俺のブラックヒーローアカデミア (ゼパル・ガルベスク)
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入学編
第1話:銀城 羅刹:オリジン


短めですが、楽しんでくれれば嬉しいです。

それでは早速、どうぞ!!



『怪人』、それはどの特撮にも必ず登場するヒーローの最大の()()()()()

 

戦隊や仮面のバイク乗りなど、様々な作品で良いところまで追い詰めるも最後は呆気なくヤラレ、爆散…所謂『ヒーローの良さを引き出す名誉ある死』を迎えてしまう存在なのだ。

 

そんな架空の存在も超人社会となった今では、普通に存在している。最も、その様な者はそういないが……。

 

コレは、この世界では当たり前に存在する“個性”に怪人型が組み込まれた、普通じゃないお話………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別に全てがシリアスでは無いよ、ギャグもあるよ………それではどうぞ!

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

ココはとある学校、何処にでもあり何処にでもあるTHE・学校である。そんな平凡な学校のクラスでは進路希望についての話がされていた。

 

先生「えー、おまえらも三年と言う事で!本格的に将来について考える時期だ!今から進路希望の紙を配るが皆!!……だいたいヒーロー科志望だよね」

 

「「「ハーーーーイ」」」

 

進路希望の調査書を放りながら応える先生の言葉にクラス中の()()()()()が“個性”を使い元気よく返事をする、先生は褒めながらもそれを注意する。

 

 

「せんせえーーーーー、『皆』とか一緒くたにすんなよ!俺はこんな“没個性”共と仲良く底辺なんざ行かねーーーよ」

 

担任の教師である先生の言葉を椅子に足を掛けながら否定する不良の様な少年は爆豪勝己、クラスメイトのブーイングに「モブがモブらしくうっせーーー!!!」と言う彼は一応このクラスで()()成績が優秀な方だ。

 

先生「あー確か爆豪は…『雄英高』志望だったな」

 

 

その言葉に殆どの生徒が騒つく、何故なら雄英高…正式名称『雄英高等学校』は国立の高校で。毎年、素晴らしいヒーローが誕生しているのだ。

 

爆豪はそのざわざわを黙らせる様に机の上に乗り、大声を上げる。

 

爆豪「そのざわざわがモブたる所以だ!模試じゃA判定!!俺は中学(ウチ)唯一の雄英圏内!

あのオールマイトをも超えて俺はトップヒーローと成り!!必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生「あ、そいやあ緑谷と銀城も雄英志望だったな」

 

お待たせしました、原作主人公とオリ主の出番ですよ。原作を知ってる方もいるでしょうが、原作主人公の緑谷出久はこの世界で2()()()に珍しい“無個性”…つまり何の能力も持たないただの人間なのだ。ココで彼はクラスメイトに大笑いされるのだが、そんな事をする者はココには居ない。否、出来ないのだ。1人を除いて……

 

爆豪「こらデク!!ギン!!!」

 

緑谷「どわ‼︎?」

 

爆豪「“没個性”どころか“無個性”のデクと〜、『怪人型』の“個性”のテメェが〜、何で俺と同じ土俵に立てるんだ‼︎?」

 

爆豪の視線の先には、学生服の前を全開にし、全身が白く、コモドドラゴンの様に太い尾を持ち、胸に逆三角形の紫色の水晶を嵌め、大きな三角形の目玉を持った、銀髪のオールバックの怪物という言葉が似合ってしまう人物だった。

 

彼の名は銀城羅刹、このクラスの中で最も成績が優秀な生徒でこの世で最も珍しい『怪人型』の“個性”の持ち主だ。

 

 

ココで補足すると、この世界では“個性”はいくつかに分かれている。力を極端に倍増したり火や水を操る『発動型』、体を巨大化させたり鉄の様に硬くする『変形型』、動物などの特徴を持つ常時“個性”が発現している『異形型』、二つ以上の“個性”が交わる事で初めて発現する『複合型』、そして最も珍しく忌み嫌われているのが、決まった性別が存在しなくて異形型よりも人とはかけ離れた姿、更に“個性”を通常よりも多く保有している『怪人型』だ。

 

銀城はその嫌われ役とも言える『怪人型』の“個性”の持ち主なのだ。

 

銀城「勝己…お前それ、ホントにヒーローが言うセリフだと思うのか?だとしたら雄英は諦めろ。お前はヴィランの方が向いてるよ」

 

爆豪「ハァーーー?毎年ヴィランに間違われてヒーローに攻撃されてるバケモンが何ほざいてやがる!!」

 

銀城「その昔、“個性”を手に入れた人間の殆どがヴィランとなり悪の限りを尽くして居た頃。ヒーローの大半はお前が侮辱している“無個性”の人間だった、そして『怪人型』で表舞台で目立っているヒーローは居ないがヒーローになれない訳じゃない。そんな事も解らないのか?」

 

爆豪「そんな古臭い情報どーでもいいんだよ!!そうだ、俺も“無個性”のデクとバケモンのテメェに良い情報を教えてやるぜ。来世は良い“個性”が宿ると信じて…屋上からワンチャンダイ《ガシッ!!》ブォ!!?」

 

爆豪の台詞が急に途絶えたと思えば、突風が教室内に行き渡り、いつの間にか銀城が胸ぐらを掴んで居た。その表情は誰が見ても分かるように怒りで眼が赤く光っていた。

 

銀城「オイ…爆豪、俺からもう一ついい事を教えてやろう。お前の人生は今日で終わる」

 

銀城は爆豪の口を右手で覆う様に掴むと、ユックリと力を入れ始めた。爆豪の顎からはミシミシと音が鳴っている。

 

爆豪「お、グッ!ウゴ!?」

 

「ま、待てよ銀城、さん!!爆豪が本当に死んじまうよ!!?」

 

「そ、そうですよ!!ヤバイですって!?」

 

緑谷「そ、そうだよギンちゃん!僕、全然気にしてないからさ!!」

 

先生「緑谷もそう言ってる事だし落ち着け銀城!!このままじゃ本当にヴィラン扱いだぞ!!?」

 

 

銀城「…チッ、分かりましたよ」

 

銀城は周りに止められると、力を緩め爆豪を解放し、席に戻る。爆豪は忌々しそうに睨むも、銀城に睨み返されて大人しく席に戻った。

 

〜銀城羅刹〜

“個性”『羅刹』:鬼神の中でも人を喰らう最強の悪鬼の力、羅刹鬼(らせつき)速疾鬼(そくしつき)可畏(かい)とも訳される程、残虐性・速度・高度な戦闘能力と知能に恵まれている。最高速度は人では辿り着けないほど速く、人の血肉を摂取する事で力が何倍にも跳ね上がる。しかし、排出物や嘔吐物は生理的にNGだ!!

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

〜放課後〜

 

銀城「出久!帰ろうぜ」

 

緑谷「うん……」

 

銀城「さっきの事か?」

 

緑谷「まぁ、ね」

 

そう言う緑谷の手にはボロボロに焦げたノートがあった、恐らくだが銀城が居ない時にまた爆豪に絡まれたのだろう。見て解る様に落ち込んでいる緑谷を励まそうと銀城は声を掛ける。

 

因みに、彼等は小さい頃からの幼馴染だ。小学三年生くらいの頃に緑谷が爆豪に虐められている子を助けようとしている時に出会った。

 

銀城「気にすんなよ、あんな周りが見えなくなってるアホの言う事。俺以外に喧嘩で勝てる奴が居ないから天狗になってるだけだからよ、ヒーロー科に入ったら嫌でも分かる」

 

緑谷「そう、なんだけどね…嫌な奴って分かるんだけど…小さい頃からの仲だからさ……」

 

銀城「お前はお前だ、前にも言ったろ?『誰であろうとそいつはそいつにしかなれない、他人には絶対になれない』ってな。お前はお前なりにヒーローを目指せば良いんだよ」

 

緑谷「ギンちゃん…(そうさ、周りの言う事なんて気にするな!!グイッと上見て突き進め!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Mサイズの…隠れミノ…」

 

「「!?」」

 

すると、突然背後のマンホールの隙間からヘドロの様な姿のヴィランが現れて、緑谷に纏わり付いた。

 

緑谷「わっ、プッ((ヴィラン)‼︎?)」

 

銀城「出久!!!テメェ!離しやがれ!!」

 

ヘドロ「そうツンケンするなよ同士…大丈ー夫、身体を乗っ取るだけさ落ち着いて、苦しいのは約45秒…すぐ楽になるさ(まさかあの()()()()がここにいるとは予想外だったが、こいつと俺が組めば勝てる!!)」

 

どうやらヴィランは銀城をヴィランだと思っているらしく、悠長に身体を乗っ取ろうとしている。

 

銀城「残念だったな!おれは一般市民だこのヘドロ野郎!『羅刹撃鉄拳』!!」

 

《ブオォッ!》

 

ヘドロ「グォォォォォッ!?(風…圧!?)」

 

羅刹と言うモノは闘いの神とも言われており、本能からどの様な攻撃をすれば良いのか理解する事が出来る。更にその身体能力も合わさって拳圧でヘドロを吹き飛ばしたのだ。

 

その余りの威力にヘドロと一緒に緑谷も気を失ってしまったのか、体が横に倒れようとしている。無事を確認しようと近づくと再び後ろのマンホールから音がして巨大な影が現れる。

 

銀城「ッ!?今度はなん「TEXAS(テキサス)……SMASH(スマッシュ)!!」アベシッ!!?」

 

振り返ると同時に砲弾と錯覚する様な衝撃が襲った。

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

「マジでゴメン!!本当に済まない事をしたと思っている!!」

 

銀城「いえ、別に…慣れてるんで頭を上げて下さい。オールマイト…」

 

オールマイト「そう言うわけにもいかないさ!間違えて一般市民を攻撃してしまうなんて…本当に申し訳ない!!!」

 

銀城は有り得ない光景を目の当たりにして居た、そこには、No.1ヒーローであるオールマイトが謝り倒して居た。その姿に銀城は若干引いている。

 

オールマイト「しかし、君のおかげで気絶している彼は無事で、ヴィランを詰められた。本当に感謝しきれないよ」

 

銀城「あの、俺を見て何も思わないんですか?」

 

オールマイト「?、何がだね?」

 

銀城「俺の“個性”は『羅刹』…しかも怪人型です。保有している他の“個性”だって他人の長所を奪い、捩じ伏せるヴィランじみた物ばかりです」

 

オールマイト「……………」

 

銀城「バリアン・デーモンとウェラリアってヒーロー知ってます?一応、俺の両親なんです。怪人型の人間が産まれやすくなる条件は強過ぎる“個性”同士が結ばれる事なんですよ、父親のバリアンは『魔王』…母親のウェラリアは『聖天使』って“個性の持ち主だ。両親は人間型と異形型、この場合父親似なんでしょうかね、周りには異形型のヤツも居たのに俺だけが煙たがれるんです。『羅刹』ってだけでヴィラン扱いされる。頑張っても否定され…優しくしても拒絶され…時にはチンピラレベルのヴィランに襲われた事もありました。オマケにヒーローに攻撃もされて、挙げ句の果てには全て俺の所為にされました」

 

オールマイト「ッ!?、……辛かったね」

 

銀城「いえ、俺は『羅刹』を怨んでません…親からの贈り物ですから。俺は雄英に受験するつもりです、雄英に入ってヒーローの知識を得て俺みたいな奴の『希望の象徴』になりたいんです。“無個性”だとかヴィランみたいだとか“個性”による差別を無くしたいんです……ですから、聴かせて貰います。『どんな人間でもヒーローになる資格はあると思いますか?』」

 

 

オールマイトは、銀城が放つ威圧感にもにた真剣な眼差しと問いにただ耳を傾けらことしかできなかった。その壮大かつ『平和な象徴』とは違う責任重大な柱に感動してしまった。

 

