一応流れが固まったので再開します!
真夜中のコダマタウン。
ウィルスが蠢くウェーブロードを、疾走する影が一つ。
進行方向にいたウィルスたちは、影が通り過ぎるのとほぼ同時ににデリートされていく。
メットリオが竜巻に飲まれて消滅した。
キャノベースが支柱をへし折られて沈黙した。
シシカシューが上顎を切り飛ばされた。
「………………」
ウィルスを殲滅した影は、周囲を見渡す。
もはやその一帯にウィルスの姿は無かった。
「次………」
影は、背中の翼についたファンを回して加速すると、街の闇の中へと消えていった。
朝6時、カーテンの隙間から朝日が差し込む頃。
「今日は………そこそこ………」
子供にとっては起きるには少し早い時間帯に、1人の少女がトランサーを眺めていた。
「これで………しばらくは保つ………」
少女の名前は天宮ハルカ。コダマタウンに住むちょっと変わった小学五年生である。
ここで重要なのが、
この少女、学校に行くことはなく、勉強はもっぱら自宅学習で済ませている。
端的に言えば登校拒否である。
もっと言えば引きこもりである。
そんなこと親が許すのか、と思うかもしれない。
そちらもまた
彼女の両親は、彼女自身にもどこにいるのかわからないのだ。
小学五年生の娘を放って行方不明の親………。
少なくともまともな親ではないだろうことは伺える。
「さすがに………ちょっと疲れたな………」
ハルカはふらふらとベッドの方へと歩いて行き、寝転がり………
「エアーマン………」
そして、トランサーに向かって話しかける。
『呼んだか、ハルカ』
本来なら返ってくることのない返事は、トランサーの画面に現れた、頭が胴体に一体化したような人型から返される。
「今から寝るから………3時くらいにアラーム………お願い………」
『了解だ。ここ最近はハイペースだったからな、ゆっくり休め』
この人型が、彼女の唯一の家族、電波生命体エアーマンである。
彼についてはこちらもまたちょっと変わった出会いがあったのだが、それについては後ほど語るとしよう。
さて、この時点でも彼女が変わった境遇の人物だということがわかるだろう。
だが、彼女にはもう1つほど変わった点がある。
と言っても他のことと比べたらそこまで珍しいことではない。
この界隈では稀によくあることである。
察しのいい方はもうお気づきだろう………
「(やっぱこの体喋りにくいなぁ………美少女なのはいいんだけど、表情も死んでるんだよなぁ………)」
彼女、天宮ハルカは憑依系転生者である。
次回は早めに投稿できると思います!
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私が世界に気付くまで
〜ハルカside〜
私がなぜこの世界に来たのかは、今でもよくわかっていない。
気がついたらやたら散らかった部屋で倒れていたのだ。
ついでにめっちゃお腹空いてた。いや割と本気で死ぬかと思った。起きたら目が霞むレベルの空腹で手元も足元もおぼつかないとかそのままなら普通に死ねる。
幸い冷蔵庫?にあったチョコレートやらでどうにか回復できた。
119番した方が良かったことに気がついたのはある程度回復した後だった。
どうにか死にかけから回復した私だが、回復してようやく自分の体がおかしいことに気がついた。
「………なぁに………これぇ………」
身長は縮み、多分小学3、4年の成長期前くらいで、空腹で死にかけていたためか、かなり痩せている。
挙句顔を確認するために鏡を見れば、髪はボサボサで不健康そうな死んだ目の女の子ときた。
なんだ、今になって人生ハードモードでやり直せってか。せめて死にかけの体じゃなくて美少女ボディをよこせ。クーリングオフ効かないのかこれ。どこに連絡すれば返品できるんだおい。
思わず思考が明後日の方向にすっ飛ぶほどに当時の私は混乱していた。
無理もないと思う。初っ端から死にかけてからの肉体総とっかえイン死にかけロリである。普通混乱通り越して発狂するわ。
そんな感じでアホな思考を続けること数分。
最終的に私が出した結論は
この頃から努力すれば美少女になれるんじゃね?
