Reソードアート・オンライン~蒼い死神と絶剣~IS物語 (ヤトガミ・レイナ・マリー・エクセリア)
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プロローグ
プロローグ


どうも、更識蒼です!

この度は長く投稿できずに申し訳ありません。
理由を簡単に述べるとアメリカ帰りからのスランプと社会人になって執筆の時間が取りにくくなってしまい、さらには小説に対してのガス欠状態になってしまい長い間執筆できませんでした。
ガス欠を打破するために新しい小説をと思いましたが………少しだけIS物語には思うところがあったのでリメイクする事にしました。
まあ、リメイク前のをコピペする箇所が多いのでそんなに変わらないかもしれませんが……
そんなわけでリメイク版です!
これからもよろしくお願いします!!





 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキ……どうして、僕達の道はすれ違ってしまったのかな

 

ずっとすれ違わないと思った僕達の道がすれ違って破滅を生み出し、全てを狂わせた

 

君もそう思うだろ?ユウキ…

 

みんなのことをお願いするよ…ユウキ……

 

 

 

 

 

〝サヨナラ〟ゆうちゃん……僕の……愛する人……

 

 

 

 

2025年 3月10日 港北総合病院

 

 

「ソー!」

 

ボク……紺野木綿季は病院のベッドで目を覚ました

 

「……また…同じ夢……」

 

ALO……アルヴヘイム・オンラインから帰還してから全く同じ夢をみるようになった……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()夢を……

 

ソーとはソードアート・オンラインでお互い気づかないで再会してからいつも一緒に行動し……ある日、お互いの事を知り、再会した……それ以前から何度かボクやキリト達から離れようとしたことがある……その事があり、ボクはあの夢をどうしても()()()()と思えないでいた

 

「……」

 

ボクは拭いきれない不安を抱きながら窓ガラス越に空を見上げていると看護士さんが入ってきた

 

「紺野さん、おはようございます。よく寝れましたか?」

 

「おはようございま~す。うん、何時も通りよく寝れたよ!」

 

 

ボクは看護士さんに何時も通りの笑顔を見せる……看護士さんはここ…港北総合病院に入院してからずっとお世話になってるから心配させたくない…それと、今日はボクの…ボク達の大切な日なんだ!

 

「それはよかったです。紺野さん、今日を楽しみにしてましたもんね」

 

「うん!ずっーと待ってたから!楽しみなんだ!」

 

ボクがそう返すと看護士さんは微笑み、車椅子に移動するのを手伝ってくれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、ソー!」

 

俺は港北総合病院の待合所の椅子に座っているとゆうちゃんが車椅子を看護士さんに押されながらきた。

ゆうちゃんはALOから帰還した後、すぐにエイズの〝ナノマシン〟治療を始めた。

この〝ナノマシン〟治療は体内に治療用ナノマシンを投与する治療法なのだが医療機関では医療として確立されて無く、数年前に大怪我での成功が一例あるのみでそれ以降の成功例はあげられてない……それもそのはずでナノマシン治療には莫大な医療費が掛かりふつうの家庭には払えない額なのだ。

そして、一回の成功例は俺自身である。

俺がまだ、暗殺者で未熟だったとき、一瞬の迷いで背中に深い傷を負ったことがある……その時に使ったのがナノマシン治療なのだ。

今では背中の傷跡は何もなかったように消え去った。

ゆうちゃん達の話に戻るがゆうちゃんとゆうちゃんのお姉さんのランさんの治療は成功して今では外出も許されている……だが、ゆうちゃんのリハビリは三日前から始まったばかりでまだまだ、一人で歩くまでには時間がかかる。

 

 

「やぁ、ゆうちゃん。おはよう」

 

「おはよう、ソー!」

 

 

俺達が挨拶を交わしていると看護士さんが俺に言ってきた。

 

「更識さん、今日は紺野さんのこと、お願いしますね。………まあ、あなたたちなら大丈夫だと思いますが……」

 

「もちろん、わかってます。ゆう………ユウキのことは僕が一番分かってますので……それに、ユウキは僕の彼女ですから」

 

俺と看護士さんがそう話しているとゆうちゃんが顔を赤くしていた。

 

「それじゃあ、みんな待たしているのでそろそろ、行きますね。ゆうちゃん、行こっか」

 

「う、うん!それじゃあ、行って来ます!」

 

俺とゆうちゃんは看護士さんに挨拶して俺がゆうちゃんの車椅子を押しながら病院を後にする。

 

 

────────────────────────────────

 

10日 IS展示会場

 

「あっ、ソウくん!」

 

「よお、ソウ」

 

俺とゆうちゃんが待ち合わせのIS展示会場前に着くと刀奈姉さんと恋人のチカこと一夏が待っていた。

 

「久しぶり!カタナさん!チカ!」

 

「お待たせ、刀奈姉さん」

 

「そんなに待ってないわ。それと、久しぶりね、ユウキちゃん。それから、呼び捨てでかまわないわよ?」

 

「久しぶり、ユウキ」

 

俺達4人は軽く挨拶をすませると会場内に入っていく。キリト達がいないことが気になり刀奈姉さんに聞いてみた

 

「そういえばキリト達は?」

 

「会場の出店辺りにいるはずよ……………噂をすればね」

 

「?………あぁ、なるほど……」

 

刀奈が何かを見つけ俺たち三人が顔を向けると、入って直ぐの出店エリアの一角のベンチにイチャイチャオーラ全開で座っている二人の姿がそして、周りのお客はみんな、辛いものや苦い物を買い込んでいた。

 

「お~い、アスナ、キリト!」

 

「あっ、ソウ君、ユウキちゃん!カタナちゃんにチカ君!」

 

俺が二人を呼ぶとアスナが手を振ってきた。

 

「久しぶり、アスナ!」

 

「久しぶり、ユウキちゃん!」

 

アスナとゆうちゃんが抱き合う……二人とも大の親友でたぶん、《西風の旅団》の女性陣メンバーで一番仲が良いと思う。

 

「みんな集まったし、行こうか。」

 

「うん!」

 

「えぇ、そうね」

 

「そうだね」

 

「「そうだな」」

 

俺達は会場の室内に入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、よかったの?ISの展示会で?」

 

室内に入ってから少しするとカタナ姉さんがキリト達に少し申しわけなさそうに聞いてくる

 

「うん。私もキリト君もISには少し興味があったし、それにみんなで会う事に意味があるんだよ?」

 

「そうだぜ、カタナ」

 

「そう言ってもらえると…それじゃあゆっくり見て回りましょうか」

 

 

そう言って会場を回っていく、そしてなんだかんだでISに詳しくIS学園に入ることが決まっているカタナ姉さんとその恋人のチカのバカップルが先頭に立って色々説明されながらあちこち回っていく

 

「こうして見ると、ISって結構スマートなんだね」

 

「うん………それに、装甲って言う装甲はそんなにないんだ………」

 

「えぇ、元々が宇宙空間での活動を想定した機体だから、競技用になっても形はそこまで崩れてないの。それに絶対防御の存在や量子変換技術はとんでもないわよ」

 

アスナとゆうちゃんのつぶやきにカタナ姉さんが説明してくれる。

 

 

そして、次の場所に移動すると次はIS適性検査が無料で行える会場になっていた。並んでいるのはもちろん、女性しかいない……特別見る物も無いので進もうとしたとき、ゆうちゃんが聞いてきた

 

「ねぇ、ボク受けてみたいんだけどいいかな………?」

 

「……わかった。みんな、いいよね?」

 

俺が四人に聞くと四人とも頷いてくれたので車椅子を押す係として俺も一緒に並ぶ、刀奈姉さんの勧めでアスナも適性検査をうけることに………

そして、二人の結果はカタナ姉さんと同じ『Aランク』だった。

 

「う、うーん」

 

「ソー!ボク、Aランクだったよ!」

 

その結果にアスナは微妙な反応でゆうちゃんは喜んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この後とんでもないことが起きる。

 

 

 

アスナとゆうちゃんの適性検査を受けた後、俺とキリト、チカはISに触れられるという会場の端にある場所に着ていた。そこにおいてあったのは日本の量産型ISの打鉄とフランスの量産型ISラファール・リヴァイブが一機ずつおいてあった。

 

「触れるとまた違うな……」

 

「そうですね……」

 

「(いやな予感……)」

 

 

俺がキリト達を見ているといやな予感がして仕方がなかったが、それが直ぐに明らかになる。

 

キイィィィィィィィィィ!

 

キリトとチカが変わるために手を離したその時、ISが光り出して何事かと思ってキリト達を見るとISに乗っていた。

 

 

 

それから、直ぐに日本政府に俺たち六人は連れて行かれてキリトとチカ、アスナ、そして、菊岡の策略により俺もIS学園に行くこととなった。ゆうちゃんのことだが、リハビリで一人で歩けるようになってから編入ということで収まった。

 

 

 

 

続く



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入学・クラス代表戦
兄妹の再会


 

 

 

 2025年 4月10日 IS学園 《一年一組教室》

 

 

「(これはなかなか、キツいな)」

 

今、俺は……いや、俺達はIS学園の自分たちの教室一年一組の自分たちの席に着いていた。

この教室には俺の他に、キリトにチカ、アスナにカタナ姉さん、本音に簪……そして、サクヤという豪華なメンバーがそろっている。

それはいいのだが……わかってはいたが、俺とキリト、チカの三人とチカの元兄以外全員女の子なのだ……それに、俺達の席は一番前で後ろの女の子全員の視線を感じてしまう。確実にキリトもチカも同じ気持ちなのだろう。

 

そんなことを考えていると教室の扉が開き、一人の女性が入ってくる。緑色の髪を肩の辺りまで伸ばし、胸以外は迷い込んだ中学生の様な容姿をした女性……女性はそのまま教壇に立った。

 

 

 

「皆さん、入学おめでとうございます! 私はこのクラスの副担任の山田 真耶です! これから一年間よろしくお願いしますね」

 

『………』

 

「あ、あれれ………」

 

副担任の山田真耶先生がスタンダードな自己紹介するが……誰も反応しない。俺やチカ、キリト、カタナ姉さんにアスナは反応しようとするが周りの反応が無く反応ができなかった。

それで、先生は無理矢理に自己紹介をはじめさせてチカの元兄の順番になる。

 

「織斑秋羅(あきら)です。趣味は剣道です。一年間よろしくお願いします」

 

 直後、鼓膜を破壊しかねないほどの音の爆発が巻き起こる。

 

「男の子! イケメンの男の子よ!!」

 

「生まれてきて良かったぁああああああッ!!」

 

 咄嗟に耳を塞いでいたが、それでも十分に聞こえてくる女子生徒達の歓声。

 

 

「ほう、随分騒がしいと思えばお前だったか」

 

クラスが騒がしい中、黒スーツを着た女性が一人、織斑千冬が入ってくる……その時一瞬だが、チカから殺気が漏れた

少しチカの事を心配していると織斑千冬の自己紹介と俺達以外のクラスメイトの暴走とかあったが自己紹介に戻った。

 

 

「日本代表候補生の織斑春萎(はるな)です。趣味は家事とスイーツを作ることです。それから、織斑先生と織斑秋羅さんとは無関係なので比べたり、()()()()()()として接しないで下さい。一年間よろしくお願いします」

 

チカの元妹?の自己紹介がおわり、クラスが少しざわめく……その中で織斑千冬と織斑秋羅は織斑春萎を睨んでいた。

自己紹介は続き。サクヤと《西風の旅団》一コミュ障のキリトの番になる。

 

「神無月サクヤ。趣味はALO……よろしく」

 

「………桐ヶ谷和人です。趣味はALO、それと機械いじりが好きです。よろしくお願いします!」

 

「ALOって言えば有名なゲームだよね? 桐ヶ谷君ってもしかしてオタクなの?」

 

「え~、イケメンがオタクってショックかも」

 

ALOを知らない人間が好き勝手言ってくれる。キリトやアスナ…ここにいる《西風の旅団》メンバー達は何か言いたげそうだったけど、みんな堪えた

 

サクヤは趣味以外なにも言わず終わる

キリトは自己紹介した後直ぐに席に着く、キリトという人を知らないとわからないがものすごく緊張していたはずだ。

キリトの自己紹介に脱力した女子生徒が何人か居たが、まあ、何であれキリトの番が終わって、俺達更識家の番になる。

 

「えぇ〜と、更識 一夏です。 趣味はキリ……和人さんと同じでALOで、家事全般が得意です。一年間よろしくお願いします!」

 

自己紹介が終わり、一夏に拍手が贈られる……が、ALOと聞いて何人かは脱力して織斑秋羅と茶髪のツインテの少女は鼻で笑っていた

 

「更識簪です……趣味はALO……一応、日本代表候補生です。よろしくお願いします」

 

名前順で簪が最初になった……簪の言うとおり、簪は更識家という理由で日本代表候補生になっている……俺もできなくは無いが卒業後はIS操縦者になるつもりは無いので日本代表候補生にはならなかった。

おっと、俺の番か……

 

「更識蒼です。趣味はALOと機械いじりなどいろいろ。嫌いなのは女尊男卑に染まった奴……一年間よろしくお願いします」

 

俺の自己紹介でも趣味のALOで何人か残念がる。

 

「ロシア国家代表の更識楯無よ!趣味はALOと最近だと料理かな? みんなより年上だけど、とある事情でここに入学するのが遅れてみんなと同じ学年になったわ!一応、生徒会長だから困ったときは何でもいってね?それじゃあ、一年間よろしく!」

 

 

「結城明日奈です。趣味はALOと料理です!ちょっとした事情で走る事が出来ませんが、よろしくお願いします!」

 

クラス最後に近くになってようやくアスナの番になる。クラスの女子たちは俺達全員を含めると8人のALOにお腹いっぱいみたいだ。全員終わると丁度よくチャイムがなりHRが終わった。

休み時間となり、みんな思い思いに過ごす。と、言っても俺達三人とチカの元兄を見たいが為に外には他のクラスの女子たちが集まっていた。

そんなことはさておき俺、チカ、キリト、サクヤ、アスナ、カタナ姉さんは席が近かった上に、俺とキリト、チカの視線地獄からの解放後のケアをする為に集まる。

 

「サクヤ、現実では久しぶりかな?」

 

「うん………久しぶりです。ソウさん」

 

サクヤはやっぱり少しよそよそしい……緊張しているのかなんなのか……

 

「サクヤ、お昼に渡したい物があるから昼食一緒に食べないか?」

 

「?もちろん、いいですよ」

 

俺はサクヤに昼食を食べる約束を取り付ける。そしていると……

 

「あの、ちょっといいですか?」

 

この場にいない誰かが話しかけてきて全員で振り向くと……某ボカロみたいな長いツインテールの女子生徒が立っていた

 

「君は確か、織斑さん?」

 

「はい、織斑春萎です。あの、すみませんが、更識一夏さんを少しだけお借りしてもいいでしょうか?」

 

「あ……えっと……」

 

突然の元妹からの誘いで戸惑うチカ……俺が助け船を出そうとすると……

 

「チカ、行ってきなさい」

 

「良いのか、カタナ?」

 

「えぇ、それに話したいって言ってるんだから話してきなさい」

 

「……わかった………屋上で良いかな?」

 

「はい」

 

チカの恋人のカタナ姉さんが後押ししてチカは織斑春萎さんと屋上に向かった

 

 

「ねぇ、ちょっといいかな?」

 

二人を見送った後、今度は男…織斑秋羅が話しかけてきた

 

「お前と関わるつもりはないから他を当たれ」

 

俺が冷たくそう、言いのけると織斑秋羅と一緒に着た篠ノ之箒が怒鳴ってきた

 

「貴様!秋羅が話しかけてやったと言うのになんだその態度は!!」

 

「だから、なんだ?去年の剣道大会準優勝者兼ISの生みの親、篠ノ之束の妹」

 

「あいつとの名前を言うな!」

 

俺がそう言うと篠ノ之箒がまた、キレるが…だが、織斑秋羅がなだめる

 

「後で謝っても許さないからな?」

 

捨て台詞を残して織斑秋羅と篠ノ之箒は席に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃………屋上では……

 

 

 

「久しぶりですね、()()()

 

「あぁ、と、言っても3ヶ月振りくらいか?」

 

 

俺、更識一夏……………元は織斑一夏だった……春萎は双子の妹で秋羅は一つ上の兄だった

 

俺は姉の織斑千冬と兄の織斑秋羅とずっと比較され続けていた……それと、兄姉からの虐待……そんな生活から逃げたくて……強くなりたくて俺は《ソードアートオンライン》に入ったんだ………だけど、二年後、ソードアートオンラインがクリアされて現実に戻ってきた俺に突きつけられたのは妹の春萎以外から捨てられたと言うことだった………それも、兄の秋羅が何度かナーヴギアの破壊や取り外しを行おうとしたことを知った……俺は織斑でいることが嫌になってリハビリを終えて直ぐに恋人のカタナの更識家に身を寄せた………カタナの情報操作で織斑一夏は死んだことにしてもらい、俺は更識一夏として生きていくことにしたのだ

 

「春萎……あの時は悪かった……勝手に居なくなって…」

 

「兄さんが謝ることじゃありません………でも、私も連れて行って欲しかったです……兄さんと一緒に行きたかったです」

 

春萎は泣きながら俺に抱きついてくる

 

「ごめん……あの時は自分のことでいっぱいいっぱいだったから春萎ことまで考えてなかった…ごめん……でも、これからは一緒だ…この三年間は一緒に入れるから……この三年間で……あいつらとの()を切って一緒に暮らそう…」

 

「うん………」

 

春萎は頷いて涙を拭き取る…俺は春萎の頭を撫でる

 

「そろそろ、戻ろう。」

 

「うん、兄さん!」

 

俺たちは教室に向かって歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

続く

 



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クラス代表決めと怒り

どうも、更識蒼です!

今回は人にっては不快になるかもしれませんが申し訳ありません!
そして、主人公が割と大変なことになります!

3話目どうぞ!


 

 

 

 

 

 2025年 4月10日 IS学園・《一年一組》

 

予備鈴がなって直ぐにチカと織斑春萎さんが屋上から戻ってきてから直ぐに山田先生と織斑千冬が入って来てしまった為、チカと話すことが出来ずに一時間目の授業が開始された。俺は教科書を開くが授業は無視してパソコンのキーボードを叩いていく………始めて直ぐに織斑千冬が俺の方に近づいてきて声をかけてきた。

 

「更識兄、授業中になにをしている?」

 

「人に渡す専用機の最終調整を会社と家から頼まれたのでそれをしているだけです……なにか、ご不満でも?授業にでることは既に覚えていますし、内容は聞いているので問題無いですので気にせず続けてください。」

 

俺はつつみ隠さずに作業を進めながら話すと織斑千冬はものすごく不満そうな顔をしているが無視して山田先生に授業を進めさせる。

 

 

 

「ここまでで分からない人はいませんか? 織斑君と桐ヶ谷君は更識君達は大丈夫ですか?」

 

「はい、問題ありません」

 

「俺もです」

 

「大丈夫です」

 

「こちらも大丈夫です」

 

「そうですか…ッ! なら、良かったです!」

 

 

 

そう言って気分上々に授業を進める山田先生。

まあ、俺達は入学するまでの間、カタナ姉さんと簪、本音に本音の姉でカタナ姉さんの従者の(うつほ)さんに徹底的に扱かれ、一年で習う所は全て教わった

 

次の話はISのコアに関してだ。

 

 

「ISのコアには、人格に似たようなものがあり、操縦者の操縦時間に比例して、操縦者の特性を理解していきます。ですので、ISは機械と言うより、パートナーとして扱って下さいね?」

 

「しつもーん!!! パートナーって彼氏彼女みたいな感じですか?」

 

「うえぇっ!!!? そ、それはそうですねぇ〜私はそう言う経験が無いので分かりませんが……あぁ、でもそれはそれで……」

 

 

 

女子生徒……(俺達三人以外女子なのだが)の一人がそんなことを言い出して山田先生が顔を赤くする。

 

そこで授業が終わり、再び山田先生と織斑千冬は教室をあとにし休み時間に入った

 

 

 

 

 

 

 

 

次の休み時間になった俺たちは今度は簪と本音も含めて8人で集まり、夜のALOの雑談をし始める

そうして雑談をしていると……

 

「ちょっとよろしくて…?」

 

「「「ん?」」」

 

 

誰かが声をかけてきて、振り返ると、そこには金髪の少女が立っていた。

 

 

「まぁッ! 何ですのそのお返事! このわたくしに声をかけられたのですから、それ相応の対応があるのではなくて?」

 

その言葉にチカの恋人のカタナ姉さん、キリトの恋人のアスナは怒ったのか目が鋭くなっていた。ここに、ゆうちゃんがいたら即戦闘になっていたかもしれない

 

「全く興味のない相手にどんな対応が必要なのかな、エリート気取りのセシリア・オルコット。それに言わなかったか、俺は『嫌いなのは女尊男卑に染まった奴だ』と。不愉快だ失せろ」

 

俺はこの場の代表として金髪wのセシリア・オルコットに言ってやった。こうでもしないとアスナとカタナ姉さんがキレそうだった。

セシリア・オルコットは俺の物言いにキレて自分の席に戻って言った。

 

「さすが、ソウくんね」

 

「そうか?でも、あのセシリア・オルコットとは何かあるだろうから注意してな」

 

俺がそう言うとみんな頷いてからそれぞれの席に戻る。

 

「では、ISの各種武装についてだが…その前に再来週のクラス対抗戦クラス代表を決めなくてはならない。クラス代表はその名の通りクラスの代表者だ、各種委員会の集まりや会議、その他にも今度の学年別クラス代表対抗リーグに参加する事になる。自薦他薦は問わない。誰かいないか?」

 

 

要はクラス委員長をやれってことだが……キリトとチカはこう言うのには関わらないだろうな

 

「はい! 織斑君がいいと思います!」

 

「まあ、当たり前かな」

 

「私も賛成です!」

 

「じゃあ、私は桐ヶ谷君で!」

 

「えぇッ!?」

 

「私も私も!!」

 

「なら、私は更識一夏君で!」

 

「えぇッ!?」

 

「私も~」

 

「私は、更識蒼君で!」

 

「……だろうな」

 

 

 

 

ある程度……俺達四人が上がって織斑千冬先生が『他に居ないのか』と念のために聞いてくると、セシリア・オルコットが異議を唱えてきた。

 

「納得いきません!!」

 

バシンと、机を叩いて立ち上がってくる

 

「その様な選出は認められません! 男だからと言ってクラス代表だなんていい恥さらしですわッ!! 代表ならこのわたくし、セシリア・オルコットが一番の適任者でしてよ!」

 

「あら、じゃあそう思う理由を聞いてもいいかしら?」

 

 

セシリアの言葉にカタナ姉さんが反応し、セシリアに問いかける。

 

「ふんっ! そんなの当然ですわ……わたくしはイギリスの代表候補生セシリア・オルコット。こんな文化的にも後進的でイギリスよりも劣っている様な極東の猿……よりにもよってオタクなどの下等生物よりもずっと適任でしてよ?」

 

セシリア・オルコットの『オタクなどの下等生物』の言葉にカタナ姉さんとアスナは怒っていたが必死に抑えていた

 

「イギリスだって対して自慢なんかできないだろ。世界一マズイ料理で何年連続覇者だよ」

 

俺達が我慢している中、チカの元兄の織斑秋羅が我慢出来なくなり、セシリアとの言い合いに。そして、織斑秋羅の言葉にセシリアがキレた。

 

「なっ!!イギリスにだって美味しい料理はいっぱいありますわ! あなた方、わたくしの祖国を侮辱いたしますの!」

 

「先にバカにしたのはそっちだろ!!」

 

一つ歳が上の癖に短気な奴……仕方ない、止めるか……

俺はそう思いながら拍手する。

俺が拍手したことでクラス全体の意識が俺に向く

 

「いや~なかなか、おもしろくもない物を見せてもらったよ……お礼として、二人には言っておこうか、まずは…セシリア・オルコット」

 

「な、何ですの?」

 

「セシリア・オルコット、あんたはイギリスの代表候補生なのだろ?その一代表候補生が日本という国を侮辱したそれはどういうことなのか分かるかな? 分からないなら国家代表にでも聞いてみようか?楯無姉さんは知ってるよね?」

 

俺はロシアの国家代表であるカタナ姉さんに話を振った

そうそう、刀奈姉さんは更識家の当主で楯無の名を受け継いでいてそう簡単に本名を出すことが出来ない…俺達もその事を知り、理解しているのでこういう公の場は更識楯無としての名前を呼ぶことになっている

 

「えぇ、国家代表又は国家代表候補生の言葉はその国の言葉と同じ、今回で言えばイギリスからの言葉と同じ……イコールセシリア・オルコットの日本侮辱はイギリスからの侮辱よ……だから、私達国家代表と国家代表候補生は発言には気を付けないといけないわ」

 

「だ、そうだ。付け加えて俺から言うとセシリア・オルコット、お前は今、どの国にいる?このクラスにはどの国の人が多い?ISはどの国の人間が作り出した物だ?そして、フルダイブ型VRはどこの国の人間が作り出した物だ?……それを踏まえて言いたいことがあればどうぞ」

 

「クッ………ありませんわ」

 

カタナ姉さんの言葉が重くのしかかり、俺の言った事が突き刺さったのかセシリアは引き下がった

 

「さてと、残りはお前か織斑秋羅」

 

「な、なんだよ」

 

俺が鋭い視線で見ると織斑秋羅は少しだけおどけた

 

「確かにイギリスの料理は不味いとも言われているだろう……だがな、それは国としての違いがもたらした事でしか無い。俺は昔、ちょっとした仕事で世界をあちこち回っていてその国の料理を食べたことがある……もちろん、イギリス料理も食べたさ。そこで感じたのは日本は贅沢しすぎだってことだ。不味いから食べない、不味いから食べたくないとか言うけどお前はイギリス料理を食べたことがあるのか?」

 

「そんなの、あるわけ……」

 

「無いだろ?お前は食べたこともないイギリス料理を世界の評価だけで決めつけて侮辱したんだよ。それに、お前は織斑で男性IS操縦者の一人だ……それは、織斑を男性IS操縦者を汚すことにつながるんだ、それを踏まえて侮辱するなりなんなりとすればいい。俺が言いたいことは言ったがなにか、言うことはあるか?セシリア・オルコットも?」

 

「………みなさま、すみませんでした」

 

「………ウザァテエ」

 

セシリア・オルコットはみんなに向かって謝ったが織斑秋羅は謝らずに俺を睨みつけてきた

 

 

「なんだ、その目は?まさか、自分が悪いとは思ってなかったか?」

 

「うざぁてえんだよ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が!天才の俺に説教じみたことしてんじゃねぇ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「「「「「ッ!」」」」」」

 

俺達八人は軽く驚き、殺気がこみ上げてくる。

教室の空気も凍りつき、カタナ姉さん、サクヤの周りの生徒が次々気絶していく……そして、俺は自分でも気づかない内に織斑秋羅の首を掴み、締めていた

 

「「「「「蒼(くん)(お兄ちゃん)!」」」」」

 

 

「……ガキが、調子にのってんじゃねえよ?貴様がどうして俺達のことを知ってるのかなんて、どうでも良いが……[無能]?[死んで当たり前]?…貴様は……あの世界で生きていた人達のことを知らないで良く、そんなことを言えたな?」

 

「グゥ……はな……せよ……てん…さい……の………俺に……ふれてんじゃ……グゥ」

 

「そこまでにしろ、更識兄」

 

ここで織斑千冬が止めてくるが止める気なんて起こらなかった

 

 

「教師面をしないでくれません?世界を混沌に落とし入れた『ホワイトナイト』さん?それとも、こう呼んだ方がいいですか?実の弟を見捨てた『キリングナイト』」

 

「「ッ!」」

 

『『『『!!??』』』』

 

俺のこの言葉にクラス全体がどよめき、織斑千冬と織斑秋羅、篠ノ之箒が俺を睨みつけてきた……すると、後ろから槍らしき長物武器の先が俺の首裏に当たった

 

「ソウ君…これ以上は生徒会長として……姉として止めるわ。少し頭を冷やしなさい」

 

「ッ!」

 

俺は刀奈姉さんの声が聞こえた後ろをゆっくりと向くとSAO時代の刀奈姉さん愛用レジェンダリー武器《ロンギヌス》を構えた刀奈姉さんがど怒り状態の顔をして立っていた

 

「……は、はい…すみませんでした」

 

流石の俺も顔色が真っ青になり、織斑秋羅を離した…織斑秋羅はせき込んでいるが俺にはそれを気にしている余裕は無く、何もせずに席に座った

 

「……で、では、一週間後に第三アリーナでクラス代表決定戦を行う。オルコット、織斑、更識兄弟、桐ヶ谷の五名は準備を怠らないように………更識兄は放課後、私のところに来るように」

 

 

こうして、一週間後俺達のクラス代表決定戦が行われることとなった…

 

 

 

 

続く

 

 



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凍結と謝罪

お待たせしました!

四話目です!


 

 

 

 

 

 

 

 2025年 4月10日 IS学園・《屋上》

 

 

 

パシィン!

 

 

IS学園の屋上に何かを叩いた音が響いた……セシリア・オルコットと織斑秋羅とのクラス代表決定戦がきまったあと、俺達は屋上に来ていた足を運んでいた

そして、屋上に来て直ぐに俺はみんなの目の前でカタナ姉さんに頬を引っぱたかれた

理由はもちろん、クラス代表決めの織斑秋羅への首締めとかだ

 

「なんで、叩かれたかわかってるわよね?ソウ君?」

 

「……はい…」

 

俺の正面にはカタナ姉さんの他にサクヤと簪も立っていて他のメンバーはカタナ姉さん達の後ろで見守っていた

 

「確かにあの世界の事を……生きていた人達を悪く言われた事には私も良くは思わないわよ?でも、ソウ君……いくらなんでも首締めと教師への暴言はやり過ぎよ。あの人はあれでも元ブリュンヒルデで今でも発言力は大きいのよ……わかるわよね?」

 

「は、はい……」

 

カタナ姉さんに言われ……更に冷静になって考えると自分でもやり過ぎたと思った……元々はあいつらの自業自得だから反省はするが謝りはしない

 

「わかってるならいいわ……さてと、みんな、待たせてたわね。ご飯にしましょう!」

 

カタナ姉さんがそう言うと簪と本音がどこからか出したブルーシートを敷き、アスナはバスケット、カタナ姉さんと簪は三段の重箱をブルーシートの上に置いた

 

「それじゃあ………」

 

 

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

全員揃って久々の[いただきます]をしてカタナ姉さんとアスナ、簪はバスケットと重箱を開け始めた

 

「お兄ちゃん、はい。これ」

 

俺は簪から少し形が崩れてしまってるおにぎりを受け取る。

周りを見るとキリトはアスナ手作りのサンドイッチを、チカはカタナ姉さんの重箱からおにぎりをアスナとカタナ姉さんに渡されていた

 

 

「…はむ………美味しい」

 

おにぎりを一口囓ると塩加減絶妙なおかかおにぎりですごく美味しかった

 

「良かった……サクヤさんに教えたけど不安だった……」

 

「え?これってサクヤが作ったのか?」

 

簪の話を聞いた後、隣のサクヤを見ると顔をほんのり赤くしていた

 

「……はい…今朝、簪さんと一緒に作りました……」

 

サクヤは嬉しそうだが少し不安がっていた

 

「美味しいよ、サクヤ。俺の為にありがとう。サクヤは良いお嫁さんになるよ」

 

「お、およめ………はぅ……」

 

俺はサクヤの頭を撫でながらお礼を言うと顔を真っ赤にしていた

 

 

「そう言えば、なんであの人が私達のことSAO生還者だって知ってたんだろ……普通なら知らない筈なんだけど……」

 

「ブリュンヒルデが漏らしたか別から漏れた可能がある……まあ、気にしなくても良いとは思うぞ?」

 

「……それもそうだけど……多分、俺が居たからかな」

 

チカが呟いき、みんなの視線が集まる

 

「どういうこと?」

 

「………キリトさんやアスナさん、サクヤには言ってませんでしたが、俺……元々は織斑秋羅の弟で織斑春萎の双子の兄だったんです」

 

「「「!?」」」

 

キリト、アスナ、サクヤはチカの言葉に驚いていた

 

「SAOがクリアされて、俺は現実世界に戻ることができました……だけど、戻ってくると姉の織斑千冬には見捨てられて、春萎の話では織斑秋羅には何度かナーヴギアを取り外されそうになっていました………だから、俺は織斑を捨てて更識になったんです」

 

 

「そう……だったんだ」

 

「チカも大変だったんだな」

 

「キリトさんやソウ達に比べたらこんなの軽いものですよ」

 

俺達もそうだが……チカも大変な目に会っていた……

そんな感じで話をしていると……屋上の扉が開いた

 

「あ、皆さん。ご一緒してもいいですか?」

 

 

開いた扉から織斑春萎がお弁当箱を持って出てきた

 

 

「あ、織斑さんか……どうぞ」

 

「ありがとうございます。失礼しますね」

 

俺がそういうと織斑春萎は礼儀正しく軽くお辞儀してからブルーシートに座った

 

 

「そう言えば、織斑さんは織斑秋羅のところに行かなくていいの?」

 

「えっ?あ、はい。秋とは仲が言い訳じゃありませんから……それに……にい…………いえ、一夏さん達と居た方が気が楽なので……」

 

織斑春萎は一瞬、一夏を兄と呼びそうになるが……一夏さんと言い直した

 

「あ、良ければ、私のこと春萎って呼んでください………ここには織斑は三人いるので……」

 

「わかったよ、春萎さん。俺のことは蒼って呼んでくれ」

 

「俺は和人って呼んでくれ」

 

「なら、私も明日奈って呼んでね」

 

「私は楯無って呼んでね」

 

「……簪って呼んで」

 

「私はサクヤって呼んでください」

 

「私は好きに呼んで良いよ~」

 

「俺も今まで通りでもいいし、一夏って呼び捨てでもいいぞ」

 

 

「はい。蒼さん、和人さん、明日奈さん、楯無さん、簪さん、サクヤさん、本音さん、兄さん、これからよろしくお願いします」

 

「「「「「「「「うん(あぁ)(はい)!」」」」」」」」

 

 

そんな感じで春萎さんと仲良くなった……そんな、楽しいお昼休みは直ぐに終わりを迎える

 

 

「それじゃあ、そろそろ時間だから戻らないと………その前にサクヤ……さっき言った渡すものだよ」

 

俺はそう言ってポケットから《レッドルチルクォーツ》のブレスレットを取り出して渡す。

 

「これ………」

 

サクヤはそのブレスレットを見て泣きそうになっていた

 

「覚えていてくれた?サクヤが一度居なくなった後に渡した《レッドルチルクォーツ》のブレスレットだよ………サクヤにあげたのでISの待機状態に一番適していて〝あの世界〟の思いが詰まってると思ったんだ。どうかな?」

 

「あ………ありがとう……ございます……ソウさん……」

 

サクヤは俺に抱きついてきて泣き出してしまう。

 

「よしよし、サクヤは直ぐ泣くんだから……」

 

俺は抱きついてるサクヤの頭を撫でた。

 

 

 

 

 

 

「あ~疲れた………」

 

「俺も………」

 

「流石に堪えるな……」

 

時間は過ぎ、俺達はようやく一日目を終えることができ、教室で集まっていた

 

「なんだがキリト君、年寄り臭いよ」

 

「実際この一日で五歳は歳喰った気分だよ」

 

「俺もそんな感じです……」

 

キリトとチカに苦笑いしていると山田先生が教室の扉を開けて入ってきた

 

「ああ、良かった! みなさんまだ残っていてくれたんですね…!?」

 

「山田先生、一体どうしたんですか?」

 

「はい。実はですね、更識一夏君と桐ヶ谷君と更識蒼君の寮の部屋が決まったので、お伝えしようと思っていたんですよ」

 

「えっ?」

 

「り、寮の部屋ですか?」

 

「はい、そうですが…?」

 

「えっと、俺達三人ともしばらくは通学だったはずなんですが?」

 

俺が三人の代表で山田真耶先生に聞いてみた

 

「あぁッ! すみません……ちゃんと伝えてませんでしたね。政府からの通達で三人と織斑くんには今日から寮へと入ってもらう事になったんですよ…これが鍵です」

 

 

そう言って俺とキリト、チカに部屋の鍵を渡す山田先生。

 

 

「俺は、1100室か…」

 

「俺は、1099室ですか………」

 

「えっ!? 俺は1098室……キリトさんとソウとは別々の部屋なんですか?」

 

「…それがですねぇ…急遽決まった事だったんですが……桐ヶ谷君は結城さん、更識一夏君と楯無さんは同じ部屋にしろと〝総務省〟からの指示みたいなんです……どうして、総務省がそんなことを言ってきたのかはわかりませんが………」

 

 

山田先生の言葉に俺、キリト、アスナ、カタナ姉さんは総務省のある一人の顔が浮かび上がった

 

 

「「「「(菊岡(さん)だ(わ)………)」」」」

 

 

「……取り敢えず、山田先生ありがとうございます。」

 

「いえ、先生として当たり前ですよ……それでは、私はこれで失礼しますね」

 

山田先生はそう言うと教室を出て行った。

 

 

 

 

職員室

 

俺は一人、職員室の前にいた…今朝の事で織斑千冬に呼ばれていたことをすっかり忘れていたのは内緒だ

 

 コンコン

 

「失礼します。更識です」

 

「入れ」

 

中から織斑千冬の声が聞こえ、扉を開けて入ると普通の学校と変わらない職員室で一人、椅子に座る織斑千冬がいた

 

「更識兄、今朝はなぜあんなことをした?」

 

「そんな理由を聞くためにわざわざ、呼んだんですか?」

 

俺は呆れていた…IS学園の教師には俺達《SAO生還者》(サバイバー)のことは総務省から伝えられ更には総務省からカウンセラーを迎え入れて接し方を教えられていると菊岡から聞いていたのにこれなのだから

 

「いいから、答えろ」

 

「まあ、いいですよ。この後に用事があるんで簡単に………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()です……これの意味が分からないようだったら二人揃って地獄(ヘル)を見ることになります。それでは……」

 

俺はそれだけ言うと職員室を去った

 

 

 

 

 

 

生徒会室

 

 

「ようこそ、生徒会室へ!待ってたわよ、ソウ君」

 

俺は職員室を後にした足で生徒会室に足を運んでいた。

生徒会室にはカタナ姉さんと従者の虚さん、簪と従者で友達の本音、チカとサクヤの六人が中央のソファーに座っていた。アスナはリハビリにキリトはその付き添いでこの場にはいない

 

「空いてる席に座ってちょうだい」

 

カタナ姉さんに言われ空いてる席(サクヤの横)に腰を掛けた

 

「集まってくれてありがとう……早速だけど来て貰った理由を話すわ……特に簪ちゃん……あなたに大きく関係してるの……」

 

「わ、私…に関係してる?」

 

簪はカタナ姉さんの言葉に少し驚き、不安な顔をしていた

 

「えぇ……簪ちゃん……あなたの専用機開発が()()されたわ」

 

「え?………」

 

カタナ姉さんの言葉に生徒会室の空気が凍り付く……簪の方を見ると顔色が見る見るうちに絶望に変わっていく…

 

「カタナ姉さん……確か簪の専用機を作っていたのって倉持技研だったよな?彼処って日本ではそれなりに良い企業だったはずだろ?何があったんだ?」

 

カタナ姉さんに俺は記憶をあさりながら疑問をぶつけた

 

「………全ての元凶は織斑姉弟よ」

 

「「ッ!!」」

 

俺とチカは織斑を聞いて顔を歪ませる……とくにチカは少しだけ殺気が漏れていた

 

「……簡単に言うと簪ちゃんの専用機を作っていたところを織斑秋羅が見つかり、織斑千冬が織斑秋羅の専用機を政府を介して倉持技研の上に作るように指示したのよ……上が断らないし、そもそも倉持技研には2機を同時並行で作れる人力は無かった……だから、簪ちゃんの専用機を凍結させて織斑秋羅の……男性IS操縦者の専用機制作を進めることになったみたいなの……ほんと、ふざけるじゃ無いわよ!」

 

カタナ姉さんは最後まで怒りを抑えていたが抑えきれずにソファー前の机を叩いていた……簪の方を見ると顔を俯かせていたが泣いていた

 

「落ち着けよ、カタナ。簪も涙を拭いて……」

 

チカはカタナ姉さんを落ち着かせながらポケットからハンカチを取り出して簪に渡した

 

 

「ありがとう………私…造る」

 

「造るって専用機をか?」

 

簪は涙を拭き取って俺の問いに頷いた

 

「うん…だから……お兄ちゃん、お姉ちゃん、サクヤさん、チカさん、本音、虚さん……力を貸してください!」

 

簪は立ち上がり俺達に頭を下げてきた……実の兄と姉である、俺とカタナ姉さんにすら、この状態だ……よっぽど悔しいんだろう……

 

「…簪…最初から答えは決まってるだろ?俺が出来ることは何でもするよ……」

 

「私もよ、簪ちゃん!」

 

「私もだよ~」

 

「もちろん、私もですよ、簪様」

 

「私も微力ながらお手伝いさせて頂きます!」

 

「俺もだ」

 

皆が皆、それぞれの言葉で簪に力を貸すことを承諾……簪は嬉し涙を流していた

 

 

 

 

 寮1099室 

 

 

 

「相部屋って蒼さんだったんだ……私、秋でも来るかと思いましたよ」

 

あの後、これからの計画を大雑把に決めてから解散して俺が使う部屋に入るとなんとまあ……春萎さんとの相部屋だった

 

「俺も驚きだ……でも、まあ、これからルームメイトとしてもよろしく」

 

「うん、よろしくお願いします……ところで……簪さんって日本代表候補生ですよね?」

 

「あぁ、そうだけど……どうかしたの?」

 

俺が軽く答えると春萎さんが頭を下げてきた

 

「ごめんなさい!簪さんの専用機…………秋の所為で開発中止なって……本当にごめんなさい……後で楯無さんや本人の簪さんにも……謝りに行きます……」

 

俺は謝ってくる春萎さんがすごいと思った………自分がやったことでもないのに仲のよくない兄のために謝ってくるなんて……本当にすごいと思った

 

 

 

 

 

 

 

続く



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委員長と開発

どうも更識蒼です!

まず最初にリメイク前を知っている方はご存じだと見てない方にはこれから…………私は織斑千冬が嫌いだ。私は織斑千冬が嫌いだ。私は織斑千冬が大嫌いだ



と、言うことで私は織斑千冬が大嫌いです。まあ、モップこと篠ノ之箒も大嫌いですがね。


なんで、こんな話をしたかというと今回は織斑千冬アンチが色濃く出ているかもしれないと言うことです。

それから、他アニメから何人か登場しますが言葉遣いとか変だったらコメントください。なるべく近づけたハズなんですがうまくできたが不安でしょうが無いです。








それではどうぞ!


 

 

 2025年 4月11日 IS学園・一年一組 

 

「織斑兄、更識兄弟、桐ヶ谷」

 

ホームルームの途中、山田先生の連絡の後、織斑千冬に織斑秋羅を含めた男性IS操縦者は呼ばれた

 

「「「はい」」」

 

「なに、千冬姉」

 

織斑秋羅の発言後、直後ズヴァン!と言う音と共に織斑千冬が出席簿を織斑秋羅の脳天に振り下ろしていた

 

「馬鹿者、〝織斑先生〟だ。公私の区別を付けろ!‥‥‥ンンッ!、それでだがお前達のISだが時間が掛かる。学園で専用機を準備する事になった」

 

織斑千冬の言葉にクラス全体が響めいた…それもそうだ、この時期に専用機…しかも四人分もだ

 

「俺達三人には必要ない」

 

「専用機の事は既に決定事項だ。お前達に拒否権は無い」

 

織斑千冬はそう言うが…俺達三人には……いや、アスナやサクヤを含めれば五人の専用機は更識家、レクト社で共同開発されている(サクヤのは完成している)

 

「俺達三人の専用機は更識家、レクト社で共同開発されている。更に国際IS委員会や総務省からもその有無は伝えられているはずだが‥‥‥」

 

「そんなことは知らん。お前達のは学園で準備する。これは決定事項だ、異論は認めん」

 

この言い様には俺達はいい顔をしなかった‥‥‥学園の一教師がこんなことをして良い分けないが、織斑千冬は反論させまいと睨みで俺達に重圧を掛けてきた

 

『そこまでですわ、織斑さん』

 

 

【!!??】

 

俺がどう、反論しようかと考えていると黒板型ディスプレイにピンクロングヘアの女性が映し出された

 

「貴様‥‥‥誰だ?」

 

織斑千冬はディスプレイ越しの女性を睨んでいた

初対面の人に貴様呼ばわりは不味いと思うが‥‥‥織斑千冬には関係ないのだろう

 

『あら、私をご存じないのですか?わたくしは‥‥‥』

 

【きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!】

 

女性が話そうとするとグラスの大半の女子が悲鳴のような叫び声を上げた

 

「ラクス様よ!ラクス様!」

 

「歌手のラクス様!?なんで!?」

 

他、諸々とディスプレイに映る女性を知る女子が喜びに叫び声を上げた

 

「お前達、静かにしろ!」

 

織斑千冬の怒声で静かになるがディスプレイの女性は織斑千冬を冷たい目で見ていた

 

「改めまして、国際IS委員会本部委員長のラクス・クラインですわ。」

 

「‥‥‥‥失礼しました。IS学園、教師織斑千冬です。きょ、今日はどのような御用件で?」

 

入学してそんなに経っていなかったが織斑千冬の敬語姿を見て少し驚いた

 

『先程の専用機の事に関してですわ。蒼、一夏さん、和人さんの専用機は先程、蒼が言いました通り、レクト社と更識家共同開発されてますわ。それは委員会日本支部の者と総務省の方に貴女とお隣の方、学園長さんに通達してもらったはずです。それをお知りにならないと仰り、専用機を別に用意する‥‥‥そのようなことを一教師の貴女がして良いことなのでしょうか?』

 

「‥‥‥‥そ、それは」

 

ディスプレイ越しの女性‥‥‥ラクスさんの少し強めの口調からの正論はいつも上からの物言いの織斑千冬は言葉を詰まらせていた

 

『確かに貴女は〝ブリュンヒルデ〟として名誉を持っています。ですが、〝ブリュンヒルデ〟は称号であり名誉

であり〝権力〟や〝力〟ではありませんわ。その事を間違わないで下さい。そして、行動する前に考えてください、周りへの影響を‥‥貴女が動いた事による未来を考えてください。

 

それから蒼、あなたの専用機は開発に時間が掛かっていますわ。

繋ぎとなってしまいますがわたくしからカスタム機を用意しました。明日には届くと思いますので確認お願いします。それではわたしくは失礼します。』

 

「了解しました」

 

ラクスさんは微笑むと通信が切れクラス内は静まり返っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 4月11日 IS学園・第二アリーナ・整備室

 

 

翌日の放課後…俺と簪、サクヤ、チカは第二アリーナにある整備室に来ていた……リハビリ中のアスナと付き添いのキリト、生徒会の仕事でカタナ姉さんと虚さん、本音はこの場に居ない

 

「これが、簪の専用機《打鉄弐式》か……」

 

俺達の前にはハンガーに鎮座するIS……簪と同じく水色を強調している機体……打鉄弐式…第二世代の打鉄を元に簪用にカスタマイズされた機体……

 

「うん……スペックや完成度は昨日言った通りだよ」

 

 

ディスプレイを見ながら打鉄弐式の装備を再度確認する

 

まずは春雷

背中に搭載された2門の連射型荷電粒子砲

次に夢現

近接武器である対複合装甲用の超振動薙刀

最後に山嵐

打鉄弐式の最大武装。第3世代技術のマルチロックオン・システムによって6機×8門のミサイルポッドから最大48発の独立稼動型誘導ミサイルを発射する

 

武装はこの三つで武装自体はある程度完成しているがその中でも山嵐が一番完成度が低い

その理由は第三世代技術のマルチロックオン・システムが完成どころか白紙同然な状態らしくどうしようも無いらしい

他にもOSが全く完成しておらずハリボテ状態で予備のパーツすら無い……普通ならお手上げ絶望状態だ

 

「そう言えば、お兄ちゃん……お昼に言ってた助っ人はいつ来るの?」

 

「もう来るはずなんだけど……」

 

そう、俺は昨日の内にある人達に《打鉄弐式》制作の助っ人を頼んでいた……はっきり言って呼んだ助っ人はチートだ

 

「更識君!お客さんを連れてきましたよ」

 

「ソウ、遅れてごめん」

 

「すまんな、坊主」

 

「失礼する、ソウ遅れてすまない」

 

考えていると整備室の扉が開き山田先生と肌が茶色く焼けている男性、茶髪で白を中心にした服を着たひ弱そうな男性、紺髮で赤黒いスーツを着た男性が入ってきた

 

「お久しぶりです、マードックさん、キラさん、アスランさん」

 

「久しぶりだな、坊主。知らない坊主達も居るから……俺はコジロー・マードック。国際IS委員会委員長直属のIS部隊の整備士をしてる…よろしく頼むぜ」

 

「久しぶり、ソウ。国際IS委員会委員長直属IS部隊総隊長のキラ・ヤマトです。よろしく」

 

「久しぶりだな、ソウ。同じく国際IS委員会委員長直属IS部隊第一部隊隊長のアスラン・ザラだ、よろしく頼む」

 

三人の男性はそれぞれ自己紹介をしてくれた……三人から出た“国際IS委員会委員長直属”の言葉に俺以外のこの場にいる人達が驚いて固まっていた

 

 

「そ、それでは私はこ、これで失礼しますね!」

 

かなり動揺していたが山田先生はそう言うと整備室を出て行った

 

 

 

「ソ、ソウさん……どうやって知り合ったのですか?」

 

次に硬直から回復したサクヤが俺に聞いてきた

 

「キラさんとアスランさんとは小さいときに戦闘術やサバイバル術にハッキング術、プログラムのソフト面やハード面を教わっていてね、マードックさんとはIS学園に入学が決まる少し前からISの整備を教わってるんだよ」

 

俺の説明に硬直から既に回復していたチカや簪が苦笑いしていた……そして直ぐに簪がキラさん達の前に歩き止まった

 

「……更識簪です…私のために来て下さってありがとうございます」

 

簪はキラさん達に深々とお辞儀とお礼をいう……キラさんが前に出て微笑んだ

 

「顔を上げて、簪さん。君のことはソウから聞いているよ。可愛くて大切な妹ってね」

 

「ああ、昨日もソウの奴が《大事な妹の為に力を貸してほしい》とラクスとカガリ……本部委員長と日本支部委員長に頭を下げてたからな」

 

「………」

 

キラさんとアスランさんからの暴露に俺は顔を真っ赤にした

 

「さ、さっさと始めましょう!」

 

俺は今の空気に耐えられなくなり無理矢理に作業を始めようとする……その場の俺と簪以外は少し笑っていた

 

 

「そうだね、始めようか……マードックさんは機体で僕がソフト面、アスランがハード面、ソウは僕とアスランのサポートをお願いね」

 

「分かってるぜ、坊主。嬢ちゃん、聞きたいことがあるから手伝ってくれないか?」

 

「は、はい」

 

マードックさんは簪と話をしながら機体をいじり始める……マードックさんと話をしている簪はどこか楽しげだった

 

「俺達も始めよう……ソウ手伝ってくれ」

 

「了解です、アスランさん。キラさんも何度も言ってください」

 

「うん、分かってるよ」

 

俺は眼鏡型ディスプレイを付けて両手で違うプログラムを作るためにキーボードを叩く

 

「す、すげー……てか、俺らはここに必要なのか……」

 

「……」

 

チカが何呟いて居たが、俺は何を言っているか聞こえなかった

 

「……サクヤ、バーニアの制御数値を出してほしい、来てくれ」

 

「分かりました」

 

サクヤは軽く頷くと小走りで俺の隣に来て俺と同じ眼鏡型ディスプレイを掛けて早速、打ち込み始めた

 

「制御数値を出して、打ち込んでおきました。それと、拡張領域内からの武器展開速度も数値化して入力しておきました……確認お願いします」

 

「…流石だよ、サクヤ。こちらは、終わりましたよ」

 

サクヤから送られてきたデータを確認すると全くミスの無い…それどころか俺の頭にあった物より良い出来だった

 

「こっちもできあがったよ、アスラン、そっちは?」

 

「俺も問題なく完成している」

 

キラさんとアスランさんも出来上がっており、後は機体面をと思い簪とマードックさんの方を見るとなぜか簪が泣いていた

 

「か、簪!?マードックさん!一体どうして簪が泣いているんですか!?」

 

「‥‥大丈夫‥‥だよ‥‥お兄ちゃん‥‥ただ、嬉しくて‥‥お兄ちゃんやキラさん達が手伝ってくれて嬉しくて‥‥マードックさんがいろいろと教えてくれたり、強化案を出してくれたのが嬉しくて‥‥止まらなくて‥‥」

 

簪は嬉し涙を堪えられなくなって涙を流していた

マードックさんはいきなり涙を浮かべられて戸惑っていたらしい

 

「‥マードックさん‥‥‥〝打鉄弐式〟を強化して下さい‥‥」

 

「…良いのか?…少し時間が掛かっちまうぞ?」

 

 

「……はい、お願いします…時間が掛かってもお兄ちゃんやお姉ちゃんの隣に立ちたいから‥‥‥お兄ちゃんは代表戦の方に集中して…私の所為で負けてほしくない……」

 

「簪……わかった……でも、無理するなよ」

 

「……うん」

 

簪は顔を赤くして頷く……周りを見るとサクヤが顔を赤く、チカとアスランは呆れ顔を、キラさんとマードックさんは俺の方を見て微笑んでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く



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生還者達の専用機

お待たせしました

第6話です!

そして、今回は判明していないと言うよりはどれがあたりなのか分からないSAOの装備名をオリジナルで考えました。
違和感があるかもしれませんがご了承下さい


 

 

 

 

 

 2025年 4月12日 IS学園・第二アリーナ格納庫

 

 

キラさん達と簪の専用機、〝打鉄弐式〟を作りマードックさんの下強化が決定した翌日の放課後、俺とサクヤ、チカとカタナ姉さん、キリトとアスナは第二アリーナの地下格納庫である人達を待っていた

 

「俺達の専用機ってどんなのなんだ?カタナ、何か知らない?」

 

「私も詳しくは知らないのよ‥‥でも、私達がよく知る機体になって居るみたいよ?」

 

「専用機かぁ~。気になるな‥‥」

 

「私もだよ、キリト君」

 

キリト達、三人は自分たちの専用機が気になりお昼からずっとわくわくが止まらないみたいだった

 

話ながら待っていると地下格納庫の扉が開きトラックとバイクが地上から降りてきた。

トラックとバイクが俺達の前に止まると人が三人降りてくる‥‥‥うち一人に俺達は驚いていた

 

「お久しぶりです。皆さん」

 

「「「「「「ラン(さん)!?」」」」」」

 

トラックの助手席側から降りてきたのは俺達と同じ《SAO生還者》(サバイバー)で元《血盟騎士団》副団長でありユウキの姉で《西風の旅団》の仲間のランさんこと紺野 藍子(こんの あいこ)さんだった

 

 

「そう言えば言ってませんでしたね。私は生還者学校に通いながらレクト社と更識家合同のIS開発チームにいます。今日はルクスさんとIS委員会の方と和人さん、一夏さん、明日奈さんの専用機説明とIS委員会が用意してくれました蒼さん用カスタム機の説明に来ました」

 

ランさんからの簡単な説明を聞くとバイクから降りたくせのある黒髪と深紅の瞳の青年とトラックの運転席から降りてきた銀髪の青年がトラックの荷台を開けた

そこにあったのは‥‥‥‥見慣れない灰色の全身装甲(フルスキン)の機体と俺達のよく知る()()()だった

 

「それは!?」

 

「‥‥こんな事って‥‥」

 

「‥‥そういうことだったのね」

 

「‥‥」

 

サクヤの専用機以外知らなかった俺も含めこのことを知らなかったIS学園メンバーは驚愕するが懐かしくも感じた

SAOの事を思い出しているとランが一歩前に出てきた

 

「まずは和人さんのから説明します。和人さんの専用機‥‥名前は〝キリト〟といい、以前和人さんが動かしてしまった〝ラファール・リヴァイブ〟のコアを使用した機体でナーヴギアのローカルメモリーから解析し完成させた《ソードスキル・システム》を積んである第三世代型‥‥いえ、第四世代型の機体です。」

 

キリトの専用機‥‥〝キリト〟は名前の通りSAOの75層でキリトが着ていた〝コート・オブ・シャドーナイト〟を完全再現してその場においてあった

 

「「「「《ソードスキル・システム》!?」」」」

 

全世界では第三世代の試作機を血眼で造っていると言う中での第四世代もすごいと言うのに‥‥()()天才〝茅場晶彦〟が造ったナーヴギアのローカルメモリーを解析し《ソードスキル》を再現したシステムを積んでいるという事に一番驚いた。

 

「サクヤの機体にも俺も見れていなかったシステムがあったが‥‥このシステムだったのか‥‥」

 

「はい、そうです。次は一夏さんの機体です。機体名は〝チカ〟といい、一夏さんが動かしてしまった〝打鉄〟のコアを使用した機体で和人さんと同じく《ソードスキル・システム》を積んでいる第四世代型機です」

 

チカの専用機は白八割で所々に青や黄色がある、日本の戦国時代あたりの着物をイメージした‥‥と言うよりは昔のアニメ【るろうに剣〇】の主人公が着ていた服だろうか‥‥SAOでは世界観が少しだけ違っていた気がするが‥‥

 

「最後に明日奈さんの機体です。

明日奈さんの機体名は〝アスナ〟といい、イタリアのテンペスタを基礎として設計しましたのでこの3機の中で最速を誇ります。3機ともSAOの服を再現してますがIS自体の機能は全部ついてますのでご安心下さい」

 

最後にアスナの専用機は白が大半で所々に赤がある服で十字架を入れれば〝血盟騎士団〟の服そのものに見えるくらいだ。

確か当時、SAOで〝血盟騎士団〟の服をモデルにアスナができプレイヤーメイドで作ってもらった物だったはずだ、攻略会議や階層ボス戦前とかに〝血盟騎士団〟の変態共(クラディール)とかが五月蝿かったような覚えがある

 

 

ランさんは3機の大まかの説明をしてくれた

俺やカタナ姉さんも色々驚いて疲れていたが次のIS委員会が用意してくれた機体の方が驚いた

 

「ソウの機体は俺から説明する。その前に国際IS委員会・本部委員長直属IS部隊・第一部隊所属シン・アスカです。早速ですが‥こいつの名前は〝ストライクF〟。隊長‥‥‥委員会直属IS部隊・総隊長のキラが使っていた第二世代〝ストライク〟を改修し第三世代試作ストライカー〝プロトフリーダムストライカー〟を装備した機体になっている。

装備は頭部両側二門内蔵対空防御機関砲75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン。腰部両脇ホルダーに内蔵されている超硬度金属製の戦闘ナイフ、対装甲コンバットナイフ・アーマーシュナイダー。両翼に一機ずつついているのがM100 バラエーナプラズマ収束ビーム砲。近接戦闘用のMA-M01 ラケルタビームサーベル。遠距離用の57mm高エネルギービームライフル、対ビームシールドになっている。この機体の欠点としてイーゲルシュテルンとアーマーシュナイダー以外は〝シールドエネルギー〟を喰うため連射や長期戦は出来ない。《拡張領域》(バススロット)に予備バッテリーを幾つか入れてあるが直ぐに切れるから注意が必要だ‥‥」

 

青年‥‥シンは淡々と説明してくれるがカタナ姉さんはあることに驚いていた

 

「ビーム兵器ですって!?どの国でも開発が出来ていない代物じゃない!?IS委員会は完成させたってこと?」

 

「まだまだ、改良の余地ありですけどね。エネルギーを喰うし銃身は耐えられなくて融解するなど問題は山積みですけど‥‥ソウのは出力をある程度抑えてあるから使いすぎなければ大丈夫ですよ。予備のライフルも積んである」

 

シンはカタナ姉さんの問いに答える

シンが答えた後直ぐに銀髪の青年‥‥ルクスさんが前に出た

 

「それでは《初期化》(フィッティング)」と《最適化》(パーソナライズ)を行いますので装着して下さい」

 

ルクスさんに言われるがまま俺達は専用器に触れると俺達は光に包まれ次には所々変わった機体を纏っていた

 

まず、キリトのだが‥‥背中に先程まで無かった二対二のALOのスプリガンを思わせる黒い羽根

次にチカ、キリトと同じようにシルフを思わせる薄緑色の羽根

最後にアスナ、キリトとチカと同じようにウンディーネを思わせる空色の羽根が現れ既に《一次移行(ファースト・シフト)》が完了していた

 

「これが一次移行(ファースト・シフト)した三人の専用機か‥‥」

 

「ええ、そうみたいね。ソウ君のは‥‥変わって無いわよ?」

 

「ストライクの一次移行は見た目より性能に現れやすいんだ。要塞ぽく装甲が増える人も居るけど大半は性能向上される」

 

ストライクFの変化が無いことにカタナ姉さんが気づいて俺に話しかけてくるとシンがその事に答えてくれた

その後は機体の操作をカタナ姉さんにアリーナで猛特訓され俺達四人はフラフラでアリーナを後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 




ガンダムシリーズオリジナル機紹介


GAT-X105FストライクF

装甲:フェイズシフト装甲

75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン2。
対装甲コンバットナイフ・アーマーシュナイダー2。
M100 バラエーナプラズマ収束ビーム砲。
MA-M01 ラケルタビームサーベル。遠距離用の57mm高エネルギービームライフル
対ビームシールド




国際IS委員会・本部委員長直属IS部隊・総隊長のキラ・ヤマト准将が使用していた第二世代GAT-X105〝ストライク〟を改修しZGMF-X10A〝フリーダム〟をストライカー化した第三世代試作ストライカー〝プロトフリーダムストライカー〟を装備した2.5世代機。
装備は試作機の為、原機に搭載されていた武装は半分近く搭載されていなく他の〝ストライカー〟も装備出来ない。原機の〝フリーダム〟とは違いバッテリー機であるため燃費が悪く長期戦をする場合は火力すら〝 ストライク〟より下回る
Fは〝フリーダム〟の略別機〝ストライクフリーダム〟と区別するためにFと付けられた



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クラス代表決定戦 蒼VS蒼

どうも更識蒼です!