オールマイト「(何と壮大なビィジョン!!彼なら次の『平和の象徴』になれるかも知れない…しかし、彼が目指しているのは平和のその先だ。だが、コレだけは伝えなければ…!)君は立派だね、この事は誰にも言わないでくれよ?勿論両親にも………」

 

そう言うとオールマイトは体から白い煙を発した、その煙が完全に消え去るとそこにはオールマイトをミイラにした様な感じのガリガリの男性が居た。

 

銀城「なッ!?オ、オールマイト!!?」

 

オールマイト「君は信用出来ると思い話すが…くれぐれもネットには載せたり、誰かに話したりしないでくれよ?」

 

 

そう言って脇腹に出来た傷を見せながら、過去に起こった事を話した。5年前…とある敵に負わされたらしい、その敵の所為で活動時間が出来て今の様な事を偶にしてしまうそうだ。

 

オールマイト「…その時が、わたしにとって最初で最後の初めて人を殺めて大切な者を守れなかった瞬間だろうね…」

 

銀城「……何故、俺にその話を?」

 

オールマイト「君は私よりもヒーローに向いて居るからさ、おかげで初心に戻れたしね」

 

銀城「………ありがとうございます…!」

 

そうして、銀城はオールマイトとメルアドを交換し、緑谷を任せて家に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コレは、彼目線で送る、彼がヒーローになるまでのお話である…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




○簡単なキャラ設定

●名前:銀城 羅刹
●“メイン個性”:『羅刹』
●誕生日:10/29
●血液型:AB型
●星座:さそり座
●声:子安 武人さん


てな感じです、それと次はオリヒロインの登場です。
デクくんの修行パートと入試はすっ飛ばします。

何故かって?オリ主が強過ぎて話がすぐに終わるからです。



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第2話:話を割愛、蹂躙される個性把握テスト

えー、皆様も分かっていると思いますが、主人公が無双過ぎるのでだいぶはしょりました。

細かい所は、また回想として流すので悪しからず。



オールマイトとの出会いから数ヶ月、季節は変わり桜舞吹雪く春。銀城は今、雄英高校の自分の教室で本を読んでいた。

 

アレから、オールマイトに呼び出され緑谷と共に特訓したり、ロボット相手に大乱闘をして悲鳴を上げられたり、女子を1人巨大ロボから救ったりとしたが、やはり周りからは距離を取られている。

 

合否通知でオールマイトが『雄英でたった二人の怪人型の“個性”の持ち主だ』と言われた。つまり、ヒーロー科の試験に受かった怪人型の持ち主はたった二人しか居ない事を表しているのだ。

 

銀城「(恐れられることについては慣れている、問題はもう一人の方だ。もしかして隣のB組の方に居るのか?ま、関係ねぇか。その内会うだろう…今はこの学校に慣れる事を最優先「あの!少しいいですか?」ん?)何だ?」

 

すると、一人の女子生徒が話しかけて来た。

エメラルドグリーンのウェーブのかかった長髪でスカイブルーの瞳、首からかけられた金色のロザリオがキラリと光っている。

 

「私、朱星リゲルって言います!入試の時は助けてくれてありがとう!!」

 

〜朱星リゲル〜

“個性”『バリアー』:様々な種類のバリアーを出す事が出来る、いろんな種類があって、物を弾いたり受け止めたりと種類が豊富である。

しかし、バリアーの形や大きさによって操作難易度が変わる。

 

銀城「いや、気にしなくて良い。ヒーローを目指す者なら、まず優先すべきは退治ではなく救助だ。その点で言えば俺よりお前の方がヒーローに向いてる」

 

朱星「え!?で、でもぉ…///」

 

銀城「いや、敵の捕縛とか何て大体できる奴多いだろ?特にこのクラスとかな。頑張ればあっという間にプロヒーローかもよ?」

 

朱星「ほ、褒め過ぎだよ!!」

 

 

 

「あれ?あいつ思ってたより良い奴じゃね?」

 

「あぁ、てっきり爆豪見てぇなヤンキーみたいな奴だとばかり思ってたぜ…」

 

「人は見かけによらないって、噂だとばかり思ってましたわ……」

 

「私も仲良くなりたいわ」

 

 

そんな二人の会話に周りの者達は少し緊張感を解いていった。と言っても前の席にいる爆豪はウルセェと呟いているが…

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け、ここはヒーロー科だぞ」

 

突然声が聞こえ、そちらを見ると廊下に寝袋を着た小汚い感じの男性が居た。

 

「はい、君たちが完全に静かになるまで8秒もかかりました。時間は有限なんだよ、そんな君達は合理性に欠くね。因みに俺は君らの担任の相澤消太だ、よろしくね」

 

そう言うと、男性、相澤は自分の寝袋から出ると、寝袋の中からビニールに入った体操服を取り出した。

 

相澤「さっさと体操着に着替えてグラウンド集合な」

 

 

***

〜雄英高校・グラウンド〜

 

「「「個性把握テストォ!?」」」

 

相澤「そう、ただ“個性”の使用可能な事以外は普通の体力テストと同じだから気にするな」

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

相澤の言葉にホンワカした雰囲気の少女、麗日お茶子が大声で疑問の言葉を放つも相澤は冷静にその言葉を切り捨てる。

 

相澤「ヒーローになるんだったら入学式なんかに出る時間はない。この雄英は『自由』な校風が売り文句だ。そしてそれは『先生側(俺ら側)』もまた然り…爆豪、お前中学の時ソフトボール投げの時、何mだった?」

 

爆豪「67m」

 

相澤「そんじゃあ、自分の“個性”を使って投げてみろ。基本的に円から出なきゃ何してもいいから早よやれ。思いっ切りな」

 

そう言われた爆豪はボールを受け取ると、白円の中に入り“個性”を使いながら思い切り投げた。

 

爆豪「死ねぇ!!!」

 

銀城「(数ヶ月経っても変わらんな此奴は)」

 

銀城がそう思いながら爆豪を見ていると周りの者達は面白そうだのやりたいだのと、お祭り騒ぎになっていた。

 

 

銀城「お前らなぁ……分かってる?コレはあくまでもテストだ、それに種類によっては“個性”を活かせず肉体に頼るしかねぇ。内容によってはビリッケツだぞ」

 

相澤「ほぅ……分かってる奴がいるじゃないか。だが、緊張感が足りないのもまた事実…よし、ならトータル成績で最下位だった者は俺の判断で見込み無しと判断し、除籍処分とする」

 

「「「ハァァァァァァ!!??」」」

 

この言葉に流石の銀城も驚いた、ヒーロー科になるのだからある程度の壁は越えなければならないと考えていたが、まさかこんなすぐに困難が現れるとは予想だにしてなかった。

 

麗日「最下位除籍って…!入学初日ですよ!?いや、初日じゃなくても理不尽すぎ「いや、当たり前の事だろ?」えぇっ!?」

 

また反論する麗日の言葉を遮る様に銀城が口を挟む、その様子にザワザワと周りは騒がしくなる。

 

銀城「凶悪な敵に恐ろしい災害、ヒーローにとって毎日が困難の連続だ。ココは天下の雄英高校だぜ?流石に驚いたが俺達の常識がココで通じるとは限らない(てか、毎日が困難の連続だったしな…俺の場合……)」

 

相澤「その通り、放課後マックで談笑がしたかったんだろうが、お生憎様ここは雄英高校ヒーロー科だ。"Plus Ultra(プルス ウルトラ)"さ、全力で乗り越えて来い」

 

その言葉に一同はゴクリと生唾を飲んだ。そんな中、ただ一人ストレッチをしている銀城を相澤は横目でチラリと見ていた。

 

相澤「(やはり、あいつだけ頭一つ分飛び抜けているな………………)」

 

 

 

 

※ここからは、お話を簡略化します。

 

 

○50m走

相澤「次、銀城と朱星」

 

銀城「除籍されるかどうかがかかってるからな…悪いが手加減はしないぜ?」

 

朱星「コッチだって、負けないわよ!」

 

相澤「ヨーイ、ドン」

 

銀城《シュパァン!!》

 

銀城【1秒13】

 

「「「は?」」」

 

朱星「ちょっと待って?早過ぎない?」【6秒48】

 

銀城「言い忘れたけど俺の“個性”『羅刹』だから、脚には少し自信がある。クククク………!!」

 

切島「おぉ…随分嬉しそうだな」

 

銀城「いや、“個性”の関係上体力テスト受けられなくてな…嬉しくて嬉しくて……コレが初めてなんだよ」

 

「「「(マジかよ!?)」」」

 

この時、緑谷と爆豪以外のクラスメイトの心が一つになった。

 

 

○握力

銀城「フン!」《チュドンッ!!》

 

「「「・・・・」」」

 

銀城が握った瞬間、装置が爆ぜた。

 

銀城「えっと、相澤先生?」

 

相澤「測り直しね」

 

銀城「はい」

 

「「「(参加出来なかった理由分かった気がする)」」」

 

 

○立ち幅跳び

銀城「うおぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!」

 

瀬呂「おい!校舎のフェンス飛び越えたぞ!?」

 

《バコォォォン!!》

 

銀城「グァァァァァァァ!!?」

 

上鳴「そのままトラックに跳ね飛ばされた!?」

 

緑谷「ギンちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!?」

 

 

○反復横跳び

峰田「フゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

佐藤「スッゲェなおい……」

 

上鳴「でも銀城に比べるとな……」

 

銀城《ブオオオオオオオオオオン!!》

 

耳郎「残像出来てる…」

 

芦戸「ちょっと浮いてない?」

 

葉隠「私達もアレぐらいしなきゃダメかもしんないね……」

 

飯田「行くわヨォォォォ!!」←内股で『エンジン』使用中

 

耳郎「いや、流石にないよ……」

 

芦戸「うん、無いね」

 

 

○ボール投げ

銀城「ふん、ぬがばぁぁぁぁぁ!!!」

 

《ぎゃおおおおおおおおおお!!!》

 

銀城【

 

切島「スッゲェェェ!!またムゲン出たぞ!?」

 

上鳴「どんな身体能力だよ…」

 

《ズダガァァァァァァン》

 

銀城「ギャァァァァァス!!?」

 

障子「ボールが銀城の後頭部に直撃したぞ!!」

 

峰田「もはや身体能力の問題じゃねぇ!!?」

 

 

○持久走

飯田「何故だ銀城くん!!君にはその権利があるんだぞ!?」

 

銀城「それでも、受ける訳にはいかない」

 

飯田「だがしかし!君は“個性”での妨害を受けたのだよ!?もう一度測り直すべきだ!!」

 

芦戸「いや、急に来てビックリしちゃって…」

 

常闇「一生の不覚…」

 

銀城「もう俺は一度やり直しを受けている、これ以上のやり直しは求める事なんて出来やしない。コレで良いんだよコレで…」

 

相澤「その通り、やり直しはあれ一度のみだ」

 

銀城「そう言う事だ飯田、諦めよう」

 

飯田「くっ………!!!」

 

 

「「「(…いや、それでも充分早いし……)」」」

 

銀城【1分38秒17】

 

 

○上体起こし

銀城《ブォンブォンブォンブォンブォン》

 

障子「ま、まさか男子全員で押さえつけても浮き上がるとは……!」

 

常闇「何という筋力…!!」

 

峰田「な、何でオイラのもぎもぎに触れても大丈夫何だよコイツ!色々おかしいだろ!!」

 

緑谷「ギンちゃんは昔から観察眼が冴えてたからね、もう1つの“個性”『偽りの真実(コード・ザ・トゥルー)』で大抵の“個性”は見ただけで大体覚えられるんだ」

 

瀬呂「どんなチートだよ!?」

 

上鳴「天才の域を超えてんだろ……」

 

 

〜銀城羅刹〜

“個性”『偽りの真実(コード・ザ・トゥルー)

