艦隊これくしょん ‐NextArea‐ (セルラ)
しおりを挟む

Episode1 提督着任編
第一話  (提督が着任した日)


初作品でございます!文章に自身がありませんが
面白ければ是非読んでいってくださいね!
※個人の見解、不愉快にさせる表現があるかもしれません
後私も最近艦これにハマったので艦娘の口癖が違うかも知れません
その時は是非教えてください!



 

 

 

男「私が今日からここに着任した提督だ」

 

そう言って辺りを見渡しても誰もいない。

 

男(以下、提督)「…まあそうだよな。新しく出来た鎮守府何だからな…」

 

提督「いや、ようやくか…長かった…提督になるまで…

   まあいい…まずは明日配属される艦娘の為に資材でも集めるか」

 

提督「…その間に深海棲艦とは合わなければいいが…

  今の俺は無力だ…一人で突っ込んでも死ぬのが落ちか…」

 

提督「さて、我が船『夜桜』早速乗せてもらうぞ」

 

深海棲艦…それは突如として現れた謎の生命体

 

その圧倒的なまでの戦力に我々人類は海のほぼ全てを支配された

 

そんな我らにも『艦娘』という強力な兵器がいた

 

『艦娘』を兵器として見る者もいれば少女と見る者もいる。

 

でも俺には…どちらにも見えないのだ

 

 

 

            何故ならば

 

                                                   

提督「おっ、結構資材あるね~、ラッキー!

  もう少し奥まで行ってみようか…」 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

提督「しまった…!遠くまで来すぎた…!

 アレは…イ級とロ級か…マズいな」

 

いくら駆逐艦でもこちらはただの船だ。

砲弾が直撃でもしたらただじゃすまないだろう

 

提督「なっ!?やはり撃ってきたか!」

 

提督「クソッ!全力で後退しないと…」

 

提督「急いでくれ!頼む!『夜桜』!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

提督「どうやら、何とか撤退できたようだな…

   死ぬかと思った…」

 

提督「今回の事は整理して再び再挑戦だな」

 

提督「艦娘…か。一体どんな子が配属されるのか

 ま、まあ?こんだけ資材があれば大丈夫だし(震え声)」

 

資材:燃料(100) 弾薬(80) 鋼材(80) ボーキ(40)

 

提督「…た、足りるよな?大丈夫だよな?

  建造とかもしてみたいしな?もう少し粘ってみようかな?」

 

提督「・・・やめよう。さっきあんな目にあったのにまた行くほど

   俺も馬鹿じゃないからな」

 

提督「さて、帰って鎮守府の掃除をして!

  必要なものの準備をして、夕飯の準備をしてそれで…」

 

提督「そうだ!墓参りに行ってこよう!

  まだ夜まで時間はあるし…

  喜んでくれるかな?何か持って行った方がいいよな」

 

提督「よーし、そうと決まれば実行あるのみだ!」

 

ーーーーーーー夕方-------------------

 

提督「久しぶりの実家だなぁ、懐かしい」

 

ここは提督の実家。鎮守府からはそう遠くない

 

提督「いやぁ、鎮守府が実家に近くて良かった良かった!」

 

提督「・・・・・・・」

 

提督(ダメだ…泣いちゃ…ダメなんだ…

  決めただろう?深海棲艦や艦娘を滅ぼすって)

 

提督(あの海に…復讐するって)

 

・・・俺が深海棲艦や艦娘を恨む理由は

 

      

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   アイツ等が俺のすべてを奪っていったから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳に残るようなあの悲鳴を、忘れたことはない

 

家族、友人、知り合い、親戚…

 

それらがすべて無残に引き裂かれ死んでいった

 

提督(あの日…深海棲艦が俺たちの港町に現れた時

  すべてが変わってしまった…)

 

提督(俺以外の町の生き残りはいなかった…遅れて駆けつけて

  来た艦娘も)

 

ーーーーーーー幼少期の提督ーーーーーーーーーーーーーーーーー

港町

 

艦娘c『うわぁ…グロいね』

 

艦娘A『ここには生き残りがいないようね…どうする?』

 

艦娘B『ここにいても仕方ないわ、さっさと次に行きま…』

 

男『た、助けてくれ!俺はまだ死にたくない!』

 

だがその男の皮膚は少しずつ青白くなっている

 

艦娘c『なんてひどい傷!ど、どうしよう!?』

 

幼少期提督(!あれは、きんじょのオジサン!

     よかった、生きてたんだ!)

 

艦娘D『司令、聞こえますか?生き残りをどうしましょう』

 

艦娘D『・・・射殺ですね。分かりました』

 

一同『!?』

 

男『あ、ま、待ってくれ!俺は』

 

艦娘D『深海化の可能性があるから射殺しろとの事です。

    恨まないでくださいね?』

 

一人の艦娘が銃口を男に向けそして

 

 

              射殺した

 

それも一発どころじゃない、数十発も撃ち続けた

 

男の死体は穴だらけとなり、男の立っていた場所には血だまりが出来ていた

 

艦娘D『久しぶりにスッキリしました。満足です』 

 

幼少期提督(嘘…オジサンがおねーさんに撃たれて・・・)

 

幼少期提督(うそ、うそ、うそ、うそ…)

 

そこで提督の意識は途絶えた

 

 

 

 

ーーーーーーーー現代ーーーーーーーーーーーーーーー

 

提督「…嫌なことを思い出したな」

 

提督「じゃ、また来るね、母さん、父さん、皆」

 

ーーーーーーーー夜ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

提督「さーて、明日の準備も終わったし、寝るか!」

 

提督「今日は忙しかったけども、充実してたな」

 

提督「それじゃ、おやすみ」

 

 

                              ~続く~

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 




いきなりもの凄いスタートでしたね

さて、初期艦は誰が来るのでしょうか?

誰がいいとかあれば是非コメントしてくださいね!

次回がいつになるかわかりませんが…またお会いしましょう!
 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 (艦娘と提督)

早速第二話を書かせていただきました!

前回のあらすじ!


提督、悲しい人。


艦娘視点

 

ーーーー到着一時間前ーーーーーーー

 

元帥「・・・と言う訳なんだ。理解できたかね?」

 

艦娘「・・・正直理解なんてできません」

 

当然だ。何故私達を嫌っている提督のところになんか行かなければならないのだろう

 

まあ、解体処分よりは遥かにましだろうけども…ね

 

元帥「まあそんなに難しい表情をするな、すぐに慣れるさ

   何せあの提督は彼の同期を遥かに上回るほどの実力者だ」

 

艦娘「・・・・・・」

 

本当…どうしてこうなったんだろう

 

大本営の書類は私も読ませてもらった

 

『司令官が不自然な動きをしたら直ぐに射殺せよ』

 

それは最初は驚いたわ。司令官を殺せなんて命令聞いたこともないもの

 

それに不自然な動きって…どれだけその提督は大本営から嫌われているのかしら

 

元帥「きっとアイツはいい奴だよ…だから心配しないでほしい」

 

艦娘「・・・元帥がそうおっしゃるのなら信用します」

 

元帥「ほら、あと1時間もしたら到着するようだ」

 

 

ーーーーーーーーーーそして現在ーーーーーーーーーーーー

 

艦娘「特型駆逐艦の一番艦、吹雪です!」

 

提督「君が新しい艦娘だな…」ジーッ

 

吹雪「な、なんでしょうか///」

 

提督「・・・いや、何でもない

   すまないな、見つめてしまって」

 

吹雪(この司令官の何処がおかしいのでしょうか?)

 

彼女はいたって普通の新米司令官という認識をした

 

提督「さて、自己紹介も済んだし、これから寮の紹介でも・・・」

 

吹雪「ま、待ってください!」

 

彼女は一つだけ聞きたいことがあった

 

それはもちろん・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪「司令官は、私が嫌いですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう吹雪が聞くと提督は少々困惑したような表情で言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督「・・・もし、そうだったのなら君を歓迎しないだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪「!!ですよね!すみません、いきなり失礼な事を聞いてしまって」

 

吹雪(やっぱり優しい司令官だ…)

 

提督(あぁ…ダメだ、感情を制御しなきゃ…この子とあの艦娘は違うんだ…違うんだ

  違うのに…何で、涙が…)

 

吹雪「??司令官、どうしたんですか?」

 

提督「いや、何でもないんだ、気にしないでくれ」

 

吹雪(明らかに泣いてる…?でも、どうして…?)

 

吹雪は困惑していた・・・司令官が泣いているのだ…

 

こんな光景は、始めて見た

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

提督「・・・ここが、駆逐艦の寮だ」

 

吹雪「広いですね!」

 

提督「ハハハッ、そうか?」

 

吹雪「それにキレイですし…」

 

提督「褒めていただき光栄でございますよ?吹雪お嬢様」

 

吹雪「も、もう!///からかわないでください!」

 

何処がおかしいというのだろう…大本営の事を信じないわけではないけど

 

この人は…優しい人だ

 

   『司令官が不自然な動きをしたら直ぐに射殺せよ』

 

こんな命令…出す必要があったのかな?

 

吹雪「ところで司令官、妖精さんは何処にいるんですか?

  何処にもいなかったような気がしたのですが…」

 

そう聞くと、司令官は困ったような顔をして

 

提督「うーん…正直、昨日来てから全く見てないんだよね。

  なんでだろう?」

 

提督「『良い人』にしか見えないとも言ってたような気がするし・・・」

 

吹雪「いえ、私達には見えるんですが・・・

  この鎮守府に来て一回も見てないんですよ」

 

提督「・・・・・・・・・」

  

吹雪「・・・・・・・・・」

 

提督&吹雪「「ここには妖精さんがいない!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー数時間後--------

 

おかしい。こんなにも探しているのに一人もいない

 

てか異例過ぎる。鎮守府に妖精さんがいないって事自体が。

 

提督「吹雪!そっちにはいたか?」

 

吹雪「いません!姿すら見えません!」

 

提督「どうしよう…いきなり大本営に『妖精さんがいないのでどうしましょう』とか言ったら

  どうなるか…」((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

吹雪「・・・落ち着きましょう。今はまだ妖精さんがいなくても大丈夫かもしれません」

 

妖精さんは基本的に新しい艦娘の建造、改修をしてくれる存在だ

 

今いなくても問題はない・・・と思う

 

提督「・・・それもそうだな。えっと、今は何時かな?」

 

吹雪「午前11時ですね」

 

提督「よし、ちょっと早いけど昼食にしようか

  そのあとに出撃でいいかな?」

 

吹雪「はい!了解しました!」

 

いよいよ初めての出撃だ。気合い入れて頑張らなきゃ!

 

提督「この出撃だがもちろん・・・」

 

吹雪「ええ、分かっています!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督「俺も出撃する」

吹雪「私一人で出撃ですよね!」

 

 

 

 

 

 

提督&吹雪「「・・・・・・」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督&吹雪「「はい?」」

 

 

 

 

               ~続く~

 

 

 

 




と言う訳で初期艦は吹雪ちゃんでした

あの?吹雪さん?何で笑顔でこっち来てるんです?


あっ(察し)






次回は出撃をかければいいなと思っています。
次回も是非読みに来てくださいね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話  (おいしいは正義)

三話目です!

見て行っていただけると嬉しいです!

前回のあらすじ!
提督、出撃願望があるみたいですね(遠い目)

???『この死に急ぎ野郎!』


吹雪「いやいや、何冗談を言ってるんですか?」

 

提督「いや、俺は本気だぞ?

  お前こそ何言ってんだ?一人で出撃だとか…?」

 

吹雪「あのですね!司令官は執務室で執務をこなす必要があるんですよ!

  それに出撃なんかしたら最悪死にますよ!?」

 

提督「執務なら既に終わっている。それに

  お前達をそんな危険地帯に出撃させて俺だけ呑気に執務をしろなど出来るか」

 

この人はいきなり何を言ってるんだろう?

 

少なくともこんな事を言う司令官はあったことも報告書で見たこともない

 

吹雪「ですが、司令官は海に浮くことすら出来ませんよね?」

 

提督「大丈夫だ、俺には船がある」

 

吹雪「そういう問題ではなくてですね!」

 

この人は凄い頑固だ、石頭だ

 

数時間しか会ってないけど確信できた

 

提督「俺がいたらもし深海棲艦にあっても囮くらいにはなるだろう」

 

吹雪「司令官!何でそんな事を・・・」

 

提督「それに、もうあんな思いはしたくないんだ」ボソッ

 

吹雪「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪は、少し考えた

 

この人を連れて行ってもいいのだろうか…?

 

危険がないとは言い切れないし

 

だが、鎮守府近海だ、何かあればすぐに撤退すればいい

 

少なくとも駆逐艦ならいるかもしれないが

 

駆逐艦なら自分でもまあ何とかなるかも知れない

 

 

吹雪「・・・分かりました。そこまで司令官がおっしゃるのなら

  ただし!私から離れないでくださいね!」

 

提督「ああ、分かったよ!」

 

吹雪(凄い嬉しそうです・・・何でそんなに嬉しそうなんでしょうか?)

 

提督「それはそうとして、いい加減に昼食にしようか」

 

吹雪「そ、そうですね!」アセアセ

 

ーーーーーーーーー食堂ーーーーーーーーーーー

 

提督「吹雪は普通の料理でいいのかな?

  それとも、燃料とかを使った方がいいのかな?」

 

吹雪「普通の料理でいいです。あの、私も手伝います!」

 

提督「おっ、そうかい?助かるよ」

 

流石に司令官に料理を任せっきりってのは嫌だから・・・

 

吹雪「ジャガイモ、人参のカット終わりましたよ!」

 

提督「Ok!それじゃ、鍋に入れてっと・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督「よし!一応完成だね!」

 

吹雪「うわぁ!美味しそうです!」

 

私達の昼食はみんな大好きカレーライスだ

 

私も見たことはあるが…食べたことはなかった

 

提督「じゃあ、食事前の挨拶を」

 

提督&吹雪「「いただきます!」」

 

吹雪「お、美味しい・・・!?」

 

提督「だろう?カレーライスって言うのは絶対に美味しいからな!」

 

正直ここまで美味しいなんて思ってなかった

 

カレールの絶妙な辛さ加減のおかげで白米を食べ進める速度がどんどん上がる

 

このほんのり甘みを感じる人参もいい

 

そして極めつけは…噛めば噛むほど味の出てくるジャガイモだ

 

あまり型崩れしていなくてそれでいて硬すぎない

 

まさに絶妙な加減で火を通されている

 

提督「うーん!このジャガイモと人参のサイズがちょうど食べやすい!

  吹雪は料理とかしたことあったのか?」

 

吹雪「い、いえ!やったことありません!初めてです!」

 

提督「初めてでこの美味しさか・・・凄いな、吹雪って」

 

吹雪「そんな事は・・・ないですよ」

 

私は知っています、司令官がサイズの違ったジャガイモなどを少し修正していたことを

 

そんな、些細な優しさがあるのが私の司令官です

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

提督「・・・さて、いよいよ出撃か」

 

吹雪「撤退するときはすぐに言ってください。私も危険だと判断したら

  すぐに撤退します」

 

提督「もちろん理解している。こちらこそ迷惑をかけてしまったらすまないね」

 

提督&吹雪「「・・・時間だ(ですね)、出撃しよう(しましょう)」」

 

ヒトフタマルマル、駆逐艦吹雪と夜桜に乗った提督が出撃した

 

                      ~続く~




と、言う訳で出撃まで書けませんでした

次回は出撃編ですね。ええ。

てか提督さんってホントに艦娘嫌いなのかなぁ?(殴)

コメントなどがあれば是非お願いします!

次回も見ていただけると嬉しいです!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話  (不幸)

四話目です!

今回はどのようになってしまうのでしょうか!?

タイトルでネタバレ?先言いましょう!

タイトルは適当だと!(殴)

前回のあらすじ!

カレーライスは正義!


ここは鎮守府近海

 

作戦開始から既に1時間は過ぎていた

 

提督の乗っている船には少しだが資源が乗っていた

 

この資源は何処からか湧いてきたものだ

 

正直、あって困らないが驚いている

 

そんな中でも提督は冷静に状況の確認を始めた

 

提督「吹雪、周囲の状況はどうだい?」

 

吹雪「特に問題はありません。強いて言うならば何故か資源が落ちています」

 

提督「資源・・・?こんなところには落ちていないはずだ・・・

  しかもまるで誘導するように落ちているな」

 

吹雪「どうしますか?司令官」

 

提督は悩んだ・・・もしかしたら罠かも知れない

 

 

提督(正直危険な気もするが・・・奴ら・・・特にこの辺りの深海棲艦に

  このようなことをする知識があるとは思えない・・・)

 

提督「よし、それを追いかけてみようか」

 

吹雪「了解ですが・・・本当に大丈夫でしょうか?」

 

提督「何、こんな事は深海棲艦にはできないさ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

提督「あれは・・・島か?」

 

吹雪「そうですね、あれは島です

  さらに誰か手を振ってますね」

 

資源の後を追った提督たちは無人島に着いた

 

二人は驚いた・・・こんな近くに大きな島があることに

 

そんな中誰かが手を振っていると聞いた提督は

 

持ってきた双眼鏡で誰なのかを確認した

 

提督「どれ・・・!?

  あれは、妖精さん!?」

 

吹雪「え!?どうしてこんなところに?」

 

タスケテクダサイ!

 

提督「吹雪!行くぞ!」

 

 

提督と吹雪は船を進め、妖精のいる島へと無事に着いた

 

提督「妖精さん、どうしてこんなところに?」

 

シンカイセイカンニサラワレテシマッタノデス

 

提督&吹雪「「なっ!?」」

 

二人はそのことを妖精から聞いて驚愕した

 

妖精が攫われる事態異常なのだ

 

吹雪は完全に慌てていた・・・が提督は

 

提督「その攫った深海棲艦は何処に行ったんだい?」

 

と尋ねた。しかし

 

提督は落ち着いた表情だったが声が震えていた

 

まるで何かに怯えるように

 

イマハシンカイニイルトオモイマス

 

提督「・・・分かった。今のうちに逃げよう!」

 

ワカリマシター!ミンナ!イクヨー!

ハーイ リョウカイデース オイテカナイデ―!

 

 

提督「・・・よし!皆いるね?」

 

総勢約10人の妖精たちは声を揃えて

 

ダイジョウブデース!

 

と言った

 

吹雪「準備できましたか?」

 

提督「・・・吹雪、この船の護衛、頼んだよ」

 

吹雪「はい!任せてください!」

 

吹雪は無傷だ

 

深海棲艦に一隻も会ってないからだ

 

吹雪(フフン、私はまだ無傷だから何が来ても問題ないわ!)

 

一方その頃、提督は

 

フネノソウジュウハマカセテクダサイ!

 

提督「いや、でも君達は疲れてるんじゃ・・・」

 

ダイジョウダ!モンダイナイ!

 

提督「それってフラグっていうんだよ?分かるよね!?」

 

マカセテ・・・モラエマセンカ?(ウルウル)

 

提督「うっ・・・分かった。任せるよ

  ただし吹雪に付いていくこと、分かった?」

 

ハイ!

 

アッソウダ!ハイコレ!

 

提督「・・・何だこれは?

  えっと・・・日本刀・・・かな?」

 

ハイ!ソウデス!カタナヅクリノスキナコガイルンデスヨ!

 

コレハソノコカラノオクリモノデス!

 

ゼヒゴシンヨウニト!

 

そう言って渡されたのは日本刀のようなものだった

 

形状は日本刀だが・・・いざ鞘から抜いてみると瞬間的に形が崩れた

 

提督「・・・何で形が崩れたんだい?」

 

エッ!?ナ、ナンデデショウ?

 

提督「開発した方も分からないのか・・・うーん」

 

デモキットダイジョウブデスヨ!

 

提督「そ、そうか・・・ありがとうね、大切にするよ」

 

ウレシイデス!

 

と、その時

 

吹雪「司令官!敵艦を確認しました!

  でも・・・そんな・・・嘘・・・でしょ?」

 

その声は焦りと震えが混ざっていた

 

提督「何!?数はどれだけいる!?」

 

吹雪「駆逐が3隻と軽巡3隻・・・いずれもflagshipです!」

 

提督「馬鹿な!?何故flagshipがこんな海域に!?」

 

吹雪「分かりません・・・ですが明らかに敵対しています!」

 

提督「下がれ!撤退しろ!」

 

吹雪「で、出来ません!不可能です!

  後ろにも敵が・・・キャァ!」

 

提督「どうした!?吹雪!」

 

吹雪「被弾・・・しました・・・

  ですがきっと中破です!まだやれます!」

 

提督「妖精さん!今すぐ吹雪のもとへ!」

 

エ?デスガキケン・・・

 

提督「いいから急いで!早く!」

 

ワ、ワカリマシタ!

 

そう言うと妖精たちは急いで航路の変更をした

 

提督(間に合ってくれよ・・・絶対に死ぬなよ・・・吹雪!)

 

何か嫌な予感を感じつつ船を進めた

 

                               ~続く~




次回、いよいよ鎮守府近海戦です

こちらの状況を書いておきますね

提督(人間)、妖精(10人程度)、吹雪(艦娘)Lv1

一方敵は

駆逐ロ級×2(flagship)、駆逐イ級×1(flagship)

軽巡ホ級×2(flagship)、軽巡へ級×1(flagship)

・・・はい、撤退すら困難ですね。てか勝ち目あるんでしょうか?

この絶望的な状況からどうしていくのでしょうか!?

次回も読んでいただけると嬉しいです!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話  (絶望)

第五話です!

読んでいただけると嬉しいです!

前回のあらすじ!

妖精さんなぜこんなところに!?



提督「間に合え・・・間に合ってくれ!」

 

妖精の操作する夜桜は提督自身が操作していた時よりも

 

素早い気がした

 

そんな中でも提督は冷静になることは出来なかった

 

あんな吹雪の一言を聞いたのだ

 

『私を置いて、撤退してください』

 

そして、そのまま彼女は無線を切った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『失いたくない』

 

 

 

 

 

提督はその一言しか頭の中に入っていなかった

 

提督「もう・・・あんな思いをするのも嫌なんだ

  だから・・・間に合ってくれ・・・頼む・・・!」

 

 

オ、オチツイテクダサイ!

 

提督「落ち着いてなどいられるか!」

 

と怒号

 

提督は自分でも信じられないくらいに焦っていた

 

それと同時に妖精たちは

 

ヒッ!?

 

と何かに怯えた様子で身構えている

 

その『目』を提督は知っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『敵意』と『恐怖』の混ざった目だ

 

提督「・・・すまない、君達のせいじゃないのは理解してるつもりなんだ

  ごめんな?妖精さん」

 

イ、イエ!ダイジョウブデスヨ!

 

妖精たちは急いで持ち場へと戻った

 

提督「・・・そう・・・か」

 

提督は不思議な気分だった

 

焦っているのに・・・気分が高揚している

 

気分が高揚しているのに・・・吐き気がするほど気持ち悪い

 

提督(何だ・・・この胸騒ぎは・・・)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

吹雪「か、数が多すぎる!?」

 

最早陣形など関係ないくらいに囲まれていた

 

さらにその深海棲艦が全てflagshipだという絶望

 

ましてや吹雪は練度が1である

 

そうして吹雪が考え付いた作戦は一つだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『自分を囮にしよう』と

 

吹雪(短い間だったけど・・・楽しかったな

  司令官だけでも・・・生きてほしいな)

 

 

吹雪「さあ!深海棲艦達!私はこっちよ!」

 

そう言って何発か吹雪は砲撃した

 

当然その周囲にいた深海棲艦は吹雪を追撃し始めた

 

それを確認した吹雪は安堵した表情で

 

吹雪(そう・・・これでいいの・・・これでいいのよ)

 

その直後

 

一隻の船が吹雪と深海棲艦の前に立ち塞がった

 

何を隠そう、夜桜だ

 

提督「吹雪!無事か!?怪我はないか!?」

 

吹雪「し、司令官!?何で戻ってきたの!?

  先に撤退するように・・・」

 

提督「馬鹿野郎!」

 

吹雪「!?」

 

提督「俺が・・・お前を置いて帰る訳ないだろう!」

 

吹雪「・・・司令官は・・・本当に馬鹿です・・・」グスッ

 

提督「反省会は帰ってからだぞ?」

 

だが、深海棲艦は無慈悲だった

 

直後、砲撃の音

 

イ級の砲撃が掠ったのだ

 

 

提督「グッ!?」

 

吹雪「司令官!?」

 

マズイデス!タダノフネニホウゲキヲタエラレルトハオモエマセン!

 

アトイッパツモウケタラシズミマスヨ!?

 

提督「なっ・・・!?

  掠っただけでこの威力だと・・・!?」

 

吹雪「司令官!下がってください!」

 

慌てて吹雪が船を回り込んで今度は船の前に立つ

 

だがその直後

 

吹雪「いた・・・痛い・・・」

 

軽巡ホ級の攻撃が直撃した

 

刹那

 

船にロ級の砲撃が命中した

 

吹雪「司令官!?しれいかぁぁぁぁぁぁん!」

 

提督の崩れゆく視界の中で見えたのは大破した吹雪

 

そして絶望した表情をしている妖精さんだった

 

そして・・・提督は意識を手放した

 

 

 

最後に彼が思ったのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             

 

      『死にたくない』『死にたくない』『しにたくない』『シニタクナイ』

 

 

 

その感情一つだけだった。  

 

                  ~続く~

 

 




・・・はい、どうでしたか?

今回は少し短かったですね。スミマセン

さて、やはりあの状況は打破できませんでしたね。

後は二人がどうなるのかお楽しみに!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話  (恐怖)

はい、第六話です!

絶望的状況がどうなってしまうのか!

前回のあらすじ!

二人ともピンチ!


