黒い着物を着て帯刀しているという怪しさ満載の格好をしている怪しい二人組みが何一つ怪しいところのない一般家庭に不法侵入していた。
女は死神なので普通は見えないはずだが、赤子二人は死神を凝視している。
赤子の母親は死神を一瞥もせず、片方の赤子は目の焦点が合っていないので、もう片方が霊感が強いのだろう。
いきなり双子の片割れの魂魄を引きずり出すと中に崩玉を埋め込む不審者。
そして魂魄を体内に戻すと何事も無かったかのように立ち去った。
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~4年後~
道を歩いている遊子と夏梨を
『二人の霊圧のこと、気付いた?か 』
『二人とも霊圧が全く同じだね』
『おそらく崩玉が遊子の夏梨みたいに幽霊が見えたらいいという望みを反映したとかそこらへんだろう』
『双子の神秘とかだったら面白いのに』
『原作でそんな設定無かっただろ。もっとも霊圧が同じになったのは双子なのに違うという遊子の無意識の感情を感じ取った崩玉が二人の霊力を混ぜたって可能性もあるから完全にありえんと否定することはできんが』
それを聞いた桜が目を輝かせた。
『きっとそうだよ』
『可能性は限りなくゼロに近いぞ。一応検証しては見るがな』
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2
少女が何者かに追われるかのように全力で走っている。
周りにはたくさんの人がいるというのに誰一人として少女を気にかけるものはおらず追いかけているのはおおよそ現実のものとは思えない異形の化け物である。
化け物が少女を捕らえ喰らおうとしたその時、
二人組みの黒い装束を着て刀を持った子供が現れ化け物の仮面を真っ二つに斬り裂いた。
仮面を斬られたとたん消滅する化け物。
化け物を倒したのとは違うほうの子供が少女に近づき額に柄頭を押し当てると化け物と同じように消えてしまった。
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あたしが始めて虚を見たのは4歳のとき、母さんが死んでから一週間後のことだった。
その時は死神に助けて貰ったが次に虚に会ったときに遊子を護ることが出来るように兄が通っている道場に通い同時に死神に頼み鬼道を教えてもらうことにした。
鬼道は遊子の方がうまく、あたしはからっきしだったけど空手の腕は徐々に強くなっていった。
そうして一週間たったあくる日、いつものようにいつものように鬼道を習いにいったあたしたちを出迎えたのは物言わぬ死体と、返り血で真っ赤になった虚だった。
最初はあたしたちを食おうとしていた虚は何を思ったのか突然攻撃をやめると魂魄を体外に出すと因果の鎖をたたっきりそのままどこかへ立ち去った。
鎖は時間が経過するごとに激痛を伴いながら段々短くなっていき、最終的には全てなくなってしまった。
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3
気がついたら遊子とあたしが目の前にいた。
「あたしが二人!? 」
「私が二人いる!? 」
あたしと遊子の声が同時に響き渡った。
「「え? 」」
遊子も二人いた。
「いっとくけどあたしは遊子じゃなくて××××だ」
「わたしは××××だよ」
二人は自己紹介するが肝心の名前が聞こえない。
となりを見ると柚子も怪訝そうな顔をしている。
それをみたもう一人の遊子とあたしが悲しそうな顔をする。
「まだ聞こえないんだね」
しかし悲しそうな顔をしていたのはわずかな間だけですぐに表情を切り替えた。
「いそいでこの中から死神の力を見つけないと虚になる」
もう一人のあたしがそういうと、いきなり縦と横が逆になり周囲が崩壊しだした。
「夏梨ちゃんどうしよう」
遊子は霊子を固めて足場を作るとあたしを支えながらそういった。
足場を作りながらしばらく考えている名案が浮かんだ。
「霊絡を見ればいいんだ」
霊絡を見ると案の定赤い霊絡が二つあった。
引っ張ると端に斬魂刀が入った箱がある。
あたしと遊子が斬魂刀を引き抜こうとすると最初はなかなか抜けなかったが最終的にはなんとか抜くことが出来た。
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