相手の“個性”を見たり攻撃されたりと体験する事により脳に刺激を与え、その“個性”を使用可能にする。“個性”と“個性”を重ね合わせて別の“個性”に変える事出来るが、キチンと理解しないと覚えられない。裏技として額と額を打つけて信号を送る事で覚える事が出来る。

 

 

 

○長座体前屈

耳郎「ちょっと待って何でそんなに曲がるの!?コワッ!!蛇か!!?」

 

銀城「いや、怪人倒して有名になろうって言う目的で喧嘩吹っかけてくる馬鹿相手にして攻撃バンバン喰らったらさ、いつのまにか体が丈夫になっちまってよ。全身の骨を外しても筋肉だけで動けるぜ?やってみようか?」

 

八百万「いえ、気持ちだけで充分です……」

 

切島「俺、アイツに優しくしよう……」

 

青山「見た目通りの人生だね★」

 

上鳴「やめろバカッ!!」

 

 

***

 

そして、全てのテストが終了した。銀城は“個性”のお陰で上位確定だろう。しかし、問題は緑谷の方にあった。銀城も実際に見たのは今日が初めてだが、緑谷は“個性”を上手く扱えておらず出力を0か100のどちらかにしか調整出来ないのだ。

 

オールマイト曰く、“個性”を扱える身体にはなったもののまだ器としては弱い為“個性”を使用するなどして鍛え続けるしかないそうだ。

 

銀城「(出久の事だから対人で使う事なんてまず無いだろうな、でもその前にこの個性把握テストで最下位になってないかが問題だ。頼むから最下位じゃないでくれよ……!!)」

 

相澤「あー、順位を発表する前に言っておくが最初に言った除籍処分の話、あれは真っ赤な嘘だ」

 

 

 

 

 

 

「「「「……え?」」」」

 

相澤「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

「「「「はぁーーーーー!!!!??」」」」

 

ハッと小馬鹿にする様な笑みを浮かべながらそう言う相澤に銀城が顎が外れてるんじゃ無いかと言うぐらい大口を開け、飯田が眼鏡を割りながら直立の姿勢で、麗日が信じられないと言わんばかりに、緑谷が上下にブレる様に驚きの声を上げる。

 

銀城「ちょちょちょ…嘘!?え、ウソォ!?」

 

飯田「相澤先生!!教師が虚言を言ってよろしいのですか!!?」

 

相澤「まぁ、全てが嘘って訳じゃない。見込みが無い者、またはヒーローに適してないと判断した場合いつでも切り捨てる…お生憎様、俺は叶わない夢を半端に追わせる様な残酷な性格じゃないんでね」

 

そう言ってボール投げの時に指を負傷した緑谷と、何故か予想の250倍キレられた峰田に保健室の利用書を渡して去って行った。

 

銀城「きっと……先生なりの優しさなんだろうな、親父が言ってたよ。『夢と言う物は叶わなければ呪いと同じ』ってな、流石ヒーローだ…格が違うぜ……」

 

朱星「う、うん……」

 

 

銀城を含む生徒達には、小汚くてボロい背中がとても大きく偉大な背中に見えたそうだった……。

 

 

 

 

***

「相澤くんのウソつき!」

 

相澤「オールマイトさん…見てたんですね…暇なんですか?」

 

職員室に戻ろうとする相澤をスーツ姿のオールマイトが呼び止める、活動限界があるのだから無理に変身する必要は無いだろうに……。

 

オールマイト「『合理的虚偽』て!!エイプリルフールは一週間前に終わってるぜ?君はA組の教師に選ばれた時に銀城少年を除籍させるつもりだった、だと言うのにそれを前言撤回っ!と言う事は……君も彼に可能性を感じたからだろう!?」

 

そう、相澤は元々銀城を除籍させるつもりだった。それは銀城がヒーローに向いて無いからではなくて、このままA組に居させても“個性”差別を受けて潰れてしまうんでは無いかと思ったからだ。

 

幸い、普通の生活を送れない怪人型の“個性”持ちが集まる町や学校もあるのでそこに転校させるつもりだったのだ。だが、それを相澤は撤回したのだ。

 

相澤「…………君()?随分と肩入れしてるんですね…先生としてどうなんですかそれは…」

 

ギクッとなるオールマイトを通り越して相澤はポツリと呟く様に備え問いに答えた。

 

相澤「あの中でヒーローに近いのが銀城だった、ただそれだけですよ。勿論、これしきの事で弱音を吐く様なら『希望の象徴』は向いてないと言う事です」

 

オールマイト「(君なりの優しさって訳かい相澤くん…でも)やっぱ……合わないんだよな…どこか」

 

 

 

 

 

***

場所は変わって、ココは何処かの工場の製造ラインの様な場所。そこには4名の人影があった。

 

「聞いたか?王が雄英に通い始めたらしい」

 

「雄英?あのヒーロー学校か?」

 

「王なら当然である、驚く必要は無くないか?」

 

「フハハハハハ!それでどうするのだ?」

 

「そんな事決まっているだろう?明日にでも行くぞ!我らが王の為に雄英を乗っ取るのだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYッ!!!」」」」

 

 

そう高らかに劈く様な叫ぶその姿はまさしく怪物の様だった………

 

 

 




相澤先生をカッコよく書きたくて書いた様な物ですね、ラストは……因みに最後の方の奴らは次回の方で出て来ます。

それでは皆さん、サラダバー!!


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第3話:戦場に集う悪鬼軍!!

みなさんお待ちかねの戦闘訓練です、今までまともに戦えて無かったので頑張ります。

あと、峰田のせいで下ネタ多いかもしれない……

それと、前回のラストで出たヤツらが二人出ますが、二人とも仮面ライダー関係です。

それではどうぞ!



個性把握テストを終えてから翌日、銀城は思ったよりも周りの人間と仲良くなっていた。“個性”が珍しいと言う事もあるだろうが、銀城は結構人の頼みをよく聴いていたおかげで近づきやすい雰囲気があるのだ。

 

そして、今は午後の授業。そう、皆さんお待ちかねのヒーロー基礎学の時間。

 

「わーたーしーがー!!」

 

緑谷「来っ!!」

 

「普通にドアから来た!!!」

 

すると、オールマイトがHAHAHAHAと笑いながら入って来た。いつも思うのだが何故彼だけ画風が違うのだろうか……

 

オールマイト「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う科目だ!!単位数も最も多いぞ。早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」

 

爆豪「戦闘……」

 

緑谷「訓練…!」

 

銀城「ククク、滾るぜ…!」

 

BATTLEと書かれたプレートを掲げたオールマイトに反応する様に、爆豪は笑みを浮かべ、緑谷は緊張する。銀城はただただ待ってましたと言わんばかりに指を鳴らす。

 

オールマイト「そしてそいつに伴って…こちら!!!入学前に送ってもらった『個性届』と要望に沿ってあつらえた…戦闘服(コスチューム)!!!」

 

「「「おおお!!!!」」」

 

オールマイト「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!!」

 

「「「はーい!!!」」」

 

と、その前に怪人型の方々についての説明をし直そうと思う。怪人型は異形型の“個性”と違い、人と違う点が多数存在する。例えば異形型には指紋が存在するが怪人型は存在しない、これも敵に向いていると言われる所以だ。そして、最も多いのが……

 

 

***

峰田「ぎゃあああああ!!?銀城お前、男の象徴はどうしたんだ!?」

 

銀城「え?知らないのか?怪人型の9割が無性なんだぞ?」

 

「「マジで!?」」

 

その言葉に峰田と何故か上鳴が反応する、そう!怪人型の殆どが無性、つまり性別が存在しないのだ。でも、怪人型にも一応モラルが存在している。病院で怪人型検査と言うのを受けるとその人物がどちら寄りの性格なのか判断できる。

 

峰田「じゃあお前ファイトイッパツする時どうすんだよ!?結婚しても意味ねぇじゃん!!?」

 

飯田「そんな事を堂々と聴いていいと思っているのか峰田君!銀城君に失礼だぞ!!」

 

銀城「…トラウマになりたいなら怪人型の奴の方法調べろよ、ザックリ言えばエイリアンだ」

 

切島「あ、結局言うのか……」

 

上鳴「俺、見るのやめるよ」

 

銀城「賢明な判断だ」

 

そう言うと銀城は自分のスーツケースからコスチュームを取り出し、それを着々と着込んだ。その姿は一言で表すなら白銀の騎士、全身を銀色の装甲で輝かせ、目の部分はピンク色のモノアイが光り、胸の逆三角形の水晶が見えていて、腰には組み立て式の道具が装備されている。

 

切島「おぉっ?お前のコスチュームカッコいいな!なんだ騎士好きなのかお前?」

 

銀城「いや、何故か分からないがコスチュームはこれにしようと小さい頃から決めていた。それに俺の見た目だと色々問題あるしな、それと防毒や耐熱性に耐冷性、水中での呼吸とかにも気を使ってる。それと『羅刹』の為に足の裏には任意で出せるスパイクを飛び出るオマケ付きだ」

 

飯田「成る程スパイクか…因みに僕のブーツには冷却装置が備えられている。エンスト防止の為にな!」

 

上鳴「へぇ〜、因みに俺のはコレ!“個性”を使えばどんな電波の悪い所でも連絡が出来る通信機器だ!!」

 

 

と、仲良くワイワイと話しながら歩いて行く。途中女子と合流した時に八百万の服装はアレでもだいぶ抑えられた方だとか、葉隠のコスチュームはもはやコスチュームじゃないとか色々あったが無事にグラウンド・βに辿り着いた。

 

オールマイト「みんな仲々様になってるじゃないか!それでは早速授業に当たるぞ、今回の戦闘訓練では屋内戦闘を体験してもらう」

 

朱星「また入試の様に市街地での戦闘じゃないんですか?」

 

オールマイト「そう、今回はもう一歩先に進む。ここにいる皆も実際に目にした事がある子がいるとは思うが、『ヴィラン退治』と言うのは主に屋外で見られるものだが、統計で言うなら凶悪ヴィランの出現率は屋内の方が高いんだ。監禁・軟禁・裏商売……『ヒーロー飽和社会』と呼ばれるこの現代において、真に賢しいヴィランは屋内と言う名の闇に潜む!そこで! 君等にはこれから『ヒーロー組』と『ヴィラン組』に分かれて、2対2の屋内戦を行なってもらう!」

 

蛙吸「基礎訓練も無しに?」

 

オールマイト「その基礎を学ぶ為の実戦さ!」

 

 

力強く語るオールマイトが設定した今回の状況は、二人のヴィランがアジトに核兵器を隠していて、二人のヒーローがそれを処理しようとしていると言うもの。気になる勝利条件は、『ヒーロー組』は制限時間の15分以内に【核兵器を回収する】か【ヴィラン組全員の確保】、『ヴィラン組』は制限時間まで【核兵器をヒーローから守りきる】か【ヒーロー組全員の確保】だ。チームメイトと対戦チームの選出はくじ引きによって行なわれる為、完全にランダムだ。

 

だが、それには問題がある。何故なら今年のクラスはAとB共に22人いるので二人一組にすると必ず一組だけ余ってしまうのだ。それを思ったのか八百万がオールマイトに問う。

 

八百万「あの、オールマイト先生。このクラスは22人ですので、二人組にすると1チーム余ってしまいますが……」

 

オールマイト「それは問題ないぞ八百万少女、余ったチームは「ちょっと待てぃ!」な、なんだ!?何者だ!!」

 

オールマイトの言葉を遮るノイズが混じった様な声がした方向と見ると、怪物らしくない姿の二人の怪人が屋根の上に立っていた。一人は紫色の鎧と蝙蝠をモチーフにした胴体にプラグやら何やらが生えて黄色のバイザーを付けた怪人。もう一人はスカイブルーのコブラをモチーフにした胴体にワインレッドの鎧に同じくスカイブルーのバイザーを付けてスナイパーライフルを肩に担いだ怪人だ。

 

「我が名は、悪鬼1号『バット・デモリッシャー』!!」

 

