひらひらと手を振るぐだ男先輩にお辞儀をした後、先輩と一緒に先輩のマイルームに向かいます。

 

どうしましょう。嬉しくて、嬉しくて、ニヤニヤすることを止めれません!

 

「ふふ、なんでそんなにニヤニヤしてるのさ」

「な、なんでもないです!」

「ほんとー?」

「先輩こそニヤニヤしてるじゃないですか!」

「ありゃ?バレたかー」

 

こんな何気ないやり取りが楽しくて、いつまでも続けばいいなと思います。

 

―――◇◆◇―――

 

先輩と沢山お話しました。

 

今日あったこと。

 

普段の皆さんの様子。

 

先輩が知らなかった出来事。

 

訓練の成績。

 

どんな話題にも先輩は笑顔で相槌を打ってくれました。

 

ドクターに教えってもらった知識を披露した時には笑顔が引き攣っていた気がしますが。

 

「あの、先輩」

「んー、なに?」

「先輩が忙しそうで、寂しかったです」

「そっか」

「またこうやってお喋りしてくれますか?」

「…………」

 

先輩は無言で手を握ってくれました。

先輩の手は柔らかくて、暖かくて、

 

それでも満足出来ない自分もいて、

 

少しだけ、ワガママな私でもいいんでしょうか?

 

「先輩、言ってくれないと、やです」

「マシュ……」

 

先輩は少しだけ目を見開きました。そして、満足気に笑うと

 

 

 

「喜んで!」

 

 

 

それだけで、幸せで。

 

私、こんなに幸せでいいんでしょうか?

 

でも、マスターはそれだけじゃなくて、

 

「やっとワガママ言ってくれたね?私ちょっと心配してたんだー。マシュって色んなこと抱え込みそうだったから。これからもどんどんワガママ言っていいんだからね?」

「……ぁ……」

 

ずるいです。

 

こんな時にそんなこと言われたら、もう、

 

「構ってください」

「うん」

「他のサーヴァントが召喚されても、その方に夢中になりすぎないでください」

「わかった」

「週一ぐらいはこうやってお喋りしてください」

「えー、私もっとでもいいのにー」

「……ぅあ」

 

だめです、だめです。おかしくなってしまいそうです。

 

「先輩、私、今、」

「ん?」

 

 

 

 

「すっごく幸せです!」

 

 

 

 

「そっか」

 

先輩は優しげな笑みを浮かべると頭を撫でてくれました。

 

「マシュが幸せなら私も幸せ」

「ッ!!」

 

先輩は……どこまで優しいのでしょうか?

 

なんとなく、()を思い出しますね。

 

先輩とよく口喧嘩していますが、この2人意外と似ているのかもしれません。

 

特にこの優しい所、とか。

 

「先輩、大好きですっ!」

「うん、私もマシュのこと大好き」

 

そういえば彼にもお礼を言わないとですね。

 

こんなに幸せな時間を過ごせたのも全て

 

彼のお陰なんですから。

 

「ありがとうございます、ぐだ男先輩」

 

先輩の笑顔を見ながら、そっと小さく呟きました。

 

―――◇◆◇―――

 

「ったく、なんて量残していきやがったんだあのマスター」

 

目の前に積まれる紙の束、束、束!

 

「わざとじゃない、よなぁ?」

 

いや、案外ありえる気がする。主に普段の俺の行動を振り返ってみると……うん、恨み買いまくってるなぁ……

 

「もうちょい真面目になろうかなぁ……」

 

書類の山を見て涙目になりつつあるぐだ男からお送りしました〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っしゃあ、やるかああああああ!!!←やけくそテンション

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――◇◆◇―――

 

―――事務室でのとある仲良しな2人の記録

 

「終わんねー。終わんねーよー」

「あら、ぐだ男じゃない。そんなに必死になってどうしたのよ?」

「お、マリー。実は……仕事溜めちゃって……」

「……はぁ、仕方ないわね。私も手伝ってあげるわ」

「!!!!マジすか!!」

「ただし!これからは出来るだけ溜めないこと!あと終わったら」

「たら?」

「褒めなさい!」

「おっけ頭ナデナデも追加する!」

「始めるわよ!」

「うい!」




どうも、橘です。

メイドさんはうちのカルデアには来てくれなかったよ……

燃え尽きたぜ、真っ白にな……

ということでメインストーリー絶賛攻略中です!
ガウェイン対策にエウリュアレ様も育て中。
まだ第四特異点です。

ぐだマシュの百合は正義。異論は認める。

次はローマ……かな?筋肉ェ……

お楽しみに!


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筋肉~迸る汗を添えて~

最初に言っておく、

サブタイに意味は無い

以上だ。


皆様、ローマと聞いて何を思い出すでしょうか?

