東方魂探録 (アイレス)
しおりを挟む

1話

ふと、思いついた小説です。
いつまで投稿できるか・・・
まあ・・・がんばります。


とある都会のベットタウンからさらに離れた小さな町その外れにある険しい山の途中に小さな川の流れる神社があった。

この神社は夏には祭りでよくにぎわうのだが、祭りの時以外は人は全く来ないような場所だ。

さらに深夜になると周りには街灯もないため真っ暗になる。

渓谷の奥まった位置にあるため町の明かりも当たらない寂しい場所である。

そんな真夜中の神社に一人の黒い服に身を包んだ青年が来ていた。

煙草をふかしただ沢を眺めているだけだった。

その目には光がなかった。

雰囲気もどこか疲れ切って力がなかった。

光のない目で虚空を見ながら彼はつぶやく

 

「もはやこの世界に私は必要無い、むしろ邪魔な存在だ。」

 

青年の言葉は暗闇の中に溶けて消えて言った。

 

 

 

彼は生まれながらにして異様な存在であった。

両親共々黒髪で黒い瞳を持つ典型的な日本人であった、しかし彼は金色の髪をしていた、それも光の加減によっては銀に見えることもある異様な髪である。

いや、まだそれだけならまだ良かったかもしれない。

瞳の色も異様ものであった。

右目が紅色、左目が紫色のあり得ない瞳のオッドアイ

いや、その色なのか、見る人によって感じ取り方が違う瞳のいろ

 

しかし、ここまで露骨に親と違う容姿をしていながらも親は全く気にもしていなかった。

両親共々、先祖代々定住しない流れ者のような生活をしていた。

そのことは、とても良いことだった。

周りは彼のことを気味悪がり、関わらないよう離れていった。

家族だけが唯一の味方だった。

 

 

彼が2歳になったころ、義妹ができた。

両親の親友の子だった。

その義妹も彼と同じ存在だった。

似ていたのはただ金の髪で紫色の瞳であっただけではあるが彼にとっては同じ皆と異なる姿をした仲間のようなものだった。

 

群れの中に異物がいれば排除される。

 

それは自然の掟のようなものだ。

排除される側には仲間や味方はいない。

彼の場合、親が親密に接してくれた。

しかし、同じ姿をした人は周りにはいない。

ただただ、心細い思いをしていた時に義妹ができた・・・・同じ姿を持つ義妹を。

 

彼は、義妹をかわいがった、いや、かわいがるどころではなく自ら世話までした。

義妹がいじめられたらすぐに助けに行った。

泣けば義妹の手を握ってやり、あやした。

もはやどこから見ても、普通の兄妹のようだった

 

いや、彼には義妹しかいなかったのだ、彼からしたら親でさえ異物のようなもの、そして周りからの嫌な目線

 

彼には世界の中に義妹しか居なかったのだ、心を許せる存在が

 

 

それは義妹にも言えたことだ。

1年2年と生きていくと義妹は義兄である彼にべったりだった。

何かあれば親よりも義兄のもとへ行った。

彼女の両親は彼女そっくりだったから両親がいればこんなことはなかっただろう。

だが彼女の両親はいない。

だから似た姿を持つ義兄になついた。

義兄がいないと不安そうな顔になり義兄を探して泣きながら歩き回った。

夜、寝る時も兄と一緒に寝たがった、義兄がいるだけで彼女は笑顔になった。

自分の実の兄ではない、そのことは気づいていた。

しかし、自分のことを大切にしてくれる義兄が大好きだった。

 

兄妹は二人で互いを支えていたそんな存在だった。

 

ただ妹は義兄にさえ言っていないことがあった、いや言えなかった。

言ってしまえば、義兄が自分から離れてしまいそうで怖かった。

孤独になりたくなかった。

彼女には、理解してくれる人が、義兄しかいないから。

 

 

ただ、世界は残酷である。

 

彼が小学校に入る年の頃のことである。

友達はいなかった。

子供とは残酷なもので自分たちと異なるものは徹底的に排除する。

そんな生活のストレスもあったのか、義妹の分まで背負ってきたからか。

彼は、熱を出し寝込んでしまった。

ただの風邪ではあったのだが・・・。

 

彼はこの日のことを忘れることはできなかった。

 

 

 

その日、家族が死んだ。

 

 

 

後ろからやってきた車にあおられた挙句の追突だった。

そして、3人が乗った車はそのままがけ下に落ちていった。

車からは親の真っ黒になった遺体しか出てこなかった。

義妹は運よく崖から落ちる前に車から投げ出されていた。

いや、隣に座っていた母に投げ出されたらしかった。

 

 

彼らを育ててきた両親を彼らは亡くした。

 

彼らは、施設に送られた。

彼はもう、生気が抜けたように、ただただ毎日を過ごすようになっていた。

姿は似ていなくとも実の両親だったからそして、中学を卒業すると世界に飛び出した。

家族の残したものは義妹に預け、世界を旅した。

 

少年が外国で一人旅なんて正気の沙汰じゃない、当たり前だがいろんなことに巻き込まれた。

そんなことをしているうちに、人の皮を被った悪魔、陰の傭兵、国籍不明の殺し屋、など言われながら生きてきた。

そう、彼はこの時から変わり始めていたのだ。だが彼は変わり始めた体のことは戦いに身を置いているせいだと考え気にしていなかった。

 

年に数回は義妹のもとへ帰っていた。

 

だが、義妹が大学での生活を堪能していたころのことだった。

大学で彼女は、初めて義兄以外の理解者を得た。

しかし、義兄にさえ言えない秘密も彼女は抱え込むことになった。

彼女たちは世界の不思議や秘密を探るということを趣味とした。

その義妹の親友が、行方不明になった。

 

彼女の部屋は密室で床には血が広がり何故か純白の羽が落ちていたらしい。

 

そして義妹は、寝る間も忍んで親友を探したらしい。

 

その義妹も行方不明になった。

 

そして、義妹を探すため急遽帰国したのだ。

だが見つからなかった。

探すことに疲れを感じ、思い出のある神社に来ていたのだった。

そこは、義妹の最後の目撃証言のある神社でもあった。

 

 

 

煙草は根元まで燃え尽きていた。しかし彼は動きもしない。

 

 

・・・このまま、世界から消えて義妹のところへ行けたらいいのにな・・・・

 

思わずそんなことを思ってしまう。

どうもこの場所に来たことで感情や考え方が子供に戻ってしまったようだ。

薄く苦笑という笑みを浮かべた。

 

「もう帰るか。いや、帰るじゃ無いな・・・戻る・・・か。」

 

どうも本当に意識が退行しているらしいな。

頭を軽くかきながらレンタカーのほうへ歩き始めたときだった。

 

「・・・・ん?」

 

かすかに聞こえてくる向かってくるエンジン音、しかも複数。

それも、町の方と山の両方から聞こえて来る。

音がだんだん近づいてきて・・・

5~6台の車が神社の前で止まる。

 

すぐに近くの建物の物陰に隠れた。

 

聞こえてきたのは外国の言葉だった。

 

 

「・・・・ちっ・・・・国から出たって言うのに追いかけてくんのかよ・・・・めんどくせぇ・・・・」

 

日本に戻る前、短い期間だが傭兵として仕事をしてきていた。

そのとき少し機嫌が悪かったのだ。帰ろうとした矢先に強引に仕事をねじ込まれたのだ。

 

だが、イライラしてたからといってナイフ1本で相手方の前線基地に殴り込んで壊滅はやり過ぎた。

お陰で1基地破壊のはずが1月の契約とか言い始めたのだ。

即刻断ったが脅してきたため、そこにいた全員潰して追いかけてきた3個大隊壊滅させて国を出てきたのだ。

追手がやってくるのが当たり前?な気がしないわけでも無い。

 

30~40人、それなりの武器を持っている彼にとって普通はそんなに苦労はしない数ではあるのだがこのとき手持ち武器は1本のナイフと投げ剣が20本ほどしかなかった。

 

 

ちっ、日本だからと油断しすぎたな・・・。

くそ、武器は全部車の中だ・・・どうするか・・・。

 

 

 

そのまま様子をうかがっているとどこから手に入れたのか?サブマシンガンを手に持ち4人ほど小部隊に分かれ散会したのが分かった。

 

そして境内にはいないと考えたのか大半が

沢の上流と下流に分かれて行き、残ったのは3班12人のみであった。

 

 

・・・さて、・・・・殺るか・・・。

 

力を抜きナイフを構え、ゆっくりと陰から立ち上がる。

 

誰も、その姿を気にするものはいない、まるでそこに誰もいないかのように。

そして静かに風が吹く・・・・そこにはもう誰もいなかった。

 

 

次の瞬間一番近くにいた人達が音も出さず崩れ落ちる。

全員首を搔き切られ何が起きたのか分からず絶命していた。

 

 

そしてそれはもう一組も同じだった。同じように首を一撃で搔き切り、仕留められていた。

 

 

・・・弱いな、何だ?この異様な感じは・・・・?体が軽い?いつもと同じようにしているはずなのに・・・

いつもより威力が強い・・・それに・・・半歩ほど早くなってる?のか?ずれている・・・・。

チッ、少し力を落とすか・・・

 

 

そんなことを思いながら最後のチームに切り込んでいった。

 

 

 

 

「ほんと弱かったな、こいつらほんとに追いかけてきた奴らか?」

 

車に積んでいる武器を身につけながら呟く。

周りには瞬殺された遺体が転がっていたが全く気にしない。

こんな光景なんて見慣れたしまった。

 

 

・・・あいつなんかにこんなのばれたら殺されるな・・・・

 

 

苦笑いを浮かべながら一人そんなことを思う。

 

 

・・・帰るか・・・それにしても・・・なぜだ?身体能力が上がった感じがするのは・・・?

 

手に持った家宝として扱われてきた刀をいじくりながらそんなことを考えていた瞬間だった。

 

 

カチリ

 

とロックを外す音が複数聞こえた。

 

しゃがみ、車のタイヤの陰に隠れるのと複数の発砲音が神社の奥から聞こえ車にガンガンと被弾する。

 

このとき彼はとある失敗をしていた。とっさに隠れてはいたが車は装甲などない一般車であること、今までの車は装甲の追加された車だったうえ、とっさのことだから仕方ないかもしれないが。

 

弾が燃料タンクを貫通しそこから火が付いた、それに気が付いた時にはもう遅かった。

一気に爆発し吹き飛ばされ崖に放り出された。

 

爆発で揺さぶられ、朦朧とする意識の中で彼は・・・

 

 

 

・・・・ー・・・・もう・・・・度・・・・君・・・に・・・・・・

 

 

意識が飛ぶそのとき、彼の中の力が完全に目覚めた。

 

無意識に発動した力は彼を世界から切り離した。

 

もし、この瞬間を見た者がいたなら彼の背後に不思議な空間を見ることができたかもしれない空間に空いた狭間を

 

だが、だれの目にも止まることなく狭間は彼を連れて消え去った。

 

その後、誰一人、その世界が滅びるまで彼を見た者は誰もいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読みにくいよなぁ
たぶん・・・。
ここまで読んでくれたら感謝です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話

今日はここまでにしておくか

まだ書き溜めが進んでないんでね


ここはどこだろう。

 

何かを俯瞰しているような感覚しかし、真っ暗だ

 

何も存在しない

 

何もない

 

光も影も星も空気も人も

 

あるのは闇

 

何もないあるのはすべてを塗りつぶす漆黒の闇

 

そのはずだった。

 

その闇の中に小さな小さな米粒ほどの大きさの光が生まれた

 

なぜ生まれたのかなど誰も知らない気づけば生まれていた

 

その生まれた光は少しずつ少しずつ大きくなっていった。

 

漆黒の闇の中でたった一つのその光

 

光あふれる中ではとても弱弱しく見えたかもしれない

 

しかし漆黒の闇の中ではその光でさえも

 

強く光り輝く星であった。

 

もし、その光景を見た者がいたなら

 

闇を払い道を照らす希望の星

 

そう見えただろう。

 

その光は手のひらサイズまで大きくなった。

 

しかし

 

それが限界だった

 

その光はすべてを照らしたかった

 

この光なき世界を光で満たしたかった

 

大切なものを作りたかった

 

明るい世界それが望みだった。

 

しかし闇に押し負け縮んでいく

 

だが

 

あきらめなかった

 

光は自らの力をすべて縮めた

 

闇はさらに押し込む

 

光は初めの米粒の大きさよりもさらに小さく小さく

 

目には見えないほど押しつぶされた。

 

そして光は・・・・

 

すべての力を解放した。

 

一気に光が闇を払う

 

ただの闇しかなかった世界に光が満ちる。

 

その力は・・・

 

存在しえなかったものを作り出す

 

重力 時間 空間 熱 原子 恒星 銀河 惑星 

 

植物 動物 神 人 

 

感情 精神 魂 宗教

 

もっともっとたくさんのものが生まれた  

 

そして

 

時間と空間が出来たとき世界は分裂した

 

いや、分裂と言うよりも目には見えないが平行するように存在する世界が生まれた

 

時が進むほどものは増えていく

 

その過程で選択肢が生まれる

 

その選択肢が世界を増やす

 

その中で消えていく世界もある

 

それでも世界の時は止まらない

 

光を暗闇に満たしていく

 

だが光だけでは無く闇もまた広がっていく

 

光と闇は表裏一体

 

光は陰が無ければ輝けない

 

闇は光がなければ生まれるのは無だけだ

 

感情も同じだ

 

良い感情だけでは人類は発達しない

 

その代わり、犠牲になるもの達も多くいる。

 

それが悲しかった。

 

多くの種が平和で明るく笑顔で過ごせる世界

 

それが望みのはずだった

 

なぜ、世界はうまくいかないのだろう

 

なぜ星は人類のみを守ろうと動くのか

 

彼は理解したこの世に正義などない

 

悪もないただ個人の正義のようなものがあるだけだ

 

だから放っておくことにした

 

願いは絶対にかなうことはない

 

もうどこか彼は疲れていた、あきれていた、失望していた

 

光で世界を照らせたそれはいい

 

だが、

 

光が強くなりすぎた

 

光が世界を照らしすぎ目には見えない闇を強くした

 

心の闇 精神の闇 力の崇拝 思いやりの欠如 暴力

 

それらは世界を破滅に導くそんな力

 

そんなことに誰も気づかない

 

まるで誰もがそれを望んでいるかのように

 

いや、気付かない振りをしている

 

それを理解しているから彼は世界を見捨てた

 

知覚している全ての平行世界でさえも

 

全ては自分が作ったものだから彼は知っている

 

自分が介入しようが変わらぬことを

 

強引に変えようとしても意味の無いことを

 

神が介入するのをやめたように

 

その前にもう力が残っていなかった

 

いや、どんな力でもどんな能力でも使うことは出来る

 

しかし、長い年月は彼から使うだけの力を奪った。

 

何かが出来るたび彼だけの空間に物が増える

 

武器だろうが作物だろうが何でもかんでも

 

忘れ去られた物たち

 

世界から不要と記録は残っても実物は無い物

 

そんなものをすべて押し付けられた

 

使う力が無いのでは無い

 

使おうという気力が無い

 

それほど疲れていた

 

神からも忘れ去られてもいた

 

人の姿もとれない

 

そもそも肉体は存在しない

 

魂の姿でとある世界の一つに行くことにした

 

消えてしまうのなら滅びゆく世界でも構わない

 

ただ美しい物が見たいそんな思いだった

 

 

彼はとある島国の山に来ていた

 

その日は新たな年の始まりの日

 

その夜明け前だ

 

日が昇りはじめ空が明るくなっていく

 

周りには多くの人が来ていた

 

その中に気になる夫婦がいた

 

どの者たちもただ己の願いを願う中

 

その夫妻は互いのことをいまだ生まれぬ子のことを

 

平和を願っていた

 

このようなものもいるのか

 

彼が初めて出会った者たちであった

 

今までこのような者たちにはあったことがなかった

 

だが悲しきかな

 

腹の中の小さな子は生きながらえないそれがわかるほど弱弱しかった

 

だが助けることはしない、いやできない

 

助けてしまえば世界に見つかる

 

見つかってしまえばこの場もろともすべて破壊し私を消し去るだろう

 

それが世界

 

人間にとって邪魔なもの

 

長期的に見れば大切なものでも今、邪魔なら消し去り

 

人間の危険な時に強引に呼び出し使役させる

 

世界を作った私もそれにするつもりだろう

 

そんなものに成り下がる気はない。

 

だから助けられない

 

多くの人もろとも消えてしまうから

 

愚かしくても生きている

 

己のことに巻き込みたくはない。

 

そのまま、離れようとした、

 

だが、離れられなかった。

 

引き付ける大本はその腹の子だった

 

必死に生きようとするその子の力だった

 

力をほぼ失いかけていた彼に抵抗することはかなわない

 

その子の体の中に取りこまれた。

 

そして魂が混ざり合った

 

普通なら元居た魂は消えるはずだった、だが

 

今に至るまでを生きていた魂が弱っていたことで混ざり合ったのだ

 

そしてもう一つ

 

世界は彼を見失った。

 

世界の終わりに対するカウンターとして

 

使おうとしていた存在は別の魂と混ざることで追跡から逃れたのだった。

 

始まりの存在はもういない

 

別の、新たな存在として始まったのだから。

 

 

生まれた子供をみて目を見開く。

 

それは、自分自身だった。

 

突然体が引っ張られ、視界が明るくなる。

 

それと同時に、頭に情報が流れこんで来る。

 

で、意識は途切れた。




さて?
彼は何所に流れ着くのか


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話

今日は、もう一話は投稿するかも


分からない、分からない。

私は崖から落ちた、そして死んだはずだ。なぜ生きている?

 

・・・なぜ?

 

なぜ私は戦っている?

なぜ戦える?

見たことも無い化け物どもとなぜ互角に戦える・・・。

 

もう訳が分からない。

 

義妹を見つけたいだけなのに、会いたいだけなのに

 

なぜ私はこんなところにいる。

 

死んでしまえばすぐ会えるのに。

 

会えるはずなのに

 

 

体が死ぬことを許さない。

 

戦場で培った体術が技術が感覚が勝手に体を突き動かす。

 

太刀と小太刀が相手の首を切り落とし蹴りで敵を吹き飛ばす。

 

 

・・・なんで蹴りで首が吹っ飛ぶんだ・・・・?

 

狼のような化け物にニンゲンのような形をした化け物・・・

 

もう、目に入った化け物を次から次に屠っていく。

 

ただただ機械のごとく

 

その作業は速くなりこそすれ、遅くなることは無い。

 

端から見れば風が化け物を切り裂き吹き飛ばしているようにも見えるかもしれない。

 

それほどまでに圧倒的だった。

 

 

 

「・・・終わったか・・・・?」

 

そう呟いたとき、周りの木々や草花は月明かりに照らされ赤黒く光っていた。

 

辺り一面にいや見渡す限り一面に化け物どもの死体があった。

 

「見た目は違っても流れる血は同じ紅色か。まあ、そんなこと、今更か・・・」

 

太刀と小太刀を鋭く振り、血を払う。それだけでふた振りの刀に付いた血はすべて落ちた。

 

まるで水で流したのかと思うほどに汚れは付いていなかった。

 

 

「ふむ・・・さすが家宝なんて言われてきただけあっていい刀だな・・・」

 

 

刀身を眺めた後、ゆっくりと鞘に戻し、また周りを見る。

 

「こいつら・・・食えるかな?」

 

生きている奴がいたら即座に逃げるだろう、そもそもかなりグロテスクな奴である。そいつを食おうと思う奴の頭を疑うだろう。

だが、周りには彼しかいない。そして彼はいろいろと壊れた存在だった。

 

 

首が切れていた1匹の化け物を木につるし、火をおこす。

その手つきはものすごく慣れた手つきだ。

だが彼にとっては不思議でしか無かった。

 

「こんな作業、1回ぐらいしかしていないはずなんだがな・・・」

 

 

まるで自分ではない人の記憶・・・いや経験自体が流れこんできて自分ではないかのようだ。

だが、自分の意識ははっきりしている。それは確かだ。

まあ、この考え自体が別の人の記憶であったのならば考えだったのならば自分の意識は飛んでいることになるが。

 

血を抜いた化け物の皮をはぎ肉を削ぎ取る。

なんでこんな作業を楽々とこなしているのか本当にわからなくなってくる。

 

そぎ落した肉を火にかけていると、多数の気配がことらにやってくるのが分かった。

 

当たり前だこんな夜中に火を起こしたら遠くまでよく見える。

だが、今度は化け物ではなく、人間らしい。

化け物の発していた雰囲気とは全然違う。

ただ、かなり警戒しているようだが。

 

・・・・ただ何もせず伺うことにした。

腹が減っていた、からではあるが。

 

ほどよい焼き加減になった奴を食べてみるとそれなりにうまかった。

ただ、調味料がほしいと思いはしたが。

MREよりはましだと考えながら黙々と食べる。

 

すると周りをぐるりと包囲していたもの達から一人の男がぬけてこちらにやって来るのが分かった。

自分より大柄でがっちりとしたいかにも武人という雰囲気だ。

正面から堂々と鎧を鳴らしながら近づいてくる。

自分から2~3メートルまで近づいてきたときに声をかけた。

 

「私に何か用か?」

 

顔を上げずにそう尋ねる。

できることなら話さず立ち去りたかったが気づくのが遅れたのだ、仕方ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まったく、ついてない・・・

大柄な男が軽くため息をつきながらそう心の中で思う。

 

「お疲れですか?隊長殿?」

 

隊の副隊長が心配し声をかける。

 

「まあ、な・・・なんでこんな季節外れにあの妖怪どもは攻めてきやがるんだ。」

 

「時季外れですもんねぇ、今回は。」

 

「上の連中も大慌てだった。」

 

「まあ、そうでしょうねあれだけの穢れた妖怪がこっちに来てたら。うちの町のあたりに住んでいる妖怪みたいにおとなしく過ごしているなら別にいいんですがねぇ・・。で?何体ぐらい来てるんです?いつもみたく100前後ですか?」

 

「・・・・・千だ。」

 

「はい?」

 

「2千だ。」

 

「・・・・いつもの20倍じゃないですか!それを私たちだけで殲滅せよって・・・・」

 

「今回ばかりはなぁ・・・・」

 

二人とも黙る。

本当に間が悪いほかの部隊は別の場所の鎮圧に向かっており動けるのはこの部隊しかいなかった、殲滅など不可能なことは察していた。

 

「いつもの説明がなかったのもそれが原因ですか。」

 

 

「・・・・すまん。」

 

「いえ、生きて帰ればいいだけの話です。」

 

「そうだな・・・・副隊長今回は迷いの森で戦うことになる、深入りせず出てきたところを叩く、危なくなったらすぐ逃げられるよう全員に言い含めておけ。」

 

「了解です。」

 

あの気前のよい副隊長ともお別れかもしれないな。

そんな思いがこみ上げる。

部下だけでも生きて返さねば。そのためならこの命惜しくはない。

そう意気込んでいた。

 

 

 

「なんっ・・・だっ・・・!??これは!!?」

 

部隊全員が驚愕に包まれている、誰も声も出さない。

 

目の前には・・・・惨劇が広がっていた。

 

 

首を腹を、斬られ、吹き飛ばされた様々な妖怪の死骸がある一線上から放射状に迷いの森まで続いている。

つまり最初から作戦は失敗していた。

しかし・・・

 

「誰が・・・こんなことを・・・・」

 

「分からん。だが・・・気配を探れば・・・・」

 

地に手をつけ残った気配を探る。

 

「・・・・なっ!!?」

 

思わず驚愕して手を離してしまった。

 

「隊長!?」

 

並大抵のことには動じない隊長が驚いたことに全員が驚く。

 

「なんだ・・・なんなんだこれは!!」

 

「本当にどうなされたのですか!私たちにも説明をしてください!」

 

副隊長の言葉でようやく冷静さを取り戻せた、しかし、声はいまだに震えている。

 

「・・・わけのわからない力を感じた・・・複数の力が混ざっている・・・」

 

「「?」」

 

全員首をかしげる。これだけ死んでいれば混ざるのではないのか?そういう表情だ。

 

「われらが使う力は霊力や神力で妖怪どもが使うのは妖力だ、これらはわかるな?」

 

うなずく

 

「ここに残っていたのは妖力であり神力であり霊力でもある、いや逆かもしれんが。」

 

「判別がつかないほど混ざっていた・・・そういうことですか・・・・?」

 

こくり、とうなずくしかない。

全員がざわめく当たり前だ、妖力も神力も霊力も似た存在ではあるが使える種族が決まっている、さらにあまりに強い力はほかの力を打ち消して無効化してしまう。

それに戦いでぶつかり合って混ざるとしてもごくごくわずかだ。

大量の力が判別がつかないほど混ざることなどあり得ないのだ。

 

「まさか新たな力・・・ですか・・・?」

 

「いや、それはない、それぞれが混ざっているだけでもとよりある力だ。しかし・・・」

 

「しかし・・・?まだ何かあるんですか・・・?」

 

「これをやったのがたった一人ということだ。」

 

「「!?」」

 

「この力の主はどうやら森の中にまで行ったようだ。・・・もしかするとまだいるかもしれん・・・どのような奴かは知らんが・・・我々は助けられたも同然だ、探さぬわけにもいくまいて。だが警戒だけはしておけよ。」

 

 

全員が顔を強張らせつつもうなずく。

こんな数が攻めてきていたら絶対に自分たちでは食い止められなかった。

その点は感謝できる、だがその群れをたった一人で壊滅させた。

今はそちらのほうが脅威だ。どんなことでもいい情報を持ち帰らねばならない。

全員そう心に誓った。

 

 

 

 

 

 

森にいたのは漆黒の長い髪を一つにまとめた、いや、髪の色はわからない、その時見たときは黒だったはずなのに次見た瞬間には別の色になっている。

不思議な人だった。

いや青年なのかすら分からない

体格も背は高いががっしりとはしておらずあまりにも中性的な人物だ。

 

訳の分からない肉を焼きながら炎を見ている姿はどこか美しくもあり、恐ろしい

目線は炎を向いているのに、隙がない下手に動くと何かが飛んできそうで動けない。

隊長は一人正面からゆっくり進んでいく。

 

「私に何か用か?」

 

向こうから話しかけてきた。

 

声も中性的でよく分からないがたぶん男だろう。

それにしてもよく分からない服装をしている。

何で出来ているのか分からない漆黒の服。

見るからに業物の刀

身分もはっきりしない

だが、どことなく高い地位にいたような不思議なオーラがにじみ出ていた。

 

「お前はいったい何者だ?」

 

隊長が落ち着いた口調で問いかける。

 

「・・・さあな・・・私にも分からない、私が何者なのか、いや、自分が何者なのか自分が分からなくなる、自分が・・・自分で・・わからな・・・」

 

声がだんだん小さくなっていき、ゆっくり前のめりに倒れる。

隊長がとっさに焚火を蹴り飛ばし支えに入る。

意識は飛んでいるらしい隊長に完全に体を預けている。

 

「おい!担架持って来い!街に戻るぞ!急げ!」

 

「連れて帰るんですか!?」

 

「ここに、おいていくわけにもいかんだろ!仮にも命の恩人だぞ!」

 

「しかし・・・」

 

「俺の責任で連れて行く!それでかまわんだろ!」

 

「了解しました! おい!急げ!」

 

本当に何者なのだろう・・・?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4話

不定期更新ですが、しばらく、余裕があるときは、1つ書き上げたら1つ投稿する感じで行こうと思います。

基本は1月に1~2回あればいいと思ってください。
(よくって週1)

てか、楽しんで読んでくれる人どれくらいいるんだろう?



感じの悪い夢から引っ張り出され体の感覚が戻ってくる。

けだるく、重い、体の感覚それがなぜか心地よい。

 

なぜ心地よいのか、それは分からないだが、心地よいと感じたのだから心地よいのだろう。

ゆっくりと重い目蓋を開ける。

そこには、岩で作られた天井が広ろがっている。

 

感覚も戻ってくる.

右腕に冷たく重い感触がある。

体を起こしながら腕を動かすと`ジャラリ`と音を立てる手枷と鎖が目に入る。

どうやら壁とつながっているらしい。

だが、寝床だけはそこそこいい物のようだ。

服も古代中国のドラマで出てくるような服に替わっている。

別に、そんなことは、どうでもいい

 

ここが牢屋であることも分かっている。

武器もない、そもそも、ここから出る気も無い。

面倒だからだ。

 

それよりも、記憶の乱れが問題だ。

自分が安定しない、別の存在が自分の中にはいてきたような感覚がある。

それなのに、それを受け入れている自分がいる。

その記憶でさえ自分だと思っているような。

 

ああ、訳が分からない。

全ての世界を司る、全ての始まり、それが今は、全ての世界の廃棄場所

世界を乱しかねない物を捨てるため。

世界の終わった後の残骸

それの廃棄場にさせられた私。

私の知らないことが記憶の奥から湧いてくる。

これも私の記憶なのか、はっきりしない。

 

そこに、何かがあるかのように、左手を縦に動かす。

そこには、不思議な空間が形成される。

閉じろと念じるか、左手を左右に動かすと閉じられるようだ。

中に入っているものは、知らないが。

 

コツコツと靴の音が2人分聞こえてきた、見張りかは知らないが剣の鳴る音は1つだけだ。

通路のほうに目を向けると、森の中で話しかけてきた男と十二単に似た着物を着た銀の長い髪を持つ美しい女性がいた。

 

「目が覚めたか、具合はどうだ?」

 

森で見たときは目を開いていたが今は、閉じているのか、空いているのかわからないような眼だ。そして穏やかな雰囲気で、心配している様子がはっきりとわかる。

 

「目覚めたら鎖がついていたこと以外は大丈夫だ。」

 

ちょっと不機嫌気味に返してやる。

 

「そこは勘弁してくれ、ほんとなら水浸しで虫だらけの獄に連れて行かれかけていたところを私がここに運んだんだ、もちろん布団もない。」

 

若干苦笑しながら答える。

 

「そうか、それはすまなかった。ありがとう、感謝する。」

 

「いやなに、命の恩人に対して礼儀のないことはできんだろう?紹介がまだだったな私は鳳扇という、この都の第一戦闘部隊の隊長をしている。」

 

「そうか、よろしく、鳳扇。俺の名前は・・・まあ、光淵、とでも呼んでくれ。それで・・・命の恩人とは?」

 

「そうか、よろしく、光淵。恩人云々については、また後だ、とりあえず悪いところがないか確認してもらおう。なんせ3日寝ていたからな。八意殿よろしくお願いいたします。」

 

そう言うと彼は隣にいた女性に頭を下げた。

 

彼女は軽く笑いながら答える。

 

「ええ、任されましたわ。それにしても、お二人ともなんだか昔からの知り合いみたいですわね。気でも合いましたか?」

 

「「そう(かな?)でしょうか?」」

 

二人の声がシンクロする。

 

これには二人とも苦笑するしかない。

 

「あらあら。」

 

そう言いながら彼女は鍵を開け入ってくる。もちろん、彼も一緒だ。

護衛なんだから当たり前なんだろうが。

 

「初めまして、八意XXと申します。」

 

名前が全く聞き取れない、いや、聞こえてはいるしかしそれを発音することは出来ない。

 

首をかしげていると

 

「発音出来ないのでしたら永琳とお呼びください。」

 

「そうか、八意XXさんよろしくお願いします。」

 

・・・・なんで言えたんだろう・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、どこも悪いところはありませんね」

 

問診と傷なども見て、永琳はそう言った。

 

「そうか、良かった。」

 

「ま、当たり前だな、あの化け物からは1撃も食らってないし。」

 

「・・・・やっぱりお前・・・バケモンか?」

 

「実際のところ、あまり覚えてないんだがな・・・。」

 

「で、どうするのかしら?拷問して情報を聞き出せと言われているのでしょう?」

 

永琳の言葉を聞いて鳳扇は顔を歪める。

 

「光淵、悪いが、この後、いろいろ聞いてかまわないか?そのとき正直に答えてくれ。」

 

目を開きかなり真剣な表情でこちらに顔を向けてきた、かなり重要らしい。

 

「実は・・・」

 

 

 

 

どうもこの時代でも組織の上の方は腐りきっているらしい。

話の中に天照大神だの素戔嗚尊だの月読尊だのの神様の名前が出てきた時には驚いたが、なぜか落ち着いている自分もいる。

ほんと自分の精神構造が変革しているらしい。

 

そして、ほんとは、鳳扇の部隊が倒すはずだった知性の無い獣妖怪の大規模な群れを私が退治したため、命が救われた、そんな恩ある人物を拷問なぞにかけるなど出来ない。

話したくないことは、話さなくていい、鳳扇、永琳が誤魔化すということだった。

永琳は、上のことが苦手で今回も上の判断が気に入らないため協力するとのことだった。

 

この二人だけと上位の神は、まともらしい。

それ以外とは、話を聞くだけで、傲慢でどうしようもない存在だと理解できた。

まあ、この二人なら・・・真実を語ってもいいかな。

そう思える。

 

 

 

この後、何も隠さず話した、名前も偽名で実の名はXXXXであること、訳も分からず、この土地に放り出されたこと

記憶が混乱、もしくは何か別の存在が自分に混ざっている、能力もはっきりしていない。

自分のことは、隠さず全て話した。

 

 

 

そこには、頭を抱えてうずくまる二人がいた。

 

「どないしましょうか、こいつ・・・」

 

「ま、まあ、なんとかしましょう。」

 

鳳扇の言葉使いがなんか変な方向へぶっ飛んでしまった。

永琳は言葉使いは変わっていないが困惑しているのがわかる。

 

なんか申し訳ないが、どうしたって事実なのだから仕方ない。

 

 

二人が失敗しても私に2人を責める権利などない。

2人に何かあれば自分を犠牲にしてもよい。

彼ら自分のために行動してくれるのだ。

失敗したときは私が犠牲になれば済む。

 

そしてきっと自分は、何事も普通にこなすだろう、それが無理難題でも。

 

なぜこんなことが言えるのだろう、そんなことやったことないはずなのに、なぜとの知識を持っているのだろう。

本当に私は何者になってしまったのだろう。

 

きっとそれは人外を超えるようなろくでもない者なのだろう。

 

今の自分のように。




次は、本編からは少し外れます。
続きではありますが、本編にはあまり関わりはないです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5話

明らかに本編より長い気がする。


「あら?今日も早いのね。」

 

日が昇り始めた頃、まだ誰もいないと思って来てみたらもう彼は来ていた。

 

「おはようございます、八意様、あなたも早いですね。」

 

そう、光淵が返す。

その手元には書類があり、机の端にも積み上がっている。

彼がここに来てもう数年がたっている。

そして仕事はきちんと完璧に仕上げてくれている。

それも、2部署の書類をだ。

それだけならまだいい

 

「光淵・・・それどう見ても他のところの書類混じってるでしょ・・・?」

 

「そうですね。」

 

「返してきなさい」

 

「どうせもう終わります、それにこっちでやった方が安心ですし上に早いでしょう?」

 

これである。

確かにその通りだ、その通りなのだ。

彼が入ってすぐこの部署の予算が減らされる。

等があった。

 

 

嫌がらせで、渡されたのが予算系の書類という相手の致命的なミスによってこちらが一気に有利となったことは否めない。

そして、グダグダとしてなかなか決まらなかったことが、書類のできと早さによって強制的に相手にお返しすることになった。

そこでやめれば良かったのだ。

上に褒められて、こっちがその書類を受け取らなければ苦労しながら奴らがするしかない。

 

だがこのお人好しは・・・

 

「どうかいたしましたか?」

 

「いいえ何でも無いわ」

 

そこに扉をノックする音が響く

 

「どうぞ」

 

「失礼する、おや、これは、八意殿」

 

「あら?鳳扇隊長何かご用で?」

 

「光淵を借りていってもよろしいですかな?今日は訓練がありますので一緒にどうかと思いまして」

 

私はチラリ、と光淵の方を見る、機械のごとく書類をめくり処理している。

 

「いいわよ、彼も身を守る技術を高めることも必要でしょうし、こんなところにいては体も鈍るでしょう?」

 

「そうですね、言っては悪いですがここにいたら凝り固まりそうです。」

 

鳳扇がそう答える。

それには笑うしかない

事実、腰や肩を痛めている者もいる。

時には体を動かさせた方がいいかもしれない

 

「光淵、行ってきなさい。その書類の山もうできあがっているのでしょう?」

 

「ばれましたか。さすがですね。」

 

彼は苦笑しながら答える。

 

「鳳扇隊長、あの書類運ぶのを手伝っていただけませんか?そのまま連れて行っていただいてかまいません。」

 

「もとよりそのつもりです。」

 

隊長には珍しくいつも飄々とした表情を崩しにこやかな顔で答えた。

 

鳳扇と光淵が書類を持って運んでいく

ある意味目立つ2人組だ

目線が2人に集中するが気にもしない。

 

さっさと元の部署に差し戻していく。

 

 

「光淵一枚余ったんだがこれは何所のやつだ?」

 

「それはお前のとこのやつだ、昨日出していた書類忘れたのか?」

 

「あ、あれか!?早いな・・・」

 

軽い会話をしつつ訓練場へ向かう。

2人の仲は出会ったときからそんなに悪くはない

本当なら敬語で話すところなのだが、鳳扇自体敬語が好きではない

そして、暇があると話しに来ていたのでとても会話がスムーズだ。

 

 

 

訓練場ではもう兵が自主的に訓練を始めていた。

鳳扇は続けるよう指示を出し、光淵の元へ戻ってきた

 

「お前の能力は魔法を使う能力だったな?」

 

「ええ、そうです。」

 

「特殊な魔法は八意殿に習ってくれ、私が教えることが出来るのは、身体強化を行う魔法になる。お前は、無意識でそれを行っていたが、不安定だ、これは安定させるための訓練だと思ってくれ。」

 

「分かりました、よろしくお願いします。」

 

「深呼吸をして、体の中に扉をイメージするんだ。その扉が魔力の調節を行う壁と思えばいい。それをイメージしたら扉を開き、その力を全身に纏うように流すんだ、一カ所に集中させると力は増すが肉体が耐えきれないから注意しろ。」

 

「・・・はい」

 

「うん、それを維持する感じだ。それで体術を組み合わせるとなかなか強い攻撃になる。繰り返すごとに精度は高まるから、書類仕事中にも出来るはずだ。」

 

「・・・意識するとこんなに違うもんなんですね・・・。」

 

「むしろ、無意識でそれを行っていたお前がすごいと思うんだが・・・」

 

「そうなんですかね?」

 

集中して全身に流し続け、均一に流し安定させていく。

 

「安定させることができたら、軽く体術の練習をしていていいぞ、ちょっとあいつらの方も見とかないと拗ねるからな、おぞましいが・・・」

 

「クククッ、違いない。」

 

鳳扇が部下たちの方へ向かうのを見送ると、そのまま続ける。

少しずつ楽になってくるのを感じていた

しかし

鳳扇がその場にいたら、即座に止めただろう。

何故なら・・・・

4分の1程度の力だったが、その時点で鳳扇の最大出力の2倍を超えていた

それを全身に力を巡らして纏っていたからだ。

 

 

「さて、そろそろ体術使ってみるか・・・」

 

さっきも言ったが鳳扇の最大出力の2倍で強化中である。

 

力を維持したまま横なぎにする感じで思い切り蹴りを・・・放つ!

空気が圧縮され、そのまま前方に放たれる。

その跡を三日月型の弾が少し遅めで追従する。

 

「あれ?」

 

 

鳳扇は次の瞬間、悪寒を感じ、背筋が寒くなる

ドン!!!

という音とともに体が吹き飛ばされる感覚がした。

目に入ったのは同じように飛んでいる部下と真下を通り抜けていく薄紫の三日月

それは、訓練用の壁に向かっていく。

魔法を打ち込んでもびくともしない壁それが

 

爆音を立てて崩壊していく

 

(あ、ありえんだろ・・・・あいつ・・・)

 

地面に叩きつけられ意識が飛んだ。

 

 

 

 

「4分の1の出力でぶっ放してあれが崩壊ねぇ・・・さすがの私もびっくりだわ。」

 

部隊の治療のためやってきていた、永琳がそう答える。

 

「はあ、すいません・・・」

 

「直すときは、前の10倍の強度はいるかしらね?」

 

「私が壊したので私が直します・・・。」

 

「今回は、鳳扇にも問題があるわ、始めから一人にして勝手に進めていいなんて言った方も悪いわ。」

 

 

「はあ・・・」

 

「鳳扇もそこは了承済みよ、まあ、腰を痛めてるからしばらくは無理でしょうけど。」

 

「・・・・・・・」

 

「部隊は副長が引き継ぎます、部下はいつもの半分弱ね。・・・光淵あなたに命じます第一部隊の支援に回りなさい、暇を見つけて壁の修復もです。私のところの仕事は結構、そちらを優先しなさい。」

 

「了解いたしました。」

 

光淵は、頭を下げあっさりと了承する。

自分が悪いことを十分に理解している証拠だ。

ほかの連中ならごまかすか何かして、腹が立つことこの上ないのだが。

 

副隊長も鳳扇ににていい人だあの人なら何とか光淵ともうまくやれるだろう。

そう思いながら部屋に戻る。

そしてふと気が付くのだ。

 

光淵ってどこで寝泊まりしているのだっけ?

 

と・・・・

 




続きます
時間稼ぎのために
予想外に筆が乗ってしまったが故に


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6話

最近1日1話書いてる気がする。
短いし、中身薄いけど


壁崩壊事件から数日が立ち、鳳扇が復帰した。

そのことを報告しようと鳳扇は八意殿のいる開発局にいた。

光淵は、部屋にはいない

今、第一部隊は副長をトップとして、翼竜の討伐に出ていた。

それに光淵がついていったのである。

そして、部屋では鳳扇と永琳がとある話をしていた。

 

 

 

「光淵の住まいですか?開発局に所属しているからそちらの棟では?」

 

「それが見た覚えがなくて、それに私が帰る頃にもまだ部屋に残っていたりするのよ。」

 

そう、彼が帰ったところを一回も見たことがない。

それどころか、部屋を用意したのか、覚えがない。

 

「・・・・やってしまったかしら?」

 

「確認しましょう。」

 

過去の書類を2人で引っ張り出す。

いいことに、光淵がしっかり日付ごとに順番に並べてくれていたのですぐに見つかった。

 

「この建物って・・・・・」

 

「公共施設を作るからって潰されたところですよね。」

 

「「・・・・・・・」」

 

公共施設が作られることになった時期を見ると光淵が入ることが決まって数日のことだ

明らかに嫌がらせである。

では、彼はいまどこで生活をしているのだろう・・・?

 

「明日には、光淵が帰ってきます。その時に聞きますか?」

 

「いいえ、いい機会です、この際、彼の行動を見張って書類の押し付けられている場面、誰がそんなことをおこなっているかも調べましょう。鳳扇隊長、副長にも伝えてもらえませんか?出撃帰りで悪いのですが、人手がほしいです。」

 

「分かりました、伝えます。まがりなりにも、あいつは私の部下、副長にとっても部下ですおそらく協力してくれるかと。」

 

「そうですか、優秀な部下にちょっかいをかけたことを後悔させてあげましょうかね。」

 

二人の顔が悪い顔になる。

笑っているようにも見えるが邪悪な笑みだ。

実験の結果を持ってきた職員が入って書類を置いたら速攻で出て行くぐらいには

 

 

「光淵支援隊長の行動追跡ですか?いいですよ」

 

「・・・あっさり引き受けるんだな」

 

「たぶんそこで聞いてる奴ら全員手伝いますよ?」

 

副隊長がドアを開けると部下の大半がそこにいた。

 

「・・・・盗み聞きか・・・まあいい手伝うんなら手伝え」

 

全員に彼に何が起きてるか鳳扇が言うとそこは怒りに支配された。

 

「・・・おい、副隊長、光淵に対して怒りはないのか?こいつら」

 

「無いですよ、一人一人謝りに回って、お詫びの物まで配ってました、それに・・・」

 

「それに?」

 

「今回の翼竜討伐大活躍の上に面白い物も見せてもらいましたし・・・」

 

「??」

 

 

「・・・・・翼竜をかかと落としでたたき落としたぁ!?」

 

「ええ、片っ端から」

 

「・・・どうなったんだ?」

 

「全部頭を地面にめり込ませて土下座状態に、あ、首折れてるんで即死です。それがきれいに整列した状態で並びましてね。全員で大笑いです。」

 

「・・・・そうか、まあいい、気づかれるなよ、気づかれるとあいつ気にするからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?昨日の光淵の行動は?」

 

まだ日の出ていない夜明け前、開発局前に3人の陰があった

永琳と鳳扇、副隊長の3人である。

 

「部下によるとシャワー室に行って開発局に戻ってそのままだそうです。」

 

「・・・完全にあの部屋が寝床じゃないのか?」

 

その後、彼が起きるとこの中枢地区を散歩しに行っていた。

 

「おい!そこのお前!今日のやつだ!やっとけよ!」

 

散歩しているとあちこちで書類を渡されていたが、今日は追加がある。

 

「おい・・・ちょっとこっちこい」

 

光淵に書類を渡した奴を第一部隊の連中が両腕を捕まえて犯罪者のごとく連れて行く。。

 

「おい!放せ!なにをす・・・」

 

「説教よ、それ以外何があるかしら・・・?」

 

「ひぇ・・・八意様・・・」

 

鳳扇の部下が書類を渡した奴を片っ端から捕まえ、永琳と鳳扇による説教が始まる。

そいつらだけで数十人がとっ捕まった。

 

「何をやってるんだ?あいつら・・・・?」

 

片っ端から捕まえて説教なんてしていたらそりゃ目立つ、もろにばれていたが声は聞こえていなかったのでそのまま部屋に戻った。

 

ちなみに、説教(物理も含む)を受けたもの達は永琳と鳳扇の連名による抗議文を携え部署に文字通り、たたきつけられることになった。

 

 

 

 

「これであいつらも懲りましたかねぇ・・・?」

 

「懲りてほしいわ、全く・・・」

 

光淵のいる、開発局に戻りながら話す。

二人とも疲れ切った表情だった。

無理もない実に30人を超えるほどの人数がいた上にガヤまで出てきたのだから。

後始末は副長たちに任せることになった。

 

「あとは部屋の問題ですか」

 

「それなりの部屋を用意させます。」

 

 

 

 

「部屋?そんなのいらん、ここで十分だ。」

 

「「・・・・はぁああああ!?」」

 

「何か変なこと言いましたか?」

 

変なことしか言っていないのだよ部屋ぐらいは普通もらうものだ。

 

「理由を聞いてもいいかしら?」

 

これから来る答えになんとなく予感を覚えながら永琳が聞く

 

「前の部屋、行った時にはもうゴミだらけだったからいらない、別にそんなに荷物もないし、ここで十分過ごせる、足りないのは布団ぐらいか?」

 

「部屋で寝ましょうよ・・・・」

 

「どうせ寝てる間に火事になるだろうよ、ここなら変な奴も手を出してこないからな。」

 

頭が痛い問題だ、確かにやりかねない

 

「わかりました、秘書室をここに新設するのでそこに住んでかまいません」

 

「ありがとうございます、実を言うと一回踏まれたことがありまして」

 

「・・・・誰に?」

 

「言いません、可哀想ですので。」

 

端っこのほうで安どのため息をつく人がいたのだがそれは許された。

 

こうして、多数の問題は解決されることになった。

はずだった

 

 

 

「光淵?その書類は・・・なに?」

 

「泣きつかれた書類」

 

「・・・・・」

 

解決にはまだまだ遠いようだ。

 




次から戻ります。

気が向いたらこんな話が入ってくるかなぁ

この物語はシリアスなんだろうか、それともギャグなんだろうか、自分でも先が読めない
書いてるときに話ができあがっていくから



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7話

本編に戻りますよー
とは言っても前の話はこの話の間みたいなものですが


「・・・・ねぇ光淵・・・?」

 

「何かな?永琳?」

 

「その書類はどこの物かしら?」

 

「鳳扇とこの出費および報告書だが何か?」

 

「・・・・そっちの山は?」

 

「右が開発局の報告書などの書類、左が各配給予算案とか改善案の書類に国家予算配分に関する書類だが?」

 

永琳は眉間を押さえながら質問を重ねる。

 

「光淵?あなたの所属部署はどこかしら?」

 

「ん?第一戦闘部隊支援部と永琳の秘書」

 

光淵は、書類を仕上げながら質問に答えていく。

それを見て永琳は、他の人が見たら目をそらすほどのにこやかな笑顔を光淵に向ける。

それを見た他の部下達は全員、部屋から出て行くまたは、目をそらし耳をふさぐ。

 

「他の部署の物を勝手に引き受けるな!さっさと返して来なさい!」

 

皆首をすくめる。が、光淵は永琳の怒声で倒れそうになった書類の山を押さえながら書類をかたづけていく。

 

「面倒だ。そして、あいつらが押しつけてきた物だがこっちで好きなようにしてもかまわんだろ。」

 

と静かに返す。

 

「・・・ねぇ・・・このやりとりは何回目かしら?」

 

「100を超えたあたりから数えてないな。」

 

それを聞いて永琳の額に血管が浮く

 

「そう・・・」

 

この時点で周りにいた物は全員避難している

特大の永琳の雷など受けたくも無いからだ。

 

最後の一人が部屋から出た瞬間内側で雷が響く。

しばらくは入れもしないだろう。

入ったら最後ボロボロになって出てくるしかない

もはや八意永琳率いる開発局の名物のようになっている。

 

「今日はどうなっているかねぇ・・・」

 

「前の時は私の机が跡形もなかった」

 

「私は私物含め全部矢だらけに・・・」

 

「「「はぁぁぁ・・・・・」」」

 

研究員のため息が響き渡る。

一番の犠牲者はこの研究員達だろう。

なんせ、原因の2人は自分の机だけしっかり守ってるからだ。

 

「ん?お前達何をしてるんだ?」

 

話しかけたのは鳳扇であった。書類仕事は全部光淵にまかせっきりでその書類の受け渡しや引き取りをするためによく来ていた。

普通は、部下に行かせるものであろうが本人が来るのが日課のようなものになっていた。

 

「あ、鳳扇隊長殿。・・・実は・・・」

 

何が部屋の中で起きているのか説明すると・・・

 

「・・・・またか、何回目だ?というより何億年あのやりとりしてるんだ?」

 

「光淵さんがなかなかあれですから・・・」

 

「だがなぁ・・・八意様の言うことはもっともだが光淵殿のおかげでこの都が成り立っているからなぁ・・・」

 

「「「そうですよねぇ・・・」」」

 

ここの部署に所属しているのはまともな人達だけである。

上の2人があれなためまず近づきたがらない。

そして、光淵の手元に来る書類は基本的にこの国に直結するような重要なものばかりであるからだ。

 

 

鳳扇、永琳による説得により、永琳が光淵の身を引き受けた。

秘書官のようなこともしつつ、鳳扇のところで能力の強化などを行った。

光淵は

「魔法を使う程度の能力」

を持っていた。

今まで、無意識にそれにより身体強化を行い、斬撃に魔力を乗せ飛ばしていた。

そして、あと2つ誰も本人も気づいていないが

「全ての記憶と技能を写す程度の能力」

を持っていた。

これは、その人の動きを完璧にまねをしたり、記憶を自分に写しこませる能力

とある場所から引き継がれたものである。

もう一つは▇▇▇▇▇▇▇

誰も知らない能力

その能力を使い、何億年と永琳達を支え、国を支えていた。

 

 

鳳扇がいつも心の中で思っていることを口にする。

 

「あいつらさっさと付き合っちまえって話なんだがな・・・」

 

「あれで仲いいって言っていいんですか?」

 

「いいんじゃないか?あいつら何かと息ぴったりというより以心伝心だ。」

 

鳳扇はとある都市での反乱での出来事を話す。

 

八意殿は開発局のトップではあるが防衛などの作戦なども行っていることは知っているな?

その都市での反乱に私の部隊が出ていたんだ。

ん?なんで後方支援の光淵関係ないって?

確かにそうなんだが・・・・

あのときは、あいつ機嫌悪くてな暴れたかったそうだ。

話に戻るぞ

その都市には他のとこからも援軍が来ていたみたいでな苦戦をしていたんだ。

そこに、八意様率いる部隊が来たんだ。

そしたらあいつすごい勢いで敵を吹き飛ばし始めてな・・・

相手を潰走状態に追い込んだんだ。

逃げた先には増援部隊が待ち構えて一網打尽。

え?普通じゃないかって?

いやいや、部隊同士で連絡取っていなかったからな。

突然暴れだしたときは何かと思った。

八意様の部隊にいたものの話だと人が飛ぶのを見た瞬間には各道に部隊を展開するように指示されたそうだ。

 

 

「「「・・・・ぱねぇ」」」

 

「だよな」

 

そんなことを局員と鳳扇が若干あきれを含みつつ話をしていた。

 

 

「「おい・・誰が仲がいいって?」」

 

男性と女性のは持った声が聞こえてくる。

それも、扉のとこからだ。

鳳扇も含めた全員がギギギッと音を立てそうな動きで顔を扉に向ける。

そこには・・・

 

笑顔をこちらに向けた光淵と永琳が顔を扉から出していた。

 

(((うん、仲いいねこれは)))

 

全員心の中でそう思っていた。

 

そしてこれからおきること分かりきっていた。

 

局員が鳳扇を突き飛ばし走り出す。

 

背後から鳳扇の悲鳴が響いてきたが振り返らず走り続ける。

心の中で謝るか、合掌しつつ走り続ける。

背後から矢が飛んでくる。

何かが崩れるような音とともに悲鳴も聞こえてくる。

捕まったら死が待っている恐怖の鬼ごっこが行われていた。

 

 

 

書類を書き続ける。

ほんとに、上には屑しかいないのかむちゃくちゃな予算配分などがあってイライラする。

それに出費と消費の計算が一致しない。

確実に着服している奴らがいる。

だが、そんなことでイライラするのも後しばらくだろう。

 

「永琳」

 

呼びかけるとすぐにこちらを向く。

 

「何かしら?」

 

「お前や鳳扇も月へ行くのだろう?」

 

「・・・・知っていたの?」

 

「噂なんて結構耳に入ってくるものだ。そもそも予算を扱ってるのは誰だと思ってるんだ?」

 

「ふふっ・・そうだったわね・・・。」

 

永琳と光淵の最初の掛け合いは演技である。

後の大喧嘩はただじゃれていただけだ。

お仕置きは本気ではあったが。

そのため部屋には永琳と光淵以外誰もいない。

(ちなみに、しっかり治療は終わっている。)

 

 

いままだ嫌だった仕事が楽しく感じられた。

永琳にとっていまが最高の時間ともいえる。

何かと、光淵がいたから楽しめたとも言える。

 

「光淵・・・一緒に行く気は・・・」

 

「すまない・・・私はここを離れることは出来ない。・・・知っているだろう?」

 

「・・・知っているわ・・・あなたからは穢れが出て行かない、その身に溜めていくことぐらい。」

 

永琳の作った穢れを排出し寿命を延ばす薬

穢れは元々地上に存在する生き物から我々に蓄積され死に至らしめる物

ならば穢れのない月へ行こうということなのだが・・・

 

光淵にそれは効かなかった、それどころか蓄積していった。

だが彼は何事もなく生きている。永琳にとっても謎のままだった。

 

「だけどその程度・・・私たちで説得すれば!」

 

「いいんだ、いいんだよ永琳。私は何回君に助けられた?これから何回君に助けられる?恩も返せていない、だが、これ以上、永琳や鳳扇を危うい立場に置きたくない。それに・・・私はこの星が好きなんだ。」

 

「そう・・・なら・・・いいわ・・・」

 

 

 

すまない永琳、こうでもしないときっと私は・・・君に甘えてしまうだろう。

きっと、それはいいことにはつながらない。

だから・・・

 

 

その日から、2人から会話が消えた。

それは、永琳と鳳扇が地球か離れる日まで続いた。

 

 

 

「ほんとに行かないのか・・・?この星にはもう・・・」

 

鳳扇が話しかける

 

「いいんだ、どうせ死ぬのならこの星で死にたい」

 

「そうか・・・」

 

会話が途切れる。

もうすぐ鳳扇も船に向かわねばならない。

時間が迫っていた。

 

「永琳は来ない・・・か・・・」

 

「鳳扇」

 

「なん・・・おまえ!何を!?」

 

そこには足下に近いほど伸びた髪を剣で切った光淵がいた。

そして、箱にその髪と懐中時計を入れる。

それと少し大きめの縦に少し長い箱を渡してきた。

 

「これを永琳に渡してくれないか・・・?」

 

「お前・・・」

 

「髪のことなんか気にすんなよ?あいつへの俺の形見だみたいなもんだ。」

 

「・・・分かった。必ず渡す。」

 

そう言って自分の荷物に押し込む。

 

「また、会えることを信じている。」

 

「ああ、またな」

 

光淵は、去って行く鳳扇の背中を見えなくなるまで見送り続けていた。

 

 

 

永琳は窓から少しずつ離れていく地球を眺めていた。

蒼く美しくも穢れに満ちた星、だがとても忘れられぬ思いのある星だ。

そして、その思い向く人はあの星に残った。

別れの言葉もなく。

 

「八意様」

 

鳳扇が膝をつきつつ手に持った物を掲げている。

 

「何かしら?鳳扇?」

 

窓の方を見たまま返事をする。

 

「光淵殿よりあなた様に渡すよう頼まれた物でございます。」

 

それを聞いて顔を鳳扇に向ける。

そしてその箱を受け取った。

 

そっとその箱を開ける。

そこには彼が気に入っていた懐中時計と彼の不思議な髪が入っていた。

 

「・・・まるでもう会えないみたいじゃない・・・ひどいわねあの人」

 

「・・・」

 

鳳扇は何も答えない

 

そしてもう一つの箱を開けるそこには・・・・

 

「これはっ・・・」

 

「花・・・ですか?いったい何の?」

 

「ミヤコワスレ・・・」

 

花言葉は

 

「また会いましょう」

 

「あのひとらしい・・・」

 

そのときだった。

 

突然窓から白く真っ赤な閃光が差し込む

2人は慌てて窓から外を見た。

そこには

 

 

真っ赤に燃える地球があった。

 

 

 

 

「「えっ・・・・?」」

 

 

ガシャンと鉢が落ち土が飛び散る。

 

ただ、沈黙がそこに流れていた。

 

 




文字数が安定しないなぁ
まあ、仕方ないよね?

お気に入り7件になりました
登録して戴いた皆様ありがとうございます。

お二方ほど見つけたときは(゜゜;)ってなりましたが・・・
これからも頑張らせていただきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8話

能力多すぎって?
いいじゃない?
自分が書いていて楽しければいいんだから

批判?批判するぐらいなら読まなければいいじゃない

ストレスを文字に打ち出して書いているんだからチートなんだ察して




鳳扇を見送って私は一人誰もいなくなった都市を歩いていた。

ここにはもう誰もいない

住んでいた者は月へ行くか、他の都市へ行ってしまった。

都市は残っていてももうここは廃墟も同然だ。

 

足は、自然と長い年月を永琳と過ごしたあの部屋へ向かう。

途中には、初めて顔を合わせた牢獄棟

能力の制御が出来ず最大出力で蹴りを放ち鳳扇とその部隊全員を風圧で蹴り飛ばし壁を崩壊させてしまった演習場。

書類を押しつけるために屑どもが隠れて待っていた場所

そしてその場で鳳扇、もしくは永琳にそいつらは怒られていた。

2人の書類は私に来たが・・・。

そして永琳の薬が失敗して爆発し建物が倒壊した場所

 

そこらかしこに思い出があった。

 

なんかと数億年生きてないな・・・・ほんと分からないものである・・・

XXXXXX・XXX君よ、私の大切な義妹よ君は何所へ行ってしまった?

私と同じならどこかで生きていてもおかしくはない。

本当に何所に行ったんだ?

 

考え事をしていると周りが見えなくなってしまう。

とっくに開発局を通り過ぎていることに気づき来た道を戻る。

 

部屋には机などは残っているしかしほとんどは処分されがらんとした雰囲気が郷愁を誘う。

自分には部屋はなく、というよりも断っていた。

仕事も多かったからこの部屋の床や椅子で寝ていた。

永琳や他の研究員、鳳扇にも踏まれたこともある。

そのことはいい笑い話だ。

 

自分の席に着き、一番下の引き出しを引き出す。

そこには、この世界に来ていたときに使った刀が入っていた。

 

どんなに手入れをしても時間には逆らえずもう切ることも出来ない。

ただ、この世界に来たときのことを忘れない物であった。

 

全ての荷物を持って立ち上がった瞬間のことだった。

 

閃光が走りその後を追従するように爆風が走り抜ける。

訳が分からない

閃光に焼かれ、爆風で飛ばされてきた破片にずたずたにされ

 

彼の意識は消えた。

 

 

 

「あ~あ、やってくれるねぇ傲慢な者ども。さてさて、あの子は回収してあげないと行けないなぁ。誰がなんと言おうと、私の弟のようなもんだしねぇ?」

 

暗闇が現れ、そこから長い金髪を風になびかせながら黒いドレスを着た女性が出てくる。

そして、抱えようとした

 

「大丈夫だ、常闇を統べる者。」

 

「お?」

 

目に見えていた傷がみるみるうちに直り服が漆黒の水干のような物に変化する。

 

「何年ぶりかしら?あなたが出てくるのは?普段はその体の持ち主でしょ?」

 

「関係ない、あっちも私も同じだいや、もう私になった。」

 

「あら?そうなの?」

 

「ああ、今ので完全に私と1つになった。あいつは私で私はあいつだ。」

 

「あらあら、まあいいわ。それでどうするのかしら?」

 

「この星が落ち着くまでは自分のところにいることにしようと思う。」

 

「そっ、じゃあ、私は失礼するわ。じゃあね、始まりの闇を呑んだ閃光の残骸にして利用された者」

 

「その名はやめてほしいな、常闇の姉さん、今の私には名前がある。」

 

「知らないわ、聞いてないもの。」

 

「この体の持ち主の名前だ。まあ、さっきまで偽名で通していたが」

 

「へぇ、あなたそんなことには興味すら示さなかったのに変わったわね?」

 

「こいつと混じったからだろう、おかげで楽しめる。」

 

彼女があきれた顔をする。

 

それを見て笑いながら彼は右手を振り下ろす。

音も立てず開かれた空間は暗いようで明るい。

寒いようで暖かい、どっちつかずで矛盾していてものにあふれている。

 

「私の名前は本名と偽名を合わせて今から八雲光淵。義妹が見つかるまで私はこの名前だ。」

 

「そう、じゃあね、光淵、また会いましょう。」

 

彼女はそう言って闇を作り出しその中に消えた。

 

それを見届けると

 

「さあ、始めようかさすがにお返ししないと気が済まない、永琳には当てないようにしないとな。」

 

空間を大量に展開する。

そこから巨大な物体がつきだしてくる。

それはどこかの世界の戦争で使われていた兵器のたぐい

 

そこからエネルギー弾が発射され地球をこのように変えた兵器をたたき落とす。

相手からしたら突然誰もいない場所から攻撃を受けたのだ。

回避する元も出来ない。

3/2が落とされることになった。

 

そのうちの1つが空間の裂け目に落ちたこと誰も知らない

そして本人も知らない。

このことが義妹がいなくなったことと大きく関係することになったなど。

 

宙に大輪の花を咲かせ満足した彼はとある存在に押しつけられたその空間に入り込み閉じた。

そこには、生まれたてに戻った地球と訳が分からず混乱する艦隊が残された。

 




前書きでは失礼いたしました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9話

暑さのせいか何なのか
変な言動が増えてきた気がします


退屈だ

ものすごく退屈だ

己の空間に来たことはいい

だが、ここは世界の終わった後の残骸忘れられた物の廃棄場

 

人なんかいるはずもない

あるのはがらくた

捨てられたものばかりだ

中には世界によって使用されぬようここに送られたものもある。

 

今座っているものなんて横倒しになったICBMだったりする。

ほとんど日用品なんてここには流れてこない。

ほとんどが兵器で日用品があってもそれは積み重なった兵器の下敷きになっている。

 

あのときにエネルギー砲じゃ無くて物理的に減るミサイル使えば良かったかな?

ふとそんなことを考えてしまうがそんなことをしたって何所まで続いてるのか知らない空間に溜まっているこの兵器群を多少使ったとこで無くなるわけがない。

 

ここに来て数億年がたっていた。

一回地球に戻ったこともあったがやっと冷え固まってきた程度だった。

 

そして、死ぬことも老いることもない存在になり、食事も必要なくなった。

それは、魂が本体でありあくまで体は付属品である。

肉体は不便だ

しかし、不便だからこそ、人は発展してきたのだと思う

その発展をねじ曲げてしまった結果がこの空間につながっているのだが。

 

もし、見れるのであれば間近で進化を見ていこうか。

姉さんにはきっと何か言われるだろう。

だが、人間として生きてきた自分にとって億という年月は長すぎる。

きっと不老不死っていうのはきっと一番罪の重いものに与えられる罰なのだろう。

神話でも不老不死を叶えた者は幸せになっていない。

不老不死になろうとした者も叶えた者のように不幸になった。

 

この感覚がもし罰なのだとするならばきっと何もしていない赤ん坊の魂と混ざってその運命をねじ曲げたことか

それとも人を人ならざる者に堕とし、自らの肉体としたことか

あるいは両方か、

もしくは、本当は関わってはいけない世界史、人類史に関わり永琳や鳳扇、XXXXXX・XXX、XXX・XXを本来の道から外したからか。

もしかするとこの世界自体がもはや狂い始めているのかもしれない。

私という存在によってその終わりを私に見届けさせようと言うことだろうか。

ならばそれもまた一興

私のせいでゆがんでしまったのならば、そのゆがんだ先で幸せにしてやればいい.

恨むのであれば恨めばいい歪められた者にはその資格がある。

殺そうとするなら殺されてもかまわない

どちらにせよ死なぬ体だ。

好きなだけ殺せばいいそれで恨みが晴らせるのなら。

いけない

時間がありすぎると妙なことばかり考える

どうせ考えるなら楽しいことを考えたい

 

 

・・・帰って見るか地球に

 

 

 

久しぶりに道を開くそこから出ればそこは地球いったいどうなっているのか心の高ぶりをおさえつつ足を踏み出した。

 

 

 

 

「さっむ・・・・・」

 

出た瞬間ものすごく寒い

雪が舞う

いやそんなレベルじゃない

吹雪、猛吹雪だ

視界が全く効かない

そして水干のままですごい寒い

 

 

危なかった、戻って無かったら死んでたなあれ

 

 

氷付けになってたってことはスノーボールアースか

 

生き物の陰すらない当たり前だ氷付けになった海の底

海底火山の近くにしか生き物はいない。

一応戻っては来たが、ここにいてはこの先どんなことが起こるのか全く知らない。

 

ここにいることは、飽きた。

ならば多少寒かろうが関係ないだろう。

 

 

遊びに行くことぐらいかまわないだろ?

 

 

その前に服探そう。この服はやばい

 

 

冬物の服が見つかって良かった。

 

 

けど・・・・

 

「くっそめんどくせぇ」

 

ほんと何層に重なってやがるんだこの世界は!?

ほとんど兵器ばっかだがすごく動きずらい上に適当に放置されてやがる!

いったい何所の誰がここに物を放り込んでいるのかは知らないが放り込むにしても整理してほしい

 

 

・・・・・・・地球に一度出して整理するか・・・

 

暇つぶしにはなる・・・・

 

寒い中一人で荷物整理・・・・

アホなのか・・・

 

 

また空間を空け外に出ると・・・・

 

 

「ん?あんた誰?」

 

 

氷の羽を持つ美人がいた。

 

 

「・・・・どゆこと?」




不老不死になった人とかって、時間とかに対してルーズな感じになっていくんでしょうかね?

もしくは絶望し心を失うのか

不老不死って最高の極刑ではないでしょうか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10話

本日2度目の投稿
何でかって?
明日投稿できないから
それとちょっと溜めすぎたから放出


「お~い!チルノ~?どこ行ったー?」

 

いろいろな物が分別して置かれた空間に声が響く

 

「ん~?こっち~」

 

返事は反響しどこから響いてくるか分からない

 

「こっちじゃわからん!」

 

「えーっと・・・、黒くて、大きな円筒状のものが積みあがってるとこ?」

 

「なんで疑問形だ?名前書いてあるだろ読め!」

 

「似た形のやついっぱいあるじゃん!え~と、リ・・・リト・・リトル・・・」

 

超危険物集積所入り口付近かなんでそんなとこに

 

「分かった、すぐ行く、絶対に触れるな。」

 

「は~い」

 

役にたつのかたたないのかよく分からんなこいつ・・・・

 

現在地下で平行世界のゴミ溜め場と勝手に名付けた己の管轄世界の整理をしている。

 

そしてもう一人が、ゲートから出たら目の前にいたチルノと言う蒼い長い髪と氷のような羽を持ち、深い碧色のドレスを着た美しい女性だ。

自分でも何者なのか、分かっていないらしい

氷を操る者、そしてただ一人この氷付けの星で暮らす者だ。

気品もあって美しいのだが、時々妙なことをやらかすことがある。

 

閃光に巻き込まれて気がついたらここにいたらしいので、あのとき生き残った者だろう。

氷に関係する妖怪か精霊か、神か私には判別は付かない。

だが、氷を自在に操り氷の中にこんな巨大な空間を作ることが出来るのだ。

神と思ってもいいだろう。

 

 

「おい、信管抜いてあるとはいえ太陽もどきを作る物の上に立つんじゃない」

 

「だって退屈。かなり間こんなのを出しては戻しを繰り返してるだけじゃない?」

 

「・・・そうだな・・・たまには、遊ぶか?」

 

「いいの!?」

 

「ああ、いいよ」

 

この子にはどこか影がある。

特に、一人になってしまった後が顕著だ

 

この子がいつからこの地球にいたのかは知らない。

どれほど長い期間を過ごしてきたのかも。

私の場合は、しなければならないことが多すぎた

だが今はどうだろう?

もし、今、この子がいなくなってしまったとしたら?

私は正気を保っていられるのだろうか?

人としての感性を持ってしまったこの私に・・・

 

 

 

 

ああ、楽しい、嬉しい、

ようやく見つけた私以外の生き物

突然出てきた彼だけど

私にとってはどうでもいい

私は、氷の神?なのか?自信はない

この世に氷という存在ができた時から存在していたかもしれない

この星に現れるまで、私はだれかと遊んでいた気がする。

何か・・・光ったと思ったら、ここにいた。

誰もいない、私しかいない

最初は、喜びが私に中にあった

今まで以上の力を振るえた

だが、短い間だけ

それを見てくれる誰かがいない

楽しみ、喜び、遊んでくれる人のいないこの世界

彼は不思議な人だ

けれど私のことは気にかけてくれる

わがままを言っても、結構聞いてくれる

不思議な空間から出てくる不思議な物も面白い

私は今幸せだ

けどそれも長くない

彼は気づいているのだろうか?

氷が少しづつ溶けている

まだまだ時間はあるが氷がなくなったとき私はどうなるのだろうか?

 

 

 

「少しづつ、暖かくなってきたか?」

 

「そうね・・・氷も減ってきてる」

 

「・・・お前はいったいいつまでそうしていられる?」

 

「あら?気づいていたの?」

 

「空間の中身を整理できるほどぼ時間、一緒に居たんだ、それぐらいわかる」

 

「・・・そんなに長くない、その前に・・・眠るわ、次目覚めたときどうなっているか、見当もつかないけどね。」

 

沈黙が流れる、もう年月すら数える気すら起きないほど長い間ともにいた

永琳よりも近くにいたから、とても近い存在だ

 

「なら、私も眠ろう、少し疲れてしまった、きっと君よりも眠る時間は短いだろうが」

 

「そう・・」

 

「君を見送ってから眠るとしよう」

 

 

 

 

 

「光淵、また会えるかしら?」

 

「会えるさ、きっとな」

 

「また会いましょう?その時はまた遊んでほしいわ」

 

そう言って彼女は氷山の中へ消えていく

 

「また遊んでやるさ、お前は見ていて飽きない奴だったしな」

 

「さてと、ベットで寝るとするか、次起きたらどんな世界が広がっていることやら」

 

門を開けその中に入る。

そして眠りにつく、今まで消費した力を蓄えるように

 

 




だんだん短くな~る物語
文字数が安定しない
主人公が安定しない(わざとなとこあるけど)

地球の歴史をさかのぼるって大変だなぁ
内容あんまり気にしないでね



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11話

ここを抜けたら、やっと人類が出てくる・・・
うーん、過去からさかのぼるって、やり過ぎたかなぁ・・・
ま、ぼちぼち進めます。
読む人なんてほとんどいないでしょうし

後書きに、主人公のまとめを入れときましょうかね。


「頭いてぇ・・・なんか寝すぎたか?まあ、そういう呪いみたいなものをかけたのは自分だが」

 

どのくらい寝ていたのか、皆目見当もつかない

当たり前だが何億年も動き続ける時計なんてあったら見てみたい

 

「・・・・また増えたか?」

 

周りを見渡すと以前よりも道が狭くなっている

整理はされているが

 

「整理したらきちんとそこに置いていくとか・・・・」

 

最初からそうしてほしいものである。

 

 

 

服を着替え、地球に戻る準備をする。

前みたいに、不測の事態を防ぐためだ。

出た瞬間に寒さで凍え死にそうになったとか笑えない。

 

前のように門を開け外へ出た。

 

目の前からドデカいトンボが突っ込んできた

 

「うおぉぉぉぉぉ!?」

 

いきなりこれかよ、正面からいきなりデカいトンボとか心臓に悪い!

トンボの正面怖いんだぞ!

いきなりだったからついゲートを複数開いて剣でずたずたにしてしまった。

スマン、トンボついやってしまった。

 

 

感覚的にはさっきまで氷の惑星だったのに今は虫と植物の惑星に成っている。

それにしても

 

「デカい」

 

それしか出てこない

植物も虫もとにかくデカい

30メートルを超える植物、さっきのトンボも30センチを超えていた。

 

これはちょっと楽しみだ。

なんせ幼い頃から探検なんて無縁だった

最初の探検がこんな世界とか燃える

そして、今まで小さな歴史なんて見ていなかった。

実際にこうしてみているととても楽しい。

 

ちゃんと足跡は能力を使って消していきながら歩いて行く

能力使って歩きもせずに探検なんて味気ない。

 

スノーボールアースは探検してないって?

行っても行っても猛吹雪の雪原を歩いて楽しいか?楽しいか?

そんなことしてたら確実にピチュってるだろう。

 

・・・ピチュってるって何だ?

変なもんでも食べたかな?

 

くだらないことを考えながら歩く

ここに、義妹は、いないそれは確定だ

もしいるのだとしたら、変態的な感覚で分かる。

ただのシスコンである。(ただの?と言っていいのか作者もわからない)

・・・ただし、人ならざる者に変質していなければの話ではあるが

 

 

義妹がいないのならその時代を思いっきり楽しむそうしなくてはやっていけないものである。

本人は自覚していないがだんだん時間や誓いが緩くなってきていた。

長すぎる時間の中でそんな感情が表に出てきたのか

もともとがこのような性格で、今まで気を張りつめていたせいでまじめだったのか

人の目がないからか

どれが正解かなんて、本人も知らないのである。

 

 

ひたすらに、ただひたすらに泥だらけの道を進んでいく、水が豊富なのか。それとも流れにくいだけなのか、川からあふれた水が森を浸している。

道なき道を景色を楽しみながらただ歩いていく

 

 

・・・・誰かに呼ばれている気がする

歩きながら、さっきから囁くように聞こえてくる

呼んでいるような、どこか懐かしい感覚・・・

何時だったか、このようなことが前にもあった

誰が呼んでいた?

いつどこで、誰が、何のために?

私を呼んでいた?

 

それは

 

いじめられていた義妹が私に助けを求めていた時の感覚だ!