「俺は悪鬼2号『コブラ・デモリッシャー』だ、まぁアレだよ。以後ヨロシク」

 

二人の怪人は自分の名を述べると屋根から颯爽と飛び降り、華麗な空中回転を決めてビシッと着地した。オールマイト達は、ヴィランが現れたと思い臨戦態勢を取っている。

 

オールマイト「君達!一体何者だ!?」

 

銀城「安心して下さいオールマイト、コイツらは俺の“個性”です」

 

芦戸「こ、“個性”!?コレが!!?」

 

上鳴「思い切り動き回ってるけど…」

 

銀城「あー、どう言う事かと言うとな…えーと、取り敢えず説明をどうぞ」

 

 

〜銀城羅刹〜

“個性”『悪鬼革命』:D2(デーモン・デモリッション)ウイルスと言う特殊な細胞を立体化して兵隊『デモリッシャー』を生み出す能力、中でも番号が付けられた兵士達は特殊で戦闘能力が高く学習能力がある。

 

銀城「と、言う事で俺の“個性”なのさ」

 

上鳴「もうお前チートとか言うレベルじゃないわ、ラノベの主人公レベルじゃねぇか」

 

常闇「俺の“個性”とは違うのか?」

 

銀城「あぁ、コイツらは一体一体に特殊能力が付いている。所でバット、他の奴らはどうしたんだ?」

 

バット「はっ、別の所で待機中です」

 

コブラ「んで、俺達は穴埋めの為にもう一つのチームとして参加するつもりだ」

 

オールマイト「うーん、まぁ丁度いいし…」

 

飯田「了承するのですか!?」

 

オールマイト「ハハハ!ヒーローたる者、どんなアクシデントも乗り越えられないとね!!」

 

まさかまさかのオールマイトが承諾したので、悪鬼怪人組を入れてこんな感じにチーム分けされた。

 

A :緑谷&麗日

B :障子&轟

C: 峰田&爆豪

D: 銀城&朱星

E :芦戸&青山

F :口田&佐藤

G: 耳郎&上鳴

H :常闇&蛙水

I:葉隠&尾白

J:切島&瀬呂

K:飯田&八百万

L:バット&コブラ

 

という感じのチームに分けられた。

 

 

***

『緑谷side』

 

22人の生徒と、2人の怪人を加えた『ヒーロー組』と『ヴィラン組』のチーム分けで、僕は麗日さんと一緒になった。麗日さんの言う通り縁があるとは思うけど、ちゃんと話せるかどうかがちょっと不安だ。

 

銀城「なんか縁があるな俺達、まぁ頑張ろうぜ」

 

朱星「うん!頑張ろうね」

 

ギンちゃんのパートナーは朱星さん、何でも試験中にギンちゃんに助けられたらしくてギンちゃんを見るたびに頬を染めている。ギンちゃんは性格二枚目だからなぁ……でも、彼女の“個性”はだいぶ強いから油断ならない。

 

そして、僕としては『ワン・フォー・オール』の事が上手く誤魔化せた半面、ギンちゃんとかっちゃんに嘘をついている事が、何だかとっても後ろめたい気分にさせる……。

 

朱星「うぁーっはっはっはっ!…こんな感じ?」

 

銀城「まだ恥があるな、悪党の笑い方はこうだ!!ヴェアーーーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!…こんぐらいやらないと」

 

ギンちゃん、真面目だからもしもヴィランになった時に備えて練習してるよ……そう言うところあるんだよね…ホント…うん。

 

オールマイト「最初の対戦は……コイツ等だッ!」

 

オールマイトが取り出したボールはAとD。僕と麗日さんのペアと、ギンちゃんと朱星さんのペアだ。僕達がヒーローで、ギンちゃん達がヴィランだ。

 

屋内戦闘訓練は演習場にある建物の中から一つのビルが選ばれ、ギンちゃん達がセッティングの為に先に入っていった。

 

とりあえず建物の見取り図を見て、それを頭に中に叩き込む作業に入るけど、どうしたものかと悩み出すともう止まらない。そんな僕を見て、麗日さんが心配そうに話しかけてきた。

 

麗日「デク君、全然大丈夫そうじゃないけど、大丈夫!?」

 

緑谷「その……相手がギンちゃんだから。朱星さんの“個性”がよく分からないし……大分身構えちゃって」

 

麗日「デク君とギン君って、幼馴染なんだよね?」

 

緑谷「うん。僕が小学三年生の頃に、近所に引っ越してきたんだ」

 

ギンちゃんはかっちゃんと違って、初めから僕の家の近所にいた訳じゃなかった。そして、ギンちゃんは「厳しくて怖いけど心優しいタイプ」で、結構無茶を平気でする性格だった。

 

最初に出会った時は物凄く怖くて逃げ出したんだけど、ギンちゃんは他の皆と違って“無個性”の僕を馬鹿にしなかったし、ヒーローを目指す僕の夢を笑う事もなかった。むしろ逆に励ましたり、応援してくれた。特訓として身体を鍛えるのを手伝ったりしてくれた。

 

何でギンちゃんはそうなんだろうと思って、ある日に僕はギンちゃんにその事を聞いてみた。

 

「父さ…親父が言うにはどれだけ凄くても“個性”なんて物は誰でも持ってる人間の皮膚みたいな物なんだってさ、一々そんな事で優劣を計ってたらキリが無いし、“無個性”も『特殊な力が使えない』と言う点では“個性”何だってよ。だから俺は否定しない、“無個性”でもヒーローになれるんだ」

 

昔はそうだったとしても超人社会となった現代では、そんな“無個性”のヒーローは一人も居ない。そんな事は当時の幼い僕でも分かっていた事だけど、ギンちゃんの「“個性”が無くてもヒーローになれる」理由を聞いて、僕はずっと前向きでいられた。

 

流石に憧れのオールマイトから「“個性”が無ければヒーローになるのは難しい」って言われた時はショックだったし、その後で僕はオールマイトから“個性”を貰っちゃったから、「“無個性”でもヒーローになれる」って事を僕自身が否定しちゃったようなものなんだけど……だからこそ、この戦闘訓練はチャンスだと思えた。

 

今の僕では『ワン・フォー・オール』をまだ使いこなせないから、この訓練では使わないと決めている。つまり今の僕は“無個性”の人となんら変わらない。そんな今の僕が、ギンちゃんと朱星さんの二人に勝てば、「“無個性”でもヒーローになれる」って事を証明出来る気がしたんだ。

 

オールマイト『それでは、Aコンビ対Dコンビによる屋内対人戦闘訓練! スタート!!』

 

オールマイトによる訓練開始のアナウンスが聞こえた。制限時間と勝利条件を考えると、コレはヒーロー側が圧倒的に不利だ。

 

ヴィラン側のギンちゃんと朱星さんは、二人共万能な“個性”だから尖兵としてはどっちでも有りだと思うんだけど、ギンちゃんの性格を考えると尖兵がギンちゃんで、守備が朱星さんだと思う。

 

順調に一階の窓から侵入して、一階を一通り調べて回った後、二階に移動してまたフロアを調べようとしたその時、僕達の背後のガラス窓が突然破片と化した。

 

銀城「サチコッ!!」

 

破壊された窓から、勢いよくギンちゃんが飛び込んできた。軽い身のこなしで目の前に着地すると、マスクのモノアイがピンク色に光った。

 

銀城「ヴェアーーハッハッハッ!!来たかヒーロー共!この悪の秘密結社『ソロモン』の秘密基地にたった2人で殴り込みとは、笑ったものか!呆れたものか!コイツは迷う迷う!!」

 

麗日「真面目やッ!!」

 

……うん。予想通りギンちゃんは切り替えが早かった。

 

銀城「しかしもう遅い!我等『ソロモン』の日本焼却作戦は間も無く実行される…そして!その前にこの『ソロモン』最強の怪人ジャッカル・デーモン様がッ!貴様等を三途の河にに叩き込んでやるッ!!UREEEEEEEEEEE!!」

 

麗日「ブフゥッ!!」

 

ギンちゃんは完全にヴィラン役に徹していた。訳の分からない秘密結社の怪人を名乗り、個性的なキャラクターを作った上で、テンション高めに超ノリノリでポーズを決めるその姿を見て、麗日さんは笑いを堪えきれずに噴出している。

 

この状況をどうしようかと考えていると、ギンちゃんは僕達に向けて左手をかざした。すると、僕達の体が突然宙に浮いた。

 

麗日「へっ!?えぇ!?」

 

緑谷「ッ!?しまった!」

 

銀城「ドゥルアアアアア!!!」

 

風を操る“個性”!?何とか脱出しようと体を動かすけど、見えず掴めない風の拘束によって僕達は成す術も無く、二人仲良く二階の窓から外に放り出された。

 

このまま勢いよく地面に叩きつけられるかと思ったけど、僕達はユックリとブレーキを掛けられた様に空中で一旦停止し、そのまま地面に降ろされた。

 

銀城「フハハハハハ!見たかモンキー共?今のは俺の『突風の騎乗(ウィンドライド)』、風力自在に強弱を操り何かを運ぶのだ!今ではイクラやシャボン玉を割らずに運ぶのも容易い!」

 

声を高々に自分の能力を僕達に暴露するギンちゃん。……まあ、確かにヴィランってどう考えても自分が不利になるのに、何故か自分の“個性”を詳しく説明したりするよね。どう考えても個性不明のアドバンテージを捨てるのは愚策だと思うんだけど、型にハマりまくってるギンちゃんの行動はヴィランらしいと言えばヴィランらしい。

 

ギンちゃんはひとしきり笑った後で、三階の開いた窓を見上げて指を鳴らした。すると三階の窓がピシャリと勝手に閉まり、それを確認したギンちゃんは二階の窓を手動で閉めた。

 

麗日「デク君。どうしよう……」

 

緑谷「そうだね……」

 

麗日さんが不安げな顔で僕の方を見ている。対象に触れなければ“個性”が発動しない麗日さんと違って、ギンちゃんは「手を触れずに物を動かした」のだ、ハッキリ言って麗日さんでは分が悪すぎる。

 

緑谷「……麗日さん、二手に別れよう。僕がギンちゃんを足止めするから、麗日さんは朱星さんの隙を突いて核爆弾を確保して」

 

麗日「でも、デク君一人でギン君の相手なんて出来るの?」

 

……割とズバッと言うよね、麗日さん。確かに一対一で僕がギンちゃんに敵うとは思っていないけど、何も策が無い訳じゃない。

 

 

緑谷「あの風の“個性”の正式名派は『(サイクロン)』と言って、幾つか弱点があるんだ。まずは『動きを加えないと発動しない』って事。さっきも、三階の窓を見て使う際に指を鳴らさなかった?」

 

麗日「あ、そう言えば……」

 

緑谷「それにあの“個性”はまだ発展途上で強弱を制御するのが難しいか、同じ場所に留めるのがしか出来ないんだと思う。そうでなきゃ、さっき僕達を浮かせたまま確保テープで拘束すれば終わったもの」

 

麗日「あぁっ……そっか、そうだよね」

 

ギンちゃんは今日まで『(サイクロン)』を、壊したり吹き飛ばしたりする目的で使っていた。それを今までと違う形で使うのは、相当に神経を使っているんだと思う。それも複数同時に動かすとなると負担も増えると見た。

 

さっき『突風の騎乗(ウィンドライド)』を使う時に手を動かしていた事も考えると、アレは「負担を軽減する」か「使い易くする」為のどっちかなんだろう。

 

二人揃っていればさっきみたいに一緒に外に放り出されてしまうし、例えあの“個性”封じたとしてもまだギンちゃんには他の“個性”が山程ある、それにギンちゃんは普通に強敵だ。二人で同時に挑んでも足止めされて時間切れになる恐れがある。

 

つまり、二手に別れて僕がギンちゃんを足止めしている間に、麗日さんが朱星さんから核を回収する。コレが一番勝率の高い作戦だろう。

 

緑谷「時間も押してる……僕の言う通りにして!」

 

麗日「う、うん!」

 

作戦を伝えた後で、僕は麗日さんに軽くしてもらって2階の窓へ移動し、麗日さんは“個性”で引っこ抜いた街路樹に乗る形で3階の窓に移動する。そして、二人同時に窓ガラスを破って建物に侵入した。

 

ガラスが割れた音を聞きつけて、僕の前には予想通りギンちゃんがやってきた。その後ろには青とオレンジをベースにしたカラーリングの頭部と身体が合体していて、丸みを帯びたゴテゴテの怪人と赤をベースにしたカラーリングの戦闘機っぽい帽子を被り、鳥の羽根の先にナイフが付いた様な怪人が居た。

 

ギンちゃんの『悪鬼革命』で呼び出せる兵隊には種類とレベルがある、特に特徴と呼べるものが無いレベル1〜3の歩兵『屑鉄兵(ジャンカード)』、動物や乗物の姿をしたジャンカードより上の悪鬼怪人達(ギンちゃんはデモリッシャーと呼んでいる)を支えるレベル0〜1の『廃棄騎兵(スクライド)』、何かに特化して個体ごとに名称が存在するレベル4〜10の兵隊『特別な者達(スペシャルズ)』、そして数が少なく知性や能力では人間に負けていないレベル10以上の存在『破滅の使者(デモリアス)』の4種類……その中の内のスペシャルズを二体も呼び出すなんて…!?