である。アホか私は。もっとこう優先するべきことが色々あるだろ。
だが思考がトリップしまくった上にツッコミ不在の私はまずはボサボサの髪をどうにかするべくお風呂へと向かったのだった。
-30分後-
結論から言おう。この体はすでに美少女ボディであった。
しっかり髪を洗って乾かした結果、まだ死んだ目で不健康そうではあるものの、黒髪ロングの美少女が誕生した。勝ったぞハルカ、この戦い、私の勝利だ。
この時点でもまだ思考がアホだが、この辺でようやくまたおかしなことに気がついた。
家の中がやたらと近未来チックなのである。
さっきの冷蔵庫(らしきもの。チョコ冷えてたから多分合ってる)もなんかタッチパネルで出したい物選ぶ方式だったし、お風呂場も頭と体洗ってさっさと出ようと思ってたらなんか勝手にお風呂準備されてたし、こっちもタッチパネルあったし。
冷蔵庫はもとから入っているものが少なかったのか、いくつか出てるうち近くにあったチョコレートをさっさとタップしたことと、死にかけていたこともあって気にしている暇がなかったが、お風呂はほんとに勝手に準備されていた。疲れてそうだからちゃんと入れということだろうか。AIか何かかな?せっかくだからとゆっくりつかってしまった。
お風呂から上がってようやっと冷静になった私は、適当なパジャマを着て、改めて状況を整理した。
気がついたら死にかけてる美少女にインしててやたら近未来チックな家にいたと………。
「………わけが………わからないよ………」
よくある転生ものという奴だろうか?赤ん坊スタートじゃないからどちらかといえば憑依系だろうか。
死んだ覚えも神様にあった覚えもないんだけど………それと………。
「なんか………喋りづらい………」
栄養失調で体の動きが鈍くなっているのだろうか、すごい喋りにくいのだ。流暢に話せずに勝手に途切れ途切れになる。もう普通に歩き回れるのに。
「あー………あーー………あーーー、っ⁉︎ケホッ………」
うん、あんまり長くは話せないみたいだ。これ以外あんまり不調はないから、なんかに喉やられたのかな。状況整理できたら早めに病院行こう。保険証探しとかないとな。
さて、とりあえずこれがよくある転生ものだと仮定しよう。転生ものは大体2つの系統がある。完全オリジナルの一次創作か、原作ありきの二次創作かだ。
どっちにしても日常系とかじゃない限り余裕で死ねるような厄介ごとが向こうからやってくる可能性が高い。二次創作なら対策が立てられないこともないが、オリジナルだと先の予測が立てられないためより面倒だ。
さらに憑依系と考えるとこの体が原作キャラかどうかも考えなければならない。
味方の強化フラグ回収し損ねて世界滅亡とか笑えない。現状こんな見た目のキャラは記憶に無いから、もし原作キャラだったらそれはもう頑張るしかないのだけど。
一番いいのが日常系、次点で死亡フラグ少なめの二次創作と言ったところか。
逆に絶対嫌なのは死亡フラグ満載のパターンだ。世界の危機とかアウト。すでに詰んでる系はもっとアウト。
あと個人的に嫌なのは死亡フラグ回避が一番面倒なヤンデレがいるタイプの恋愛系だ。もし関わる羽目になったら余裕で死ねる自信がある。こちとら彼氏いない歴=年齢だ、恋愛なんざしたこともないわ。
とりあえず今やるべきことはこの世界の情報収集、そして自分のことを調べることの二つ。
どちらを先に調べるか………。
考え込んで、ふと窓の外を見ると、起きた時はまだ空が明るかったのに、外はもう真っ暗だ。時計は午後10時と表示されている。
体のこともあるし、今日はもうもう寝てしまおうか。
そう思った時、見覚えのある建物が目に入った。
「………あれって………」
やたらと派手なデザインの建物に、ネオンサイン?でBIG WAVEの文字。
もちろん見覚えのあるというのは現実で、というわけではない。あるゲームの中で、だ。
「………まさか………」
私は自分の部屋へ急いで戻り、あるものを探した。もしアレがあるならこの世界はあのゲームの世界ということになる。
そして、私は緑色の携帯端末を見つけた。
これがあるということは、もうほぼほぼ確定だろう。
「流星の………ロックマン………」
この世界は日常系などではない。世界の危機が何度も迫るような、少年マンガばりのバトル系の世界だ。
うーん………短いなぁ………
次回はもうちょっと長めに書けるようにがんばります!
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私がやり方を決めるまで+α
流星のロックマン
ロックマンシリーズの作品であり、端的に言えば、引きこもりの少年が絆の力で世界を救うストーリーのゲームである。
世界を救う、ストーリーである。
そう、この世界、短期間に集中して大体三回くらい世界の危機が訪れる。しかもシリーズ通して敵が襲いかかってくるついでに主人公のスバルくんのメンタルにも攻撃してくるという当時の全年齢対象ゲームにしては珍しい心折設計。
特に委員長のアレは許されない。おのれ赤マダオめ、もし会ったら気がつかれないように地味な嫌がらせしてやる(ビビり)。
それでも戦えるスバルくんってすごいよね、アイアンハート、というにはちゃんとダメージ受けてるから、立ち直りが早いタイプなのかな?あとは周りに恵まれてるってのもあるか。
話がズレたが、要するにこの世界は絶対お断りだった世界滅亡の危機系の世界だったというわけだ。
救いと言えば原作を知っていることと、味方陣営で死亡者は出ていないことか。まぁ結構ギリギリな状態まではいくんだけどね………。
可能なら家で待機しながら世界が救われるのを待つのが一番楽なんだけど………。
「正直………安心できない………」
自意識過剰かもしれないが、私が来たせいで何かしらの影響が出ていた場合が怖い。