 

 

それに気づいた瞬間、走り出した

木を蹴り飛ばし、虫を叩き落とし、助けを求めるほうへ最短距離で走る。

彼は基本的に、人にはあまり興味を示さない

ただし、他人であっても助けを求めている人、自分を助けてくれたら、見捨てることはできない。

いつだって彼は虐げられる側だった。

虐げずに助けてくれた人も虐げられた。

なら、自分が救えばいい、救える者を救わないで見捨てることは自分も虐げる側へ堕ちてしまうから。

 

 

走り続け、広い空間へ飛び出したそこには

 

1本の巨大な美しい花が咲いていた

 

太陽の光を受け、大地にしっかりと木のような根を張り、

茎の先にこの世のものとは思えないような美しい花が咲いている。

思わず、その美しさに見惚れていたが、声は確かにこの花から聞こえてくる。

 

よく見ると虫が群がっていた

そして、幹をかじって倒そうとしているようだ。

そして、少し離れたところにも虫が群がっていた。

そこから、小さな小さな手が見えた

 

 

その虫の山に容赦なく蹴りを叩き込む

上に群がっていた虫どもを蹴り飛ばすとそこには

緑の髪と薄い羽をもつかわいらしい妖精だった

まだ、その妖精にかみついていた虫を弾き飛ばし抱き上げる

気絶しているようだ。

そのまま、花へ向かいそこにいた虫も同じよう消し飛ばす。

すぐに方はついた

しかし、この子を置いてはいけなかった。

 

ふと花を見ると根元が木の根のように盛り上がっている部分があったためそこに腰を下ろす。

爪でひっかかれたような傷やかまれた傷に薬を塗り、包帯を巻いてやって、また抱きかかえた。

身体強化をして、全速力で走ってきた彼は妖精を抱きかかえたまま花に背中を預け、寝てしまった。

少し暖かい妖精がとても眠気を誘い、2つ違いの義妹と一緒に寝たころを思い出していた。

 

 

 

腕の中で何かがもぞもぞと動く感覚がして、懐かしい夢から浮上する。

腕に目を向けるとぱちっと開いた赤い瞳が目に入る。

起きたら知らない男に抱かれていたというのに恐がりもしない。

もしくは、理解していないだけかもしれないが。

 

「う~~~?」

 

しゃべれないのか、うめきながら顔に手を当ててくる。

仕草が可愛らしい・・・笑顔になる。

それにしても、人懐っこいというか、何というか。

つい、かまいたくなる。

ロリコンではないはずだ、絶対に・・・・大丈夫だよね?

 

 

・・・・・・・・無理だった

 

結局ここにとどまることになってしまった・・・

次の日になったらまた虫がわいていたし、この花が唯一残った花、この妖精はその花を住処とし、暮らしている妖精であることが分かった。

何で分かったかって?

周辺に同じような、花の残骸があった。

どうもこの花には特別な何かがあるらしいが、私には分からない。

そしてこの子が唯一の生き残りのようだ。

それに、なぜか気に入られてしまい、どうも身動きがとれない

 

気づいたら背中などにひっついている。

さあ、あなたはこんな子をおいて立ち去れますか?

私は立ち去ることが出来ない。

断じてロリコンだからではない!OK?

 

 

いったいいくつの月日が流れただろう

相変わらず、花のそばにいる。

もちろんあの妖精もだ。

ただ、妖精では名前ではないので

優華

と呼んでいる

妖精ではなくなったのか、何があったのかは知らないが

背丈が小学生ぐらいにまで伸びていた。

言葉も少し話せるようになった。

今でも普通にすり寄ってくる可愛い存在なのだが・・・

ちょっとした獣なら倒せるぐらいまでになった。

戦うすべはをきちんとたたき込んだからだ。

 

そして私は、優華の前からいなくならなければならない

 

 

もうすぐ、第1回目の大量絶滅がやってくる。

この花がどうなるか、それは分からない

だが、守らなければならない

この子は、私が育てた子のようなものだ

なら、守ることは当たり前のことだ。

 

優華には・・・悲しい思いをさせるだろう

だが生きていれば、また会える

この子なら生き残れる

そう信じるから

 

 

遠くから爆音が聞こえる

地震も起き始めた

火山の噴火が始まったらしい

もうぐずぐず出来なかった

優華を抱き上げる

 

「すまない」

 

そして、家となっている花の中に押し込んだ

訳も分からずオロオロしている

扉を閉め、結界を張る

出てこようとしているが絶対に開かない

どんなに叫んでもこちらには届かない

全ての力を注ぎ込んで結界を張る

2回目の大量絶滅まで持つ、最大出力の結界を

 

おそらく意識は持たない。

眠りにつくことになる

いつまで続くか分からぬ長い眠りだ。

結界が解けるまで優華は眠る。

優華が出てきたとき世界はどうなっているのだろう

 

 

大きな音が背後から近づき一気に私を吹き飛ばし世界が暗転する肉体は跡形もなく消し飛んだ

残った魂は己の世界へ戻っていく

そこには、美しい花が何事もなく静かに咲き誇っていた。




主人公

偽名 八雲 光淵  真名 八雲XXX 及び XXXX

常闇の真逆の存在(光)でありながら闇を己に取り込み炸裂したもの
全てのXXXXともいう存在
しかし、歴史の中でもはや彼はいらない者、光でありながら闇、モノを作る立場、人類史、地球から見ればいらぬモノ。
だから最もやっかいなモノを押しつけ、思い通り動かされそうになる。
逃げだし、思いもせず取り憑いてしまったのが・・・・・

姉として常闇の存在XXXXがいる。

能力
「世界の廃棄物を扱う程度の能力」 

神造兵器、それに類するモノ、人間の手に負えぬモノそれらを廃棄するために作られた空間にあるものを自由に扱うことの出来る能力(fateのゲート オブ バビロン的なモノ)
また、幾多もある平行世界、世界が終焉を迎えた後たまたま、残ったものがやってくることもある。
忘れされれたものや星、世界によって不要と判断されたものも含まれる。
幻想郷に似ているかもしれないが、廃棄場である。
自由に出すことや倉庫としても可能。

元々、持っていないモノ、とある存在に押しつけられた能力でもある。


「技能を写す(コピー)する程度の能力」 

知識や身体能力、技術を自らに写す能力

「魔法を使う程度の能力」

文字通り、魔法を自由に扱える能力魔理沙や白蓮よりも多彩な魔法を使える。
人間である八雲XXXの元々の能力


「XXを操る能力」

「XX、XX、XXを操る能力」

憑いた存在が元々持っている能力使えば世界そのもののあり方が変わっていまいようなモノ、存在自体が使わぬよう封印した。
おそらく、最後の最後にしか使われぬたぐいのモノ

今使える能力だけでもチートだけれど最後は・・・・使わないと行けないたぐいのものを用意しているからこそこれと思っていただければ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12話

そろそろ1日投稿が厳しくなってきた
ストーリーが出来ても暑さで文字が出てこない・・・

クーラー?何それおいしいの?
家は扇子か団扇か扇風機しかないよ?
クーラーは置物だ!


私は、優華、彼にそう呼ばれている。

種族は分からない

仲間は全員死んでしまったから

 

私たちは一人一つの花とともに生まれてきたらしい

そしてその花に住み暮らす

それがずーっと続くと思っていた。

 

あるときから仲間がいなくなった

少しずつ少しずつ

あちこちにいた仲間もいなくなった

 

そして私たちの住んでいた場所も

変な生き物にやられた

なぜ私たちを襲ったのかは分からない

あっという間に私一人

もう少しで私も消えてしまうところだった

 

仲間はみんなもういない、私の声は誰にも届かない

虫に群がられ、かじられ息絶える

いやだった、まだ生きたいそう願った

首を挟まれ気を失う直前に彼はやってきた。

 

最後に見たのは私たちを殺してきた虫を消し飛ばす姿

 

 

私が目を覚ましたとき、ケガは布みたいなもので覆われて彼の腕の中で寝ていた。

何年も触れていない暖かい腕、とてもうれしかった。

つい、顔にまで手を出してしまったが

彼はいやがりもせず、ただ私のすることを受け入れてくれた。

そして、何所にも行かずに私のそばにいてくれた。

 

 

彼は何者なのだろう?

私のような仲間ではない、体が大きくて力が強い

私も体が大きくはなったけど、彼には全然届かない

それに、力の上限が全く分からない

私に、戦い方や力の使い方を教えてくれるときも全力を見せたことがない

いつも私に手本を見せるだけ、後は自分で慣れろと

確かにこれは自分に合わせてする必要があるがどうもおかしい

なにか、隠しているようなそんな雰囲気がある。

 

 

また長い年月が過ぎる。

それでも彼はそこにいる

もはや、それが普通

世界は移り変わり行く

植物も時が進むにつれ種類が変わっていく

虫も小さく、数も減っていった

見たこともない生き物もよく見かけるようになった

ここだけ、この花の周りだけが唯一時の止まった場所

 

でも、彼は止まっていないという、私という存在が止まっていないという

じゃあ、あなたは?

そう返したとき彼は言った

 

「私の時間はとっくの昔に止まったのさ、いつの時点で止まったのかは知らないけれど私は不変だ、それでも私はまだ、完璧じゃないんだまだまだ足りていない、その足りないものと、無くしてしまった大切な宝物を見つけるそれが私のなさなければならないことさ」

 

全てを理解することは出来なかったけれど、まだ彼には足りないものがある

なくしたものを見つけることが彼の生きるも目的のようなものらしい

もし、全てを取り戻すことが出来たなら、彼の時間は動き出すのかな

 

 

地鳴りが響く揺れる地面におびえ伏せることしか出来ない

そこに彼が助けに来た

けれどいつもと違う

私の花に行くと彼は乱暴に私を押し込んだ

扉が閉まる直前

 

「すまない」

 

そう、聞こえた

そして膨大な力が花を包む

 

叫ぶ

 

一人にしないで、と一緒にいようと

 

返事はない聞こえてきたのは何かしらの破壊音

と何かがぶつかる音

作った窓からは光が消え真っ暗になる

泣き叫び続けた

きっと彼はこのことを知っていた

だから、力を使わずため続けていた

私を救うために・・・

 

・・・・泣きすぎたのかな、とても眠い

ああ・・・もし彼に会えるのであれば会わせてください

まだお礼も何も出来ていない

私を助けてくれた

大切な時間を私のために割いてくれた

その感謝も出来ていない

恩返しも出来ていない

 

そうだ、目が覚めたら彼を探しに行こう

私の花を連れて

そして強くなる

次会うときには彼を守れるぐらい強くなるから

 

だから、

 

だから、生きていて

 

絶対にあなたとまた会うから

 

会いに行くから

 




次からは人のいる時代
長かった・・・・
次は・・・諏訪?だっけな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13話

二日に一回とかにそろそろ移行するかな
もしかすると、週1とか?


体が重いさすがに力を使いすぎたようだ

そもそも結界自体が永琳の見よう見まねの物だ

簡易的な結界は使ったことはあってもあそこまでの物は初めて

余計な体力と力を使った気がする。

こんなことならもっとちゃんと使って精度を高めておくべきだったか

今更だけどな

まさか体を吹き飛ばされて魂だけでここに戻ってくることになるとは

いやはや、火山はおっかない

 

初めて押しつけられたやっかいな魂の固定と復活に感謝だ

肉体がなくなろうが魂さえあればもとに戻ることが出来る

初めて使うことになったが気分は最悪だ

自分が死ぬ感覚を受け意識を失う

しかし、目を覚ませば元通り

死んでも、また蘇る

彼がいなくなれば、廃棄物を管理することが出来ないから

 

そもそもその管理ですら押しつけられたもの

巻き込んでしまったもう一人には悪いことをしてしまった

義妹も私のせいで何かを与えられたのかもしれない

謝ることが出来るのであれば謝りたい

あのとき私があの場所にいなければ、こんなことにはならなかったかもしれない

生命力が薄かったが普通の人間として生きていたかもしれないのだ

もはや私と完全に一つになってしまったため会話も出来ない

元々、会話も出来なかったが

 

私の記憶の一部となってしまった彼

彼の願いは私が必ず成し遂げなければならない物だ

それが、意識を奪ってしまった私に出来る償いでもある

時々彼の人格が出ていて、人を助ける

私ならきっと見捨ててしまっていただろう

 

本来の目的からは離れているのかもしれない

けれども

気分は悪くはない

彼の意識なのか感情なのか

別に悪いとは思っていない

むしろ助けていなかったら・・・

今頃、どうなっていただろう・・・・

 

後悔が残ったか?

それとも、何も思わなかっただろうか

人の感情とはなんと複雑なことか

さあ、もう一眠りしよう

次はどのような世界になっているのだろう

 

 

 

気分が悪い

使い切った力も回復、というよりも前よりもましていた

しかし気分が最高に悪い

彼の記憶の中にあった、二日酔い以上に悪い

だが、横になると余計に気分が悪い

 

「・・・・う゛ぁ~なんだこの気分の悪さは・・・・」

 

・・・・外から干渉されている・・・・?

いや違うな干渉というより・・・外で何かが戦っているのか?

そうなると神のたぐいだ

寝過ぎか、それとも何か他の要因があるのか

薄くなった部分に力が及ぶほどの

 

「・・・これが原因か・・・これのせいで世界が揺れて・・・・」

 

「イヤな予感しかしないが・・・出会いも大切だしな・・・」

 

いつも通り空間を開く

 

目の前に巨木があった

 

「はっ!?ぎぇばっ!!」

 

また死ぬ羽目になろうとは・・・

思いもしないことだ

 

 

復活した、復活はした

おかげで、気分も良くはなった

 

 

顔が痛い

思いっきり顔に大重量の巨木、御柱が直撃したのだ

さあ、この御柱を返しに行こうか?

 

御柱を片手で掴み持ち上げた時、指がめり込んでいた

(御柱は約10トン前後らしいですね、だいたい。)

 

 

 

 

 

 

「ほら、ほらぁ!土着神てのはそんなものかい!」

 

「くそぅ・・・」

 

背中におおきな注連縄を持つ青い髪の女性と金髪の背の低い少女が戦っていた

前者は、大和の神である八坂神奈子、後者が土着神、洩矢諏訪子という。

 

なぜ戦っているのか、それは、洩矢諏訪子の治める諏訪のクニに大和の神が己の信仰を得るため攻めてきたからである。

 

諏訪の民は鉄を扱うことにたけ、戦いにおいて有利である点も攻められた一員でもあろう、神社に祭られるミジャグジ様は縄文より信仰のある位の高い土着神、そのほかの土着神も従うだろうという考えだ

 

もちろん迎えうつことになったが相性が最悪であった。

相手は軍神、戦うことに特化した神様である、ミジャグジ様は子守や治癒などで戦うには向いていない、そして洩矢諏訪子の能力こちらは坤を創造する程度の能力、つまり大地を創造し地を操る能力対して、八坂神奈子の能力は乾を創造する程度の能力、天を扱う能力だ、地上は天からの影響を大いに受ける。

こちらの鉄器も地を操る能力も、ほぼ無効化されてしまった。

 

「もう終わりのようだね!」

 

神奈子がとどめを刺そうとした瞬間だった。

 

重い空気がのしかかった。

いや、これは威圧?

それもそこにいる大和の神よりも圧倒的に格上だ!

 

そいつの発生源を見上げる。

そこには、真っ暗な空間が口を開けそこに一人の男が立っていた。

右手に1本の御柱を持って。

 




毎回書いていて思うこと

この人の精神やばいことになってる気がする
書いてるのは私なんだけれども
書いてる私ですら時々分からなくなる


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14話

二日になりそうです。
親に振り回されて1話も書けなかった・・・・

あ、まだ未成年です今日までは明日で酒が飲める・・・・飲む気はないですけど


私は、今猛烈にここにいることを後悔している。

何でかって?

今目の前に、天照大神様なんか話にならない位の力を持った者がいるからだ。

最初は誰かが手伝いに来たか、相手の援軍かと思った。

だが、空間が開いたときそれはどちらも否定された

私と相手両方に容赦の無い威圧

それは感じたことのない、初めて味わう力でもあった。

 

(何なんだこいつは、一つの体に神力、妖力、霊力、魔力が同居している!?あり得ない!それでいて天照大神様よりも強い力とはどういうことだ!?)

 

「おい・・・・この御柱は誰の者だ・・・?」

 

「・・・・私の物です」

 

そう答えるしかなかった。

事実私のものであったからだ。

守矢の神も動こうとはしない、当たり前だ。

逆の立場でも同じことをする。

こんな奴と話なんて絶対にしたくない。

 

「そーかそーか、君の物か、いやぁすごいねぇ?私の空間を震わせるだけではなく、私にこれをぶつけて1回殺すんだからなぁ・・・?うんうん、不変の魂を持つ不死で良かったよ。」

 

・・・・なんて言った?こいつ今なんて言った?

一回死んだ?

・・・・なんで生きてるんだ?

神は死という概念は存在しない

神が死ぬ時は信仰が、無くなったときか忘れ去られたときだ。

私はこんな奴は知らない

そもそも空間自体を操るものなんて聞いたこともない

そんな奴がいるんだったらそいつが最高神だ

 

 

「運がなかったな、打ち込んだ先に私がいるなんて」

 

御柱をそんままつかんでいるところからへし折った

だいぶお怒りらしい

分からないでもない、いきなりそんな物が飛んできたら事故でも怒る

 

「あ、いや、す、すまない、いや、申し訳ない」

 

「うん、事故だってことは知っているし、私も悪い、だからね返しに来たんだよ?」

 

・・・・?何をだ?

御柱は折れてそこに転がっているが・・・

 

「そら、返すぞ」

 

そいつが言うと同時に背後の空間に複数の亀裂が入る

そこから出てきたのは古びた御柱だった

 

「・・・・え?」

 

射出された御柱が視界いっぱいに広がっている

訳が分からない

 

だが、その御柱の大群を土の津波が横から押し流す

驚き目を守谷の方へ向ける

さっき殺そうとした相手を助けた?

なぜ?

そんな思いがよぎる。

 

「あなたが何者かは知らないけれど、今そいつを殺されると私たちが困るんだ、私が負けた以上もうこのクニはもう彼らのものだ。今彼女を失ってしまったら、私のクニの民はどうなる?私が我が子のように守りかわいがってきた民は!?」

 

「それを考えるのは高天原・・・いや、どこぞの星から見下ろして、分霊や依り代、身代わりを使って苦労せずに信仰を集めようとするやつらだな。私には信仰という物はない、元々から存在する普遍的な物、この世の全てが理解し忘れ得ぬ物だ。神とやらも、私と姉の後から生まれてきた者に過ぎない。」

 

「「・・・・・は!?」」

 

そんな声が私と守矢から上がる

当たり前だ、神の前に他の存在は存在しないはずだ。

そんな存在がいるのであればそれは天照大神様なんて足下にもおよばない。

他の神なんて木っ端な存在になる

 

 

「まあ、いいもう会うことはないだろう、では私は行くとしよう私には探さなければならない者がいる周りには気をつけろよ。」

 

「待て!まだ話は!」

 

「ミジャグジ様!」

 

守矢が止めようとミジャグジ様をけしかける

すると、空間から小さな金属の箱のような物が出てきた。

するとそいつは血相を変えて風上へと逃げる。

ちょうど私たちとは反対側だ

なぜ空間に逃げないのかは謎だが

追いかけて追いつける速さだ、逃がすまい、彼の言ったことが気になるから

しかし追いかけれなかった。

 

ミジャグジ様に彼の落とした金属の箱がぶつかり中身が弾け飛ぶ

瞬間、ミジャグジ様が硬直し地面に転がる。

それこちらにも

 

「いったい何・・・グッ!?」

 

「なにが・・・・ッ!?」

 

鼻がねじ曲がるようなものすごいにおいが周りに広がる

声を出すことさえ出来ない

意識が遠くなっていった

 

 

 

目が覚めたときそいつはどこにもいなかった。

痕跡も残さず力も出さずに立ち去ったのか

きれいに隠したのか跡もたどれない

 

追いかけたかったが、領地処理がかなりやっかいなことになり追いかけることは出来なくなった。

神同士の戦いでは決着が付いても民が信仰することを拒否しては意味がない。

結局形式上は別の神が治めていることにして、守矢が引き続き治めることになった。

 

「なあ、諏訪子よ、あの者のことはどう思う?」

 

「・・・・嫌い」

 

「は?」

 

「ミジャグジ様あの後しばらく臭かった」

 

「・・・・そうかもしれないが・・・印象についてだ」

 

「第一印象としては、恐怖なんだけれど・・・」

 

「けれど?」

 

「今は感謝と・・・哀れみかな?」

 

加奈子は首をかしげた。

 

「彼がいなかったら私は死んでいたよ」

 

「・・・そうだな・・・私も感謝せねばならんな、おかげで後も今までより楽だ。で?哀れみってのはいったい?」

 

諏訪子は難しい顔をしながら答える。

 

「そうだね・・・どこか・・・何だろうね?何か重い物を背負って苦しんでいるような感じ?なのに、他人のことに首を突っ込むというかなんて言うのか」

 

「なんだそりゃ?」

 

「あの人、きっと壊れるよ。」

 

「・・・・なに?」

 

「危ういのさ、細い糸の上に立っているような感じだと思えばいい」

 

「・・・・・・」

 

「彼は、ああ言ってはいたけれど本当は自分でも自分が何者か分かっているわけではないんだと思うよ。たぶんあれは、2人ぐらいは混じってるんじゃないかな精神が」

 

「なに?」

 

「あの人はね、一つと思っているようだけど一つになりきれていない、互いの意識が大きかったんだろうね、だから、いつの間にか人格が切り替わっているのさ。」

 

「・・・放っておいたら・・・どうなる、いや、なんとなく分かるような気がするが・・・」

 

「たぶん合っているよ、二人分の魂の力に肉体が耐えきれない、暴発だそのとき内包する全ての力ごと。それもそれはいつまでも続く、彼は不死身だと言った、彼は魂がある限り肉体が復活するような物なのだろう、そして、彼の魂はおそらく朽ちることのないものだ。」

 

「世界を巻き込んで破壊した後も永遠に続く苦しみ・・・・か」

 

「たぶんね・・・・」

 

「そう考えるとあいつを追いかける気も失せた、変に追いかけると余計なことになりそうだ。」

 

「報告はしなくていいのかい?それに彼の言った言葉は?」

 

「アレを聞くとちょっと報告するのもな・・・あっちで余計なことをして破滅なんてとんでもない」

 

「違いないね」

 

 

 

・・・彼の心を癒やせるような人がいるのなら・・・・来てほしいものだね

 

己を攻めつつけ、己に罪をぶつけつづけ、心を壊す者よあなたに祝福を

 

あなたの心を安らげる者が現れますよう

愛し守る者が出来ますようにと

 




明日は頑張って書こう
できる限り全力で書こう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15話

なんとなく投稿

理由?
誕生日とFGOで信長が来たから?
意外とそんなもんです



ああ、どうしてくれよう、私を一回殺してくれたことを、同じことをしてやろうか

そんな考えしか浮かんでこないのはなぜだろう

確かに一発お返ししてやりたいとは思った。

しかし殺すのはどうかとも思っているのに・・・・

そんな考えが次々浮かんでくるのだ

どうもおかしい

時代が進むたびどこか・・・

どす黒い意識のようなものが浮かんでくるようになった気がする

そして、妙なことを口走る自分もいる。

自分の言動と

行動が

一致しない

ほんとに私はどうしてしまったのだろう。

 

空間から外へ、出てすぐ全力で力を放出する。

制限なんてめんどくさいことはしたくない

できる限りの全力だ

 

戦っていた二人はそれで戦いをやめる

 

やめる、というのは語弊があるか

とっくに勝負は付いていた

ちっこい方の負けだ

どうやらとどめを刺すところを邪魔したらしい

 

それがどうした!

 

そんな声が聞こえるのは幻聴か

 

勝手に口が開き御柱を使っていた背の高い女に問いかける

 

自分では、投げ返して注意するぐらいな予定だったはずなのに

なぜそんなことを言っているのだろう

持ってきていた御柱もへし折ってしまっている。

ああ、なんであろう

もう彼は私の記憶の中にしかいないはずなのに

消えてなくなってしまったはずなのに

まるで別な誰かがいるようではないか・・・・

 

体が勝手に動く、自分でもない誰かが動かしている

背後の空間が歪み保管していた数えることも億劫になるほどのボロい御柱が3~40本ほどが出てくる

 

彼女は絶望、いや呆けて動きもしない

神を名乗るのであれば、避けてほしいものではあるが・・・・

彼女は無理だろう

 

彼女は神であるが神ではないのだから

 

人間に神としての力を与えられ

神として行動しているだけに過ぎない

それでいて信仰は

 

目線を少し空へ向ける

いや、中に浮かぶ月に目を向ける

 

あそこにいる誰かのものか・・・・・・

どうやら、信仰を集めるためか汚れている人にさえ手を出すか

穢れを嫌っていたにもかかわらず

 

まったく、神としてのシナリオを与えられたものには同情するしかない

神とはなんと残酷で身勝手なものか

 

その私もそのひ一人であろうが・・・・

 

 

だが、もう一人の少女は違う

彼女は神だ

この地球にで新たに生まれた

人に畏れ敬われ神となった存在が人の姿を借りた姿

本当の守り神

民には祝福を敵には災いを

だが、前人類の神には歴史が足りなかったか

それでも

 

私の打ち出した御柱を破壊することは出来るだけの力はあるらしい

そして彼女は強い

負けても、神として、民を導いてきたものとして

新たな神を受け入れる

そのために敵であった彼女を助けた

 

 

果たして私に出来るだろうか?

 

無理だ

 

そもそも私は

 

私には

 

守るべきものが存在しない

私の守るものそれはいったい何だ?

義妹は探すもの

探さなくてなならないもの

では・・・

守りたい人は・・・・

いったい誰なんだ・・・?

 

一瞬銀の髪が見えた気がしたすぐに消えた

 

二人が攻撃してきた

私の話について詳しく知るためだろう

だが捕まる気はさらさらないのだ

そのとき緩くなった空間から一つの缶詰が落ちた

 

その缶詰はパンパンに膨らんでいた。

その名は・・・・surströmming

 

世界一アレな缶詰だ

なんでこんなところで出てくるのかは知らないが

逃げないとやばいのは経験で知っている

 

背後で悲惨なことになっている気がするが仕方ない

完全な事故だ

というよりあの空間自体が曖昧になりかけていた

下手すれば信管付きのICBMなんて出てきていたかもしれない

 

それから考えると遙かにましと言える

 

 

行かなければ探しに

 

探さなければ彼女を・・・

 

 




今日2話ほど書き進めたのだが文字数が2500超え
ほんと安定しないし短いと思う

読者的にはどうなんだろ?

まあ、これ以上書けって言われてもむちゃくちゃなことになりそうだけど


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16話

今日はちょっと長めかな?
このあたりから時系列が怪しくなってくるかも



時というのは進みはしても戻ることはあり得ない。

止めることは出来てもさかのぼるなんて芸当は神でも出来やしない

決まってしまった過去は覆せない

あきれたことに私の過去は後悔だらけだ

滑稽ですらある

守ってやると約束したのにもかかわらず自ら約束を違え出奔した

少しでも

一緒にいたいそう思った彼を彼女をいいわけで捨て、地上に残る

本当の体の持ち主を殺す

本当は一緒にいることが出来たのに

眠りにつかせた少女

自分だけ残り、守るためとはいえ結界の中に閉じ込めた少女

私がそばにいてやれば

一緒にいるならば

そんなことはしなくて良かった

なぜ私は守りたいと思った者も

見捨ててしまうのだろう

ともにいることが怖いからか

恐れられることが怖いからか

私がそうしたいからか

分からない

分からない

自分が何をしたいのか

何をすべきなのか

本当に私は何なのだ

何者なのだ

彼なのか

私なのか

別な何かか

記憶が定まらない

行動も

言葉も

何もかも

どれが本当の記憶なのか

どれが私の記憶だ

彼女の

探している彼女の名は

だれだ?

誰だった?

名前は・・・

彼女たちの名前は何だった?

 

 

気づけば山あいの小さな川に来ていた

いや、川というより沢の方がいいかもしれない

いつからここにいたのか知らない

神と神もどきから逃げてきてから記憶が定かでない

いったいいつから?

何所まできたのか

どうやって?

どのくらいの時間?

私は

八雲 光淵

それは私の名前だ

だがそれ以外の名前が思い出せない

あの銀の長い髪は誰だったか

それと

抱えている銀の短髪の子はいったい何なのだろう

思い出せない

分からない

大切な人のはずなのに

私はいったいどうしたというのだろう

髪の色も瞳の色も黒に染まっている

なにが・・・?

 

 

 

「おい、そこの人間何をしている?」

 

声をかけられそちらを向くと

大小、それぞれ1本と2本の角を生やした鬼がいた

実力はかなりあるようだ

 

「別に何も・・・ただ考え事をしていただけさ」

 

「嘘は良くないね、昨日もその前もお前はそこにいた、考え事というのは無茶があるだろ?」

 

「そうかもしれないね、だがそれが出来る者もいるかもしれないよ?事実ここにいるわけだ」

 

「怪しいねぇ・・・」

 

「だけど、嘘は言っていないようだよ、勇儀。嘘をついたいるんならこんなことは、言わないだろう?」

 

「嘘をつき慣れている奴じゃなければね。」

 

まいった、実に嘘はつき慣れている

悲しいことだ

だがそれで、自分は

今の現状になっているのだから

笑えない

 

手を上げ首を振る

 

「何やってんだい?」

 

背が高く額から星の柄の角を生やした鬼、勇儀が私の行動を尋ねる

 

「いや、なにお前さんの言うとおりだと思ってね?」

 

「・・・なに?」

 

「嘘をつき約束を違え、大切な者を失い、自らの記憶さえも無くしたそれが私だ、ああ、ここの部分は本当だからな?事実、私は自分の名前以外、探していた義妹の名前さえ忘れてしまった」

 

「ううん・・・自業自得な気がしてきたぞ?それ」

 

「なに、嘘なんかよりもっとひどいことをしているんだ、まだ軽い罰だろうよ」

 

「それ、自分で言うことかい?」

 

二人の鬼があきれた目で私を見ている

鬼をあきれさせる人間

どういう人物だろうな?

 

「そっちの名前は一人聞いてしまったが名乗っておこう、名乗ると言っても、元々の名前を忘れてしまったが故にただの偽名の域を出ないものだが、そこは容赦を、八雲光淵という。」

 

「忘れてしまったのなら仕方ないさ、むしろそっちを本名にした方がいいだろ?どこかしっくりくる。おっと、私の名前は伊吹萃香、見たまま鬼だよ、こっちのデカいのは星熊勇儀」

 

「・・・・伊吹・・・?・・・伊吹山・・・鬼・・・酒呑童子と星熊童子か?」

 

その答えに二人は驚く

 

「へぇ!こんな北のド田舎の山でその名を聞くことになるとは思わなかったよ」

 

「全くだ。だが、忘れたと言っていなかったか?」

 

勇儀から無言の圧力がかかる

それを平然と受けながら答える

 

「忘れたのは大切な人達の名前だ、必要な知識は残っているよ。まあ、鬼への対処法は知らないが」

 

「そうかい、また難儀なこった。対処法なぁ・・・萃香にゃ酒飲ませときゃいいさ」

 

勇儀が親指で萃香を指しながら答える。

 

「そりゃないよ、勇儀ぃ・・・」

 

なにやら軽く扱われてすねたようだ

 

「酒ねぇ・・・気をつけろよ、酒はいいものだが毒でもある、私も大概な嘘つきだが皆嘘はつく酒なんて最大の弱点みたいな物だ気をつけろよ?もらい物お酒とかには」

 

「それでも酒はやめられねぇ!」

 

「「ダメだこりゃ」」

 

勇儀と二人であきれるしかない

生粋の酒飲みだ

 

「で?なんでお二人はこんなところに?住処はここから離れているんでしょうに」

 

河原のとこで大きめの石に座り火を囲んで三人で話す

他の人間が見たら目をむくだろう

人間が鬼2人と仲良く話しているんだから

 

「酒虫ってのを探してるんだよ、何でも水を酒に替える虫ってんでね」

 

「私はそれにつきあわされたわけだ」

 

「酒虫ねぇ・・・昔見たことはあるぞ」

 

「「何!!?」」

 

二人がものすごい勢いで反応する

 

「いったい何所でいつ見たんだ!?」

 

「教えてくれ!実を言うといい加減参ってたんだ!」

 

「どういうことだそれ!」

 

「二言目には酒酒言ってた奴のせいだ!」

 

「なにおぅ!?」

 

なにやらけんかが始まってしまった

そして絶望的なことを言うしかない

 

「あー、すまんが、私が見たのはだいたい3億年ぐらい前の話だぞ?それにあのときと気候も何もかも違っているからいるかどうか・・・・」

 

二人がけんかをぴたっとやめてこちらを凝視している

なにか化け物を見るような目で

 

「今なんて言った?」

 

「3・・・億・・・?」

 

「そっちに食いつくのか?」

 

「「当たり前だ!!!」」

 

「億なんてほんとなにもんだ!?」

 

「さあ?何だろな、」

 

ニヤリと笑い返してやる

 

「そうそう、実年齢は3億に137億ぐらい足しとけよ?」

 

「「    」」

 

「冗談だ、そんなに生きてるわけないだろう?」

 

事実魂だけならそれぐらいは生きているが

あまり鬼をからかうのは良くはないだろう

お詫びに酒でも振る舞ってやるとするか

そう思い空間に手を突っ込む

また二人の目が点になる

 

「ほら、酒だ、からかってすまなかったな」

 

「もう驚きっぱなしだよ・・・」

 

そう言いながらも酒は受け取る

 

 

 

「酒虫の件だが・・・」

 

「ん?ああ、それがどうした?」

 

「手伝ってやろう、どうせ暇な身だ。」

 

「・・・いいのかい?」

 

「記憶を探そうにもここがどこだか知らないしなお前達について行った方が面白そうだしな。」

 

「そうか・・・そんじゃ、手伝ってもらうよ」

 

「見つけられるよう頑張らせてもらう、嘘をつかんよう頑張るよ」

 

薄く笑いながら握手をする

そして杯を合わせ、酒を酔いつぶれるまで飲み合った。

 




初めてこんなに長く小説が続いてる気がしている


・・・夏目友人帳と東方projectのコラボって行けるかな?
考えてみようかな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17話

たいがいなキャラ崩壊です
まあ、私自体がつんけんしたような、殺伐?
な物語を書くのが苦手なのもあるかも

おかげで性格がだいぶ丸い気がするよ



はてさて、なにやら酒呑童子こと伊吹萃香と星熊童子こと星熊勇儀の2人の鬼と酒虫を探すことになってしまった。

八雲光淵である。

朝っぱらから酒の催促をされ勇儀と2人であきれてしまった。

 

昨日飲んだ酒は驚きすぎて味が分からなかったからくれと・・・

 

まあ、いいんだが伝説の古酒の100年物だ大事に飲んでほしいものである。

 

が、思った通りカパカパ飲みやがった

2壺丸々飲み干してほろ酔いとか鬼は蟒蛇だ

勇儀も蟒蛇のようだがまだ遠慮があるぶんましだ

飲んでも一杯だったしな

朝から酒の時点でアレではあるが・・・

 

そして夕方にはここに戻ることにして、手分けして探すことになったのだが

 

「意外とすぐ近くにいたのか・・・・」

 

川の崖側に小さな隙間が空いており、調べてみると奥に空間がありそこに酒虫がうじゃうじゃ居たのだ

気色悪いぐらい

 

「あっさり過ぎるな、そして萃香が大喜びで飛び込みそうだ」

 

目の前にある池は全て酒で出来ている

萃香垂涎の物だ

1日持つかな?

あいつなら速攻で飲み干しそうだ。

だがそんなことしたらこいつらは死滅するだろう

全種類ずつぐらい持って行くか

どちらかがくる前にさっさと作業した方がいいに決まっている。

 

 

戻った時はもう夕暮れ時2人は戻ってきていた

 

「見つかったのか?」

 

「全然ダメだったこの山も外れかぁ・・・」

 

「・・・・・・・何所を探していた?」

 

「「え?森の中」」

 

手で目を覆う

 

「お前ら・・・酒虫を虫だと思っていたのか?」

 

「「え?」」

 

「ほら、捕ってきてやったぞ」

 

いつも通り空間から酒虫を入れた壺を出す

2人がそれをのぞき込む

 

「「魚!?」」

 

まあ、虫って言ってるから虫を想像するよな

だが酒虫は魚と見た目は同じだ

海猫みたいな感じだな

 

「え?海猫って猫と違うの?」

 

・・・・そこからかよ

知らなくても仕方ない気がしてくる

普通山に住んでいる鬼は海にまで出ないだろう

知らなくて当然だ

 

「それで、この1匹だけかい?」

 

「いや、体がむずむずするぐらいたくさんいた」

 

「それなのにこれ1匹なのかい?」

 

「そこに居た全種類は捕まえてきた、捕りすぎると悪いからな、他のやつも持っている安心しろ」

 

萃香が目をきらきらさせ尋ねる

 

「どれくらい居た!?」

 

「・・・・うんざりするほど」

 

目をそらし答える

勇儀は、あっ、と察した感じになり手を顔の前で立て謝ってきた

 

「で?どうするよ、このまま持って行ってやってもいいぞめんどくさいしな」

 

「おお、頼むよ!」

 

「すまないねぇ・・・・・どれくらい捕ったんだ?やばい数なんだろ?」

 

「・・・・ざっと数万匹・・・」

 

「・・・すまないね、拠点に帰ったらお礼に何か用意するよ」

 

「感謝する・・・さて、少し離れろ呼び出すから」

 

「「はい?」」

 

空間から出すのは黄金で出来た空を飛ぶ船体

どこかの世界のギルガメシュが使ったとか言われる特別な船だ

 

「さて、これで帰るぞ、道案内ぐらいはしてくれ」

 

「「・・・・」」

 

 

あ、ダメだ意識がログアウトしとる

まあ、私もこれを見たときはあきれたが

ほんと、人間にとって必要ないとか思った物や神に近い者が造った物そんな物があふれかえっていると知った時なんてあきれたものだ。

このヴィマーナもあと、数十隻もあるのだから平行世界誰かが一人居ない、違う行動をしたそれだけで平行世界は増える、人物動物自然の数だけ平行世界はあるというのなら無限大の平行世界があるだろう。

そんなことを考えていたら、二人の魂が体にログインした。

 

「・・・おまえ、・・・神かなんかじゃないのか?ほんとに」

 

「知らんよ、長く生きすぎて忘れたよもしかすると神より長く生きとるかもしれんが・・・」

 

真実でもあり嘘である。

矛盾しているのだが、そうとしか言いようが無い

さあ、私はどっちなのだろう?

人間か世界が出来る前から存在する者の片割れか

 

「まあ、乗れ送っていってやるから」

 

「目立たないか?これ?」

 

「夜中に起きてる奴の方が少ないから大丈夫だろ」

 

「おおすげー、全部純金だー!勇儀早く乗れよ~」

 

いつの間にか萃香が乗っている

お前の船じゃ無いんだが

 

「・・・・また、萃香がすまん」

 

「慣れた、鬼ってそういうもんだと思ってるから大丈夫だ」

 

「あれだけだよ、あんな性格しているのは、他は・・・確かに荒くれ者は多いが礼は出来るし、ここまでしてくれたら、敬意を持って扱うさ」

 

「いいさ、あいつだけ特殊だと思っておく、行くぞ夜が明けちまうからな」

 

「あいよ」

 

 

 

 

 

 

 

「萃香さんと勇儀さんはまだ帰ってこないのか?」

 

「そう簡単に見つかるものじゃ無いだろ、てか萃香さん勇儀さんを困らせてないかな?」

 

「・・・・あー、あり得そうだ余計に時間かかりそうだなそれ」

 

「なっ!?なんだあれ!?」

 

一人の鬼が声を上げる

皆がそちらを見ると

黄金に輝く空飛ぶ船がこちらに向かってきていた

 

「「「は!?」」」

 

驚きのあまり固まる鬼

そして、付属のカッパと天狗と白狼天狗

そこに

 

「おおーい!酒虫捕ってきたぞー!!」

 

舳先から身を乗り出した萃香が叫ぶ

 

「「「萃香さん!?」」」

 

船はゆっくり降り二人の住処のある「妖怪の山」に着陸する

すぐに鬼や天狗に囲まれる。

奇妙な船が降りたらそりゃ警戒するか

 

「光淵、すぐに出してくれ!酒飲みたいんだ!」

 

「言っておくが時間おいた方がうまいぞ?それに種類ごとに味も違う、そこら辺は研究しろ」

 

「いいから出せって」

 

「へいへい」

 

船を空間に戻し酒虫の入った壺を出す

アホじゃないかという量を

それを見た鬼達が驚きどよめく

 

「さて、そろそろ行くかな」

 

そこを勇儀に止められる

 

「待て待て!お礼もしてないんだ、それにこれから宴会だ飲んで行けよ」

 

「どう見ても歓迎されてないようなんだが・・・?」

 

「ほっとけ、お前のおかげで見つけることも出来たし、萃香のわがままにもつきあってもらって送ってもらったんだお礼ぐらいさせろ」

 

そんなことを勇儀と話していたら萃香が大量の酒を持ってやってきていた

逃げたら面倒くさそうだが、残っても面倒な気がする

勇儀からもお願いされている

前門の虎後門の狼状態だ

 

 

鬼とは酒が入ると陽気になるのか・・・

私の周りで騒いでいる

警戒していたのが嘘のようだ

気さくに話しかけて酒を飲ませてくる

 

そして巻き込まれた天狗やカッパは酔いつぶされ

天狗で一番偉い天魔とやらも目を回している

そして・・・

 

「なんで、萃香と勇儀二人と戦うことになってるんだ?」

 

「戦いは鬼の十八番だ!」

 

「それに私を巻きこまんでくれ!」

 

「いいじゃないか!私も戦いたいんだ!」

 

「勇儀お前もか!」

 

「行くぞ!三歩必殺!」

 

萃香が突っ込んできた

あまりに面倒臭かったから

 

 

 

そのまま頭をつかんで地面に叩き付けた

 

 

 

ものすごい音が響く

地面はひび割れがれきが飛び煙で見えなくなる

 

あまりの大きさに潰れていた者もみんな起きた

そして見たものは・・・

 

頭を地面に埋められた萃香だった

 

「そこで酔いを覚ましてろ全く・・・」

 

そう言い、杯に入った酒を飲む

 

「おいおい、まじか・・・三歩必殺を・・・」

 

「すすすす萃香さん!大丈夫ですか!?」

 

「だめだ!気を失ってる!」

 

「やめとくか、戦うの・・・」

 

「そうしてくれ」

 

「ちょっと萃香を連れて行ってくる」

 

「へいへい、起きたら謝っといてくれ」

 

「あいよ」

 

勇儀が萃香の足を掴み引きずっていく

なんとなく今までの仕返しが入って居るような気がするのだが

まあ、放っておく

そして、目線が痛い

やり過ぎただろうか?

天魔なんて、こっちを見ながらびくびくしている

鬼も若干遠巻きだ

カッパは逃げた

 

私は一人、酔いもしない酒を飲む。

一人飲む酒とは、なんとさみしいものか

 




よく見たら3000文字も書いていたのか
だからどうしたって気がするけど

神霊廟の方々?
面倒臭い
だってあそこ国の政治に関わるから


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18話

伊吹萃香の四天王奥義は三歩壊廃では?
と指摘を受けましたがこれには理由があります

まず、萃香は前回能力なし戦いに入りました
萃香は能力ありで勇儀と互角?という話がありましたので萃香が三歩必殺を使ったのはある意味手加減という奴です

あとは、必殺と壊廃人に使うならどっち?というまあ、どっちにしても即死ですがね
漢字の雰囲気ってやつです。

壊廃は萃香の能力を使った上での壊廃じゃないかなと

個人邸な考えですが三歩必殺が原型で時代が進み個々の能力に合うようにアレンジされていき、スペルカードの頃にはそれぞれ「三歩壊廃」「三歩必殺」となっていったという考えです。

長々と失礼いたしました



妖怪の山の天狗以下の妖怪の山の統治をしている天魔である

私は今とてつもなく胃が痛い

なぜか?

いつもの通り鬼である

鬼は私たちの上司に当たるのだが・・・

大酒飲みでけんかと勝負事が大好きで人を攫って戦うことも好き

確かに私たちも人を攫うことはあるが

鬼は派手だ

はっきり言うとちょっと人間に荷担している側である

何でかって?

意識が人間に向いているぶん

こっちに被害が飛んでこないからだ

ちょっとした謝罪もある

世話も私たちに丸投げなため、にがしてやったりしている

もちろんばれないようにだ

ばれたら八つ裂きは確定だ

 

 

そして、今胃が痛い理由

それは

 

酒虫を捕りに行くと山を出て行った四天王の2人が戻ってきたからだ

 

それはもう一番平和な時間だったとも言える

伊吹萃香殿が一番問題で酒は一番大量にのみ勝負事が好き

良く人間を攫ってくる

星熊勇儀殿はまだまともだが酒が入りすぎたり箍が外れると被害が一番デカい

特に家なんかが損壊するし、重傷者も出る、死者が出ることも

私たちも大酒呑みではあるが鬼ほどではない・・・はずだ

 

そして・・・・

二人が連れてきた

人間?なのかさっぱり分からない

男が一人はじめっから空間を操り乗ってきた黄金の船を消し酒虫の入った壺を山のように出してきた

その時点でもはや人間離れしている

そして・・・

 

 

何で鬼しか呑めないような酒をふつーに飲んでいながら顔色一つ変えないんだ!

 

天狗でも1~2杯呑んだら潰れ、人間なら死んでもおかしくはない

他の鬼が嫌がらせというか、わざと呑ませたのだろうが・・・

完全に裏目に出ている

あやつは、本当になんなのだ

 

 

「光淵!勝負だ!」

 

 

うっ!?

またやるのか!?

やめてくれ、もうカッパも天狗も白狼天狗もいろいろやばいんだ

やめてくれ!!

 

「三歩必殺!!」

 

ひぃぃぃぃ

四天王の必殺技をいきなりかまさないでください!!!!!

被害がやばっっうぉぉぉっぁぁぁあああああ!??!?!!!?!

 

なんだ!?

何が起きた!?

ええい!煙で何も見えん!

こうなったら風で

 

 

・・・・・萃香・・・・殿・・・・?

 

えっと・・・

三歩必殺を放ったのは萃香殿

放たれたのは光淵殿

でも埋まっているのは?

萃香殿・・・え?

嘘だろ・・・・

 

「すすすす萃香さん!大丈夫ですか!?」

 

「だめだ!気を失ってる!」

 

周りに居た天狗や鬼が駆けつける。

本当に萃香殿が負けたらしい

 

「勝負はやめておこう」

 

!?

勇儀殿があきらめた!?

ああもう!

これじゃ萃香殿は絶対にあの人をここから出したがらなくなる!

ああ、どうしよう・・・・

余計に被害がががガガガ・・・・

 

 

ん?

なんだ?

なんだか、光淵殿の雰囲気が・・・・

・・・・暗い・・・か?

 

 

・・・・・・・・

 

「光淵殿、よろしいか?」

 

「ん?ああ、天魔様かどうぞこんな私の隣でよければ」

 

「では、失礼して・・・一献どうですか」

 

「戴きましょう」

 

そう言って彼は酒を受ける

 

「天魔様もどうぞ」

 

「かたじけない」

 

話すとそれなりに良い人のようだ

そもそも他の天狗がこの山に他のものが来ることを嫌って追い返してしまうからあまり会わないが

この酒もなかなか味わい深い

 

「すまないな、地面をへこましてしまって、直すのはお前達なのだろう?」

 

・・・・心にしみるのはなぜだろう

 

「いえいえ、今までの中で一番被害は少ないですよ」

 

「そうか・・・・まあ、直すときは手伝うから言ってくれ、責任は私にあるからな」

 

くっ・・・・なんと・・・

鬼の方々にもこれぐらいはしてほしいものです

 

その後、片付けなどもしっかりと手伝っていただいた

そしてまさか、友となり、長く過ごすことになろうとは

思ってもみないことであった

 




グダグダと続いていく物語
そろそろ、竹取あたりの時代・・・
どうやって再会させようか・・・・

永琳一応ヒロイン枠だし・・・・
もこたんも・・・う~ん

月の連中を犠牲にするか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19話

このあたりから時系列が前後したりキャラの崩壊等が激しくなっていくかと思います
もしくはしゃべらなかったり
話が飛んだり

私の器量不足ですね



結局私は何をしているんだろう?

妖怪の山に来て何年がたっただろう?

私は未だに妖怪の山にいる

何をしているのか?

それは・・・

 

ものすごい音とともに鬼がぶっ飛んできて家の壁に穴が開く

 

「・・・・・大丈夫か?」

 

「うう」

 

飛んできた鬼がうっすら目を開ける

 

「す、すいませんまた・・・・」

 

「もうあきらめた、しゃべるな・・・勇儀か?」

 

鬼は無言でうなずく

 

「おい!誰か!こいつを連れて行け!勇儀は私が相手をする!」

 

天狗や白狼天狗が鬼を抱えていく

 

そして壁の陰に隠れている鬼に話しかける

 

「また、お前か?勇儀?萃香が居ないからって暴れすぎだ」

 

「うっ・・・・すまねぇ・・・」

 

「お前は私の家を壊すと酔いが覚める体質はどうなんだ?勝負なら乗ってやるから周りに被害を出すな」

 

「家くらいいいじゃないか私たちが直すんだから」

 

「もういい、知ってた、このやりとりはいったい何回目だ?」

 

「・・・・」

 

なぜであろうか

とても懐かしい感じがするのだ

立場が違う気はするのだが

どこかとても懐かしいやりとりだ

 

・・・そろそろここを離れなければならない

ここのトップは鬼となっているが私がトップになっている

鬼の四天王を倒したかららしいが

怖がられず天狗と白狼天狗から支持されのは

かばったり、鬼を押されるようにしたからだろうが

私が居ることで成り立つシステムなど

いざというときに何の役にもたたないだろう

それに・・・

私の記憶も探しに行かなければならない

 

「天魔、私はそろそろ出て行こうと思う」

 

酒の席でそう切り出す

 

「・・・・えっ?」

 

「皆が私を頼りにして信頼してくれていることは知っている・・・だが・・・失ってしまった記憶を取り戻したい、そういう願いが私にもあるのだ・・・」

 

「・・・・・」

 

「鬼は私が居なくなることで又迷惑が大きくなるだろう、すまない先に謝っておく」

 

天魔は頭を抱えている

当たり前だ

一番の悩みが復活するようなものだ

 

「天魔、私はふいに戻ってくることもあるかもしれんそれだけは言っておこう」

 

「・・・・分かりました、あなたの問題です私が口出しできることではないでしょう。それに・・・」

 

「?」

 

「私はあなたの友人なのです。あなたを応援したい」

 

「ありがとう、天魔・・・さて、勇儀のところに行ってくるあちらにも言っておかないとな」

 

「お気をつけて」

 

軽く手を上げ、背中越しに返事をする

向かうのは勇儀の家だ

萃香は・・・どこぞの山で暴れてるらしい

旅先では会いたくないな山が吹っ飛びかねん

 

 

勇儀は縁側で杯を手に酒を飲んでいた

どんな酒でも高級の酒になるという杯だ

 

「おや、珍しいね?あんたがここに来るなんて」

 

「なに、大切な話さ、萃香が居なくて助かった居たら面倒が増えていたところだ」

 

「・・・出て行くのかい?」

 

「・・・よく分かったな」

 

「なんとなくね、始めに会った時そんな話はしていただろう?ちょっとびくびくしていたのさ」

 

「こんな、口うるさい奴が居なくなって過ごしやすくなるだろう?」

 

すこし、にやりと笑いかける

勇儀は少しさびしそうな顔をする

 

「いいや、みんな寂しくなると思うよ?なんだかんだ言って鬼もあんたを気に入ってるんだ」

 

「そうか?」

 

「あんたはお人好しだからねぇ、無茶なことを言っても聞いてくれるし、頑丈で強い奴だからね私と萃香の無茶も全部引き受けていたからそこら辺はいいのさ。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「寂しいだけさ・・・ちょっとね」

 

「また帰ってくるさ・・・あさって頃には出る何かわがままは聞いてやるから。じゃあな」

 

「どうしたもんかねぇ・・・行ってほしくないが・・・」

 

ちょっとこれは難しい

気に入ったものは束縛する

鬼として正しい姿

だが、彼のことを理解してしまった身としては

送り出してやりたいのだ

なんとも難儀な性格になってしまったもんである

みんな悲しむだろう

ついて行こうなんてする奴もいるかもしれない

天狗や白狼天狗なら別にいい

あいつらは変化を拒みすぎる

今では、慣れていても

彼以外ならば排除するだろう

そこら辺も考えなければ

 

・・・なにかいい贈り物はないだろうか

 

 

 

 

あっという間に出立の日か

アレはやばかったな

・・・大宴会になるとは思わなかった・・・

おかげで若干二日酔い気味だ

酔いにくい体質でも樽単位で呑むことになろうとは思いもしなかった

 

「さて行くか・・・」

 

山に背も向けようとする

 

「光淵殿!」

 

羽音とともに天魔が降りてくる

というより落ちてきた

昨日たんまり呑まされてふらふらなのに飛んできたらしい

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫です。それよりこれを」

 

天魔が差し出してきた物それは山伏装束だった

 

「これなら身分を言わずともあちこちを旅できるでしょう?急いで準備した物です。あなたには必要ないかもしれませんが」

 

「いや、ありがたく頂戴しよう。変に人外のような行動は避けたかったんだ。ありがとう」

 

今の時代人は多くなっているだろう

人外として過ごすよりも人として過ごした方が動きやすいだろう

それにいざとなれば妖怪を倒す仕事でもすればいい

 

「そうですか良かったです。」

 

「私たちも持ってきたぞ」

 

背後に勇儀そして鬼達

若干ふらふらだがそこは見ないことにする

 

勇儀が二本の刀を差し出す

太刀と小太刀だ

 

「太刀の方が鬼斬紅姫、小太刀が泣鬼桜散花私たち鬼全員で造った刀だ私達鬼を普通の人間であろうと切れるような代物だ」

 

「・・・・・・いいのか?こんな物を私なんかに渡して?」

 

「あんたに渡せそうな物ってそうそうないんだよ理解してくれあとは・・・」

 

勇儀は苦笑しながらもう一つの贈り物を取り出し渡してきた

 

「・・・これは・・・伊吹瓢に星熊盃じゃないか?」

 

「新しく造ったのさ私たちのことを忘れないようにするためにね。そうそう、伊吹瓢の酒はちゃんと人が飲めるぐらいにしているよ。他の人も飲むこともあるだろうからね」

 

「そりゃそうだあんなモン飲んだら死ぬわ」

 

皆で笑う

冗談を言いながら

 

「萃香に言っておいてくれ、複数の山伏の持ってくる酒には気をつけろってな」

 

「?分かった」

 

「あいつと会うこともあるだろうが・・・頼んだよ」

 

手を振りながら歩き去る

その背を妖怪の山にいる鬼達と天魔が見送っていた

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20話

やばい
ストック尽きた
筆が進まん
輝夜ところのストーリーで詰まる・・・
しばらく投稿できないかも・・・・


私は旅をする

記憶を捜す旅を

北から南へ

西から東へ

なんてこともない

平穏な旅だ

時々妖怪がおそってくるが

あの時の妖怪や鬼と比べると

弱い

大妖怪クラスとはまだあったことなどないが

どれほどの物だろうか

ちょっと興味はある

鬼の気質でも混じってしまったのか

妙なことに興味を持ってしまったものだ

歩く歩く

目的地など無く

目的のために歩き続ける

 

答えも無く

助けも無く

ただ一つのヒントも無く

ただ一日を無為に過ごす

人を助けることがあっても

毎日あるわけでも無い

事故は毎日発生しても目の前で発生するわけでは無いように

 

 

「今日はこれまでかな」

 

襲ってきた妖怪を埋め呟く

あたりは夕焼けに染まりなかなかに幻想的な風景を醸し出す

 

「そろそろ奈良の都か・・・」

 

そろそろ遷都で京に移動すると聞いた

 

「あまり京に近づきすぎると萃香に見つかりそうだな・・・」

 

あまり用事が無い限りは近づかないでおくかな

あいつとやり合ったら都が全壊しかねんからな

そんなことで国を混乱させるのはあれだ

萃香の性格を思い出しながら苦笑する

本当にやりかねない

 

ふと、顔を上げると辺りは暗くなっている

山のあたりはまだ明るいがすっかり夜だ

虫の音も心地よい

 

ふと寺らしき影が目に入った

 

今日はあそこに泊めてもらうか

はてさて、良い住職だと良いのだが

 

 

「命蓮寺へようこそいらっしょいました歓迎いたします」

 

「どうも申し訳ない、都まで行くつもりであったが妖怪に襲われましてね。夜になってしまいました」

 

「どうぞ、どうぞごゆっくりしていってください。どのような方が来ても私たちは受け入れますから」

 

なかなかいい住職さんだが・・・

なんだか・・・違和感があるな

この寺自体何かありそうだ・・・

 

「・・・・」

 

「どうかなさいましたか?」

 

「聖殿と申しましたな・・・・ここには妖怪も住んでいらっしゃるのか?」

 

「・・・・なぜそう思われますか?」

 

雰囲気が警戒した物に変わる

住職から出るのは・・・魔力・・・?

 

「懐かしい感覚がしましてな」

 

そう答えながら出されていた水をすする

 

ここから感じる妖気は弱い妖怪そして

何かしらの仏神の力を持つ物

保護施設のようになっているのかもしれない

 

「なに、昔妖怪と暮らしていた時期がありましてね。そのときと似ていまして」

 

「・・・・・」

 

あまり信用されていないらしい

まあ、当たり前だいきなり泊まった相手がこんな話をして

信じる方がどうかしている

 

「光淵といいましたね。貴方を一応のところは信用しましょう。・・・・私の話を聞いてくださいますか?」

 

聞いてくれといっているが有無も言わさず聞かせる気だろう

いつでも飛びかかってくる雰囲気がある

なんか最近肉弾戦の得意な女性多くないか?

そんなことを思いつつ了承し頷いた。

 

 

『人も妖怪も神も仏も全て同じ』と言う絶対平等主義者

それが彼女、聖白蓮の考えらしい

彼女自身そんなことは始めは考えていなかったらしい

きっかけは弟、命蓮の死

死を恐れてしまった彼女は妖力、魔術のたぐいによって若返りと不老長寿の力を手に入れたそうだ

当初、自分の魔力を維持するため、妖怪を助けていたが、人間からの不当な迫害を受ける妖怪達を目にするうち、次第に本心から妖怪を守らねばならないと思うようになったらしい

だからこその絶対平等主義者

という訳か

彼女の人柄から普通の人もこの寺を訪れ慕われているようだ

しかし、

 

「あなたは、良く好かれているようだ。だが気をつけなさいあなたの考え自体は素晴らしいと思います。仏はどうだか私は知りませんが神という者は気まぐれで残酷だ、妖怪は人の畏れから生まれた者や自然から生まれた者。そこの境界ははっきりさせなさい。妖怪も人のようだが人では無いのです。お忘れ無きよう。人からすればあなたのやっていることは悪いことでしょう。あまり目立たぬことは避けたほうがいい。」

 

「間違っていると?」

 

「この世に間違いなど無い、間違いと言われるのは結果主観で見ているからだ客観で見ると間違いでは無いかもしれない。結果が失敗であっても別のやり方ではそこまでも到達しないかもしれない。なんにせよ、貴方の考えだ私が口を出すべきでは無いだろうが・・・少し心配でな」

 

「大丈夫でしょうきっと分かってくれます」

 

・・・考え自体は別にかまわんが・・・

時代が時代なんだよな・・・・

 

「あなたがそれでよろしいのならかまわないでしょう。話はこれまでです。」

 

「そうですか長々と失礼いたしました。どうぞこちらへ部屋へ案内します。」

 

聖のあとをついて行く

未だに周りの目線は消えることは無い

だが襲うことはしないようだ

私だって戦うのは面倒臭い

それに、いつかは共存しなければならない存在だ

むやみ仕掛けるのもアレだ

それに・・・・

イヤな予感がする

朝早く出るとしよう

はんとイヤなことがおきそうだ

 

 

 

朝霧の寺という物はまたこれは美しいと思う

夏にしては妙なものではあるのだが

どうも身に覚えのある妖力があふれている

周りに他の物は居ないことは知っている

皆、堂の方へ行ったのだろう

 

「萃香お前だろう?この霧は?」

 

「やっぱばれたか、さすがだね」

 

耳元で声が聞こえとなりで霧が集まり実体化する

 

「隠す気も無かっただろう?」

 

「いや?光淵だけに妖気を当てていたさじゃないとうるさそうだからね」

 

「お前にそんな配慮が出来るとは驚きだ。で?何のようだ?」

 

「ん?なんとなく」

 

あっけからんと言い放つ

そうだったこいつはそういう奴だ

特に気に入った奴に対しては

 

「私が居ない間に出て行っちまうんだからあってもかまわないだろ?」

 

「別にかまわんが人目に付きそうなところに出てこないでくれ」

 

「あははははは、今度はそうしよう。」

 

笑っているが確実に考えていることは戦うことだろう。

面倒臭いことこの上ない

 

「まあ、いいお前が来たら面倒なことになりそうだ。住職に話をしてくるから外で待っとけ」

 

「おう!」

 

そのまままた霧に紛れる

霧は晴れ日差しが差し込んだ。

 

「・・・聖殿は・・・・お堂だろうか」

 

これから起こることを考えると頭が痛いが・・・

自業自得のような気がする

 

 

縁側を音も立てず歩き、堂の前で一度立ち止まる

 

「聖殿。おられますか?」

 

「はい、いますよ。入ってきてください」

 

「失礼いたします」

 

戸を静かに開け立ち入る

聖は何か書き物をしていたらしい

ちらりと筆などが見えた

 

「申し分けない、邪魔をしたようで」

 

「いえ、私事です。おきになさらず。こんな朝早くに何かご用で?」

 

「ちょっとやっかいごとがやってきましてな、今すぐ立とうと思いましてご挨拶をと」

 

聖が首をかしげる

 

「やっかいごとがやってきた?貴方以外誰も来ていないはずですが・・・?」

 

「こちらの話です。お気になさらず・・・」

 

「はあ・・・」

 

「では、泊めていただきありがとうございます」

 

そう言って部屋から出る

朝食は食べていないが萃香に何か捕らせよう

そう考えながら

 

 

準備をし門のところへ行くと聖が待っていた

見送りに来てくれたらしい

グラデーションのある髪が朝日で美しく輝く

 

「お見送りまでしていただくとは、光栄ですね」

 

「これぐらいはしなければ失礼に当たりますよ」

 

なんとも礼儀正しい人だ

 

「貴方の願いが叶うといいですね」

 

そこに邪魔が入る

 

「なぁ~早く行こうよ光淵」

 

萃香が実体化する

頭痛が増した

 

「は!?お・・・鬼!?」

 

やはりこの反応だ

 

「萃香、待っとけとは言ったがもう一つ人目に出てくるなと・・・」

 

「だって遅いし・・・」

 

「ふてくされるな!」

 

これ以上の面倒ごとなんてごめんだ

萃香の角を掴み持ち上げる

まるで人外を見る目で聖が目を向けてくる

 

そんなこと気にしている暇も無い

適当に能力を使い空間を開き飛び込む

この能力の欠点と言えば

 

何所に出るのかそれがアトランダムというところか

取り出すのは簡単なのに

移動するとなるとランダム

とても面倒臭いがこの場合そんなこと言ってられない

 

 

 

「光淵・・・ここどこ?」

 

「知らんが・・・戦うにはちょうどいいだろ。」

 

「そうかもしれないけど・・・帰らないと行けないんでけど私・・・」

 

「苦労しやがれ・・・あと飯食ってないからな捕ってくるぞ」

 

「・・・怒ってる?」

 

「当たり前じゃぼけ!」

 

むしろ怒らない方がおかしいというものだ

萃香も仕方ないかという感じで付いてくる

ああ、面倒臭い

 

 

彼はいったい何者だったのだろう

残された聖は考えていた

特に最後鬼の角をつかんでなぞの空間に入っていった

その場面だけで突っ込み所がある

鬼をあんなに乱暴に軽々扱うこともそうだが

とても仲がいいように思える

空間もアレだが・・・

 

朝からなんとも驚きに満ちた一日の始まりだ

 

 

 

その日

聖白蓮は魔界へと追放、封印される

妖怪は地獄へと

 

光淵は知りもしない




萃香が引っかき回していったな・・・・


ストーリーのためにまた中学教科書引っ張り出して竹取物語を読む羽目になろうとは・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

21話

なんとか書けた
ある程度進んだら結構書けるもんですね
短いけど


萃香は飯を食った後

戦うだけ戦って満足して帰って行った

跡地は・・・・

草すら生えていない荒れ地になってしまった

偽装どころの話では無い

 

「さっさと逃げるのが正解だな」

 

他の人が来る前に見つかる前に

空間を空けそこに飛び込む

ただ誤算だったのは

無理矢理放り込んで別の場所に放り出すという

ことをしたため

飛び込んだ足下に・・・

出口が出来ていたことぐらいか

昨日から全く運がない

彼はそのまま空に放り出された

 

「ああ、なんでこんな時に限って空なんだ・・・」

 

そのまま重力に引かれ落ちていった

ほんとに付いていない・・・

 

 

 

 

目が覚める茅葺きというのか天井が見えた

寝かされているらしい

 

てしっ という音とともに小さな手が顔に当たる

そちらに目を向けると小さな可愛らしい赤ん坊が不思議そうな顔で見つめていた

 

「おお、目を覚ましたかい?」

 

お婆さんがそう聞いてきた

 

「お爺さんが連れて帰ってきたときはびっくりしたがね。」

 

そりゃそうだろう誰だって人が倒れていれば驚くし

予想外の人が来れば驚くようなものだ

 

「すいませんありがとうございます。おかげで助かりました。」

 

お婆さんは穏やかに答える

 

「いいのよ。見捨てたりしたら恐ろしいわ」

 

そりゃ見捨てて祟られるとたまったもんじゃ無いだろう

会話している間にも子供は私の体で遊んでいる

だが悪い気分では無い

なぜか何所か懐かしいのだ

 

「あらあら、ごめんなさいねぇ・・・ほらこっちへおいで」

 

お婆さんのことなど知らないように私にひっついたままだ

 

「いいですよ、このままでも。お爺さんは何所に?お礼を申し上げたいのですが」

 

「ああ、竹を取りに行っているよ。あんたを見つけて戻ってきたからね」

 

「後でお礼をしなければ行けませんね・・・この子の親は?」

 

「その子はねぇ・・・」

 

なにやら深い事情がありそう・・・・ん?

竹・・・老夫婦・・・赤ん坊・・・・

まさか・・・・

 

「お爺さんが竹の中から見つけてきた子だよ」

 

この子かぐや姫か・・・・・

そのかぐや姫が私の上で遊んでいるのは何の因果か

 

確か最後月に帰って行った

月と聞くと何か黒い感情がわき出てくる

不思議だ

誰か知っている人が月にいるのだろうか

今の私にはさっぱり分からない

だが・・・

何かがうずく

何か大切なものが近くなるような

そんな感じだ

目を落とすと輝夜が見つめていた

まだ過去の記憶も持っていない純粋な目だ

頭をなでてやるとうれしそうい微笑む

 

なぜ過去の行動さえも何かかうずく

本当に私はどうしたのだろう

 

お爺さんが帰ってきてお礼を言っていたときもこの子は離れもしなかった

なつかれてしまったらしい・・・

困ったことにこういうのにはなぜか私は弱い

遭遇することはほとんど無かったが・・・

 

次の日、お礼もかねてお爺さんを手伝って帰ってくると

体当たりの洗礼を受けた

・・・遠慮もないこの頃の姫さんはおてんばなのか・・・

ああこれはやばい

離れられなくなる

そう思い慌ただしく出て行く準備をする

自分の記憶と関連がありそうだが面倒ごとは苦手だ

なんせ国とも直接関わる貴族がこの子に群がるわけだ

いい年をした大人がである

ある意味ロ○コンじゃ?

そこに私は居たくない

だが・・・

 

出て行こうとした私の足に抱きつく

ある意味老夫婦の二人も困惑気味だ

当たり前だ二人よりも来たばかりの男に懐いているのだから

・・・・そんな目で見ないでくれ・・・・本当に・・・・

連れて行ったら確実に世界が狂う

私が居る時点で狂っているかもしれないが

・・・・・・ダメだなこれ・・・・諦めよう

子供のウルウルした目力には弱いのか

心の中で頭を抱えつつ

抱き上げ小屋に戻っていった

 




主人公fate風に運のパラメーターを出すとEかな?
それ以外がA以上?
知ったこっちゃ無いけど

意外とこいつロリコンっけでもあるかな?
書いてる側としてはそんな設定は無いけど


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

22話

どこかの世界では妹紅が輝夜をお母様なんて呼ぶ世界があったりするのかね




本当に面倒臭いことになってしまった

何でか私が父親の位置にいる

そりゃ見た目上そうなることは知っていたが

老夫婦もあのあと受け入れてくれた

輝夜が元々その気だった感じだが

 

輝夜が大きくなってきて老夫婦は都で住むことを決めた

天から与えられた子だ

こんな田舎で過ごして良いものか?

ということらしい

もちろん私も一緒にだ

資金はなぜか竹の中から出てくる金だ

完全に何か裏がある感じだ

月には・・・いい奴らなんて居ただろうか?

 

そんなわけで遷都された京の都の私は居る

貴族では無いはずなのに貴族と同じ暮らしだ

寝殿造りの家に住み直衣を着ている

ほんとこの時代の貴族というのはよく分からない

 

「お父上様?どうなさいました?」

 

「いや、なんでもないよ輝夜」

 

変わらないのは輝夜ぐらいか

案外伝わっていたのは表の顔だったらしい

実際はなかなかアクティブな子だ

勝手に外に行かれたりするとこっちが困るのだが・・・

 

「どこか行きたいところはあるか?」

 

最近は求婚の申し込みが殺到してうんざりしているだろう

こんな時に脱走されては困る

主に私が

 

「う~ん・・・花のきれいなところかな」

 

「珍しいな、君なら人気の無い里山と言うと思ったのだが」

 

「それも考えたけど、ちょっと花を愛でたい気分でね?」

 

「人も多いぞ?」

 

「いつも通りお父様の牛車に乗せてもらうわ」

 

周りの世話役達が居なくなり移動方法も出てくる

 

「普通はいかんことなんだろうがなぁ・・・」

 

普通移動の場合の牛車は別々だ

だがお忍びの時は私の牛車に乗っていたりする

輝夜は有名人だ

当然牛車も誰の者かすぐに分かる

私の場合そんなことにはならないから使っているというわけだ

時々私に取り入るために娘をお近づけにしようなど

結構迷惑だが

最近はあんまり無い

萃香が遊びに百鬼夜行で来たときに思いっきり蹴り飛ばしたからだ(その後萃香がこっそり苦情を言ってきたが)

鬼子と蹴り飛ばす強い人

人間じゃ無いと思われたのだろう

恋文はなぜか多くなったが

父親が遠慮しても娘はそうでは無いらしい

片っ端から輝夜が破き焼き捨てているが

子供にとって親を奪われるほど恐ろしいものは無いと言うが

それであろうか?

母親なしの父だけで後は祖父母

そんな構成の家族のようなものだ

誰も血はつながっていないが私が近く一番接していた

年齢的にも父親で行ける

だからであろうか

なにやら私に執着しているような気がする。

まあ・・・もうどうでもいいか

こういうのも悪くない

 

 

「で、帰ってきたらこれか」

 

「たまったもんじゃ無いわ」

 

目線の先にあるのは5枚の手紙

つまりアレだ

 

「どうするかは輝夜が決めてくれ私は口出ししない自由でいい」

 

「普通親が口出しするところだと思うけど?」

 

「できるか!阿呆!私にそんな知識は無い!結婚するにしてもお前の意志でしろ!」

 

「ごもっとも」

 

「ちょっと出てくる。すぐ戻るが」

 

こめかみを押さえつつ席を立ち出て行く

従者が何人か付いてくるが断る

今は一人になりたい

牛車も出さず歩いて通りへ出る

そして大内裏へ続く朱雀大路へ出る

一番人通りが多く活気のある道だ

まあ、主要な大路は活気があるものだが

無数にある小道は薄暗く活気も無く瘴気がたまりやすい

覆う結界も入ってくるものを押さえてはいるが弱いものだ

だがそれ以前に出て行くことができない

入ってしまえば二度と出ることができないのだ

自由に出入りができるのは強い力を持つ妖怪だけだ

これが魔京などと言われる要因だろう

直す気も無いが

 

「ん?」

 

目線を黒い髪と上品な着物が横切る

目で追うと貴族の娘らしき子が一人いた

さすがにほおっておく訳にはいくまい

 

「おい、ここで何をしているんだ?女子一人で来るようなとこじゃ無いぞ」

 

「・・・・・」

 

「何か言ってくれ家にも送れん。」

 

「・・・・一人で帰れる」

 

ぼそりと呟くように答える

ふてくされた輝夜のようだが・・・

ここはそんな甘いところでは無い

意外と悪い奴は居るものだ

 

「意外とこういうところは悪い奴が多いんだ貴族の女子なんていいカモだ」

 

「・・・・・」

 

「送っていってやるだけだ約束しよう」

 

彼女は無言で歩き始める

早速なにやら怪しい動きをした男が居たので目線で封じる

萃香に教えてもらったものだがかなり役にたつ

 

やがて貴族の屋敷の密集する地区に入ってきた

私たちの住むのはかなり外れた地区になるためここに足を踏み入れたことは無い

なんだかイヤな予感しかない

一つの屋敷から数人の男が出入りしている

その一人がこちらを指させばそれはもうアレだろう

あそこがこの子の家でこの子はこっそり抜け出してきたわけだ

 

「キサマ!藤原様の娘どのをなぜ連れている!名を名乗れ!」

 

その声を聞いてかなんか偉そうなおっさんが出てくる

それなりに顔はいいかな?

それなりに渋いおっちゃんだ

あれがこの子の親だろう

 

「私はこの子が朱雀大路のところに居たから送ってきただけだ。もうすぐ日が暮れるからな。何者かと言われると・・・輝夜姫の親ってところか」

 

そうとしか答えようが無いのが悲しいところだが・・・

なんだか怪しい雰囲気しか無いな・・・

 




また萃香突っ込ませるわけにはいかないからなぁ・・・・
どないしよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

23話

夜眠れない日々が続き寝不足でフラフラです

クーラーは私の部屋ないし扇風機は風が当たらない・・・
チルノいないかなぁ・・・・
抱いて寝たい
ロリコンなんて言われてもいいからぐっすり寝たい


無限とも言える円柱状の空間の中心に彼はただ一人存在する

中心には彼のデスクがおかれ周りには無数の本棚が存在し全て埋まっている

中心からは見えないがこの空間の果ての壁一面にも本棚が存在する

上方向へは今も空間は広がり続けそれに伴い本と本棚も増えていく

彼は今一冊の本の修復をしていた

普通完璧で不壊の本であっても時々は不具合で壊れることがある

 

「ふむ、ページか数枚分飛んでいるか」

 

ページの付け根をなぞるように切り離し本来書かれる場所につけ直す

ふと彼は異常に気づく

 

「やれやれまたか」

 

指を振り問題の本を複数持ってくる

その本は黒ずみ良くない気を発していた

 

「また幻想郷が問題か・・・こっちは・・・月か・・・・今度はどこから枝分かれしたところだ?」

 

端から端まで丁寧に調べ上げる

 

「これはもうダメだな、周りの世界にまで影響を与えかねない」

 

そう呟き本を抹消する

そして黒い表紙で包まれ金字で

 

ENDWORLD

9187549501456・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

と文字と数字が書かれた本が現れ元の場所へ戻っていく

その後直された本も戻される

 

「さて、仕事を続けよう」

 

彼はまた本棚の影へ消えて行った

 

 

 

 

 

 

 

・・・・ちゃんと名を確認するべきだったか

光淵は二人の酒宴の中で内心頭を抱えていた

あの手紙の主の名前ぐらい聞いておけば良かった

まさかあの子の親があの手紙の内の1人とは・・・

あの子もしかして私たちの家を探そうとしていたのでは無いだろうか?