今回からクラス代表決定戦です!
多分二~四話は続くと思います。
戦闘を上手く表現出来てるか不安だったりじゃなかったり‥‥‥それと今話クッソ長くなってしまいました‥‥読みずらかったらすみません‥‥

それから増えた「」の表記を含めて今のところを使う「」の表記を説明します。


「」→視点者または直接の会話
『』→電話などの何かを介しての会話、音
〝〟→機体や権力など
≪≫→ガンダムフレームまたは全身装甲機の使用時の会話
<>→ISの武装
《》→システム
【】→他アニメ・漫画名や女子生徒(集団)奇声



 

 

 

 

 

 2025年 4月16日 IS学園・寮

 

 

『そう言えば明日だよね?クラス代表戦って』

 

クラス代表決定戦前日の放課後、俺は〝ストライクF〟を貰ってからキラさん達、IS委員会組数人と連日模擬戦をして、今日も部屋に戻るまで模擬戦をシしていた。

それからは部屋に戻り夕食を食べて、春萎さんが入浴中にゆうちゃんと連絡を取っていた

入学初日の出来事で一年の‥‥‥特に1組の生徒達から突き放されていた

仕方が無い事だと思っているがキリトやアスナ達が心配してくれていているし普段通り話しかけてくれている。

その所為でキリト達にも近寄る生徒は少なくなったりや白い目で見られている事に負い目に感じ謝るとカタナ姉さんや簪に叩かれたりした

 

「うん、明日と明後日に総当たりで俺、キリト、チカ、セシリア・オルコット、織斑秋羅の五人で試合してクラス代表を決めるんだって」

 

『そうなんだ‥‥‥ソー、頑張ってね?応援してるからさ!』

 

「ありがとう、ゆうちゃん……ゆうちゃんの応援があるならなんでも、できる気がするよ!」

 

『えへへ、ソーがそう言ってくれると嬉しいな‥‥‥あっ、そろそろ時間だね‥‥‥ソー頑張ってね!おやすみなさい!』

 

「うん、ありがとう。ゆうちゃん、おやすみ」

 

お互い、おやすみといって通信が途切れる………それから少しして春萎さんが水色生地で白水玉パジャマ姿で脱衣場から出てきた

 

 

「蒼さん、お風呂揚がりました」

 

 

「ありがと。それじゃあ、俺も入ってくるかな‥‥‥先寝ちゃいなよ、女の子の体は夜更かしには向かないからね」

 

「え。あっ、はい‥‥‥お気遣いありがとうございます」

 

俺はそう言ってから椅子から立ち、脱衣場に向かって歩く‥‥‥

 

「あの……蒼さん、先ほど誰かと話してませんでしたか?」

 

春萎さんとすれ違うとゆうちゃんとの話が聞こえていたらしくそれに関して聞いてきた

 

「うん?あぁ、してたよ、俺の大切な彼女とね‥‥本当なら一緒に入学したかったんだけど、体調が思わしくなくて‥‥もうしばらくは転入できないんだ‥‥‥」

 

「あ‥‥‥なんか、すみません‥‥‥聞いちゃいけないような話を聞いて‥‥‥」

 

「いいさ、それじゃあ、また後で」

 

俺は春萎さんにそう言ってシャワーを浴びに脱衣場に向かった

 

 

 

 

 

 2025年 4月17日 IS学園・第三アリーナ

 

 

「満員だな‥‥‥」

 

次の日‥‥‥午前中の授業を終えた俺達、1年1組は第三アリーナに試合をするメンバーはA・B・Cのピットに別れて機体のメンテと最終確認をしていた

俺やキリト、チカの三人はAピットで整備科志望の本音とIS委員会のマードックさんに機体のメンテを頼んでピット内からアリーナの観客席を見ると満席状態だった

 

「きっと、(セシリア・オルコット)に負ける(ソウ君達)を嘲笑いに来てるのよ」

 

「お兄ちゃん達に勝てるわけも無いのに‥‥‥」

 

カタナ姉さんと簪が観客席に来ている生徒達の考えを見透かし俺達には勝てないと呆れながら言っていた

 

「坊主、機体の方は良いぞ。頼まれていたのもしっかり積んでおいたからな!」

 

「ありがとうございます。マードックさん!これで全力で戦えます!」

 

「良いってことよ!勝ってきな、坊主!」

 

「はい!」

 

俺とマードックさんが話しているとサクヤが一人、静かにこちらを見ていた

 

『更識君、オルコットさん、出撃して下さい』

 

俺がサクヤの視線に気づくと山田先生の放送が聞こえてきた

 

「‥‥最初は俺か‥‥それじゃあ行って来る」

 

俺は皆に言うとカタパルト前に歩くと〝ストライクF〟の待機状態の右手だけに付けた水色の指無し手袋を眺める

 

「ストライク‥‥俺に力を貸してくれ!」

 

俺が〝ストライクF〟に語りかけると手袋に付いている赤い玉が少し輝いた気がした

俺はそのまま、〝ストライクF〟を展開すると同時にPS装甲が起動して灰色では無く白、赤、青のトリコロール姿となった

 

「ソウ君‥‥無いとは思うけど負けないで油断せずに行ってきなさい!」

 

「お兄ちゃん‥‥頑張って!」

 

≪ああ、もちろんだ!≫

 

カタナ姉さんと簪からの応援を聞いてから カタパルトに機体を固定させる

 

「‥‥‥あ、あの‥‥ソウ‥さん」

 

固定させて出撃しようとすると‥‥サクヤがとぼとぼと歩いてきた

 

「‥‥‥サクヤ‥‥」

 

「‥‥‥は、はい‥」

 

 

俺は〝ストライクF〟の顔を粒子変換して顔を出した

不安そうなサクヤにどういう風に声を掛ければ良いか俺にはわからない‥‥‥不安そうな顔をしたサクヤやシリカ‥‥‥ゆうちゃんを何度も慰めてきた‥‥だけど‥‥ほぼ全部、一緒に‥‥隣で見守っていた‥‥‥でも、今回はこれから俺が戦いに行く‥‥そんな時にどう言えば良いか‥‥‥一言‥一言だけで思いを伝える言葉‥‥

 

「‥‥‥‥‥行って来る!」

 

「‥‥ッ!‥‥‥はい!」

 

俺はそれだけ言うと〝ストライクF〟の顔を戻した

サクヤは今の一言で顔から不安が取り除かれ頷くと皆の方に戻った

 

≪ソウ・サラシキ。ストライク行きます!≫

 

俺とストライクはカタパルトから一気に飛び出した‥‥〝プロトフリーダムストライカー〟の左右5枚の青き翼を広げアリーナに出ると驚愕の声と歓声が観客席から聞こえてきた

 

 

 

 

 

 

 

◇ソウが居なくなったAピット

 

「ソウ君はもう少し気を聞いた事が言えないのかしら?お姉さんとして心配よ‥‥」

 

ソウの姉である刀奈がため息を吐きながらソウの事を心配していた

 

「‥‥いいんですよ、ソウさんの気持ちはしっかりと伝わってきましたから」

 

ソウとの一瞬の会話まで不安がっていたサクヤが自分用の専用機のレットチルクォーツのブレスレットを胸元で握りしめながら言った

 

「‥‥まあ、私には分からないけどサクヤちゃんが分かっているのなら‥‥‥でも、お姉さんとして、ソウ君にはその辺も勉強させないといけないかしらね♪」

 

刀奈の扇子には〝勉強〟と描かれていた

刀奈の笑顔に彼氏であり弟でもあるチカは顔を引き攣らせていた

 

 

◆ 第三アリーナ

 

 

≪待たせたな、セシリア・オルコット≫

 

「ホントに遅いですわれエリートのわたくしを待たせるとは………「前置きはいい…」ッ‥‥‥‥まあ、そうですわね。それにしても……あなたのISは全身装甲なのですわね?」

 

≪あぁ、そうだ。これがIS委員会から借りている俺の機体だ≫

 

 

セシリア・オルコットは俺の機体‥‥全身装甲の〝ストライクF〟に少しだけ驚いていた

 

 

驚きは一瞬で消え去りセシリア・オルコットはライフル‥‥‥<スターライトMarkⅡ>の銃身を俺に向けて、俺は<ラケルタビームサーベル>の柄を

<コール>して その時を待つ

 

「中遠距離型のわたくしに近接武器で挑もうなんて‥‥わたくしの勝ちは決定も同然ですわ!」

 

≪ふん、その様に思っているのも今のうちだ‥‥≫

 

セシリア・オルコットの言葉に少しだけ苛立ちを感じたが‥‥苛立ちを振り払い時間を待つ

そして‥‥時間はその時を刻んだ

 

 

『試合、開始!』

 

 

「お別れですわ!」

 

山田先生の<コール>と共に先手必勝でセシリア・オルコットの<スターライトMarkⅡ>の銃身からレーザーが俺の脳天目掛けて真っ直ぐ放たれた

 

≪軌道が丸わかりだ!≫

 

俺はラケルタビームサーベルの柄をレーザーの軌道にタイミング良く振るい、その一瞬だけ刀身を展開させてレーザーを斬り裂いた

 

「な!?な、な、なんなんですか、あなた!?レーザーを斬るなんて聞いた事がございませんわよ!?あなた、本当に人間ですか!?」

 

≪失礼だな‥‥俺は人間を辞めたつもりは無い‥‥ただ、お前の射撃が読みやすい‥‥‥レーザーの軌道に合わせて剣を振るっただけだ≫

 

そんな馬鹿なこと‥と、誰もが思って居ることだろ‥‥世界大会の〝モンド・グロッソ〟に参加していた者達‥‥〝ブリュンヒルデ〟こと織斑千冬ですら躱した事くらいあるだろうが斬ったことは記録上無い

 

 

 

 

 

Aピット

 

 

 

「‥‥レーザーを斬る事なんてなんで出来るんですか!?」

 

「そうね‥‥SAOでの実践経験とALOでの魔法戦闘‥‥‥それから、オルコットさんの射撃が教科書通り過ぎるから余計にソウ君には簡単に出来るわね。それに、あれくらいならキリトやチカ、アスナちゃんにでも出来ると思うわよ?」

 

「カタナちゃん、言い過ぎだよ~。私には流石に無理だよ~」

 

「俺は‥‥どうだろうな‥‥銃相手は経験無いしな‥‥‥でも、キリトさんなら出来るんじゃ無いですか?」

 

「いや‥‥一発じゃ、流石に無理だぞ?俺だって銃相手は慣れてないし‥‥それよりも、俺よりチカの方が出来るんじゃないか?抜刀術使えばアスナ並みの剣速だし」

 

「いやいや!武器破壊(アームブラスト)とかシステム外スキルを作ったキリトさんには及びませんよ!それに、〝二刀流〟のキリトさんに勝ったことないんですから!」

 

平然と話す四人に代表候補生だけの春萎は付いていけずにいたが春萎の隣にいる同じ代表候補生の簪は何度か頷いていて話に加わって居なかったが理解していた

《SAO生還者》(サバイバー)は何処か()()がズレていると春萎は思いそして、彼らが戦ってきた二年間の事が気になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナ

 

 

一方アリーナでは<スターライトMarkⅡ>を連射するセシリア・オルコットとそれをソウが細かな動きで避けきっていた

 

「‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥ど、どうして当たりませんの!?」

 

≪先程も言った通り、お前の射撃が教科書通り‥‥素直すぎる。急所しか狙わないしフェイントも掛けず最初から銃口を向けていたら誰だって躱せる‥‥‥超人だったら斬ることなんて容易だ≫

 

「クッ!」

 

セシリア・オルコットは目の前でレーザーを避け、斬ったソウに色々混ざり合った感情を持っていた

苛立ち、妬み、油断、女尊男卑‥‥‥完全に自身が有利だと思って居たのに最初から目の前の男‥‥ソウがレーザーを斬ってしまい自身の有利が崩れてしまった

更には先程までの攻撃を自ら攻撃せず最小限の動きで全部躱しきっている

セシリア・オルコットは今のこの状況で内心気がついていた

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

だが、彼女は認めたくは‥‥認めなかった

 

 

 

「認めませんわ!わたくしが負けるなんて認めませんわ!!」

 

セシリア・オルコットの宣言共に、〝ブルー・ティアーズ〟の背部スラスターから四つの子機がパージされた。

四つの子機はそれぞれに意志があるように小刻みに動きセシリア・オルコットの後方にとどまった

 

「これが、わたくしの〝ブルー・ティアーズ〟第三兵装の<ブルー・ティアーズ>ですわ!さぁ、踊りなさい! わたくし、セシリア・オルコットと〝ブルー・ティアーズ〟の奏でる円舞曲(ワルツ)で!!」

 

≪‥‥‥俺は好きな奴としか踊らん!≫

 

ソウは4方向からのレーザーを避けながらラケルタビームサーベルの柄をしまい< 57mm高エネルギービームライフル>を<コール>する

 

「今更、遠距離武器(ライフル)を出したところで!墜ちなさい!」

 

≪その言葉‥‥‥そっくり返してやる!≫

 

 

四方八方に動く<ブルー・ティアーズ>のレーザーを避けながら<ビームライフ

ル>からビームを放つ。

セシリア・オルコット‥‥‥<ブルー・ティアーズ>は反応できずにビームが一基に当たり爆発する

 

「い、今のはビーム兵器!?なぜ、ですの!?ビーム兵器は未だに何処の国も完成はしてないはずですのに!?な!?な、なぜですの!?」

 

≪IS委員会は完成させていたんだ‥‥‥扱いが難しいから公表はされていないとか言っていたが‥‥‥今回のは‥良い宣伝になったか‥‥まあ、いい‥≫

 

ソウは<ブルー・ティアーズ>からの三方向レーザーを躱しながら先程と同様にライフルで三基とも瞬時に破壊した

 

≪‥‥‥これで終わりだ!≫

 

<ブルー・ティアーズ>を破壊したソウはライフルをしまい、<ラケルタビームサーベル>を刀身を出したまま展開して<ブルー・ティアーズ>を失い動揺しているセシリア・オルコットに急接近する‥‥‥セシリア・オルコットは<スターライトMarkⅡ>で狙撃するが全て躱されてしまう‥‥そして、ソウがセシリア・オルコットの懐に入ると‥‥セシリア・オルコットは笑みを零していた

 

「‥‥掛かりましたわね!<ブルー・ティアーズ>は六基でしてよ!」

 

〝ブルー・ティアーズ〟の装甲が一部外れ他の<ブルー・ティアーズ>とは違う実弾型(ミサイル)が現れほぼゼロ距離でミサイルを発射しソウとセシリア・オルコットを巻き込み爆発した

爆風でセシリア・オルコットが吹き飛ばされて出てきた‥‥誰もがセシリアの勝ちと思った‥‥だが

 

≪‥‥‥今のは良い戦術だ≫

 

「ッ!」

 

爆煙からほぼ無傷の〝ストライクF〟が出てきた

 

≪‥自分へのダメージを顧みずにゼロ距離ミサイルを使うにはかなりの度胸がいる。‥‥‥‥戦術的には良かったが‥詰めが甘かったな。俺の機体〝ストライクF〟の装甲は<フェイズシフト装甲>と言いって()()()()()()()()()()()()できる物だ。衝撃はどうしようも無いが‥‥慣れてしまえば問題ない≫

 

 

「‥‥な、何ですの‥‥そんな装甲聞いた事がございませんわよ‥‥‥‥」

 

≪事実だ‥‥お前に勝ち目は無い‥‥これから一方的になる‥‥その前に降参しろ‥‥お前も無様な負けを晒したくは無いだろ?≫

 

セシリア・オルコットは既に折れている‥‥‥ソウはそれが分かっていた

 

「‥‥‥分かってました‥‥今のわたくしでは勝てないと‥‥ですから‥わたくしの負けを認めますわ‥ですが()()ですわ!」

 

≪‥‥ほう?≫

 

「わたくしはもっと強くなって更識蒼さん‥‥貴方を絶対に超えて見せますわ!」

 

セシリア・オルコットの目は先程までの見下した目では無く、挑戦者(チャレンジャー)としての目‥‥‥強者(ソウ)への挑戦する目をしていた

 

 

≪フッ‥‥何時でも、掛かってこいセシリア・オルコット!!お前が上に行くというなら俺は‥‥‥俺達は更に上を目指そう!≫

 

「‥‥‥はい!」

 

ソウとセシリア・オルコットはお互いを称えあうように握手する。

直後、観戦者達から大きな拍手が聞こえてきた

ソウとセシリア・オルコットは拍手が鳴り止まない中を自分たちのピットへ戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

続く



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出でる夏・迷える刀

最新話どうぞ!


 

 

 

 

2025年 4月17日 IS学園・第三アリーナ Aピット

 

 

 俺はAピットに戻り機体を待機状態に戻すと待っていたキリト達の方に歩み寄った。

Aピットで待っていてくれた、キリト、アスナ、チカ、カタナ姉さん、簪、サクヤ、本音、春萎さん、マードックさんが笑顔で迎えてくれた

 

「「おつかれ、ソウ」」

 

「お疲れ様、ソウ君」

 

「お疲れ様でした、ソウさん!」

 

「ソウ君、お疲れさまー」

 

「見事な勝ちだったぜ、ボウズ!」

 

「ありがとう、皆。マードックさんもありがとうございました」

 

 俺はキリト達に笑顔を返しマードックさんには軽く頭を下げた

 

「辞めてくれ坊主。俺は俺の仕事をしているだけだ。それから〝ストライクF〟をかしな、整備しておくよ」

 

「あ、整備なら私も手伝う~」

 

「ありがとうな、嬢ちゃん。そうしてくれると助かるぜ、俺も常駐は出来ないからな」

 

「よお~し、ソウソウの機体を整備できるようになるぞ~」

 

「マードックさん、本音、よろしくお願いします」

 

「のほほんさんに任せて~」

 

「任せておきな坊主!」

 

 俺は本音とマードックさんに〝ストライクF〟を渡した

 マードックさんと本音が〝ストライクF〟を整備し始める中、俺はキリト達と話し始めた

 

「お疲れさま、ソウ君。オルコットさんはどうだったのかしら?」

 

「技術は申し分ないけど素直すぎるな。ピット操作もムラがあって躱しやすい。偏向射撃 (フレキシブル )も出来てないみたいだからピット攻撃時にはピットの数に依存‥‥‥キラさん達の方がよっぽどキツい」

 

「確かにあれはキツすぎるぞ‥‥」

 

「俺もそう思います‥‥」

 

「私もその通りだと思うよ~」

 

 俺や皆が苦い顔をしていたのは理由がある

 クラス代表決定戦が決まってから直ぐにIS委員会本部委員長直属IS部隊の〝キラ・ヤマト〟さん、〝ムウ・ラ・フラガ〟さん、〝レイ・ザ・バレル〟さん、〝ラウ・ル・クルーゼ〟さん、〝アスラン・ザラ〟さん全員同時の模擬戦を俺、チカ、キリト、アスナ、サクヤの五人は受けてたのだ。

キラさん、ムウさん、レイさん、ラウさんの四人同時の偏向射撃 (フレキシブル )、36基計93門のドラグーンからのオールレンジ攻撃の中アスランさんの超近接型機〝インフィニットジャスティス〟と戦い続けなければならなかった

 

「次はチカだな」

 

「‥‥はい、過去との決着を一先ずは付けてきます」

 

 チカはそれだけ言うとカタパルトに歩き出した

カタナ姉さんはチカの勝ちを確信していたが何処か悲しそうだった

 

 

「‥‥チカ!私、信じてるから!」

 

 カタナ姉さんは何時もの口調では無く‥‥一人の女としてチカに声援を送った。

チカはこちらを見ずに右手を掲げるだけだった

 

「《リンク・スタート》!」

 

 SAOやALOを‥やっていた‥やっている者‥‥‥強いてはフルダイブ型VRをやっている者なら誰もが一回は言ったことがある言葉をチカが言うと‥‥チカの服装がIS学園の制服から八割白で青と黄色が所々に入っている服‥‥‥チカの専用機〝チカ〟を纏う

 

「‥‥‥〝白の剣士チカ〟行く!」

 

 チカはそのまま黄緑色の羽を広げアリーナに飛んでいった

 

 

 

 

 

 

「カタナ姉さん‥‥大丈夫?」

 

「‥‥‥え、ええ。大丈夫よ、ソウ君」

 

 チカがアリーナに飛んで直ぐにカタナ姉さんはピット内にある椅子に座り込んでしまった

 

「‥‥‥どうして‥‥家族は上手くいかないのかしらね」

 

「「「「え?」」」」

 

 カタナ姉さんの呟きにピット内にいる皆がカタナ姉さんの方を向いた

 

「‥‥いえ、何でも無いわ‥‥気にしないで」

 

 カタナ姉さんはそう言うと顔を俯かせてしまう

 

「‥‥‥家族でも全く同じ人が居ない‥‥どんなに顔が似ていてもお考えが似ていても全くの別人‥‥だから上手くいかないときがあるんじゃないかな」

 

「‥‥‥ソウ君‥」

 

 俺はチカの方を‥‥‥‥大空を見上げながら呟くとカタナ姉さんが顔を上げた

 

「全く同じ人なんて居ない‥‥‥人それぞれ個性があって性格がある‥‥それが人です‥‥‥いろいろな人達が個性や性格がぶつかり合うのが‥家族です‥‥‥そして、仲間でもあるんです‥‥‥そこに血の繋がりなんて関係ないです‥‥だからこそ、人は他人を知らないと‥‥他人と繋がりを持たないと生きては生けないんです」

 

「‥‥‥‥サクヤちゃん‥‥」

 

 俺の隣に立っていたサクヤの言葉は俺やカタナ姉さんに簪、アスナにキリト、春萎さんの心に重くのしかかってきた。

 

「‥‥‥そうね‥‥そうよね‥‥私がこんなんじゃ駄目ね!皆、心配を掛けたわ!多分、もう大丈夫よ!」

 

 

 カタナ姉さんは何時も通りの元気を取り戻し開いた扇子には〝元気が一番〟と描かれていた

 

「カタナちゃん!ソウ君!サクヤちゃん!チカ君の試合始まるよ~」

 

 

 アスナの言葉で俺とサクヤ、カタナ姉さんはキリトとアスナの方へと走る。

カタナ姉さんの笑顔は何時もよりスッキリしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆アリーナ

 

 俺‥‥チカがアリーナに出ると秋羅が全体を白の装甲で覆った機体‥‥‥‥名を〝白式(びゃくしき)〟‥‥‥手には近接ブレードで忌ま忌ましい記憶(現役時代の織斑千冬)が使っていた武器の発展型<雪片弐型(ゆきひらにがた)>を持っていた

 

「よお、同情誘いの無能凡人?天才の俺を待たせるなんて良い度胸じゃねえか」

 

「‥‥‥‥」

 

「無視してんじゃねえよ!それとも怖くて何も言えねぇのか?」

 

 織斑秋羅が何かを言っているが俺は全く興味はなく‥‥目をつぶり腰に付けている刀‥‥‥薄ピンクの鞘に真っ白な柄‥‥リズさん作<桜雪>を何時でも抜刀できるように構える

 

 

「ハッ!やる気満々だが、凡人の貴様が天才の俺に勝てるわけねぇだろ!?」 

 

「‥‥‥‥五月蝿い奴だ‥少しは静に出来ないのか?それとも天才様は()()()だから寂しくて話し相手が欲しいのか?」

 

「んだと?」

 

 織斑秋羅は俺の挑発にキレたのか無言で俺のを睨んできた

 そして‥‥IS学園に入学することが決まったあの日‥‥‥いや、織斑秋羅がIS学園に入学することが決まったあの日から待ちに待った時がやってきた

 

 

 

『試合、開始!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く



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クラス代表決定戦 夏VS秋

 

 

◆ 第三アリーナ

 

『試合、開始!』

 

 

「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ

!!!!!!!!」

 

 開始直後、織斑秋羅は高速で俺に近づいてきた‥‥‥確かIS技術の一つ《イグニッション・ブースト(瞬時加速)》だったはずだ。

更に織斑秋羅が《イグニッション・ブースト(瞬時加速)》で接近してきたとき、<雪片弐型(ゆきひらにがた)>の刀身が開き青色のレーザーブレード‥‥‥

忌ま忌ましい記憶(現役時代の織斑千冬)通りなら現役時代の織斑千冬の専用器(暮桜(くれざくら))単一仕様(ワンオフ・アビリティー)零落白夜(れいらくびゃくや)》が現れ織斑秋羅は勝ちを確信したのか狂気地味た笑みを浮かべていた

 

 

「‥‥‥‥更識流居合‥‥」

 

 振るわれている<雪片弐型(ゆきひらにがた)>は気にせず相手の懐へと入り抜刀‥

 

「ガッハッ!!」

 

 頭で織斑秋羅の顎を打ち、そのまま下段から切り上げ、上段で切り下げる。

 

「‥‥‥〔秋波久礼(あきはぐれ)〕」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆Aピット

 

 

「‥‥‥秋‥‥波久礼?」

 

 Aピットからチカの戦いを見ているとチカの初撃にキリトやアスナ、サクヤに春萎さんが驚き、春萎さんが声を漏らした

 

「‥‥あれは更識家に伝わる流派‥‥更識流の居合術の一つよ」

 

「‥‥更識流?」

 

 皆が驚いている中、カタナ姉さんがチカの初撃に‥‥‥更識流に関して話し出した

 

「‥‥ええ、色々な伝承とか有名な流派があるじゃ無い?例えば伝承では【京都神明流】や【飛天御剣流】、有名所で言えば【天霧辰明流】や【刀藤流】かしらね。そして、私達の更識家にも流派があるのよ、それが【更識流】なの」

 

 カタナ姉さんの説明にアスナとキリトはどうにかついて行けている感じで苦笑いしていた

 

「‥そ、そうなんだね‥‥ソウ君やカタナちゃん、カンザシちゃんも‥‥【更識流】?を使えるんだよね?」

 

「ええ、もちろんよ。私は槍術に体術、剣や弓もそれなりには出来るわよ」

 

「私は‥‥薙刀と体術、弓はお姉ちゃんよりかは出来ると思う‥‥それから剣はそれになりにできる」

 

 簪の言葉にカタナ姉さんは少しショックを受けたのか「カンザシちゃんが虐める~」となんとか言っていたが触れないで置こう

 

「‥‥俺は剣術と体術、小太刀術‥‥‥弓も出来るけど簪よりは上手くないな‥‥」

 

「‥‥嘘つき」

 

 簪は俺の言葉を聞いて怒ったのか俺のことをジト目で見てきた

 

「‥‥‥お兄ちゃん‥私より弓上手い‥‥」

 

「そんなことは無いよ。確かに俺は簪より上手く見えるかもしれないけど、それは色々な物を努力してきた結果に過ぎない‥‥‥それにどれかに特化しているカタナ姉さんや簪と比べればいろいろな物を平均的に出来る俺は()()()さ」

 

「「それは、違うよ!(違います!)」」

 

 俺の言葉を聞いて簪とサクヤが怒り怒鳴ってきた

 

「お兄ちゃんは半端物じゃないよ!お兄ちゃんは強くて優しくて何時も頼れるけど、少し自分だけで抱え込む所がある‥‥私の‥憧れ(ヒーロー)だよ!」

 

「そうです!ソウさんはSAOβテストでもデスゲームの二年間でもコタや私達を支えてくれました!そんな人が半端物なんてあり得ません!」

 

「‥‥‥簪、サクヤ‥‥」

 

 俺は直ぐには簪とサクヤの顔を直視出来ないでいた‥‥簪とサクヤは怒鳴る中泣いていて顔を見ることが出来なかった

 

「‥‥カンザシちゃん、サクヤちゃん。一先ずは落ち着きなさい。ソウ君の話は寮の部屋でたっぷりさせてあげるから今は、チカの試合よ」

 

「‥‥はい」

 

「‥‥うん」

 

 カタナ姉さんの言葉でこの場での話が終わり、サクヤと簪は観戦に戻るが最後、俺に向けた視線は冷たかった

 

 

 

 

 

 

◆第三アリーナ

 

「‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥‥んでだよ‥天才の俺が疲れてるのに凡人のお前が息一つ乱れてねぇんだよ!」

 

 俺が【更識流・居合術】の一つ〔秋波久礼(あきはぐれ)〕で織斑秋羅にダメージを入れた後、織斑秋羅は怒りで出鱈目に<雪片弐型(ゆきひらにがた)>を振るってきた

俺はその全てを<桜雪>で受け流すか回避してやった

 

「攻撃している方が疲れるに決まってる‥‥‥天才様は凡人の俺が知っていることを知らないのか?‥‥‥‥まあ、いい。お前の実力と覚悟も今の俺の実力もお前との()も分かった‥‥終わりにしよう‥‥‥」

 

 俺は<桜雪>を鞘に納め、少しだけ姿勢を低くして構える

 

「クソガアァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」

 

 織斑秋羅は怒りで我を忘れ俺に向かってきた

俺も織斑秋羅の方に構えを解かず飛んでいく

 

「‥‥‥‥抜刀術」

 

 俺と織斑秋羅の影が重なり合いすれ違う

鞘から抜き出された<桜雪>の刀身はオレンジ色のライトエフェクトに包まれていた

 

「グッハッ!!」

 

 

「‥‥〔雷火一閃〕」

 

 

 

 すれ違いお互いに背中を向けていた‥‥ほんの数秒後、織斑秋羅のISが解除され白目を向いた織斑秋羅は落下し地面に倒れ込んだ

 

 

 

 

 

 

 

『試合終了!勝者更識一夏!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 <桜雪>を鞘にしまうと試合終了のアナウンスが聞こえると観客席から色々と混じった声が聞こえてきた。

俺は右腕を空に向けて掲げてからAピットに戻った

 

 

 

続く



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クラス代表決定戦 蒼VS秋Ⅰ

 

 

 

 

  2025年 4月18日 IS学園・第三アリーナ

 

 

 クラス代表決定戦一日目の翌日の放課後、クラス代表決定戦二日目として俺は〝ストライクF〟を纏い第三アリーナの空にいた。

 昨日のあの後、簪とサクヤの部屋で俺とカタナ姉さん、サクヤに簪の四人が集まり、サクヤ、簪の二人にこっぴどく怒られ更に、通信越しにゆうちゃんも加わり色々大変だった

今朝もサクヤと簪は口を聞いてくれず二人で先に朝飯を済ませて何処かに行ってしまった。

 

 

≪待ちくたびれたぞ、織斑秋羅≫

 

「待たせたな、凡人。お前だけは絶対に潰す!」

 

 今回の相手‥‥Bピットから出てきたのは白いIS‥‥‥〝白式(びゃくしき)〟を纏った織斑秋羅で昨日のチカ戦、この試合前に行われたキリト戦、セシリア・オルコット戦全部に惨敗しているためかそれとも、初日の俺に対しての怒りなのか殺気がダダ漏れで俺を睨んでいる

 

≪悪いな、この後人に呼ばれてるんでなっ早めに勝たせてもらう≫

 

 そう‥‥‥俺はクラス代表決定戦の後、簪からメールでALOのある場所に呼ばれていた

 

「んっなもんしらねぇーよ!お前等凡人の如何様の所為でこの俺が弱いと思われてんだ!この屈辱はお前を潰して晴らす!」

 

≪‥‥好きに言っていろ≫

 

 俺はかなり織斑秋羅に苛立っていた。

自分は天才で他の奴らを〝凡人〟と見下しこの一週間を何もせずに過ごしていた奴がこの一週間を努力に費やした俺達が負けることは無い

それすらも分からず負けた理由を俺達が〝如何様〟をした所為として自分の弱さを認めない織斑秋羅に俺は苛立っていた

 

『試合、開始!』

 

「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ

!!!!!!!!」

 

 開始直後、チカ戦、キリト戦、セシリア・オルコット戦と全く同じく織斑秋羅は《イグニッション・ブースト(瞬時加速)》と単一仕様(ワンオフ・アビリティー)零落白夜(れいらくびゃくや)》で先制攻撃を仕掛けてきた

 

≪‥‥遅い‥‥そして、甘い≫

 

 俺は‥‥いや、俺達なのかもしれないがはアスランさんやキラさんの動きとアスランさんとキラさんの機体や特殊装甲兵装<ミーティア>の速度に目が慣れてしまい《ハイパーセンサー》も使えば《イグニッション・ブースト(瞬時加速)》程度、遅く感じたりする

 

「はぁ!」

 

 だから、織斑秋羅の攻撃を軽く躱して裏拳から掴んで地面目掛けて叩き落とすことも容易にできたり出来なかったりする

 

「クソガアァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 織斑秋羅は怒りにまかせて出鱈目に剣を振るってくるが俺は昨日既に積んでいた打刀<ガーベラ・ストレート>を<コール>し全て受け流した

 

「何奴も此奴もなんで、天才の俺のシナリオ通りにうごかねぇんだよ!!凡人のお前等は天才のこの俺に従ってれば良いんだよ!?出来ねぇ奴は死ね!あの出来損ないの屑弟(一夏)同様死ね!」

 

 プチン

 

 織斑秋羅の怒りの発狂は誰かの‥‥‥いや、俺の中の切っては行けない糸を切ってしまった

 

 

≪‥‥‥寝言は寝て言え‥≫

 

【ッ!】

 

 俺のドスの利いた声で第三アリーナ全体が凍り付いたように静になった

 

≪弱い犬ほど良く吠える‥‥クソな天才ほど見下したがる‥‥‥‥‥自分で何も出来ないくせにに天才ぶってんじゃねぇよ≫

 

「んっだと!!お前の方こそ‥‥‥≪誰が喋って良いと言った≫ッ!」

 

 織斑秋羅が何かを言おうとしたが俺のドスの利いた声で黙り込んでしまう

 

≪俺の知っている才能を持った天才達は見下しなんて愚かなことをしなかった‥‥‥俺の知る天才達は半端物の俺についてきてくれている‥‥お前のように見下しもせず俺についてきてくれている!≫

 

 俺はもう一本<ガーベラ・ストレート>を<コール>し織斑秋羅の方に向ける

 

≪お前のシナリオなんてクソ喰らえ、自分の家族を出来損ない呼ばわりして死んで当たり前のように言い、自分の都合が悪い奴も死ねと言う奴には‥‥‥‥

()()()()として斬り捨ててやろう≫

 

≪さあ、第二ラウンドの始まりだ‥‥早々に朽ち果ててみせるなよ≫

 

 

 俺は静かな怒りに身を任せ目の前の害虫(織斑秋羅)に向かって蒼い翼を広げ飛んでいく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 観客席

 

 

「「「「「‥‥」」」」」

 

 昨日と違い観客席の方で観戦していたキリト達、IS学園《西風の旅団》メンバーと春萎は最初の方は静に試合を観戦していたが‥‥‥

 

『何奴も此奴もなんで、天才の俺のシナリオ通りにうごかねぇんだよ!!凡人のお前等は天才のこの俺に従ってれば良いんだよ!?出来ねぇ奴は死ね!あの出来損ないの屑弟(一夏)同様死ね!』

 

 プチン

 

 織斑秋羅の怒りの発狂はこの場のメンバー全員の何かを斬ってしまった

この場にいるカタナ、簪、チカ、春萎の四人の顔は今のを聞いて直ぐに狂気染みたのに変わり春萎に至っては今すぐにでも織斑秋羅を潰しにいかんとばかりに立ち上がり何処かに行こうとしていた

 

≪‥‥‥寝言は寝て言え‥≫

 

【ッ!】

 

 だが、蒼のドス効いた声で春萎の動きが止まりアリーナ内にいる声の主‥‥蒼の方に目を向けた

 

「‥‥‥ソウさん‥‥初日のあれ以上に怖いです‥‥」

 

「‥‥‥そう‥‥ですね‥‥‥ソウさんが何度か怒ってる所は何度か見てましたが‥‥‥あんなにキレてる所は初めて見ました‥‥」

 

「‥‥‥お兄ちゃん‥」

 

「‥‥ソウソウ‥」

 

 ここで観戦している中で最年少のサクヤ、蒼と同い年の本音、簪、春萎はIS学園初日以上に冷たい蒼の声に怯えていた

ここのメンバーの中で蒼と同い年のチカ、一つ年上のキリト、刀奈、最年長の明日奈は余り動じて無く怯えているサクヤ達を心配していた

 

≪俺の知っている才能を持った天才達は見下しなんて愚かなことをしなかった‥‥‥俺の知る天才達は半端物の俺についてきてくれている‥‥お前のように見下しもせず俺についてきてくれている!≫

 

「「「「ッ!」」」」

 

 蒼の言う〝天才達〟はキリト達の事でありキリト達もその事に気がつき、少し驚きながらも嬉しそうに笑みが見えた

 

「ソウはそこまでして自分を過小評価して‥‥‥俺達のこと‥を?」

 

「‥‥ソウ君はそうしないと自分を認められないのよ‥‥‥‥過去に守ろうとした人や心を守れなくて‥‥‥自分を認められなくなって‥‥!!」

 

 悲しそうに話す刀奈‥‥話している途中で刀奈はアリーナの蒼が2本目の打刀を展開したのを見て目を見開いていた

 

≪お前のシナリオなんてクソ喰らえ、自分の家族を出来損ない呼ばわりして死んで当たり前のように言い、自分の都合が悪い奴も死ねと言う奴には‥‥‥‥

()()()()として斬り捨ててやろう≫

 

「‥‥ソウ君‥貴方は‥‥本当の意味で【更識家】に戻ってくるのね‥‥」

 

 カタナの言葉に簪と本音以外は首を傾げて言葉の意味を理解できていなかった

 

「‥‥‥私とカンザシちゃんとソウ君がまだ、喧嘩して無くて仲が良かったとき‥‥三人でいろんなアニメを見ていた

時期があるの‥‥その時期に見ていたアニメの二人のキャラにソウ君は憧れて戦いのスタイルや指示に必要な知識を身につけたのよ‥‥ギルド名の《西風の旅団》もアニメのギルドの一つよ」

 

 刀奈の話を聞いている中‥‥話にでているアニメをチカ、春萎、サクヤは知っていたのか三人とも『あっ』と思っていた

 

「【更識流】の剣術にも二刀術があってソウ君は一通りの技術を覚えて二刀術を物にしたの‥‥‥でも、私と喧嘩してからずっと使ってなかったのよ‥」

 

「‥どうして、ソウ君は使わなかったの?」

 

「ソウは使ってなかったじゃなくて使えなかったんだろ?」

 

 明日奈の問にカタナが答える前に答えを見いだしたキリトがカタナに聞くように話すとカタナは軽く頷いた

 

「キリトの言うとおりよ‥‥ソウ君は自分の家系‥‥()()()()と言う血が嫌いなのよ‥‥」

 

()()()()だからお姉ちゃんに突き放された‥‥()()()()だから私を守れなかった‥‥()()()()だからお姉ちゃんと仲良く暮らせない‥‥‥お兄ちゃんはお姉ちゃんに私と一緒に突き放されたときからそう思うようになってた‥‥‥だから、【更識】の中で使う人が少ないけど二刀術を自分自身で封印して他の事に力を入れて自分の事を半端物って‥‥‥‥私が‥‥強かったら‥お兄ちゃんがそんな思いを‥‥そんなことにならなかった‥」

 

 簪は顔を俯かせ泣いた‥‥簪の膝に簪の流す涙がぽたぽたと落ちる

 

「カンザシちゃんの所為じゃ無いわ‥‥ソウ君がこうなったのも私の所為よ‥‥二人を守るのに突き放すことしか出来なかった私がね‥‥‥でもね、カンザシちゃん‥今の私はあの時の選択は間違ってなかったって思ってるわ」

 

「え?」

 

 刀奈の今の言葉に簪は怒りがこみ上がってきた‥‥『あの時の所為でお兄ちゃんがああ、なってしまったのにあの時の選択は間違ってなかった?』と心の中で怒りと一緒にこみ上がってきた

 

「だって、ソウ君にはこんなに仲間が友達が出来たじゃない!あの時に突き放してなかったらソウ君もカンザシちゃんもそして、私もSAOに‥‥‥仮想世界に出会わなかったかも知れない‥‥‥クラインさんやエギルさん、チカ達にも会わなかったかも知れない‥‥‥こんなに仲間が友達がいる生活を送れなかったかもしれない‥‥‥あの時の後悔はあるけど、ソウ君やカンザシちゃん、そして、私もあの時が在ったから成長し今があるならあの時の間違いは間違ってなかったと思ってるわ」

 

 

「‥‥お姉ちゃん‥うん、そうだね‥‥お姉ちゃんの言う通りかもしれない‥‥仮想世界‥‥‥SAOを始めてお兄ちゃんは笑うようになった‥‥‥少し辛いこともあったけどお兄ちゃんと私にも仲間が出来た‥‥」

 

 簪はこみ上げてきていた怒りが無くなり仮想世界での思い出を思い出していた

そして、刀奈と簪の姉妹をキリト達仲間は優しく見守っていた

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 



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クラス代表決定戦 蒼VS秋Ⅱ

どうもです!

今回はかなり短めです
御了承下さい


 

 

 

 

 

  2025年 4月18日 IS学園・第三アリーナ

 

 

「クソ!クソ!クソ!クソガアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」

 

 俺‥‥‥ソウと織斑秋羅が戦いだして40分近く‥‥二刀流に変えてから約20分、出鱈目に斬りつけてくる織斑秋羅の攻撃を二本の<ガーベラ・ストレート>で完全に防いで織斑秋羅は相当の怒りをぶつけていた

 

「防ぐだけか!?所詮は凡人だな!天才の俺の攻撃を防ぐしか出来ねぇか!!」

 

 織斑秋羅がなんか言っているが相手との力の差を理解できない織斑秋羅に何を言っても仕方がないので無視するが‥‥織斑秋羅との試合は飽きたから終わりにしよう

 

≪‥‥じゃあ、攻守交代で行こうじゃないか!!≫

 

「黙れぇ!!」

 

 俺の言葉に織斑秋羅は激怒し剣を振るってくるが俺は距離をとるように後ろに下がり回避する

そして、織斑秋羅が次に移る前に急接近した

 

≪だらぁ!≫

 

「クッ!舐めるなぁ!」

 

 俺の剣撃を織斑秋羅は<雪片弐型>で受け強引に押し返してきた

 

≪少しは出来るか‥‥‥だが、次はどうかな!≫

 

「グゥ!ガァ!クソガアァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」

 

 二刀からなる連続斬撃であっと言う間に織斑秋羅と〝白式〟はボロボロになっていき織斑秋羅は最後の足掻きで<雪片弐型>の《零落白夜》を発動して振るってくるが左手の<ガーベラ・ストレート>で刀身のレーザーブレードごと、<雪片弐型>を斬り落とした

 

「ナ!?なんだよ!?なんで《零落白夜》を斬れるんだよ!?」

 

≪俺が使っている<ガーベラ・ストレート>は第1世代型機の装備だがビーム兵器を切り裂く事が出来るようになっててな、ビームより低出力のレーザーなんて糸も簡単に切り裂けることができる≫

 

「んっなの卑怯だろうが!!正々堂々戦いやがれ!」

 

 

 織斑秋羅が怒鳴りつけてくるが<ガーベラ・ストレート>は卑怯も無いだろう

実際に第1回、第2回モンド・グロッソで、<ガーベラ・ストレート>の保持機第1世代型機〝アストレイレッドフレーム〟でレーザー兵器を何度も切り裂いた人を見たこともあるくらいだ

 

 

≪卑怯と言うなら、そっちの一次移行で単一仕様さらには《零落白夜》を使えるそっちの方が卑怯だと思うがな‥‥‥お前に言っても仕方ないか‥‥‥次で終わらせる≫

 

 織斑秋羅に言っても仕方なく俺は小声で呟き、二本の<ガーベラ・ストレート>を構え直す

織斑秋羅がそれに気がつき俺に向かって接近してきた

 

≪我振るいし剣に次無≫

 

 【更識流】の中で限られた人しか使わない二刀術‥‥その中で詠唱(ルーティーン)を使う技は相手の二点以上を狙う集中力が高くないと使用を認められない

 

≪故に不殺ならぬし剣≫

 

「これで!」

 

 織斑秋羅が目の前に接近し折れている<雪片弐型>を振るってくるがもうこちらも出来ている

 

≪敵慈悲皆無‥‥‥‥‥‥〔更識流剣術・二刀‥‥突六角水月華〕≫

 

 

 

 

 

 二本の<ガーベラ・ストレート>から袈裟斬り、逆袈裟、右薙に放たれた剣撃と閃光は織斑秋羅の〝白式〟の装甲と<雪片弐型>を全て破壊し背中の装甲だけ残っている見るも無惨な状態になっていた

 

 

 

 

 

「‥‥クソッタレ‥」

 

 

 織斑秋羅はそれだけ呟くとき〝白式〟が解除されアリーナの地面に落下していった

 

 

 

 

 

『試合終了。勝者更識蒼!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




突六角水月華については次回登場時にご説明します


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クラス代表決定

 

 

 

 

 

  2025年 4月19日 IS学園・《一年一組教室》

 

 

 

 

「と言う訳で、1年1組のクラス代表は織斑君に決まりました」

 

「ゑ?」

 

 クラス代表決定戦翌日のHR‥‥‥俺達の教室‥1組ではクラス代表が発表され、俺達含め代表決定に拍手がクラス全体に響きわたった

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!俺は【卑怯な手】で負けたんですよ!?それなのにどうして俺なんですか?卑怯な此奴らにやらせるべきでしょ!?」

 

 当の本人‥‥クラス代表になった織斑秋羅は自分の負けを《卑怯な手》と強く強調しセシリア・オルコット含め俺達の事を《卑怯な此奴ら》と言い、クラス代表を俺達に押し付けてこようとした

そんな織斑秋羅に篠ノ之箒除いてクラス全体が冷ややかな視線を送っていた

 

「私は代表候補生でありながら日本を侮辱して皆さんに不快な思いをさせてしまいました。あの時は真面に謝れませんでしたので、こちらで皆さん申し訳ありませんでした。

そんな私がクラスの代表を務める資格は無いと思い昨日の全試合終了後、織斑先生と山田先生に辞退を申しました」

 

「それから、俺は生徒会長のカタナ姉さんから生徒会に誘われてるんだ、それに自分の訓練や個人的にやらなければならない事があるからクラス代表なんてとてもじゃないが両立は出来ない」

 

「えっと、俺はレクト・更識家合同IS開発チームのテストパイロットで和人さんに至っては明日奈さんと二人でレクトの企業代表なのでクラス代表を両立することは出来ません」

 

 俺とチカの言葉にキリトやカタナ姉さんは何度か頷いていてクラスの皆も何だかんだ納得してくれていたが‥‥織斑秋羅は勿論だが篠ノ之箒と教師の織斑千冬は全くもって納得してないのかずっと俺を睨んでいた

 

「‥‥クラス代表は織斑で異存は無いな!では、今日の午前中はISの実習だ。着替えて、グランドに集合すること。遅刻した者はグランド十周させる、いいな!」

 

 織斑千冬が半分怒鳴るように言うとチャイムが鳴り織斑千冬と山田先生が教室を後にするとクラスの女子達が騒がしく話し始めた

 

「俺達も動かないとな。サクヤ、簪、また後でな。キリト、チカ、早く行くぞ」

 

「あぁ、カタナまた後でな」

 

「はい、ソウさん」

 

「うん、お兄ちゃん」

 

「えぇ、またグランドでね」

 

「あぁ、アスナ、また後で」

 

「うん、グランドでね、キリト君」

 

 俺とチカ、キリトの三人は簪達に軽く言いながら教室を後にし男子用の更衣室に歩き出した。

教室を出るまで終始、織斑秋羅と篠ノ之箒が俺達を睨んでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 グラウンド

 

 

 一組が全員ISスーツ(俺、チカ、キリト、アスナの五人はジャージ)でグランドに集まるとジャージ姿の山田先生と織斑千冬が歩いてきた

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑兄妹、桐ヶ谷、結城、更識姉弟、神無月、オルコット。試しに飛んでみせろ」

 

 

「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

 織斑千冬に指名されこの場の専用機持ち(簪は製作中で除く)全員が前に出る。

 

「「「「リンク・スタート!!!!」」」」

 

 無言で機体を展開する俺とカタナ姉さんに春萎さん、セシリア・オルコットの隣ではキリト達四人が仮想世界へダイブするように唱えながら機体を展開する

 

「更識弟、桐ヶ谷、結城、神無月、その掛け声をする必要はあるのか?」

 

「いえ、無しでも展開はすることは出来ますが、私達にとっては気持ちの切り替えになります」

 

「‥‥‥そうか‥だが、その掛け声はなるべく控えろ、余り良いと思わない奴らが居るみたいだ、いいな?」

 

「‥‥‥分かりました」

 

 アスナの返答に織斑千冬は余り良い顔をしてなかったが一応教師としての態度?で話していた

 織斑千冬の言葉に軽く納得は出来た‥‥確かに【リンク・スタート】と四人が唱えるとクラスの何人かが怒りが少しこもった嫌そうな顔をしてい‥‥‥多分だが【SAO】事件の被害者遺族なのだろう‥‥それを考えれば確かに控えた方がいいかも知れない‥‥

 

「それよりも‥‥‥織斑、貴様は一体装着にとれだけ掛かっている!」

 

スパアァァァァァァァァ!!!

 

 織斑秋羅が展開に手間取っており織斑千冬になぜか持っている出席簿で叩かれていた

 

「あぁ!!もう!こい〝白式〟!」

 

 織斑秋羅は織斑千冬に叩かれてから直ぐに《音声入力》で〝白式〟を展開させるが‥‥展開された〝白式〟は昨日の俺との試合で装甲と<雪片弐型>を完全に破壊されたのを短時間で展開できるまでに修復したみたいだが装甲は頭部と腕部装甲は存在無く、アンロック・ユニット、脚部と胸部装甲が元通りとは行かずとも半分くらいは治っていた

 

「遅い!熟練操縦者なら一秒できるぞ!」

 

≪(素人にそれを言っても意味は無いだろう)≫

 

 ここに入学して1週間くらい‥‥機体を操縦するのにも展開するのにも企業代表や国家代表候補生なら兎も角、素人が熟練者並に出来るわけ無いだろう‥‥

 

「よし、飛べ!」

 

 織斑千冬の掛け声で俺達、九人は一斉に直上に上昇する。

先頭は機動特化のアスナ、その後ろにチカ、2人に続くように国家代表のカタナ姉さん、代表候補生のセシリア・オルコットと春萎さん、俺とキリトにサクヤ、それから、俺達から遠く離れた‥‥‥陸上で言えば逆転は絶望な程の距離に織斑秋羅が半壊状態の〝白式〟で上昇していた

 

『遅いぞ、織斑!スペックでは〝ブルー・ティアーズ〟と〝白夜〟より上だぞ!』

 

『‥‥(チィ)

 

 いくらスペックでは上だろうが操縦者は素人、機体は半壊‥‥こんな状態で代表候補生のセシリア・オルコットと春萎さんみたいには行かないだろう

 

 

『皆さん、お速いですわね‥‥‥飛行も‥‥その、ALOのイメージで?』

 

『ん?あぁ、そうなる。俺とキリトさん、アスナさん、サクヤさんの機体はレクトと更識家合同開発チームが作ってるから見た目はSAOで飛行はALOを完璧に近いレベルで再現されてるみたいなんだ』

 

≪俺の場合は決定戦前の一週間に気合いと訓練で覚えた‥‥‥まあ、飛行自体は背中のバーニアで行ってるから自由に飛行できるようになるにはそんなに時間が掛からなかった≫

 

『そ、そうなんですの‥』

 

 直上上昇から全員で正面飛行に移ってから少してセシリア・オルコットが通信で話しかけてきた‥‥がなぜか、俺が話してる途中にセシリア・オルコットに少しだけ引かれた

 

『織斑、桐ヶ谷、結城、更識姉弟、神無月、オルコット、急下降と完全停止をやって見せろ。目標は地表から十センチだ』

 

「了解です。ではみなさん、お先に」

 

 俺達が飛行しながら話していると地上にいる織斑千冬から指示が送られて来た。

 セシリア・オルコットは、自分がお手本になるように急降下していき丁度10センチで完全停止を行った。それから、カタナ姉さん、サクヤ、アスナ、チカ、キリト、と続いて完全停止を行っていき、俺の番で地表から数㎜の完全停止をやると山田真耶先生含めて驚愕していた。なお、織斑秋羅はグランドに激突した

 それから、武器の展開でセシリア・オルコットがライフルの展開時に銃身を俺の方に向けてしまいサクヤにライフルの銃身をカタナ姉さんに槍を簪に冷ややかな目を向けられて青い顔をした後、近接武器<インターセプター>の展開に時間が掛かり織斑千冬に怒られていたりした

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 



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嵐の中国転入生!