 

銀城「覚えてるか?青いのが『ストロング・デモリッシャー』、赤いのが『フライング・デモリッシャー』だ。コイツらの造り方知ってるよな?ジャンカード達に“個性因子”を埋め込むか特別な環境に置くことによってスペシャルズになる。まぁ、偶にイレギュラーが起きてデモリアスみたいな暴れ馬が産まれるけどな」

 

緑谷「うん、知ってる。確かストロングは『ゴリラ』と『ダイヤモンド』の“個性”を与えてサンドバッグを叩かせて、フライングは『タカ』と『ガトリング』の個性を与えて高い場所に長時間待機させて読んだらこうなってたんだよね……忘れるはずないよ」

 

銀城「そう、コイツらの殆どはは俺と出久と勝己の三人で造った。俺の沢山ある“個性”の相性を考えてくれたのは大体お前で、技や名前を考えてくれたのは勝己だ、お前らは俺の事をよく知っている。だから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って考えてるんだろ?分かっちまうよ流石に」

 

読まれてる……けど何が言いたいんだギンちゃんは?いや、考えるな!集中しろ!いつ仕掛けられるか分からないんだぞ!!

 

銀城「コイツらにはちょっと別の要件があってな…ストロング、フライング……()()()()()()()()()

 

ストロング「グロオオオオオオオッ!!」

 

フライング「キュイイイイイイイイッ!!」

 

ギンちゃんに命じられた二体は答える様に叫ぶと僕を無視して壁を壊して外に出て行く、なんだ?目的は僕でも麗日さんでもない?どうしたんだギンちゃんは……?

 

銀城「わっかんねぇよな……だけど急用が出来ちまってよ、お前には悪いとは思うんだけどなぁ…………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早めにカタをつけるぜ」

 

 

緑谷「ッ!?ダァァァアァァァ!!?」

 

いつのまにか移動してたギンちゃんに驚いて腰を抜かしたのは運が良かったのかもしれない……何故ならギンちゃんの蹴りの風圧で悪鬼怪人が開けた穴が消え去るほどの大きな穴が開いていたから。

 

いや、穴じゃない…それどころかギンちゃんの蹴りの威力で向こう側にあるビルが何個も崩れ落ちていた……!!

 

あぁ、そうだ、忘れていた……なんで気づかなかったんだ!?こんな単純な事にッ!!

 

銀城「さてと、死ぬなよ?ヒーロー!!」

 

 

 

ギンちゃんが他の“個性”を使っているのは本来の“個性”である『羅刹』で人を殺さないためだったんだ!!!

 

 

 

 

 




どうでしたか皆さん?

銀城は何故本気を出したのか、悪鬼怪人達は何処へ向かったのかなどなど気になるところがありますが、続きはまた次回で御座います。

因みにスペシャルズとデモリッシャーズはビルドがモチーフですが、マジンボーンと言う作品も混じってます。
バット・デモリッシャー→ナイトローグとダークバット
コブラ・デモリッシャー→ブラッドスタークとダークスネーク
ストロング・デモリッシャー→ストロングスマッシュ
フライング・デモリッシャー→フライングスマッシュ
という感じです。

バットとコブラのデザインは原作とはかなり違うつもりです、語彙力無いのが悲しい……。それと、デモリッシャーはタガログ語で破滅者を意味しています。

下にはオリキャラのコスチュームの説明があります故、見ていってください。それでは!!


○銀城コスチューム
本文で言ったように銀色の騎士の様な姿です、腰の棒状の道具は『フリー・クロス』と言い様々な形に変形する。剣だったり銃だったり槍
だったりと変幻自在なアイテム。結構メカメカしいスーツで耐熱耐冷耐毒性でモノアイは遮光性でサーモグラフィー付き、防弾防斬防撃防突防水防炎防電と防御力も高い作りになっている。マントは付ける必要ないけど被災者などに包ませて身を守らせるのなどに使う事がメインである。だけどメイン機能は力を抑える抑制装置だったりする。
ベルトもありますが、それにある秘密が…それは次回出ます。


○朱星コスチューム
シスター服とセーラー服が合体した感じの姿、下には肘まである手袋と肘まであるタイツにレオタードを着込んでいるが勿論防御性は高い造りになっている。護身用に十手を装備しているが突っ込んではいけない、ポーチには様々な救護道具が入っている。








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第4話:臣下達は王の為に各々動く

久しぶりの投稿ですが、前書きで書く事がないのでゲームの事をいくつか書きます。

〜FGOの福袋時〜
「アサシンピックアップ引くぞ!!じぃじ来ないかな!!」

『セミ様降臨』

「ナニイィィィーーーーー!!?……ハッ!!?」

先週、ストガチャで天草引いた……

「仰げば尊しッ!!!!!!!」


〜自室鯖触媒召喚〜
「えー、マジで?オジマンピックアップだし、アーラシュ自室鯖にしてガチャ回そ」

『オジマン降臨』

「ヤヴェーーーーーーーイィ!!!!!!」


てな事がありました。偶々なんだろうけどもやった方がまぁいいんじゃないかなって思います。


それでは、雑談も程々にして本編どうぞ。




『side:オールマイト』

 

切島「ま、マジかよ…アレ……」

 

八百万「ビルを、簡単に……」

 

銀城少年の蹴りの威力に皆がただ呆然としている、モチロン私も言葉が出ないね!私の師匠のグラントリノも蹴りを主体とした戦闘法を使用なさるが、彼の蹴りからはそれ以上の洗礼さと鋭さを感じる…考えてみれば彼の“個性”の『羅刹』なら充分あり得るが……くっ、震えるなこの脚めッ!!

 

峰田「お、おかしいだろーがよ!?なんなんだあのパワー!?完全にオールマイト並みの威力があんじゃねえかよ!!?」

 

爆豪「たりめーだクソが、アイツの親はウェラリアとバリアン・デーモンだからな。それなりに特訓はしてる」

 

常闇「あの有名なプロヒーローの息子なのか!?」

 

上鳴「才能マンやだやだ……」

 

あぁ、そう言えば本人も言ってたな。よく思い出すと2人からは息子自慢を受けてたっけ……結構な親バカだよなぁ、あの2人、うっ!思い出したら頭痛が…………

 

爆豪「アイツが別の“個性”を使うのはアイツ曰く、殺さない為だそうだ。なんか知らねーけど昔大怪我させかけた事があるらしいからいつもは顎ぶっ叩いて気絶させてるそうだわ」

 

轟「アゴって結構狙いにくく無いか?」

 

爆豪「知るかそんな事」

 

爆豪少年は素っ気なく言ってるけど実際顎を叩いて無力化させるのはだいぶ難しい、力加減や速さも必要だが一番必要なのは上手く脳震盪を誘う技術力だ。それを普段からやっているとは……本当に凄いなカレ!!

 

にしても、あの二体の怪人は何処へ向かったんだ?緑谷少年と戦う事が目的でないなら何の為に呼んだんだ?

 

 

 

 

 

《ヒュバッ、ガキン!!》

 

バット「ククク……流石は王だ。私の考えを読んでいたとは…」

 

コブラ「そりゃお前、大将は大将だからな…」

 

今まで静かだったバット・デモリッシャーとコブラ・デモリッシャーの方から謎の音がしたと思って振り返ると、そこには鋭い爪を八百万少女に突き立てようとしたのか右手を振り下ろした様にしているバット・デモリッシャーと、手に持っているスナイパーライフルでそれを防いでいるコブラ・デモリッシャーがいた。

 

オールマイト「なっ!?これは一体……?」

 

バット「フン!流石は王をヴィラン風情と間違えた役立たずだなぁ?私は雄英高校を支配して王に献上する腹積もりだったのだよ!!」

 

瀬呂「は、ハァァァァァァァ!!?」

 

バット「その為に邪魔な貴様らをこの閉鎖的空間で八つ裂きにするつもりだったが…何故邪魔をするかは聞かんぞコブラ。お前の役目は『王を成長させる係』、時に敵対し時に手を貸す存在、そんなお前が突如裏切るのは王に命令されたからだろ?」

 

コブラ「大将の強力な命令に長時間反発出来んのはお前だけだからな、それに今いいところだしよ。もうちょっと見てからでも遅く無いか?」

 

バット「ハッ!ほざいてろコブラ!!全ては王の為だぞ、だがそれを察知した王は妨害する為にお前とあの二体を送り込んだ様だが、私は最初に生まれた悪鬼怪人だ。貴様らとはなぁ…………」

 

フライング「キエエエェェェェ!!」

 

ストロング「グロロォォォォォ!!」

 

話しているバット・デモリッシャーの邪魔をするかの様に銀城少年が送り込んだ怪人二体が突如現れて、バット・デモリッシャーを叩き潰さんと蹴りと拳を繰り出す。しかしバット・デモリッシャーはそれらを片手で防ぐ。

 

「「ッ!?」」

 

バット「スペックやレベルが、違うのだぁ!!!『サンダー・スチーム』!!!!」

 

フライング「キュヤアアァァァァァ!?」

 

ストロング「グラロオォォォォォォ!?」

 

バット・デモリッシャーは掴んだ両手から雷を帯びた蒸気を吹き出して二体に感電させる、蒸気が消え去りバットから解放された二体はピクリとも動かずにバタリと倒れてしまった。彼等は“個性”も保有しているのか!?

 

上鳴「ウェ!?俺の“個性”!!?」

 

バット「いや違う、我々の能力はお前らの“個性”因子ではなく進化による物だ。そもそも王の『偽りの真実(コード・ザ・トゥルー)』は元を辿れば学習能力の究極系、王が学習することにより相性のいい技が我らにプラスされる、イコール我々は王の成長に合わせて自己進化を繰り返しているだけなのだ」

 

障子「つまり、銀城が強くなればなるほど……」

 

切島「コイツらも強くなんのかよ!?」

 

バット「フハハハハ!!お待ち下さい王よ!いま食事を用意します!!男は筋肉質なのが多い為そのまま丸焼きに、女は柔らかいのを生かして蒸し焼きにします。そうだ、味付けはシンプルに塩胡椒と醤油にすべきか?あぁ、王よ、貴方は心優しい…だから愚図が付け上がる。その罪、貴方の血肉とする事で清算なさいましょう!!!」

 

バット・デモリッシャーは銃の様な物を取り出すと狂った様に料理のプランを大声で話す、他のみんなも察しているのだろうにその表情は青ざめた物となっていた。彼は此処に居る者全員を銀城少年の料理にするつもりか!!