 

そう、正解です。

 

 

筋肉ッッ!!!

 

 

彼ら筋肉の塊に対抗するにはどうするればいいのでしょうか?

 

そう、正解です。

 

 

筋肉ッッ!!!

 

 

だからしょうがないんだよ、うん。

 

「ひぃやぁああああ!?」

「え!?なんで岩石……こっちにきます!?」

「このランニングマシーン……極端すぎないか?」

「どうした黒聖女、その程度か」

「はっ、馬鹿にしないでよね」

 

ダウィンチ(馬鹿)にトレーニングルーム作らせたら魔境(こう)なるのはしょうがないよね!

 

―――◇◆◇―――

 

事の発端は

 

「次の特異点はローマ?ならやるっきゃないなっ!」

 

というぐだ男(バカ)の一言だった。

 

あれよあれよという間に修練場に運び込まれる……重り?

それに1tとか書いてあるのはこの際置いておこう(凄く気になるけどね!)。だが運び込まれるジムに置いてあるようなトレーニング機器には一言言わせて欲しい。

 

「ぐだ男……これ、なに?」

「なにって、筋トレ(サーヴァント)用の機器だよ?」

「いや、そうじゃなくて」

 

いや、そうじゃなくてですね。

 

 

 

「なんでこんなに大量にあるのよ!?」

 

 

 

しかも一個一個が凄まじく複雑な機構を有している。うん、ただのダンベルに色々魔改造してあるって意味わかんないや(まず足が伸びて自分で移動するダンベルがダンベルかは諸説)

 

「そりゃ……」

「この稀代の天才、ダウィンチちゃんがぐだ男君の柔軟な発想を全て実現したからさ!ほら、崇めたまえ」

「ぎるてぃ!」

「!?」

 

またあんたかこのマッドサイエンティストぉぉお!!

 

「うっわ、なによこれ本気でサーヴァントに筋トレさせる気?今更ステータスが変わるわけないのに」

「邪ンヌ!!」

「ひぅ!?」

 

邪ンヌは割とまともなことを言ったと思う。だがそれもぐだ男に一喝される。あ、デコピンされた。

 

「ローマとはすなわち筋肉!!筋肉なくしてローマ攻略は出来ないと思え!」

「いや知らないわよ!!」

 

やばい、ぐだ男の目がガチだ。

 

「ふむ、少しは鍛錬になりそうか?」

「エミヤやめて、ぐだ男が調子にの」

「だろう!!エミヤはわかってるじゃないか!」

「遅かったか!!」

 

何やらくだ男が操作すると部屋の扉が閉まる。ついでにガチャッという施錠音も。

 

「さぁ、レオニダス式ブートキャンプぐだ男風味フルコース、始まるよー!!!」

 

唖然とする、マシュ、エミヤ、オルトリア、邪ンヌ、そして私。

 

ちょ、なんで英霊に私混じってるの!?

 

「フルコースを平らげるまで帰れませんスペシャルぅぅ!!」

「「「「「は?」」」」」

 

扉は……当然開かない。

 

「さぁ、レッツ筋肉!!」

「キャラが不安定すぎるわ!!」

 

今更ツッコんでも時既にお寿司。

 

地獄の日々(時間程度じゃ終わらなかったよ……)が始まった。

 

もはや思い出したくもないのだけれど

 

「ほら、この強化ギプスを着けて!!」

「どこの野球漫画よ!!」

 

私が着けるとろくに動けなくなる高負荷ギプスや、

 

「スピードはマッハ1から10まで選べます」

「これはランニグの域を超えてるんですけど!?」

 

衝撃波を撒き散らしながら動くランニングマシーン。しかも壊れない。

 

「ダンベルを上げるだけのお手軽さ!」

「そのダンベルが重すぎたらお手軽もクソもないわよ!!」

 

持ち上げるどころか動かすことも出来ないダンベル。

 

挙句の果てにはフルマラソン中、岩が後ろから転がってきたり(邪ンヌが轢かれた)、食事も腕立て伏せしながら食べないといけなかったり、筋肉痛なんて

 

「迎え酒ってあるだろ?筋トレじゃあ!!」

「いーやー!!!」

 

それでもサーヴァント達は着実にぐだ男の無理難題をこなしていく。私?無理無理、死んじゃう。

 

そしてそろそろ私の心が折れかかった時、ようやく扉が開いた。私以外の皆がやり遂げたようだ。

 

ゆらゆらと幽鬼の様な有様で行進する。標的はマッドサイエンティスト様だ。

 

「おー、お疲れ様!!意外と早かったじゃないか!ん?なんだい皆、そんなに見つめて。あぁそうか、私が美しすぎて見惚れていたのか!ん?なんだい?そんなに笑顔でにじり寄ってきて。私は別に逃げな……ギャー」

 