まあ、自分と同じくらいの女の子に恋文・・・結婚の願を出したのだから・・・・・

不安にもなるだろうなぁ・・・・

今更ながらあの子に同情してしまう

ため息しかでない

 

「どうかなさいましたか?光淵殿」

 

「いえいえ、すぐ帰ると言いながらこんな時間になってしまったので娘に怒られてしまうと・・・・」

 

「ははは、輝夜殿にはかないませんか」

 

確かにかなわない、だがこの人との会話の方がキツい

口には出さず出された酒を飲む

この時代の酒はまだ確立されたばかりだが

それなりにいける

鬼二人にもらったあちらの方がうまいのだが

こんなところで出したら大騒ぎだ

 

「そういえばあの子はなぜあの通りに?」

 

「ああ、妹紅のことですか・・・・いえ、理由は何も話してはくれなかったようです。」

 

「なにやら・・・深い事情がありそうでございますね・・・・」

 

「・・・実はあの子は妾の子なのです・・・母親が亡くなったため引き取ったのですが・・・」

 

・・・・・結構重かったなこれは

この人も余計に妹紅の感情を刺激している気がするが・・・

まあ、他の家の問題だ口出しするべきじゃ無い

そろそろ帰らないと本気で怒られるな

 

「不比等殿私はこれで失礼いたします。・・・・本当に怒られそうな気がしてきましたので」

 

「ふふ、女は怒らせると本当に怖いですからな。人を出しましょうか?」

 

「いえ、大丈夫ですよではこれにて」

 

そう言って藤原不比等殿の屋敷を後にする

すっかり夜中で人通りも無い

おまけに朔、新月で真っ暗だ

その道を一人歩いて家に帰る

 

・・・・・妖気が漂っている

しかも大量の妖気の中に知っている者が二人

 

「萃香、勇儀お前らか」

 

すぐに出てきたのは萃香、その後を羅生門の方から勇儀がやってくる

 

「おお、光淵久しぶりだね。・・・貴族にでもなったのかい?」

 

「・・・さあな、自分でもさっぱりだ」

 

「くくく、確かにあんたの場合そんなこと気にもしなさそうだよな」

 

勇儀が笑いながら返答する

はてさて何しに来たのやら

 

「で?今度は何しに来た?」

 

「ん~・・・なんか噂の輝夜姫って言うのをさらおうk・・」

 

よし・・・ヤロウ

 

「・・・光淵?なんで威圧を放っているのかな・・?」

 

「いいことを教えてやろう。輝夜の親は私だ」

 

二人が青ざめながら顔を見わせる

 

「さあ、どうする?」

 

「「おとなしく帰ります」」

 

・・・逆に素直で怖いな

そう思っていたら百鬼夜行全員が我先に逃げていくのが見えた

二人をおいて

後を二人が追いかける構図だ

あいつらは本当に懲りないな

ああ、勇儀も含めたらかわいそうか

 

そんなこともありながら家に帰宅すると跳び蹴りで出迎えが来た

もろに顔に入った

誰もまさか門をくぐった瞬間に姫様が跳び蹴りかましてくるとか考え無いだろう?

 

次の日は顔と首が痛かった

その状態で恋文を出した5人が集められ難題が出された

私の空間に全部収まって居るのだが200セットほど

それと昨夜陰陽師がたまたま羅生門近くを歩いた居たら百鬼夜行がものすごい勢いで外に出て行ったのを目撃したとかなんとか

 




次はお迎え&永琳と再開?予定


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

24話

だいぶグダグダになってきた気がするなぁ・・・
頑張って引き締めないと・・・
でも主人公・・・永琳には弱いんだよなぁ・・・・
恩というか・・・借りというかで



知っていることだが

竹取物語で難問をクリアした人はいない

それを間近で見ると・・・・

まあ、あれだ

レアだが

悲惨すぎる

と言うより目の前でおきているのだ

 

だが蓬莱の玉の枝は本物だ

だが輝夜は偽物と言った

それによって彼の権威は失墜した

 

後に輝夜に聞くと

結婚なんてしたくなかったからだとか

なんとも理不尽

だがまあ、彼の方も運がない

輝夜姫に求婚なんてした時点で詰んでいると言うわけだ

誰かに恨まれても知らんぞ・・・

と思うのは仕方が無いだろう

 

それから恋文のたぐいはぱったり来なくなった

あれだけ派手に振れば当たり前か

などと思っていたら

皇室からの求婚

どうするんだよなんて思っていた

 

呼び出しを受けて帰ってきたときだった

輝夜に呼ばれたのは

夏の中頃のことである

 

「私は・・・次の満月に月へ帰らねばなりません・・・」

 

その顔はどこか悲しみと何か

脱走をしたりする前のようななにかがあった

お爺さんとお婆さんは大慌てで帝などに報告を出しに行った

その中で私は静かにしていて

輝夜に不思議がられた

 

 

周りは騒がしい

噂などを聞きつけた人達が屋敷を取り囲んでいるからだ

気が早いことだ

あと半月は先なのに

一人縁側で伊吹瓢と星熊杯で月を見ながら晩酌をしていた

月を見ているとなぜか腹の底から怒りが湧いてくるのはなぜであろうか

 

「あら?晩酌ですか・・・?」

 

輝夜が出てくる

 

「ああ、ちょっと飲みたい気分でな」

 

「・・・・」

 

無言で手元の瓢簞と杯を覗いてくる

 

「見なれ無いものですね・・・いつ手に入れたんですか?」

 

「輝夜に会う前に・・・鬼からもらったものだ」

 

「へぇ~・・・・へ!?鬼!?」

 

「内緒なこれは」

 

「もしかしてこの間の百鬼夜行って・・・」

 

「私が追い返したな率いてたの知り合いだったしな」

 

「光淵さんがよく分からないよ・・・」

 

「いままでどおり呼んでいいぞ、そうじゃないとなんか気持ち悪い」

 

「でも・・・もうそんなこと言えなく・・・」

 

「関係ないぞ・・・そんなこと・・・まあ、好きに呼べいい」

 

「そう・・・」

 

「どうしようがお前の意思一つだ。帰るにしろ、残るにしろお前のしたいようにすればいい」

 

立ち上がり自分の部屋に戻る

その日から輝夜から話しかけてくることは無くなった

 

 

 

そして日は流れ

満月の日がやってきた

屋敷は兵が集まりただのヤジも集まりごった返している

輝夜は屋敷の奥でお爺さんとお婆さんといっしょにいる

私は一人庭で杯と瓢簞を持って軽く飲みながら待っていた

この日が来るまでになぜか知らないがイライラが溜り飲んでいなくては爆発しそうだった

 

 

突然聞き慣れない

いや

遙か未来の戦場で何度も聞いた

ミサイルの飛翔音が響き渡り都の外に爆炎が上がる

それと同時に催眠系の魔法が一体にかけられる

空を見ると何も無い空間から船が現れる

光学迷彩付きの宇宙船とは恐れ入るそれも大小5隻

 

そして一番おおきな船から人が下りてきた

見るだけで傲慢であることが分かる顔つきをした奴だ

なぜか見ただけで何かが刺激される

部下と護衛らしき人の後に赤と青の特徴的な服を着た女性がいた

 

その女性に顔を向ける・・・・

誰だ・・・?

この感覚はなんだ?

疑問しか出てこない

分かることは

私は彼女に会ったことがある

 

それを理解した瞬間

何かが

何かの鎖が弾け飛ぶ音が聞こえた気がした

 

 

 

「輝夜、お迎えに参りました。隠れてないで出てきなさい」

 

偉そうな奴が口を開く

その声でぼんやりしていた意識が戻った

そして、輝夜が出てくる

 

「さあ!帰りますよ!カグヤ殿!」

 

どこかイヤらしい何か腹に逸物抱えていそうな感じだ

 

「私は帰らないわ」

 

輝夜が言い放つ

 

「だって帰ったらただのモルモットでしょう?不老不死で汚れた体なんていいい実験材料なんて思っているんでしょう?」

 

モルモット・・・実験動物か

なるほど不老不死そういえば永琳がそんな薬を研究しようとしていたな

それを輝夜は飲んだのだろうか

 

「・・・・全員!カグヤを逃がすな捕まえろ!殺しても構わん!」

 

ああ、思い出した。

無能で私に仕事を押しつけてきた奴の一人か

 

「そうか、なら私は一人の親としてそれを止めさせていただこうか」

 

輝夜を含め全員が驚いたように目を向ける

 

「馬鹿な!?強力な催眠系の術だぞ!?」

 

相手の一人が叫ぶ

 

「生憎、そういう術はあまり効かない体質でね」

 

「光淵お父様?髪が・・・」

 

「ん?」

 

髪に手をやると昔のあの色に戻っていた

内心複雑だ

人里に入りにくくなる

聖とか言った尼さん?も凄い髪だった気がするが・・・

そして永琳は信じられないモノを見た目で見てくる

仕方ないだろうが・・・

 

「まあ、気にするな」

 

「いや、気にしますよ・・・・」

 

さて、永琳は・・・

ふむ、なにやら怪しい動きしてるなこっちに目線を集中させとくか

 

「さて、お前には月人がまだ地球に住んでいたときにお世話になったよなぁ?」

 

屑に話しかけつつ空間の門を開け刀を取り出す

 

「ま・・・まさか!お前・・・・!?あ・・あり得ない!地球を丸ごと焼き滅ぼしたのだぞ!?生きてるわけが!」

 

「ところがどっこい生きている。さああの時のお返しもさせてもらおうか!」

 

刀を構え輝夜をかばうように斬りかかる

護衛がそれを阻む

そいつの首では無く護衛の体を真っ二つに斬る

 

「おお、さすが鬼が鍛えた刀だ」

 

刃こぼれもしていない

血も軽く振れば全て落ちる

他の護衛は体を震わせている

どうも実戦不足感がある

 

さて、どうやって隙を作ろうか

空間にある物を思い浮かべながら思案しながら

敵に向かっていった

 

 




今後どうするかな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

25話

・・・・なにか忘れてる気がするんだよなぁ・・・
何だろうか・・・・
そんなモヤモヤの中先の書いています



ああくそ多すぎる

次から次へと敵が降りてきやがるし

なんで機関銃やらがあるんだ

 

「輝夜!これ持っとけ!」

 

空間から盾と槍を出す

 

「何これ・・・」

 

「アイアスの盾とイージスの盾とドゥリンダナもしくはデュランダルと言われる剣。こっちも余裕が無くなってきたからな危なくなったらそれで身を守れ」

 

「外国の神話の武具じゃないのこれ・・・・」

 

「まだたくさんあるから壊しても構わん」

 

「そっちの方がもっとおかしかった!」

 

妙な会話が繰り広げられていたが

 

「貴様ら!戦ってるならまじめにやれ!」

 

屑がわめく

こんな会話をしながらも被害がましていくばかりだと言いたくなるだろうが

あいつは何もしていない

 

「面倒だな・・・輝夜あれ打ち落としても大丈夫か?」

 

宇宙船を指さしながら聞く

 

「跡形も無く消せばたぶん大丈夫だと思うけど」

 

銃弾を盾で守りながら答える

 

「そうか・・・気は進まないがあれを使うか・・・・高X線ビーム砲」

 

空間から極太のビームが突き出し

大型の船と小型の船を巻き込み消し飛ばした

残ったのは小型の船1隻だけだ

 

「おお」

 

「馬鹿なぁぁあ!???」

 

「いいのか?もうお前一人だけだぞ」

 

「そんなわけ・・・な・・・」

 

後ろには矢に打ち抜かれた兵士達と

屑に弓を構えた永琳しか無い

 

「八意様・・・何を・・・」

 

「私は輝夜の意思に従うだけよ。元からそのつもりで来た。それに・・・光淵とも再会したからかしらね」

 

「きっ・・・きさま・・・」

 

「「さよなら」」

 

永琳と声が重なる

同時に矢が額に刺さり

首をはね飛ばす

 

唯一残った船はすでに逃げに入っていたが追い打ちでミサイルを数発たたき込んだ

一応信管は抜いたやつを

おかげで船がハリネズミみたいになったが

 

「光淵あれ撃ちすぎじゃ無いかしら」

 

少しあきれたような永琳の口調だ

少し懐かしい

 

「まだまだたくさんあるんだあれでも少ないぐらいだ」

 

「・・・生きていたのね・・・」

 

「ああ、何とかな」

 

じっと二人を見ていた輝夜が尋ねる

 

「ねぇ・・二人はどんな関係?恋人?」

 

「恋人では無い・・・わね」

 

「何だろうな?前は上司と部下だったと思うが・・・」

 

「あの時は建前上でしょ?実質同格よ」

 

「なんか私だけのけ者感があるんだけれど・・・」

 

ふてくされたような感じになる

頬も膨らましてるか?

 

「ああすまん。ああさっさと逃げないとな」

 

「準備してるわよ」

 

「こっちも終わってる。輝夜何か残しておくなら用意しろ」

 

輝夜は慌てて準備する

 

「永琳、蓬莱の薬持ってきた?」

 

「ええ、悪用されないように持ってきているわ」

 

「お爺さんとお婆さんそして帝に残していくわ手紙と一緒に」

 

「おや、帝にもかい?」

 

「それなりにいい人ではあったからね。文通相手としては」

 

それなりではあったらしい

がなんとも言えないのは確かだ

 

「・・・そういえば光淵も一緒に来るの?」

 

「途中で分かれるかもしれないが・・・私もここには残れないからな」

 

「そう・・・」

 

「まあ、しばらくは一緒のはずだ。さて急ごう群衆が寝ている間に都を出よう。あいつらがまた戻ってくるかもしれない」

 

「それもそうね、急ぎましょうか」

 

三人とも目立たないような服に着替え傘をかぶり

急いで都を出て行った

 

出て行くとき薄い霧が少しずつ三人を隠しながら

守るように包んでいた

 

 

 




何を忘れているんだろう・・・・
なにか・・・大切なモノの気が・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

26話

前、忘れていたことを思い出して蒼白になりました。作者です

何を忘れていたのか

萃香との約束そして酒呑童子の討伐

先に輝夜と永琳の話を書き進めて今日気づきました
今日の投稿分は突貫的にくみ上げたものです
命蓮寺と同じ間違いをするところだった

誤字脱字はご了承ください
報告をいただければ幸いです


走る走る

ただひたすらに走る

森の中を人気の無い街道を

必死で走る

輝夜と永琳をおいてきていることなど

頭から抜け落ちていた

あまりに驚愕の噂だった

 

 

酒呑童子を討伐した

 

 

輝夜に構っていて余り妖怪の山に行っていなかった

それに萃香は伊吹山にいてほとんどいなかった

勇儀はいたが

ほとんど萃香のために行っていたようなものだ

都に住見始めて行きにくくなり

それで若干足が遠ざかっていた

 

いつかはこの日が来るだろうと思っていた

理解しているはずだった

だが

実際にそんなことを聞くと

平静を保っていられなかった

 

自分でも意外だった

こんなに取り乱すとは

意外にも萃香のことを気にしていたのだろうか

よく分からない

妖怪の山まであと少しだ

 

 

 

「な・・・何だったんだ?さっきの突風は?」

 

「分かりません。・・・・妖怪でしょうか・・・?」

 

「こんな昼間からか?」

 

街道を進んでいた陰陽師と武士の集団だった

突然背後からものすごい突風と砂嵐を受けたのだ

原因は光淵だがこれらには見えていなかった

 

「それにしても酒呑童子がまだ生きているって本当ですかね?」

 

「頼光殿が言うには首を切ったときあまり手応えが無かったそうだ。」

 

「それで妖怪が多く住んでいると言われるあの山ですか・・・」

 

「鬼が数体確認されている。鬼の他にも天狗や河童もいると思われる」

 

「・・・この人数で大丈夫なんですか・・・?」

 

陰陽師が四十数名武士が百名前後

鬼や天狗がどれほどいるのか分からないなか

あまりにも少ない

 

「安心しろ。方法は考えてある」

 

そういった者の顔はひどく醜いものだった

 

 

 

光淵は山を駆け上がっていた

道など無い

崖なども飛び越え勇儀の家のある場所へ向かう

 

「そこの人間! ここは我ら妖怪の治める山である! 無断で進入するのを我々は良しとしない! 即刻ここから立ち去るがいい!」

 

目線を上に上げると白い髪をした少女が一人空を飛んでいる。あの犬みたいな耳と尻尾が生えているところを見ると、白狼天狗の一人だろう

見覚えは無い

新しく配属された子だろうか

 

「私の名前は八雲光淵。伊吹萃香、星熊勇儀の二人に会いに来た」

 

「ダメだ!許可が無い限りこの山に入ることは許されない!今すぐ戻らなければ力ずくで追い出させてもらう!」

 

「・・・・これを持っていてもか」

 

星熊杯と伊吹瓢を空間から取り出す

実力者ならこの時点でそれが何か相手が何者か分かるはずだ

 

「そんなモノが証明になるか!」

 

そう言いながら斬りかかってきた

慌てずに空間からデュランダルを剣の振り抜く位置に突き出す

不壊の剣と下っ端の持つ名前無き剣

折れるのは名も無き剣である

甲高い音とともに白狼天狗の持っていた剣が折れる

その天狗は折れた剣と何も無い空間から出てきた剣を見て目を見開いている

 

「これ以上私を煩わせるなら実力を持って進ませてもらう。その場合命の保証はしない。二人の前にまで連れて行け。もしくは天魔を連れてこい。」

 

刀の刃を首筋に軽く当てながらそう言う

うっすら首に血がにじむ

もう完全に泣き顔で涙がボロボロ出ていて答えは無い

 

「あやややや・・・・その子を殺すのはやめてもらえませんかね・・・」

 

一人の烏天狗が飛んでいた

どこか見覚えがある

 

「・・・・天魔の補佐官の娘か。射命丸文・・・だったかな」

 

「あやや・・・・なぜ知っているのですかねぇ・・・」

 

「天魔から紹介されたこともあるんだがな。さすがは鳥。覚えが悪いようだな」

 

「・・・・・・」

 

「ヒントだ、伊吹萃香、星熊勇儀の友人」

 

「・・・・・まさか・・・・八雲・・・光淵様ですか?」

 

「正解だ」

 

「どうぞこちらに、何所へ行く予定でしょうか」

 

見事に着地しかしこまって尋ねてきた

 

「萃香が討たれたと聞いてな。心配になってきたんだ。ここにいるか?」

 

「はい、いらっしゃいますが・・・・」

 

「悪いのか・・・?」

 

「元気です。しかし嘘をつかれ毒酒を飲まされ・・・その・・・落ち込んでいると言いましょうか・・・」

 

だろうな

嘘をつかれることは嫌いだが生きるため嘘をつくぐらいは許容する

彼女は人間が大好きなのだ

かまってもらうために人を攫うのはどうかと思うが

 

「とりあえず萃香のところへ行く。・・・こいつはどうする?」

 

泣きまくって文との会話で気絶した白狼天狗の首根っこをつかんで持ち上げる

 

「私が抱えていきます。」

 

白狼天狗を抱え先導する

そしてそのまま萃香のいるところまで送ってくれた

 

「すまないな文。その子にも謝っといてくれ。それと一応天魔にも伝えてくれ・・・・」

 

「分かりました。他には?」

 

「・・・・おいてきた女性が二人、八意永琳、蓬莱山輝夜という二人が来ると思うから来たら私のところにつれてきてほしい」

 

「分かりました。上層部と警戒部隊のメンバーにも伝えておきます」

 

そう言って気絶した白狼天狗を抱えて文は飛んでいった

 

「その声は・・・光淵かい?」

 

その声とともに家の扉が開き勇儀が出てきたその後に萃香が出てくる

 

「久しぶりだな、勇儀。大丈夫だったか?萃香」

 

様子を見ても分かるぐらい落ち込んでいたが

 

「まあ・・・なんとかね・・・上がって行ってくれ」

 

本当に大丈夫だろうか

本当に堪えたのだろう

以前のような元気が無い

 

「ほんといいときに来たよ・・・実は地底に行こうと思ってね。今日行く予定だったんだ」

 

「・・・・そこまでするか」

 

「なんかね・・・辛くてねぇ・・・酒を飲んでも忘れられないのさ・・・あの時の彼らの声と目線が・・・」

 

萃香はそう言ったきり黙ってしまった

代わりに勇儀が話し出す

 

「私もついて行くんだ。ちょっともう鬼にとっては居づらくなっちまったからね」

 

「そうか・・・静かになるな・・・」

 

「光淵もどうだい?見たところその髪と目じゃ・・・」

 

「それも考えたんだがな下手に潜るとやばいことになりそうだからな」

 

「やばいこと?」

 

扉がノックされ外から声がかけれる

 

「射命丸です。光淵様、八意殿と蓬莱山殿がいらっしゃいました。それと天魔様も来ています」

 

「ちょっと待っていてくれないか。すぐ行く。」

 

「連れかい?」

 

「そんなところだ。萎縮させちゃあ悪いから外で話してくる。」

 

「ああ、いいよ。それぐらい気にはしない」

 

勇儀から返事をもらい外へ出る

 

出た瞬間

私を待ち受けていたのは

二人分の拳だった

 




順調に進んでいたと思ったらこれだ
気をつけないと・・・
幻想郷・・・どこから主人公をぶち込むか

その前にこのあとどうしよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

27話

なんとか仕上がりました
戦闘描写が何とも言えない
書くのが苦手だから主人公が圧倒的になったともいえるかもしれないけど・・・



UAは1730とまだ低いですがいつの間にかお気に入りが20件も行っていてうれしくなりました。
こんな駄作をお気に入りしていただいただけでも無感量です。
これからも頑張って続けようと思います。


萃香の家から出た瞬間

みぞおちに一発

顎に一発拳をもらい飛ばされる

腰の入ったいい拳だった

 

なにも構えもとっていなかったためもろに食らった

そのため地面をのたうち回るぐらいしかできない

そんな彼を心配するのは天魔と射命丸だけ

鬼の二人は家の中のため何があったのかは知らない

 

みぞおちとアッパーを放った二人の目は冷ややかなものだ

 

「すまん・・・あまりに心配だったんだ・・・許してくれ・・・」

 

そんな言葉しか出てこない

あまりに自業自得だ

こんなこと言える立場じゃ無い

しかし

言わないと追撃が来そうだったのだ

 

「女性を放り出して鬼の元へ突っ走るのはどうなのかしら~?」

 

沈黙するしか無い

そして

謝り倒すことになった

 

それをこっそり見ているのが鬼二人

 

「・・・完全に尻に敷かれてないかい?あれ・・・」

 

「くく、そうだね。最後にこんな光景が見れるなんて思わなかったよ」

 

天魔も射命丸もどうすることもできずただ苦笑い

そのとき

光淵にくってかかった白狼天狗がものすごい勢いでやってきた

 

 

「天魔様!大変です!」

 

「どうした!」

 

「陰陽師や武士が攻めてきました!しかも・・・鬼の皆さんが倒れて・・・」

 

「何だと!?」

 

「それに奇妙な天狗や鬼が相手側にいてそいつらにやられた妖怪も同じような感じに!」

 

「何だと!?」

 

それを聞いて永琳が答える

 

「そういえば・・・途中で見たわね。なんか禍々しい気と穢れだったわ、ここなんか比べものにならないほどの」

 

「・・・おそらく傀儡系の術だろう死んだもしくは殺した妖怪を使っている。たぶん術者を倒しても意味は無い。傀儡になった妖怪は全て倒さなければならないだろう」

 

「そうね・・・・その可能性が高い」

 

「天魔、鬼の傀儡は私がやる。その他の妖怪を複数で確実に倒してくれ。なるべくここに近くまで引き寄せろ」

 

「お願いします。光淵様。射命丸!烏天狗や白狼天狗、河童に伝えろ!鬼は光淵様が相手をしてくださる。それ以外の妖怪、人間どもを複数で倒せと!」

 

「了解しました!」

 

そう言ってものすごい勢いで射命丸は飛び立った

 

「そう言うだろうとは思ってたけど・・・はあ・・・」

 

「悪いな、永琳。一応ここの中で上の方にいるんだ。それ相応の働きをしなければならないだろう?何もせずにいたらあいつらと同じだ。」

 

「そうね。それじゃあ鬼の治療でも手伝ってくるわ。そこの二人は大丈夫みたいだけど」

 

「勇儀と萃香は天魔のところに行っておいてくれ。神便鬼毒酒を奴ら使っているようだからな」

 

「悪いね・・・同じ人間なのに」

 

「私を人間扱いする方が少ないさ」

 

苦笑しながら刀を取り出す

 

「正直なところ自分で人間じゃないと思っているんでね。それじゃ永琳行ってくるよ。」

 

「速攻で終らせなさい。一応逃げてる身なんだから」

 

「はいはい、了解いたしました」

 

そう答え麓に向かって飛び出した

 

 

「あの術式凄いですね!これでこの山も平和になる」

 

「それにしても、妖怪を倒すのに妖怪を使うとはいいものですな」

 

「我々を食らい恐れさせたのだこれぐらい罰でもなんでもなかろうて」

 

「はははははは、違いない!」

 

笑い声が響く

 

「何だ!きさ・・・ガっ・・・」

 

ドタバタの騒がしくなる

 

「何事だ!」

 

陣の内側にいた全員が出てくる

もちろん結界を張って

そこには外にいた警戒の武士を全員切り倒した光淵がいた

足下には傀儡に使った鬼の首があった

 

「何者だ!貴様!」

 

「まて・・・もしや輝夜殿のお父上・・・光淵殿では無いか?」

 

一人の陰陽師が光淵に気づく屋敷に結界を張るよう言われてきたという陰陽師だ

 

「輝夜殿がお帰りになられて姿が見えなくなり、心配しておりましたが妖怪に攫われておられたのですね」

 

「しかし光淵殿は黒髪のはずだが・・・・」

 

「妖気のせいだろう。」

 

勝手に妖怪に攫われてことになっている

 

「おい、陰陽師ども・・・ここがどこか知っているよな・・・?」

 

「ええ知っていますとも。妖怪の蔓延る山でしょう?だから浄化しに来たのですよ。あなたも大変ですねぇ攫われるとは」

 

 

「違うな」

 

「「「「???」」」」

 

全員が首をかしげる

 

「この山に住む鬼・・・酒呑童子、星熊童子そう呼んでいる二人は私の友人だ」

 

「な・・・」

 

「それに私はこの山を統治していたこともある。さあ、ここまで言えばもう分かるだろう」

 

顔面が蒼白になった陰陽師が叫ぶ

 

「殺せ!そいつは妖怪どもの上位のものだ!」

 

武士が飛び出してくる

陰陽師は動かない

当たり前だ接近戦になると彼らはあまり動けない

妖怪ならなんとかなるだろうが人間には意味が無い

 

面倒臭い

そして

あまりにもくだらない

妖怪を生み出す元となったのは人間であるのに

そして上に報告されるのもあまり良くない

なら

皆殺しだ

全力で威圧を放つ

気絶しない程度に

 

全員の動きが止まる

恐怖で何もできない

 

「な・・なんなんだ・・・」

 

「世界の残骸さ」

 

能力を行使する

 

正面に上部に左右に大量の剣や刀、槍が現れる

 

「これは世界に残された神造武器、もしくはそれに類する物。世界から捨てられた廃棄物そのなれの果て。私はそれを管理する物誰かしらに造られた管理者の意識の集合体」

 

彼らはただ呆然と彼の告白を聞くだけだ

 

「今回は・・・運がなかったな。今私の機嫌は最高に悪いんだ。」

 

「あり得ない!あり得ない!そんな存在が我々に干渉するなど!そしてその存在は我々人を守るためにあるはずだ!なぜ・・・なぜ人外に荷担する!」

 

陰陽師の一人が叫ぶ

そいつを冷たい目で睨みながら答える

 

「お前達の所行に呆れた。絶望した。まだ・・・妖怪の方が人間的だった。それだけだ・・・それじゃあ、消えろ」

 

一斉に全ての武器が打ち込まれる

悲鳴を上げる暇も無く

彼らは肉片と成り果てた。

それと同時に武器はかき消える

 

「さあ、戻ろう。彼らも苦戦しているだろうから」

 

きびすを返し彼は山へ戻っていった

 

残りの動く死体、ゾンビを片付ける方が時間がかかった

あちこちに散らばっていたからだ

これには鬼も加わった

自分たちが動けないぶん別の妖怪が頑張っていた

そして最後の地上での仕事だった

 

「終わったな」

 

「終わりましたね」

 

「ええ」

 

輝夜と永琳も最終的に参加していた

ある意味興味本位だったが

 

 

「すまない。助かったよ光淵」

 

話しかけてきたのは萃香だ

後ろには勇儀や他の鬼達もいる

 

「・・・・行くのか?」

 

「ああ。思ったより長くなったけれどね」

 

「いつか・・・また会おう。そのときは酒をめいいっぱい飲ましてやる」

 

「ああ、期待しているよ」

 

そう言って笑う

それだけだった

彼らにはそれだけで十分だった

彼らは静かに山から立ち去っていった

最強の鬼が静かに

地上からいなくなった

 

「・・・いなくなると・・・なんとも寂しくなるものなのですな・・・」

 

天魔が降りてきたそう呟く

なんだかんだで一番鬼と関わってきたのは彼だ

寂しく思うのはそうかもしれない

 

「私たちも行こうと思う。長居すると奴ら以上に面倒を呼び込みそうだ」

 

「そう言うと思っておりました。射命丸」

 

「は!」

 

射命丸が降りてくる

手には大きな袋が握られている

 

「食料と水です。少ない物ですが・・・」

 

「いや、ありがたい。この姿では里に簡単に入れないからな。ありがたく頂戴する」

 

「そう言っていただけるなら幸いです。・・・・いつか何かあったら我々に相談ください。必ずあなたの味方に付きます。」

 

返事はしない

書ける言葉が見つからなかった

断っても勝手にやってくるだろうから

頭を下げ

永琳と輝夜とともに山を下る

射命丸と天魔はその姿を見えなくなるまで見ていた

昔、光淵が去って行ったときの落差に寂しさを覚えながら




今度からしっかり確認して書こう・・・
すごく大変だった・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

28話

ストックが尽きたな・・・・
書かないと・・・
でもなかなか筆が進まない



ずいぶんとあちこちい行ったなぁ

イヤ違う

連れて行かれたの間違いだ

北に南に大陸に

なんかいいようにあちこちに連れ回されている

なぜか分かれようとすると

先回りされて待っていたりする

永琳と輝夜の連携で分かれられない

呼び方もいつの間にかお父さん呼びとあなた呼び

もはや家族じゃ無いか・・・?

里などによったときも家族に思われた

 

偽装はできていいんだが私の精神ががりがり削られる

輝夜からはいい夫婦に見えるからいいんじゃない?

なんて言われるが・・・・そんなモノなんだろうか

愛・・・が無いとは言わない

だが

不快に思ったりしているのでは無いだろうか

そんなこともおもってしまう

 

だが

野宿の時のテントもどきもなぜか川の字だったことがある

そのときは心臓が止まるかもというほど驚いた

だんだん躊躇が無くなってきてこっちが精神をすり減らす

 

「はあ・・・・」

 

「どうしたの?お父さん?」

 

「・・・なんかな・・・お前達二人に引きずられて生きている気がしてきてな・・・」

 

「「引きずっているもの。当たり前でしょ?」」

 

ここまで来るともうあきれて声も出ない

 

「永琳いつまでこんな生活を続けるつもりだ?」

 

「ん~そろそろいいかしらね。あちこち移動してだいぶ攪乱できたでしょうし」

 

「光淵と一緒に暮らせるところを探さないといけないわね」

 

一緒に住むことはもはや前提・・・

永琳には昔世話になっていたこともあり断りにくい

 

「もう・・・何も言わん・・・」

 

その瞬間二人がいい笑顔で向き合いガッツポーズをしていたのは見逃さなかった

ああ・・・

完全に逃げられない・・・

 

「何で私なんだ・・・」

 

「「強いし、その力を知りたいから。」」

 

「それでかよ・・・」

 

「私の場合、いてくれれば食料とかの心配ないしね」

 

「勝手に倉庫扱いか・・・勝手に奥さんになってる永琳はどうなんだ?」

 

「別になんともないわ」

 

あっけからんとした返事だ

 

「あなたが私の部下として働いていたときから恋人じゃないか?ってよく言われていたしそんな目で見られていたからそんなに抵抗はないわよ」

 

そんな昔からそんな感じで言われていたのか・・・・

 

「すまないな・・・・永琳・・・そんな昔から」

 

「いいわよ。今更だしね。それに追われる者同士。不老不死同士一緒にいたいと思うものよ」

 

そうだ

もう彼らに寿命は存在しない

私と同じように

ひとつの世界を押し付けられている私とは違う

二人っきりで生きていかなければならない

だが・・・私もいつまでこうしていられるか知らないのだ

突然死んでしまってもおかしくはない

もともと私がなぜ命を魂をもらったのか全く知らないのだ

もし

私に魂を宿した者が私を消すことにしたら

逆らえないだろう

ならば・・・・

私は一緒にいるべきなのだろうか

私が消えてしまっても

覚えてくれる人がいる

それはある意味幸せかもしれない

 

まったく・・・永琳にはかなわない・・・

いつも私は折れる側だ

前はそうでは無かったはずなのだが

彼女にも何かあったのだろう

この件に関しては私は完全にお手上げだ

 

「お手上げだ。従うことにしよう、私の捜し物は待つことにしよう」

 

「そう、ありがとう、光淵」

 

柔らかな笑顔で永琳は答える

 

「そろそろ、行くか」

 

その言葉でみんな立ち上がり荷物を持つ

 

3人はゆっくり竹林の中に足を進めていった

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

29話

「いい場所だなここは・・・」

 

「そうね・・・静かで・・・自然の結界になった場所」

 

竹林に囲まれた屋敷

その縁側で光淵と永琳が月を見ながら酒をたしなんでいた

静かに吹いてきた風がさわさわと竹林の葉を揺らす

聞く人が聞いたら恐ろしく感じるかもしれない

しかし彼らにとっては穏やかにさせてくれる音だった

 

「師匠~、主さま~何所ですか~?」

 

奥の方から声が聞こえてくる

角から出てきたのは背の低い兎耳を持つ少女だ

 

「あ、こんなところにいたうさ」

 

「何かようかしら?てゐ?」

 

「姫様が畳の上で寝ちゃって・・・私たちじゃ動かせないから頼みに来たうさ」

 

「輝夜・・・何やっているのかしらね・・・風邪引くかもしれないのに・・・」

 

「疲れたんだろう、私が行こう。永琳、輝夜の部屋に布団用意してもらえるか?」

 

「いいわよ」

 

二人はそんな会話をしながら立ち上がり分かれる

 

ここは竹林の奥にある屋敷

もともとここには案内しているてゐと仲間の兎の住んでいた屋敷だ

 

 

 

 

「なかなかに深い竹林だな」

 

「そうね、若干方向感覚が怪しくなってきたわ・・・」

 

「そうだな・・・これはきつい・・・」

 

竹林を進んで1時間終わりすら見えない

どれだけ竹が密集しているのか日の光もあまり届かない

どうも微妙に坂になっていたり竹で視界が効かないことで狂わさせられているらしい

 

「なんか月の兎の目を見た時みたいね。あれとはベクトルが別だけど」

 

「そんな兎がいたのか?」

 

「ああ、あの玉兎のことね。狂気の目を持つ」

 

「またいやらしい能力持ちだな」

 

今、どうでもいい会話をしながら足を進める

 

「ダメだな、完全に迷った」

 

「・・・変に足を踏み入れたのは間違いだったわね。こんなに深いとは思いもしなかったわ」

 

「空から見てみる?」

 

「いや・・・ここが分からなくなるかもしれない。それにもうすぐ夜だ。」

 

全員が無言になる

べつにここで野宿することには何の抵抗もない

ただ自分達の感覚を狂わさせられた

そのことにショックを受けただけだ

竹林ごときに

 

「ん?」

 

「どうしたの?光淵」

 

「あれは・・・」

 

輝夜と永琳も光淵の指を指した方を向く

そこには小さな女の子がいた

こんなところに一人でいる時点で怪しいが

 

「・・・一応話してみるか・・・?」

 

「一応ね・・・」

 

永琳と二人で近づくと

突然浮遊感に襲われる

落とし穴があったらしい

何とも間抜けな話であるが

 

「あはははは! 引っかかった引っかかった!」

 

「・・・天の鎖」

 

落とし穴に落とした少女の周りに門が開き鎖が飛び出し縛り上げる

突然のことで少女は何もできず縛り上げられる

 

「な・・・なにこれ!はーなーせー!」

 

「うわ凄いこれ・・・光淵、永琳大丈夫?」

 

輝夜がのぞき込みながら聞いてくる

 

「無事だ、そこどいてくれ」

 

輝夜が2,3歩下がる

光淵が永琳を抱えて飛び出しそのまま着地する

なんの危なげも無い

 

「よし、そのままキスでも・・・」

 

「何をふざけてるんだ?」

 

永琳を下ろしながらあきれ顔で答える

ちぇ面白くないという感じの輝夜にちょっといらついたが

落とし穴を仕掛けた本人に向かう

 

「ん?なんだ兎の妖怪だったのか」

 

「あら、ほんと、可愛らしい耳が付いているわね」

 

「は・・・はなせー!」

 

ジタバタと鎖から逃れようとしている

しかし

 

「その鎖は神ですら縛り破壊できぬ物お前のような兎妖怪が抜けられる物では無いよ」

 

その言葉でがくりと力なく耳と体から力が抜ける

 

「何でこんなことを?」

 

「・・・・ただの悪戯だうさ・・・・」

 

むすっとした感じで答える兎

 

「お前名前は?」

 

「てゐだうさ」

 

「この竹林で暮らしているのか?」

 

うなずく

 

「ここに住めるような小屋はあるかしら?」

 

永琳が尋ねるそれは

 

「ここでいいのか?」

 

「ええ、隠れ住むにはちょうどいいでしょう」

 

「・・・・私と仲間の住んでいる古い屋敷ならある。」

 

てゐはそう答えた

 

「ではそこに住まわせてもらえないかしら?」

 

この手の交渉は永琳に任せた方がいい

私ではとてもじゃないがそんな高度なことはできやしない

鎖はといておく

後は永琳に任せっぱなしだ

逃げようとして数十本矢を打ち込まれたみたいだが

 

そしてなんやかんやあって

この屋敷にいる

兎たちに知恵を与える代わりにここの結界の強化などが条件らしい

 

 

 

「ねえ、主さん、聞いてもいい?」

 

「なんだ?てゐ」

 

「師匠と主さんは・・・どんな関係?」

 

「お前はどう思っているんだ?」

 

てゐはちょっと考えたようだ

頭を傾けながら答える

 

「気を悪くしたら悪いんだけど・・・師匠は主のことは気に入っている?と思うよ?愛?かは曖昧なところだけど。それは主からも感じる、かなりわかりにくいけど。・・・・主からは戸惑いもあるし・・・なんて言うんだろうね?何かを見つけるまでは・・・自覚する気がしないよ。」

 

「それは・・・幸運の兎からのアドバイスかな?」

 

「アドバイスとは言い切れないけれど・・・」

 

「なんとなく合っている気がするから文句は無い・・・捜し物か・・・私は何を探しているんだろうな。」

 

「それまでは分からないよ。さすがにね」

 

「最初は覚えていたはずなんだ・・・いつの間にか忘れてしまっていた。永琳のことも忘れていたんだが・・・」

 

「再会して思い出したのかい?じゃあ、探し物と言うより人捜しかな?会ったら思い出すかもしれないね」

 

「・・・そうか」

 

「・・・探しに、ここいいるみんなをおいて探しに行くことはやめた方がいいよ。光淵さん」

 

さっきまでの口調とはまた違う

なにか確信があるかのようなものだ

 

「なぜだ?」

 

「あなたの探し物はここに来るよいつかは分からないけれど」

 

「・・・なぜ、そう言い切れる」

 

「師匠達は永遠に変わらない屋敷。永遠亭なんて言っていたけれどそんな永遠なんてないよ。実際私がそうだった」

 

確かに彼らの平穏は崩れた私たちのせいで

 

「探している人も何かの拍子でここに何かをもたらす者かもしれないよ」

 

なんとも曖昧な物だ

だが一理あるともいえる

この兎は神代からの生き残り

あの因幡の白ウサギ

嘘をつくがまじめに言っていることはちゃんと聞いておいてもいいだろう

 

そんな話をしていて輝夜が寝落ちした部屋にたどり着く

周りにふわふわした毛並みの兎が周りにいてなんとも気持ちよさそうに寝ている

だが、このままにしておくのは悪い

このあたりは冷える

ちゃんと寝かせなければ

 

お姫様だっこして輝夜の部屋に連れて行く

 

やっと見つけた土地

そこでの初夜は静かに過ぎていった

 




ちょっとてゐの立ち位置が妙かもしれませんが
この物語ではこんな感じです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

30話

30話目か・・・・
今まで書いた小説で一番長く一定期間で投稿できたのは初めてかも

めちゃくちゃな設定でグダグダした小説をいつも読んでいただき感謝です
頑張って完結まで行けるよう頑張ろうと思います


ふわりふわり

その擬音が合うように静かに雪が降り積もる

竹林の冬とはこんなに静かなのだろうか

風はほとんど遮られ音はしない

時折強い風で揺れることがあるぐらいだ

光淵は屋敷の庭のある縁側で厚着を着てたたずんでいた

 

「あら?こんなところで何をしているの?あなた」

 

「雪を見ていただけだ。」

 

「そう・・・ご一緒させてもらおうかしら?」

 

「かまわないぞ」

 

そう答えると永琳は炊事場のある方へ向かった

しばらくして湯飲みを二つ盆にのせて持ってきて渡して隣に座った

暖かいお茶が冷えた体に心地よい

 

「ここに来て・・・」

 

「?」

 

「ここに来てどれくらいの月日が流れたかな?」

 

「数百年ってところかしらね?」

 

「そうか・・・昔、地球で過ごした時期よりも短いのに長く感じるのはなぜだろうな」

 

「・・・・」

 

そうここは時は流れても何も変わらぬ場所

永遠を生きるもの達の住処

永久不変の屋敷

星が

この世界が滅亡するまで

永遠に変わらぬ場所

変わらぬことほど

退屈で面白くない物は無い

最近は輝夜がちょっとそれでうるさかったりする

 

「ちょっと輝夜を連れ出してこよう。少しはおとなしくなるだろうしな」

 

「でも・・・」

 

「月は探すのを諦めたんだろう?」

 

永琳が目を見開き驚いた顔でこちらを見た

 

「月との交信は自分の部屋でやるべきだろう?あの時保管室に私も居たんだ兎がケガをしたんでな」

 

「あなたの気配遮断を忘れてたわ・・・そうもう諦めたそうよ一応は・・・」

 

「含みのある言い方だな・・・何人か諦めてない感じか」

 

「そう・・・面倒なことにね・・・」

 

確かに面倒だ

月にいるその協力者?

でも個人の部分まで踏み込めないだろう

つまりどうなっているか分からない

 

「確かに困るが・・・ちょっと連れだそう。あまり我慢させると後が大変な気がするからな。私がついて行く、何竹林の端の方まで行くだけだ大丈夫だろう」

 

「・・・そうね、お願いしようかしら」

 

「輝夜に準備するよう言ってくるよ」

 

ゆっくり立ち上がり、足を伸ばす

 

「何かあったら・・・私のせいだ。責任は負う」

 

そう言い残し輝夜の元へ行く

 

 

「そんなこと了承するわけ無いわよ。責任は半分ずつよ」

 

永琳の呟いた言葉はゆっくり雪景色の中に溶けて消えた

 

 

 

 

「うーん!やっぱり外はいいわね!」

 

永遠亭から少し出て輝夜は軽くのびをしながら話す

外の出るとしても庭ぐらいだったため

結構うれしいのだろう

走り回っている

 

「うう・・・寒いうさ・・・こたつに戻りたいうさ」

 

もう一人案内人として、てゐを連れてきていた

歩き慣れたとはいえ雪が降っていていつもと違う

やはり長年すんで慣れた者は必要だった

 

「夕食はお前の好きな物用意してやるから付き合ってくれ」

 

「分かってるうさ、おいていったら師匠がとんでもなく怒るうさ」

 

そう言いながら輝夜を追いかける

少しはしゃぎすぎだ

 

「おい!あまり先に行くな!何所にてゐの仕掛けた罠があるか分からないんだぞ!」

 

突然輝夜が立ち止まりこちらを振り返る

 

「どうした?」

 

すぐに追いつく

足下にはてゐの落とし穴があいていた

 

「な・・・中に・・・人が」

 

「「はあ!?」」

 

てゐと穴をのぞき込むと白髪で着物を着た輝夜位の女の子が雪に覆われながらぐったりしていた

すぐに穴の中に飛び込み抱きかかえ飛び出す

そしてすぐに脈と体温を確かめる

脈はかすかにある

体温はかなり低いが

 

「すぐに永遠亭に運ぶぞ!」

 

二人とも頷く

 

「先に戻って師匠に説明しておくうさ!」

 

そう言って走って行くてゐ

とりあえず空間から布団を出し

体に着いた雪を払いくるませる

 

「輝夜、背中に張り付いとけ、手を私に回して絶対に離すなよ」

 

「分かったわ」

 

輝夜を背負い少女を抱き上げ足に力を入れ走り出す

瞬間周囲の竹が激しく揺れ雪が舞い落ちる

後には足跡しか残されていない

 

 

 

3人が散歩に出かけて屋敷には私と兎しかいない

静かな永遠亭で薬の研究をする

それがここのところの私のすること

好奇心は尽きない

なんて言う人がいる

しかし長く生きているとそういうことはあまり感じなくなる

この研究ももはや暇つぶし程度だ

楽しさのかけらも無い

今の私は輝夜の従者だ

感覚的には家族のようだが

それは変わらない

私は楽だ

光淵がほとんど輝夜の相手をしてくれる

縁側での会話

それは私にも言えることだ

退屈だ

月からの脅威は低くなったとはいえまだ存在する

だがそれでも

退屈なのだ

 

「ししょー!何所ですかー!」

 

てゐの声が聞こえる

なにやら慌てているらしい

私は慌てて外へ出た

 

「どうしたの!」

 

「あ!師匠!大変です!竹林の落とし穴に女の子がはまってまして・・・」

 

「はあ!?」

 

そんな声が出てしまう

そんなこと一度も無かったからだ

 

「もうすぐ主様が運んでくるかと・・・」

 

突風が吹き目を覆う

目を開けると輝夜を背負い女のを抱いた光淵がいた

 

「永琳治療を頼む。症状は低体温ってところか・・・」

 

「分かったわ治療室へ運んで」

 

やれやれ仕事か

まあ、久しぶりに完璧な仕事をしましょうか

 




とは言いつつも
試験あるからなぁ・・・
どうなることやら


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

31話

もこたんがうまく行かん・・・
とりあえずここまで来たけれど
どないしょー


「昨日助けた女の子の件についてよ」

 

みんなが集まったこたつで永琳が話し出す

 

「大丈夫だったか?彼女は?」

 

「ええ、だけど・・・」

 

彼女が複雑そうな顔をする

 

「何かあったの?」

 

輝夜が聞くと決心したように話し出す

 

「彼女・・・蓬莱人だったわ。私の薬を飲んだ」

 

沈黙がその場を支配する

 

「どうなるんだろうな・・・・」

 

光淵が呟いた言葉は黙殺される

 

かなり面倒臭いことになりそうだ

だが

彼女がおきない限り

話は進まない

それが面倒な話であっても

 

全員の気は重い

 

 

 

 

これで復讐ができる

当時私はそう思っていた

いつか月に帰った輝夜を殺しに行く

それを望んでいたはずなのに

なぜこんなに

なぜこんなに生きることが辛いんだ

復讐しなければならないのに

成し遂げなければならないのに

どうしてこんなに

生きていることが辛いんだ

 

ああ、私は

ばかだ

復讐を果たしても

父の下へも母のところへも行けない

なんと愚かな選択をしたのか

この死ぬことも老いることも無い

この体で

誰からも受け入れられず

ただ一人生きて行くしか無い

なのになぜこんなに寂しいのだろう

 

ただ目的も無く

あちこちを移動した

一カ所にとどまることはできなかった

竹林で落とし穴に落ちた

私はそこで意識がなくなった

意識が戻ったときのことは

あまり覚えてはいない

ただ

懐かしい

暖かさだった

おでこに誰かが手を当てている

いつぶりだろうか

こんなことをされたのは

・・・ああ、おきなければ

あまり心配させると悪い

重いまぶたをあける

そこには見覚えのある男と

長い黒髪を持つ同じくらいの女がいた

 

 

「目が覚めた?・・・藤原妹紅」

 

飛び起きようとした

が体が言うことを聞かない

すぐに倒れてしまった

 

「無理はしない方がいいわ死なないとはいえ凍傷に加え肺炎も起こしかけていたし1週間近く寝ていたからね」

 

赤と青の特徴的な服を着た長い銀髪を三つ編みでまとめた女性が入って来てそういった

 

いったい誰だ

助けてくれたのはありがたい

だがなぜ私の名前を知っている

もう私のことを知っている人なんて誰もいないはずなのに

となるとこの男だろうか

 

「・・・輝夜姫の父親・・・だったか?」

 

あの頃とは、大きく髪の色が変わっていたが

あの不思議な雰囲気はあの人と同じだ

 

「ああ、そうだ」

 

なぜあなたが生きている

そう問いたかった

だが聞けなかった

体が限界だった

今度は

意識を失うように寝てしまった

 

 

 

 

「寝たか」

 

「むしろ起きたことの方が驚きだけどね。まあしばらくは無理でしょう」

 

「しかし、藤原氏のところの娘とは思わなかった」

 

「ああ・・・あの・・・てか娘いたの・・・じゃあ私この子のお母さんになってた・・・かも?」

 

「もしがあればな」

 

すこし考えて答えを出す

 

「無いわね」

 

当たり前か

 

「それにしても・・・なかなかの寝言ね」

 

「輝夜を恨んでいるのがありありと分かるモノだったな・・・だが、寂しがってもいたが」

 

「まあ、仕方ないでしょう。まあ、死にはしないんだから私のところに直接殺しに来るよう言っておこうかな。それぐらいの相手ならしてもいいし」

 

「ちょっと!?」

 

「止めないでね?光淵、永琳私が行ったことが原因で生まれた悲劇よ。私が責任を取らないとね。」

 

「止めるつもりは無い。だがこの屋敷に被害は出すな。」

 

「はあ・・・仕方ないわね。あまり竹林も破壊しないでくださいね?」

 

諦めたらしい

さてさて

騒がしくなるのだろうかね?

それは彼女次第だろう

 




永遠亭の一員にしてしまうか(横暴)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

32話

輝夜と妹紅は仲良くさせようと思います
まあ、喧嘩がやばい姉妹?てきな



まさか1週間近くベットにいる羽目になるとは思わなかった

そしてご飯も食べさせてもらうという

かなり恥ずかしかったとだけ言わせてもらう

少し嬉しかったのは・・・内緒だ

あれだけ親身な看病はこの体になって初めてだったから

ただ

なんであの人が生きているのかが気になった

考えられるのは私と同じ

蓬莱の薬を飲んだのか

義理とはいえ父親なら帝に残したように蓬莱の薬をもらって飲んでいてもおかしくは無いか

そう、見当をつけた

そのように考えるならあの日いなくなった理由にもなる

だがなぜ家族?がいるのだろう?

不老不死であるなら家族は悲しみの海だ

ここに様子を見に来る銀の髪と黒の髪の女に聞いたこともあったが

不思議な笑みを返されただけだった

一週間ずっと考え続けて退屈になり

部屋から出ようとしたときだった

黒髪の女が部屋に来たのは

 

「何か用か?」

 

「光淵お父様が呼んでいるから呼びに来たの。」

 

ちょっとにやにやした笑みを浮かべた女がそう答える

ちょっとイヤな感じだ

 

「案内するわ、付いてきて」

 

そう言い部屋の外へ出て行く

気品のあるどこかのお嬢様のような感じだ

誰かが教えたのだろうか

考えながらついて行く

長い廊下を歩いて行く

足がする音しか聞こえない

とても静かな屋敷だ

それに思ったよりも広いようだ

 

たどり着いた部屋は庭の見える広い部屋だ

真ん中に大きい長方形の机があり茶と菓子がおかれている

案内してきた女と光淵と呼ばれた男、そしてよく私のところに来ていた銀髪の女がいた

対面する形で座る

何が始まるのだろうか

 

「お久しぶりといった用意かな藤原殿」

 

話しかけてきたのは光淵だった

一度家から出たとき私に付いてきて家まで送ってくれた人だ

 

「ああ、久しぶりにゆっくりした日々だった。今までこんなに一カ所に留まることもできなかったから・・・」

 

「そうか・・・」

 

一瞬押し黙る

 

「お父上は・・・どうなった?」

 

「・・・輝夜姫が帰る日あの屋敷に行っていた。そこで・・・大きな金属に切り裂かれて・・・死んだよ」

 

3人とも悲痛な顔になる

やめてくれ

あんただけは関係ない

悪いのは多くの人を苦しめた輝夜姫なんだ!

 

「すまない。」

 

「いや・・・貴方に責任はあまりないと思っている。」

 

「そうでは無い。大いに関係がある。迎えの船を打ち落としたのは私なのだ」

 

「な!?」

 

あり得ない

あんな空を飛ぶ金属の塊を落とすなど

まて迎えの船を落とした?では!

 

「輝夜は地球にいる・・・目の前にな」

 

黒髪の女が私に頭を下げる

 

「初めまして、藤原不比等の娘、妹紅。私が蓬莱山輝夜。以前輝夜姫と呼ばれていた者よ」

 

 

 

そう輝夜が言ったあと

妹紅の顔が憎しみに染まる

今にも飛びかかってきそうだ

 

「妹紅、貴方の怒りも最も確かに私は理由があったとは言え多くの人を欺し地にたたき落とした。そして貴方の父親も」

 

「輝夜、最後だけは私の責だ間違えるな」

 

「私のために行ったのだから私の責それは譲りはしないわ」

 

むげにも無く断られる

分かってはいたが

 

妹紅から炎が立ち上がる

まるで不死鳥のようだ

己の不死がイメージとして不死鳥が現れたのだろうか

 

「妹紅、貴方はここに住んでかまわないわ。そして気が済むまで私を殺しに来なさい。一日中いつでも好きなときに」

 

輝夜がそういった瞬間

炎が消えポカンとした表情になる

いきなりそんなことを言われてはそうもなるだろうが・・・

 

「ここに住むほとんどが永遠を生きる者。大まかに見てしまえば貴方も同じ仲間」

 

輝夜は立ち上がりながら続ける

 

「部屋も好きなところを使っていいわ。もうここは貴方の家みたいな物よ。ただし」

 

「壊すのだけは絶対ダメよ?」

 

そう言って出て行った

 

 

「えっと・・・どうすれば・・・?」

 

妹紅が首をかしげながら聞いてくる

 

「自分のすみたい部屋に行ってもいいし、早速殺しに行ってもいいぞただし庭か竹林の中な」

 

「同意よ。好きにしていいわ。ご飯の時間には戻ってきていればいいわ」

 

こんなことになりそうだとはなんとなく予想していた

妹紅もあまりのことにあんぐり

ちょっとかわいいかった

何をするか決めたのか

外へ飛び出していく

しばらくすると

叫び声とともに爆音などが聞こえてきた

一応離れてやっているらしい

 

「騒がしい日々になりそうだな」

 

「そうね。・・・・あの子の荷物を部屋に運んでおきましょう」

 

はてさてどうなることやら

 

このあと

妹紅が部屋に突っ込んで部屋が吹っ飛び

二人そろって説教になった




さて・・・
もうしばらくしたら・・・
幻想入りあたりの時代って感じかな・・・
あと2~3話ぐらい永遠亭の中の話続くかも


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

33話

話が進まないなぁ
まあ、いいけど



「騒がしいなぁ・・・」

 

「いつものことでしょ」

 

外では殴り合うような音が響いている

そちらに目を向けると着物のような服を着た2人の少女が殴り合いをしていた

遠慮なしの全力だ

とても痛々しいが

2人ともなんだか楽しそうだ

以前は殺すまでやめなかったが今は殺すまで行かない

あれでもじゃれ合っているだけだ

もっとおとなしい時はゲームになるのだ

こんなに仲良くなるとは思いもしない出来事だ

 

恨みも時間が和らげていったようだ

なにより輝夜の事実を知ったことも大きいだろう

父親は残念だったが

輝夜にも断らなければならないだけの理由があったのだから

それでも始めは

大変だったが

もう一度言う大変だった

 

なぜかって?

白熱した2人が屋敷にまで被害をもたらしたからだ

おかげで修復する羽目になったのだ

外の人は入れられないのでコッソリ竹林の外へ出て木材を手に入れ運び込む

誰にも見つからずにしなければならないのが大変だったが

 

イヤなことなどを思い出しながら永琳と手を動かす

今日の夕食分だ

 

「輝夜と妹紅・・・最近飯の準備してないよな・・・」

 

「・・・そうねさせないといけないわね。お嬢様だけど覚えといた方がいろいろ良さそうだし」

 

「てゐは仕方ないけどな」

 

「まずここに立てないからね」

 

ジャガイモ人参、タマネギ、肉は迷い込んでカグモコの巻き添えを食らったイノシシ

それと遠出したときに仕入れてきた香辛料

この時代にカレーなんてここでしか作ってない気がする

煮込んでいると背後から尋常では無い視線を感じる

永琳も感じたようで

同時に振り返ると

輝夜と妹紅、てゐが顔だけ出してのぞき込んでいた

 

「「・・・・・・」」

 

「「「・・・」」」

 

匂いがすごくいいからやってくると思ったが思ったよりも早かった

 

「準備しないやつには食わせん」

 

小さな声でつぶやく

3人とも大慌てで手伝いにやってくる

1人は匙などをもって行き

2人は私と永琳のやっていた仕事を交代する

あからさまな態度に苦笑するしか無い

永琳と炊事場を出て行く

大切な話があった

 

 

「永琳最近通信していないようだが・・・」

 

「ああ・・・一度探知されかけたみたいでね。それ以降あっちから大切なこと以外は通信なし。あったとしても会話じゃ無くて文字になったわ」

 

「相手もあきらめが無いなぁ・・・」

 

「その諦めの悪さは別のところで発揮してほしいわ・・・」

 

永琳がため息をつきながら答える

私はそれに苦笑で答えた

 

「えーりん!こーえん!できたよー」

 

輝夜の呼ぶ声が聞こえる

別に呼ばずとも近くにいるのだが

 

 

自分の記憶は取り戻したい

だが

ここにいるみんなをおいてはいけない

それは自分が一番知っていることだ

幸運の兎にも言われたが

 

今の私の願いは

この平穏が続くことだ

 

「光淵?早く行きましょう。輝夜に文句言われるわよ」

 

少しぼんやりしていたのだろうか

永琳に話しかけられた

 

「ああ、すまない」

 

そう返しついて行く

 

 




これから時々投稿できないことがあるかもしれません

試験があるので


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

34話

今日は自衛隊の試験に行ってきました
・・・どうだろう

それはさておき
今日書けなかったので次・・・投稿できるか分かりません!


「どうするんだ?これ?」

 

「私に言われてもなぁ・・・」

 

「お前が作ったんだろうが」

 

「副産物的にはね」

 

ある一つの倉の前で中を見ながら妹紅と話していた

この倉は物を保管するところなのだが

今は竹炭で一杯になっている

元々ここにあったものは新しく作られた倉に入っている

 

なぜこんなにも竹炭があるのか

それは妹紅の鍛錬の結果である

妹紅の扱う炎の調整をするため竹を使っていたらこんなことになったのだ

もちろん失敗したものもあるが

妹紅はまじめなのだ

毎日欠かさずこれを行う

何回も何回も

結果

倉一杯の竹炭の山である

 

「どうするんだ?これは、使い切れないぞ」

 

「う~ん・・・」

 

「どうし・・・なにこれ?」

 

なぜかやってきた永琳もこの光景を見て驚きの声を上げる

 

「妹紅の鍛錬の副産物だそうだ」

 

「・・・いつの間にこんなことに・・・」

 

「売ったら?人里に?」

 

突然輝夜が現れそう言う

 

「「「は?」」」

 

「さすがにこれは使い切れないし、このままだと悪くなるでしょう?」

 

「だからって・・・誰が売りに行くんだ」

 

「う~ん・・・妹紅と光淵かな。光淵なら月が見つけても対処できないし外の話も調べられるでしょ?妹紅はそもそも月の連中は知らないし」

 

「退屈だからこれを売ってくるついでに面白い話を持って来いと言うことか」

 

「それもあるけれど、やっぱり少しは外と繋げておかないと何があるか分からないでしょう?」

 

「それはそうだが」

 

「まあ、いいんじゃないか?」

 

妹紅が賛成する

 

「買ってもらってお金も貯めた方がいい。何かあったとき便利だろ?光淵は凄い量の宝物を持っているけれど売れない物が多いから」

 

それを言われると痛い

資金は私の物を使うとほぼ無限だ

だがかなり限られる

金塊なんぞ一度溶かして刻印などを消さなければならない

武器なんかアウトだ

神造兵器やら武器やら、遙か未来の武器まである

月なんて破壊できるぐらいの物も・・・

下手に出せない

 

「竹林の人里に近いところに小さな古い小屋があったはずだ。とりあえずあそこで暮らしているような体裁を整えるか」

 

「私がそこに住もう。光淵は髪の色があれだからな私も大概だがまだ普通だ」

 

妹紅それは言わないでほしいな

だがその気になれば色は変えられるんだが・・・

 

「それじゃあ、準備するか」

 

売るためにもいろいろ準備しなければならない

小屋の中もきれいにしなければ

 

「てゐ、その小屋の場所は知っているよな?」

 

近くに来たてゐに説明し小屋のことを聞く

 

「知ってるうさ」

 

「そこから、ここまでは罠はなしだそれ以外に仕掛けてくれ」

 

「了解うさ。今あるぶんは全部壊しておくうさ」

 

そう言って、てゐは了承して仕事に向かう

 

「とりあえず小屋に行ってみるか」

 

 

 

 

「んあ?来たのか?光淵」

 

「お前こそ、居ないと思ったらこっちにいたのか」

 

小屋には妹紅がいて小屋の修理をしていた

行ってもらえれば手伝ったんだがな

 

「どんな感じだ?」

 

「そんなにひどくは無いよ。掃除すればすぐに住めそうだ」

 

「竹炭置く場所はどうだ?」

 

「小さな物置みたいな部屋があったからそこに入れようと思う」

 

掃除の手伝いをしながら話をする

 

「良かったのか妹紅」

 

「ちょっと思うところがあったのさ・・・もし輝夜が出歩くようになったとき自慢できるだろ?」

 

ニヤリとした顔を向けてくる

 

「ククッそういうやり返し方か」

 

「意外と効きそうだろ?」

 

「その場で殴られそうだ」

 

その姿が頭に思い浮かび2人でお笑いした

 

 

「ん?あ、やばいな」

 

「どうした?」

 

「飯、永琳に任せっきりにしちまった」

 

「あ~・・・ドンマイ」

 

「仕方ねぇか・・・妹紅帰るぞ」

 

「ほいほい」

 

作業をやめ屋根から飛び降りてくる

 

「修理は終わったからあとは荷物運び込むだけだ」

 

2人で帰り道を歩く

そのとき

何かが覆うような感覚がした

空を見上げても何も見えない

感覚が鈍ってしまったのだろうか?

 

「どうしたんだ?」

 

「いや、何でも無い」

 

何なのだろうか

覆う

いや

隔てる

が正しいかもしれない

だがすぐに忘れることにした

今は、永琳からのお怒りに対しての返答を考えねば

 

 




主人公・・・尻に敷かれてる?

まあ、いいや


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

35話

なんとか間に合いました
頑張ってストック作らないとな・・・
そしてだんだん文字数が減って・・・


妹紅が永遠亭から離れた小屋に住むことになり

夕食時まで帰らなかったことに

お叱りを受けたその日

月から一通の電信が来た

綿月姉妹かららしい

月夜見から永琳達の捜索を打ち切るよう伝達があったとのこと

ただし、どうみても怪しい者達も居るから気をつけるよう

警戒はしておくべきだろう

輝夜はふてくされていたが

おかげで一回家でしてチビうさまで動員して竹林を捜索する羽目になった

てゐの仕掛けた一番深い落とし穴で見つかったが

最近は妹紅が里の方に行っているため

姫さんの相手が居なくて大変なのだ

あと一人居ればいいんだが

 

妹紅の様子を見に行った帰り道

散歩と思って脇道を通っていた

私の目線は地面に向けられていた

そこには大きな穴が開いている

そこからかすかに白い物が見える

よく見ると兎の耳だしわくちゃだが

 

「今度は背の高い兎だな・・・てか何所の制服だ?」

 

その背の高い兎はなぜか制服のような服を着ていた

髪は足元に届きそうなほど長い薄紫色

何があったのか泥と傷まみれだ

 

「はあ・・・仕方ないか見つけちまったし、家の罠だしなぁ・・・」

 

とりあえずウサ耳つかんで持ち上げて出してやる

雑かな?と思いつつ手が届いたのがそこだっただけである

触って見たかったことは内緒だ

引っこ抜けなかったから大丈夫だろう

すぐに肩をつかんだし

彼女を背負って歩き出す

しばらくするとてゐが来るだろう

予定より遅いから

 

しばらくすると本当にてゐがやってきた

 

「また、誰か拾ったうさ?光淵って人を拾う癖でもあるのうさ?」

 

「開口一番それか?まあ否定できんが」

 

「否定してほしかったうさ」

 

「今度はお前と同族な気がするんだが?」

 

「うさ?」

 

背中に背負っているデカい兎に気づいたらしい

 

「う~ん、ちょっと違う気がするけどまあ、連れて行くうさ」

 

「選択肢それしか無いだろ」

 

永遠亭まであと少し

さて・・・何を言われるだろう

 

 

 

「・・・光淵?その兎は ど こ で・・・拾ったのかしら?」

 

あかん、おかんむりや

 

「竹林の落とし穴の中、ボロボロだったしな」

 

何でも無いような感じで返すが内心びくびくである

 

「・・・その子はレイセン月の兎で優秀な兵の一人よ」

 

「ほう・・・この細っこい子がな」

 

「武器の扱いならかなり優秀よ。それと人を狂気に落とす瞳を持っている、ルナルティックアイってやつね」

 

「ああ、以前話していた子がこの子か」

 

「ああもう・・・どうしましょ・・・いっそのことただの人形に・・・」

 

「えーりん?豊姫からなんか来たわよー」

 

輝夜のおかげで助かったおかげで黒いことを聞かずにすむ

 

「そう?なんて来たの?」

 

「そこで寝てるレイセン、月での訓練中に脱走して行方不明なんですって。」

 

「「・・・・・・・・」」

 

無言でレイセンを見る

こいつ脱走したのか・・・なかなか勇気のある奴・・・

永琳は頭を抱えていたが

 

「永琳、とりあえず治療してやれ。この子のことは起きてからにしよう」

 

永琳は仕方ないかという感じでレイセンを横抱きに連れて行った

・・・せめて抱えてやろうぜ?

耳をつかんだ俺が言うことじゃないが

 

さて、あの子はここにどんな変化をもたらすのかな?

 




鈴仙・優曇華院・イナバ合流
さてさて、永夜抄 が近づいて参りました
その前に光淵だけ別の場所に行きますが


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

36話

今日は福岡県の香椎宮に行ってきました
たぶん全部お参りはしたはず・・・
まあ、大丈夫でしょう


「きゃーーーー!?」

 

悲鳴が静かな永遠亭に突如響き渡る

 

「・・・また引っかかったのか?」

 

「・・・そうじゃないかしら?優曇華の声だし」

 

しかしそれを聞いた二人の反応は静かだ

 

「てゐも何回引っかければれば気が済むのやら」

 

「あの子本当に優秀だったのか分からなくなってきたわ」

 

「そう言うな、あそこの緊張したような場所から離れてお前のところにこれたんだ。本当の性格が出てもおかしくは無いだろう」

 

「あの子意外とポンコツだったのかしら?」

 

「さあ?」

 

「だ~れ~か~!助けて~!Help me~!」

 

「・・・助けに行ってくる」

 

「・・・そうね」

 

あんな悲惨な声で助けを呼んでいちゃ行かないわけにはいかない

やれやれといった感じで悲鳴の聞こえる方へ向かう

 

 

 

はあ、悲鳴はこっちか・・・・!?

 

光淵はすぐに顔を引っ込める

 

「?光淵?どうしたの?」

 

「永琳すまないが行ってくれ、俺じゃあ無理だ」

 

「?」

 

永琳が角から覗いて理解する

何度も頷いている

 

「見たの?」

 

「見えたの間違いだ。誰があんな格好になってると思う?」

 

「まあ、いいでしょう」

 

何があったかって?

鈴仙が逆さづりになっていた

これで何がどうなっているかなんてよく分かるだろう?

人によっちゃあラッキーかもしれんが、私にとってはアンラッキーだ

後で謝らんといかん

 

さて、レイセンこと鈴仙・優曇華院・イナバ

なんとも長ったらしい名前になったが

永琳に名を与えられここで暮らすことになった

何でも戦いが怖くなって逃げ出してきたようだ

月もなんと情けない

月の最高戦力は自分たちだが戦力の大半は兎たちだ

そのケアもできずエースに逃げられるなど

とんだお笑いぐさだ

まあ、他の逃げた兎は捕まったそうだからさすがエースか

これなら姫の護衛にはぴったりだろう

・・・罠にはまりまくっている気はするが

 

「光淵いいわよー」

 

「やっとか・・・意外とひどい罠だったのか?」

 

「予想以上に複雑に仕掛けてあったわね」

 

「そうか・・・」

 

「光淵?先に言わなくていいのかしら?」

 

「あー・・・、鈴仙すまん。わざとじゃないが見てしまった・・・」

 

とたんに鈴仙が真っ赤に染まる

真っ赤なままうつむきボソボソと話す

 

「いえ・・・助けに来ていただいてたまたま見ただけ・・・ですよね・・・?」

 

「そうじゃなかったら私はただの変態だな」

 

「・・・・ならいいです・・・・」

 

ふう・・・

それにしても・・・

 

「これ・・・誰が仕掛けたんだ?」

 

二人が首をかしげる

 

「てゐじゃないのかしら?」

 

「あいつ、家にこんな罠は仕掛けないと思うぞ?仕掛けても油とかだな」

 

「そういえばそうね。外なら落とし穴だけど」

 

「奥の方だと竹槍が飛んでくるけどな」

 

「そうなの?知らなかったわ」

 

「それで・・・罠はいったい誰が?」

 

「「・・・・・」」

 

永琳も光淵も黙る

一人しか思い浮かばない

そしてこんな物を仕掛けていると言うことは

 

永琳と光淵が姫の部屋にものすごい勢いで走った

 

「え!?ちょっと!?待ってください~」

 

その後を遅れて鈴仙が追いかける

 

とある部屋の戸を永琳と光淵が勢いよく開ける

そこは輝夜の部屋

妹紅が来ていないときはたいていここにいるのだが今はもぬけの殻だ

 

「やられた・・・」

 

「あの姫さんは・・・・」

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

「姫さんが脱走した」

 

「え!?」

 

「てゐは竹林の見回りに行ってるからな・・・」

 

「手分けして探そうにも変なところに行かれると分からないわね・・・」

 

「妹紅のところに行ってくるから、永琳、頼んでいいか?」

 

「ええ」

 

「鈴仙は一緒に来てくれ」

 

「わ、分かりました」

 

がりがりと頭をかく

 

「あの退屈姫めぇ・・・」

 

「えっと・・・」

 

光淵の言葉に

鈴仙がちらりと永琳を見るが永琳も疲れたような感じで頷いている

それでいいのかな?

と鈴仙は思いながらも光淵と姫を探しに出た

 

 

 

 

 

「ふう、これで今日の販売分だな。始めた頃とは比べものにならないくらい売れるなぁ」

 

妹紅が小屋で販売分の準備をしていた

これから里に売りに行くのだ

 

「ん?終わったのか?妹紅」

 

「ああ、待たせちゃったな慧音」

 

「いや、どうと言うことは無い。それに妹紅の竹炭は評判がいいんだ」

 

「そう言ってもらえると助かるよ」

 

慧音、本名は上白沢慧音

人里で寺子屋を開いている半妖だ

半妖と言っても人間側に立っている人物である

ただし満月の日には妖怪の血が濃く出て攻撃的になる

また、里の防衛もになっている

妹紅が里に出入りするようになって仲良くなった

最初は子供と思われ寺子屋にこいなど言われたが

今ではそれなりにいい仲だ

 

「それじゃあ行こうか」

 

「おう」

 

二人して小屋から出ようとしたときだった

戸をノックする音が聞こえる

慧音が首をかしげながら戸を開ける

 

「げ!?」

 

「やっほー、もこたん!ってあら?」

 

「・・・・誰だ!?」

 

慧音が見たことも無い妹紅と同じくらいの黒髪の少女相手に構える

 

「輝夜・・・なんでここに・・・」

 

「退屈だったから家から抜け出してきたのよ」

 

あっさりと言い放つ

 

「・・・許可は?」

 

「黙ってきた!」

 

「・・・・・」

 

「・・・・」

 

「私まで怒られるじゃねぇか!馬鹿野郎!」

 

「だから巻き込んだのよ!」

 

二人がいがみ合う

それを見て慧音は

 

「妹紅・・・?誰だ?この子?」

 

妹紅はイヤそうな顔をしながら答える

 

「姉貴みたいなもんだ」

 

それを聞いてにこやかになる輝夜と首をかしげる慧音

 

「みたいなモノ?」

 

「義理の姉貴みたいなモノだ」

 

「ほう。そういうのは初めて聞くな妹紅」

 

「言ってないからな」

 

輝夜はそんなことお構いなしにせかす

 

「早く行きましょう?光淵が追いついちゃうわ。せっかく能力も使って抜け出してきたのに」

 

「はあ・・・仕方ないなぁ・・・おとなしくしていてくれよ?」

 

頭の中でこれから起こるであろう惨事に頭を悩ませつつ妹紅は荷物を背負った。

 




香椎宮にある、軍艦香椎顕彰之碑にも黙祷をしてきました


あとは、奉納されてた戦艦摂津の砲ですかね
wowsでだいぶお世話になった戦艦河内の2番艦の物でしたが
電子の海で姉にずいぶんお世話になりましたとお礼もしてきました(笑)

まあ、知っている人にしか分からない話題を失礼いたしました。

次の物語もお楽しみに


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

37話

「へぇ・・・ここが人里?あまり進んでないものね」

 

「そうかね?私からすれば進んでいるよ少しづつだけど」

 

輝夜は不思議に感じていたことそれは重要なことだった

月から届く情報に

地球の技術が月に迫りつつある

そう書いてあった

しかし

この人里はそんなに技術が進んでいるとは思えなかった

しかし今はそんなことを忘れた

せっかく人里に来れたのだ

少しぐらい楽しまなくては

妹紅の後をついて行く

多くの視線を集めながら

 

始めに言っておくと妹紅を困らせる気はあまりなかった

だが、いることで困らせることになった

なんせあの輝夜姫だ

美人だから視線が集まる

それに妹紅も正体不明の美人な炭売りだ

白と黒彼女らの対照的な髪もまた視線を集めている

 

「・・・やりずれぇなぁ・・・」

 

「売れてるからいいじゃない」

 

「確かにいつも以上に売れてるけれどな・・・視線が痛い」

 

「まあね?美人だし仕方ないんじゃ無い?」

 

「自分で美人とか言う奴は初めてだ」

 

「あら?妹紅もだけど?」

 

その言葉に妹紅は顔を反対側に向け俯く

顔が赤いことは気づいているが

そこには突っ込まない

こっそりにやにやしている方が面白い

クスクスと笑っていた瞬間だった

そこら一帯の気温が急激に下がった

いや下がってはいない

下がったように感じただけだ

周りにいた人たちが慌てて近くの店に駆け込む

そして今まで二人を生暖かい目で見ていた慧音が構えをとる

妹紅と輝夜は誰が来たのか

理解し固まった

 

里の竹林に近い出入り口

そこに立っていたのはボロボロで泥だらけの服を着た背の高い男と

同じくボロボロで男に支えられている兎耳をもつ女がいた

二人とも二人を

いや輝夜をものすごく睨んでいた

 

「か~ぐ~や~?」

 

「ぴっ!?」

 

「妹紅・・・取り押さえろ」

 

「あい・・・」

 

「ちょ!?妹紅!?」

 

「すまんな輝夜。親父殿の命令だからな」

 

そういって妹紅が輝夜を取り押さえる

 

「おい、妹紅こいつは誰だ!説明しろ」

 

慧音が妹紅に尋ねる

 

「あー・・・私の義理の親?で輝夜の保護者。輝夜が抜け出したから探しに来たんだろう」

 

「ああ、そういうことか」

 

「さて・・・輝夜見事に屋敷を抜け出したことは一応褒めよう。だがな・・・道にきれいに仕掛けた罠なかなかえげつないモノだったのはやめてほしかったな。帰ったら覚悟しろよ。鈴仙も怒ってるからな」

 

「ちょちょちょちょちょっと!?なんでそんなに怒ってんの!?」

 

「おい・・・・落とし穴の中に竹槍仕込んだり、縄でつり上げて竹槍を飛ばしてきたり誰が引っかかったと思ってる?」

 

「え?光淵じゃ無いの?」

 

「全部鈴仙が引っかかった。つり下げるのとか私も最悪だ」

 

「ああ!鈴仙の下をみ・・」

 

輝夜の顔を光淵の右手が覆う

すると輝夜の頭からミシミシと鳴ってはならないような音が鳴る

 

「あがががっががが。やめっやめていだいいだいいだい」

 

輝夜が悲鳴を上げる

 

「何か言うことは?」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!謝るから!放してぇ砕ける!頭が砕けるからぁ!?」

 

そこまで言ってから光淵は手を放す

 

「さっさと鈴仙に謝る!」

 

輝夜はうずくまり頭をさすりながら

 

「ちょっと・・・待って・・・」

 

しばらくさすったあと鈴仙の方を向いて頭を下げた

 

「すいませんでした」

 

「え、えっと・・・はい・・もういいです。はい」

 

本当に謝ってくるとは思わなかったらしい

 

「帰るぞ。妹紅すまんな巻き込んで」

 

許された

 

「ああ、あんまり迷惑はかけられてないから大丈夫だ」

 

光淵は慧音に向き直る

 

「輝夜が迷惑をかけました」

 

「いや、本当に何もしていないからな」

 

「そうそう、慧音殿」

 

「何かな?妹紅の義父殿」

 

「紅い霧は危険だから気をつけると良いでしょう」

 

「?何のことだ?」

 

「いえ、何でも。では失礼を」

 

輝夜と鈴仙、妹紅も一緒に竹林へ向かう

 

彼らはいったい何所に住んでいるんだろう?