 

 

 

 

 

  2025年 4月19日 IS学園・《一年一組教室》

 

 

 

「おい」

 

クラス代表戦の翌日のお昼、土曜日で授業は午前で終わりなため、俺達が教室から出ようとすると織斑秋羅の腰巾着(篠ノ之箒)が俺達‥‥いや、この場合は俺、キリト、チカの三人に睨みながら話しかけてきた

 

「なんの用だ篠ノ之」

 

「貴様等、秋羅との試合で如何様(いかさま)しただろ?」

 

 話しかけられて直ぐに、難癖付けることは分かってはいたが随分馬鹿な奴だと思う

 

「随分の物言いだな。あんな雑魚にどうして俺達が如何様しなくちゃならない?‥‥‥」

 

「貴様!秋羅の事を雑魚だと!?」

 

「雑魚じゃ無ければ何なんだ?一週間を無駄に過ごして動きも何もかもが素人、それで負ければ腰巾着を使って俺達に難癖付けてくる‥‥はっきり言うが()()()()()()()()なんだよ、おめぇらはな」

 

「貴様!言わせておけば!!」

 

 篠ノ之は俺の言葉に完璧にキレて持ち歩いていると思われる木刀を取り出し振るってきた

 

「‥‥へぇ、生徒会長の前で暴力沙汰を起こすなんて、少しおいたが過ぎるんじゃ無いかしら?」

 

「ッ!貴様には関係ない!そこを退け!」

 

 俺が木刀を止めるよりも前にカタナ姉さんが間に入り何時も持っている扇子で木刀を止めた

 クラスに響いたカタナ姉さんの声はクラス内の生徒達を青ざめさせクラス全体を凍り付かせたが、篠ノ之は少し距離を離れてまた、直ぐに木刀を振るってきた

 

「‥‥‥更識流・体術」

 

 カタナ姉さんは木刀を避け篠ノ之の胸ぐらを掴んで投げ倒した

 

「安心しなさい、加減はしたし最後まで技は掛けないわ‥‥ただし、次は無いわ」

 

 空中から着地したカタナ姉さんは篠ノ之に冷たく言い放つ、篠ノ之は痛みと恐怖からなのかカタナ姉さんの声を聞くと気を失ってしまった

 

「‥‥はぁ‥‥織斑君、この子を医務室に運んでおきなさい。それから、今朝は何も言わずに黙ってたけど貴方にも次は無いわ」

 

 カタナ姉さんは織斑秋羅にそれだけ言うとそのまま教室を出て行った

 俺達もカタナ姉さんを追うように教室を出て行く‥‥俺達の中で織斑秋羅に目を向けたのは誰も居なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  4月21日 IS学園・《一年一組教室》

 

 

 

 

 俺達ALO組八人が教室に入るとなにやらクラスが騒がしかった。

 

「ねぇ聞いた? 二組に転校生が来たんだって!」

 

「聞いた! 中国からの転校生なんだよね?」

 

 話によると隣のクラスに転校生がやって来た‥‥ということらしい。

 

「転校生? この時期に?」

 

「いくらなんでも急過ぎじゃないか?」

 

 チカとキリトが言うとセシリア・オルコットが腰に手を当てて自慢げに言ってきた

 

 

「今更ながら、わたくしの事を恐れての転校でしょうか?」

 

「「「無いな(わね)(です)」」」

 

 俺とカタナ姉さん、サクヤの三人同時にセシリア・オルコットの言葉を否定するとセシリア・オルコットは崩れ落ちた

 

「それよりも、織斑君! デザートフリーパス券……みんなの思いが織斑君の剣にかかってるからね! 頑張って!」

 

 クラス対抗戦には、優勝したクラスにデザートフリーパス券が与えられることとなっているのだ‥‥俄然みんなの期待を背負うと同時に、他のクラスのクラス代表もやる気に満ちているのらしい。

が、今の織斑秋羅では優勝所か一勝あげるのも至難だろうが‥‥

 

「今の専用機持ちは一組だけだから余裕だよ!!」

 

「その情報古いよ!」

 

「「「「「「「ん?」」」」」」」

 

 クラスメイトの言葉に反応する形で、第三者の声が一組内に響く。

 その方向を見てみると、一人の女子が左手を腰に当て、仁王立ちのように立っていた。

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの、そう簡単には、優勝させてあげないんだから!」

 

 その言葉にクラスがざわめくが織斑秋羅が驚きながら席を立って少女に聞く

 

「鈴……お前、鈴かッ?!」

 

「げっ……! 秋羅、アンタこのクラスだったの?」

 

「知ってて来たんじゃないのかい?」

 

「偶々通り掛かったら2組の事を話してるみたいだったから顔を出しただけよ! 知ってたら絶対に来なかったわ!この人殺し!」

 

 再会を喜ぶように笑顔で話し掛ける織斑秋羅だったが、当の少女はその対応をとっぱねる

 少女の最後の言葉に他の一般生徒がざわめき出す

 

「それから気安く鈴って呼ばないでくれる? アンタにそう呼んでほしいって言った覚えはないし言って欲しくないんだから」

 

「弟は良くって俺は駄目なんだ? 全く、あれ(一夏)の事なんて早く忘れれば良いのに」

 

「‥‥‥やっぱりアンタとは反りが合わないわ。実の弟をあれ呼ばわれの挙句、さっさと忘れろなんて言う人殺しのアンタとはね‥‥‥」

 

 転校生の少女はそう言って他男性操縦者の俺達を見てきて、チカと目があった‥‥‥そして、少女は顔色を変えて、こちらに歩いてきてチカの前に立つ

 

「この‥‥‥バカやろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

 

 少女はそう怒鳴ると行きよい良くチカを一発殴った

 チカはいきなりすぎて対処できずに殴られ倒れ込む

 

「痛ってえ!いきなりなにすんだよ!」

 

「いきなりはこっちの台詞よ!《SAO》が終わったってきいて弾に電話したら死んだってなによ!?更識一夏ってなによ!?全部説明しなさいよ!?あたし二年間心配だったのよ!?」

 

 少女はチカの胸ぐらをつかんですごい見幕でしゃべり、俺達もクラスのみんなもついて行けなかった 

 

「‥‥流石鈴‥直ぐに気がついたか‥ごめん、鈴……心配かけた………ちゃんと話すよ……鈴には……鈴達には話す………でもその前に……」

 

「その前に?」

 

「〝ただいま、鈴〟」

 

「い、一夏あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

 少女はチカの言葉を聞いて泣きながらチカに抱きつく‥‥‥チカは少女を優しく抱く‥‥‥その光景をどす黒いオーラを放ってみているカタナ姉さん‥‥‥そして、呼び鈴が鳴り出した

 

「鈴、呼び鈴が鳴った。早くクラスに行け。(このクラスの担任は織斑千冬だから早く戻れ)話は昼、食堂でな」

 

(げっ、あの人までここに来てるの?)(教えてくれてありがとう)う、うん‥‥‥」

 

 転校生の少女は顔を赤くしながら教室を後にする。

 

 

 21日 IS学園・食堂

 

「一夏、待ってたわよ」

 

 午前の授業を終えた俺達ALO組(セシリア・オルコットと春萎さん含む)の10人は食堂に来ていた。

 来て早々、転校生の少女が待っていた

 

「鈴……とりあえず、食券買うから並ぼうな」

 

「えぇ、そうね」

 

 少女にチカが言うと少女が軽く頷いて俺達の前に並ぶ形で食券を買い、食事を選んで11人が座れそうな席を確保してい座って食べ始める

 

「朝は言えなかったけど……ハル久しぶり!」

 

「うん、久しぶり!聞いてたよ、中国代表候補生になったって……おめでとう!」

 

「ありがとう、そう言う、ハルだって今じゃ日本代表候補生でしょ?すごいじゃないの」

 

「私のは……そうでもないよ、織斑ってだけで特別扱いだったから事実試験とかパスしてたから実力で取った鈴の方がすごいよ」

 

「また、そう言って………まあ、いいわ、それにしても一夏…あんた、SAOやIS動かしちゃうとか大変ね」

 

「あはは‥‥‥でも、何で俺が分かったんだ?髪色も変えたし目の色も変えたんだぞ?」

 

 春萎さんと話していた少女が話をいきなりチカに振りチカは苦笑いするしかなかった。

 

「‥‥あぁ、そりゃあ分かるわよ‥‥短い間だったけどずっとアンタを見てたのよ?分からない方が可笑しいわよ‥それで一夏、さっきから聞きたかったんだけど、アンタと同じもう二人の男って、そっちの?」

 

「ああ。俺と同じSAO帰還者の桐ヶ谷和人さんと俺達を支え続けた更識蒼」

 

「……桐ヶ谷和人だ、よろしく」

 

「更識蒼だ、SAOではソウ……SAOでギルド《西風の旅団》のギルドマスターをしていた。よろしく……えっと………」

 

「あっ、まだ私の自己紹介してなかったわね。私は中国代表候補生、凰 鈴音、鈴って呼んでかまわないわ。和人、蒼……一夏のことありがとう」

 

 少女……鈴音は俺達に頭を下げてくる

 

「いいさ、俺もチカがいたからカタナ姉さんと和解できたからな。よし、今度は俺たちの自己紹介だな。」

 

 

 

「じゃあ、私から……神無月サクヤナ…サクヤって呼んで…三人と同じSAO生還者……よろしく」

 

「よろしく、サクヤ」

 

 それから簪、本音と続いていき、最後、カタナ姉さんの番になる

 

「私は更識楯無。SAO生還者でカタナって名乗っていたわ。ついでに言うとチカや貴女の一つ上でソウ君と簪ちゃん、チカの姉よ。それからこのIS学園の生徒会長よ」

 

「生徒会長ッ!? 一年で?!でも、それはそうですよね。一つ上で《SAO生還者》ですなら」

 

 鈴音がカタナ姉さんの生徒会長の言葉で驚いていたが直ぐに納得していた

 

「えぇ、そして‥‥‥」

 

 カタナ姉さんは一度深呼吸をし、改めて鈴音の目を見て発言する。

 

 

「彼、チカと‥‥‥一夏くんと、結婚を前提にお付き合いをさせていただいてるわ」

 

「‥‥‥えっ?」

 

 この場の時間がカタナ姉さんの一言で静止した。

 

「一夏‥‥‥ホントなの?」

 

 鈴音はゆっくりと一夏の方を向いて恐る恐る聞く

 

「あぁ、俺はカタナと付き合っている‥‥‥もちろん、カタナの事が好きだ」

 

「そう‥‥(()(アタシの初恋は随分と前に終わってたのね)(‥‥)(それを気がつかないで)(一人で初恋の相手を待って)(追いかけていたなんて)(‥‥)(馬鹿みたい)())

 

 鈴音の眼から一粒の雫がこぼれ落ち‥‥次々にこぼれ落ちる

 

「鈴、大丈夫か?!」

 

 それにチカも気づいて慌てながら鈴音にハンカチを渡ながら聞いた

 

「な、何でもないわよ!‥‥‥何でも‥‥‥無いわ‥‥何でも‥‥‥無い‥‥ハンカチ有り難」

 

 鈴音はそれだけ言うと涙を流しながら食堂を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




最初の刀奈が使おうとした技の元ネタは天霧辰明流組打ち術 刳輪祓(くるわはらい)です。


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専用機完成・赤の少女の失恋と夏の思い

 

 

 

 

 

  2025年 4月22日 IS学園・第二アリーナ《Aピット》

 

 

「待たせたな、坊主達と嬢ちゃん達」

 

「お待たせ、蒼、簪さんやみんな」

 

「待たせたな、蒼、簪、みんな」

 

 転入生の少女‥‥‥チカの幼馴染みの鈴音がIS学園に来た翌日の放課後、俺達は第二アリーナのAピットに来ていた

 俺達がAピットに来て少しするとマードックさん、キラさん、アスランさんの三人とこの場に来るのが始めての眼鏡を掛けた黒髪で白を基準で灰色の服を羽織った男性と眼鏡を掛けた金髪で濃いピンクの服を着た女性の五人が来ていた

 

 

「俺はイアン・ヴァスティだ。マードックと同じで部隊の整備士をしている、よろしくな。それから、此奴は俺の嫁だ」

 

「私はリンダ・ヴァスティ。夫と一緒によろしくね」

 

 女性‥‥‥リンダさんの自己紹介とイアンさんに俺を除いたみんなが「は?」と驚きながら固まっていた

 

「‥‥‥イアンさん‥‥いつ見ても犯罪ですね‥‥」

 

「蒼、お前な!」

 

「まあまあ、良いじゃ無いか、イアン」

 

「あぁ!お前も思ってるのかマードック!」

 

 俺がツッコんでからほぼ自然にイアンさんとマードックさんが笑いながら話し始める、そんな状態を固まりから戻ったみんなは面白そうに見ていた

 

「それじゃあ、本題に入るぞ。とっ、言っても昨日の連絡の通り、嬢ちゃんの専用機が完成した‥‥これだ」

 

 マードックさんの言葉と一緒にコンテナが開き、中から見た目は変わってない用に見える簪の専用機〝打鉄弐式〟の姿があった

 

「僕から説明させてもらうよ。正式名は〝ORB-03IS 伐鐵(うちがね)星式(せいしき)〟簪さんの専用機〝打鉄弐式〟を改修した機体です。〝伐鐵〟には蒼の〝ストライクF〟に使われてる《ストライカーシステム》の上位互換《シルエットシステム》を採用してあります。今は元々の武装を装備した〝ノーマルシルエット〟を装備させてます。それから、装甲はVPS装甲(ヴァリアブル・フェイズシフト装甲)に加えてEカーボンを使用、その為滅多に装甲の破損は無いよ。次は武装の説明に移ります。〝ノーマルシルエット〟の装備は三つ、連射型荷電粒子砲二門の<春雷>。超振動薙刀の<夢現>。6機×八門の独立稼動型誘導ミサイルポット<山嵐>が装備されてます。武装全てに対ビームコーティングをしてあり《マルチロックオンシステム》も勿論積んであります。他にもシルエットはありますがここで終わりにさせて貰います。詳細は簪さんの端末にスペックデータと共に送ってあります。それでは《初期化》(フィッティング)と《最適化》(パーソナライズ)をするから装着して」

 

「あ、はい」

 

 キラさんの説明が終わると早速、《初期化》(フィッティング)と《最適化》(パーソナライズ)をするために簪は〝伐鐵星式〟を装着する。

 簪が装着するとアスランさん、キラさん、リンダさんの三人が投射型ディスプレイを操作して《初期化》(フィッティング)と《最適化》(パーソナライズ)を行っていく‥‥三人が作業している中、簪は〝伐鐵星式〟を見てるわけでは無くキラさん達の投射型ディスプレイを目をキラキラさせながら見ていた

 

「《初期化》(フィッティング)と《最適化》(パーソナライズ)は終了しました。それでは、〝伐鐵星式〟の動作テストで少し飛んで見ようか」

 

 《初期化》(フィッティング)と《最適化》(パーソナライズ)を終えた〝伐鐵星式〟はする前と変わり全身装甲では無いが簪の体にも装甲が増え、更に背中には装甲と一緒に円錐形の物が追加されていた

 

「あ、はい」

 

 キラさんの指示で〝伐鐵星式〟を纏った簪がコンテナから出て来てAピットのカタパルトに〝伐鐵〟を固定する

 

「‥‥行こう、〝伐鐵星式〟。‥‥‥カンザシ・サラシキ〝伐鐵星式〟行きます!」

 

 簪は俺のような出撃をしてアリーナに飛び立っていった

 

 

 

 

◇アリーナ

 

 どうも、更識簪です。今、私は完成した専用機〝打鉄弐式〟‥‥うんん、〝伐鐵星式〟を装着して始めてアリーナに出て空を飛んでいます

 

 

「速い!凄い速い!想定以上に速い!」

 

 そうです、〝打鉄弐式〟の時に想定した速度より数倍速いです!

 

『こちら、キラ・ヤマト。簪さん、聞こえますか?』

 

「あ、はい、聞こえています」

 

 始めてアリーナで飛ぶ嬉しさ、自分の専用機が出来た嬉しさ、予定以上の機動力の嬉しさの余り気持ちが高ぶっているとピットから管制室に移ったキラさんからプライベートチャンネルで通信が来た

 

『飛行は問題ないね。これからターゲットを射出していくので<春雷>で撃ち落として下さい』

 

「分かりました」

 

 私が返事をしてから直ぐにクレーが五機、射出されてきた

 

「‥‥カンザシ・サラシキ、目標を狙い撃ちます!」

 

 

 私は射出されたクレー五機に<春雷>を連射して撃ち落とした

 撃ち落として直ぐに四方向からクレーが今度は一方向四機計16機、射出される

 

「狙い撃つ!」

 

 機体を旋回させ、後ろ二方向の八機を<春雷>で撃ち落として再び旋回させて残りの八機を撃ち落とした

 

『<春雷>は問題ない、次は<夢現>でターゲットを破壊してくれ』

 

「了解」

 

 キラさんじゃなくてアスランさんがプライベートチャンネルで次の指示をしてくれると三機のクレーが私に目掛けて三方向から飛んで来ました

 

「目標を破壊します!」

 

 私は<夢現>を構えて正面のクレー目掛けて<夢現>を振るとクレーが真っ二つに斬れた

 正面のクレーを斬って直ぐに機体を回転させて左右のクレーを薙ぎ払う

 

 

『うん、<夢現>も問題ないね。最後に赤いターゲットを《マルチロックオン・システム》と<山嵐>で落として下さい』

 

「了解です」

 

 <夢現>でクレーを破壊して息を整えるとキラさんからの通信で<山嵐>でクレーを破壊することになった

 通信を切って少ししてクレーが赤青それぞれ40機ずつ程射出されてきました

 

「《マルチロックオン・システム》起動!」

 

『《マルチロックオン・システム》起動、《マルチロックオン・システム》起動』

 

 私が《マルチロックオン・システム》を起動させようとすると何処からか機械の声が聞こえてから《マルチロックオン・システム》が起動した

 

「ロックオン完了‥‥‥全門解放‥‥<山嵐>発射!」

 

 《マルチロックオン・システム》で40機の赤いクレーだけをロックオンして全門解放からの全ミサイルを発射してクレーを破壊した

 

『簪さん、お疲れ様。これにて全て終了。ピットに戻って下さい』

 

「はい、ありがとうございました」

 

 私は通信越しにキラさんにお礼を言ってからAピットの方に戻りました

ただ一つ‥‥運用テスト中‥‥SE(シールドエネルギー)の残量が1すらも減らず、アリーナで飛行し始めてからずっと背中の円錐形の中から白っぽい緑色の粒子が排出されてるのが運用テスト中ずっと気になってます

 

 

 Aピット

 

「ふぅ‥‥‥」

 

 私はAピットに戻って〝伐鐵星式〟を待機状態‥‥〝打鉄弐式〟の頃からの待機状態、右手中指に填めたクリスタルの指輪に戻しました。

 

「お疲れ、簪」

 

「お疲れ様、カンザシちゃん!!」

 

「かんちゃん、お疲れ~」

 

「お兄ちゃん!お姉ちゃん!本音!」

 

 Aピットに戻った私を最初に出迎えてくれたのはお兄ちゃんにお姉ちゃん、本音の三人でした

それから直ぐにキリト‥‥‥和人さんに明日奈さん、一夏さんにサクヤさん‥‥そして、キラさん、アスランさん、マードックさん、イアンさん、リンダさんが遅れてAピットに来てくれました

 

「簪さん、どうだったかな?」

 

「はい!凄く良かったです!私が考えていた以上に凄かったです!‥‥‥ですが、二つほど気になったんですが‥‥テスト中、SE(シールドエネルギー)の残量が1も減って無くて‥‥それに背中の円錐形の物から白っぽい緑色の粒子が出てたんですが‥‥‥」

 

 気になっていましたが‥専用機の嬉しさからテスト中は置いておいた事を私はキラさんに尋ねました

 

「それは儂から説明させてもう。先に粒子からだな。あの円錐形の物は委員会で儂が作った「GNドライヴ」通称「太陽炉」だ。本物は半永久的にエネルギーを生産できるが〝伐鐵星式〟には形や粒子の色が同じなだけの別の物を付けている。此奴の原理は光の粒子「フォトン」を周囲から集め、圧縮しエネルギーに変換する。余分なエネルギーは白っぽい緑色の粒子に変換され排出される。それを繰り返すだけだ。その代わりにSE(シールドエネルギー)は攻撃用と防御用の二つに分け表記も分けてある。お前さんの見ていたのは防御用のSE(シールドエネルギー)だな。防御用のは戦闘中には回復されないようにシステムを調整して被弾しなければ減ることは無い。逆に攻撃用のSE(シールドエネルギー)は攻撃すれば減るが1度に使いすぎなければ直ぐに回復する‥‥‥まあ、こんなもんだ」

 

 イアンさんの説明に和人さんに明日奈さん、お姉ちゃんにサクヤさん、一夏さんに本音はついて行けてないのかイアンさんの話し中ずっと苦笑いをしていました

 

 

「これで〝伐鐵星式〟は簪さんの機体になります。運用試験お疲れ様でした」

 

「あ、はい。いえ、こちらこそありがとうございます。キラさん、アスランさん、マードックさん、イアンさん、リンダさん、ありがとうございました!」

 

 私はキラさん達、五人に精一杯の笑顔でお礼を言いました‥‥多分、委員会の皆さんには一生、返しきれない恩だと思います

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園 屋上

 

 

 俺の視点は、はじめだよな?俺は一夏、更識一夏だ。

大空をオレンジに染める夕焼けの頃、俺はある人に呼び出されて簪の専用機運用試験後に学園の屋上に来ていた

 

「屋上に呼び出してどうしたんだ、鈴?」

 

 そう、俺をここに呼び出したのは昨日編入してきた俺の幼馴染みの鈴こと凰鈴音だ。

鈴は昨日のお昼の刀奈の事がショックから今日の呼び出しまで一切話しをしていなかった

 

「別にいいじゃない?少し二人で話したかっただけよ」

 

 鈴の顔には前からの元気良さは無くショックから立ち直れてないのかどんよりとしていた

 

「ねぇ、一夏‥‥小学校の頃にアタシが言ったこと覚えてる?」

 

「〈料理が上達したら、毎日あたしの酢豚を食べてくれる?〉だろ?勿論、覚えてる‥‥‥ごめん!」

 

「え?いきなりどうしたのよ?アタシ、アンタに謝られる事なんてしてないわよ?」

 

 鈴は俺にいきなり謝られて戸惑っていた

 

「いや、してる‥‥俺は少し前まであの言葉の意味を間違って受け取っていた‥‥‥お前の精一杯の勇気を踏みにじってた‥‥‥だから、ごめん!」

 

「‥‥そういう事‥‥やっぱりあの頃のアンタにはアタシの想いは届いて無かったのね‥‥でも、今は違うでしょ?なんせ、彼女まで作ってるんだからあの意味を気がついてこうして謝ってくれてる‥‥そうよね?」

 

 鈴は残念そうな顔をするが何となく分かっていたのか軽くため息を吐いてから聞いてきた

 

「ああ、俺はあの時は〈タダで飯が食える〉なんて受け取っていた‥‥‥だけど、刀奈と出会って‥‥《浮遊城アインクラッド》で過ごした二年で気がつけた‥‥‥あの言葉は中国なりの‥‥‥鈴なりの告白‥‥‥だった‥‥そうだろ?」

 

「‥‥ええ、そうよ。あの言葉はアタシなりの告白‥‥‥アタシは一夏‥‥アンタの事が‥‥‥更識一夏の事が好きです‥‥ずっと昔から好きでした」

 

 鈴は顔色を真っ赤にしながらも俺に告白してきた‥‥‥だけど、俺にはもう既に刀奈と心に決めている

 

「ごめんなさい、鈴の想いには答えられません‥‥」

 

「‥‥‥やっぱり答えが分かってるのに‥‥いざ言われると‥‥‥堪えるわね‥‥‥‥」

 

「鈴‥‥」

 

 鈴は俺がフルのを分かっていた‥‥‥それでもなお、こんな俺に告白したのは‥‥多分‥‥いや、これ以上は言えない‥‥‥フラれるのを分かっていて鈴は俺に告白してきた‥‥‥そして、俺の目の前でフラれた鈴は泣いている‥‥

 

「ごめん鈴‥‥‥ごめんな」

 

「バカ!‥‥‥今さっきフッた相手に‥‥‥優しくするんじゃ‥‥‥無いわよ!一夏の‥‥‥バカ!」

 

 俺は鈴を優しく抱きしめた‥‥鈴は泣きながら怒っていた‥‥普通それが当たり前だ‥‥‥ほんの数分前に俺は鈴をフッた‥‥フッた相手がフラれた相手に優しくすれば怒るのが当たり前だ

 

「あぁ、分かってるよ、俺がバカで現在進行形で馬鹿をやってることも‥‥全部分かってる‥‥だけどさ、目の前で大切な幼馴染みの鈴が泣いてるのに何もしないのは‥‥幼馴染み失格だろ?たとえ今さっきお前をフッたとしても俺達は友達で幼馴染みってことは変わらないだろ?」

 

「‥‥ほんと、アンタは馬鹿よ‥‥フッた相手を今まで通り友達って思えるなんて‥‥‥ホント馬鹿‥‥‥だからアタシはアンタに惚れたんだけど‥‥‥暫くこのままでお願い」

 

 鈴は泣きながらも俺に呆れていた‥‥だけど、鈴の顔は俺にフラれる前より何処かスッキリしていた

 

「ああ、分かったよ」

 

「‥‥‥‥ありがとう一夏。大好き」

 

 鈴は泣きながらもしっかりと俺に呟いた

 鈴のお願いの通り暫く抱きしめていると鈴から寝息が聞こえてきて俺は鈴を背負い屋上を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




 機体説明

機体名:伐鐵(うちがね)|星式《せいしき

型式番号:ORB-03IS

分類:連合X100系ガンダム
  第三世代型IS

装甲材質:ヴァリアブルフェイズシフト装甲+Eカーボン

動力機関:フォトン圧縮エネルギー

OS:独立制御ハロ

武装

連射型荷電粒子砲二門<春雷>。
超振動薙刀<夢現>。
6機×八門独立稼動型誘導ミサイルポット<山嵐>

搭乗者 更識簪




更識簪の専用機
元は倉持技研が作っていた〝打鉄弐式〟を織斑秋羅の専用機開発に人員を回され凍結。
以後、本人更識簪が兄である蒼や姉の楯無、IS委員会のマードック、キラ、アスランと言う豪華なメンバーで半日足らずで一度は完成させるが簪がマードック等に強化を依頼。
それから数日後に強化された〝打鉄弐式〟は〝伐鐵星式〟として生まれ変わった
システム内部も改修され〝打鉄弐式〟には積んでいなかった《シルエット・システム》が導入され武装はかなり増やされている。


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クラス代表戦 鈴VS秋

はっきり言って鈴ちゃん無双ですね
それから鈴ちゃん強化しすぎたかも


 

 

 

 

 2025年 4月24日 IS学園・第二アリーナAピット

 

 

 

「そろそろだな、鈴」

 

「えぇ、そうね、一夏」

 

 俺は更識一夏。今はソウ達と春萎と一緒にクラス代表戦一回戦目に出る鈴がいるAピットに来ていた

 

「ハルも一夏も‥‥‥それから、みんなも昨日はありがとう。これなら負ける気がしないわ!まあ、元々アイツに負ける気はしてないけどみんなのおかげで更に自身が持てたわ!」

 

 鈴はこの場に集まった俺達に軽くお礼を言ってきた

 昨日‥‥俺達は鈴に頼まれ朝、放課後をフルに使って鈴と模擬戦を重ねた。

理由は鈴が「織斑秋羅を捻り潰したいから力を貸して欲しい」と一昨日の夜に頼まれ俺も含めてみんな、快く受けて昨日を鈴の特訓に付き合ったのだ。

そのおかげか、鈴は一日で相当強くなったみたいで喜んでいた

 

「それじゃあ、行って来るわね。アイツだけは捻り潰してやりたいんだから!」

 

 鈴は一回戦の相手‥‥‥織斑秋羅への色々と混じったオーラを放ち闘志を燃やしていた

 

「大丈夫だと思うが油断するなよ、鈴」

 

「一応‥‥秋は兄だけど‥‥鈴、私の変わりにコテンパンにして!」

 

「任せなさい、ハル!アンタが受けた屈辱はアタシが兆にしてアイツに返してやるわ!!その為にアタシはこれを身につけるのよ!」

 

 鈴はブレスレットを俺達に見せるように腕を掲げながらISを展開させた

鈴のISは中国の第三世代型機体‥‥紫っぽいピンクと黒に黄色のラインでアンロック・ユニットが円形をした機体で名前は〝甲龍〟。

 

「それじゃあ、行って来るわ!ボロ雑巾にしてやるわ!」

 

 鈴は俺達にそう言うとアリーナに飛んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第二アリーナ

 

 

「よお、鈴。待ってたぜ」

 

 アリーナに鈴が出るとアリーナの上空で対戦相手の秋羅が修復された〝白式〟を纏って待っていた

 

「最後のチャンスをやる。鈴、俺の女になれ‥‥そうすれば俺が‥‥‥」

 

「寝言言ってんじゃ無いわよ、自称天才。アンタの女になんてなるわけ無いでしょ?アタシがアンタの事が嫌いなのまだ分からないわけ?」

 

「‥‥‥(チィ)ならないのなら力尽くで俺の物にしてやるよ!」

 

「やってみるがいいわ!今まで出来なかった分、コテンパンにしてやるわよ!」

 

 鈴、秋羅共に試合前から気合い十分で今すぐにも戦闘を始めそうな一触即発にまでお互いの気持ちが高ぶっていた

カウントダウンは刻々と過ぎていき‥‥‥そして‥‥

 

 

『試合、開始!』

 

「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 先制攻撃は織斑秋羅、《イグニッション・ブースト(瞬時加速)》と単一仕様(ワンオフ・アビリティー)零落白夜(れいらくびゃくや)》の取り柄も無い攻撃を仕掛けてきた

 

「‥‥馬鹿みたい」

 

 鈴は一言呟くと織斑秋羅の攻撃を手に持つ大型の青龍刀の双天牙月(そうてんがげつ)で防がず機体を逸らして回避した。

当然、織斑秋羅は観客席の防護シールドに激突して既に無様な姿をさらしていた

 

「クソ!避けるな!卑怯者!」

(アイツの性格ならこう言えば乗ってくるはず!)

 

 一つ、織斑秋羅は勘違いしていた‥‥‥目の前の鈴は確かに性格は短気な所があるがそれはコンプレックスや一夏に対してのことで「卑怯者」と言われた程度で沸点は超えることは無いのだ

 

「‥‥‥馬鹿みたい‥アンタ、この一週間何してたわけ?代表決定戦のデータを見せてもらったけど何の成長もしてないわよ‥‥‥これで良くクラス代表戦に望めたわね‥‥クラス代表にも一夏や蒼達が辞退したからなれた‥‥とんだ茶番ね」

 

 

「ちゃ、茶番だと!?」

 

 織斑秋羅は鈴を挑発してのせるつもりだったが逆に鈴にのせられていることに気がついていない

 

「ええ、茶番よ。なんの面白くも無い茶番。クラス代表決定戦から一週間も何もせずに素人が代表候補生に勝てると思ったのかしら?自称天才は一週間前にも同じ先制攻撃で負けてるのに全く進歩が無いわね?それで代表候補生のアタシに勝てるなんて片腹痛いわよ!」

 

「グェッ!!」

 

 鈴は双天牙月(そうてんがげつ)で秋羅を叩き勢い良く、防護シールドにあたり、アリーナの地面に倒れ伏した

 

「まさか、これで終わりじゃ無いわよね?さっさと立ちなさいよ!」

 

「ガアァ!」

 

 倒れていた織斑秋羅を鈴は蹴りとばしアリーナの壁にぶち当たり再び倒れそうな所を鈴が背負い投げするように大空へ投げ飛ばした

 

「ホントはアンタには使いたくは無いけど‥‥‥特別に見せてあげるわ!」

 

「グファ!!ガハァ!!」

 

 鈴がそう言うとアンロック・ユニットの円形の中心が少し動くと織斑秋羅が何かに当たったように吹き飛ばされた

 

「どうかしら、龍砲の威力は?本当ならアンタには勿体ないのをわざわざ使ってあげたのよ、少しは喜びなさい」

 

「鈴の癖にクソがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 

(漸く本音を見せたわね‥‥相変わらず薄汚いわね)

「これで終わりにしてあげるわ!」

 

 鈴は龍砲を連続で撃ち放つが、織斑秋羅は当たってもダメージを気にせずに突っ込んできた

 

「‥‥‥学習しないのね」

 

 鈴は双天牙月(そうてんがげつ)を量子変換してしまうと拳を腰の位置で構えた

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 鈴は体を横に向けながら腰で構えた拳を織斑秋羅に放ち、織斑秋羅は腹にもろにくらい《絶対防御》が発動し残りの《SE(シールドエネルギー)》を全て持って行った

 鈴が放ったのは中国八極拳の技の一つ冲捶 (ちゅうすい)

腰に構えた拳を体を横に向けながら放つ威力重視の突き技である

 

 

 

 

『し、試合終了!勝者‥‥‥』

 

「ッ!」

 

 

 勝負が決まりアナウンスがされて直ぐにアリーナの防護シールドが極大レーザーで破壊された

 

「いっ、一体何なのよ!」

 

 試合終了に合わせてAピットに戻ろうとした鈴は極大レーザーに軽く動揺していたが直ぐに冷静になりレーザーでおきた土煙の中心を双天牙月(そうてんがげつ)を構えて見た

 

「なによ‥‥‥アンタ達、何処の所属!?」

 

 土煙が張れるとそこには灰色の全身装甲(フルスキン)機体に同じく全身装甲(フルスキン)で頭部がサングラスを掛けたみたいな群青と黒と赤の機体に頭部がモアイの黒い全身装甲(フルスキン)の計3機が姿を現した

そして、3機の肩には赤くFと書かれていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




八極拳の説明は無意識で書いてるので間違っていたら申し訳ありません。
一応は調べてますけど間違っていたら申し訳ありません。


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IS乱入戦 地獄の管理人

今作の系列上、クリスマス番外編は無しでお送りします。


 

 

 

 2025年 4月24日 IS学園・第二アリーナAピット

 

 

「なんだあの機体‥‥」

 

 クラス対抗戦第一回戦終了直後、アリーナに3機のISがアリーナ内の防護シールドを破り侵入し観客席は騒然となった

 

『緊急事態発生!アリーナに所属不明ISが3機侵入!観客席の生徒は直ちに避難して下さい!専用機持ちは避難誘導をお願いします!繰り返し‥‥‥』

 

「ど、どうしようキリト君!」

 

「お、落ち着けアスナ!」

 

「キリトの言うとおりだ。取り敢えずは手分けして避難ゆう‥‥‥」

 

「と、扉が開かないよ!?」

 

「ど、とうしてよ!?」

 

「わ、私に聞かれても分からないわよ!!」

 

「い、嫌だ、出してよ!出しなさいよ!」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 山田先生の放送に従い避難誘導をしようとするが観客席の扉が開かないと誰かが叫び観客席にいる生徒達から悲鳴が漏れ出した

 どうしようかと考えようもすると俺のスマホが鳴り、誰かと確認する前に電話に応答する

 

「はい、ソウです」

 

『アスランだ。緊急事態なのは分かっているが蒼に頼みがある。そちらに所属不明機が3機侵入したのは分かっているがそいつらの破壊をお願いしたい。』

 

「破壊ですか?」

(IS委員会の委員長の直属部隊のアスランさんが普通こんなことを一生徒に頼むことなのか?)

 

 俺はアスランさんの頼みに少し疑問を持ちながらアスランさんの話を聞いた

 

『ああ、そうだ。3機の内、2機は〝GAT-01ストライクダガー〟と〝ZGMF-1017ジン〟と言い、IS委員会で量産化を計画していたが実用には至らない機体で試作機が1機ずつとデータがあったのだが先日、委員会のデータベースからその2機のデータと発展機のデータ、それからロールアウトされたばかりの十機が奪取されてしまった。奪取した奴らは未だに分かっていないがどの機体もビーム兵器を搭載していて危険だ。装甲も実弾を通りにくくしてあり破壊しやすいのはそこに居る中でお前かお前の妹の〝伐鐘星式〟だけだ‥‥‥お前には申し訳ないが引き受けてくれないだろうか?』

 

「‥‥IS委員会からの奪取機ですか‥‥分かりました!俺にしか出来ないならやります」

(IS委員会から奪取出来る組織はそんなに多くない‥‥‥ビーム兵器を再現できるのは某国くらいか‥‥‥)

 

『すまない。これにて通信を切る』

 

「了解‥‥‥‥みんな聞いてくれ」

 

 アスランさんからの電話を切ってから俺はみんなにアスランさんから聞いたことを話した

 

「と、言うことだからみんなは避難誘導をしてくれ、扉を破壊して構わない。一刻を争うみんな頼む。それから、チカ、簪は俺と一緒に侵入ISを破壊してくれ」

 

「わかった」

 

「うん!任せて」

 

「分かりました」

 

「任せて~」

 

「了解よ!」

 

「了解だ」

 

「うん」

 

 俺、チカ、簪はAピットへ他のみんなはそれぞれ三つの扉に別れて行動を開始した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあぁぁぁ!」

 

 俺はAピットのに続く隔壁を武器展開した<ガーベラ・ストレート>で破壊しながら進んでいき俺、簪、チカはAピットに十分近くでたどり着けた

 

「それじゃあ、行くぞ」

 

「うん」

 

「ああ!」

 

 俺の掛け声と共に俺達、三人は機体を展開させ、俺からカタパルトに合わせた

 

≪ソウ・サラシキ〝ストライク〟行きます!≫

 

 俺は〝ストライクF〟の蒼い翼を広げアリーナに飛び出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリーナ

 

「あぁ!もう、なんなのこいつら!」

 

 蒼達が動き出して直ぐのアリーナ内ではピットに戻ることの出来ないで居る鈴が侵入してきた三機の攻撃を躱し双天牙月(そうてんがげつ)や龍砲で反撃していたが装甲を破壊できず決定打を決められないでいた‥‥‥‥そして‥‥

 

「ああ!どうして俺を攻撃してくるんだよぉ!」

 

 先程の試合でエネルギー切れを起こし既に戦うことの出来ない織斑秋羅が乱入してきた三機のうち1機に襲われていた

 

「いいからアンタは早くピットに戻りなさい!アンタを守って戦う余裕なんて無いんだから!」

 

「っんなことお前に言われなくても分かってるんだよ!!頼むぞ〝白式〟!」

 

 織斑秋羅は〝白式〟を使い無理矢理にCピットの方に退避した

 鈴はそれをストライクダガーとジンとの戦闘をしながら確認して軽く溜息を吐いてから片方の アンロックユニット(非固定浮遊部位)をもう1機に向けて龍砲を威嚇で放ち三機目をこちら側に引きつけた

 

「やれるか分からないけど時間稼ぎを出来るだけするしか無いわね‥‥‥アタシが倒れる前に来なさいよ‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏」

 

 

 

 

 

 鈴は援軍が来ることを願いながらストライクダガーとジン、灰色の機体との戦闘を再開させた

 

「クッ!」

(まずは一体!ビーム兵器を積んでいるあの機体と実弾機でも装甲が厚いあっちの機体よりビームの質力が低くて装甲がそこまでじゃないあの灰色のをなんとか出来れば!)

 

 鈴は双天牙月(そうてんがげつ)を振り回し三機に接近されにくくするがビームライフルや実弾の嵐に晒される中、灰色の機体にターゲットを絞り行動しようとする

 

 

「っ!?なんてもん出してるのよ!?」

 

 だが、鈴はジンが量子変換でミサイルを取り出して来たのを見て直ぐにジンへと対象に切り替える

 

「龍砲!きゃっ!」

 

 鈴はジンの発射したミサイルに龍砲の弾を当て爆発させるがミサイルの爆風で吹き飛ばされてしまう

 

「‥はぁ‥‥はぁ‥‥‥はぁ‥‥うぅ!」

 

 地面に倒れた鈴は立ち上がると同時に左手で右腕を押さえる‥‥地面すれすれで戦っていた鈴は先程の爆風で吹き飛ばされて地面に倒れたときに右腕を強く強打してしまっていた

 

「ッ!」

 

 負傷してしまう鈴、だが三機は休む間もなく鈴に向かってライフルやアサルトライフルを連射してくる

 鈴は左右へと旋回してライフルのビームや弾丸を回避していくが不意に伸びてきた機械の腕に捕まってしまう

 

「ウグッ!」

 

 機械の腕ら灰色の機体から伸びていて鈴の負傷している右腕を強く握り抑えてくる。

 鈴は痛さのあまりに顔を歪ませてしまう

 

「‥‥この‥‥離しなさい‥‥よ!グッ!」

 

 灰色の機体に龍砲を放とうとするがストライクダガーとジンの銃撃により

〝甲龍〟 の アンロックユニット(非固定浮遊部位)が破壊されい龍砲が撃てなくなってしまった

 

「‥」

(アタシ‥‥もう、死んじゃうんだ‥‥切角一夏と再開出来たのに‥‥‥もうお別れなんだ‥‥ごめんねハル‥‥ごめんね一夏‥‥‥)

 

 鈴は灰色の機体の片腕から発射されそうな光を見て涙を流し自分の死を覚悟していた

 

「‥‥」

(和人、蒼‥‥それから楯無さん‥‥一夏の事お願いします‥‥アタシは‥‥‥)

 

 発射寸前の光を見て目を瞑り涙を流す鈴、一人の少女の命の炎を刈り取る光が放たれるその瞬間‥‥

 

「りぃぃぃぃぃぃぃん!!」

 

「い、一夏!?」

 

 鈴は自分を呼ぶ声に目を開き声の主の名前を呼んだ

声の主、一夏は先にアリーナに出た蒼よりも速く動き鈴の傍まで来ていた

 

「汚い手で鈴に触れるなぁ!!」

 

 一夏は<桜雪>の一振りで灰色の機体の腕を切り落とし鈴を自由にさせた

 

「鈴、大丈夫か!?」

 

「え、ええ‥」

 

 解放された鈴は座り込んでいると一夏が駆け寄ってきた

 

「‥‥鈴音さん、大丈夫ですか?」

 

≪遅れてすまないな≫

 

 鈴、一夏の下に蒼と簪も駆けつけると鈴はホッとしたのか軽く深呼吸をする

 

「蒼も簪もありがとう‥‥助かったわ」

 

 鈴は負傷した右腕を庇いながらゆっくりと立ち上がり蒼と簪に礼を言う

 

≪気にするな、俺達はもう、友達だ。友達なら助けるのは当たり前だ‥‥それよりもだな‥‥≫

 

 少しだけ冷たい蒼の声に鈴は不思議と自身が悲しくなったのを感じつつ蒼が向いた方向の三機を睨んだ

 

≪鈴音‥‥君はピットに戻れ、ここまで一人でよく頑張った≫

 

「アタシも戦うわ!って言いたいんだけど素直にピットに戻るわよ。正直体のあちこち痛くて限界なのよ」

 

 鈴は右腕を押さえながら少し残念そうな顔をしていた

 

≪ピットに戻るまで簪に着いていってもらう。いいよな?≫

 

「ええ、お願いするわね、簪」

 

「うん、お願いされた‥‥‥‥《サバーニャ》」

 

 簪が《サバーニャ》と呟くと〝伐鐵星式〟の アンロックユニット(非固定浮遊部位)が量子変換で仕舞われ白と水色で連結された盾の様な浮遊物が片方七機計14機が アンロックユニット(非固定浮遊部位)として量子変換され《ノーマルシルエット》と比べると装甲が増量され胸部・両肩・腰部装甲・両脚各部にミサイルポットが追加され頭部にはガンダムタイプのアンテナが装備された

 

「これが中遠距離型《サバーニャシルエット》を装備した〝伐鐵サバーニャ〟。鈴音さんを送りながら援護するよ」

 

≪これは頼もしいな‥‥‥頼んだよ、簪≫

 

「任せてお兄ちゃん。行くよ、鈴音さん」

 

「えぇ」

 

 簪はアンロックユニット(非固定浮遊部位)から<ピストル>を二丁取り出して鈴と一緒にAピットに向かって飛んでいった

 この時、蒼と簪の兄妹の会話を聞いていた鈴は自身も分からないほどに心の中に小さな何かが芽を出し始めていた

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




サバーニャは映画最終決戦仕様のほうです。その代わりIS仕様にしているため装備の位置が若干変わっていたりします


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IS乱入戦 純白の輝き

すみません!
最後かなり雑になってしまいました!


 

 

 

 2025年 4月24日 IS学園・第二アリーナAピット

 

 

 簪side

 

「ここまで来れば大丈夫だと思うよ」

 

「ありがとう、簪」

 

 私は乱入IS三機を相手に一人で戦っていた鈴音さんをAピットまで護衛もかねて連れてきました

 

「簪ちゃん!」

 

「かんちゃん~りんりん~」

 

 私達を待っていたのはお姉ちゃんと本音、それからストレッチャーが置いてありストレッチャーの後ろに教師が二人待っていました

 

「お姉ちゃん、本音!」

 

「楯無さん‥‥‥本音‥‥りんりんは辞めて」

 

 鈴音さんは酷く疲れた顔をしながら本音のあだ名呼びにツッコんでました

 

「‥‥鈴音さん、大丈夫?」

 

「多少は痛いけど大丈夫よ‥‥それにしても用意が早くない?ストレッチャーを用意なんて連絡、私も簪もしてないわよね?」

 

 ストレッチャーに横になる鈴音さんが用意周到のこの場の事を聞いてきた

 私と鈴音さんはアリーナからピットに戻るまで通信をしていなかった

ストレッチャーを用意させて教員も準備させるなんてとてもじゃないけど簡単にはできないはず

 

「ソウ君が私にアリーナの状況と鈴ちゃんの容態を教えてくれたのよ。私は生徒会長としてストレッチャーと教員を手配しただけだからソウ君に感謝しないとね?」

 

「‥‥はい、そうですね‥‥‥簪‥‥」

 

「何?鈴音さん」

 

 私はお兄ちゃんを流石だと思います....既にアリーナでは戦闘音が聞こえて激しい戦闘が始まっています.....その中でお姉ちゃんに連絡して状況を説明できるなんて私には出来ません

 

 

「貴方のお兄さん....凄いわね」

 

 鈴音さんの顔はほんのり赤くさせて言ってきました

 

「うん、知ってる。私の自慢のお兄ちゃんだからね」

 

 私は鈴音さんに言うと微笑みました

 だけど....この場に機械音と共に衝撃が走りました

 

『テッキセッキン、テッキセッキン』

 

「「「ッ!!」」」

 

 〝伐鐵サバーニャ〟から敵機接近の警戒音がながれゲートの方を向くと直ぐに鈴音さんを捕らえていた灰色の機体が下から現れた

 

「ホルスタービット!」

 

 私はとっさに14機の<ホルスタービット>を展開し1機に1機をつなげてシールドとして使う<ビットシールド>を計7機をみんなを守るように展開させた

 

「....クッ」

 

 灰色の機はビームを連射して私達を襲うが<ホルスタービット>のシールドが私達を完璧に護ってくれていた

 

「今!当たれ!」

 

 

 私はビームの嵐がやんだ一瞬の隙を突いて手に持っている<ピストルビット>二丁で灰色の機体に向かって連射した

 連射したビームは全て灰色の機体に当たり爆発した

 

「ふぅ....お姉ちゃん達は早くここから退避して!私はお兄ちゃんの援護をするから危険だから離れて!」

 

「わ、わかったわ!みんな、早く!」

 

 私がお姉ちゃん達に叫ぶとお姉ちゃんを筆頭にストレッチャーに乗せた鈴音さんを連れてAピットを離れていきました

 

「よし……<ライフルビット>!」

 

 私は<ホルスタービット>に<ピストルビット>を戻して新たに遠距離射撃型<ライフルビット>を取り出しました

 

「〝伐鐵サバーニャ〟カンザシ・サラシキ……目標を狙い撃ちます!!」

 

 私はお兄ちゃんの援護の為、ライフルビットの引き金を引こうとしました……が別のピットから白い機体が出て行くのが見えて中断しました

 

「はあぁぁぁぁぁ!!」

 

「…バカ」

 

 私は別のピットから出て来た白い機体………織斑秋羅と〝白式〟に毒づいてからもう一度狙いを定めた

 

 

 

 

 

 

 アリーナ

 

 蒼side

 

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「「ッ!!」」

 

 俺とチカが〝ストライクダガー〟と〝ジン〟戦闘を開始させてから十分くらいが経った時………Aピットで爆発音が聞こえ簪が灰色の機体を破壊したのを確認した直後……反対のピットから白い機体……白式と世界初の男性IS操縦者の織斑秋羅が出て来て<雪片二型>を一番近い〝ストライクダガー〟に目掛けて振るった

 

≪チィ、邪魔な奴が……≫

 

 俺は毒づき、チカは少し殺気を漏らしていた

 

「ッ!クソがぁ!俺の前に這い釣りくたばれ!」

 

 ストライクダガーに剣を振るう織斑秋羅だが、ストライクダガーには傷すら付かず織斑秋羅は直ぐに苛立ち〝白式〟の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)零落白夜(れいらくびゃくや)》を発動させてストライクダガーに襲いかかるがシールドで防がれてカウンターの顔面パンチを食らい外壁にぶつかり倒れた

 

≪邪魔為やがって……チカ、早く片付けるぞ≫

 

「あぁ‥‥」

 

 チカの様子が可笑しかったが今は気にすることが出来ずに俺はストライクダガーに向けてライフルの引き金を引いたがストライクダガーはシールドで防ぎライフルの引き金を引いてきた

 

≪クソ!≫

(俺の射撃じゃあ、当てることは出来ないのか‥‥‥だったら!)

 

 俺はビームライフルを戻し二本の<ガーベラ・ストレート>を<コール>し構えた

 

≪行くぜぇ!≫

 

 二本の<ガーベラ・ストレート>を構えストライクダガーに接近しようとすると‥‥‥

 

『秋羅あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 いきなりアリーナ全体にスピーカーから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

『男なら……男なら、その位の敵に勝てなくてなんとする!!』

 

 ストライクダガーに注意しながら音の為た方に視線を向けると、放送室室を占領してマイクを握る篠ノ之箒の姿が見えた。

 放送室には審判と他にも数人いたはずだがどうなっているかはこちらからでは見えないが良くないことは確かだろう

生徒の避難誘導を進めている中で行われた篠ノ之箒の行動は余りにも自分勝手の無謀で愚かな行為だ。これではカタナ姉さん達の避難誘導の意味がなくストライクダガー達が篠ノ之箒の方に行ってしまうと‥‥と考えついた時には既に遅く、直ぐ近くからビームの音が聞こえ白緑のビームが放送室に目掛けて進んでいた

 

≪今から‥‥クゥ!≫

(不味い!間に合わない!)

 

 放送室に向かうビームを全力で止めに行こうとするがストライクダガーの攻撃によって阻まれてしまい、いくらバーニアをふかしても間に合わない距離に到達していた

 ビームが放送室に当たれば中にいる人は確実に死んでしまう‥‥諦め掛けた瞬間‥‥放送室とビームの間に何かが割り込みビームを防いだ。

何かがビームを防いだ事で黒煙が立ちこめていたが黒煙の中から織斑秋羅の〝白式〟と同じく白だが黒煙の中にいてもわかる程、輝いている白が基準で赤色の線が施してある機体で右手には刀身が輝いている日本刀を持っていた

 

『こちら、〝白夜〟春奈です』

 

≪は、春萎さん!?≫

 

 ビームを防いだ純白の機体に乗っていたのは春萎さんだった事に俺は驚きを隠せなかった

 

『微力ながらお手伝いさせていただきます』

 

≪あ‥‥あぁ≫

(春萎さんの様子が変だ)

 

 春萎さんの口調が変わっていることに俺は少し戸惑いを感じていたが直ぐに意識をストライクダガーに向けた

 

『行きます!』

 

≪了解!≫

 

 俺は隣に降りてきた春萎さんと同時にストライクダガーに向かう

ストライクダガーはライフルで射撃をしてくるが狙いが定まって無く容易に躱していくことが出来た

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 春萎さんが先に出て左腕とライフルを切り落とした

 

「今です!」

 

≪終わりだぁ!!≫

 

 春萎さんの合図に合わせ二本の<ガーベラ・ストレート>をクロスに振りストライクダガーを切り裂いた

俺と春萎さんがその場を離れるとストライクダガーは爆散した。

ストライクダガーの爆散と同じくチカがジンにとどめを刺してジンも爆散した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

「‥‥私だ」

 

 真っ暗な部屋の中、一人の女性がスマホを片手に誰かと話し始めた

 

『久しぶりね、〝T〟今日の性能テストはどうだったかしら?』

 

「委員会から奪取した〝ストライクダガー〟と〝ジン〟それから束から奪取した〝ゴーレムⅠ〟だったか?ダメだな、素人なら兎も角、熟練した操縦者には勝てないだろう」

 

 電話相手は女性‥‥双方の女性はIS学園の襲撃事件を事前に知っていた素振りで話していた

 

『やっぱりそうよね~わかったわ、主任にAI向上をさせておくわ』

 

「あぁ、そうしてくれ。私も夏休み前には手土産を持って其方に合流する。それまでに私の専用機を仕上げおけ」

 

『わかっているわよ、それじゃあね。T』

 

 電話相手の女性はそれだけ言うと通話を切った。

電話をした女性は部屋の中にある石化したISを見ていた

 

「お前にも私のために働いて貰うぞ」

 

 女性は石化したISに向かってそれだけ言うと部屋を出て行った

 その場に残ったのは石化した状態のIS‥‥現役時代の織斑千冬の専用器〝暮桜(くれざくら)〟だけだった

 

 

 

 

続く



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祝賀会

 

 

 

 2025年 4月27日 IS学園・ソウの部屋

 

「えっーと、クラス代表戦、鈴音の優勝に乾杯!!」

 

「「「「「「カンパァーイ!!!!!!」」」」」」

 

 クラス代表戦と侵入者戦から四日‥‥まずは侵入ISを破壊してからだが、俺、チカ、簪の三人と春萎さん‥‥それから織斑秋羅は無断出撃の為に山田先生から注意を受け学園長の指示で反省文三十枚の罰を受けることになったが放送室を乗っ取り、放送室内にいた教師と生徒に暴行を行った篠ノ之箒は一ヶ月の自室謹慎と二週間の懲罰房逝き、百五十枚の反省文の重罰を喰らったらしい

 それからクラス代表戦は中止にはならず、翌日に二回戦目と三回戦だけ行われて負傷が治ってないのに関わらず見事に鈴音が優勝をもぎ取った。

今日は、俺や簪、キリトにアスナ、刀奈姉さんにチカ、サクヤに本音、セシリアと春萎さんを含めた11人で細やかな祝賀会を俺と春萎さんの部屋で行うことになった

 

「鈴、身体大丈夫?無理して試合出たんだから心配したんだよ?」

 

「ハルってば心配しすぎよ?私の丈夫さはハルが一番知ってるでしょ?でも、心配してくれてありがとう」

 

 俺やチカにアスナや春萎さんが簡単に作った料理を取っていると幼馴染みである春萎さんが鈴音の身体を心配しながら聞いているのが聞こえた

 鈴音はクラス代表戦が続行されることになったのを聞くと無理して負傷した身体を推して試合に臨み優勝した‥‥その時の春萎さんの心配している様子はSAO生還者の誰もが何度か経験した表情をしていたのを良く覚えている

 

「アンタ達に頼みがあるんだけどいいかしら?」

 

「?」

 

 祝賀会の途中、鈴音と春萎さんから声を掛けられた

 

「アタシとハルでALOを買ってきたからやり方とか教えてくれない?」

 

「本当か?勿論いいぜ、な?みんな!」

 

「「「「「「あぁ!(えぇ)(うん)」」」」」」

 

 みんな、快く引き受けるとみんな、新しい仲間が増えるのが嬉しいのかいつも以上に笑っていた

 

「あ、あの‥‥わ、わたくしも通販で買ったのが漸く届きましたのでお願いいたしますわ」

 

 少し緊張しているのかセシリア・オルコットの声は少しだけ震えていたが春萎さんと鈴音がセシリア・オルコットの手を握った

 

「これからが私達の仮想世界が始まるわね。お互い頑張りましょね!」

 

「え‥‥えぇ!よろしくお願いしますわ!鈴さん、春萎さん!」

 

「こちらこそよろしくね?セシリアさん」

 

「こっちこそよ、セシリア!」

 

 ALOをこれから始める3人は祝賀会の中で一層に仲良くなっていた。

 

「えっとそれで、始めるときに何をすればいいんですか?プレイヤーは妖精種族を選んでって聞いてますが‥‥」

 

「あぁ、火妖精族(サラマンダー)水妖精族(ウンディーネ)風妖精族(シルフ)土妖精族(ノーム)闇妖精族(インプ)影妖精族(スプリガン)猫妖精族(ケットシー)工匠妖精族(レプラコーン)音楽妖精族(プーカ)の9つから決めるんだ。因みに俺は闇妖精族(インプ)だ」

 

「私と本音、お姉ちゃんにアスナさんは水妖精族(ウンディーネ)だよ」

 

「俺は影妖精族(スプリガン)だ」

 

「俺は風妖精族(シルフ)だ」

 

「私は猫妖精族(ケットシー)です」

 

「ここに居るメンバーだけで半分の五種族なんですね‥‥‥えっと、何か選ぶコツ‥‥では無いですね、種族事に得意分野があるんですか?」

 

 熱心に聞いてくる春萎さんにチカが苦笑いしていた

 

水妖精族(ウンディーネ)が一番明確だな。水妖精族(ウンディーネ)は俗に言う【ヒーラー】で回復魔法が得意なサポート種族だな。火妖精族(サラマンダー)は簡単に戦闘民族でパワーが売りだな。風妖精族(シルフ)は機動力が高く幅広く戦える【万能型】。猫妖精族(ケットシー)は眼が9つの種族で一番高くて索敵や弓などの遠距離が得意だな。それか9つの種族の中でモンスターテイムするのが一番に得意だ。影妖精族(スプリガン)は宝物探しや幻影魔法が得意な【トレジャーハンター】だ。闇妖精族(インプ)は月光りが無くても飛ぶことが出来る種族だ。工匠妖精族(レプラコーン)は名前の通りに鍛冶が得意で工匠妖精族(レプラコーン)が作り出す武具は性能はかなりいい。音楽妖精族(プーカ)は歌でいろんなサポートをする【サポーター】。最後に土妖精族(ノーム)は土魔法を得意として壁役を任せられるほどにタフだな。こんな所か?」

 

 俺が話し終えるとキリト達は頷き、春萎さんはなんかメモを取っていて鈴音は何か呟き、セシリア・オルコットに至っては頭から煙を出していた。

 

「ソウさん、教えてくださりありがとうございます。私は兄さんと同じ風妖精族(シルフ)にします」

 

「アタシはサクヤと同じ猫妖精族(ケットシー)にするわ」

 

「わ、わたくは水妖精族(ウンディーネ)をすることにいたしました。遠距離はわたくしの距離でしてよ」

 

「調子に乗らない‥‥貴方が言うには私に勝ってから言って」

 

「う、すみませんでした」

 

「あはは‥‥」

 

 セシリア・オルコットはIS戦でサクヤに一度も勝ったことがない‥‥その事を言われセシリア・オルコットはシュンとなってしまい、みんな笑っていた

 

 

 

続く



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SAO生還者の集まり

今年最後の投稿になります。
リメイク前の話をほぼコピペしてきたのでそんなに時間はかからず書き上げられました。

それでは今年最後の投稿どうぞ~


 

 

 

 

 

 

 

 5月12日 IS学園・食堂

 

 俺達、六人はいつも通り朝食を取りに食堂に来ていた。

 

「一夏、蒼おはよう!」

 

「お姉ちゃん、お兄ちゃん、おはよう」

 

「ソウソウ、おはよう~」

 

「みなさん、おはようございます」

 

「みなさん、おはようございます」

 

 食堂に着くと俺達を待っていたのか簪と本音、クラス代表戦後からALOを始めたリノこと春萎さん、スズこと鈴、シアことセシリアが待っていた

 

「おはようみんな」

 

「おはよう、かんざしちゃん!」

 

 俺達六人も挨拶を交わしてから料理を選びに列に並んだ

 

「今日は和風Aセットしようかな……」

 

「 じゃあわたしも♪」

 

「キリト君は、この『洋風朝食セット』でいいよね?」

 

「そうだな。アスナは?」

 

「わたしもキリト君と同じのでいいよ♪」

 

 夫婦円満なこの光景。アインクラッドの頃から一切変わらない。だが……他の生徒達は…。

 

 

「おばちゃ〜ん!! 七味ある? 大量に欲しいんだけど!」

 

「きょ、今日はブラックコーヒーにしようかなぁ〜……」

 

「あぁ……。ならわたしも……」

 

 と言った具合に、四人が甘い空気をだしているので苦い物や辛い物を大量に摂取していた……だが、さらに夫婦円満では無いが甘いオーラを出しているのが……

 

「俺はいつもの《スペシャルトーストセット》で。サクヤは?」

 

「……私は『洋風朝食セット』で」

 

 四人の隣で俺とサクヤが料理を頼んでいる……そこまでは普通だが、問題はここ最近、サクヤが俺の左手を握っているのだ。

 

 