吹雪は絶望していた、何故なら司令官を守れなかったのだ

 

そんな船を見て吹雪は・・・戦意がなくなった

 

吹雪「・・・もう、どうでもいいな・・・」

 

仮に生き残ったとしても自分の司令官を死なせてしまったという罪は消えない

 

なら、いっそこのまま沈めてもらうのが一番なんじゃないか・・・

 

そう思い始めたその時だった

 

突如、笑い声が聞こえてきたのだ

 

??「アヒヒ・・・?ヒャハハハハハ!」

 

その笑い声は冷たく、そして耳に残るような不快感

 

そして原始的な恐怖

 

吹雪の感が告げていた

 

『逃げなきゃ死ぬ』と・・・

 

それは深海棲艦も同じようで

 

駆逐がパニックに、軽巡は慌てていた

 

吹雪「一体何なの・・・?深海棲艦も慌てているし・・・

  ・・・何か嫌な予感がするわ・・・撤退・・・」

その直後

 

謎の生物が飛び込んできた

 

深海棲艦のようなフォルムだが色が違う

 

全身が黒いのは一緒だったが驚くべきはその皮膚だ

 

緑一色なのだ

 

服のようなものは蒼い。海に同化出来そうなほどの蒼さだ

 

目は何色か混ざったような色で不気味だった

 

吹雪「ヒッ…!?」

 

吹雪は恐怖を感じていた

 

それは謎の生物と目が合ったから

 

だが一瞬だけ見えた顔は見たことがある

 

吹雪「え・・・しれい・・・かん・・・?」

 

だがその表情は笑っていた

 

提督?「ヒャハ?アヒャヒャヒャヒャ!」

 

そう笑いながら深海棲艦へと近づいて行った

 

深海棲艦は目視が出来たら安心したのか総攻撃を開始した

 

ただ歩いているだけの提督には回避など不可能で

 

全ての攻撃が直撃した

 

吹雪「司令官!?」

 

だがそんな攻撃に怯む事もなく提督は歩きを進めた

 

深海棲艦達は攻撃をやめなかった

 

イ級が砲撃しようとした瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督?『イタダキマス』

 

                グチャ

 

何か肉のようなものが砕ける音がした

 

全員がその音に驚いてそこを見ると

 

イ級のような『何か』があった

 

その形はイ級ではなく無惨な肉塊のような

 

そして酷く死臭を放っていた

 

提督『マズイナァ・・・ヒャハ?」

 

そこから始まったのは最早戦いなどではなかった

 

深海棲艦が一方的に蹂躙されていただけだった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

吹雪は唖然とした表情でその『喰事』を見えていた

 

信じられない・・・の一言

 

フブキサン!ハヤクフネニアガッテ!

 

そう妖精が告げる

 

妖精たちは船が沈まないように少ない資源で船の修理をしていた

 

吹雪「は、はい!」

 

アトソコノヒトモ!

 

吹雪「そこの人・・・キャ!?」

 

吹雪は驚いた

 

いつの間にか隣に艦娘がいたのだ

 

艦娘「わ、私も乗っていいっぽい?」

 

吹雪「乗って!寧ろここにいる方が危険だわ!」

 

艦娘「あ、ありがとう!」

 

二人は船に無事乗る事が出来た

 

艦娘「私は白露型の4番艦、夕立です」

 

吹雪「よろしくね!夕立!私は吹雪」

 

夕立「よろしくね!吹雪」

 

吹雪「ところで・・・何でこんなところにいるの?」

 

夕立「それが分からないっぽい・・・目が覚めたら突然こんな海に

  それよりあの怪物は何!?」

 

そう言って指をさしたのはもう既に駆逐艦を全て撃沈させた提督だった

 

吹雪「・・・あれは・・・私の司令官なの」

 

夕立「・・・え?司令官?あの怪物が?」

 

夕立は焦った・・・アイツ等・・・深海棲艦を虐殺し終えれば

 

今度は私達の番なんじゃないかと・・・

 

夕立「今すぐに逃げよう!ここは危険だよ!」

 

吹雪「だ、ダメだよ!司令官を置いて撤退することは出来ないよ!」

 

夕立「そもそもなんで提督さんが出撃してるの!?」

 

吹雪「それは・・・その・・・」

 

そう言い争っている間に提督が船に戻ってきた

 

海を見ると無惨な姿で浮いている深海棲艦の姿があった

 

提督?『ミィツケタ!ヒャハハハ!」

 

吹雪&夕立「「ヒッ!?」」

 

二人は提督から距離を取り、そして銃口を向けた

 

だが提督はどんどん距離を詰めていた

 

夕立が砲撃するも怯む様子もない

 

そして吹雪の前に提督が立った

 

夕立「吹雪!逃げて!」

 

だが時すでに遅し

 

提督は吹雪へと爪のような何かを振り下ろしていた

 

吹雪(結局ここで沈むんだね・・・)

 

吹雪は目を瞑った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが痛みはやってこなかった

 

恐る恐る目を開けると優しい提督の目があった

 

姿は化物だ、だが涙を流しながら

 

提督『コノコは・・・ワタシのだいじナ・・・ナカマだ・・・』

 

と言って後ろへと倒れた

 

皮膚は少しずつ元の人間の色へと戻っていった

 

吹雪「司令官!しっかりしてください!」

 

と言って吹雪は駆け寄った

 

夕立は腰が抜けたのか立てないまま

 

夕立「助かった・・・ぽい?」

 

と泣きそうな表情で言った

 

吹雪は思いだしたように言った

 

吹雪「妖精さん!鎮守府まで急いでください!」

 

その号令と同時に

 

船は鎮守府へと向かった

 

                     ~続く~

 




はい、どうでしたか?

自分でもすっごい話飛んだなと思いました

ま、まあ、窮地は何とか脱出出来たみたいですね

次回、提督がどうなるのか

お楽しみに!

次回も読んでいただけると嬉しいです!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話  (仲間)

今日で3本投稿!

第七話デス!

前回のあらすじ!

深海棲艦VS化物


何処だ・・・ここは・・・

 

暗い・・・何も見えない・・・

 

憎いなぁ・・・吹雪を傷つけた深海棲艦達が

 

憎いなぁ・・・皆を殺した深海棲艦が

 

 

 

 

アハハ!一人しかいないのにこんな事言って悲しくなってきたよ

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば・・・出撃してからもう数時間が経過したんだよな・・・

 

『オナカ・・・スイタナ』

 

そう、お腹がすいた。カレーライスは食べたけども

 

 

 

 

 

何か・・・食べるもの・・・ないかな?

 

 

 

 

 

 

 

ここに来てどれくらいたったんだろうか・・・時計もないし確認しようがないね

 

そういえば吹雪は・・・大丈夫かな?

 

大破してたし・・・ちゃんと撤退できたかな・・・?

 

??「オマエハ・・・カンムスガキライデハナイノカ・・・?」

 

俺は艦娘が嫌いだ・・・でもな・・・

 

アイツは『艦娘』じゃない・・・一緒に戦ってくれる『仲間だ』

 

だからあいつは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の大事な仲間だよ

 

 

 

 

 

 

 

 

??「・・・・・・・・・・ソウカ」

 

 

なぁ・・・ところでお前は一体・・・?

 

          そう聞こうとした時だった・・・突如光が差し込んだ

 

何だ・・・この光は・・・?

 

          そのまま・・・提督はその光に呑まれた

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

提督「・・・ここは・・・?」

 

見慣れない天井だった

 

自身の体を確認すると・・・包帯が巻かれていた

 

提督(何かの夢を見ていたような気がするんだが…気のせいか?)

 

提督が疑問に思っていると・・・何かの視線を感じ取った

 

提督「誰だ?そこにいるのは」

 

??「ヒッ!?て、提督が目を覚ましました!」

 

誰かの声の直後に

 

吹雪「司令官!目が、覚めたんですね!」

 

と言って吹雪が抱き着いてきた

 

提督「ふ、吹雪!?無事だったんだな!」

 

吹雪「もちろんです!

  司令官こそ・・・無茶して・・・心配したんですからね!」

 

そう言って吹雪はより抱き着いてきた

 

提督「ふ、吹雪・・・ちょっと苦しい・・・」

 

吹雪「あっ!すみません!」

 

提督「いいんだ、心配してくれたのは嬉しいから

  それよりも、俺は何時間寝ていたんだ?」

 

吹雪「えっと・・・およそ一週間くらいですね」

 

提督「何だそれくらいかー」ハッハッハ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督「はい!?え?一週間!?」

 

吹雪「はい、そうですよ?だから心配で心配で・・・」

 

提督「ちょっと待って、書類とかはどうした!?

  あと妖精さんは?それから・・・」

 

??「心配ないっぽい!提督さん!」

 

提督は突如現れた声に驚いた

 

提督「・・・えっと・・・この子は?」

 

夕立「私は夕立!よろしくね!」

 

提督「あ、ああ・・・よろしくな」

 

提督「何で夕立?がここに?ウチの鎮守府にいたっけ・・・?」

 

吹雪「一週間前の出撃で仲間になってくれました!」

 

提督「そ、そうか・・・

  いや、船を撃たれてそのまま意識を失ってしまったからな・・・

  覚えてないんだ・・・すまないね、夕立」

 

夕立「そんな事はないっぽい!むしろありがとう!」

 

提督「??何で俺感謝されるんだ?」

 

夕立「それより書類とかなんだけど・・・全部吹雪が処理してたっぽい!」

 

提督「そうなのか?吹雪?」

 

吹雪「えっ!?いや、その・・・」

 

提督「ありがとうな、吹雪」ナデナデ

 

吹雪「!?///」

 

夕立「あっ!吹雪だけずるいっぽい!夕立も~」

 

そうして提督は二人の頭を撫でた

 

ーーーーーーーー2時間後ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

15:00

 

 

 

 

吹雪「そういえば司令官、大本営から手紙が届いてますよ?」

 

提督「ええ・・・マジか

  どれどれ・・・」

 

『大本営へとお越しいただきたい。可能な限り素早く頼みたい』

 

提督は驚いた・・・大本営がこんな手紙を送ってきたからだ

 

提督「・・・吹雪!ちょっと来てもらえるか?」

 

吹雪「はい?何でしょうか?」

 

提督は吹雪に説明した

 

今から自分が大本営に行くこと

 

その間吹雪に提督代理を任せること

 

吹雪は不安そうな顔をして

 

吹雪「私に出来るでしょうか?」

 

と尋ねた

 

提督「何、お前ならできるさ

  困ったときは夕立にも手伝ってもらえばいい」

  お前は・・・俺にとっての大切な仲間だからな!」

 

吹雪「!!分かりました!私、頑張らせていただきます!」

 

提督「ハハッ、その意気だよ」

 

提督は笑顔になった

 

吹雪は安心した

 

だが、同時に嫌な予感もしていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

提督「じゃ、行ってくるよ。お留守番頼んだよ」

 

夕立「行ってらっしゃい!」

 

吹雪「気を付けてくださいね~!」

 

提督「おう!もちろんだ!

  俺が帰ってきたら他の艦娘の紹介も頼むぞー!」

 

吹雪&夕立「「了解です(っぽい)!」」

 

そう言って手を振りながら提督を見送った

 

夕立「・・・吹雪、あの事は提督さんに言ったの?」

 

吹雪「・・・言えるわけないよ・・・あんなこと言ったらきっと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   司令官が壊れてしまうよ・・・」

 

                           ~続く~




さて、どうでしたか?

無事に目覚めた提督

しかし、新人にもかかわらずいきなり大本営へと呼び出されてしまいました!

どうなってしまうのでしょうか!?

※提督視点は多分書きません(殴)


次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Episode2 鉄底海峡編
第八話  (提督不在・その1)


第八話です!

ええ、タイトル通りですよ。多分

前回のあらすじ!

提督、大本営へ


提督が大本営へと行ってから早くも2週間が経過していた

 

提督は帰ってきてはいない。きっとまだ大本営にいるのだろう

 

そんな中提督代理の吹雪はただひたすらに執務をこなしていた

 

吹雪「あぁ忙しい!夕立!次のデイリ―は!?」

 

夕立「建造っぽい!行ってくるね!」

 

吹雪「了解!他のデイリーと書類を進めとくね!」

 

夕立「了解っぽい!」

 

艦娘「第二艦隊、帰還したぜ!結果は成功だ!」

 

吹雪「ありがとう、天龍さん、すぐさま補給して休憩をとって下さいね?」

 

天龍「おう!俺も何か手伝う事があるか?」

 

吹雪「書類しかないけどもそれでいいなら」

 

天龍「よし!休憩だ!行くぞ!」

 

艦娘「あらあら~天龍ちゃんったら♪」

 

天龍「う、うるせえ!龍田!書類出来ないのはお前も知ってるだろ!?」

 

吹雪「ええ、今は書類しかないので休憩してくださいね」

 

天龍「ほら!提督代理もこう言ってるんだぜ?休憩に行くぞ!」

 

そういって天龍は執務室を後にした

 

龍田「・・・ところで提督代理」

 

吹雪「吹雪でいいですよ」

 

龍田「・・・提督代理」

 

吹雪(あ、この人話聞かない人だ)

 

龍田「提督って、どんな方なの?私達は会ったことがないのだけれども・・・」

 

吹雪「今は大本営にいますよ、もう2週間は経ってしまいましたが

  そして私にとっては命の恩人ですね。あまり詳しく言えないのですけれども」

 

 

吹雪は書類の処理をしながらそう答えた

 

龍田「・・・そう、帰ってきたら紹介してね?」

 

吹雪「もちろんです!司令官を一緒に驚かせましょう!」

 

龍田「いいアイデアね~」ウフフ

 

ニコニコと龍田が答えた。何故か殺意を感じた。コワイ

 

龍田「じゃあ、私も失礼するわね~

  何かあったらすぐに教えてね~」

 

そう言って龍田も去って行った

 

吹雪「うん、成功か・・・よかったぁ」ホッ

 

そう言ってしっかりと結果を書類にまとめていた

 

吹雪「よし、これでよしっと!」

 

吹雪はこの仕事に適応していた

 

それはもう、昔から提督業をやっているかのような速さだ

 

流石は艦娘だ、理解が早い。

 

吹雪「今は・・・ヒトサンマルゴ(13:05)ね、

  よし、昼食をもらいに行きましょうか!」

 

いま彼女の鎮守府には初日にいた吹雪、夕立の他にも

 

約50人くらいの数の艦娘がいた

 

デイリ―任務をこなしていた彼女がしなかったのが・・・解体と近代化改修だった

 

普通なら同じ艦娘が出てくると思うのだが彼女は幸運なのか同じ艦娘が全く出てこなかった

 

吹雪「今日は焼きそばだっけ?

  食べたことはないけどきっと美味しいよね!」

 

電「あっ、提督代理さん!お仕事お疲れ様なのです!」

 

吹雪「ありがとう、電ちゃん」

 

雷「電!何処に行ってるの?お昼食べましょ!」

 

電「分かったのです!じゃあ、提督代理さん、また後でなのです」

 

吹雪「いってらっしゃい!・・・いやぁ、賑やかになったね。」ウンウン

 

吹雪はたったの2週間で艦娘がこんなに増えるとは思ってもなかった

 

吹雪(きっと帰ってきたら司令官も驚くよね!)

 

夕立「吹雪!何処にいるっぽい?あ、いた!」

 

吹雪「どうしたの?夕立ちゃん?」

 

息を切らしながら夕立が走ってきた

 

夕立「こ、これを見るっぽい!」

 

吹雪「これは・・・!?」

 

それには

    

     『鎮守府正面近海の安全の確保を至急行え。』

 

とだけ書かれていた

 

吹雪「・・・何だ、こんな事なのね」ホッ

 

夕立「こんな事って・・・」

 

吹雪「まあ落ち着いて?ウチの鎮守府には多くの艦娘がいるのよ?

  練度も多少はあるから大丈夫よ」

 

夕立「でも2週間前のは・・・」

 

吹雪「・・・あー、えっと・・・あれは・・・運!運がなかっただけなのよ!」

 

夕立「・・・そういう問題っぽい?」

 

吹雪「今度は大丈夫よ!絶対!」

 

夕立「その根拠のない自身は一体・・・?」

 

夕立は頭を抱えた・・・この提督代理は全く

 

吹雪「夕立、夕食の時に皆を食堂に集めて」

 

夕立「了解っぽい!でも、なんでみんなを集めるの?」

 

吹雪「作戦会議よ、もしもの時の為のね」

 

夕立「ふーん・・・吹雪って賢いっぽい!」

 

吹雪「いや、私はそんな・・・」

 

夕立「謙虚過ぎるのはよくないっぽい!

  ほら、一緒にお昼食べよ!」

 

吹雪「もちろん!行こう!夕立!」

 

彼女達の作戦とは・・・?  

 

                       ~続く~




どうでしたか?

多分しばらくは提督出てきませんね

提督は大本営で何をしているのでしょうか?

そして吹雪たちの作戦とは一体・・・?

そんなこんなで次回に続きます!

次回もお楽しみに!

(そろそろ提督の本名考えなきゃ…提督じゃ味気ないし…多分)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話  (作戦会議)

第九話です!

前書きのネタが無くなってきたよ!うん!

そして大型建造で爆死しました☆

前回のあらすじ!

提督いらない説浮上


夕食後

 

吹雪「全艦いますか?」

 

夕立「いるっぽい!」

 

吹雪「それでは、今回の要件を伝えます

  今回は鎮守府正面海域の安全を確保を目標とします」

 

そう言って吹雪は地図を取り出した

 

吹雪「今回は可能な限り交戦を控えてもらいます

  いつどのタイミングでflagShip級が出てきてもおかしくないので」

 

金剛「What?何故こんな鎮守府に近い場所でflagshipが出るのデスカー?」

 

吹雪「それは私がここでflagshipからの攻撃を受けたからです」

 

一同「!?」

 

そうして吹雪は2週間前の事を提督についてを除いて話した

 

妖精が深海棲艦に攫われていたこと

 

出撃帰りに軽巡、駆逐、計6隻と会ったこと

 

そしてその深海棲艦が全てflagshipだったこと

 

その話を聞いていた艦娘達は驚いていた

 

吹雪「・・・ということがありました」

 

金剛「吹雪はよく無事だったネ」

 

吹雪「ええ…隙を見つけて大破でしたが無事に撤退できました」

 

天龍「許せねえな・・・俺が見つけたらすぐに沈めてやる!」

 

龍田「あらあら~天龍ちゃん、今の練度は?」

 

天龍:Lv11

 

龍田:Lv15

 

天龍「・・・何で龍田の方が上なんだよ!?」

 

龍田「何ででしょうね~」ウフフ~

 

吹雪「・・・あの、続けてもいいですか?」ギロッ

 

天龍&龍田「すみません」

 

龍田(あれぇ・・・?吹雪ちゃんってこんなに怖かったっけ…?)

 

吹雪「・・・話を戻しますね」

 

夕立「それで吹雪ちゃん、どんな作戦を考えたっぽい?」

 

吹雪「そんなに難しい事ではありませんよ」

 

     

            『追撃してきた深海棲艦だけを倒してください』

 

一同「!?」

 

提督代理は何を考えているのだろう

 

金剛「ヘーイ!吹雪!何を考えているのデスか!?」

 

天龍「そうだ!先制攻撃を譲れっていうのか!?」

 

深海棲艦に先制攻撃をされる・・・たったそれだけで轟沈する確率は一気に上がる

 

逆にこっちから仕掛ける事が出来ればそれだけで被害が減る

 

つまり、初撃で戦闘の6割が決まると思っていても過言ではない

 

吹雪「皆さんの言いたいことは分かります。

  ですが、無駄撃ちしていざflagship級と敵対した時に燃料や弾薬が少なかったらどうします?

  それこそ轟沈しますよ?」

 

天龍「うぐっ・・・確かにそうだが」

 

電「あの・・・追撃ってどういう事なのです?」

 

吹雪「大本営の書類報告によるとね、深海棲艦は決まったテリトリーに入ると攻撃するけど

  そのテリトリーから出ていくと攻撃しないって書いてあったのよ

  つまりそのテリトリーに侵入したりしなければ問題ない可能性があるのよ」

 

電「本当に大丈夫なのでしょうか?安全なのが一番なのですけど・・・」

 

雷「電は心配性ね!きっと大丈夫よ!」

 

金剛「もしそのTerritoryに入った場合はどうすればイイですか?」

 

吹雪「そうですね・・・その場合は全力で進み続けてください

  一人でも被弾した場合は正当防衛。つまり撃沈させてください」

 

金剛「了解ネ!」

 

吹雪「皆さんの無事を祈っていますよ!

  今日はこれで解散としましょう!最後に何か質問でもありますか?」

 

艦娘達は首を横に振った

 

吹雪「・・・無いようですね、それでは明日の朝、マルキュウマルマル(09:00)に出撃してください。

 

一同「了解!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪「・・・ふう・・・疲れた  

  絶対あれは私のキャラじゃないよね・・・うん」

 

吹雪はだいぶ疲れている様子だった

 

夕立「お疲れさまっぽい!」

 

電「カッコよかったのです!」

 

吹雪「ありがとう、二人とも

  私はこれからまた書類整理をするから今日はもう寝てていいよ」

 

夕立「私は吹雪を手伝いたいっぽい!

 

電「わ、私もなのです!」

 

吹雪「・・・じゃあ、3人で書類整理しようか!」

 

夕立&電「「はい(なのです)!」」

 

 

 

書類を見ながら吹雪は少し考えていた

 

吹雪(何でこんなに司令官は遅いのでしょう

  大本営に行ったきりだし・・・)

 

夕立「吹雪!手が止まってるっぽい!」

 

吹雪「あっ、ごめんなさい!」

 

吹雪は慌てて作業を再開した

 

吹雪(きっと司令官は為すべきことをしているのでしょう

  なら私も負けないように頑張らなきゃ!)

 

そんな事を思いながら吹雪は書類の束を処理していくのであった・・・

       

                         ~続く~

 




はい、今回はそんなに進展しなかったですね

次回は鎮守府近海戦ですかね?

編成書いときますね

旗艦:金剛

夕立  天龍

赤城  電
  
  雷   この6人ですね!

・・・え?赤城さん会話に参加してなかっただろって?

ボーキサイト食べていたのですよ()

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話 (鎮守府近海攻略作戦)

いよいよ十話目です!

今回はいよいよ2度目の出撃です

前回のあらすじ!はないです。ハイ。


金剛「行ってくるネー!」

 

赤城「帰ってきたらボーキサイトよろしくね♪」

 

電(またボーキサイトが減るのです・・・)

 

吹雪「それでは皆さん、気を付けて下さいね!」

 

天龍「よっしゃあ!出撃だ!」

 

龍田「天龍ちゃん?無理に攻撃を仕掛けたらいけないからね~?」

 

天龍「わ、分かってるよ!」

 

龍田「雷ちゃん?無茶し始めたら止めてあげてね~?」

 

雷「もちろんよ!この雷様に任せなさい!」

 

吹雪「緊張感がないですね・・・(困惑)」

 

金剛「緊張するのはBadネー!」

 

夕立「そうそう!緊張し過ぎるのはよくないっぽい!」

 

吹雪「・・・そうね、確かにその通りだわ」

 

吹雪は笑って言った

 

吹雪『第一艦隊出撃してください!』

 

第一艦隊「「「「「「了解(なのです)!」」」」」」

 

そう言って第一艦隊は出撃した

 

吹雪「・・・行ったね、無事に帰ってきてほしいな」

 

フブキサン、オテガミデス!

 

一人の妖精が手紙を持ってきた

 

吹雪「ありがとう、妖精さん

  どれどれ・・・えっ!?」

 

吹雪はその手紙を見て驚いた

 

吹雪「・・・そうだったのね・・・なら彼女達も危険ね

  どうしよう・・・」

 

吹雪はそう呟いたのであった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

金剛たちは鎮守府正面海域

 

通称1-1のA地点に到着していた

 

 

天龍「・・・敵艦の姿は見えるか?」

 

電「見えないのです!」

 

金剛「ウーン・・・赤城!何か見えましたカ?」

 

赤城「いえ全く・・・むしろ平和過ぎて怪しいくらいです」

 

金剛「ソウデスカ・・・」

 

と、金剛が言った時だった

 

何かが射出された音を雷は見逃さなかった

 

雷「!?攻撃されたわ!きっと潜水艦よ!気を付けて!」

 

金剛「了解ネー!皆、単横型に陣形をChangeしてネー!」

 

一同「「「「「了解(なのです)!」」」」」

 

素早く金剛たちは単横型に陣形を変え

 

そのまま攻撃を回避するために横へと移動した

 

距離があったため余裕で回避できた

 

金剛「雷!狙えマスか?」

 

雷「もちろんよ!電、夕立、手伝って!」

 

夕立&電「「分かったのです(っぽい)!」」

 

天龍「おい!俺も潜水艦なら狙えるぞ!?」

 

夕立「天龍は追撃を警戒してほしいっぽい!」

 

なぜこんなに彼女らが素早い指揮をとれるのか

 

それは出撃こそなかったものの遠征、そして演習をコツコツ行ったからである

 

雷「見つけたわ!攻撃するわよ!二人ともついてきて!」

 

雷は潜水艦の位置を把握することに成功した

 

夕立「でもどうしたらいいの?私達は魚雷しか持ってきてないし・・・」

 

電「対潜装備の爆雷は置いてきているのです」

 

雷「私に任せなさい!この時の為に爆雷だけは装備しているのよ!」

 

二人「「おおー!」」

 

電「・・・でもそれって装備を変えてないだけなのでは・・・?」

 

雷「細かい事はいいの!それっ!」

 

そう言って雷は爆雷を投下した

 

潜水艦が次弾を装填していたので発見が遅れてしまった

 

結果、潜水艦は攻撃を受け大破

 

雷「これで問題はないみたいね、無力化も出来たみたいだし」

 

電「凄いのです!」

 

雷「これくらい当たり前よ!

 金剛さん!無力化に成功しましたよー!」

 

金剛「了解ネー!このまま進撃スルネ!」

 

赤城「・・・どうしてこんなところまで潜水艦が・・・?