そんな疑問が浮かんだが

すぐに記憶の端に飛んでいてしまった

湖の方から紅い霧が迫っていた

感覚があれは人にとって悪いものであると告げていた

慧音は里の全員に伝えるため走り出した。

 

その日、紅い霧が世界を覆った

 

その異変のことを人は「紅霧異変」と呼んだ




この世界の輝夜は甘やかされてはいません
ニートじゃないです
逆に動きすぎで周りが振り回される感じ
これからの被害者はもこたんかな


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

38話

明日からとうとう学校が・・・・
ああ
なんと憂鬱な
進級単位が足りんことは決定事項だし
はあ・・・


以上のことから今まで通り投稿できるかは不明です
最悪不定期に移行します


ああ、なんと今年の冬は長いことか

なかなか炬燵から抜け出せぬ

 

「妹紅、里に竹炭売りに行かなくていいのか?売り時だろう?」

 

「確かにそうなんだがあまりにも冬が長すぎて何所の家も余裕が無いんだ」

 

「あー・・・そういうことか・・・」

 

「それにこの雪の中出ていくのがめんどくさい」

 

「おいおい・・・」

 

「もこー、みかんとってー」

 

「ほい」

 

妹紅が輝夜の方にミカンを放る

それを普通にキャッチして皮をむき始める

 

「妹紅、食べ物を放らないで」

 

永琳が注意する

 

「あー・・・すまん」

 

そう言って炬燵に埋もれる妹紅

となりにはてゐもいる

 

「「「「・・・・・・・あれ?鈴仙(優曇華)は?」」」」

 

鈴仙の姿が見当たらない

今朝から一回も見ていなかった

 

「てゐ、てゐ!起きろ!」

 

寝ていたてゐを妹紅がたたき起こす

 

「・・・なんだうさ・・・」

 

寝ていたところをたたき起こされて機嫌が悪いのか

むすっとした表情だ

 

「鈴仙を知らないか?」

 

「鈴仙?そういえば食事後に散歩に行くって言っていたうさ」

 

「今・・・何時だ?」

 

「2時ね・・・」

 

 

「「「「「遭難してる・・・・・?」」」」」

 

その呟きの後、全員が無言となった

 

 

「またか・・・」

 

「雪のせいでまた道をそれたのかな?」

 

「いい加減道をまちがえないでほしいな」

 

「えっと・・・縄ばしごとタオルと後なんだっけ?」

 

「ナイフに暖かいのみもん。タオルは数枚と大きい物も用意しておけ」

 

てゐと妹紅、光淵が厚手の服を着込みながら準備を進める

 

「いってらっしゃい、気をつけてね」

 

「昼食と暖かい物、布団を用意しておくわ、はあ、昼からの授業は休みね」

 

「てか、影が薄いなぁ鈴仙」

 

そんなことを話しながら捜索隊は永遠亭を出発した

 

 

 

一方捜索されている鈴仙はさんざんな目に遭っていた

 

「うう・・・寒いよぉぉぉぉ・・・・」

 

服はほぼ破け穴だらけで下着が見えかかった状態だ

そんな格好で雪の積もった落とし穴に落っこちたのだ

時間がたつにつれ雪が鈴仙の体温を奪い溶けていく

そしてまた凍り始める

完全にやばい状態だった

ただの散歩のはずだった

だが、竹林という毎日見た目が変わる場所であり

道から離れていることに気づかず

雪により足下が見えず

罠に気づけなかった

 

まず側面から竹槍の束が飛んできた

避けようとしたら足元が浅く陥没しよけれず直撃はなかったがかすって行った

その罠で道を間違えた、それていることに気がつき戻ろうとした

しかし、多重的な罠にはまり縄に引きづられ宙吊りにされ

落とし穴に落ち現在に至る

 

 

うう・・・こんなことなら散歩に行かなければ良かった・・・

月でのきつかったがこんなに命の危機は少なかった暮らしが思い浮かぶ

・・・逃げなければ良かった・・・

そんなことも浮かんでしまう

というより目の前が白くかすれ瞼が閉じそうになる

寝てはいけないそう思っても

ウトウトしてしまう

誰かの声が聞こえてくる

だが、誰の声かもう分からなかった

 

 

 

「いた!あそこだ!あそこの落とし穴!」

 

てゐが穴に駆け寄る

 

「いた!・・・やばい!意識が!」

 

「てゐ!そこどけ!」

 

光淵が穴に飛び込む

 

「おい!鈴仙!しっかりしろ!目を開けろ!私の声が聞こえるか!」

 

冷えた体を揺すりながら声をかけ続ける

 

「光淵!布団だ!」

 

渡された布団を鈴仙に巻きつける

 

「永遠亭に連れ帰る!かなりやばい!永琳に頼まんと死にかねん!」

 

「先に行ってくれ、私はてゐと帰る」

 

「分かった!」

 

光淵は空間を歪めるそして永遠亭と繋げ歪めた空間に入っていった

 

「また、妙な能力を・・・まあいいか、親父だし」

 

「あれ?妹紅は光淵って呼んでなかったうさ?なんで親父呼びうさ?」

 

「あ・・・」

 

てゐがニヤリと笑う

妹紅は真っ赤だ

しばらく妹紅は話を知ったみんなからいじられることになった

 

 

 

「永琳どうだ?鈴仙の様子は?」

 

カルテを見ながら永琳がうめく

 

「うーん・・・結構危ない感じね、あちこち凍傷だらけだし低体温がきついわ。今はゆっくり暖めて回復を待っているけれど・・・記憶障害が出るかもしれないし、凍傷で足や指なんかが壊死していたら切り落とさないといけないわ。生やせるけど」

 

生やせるのか・・・・

 

「命は助かってほしいな・・・・まあ存在を忘れかけていた私たちが言えることじゃないが」

 

「それは同意するしか無いわ・・・」

 

うっかり鈴仙のことを忘れていたのだから全員同罪だ

 

「それにしても・・・早く春が来てほしわね・・・」

 

「そうだな・・・」

 

 

その日ようやく春がやってきた

全員が望んでいた春が

 

 

鈴仙はなんとか後遺症も無く復帰した

その後、てゐと光淵、妹紅に徹底的に仕込まれ竹林を一人で歩けるようになった




鈴仙の扱いがひどいからなぁ・・・・
もう少し改善させないと
さて・・・鬼に会いに行こうか


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

39話

なんとか書けた
にしても・・・
3000近く書くことになるとは・・・


ここ数日誰かに呼ばれている気がする

誰か

それははっきりしない

だが呼ばれていることは間違いないだろう

何所に呼ばれているか

方角は分かる

どこかは知らない

だが、知っている誰かだろう

 

 

「光淵?どうかしたの?」

 

永琳がボーとしている光淵に話しかける

 

「んあ、ああ、誰かに呼ばれている気がしてな」

 

「・・・・そう」

 

「どうした?」

 

「光淵・・・・あなた・・・忘れた過去の記憶も取り戻しているんじゃ無いの?そして自分が何者であるかさえ」

 

「・・・・・ああ、だいたいはな、だが探していたはずの義妹の名前が出てこない。それに誰かの名前も」

 

「・・・そう・・・光淵はいつまでここにいられるのかしら・・・」

 

「どういうことだ?」

 

永琳は光淵の隣に座りチラッと見た後また視線を前に戻す

 

「記憶が戻ったら・・・貴方は義妹を探しに行ってしまう。見つかったら、義妹と暮らすでしょう?ここには・・・」

 

「帰ってくるよ。必ず、この場所に」

 

「え・・・?」

 

「義妹とは何年会っていないと思う?私は変わり果ててしまった、彼女の知る義兄はワタシと一つとなり元の人格はうっすらとしたかけらだけだ。義妹が受け入れてくれると思うか?それに義妹だって別の存在に成り果てているかもしれない。」

 

永琳は光淵の呟くような告白を静かに聞いていた

 

「もし・・・知っている義妹でも・・・私が彼女の知る私になる可能性はかなり低い。そして私は永遠を生きる者。生きらざるををえない者。私は何が起ころうとも生き続ける存在で、歴史からも外れ無数の世界のために生きる者。世界が終わるその時まで愛してしまった人のいるここに帰ってこよう。まあ、記憶が戻ればの話だが」

 

「それで?愛してしまった人って誰かしら?」

 

突然隣から声が響く

光淵も永琳も驚いてそちらを見た

そこにはニヤリとした輝夜と妹紅がいた

 

「お前ら・・・・」

 

「いい話聞いたわ~。で?誰が好きなの?」

 

「言わんよ。その前にお前ら・・・その顔をするとそっくりだな」

 

いつもならここで二人は怒るだろう

しかし今日に限って・・・口を滑らせたときに限って仲がいい

こんな時は逃げるが勝ちだ

さっさと使えるようになった空間をいじり逃げ出す

 

「「あ!逃げた!」」

 

後ろから二人の声が聞こえたが無視して入り口を閉めておく

出たのは里に近い竹林の中

そこにきて誰が何をしているのかに気がついた

 

「これ・・・萃香が萃めているのか・・・」

 

思わず声に出てしまう

萃香は地底にこもってしまった

でもまた出てきたというのか

やはり彼女は人間が好きだったのか

思い出すと少し懐かしさがこみ上げてきた

酒でも持っていてやるかな

誰が何をしているか

それがはっきりして萃香のいる場所も分かった

なら行かねばなるまい

彼女の親友として

 

光淵は足を進める

今逃げてきた永遠亭に

ちゃんと準備をしなければ

 

 

 

永遠亭に戻ったとたん二人にまとわりつかれた

しかしそれを振り切って自分の部屋に向かう

だが、二人とも両腕にぶら下がるようにつかまっていてなかなか離れない

鈴仙が見ているがどうすればいいのか分からずオロオロしているだけだ

 

「輝夜、妹紅離れなさい。光淵は出かける準備しなければならないから」

 

さすが永琳。光淵が何をしようとしているかなんとなく分かったらしい

だが、その手に持っている黒っぽい服が怪しいが

 

「光淵?今更なのだけれど。髪は切らないのかしら?踏みそうで怖いのだけれど」

 

ふむ確かに軽くまとめてはいるが解けば床で引きずるぐらいだ

確かにそろそろ切ってもいいか

以前切ったのは永琳と別れた時以来か

 

「ふむ・・・じゃあ切るか」

 

そう言って空間から剣を出しそのまま切り落とす

ばさっと音を立てて髪が落ちる

妹紅も輝夜もあまりのことに離れた

 

「・・・そんな切り方をするとは思わなかったわ・・・。整えてあげるからそこで待っていなさい」

 

永琳は服をおいて自分の部屋に向かおうとする

 

「はさみならあるよ」

 

空間からはさみを取り出し手渡す

 

しばらく大人しく切られていて髪はきれいに整えられた

 

「光淵?この服着てみないかしら?」

 

そう言って広げたのは軍服のような黒い服

あちこちに金のラインが入り肩章や飾緒まで入っている

 

「昔の月の礼装軍服をイメージして作った物よ!」

 

なんか永琳がすごく燃えている

あまりの気迫に着ることを承認してしまった

 

「完成度高すぎじゃ無いか?これ・・・」

 

「ふふふ・・・本物をちょこちょこ改造したものですから」

 

「・・・・」

 

あまりのことに声も出ない

黒の服とは反対に手袋は白

帽子もあり、竹と月の紋章が付いている

これに勇儀からもらった刀は相性抜群だろう

あの刀と鞘は最低限だが美しい飾りが描かれ彫られている

一応太刀を腰につるす

 

「・・・似合いすぎ・・・」

 

「永琳・・・どれだけよ・・・」

 

「かっこいいですねぇ・・・」

 

「それは同意するうさ似合ってかっこいいうさ。でもなんで光淵の服のサイズを師匠が知っているうさ・・・」

 

皆の頭にそういえば確かに。と頭に浮かぶしかし永琳から鋭い目線を受け声には出さないでおく

触らぬ神に祟りなし

 

「まあ、いいだろう。結構気に入った」

 

「「「「え!?」」」」

 

永琳以外の声が重なる

その永琳は見えないように小さくガッツポーズをしていた

 

「見た目はきっちりとしているが意外と動きやすいしな」

 

動きやすいだけでなく、袖にナイフを仕込めるようになっている。見た目は礼装軍服だが実際は戦闘服と大差ない。

きらびやかで良く目立つが

そして用意されていた軍用ブーツはつま先に鉄板と仕込みナイフ、かかとには鉄板と強力な武器だ

ただ誰と戦う気なのだろうと言う気はするが

そして帰ってきたとき言おうとしていたことを思い出す

 

「永琳すまないが少し懐かしい親友に会って来る」

 

「あら、誰?」

 

「伊吹萃香会ったことあるだろう?地底に下りたあの鬼だ」

 

「ああ、あの時の・・・帰ってきていたの」

 

「ああ、そうらしい」

 

「じゃあ、あれを用意するわ持って行きなさい」

 

そう言って永琳が倉に案内する

そこには大量のタルが置かれていた

 

「・・・いつの間に酒樽なんて・・・」

 

「内緒よ?」

 

まあ別にかまわないのだが

 

そこから一つ樽を取り出す

 

「これ持って行っていいわよ」

 

「結構太っ腹だな・・・」

 

「あの鬼なら少しくらい色をつけていたもいいでしょう?」

 

「まあ、そうだが・・・分かったもらっていこう」

 

樽を持ち空間に納める

さすがに担いで行くのはあれだ

目立つし見た目が悪い

軍服姿でデカい酒樽を担いでいる姿・・・なんとも言えない

 

「それじゃあ行ってくる」

 

「はい、行ってらっしゃい」

 

「「いってらー」」

 

輝夜と妹紅が声を重ねて送り出す

いつの間にあんなに仲良くなった!?と突っ込んでみたい

たぶんはぐらかされるだろうが

鈴仙は頭を下げて送り出す

てゐは屋根の上からチラッと見ている耳が丸見えだ

まあ、送りをしているのは分かる

 

さて、人里より外か・・・何千年ぶりだろうか

外はもう昭和後期・・・いやもう平成か・・・

どうなっているのやら・・・




本当にこれからどうなるかわかりませんからね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

40話

疲れた
マジで疲れた
こんなに書くのは久しぶりだ
今までの倍近い長さになっています



いったいどういうことだ?

時代が進んでいない

いや時は流れてはいる

しかし、時代が明治前後で停滞している

よくよく考えれば妹紅の炭、もこ炭(商品名)が売れている時点で気づくべきだったろう

()()()()の空間、重力、時間を統べる者として時間が時代が進んでいることは確実だ

ならばここはいったい何であろうか

まるで世界から切り離されつなぎ合わされたような感覚もある

いったい誰が作ったのだろうか?

それを考えながら萃香がいるであろう場所を目指す。

 

 

 

「あー!疲れた!全くなんなのよ鬼って!」

 

赤い巫女服?のような物を着た脇を出した少女が寝っ転がり文句をたれる

その相手をしていた萃香はケタケタ笑いながら瓢簞をあおる

 

「地上から、この幻想郷から去った存在とは言え最強と言われた存在だからね!そうそう負けはしないのさ!」

 

その話し方に少しいらっとした赤い少女だったが別の者に話しかけられる

 

「よ!お疲れ!霊夢!」

 

「お疲れ様、霊夢。さすがね」

 

一人は金髪で魔女のような感じの少女

霊夢と呼ばれたた少女の友人の霧雨魔理沙

もう一人は怪しいと言うよりも胡散臭い雰囲気が漂う少女

前者と同じく金髪で紫色の瞳持ち紫の服を着ている

一人一種族の妖怪。スキマ妖怪の八雲紫

 

「うるさいわ、魔理沙、紫」

 

「あらあら、ご機嫌斜めね?一応勝ったのよ?そうでしょう?萃香?」

 

紫が少し笑いを含んだ口調で霊夢を励まし萃香に問いかける

 

「まあね?でも完全に負けた気では無いよ」

 

その答えに霊夢と呼ばれた寝っ転がっている少女の顔がゆがむ

彼女は博麗の巫女、博麗霊夢。この幻想郷で起きた異変を解決する役目を負う者だ

萃香の答えは自分に彼女より劣っている部分があると言うことだ

萃香が言葉を続ける

 

「私が何度も挑んで負け続けて勝てなかったのは一人だけさ。まあそこの紫とは戦ったことは無いがね」

 

「・・・そんな話、聞いたこと無いわよ・・・」

 

「言ってないからねぇ・・・懐かしい思い出さ!あいつ一時期妖怪の山を仕切っていたしな」

 

3人は余計に訳が分からなくなってきていた

そんな存在は妖怪の山でも聞いたことが無いからだ

 

「じゃあ、そいつを倒せば貴方より強いと言うことになるのかしら?」

 

話に入ってきたのはコウモリの羽を持つ幼女

以前紅霧異変を引き起こした紅魔館の主

吸血鬼レミリア・スカーレットだ

そばに時を操るメイド、十六夜咲夜もいる

 

後もう一組死者の魂が転生を待つ冥界の管理者西行寺幽々子と庭師兼従者の魂魄妖夢がいたのだが妖夢が酔いが回って倒れ帰ったためここにいない

 

「無理だね、吸血鬼。あいつはただの身体強化だけで鬼と同等いやそれ以上の力を出すんだ。私なんかに負けているようじゃ・・・無理だね」

 

レミリアが言い返そうとしたとき霊夢か萃香に話しかける

 

「あんたの異変の目的は仲間を集めることだったわよね?なんでその人を集めなかったのかしら?」

 

「場所を知らないからね。あいつは地底に来なかった彼には守るべき家族がいたからね。それに今も生きているかどうか・・・分からないからねぇ・・・」

 

「妖怪なんでしょ?来ているんじゃないの?」

 

「あいつ・・・一応人間なんだ。種族的に・・・そこの妖怪の賢者様と似た妖怪な気はしているけどね」

 

「それは生きては・・・」

 

紫が話そうとしたとき

そこにいた者は気がついた

今まで感じたことの無い感覚が神社への階段を上がってきている

妖気でも霊気でも神気でも魔力でも無い未知のものだ

その中で萃香だけが目を見開いて驚いていた

 

紫がすぐ霊夢と魔理沙を連れ結界を張る

レミリア達も一緒に来ていたパチュリーの張った結界の中に入る

かなり混ざり合いすぎて気持ちが悪くなるようなものだ

 

カツン、コツンと聞いたことのない足音がシンとした境内に響く

そして見えてきたのは黒いだが金のラインの入った軍服を着た青年だ

ここにいる誰よりも背が高い

顔は帽子で隠れてよく見えない

だが帽子についている紋章で紫が目を鋭くする

その紋章はあそこの物によく似ていたから

 

「まさか・・・ここにいるとは思わなかったけれど・・・来てくれてありがとう・・・八雲、光淵。」

 

「「「「「「八雲!?」」」」」」

 

その場にいた全員が紫に顔を向ける

しかし本人は顔を左右に勢いよく振るだけだいつものうさんくささが出ないほど

 

萃香と光淵と呼ばれた二人はそんなこと関係ないかように話を進める

 

「久しぶりだな。萃香、お前が集めていることを知って出てきてしまったよ。久しぶりの地上はどうだ?」

 

「誰もが鬼のことを忘れていて複雑だったが、光淵が来たからね嬉しいさ」

 

「そりゃあ良かった。・・・酒を持ってきてやった。飲むだろう?」

 

「さすが!分かってるじゃ無いか!」

 

光淵が空間を歪める

紫のスキマとは全く違う物だが

物はよく似ている

そこから出てきたのは酒樽だ

二人は周りのことなど考えずに酒を飲みながら話を進める

 

「かすかな能力で気づいてやって来てくれるとは思いもしなかったよ」

 

「最初は全く分からなかったさ今日気が付いてな・・・約束通り酒を持ってきたわけさ」

 

「ははっ・・・確かに地上を去るときそんな約束をしたね。」

 

「約束だからな」

 

「そうだね・・・そういえば・・・嫁さんと娘・・・はどうしているんだい?確か二人は・・・」

 

「言うな・・・あの二人のことは秘密だ面倒なことになる。そして嫁と娘では無いぞ」

 

「おやおやそうかい・・・まあ、光淵の頼みだ言わないことにしよう。(あの二人そんな関係だとか言っていた気がするんだけどな・・・まあいいか)」

 

「そういえば・・・光淵・・・誰かを探しているって言っていなかった?見つかったの?」

 

「いいや・・・でも誰を探しているのかは分かった・・・義妹だ」

 

「義妹?」

 

「ああ・・・かすかだが私が私になる前のことだ。ただの人間であったときの話だな」

 

「・・・今は何者か聞いていいかい?」

 

「ただの人間と言っても・・・それは私では無い。私はその人間の体を奪ったのだ」

 

「なに!?」

 

「意図的にでは無いが・・・う。その人間が母の腹にいるとき私はこの体に乗り移ったのだ。元の魂を阻害せずにな」

 

とんでもない話が話されていた

萃香もその周りにいる者も誰も何も言わない

ただ青年の言葉に耳を傾けていた

 

「ただ、私が強い者でなくこの体の持ち主が平和に人生を過ごしていたなら。私はここにはいないだろう。だがそうはいかなかった。私の力によってこの体は変質した。」

 

彼はそう言って帽子を取る。

短く切りそろえられた一つに留まらぬ変化し続ける髪の色

それが月明かりに照らし出される

萃香からは同じような瞳も見えていた

他の者からは後ろ姿もしくは横顔だけだったが

全員光淵の方を見いていて気づいていなかった

一人、八雲紫が顔を青くして震えていることに

 

「変質したのはこの髪。人の社会で彼はのけ者になった。そこにやって来たのが義妹だ。彼の心の支えだった。彼の実の親が死んでしまい施設に入っても一緒にいた。彼が世界に逃げ出すまではな」

 

「・・・どういうことだい?」

 

「親を亡くしてしばらくして彼は逃げたんだ忘れるために大切だった義妹を一人残してな・・・何度か戻ってはいたみたいだが・・・そして義妹が消えた。」

 

「・・・・?」

 

「何の痕跡も残さず義妹は消えたんだ。彼は大切な者をまた失った。だが彼は探し続けたしかし・・・彼は仕事柄恨みを買い殺されることになる。そして隠れていた私が出てくることになった・・・」

 

これだけでも壮大な物語だ

だが話は続く

 

「私が出てくることにより能力が発現し遙か昔に私は飛ばされた。数十億年も昔、まだ神が地上に住んでいた時代に。」

 

「すまん・・・光淵・・・頭が痛くなってきた。遙かに年上じゃ無いか!?お前!?」

 

「魂だけの年齢なら・・・この体になる前から生きているから・・・もっと上だな」

 

萃香は眉間を抑えている

あまりのことで頭の中が大混乱中だ

そして頭を上げたとき

それに気が付いた

萃香がとっさに光淵を押し倒す

 

光淵のいた部分を何かが横切り神社の柱に突き刺さる

そこには道路標識が突き刺さっていた

萃香が声を荒げる

 

「おい!紫!何しやがる!」

 

萃香が紫を見上げて固まった

そこには怒りの形相で起き上がった光淵を睨んでいた

その雰囲気に皆が飲まれ霊夢も紫の変貌に驚いていた

 

「・・え・・・・せ・・・」

 

「「??」」

 

「私の・・・優しい・・・大切な・・・義兄を・・・かえせ!」

 

そう言い放ち大量のスキマから弾幕・・・いや、武器だろうが何だろうが何でもお構いなしに打ち出される

全員が一斉に逃げ出す

 

「ちょっとぉ!?ゆかり!?何してんの!?」

 

霊夢が転がりながら紫に話しかけるが反応は無い

 

「無理だ!霊夢!完全に目が逝ってやがる」

 

萃香が現れ霊夢をつかんで投げる

霊夢のいた所に剣が刺さる

 

「マジであいつら兄妹かよ!?」

 

魔理沙が霊夢をキャッチし逃げる

レミリア達は咲夜の能力で時を止め逃げていた

その場所に霊夢と魔理沙、萃香が降り立つ

 

「ああひどい目に遭った・・・・」

 

魔理沙が口を開く

 

「全く・・・本当に兄妹とはね・・」

 

「血はつながってはいないみたいだけれどね」

 

レミリアも会話に参加する

 

「紫がああなるのも仕方ないだろう?考えてみろ、なんだかんだ言いながら兄は妹を気にかけていたんだ。そんな兄が別の奴に体をとられ、別人になっていたんだぞ?」

 

萃香が話す。

 

それを聞いてレミリアは理解した

もし、自分の妹の体が知らぬ間に別の誰かの者にされていたら・・・

少し理解できた

 

未だに激闘の音が聞こえてくる

かなり激しそうで時折

爆発音が混じる

 

「光淵は・・・探していたんだがな・・・名前も顔も知らないのに自分が消してしまった彼の代わりに彼のかすれた記憶を頼りに」

 

「あいつはいい奴なのか・・・」

 

「かなりお人好しだな・・・。そういえばあいつ・・・時々人が変わったように戦ったり優しくしてくることがあるんだ。」

 

霊夢が一人神社に向かい歩き出す

 

「お、おい!?霊夢!?どこ行く気だ!?死ぬ気か!?」

 

魔理沙が必死に止めに入る。

 

「うるさいわね。これはもはや異変よ。なら解決するのは私の役目。神社も心配だしね」

 

異変確かに異変だ

だが、この異変は人である霊夢の手に負えるだろうか?

相手は妖怪と訳の分からない人外

それも紫と対等に戦える神話時代から生きる者

普通は放置が正解のものだ

霊夢はどんどん進んでいく

仕方なく皆霊夢について行くことにした

 

 




とうとう・・・出会ってしまいました。
続き・・・仕上がるかな・・・・



受け入れてくれる人・・・どれくらいいるのかな・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

41話

前よりは少し短め


私は一人だった。

かすかに覚えている両親の記憶

彼らは、私を残し死んでしまった。

誰も引き取り手も居ない私を引き取ってくれたのは

父と母の親友だった人達だ

義理の両親はとても優しかった

そして私に兄ができた

不思議な瞳と髪を持つ兄は私に良くかまってくれた

私が泣いたとき泣き止むまで一緒にいてくれた

いじめられたときも私を助けに来てくれた

私の大好きな兄だった

 

しかし、義理の両親も死んでしまった

それも私を助けて死んでしまった

血もつながっていないのに

ただの親友の子供である

それだけなのに

私を助けて死んでしまった

 

その日から兄は変わってしまった

気にはかけてくれるけれどどこか上の空

兄は私のせいで血のつながった家族を失ってしまった

それが私には辛かった

兄は中学で私から離れるように旅に出て行った

義理の両親の遺産も私に残して

私には兄のことが分からなくなっていた

私のことを嫌っていないのか

なぜ、遠くに行ってしまったのか

その時は分からなかった

でも

兄は帰ってきてくれた

お金も使えないほどに用意してくれた

まだ私は嫌われていないのだろうか・・・

 

大学生になって私に親友と呼べる人が出来た

そして、兄が何をしているのかを知ったのも

なぜそんな危険なことをしているのか

聞きたかったが聞けなかった

聞いてしまうと何かが壊れる気がして

 

そして私は奇妙な物が見えるようになっていた

親友は不思議なことを探ることが大好きだった

その影響もあったのだろうか

それはどんどんはっきりと見えるようになっていった

そんなときだった彼女が消えてしまったのは

不思議な遺跡に行った後の話だ

彼女の行動が怪しくなっていた

そして、朝彼女の部屋に行ったとき

もういなかった

残っていたのは

血の跡と大量の白い鳥の羽

それと消えかかった不気味な切れ目

 

私は探した

たった一人の親友を探しに

あの隙間を探して

それがいけなかったのかもしれない

私は引きずり込まれた

その切れ目に

そして気が付けば

私は過去の地球にいた

知る人もいない

頼れるのは自分のみ

そして私は人ではなくなっていた

それに気が付いたとき

私は何を思ったのだろう?

絶望か兄と二度と会えないという悲しみか

今はもう分らない

感情の変化のせいか

人で無くなったからかは知らない

それでも

私は帰る方法を探り続けた

私の能力でも自分のいた場所に行くことはできなかった

この世界は私のいた世界とは全く違う別の場所だった

そして私はこの場所を作った

消え行く定めの者達の行きつく場所

 

幻想郷を

 

兄にも親友もいない私が望んだ

それがこの楽園

そこに兄が現れたとき

私は喜びと驚きと恐怖に襲われた

 

兄もここに来ていてまた会えたこと

私と同じく人外になっていたこと

しかし嫌われるのではないかとも思った

 

だけど彼は兄ではなかった

兄の体を奪った最悪な奴だった

そいつは神代いやそれ以上を生きてきた者らしい

勝てるかなんて考えていない

ただ兄がいなくなったことの方が悲しかった

 

 

 

 

「うわぁ・・・こりゃひでぇ」

 

萃香が呟く

神社の所に戻ってきたが階段を登り切れていない

そこから下手に頭を出すと破片に頭を持って行かれそうで

霊夢が一回結界を張って見てみたがすぐに破壊され階段のところで完全に立ち往生だ

しかし神社本体と霊夢のすんでいる所はどっちが張ったのかは知らないが強力な結界があって無事だった

が道の敷石は砕け飛んで粉々になっていたらしいが

そしてさっきから気になるのは空を飛ぶ紫のスペルの列車?と言うやつと

光淵と言っていた人物の出した黒い煙を吐く似たような物がすれ違うなどしてかなり異常だ

現状紫が劣勢のようだが相手の方は時折弾幕を出してくるのに紫はぶつけるしか無いからだろう

それに、相手の方がなにやらため込んでいる物の質も量も多いようだ

 

「そろそろやめにしようか?マエリベリー・ハーン。いや八雲紫」

 

「そうは・・・いかない・・わ・・・八雲光淵!」

 

「そうは言っても、限界だろう?本調子では無い。神社の結界に別の何かに力のほとんどを使っているようだな。」

 

紫は無言だ

だがその通りらしい

神社の結界は紫のようだ

 

「博麗大結界ことね。あれで紫は半分近く力を使っているから・・・」

 

霊夢が説明する

 

「光淵のやつ・・・全然本気じゃねぇな。」

 

「「「え!?」」」

 

「あいつ拳一つで山吹っ飛ばすことも出来るんだ。能力を使ってはいるが強力なやつは使ってねぇ」

 

「あいつ何持っているんだ」

 

魔理沙が聞く

 

「魔道書みたいに取っていく気かしら?」

 

とパチュリー

 

「取ってるんじゃないぜ借りてるだけだ」

 

「取ろうとするなよ?フリじゃ無いぞ?手に触れただけで死ぬレベルのやばいヤツも持っているからな!?そもそも盗んだら串刺し案件だ!」

 

「マジで?」

 

「一回盗んだ鬼が一瞬で串刺しにされ骨も残さず消されたからな。それにお前が盗みでもしたら妖怪の山全員で追いかけ回して取り返すからな」

 

萃香がすごむ

魔理沙も頷くしか無い

 

「妖怪がそこまでするなんてね」

 

「光淵は別さ。それにしてもまだやっているのかい」

 

だんだんゆっくりになってきてはいるが金属がぶつかり合う音は聞こえてくる

空は静かになったが

 

「・・・咲夜。紫を連れてきなさい。さすがにまずいわ」

 

「レミィ?」

 

「あのままじゃ八雲紫は死ぬ。同時に結界も壊れるわ」

 

「「「「げ・・・・」」」」

 

「そうしたいのはやまやまですが」

 

咲夜が話し出す

 

「能力が使えません。妨害されているようでして」

 

「え!?」

 

咲夜ならこの破片の中を弱った紫を連れてくることが出来ただろう

だが出来ないとなると

かなり限られる

その時

 

バガン!と凄い音とともに紫がみんなのもとに振ってきた

完全に気絶している

 

「気を失わせただけだ。後は頼むぞ。大事な妹だからな」

 

光淵はそう言う

 

「萃香すまないな、こんなとになって」

 

「いや・・・いいんだが・・・お前・・・誰だ?」

 

「私か私は八雲影炎。メリーの兄だ」

 

「「「「は・・・」」」」

 

「それじゃあ。私は帰る。これ以上いると面倒ごとが増えそうだ」

 

そういって空間を歪める

 

「おっと、この場所を片付けないとな」

 

そういって彼は指を鳴らす

するとあたりに散らばった破片や粉が集まり元の敷石へと戻っていく

道を元通りにし賽銭箱に何かを入れていた

そして歪めた空間に足を向ける

最後空間に消える前

咲夜を見て、いやその手元にある懐中時計を見て、小さく笑う

 

「君たちとはまた会うことになるだろうな。特にサクヤ、君とはね」

 

そう言い残し彼は消えた

その後、紫の式神の藍と藍の式神の橙がすっ飛んできた

今まで来ることをと止められていたようだ

だが、会話が出来なくなり慌ててすっ飛んで来たらしい

詳しい話は後にして二人は紫を抱えて飛んでいった

神社は紫がつけた傷以外は全く無かった

そして賽銭箱には大きめの金塊が4つ入っていた

迷惑料という手紙を残して

 




意味深すぎる気が・・・
まあいいや


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

42話

短めです
そして中途半端感が否めないでしょう
理由は後書きで



あれから1週間近くたった

しかし

紫はまだ起きないらしい

式神の藍から聞いた話だと妖力の使いすぎらしい

ただでさえ無茶をしているのに余計に消耗したかららしい

それにしても

 

あの人物はいったい何なのだろうか?

八雲光淵または八雲影陽

二人の人格があるのか

光淵の方は消滅したといっていた人格

しかし確かに彼は影炎と言っていた

これは確かめなければならないことだろう

だが、彼はどこかへ消えた

紫の能力に似ていたが咲夜が言うには空間が歪んでいたらしい

 

だが、結界への干渉は無かった

なら彼は幻想郷の中に住処があると言うことだ

あの能力が結界に干渉せず抜けられるなら別だが

いつもと違う雰囲気の中今日も神社の一日は過ぎていく

 

 

 

 

 

 

 

「そい」

 

「はい」

 

「そい」

 

「はい」

 

そのかけ声とともにペタン、ペタンと音が響く

妹紅と輝夜が餅をついていた

その周りでも妖怪兎たちが一緒に餅をついていた

 

「なあ・・・なんで私たちは餅をついているんだ?」

 

「さあ?でもいいじゃない?しばらくは餅三昧だろうけど」

 

手を休めること無く会話を続ける

 

「それにしても光淵はいったいどうしたんだ?帰ってきて早々永琳に抱きついて甘えたり」

 

「何か思うことでもあったんじゃ無いかしら?」

 

「あの光淵がか?今まで永琳のわかりやすい静かな恋心に何も反応しなかったくせにか?」

 

「永琳も永琳だけどね。何億年越しの恋よ?呆れるわ」

 

「あんまり人の話をしてると本人が来るうさ・・・静かにするうさ」

 

てゐがやって来て静かに言う

少し声が大きすぎだ

 

「すまない、助かった」

 

「ありがとね、てゐ。・・・二人は?」

 

「まだ寝てるみたいだうさ。」

 

「光淵、3日近くどこに行っていたか分かるか?てゐ」

 

てゐがあたりを見渡し二人に手招きをし付いてくるように示す

3人はコソコソと永遠亭から竹林へ移動した

そしてだいぶ進んだ中で立ち止まり円を組んで石に座り込む

 

「コッソリ忍び込んで二人の話を聞いてきたうさ」

 

「さすがだな」

 

「初日は鬼に会いに行っていたのは間違いないみたいだうさ。何があったかは後で話すうさ。なんか後の二日は指輪作りに月まで行ってたみたいうさ」

 

「「・・・は?」」

 

そんな声が出る当たり前だ

誰だそんなことのために月に行くか

 

「聞いた時声が出そうになったうさ。なんでも隕石から鉱物も抽出して作ったって言ってたうさ。ダイヤは能力で作ったそううさ」

 

「・・・なかなかなことするじゃないの・・・てか月の都に目をつけられたんじゃ・・・」

 

「なんでも近づきもしてこなかったそううさ。まあ、隕石がバンバン降ってくる中行きたくなかったんだろうって師匠は行ってたうさ。怒ってたけど」

 

「そりゃあ怒るでしょう。隕石が降ってくるってことは裏側で作業してたってことでしょう?」

 

「それでその前、鬼とあったとき何があったんだ?」

 

「それは・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

疲れた

ああ、とても

肉体的な疲れでは無い

精神的な物だ

誰もいない場所に行きたくなった

そして月に来てしまった

ここには月人がいるのに

まあ、誰もいないのならいいだろう

それにしても

消えたと思っていた人格が出てくるとは思いもしなかった

突然主導権を奪われた

だが彼の記憶は全て私に伝わってきた

そして最後にあいつは・・・

 

 




しかし今までと関係が大きく変わるのでここで切らせてい戴きました。
そして重要なところであるであるため
少し時間を戴きたいと思います
中途半端で放置する形となりますが必ず投稿するのでお願いします。


趣味と息抜きで始めたはずなのになぜか義務に変わっていた気が・・・
では次の投稿までお待ちください
早めに書き上げようとは思いますので


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

43話

ちょいと投稿
今までの投稿頻度は無理だけど


「始めましてかな?光淵さん」

 

「もう消えてしまっていたと思っていたのだが・・・」

 

彼は苦笑を含んだような声で答える

 

「本当なら死んでいたんだろう。でも魂は別々だったからそしてあの時に、月人が地球を無に返したとき私は奥深くに眠ることになった。私の中で重要な記憶とともに。」

 

「だが、時折出てきただろう?」

 

「ええ、優華とチルノのことでしょう?少々見過ごせなかったので」

 

「おかげで記憶の混乱がひどいのだが?」

 

「ふふ、すいません。しかしそんなことはこれからは無いでしょう。」

 

少し寂しさが声にこもっている

 

「どういうことだ?」

 

「もう限界なんですよ。ただの人間の魂がこうしてまだあなたという存在に取り込まれずいること自体おかしいと思いませんか?私の意識がほとんど出てこなかった。だからこうしていられた。でも妹とメリーに会ってしまった。私が一番思い続けていたことそれは・・・」

 

「妹の無事・・・か」

 

「ええ、その支えは無くなってしまいました。後は消えゆくのみです。そして私は輪廻の輪に戻ることも無くあなたの一部になる。残るのは記憶と能力程度で私の人格は残りもしないでしょう」

 

「・・・・・・」

 

「思うところもあるでしょうが私はかまいません。そもそも普通より長く生きることが出来たのです。それくらいかまいもしません。でも・・・愛した人と過ごすことが出来ないことは少し悲しいですが」

 

二人は黙る

音も無い

立てる物も無い

その相手は知っている

私も愛する人だ

いや違う

この感情は持っているはずが無いものだ

つまり感情は彼の物だ

 

ああ、そうか私は彼のおかげで人としての感情を得ることが出来たのだ

 

「謝るのは私の方だ。影陽殿。私はあなたのおかげで人として生きることが出来る。感情も記憶もあなたからもらった物だ。影陽殿、消えてしまう前に彼女の元へ行ってほしい。私のことなど考えることは無い」

 

「そうですか。ではお体をお借りします。」

 

何が借りるだ

元々あなたのものだろうに

そう思いながら私の意識は沈んでいく

しばらくはこのままだろう

だが、それもまた良いだろう

これでいい

これで準備がでいる

彼には悪いが消えるのは私の方だ

この体はあなた物なのだから

 

 

 

 

さて、光淵さんからもらったこの時間無駄には出来ないな

だけど何をすればいいのかわからない

そんか情報とは全く無縁だった

永琳に対しての愛もはっきり言っててゐに気づかされたような物だ

愛を伝える言葉なんて全く出てきやしない

まあ、それはおいおい考えることにしよう

思いついたのは指輪だ

そもそもそれぐらいしか思いつかなかったのだが

永琳の感じからあまり派手では無いものがいいだろう

ふと視線をあげると目に入ったのは星の海

そして思いついたのが

 

隕石から金属抽出して指輪作ろう

 

普通そんなこと思いつかない

そもそも隕石の鉄なんて貴重品すぎる

 

さて・・・重力をそこら辺の星屑にかけて・・・

 

 

その日月の民は地獄を見る羽目になったとは言っておく

空一面に流星が降ってくればそうなるだろう。

 

 

 

 

 

「えっと?やり過ぎたかな?」

辺り一面がかなりボコボコになってしまった

隕石を数万トン単位で落とせばそうなる

ちなみに制御ミスって倍以上降らせていたらしい

 

そして彼は隕石に含まれていた必要な物以外で軽く整地して地球へ帰っていった。

 

 

 

「どこかへ行きましたか?」

 

「ええ・・・」

 

「近づくことすら出来ませんでしたね・・・」

 

「あれはちょっと・・・」

 

そんな会話が岩陰でかわされていたとか



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

44話

なんとなく投稿

これからはこんな感じの投稿かも


「・・・そうかそんなことが・・・」

 

妹紅、輝夜は光淵に何があったのかてゐから話を聞いていた。

 

「てゐ?本当に八雲紫って名前なの?妹の名前は?」

 

「人間だった頃の名前は違うみたいうさ、でも妖怪になってからはその名前みたいうさ。妖怪の賢者が光淵の妹とはびっくりだったうさ」

 

「・・・その八雲紫・・・以前月に妖怪を率いて攻め込んできたヤツね。ボコボコにされたみたいだけど。永琳の作った罠で」

 

「おおう・・・でもそこから生きて逃れているんだから凄いことだろうな。」

 

「そもそも、恐ろしいことは人間だった身でそこまでの力を身につけた妖怪になったという点でしょうね。光淵もそうだけど・・・・」

 

3人が思ったことそれは

 

「「「兄妹そろっていかれてんなぁ」」」

 

兄は神に匹敵する力を持ち、妹は妖怪の賢者となりこれもなかなかにチート染みた力を持つ存在だ

確かにいかれてる

 

ふと、三人は気が付いた

光淵と永琳がくっついたら・・・あの賢者は永琳の義妹?

でも・・・永琳の罠で死にかけ仲間?妖怪をを失っている(自業自得ではあるが)

と言うことは?

 

「「「相性やばくない?」」」

 

実際やばいと思う

ちょっとこれからどうなるのかがちょっと心配になってきた3人であった

 

 

 

 

 

ちょっと金属の精錬と指輪の成形に手間取ってしまった

ダイヤモンドはすぐ作れたのに

(炭素集めて重力をかけたまま原子同士をぶつけまくって高温にした空間に放り込んだ)

なお、シンプルながら小さなダイヤが埋め込まれている

残ったダイヤは妹紅と輝夜、鈴仙、てゐのお土産だ

 

だか、彼は一つ忘れていた

使っていた能力

それは、光淵の持っていた能力

影陽が持っていた能力は魔法を扱う程度の能力のみ

当たり前なことを忘れていた

彼は使えないはずの能力だった

それを使えることに気付くべきだっただろう

たとえ気づいても何もできはしなかったであろうが

 

 

 

すべての作業を終え永遠亭の前に能力で戻る。

ふと門に目が行った

なぜか懐かしい感覚がした気がした

帰ってきたと言う感覚だろうか?

少し苦笑してしまう

今まで特定の場所に住まなかった

今住んでいる永遠亭はもう数千年住んだ場所

愛着が湧いていた

あちこち直した部分もまたその時の思い出のある家だ

こことも自分はお別れだろう

そう思いながら門をくぐる

 

すぐに妹紅と輝夜がやって来てその後から鈴仙と永琳が出てくる

てゐは竹林だろうか

 

「すまない。だいぶ帰るのが遅くなった」

 

「何かやらかしたんだ?人里でも騒ぎになってたぞ」

 

妹紅が聞いてくる

他の3人も聞いていたようで話せというような目を向けてくる

話さないわけにはいかない

 

「まあ、後ではな・・・」

 

不意に体から力が抜ける

目の前にいた永琳に体を預ける形になる

端から見れば抱きついたようにしか見えないだろう

永琳も目を白黒させていたがすぐに異常に気が付いた

 

「永琳・・・すまないが部屋にまでつれていってくれ」

 

声もかすれ越えで永琳の耳元でいってもあまりにも声が小さかった

永琳は小さく頷きそのまま部屋に光淵を運んだ

残されたメンバーはなんだか騒がしかった

そこで彼の記憶は途絶えた




今、ゆっくり書いているから

またしばらくは投稿は無いかも


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

45話

自分ではこれが限界っす


彼が目覚めたとき彼は自分の部屋に寝かされていた

もし気分は?と聞かれていれば

最悪の一言だろう

倦怠感があり体が言うことを聞かない感じだ

下手に動くと体が二度と動かなくなる

そんな気もするほどに

 

体が動かせない分頭が働く

なぜこんなことになったのか全く心当たりが無い

今まで通りに能力も使えていたからだ

使いすぎということも無い

原因不明だった

 

いや・・・

原因不明ではないか

こんなことになるのは一つしかない

限界が近いのだろう

能力を多用したことか

それとも元々からこれぐらいのモノだったのか

どちらにせよもう時間が無い

窓から空を見ると月が出ていた

能力も使わない方がいいだろう

彼女たちとの時間を大切にするならば

 

「あら、目覚めたのね。なかなか起きないから心配したわ」

 

永琳がお盆をもって入ってくる

 

「すまないな・・・どれくらい寝ていた?」

 

「ほぼ1日よあの二人にはまだ話してないわ」

 

「そうか・・・永琳」

 

「何かしら?光淵?」

 

「今は影陽が正しいよ。永琳」

 

「え・・・?」

 

目を見開き驚く

今まで彼は影陽だと思っていた

だが、今は影陽だと彼は言った

つまり

 

「・・・・今までのあなたは・・・誰・・・?」

 

「光淵。後から入ってきた私ならざる魂。今話している私がもともとの魂八雲影陽。光淵は偽名だったけれど彼の名前となっただけさ」

 

さらっとなんかとんでもないことを口にしている気がする

永琳は手を眉間にあてる

あまりの答えに呆れと驚きとで一杯だった

彼女の優秀な頭がパンクしそうだ

 

「言いたいことは分かったわ。それで?なんであなたが寝込んでいるのか分かる?」

 

「予想だがね。私が、影陽が消えるからさそして光淵と一つになるその前触れって所かな。」

 

永琳がまじめな顔になりじっと顔を見つめてくる

 

「永琳、私が探していた義妹・・・彼女に私は会った。これを言えば少しは分かるのでは無いかな?」

 

「満足してしまった。とでも言いたいのかしら?」

 

「そう・・・なんだろうな。会って・・・まあ、逃げてしまったがその後でなにか私から抜けてしまった感じでな。そして彼と話して、時間を貰ってここにいる。」

 

「ひどい話ね。すぐに帰ってきてくれれば・・・なんとかでいたかもしれないのに・・・」

 

「それもまた無理だろうなぁ・・・」

 

そう言って影陽はいつものように空間を空ける

その時に顔を歪めていることに永琳は気づいた

 

「影陽・・・?能力を使うと・・・」

 

「時間は減る。だがこれは渡さないといけないから。」

 

そう言って数個の箱を取り出す

無駄に凝った造りをしている

取り出した影陽は疲れ切った雰囲気だ

 

「これで全部だ。まあ、永琳へ渡す物はこれだが・・・」

 

そう言って一番小さな箱を永琳に手渡す

手作りでかなりしっかりした箱だ

 

「なんかあれね。耀夜達の方が大きい箱だと嫉妬しそうだわ」

 

そう言いながら箱を開け固まった

そこには

シンプルだが美しい指輪が入っていたから

 

「私がいたことを忘れないための物だ・・・それぐらいの方がいいだろう?」

 

それを聞いた永琳は額に箱を持った右手を当て天井を見上げて大きくため息をつく

 

「光淵・・・いや影陽・・・こんな物を渡すぐらいなら・・・もっと気の利いた言葉も欲しいわ・・・」

 

その言葉には反応せずに顔を背ける

永琳が顔を戻してよく見てみると影陽の耳が赤かった

ついっと体を浮かせて顔を覗くとこれまた真っ赤だ

 

ぼそりと影陽が呟く

 

「長く一緒にいすぎて恥ずかしいんだよ・・・察しろ・・・」

 

その言葉で彼女は理解する

似たり寄ったりだと

何年彼と一緒にいたのだろうか?

最初は謎の脅威、その後部下いや、相方というのが正しいかその頃から彼という存在は身近ないるのが当たり前だった

しばらく分かれている間

私にとっては苦痛の時間

一番優秀で信頼のおけた彼がいないそれだけ

それだけのはずだった

私に追従できる人がいない

いつも彼がさりげなくサポートしていたことに気づかされた

それが原因で大きな罪を犯した

逃げることにしたのも彼の存在が大きかったかもしれない

そして今

ここで一緒にいる

本当に不思議なことだ

 

その時ぼそりと声が聞こえる

 

「月が綺麗だな」

 

「・・・そうね、時がこのまま止まってしまってもいいわ。」

 




静かに進んでいく二人の関係
この二人だと一気に進むところは全然思いつかなかった

さて・・・
そろそろ異変に入っていきますが・・・
この二人の関係の変化で一名面倒なことになっていますのでまたしばらく空きます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

46話

投稿っと


東方紅魔郷をプレイ中です

イージーの初プレイでチルノまでも行かず大妖精で3回ピチュって終わるというへたくそをやってしまうという・・・・


言い訳をするなら・・・

ノートパソコンのキーボードでやってることと・・・
今までそういうゲームをしたことが無かったことかなぁ・・・

まあ・・・クリア出来るまで頑張るけど・・・
いつになることやら


「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・なんで黙ったうさ」

 

てゐの言葉に輝夜と妹紅は気まずい感じになる

 

「いやぁ・・・な・・なんとも曖昧な言葉を出すなぁ・・って」

 

「お互いにそんな言葉で告白して返事をするとか・・・」

 

「あれ・・・そう言う意味だったうさ・・・」

 

「「気づいてなかったの?(か?)」」

 

「あんな言葉で何を分かれって言ううさ!」

 

まあ、意味が分かる人じゃ無いと分からないような回りくどい言い回しだと

二人は思う

しかし普通に

 

あなたを愛している

 

なんて言葉があの二人のどっちかから出てきたらそれはそれで混乱する

それがたとえ自分たちの知らない彼だとしても

 

「まあ、中身がどうなろうとあまり変わらない気がするわ」

 

「同感。帰ってきたときも気付かなかったし。実際にはそんなに変わらないんだろうな」

 

そんな会話が妹紅と輝夜の間で交わされる

てゐは最近の永琳と光淵、いや影陽の行動に納得がいった

何かと一緒にいることが増えていたし

良く寝ている影陽の部屋にいることも多かった訳だ

ふと一人そんなことに気が付いていないであろう人物を思い出した

 

「あ・・・鈴仙にまだ言ってないうさ・・・」

 

「「あーーー・・・・・」」

 

「帰ったら教えましょうか。今は永琳に出された課題で一杯一杯で研究室にこもりっぱなしでしょうし」

 

「そうだな・・・てか課題って?」

 

「薬師としての課題ってところね。彼女も兵士としてはなくて弟子としてって感じなんでしょう。永琳も久しぶりの弟子で気合い入っていたわ」

 

「てゐはどうなんだ?そこんところは」

 

「薬のことなんかわかんないうさ。完全にそっちは鈴仙に任せるうさ。私は竹林をうろちょろしていたいうさ」

 

そんな会話をしながら3人はなんかイヤな予感に襲われる

軽いイヤな予感だが面倒臭そうなことが起こりそうな感じだ

 

「じゃ私は竹林に・・・」

 

「「逃がすとでも?」」

 

「あ・・・やっぱり?」

 

「「当たり前。」」

 

「なんかぴきーんって頭にイヤな予感が!」

 

「同じく!」

 

「でも帰らないと行けないうさ・・・」

 

「「「・・・・・・・」」」

 

3人はイヤな予感を覚悟しつつトボトボと永遠亭に足を進めた

 

門のところまで来ると鈴仙が顔を真っ赤にしてうずくまっていた

 

3人は

 

ああ、二人の寝ている部屋に踏み込んだなと思った

 

「鈴仙?どうしたの?」

 

輝夜が鈴仙に静かに話しかける

 

「えっと・・・師匠に報告をしに探して回っていたら・・・ふ・・二人が・・・・」

 

「寝てたんでしょ?一緒に」

 

「は・・はい・・・え?」

 

不思議そうな顔になり首をかしげる鈴仙

彼女に3人は話す

 

「そういう仲になったのよ。」

 

「えっ・・・・え・・・」

 

叫びそうになった鈴仙を妹紅とてゐが押さえる

叫びで二人の時間をつぶすのも悪いからと考えた結果だ

しばらくそうなっていたが落ち着いたようなので二人は離れる

 

「え・・・だってそんなそぶり・・・全く・・・」

 

「あの二人はかなりわかりにくいからなぁ・・・」

 

「そうねぇ・・・」

 

「あれ?もしかして気づいてないの私だけですか・・・?」

 

「「「そうだよ」」」

 

声のそろった返答に落ち込む鈴仙

へにゃへにゃのうさ耳がもっとへにゃへにゃになっている

 

「そういえば鈴仙?報告って何の報告かしら?」

 

「ああ!?そうでした!大変なんです!月から追っ手が!」

 

それはとてつもなく重要な報告だった

研究室にある永琳の通信機に緊急通信が来ていたらしい

普通は扱ってはいけないのだが

緊急だったため見たそうな

そこにはこの幻想郷に次の満月の時、秘密裏に調査隊を送ることが決まった

と書かれていた

 

不本意ではあるが二人を起こしに行かなければならない

彼は特に辛いだろう

何も出来ないのだから

これがやっかいごとだったのかもしれない

 

輝夜と妹紅は気が重そうに足を光淵の部屋へ向けた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

47話

投稿ですよーっと


後書きにある報告があるので


とても静かな朝だった

いや、朝というには少し遅い時間だ

普通なら起きている時間帯

それに誰かが必ず起こしに来ているだろう時間だった

 

だが誰も起こしには来ず

自然と目が覚めるまで寝続けていた

ふと何かがおこる予感のような物だろうか?

誰もがそれを感じているから起こしに来なかったのか

それは分からない

だが

 

このぬくもりが永遠に続くのもいい

そう思っている自分がいる

 

光淵はそっと手を

傍らに眠る彼女に

永琳の頬に当てる

なぜそうしようとしたのか自分にも分からない

相手の体温が分かるぐらい体は密着しているのに

本当に分からない

 

ピクリと永琳が体を動かしうっすら目を開け顔がこちらを向いた

 

「おはよう、永琳」

 

そう声をかけると永琳はすがりつくように抱きつき

顔を光淵の胸元にすりつけた

こんなことをするような彼女では無いはずだ

 

「どうしたんだ?永琳?」

 

軽く抱き返しそのまま戸惑いながら尋ねる

だが何も言わない

ただ抱きつき黙っているだけだ

そんな状態でしばらくそのままだった

 

「ごめんなさい、影陽」

 

「なんで謝る?何もしてないだろう?」

 

「・・・・イヤな予感・・・というのかしら・・・?なぜだかもうあなたとこんなことが出来ない気がして・・・」

 

なにも返す言葉が出てこない

そんなことが起きそうな予感のような物が彼にもあった

二人はただ無言で抱き合っていた

 

 

 

 

そんな二人の様子を襖の間からコッソリ覗く者が4人

起こしに来た妹紅と輝夜、てゐ、鈴仙だ

部屋の前に来たのはいいが

少し覗いてみると入りがたい雰囲気を醸し出す二人

これ以上見るとなんとなく身の危険を感じ襖からは離れたがそこで何もできずにいた

輝夜が鈴仙を連れて行く

どこへ行くのかなんとなく残された二人は分かっていた

そして自分たちが任されたこと

一回ぐらい、いやてゐの分も含めたら2回はリザレクションするかもしれない

だが、場所を何をするのかを知っているのは永琳と光淵、そして輝夜ぐらいだから仕方ない

妹紅はそう思った

ついでにてゐも食事の準備のため下がらせた

さすがに今いたずらを行うことはしないようだ

里ではなんだか、兎師いやウサ欺師なんて言われているが

今の状態でそんなことしたら

えらい目に遭うだろうことは明白である

てゐも大人しく指示に従う

 

残った妹紅は一人

廊下で正座し二人が出てくるのを待った

 

 

 

数分で二人は出てきた

普通なら着ないような着物姿だ

そもそも永琳起きている服は光淵のものだろう

髪を下ろしている永琳を見るのは妹紅も初めてのような気がした

 

「妹紅?そこでいったい何を?」

 

永琳が不思議そうに尋ねてくる

妹紅も不思議な顔をするがすぐに態度を改め頭を下げる

 

「八雲様、八意様、婚姻おめでとうございます。代表してお祝いの言葉を申し上げさせて戴きます。」

 

あまりのことに二人は戸惑うしかない

朝起きたらこんなことを突然言われたのだから仕方ないだろう

 

「餅の準備も出来てますのでどうぞこちらへ」

 

・・・・二人はある結論にいたった

 

そういえば平安の時代だと貴族はそんな感じの結婚だったなぁ・・・と

 

そして二人とも諦めた

もういいや

このまま進めてしまおうと

 

 

「妹紅そんな堅苦しい言葉は使わなくていい。いつもどおり話せ、気持ち悪い」

 

「そうね、普段通りでお願いするわ。」

 

二人の意見は一致した

 

「そうか?じゃあいつも通りにする」

 

妹紅はいつもの口調に戻る

 

「それで?なんでいきなりこんなことに?」

 

永琳が尋ねる

 

「二日前から準備してた。やっと二人がくっつくのかーとか思いながら。鈴仙は蚊帳の外だったけど」

 

察しがいいのか悪いのか

結婚まで行くつもりは無かったはずなのだが

まあ、黙っておくことにした

きまずくしてしまうのもあれ悪い気がする

それに輝夜がだいたいの指示を出していたらしい

そのことに永琳は感動していた

 

 

いつも通りの食卓だが

餅が山盛りになっていた

兎たちが調子に乗って作りすぎたらしい

まあ、おいしく戴こう

 

 

 

「永琳と・・・・影陽でいいのかしら?」

 

「輝夜!?なんでその名前を!?」

 

「ごめんなさい盗み聞きしていたわ。」

 

完全に気配を読むことをしていなかった

完全に全てを聞かれていたのだろうか

いろいろと聞かれたくないこともあったのだが

特に夜中

永琳も顔を真っ赤にしてうつむいている

 

「後でおしかりはちゃんと受けるわ。でも先にこっちよ。新婚の二人には悪いけれど・・・」

 

そう言って輝夜が紙を出す

 

永琳が紙を受け取りそこに書かれている文字を読み進める

そして顔色が悪くなる

 

「はあ・・・通り道を塞ぐわ・・・」

 

「一応必要そうな物は準備しているわ」

 

「ありがとう。足りない物はこっちで準備するわ」

 

話はどんどん進んでいく

いつもなら私も加わる所だが今の私は何も出来ない

だが、永琳ならなんとかするだろう

 

目の前が霞んでくる

ちゃんと座っているはずなのに世界が回る

顔面に衝撃が走るのと皿が激しくぶつかり合う音を最後に

私の意識は途絶えた

 




自衛官候補生に合格しました

来年の4月に入隊?になります

さて、それまでに何所まで進めることが出来るのやら


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

48話

久々に1日おきの投稿



今日は満月の日

月の使者が通る道が出来る日だ

永琳は出てきたばかりの月に矢を放つ

 

特別な術式を込めた特殊な矢

それは偽物の月と結界で道を覆い隠す物

それに加え下手に近づく物に攻撃を仕掛けるような物に強化されている

守りも核融合弾でも破壊は不可能

一応月にいる弟子二人の当時の10倍の火力でも破壊は出来ないよう

それぐらいの強度には仕上がっているはずだ

当然だ

自分の髪の毛と自分より永い時を生き

世界の始まりから生きている影陽の髪を触媒にして発動させた

時間という神秘は絶大な物だ

彼の場合それは神すら超える

神秘に対抗するには神秘

だが彼を上回る神秘なんて考えも付かない

 

永琳は術がちゃんと発動したことを見とどけ

永遠亭に戻っていった

 

 

 

 

「優曇華、影陽はどんな感じかしら?」

 

永遠亭に戻ってきた永琳を出迎えた鈴仙に永琳が尋ねる

 

「容態は安定していますが・・・目は覚ましていません」

 

「そう・・・」

 

永琳は顔を暗くしながら返答する

彼が倒れたのは二日ほど前

朝食を食べて

輝夜から例の報告を受け対策をおこなっていた最中のことだ

あれから一度も目覚めない

ただ静かに眠っていた

一回脳波を調べたが普通であった

つまりいつ目覚めてもおかしくは無いはずなのに・・・

彼は目覚めない

 

永琳はとてつもなく不安だった

これは彼の限界が訪れたということなのか

だとすればもう影陽と話すことはない

これからは光淵と話すのだ

姿形も話し方もほぼ同じの別人

今まで気づかなかった

だが今は違う

別人だと知ってしまった

もし今の状態で誰かが来たとしたら

きっといつもの10分の1も動くことは出来ないだろう

自分がとても滑稽だ

今までなら割り切れていただろう

そう言うモノだと

今の私は割り切れない

一度はそう割り切った

あの時この星から離れたときに

なのになぜ

なぜこんなにも苦しいのだろう

 

気が付くと周りには誰もいない

そして自分は影陽の元に来ていた

いつもは屋敷のあちこちにいる兎たちも

近くにはいない

今はその優しさが嬉しかった

 

 

 

 

「さて・・・どうするかねぇ・・・」

 

「里で聞いてきたんでしょ?妹紅?紅い霧と長い冬の異変の顛末」

 

「ああ・・・」

 

そう言って月を見上げる

 

「分かるヤツには分かる、そして博霊の巫女は分かる側だろうな、確実に異変と認識して博麗の巫女さんは来るだろう」

 

「仕方ないわね・・・まあ一応ここの主人は私なんだから私は出ないとね」

 

「師匠は・・・どうしますか?」

 

「そっとしておきましょ。さすがに悪いわ。永琳まで出したらね」

 

「そうですね・・・」

 

「まあ、解くわけにはいかないから、最終的にはお願いする形にはなるでしょうけれど。」

 

「だろうなぁ・・・博麗の巫女さん、話を聞かないらしいから最初は確実に戦いになる」

 

「どんな巫女ですかそれ・・・」

 

きっとそのことは触れてはいけないことだろう

そして容赦なく

妖怪に対して厳しい部分がある

そんな噂だ

 

「それに博麗の巫女以外にも仲のいい妖怪や友人が一緒に行動して解決に来ることもあるらしいから・・・」

 

「はあ・・・まあ、頑張りましょう。てゐ竹林は?」

 

「うーん・・・影陽の能力がないからとてつもなく迷いやすいっていうだけの竹林。だけど結界のおかげである程度は効果があると思う。」

 

「影陽のは反則だから、あれ」

 

「空間を入れ替えているからな・・・数時間ごとに・・・」

 

「唯一の道から外れると完全にアウトだものね。里に誰かが行っているとき以外は」

 

ある意味影陽の手によってここは月の要塞以上の守りになっていた

だが今は?

動ける者は5人。兎は足止めにもならないだろう

永琳は不安定

実質4人だけ

防御も大半が機能停止状態

半分はもう詰んでいるようなモノだ

 

ふう・・・

 

誰がついたため息だろう

もしかするとここにいる全員はついた物かもしれない

誰もがこれからのことに疲れていた

 

永遠亭にいる全員が

一つのことを考えていた

それはこの原因を作った者に対して

 

 

"一回滅びろ月の都!"

 

 

 

 

 

「なんか寒気が・・・」

 

「奇遇ですね・・・私もです」

 

「鳥肌が・・・」

 

そんな会話が月の都のあちこちで話されたとかないとか



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

49話

なにやらものすごく筆が進む


ここの霊夢さんは話がよく分かる方ですが
今回ものすごく機嫌が悪いです
鬼巫女です。

まあ、原因は・・・




幻想郷のすてきな巫女

博麗霊夢

だが今は誰もそんなことを思いはしないだろう

ものすごく不機嫌な顔をしていたからだ

 

運が悪かったのはそんな巫女と鉢合わせになった罪もなき妖怪達だろう

会った瞬間には問答無用で一方的に勝負を仕掛けていた

気持ちよく寝ていたところを強引に起こされたのだ

それも少しばかり心配していた紫に

 

相手が襲ってきたこともあったが

ほぼ全員が飛び出した瞬間にきびすを返して逃げようとした

それだけで霊夢の状態が分かるというものだ

もちろん結界で逃げられないようにし

ボコボコにして身ぐるみを剥がされていた

 

人里を守るため消していた慧音にも襲いかかろうとしたときはさすがに合流した紅魔館勢と魔理沙、アリスコンビそして紫が押さえ込んだ

 

「れ、霊夢?いったいどうしたのよ。」

 

「ああ?」

 

「ひぃ!?」

 

紫にもキツい

慧音に怪しい場所を聞いているのは咲夜だ

魔理沙がコッソリ紫を手招きし説明する

 

「霊夢なお前が寝ていた間ずっとあいつ・・・光淵?影陽?とか言うヤツを探してたんだ。ほとんど休みもせずに。それに意外と心配してたんだぞ、お前のこと」

 

紫は黙る

心配してくれていたことはとても嬉しい

それに霊夢が自ら行動して義兄を探していたことも

どこか怠けるところがある霊夢が成長したようで嬉しい

だが・・・

さすがにあれはどうかと思うのだ

 

「でも・・・あれは・・・」

 

「賽銭は全然ないし腹も減って機嫌も悪いそして寝不足、寝れたと思ったら紫が起こしに来たんだろ?」

 

 

ちなみに影陽が去り際に賽銭箱にいれた金塊は使っていない使えばいいのに使わなかったのだ。

紫が彼を探すときに役立ちそうであったから。

ちゃんと気は遣っているのである

 

話を戻そう

心配をかけたのも、強引に起こしたのも紫である

機嫌を悪くしたそういう意味ならそうなのだが・・・

さすがに悪すぎるだろうと思ってしまう紫である

後で被害にあった妖怪には謝りに行かねばなるまい。行くのは式だが・・・

 

 

 

「紫」

 

突然霊夢に話しかけられる

落ち着きながら冷静さを保って振り返る

 

「何かしら?霊夢」

 

「これ・・・あなたでしょう?時間を止めているのは」

 

なかなか鋭い感覚だ

博霊の巫女は感覚が鋭い者が多いようだ

 

「ええ、今回で確実に異変を終わらせないといけないでしょう?また次の満月にこのようなことになったら面倒でしょう?」

 

「はあ・・・さっさと片付けないと私たちが異変の首謀者ねこれじゃあ」

 

頭をかきながら答える

ほぼ動きを止めた月が彼らを見つめていた

 

 

 

 

 

「時間が進んでいない・・・・いや限りなく遅くなっているのか?」

 

「私の能力で相殺する?」

 

「いや・・・それをしたら確実にこっち来るだろう。まだ場所を絞り込めていないだと思う」

 

下手なことをしてここに来てほしくはない

それにこのままここに来ないで朝が来るかもしれない

可能性はかなり低いが

 

「輝夜様、一応夜食を作ってきました」

 

鈴仙がおにぎりをたくさん盆にのせて持ってきた

なんともいいタイミングだ

となりにいるてゐは急須と湯飲みを持ってきている

 

「ちょうどいいな、食べとかないと何かあったときに動けないからな」

 

「光淵と永琳によく言われていたわねぇ・・・」

 

「そうなんですか・・・私は軍学校で言われましたねぇ・・・・」

 

「鈴仙、永琳はどう?」

 

「はい・・・今は影陽さんの部屋の窓際の椅子で寝ていました」

 

「寝落ちしたのかしら?まあ、仕方ないでしょう。」

 

「だな、徹夜していたんだろ?少しぐらい寝かせておこう」

 

「最悪私たちだけで片付けましょう。いつまでも保護者の羽の下にいるわけには行かないでしょう?」

 

いつまでも守られてばかりではないのだ

守られて自堕落な生活というのも楽でいいのだが

輝夜は自分で動き回りたいそう思っている

仕事とはいえよく里に行く妹紅がうらやましいのだ

 

そんな輝夜の考えを察して何ともいえない表情になった妹紅は夜食を食べることに集中することにした。

 

 

 

 

 

 

「またここか・・・・ということは・・・」

 

以前光淵と言葉を交わした場所だ

以前はただ真っ白な空間だったはずなのだが

今は目の前に書斎机があり振り返ると本棚が並ぶ

所々に武器があるのは自分が傭兵時代使っていた物だ

 

「そう、私がいる」

 

その声に影陽は振り向く

書斎机の奥の椅

そこに座って私を見ているのは

自分と姿形の変わらぬ者

もう一人の私

光淵がいた

 




さてさて、彼の物語か・・・面倒臭い


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

50話

ある意味私の中の世界観の話が出てくるかな


今回は二人の会話ではどうぞ



「お久しぶりですね、光淵さん」

 

書斎机の手前にあった椅子に腰掛けながら挨拶をする

 

「そうだな。」

 

少し不機嫌に挨拶を返す

 

「私、何か悪いことしましたかね?」

 

そう尋ねると呆れたように光淵が口を開く

 

「お前アホなぐらい能力酷使しすぎじゃボケ!予定じゃ後1月はあのままいけとったわ!あほう!」

 

いきなり大声で怒鳴り出す

だがまあ、事実だから反論のしようもない

 

「能力であんなことをして指輪作るとかアホか、まったく・・・」

 

完全にあきれかえっている様子だ

 

「すまないね、でもあれぐらいしか思いつかなかったのさ」

 

「隕石から作る必要性は何所にある?」

 

「さあ?なんとなく」

 

はあ~~~~~・・・・

光淵が大きなため息をつきながら頭を抱える

 

「お前は頭もいいし、いいやつだが時折とんでもないことするよな?」

 

「そうかね?」

 

「そうだよ!?地球から離れた奴らが何するかなんとなく分かっていながら居残ったり、今回の指輪が一番のわかりやすい例だ!自覚しろ!お前、それで良く傭兵やれていたな!?」

 

「傭兵やっていたときと今じゃ全然違うからねぇ・・・時間ってのは凄いよ」

 

以前はもっとトゲがあった

いつも気を張り詰めていた気がするが

今はそんなことはない

気楽な感じだ

 

「お気楽な感じになったとか思っているだろう?お前・・・そんなわけない、奥底にゃ暗い感情が、とてつもなく強い意志、それらがチラチラ見えるんだが?」

 

「・・・・見えるというより感じるでしょう?同じ体に居たんですから」

 

「ククッ・・・違いない」

 

なんとも言えない会話が続く

なぜだか言えなかったことも普通に口に出る

不思議なことだ

 

 

 

 

「さて・・・光淵さん?私はいつ消えるのかな?これから?それともまだ時間はあるのかな?」

 

そう問いかける

光淵は机の上で両肘をつき絡めた手を口元に持って行く

その口がニヤリと笑っている気がした

 

「どうだと思うかね?」

 

「さあ?未だに自覚がないから分からないね」

 

「安心しろ、お前が消えることはない」

 

「?どういうことだ?」

 

「消えるのは・・・私だからだ」

 

そう言うと光淵の姿が気配ごと薄れる

 

「おい!?どういうことだ!?おかしいだろ!私とあなたでは魂の成り立ちそのものが違うはずだ!そしてあんたは、何か特別な役割を背負った者じゃないのか!?」

 

「その通り、本当ならそうだろう、だが、この体は誰の物だ?」

 

「確かに体は私の物だろうだが・・・」

 

「私はね、その役割から逃げたのさ。元から消えるつもりだった。だが、母親のお腹の中にいた君に引きずり込まれたのさ、本当はこの世界に生まれるはずのなかった君に」

 

自分の知らない事実だった

本当はここには居るはずがなかった

そして自分が彼を縛り付けていたことに

だが、次の言葉でいろいろぶち壊してきた

 

「本当は私が残らないといかんのだろうけど、なんだかんだ言ってしまうと面倒臭くてイヤになったからちょうどいいやということもあって・・・」

 

「おい!?」

 

「まあ、神様みたいなモノだから変わるぐらいいいだろ。だだの廃棄物管理だ」

 

「ただの廃棄物とか言いながら核弾道ミサイルなどの危険物にエクスカリバーやらゲイボルグなんかの神造兵器が重複しているんですがそれは・・・」

 

消えかかっている光淵は面倒臭そうに答える

 

「平行世界なんざ無量大数なんか平気で超えているからな消えずに残った物がそこに流れてくるからな、重複もするだろ。平行世界なんかどこかの世界で想像された世界なんかも新しく世界としてできあがるんだからな。たとえそれがその世界の人にとって物語の中の話であろうとな」

 

なんとも言えない世界創造だ

最初にこの世界を作った神とやらは何がしたかったのやら

ちなみに最初に出来た世界とやらはとっくに滅びたらしい

そして、何所でも神話はあるが大抵オリジナルと同じ物らしい

本当に神は存在するが

世界に降りてくる神とやらは・・・

分霊でも何でもなく与えられた存在らしい

信仰だけはほとんど気づかれないうちに回収されているらしい

なんともいえん

 

「もはや神は怠惰な生活でもしているのか・・・・」

 

「意外とそうかもな。まあ、私にはもう関係ない」

 

彼はもうほとんど消えかかっている

もう誰も止めることなど出来はしないだろう

 

「じゃあな、影陽なかなか楽しかった。メリーの件ははすまないとしか言えんが・・・まあ、頑張ってくれ。永琳と末永くな」

 

「ああ、ありがとう。光淵、それと末永くじゃない、永遠に、だ」

 

そう言い返すと彼は薄く笑いながら消えた

それと同時に彼の能力が完全に私の物となった

同時に扱い方も流れ込んでくる

なんとまあ、用意周到なヤツだ

ちゃんと扱えるように準備していたようだ

そしてここからの脱出の用意も

その情報の流れに飲み込まれ私の意識は途切れた

 

 




もうちょっと膨らませたかったかな・・・
まあ、そのうちに書き足したりもするでしょう

こんな世界観はあんまりない気がする
誰かが考えた世界も平行世界として存在する
まあ、こんな末端作者の考えそうなことですね

さてさて、話は永遠亭へ戻ります
彼らは永遠亭にどのように登場するのでしょうか

お楽しみに


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

51話

活動報告に書いたとおりです

やっと復活しました
胃腸炎だと後にも響くのが辛いです

皆様も体調にはお気をつけください


今回、ちょっとやらかした人物が1名います
しかし、ちょっとこれからの話にも関わります
ご容赦ください



月がちょうど真上にやって来る頃

実際はとっくに朝になっているような時間だ

だが未だに朝は来ず

月は静かに夜の明けぬ幻想郷を照らし続ける

 

「静かね・・・」

 

「そうだな」

 

「このまま誰も来なければいいのに」

 

「そう願いたいな」

 

妹紅と輝夜が縁側でお茶をすすっていた

 

「里じゃ大騒ぎでしょうね」

 

「だろうが、こればかりはな・・・」

 

「やっちゃおうかしら?そうした方が里にはいいでしょうし、相手は動きにくいかもしれないわ」

 

待っているのにも飽きてきたのか

それとももう寝たいだけなのか

輝夜がそう言い出す

 

そこに眉間を押さえた永琳がやって来た

やっと起きてきたようだ

まあ、徹夜続きだったようだから何も文句はない

 

「良く寝てたわね?永琳」

 

輝夜が永琳に声をかける

 

「ごめんなさいね。一人だけ寝てしまって・・・」

 

「大丈夫よ~夜が明けないこと以外は何も今のところおきてないから」

 

手をひらひらさせながら輝夜は答える

 

「・・・・結界が持つか分からないわね・・・」

 

「もうね、私がもう能力で朝にしようかって話していたところ」

 

永琳は少し悩み言った

 

「お願いしましょう。てゐ、鈴仙、今から姫が能力を使って時間を進めるわ。永遠亭の外を警戒して、妹紅はここに残っておいて」

 

「了解です。」

 

「了解、みんなー行くよー」

 

てゐは他の兎たちも動員して出て行った

 

「それじゃ、はじめ・・・」

 

そう言おうとしたとたん

爆音とともに野太い光線が輝夜の横を通り抜けた

永琳が出てくるとき建物に結界を張っていたため建物自体には損害はない

しかし、二人は見てしまった

壁を破壊してきた光線とともに

鈴仙が突っ込んできたところを

 

「「鈴仙!?」」

 

「優曇華!?」

 

妹紅と輝夜、永琳が結界に叩き付けられた鈴仙の元に向かう

 

「な、何事うさ!?」

 

てゐも走ってやって来た

 

「鈴仙!?大丈夫!?」

 

輝夜が抱えて意識があるか声をかけながら確認する

返事はないが気絶しているようだ

だが

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと魔理沙?やりすぎじゃないの?」

 

「わりい、わりい、ちょっとこの竹林にイライラが溜まっていてな」

 

「まったく・・・」

 

竹林に入ったはいいものの

完全に迷い、そこで白玉楼に住む西行寺幽々子と庭師?の魂魄妖夢と合流し合計8人の異変解決メンバーがいた

そして、紫が竹林の術式の起点を割り出しそこに向かって魔理沙がマスタースパークを放ったのだった

今は、その吹き飛ばして出来た道を使って先にある建物へ移動していた

 

「で、紫ここに異変の犯人が・・・」

 

破壊された塀の所までやって来たそこで

異変解決組は立ち止まった

特に魔理沙は顔を青くした

目線の先に

治療を受けている鈴仙の姿を見たから

 

「てゐ!保管室から400~410までの薬全部とってきて!早く!」

 

「分かったうさ!」

 

「姫様!そこを妹紅が包帯と当て木を持ってくるまでしっかり押さえていてください!そこの傷が一番大きいですから!」

 

「分かってる!能力も全力で使って遅くしている!」

 

「ああ!こっちも骨が折れてる!?全身打撲に、骨折十数カ所!?ほんとなによ!?今のは!?」

 

長い黒髪の少女と長い銀髪の女性が兎耳の紫色の髪を持つ妖怪の手当てをしていた

どうもさっきのマスタースパークの直撃を受け壁に叩き付けられたようだ

そこに長い白髪の少女と兎耳の小さな少女が屋敷から飛び出してくる

その背後から小さなウサ耳少女と似たような子達が車輪の付いた人が寝れるくらいの台車を押してきた

その台車にケガをしていた子を乗せると白髪の少女の持ってきた物で3人が簡易的な手当を行い

それが終わると最初に治療していた二人と後から来た小さなウサ耳少女達が台車を押して屋敷の奥へ消えた

 

残っているのは長い白髪で赤いもんぺをはいた少女が一人

 

そして彼女は

壊れた壁の方を振り向きながら

尋ねた

 

「優曇華を・・・うちの家族にレーザーたたき込んだのは・・・だれだ?」

 

魔理沙はうつむき他のメンバーは魔理沙を見つめる

紫も幽々子も霊夢もレミリアも誰も今回ばかりは何も言えない

魔理沙が勝手に撃ったものであるし

そもそも、アリスが止めようとしていたから

 

「そうか・・・お前か・・・」

 

そう言うと彼女は深くため息をついた

全員が彼女から不可視のの炎が立ち上がっているように感じた

こちらを向いていた彼女が突然右半身を引いて拳を構えた

その拳から炎が上がっている

そして

思い切り右手を地面に叩き付けた

 

爆音とともに砂煙が上がる

霊夢と紫が結界を張ったため誰もケガはないし相手も攻撃しては来なかった

 

砂煙が晴れるとそこは大きく陥没していた

その陥没した地面のそこにその少女はいた

 

「悪いな、いきなりこんなことをして。少し落ち着きたかったんだ。じゃないとそこの霧雨道具店の娘にこれをたたき込みそうだったんでな」

 

魔理沙の触れてはいけない部分を普通に口にしてきたがとうの魔理沙は何も言わない

 

 

「お前達は異変を解決しに来たんだろう?確かにここが偽物の月の異変を起こした者の住処だ。」

 

そう少女が言う

 

「あらそう。なら、早くあの月を消して欲しいのだけれど?」

 

魔理沙のことは後に回す

まずは異変の解決だ

霊夢はそう判断し尋ねる

 

「なら、時間を元に戻してさっさと朝にして欲しいもんだな。そうすれば完全に元に戻る」

 

「そうもいかないわ」

 

紫が口を出す

 

「ここは、私の作った場所、勝手に余計なことをしないで欲しいわ。1日で元に戻るからって今日だけでなく、またやる可能性もあるでしょう?そんなことは起こして欲しくはないのよ」

 

「へえ、あんたがとう・・・影陽の義妹さんかそこは今、治療に行った二人に言ってくれ。月をああせざる終えなかった原因は」

 

「・・・・・・」

 

紫は黙る

いや、全員が黙った

今彼女はなんと言った?