 

オールマイト「君ねぇ、そんな事させると本気で思っているのかい!!大体、銀城少年がそんな事「だまレェェェェェェェエェェェェ!!!」なっ!!?」

 

バット「貴様に、キサマラにナニが分かるのダァぁぁぁぁぁ!!幼児の頃から平等な味方である筈の保育士にも嫌われて…好かれる努力として勉学を極めれば脳を食って知識を奪ったと言われ…スポーツや芸術と言った特殊技術を極めればますます恐怖され…困っている人間を優しさから助ければ逆に敵意を向けられ、更にはヒーローを呼ばれる。そのヒーロー共も間違いだったと言うのに謝罪をせず、顔させ出さなずに最終的には紛らわしいお前が悪いと言う!!お陰で王の人生は滅茶苦茶だぞ!!?」

 

オールマイト「し、しかしだからと言っ「そもそも、学生服を着ていたのにヴィランと間違えて王を攻撃した事のあるオマエにどうこう言う資格はないわこの触覚肉ダルマが!!!」ディヤアァァァァァァッ!!」

 

痛い所を突かれた!?自分でもいくら慌てていたからと言ってよく間違えれるものだなと言いたくなるが、頼むからやめてくれ!!心が辛い!!!罪悪感で!!!

 

コブラ「大将は気にしてねぇぞ、それに謝るだけ他よりはマシだ」

 

バット「王が許しても私が許せんのだ!!」

 

障子「…まぁ、俺としては奴の言いたい事も少し分かる気がするが……」

 

八百万「確かに、日本はそう言う“個性”による差別が他国より激しいと聴きました。近づき難いと言うのもありますが……」

 

飯田「だからと言って犯罪が許されるわけではないぞ!君達が罪を犯す事は、それ即ち銀城君の罪になるんだぞ!!」

 

バット「バレなければ問題なかろうなのだぁぁぁ!!」

 

轟「ダメだ、コイツ会話する気ゼロだぞ」

 

生徒達も必死に辞めさせようとしているが、相当意思が硬いらしく話をする隙させ貰えない。ううむ、どうしたものか……。

 

コブラ「やれやれ、仲間同士で戦闘する羽目になるとはな。悪いが観たい番組があるんでね、手加減はしねぇぞ?バット…」

 

バット「やれるものなら……やってみろ!!」

 

 

私がどうしようか思案してる間にコブラの挑発によって、バットがバルブの付いた片手銃を取り出して躍り掛かって行った。

 

 

 

『sideout:オールマイト』

***

 

《ミスティングサンダー!!》

 

バット「はぁっ!!」

 

コブラ「いきなりかよ!?」

 

《ミスティングアシッド!!》

 

バットは己の武器である『スチームシューター』から電撃の弾を飛ばすも、コブラも負けじと『スチームスナイパー』から紫色の毒々しい弾を撃って相殺する。それを確認するとバットは天井のに張り付いて逆さまの状態で走りながら狙撃する、しかしコブラも負けじとピストルグリップの部分をストックに移動させて剣の様に振ってそれを防いだ。

 

バット「残念ながら早く生まれて早く戦いを知っている私の方がスペックは上だ、考え直すんだなコブラ!!」

 

コブラ「だが俺は王と特訓として何度も戦っている、経験は俺の方が勝ってんだぜバット?お前こそその固すぎる脳味噌柔らかくしろよな。そもそもよぉ〜、緑谷は?あの朱星ってかわいこちゃんもバラすのか?二人共好感度高めだぜ?」

 

バット「緑谷はまぁいいとする、数少ない理解者なのもあるが“個性”の覚醒度が中途半端だからな。だがあの朱星と言う女は王の伴侶とするつもりだ。王の子孫を残せるのだから泣いて喜ぶだろう……」

 

コブラ「大将はそういうのは条件整った上で合意を確認してからやるタイプだと思うが……?無理矢理はダメだと思うぞ?」

 

バット「王の子孫は素晴らしい血統と言うだけでは務まらん、見た目もよく中身もよく“個性”も良いバランスの良いアイツが一番だ」

 

コブラ「まぁー、その、相性はいいと思うが『コブラ、死んでも死守しろ。いいな?もしそうなったら俺は舌を噛みちぎる』おーっと、大将からの直々の命令きたよ」

 

戦いそっちのけで話し込んでいる二人に割り込む様に銀城の声がモニターから聴こえる、それにやれやれと言わんばかりにコブラはモニターを見て、視線をバットに戻した。

 

オールマイト「あれ?音声とかは私にしか聞こえない様になってる筈なんだけど?」

 

コブラ「あぁ、俺はある程度の物なら操れるんだわ。人間の筋肉とか機械の思考回路とかな、どうせだし音声付きの方が盛り上がんだろ」

 

オールマイト「そんな勝手な……」

 

 

 

銀城『この程度かヒーロー!『リトルボーイ』!』

 

緑谷『うわぁぁぁぁぁぁ!?』

 

モニターの向こうでは、銀城が緑谷に向かって炎の拳で殴りかかっていた。触れた端から炎が焦がしながら壁などを障子紙の様に破っている。

 

切島「うおぉぉぉ!!こっちもやべーぞ!?」

 

上鳴「アイツ何!?ターミネーター!?」

 

麗日『そうやって、第二第三の貴方を生み出していくのね。貴方は優しい子だったじゃない……それで亡くなったお母さんは喜ぶかしら?』

 

朱星『喜ぶ悲しむの話じゃないの……もう次の私を出したくないのよッ!!その為なら、その為なら!!悪魔にでもなってやる!!』

 

『流石はリゲル様!!素晴らしいお覚悟!!」

 

『この俺、ベアーと相棒のグリズリーは王と貴女の為に全力を尽くす事をここに宣言します!!』

 

一方、核の部屋では麗日と朱星が宝塚顔負けな程リアリティ溢れる問答を行なっていた。朱星の隣では右手が厳つい茶色いデモリッシャーと左手が厳つい灰色のデモリッシャーが居た、どちらも胸に熊の顔が付いている。

 

コブラ「中々迫真だなぁ…てか、アイツらも居たのかよ」

 

瀬呂「おいデモリッシャーがなんでいんだよ!?」

 

バット「我々はデモリッシャーの数はあの場にいる奴等も足して、総勢15体だ。茶色がベアーで灰色がグリズリーとなっていて王の意思で生み出すことが出来る。身体が存在する場合は作り出せんがな」

 

耳郎「アイツら増えんの!?」

 

爆豪「元となる生物のDNA情報とそいつに当てはまる“個性”を複数用意する事が条件だがな、雑魚兵士だけなら一度に百体は軽く出せる。しかもウザッてぇ事にアイツらはギンを倒しても消えない。消し去るにはギンの体力を消耗させながら全部ぶちのめすしかねぇ」

 

芦戸「つまりゲームとかで言うところのエイリアンのマザー枠的存在なんだね銀城くん」

 

佐藤「本来あぁ言う“個性”の持ち主は接近戦が苦手なんだが、銀城はそれを完全に克服してるな…」

 

バット「フハハハハハッ!!そうだろうそうだろう?王は最強なのだよ、貴様ら凡人と砂と銀河系くらいの差が『バット、それは言い過ぎだ』申し訳ありません我が王!!」

 

感心や驚愕の声を上げる生徒達にバットは鼻高々に自慢するも、銀城に窘められてすぐに謝罪をする。態度が変わり過ぎである。

 

 

***

 

銀城「この程度か?手を抜いているのか?」

 

一方、銀城達はと言うと激戦の末に建物の外に出てしまい、互いに一対一の光景になっていた。だが、銀城の鎧には何処にも傷一つなく、緑谷は服がぼろぼろになり地面に倒れ伏していた。

 

緑谷「(やっぱり強い!!ギンちゃんは親のコネで信頼あるヒーローから色んな戦術を学んでるのもあるけど、“個性”が多過ぎる……!!!『炎』、『風』、『水』、『土』、『植物』、『音』と数えるだけで頭が痛くなる程の“個性”を持ってる……けど!!!)手を抜いてるのはそっちもだろ?さっきから全然有効打になってないじゃないか」

 

銀城「…………はぁ、やっぱりバレるか」

 

溜息を吐きながら首を掻く銀城に対し、緑谷は「やっぱりそうか」と膝をつく体制になる。

 

銀城「出久、お前“個性”使えよ。お前だって分かるだろ?例えリスキーパワーでも俺を倒すにはアレしかないって」

 

緑谷「でも……!ぼ、僕はまだ“個性”の制御が出来ないんだよ!?それで人に使ったらどうなる位、ギンちゃんにも「分かるけどだからどうした、くだらねぇこと言ってんじゃねぇ」なっ、くだらねぇって……」

 

銀城「お前の事だ、他にもあるんだろうが“個性”を使えなきゃ一番困るのはお前だぞ。来いよ、耐えてやっから」

 

勿論、抵抗はするがなと一言告げて銀城は構えを取る。本来、銀城の目的は緑谷に“個性”を使わせて慣れさせる事にあった。しかし彼の性格からして、人に向かってあの怪力を放つ事は絶対にない、しかし慣れなければ身体が耐えきれずにダメージを負い、最悪の場合だと二度と使い物にならないかもしれないのだ。

 

だから今回は絶好のチャンスだと思ったのだが、バットが暴走する事態になったので予定を急遽変更して自分でもやり過ぎだなって感じの荒療治を取る事にしたのだ。

 

緑谷「友達に、そんな事出来る訳ないだろ!?」

 

銀城「甘えてんじゃねぇぞ出久!!前は運が良かっただけで次とかには確実に除籍にされるぞ、あの人は、相澤先生はそう言うの本気でやるぞ。友達が困ってるのに助けねぇのはおかしいだろうが!!」

 

緑谷「自分の夢の為に友達を踏み躙るなんて出来ないって………言ってるんだよバカヤローーー!!!」

 

銀城「ハッ!じゃあ何だ?お前は【“個性”を使わない縛りプレイをしてた所為で死傷者が出ました】とでも言うのか?それこそフザケンナだろうが!!塵みたいなプライドなんてサッサと捨てろや!!!」

 

緑谷「ッルセェェェェ!!自分を大切にしろヨォ!!!!!」

 

銀城「テメェにそんな事ほざく権利あるとでも思ってんかこのカミキリムシの姿焼きが!!!」

 

 

銀城は友の夢の為に、緑谷は友の命の為に互いを罵り合いながらも懸命に他人の為にその身を犠牲にしようとしている。銀城にとっては緑谷は転校して初めて自分を認めてくれた友で、内緒にしてるが返しきれない程の恩を感じている。それは緑谷も同じで銀城のおかげで今の自分があるんだと思っているのだ。

 

このトラブルの原因は誰でもあり、誰でもない。強いて言うなら友を思いやる優しさが招いてしまっているのだ。なんとも素晴らしく悲しい争いである。

 

 

 

***

オールマイト「うぅむ、これは……」

 

切島「なんて言うか、二人とも熱いな!!」

 

常闇「友情故のジレンマか……」

 

二人は忘れているようだが、この光景はモニターによりバッチリ見られており、しかもコブラの所為で音声まで伝わるようになっている。バレたら確実に赤面ものだろう。

 

バット「無理だな、仮に“個性”を使っても王にはそれを打破する“個性”がある。それにあの様子じゃあなぁ……」

 

コブラ「どっちもお互いの事を考えてる所為で膠着状態が続いてんな…でも、俺の求めてんのはコレじゃ無いんだよなぁ……」

 

オールマイト「考え直せ銀城少年!!それが最悪の場合、どうなるか分からない訳じゃ無いんだろう!?」

 

銀城『出久がミスらなきゃ良いだけです、それに俺もサンドバックになるつもりはカケラもないです』

 

緑谷に勝ち目は無いだろうと判決を出すデモリッシャー達の言葉で我に返ったオールマイトは、銀城に止めるように言うも即答され思わず息を飲んでしまう。

 