多少苦戦が増えるとかならまだいいが、原作メンバーの誰かが死んでしまったり、最悪の展開でロックマンが敗北してしまえばもうその時点で詰みである。
私1人程度でそんな大きな影響があるとは思えないが、それでも不安は残る。
「と言ってもなぁ………」
かと言って、原作に介入するのも難しいのだ。
まず友人として近づくという方法だが、仮に同じ学校で同学年でクラスメイトだったとしても、無理矢理ねじ込んでいいところクラスメイトCあたりが関の山だろう。スバルくん人と積極的に関わらないし、学校に行くのって原作開始してからそこそこ経ってからだし。
委員長側から接近するにも、正直あのテンションについて行ける自信がない。
うまくスバルくんだけと親交を深める、というのは難易度が高い。でも最終的には委員長たちとも関わることになるから、ある程度はどうにかしておかないとなぁ………。
次にヒロイン枠………なのだが………。どう考えても無理である。見た目が美少女でも中身が私な上に、ライバルがツンデレ委員長(美少女)と大人気アイドル(当然美少女)である。うん、死んだ目で喉やられてあんまり話せない上に中身が残念な私じゃどう考えても無理。アゾられるまでも無くトッキーも諦めるレベルだ。
かと言って一緒に戦う、となると、前提として電波変換できなければ話にならない。
電波変換の方法は、FM星人かAM星人に協力してもらう、古代のスターキャリアーと古代の電波に協力してもらう、ハンターVGが開発されるまで待って適性があることを願う、の三つが原作から考えられる方法だ。
三つ目はまず除外。とてもじゃないが遅すぎる。
二つ目も除外していいだろう。手に入れるのが難しすぎる。
となると一つ目になるのだが、これはこれで厳しい。原作に出てくるFM星人はみんな敵かパートナーがいるかのどちらかだからだ。AM星人に至ってはウォーロックと三賢者くらいしかいない。一応一体だけ可能性のある相手がいるが、それでも厳しいだろう。
三つとも、可能性は薄い。
「………でも………他に手がないわけじゃ………ない………」
実のところ、思いつく方法が他にも一つある。可能性が薄いのは変わりないが、もともとの可能性も薄いのだ、当たってくれればラッキー、当たらなければ次を考えればいい。
実際、一緒に戦うのが一番介入しやすいし、サポートも容易だ。
「試すだけの………価値はある………」
この時点である程度方針は決まった。
そうと決まれば早めに行動を起こさなければ。
私は素早くパジャマから着替え、トランサーを起動し、外へ出た。
そして今がもう夜の11時近くということに気がつき、そそくさと家に戻ったのだった。
ーハルカの部屋ー
自分の間抜けさに呆れながら、もう寝ようと自室に戻った私だが、ある事を忘れていた。
「………寝ようと………思ってたんだけど………」
そうだった………私の部屋散らかってるんだった………。
机にはそこそこな数のカードフォースが山積みになっているし、床には空のペットボトルが何本も転がり、コンビニ弁当のものらしき容器がゴミ箱に入りきらずに、周りに落ちている。
ベッドも掛け布団が足元の方に雑に追いやられていて、本棚は数冊しか本がなく、元は本棚にあったろう本は床に積まれ、ついでに部屋の空気がすごい埃っぽい。そりゃ喉やられるわ。
唯一片付いているのは部屋の隅に置かれたパソコン周りの一角だけだ。
これはアレだな、まずは片付けないと話にならないなこれ。
ー1時間後ー
よ、ようやく片付いた………。
散らかってたのがほぼゴミばかりだったのが幸いだった。ゴミを捨てて掃除機かけてってだけで一部屋だけなのにこれだけかかるって………。………ここの掃除機音めっちゃ静かだったから近所迷惑ではないと思う………。
とにかくこれでようやく寝れる………。
うん、だから本棚に入りきらなかった本のことは明日考えよう。とりあえずそろそろ寝ないと本当に倒れそうだ、二日連続で倒れるとかシャレにならない。
あ、でも埃まみれだからシャワーだけ浴びとこう………。
そしてパジャマに着替えた私はさっさとベッドに入り、就寝したのだった。
「………」
「………………」
「………………………」
「………まだ布団………ちょっと埃っぽい………」
掃除機で吸った程度じゃダメか………明日布団洗濯しないと………な………
うーん………やっぱりあんまり長くならないなぁ………
せめてできるだけ早く投稿できるようにはします!
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私の今後の作戦準備
申し訳ありません、リアルで受験の方が忙しく、この時期まで続きを書くことができませんでした。
少なくとも3月からは安定して更新できるようになると思います。
〜ハルカside〜
朝が来た………。
確認を込めて周囲と自分を見るが、そこは見慣れたアパートの自室ではなく、昨夜片付けた部屋で、相変わらず私の身体は小さいままだ。
夢オチではないだろうなとは予想していたが、改めて現状を突きつけられると少しくるものがある。
落ち込んでる暇なんてない。原作が始まるまでに手を打たなければいけないのだ。
手早くパジャマから適当な服装に着替え、埃っぽい布団を洗濯機に放り込み、朝食の準備をしようと冷蔵庫の中身を確認するが………。
「………なんにも………ない………。」
数枚の板チョコ以外に何もない。弁当の容器が積み上がっているわけだ………。
両親もこっちの私も料理はしないのだろうか?そういえば朝なのに両親の姿を見ていない。もしかして、ここに住んでるのって私だけなのだろうか。両親は別の場所で暮らしてるとか?あとは出張とかの線もあるか。それならそれで電話とかくれてもいいのにな………。この子自宅で倒れるくらい危なっかしいみたいだし。