とりあえず1人目(ギラついた目)

次は首謀者だ。

 

「みんな、よく頑張った!!次は上級者向けの……ん?話がある?……待って、落ち着け、それはオハナシ(物理)だ。話せばわか……イヤー」

 

そして、世界に平和が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人理修復とか以前に座に帰ればいいのに……

 

―――◇◆◇―――

 

いやー、えらい目に遭った。

 

「自業自得でしょ」

 

うむ、反論できん。

今は所長のとこですよ。

 

「まったく、あんな楽しそうな行事があるなら呼んでくれたらよかったのに」

「……拗ねてるの?」

「べっつにー!私も色々な雑務で忙しいですしぃー!」

 

思わず苦笑する。やはり所長は寂しがり屋らしい。

 

「またなんかやろっか、みんなで」

「……そうね」

 

事実、所長は何か楽しい催し物を欲している。自分がやりたいのもあるだろうが、それ以上に職員を案じているのだ。戦闘だけが大変なことではない。食料の管理、解析作業、召喚システムの整備。それら裏方の仕事は数少ない職員に任せられている。自分達によって人類史の未来が変わる。意識していなくてもストレスになっているだろう。

 

「何がいいかね?」

「そうねー、こう、パーっとストレス発散できるものがいいわね」

「…………邪ンヌ弄り?」

「なんでそれが出てきたのかしら……!?」

 

しょうがない、僕の脳は3歳だもの。

 

「もう、真面目に考えて欲しいのだけど」

「すいませーん」

 

んー、なんかないかねぇ。

 

 

 

 

ちなみに所長は膝の上である。想像してほしい、時々おでこを擦りつけてくる可愛さを。その上で日常会話をする俺の鋼の精神を!!

 

―――◇◆◇―――

 

恐ろしいトラウマが作られたが、どのみち人理修復はやらないといけない訳で。

 

「それじゃあ、特異点に向かってもらうね。立花ちゃん、準備はいいかい?」

 

はい、やって来ました第二特異点。ちなみに筋トレとかほざいていたぐだ男は簀巻きにして打ち捨ててある。まぁ、戦力になるので連れていくんですけどね(置いていきたい本心を噛み殺しつつ)

 

「レイシフト、開始!!」

 

ちなみにロマニは私達が閉じこめられた後も傍観を貫いたらしい。とりあえずブートキャンプを体験させたら涙目になって謝罪してくれたが。

しかもあれ、結局筋力アップにならなかったらしいし……(筋肉なんて一朝一夕で付くものじゃない!)改めて思い出すと腹立つ!!

 

不思議な電脳空間的なトンネルを抜けて、光が戻ってきた。

 

するとそこには!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武装集団の目の前にレイシフトしたようですよ、ロマニさん。

 

 

 

 

 

 

―――◇◆◇―――

 

敵、既に抜刀している。

 

こちら、突然のことに硬直。

 

対話、目が完全に据わってる。カリスマに引っ張られ洗脳状態な模様。不可能。

 

「はぁ!?」

 

しかも背後にも集団がいる。ん?

 

「なんだ!?首都からの増援か!?」

 

えぇ……ネロちゃま……

 

てことはあれか、ネロちゃま達ローマ軍とエセローマ軍が激突する丁度ど真ん中に転移しちゃったかー、そうかー……

 

よし、ロマニはあとで殺る。

 

ネロちゃまに事情を話してる暇は無い。でも少なくとも敵対しなければ攻撃してこない、と信じる。

 

「全員、前方の集団と戦闘するぞ!ただし峰打ちで!」

 

黒王が不満げにしているが却下。この人達はこの時代で生きているのだ。おいそれと殺してはならん。

 

「宝具、展開します!」

 

とりあえずマシュが宝具展開、そしてそのまま前に突進する。相手からしたら恐怖だろう。急に光る壁が現れ、迫ってくるんだから。

 

よし、ブレイクポイントは作れた!

 

「マスター!事情は後で説明する!」

「あーもう!わかった!」

 

マスターが指示を飛ばし始める。サーヴァントが適度に散らばり、怒涛の反撃を開始する。あ、こら、オルトリアちゃんったらもっと手加減しなさいって。

 

……ヒェッ

 

顔の横スレスレをモルガーンしてくる技量を相手にも使おうか!!

 

まぁ、サーヴァントに一般人が敵うはずもない。みるみる押し返されていく戦線、そして、

 

「マスター、くるぞ!」

『サーヴァントの反応だ!』

「あ!ロマニてめぇ!!」

『…………てへぺろ?』

「ぐだ男!今は目の前に集中!……ロマニは後で……(ニコッ)」

『……おかしいな、この時代に戦争が起こった記録はないのになぁ?そもそも首都に座標を固定したのになぁ!(ガクガクブルブル)』

 

「ネロ……我が愛しの、妹の、子よ」

 

!!カリギュラ帝!!