  普通はこんなところにはいないはずなんですが・・・」

 

金剛「今は深く考えない方がいいネ。作戦達成が先デス!」

 

そして彼女達は進んでいった

 

しかし進んでいくにつれて方向感覚が鈍くなっていった

 

電「次はどう進めばいいのです?」

 

雷「困ったときは羅針盤よ!」

 

と言って羅針盤を取り出した

 

羅針盤を妖精さんに回してもらった結果・・・示しだされた方向は『北東』だった

 

赤城「この方向は・・・『鉄底海峡』ですね・・・」

 

金剛「oh…結構遠くまで来てしまったネ・・・」

 

赤城「ええ、そうですね・・・

  ですが鉄底海峡は数年前の奪還作戦で取り戻したはずなので安心ですね」

 

そう、この海域は数年前の作戦により奪還することに成功していた

 

被害こそ甚大だったがそれでも人類にとっては大きな一歩だった

 

天龍「ここがあの鉄底海峡か・・・以外に近いんだな!」

 

電「ちょっと見ていきたいのです!」

 

雷「私も見ていきたいかも!」

 

赤城「そうですね・・・ちょっと寄っていきましょうか

  あればボーキサイトも・・・」

 

そう言って彼女達は鉄底海峡海域へと踏み込んだ

 

・・・それが誤った選択だったとは知らずに・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

大本営『対深海棲艦研究室』

 

 

研究員A「彩電大将殿、少しお話が」

 

彩電大将(以下、彩電)「何か用かね?」

 

研究員A「例の個体ですが・・・試験段階まで完成しました」

 

彩電「そうか・・・分かった。『鉄底海峡』で試験を行え。可能であれば深海棲艦を殲滅せよ。

  それと『アレ』はどうなった?」

 

研究員A「極度の精神崩壊、両腕の破損、さらには嘔吐などあまり健康的ではないみたいです

    ですが肉体には特に異常はありませんでした」

 

彩電「そうか・・・『アレ』は問題ないみたいだな」

 

研究員A「どうしましょうか?処分しますか?」

 

彩電「いや、いつものを使え。暴走し始めた場合は」

 

研究員A「洗脳、または睡眠ガスですね。分かっています」

 

彩電「そうか、それは何よりだ」

 

その時だった

 

アガアアアアアアアアアァァァ!?

 

何かの悲鳴が聞こえた。その声は人間ではなかった

 

だがその声は悲しみ、怒り、憎悪などの感情が混ざったものだった

 

 

 

彩電「・・・五月蝿いな、睡眠ガスで鎮静化しろ」

 

研究員A「分かりました。」

 

数分後、その声がピタリとやんだ

 

彩電「フッフッフ・・・これが国に承認されればより深海棲艦を殲滅できる」

 

彩電は何を考えているのか・・・それは誰にもわからない・・・

 

                                     ~続く~




誰か戦闘の描写のコツを教えてください()

やっぱりもう少しナレーションを増やすべきですね・・・

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十一話  (鉄底海峡)

十一話目です!

8月10日のアプデはどんなのが来るのでしょうか!

攻略はほぼ無理だけど楽しみです!


吹雪「何で彼女達と連絡が取れないの!?」

 

吹雪は撤退命令を出すために彼女達に連絡を行おうとしていた

 

だがどうやっても連絡が取れないままだった

 

吹雪「ああ・・・どうしよう・・・彼女達が轟沈でもしたら…」

 

吹雪の顔は真っ青だった

 

足はガタガタと震えている

 

それもそのはずだ、初日にして轟沈しかけたのだ。その恐ろしさは彼女が一番知っている

 

そんな中一人の駆逐艦が声をかけた

 

艦娘「落ち着きなさい。指揮する者なら信じて待つだけよ」

 

吹雪「・・・霞・・・でも、あの人達に何かあったら・・・」

 

 

霞「彼女達は貴女が思ってるほど弱くないわ。貴女は提督代理でしょう?今は信じなさい。貴女の仲間を」

 

吹雪「・・・それもそうね、私が慌てても事態が変わる訳じゃないものね」

 

吹雪(無事でいて・・・皆)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

電「・・・ここが、鉄底海峡・・・。静かなのです」

 

雷「ここには暁やたくさんの仲間が沈んでいるのよね・・・」

 

天龍「皮肉な話だな・・・」

 

 

 

 

 

鉄底海峡・・・通称、アイアンボトムサウンドは1942年に行われた第三次ソロモン海戦などをはじめ、様々な海戦が行われていた場所である。

 

第三次ソロモン海戦では暁をはじめ綾波、霧島、比叡、夕立などが沈んでいる。

 

数十年前にはスキューバ・ダイビングの名所として有名だったが深海棲艦の出現により今

 

では危険地域の一つとなっていた。

 

いや、海全てが危険地域と言った方が正しいのかもしれない。

 

さらにここには深海棲艦の拠点があったらしい。

 

だが、その拠点は数年前に行われた大規模作戦により多大な被害のもとに

 

飛行場姫を撃沈し、拠点を制圧することに成功した。その後、駆逐級程度の深海棲艦が現

 

れることもあったが姫級や鬼級の確認は見られないので

 

大本営は奪還作戦は成功したという知らせを出し、作戦を終了させた。

 

赤城「ここは平和ですね・・・」

 

夕立「・・・あんまり、ここにはいい思い出がないっぽい」

 

金剛「・・・そうね。あまり私もここに来たくない」

 

彼女達の元の姿・・・つまり船であった時の体は冷たい海の底に沈んでいる。

 

昔の彼女達と今の彼女達は魂や記憶こそ一緒だったが体は違う。

 

沈んで機能していない自分と会うのも不思議な気持ちだったと思う。

 

辺りを見渡したら夕立の轟沈したポイントへと着いた

 

赤城「あっ・・・ここは・・・」

 

赤城はふと夕立を見た。夕立は下を向いたまま動かない。

 

夕立は昔の事を思い出していた。

 

乗組員の悲鳴、敵の砲撃音、海へ飛び降りていく音、爆発音・・・

 

その様々な事を忘れることは出来なかった

 

だが夕立は一つ決意したことがある

 

夕立「・・・もう、過去の事は振り返らないっぽい。そう決めたから!」

 

過去を振り返らない・・・それは忘れるという意味ではなく、

 

過去に囚われないという意味だ

 

金剛「夕立・・・。そうね、過去は過去、断ち切らなきゃNoネ!」

 

夕立は自身の沈んだと思われる場所に立って目を瞑った

 

夕立(乗組員の皆・・・元気にやってるっぽい?夕立は新しいこの体を得て今も頑張ってるっぽい!

 

皆は私を兵器としてじゃなく仲間として大切にしてくれた・・・だからここまでこれたっぽい!

 

皆の誇り高い意志は私がずっと、ずうっと!覚えてるから!皆も私の事、忘れないで見守ってほしいっぽい!)

 

電「夕立さーん、そろそろ行くのです」

 

夕立「了解っぽい!」

 

そう言って立ち去ろうとした時だった

 

『行っておいで・・・夕立』

 

そんな声が聞こえた。

 

夕立「!!」

 

夕立は慌てて振り向いたがそこには誰もいない。でも、確かに聞いたことのある声だった

 

夕立「・・・皆・・・うん!行ってくるっぽい!」

 

雷「夕立―!行くわよー!」

 

夕立「すぐに行くっぽい!」

 

そう言った夕立は笑っていた。美しいまでの笑顔だった

 

そんな夕立の背中を暖かい風は吹いていくのであった・・・

 

 

                                ~続く~




今回は夕立がメインでしたね。

夕立の過去も番外編として書いてみたいなぁとは思っています。

次回もお楽しみに!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十二話  (無慈悲)

十二話目です!

どうなるのでしょうか?


 

 

 

 

金剛達は鉄底海峡を進んでいた

 

だが、通信機の異変に気付いたのは進み始めてから後の事だった

 

 

金剛「・・・連絡が取れなくなったネ」

 

赤城「そんな!?何故!?」

 

金剛「鉄底海峡に踏み込んでからデスネ。連絡も取れなくなってしまった・・・」

 

電「羅針盤があるのでまだ大丈夫なのです!その気になれば鎮守府には戻れるのです!」

 

雷「・・・えっ?羅針盤ってそんな効果あったっけ?」

 

電「道を教えてくれる妖精さんが言ってるので間違いないのです!」

 

シッカリトチンジュフマデカエレマスヨ!

 

電「・・・と、いうことなのです!」

 

どうやら一応鎮守府までは帰れるみたいだ

 

赤城「連絡が取れないので不安ですが・・・どうしましょうか?」

 

金剛「とりあえず帰りましょう!これ以上進んでも危険なだけデス!」

 

赤城「分かりました。母港に帰還します」

 

と、その時だった。正面から爆音が聞こえたのだ

 

一同「「「「「「!!」」」」」」

 

そして音のあとに深海棲艦がこっちにやってくるのが見えた

 

6隻編成で戦艦が2隻と空母が2隻、重巡が2隻だった

 

赤城「そんな!?何故この海域にル級やヲ級が!?奪還したのではなかったの!?」

 

金剛「全員戦闘準備!相手から目を離さないで!」

 

金剛達はいつでも攻撃できる陣形をとった

 

だが相手は何も仕掛けてこない。『何も』だ

 

しかもこちらには背を向けている。一体どういうことだ?

 

電「攻撃・・・してこないのです」

 

雷「一体どういうことかしら?」

 

天龍「それよりも見ろ!アレを!」

 

電「どうしたのです?天龍・・・さん?」

 

電が再び深海棲艦を見ると・・・その数が約3倍になっていた。

 

援軍だ。しかもそれらが全てelite級だ

 

金剛「shit!どうしましょうか!?」

 

天龍「チッ・・・囲まれた!」

 

赤城「どうして私達にこんな数の深海棲艦が!?」

 

夕立「ピンチっぽい!」

 

その時だった・・・いきなり砲撃音が聞こえたのは

 

赤城「相手の砲撃!?誰か被弾はした!?」

 

雷「私たちは無事よ!そっちはどう!?」

 

赤城「私達も大丈夫です!」

 

金剛「次の攻撃が来るネ!回避に集中して!」

 

一発の砲撃がきっかけとなったのかすぐに敵艦隊の砲撃が始まった

 

まるで豪雨のような敵艦隊の攻撃に対応出来たのは最初だけで徐々に被弾していった

 

逃げようにも囲まれていて逃げる事が出来ない。

 

気休め程度のこちらの砲撃では撃沈どころか傷をつける事すらままならない

 

さらに回避に集中しているのでこちらの砲撃など命中はほとんどしなかった

 

天龍「このままじゃ全員沈むぞ!?どうする!?」

 

赤城「制空権も取られています・・・相手の艦載機の攻撃を食い止めるので精一杯です!」

 

電「はにゃあ!?」

 

雷「電!大丈夫!?」

 

電「ちゅ、中破で済んだのです・・・」

 

連続で相手の砲撃を回避しているのだ、燃料の消費が激しいのは言うまでもない

 

さらに艦娘達は疲労していた・・・それもそのはず、被弾しないためにかなり集中していたからだ

 

だがそんなことはおかまいなしに敵の砲撃は続いている

 

雷「電!危ない!」

 

電「雷ちゃん!?」

 

雷が電を庇ったのだ。戦艦の一撃だったので一撃大破だ

 

夕立「ヤバいっぽい!」

 

金剛「夕立!どうしたの!」

 

夕立「雷が砲撃を受けて大破したっぽい!さらに電が中破、天龍さんも小破してるっぽい!」

 

金剛「どうすれば・・・」

 

金剛は混乱していた・・・増えていく被害に減らない敵艦

 

どうすれば被害を減らせるか・・・どうすれば撤退できる隙が出来るのか

 

それらが一気に頭の中を回っている・・・冷静な判断も少しずつ出来なくなっていった

 

赤城「金剛さん!しっかりしてください!グッ!?」

 

赤城が金剛に叫んだ。だがその声が金剛に届くことはなく、かわりに砲撃音が金剛には届いていた

 

金剛「赤城!?」

 

赤城「私は大丈夫!まだ中破よ!」

 

しかし赤城のような空母などは中破するだけで艦載機を飛ばすことが出来なくなってしまう

 

つまり赤城が中破した時点で敵の艦載機の攻撃を受けてしまうことが確定してしまった

 

相手の攻撃の回避に専念しているため、対空攻撃は出来ない

 

天龍「マズイ!夕立達が全員大破した!俺も中破している!どうしたらいい!?」

 

依然として敵艦隊の数は変わっていない

 

こちらはどんどん消耗していっている

 

赤城「敵の艦載機の攻撃が・・・キャア!?」

 

金剛「赤城!?どうしたのですか!?」

 

赤城は艦載機の攻撃によって大破した

 

もはやこちらは満身創痍だった・・・それでも轟沈してないのは運がいいだけだろう

 

金剛も大破・・全員が大破してしまった

 

金剛(ああ・・・これで終わりなのですね・・・最後に・・・テートクに会いたかった・・・)

 

敵艦の砲塔が金剛に向いた・・・完全に轟沈させる気だろう

 

金剛(goodbye・・・皆)

 

そして・・・敵艦が砲撃した。

 

その時だ・・・横から赤城が来て金剛を突き飛ばしたのは

 

金剛「赤城!?」

 

赤城「貴女はここで沈んではいけませんよ・・・皆を引っ張っていってくださいね」

 

赤城は笑っていた

 

その瞬間赤城の体は轟音とともに黒煙に包まれた

 

金剛「赤城!あかぎ!あかぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

金剛の悲痛な叫びだけが辺りに木霊した

 

                      ~続く~



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十三話  (Heartbreak)

十三話です。

前回のあらすじ

赤城さん・・・ウッ


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒煙は消えた。黒煙が消えたあとには何もなかった

 

天龍「嘘・・・だろ?」

 

電「赤城さん!?赤城さん!」

 

天龍と電は慌てて声を掛けるが返事は帰ってこない

 

夕立達はその場で放心していた

 

こんなにあっさり轟沈したのだ・・・しかもよりによって最高練度の赤城が、だ

 

夕立「・・・ハハ、ハ」

 

夕立は笑っていた。自分でもなぜ笑っているのか理解できていない

 

最もお世話になっていた赤城がいなくなってしまった

 

夕立「あか・・・ぎ・・・さん?」

 

彼女は兵器だ。だが精神は少女そのものだ。それが艦娘というものだろう

 

自分の大事な仲間が目の前で沈んだのだ・・・心が壊れてしまってもおかしくはない

 

雷「夕立!しっかりしなさい!」

 

夕立は雷の一言で何とか正気を保てた

 

金剛「・・・許さない!許さなあああああああああいいいいいい!」

 

金剛は完全に理性がなくなっていた

 

金剛「沈め!沈め!沈めぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

金剛は狂ったように砲撃をしている

 

だがその砲撃は確かに相手にダメージを与えている

 

既に相手は何隻か撃沈している

 

天龍「おい!俺達も援護するぞ!」

 

電「なのです!」

 

慌てて4人が金剛の支援を開始した

 

だが天龍は少し嫌な予感がしていた

 

天龍(金剛の奴・・・体が持つのか!?)

 

恐ろしいまでの連続砲撃をしている金剛、その体への負担は尋常ではないだろう

 

雷「天龍さん!危ない!」

 

天龍「!?」

 

夕立「それっ!」

 

 

艦載機の攻撃が天龍に当たりそうになった。だがギリギリのところで夕立が艦載機を撃ち落とした

 

夕立「油断したら死ぬっぽい!」

 

天龍「すまねぇ夕立!助かった!」

 

電「金剛さんは大丈夫なのですか!?」

 

電は金剛の方を見た。そこには疲労しながらも砲撃をやめない金剛がいた

 

 

金剛「沈め・・・シズメェ!」

 

天龍「おい!金剛!もうやめろ!」

 

そう言って天龍は金剛を止めようとした。だが

 

金剛「放せ!私は・・・赤城の仇を!」

 

理性のなくなっている金剛はやめようとしない

 

天龍の嫌な予感が的中した。これ以上砲撃したらきっと彼女の体はもたないだろう

 

雷「!!二人とも!危ない!逃げて!」

 

雷がそう叫んだ。だがもう間に合わない

 

それくらい相手の砲撃が近かったのだ

 

二人は死を覚悟した

 

そして・・・砲撃が直撃した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、痛みはなかった

 

不思議に思い、目を開けるとそこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチャカチャと金属の音を立てている『艦娘のような何か』がいた

 

??「ふー・・・全く無茶ばっかりして・・・さっきのお姉さんもそうだったけど」

 

天龍「だ、誰だお前は!?」

 

??「自己紹介は後でいいかな?今はこの深海棲艦?だっけ?を片付けるのが先だよ。

  しっかし痛いなぁ・・・まさか装甲を削るとは思ってなかったよ」

 

金属の何かは笑いながらそう言った

 

??「ああ、死にたくなかったら私の後ろにいるべきだよ?」

 

天龍「な、なにを言って・・・」

 

??「いいから早く・・・ね?」

 

言われるがままに天龍たちは金属の何かの後ろに移動した

 

その直後・・・相手の連続砲撃が始まった

 

あと一歩でも遅かったら確実に被弾していたと思う

 

雷「砲撃・・・大丈夫なの!?」

 

??「うん、問題はないね。それよりも早く相手を攻撃して」

 

金剛も少しは冷静になったのか

 

金剛「私は一体・・・痛っ・・・腕が」

 

天龍「ようやく落ち着いたか、砲撃はしなくていいから安静にしてろ」

 

金剛「天龍・・・」

 

天龍たちが砲撃をしていると相手の数が減っていき、ついには全ての深海棲艦の撃退に成功していた

 

最後の一隻を夕立が沈め、辺りを警戒しながら何かの後ろから出てきた

 

全員大破していたがそれ以上のダメージはなかった

 

金剛「・・・赤城・・・」

 

金剛がそう呟いた。その時

 

??「赤城ってこの人の事かな?」

 

と言って、金属の何かは艤装らしきものを取り外してその中身を展開した

 

そこには・・・砲撃を受けたはずの赤城が無傷となって眠っていた

 

一同「赤城(さん)!?」

 

赤城「・・・んぁ?皆さん?どうしました?」

 

一斉に全員は赤城に飛びついた

 

金剛「赤城ぃ!良かった!良かったネ!」

 

赤城「んん??」

 

赤城は困惑していた。いきなり金剛に抱き着かれたのだ

 

??「どうやら無事に成功したみたいだね。良かったぁ!」

 

天龍「・・・お前、何者だ?」

 

??「私?私は・・・わた・・・わ・・・タ・・・シハ」

 

天龍「お、おい!いきなりどうしたんだ!?」

 

??「マ・・・ス・・・タァ・・・オフライン・・・にした・・・ね」

 

そう言って金属の何かは倒れた。さらに倒れたのが原因か金属が剝がれていった

 

雷「ちょっと!大丈夫!?」

 

さらに傷口が広がり、そこから出血していた

 

 

金剛「この人を鎮守府に!急いで帰りましょう!」

 

そこから急いで金剛達は鎮守府に撤退した

 

帰り着くまではそこまで時間はかからなかった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

金剛達が戦闘を終えて鎮守府に帰還中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大本営

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彩電「・・・ほう、プロトタイプにしてはいいじゃないか」

 

研究員A「お褒め頂き光栄でございます。ですがこの燃料の消費がネックです」

 

彩電「この再生能力があって戦艦程度の消費量なら問題はないだろう。流石は『アレ』だな」

 

研究員A「・・・どうやら消費量を見る限り戦闘は終了したみたいです。

   どうしましょうか?研究データは十分に確保できましたが」

 

彩電「ふむ、スイッチを切っておけ、それだけでプロトタイプはすぐに沈む」

 

研究員A「了解しました。『アレ』は?」

 

彩電「放っておけ、今回の研究データは十分だろう?」

 

研究員B「了解しました。おい、ソイツを開放しておけ」

 

研究員一同「了解」

 

彼らの足元は怪物の鮮血で染まっていた

 

                               ~続く~




何と赤城さんが復活しました()

あの艦娘のような何かは何なのでしょうか

そして研究・・・一体どうなるのか

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十四話  (少女)

十四話目です!
明日アプデだ ヤッター




吹雪「皆さん!どうしたんですか!その傷!?とにかくドックに急いで!」

 

 

吹雪は帰還した彼女達の様子を見て慌ててそう言った

 

だが、金剛の抱えていた謎の艦娘を見て

 

吹雪「・・・この子は?」

 

と尋ねた。

 

金剛「私達の命の恩人ネ!私よりも先に彼女を入渠させてほしいデス」

 

吹雪「わ、分かりました。では金剛さんは応急処置を受けてください」

 

金剛「了解ネ」

 

金剛はそう言って医務室に行った。

 

吹雪は言われたとおりに艦娘を先に入渠させた

 

だが入渠時間を見て驚いた

 

吹雪「入渠時間・・・00:00:00って何!?」

 

そう、そこには『0』としか表示されていなかった

 

??「ゴメンネ、起き上がれないのは傷ついたからじゃないの」

 

吹雪「!?誰!?」

 

何処からともなくそんな声が聞こえた

 

??「えっ!?君・・・私の声が聞こえるの!?」

 

吹雪「え、ええ分かるわ。貴方は誰なの?」

 

??「自己紹介は後でするからさ、弾薬貰えないかな?」

 

吹雪「??分かったけど…どうやって渡せばいいの?」

 

??「そこで倒れてる子の艤装に入れてもらってもいいかな?」

 

吹雪「・・・分かった」

 

吹雪は多少の疑問は持っていたが、今は考えないようにした

 

謎の声の言った通りに弾薬を艤装に入れると・・・少女は目を覚ました

 

??「た、助かったぁ・・・ありがとうございます!」

 

吹雪「え、あ、いや・・・」

 

??「そういえばあの『デース』とか言ってたお姉さんは大丈夫だったの?

 

吹雪「金剛さんの事ですか?問題はないと思います」

 

少女は「よかった」と言ってホッとしている

 

だが吹雪は聞きたいことが山ほどあった

 

吹雪「・・・あの、いいですか?」

 

??「うん、いいよ。どうしたの?」

 

その瞬間、吹雪の表情が変わった

 

吹雪「では・・・貴方は誰ですか?今まで資料などで見た艦娘には貴女のようなタイプはいませんでしたが」

 

??「うーん、何て言えばいいかな・・・あっ、じゃあまず初めに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      

 

 

 

 

 

 

                    『私は艦娘じゃないですよ?』

 

 

 

その一言に吹雪は硬直した

 

どういう事だ?艦娘ではない?では何故艤装を付けているのか

 

??「ああゴメンナサイ、言い方が悪かったです。

  正しくは『艦娘と深海棲艦のハーフ』でした」

 

吹雪「は?」

 

吹雪はかなり素っ頓狂な声を出していた。

 

艦娘と深海棲艦のハーフ?一体どういうことだ?

 

吹雪はかなり混乱していた

 

??「・・・やっぱり、一度に言うのは難しいですよね」

 

吹雪「深海棲艦のハーフって一体どういう事?」

 

??「深海棲艦の装甲を利用しているだけですよ。」

 

吹雪「装甲を利用するって・・・」

 

??「今の時代艦娘がどんどん沈んでいるというのはご存知でしょう

  そこで考えられたのが私『装甲艦』という新しい種類の艦です」

 

エッヘンと言いそうなくらい胸を張っている

 

吹雪「装甲艦?」

 

??「私は攻撃こそ何も出来ませんがその分装甲はかなり厚いです。

  さらに私は装甲のせいで駆逐艦を除くほぼ全ての深海棲艦に狙われます。

  きっと私が立っているだけだからでしょうけどもね」

 

と、笑いながら言った

 

 

吹雪「装甲艦ね・・・でも、大本営からは一切そんな事を聞いていませんが?」

 

??「それはそうでしょうね。だって私の存在自体極秘ですから」

 

吹雪「と、言うと?」

 

??「私は試験運用されたんですよ。マスターにね」

 

表情こそ笑っていたが目は笑っていなかった

 

??「マスターは深海棲艦について研究しているんです。

  そんな彼が目を付けたのが深海棲艦の装甲だったのです」

 

深海棲艦の装甲は砲撃を防ぐ事が出来るほど頑丈だ。

 

だが、もちろんデメリットもある

 

??「私の場合だと・・・そうですね、コレを見て下さい」スッ

 

そう言って少女は左目を吹雪に見せた

 

吹雪「えっ・・・左目が・・・無い!?」

 

吹雪は彼女の左目のある部分が真っ黒な事に気付いた

 

??「『左目がない』これが私の代償なのですよ。」

 

少女は笑顔でそう言った。

 

吹雪「え?何で左目が代償なんですか?」

 

??「うーん・・・説明すると難しいから見てもらっていいですか?」

 

吹雪「え?別にいいですけど・・・」

 

??「艤装展開」

 

少女がその一言を言った瞬間に少女の体に装甲が装備されていた

 

その装甲は黒で染まっていて、少女の左目には深海棲艦の眼が埋め込まれていた

 

吹雪「!?眼が・・・!?」

 

??「そう、艤装を展開してる時だけ左目があるんですよ。

  私達のように深海棲艦の素材を使った物を装備し続けるとその部位が深海化します

  つまり、私の左目がないのは左目が深海化していたからですよ」

 

吹雪「そうなんですか・・・え?でもそれで何故普通の状態で左目がないんですか?」

 

吹雪がそう聞いたら、少女は少し下を向いて

 

??「・・・マスターに抉られたんですよ、私の左目」

 

吹雪「・・・え?」

 

その時、吹雪の背中には冷たい風が吹いていた

 

                                  ~続く~

 

 




どうでしたか?

今回はお話がメインでした。

私の話では『装甲艦』という一種のオリジナル艦が出てきました。

少女と吹雪は何を考えるのか・・・

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Episode3 鎮守府混乱編
第十五話  (混乱)


十五話目です!

どうぞ、見ていってください!