「お姉ちゃんもお兄ちゃんも………少しは私のみにもなって……」

 

 料理を持って簪達の席に行くと簪に呆れながら言われてしまった。

 

「こればかりはね~」

 

「そうだな……こればかりはどうしようも無いなぁ~」

 

 俺とカタナ姉さんがそう言うと簪がため息を吐き呆れていた

 

「そうだ、鈴にセシリア、簪、本音、春萎さん……午後空いてるか?」

 

「まぁ、空いてるわよ?」

 

「はい、空いてましてよ?」

 

「うん、空いてるよ?」

 

「私も空いてるよ~」

 

「はい、空いてます」

 

 食事中、俺が思い出したように五人に空いてるかと聞くとみんな、空いてると言ってきた。

 それから春萎さん達がALO始めた際にセシリアと鈴の呼び方を変えた‥‥いや、変えざるを得なかった‥‥事は一週間近く前のことだ‥‥その日は俺とゆうちゃん、ソウキとミノリちゃん、シアとスズでスキル上げをしにユグトラシル近くの森に行ったときにシアとスズにしつこく言われ更にはゆうちゃんにも『そうした方がいいんじゃない?仲間なんだしさ!』と言われ呼び方を変えざるを得なかった

 

「今日の午後な、俺達六人とも出掛けるんだけど……良かったら一緒に来ないか?」

 

「いいんですの?」

 

 俺の突然な話に五人とも少し戸惑っていた

 

「いいに決まってるから聞いてるんだ。もし、他にやりたいことがあるなら無理して来いとは言わない」

 

「あたしは別に良いけど…………どこ行くのよ?」

 

 鈴が少しだけ戸惑いながら聞いてきた。

 

「……SAO生還者の『オフ会』」

 

 

 

 

 

 

 

 12日 港北総合病院

 

「あっ、ソー、ソウキ、美乃梨ちゃん!」

 

「「ママ/お母さん!」」

 

 俺はキリト達より早くIS学園を出て小学校にソウキと美乃梨ちゃんを迎えに行ってからゆうちゃんの入院している港北総合病院に三人でゆうちゃんを迎えに来ていた。

 ゆうちゃんはリハビリを続けていて今は松葉杖ありなら自分で歩けるまでに回復していた……だけど、今日は長時間立っていたりしないといけないので車椅子でゆうちゃんは行くことになっている

 

「ゆうちゃん……なかなか、会いに来れなくてごめんね?」

 

「うんん、気にしないで?IS学園からかなり遠いんだし……ソーも男性IS操縦者だから忙しいでしょ?ボクはソウキや美乃梨ちゃんが毎日来てくれるから大丈夫だよ?」

 

 俺がかがみながらゆうちゃんに謝るとゆうちゃんは優しく言ってきた。

 

「本当に?俺に心配させたくないのはわかるけど……嘘は言ってほしくないよ?」

 

 俺が言うとゆうちゃんは少し深呼吸して笑ってくる

 

「……やっぱり、ソーには嘘はつけないや…………本当は寂しいよ……こっち(現実)に戻ってこれたのにまた、離れ離れだからさ………でも、ボクが弱音を吐いたらソーに心配かけるから……それだけは嫌だからさ……」

 

 

「ゆうちゃん……………」

 

 俺はゆうちゃんを抱きしめていた

 

「ごめんね、ゆうちゃん………これからはなるべく寂しい思いはさせないから……」

 

「ソーが謝ることじゃないよ……でもありがとう」

 

 ゆうちゃんは俺の頭を撫でてきた

 

「パパ、ママ……イチャイチャするのはいいけど……そろそろ、行かないといけないよ?」

 

 俺とゆうちゃんはソウキの言葉でハットしてお互い赤い顔をしていた

 

「そ、そ、そうだな!早く行かないとな!」

 

「う、うん!早く行かないとね!ソウキ、美乃梨ちゃん行くよ」

 

「「うん!」」

 

 俺とゆうちゃんは少し動揺しながらも二人を連れて病院を後にする。

 

 

 

 

 12日 ダイシーカフェ

 

「あっ、ユウキ!」

 

「あっ、アスナ!」

 

 俺とゆうちゃん、ソウキに美乃梨ちゃんの四人が『オフ会』会場のダイシーカフェに着いたときに俺以外のIS学園組が歩いてきて親友のアスナとゆうちゃんが嬉しそうにお互いの手を取り合う。

 

「あの、蒼さん……そちらの方々は?」

 

 ALO内で会ってはいるが現実で会うのが始めてな鈴とセシリア、春萎さの中でセシリアが不思議そうに聞いてきた。

 

「三人は初めてだったね……ゆうちゃん、ソウキ、美乃梨ちゃん、初めてあうから自己紹介お願い」

 

 俺がそう言うとゆうちゃんがアスナから少し離れて三人に向き直る

 

「初めましてになるかな?ボクは紺野 木綿季です。ALOのプレイヤー名はユウキ。ソーとは結婚を前提にお付き合いしています」

 

「僕は更識 朷夜、プレイヤー名はソウキ。年は九歳、パパとママの子供です」

 

「私は更識 美乃梨です。プレイヤー名はミノリ。朷夜の一つ上の姉です。いつもお父さんがお世話になってます」

 

「「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!????」」

 

「!?」

 

 鈴とセシリアは驚いて声を上げ春萎さんは声は上げなかったが驚いていた

 

「まあ、細かいことを後で話すから行こうぜ」

 

 俺はこの場で説明をするのが面倒なのでとりあえず中はいることに……

 

 ダイシーカフェと表された看板の下には、『本日貸切』の掛札が掛けられていた。

 キリトが先頭に立ち、入り口のドアを開ける。と、中には参加メンバー勢揃いでの出迎えが待っていた。

 

「おいおい……俺たち、遅刻はしてないぞ?」

 

「ふっふーん♪ 主役は最後に登場するものですからねぇ〜。あんた達にはちょっと遅い時間を伝えていたのよ」

 

「さぁ、みんな入って! それから、あんたはこっち!」

 

「とッ!? お、おい!」

 

 リズベットこと篠崎 里香に連れられ、キリトは壇上に上がる

 そして……

 

「えー、それではみなさん! ご唱和ください! せーのっ!!!」

 

『『『キリト! SAOクリア! おめでとうッ!!!!!!!!!』』』

 

 

 

 里香の合図で、キリトを祝福する声と大量のクラッカーの音が、店内に鳴り響く。

 そして、キリトの後方にある壁から垂幕が下がり、手書きで書かれたCongratulations!の文字。

 

 

「あ……あぁ……」

 

「はい! これ持ってぇぇ〜〜かんぱぁ〜〜いッ!!!」

 

『『『かんぱぁ〜〜いッ!!!!』』』

 

 こうして、オフ会が始まり、アスナ、サクヤ、カタナ姉さんは簪達、ALOでの新たな仲間達をメンバー達に紹介するためにみんなの所に、ゆうちゃんとソウキ、美乃梨ちゃんはゆうちゃんのお姉さんのランさんこと藍子さんと仲良く話している。

 そして俺達は……

 

 

「マスター。バーボン、ロックで」

 

「じゃあ、俺も同じので」

 

「俺も同じので」

 

 カウンターに並んで座り、マスターであるエギルに注文する。

すると、俺達の目の前にロックグラスに入った茶色の液体が配られる。

差し出した本人を見てみると、「ふんっ…」と鼻で笑って見ている。

キリトとチカがそれを口にすると………

 

「なんだウーロン茶か……」

 

「ですね……」

 

 キリトとチカは少し驚きながら少し残念そうに言った

 

「それより、本当にソウはよかったのか?攻略組ギルドのリーダー……《西風の旅団》リーダーのお前ががあの場にたたなくて?」

 

「いいんだよ、ラスボスヒースクリフを倒したのはキリト……お前で俺は何もしてない。SAOをクリアしたのは紛れもなくキリト、お前だよ」

 

 俺がそう言うとキリトは何処か悲しそうな顔をしていた

 それからクラインが割り込んできたりシンカーさんが話しかけてきたりとわいわいしていた………そして、その様子を、眺める六人の姿。

 

 

 

「皆さん…とても楽しそうですわね……」

 

「ほんとねぇ〜。あんな一夏も初めて見たし…」

 

「私も、お姉ちゃんとお兄ちゃんがあんなに笑ってるとこ、初めて見たかも……」

 

「そうだね~私も見たこと無いよ~」

 

「……………」

 

「…………」

 

 つい最近ALOを始めた鈴やセシリア、春萎さん……旧ALOからやっているキリトの妹のリーファこと直葉さん、本音、簪の六人は、なんだか気まずさと言うものをいだいていた。

 

「正直来なかったほうがよかったって顔をしているな?」

 

 

「「「「「「ッ!…」」」」」」

 

 俺が六人の前に歩きながらそう言うと六人とも、少し驚いていた。

 

「お兄ちゃん……」

 

「まあ、そういう顔をするのは仕方ないよ……それでも、俺が声をかけたのは現実で見てほしかったんだ……デスゲームの二年間は俺達、生還者に仲間という大切な物を残してくれた……そして、俺達はあの世界で死んでいった4000人の魂を背負って行かないといけない誰が言おうとそれは変わらない……それが生還できた俺達の絆でありあの世界の証なんだ」

 

「「「「「…………」」」」」」

 

 俺の話に六人とも黙り込んでしまう

 

「まあ、湿っぽいのは無しだ。せっかく来たんだからもっと楽しめよ」

 

 俺はそう言って6人から離れみんなの居る方に歩いて行った

 

 

 

 

 

 12日 アルヴヘイム・オンライン アルン上空・ユグドラシルシティ

 

 俺とゆうちゃん、ソウキにミノリちゃんはみんなとは別にユグドラシルシティに来ていた

 

「ねぇ、パパ。これからなにがあるの?二次会って事は聞いてたんだけど……」

 

「私も何も聞いてないんですけど?」

 

 四人でテラスでのんびり過ごしているとソウキとミノリちゃんが聞いてきた。

 

「ごめんな、まだ、秘密なんだ。でも、もう少しの辛抱だから我慢してな?」

 

「「…うん」」

 

 二人は少し不安そうな顔をするとゆうちゃんがソウキとミノリちゃんの頭を撫でる

 

「大丈夫だよ、ソウキ、ミノリちゃん」

 

 ゆうちゃんが二人を安心させようと撫でながら話しかけた時に〝ゴーンゴーン〟と鐘の音がなりだした

 

「鳴ったか……三人とも飛ぶよ」

 

「そうだね!ソウキ、ミノリちゃん行くよ」

 

「「うん」」

 

 俺たちは月に向かって飛んでいく……すると…月を覆い隠すように巨大な影が月の上からゆっくりと降りてくる

 

「…え?…なんで……なんで…どうして……あれが?」

 

「とう……ソウキ知ってるの?」

 

 俺とゆうちゃんの後ろを飛んでいるソウキが驚愕し恐怖で顔色を変えていた…それをミノリちゃんが少しおどけながら聞いた

 

 その大きな影が月の前で止まり、全体の灯りが灯った。その輝かしい光はその影を払拭し、影の正体を暴く。そこにあったものは、積円型の大きな構造物

下から上へと上がっていくごとに、その幅が大きくなり、やがては収束して途切れている。

そう、その建物こそが…

 

「あれが……浮遊城《アインクラッド》だよ」

 

「なんで……なんで…」

 

「ミノリちゃんの言いたいことはわかるよ………普通なら誰だってそうなる……でもね……まだ、俺達の物語は終わってないんだ!」

 

「今度こそボクたちはあの城を100層攻略して落とすんだよ!」

 

 俺とゆうちゃんが二人に手をさしのべる

 

「ソウキ、辛いかもしれない……怖いかも知れない…憎いかも知れない…だけど、俺達と一緒にあの城を登らないか?俺達にはソウキが必要だ、来てくれないか?」

 

「ミノリちゃん……君の魔法は誰かを護るためにあるんだよ……怖いかもしれない…憎いかもしれない……だけど、ミノリちゃんは優しい力を持ってるんだよ……ボクたちと一緒に来てくれないかな?」

 

 俺達がそう言うと二人は泣きながら手を取る

 

「うん、行くよ!怖いけど…まだ、辛いけど…行くよ!僕はどこまでもパパとママと一緒に!」

 

「私も!今度はソウキやお父さん、お母さんと一緒にこの城を登ります!そして、お父さん達を私の魔法で護ります!」

 

 

「よし!行こう!!!」

 

 

 俺達は飛んでいく何処までもいつまでも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 



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金銀とトーナメント
金銀の転校生


ハッピーニューイヤー!!!!!!
明けましておめでとうございます!!
今年もよろしくお願いします!!!

今年初の投稿ですがはっきり言ってリメイク前とほぼ一緒です。申し訳ありません!!

それではどうぞ~


 

 

 

 

 2025年 5月14日 IS学園・《一年一組》

 

 

SAO生還者のオフ会………新ALOに浮遊城アインクラットが導入された二日後のSHR……一組はざわめいていた…

 

「え~、今日は皆さんに転校生を紹介します」

 

 その原因は山田先生と織斑千冬と見たこと無い二人の生徒が入ってきたからだ………いや、正確には一人の〝金髪男子生徒〟が入ってきたからだ。

山田先生の言葉の後で一歩前に出たのは少年の方だった。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。皆さん、どうぞよろしくお願いしますね」

 

 

「お、と、こ……?」

 

「はい。こちらには僕と同じ境遇の方が四人がいると聞いていたので、フランス本国から転入を……」

 

「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!」」」

 

「ふぇ?!」

 

 シャルルが男だという事に、教室が割れるほどの歓声が湧いたのは、言うまでも無い。

だが……歓声が湧いている一組で歓声の原因であるシャルル・デュノアを怪しんでいるのが二人……もちろんのことだが俺とカタナ姉さんだ

 

「静かにしてください!皆さん! まだ、もう一人の自己紹介が終わってませんよ?」

 

 

 そう言って、山田先生がもう一人の転校生に視線を向ける。

 もう一人の転校生は銀髪で左目の眼帯で表情は堅い………どこか昔の……刹那だった頃の俺や那由多の雰囲気に似ているものを出していた

 

「ドイツ軍IS部隊隊長謙ドイツ国家代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒだ。軍の階級は少佐。軍にいる期間が長かったのでこういう場での自己紹介が上手くできないし、話も合わせられないかもしれないが、よろしく頼む。」

 

 そう言ってラウラ・ボーデヴィッヒはクラスを見渡し春萎さんを見つけるとほんの一瞬表情が緩む

 

「それでは、1時限目は2組と合同でISの実習だ。着替えてグラウンドに集合しろ」

 

 HRは終わり、俺達は急ぎ更衣室まで行かなければならない。

 

「織斑、桐ヶ谷、更識兄弟、デュノアの面倒を見てやれ、同じ男子だ」

 

 命令口調なのがムカつくが元々そのつもりだったから無視しておこう。

 そう思っていると、そのシャルル・デュノアの方から近づいてくる。

 

 

 

「君たちが桐ヶ谷くん、更識くん? 初めまして、僕は………」

 

「ああ〜そう言うのは後でいいから!」

 

「急いでアリーナの更衣室に行くぞ!」

 

「ふえっ!?」

 

 俺達に挨拶をしようとした時、いきなりそれをキリト、チカから遮られ、俺に手を握られて、引っ張られるシャルル・デュノア。

 いきなりのことだったのか、あまりにも可愛らしい声を上げる、それにキリトとチカは少し驚いていた………だが、手を握っている俺は直ぐに気がついた

……それは……

 

『シャルル・デュノアは男装した女の子』と言うこと

 

 なぜ、そんな事が手を握っただけでわかるのか……それは、俺が更識家で元暗殺者だからだ。

 俺は更識家の中でだと次期当主の座に座っている形になっている……カタナ姉さんに何かあった場合に俺が更識家を継ぐ形になっている…そのおかげで俺はカタナ姉さんが出席するパーティーなどに参加しなくてはならなかった……喧嘩をしていたときもずっと……それにはもちろん、ダンスパーティーなどのこともあっていろんな女の子とダンスを踊らなくちゃならなかった……暗殺者だったころも暗殺ターゲットに近付くためにそんなことをしていた……それがなぜ、シャルル・デュノアが女の子だとわかったのかは至ってシンプルだ……シャルル・デュノアの手は男にしては〝綺麗すぎ〟で〝軽い〟のだ。

 

「い、いきなりどうしたの?」

 

「俺たちは、いつもアリーナの更衣室で着替えているんだよ。授業の度にこの移動だから、早めに慣れてくれ」

 

「あ、う、うん。でも、まだ時間はあるよ? そんなに急がなくても……」

 

 シャルル・デュノアの言葉の直ぐに他クラスの女子に囲まれる。俺とシャルル・デュノアは窓から、キリトとチカはその間に女子達を抜いて校舎内からアリーナに向かった

 

 

 

 

続く



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元代表候補生と英と中の代表候補生タッグ

 

 

 

 

 

 

 2025年 5月14日 IS学園・第二アリーナ

 

 

 

 俺達はアリーナの前で合流して更衣室に入っていく

 

「なんとか巻いたな」

 

「ごめんね、僕の所為で……」

 

「気にすんなよ。俺達も最初はあんな感じだったしな。そう言えば自己紹介まだだったよな?俺は更識 一夏。一夏って呼んでくれ。ここに更識は四人も居るからな」

 

「じゃ、じゃあ俺も。桐ヶ谷 和人だ。俺の事も好きに呼んでくれ」

 

「次は俺だな。俺は更識蒼。蒼って呼んでくれて構わない」

 

「うん! じゃあ一夏に和人に蒼! これからよろしくね。僕の事もシャルルでいいよ」

 

 

 自己紹介を終え、更衣室にあった時計を見てみると、集合時間まで殆どなかった

 

「うわ! ヤバい、早く着替えないと!」

 

「もうこんな時間かよ……急がないとな」

 

「う、うわあ!」

 

 時間が迫っている為、急いで制服を脱ぎ、裸になると、シャルル・デュノアが驚き顔を赤くして後ろを向いた。

 何事かと思い、チカもキリトもシャルル・デュノアの方を見る。

 

「おい、シャルル。早くしないと間に合わないぞ?」

 

「う、うん……分かってる。着替えるから、その、向こうを向いたままで……ね?」

 

「いやまぁ、別に裸をジロジロと見るつもりはないけど……」

 

 そう言って、俺達は再び着替え始める。と、言っても俺達三人はジャージなのだが…

 

 着替え終わった俺達はアリーナに出ると俺達以外の一組と二組が既に整列していて俺達も並ぶと織斑千冬が歩いてきた

 

「では、最初に実際にIS同士の模擬戦闘を見てもらう。オルコット、凰」

 

「「はい!!!」」

 

「専用機持ちならば直ぐに始められるな? 前に出ろ!」

 

「はぁー、面倒くさいなぁ〜」

 

「こういうのは、見せ物みたいであんまり気が進みませんわね…」

 

 選ばれたセシリアと鈴は嫌々と溜息を吐きながら前に出て行く

 

「それで? お相手は誰ですの? 鈴さんとですの?」

 

「ふん、上等じゃない。誰であろうと相手になるわよ」

 

 お互い戦闘自体には切り替えでやる気を出し、お互いに牽制し合うが…

 

「慌てるな馬鹿者。相手なら……」

 

 

 それを軽く止める織斑千冬は空を見上げた、特になんのことない澄み切った青空が広がっているだけなのだが……

 

 

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 退いて下さぁぁぁい!!!」

 

 

 その青空から落ちてくる緑色の機影。

 緑色のラファール・リヴァイヴに乗った山田先生が制御出来てないのか大声を上げながらこちらに落ちてきた

 

 

「はぁ……」

 

 俺は軽く溜息を吐くと〝ストライクF〟を展開して受け止めた

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「山田先生、気をつけてください。俺が居なかったら、また面倒なことになっていたかもしれませんから」

 

 俺は山田先生にいいながらみんなと避けていたキリト、チカの方を向く

 

「ソウ……なんで俺達の方を見るんだ?」

 

「え?だって、面倒なことの原因は二人だからな」

 

「なんで、そうなるんだよ!?」

 

「いや、だって、お前ら女性と関わるとラッキースケベに発展するだろ?そうなるとカタナ姉さんとアスナが怒って面倒なことになる」

 

 俺は笑いながらそう言うとカタナ姉さんとアスナが黒いオーラを放って睨んできていて怖かった。

 

 

「先生、もしかしてアタシたちの相手って…」

 

「山田先生ですの?」

 

「そうだ」

 

 なんだかんだで俺達の話は無視されて授業は進んでいた

 二人は若干だが2対1に抵抗を覚えるも、次の織斑千冬の言葉で闘志を燃やす事になる。

 

「安心しろ、今のお前達では直ぐに負ける」

 

「っ! 上等ですわ!」

 

「やってやろうじゃない!」

 

 そう言って上昇しようとする二人を俺は近くに移動して二人の頭にチョップをかます。

 

「い、痛いですわよ、ソウさん!」

 

「なにすんのよ!」

 

 二人は頭を抑えながら俺に怒鳴りつけてくる。

 

「お前等、こっち(現実)でもあっち(ALO)でも散々俺が言ったこと忘れたのか!挑発に乗って熱くなるなって言ったはずだぞ!」

 

 俺がそう言うと二人は「あっ」と思い出した顔をする。

 

「しっかりしてくれよ?お前達は【西風の旅団】のメンバーなんだしその前に国家代表候補生なんだぞ?挑発に乗って問題を起こしたら大問題になるぞ?わかったか?」

 

「「……はい」」

 

 二人は返事をすると上昇していく。

 

「更識兄……「俺は自分が正しいと思ったことをしているだけだ。授業時間が惜しかったら早く始めろ」……チィ……それでは、始め!」

 

 織斑千冬が俺になんか言おうとしたがそんなのどうでも良いのでSAO時代から使っている殺気垂れ流しの命令口調で織斑千冬に言うと生徒相手に舌打ちして……模擬戦を始めさせる。

 俺がセシリア達と会話しているときから織斑秋羅から睨まれていたがそんなことどうでもよかったので無視して戦闘を見守る

 

 

 合図と共に相互が一旦距離を取る。

セシリアはビットを展開し、多方向からの波状攻撃を仕掛け、鈴は双天牙月で近距離からの攻撃をする

 山田先生は、その攻撃を上手いこと躱したり、シールドで受け止めるなど、ことごとく防ぐ。

 

「デュノア、山田先生が乗っている機体について解説してみせろ。」

 

「は、はい!」

 

 織斑千冬にいきなりふられたシャルル・デュノアは驚きながらも山田先生のISについて説明をする

 

「山田先生が乗っている機体は、デュノア社製『ラファール・リヴァイヴ』です。

第二世代最後期の機体でありながら、第二世代でも第三世代に劣らないスペックを持っています。

現在配備されてる量産型ISの中でも世界第三位で、各種戦闘スタイルに合わせて装備の換装が可能です」

 

 そこまで言うと空で爆発が起きてセシリアと鈴が落ちてきてアリーナの地面に一つの穴が空く。

 

「はぁ……私達もまだまだですわね……」

 

「そうね……まだまだ強くならないとね……」

 

 二人は落ちてから直ぐにISを解除して髪についた塵などを払って負けて悔しいのか顔は少しくらいが少しスッキリした顔をしていた。

 

「山田先生はこう見えても『元代表候補生』だ。今くらいの戦闘なんて造作もない」

 

「昔の話ですよ〜。それに、代表候補止まりでしたし……」

 

「これで諸君も、教職員の実力を理解してもらったと思う。今後は、皆敬意をもって接するように。いいな?」

 

「「「はいっ!!!」」」

 

 

 

 織斑千冬が締めくくり、授業に入る。

 今日はISの装着と歩行の訓練みたいでグループに分かれ、各グループを専用機持ち達がリードすると言う具合に進める事になった。

 だが、用意された訓練機の数と専用機持ちの数が合わないため俺とラウラ・ボーデヴィッヒは各グループの補助として動くことと成ったのだが、ラウラ・ボーデヴィッヒは何もいわず直ぐに春萎さんの補助を始める

 まあ、そんな事があったが無事に午前の授業は終えてそれぞれ着替えるために動き出した。

 俺も更衣室に行こうとするとカタナ姉さんが話しかけてきた。

 

「ソウくん……正直教えてちょうだい……ソウくんから見てあの〝シャルル・デュノア〟くんはどう?」

 

 俺はやっぱりその事かと思いながら周りに誰もいないことを確認すると俺達だけに聞こえるように言った。

 

「シャルル・デュノアは男装した女だな」

 

「ソウくんがそう言うならそうだと思うけど………理由は?」

 

「授業前の移動の時に故意に手を握って確認した。シャルル・デュノアの手は男にしては〝綺麗過ぎる〟んだ。それから、男にしては教室を出るときや女子生徒に追いかけられた時、更衣室で着替えたりするときも変に驚いたり、分かってなかったりと初々しすぎる。隠す気ないレベルだよ」

 

 俺の話を聞いてカタナ姉さんは少し考え込む

 

「ソウくん…シャルル・デュノアくんが女の子なら男装してまで入ってきた目的はなんだと思う?」

 

「確実に俺やキリト、チカの機体データだろうな。デュノア社は確か、第三世代ISを創れないでいる……そこに俺達男のIS操縦者だ……俺達の機体データを取れればデュノア社は第三世代ISを作ることができるだろうからな」

 

 俺の話にカタナ姉さんは頷いてくる

 

「カタナ姉さん、今回のことは俺に任してくれ。どうせ俺とシャルル・デュノアは相部屋になるだろうからな」

 

「……生徒会長としても姉としても容認は出来ない……けと、わかったわ。ただし、デュノアくんの正体が分かったら私達を呼んでよね?」

 

「もちろん。それじゃあ、着替えてくるから屋上で集合な」

 

「えぇ」

 

 俺とカタナ姉さんは話し終えるとそれぞれ着替えに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く



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貴公子の女の子

22話になります。

ここでリメイクでの作品自体の変更点として那由多の口調を変更させていただきました。あるアニメのキャラの口調をモデルに書きましたが似ているか正直怖いです。
アドバイスなどありましたらコメントでは無くメッセでお願いいたします。

それではどうぞ~



 

 

 

 

 

 2025年 5月14日 IS学園 ソウの部屋

 

 

 刀奈姉さんと話した後、屋上でSAO・ALO組とシャルルのメンバーで昼食をとった……そこで言えたのはセシリアには料理は作らせない方がいいと言うことと鈴がチカの支えになろうとしていることだ

 放課後は生徒会の刀奈姉さんと本音、リハビリを続けているアスナと付き添いのキリトを除いた七人で模擬戦を入れ替えながら途中、シャルル・デュノアと専用機《ラファール・リヴァイヴ・カスタムII》が加わり何回か模擬戦をして今日の訓練を終え、シャワーを浴びて各部屋に戻った。

 

 俺は元々チカの妹の春萎さんと1100室で暮らしていたが今日から部屋割りが変わって春萎さんと別々の部屋になった……そのかわり、今日転入してきたシャルル・デュノアと相部屋になった。

 

 

 

「これから同じ部屋だね。よろしく蒼」

 

「あぁ、よろしくな」

 

 俺が部屋に戻ると先に戻ったシャルル・デュノアが声をかけてきた。

 

「(話を持ち出すならいまだな)なぁ、シャルル」

 

「なに?」

 

「君は〝何者だ〟?」

 

 俺は低い声でシャルル・デュノアに聞くとシャルル・デュノアは少し慌てていた

 

「……僕はシャルル・デュノアだよ?」

 

「違うはずだ。フランス政府、デュノア社のコンピューターにハックをかけたが《シャルル・デュノア》と言う人は存在していない。デュノア社で《シャルロット・デュノア》と言う女の子の名前を見つけた。お前じゃないのか?」

 

 俺がそう言うとシャルル・デュノアは軽くため息を吐いた

 

「まさか、転入初日で気づかれるなんてね………いつから、僕を怪しんでたの?」

 

「今朝からだ。確証を得たのはSHRの移動の時、俺が手を握っただろ?あの時、シャルルの手が男にしては〝綺麗過ぎる〟って思ってな。俺は家の関係でお偉い方が集まるパーティーに姉さんと出席する事が多いから自然と同い年の男女と手をつなぐことが多いしダンスパーティーなんて一日で10人の女の子と踊らないと行けなかったからな」

 

 前半まじめに答えたが途中から少し笑いながら話す俺にシャルル・デュノアも少し笑う。

 

「蒼には適わないな……そうだよ、僕の本当の名はシャルロット・デュノア……「待ってくれ、シャルルがどうして、男装してまでIS学園に来たのかを話すのはみんなを呼んでからだ。いいよな?」う、うん」

 

 俺はシャルルに確認をとるとIS学園に通っているSAO時代の《西風の旅団》メンバーに連絡を入れて部屋に集まってもらう。

 

 

「みんな、集まってもらって悪い。シャルルの事についてだが……「僕が話すよ」…わかった」

 

 集まってもらったみんなに俺が話そうとするとシャルルが自分が話すと言ってきたので任せる。

シャルルは深呼吸をすると話し出した。

 

「僕の本当の名はシャルロット・デュノア。本当は女の子で本妻の子じゃないんだ。」

 

「「「「「「ッ!」」」」」」

 

 ある程度はハッキングで知っていたが直に聞くと応える‥‥他のみんなも驚いていた

 

「生まれてから、ずっと別々に暮らしていたんだ、その後、お母さんがなくなってデュノア家の人が迎えに来て、父に引き取られたんだ。

そして、色々検査を受けた結果、僕のIS適正が高いことが解って、非公式だけど、デュノア社のテストパイロットを勤める事になったんだ。

でも、父に会ったのは2回きり。会話できたのは1時間にもならなかったんだ。」

 

「「「「………」」」」

 

「でも、なんでシャルル君はこの学園に男装してまで入ってきたの?」

 

 皆が黙り込んでしまうなかアスナが男装してまで入ってきたことを聞いた。

 

「それは、俺から話す。シャルルのデュノア社は量産型ISのリヴァイヴで世界三位なのは知ってると思うけど……でもな…」

 

「デュノア社は……今、経営危機なんだよ」

 

 俺の言葉の後にシャルルが言うとキリト、アスナ、チカ、サクヤは驚いていた

 

「経営危機!? でも、デュノア社は……」

 

「結局リヴァイヴは第二世代型 なんだよ……。セシリアさんやラウラさんが、この学園に来たのは、新型機、第三世代型 の稼働データを取るためなんだよ。そして、僕が男装してこの学園にきたのはあの人の命令…同じ男なら日本に現れたイレギュラーの四人と接触しやすく、もしかしたらデータをとれるかもしれないから……僕はね和人、一夏、蒼、織斑秋羅のデータを盗ってこいと言われてるんだよ」

 

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

 全員暗い顔で俯き、黙り込んでしまう。

 

「はぁ~……本当のことを話したら楽になったよ……。聞いてくれてありがとう。それならごめんね、みんな……みんなを騙して……一緒に生活しようとして」

 

「……それでいいのか?」

 

「あなたはそれでいいんですか?」

 

「え?」

 

 ここまで黙っていたサクヤとチカがシャルルに聞くように呟いた

 

「いいわけないだろッ!!」

 

「いいわけ無いです!」

 

 そして、チカとめったに怒鳴らないサクヤが怒鳴った。

 

「チカ落ち着いて」

 

「サクヤもな?」

 

「ッ!……悪い」

 

「ッ!……ごめんなさい」

 

「二人ともどうしたの?」

 

 アスナが二人に聞くが二人ともそのまま続ける

 

「確かに……親がいなければ、子供は生まれない……。」

 

「ですが、親が子供の未来を好き勝手にしていい理由にはならないです!」

 

「一夏……サクヤさん……」

 

 シャルルは二人がここまで怒るなんてと思っているのか二人の顔を泣きそうな顔で見ていた

 

 

「俺は……俺は、幼い頃に両親に捨てられ、最近には姉兄に捨てられた………」

 

「私も……八歳の時に双子の弟と共に父親に捨てられました」

 

「「「「「ッ!」」」」」

 

 大分前に二人のことを聞いていた俺達と今目の前で告げられたシャルルは驚きと悲しみ、二人の辛そうな顔で顔を歪ませる

 

「俺のことはいい、会いたいとも思わない」

 

「私も会いたいとは思いません。ですが、あなたはどうするんです?」

 

 サクヤの問いにシャルルは俯く

 

「どうって女だって事が暴露たから、任務は失敗……本国に呼び戻されてよくて牢屋行きかな……」

 

「どうなるかじゃありません、あなたが……シャルロットさんが()()()()()()です。」

 

 

「そ、それは……それ……は……!」

 

 

 

 チカとサクヤの話を聞いているうちに、シャルルは顔を暗くさせていた……。

そして、目元からは大粒の涙が見えていた。

 

「‥‥僕だって……僕だって、みんなと一緒にいたいよ……! みんなと一緒に勉強して、遊んで、仲良くなって…………いろんな事がしたいよ……っ!でも、無理なんだよ……僕には何もできないんだよ……」

 

 

 自身の思いをぶち撒けるように言うシャルル。

涙は絶え間なく流れ落ち、目は赤くなり、腫れている。

 

「ぐすっ……うう……」

 

「……シャルルは、今もそう願ってるじゃないか……なら、その願いすら叶わないのは嘘だ」

 

「そうだよ、シャルル君。シャルル君の思いは、決して無駄なんかじゃないんだよ?」

 

「そうだ。シャルルがしたい事、願っている事は……決して間違いなんかじゃない……そうだよな、カタナ」

 

「そうよ。それにシャルロットちゃん?なにか勘違いしていると思うけど、この学園にいる間はそんな事されないわよ?」

 

 ここまで黙っていた現生徒会長の刀奈姉さんが言ってきた。

 

「「そうか!その手があった!」」

 

 キリトとチカが刀奈姉さんの言葉を聞いて納得する。

 

「IS学園特記事項……本学園の生徒は、その在学中、あらゆる国家、組織、企業に属さない。」

 

「じゃあ、シャルル君は三年間は大丈夫ってことね!」

 

「そう言うこと…と、言いたいけど…あの特記事項には穴がある」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

 少し希望が見え部屋内に喜びが満ちようとした時、俺の言葉で静まり返った

 

「どういう事なのソウ君?あの特記事項に穴なんて‥‥‥いえ、確かに大きな穴があるわね」

 

「どういう事なんだカタナ?」

 

 特記事項の穴に直ぐに刀奈姉さんだけが気がついた。他のみんなは分からないみたいだった

 

「確かにIS学園の特記事項には〝本学園の生徒は、その在学中、あらゆる国家、組織、企業に属さない〟とあるわ‥‥だけど、それは干渉されにくいだけなのよ」

 

「それが‥‥そういう事か」

 

「分かったの、キリト君?」

 

 刀奈姉さんの言葉でキリトも〝特記事項の穴〟に気がついた

 

「ああ、ソウ達が言っているのは特記事項は国の命令や身内の話には効果が無いと言うことだ。代表候補生のシャルルは特に‥‥そうだろ?」

 

「ああ、国からの招集や身内‥‥デュノア社の社長が倒れたり、死んだとかデマでも流せばシャルルは帰ざるをえない。更には夏休みなどの長期休みに帰ってこいと言えばそうするしかできない。後は空港で捕まえるなりしてIS学園を〝自主退学〟とでもすればシャルルは幽閉されてしまう」

 

 俺の言った〝特記事項の穴〟にシャルルは顔を青ざめ、アスナとサクヤは手を口元に置き、キリトと刀奈姉さんは顔を俯かせ、チカは怒りで拳を握っていた

 

「一カ月‥‥」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

 こんな状態の中、俺は口から出た言葉にみんな戸惑いを隠せなかった

 

「一ヶ月で全てを終わらして、シャルル‥いや、シャルロット・デュノア、君を助けてやる」

 

「‥‥して‥」

 

 俺の言葉に何かの糸が切れたのかシャルルは涙を流して上手く聞こえなかったが何かを呟いた

 

「‥どうして‥‥どうして!?どうして、僕を助けようとしてくれるの!?僕はソウを‥‥みんなを騙そうとしたんだよ!?どうして僕に‥‥騙そうとした……騙した僕に優しくできるの!?」

 

 シャルルは呟いた後、直ぐに俺の胸ぐらを掴み泣きながら怒鳴ってきた。

 みんなも怒鳴るシャルルに驚き目を丸くしたりと今のシャルルの行動について来られていなかった

 

「どうしてか‥‥そうだな。俺はお前のように親に捨てられた奴らを最低でも4人‥‥いや、5人は見てきたんだ」

 

「え?」

 

 俺の言葉で頭に登っていた血が落ち着いたのかシャルルは手を離した

 

「その中でも一人の女の子は赤ん坊でとあるスラムに置き去りにされていた‥‥その女の子は五歳の時に暗殺者が狙っていた男にぶつかり殺されそうになったときにその、暗殺者に助けられて暗殺者の知り合いの児童養護施設に預けられた‥‥俺はたまにその養護施設に手伝いに行っていてな‥‥その女の子とはそこで知り合ったんだ」

 

「ひ、酷い‥‥‥」

 

 俺の話にみんなはどう言えばいいのか分からずにシャルルだけは〝酷い〟と一言だけは口に出した

 

「あぁ、酷いもんさ。でもな、その女の子は今はちゃんと働いていてちょくちょく連絡やALOでも会えたりしている」

 

 この場のシャルル以外はたまにALOでいなくなることがあることを知っていたのでなんとなくその時なんだろうと思っているのか何度か頷いていた

 

「まあ、その女の子の話はいい‥‥俺が言いたいのは親の愛を知らない人を俺は助けたいんだ。それだけじゃだめか?」

 

「‥‥うんん‥‥ありがとう‥‥ありがとう」

 

 シャルルは泣き出し俺に抱きついてきた。俺はシャルルを泣き止むまで軽く抱きしめてやった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園・中庭

 

 

 

 

「いるんだろ?那由多」

 

 シャルルが泣き止むとそのまま寝てしまい、その場を解散させた俺は一人、中庭に脚を運んでいた

 

「ふふ、ソウに適いませんわね」

 

 真後ろから女性の声が聞こえ振り向くと黒ロングヘアで透き通った蒼い眼、黒と赤のドレスを着た女性‥‥‥那由多が立っていた

 

「仕事の依頼だ。内容は〝デュノア社の裏〟一ヶ月で頼む」

 

「いいえ、2週間で十分ですわ。2週間でソウのお知りになりたいことをしらべますわ」

 

 俺は那由多の言葉に口元が緩んだ。

 

「流石、俺の相棒だな。頼りになる、報酬はいつも通りに口座に入れておく」

 

「もう一つ、近いうちに私と出かけて欲しいのですわ‥‥もちろん、いいですわよね?」

 

 那由多はたまに見せる不適切な笑みをして聞いてきた

 

「‥‥あぁ、いいよ。俺も那由多とは一度出掛けたいと思っていたからな」

 

「ふふ、ソウは恋人を持っているのに私まで堕とすつもりですか?」

 

「まさか、那由多とは暫く会えなかったから過去の気持ちも含めて色々とケジメを付けておきたいんだよ」

 

 俺がそう言うと那由多は笑いだし、俺もつられて笑い出す

 

「そういう事にさせてもらいましょう。それでは私はこれにてお暇させていただきます。私がいない間は気をつけて下さいませ」

 

「お前もな、那由多。それから、その口調‥‥似合ってないぞ」

 

「ふふ‥」

 

 那由多は笑みを浮かべながらこの場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酷いわよ、ソウ」

 

 

 

 

続く




どうでしたか?
那由多の口調(イタズラ時)のモデル分かりましたか?


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白銀に輝く漆黒の剣

 

 

 

 

 

 2025年 5月15日 IS学園・第三アリーナ

 

 翌日の放課後、シャルルことシャルロットの秘密を知った俺達六人と本人のシャルル、ALO組のセシリア、鈴、簪、 本音の四人。そして、春萎さんを合わせた12人は第三アリーナに集まっていた。

 

「それじゃあ、今日はどの順番で模擬戦をしようか?」

 

 俺がみんなに聞くように言うとシャルルが手を挙げてきた。

 

「一夏か和人と模擬戦してみたい」

 

「じゃあ、俺とやろうぜ」

 

 と、シャルルの申し出にチカが言いだしチカの彼女のカタナ姉さんは呆れながらため息をはく。

 

「また、チカの悪い癖がでたわね……」

 

「いいじゃない、カタナちゃん。それでこそ、チカ君なんだし……」

 

 バトルジャンキーな恋人を持つアスナとカタナ姉さんはそんな話をし始める。

 

「じゃあ、チカとシャルルの模擬戦からでいいな?それじゃあ、二人とも準備ができたら始めてくれ」

 

「「あぁ/うん」」

 

 チカとシャルルはISを展開してゆっくりと上空に上がっていく。

 

「へぇ~シャルル君の専用機はラファールなんだね」

 

「みたいだな。ラファールをシャルル用にカスタマイズして専用機にしたみたいだな。これはチカが苦戦しそうだな」

 

「どうしてですの?」

 

 俺の言葉にセシリアが聞いてきた。

 

「ラファールの特徴としてはバススロットの容量が多くて多彩な武器をしまっておけるってことは知ってるとは思うけど、ラファールを使う時は遠距離武器……銃などの遠距離武器を多くしまっている場合が多い。シャルルはラファールを使っている代表候補生だから銃器を後付武装(イコライザ)に多くしまっているだろうから、俺達みたいなSAO生還者は遠距離武器相手には経験不足なんだよ」

 

「ソウの言うとおりだな。SAOだと投剣スキルはあったがデュエルの時なんて使うことは無い、ボスも投剣スキルは使ってこないから経験不足はいなめないな……」

 

「そ、それでもわたくしや鈴さんの遠距離武器で散々してましてよ?」

 

「セシリアや鈴のは一種類での遠距離戦だ…………でもな、山田先生みたいに二種類以上の遠距離武器を使用されたら苦戦はするよ」

 

「苦戦するだけで負けるとは言ってない」

 

 サクヤが面白おかしく発言するとSAO生還者のみんなが笑い出す。

 

「そろそろ、始まるみたいだな」

 

 俺が上空を見上げながらそう言うとみんな、上空を見上げる。

上空ではチカが片手剣《アヴェンジャー》をシャルルがアサルトライフルを二丁構える。

そして……

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 模擬戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここでは結果だけ言っておくと俺が言ったとおり序盤はシャルルとラファールに翻弄されてチカが苦戦……だが、実戦経験の差でチカがシャルルの隙をついて接近しソードスキルを連続で叩き込んでシャルルの負けとなった。

 

 

「お疲れ、二人とも。」

 

「う、うん、ありがとう……」

 

「お、サンキュー」

 

 二人が降りてきてISを解除すると俺は二人にスポーツドリンクを手渡すと二人ともキャップをあけてゴクゴクと飲んでいく。

 

「ぷふぁ~ありがとう、蒼。」

 

「気にすんな」

 

 それからシャルル、カタナ姉さん、サクヤ三人の銃講座が始まりチカ、キリト、アスナは勉強になったことだろう……それよりも、サクヤが銃のことをやたら詳しいことに驚いた。

そして、銃講座が一段落したところで帰ろうとすると………

 

 

「おい。」

 

「ん?」

 

 

 声をかけられた俺たちは後ろを振り向くと、Aピットアリーナ出入り口上に白式を纏った織斑秋羅となぜか打鉄を纏った今だ、謹慎処分中の篠ノ之箒がいた。

 

 

 

「何のようだ、織斑。」

 

 

「更識一夏と春萎に試合を申し込む」

 

 織斑秋羅がそう言ってきた…………チカと春萎さんを指名してきたことは…………

 

「リベンジと言う名の復讐とそちら側に居るはずの春萎さんが此方側に居るから気に食わないから兄の立場を利用して潰すつもりか…………代表として言っておく………()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 俺がそう言うと織斑秋羅は舌打ちをして篠ノ之箒は予想通り話に割り込んできた

 

「貴様等に無くても私たちにはある!部外者は邪魔だどけ!」

 

「「「「その言葉、そっくりお返しするわ(しますわ)(するよ)!」」」」

 

 篠ノ之箒の言葉に鈴、セシリア、シャルロット、簪がハモって言ってくる

また、篠ノ之箒が何か言おうとしたが織斑秋羅が手で止める

 

「春萎、俺は失望したよ。家族で、天才の僕を差し置いてそんな凡人の集まりに居るなんてね?」

 

「下らない‥‥‥織斑秋羅!私はあなたを家族とは思ったことがありません!私の家族は兄さんだけです!私とは二度と関わらないでください!」

 

「…春…萎……一体、なにを……言ってるんだ?」

 

 春萎さんの言葉に精神的にやられたのか織斑秋羅の声は震えていた

 

「気安く呼ばないでください!()()()()()()()()()()()!」

 

「は、るな……」

 

 春萎さんがそう言って直ぐに織斑秋羅は膝をつき、篠ノ之箒は春萎さんを睨んだ後、織斑秋羅の横に座った

 

「ハルナ、大丈夫ですか?」

 

 そこに漆黒のISを纏ったラウラ・ボーデヴィッヒが現れ春萎さんの従者みたく、春萎さんの後ろについた

 

「‥‥さねぇ‥許さねぇ‥‥許さねぇぞ!ハルナァ!!!!!!!!」

 

 何故か春萎さんにキレて<雪片弐型>を手に襲いかかってきた織斑秋羅‥その後ろには織斑秋羅を追いかけてきた篠ノ之箒が刀を手に来ていた

 

「俺の言いなりにならない奴なんてみんな、死ねばいい!!俺が‥‥俺様が王様なんだ!!凡人のてめぇーらは俺様の言うことを聞いてればいいんだ!!!!!!!」

 

「‥‥はぁ」

 

 織斑秋羅は発狂しながら俺達に迫ってきていた。

みんな、織斑秋羅の話を無視し戦闘用意をし迎え撃とうとすると春萎さんは軽く溜息を吐くと無言で片手を広げてきた。

俺達は一瞬、春萎さんの行動が分からなかったが‥‥春萎さんの背中を見て言いたいことが分かった

 

 

 

───手を出すな、と

 

 

 

 

 春萎さんは俺達に気迫でそれを伝えると白銀に輝く剣を構えた

 

「‥‥‥‥黒雷一刀」

 

 春萎さんは一言呟くと白銀に輝く剣を‥‥‥いや、白銀に輝いていた剣は漆黒に変わり黒雷を纏っている剣を織斑秋羅に向かって振るった

 

「‥‥黒炎一刀」

 

 次に黒炎を剣に纏わせ織斑秋羅の後ろから来ていた篠ノ之箒を打鉄ごと斬り伏せた

 

 

 

 

 

続く




ハルナの黒雷一刀と黒炎一刀は簡単に言えば片手直剣ソードスキル〝スラント〟に名前の通り黒雷と黒炎を纏った物になります。


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哀れな掃除道具と秋、タッグトーナメント

 

 

 

 

 

 16日

 

 織斑秋羅と篠ノ之箒との一悶着があった翌日のホームルームでそれは起こった

 

 

「本日は皆さんにお知らせがあります。一週間後に控えた学年別トーナメントですが、少々変更することに先生方で決定しました。」

 

 

 山田先生が朝のホームルームでクラス全体に周知する。

俺達以外の生徒は咄嗟の出来事にざわめき出すが………

 

 

「静かにしろ!山田先生がまだ話しているだろう!!」

 

 

 と織斑千冬が一喝し、クラス全体はすぐに静かになる。

 

 

「ええと、先日のクラス対抗戦での襲撃者の件がまた起こるとも限らないということで、急遽、タッグトーナメントに決定いたしました。ペアを申請したい方は、トーナメント開始の明日までに生徒会もしくは職員室にお伝えください。もし、ペアを作らない方はトーナメント当日に抽選がありますのでその際にペアが決定します」

 

 山田先生がそう言うがもう一つの理由があると俺は思う………それは、昨日の事件…と、いうなの逆恨みからのフルボッコ……昨日、俺達にけしかけてきた織斑秋羅と謹慎中に抜け出してきた篠ノ之箒を春萎さんが一撃で沈めた……あの後、発覚したことだが篠ノ之箒と織斑秋羅は篠ノ之箒の監視教員に全治三ヶ月の怪我を負わせ、更に打鉄を使用しようとしていた生徒に全治2週間の怪我を負わせていたらしい

 織斑秋羅と篠ノ之箒は春萎さんに斬られた後に気絶し、そのまま教員達に捕縛され停学……事実上の退学状態で学園の地下独房に入れられているらしい。それから織斑秋羅の姉の織斑千冬も監督不行きで減俸処分、来年以降は担任が持てなくなったとか

そんなこともあって生徒の身の安全のためにタッグトーナメントにしたのかも知れない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「桐ヶ谷くん!」」」」」

 

「「「「「「「更識くん!」」」」」」」

 

「「「「「「「デュノアくん!」」」」」」」

 

 

 

 授業が終わってお昼休み………俺達が食堂に行こうとすると女子に囲まれた

 

「「「「「「「「私達とタッグ組んで下さい!!!!!!!!!!」」」」」」」」

 

 みんながみんな、同じ理由で集まってきていたが……………

 

「ごめんな、俺はサクヤと組むんだ」

 

「俺もカタナと組むことになってる」

 

「俺…も、明日奈と組むことになってる」

 

「えっと、僕も簪さんと組むことになってるからごめんね?」

 

 俺達は既にタッグトーナメントになることをカタナ姉さんに聞いていた為、今朝早くに生徒会に申請しておいた。

 女子生徒たちは物凄く残念そうにしていて、何人かは『専用機持ちズルい』とか言っていたが刀奈姉さんとアスナがニッコリ笑うと顔を青くして教室から飛び出ていった。

 

 

 

 

 

 

◇16日 放課後・夕方

 

 サクヤとの連携を確認しながらの特訓をした帰り、俺は一人で歩いていた

 

『どうしてですか!?』

 

「!!」

 

 歩いていると大声が聞こえてとっさに声がする方に向かい木の裏に隠れた。

そこにいたのは春萎さんとラウラ・ボーデヴィッヒでラウラ・ボーデヴィッヒが春萎さんに詰め寄っていた

 

『どうして、ハルナは()()()を使わないのですか!?()()()を使えばアナタは!』

 

『そこまでにしてラウラ』

 

「『ッ!』」

 

 詰め寄っていたラウラ・ボーデヴィッヒと木に隠れていた俺は春萎さんの低いドスの利いた声に驚き身震いした。

 

『確かに私の本気を使えば私は誰にも負けるつもりは無い……だけど、それは政府が許さなかった()()だからってね。だから私は()()()を使わないんじゃない、使えないの。それに私は一本だけでもいいんだよ。兄さんと一緒の一本でもね。話はそれだけだよね?寮に戻って、私はもう暫くここにいるから』

 

『い、YES』

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒは春萎さんの気迫に負けトボトボとこの場を後にした

 

 

『それで……ソウさん、そこにいるのはわかってますよ』

 

「あ、あはは、い、いつから気がついてたのかな?」

 

「最初からです。私はこれでも目がいいのでソウさんがそこに隠れるのが見えたんです」

 

 俺は気づかれていた事に気がつけていなかった事に若干ショックを受けていた

 

「それよりも……ソウさん…私…私…」

 

「本気を出せる武器が欲しい……か?」

 

「ッ!……はい。私はもう、後悔をしたくないんです……兄さんの為にも私のためにもお願いします!」

 

 春萎さんは図星を突かれて少し同様していたが目は本気で涙を流していた

 

「わかった……色々手を尽くしてみるよ。春萎さんの話が必要になったら春萎さんを呼ぶよ」

 

 俺はそれだけ言うとこの場を後にし寮に向かって歩いて行った

 

 

続く



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新たな剣と要塞化学校

 

 

 

 

 20日 IS学園・応接室

 

「後は本人の意見を聞くだけだな」

 

 春萎さんから武器の話を受けてから四日後の放課後、俺はサクヤとの特訓を休みにしてIS学園内で割と警備が硬い応接室に一人で春萎さんを待っていた

 

『織斑春萎、入ります』

 

 俺がここに来て数分後、春萎さんがノックして入ってきた

 

「お疲れさま、春萎さん。タッグトーナメント前なのに来て貰って悪いな」

 

「あ、いえ。謝らないでください。私こそすみません。タッグトーナメント前の大切な時間なのに時間を作ってくれて…」

 

 俺が謝ると春萎さんも謝ってくる…お互い謝り終わると少し笑った

 

「もう少し待ってな。もう少しで連絡が……っと、来たな」

 

 俺がそう言うと応接室の壁に付けられているモニターがつき、黒髪ロングの女性が映し出される

 

『こちらではお久しぶりなりますね。ソウさん。それから春萎さん』

 

「そうですね、ランさん」

 

「お久しぶりです、藍子(あいこ)さん」

 

 モニターに映った女性は生還者学校に通いながらレクト・更識家合同IS開発チームに所属しているランさんこと、紺野 藍子(こんの あいこ)さんだ

 

『それで、今回は春萎さん用の双剣双銃の武器が欲しいとの事でした筈ですが間違いございませんか?』

 

「はい。付け加えると春萎さんと春萎さんの専用機〝白夜〟を《倉持技研》から合同IS開発チームに所属を変えるもです」

 

『その件もありましたね。では、まずは武器のお話からしましょうか……』

 

 ランさんはいつもとは違い専用機を受理した時のような緊迫感があった

 

『実のところを言いますと双剣双銃は以前に作ったプロトタイプがあるので其方を春萎さん用にチューンして見ましょう。此方がそのデータになります』

 

 ランさんはそう言うとモニターに銃身が紫で黒い銃と白い剣、銃身が赤で白い銃と黒紫の剣が映し出された

 

『銃形態が黒紫で剣形態が白いのが<懐剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>で銃形態が赤白で剣形態が黒紫のが<懐剣(かいけん)ナナキ・白楼《はくろう》>になります。』

 

「<戒剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>に……<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼《はくろう》>……戒めを断ち切る剣……どちらも私の運命を切り開く私好みの剣ですね………」

 

 春萎さんは何処かリズに武器を作ってもらった時の俺達に似た笑みを浮かべていた

 

「ですが……いいんですか?その様な武器を私がいただいても……」

 

 だけど、春萎さんは戒剣ナナキを貰うことに少し戸惑っていた

 

『ええ、勿論ですよ。<戒剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>も<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼《はくろう》>もプロトタイプ。いわば試作品です。完成品を作るにも試作品でデータ収集を行わなければ作ることは出来ません。それに銃剣(ガンスラッシュ)を作ってもISに乗れて使える()()は居ませんから、()()で作った、銃剣(ガンスラッシュ)を埃を被せて置くのもアレなんで探していたんですよ。使用してくれる人を』

 

「そ、そうなんですか………(アレ?)」

 

「(ん?今、なんかおかしなこと言わなかったか?)」

 

 ランさんの話の後半……俺と春萎さんはある違和感を感じていた。

話の後半で物凄いことを言っていた様な気がした

 

「えっと、藍子(あいこ)さん?先程、『銃剣(ガンスラッシュ)を作ってもISに乗れて使える()()は居ませんから、()()で作った』って言いましたよね?合同IS開発チームで作ったんじゃ無いんですか?」

 

『そう言えば、言ってませんでしたね。オフ会の次の週から生還者学校では希望者だけでISの機体、武器の開発、ISの整備などを学べるようになったんですよ。IS関係の教師に国際IS委員会でソフト面担当のキラ・ヤマトさん。ハード面担当のアスラン・ザラさん。機体整備担当のコジロー・マードックさんと整備担当兼設計担当でイオリ・セイさんにイアン・ヴァスティさん、リンダ・ヴァスティさん。IS操縦者育成担当でシン・アスカさん、ルナマリア・ホークさん、キラさんやザラさんもこちらを兼任担当してます。後は、生還者学校の理事長はIS委員会委員長のラクス・クラインさん、学校長に委員会日本支部支部長のカガリ・ユラ・アスハさんとなっています』

 

「「………」」

 

 春萎さんは驚きの余りに、俺は生還者学校が要塞と化していたこととメンバーに頭が痛くなっていた

 

『ソウさん。大丈夫でしょうか?顔色が悪いようですが……』

 

「いえ、大丈夫……ただ、そのメンツは……生還者学校を要塞にしちゃったんですね………余り知られてませんがラクスさん、カガリさん、マードックさん、リンダさんにイアンさん除いて全員、IS操縦者で、キラさん、アスランさん、シンさんは一人で国一つを半日足らずでイオリさんは詳しくは知りませんけど全員が揃えば世界征服なんて3日以内に出来てしまう戦力なんです」

 

『「…………」』

 

 俺のこの発言にランさんと春萎さんはかなりの驚きようなのか口を開けて黙り固まってしまう

 

『こ、この話はこのくらいにして春萎さん。戒剣ナナキの二本を受け取ってもらえますか?』

 

「あ、は、はい。私でよろしければぜひ、受け取らせて貰います!」

 

 春萎さんは動揺から戻ってきて直ぐに武器のことを振られたせいかまた、少し動揺してからランさんに頭を下げた

 

 

 

 

 

 

続く



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タッグトーナメント開戦

はい、今回からタッグトーナメントに入ります。
と、言っても今回は一回戦開始までで次回からが戦闘回になります。


それではどうぞ~


 

 

 

 

 

 23日 IS学園・第三アリーナ、男子更衣室

 

 

 

「いよいよだな。当たっても全力で行くからな?」

 

 タッグトーナメント当日、織斑秋羅達の事件以降、()では何も無くこの日を迎えられていた

 

「あぁ、勿論、俺もだ。今日こそ、お前に勝ってやるからな」

 

「俺もだ」

 

 俺、チカ、キリトの三人はそう言うと拳を軽く合わせた

 

「僕も忘れないでよね?」

 

 俺達、三人の中にシャルルも加わり四人で拳を軽く合わせた

 

「ここの3組と春萎さん・ラウラ・ボーデヴィッヒ組、鈴・セシリア組の計5組………悪いが優勝は俺とサクヤが頂く、どの組にも渡さんからな?」

 

 俺が口調を強めて三人に言うと三人も目が鋭くなる、特にチカとキリトはSAOのフィールドボスやフロアボス戦の時の様な威圧感を感じた

 

「「「絶対、負けない!!」」」

 

 俺が言うとキリト達、三人も気合いを入れるように大声で叫んだ

 

「……クス」

 

「「「……はは」」」

 

 四人で宣言するとシャルルが笑い、つられて俺達も少し笑う。

 

「お、対戦表が出てきた………え?」

 

「「「………!!??」」」

 

 モニターに対戦表が映し出されて直ぐに俺達は一回戦の対戦に目を向けるとそには既に出てこれない筈の二人の名前があった

 

 

 

 

 

 

一回戦 織斑春萎&ラウラ・ボーデヴィッヒペアVS()()()()&()()()()()ペア

 

 

 

 

 

 

 

 

 23日 第三アリーナ・Aピット

 

 

「春萎さんもラウラ・ボーデヴィッヒも頑張れよ」

 

「ハルナ頑張れ」

 