 

「マスター、相手はカリギュラ、バーサーカーだ」

「ん、オッケー。マシュ、ぐだ男、スタンバイ」

「「了解!!」」

 

バーサーカーなので平均的なステータスは高いだろう。だが、その分扱いやすい。これが狡猾だとまた手こずるんですけどね……カエサルはまだいないみたいだし、なんとかなるだろ。

 

「伯父上!?」

 

……しまった。一番見せたくない相手に見せてしまった。

思わず、といった感じで一歩踏み出すネロちゃまを手で制す。

 

「カリギュラは死んだ!死者が蘇ることはない!」

「…………わかって、いるとも」

 

知っている。ネロは既にこの戦いの歪さに気づいている。それがわかった上で、懐かしんでしまう人と相対しているのだ。

 

だが、気丈な皇帝は剣を今は亡き伯父に向けた。

 

「そなたたちには礼を言わねばな。我が軍だけでは危うかった」

「……いいんだな?」

「うむ!余は今更、亡き人を想い感傷に浸るほど軟弱ではない!」

 

その姿に迷いは無く、眩いほどに輝いている。

 

「マスター!この子と共闘する!」

「お、え!?大丈夫なの!?」

「む、余を誰と心得るか!」

 

ネロちゃまらしい名乗りを上げさせるための裏方に徹する。ほら、薔薇とかスポットライトとかさ。俺のカルデアから色々持ってきちゃった(キリッ

 

「ローマ帝国第5代皇帝、ネロ・クラウディウスである!」

 

わー、かっこいいー!

 

……そこ、無駄な労力とか言わない。ネロちゃまは輝いてこそネロちゃまであるぞ!

 

「帝国に反旗を翻すなど、許してはおけぬ!いざ!!」

「せ、戦闘開始します!」

 

精々、サポートに徹しますかねー。

 

―――◇◆◇―――

 

うーん、あの赤いの、やるねぇ。

 

サーヴァントではないけれどサーヴァントと渡り合うなんて只者ではないだろう。

 

そして何より、あの剣。

 

宝具級の魔力を内蔵しているっぽい。怖いね、一般人が扱える物じゃないんだけども……ブンブン振り回してるなぁ……

 

あとぐだ男のサポートが異様に上手い。

 

赤い子の癖を事前に知っているかのような動きをするのだ。

 

例えば、大きめの攻撃の時は攻撃後の隙を埋めるように相手に攻撃するし、逆に攻め込まれそうになった途端相手の攻撃に合わせて攻撃、双方弾かれることで一方的に攻めこまれるのを防いでいる。マシュもフォローしているがぐだ男は格が違う。むしろマシュの失敗さえフォローしているほどだ。

 

全体を把握し、適切な行動を取る。ぐだ男だけでなくエミヤもこの動きをしている。

 

「……戦い慣れてる?」

 

そうとしか思えない動きだ。彼が生きていた頃には何をしていたのだろうか?

 

あ、ぐだ男がコケた。

 

ちょおおおお!!!私の評価を返せ!!

 

「マシュ!フォロー!!」

 

うーん、こーゆーとこもあるから、なんともなぁ……

 

―――◇◆◇―――

 

戦いは割と安定したまま終わった。コケた時はちょっと危なかったけども。

 

「ネ……ロ……何故……」

「…………」

 

カリギュラが消えた後、ネロは少し顔を伏せると暫く何も言わなかった。胸が痛むが敵対した以上しょうがないことだろう。

 

「うむ!余の軍の完全勝利である!!」

 

だけどそれも僅かな間だけで、すぐに輝かんばかりの笑顔を自軍に向ける。敵は将を失ったからか退散していった。

 

『ローマ!ローマ!ローマ!!!』

 

勝鬨が相変わらずうるせえ!!

 

「え、なに、私達も復唱する?」

「いや、しなくていいと思うけど」

 

まぁ、ローマですからね。仕方ないね。

 

「貴公たちには世話になったな!」

「あ、いえそんな」

 

おぉ、あまりの活力にマスターがしどろもどろになってる!ローマパワー強い!

 

「なにか礼をしたいが生憎今は持ち合わせがない。よって!余に付いてくることを許そう!首都ローマにてその働きにしかと見合った報奨を与えよう!」

「ははー!」

 

なんだろね、この時のネロちゃまってあんまおバカ属性がないんだよね。皇帝として気を張っているからだろうか?