今日はアプデだー。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督視点

 

 

提督「・・・ここが私の鎮守府か」

 

そう言って提督は車から降りた

 

約三週間ぶりに提督は自分の鎮守府に戻ってきた

 

だが、彼の目には期待や希望はなかった

 

提督「・・・何故だろう、すごく憎いのにどこか懐かしいんだ

   一回も来たことが無いはずなのに・・・」

 

提督は少し混乱していた。

 

提督「まあいいか、とりあえずは入るとするか」

 

そう言って扉を開けた時だった

 

艦娘「誰だ!?」

 

提督「!?」

 

提督は瞬間的に扉から手を放し距離を置いた

 

艦娘「って、その服・・・!?もしかして、提督か!?」

 

提督「??ああ、そうだが?」

 

艦娘「おーい!皆!提督が鎮守府に帰ってきたぞ!」

 

そう艦娘が言うとたくさんの足音が聞こえてきた

 

その中でも一人の少女・・・吹雪が抱き着いてきた

 

吹雪「司令官!お帰りなさい!」

 

提督は若干困惑していた・・・この少女は誰だ?俺が会った事は『ない』はずだ

 

提督「・・・大変失礼だが、俺は君と会ったことがあったかな?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

吹雪視点

 

 

 

天龍さんの一言が聞こえた

 

私は書類を放置して全速力で玄関に走った

 

夕立「ちょ、ちょっと吹雪!書類は!?樹奈も何か言ってほしいっぽい!」

 

??(以降、樹奈)「もう多分聞こえてないです・・・」

 

夕立「私も吹雪を追いかけるから、あとはよろしくね!」

 

樹奈「あ、ちょっと!・・・行ってしまいましたか」

 

少女の名前は樹奈、前に金剛達を救った装甲艦だ

 

夕立達とはすぐに仲良くなり、今日も書類の手伝いをしていた

 

樹奈「・・・まあ、いいですか、今日くらいは。私も追いかけますか!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

吹雪「司令官!お帰りなさい!」

 

そう言って無意識のうちに吹雪は提督に抱き着いていた

 

およそ三週間もいなかったのだ。吹雪はかなり心配していたのだ

 

だが、提督からの一言は吹雪の期待を壊すような一言だった

 

提督「・・・大変失礼だが、俺は君と会ったことがあったかな?」

 

吹雪「え?」

 

吹雪はその一言しか出せなかった。

 

吹雪「・・・冗談ですよね?司令官」

 

提督「いや、すまない、俺はここに『新しく着任したんだ』」

 

吹雪は信じられないといった目で提督を見ていた

 

人違いか?いや、この顔や声は間違いなく司令官だ

 

じゃあ何故?これは嘘じゃないのか?

 

提督の表情を見る限り嘘をついているとは思えなかった

 

吹雪(そうだ、司令官は用事があって大本営に行っていたんだ)

 

吹雪「あ、あの・・・大本営で何があったのですか?」

 

提督「大本営?それはもちろん・・・」

 

と言ったまま首をかしげていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

提督視点

 

 

提督「あ、アレ?何があったんだっけ・・・?」

 

思い出せない、何を命令されてこの鎮守府に来たのか

 

俺は昨日提督となれと言われたばかり・・・だ?

 

アレ?おかしいぞ?昨日は元帥と話をしていたはずだ

 

鉄底海峡が再び奪われたことを言われたはずだ

 

提督「ちょっと待ってくれ、俺はここに初めて来たんだよな?吹雪」

 

目の前にいる艦娘・・・吹雪に聞いてみた

 

吹雪は驚いた表情をしていた

 

ぁ…レ?何で自己紹介もされていないのに名前が浮かんできたんだ?

 

吹雪「・・・いいえ、貴方は三週間前に大本営に行ったはずです」

 

提督「三週間・・・前?」

 

その一言を聞いた瞬間・・・提督の頭の中に見たことのない記憶が思い出されていた

 

着任してすぐに一人で遠征に行ったこと、吹雪とともにカレーを作った事

 

そんな様々な記憶が瞬間的に流れ込んできた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

吹雪視点

 

提督「ァア・・・違う・・・しらない・・・こんなの、知らない!」

 

そう言って司令官は頭を抱え始めた

 

吹雪「司令官!?」

 

名前を呼ばれたことも驚いたが今度はいきなり司令官が苦しみ始めた

 

天龍「吹雪!提督はいきなりどうしたんだ!?」

 

天龍が聞く。だが、それは吹雪に分かる訳もなかった

 

吹雪「分からない。だけど、大本営の事を聞いた瞬間にこんなふうになってしまって・・・」

 

その時だ、樹奈がいきなり司令官に飛び込みそのまま鳩尾に一発殴りを入れたのは

 

提督「_____」

 

司令官は何も声を上げずにそのまま崩れ落ちた

 

 

樹奈「天龍さん!すぐに医務室へ運んでください!」

 

樹奈の鋭い声が聞こえる

 

天龍「!?分かった!」

 

そう言うと天龍はすぐに司令官を担いで医務室へと向かっていった

 

樹奈「手の空いている人は交代で提督さんを看病して!」

 

艦娘「わ、分かった!」

 

そう言って艦娘達は天龍の後を追った

 

その場には吹雪と樹奈だけが残った

 

吹雪「樹奈!一体何を!?」

 

樹奈「・・・吹雪、聞きたくないと思いますが、あの提督さんは・・・」

 

 

           

 

 

     『記憶が・・・グチャグチャになってますよ』

 

                                                                   ~続く~














どうでしたか?

久しぶりに提督が出てきたのですが・・・どうやら訳アリの様子

少女は樹奈(きな)と言います。覚えておいてくださいね

混乱している提督と吹雪。

二人はどうなってしまうのか

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十六話  (起きて)

十六話です!

今回は少々過去のお話が多いです!てか8割それです!ご理解ください!

皆さんは夏イベ何処まで行きましたか?私は全然行ってません!
     
まだE―2ですwflagshipコワイ


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ここは・・・どこだ・・・?」

 

提督は真っ黒い空間に一人いた

 

その空間には出口はなく、光も自身の足元しかなかった

 

 

 

「俺は・・・たしか、大本営に呼ばれて・・・」

 

そう考えた時だった

 

『憎い』

 

「ん?何だこの声は?どこかで聞いたことがあるような・・・」

 

その声はどんどん大きくなっていった

 

憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い

 

「何だこの声・・・徐々に近づいてきている!?」

 

謎の声はどんどん近づいている

 

声が近づくにつれ提督の心拍数が上昇していく

 

「やめろ・・・来るな!近づくな!」

 

いつの間にか提督は無意識のうちにそう言っていた

 

提督が瞬きをしたその時に

 

黒い深海棲艦のような化物が提督の前に立っていた

 

『ネェ・・・ナンデオマエダケイキテルノ?ナンデソンナニシアワセソウナノ?ナンデオマエダケ?ナンデ?』

 

化物はそう聞いた。その声は誰が聞いても不快感しか生まない冷たい声だった

 

「あ・・・ぇ?」

 

提督はいきなりの事で冷静に答える事が出来なかった

 

『ネェ・・・コタエテヨォ【兄貴ィ?】』

 

「アニ・・・キ?」

 

『・・・コレ、タベテェ?キットラクニナルヨォ?』

 

そう言って化物は自身の右腕を切り離した。

 

切った場所から赤黒い血液がおぞましい量出ている

 

提督は本能で危険を感知した・・・あれを食べたら『戻れない』と・・・

 

「やめろ・・・助けて・・・吹雪、助け_____!?」

 

化物は提督の口に無理やり右腕を押し込んだ

 

それは食べ物と呼べるようなものではなかった。不味い、吐きたい、見たくない…だがその時

 

「アガアアアアアアアアアァァァ!?」

 

提督の体に痛みが生じた。生半可な痛みじゃない、ショック死するほどの痛みだ

 

その時提督は全てを思い出した・・・

 

 

「ヤメロ!来ルナ!ワスレタクナイ!イヤナンダ!トメロォ!」

 

提督は抵抗しているが、侵攻が止まる訳がない

 

『抵抗シテモ無駄。大人シク飲マレロ』

 

冷たく笑った声が聞こえる

 

「ダマレ・・・ダマレダマレェ!ソノ醜イ口を開クナァ!」

 

『・・・タイムリミットダ、今回モダメダッタネェ?』

 

怪物がニタァと笑いながらそう言った

 

それと同時に急に睡魔が襲ってきた・・・痛みを和らげる為に脳がそうさせたのだろうか?

 

そのまま提督は意識を手放した

 

『モウ兄貴はハナサナイカラ・・・』

 

その怪物の声がうっすらとそう聞こえた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹雪「マスターに・・・抉られた?」

 

??「そうですよ?酷いですよね、マスター」

 

吹雪「・・・酷い」

 

吹雪は少女のマスターへの怒りを露にした

 

吹雪「貴方はそれでいいんですか?」

 

??「私は別にいいんですよね。もう慣れましたし。あと、私の名前は樹奈です」

 

少女・・・樹奈はそう告げた

 

吹雪「樹奈さん・・・」

 

吹雪は心配そうな顔で樹奈を見つめる

 

樹奈「まあ、私の話はここまでにして、これから私はどうしましょう?

  帰る場所もないですし・・・」

 

吹雪「じゃあ、この鎮守府にいてもらっていいですか?」

 

吹雪はそう提案した。

 

樹奈「いいんですか!?本当に私のような異端がいてもいいんですか!?」

 

樹奈は驚いていた。こんなに優しく接されたのは初めてだった

 

吹雪「もちろんですよ!後で皆さんにも紹介しますね!

  まあ・・・司令官がまだ戻ってきてないんですけどね・・・」

 

樹奈「司令官・・・?それって提督さんのことですか?」

 

吹雪「そうですよ」

 

樹奈「へぇ・・・因みに今は何処に?」

 

吹雪「大本営ですよ。もう行って約3週間が経過しましたが・・・」

 

樹奈の表情が一瞬曇った。だが吹雪はそれに気づくことはなかった

 

樹奈「・・・そうですか、きっとすぐ帰ってきますよ!」

 

吹雪「そうですね!信じて待ちましょう!

  それでは樹奈さんを皆に紹介しましょう!」

 

樹奈「樹奈でいいですよ。吹雪さん」

 

吹雪「!?何で私の名前を・・・?」

 

樹奈「金剛さん?に運ばれている時に聞こえたんですよ『吹雪に頼んだら何とかなるカモ』って」

 

吹雪「・・・・・・そ、そうですか!」

 

吹雪は嬉しそうな表情をしていた

 

吹雪「ま、まあとりあえずは部屋の位置などの確認に行こう!樹奈!」

 

樹奈「・・・ええ、もちろんですよ!」

 

そう言って吹雪は歩き出した

 

樹奈は複雑そうな表情で

 

樹奈「もしもの事があれば・・・その提督さんを殺すしか・・・」

 

そう呟いていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現在、提督はうなされたまま起きない。

 

艦娘達はそんな彼を不安そうな表情で見ていた

 

その中でも吹雪は特に悲しそうな表情で彼を見ていた

 

吹雪「・・・司令官の容体は?」

 

夕立「・・・昏睡状態っぽい。全く目が覚めないっぽい」

 

吹雪「・・・そう。司令官に何か変化は?」

 

樹奈「たまに『フ・・・ス・・・ナイ』と言ってるくらいです」

 

吹雪「一体司令官に何があったの・・・」

 

吹雪は提督の手を握っていた

 

吹雪「・・・司令官・・・起きて・・・下さい・・・」

 

吹雪は泣きながらそう呟いていた

 

                          ~続く~                                   

 

 

 

 

 














どうでしたか?

提督は何なのか・・・

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十七話  (一難の始まり)

十七話目です!

久しぶりの前回のあらすじ!

過去の記憶の提督、そして泣く吹雪・・・


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数時間が立ったが、提督の容体に変化はなかった

 

艦娘達は、ほぼ全員が食堂に集まっていた

 

吹雪「・・・司令官・・・」

 

吹雪はずっとこの調子だ。

 

よほど忘れられていたのがショックなんだろう

 

吹雪は絶望したような表情だった

 

暁「吹雪・・・」

 

そんな中隣にいた暁は吹雪を不安そうな顔で見つめていた

 

暁「司令官はちょっと疲れてるだけよ!心配ないわ!」

 

明るくそう告げた。だが吹雪の耳には届いていないらしくさらに顔を下に向けただけだった

 

食堂がどんよりとした雰囲気となったその時

 

夕立が食堂に駆け込んできた

 

吹雪「夕立!?もしかして・・・司令官が!?」

 

夕立「提督さんがいなくなったっぽい!」

 

と焦った表情でそう告げた

 

一同「!?」

 

食堂にいた艦娘達は驚いていた

 

 

天龍「どういうことだ!?夕立!提督は昏睡状態だろう!?」

 

夕立「それは間違いないっぽい・・・だけど」

 

そう言って夕立は吹雪に視線を送った

 

吹雪「・・・もしかして・・・」

 

吹雪には思い当たる節があった・・・『怪物化』だ

 

吹雪「皆さん!私の指示に従ってください!絶対に司令官を街に行かせないでください!

  駆逐艦の皆さんは鎮守府内をくまなく探してください!それから・・・」

 

吹雪はテキパキと各艦に指示を出していた

 

軽巡は駆逐艦と共に捜索、重巡、潜水艦、軽空母、正規空母と共に海上を捜索

 

戦艦やその他の艦は正面玄関の見張りをそれぞれに任せた

 

吹雪「もう一度言います。絶対に司令官を見つけて下さい!そして、街に出さないでください!

  もしもの場合は艤装を展開して撃ってください!」

 

一同「!?」

 

艦娘達は再び驚いていた・・・

 

加賀「提督を撃つ?そんな馬鹿な事がありますか?」

 

正規空母の一人・・・加賀が珍しく声を荒げた

 

吹雪「最悪の場合です・・・撃ち殺す許可はもう既に大本営から受け取っています・・・」

 

金剛「撃ち殺す許可って・・・何でそんなのがあるのデスカ?」

 

吹雪「分かりません・・・私だってその事を聞いたときは驚きましたよ・・・

 しかし、皆さんに説明する時間はもうありません・・・絶対に司令官を見つけてください!」

 

吹雪はそう全艦に告げた

 

かくして、提督の捜索が始まった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深海棲艦側

 

時は提督が鎮守府に着任する直前に戻る

 

数機の艦載機が提督の乗っている車を確認していた

 

ヲ級「ヲッ?ヲッ」

 

??姫「ソウカ・・・ツイニミツケタカ。ヨクヤッタ。」

 

深海棲艦が見えるはずのない車の方向を見つめている

 

言葉が喋れるほどの強い個体だ…きっと姫級くらいだろう

 

??「でもさァ?ナンデそんなに彼に注目シテルンだい?

 

??姫「ヤツラノflagship級ヲタヤスクツブシズメタノダ・・・チュウイハシテオクベキダロウ?」

 

??「ナルホドねえ・・・まァ、警戒するに越したコトはナイネェ」

 

??鬼「ショセンハニンゲンダ・・・ホウゲキサレレバスグニシズムハズダ?」

 

??「あのねぇ・・・聞イテタ?彼女ノ話」

 

??鬼「?キイテイテノワタシノハンダンダガ?」

 

鬼級の深海棲艦はそう3人に言った

 

??「ソノ考えが出来るノハアナタだけダヨ・・・」

 

そう駆逐艦ほどの少女が言った

 

??姫「マア、鬼ハソンナカンジダカラ。」

 

??「アッハイ。」

 

二人は妙に納得した。

 

??姫「サテ、コレカラノホウシンハキマッタナ。」

 

??鬼「モチロンダ、コノモンショウヲミレバコチラハワカルダロウ。」

 

ヲ級「ヲッ!ヲッ!」

 

??「ハイハイナルホド・・・私はバックアップをしろと」

 

??姫「ヨロシクタノンダゾ?オマエガジュウヨウダカラナ」

 

??鬼「ワタシハホカノヤツニシレイヲダシテクル」

 

??「他の深海棲艦にバレナイヨウニシロヨ?」

 

??鬼「アタリマエダ、ソッチモジュウブンキヲツケロ?

   ジャア、ワタシハイクゾ」

 

そう言って鬼級の深海棲艦は去って行った

 

??姫「ソロソロハジメルカ・・・」

 

??「ダネ。行こうか!」

 

ヲ級「ヲッ!」

 

そう言って三人も行動を開始した

 

??「プランAの開始ダ」

 

                              ~続く~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?

急に提督がいなくなって混乱状態の鎮守府

さらに深海棲艦の影・・・どうなってしまうのか!?

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十八話  (混乱する鎮守府『第六駆逐隊視点』)

十八話目です!


皆さんはイベントの進行具合はどうですか?

無事に進んでいる人、沼っている人、そもそもイベントに参加していない人


頑張っていきましょう!


今回は第六駆逐隊の回となります!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暁「電!そっちにはいたの!?」

 

 

電「いないのです!」

 

 

暁達第六駆逐隊は現在食堂の周りを捜索していた

 

だが、提督の痕跡などある訳がなく、ただただ時間だけが過ぎていた

 

 

雷「いないわね・・・どうしましょう」

 

 

響「そうだね。まずは吹雪さんたちに伝えるのが先かな?」

 

 

暁「二人とも、そっちには?」

 

 

響「案の定いなかったよ。どこに行ったんだろうね」

 

 

電「足跡すら残ってないのです!」

 

 

4人はそれぞれ悩んでいた。何も痕跡が残っていないのだ

 

 

暁「やっぱり食堂付近にはいないのかしら・・・」

 

 

雷「暁が最初に提案したんだからね!」

 

 

響「暁・・・お腹が空いたのかい?」

 

 

暁「ち、違うわよ!一人前のレディーの私がお腹が空くなんて・・・」グウ

 

 

 

 

暁「・・・・・・///」

 

 

 

響「確信したよ。」

 

 

 

暁「違っ!あの、その・・・」アタフタ

 

 

 

雷「もう!先に言えばよかったのに!」

 

 

 

暁「う、うるさいわね!別にお腹なんて・・・」グウ

 

 

 

 

電「暁ちゃん・・・おとなしく認めるのです!」

 

 

 

 

暁「わ、分かったわよ・・・ゥゥ」

 

 

 

 

??「・・・・・・ナイ」

 

 

 

暁「ん?今何か言ったかしら?」

 

 

 

雷「私は何も言ってないわ」

 

 

 

電「同じく、なのです」

 

 

 

響「いきなりどうしたんだい?暁」

 

 

 

暁「いや、今さっき『ない』って聞こえたから・・・」

 

 

 

??「ナイ・・・イナイネ・・・ドコヘ・・・?」

 

 

 

その声ははっきり4人に聞こえた

 

 

 

暁「・・・聞こえたよね、皆」

 

 

 

三人「「「もちろん(なのです)。」」」

 

 

 

響「今の音の位置は・・・食堂裏のあたりだね

 でもどうして?一度調べたはずなんだけど・・・?」

 

 

 

雷「行ってみましょう。一応艤装を付けて・・・ね」

 

 

 

そう言って4人は艤装を付けて、食堂の裏へと移動した

 

 

 

暁「そこにいるのは誰!?」

 

 

 

そう言って暁を先頭に、響、雷、電が飛び出してきた

 

 

 

一同「「「「えっ?」」」」

 

 

 

そこで4人が見たのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一同『深海棲艦・・・!?』

 

 

そこにいたのは紛れもなく深海棲艦だった

 

 

 

だがその姿は今まで発見されているものとは全く違っていた

 

 

 

だが響はその深海棲艦を見た瞬間に表情を険しくしていた

 

 

 

 

 

??「キ、キミタチハ?」

 

 

 

響「沈め」

 

 

一つの砲撃音が響いた

 

 

その砲撃は確実に深海棲艦を貫いた

 

 

 

??「エッ・・・?ナン・・・デ・・・?」

 

 

 

そんな中攻撃を仕掛けたのは響だった

 

 

 

暁「響!?どうしたの!いきなり!?」

 

 

 

響「見ればわかるだろう?攻撃をしたんだよ」

 

 

雷「なんでいきなり攻撃したのよ!?」

 

 

 

響「だってあの深海棲艦は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司令官の服を着ていたんだよ?

 

なら司令官は、もう・・・」

 

 

 

暁「響!」

 

 

 

そう言って暁は響の肩を掴んだ

 

 

 

暁「司令官が死んだなんて絶対に言わないの・・・」

 

 

 

そう言った暁の目からは涙が流れていた

 

 

 

 

響「・・・ゴメン、暁」

 

 

 

電「あ、あの・・・皆・・・アレ・・・」

 

 

 

一方電は撃たれた深海棲艦を指さしていた

 

 

 

響「え・・・嘘・・・」

 

 

 

響は驚いていた・・・そこにあの深海棲艦がいないのだ

 

 

暁「ど、何処に行ったの!?」

 

 

 

雷「分からないわ・・・とりあえず、吹雪さんに報告しに行きましょう」

 

 

 

そう言って4人はその場を後にした

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電「あの深海棲艦が気になるのです・・・」

 

 

 

雷「私も気になるけど先に吹雪さんに言わないとね」

 

 

 

その時だった、海から音が聞こえたのは

 

 

 

雷「何?敵襲!?」

 

 

その直後海から深海棲艦が飛び出してきた

 

 

 

響「あれは・・・潜水カ級!?」

 

 

 

電「でも大破しているのです!?」

 

 

 

カ級の手らしきものには白旗が握られている

 

 

暁「えっ?何で白旗なんか・・・?」

 

 

4人は白旗の意味を判断し、敵意がないと考えた

 

 

 

疑問を持った4人は大破しているカ級に近寄っていった

 

 

 

すると4人は気づいた・・・カ級の手らしきものの甲には何かが描かれていたことに

 

 

 

そして4人はさらに衝撃を受けた

 

 

 

カ級「タ・・・スケテ・・・クダ・・・サイ・・・コノママジャ・・・ミンナ・・・ガ」

 

 

 

微かに聞こえたカ級の声 

 

 

 

雷「え?一体どういう事!?」

 

 

雷を始め4人は慌て始めた

 

 

 

電「と、とりあえず入渠ドッグに急ぐのです!」

 

 

 

暁「で、でもいいのかしら?深海棲艦を入渠ドッグに・・・」

 

 

 

響「緊急事態だったって言えば問題ないんじゃないかな」

 

 

4人が話し始めた時に突如執務室からの放送が聞こえた

 

 

 

吹雪『皆さん!手の空いている方は出撃してください!海上を捜索していた重巡の皆さんから

  応援要請が出ました!現在は深海棲艦と協力して新型の深海棲艦と戦闘中みたいです!』

  

 

一同「「「「!?」」」」

 

 

その放送からは確かに、『深海棲艦と協力して』と聞こえた

 

 

 

雷「・・・もしかして・・・この子って・・・」

 

 

 

響「暁と電は吹雪さんに報告に行って、私と雷はこの子を入渠させてそちらに向かうよ」

 

 

 

3人「了解(なのです)」

 

 

そう言って4人はそれぞれの行動を開始した

 

                           ~続く~

 














どうでしたか?

正直今回だけ見ても全く繋がらないと思いますが

他の艦娘達の同時刻の描写もしますので待っておいてください!

それではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十九話  (混乱する鎮守府『戦艦編』)

十九話です!


今回は何が起こるのでしょうか?

本編をどうぞ~


 

 

金剛「全く異常はないのデース。いきなり吹雪はどうしたのでショウ?」

 

 

 

金剛は多少の疑問を持ちながら正面玄関の警備についていた。金剛だけではない、他の戦艦や他の艦種の艦娘も正面玄関にいた。

 

 

 

長門「確かにな、吹雪はあまり冷静ではなかったようだったな。やはり提督の失踪と何か関係が・・・?」

 

 

霧島「とりあえずはこのまま警備するのが一番かと」

 

 

榛名「榛名もそう思います!」

 

 

とは言ったものの、やはり正面玄関は平和だ。何かが隠れるような障害物もそんなに大きくないので隠れることは出来ないと考えられる。雲の流れも至って平凡だ、視界には海が広がっている。他の艦娘達は提督を見つける事が出来たのだろうか?深海棲艦の襲撃を受けていないだろうか、などといった考えが頭の中を回っている。

 

さらにここには戦艦と言う艦娘の中でも最強クラスの者達が集まっている。深海棲艦などはもちろん、提督でもまず通ることは出来ないであろう。そうその場にいた戦艦たちは思っていた。

 

だからだろう、真正面から何かが向かってきてもそこまで警戒しなかったのは

 

 

長門「ん・・?正面からきているのは誰だ…?」

 

 

 

金剛「深海棲艦・・・!?」

 

 

 

榛名「それに、あ、あの服は・・・!?」

 

 

 

霧島「・・・間違いありません。提督の来ていた服です」

 

 

提督の服を着た深海棲艦のような何かが少しずつ長門達へと近づいていった。さらに『それ』が現れた数秒後に食堂の方から砲撃音が聞こえてきた。食堂の方にも深海棲艦が出現したのだろうか?

 

金剛の頭にそんな考えが浮かんできた…だがそれよりも今は自分の為すべきことをするだけだ。

 

 

 

金剛「アナタは誰なのデスカ?」

 

 

彼女は比較的に穏やかな声で尋ねた。だが内心は焦っている…何故深海棲艦が提督の服を着ているのか?

 

 

もちろん『それ』は答えない。無言でこちらに近づいてくるだけだ。少しずつ、けれども確実に『それ』は私達に近づいてくる・・・その動きは不気味で、不規則だった。

 

 

長門「止まれ。それ以上近づくと砲撃するぞ」

 

 

長門の威圧的な声が聞こえる。だが『それ』は止まることなどなかった。

 

 

長門「警告はしたからな…全砲門、撃て!」

 

 

 

長門の号令と共に金剛を除く戦艦達が砲撃を行った。連続して聞こえる爆音。あっという間に『それ』は黒煙に包まれた。きっと普通の深海棲艦ならこれで跡形もなく消えているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『普通の深海棲艦』であることが前提の話だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その砲撃は数十秒間続いた。黒煙は未だ消えない。長門達は勝利を確信した。だがその中でも金剛は浮かない表情をしていた。

 

 

 

長門「フフッ・・・これがビックセブンだ。」

 

 

 

比叡「気合!入れて!頑張りました!」

 

 

榛名「金剛姉さま・・・どうしたんですか?浮かない顔して」

 

 

 

榛名は金剛の表情に気付いていた。それを隠すように声をかけられた瞬間にいつもの表情に変えた。

 

 

 

金剛「どうしたのデスカ?」

 

 

 

金剛はそう告げた。そう言って榛名の方に視線を変えたその時、深海棲艦の艦載機が榛名達の上に飛んでいることに気付いた。その艦載機は異常な軌道をしている。通常の艦載機ではありえないレベルの動きだ。

 

 

 

金剛「!?あぶな___」

 

 

金剛が言い終わる前に今度は長門達が煙に包まれた。だがその煙の色は白い。つまり爆撃機ではないという事だ。

何だ?何が起きている?あの深海棲艦か?いやでもあの砲撃を受けて生きているなんて考えられない。

そんな事を考えているうちにその白い煙は晴れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには・・・誰も立っていなかった。全員地面に倒れていた。

 

 

 

金剛「!?嘘・・・デショ?」

 

 

金剛は信じられないといった表情だ。その時後ろから声が聞こえた

 

 

 

??「イヤァ、ナンドツカッテモタノシイナァ」

 

 

そこには、黒煙に包まれたはずの深海棲艦のような何かが立っていた。

金剛は慌てて距離を取った。そして艤装を展開しようとした。だが艤装は展開できなかった。

 

 

 

金剛「What⁉何で艤装が!?」

 

 

??「ワタシガサイクシタンダヨ」

 

 

金剛はその話を聞いて絶望した。艤装が展開できない時点でもう艦娘に勝ち目はない。

 

 

??「マアマア、ワタシハベツニコロシニキタワケジャナイカラネ?スコシオハナシシヨウヨ」

 

 

金剛「お話・・・デスカ?」

 

 

??「ソウダヨ?ダカラオビエナクテダイジョウブダヨ。」

 

 

むしろこの状況で怯えない方がおかしいと思う。長門達が瞬間的に無力化されたのだ。警戒しないのは自殺行為に等しいだろう

 

 

??「カノジョタチハブジダヨ、タダイマハネムッテモラッテルダケ」

 

 

まるで金剛の心を読んだかのようにそう告げる。彼女は一体なんだ?