教師としては止めるべきだろう状況、しかし銀城の言ってる事もまた事実である。その覚悟を言葉で、その姿で感じ取ったオールマイトは言葉をかける対象を緑谷に変える。

 

オールマイト「緑谷少年、確かにヴィランを捕らえるのに必要以上の怪我を加えてはいけない。ただ、何も出来ずに犠牲を出すのはとても…とても辛いんだよ……実際私は今も救えていない者達がいる」

 

緑谷『オールマイト…………?」

 

オールマイト「例えば地球の裏側の人とかね。だからこそ私は笑いながらこう言うのさ、“私が来たッ!!”ってね……緑谷少年、今動けるのは君だけだ。自分を信じて拳を振るいたまえ!!!」

 

緑谷『オール…マイト……!!』

 

 

オールマイトの言葉に緑谷は涙目になりながらを唇を噛んで構え直す、銀城もそれ見て笑いながら拳の力を強める。

 

飯田「とうとうやるのか、二人共…!!」

 

砂糖「大丈夫かよ本当に!!」

 

葉隠「緑谷くん腕吹き飛ばない!?」

 

爆豪「ギンの圧勝に決まってんだろ」

 

生徒達もその光景に興奮や心配を隠せずに騒ぎ出すが、バットはモニターに映るカメラ目線で自分の胸元を人差し指と中指をくっつけてトントンと叩く銀城の姿に、武器を捨ててただただ黙って見続けていた。

 

轟「何だ?もう騒がねぇのか?」

 

バット「……アレは王の『俺を信じろ』と言うサインだ、王が信じろと言うなら黙って見るだけの事…………なぁコブラ?」

 

コブラ「そうだな、もう俺達と言う前座は終わり。今はメインを見届けるべきだわな……」

 

 

バットは先程の妄信っぷりが霞むほど従順になっていた、彼らデモリッシャーの役目は“本体である銀城の益になる事をする”事にある。だからこそ王である本体の目的を大優先にするのだ。例え、何が起ころうと、それが彼等の行動理由なのだ。

 

 

***

銀城「約束だ出久、出来る限りの本気を出す。約束は…守らなくっちゃな?それが道理でありルールだ」

 

銀城は何処からか出した赤い枠の中に羽根の生えたシューズのマークが入ったカードを取り出す、その間に右腕はメキメキと変化を遂げている。

 

銀城「『ゴリラ』、『ダイヤモンド』、『(パワー)』、『(スピード)』、『スプリング』、『複製腕』、『(ブレイズ)』、『(サイクロン)』、『自然(ネイチャー)』、『鋼鉄(メタル)』、『(サウンド)』、『クロコダイル』、『スネーク』、『キャンサー』の14種類の“個性”を持ってお前に立ち向かおう。さらにコレはダメ押しだ」

 

変化が止まった右腕は肩から肘の部分がバネに、それを覆うように鋼色の植物が絡みつき、更にそこからキラキラと輝くゴリラの様な太い腕に絡みつく様に蟹の腕とワニの顔の蛇が付いておりその周りを炎と風が舞っており、何かが飛ぶ様な音が鳴り響いている。

 

《アタックファンクション、『加速(アクセラレーション)』!!》

 

ベルトの部分にカードを差し込んだかと思えば機械の音声が鳴り、銀城のコスチュームが変形し始める。鎧を纏っているのは間違いないが、先程と違い、足先と踵にタイヤの様な物が付いている。

 

銀城「コレが俺のコスチュームの真の能力だ、さて覚悟はいいかな?ヒーローよ!!」

 

緑谷「いつでも良いよ!!デトロイト……!!!」

 

銀城「デーモン…………!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「スマッシュ/キマイラパンチ!!!」」

 

 

二つの拳が接触すると、轟音がその場を支配した。

 

 

 

 

 




銀城のコスチュームは仮面ライダーと同じで、アイテムで変形します。因みにアイテムは『エネルギー具現化』の“個性”で生み出したもので、変身自体はコスチュームが無くても出来る感じです。変形させるのはコスチュームが、壊れない様にする為です。

●『赤いカード(アタックカード)』:コスチュームにパワーを送って特殊な攻撃が出来る様にサポートするカード、其々に様々な種類の効果があるが、まだ秘密。
●『青いカード(ウェポンカード)』:コスチュームに取り付ける専用のサポートアイテムを装着する為の物で、今の所開発途中だがもし出来ればまさに鬼に金棒だろう。
●『緑のカード(アイテムカード)』:特殊な武器を手元に呼び寄せる事が出来る物で、コレもまたフリークロス以外は出来ていないが以下同文。
●『黄のカード(ファイナルカード)』:必殺技を放つ為の変形をする為のカードで、様々な種類のカードがある。
●『特殊なカード(フォルムカード)』:銀城は『羅刹』と別の特定の“個性”を混ぜ合わせることによって新しい“個性”を生み出せる。それを使用すると身体が大幅に変わるのでその為の変形をするのだ。
レッツラマゼマゼ!カキマゼール!


因みに、ベルトの名前は『クロスドライバー』と言います。元は完全に仮面ライダーですが敢えて言います、他作品をパクってるつもりはありません。偶々クロスって名の付く作品を二つ見つけましたが、あくまで関係はありませんので悪しからず。

次はなるべく早めに書けるように頑張ります。
今年も宜しくお願いします。


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第5話:忠誠の名誉挽回、幼馴染の理解

クライマックス間近なので投稿する事にしました、でもPixivでリレー小説書いてるのでそんな期待しないでくださいね?

それでは本編どうぞ!!


二つの“個性”の打つかり合いにより砂煙が舞う場で、勝利の女神が微笑んだ者……それは。

 

 

 

銀城「拳と拳の打つかり合い…こう言うのはな、“個性”や“力”で決まるんじゃねぇ。拳が一番カテェ方が勝つんだよ。とりあえず……俺の勝ちだ」

 

緑谷「うっ、あぁ……」

 

銀城であった、右腕は元のサイズまで戻っているがそれでもダイヤモンドの腕は勝利の雄叫びの様にギラギラと輝いていた。緑谷の方も無事とは断言できないが、コスチュームが大破し痙攣を起こしているが目立つ大怪我は負っていなかった。

 

そして、制限時間の15分が経過した事を知らせるアラームが、モニタールームに鳴り響いた。

 

オールマイト『……屋内対人戦闘訓練。ヴィランチーム、WI―――――――――N!!』

 

 

銀城「ッハァーーーー、疲れた……」

 

緑谷「ギンちゃん!?」

 

銀城「心配すんな、ただの疲労だ。にしてもだ出久………お前よぉ……本当に……」

 

緑谷「え?」

 

緊張の糸が切れたのか、腰を下ろした銀城に緑谷が駆け寄った。大丈夫と言う銀城は息絶え絶えに鳴りながらも、マスクを外して満面の心からの笑みで友に言った。

 

銀城「本当にっ!強くなったな!!お前なら絶対ヒーローになれるぜ、絶対に!!」

 

緑谷「ッ!!!ギ、ギンちゃん……!!」

 

一時は堅い友情によって引き裂かれてしまうと思われた関係が、前よりも強固で強靭になった事を互いに心の何処かで感じ取りながら二人はただ笑いあった。その笑い声はパートナーが来るまでただただ続いた。

 

 

 

***

緑谷「ま、マジでか……///」

 

麗日「あ、アカン…メチャ恥ずい///」

 

朱星「そ、そんなぁ〜〜///」

 

銀城「・・・・・・・・・」

 

 

モニター室に戻った四人(ベアーとグリズリーは役目を終えて帰った)は途中から会話が丸聞こえだった事を聴いて赤面していた。銀城はマスクを被っているがそっぽを向いている為、恥ずかしいのだろう。

 

銀城「てか俺、よくよく考えたら“個性”技の説明してるな…役になりきり過ぎたせいで……クソゥ…………」

 

朱星「私も、ヴィランぽくしようヴィランぽくしようって考えてたら…殆ど戦って無かった……」

 

オールマイト「そうだな、二人共なかなか良いコンビネーションで緑谷少年達を完封していたが、なりきり過ぎた所為でだいぶお喋りになっていた。確かに賢しいヴィランは話術も巧みだが、自分の“個性”を明かすことは滅多にしない。よく覚えておいてくれ」

 

「「はい……」」

 

切島「で、でもスゴかったぜお前ら!銀城の“個性”の使い方スゲー上手くて超シビれたぜ!!」

 

障子「俺の“個性”の新しい使い方が見えたよ」

 

葉隠「朱星ちゃんもスゴかったよ!!」

 

蛙水「ディフェンスに徹するとNo.1ね」

 

バット「当然だ、王だからな」

 

二人は役になりきり過ぎた事を反省するも、クラスメイトの大半が二人を囲んで和気藹々と話しかける。何を当たり前の事をと言わんばかりにバットはハンッと鼻を鳴らして一言呟いた。

 

銀城「そうだバット、もうこんな事やめろよ?俺が怖がられるのは俺の事をよく知られてなかったからだ。A組のみんなとは付き合いが長くなるんだし、お前も仲良くしろよ」

 

コブラ「そうだぜ?ヒーローは確かに弱肉強食だが、時には協力しあったりもするんだからよ。構わんだろう?」

 

バット「…王は当然だが、コブラの言葉にも納得はいく…仕方ない為仲良くしよう。お前達!これから宜しく!!」

 

上鳴「手のひら返すの早ぇな!?」

 

瀬呂「俺達の説得はなんだったんだ?」

 

銀城に一言注意されただけでバットは悪事を企むのをやめた、本当にあの頑張りは何だったんだと思われるが彼等デモリッシャーはあくまで本体の言うことしか聞かない存在。例えば銀城が『他の奴の言う事を聞け』とか『訓練中は俺と敵対しろ』と言えば支配は銀城から一時的に離れるだろう、しかしあくまでも()()()()なのでもしも本格的なピンチが銀城に訪れれば、彼等は従順なる兵士へ姿を変えるだろう。彼等『悪鬼軍』はそう言う存在なのだ。

 

銀城「あ、そうだ…忘れてた。ストロングにフライング!もう回復してんだろ?もう戻っても良いぞ」

 

「「オオォォォォォ!!」」

 

耳郎「ウワッ!?ビクった…ナニ生きてたの!?」

 

コブラ「あぁ、俺達に死は無い。ただダメージを受け過ぎると肉体を保てなくなりウイルス状態に戻るだけだ、ただまぁその状態で攻撃喰らうと死ぬんだけどな」

 

ふと思い出した銀城がスペシャルズの二体に起きるように命ずると、二体は飛び上がるように起き上がり、銀城の右手に黒い粒子となって吸い込まれていった。

 

砂糖「しまえんのかそいつら……」

 

銀城「ん?まぁ元は俺の肉体そのものだしな、親のパトロンが興味持っちゃって飼育されてる状態だけど一応奴ら専用のドームもある」

 

尾白「専用ドームって……」

 

麗日「金持ちやないかい」《フラァ》

 

飯田「麗日君!?」

 

轟「なぁ、お前って親と仲良いのか?」

 

飯田を筆頭に、さり気なく金持ちアピールをされてぶっ倒れた麗日の心配をするクラスメイトを見て、なんか悪い事したかなと罪悪感が芽生える銀城に轟が親について話しかける

 

銀城「え?どうした突然……まぁ、仲良いぞ。よく色んな人を家に引き込んでるしな、例えばエンデヴァー…炎司さんとかと酒盛りしたりしてるぜ」

 

轟「親父と……!?」

 

銀城「あぁ、あの人家でも全然話とかしないだろ?その所為で酔っ払ってる時に息子自慢大会して口論になって家中滅茶苦茶にする大喧嘩を始めたりする。ホントに不器用だよなぁあの人、コミュ力ゼロと言うか猪突猛進と言うか…………」

 