影陽の妹?

ということは

彼はここにいるのだろうか?

全員がそのことを考えた




魔理沙、および鈴仙ファンの皆様申し訳ありませんでした!

先の話の伏線なんです!
許してください!

何の伏線かは言えませんが
永遠亭を表に出しやすくする伏線とだけ言わせて戴きます
ではまた


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

52話

遅れて申し訳ない

レポートが溜まってたんだ




妙な沈黙が場を支配する

なんとか抜け出したいと誰もが思うのだが

とても誰も何か言える雰囲気ではない

まず、異変の話しも彼女では話が進まない

だからといって影陽のことはもっと口に出せない

そっちに手を出せるのは紫ぐらいだ

だが、その彼女が手出ししないのだから会話なんてない

 

あまりにも静かだったが途中でさっき台車を持ってきたのと同じような兎妖怪が全員分の簡易椅子を持ってきてくれたため皆そっちに移動する

 

「そこの妖怪賢者。結界の解除は諦めたらどうだ?」

 

「そうね。これじゃあと何時間かかるかわからないわ」

 

どうやらあの屋敷の結界に干渉していたらしい

だが何時間かかるか分からないなんて言葉が出るとは珍しい

そこにいた全員が驚く

 

「当たり前だ。元月の賢者様の最新式の超特殊結界だそうそう破られてちゃたまったもんじゃないだろう?」

 

ニヤリと少女が笑う

どうも紫の神経を逆なでするのがうまいようだ

イライラしているのが目に見えて分かる

いつも振り回されている側としてはしばらくそのままでいろという感じだ

どうも今回紫の神経にさわるようなことが多いようだ

気分的にはざまぁだがあまりイライラされるとこっちに被害が出るから少しそらさなければ

 

「いいかしら?話をしても?」

 

私は少女に話しかけた

 

「ん?なんだ?博麗の巫女」

 

「博麗の巫女って呼ばないで私は博麗霊夢よ」

 

「ほーそうかい、私は藤原妹紅だ。種族は・・・元人間の蓬莱人ってとこかね」

 

「蓬莱人?なによそれ」

 

「・・・実在したの・・・?」

 

「紫?知っているの?」

 

「ええ」

 

紫が説明する

言ってしまえば不老不死

なんとも・・・ぶっ飛んだ人だ

 

「絶対に死なないからな・・・下手すればかなり荒れてたな私」

 

そんなことを言っているがそんなレベルじゃないだろう

 

「それであなたいったいいくつなの?」

 

レミリアが口を出す

最近500歳になったばかりだからだろうか?

500歳というより時々500歳児?じゃないかと思ってしまうことがあるのだが・・・

 

「ん・・・1000は確実だなあんまりきちんと数えてないけど」

 

そんじょそこらの妖怪より遙かに上だった

レミリアもショックを受けたようだ

 

「私なんかここで一番年下なんだが・・・・」

 

なんかとんでもないことが聞こえた気がするが無視しておく

確実に面倒臭い

 

ふと目の前をひらひらと何かが横切って妹紅にふれる

それは見覚えのある小さな蝶で・・・

 

「ちょっとぉぉぉ!?」

 

「幽々子!?何やってるの!?」

 

それは幽々子の操る反魂蝶

触れれば即死するしろもので

 

「本当に不死なのか気になって~?」

 

「「あほか!?」」

 

「ん?なんか死んだな。凄いなこの蝶」

 

「「あなたは少し気にしなさい!?殺されてるのよ!?」」

 

紫と声がかぶる

 

「あら~?本当にしなないのね~?」

 

「「少しは反省しろぉぉぉぉ!?」」

 

「幽々子様!?さすがにお戯れがひどすぎますよ!?」

 

妖夢も説教に入る

紫と妖夢の説教は長くなりそうだ

そうそう幽々子が反省するとは思えないが

 

「ああ?気にしないでいいぞー?」

 

「いや、少しは気にしなさいよ!?」

 

こっちもそういうタイプなのか

それとも不老不死だからそういうことに頓着がないのか知らないが

なんで異変を起こした側の気遣いをしなければいけないのか

 

「妹紅?何しているのかしら?」

 

さっき聞いた声が聞こえる

 

「あ、永琳・・・ってなんでその服・・・?」

 

「・・・・輝夜にね・・・」

 

「ああ・・・」

 

「こういうときぐらい、あの紅青の奇抜な服よりこっちが威厳あるでしょ?」

 

先ほどけが人を連れて行った二人組だ

一人服がやけに豪華で煌びやかな服になっていたが

なぜだろうか?

奇妙な圧迫感がある

 

「貴方たちが解決者達ね」

 

永琳そう呼ばれた彼女が話しかけてくる

全員がまじめな雰囲気を出す

しかられていた幽々子もだ

そうさせるだけの威厳が彼女には会った

 

「始めまして、この永遠亭を一応管理している八意永琳よ。さて、さっさとこんな夜は終わらせましょう。」




スペルカード戦?何それ?おいしいの?状態ですはい

まあ、私があまりそう言うのが得意じゃないのと・・・

もし、の場合に備えて消耗したくなかったから戦闘は避けている感じですね
次でまあ、ほぼ解決ですが
まあ、戦闘がなかった分永遠亭の妥協部分が多くなると思ってください
では、次の話で


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

53話

「終わらせる?それはこっちの台詞よ?そっちが偽物の月をどうにかして欲しいわね」

 

「あれは月が沈むまでは消すことも出来ないわ。それにあの結界がいつまで持つか分からないわ」

 

「それが分からないわ。いったいなのためにこんなことをしたのか」

 

紫は黙ったままだ

 

「まあ、誰にも言わないというのであれば説明するわ。でも、こっちの要求は呑んで貰うわ」

 

「それは理由とここの管理者次第よ。それでいいわよね?紫」

 

「ええ、今のところはね」

 

話を聞いてからそこら辺は考えるようだ

まだ、どう転ぶかは分からないが紫もまだ判断できないようだ

どうも二人には妙な確執があるようだがそれは当事者にしか分からないことだ

そして彼女から詳しい話が話された

 

 

話されたものは何とも言えないものだった

そもそも月に人が住んでいるなんて信じられないことだった

そして彼女

永琳と輝夜はそこから逃げてきた罪人だとか

特に永琳は重役の地位にいて輝夜の逃亡を助けるため一緒に逃げたらしい

追手が追いかけてくることが分かったため今回月の通路をふさぐためこのようなことになった

ということだ

だが、本当はそんなことは必要ないのだ

なぜなら博麗大結界によって隔てられているからだ

そんなことをさずとも月の使者はここへ来ることはできないのだ

まあ、数千年ここにこもって、いれば分からない話でもない

 

博麗大結界のことを話すと永琳達はどこか気が抜けたような雰囲気があった

 

「そう・・・良かったわ・・・」

 

永琳はそう呟いた

 

「安全が確保されているのなら私たちは特に何もないわ。ここに住んでかまわないというのであれば私たちはそれなりの対価は出しましょう」

 

まあ、隠れ住んでいてようやく自由に動けるようになったそうだから

だが、それを決めるのは

紫の役目なのだ

確実に一勢力分の戦力はあるひょっとすると紅魔館よりも強いかもしれない

戦ってもいないから分からないが

 

「そうね・・・元月の民とはいえ・・・逃げてきたようだし・・・許可しますが・・・人里に対して医療などの対策をお願いしましょうか。」

 

落としどころはそこらしい

だが、いつもの紫の感じとはどこか違うのだ

まだ何かするつもりなのだろうか?

 

「では、決まりね。そちらの能力は解いてもらえるかしら?こちらの結界は朝日とともに消えることは約束しましょう。」

 

「もう、解いていますわよ?月の賢者。後はゆっくりといつも通り時が進むだけです。」

 

「そう・・・でもこちらは待つことは出来ないわ。輝夜、お願いできるかしら?」

 

「いいわよ?」

 

今まで一歩下がって話を聞いていた輝夜が動き出す

なにか能力を使うつもりなのか

身構えた瞬間

月がものすごい速さで沈み始め東の空が明るくなり始める

 

咲夜の能力によく似ている

だが、彼女の能力とは次元が違う

彼女はあくまで自分の時間を操っている

だが輝夜は周りの時間を操っている

周りのみんなも驚いているようだ

そして永い夜が明けた

 

「ふう、さすがに疲れたわ。永琳寝てきていいかしら?」

 

なんとも言えない

ものすごいことをしたはずなのに

そう思えないのはなぜだろうか?

 

その時屋敷の奥から誰かが出てきた

そこにいた全員が入り口を見て驚いた

屋敷の住民も驚いたのが不思議だったが私たちはもっと驚いた

なぜならそこに

八雲光淵がいたから



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

54話

ちょっと筆が進まない
理由?
・・・ちょっととある二人が険悪でね・・・気が重くなるのさ・・・


あとFGOでなんかラーマでて、星4セイバーあとは・・・柳生さんだけかな・・・
来ても素材も種火も全く足りないけど



「おや・・・これは失礼お取り込み中だったかな?」

 

そう言う八雲光淵、もしくは影陽

前、見たときとは違いゆったりとした和服だ

どこか・・・人里で見かける休日でごろごろしている父親?のような雰囲気がある

この間の威圧感は何所へ消えたのだろうか?

 

「影陽!?大丈夫なの!?」

 

永琳がさっきまでの落ち着いた様子から一変しひどく慌てたような感じになる

いや、慌てるよりもこれは・・・驚きと心配か?

そんな感情が含まれている感じだ

 

「ああ、大丈夫だ、心配かけてすまん。ただ・・・光淵が消えちまったが・・・」

 

「え・・・?」

 

「「「はあ!?」」」

 

あの日神社にいた全員が声を上げる

紫は静かだったが目は大きく見開かれている

輝夜と妹紅も驚いているが話すのは永琳に任せるようだ

 

「それ・・・大丈夫なのかしら・・・?」

 

「何かあいつの背負っていた物全部背負い込む羽目になったが・・・まあ、それ以外はなんともない」

 

「そう・・・ならいいわ」

 

ほっとした表情で心の底から安心したという雰囲気が永琳から伝わる

代わりに紫から何かモヤモヤと黒い物があふれ出ている気がするが

気のせいだろうか・・・?

 

二人は今まで何があったのかを話しているのだろう

まあ、この後は彼を簀巻きにしてでも捕まえて話を聞かねばならないが

 

 

 

 

 

「すまないね、こっちの話が終わるのを待って貰って。聞きたいのは私の話かな?」

 

話し終わってこちらを向いたらすぐに自分から話を振ってきた

いいヤツなのかどこかつかみ所がない

コロコロ雰囲気が変わる

まあ、胡散臭い紫よりはましな気はするが

 

「とりあえず、あんたの名前ね。どっちが本当の名前なのかはっきりさせて」

 

「ふむ、本名は八雲影陽だ。光淵は偽名だったんだがもう一人の私の名前になっていたが」

 

「そう、じゃあ影陽と呼んだ方がいいかしら?」

 

「好きな方でいいよ。えっと博麗霊夢だったかな?」

 

「あら?私名前言ったかしら?」

 

「永琳からは聞いている。」

 

「そう、じゃあ・・・」

 

「本当に義兄さんなの・・・?」

 

紫が口を挟む

いつにもなく真剣で真面目な顔だ

今まで見たことがない

だがまあ、我慢した方だろうか?

他のみんなは私が代表して話していたから

いきなりの紫の介入にちょっと楽しげだ

なんたって兄妹なのだから

いつも澄まし顔ではぐらかす彼女の素顔なんて楽しみで仕方ないだろう

親友の幽々子なんて凄くにっこりしている

妖夢は困り顔だが

レミリアは平静を保っているように見えるが

羽がパタパタ動いているから興味津々なのだろう

咲夜は・・・以前言われたことが気になるのかじっと彼を見つめていた

 

「ああ、そうだ。メリー・・・」

 

メリーと言うのか紫の本当の名前なのだろうか?

真相は二人しか知らないが

紫はそう話しかけられたとたんボロボロと涙を流し始めた

 

「ああ・・・やっと・・・やっと会えた・・・」

 

そう言う言葉が聞こえてくる

 

「メリーこそ・・・突然消えるな・・・本当なら私はここにはいない、感謝は光淵にしておけよ?」

 

影陽がそう言うが紫は絶対に聞いてないだろう

少し引くぐらい泣きまくっていた

影陽は少しため息をつくとゆっくり紫へ近づいて右手で頭をなで始めた

そして紫は抱きつき顔を影陽の服に顔を埋めた

影陽はただ静かになで続けていた

 

誰も二人の邪魔はしなかった

視界の端に紫の式が見えた気がするが

空気を読んだのだろう出てきはしなかった

ちょっかいをかけるであろうレミリアも二人の邪魔はしないようだ

もしかすると能力でこれからのことが分かっているから声をかけないだけかもしれないが

 

 

 

「そろそろ影陽から離れてもらえないかしら?八雲紫。」

 




もう12月か・・・
なんと早いことか


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

55話

うーん
なんとか書き上げた・・・

でも、次がやばいよなぁ・・・

二人をどうやって表現しよう・・・・・



「そろそろ影陽から離れてもらえないかしら?八雲紫」

 

そう声をかけたのは永琳の後ろで見ていた輝夜だ

 

「永琳の嫉妬が爆発する前に離れてもらえないかしら?まあ、それはそれで面白いかもしれないけれど」

 

「・・・何を言っているのかしら?輝夜」

 

「だってさっきから組んだ腕の指がせわしなく動いているもの、そういうときはイライラしているときよ」

 

「・・・・」

 

そんな会話を二人がしていると紫がやっと顔を上げた

目は赤く腫れていたが

 

「あなたがそんなことを言う権利はないわ蓬莱山輝夜、私にとって数千年ぶりの家族との再会を邪魔しないでくれるかしら。そして連れて行かせてもらうわ」

 

いつものような感じの口調だがどこかトゲがあった

そう言われた影陽は少し困った顔だったが

 

「そうもいかないわね。血は繋がってはいないけれど影陽は私の父親みたいなものよ、妹紅にとっても。じゃあ永琳にとって何だと思うかしら?」

 

「・・・・・・」

 

何だろう?

イヤな予感しかしない

紫はじーっと兄である影陽を見つめ

影陽は紫から目をそらしている

続いて紫は目線を永琳に向ける

永琳はニンマリとした顔を紫に向ける

それを見た輝夜と妹紅は若干引いていた

 

「にいさん・・・・?」

 

「な・・・何かな?」

 

「アノオンナトドウイウカンケイナノカシラ?」

 

紫が問い詰める

その目に光はなく暗い

影陽は目を合わせようとはしない

そして紫は影陽が後ろに隠していた左手を掴み自分の目の前まで強引に出させた

その左手の薬指には指輪がはめられていた

そのまま紫はフリーズした

グルグルと思考が回転する

そして彼女の首が錆びた栓のようにゆっくりと動き

永琳の方を向いた

 

 

そこには

にっこりとした永琳が影陽と同じ指輪をつけた左手を見せながら腕を組んでいた

 

それを見た瞬間また紫はフリーズした

 

 

霊夢は紫には悪いとは思いつつも若干笑っていた

幽々子は口元を隠しているがクスクスという笑い声が聞こえる

妖夢は何とも言えないような表情をし

レミリアは必死に笑いをこらえていた

咲夜は無表情・・・といいたいところだが口元がピクピク震えていた

魔理沙も笑ってはいたが例の件があるためいつもような笑いはない

アリスは・・・・突然の修羅場?に困惑していた

まあ、元々からあまり紫とはあまり関わりがないから仕方ないだろう

 

相手側の輝夜と妹紅はなんだか遠い目をしていた

何だろうか?

イヤな予感がする

そう思ったのは霊夢だけではなかった

 

そもそも掴まれている本人

影陽は影陽でかなり焦っていた

掴まれていた左手が握りつぶされそうになっていた

永琳の方を見た瞬間からギリギリと握る力が強くなってきていた

今は強化魔法で耐えている状態だ

たらりと冷や汗が流れる

 

「あー・・・メリー?手を離してくれないかなそろそろ潰れそうなんだけれど?」

 

「・・・・・・紫」

 

「ん?」

 

「今度から紫って呼んで今の私の名前だから」

 

「あ・・ああ・・・で紫よ・・・手を離してくれ、本当に限界なんだが?」

 

表情に表れていないが結構きつい

 

「フ・・フフフ・・フフフフフ」

 

「ちょっと!?紫!?」

 

「「紫様!?」」

 

霊夢が異常を感じ取る

完全にどこか逝っている

 

影で見守っていた式達も慌てて出てきた

 

永琳も影陽のとなりにならぶ

 

4人が引き離そうとするが

手を離さない

 

「ちょっと紫!?何する気よ!?」

 

「紫様!しっかりしてください!?その手を離して!?」

 

だが離さない

 

「おい!?紫!指輪を手ごとにぎりつぶす気か!?」

 

影陽も全力でふりほどこうとする

 

 

プス

 

 

「「「「「ん?」」」」」

 

そこには紫に注射器を刺している永琳がいた

紫はそのまま力なく崩れ落ちる

 

「きさま!紫様になにを!」

 

藍が全力の妖気を出しながら詰め寄る

 

「そんな状態じゃ話も出来ないでしょう?だから眠って貰っただけよ。影陽を渡すわけにはいかないからね」

 

言い放つ

 

「また明日にでも来てくれるかしら?細かいことはまだ話していないから。」

 

「・・・分かりました。私がお伺いします。」

 

藍と橙は紫を抱えて帰って行った

 

ただ静観していたメンバーはなんだかつまらなさそうだが

 

「はあ・・・なんだか締まらないわね。普通なら弾幕ごっこで決着させて終わった後に宴会なのだけれど・・・」

 

霊夢が頭をかきながら呟く

 

「宴会ねぇ・・・明後日ぐらいならいいだろう。その頃には紫も起きて正気に戻っているだろう」

 

影陽が左手をさすりながら提案する

 

「そうね。それくらいは空けましょうか。それでいいかしら?」

 

全員に問いかける

反対はなかった

そしてみんな帰って行く

幽々子は楽しそうに、妖夢はため息をついて

レミリアはニヤニヤにながらどこか上機嫌

咲夜はどこか悩み顔で

魔理沙は落ち込み、アリスは魔理沙を慰めながら

それぞれの家へ

 

「ちょっといいかしら?白黒の魔法使いさん?」

 

永琳が魔理沙を呼び止める

 

「今日の昼頃にここに来なさい。」

 

永琳はそう言うと屋敷に入っていった

 

「魔理沙大丈夫かしらね?」

 

霊夢が呟いた

 

「・・・・さすがに人体実験とかはしないだろうけれど・・・まあ、やばい時は止めに入るよ」

 

「悪いわね。」

 

「かまわない。友人なんだろう?一緒に来るかい?」

 

「いいわ、止めなかった私たちも悪いかもしれないけれど、何も言わずにぶっ放した方が悪いわ。少しは懲りるといいのだけれど」

 

「そうか・・・では、詳しいことはまた今度と言うことでいいかな?」

 

「ええ、さすがにあれは引いたし、聞ける状態じゃないわ。」

 

しばらく今後の話をして霊夢は帰って行った

 

これまでの異変とは違う

静かな終わりであった

 




異変は終了ですが・・・・

確実に一波乱おきます

特に紫と永琳

因縁?かそれとも義兄をとられたせいか

紫がブラコン(病み気味)
まあ、血は繋がらなくともよい兄妹(影陽視点)
紫(メリー)からすれば義兄は初恋相手で恋愛対象
二人の温度差はこれが原因

二度と会えないという思い+数千年の時間
再開

したら・・・・ってヤツです

面倒臭いことになってきた




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

56話

ちょいと短め


霊夢を見送り屋敷へ入る

朝の空気が永遠亭に流れている

ちょうど出てきたチビイナバに鈴仙の病室に案内して貰う

 

部屋に着くとちょうど永琳が出て来たところだった

 

「永琳、鈴仙の様子はどうだ?ひどいケガなんだろ?」

 

「まだ眠ってるわ、でも傷は全部塞いで治療したから後は目が覚めるのを待つだけよ」

 

「そうか、よかったよ」

 

「さて・・・あの未熟白黒魔法使いに何させようかしら」

 

静かな怒りをにじませながらニヤリとする永琳

なんとまあ・・・女は怒らせると恐ろしい

ついさっきもそうだが・・・

 

「薬草や毒草、毒キノコなんかをどれだけ持ってくるというお仕置きならどうだ?あの子は魔法使いだし、これからここは病院のようになるんだから薬は多い方がいいだろう?彼女ちょうど魔法の森という瘴気の濃い場所に住んでいるようだから、珍しい植物もあるかもしれない」

 

そう言うとマジマジと顔を見られた

 

「何所でそんな・・・てかいつの間に・・・」

 

「さっき博麗の巫女の霊夢から聞いた、今後のことも決めておかないといけなかったからな」

 

「しまったわ・・・忘れてたわ・・・」

 

額に手を遣りやってしまったという感じだ

本当に頭の中から抜け落ちていたのだろう

 

「そうね・・・最初はそうそう売れたり患者が来ることはないでしょうけれど・・・備えは必要ね・・・分かったわ影陽の意見で行きましょう」

 

「それが終わってもお金を払えば持って来てくれそうだがな」

 

「そこはそうなってからね」

 

一応朝なのだから何か食事を作ろうと台所へ向かっていると・・・

 

「あら・・・・」

 

「おやおや・・・」

 

妹紅と輝夜が廊下の端で仲良く寝ていた

部屋までたどり着けずに寝落ちしたのだろう

 

「二人は一晩中起きていたから仕方ないわね・・・」

 

「そうなのか・・・仕方ない部屋まで運んで寝かせるか」

 

そんな話をしていたら、てゐもチビイナバに運ばれていた

あっちも寝落ちしたようだ

永琳と小さく笑いながら二人を運ぶ

 

面倒だったので一つの布団に二人とも寝かせて放置してきたが

 

 

「永琳は寝たりしなくて大丈夫か?」

 

二人で餅をつまみながら永琳に尋ねる

 

「ああ・・・私はちょっと寝落ちしちゃってたから・・・」

 

「そうか・・・」

 

影陽はなんとなく自分のせいかな?と思った

彼女のことだから私の様子をずっと見ていたのだろう

あの結界の準備をしながら

今更ながら申し訳なく思ってくる

 

「申し訳ないなんて思っているんでしょう?影陽?」

 

こっちの心はすっかり読まれているらしい

苦笑するしかない

 

「あなたが帰って来たのなら私はそれだけでいいわ。」

 

そう言ってお茶をすする

少し顔が赤い気がするが気にしないでおこう

 

二人の時間は静かに流れていった

魔理沙がアリスとともに永遠亭に来るまで

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

57話

学校にあんまり行きたくないなんて思う今日この頃

小説を書いていても気分が晴れない

なんでだろうか?


魔理沙はアリスに頼み込んで一緒に来てもらったらしい

その時に薬草の束をいくつか持ってきていた

 

これから魔理沙に集めて貰う薬草はレポート用紙5枚分びっしりあり

合計50種ほど書かれていた

魔理沙はがっくりしながらも集めることには同意した

全て集め終わった以降も持ってきたら持ってきた物相応の給料を出すと言ったらやる気になったようだ

付き合わされたアリスはため息だったが

 

「魔理沙少しいいかな?」

 

「んお?なんだぜ?」

 

「この幻想郷の地図みたいな物はないか?妹紅も人里までしか行かないからな」

 

「地図は・・・ねぇな・・・」

 

「私たちはほぼ覚えているから・・・」

 

二人とももう慣れた物らしい

そりゃあ、よくあちこちに行くだけのことはある

 

「それじゃあ、これから書くから何所に何があるか教えて欲しい。協力してくれるのなら、魔理沙、君が持ってきた分減らそう。アリスには・・・まあ、何か薬がいるのであれば用意しよう」

 

「まあ・・いいわよ」

 

「助かるのぜ・・・」

 

永琳はさっそく薬を作りに行ったのだろう

魔理沙の持ってきた物をもってさっさと引っ込んでしまった

私は机の上に紙を広げる

中心に人里の書いてあるそこそこ大きな物だ

 

二人から何所に何があるのか教えて貰いながら

空白の地図に書き加えていく

それは日が暮れ、宵闇が訪れるまで続いた

 

 

 

永琳は影陽が二人の相手をしている間

鈴仙の看病をしながら藍が持ってきた紫からの手紙の内容を確認していた

 

・人里での薬の販売及び病人の受け入れ、治療を行うこと

・永遠亭と人里をつなぐ道の整備

・幻想郷の危機の際は戦力を出すこと

 

などが書かれていた

完全にここの場所が分かると言うことだ

今まで隠れていた場所から外に放り出すことに等しい

なんとなくここを餌に月の連中をおびき出そうとしているような気がする

もはや、月には未練もないが・・・

いや、あの弟子達は連れてきたい

あんなところで腐れせるにはもったいないもの達だ

 

ふと、手紙に違和感を感じる

明かりに透かしても何も出てこない

だが

なんだかおかしい気がするのだ

 

「永琳・・・鈴仙の様子は?」

 

妹紅が入ってくる

 

「まだ寝てるわよ。輝夜は?一緒に寝かしていたはずだけど?」

 

「・・・私を布団から蹴りだしてまだ寝ているよ・・・」

 

「ああ・・・・寝相そんなに悪かったのね・・・」

 

「まあ・・・いいけど・・・」

 

「また寝てくる?」

 

「いや、起きちまったし竹炭でも作ろうかと・・・」

 

ふと一つ思いつく

 

「妹紅ちょっとこれに火を当ててくれないかしら?」

 

「ん?・・・いいけど・・・下手したら燃えるんだが・・・」

 

「内容は記録しているわ。でも何か怪しくてね・・・」

 

「あぶり出しか?さすがにこれでしたら顰蹙ものだろう・・・」

 

そう言いながらも受け取った紙に火を当てる

 

「うえ!?マジカ!?」

 

本当に浮き出て来たらしい

本当にあの妖怪は・・・

 

「見せてもらえるかしら?」

 

「あ・・・ああ・・・・永琳・・・私は道の整備してくる・・・てゐとイナバ連れて行く」

 

「分かったわ。行ってらっしゃい」

 

そう返事をすると妹紅はそそくさと逃げ出すように出て行った

妹紅を見送ってあぶり出された文字に目を走らせる

 

「・・・・・・・・あの腐れスキマ妖怪がーーーーーー!!!!!」

 

怒りのこもった叫び声が永遠亭に響く

 

「ふぇ!?なななんああ・・・なんです!?」

 

鈴仙が飛び起きるほどの声だった

 

 

 

「またスキマが何かしたのか?」

 

「知らないわ」

 

「はあ・・・なんであんな性格になってしまったのやら・・・」

 

 

「妹紅・・・助かったよ・・・・」

 

「いいよ・・・私も逃げ出した口だ」

 

妹紅達は竹林を切り開きながら

影陽達は地図を書きながら叫び声を聞いたが反応は薄かった

 

輝夜は・・・・まだ寝ていた

 

 




次は・・・宴会か・・・・
また荒れるよなぁ・・・・
どないしよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

58話

ちょっとやり過ぎたかな?

でも・・・やりかねないしなぁ・・・

温かい目で見てください


異変が解決して今日は宴会の日

いつもは解決した日の夜に行われるのだが

今回は異変の解決時にごたごたしてしまい3日ほど間をおいてから行われた

本当は2日のはずだったが人里の方で少し事件が起こったため1日伸ばされたのだ

まあ、雑魚妖怪が人里を襲っただけだったのだが

それをたまたま竹炭を売りに行っていた妹紅と輝夜が倒したため起きたことだった

いままでそんなそぶりすら見せていなかったのだから当然かもしれない

霊夢も駆けつけての大騒ぎだったのだ

 

おかげでもみくちゃにされた妹紅達が駆け戻ってきてここの存在が明らかとなってしまった

里の結界の強化と永遠亭に押し寄せた人里の人でとてもじゃないが宴会なんて出来なかったのだ

まあ・・・

おかげで・・・・

 

「このざまか・・・」

 

目の前に広がるは惨状、惨劇、光弾や矢が飛び交い妖精が慌てて逃げていく

運悪く当たった妖精は一撃で消え去り1回休みとなる

萃香は霊夢の張った結界の中で気絶している

もはやここが宴会場だった痕跡などそこらじゅうに散らばっている食べ物や割れた皿やグラス、敷物ぐらいだろうか

 

「あ・・・あのぉ~・・・止めなくていいんですか?」

 

鈴仙が聞いてくる

と同時に目の前の結界に今度は標識が突き刺さる

ヒィィィと鈴仙は縮こまる

 

「鈴仙・・・あれ止められると思うか?」

 

「無理です。即死します!」

 

「私もイヤだ、特に当事者だからな。女と女の勝負に入ったら死ぬ」

 

「影陽こっちも手伝って!多すぎる!」

 

「ほいほい」

 

輝夜にいわれ

巻き込まれてケガをした人や妖怪の手当を始める

チラリと原因をみても終わりが見えない

はあ・・・

ため息を一つもらす

 

また結界に何かがぶち当たる

その先には

何でもありの大喧嘩・・・否、戦争をおっぱじめている永琳と紫がいた

 

 

 

 

「意外と集まるもんなんだな」

 

日が暮れる前からもうそれなりの数の妖怪が来ていた

霊夢と萃香は真っ先に来て準備を手伝ってくれていた

魔理沙は・・・またアリスを引っ張り出して来たのかアリスと薬草の山とともにやって来た

その後は二人とも手伝ってくれた

萃香は少し手伝っただけで酒飲みに移行したが

まあ、前からそんな感じだったから慣れている

 

太陽が沈むにつれてどんどん妖怪たちがやってくる

人里の寺子屋の教師である上白沢慧音も妹紅に連れられてやってきていた

というよりここに来るまでの間で巻き込まれた口らしい

屋台を引っ張ってきた夜雀の妖怪・・・ミスティアも巻き込まれた側らしい

 

・・・・博霊の巫女は目の前に妖怪や妖精がいたら無関係でも倒していくんだろうか?

 

萃香と霊夢の杯に酒を注ぎつつそう思ってしまう。

 

 

「影陽さん、少しよろしいですか?」

 

来てからずっとレミリアのそばにいた咲夜だった

レミリアは慧音や妹紅と話していた

 

「ああ、いいよ?何かな?」

 

「あなたはなぜ・・・あの時・・神社で私の名前を・・・?あなたとは・・・一度も会ったことは・・・」

 

言ってもいいのだろうか?

きっとこれは永琳にも関わりがあることだ

だって彼女の持つ懐中時計

それはあの別れの時に永琳に渡した物だから

 

「それは・・・」

 

バスン!

 

そういう音を始めに連続で同じ音が響き渡る

音の聞こえた襖から何本も庭の塀に向かって何本も矢が飛んでいく

当然のことに庭で騒いでいた妖精にもあたり消し飛ばす

みんな地面に伏せた

私も咲夜を強引に伏せさせる

 

矢が飛んでこなくなったそう思ったら今度は襖と永琳と紫がもの凄い勢いで庭に飛んできた

2人が落ちた場所にいた哀れな妖怪は下敷きになるかふっ飛ばされる

 

「何やってんだあの2人は・・・」

 

紫がスキマを展開し

永琳が弓を構える

 

「霊夢っ!最大出力で結界を!自力で結界を張れるヤツも張れ!2人ともガチだ!」

 

私が叫ぶと近くにいた者が蜘蛛の子を散らすように逃げる

結界を張れる者は全力で結界を張る

 

その中で萃香は2人を止めに行った

 

「ちょちょちょちょ!ちょっと待て!2人ともおちつ・・・」

 

最後まで言えなかった

 

紫が萃香を蹴り上げ永琳が殴り飛ばした

萃香はそのまま霊夢のそばに落ちた

 

その音が合図だったかのように

戦いが始まった

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

59話

投稿ですー。

いつの間にかUAが6000超えていた・・・
お気に入りも47件も・・・
正直いって他の作品と比べて少ないんだろうと思いますが
私はもっと低いと思ってました・・・


最近は投稿期間がまばらで申し訳ありません
そのための不定期更新ですが・・・・

4月になると・・・・一月・・・いやもっと空くかもしれません
部署によっては半月以上電波の届かない場所にいる可能性も否定できません
ご了承ください


では物語をどうぞ



2人の戦いが始まって2時間はたっている

だが終わる気配はみじんもない

無事な妖怪達は突然発生した戦いに興奮する者もいたが戦っている相手が妖怪の賢者であることを思い出しそのまま逃げ出した

 

2人とも本気だ

霊夢もあまり長くは持たないだろう

 

「霊夢もういいぞ私が変わる」

 

「あんた結界も張れるの?」

 

脂汗をかいている霊夢が尋ねる

もう、結界を維持すること自体きついが私を信用できていない

そのことがよく分かる

 

「結界とは違うが・・・能力で2人だけをこの空間から隔絶する。そっちの方が手っ取り早い」

 

「何それ・・・」

 

「まあ、みておけ。是は世界を隔てる次元の壁。空間を隔てる最後の防壁。あらゆる災厄が漏れ出さぬよう防ぐ壁」

 

詠唱を行いながらこれから行うことを思い浮かべる

範囲をしっかりイメージしなければならない

実は結構危険なことだ

世界の中に別の世界を作るようなものだ

世界に干渉しない程度に亜空間をこの場所に生み出す

 

「空間断崖」

 

一瞬、永琳と紫の周辺に光が走る

ただそれだけだ

 

「なに?失敗かしら?」

 

「もう結界に負荷はないだろう?解いていい成功している」

 

はあ?っという感じにそこにいた全員がなる

無理もない

特別なんか変化があったわけではない

2人はまだ普通に戦っている

 

「近くまでいってみろ。すぐに分かる」

 

霊夢はまだ結界を張っていたため、魔理沙が触りに行った

 

「あ・・・あれ?」

 

途中で全く前に進めなくなる

 

「な、なんだこれ!?前に進めない!?どうなってんだ!?」

 

「どうなっているの・・・?」

 

「簡単に言ってしまうとそこから先を別空間にした。そこが私たちの世界と2人のいる世界の境目ってことだ。」

 

「それが・・・あんたの能力?」

 

霊夢が驚いた顔で聞き返す

 

「数個ある能力の一つだな。あまり使いどころのない能力だが」

 

「これ・・・かなり強いんだけれど・・・これ以外にも能力があるって・・・・あんた本当に何者よ?」

 

「さあ?」

 

その返事にそこにいた全員がずっこける

 

「知らなくても何か困ることもないし。それより結界といていいぞ」

 

どこか気が抜けた空気が流れながらみんなビクビクしつつ結界を解く

 

まあ、未だに激しい戦いを繰り広げていたらそうもなるだろう

2人が戦っていたときの衝撃波やらは完全に遮断されているが

2人の恐ろしい顔はまだはっきり見えるのだから

 

「助かったわ、でも最初からそうしてほしかったわ。」

 

「あれは少し発動に時間がかかるんだ。そもそもあんなものほとんど使わないからな?使ってる方がおかしい」

 

「それもそうね、あんたの能力を多用していたらそれこそ異変が多発するわ」

 

霊夢と話をしているとそこにゆっくりと1人近づいてくる

 

「ご飯、まだあるかしら~?」

 

幽々子と呼ばれていた人だ

何でだか手に箸と茶碗を持っている

そういえばこの人、2人が戦っていたときも何か食べていたような・・・・

どれだけ食うんだこの人・・・・

 

「もうないですよ。2人が全部ぶっ飛ばしてしまいましたからね」

 

そう言うと

そう、と言いつつ少し威圧感が出てくる

去り際に

「紫に説教・・・いや食事をおごって貰おうかしら・・・」

 

 

なんて聞こえたが・・・・あの人におごったら破産しそうな気がする

 

 

「幽々子の食費ってどうなっているのかしら・・・?」

 

呟いた霊夢の台詞に答えられるのはきっと気絶している従者の女の子だけだろう

 

 

「それで?あの2人はどうするの?」

 

「静かになるまでほうっておく。それが一番いいだろう?女のけんかは怖いからな」

 

「それもそうね、私もあの2人の間に入る勇気はないわ。面倒だし、気が済むまでほうっておきましょう。」

 

「紫の式・・・藍だったかな?彼女に原因を聞きに行こうと思うが・・・一緒に行くか?」

 

「そうね、理由だけでも聞いてきましょうか」

 

2人で気絶した妖怪達を寝かせている部屋に向かう

途中、咲夜に会った。

例の話は後で話そう、本当は永琳も一緒の方がいいのだが仕方ないと

彼女は了承した。そして巻き込まれて主人の下へ戻る

なんとも忠実なメイドだ

 

紫の式神である九尾の狐、藍と藍の式である化け猫、橙は止めようとしたのか2人が話していたであろう部屋で気絶していた

橙はまだ気絶していたが藍は起きていたため事情を聞いた

 

「主人が申し訳ない・・・影陽殿・・・」

 

「いい、こっちもたぶん悪いだろうからな」

 

「いや、完全にこっちが悪いのだ、紫様がかなり挑発していたからな」

 

そう言って話し始めた藍

話を聞いていた霊夢と影陽は聞き終えて頭が痛くなった

 

何でも昨日送った手紙にあぶり出しを使って書いた文があり

 

影陽を紫の住まいに住まわせること

 

と書いていたらしい

 

永琳にばれていて大喧嘩に発展したとのこと

 

「2人は今、私の作った空間に閉じ込めている。まあ・・・反省するまでそこに入れておこう。中の気温をだんだん下げていくが」

 

「了解した。ただ死なない程度にしてくれ」

 

「分かっている。それにあの中は紫の能力でこっちに戻ることが出来るほどのスキマは出来ない細工をしているから永琳だけを置いて勝手に出てくることはないだろう」

 

この人なかなかえげつないな

 

二人はそう思った

 

 

 

「すまない、待たせてしまったかな?」

 

襖を開け部屋に入る

そこにはこちらにお辞儀をしている咲夜がいた

 

「いえ、こちらこそ、お時間を戴きありがとうございます」

 

「かまわないよ・・・主人の・・・レミリアだったかな?彼女は・・・?」

 

「寝ています。目が覚めるのはもう少し後でしょう」

 

「そうか、じゃあ話そうか。」

 

 

「私の知る限りのことを」

 

 




お気に入りと評価って・・・
あんまり関係ないのかな?
3人って・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

60話

「さて何から話そうか・・・」

 

話せることなどかなり少ないのだが・・・

 

「では・・・先ほどの・・・話しそびれていた所を・・」

 

「ああ、神社のはなしか・・・君が持っている時計、それに名前が彫ってあるんだ、サクヤと」

 

「え!?そんなもの私は見たことが・・・」

 

「まあ・・・中に彫り込んであるしな・・・」

 

「でも・・・これはパチュリー様・・・も分解は無理と言われて・・・それに・・・私の名前はレミリアお嬢様につけて戴いたはず・・・」

 

「たしかめてみるか、時計を貸して貰っていいかな?」

 

そう言うと疑わしげな目を向けながらも時計を渡す

 

「心配するな壊すわけじゃない、そもそもこの時計は私が作った物だ」

 

「は!?」

 

「渡した相手は・・・永琳のはずなんだがな・・・?」

 

そう言いながら傾け、側面を少しいじる

するといとも簡単に時計が分解された

 

「えぇ!?」

 

「完全に固定されているように見えるだろうが、実は複数留め金があってな正しい順番と力加減、それと向きが合っていないと空かないんだ。それに留め金と言ってもほとんど透き間もないから魔法程度じゃ確認は出来ないだろう」

 

「そんなことが・・・」

 

「ほらあったぞ」

 

そう言って文字盤の奥

時計の内側の底

そこに小さく何かでひっかいたような文字で

サクヤ

そう書かれていた

 

「・・・ではなぜ・・・お嬢様は・・・」

 

「それはネームタグがあったのよ」

 

襖を開けながらレミリアが入ってくる

 

「お嬢様」

 

姿勢を正そうとした咲夜をレミリアは手で制す

気遣いは無用そういうことだろう

彼女は咲夜のすぐとなりに腰をおろす

 

「言っていなかったが・・・お前が家にきたとき実はタグがあったんだ。だいぶ劣化していてすぐ壊れて粉々になったんだが・・サクヤそう書かれていた。十六夜は・・・その日が十六夜あったからな・・・後はただの当て字だ」

 

なんかとんでもないことをぶっちゃけた気がするのは気のせいだろうか?

咲夜もレミリアを驚きの顔で見ている

 

「ここにある名前はまあ・・・私が作った物で、私の能力で気づいただけだからな・・・もっと詳しいことは永琳が確実に知っているはずだ。その時計は永琳が地球から離れるときに渡した物だからな」

 

その本人が今あの中で戦っている訳なのだが

どうしたものか・・・

 

お?

 

 

「どうかしたのかしら?影陽?」

 

レミリアが尋ねてくる

 

「どうやら終わったみたいだ。なんともタイミングがいいことだ。」

 

「あらそう。あの賢者がどんな醜態さらしているか楽しみだわ」

 

レミリアが立ち上がる

咲夜もそれに続く

後を追うように影陽も立ち上がる

少しは反省してくれるといいんだがなぁ・・・

 

 

すでにほとんどの妖怪は立ち去っていた

幽々子も妖夢を連れて帰ったらしい

今いるのは霊夢と魔理沙、アリス、レミリアと咲夜、そして藍と橙

妹紅は慧音を送りに行き、輝夜はてゐと掃除だ

そして

庭にいるのは紫と永琳の二人

なのだが・・・

 

「何があったのかしらね・・・これ・・・」

 

レミリアが呟く

それはここいいる全員の思いだ

藍も固まって声も出ないようだ

私も頭を抱えるしかない

あることをすっかり忘れていた

 

「気温を下げていることを忘れてた・・・」

 

そこには二人で一つの布団にくるまって縮こまって意識を失っている二人がいた

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

61話

とても寒い

ただただ縮こまってガタガタ震えることしか出来ない

それは相手

八雲紫も同じだった

 

 

 

最初は武器を使った戦いだった

しかしいつの間にか殴り合いに移行してお互い服もボロボロだった

どちらももう限界だった

その時

風が強く吹いた

 

とても強く乾きり冷え切った風

 

それが二人を包み込む

 

「「ぎゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!?」」

 

からっ風が二人の破けた服の穴から入り込む

 

今の時期はちょうど9月の終盤

適温かちょっと肌寒いといったところだ

そこに、氷点下の強風が吹き込んできたのだ

 

ある意味当然だろう

 

紫がスキマで逃げようとするが

 

「あ・・・あら!?繋がらない!?なんで!?」

 

ここから移動できないようだ

今更なのだがいつの間にか別の場所に移動させられたようだ

実際に結構狭い空間だった

 

紫が布団なんかを引っ張り出す

それと火をおこす道具を取り出そうとしてスキマが勝手に閉じた

 

「ちょと!?なんで!?いったいここは何!?藍!?助けに来てぇ~!?」

 

もう余裕なんてないらしい

冷静に分析してはいるが私ももう危うい

死んでも蘇りはするがこれはちょっときつい

布団にくるまる紫に近づく

そして布団を引っぺがす

 

「ちょっと何するのよ!」

 

「自分だけいい物を持っていながら言う言葉!?協力しないと生き残るのは無理でしょう!?」

 

不本意であるが少しでも強引に行かなければならない

はっきり言って本当に苦手なのだ

だが今だけはどうしようもない

 

紫にひっつき布団を巻く

お互いの体温で暖めつつ熱を逃がさないようにするためだ

 

「いきなりなによ!?」

 

「こうでもしなきゃ死ぬわよ!私は死んでも蘇るけれどあなたは死んだら終わりでしょう!?死んだら影陽にも会えないわよ?」

 

影陽の名前を出して黙らせる

ちょっと卑怯な手だが仕方ない

博麗大結界は彼女が居なければ成り立たないのだ

 

 

 

 

訳が分からない

義兄のお嫁となった彼女

八意永琳

彼女は月の賢者だ

本人は元などと言っているが

そうそうやめたり出来るような地位ではない

逃げたらしいが・・・

 

そして義兄とのなれそめ

義兄への思いは簡単に忘れることが出来るようなものではない

それに

彼女に渡すことなんて出来なかった

諦めることが出来なかった

 

だから、争いになった

定められたスペルカードを使わない争いに

その罰が当たったのかもしれない

 

能力が使えずどこにいるのかも分からない

そしてとても寒い空間

とどめに相手から心配され密着して寒さに耐えている

 

 

 

 

しばらくしても風がやむ気配はない

心なしかもっと気温が下がってきている気がする

だんだん頭がぼんやりとしてくる

襲い来る眠気に抗いながら

必死に目を開ける

 

となりの永琳も同じなようだ

だが・・・

あっちは死んでもまた蘇る

不老不死の存在

なんとも理不尽だ

 

そんなことを思っていると

頭の中で今までの思い出が写真のように流れていく

 

((あっこれは・・・・もうダメかもしれない))

 

永琳も同じ物をみていた

このとき二人の心は一つだった

 

二人ともほぼ同時に意識を失う

 

それと同時に

世界は元の位置

永遠亭の庭に戻っていた

 

 

 

 

「ゆ・・・紫様ぁぁぁぁ!?!?!?」

 

「イナバぁぁぁ!担架持って来い!大至急だ!」

 

声を聞いて奥に引っ込んでいた鈴仙が飛び出してくる

 

「何事ですか!?」

 

「鈴仙!すぐにお湯を沸かせ!それと冬用の布団!後、余裕があれば暖かい飲み物!」

 

「え?は、はい!」

 

どったんばったんの大騒ぎだ

レミリア達も笑えず手伝ってくれた

 

まあ、どうにかなっただけましだろう

 

 

影陽は自分のせいでこんなことになったため

これからのことを恐れながら治療に専念していた

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

62話

クリスマスですねぇ・・・・

私は学校でしたよ・・・・
友達はなぜか休みで独りぼっちでした


彼女?ハハハハハハ、いるわけがないでしょう?(真顔)

昨日?半年ぶりに電子の海の娘に指令を出したり
電子の海戦で敵に魚雷をプレゼントして小説書いてました

出来たら・・・・もう一本小説を投稿するかも?



あの宴会らしくない宴会から1晩がたった

そもそも途中で完全に崩壊していたが

その後もかなりごたごたしていた

 

意識を失っていた二人も次の日の朝に目が覚めた

 

霊夢は朝早くから永遠亭に来ていた

昨日、結界がかなり不安定な状態になったため確認に来たらしい

ことの顛末を聞いた霊夢は自業自得といいながらも心配していた

 

影陽はこっぴどく怒られた

 

 

そして

影陽は走っていた

全力で振り返ることなくただひたすらに走っていた

紫と永琳から逃げるために

 

「「待ちなさい!影陽!」」

 

こんな時に限って仲がいい

というより昨日のせいで吹っ切れたのか

本気でやばい一撃が飛んできたりする

永琳が矢を放ち

紫がスキマで移動させて思いもしない方向から打ち込んでくる

仲良くなって欲しかったけれど

こんなことで仲良くなってほしくはない

 

と目の前に隙間が広がる

 

「やべ」

 

スライディングでスキマの下をくぐり抜ける

と同時に何かネバネバしていそうな網がスキマから広がる

危ないところだ

下手していたらネバネバと網で絡め取られていた

能力を使って逃げたいところだが・・・

そこまでして逃げると泣かれてしまいそうで使えない

捕まったらナニされるかなんて考えたくもないのだが

それでも使わずに竹林の中を逃げていた

すぐに体勢を立て直し走り出そうとする

そして気が付いた

周りにスキマが複数展開されていることに

 

「二段構えかよぉぉぉぉっぉぉおおおおお!」

 

叫ぶと同時に矢や道路標識その他諸々が降り注いだ

 

夕日に染まる竹林に影陽の悲鳴が響き渡った

 

 

 

 

 

「慧音せんせーさよーならー」

 

「また明日ー」

 

「気をつけて帰るんだぞー」

 

「「「はーい!」」」

 

人里から少し離れた屋敷とまではいかないがそれなりに大きな家

そこはこの人里の子供たちの通う寺子屋だ

教師は上白沢慧音という名の女性だ

彼女は白澤という神獣の血が混じった半妖である

神獣なんて聞くといいもののようだが実際のところ妖怪とあまり変わらない

彼女の場合生まれた時から半妖であったわけではなく

後天的に半妖になった者だ

当然、親に生まれた村から捨てられ、殺されかけ逃げ出した

それ以後もかなりひどい目にあっても彼女は人間の味方であり続けた

そのおかげで今は人里の指導者であり、教師の立場にいる

それと彼女は幻想郷の歴史の編纂者でもある

満月の日、妖怪の力が増す日

その日に彼女は白澤の力を使い歴史の編纂を行う

重要な役割である

ちょうどそんな日にあの異変が起こったためその編纂の仕事が滞っているが

 

 

 

授業を終え、子供たちを見送った慧音は軽くのびをして肩をほぐす

子供に授業を行う、というのは結構疲れるものだ

それに、子供たちだけでなく妖精や小さな妖怪にも授業を行っている

そんな生活なのだから疲れるのもどおりだ

軽く編纂の仕事を進めようと家に足を向けたとき

 

「おーい、慧音~」

 

聞きなれた声が聞こえ振り向いた

友人の妹紅とついこの間の異変を起こした永遠亭に住む蓬莱山輝夜と兎の妖怪の因幡てゐ、鈴仙・優曇華院・イナバが来ていた

一台荷車を引きながら

 

「妹紅?と・・・永遠亭の者達か?そろってどうした?」

 

「ん?ああ、そうか、慧音は宴会に来てなかったからな・・・私も永遠亭所属なんだ。」

 

「そうなのか!?・・・そういうことなら行けばよかったか・・・」

 

「いや来なくて正解だと思うぞ。なんせ妖怪の賢者と元月の賢者の大乱闘でもはや宴会どころじゃなかったからな」

 

「・・・・何があった・・・」

 

あまりのことに絶句するしかない

妹紅が説明する

 

「なるほどな・・・・何とも言えん・・・・それで何の用だ?」

 

なんでここに当の本人たちが来ていないのかわからない

 

「実は・・・・」

 

 

 

 

大乱闘の終結の事情と現在の状況を聞いて慧音は頭を抱えた

 

「おい・・・その二人は本当に賢者なのか?聞いてて怪しいぞ?まあ・・・影陽は自業自得として」

 

「言うな・・・」

 

「そうね・・・」

 

後ろで聞いていた輝夜も同意する

 

「そうか・・・」

 

「影陽能力使えば簡単に逃げられるのに使わずに逃げていてな・・・しこたま矢を撃ち込まれ、殴打され・・・今永遠亭の中でまだ二人から折檻されていると思う・・・」

 

「大丈夫なのか?」

 

「永遠亭の中はスプラッターだ」

 

「同時に影陽の貞操も危ういかもね・・・・」

 

「大丈夫じゃないだろそれ・・・・」

 

「「「「この際二人がおとなしくなるならどうでもいい」」」」

 

「おおう」

 

全員の言葉が重なる

慕われているのか慕われていないのかはっきりしない

一度会ったことはあるが

それなりにいい人だとは思ったが

 

「それで・・・今日ここに泊めさせてほしいというわけか?」

 

話の内容からそう推測する

どこでナニが起きているかもわからない血まみれの屋敷にいたくないから出てきたのだろう

私だっていたくはない

 

「そうなんだ・・・いいか?慧音?」

 

「まあ・・・かまわない、そこそこ広いしな。・・・そんな事情を聴いたら泊めざるを得ないだろう?」

 

「すまない慧音・・・ああ・・・本当に済まないんだが1日じゃなくて数日でもいいか?仕事なんかは手伝うから」

 

「いいぞ?というより今日だけじゃ絶対に片付けなんて終わらないだろうしな、それに、授業を手伝ってくれるとありがたい最近忙しくてな。異変のせいで」

 

「「「すいません」」」

 

妹紅、輝夜、鈴仙が声をそろえて謝る

なんだろう?

姉妹と苦労人の従者にしか見えない

 

「まあ、それは置いておこう、さっさと荷物を入れてくれ。私は買い出しにでも行って来よう。」

 

「あ!食材なら持ってきたのでそれを使ってください」

 

鈴仙が声を上げる

 

「いいのか?」

 

「はい!さすがに食材ぐらいは・・・あと買い出しもお手伝いしますので何かあったらお申し付けください」

 

「分かった。では早速使わせてもらおう。」

 

全員で荷物を運びこみ

泊まる準備をする

 

 

 

 

 

 

 

ダレカタスケ・・・

ギャァーーーーー!

 

 

 

 

ふと輝夜が竹林を見つめた

 

「輝夜?どうかしたか?」

 

「うーん・・・?なんか悲痛な・・・悲惨?な声が聞こえた気が・・・・」

 

「・・・気のせいだ」

 

「そうね・・・」

 

 

 

数日後妙にキラッキラな紫と永琳がボロボロで傷だらけでぐったりした影陽を引きずって慧音の家にまで来たそうな

 

申し訳なさそうな紫の式達を従えて

 

そしてそのまま永遠亭の挨拶回りが行われたという



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

63話

ふう・・・なんとか出来た・・・




とある日の夜

いや、とある日の夜という言葉はふさわしくない

聖なる夜が正しい

12月24日から25日

俗に言うクリスマスだ

 

この日、幻想郷のとある館で各勢力を招いたクリスマスパーティーが行われることになった

場所は

紅い悪魔の二つ名を持つ吸血鬼、レミリア・スカーレットの屋敷

紅魔館

 

悪魔が聖なる夜にすることじゃない

そう思う

 

だが、幻想郷で常識なんて通用しない

幻想郷の常識は外の非常識、外の常識は幻想郷の非常識なのだ

 

悪魔が吸血鬼が日本の妖怪が外国の宗教イベントを行っていいじゃない

ここは日本なんだもの、幻想郷なんだもの

 

 

 

そんななか永遠亭の縁側で一人

横になっている人物が一人

八雲影陽、もしくは八雲光淵

である

 

あの異変から一月近くがたっていたが未だに体調が優れないのだ

まあ、原因はあの後の異変の後の宴会での出来事のせいなのだが

それも自業自得

 

こってりといろいろと搾り取られ完全にダウンしていた

 

「大丈夫か?影陽?」

 

妹紅がのぞき込みながら尋ねてくる

 

「・・・紅魔館に行くんじゃなかったのか?」

 

「寺子屋でいろいろ貰ってな、輝夜の分も持って帰って来たんだ永琳は輝夜と鈴仙と一緒に行ったけど・・・てゐは?」

 

「知らん、たぶんコッソリ付いて行ってるんじゃないか?」

 

「そうか・・・それにしても・・・大丈夫か?」

 

「大丈夫に見えるか?」

 

「見えない」

 

「わかりきったことを聞くな」

 

「でもなぁ・・・もう一月だぞ?治ってもいいだろうに・・・」

 

「・・・お前な・・・矢や刀に槍、普通の包丁まで持ち出して全身刺されまくるわ、骨が見えない程度に身をそがれるわ、気絶している間に人道的、いや倫理的にもおかしいことされて挙げ句の果てには博麗大結界の半分の保護と管理に供給の役割まで与えられたんだぞ!」

 

その言葉に絶句する妹紅

 

「えっと・・・・そんなことされてたのか・・・・」

 

「ちなみにな・・・・食われた」

 

何をと聞きたくない

とてつもなくイヤな予感しかしない

だが・・・

 

「何を・・・食われた・・・・」

 

「削られた肉」

 

妹紅は顔に両手を当てて天井を見上げる

 

なんとなくそんな気はしていたが

そこまでやるかという思いだ

まあ・・・見るからにいろいろ強くなっていたから

ナニかとんでもないことされたんだろうとは思ったが・・・・

マジで食うとは思わなかった

 

「あの姿を見たときはかなり猟奇的だったな・・・自分の体の一部だった物が食われてるんだから・・・」

 

「やめろ・・・言うな・・・・あの二人が普通に見れなくなる!」

 

 

 

しばらく無言になる

 

「影陽はさ・・・よく嫌いにならなかったなあの二人・・・私ならもう逃げ出してるぞ・・・」

 

「今回は自分のせいだしな・・・それに・・・逃げても無駄だろうし・・・こっちから告白したし・・・今更な気がするからな・・・紫は・・・罪滅ぼし?かもな・・・」

 

「でもなぁ・・・そんなことを言っていても、こんなことされたのになぜか嫌いにはなれないんだよなぁ・・・」

 

「惚れた弱みか?それとも・・・ただ尻に敷かれてるだけか?」

 

「どっちもかもしれん・・・紫は違うけどな・・・」

 

あっちは別らしい

もうとっくにいろいろ搾り取られて既成事実もありそうなんだが・・・

 

「それよりいいのか?行かなくて」

 

「影陽も行こう、そっちの方がいい。」

 

「まだ、だるいんだが・・・」

 

「一応人里の警備の指導もしているだろう?それにそのうちここで医療するかもしれないじゃないか!」

 

「仕方ないなあ・・・」

 

そう体を起こしたとたんだった

 

ドン   ドン   ドン

 

と同じ方向から爆発音が聞こえてきた

妹紅と首をかしげていた

 

突然霧の湖の方面が強く光ると爆音とともに地面が激しく揺れた

 

「うお!?」

 

「なんだ!?」

 

すぐに揺れは収まった

地震ではない

それよりも・・・もっとイヤな予感がする

 

「妹紅・・・あっちは・・・霧の湖だったよな・・・?」

 

「ああ・・・」

 

「紅魔館は・・・何所だったかな?」

 

「霧の湖の畔だな・・・」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

「治療道具持って行くか」

 

「ああ・・・」

 

 

 

 

本当に紅魔館が現場であった

あの壮大で目に悪かった紅魔館が跡形もなく吹き飛びクレーターが出来ていた

門も片方の柱を残し吹き飛んでいた

美鈴はその残った方にいたため無傷だったらしい

問題はその他

紅魔館の前の庭で行っていたため破片でケガした者が多かった

館内にいたのはパチュリー・ノーリッジとレミリアの妹、フランドール・スカーレット、それと魔道書を死ぬまで借りに来ていた魔理沙

3人とも図書館にいたため助かった

他はメイド妖精達だが

こっちは全員1回休みになっただけだ

一番屋敷に近かったレミリアと咲夜、近くにいた妖怪達も重傷だったが妖怪は着いた頃にはだいたい回復しかけていた

咲夜は即行で入院

永遠亭に搬送

霊夢は結界で防いでいた

大半が霊夢のおかげだった

永琳達もここにふくまれた

 

 

記念すべき日がなんとも言えない大惨事になってしまった

 

原因は花火

深夜とともに打ち上げる予定だった物をメイド妖精が搬送中に別のメイド妖精が火気厳禁と言われていたのを忘れ明かり(ろうそく)を持って近づいて転び引火

妖精達が運んできていた花火にも誘爆

貯蔵庫まで火が回り近くにあった火薬庫にまで行き

大爆発となった

 

このとき火薬庫の扉はなぜか開いていたらしい

 

なおなぜ火薬庫の厳重な扉が開いていたのかは不明だそうな

 

 

 

 

 

「とんだ災難だったな・・・・レミリア」

 

「ええ・・・今度から花火は別にするわ・・・紫にでも頼んどきましょうかね」

 

「それが一番いいだろうな」

 

永遠亭の部屋で会話をする

 

咲夜が入院のため紅魔館勢は永遠亭に一時的に来ていた

幸い図書館は無事なため早く修復は出来るようだ

あとは魔法使いの技量次第だ

 

「で?扉の犯人は誰か分かったかな?」

 

「分からないわ、完全にお手上げよ、扉も粉々だし。こんなことなら運命でも見ておくべきだったかしら?」

 

「なんだ見てなかったのか?」

 

「運命を見て先に楽しいことを見て後から体験する。楽しいと思うかしら?」

 

「なるほど」

 

「・・・咲夜は大丈夫かしら?」

 

「安心しろ死ぬことは絶対にない、永琳も確実に本気を出しているからな」

 

「そう?いつも通りだったと思うけれど?」

 

「出さざるを得んよ・・・一応血の繋がっている親子なんだからな」

 

 




紅魔館爆発・・・
よくネタで見るから私も


咲夜ネタは・・・・うん・・・

あんまり気にしないで
突っ込まれるときついから


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

64話

もっと書きたいことがあるのになぜかかけない!

言いたいことはたくさんあるのに!!




「はぁ!?あの二人が親子ぉ!?」

 

「うむ・・・そういう反応だろうな」

 

「まじに?」

 

「ああ、永琳から事情も聴いた、それに遺伝子も確認した。まあ・・・まだ本人にはまだ言ってはいない」

 

「・・・・それ普通本人が先じゃないかしら?」

 

「いいじゃないか、あの子の今の主人は君なんだから、本人も君に話すだろうから今話しても構わないだろう」

 

レミリアは少し頭を抱えながら答える

 

「こういうことって・・・普通は本人から聞くものだと思うのだけれど・・・」

 

「いいじゃないか、我ながらひどいと思うが子供をほったらかしにしていた保護者達と引き取って育ててくれた現保護者その話し合いなんだから」

 

ふっとその言葉を一瞬聞き流そうとして我に返った

保護者達?

 

「あなた・・・」

 

「そ、もう片方は私の血、まあ2分の1が永琳の血で4分の1が私の血で残りは分からんが・・・」

 

「なにそれ・・・おかしくない?」

 

「実験動物扱いだったらしいからな」

 

その言葉にレミリアは目を見開いた

 

「永琳は月の賢者ってことは聞いているんだけか・・・?」

 

レミリアは小さく頷く

 

「だが彼女は他の重役のような傲慢な考え方などしなかったし不正なんてなかった、そこが他の重役から不満を貰ったらしい」

 

そこから語られるのはなんとも理不尽なことを受け続けた人物の話

ただ我欲のために動く

汚らしいもの達の話し

正しいことをしているはずであるのに正しく評価されない

せっかく開発した物も他人に持って行かれ予算も削られる

だがその頭脳は絶対に必要な物でそこから抜け出すことも出来なかった

 

彼女はいらない

だがその頭脳は欲しい

ならば彼女に変わる人物を

自分たちのために動く人形を

彼らは求めた

 

 

「まさか・・・その人形って・・・」

 

「そうだ、咲夜のことだ。彼女は永琳の頭脳を得ようと作られた命だ。私の血が入っているのはきっと私の豊富な力と強力な能力を得ようと考えたのかもしれない実際にまだ未熟だが時を操ることが出来ているしな」

 

「・・・・」

 

「だが、永琳は開発局系のトップでもある訳だすぐに気づいてコッソリその研究室に忍び込んだらしい」

 

その時点でかなりおかしい

なぜ本人が忍び込まなくてはならないのか

 

そして見つけた

資料の山

そして

一人の幼くボロボロの子供と

積み上げられた人の形さえなしていない子供達の姿

 

 

 

「シャレにならないわよそれ・・・・」

 

「そうね見たときには驚愕したわ。」

 

そう言って永琳が入って来た

 

「永琳・・・咲夜は?」

 

「あれなら大丈夫でしょう。まあ様子見で3日ぐらいは入院して欲しいわ。その間ぐらいここに泊まってかまわないわ」

 

「そう・・・よかった・・・」

 

「・・・あの子の話しをしていたのでしょう?」

 

「ええそうよ」

 

「今・・・言うべきかしら・・・それともまだ言わない方がいいのか・・・。私には・・・分からない」

 

「「・・・・」」

 

永琳なら絶対に見せないであろう思い悩み苦しんでいる顔だった

 

「私は・・・血の上では親よ・・・でも私はあの子を・・・一人捨てるように放り出した!」

 

それは悲痛な叫びだ

 

「今あの子は自分で主も見つけ幸せに生きている。そこに・・・私なんかが入るべきじゃないそう考えてしまうのよ・・・」

 

永琳の悩み

かなり特殊なものだ

だが私としては結論は決まっているのだが

 

「レミリア君はどう思うかい?」

 

「・・・そうね、咲夜の一人の友人として言わせて貰うわ、言うべきね。」

 

「・・・・」

 

「実はね、結構咲夜も思い詰めているのよ。ここの異変の後の話なのだけれど」

 

 

 

 

永遠亭から帰る途中

咲夜が頭を押さえているのをレミリアは見とがめた

 

「咲夜?どうかしたのかしら?」

 

「いえ・・・なんと・・・言いましょうか・・・」

 

「隠し事かしら?」

 

「いえ、そうではなく・・・・先ほどの・・・八意永琳のことなのです・・・」

 

「彼女がどうかしたのかしら?」

 

「いえ・・・なんだか・・・懐かしい?いえ・・・見覚えのあるような感じがあったので・・・」

 

「不思議なこともあるものね。まあ大抵は見間違いとか気のせいでしょう。忘れなさい」

 

「はい・・・」

 

 

 

 

「これが帰りのことだったわ。でもこれだけじゃなく夢も見ているのそれも悪夢のたぐいよ」

 

「・・・・」

 

「でもね、夢の最後そこだけは悪夢ではないそうよ、最後の一瞬だけ誰かがそこから連れ出し逃がしてくれるってことらしいわ」

 

「「・・・・・」」

 

それは・・・

 

「主人としてもこれ以上咲夜を苦しめないで、あなたが明かせば、それですむわ。あなたがその後どうするかは咲夜が決めることよ」

 

咲夜がどう思うのかそんなこと誰にも分からない

だが咲夜知りたがっているのだ

 

「私もレミリアに同意見だ。それにもう時計のことを話している。それに永琳君がそのことを罪だと言うのであれば本人に言うべきだ。まずい時はまずいが今回は意外と話してしまえば楽になるぞ。」

 

「・・・・」

 

永琳ははだまったままうつむいてそのまま動きが止まってしまった

 

((これ行かない気がするな・・・・))

 

チラリとレミリアを見るとレミリアもこっちを見ていた

たぶんおんなじことを考えていたのだろう

小さく指を動かし合図をする

そして小さく頷いた

 




そのうち今出てきているキャラの設定でも書いて出した方がいいかな?
作中だけじゃあまり・・・詳しくかけない・・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

65話

疲れた
書き上げるのが大変だ・・・
こんな設定作ったの自分だけど・・・


真っ暗だ

ナニも見えない

そんな空間を走る走る走る

ただ何も見ずに走り続ける

 

何かを踏んでこける

それは自分によく似たナニカ

すぐに目をそらしまた走る

 

追いかけてくるナニカに捕まらないよう

捕まってしまえば

またあそこだ

なにもないただの部屋

ナニがあったか

覚えていない

だが、恐怖だけがあった

 

だから走る

逃げるために

生きるためにただ走り続ける

 

 

いつもならここで誰かが助けてくれるはずなのに

なぜか来ない

すぐ後ろ今で来ているというのに

そして

ナニカが私を引き倒した

そして複数のナニカに掴まれ

ものすごい力で引きずられていく

ふりほどこうとして気が付いた

その顔は

 

その姿は

 

私だった

 

 

 

「ああああああああ!??!?」

 

世界が反転し明るくなる

見覚えのない部屋に戸惑うがすぐに無理矢理落ち着かせた

ゆっくり頭の中を整理する

昨日のことを思い出した

あの爆発のことを

そうなるとここは永遠亭か?

そう考えた瞬間体が冷える感じがあった

 

確認すると全身汗でびっしょりであった

窓もきちんと閉められていたが

これでは締め切っていても意味はないだろう

 

とはいえここに着替えがあるわけではない

ため息をつきまた横になろうとすると

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド

と振動とともに音が近づいてくる

 

ドタン!

という音とともに鈴仙とレミリアが扉を吹き飛ばしながら飛び込んできた

飛び込んできたというのには語弊がある

レミリアが鈴仙ごと扉を蹴り飛ばしながら入ってきたといったところか

おそらくさっきの音は鈴仙が走ってきた音でちょうど扉のところでレミリアがそのままダイレクトインしたのだろう

扉の上でのびている鈴仙はちょっとかわいかったが

 

「咲夜!?さっきの悲鳴は!?」

 

よく見るとレミリアは右手にグングニルを握っていた

さっきの悲鳴で駆けつけてくれたのだろう

 

「いえ、大丈夫ですお嬢様。申し訳ありません少し夢見が悪く・・・」

 

「そうならよかったわ。影陽いいわ-!夢見が悪かっただけ見たいよ」

 

「そうかそうかならよかった。だがレミリアあとで修理代は貰うぞ」

 

「ええすまなかったわ。」

 

「あの・・・」

 

「なに?咲夜?」

 

「なぜ永琳さんが影陽さんに担ぎ上げられているのでしょう?」

 

影陽は肩にぐったりした永琳を担ぎ上げていた

 

「これか?お前に会いたくないってごねたから気絶させて連れてきた」

 

訳が分からない

なぜ会いたくないのか

治療してくれたのは彼女であるはずなのに

 

「お前の知りたいことを知っている。そして君の見ている悪夢その答えにもなるはずだ」

 

目を見開き永琳を見る

彼女がなにを知っているのか

なぜ会いたくないなどと・・・

 

「う・・・」

 

「お、起きたか」

 

「ん・・・え!?ちょ!?影陽!?なにして・・・」

 

「落ち着け永琳。咲夜どうしたい?君の時計のことそして・・・過去のことを聞くその勇気はあるかい?」

 

「・・・・・・」

 

無音がその場を支配するその後ろをてゐが鈴仙を運んでいき

一瞬こちらに目を動かしたがそのまま出て行った

 

 

聞きたい

紅魔館に来るまで

自分を支えてくれていたたった一つの宝物

そして

自分の知らない過去のこと

自分の親のこと

もしかすると知っているのかもしれない

 

だがそれを知ることも恐ろしいのだ

何かが変わってしまいそうで

とても

 

だが・・・・

 

「お願いします・・・・私は知りたい。」

 

ベットの近く小さな棚の上に置いてあった時計を手に取る

 

「この時計は・・・私が絶対に手放さなかった物です・・・そして」

 

「私が苦しいときや辛いときに私の力になってくれた物です。なぜ・・・あなたの物であったはずなのに私が持っているのか知りたいです。」

 

何があろうと

私は私だ

 

 

影陽の肩から下ろされた永琳は悲痛な顔だった

咲夜から目を背けあらぬ方向を向いている

 

「永琳・・・彼女はこう言っているが?」

 

「・・・・・・」

 

「はあ・・・永琳安心しろ私だって関わりがあるんだあの時私がついて行けばこうはならなかった。その罪は私の罪でもある」

 

いつものどこか頼りがいがないが優しさがあり穏やかな声色の彼が

真面目な雰囲気で力の入った声で永琳に告げた

 

「・・・・分かったわ・・・・話しましょう」

 

力なく答えた

小さく息を吐く

 

「まずその時計・・・それは私が光淵・・・いえ、影陽に地球から離れる際貰った物よ」

 

影陽から聞いた話だ

ではなぜ彼女の物が私の手にあるのだろう?