 

 

金剛「あの・・・アナタは?」

 

 

 

??「シツレイ、ジコショウカイシテマセンデシタネ。」

 

 

そう言って彼女は深海棲艦のような姿から艦娘に近い姿へと変わっていった。

 

 

 

??「私の名前は陽彩(ひいろ)。これで自己紹介は良かったのよね?」

 

 

彼女_陽彩はそう告げた。その姿は正規空母そのものだった。だがその姿は見たことが無かった。どの艦娘とも異なっている姿をしている。

 

 

金剛「あ、こ、金剛デース!ヨロシクネ!」

 

 

金剛はすぐに自己紹介をした。どうやら陽彩は敵対していないようだった。ただ敵対していないだけだ、彼女からは化物じみたプレッシャーが出ている。

 

 

 

陽彩「早速だけど・・私とお話ししてくれる?

 

 

彼女の表情は笑っていた。無邪気だったが、その無邪気さが逆に不気味だった。

金剛は意を決して彼女と話すことにした。

 

                                  ~続く~

 

 

 











陽彩(正規空母?)

深海棲艦のような姿をしていたが急に艦娘のような姿に変化した。
どうやら艦娘には敵意がないようだ…今のところは。
深海棲艦の艦載機を使用しているみたいだが…通常ではありえない動きが出来るようだ


とりあえず紹介はこんな感じで、また更新していきますよ~


二人がどんな会話をするのか…その頃重巡たちは何が起こったのか…

次もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十話  (混乱と協力)

二十話目です!

今回はどの視点なのでしょうか?


本編をどうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「そろそろ鎮守府ニツクワ。準備はデキテルヨネ?ヲ級、中間棲姫サン」

 

 

中間棲姫「アタリマエダ、チンジュフニシンニュウスルノガワレワレノヤクメダカラナ」

 

 

??「ソレハ失礼しましたっと…OK。ソノママ進んでいいわ。アチラノ警報器は止めてオイタカラ」

 

 

 

中間棲姫とヲ級は現在、鎮守府のすぐ近くにいた。といっても鎮守府の姿はまだ見えないが。

 

 

中間棲姫「サテ、ココマデハジュンチョウダナ。アトハヤツラガハナシヲキイテクレルカダガ・・・」

 

 

??「タブン難しいトオモウけどどうするの?」

 

 

中間棲姫「ソウダナ・・・」

 

 

二人が通信している時にヲ級が艦載機を飛ばしていた。そしてヲ級はあることに気付いた。出撃しているらしき艦娘の周りに深海棲艦がいる…だがそれらの個体に私達のような紋章がない…という事はつまり…

 

 

 

 

 

             『敵だ』

 

 

ヲ級「ヲッ!ヲッ!」

 

 

中間棲姫「ナニ!?アイツラガモウキテイルダト!?」

 

 

??「マズイネ・・・かなり早いよ」

 

 

中間棲姫と通信者は焦っている…何故あいつ等がこんなに早く来ている?何故知っている?我々の計画が漏れている…?不味いな…急がないと…

 

 

中間棲姫「イソグゾ!ヲ級!マズハアイツラヲセンメツシテカラダ」

 

 

そう言って二人は移動を開始した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

??「思ったより早いわ…ドウナッテいるノ?離島サン!そっちはどうデスカ?」

 

 

離島棲鬼「ウルサイ…コッチモアンゼンジャナイ」

 

 

??「何があったノ!?」

 

 

離島棲鬼「テキ…アイツラノカンサイキノコウゲキヨ…コッチハコウセンチュウ・・・デキレバタスケガホシイ」

 

 

??「嘘…デショ?ナンデ…?・・・今そっちに水鬼ガムカッテルワ。耐えて!」

 

 

離島棲鬼「リョウカイヨ・・・ソッチモ…ブジデイテネ」

 

 

そういって離島棲鬼は連絡を切った。切られた後彼女は考えていた…何故あちらも襲撃されている…?この計画はばれていなかったはずだ…内通者か?いやでもその可能性は低い。そう考えた時、一つの嫌な考えがよぎった。

 

 

 

??「まさか・・・ネ」

 

 

そう言って彼女は自身の服を確認した。彼女の服はそれこそ真っ黒だった。一見艤装はなさそうだが、服に隠れている。その艤装はこの作戦を行う前に仲間だった深海棲艦に最終調整をしてもらっていた。だからだろうか、艤装には発信機と盗聴器が付けられていた。

 

 

 

??「嵌められた…!?」

 

 

彼女は前の仲間を信じすぎていたのだ。この作戦を前の仲間には伝えていない。つまり前の仲間は最初からこの計画に気付いていた…何てことだ…これでは全滅してしまう…

 

 

??「どうすればいいの…?と、取り合えず指示しないと…でもマズハ」

 

 

彼女は自身の真下に潜水艦がいることに気付いた

 

 

潜水棲姫1「キヅイタノ…ネェ……エモノ…ガァ……フフ…ハハハ…!」

 

 

潜水棲姫2「イッポウテキニ……ギョライヲウケテ…シズミナサイ…!」

 

 

潜水棲姫3「フフ…オロカネェ……」

 

 

??「潜水棲姫ガ三体…構わナイワ…全員沈めてアゲル」

 

 

彼女…深海双子棲姫‐壊はそう告げた。

 

 

 

双子棲姫‐壊「ワタシはアナタタチをユルサナイカラ…沈メ」

 

 

双子棲姫と潜水棲姫の長く激しい戦闘が始まった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中間棲姫「ドコダ!?コノママススメバイイノカ!?」

 

 

ヲ級「ヲッ!ヲッ?」

 

 

 

中間棲姫「ミツケタ!アレ…ハ…!?」

 

 

中間棲姫が視たのは6体の深海棲艦だった。だがそのうち1隻が姫、1隻が鬼という絶望。

さらには随伴艦はeliteクラスの深海棲艦。流石にこれでは勝ち目は薄い

 

 

中間棲姫「ナンデコノレベルノヤツラガ!?」

 

 

艦娘「増援!?しかも姫級!?」

 

 

一人の艦娘がこちらに気付いた。その姿はボロボロで、既に大破しているようだった。

 

 

艦娘「赤城さん一体どうし…!?」

 

 

その声を聴いて次々にこちらを見てくる。

 

 

駆逐古姫「セントウチュウニヨソミヲスルトハ…ナメラレタモノネ」

 

 

 

軽巡棲鬼「シンカイヘ・・・シズメ!」

 

 

軽巡棲鬼が艦娘達へ向かって砲撃を開始した。彼女達はこちらを見ていたために気付くのが遅れたようだった。

 

 

 

中間棲姫「!!」

 

 

無意識のうちに中間棲姫はそんな彼女達の前に立ちその砲撃を受けた

 

 

艦娘「!?」

 

 

艦娘達は驚いていた…だがそんな事などは気にしない。今は自分の前にいるコイツラを殲滅するだけだ。

 

 

中間棲姫「オイ、カンムスドモ。コウゲキハデキルカ?」

 

 

艦娘「えっ?出来ます…けど…」

 

 

 

中間棲姫「ナライイ…ヒトマズキョウリョクシロ」

 

 

艦娘「分かったわ『加賀さん!?』」

 

 

加賀と呼ばれた艦娘がそう答えた。

 

 

中間棲姫「ヲ級、オマエハカンムスドモトトモニeliteドモヲシズメロ

     オニトヒメハワタシガシズメヨウ」

 

 

加賀「大破艦は撤退して。まだ攻撃できる艦はelite級に攻撃を

  赤城さんは直ぐに司令部の方に連絡を」

 

 

加賀が冷静に指示している。

 

 

中間棲姫「カ級。オマエハヤツラトイッショニテッタイシロ。シタニイルノハワカッテルノダ」

 

 

そう中間棲姫が告げるとカ級が浮上してきた

 

 

カ級「デ、デスガ!『イイカライケ。ヤツラヲゴエイシロ』…ワカリマシタ」

 

 

そう言ってカ級は再び潜水し、撤退している艦娘の護衛に回った

 

 

その場には中間棲姫、ヲ級、そして艦娘が5人残っていた。

 

 

中間棲姫「カガ・・・ダッタカ?セイカクナハンダンダナ」

 

 

加賀「それほどでもないわ。それよりも貴方を信用してもいいのよね?」

 

 

中間棲姫「フアンナラウテバイイ。・・・ヨルニナルマエニオワラセルゾ」

 

 

加賀「分かったわ。そっちは任せる。後で聞きたいことが山ほどあるけどもいいかしら」

 

 

 

中間棲姫「ソウダナ、オタガイガブジダッタラコタエヨウ」

 

 

加賀「そう。」

 

 

加賀は短く返すと狙いを定めて攻撃を開始した。

 

 

 

軽巡棲鬼「ナマイキナ・・・シズメ!」

 

 

駆逐古鬼「ウラギリモノガ!」

 

 

2隻の攻撃を容易く受け止めた中間棲姫は憎悪の表情で

 

中間棲姫「ナマイキナノハオマエラダ。ソシテシズムノモナ」

 

 

と告げ、2隻に艦載機攻撃を開始した

 

 

 

                 ~続く~

 

 

 

















と言う事で今回は深海棲艦側の視点でした!


多分次は重巡達の視点だと思います!


何故深海棲艦同士が敵対しているのか…


彼女達の運命は!?

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十一話  (怪物)

二十一話です。

今回は長いし、艦娘は出てきません。

それでもいい方は読んで行ってくださいね~


 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督「・・・ンァ?ここは・・・」

 

 

提督は身に覚えのない空間にいた。先ほどまで確か艦娘たちに囲まれていた気がする…だがこの空間には何もない。さらに誰一人いない。文字通り、『何もない空間』だ。

 

 

提督「俺は…そうだ!吹雪は!?」

 

 

意識が無くなる前に思い出した少女の名前を呼んだ。返事は来ない。

 

 

提督「何で俺はここに…?俺は鎮守府に戻ってきたはずだ…」

 

 

提督の頭は強く打ったかのように鈍い痛みと同時にノイズが走っているような気がしている。その場に立ってみると立ち眩みのようなものが起きて顔を少し歪めてしまった。

 

 

提督「・・・とりあえず…進む…しかないよな?」

 

 

提督は少しずつだが歩を進めた。何もない空間の中を当てもなく歩いている。どこまで進んだのかすらわからない。自分がどっちから来たのか分からない。無事に帰れないかもしれない。そんな不安が頭の中を過った。

その時、何処からともなく声が聞こえた。幼い少女と少年のような声。

 

 

提督「ッ……」

 

 

提督は少しの間動きを止めた。なぜならその声を聴いたとき少しノイズが晴れたのだ。だが、それと同時に自身の頭が危険を知らせたのだ。これ以上知ってはならないと…

 

 

提督「進むしか…ないよな…」

 

 

結局好奇心の方が勝ってしまった。提督は好奇心につられて進んでいった。前進するたびにその声は大きくなっていく…声が大きくなるたびにノイズはどんどん晴れていく。ノイズが晴れ記憶が思い出され始めた。

憎い…艦娘が憎い…何故だ…?何故憎いのだ…?人間の敵は深海棲艦だろう…?

 

 

 

提督「…どう…なっているんだ…?」

 

 

 

そんなことを呟きながら進んでいく…だがいつの間にか何か壁のようなものに引っかかっていた。

 

 

??「ようこそお越しくださいました。マスター」

 

 

暗闇の中から誰かの声が聞こえる。その声に聞き覚えはない。

 

 

提督「だ、誰だ!?」

 

 

提督が尋ねる。だがその声はまるでその質問をされることが分かっていたかのように答えた

 

 

??「自分の名前はヤスデ。以後お見知りおきを。提督さん?いえ…マスター」

 

 

ヤスデはそう言った。少し目を凝らしてみるとヤスデの姿が見えるようになっていった。そして見る事が出来た少女の姿は…彼には見覚えがあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督「…えっ…ふ…ぶき?」

 

 

 

ヤスデ「…あぁ、吹雪様の事でしょうか?お姿をお借りしているだけですよ」

 

 

ヤスデはそう答えた。姿こそ吹雪だが髪の色はこの空間に目立ちすぎるほどに真っ白だった。

 

 

提督「………えっと…ヤスデ?でいいんだよね?俺は何でこんなところに…?」

 

 

提督は自分の疑問を尋ねてみた。きっと答えは返ってこないのだろう。そんなことを考えながら彼女の返答を待った。だが意外にあっさり彼女は答えた。

 

 

ヤスデ「ここは貴方様の精神世界です。貴方様の精神は今、ギリギリ保たれているんですよ?

   通常、ここまで真っ黒くなることはあり得ないのです。ですが貴方様の精神は黒い。

   つまり・・・」

 

 

提督「分かった。もういい。ありがとう」

 

 

提督はヤスデの話を聞くたびに背筋が凍っていくのを感じていた。だから彼女の話を遮ったのだ。

 

 

ヤスデ「そうですか。分かりました。」

 

 

彼女は短くそう返すと机と椅子をどこからともなく準備して提督に座るよう指示した。提督はその一瞬の行動に目を見張ったが座るように指示されたので座ることにした。

 

 

提督「何でお前は俺の精神世界?にいるんだ?」

 

 

ヤスデ「自分たちが貴方様の精神にしか存在していないからです。いわば自分達は貴方様の思念体と思っていただければ幸いです。」

 

 

ヤスデはそう淡々と答える。まるでその事が聞かれるかのような答え方だった。

 

 

提督「吹雪や夕立、他の艦娘たちは?」

 

 

ヤスデは少し驚いたような表情をしていた。だが、それもすぐに元の表情に戻して…少し間を開けて話し始めた

 

 

ヤスデ「…マスターは今何処まで記憶を取り戻していらっしゃっているのですか?・・・・・・いえ、答えなくても結構です。貴方様の表情を見ている限り、吹雪様のこと以外にも最近の事なら思い出せているようですが…昔の事は都合よく覚えてないのですね。」

 

 

 

ヤスデはそう告げた。提督にとっては何を言っているのか理解が出来ない、といった表情だった。

 

 

ヤスデ「貴方様の質問に答えましょう。彼女達は今現在は無事です。『今現在』は、ですけれども」

 

 

提督「・・・今現在っていうのは…?」

 

 

ヤスデ「簡単な話、貴方様の鎮守府は数時間後に壊滅すると考えられますよ。」

 

 

ヤスデは一言、そう告げた。彼女の目を見る限り、嘘偽りはないと考えられる。

 

 

 

提督「…何故そんなことがわかるのかい?」

 

 

ヤスデ「自分達はもう既にこちらの世界から貴方様の世界へと危険を知らせに行っております。今回は二人、向かわせております。もう直に帰ってくると…言ったそばから帰ってきたみたいです。」

 

 

ヤスデは自身の後ろにいつの間にかあったドアを開けた。するとその扉から二人の少女が現れた。提督はそのあまりに非現実な光景を目にして驚きを隠せなかった。

 

 

??「…いきなり…撃たれた…痛い」

 

 

??「まあまあ、そんなこと言わずにさ」

 

 

??「陽彩はいいよね…会話…出来たんでしょ?」

 

 

陽彩「ええ、確か…金剛って人に危険を知らせたよ。敵意がないことを伝える事が出来てよかったわ。そういう白風は誰に撃たれたの?」

 

 

白風「えっと…白い髪の駆逐艦…かな。四人一組で行動してて…響…さんって言ってた」

 

 

そんな二人の少女の会話が聞こえる。提督はただただ驚くことしかできなかった。

 

 

ヤスデ「…二人とも、マスターがお見えになっています。私語を慎みなさい。」

 

 

ヤスデがそう告げると二人は一言も発さなくなった。ただこちらを見つめている。

 

 

陽彩「ご命令を。」

 

 

そう言って陽彩はこちらに命令を求めている。

 

 

ヤスデ「自分達は貴方様の思念体。貴方様からの命令であればどのような事でも終わらせるする所存です。」

 

 

提督はただこの状況を見て停止していた。不可解なことが多すぎる。

 

 

提督「…とりあえず…自己紹介でもお願いしようかな?あと無理して敬語じゃなくていいから」

 

 

提督がそう言うと三人は態度を改めて自己紹介を始めた

 

 

陽彩「私の名前は陽彩。主に艦載機運用をしているわ。艦の種類で言うならばそうね…装甲空母っていう種類が一番近いわ!さっきまでは金剛…戦艦に接触してたのよ」

 

 

陽彩と名乗った少女は肩に飛行甲板を、背中には艦載機が収納されているのだろうと思われる小さな倉庫を装備していた。まじまじと見てしまっていたのだろうか。陽彩から声を掛けられた。

 

 

陽彩「あのぉ…マスター、そんなに飛行甲板を見られると…恥ずかしいわ…」

 

 

提督は少し不思議に思っていた。この飛行甲板の形…何処かで見たことがあるような気がする…

 

 

白風「あの…私…自己紹介していい…?」

 

 

提督「ああ、ゴメンな。よろしく頼む」

 

 

白風「私…白風(しらかぜ)って言います…基本的には酸素魚雷を扱ってます…艦で言うなら軽巡です…よろしく…お願いします…」

 

 

白風はオドオドしたような様子で自己紹介した。腰と足のあたりに魚雷管が、両腕には主砲を装備していた。気は弱そうだったが、その少女の目には確かに強い意志があった。

 

 

提督「よろしくな。白風」

 

 

提督が白風を呼ぶと一瞬嬉しそうな顔を見せたがすぐに表情を戻してしまった。

 

 

ヤスデ「改めまして、自分はヤスデといいます。艦種としては、駆逐艦が最も近いかと考えられます。」

 

 

ヤスデは何も装備をしていない。この場所に残っていたからだろう。

 

 

提督「よろしくな。ヤスデ。ところで二人は何処に行っていたんだ?」

 

 

ヤスデ「そうですね…二人とも、マスターに報告しなさい。」

 

 

陽彩「私達はマスターの鎮守府に行ってきました。そしてそこにいた戦艦『金剛』へ鎮守府に近づく危険を知らせました。ですが彼女達だけでは守りきることなど出来ないと思います。ましてやマスター…もとい司令官がいないので作戦が崩壊する可能性もあります。長く持って夜戦までかと。」

 

 

陽彩は素早く手短にヤスデに報告を行っていた。その報告に嘘はないと考えられる。提督はそのことを聞いて一言も話さなくなった。

 

 

ヤスデ「そうですか…では敵性勢力の方はどうでしょうか?」

 

 

白風「えっと…軽く見積もって…10隻はいました。現在は…どうやら艦娘を助けている深海棲艦と共に戦闘中のようです…さらに…数キロ先でしたが増援が…向かってきていることを確認しました。その数がおよそ50隻以上は…いるかと…到着予測としてはやはり夜戦の時に合流してしまうかも知れません…」

 

 

 

ヤスデ「フム…なるほど。二人とも、報告ありがとうございました。」

 

 

ヤスデは少し考え始めた。どうあがいても絶望的状況だ。打破することは出来ないだろう。そもそも何故あんな機能し始めて一か月も経過していない小さな鎮守府を狙うのだろうか。そんなに大量の戦力なのに横須賀や佐世保などの大きな鎮守府は狙わないのだ?…奴らの考えが読めない…ここから近い海域は…確か鉄底海峡…ん?待てよ…鉄底海峡?まさかとは思うが…

 

 

ヤスデ「…マスター一つ質問をしてもよろしいでしょうか?鉄底海峡は…深海棲艦に再び奪われましたか?」

 

 

提督「・・・いや、そんな事は…大本営の報告にはなかったはずだ…」

 

 

やはりか。やはり大本営は…そのことを知っての配属か。余程マスターを使いたいのか?本当に…反吐が出る。これだから人間は嫌いだ。まあ今はそんな事はどうでもいいか…一つだけなら方法はあるが…使いたくない。

 

 

ヤスデ「・・・・・・・・・一つだけなら…方法があります」

 

 

提督「………その方法とは?」

 

 

ヤスデの一言に提督は反応した。その声に反応すると同時に何か…黒い感情が込み上げて来るのを感じた。

 

 

ヤスデ「…これに関してはマスター自身が判断してください。自分達はマスターの判断に任せます。」

 

 

陽彩「ヤスデ…まさか…アレを?」

 

 

白風「マスター…精神が持つの?」

 

 

提督「一体どういうことだ?精神が持つって?」

 

 

ヤスデ「これは一つの賭けです。マスターが精神を保つ事が出来れば確実に勝利出来ます。ですが保てない場合は・・・今は話していても無駄かと。ついてきてください。案内します。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤスデを先頭に、提督は進んでいった。辺りは真っ暗なのにヤスデはまるで道を知っているかのような足取りだった。提督には道らしきものなど何も見えていない。しばらくの沈黙の後…不意にヤスデの足が止まった。

 

 

ヤスデ「すいませんが…自分が案内できるのはここまでです。この扉の先には貴方様一人で行ってください。」

 

 

そう言い残し、ヤスデは去って行ってしまった。その場には提督一人だけしかいない。提督は言われたままに目の前にある扉らしきものを開けた。ギィィィィと鈍い音と同時に冷たい風が提督に吹いてきた。そこにいたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ黒な体をした自分だった。怪物のような姿なのに妙に親近感がある。

 

 

怪物「やァっと来たか。遅ぇよ。兄貴」

 

 

その声には聞き覚えがあった…兄貴という言葉にもだ。

 

 

怪物「オメエノ考えてることは分かる。喋らなくていい。」

 

 

目の前の怪物はそう告げた。一般人なら恐れて逃げ出しているだろう。それほどの迫力があった

 

 

怪物「オメエよぉ、『思い出せた』か?・・・・・・やっぱりダメか。分かってたがな…チッ…あの野郎…」

 

 

 

怪物は腕組をしながらそう告げる。提督は何を言っているのかが理解できなかった。しばらくうなり声を上げた後に怪物は思い出したかのように言った。

 

 

 

怪物「アア、確か要件は力を貸せだったか?答えはNoだ。何故お前を手伝う必要がある?オメエにとっては利益があるかも知れんが俺にとっての得は何だ?ないよなぁ?俺はオメエの精神が壊れるのを待ってるんだよ。俺がお前を助けたらオメエは精神が壊れるか?違うよなぁ?」

 

 

怪物は独り言のようにこちらの返事も聞かずに話している。だが彼は提督の考えている事に対して全て答えている。やはり彼は提督の考えを読んでいるのだろう。

 

 

提督「待て…精神を壊す…だと?どういう事だ!?」

 

 

怪物「…言ってなかったか…?まあいい…すぐにお前自身が分かる。で、どうするんだ?俺はオメエに協力するつもりはない。オメエは俺をどう説得するつもりだ?それとも諦めるか?俺はオメエが…」

 

 

提督には何故か怪物の思考が少しわかるようになっていた。それは彼と同じ原理なのだろうか。それでも不思議と不信感はない。彼の今の質問に対する最もベストな答えを提督は知る事が出来た。

 

 

提督「なら俺の体を対価にしよう。何が犠牲になるかは知らないけどな。俺くらいの体であいつらを救えるなら安いもんだ。それがお前の最も求める要求ならな。」

 

 

怪物「…ケッ、気付くのが早えな…さすがは兄貴だ。もう少し時間がかかると思っていたんだがな…」

 

 

提督「気づかなかったらこの場で取り込むつもりだったんだろう?恐ろしい事を考えるね。気づかなかったことを考えるだけでゾッとするよ。」

 

 

怪物「…ハハハ…そこまでバレてたか…じゃあ、兄貴は覚悟がある。その認識でいいな?契約は絶対だ。これは俺もお前も抗うことなど出来ねぇ。俺の考えを少しだけ読めている兄貴なら問題はないと思うが…まあどのみち精神を壊させてもらうがな」

 

 

提督「構わないよ。それであいつらが本当に救えるならね」

 

 

提督は無表情でそう言った。こういう場合は笑顔で言うのだろうか?だが精神が壊されると言われて笑顔でいられる方がおかしい。

 

 

怪物「ジャアヨォ…俺の体に触れ。そして願え。」

 

 

提督は怪物の言われた通りに彼の体に触り、自身の願いを考えた。だが考えるよりも早くおぞましいほどの憎しみ、絶望、狂気…何も言うことのできない感情が提督に流れ込んできた。提督はそんな感情を無理やり抑えながらも言われた通り願い続けた。数分間にも及ぶ願いを思い続けていたが…願いよりも先に自身の殺欲が芽生えてきた。

 

 

 

怪物「…サア、惨殺してこい。兄貴のその欲望を満たしてこい。目の前の扉をくぐれば兄貴は戻れる。行ってこい。そして…悪夢を見せてこい。」

 

 

 

提督?「…アア。敵ノ深海棲艦デモ叩キ潰シテクル。ヒャハハハハハ」

 

 

 

…もうそこには以前の提督はいなかった。今の提督は己の欲望に忠実な化物だ。彼は笑った後その扉の先へと進んでいった。彼の心は一つだった。何でもいい…殺したい。壊したい。相手の肉でも喰らって自身の欲望を満たしたい。右手に握っている日本刀のようなもので切り刻みたい…。だがそんな豹変してしまった提督だが一つだけ確かに覚えていることがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      

 

 

                     『艦娘達を助ける』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼はその一つの思いだけを覚え…夜の海へと降り立った。

 

 

 

怪物「ヒャハハ…ここまで計画が順調だと笑えて来るぜ。アイツがどんな風に壊れていくかが楽しみだ。」 

 

 

 

 

 

 

提督?「サア…アクムノハジマリダ。ヒャハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

 

 

                           ~続く~

 


















次回、夜戦に突入します。


壊れゆく提督、そして味方してくれた深海棲艦。大量の深海棲艦…


鎮守府はどうなってしまうのか。彼女達の起こした行動とは。


次回もお楽しみに。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十二話  (潜水艦ってことはカンケイナイ)

二十二話です!