「はい、ありがとうございます。ソウさん、兄さん」

 

 更衣室から出て俺達は春萎さん達のいるAピットに足を運んでいた

 

「……それにしても…どうしてアイツらがトーナメントにでてるんだ?」

 

「織斑先生………あの人が学園長に頼んだらしいわよ?なんでも最後のチャンスを上げて欲しいとかなんとか……はぁ…」

 

 刀奈姉さんが溜息を吐きながら言っているとタッグパートナーで彼氏でもあるチカが肩を叩いていた

 

「私にもある意味のですね………織斑を切り裂くチャンス……物にします…」

 

 春萎さんの言葉はこの場の空気を冷たく塗りつぶした

 

「あんまり気負うなよ、ハルナ。いつも通りのお前で良いんだ」

 

「……クス。わかってますよ、兄さん」

 

 チカのおかげかこの場の空気が元に戻り、チカと春萎さんをみんな、微笑みながら見ていた

 

『各ペアは出撃してください』

 

 そうしているとアナウンスが聞こえてきてそれから直ぐにアリーナはブーイングの嵐で響めいていた

 

 

 

「まあ、こうなるよな」

 

「当たり前ですね。あの人達はそれ程のことをしたのですから……」

 

 俺が軽く溜息を吐きながら言っているが春萎さんは顔色一つ変えずに言い、専用機の白夜を展開しラウラ・ボーデヴィッヒも漆黒のISを展開する

 

「それでは、私達は行きますね」

 

「あぁ、無理だけはするなよ」

 

 春萎さんはそう言ってから俺達に背中を向けた

 

「兄さんには言われたくありませんよ」

 

 春萎さんはそれだけ言うとアリーナに飛び立っていき、それに続いてラウラ・ボーデヴィッヒも飛び出していった

 

 

 

 

 

 

 アリーナ内

 

 

『『『『『わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』』』』』

 

 先程とは違い私達がアリーナに出ると大歓声が響きわたるが相手の白式を纏った織斑秋羅と打鉄を纏った篠ノ之箒が私の事を睨んできていた

 

「よお、春萎?兄と幼馴染みが苦汁を舐めさせられているのにお前だけ太陽のしたって不公平だよなぁ?」

 

「……その頭は飾りですか?いい加減に覚えてください。貴方達を兄や幼馴染みとは一度も思ったことはありません。それから私と関わらないでと言いましたよね?」

 

「お前!?千冬さんと秋羅の妹なのにその言い方はなんだ!?」

 

 秋羅をきっちり、切り捨てる様に言うと篠ノ之がいつも通りに馬鹿馬鹿しく怒鳴ってきた

 

「五月蝿いです。その二人が私にとって汚点なんです。姉の所為で専用機に自分とは違う戦闘スタイルが乗せられますしどこに行っても【()()】って事でちやほやされますし学校では分からなくても【()()】だからって勝手に出来ると思われる。秋羅が出来る所為で余計に私と兄さんは苦労したんです。それに姉……あの人は家族を見ようともしないで自分の理想だけを押し付けてくるし秋羅と一緒で家事なんて何も出来ないダメ人間……はっきり言って私は二人とも()()()です」

 

「「!!??」」

 

 私がそう切り捨てる様に言うと織斑と篠ノ之が余りにも驚いた顔をしていた

 

『試合開始!!』

 

「いいぜ……いいぜ…いいぜ、いいぜ!!もう、いい!お前をぶっ潰して誰が兄なのか身体の随まで教えてやらあぁ!!」

 

 織斑は試合開始のアナウンスが流れると発狂し私を妹に向けないようなキチガイの目を向けてきた

 

「……其方がその変態な気なら勝手にどうぞ……ですが……」

 

 私はソウさんと藍子(あいこ)さんのお陰で手に入れた新しい剣……<戒剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>と<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼(はくろう)>を展開して<夜天(やてん)>の剣先を向けた

 

「日本国家代表候補生〝()()()〟で()()()()()()()の異名を持つ私を貴方、如きが潰せると思わないことです」

 

 私は少し低い声で言うと<夜天(やてん)>と<白楼(はくろう)>を構え直しました

 

 

続く



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タッグトーナメント一回戦 春・黒兎VS秋・箒

はい、と言うことでタッグトーナメント一回戦です。
今回はかなりぐだってしまいましたかね……戦闘回ムズス


そして最後に……あの人が……と、これ以上はいけませんね。
それではどうぞ~


 

 

 

 

 

 23日 第三アリーナ

 

 

 

「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 第三アリーナで始まった一年のタッグトーナメント初戦……私とラウラの相手は織斑と篠ノ之……

 相手の二人はラウラには目をくれず私だけに一方的に剣を振るってきました。ですが、そんなことは想定内でこの試合はラウラは待機を頼んでありますから最初から私一人で相手にするつもりでしたので好都合です。

 

「デカい口を叩いておいて防戦一方じゃないか!!弱くなったな!!」

 

「貴方方に最初から本気を出すと思ってるのですか?最初から二刀流でもありがたいと思ってください。」

 

「クツ!減らず口を!切り刻む!」

 

 そう言って篠ノ之は打鉄の刀を大振りで振るってきましたが私は難なく後方に下がり回避しました

 

「避けるな卑怯者!」

 

「意味の分からない事を言ってるんじゃ無いです……ふっ!」

 

「カァ!」

 

 意味の分からない事を言っている篠ノ之に呆れていると織斑と篠ノ之が同時攻撃を仕掛けてきて織斑を蹴りとばし篠ノ之のを避けた

 

「ああ!!当たれよクソ!」

 

「当てたいなら、それなりの努力をしてください。無努力の塊の貴方達の剣が私に届く道理は無いです」

 

「「黙れ!!」」

 

 篠ノ之と織斑は私に否定された事でキレたのか怒鳴り散らし私に向かってきた

 

 

 

 

 

 アリーナ観客席

 

 

「春萎ちゃん……一刀時より強いね」

 

「あぁ。下手すれば俺より強いかも知れないな…」

 

 観客席で試合を見ていた俺達、IS組《西風の旅団》の二刀流のキリトとその彼女……いや、妻のアスナが春萎さんを見て驚いていた

 

「あの動き……あの剣裁き……それに最初に言ってた言葉…間違いない……」

 

「簪ちゃんどうかしたのかしら?」

 

「かんちゃんどうしたの~」

 

 ここで春萎さんと同じく日本代表候補生の簪が何かを思い出し呟いていた

 

「……春萎さんが試合開始直後に言ってた『()()()()()()()』と試合中の動きを見て…思い出した。代表候補生に()()()()のラファール使いがいた……名前は調べてなかったから私は知らなかったけど…皆、あるアニメを元にしてこう呼んでた()()()()()()()と……それからもう一つ…どうして、そう呼ばれるようになったかは分からないけど…こうも呼ばれていた…()()()()って」

 

「…白の魔王か……ハルナが嫌がりそうだな」

 

「うん。白の魔王は代表候補生の中でも禁句だったらしい…」

 

 簪が話してくれた春萎さんの事に俺達は苦笑いするしか出来なかった

 

 

 

 

 

 

 

 アリーナ内

 

「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ…」

 

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」

 

 試合開始から20分が経過した頃、相手の織斑と篠ノ之は息を荒くし物凄い汗を搔いていたが、私はこの20分、攻撃せずに全てを回避と防御をしていて軽く汗をかいた程度だった

 

「そんな程度で私と戦おうと思っていたのですか?甘いです、激甘です」

 

 私が吐き捨てる用に言うと織斑と篠ノ之は息を荒くしながら睨んできました

 

「ぜぇ…ぜぇ…ふ…不公平…だろ…ぜぇ…兄妹…ぜぇ…で…ここまぜぇ…差がぜぇ…あるぜぇ…なんてぜぇ…よ(なんで、どいつもこいつも俺の言うことを気かねぇんだよ!!)」

 

「ハァ…ハァ…きハァ…貴様ハァ…イカ…サマ…を…ガァ!」

 

 私は篠ノ之の途切れ途切れの言葉に一瞬、ムッとして反射的に<戒剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>の引き金を引き、光の槍は篠ノ之の体を掠めた

 

「あんまり、巫山戯たことを言わないでくださいね?今度は本当に風穴を開けますよ?」

 

「「ッ!!」」

 

 織斑と篠ノ之は私のほんの少しの殺気に当てられて顔色を悪くしていた

 

「箒!こうなったら挟み撃ちだ!」

 

「分かった!」

 

 織斑の指示で私を挟み撃ちするように二人が動きだし私を中心に直線になると……

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 二人とも《イグニッション・ブースト(瞬時加速)》で急接近し剣を振るってきた

 

「……挟み撃ちは…相手が逃げようとしている時に使う物ですよ?それに……」

 

 私はそう言い二人が止められない距離に到達すると《イグニッション・ブースト(瞬時加速)》で上空に移動しました

 当然の如く織斑と篠ノ之は壮大に激突キスを行い地面にうつ伏せで倒れてました

 

「SEも意識もあるみたいですね?なら……私から最初で最後の一撃と屈辱を差し上げます」

 

 私は試合終了のアナウンスが聞こえない事と相手のIS2機ともSEが切れてないのを確認してから<戒剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>と<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼(はくろう)>を二人に向かって構えました

すると、<戒剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>と<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼(はくろう)>から二本ずつの薬莢……計四発の弾丸が弾き出され、<夜天(やてん)>と<白楼(はくろう)>の銃身の先からピンク色の球体が現れ大きくなっていく

 

「……シュート」

 

 私が引き金を引くと<夜天(やてん)>と<白楼(はくろう)>の銃身の先から出ていたピンク色の球体から極大ビームが放たれ織斑と篠ノ之を呑み込んだ

 

 

 

 

 

続く

 



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歌姫な委員長と暴君な冬

はい!28話になります!

さあ、今回はあの人をぶった切って貰いましょうか!!

それではどうぞ!


 

 

 

 

 第三アリーナ・Aピット

 

 

「お疲れ、ハルナ」

 

「お疲れさま」

 

「ありがとうございます。兄さん、ソウさん」

 

 観客席から見ていた俺達は試合終了後、開始前と同じくAピットに脚を運んでいた

 

「それにしても春萎さんが二刀流を使うなんてびっくりしたよ~」

 

「あぁ。俺も最初は驚いた。身近に二刀流を使う人が二人もいたなんてな」

 

「えっと、和人さんも二刀流を使うのですか?」

 

 話の中でキリトの事が気になったのか春萎さんはキリトも二刀流を使うのかと聞いていた

 

「ん?あぁ。SAOにはエクストラスキルの上位、一人しか習得できないスキル…ユニークスキルが10個あってな」

 

「キリト君、その中の一つ、《二刀流》の習得者なんだよ~」

 

「そうなんですか……」

 

 二刀流のキリト、その妻のアスナが春萎さんの問に答えるように話すと春萎さんは何処か嬉しそうな顔をしていた

 

「春萎さん、どうかしたの?」

 

「あ、いえ、二刀流使用者がソウさん以外に居て少し嬉しかったんです。代表候補生にも二刀流使用者が要るにはいるんですが……ソウさん並の使い手は殆どいなくて……真面な二刀流使用者との戦いがしたくて少しだけウズウズしていたんですよ」

 

「アハハハ…春萎さんも一夏君と並ぶくらいのバトルジャンキーなんだね」

 

 春萎さんの話にアスナは苦笑いしていて兄のチカも少しだけ顔を引きつらせていた

 

 

「織斑妹ここにいたか……むっ?お前達がどうしてここにいる?」

 

 こんな感じに話しているとこの場に全くと言うほどに相応しくない織斑千冬が入ってきた

 

「友達の勝利を分かち合うために来てはいけないのですか?」

 

(チィ)織斑妹には私と織斑兄が居れば良い、お前等など邪魔だ」

 

 生徒向かって平然と舌打ちをし春萎さんを物扱いしている目の前の此奴に誰もが嫌な顔をした

 

「ご冗談を、織斑先生?私は貴方と秋羅の物でも何でも無いです。私は私です。貴方方が私を縛ろうとするのでしたら私は()()を捨てきります」

 

 春萎さんが強めの口調で織斑千冬に言うと織斑千冬は何時もより強く春萎さんを睨んでいた

 

「織斑妹、何を分からんことを言っている?」

 

「意味が分からないことを言っているのは其方です。まあ、この話をしに来たのでは無いのでしょう?そろそろ、本題に入ってください。その前に……ソウさん、兄さん、鈴以外の皆さんは少し離れていてくれませんか?」

 

「えぇ、分かったわ。ほら、皆、行きましょう」

 

 春萎さんに言われ刀奈姉さんに連れられて俺、チカ、鈴以外の皆はピットを出て行った

 

「ンンッ。織斑妹、お前がさっきの試合で使っていた武器を没収する。威力が高すぎる、それにお前は剣、一本だったはずだろ?」

 

 やはりその事かとこの場にいる俺達四人はそう思った

 

「お断りします。威力自体はラウラのレールガンと変わりません。それに、ラウラのレールガンとは違い、彼処までの威力を出すのにエネルギーチャージで30分は必要なので。それから私は元々、双剣双銃使いです。何処かの姉の所為で専用機に剣一本しか積まれなかっただけです」

 

「これは決定事項だ。異論は認めん、良いから渡せ」

 

 まただ、と鈴以外の俺達三人は思った。

此奴は自分なら何でもして良いとでも思っているのだろうか?俺達の専用機の事といい、今回の事といい、此奴にそんな権限があるはずも無いのに無理矢理にねじ曲げて自分だから良いと思っていやがる

 

「……あんまり調子に乗るなよ。クソ教師?」

 

「「「ッ!!」」」

 

「教師に向かってなんだ、その口は、更識兄?」

 

 俺はとうとう溜まりに溜まっていた怒りが爆発してしまった

 

「意味の分からねぇ暴君教師に敬意もクソもあるか。お前、入学直ぐにラクスさん……IS委員会委員長に言われたこと何にも身に染みてないようだな?」

 

「ふん!小娘にどう言われようと私には関係ない」

 

 ガリィ!

 

 歯を削った音が俺の口から出たが俺はそんなことを構わずに叫ぼうとすると……

 

「やはり、貴方にはわたくしの言葉は届いていなかったのですね」

 

 

「「「「!!!!????」」」」

 

 ピットの入口から声が聞こえ其方を見ると茶髪の青年……キラ・ヤマトさんとキラさんの前をピンク髪の女性がピットの入口から歩いてきていた

 

「…キラさんに…ラクスさん?」

 

「お久しぶりですわ、蒼。それから、織斑千冬さん」

 

「ここは、関係者以外、立ち入り禁止だ。委員会の者でも……「学園長から許可は貰って下りますわ」(チィ)

 

 IS委員会の委員長に向かって舌打ちする織斑千冬を見て春萎さん、鈴、チカは呆れ顔していたが俺はある意味の心配をしていた。

 

「織斑さん。委員会からの最後通告です。貴方が今まで通りの暴君を貫くのでしたら私達、IS委員会とIS学園上層部は貴方のIS学園からの除名を致す事になります」

 

「ッ!!どうして私が辞めさせられなければならないのですか!!??」

 

「うんなのも分かんねぇのかよ?」

 

 ラクスさんの言葉に怒鳴る織斑千冬に俺は冷たく呟いた

 

「お前の教育やお前自身が間違ってんだよ!自分なら……ブリュンヒルデの自分なら何でもやって良いとでも思ってんのか!?人のISを勝手に用意しようとしたり人のISの武器を勝手に没収しようとなんてして良いのか!!?」

 

「それは……わ、私には生徒の安全を……」

 

「何が安全だ!!安全のためになら暴君しても良いってのか!?人のISを勝手に用意しようとしたり人のISの武器を勝手に没収しようとなんてしていいのか!?安全の為だったらお前の弟と腰巾着の二人を試合だとても解放してる方が危ないんじゃか!?」

 

「……」

 

 俺の怒りの声に織斑千冬は黙ってしまう。

 

「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」

 

「ソウ、もう、その辺で良いからね?後は僕達、委員会の仕事だから」

 

「あ、はい」

 

 キラさんの声で漸く冷静になれた俺は呼吸を整えながら少し後ろに下がった

 

「蒼の言うとおりですよ。織斑さん。貴方は〝ブリュンヒルデ〟と言う称号を〝権力〟と間違えて見ておりませんか?以前にも言いましたが〝ブリュンヒルデ〟は称号であり名誉であり〝権力〟や〝力〟ではありませんわ。その事を間違わないで下さい。そして、行動する前に考えてください、周りへの影響を‥‥貴女が動いた事による未来を考えてください。それではわたくしたちはこれで」

 

 ラクスさんはそれだけ言うとピットから出て行った

 

 

続く



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姉ができるから妹が絶対できるなんてことはありえないしそれを決めつけるなんてあっちゃいけないんだよ

 

 

 

 2025年 5月23日 ソウ・シャルルの部屋

 

 

 

 

 

 一回戦、春萎さん・ラウラ・ボーデヴィッヒペアは圧勝で終わり、そしてタッグトーナメントはその一回戦で始まり、二回戦・三回戦と続いていく……もちろん、俺達SAO生還者組、ALO組のペアはいとも簡単に勝利を収めて全ペアで四回戦目を迎えることができた。

四回戦からは明日に行うってことになり俺は夕食を食べた後自室でサクヤと明日からの作戦をシミュレーションをしていたのだが………

 

「すぅ………すぅ……すぅ………」

 

「寝ちゃったか………」

 

 シミュレーションをしていき大体9時位になるとサクヤが俺のベットで寝てしまった。

 

「疲れたんだろうな……今日は頑張ってたから……」

 

『うん、そうだと思うよ』

 

 どこからか声が聞こえて、俺は左手薬指にはめている指輪、まだ、仮初めの指輪だが俺とゆうちゃんの大切で思い出が詰まっている指輪《エンジュライト》を見るとアメジストの方だけが点滅していた………俺は投射型ディスプレイを起動させると病室のベッドから上半身を上げているゆうちゃんの姿が映る

 

「やあ、ゆうちゃん……今日の試合見てたの?」

 

『うん……指輪越しから見てたよ、春萎の試合から《西風》のメンバーの全部ね。一番すごかったのは春萎が二刀流使ったことかな?ボク本当に驚いちゃったよ。』

 

 ゆうちゃんもやっぱり、春萎さんのことに驚いていたみたいだった

 

「俺も最初聞いて、昔の春萎さんの戦闘記録を見たときは驚いたよ。」

 

『でも、どうしてカドラを使わなかったの?』

 

「代表候補生になった初期はラファールでのカドラで候補生最強の座に着いたけど、専用機に自分のスタイルとは違う……自分の姉のスタイルの剣一本しか搭載されてなくてさらに、政府から『姉ができたんだから妹もできる』とかで武器の申請は通らなかったらしいよ」

 

『それ酷いよ………春萎は春萎でしょ?人の戦闘スタイルを他人が勝手に変えて言い訳ないじゃん!それに、春萎の姉……千冬だっけ?その人も何も言ってない感じだよね?』

 

 ゆうちゃんは怒っているのかほっぺたを膨らませて滅多に年上の名前を呼び捨てにしないが織斑千冬には普通に呼び捨てにしていた

 

「うん……織斑千冬も『私の妹ならそのくらいできて当然だ』って言ったらしい……織斑家って本当に家族を何だと思ってんだよ………」

 

『ボクもそう思うよ。家族はクローンみたいな同じ人で構成された集まりじゃないよ………家族は血がつながっている全く別人との集まり………姉が出来て妹が出来るなんて限らないし、妹が出来て姉ができないこともたくさんあるはずだよ……だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()兄弟だって同じことだよ……』

 

「あぁ、ゆうちゃんの言うとおりだよ………家族の形はそれぞれ違うかもしれないけど基礎はゆうちゃんの言うとおりで変わらない………基礎すらできてない家族なんて家族でも何でもないよ……」

 

 俺達はそんな話をして両方とも暗くなってしまう

 

「あっと、暗くなっちゃダメだな」

 

「そうだね。あっ!そう言えば今日ね、ボク、松葉杖無しでも歩けるようになったよ!」

 

「ほんと!?よかったね、ゆうちゃん!じゃあ、もう少しで退院できるね!」

 

俺はゆうちゃんの現状がうれしくて仕方がなった………松葉杖無しで歩けるようになったってことは、もう少しで退院出来と言うことだ……うれしくないわけ無い

 

「うん!ありがとうソー! それで、退院予定日が6月20日なんだけど………」

 

「なにがなんでもその日、ソウキと美乃梨ちゃん、連れて迎えに行くよ!」

 

 俺はサクヤが寝ていることも忘れてハイテンションでゆうちゃんと話していた

 

「ほんと!?ありがとう!あっ、サクヤ起きちゃうかもしれないから今日はここまでかな?おやすみ、ソー!」

 

「うん!おやすみ、ゆうちゃん!」

 

 俺たちはお互いにそう言って通信を切った

 

 

「ようやくゆうちゃんも退院か………うれしいな……よし、明日も頑張ろう!」

 

 俺はそう呟いて寝間着に着替えてサクヤを起こさないように布団に入り込み、寝た………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ソウの大声で起きていたサクヤは……

 

「(ソウさんの声で起きちゃいましたけど………出るに出れませんし………それにソウさんの顔が近いですし………うぅ………恥ずかしいです……)」

 

 

 顔を赤くして恥ずかしがっていた

 

 

 

 

 

続く



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ソウさんは卑怯です

 

 

 

 

 

 

 2025年 5月24日 

 

 

 

 タッグトーナメント二日目の朝、食堂………そこはかなり気まずい空気が流れていた

なぜなら……

 

「「………」」

 

 ある一つのペア………俺とサクヤのペアのサクヤが赤い顔をして同じ席にいるが少し距離を置いて食べているのだ……

 

 

『ねぇ、シャルルくん、昨日お兄ちゃん達に何かあった?』

 

『う、うん……僕が簪さんの部屋から帰った後なんだけど………二人とも蒼のベットで寝ていたんだ………』

 

『なるほど……そう言うこと……全くお兄ちゃんは………』

 

『ねぇ、簪さん…蒼ってサクヤさんと付き合っているのかな?たまに、《ゆうちゃん》って人と連絡取り合ってるみたいだけど……』

 

『うんん、サクヤさんとは〝友達以上恋人未満〟な関係でお兄ちゃんの本命は連絡しているゆうちゃん……ユウキさんだよ』

 

 2つ位離れた席から簪とシャルロットの話が聞こえてきてその話でサクヤはもっと顔を赤くしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 サクヤside

 

 

 私、サクヤは朝から顔を赤くしていた………それは、昨夜…ソウさんが言った言葉……

 

 

 

『サクヤ、好きだよ……』

 

 と、呟いた……私はその言葉を聞いてからドキドキして寝れませんでした……私は昔……暗殺者をしていた頃は寝ることが極端に少ない時もありましたから睡眠不足になることは無いのですが……寝言ですが、好きな人から《好き》言われますとSAOの時とは違ってドキドキして心臓がバクバクで張り裂けそうで……どうにかなりそうで朝、ソウさんが起きてからどうすればいいのかわからなくて少し距離を置いてしまっている

食堂でも、同じテーブルに着くけど…少し距離を空けてしまっている………さらに、簪さんとシャルロットさんの話が聞こえてきて簪さんの〝友達以上恋人未満〟の言葉にさらに、顔を赤くしてしまってます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソウside Aピット

 

 四回戦………俺とサクヤペアは四回戦初戦で相手は春萎さん、ラウラ・ボーデヴィッヒペアなのだが、結局俺とサクヤはほとんど会話できていなかった………

 

「サクヤ………」

 

「は、はい…」

 

 俺がサクヤを呼ぶとサクヤは返事をするがどこかぎこちなかった

 

「……ごめん」

 

 俺はもう、考えるのを止めて謝った

 

「……ソウさん?」

 

「サクヤがどうして距離を置いてて顔を赤くしているのかは俺にはわからない……だけど、俺が何かを……サクヤがそうなることをしたのはなんとなくわかる……だからごめん…」

 

 俺がそう言って謝るとサクヤは俯く

 

「……ソウさんは………卑怯です」

 

「サクヤ?」

 

 俺がサクヤの名前を呟くとサクヤは顔を上げてくるが………サクヤは涙を流していて顔がクシャクシャになっていた

 

「ソウさんは卑怯です……ソウさんが悪い訳じゃないのに…謝って……本当は…私が悪いのに……いつも…先に謝ってきて……私が……色々、悩んできたことが……どうでもよくなって………それで、それで……」

 

「……サクヤ」

 

 俺はもう、見てられなくてサクヤを優しく抱きしめる

 

「ごめん……サクヤ………確かに俺は卑怯だ……どうしようもないくらいの卑怯さ。みんなの……《西風の旅団》の闇を一人で抱えて自分が悪いように見せて仲間を守ろうとして……なんでもかんでも謝っている卑怯さ………」

 

「本当です…………なんでもかんでも一人で無茶して抱えて……謝ってる………卑怯すぎる程に優しい人です……だから、私は……ソウさんのことが好きになったんです……」

 

 俺はサクヤの『好き』って言葉にドキッとした………すると、サクヤは涙を拭きながら少し離れる

 

「ソウさん………この試合が終わったら……私…話したいことがあります………」

 

「…わかった……この試合、終わったら聞くよ……だから………」

 

「わかってます………この試合………」

 

 

「「勝とう(勝ちます)!」」

 

 

 俺たちは二人で宣言して大空に羽ばたいた

 

 

 

 

 

 

続く

 



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タッグトーナメント4回戦 蒼・夜VS春・黒兎

 

 

 

 2025年 5月24日

 

 

「待っていましたよ」

 

 俺とサクヤがアリーナに出ると既にISを纏った春萎さんとラウラ・ボーデヴィッヒが待っていた

 

≪待たせてすまない≫

 

「待たせてすみません」

 

 俺達が謝ると春萎さんは『クス』と笑う

 

「いいですよ、待つのはもうなれましたから……それに………」

 

 春萎さんは言いながら俺達に………いや、俺に<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼(はくろう)>を向けてくる

 

「私の本当の力………《カドラ》で蒼さんに勝ちたかったですから……私も相当な負けず嫌いですから……蒼さんとなんども、模擬戦して………何度も思いました……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だから!蒼さんと藍子(あいこ)さんに<戒剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>と<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼(はくろう)>を貰って本当にうれしかった!この恩は私の全力戦闘で……私の戦いで返します!」

 

 春萎さんは高々と俺に宣言してきた………

 

≪いいだろう………その挑戦…乗った!春萎さんの……お前の全力をこの二双の死神に見せて見ろ!俺は逃げも隠れもしない!とくと見せて見ろ!お前の剣舞を!戦いを!≫

 

 俺はそう言いながら二本の<ガーベラ・ストレート>を抜刀し構える

 

≪俺も全力で答えよう!≫

 

 俺は右手の<ガーベラ・ストレート>を春萎さんに向ける

 

「ふふっ、そうでなければ面白くありません!さあ、始めましょう!私達の戦いを!」

 

≪あぁ、来い!サクヤはラウラ・ボーデヴィッヒを頼む!≫

 

「はい!」

 

「ラウラもサクヤさんをお願い!」

 

「YES」

 

 俺と春萎さんはお互いのペア……俺はサクヤに、春萎さんはラウラ・ボーデヴィッヒに指示を出してお互い武器を構える………そして……

 

 

『試合開始!』

 

 

≪はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!≫

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 

 開始の合図と共に俺と春萎さんが武器を構えて同時に飛び出しす。

 

 

≪はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!≫

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 俺と春萎さんは同時に剣を振るう

 

≪グッ!≫

 

「クッ!」

 

 お互いの剣がぶつかりあってお互いに一度距離を取る………だが、直ぐに立て直して俺は再度突っ込む………だけど……

 

「甘いです!」

 

≪グッ!≫

 

 俺が突っ込んでいくことを読んで春萎さんは銃モードに切り替えて連射してくる……俺は避けきれずに何発かあたってしまう

 

≪まだまだ!≫

 

 今度は俺だと言わんばかりに急接近して二本の<ガーベラ・ストレート>で切り裂く

 

「きゃあ!」

 

 春萎さんは二本の<ガーベラ・ストレート>の衝撃でたじろぐ……さらに、俺は春萎さんの後ろを取って追撃する

 

「きゃあ!」

 

 春萎さんはまた、たじろいだので再度追撃しようとするが………

 

「そう簡単にやられません!」

 

 春萎さんは瞬時に体制を直して弾丸を二発発射する………俺が避けようとすると、弾丸は目の前で爆発………中からスモークが溢れて俺の視界を遮った

 

≪(なるほど………良い手だ………だけどな…)≫

 

 俺はスッと目を閉じる

 

≪(下からは爆発音………これはサクヤとラウラ・ボーデヴィッヒだな………春萎さんは…………右!)≫

 

 俺は音と気配で周りの状況を着かんで春萎さんの場所を見つけ出す

 

≪そこだ!≫

 

「え!?…………クッ!」

 

 右側に<ガーベラ・ストレート>を振るうと突っ込んできていた春萎さんが驚いたような顔をして少し遅れるが<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼(はくろう)>で防ぐ

 

≪やっぱり、強いな……《カドラのハルナ》は伊達じゃないってことか…………≫

 

「知ってたんですね……私の二つ名《カドラのハルナ》を……」

 

 俺がそう言うと春萎さんは少し暗くなって呟いた

 

≪あぁ、武器を頼まれた時に調べてな……戦闘記録を見たときは本当に強いと思った……でも……≫

 

「専用機………白夜には剣一本しか装備させて貰えなかった………政府に問いただすと『日本代表は剣で戦うのは当たり前で銃火器など要らない!それに、君はあのブリュンヒルデの妹だ、姉が出来るのだから君も出来るだろ?』と言われて…織斑先生にも『おまえは私の妹だ。私に出来たんだお前も出来るだろう』って、言われました………兄さんが起きる半年前のことです……」

 

 春萎さんは俺と戦いながらそのときの事を話してくれた

 

「半年後……私は兄さんが起きてくれて嬉しかった………だけど、私じゃあ、兄さんの心の傷……織斑先生と秋羅から捨てられた傷は癒せなかった………だから、兄さんは居なくなってしまった………《カドラのハルナ》だった私………その頃の私だったら一緒について行くことをしたかも……いや、したはずです……でも、私には……なにも守ることができない一本の刀しかなかった………」

 

≪春萎さん……≫

 

 剣を打ち合いながら話していると春萎さんの剣から悔しさや悲しさの感情が流れてくる

 

「ですが、今は違います!今の私には真の《白夜》と<戒剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>と<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼(はくろう)>が!兄さんや蒼さん………みんなとの絆が!《カドラ》がある!だから、私は次に進みます!今日この試合が私の新たな旅立ちです!」

 

 春萎さんはそう高々に声を上げた………だけど…………一つの叫びがこの試合を大きく変えてしまう

 

 

 

「来るな来るな来るな来るな来るな来るなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 サクヤと戦っていたラウラ・ボーデヴィッヒが叫びだして……シュヴァルツェア・レーゲンが黒い液体になってラウラ・ボーデヴィッヒを包み………ある一人の女性を形どった………それは…………

 

 

 

「………織斑……先生?」

 

 

 春萎さんの姉(一応)である織斑千冬と第2回モンド・ グロッソまで使用していた彼女の専用機暮桜だった

 

 

 

 

続く



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VS過去の亡霊Ⅰ

 

 

 

 

 

 

 2025年 5月24日

 

 学年別タッグトーナメント四回戦……私…ラウラは更識蒼と神無月サクヤペアの神無月サクヤと戦っていると何者かが囁きかけてきた

 

『(汝、力を求めるか?)』

 

「力…?何の事だ?!」

 

『(何者にも負けない力を求めるか?

自らの変革を望むか?より強い力を欲するか?』)』

 

 謎の声は私に力を授けようとしている。だが、私にはそれを絶対に受け入れられない理由がある

 

「断る!力は自分の鍛錬で得るもの!まして強大すぎる力はただの暴力にすぎん!与えられた力などまがい物だ!」

 

『(ならば、汝はあの頃に逆戻りするだろう。出来損ないと蔑まれていたあの頃に…)』

 

「そんな筈はない。今はあの頃に無かった物が……ハルナがいます。ハルナは言ってくれました、『あなたはあなた、どんな生まれ方をしても関係ない……人形でも出来損ないでも無い……あなたは一人の人間、ラウラ・ボーデヴィッヒって言う人間なんだよ!』と……私はその言葉……ハルナが居たから今の私があるんです!今の私に力を求める理由など無い!」

 

『(愚かな…なら、そこから見ておけ、絶対の力を………お前の大切な物を壊す力を!)』

 

 そう言って何者が私の中に入ってくる

 

「来るな来るな来るな来るな来るな来るなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

Valkyrie Trace System(ヴァルキリー・トレース・システム)

 

 

 

 

 

同時刻 春萎side

 

 

 タッグトーナメント四回戦……私とラウラのペアは最凶の蒼さんと鬼畜エイムスナイパーのサクヤさんペアとの戦い……予想通り蒼さんは私の思いを話すと私に向かってきた……そこまでは良かった……

 

「来るな来るな来るな来るな来るな来るなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 サクヤさんと戦っていたラウラが叫びだして《シュヴァルツェア・レーゲン》がドロドロに溶けるとラウラを取り込んで一人の女性と打鉄みたいなISを作り出す……その女性の姿は何度も見てきた……剣の構えからISに乗って戦う姿……

 

 

「……織斑……先生?」

 

 それは……私の戸籍上の姉で兄さんの()姉の織斑千冬だった……

 

 

同時刻 ソウside

 

 

 

≪サクヤ、無事か!≫

 

「ソウさん!」

 

 俺と春萎さんは戦うのを中断して後退していたサクヤの下に降りる

 

「私は大丈夫……です……ですが……ボーデヴィッヒさんが……ソウさんはあれが何か知ってますか?」

 

≪あぁ………あれはValkyrie Trace System(ヴァルキリー・トレース・システム)………モンド・グロッソの部門受賞者の動きをトレースするシステムだ……アラスカ条約で使用どころか研究も許されていないシステムなんだが…………≫

 

「ドイツは……研究してボーデヴィッヒさんの機体に搭載したんですね………相変わらず汚い国ですね……」

 

 サクヤは一応の祖国のドイツについて毒づく

 

≪春萎さん………春萎さんはどうしたい?≫

 

 俺は春萎さんに問いかける……春萎さんは少しラウラ・ボーデヴィッヒだった織斑千冬を睨みつけると言ってきた

 

「私が……ラウラを助けて……過去を断ち切ります!」

 

 俺はそう言った春萎さんの肩に手を置く

 

≪私じゃない……()()だ……一人でやろうとしなくていい……俺が……俺達が一緒に手伝ってやる≫

 

「でも……」

 

≪でも、じゃない………仲間の手伝いをするのは当たり前だ……だから頼れ、【西風の旅団】の仲間であり家族の俺達をな≫

 

「蒼さん……」

 

 俺がそう言うと春萎さんの反対の肩にサクヤが手を置く

 

「ソウさんの言うとおりですよ、春萎さん……私達は仲間で家族です……家族の手伝うのは当たり前です……」

 

「サクヤさん…………お願いします」

 

≪あぁ!!≫

 

「はい!」

 

 春萎さんが呟き、俺とサクヤは大きく頷いた

 

 

 

 

 

 

 

 

「(さて……手助けするとは言ったが……どうやって助けたものか……)」

 

 俺は春萎さんにラウラ・ボーデヴィッヒを助ける手伝いをするとは言ったものの、助ける方法を見つけられないで居た………そのかわり、偽織斑千冬と暮桜は雪片を構えているだけで一向に動こうとしない………そのはずだった………

 

 

「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 二人のバカがCピットから飛び出してきて暮桜擬きに剣を振るう……教師の無許可で入ってきて直ぐに相手に向かうバカは……ただ二人………拘束されている筈の織斑の悪兄(織斑秋羅)掃除道具(篠ノ之箒)

 

「あの……ばか…」

 

≪…仕方ない…あの織斑秋羅らにはしばらく囮になって貰うか……アキ………みんなに……『みんな、もう動いてるよ~後はソウの指示で出撃できるよ~』………わかった……じゃあ、アキみんなに出撃の指示を頼む『わかったよ~』≫

 

 俺とアキがそんな会話をして直ぐにAピットからキリト、チカ、アスナの三人がそれぞれのISを纏ってアリーナに出てきた

 

「「ソウ!」」

 

「ソウ君!」

 

 三人は俺達の後ろに降り立つ。

 目の前ではバカ織斑秋羅と篠ノ之箒がボロボロな白式と訓練機の打鉄で暮桜擬きになんとか、食らいついていた

 

≪三人とも来てくれてありがとう……状況はわかってる通りなのだが………≫

 

 俺が最後口ごもってしまう

 

「ソウ君にも助ける方法がわからないんだね?」

 

≪あぁ………アスナの言うとおり、方法がわからない……いや、あるにはある……一瞬でSEをかき消す一撃を放つことができれば救い出せる……そのはずなんだが……≫

 

「俺達のソードスキルならできるが………ボーデヴィッヒを殺しかねない……白式の零落白夜も使い手によってはボーデヴィッヒを殺しかねないか……」

 

 キリトがそう呟く………その通りでキリト達のソードスキルや織斑秋羅の零落白夜ではラウラ・ボーデヴィッヒを殺しかねない……だけど、それ以外に助けるすべが思いつかない……

 

「……私に考えがあります…」

 

 俺たち五人がどうしようかと考えていると春萎さんが呟く

 

「本当か?」

 

「はい……私ならラウラを助けることができます……みなさん……私に力を貸して下さい?私の考えでは心許ないと思いますが……お願いします?ラウラを……私の大切な友達を助ける力を貸して下さい!」

 

 春萎さんは俺たちに頭を下げてくる……そんな、春萎さんの両肩にサクヤとチカが手を置く

 

「春萎の気持ちはわかった……力を貸す、助けよう、ラウラ・ボーデヴィッヒをな!」

 

「私もです。元祖国に良いように扱われてしまっている人を……春萎さんの大事な友達を見捨てることはできません!」

 

 春萎さんの双子の兄のチカと元祖国にいいように扱われているラウラ・ボーデヴィッヒに思うところがあるサクヤが春萎さんに力強く言った、アスナとキリトも同じ気持ちだった

 

≪…元々俺も答えは決まっている…助けよう、ラウラ・ボーデヴィッヒを春萎さんの大事な友達をね……だけど、俺は先に奴らを叩きのめす≫

 

 俺がそう言うとアリーナで一人無駄に頑張っている織斑秋羅と篠ノ之箒を遠目に見る

 

≪その間、俺は指示とかは出せない………その間は……『私がパパやママに指示を出せばいいんですね、にぃにぃ』その通り、お願いねユイちゃん。『任せて下さい!』≫

 

 俺が話しているとキリト・アスナの愛娘ユイちゃんがキリトの専用機《キリト》から声をだしてくれる

 

≪指示はユイちゃんに一任するからそちらは任せる………俺は織斑秋羅らを叩きのめしてくるから……みんなに一つだけ……無茶はしないでくれ……いいな?≫

 

「「あぁ!」」

 

「うん!」

 

「「はい!」」

 

 俺が一言言うとみんな力強く頷いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く



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VS過去の亡霊Ⅱ

 

 

 

 

 

 2025年 5月24日

 

 

 

「クソガアァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

 俺はみんなと別れて一人戦って………囮になって貰っていた春萎さんの戸籍上の兄である織斑秋羅と腰巾着の篠ノ之箒の方に近づいていた………当の本人たちはバカみたいに(本当にバカ)ラウラ・ボーデヴィッヒだった、織斑千冬と暮桜擬きにボロボロの白式と単一装備、雪片弍型と打鉄を持って向かってはたたき落とされていた。

 

≪……無意味な奴らだ≫

 

 「「なぁ!?」」

 

 俺は右の<ガーベラ・ストレート>をしまい、左の<ガーベラ・ストレート>を構えて無策で突っ込んでいく織斑秋羅と篠ノ之箒の剣を受け止める

 

≪……邪魔ァだぁ!≫

 

 <ガーベラ・ストレート>で薙ぎ払い、二人を回し蹴りで地面に落とす

 

「……おま…え……おれ…さまの…じゃま…を、する…な」

 

≪ほぉ?まだ、意識があるんだな?クラス代表決定戦の時に比べて成長したな?ええ?≫

 

「ク…ソ、が」

 

 意識があることに内心、少し驚いたが所詮、それだけで大した成長とは言えないが俺は織斑秋羅を煽った

 

≪まあ、いい……俺は、お前とそこに転がってる雑魚の処分をしにきただけだ……≫

 

 俺はそれだけ言うと織斑秋羅の顔を掴んだ

 

「お、おい……や、や……めろ」

 

≪次、目を覚ます時は病院だろうが仕方ねぇよな?アデュー!!≫

 

 俺は織斑秋羅の静止を聞かずに一番近いピットに投げ込み、同じく篠ノ之箒も投げ込んだ

 

≪さて……後は任せるよ……頑張って春萎さん≫

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 春萎side

 

 

 

「春萎ちゃん、私達はなにをすればいいの?」

 

 

 

 蒼さんが秋羅の方に行って直ぐに明日奈さんが聞いてきました

 

 

 

「はい…みなさんには……私の…<戒剣(かいけん)ナナキ・夜天(やてん)>と<戒剣(かいけん)ナナキ・白楼(はくろう)>のフルバーストを発動するまでの時間稼ぎをお願いします……最短でも10分はかかります……それに……発動までのチャージ中…私は無防備になってしまいますので…その……壁役をお願いします」

 

「「わかった!」」

 

「うん、任せて!」

 

 そう言って明日奈さん、和人さん、兄さんは武器を構えて暮桜擬きの方に飛んでいってしまいました

 

「……皆さん…優しすぎますよ…」

 

「それが、皆さんですから…ソウさんや皆が優しいから私はここに入れるんです…私は…私を受け入れてくれた皆さんが私は…好きです」

 

「…サクヤさん…そうですね……そう思います…」

 

 私はサクヤさんと同じ思いを感じて居ました…そして、皆さんの気持ちに応えたいと心の底から思いました

 

「力を貸してください…<夜天(やてん)>、<白楼(はくろう)>…和人さんや明日奈さん……ソウさんやサクヤさん……兄さんの想いに応えたいんです……だから、お願い!」

〈あぁ!!分かってるぜ!!見せてやれ!〉

〈私達が力を貸すわ!!〉

〈だから、頑張って!!〉

〈ウチらが応援しとる!!〉

 

 私の声が…想いが届いたのか、男性の声と三人の女性の声が聞こえると光が私を包み込んだ

 

 

 

 

 

 

 春萎に変化が起こる少し前

 

 

『薙ぎ払い攻撃…3、2、1、来ます!』

 

 ユイの攻撃カウントで暮桜擬きの薙ぎ払いを避ける和人達、三人だったが攻めあぐねていた

 

「…最強の称号は伊達じゃないな…」

 

「うん、そうだね。動きに無駄が少ないし切り返しが早いから攻めきれない」

 

「俺が隙を作ります」

 

「分かった……頼むぞ、チカ!」

 

「お願いね、チカ君」

 

「はい!」

 

 二人に任された、一夏は返事をすると居合の構えで暮桜擬きに突っ込んでいく

暮桜擬きは雪片を一夏に向かって振るうが一夏はそれを待っていたのか雪片に合わせて抜刀して雪片を弾いた

 

「スイッチ!!」

 

「せやあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 一夏の掛け声で一夏と入れ替わりで細剣<ランベントライト>を持った明日奈と片手剣<エリュシデータ>を持った和人が暮桜擬きの懐に入り込み、細剣ソードスキル《リニアー》と片手剣ソードスキル《スラント》を叩きこんだ

 

『左薙ぎ払い攻撃、来ます!』

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「「チカ(君)!?」」

 

 ユイの声で和人と明日奈は防御の態勢を取ると暮桜擬きの雪片と和人、明日奈の間に一夏が割り込み、再び雪片を弾いた

 

「ッ!はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 和人は一瞬の戸惑いから直ぐ立て直し暮桜擬きに片手剣水平四連撃ソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》を放ち、後退する

 

「チカ、大丈夫か!?」

 

「あ、はい。俺は大丈夫なんですけど雪片を弾いた時に《バリア無効化攻撃》の剣先に掠ってもう、エネルギーが底をつきかけてます」

 

「もう、無茶はダメだよ、チカ君?」

 

「そうだぞ、チカ?」

 

「……はい、すみません、軽率でした」

 

 和人、明日奈の心配の声に一夏は軽率だったと謝ると彼が纏っていた《チカ》が粒子とかして消えてしまった

 

「……エネルギー切れ…すみません、俺……」

 

「大丈夫だよ、チカ君。後は私達に任せてね、キリト君?」

 

「あぁ!」

 

 戦えなくなった一夏を護るように和人と明日奈が一夏の正面に立ち、武器を構えようとすると……

 

「「「!!!???」」」

 

 春萎とサクヤがいる筈の一夏達と反対の場所で光があふれ出した

 

「春萎!!」

 

「おい!チカ!ッ!」

 

「キリト君!!きゃあ!」

 

 春萎を心配した一夏が走り出し、それを止めようとした和人だったが暮桜擬きの斬撃に阻まれ、隣の明日奈ごと、アリーナの壁まで吹き飛ばされてしまった

 

「キリトさん!アスナさん!」

 

 和人と明日奈が吹き飛ばされたのを見た、一夏は脚を止め、心配して叫ぶ

 

「…クソ!」

 

 叫んだ事で暮桜擬きに察知され、一夏は暮桜擬きに狙われてしまう

 

「ッ!……不味い!」

 

 狙われた一夏は逃げようとするが暮桜擬きは剣を一夏に向かって振り下ろした……が、一夏に当たる前に何者かに阻まれた

 

「……全く、兄さんは後先、考え無しで行動するからこうなるんです」

 

 それは、漆黒の3対3の翼、ISスーツの上から着てるような白が基調で黄色のインナーに外が白銀と金色で内が黒のジャケットを着て左手に刀身が白銀でそれ以外が桃色基調で銀色の<懐剣(かいけん)ナナキ>と同型の剣、右手には刀身が黒紫でそれ以外が赤基調で白の<懐剣(かいけん)ナナキ>の同型の剣が握っていた、一夏の妹の春萎だっだ

 

続く




どうして、戦闘シーンがこうなった!?
はい…‥自分の戦闘シーンが雑だなーと思い他の作者様の作品を見て勉強と研究をして執筆したら戦闘シーンがかなり変わりましたね…‥はい。やっぱり、勉強と研究は大切ですね!(凄い今更ですけど)
戦闘シーンは今回の書き方をなるべく維持して執筆していきたいとは思います!!アドバイス、誤字脱字があればよろしくお願いします!!

それから最後の春萎の機体のモデルは魔法少女リリカルなのはの八神はやてのバリアジャケットになります


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VS過去の亡霊Ⅲ 星々の輝き

 

 

 

 

 

 2025年 5月24日

 

 

「兄さん、大丈夫ですか?」

 

「あ、あぁ……」

 

 新しい姿をした春萎に一夏は戸惑いを隠せずにいた

 

「春萎、そんなコスプレしてどうしたんだ?〝白夜〟はどうした?ッ!!」

 

 春萎は一夏の問に「クスッ」と笑った後、左手の<戒剣(かいけん)ナナキ>と同型の剣の剣先を一夏の喉に突きつけた

 

「兄さん、次にコスプレといいましたら斬りますよ?」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「クスッ、別に怒ってないのでいいですよ」

 

 一夏は許してくれた春萎の顔を見て冷や汗を搔き、身震いしていた、そして、同時に一夏は「春萎を本気で怒らせたらダメだと」思い知らされた

 

「「「≪春萎(さん)(ちゃん)!!≫」」」

 

 春萎、一夏の所に蒼、和人、明日奈、サクヤの四人が合流した

 

「皆さん!!和人さん、明日奈さん、蒼さんは大丈夫ですか?」

 

≪あぁ、俺は問題ない。少し憂さ晴らしが出来たからな≫

 

「うん。私達も大丈夫だよ。春萎ちゃんの方は大丈夫?その……服?はどうしたの?」

 

「アスナさん…信じては貰えないかも知れませんが……春萎さんが着ているのは〝白夜〟なんです」

 

「「「≪ええ!!??≫」」」

 

 春萎が姿が変わった所を一番間近で見ていたサクヤの言葉に蒼達、四人は驚きの声を上げた。

春萎は春萎で「クスッ」と笑うと五人の前でヒラリと一回転した

 

「サクヤさんが仰ってることはことは本当のことですよ。これが私の新たな〝白夜〟の姿です!新しい名前は〝夜天の白双騎士(やてんのはくそうきし)〟になります」

 

≪〝夜天の白双騎士(やてんのはくそうきし)〟か……良い名前だ…な、皆?≫

 

 春萎の新しい機体と名前に蒼に続いて皆、頷いた

 

「これ以上の話は後でですね……早く、ラウラを助けないと行けませんから……」

 

「あ、ああ。分かってる………春萎、俺達はどうすればいいんだ?」

 

 一夏が春萎に聞くと春萎は首を縦に振った

 

「皆さんは私の後ろにいてください。既に準備は出来てますから……後は、私がやります!」

 

 春萎はそう言うとゆっくりと上昇し暮桜擬きより少し高い程度の高さで止まった

 

「このくらいなら………最小の被害で抑えられますね……皆さん!何があっても私の前に出ないでください!巻き添えにしたくありませんから!!」

 

「「「「≪ああ!!(うん)(はい)≫」」」」

 

 春萎の忠告に春萎の後ろに待機している五人とも頷くと春萎は両手の<戒剣(かいけん)ナナキ>を暮桜擬きに向けた

 

[ッ───────!!!!]

 

 春萎の行動に気が付いた暮桜擬きは剣を構え、春萎に振るおうとする

 

「……バインド!」

 

 春萎が呟きと共に<右手の戒剣(かいけん)ナナキ>の引き金を引き、エネルギー散弾が発射されあたりに散らばる

 

[────!!]

 

 エネルギー散弾が散らばり当たった箇所から白い鎖が形成され暮桜擬きの身動きを止めた

 

「……ラウラ…直ぐに助けるから…」

 

 春萎がそう言うと両手の<戒剣(かいけん)ナナキ>から七発ずつ…計14発の薬莢が弾き出され、銃口に桃色の巨大なエネルギーの球体が形成されて行く…そして…

 

 

 

 

「……我が敵を穿て、星々の輝き…我が友を護れ…破滅の閃光……《星光破(スターライト・ブレイカー)》」

 

 

 春萎の<戒剣(かいけん)ナナキ>から眩い閃光が放たれ暮桜擬きを呑み込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 私は目を覚ました。外がオレンジ色に染まっていることから夕方なのはわかり………消毒液の臭いから、自分は保健室にいると言う事を察した。

 

「気が付いたか?」

 

 ふと声を掛けられ、声の方に向くと、そこにはドイツ時代の教官……織斑千冬がいた。

 

「織斑先生……」

 

 織斑先生は私がこの学園に来たとき、少しだけ話した時と同じく、睨み着けてきた

 

「…お前はなぜ、力を拒んだ?」

 

「……前にも言いましたが、私はハルナのそばに要れれば良いだけです。そこには……織斑先生の言う()()()()は必要ありません……ましてや、与えられた力など必要ありません!」

 

「愚かになったなラウラ!なら、貴様はあの、落ち零れのラウラ・ボーデヴィッヒに戻るというのだな!」

 

「それは……」

 

「そんなことありません!」

 

 私が織斑先生の言葉に口ごもると……隣のベッドからハルナの怒鳴り声が聞こえてきて振り向くとベッドに横たわってるハルナが目に入った

 

「織斑妹、今は………」

 

 パシイィィィィィン

 

 織斑先生がハルナに何かを言おうとすると……ベッドから降りてきたハルナが、実の姉である織斑先生の頬を叩いた

 

 

「ラウラは……私の大切な友達は落ち零れではありません!たとえ、()()()()が言う、絶対の力が無くてもラウラは私の最高の友達です!」

 

 ハルナはそう言うとナイフを量子変換させてハルナはツインテールの髪の毛を切り落としてショートヘアになってしまう

 

「千冬姉さん……私があなたの妹……()()()()として、会話をするのは今日………この会話だけです……私は兄さんの所に行きます。もう、あなたと秋羅とは赤の他人になります」

 

「…何を……言って……いるんだ?」

 

 ハルナの言葉と行動に動揺を隠せない織斑先生が掠れた声でハルナに聞いた

 

()()()()()()()()()()ここから出て行ってください」

 

 ハルナは最後にそう言うと織斑先生は訳も分からない顔をしていたがハルナの言うとおり医務室を出て行った

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 



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金の貴公子と夏、春の新たな旅立ち

 

 

 

 5月24日 IS学園 寮 蒼・シャルルの部屋

 

 

「おかえり、蒼」

 

 俺はラウラ・ボーデヴィッヒが暴走した事件後、皆と別れ、ある人物と連絡を取りあってから部屋に戻った

 

「あぁ」

 

 部屋には既にシャルルが戻っており、俺達はそんな言葉を交わすと俺は自分のベッドに倒れ込むように横になる

 

「あのね、蒼……一夏達には先に言ったんだけど、僕ね……女としてIS学園に入り直すことにしたんだ…」

 

 

 

「そうか……その方が良いだろうな……それも含めて俺からも話しておかなくちゃならないことがある」

 

「ど、どうかしたの?」

 

 ベットから起き上がり、シャルルの目を見て低めのドーンで言うと、少し驚いたのかシャルルの声は少しびくつていた

 

「結論から言うとデュノア社は社長、アルベール・デュノアの妻……シャルルにしたら義母だな。社長夫人、ロゼ・デュノアに乗っ取られていた」

 

「!?」

 

 俺の話しにシャルルは驚きを隠せず声も出せなかった

 

「ほ、本当なの?」

 

「あぁ、本当だ。俺の相棒の那由多が調べたから確実だ。那由多からの調査報告書もあるから見てくれ」

 

「う、うん………!!??」

 

 俺がテーブルの引き出しから取り出したファイルをシャルルが見ると目を見開いていた

 

「そこに書いてある通り、デュノア社、倒産の危機の理由は会社のお金や製造したラファールや装備、部品、パーツを不正に〝ある組織〟に流しているからで、デュノア社社長のアルベール・デュノアは社長室で監禁状態、二人の息子のロベルト・デュノアは人当たりはよく見えるが、自分好みの女を無理矢理に自分の物にするクソッ振りでロゼ・デュノアの協力者でもある……」

 

「うん。ロベルトの周りにはいつも女性がいるし……それに、ぼ、僕もヤられかけた……」

 

 シャルル……いや、シャルロットはロベルトの事を思い出したのが体を震わせた

 

「……痛…」

 

 それを見かねた俺はシャルルのおでこに軽くデコピンして落ち着かせた

 

「落ち着け、シャルル……いや、シャルロット。ここには、お前の怖い物は無いし、お前に危害を与える物は無い。それに、ロベルトは既に死んだ」

 

「え?し、死んだの?」

 

 俺の話に掠れた声でシャルルが聞いてきて俺は小さく頷いた

 

「あぁ。今回の事件後に相棒に聞いたんだが……俺が知る中でも最高の暗殺者…コードネーム【桜】に手を出したらしい。偶然にしては運がなかったな」

 

「………」

 

 平然と話す俺にシャルルは黙り込んでしまう

 

「さて……ここからが聞かなくちゃ行けないんだが……「どうして、平然としてられるの!?」……」

 

「僕もロベルトは嫌いだけど、人が死んでるんだよ!?どうして、蒼は平然としてられるの!?」

 

 戸籍上の兄、ロベルトの死……人の死を聞いていても平然としている俺にシャルルが怒鳴ってきた

 

「……そんなの当たり前じゃ無いか……人はいずれ死ぬ…それだけだ。それに俺はずっと【裏世界】で生きてきたからな。赤の他人が一人死んだくらいでどうもしないしどうでもいい」

 

「……そ、蒼って酷い人なんだね…始めて知ったよ」

 

「だろうな。俺は自分と関わった人以外はどうでもいい……と、言うよりは自分と関わった人……友達や仲間以外は見ないようにしている……俺、一人で助けることができるのはこの手に収まる人くらいで俺には全てを護る力なんて無い」

 

「じゃ、じゃあ、蒼は仲間が友達が助けを求めているなら助けるの?」

 

「ああ。勿論、自分に出来るやり方で俺の命に代えても【西風】のメンバーは助けるしそれ以外の仲間や友達も助けてやるさ。勿論、お前の事もな、シャルル」

 

 シャルルの目の前に拳を突きつけながら俺が言うとシャルルは涙を流し始めた

 

「おいおい、ここで泣くか?」

 

「だ、だって、ずっとお母さん以外に優しくしてくれた人が居なかったから…蒼達に出会わなかったら僕…僕…」

 

 泣くシャルルの頭を俺は軽く撫でた

 

「泣きたいときに泣けばいい、この場には俺しかいないしここには、優しい仲間が沢山いる……お前が助けを求めたら助けてくれる仲間が側にいてくれる」

 

 

「う、うん。ありがとう」

 

「気にするな。それから…………いや、何でも無い」

 

 涙を吹き微笑んでくるシャルルに素っ気なく返しあることを言おうとするが思いとどまった

 

「……そろそろ、話を戻すな?シャルル、お前に聞いておかなくちゃ行けないことが一つ、お前は父親を助けたいか?」

 

「………正直、分からない。男装させて、ここに入れたのはあの人だし、あの人と話したのは1時間にも満たない……でも、そうだね。助けたい…かな。僕の唯一の家族でもあるし…僕のお父さん…なんだよね…僕ってまだ、幸せ者なんだよね……」

 

「そうだな、俺の知り合いは家族に捨てられた者や家族を亡くした者もいる……今もどこにいるか分かるしやり直せるかも知れないお前は幸せ者だろうな……他の者からすれば俺もだな……」

 

 お互いに顔を俯かせて俺とシャルルは話し、途中から涙を流してしまう

 

「おっと、しんみりしちゃったな……それで、シャルルは父親を助けたいんだよな?」

 

「あ、う、うん。僕の唯一の家族ではあるから……助けてちゃんと話がしたいかな」

 

「わかった。勿論、俺も力を貸す。そもそも俺が言い出したことだからな」

 

「あ、ありがとう。蒼」

 

 そう話していると部屋のドアがノックされた

 

 

 

『更識くん、デュノアくんいらっしゃいますか?』

 

 

 

「あ、はい。すぐ開けますね」

 

 ノックしたのは山田先生だった。

 

「どうしたんですか?」

 

「えっとですね、桐ヶ谷くん、更識くん達、デュノアくんに伝えとかないといけないことがありまして……」

 

「男子のみですか?」

 

「はい! っというのもですね、朗報です!曜日と時間が限られてますが男子の大浴場の使用が解禁されました!」

 

「本当ですか!?」

 

「はい、本当です!」

 

 俺はずっと、お風呂(湯船)に入ってなかった所為か舞い上がってしまった

 

「やったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!山田先生、ありがとうございます!」

 

「いえいえ、そんな……そこまで喜んでくれるとは……桐ヶ谷くんと一夏くんには先に伝えておきましたので私はこれで失礼しますね」

 

「はい!ありがとうございます」

 

 山田先生はそう言ってから行ってしまった。

 

 

 

 25日 IS学園・大浴場

 

 

 

「ふにゃ~」

 

 俺は一人、風呂に入って久々の湯船で変な声を出してしまう。

あの後、シャルルは流石に誘うわけにはいかないのでキリト、チカを誘ったのだが妻の相手をしていたために断られてしまい一人で入ることになった

 

「最近、性格少し変わったかもな……」

 

 旧ALOの須郷と対面してから今までSAOの頃に比べるとトゲトゲしている………ゆうちゃんに会う時間が少ないからかもしれないが……織斑秋羅とかにあたってしまっている……ゆうちゃんが学園に入れば変わるかもしれないが……正直、ゆうちゃんの前では今のままだと何かをやらかしてしまうかもしれない……

 

ガラガラガラ

 

 そう考えていると扉が開く音が聞こえる

 

 

(誰だろう?湯煙でうまく気づけないな………いや、気配を消すのがうまい……)

 

ポチャン

 

 俺が誰なのか考えていると誰かがお風呂に入ってきた。

 

「…………ソウさん」

 

「………さ、サクヤ?」

 

 俺の前にタオルで前を隠しているサクヤが現れる………そう、入ってきたのはサクヤだったのだ

 

「お隣失礼しますね」

 

 そう言ってサクヤは俺の右隣に来て湯に浸かり出す

 

「……サクヤどうしたんだ?」

 

「…すみません……迷惑なのは分かってます……だけど、臨海学習の頃にはユウキさんがIS学園に来れるかもって前にソウさんが言ってたので……こうして隣に入れることが少なくなると思うと………すみません……迷惑ですよね……」

 

 サクヤはそう言うと出ようと立ち上がろうとする……俺はサクヤの後ろから手を回して少し強引だったが俺の方に引っ張り密着する

 

「サクヤ……お前を迷惑なんて思わない……隣にいたければ居ればいいさ……」

 

「でも……ソウさんにはユウキさんが……」

 

「確かに俺はゆうちゃん……ユウキのことが好きだし大切だ………だけどな、《西風の旅団》のみんなも大切なんだ………サクヤやシリカが俺に好意を向けてくるなら俺はそれに答える………だから、サクヤの好きにしてくれ」

 

「……はい…ソウさん……」

 

 俺がそう言うとサクヤは泣き出し俺に抱きついてくる……

俺は理性的にやばかったがなんとか抑えながら泣きやむのを待った。

 

 

 

 5月30日 一年一組

 

 

 タッグトーナメントから約一週間、タッグトーナメントは中止となり、俺達、IS学園の生徒は日常に戻っていた。

 あの日から織斑秋羅、篠ノ之箒の姿を見た者はいなく、織斑千冬も教室に顔を出して居なかった

そして、タッグトーナメントでのラウラ暴走事件でドイツは一切の関与を否定し全ての責任をラウラ・ボーデヴィッヒになすりつけ軍からの除名と国外追放させたらしいが学園はラウラ・ボーデヴィッヒの機体に【VTシステム】が組み込まれていたことを国際IS委員会に報告、IS委員会はドイツの軍、研究施設の立ち入り調査を行い、言い逃れの出来ない証拠を見付け出し、ドイツは信用をどん底にまで落とし更にはラウラ・ボーデヴィッヒの部隊、黒兎隊がドイツ軍からISを持って離脱したとニュース+キラさんに聞いた。

そして、当の本人であるラウラ・ボーデヴィッヒは事件の翌日に1組の皆の前で謝罪した…

 まあ、そんなことは置いて置き、今日はシャルル………いや、シャルロットが女の子として、春萎さんが新たな自分としてIS学園に転校してくる日だ

 

 

 朝のSHRの時間になり山田先生が入ってくる

 

「えぇっと……今日は言い知らせと悪い知らせがあります、まずは転校生を……紹介します……。って言いますか、転校生っていうのかしら……? これ」

 

 悪い知らせと転校生の言葉でクラスがざわめき出す

それはそうだ、つい最近ラウラとシシャルロットの二人が着たばかりなので、昨日にはあんなことがあったのだざわめくのは当たり前だ。

 

「えっと……とりあえず、入ってきて貰いましょう……どうぞ」

 

 

 

 教室の扉が開く。

そこから入ってきたのは、女子の制服を着たシャルル・デュノアと銀髪ショートヘアの春萎さん、更には春萎さんの兄チカこと、一夏だった

 

「シャルロット・デュノアです! みなさん、改めてよろしくお願いします」

 

()()()()()()()()です。改めてよろしくお願いします」

 

「同じく()()()()()()()()だ。改めてよろしくお願いする」

 

『『『『……………………』』』』

 

 沈黙が、その教室内を支配した。

 

「ええっと、デュノアくんは、デュノアさん……っという事でした……」

 

『『『『………………はい?』』』』

 

 女装のことを知っていた俺達以外の生徒の声が重なり合う。

 

「えっ? と言う事は、デュノアくんって女?」

 

「美少年じゃなくて、美少女だったて訳ね!」

 

「って蒼くん! 同居してて知らなかったわけじゃ……………!」

 

「そ、そうよね! って言うか、一週間前位から男子が大浴場、使えるようになったよね!?」

 

 一人の女子生徒(俺達三人以外は女子生徒なのたが)の一言によって俺達三人に視線が集まる

 

「言っておくが、シャルロットは一週間前、大浴場を使っていない。同居人の俺が証言する……それで、山田先生…悪い知らせは何なんでしょう?」

 

 俺はそう言ってみんなを静かにしてから山田先生に聞いた

 

 

「あっ、はい。残念なことに織斑先生が諸事情で一組の担任をお止めになりました。今日からは私が担任となり、副担任は一応織斑先生が受け持つことになりました」

 

 山田先生の言葉に女子生徒たちが叫んだのは言うまでもない

 

 

 

続く



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臨海前日常回
木綿季の日 1


はい。批判コメにがっかりしている更識蒼です。
今回から暫く臨海学校前の日常回になります。
それの第一弾になります。
それでは、どうぞ~


 

 

 

 6月20日 港北総合病院

 

「…うぅん。朝……」

 

 一人部屋の病室のベッドで紫髪の少女が目を覚ました。

少女はまだ眠そうに目を手でこすりながら上半身を起き上がらせる

 

「ふぁ~……よく寝れた…かな?」

 

 少女は大きな欠伸をするとカーテンを開けるボタンを押してカーテンが開くと雲一つ無い青空が広がっていた

 

「良い天気だな~。こういう日に退院出来るなんて嬉しいな~」

 

「木綿季くん。おはようございます」

 

 少女は嬉しそうに青空を見上げていると部屋の扉が開いて白衣を着た眼鏡の男性が入ってきた

 

「あ!倉橋先生。おはようございます!!」

 

 男性の名前は倉橋………少女……木綿季の主治医であり彼女がこの病院でずっとお世話になっていた先生だった

 

「木綿季くん。長い入院生活、お疲れさまでした」

 

「先生も長い間、ボクやお姉ちゃんを看てくれてありがとう!!何度も辛い時があったけど……ボク、先生が居たから何度も乗り越えることが出来たんだよ!本当にありがとう、先生!!」

 

「……木綿季くん。こちらこそありがとうと言わせてください。私も木綿季くんから何度も元気を貰いました。ありがとう木綿季くん。そして、お疲れさまでした」

 

 木綿季がベットから立ち上がり深々と一礼すると倉橋は涙を流し木綿季さんに「お疲れさまでした」と言い一礼した

 

 

「今日は彼が迎えに来るのですか?」

 

「うん!ソーとソウ…朷夜と美乃梨ちゃん、それから姉ちゃんが来てくれることになってる!!」

 

 木綿季は倉橋の話に元気よく嬉しそうに答え、その姿に倉橋は微笑んでいた

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、ゆうちゃん」

 

「ソー!迎えに来てくれたんだよね?ありがとう!」

 

 正午、少女……木綿季が待ちに待っていた退院の迎えにソーこと、更識蒼が木綿季の病室を訪れた

 

「どういたしまして、ゆうちゃん。何か持つ物はあるかな?持ってくよ?」

 

「ありがとう、ソー!でも、大丈夫だよ。今、着ている服以外はなーんにも無いから!!」

 

 木綿季が着ていたのは和人や一夏達と行ったトリプルデートの時に着ていた紫のシャツに紺色のジーパンと言う男性の方がよく着てそうな服装だった

 

「わかった。それじゃあ、行こうかゆうちゃん?」

 

「うん。そうだね!あ!少し待って」

 

 木綿季は蒼にそう言うと病室に深々と無言でお辞儀する。

数秒、お辞儀し顔を上げ、蒼の方に向くと木綿季は微笑んだ

 

「もう一つ、寄りたいところあるんだけどいいかな?」

 

「あぁ。もちろんいいよ」

 

 蒼は木綿季の行きたい場所に思い当たる節があり即、頷き木綿季の行きたい場所に行くことになった

 

 

 

「パパ、ママ遅いよ!!」

 

 木綿季が行きたかった場所によってから待合所に行くと二人の子、朷夜と美乃梨、それから木綿季の姉、紺野 藍子(こんの あいこ)が待っていて、二人に朷夜が大きな声で怒ってきた

 

「ごめんね、ソウキ。ボクがどうしても寄っておきたい場所があったからソーと一緒に寄ってきたんだ」

 

「うん。ゆうちゃんの病室からの方が近かったし先に済ませておきたかったんだ。ソウキ達と合流して直ぐに帰れるようにね」

 

「……そういう事にしておくよ」

 

 自分も連れて行って欲しかった朷夜は不満そうにそっぽを向いた

すると、朷夜の姉で蒼たちの長女の美乃梨が朷夜の頭を軽く叩いた

 

「お父さんとお母さんを困らせちゃダメだよ、朷夜?」

 

「うぅ~でも……」

 

「でも、じゃない。お母さんは長い間ここに入院してたんだよ?今日で退院なのだから、寄りたい所だってあると思うよ?お母さん、そうですよね?」

 

「え?あ、う、うん」

 

 自分に振られるとは思っていなかった木綿季は慌てて頷いた

 

「それじゃあ、行こっか?」

 

「ええ、そうですね」

 

 4人の話に入ってこなかった紺野 藍子(こんの あいこ)が蒼の言葉に頷いた

 

 

「ソー?これからどうするの?予定とか決まってるの?」

 

 病院を出て直ぐに木綿季が蒼にこの後の予定を聞くと蒼は軽く頷いた

 

「うん。この後は家で昼食、それから家の案内、夜は皆で食事会を予定しているよ」

 

「ソーの家か~楽しみだな~。でも、お昼ご飯の前に寄っていきたい場所あるんだけどいいかな?どうしても最初に行っておきたい場所なんだ…」

 

「私からもお願いします。木綿季が退院したら一緒に行こうと決めていた場所があるんです」

 

「……わかった。ソウキも美乃梨ちゃんもいいかな?」

 

「うん」

 

「はい」

 

 藍子と木綿季の姉妹に頼まれた蒼は簡単に頷き、朷夜と美乃梨にも確認を取った。

 

「待っていたよ、蒼」

 

 5人が駐車場を少し歩き1台のリムジンの前を過ぎようとすると誰かから声をかけられた

 

「待たせてすみませんでした。ルクスさん」

 

「気にしないで、今の僕は更識家の執事なんだからね。えっと、紺野木綿季さん、ですね?初めまして、更識家の執事、ルクス・アーカディアといいます。よろしくお願いします」

 

「あ、はい。知ってるみたいですけど紺野木綿季です。こちらこそよろしくお願いします」

 

 声をかけてきたのは銀髪の青年……ルクス・アーカディアと普通に離す蒼といきなり名前を呼ばれ自分のことを知っていたことに驚いて動揺しながらも木綿季はルクスと挨拶を交わした

 

「これから家に向こうでいいのかな?」

 

「予定ではそうだったんですけどゆうちゃんとランさ……藍子さんの2人が先に寄っていきたい場所があるみたいなんですけど大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だよ。何処かさえ行って貰えれば何処だって行きますよ。それで、何処に行けばいいのかな?」

 

 ルクスは蒼の頼みを笑顔で引き受け木綿季と藍子に行きたい場所を尋ねた

 

「えっと、…………です」

 

 

続く




いかがだったでしょうか?
えっと、それから、これからのREIS物語更新に関してご報告

最近、リアルでゴタゴタが相次いでしまい執筆時間が取りにくくなっているのが現状です。
週1投稿はしていきたいとは思っていますが一週間の空きが出来てしまうかも知れません。その場合は本当に間に合わないと分かった時点で活動報告にてご報告させて頂きますのでよろしくお願いします


これからもよろしくお願いします


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木綿季の日 2

日常回2話目になります。
今回はギリギリ間に合いましたが次回は間に合うか正直、分かりません。
それに、今回はいつもより短くなってしまいました……すみません





 

 

 

 

 横浜市保土ケ谷区 教会

 

 

「ここは……」

 

 港北総合病院からリムジンに揺られ30分位して付いた先……木綿季と藍子が来たかった場所……それは、静寂に包まれた教会だった

 

「ボク達のお母さんはクリスチャンで何度かここに連れてきて貰ってるんだ。懐かしいや」

 

「ええ、そうね。ここに、私と木綿季……それから、母の三人で何回も来ました…」

 

 リムジンから降りた2人は母と教会の思い出に浸っていた

 

「それじゃあ、場所聞きに行かないとね」

 

 木綿季はそう言うと近くの花屋で買った白いユリの花を持って教会の方へ歩き出した

 

 

 

「久しぶり、お父さん、お母さん」

 

 教会に来てから約五分、木綿季が神父にお墓の位置を教えてもらった為、5人は直ぐにお墓に辿り着くことが出来た

 

「ボクと姉ちゃんは病気をソーに治してもらって元気になりました。お父さん、お母さん、ソーの覚えてるかな?ボクが小学校の時に友達になってボクが病気だって事がバレてもずっと、仲良くしてくれてた男の子だよ」

 

 木綿季は墓石にゆっくりと話しかけ始めた。キリスト教では『死んだ人を拝まない』となるが木綿季も藍子もクリスチャンでは(一応)無かった

 

「お母さん、お父さん、お久しぶりです。私もこの命、蒼さんに助けて貰い元気にしてます」

 

 蒼達の話の前に藍子がユリの花を置き、優しく墓石に話しかけた

 

「お久しぶりですね、覚えているでしょうか?更識蒼です。僕とゆうちゃん…木綿季と藍子さんとは2年前に偶然、ゲームの中で会うことが出来たんです。本当に偶然で最初は気が付きもしませんでしたから……ゲームから脱出するのに2年、それから別の事件に僕が巻き込まれてしまいましてね。木綿季と藍子さんを助けるのに時間が掛かってしまいました」

 

 藍子の次に紺野家と付き合いが合った蒼が墓石にSAOとALOの二つの事件と木綿季と藍子さんと再開した事を簡潔に話した

 

「もう一つ……お伝えし無ければならない事があります。僕は木綿季と結婚を前提でお付き合いさせて頂いてます。ずっと、木綿季には励まされ、ずっと僕の事を照らしてくれている木綿季の事が大好きでした。何があっても木綿季と子供達を護ります」

 

 蒼は涙を流すも力強く墓石に誓っていた

 

「お父さん、お母さん。ボクも伝えておかないと行けない事があるだ……ソーと再開した事件の時に親を亡くした姉弟をボクとソーで引き取ることになったんだ。紹介するね」

 

 木綿季がそう言うと後ろに居た、朷夜と美乃梨が木綿季の両隣に立った

 

「女の子がお姉さんの美乃梨ちゃんで男の子が弟の朷夜だよ」

 

「……初めまして、美乃梨と言います。お母さんには今年からですけど……お世話になってます」

 

「朷夜です。僕はママとパパとはゲームの中で一人ぼっちのところを助けてもらいました。ママは本当に強い人です……」

 

 朷夜と美乃梨は両親の葬式を思い出してしまったのか涙を流し墓石に挨拶をしていた。

それの姿を見た、木綿季は地面に膝をつけて両腕で抱きしめ、蒼は二人の頭を撫でる

 

「お父さん、お母さん。ボクは……ボク達は頑張って生きていきます。お父さんとお母さんが与えてくれたこの命を大切に……そして、この子達の為にもボク達は生きていこうと思います。だから、見守っていてね」

 

 木綿季がそう言い立ち上がると静に風が吹いた

まるで、木綿季の言葉に風が応えたかのように……

 

 

 

 

 

 




えっと、今回でたキリスト教の話は調べて書いたんですが……正直、説明がやたら長くなると感じて本当にこの話で必要だった部分だけを抜き取り書いています。ですので適当に書いてるわけでは無いことを明記しておきます。(まあ、もう少し説明を入れても問題は無かったとは思っていますが……)



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木綿季の日 3

はい、日常回の木綿季の日第三話になります。
ぶっちゃけ、二千文字辺りで書いているのでもう少し続きます。(出来れば今回の日常回で生還者の西風メンバー全員を出せれば良いかなって思っていますがどうなるか分かりません)

それではどうぞ~


 

 

 

 20日 更識家・夜

 

 

 

「「「「「「木綿季(さん)(ちゃん)!!!退院おめでとうおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」」」」」」

 

 更識家の一角、金持ちが集まるどでかいパーティが行われるような大きなパーティ会場でSAO・旧ALOでの仲間たち……【西風の旅団】メンバーが集まっていた。

そこには、ハルナの姿もありこの場に居ないのはIS組のセシリア、鈴、シャルロットとラウラ、それから遠い所に住んでいるマカとソウル、AIのユイちゃんの7人だけだった

 

「みんな、ありがとう!!」

 

 お祝いされている当の本人、木綿季は紫のドレスに身を包み笑顔でみんなに御礼を言っていた

 

「ゆうちゃん。改めて退院おめでとう」

 

「うん!ありがとう、ソー!」

 

 木綿季の隣には水色基調のスーツ姿で手にはジンジャエールが入ったワイングラスを持つ蒼が立っていた

 

「ソーのお家は本当にデカいね!ボク、驚いちゃったよ!!」

 

「はは、家に来た人達はみんな、そう言うよ……おっと、ごめん、ちょっと席を外すよ。直ぐに戻るからみんなと楽しんで」

 

「あ、うん」

 

 蒼は木綿季にそう言うと会場の隅の方に歩いて行ってしまった

 

「……」

 

「そんな顔してどうしたのユウキ?」

 

「アスナ……キリト……」

 

 そんなとき、木綿季の親友、白と赤のドレスを着たアスナこと結城明日奈と黒のスーツを着たキリトこと桐ヶ谷和人の2人が木綿季に話しかけてきた

 

「ずっと、一緒に入れなかったからなんだとは思うけど……ソーが何処か行くだけでもなんか…不安になっちゃうんだ……」

 

「ユウキ…」

 

「はは、ごめんね。折角のパーティなのに弱いところ見せちゃって」

 

 木綿季は涙を拭き微笑んで2人に謝った

 

「そんなこと無いよ、ユウキ」

 

「あぁ、誰にだって弱いところはある。俺にもチカ達にもだってな。弱いところを見せられるのも仲間だろ?」

 

「アスナ…キリト……うん。そうだね、ありがとう」

 

「ソウ君なら大丈夫よ、ユウキちゃん」

 

「カタナさん……」

 

 2人と話している木綿季の所に藍色のドレスに身を包んだ蒼の姉の刀奈が数種の料理が乗っているお皿を二つ持って歩いてきた

 

「ごめんなさい、盗み聞きするつもりは無かったんのけれど話が聞こえてきたから聞いてしまったわ」

 

「い、いえ、それに聞かれたらまずい話ではありませんし……」

 

 木綿季は家の主でもある刀奈に慣れない敬語を使うと刀奈は「クスッ」と笑う

 

「ふふ、いつも通りでいいのよ、ユウキちゃん。それから、もう一度言うわね、ソウ君は大丈夫よ。多分、席を外したのもある物のシステム起動だと思うわ」

 

「ああ~!学園で今日の為にって作ってた物だよね?」

 

「えぇ、私もなんの物なのかは分からないのだけど今日の為って頑張っていたわね」

 

「そうなんですね…………」

 

「みんな!パーティ中にすまない!少しいいか!」

 

 木綿季と刀奈がこの場にいるみんなに聞こえるように大きな声で叫んだ

 

「今回、《西風の旅団》メンバーで残念ながら来ることが出来なかった2人がいる……更には2人の所は電話が無くゆうちゃんのお祝いが出来ないと手紙に書いてあった……だから、俺はこのシステムを今日の為に用意した!」

 

 蒼の隣には大きな円形の機械が置いてあり、みんな首を傾げていた

 

「こいつは……まあ、説明するよりは使った方が良いな」

 

 蒼はそう言うと機械を起動される。

機械が起動すると四角いディスプレイが投射される

 

『ヤッホー。みんな、見えてる?聞こえてる?SAOβテストプレイヤーとSAO《西風の旅団》のみんなは久しぶり!新しい人は初めまして!』

 

 映像が映し出され映像内では黒と赤のドレスを着た緑の瞳とアッシュブロンドの長髪で、髪型はツインテールの少女が手を振り、赤い瞳と銀髪で赤いワイシャツに黒いスーツ、黒いネクタイの少年がソファーに座りこちらを見ていた。

 

『私の名前はマカ=アルバーン、16歳。ソウルと一緒にSAOβテストからソウと一緒に活動をしていた者です』

 

『俺はソウル"イーター"エヴァンス。年は16。マカとは学校の同級でルームシェアしてる。マカと同じでβテストからソウと一緒に活動していた。よろしくな。それから…………』

 

 少女……マカと少年……ソウルは自己紹介すると軽く深呼吸をする。

 

『『ユウキ(ちゃん)、退院おめでとう!』』

 

 マカとソウルは映像越しではあるが大声で木綿季の退院を祝った

 

「…マカ、ソウル。2人ともありがとう……ボク、本当に嬉しいよ!!」

 

 祝ってもらった木綿季は涙を流して喜びマカ達二人に微笑んだ

 

「さて!SAO《西風の旅団》メンバーが揃ったところでみんなでもう一度乾杯しよう!ほら、ゆうちゃん」

 

 いつの間にか木綿季の隣に戻っていた蒼が木綿季の肩に手を置いた

 

「うん!みんな!今日は本当にありがとう!!!カンパーイ!!!」

 

「「「「「『『乾杯!!!』』」」」」」

 

 

 木綿季の声に合わせ、映像越しのマカやソウルも含めたみんなが手に持っていたワイングラスで乾杯した

 

 

 

 

 

 

続く

 



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木綿季の日 4

五月後半は申し訳ありませんでした!!
今月から更新を再開させて頂きます。
今回も木綿季の日になります。
木綿季の日は予定では次週まで続くと思いますがよろしくお願いシます。

今月からまた、よろしくお願いします。


 

 

 

 20日 更識家・夜

 

 

「あ、お兄ちゃんにソウ君にユウキさん!!」

 

 蒼と木綿季、和人の三人は明日奈と刀奈と別行動で料理を食べながら集まった人の所に行くと黄緑色のドレスに身を包んだ少女、リーファこと和人の妹の桐ヶ谷直葉に呼び止められた

 

「やあ、直葉さん」

 

「こんにちは、直葉!」

 

「スグ楽しんでるか?」

 

「こんにちは、ユウキさん。ドレスだから、少し恥ずかしいですけど楽しませてもらってるよ」

 

「そうか、それは良かった」

 

「楽しんでいてくれて良かったよ」

 

 直葉の言葉に兄である和人と主催者側でもある蒼は嬉しそうだった

 

「改めて、ユウキさん。退院おめでとうございます」

 

「うん!ありがとう直葉!直葉も来てくれてありがとうね」

 

「いえ!こちらこそお誘いありがとうございます。少し憧れていたんです、こういうドレスを着るのって」

 

 直葉はくるりと回り自分のドレス姿を見せた

 

「聞いてなかったよね?似合ってるかな?お兄ちゃん、ソウ君」

 

「あ、あぁ、良く似合ってるぞ」

 

「似合ってると思うよ」

 

「ありがとう、お兄ちゃん、ソウ君」

 

「……」

 

 蒼が直葉にそう言っていると木綿季が蒼に対して冷たい視線を送ってきた

 

「あ!ソウさん、キリトさん、ユウキさん、直葉さん!」

 

「アンタ達、ここにいたのね」

 

 直葉と話していると黄色いドレスを着た少女、シリカこと綾野珪子が走り珪子の後ろから桃色のドレスを着た女性、リズベットこと篠崎里香が歩いてきた

 

「やあ、珪子、里香。パーティは楽しんで貰えてるかな?」

 

「はい!こう言うのは初めてだったので最初は少し、緊張しましたけどソウさんが近くにいるのが分かってるので………その…」

 

「この子、アンタを見つけるまでずっと、ガチガチだったのよ」

 

「あ!?里香さん、その事は言わないでくださいよー!」

 

「「「…アハハハ」」」

 

「みなさんも笑わないで下さいよー!」

 

 蒼の前で里香に言われたくない事を言われ、和人達に笑われて珪子はむくれていた

 

「いつ見ても二人とも本当の姉妹に見えるよ」

 

「「え?」」

 

 突然の蒼の言葉に里香と珪子の二人は驚いてしまう

 

「い、いきなり何を言い出すのよ?アタシとシリカが姉妹に見える?そ、そんなわけ無いわよね?」

 

「……」

 

 突然の蒼の言葉に里香は動揺し珪子は顔をほんのり赤くしていた

 

「確かにリズとシリカはずっとSAOの時から一緒に居るし仲もいいから姉妹に見えるな。スグもそう思うよな?」

 

「うん!里香さんと珪子さん、本当に仲良いですから姉妹だって言われても信じちゃうと思いますよ」

 

「ボクもシリカとリズは姉妹に見えるかな?何処って言われると上手く言えないけど……リズが《西風の旅団》に入ってからずっと一緒に行動していたからかな?」

 

「「……」」

 

 和人、直葉、木綿季の三人からも同じく「姉妹に見える」と言われた珪子と里香は顔を赤くして黙り込んでしまう

 

「あ、アタシ、アスナ達の所に、い、行くから!」

 

「あ!里香さん、置いてかないで下さいよー!」

 

「あ、二人とも……行っちゃった」

 

 里香が先にこの場を離れその後を珪子が追いかけてこの場を離れていった

 

「からかい過ぎましたね……」

 

「うん。少しやり過ぎたかな?」

 

「そうみたいだな」

 

 走って行く二人の背中を見ながら蒼達、四人はやり過ぎたと思っていた

 

「キリト、ソウ、久しぶり」

 

「久しぶりだね、二人とも」

 

 そんな時に空色のドレスを着た黒髪のセミロングの少女と茶スーツを着た茶髪の少年が和人と蒼に話しかけてきた

 

「あ……ああ、久しぶり、ケイタ、サチ」

 

「……ひ、久しぶり」

 

 少女…サチと少年…ケイタの二人に話しかけられた蒼と和人は何処か遣りきれない顔をしていた

 

「……直葉、ちょっと付いてきてくれない?」

 

「あ、はい」

 

 木綿季は何かを思ったのか直葉を連れて蒼と和人を残してその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、ユウキさん?いきなりどうしたんですか?」

 

 外のテラスまで連れてこられた直葉が目の前で星を眺めている木綿季に聞いた

 

「いきなりごめんね。あの場は四人だけにしたほうが良いかなって思ったんだ……」

 

 直葉の方に顔を向けた木綿季の顔は少し悲しそうだった

 

「お兄ちゃんとソウ君に何かあったんですか?」

 

「うん。本当はこういう場で話すべきじゃ無いんだと思うんだけどね……直葉には話しておいたほうがが良いと思うから……」

 

 木綿季は一度直葉から目をそらしてから直葉の目をしっかりと見つめた

 

「キリトがケイタとサチに会ったのはSAOが始まってから数カ月がたった頃……二人が前に所属していたギルドを助けたからだったんだ」

 

「え?サチさんやケイタさんは別のギルドだったんですか?」

 

 SAOの話を詳しくは知らなかった直葉はケイタとサチが前は別ギルドに所属していた事に驚いていた

 

「うん。ギルドネームは《月夜の黒猫団》。ケイタがリーダーでケイタとサチを含めた友達五人で設立したギルドなんだ」

 

 木綿季は自分の知っていることを語り始めた……キリトがケイタ達……サチのコーチをすることになったこと、約二ヶ月後、ケイタを除いた27層迷宮区に挑み、サチとケイタ以外の《月夜の黒猫団》メンバー、三人が死んでしまったこと、そして、ケイタ達が《西風の旅団》に入ったこと……全てを語った

 

「それで……お兄ちゃんとソウ君はサチさん達に話しかけられたとき、何処か遣りきれない顔をしていたんですね…」

 

「うん。二人とも……特にソーは《月夜の黒猫団》を壊滅させたのは自分だって思い込んじゃてて…そんな時にクリスマスの日にあるイベント情報がソーの耳に届いたんだ…」

 

「あるイベント……?」

 

「クリスマスの日……25日の0時丁度、ある樅ノ木の下に『還魂の聖晶石』と言うレアアイテムをドロップする〝背教者ニコラス〟が現れる。ソーは『還魂の聖晶石』に最後の望みをかけたんだよ…」

 

「どうしてソウ君はそのレアアイテムを取りに行ったんですか?」

 

「『還魂の聖晶石』は蘇生アイテムって噂が流れたんだ…」

 

「!!!????」

 

 直葉は『還魂の聖晶石』の事を聞いて直ぐに気が付いた。

蒼は《月夜の黒猫団》の三人を蘇生しようと考えていたのだと

 

「ソーの異変に気が付いていたボクはキリトに頼んでクラインにソーを監視してもらっていたんだ。ソーは一人でニコラスを倒すために誰も見つけてい無かったニコラスの出現場所を見つけていたんだ。その時が始めてかな?ソーを本気で怒ったの」

 

「……ユウキさんもソウ君を怒ったことあるんですね」

 

 木綿季は蒼を本気で怒った事に笑い、直葉はいつも仲が良い木綿季と蒼にもそんな時があるんだと苦笑いしていた

 

「ボク達も人間だからね、喧嘩し合う事だって、怒ることだってあるよ?でも、そうだね。ボクがソーを本気で怒ったのはあの時が最初で最後かな?あれからはボクがソーを怒ることは無かったよ……何度も心配させられたけどね」

 

「…あの、因みになんですが、ソウ君を本気で怒った時、なんて言ったんですか?」

 

 自分達も人間だからと笑いながら話す木綿季に直葉は本気で怒ったときになんて言ったのかと気になり木綿季に聞いた

 

「えっーと、『ざけんな!さっきからなに!?黒猫団の三人が死んだのは自分の所為にしてくよくよしてさ!誰の所為でも無いでしょ!?勝手に思い込んで一人で行こうとしないでよ!相談してよ!何のためのギルドなの!何のためにボクは一層から着いてきたのさ!ソウ、ボクは一層の時に言ったよね?『ボクは何があってもソウの側にいるからね』ってソウは一緒に行こうって言ったよね?でもなんで、感じんな時にはボクを置いてい行こうとするの!ボクがお荷物ならそう言ってよ!』だったかな?」

 

「うわぁ~、ソウ君かなり堪えたんじゃ無いんですか?」

 

「あの時のボク達は友達以上恋人未満……ソーとは相棒って関係だったからどうかはボクにも分からないけど…でも、ニコラス戦の前まで目を合わせてくれなくてどうしてって聞いたら『接し方に困ってる』って言っていたから堪えてたのかな?」

 

 普段通りに話す木綿季に直葉は冷や汗を搔きながら苦笑いしていた

 

「あ!お母さんに直葉お姉ちゃん。ここに居たんですね!探してたんですよ。何かあったんですか?」

 

「美乃梨ちゃん!うんん。何でも無いよ。少し直葉と話していただけだよ」

 

 木綿季と直葉の下に白基調の所々赤があるドレスを着た木綿季と蒼の愛娘の美乃梨が室内からテラスに出てきた

 

「お母さんが主役なんですから途中で居なくならないで下さい」

 

「アハハハ、ごめんね。美乃梨ちゃん。それから探しに来てくれてありがとう。直葉、戻っか?」

 

「あ、はい」

 

 木綿季と直葉、それから美乃梨は室内に戻っていった

 

続く



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木綿季の日 5

はい。と、言うことで(どういう事だとは言わない)木綿季の日のラストになります。
臨海編まではもう暫く掛かりますが気長にお待ちください。
それではどうぞ!



 

 

 

 20日 更識家・夜

 

「久しぶりです、木綿季さん、美乃梨ちゃん」

 

「お久しぶりです。木綿季さん、美乃梨ちゃん」

 

「あ!チカ、ハルナ!二人とも久しぶり!!」

 

「チカさん、ハルナさん、お久しぶりです」

 

 あの後、直葉と別れた木綿季と美乃梨は料理を食べながら会場内を歩いていると純白のスーツに黒いネクタイを身につけたチカこと神薙・S・イチカとイチカの妹、月白のドレスを身につけた神薙・S・ハルナに声をかけられた。

 

「二人とも色々大変だって聞いたけど大丈夫?」

 

「あぁ、苗字の変更の手続きがややこしかっただけで後はカタナがやってくれましたから」

 

「はい。私達は書類に目を通しただけですから……殆ど楯無さんにやっていただきましたから…」

 

「あら?チカは自分で苗字を決めたじゃない?」

 

「みなさん、こんにちは」

 

 チカとハルナがそう言っていると刀奈と刀奈と蒼の妹の簪が空色のドレスを着て一緒に歩いてきた

 

「こんにちは、簪。でも苗字を決めたときだってカタナや簪にも手伝ってもらったから俺一人では何も出来なかったよ」

 

「それでも、イチカさんが苗字と意味を考えたことには変わらない」

 

「簪ちゃんの言う通りよ、チカ?私達は貴方の後押しをしただけ、貴方がそれを掴んだのよ」

 

「でも俺は……「苗字の神薙に意味があるの?」まあ…はい」

 

 「でも」とイチカが言うとその先を言わせないようにしたのか木綿季が苗字の意味をイチカに聞いた

 

「この手で守れる者は何があっても…例え神が相手でも薙ぎ払って守る……それが、神薙に決めた時の俺の気持ちです」

 

「…守る者の為に神でも薙ぎ払う……うん!チカらしいよ……だから、聞くよ?チカ……イチカにとって守りたい者ってなに?」

 

 軽く呟いた木綿季は大きく頷いてから目鋭くしてイチカに「守りたい者は何か」と聞いた

 

「…俺の守りたい者は……この手で守れる人達……西風の人達や鈴……でも、俺には西風の人達や鈴達、全員を守れる強さはありませんから……まずは……」

 

 イチカは一度言葉を切り妹のハルナと彼女でもある刀奈の顔を見る

 

「ハルナやカタナ…それから、鈴を守れるほどに強くなりたい…それが今の俺の目標です。」

 

 イチカの言葉にハルナと刀奈は顔をほんのり赤くして俯き、木綿季はイチカの言葉を聞いて微笑む

 

「そ、今のイチカの思いなら大丈夫だね。もし、イチカが【皆を守る】ってだけの答えだったら怒ったところだったよ。」

 

「……アハハハ(よ、良かった……)」

 

 木綿季の口から出た言葉にイチカは苦笑いするしか無かった。なぜなら、イチカは木綿季が怒るところをSAO時代に何度も見ており、その中でも特に酷かった激怒り状態で暗殺ギルド《ラフィンコフィン》の小隊を一人で壊滅させた所を目のまで見ていたのだから……

 

「何かあったら相談に乗るからね?一応、ボクは《西風の旅団》サブギルドマスターでもあるからギルドメンバーで友達の相談には乗るよ」

 

「あ、はい。その時はお願いします。木綿季さん」

 

「うん!お願いされたよ!」

 

 軽く拳をぶつけ合う、二人を少し嫉ましそうに刀奈とハルナが見ていたが二人は全く気づかないでいた。

 

「木綿季、ここに居たのね」

 

「ママ~」

 

 そうしているとこの場の五人とは違う声が2つ聞こえ、木綿季が振り向くと紫苑色のドレスを着た木綿季の姉のランこと紺野 藍子(こんの あいこ)と小さな天色のスーツを着た木綿季と蒼の息子、ソウキこと朷夜が歩いてきた

 

「姉ちゃんに、ソウキ!どうかしたの?」

 

「朷夜君が眠そうだったから連れてきたのよ。ソウさんはサチさん達と話してる途中だったから」

 

 藍子がそう言うと朷夜が大きな欠伸をかき、木綿季は時計を見ると既に九時を回っていた

 

「もう、こんな時間だったんだ……」

 

「この時間帯はソウキ君や美乃梨ちゃんが眠くなるのは仕方ないわね」

 

「私も少し眠いです…」

 

 九時を回っていたことに少し驚く木綿季と呟く刀奈、そして、ずっと我慢していたのか美乃梨も眠そうに目を軽く擦っていた

 

「これ以上、二人を起こしているのは可哀想ね。ユウキちゃん、ソウキ君と美乃梨ちゃんを寝かしてきなさい。ソウ君に………いえ、チカついて行ってくれないかしら?」

 

「うん。分かった」

 

「あぁ、わかった」

 

 今日、来たばかりの木綿季を一人で部屋に行かせるのが心配な刀奈は部屋への案内に木綿季の彼氏でもある蒼に頼もうとするがサチ達と話している蒼の顔色を見て、数カ月だったが更識家の一員で家の中もある程度は分かっているイチカに頼むことにしイチカは快く引き受けた

 

 

 

 

「チカ、案内ありがとうね」

 

「気にしないでください。俺は頼まれたことをしたまでです」

 

 朷夜と美乃梨の二人を寝かしつけた木綿季とイチカは会場に戻るため、廊下を歩いていた

 

「ねぇチカ?ボク達、同い年なんだし、敬語辞めない?」

 

「いやいや!俺達をずっと前で引っ張ってくれた木綿季さんにタメは使えませんよ!」

 

「ボクは特にやった事なんて無いと思うんだけど?」

 

 引っ張ってきたことに身に覚えが無い木綿季は首を傾げていた

 

「いやいや!ずっと俺達を支えてきてくれたじゃ無いですか?主に精神面やアスナさんと一緒に料理などと生活面でずっと、支えられてきたんですよ」

 

「……まあ、確かにそう言われればボクが支えになってたのかな?でも、出来ればタメで話してくれない?同い年に語で話されのは慣れないからさ」

 

「……わかった、ユウキ」

 

「うん!」

 

 木綿季の言葉でイチカは敬語を辞め、普段通りの話し方に変えた。

 

「二人とも待ってたよ」

 

「「ソウ!!」」

 

 二人をパーティー会場に続く扉の前で蒼が待っていた。

蒼の顔色はサチ達と話しているときと比べ良くはなっていた

 

「どうしたの?」

 

「うん。パーティーをお開きにするから最後に皆でダンスを踊るんだよ」

 

「え!?ボク、ダンスなんてしたこと無いよ!?」

 

「俺も出来ませんよ?」

 

 一般人だった、木綿季とイチカ、それから《西風の旅団》のメンバーほぼ全員がダンスの経験など無く、あるとしたら更識家の刀奈、蒼、簪に元、暗殺者のサクヤ、コタの五人くらいになるだろう

 

「大丈夫。俺とゆうちゃん、チカに刀奈姉さんで踊ることになるだろうから俺と刀奈姉さんでリードするよ」

 

「なら、大丈夫だと思うけど……ダンスか~始めて踊るから緊張するな~」

 

「俺も……」

 

「大丈夫さ。最初は誰でも初心者なんだから楽しく行こう」

 

 初めてのダンスに緊張する木綿季とイチカに蒼は優しく声を掛ける

 

「それじゃあ、皆待ってるから行こうか」

 

「え!?あ、う、うん」

 

「あぁ」

 

 急に扉を開けられ心の準備が出来てなかった木綿季は一瞬焦ったが直ぐに落ち着きを取り戻した

 

『待ってたわよ!ユウキちゃん!チカ!』

 

 蒼が扉を開けると会場内に刀奈の声が響いた

 

「ゆうちゃん、俺と一曲、踊ってくれないか?」

 

「よ、よろこんで」

 

 木綿季をダンスに誘う蒼、当の本人の木綿季は顔をほんのり赤くし差し出された蒼の手に自分の手を重ね置いた

 

「俺は、カタナの所に行きます」

 

 イチカはそう言うと会場内に消えていった

 

『それじゃあ?みんな、良いわね?ミュージックスタート!!』

 

 刀奈の合図と共に1曲目が流れ始め、各々踊り始めた

 

「さて、俺達も踊ろうか」

 

「う、うん」

 

 歩き出す二人、会場内は紅、白、青……様々な色がクルクルと回り輝く虹を作り出していた

 

 

 

 

 

 

 

続く



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デート 蒼と音 二人の距離

はい。と言うことで臨海学習前第二弾になります。
この回は1話完結になりますが3、4回続きます。
何かしらのアドバイスがある方(非ユーザ以外)は誤字脱字報告以外は念のためメッセでください


 

 

 

 22日

 

 

「少し早く着いたか?」

 

 俺は青いシャツに紺色のジーパンの私服姿で駅近くの公園にある人との待ち合わせで着ていた

 

「アイツとプライベートで出かけるのも久しぶりだな…」

 

 俺はこの日をある意味、楽しみにしていた。

今日の待ち合わせの相手……一ヶ月前と少し前に出かけることを約束していた相手……俺の暗殺者時代の相棒だった那由多。

 那由多と再会したのは五ヶ月くらい前、ゆうちゃんのお見舞いに病院に行ったときに実に7年近くぶりの再会だった

その後は俺の専属傭兵としてたまに【()()()】では出来ない仕事を頼んでいる

 

 

「待たせてしまいましたか?」

 

 少し考え事をしていると隣から声を掛けられ顔を向けると濃い紺色のブレザーに白いワイシャツ、赤いリボンで赤いチェックのミニスカートを着て手にはピンク色の小さなバックを持った那由多が立っていた

 

「いや、俺も今、来たところだよ。那由多」

 

「それでしたら良かったです」

 

 俺の言葉にそう返事すると那由多は腕時計を少しだけ見た

 

「ここに居るのもなんだし、何処か別の場所に行かないか?」

 

「そうですね。それでは、近くのショッピングモールに行きませんか?」

 

「あぁ、それじゃあレゾナンスに行くか。…その前に那由多。その…その服似合ってる」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 俺ははっきり言うと服とかにこだわりが無く、人の服もそこまで気にしていない……のだったが、ALO事件後に『彼女が居るのだからその辺りも身に着けなさい』とカタナ姉さんに言われて短時間でかなりの量を学ばされた……その為、デート定番ではあるがこう言った事を意識して言えるようにはなった。

 こう言うことには慣れてなかったのか那由多らしくない笑みを浮かべて顔をほんのり赤くしていた

 

「珍しいな、那由多が赤くするなんて」

 

「はぁ……」

 

 俺の言葉が失言だったのか那由多は溜息を吐いた

 

「ソウは乙女心が少しは分かるようになったみたいだけどまだまだね……ソウさん、確かに私は那由多でソウさんの前で那由多として顔を赤くするのはありませんでしたが……今の私はソウさんに……刹那さんに助けられて、刹那さんに憧れた〝夕凪 音桜(ユウナギ ネオ)〟なんです。憧れた人に褒められたら誰だって赤くなるのは当然ですよ?」

 

「そう……か、ごめんな、那由多……いや、音桜」

 

「いいえ、気にしてませんよ」

 

 那由多…音桜の話で『まだだな』と自分の女性関連の知識不足を痛感していた

 

「まあ、こう言う話は無しで行きましょう!!」

 

「あぁ、そうだな」

 

 そんなこんながあったが俺と音桜はレゾナンスに向けて歩き出した

 

 

「音桜は買う物とか決まってるのか?」

 

「はい。実は…私、こうやって出歩く服が殆ど無くてですね…だから今日、ソウさんに私の私服や水着を選んで欲しくて…」

 

「…分かった。だけど、俺もまだまだ女性関連の知識は少ないから色々教えてくれないか?」

 

「はい!私で好ければ喜んで!」

 

 顔を赤くしたり目をキラキラさせて喜んだりとこんな那由多を見たこと無く俺は新鮮に感じた

 

 

 

「大きいですね」

 

「あぁ、そうだな」

 

 公園から歩いて数分、俺達はこの辺で最大級の駅前ショッピングモール〝レゾナンス〟に着ていた

 

「音桜はレゾナンスは初めてなのか?」

 

「あ、はい。今、通っている学校も通信制で私、一人で出歩くことも無くてこの辺は殆ど来たこと無いんですが前に見た雑誌にここにショッピングモールがあってレゾナンスって名前だってことだけしか知らなかったんです」

 

「そうだったんだな。近くは何度か通ったことあるけど俺もレゾナンスに入るのは初めてなんだよ」

 

「え!?本当ですか!?」

 

「あ、あぁ…」

 

「そうなんですか~ソウさんも初めてなんですか~」

 

 なぜか嬉しそうにしている音桜……大型ショッピングモール〝レゾナンス〟、音桜に言ったとおり俺もここに来るのは初めてだったりする……基本的に必要な物は家の者に買ってきてもらったりするため、こうやって〝日本〟で買い物に出ることなんてほぼ無かった

 

「女性物の洋服店はここじゃ無いか?」

 

「あ、そうですね」

 

 レゾナンス内を歩いて直ぐに新しめの洋服店を見つけ中に入った

 

「……」

 

 入った途端に店内にいたほぼ全員の女性に一瞬睨まれたが直ぐに買い物に戻った者も居れば何人かは未だに気づかれないようにだが睨んで来ていた

 

「ソウさん?」

 

「いや、何でも無いよ。音桜に合いそうな服を選んでみるよ」

 

「はい。お願いします」

 

 心配したのか声を掛けてきた音桜に微笑みで返して昔の知識と服のタグ、音桜にも聞いたり試着してもらったりして服を選んで行った

 

 

 

 

 

 

 

「お、ここのスパゲッティ、美味しいな」

 

「そうですね」

 

 音桜の服や水着を買い終えた俺達は近くのイタリアンレストランで昼食を取っていた

 

「でも、良かったんですか?こんなに買ってもらって……」

 

「良いんだよ。那由多に日頃の御礼もあるけど音桜に買って上げたかったからね」

 

「あ、ありがとう…ございます」

 

 顔をほんのり赤くする音桜…俺と音桜の隣には午前中に買い込んだ服や水着などが入った袋が各四つ、計8つの袋が置いてあった

 

「この後はどうしますか?」

 

「う~ん、俺は特に決まってないけど音桜は何処か行きたい場所でもあるか?」

 

「えっと、私も特には無いんですけど……強いて言いますとIS関連の物を見て回りたいなって…」

 

 俺のことを気にしてなのかIS関連って所から顔をほんのり赤くしながら徐々に声が小さくなっていった

 

「いいよ。俺もIS関連の物には興味があったし、それにIS委員会に頼ってばっかりじゃダメだと思っていたからね。でも、その前に……」

 

「お待たせしました、特大パフェになります」

 

 お昼後の予定をある程度決まったところで俺の前に特大パフェが置かれた

 

 

 

 

 

 

 

「あの、ミックスベリーを二つお願いします…」

 

 夕方、買い物を終えた俺達は近くの公園にある、幸せが訪れると評判のクレープ屋に着ていた来ていた。

 

「ごめんね、お嬢ちゃん。ミックスベリーは売り切れちゃったんだ」

 

「そうなんですか…」

 

 クレープ屋の店員の言葉に音桜は顔を俯かせてしまう。

 

「じゃあ、ストロベリーとブルーベリーを一つずつください。」

 

 俯いていた、音桜とクレープ屋の店員が俺の発言に驚いたような顔をする。

 

「はい、ありがとうございます」

 

 店員は笑顔で受けてストロベリーとブルーベリーを一つずつ作り俺達に手渡してくれる。

 

「まいど、ありがとうございました」

 

 お金を払って俺達は目の前が海のベンチに腰を掛けた

 

「今日は凄い楽しかったですけど…少し…残念です……」

 

「幸せのミックスベリーが食べれなくて?」

 

「はい。今日最後のソウさんとの思い出にしたかったんですけど…」

 

 海を眺めクレープを食べる音桜の顔は少しだけ残念そうにしていた

 

「ですけど、ソウさんと食べるクレープは美味しいのでこれで満足です」

 

「そうか……なら、もう一つの思い出を作ってあげる」

 

「え?」

 

 俺はそう言い俺のブルーベリーのクレープを差しだすと音桜は訳が分からないみたいでクレープと俺の顔を何度も見てきた

 

「はい、あーん」

 

「あ、あーん」

 

 俺の行動で漸く理解できた音桜は顔を真っ赤にして差し出したクレープを食べた

 

「……お、美味しかったです」

 

「それなら、良かった」

 

 赤いままの音桜に俺は微笑みクレープを食べる

 

「ソウさん、今日一日、ありがとうございました」

 

「いや、こちらこそありがとうな。今日一日、楽しかったよ」

 

 

「「クスッ」」

 

 お互いに笑いだし、笑い終えると音桜が立ち上がる

 

「憧れた刹那さん……いえ、ソウさんと一日こうしてデートが出来て良かったです。これで…………

 

 

 

 

 

 

 

私の初恋を終わらせることが出来ます」

 

 

「え?」

 

 俺は一瞬、笑みを浮かべている音桜の言っていることが分からなかった

 

「どういうことって思っている顔ですね?」

 

「あぁ」

 

 音桜に聞かれたとおり俺は音桜の言いたいことが分からないでいた

 

「私は刹那さんに助けられた時に刹那さんに一目惚れしてたんです。那由多として暗殺者になったのも刹那さんの相棒になったのも刹那さん……アナタの側にいたくてアナタの伴侶になりたかったからなんです……でも、ソウさんにはもう心に決めた人がいて…仲間がいて…私の初恋はもう、実らない……だから、こうして初恋のソウさんとの最初で最後のデートで私の初恋を終わらせようって決めてたんです」

 

「そう……だったんだな」

 

 俺は音桜の話を黙って聞いた……いや、何も言えなかった。

 話し終え、涙を流す音桜に俺は立ち上がりゆっくりと歩き出す

 

「音桜、お前の気持ちも考えも分かった。だから、俺も1つ言っておきたいことがある……俺の

 

 

 

 

 

 

 

 

初恋もお前なんだよ、音桜」

 

「え?」

 

 微笑み、音桜の優しく頭を撫でる俺と今度は音桜が分からないような顔をしていた

 

「音桜、俺はなお前と那由多として出会ったときに自分でも気づかないうちにお前に恋をしていたんだ。恋に気が付いたのはお前を無くしたあの任務……お前に篠ノ之束と脱出ロケットに乗っけられたあの時……俺はお前が好きだってことに気がついたんだ」

 

「ソウさん…」

 

「遅かった…本当に遅かった…もっと早くに気が付いていれば良かったのにな…お前の言うとおり、俺には心に決めたゆうちゃんがいる。だから、お前とそういう関係にはなれない。それでも俺は、好きであるお前をこの手から離したく無い……お前をもう、離したくないんだ……だからさ、音桜、最低な奴って思うだろうけど……

 

これからも俺の側にいてくれないか?」

 

 

 もう、俺は那由多を……音桜の手を離したくない…あの時のような後悔をしたく無い…

 

「良いんです…か?アナタの側にいて?」

 

「あぁ。居て欲しいんだ」

 

「捨てないですか?」

 

「勿論。お前を捨てるなんて事は絶対にしない」

 

 俺は答えながら涙を流す音桜を抱きしめる。

 

「嫉妬……深いですよ?」

 

「知ってる」

 

「世間…知らず…ですよ?」

 

「俺も同じさ」

 

「うぅ……うわあぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 ついに音桜は声を出して泣き始め、俺は音桜を抱きしめながら優しく頭を撫でた

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




アレ?誰だこいつ?
はい、ブッレブレの那由多デート回でしたがいかがだったでしょうか?
こう言う話が苦手な方はプラウザバックまたは暫くはこの作品の読を避けてください。

それでは次回もよろしくお願いします!!


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蒼と夜 二人の気持ち1

はい。今回もデート回、前回同様に長くなるので前半後半に分けたいと思います。











そして……サクヤ可愛い



 

 

 

 6月28日

 

 

 

「ソウさん、おはようございます」

 

「おはよう、サクヤ」

 

 臨海学習前の休日、俺は私服姿でIS学園のモノレール改札前で今日を一緒にするサクヤを待っていると白いワンピース姿で肩から小さな肩下げバッグを下げたサクヤが歩いてきた。

 

「その服よく似合ってる。かわいいよ、サクヤ。」

 

 俺がそう言うとサクヤはほんのり顔を赤くしていた

 

「…ソウさん…そう言ってくれるのは嬉しいです…ですが、ほどほどにしないと美乃梨ちゃんにまた、怒られますよ?」

 

「……善処するよ」

 

 俺の言葉を聞くとサクヤは軽く溜息を吐いた

 

「…ソウさんは私や珪子さんの思いに気が付いている為だと知っているつもりですが……あんまり美乃梨ちゃんと木綿季さんを困らせないであげて下さいね?」

 

「分かってるつもりではあるんだけどね…」

 

 以前に一度、美乃梨ちゃんから「お母さんのことを考えてください!!」と怒られた俺はサクヤに言われたことは適当には返せないでいた。

 

「今日はこの話はこの辺にして、行きませんか?」

 

「あ、あぁ、そうだな」

 

 話を辞め、俺達はモノレールの改札口を通りモノレールに乗り込んだ。

 

 

 

 

「よし、それじゃあどこに行こうか?」

 

 モノレールを数個先の駅で降りると、俺はサクヤに何処から行くかと尋ねた

 

「えっと、私…このあたりは初めてで良くわからないんですけど…その、もうすぐの臨海学習用の水着を買いたいんですけど…」

 

 サクヤが申しわけなさそうに言ってきて俺はそんなサクヤの頭を優しく撫でる

 

「気にしなくていいよ。それじゃあ、大型ショッピングモールのレゾナンスに行くか…あそこなら、水着も売ってるはずだからね。それでいいかな?」

 

「あっ、はい」

 

 サクヤが頷いた所で俺たちは歩き出す。

 

「あの……ソウさん?」

 

「ん?」

 

 歩き出してすぐに、サクヤが声をかけてきた

 

「どうして、私を誘ったんですか?」

 

 サクヤは今回、俺が誘ったことに気になったみたいだ。

 

「理由は簡単にサクヤとどこかに行きたかったからかな?」

 

「え?」

 

 サクヤは俺が言った理由に少し驚いて居るみたいだった

 

「クラス代表対抗戦での約束を果たせられなかったから…それに、タッグトーナメントの後も俺が話を聞ける状態じゃなかったから、お詫びにどこか行こうかなって思ってさ…これじゃあダメだったかな?」

 

「…いえ、そんなことありません。ありがとうございます」

 

 俺がそう言うとサクヤは顔を少しだけ赤くしていた。

 

 

 

 

「大きい…ですね…」

 

「ここいらで最大級のショッピングモールだからな」

 

 俺とサクヤは以前に俺と音桜でも来た大型ショッピングモール〝レゾナンス〟に来ていた

 

「いろいろ見て回りながら水着売り場に行くか?」

 

「良いんですか?」

 

「もちろん。今日一日、サクヤと一緒に居るつもりだから俺のことは気にしなくていいよ。それに、サクヤが物珍しそうに見てるのに水着売り場に直行はサクヤが楽しめないからね」

 

「えっと…その、ありがとうございます」

 

 サクヤは遠慮がちだったが嬉しそうに微笑んでいた。

そうして俺とサクヤは〝レゾナンス〟内の店を周り水着売り場に辿り着いた

 

「…やっぱり、どのお店も女性物の方が多かったですね」

 

「仕方がないさ。今の世界は【女尊男卑】。女性が優遇され、女性だから許される。I()()()使()()()()()女性が凄いだけで()()()()()偉いと思っている女性が男を見下している……そんな世界だから男性物より女性物が多く取りそろえられてるんだよ」

 

「…ソウさん……」

 

 俺が世界のことを話すとサクヤが、何処か悲しそうな顔で俺の名前を呼んだ 

 

「おっと、デート中にこんなこと言ってごめんな?」

 

「あ、いえ…話を振ったのは私ですから…ソウさんが謝ることではありません。謝るのでしたら私です…すみません」

 

「分かった。じゃあ……」

 

 自分の間違いだと思ったサクヤが落ち込みながら謝ってくる…俺はサクヤの頭を軽く撫でた

 

「俺も謝らないからサクヤも謝らないでいいからな?今のはサクヤが悪いわけじゃないから謝らなくていいから…な?」

 

「…はい」

 

「うん、よし!」

 

 サクヤの小さな返事を聞いた俺は撫でていた手をサクヤの前に差し出した

 

「さあ、デートの続きと行こうか、サクヤ?」

 

「…はい!」

 

 サクヤは笑顔で手を取り俺はサクヤの手を握り水着売り場に歩いて行った。

 

 

続く



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蒼と夜 二人の気持ち2

すみません、二話構成にするつもりが…この話で終わりませんでした。次回は終わらせるつもりですが四話構成になるかも知れません。
それから、サクヤ回はどうしても暗めになっちゃいましたしデート回なのにサクヤの登場出番が…それでは、どうぞ!