 

「ねぇ、なんで自然に頭を垂れてるの?あまりに自然すぎて私達もやるべきかと思ったんですけど」

「しかもぐだ男先輩がまた様になっているというかなんというか」

「ふん、そんな馬鹿はほっといて先に行くわよ」

「邪ンヌ!そっち逆!」

「え゛!?」

「ふん、馬鹿はどっちだ」ムシャムシャ

「うるさいわね!てかあんたなに食べてるのよ!?」

「む、戦闘後に疲れた体を癒すため、食事を摂るのになんの不思議がある」

「その量をどうやって持ってきたの……!?」

『そこはほら、4次元ロッカーで!』

「意外と活躍してる!?」

「……まったく、急にあの量を作らされた時は死ぬかと思ったぞ」

 

相変わらず騒がしいなぁおい!

 

「よい、余も賑やかなのは大好きである!」

 

ネロちゃまが嬉しそうなのでよかったです。

 

―――◇◆◇―――

 

その後、ローマに着くまでに簡単な自己紹介と現状の確認をした。

 

「ふむ……よくわからぬ!」

「デスヨネー」

 

まぁ、ネロに聖杯やら特異点やらの話が分かる訳も無く、

 

「むー、簡単に申してみよ!」

「僕達、仲間、聖杯、欲しい」

「片言なのが気になるがよい!実に分かりやすいではないか!」

 

現在、複数の「皇帝」を名乗る者達が立ち上げた連合ローマ帝国としのぎを削っているらしい。

 

「しっかし、よく耐えれたなー。サーヴァント相手だぞ?」

「うむ!余がいるゆえな!兵のみで行かせたら3回ほど全滅したがな!」

「ネロちゃまの戦闘力がおかしいんだよ……」

 

サーヴァント相手に攻められ最近は負けっぱなしだったようだ。こちらにもサーヴァントがいるのだが、現在は敵の拠点を探っており不在。その隙を突かれたというのだから敵の強かさに舌を巻く。

 

「敵の拠点が割れたならば、すぐさま落としてみせよう!」

 

とはネロの談。相手にサーヴァントがいようとこの自信。ある意味凄いと思う。

 

「着いたぞ。ここが我が都、世界一の帝国、ローマである!」

「確かに……」

「すごい活気だ!」

 

ネロが自信満々にしていただけあって、ローマは凄かった。街の人々に笑顔が絶えず、陽気な音楽が奏でられる繁栄の都。

 

「今はよく休め。先の戦いで多少なりとも疲れているゆえな。しかしてこれからのことを考えようではないか!」

『そうだね、一度休ませてもらおう。その間にサークルの確立も済ませたいし』

「おっけー、それじゃお言葉にあまえて!」

「うむ、我が都、存分に楽しむがよい!」

 

そうして一度解散になった。ちなみに王城に部屋を確保してくれるらしい。……広すぎて迷いそうだ。

 

「召喚サークル、確立します」

『よし、繋がった!みんなお疲れ様!』

「よーし、ロマニ。何か言うことは?」

『……忘れてくれたりしないかー』

 

―――スッ……

 

ぐだ男が無言で赤いボタンを差し出してくる。

 

『……それは?』

「1回押す度にロマニのパソコンのフォルダがランダムに消されるボタン」

『!?』

「えいっ!」ポチッ

『ぎゃあああああ!?』

「せいっ!」ポチッ

『やめろ!』

「とおっ!」ポチッ

『やめてくれええええ!!』

 

そこでボタンをぐだ男に返す。

 

『ふ、ふぅ……「えいっ!」なんだと!?』

「いつから罰が終わったと錯覚していた?」

 

ぐだ男は黒い笑みを浮かべたままボタンに手をかける。

 

『や、やめろぉ!』

「ていっ!」ポチッ

『ああああああああ!!!』

 

ロマニの悲鳴は全員にボタンが行き渡るまで止むことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に無言&無表情で十数回連打したマシュ、まじクール。

 

 

 




どうも、橘です。

ついに一ヶ月空いてしまった。すまない……

ネロの口調がわからない!!!違和感を感じたらすいません!実力不足です!文法おかしかったら誤字報告してくれ!

最近は第4特異点をやってます。歯車をくれぇー。

星4はオルタ・ランサーを貰いました。正直ヘラクレスと迷ったけど性能より愛だよね!!




評価下がったりお気に入りが減る覚悟で言うぞ?

マーリン引いた(呆然)

10連5回ぐらいしてオルタ・セイバー1体だけで、単発を弟に引かせたら5回ぐらいで出た。他人の単発最強説あるぞこれ。嬉しさを共有したくて書いた、これで怒られても仕方がないのは理解している。

次はもっと早く投稿するぞ(フラグ)あと既に投稿したやつの微修正も進めていきます。

あと劇場の桜の礼装はコンプする。なにがなんでも。


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ローマとは祭りであるっ!!

遅くなりましたぁあああああ!!!

受験生だからね!許して!

受験終わったら連続投稿するから!(友達いないから遊ぶ予定なんて無いよネ!)