更新遅くてすみません!

これからも更新遅くなりそうですが頑張っていきたいと思います!


 

 

 

 

 

 

 

双子棲姫‐壊「やっぱり潜水艦ハ嫌いダ…!」

 

 

双子棲姫は現在潜水棲姫三体と対峙していた。もともと彼女には対潜装備などないのだ。昼間の最初の雷撃戦以来、潜水棲姫は姿を消している。双子棲姫に探知することは出来ないので一方的に攻撃を受けているような状況だった。

 

 

双子棲姫「夜にナル前に終わらせたいけど…難しいかなぁ?」

 

 

実際、双子棲姫は潜水棲姫の魚雷を受けたがほぼ無傷だ。たがそれは昼だからこそだ。夜戦となると話はかなり変わってしまう。夜は潜水艦のメインフィールドのようなものだ。魚雷の威力は昼とは全く違うだろう。

 

 

双子棲姫「夕暮れだし…もうじき夜だね…一隻でもシズメヨウカ。」

 

 

ふう…と双子棲姫は息を整えた。僅かな波の音を聞いているのだ。潜水艦といえど僅かに音は聞こえるのだ。その音を彼女は聞いている。普通の艦娘にも聞こえないような小さな音。深海棲艦…それも姫級クラスだから聞こえたのだろうか。どうやら彼女は潜水棲姫の位置を特定できたようだった。

 

 

双子棲姫「見つけた!ヨシ、行きましょうカ!潜水艦ってことはカンケイナイッテことを教えてやるわ!」

 

 

彼女は予想だにしない行動をとった。彼女自身が目星をつけた場所に潜ったのだ。いくら深海棲艦とはいえこのような行動をとるのは自殺行為に過ぎない。可能な限り素早く浮上しなければそのまま沈んでしまうだろう。さらに潜水艦以外の艦種は基本的には浮いてしまう…だからこそ『深く潜れない』のだ。

 

 

 

潜水棲姫A「バカメ!ミズカラシズメニクルトハ!」

 

 

潜水棲姫はこの時慢心していた。それも当然だ。ありえない行動に出てきたのだ。魚雷を当てれば相手は確実に沈む。こんなまたとないチャンスを双子棲姫自身が作ったのだ。そんな事を思いながら潜水棲姫が魚雷を装填していた時だった。

 

 

双子棲姫「捕まえた。マズハ一隻目ネ」

 

 

いつの間にか双子棲姫は潜水棲姫の目の前にいたのだ。何故だ!?何故ここまで深く潜れてる!?潜水棲姫は双子棲姫の艤装がないことに気付いた。普通深海棲艦は常に艤装を装備、展開している。艦娘も艤装は装備しているが任意のタイミングで展開することができる。艤装があることによって深海棲艦も艦娘も深く潜る事が出来ないと考えられて、そのせいで深海棲艦は潜る事が出来ず、ただただ沈むことしかできない。

 

 

 

潜水棲姫A「キ、キサマァ!ハナセ!ハナセエエエエエエエ!!!」

 

 

他の二隻も潜水棲姫の異変に気付いたが未だに魚雷の装填が完了していない。潜水艦は魚雷こそが全て。一発撃ってしまえば次の魚雷を発射できるまでに時間がかかってしまう。双子棲姫はそんな装填中の二人の姿を確認した。

 

 

 

双子棲姫「サテ、シズンデモラウ。」

 

 

潜水棲姫が何か言っているがもう関係ない。昔の仲間…特にこんな奴らの話を聞く価値などない。だが彼女は今、艤装を展開することは出来ない。展開してしまうと大変なことになってしまうだろう。じゃあどうするのか…答えは一つだ。『物理で殴る。』

 

 

双子棲姫「出来る限りクルシンデ沈メ」

 

 

双子棲姫は潜水棲姫を殴り始めた。ただ殴るだけじゃない、艤装を中心的に狙って殴っている。恐ろしいまでの速度で彼女は殴っている。すぐに魚雷発射管が壊れてしまった。それだけではない。装甲がどんどん削られている。だが潜水棲姫は肩を掴まれてしまっているので逃げることなど出来ないまま一方的な攻撃の前で耐えていた。装甲が無力化された時、双子棲姫は浮上し始めた。きっと限界が来たのだろう。だが潜水棲姫も大破している。

 

 

 

潜水棲姫「イマノウチニ・・・キズヲイヤサナイト・・・」

 

 

潜水棲姫がその場から去ろうとして動いた時だった。自身の艤装からカチッと音がしたのだ。何かと疑問に思って自身の艤装に触れた瞬間、その艤装が爆発を起こした。大破していて装甲の無くなった潜水棲姫はその衝撃に耐えられるわけもなく、そのまま沈んでいった。

 

 

浮上した双子棲姫は艤装を展開した。もう少しで夜だ。それほど長く潜っていたのだろうか?夜の潜水艦の攻撃を回避するために再び波の音を聞き始めた…

 

 

 

潜水棲姫B「シズメ!」

 

 

潜水棲姫の声が聞こえた。方向は分かった、あとはどう処理するかだが…夜だ。また潜ったところで今度はこちらが狙い撃ちされて沈むのがオチだろう。仕方ないが…回避に専念しよう。そう彼女が思ったその時だった。

 

 

??「フヒヒ…エモノ八ケッーン!ヒャハハハ!」

 

 

彼女のいた位置から斜め後ろから声のようなものが聞こえた。その声のような音はどんどん近づいてくる。彼女が後ろを振り向いた瞬間だった。彼女の目の前から潜水棲姫がいきなり水面に飛び出してきたのだ。その姿はあまりに痛ましく、艤装は刀のようなもので丸ごと切断された跡があり、両腕からは大量の血液のようなものが流れていた。苦痛に満ちたような表情で潜水棲姫は水面に浮かびそのまま動かなくなった。

 

 

双子棲姫‐壊「な…何が…!?」

 

 

驚いている間にも今度は水中から恐ろしい速度の銃撃が聞こえる。機関銃か何かの音だろうか?だが水中で使えるわけがない。そんなことを考えてるうちに水中から潜水棲姫の断末魔が聞こえた。

 

 

双子棲姫‐壊「何が起コッテルノヨ!?」

 

 

状況が読めない双子棲姫はただただ困惑しているだけだった。何故いきなり潜水棲姫が襲われた?あの声は一体なんだ?そんなことを考えている間にそのあたり一帯が真っ赤に染まった。

 

 

??「ナァ・・・オマエハドッチダ?」

 

 

双子棲姫‐壊「ヒッ!?」

 

 

いきなり後ろに現れたその声に驚くしかなかった。先ほども聞こえていた怪物の声だ。だが彼女の喉元には真っ黒い刀が突き付けられていた。何故艤装を展開していない?何故浮いている?

 

 

??「コタエロ・・・サモナクバ・・・・・・ン?コノ・・・モンショウハ・・・ナルホドナ」

 

 

怪物は彼女の紋章を見てすぐに拘束を解いた。双子棲姫は解放されると同時に距離を取り、その姿を見た。深海棲艦のようで全く違う。あのようなタイプは見たことが無い。かと言ってあんな艦娘も見たことはない。

 

 

 

??「ヨロコベ…ケイヤクノカンケイデオマエタチハコロサナイ。」

 

 

そう言って化物は刀のようなものを下した。

 

 

双子棲姫‐壊「契約…?イッタイ…ドウイウ…?」

 

 

双子棲姫が聞こうとした時、怪物はもうその場にはいなかった。海はまるで何もなかったかのように穏やかだ。つい先ほどまで戦闘が行われていたとは思えないくらいだ。

 

 

双子棲姫‐壊「・・・ソウダ…連絡…シナ…きゃ…」

 

 

双子棲姫は自身の展開している艤装にもたれ掛かり、そのまま座り込んだ。

 

 

双子棲姫‐壊「…久しぶりスギテツカレタ…しばらくは動けないわね…」

 

 

双子棲姫はそう呟いたまま、再び各隊への伝達準備を少しずづ始めていった…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り、17:00 執務室

 

 

 

吹雪「司令官は何処に行ったの…?これだけ探してもいないなんて…どうして!?」

 

 

提督代理の吹雪は慌てていた。行方不明の話を聞いてもう4時間は経過している。それなのに手掛かり一つない。完全に鎮守府内は混乱している。もし今深海棲艦が攻めてきたら確実に落とされてしまうだろう。

 

 

夕立「吹雪、とりあえず落ち着くっぽい!提督代理が慌てたら皆が慌てるっぽい!」

 

 

彼女と一緒にいる夕立がそう告げる。夕立は何度も吹雪を落ち着かせようとしているがそのほとんどが無意味に終わっていた。そんな二人がいる執務室に一人の戦艦が駆け込んできた。€

 

 

金剛「吹雪!ココにいたのデスネ!」

 

 

 

吹雪「ど、どうしたんですか?もしかして…司令官が!?」

 

 

 

金剛が入ってきた。ここまで動揺している彼女を見るのも初めてだ。

 

 

 

金剛「違うのデス!重巡達が敵と交戦中みたいデス!早急に援護が必要みたいデス」

 

 

金剛は息を整えながらそう言った。

 

 

吹雪「な、なんで金剛さんが知ってるんですか!?わたしにもそんな情報は届いてないんですけど…」

 

 

金剛「そ、ソレハ…」

 

 

夕立「そんな事はどうでもいいっぽい!今すぐに助けに行くべきっぽい!」

 

 

夕立は二人の口論が始まってしまう前にそう言った。確かに夕立は正しい。もしそれが本当ならば助けに行かなければならない。だが…もうじき日が暮れる。間違いなく助けるときには夜になっているだろう。

 

 

吹雪「・・・そうですね…助けに行きましょう。とりあえず今この鎮守府内にいる人たちにでも放送を…」

 

 

吹雪は執務室のマイクを使おうとした…その時、再び金剛から声を掛けられた

 

 

金剛「アノ…深海棲艦が…助けてくれてるって…」

 

 

吹雪は金剛のその言葉に耳を疑った。

 

 

吹雪「・・・どういう意味ですか?」

 

 

金剛「そのままの意味デス。そいつらは助けてくれてるって…」

 

 

吹雪「金剛さん…何を言ってるんですか?深海棲艦が助けるって…そんな事…ある訳ない!」

 

 

夕立「だから一度落ち着くっぽい!」

 

 

夕立の苛立った声を聴いて二人ははっとした。今は言い争っている場合ではない。仲間の命がかかっている一大事だ。前の鉄底海峡のようにはなってたまるものか。

 

 

吹雪「分かりました。今は金剛さんの言葉を信じます。」

 

 

吹雪『皆さん!手の空いている方は出撃してください!海上を捜索していた重巡の皆さんから

  応援要請が出ました!現在は深海棲艦と協力して新型の深海棲艦と戦闘中みたいです!』

 

 

金剛「新型の深海棲艦…?そんな事は一言も言っては…」

 

 

吹雪「新型といった方が皆さんもより警戒すると思いますので、そう言っただけです。それよりも金剛さんも出撃をお願いします。この状況を知っているのはどうやら金剛さんだけですから。」

 

 

金剛「わ、分かったヨ!」

 

 

そう言って金剛は慌てて執務室を後にした。その数分後くらいだろうか。暁と雷が飛び込んできたのだ。

 

 

雷「吹雪さん!」

 

 

雷は息を落ち着かせながら吹雪の名を呼んだ。吹雪は何か起こったのだろうか?といった様子で彼女達を見た。

 

 

暁「入渠ドッグのすぐそばの海からカ級が発見されたの!で、でもその手には白旗が握られてて…」

 

 

吹雪は少し考えていた。さっきの金剛の発言を100%信じていたわけではないが…少なくとも深海棲艦が白旗を握っているなんて言うのは初耳だ。

 

 

吹雪「そのカ級は今何処に?」

 

 

暁「今は入渠ドッグに入渠してもらってるわ。で、でも潜水艦だからすぐに終わると思うわよ?」

 

 

吹雪「分かったわ。貴方たちもすぐに救助に向かって。」

 

 

雷「わ、分かったわ!」

 

 

そう言って必要最低限の会話をして二人は去って行った。夕立は何が何だか分からないといった表情で吹雪を見つめていた。正直、吹雪だって分からないことが多すぎる。何故深海棲艦が味方してくれている?何故司令官は消えた?何故救援要請の事を金剛さんだけが知っていた?分からない、分からないことが多すぎる。

 

 

 

夕立「そ、そうだ!カ級の話を聞くのが早いっぽい!」

 

 

夕立のその意見は確かなものだった。

 

 

吹雪「そうね…まずはカ級から話を聞きましょう!でも、話してくれるのかな…?」

 

 

そんな事を思いながら吹雪と夕立は入渠ドッグに移動していった…

 

 

 

 

 

 

                      ~続く~€€

 

€






その怪物は、何が目的なのか。


何故金剛が知っていたのか。

重巡達はどうなってしまうのか。

次回もお楽しみに!


ps:皆さんはイベントはどうでしたか?自分ですか?自分は丙のE7攻略中です。
連続で加賀さんが大破してしまう…どうしたらいいんですかねぇ()
あ、秋月ドロップしました。嬉しいです。ハイ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十三話 (Real)

二十三話目です!

今回はちょっとグロい表現がありますので注意を!

イベントお疲れさまでした。皆さんはどうでしたか?

新艦をゲットできた方はおめでとうございます!

次のイベントも頑張っていきましょう!

それでは本編どうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古鷹「あの深海棲艦たちは一体なんだったのでしょうか‥?」

 

重巡の一人、古鷹がそう告げる。彼女達は戦線から撤退していた。

今撤退しているのは彼女を含めて10人ほどだ。あの場に残ったのは加賀さんと赤城さん

そして加古の3人だけだ。もちろん私だって残れるのなら残りたかった。

だけども鬼級の砲撃を食らって一発大破してしまった。大破してしまった状態で

あの場所に残っても邪魔になるだけだ。なら撤退するしかない。そう決心したのはいいが

やはり加古が心配だ。いつもいつも彼女は無理をしている。無事だといいが…

 

龍驤「アハハ…まあ、今のところは心配せんでいいちゅうことや」

 

軽空母の龍驤がそう言ってくれた。前代未聞の事態にもかかわらず彼女はいつも通りだ。 

 

 

足柄「そうね・・・今は心配しなくてもよさそうね。」

 

同じ重巡の足柄がそう言った。もちろん彼女はそう言いながらもいつでも艤装を展開できる

ように準備だけはしていた。

 

他の艦娘達も警戒はしているが攻撃する気はないようだ。

今撤退しているのは重巡4隻、軽空母2隻、正規空母2隻の計8隻だ。

そのうちの5隻は大破している。正直、彼女達…もとい、深海棲艦たちが助けてくれなかったら

まず間違いなく沈んでいただろう。そう考えただけでゾッとする。

 

瑞鳳「とりあえず良かった…でも、提督は何処に行ったのかしら…?」

 

それはこの場にいる誰もが思っている疑問だった。

何故こんなにも探しているのに何の痕跡も見つける事が出来ない?

 

彼女達は自身の艦載機を活用してもなお、手がかり一つ見つける事が出来なかった

手掛かりを探している最中に敵の深海棲艦に艦載機を発見され、そのまま戦闘となってしまった。さらにその艦隊に姫級がいるなど思ってもみなかった。

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女達は今なお、夜の海を進んでいる。辺りに遮蔽物などは全くない。

もし今攻撃でもされてしまったら避ける事すら困難だろう

 

瑞鶴「…ねえ翔鶴姉、なんか寒くない?」

 

翔鶴「そうかしら?きっとただの気のせいよ」

 

五航戦の二人の会話が聞こえてくる。

確かに少し寒いような気がするけど本当に少しだけだ。特に支障はないだろう。

 

龍驤「しっかし、今夜は月が奇麗やなぁ!」

 

龍驤は呑気なことを言っている。まるで緊張感がない。

だがそれが彼女の取り柄だ。

彼女は彼女なりに私達を盛り上げてくれようとしているのが分かる。

 

筑摩「利根姉さん?大丈夫ですか?」

 

利根「うむ!吾輩は大丈夫じゃ!」

 

そんな会話も聞こえてくる。まるで遠足みたいだ。

それほど皆余裕があるという事だろう。

 

だが古鷹は何か気になることがあった。

 

古鷹「この辺りってこんなに流れが速かったかな‥‥?」

 

鎮守府近海は基本的に流れが緩やかなはずだ。

しかし今いる場所は何故か流れが速い。何か嫌な予感がする。

 

カ級「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

突然カ級との連絡が途絶えた。

彼女に何か異常が起きたのだろう

 

古鷹「皆さん!周囲を警戒し・・・て・・・?」

 

古鷹が彼女達に警告しようとしたその時、彼女はあり得ないものを目にした。

水中から大量の艦載機が飛び出してきたのだ。常識では考えられない。さらに今は夜。

また、何処にも空母の姿が無いはずなのに艦載機など飛ばせるわけ無いはずだ。

 

いきなりの水中からの艦載機の攻撃を回避できるわけもなく

そのまま全員艦載機の攻撃を受けてしまう…

と思われたが何があったのかその艦載機たちは攻撃をしてこなかったのだ。

 

利根「な、何事じゃ!?」

 

龍驤「マズいで…この状況で敵と遭遇…」

 

瑞鶴「翔鶴姉!皆!無事なの!?」

 

混乱している彼女達はそれぞれ互いの無事を確認している。これはマズイ…不利すぎる。

 

古鷹「皆さん!速度を上げてください!このまま撤退します!急いで!」

 

古鷹の指示は的確だった。全員が速度を上げたことを確認したら

比較的軽傷だった古鷹は最後尾についていた。

カ級との連絡も途絶えた。もう撤退するしかすべはなかった。

 

筑摩「後ろは振り向かないで!とにかく!安全圏へ!」

 

珍しく筑摩が声を荒げていた。それほど切羽詰まっていると言う事だろう。

このまま無事に撤退出来たらよかったが…現実はそう優しくはなかった。

この辺り一帯の早い流れのせいで思う以上のスピードを出す事が出来ない。

 

古鷹「やっぱり流れがおかしい…それに敵影も確認できない…」

 

古鷹が流れに疑問を感じた時、何かが水面に飛び出してきた。

それは人のような…それでいて両腕に何かを装備している。

その眼らしきものは青と黄色が混ざったような色をしていて、何よりフードを被っていた。

 

翔鶴「嘘…れ、レ級・・・?」

 

翔鶴が絶望したような表情でその化物の名称を呼んだ。

 

古鷹「レ、レ級?でも…資料と姿が違い過ぎる…」

 

姿はレ級に酷似していたがその大きさと装備している艤装、そして何よりも

彼女が海から飛び出してきたにも関わらずその肩に砲台のような深海棲艦がいるのだ。

さらに護衛艦に小さな深海棲艦がいる。こんなものは今までに見たことはない。

 

足柄「何なの…?この艦隊は!?」

 

古鷹「数は6隻…戦闘は無理です!撤退しま…」

 

古鷹は最後まで発言できなかった。相手からの砲撃だ。狙われたのは瑞鶴。

 

翔鶴「瑞鶴!?危ない!」

 

翔鶴は中破でありながら瑞鶴を庇う為に瑞鶴を突き飛ばした。

だが…それはあまりにも無謀だった。その砲撃に翔鶴は直撃した。

激しい黒煙が晴れたその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに翔鶴はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍驤「えっ…あっ…」

 

龍驤が翔鶴のいた場所を見つめながら唖然としている。他の仲間もそうだ。

特に瑞鶴は何が起こったのかをまだ理解していないようで、口が開いたまま一点を見つめていた。

 

 

だが、現実というのはあまりにも無情で

 

足柄「!?龍驤!避けて!」

 

いち早くショックから立ち直ったのは足柄だった。彼女は敵の攻撃に気付き、龍驤に伝えた。

だが、まだ立ち直っていない彼女は聞いていないようだった。

 

足柄(聞いてない…!?なら彼女を…」

 

足柄は今出す事が出来る全速力で龍驤の元へと向かった。

 

足柄「龍驤!危ない!」

 

そう言って足柄は手を伸ばし彼女の手を取る事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった。

 

足柄「えっ…?」

 

足柄は確かに彼女の手を取った。いや、取る事が出来た。

 

だが彼女の手を取れただけで『その場からは動かせていない』。

 

つまり龍驤は…跡形もなく1発の砲撃によって沈められた。

 

足柄が握っているのは必然的に亡き彼女の手だった。

 

足柄「ぇ…ぃゃ…いやああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

足柄の悲痛な叫びが聞こえる。

 

この時古鷹は思った。

 

 

 

      『現実というのは残酷だ。』と…

 

 

                                   ~続く~

 























現実はあまりに突然で非常だ。

沈んだ仲間を見て彼女達はどうするのか。

次回もお楽しみに


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十四話  (伝えられない思い)

二十四話です!

レ級のような深海棲艦に襲われてしまった古鷹達。

彼女達に勝機はあるのでしょうか!?

本編をどうぞ!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足柄「ぇ…ぃゃ…いやあああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

足柄の悲痛な叫びが聞こえる。それもそうだろう、救える事が出来たのに

救えられなかった…これほど辛いことはない。

 

その足柄の声につられるかのように瑞鶴も声を上げた

 

瑞鶴「翔鶴…姉ぇ?何処…行ったの?」

 

瑞鶴は未だに現実を受け入れていないようだった。

彼女が現実逃避するのも無理はない。つい先ほどまで笑いあっていたのだ。

だがここは戦場。その一瞬の油断が死に直結する。

数秒間何かを呟いた後に瑞鶴は気絶した。

 

レ級のような生物が今度は瑞鳳に砲塔を向けた。そして、そのまま間髪入れずに砲撃した。

 

瑞鳳「ッ!!」

 

瑞鳳は砲塔が向いていたことに気付いていたからこそギリギリ回避できた

だが回避する事が出来た瑞鳳だからこそ気付いたことがある

 

瑞鳳(弾速が速すぎる!?)

 

さらに通常の弾道ではない。本当に読めないのだ。

当たれば即轟沈、さらに弾道が読めないのなら危険すぎる。

 

古鷹「キャッ!」

 

古鷹の声が聞こえる、どうやら小さな深海棲艦達の魚雷が掠ったようだ。

 

利根「おのれ…仲間をよくも!」

 

利根が怒りを露にしてレ級のような生物に攻撃した。

だがその生物には全く効いていない。

 

筑摩「姉さん!急いで撤退しましょう!そんな傷では無茶です!」

 

利根は既に大破している。さらには小さな深海棲艦達によって右足をやられていた。

 

利根「じゃが、仇を…ッ!!」

 

筑摩「姉さん!」

 

筑摩と利根がもめている。その隙をその生物が見逃すはずがなかった。

 

筑摩「姉さん!危ない!」

 

筑摩が利根を庇おうとした。だがその瞬間筑摩は利根に突き飛ばされた。

 

筑摩「ね…ぇ…さ…ん…?」

 

利根「吾輩はもうダメなのじゃ…筑摩よ、死ぬな。生きてくれ。おぬしなら…きっと…」

 

笑顔で筑摩にそう告げ、その砲撃を受けた。

 

筑摩「嫌!姉さん!利根姉さん!」

 

黒煙が晴れ、その場にはもう・・・利根はいなかった。

 

筑摩「姉さん…ぁ、ぁぁ…ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

筑摩の声にならない悲鳴が聞こえる。

彼女はそのままその場に座り込んでしまった

 

そして、レ級のような生物は再び筑摩へと狙いを定め…その砲弾を放った。

 

古鷹「筑摩さん!危ない!」

 

小さな深海棲艦達の相手をしながら古鷹は筑摩へそう言った。

だが筑摩は動かない。

 

筑摩(姉さん…私も…すぐにそちらへ…)

 

だが筑摩のその願いは叶わなかった。

突然筑摩の前に何かが出てきたのだ。

 

黒煙が晴れた後、そこにいたのは樹奈だった。

 

筑摩「樹…奈…さん…?」

 

樹奈「遅くなりました。…ここは私に任せてください」

 

いきなり現れた樹奈に驚いたがここは樹奈の言うとおりにした方がいいだろう。

 

古鷹「わ、分かりました。ですが樹奈さんもすぐに撤退して下さい!」

 

古鷹は瑞鶴を抱えて他の艦娘と共に撤退しようとした。

だが筑摩だけはその場から離れようとしなかった。

 

筑摩「離してください!私は…私は・・・!」

 

筑摩が何かを言う前に瑞鳳が彼女の頬を思いっきり叩いた

 

瑞鳳「筑摩さん!貴方は利根さんの言葉を聞いたのでしょう!?