さて、気を取り直して、朝食どうしよう。もう今日はコンビニ飯で済ませてしまおうか。
よし、今日は色々買い込んで帰ることにしようか。小学生が毎日コンビニ飯というのもどうかと思うし。
あ、洗濯もう終わった。さすが未来テクノロジー。
〜少女布団干し中〜
ふぅ、とりあえずはこれで快適に眠れるだろう。そこそこ重かったから腕が痛い………。
………それじゃあ作業開始といこう。
現状最優先で行わなければいけないことは三つ。
一つは原作との差異の確認。
BIG WAVEがあったことからおそらくここはスバルくんや委員長たちの住んでいるコダマタウンだろうから、メインキャラの存在確認は結構楽だとは思う。
あとはトランサーで大誤算………間違えた、ダイゴさんのことやミソラちゃんのことも調べて、情報量としては微々たるものだろうけど、ムーのことも一応調べておきたい。
これに関しては、一通り作業が終わってからでも大丈夫だとは思う。BIG WAVEが営業していることから、おそらくはまだ原作開始前………だよね?もう始まってるわけじゃないよね?(汗)
若干不安だけど、まぁ、その辺は後で調べよう………。
二つ目は自分について。
正直一番わかっていないことがこれだ。自宅で栄養失調で死にかける小学生少女………。改めて考えると大分この家庭………うん、気が滅入りそうだから後回しにしよう………。
そして三つ目は昨日も考えていた電波変換について。
これについては………。
「正直………変身だけなら………余裕………」
電波変換すること、に限れば余裕で可能なのだ。
ジャミンガー、という敵キャラがいる。こいつは流星のロックマンの一作目に登場した敵キャラであり、ざっくり説明するとその辺の人間にウィルスが取り付いて電波変換した姿だ。
そう、電波変換するだけならその辺のウィルスとでも(おそらく)普通にできてしまうのだ。
三作目の設定を考えると適性も必要なのかもしれないが、それでも一般人程度に適性があれば電波変換できるだろう。結構いっぱい出てきてたし。
「でもなぁ………」
ただ、これは色々と不安要素も多い方法だ。
まず第一に、原作で登場したジャミンガーの主導権がウィルス側にあったこと。
中盤以降出てきたFM星人配下のジャミンガーはどうだったかはわからないが、少なくとも最初に登場したジャミンガーは完全に乗っ取られていた。
精神力か何かで乗り切れるものなのか、それともそういうシステムなのかはわからないが、これが不安要素の一つ目だ。
仮に主導権を握れたとしても、二つ目に、ジャミンガーは敵として割と頻繁に現れることが問題になる。
電波変換する目的はロックマンのサポートをするため。そのサポート役が敵と同じ見た目では、ウォーロックの性格的に初邂逅時点で問答無用の攻撃が飛んできそうだ。説得しようにもジャミンガーの見た目では話を信用してもらえるか怪しい。
そして三つ目に、そもそもジャミンガー自体が弱い、ということ。
最初の個体はオックスの前のボス戦練習程度の扱いだし、後半になるころには複数体相手でも割と余裕で倒せたりする。
リブラ戦の前に登場したG個体はスターフォースを使わないと勝てないほどの力を持っていたが、それでも始めて使ったスターフォースの力であっさりやられる程度だ。
二つ目の問題と合わせて、共闘したとしても誤射誤爆が怖い。後半のバトルカードだと余裕で致命傷になりそうな火力がどんどん飛んでくるから、ジャミンガーの紙装甲じゃ一撃で瀕死になりかねないのだ。
最低でもこの辺りの問題はどうにかしないと話にならない。特に一つ目。
ただ、まぁ、一応。
「全部………解決方は………ある。」
昨日も試す価値はあるとは思ったし、ダメだったら別な方法を探せばいい。
とりあえずはウィルスをどうにかしてとっ捕まえないとな。
あ、あと朝ごはんも買いに行かないと。
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私の作戦 その1
休んでた分文章力が………元から落ちるほどないですよね〜(´・ω・`)
ただしペースは落ちた(確信)
さてさて、プロローグ含まず四話目。
スタート地点から一向に進んでない本作品ですが、そろそろ進むかな?
〜12時00分〜
〜三人称視点〜
展望台のウェーブロード。
ソレは爆音と共に突然現れた。
着地点から煙を立ち上げながら。
長い黒髪を揺らしながら。
パチパチと全身から放電するように火花を放ちながら。
影はゆっくりと立ち上がり、小さく呟いた。
「………なんとか………成功………」
〜30分前〜
〜ハルカ宅〜
さてと。
遅めの朝食、というかもはや昼食を食べ終わった。のだが………。
「ダメだこいつ………早く………どうにかしないと………この体………」
ぶっちゃけよう、暑さでくたばりかけた。
近所に買い物に行くだけなのに、だ。
いやまぁなんとなく予想はできてたけどさ………。
流石にこれだけ貧弱なのは予想外だ。
これ、電波変換できたとしても、まともに戦えるかどうか怪しいぞ………。
とりあえず、今後はあんまり日が出てる時は出歩かないようにしないとな。
外に出るたび毎回毎回これじゃ命がいくつあっても足りなそうだ。
体力つけないとな。でもこれまともに運動できなそうなんだよな。
まぁ、この体の貧弱な体力は置いておいて。
「予想外の………いい収穫………」
私の手には一枚の真っ黒なカードフォース。
そう、何を隠そう、ウィルスをとっ捕まえることに成功したのだ。
その経緯なのだが………。
コンビニ横の自販機が故障してる。
↓
トランサーで調べる
↓
ウィルス発見
↓
一応持ってたカードフォース数枚でなんとか撃破
↓
最後の一匹がプラズマガンでマヒ
↓
私、間違えて空のカードフォース挿入
↓
ウィルス、ゲットだぜ!