『これより!第一回、ローマ帝国大運動会を始めるっ!!』

 

『うおおおおおお!!』

 

そこにはローマ帝国の市民、兵士、上級階級の人々、全てのローマの民が集まっていた。

 

『準備はいいか野郎どもー!!!』

 

『うおおおおおお!!』

 

いや、それだけではない。

 

連合ローマ帝国(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)の市民、兵、そしておそらくサーヴァントであろう者達。

 

まさに今、ローマはひとつになっている。

 

 

 

 

 

 

いや、なんで?

 

―――◇◆◇―――

 

「ネロちゃま、運動会やろう!」

「む?」

「……は?」

 

むー、受けが悪い。

 

現在、作戦会議中。ちなみに昨日は邪ンヌが城で迷子になって大変でした。

 

まさかネロちゃまが開口一番に

 

「何か策はないか?」

 

なんて振ってくるからすぐさま答えたのだけど……あれは運動会とは何かわかっていない感じか。ここはプレゼンあるのみ。

 

「ぐだ男?策って言われたのよ?大丈夫?精神科行く?」

「…………昔、『大丈夫?おっぱい揉む?』みたいなの流行ったよね……チラッ」

「ガンドぉ!」

「あべしっ!!」

 

じ、冗談だって。……やってくれても全然いいよ!

 

「そもそもネロちゃま、運動会ってわかる?」

「運動をする……会、とな?わからぬ、申してみよ」

「えー、簡単に言えば競技で人と競う大会のことだね。それを個人戦だけでなく団体としても競う。その個人の成績によって所属団体にもポイントが入って、合計が多い所の優勝」

「ふむ……コロッセウムの決闘のグループ戦か」

「似てるけど惜しい!それの安全バージョン、綱引き、徒競走、玉入れ、大玉転がし、リレーにパン食い競争などなど。市民も兵士も、老若男女も関係なく楽しめること請け負い!」

「…………楽しそうではないか!!」

「だろ?」

「すとーっぷ!」

「「?」」

 

なんだいマスター。今ようやく合意が得られそうだったのに。

 

「いやなんだじゃないでしょ!?なんで運動会する流れになってるのよ!!今私達が戦うのは連合ローマ帝国で……」

「「運動会で戦えばいいではないか!!」」

「!?」

 

うん、完璧にハモった。とりあえずハイタッチ。

 

「うむ、うむ!余はうんどーかいなるものが気に入ったぞ!ローマの民と共に競技……くぅー!燃えるではないか!!」

「連合ローマ帝国への使者は俺がやろう。4日で十分だ」

「うむ!会場の設営は余に任せるがよい!未だかつてない絢爛な大会にしてみせよう!」

「それじゃ!」

「うむ!」

「すとーっぷ!」

「「?」」

 

どうしたんだいマスター。これからひとっ走りしてこなきゃならないんだが……

 

「いやいやいや、2人ともなに不思議そうにこっちを見るの!?てか馬鹿か!!」

 

馬鹿とは失礼な。至って大真面目です。

 

「それが馬鹿って言ってるの!!大体、相手がそんなあからさまに罠な誘いに乗る訳がないでしょ!?それに運動会で勝負ってなに!?負けたら相手のサーヴァントが消えて聖杯が手に入るの!?そんなの無理にきま」

「いや、大丈夫だぞ、若き魔術師よ」

「……へ?」

「元来ローマとは祭りが大好きだ。そのような未知なる行事をローマの者が見過ごす訳がなかろう?いくら連合ローマ帝国とはいえ、あやつらもローマであるゆえな!」

「ローマって理由なの!?」

 

てことでいってきます!

 

「え?ちょ、ほんとに!?」

 

……一人旅は詰まらんから邪ンヌ借りてくわ、行くぞ邪ンヌ。

 

「はぁ!?なんで私まで巻き込まれなきゃギャー!?」

 

邪ンヌの腕を掴んで猛ダッシュ、窓から飛び降りて民家の屋根に飛び乗る。そのまま屋根伝いにジャンプ、ジャンプ、ジャンプ!!

 

「のろってやるぅぅぅうう!!!」

 

邪ンヌの炎もなんのその、あっという間にローマ市街の外へ脱出。そのまま金時バイク、ゴールデンベアー号を引っ張り出す。

 

「え?ちょ、ほんとに!?ほんとに行くの!?」

「もちのろん」

 

邪ンヌを後ろに乗せてフルスロットル。目指せ、時速250km!

 

「は、速すぎない!?てか戻りなさいよぉおお!!」

 

必死にしがみついてくる邪ンヌ、可愛い。

 

割と鬼の形相だけど、致し方ないよネ!

 

―――◇◆◇―――

 

ほ、ほんとに行っちゃった!?