 

「そして・・・貴方は、私と・・・いえ・・・輝夜と同じように月で生まれた一人、私の血を引く者よ」

 




31日・・・投稿できるかわかんない・・・・
実家インターネット繋がったっけ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

66話

頑張って連続投稿してみるか

・・・大晦日までかけたらいいなぁ・・・・

その前に咲夜さんと永琳の話しどうにかしないと・・・・


「そして・・・貴方は、私と・・・いえ・・・輝夜と同じように月で生まれた一人、私の血を引く者よ」

 

「っ・・・・・」

 

それは

それはつまり

 

「私は・・・月人で・・・貴方の・・・娘・・・ということですか・・・?」

 

信じられない

自分が月人であることも

目の前にいる人物が

母親であることも

 

「半分は正解、だけど半分は違うわ」

 

?だがそういうことではないのか?

 

「娘・・・と言う点では間違ってはいないわただ貴方は月人ではないわ」

 

「どういう・・・」

 

「貴方は・・・私という遺伝子を基本としたそこの彼、影陽それと他の誰かの遺伝子を混ぜて創り出された」

 

「人工生命・・・・ホムンクルスが近いかしら・・・」

 

全身から力が抜けていく

冷えていた体がさらに冷えていく

指先が震え

悪寒が止まらない

今・・・なんと言った?

人工生命?

ホムンクルス?

訳が分からない

 

その時手を誰かが握りしめた

はっと下げていた目線をあげる

レミリアが手を握っていた

 

「大丈夫?咲夜・・・無理はしないで?」

 

「ありがとうございますお嬢様・・・」

 

「今はこのぐらいにしたらどう?顔色もあまり良くないわそれに、体も冷えている」

 

確かにそうだだが・・・

 

「そうね・・・少し休みましょうか、着替えも必要でしょう」

 

そう言って永琳は部屋から出て行った

影陽は背中を預けていた壁から背を動かし扉に向かう

そういえば・・・彼の遺伝子も私の中に・・・

と言うことは・・・

彼が父親に当たるのだろうか?

いや・・・そういうことは考えない方がいいだろう

混ぜられている

そう言っていた

不毛な考えだ

永琳の方は・・・母親が正しいかもしれないが

 

「ほら着替えだ・・・・どうする?一応風呂も用意しているが・・?」

 

「そう・・・ですね入らせていただきます」

 

「そうか準備が出来たら言ってくれ外で待っている案内しよう。着替え等はそこの棚に入っているはずだ」

 

そう言って彼は部屋から出て行った

部屋から出て行ったのを見てから動きだす

少し体が重いと言うこと以外異常もない

 

「何かほしいものがあったら言いなさい、今くらいメイドまねごとぐらいかまわないでしょう?私をかばってのケガ

でもあるのだし、興味深い話も聞かせてもらっているからね」

 

片目をつぶってニヤリと笑う

私は少し苦笑するしかない

 

「さすがにそこまでしていただくわけには・・・」

 

「いいのよお礼もかねてのことよ。ああそれとしばらくメイドは休みなさい。主として命じるわ。最近休みを取っていなかったでしょう?ちょうどいいわ」

 

「ですが・・・」

 

「いいのよ、そして命令だから。それじゃあ戻るわ何か持ってきてほしいものがあったら誰かに言づてを頼んでいいわ。しばらくここに泊まるから」

 

そう言ってお嬢様は出て行った

 

ああ、そういえば紅魔館は吹き飛んだのか

あ、いけない早く準備しないと

待たせてしまう

 

 

 

「咲夜のこと頼むわよ」

 

「了解した。全部聞かなくていいのか?」

 

「いいわ、心配することはなさそうだし部屋に戻っているわ。フランのことも心配だしね」

 

「あの子なら輝夜と妹紅と一緒に遊んでると思うぞ?」

 

「なら大丈夫ね、暴走しても」

 

「まあ、そうだな死なないし暴走しても最近運動が足りないからとかいって突っ込んでいくだろうよ」

 

「・・・なかなかクレイジーな姫達なのね・・・」

 

「気にしたら負けだ」

 

「じゃ部屋に戻るわ」

 

背を向けたレミリアに右手をあげて見送る

 

その直後に荷物を抱えた咲夜が出てくる

 

「お、きたかこっちだ。今は誰もいないはずだからゆっくり入ってくるといい」

 

 

 

確か彼はそう言ったはずだ

ではなぜ・・・

なぜここに

話の当事者

永琳さんが入っているのだろう・・・?




あと・・・1~2話ないと終わらないかも・・・?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

67話

・・・・あと1話は行く?

やばいかな・・・?

12時に間に合うか・・・


「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「何でここにいるのかしら?」

 

「お嬢様と影陽様に風呂にでもと言われましたので・・・・」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

「はあ・・・・てゐの口車に乗ったのがまずかったかしら・・・」

 

・・・・どうも永琳も誰かの口車に乗せられてここに来たらしい

私の場合完全に心配からかもしれないが

彼女が入る意味など・・・・

 

「てゐ・・・まあいたずらが大好きな兎なのだけれど・・・・」

 

 

 

「お師匠さん?何か顔色悪くない?」

 

咲夜の部屋から出て自分の部屋に戻っているときてゐに話しかけられた

 

 

「そんなことは・・・」

 

「いや・・・顔真っ青だよ・・・それに若干ふらついてるし・・・」

 

「・・・・」

 

「お風呂にでも入ってすっきりしてきたら?さすがにその状況で仕事とかは・・・」

 

(下手して巻き込まれるのは私たちだからね・・・まあ、仕方ないか・・・あんなことじゃあね)

 

「・・・そう・・・しかたないか・・・お風呂に入ってくるわ、何かったら影陽にお願い」

 

「いってらっしゃい」

 

「ふう、いいことした。鈴仙も気絶してて遊び相手いなかったしねぇ・・・あそこの3人は何か凄い盛り上がってたけど・・・」

 

てゐも悪くない

なんの悪気もない

ただ失敗して自分が自分たちが巻き込まれたくなかっただけである

まあ、日頃の行いのせいであらぬ疑いをかけられたのだが

 

 

 

なんとも言えない話だ

そのてゐと言われる兎は善意から言ったように聞こえるが

悪戯のことを聞くとなんとも言えなくなる

それにしても不思議だ

今まで話すことなどなかったはずなのに

なぜか普通に会話が出来ている

なぜだか口調がほぐれて

親しい人との会話に成ってしまう

それは彼女にも言えることだが

 

 

なぜなのだろう?

あんなに怖かったのに

今はたわいもない話で少し楽しい

それにどこかわだかまっていた物が抜け落ちた感じがする

もし・・・あの時一緒に逃げていたのなら・・・

どんな生活になっていたのだろう?

私は・・・・

母親として

本当の母親として生きていたのだろうか?

もしかしたら途中で捕まっていたかもしれない

でも・・・

この子のために必死になっていたかもしれない

影陽や輝夜、妹紅と本当の家族のように

今もそうであるような気がしないが

そこに彼女がいる未来もあったかもしれない

本当に今更だ

 

「ごめんなさい・・・・あの時・・・一緒に逃げてあげられなくて」

 

無意識のうちにその言葉が口からこぼれていた

彼女が咲夜が不思議そうな顔でこちらを見ていた

 

「私が地球に戻ってきたとき輝夜を迎えに来た日その時よ・・・あなたを逃がした・・・いえ、捨てたが正しいかもしれないわ」

 

咲夜の横で静かに言葉がスラスラと出てくる

さっきまで本当に震えを抑えながら話していた自分が嘘のようだ

 

 

あなたを研究所で見つけ書類をかき集め連れ帰って研究所を爆破した日

あなたをどうしようか迷っていた

あなたが私のところにいることがばれたら奴は喜び勇んで私を排除しようとすることは分かっていたから

でも・・・出来なかったわ

あなたの中に彼

影陽の血が入っていたから

あの時から恋心はあったわ

それで躊躇してしまって・・・

そのまま隠していたわ

そして、輝夜を迎えに行くときに一緒に連れて行った

残しておくことは出来なかったから

どのくらい月にいたのか?

だいたい1月ね

なんだか情が湧いてきたと言うのかしらね?

でも・・・月から離れてしばらくして・・・あなたの存在がばれかかってしまった

それで・・・

脱出ポットに気絶させたあなたを押し込んで射出した

一緒に逃げる・・・?

考えつかなかったわ

バカみたいでしょう?

あなたを連れて逃げるという選択肢がなかったの

最低でしょう?

情が湧いたなんて言っていたくせに本当に悪いときに見捨てた

自信がなかった

そこまでして逃げる意思もなかったのかもしれないわ

輝夜と逃げる用意はできていたのにね

その後は私は知らない

どこに落ちたのかも私は知らない

地球に落ちるようにはしていたわ

けれどね

今まで生きていたとは思わなかった

おそらく能力が関係しているのだろうけれど

 

 

 

咲夜は小さく息を吐いた

なかなかに濃い話だった

自分の話であるのに

自分のことではないような感じだ

自分のことであるのに

そして不思議と怒りも湧いてこない

理由があったからだろうか

いや・・・

私を見捨ててしまったことへの罪悪感が伝わってくるからだろう

自分で自分を責めている

それがそのことが・・・言葉の端に現れているのだ

 

「あ・・・」

 

声を出そうとして異変に気づいた

頭がぼんやりしてろれつが回らない

視界がグルリと回転し・・・・

咲夜の見る世界が真っ暗になった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

68話

「あ・・・」

 

その声とともに咲夜が私の肩に頭を乗せてきた

突然のことで驚いて硬直してしまった

 

そして咲夜の異変に気づく

力が抜けて沈みそうになっていた

 

「咲夜!?しっかりしなさい!?」

 

やばい・・・長風呂しすぎた

のぼせているようだ

すぐに湯船から引き上げ脱衣所に連れて行く

タオルを咲夜にかぶせ自分もタオルを体に巻き付けて廊下に飛び出した

 

「誰か!誰かいない!?」

 

大声で叫ぶ

今ここには影陽達だけでなく紅魔館の者もいるのだ

誰かに聞こえるはずだ

 

「どうした!」

 

真っ先に影陽が空間を繋げやって来た

紅魔館勢と一緒にいたのか一緒にレミリアと紅魔館で門番をしていた紅美鈴が来た

そして廊下を鈴仙が走ってくる

 

「どうしました!?」

 

「咲夜と風呂で長話をしてしまって・・・咲夜がのぼせてしまって・・・・」

 

「「「・・・・・・・」」」

 

「・・・それだけですか?」

 

「いやそれだけって・・・」

 

「なんだ・・・心配して損したわ」

 

「そうね、それだけ話が盛り上がったんでしょう。のぼせるぐらいなんともないでしょう」

 

みんな結構薄情である

 

「ちょ!?そんな反応!?」

 

いつも冷静な永琳が慌てている

みんな、ああ何か吹っ切れたのかな?

と心の中で思った

 

「とにかく影陽以外手伝いなさい!」

 

「「「はいはい」」」

 

「じゃあ戻るわ」

 

そう言って影陽は戻っていった

残ったメンバーと永琳で咲夜を冷ます

ここに氷を操る妖精、チルノがいれば楽なのだが

いや、あれはダメかー

と紅魔館組と鈴仙は思ったが

あの子じゃ凍らせちゃうかと考え直した

 

「師匠~とりあえず服着ましょう・・・目のやり場に困ります」

 

鈴仙が声を上げる

特に

そこら辺が豊かじゃない人にとっては余計にやり場がない

永琳は言い返そうとしたが・・・

レミリアの目線が鋭く突き刺さり

渋々着替えに行った

 

 

 

「う・・・んん・・・?」

 

目を開けると霞んだ光が目に入る

ぼんやりする頭を覚醒させ自分が何所にいるか

何があったかを思い出そうとする

 

たしか・・・お風呂で永琳と話をしていて・・・

ああ・・・そうかのぼせたのか

頭が理解する

そのままぼんやりと天井を見ていたら

扉が開く音がした

 

「あらよかった。目が覚めたのね」

 

永琳が入ってくる

心配した声色だ

事故とはいえ迷惑をかけてしまった

 

「すいません・・・お母さん」

 

ぼそりとそんな言葉が漏れた

はっとして口を塞ぐが

もう遅い

永琳も目を見開いてこっちを見ていた

やってしまった・・・

 

「なんで・・・?そう・・・よん・・だの?」

 

「いえ・・・えっと・・・・何ででしょう・・・?私も分かりません・・・」

 

「そう・・・・ま、まあいいわ・・・似たようなものだしね・・・好きに・・・呼びなさい」

 

「はい・・・・」

 

そう言って彼女は水を用意して足早に出て行ってしまった

もう少し話をしたかったな・・・・

少し寂しい気持ちが心を流れていた

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

69話

これで今年最後!

ふう・・・間に合った・・・



しんしんと雪が世界を白く染める

新しくなった紅魔館のそば

霧の湖でチルノがはしゃぎ回り

雪女の一人レティ・ホワイトロックを見かけるようになる

人があまり出歩かなくなり

無音と雪が世界を包み込む

影陽達のすむ永遠亭もそうである

襖という襖を閉め切り外に近い部屋は完全に閉め切って火鉢で部屋を暖め

炬燵にこもる

 

訳ではなかった

 

 

締め切っているというのは本当だ

だが部屋を暖めているのは石油ストーブで

炬燵は掘り炬燵で電気式

そしてなぜかテレビが置いてあり

みんなで炬燵を囲って見ていた

八雲家と一緒に

 

「なんでここに貴方がいるのかしらね?それにあなた冬眠するのではなかったのかしら?」

 

「あら?兄さんに誘われたんですもの来ないわけがないわ。それに兄さんのおかげで妖力を博麗大結界にそんなに回す必要がなくなりましたから、冬眠の必要なんてなないわ」

 

紫が炬燵の上の食べ物をつまみながら答える

炬燵の上には幻想郷では手に入らない魚の刺身や菓子などが並んでいる

紫が外から調達したのだろう

外でもそれなりに活動しているのだろう

そうでなければこんなに用意など出来ないだろう

たぶん

 

 

「影陽さんすいませんミカンを取っていただけますか?」

 

鈴仙がかしこまってお願いしてくる

確かに鈴仙の位置からではちょっと遠い

 

「いくつだ?」

 

「てゐも欲しそうなんで2つお願いします」

 

「はいよ」

 

軽く放り鈴仙にわたす

 

「ありがとうございます」

 

キャッチし皮をむきはじめる

てゐは鈴仙のむいたミカンを手に入れようと虎視眈々と狙っているようだ

 

妹紅と輝夜はテレビに一番近い所に陣取り食い入るように見ていた

藍と橙は少し居心地が悪そうにしているが少しは楽しんでいるらしい

特に橙は輝夜に抱えられていたりする

それを藍がうらやましそうに見ていたり

 

なんとも静かだが明るい空間だ

 

今年は

いや、秋からこっちはいろいろあった

月を隠す異変を行い最終的に永遠亭の存在を明かすことになり

病院としてここが利用されるようになり

紅魔館が爆発したり

永琳と咲夜分かれた二人が再会したりと

何かと忙しかった

来年はいったいどんなことが起こるのだろうか?

不謹慎なことだが

少し楽しみだったりする

なにも起きないことが最善なのだろうが

ここでそんなことなど起きないことの方がおかしいのかもしれない

 

テレビから外の寺の様子などが写される

もうすぐ年明けだ

カウントダウンが始まり

0と同時に鐘がテレビから聞こえ出す

 

そこにいた全員が姿勢を正す

 

「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」

 

紫が挨拶をする

 

「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」

 

返答を永琳が行う

 

「さて・・・博霊神社に初詣に行くか」

 

 

 

 

博霊神社には二人の影があった

霊夢と萃香の二人だ

いつもは侘しい神社だが

今年は影陽が大量の金を出してくれたため侘しさはあまりない

食事もそれなりの物を食べることが出来ていた

だが・・・未だに参拝客が誰も来ないのだ

 

 

「何で誰も来ないのよーーーーー!」

 

「そりゃ霊夢・・・道があんなんだとね・・・」

 

そうここまでの道は獣道といってもおかしくはない道なのだ

だが誰も整備しようとはしないのだ

ちなみに永遠亭までの道は影陽がしっかり整備した

 

「うう・・生活の質はよくなったけれどこれじゃあすぐ元の木阿弥じゃない・・・」

 

「そうでもないんじゃないか」

 

萃香が遠くを見ながら言う

 

そちらを見るとこちらにやってくる影が9つ

その影はどんどん大きくなって

 

「やあ、霊夢、あけましておめでとう。」

 

「あけましておめでとう、霊夢」

 

永遠亭のメンバー達と紫達だった

 

「参拝に・・・来てくれたの?」

 

「初詣だしな、それぐらいはしないと」

 

ボロボロと霊夢が泣き出す

それを見て影陽は

こまめに来た方がいいかな

と思った

その後に紅魔館勢や魔理沙&アリスが初詣にやってくる

そのうち妖精達も集まってのまま宴会になってしまった

幻想郷らしい姿だ

 

さあ、今年はどんな年になるのかな

 

そのまま影陽もその宴会の中に紛れていった




皆様ここまで読んでいただきありがとうございます

これで今年最後の投稿となります
ここまでやってこれたのは読者の皆様のおかげでございます


それとこの作品のきっかけとなった東方狐答録の作者 佐藤秋様
投稿する勇気をくださり、よく誤字報告をくださる 東方幻影人の作者 藍薔薇様

深い感謝を申し上げます


なんだか最終回みたいな流れですがまだまだ続きます
しかし4月より私の新生活が始まるため今までのような投稿は不可能になるかと思われます
頑張って進めようとは思います
今後ともよろしくお願いいたします

皆様よいお年を


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

70話

新年新たな年の始まり

それを祝う日でもあるのだが・・・

 

「どうしてこうなった・・・・」

 

影陽の目の前には道端で寝ている者たちがたくさんいた

それも

かなり乱れた服装で寝ているもの

折り重なって寝ているもの

一升瓶を抱いて寝ているもの

誰かに抱き着いて寝ているもの

 

普通なら誰かまともな人が治めたりするのだが

私もいつもなら押さえに入る側なのだが・・・・

いつも以上に飲んだ紫と永琳に絡まれ緑色と青色の物体が頭と腹に直撃してからの記憶がない

紫は・・・・こういう時ははっちゃけるので当てに出来ない

式達もそれに振り回され

アリスも・・・今回は魔理沙にしこたま飲まされたのか

端の方で魔理沙を枕にしてぐったりとしていた

枕にされている魔理沙もぐっだりだが・・・

永琳は・・・すまし顔だが・・・

なんで紫と肩を組んで寝ているのか・・・・

ここに住んでいる霊夢は・・・

ちゃっかり自分の布団で寝ていた・・・萃香を下敷きにして

寝にくくないのだろうか・・・?

 

そして・・・・

今もその直撃した二人が膝の上を占領して動けなかったりする

それは・・・

緑色の髪をサイドテールにして背中に透明な翅を持つ少女と

ショートの青髪で背中に氷の翅を持つどこか見覚えのある少女が

影陽の膝を占拠していた

 

「動けないよなぁ・・・・」

 

ぐっすりと気持ちよさそうに仲良く寝ているのを見るとさすがに起こしにくい

辺りを見回しても起きている者はいない

心配なのは・・・

最近永遠亭のことを知り新聞にして幻想郷中にばらまいた文屋ぐらいだ

そんなことを考えていると

ぱちり

と音が聞こえる

即座に矢を音のした方に速射する

すべて木に当たったようだ

 

「あやや、危ないですよ?光淵様?ただ妖精との微笑ましい写真を撮っただけじゃないですか~?」

 

スタッっと降りてきて話しかけてきたのは妖怪の山に所属する射命丸文だ

一応顔見知りである

 

「お前・・・誇張表現に、重要な情報を隠したまま新聞にして許可もなくばらまくだろうが!」

 

「ん~そんなにきにすることですかね?」

 

「ふざけるな!それで迷惑したやつがどれほどいると思っているんだ!」

 

「さあ?私は知らないので」

 

ダメだこいつ・・・前はかわいげのあるやつだったのにどうしてこうなった

 

「それじゃ私は仕上げるので!」

 

射命丸が飛び立とうとする

 

「待て・・・射命丸」

 

ガチな低めの声にガチリと固まる射命丸

恐る恐る振り返ると

こちらに禍々しい剣が向けられていた

 

「えっと・・・?それは・・・?」

 

「フルンディング・・・北欧の英雄ベオウルフが振るったとされる魔剣だこれを投げつけられたくなかったら・・・カメラを渡せ」

 

「・・・魔剣?・・・・名前からしてイヤな予感しかないんですけど・・・」

 

「射手が健在かつ狙い続ける限り、標的を襲い続ける効果を持つ追尾型魔剣だからなお前がいくら幻想郷最速でも・・・永遠に追いかけるだろうな」

 

「・・・・どうぞ」

 

さすがにそんな物を投げつけられたくはなかったのだろう

素直に渡してきた

カメラは懐かしのフィルムタイプ

カバーを開けフィルムを取り出しカメラを返す

 

「まったく・・・こんどからはちゃんと許可を取れ!今度しでかしたら・・・・」

 

フィルムを放り投げる

そして能力で重力をかけ押しつぶす

 

「今度から相手のことも考えた新聞と見出しにしてくれ・・・いい加減庇えなくなるからな」

 

「・・・・え?」

 

「お前・・・相手を考えず面白そうだと記事書くだろうが・・・おかげで紫や永琳を押さえるのが大変なんだぞ」

 

「えっと・・・・すいませんあらためます・・・」

 

「それでいい、じゃあな」

 

そういうと射命丸は颯爽と去って行った

 

今度妖怪の山に行こう

天魔も死んでしまって新しい天魔に挨拶もいるだろう

墓も参りに行かなければ・・・

あいつの好きな酒何だったかな・・・

 

寝ている妖精達の頭をなでながらそんなことを考えていた

 

 

なお、新聞の一面は妖精の頭を優しくなでている影陽の写真だったそうな

射命丸がどうなったのかは誰も知らない

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

71話

人里を妹紅に連れられ影陽は歩いていた

あまり人里が好きではないので店などの場所がよくわからないから妹紅に連れてきて貰っている

 

「悪いな妹紅。仕事があるのに」

 

「いいよ、寺子屋は今は休みだし、竹炭も今日の分は完売しているからね。」

 

「そうか」

 

最近は妹紅は寺子屋で人気らしい

まあ・・・なんだかんだで歴史の当事者なんかに会ったこともあるようだから

その話しも子供に取っては楽しみなのだろう

慧音自身は・・・悔しがっていたが

時々輝夜も教えに行っているようだが・・・そっちも慧音より人気らしい

まあ・・・かぐや姫本人だしな・・・

 

「そういえば・・・なんで影陽はあんまり人里に来ないんだ?それなりに患者も来ているから顔見知りはいるだろうに」

 

「ん?ああ・・・実際のことを言うとあんまり人が・・・人間が嫌いと言うかな」

 

「そうなのか?普通に接して・・・そういや妖怪とは親しく話していたりするが人とはあんまり話してなかったな」

 

「元人間だが・・・どうも自分は妖怪よりな感じだ」

 

肩をすくめながら言う

 

「どうしてもね・・・ああ、個人だとそうでもないよただね、集団になると苦手だし、サイコパス的な考えの人間や独善的な人間が出てくるとダメなんだ」

 

「そういうもんか・・・ん?じゃあ妖怪はどうなんだ?」

 

「嫌いじゃないな、自然の中から生まれた者もいるし人の恐怖などの感情から生まれた妖怪、空想から生まれた妖怪様々いるが話すと楽しいからな、まあ、話の通じなくて襲うヤツもいるがそれはその妖怪の性だしな人を襲ったり食ったりすることは人が食事するのと変わらないしな」

 

「なんか・・・寛容だな・・・」

 

「目の前で人が襲われていたら助けるさ、だが頼まれても退治にはいかないな対策ぐらいはしてあげる程度だ」

 

あっさりとした反応しかしない

周りにいるそれを聞いた人達は凝視していたが

 

「親父・・・それはここで言うことか?」

 

「しらん、妖怪が人を襲うのは生活の一部、人が食事するのと同じことだ。そこに手を出すことの方がおかしいだろう?まあ、幻想郷のルールに抵触しない限り、だけどな!」

 

虚空から禍々しい深紅の槍を取り出し片手で一回転させ門に向かって投擲した

 

 

人里の大通り

その端で下級の雑魚妖怪が人を襲おうとした瞬間

深紅の槍が妖怪を貫きそのまま門の柱に突き刺さる

貫かれた妖怪は声一つもらすことなく消滅した

 

「お見事、さすが」

 

「あの槍を使えば簡単だ、まああの槍の力使ってなかったが・・・」

 

「ちなみに能力は?」

 

「必ず心臓を刺し貫く」

 

指を鳴らすと槍は勝手にまた虚空へ帰ってく

 

妹紅もとんでもない能力の槍に顔を引きつらせる

 

「それで?妹紅、酒屋はどこかな?この後紅魔館にも行くから少し急ぎたい」

 

「へいへい、そこだよ酒屋は」

 

「ありがとな、ここまででいい」

 

「あいよ、お土産期待しとくよ」

 

軽口をたたきながら妹紅は元来た道を戻りはじめる

その姿を見送って影陽は酒屋に入っていった

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

72話

いきなり閲覧者数が激増していて驚いている今日この頃
お気に入りも増えていて驚き

評価はちょっと低くて悲しみ
もっと頑張っていいもの書かなければ・・・


影陽は霧の湖への道を一人進んでいた

ここに人里の者はほぼやってこない

ここは妖精のたまり場であり妖怪がよく出没し

幻想郷でも有力な妖怪の住処があるからだ

ここを訪れるのは物好きか愚か者か死にたがりか

もしくは幻想郷の有力者のみである

 

その影陽に近づく闇が一つ

 

ゴン!と音を立て木にぶつかる

 

影陽が振り返ると

 

「痛いのかー」

 

頭にこぶを作ったルーミアがいた

またやったようだ

この間は大妖精が気絶したルーミアを連れてきていた

 

「大丈夫か?ルーミア」

 

「んお?おー光淵かー」

 

「その名前は久しぶりだな」

 

「んお?・・・・・そうか・・・」

 

にこやかな顔がイヤに真面目な顔になる

 

「とうとう代わりを見つけていっちゃったかー・・・」

 

少し寂しげな声でそんなことを呟く

 

よく見かける表情と全く違う

 

「ルーミア・・・お前はどっちなんだ?」

 

「なにが?」

 

「本質は・・・」

 

「私はね名前の通りだよ。本質は光、操るのは闇、そう言う貴方は本質は闇で光だったでしょう?今は違うみたいだけど」

 

「まあそうだな」

 

「・・・闇が先か光が先かそれとも混沌が先か私は知らないけれど、気をつけた方がいいよ、それに貴方の存在自体がこの世界の取って異物だってこともあり得るからね」

 

そういって森の中に戻っていくルーミア

 

「サヨナラ、私の弟。そしてようこそ新たな魂、真の地獄へ」

 

そう言い残し消えていった

 

「一応警告かね・・・・そんなことは知っている。地獄だと言うこともな」

 

それは彼が最後に話したこと

この死ねない体のことに関連することだ

それと彼女の知らない知識も・・・

 

 

 

影陽はそのまま紅魔館へ足を進め門のところまでやって来た

が・・・門番がぐっすり寝ていた・・・

これでいいのか門番!

 

少し門の前で悩んでいるとチルノと大妖精、ミスティア、それとボーイッシュな子がやって来た

 

「めーりん!あそぼー!」

 

「チルノちゃん!待って誰か別の人がいる・・・ってあれ・・・」

 

「永遠亭の人じゃない?あれ・・・」

 

「影陽さんね、時々店に来るわ」

 

「なんだ?お前達?この門番に用事か?」

 

そう尋ねると

 

「めーりんは友達だからな一緒に遊んでやるんだ!」

 

チルノが元気よく答える

話を聞く限りこの門番あまり仕事をしていないようだ

それにしても・・・あの背が高くて美人だったチルノは何所へ消えてしまったのか・・・

 

「あの・・・影陽さんは何でここに?」

 

大妖精が尋ねてくる

 

「ん?ちょっと用事があってな。そういえばそこの子は誰かな?」

 

ボーイッシュな子を見ながら聞く

 

「あ!リグルちゃんです!蛍の妖怪なんですよ」

 

「はじめまして!リグル・ナイトバグです。」

 

「はじめまして、八雲影陽という、時々八雲光淵とも呼ばれるが影陽が本名だ、永遠亭に住んでいる」

 

そう自己紹介するとチルノ以外顔が青くなる

 

「や・・・八雲?ももも・・もしかして・・・」

 

「妖怪の賢者様となにか関わりが・・・?」

 

「ああ、私は紫、八雲紫の義兄だ、まあ、あまり気にしなくていいぞ」

 

「ごめんなさい!この間ぶつかって膝の上で寝てしまって!」

 

「いいよ、あれぐらい、なかなかかわいかったしな」

 

笑いながら答える

最初はチルノ以外オドオドしながらだったが

そのうち普通に話してくれるようになった

紫とは違うのだよ紫とは

 

すこし話をしていると

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああx!?!?!?」

 

もの凄い悲鳴が響いた

全員が響いてきた門の方を見ると

ナイフまみれになった美鈴

そのとなりにナイフを持った咲夜が冷たい目で美鈴を見ていた

 

「やあ、咲夜」

 

美鈴のことは気にせず咲夜に話しかける

 

((((スルーした!?))))

 

「あら、おとうさ・・・」

 

「「「「!?」」」」

 

咲夜が口走りそうになり途中で口をつぐんだが少し遅い

が聞き流しておく

 

「私用で悪いんだがワインを3本ほどいただけないだろうか?ちょっと入り用でね代わりは何か用意する」

 

「まあ・・・それぐらいなら・・・・」

 

「ありがとう・・・そういえばレミリアは紅茶を飲んでいたか・・・」

 

「ええ、それが?」

 

「ふむ・・・・こんどブランデーでも用意しようそれでいいかな?」

 

少し思案して

 

「ええお願いします。では」

 

世界が止まり二人だけが世界に残る

 

「持ってきますのでしばしお待ちを」

 

「レミリアに挨拶しなくていいのか?」

 

「今日はまだ寝ております。妹様は起きておいでですが」

 

「そうか」

 

「では・・・」

 

そう言って咲夜は屋敷に戻り3本ボトルを持って戻ってきた

 

「どうぞ」

 

「ありがとう、咲夜。・・・体には気をつけろそれと時々は永遠亭にも来いなんだかんだ言って永琳も心配しているから」

 

「はい、そうします」

 

ボトルを咲夜から受け取り

咲夜が時間をまた元に戻す

 

手を振りながら紅魔館を後にする

 

「じゃあな、ちびっ子ども」

 

大妖精達の頭をなで回してからそのまま人里に戻っていった

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

73話

「すいませんが・・・永遠亭の影陽殿ではないですか?」

 

紅魔館からの帰り

人里で一人の少女に話しかけられた

 

「そうだが・・・君は?」

 

「申し遅れました、私は稗田阿求と申します。阿求と呼んでかまいません。私は幻想郷縁起という妖怪のことをまとめた書籍の編纂を行っております。今回、永遠亭への取材へのお願いをしにお声をかけさせていただきました」

 

ふむ・・・まあ妥当なところだろう

少し遅いような気もするが

慧音の話だと少し体が弱いところもあるようだから仕方ないのかもしれない

 

それにコッソリ永遠亭の観察でもしていたのかもしれない

 

「かまわない、いつでも来ても言いよう私から伝えておこう明日や明後日は私の用事があるから無理かもしれないが」

 

「分かりましたでは明後日以降にお伺いします」

 

「了解した・・・・そうだ、妖怪のことをまとめているのだったな?」

 

「?はいそうですが・・・・なにか?」

 

「花に関する妖怪はいないだろうか?少し花が入り用でね。」

 

それを聞いて阿求は難しい顔をする

 

「花の妖怪に関しては心当たりはありますが・・・お勧めできません。危険度極高、人間有効度最悪の妖怪です・・・まあ、先ほどあなたの向かった紅魔館の主も同じですが・・・」

 

「ふーん・・・・その妖怪の名前は?」

 

「まさか行く気ですか!?正気ですか!?あなたは!?」

 

「あいにく私は人間のつけた妖怪の記録なんぞ全く信用していないんでね」

 

きっぱりと言い切った

その言葉に阿求は驚いたようだ

まあ、人にそんなことを言われたことなどないだろう

人のために書いたのだから

 

「それで?その妖怪の居場所と名前は?」

 

「は?えっとはい・・・人里から少し離れた丘で夏は確認されています・・・それ以外の季節は神出鬼没ですが・・・名前は風見幽香です・・・・会いに行く気ですか?」

 

「そうだが何か?」

 

「・・・・人里には被害を出さないでください、風見幽香はあの八雲紫と同等の強さを誇る妖怪です。噂だとほぼ互角の勝負であったと・・・・」

 

「ほー・・・紫と互角とはなかなか・・・・それにしても幽香ね・・・・」

 

「どうかなさいましたか?」

 

「・・・気にするな、個人的な事情だ」

 

頭を振って空を見上げる

もう若干日が傾き夕暮れが近くなっていた

 

「そろそろ私も帰らなければ、永琳に怒られるな・・・ではお待ちしている」

 

軽く手を振って竹林へ足を向ける

阿求は去って行く彼の背中をじっと見ていた

その先にかすかに見える永遠亭を見ながら

 

 

 

「あら?意外と早かったわね?もう少し遅いかと思っていたわ」

 

「ああ、門前で咲夜に合ったんですぐに貰って戻ってこれた」

 

「そう、咲夜はどうだったかしら?」

 

「元気そうだまあ、そのうち来るんじゃないか?」

 

「そう」

 

「お?帰って来てた・・・・なにかおみやげある?」

 

「ほれ、日本酒とワインだ」

 

妹紅は嬉々としてそれを受け取り走って行った

どうせ輝夜と分けるのだろう

 

「まったく・・・」

 

「あらあら・・・」

 

「そうだ永琳、明明後日ぐらいに人里の稗田阿求が来ることになった、予定は大丈夫だろうか?」

 

「ええ、大丈夫よ、幻想郷縁起の編纂者さんね、まあいつかは来ると思っていたから」

 

「明日も少し出かけてくるよ」

 

「あら?まだ何か?」

 

「墓前に飾る花ぐらいいるだろう?花妖怪のいるらしい丘に行ってくる」

 

「そう、気をつけてね」

 

「了解」

 

二人で皆の集まる部屋へ向かう

今日の夕食は輝夜が作ったらしい

・・・まともな物が出来ていればいいのだが

 




なんか・・・最近驚いてばかりな気がする・・・
なに?
一日でUA100って・・・
今まで50ぐらいだったのに
訳が分からないよ・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

74話

うーん
学校始まって時間が・・・
また不定期に戻るかもしれません








後書きは気にしないでいいよ


ああ・・・

気分が悪い

いや、腹の調子が悪いの方がいいか・・・

違う、腹の調子が悪いせいで気分も悪いのか

 

たぶんというよりも今日の永遠亭のメンツはみんな、こんな気分だろう

昨日の夕食が原因だ

おそらくではないな確実にそれである

朝食も同じものであったが・・・・

 

昨日の夕食は珍しく輝夜が作った物だった

味もそれなりで食べれないと言うこともない

ただ

量がおかしかった

 

最初はなんだか変だなとは思った

だが、食べても食べても減らない料理の山

料理というのもおこがましいかもしれない

ただの焼き肉の山がいくつも、いくつも

終わることがないかのように出てくるのだ

 

食べ始めて十分ようやく永琳が切り出した

 

「輝夜・・・これはいったい、どういうこと?」

 

「・・・・・」

 

「いつまでこの味の変わらない焼き肉を食べ続ければいいのかしら?」

 

輝夜は沈黙を続ける

隣の鈴仙やてゐ、はとっくにダウンしている

今、残っているのは輝夜、妹紅、永琳、影陽だけだ

 

「輝夜・・・話を変えよう。何を使った?」

 

「・・・・猪」

 

ぼそりと答える

 

「うん・・・丸々1頭かい?」

 

「・・・3」

 

「「「・・・・・」」」

 

「調子のって3頭使いました・・・・ごめんなさい」

 

3人は頭を抱えた

使ったということは、とっくに焼かれていることだろう

だいたい1頭50キロ弱肉がとれたとして

全部で150キロ分はあると言うことだ

このテーブルの上にある物はだいたい20キロ分だろうか?

 

今更、他の家に持って行くことも出来ないだろうし

もう食事中だろう

 

こんなものを持って行っても迷惑でしかないだろう

紫に送り付けるという手もあるが普通にポイ捨てしそうだ

 

結局次の日の朝にも食べて結局食べきれず、困っていたところ紫がグッタリした橙を連れてやって来た

かぜを引いた橙を連れてきたらしい

ちょうどいい所に来たとこのことを話すと

 

「幽々子を連れてくるから少し待ってて」

 

とスキマで姿を消し、蔓延の笑みの幽々子を連れて戻ってきた

そして全員が見てしまったのだ

いくつもある温め直された肉の山が

溶けるように姿を消していく様子を

そして、全ての肉が幽々子の腹に収まってすぐ

 

「あら?もうないの?まだ食べ足りないわぁ」

 

これである

 

この言葉だけで完全にノックアウトを食らった

鈴仙は倒れこみ、てゐはあきれ返り、永琳は頭を抱えた

妹紅と輝夜はその場にはいなかったが・・・・

とにかく、しばらく肉は見たくないものだ

 

 

 

 

むかむかする胃を押さえ、吐き気と戦いながら丘へと足を進める

 

その丘はとても見晴らしがいい場所だった

その丘のてっぺんに家、いやログハウスと言った方が適切だろう

そういう建物が立っていた

あそこが風見幽香の住んでいると言われている家だろう

そもそも、夏の間に話を聞けた妖精からの情報らしいから今、いるかは定かではないようだが

とりあえず行ってみることにする

 

1本小道が小屋まで続いていた

途中で枝分かれしていたが、今は何も生えてはいないが、この広大な丘すべてが花畑のようになっているようだ

管理するための小道らしい

夏になれば、ここは一面に背丈ほどのヒマワリが咲き乱れるらしい

その時、もう一度来てみるのもいいかもしれない

 

家まであと少しというところまで来た時だった

 

バン!

 

という音とともにものすごい勢いで外開きの扉が開いた

話に聞いていた白のカッターシャツとチェックが入った赤のロングスカート、チェック柄のベストではなく、少しくったりした薄い緑のパジャマ姿だった

寝起きだったのだろうか?

なんとタイミングの悪い・・・・

帰ったら永琳に何か言われそうだ

いや、その前にここで始末されるかもしれん

 

だが、幽香はただ目を見開いたまま動かなかった

 

鋭い目つきで周りを威圧し、圧倒的な妖力で弱い妖怪を黙らせる

売られた喧嘩は必ず買い、彼女の育てた植物に手を出せば帰ってこない

そんな感じなど全くない

ただ、目を大きく見開いて驚愕を示すだけ

 

だが、その見開かれた目

それに、とても見覚えがあった

旅をしながらも会えるかもしれないと思っていたあの子

チルノの次に

あの植物だらけの中で出会った妖精に

 

「優華」

 

ただその一言で十分だ

 




これは永遠亭が幻想郷に受け入れられ
挨拶回りが終わった後、正月よりも前の一幕


影陽が少し旅立ちの準備をしていた
旅立ちと言うより戦闘の準備と言おうか
永琳が以前渡した軍服風の装備を一式纏っていた
そして、静かに彼は能力を最大限行使する
彼はこの世界から離れた

「永琳?影陽はどこ行ったの?」

「何でも、とある王様との約束を果たしに行くそうよ?誰のことかは知らないけれど」

「へえ?どんな人なのかしらね?その王様」

「なんかゴージャスとか言っていたわね。とても思いやりのある素晴らしき王だとか」

「そんな王様なら会ってみたいわね」

「そうね、ついていけばよかったわ」

静かに時は流れる





続かないから気にすんな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

75話

危ない・・・
あと少しで投稿できないところだった・・・・


今回は幽香側です


先に言います
皆の知っている幽香さんじゃないです
誰この子?
だと思います



ああ

なんとこの世は広いのだろう

あれからあの人を探して旅を続けた

あの人が、生きていくために必要なことは全部教えてくれていた

一つ一つ

思い出しながら、実戦し生き続けた

でも

あの人は見つからない

名前も知らない

見知らぬ私を助けてくれた

強くて優しい人

名前さえ知らないが、家族と言える唯一の人

私もそうなりたいそう願っていた

 

だけど

今の私を見たら

どう思うのだろう?

強い妖怪に絡まれ返り討ちにし続け

それでも次から次にやってくる妖怪

それらを倒していくうちに人や弱い妖怪から避けられるようになった

私は襲うつもりなどないのに

 

人に恐れられ自分も人を避けるようになった

人から向けられるあの視線に

恐怖と畏怖、憎しみのこもった目に耐えられなかった

ここ

幻想郷でも同じだった

ここで静かに花を育て暮らしていても

恐ろしいのだろう

寄ってくるのは元同族である妖精ぐらいか

だが、その妖精ですら私を恐れるようになっていた

その時気が付いたのだ

もはや自分が妖精ではなく

妖怪となっていることに

 

それからはもう特に何もせず静かにしていた

ただ、もう恐ろしかったのだ

自分を住処を守ること以外で

誰かを傷つけてしまうことが恐ろしいのだ

 

いつだったか

妖怪の賢者とかいう妖怪もやってきたこともあったが

何もしてこなかった

ただ、必要以上に暴れなければいい

そう言っていた

それからは穏やかな日常だった

一度吸血鬼がこの世界を手にしようとしたときは

面倒であまり乗り気ではなかった

強引に戦場に駆り出された

その後、スペルカード戦という遊戯での争いになったが

紅い霧も、長い冬も、永い夜も

自らの一部のような、植物達にとって辛い日だったが動かなかった

ただ耐えていた

動きたくなかった

自分を見るあの目を見たくなかったから

 

 

1人で過ごした年明けが過ぎてしばらくのこと

ふと、懐かしい夢を見た

あの人と過ごした時間のことだ

遊んでもらった記憶

寂しくて泣いていた時泣き止むまで抱いていてくれた

そして、別れの記憶

私を助けるために、彼は自分の力をほぼすべて使った

優しく微笑んでいた顔

その場面で目が覚めた

 

いつもは少し悪い目覚めであるのに、今日に限って頭がさえわたっている

いいことなのだろうが

少し憂鬱な気分だ

なんで最後にあんな・・・・・

 

幽香は気が付いた

近づいてくる存在に

それは覚えのある

いや、覚えのあるどころの物ではなかった

ベットから飛び起き走って外へつながる戸をあけ放った

そこに、彼がいた

 

髪は最後見たときよりも短かったし、服装も違う

だが、彼だと気が付いた

自分に分け与えてくれた力を間違えるはずがない

なぜ今まで気が付かなかったのだろう?

なぜ、今ここに現れたのか?

妖怪になってしまった自分をどう思うのか?

そんな疑問も不安もすべて吹き飛んだ

 

「優華」

 

そう呼ばれた名前だけで




こんな幽香さんです

だけど・・・激怒したり戦いになると・・・

まあ、このことはまた今度

お楽しみに


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

76話

「優華」

 

名前を呼んだ

懐かしい名前だ

チルノの後だが一番思い入れのある子だ

旅の途中無意識でいないか探していた子でもある

妖精から妖怪になってしまったようだが、そんなことなど関係ない

ちゃんと生きていてくれたこと

それだけで十分だ

 

優華がボロボロと涙を流しながら飛びついてきた

それをやさしく抱きとめ、優しく頭を撫でてやる

 

「ごめんな、一人っきりにして・・・大きくなった・・・」

 

泣き続ける優華に優しく声をかける

今まで、記憶を失っていたことが

とても辛い思いをさせていたようだ

誰にも理解されなかったのだろう

彼女はあまり話したがらない

基本的に人見知りするような子だ

そして・・・会話相手が私しか居なかった

あの後、どうなったか分からないが

あの頃から成長はしていても中身が変わっていない気がする

幻想郷縁起に、書かれていたことが本当のはずがない

 

そのまま、影陽は優華が泣き止むまで抱きしめていた

 

 

 

 

 

「お?おおおお!?これは!スクーーーーーープ!これは大スクープです!早く号外を出さなければ!」

 

一人の少女が高速で一片羽を残し飛び去った

 

 

 

 

ああ、ああ!

本人だ

この声、私の名前を呼ぶ、この声だ

私の名前を正しく呼んでくれる

彼が何か言っている

だが何も聞こえない

私はただ彼がそこにいる

それだけで十分だった

ついつい、そのまま涙が枯れるまで泣いてしまった

 

 

 

「落ち着いたかい?優華」

 

「・・・・はい・・・」

 

「突然来て、ごめんな?それに、今まで見つけてやれなかった」

 

「いえ・・・私のために、あんなことに・・・」

 

「気にしないでいい、私も、何も説明せずにあんなことをしてしまったからな」

 

私は軽くなずいた

本当に突然のことだった

 

「そして・・・もう一つ悪いんだが・・・ちょっと花をもらいに来たのが目的でな・・・」

 

ショックだ

何か用事があって来ただけとは・・・

少しむくれて、ポカポカ叩いてやる

 

「名前の字が違ってきたし、風見って名字までついていたからな、それと、妖怪のことをまとめられた本に書いてあったことが君とは正反対でな」

 

?優華が首をかしげる

 

「凶暴で、容赦のない妖怪だって書いてあった」

 

その言葉で優華は目を見開く

だが、すぐに思いあったたことでもあったのか俯いた

 

「たぶん・・・襲ってきた妖怪を逆に倒した時・・・かと・・・」

 

「あーー・・・・そうか・・・・」

 

そうだった、優華に教えていた戦い方は相手を確実に殺すなどの技だ

多少は非殺傷のモノも教えてはいたが・・・

後は・・・

この豊富な妖力による大火力のせいか・・・・

 

「そこらへんも・・・私が原因な気がしてきたな・・・」

 

「来てほしくないのに・・・来るので・・ガツンとやったらそのまま、地面で花に・・・・」

 

「言わなくていい、うん、理解した」

 

 

奇妙な沈黙が二人に降りる

仕方ないことではあるが

ふと、幽香は気づいた

 

「あの・・・私・・・あなたの名前を聞いたことがないです・・・」

 

「ん?ああ・・・そういえば言ったことがなかったな・・・・私の名前は八雲影陽だ」

 

「八雲・・・影陽・・・八雲?」

 

「ああ、妖怪の賢者のことは知っているだろう?八雲紫は義妹だ」

 

「ああ・・・あのどこか胡散臭い・・・あまり似てない・・・」

 

「うーん・・・あいつ・・・そんな評価しかないのか・・・」

 

頭を抱えるしかない

 

その様子に幽香はクスクス笑う

 

「そういえば、用があったのでは?」

 

軽い調子で会話ができていた

 

「ああ、そうだ、忘れるところだった、花を欲しいと思ってな、菊とか」

 

「なるほど、それなら・・・」

 

優華はしゃがみ込んで手を地面にかざす

そこから、芽が出てきたと思ったら、あっという間に花が咲いた

それをいくつも

あっという間に花束ができる

 

「はい、どうぞ」

 

「すごいな、ありがとう。」

 

「これぐらいなら・・・」

 

少し照れる

 

「本当にありがとう」

 

「・・・・あの・・・私との関係って・・・いったい何なのでしょう?」

 

「ん?関係?」

 

「知り合いなのか、友人なのか・・・」

 

「決まっているだろう途中までだがお前は私が育てたんだ、親子だろう?」

 

その言葉にまた、目を大きくする

 

ああ、家族

家族とそれも娘と言ってくれるのか

こんな私を

血のつながりのない無関係な私を

娘という親子の縁

永遠に切れない絶対的なもの中に、私を入れてくれるのか

 

「それじゃあ、また」

 

「まって」

 

そう言って影陽の袖をつかむ

不思議そうな顔で影陽がこちらを見る

 

「一緒に・・・一緒に家まで行って・・・・いいですか?・・・お父様・・・」

 

影陽はふっと微笑んで

 

「いいよ、まず着替えておいで」

 

その言葉で自分がまだ寝間着であることに気が付いた

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

77話

レポート・・・
なんで、一気に複数も重なるかね・・・・

来週まで、投稿できないかもしれません

そのあたり、よろしくお願いします


あの後、慌てて着替えてきた幽香と共に永遠亭まで帰ることにした

名前は幽香でいいと言った

ただ、私が幽香を呼ぶときは優華と呼んでほしいとは言われたが

まあ、可愛らしい

 

あの華から変化した日傘を片手に隣を歩幅をあわせて歩く

妹紅は前を歩き、輝夜は斜め後ろを歩くことが多い

永琳とはそもそもあまり一緒に出歩かない

互いにどこか気恥ずかしいものがあるからだ

あとは・・・出かける用事があまりないことだろうか?

 

幽香は小さく鼻歌を口ずさみ、顔に薄いが明るい笑顔である

それを見ると少し笑ってしまう

見た目は大人のようなのだが、中身がどこか子供っぽい

その様子を妖精たちや、弱い妖怪たちが遠巻きに見ていた

この時期、いつもはあの丘から離れず、誰も寄せ付けない恐ろしい妖怪が笑顔で知らぬ男と共にいればそうもなるか

 

そのまま、人里まで来て、その目線は少しの興味、驚愕と恐怖が幽香に向けられる

だが、それ以上にさげすんだ目線が影陽に刺さる

幽香は今まで向けられていたものではあるが

影陽のそれは別種のものだった

二人で不思議なことだ

そんな話をしながら里を抜け永遠亭まで来た時だった

 

連続でものすごい勢いの矢が飛んできた

それを幽香が素早くたたんだ傘で叩き落とす

永遠亭の前に無表情の永琳が弓を構えて立っていた

 

「いきなり何をするんだ?!永琳!?」

 

「・・・・・浮気してその本人も連れてくるとは思わなかったわ、影陽」

 

「は?」

 

「これを見ても?」

 

そう言って永琳は新聞を投げ渡す

新聞

それだけでとてつもなく嫌な予感しかしない

というよりも、該当者が一人だけだ

受け取った新聞を見ると・・・・

 

 

永遠亭所属、八雲影陽、幻想郷最凶妖怪と恋仲!?

 

 

という見出しに、幽香が影陽に抱き着いている写真だ

 

人里の視線はこれが原因か

そのまま、新聞を破り捨てる

一回見逃してやったが・・・

またやるとは思わなかった

 

ズン

 

っと重圧があたりにかかる

発信源は幽香だ

顔はもの凄く笑顔だ

ただ、怒っていることがはっきりとわかるような笑顔だが

 

「優華」

 

声を掛けたら少し、圧を抑えてくれた

 

「永琳、これは、でまかせだ。そして、彼女は私にとって義理の娘だ、十数億年ぶりに再会できた・・・な・・」

 

その言葉を聞いて永琳は弓を下ろす

自分もそんなことを体験したばかりではないか

そういう気持ちで

 

「永琳、ちょっと妖怪の山まで行ってくる」

 

「分かったわ、急患の準備もしておきましょう」

 

「実験も許可してやる」

 

「はいはい」

 

そういう会話をして、永遠亭の中に入る

そして、すぐに必要な物を持って外へ出ると

幽香がいなかった

 

「あれ?幽香はどこいった?」

 

「一足先に行ったわよ?なんか、似合わない妖精みたいな羽を出して」

 

「やば・・・」

 

そう呟き、空間を、妖怪の山に繋げ飛び込んだ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

78話

「ふふふ、なかなかの売れ行きでしたねぇ~やっぱりああいうのはよく売れます♪」

 

射命丸は、にやにやしながら売上を計算をしていた

特に売り上げがよかったからだ

 

「いやぁそれにしてもあの二人とは・・・なかなか面白そうですねぇ」

 

射命丸は知らないが、影陽は既婚者だ。

あんまり、そう言う場面は見かけないから知らないのだ

そして新聞のせいで、矢を射かけられたことも

 

そこへ

 

「射命丸の馬鹿は・・・・どこだあああああ!」

 

怒声が山に響き渡った

それは、妖怪の山を統べる天魔の声

いつもは、物静かな天魔が出さないような声だ

 

「あやや!?」

 

自分のことを呼びながら怒っている天魔に驚き首をかしげながらも、射命丸は慌てて外へ出た

かなり昔より位による格差などはある程度ルーズになったとはいえ、上司は上司なのだ

 

「天魔様!?何事で・・・」

 

「そこか、このくそ馬鹿!」

 

飛び出し、声をかけたと同時に白い翼を持つ天狗が射命丸の頭上から逆落としをかけ

頭に拳をたたき込んだ

 

ごきぃ

 

と鳴ってはならないような音が響く

 

「あ・・・・や・・や・・・・?」

 

射命丸は衝撃とともに地面に叩き付けられ微かな声しか聞こえない

天魔は、そんな射命丸の襟首を掴み強引に引き起こし揺さぶる

 

「貴様!なんてことをしてくれた!この新聞!何所まで!誰に渡した!言え!」

 

ガクガクと射命丸を揺さぶりながら問いただす

だが、意識を失っていた射命丸は頭をゆらすだけだ

 

「起きろ!そしてさっさと何所にばらまいたか言え!回収しないとっ!?」

 

突然物凄い重圧とともに膨大な妖力が周囲を包み込む

いや、妖怪の山全体を包みこんでいた

その瞬間妖怪の山にいた全員が固まる

今まで感じたことのないものだった

いや、一度だけ感じたことがある

こんな圧力ではなかったが

 

1000年も生きていない若輩者のくせに、力だけはそれなりにあって、仲間を簡単に増やし、弱点が豊富な吸血鬼とやらが幻想郷に来て、支配しようとしたときに

八雲紫が強引に連れてきた人物!

たった一人で向かってきた吸血鬼の8割を消し飛ばした一番危険な人物

それは、あの新聞に載っていた人物と同一だ

 

天魔が意を決して顔を空へ向ける

そこには

妖精のような翼を広げ

底冷えする満面の笑みを浮かべ

傘をこちらに向けている

風見幽香の姿があった

 

まずいまずい、とにかくまずい

風見幽香があんな妖力を持っていたなんて想定外もいいところだ

そして、光淵様や八意殿よりも先に来るなんて

 

「そこにいる白い天狗・・・あなた・・・確か天魔だったかしら?」

 

これから、どうするかそれを考えていた天魔に幽香が声をかける

 

「は!?はい!?そうですが!?」

 

いつもなら、すこし偉ぶった口調だが、今はそんなこと気にする余裕もない

そもそも、そんな口調で答えたら消し飛ばされそうだが

 

「射命丸とか言う天狗は何所かしら?用があるのだけれど?」

 

「えっと・・・・これがそうです・・・・」

 

つかんでいた射命丸を突き出しながら答える

 

「そう」

 

そう、風見幽香かつぶやいた瞬間

突然生えてきた植物に射命丸がからめとられる

 

「ちょ!?なにを!?」

 

「あら?決まっているでしょう?」

 

ゾクリとする

笑顔だ

 

「二度とこんな記事、書けないようにしてあげるだけよ♡」

 

とてつもなく

寒い笑顔だ

 

「総員!退避!」

 

天魔は叫んでその場から飛び去った



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

79話

UA1万超えました
最近のUAはなんか異常な気がする・・・



「あややや・・・いったいなにが・・・」

 

射命丸が目を覚ました時、視界がひっくり返って見えた

 

「え・・・・?ええ・・・?ぇぇぇえぇぇぇぇえええええええ!?」

 

自分が逆さ吊りにされていることに悲鳴を上げた

天魔に殴られたことは理解できていた

しかしそのあといったい何があったのか

そんなことを、頭の中で考えたが、脱出しようとして気づいた

腰のあたりから、足先まで、完全に植物で絡められていることに

そして、植物というもので血の気が引いた

それを操るのは・・・

 

「あら・・・?やっとお目覚め?」

 

声が真後ろから聞こえてくる

聞いただけで背筋が凍りそうだ

 

「あ・・・あの・・・風見さん?なぜ私はこんな状態に・・・?」

 

必死に声を出し聞く

 

「分かるでしょう?新聞の件よ」

 

「あ・・・あれはいつも女っ気のない影陽さんが女の人を抱きしめてたからです!そんなことするのなんて、愛する人とかとしかないでしょう!?だからあんなき・・・」

 

ガシリと背後から大切な翼を掴まれる

その手に力がこもっていることもすぐに分かった

 

「ちょ!?なに!?・・・まさか!?やmやめてください!?お願いします!」

 

必死に声を上げ制止する

このままでは翼を失いかねない

そう本能がささやいていた

 

「そうねぇ・・・少し話を聞いてもらってもいいかしら?」

 

力を少し緩めた幽香が尋ねる

一も二もなく、その話に飛びついた

 

「はい!いくらでも!」

 

「そう、じゃあ聞いてもらおうかしら?私とお父様の話を」

 

え?

お父様って誰?

そんなことを思いながら話を聞いた

 

幽香の話はとてつもなく重く、とても壮大だ

その中に出てきた、お父様とやらがさっぱりわからないが

 

「えっと・・・幽香さんの今までは何となく分かりました・・・お父様っていったい誰なんですか?」

 

それを聞いた瞬間にまた、手に力がこもる

 

「話に出てきた人物、そしてあなたが書いた新聞、そこで出てきた人物はそろうわよ?それぐらい話を理解しなさい?」

 

それを聞いて、大混乱している頭を必死で回転させ、整理する

というより新聞に出ていたのは二人だけ

影陽と幽香のみ

ということは、お父様とは・・・・・

 

「まさか!?影陽さんのことですか!?ええ・・・」

 

ん?

ちょっと待て?

血はつながっていない、拾われて育てられた

だけど、影陽は娘のように思っている

本人たる幽香さんもそれでいいと思っている

というよりも、そうでなければならない

そんな感じだ

ファザコン?

なんて思ってしまったが、賢明にも口には出さなかった

 

 

「さて、射命丸?これから私がすることに声を出さず耐えることができたのなら、そのまま解放してあげるわ」

 

「た・・・耐えれなかったら・・・?」

 

「まあ、それでも解放してあげるわよ?まあ、どうなるかはお楽しみだけれど」

 

そのまま、幽香が思いっきり手に力をかけた

 

 

 

 

「▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇▇!!!!」

 

 

妖怪の山に悲痛な

聞いている方が恐ろしくなるような声が響き渡る

影陽が来たのはちょうどその時だった

 

「遅かったか・・・くそ・・・」

 

悲鳴の聞こえた方向に走るとそこには・・・

逆さ吊りにされ、下半身を植物にねじりつぶされ、指から腕と順番に折られている

射命丸の姿があった

 

「優華!やめろ!やり過ぎだ!殺す気か!」

 

その声で幽香はぴたりと止まった

 

「文!」

 

「文!しっかりして!」

 

幽香が止まり、影陽の方に動いたのを見て、天魔や、射命丸の友人達が一斉に駆けだし、射命丸を助け出した

 

「だめだ!完全に気を失ってる!出血もひどい!誰か!何でもいい!布を!いそげ!」

 

 

「幽香・・・やり過ぎだ、怒っているのは分かるが、やり過ぎるのも悪い、特に今の時代はな」

 

「・・・・ごめんなさい・・・」

 

暗くなってしまった幽香の頭を軽くなでる

 

「先に永遠亭に戻りなさい、今日は話すことが多そうだ」

 

そう言うと、幽香は一人永遠亭へ向かって飛んでいった

天狗は誰も追いかけない

射命丸の二の舞はごめんだ

それに、本気なんで出されたらたまらない

 

「天魔、こちらにも非がある、永遠亭で治療しよう、金はいらん完璧な治療も約束する」

 

「・・・・若干、自業自得もあるが・・・たのむ、うちじゃ翼まで綺麗には治せないだろう」

 

「感謝する、今度、父親の墓に行ってもいいか?」

 

「ああ、かまわない、父も喜ぶだろう。・・・では、射命丸のことを頼む」

 

「了解だ」

 

そう言って、最低限の止血をされた射命丸を受け取り

影陽は永遠亭へ飛んだ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

80話

「おーい!永琳!急患1名だ!」

 

能力で一直線に帰ると即行で永琳の下へダッシュした

まあ、手際のいいことで

すでに手術室で、完全武装で待ち構えていた

なんだか物凄く張り切っていた気がしないわけでもないのだが

まあ、放って置くことにした

へたに手伝うと、面倒なことになりそうだ

 

鈴仙が手伝いに残り、私は一人縁側でたたずんで、幽香の帰りを待っていた

少し待つと、フラフラと幽香が目の前まで降りてきた

そしてそのまま、抱きつく形で倒れ込んできた

 

「おい!?優華?」

 

ただ寝ているだけだった

少しため息をつきながらも、靴を脱がせ

自分の膝の上に頭をのせてやって寝かせる

少し懐かしい

優華が小さかったころ

こうやって寝かせていた

懐かしさを感じながら頭をなでる

 

だが、頭の中では別のことを考えていた

今回の優華の暴挙

怒りの原因は分かる

自分もだいぶ腹が立った

だが、優華の場合苛烈だった

それと、どこか感じていたのもの

それは見た目よりも中身があまり成長していないとでも言うのだろうか

背丈はそれなりにある

永琳に近いと思う

だけども内面は親に依存する子供のようだ

 

 

「兄さん・・・何があったのよこれ・・・・」

 

 

スキマが突然現れ紫が出てくる

 

「見たまんまだ、幽香を膝枕で寝かせてるだけだ」

 

「えぇ・・・・幽香らしさが全く・・・てかなんで幽香とこんなに仲いいの!?私かなり避けられていたのだけれど!?」

 

こっちにも説明がいるか・・・

幽香を起こさぬよう

静かに小さな声で話す

それは十数億年前の記憶

父親として過ごした時期の記憶だ

紫はその話を聞いていた

そして頭を抱える

 

幻想郷のパワーバランスが乱れすぎ

いや、永遠亭に集中しすぎと言おうか

影陽が妙に顔が広いせいで、仲がいいところが多すぎる

紅魔館とは咲夜と血で繋がり

妖怪の山とは以前治めていた実績で、それも今も人気がある

そして、

一人で妖怪の山、紅魔館をいっぺんに相手に出来るような妖怪

風見幽香

彼女も

いや・・・彼女な場合はもっとまずいかもしれない

最悪一緒に住みかねない

なんだか、今までの幽香と全然違う

どこか近寄りがたい雰囲気がない

それどころか、人見知りするような感じになっていた

 

紫がなぜここまで言えるのか

なんてことはない

スキマに隠れてストーキングしていただけだ

まあ、全くと言っていいほど動かなかった幽香が動き

妖怪の山で一騒動起こしたのだから当たり前ではある

霊夢が動かなかったのは紫が止めていたからだ

さすがに、あの幽香に霊夢を当てるととんでもないことになりそうだったからだろう

 

「どうするの?兄さん?幽香は」

 

「今日の所は泊める。あとは・・・彼女のさせたいようにさせるが・・・私があの家に通う感じで、連れ出して他人になれさせないといけない気がする」

 

面倒臭そうな顔で影陽は答える

実際の所自力でコミュニケーションは取って欲しかった

そこまで依存して欲しくない

 

「はあ・・・・兄さん・・・お願い、本当にお願い!これ以上パワーバランス乱さないで!本気で!」

 

必死な声ですがる

あんまり意味がない気がしながらも

何かあったとき、こんなにパワーバランスが偏っているともの凄い困る

さらに、永遠亭は人里とも関わりが大きいのだ

永遠亭がその気になれば一気にこの幻想郷は永遠亭の物になりかねない

後悔している

結界の管理を一部兄に任せたことを

まさかここまで、兄の影響が大きいとは思っていなかった

 

考えるしかない

少しでも、私たちが

私が押さえられるような手段を

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

81話

久しぶりにこんなに長いものを書いたな


次の日

とてつもなく騒がしく、忙しかった

 

 

 

幽香は完全にあのまま寝ていたから布団に寝かせるのが大変であった

寝かせながら、妙なことを考えてしまう

タイムマシンがあったら

優華と別れたあの時に行くだろう

そんなことだ

 

客間から出て少し、

酒が飲みたくなり酒を持って中庭へ行くと、治療を終えた永琳がいた

 

「あら?一人にしてよかったのかしら?」

 

「ぐっすり寝ているよ、そっちも終わったのか?」

 

「ええ、なんとかね。あんな治療は二度とやりたくはないわ、疲れるもの」

 

「そんなにか」

 

「そうよ、腕とか足、翼の骨ほぼ全部ボキボキよ」

 

「うわぁ・・・・」

 

「キチンと治しておいたわ」

 

「ありがとう、永琳」

 

お礼を言いつつ永琳の分の酒を杯にそそぎ手渡す

 

「どういたしまして・・・・それにしても・・・」

 

酒を受け取りつつ永琳は呟く

 

「ん?」

 

「なんか・・・家族にたとえると・・・とんでもない人ばかり、ここにいる気がするのよね」

 

「・・・・なんとも言えん・・・」

 

いわれるとその通りだ

私と永琳は十数億年生きた人物

輝夜のため、月から離反

新しく、長女的な立ち位置にいるのは・・・これまた数億年の生きた元妖精の妖怪、風見幽香

父親的な影陽の連れ子?

次女は・・・輝夜?

月の姫で不老不死

永琳が犯した罪をかぶせられ、地球に追放された・・・

三女は妹紅、元貴族の娘、輝夜への復讐のため不老不死の薬を飲む

数百年前、竹林で拾った

いや・・・年齢を考えないなら妹紅と双子の姉妹もありか?

仲いいし

咲夜は・・・重いが・・・理由があって離れ離れになり、再会できた四女?

・・・・ダメだあまりいいものじゃないぞ・・・

ていうよりカオスだ・・・

原因ほとんど私と永琳のような気がしないでもないが・・・・

 

「・・・永琳・・・とんでもない過去とものすごい人物しかいないな・・・」

 

「・・・そうよね・・・私のせいもあるけれど・・・」

 

何とも言えない沈黙が生まれる

しでかしてきたことと、今の状況に困惑が出てきたのだ

カオスすぎないかと

そういえば、紫がなんか泣きついていたな

バランスがどうのこうの

この、カオスっぷりのせいか?

今更ながら思い至る

よく考えると、なんだかんだ言いながら各陣営と仲がいいのだ

だが、今更だ

 

酒をあおりながら考える

今更なのだ、本当に

だが、なぜだろう?

とてつもなく嫌な予感がするのは

 

「そろそろ寝ましょう?明日はお客さんが来るのでしょう?」

 

そうだった

そういえば稗田阿求とそんな約束をしていた

すっかり忘れていた

幽香のことでいっぱいになっていた

 

「そうだったな、すっかり忘れていた、ありがとう永琳」

 

「そんな気はしてたわ、お客が来るのにお酒を出すなんてありえなかったしね」

 

なんとまあ・・・

自分で自分を呆れつつ、酒を片付ける

 

さて・・・明日はどうなることやら

どうせなら、平和な日常がいいな・・・・

 

 

 

と思っていたら

大騒ぎだ

次の日の昼前に稗田阿求がやってきた

射命丸はまだ起きそうもなかったので、鈴仙とてゐも集まっていた

そこで、幻想郷縁起に書くことを聞かれていたのだが・・・

幽香が乱入した

 

正確には、寝ぼけた幽香が部屋に入ってきて阿求の膝で二度寝しただけだ

稗田阿求の顔が面白かったとだけ言っておく

その後はとてもじゃないがお話にならなかった

幽香のことかなり恐れていたしな

それと、義理の親子だと言うと距離を一気に取られた

最低限のことだけをまとめて帰ろうとした

だが、その腰に幽香が抱き着いて放さない

力を込めていなかったし、抜け出そうと思えば抜け出せたのだろうが

恐ろしくてできなかったらしい

幽香を起こして、助け出した

そのことを幽香は謝ったのだが、稗田阿求はものすごい勢いで逃げた後だ

しょんぼりしていた幽香を慰めるのが大変だった

なんか、妹紅も輝夜も手伝ってくれた

 

しばらくは、幽香のコミュニケーション不足を何とかしよう

そう思った

他人と話すことがほぼなかったせいで、うまく話せないのは問題だった

誰か、普通に話せそうなのを見繕って連れてくるか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無限とも言える円柱状の空間の中心に彼はただ一人存在する

中心には彼のデスクがおかれ周りには無数の本棚が存在し全て埋まっている

そこには本棚に囲まれた男性が一人座っているだけだ

 

「相変わらず、退屈なことをしているのね?あなたは」

 

そこに、女性の声が響く

その声に男性が不快そうな顔で声のした方に顔を向ける

 

「何をしに来た、アスタロト」

 

「・・・その名前は別の奴でしょう?私の名前はそんな名前じゃないわ」

 

威圧が空間を圧する

 

「ここで暴れたらどうなるかわかってやっているのか?それと、地位はどっちが上だ?」

 

「っち、うるさいわね・・このくそ管理者」

 

そう言って威圧を引っ込める

 

「で?何の用だ」

 

「ここにいるんでしょう?始まりの混沌が」

 

「ふむ・・・確かにいるなそれがどうした?」

 

「ばか!?さっさと連れ戻しなさい!今大混乱なのは分かっているでしょう!?」

 

「どうでもいいな」

 

「だからこのくそ管理者は・・・それに常闇様まで消えたのよ!?分かって言ってるの!?」

 

「どーでもいいな、それ、それが混沌様がおられる世界だ、どうせ行く気なんだろう?止めはせん」

 

「分かっているじゃない!じゃあね!」

 

そう言って、彼女は光の弾となり、本の中に消えた

 

「行ったか・・・ちっ面倒な・・・まあ、無理だろう、もう混沌様はおられない、魂の中身は別の存在だ・・・それが、ごみの管理者の魂も混ざっているのだから面白いものよ・・・そこは、お前の墓場となる世界だろうよ、愛と美、戦、豊穣の神イシュタルよ」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

82話

前回最後に出したあいつ・・・
次あたりに出そうかね・・・月の前に・・・
魔理沙にゃ悪いが・・・憑代という犠牲になってもらおう



冬が過ぎ、リリーホワイトが飛び回る

幻想郷に春がやってきた

 

やってきた?のだろうか?

なぜか知らないが、花が咲きまくっていた

本当に謎であったのだが・・・

そんな分かりやすい異変に霊夢は飛び出していったようだが

原因は霊にあるらしい

どうも60年おきほどで起こるものらしい

別にどうでもいいことだが

外で大量の人が死んだからとか

 

で、本当にそんなことはどうでもいいという感じで永遠亭は回っていた

何故か?

四季折々の植物や花が咲き乱れている

つまり

季節に少ししか取れない、薬の元となるものがそこら中にあるわけだ

採集しないわけがない

今、永遠亭はチビイナバ、鈴仙、てゐ、輝夜に妹紅、影陽、お願いして魔理沙も借り出して採集を行っていた

後は・・・

幽香にもお願いしての採集だ

元々から植物の扱いには慣れている

どのあたりにどの植物があるか知っている

鈴仙やイナバに場所を教えてほしいとお願いしていた

ここ数か月で何とかある程度まで他人と会話できる程度まではなっていた

とはいっても

それなりに仲のいい子はいたようだが

 

・・・・その子の場合たまたま近くで生まれたての付喪神らしい

幽香のことを知らないから

実際に話す幽香しか知らないから仲がいいのだと思っている

 

影陽は今日、幽香の家に来ていた

なんだか嫌な予感があったのと

単純に幽香のことが心配になっただけだ

なんだかんだで・・・親ばかな気がする

 

永琳も・・・

時々抜け出して紅魔館に行っているようだ

この間咲夜から話を聞いて把握している

ばれてるのか・・・本人に・・・

 

花咲き乱れる道を幽香の住む家へ足を進める

すると視界がだんだん黄色に染まる

無数のひまわりが丘中を埋め尽くしていた

なかなかに壮観である

ただ、季節が夏でないことが少し惜しい

 

少し残念な気持ちで家に近づくと

 

「人間がこんなところに何の用だ!」

 

可愛らしい声が聞こえてくる

ふと、目線を下におろすと門のところに小さな子供がいた

ウェーブのかかったショートボブの金髪に赤いリボン

赤と黒を基本としたドレスのようなものを着ている

背は・・・子供というより人形だ

と言うことは、あれが仲良くなった付喪神とやらか

 

「君は・・・確か・・メディスン・メランコリー、かい?」

 

「・・・なんで名前を・・・」

 

「幽香が話してくれたからな」

 

「・・・・」

 

黙ったところで幽香が出てきた

 

「あら、お父様?いらっしゃい」

 

「え?」

 

「あら、メディも来たの?ふふっ、紹介するわ、彼は私の義父、八雲影陽よ、それと人間ではないから大丈夫よ」

 

「・・・・」

 

「嫌われたかな?まあ、ちょっと胡散臭いだろうしなぁ」

 

「そんなことないわよ?お父様?それで今日はなにか?」

 

「ああ、ちょっと様子を見に来たんだ、霊夢が突撃したとか聞いたからな」

 

幽香のもとにあの巫女が突撃したと聞いたのは最近だ

本人もこの間会ったときは何も言わなかったから知らなかった

 

「ああ・・・少し仲良くなって・・・少し脅かしたかったから・・・」

 

少し照れながら話す幽香

可愛らしい

そんな幽香の様子にメディスンは目を丸くしている

 

「まあ、仲のいいやつが増えたのはいいことだ」

 

安心して、話を切り上げる

あまりこっちに時間をかけると永琳からの嫉妬の視線がつらいのだ

それと、忙しい採集の手伝いもしなければならない

 

「じゃあ、私はこれで、そのうちメディスンも連れて遊びに来い」

 

そう言い残して永遠亭へ戻る

少しでも平和な時間が続くことを祈りながら

 

 

 

 

「ふふ・・・この子は良さそうね・・・」




ちょい主人公の詳しい解説を
無茶苦茶な設定なんだよなぁ・・・ほんと・・・
何でこんなもの書こうと思ったのか・・・
能力も公開ほとんど使ってないモノもある気がするけど

八雲影陽 又は 八雲光淵

影陽は元々の名前、光淵は偽名であったが名前の無き魂の名前となる
元々影陽は生まれるはずのない者であった
生まれることなく死ぬ存在であった

それを救ったのが光淵という存在
彼は、影陽の世界とは別の世界線から来た
幾多に枝分かれする世界の大本に近い世界
そこの世界の始まりの存在
宇宙の始まりより存在した混沌の魂
ただ、なにもないことに飽き、逃げだし追っ手から逃げるため、歴史の管理者のもとにいた消された世界から回収された神具を管理する無垢な魂を奪って逃げた
逃げた世界で見つけたのが影陽である

油断して、影陽の生きようとする力に引っ張られて影陽の体に憑くことになる
だが、好都合なことにうまく影陽の魂をすりつぶさずに憑くことができ、追っ手をまくことに成功する
ただし、このせいで、人としてあり得ないような髪の色と瞳になる
また、現れることのない能力を開花させる結果となる
義妹となったマエリベリー・ハーンの能力は他の世界が足り者を補おうとした結果覚醒
ただし、影陽の近くにいたため覚醒は遅れる
覚醒したメリーは今の世界へ拉致られる
蓮子は・・・まだ内緒

影陽は死にかけたところで光淵が能力を使用しメリーの世界の始まりまで飛び、そこの始まりの光の魂を得る対はルーミア

光淵はもう彼の中にはいない
限界の来た影陽の魂に自分の全てを受け渡し消滅した

能力について

「空間と重力と時間を扱う程度の能力」光淵の能力宇宙の始まりの魂にふさわしい?