  それなら生きないと!利根さんの最後の願いすら叶えないのですか!?」

 

筑摩はしばらく考えた後に

 

筑摩「…そう…ね…姉さんの願い…叶えないと…姉さんに怒られちゃうわ…

  ごめんなさい。瑞鳳さん。手間をかけてしまって。」

 

どうやら筑摩は正気を取り戻したようだった。これなら安心だ。

 

古鷹「皆さん!撤退します!可能な限り早く!」

 

古鷹の号令の元、生き残った艦娘全てはその戦闘海域から撤退した。

 

 

数分後、金剛達と合流する事が出来た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

樹奈「さて…お久しぶりですね。」

 

生物「ウググググ・・・ヒヒィヒヒ」

 

樹奈はこの生物を何度も見たことがあった。何故ならば

 

樹奈「研究番号0017…人工的深海棲艦…確か、Shangri-la…でしたっけ?」

 

Shangri-la「ヒヒッ…シッテルッテコトハ…キミモカンケイシャダネ?」

 

Shangri-laと呼ばれた深海棲艦がそう言った。

 

樹奈「そうですね…どうやら貴方は覚えていないようですが…」

 

Shangri-la「ソウダネ、ワタシハオボエテナイネ。マアソンナコトハドウデモイイケド」

 

Shangri-laが樹奈に砲塔を向けた。それと同時に彼女の周りの深海棲艦達も砲塔を向けて来た。

 

Shangri-la「シズメ!」

 

Shangri-laの号令で、他の深海棲艦達も砲撃を開始した。

 

樹奈はその両手に持っている盾でその全ての砲撃を受け流している。

 

樹奈「弱いです…ね!」

 

樹奈は片方の盾を器用に利用してその砲撃を反射し始めた。

いきなり自身の攻撃を反射された2体の深海棲艦はそれに直撃し、そのまま沈んでいった。

 

それを見た3体の深海棲艦が近接戦闘に持ち込もうと寄ってきた。

それを樹奈が見逃すわけもなく、

 

樹奈「近接戦闘ですか?私、大好きなんですよ!」

 

樹奈は壊れたような笑顔でそう言った。

 

殴りかかろうとした1体の深海棲艦の腕を掴み、そのまま引き千切った。

片腕をなくしたその深海棲艦は大量の青い血液とともに声にならない悲鳴を上げている。

その深海棲艦にすかさず近寄り、頭と胴体を引き千切った。

 

その光景を見た残りの深海棲艦は若干怖気づいてしまっているようだった。

 

樹奈「来ないんですか?それなら…私から!」

 

樹奈は瞬間的に1体の深海棲艦の懐へと飛び込んだ。

その深海棲艦を片手でつかみ、Shangri-laの砲撃中に投げた。

当然その深海棲艦は砲撃の爆発で即死した。

 

樹奈「やっぱり脆いですね…よくもまあこんな装甲で生き残れましたね。」

 

樹奈は即死して浮かんでいる深海棲艦に軽蔑の目を向けてそう言った。

小さな深海棲艦達が一斉に寄ってきた。

 

小さな深海棲艦「キャハハ、キャハ」

 

赤子のような声で何発も魚雷を放つ。

だがその魚雷が当たることはなかった。

樹奈は魚雷の中を軌道を読んでいるかのように回避したのだ。

 

樹奈「PT小鬼群…ですよね?確か。貴方たちの対処法は既に理解していますよ。」

 

樹奈はPT小鬼を分断させるかのように中心にその群れの中に飛び込み

分断された1体を空中に投げた。

 

PT小鬼「!?」

 

2匹のPTは驚いているようだった。分断されたこと自体が初で、どうすればいいのかが分からない。

 

樹奈「・・・貴方たちの弱点は簡単…1体でもいなくなればその戦闘能力は激減する。

  つまりは1体だけでも消せばいいだけでしょう」

 

樹奈は1体を沈めた後もう1体の腕を掴んだ。

何をするのかと思えばその砲塔らしきものをそのPTから抜き取った。

PTが何か悲鳴を上げていたが関係ない。大量に出血していたがそのまま奪い取った。

砲塔を奪うとついさっきまで暴れていたPTが急に大人しくなった…というよりも息の根を止めた。

それに合わせて後ろにいたPTも急に動きを止め、そのまま沈んでいった。

さらに空中から落ちて来た最後のPTも同じように全く動いていなかった。

 

樹奈「・・・そして貴方達は1体でも沈んでしまえばそれに共鳴して他の2体も

  沈んでしまうのでしょう?」

 

樹奈はたった一人でShangri-la以外の深海棲艦を沈めた。

 

樹奈「後は…貴方だけですね。Shangri-la」

 

樹奈が狂気じみた笑顔でShangri-laに語り掛ける。

その笑顔は、仲間たちが見てしまったら失神してしまうほどの威圧感があった。

 

Shangri-la「イヒヒ・・・イイヨ。スコシダケ、アイテシテアゲルヨォォォォ!!」   

 

Shangri-laは瞬間的に砲塔を樹奈に向け、砲撃を開始した。

一発一発の攻撃の速さが今さっきとは全然違っていた。

だが連射速度が圧倒的に早い代わりに軌道は変わらなかった。

 

しかし、それでも回避することはほぼ不可能に近かった。

最初の数発こそ樹奈は回避できていたがあまりの連射数に残りの数十発は直撃してしまった。

 

樹奈「しまっ…!!」

 

樹奈は黒煙に包まれ…その姿が見えなくなった。

Shangri-laは直撃したことを確認し、連射をやめた。

そしてそのまま目を瞑って笑っていた。

 

Shangri-la「イヒヒ・・・オワッタネェ。クヤシイネェ。ザンネン‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹奈「そうですね、残念なのは貴方ですね。」

 

そう言った樹奈はShangri-laの背中を思いっきり殴った。

Shangri-laは貫かれなかったものの、その衝撃で60mほど吹っ飛ばされた。

 

Shangri-la「カハッ!?ナ・・・ナゼダァ!?ナゼ…ナゼイキテイル!?」

 

Shangri-laは突然の出来事で混乱していた。それもそのはずだ。つい先ほどまで連射を受けていた

アイツが何故自分の後ろに…?

 

樹奈「流石に少し痛かったですけどね。まあこの程度なら装甲を貫くなど笑い話ですよ」

 

樹奈がありえない方向に曲がっている自身の左腕を無理やり直していた。

バキッといった骨の音が聞こえた後、何の不自由もなく樹奈の左腕は動くようになっていた。

 

Shangri-la「・・・バケモノガ!シズメ!シズメェェェェ!」

 

そう言って体勢を立て直したShangri-laが再び樹奈に向かって砲撃を開始した。

だが樹奈はその砲弾を全て体で受けて、真っ直ぐにShangri-laへと歩み寄って行った。

 

樹奈「貴方には言われたくありませんね。確かその弾丸が…対艦娘用でしたよね。

  私にはその砲弾は効果ありませんよ。私、艦娘ではないので。」

 

砲弾が何度も何度も樹奈に直撃する。だが彼女にダメージはなさそうだった。

何発かが彼女を貫通していたがその都度貫通された部分が再生していたのだ。

 

樹奈「やっぱりこの特殊装甲はいいですね。大破しなくて済みますよ。」

 

樹奈は笑いながらそう言った。そしてShangri-laの目の前に着いた。

樹奈はShangri-laを一瞥した後…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹奈「貴方はどの種類の『艦娘』…ですかね?」

 

Shangri-la「エッ・・・・?」

 

樹奈はShangri-laの艤装を殴り、そのまま爆破させたのだ。

Shangri-laはその爆破に巻き込まれた。

 

Shangri-la「アア・・・ツキガ・・・きれい・・・ね」

 

Shangri-laの最後の言葉を聞き、樹奈は沈みゆくShangri-laを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹奈はその場に座り込んだ。

 

樹奈「…ごめんなさい…Shangri-la…」

 

彼女は泣いていた。

樹奈はShangri-laについて知っている。

それだけではない、他の研究対象についてもよく知っていた。

そして、その情報はこの鎮守府に来て確信へと変わった。

 

樹奈「マスタ―・・・やはり…貴方は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹奈が何かを言おうとした瞬間、

彼女の体の半分が無くなっていた。

 

彼女…樹奈はそのまま沈んでいった。

 

ありがとうと伝える事が出来ないまま、真実を吹雪たちに告げる事が出来なかったまま

深く、深く、堕ちて逝った。

 

 

 

 

 

 

彼女がいた場所には、彼女の装甲の一部が浮いていた。

 

 

 

 

 

 

 

???「真実に近づきすぎたのですよ。」

 

 

樹奈を沈めたと思われる人物が夜の暗闇の中、一人そう呟いていた。

 

 

    ~続く~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






樹奈は何を知っていたのでしょうか

結局、彼女は誰にも伝える事が出来ないまま、一人寂しく沈んで行ってしまったのです。

次回は…中間棲姫達のシーンを書きたいと思います。

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十五話 (対立する姫級)

お久しぶりです!

二十五話目です!

秋刀魚はどうでしたか?

自分は途中から海防艦掘ってましたが…全く来ませんでした()


中間棲姫「・・・ソノテイドカ?ワラエルモノダナ」

 

軽巡棲鬼「フ、フザケルナ!」

 

軽巡棲鬼が5発ほどの魚雷を中間棲姫に向かって放った。中間棲姫はその魚雷を避けることなく

正面から受けた。だが、どうやら中間棲姫に目立った外傷はないようだった

 

軽巡棲鬼「バ、バカナ・・・ギョライデシズマナイダト!?」

 

軽巡棲鬼の魚雷の威力は艦娘のそれとは次元が違う。

威力こそ雷巡に劣ってしまうが恐るべきはその命中精度だ。

棲鬼はありとあらゆる予測から狙った位置にほぼ100%魚雷を命中させる事が出来る

今回も弱点を狙ったはずだった。

 

だが、そこはあくまで『艦娘』の弱点であって、『中間棲姫』の弱点ではなかった。

 

中間棲姫「トラエテ・・・イルワ」

 

中間棲姫と目が合った気がした。その直後だ。

いきなり上から大量の艦載機が攻撃してきたのだ。

 

中間棲姫の奇襲を受けて、軽巡棲鬼は中破してしまった。

 

軽巡棲鬼「クッ…ナマイキナ!」

 

軽巡棲鬼の速力は目に見えて遅くなっていた。

それでも戦意は失っていないようだった。

 

中間棲姫「サア・・・トドメトイコウカ」

 

中間棲姫が軽巡棲鬼に近づいていく。

速力の落ちている棲鬼に追いつくのに時間はかからなかった。

軽巡棲鬼は追いつかれるとその口角をニヤリと上げた。

 

軽巡棲鬼「ココマデカンタンニヒッカッカッテクレルトハネ」

 

駆逐古姫「アキラメナ・・・ヨ!」

 

死角から駆逐古姫の魚雷が命中した。しかも、ほぼ0距離でだ。

さらには正面にいる軽巡棲鬼も砲撃した。

駆逐古姫は砲撃の威力は他の姫級より低いものの一撃一撃の魚雷の威力が高い。

そして0距離で当てることに成功した。流石の中間棲姫でも致命傷だろう。

そう古姫と棲鬼は確信していた。

 

中間棲姫「・・・ジョウダンモホドホドニシロヨ?」

 

そこには小破だが中間棲姫が確かに立っていた。

ゼロ距離で受けたにも関わらず、だ。

 

駆逐古姫「ナンデ・・・ナンデシズマナインダヨォ!」

 

駆逐古姫は瞬間的に距離を取る事が出来たが、軽巡棲鬼は速力が低下していたため距離を取れなかった。

中間棲姫は軽巡棲鬼を狙い砲撃した。

軽巡棲鬼はその砲撃に耐えきることは出来ず、沈んでいった。

 

駆逐古姫「シズメヨォ!」

 

再び駆逐古姫が砲撃してきた。

その砲撃と共に彼女の後方から多くの艦載機が飛んできた。

きっと増援なんだろう。そう中間棲姫は思った。

 

中間棲姫「オモシロイワ・・・カカッテキナサイ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ヲ級「ヲッ!」

 

加賀「ここは譲れません」

 

赤城「第一次攻撃隊、発艦してください!」

 

3人の空母が同時に艦載機を発艦した。

幸運なことに相手に空母はいなかった。

 

加賀(この艦載機の数なら開幕で沈められる…!?)

 

だが加賀の想像と同じようにはならなかった。

突如多くの艦載機が落とされたのだ。

幸い発艦させたのは艦爆が多めだったので艦攻の数は減らなかった。

だが空母もいないのにここまで減るのはおかしい。どういうことだ?

 

加賀「赤城さん、あなたの艦載機はどうですか?」

 

赤城「ダメです。ほとんど落とされました。」

 

加賀「えっと、ヲ級さんはどうですか?」

 

ヲ級「ヲッ……」

 

ヲ級は首を横に振りながら気を落としているようだ。

この様子だとどうやら私達と同じらしい。

 

赤城「でもなぜこんなに落とされているのでしょうか?」

 

ヲ級「ヲッ!ヲッ!」

 

ヲ級が何かを伝えようと必死にジェスチャーをしている。

 

何か…こう…よくわからない。

 

加古「敵が接近してる!交戦するぜ!」

 

加古のその一言でハッとなり再び集中する。

こちらが目視できる距離まで接近していた。

どうやら艦載機の先制攻撃は効いていたらしく、4隻から2隻まで減っていた。

そのうち一体が重巡、もう一体が軽巡だ。

 

ヲ級「ヲッ!」

 

ヲ級が私達が攻撃を開始する前に艦載機を発艦させた。

その艦載機たちは重巡ネ級に向かって飛んでいき、攻撃を全て直撃させた。

 

ネ級はその威力に耐えることは出来ず、何もしないまま沈んでいった。

残っているのは軽巡だ。

その姿はツ級のようだったが…ツ級ではないみたいだ。

 

加賀「鎧袖一触よ、心配いらないわ」

 

加賀がそう言い、艦載機を発艦させた。

だがそこで驚くべきことが起こったのだ。

ツ級のような深海棲艦がいきなり跳躍、そして自身の砲塔からワイヤーのようなものを出した。、

そのワイヤーに発艦した艦載機は絡み取られてしまった。

 

加賀「!?艦載機が…動かない…!?」

 

捕まった艦載機を必死に動かそうとするが、全く動かない。

加古が必死にワイヤーに向かって砲撃している。

何発もワイヤーに直撃していたがワイヤーが千切れるようなことはなかった。

 

加古「何で離さねえんだよ!?」

 

ツ級のような深海棲艦は捕まえた艦載機を加賀達に向かってワイヤーで結ばれている艦載機を放った。

その艦載機たちは真っ直ぐ加賀達に飛んでいった。

 

加賀「ッ!?」

 

加賀はギリギリのところで回避できた

と思っていたのは最初だけだった。

回避出来ていたと思っていたはずの攻撃が追尾するかのように背後から加賀に襲い掛かったのだ。

さらに艦載機が爆発し、より加賀へとダメージを与えた。

 

赤城「加賀さん!?」

 

赤城の悲鳴に近い声が聞こえる。

爆発の黒煙が晴れた後、加賀の倒れている姿が見えた。

 

赤城「加賀さん!!」

 

赤城は慌てて加賀の元へと行った。

加賀からの返事はない。最悪の予想が赤城の頭の中を走った。

 

加賀の元へ着いた赤城は息があるかどうかを確認した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

加賀「・・・・・・・・・・・・・・」

 

微かだが息遣いが聞こえた。どうやら気を失っているだけのようだ。

赤城はホッとした後すぐに深海棲艦へと向き直した。

 

赤城「加賀さんをよくも…!」

 

加古「これでどうだ!?」

 

加古は自身の主砲からの砲撃を行っている。

だがその砲撃をギリギリのところで深海棲艦は回避している。

 

深海棲艦は攻撃を行うため、再び跳躍した。

その瞬間、ヲ級は艦載機を発艦させた。

 

赤城「ヲ級さん!?」

 

ヲ級は加賀の攻撃を見たにもかかわらず艦載機を発艦した。

だがその編成はどうやら、偵察機、艦戦、艦戦のようだった。

 

ヲ級「ヲッ!オッ!ヲッ!」

 

偵察機を先頭に進んでいく艦載機たちにワイヤーが襲い掛かった。

だが、目を見張るようなことが起きた。

 

偵察機が進んでいるところには全くと言っていいほどワイヤーが飛んでこなかった。

そして偵察機の後ろを飛んでいる艦戦たちは当たらなかったワイヤーを撃っている。

重巡の主砲でも千切れなかったはずなのに艦戦はいとも容易く撃って千切っている。

 

加古「なっ!?」

 

これには加古も驚いていたようだった。赤城でも驚きを隠せなかったようだが。

ワイヤーを千切られた深海棲艦はそのまま墜落、水面でジタバタしている。

すかさず加古はジタバタしている深海棲艦に向かって砲撃。

どうやら装甲は全くと言っていいほどないみたいで、一発掠っただけで沈んでいった。

 

全てのワイヤーを千切った艦戦達はヲ級の元へと戻ってきた。

 

ヲ級「ヲッ。ヲッ♪」

 

どうやらご機嫌な様子だ。

 

赤城達は加賀を抱えて鎮守府へと向かった。

もう夜だ。あのまま支援に向かっても邪魔になるだけだろう。

 

赤城「でも…ヲ級さんの事はどうやって説明すればいいのでしょう…?」

 

そんなことを思いながらも、無事に鎮守府にたどり着く事が出来た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

中間棲姫「ハァ・・・ハァ・・・」

 

中間棲姫はたった一人で30に近い艦載機を捌いていた。

だがそれでも大量の艦載機が飛んできている。

捌いている間に夜になり、駆逐古姫の姿も見えなくなってしまった。

 

中間棲姫「サスガニ・・・スコシキツイナ・・・」

 

中間棲姫は艦載機の攻撃を回避しながらそう呟いた。

ここまで耐久するとは思わなかったので、もう既に燃料、弾薬は尽きてかけていた。

 

中間棲姫「コノママオワルノモ・・・ワルクナイカモナ・・・」

 

迫りくる艦載機たちの前でそう言って中間棲姫は目を瞑った。

 

その時だ、突如前方から大量の爆発音が聞こえたのだ。

何かと思い中間棲姫は目を開けた。

 

????「ネェ‥コノテイドデアキラメナイデヨ」

 

中間棲姫「ボウクウ・・・!?」

 

中間棲姫が見たのは…防空棲姫だった。

防空棲姫の対空射撃により、敵艦載機のほとんどを撃墜させることに成功した。

 

駆逐古姫「オマエモ・・・シズメ!」

 

何処から現れたのか分からない駆逐古姫が防空棲姫に向かって砲撃をしようとした。

防空棲姫はその砲撃に気付いていない。

 

中間棲姫「ボウクウ!アブナ・・・」

 

だが、目を疑うようなことが起きた。

いきなり駆逐古姫が頭を貫かれ即死したのだ。

防空棲姫は水面に倒れる音で初めて気づいた

 

防空棲姫「ナッ!イツノマニ!?」

 

中間棲姫は慌てて周りの確認をしたが何処にも敵影は見えなかった。

ソナーにも反応はない。なぜ駆逐古姫がいきなり頭を撃ち抜かれたのか。

流れ弾か?いや、それにしては正確過ぎる。

 

防空棲姫「ドウヤラ・・・テキハセンメツデキタミタイネ」

 

彼女の言うとおりだ。もう敵はいない。

そう考えると急に力が抜けてしまった。

 

防空棲姫「オット・・・ダイジョウブカ?」

 

中間棲姫「スマナイ・・・モウネンリョウガナクテナ・・・」

 

これからどうしようかと思っていたが、遥か後方…鎮守府方向から何人かの艦娘が見えた。

この状態で見つかったらマズイ。だがこの辺りに遮蔽物はない。

身長からして…駆逐艦くらいだろうか?

 

艦娘「確か…この辺りよね?カ級さんが言っていたのは」

 

艦娘「この先あたりだと思うのです!」

 

防空棲姫「マズイネ・・・ドンドンチカヅイテクル・・・ドウスル?」

 

中間棲姫「トリアエズ、ケイカイハシタママデイヨウ。アノヘンセイテイドナラカテルハズダ。」

 

その駆逐艦たちは合計で4人。夜だが、そこまで危険ではないだろう。

 

艦娘「え!?姫級!?」

 

艦娘の一人がこちらに気付いた。とりあえずは相手の出方を見よう。

 

艦娘「あの深海棲艦じゃないですか?どうやら傷ついているみたいだし…

  何よりカ級さんの話だと軽巡棲鬼と駆逐古姫がいたみたいですけど‥‥姿が見えないですし」

 

少しずつ、ゆっくりだったが近づいてきた。さて、どうするか。

 

艦娘「・・・こんばんわ。貴方はカ級さんの言っていた中間棲姫さんでいいのかな?」

 

銀髪の少女がそう聞いてきた。カ級の事を知っていると言う事は‥‥無事に到着できたのだろう。

 

中間棲姫「・・・アア、ソウダ。ソレガドウカシタカ?」

 

防空棲姫に支えられながらも中間棲姫はそう答えた。

そうすると4人の少女は安堵したような表情で、

 

艦娘「わ、私達は貴方達に攻撃しないのです!

  出来れば私達の鎮守府に来てほしいのです!」

 

涙目になっていながらもそういった。

少し疑問に思うこともあるが、願ったり叶ったりだ。

 

中間棲姫「スマナイガ・・・ソウサセテモラッテモイイカ?」

 

艦娘達「「「「もちろん(だよ)(なのです)!」」」」」

 

4人の艦娘達が笑顔でそう言ってくれた。どうやら歓迎させているみたいだった。

 

防空棲姫の支えを受けながらも彼女達の後ろについていき、そして鎮守府に着く事が出来た。

 

 

 

 

鎮守府に着いたときは…もう朝日が昇り始めたころだった。

未だに見つからない提督を探しながら…

 

                              続く

 




深海棲艦を歓迎する艦娘。
そして未だいない提督。

次回は離島棲鬼たちの視点を書きたい思います!
そして次回で鎮守府混乱編は最終回かも知れません。

次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十六話  (狂人)

二十六話目です!

今回は色々飛ぶかもしれませんのでご了承ください!

海防艦が来ない…()


離島棲鬼「カズ・・・オオイ・・・!!」

 

離島棲鬼達の深海棲艦は連合艦隊4つ分の数の深海棲艦の相手をしていた。

既に夜になっており、こちらの戦力は半分以下にまでなっていた。

増援である戦艦水鬼のおかげで相手の戦力も削ったはずだが…

 

戦艦水鬼「ナギサデシズメェ!」

 

何度目かの水鬼の攻撃だ。

その攻撃は強力で、周囲の駆逐級が風圧で吹っ飛ばされていた

だがその砲撃が敵の本陣に到達することなどなかった。

 

戦艦水鬼「ジャマヲスルナ!」

 

そこには彼女の元部下であった戦艦棲姫が何隻も集まっていた。

 

戦艦棲姫「ジャマナノハアナタヨ・・・シズミナサイ!」

 

戦艦棲姫が水鬼に向かって砲撃を開始する。

だが水鬼の方が圧倒的に強い。

軽々全ての砲撃を回避しながらその距離を縮めた。

だが水鬼は別部隊の接近に気付いていなかった。

 

離島棲鬼「スイキ!ヨコダ!」

 

離島棲鬼が気付き声を荒げてそう言ったが遅かった。

PT小鬼達6隻の同時魚雷だ。

気付くのが完全に遅れその魚雷が全て被弾。

さらには近距離まで詰めてしまった戦艦棲姫達の砲撃も全て被弾してしまった。

 

離島棲鬼「スイキ!」

 

離島棲鬼が慌てて護衛要塞を全て水鬼のバックアップへと向かわせた。

あの威力だ。沈んでいなくても確実に大破しているだろう。

 

戦艦棲姫が再び装填、そしてその砲塔を黒煙に包まれている戦艦水鬼へと向けた。

その時だ、

 

駆逐棲姫「ヤラセハシナイ!」

 

突如暗闇から現れた駆逐棲姫の砲撃により、砲塔を向けた戦艦棲姫を大破させることに成功した。

 

戦艦棲姫「コノガキガ!」

 

駆逐棲姫に注意が向いている間に無事に護衛要塞が水鬼の元へ到着した。

護衛要塞たちは瞬間的に水鬼を囲み、彼女が被弾しないようにした。

 

戦艦水鬼「スマンナ・・・タスカル」

 

案の定水鬼は大破していた

離島の判断は正しかったのだろう。

 

何体かの戦艦棲姫が撤退していることに気付き、追跡を開始していた。

砲撃可能な距離にまで詰めた時だった。

真横から砲撃され、4隻のうちの一隻が沈んだ。

 

北方水姫「ショウシ!コノワタシガアイテダ!」

 

護衛要塞を守るかのように仁王立ちした北方水姫は砲撃を開始。

流石に戦艦棲姫達も無視する事が出来ないのか標的を水姫に変えて砲撃を開始した。

 

北方水姫「ソウダ!ソレデイイ!カカッテコイヨォ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北方水姫が戦艦棲姫達と対立して早くも数時間が経とうとしていた。

水姫の燃料、弾薬共にほぼなくなっていた。

 

北方水姫「ヒキサガルワケニハ・・・イカナイ!」

 

沈むかもしれない。それでもいい。それが彼女の下した判断だった。

 

戦艦棲姫の砲撃が水姫を掠る。どうやら相手も私と同じみたいだ。

それならまだ勝ち目はあるかも知れない。

相手の数は3隻だ。

 

北方水姫「イクゾ!シズンエイケェ!」

 

北方水姫の砲撃が戦艦棲姫に直撃、だがそれでも相手は小破だ。

その時だ、戦艦棲姫達の後ろからワ級が近づいてきているのが見えた

どうやら戦艦棲姫達はしっかり補給が出来るみたいだ。もう勝ち目はなくなった。

 

北方水姫「ドウヤラ・・・ココマデカ」

 

北方水姫は戦艦棲姫達を見ながらそう呟いた。

だがその時だ。

見えていた全てのワ級が突然いなくなったのだ。

この事態に戦艦棲姫達も動揺を隠せないようだった。

 

戦艦棲姫「ドウシタ!?」

 

3隻のうちの一体が突如ワ級たちの消えた場所に向かった。

戦艦棲姫が着いた瞬間、紅い一閃と同時にその巨大な艤装と体が真っ二つに切り裂かれた。

2隻が驚愕している間にそれは0距離まで寄ってきていた。

刹那、その2隻は艤装のみを残しバラバラに切り裂かれた。

大量の鮮血が戦艦棲姫の亡骸から噴水のように溢れている。

北方水姫は本能的に恐怖を感じた。

『この化物には絶対に勝てない』と…

 

北方水姫「ク、クルナ!」

 

その化物は北方水姫には目もくれず、戦艦棲姫の艤装を喰らった。

その光景には水姫も驚くことしかできなかった。

二つの艤装を喰らった化物はそのままどこかへ行ってしまった。

 

北方水姫「アノホウコウハ・・・リトウタチガイル!」

 

だが燃料のない北方水姫は動くことすら困難だった。

水姫は惨殺されたワ級が流れてこっちによって来たのが分かった。

どうやら頭だけをキレイに切り取られているみたいで、重要な資源たちは奇跡的に無事のようだった。

 

北方水姫「コレナラ・・・マダイケル」

 

ワ級の資源を取り込んだ水姫は化物が去っていった方向

つまりは離島棲鬼たちのいる方向へと移動していった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

離島棲鬼「ヨクモ・・・!!」

 

離島棲鬼は戦艦水鬼がこちらへ撤退してきたのと同時に大量の深海棲艦と対峙していた。

離島達が連れてきていた戦艦級以下の深海棲艦は全てが沈んでいた。一体も残らず、だ。

 

最後に残っていたル級flagShip改は離島を庇って沈んだ。

さらには水鬼が大破している。相手の深海棲艦はどれもflagship級だ。

圧倒的に戦力の差が出ある。どうやら増援が来たみたいだった。

 

離島棲鬼「イヤチガウ!アレハワタシタチナンカジャ・・・!?」

 

その増援のような者には艤装などなかった。

ただ持っていたのは右手に握っている蒼い鮮血に染まった日本刀だけだった。

 

数体の姫級がその者に気付き砲撃をした。

いや、『してしまった』のだ。

 

その者は砲撃に直撃した。その結果左腕がありえない方向へと曲がっていた。

だがその者…いや、化物と言った方が正しいだろう。

化物は笑いながらその左腕を自ら切り落としたのだ。

 

化物「イヒヒヒ!イイネェ!タノシマセロヨォ!」

 

化物の雄叫びに近い声が聞こえた。

流石の姫級たちもその行動には気が狂ったのかと思ったのか

一瞬だけ固まってしまった。

 

固まってしまったのがいけなかったのだろう。

化物は日本刀を腰にあった鞘に一度直し、居合切りの姿勢を取った。

 

ハ級はそれが好機だと思ったのか、接近して砲撃をしようとした。

瞬間、化物の近くにいた8隻の深海棲艦は腹部を貫かれた。

 

何が起こっているのかが理解できていない状況下で、

さらにその腹部から爆発。深海棲艦達は悲鳴を上げながら沈んでいく。

この一瞬だけで姫級以外は沈んだだろう。

 

化物「ヨワァイ!ホォラ!モットタノシマセロヨォ!」

 

化物は嬉々とした表情でそう言った。

さらに化物の日本刀の形状が変わった。今度はスナイパーライフルのような形状だ。

 

化物「ウゴクナヨォ…オモチャノブンザイデヨォ!」

 

化物はこちらとは全くの別方向へと一発放った。何が目的なのかがよく分からないが。

 

駆逐棲姫「ナンナノ・・・アレハ?」

 

駆逐棲姫は驚いた表情でつぶやいた。彼女は少しだけ化物を見過ぎたのだろう。

駆逐古姫が駆逐棲姫を狙っていることに気が付かなかった。

 

化物は鮮血に染まっているはずなのに突如その場から消えた。

さらに混乱が深まったところに

 

駆逐古姫「シズメ!」

 

駆逐古姫は砲撃を駆逐棲姫に向かって放った。

駆逐棲姫は未だ気づいていない。

 

もう当たる、と言ったところで先ほどの化物が駆逐棲姫の目の前に現れた。

その化物に砲撃が命中するも、びくともしない。

駆逐棲姫は突如現れたことに驚いたがそれよりも驚いたことを言われたのだ。

 

化物「・・・」

 

駆逐棲姫「エッ・・・!?」

 

そのまま化物は敵陣に突っ込んだ。

 

化物「ワスレラレナイヨルニシヨウゼェ!」

 

化物はスナイパーライフルで敵の頭を見事に狙っていく。

そして敵陣に入る直前でスナイパーライフルを今度は艤装ほどの大きさの大剣へと変化させた。

その大剣には複数の砲塔が、そして魚雷発射管までもが装着されていた。

 

戦艦棲姫「ナンナノ・・・アレハ!?」

 

重巡棲姫「トニカクコウゲキダ!イソゲ!」

 

敵本陣旗艦の重巡棲姫がそう言った。

その号令と共に重巡棲姫の連合艦隊が化物と対峙した。

 

あの化物のおかげで離島棲鬼達の周りには敵が一体もいない。

慌てて駆逐棲姫が寄ってきた。どうかしたのだろうか?