 

「先輩、どうしましょう……追えます……か?」

「…………はぁ」

「(もぐもぐ)」

 

エミヤは頭を抱えてるし、オルトリアはなんか食べてるし!!

 

「ね、ネロ?ほんとにやるの?」

「うむ!そういう訳だ、補佐せよ。なにせ余はうんどーかいについて一切知らんからな!」

 

控えていた兵士に民を広場に集めるように指示すると、ネロは大きな紙を取り出した。

 

「まずは大会についての規則を決めねばな。なにか必要だと思われるものを挙げてみよ」

「あー、えーと」

 

運動会の規則……言われてみると難しい。

 

「まずは暴力の禁止が原則だ。それと意図したルール破りなどを禁止し、正々堂々戦うことを最優先にしろ」

「ぬ、なかなかいい事を言うではないか。正々堂々!これほど余に似合う言葉もなかろう!」

「その他には競技ごとに……」

 

エミヤ……案外ノリノリなのね……

 

――――◆――――

 

そうして大会についてルールを細かく決めていき、ローマ市民に発表した。運動会についてはイマイチ飲み込めていなかったけれど、オリンピックの男女参加型だと説明すると歓声が湧き上がった。さすがローマ、大きな行事は大好きらしい。

 

けど、それからが大変だった。

 

「オレは機械、オレは機械、オレは機械…………うぉおおお!!」

 

競技のための器具作りをエミヤが死にそうになりながら投影していたり(たぶん三日三晩作り続けていた)、

 

「おねーさん!できたよ!」

「はい、よくできましたね」

「えへへー!」

 

マシュは街の子供たちと装飾品を作り、

 

「モルガーン!!」

「す、すげえ!」

「俺達が苦労した岩を一撃で!?」

「……作業を再開しなさい」

『うぃ!!』

 

オルトリアは会場設営のための土地確保、というより障害物の排除。

 

そして私は

 

「だーかーらー!!ここを黄金にしねぇと見栄えが悪いだろうが!!」

「んだとおら!こちとらタダでさえキツキツのスペースを削って観客席作ってんだ!見栄えなんか気にしてられるか!!」

「あぁん!?」

「やんのか!?」

「あ、あのー、それくらいで」

『あ゛!?』

「ひぅ!」

 

建築士達の案をまとめる……まとめ……まと……

 

「うむ!威勢がいいのはなによりであるな!」

「…………無理…………」

 

結論、ごちゃまぜ競技場〝場所が無いなら広げればいいじゃない〟になった……はぁ……

 

―――――◆――――

 

それでも人間、やれば出来るものだ。

 

 

やりきったぞおら。

 

 

目の前には豪華絢爛を通り越しておぞましい競技場が光を放っている(誇張でもなんでもなく、至る所に金が使われているせいで眩しいことこの上ない)

 

「……ふふふ、はっはっはー!!これぞ、余のローマの総力を挙げて完成した、大ローマ運動場である!!」

 

『しゃあああああああ!!!』

 

大歓声である。全てのローマ市民が咆哮していた。

 

 

 

 

 

 

ぐだ男め……

 

―――――◆――――

 

そして、その日はやってきた。

ぐだ男が飛びだしてから4日目の昼、

陽炎揺らめく街道を

ローマ市民とほぼ同数とみられる人、人、人

 

その中でもひときわ目立つ巨体、もはや神々しさを感じる佇まいの男。

 

ローマ市民がざわめく、

 

「あれは……まさか……」「神祖……様?」「そんなばかな!」「生き返ったのか!?」「私達はどうすればいいのだ……」「ふむ、やはりハンバーガーは旨い」「皇帝陛下!我々はどうすればよろしいのですか!」「皇帝陛下!」「陛下!」

 

ネロは市民に向けて軽く手をかざした。それだけでざわめきが収まっていく。誰もが、皇帝の言葉に耳を傾ける。

 

「戦おう、ローマの、かの神祖の子ならば!!」

 

皆が息を呑む。神祖に逆らう?戦う?畏れ多くもかの神祖に?

 

「神祖が……このローマを否定するはずがない!ならば、時の皇帝として、そして、ローマの子として!戦わずしてなんとするか!それこそが!神祖ロムルスに対する不敬ではないのか!」

 

熱い言葉に浮かされた民衆は、やがて闘志をもつ。そうだ、ここが栄えあるローマだ。神祖が築いたローマを守ろう!