 

 

 

 

 

 

「……本当にいいんですか?こんなに多いのに……」

 

「ああ平気さ」

 

 水着を選んだ後、俺達は水着売り場近くの〝ムラシマ〟と言う服屋で買い物をしており、現在はカゴの中にカットソー(タグに書いてあった)やブラウス(こちらもタグに書いてあった)など下着も含めて2、30着近くあり、それを俺が買ってあげることにサクヤは抵抗を感じていた。

 

「それじゃあ、買ってくるから外で待ってて」

 

「あ、はい……」

 

 俺はそう言って外でサクヤを待たせてレジに向かう。

 

「いらっしゃいませ、商品をお預かりいたします」

 

 レジは運良く並んでおらず、すぐに会計ができるはずだったのだが、レジの店員が一着、一着袋に入れていると、俺のカゴの隣に後ろから来た、女性がいきなりカゴを置いてくる。

 

「あなた、これも払いなさい」 

 

 女性を見なくてもこの一言で女性が女尊男卑派の人間だとわかった

 

「悪いな、生憎、財布に金は無いんだ。自分で買ってくれ」

 

 俺がそう言うと女性は俺に怒鳴ってきた

 

「なら、すぐそこのATMでおろしてきなさいよ!どうして、男はそんなこともわからないのかしら!?」

 

「あっそ、じゃあな」

 

 俺は女性が文句言っている間にカードで会計を済ませてその場を立ち去ろうとする…が、後ろから女性が怒鳴りちらしてきた

 

「なに、帰ろうとしてるのよ!あんた、男でしょう!男が女の服を買いのは当たり前よ!義務なのよ!早くしないと警備員呼ぶわよ!」

 

 義務もヘったくれもないのだがな、と思いながら俺は……

 

「ISに乗れない()()が。少し黙れ」

 

「ッ!!」

 

 普段通り、温厚な感じで話していた俺が急に変貌したのを目の当たりにした絡んできた女性は少し青い顔をした

 

「お前は言ったな?『男が女に服を買うのは当たり前』と…義務とも言ってたな?ふざけたこと言ってんじゃねえぞ?」

 

「ふ、ふざけたことですてぇ!?男の癖に……「誰が喋っていいと言った?」ッッッッ!!!!!!」

 

 ブチギレ状態の俺に女が何かを言おうとしていたがほんの少し出した殺気で女は黙り込んだ

 

「確かに今の世界は女=偉いとかふざけた思想が広まっている……だけどな?お前も知っているだろうが、数カ月前に四人の男性IS操縦者が見つかったよな?その時点で女=偉いなんてことは無くなってんだ」

 

「…」

 

「更に言えば、今は女のIS操縦者より男性IS操縦者の方が数十倍価値がある。そして、お前はただの男で餓鬼だと思って居るだろうが……」

 

「あ、あぁ…」

 

 俺が表紙に『IS学園生徒手帳』と書いてある手帳を見せると絡んできた女は顔を真っ青にして崩れた

 

「お前は男性IS操縦者、四人の顔を覚えてなかったみたいだな?まあ、そんなのはどうでもいい。さて、俺が手を下す前に失せろ」

 

 俺が殺気を込めて言うと絡んできた女は逃げるように走り去った

 

「はぁ…」

 

 俺は溜息を吐いてからサクヤが待っている方に戻ると私服姿のキリトとアスナがサクヤと話していた

 

「二人も来てたんだ。サクヤ、待たせてごめんな」

 

「よお、ソウ」

 

「あっ、ソウ君」

 

「いえ、アスナさん達と話していたので大丈夫でしたけど…何かありましたか?先程、レジあたりが騒がしかったようですが…」

 

 サクヤは心配そうに聞いてきて俺はサクヤの頭をなでた

 

「大丈夫だよ、少し女尊男卑派の女に絡まれただけだから、心配しなくてもいい…でも…」

 

「でも?」

 

「…心配してくれてありがとう、サクヤ」

 

「…はい!」

 

 俺が笑顔で〝心配してくれてありがとう〟と言うとサクヤは顔を真っ赤にしアスナとキリトは微笑んでいた

 

「そうだ、キリト。アスナとのデート中に悪いんだけど、少しだけサクヤと一緒にいてくれないか?」

 

「いきなり、どうしたんだ?」

 

「少しな…」

 

 俺はそう言うとキリトとアスナにだけ見えるようにスマホの画面を見せた

 

「…わかった。明日奈いいよな?」

 

「うん。分かってるよ」

 

「ごめん。サクヤ、少しだけキリトと待っていてくれないか?」

 

「…分かりました」

 

 サクヤは少し不満そうだったがゆっくりと頷いてくれた

 

「それじゃあ、キリト。なるべく早く戻る」

 

「あぁ、分かった」

 

「ごめんね、サクヤちゃん。直ぐに戻るから」

 

「…はい」

 

 俺とアスナは二人にそう言うとその場を離れエスカレーターを降り、あるお店に向かう

 

 

 

 

 

 

 

「アスナ、付き合わせちゃってごめん」

 

「サクヤちゃんの為だもん、仕方ないよー。えっと、それでサクヤちゃんに何を買うのかな?」

 

 エスカレーターを降り、道を歩いて居る中、俺はアスナに謝った

 

「取り敢えずはアクセサリーとは決めてるけど他は全く。だから、アスナに付いてきてもらったんだ。女性としての意見をもらうためにな」

 

「私もアクセサリーに関しては疎いけどサクヤちゃんの為に頑張るよ」

 

 そう言いアスナは意気込むが直ぐに顔を俯かせてしまう

 

「あの事、まだ気にしてるのか?」

 

「気にしないなんて、出来ないよ……私の所為でサクヤちゃんに辛い思いさせちゃったんだから…」

 

 あの事……SAO内で起きた事件…アスナは一時期、攻略組最小最強の俺達《西風の旅団》の次に最強を誇っていたギルド、団長のヒースクリフと副団長ランさん率いる《血盟騎士団》に教導官として出向いていた時期があった。

そんな、ある日、74層のフロアボスを俺とゆうちゃん、キリトにアスナ、そしてランさんの五人でトラブルがあったが討伐してしまった。

その際に俺はユニークスキルの《統制》、キリトも同じくユニークスキルの《二刀流》を表舞台で初めて使用し次の日の新聞にデカデカと載り、キリトは隠れ家だった家に沢山の情報屋とプレイヤーが押しかけてきたのだった。

そんな時、ヒースクリフがキリトにデュエルを申し込み、負けた方が勝者の言うことを聞くことに……結果はキリトの負けで終わり、キリトは一日だけ《血盟騎士団》の預かりとなった……それで終われば良かったんだが…キリトは《血盟騎士団》メンバーの二人とクラディールの計三人と任務と言う名の訓練に出ることになった。

事件が起こったのはこの後、訓練途中の昼食でキリトとメンバー二人はクラディールに麻痺毒を盛られ、メンバー二人のクラディールに殺され、キリトもHPを数ドットまで削られたがパーティーのままだったアスナが異変に気が付き、俺とアスナ、コタにサクヤ、ランさんの五人がギリギリで間に合いキリトを助けることが出来た…それからアスナとランさんの連撃フルボッコでHPをゴリゴリ減らされたクラディールの「死にたくない」と言う言葉を引き金に自分を見ているようで嫌な、サクヤが激怒した…それで終われば良かったのだが、何とかサクヤを静めることが出来た途端にクラディールが両手剣を持ち目の前のアスナとランさんを襲った…その時に静まったはずだったサクヤが再び激怒しクラディールに向かっていってしまった…その途中で俺が大声で静止させたのだがその場の誰もが予想して無いこと…サクヤが間違って武器をクラディールに向けて投げてしまいその一撃がトドメとなりクラディールは死んだ。

サクヤはその事で一度はギルドを抜けようとしたしアスナはずっとこの事を引きずっているのだった

 

「あまり、気負うな。あれは、誰の所為でも無い。強いて言えばあれは、俺の所為さ…キリトからメッセをもらったときに俺が気が付くべきだった」

 

「ソウ君…」

 

「おっと、こんな話は止めだ。それに、お店の前に着いたしな」

 

「うん。そうだね」

 

 過去の話を辞めた俺達はアクセサリーショップの中に入った

 

 

 

続く



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蒼と夜 二人の気持ち3

頑張っても頑張ってもネタが纏まらずグタグタになってしまう……そんな自分を直したい

はい。と言うことでサクヤ回3話目ですがかなりのグタグタです。
それでも良いと思う方は進んでください

それではどうぞ


 

 

 

「「……(気まずい)」」

 

 和人とサクヤナが蒼と明日奈を近くのベンチで待っていたが二人の間には重苦しい空気が流れていた

 

「えっと、キリ…和人さん……今日は明日奈さんと水着を?」

 

「あ、あぁ。もうすぐ臨海学習だからな…サクヤ達もだろ?」

 

「いえ、水着はソウさんに買って頂きましたけど…今回、ソウさんは私と出かけることが目的みたいです…」

 

 サクヤナはそう言うと何処か暗い顔で俯いていた

 

「ソウとのデートは楽しく無いのか?それとも…」

 

「そんなことはありません、それに和人さんと一緒に居るのも嫌ではありません」

 

「なら、どうして暗い顔をしているんだ?」

 

「暗い顔…私、してましたか?」

 

「ソウと明日奈が心配してたぞ」

 

「……」

 

 和人の言葉にサクヤナは黙って俯いていた

 

「話したく無いなら話さなくていい…だけど、ソウにだけは話してやれ…もし、ソウに話せないなら、俺や明日奈が相談にのる」

 

「和人さん……その時はよろしくお願いします」

 

「ああ」

 

 和人はサクヤナの言葉に軽く頷いた。蒼と明日奈が戻ってきたのはそれから10分位してからだった

 

 

 

 

 

 

 

「サクヤ、キリト待たせた」

 

「今、戻ったよー」

 

 俺とアスナは買い物を終え、サクヤとキリトの待っている場所に行くと二人の間だけ空気が重かった

 

「ソウさん、アスナさん。お疲れさまです」

 

「二人ともお疲れ」

 

 二人は俺達が声を掛けると二人から漂っていた重い空気は無くなり普段の二人の顔だった

 

「キリト、アスナ、デート中だったのに本当にごめんな…それから、ありがとう」

 

「ソウ君。気にしなくていいよ」

 

「アスナの言うとおりだぞ、ソウ。」

 

 キリトとアスナは普段通りの微笑みでそう言ってくれて、隣のサクヤも同じく微笑んでいた

 

「それじゃあ、俺達は行くよ。また、学園でな」

 

「あぁ、またな」

 

「うん。またね、ソウ君、サクヤちゃん」

 

「はい。また、学校で、キリトさん、アスナさん」

 

 俺とサクヤ、キリトとアスナはお互いのデートを再開するべく二手に別れてその場を後にした

 

 

 

 

「ここからの、景色はいいですね…少し怖い気もしますけど…」

 

「うん、そうだね…少し高いかも」

 

 キリト、アスナと別れた俺とサクヤは〝レゾナンス〟から少し歩いた場所にある10階建てのビルの最上階に入っているレストランで食事をしていた

 

「ですが、鈴さんから聞いたとおり、ここの料理は美味しいですね…鈴さんには感謝です」

 

「鈴が教えてくれたんだな…俺からも鈴には御礼を言わないとな。サクヤとこんな美味しい昼食を食べれたんだからね」

 

「ソウさんにそう言って貰えると私も嬉しいです」

 

 サクヤは嬉しそうだった……昼食をこのレストランに決めたのは会話の内容通り、サクヤでメニューが出てくるまで少し不安そうな顔をしていたが今は嬉しそうに頼んだペペロンチーノを食べていた…因みに俺が頼んだのはナポリタンだ

 

「この後はどうする?何処か行ってみたい場所とかあるか?」

 

「えっと…先程、見かけたゲームセンターに行ってみたいです」

 

「ゲームセンターだな。少しゆっくりしてから行くか」

 

「はい。そうですね」

 

 俺とサクヤはこの後の予定を決めるて少し時間を掛けたが昼食をすませて近くのゲームセンターに向かった

 

 

「ここが、ゲームセンターなんですね…」

 

「うん。ここがゲームセンター…通称ゲーセンだよ。いろいろなゲーム…音楽ゲームやレースゲームなどの家庭用ゲーム機を大きくしたようなやつや今、左右にあるような景品を取るゲームなどが多く並んでるんだよ……若干五月蝿いけどね」

 

 ゲームセンター着いた俺達は辺りを見渡しながら歩いて居たがサクヤの方を見ると五月蝿いのが苦手なのか片耳を軽く抑えていた

 

「外に出ようか?」

 

「いえ…大丈夫です……初めてでしたので少し驚いてしまっただけです」

 

「それなら良いけど、無理しないでな?」

 

「分かってます…それに、少しはなれましたので大丈夫です」

 

 サクヤは何処か無理しているような笑顔を浮かべていたが俺は無理にその事に触れないようにしてサクヤの手を取り繋いだ

 

「ソウさん?」

 

「……確か、さっきの所に」

 

 俺はサクヤの手を引っ張り来た道を戻り入り口近くのUFOキャッチー前に止まった

 

「少し待ってて」

 

 俺はサクヤにそう呟き、サクヤの返事を待たずにUFOキャッチーを始め一発でUFOキャッチーの景品を手に入れた

 

「はい、これ。防音性は良いはずだから少しは楽になるよ」

 

 俺は景品……箱に入った赤と黒のヘッドホンをサクヤに手渡すとサクヤは少し驚いていたが嬉しそうに微笑んでいた

 

「…ありがとう御座います」

 

「どういたしまして。早速着けてみなよ」

 

「あ、はい」

 

 サクヤは俺の言葉に頷いてから箱からヘッドホンを取り出し着けてくれた

 

「うん。よく似合ってるよ」

 

「そ、そうですか?そうでしたら、嬉しいです」

 

 サクヤは顔を少し赤くしていたが先程の無理しているような笑顔では無く、本当に嬉しそうに笑顔を浮かべていた

 

「ソウさん、私もやりたいです!やり方を教えて下さりますか?」

 

「あぁ、もちろん!何でも教えてやる!まずはどれからやろうか?」

 

「歩いていた時に見かけたのがあったのでそれをやりたいです」

 

「分かった。その場所に行ってみよう」

 

「はい!」

 

 俺とサクヤは自然と手を握り合いサクヤのやりたいゲームの方に歩いて行った

 

 

 

 

 

 

「ソウさん、今日はありがとう御座いましたの」

 

 ゲームセンターでかなりの時間遊んだ俺達は俺が良く行く公園のベンチに座っていた

 

「気にするな、俺も久々に楽しかったよ」

 

「私も楽しかったです。特にあの……ホラーゲームでしたか?」

 

「サバイバルホラーゲーム〝ヴァイオ4〟。確かにアレは楽しかったな」

 

 サバイバルホラーゲーム〝ヴァイオ〟…ゾンビなどのモンスターを銃で倒していくホラーゲーム…家庭用ゲームとして発売されて今では超が付くほどの大人気ぶりで実写映画化やアニメなど様々な商品展開されている。

俺は少し驚いたがこのアーケードゲームをやろうと言い出したのはサクヤでこのゲーム中、サクヤは銃を使っていたからかいつも以上に楽しげだった

 

「サクヤ、一つ聞いていいかな?」

 

「なんですか?」

 

 俺は軽く深呼吸をしてサクヤの手を軽く握った

 

「……IS学園から居なくならないよな?」

 

「ッ!!」

 

 サクヤの顔を見ると嬉しそうな顔から一転、現実に戻されたような暗い顔をした

 

「ど、どうしてそんなことを聞くのですか?」

 

「…正直俺にも分からない…でも、あの日……タッグトーナメント戦で約束してからずっと、サクヤが俺の目の前から居なくなってしまう……そんな感じがしていた」

 

「ソウさん…」

 

「ッ!!」

 

 サクヤの顔を見ることが怖くなった俺はずっと、夕焼けを見ていると俺の頬に柔らかい何かが当たり、眼だけを横に向けるとサクヤの真っ赤な顔が目の前にあり何が当たったか理解できた

 

「ソ、ソウさん。私は何処にも行きません。確かに私はあの時、IS学園から生還者学校に移ろうと考えていました……ですが、今日一日ソウさんと一緒に出かけて決心出来ました……私はソウさんの近くに居たいです!例え、この気持ちが……この思いが実らなくてもソウさんの近くでソウさんを見ていたいです!」

 

 サクヤの顔が離れるとサクヤは顔を真っ赤にし笑顔でそう言ってくれて俺は何も言わずにサクヤを抱きしめた

 

 

 

続く

 

 




サクヤ大胆ですね~
はい、と言うことで今回でサクヤ回は終わりますが……さて、どうやって収拾着けましょうか?今回の話を勢い半分で書いて自分で収拾が付かなくなってきてますからね~
さて、どうしましょうかww
まあ、おいおい考えるとして次回もお楽しみに~


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蒼と風  暴風の夜明け 一

はい。と言うことで延ばすに延ばしていた話になります。
この話が終われば臨海学習に入りたいと思います(日常回長過ぎとは言わないで)

それでは、どうぞ


 

 

 

 

 7月1日 喫茶アンジュリーゼIS学園支店

 

 

「ごめんね、ソウ。呼び出したの僕なのに遅れちゃって」

 

「気にするな。会社からの緊急連絡だったんだろ?」

 

「うん。でも、恩人で友達との約束に遅れたのは僕だから、ごめんね」

 

「……その気持ちは受け取っておくよ」

 

 臨海学習間近に迫ったこの日、俺はシャルに呼ばれIS学園唯一の憩いの場所、〝喫茶アンジュリーゼ〟の個室にいて、待ち合わせから少し経ってからシャルが入ってきた

 

「それから……今日は御礼も兼ねてるから僕が全て持つから好きなの食べていいよ」

 

「大丈夫なのか?六月入ってからフランスと日本を行ったり来たりしてるんだろ?」

 

 シャルは六月になってから直ぐにフランスのデュノア社と日本を一週間置きに行き来していて昨日一週間ぶりに帰ってきたばかりだった

 

「行ったり来たりはしてるけど、全てデュノア社……父さんが全て出してるからお金のことに関しては大丈夫だよ。それに……僕は一応代表候補生〝だった〟から国からの手当《給料》が貯まるに貯まってるんだよ」

 

「……ごめん、代表候補生から降りなきゃ行けない形にして」

 

 シャルはフランス代表候補生の座を降りた……いや、正確には今回の事件の発覚ででシャルはフランス代表候補生の座を降ろされたのだ

 

「ソウが謝る事じゃ無いよ。今回の事で代表候補生を降りる事になるのは覚悟してたから……それに、代表候補生降りてからあれやこれやで表舞台では社長にされちゃったしね」

 

「それは、三日前のニュースで見たよ。社長就任おめでとう、デュノア社長殿?」

 

 俺がからかうとシャルは少し怒ったような顔をしていた

 

「ソウ、からかうのは辞めて欲しいな。僕は表舞台での社長で僕がIS学園を卒業するまでは父さんがこれまで通り社長を務めてくれることになってるから僕は第3世代ISのテストパイロットで」

 

「あまり、自分の事を悪く言うなよ。でも、一昨日発表されたデュノア社の第3世代型IS、〝ミストラル・オーブ〟は凄かったよ」

 

「それも、これも、全てはソウの御陰だよ。ソウが居なかったらデュノア社は倒産して僕と父さんや社員たちは路頭に迷うことになっていたんだから…だから、改めてソウ、ありがとう」

 

「俺は少し背中を押しただけだ。それに、全てを終わらしたのは俺じゃ無い、【桜】だ」

 

「ソウ…彼女と知り合いみたいだったけど、知り合いなの?」

 

「まあ、少しな…」

 

 シャルがデュノア社の社長になった今回の事の終わりにはいろいろな人の策略や思いが交差し、それを知るのはこの場の俺とシャル、その場にいた那由多、シャルの父親……そして、コードネーム【桜】だけだった。

その話は六月初めに遡る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六月

 

「う~ん。はぁ~……久々の飛行機は疲れたぁ~」

 

「だね。僕も少し疲れたよ」

 

 この日、俺とシャルは日本から遠く離れたフランスの首都、パリの空港にいた

 

「さてと、観光したいのは山々なんだが……」

 

「うん。今はここでは6時半……日本では深夜一時位かな。明日は朝一であの人と会わないと行けないから、早めにホテルで休まないとね」

 

 学園には一週間の外泊届を出しては居るが善は急げと言うことで俺とシャルはフランスに着いた翌日の一番でアポイントメント…アポをとっていた。

 

「それじゃあ、迎えが来ているはずだから行くか」

 

「? ソウはフランスに知り合いが居るの?」

 

「いや、フランスの知り合いはシャルぐらいだよ。今回の迎えは俺の仲間で以前の相棒だよ」

 

「以前と言われるのは心外ね。私は今もアナタの事を相棒と想っているのにね」

 

 女性の声が聞こえ、振り向くと黒髪ロングで透き通った蒼い眼、いつも着ている赤と黒のドレスを着た那由多が少し怒ったような顔をして歩いてきた

 

「久しぶり那由多」

 

「ええ、久しぶりね。それで、先程の言い訳を聞かせてくれるかしら?」

 

「言い訳も何も、本当の事だろ?お前は【()()()()()()】で俺はもう、其方には戻れない。だから、お前は俺の【()()()()()】なんだよ」

 

「そういう事なのね、納得はしないけど、今はそういう事にしておくわ」

 

 那由多はそう言うと俺の隣のシャルの方を向いた

 

「初めまして、シャル様。私は那由多、ソウが言いましたとおり元相棒で、今はソウの従者になります」

 

「は、はい。よ、よろしくお願いします」

 

 シャルは緊張しているのか声のトーンなどが若干高く、それを見かねた、那由多は少し笑う

 

「ふふ、そんなに緊張しなくてもいいですわよ?それはそうと、車にご案内しますわ。話はホテルでごゆっくりと」

 

「あぁ、よろしく頼む。シャル行くぞ」

 

「うん」

 

 俺とシャルは那由多に連れられ那由多が用意したリムジンに乗り、これまた那由多に用意して貰ったホテルに向かった

 

 

 

 

 

 

続く

 




不明点、誤字脱字があればコメントにてお答えします


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蒼と風  暴風の夜明け 二

 

 

「おはよう、シャル。那由多」

 

「うん。おはよう、ソウ」

 

「おはよう御座います、ソウ」

 

 フランスに着いた翌日の朝、俺が部屋を出るとほぼ同時に那由多とシャルが隣の部屋から出てきた

 

「那由多、シャルが居るからって常時仕事口調じゃなくていいぞ?な、シャル?」

 

「う、うん。僕も普通に話して欲しいな」

 

「はぁ……分かったわ。デュノア社以外では普段通り話すわ。それでいいわね?」

 

 那由多は仕事時の口調を……と、言うより俺と2人っきりの時にしか普段の砕けた口調を使わないのだが……

 

「さて、早くレストランに行かないかしら?デュノア社長との会談は十時からだから、早くしないと時間なくなるわよ?」

 

「移動も考えないとだから早くしないといけないな」

 

「うん。そうだね」

 

 そう言って俺達、三人はホテル内のレストランに今後の予定を話しながら向かった

 

 

 

 

 

 

 

「ソウはやっぱり、その服が似合うわね」

 

「ありがとう、那由多。あの頃のは小さくなったから違うのだけど、この服はオーダーメイドで全く同じ物にしてもらった。いろいろな物や思い出が詰まってるからな……」

 

「そうね。ソウはずっとその服で作業してきたものね」

 

 パリ中心を離れパリから少し離れた場所にあるデュノア社に向かうリムジンの中、俺は食事後に〝暗殺者時代〟に使っていた水色のフード付きマント服を着ていると那由多が昔を思い出したのか懐かしんでいた

 

「えっと、ソウと那由多さんは何処で何時、知り合ったの?空港では【仕事上】って聞いたけど……」

 

「ごめん、シャル。全てを話すにはまだ、俺達の関係は浅すぎる……それに、もし話したらお前と俺は今のように仲良く出来ないだろう。そして、俺の仲間…キリトやサクヤ達のことを嫌いになるかも知れない……そう言う話なんだ…」

 

「ご、ごめん。軽率だったみたい…」

 

 シャルは俺の過去を聞こうとしてきたが俺の言葉で何かに気が付いたのか俯き、謝ってきた

 

「気にしなくてもいいわ。私とソウの出会いが少し特殊すぎなだけよ」

 

「あぁ、那由多の言うとおりで気にしなくていい。それに、近いうちに話さなければならないかも知れないからな……その時まで待っていてくれ」

 

「う、うん。その時まで待ってることにするよ」

 

 俺と那由多がそう言うとシャルは少し顔を赤くしていたが何処か嬉しそうだった

 

「それから分かってると思うけど……ッ!!伏せろ!!」

 

 俺はシャルに「このことは言わないように」と言おうとすると車の後方から殺気を感じとっさに怒鳴り目の前に座るシャルを床に引き倒しするとリアガラスが割れ無数の銃弾が頭上を通り過ぎた

 

「強化ガラスを撃ち抜くってどんな弾を使ってるのかしらね!!」

 

「多分、各国で試作されている対IS用試作特殊弾丸だろうな。弾丸の直径は7.84 mmのだから銃器はフランス製のAA-52だな。チッ、ここまでして何が望みなんだか……」

 

「ソ、ソウ…」

 

 毒づいていると下から震えた声が聞こえて下を向くとシャルが目から涙を零していた

 

「安心しろ。言ったろ?俺は仲間はなんとしても護るって。だから、安心しろ、お前のことは護ってやる」

 

「ソ、ソウ……うん」

 

 未だ、震えていたがシャルは笑顔で頷いた

 

「那由多、こういうときの想定はしてあったんだろ?」

 

「私を誰だと想っているのかしら?もちろんしてあるわよ。座っていた椅子を開けてみなさい」

 

「……凄いな」

 

 俺は言われたとおり、銃弾が飛んでくる中、椅子を開けると中にはハンドガン、アサルトライフル、スナイパーライフル、マシンガン、サブマシン、ロケットランチャー、グレネードランチャーなどいろいろと入っていた。

そして、どれもこれも見たことや触れたことがある物だった

 

「此奴らは……」

 

「気が付いたみたいね。そうよ、今回積んでいるのはほぼ、私達が使ってきた銃火器よ。流石に痛んだのは取り替えてパーツは最新物にしてあるわよ」

 

「…十分だ」

 

 俺は一言そう言うと二丁のベレッタM92とマガジンポーチを取り出し、ポーチはベルトに取り付ける

 

「さて、殺ろうか」

 

「言葉が違うわよ。まあ、私達を相手にするにはそっちの方が合ってるかも知れないわね」

 

 那由多はそういい愛銃の対物ライフルのウルティマラティオ・ヘカートIIを構えた

 

「…待ってろ、シャル。直ぐに終わらせる」

 

「う、うん(アレ?何処か違う)」

 

 シャルロットはソウの変化に気が付いたがシャルロットはソウの言葉に頷くしか無かった

 

続く




誤字脱字・コメント、アドバイスよろしくお願いします


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蒼と風  暴風の夜明け 三

シャル回、サンワメデス。
多分、五話目で終わると思いますが全く計算できてません。
長いと思っている読者の皆様には大変申し訳ありません。

それではどうぞ


 

 

 

「あの時は本当に怖かった……それと、こう言うのは酷いかもしれないけどあの時、同時に僕はソウに恐怖を抱いたんだ…」

 

「気にするな。あんなのを見たら普通そうなる。酷いなんて想わないさ」

 

 あの時、六月の初めにフランスに行きデュノア社に向かう最中の出来事…車両二台が俺とシャル、那由多が乗るリムジンを、機関銃AA-52で襲ってきた

それを、俺と那由多で迎え撃ち、車両二台に乗っていた8人の内、機関銃を使用していた二人と運転手の二人の計四人を撃ち殺し、残りの四人は運転手が居なくなった車が暴走して衝突し爆発で亡くなった

 

「でも、ソウは僕と父さん……それから、デュノア社を救ってくれたのに……僕は今でもソウの事を恐ろしいと思ってる……だから、ソウ、聞かせてソウと那由多さんは何者なの?」

 

「ごめん、シャル。今、俺と那由多が何者かは言えない……でも、これだけは言えるのかな…俺と那由多はあの時のような経験を長い間してきた。勿論、ゲームじゃない現実の世界でな」

 

「それって、ソウと那由多は何度もあんなことをしてきたってこと?」

 

「あぁ、そういう事だ。どうしてかはまだ言えない……でも、夏休みには話せると思う」

 

「本当に話してくれる?」

 

 シャルの顔色は少し青く、俺の視線を気にしておるようだった

 

「あぁ、必ず話す」

 

「お待たせ」

 

 俺がそう言うと個室のドアが開いてエプロン姿の茶髪の男性が入ってきてテーブルのシャルの方に紅茶、俺の方にアイスコーヒーにパフェ、二人の真ん中にドーナツが複数個置いてある皿を置いてきた

 

「ありがとう、タスクさん」

 

「気にしないで」

 

 そう言って男性……タスクさんは部屋を出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして、デュノア社長。知っているとは思いますが私が3番目の男性IS操縦者の更識蒼です」

 

「勿論知っている、君は有名人だからね。改めて、私はアルベール・デュノア。君の隣にいるシャルロットの父親でデュノア社、社長だ」

 

 襲撃があった後、俺とシャル、那由多はデュノア社に到着しシャルの父親でデュノア社の社長であるアルベール・デュノアとの面会が適った

 

「早速ですがアナタはシャルのことをどう思っているのでしょうか?あぁ、この部屋に仕掛けられている盗聴器と監視カメラは潰してあるので本心の言葉をどうぞ」

 

「何処まで君は知ってるのかね?」

 

「何処までと言われましたら全てですよ、デュノア社長」

 

 デュノア社長は俺の言葉を聞き顔をしかめ、シャルは俺の隣でずっと暗い顔で俯いていた

 

「すまなかった、シャルロット」

 

「え?」

 

 デュノア社長は頭を下げシャルに謝ってきた。

突然のことでシャルは呆気にとられていた

 

「こうなったのも全てはロゼンダがロゼに殺されたことから始まったのだ」

 

「?!」

 

「やっぱりそうでしたか…」

 

 呆気にとられていたシャルは今度は驚きを隠せずに目を見開いていた

 

「ソ、ソウは知っていたの?」

 

「あぁ、言ったろ?全てを知ってるって。ロゼンダ・デュノア、社長の元妻で二年前にロゼ・デュノアに殺された」

 

「君の言うとおりだよ。ロゼはロゼンダを殺し、シャルロットを半ば人質に取られ私はあの女と結婚させられたのだ」

 

「ぼ、僕を人質に?」

 

 デュノア社の真実の一端を聞いたシャルは動揺を隠せきれずに目が泳いでいた

 

「本当なら君の母、メガーヌとの約束で君は元の家で静に暮らして貰うはずだったのだが…何処から嗅ぎつけたのかデュノア・グループの内部で君を暗殺しようとする者が現れたのだ」

 

「そして、それに便乗してロゼはシャルロットを養子に入れて身の安全を保証する代わりに結婚を迫ってきて…」

 

「結婚しなければシャルを殺すと脅されて仕方なく結婚したと」

 

 

「その通りだ」

 

「……」

 

 俺とデュノア社長の会話をシャルは暗い顔で黙って聞いていた

 

「じゃ、じゃあ、僕と話をしなかったのは……」

 

「あの女に言われ仕方なくやっていたのが半分、デュノアの親戚から護るため、私はお前に冷たく当たっていた…代表候補生にしたのもIS学園に男として入学させたのもデュノアの親戚とあの女からお前を護るためだった」

 

「…どうして、言ってくれなかったの?」

 

 話の中、隣のシャルの顔を見ると目には大粒の涙が溢れていた

 

「私の行動はほぼ全てあの女に監視されいた。だから、真実を知っているのは会社を立ち上げた時からの友とここに居る三人だけだ」

 

『私もいるわよ、屑共』

 

「「「「!!!!????」」」」

 

 この場にいない声が聞こえ、聞こえたのと同時に扉が破壊され、扉の奥から赤い粒子をまき散らしたピンク色の全身装甲のISが現れた

 

≪貴方、本当に余計なことを話してくれたわね。折角私が、愛してあげたのに残念よ≫

 

「何が愛だ!お前は私の会社を好き勝手に使い今では倒産の危機じゃないか!」

 

 扉から離れると全身装甲のISから女性の声が聞こえ、デュノア社長が怒鳴っていることからISの中身はロゼ・デュノアだと確信できた

 

≪もう、潮時ね。貴方たちはここで始末してデュノア社は私が頂くわ!!≫

 

「シャル、那由多はデュノア社長を護れ!俺がこいつの相手をする!!」

 

「う、うん」

 

「了解」

 

 俺は二人に叫ぶと俺はストライクFを展開して二本のガーベラ・ストレートを構えた

 

≪いいか、二人とも!決してこいつの攻撃を生身で受けるな!シールド越しでもだ!≫

 

「「了解!!」」

 

 俺は2人に叫ぶと相手に振り返る

 

≪いいわ、まずは貴方から始末してあげる≫

 

≪できるもんなら、やって見やがれ!!≫

 

 

 

 ここに、俺が知る限り世界初のガンダムタイプ同士の死闘が始まろうとしていた

 

 

続く



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蒼と風  暴風の夜明け 四

シャル回四話目です。
はいっきり言って雑で更に肝心なキャラ出ません!!
もう、サブタイトル詐欺です。
それでも良いという方はどうぞ!!


 

 

 

≪クッ!!!≫

 

≪アハハハハッ!!さっきの威勢はどうしたのかしらぁ!!!!≫

 

 ソウはロゼ・デュノアの操る、ピンク色の全身装甲のISの背部右側に折り畳まれた1門装備されている高出力粒子ビーム砲と手に持つビームライフルからなるビームの嵐に<ガーベラ・ストレート>二本で何も無い上空に逸らすので精一杯だった

 

≪クッ!!(避けるとデュノア社に当たる…あの粒子の攻撃だけはダメだ!!)≫

 

 ソウは赤い粒子の存在とその危険性を委員会のイアンさんから聞かされていて、デュノア社……その内部の人間が粒子を含む攻撃に当たることを恐れて攻められずにいた

 

≪やっぱり、男は所詮そんなものよ!!動かしただけで調子にのって!!男は全員私達、()の奴隷になればいいのよ!!≫

 

≪…黙れ!!その機体の危険性をロクに知らずに使って安全地帯から馬鹿スカ撃つしか芸が無い奴がぁ!!≫

 

 ソウが怒鳴るように言うとロゼ・デュノアが操るISの動きが止まった

 

≪危険性?だから、なんだって言うのかしら?他人がどうなろうと私には関係ないわ。それに……≫

 

 ロゼ・デュノアは話を途中で切るとビームライフルから赤いビームサーベルに持ち替えて接近してきた

 

≪私はこう言うことも出来るのよ!!≫

 

≪ッ!!……≫

 

 ロゼ・デュノアは半分挑発でソウが言ったことに乗せられソウの間合いでサーベルを振るい鍔迫り合いとなった

 

≪安全地帯からしか何も出来ないとでも思っていたのかしら?!!それだったら残念ね!≫

 

≪あぁ、全くだ。……全く、俺の挑発に乗ってくれるとはな!≫

 

 ソウはそう言うと〝ストライクF〟の背部の両翼に一門ずつ装備されているバラエーナプラズマ収束ビーム砲をこの近距離で放った

 

≪グゥッ!!≫

 

≪悪いな、俺は射撃が苦手分野でな!!こうして至近距離に来て貰えたのは良かったよ!!≫

 

 ソウは二本の<ガーベラ・ストレート>を構え直して追撃に移る

 

≪だらぁ!!≫

 

≪ッ!!≫

 

 右、左、上、下とソウの振るう<ガーベラ・ストレート>の斬撃はバラエーナプラズマ収束ビーム砲で絶対防御を抜きかけたことに動揺し、痛みで動きが鈍っているロゼ・デュノアの操るISに当たり、地面に落下していった

 

≪これでお終いと言いたいところなんだが……他の2機はどうした?≫

 

≪…2機?何を言ってるのかしら?≫

 

 ソウはロゼ・デュノアを追うように地上に降り、ロゼ・デュノアの喉に<ガーベラ・ストレート>の刃先を向けて話を聞こうとするがロゼ・デュノアはソウの言葉の意味を理解していなかった

 

≪とぼけるなよ?その機体名は〝ガンダムスローネ・アイン〟。スローネはアイン、ツヴァイ、ドライの3機編成で真価を発揮する機体と聞いている。もう一度聞く、ツヴァイとドライはどこに居る?≫

 

≪…そういうことか……男のアンタ、なんかに教えるわけないじゃない!!アイツらが来てくれたら直ぐに貴様等を八つ裂きにしてやる!!≫

 

 ロゼ・デュノアは怒鳴り散らす。ソウはロゼ・デュノアの【アイツら】と言う言葉に周囲にへの警戒を強めつつ、全身装甲内から睨み付ける

 

≪あぁ、そうか。なら、ロベルトの下に送ってやる≫

 

 ソウはそういい、<ガーベラ・ストレート>の刃先で喉を貫こうとした……その時…〝ストライクF〟の緊急アラートが鳴り出した

 

≪ッ!!≫

 

 ソウは急いでその場から離れると、〝ストライクF〟の心臓部分を丁度、通り抜けるようにビームサーベルのビットが1機、飛んでいった

 

≪今のはビット…か?。いや、そんな優しい物なんかじゃ無いよな!!≫

 

 ソウが思考を巡らせていると襲ってきたビットが3機に増え、再度、ソウに襲いかかってきた

 

≪遠隔操作機の対処方法はミッチリ鍛えられてんだよ!!≫

 

 ソウはそう言うと片手にビームライフル、もう片方に<ガーベラ・ストレート>を構える

 

≪3機じゃあ、俺には届かねぇよ!!こちとら、36基。計93門のドラグーンとの連日の模擬戦を繰り返してたんだぁ!!≫

 

 ソウは〝ストライクF〟を受け取った時からのキラ等、数名との模擬戦を思い出しつつ、ビットのビームを避け、3機のビットを破壊した

 

≪チィ、逃がしたか……いや!奴はまだ、近くに居るな…≫

 

 ビットを破壊したソウはロゼ・デュノアが倒れているはずの方に目をやるとそこにはスローネ・アインの姿は無く、一瞬逃げたと思ったソウだったが、ロゼ・デュノアがこのまま逃げるとは思えず、もう一度周囲を警戒し始めた

 

≪ッ!!≫

 

 ソウが警戒を強めていると再び〝ストライクF〟の緊急アラートが鳴り出し、慌ててソウは左に避けたがソウの目の前を赤い極大ビームが通り過ぎた。

 

≪今のを避けたのは驚きね≫

 

≪ロゼ・デュノア!!≫

 

 ソウにオープンチャンネルが開き、チャンネルからロゼ・デュノアの声が聞こえ、先程の砲撃はロゼ・デュノアが放ったことが分かり、スローネ・アインは既に到着していたツヴァイとドライと合体していた

 

≪運良く、待っててくれたわ。もう一度言うわ!!貴様等を八つ裂きにしてあげるわ!!≫

 

≪クゥ!!≫

 

 ロゼ・デュノアが嬉しそうにソウに向かって怒鳴ると先程のビットが今度は13機飛んできた

 

≪行きなさい!!ファング!!≫

 

 ビット…ファング13機はソウに向かってビームやビームサーベルで一斉に襲いかかってきた

 

≪ほらほらほら!!逃げ切れ物ならにげてみなさいよ!!キャハハ≫

 

『『……ソウ…』』

 

 ソウの状況を見て高らかに笑う、ロゼ・デュノア。

そして、今なお何も出来ず、見ていることしか出来ないでいる2人の少女たち…

 

≪これで終わりよ!!≫

 

≪グゥ!!≫

 

『『ソウ!!』』

 

 スローネから先程の極大ビームが放たれ、少女たちの声は届かず、ソウと〝ストライクF〟は呑み込まれてしまった

 

 

 

 

 

 

続く

 




えっと、更新の話して少し、リアルの都合上REIS物語の更新を1週間更新から2週間更新にさせて貰います。
詳細は活動報告にて書くことにしますが今の状態では1週間更新では真面に書き切れなく、読者の皆様には大変読みにくい話が続いてると思われます。
ですので、1週間更新から2週間更新にすることにします。
ただし、お盆の時期は今以上に執筆時間が取れなくなると思われますので次回の更新が2週間で出来るとはぶっちゃけ分かりませんがなるべく2週間更新出来るように頑張ります。
アレ?ほぼ書いてしまったような気がする。まあ、いいや。
取り敢えず詳細は活動報告にて書くことにします。

ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。


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蒼と風  暴風の夜明け 五

はい。随分お待たせして申し訳ありません。そして、今回で終わらせることが出来ませんでした!!
次回は本当に最後になるはずですのでもう暫くお付き合いよろしくお願いします。

それではどうぞ~


 

 

 

『『ソウ!!』』

 

 

 

 スローネから先程の極大ビームが放たれ、少女たちの声は届かず、ソウと〝ストライクF〟は呑み込まれてしまった

 

 

「ソウ!返事してよ!!ねぇ、ソウってば!!」

 

「……」

 

≪キャハハハハハ!!!これで1人目!!忌ま忌ましい男を殺すことができたわ、キャハハハハハ………ハ?≫

 

 シャルロット・デュノアはソウの死に動揺しプライベートチャンネルで何度も呼びかけ、那由多は無言で下を向き、ロゼ・デュノアは男性IS操縦者の一人、ソウを殺せたと思い高らかに笑っていた…だが、ソウが居た場所の爆煙が薄れていき、爆煙の中から出てきた物を見るとロゼ・デュノアの笑いは止まった

 

≪…うぅ……?!これは、GNフィールド?≫

 

 爆煙が晴れるとソウの〝ストライクF〟が両肩、両膝に二門ずつ、計四門のキャノン砲、両手にはバズーカを二つ、更に両翼はキャノンの合計八門を装備し、両肩と背部の円錐形の中から白っぽい緑色の粒子が排出されている赤みかかったストライクの後ろにおり、ソウの前のストライクが出しているであろうGNフィールドで護られていた

 

≪大丈夫ですか?ソウさん≫

 

≪…助けてくれたことには感謝する。だが、お前は?≫

 

 ソウは少し状況をつかめていなかったが目の前のストライクからの通信で状況を把握した

 

≪私を忘れてしまいたしたか? ですが、この姿では致し方ありませんね…ではこの様に言えば私が誰か分かると思います

 

 

 

 

 

 

お久しぶりです、刹那さん≫

 

≪ッ!! 俺の正体を知っているってことは……お前、【桜】か?≫

 

 【桜】…暗殺者時代の時、ソウと1度だけ仕事を共にしただけでそれ以外では一度も顔を合わせることは無く、ソウは暗殺者を辞めてしまった。

【桜】と言うのも本名では無く、暗殺者ではよくあることだったが、【桜】が暗殺した後には桜の花びらが一枚、死体につけられていて、それに因んで暗殺者の間で呼ばれ、本人も【桜】を好み、ずっとコードネームとして使っていたのだった

 

≪やっぱり、貴方は凄い人です。今の一言で私が誰かを当ててしまうのですから≫

 

≪俺の正体を()()()知っているのは二十は居ない。その中で今、フランスにいるのは那由多とお前だけだからな……それよりも…≫

 

≪ええ、分かっています。もう少しお話ししたいところですが、少し五月蝿いハエの始末ですね≫

 

 ソウと【桜】が話している間、ずっと、二人に向かって砲撃が行われていたが【桜】のストライクのGNフィールドにて完全に遮断され、二人には全くダメージは届いていなかったが、漸く二人は砲撃している相手が鬱陶しくなった為、話を辞めたのだった

 

≪では、ソウさん。私がロゼ・デュノアの相手をしますので下がっていただいてもよろしいでしょうか?≫

 

≪…分かってる、誰がクライアントかは知らないが仕事なんだろ?≫

 

≪はい、その通りです≫

 

 ソウの言った仕事に【桜】は軽く頷いた

 

≪後は、頼む≫

 

≪はい。直ぐに終わらせます≫

 

 【桜】はそう言うとGNフィールドを自分の周りだけに狭め、ソウをGNフィールドからだし、ソウは〝ストライクF〟を動かして那由多とシャルロット、デュノア社長の下に降りた

 

≪貴方は女でしょ!?どうして、男を助けたりするの!?≫

 

≪くだらないですね。私は、今の世界が…女尊男卑の風潮が嫌いです。ISが使えるから女が偉い?男は女の奴隷?実にくだらない。本当の意味でISを操れる女性はごく僅か、更に言えば本当の意味でISを操れる人は女性より男性の方が多いんですよ。尚も男性IS操縦者三人以外は極秘ですがね≫

 

≪そんなの、嘘よ!!≫

 

 【桜】の言葉にロゼ・デュノアは動揺を隠せず、それを見た【桜】は「ふふ」と笑っていた

 

≪そんな些細なことはどうだって良いんですよ。さて、ソウさんともう少しお話ししたいのもありますしクライアントとの契約期限もあまりありませんから直ぐに終わらせてさしあげます≫

 

≪来るなアァァァァァァァァ!!≫

 

 【桜】に恐怖したロゼ・デュノアは合体したスローネのキャノン砲を発射しキャノン砲は【桜】を呑み込んだ……だが

 

≪…その威力では私の〝ストライクエリュトロン〟のGNフィールドを抜くのは無理なのですよ。最もまだシステムが未完成なので、全力では無いんですがね≫

 

≪ふざけないでよ!!私はこんなところで死んで良い女では無いのよ!!≫

 

 ロゼ・デュノアはそう、発狂するとスローネを反転させ逃げようとするが、

 

≪いえ、貴方はここで死ぬのですよ。私の手でね≫

 

 【桜】は手持ちのバズーカを上下で連結して砲口を展開しチャージを始めた

 

≪GNドライヴ、シングルからツインドライヴに移行。両肩GNドライヴ同調開始…同調率80%で安定、ダブルバズーカチャージ終了。バースト!!≫

 

 〝ストライクエリュトロン〟のバズーカから極大ビームが放たれ無残にもロゼ・デュノアのスローネを呑み込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロゼ・デュノアは死に、デュノア社は貴方の物に戻りました。これから貴方はどうするのですか?」

 

「ふむ……私は社長の座をシャルロットに明け渡す」

 

「「え!?」」

 

 ロゼ・デュノアとの戦闘が終わり、壊された社長室では無く、会議室で再びデュノア社長と話をするととんでもない発言で俺とシャルは驚いて声を上げてしまった

 

「直ぐにと言うわけでは無い。まず、私は表舞台の社長の座をシャルロットに明け渡す。だが、お前がIS学園を卒業するまでは私が会社を運営しお前がもし、IS学園を卒業しても社長をしたくないのなら、私がもう一度社長となり、お前は自由に生きることも構わない」

 

「お父さん…で、でも、私が社長になっても今の危機的状況はどうするの?」

 

「それは…」

 

 シャルの言葉に言葉を詰まらせるデュノア社長……少し静かな間が開く

 

「今の危機的状況を解決する手段はあります」

 

「え?」

 

「本当なのかね?」

 

 俺の言葉にシャルは不思議そうな顔をし、デュノア社長は一瞬驚いていた

 

「はい。勿論、ロゼ・デュノアを倒した後のことも考えてあります。このデータをご覧下さい」

 

「「……!!」」

 

 シャルとデュノア社長は俺が出した投射型ディスプレイのデータを見て驚愕していた

 

「これは……ISの設計図?」

 

「その通りです。デュノア社のラファールをベースに何人かの手を借りてこのデータを作り上げました。更にIS委員会の整備担当兼設計担当のイオリ・セイさんがこちらに一時的に出向して貰うことを確約してあります。最も其方が承諾するのであればの話です」

 

「す、凄いよソウ!!このデータもIS委員会の人との確約も全部凄いよ!!」

 

 喜んでいるシャルと声を出していなかったがデュノア社長は驚き涙を流していた

 

「これがあれば会社を建て直す事が出来る!!ありがとう、本当にありがとう!!」

 

 

 涙を流す、デュノア社長…それに、つられるかのように隣のシャルも涙を流していた

 

 

 

 

 

 

「もう行くのか、【桜】?」

 

「はい。次の依頼もありますので」

 

 フランスの夕焼け、パリから次の街への一本道、俺は【桜】とその場所にいた

 

「シャルロットさんの側にいなくてもよろしいのでしょうか?」

 

「シャルは大丈夫だ。それに今は那由多が見てくれているからな。1度だけだったけど一緒に戦ったからな見送りぐらいはしたいしな」

 

「そうなのですか……」

 

 【桜】少し微笑んでいた

 

「ここまででいいですよ、ソウさん。」

 

「分かった。また、何処かで会えたら会おうな。【桜】」

 

「……ツバサって呼んでください…ツバサ・クロニクル。それが私の本当の名前です」

 

「…ツバサ・クロニクル…いい名前だな。それじゃあ、ツバサ、また会おうな」

 

「はい。ソウさん」

 

 俺と【桜】……いや、ツバサは別れを告げ俺はパリに、ツバサはパリとは反対方向に共に歩いていった

 

 

続く



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蒼と風  暴風の夜明け 六

はい。と言うことで今回でシャル回は終了になります。
次回からは臨海学習編になります。



 

 

 

「あの時、僕は砲撃でソウが死んだって思って凄く怖かった…僕がソウに頼んだからソウが死んだって…」

 

「自分を責めるな。今回のは俺が好きでやったことだからな。まあ、【桜】が来なかったらどうなっているかなんて想像はしたくないけどな……たがら、もう一度いう、お前の所為じゃない、自分を責めるな。俺がやりたくてシャルを助けただけだ」

 

「う…うん。ありがとう、ソウ。助けてくれて」

 

 涙ぐむも礼を言うシャルに俺は軽く微笑む

 

「あ、フランスで砲撃に呑み込まれたことは内緒な?サクヤや簪には特に言わないでな?」

 

「…クスッ……うん、分かった」

 

 俺がそう言うとシャルは笑顔で頷いた

 

「それにしてもさ、ソウ?〝ミストラル・オーブ〟の元のデータ作りと委員会のイオリ・セイさんの出向の確約をいつの間にしてたの?」

 

「シャルを助けると言ったあの日から2週間くらいしてからだな。どちらも出来たのはフランスに行く三日前だったけどな」

 

「そ、そうなんだ……ソウってやっぱり凄いね…」

 

「俺が凄いわけじゃ無いよ、本当に凄いのはキリトや簪、セイさんやアスランさん、キラさん、それから委員長のラクスさんにアジア支部長のカガリさんだよ」

 

「ねぇ、ソウ?あまりの卑下は人を怒らせるんだよ…確かにイオリさんやキラさんたち、それから、和人や簪さんも凄いと思うよ、でも、その人達との縁を築いたのはソウなんだよ。」

 

「あ、ああ……ごめん」

 

 シャルは笑ってはいたが普段の彼女とは違い……ゆうちゃんが俺を怒る一歩手前の……そう、笑顔で物騒な事を言うような顔をしていた

 

「ねぇ、ソウ?前にも聞いたけど〝ミストラル・オーブ〟のホルスタービットとピストルビット、ライフルビットⅡは本当にイギリスのBT兵器じゃ無いんだよね?」

 

「ああ、趣旨は同じだが、全くの別物だ。それに、BT兵器には無駄がありすぎる…セシリアが偏向射撃 (フレキシブル )出来ないのもその無駄の所為だが、ホルスタービットは高性能補助AIハロを搭載しビットの制御はハロが行うから搭乗者はビットの操作をしなくてすむ。それでも、搭乗者の技量が高くなければ操れないけどな」

 

「うん、ハロは凄いよ 以前よりもラビットスイッチでのラグが無くなったし機体制御がかなり楽になったからね」

 

 〝ミストラル・オーブ〟の話になり、シャルは俺にホルスタービットなどのビット兵器について聞いてきた

 

「そう言えば、ミストラル・オーブの意味は暴風の夜明けなんだよな?」

 

「うん。正確には『嵐による暴風は夜明けと共に静寂に変わる』なんだけど、少し長過ぎたから父さんと話して『暴風の夜明け』ってことにしたんだ」

 

「なるほどな。もう一つ、デュノア社の願いだろ?」

 

「うん。いままで、デュノア社はロゼ・デュノアによって混沌の暴風の中にあった……今回のことでデュノア社は嵐を……暴風を抜け出すことが出来た。これはらは、静寂の中でデュノア社を1から造り直す。それがミストラル・オーブのもう一つの意味で由来だよ」

 

 真剣な眼差しでそう話す、シャル。俺はそんな、シャルの頭を軽く撫でる

 

「これから、もっと忙しくなると思うけど何かあったら何でも言ってくれよ?俺が手伝えることなら何だって手伝ってやる」

 

「うん。ありがとう、ソウ。なら、2つお願い聞いてくれないかな?」

 

 嬉しそうに微笑む、シャルは早速、お願いを言ってきた

 

「うん、何でも言ってくれよ」

 

「ありがとう。一つ目は……もう少し、会社が落ち着いてからになるだろうけど、会社が落ち着いてきたら、僕にALOを教えて欲しい」

 

「勿論、大歓迎だよ。何時でも言ってくれよ。もう一つは?」

 

「もう一つは………僕に剣を教えてほしいんだ」

 

「剣を?」

 

 俺は少し疑問に思った。確かにALOなら俺や他の皆に言えば教えることができ、今日 俺に話したのもタイミングが良かったのだろう…だが、剣なら俺よりもキリトやチカの方が適役だと思う……それに……

 

「剣なら俺よりも適役が他にもいるんじゃないか?それに、シャルは中遠距離型だろ?」

 

「うん。僕は銃などの中遠距離やシールドでの援護だよ。でもね、それは僕の弱点でもあるんだよ。特に和人や一夏、ソウ達のような近接のエキスパート相手に攻め来られたら直ぐにやられちゃうから近接のエキスパートがいる今のうちに近接を鍛えておきたいんだ。それに、ミストラル・オーブにも父さんに頼んで剣を何本か積んで貰ってるんだ」

 

「まあ、理由は分かったけどどうして俺なんだ?剣なら、独学のキリトやチカ、流派としても簪が俺より強いぞ?」

 

 俺自身、剣に関してはそんなに強くないと思って居たのだったが…俺の発言はシャルを怒らせたみたいで……

 

「また、卑下するのかな?」

 

「ウグゥ……べ、別にそういうつもりじゃ無い。俺はそこまで剣を磨いてきてない、ゲームでもずっと剣を使っているキリトやチカ、長い間現実の世界でも剣を習ってきた簪に比べて俺の剣の練度はかなり低い。今も戦ってこれたのは相手がそこまで強くない相手だったからだからな……それでも俺で良いか?」

 

「うん。ソウとがいいんだ」

 

 シャルは即答で答えてきた

 

「……はぁ…わかった。でも、俺は人に物を教えるのは得意じゃ無いから実戦で教えることになるが良いな?」

 

「うん!」

 

 シャルは嬉しそうに笑顔で頷いてきた

 

 

 

 

 

続く



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臨海学習
絶剣来る!!


はい。と、ういうことで臨海学習編になります。

これを書いてる時に没になった話を少し……
本当でしたら臨海学習の転入時に木綿季と蒼の通っていた小学校の同級生が木綿季の病気のことを大声でバラす云々の話を考えて書いていたのですが……まあ、書いてて胸糞悪くなったので没として今回の話に書き直した……そんな、裏話があったりします(別に読者の皆様に言う必要は無いと思いますが、一応言っておきます)。

それでは、改めてどうぞ!