 

駆逐棲姫「アノバケモノ・・・ワタシニコウイッタノ。

   『スイキハミナミノホウ、ソシテソノママススメバチンジュフダ』ッテ」

 

あの化物は何故こちらの考えを見切っているのか。

そこで突如連絡が入った。深海双子棲姫からだ。

 

双子棲姫-壊「そっちハ無事!?」

 

離島棲鬼「エエ・・・ナントカ。ヨクワカラナイバケモノガテキノアイテヲ」

 

離島棲鬼は今のこの現状を双子に報告、そして鎮守府に向かうことを告げた。

 

双子棲姫-壊「ソウ、ワカッタワ。ヲ級達モチンジュフに移動シテルって。安全みたいよ」

 

双子はそう言った。なら問題はないだろう。

後は鎮守府でまた会いましょうとだけ告げそのまま通信を切った。

 

離島棲鬼「ワタシタチモ・・・イクヨ・・・」

 

駆逐棲姫「ワカッタワ。スイキサンモツレテクルネ」

 

そう言って駆逐棲姫は戦艦水鬼を連れて離島棲鬼と共に移動を開始した。

道中、あの化物が言っていたように確かに北方水姫がいた。

どうやら水姫も中破しているだけで特には問題ないみたいだった。

 

あの化物が気になるが…今は仲間の安全が先だ。

そう思いながらもう4人しかいない深海棲艦達は鎮守府へと向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

化物「アヒャヒャヒャヒャ!」

 

怪物『兄貴…いや、提督さんよぉ…だいぶぶっ壊れてんなぁ」

 

提督?「ニクイシンカイセンカンガシズメレルンダゼェ!シカモコノテデヨォ!

  コレニコウフンシナイホウガオカシイヨナァ!」

 

怪物もここまで提督との結合が進むとは思っていなかったのだろう。

それほど提督は化物に近い姿なのだ。

化物となった提督は近くにあった深海棲艦の死体をいくつか喰らった。

たったそれだけの行為で再び力が湧いてくるのを感じる。

 

重巡棲姫「ナンダ・・・ナンナンダヨ!コノバケモノガァァ!」

  

重巡棲姫が狂ったように砲撃する。その砲撃を避けることなく受け続ける。

そして重巡棲姫が撃ち終わったところで喉を掴んだ。

 

重巡棲姫「ア・・・ガハッ」

 

提督?「ヨォ…キキテェコトガアルンダヨナァ・・・」

 

提督?は嬉々とした表情でそう言った

勿論重巡は答える気などないだろう。

だからこそ先に重巡の両腕を切り落とした。

 

重巡棲姫「アアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

重巡棲姫が悲鳴を上げる。そんな事はどうでもいい。

俺の質問にだけ答えればいいだけだから。

 

提督?「『Vernunft』 ッテシラネエカ?」

 

重巡棲姫「シ、シラナイ!ダカラ・・・タスケ・・・」

 

提督?「ソウカ、ワカッタ。タスケテヤロウ。」

 

瞬間的に提督は日本刀を重巡棲姫に刺し、勢いよく引き抜いた。

重巡棲姫が絶叫している間に頭から一刀両断。

重巡棲姫は即死した。

残っているのは彼女の艤装と死体だけだった。

 

提督?「チャント・・・ノコサズタベナキャネェ」

 

提督?は再びその艤装と死体を喰らった。まさに狂人だ。

 

怪物『オット・・・もう時間だ。近くの島に行かねえとオメエも死ぬぞ?」

 

提督?「モウソンナジカンカ・・・シカタナイナァ

  ソコノスマハマニデモイッテオクヨ」

 

提督は近くの砂浜に移動した後、突然倒れた。

どうやら怪物の言っていた通りタイムリミットのようだった。

提督は緑色の皮膚から普通の人間の皮膚の色へと戻っていく。

彼の使っていた日本刀はいつの間にかおもちゃのようになっていて彼の首に

首飾りとして掛けられていた。

彼が倒れたのは‥朝日が昇り始めたころだった。

 

      ~続く~




どうでしたか?

これにて鎮守府混乱編は一応終了となります。

提督がチート過ぎる気がするのはきっと気のせいです。ハイ。

次回から新エピソード突入でございます。

どうぞお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Episode4 祝勝会編
第二十七話 (契約と祝勝会)


二十七話目です!

今回から新章に突入です!

少しシリアスが無くなるかも知れませんがご了承くださいね!


夜が明けた鎮守府はかなり混乱していた。

 

中破や大破している艦娘は即座に入渠ドッグに、

そして姫級の深海棲艦達もどうやらかなりの被害らしく

入渠ドッグが開き次第すぐに入ってもらった。

 

その中でも吹雪は空き時間があるとすぐに司令官を探しに行こうとしていた。

そんなことをしているうちにもう夕方になってしまった

 

吹雪「司令官…」

 

吹雪は執務室の窓から海を見ていた。

提督の足取りが全くないのだ。探そうにも当てがなさ過ぎた。

と、そこに一体の深海棲艦が来た。

 

カ級「シ、シツレイシマス・・?」

 

最初に鎮守府に来たカ級だ。

彼女の報告がなければきっと今頃既にこの鎮守府は壊滅していただろう。

その点では彼女には感謝してもしきれない。

 

吹雪「カ級さんですか。どうしましたか?」

 

カ級「コ、コノタビハタスケテイタダキアリガトウゴザイマシタ。」

 

カ級は深々と頭を下げた。まさか深海棲艦に感謝される日が来るとは…想像もしていなかった。

カ級の姿はいつものような恐ろしい見た目ではなく、艤装と酸素マスクのようなものを外しているようだった。

 

カ級「ト、トコロデ…シレイカントイウカタハドチラヘ・・・?」

 

カ級もやはり気になったのだろう。何故提督がいないのか

吹雪はこの一日間の事をカ級に話した。

カ級は真剣な顔でその話を聞いていた。

 

カ級「・・・ナゼシレイカンガイナクナッタノカ…オモイアタルフシハアリマスカ?」

 

吹雪は少し悩んだ。まだカ級には化物になった可能性があるとは言えない。

だが彼女は助けてくれた…どうしたものか…

そんな事を考えていた時だった。突然夕立が執務室に入ってきたのだ。

 

吹雪「どうしたの?夕立ちゃん」

 

夕立「提督さんが、提督さんが帰ってきたっぽい!」

 

その一言で執務室の空気が凍った。

未だに夕立の言ったことが理解できていないような表情で吹雪は夕立を見ていた。

静寂を砕いたのは…カ級だった。

 

カ級「シ、シレイカンサンガカエッテキタミタイデスネ。ワタシハコレデシツレイシマスネ」

 

カ級はそう言うとそのまま執務室を後にした。

たったその一言だけでも静寂は壊せた。

 

吹雪「司令官は?今、何処に?」

 

吹雪は夕立に尋ねた。

夕立の話が本当ならばまずは執務室に来ると思うのだが…

 

夕立「執務室に来る前に他の子に捕まってね、今は食堂にいるっぽい」

 

なるほど。食堂か。吹雪は資料をまとめて抱えた後

 

吹雪「今から食堂に行ってきます!」

 

と言って全力で食堂に向かった。

 

夕立「お、おいていかないで~!」

 

夕立も後を追うように食堂へと向かった。

一日だけだったが会えなかったのだ。

きっと色々言いたいことがあるのだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

提督「ンァ…ここは?」

 

提督が目覚めたのは見覚えのある海岸だった。

さっきから頭痛がする。それに少し気持ち悪い。

 

提督「この首飾りがあるってことは…やっぱり現実だったのか…」

 

提督は昨日の夜を思い出した。

完璧に覚えている訳ではないが、少しなら嫌でも脳内に流れ込んでくるのだ。

 

提督「今…何時くらいかな…?」

 

提督は空を見た。

見た感じだとまだ昼前くらいだろう。

 

提督「ここには昔…よく来てたなぁ」

 

この海岸は、提督の故郷の町のすぐ近くにあった。

町が滅ぼされた時の深海棲艦達の侵攻もここから来たのだろう。

 

提督「あの二人は元気かなぁ…?」

 

昔、浜辺で黒髪の少女と白髪の少女と出会った。

彼女達としばらく一緒に暮らしたがいつの間にかいなくなってしまった。

そんな昔の事を思い出しながら提督は浜辺を歩いていた。

崩壊した建物…つまりは提督の故郷の近くまで歩いてきたがそこでとあることに気付いた。

 

提督「あっ…そういえば左手…」

 

提督の左手は切ったはずなのにあった。

何も傷などないままだ

不思議に思い提督は左手を触った

 

提督「ッ!?」

左手に触れた瞬間炎で炙られたかのような感覚に陥った。

手を離した後もその痛みは残っている。

 

??(ヨぉ、どうだ?兄貴自身の体はよぉ?)

 

何処からともなく声が聞こえる。

その声には覚えがあった。あの怪物の声だ。

 

怪物(オメェの体には契約があるんだよ)

 

提督「契・・・約?」

 

怪物(そう、契約だ。今回の代価は…お前のその左手のようだなぁ)

 

提督は自分の左手を見た。一見特に問題はなさそうだが…

触れた時のあの熱さと痛みを思い出し少し顔を歪めた

 

怪物(オメェの左手はもう死んでるんだよ。

   いや、死んでいると言っていいかがよくわからねェがな)

 

怪物は恐ろしい事をサラッと言った。死んでいる?一体どういう訳だ?

問題なく左手は動くはずだ。

 

怪物(外面だけはな。オメェの左手にはもう温度がない。

  あー、深海化したって言えば分かるか?)

 

深海化…聞きなれない言葉に提督は疑問を覚えた。

そんな事は大本営でも聞いたことがない。

 

怪物(そう不思議そうな顔をするな。理解できなくてもいいさ。)

 

提督「な、なぁ…その深海化って言うのは治るのか?」

 

提督は自身が疑問に思ったことを言った。

 

怪物(治る?んな事はネェよ。不治の病って奴だ。

  感染したら最終的には深海棲艦となる。ただそれだけだ。

  だって仕方ねェよなァ?俺との契約なんだからよォ?)

 

提督「…そう…か…」

 

提督は何度も自身の左手の感覚を確かめた。

見た目や動きには全く問題はない。

だが触ると激痛が走る。

 

そんな事をしているうちに崩壊した街中へと辿り着いた。

 

提督「…また…戻ってきたな…お墓参りでもしてこようか」

 

提督は崩壊している町を進んでいる。

時々赤黒い染みのようなものが道に点々とある。

もうこの光景にも慣れてしまったのだろう。

 

提督「・・・あの日から…もう8年か…」

 

あの日…この町がまだ繁栄していた時の事だ。

突如現れた数隻の深海棲艦によってこの町は壊された。

助けなんかが来るわけがなかった。

何故なら、その時大本営の発令でほぼ全ての鎮守府が大規模作戦に参加していたと聞いた。

たくさんの国民がいる『本土を置いて』、だ。

ある者は名誉の為に。ある者は階級向上の為に。

そしてある者は『英雄』という称号を貰う為に町の防衛などをしなかった。

その結果がこれだ。

この町の…提督を除いた全ての住人を見殺しにした。

さらに大本営側もこの町の存在自体を消し

この土地には何もないとだけ全国に伝えたのだ。

  

 

道の端には白骨や遺体などが転がっていて見ていて痛ましかった。

人間の遺体だけではない。深海棲艦の残骸や、艦娘の遺体までもがあった。

そんな地獄のような光景を直視しながらも提督は墓地へと向かった。

 

墓地には大量の花が植えられていた。

この花は全て提督が自分で植えた物だった。

 

提督「…ただいま。最近来れなくてゴメンな?」

 

勿論答える者はいない。

それでも提督は言葉を続けた。

 

提督「俺は…さ、もしかしたら早くにそっちに行くかもしれないんだ…」

 

提督は少し悲しげな表情でそう言った。

人型の形は留められても中身が深海棲艦になってしまうのなら死んだも同然だ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

約200近くある墓すべてに軽く手入れをして提督は墓地を後にした

その表情は何処か寂しげだった。

 

提督が鎮守府にたどり着いたときにはもう夕方だった。

正面の玄関を開けた時、ある一人の深海棲艦が見えた。

 

提督「確か…駆逐棲姫だったか…?」

 

提督は昨晩の事を思い出した。

確かにあの時にいた駆逐棲姫だ。

そんなことを考えていると駆逐棲姫と目が合った。

駆逐棲姫は提督と目が合うと

 

駆逐棲姫「ニ、ニンゲンダ!?」

 

駆逐棲姫が大きな声でそう言った。

そんなに珍しいのか?

駆逐棲姫のその一言で何やら建物内からぞろぞろ艦娘と数人の深海棲艦が出てきた。

一瞬にしてたくさんの艦娘に囲まれた。

 

提督「あの…ここの提督だが…吹雪はいないか?」

 

提督がそう言うと囲んでいた艦娘が固まった。

何か可笑しなことでも言ったのだろうか?

遠目から見ていた深海棲艦も同じように固まっている。

 

数分間くらいそんな状況が続いていた。

すると提督を中心としていた円を弾くように高速で何かが走ってきた。

 

提督「…何故だろう。凄く…嫌な予感がするよ」

 

全力で走ってきたのは金剛だった。

金剛は提督を見つけると瞬間的に

 

金剛「テェェェェェェトク!!!!」

 

と言いながら突進してきた。

流石に危険を感じ避けようとしたが時すでに遅し。

 

提督「ぐへぇ!?」

 

よく分からない声を上げて吹っ飛ばされた。

金剛はそんな提督を揺すり続けた

 

金剛「何処に行ってたのデスカ!?心配したんデスヨ!!」

 

金剛の目から涙がこぼれている。

それほど心配されていて提督は何故か嬉しいような気持ちになった。

 

金剛のその攻撃で他の艦娘達も提督に飛びついていった。

傍から見れば幸せそうな光景だろうが何人かが左手に触ってかなりの激痛が走り続けている

だが、それでもこんなにも心配してくれる仲間がいるのに

振りほどくようなことは出来ない。

提督は声を上げないように我慢しながら熱い歓迎を受けた。

 

流れるようにして運ばれた提督は食堂にいた。

どうやらいまから祝勝会でもするような感じだった。

その場には、艦娘達の他にも深海棲艦も参加していた。

皆艤装はちゃんと外している。何気に律儀だ。

 

そうこうしていると食堂のドアが勢いよく開けられた。

そこには資料を持った吹雪がいた。

吹雪は提督を見つけると真っ直ぐ提督の元へと走ってきた。

吹雪は近くまで来ると急に止まってしまった。

何かを恐れているのだろうか。

提督は吹雪に対してこう告げた。

 

提督「ただいま。吹雪」

 

それを聞いた吹雪は驚いた表情をした後に

 

吹雪「お帰りなさい!司令官!」

 

と笑顔で答えてくれた。

その一言と同時に祝勝会が始まった。

 

提督はその吹雪の笑顔に懐かしさを覚えながらも祝勝会に参加したのだった。

 

 

           ~続く~

 

 

 

 

 

 





どうでしたか?
提督は代償を背負ったもののようやく鎮守府に戻って来れました。
次は祝勝会ですね!
次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十八話 (友好関係)

二十八話目です!

今回は短いかもしれません。

気楽に見ていただけると嬉しいです!


提督「賑やかだなぁ…」

 

わいわいしている食堂の中心で提督はそう呟いた。

吹雪も他の艦娘の元へと向かっている。

提督は吹雪から受け取った資料に目を通し始めた。

 

その資料に書かれていたのは

提督がいない間の資源消費量と増加量や出撃回数、その状況

そして昨夜の被害状況などだった。

 

提督「・・・龍驤、翔鶴、利根が轟沈…か…」

 

少し悲しげな表情でそう呟いた。

この鎮守府には五航戦の二人がいたが瑞鶴はこの祝勝会にも姿を見せていなかった

足柄は参加しているがその目線は何処か違う方向を向いている。

 

提督「守れないものもある…か…」

 

提督は最前線辺りで敵の猛攻をたった一人で防いでいたが

そのせいで鎮守府付近が疎かになっていたのだ。

 

提督「この『樹奈』っていう艦娘が行方不明か…どういう事だ?

  それにレ級が巨大がしたかのような深海棲艦の出現だと…?」

 

提督はにわかには信じられないと言ったような表情をした。

新型の深海棲艦が何故ここに出現したのかが分からない。

 

提督「そして…深海棲艦との協力か…」

 

提督はチラッと深海棲艦を見た。

別に『嫌だ』と言う訳ではないが…何故助けてくれたのかがわからなかった。

 

提督が資料とにらめっこしているうちに一人こちらにやってきた。

 

提督「えっと…何か用かな?双子棲姫…さん?」

 

深海双子棲姫が提督のもとにやってきたのだ。

双子棲姫は提督の正面の席に座った。

 

双子棲姫「貴方にキキタイことがあるんだけど…イイカしら?」

 

双子棲姫はどうやら提督に聞きたいことがあるみたいだ。

だが何となくだが何を聞きたいのかが分かった気がする。

 

双子棲姫「ワタシタチと…友好関係を築いてホシイノ」

 

提督はその発言を聞いて驚いたような表情をした。

まさか友好関係を築くために来るとは考えてもいなかったのだ。

 

提督「・・・何故、友好関係を築こうと思ったのかい?」

 

双子棲姫は少し考えた。そして言葉をつづけた。

 

双子棲姫「私たちハ穏便派ナノ。」

 

そう言うと双子棲姫は肩にあった紋章を見せて来た。

何処かで見たことがあるような気がする…

 

双子棲姫「この紋章ハ穏便派の証みたいなモノ。

   私たちハコレデ仲間かどうかヲ判断しているの。」

 

提督「何故この紋章が?」

 

双子棲姫は少し困ったような顔をした。

正直、この秘密を人間に伝えてもいいのだろうか。

双子棲姫はチラッと視線を離島棲鬼に送った。

離島棲鬼が一瞬だけ頷くのを双子棲姫は見逃さなかった。どうやら言ってもいいみたいだ。

 

双子棲姫「この紋章ガデルってことは…もう、『戻れない』トイウワケなの」

 

双子棲姫は自分の知っている限りの事を提督に話した。

 

深海棲艦も沈み過ぎたら艦娘になることがある事。

紋章が出て後に沈んでしまうと艦娘にも成れないまま消えてしまう事。

轟沈した艦娘が低確率で深海棲艦になってしまう事。

そして…見たことのない深海棲艦が現れている事。

 

双子棲姫「・・・以上が私タチノ知っているジョウホウね

    それで…私達ト友好関係ヲ築いて貰えるノカシラ?」

 

提督は少し考えた。

きっと彼女が話していることは真実だろう。

だがそれでも深海棲艦だ。

彼女達と友好関係を築く…と言う事は国を裏切るのも同然だ。

 

ん…?待てよ…?国を裏切る?

国は俺達を見捨てたよな。

それならもう既に俺は国から裏切られてるじゃないか。

それに彼女達は仲間を助けてくれた。断る理由などないだろう。

 

提督「勿論だ。お前達は助けてくれた恩があるしな。

  友好関係だけではなく、この鎮守府に滞在してもいいさ。」

 

双子棲姫「本当ニ?いいの…?」

 

不安げな表情で双子棲姫はこちらを見て来た。

提督は握手をするために自身の右手を差し出した。

 

それを見た双子棲姫は今まで見たことのない笑顔で手を取った。

何だ…深海棲艦にも感情があるじゃないか…

 

双子棲姫「アリガとう!えっと…?」

 

提督「提督でいいよ。よろしくね。双子棲姫さん。」

 

双子棲姫は提督と握手した後電に呼ばれて再び宴会の中心に戻っていった。

どうやら提督よりも溶け込めているようだった。

 

提督は片手にグラスを持ちそのままワインを飲んだ。

 

提督「ゴホッ!ゴホッ!」

 

…むせ返ってしまった。そういえば、酒は苦手だった。

仕方なくワイングラスに水を入れて飲むことにした。

そんなことをしていたら後ろから声を掛けられた。

 

????「ホウ、ワインハキライナノカ」

 

振り返るとそこには北方水姫がいた。

帽子のようなものは外していて、正直壊状態と見分けがつかない。

彼女の片手にもグラスが持たれている。

 

北方水姫「シカシ、ヨクミトメタナ。フツウノチンジュフナラ

    ゼッタイニソンナコトハシナイトオモウガ」

 

提督「お前達には助けられた恩があるって言っただろ?

  それにお前達も困っているようだしな。困ったときはお互い様と言ったやつだ」

 

水姫は少し固まっていたがすぐに言葉を繋いだ

 

北方水姫「ソウカ。ジャア、アリガタクイサセテモラウゾ」

 

提督「ああ、もちろんだ!。

  そうだ。折角グラスがあるんだから一杯飲んで行けばいいじゃないか。」

 

提督は自分の右にあるワインをさしながらそう言った。

水姫は考えているようだったが…

 

北方水姫「ワカッタ・・・・イタダコウ」

 

提督はワインを北方水姫のグラスに注いだ。

北方水姫は注がれ終わった事を確認して一気に飲み干した。

瞬間、彼女は吹き出し、むせ返った。

 

提督「お前もワインダメなのかよ!?」

 

北方水姫「ダッテェ‥コンナアジダトカオモッテナカッタンダヨォ!」

 

水姫が涙目で尚且つ上目遣いでこちらを見ている。あっ、可愛い。

彼女の表情はもう艦娘だったと思う。

 

ジッと見ていたのがばれてしまって水姫がそっぽを向いた。

 

北方水姫「ワ、ワタシハモウイクカラナ!」

 

そう言って行ってしまった。

むう…少し残念だ。

 

時計は8時になったがまだまだ宴会は続いているようだ。

提督は再び資料に目を落とした。

 

              ~続く~

 

 

 

 

 

    

 

 

 




後書きでは艦娘や提督の紹介をしていきたいと思います。
興味ない方はブラウザバック推奨ですよ~



・提督
この作品の主人公。
数年前の深海棲艦の侵略攻撃によって故郷を失う。
艦娘に恨みを持っているようだが……?

性格は基本的には優しく真面目だ。だが自分や仲間が危険にさらされると
怪物へと変貌してしまう。
現にもう2回怪物へと変貌している。
怪物へと変貌するのは…それは彼の何かを犠牲にしてしまう事。
それが何なのかは分からない…

とりあえずは提督の紹介をさせていただきました!

次回もまた宴会ですね!
次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。