いや………。
「………簡単すぎ………」
私が捕まえるために色々と考えていたのはなんだったのだろう………。
もしかして野良ジャミンガーってこんな感じで発生してるのだろうか。
まぁ、何よりだ。
「これ………使えるのかな………」
とりあえず先決なのはこれが使えるか、使えたとして制御できるかだ。
とりあえず一回暴走対策してから電波変換を試してみようか。
私は少しでも日を避けるため玄関にあった帽子を被り、展望台へと向かった。
〜展望台〜
とりあえず倒れることなくここまではこれた。
平日なためか、真昼間なためか、人影はない。
たしか1の時点ではウェーブホール経由しないと電波変換できなかったはずだから………
「ここのはず………」
展望台の隅。ぱっと見では何もないが、たしかにここにウェーブホールがあったはずだ。
「さて………」
とりあえず暴走した時の対策と制御できた時の準備をしよう。
まずはカードフォースを三枚用意する。
1枚目は例の真っ黒カードフォース。2枚目は赤いカードフォース。3枚目は白いカードフォース。
「あとは………タイミングを………合わせて………」
まず赤いカードをトランサーに読み込み、ウェーブホールにある物を放り込む。
あとはスピード勝負。
すぐに真っ黒カードと白いカードをトランサーに読み込み。
「電波変換、天宮ハルカ、オン・エア………」
よし、どうにか言えた!
直後私の体を浮遊感が包み込み。
さらにその直後、
特大の爆発音が展望台のウェーブロードに鳴り響いた。
〜12時00分〜
〜展望台のウェーブロード〜
ふぅ………
「………なんとか………成功………」
周囲に土煙?(電波煙?なのかな?)をあげながら現れた私………なんか強キャラっぽい。
まぁ、実態は踏み台にすらならないような雑魚キャラなんですけどね。
とりあえずうまくいってよかった………。
一応ジャミンガーの「電波変換が容易」以外の唯一と言っていい利点「やられても多分死ぬまでのダメージはない(ウォーロック談)」があったとは言っても自爆まがいのことをするのは結構怖かった。
私がやったことは簡単。
電波変換直後に暴走した時にすぐに止められるように、ウェーブホールにギガクラスカード、ブレイクカウントボムを放り込む。
即座に真っ黒カードで電波変換。
そしてウェーブロードに出た瞬間にインビジブルを発動して爆風をやり過ごす。
もしウィルスに乗っ取られても自爆で即ウェーブホール送り。成功すれば周囲のウィルスを一掃した上で電波変換できる。
山積みになっていたカードの中から見つけたカードだったが、まさかギガクラスやインビジブルまであるとは思わなかった。
というかインビジブルって市販してたっけ?………まぁいいか。
「さて………っ!………」
最初の一歩を踏み出そうとした私の体を突然痺れが襲った。
「あー………これ………そういうこと………」
全身から放電するように火花が散っている。そして全身の痺れ………。
おそらくウィルスを捕獲した時にマヒさせたのが悪かったのだろう。こんな形で影響が出るなんてね。
やっぱりそう簡単にはいかないよね………。
「でも………耐えられないほどじゃ………ない………」
パチパチと音を立てながらゆっくり歩を進める。
うーん、ちょっと動きが鈍ってる気がするな………。
また課題が増えちゃったよ………。
「早めに………強化しないと………」
そう呟きながら、私は電波変換を解除した。
なお、この時の大爆発とその中心にいた人物としてコダマタウン付近のデンパくんならびに他の電波たちに話題が広まり、警戒されるようになったのを、ハルカは知らない。
使用カード紹介
プラズマガン1
初期から持ってるスタンダードクラスカード。
威力は比較的低めだが、マヒ性能が付いているため繋ぎとして優秀。凍結→マヒ→凍結→マヒというように敵をインビジブル状態にせずに連続攻撃に繋げられたりする。
ブレイクカウントボム
BIG WAVEで購入可能(ペガサス版)なギガクラスカード。カード単体での火力はトップであり、火属性なため草焼きでさらに火力が上がる。ただし設置型のため、カウント以内に破壊で対処可能で、さらにインビジブルでも回避可能なため、うまく使わないと活かすのは難しい。
主人公は「爆弾なんだしリアルだったら自分にもダメージくるだろ」と思って今回の作戦を実行したが、ゲームの方では自爆ダメージはない。
ちなみに主人公の劣化ジャミンガーが直撃を食らった場合大体4回ほど消し飛べる。
インビジブル
使うと一定時間特定カード以外の攻撃を全て無効化する。
適当に使ってても強いが、たまに対ステルス攻撃が飛んできてめちゃくちゃ焦ったりする。
なお今後主人公はボス戦になってもギリギリまで使うことはない予定(主に逃走用にとっておくため)。
カードフォース(黒)
主人公のうっかりの結果誕生したバグカードフォース。
使用すると劣化ジャミンガーに電波変換できる。
劣化ジャミンガー
損傷した上にマヒした状態のウィルスがカードフォースに取り込まれた結果、元から低い性能がさらに劣化。HPは低下し、ジャミンガーの共通武装のジャミングマシンガンは使えなくなっている上、変身中は全身に地味な痺れが発生する(正座しててちょっと足が痺れてきた程度のもの)。
ただ、真っ黒になったアーマーに、電波変換前とほぼ変わらない頭部、スパイクの無くなった肩、子供サイズな身長と、見た目が変化しているので、図らずも他ジャミンガーとの見た目の差別化に成功。