「原子を操る程度の能力」光の魂が持つはずであった能力、奪ったとも言う

「魔法を使う程度の能力」影陽の能力、ただし聖と同じく身体能力強化に特化

「技能を写す(コピー)する程度の能力」歴史上の人物の動きを完全に模倣する能力

「世界の廃棄物を扱う程度の能力」神具を管理していた無垢な魂の能力、無垢な魂を使

用していた管理者にとっては神具であろうとただの廃棄物でしか無かった(fate的にギルガメッシュのものの上位互換、複数の世界をまとめて管理していたため重複がかなりあるのが特徴)

ただのチートだよなぁ・・・・
まあ・・・へたくそだからチートで補っているとも言うのか・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

83話

オリジナルの異変?というより事件かな?
その序章
まあ、最初にだいたいどれくらいか分かるか

投稿かかなり遅くなると思います
ご了承ください


それは突然やって来た

 

ある意味幻想郷が滅びるかと思うほどのものだった

 

本当に神という者はろくでもない

それを考えさせられるような異変

いや、もはや事件と言うべきものだった

 

特に魔法の森の半分が吹き飛ぶ被害だ

人里にも少し被害が出た

後は・・・即座に修復したが

博麗大結界の一部が破壊された

本当にとんでもないことをしてくれる

そして一番の人的被害は・・・・

人里の住人十数名死亡

その倍の数が重軽傷

天狗、白狼天狗にも死者多数

幽香は霊夢をかばって意識不明の重体

アリスも意識はあるが重傷

魔理沙の師匠という、悪霊魅魔も重症

紫も霊夢のサポートでボロボロ

霊夢は何とか軽傷

 

そして・・・・

目の前で死んだように

蒼白の顔で眠る

成長し、扇情的な姿の霧雨魔理沙

 

 

全部、私がここにいることで引き起こされた被害だ

原因たるクソ女神の魂はひき潰したから二度と現れないだろうが・・・・

私が、ここに

この世界にいて、いいのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

縁側で一人、春の気持ちのよい日差しに当たっていた

いや、一人ではない

すぐ横の座布団で丸くなって寝ている子が二人

メディスンとスーさんと呼ばれている妖精?だ

幽香が永遠亭に薬草を持ってきて、一緒についてきたのだ

初めて見る景色に興奮して楽しんだのか

幽香が永琳から特別授業を受けている間に、寝てしまって幽香がここに寝かせたのだ

最近、幽香はよく永琳にいろいろ教えて貰っているらしい

そして、鈴仙よりも覚えがいいとか・・・・

鈴仙が涙目で相談してきたときに聞いた

・・・少し・・・その相談内容に呆れはしたが・・・

 

その教えて貰った知識や技術で何度か人里の手助けをしたとも聞いている

少しでも幽香への誤解が解けるといいと願う

難しいかもしれないが

 

もぞもぞとメディスンが身じろぎをする

 

そろそろ起きるかな?

うーん・・・何か子供にあげるようなお菓子でもあったかな・・・?

 

メディスンをみながらそんなことを考える影陽だった

 

 

 

 

「全く・・・あんまりうまみのない異変だったわね、今回は」

 

博麗神社で参道の掃除をしながら、霊夢が呟く

 

「まあまあ、そんなに怒らなくていいだろ?仲良くなったヤツもいるんだろ?」

 

萃香が瓢簞から酒を飲みながら答える

 

「まあ、妖怪の山を脅したあの凶悪妖怪がね・・・本当はあんな性格のヤツとは思わなかったわ、それだけにあの事件は・・・それに永遠亭の影陽の・・・」

 

「霊夢」

 

萃香が鋭い目線で止める

 

「なによ」

 

「その新聞、作ったヤツ・・・あの妖怪に死ぬ寸前までに追い込まれて今も、自分の家でガクガク震えてるんだぞ・・・妙なことを言ったらえらい目に遭う・・・それに・・・」

 

「それに?なによ鬼でも怖いの?」

 

「当たり前だ!あいつ!影陽に可愛がられて育ったヤツなんだぞ!私たちからすれば恩人の養子だ!その上!私なんかより十数億年上で格上なんだぞ!怖いわ!」

 

萃香は影陽とつながりがあり、その上でかなりの実力のある幽香はなかなか恐ろしいらしい

影陽が育てたという時点でアレなのかもしれないが

 

「紫が必死に止めていただろう?あの時幽香の圧力に恐れをなして、妖怪の山にいたほとんどの妖怪、逃げ出したからな!?天魔を含めて!」

 

逃げ出してきた天魔と話でもしたのか、くわしい話を聞かせてくれた

それに、影陽とも話したらしい

幽香はあの時、弾幕ごっこなど完全無視だったなどだ

完全に巫女として止めにいかなけらばいけない事案のはずなのだが・・・

 

「ねえ・・・それ完全に私の仕事よね・・・・?」

 

「あれはダメだ・・・霊夢の実力じゃあの本気の花妖怪は止められない、博麗大結界も震えていたらしいからな?」

 

「はあ?なによ!私が弱いって!?」

 

「いやぁ・・・ねぇ・・・弾幕ごっこにゃあいいけれど・・・ガチの戦いにはちょっとね・・・」

 

「へぇ~・・・」

 

そう言いながら札を構える霊夢

萃香は即行で逃げ出した

 

 

 

「うーん・・・この薬草凄い物だったのか・・・・」

 

「私も知らなかったわ・・・さすがとしか言い様がないわ」

 

魔理沙はアリスの家で永遠亭で教えて貰った薬草のことをアリスに話していた

自分も知らなかったことだ

なかなか興味深い物だった

今度、パチュリーの所にも行ったときに話そうか

そう思う

 

「さて、私はそろそろ帰る、またな、アリス」

 

出されていた紅茶を飲み干しアリスに挨拶をする

 

「またね、魔理沙、頑張りなさい」

 

それにアリスが答え、魔理沙を見送った

魔理沙は箒にまたがり、自分の家に帰っていった

 

 

 

「問題は・・・この世界にもあの子がいるかどうか・・・いるならば・・・兄に嫌われようと・・・必ず・・・墜とさなければ・・・こちら側に・・・」

 

 

 

おのおのが、普段の日常、これからの計画を立てていた時

それは来た

 

 

「これは!?」

 

「っげ!?」

 

「・・・まずい!?」

 

博麗大結界が突破された

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

84話

結構遅くなったなぁ・・・・
申し訳ありません
どうも筆がのらず・・・・


久々に神社にまで散歩ついでに参拝してようやく筆が進み始めた感じです
やっぱり夕方・・・いや夕方になる少し前の自然に囲まれた神社はなかなかいい雰囲気です

それなりに大きい神社でしたのでおみくじを引いたら大吉でした

運が向いてきた?んでしょうかね?
4月からの新生活に向けて準備が忙しいです
何枚書類がいるんだ・・・・
まあ・・・4月までいけるところまで頑張ります


博麗大結界が突破されたのに気が付いたのは

 

八雲紫

 

博霊霊夢

 

八雲影陽

 

の3人だけだった

 

と言うより

博麗大結界の管理を3人が分担しているようなものだ

何かが強引に、結界を破って入ってきた

即座に反応した

と言うよりもイヤでも気づく

そして、その様子で反応したのは近くにいた者達だ

 

紫が藍と霊夢、萃香をピックアップして真っ先に結界の破られた現場に向かう

何が侵入したのか気にはなったが

それよりも結界が心配だった

 

 

影陽は・・・

記憶の底に眠る、光淵の記憶を呼び起こす

結界を破って入ってきたとき

微かに感じた力

それは・・・

一番面倒臭い女神のものだ

美の女神の原型

悪魔アスタロトの原型

そもそも女神でありながら、その後、悪魔の原型になっている時点でお察しのヤツだ

 

「場所は・・・・だいたい魔法の森あたりか・・・・魔理沙が心配だな・・・」

 

心配に思いながらも魔理沙のことを切り捨てる

もう一人、同じく魔法の森に住んでいる、アリスは逃げられるだろうと考えて

 

本当にあの女神が来たのであれば・・・

準備しなけらばならない物が多すぎる

そして・・・私の持つ世界中から集められた宝具

それですら効かない可能性がある

世界の分岐

大木の如く枝分かれした世界

その大本に近い世界から来たあのくそ女神に効く宝具なんて限られる

大本に近づくほど神の力は増す

本体に近いからだ

その神聖を貫くものなどあんまりあるわけではないのだ

 

すぐに準備しなければ・・・

面倒臭い顔をしながらも

影陽は自身の空間に入っていった

おそらく私にしか対処できないから

それにしても・・・

何をとち狂ってこんな末端にまで来たのやら

頭が痛い

 

その様子を永琳からの指導を受け終わってメディスンを迎えにきた幽香がじっとみていた

 

 

 

 

「ふう・・・なんとか修復、終わったわね」

 

「そうね・・・それにしても一体誰が・・・」

 

「分からないわ、でも、とんでもないヤツって言うのは確かよ、微かだけど神の気配かしら・・・」

 

「多分そうよ、だから一応萃香と藍を連れてきたのよ、何者かは分からないけれど」

 

「神ね・・・大丈夫なの?結界を壊して入ってくるなんて」

 

「あんまり・・・藍、近くにそれらしきヤツはいる?」

 

「いえ・・・すいません・・・結界修復の力のせいで全く・・・申し訳ありません」

 

申し訳なさそうに藍が頭を下げる

 

「まあそうね・・・」

 

「いるとしたら・・・真下の・・・・」

 

霊夢が真下を見ながら呟く

皆が下を見るとそこには広大な魔法の森が広がる

 

「あそこでしょうね」

 

3人とも頷いた

 

 

 

 

「ぐあ・・・・あっぁあ・・・・」

 

森の中、魔理沙はうずくまり苦痛の表情でもがいていた

 

自分の家にあと少しというときに

突然、頭の中に自分ではない誰かの声が響いた

そして、自分の体が言うことを聞かなくなり、その場に倒れた

その直後から、どんどん視界が狭まっていく

そして

自分が押しつぶされていくような感覚が襲う

その感覚に魔理沙は必死に抗っていた

 

 

[光栄に思いなさい!貴方はこの私に選ばれたのよ、女神であるこの私の依り代に!大人しく体を明け渡しなさい!魔女のまねをする人間]

 

その声が響いた瞬間

完全に体の感覚を失い、魔理沙は暗闇へ放り出された




ああ・・・パソコンの持ち込みは厳禁でしたので

投稿は・・・・スマホで出来たらします

期待しないでください

下手すると1年くらい投稿できないかも・・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

85話

キャラ多くし過ぎたなぁ・・・今更だけど

FGOイベント連続って何事ですかね・・・
めんどい・・・
セミラミス来たからうれしですが・・・
ああ・・・でも式ほしいから頑張らないとなぁ・・・・



魔理沙を見送ったアリスが家に入ると即行で扉を閉め、鍵をかけ、逃げ出した

 

「おいおい、なんで逃げるんだ?アリス?」

 

壁をすり抜けてすぐにアリスの肩をつかむ

 

「貴女がいるからに決まっているでしょう!?なんで私の家にいるの魅魔!」

 

アリスが声を荒げながら抗議する

 

昔、メイド服を着せられメイドの仕事をさせられた嫌な思い出があるからだ

いじりにいじられたとてつもなく嫌な記憶

そしてこの悪霊はあのフワフワした親とも仲がいいのだから、余計にたちが悪い

 

「な~に今回は神綺からお前宛の手紙を届けに来たのと弟子の様子を見に来ただけさ」

 

魅魔と呼ばれた緑の髪で青いセーラー服を着た悪霊は笑いながら答えた

 

それに驚いたのはアリスの方である

 

「手紙!?いや!それより弟子!?だいぶ昔に魔理沙って子をを弟子にして老衰で死んでからもう弟子は取らないって・・・」

 

「いや、手紙の方を気にしてほしいねぇ・・・」

 

「あの親の手紙の中身は想像がつくけれども!弟子の方が未知数で気になるわよ!?」

 

「あんたもなかなかひどいこと言うねぇ・・・気持ちはわかるけれど・・・」

 

ここに来る時にギャンギャン泣かれて来たことは内緒にしておく

余計に酷いことになりそうだと思ったからだ

それに、あんなのでもそれなりに仲のいい友人でもあるのだ

いじりやすいし、反応が面白いからでもあるが・・・

 

「それで?誰なの?弟子って?」

 

ジーっと目をそらさず見つめてくる

逃げようかと思ったが、さっきの仕返しか既に人形に包囲されていた

 

「・・・魔理沙」

 

「え?」

 

「魔理沙だよ、さっきまでいた、あいつが弟子だよ」

 

「ええ!?」

 

魔理沙の師匠が魅魔!?

なに!?

歴史は繰り返すってこと!?

 

「うーん・・・小さかったあいつに押し切られてなぁ・・・名前も同じだったし・・・それに・・・」

 

「それに?」

 

「感じた魂の感じが似てたんだ・・・それで・・・ちょっとな・・・」

 

その時だ、ほんの一瞬、何か嫌な感覚がその場に流れたのは

 

「何?今のは・・・」

 

「魔理沙・・・?」

 

魅魔は微かに今の流れたもの中に魔理沙の魔力を感じた

 

 

 

妖怪の山

今、その山は緊張状態にあった

風見幽香が一人妖怪の山を訪ねてきたからだ

彼女が妖怪の山を恐怖に陥れたことは記憶に新しい

いまだに数十人復帰できていないうえに、当事者たる射命丸文は家に引きこもり今回、幽香の気配を微かに感じただけで発狂してしまった

今まで引篭りと言われていた友人の姫海棠はたてがそばにつきっきりだ

意外ともろい子だったのだろうなぁ・・・

天魔はそう思う

逆に犬走椛は次の日には復帰していた

時々あわあわして可愛らしいが、神経は河童の鉄で作った紐、ワイヤーだったか?

それ並みにタフなのだろう

私と変わってほしいぐらいだ

これから、風見幽香と会うのだその精神力を分けてほしい

 

「天魔様、風見幽香様をお連れいたしました」

 

「はいりなさい」

 

そう声をかけると、ふすまが開き、いつもの赤いロングスカートに白のシャツ、その上から赤いベスト

いつも通りそう思いたかったが

その表情は少し険しいものだった

 

「立ち入りを許可してくれて助かるわ天魔」

 

「いや、それぐらいは・・・ところで・・・一体何用で?私に面会を求めるなど・・・謝罪はこの間受けたばかりであるし・・・」

 

「お父様・・・影陽が能力を使ってどこかへ消えた・・・」

 

その言葉を聞いて天魔は顔色を変えた

影陽殿が能力を行使するなどめったにないことだ

それに必ず、誰かに何があったか教えてくれるという

だがそれもなく、突然の能力行使

何か緊急のことが起きたのか

 

その時突然、スキマが開き中から八雲の式の九尾が飛び出してきた

 

「天魔殿!突然失礼・・・・風見幽香!?」

 

「まあ・・・驚いて当然か・・・何があった藍殿」

 

「失礼・・・侵入者です、博麗大結界の一部を何者かが破壊し侵入しました」

 

「それか!」

 

「え!?」

 

話がつながる

影陽殿が能力を使ったのも理解できる

 

「天魔殿には悪いのだが・・・兵を出してもらえないだろうか・・・?」

 

「なぜだ?我々は基本的に中立、手は貸さないといったはずだが?」

 

「影陽殿のおかげで現在の博麗大結界は、苗床を無限に増やしていくような生き物や、悪意のあるもの、生きるため以外で人を殺したものは神であろうと入れないような強固なものになっている」

 

「・・・・人食い妖怪はどうなるんだそれ?」

 

「入れる、生きるために人を食うのだからな、そして、分かっただろう?」

 

「ああ、理解した、すぐ準備をする、だが・・・影陽殿の結界を破るような者を相手にどこまでやれるかは・・・保証できんぞ」

 

「かまいません、危ないと思ったら逃げていいと・・・ただ、見つからないから探すのを手伝ってほしいと」

 

「分かった、確かに適任だろう、影陽殿も動いているようだしな、場所は」

 

「魔法の森です、ご協力感謝いたします」

 

「私も行くとしましょう、かまわないでしょう?」

 

「あ、ああ・・・」

 

風見幽香も同行する

ある意味ほぼすべての最大戦力がそろうことになる

今回、紅魔館には声をかけていない

あそこは夜にならなければほとんど動けないからだ

 

後でうるさそうだが・・・

すぐにでも片付けておきたい案件だ

戦力にならない者は入れられない

妹の方は手を借りたいが・・・

 

「では、私はこれで、よろしくお願いします」

 

そういって藍はスキマに戻った

 

「大天狗!足の速い者と戦いなれた烏天狗、白狼天狗を集めろ!侵入者捜索に当たる!私も出るぞ!」

 

「は!」

 

すぐに出撃の準備を下す

天魔がいない間は大天狗に任せる手はずだ

 

「私も一緒に行くわ、かまわないかしら?」

 

「了解した、感謝する」

 

数分後、天魔と幽香に率いられた天狗が山から飛び立った

 

 

 

「あまり、いいものはないな・・・・使えそうなのは・・・お!冥界の魂の檻か・・・あとは・・・神性を貫けるもの・・・・」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

86話

遅くなってしまいました・・・
でも、今後はこんな風に間が空くと思っていてください

通信が届かない場所に行く可能性が高いので

頑張ってこの異変ぐらいは3月中には終わらせたいな・・・・


「さっきのは一体なんだい?紫」

 

「分からないわ・・・でも・・・あまり良くないもののような気がするわ」

 

「同意するわ・・・それに・・・とても嫌な予感がするわ」

 

霊夢の勘、いや、博麗の巫女の勘はよくあたるのだ

だからこそ

藍を妖怪の山に送り支援を要請した

かなりごねられるかと思ったが、幽香がどこかに行く影陽を目撃し探しに妖怪の山を訪れていたため、本人を含めすぐに送ってくれた

追加で幽香もやってきたが

 

妖怪の山における兄の影響力がよくわかる

八雲紫の要請であればかなりごねられていただろう

兄がからむとこちらの話がすぐ通って楽だ

影響力が強すぎることは困ったことではあるのだが、こんな時に役に立つのだから何とも言えない

おまけで風見幽香という規格外も追加だ

彼女の行動はまったく読めないのだが、私のスキマを素手で粉砕するほどの戦闘力だからそれくらいは目をつむらねばならない

 

霊夢と一緒に魔法の森を探索しながら思考を巡らせる

これからのことがどう影響するのかも考えなけらば

それにしても・・・兄はどこへ行ったのだろう?

 

 

 

「椛中隊長!こちらの捜索は終了です!」

 

「お疲れ様です!今日はこれまでとします。休んでください。もう一度言いますが見つけても決して刺激しないように!見つけたら報告を、攻撃を受けたらすぐに逃げなさい部下にもよく言い聞かせるように」

 

「はっ!」

 

その言葉を受けた白狼天狗が返事と共に部下を連れ、休息へ向かう

 

「どうだ?犬走捜索は」

 

天魔が背後から声をかける

 

「はっ!いえ、発見の報は全く・・・それに・・・そろそろ日没ですので・・・今日は人里に近い森の捜索にあたっている部隊が戻ってきたら中断しようと思います。さすがにこちらに地の利があるとはいえ、なれない魔法の森です、相手の実力が分からぬ以上今日は・・・」

 

「うむ、了解した、夜が妖怪の本分なのだろうが・・・今回はなぁ・・・犬走お前も休め」

 

「部下が戻ってきたら・・・・」

 

その時だった

明るく眩い閃光が瞬いた

 

 

 

二人、いや、その周りにいた天狗たち、別の方向を探索していた紫と霊夢、萃香が目撃し、森の奥に向かった幽香、魔理沙の家に向かっていたアリスと魅魔がその振動と魔力を感じていた

 

「この魔力は・・・!?」

 

「魔理沙!?でも・・・なにこれ!?」

 

魅魔もアリスも異常に気が付いた

魔理沙のすっきりとした魔力ではない

魔理沙の魔力とは分かるが・・・・別のどこか濁った、どこか嫌な魔力を感じる

人を見下すような・・・そんな感じだ

 

「あっちか!」

 

魅魔がものすごいスピードで光線の放たれた方へ向かう

 

「待って魅魔!?」

 

 

「紫・・・」

 

「ええ・・・今のは・・・魔理沙の・・・」

 

「おいおい・・・どうなってんだ?」

 

紫がスキマを開いた

 

 

 

 

その光線はまっすぐ人里へ伸びていき・・・

何んもの人が見ている前で家を人を・・・すべて飲み込み消し飛ばし

光線に飲み込まれた家や人は

丸々一区間すべて消し飛ばした

 

 

「なによ・・・これ・・・」

 

スキマから見えた人里

いつもの里ではない

1カ所、地面をえぐり、横断するように人里の一部が消え去っていた

そこに人が集まり大騒ぎになっている

 

「人里が・・・」

 

「行くわよ霊夢・・・きっと近くにいるはずだから」

 

「ええ・・・」

 

 

 

 

 

「永琳!出来たー!」

 

メディスンが切ったばかりの野菜を見せてくる

 

「うん、上手に出来ているわ、それをお皿に盛り付けてくれる?」

 

「うん!」

 

とてとてとメディスンはお皿を取りに行く

面倒をみていたはずの影陽がどこかへ行き、保護者である幽香もどこかへ行ってしまい

メディスンを泊めることになった

そして、永琳がちょうど料理を担当する日でもあったため、メディスンに料理を教えていた

料理を作りながら永琳は考える

影陽の行動を

 

きっと何かあったのだろうとは思う

だが、誰にも言わずに出て行くのはどうだろう?

嫌がらせに苦手な物でも料理に仕込んでおこうか?

などと真面目な考えをしていたはずなのに、くだらないことに思考が流れてしまう

そういえば・・・あの人は苦手な物などあったかしら?

 

 

まだ、永遠亭は平和だった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

87話

「こっ・・・これは!?」

 

椛と天魔達が現場に到着したときそこは惨状だった

森から人里まで1本の大きなくぼみが出来上がっていた

そのくぼみと森の境目に部下の姿を見つける

 

「おい!無事か!?」

 

「しっか・・・・うっ!?」

 

「ぐっ!?・・・これは・・・」

 

近づいた二人が見たものは

 

体のほとんどを消し飛ばされた部下の姿だった

そしてその数も片手で足りるほどしか見当たらない

直撃し完全に消えてしまったのだろう

 

「誰が・・・こんなことを・・・」

 

「決まっている、侵入者しか、いないだろ・・・・っち、だが、とんでもなく強くて最低な奴なのは確かだろうね」

 

 

「天魔様!いったい何を・・!?これは!?」

 

「見ての通りだ!近くに必ずいる!警戒しろ!」

 

天魔の言葉ですぐに周囲を警戒する天狗たち

そこへスキマが現れる

 

「天魔、どうなって?」

 

「部下が1個中隊分壊滅だ、くそ・・・」

 

「人里も・・・そのあおりで一区間消し飛ばされて阿鼻叫喚の大惨事になっているわ、それに霧の湖まで達していて、水が人里のところまで流れ込んできてるわ」

 

どんな威力だよ

そこにいた全員がそう思った

 

「霊夢の結界でも・・・無理でしょう、私のスキマでも耐えられるか・・・」

 

「「「「はあ!?」」」」

 

紫のとんでも能力でもあの攻撃に対処できない?

博麗の巫女の中でも最高の結界を扱うことのできる霊夢でも無理?

どんな威力だ!?

 

「威力が強いだけじゃない、かなり強い神性を感じたわただの剣なんかは当たっても傷一つ、つかないかもしれないわ」

 

「・・・おい・・・八雲、それはつまり・・・神ってことか!?」

 

「それも、かなり上位よ、信仰の強いね」

 

 

「あら、貴女は分かるようね、でも、穢れた化物風情なのは問題かしらね、まったく早くここから出ていきたいわ」

 

聞き覚えのある

いや、聞き覚えがあるどころではなく、誰もが知っている声が頭上から聞こえてきた

誰もいないはずの空から

 

その場にた全員がバッと空を見上げる そこには

 

宙に浮く、巨大な弓のようなものに優雅に腰掛け、その場にいる者を見下すような目で見つめる魔理沙の姿があった

 

 

「ま・・・魔理沙?」

 

「へえ、魔理沙と言うのねこの体、それにしても、この体の知り合い?おかしいわね、魔女だから知り合いなんて、ほぼいないと思ったのだけれど失敗だったかしら?」

 

あまりにも魔理沙の口調ではない

霊夢がお祓い棒を突きつけ話しかける

 

「あんた、何者?いや、あんたが侵入者ね?さっさと魔理沙から、いや、この幻想郷から出て」

 

「黙りなさい、人間」

 

その言葉だけ

たったの二言

それだけだ

それなのに彼らは動くことも話しかけることも出来なくなった

言葉に乗せられた神力に抗うことさえできない

 

「魔理沙!?」

 

「魔理沙!?何をしているの!?」

 

魅魔とアリスがそこへ駆けつける

 

魔理沙の姿をしたナニカが二人に目を向ける

 

「うわっ!なんで悪霊に魔人なんているの!?この世界最悪ね、あの御方を見つけて帰るときには滅ぼさないといけないわ」

 

聞き捨てならない言葉が出てくる

だが、いまだに最初にいた者は誰も声を出せない

 

「・・・貴女・・・魔理沙じゃないわね・・・いったい・・・誰?」

 

アリスが人形を展開しつつ問いかける

隣では魅魔も自分の武器を取り出し構える

だが、ナニカが答えることはなかった

 

答える前に

ナニカが声を出す直前

1本の剣が魔理沙の胸から生えたから

 

「がふっ!?」

 

魔理沙の口から血が噴き出す

 

「「「な!?」」」

 

同時に霊夢たちにかかっていた呪いも解ける

 

そして魔理沙の背後に見覚えのある人物が姿を現した

 

「全く、面倒な女神が来たものだな」

 

影陽だった

魔理沙が刺さったままの剣を乱暴に振り、魔理沙を地面にたたきつける

そしてそこに無数の二股の槍が降り注ぐ

 

「ちょ!?何を!?魔理沙を殺す気!?」

 

霊夢が叫ぶ

だが、彼は槍を打ち込むことをやめない

 

紫がスキマを使い強引に彼を自分たちのところに連れてきてようやくやめた

 

土埃で魔理沙の姿は見えない

 

「何をする」

 

「なにをする?ふざけないで!?中にいるのが誰かは知らないけれど、体は魔理沙なのよ!?」

 

「あれはもう、魔理沙じゃない、魔理沙の魂はもうあいつに取り込まれ消えた」

 

「・・・・え?」

 

その時だった

土埃を引き裂いて光線が霊夢に向かって伸びる

気が付いた時には、スキマも間に合わない距離だ

貫かれる

誰もがそう思ったとき

影陽の視界に、赤いチェックの服が映る

 

そして、鮮血が飛んだ

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

88話

ドサリ

 

そんな音が響く

そこには・・・

左半身を失った幽香が霊夢を下敷きに倒れていた

幽香から溢れる血が霊夢を真っ赤に染め上げ

地面に赤い水たまりが広がる

 

「ゆ・・・幽香!?」

 

「幽香!?しっかりして!?」

 

紫と下敷きになった霊夢が幽香を抱え起こし必死に声をかける

 

影陽は幽香を見ずに土煙の方に目を向けたままだ

だが、彼の出す威圧が今まで感じたことがないレベルまで跳ね上がる

 

「やってくれるな・・・悪魔が・・・」

 

先ほどと同じように武装を展開し構える

 

しかし、土埃が晴れたその場所に思いがけない姿で攻撃した者がいた

 

魔理沙の姿をしたそいつは

膝をつき頭を下げていたから

 

「ここに居られましたか、混沌の君、さあ、早くこんな消え失せる末端の世界から元の世界に戻りましょう?」

 

「・・・」

 

「どういう・・・?」

 

「兄さん・・・?」

 

霊夢と紫の目線が影陽に向く

いや、全員の目が向けられた

 

「少しだまりたまえ、アスタロト」

 

「混沌の君、私はイシュ・・・」

 

「黙れ、我が娘をも傷つけるやつなど悪魔の名前で十分だ」

 

「っ!?」

 

凄まじい重圧が彼女にかかる

全く動けないほどだ

しかも、重圧はどんどん強くなっていくばかりで耐えることしかできなかった

 

その間に紫が幽香にできる限りの治療を施す

もちろん周りにいる者も手伝った

結界を最大限に張って

まあ、ないよりはまし程度の考えだが

かなり上位の悪魔の名前が出てきたのだから自分たちではとてもじゃないが相手にならない

だが、皆の疑問は別にあった

魔理沙の体を奪った存在からは神性しか感じない

幽香の傷の治りを遅くしているのもまた同じだ

それもかなり強力な

妖怪とは対極に位置するその力は強力だ

かなり強い幽香がこの状態なら、他の妖怪は近づくこともままならないだろう

 

 

「兄さん、このままじゃ幽香が・・・」

 

「大丈夫だ、その程度じゃ優華は死なない、私が100年以上育ててきた子だ、あいつの神性程度でやられる魂じゃない」

 

事実ゆっくりとだが回復している

それに・・・ばれない程度に優華に力を渡し、こびりついた神性を洗い流していた

 

少し優華に目を移した時、影陽は気が付いた

一人足りなくないか??

 

アリスもこちらにいる

だが・・・アリスと共にいたもう一人がいない

 

「・・・アリス、一緒にいたやつはどこ行った?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「あ?」

 

誰もその存在に気を留めていなかったようだ

 

「魅魔!?どこに!?」

 

 

「あああああああああああ!!!!!!」

 

「この!?何を!?」

 

 

叫び声と驚愕の声が響く

それは、さっきから動けなかった人物のところから

 

魅魔が魔理沙の体を奪った者と組みあっていた

 

だが、魅魔は、神に近い存在とはいえ悪霊

肉体はない

ある意味、魂だけの存在だ

 

悪霊と神

 

相性は最悪だ

 

想像を絶する激痛が魅魔を襲う

 

だが、決して魅魔は手を離さなかった

 

大切な弟子

いや、娘のような魔理沙を助け出すために

 

そのまま、激痛に耐え憑こうとする

 

「魔理沙ああああああぁぁああぁぁ」

 

 

 

 

 

何も見えない

何も感じない

ただ、真っ暗だ

だんだんと考えることすら億劫になてくる

闇に全てを任せようとしたその時だった

 

「まりさあぁぁぁぁぁ・・・・」

 

声が聞こえた

 

それは・・・

魔道に手を染め親に捨てられた私を育ててくれた師匠の声

 

一人前になるまで会わないそう、約束した

師匠の声

 

その声の聞こえた方へ

魔理沙は進む

何も見えない

感じない

だが、聞こえた声だけを信じて前に進んだ

 

そして・・・

 

 

突然光が魔理沙を包みこんだ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

89話

「・・・うーん・・・・マジかー・・・」

 

気が抜けた、呆れたような影陽の声が響く

敵を前にしながらもそんな言葉しか出てこない

周りのメンツは何が起こっているのかさっぱりだろう

 

 

消えたと思っていた魔理沙の魂が体から抜け出してきた

 

 

単純なことだが

なんとまあ・・・師匠が師匠なら弟子も弟子か

なんて無茶苦茶だ

神の消し去ろうとする圧力に耐え、自分の体から抜け出してきた弟子

自分にとって相性が悪い、そもそもただの悪霊なら、近づくだけで存在そのものが消えかねない

なのにあの悪霊は弟子のために、根源に近い世界から来た格上の神に触れ、弟子を助け出した

称賛に値する

 

それにしても・・・なぜ、魔理沙の魂がまだ、残っていたのだろう?

女神の慈悲か?

気まぐれか?

うっかりか?

まあ、どれでもよい

 

どうせなら、慈悲ということにでもしておこう

一応あれでも、地母神の原点でもある

まあ、悪魔の原点でもあるのだが・・・

 

 

 

・・・・・・・いや・・・違うか・・・

 

 

 

目的があって消さなかっただけか

 

 

 

 

 

魅魔が若干、ふらつきながらも全員のもとへ全速で飛んできた

相手は、魔理沙の魂が抜けてから動きを止めていた

 

その顔は、焦りか、恐怖か、それとも絶望か

 

 

「魅魔!?無茶をして!」

 

「紫かい?・・・いやぁ・・・妙なものを見られちまったね・・・自分でもびっくりだ」

 

「紫、怪我した奴と疲弊した者を永遠亭に送れ、今が最後のチャンスだぞ」

 

「・・・どういうこと?」

 

「魔理沙の魂が抜けた今、あの体に制限がなくなった、つまり、これからが本気だ、そして、己の命を懸けて攻撃してくるだろう」

 

淡々と語る言葉は信じられないことばかりだ

魔理沙の魂がストッパーになっていた?

これからが本気?

ふざけないでほしい

今まででさえかなりの被害があるのに、これ以上の強さになるというのか

 

 

「天魔も下がりなさい、危険だろう。霊夢も紫も逃げていいぞ、アレの相手は私がする」

 

手をヒラヒラ振りながら影陽はのたまう

 

確かに相手に出来るのは影陽と・・・月の賢者ぐらいだろう

だが、別の心配があった

 

「聞いていいかしら?影陽?」

 

霊夢が声をかける

幸い未だに彼女は動かない

 

「どうぞ?手早くな」

 

「魔理沙をどうするつもり」

 

「消す」

 

ただ一言だ

 

「幸い魂はあるんだ、短い期間でも亡霊として会話でもして送り出せばいい、あの体はもうダメだろうしな」

 

スラスラと心のない言葉が影陽の口から流れ出る

正しいこと、なのかもしれない

肉体を失った魂、それは死者と変わらない

幽々子はこの世に、あの桜のもとに己の肉体が存在する

例外中の例外なのだ

 

 

「そんな・・・魔理沙は・・・!魔理沙は巻き込まれただけじゃない!」

 

「神のやることは基本、理不尽だぞ?特に外国なんかは」

 

「・・・本当にどうしようもないの?」

 

霊夢に目を向ける

いつものキツイ目ではなく

縋りつくような、目であった

 

 

「・・・・紫、永琳と最低限の治療用具を戦闘が終わったと同時にここに連れてこい、後、そこで魔理沙の魂がどこにも行かぬよう、魅魔と霊夢を守ってろ」

 

 

めんどくさそうな感じで、他の者を逃がし、永遠亭に幽香を運んだ紫の方も見ずに言う。

 

紫はうなずくと同時に、魔理沙の魂を抱えた魅魔と霊夢を連れて、その場から一気に逃げた

 

紫のいた場所に光線が突き刺さる

 

「・・・やはり、魔理沙の魂をストッパーにしていたな?いや違うな、魂のすべてがその体に入らぬようにしていただけか、元の世界に帰れるように」

 

「・・・・もう、戻れなくなってしまいましたけれどね・・・!」

 

「ふっ、学ばない女神だなイシュタル、冥界に攻め込んだ時、罠にはめられ、姉に殺されたのになぁ?」

 

顔をゆがめ、顔を恥辱で赤く染める

 

その顔を見ていた霊夢は気が付いた

魔理沙の体の異変に

 

始めは見間違いかと思った

だが、顔を赤く染めたまま影陽に突っ込んで乱戦になった時にそれは明確になった

 

影陽の身長は190センチに近い、魔理沙の身長は130あたりだ

だいたい影陽の頭あたりに、頭があるはずだ

だが、今は胸に近いあたりに魔理沙の頭がある

そして、おなかやスカートで隠れていた膝があらわとなっていた

明らかに成長している

身体が成長し、顔つきも変わっていた

 

「はあ・・・そうだった・・・お前はいくつもの女神の原点的な存在だったな・・・さっさと終わりにした方がよさそうだ」

 

そう言うといつものようにいくつもの刀や剣、槍を展開させる

しかし、いつも使っているようなものではなく、禍々しい雰囲気を漂わせる、見ているだけで震えが止まらなくなるような代物ばかりだ

 

「な・・・なんで貴方がそんなものを・・・ま・・まさか!?」

 

「消えろ」

 

イシュタル、そう呼ばれた者は、その射線から逃れようとした

今の状態では、あれをどうにかできる物も呼び出すことはできない

いまだに、この体を自分の物にできていないからだ

そして、アレは、自分でもあたればただじゃすまない物ばかりだと理解できたから

 

しかし、逃げることはかなわなかった

 

 

「な!?なに!?なによ!これ!?」

 

地面に置かれた直径一メートル以上ある注連縄が行く手を阻む

 

注連縄は、不浄な者を出入りさせない物であると同時に

神を封印する為の物でもある

 

女神イシュタルを原点とする者に悪魔アスタロト(ギリシャ語ではディアボロス)が存在する

この女神は、すべての始まりの世界に近い世界からやってきた

大本の世界で語り継がれたもの、それによって彼女は縛られる

それが、自ら派生したものであっても

女神でありながら悪魔、神という神聖なモノであると同時に悪魔という不浄なモノ

注連縄が阻むのは当然とも言えた

 

そして・・・

 

 

「がはっ!?」

 

立ち止まった背中にその武器たちが突き立った

中には刺されないものもあったが、半分以上は貫通し、これ以上生きることは出来ない傷を負わせた

魔理沙の体が崩れ落ち、注連縄をその血で染め、地面を濡らす

その体から輝くモノがゆっくりと立ち上る

 

あの武器たちによって魂にまで傷を負いもはや逃げることもかなわぬ、その魂は

影陽に手によって切り刻まれた

そして影陽は切り刻み、もはや女神の意識をなくした神性を持つ無垢な魂を魔理沙の体の中に放り込んだ

 

背後から霊夢や紫、魅魔、そして、永琳が荷物を抱え走ってくる

そしてそのまま、治療を行いつつ、永遠亭に向かった

 

 

さて、後は魔理沙次第だな

あと魂を取り込み自分の物にできるか・・・

まあ、考えても仕方ないか

 

手術室に運び込まれは魔理沙を見送りつつ影陽は自分の部屋に戻った



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

90話

あれから三日

魔理沙は、まだ目覚めない

 

霊夢は毎日のように永遠亭にやってくる

すれ違う時にものすごく冷たい目で睨んでくるのはご愛敬だ

あれしか方法が思いつかなかったのだ

霊夢がどう思おうが私には関係ない

出来ることはしたのだ

 

文句も抗議も受ける筋合いはない

まあ、話だけは聞いてやるが

 

あとは・・・永琳からの苦言か

いきなり連れてこられた挙句にあんな重症どころではない、死の半歩手前の状態を治療しろとはどういう事だと

おかげで永遠亭に押しかけていた人里の人を放置する羽目になったとか

まあ、歩いてこれる者しか永遠亭には来てなかったが

魔理沙のあとぐらいから続々とやってきて、私も、妹紅も輝夜もてゐも鈴仙も駆り出された

もちろん、治療の出来る者は総動員だが・・・

 

紫は人里や侵入者の捜索に出た妖怪の山の被害で頭を抱えていた

人里は光線の一撃で一区間ほど丸々消え去った

その区間が魔法の森から霧の湖までゴッソリえぐられて、そこに湖の水が流れ込みちょっとした湾のようになっている

紅魔館にまで被害がなかっただけましであろうか

 

人里でその直撃を受けた場所にいた十数名は遺体も残らず

かすった人も、かすったところから数倍近くえぐられ死んだ者も含め数十人以上、行方不明数名、家など潰れるなどしての重軽傷者三十数名

人里の半分以上が怪我を負った

 

妖怪の山は49名の烏天狗、白狼天狗が死亡

ただし、これについては要請がある前に動き始めていたこともあり、下手に刺激せず見つけたら監視と報告とも言いつけていたのに武器を構えて、誰何したらしい

別に問題にはしない、だけども口うるさい部下のために形だけは抗議するらしい

 

 

影陽は魔理沙の病室から出て居住スペースへ向かう

 

永遠亭には今は魔理沙以外は入院患者はいない

永琳は疲労で寝ているし、鈴仙やてゐは人里

妹紅と輝夜も出かけていた

兎の動く気配と竹林を吹き抜ける風の音以外何も聞こえない永遠亭を影陽は歩く

 

お気に入りの縁側に腰を下ろしキセルを取り出す

喫うのは永琳特製の薬だ、もちろん害などはない

逆に病気を予防するものだ

不老不死でも病気にかかるのだからままならない

 

吐き出した煙が空に昇る

 

一番問題は・・・

魔理沙のこれからかもしれないが・・・・恨むなら魔理沙を生かしてほしいと頼んだ霊夢を恨んでほしい

 

影陽はそう思いながら庭を眺め続けていた

 

 

 

 

「兄さん、失礼するわね」

 

スキマが目の前で開き中から紫が出てくる、その後ろから藍と魅魔も出てくる

 

「おや、いらっしゃい・・・・何事かな?」

 

「魔理沙に、会いに来た・・・」

 

「魅魔があまりにもソワソワしていてね?魔理沙に会いに行こうといっても嫌がるしで、強引にちょっと」

 

紫の言葉に顔をしかめるしかない

無理に連れてくる必要もないだろうに・・・

だが、本人は会いたいが会いたくない矛盾した感情だったのかもしれない

 

「魔理沙はどこに?」

 

本人が直接聞いて来たから

 

「ついてきてくれ」

 

今、誰もいないのだ私が案内するしかない

 

 

 

 

「魔理沙がねぇ・・・」

 

「運が悪かったってことかしらね?」

 

「何があって入院したのかは分かりませんが・・・」

 

紅魔館で咲夜が人里で聞いてきた事をレミリアとパチュリーに話していた

そのまま永遠亭に行ってもよかったが、話を聞くだけで永遠亭は大忙しだろうと行かなかったのだ

 

「魔理沙・・・大丈夫かな?・・・・お姉様・・・お見舞いにいってもいい?」

 

一緒にいた、フランがレミリアにお願いをする

魔理沙はフランを外に連れ出してくれた人でもあるし

何より一緒にいて楽しいかった

心配しての事だと良く分かる

 

「・・・そうね、行きましょうか、咲夜準備を」

 

「承りました」

 

咲夜はそう答えるとスッと消えた

 

 

 

 

 

「ううっ・・・・ここは・・・?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

91話

静かな永遠亭を影陽を先頭にに進んでいく

静かにしている理由は、魔理沙や永琳が寝ているためでもある

 

が、追加で客が来た

 

紅魔館勢だ

それも普段外に出ないパチュリーや門番である美鈴も一緒だった

普通に家の中にまで入ってくるのだから呆れるしかないが、咲夜はそれとなく止めたようだ

 

「お兄さん・・・魔理沙はどこ?」

 

一度紅魔館で見たことのあるレミリアの妹、フランドールが広袖をつかみながら聞いてくる

 

「お前たちも魔理沙のお見舞いか?」

 

「そうよ?それ以外ないでしょ?」

 

確かにかまわないのだが・・・

お見舞いも普通なのだが・・・

意識が回復していないことには気をかけてほしい

それと、ここが昨日あたりまでごった返していたことも

 

昨日、やっと幽香が目覚めしっかりとした足取りで帰って行ったのだが

呆れた回復力だ

キチンとした治療はしていたが、起きてすぐに普通に歩いて帰って何の支障もないとはこれはいかに?

という状況だった

完治したことはいいことだが・・・

 

 

「ほかにも見舞い客がいるからな、静かにしろよ」

 

少々うるさいことで有名な紅魔館組だ

祈るしかないだろうが

 

 

 

「あら?レミリア達だったの」

 

レミリアを連れてくると待っていた紫たちがこちらを見て、紫が声をかけた

 

「紫か・・・ん?そっちは誰だ?」

 

レミリアが魅魔を見ながら訪ねる

 

「私かい?私は魅魔、悪霊さ」

 

「悪霊ねぇ・・・なんで悪霊がこんなところに?」

 

パチュリーが反応し尋ねる

 

「一応、魔理沙の師匠だからね」

 

少し苦笑気味に魅魔が答える

 

その言葉で紅魔館勢の口があき、驚愕をあらわにする

 

「「「「魔理沙の師匠!?」」」」

 

大声が永遠亭に響き渡った

 

 

 

 

 

「それで大声を上げたわけね」

 

永琳が色の悪い顔を歪め、右手で頭を押さえながら理解する

先ほどの大声のせいで起きたらしい

先ほど声を上げたメンツはとても申し訳なさそうにしていた

 

影陽も謝り続けていた

後で、ゆっくり寝かせてくれとも頼まれたが

 

そして、ようやく魔理沙の部屋にたどり着く

 

「ここだ、みんなしず・・・・」

 

扉を開けた影陽が黙る

 

「どうしたの?」

 

永琳ものぞき込んで黙った

 

「二人ともどうしたのよ?」

 

紫が二人を押しのけて・・・また黙った

 

「おい!紫、どうしたんだ」

 

魅魔がのぞき込んで

 

「魔理沙!?目が覚めたのかい!?」

 

その言葉で影陽や永琳、紫を除く全員が魅魔を押して中になだれ込んだ

そして、魅魔を除く、全員が見て、最初に思ったことは・・・

 

 

誰だこれ!?

 

 

である

魔理沙と言われれば確かに魔理沙なのだが・・・・

背が伸びて、肉体的にも成長したからか?

不思議な魅力が魔理沙からにじみ出ていて、差し込む日の光で金髪が美しく輝いて見えた

そして、なぜかこちらを向いたまま動かない何処か儚い表情がさらに魅力的に見えた

 

「みんな・・・?魅魔様?」

 

小さく首をかしげながらつぶやくような声が聞こえた

 

「私は・・・生きているの・・・?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

92話

今回は、主人公による解説が主です

ご注意ください


魔理沙はそのままいつもの調子には戻らなかった

全員がどこかぎこちなくギクシャクした感じだ

無理もない

見た目も雰囲気もがらりと変わり今までと正反対になったようなものだ

戸惑わない方がおかしい

まあ、そのうち戻るだろうが・・・

 

「とにかく目覚めてよか・・・」

 

魅魔が魔理沙の肩に触れたとたん

 

「いっ!?」

 

魅魔の手がはじかれる

 

とっさに離れたがいまだにしびれているようだ

 

「なんだ!?これ!?」

 

魅魔がろうばいする

何があったのかさっぱり分からない様子だ

 

「フランドールもレミリアも、紫も今の魔理沙には触れない方がいいな」

 

「・・・影陽、いったいどういう事?これは・・・」

 

「今の魔理沙は力を制御できないで溢れてる状態だ、まあ、元々の力からすれば微々たる量の力しか漏れ出てない、そこらへんはさすがかな?」

 

訳の分からない言葉が出てくる

制御できていない?

今まで制御できていたものができないというのか?

 

「今の魔理沙はあの女神と同じような存在、いや、ほぼ神と言ってもいいかな?魅魔が触れないのは神性が悪霊や妖怪のようなこの世ならざる穢れた物を拒絶するからと言ってもいい、魔理沙の意思関係なくな」

 

「「「・・・・・」」」

 

「今の魔理沙はイシュタル、シュメール神話、メソポタミア神話で広く信仰された女神と同義だ、ちなみにこの間の正体でもあるが」

 

次から次に驚愕の情報しか出てこない

魔理沙の顔色も悪くなる

白く染まった手が震えながら布団を握りしめる

 

「おめでとう魔理沙、君は消えてしまったこの世界のイシュタルの代替になった。」

 

「ふざけないでくれ!!」

 

魔理沙が大声を出す

ようやく、元々の魔理沙が出てきた感じだ

 

「やっとか、たく・・・面倒かけさせる」

 

「は?」

 

「魅魔触れてみろ、もう大丈夫なはずだ」

 

魅魔にそう声をかける

 

「大丈夫なんだろうね?」

 

訝しみながらも魅魔は魔理沙に触れた

今度は何も起こらない

 

「さっきまでの魔理沙は魔理沙であって魔理沙じゃない、神に近い魔理沙だった」

 

そう影陽が口にする

 

「ここから先は霊夢もいた方がいいだろう、紫連れてきてくれ。」

 

紫に頼むとすぐに連れてきてくれた

そして、影陽は話し出す

魔理沙に何があってのかを

 

 

魔理沙は神霊、この場合はイシュタルの事だ。

それに体を乗っ取られたのさ

え?それは今関係ない?

いやいや、大本から説明しないと分からないだろう?

物事には順番があるんだから

 

魔理沙だったのはたまたまだろう

魔法の森には、魔理沙しかいなかったというのが、正しいかもしれないが

 

アリスでは、駄目だったのかって?

 

駄目だろうな、あいつは一応魔族の一人だ

イシュタル自身、悪魔の原点でもあるが曲がりなりにも女神でもあるんだ

魔族の体を使おうとは思わなかったんだろう

それと、魔理沙が魔女だったことだ

 

え?魔女じゃなくて魔法使いだ?

 

そんな細かいことは知らん

そんなもんほぼ同じもんだ

話、続けるぞ

魔女っていうのはその当時の最新の医療知識と技術を持ち、人の生死に大きくかかわってきた者だ

そして、その土地の神を祀る巫女のような存在でもある

 

魔法の研究?

 

それは最近の魔女だな

もっと過去神代に近いほど魔女はそういう役割だった

魔女の悪いイメージはキリスト教の神官がキリスト教を広めるために広めたものにすぎない

話がそれたな

 

言ってしまえば、魔理沙は魔法の研究をする魔法使いであったが

あいつにしてみれば魔女とは巫女だ

そういう考えがあって乗っ取られるに至った

 

理不尽だって?

 

神ってそういうもんだろう?

何をいまさら

 

中には自分を犠牲にしてでも助けようとする神だっているだろうさ

だがほとんどの神は、願ったものに代償を求める

本人が望んでなくともな

今回、神本人が魔理沙と全く距離のない

零距離での接触だ

本来なら即死亡だな

 

魔理沙の魂が無事だったのは・・・

いい考えをするなら、イシュタルの慈悲

肉体的には死んでしまっても魂は生きているんだ、輪廻に戻れるだろう

一応イシュタルは地母神の元でもあるからな

 

悪い考えは、イシュタルが元の世界に帰るためのストッパーだ

元々ここの世界に来るつもりはなかったが、来てしまい帰る予定だったというものだ

そうだとすると、この世界で身体を得るのは、帰る自分にとって重荷になる

だから、わざと魔理沙の魂を残していた

 

そう顔を悪くするな

今となっては、分からないんだから

 

 

さて、私が魔理沙に何をしたか

それを話そう

 

魅魔が魔理沙の魂を引っ張り出した

そのことで、あの体は完全にイシュタルの物になった

だから、私は体ごと切り刻もうとしたんだが・・・

博麗の巫女様に止められたんでね

 

魔理沙の魂を変質した体に戻すのに面倒な手を使った

もう神の物になっている体に人間の魂なんぞ戻れるはずがない

ならどうするか

 

魔理沙の魂をイシュタルの魂の残骸と融合させ、なじませたそれだけだ

 

今の魔理沙は半神半人ってところか?

ただし、かなり上位の

 

ああ、そうだ

ここの世界のイシュタルはもういないから面倒なことはない

この世界が消えてなくなるまで

好きなことをして生きていけるぞ

 

世界が消えてなくなるまで・・・な



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

93話

「やあ、影陽、今いいかい?」

 

永遠亭の庭に面した影陽、お気に入りの縁側

そこで影陽が晩酌ををしていると

萃香がいきなり現れる

手にはいつもの瓢箪に酒樽を抱えていた

 

「萃香か、ああ、いいよ」

 

「それじゃ、失礼して」

 

萃香が隣に座り盃に酒を注いでくれた

 

それを月が浮かぶそれを一気に影陽は煽った

 

「珍しい飲み方をするね・・・そんなに悪いのかい」

 

「悪いね、生き延びさせろと言っておいて生き延びさせたら、ふざけるな!だ、よくあれで博麗の巫女が務まるもんだな」

 

「そういわないでくれよ、親友としての言葉さ。あいつにとって魔理沙は一番の親友なんだから」

 

「いらん存在だな、一応調停者の立ち位置にいるのであれば切り捨てるものだってあるだろう、それが親友であっても、これからが問題だろうよ」

 

「・・・・霊夢の言いたいことは何となく分かる・・・魔理沙本人はどうなんだい?」

 

「・・・・あっさりしたものさ、内心どう思っているかはわからないが」

 

「自らも死ぬことも出来ないんだろう?」

 

「ああ、死神が迎えに来ることもない、魔理沙の魂そのものが消えたようなものだ、魔理沙と言う魂がないと判断され、死んでも輪廻に戻ることはない、霧雨魔理沙は死んだといってもいいな」

 

「じゃああれは誰なんだい?」

 

「イシュタルによって改造された肉体を持った、霧雨魔理沙のすべてを受け継いだ別人と思えばいい」

 

「それは・・・・」

 

「ひどいやつだと思うか?あの場ではあの方法しかないんだよ、時間をかけられるなら。ホムンクルスの体でも用意すればよかったさ」

 

あの時、すでに魔理沙の魂は疲弊していた

いつ消えてもおかしくはなかったのだ

死神が迎えに来る前に、この世から消えても仕方ない

だが、影陽はそのことを霊夢には言わなかった

一応霊夢には気を使ってやったからだ

 

魔理沙のことを頼んだのは彼女だったから

 

 

「それで・・・今魔理沙はどこに?」

 

「魅魔とアリスと一緒に魔界へ行った、力を制御して使いこなせるようにしないといけないからな」

 

イシュタルの神性は豊穣、愛、性愛、戦、王権の守護と複数の強大な神性だ

いくらかは弱くなっているといっても、この幻想郷ではかなり強大な力だ

幻想郷にも豊穣の神がいたとしても、その神よりもイシュタルの方が地位が上のため、不安定なままであると、魔理沙の期限次第で豊作か、不作か決まってしまう

 

さらに厄介なのが役割と与えられたものだ

 

イシュタルは「優美な衣装と女性の魅力」を授かり

「戦場に吉兆をもたらすこと、凶兆を伝えること。滅亡させずともよいものを滅亡させ、創造せずともよいものを創造すること」

というとんでもない役割を与えられている

さすがは、のちにギリシャ神話の美の女神、アフロディーテのもとになっただけあって、優美な振る舞いで男性を魅了するなどの逸話がある

夫がありながら120を超える恋人がいたとか

 

魔理沙がかなり美人に成長?したのもそのせいである

この幻想郷で役割を果たされても困るのだ

 

 

「とんでもないね・・・そりゃ・・・」

 

萃香が顔をしかめながら、酒を口に含む

 

同感である

説明するこっちとしてもだ

魔理沙にはいろいろ自重してもらわねばいけない

本泥棒もしかりだ

イシュタルも似たようなことをしてもいることだし

 

厄介ごとが増えた気がするのだが、仕方ないかもしれない

 

「それに、今、魔理沙を幻想郷にいさせるのは危険すぎる、今の説明以外にもな」

 

「・・・どういう事だい?」

 

「人里の中では魔理沙が今回の原因だと決めつけられている。」

 

「な!?」

 

「魔理沙は、異変解決等で有名なうえに、弾幕を見られることも多い、人里のを薙ぎ払ったものが魔理沙の弾幕と同じものだったんだから当たり前でもある、それに、仲の悪かった家族を丸々その時に消し飛ばしている」

 

「・・・・・どうにもならないのか?」

 

「無理だな、慧音にも一応報告はしてあるが・・・人の怒りや妬み、恨みの恐ろしさは知っているだろう?」

 

萃香は嫌に顔をしかめる

それが返事だ

 

「力が不安定な状態で、人里の人間と接触でもしてみろ」

 

「いい、いうな簡単に想像できる」

 

愉快じゃない話だ

 

「少しづつ、魔理沙の冤罪を晴らしつつ、今の状態を伝えなくてはな・・・」

 

まずは・・・稗田に行くか・・・

 

本当にめんどくさいことだ

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

94話

魔理沙が幻想郷から魔界に修行に出てほぼ一年

ようやく魔理沙が帰ってきた

なんとか、完全に制御できるようになったようだ

それでも、力を出し過ぎると危険が伴うが

 

魔理沙のいない間にもいろいろ起こった

引きこもっていた射命丸が今までの引きこもりが嘘のように飛び回り

弾幕ごっこを吹っ掛け回り、写真を撮り新聞にするなどだ

他にも、細々したことはあったが・・・・

 

 

 

 

帰って来たとき、魅魔とアリスも疲れた顔をしていた

魔理沙も疲れたような顔であったが、元気に動き回っていた

無尽蔵の体力お化けだったらしいイシュタルらしいといえばらしいのか

 

アリスに聞くと、いくつか魔界の土地がぶっ壊れたらしい

その修復も大変だそうだ

魔界の主はアリスの母親

それも甘え癖のある

だいぶ、抱き着かれるなどして精神的にも、魔理沙に教えるのに肉体的にも疲弊していた

魅魔も・・・悪霊なのにやつれた感じで、うんざりしたような感じだ

 

「お疲れ様、二人とも」

 

そんな声をかけても二人はため息とともに手を振るだけだ

 

二人ともそのまま帰って行った

魅魔はここに家はないはずだが

博麗神社に行って帰ってきたことを霊夢と紫に伝え、神社に居座るつもりらしい

 

まあ、好きにさせる

あんまり関係ないからな

 

 

あの二人と魔界の主及び住人に比べたら私たちの方は恵まれていたのかもしれない

 

稗田家には正しい情報を書き留めるよう要請した

いや、要請というよりも力による圧力とも言ってもいい

 

紫、影陽、天魔、永琳、レミリア、フラン、霊夢、そして抜け出してきた魅魔

そんな者達が揃って、魔理沙の現状報告、及び、真実を伝え、正しく書き記すよう言ったのだ

圧力とも取れる方法で

 

稗田家には、実際にはそれほど危険ではない妖怪を噂だけで凶悪と判断し見もしないで書き記し、人と仲良くしたい妖怪を敵とみなし、書き記したことがある

ここまでするのも当たり前かもしれない

 

 

最終的に、少しだけ会わせたことで納得してもらった

 

 

しかし、人里の者達には理解してもらえない

 

特に、家を壊され、家族を殺された者たちに

憑依されていたから?

不可抗力?

そんなこと関係ないと

 

霊夢は、関われない

本当なら、人里に手を出した魔理沙を殺すのは霊夢の役目だ

下手に顔を出せない

 

結局、人里に魔理沙を入れさせないことにした

霊夢も、悔しそうな表情をしながら同意した

魔理沙を守り、幻想郷を守るにはそれしかなかった

魔理沙が怒り狂えば簡単に幻想郷は滅びるのだ

 

山を破壊しつくすほどの力、と作物に影響する豊穣の力、生命の営みにも影響を与える、天空の女主人の力を得てしまった魔理沙

魔理沙が力のまま暴れまわれば、妖怪の山は消え去り、作物は全く育たなくなり、人は無気力となる

 

魔理沙にはよく言い含めなければいけない

魔理沙は好奇心の塊みたいなものだから

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙は、1人夜空を飛んでいた

付き添いはいない

箒を使わず、黄金の弓のようなものに乗って魔理沙は飛んでいた

向かうは、人里の墓地

自分の親の墓

人里には入れないから仕方ない

だが、最低限墓参りはしたかった

追い出した親であっても、自分の親ではあったのだ

人里上空で弓、マアンナを収納し墓地に飛び降りる

人の目から逃れるにはそうしかない

 

霧雨家の墓

そこに自分が入ることは絶対にない

そして、自分の親も入ることはなかった

魔理沙は、花束を墓前に放り投げ、飛び去った

 

 

 

 

「紅魔館で何が行われているのか分かったのか?永琳」

 

「ええ、間違いなくロケットを作ってるわ」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

95話

「ロケットねぇ・・・・・」

 

こんな電子制御装置もないこの場所で

そもそも、そんな物等、幻想郷で用意等出来ない

 

「そこは、魔法でどうにかするみたいね」

 

なんとまあ・・・

まあ、それぐらいしかないだろう・・・

 

「どうして、ロケットをつくっていると?」

 

「咲夜が集めていた部品と資料から分かったわ、どうやらあの、お子様吸血鬼が月に行きたいと言い出したみたい」

 

レミリアか・・・

確かにあのお子様ならやりそうな気がする

 

だが、魔法を利用したロケットで月まで行ける物だろうか?

いや・・・どこぞの宇宙ではポンコツロケットで宇宙を飛びながら物を運ぶ運搬会社もあるから考えようか・・・?

それにしても

 

「永琳、君もアレだな?娘には甘いな?足りないロケットの部費や資料、用意して流していただろう?」

 

「あら、気が付いていたの?」

 

「なんか企んでいるなとは思っていたが、今ので話が繋がった」

 

なんか、かき集めているなぁ

とは思っていたがやっぱり咲夜のためか

 

まあ、咲夜も気が付いている気がするが・・・・

 

実際は咲夜は永琳がよく見に来ていることは知っていたが、用意して流していたことは知らなかったようである

 

 

「それで?あの吸血鬼を使って、月面戦争に介入でもするのか?」

 

永琳は肩をすくめながら

 

「そんなわけ無いでしょう?面倒だわ、まあ、滅びるなら滅びて欲しいけれど、介入するとしたらあの二人を助けるときぐらいかしら?」

 

なんとまぁ・・・弟子思いな師匠なことで

 

「それに、あの吸血鬼には悪いけれどもあの二人が中枢に食い込む足がかりになって貰おうと思うのだけど」

 

なかなか、あくどいことだ

まあ、永琳がここまで信頼するのだからなかなかの人物なのだろう

綿月姉妹とやらは

ん?

 

「そういえば、その二人がいま防衛のトップだと言っていなかったか?レミリアが月に行ったら、咲夜もついて行くんじゃ?」

 

そう言うと、思い出したようで、頭を抱えて考え込んでしまった

通信機器は向こう側が寿命で修理出来ず破棄されたようで

鈴仙が時折受信する電波で推測する程度だ

 

「ん?」

 

窓の外、明るい青空に影陽は流れ星をみた

 

 

 

博麗神社では、紫が霊夢に修行をつけていた

霊夢はめんどくさがりで、無駄に才能はあるため、修行とはほぼ無縁だ

だが、努力しない才能などたかがしれる

大事なときに、その力は発揮できないのが才能という物だ

努力の上での天才は天才には敵わないのに、努力する天才などいたら、たまったモノではないだろうが

 

以前の魔理沙がそうだとも言える

魔法自体、能力があったから扱えただけ、なんとなくで扱えるモノ

だが、難解になっていくほど知識が才能が物を言う

そこを努力で上がってきたのが魔理沙だ

親友の霊夢は努力のない天才だったからかもしれないが

 

だが今は、事情が違う

今の魔理沙は、能力に膨大な量の魔力

それを扱う肉体の質、一年間学んだ魔術知識に、イシュタルの持っていた知識

後天的な理由であるが、魔理沙は天才と呼ばれる立場に、上った

それも、元々から、努力するタイプだ

 

 

帰って来た魔理沙は、霊夢を圧倒した

 

 

かろうじて、霊夢が勝ったが、魔理沙は、勝つために、霊夢を超えるためにさらに努力をする

その差は、すぐに縮まる

 

それに触発されたとも言える、霊夢の修行だった

まあ、紫も思惑あっての修行だったのだが

 

 

「よう!霊夢!修行か?」

 

紫との修行が終わったタイミングを見計らって魔理沙は顔を出す

 

修行のおかげか?

多少の遠慮や慎みが魔理沙に出てきた

 

「いらっしゃい魔理沙」

 

紫が魔理沙に挨拶をする

魔理沙とはなるべくよい関係を続けたい

幻想郷のためにも

霊夢のためにも

 

「また来たの?貴方も暇ねぇ」

 

「うっせ、それで?どれくらい出来るようになったんだ?神卸は」

 

「知っていたの?」

 

「うんにゃ、感覚で分かっただけだ」

 

「そりゃそうか」

 

「それにしても、日本の神様は面倒だよな、御霊分けでどんどん増えるんだから」

 

「魔理沙もやってみれば?」

 

「やめとく、私の場合、下手すると、人格崩壊になりかねないらしいからな」

 

霊夢と魔理沙が仲良く話している様子を見ながら、紫は退散する

ライバルでありながら親友

最高の存在だ

 

ひたと

紫は歩みを止める

私の親友は何所へ消えてしまったのだろう?

あの、私の初めての大切な親友は



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

96話

魔理沙が帰った後、霊夢は境内の掃除をしていた

いつものことだが

 

そんなときガサリと近くの藪がゆれ、兎の耳を持つ青い髪の少女が倒れながら出てきた

 

「ちょっと!?大丈夫!?」

 

ここで一目で妖怪とわかる相手にも声をかけ、抱えるのは霊夢の美点か

 

仕方がないから、そのまま自分の布団に寝かせて、永遠亭に行った霊夢だった

 

 

「いや?うちの兎じゃないね、なり立てじゃないかな?」

 

「そう、ならいいわ」

 

「治療はいいのかい?」

 

「大丈夫でしょう、なんかあったら、連れてくるわ」

 

そう言って、霊夢は帰った

 

「だそうだよ、師匠夫婦」

 

「やれやれ・・・」

 

「とんだお客だけど・・・一応呼びかけましょうか、確認のために」

 

「月の兎だたら利用するんだろ?」

 

「当り前よ、連絡手段が確保できるしね」

 

永琳はそのまま月を見上げた

晴れ渡った夜空に月が明るく世界を照らしていた

 

 

 

「・・・ここは・・・?」

 

目を覚ました、玉兎

よかった・・・なんとか地上に・・・!?

あ・・あれ!?羽衣がない!?

 

バタバタと周りを探し始める

そして、灯台下暗し

枕のすぐそばに置いてあった

 

「よかった・・・・」

 

 

(玉兎・・・××の罰を請け負う者よ)

 

ありえない声を聴いた

あの御方の発音は地上の者には、発音できないはずだ

 

玉兎は、声に導かれるまま、羽衣を抱え神社を飛び出した

 

霊夢が帰って来たとき

もう神社は物抜けのからだった

霊夢は少々憤慨したが、よく考えてみれば起きたら神社であった方が妖怪にとっては恐ろしいだろう

そう納得して、霊夢は空いた布団に身をおさめた

 

 

 

 

玉兎は霊夢が訪れていた、竹林に来ていた

そこに、赤と青の特徴的な服を着た、長い銀髪を束ねた人物がいた

 

「貴女はいったい・・・?××様の発音は地上の者には・・・」

 

「その名は地上では、嫦娥と呼ばれていますから」

 

少々たしなめられる

そして

 

「私は八意××、聞いたこ・・・」

 

「や、八意様!?遥か昔、月の姫を連れて逃亡した!?」

 

大声で驚かれた

 

「なんという・・・なんという幸運!」

 

何故かはわからないが喜んでいるようだ

 

「幸運?どういう事かしら?」

 

話を聞くと、鈴仙と同じく逃げてきたらしい

罰として、薬をつき続けることに嫌気がさした

そして、そこで耳にしたのが、革命のうわさ

それを行っているのが、八意様ではないかと

 

「それで、幸運ね・・・悪いけれど見当はずれね、私は月の都などもうとっくにどうでもいい存在よ」

 

「そんな・・・」

 

「もう一つ言ってしまえば、あんな、都滅びてしまっても私は構わないわ、弟子さえ無事ならね」

 

「・・・・」

 

「貴女、すぐに月へ帰りなさい、月の羽衣、それを使って来たということは、未練があるのでしょう?」

 

「・・・いいのですか?私は八意様の居場所を・・・」

 

「それを言うのはあなた次第でしょう?いう必要があるのなら言っても私は構いません」

 

「・・・・しかし・・・私はすでに逃げてきた身です・・・簡単に月には・・・」

 

「これを」

 

永琳は、一つの手紙を手渡す

 

「これを、そこに書いている人物に渡しなさい」

 

そこに書かれている名前を見て、驚愕した

 

「綿月様にですか!?無理です!私ではとても」

 

「大丈夫です、あの子たちなら近づく機会はいくらでもできるでしょう、その時に私の名を出しなさい、それであなたの罪も帳消しとなるでしょう」

 

 

その日、空へ上る流れ星が幻想郷で見られた

 

 

 

 

「上手くいったみたいだな」

 

「ええ、いい子で助かったわ」

 

「で?何を書いたんだ?」

 

「あの子の身の保証、これから起こることの予想と推移、ってところかしら」

 

「紫もかかわっているんだろうなぁ・・・すまんな・・・」

 

「構わないわよ、あの性格だとあきらめも悪そうだし、まあ今回は見積もりは甘くして二人には送ったわ」

 

「おや、卒業試験かな?」

 

「どちらかと言えばちゃんとできるかどうかの抜き打ちテストね」

 

「はは、それはひどい、それで予想は?」

 

「義妹に出し抜かれるに1票」

 

二人は笑いあい

その笑い声は、夜の闇に消えていった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

97話

「どうやら、ロケットは完成したみたいだな、永琳」

 

「ええ、これから確認に行こうかと思うけれど・・・」

 

「ついていこう、というより私の能力で行く方が楽だな」

 

「お願いするわ」

 

「そだな、娘のためにも、頑張らせてもらうとしよう」

 

「そうね、鈴仙ついてきて」

 

「はい!」

 

「行くぞ」

 

影陽と永琳、鈴仙は影陽の能力で、紅魔館のロケットの元まで一気に移動した

 

「・・・すごい能力ですよね・・・ほんと・・・豊姫様にも匹敵しそう・・・」

 

「豊姫の能力は影陽の劣化縮小版みたいなものよ、こっちが本家と言いてもいいわ」

 

「そ・・・そうなんですか・・・」

 

「無駄話はそれくらいにして・・・・全くとんでもないもの作ったな」

 

そこには木製の三段ロケットが鎮座していた

 

中には、それなりの時間暮らせそうなモノが揃っていた

 

・・・はっきり言って自分の知っているロケットとは程遠い

 

鈴仙も呆れ、笑う

 

「・・・ほぼ完ぺきね・・・・これならたどり着けるでしょう」

 

永琳の言葉は衝撃的だったが、行けるのなら行けるで構わないが・・・

 

「住吉三神を推進力にね・・・こりゃ霊夢も行くんだな」

 

「そうでしょうね・・・予想の範囲内だけど」

 

永琳は、懐から一枚の布、月の羽衣の一部をロケットの先端に張り付けた

 

「あれで、月にまで導いてくれるでしょう」

 

「霊夢が行くのなら、魔理沙もだな、天空の女主人も行くんだこれは見ものだな」

 

「あ・・・」

 

「・・・魔理沙の事、忘れていたのか・・・?」

 

「・・・・心配になって来たわ・・・いろんな意味で」

 

「奇遇だな、私もだ」

 

永琳が魔理沙を計算に入れていなかったせいで不安になった二人だった

というよりも、魔理沙のことを考えたくなかっただけとも言えるかも?しれない

 

 

 

 

 

 

 

「私たちもパーティーに招待されるとは思わなかったわね・・・」

 

「いいんじゃないか?暗躍とはいえ、手伝ったようなものだ」

 

向こうからしたら、ただの自慢か

純粋にお祝いの席だからか

 

永琳と二人、一応パーティーということでそれなりの格好で来たが・・・

周りの大半がいつも通りで悪目立ちしていた

 

「いつもの格好でもよかったな」

 

軍服風の姿の影陽が中身の入ったワイングラスを軽く回しながら永琳に問う

 

「そうね、変に目立ってるわね」

 

薄い蒼のドレスという非常に珍しい装いの永琳が返す

 

輝夜と妹紅は、興味がないとついてこなかった

てゐと鈴仙は永遠亭で留守番だ

咲夜に頼んでワインと何か食べ物を用意してもらうか・・・

そう影陽が考える

 

 

ふと、目を動かすと、霊夢と幽々子が床に座っていた

まあ、なれない洋風なのだから仕方ないかも知れないが

カーペットの床に座り込むのはどうだろう?