 

「それにな、余は皆とうんどーかいをしたい!一緒に楽しみたいのだ。それ以外に理由はいらぬ。そうだろう?」

 

可愛らしい笑みに、民衆が沸き立つ。彼らは戦い以前に、楽しい行事のために頑張ったのだ。根本的なところは変わらない。

 

「皆、今一度問うぞ……目一杯、楽しもうではないかー!!!」

 

『うぉおおおおお!!!』

 

この皇帝と一緒に、楽しみたい。

 

ただ、それだけなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー……え、なに?どうしたのそんなニコニコして。な、なに?どうして握り拳を構えてるの?」

「悪は……滅殺!」

「へぶらっ!!」

 

―――◇◆◇―――

 

いやー、大変だった。

 

……いや、ほんと褒めて欲しいんだよ……

 

道中のエネミーはバイクでぶっ飛ばした。だから割と早く着けたのは良かったんだけど……

 

正面から入ろうとしたらバレた。

 

いやー、まさかバレるとは思わなんだ。気配遮断してロムルスに近づくつもりだったのに……仕方がないので、

 

 

 

 

 

 

門の前で美しいマッスルポーズをだね。

 

 

 

 

 

 

 

待ってくれ、別に俺だって好き好んでこんなことしない。だが考えてみてくれ。カッコつけて4日とか言ったアホのせいで迷ってる暇はなかったんだ。なんでそれでロムルスが出てくるのかって?そら、ローマだからに決まってら。

 

一人、また一人と俺の前でマッスルポーズをとってはすごすごと引き返していく。……レオニダス先生、ありがとう!そしてついに、

 

「見事なマッスルポーズ(ローマ)である」

 

お目当ての人がやってきた。

 

ちなみに、ここまでに邪ンヌの好感度がいい塩梅に減っていくのを肌で感じた。泣きたい。

 

「ローマで運動会(ローマ)をしたい」

「……実にローマである」

 

正直に言おう。伝わるとは思ってなかった。

ロムルス分かっちゃったよ……イントネーションはほとんど区別出来ない。

 

「今から移動は?」

「任せるがよい」

 

そこからはトントン拍子にことが進んだ。一言、

 

「ローマである」

 

と呟けばあら不思議、人々が準備し始めたではありませんか!……ロムルスってこんなに片言で会話してたのね、すげぇ(偏見)

 

移動中、人々に襲いかかるエネミーは孔明先生の策で一箇所に集めてボッコボコにするわ、

 

途中体調不良者が出るとロムルス直々に助けに行ってすぐ治すわ。いや、治療はしないよ?ただ何かを呟くとその人が元気になって……あっ……(察し)

 

そうして、恐らく万はくだらない人々の大移動を成し遂げたのである!……気が狂ってるのかとしか言いようのない行為だが、なんとかなったからいいよね!良い子は真似しないでね!

 

ローマに着くと、なんていうか、おぞましいほどに豪華絢爛な運動場……運動場?……運動場(?)が出来上がっていた。なんであんなふんだんに金使ってるの……

 

そして、

 

『これより、第一回ローマ帝国大運動会を始めるっ!!』

 

ネロの宣言がコチラにも聞こえてきたその時、

 

空気が、爆ぜた。

 

『うおおおおおおお!!』

 

ローマ市民(あちら)連合ローマ市民(こちら)で落雷のような大歓声が上がった。

 

 

 

 

さっすがローマ、祭り大好きかっ!!

 

 

 

 

周りの人々が駆け出す。その目は一心に、運動場(戦場)を見据えながら。

 

ローマの市民が走り出す。楽しい祭りに心躍らせながら。

 

 

かくして、ローマ帝国大運動会の火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、ちょ、押さないで、わぷっ!むぐっ!ふにゅ!?うきゃあ!?」

 

その前に邪ンヌ回収せねば……

 

―――◇◆◇―――

 

レフ・ライノールは高まる魔力を前に高笑いしていた。

 

この召喚に成功すれば、あの邪魔者達を倒すだけでなく、この特異点の人理を焼き尽くして余りある成果が得られるはずだった。

 

そう、はずだった(・ ・ ・)

 

「我はフンヌの大王」

 

ひときわ魔力が高まり、閃光が視界を白く染め上げる中、

 

レフは自分の首が高く飛んだのを自覚し、そしてそこで意識が途絶えた。

 

「文明を破壊するものなり」

 

果たしてアルテラはローマに勝てるのか!!

 

頑張れアルテラ、負けるなアルテラ、

 

明日のアルテラは……どっちだ!?

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

??「なんでローマの方が強そうなのかしら……」

??「ローマだからねぇ……」

 




どうも、橘です。

いや、ほんとすまん……せめて月イチに出来ればよかったんだが……
受験勉強がいよいよ大変になってきまして……たぶんこれからも更新遅いままです……

3月になったら連投するから!ねっ!?(必死)

ロムルスの喋り方を教えてください。じゃないとローマしか言わねぇぞあいつ。

オルタサンタがゲット出来ない……だと!?
レアプリで交換制度実装はよ。じゃないとツラい。オルタは集めたいんじゃあああ!!!

てことで靴下集め頑張りましょう。
最高の礼装と鯖を提供してくださるフレの皆様に感謝……


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