全身から常時火花が散っているが、別にどこかの超野菜人2と関係はない。
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私の作戦 その2
半年開いた時点でタイトル詐欺も何もないですよね(´・ω・`)
〜バス内〜
さて、念願の………というにはサクッと行き過ぎててなんか………。
まぁ、とりあえず電波変換は成功したわけだけど。
意識乗っ取りは解決したけど、残りのジャミンガーの課題に全身の痺れの問題が追加されてしまった………。
とりあえず解決策としては新しいウィルスを捕獲することだけど………。
「うまく………いかなそう………」
ぶっちゃけあの時は焦って空のカードを読み込んだらたまたま捕まっただけで、「気づいてないだけで何か条件が必要だった」とか、「マヒしてないと捕獲は無理」とか、「そもそもこうなったのも奇跡みたいな確率」、とかだったりしたらもうどうしようもないわけで………。
それなら今の状態で強化したほうがまだマシそう………という。
そんなわけで私はバスに揺られてるわけですが。
とりあえず意識乗っ取りが解決した今、次にどうにかしなきゃいけないのがジャミンガー自体のスペックの問題だ。
正直ジャミンガーの強化方とか(たしか)ジェミニがやってた巨大化くらいしかないしやり方なんてわからない。
私にできる現実的な強化はいいとこHPの上限上げとかで、スターフォースみたいな強化も無理そう。
オーパーツは、できないことはないだろうけど、そもそも手に入れるのが無理ゲーで今どこにあるかはわからない。
ノイズでの強化は言わずもがな無理。
となるともうまた賭けに出るしかないわけで………。
〜ドリームアイランド〜
ドリームアイランド。
作中では1の後半に訪れることになる場所。
海の近くだから少しは気温も下がるかと思ったけど………。
「………暑い………」
薄手のワンピースだけなのにひどい暑さだ。
帽子のお陰でまだどうにか耐えられるが、はっきり言って地獄だ。
しかもこの体本当に肌真っ白だから、日焼け止めが無かったら皮が剥がれるくらいまで焼けそうだ。
コンビニで買って来ておいてよかった。
「早く行こう………」
焼け付くような暑さの中、私は目的地に向かって歩き始めた。
これもし走ったら疲れと暑さで倒れそうだ………。
さて、突然だが、流星のロックマンの世界が、前作、ロックマンエグゼと世界観が繋がっていることは知っている人も多いだろう。
200年、という長い時間が過ぎているが、それでもまだエグゼの時代の名残は少しだけ残っている。
そして私の目的地はドリームアイランド、ではなくその先。
つまり私が何をしに来たかというと。
〜ゴミ集積所〜
「一体くらい………ナビ………生きてないかな………」
ゴミ集積所の端にまとめて捨てられているエグゼ時代の端末機器、PETの山。
そこから今も生き残っているナビを探そうとここに来たわけだ。
私の世代的にエグゼはよく知らないのだけど、たしかナビって電波生命体?がウィルスや他の何かしらと戦ってた、というのは知っている。
あとうろ覚えだけどナビと人が合体して変身してるのも見た覚えがある。
それならワンチャン強いナビ見つければこの時代でもいっしょに戦うなり電波変換するなりできるんじゃね?と考えたわけだ。
とは言ってもここは作中で後半に訪れる場所。
今の私が相手をするには厳しいウィルスがゴロゴロいるような場所だ。
インビジブルやその他のカードを駆使すればここまで来ることはできるだろうけど、危険を犯さず済むに越したことはないのでとりあえず生身でも来てみた………のはいいんだけど………。
「………多すぎ………」
ゴミ集積所の一角に積み上げられたPET。
1の作中では小さく山になる程度でそれでもなかなかの量だったのが、本当に山になるレベルで積み上がっている。それも複数の山が。
え?ここからナビ探すの?
「………やっぱり………こっちじゃ………見つからない………」
やはり電脳世界で探すしかなさそうだ。
手近なPETを手に取り、当然ながら電源が入らないことを確認し、投げ捨てる。
そしてウェーブホールの場所を思い出しつつ歩き出そうとした時だった。
「キミ、こんなところで何してるの?」
突然話しかけられ、声の方に振り返ると。
(………うそやん………)
いたのは原作キャラ、しかも現状会いたくないキャラの中でも結構な上位に位置するキャラ。
「ここに………何か用かな?」
双葉ツカサ。
電波体としての名はジェミニ・スパーク。
1で起きた出来事はぶっちゃけ大体こいつのせいってレベルでやらかしてくれたFM星人、ジェミニのパートナーキャラだった。
週一で投稿したい………
さて、ようやっと原作キャラが登場しましたが、多分次はツカサくんの視点も入るかな?
タグ詐欺にならないようにさっさと進めないと………。
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私の作戦 その3
しかも………赤いだと………⁉︎
ありがとうございますm(_ _)m
張り切った結果これまでで一番長くなっています!
それではどうぞ!
〜ハルカside〜
「………」
「キミは………」
私は凄まじく動揺していた。
(アイエエエ!?ツカサクン!?ツカサクンナンデ!?)