 

 

 

「そこだけ、重力でも重くなったのかしら?」

 

永琳が話しかける

 

「あんたも来ていたのね、それにしても珍しい恰好してるわね」

 

「一応パーティーの正装よこれ」

 

「関係ないわ、そうそう、あんたの故郷に行くけど、お土産いるかしら?」

 

「別に何もいらないわ、それと私の故郷は地球よ、一応」

 

そんな話をしていてパーティーは進む

住吉三神の加護があるのに、愛称をつけると聞いて、永琳がぼろを出したり

その愛称は永琳が魔理沙に教えたものになったが(上段から、ミンタカ、アルニタク、アルニラム)

 

 

 

 

そして、数日後、ロケットは、レミリア、咲夜、霊夢、魔理沙、メイド妖精を乗せ、月を目指して飛び立った

 

 

 

 

「着くのはいつぐらいかな?」

 

ロケットを見上げながら影陽は傍らの永琳に尋ねる

 

「満月の夜よ」

 

「様子を行くんだろ?どうせ」

 

「・・・・・」

 

「当りまえか、不確定要素満載だしな、さてさて、紫はどう動くのやら」

 

霊夢に神降ろしの特訓をさせ

この筋書きを立てた、人物の名を出しながら影陽は呟いた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

98話

「さて・・・・今日は満月の夜、準備はいいか?」

 

「ええ、もしものための準備は出来てるわ」

 

弓を持ち、背中に矢の入った矢筒を背負った永琳が答える

 

「いってらっしゃい、こっちは心配しなくて大丈夫よ」

 

輝夜が薄く笑いながら言う

いつも、輝夜のことを優先して、他の事には手を出さなかった永琳の変化を楽しんでいるようだ

いや、うれしがっているのかもしれない

 

「嫌な予感しかないんだがなぁ・・・連れて行くの」

 

「気にしたら駄目よ?お父様?永琳が感情のままに動くとか面白そうじゃない?」

 

「そのせいで大事になるのが目に浮かぶ」

 

「そこは、お父様の腕の見せ所でしょう?」

 

「へいへい」

 

「まあ・・・がんばってきてな」

 

「頑張ってください・・・心配はしませんけど」

 

「まあ、何とかなるよきっと」

 

鈴仙は複雑そうな、というより呆れた感じ

てゐは・・・楽観的か

 

そうなることを祈るしかないか

 

影陽と永琳は、影陽の能力で月に移動した

 

 

 

移動したのは豊かの海近く

普段誰も居ない上、大小の桃の木がの海岸近くまで広がている

隠れるにはそれなりにいい場所だ

 

そして、海岸で黄昏ている霊夢と魔理沙を見つけた

レミリアと咲夜の姿は見えない

それと、海岸線には大量の木材が散らばっていた

どうやら、ロケットの残骸のようだ

 

 

気配と姿を消す陣を書き、その中で二人を観察する

まだ、永琳の弟子は来ていないようだ

 

「・・・帰りは・・・豊姫とやらの能力かな?」

 

「たぶんね、霊夢は、神を下ろしていた関係上すぐとはいかないでしょうけれど」

 

「だろうな・・神を下ろせる者は依姫だけと思っていただろうからな」

 

「本当は迷惑な話だったけれど、今回はあの義妹のいたずらは大助かりだわ」

 

「本人に言ってやれば?捕まって悔しがっているところに」

 

「依姫が疑われる原因を作ったのは義妹だから嫌ね」

 

持参したお茶を飲みつつそんな会話をしているうちに、依姫がやって来た

 

 

 

「・・・やっぱり神を封じる祇園様の力でも魔理沙の力を封じきれないか」

 

「ほんと、でたらめな力ね、どこまで人の人生を狂わせるのかしら?」

 

「この世界じゃなくて、もっと上、神の分霊の大本のいる世界に近い所から来たんだそこより下のこの世界じゃほぼ敵なしだろうよ」

 

「依姫だいぶ警戒しているけど・・・」

 

「魔理沙は動かないだろう、少しでも強引に力を引き出したら死ぬと言っているからな」

 

事実、魔理沙は手を上げて無抵抗を示す

霊夢は、刀の檻の中であることだし

正解である

 

「依姫様!」

 

そこに一人玉兎が依姫のもとに駆け寄ってきて報告する

 

「な!?何ですって!?あんな小娘相手に貴方達は何をしているのよ!?」

 

「誰が小娘よ!!!」

 

どうやら、玉兎の大半はレミリアのもとに向かっていたようだが・・・

 

ほとんどレミリアに怖気づいて隠れたみたいだ

 

依姫は頭を抱えている

 

 

 

「経験不足だな」

 

「それも圧倒的な実戦経験不足ね」

 

月の現在の戦力ガタガタな気がしてきた二人だ

おそらく、戦力が思いっきり偏っているのだろう

鈴仙が逃げたのも納得な気がする

 

依姫はレミリアになにかしようとして

咲夜に羽交い絞めにされる

そして、地面に刺さった刀を蹴り、霊夢を檻から出した

 

「うーん・・・咲夜やるなぁ・・・」

 

永琳は何も言わないが少しうれしそうだ

 

そして、魔理沙の提案で弾幕勝負が始まる

そもそも、この場で月の都に興味あるのはレミリアだけ

他は来ただけで十分なのだ

 

「紫もなかなかひどいことするもんだ囮とはな」

 

「でもまあ、効果的な囮ね、依姫は霊夢に興味深々だし・・・仲良くできるかもしれないわ、魔理沙にもかなり興味があるようだし」

 

「興味持たない方が不思議だよ」

 

 

 

 

「待て!待てって!永琳!落ち着け!軽い火傷だ!咲夜は何ともない!だから落ち着け!」

 

親ばかを拗らせた永琳が少々暴走していた

 

「今出て行ったら、大迷惑どころじゃない!いいから落ち着け、弟子だろう!?弓を下ろせ!」

 

影陽が抱き着くような感じで必死に永琳を抑え込む

 

魔理沙が弾幕勝負を棄権し、レミリアが戦い始めたところでようやく落ち着き始める

 

「・・・あとで治療に行くわよ」

 

「いいのか・・・それは」

 

「私が決めたことよ」

 

「・・・私もいるだけで大問題なんだが・・・仕方ないか」

 

 

レミリアはあっさり、依姫が下した天照大御神で撃沈

 

咲夜以上にすっぱりと終わった

 

 

「吸血鬼は・・・あれね・・・バランスはいいけれど弱点多すぎと・・・」

 

「あれは仕方ないよなぁ・・・・」

 

 

 

そして霊夢の番だ

 

霊夢の弾幕を切った依姫の刀が穢れに汚染される

 

「大禍津日かやるなぁ霊夢」

 

「そうね、それなりに勉強しているようだけど」

 

依姫は伊豆能売を下ろし穢れを払う

霊夢は存在を知らなかったようだ

 

「依姫には届かないわ」

 

依姫が霊夢の首筋に剣を突きつけ、霊夢が降参する

 

「まず、教えた人物が違う、そして、本人のやる気が違う、最も経験も違うけどな」

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ、けれども経験というものは馬鹿には出来ないものね」

 

 

 

「さて、行きましょうか」

 

「へいへい、ほれ、治療箱だ」

 

「ありがとう」

 

二人は皆の前に姿を現した



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

99話

ある意味最後の投稿です


この物語はまだ続きますが

就職の関係のため時間がとれません

余裕が出来れば投稿します

ではまた、投稿する日まで


「誰だ!」

 

反応したのは近くにいた玉兎だ

そして、全員の目がそちらに向く

 

「影陽に永琳!?何でここに!?」

 

「八意様!?なっなぜここに!?」

 

霊夢が驚き声を上げるがそれ以上に

依姫が盛大に驚く

 

「様子を見に来ただけよすぐに退散するわ」

 

「は・・・はあ・・・戻ってきたわけではないのですね・・・」

 

「ええ、私はもう、月の都に興味は無いですから、貴方達ぐらいかしら、情があるのは」

 

その言葉で依姫は嬉しそうな顔になる

レミリアは不機嫌そうだが

 

「じゃあ、これは、師匠が用意した試験ですか・・・」

 

「みたいなものかしら、手紙通りでしょう?」

 

「はい!あのスキマ妖怪も捕まえ・・・・・」

 

今まで、永琳しか目が向いていなかったが、その隣にいる人物を見て固まる

 

「あら?どうかした?」

 

「八意様!なぜこの人物と!?この人物は大量の隕石を月に降らした!」

 

「ああ、そういえばこの指輪を作った時にそんなことを言っていたわね」

 

「やっと思い出したか?だからここには来たくなかったんだ」

 

影陽はうんざりした感じだ

 

「え?あ?はあ?・・・・指輪・・・・?」

 

依姫は混乱した様子で目を白黒させている

 

「これの事ね」

 

永琳が左手を依姫に見せる

その、薬指にシンプルだが美しい指輪がはめられていた

 

依姫は目にした瞬間動きをピタッと止める

玉兎が話しかけても無反応だ

・・・・・

その意味は理解している

地上での・・・・婚姻者の証

 

「はぁぁぁぁああああああああああ!?」

 

依姫の悲鳴がこだまする

 

永琳は完全に無視して、咲夜達の治療をしていた

咲夜以外治療が雑だったが

 

 

依姫が頭を掻きまわし混乱しているところに、豊姫が紫を引きずった玉兎を連れて姿を現す

玉兎の報告を聞いてすっ飛んできたようだ

 

「八意様!お久しぶりです!依姫!しっかりして!?」

 

「久しぶりね」

 

「お・・・お姉さま・・・八意様が・・・・・」

 

「ん?・・・貴方は・・・・隕石の・・・・」

 

豊姫は影陽の存在に気づき、少し身構える

 

「初めまして、私は八雲影陽という」

 

「八雲ねぇ・・・」

 

「そこに転がっている紫の義兄だ」

 

「・・・なら、貴方も」

 

「やめてもらえるかしら?私の配偶者でもあるのだから」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

「「「「「・・・・・・・・」」」」」

 

豊姫も依姫も玉兎たちもみんな黙る

 

依姫は考えたくもなかった現実で

豊姫は理解できない

玉兎は・・・・ありえないこと、信じたくないことの連続で

聞いていいのかというような重大情報ばかりだ

 

 

 

「義兄さん・・・この縛ってる紐ほどいてくれないかしら?」

 

紫が状況関係なく影陽に声をかける

 

「1週間ぐらいそのまま反省してろ」

 

紫は永琳に目を向ける

 

「影陽に同意」

 

紫はしょぼんとした

 

 

「そうそう、豊姫、依姫、貴方達は知っているはずよ、影陽の事」

 

永琳が二人に話しかける

フリーズしていた二人はようやく解凍された

 

「えっと・・・・隕石を降らせた人としか・・・」

 

「影陽にはもう一つの名前があるの、光淵というね」

 

 

 

狂乱の底に叩き込んだ

光淵それは、今の月では伝説の人であり、英雄とされている人物だ

永琳は、その話が嫌いで余り二人には話していなかったが

物語として語られるたぐいのものだ

地球から月に移住するとき、一人残り、最後の移住者を運ぶ船が出るまで妖怪から守り通した

そう言う話だ

 

「あの話は作り話よ、光淵・・・影陽は私の副官兼初代第一部隊副隊長をしていたわ」

 

永琳が真実を語りはじめる

 

それは、物語のような美しい話ではない

羨望、やっかみ、嫉妬、恐怖、卑劣、

美しさのうの字もない

穢わらしい物語

 

 

「「・・・・・・」」

 

 

二人は、いや、その場で聞いていた全員が沈黙する

話の本人である影陽は、縛られたままの紫を藍のもとに投げ返しに行っていた

姉妹は、永琳がなぜこの話を嫌ったのか理解した

そして、

彼女の部屋にあった

月にはそこにしか無かった植木鉢に入っていた花の意味を知った

 

「私がもう興味など無いと言った理由分かったかしら?」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

二人にはもう、月の都が穢れない都市には見えなくなっていた

確かにこれと分かる穢れはない

しかし、中身が穢れきっている

 

「あともう一つ・・・・サクヤ」

 

永琳が咲夜を呼ぶ

 

「なんでしょう?」

 

少し首をかしげながら永琳に近づく

 

「ああ、貴方のことを紹介しておこうと思って」

 

「そうですね・・・・」

 

姉妹二人は首をかしげる

 

「あの、このメイドがなにか?」

 

弾幕勝負で叩きのめした依姫が尋ねる

 

「紹介をしていませんでした、私は十六夜咲夜と言います」

 

ちらっと咲夜は永琳をみる

永琳は無言で頷く

申し訳なさそうにだが、優しげな目を向けながら

 

「ですが、もう一つ、名乗ることはありませんが、八意サクヤの名を持っています」

 

もう、今日は驚きしかない

極秘裏に行われていた実験で生まれていた、師匠の子

それが、メイド姿で目の前にいる

それも、勝負とはいえ、ボコボコにして、軽いケガも負わせていた

 

依姫はガクガクである

 

咲夜が気にしていなかったから、何もなかったが

 

豊姫いわく

あれは、とてつもなく恐ろしい視線だったとか

 

 

 

 

そして、依姫の謀反の疑いを晴らすため、霊夢を残し他は幻想郷へ帰る

永琳が念を入れて、霊夢を守って、返すよういい含めたため、ちゃんと帰ってくるだろう

 

 

それは、約一月後のこと

何事もなく霊夢は帰って来た

客を一人連れて

 

 

「よく来たわね、依姫」

 

向かいに座りながら永琳が話しかける

 

「いえ、霊夢を送ったついでのような物です・・・」

 

「それでいいのよ、私達はあまり知られてはいけないのですから。霊夢とは仲良くなれたかしら?」

 

「・・・少し・・・話しかけづらかったですが、同じ力を持つ者としては嬉しいものがありました」

 

薄く笑いながら依姫は答える

実際は、依姫が霊夢によく話しかけていた

ちゃっかり、修行をつけていたのも依姫だったりする

 

「さて、防衛役はまだ続けるのでしょう?」

 

「・・・いつか必ず、あの都を本当の穢れ無き都にして見せます」

 

「期待はしないでおきましょう、それと、逃げたくなったら言いなさい、迎えに行くわ・・・・そもそもあんなことになったのは、穢れを洗い流すから、それを作った私のせい。どうしても落とせぬ穢れ、それの蓄積した結果。穢れは、生きとし生けるものが最底辺に墜ちる前に殺すストッパーのようなモノだったのかも知れませんね」

 

「・・・・・」

 

「生まれ落ち、生きて、死んでゆくその時間は我々からすれば短き時間されども、その姿は美しい。」

 

「そうは思いませんか?」

 

依姫は仲良くなった霊夢を思い浮かべる

彼女は確かに穢れを持つ地上人だ

だが、その持つ技術、能力は素晴らしいものだ

サボりくせはあるにしろ、仲良くなった身としては、何事にもさっぱりしている霊夢にどこか惹かれる

もしかすると、あの生き方をうらやましいと思っているのかもしれない

 

「すこし・・・」

 

そう依姫は返した

 

 

 

 

「さて、依姫最後に残念なお知らせです」

 

依姫はいきなりのことで少し困惑していた

 

「これは何でしょう?」

 

永琳は一つ瓶を取り出す

それは・・・とても見覚えのある・・・・

 

「私たちの所の古酒じゃないですか!?なんで師匠が!?」

 

「つめが甘いわね、アレは全部囮よ?義妹も含めてね」

 

がっくりと依姫は肩を落とした

 

「まあ、よく頑張ったとだけ言っておくわ」

 

 

 

 

「貴方も来るとは聞いてないんですけど・・・・」

 

「私も協力したようなモノでしょう?」

 

「スパイもしていたじゃない」

 

「あの子達を鍛えるためです、それに役にはたったでしょう?」

 

そんな言い合いを紫と永琳が繰り広げる

綿月姉妹からかすめ取った酒で一杯やるためだ

 

「幽々子も関わっていたとはな」

 

「ほとんどノリでしたけどね・・・」

 

妖夢が少し呆れ気味に答える

 

まあ、それが幽々子なのだから仕方ない

 

少し、賑やかな宴が始まる

 

 

月では、綿月姉妹が落ち込んでいた

そして、もっと罠にはめられないように頑張ろうそう思うのだった

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

100話

お久しぶりです


携帯で書いて投稿しようと思っていましたが全く時間がありませんでした

考えが甘かったです

まあ、仕方ないですね

今の生活に慣れなければ


季節は巡る

 

霊夢たちが、月へ行った寒い冬が過ぎ、春が来て

暑い夏が過ぎ去り、実りの秋がやってくる

 

だが、

どんな季節が来ようとも、永遠亭の動きは変わらない

そこだけが

まるで別の次元のような雰囲気で

静かに時間が流れ続ける

 

もちろん、そこに住む者たちも

姿形も変わることもなく、暮らしている

 

 

いや、少しずつ暮らしには変化は出てきているのかもしれない

 

 

 

「おはよう、輝夜」

 

襖を開けて妹紅が部屋に入ってくる

そして、そこで配膳をしていた、輝夜が首をかしげながら尋ねる

 

「あら?今日は遅い日じゃなかったのかしら?妹紅?」

 

「昨日も遅かったんだが、何か目が覚めてな」

 

「そうなの、珍しいこともあるものね」

 

「あ、おはようございます、妹紅さん」

 

残りの料理を持って、鈴仙とてゐが部屋に入ってくる

 

そして、4人ともそのまま席に着き食べ始める

 

「お師匠は?」

 

てゐがおかずをほおばりながらここにいない永琳について尋ねる

 

「まだ寝てる、と言うよりさっきまで起きていたみたいだ」

 

「また?いくら死なないとはいえ、むちゃくちゃだなぁ・・・・」

 

妹紅がそれに答え、てゐが呆れ声をもらす

 

「影陽は?」

 

輝夜がもう一人のことを尋ねる

 

「永琳に付き合って一緒に研究していたみたいだ、寝ていたよ」

 

「一緒に、でしょ?」

 

妹紅の言葉に、輝夜が付け足す

 

「本当、仲のいい夫婦よあの二人は」

 

「私には、本当に師匠が八意様なのか分からなくなりますけどね・・・」

 

鈴仙が耳をしわくちゃに垂らしながら呟く

 

「たぶん、今までの永琳の方が異常だったのかもしれないわ、影陽と再会したときから、永琳に分かりやすい表情が多くなったもの、それだけ、影陽のことを思っていたのかもしれないわ、それに・・・」

 

鈴仙の呟きに、輝夜が返す

 

「私が知る限り、十数億年の別れを経ての再会よ?」

 

 

「・・・・すいません」

 

「いいわよ、別に」

 

味噌汁をすすりながら、返す

それから先は、特に何もない会話が続いていた

 

結局、永琳と影陽が起きてきたのは、昼過ぎのことだった

 

最近は診療所としての仕事は輝夜と鈴仙が行い、場合によっては妹紅とてゐが手伝うような感じだ

てゐは竹林の偵察、妹紅は竹炭や薬を売りに人里へ行くことがほとんどだ

永琳が出てくるのは、本当にどうしようもないぐらいの患者が来たときだ

 

影陽は、ほとんど行動が分からない

縁側で化け猫を膝に乗せゆっくりしていると思ったら、数分後には、永琳と怪しい研究をしていたり

紫とともに何処かへ行ったり、フラリと数日姿を消すこともある

フラッといなくなった後紫と永琳のコンビに追いかけ回されているが

 

 

部屋から出てきた永琳はどこかつやつやしていて、影陽はいつも通りだった・・・・らしい

 

 

 

 

 

「なんでだよ!?なんで俺が殺されなきゃならないんだ!?」

 

深い森の中、大柄の妖怪が腕を切り飛ばされ、血まみれになりながら叫んでいた

 

「お前は、幻想郷のルールを犯したそれだけだ」

 

鈍色に輝く刀を持った、黒い影のような人物が、その妖怪に静かに語りかける

 

「妖怪は人間を襲い!驚かし!食う!そして恐れられる!それが俺たち妖怪だろうが!」

 

「ここは、義妹の創り出した、妖怪が暮らすことの出来る、いや、幻想のモノが生き残れる最後の場所だ」

 

静かに、その男が語り出す

 

「ここが消えれば、幻想はただ消えるのみ、だからこそのルール、それを守れないヤツに生きる資格など、ない」

 

最後の言葉とともに、その妖怪は空間に押しつぶされ血しぶきが上がる

その様子を見ていた下位妖怪達は一斉に逃げ出した

 

 

「あとは・・・結界の外に占めだした、催眠、洗脳系能力持ちの人間どもに寄生生物共かか、面倒臭い・・・・あの空間ごと消し飛ばすか」

 

「あ・・・あの・・?影陽さん?」

 

「ん?」

 

声に振り返るとそこに大妖精がいた

 

「やっぱり影陽さんですね、どうしたのですか?こんなところで?」

 

「大妖精か、なに、ちょっとした仕事だよ」

 

「仕事・・・ですか・・・」

 

オドオドと飛び散った血の跡をみながら、答える

 

「まあ、気にするな」

 

パンと影陽が手をたたく

どこかで、悲鳴とともに何かが潰れたような音が聞こえた気がした

 

「む・・・」

 

「どうしました?」

 

「・・・まあ、いいか。何でも無い、さて、家まで送ろう」

 

 

大妖精を肩に乗せ、歩き出す

これから起こるであろう、面倒ごとに頭を悩ませながら



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

101話

影陽が裏の仕事を片付け、永遠亭に戻った次の日の昼のこと

急な来客が影陽の元に現れた

 

影陽その日もいつものように縁側にいた

いつものようにとは言ったが、庭には白砂や岩が置かれ枯山水になっていたが

 

まあ、朝起きてすぐに影陽がしたことではあるが

 

「何のようだ、射命丸」

 

湯呑をわきに置きながら誰も居ない空間に話しかけると

 

「さすが、としか言いようがありませんね・・・・影陽様」

 

上空から目の前に一直線に目の前に射命丸が降り、地面すれすれで停止する

一度、新聞の件で締め上げてからしばらくは引きこもっていたようだが、もう大丈夫なようだ

 

と思いたいがよく手を見たらカタカタ震えていたからまだ、微妙なのだろう

 

「天魔様からのご相談です。影陽殿ならご存知かと思われますが・・・」

 

「昨日の結界の歪みに紛れて何か来たか」

 

「ええ、神社が妖怪の山の中腹に・・・それと巫女と神が二柱」

 

「で、土地の事か」

 

「まあ・・・そういう事です・・・はい・・・」

 

影陽はめんどくさそうな顔をしながら、ため息をつく

 

「どうせ、老害どもが五月蠅いんだろう?天魔は、白狼天狗や烏天狗など人数が減少傾向にあるから、その分土地を狭めることができる、その好機と考えていると」

 

「はい、その通りです。しかし、老害共がまあ・・・・」

 

「で、私か。私からも口添えがほしいと」

 

「はい・・・それに、土地の交渉が滞っているせいで相手と少し・・・特に巫女と・・・」

 

「・・・・・」

 

珍しく、影陽が会話の途中で黙る

 

「どうかなさいましたか?」

 

「射命丸、今すぐ山に戻れ、色々と面倒事が始まるぞ。しばらくしたら私も山に行ってやる」

 

「え?あ!はい!」

 

即行で射命丸は飛び立っていった

 

 

「はあ・・・・で?妖怪の山の巫女が博麗の巫女に喧嘩を売ったと?実力の差も知らずに?」

 

影陽が何もないはずの場所に声をかける

 

「まあ・・・そういう事になるわね、霊夢、ものすごい形相で飛び出していったわ」

 

そう言いながら、紫がスキマからゆっくり歩き出てきた

 

「魔理沙は?」

 

「ついていったわよ、何を当たり前なことを」

 

ああ・・・ダメだこれは

100%大事になる

今の時期、妖怪の山には豊穣の神でもある秋姉妹がいる

やって来たのがなんの神かは知らないが、絶対に魔理沙に反応する

霊夢なんか相手にしない程度に

 

「魔理沙は無茶をしないと思うか?」

 

「しないわね、最近誰の性格かは知らないけれどしつこい相手にはめんどくさそうな態度が増えている気がするけれど」

 

なら大丈夫だろうか?

そう思うと

 

「ああ、あとは最初から大技を使うように・・・・」

 

影陽は最後まで聞かず即座に妖怪の山に跳んだ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

102話

ああ・・・もう始まっている

どれだけの速攻だったのだろう?

数時間もたっていないはずであるのに・・・

山の一部が吹き飛んでいたり・・・

白狼天狗がなぎ払われていたり

秋姉妹がそこら辺で倒れていたりと

もうめちゃくちゃだ

 

特に魔理沙の出した被害が顕著だ

まだ、完全に扱いきれていないようだ

まあ、仕方ないかもしれないが・・・

 

「影陽」

 

魅魔がすっ飛んでくる

 

「すまん、魔理沙を抑えきれなかった」

 

「仕方ないだろう。まあ、戦うたびに被害が少なくなっているようだから、まあ、良しとしよう。あとで被害分は働いてもらうがな」

 

「そうさせてもらうよ、私もね」

 

「弟子の責任は師匠も負うってか?」

 

「まあ、そんなところかね」

 

 

爆音とともにまた、大穴があく

 

「ありゃ直すの大変だな」

 

「・・・・・・」

 

魅魔は頭を抱えていた

 

「頭が痛いよ全く・・・魔理沙の奴・・・・」

 

そうも言いながらもどこか嬉しそうな顔をしていた

 

 

 

 

ちょうど山についた時、霊夢は緑色の髪の巫女と戦っていた

あの子が、霊夢に神社をつぶせといったやつか

何ともトンでも発言である

 

まあ、幻想郷の成り立ちを知らず

外の世界でもそれなりの力があった上での言葉なら分からなくもない

ただの馬鹿かもしれないが

 

そして、思い上がり過ぎだ

ここは幻想が濃縮された場所

外の世界であれだけの力があったとは、素晴らしい素質だ

だが、霊夢には遠く及ばない

 

そして・・・魔理沙に二人がかりで戦っている神二人

何処か見覚えがある二人だ

どこで見かけたかは覚えていないが

魔理沙は全く苦戦する様子もなく戦っている

今までの魔理沙なら持たなかっただろうが

今の魔理沙なら・・・・根本から力が違うのだ、とても簡単な作業だろう

魔理沙が力を受け継いで、ランクが下がっていたとしてもこの世界に残留している神なんかに負ける要素がない

しかし・・・・

 

「もう一度、修行のやり直しだな。霊夢と一緒に鍛えなおすか」

 

直下の惨状を見ながら影陽は呟く

 

「そうしてもらえると助かるわ、兄さん」

 

スキマから紫が出てくる

 

そして隣でスキマに腰掛ける

 

「久しぶりだな、紫」

 

「ええ、久しぶりね魅魔」

 

久しぶりに、会ったようだ。

どうも、魔界から帰ってきて会っていなかったようだ

 

たわいもない会話が続く

 

「影陽」

 

永琳が荷物を持って飛んできた

どうやら、治療道具を持ってきたようだ

 

「永琳、治療しにきたのか?」

 

「ええ、たぶんけが人が出てるでしょうし」

 

下の惨状を見ながら永琳は答える

 

ちょうど霊夢と魔理沙、二人とも同時にラストスペルを使用したところだった

 

まあ、規模は魔理沙の方が圧倒的だったが

 

「なにあれ・・・・」

 

「マスタースパークの比じゃないな」

 

「あれは・・・アンガルタ・キガルシュか・・・・あのバカ・・・最高火力使いやがって・・・」

 

「アンガルタ・キガルシュ?」

 

「日本語に訳すなら・・・山脈震撼す明星の薪、女神イシュタルのエビフ山の話があるだろう?あれだ。だいぶ威力は下がっているがな」

 

永琳も魅魔も紫も顔に手を当てる

 

そんなものをよりによって妖怪の山で使うとか・・・・

 

皆が皆呆れたような感じだ

 

 

「そろそろ行くかね」

 

「そうね、行きましょう」

 

「ええ」

 

4人は山の中腹にある神社に向かって降りて行った

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

103話

「霊夢、魔理沙怪我はない?」

 

紫を先頭に神社の敷地へ入る

まあ、そこも建物以外見る影もなくボロボロになっているが(主に魔理沙のせいで)

 

「ええ、大丈夫よ」

 

「ああ、大丈夫だぜ!」

 

魔理沙と霊夢が返事をする

ケガは全くないようだ

 

「魔理沙はこっちにきな、お説教だ」

 

魅魔が魔理沙に笑顔を見せながら言う

 

「え!?」

 

「当たり前だ、周りを見ろ!」

 

キョロキョロと見渡す

 

「何かおかしいか?」

 

駄目だこいつ!

4人の意見が一致する

 

「魔理沙・・・あんた・・・大丈夫?周りがめちゃくちゃになってるのほぼあんたのせいなのだけど?」

 

「んあ?・・・・そうなの?」

 

・・・よし、教育のやり直しだ

若干、いや、かなり思考が悪い女神寄りになってきていやがる

 

霊夢も魔理沙にジト目を向ける

ここに魔理沙の全力の教育が決定した

 

「魔理沙、魅魔と先に帰りなさい」

 

「ええ・・・なん・・」

 

「帰りなさい」

 

紫が有無を言わさない口調で魔理沙に告げる

 

「ほら帰るぞ」

 

魅魔が強引に引っ張って帰って行った

 

 

 

「んで、そこの連中と山の連中か怪我してるのは?」

 

「そうです・・・お願いします・・・・」

 

答えたのは射命丸だ

それもかなりボロボロの

 

「・・・大丈夫か?おまえ」

 

「なんとか・・・でも・・・魔理沙さんの一撃・・・きつかったです・・・・」

 

そのまま、地面にべしゃりと倒れこむ

というより妖怪の山で今日警戒についていた者はほぼ全員が集結していた

重傷はいないが、魔理沙の神気に充てられてぐったりしていたり、吹っ飛ばされての打撲などが多かった

中には秋神の二人も含まれていたが

ちなみに椛は、霊夢と軽く戦って、即行避難したらしく無傷だった

そのためけが人の搬送作業を行っていた

 

それにしても最近は椛の危機察知能力がすごい気がする

 

 

 

「おい、そっちの神社関係者、怪我はどうだ?」

 

いまだに転がっていた3人に声をかける

 

それにしても特徴的な3人だ

緑髪の巫女に御柱を持った女性にカエルのような帽子の少女とは

 

「・・・ん・・・ああ」

 

「どうも、ありが・・・・」

 

御柱の女性とカエル帽子の少女が起き上がり・・・

影陽の顔を見るなり目を見開き驚いた表情になる

 

「おまえ・・・・」

 

「あの時の!?」

 

「あ?」

 

「影陽?知り合い?」

 

「いや・・・あまり覚えが・・・いや、ちょっと待て・・・」

 

この二人、どっかで見覚えが・・・・

 

「お前ら、戦争でもやってたか?」

 

「ああ!その時にお前が乱入してきたんだよ!」

 

「置き土産に時代錯誤なこんなものを置いていったしな!」

 

背のちびっこいカエル帽子の少女が何かを取り出す

それは・・・

シュールストレミングの缶だった

 

「・・・・そういえば・・・一つ缶がなくなっていたんだよな・・・そうかその時に」

 

「・・・影陽、なんてひどいことを」

 

「いや、私もほぼ意識ないからな?仕方ないだろう?永琳」

 

少し、奇妙な再会になってしまった

 

 

 

 

 

背の高い御柱を持つ女性は八坂神奈子、小さい方は守矢諏訪子というそうだ

 

「で?そこでまだ寝ている巫女はなんだ?なんか見覚えがあるが」

 

「ああ、うちの風祝、東風谷早苗だよ」

 

全員の治療が済み、影陽、永琳、神奈子、諏訪子は円を組み座っていた

 

霊夢も紫もこれからの事は、また今度ということだった

 

影陽は、少し話がしたいと思い残り、永琳は早苗の様子見と影陽と帰るために残っていた

あとは、純粋に何があったのか知りたかったからだが

 

それにしても・・・記憶をを失う直前とは

この二人もなかなかの場面に出くわしたものだ

 

永琳は影陽の話の内容を楽しく聞いていた

 

 

 

ねえ、神奈子、彼、いい人と巡り会えたみたいだね

 

そうだね、とてもいいひとみたいだ・・・・まあ、私からしてもかなり格上の神な気がしないでもないけど

 

それはそれ、これはこれ、まあ、彼がたぶん一番強いんだから、いいんじゃない?

そんな細かいことは

 

それもそうだな

 

二人に聞こえないよう、とても小さな声で会話する

 

 

「う・・・ん」

 

 

そんな時だ、彼女が目を覚ましたのは

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

104話

お久しぶりです。


どれくらい期間が空いたかな・・・・

とてもじゃないですが、書く時間が全くありませんでした・・・申し訳ない
短い休暇だから、進まないかもでは




まさか、4ヶ月ちょっとで10キロ近く体重が減るとは思わなかった


妖怪の山の異変

いや、守矢神社がやって来てから数日がたった

 

まあ、やって来ただけならまだよかったのだが、東風谷早苗がいらん挑発を行ったせいで妖怪の山に大きな被害が出ることになった

主に魔理沙のせいだが

 

まあ、その被害の補填というか補修作業は魔理沙と魅魔が全部やったが

 

まあ、妖怪の山にも良かったことはある

何故かは知らないが、山の老害共が降ってきた隕石に潰された事だ

おかげで、神社への土地の移行がスムーズになり、人員の整理、土地の管理がよくなった

代わりに少々山が荒れたり、怪我をおったり多額のお金が永遠亭に流れたりしたが

 

割を食ったのは・・・秋姉妹だろうか?

まあ、魔理沙の持つ豊穣の神格の方が圧倒的に強いせいでもあるのだが

おかげで、秋姉妹がやさぐれているような状態だったりする

だが、魔理沙のおかげで農作物に被害が皆無であるのだからいたたまれない

 

 

早苗は・・・外に旅行に行ったときに助けた少女だった

 

 

目を覚まして、私と永琳を見て驚愕の悲鳴を上げたのは・・・面倒だったが

 

それにしても保護者が神様二人とは・・・

それなりの霊力と才能があるのは納得だ

諏訪子の話にゃ、諏訪子の血も引いているとか

大概な人物が来たものだ

 

まあ、幻想郷ではそれほど珍しいものではないか

半妖だって居るし、神だの、宇宙人だの、不死人がいるのだ

 

まあ、早苗が持っている力を扱えるかは、早苗次第なのだが・・・

なにも言うまい

相談してきたら手伝う事も考えなくはない

知らない人ではないのではあるのだ

 

そして、守矢神社は、博麗神社とは異なる神社であり、役割が異なるのだ

 

霊夢は人が来ない、お賽銭が入らない、お金がない

 

と言ってはいるが

博麗神社は、幻想郷のための神社であり、人に来て貰うところではない

あそこは、管理者が、幻想郷を守るモノが住まう場所

幻想郷で一番重要な場所なのだ

そして幻想郷の目的は妖怪と人間の共存

だからこそ、妖怪が簡単に神聖であるはずの神社に入れるのだ

 

 

守矢神社は人のための神社

神が人からの信仰を集め還元する場所だ

人が来なければ意味が無い

その点で言うなら、彼らが現れた場所はなんとも悪い場所であるとも言える

強い組織力を有する天狗が治める妖怪の山

その中腹にあるのだ

 

どうやって人を集めるのか、それは二人の神の交渉力次第だろう

 

この間、そのことで天魔が相談に来たが、私はもう、山の所属ではないのだ

 

天魔にそう言うと泣きそうな顔をして、しょんぼりと帰っていった

 

 

 

 

影陽は軽くため息をついた

どうも、あの天魔は自分に頼る癖がある気がする

 

「あら?どうかしたの?影陽」

 

永琳が話しかけてきた

 

珍しく、研究を早く切り上げたらしい

 

「なに、天魔の件だ」

 

「ああ・・・まあ、仕方ないでしょう。」

 

永琳は影陽の隣に腰を下ろしながら答える

 

影陽は冷やした水を空間から、取り出し永琳に手渡す

 

「ありがとう・・・・あら?」

 

「?・・・どうした?」

 

「今日はお酒じゃないのね」

 

「さすがに、毎日酒はどうかと思うからな、気分転換だ」

 

「それもそうね」

 

永琳は水を一気に飲み干す

 

 

 

しばらくは、静かな生活が続けられそうだ

 

影陽は永琳との静かな会話をしながらそう思った

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

105話

お久しぶりです。

今回はかなり短め


全くひどい話だ

 

つい昨日までは、ただただ暑い暑いと言いながら皆でかき氷でも食べながらだらけていただけだというのに・・・

何が悲しくて、幻想郷から追い出さなければならないのか・・・

 

まあ、仕方ないのかもしれないが・・・・

 

影陽は一人高台から見える、都会の様子を見ながら自販機で買った缶コーヒーを一口飲み顔を歪めた

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・暑い・・・暑すぎるわ・・・」

 

霊夢は神社の縁側の部分に腰を下ろしながらそうつぶやく

 

実際夏なのだから暑いのは当たり前だ

だが、それ以上に霊夢がイライラしていた

それは・・・・

 

「いったい!いつになったら雨が降るのよ!」

 

そう、ここのところ雨が一度も降ったことがない、いや

雲が出たことすらない

 

日がさえぎられることは一度もなく、昼間中延々と日が差し込んでいた

きっと霊夢でなくとも、イライラするだろう

 

ぐったりとうなだれていると、珍しく

いや、ここ数週間で初めての風が吹いた

 

山から吹く強い風

何と言うのだっただっただろう?

 

誰かが言っていた気がする

 

・・・ああ、そうだ紫だった

珍しく物憂げな表情で懐かしむような声で説明してくれた

 

この風、晴嵐のことを

 

 

霊夢が顔を上げると、鳥居の下に永遠亭の背の高い兎・・・鈴仙が来ていた

 

 

 

「はあ!?影陽がいなくなったぁ!?」

 

鈴仙が相談に来たのは、影陽が行方不明と言うものだった

それもかれこれ、3週間は経っているとか

 

なかなかの異常事態ではある

だが・・・

 

「紫は何も言ってこないのでしょう?だったら何か用事ができてどこかに行ってるだけじゃ?」

 

霊夢の意見に鈴仙は首を横に振って否定する

 

「あの人は確かにふらりと出て行ってはふらりと帰ってくる。けれど必ずその日のうちには帰ってきてた。どこか泊りに行くときは八意様に一言いうか、妹紅、姫様のどちらかに話して行くのです。今回のように誰にも何も言わずに、いなくなることはありません。八意様がものすごく心配して仕事が滞るからでもありますが」

 

「・・・それ、主人の惚気?なに?心配して仕事に手がつかないって」

 

霊夢はあの真面目でしっかりとした永琳以外の姿が思い浮かばず眉間に手を当てた

 

「ま、まあ・・・そういうところもあるんです・・・」

 

鈴仙も若干苦笑気味に答える

 

「とにかく!何かの異変の前触れの可能性があるのでお願いします」

 

「分かったわ、いつでも動けるよう。準備はしておきましょう」

 

「お願いします。では、私は戻ります。戻って仕事をしないといけないので」

 

ペコリとお辞儀をして鈴仙は参道を戻り始める

 

「鈴仙!」

 

中ほどまで進んだ鈴仙に霊夢は声をかけた

 

「はい!?」

 

「あんたのところ!天気はどうなってる?」

 

「天気ですか?・・・・荒れたり、強風が吹いたりと何だこりゃというか・・・無茶苦茶ですね、一貫性がないというか」

 

「いつから!?」

 

「・・・え?・・・・確か・・・影陽様がいなくなった直後あたりでしょうか?数週間前ですかね?」

 

「そう・・・ありがとう。もういいわ」

 

鈴仙は首をかしげながら階段を下りていく

 

 

「・・・急ぐか・・・もう異変は始まっていたなんてね。全く・・・」

 

 

「使えない巫女ね」




仕事が本格的に始まる・・・・

次投稿できるのはいったいいつになることやら・・・


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外小話
百人一首


ちょっと、はまってしまった百人一首の話
百人一首というよりも和歌が好きなのかもしれない

本編には関係ありません
ちょっと思いついた話を書いただけです



正月の三が日が過ぎたころ

影陽は深い雪をかき分け香霖堂を訪れていた

 

理由は特にはないが、なんとなく来たくなったというしかない

いや、店主とは最近あってもいなかった

挨拶に行くとも考えればいいものか

 

やがて、こじんまりとした店が見えてくる

その近くで雪かきをしている男性が一人

 

「やあ、香霖、あけましておめでとう」

 

「おや、珍しいお客だ、あけましておめでとう、影陽」

 

「ここ最近顔を見ていなかったし、新年のあいさつもなかったしな散歩ついでだ」

 

「おやおや、見ていくかい?お茶ぐらいは出すよ」

 

「お邪魔しよう」

 

二人でモノの詰まった店に入っていく

 

 

 

 

「それにしても、モノが多いな・・・壊れているものもたくさんあるが」

 

「影陽にはいろいろ教えてもらったしね、なにかほしいものがあったらまけておくよ」

 

「そこはあげるよと言ってほしいものだね」

 

「それじゃ、商売あがったりだからね。まあ、魔理沙はいろいろツケだらけだが」

 

「おや、博麗の巫女はどうなんだ?」

 

「あそこはこの間一括で全額払いに来たよ、金塊で」

 

どう考えても自分が渡した物だろう

というより、いったいどれだけツケていたのか

 

「ほら、お茶が入ったよ」

 

「ありがとう」

 

暖かいお茶で冷えた手を温めつつ商品を見つめる

 

封印されたような危険なものはないようだ

そういった気配もない

少しホッとする

あとは・・・人里のあの貸本屋だろうか・・・

場合によっては・・・強硬手段も取らなけらばな・・・

そんなことを考えていると・・・

 

「ん?」

 

「どうかしたかい?」

 

「いや、少し懐かしいものがあってな」

 

「ん?ああ、百人一首かい?古典的ゲームみたいなものだが・・・何か思い入れでも?」

 

「いやな・・・一時期貴族をしていてな・・・和歌を読んだこともあったなと・・・もう忘れてしまったが」

 

「へえ・・・きみにそんな過去があるとはね」

 

「ふふ・・・妹紅なんかすごいぞ?貴族の中でも重鎮の娘だ」

 

「・・・聞かなかったことにしておくよ」

 

ははっと笑いつつ影陽は美しい入れ物に入った年期物の百人一首を手に取る

 

「これをもらえるかい?」

 

 

 

 

「で?買ってきたわけか」

 

「へえ・・・和歌をまとめた物なのね、だいぶ昔の物もあるようだけど」

 

「天皇の詠んだものとかもあるな・・・これは・・・藤原氏か」

 

「西行法師もあるわね」

 

紫がスキマから出てきながら話しかける

 

「紫いきなり出てくるな」

 

「あら?かまわないでしょう?それに私も少し懐かしいわ、必死にこれを頭に詰め込んだもの」

 

「「「????」」」

 

妹紅や輝夜、永琳に鈴仙は頭をかしげる

学校に行っていないのだから知らないだろう

 

「外の寺子屋みたいなところでは、これをテストで出したりするからな、覚えなきゃならないんだ」

 

「・・・なんだそれ」

 

「まあ、私にも意味があるのか知らんがな」

 

 

その後、なぜか好きな歌を選ぶ羽目になったが・・・

 

まあ、悪くない

永琳が赤くなったり、紫が悔し顔をしたりしていたが

なかなか楽しい時間だった

 

 

 

 




ちなみに彼が選んだものは

筑波嶺の みねより落つる みなの川 
         
         恋ぞつもりて ふちとなりぬる 
                         「陽成院」

あるかないかの思いでさえも 積もり積もって
             今はもう 君のことが愛おしい

大雑把に言ってしまうとこういう歌

ここの永琳にはダイレクトヒットしそう・・・まあ、狙ったのもありますが
私もこの歌が好きです
こういう恋もいいですね・・・

永琳や輝夜、紫、妹紅にはどんな歌が合うだろう?
よさげなものがあれば、教えていただきたいです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

闇鍋の悪夢


なんでこんなものが出来上がったのか
さっぱりわからない

友人しかいないチャットというものは恐ろしく
不思議なものですな


はっきり言ってカオスの塊
そして、これを書いた私はもっとおかしい存在だな

無駄に長いです
そしてわけわからないでしょう

読まなくてもOKです

その場にいた方々にはちゃんと許可を戴きました



紫が気が付いた時、そこは何もない暗闇だった

おかしい

私は確か、風呂に入った後、就寝したはずだ

なのになぜ、こんなところにいるのか

何故か能力も使えない

紫は一人、トボトボ歩き始める

何も聞こえない真っ暗な中を歩き続ける

 

誰もいない

どこまで歩いても先が見えない

音も、自分の足音さえも聞こえない

 

紫でも心がくじけそうになる

だが、泣きたい気持ちを抑えながら歩き続けた

 

 

 

どのくらい歩いたのだろう?

時間の感覚さえなくなってきた

感覚もなくなってくる

いくら妖怪でもこんな空間に長時間いることは精神がおかしくなっても仕方ない

自分のスキマは別だが

 

ガクンと足の力が抜けその場に倒れ伏す

同時に涙がこぼれてきた

もう限界だった

 

「・・・藍・・・橙・・・・お兄様・・・・助けて・・・・」

 

倒れたままボロボロと涙を流す

そこにいるのは威厳のある、神隠しの主犯でも、恐ろしい妖怪でもない

ただの一人の少女がそこにいた

今まで、奥底に眠っていた、××××××という少女が

 

 

「・・・・・・や・・・・しよ・・・・・」

 

「い・・・・・ぞ・・・・・・」

 

 

ばっと顔を上げた

どこからか声が聞こえる

周りを見渡すとはるか遠く微かな明かりが見えた

紫は立ち上がり、走った

つんのめってコケそうになりながらも全力で

疲れ切った足を必死に動かした

 

そして、光の下に、たどり着いた

 

そこは不思議な空間だった

何故か人が集まっているのだが

何をしているのかさっぱり分からない

そして、そこに集まっている人々も顔が分からない

いったい何をしているのか

 

「祝えーーーー!!!!鍋にするぞー!!!!!」

 

誰かがそう叫ぶ

 

「「「「「「「「「「「うおおおおおおぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉおおぉおぉ!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

そこにいた全員が雄たけびを上げる

はっきり言って、恐ろしい

さっきまで静かに隣と話し合うだけだったのに

鍋宣言の後のこの雄たけび

訳が分からない

 

「出汁だ!出汁を入れるぞ!」

 

宣言した人の近くにいた誰かが声を上げる

 

「入れろ!入れろ!どんどん入れろ!」

 

その声と同時に人が割れる

そして・・・・

 

その場に巨大な

半径20メートルはあるのではないだろうか?

それほど巨大な鍋がその場に表れる

 

「さあ!火をつけろぉぉぉぉ!!!!」

 

「「「「「「3!」」」」」」

 

「「「「「「2!」」」」」」

 

「「「「「「1!」」」」」」

 

「「「「「「「「「「点火ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」」」」」

 

一瞬

鍋の側面を炎が駆け回る

それと同時にまた

歓声が響く

 

もうこの時点で紫の頭は大混乱だ

 

なにこれと

 

そしてその鍋に人がわさわさと集っていく

 

食材の名前を宣言してどんどん放り込まれていく

 

「鰹節!」

 

「昆布!」

 

「アゴ出汁!」

 

「ワカメ!」

 

「煮干し!」

 

「豚骨!」

 

「鶏ガラ!」

 

いったい何をするつもりなんだろう?

どう考えても鍋にするようなものじゃない

 

「蛸!」

 

!?

 

生きたままの蛸が鍋に投げ込まれる

 

「アンコウ!」

 

「「いいぞー!大洗!」」

 

「チョコレート!」

 

!??!??!

 

「白菜!」

 

「コ〇キ〇グ」

 

・・・・・

 

「ハバネロ!」

 

「明太子!」

 

何だろうこれは・・・

もはや鍋と言いたくない代物だ

一体何がしたいんだろう

 

「新鮮なオリーーーーブ!」

 

オリーブの木ごと鍋に投入される

 

「オリーブオイル」

 

静かに一樽分注がれる

 

「しらたき」

 

聞いているだけでもう気分が悪い

そこに一人やってくる

 

「さあさあ!入れるぞ!これだ!!!!」

 

巨大なかごに入った物をそのまま豪快に投げ入れる

 

「シュールストレミング!Gの卵!ザッハトルテだぁぁぁ!!!」

 

「「さすがだ!MAX!!!!」」

 

なにやら有名な人らしいが・・・

 

私的にはもうダメだ・・・

その後も訳の分からないモノがどんどん鍋に放り込まれる

 

「古事記」

 

「燃料」

 

「愛と勇気」

 

「恋」

 

「血液」

 

紫は考えることを放棄した

ただそこにうずくまっているだけである

本当はここから離れたい

だが、あの暗闇に戻るのも嫌だった

 

「火が弱い!加熱しろぉぉぉぉぉ!」

 

「おらぁ!ジェット燃料だ!もってけぇ!」

 

何人かが一斉にドラム缶を鍋の下に放り込む

 

今度は爆発する勢いで炎が上がる

 

「いいぞぉ!どんどん入れろ!もっともっと燃えろぉぉぉ!」

 

「鍋にも食材をいれろぉぉぉぉ!!!」

 

「なべがふっとぶぞぉぉぉ!」

 

「松〇修〇」

 

 

 

「・・・は?」

 

そんな言葉が思わず漏れてしまう

だが幸いにもこの狂気の祭りを行っている者達には聞こえなかったようだ

その間にも食材?

は放り込まれる

 

「脱ぎたて靴下」

 

「タキオン粒子」

 

「原爆」

 

「水爆」

 

「ウラン」

 

「プルトニウム」

 

「コアメタル」

 

「仮〇ラ〇ダーの変身道具」

 

「何入れてるんだ、第一オルター!最高だぜ!」

 

本当に狂気だ

 

「ザビーゼクター」

 

「溶源性細胞」

 

「冥王星」 

 

「閃光玉」

 

「ガ〇ダム」

 

もうロボットだろうが危険物質だろうがお構いなし

何もかもがあの鍋に放り込まれていく

 

「カナヘビ」

 

「じゃあ!カナヘビ!お前も入れぇぇぇ!」

 

カナヘビを入れた人が鍋に蹴り落とされる

 

!?

 

「〆サバ」

 

「お前もじゃぁ〆サバぁぁぁぁ!」

 

とうとう食材を入れていた人?らしき者達も鍋に入れられてしまった

しかし、周りは大爆笑だ

そして何もなかったかのように続けられる

 

「家紋!」

 

「葱!そして私!」

 

葱を大量に持った人がそのまま鍋に飛び込む

 

「ヒャッハー!最高だぜぇ!」

 

そんな声を響かせて

 

「いいぞ!並葱ぃぃぃぃ!」

 

もう私はだめかもしれない

地面を這うように紫は逃げだした

ものままでは自分はおかしくなる

背後では、いまだに祭りは続いている

 

「闇!」

 

「ルーミア!」

 

!?

 

「なのかー!?」

 

「扶桑、山城!」

 

「「不幸だわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「ギルガメッシュ!」

 

「ざっっっっっっしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」  

 

「文!」

 

「いいぞ!紅葉!」

 

「椛ぃぃぃぃぃぃ!?」

 

「橙と橙で釣れた藍」

 

「ゆかりしゃまぁぁぁぁあ」

 

「ゆかりさまぁぁぁぁぁあ」

 

「えーりん!」

 

「もこたん!ぐーや!」

 

「てゐ!」

 

「優曇華!」

 

「博麗神社!」

 

「霧雨魔法店!」

 

「チルノ!」

 

「幽香!」

 

「メディスン!」

 

「ニトリ!」

 

 

!?!?!??!??!??!?

いったいどういう事だ!?

さっきから聞き覚えのある声や名前が聞こえる

いや!そんなはずはない

 

「メガ粒子砲!アトミックバズーカ!」

 

「そろそろラストだ!最後!行け!」

 

「ブラックホール」

 

「おっしゃぁ!!!!」

 

「みんな!いくぞぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 「祝砲フレンズ!祝砲だ!うてぇ!」

 

爆音が聞こえてくる

そして

振り返った時

全員が鍋の中にダイブしていくのと

 

こちらに一人誰かがむかって来るのが目に入った

 

紫は逃げだした

が襟首をつかまれ引きずられていく

必死に抵抗してもビクともしない

スキマも開かない

 

そして

 

「紫」

 

聞き覚えのある声と共に鍋に放り込まれた

 

 

 

「いやぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁ!!!!!」

 

 

 

ガバッっと布団から飛び起きた

はあ、はあと荒い息が出る

全身汗でぐっしょりだ

どうやらかなり悪い夢でも見たらしい

 

最後、兄の声を聴いた気がするが・・・気のせいだろう・・・

 

どたばたと足音が聞こえてきて

 

「紫様!?どうなさいました!?」

 

寝間着を汗びっしょりにした藍がそこにいた

 

「ああ藍・・・少し夢見が悪くてね・・・」

 

「紫様もですか・・・」

 

「も?もしかして・・・」

 

「はい・・・私も・・・」

 

「らんしゃまぁぁぁぁ・・・・」

 

橙が泣きながら藍にしがみついていた

 

どうやら皆似たようなものを見たらしい

 

幻想郷を回ってみると大半の者が悪夢を見たらしい

異変だろうか?

だが、それっきり誰も悪夢を見ることはなかった

 

 

「あら?永琳、兄さんは?」

 

「影陽?この間から出かけているけれど?」

 

「どこに行ったのかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう・・・まさか幻想郷が巻き込まれるとはなぁ・・・・」

 

「まあいいか・・・私は楽しかった、あんな狂気の祭りなんて他じゃ楽しめないからな、最後まで楽しいもんだ」

 

影陽は一人

永遠亭の屋根の上で寝っ転がる

あの空間で知り合い仲良くなった者のことを

また会えること願いながら




うん

訳が分からないよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

闇鍋

闇鍋の悪夢の別視点版です


「やれやれ・・・どうやら私には退屈という言葉とは縁がないようだ」

 

呆れたような口調で影陽はそんな言葉をもらす

だが、その声は誰にも届くことはなく

漆黒の闇の中に溶けて消えていった

 

 

 

影陽は結界の様子を見るために幻想郷の外れにまで足を運んでいた

本来は紫と霊夢の仕事のはずなのだが

紫はなんだかんだ言って藍に押し付け、霊夢は修行と一緒にさぼり気味だ

最低限のことはやっているからましであるが

そのしわ寄せは、ほぼ影陽に来ていた

藍も優秀ではあるのだが、できないものは影陽に回ってきていたのだ

 

藍が頼みに来るたび

若干涙を浮かべながら本当に申し訳なさそうに頭を下げてお願いをしてくるから断りづらい

それに、自分にも関係があるのだから、仕方なしに修復などを行っていた

 

紫と霊夢には何度か説教をしたがあまり効果はなかった

 

藍には少し橙を借りたりしている

個人的には動物は好みなのだが・・・

動物は警戒して近づいてこないから、猫状態の橙を借りて愛でて居るのだ

橙もそんなに悪い気分ではないから、少し楽しみにだったりする

藍は抱き着いたりとちょっと激しい愛で方だが、影陽はそっと膝上に乗せ、優しくなで、眠りを誘うような愛で方だからだ

時々、永遠亭の人にも可愛がってもらえるからでもあるが

 

 

そんなこんなの事情で幻想郷の外れにまで来た影陽だったが、そこで綻びを直していて、突然結界が開き吸い込まれたのだ

そしてその穴はすぐにふさがり

影陽は、この空間に取り残されたのだった

何故かは知らないがここでは能力も使えなかった

そして影陽は気づく

 

ここは、世界の定まらぬ場所だと

 

ありとあらゆる世界の狭間、境界と境界の間、世界の交わる混沌の空間だと

 

どうすれば出られるのか影陽にも分からない

そもそも、能力が使えないのだ

 

仕方なしに歩いていると、不思議な空間に出た

薄暗いが妙に明るい雰囲気のある場所だ

そしてものすごく広い

その場所を探索すると、なぜか超巨大な鍋が固定されてあった

 

訳が分からない

 

そこにしばらくいると、人がやって来た

互いに驚くしかないが、こんな場所に来てしまったどうしだ

すぐに、仲は良くなった

そして、それを皮切りにどんどん人が集まりこの空間が人で埋まるほどの人数になった

 

集まった者の名前を聞いていると、皆偽名だ

だが、それでいいとも思った

ここは、不思議な場所だ

本名でないほうがいい

影陽も、別の名前を使った、自分とはまったく関係のないマエスという偽名を

 

他の人はもっと個性的な名前だったが

 

みんな、ここから出る方法を探していた

探していたはずだった

 

誰かが鍋をしようと言い出すまでは

 

ここの空間で鍋という言葉は大勢の人がいた場合

禁句だったようだ

みな、狂気に感染した

 

すると、自分の望んだものが手元に表れる

 

そして・・・・

 

 

 

 

「祝えーーーー!!!!鍋にするぞー!!!!!」

 

 

 

そこ声で鍋が始まった

 

鍋は鍋でも闇鍋だ

 

放り込まれる物はカオス

その一言に尽きる

 

出汁の時点で

 

鰹節 昆布 アゴ出汁 ワカメ 煮干し 豚骨 鶏ガラ

 

もう何が何だかわからない

だが誰も突っ込まない

もう、なんでもかんでも放り込みたい

そんな狂気だったのだろう

 

生きたままの蛸 アンコウ チョコレート 白菜 コ〇キ〇グ ハバネロ 明太子 新鮮なオリーブの木 一樽分のオリーブオイル しらたき シュールストレミング Gの卵 ザッハトルテ

 

古事記 燃料 愛と勇気 恋 血液

 

 

火力が弱くなれば、ジェット燃料を炎に投入した

 

そしてカオスは、狂気はさらに加速する

 

松〇修〇

 

とうとう人まで放り込まれる

ただのその人を模した偽物だったが

 

脱ぎたて靴下 タキオン粒子 原爆 水爆 ウラン プルトニウム コアメタル 仮〇ラ〇ダーの変身道具

 

ザビーゼクタ 溶源性細胞 冥王星 閃光玉 ガ〇ダム

 

「カナヘビ」

 

「じゃあ!カナヘビ!お前も入れぇぇぇ!」

 

カナヘビを入れた人が鍋に蹴り落とされる

 

「〆サバ」

 

「お前もじゃぁ〆サバぁぁぁぁ!」

 

ここに集まった人たちまで入れ始めてしまった

だが、狂気の中、気が付いた

あの鍋が

ここの空間から出るカギだと

 

皆そこに気が付いたようだ

本当に何者達なのだろう?

 

 

家紋

 

「葱!そして私!」

 

葱を大量に持った人がそのまま鍋に飛び込む

 

「ヒャッハー!最高だぜぇ!」

 

並葱、そう呼ばれた人が飛び込む

 

「闇!」

 

「ルーミア!」

 

あ?

 

「なのかー!?」

 

「扶桑、山城!」

 

「「不幸だわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

「ギルガメッシュ!」

 

「ざっっっっっっしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」  

 

「文!」

 

「いいぞ!紅葉!」

 

「椛ぃぃぃぃぃぃ!?」

 

「橙と橙で釣れた藍」

 

「ゆかりしゃまぁぁぁぁあ」

 

「ゆかりさまぁぁぁぁぁあ」

 

「えーりん!」

 

「もこたん!ぐーや!」

 

「てゐ!」

 

「優曇華!」

 

「博麗神社!」

 

「霧雨魔法店!」

 

「チルノ!」

 

「幽香!」

 

「メディスン!」

 

「ニトリ!」

 

なんか見覚えと聞き覚えのある名前と声だなぁ・・・

そんな感想を思いながら影陽は準備する

一番最後

とっておきのものだ

 

「メガ粒子砲!アトミックバズーカ!」

 

「そろそろラストだ!最後!行け!」

 

「ブラックホール」

 

影陽はそれを鍋に投げ込んだ

 

「おっしゃぁ!!!!」

 

「みんな!いくぞぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 「祝砲フレンズ!祝砲だ!うてぇ!」

 

祝砲(実弾)が爆音を上げ連続発射される

それと同時に皆が鍋の中に舞った

 

そして影陽は、振り返って、ここにいるはずのない者を見つけた

 

近づくと、逃げだそうとしたから捕まえ、鍋にまで連れて行った

 

そして

 

「紫」

 

名前を呼ぶと同時に投げ込む

 

こうなった、根本的な原因に対する怒りもなかったとは言わない

 

悲鳴を上げながら紫は混沌の鍋に消えていった

 

そして、影陽もその中に飛び込んだ

 

 

 

気が付くと、夜が明けた幻想郷

己の住む、永遠亭の屋根の上で寝っ転がっていた

 

下から、紫と永琳の声が聞こえる

どうやら、あれを悪夢という形で体験したらしい

有無を言わさず、放り込まれた側だが

 

今思うと、影陽はあの時

狂気に駆られていた時、笑っていた

永琳にも見せたことのない、心の底から楽しんで笑っている顔を

 

あの空間で会った者達にまた会いたいなぁ

そう思う影陽だった

おそらく、会うことはもうないだろうが

 

人の夢そう書いて儚いと書く

夢は儚いものだが

現実を忘れることのできる場所なのだろう

囚われてしまったら、二度と帰ることは出来ないが

多少の楽しみならよいのかもしれない

 

 

パキパキッ

 

何処かで、あの空間が開く音が聞こえた

 

それはどこかは分からない

それはきっと

誰かのために・・・・

カオスを広げるために

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

無名の墓

人里には墓地がある

墓石もあるそれなりに立派なものだ

 

そこには一つだけ不思議な墓がある

ある日突然現れた不思議な墓だ

その墓石には何も書かれていない

だが、

誰にも動かすことは出来ず

放置され、やがて身元の分からぬ者の墓となった

 

 

 

 

 

とある新月の晩

影陽は、永遠亭の外にいた

少し、寝付けず、夜中の散歩に出て居たのだ

 

誰もいない漆黒の竹林を影陽は歩く

 

寝付けない理由は何となくわかっている

 

命日だ

 

自分のではない今となっては遥か昔

実の両親の命日だ

義妹を救って死んでしまった両親の

 

あの日を境に私は変わってしまったのだろう

 

今となっても、そう思える

 

 

傭兵という職業に就き、人を殺し、金を得て、昨日までは仲間だった者を殺し

誰かの命令で人を殺す

そこに正義などない

そこで正義という言葉は幻想と知った

 

義妹さえ自分の前から姿を消し、帰国すると殺されかけて世界移動

初めて信頼できる者を、親友と永琳と会った

また、死にかけながら生き延び

己の魂の姉と会う

 

氷を操る友人ができた

義娘のような存在ができた

鬼と仲良くなった

輝夜という義娘ができた

永琳と再会し共に逃げた

竹林でてゐと会った

そのうちに妹紅も転がり込んでいつの間にか義娘に

鈴仙が来て、永遠亭が開かれた

義妹との再会

 

義妹もいて、嫁もいて、義娘達がいて、実の娘がいて

 

自分は、なんと幸せなのだろう

 

多くの人を殺し続けたのに

任務で幼い子さえも殺したのに

 

 

気が付くと、竹林を抜けていた

 

「・・・らしくもない」

 

引き返そうとして、香ばしい匂いが鼻を突いた

 

あたりを見渡すと、遠くに人里に近いところに屋台が出て居た

夜中に、人里の外で店を開けている時点で妖怪の店とわかったが、少し酔いたい気分の影陽だった

その屋台に足を向けた

 

「まだやっているかい?」

 

「いらっしゃいませ、まだやってま・・・・影陽さん!?」

 

「おや、ミスティアだったかな?君の店だたのか」

 

店をやっていたのは以前あった夜雀のミスティアだった

 

「どうしたんですか?こんな時間に」

 

「寝付けなくてな、いつもなら晩酌でもするんだが・・・そういう気分でもなくてな。散歩に来たら、たまたま店を見つけたんで来ただけだ」

 

「そうだったんですか」

 

「なにか、おすすめを頼むよ」

 

「えっと・・・ヤツメウナギでも?」

 

「そういえば、そんなことを言っていた気がするな、それで頼む」

 

「分かりました」

 

ミスティアは、なかなかの手さばきで、ヤツメウナギをさばいて串に刺し、焼き始める

 

「酒も何かあるかな?」

 

「今なら、雀酒がありますよ」

 

「ほう・・・それをもらおう」

 

「私にも同じものをもらえるかしら?」

 

突然、影陽の背後にスキマが開き紫が出てくる

 

「や・・八雲紫!?」

 

「なんか用か?紫」

 

「なんでも、でも、あの日は明日でしょう?少し・・・ね?」

 

「ミスティア、同じものを」

 

「は、はい!」

 

ミスティアは同じものをすぐに用意する

それなりに紫は恐れられているらしい

 

「ミスティア、これから話すことは他言無用だ」

 

「は・・はい・・・」

 

「そうね、私たちの核心に触れるからね」

 

「ひぃぃ・・・」

 

 

ミスティアには悪いことをしたが・・・

紫ではなく、メリーと話せたのは、いいことだ

その夜明けまえ、二人はミスティアに多額の金を払い出ていった

 

その日、人里の共同墓地

その端に、小さな、何も刻まれていない無名の墓が人知れず建てられた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幻想の外1

「空気が悪い」

 

「同感ね」

 

普段の和服姿ではなく、外の世界の服装で腕を組み、壁に寄り掛かった影陽がつぶやくと同じような服装をし、影陽の隣で壁に寄り掛かった永琳が答える

二人とも不思議と洋服が似合い風景に溶け込んでいた

まあ、二人の整った顔と永琳の長い銀髪が目立ちはしていたが

 

二人がいるそこは

高層ビルに囲まれた都会の中

草木も土もない、アスファルトに覆われたビル群の底

多くの人が目指し集まる場所だ

 

「妹紅に輝夜め、紫に妙な事を頼みやがって」

 

「あの二人は悪くはないでしょう、悪いのは外に放り出した紫でしょう?」

 

流れゆく人の流れを見ながら二人は会話を続ける

何処か気怠そうな雰囲気で

 

二人が来ている服は妹紅と輝夜が用意したものだ

というよりも贈り物が正しい

それを着たとたん

二人はスキマで外の世界の路地に飛ばされたのだ

 

 

 

「影陽、貴方の力ならすぐに戻れるでしょう?」

 

「紫の奴がしっかり対策して、一か所からしか入れないようになっていて無理だ」

 

永琳は顔に手を当てる

 

「あの子、妙なところだけしっかりしてない?」

 

呆れたような声が永琳から漏れた

 

「知らなかったのか?結構そういうやつだ、本気の時と遊びははしっかりしているが普段がな」

 

二人の間に沈黙が降りる

 

人の流れは途切れることなく続く

 

だが、さすがに留まり過ぎたのだろう

少しづつこちらを見てくる人が増えてきた

 

「行くか、永琳」

 

「何処へ?」

 

「幻想への入り口まで」

 

二人が手を差し出し、永琳はその手をつかんだ

 

そして、二人は歩きだした

唯一開かれた幻想の入り口に向かって

 

 

 

影陽は、人ごみの中を縫うように、永琳を連れ歩く

影陽にはここがどこだか分かっているような動きだ

永琳にはどうなっているかさっぱりだ

 

「影陽、どこへ向かっているの?」

 

「今は駅だ、そこで電車に乗って移動する」

 

「何処へ?そもそも、なぜ電車で?能力を使えば・・・」

 

「こんなところで能力は使えない、向こうにも人目がないとは言い切れないからな。そしてまず、諏訪に向かう。紫は、順番に通らないと戻れないようにしている。そしてそこからまた移動して・・・」

 

「・・・移動して?」

 

「・・・・私の生まれた町の神社に行く、そして外の世界の博衛神社に行けば帰れる」

 

「そう」

 

 

永琳はその言葉で思い出す

影陽の記憶を

そこで何があったのかを

そして、紫の思惑もなんとなく理解した

影陽だけでなく

自分も一緒に連れてこられたのかも

 

妹紅と輝夜はきっと気分転換が目的で、あとは二人だけの時間を作らせるために紫に相談したのだろう

それを紫は利用した

 

彼が両親の墓を作ったことは知っている

紫も協力していたはずだ

その町は影陽に知る、生まれた町ではないだろうが・・・

きっと・・・その自己のあった場所に行かせたいのだろう

 

 

 

影陽はまだ、あの時自分も共について行きたかったのだろうか

 

永琳は影陽に手を引かれながらそんなことを思っていた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幻想の外2

永琳と影陽はガタゴトと電車に揺られ一路諏訪を目指す

なぜ諏訪なのか

影陽にも分からない、もちろん永琳にも

紫の考えることは時折突飛すぎてわからない

 

 

二人掛けの座席で乗る前に買った駅弁をつつく

 

お金等は影陽が用意したものだ

他にも必要なものはすべて用意しての旅路だ

 

 

 

「何なんだろうな?」

 

影陽が不意に食べる手を止め呟く

 

「ん?どうしたの?」

 

「いや、今まで永琳と二人きりで出かけたりしたことないはずなのに、落ち着いている自分がいて・・・」

 

「今更じゃないかしら?何年一緒に暮らしてきたと思っているの?緊張も何もないでしょう?」

 

「ククッそれもそうか。それにしてもこういう旅は一人でしかしなかったから、緊張というか違和感を覚えると思ったんだがな」

 

「あら?そうなのなら私は嬉しいわ」

 

「?」

 

「貴女が違和感を覚えないほど、私がそこにいることが当たり前になっている。そういう事でしょう?」

 

二コリと永琳が笑顔を影陽へ向ける

影陽も見たことのない明るい永琳の笑顔だった

 

影陽は少し、気恥ずかしくなり顔をそむけた

その反応を見て永琳はクスクス笑っていた

永琳は楽しんでいた

そして、うれしく思っていた

影陽の珍しい反応を見ることができたから

少し紫に感謝した

 

 

 

 

 

「ここは自然が残っていていいな」

 

「そうね、多少は残っているみたいね。相変わらず地面はアスファルトだけれど」

 

「日本にアスファルトじゃない道なんてなぁ・・・・ほとんど覆われているよ」

 

二人は諏訪大社へ向かう道を歩いていた

ここにもビルは建ってはいたが都会ほど高いわけでもない

それに道の端の方にだが木が立ち並んでいる

それによって多少は空気がよくなっていた

 

幻想郷はアスファルトに覆われた場所などない、コンクリートもだ

そして、自然だらけだ

 

そもそも江戸時代後期レベルの場所なのだから幻想郷の空気と比べる方がおかしいのだが

 

 

 

「・・・・む」

 

影陽がいきなり立ち止まる

 

「ん?どうしたの?かげ・・・・あら・・・」

 

 

ビルとビルの間

影陽はそこに目を向けていた

永琳も目を向けて影陽が立ち止まった理由を知った

 

 

 

「離してください!」

 

「まあ、まあ落ち着いてよ嬢ちゃん。変なことするんじゃないって」

 

「そんな露骨に嫌がられるとショックだわ~」

 

暗がりで、緑髪の少女に言い寄るチャラい恰好をした青年ども

影陽は昔義妹に群がってきたクソガキどもを思い出しだ

 

「ちょっと行ってくる」

 

「はいはい」

 

影陽は永琳に荷物を預け、路地に入っていった

 

 

「ちょっと一緒に遊んでくれるだけでいいからさぁ」

 

「嫌です!離してください!」

 

掴まれた手を振り払い逃げようとするしかし

 

「まて!」

 

他の男に掴まれ、壁に押し付けられた

 

「きゃ!?」

 

「なあ、そう逃げ・・・」

 

 

「おい、そこで何をしている。」

 

影陽が声をかけたのはそんな時だった

 

「なんだ、あんた」

 

声をかけて来た奴を無視し、少女に話しかける

 

「助けてほしいか」

 

「!」

 

少女は即座にうなずいた

 

「そうか、それじゃ・・・」

 

「おっと、何もするなよ」

 

少女を壁に押し付けている者を含めて皆ナイフを持ち向けていた

 

「へへ、これで何もできないだろう?」

 

一人、近づきナイフを突きつけきたが

 

その手を片手でつかみ

思いっきり捻った

 

バギッ

 

そんな音が響き

ナイフを突きつけた人物が宙を舞い

壁に叩きつけられた

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!腕!うでがぁぁぁ」

 

手首と腕をへし折られその場に蹲る

 

「な!?この!」

 

もう一人、刺すような勢いで突っ込んでくる

 

ナイフを持った腕をつかみそのまま背負い投げを放ちその勢いで腕を折る

 

「ひいぃぃぃ!?」

 

「動くな!」

 

少女にナイフを突きつける

しかし

影陽の背後からメスが飛びそのナイフを掴んだ手を貫通した

 

「に・・・逃げろ!」

 

誰かがそう叫ぶと皆一斉に逃げ出した

腕を折られた者も無事だった者も一斉に奥へ逃げ出し、静寂が戻る

 

「大丈夫かい?怪我は?」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「そうか」

 

「貴女も大丈夫かしら?影陽?」

 

永琳が路地に入ってくる

 

その美貌に少女は目を丸くしていた

 

「ああ、何ともない、ありがとな」

 

「どういたしまして」

 

「じゃあな、気を付けて帰れよ」

 

メスを拾い、呆然としている少女を置いて二人で路地をでる

そして、諏訪大社へ向かい歩き出す

 

 

 

残された少女は我に返り、慌てて二人を追いかけた

しかし、もうすでに何処かへ行ってしまっていた

 

「・・・お礼を言い損ねてしまいました・・・・また会えるでしょうか?」

 

そうつぶやくと家に帰る前による神社へ足を向ける

さっきのことを二人に話さなければいけない

 

 

そして、古びた大きな神社にたどり着く

 

「諏訪子様、神奈子様!聞いてください!さっき・・・・」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幻想の外3

諏訪大社を参拝し、いよいよこの世界での影陽の生まれた町へ向かう

 

しかし時間は有限だ

諏訪を後にした後、すでに日は暮れ

夜が訪れる

 

二人は偶然取れた夜行列車に乗り次の目的地を目指す

 

夜の闇の中を列車は月明かりに照らされ進む

 

「しかし、こんな夜行列車が残っているとは思わなかったな」

 

「だいぶ古いようだし・・・でも、もう無くなるみたいよ」

 

「古き良き夜行列車も時間を重視する現代には不要か・・・そのうちこの列車も幻想となるのかね」

 

「・・・紫はスペルカードで使ってなかったかしら?」

 

「あれはもっと古いやつだ・・・まあ、私も使うが・・・爆発する列車とか」

 

「・・・もっと恐ろしいのが近くにいたわ・・・・」

 

少し、たわいのない会話が続く

あまりしゃべらない影陽が少し、よくしゃべっていることに永琳は疑問だったが

 

「影陽、少し寝る?」

 

夜も更けてくる

列車は止まらず動き続け、ガタゴトと静かになった二人だけの空間に響く

 

「いや、今日は起きて居たい・・・少し・・いや、不安なんだ・・・恥ずかしいことにな・・・」

 

「なぜ?」

 

「たぶん紫の作った起点は・・・山の方にある神社だろう・・・この世界ではないが・・・その道の途中で親が死んだ、そして、義妹もその神社の近くで消えた。私も・・・あの世界から消える時、その場所で私は・・・」

 

永琳はゆっくりと影陽を抱きしめた

影陽は涙を静かに流していた

そのまま、自分の出来事を話し続けていた

いつもひょうひょうとして、冷静な影陽

でも、心の奥に大きな闇を抱えていたのだろう

誰にも言わず

一人で抱え込んでいたのかもしれない

影陽は、そのまま、永琳のされるがままだった

 

 

 

ああ、自分はどうしてしまったのだろう?

とっくに、あの時の感情からは逃れられたと思っていたのに

この世界ではないのに、あの世界での出来事であるのに、あの場所へ向かう事

そのことを自分は恐れている

まだ、人間だったころの出来事のきっかけがあの場所が引き金だったせいだろうか?

それとも・・・家族をあそこで皆なくしたからか

ああ・・・永琳の前で情けない

涙が出てくる

話したくないことも、なぜか不思議とポロポロとこぼれ出てくる

なのに・・・

言葉が止まらないのだ

 

永琳が優しく抱きしめてくる

いつもなら、抱き返すか、押し返すかするところだろう

だが、何もできない

ただ、永琳のされるがまま抱きしめられていた

少し安心感が出てくる

そのまま、私はゆっくりと眠りに落ちていった

 

 

 

 

ふと目が覚めると、私は永琳に抱きしめられたまま横になっていた

あのまま、二人とも寝てしまったのだろう

それにしても・・・

なんだかスッキリした気分だ

 

放送が入る

もうすぐ乗り換えの駅だ

永琳を起こさねば・・・

振り返って影陽は永琳の顔を見つめてしまう

 

・・・永琳は・・・こんなにも美しかっただろう?

元々から美人だとは思っていたが・・・

なぜだろう・・・?

 

そんなことを思ってしまったが頭を振ってそんな考えを頭の奥へ追いやった

そして、永琳を起こす

 

「永琳、朝だ。起きろ」

 

その声は、いつも以上に、優しく愛情のこもった声だった

 

 

 

 

 

 

 

列車を乗り換え、影陽のいた町の最寄り駅から二人は歩いていた

駅から目的の神社まで、かなりの距離はあるが二人にとってそんなに遠いわけでもない距離だ

 

影陽は不思議な感覚を味わっていた

そこは、自分のいた町だ

時代的にはかなり未来の話だが

どこか懐かしい気分だ

 

そんな町を永琳と手をつないで歩いている

だからだろうか?

 

二人の間に会話はなく淡々と足を進める

やがて町から離れ、道は山を登る

そして、ある地点で影陽は立ち止まった

 

「影陽・・・?」

 

「ここだ、親が落ちて死んだのは・・・ここではないが・・な」

 

「・・・・・」

 

永琳は静かに手を合わせた

ここでなくとも、この世界でなくとも、影陽の親に感謝したかった

 

 

 

そこからしばらく歩いて目的の神社へたどり着く

 

「・・・なんだか・・・博麗神社に似ている?」

 

「かもな・・・もしかしたら・・・ここもモデルの一つにしているのかもしれないな」

 

お参りをすませ、そこを後にする

そして・・・残すは最後の、外の世界の博麗神社だ

もう、遠慮はいらない

ここに人の目はないのだ

二人は一気に博麗神社へ移動した

 

 

 

「お帰りなさい、兄さん、義姉さん。どうだったかしら?二人っきりの旅行は?」

 

紫が神社で待機していた

 

「いい旅だったよ」

 

「ええ、仲も深まったわ」

 

「それはよかったわ。みんな少し心配していたのよ。なんだか息はあっているのだけれどどこか違和感があるみたいな感じのことをみんな口にしていたから」

 

「そうか・・・」

 

みんなの気遣いだったのか

それは悪いことをした・・・

 

「さあ、帰りましょう。皆の待つ幻想郷へ」

 

スキマが開かれる

三人はゆっくりとスキマの中へ消えていった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

暑い夏の日

とある夏の日のことだ

 

その日は異様に暑い日であった

 

日本で暑い日というと湿気も凄く蒸し暑いのことだ

その通り、とてつもなく蒸し暑い日であった

 

なぜかは分からないが、外の世界の異様な暑さが幻想入りでもしたんじゃないかと思うような暑さだ

 

おかげで、熱中症や日射病で倒れる人が続出し、永遠亭は大忙しの日だった

 

 

「つ・・・疲れた・・・」

 

ぐったりとだらしなく輝夜が畳の上で寝そべっていた

その隣でも、妹紅が同じように寝そべっていた

 

二人とも人手が足りずにかり出されていた

 

二人だけでなく、影陽やてゐ、鈴仙と全員が駆り出され人里や妖怪の山にまで治療に行く羽目になった

妖怪の山は・・・まあ、なれない暑さの中、いつも通り仕事をしてしたため次々とぶっ倒れたらしい

影陽が向かい、めんどくさかったため、玄武の沢に天幕を張り、そこの下で横にさせ、河童に水をかけさせて回復させた

 

次から次へと運ばれてくる患者にイライラしていたせいもあるかもしれないが

なかなか荒っぽい治療だった

 

まあ、患者を運んでいた者がこんどは患者になって帰ってくるという

対策を全くとらない天狗にいらだったのだ

 

ちなみに治療費は迷惑料を含めて莫大な金と薬草が永遠亭に運ばれた

 

 

 

 

 

「あつい~・・・・」

 

「・・・・あついな・・・」

 

輝夜と妹紅はダラダラと汗を流しながらグロッキー状態だ

 

夜になっても暑さが引く様子はない

竹林に囲まれているはずの永遠亭がここまで暑いのは異常だった

 

まあ、なんとなく原因は分かってはいるが

 

 

 

 

 

「ほんと暑いわね・・・・」

 

永琳も同じことをつぶやく

 

影陽が目をやると、永琳も汗を流してした

いつも涼しげな表情の顔も、若干暑さでなえているようだ

 

「・・・・・時間も遅いが・・・かき氷でも作るか・・・」

 

ぼそりと言葉を漏らした途端、全員がばっと動き出す

食器や、かき氷機、氷がすぐに運び込まれる

 

「・・・・もとから食うきだったな?おまえら・・・」

 

そっと皆、影陽から目をそらした

 

 

 

しばらくすると、皆縁側で星空を見ながらかき氷を食べていた

 

シロップは紫が以前持ってきたものだ

まあ、優曇華なんかは梅酒をかけていたりと皆必ず使っているわけではないが

 

 

「ん?影陽、そのシロップは・・・なに?」

 

永琳は影陽のかき氷を見て疑問に思った

なぜなら、氷が真っ黒に染まっていたから

 

コーラ味でもあそこまで黒くなるはずはないのに

 

「うわ!?なに!?それ!」

 

「う~わ・・・何かけたの?」

 

 

皆、気になったらしい

 

影陽はぼそりとつぶやく

 

「ところてんにかけるやつ」

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

一瞬無音となり、ふわり風が吹き抜ける

 

 

「「「「「ポン酢!?」」」」」

 

 

悲鳴のような声が上がる

 

それと同時に皆影陽から飛びのくように離れる

 

 

「いや・・・関西風に黒蜜なんだが・・・・」

 

 

かき氷よりも影陽のおかげで体の芯から冷えた永遠亭の皆だった



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。