溜息を吐きながらグチグチと話す銀城に轟は己の耳を疑った、あの傲慢さとクズさの塊である父親にそんな面があったとは知らなかったのだ。しかし視点を変えて見てみると、エンデヴァーは良く自分の事を上位互換だと言っていたし“個性”が発現する前は普通に接していた様な気がしなくも無い。だからと言ってあの訓練は不器用だと言うだけでは許される事は無いが……

 

轟「(確かに…アイツにコミュニケーション能力があるとはとても思えねぇな……)因みにさ…自分の“個性”について、どう思ってる?」

 

銀城「………何言ってんのお前」

 

轟「え?」

 

銀城「“個性”が有ろうが無かろうが、もしくはそれがどんな力だろうがそれは自分自身の物だろう?難しい事なんて考えんなよ、時には立ち止まったり横に剃れてみたりガムシャラに走ってみたりすれば良いんじゃねぇーの?いや、お前じゃないからわかんないけど……」

 

轟「(どんな力だろうが自分自身……確かにそうだな、今でも左の炎は憎いし右の氷でアイツの鼻を明かしてやりたいとも思う。けど…そうだよな……俺は俺なんだ、なんか今まで固執してたのがバカらしくなってきた……)悪いな突然変なこと言って、でもお陰でなんかスッキリした。ありがとな」

 

銀城「よく分からんが気にすんなよ、仲間だろ?」

 

轟「…あぁ、そうだったな」

 

銀城は欠片も知らない事だが、この短い問答で轟の心を縛り付けていた鎖が少しだけ、ほんの少しだけ解けた。彼自身の問題が本格的に解決されるのはまだ、先の話だろう。

 

 

***

その後も訓練を続けていたが、特に問題と言える事は起きなかった。カメラに映らない所で八百万と峰田が何かしていたり、芦戸と上鳴が核を中心に鬼ごっこをしたりしたが特に問題は無い。

 

そして次は轟と障子VSバットとコブラの戦いが起ころうとしていた、ハッキリ言って今までの最初以外の戦いは前座と言っても過言では無いだろう。

 

 

銀城「と言ってもロード…バット達が負ける気がしねぇ」

 

飯田「そうだろうか?轟君達も相当強いが…」

 

銀城「いや、実はアイツらは特殊でな。力が強過ぎるから『真名偽証』ってのを掛けて力を抑えてるんだわ」

 

朱星「え?バットとコブラが本名じゃないの?」

 

銀城「あぁ、それぞれ別のデモリッシャーを鎧として纏わせて弱体化させてる、本来の姿はもっとスタイリッシュだ。小3の頃に出久達の所へ転校するから危ないかなって思って弱わらせておいたんだよ、まぁそのせいでバットは思考が変わってあんなになったけど……」

 

切島「考え方も変わんのか!?」

 

銀城「おう、昔は良かった…落ち着きあるし無断で悪さしないし仕事出来るしリーダーシップあるしで……なんでコブラは変わんなくてバットだけあぁなったんだろうな………はぁ…」

 

オールマイト「(なんかメッチャ辛そう……)と、取り敢えずBコンビ対Lコンビにバトルを開始する!!」

 

 

これ以上聴いてはいけないと感じたオールマイトの機転(?)により、ヒーローチームであるBコンビとヴィランチームであるLコンビによる戦いが始まった。

 

 

〜模擬訓練場〜

 

障子「四階の北側の広間に1人、もう1人は同階のどこか・・・・動きを止めている様だな」

 

障子は己の“個性”の『複製腕』で耳を複数作りデモリッシャー達の動きを読む。

 

障子「天井に張り付く奴が伏兵として捕える係かもしれん」

 

轟「向こうは防衛戦のつもりか・・・・外に出てろ危ねえから」

 

轟がそう言い、障子はそれに従い外に出る。

 

 

 ―――そして

 

轟「悪いが防衛戦なんて俺には関係ない」

 

その言葉と共にビル全体に氷が走り、一瞬にして凍結した。轟は凍結したビルを上がり障子と2人で四階を目指す。

 

障子「待て轟、中に何かを壊す音がした。注意してくれ」

 

轟「壊す音?一体どん《バズズッ!!》ガッ!?」

 

バット「フハハハハ!どうしたヒーロー、随分と生っちょろい攻撃だったな?炎で燃やされた方がまだ困った方だぞ!!」

 

轟が質問した瞬間、体にショックが迸る。薄れゆく視線の先では銃口をこちらに向けたバットから目を光らせながら窓の外側にいた、その背中には大きな翼が生えている。

 

障子「なっ!?空を飛べるか!?」

 

バット「当たり前だ、私は蝙蝠だぞ?そして……?」

 

コブラ「俺はコブラ、つまりは蛇だ」

 

バットの台詞に合わせて床の隙間から赤いコブラ型の粒子となったコブラが障子の体に巻きつき動きを止める、それに障子は驚きを隠せない。

 

コブラ「勝負アリだな、ボウズ」

 

障子「ぐ、まだまだぁ!!うおおぉぉぉ!!!」

 

コブラ「な!?これは大将の……!」

 

障子は複製腕で腕を左右3本に増やし、それを纏め上げて巨大な腕に変えてコブラを引き剥がして床に叩きつける。

 

障子「2人で捕まえに来たのはミスだったな、このまま轟を連れて核の所まで行かせてもらう」

 

先ほどの銀城の試合を見て障子は自分の“個性”の使い方を改めて実感し、早速実行して気絶した轟を拾い核の場所まで走り出した。

–だが、ここで終わる程、彼らは…デモリッシャーは甘くなど無いのだ。

 

コブラ「ふっふっふっふっ、ならこれで…どうだ?」

 

《ロケット!バレットフュージョン》

 

コブラは自身の武器であるスチームスナイパーを構えて、柄の部分にロケットの絵が描かれた水色の注射器型のアイテムを差し込む。すると先端からロケットの形をした赤い弾丸が生成される。

 

《デモリッションバースト!!》

 

コブラ「『ホークアイショット…バァーン♪」

《バジューーンッ》

 

勿論それに気付かない障子では無く、轟を右側全てで守りつつ残った左側でロケットを弾こうと振る。しかしロケットは障子の左腕の間を通って彼の腹部に直撃して赤い液体が小爆発と共に襲いかかった。その液体は障子を壁に貼り付けると氷の様に固まってしまう…

 

コブラ「俺とバットは唯一アイテムの使用が可能なデモリッシャーだ、轟を捨て置いて一人でせっせこ核を取りにいかれた方が焦ったぜ」

 

障子「く、動けん…!!」

 

バット「無駄だ、コブラは肉体を操作して気体・液体・固体と自在に変化できる能力を持っている。そんなギチギチに纏まった腕では抜けられんぞ」

 

 

オールマイト『お、屋内対人戦闘訓練。ヴィランチーム、WI―――――――――N!!』

 

怪人達の圧倒的な勝利を告げるブザーが鳴り響く……

 

 

 

***

 

授業終了後…銀城は爆豪に校門の前に呼び出されていた。

 

銀城「いいのか?みんなと話し合いしなくてもよ…」

 

爆豪「仲良く馴れ合ってりゃ強くなれんのかよ、それよか聴きてー事がある。ギン…なんでデクは“個性”が使えんだよ、テメーなんか知ってんじゃねーか?」

 

銀城「あぁ…その件か…」

 

無個性で何の特異な力を持っていなかった幼馴染が“個性”を…それも目指すべき憧れの存在であるオールマイトの様なパワー系の力を持っている、その有り得ない筈の事実が彼の心を揺さぶった。どうしてなのかは銀城自身も知らない、だが何となく予想は出来た。

 

銀城「お前がヘドロヴィランに襲われた日に俺と出久はオールマイトに会ってな、その後に本人に聞いたんだが出久は世にも珍しい後天的に現れるタイプらしい…あの頃の出久の体は非力な方だったしな、恐らく『力を溜め込む』と言った蓄積や貯蔵って“個性”なんだろうよ。未だに謎だらけだが」

 

爆豪「…ホントのことか?」

 

銀城「出久に嘘がつけるとでも?ババ抜きで嘘がつけない様な奴なんだぜ、俺も腑に落ちない事だらけだがな」

 

銀城の説明を聞いても納得出来ない表情を浮かべるも、その話を肯定せざる得ない理由に思わず黙ってしまう爆豪。そんな爆豪に銀城は話を続ける…

 

銀城「俺だってお前が出久をイジメる理由は分かるよ、アイツ結構優柔不断な所がある癖に何やかんやで考え無しだよな。お前はそれが不気味で仕方なかった、だから否定し続けた、やり過ぎな所もあったがな?でもアイツが俺達と同じ“個性”持ち(土俵)になったのは事実なんだからよ…そろそろ受け入れてやんねーか?」

 

爆豪「チッ!俺はお前のそーゆー理解がはえー所が気味が悪くて大っ嫌いだ」

 

銀城「知ってるよ…」

 

「ギンちゃん!!かっちゃん!!」

 

そんな2人に声をかけられる、その声の正体は彼らのもう1人の幼馴染であり話の中心人物でもある緑谷出久だった。

 

銀城「出久…腕は大丈夫なのか?」

 

緑谷「う、うん…コスチュームはダメになっちゃったし、無事だったのは奇跡だって言われたけど何とか…それとかっちゃん。“個性”のこと…隠してた訳じゃないんだ!!」

 

銀城「それ俺がさっき言った」

 

出久「あ、そうなの…えと、これは…その…ある人から授かった“個性”なんだ、誰からかは言えない。“個性”についても今はこれ以上言えない、それに…まだあれもああしてないから全然こんな状態で…でも、いつかちゃんとこれをそうして…それで君達のそれを超えるよ!!」

 

爆豪「あ?…あぁ?」

 

銀城「えーと…(何て言ってるのか全然わからん)」

 

緑谷自身かなりテンパっているのか、支離滅裂でハッキリとしない発言をしている。それを聞いた爆豪は困惑してしまい銀城も伝えたい事は何となく分かったがいまいち自信が無かった。その間にも静寂が辺りを包み込む…

 

爆豪「だから…なんだ…」

 

その静寂を破ったのは爆豪だった…

 

爆豪「だからなんだ!?今日俺はお前らより劣ってた!!そんだけだろうが!!そんだけ…こっからだ!!俺は…!!こっから…!!いいか!?俺はここで一番になってやる!!俺より勝ってるなんて二度とねえからなクソが!!」

 

彼の目には大粒の水滴が浮かび上がる、爆豪は元々自尊心が高く“個性”が発現してからも常に周りから持て囃されていた。そんな彼が自分よりも下と侮っていた者からのフォローされた…それはとてつもなく屈辱的な事だった。

 

銀城「俺もまあ…『ありえないなんてありえない』って考え方してるから、まぁオールマイトからそんな“個性”持った人紹介されたんだろうなって思ってるよ。でもそれ感情に任せていっていい事じゃなくないか?」

 

緑谷「そ、それは…その…」

 

銀城「貧血の戯言って事で聞き流してやるよ、また明日」

 

 

そう言って銀城は校門を出る、しかしその心中は決して穏やかなものではなかった。入学する前のオールマイトとの特訓…自分にとってはあまり意味はなかったが同じ増強系に分類されるとは言え、そんな簡単に見破れるものなのか?

 

緑谷がとある人物から“個性”をもらった…オールマイトが特訓に付き合った…オールマイトは増強系の“個性”…そして緑谷も同じ増強系…体に掛かる負荷は違うが比較してもそっくりなパワー…これだけあれば銀城がその考えに至るのも無理は無かった……

 

 

 

銀城「オールマイト、あんた一体何者だ?」

 

しかしいくら悩んでもその答えが出るわけではなかったので、銀城は胸に密かにしまい聞かなかった事にした。

 

 

 




銀城は『理解』力が高いので見破っちゃいましたが、深く聞かない事にしました。緑谷と爆豪のセリフはすまっしゅネタです、ちょいちょい挟む気です。

次はちょろっとだけB組のオリキャラが出ます。


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