おい、ヤベェよヤベェよ。
直近で一番デカい火種に当たっちまったよ………。
双葉ツカサ。
FM星人ジェミニのパートナーであり、1におけるヒロインの一人………ではない、と思う。たしかにツカサくんの状態なら可愛いけど。
こら、寄ってくるなホモォども。
ちなみに1の本筋に関わるキャラたちで、主人公のスバルくんとヒロインのミソラちゃんを除いて唯一FM星人とちゃんとしたパートナー関係になっているキャラである。
まぁ、ジェミニの方は利用するだけ利用するつもりだったようだけど………。
さらにツカサくんは多重人格であり、ヒカル、という悪人格が存在する。そうなったきっかけがここ、ゴミ集積所に赤ん坊の頃に捨てられたから、だったはず、だっけ?
(いやそれくらいちゃんと考えとこうぜ私⁉︎)
いやだって今日月曜日だし、平日だし、まさか居るとは思わないじゃん?
(ただでさえこの暑さで頭が痛いって言うのに、更なる頭痛とついでに胃痛の種が湧いて来た………)
脳内で一人やりとりしながら、どうやって怪しまれずに切り抜けるか、暑さで機能の鈍った頭をフル回転させるけど………。
(たしかウォーロックがFM星人の匂いが云々って序盤に言ってたよね………)
あの時匂いの先にいたのはジャミンガーだった………。
そう考えるとここに来る前電波変換してた私にも何かしらの匂い的なものがついてるかもしれないわけで………。
(あれこれジェミニと接触済みだったら100%警戒されない?)
そうじゃなくても平日の昼間にゴミ集積所の片隅に佇む美s………小学生とか絶対怪しいよね。
つまりツカサくんと私は揃って怪しい小学生ってことに………。
「キミは………ここに何をしに?」
「………ただの………探し物………」
とりあえずちまちま会話しながらどうにかごまかそう。
できれば何かやらかす前にさっさと立ち去りたい………。
〜ツカサside〜
「………ただの………探し物………」
質問に対して、そう目の前の女の子は小さな声で答えた。
(なんなんだ………この子は………)
授業参観の振休日の月曜日。
いつものように、誰も来ない授業参観が終わって。
ふと、自分の両親の手がかりが少しでも無いか、探しに来ただけだった。
本当に偶然だった。
職員でさえほとんど来ることはないゴミ集積所の端の一角。
そこにしゃがみ込んだ、おそらく自分より少し年下であろう女の子を見つけたのは。
(この子は………)
立ち上がったのを見て、話しかけると、女の子は振り返ってこちらに顔を向けたが………。
(本当に何者なんだ………?)
この猛暑の中汗ひとつかいていない上に、照りつける炎天下にも関わらず全く日焼けしていない、とても白い肌。それに何よりも、まるで電源が入っていないテレビのような、無機質で光の無い目。
そして立ち上がる前に小さく呟いた言葉。
(「やっぱり………………見つからない」か………)
いったいこの子は何者なんだろうか。
「探し物?こんなところで?」
「………」
女の子はゆっくりと頷いた。
「いったい、こんなところに何を探しに来たんだい?」
人と話すのは好きではない。むしろ苦手だし、嫌いだ。
けれども何故か、この子からは話を聞いておかなければならないと、何かが警告しているように感じた。
「………過去の………物………」
「過去の物?」
「もう………あるかどうかも………わからないけど………」
途切れ途切れになりながら、少女は言葉を続ける。
「今の私に………必要な………物………」
「………それって………」
僕が口を開こうとしたその時だった。
少女が僕の後ろを一瞬見ると、僕に手招きしてゴミの山に隠れてしまった。
後ろを振り返ると、職員がこちらに歩いて来るのが見えた。
(まずいっ………)
急いで僕も近くにあったゴミの山に隠れて、職員の方を警戒した。
そのすぐ後に、彼女が何をするのかも知らずに。
〜ハルカside〜
(あっぶなっ!)
もう少しでせっかく忍び込んだのに見つかるところだった………。
見つかったら下手したら親呼ばれて説教だ。
説教はどうでもいいけど、まだ親に会うのはまずい………。
というかツカサくんもいるから早い所逃げたい………。
とりあえず彼からの質問は、痛む頭から絞り出した、嘘はついてないけど何を言ってるのかよくわからないような言い回しでどうにかごまかせたと願いたい。
ちょうど職員さんの方見てるから今なら逃げられるかな?
とにかく極力音を出さないようにそっと近くのPETの山の影に移動して………。
移動しようとした時だった。
移動しようとした先のPETの山の中に、わずかに光る何かを見つけたのは。
(⁉︎もしかして………)
急いでその光の元へと駆け寄り………。
「っ⁉︎」
途中で先ほど私が後方に投げたPETを思い切り蹴り飛ばした。
ガッ!っと音を立てて、勢いよく宙を舞ったPETは近くにあったショベルカーのアームに当たって跳ね返り………。
ちょうど職員さんが歩いていた近くのPETの山にぶち当たった。
その結果………。
「ん?………う、うわぁぁぁ!!」
PETの山が職員さんの方へと雪崩のように崩れ始めた。
「っ⁉︎」
(嘘でしょ⁉︎)
幸い職員さんはPETの山に飲まれてはいないようだが、驚いて尻餅をついてしまっている。
(ご、ごめんなさーい!)
急いで光の元を回収して出口の方へと駆け出す。
後々ひどいことになりそうだが、今はとにかくこの場から逃げ出したかった。
〜ドリーム公園〜
「はあっ………はあっ………うっ………うぇ………」
(き、気持ち悪い………)
予想通りひどいことになった。
ただでさえ地獄のような暑さに加えてこの貧弱ゥ!な身体で全力疾走である。
うん、余裕で死ねる。というか今まさに死にそう。
(あれ?なんかもう汗も出てなくない?)
これは本格的に不味そうだ。
急いで公園の自販機からスポーツドリンクを二本買って、一本で身体を冷やしながらもう一本で水分を補給する。
しばらく頭を冷やしていると、少しは楽になった。
(頭痛い………疲れた………もうさっさと帰ろう………)
冷えたペットボトルで痛む頭を冷やし、脇には飲みかけのペットボトルを抱え………
もう片方の手にはチカチカとディスプレイが点滅するPETを持ち、私はバス停へと向かった。
〜ツカサside〜
(まずいな………)
元々僕はいつもここまで来るわけじゃない。今日は女の子を見かけたからここまで入り込んでしまっただけで、普段は入っても出入り口の近くまでだ。
だから、ここからどう逃げればいいか、わからない。
(やっぱり、上手く隠れてやりすごすしか………)
そう考えていた時だ。
後方から、ガッ!、という音が響いた。
(なんだ?)
音の方向を向こうとすると、視界の端を何かが横切り。
直後、職員の声が周囲に響いた。
「う、うわぁぁぁ!!」
すぐに職員の方へと視線を戻す。
ゴミの山が職員へ向かって崩れていく。
慌てて背後を見れば、みるみる小さくなっていく女の子の後ろ姿。
(あの子がやったのか⁉︎)
ゴミの山が崩れたのは後ろから飛んで来た何かが山に当たったからだ。
そして後ろから物音がしたのも聞こえた。
ということは恐らく彼女が何かをゴミの山へぶつけて職員の方へと崩したのだろう。
(くっ!今は悠長に考えてる暇はない!)
僕も急いで出口へと駆け出した。
〜ドリームアイランドバス停前〜
「はぁ………はぁ………」
後ろから職員が追ってくる気配はない。
どうにか気がつかれずに逃げることができたようだ。
(………あの子は?)
平日ということもあり、周囲に人影はない。
先ほど自分よりも早く逃げた、女の子の姿も、どこにもなかった。
(公園の方に逃げたのかな?)
そう思い、公園の方に向かおうとするが。
『待て、ツカサ』
横に現れた、二つの頭を持つ人魂のような物体が、ツカサを制止する。
「………どうしたんだい?ジェミニ。僕の時に君が出てくるなんて珍しいじゃないか」
少し間を置き、ツカサは、FM星人ジェミニに話しかける。
『さっきの小娘だが………何か妙だ』
「さっきの子がどうしたんだい?」
『わからない………ただ何か妙な………異常な電波をあいつから感じた』
「異常な電波?」
『ああ………後々調べさせる必要があるかもしれないな………』
「………あまり変な真似はしないでほしいな」
『何、お前が気にすることはない。ただ、今日はもうあいつと関わるのはやめておけ』
「君ともあろう奴が随分と警戒するね?そこまでする必要があるのかい?」
『………気になっているのはお前の方じゃないか?ツカサ』
「………何がだい?」
『大方あの小娘に親近感でもわいたんだろう。異常な電波を除けば、あいつの纏っていた空気は私と出会った頃のお前、いや、お前たちと似ていた。コドクの電波もな』
「………」
『だが似ているだけだ』
「………」
『期待するのはやめておけ。それに今はおとなしくしているが、ヒカルも許さんだろう』
「………わかってるさ」
『………それならいい』
そう言い残し、ジェミニは消えた。
「………」
(あの子は………あの目は………)
最初は少し、自分に似ていると思った。何かを探している後ろ姿を見て、自分に似ている、と。
過去のものを探していると聞き、よりそれは強くなった。
(だけど………)
あの子は職員に何をした?逃げるためなら、もっと何か気をそらす方法があっただろう。
その中で真っ先に行動に移したのが、下手をすれば職員が大怪我を負いかねない行為………。
(あの子は………ヒカルにも………似ている………)
自分に敵対するもの、気に触るもの、邪魔になるものには全く容赦しない、凶悪な、自分のもう一つの人格。
あの子の行動の早さに、迷いや躊躇は感じられなかった。
(あの子は………僕らに似ている………あの子は一体………)
ぐるぐると思考を巡らせるが、結論は出ない。
(………いつかまた会うことがあったら………その時は………)
ツカサはそこで考えるのをやめると、ちょうど停まったバスへと乗り込んだ。
彼が彼女の正体を知るのはもうしばらく先のことになる。
そして正体を知ったとしても、彼が彼女の本質を知るのは、さらに先のこととなるだろう………。
過去の物→まだ生きてるエグゼ時代のナビ
もうあるかどうかもわからないけど→いるかどうか確証はない
今の私に必要な物→いないと次の強化策探し
本質を知るのはさらに先のこととなるだろう→電波変換云々がバレても、少なくともしばらくはツカサくんからは同類扱いだよ!
7話目にしてようやっと勘違い要素が………こんな感じで大丈夫なのだろうか(´・ω・`)
他にもジェミニとツカサくん関連で時系列が怪しいけど………許してくださいなんでもs(ry
次の更新は速ければ来週の土曜日くらいかな?
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