 

 

 

 

「それでは、旅館に入る前に皆さんに一組の新しいお友達をご紹介します。更識くん、お願いします」

 

 臨海学習当日、IS学園の臨海学習で使わせて貰っている旅館に到着して直ぐに転入生のゆうちゃんとこれから寮にすむことになるソウキ達の紹介になった

 

「はい!」

 

 俺は山田先生に言われるとゆうちゃん達を連れて全員の前に立つ

 

「僕の方から紹介をさせて頂きます。最初に僕の隣にいるのは紺野木綿季さんで体の関係上…この時期に転入することになりました。付け加えるとユウキさんは僕と同じSAO生還者です。………ほら、ゆうちゃん」

 

 俺があらかた説明するとゆうちゃんに小声でつぶやく

 

「えっと、紺野木綿季です。趣味はALOと料理……………す、好きなことはソーの寝顔を見ること……よ、よろしくお願いします!」

 

 ゆうちゃんは最後の所で顔を真っ赤にして自己紹介を終わらせる。女子達が黄色い声を上げた

 

「静かにしてくれ、次にこの子たちの紹介なんですが正直に言いますと俺とユウキの子供です。……あまり、言いたくはありませんが二人はSAOの被害者です。それから、二人に手を出そうとするのであれば容赦はしませんので、…美乃梨ちゃんからお願い」

 

 

 俺が深刻な顔で言うとみんな静かに頷く。

俺はそれを見てから美乃梨ちゃんにつぶやく

 

「えっと、更識美乃梨と言います。普段は学校に通ってるので朝と夜くらいしか居ませんがよろしくお願いします」

 

「更識朷夜です。僕もお姉ちゃんと同じで学校に通ってるのであんまり居ませんがよろしくお願いします!」

 

 可愛らしい二人にまたもや女子が叫ぶ、その光景をソウキ達は苦笑いで見ていた

その後、山田先生に怒られて静かになった後に一組の生徒から順番に旅館に入って行くことになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~綺麗~」

 

 旅館で少し休憩してから水着に着替えて砂浜に出るとゆうちゃんとミノリちゃんが目を輝かしていた。

 

「そうだね………でも、ゆうちゃんの方が綺麗だよ?」

 

「………あ、ありがとう////」

 

 俺がそう言うと紺と白の水着を着たゆうちゃんは顔を真っ赤にしながら呟く

そこに……

 

「あら、ソウくん。ユウキちゃんも早いわね」

 

「よお、ソウ、ユウキ」

 

 後ろから声が聞こえ振り向くと濡れても大丈夫な白のパーカーを羽織ったチカと俺と同じ水色のパーカーを羽織ったカタナ姉さんが歩いてきた

 

「あ!チカ、カタナ!」

 

「そうかな?これでも少し休憩してから来たんだけどな」

 

「私達はもっと早くに来るつもりだったのだけど、ちょっとね…チカ?」

 

「ああ……ソウには言っておいた方がいいかもな。実は……」

 

 チカと刀奈姉さんは遅れてきた事の発端を話してくれた

なんでも、設けられた更衣室に行こうと旅館内を歩いていると機械のウサ耳が地面に刺さっていて、それを引っ張り抜くと人参ロケットでウサ耳を地面に刺した張本人のISの母こと篠ノ之束が現れたらしい。今は近くに居るらしいが嵐のように何処かに行ってしまったようだ

 

「……やっぱり、凄い人だな…あの人は……」

 

「?ソウは束姉とあったことあるのか?」

 

 俺は口が滑ってしまい言わなくてもいいようなことを言ってしまった

 

「いや……まあ、な。会ったことがあるか無いかって言われれば一応はある。経緯はこういう所で話すような事じゃ無いから…………また、な?」

 

「……分かった」

 

 チカは俺の雰囲気で察したのか軽く頷いてきた

 

「チカ、オイル塗って欲しいから日陰に行きましょ?」

 

「あ、あぁ。ソウ、ユウキ、また後で一緒に遊ぼう」

 

「あぁ、そうだな」

 

「うん!!」

 

 そう言ってチカは刀奈姉さんに連れられ日陰の方に行ってしまった

 

「さて、遊ぶ前にゆうちゃんはオイルは塗らなくていいの?」

 

「う~ん、本当なら塗った方がいいんだとは思うけど、ソウキやミノリちゃんが遊ぶのウズウズしてるし……」

 

 隣の2人を見ると確かに、早く遊びたそうにソワソワしていた

 

「俺が2人を見てるからゆうちゃんはアスナや刀奈姉さん達に塗って貰ってきなよ。そ、それに…」

 

「それに?」

 

「な、何でも無い!うん、何でも無い!」

 

 ゆうちゃんの肌が変に焼けてほしく無いと思い、目をそらすとゆうちゃんが顔を覗いてきて少し動揺して顔を赤くしてしまった

 

「ふ~ん、ま!そういう事にしておくよ!じゃあ、ボクはオイルを塗って来るから2人のこと、よろしく!!」

 

「分かってるよ」

 

 ゆうちゃんはそう言うとチカと刀奈姉さんが向かっていった方に歩いて行った

 

 

「それじゃあ、ゆうちゃんが戻ってくるまで三人で遊ぼうか?」

 

「うん!パパ!」

 

「はい!」

 

 俺がそう言うと2人は待っていたかのように海の方に走っていった

 

 

 

 

続く



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蒼紫の夏

 

 

 

「うぉ~」

 

「パパ、どうかな?」

 

「お父さん、どうでしょか?」

 

 ゆうちゃんがオイルを塗りに行ってから三人で砂浜で遊んでいると、ミノリちゃんとソウキの2人がアインクラッドで使っていた《西風の旅団》ギルドホームを砂で作り上げていた

 

「2人とも上手にできてるよ!!ソウキが教えたのかな?」

 

「うん!!そうだよ!」

 

「えへへへ。そ、そうです……ところで、お父さんは何を作ったのですか?」

 

「……何も出来て…ないです」

 

 元気よく頷くソウキと嬉しそうに笑うミノリちゃんの2人から俺は目をそらした

 

「ソーはインドアだから、あまり砂遊びは得意じゃ無いんだよ」

 

 俺が目をそらしソウキとミノリちゃんが残念そうな顔をしていることに気が付くと、後ろからゆうちゃんの声が聞こえた

 

「ママ!」

 

「お母さん!」

 

「…ゆうちゃん」

 

 俺が後ろを振り向くと、紺と白色のストライプビキニを着たゆうちゃんが歩いてきた

 

「みんな、お待たせ!!何して遊ぶ?」

 

「「海!!」」

 

 ゆうちゃんが来て早々にミノリちゃんとソウキは海に向かって走り出した

 

「あっ!!2人とも待ってよ!!ほら、ソーも早く行こうよ!!」

 

「あ、あぁ、分かってる」

 

 俺はゆうちゃんに見とれてしまっていて反応が遅れてゆうちゃんに手を引っ張られてから漸く正気に戻った

 

「パパ、ママ~早く~」

 

「お父さん、お母さん、冷たくて気持ちいいですよ~」

 

「直ぐ行くよ!!」

 

 俺はゆうちゃんに連れられてソウキ、ミノリちゃんのいる方に向かった…………ずっと、感じているサクヤの視線を感じながら…

 

 

 

 

 

同時刻 春萎side

 

 

 

 

 

 私は家族団欒を満喫しているソウさん達と隣でビーチバレーをしている2つのバカップル、和人さんとアスナさん、兄さんに刀奈さんを横目にセシリアさん、鈴、簪さん、ラウラ、シャルさん、サクヤさんとビーチバレーをしていました。

だけど、海に来てからサクヤさんが度々ソウさんの方を見てぼけっとしていました

 

「サクヤさん、気になるのでしたら行ってもいいですよ?ソウさんもユウキさんも喜ぶと思いますよ?」

 

「……うんん、私はこうして見ているだけでいい…それが、私の今の幸せだから」

 

 サクヤさんはそう言ってましたがどこか表情は暗かったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大広間

 

 

「「「「「頂きます!!」」」」」

 

 臨海学校一日目は夕方まで自由時間となっていて、俺達、生徒達は目一杯海で遊んでリフレッシュした。

夕方には風呂に入ってのんびりとしたあと、夜の夕食で大宴会場に集まって座敷席とテーブル席に分かれて用意された豪華な食事が振舞われていた

 

「ボク、こんな豪華な料理、こっち(現実)ではじめて食べるよ!」

 

「僕達も始めて食べたよ!ね、お姉ちゃん!」

 

「うん!私も始めて食べました」

 

 俺達家族四人はテーブル席に座って食べていた……と、言うのも座敷だと四人で直列に並んでしまうので四人で囲めるテーブル席にしたのだ。

それと、ソウキと美乃梨ちゃんの料理だが、俺らと何ら変わらない料理で違うのは少し量が少なくなっていてみたらし団子が追加されていた

 

「ソー」

 

「ん?」

 

「はい、あ~ん」

 

「ゆ、ゆうちゃん……周りに人いるけど?」

 

「いいじゃん…それに…ほら、あっちでも…」

 

 差し出された刺身を前に、俺は少し戸惑った。そして、ゆうちゃんが指さす方を向くと………

 

「キリト君、はい、あ~ん」

 

「あ、あ~ん」

 

「美味しい?」

 

「ああ、美味いよ。アスナに食べさせて貰ったから余計にな」

 

「もう、キリト君っ」

 

 座敷の方でキリトとアスナのバカップルが同じことをしていた……さらには……

 

「チカ、はい、あ~ん」

 

「お、おい、カタナ…みんなが見てるぞ?」

 

「見せつけてるのよ、チカは私の物だってね。チカってば……女の子にモテるんだから浮気しないか心配なのよ」

 

「カタナ……大丈夫、俺はカタナだけの物だから浮気なんてしないからな?」

 

「もう、チカったら」

 

 カタナ姉さんとチカも二人に負けず劣らないバカップルオーラを出していたが……その隣で鈴が途轍もないオーラを放っていたのは気にしないでおこう

 

「まあ……あの四人がやってるならいいか……それに、俺達家族四人でこっち(現実)での初お泊まりで初ご飯だから、これくらいはいいか!」

 

「そうだよ!これくらいは文句言われないよ!はい、あ~ん」

 

 枷をはずした俺は口を開けてゆうちゃんが差し出す刺身を頬張り、噛み締めて飲み込んだ

 

「美味しい?」

 

「ああ、美味いよ。ゆうちゃんに食べさせて貰ったからね」

 

「もう、ソー//」

 

 俺がそう言ってゆうちゃんがほんのり赤くなるのを見て俺が少し笑うと俺の隣に座っている美乃梨ちゃんが俺の服のを引っ張ってきた

 

「どうしたの、美乃梨ちゃん?」

 

「えっと……その……」

 

 俺が聞くと美乃梨ちゃんが顔を赤くしながら俯く……俺は何なのか気づいてゆうちゃんがしてくれたように美乃梨ちゃんに刺身を差し出す

 

「美乃梨ちゃん、はい、あ~ん」

 

俺が差し出すと美乃梨ちゃんは顔を赤くしながら頬張り、飲み込んだ。

 

「あ、ありがとう、お父さん。」

 

「どういたしまして」

 

 美乃梨ちゃんが顔を赤くしたままお礼を言ってきた。

それから、何度か食べさせあったりして夕食を終えた。

 

 

 

 因みに、バカップル三組の光景を見た他生徒は刺身醤油にワサビを追加したり料理についているワサビを一気に飲み込んだりしていたらしい。

 

 

 

続く



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不思議な国の罪の天才

今回はタイトル通り天才が現れます
原作にくらべるとかなり白いと思います。


 

 

 

 海岸

 

 

 

 臨海学校二日目、この日は各種装備の実習訓練と専用機持ちは本国より送られてきたパッケージのテストが行われる事になっている。もちろんのことだがSAO生還者の中で委員会のカスタム機を使っている俺を除いたキリト達とゆうちゃんの4人のISには後付装備(イコライザ)が存在しない。

更に言えば、刀奈姉さんのミステリアス・レイディや簪の伐鐘聖式とハルナさんの夜天の白双騎士(やてんのはくそうきし)、シャルのミストラル・オーブにも後付装備(イコライザ)が無いので8人はセシリア達の手伝いをする事になっている。

 

「山田先生も来たみたいだな」

 

「ですわね、それはそうと一夏さん?一夏さんたちはパッケージがありますの?」

 

「いや、俺やキリトさん達のは無いからセシリア達の手伝いになりそうだ。ソウはあるみたいだけどな」

 

「僕のも無いから何でも言ってね!!」

 

「なら手伝わせてあげるわ、人手欲しいしね。ソウのは確か委員会のカスタム機なのよね?」

 

「ああ、俺の専用機は調整に時間が掛かってるらしいからずっと、委員会のカスタム機を借りている。今日には届くって聞いてはいるが……俺も詳しくはわからない」

 

 俺やゆうちゃん達、十人が海岸に着到着すると、既に来ていたセシリア達、各国の代表候補生とシャルと合流する。そして、その後すぐに山田先生がきた。

 

「専用機持ちは揃いましたね。専用気持ちのみなさんには各国が用意したパッケージのテストを行って頂きます。パッケージの無い桐ヶ谷くんや神薙君達は他の方のお手伝いをお願いしますね。それから……」

 

「僕の機体についてですね?」

 

「はい」

 

『いっくぅぅぅぅぅん!!はるちゃゃゃゃゃゃゃゃん!!』

 

 山田先生が頷くと何処からかチカとハルナさんを呼ぶ声が聞こえてきて、崖の上を見ると不思議の国のアリスのような服を着た女性が崖を走って来ていた

 

「やあやあ!!久しぶりだね!2人とも!!何年ぶりかな!!あ、いっくんには昨日あったか、アハハハッ!!!」

 

「「「「「………」」」」」

 

 テンションの高いウサ耳女性はチカとハルナさんに抱きつき、笑う。

抱きつかれている本人達のチカとハルナさんは馴れているのか苦笑いしていた

 

「束姉、う、後ろ…」

 

「うん?どうしたのいっくん?後ろにはだれ、も……」

 

 女性はチカに言われ不思議そうに後ろを向くとそこにはドス黒いオーラを放っている金髪ショートで菖蒲色(あやめいろ)メインの白い服に水色のスカート姿の女性が立っていた

 

「勝手なこと…ダメだよ?昨日も言った、よね?」

 

「は、はい!昨日も言われてました!!」

 

 チカとハルナさんに抱きついていた女性は見事な土下座で後ろの女性に謝り、ここにいる俺を含めた全員が2人の女性に唖然としていた

 

「ステラ、タバネ技術副主任、2人ともそこまでに。みんな、困ってるぞ」

 

 そうしていると聞き覚えのある男性の声が聞こえ、海岸の方を見ると以前、専用機を受理した時に来て下さったシンさんが歩いてきた

 

「ごめん、シン」

 

 ステラと呼ばれた女性はシンさんが来るとタバネと呼ばれた女性からシンさんの方に駆け寄り謝った

 

「気にすることは無いよ、ステラ。それから、初めましての人も居るから改めて、俺はシン・アスカ。IS委員会委員長直属IS部隊第一部隊に所属している。今回は蒼のストライクの新ストライカーを届けに来た。それから……」

 

「ステラ・R・アスカだよ!よろしく!!」

 

 シンさんの方に駆け寄った女性は元気よく自己紹介をする。

その時、俺も含めてだが、先程との違いが凄く、少しだけ動揺もしていた

 

「ステラは俺と同じく第一部隊に所属している。あとは、知っている人の方が多いかもな……タバネ技術副主任」

 

「わかってるよ~。2人と同じくIS委員会所属、タバネ・アマルティアです。旧姓は篠ノ之。ISの生みの親って私のことだよ、よろしくね~」

 

「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ????????!!!!!!!!!!」」」」」

 

 凄く軽いノリで目の前で自己紹介してきたウサ耳女性…世界的に指名手配されているISの生みの親、篠ノ之束が目の前に居ることにチカとハルナさん、それから委員会所属のシンさんとステラさん以外のここに居る全員が驚き声をあげた

 

「あ、あの有名な篠ノ之博士ですか!!??」

 

「う~ん、もう篠ノ之からは籍を抜いたし、博士って言われるのもくすぐったいんだよね~。いっくんとはるちゃんの友達だからみんな、タバネさんでいいよ~」

 

 軽いノリで話す篠ノ之束……いや、タバネ・アマルティア博士に国家代表候補生の鈴達と候補生だったシャルは首を横にふり、生還者組の俺やゆうちゃん、刀奈姉さんやサクヤ、キリトやアスナは苦笑いしチカとハルナさんは何故か驚いた顔をしていた

 

「束姉!今、篠ノ之から籍を抜いたって……」

 

「あ、いっくん気が付いた?うん、そうだよ。私は篠ノ之から籍を抜いたんだよ。世界を壊していろんな人達の人生を壊した責任として…ダメ姉として、妹の箒ちゃんが今よりもっと墜ちないように、〝篠ノ之束の妹〟だからって何でもかんでも刑が軽くならないようにするためにも……アマルティア、意味は罪。私の罪を私が忘れないようにって付けたんだ……箒ちゃんに関しては逃げてるような物なんだけどね…」

 

 軽いノリだったタバネ・アマルティア博士は俯き、少し暗めに話してくれた

 

「篠ノ之に関しては束姉は何も悪くない」

 

「そうですよ、束姉さん。あれは全て秋羅の所為です。秋羅が篠ノ之を変えたんです。自分の扱いやすい傀儡に……」

 

「それはそうだけど、私がちゃんと箒ちゃんを見てあげてれば、あんな奴と仲良くならなかったしいっくんとはるちゃんが辛い思いをすることは無かったのは確かだよ。私が気が付いた時にはもう、手遅れの状態…」

 

「「「「「……」」」」」

 

 チカとハルナさん、タバネ・アマルティアの三人の話にこの場の空気が重くなり静になってしまった

 

「え、えっ~と、積もる話もあるとは思いますが……」

 

「そうですね、山田先生。チカもハルナさん、それからタバネ博士でいいかしら?話したいことも沢山あると思うのだけど今は……」

 

「わかってるよ、カタナ。今はパッケージの運用テストが優先だからな」

 

「はい。わかってます」

 

「そうだったね~」

 

 今日の実習に戻そうとした山田先生と刀奈姉さんの一声で軽いノリに戻ったタバネ・アマルティア博士は先程の暗い顔とは最初の明るい顔に戻った

 

「ソウ、今日渡す予定になっていた機体なんだが、未だに完成してなく、完成時期も未定だそうだ」

 

「…そんなに俺用に作るのが大変って事ですか……わかりました。専用機の制作は止めてもらっていいです。俺の機体にかかりっきりもご迷惑だとおもいますので」

 

「ソウ君!!??」

 

「お兄ちゃん!?」

 

「「「「「!!???」」」」」

 

 俺の言葉に驚き、姉で国家代表の刀奈姉さんと妹で代表候補生の簪が声を漏らした

 

「?みんな、どうかしたか?」

 

「どうかした?じゃないよ、ソウ!?専用機だよ!?何処かの企業の代表や国家代表候補生にならないと本来は貰えない物なんだよ!?」

 

「シャルの言いたいことは分かるぞ?でもな、完成が未定ならずっと俺の専用機にかかりっきりになるだろ?それなら、俺はこれまで通り〝ストライク〟を使った方がランさんや他の人達も楽が出来るだろ?」

 

「確かにソウの言っていることは一理あるとは思うが…」

 

「ソウは自分用の……多分、イチカや和人さん達と同じなら〝ソードアートオンライン〟の服装になると思うけど、それで戦いたくは無いわけ?」

 

「そう言う分けじゃ無い、勿論SAOの装備で戦えるならみんなと一緒に戦いたいし思い入れはある。だけど……何となく分かるんだ、SAOでの〝ソウ〟の役目は終わった…そんな感じがな……俺がそう感じてる限り、SAOの武装の専用機は完成しない……と、思う」

 

「……俺も、そう感じた事がある」

 

 俺の話にキリトも頷いた

 

「ソーは…多分だけど、ソーはSAO生還者の中でも特にSAOにのめり込んでいた……いや、ソーは誰よりもあの世界で生を燃やしてたんじゃ無いかな、キリトやアスナ、ボクよりも…だから、現実に戻ったソーの専用機になる〝SAOのソー〟は完成しないんじゃないかな……〝SAOのソー〟は死んでるから…」

 

「ゆうちゃん…」

 

 少し悲しそうに、だけど何処か嬉しそうに呟く、ゆうちゃんの話でまた、この場が静になった

 

「……ソウの考えはわかった。俺から制作中止の事は伝えておく」

 

「お願いします」

 

 

 シンさんの言葉に俺が頷き、俺の専用機制作は中止になることが決定した

 

 

 

続く




この作品の篠ノ之束、改めてタバネ・アマルティアのアマルティアはギリシャ語のαμαρτίαで意味は罪。
本文にもあったと思いますが「私の罪を私が忘れないように」
おいおい作品内に書いていきますが私の罪(世界を女尊男卑に変え、白騎士事件を引き起こしたこと)を自分自身で忘れないようするが由来になります。
この束さんも賛否があるとは思いますが私の作品ではこう言う形に纏まりましたので批判は受け付けません。
無理な方はおかえりして構いません。


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赤き二翼と青き翼

 

 

 

 

「それから、もう一つ。今回、俺とステラが来たのは、ソウの〝ストライク〟に追加武装を持ってきたんだ」

 

「追加武装です……か?」

 

「うん、そうだよ!君、専用にカスタムしてるよ!」

 

 シンさんの隣で元気に話す、ステラさん。

ステラさんがそう言うと赤いコンテナと青のコンテナが運ばれてきて、中身は〝ストライクF〟のプロトフリーダムストライカーの同型の青い翼と赤がメイン色のリフターだった

 

「見て通り、片方は〝ストライクF〟のプロトフリーダムストライカーの完成形、フリーダムストライカー。次に赤いリフターの名はファトゥム00、委員長直属第一部隊隊長、アスラン・ザラの専用機〝ジャスティス〟のバックパックを元に作られ、ストライカー名はジャスティスストライカー。ソウは近接メインだから、ジャスティスの方が合っていると思いフリーダムストライカーと共に持ってきた。ソウ、〝ストライク〟を展開してくれ」

 

「はい」

 

 俺は軽く返事をすると〝ストライク〟を展開する

 

「タバネ副主任」

 

「りょ~かい」

 

 軽い返事をするとタバネ・アマルティア博士は〝ストライク〟の前で投射型ディスプレイを展開してキーボードを打ち始める

 

「タバネ副主任の作業が終わるまで武装の説明をする。フリーダムストライカーの武装はプロトフリーダムストライカーの武装が幾つか増設され、新武装も追加されている。まずは追加されたMA-M20 ルプスビームライフル。これは、〝ストライク〟の57mm高エネルギービームライフルの発展強化型になる。次に同じく追加されたMMI-M15 クスィフィアスレール砲×2。これは電磁レールガンでドイツのISが良く装備している物だが、あちらより火力が高い。

増設されたのはMA-M01 ラケルタビームサーベル×2とM100 バラエーナプラズマ収束ビーム砲×2が一つずつになる。次にジャスティスストライカーの武装の説明に移る。

最初はジャスティスストライカー時のみに両肩にマウンドされるビームブーメランのRQM51バッセル ビームブーメラン×2

フリーダムストライカーと同型のMA-M01ラケルタ ビームサーベル×2とMA-M20ルプス ビームライフル、ラケルタビームサーベルは柄を連結させ【アンビデクストラス・ハルバード】と呼ばれる両刃としても使える

バックパックのファトゥム-00にはGAU5フォルクリス 機関砲×4

M9M9ケルフス 旋回砲塔機関砲×2

MA-4Bフォルティス ビーム砲×2の三種の武装が装備してある。どちらのストライカーの武装もSEの消費が激しく数回使用しただけで活動時間が極端に減ってしまうため、〝ストライク〟にとあるエンジンを組み込むことになった。それは……」

 

「機体の改修とチェック終わったよ~」

 

 シンさんが話してくれているとタバネ・アマルティア博士の声が聞こえ、振り向くと博士とその後ろに新品のように輝く〝ストライク〟が静止していた

 

「関節などの消耗しやすい部分や、ガーベラ・ストレートの交換をしておいたよ~」

 

「ありがとうございます。アマルティア博士」

 

「どういたしまして。それから、さっきも言ったけどタバネさんでいいよ~(君は私の恩人だから、特にね♪)」

 

「…ッ!(は、はい……)」

 

「ソー、どうかした?」

 

「うんん、何でも無い」

 

 タバネ・アマルティア…タバネさんの「私の恩人」で俺が刹那だったことを知っている事に気がつき、少しだけ警戒してしまった

 

「あ、そっくん?〝ストライク〟を装着してフリーダムストライカーとジャスティスストライカーを装備して少し飛んでみてくれない?今の君に合わせて微調整しておきたいからさ」

 

「は、はい。わかりました」

 

 俺はタバネさんに頼まれ、あだ名呼びに少し驚き動揺してしまったが〝ストライク〟を装着しフリーダムストライカーでいつもの速度で飛行してみた

 

≪(ッ!!以前より、性能が格段に上がっている)≫

 

 ストライカーもだったが機体の操作性能が格段に上がっていることに驚きを隠せなかった

 

『うんうん!フリーダムの方は問題無いね!それじゃあ、ジャスティスの方で軽く飛んでから武装のチェックをしてみようか』

 

≪わかりました。ジャスティスストライカーに切り替えます≫

 

 俺は言われた通り、フリーダムからジャスティスに切り替えてフリーダムと同じ速度で飛行した

 

『うんうんうん!!!!!!!いいねいいねいいね!!!!!!すっごく良いよ!微調整するつもりだったけど、まったくする必要ないね!!それじゃあ、これから、ミサイルを何発かそっくんに向かって撃つからジャスティスストライカーの武装で破壊してみて』

 

≪わかりました≫

 

 俺が返事をして直ぐに、ミサイルが六発向かってきた

 

≪先ずは!!≫

 

 俺はバッセル ビームブーメランを投げ、瞬時にルプスビームライフルを展開してミサイル二発に引き金を引き、ミサイルを破壊し、残りのミサイル四発はビームブーメランが破壊した

 

『うんうん!!いいねいいね!!それじゃあもっと行くよ!!』

 

 タバネさんはそう言うと更にミサイルが十二発飛んできた

 

 

≪ファトゥム!!フォルクリス 機関砲、ケルフス 旋回砲塔機関砲、フォルティス ビーム砲!!≫

 

 俺はファトゥム00を切り離しファトゥムにソウビシテアルフォルクリス 機関砲、ケルフス 旋回砲塔機関砲、フォルティス ビーム砲を発射させ、一気にミサイルを破壊した

 

『うんうん!予想よりも射撃スキルが高いね!!そこはこれから調整だね。うん!OKだよ、降りてきて』

 

≪わかりました≫

 

 タバネさんに言われるがまま、俺はみんながいる海岸に戻った

 

 

「ふぅ~」

 

「ソー、お疲れ!!はい、これ」

 

「ありがとう、ゆうちゃん」

 

 海岸に降りて〝ストライク〟を待機状態に戻すとゆうちゃんがスポドリを持ってきてくれた

 

「うんうん!!仲良きことは美しきかなだね!!なはははは!!!!」

 

 〝ストライク〟のテスト中からずっとテンションの高いタバネさんは笑い出し、タバネさんをよく知るチカやハルナさんは少し戸惑いを見せていた

 

「私の仕事はこれでお終い……て、言うのは味気ない気がするから、折角だから、ここにいるみんなのISを見てあげるよ!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 帰る雰囲気を醸しだしていたタバネさんは急にISを見ると言い出し、ここにいるみんなが驚きの顔を見せた

 

「し、篠ノ之……いえ、あのタバネ博士直々にISを見て下さるなんて!!??」

 

「本当よ!!イチカ、タバネ博士?はこう言う人だったの?」

 

「いや、俺達の知る束姉は俺やハルナ以外にはあまり興味を示さなかった」

 

「うん、束姉さんは秋羅や実の妹の箒、それから織斑……先生にも最初は溺愛レベルだったけど秋羅や織斑先生が本性を露わにしてから箒も含めてまったく興味を示さない『赤の他人』になっていったんだ。私や兄さんは今まで通りだったけど……」

 

 そう、少し離れたチカとハルナさん、鈴が話しているのが聞こえて今のタバネさんを見るが180度、性格が変わっているのがわかった

 

 

「さあ~て、誰から……「姉さん!!」」

 

 

 

 

 

 タバネさんが誰からISを見ようか考えていると崖の方からここにいる殆どが聞きたくも無い声が聞こえてきた。それはこれから起きる嵐の前触れでしか無かったことは俺達はまだだれも知らなかった

 

 

 

 

 

続く



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絶望の始まり

 

 

 

 

 

「さあ~て、誰から……「姉さん!!」」

 

 

 

 

 

 タバネさんが誰からISを見ようか考えていると崖の方からここにいる殆どが聞きたくも無い声が聞こえてきた。それはこれから起きる嵐の前触れでしか無かったことは俺達はまだだれも知らなかった

 

 

 

 

 

「おや、おやおや?私を姉さんと呼ぶのは誰かな~?」

 

「私です!!」

 

 篠ノ之は崖から降りてきてタバネさんに叫ぶ。よく見れば崖の上には篠ノ之と同じく宿の駐車場に止めてあったワゴン車(と、言うなの牢屋)に閉じ込められていた織斑秋羅が立っていた

この2人が臨海学習に着いてきたのは何でも一応1組の副担の織斑千冬が臨海学習に出ないのはって話になり、もしも、織斑千冬が不在の時に織斑と篠ノ之が学園から逃げ出すことになったらと言うまた、謎めいた話になり、ワゴン車に閉じ込め連れてきたそうだ。

いや、なんでそうなったのは俺は分からず刀奈姉さんから聞いたところ、馬鹿な教師共が無理矢理にそうしたらしい

 

 

「ん?おお!箒ちゃんじゃん、久しぶりだね~」

 

「久しぶりです、姉さん……私が頼んでいた物を持ってきてくれたんですね?」

 

 誰もが言わずにいたがどうやって出てきたのか気になっていたが、それよりもタバネさんが物凄い嫌そうな顔をしているのが気になった

 

「?あぁ~専用機の話?それなら……」

 

 篠ノ之の顔は待ちに待った物が手に入ると喜びに満ちていたがタバネさんの次の言葉は喜びの顔を絶望に変えた

 

「なんで、君に専用機を作らなきゃ行けないの?」

 

「え……」

 

 タバネさんの言葉に篠ノ之の顔は絶望と怒りに変わっていく

 

「どうしてですか!?」

 

「どうしても何も、ただの〝()()〟に専用機を作らなきゃ行けないの?私の妹()()()からって私がなんも努力してない人に専用機を作るわけ無いじゃん」

 

「こ、小娘!?わ、私は今日、誕生日ですよ!?」

 

「だからなに?誕生日だからって専用機を贈ると思ってるの?少し考えれば分かることだ思うよ?それにさ……」

 

「ッ!?」

 

 タバネさんから急に放たれるプレッシャーで篠ノ之は驚き少し後ろに引いた

 

「私の()()()を暴力娘のお前、何かに渡せるわけねぇーだろ?あんま調子にのるなよ?」

 

【!!!!!!?????】

 

 タバネさんのドスの利いた声にタバネさんをよく知るチカやハルナさん、シンさんやステラさん、篠ノ之も含めこの場の全員が驚き、俺やゆうちゃんは怖がって後ろに隠れてしまったミノリちゃんとソウキの手を優しく握り安心させる

 

「タバネさん。ミノリちゃんとソウキが怖がってるので辞めてもらってもいいですか?」

 

「……ごめんね、その子達には怖い思いをさせちゃったね」

 

 そう、謝ってくるタバネさんの顔は少し悲しそうだった

 

「あ、そうだいっくん、一つ頼んでも良いかな?」

 

「はい?」

 

 タバネさんはそう言うと木刀二本を量子化するとチカに向けて一本の木刀を投げ渡す

 

「ごめんね、いっくん。一撃だけで良いから立ち会ってくれるかな?」

 

「えっと……?」

 

「今の君を、《ソードアート・オンライン》というゲームで、《アインクラッド》という世界で磨き上げた剣士としての君の全てを、一撃に込めて見せて」

 

「……わかりました」

 

 チカはほんの少し悩むとタバネさんの正面に立ち、木刀を腰に腰帯に差すように構え、姿勢を少し低くした。これはチカの《抜刀術》の()()の構えだった

 

「行きます」

 

「うん」

 

 両者そう言うと静かになる…そして………

 

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 チカが一気にタバネさんに迫って腰の木刀を一気に抜刀して振り抜く………本来より速度も威力も何もかもが劣っているがそれでもチカの《飛天一刀》は速く鋭い…

飛天一刀は純白の侍チカの代名詞のソードスキルでチカが《西風の旅団》…アインクラットで最も愛用していた《抜刀術》ソードスキルで攻略組の窮地を何度も救ってくれたソードスキルでもある。

その一撃は下に避けたタバネさんの頭のウサ耳を破壊したが、避けたタバネさんが木刀の切っ先をチカの鼻先に突き付けた事で勝負が着いた。

 

「うん、良い一撃だったね」

 

「簡単に避けてたのに何言ってるんですか」

 

「うんん、避けれてないよ……だって、ほら……」

 

 そう言うとタバネさんは左前髪を上げると少し赤くなっていた。そのことに昔からの知り合いのチカやハルナさん、篠ノ之の三人が驚いていた

 

「いっくん……本当に強くなったね……」

 

「…束姉…俺は強くなんて無いです………」

 

「うんん、いっくんは強いよ。自分の弱さを分かっていてそれを支えてくれる人を見つけることができたんだから……」

 

「……ありがとう束姉」

 

 チカはタバネさんと握手する…二人の目には涙が溜まっていた

だが、この場にはこの光景をよく思わないのが一人だけ居た

 

「ふ、………ふざけるなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 篠ノ之箒が怒鳴りながら二人……自分の姉…タバネさんに何故か持っている木刀を持って突っ込んで行く…だが…

 

「ガハァ」

 

 

 誰もが動こうとしたとき、既にタバネさんと篠ノ之との間に茶髪ツインテール……鈴がおり、気がついた時には篠ノ之が血を吐き倒れた

 

「……り、鈴?」

 

「今のは【浸透勁(しんとうけい)】。相手に触れている掌から、練り上げた気の衝撃を叩き付ける打撃法よ。そして、【震脚(しんきゃく)】。八極拳独特の、攻撃の命中する瞬間に、地面を強く踏みつける発勁の用法から【活歩(かつほ)】。「震脚」を踏んだ後、地面を氷の上を滑走するように滑りながら移動、一瞬で間合いを詰める特殊な歩法で間合いを詰めたのよ。一応、手加減したから死にはしないわ」

 

「そ、そうなんですね……」

 

 今の光景に顔を引きつらせる山田先生。

崖の上を見ると織斑秋羅が教師数人に抑えられていた

 

「織斑秋羅も捕まったみたいだな……刀奈姉さん?こいつとアイツ、更にアイツの姉はこれからどうしていくことになる?」

 

「どうやって出てきたか分かり次第、篠ノ之及び織斑は退学及び孤島のカウンセリングセンターにあの腐った人間性が治るまで強制入所、織斑先生は教員免許停止及び二年間の再研修、三年間の再教育になることが事前に決まっているの、これは三人にも通達済みで臨海学習で問題を起こせば臨海学習後、刑が執行される事になっていたわ……今の段階でさせることになるわね」

 

 更生の機会が与えられた事は当たり前だが、今までの様子を見ると更生はされない気がするが……それは俺達が考える事では無いだろう……

 

 

「山田先生!!」

 

「はい!直ぐに伝えます」

 

 教師が一人慌てて走ってきて、シンさんは誰かと連絡を取っていたがシンさんは何処か慌てていた

 

「テストは中止!!専用気持ちは私に着いてきてください!!他生徒は片付け後、自室待機を命じます!!」

 

 

 大声で叫ぶ山田先生からは何処か緊迫感が感じられた

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 あわてふためIS学園生徒を遠い目でみる一人黒髪の女性がいた

 

 

『クククッアハハハハハハ!!!私が開戦を花火を上げてやろう!!さあ、ショータイムだ!!』

 

 女性は高らかに笑い姿を消した

 

 

 また、とある施設の中、黒髪の男性と金髪の青年がいた

 

 

『そろそろ、我々が出る頃か……〇〇、〇〇に〇〇〇〇の最終チェックをさせておいてくれ』

 

『分かりました〇〇』

 

 男性は青年に頼むと青年は軽く頭を下げその場を後にした

 

『君も一緒に来るだろ?

 

 

 

 

 

 

()()()

 

 

 

 

 男性がそう言うと男性の後ろけら織斑千冬似の少女が目を光らせていた

 

 

 

 

 

続く

 

 



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VS福音 作戦会議

 

 

 

 

 

「今から2時間前、ハワイ沖にて試験稼働中だったアメリカ・イスラエル共同開発の第3世代型軍用IS、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)…通称〝福音〟が突如暴走を始め、試験場を爆破して逃亡、その後は米軍の追撃を振り切って領海から離脱したとのことです。

そして、衛星からの監視によれば10分程度消息が不明になりましたが約50分後にここから2Kの海域を通過することがわかりました」

 

 実習が中止になって直ぐ、俺達専用機持ちは旅館に用意された一室に連れてこられた。

部屋内には既に機材が運び込まれており、俺達は大型ディスプレイを囲むように座り、山田先生が今回の事について状況説明をしてくれた

なお、ソウキとミノリちゃんは別室でタバネさんが面倒を見てくれている

 

「本来でしたら、教師の我々や自衛隊のIS部隊が出動する事態ですが、我々教師部隊の所有しているISは出力リミッターがかけられた訓練機のみ、自衛隊には出動要請が出されていますが到着までに早くても2時間がかかるとの事です」

 

「俺やステラも大っぴらに動くことが出来ないので今作戦は専用機持ちに行って貰うことになった。これは、委員会アジア支部支部長とIS学園理事長の決定だ…………本当なら俺やステラが出て対処したいところなんだか…」

 

「わかってます。お二人の立場については」

 

 この中でも委員長直属IS部隊の事情を深く知る俺がそう言うと、シンさんは申し訳なさそうな顔をしてきた

 

「それから、アジア支部支部長から直接、連絡を頂いている……繫げてくれ」

 

「はい」

 

 シンさんがそう言い、通信担当の教師に告げると大型ディスプレイに金髪の女性と女性の両脇にたたずむ二人の男性が映し出された

俺は、立ちはしなかったが正座して敬礼する

 

『初めまして、私は国際IS委員会アジア支部支部長、カガリ・ユラ・アスハだ。まず、今回のことに君達を出撃させてしまうことを許して欲しい』

 

「俺は……いえ、自分にはその様な言葉は不要です。何もしないままでいるのは性にあいませんし自分が出来ることなら進んで承ります」

 

 俺がそう言うと、画面上のカガリさん、キラさん、アスランさん以外のこの場にいるみんなが驚いた顔で俺を見てきた

 

『お前はそう言う奴だったな……。それよりもだ、山田教諭とシンから話を聞いているとは思うが銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が其方の海域近くを通過する……銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の詳細スペックはこれだ……なおこのデータを外部に漏らした場合2年の監視がつく事になるので漏らさないように』

 

 カガリさんがそう言うと俺達の囲んでいる大型ディスプレイに銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の姿と詳細スペックが映し出された

 

「私のブルーティアーズと同じオールレンジが可能な射撃型ですわね…」

 

「攻撃と機動力を特化した機体ね…厄介だわ」

 

「この特殊武装がくせ者って気がするよ、連続しての防御は難しいかな」

 

「シャルロットさんの言ったとおり、この特殊武装は連続の防御も破壊も難しいですね…」

 

 シャルも含めた代表候補生の四人が銀の福音のデータを見ながら分析していく…俺達SAO生還者・旧ALOメンバーも黙ってはいるが戦闘シュミレーションを頭で組み立てていく

 

「アスナはどう見る?」

 

「う~ん、本当なら一回くらいは偵察したいけど、でもこの速度ならアプローチ出来るのは一回が限度かな?となるとぶっつけ本番になるから、確実性のある手段っていうのが思いつかない」

 

「俺もそうだな……」

 

アプローチ出来るのは一回限り、その一回の迎撃で何とか仕留めなければアウトだ。この場合、二重三重に作戦を練るのがベストだ…元アインクラット…SAO時代の《西風の旅団》では何重にも会議で作戦を考えていたので前線メンバーはある程度の作戦なら立てられるようになっている……だが、みんな確実性のある作戦を思いつけないでいた

 

「ソーは何か閃いた?」

 

「問題があるけど確実性があるのが1つ、問題が少なく確実性があるのが1つ、没のが1つ」

 

 三つ…いや、2つプランができあがって、問題点を洗っているとゆうちゃんに聞かれ、考えながら答えるとシャルを含めた代表候補生五人が俺の方をなぜか見てきた

 

「?どうしたんだ?」

 

「どうしたんだって……短時間の間に3つも考えついていたなんて……」

「ソウさん、凄いですわね……」

 

「別にたいしたことは無いぞ?」

 

「それがたいしたこと無いならアンタの中では何がたいしたことあるのよ……」

 

 軽くディスられている気がしなくとも無いが今は気にしないで置くことにしよう

 

「更識くん、内容を聞いてもいいでしょうか?」

 

「わかりました。一つ目のプランは織斑秋羅の専用機〝白式〟の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)の零落白夜をこの場の誰かが使い、それ以外のメンバーで陽動をかけるです。このプランには幾つかの問題があります。一つ目は〝白式〟を使用すること。二つ目は〝白式〟の機体状況。三つ目は福音の情報不足、四つ目は織斑姉弟並びに篠ノ之の妨害が入る可能性が高いことです」

 

【『………』】

 

 俺が一つ目のプランを説明するとみんな、黙り込んだが、これまでの織斑姉弟と篠ノ之を知っているこの場のIS学園専用機持ちは納得しているようだった

 

「二つ目のプランはこの場のメンバーで福音を鹵獲することです。このプランの問題点ですが、これは一つ目のプランにもありましたが福音の情報不足。二つ目は全員での連携不足。三つ目は自分やシャルの乗り換えたまたは、追加武装などでの戦闘経験不足になります。三つ目の没プランですが、織斑秋羅にやって貰うことです……ですが、このプランは確実に失敗すると思いますので、没プランです」

 

「他の作戦を考えている時間は無いわね……山田先生。私はソウ君の二つ目の作戦に賛成します」

 

「私もです。これ以上考えていても時間の無駄です」

 

 俺が全てを説明し終わると刀奈姉さんと簪が俺の二つ目のプランを推してきた

 

「ボクも賛成!!」

「私もです」

 

 刀奈姉さんと簪に続き、ゆうちゃんとサクヤも賛成するとキリト、アスナも続いて賛成してきた

 

「更識くんのプラン2で進めていきます。そして、現場の指揮は更識くん。お願いします」

 

「わかりました」

 

「それでは、みなさん、出撃の準備をして下さい。」

 

【了解!!!】

 

 山田先生の一声で、俺とゆうちゃんを除いたみんなは作戦室を後にした

 

 

 

続く



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VS福音 浜辺の喧嘩

今回は少し短めです


 

 

 

 

 

『ダメって言ったらダメだ!!』

 

「ん?」

 

 作戦開始まで数分となり、俺(イチカ)やキリトさん達は作戦開始場所でもある浜辺に歩いていると、指定の浜辺からソウとユウキの怒鳴り声が聞こえてきた

 

『ソウキ達の事が心配なのはボクだって分かるよ!?でも、何もしないで待っているのは嫌だよ!?ボクだって戦えるんだよ!?』

 

『ISに今日初めてしかも、いきなり実戦はダメだって言ってるだろ!?もしも、ゆうちゃんが墜とされてもしたら、ミノリちゃんやソウキ達はどうするのさ!?二人に悲しい思いをさせるのか!?』

 

 俺達が急いで行ってみると浜辺でほぼ見ない光景……ソウとユウキが言い争っていて、その近くで二人の子供のソウキと美乃梨ちゃんがオドオドしていた

 

「ソウキ君、美乃梨ちゃん?ユウキ達、一体どうしたの?」

 

「アスナさん……そ、それが…」

「お母さんが今回の戦闘に参加するって言って聞かないんです…最初はお父さんとの普通に口論だったんですが……次第に悪化していって…」

 

「お互いに怒鳴ってるわけね…」

 

「はい…」

 

 美乃梨ちゃん達にアスナさんが声をかけると今の状況について話してくれた

どうやら、ISに殆ど乗ったことの無いユウキが今回の作戦に出ると言ってソウが拒否。それでも出ると言い張るユウキにソウが本気で怒ったらしい、それで今に至ると…

 

「二人とも作戦前でしかも珍しいのに喧嘩しなくても……」

 

「ねぇ、イチカ?あの二人が喧嘩するのそんなに珍しいわけ?」

 

 少しの驚きと呆れていると鈴がソウ達の事を聞いてきた

 

「そうだな。二人が喧嘩するのは俺も見たことないな」

 

「いつも、ソウ君が無茶するのをユウキが怒って止めてるんだよ~。二人で言い争っているのは私も殆ど見たことないよ~」

「俺もだな…」

 

 俺達よりもソウとの付き合いが長いキリトさんやアスナさんですら、ソウとユウキの喧嘩を見たことなく、少し引き気味だった

 

「作戦まで時間が無いんだ、ソウキ達と旅館で待ってろ!いいな!!」

 

「ソー!まだ、話は終わってな…」

 

 ソウは俺達に気がついたのか、それとも、時間だと気がついていたのか、どちらかは分からないが無理矢理に話を終わらせてこちらに歩いてくる。

話を無理に終わらせられたユウキも何かを言おうとしたが、俺達を見たのか、それともソウキ達を見たのかは分からなかったが言葉を途中で切り、俯いていた

 

「みんな、待たせてごめん。これから、みんなの分担を説明する」

 

 ソウはそう言うと俺達を3つの部隊に分けた

第一部隊 キリトさん、アスナさん、カタナ、俺

第二部隊 ハルナ、鈴、簪、シャル

第三部隊 ラウラ、セシリア、サクヤ、ソウ

更に音速飛行中の福音を捕らえる為の作戦として、この中でも最速のアスナさんと次に速い俺が先行して福音の足止め、それに続いてキリトさんとカタナ、簪、足にストライクガンナー装備のブルーティアーズとセシリアそれからシャルとミストラル・オーブ。

その後に残りのみんなが到着し攻撃を仕掛け福音を倒す流れだ

 

「ここまでで質問はあるか?」

 

「えっと、質問じゃないんだけど……ユウキはいいのかなって…」

 

「……いきなり実戦なのは荷が重い…と思ってる。だから、今回の作戦から抜いたんだ……でも、ユウキなら大丈夫だと思う。ユウキは俺以上に心が強いからな。俺の気持ちも分かってるはずさ」

 

【…………】

 

 ユウキの事を心配したユウキの親友のアスナさんがユウキに聞かれないようにソウに聞くと少しノロケが入っていたが心配なさそうだった

 

「それじゃあ、時間だ。みんな、勝とうぜ!!」

 

【おう!!】

 

 

 俺達は福音に向かって動き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時、俺達は無事に全てが終わると信じていた

誰もがそう思っていたはずだった……

この時にこの胸に刺さるトゲを知ることが出来たのなら……

 

 

 

 

続く



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VS福音 ラウラの新機体

どうでもいい話で区切りが良くなった為、短めですが投稿

そして、少し速いですが今年の投稿はこれで終わりになります
本当でしたら大晦日にも投稿したかったのですが何分クリスマスから大晦日、元旦から五日まで仕事三昧になる感じなので投稿が難しいです。
そしから、大変申し訳ありませんが仕事の関係で一月の更新は出来ないかも知れません。
その間も書きためして置こうとは思いますので二月には更新を再開できると思います
かってばかり申し訳ありませんがよろしくお願いします。


 

 

 

 

 

 

 

「浜辺でも気になってたんだけど、ラウラ。機体変えたわよね?」

 

 先行隊のチカやキリト達を追いかけて飛行していた後続部隊の俺や鈴、ラウラやサクヤ、ハルナさん。

その途中、鈴がラウラの纏う見たことの無い黒い機体に聞き始めた

 

「ん?あぁ、みんなには話してなかったな。私の専用機だったシュヴァルツェア・レーゲンはドイツの機体だったからな、国際問題になる前に機体の運用データとパーツを送り返してやったんだ。その代わりとIS委員会からこの機体、私用にカスタムされた〝クロスボーンガンダムX2〟を受理したんだ。ソウ、すまない。お前にはもっと速く言うべきだった」

 

「いや、いいさ。見た感じ前と同じでレールガンは搭載されているみたいだからな。戦力の上方修正されただけだ」

 

AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)もついているのでレーゲンとほぼ同じ様に扱えるらしいですよ」

 

AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)って……ドイツが開発したものでしょ?それをそのまま搭載しているって事はそれはそれで国際問題にならないのかしら?」

 

 鈴の言うとおりAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)はドイツの第三世代型機の為にドイツが作り出した機能だ……それを持ち出したってことはそれはそれで大問題ではある

 

「普通ならそうなるだろうが私を実験台にしてたんだ、このくらいはしても問題ないだろ?それに、一応は他者に漏洩しないと言ってある」

 

「今のラウラは自由国籍でIS委員会のテストパイロットって肩書きもありますから何処からも干渉されることは無いんですよ」

「いずれはハルナと同じ日本の国籍を取ろうと思っている」

 

 ラウラとハルナさんが話してくれたがAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)については問題ないとの事だった

 

「ならいいんだけど……それにしてもホント、アンタ達仲良いわよね?」

 

「私は…ハルナに救われたから……ハルナがいなければ私は間違った力に溺れ、人を見下していたかも知れない」

「そう言うこと……私と似た感じなのね」

「え?」

 

 鈴の言葉にラウラは不思議そうな顔をした

 

「私もハル……イチカとハルに助けられたのよ。転入して直ぐだった私は外国人と言う理由で虐めを受けていたのよ。そこをアイツ……秋羅に助けられたの……でも、本当は違った…助けに来た秋羅が虐めをしてきた奴らの親玉で自分をいい奴に見せて女遊びしてただけ……それに気がつかせてくれたのがイチカとハルなの」

 

「「「……」」」

 

「秋羅と縁を切った私は秋羅やその取り巻きに腹いせとばかりに虐めてきたわ……もちろん、秋羅本人は手を出さずにその取り巻きだけだったけど、私は一度、其奴らが秋羅と一緒に居るのを見ていたから自然と秋羅からの嫌がらせだと分かったのよ……その時、イチカとハルの親友の弾に……いえ、これ以上の話は後にしましょう……見えてきたわ」

 

≪あぁ、そうだな。みんな、気を引き締めて行こう≫

 

「「「「了解!!」」」」

 

 俺がそう言うと四人の声から安らぎが消え緊張感が生まれた

 

 

 

 

続く

 

 

 




 
ガンダムシリーズオリジナル機紹介

 XM-X2IS クロスボーン・ガンダムX2カスタム

世代 第三世代

武装
  ヒート・ダガー×2
  シザーアンカー×2
  ザンバスター(ビーム・ザンバー/バスターガン)×1
  ブランドマーカー(ビーム・シールド)×2
  バスターランチャー
  ショットランサー
  レールカノン×2

特殊武装
  AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)


ラウラ・ボーデヴィッヒがドイツの第三世代型機〝シュヴァルツェア・レーゲン〟をドイツに返す変わりにと国際IS委員会から臨海学習の前に受理された機体。
彼女に合ったカスタマイズが施され原機に装備されていなかったレールカノンやAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)を装備され〝シュヴァルツェア・レーゲン〟と変わらないスタイル。

追加武装
 レールカノン:〝シュヴァルツェア・レーゲン〟に装備されていたレールカノンを縮小し脚部に二門装備した物。
元々脚部に装備されていたザンバスターを拡張領域にしまい装備された



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VS福音 戦闘開始

はい、明けましておめでとう御座います。(遅いですよね?)
遅れてしまって誠に申し訳ありません。新年早々から仕事三昧だった為、1月は過労死寸前で日々を過ごしており執筆する時間が全く取れませんでした。
四月一杯までは過労死寸前で仕事が続く…そんな感じなので少し遅れる可能性があります(出来るだけ執筆時間は取れるように頑張るつもりです)
もし、遅れるようなことがあれば早めに活動報告にてご報告いたします。


それでは、新年一発目です!!


  

 

 

 

≪戦闘はどうなっている?≫

 

「お兄ちゃん!!」

 

『私が説明します!!パパ達第一部隊先遣隊が戦闘を開始して10分が経過、今までの攻防では近接武器は見られません。福音のSE四分の1を削りました』 

 

 戦闘空域に到達すると簪に声をかけてきて直ぐにキリト&アスナの愛娘ユイちゃんが妖精の姿でプライベートチャンネルに映りでて戦況を教えてくれた 

 

≪ユイちゃん、ありがとう≫

 

『はいです!!にぃにぃ!』

 

 ユイちゃんはそう言うとプライベートチャンネルが閉じる。俺は直ぐにみんなにチャンネルを繋げる

 

≪これから指示をだす…第一部隊はDPSを上げろ!!第二、何時でも近距離戦が出来るように準備しつつ波状攻撃!!第三も同じく波状攻撃!!≫

 

【了解!!】

 

 俺はそう指示を出すとガーベラ・ストレートを二本展開させファトゥム-00のフォルクリス 機関砲に炸裂弾を装填して何時でも発射できるようにする

 

「はあぁぁぁぁ!!!!」

「やあぁぁぁぁ!!!」

 

 SAO最強コンビの一つ、二刀流のキリトと細剣のアスナが先陣を切るように動き出しキリトは二刀流突撃ソードスキル《ダブル・サーキュラー》をその後直ぐにアスナの細剣8連撃ソードスキル《スター・スプラッシュ》がたたき込まれた

 

「「スイッチ!!」」

「はい!!」

 

 キリト達が下がると二人と入れ替わるようにカタナ姉さんとチカの二つ目のSAO最強コンビが福音の前にでるとキリトとアスナの連撃を防いだ福音の動きが止まった

 

「喰らいなさい!!」

 

 動きが止まった福音にカタナ姉さんは槍ソードスキル《フェイタル・スラスト》を直撃させ、福音の体制を崩した

 

「だらあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 体制が崩れた福音に今度はチカがカタナ姉さんと入れ替わり刀を居合斬りのように構えて力を溜め、振り抜く技……刀ソードスキル《辻風》を放つが福音は腕をクロスしてなんとか防いだみたいだった

 

「ッ!!全員退避!!鐘が来るぞ!!シャル、簪、ラウラはシールドとフィールドで他を護れ!!三人に近いやつは三人に集まれ!!」

【了解!!】

 

 《辻風》を防いだ福音は俺達の上空に移動すると回転しエネルギー弾を全方面に飛ばしてきた

 

「私を舐めないでよね!!」

 

 遠くで刀奈姉さんが叫ぶと全員と福音の間に水柱が吹き上げ、銀の鐘を完全にシャットアウトした

 

「アクア・ナノマシンを強化して付近の水を操作できるようにして良かったわ~」

 

≪…刀奈姉さん、それはもうチート過ぎ≫

「うん。お兄ちゃんに同意。水上戦ならもう、誰も勝てないよ」

 

「ソウ君と簪ちゃんも酷い!!チカもそう思うでしょう!?」

 

「アハハハ……そ、そんなことよりも三人ともまだ、戦闘は終わってないみたいだ」

「チカも酷い!!」

 

 俺と簪にこう言われ、恋人のチカに助けを求めるが「そんなこと」で切り捨てられてしまい、カタナ姉さんは軽く泣いていた

 

≪ッ!!だらぁ!!≫

 

 話をしていると俺達に向かって福音が突進してきて俺は咄嗟に二本のガーベラ・ストレートをクロスさせて福音の突撃を防いだ

 

≪チィ!!速すぎて防ぐのが精一杯だ……仕方ない!!簪!≫

 

「うん!!任せて、お兄ちゃん!!」

 

 簪は俺の意図が理解できたのか、シルエットをノーマルからサバーニャに切り替えた

 

「狙いは……付いた!!ここ!!」

 

 簪はビットを展開して福音の周りに水柱を立つようにビームの雨を降らした

 

≪今だ、サクヤ!!≫

「はい!!」

 

 俺がそう言うだけでサクヤはライフルの引き金を引き、乱れ撃った。

サクヤは狙撃手(スナイパー)だが、セリシアや那由多などとは違い乱れ撃ちを得意とする乱撃手(スナイパー)だ……サクヤの命中率は…

 

≪100%だ≫

 

 サクヤの撃った弾は未来が見えているように水柱を避け一発、また一発と全弾、福音に直撃した

 

≪チカ、カタナ姉さん、決めろ!!≫

「任せろ!!」

「ええ!!チカ、使いなさい!!」

 

 カタナ姉さんはアクア・ナノマシンで精製された水をチカの日本刀に纏わせ、刃が大太刀ぐらいまで広がった

 

合技(ブレイヴ・オリジナルソードスキル)アクアマリン・エクセリオン!!」

 

 合技(ブレイヴ・オリジナルソードスキル)アクアマリン・エクセリオン……ALOにて、チカとカタナ姉さんが編み出した合体OSSなのだが、ALOには合体技のシステムは無く、チカの本来のOSS(オリジナルソードスキル)十一連撃、僉崇之剱(みなかたのつるぎ)にカタナ姉さんが水属性をを付与する魔法で水属性を付与したのがアクアマリン・エクセリオンなのだ

 

「これで終わりだ!!」

 

 アクアマリン・エクセリオン、最後の六回転を終えたチカが大声で叫び、オマケで上段から振り下ろすと福音は海に墜落した

 

「はぁ…はぁ……はぁ…」

「お疲れ、チカ。みんなも、お疲れさま」

「ソウ君もお疲れさま」

「お兄ちゃん、お姉ちゃん、お疲れ」

「兄さん、鈴もお疲れさまです」

「ハルもお疲れ」

「キリト君もお疲れさま」

「あぁ、アスナもな」

 

 戦闘が終了しみんなが一カ所に集まり各々に労いの言葉をかけていた

 

「お兄ちゃん、これで終わりなんだよね?」

≪終わり……のはずなんだけどな……どうも嫌な予感が収まらないんだよな≫

「やっぱり、お兄ちゃん…も?私もなんか、嫌な予感がする…こんな感覚…βテスト以来だよ」

 

 俺と簪はお互いに同じ感覚に襲われていた……簪の言ったβテスト以来…βテストでここまでの嫌な感覚に襲われたのは…………ッ!!そうか!!

 

≪全員、臨戦態勢!!まだ、終わりじゃない!!≫

【!!!】

 

 俺は全員に叫ぶとみんな、驚いていたが、俺と簪は武器を展開して何時でも戦えるようにした

 

「ソウ君も簪ちゃんも一体どうしたの?福音は今さっき倒したのよ?」

≪ごめん、カタナ姉さん。うまく言えないけどまだ、終わってない。この感覚はβテストのノウアスフィアの開墾、ラストボス…深遠なる闇が出て来るまでの感覚に似ているんだ……≫

「ノウアスフィアの開墾!!??ソウ君達がβテストでクリアして、私やシリカちゃん達には絶対に西風以外では受けるなって言っていた大規模戦闘クエストの!!??」

「うん…お兄ちゃんが西風以外で絶対に受けるなって言った理由……それは、〝βテスト時【放蕩者の茶会】デボーチェリ・ティーパーティーで全滅五回、全員二回以上死亡〟……これが理由。死に戻り出来ない正式サービスではまず超高難度クエストに分類されると思う」

「「「放蕩者の茶会】デボーチェリ・ティーパーティーで全滅五回!??全員二回以上死亡!!??」」」

【!!??】

 

 簪の言葉に【放蕩者の茶会】デボーチェリ・ティーパーティーを知っているカタナ姉さん、アスナ、チカは非情に驚き、知らないメンバーも三人ほどでは無いが驚いていた

 

「ソウと簪がそう言うなら……第二形態か福音とは別の敵の出現……ユイ、何か無いか?」

 

『パパの機体とのリンクで広域レーダーで確認してますが……パパ達以外に付近を飛行する物体はありません。いえ、待って下さい!!福音が落ちた海底から高エネルギー反応です!!注意して下さい!!』

 

 ユイちゃんがそう言った途端、福音の落ちた場所とほぼ同じ地点で水柱が立ち…水柱の中から赤い粒子を背中のコーンから排出する福音の姿が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦いはまだ終わらない……

 

 

 

 

 

 

 

続く



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VS福音 赤い粒子

……はい。すみません、今回のは長ったらし説明が多いために長文(自分的には)で内容は殆ど進んでない感じになってしまいました…



それでは、どうぞ


 

 

 

 

 

≪ッ!!あれは!??≫

「どうして、あれが!?」

 

 海中から現れた福音…銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)は赤色の粒子を放つコーン…擬似太陽炉を背中に装備し色は白基調から黒と赤に変わり、背部の飛行ユニットはチカと刀奈姉さんのアクアマリン・エクセリオンで破損したスラスターの代わりに赤色六枚羽のエナジーウィングが追加されていた

 

≪全員、即時撤退!!殿は俺が務める!!≫

「ちょっと、ソウ君!?いきなりどうしたのよ!!?」

≪ごめん、刀奈姉さん。説明している時間が無い!!簪とシャルにあれの事は話してある……みんな、急げ!!≫

「ソウさんが残るのなら遠距離の私も……」

≪いい加減にしろ!!言うことを聞け!!≫

【!!!!!?????】

 

 銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が動かない今の内に全員を撤退させようとするがサクヤや簪が残ろうとしてきたので俺は大声で怒鳴った。

俺が怒鳴るとみんな、驚いて静になった

 

≪以降は刀奈姉さんの指示に従うように!!みんな、生きて帰れ!!これは、指示じゃない……命令だ!!≫

 

【ッ!!……了解】

 

 俺は最後の指示を出すと二本の<ガーベラ・ストレート>を構えて福音に向かった

 

≪だらぁ!!≫

≪La≫

 

 福音はストライクのトップスピードからの斬撃を少しの上昇で簡単に避け、銀の鐘(シルバーベル)よりも速い赤いエネルギー弾を何発も俺に向かって放ってきた

 

≪その程度の速度は見慣れてるんだよ!!≫

 

 俺は福音のエネルギー弾を回避、時には<ガーベラ・ストレート>で弾いたり斬り伏せ、全弾のエネルギー弾を撃ち落とした

 

 

 

 

 

 

一方・旅館 山田side

 

 

「更識君!!応答して下さい!!更識君!!」

 

 高エネルギー反応(福音の第二形態移行(セカンド・シフト))が戦闘海域であってから、戦闘海域をモニターしていたカメラ、通信機、レーダー等の機会が突然通信障害を起こし、戦闘状況が分からなくなり、教師の半数を導入して戦闘海域に要るはずの専用機持ちに通信を繫げようと試みていたが通信障害で一切連絡が取れていなかった

 

「桐ヶ谷くん、結城さん、オルコットさん、デュノアさん、連絡取れません!!」

「こちらもボーデヴィッヒさん、凰さん、神薙兄妹、更識姉妹も駄目です!!連絡取れません!!」

「……仕方ありません。直ぐにタバネ博士を呼んでください!!博士なら通信の回復が出来るかも知れません!!」

「は、はい!!」

 

 以前からの暴君的振る舞いの結果、指揮権が永久凍結された織斑千冬の代わりにIS学園防衛部隊の指揮を任された山田真耶が他の教師を動かし状況確認を進めていた

 

「呼ばなくていいよ~もう来てるから」

「「!!??」」

 

 一人の教師が襖を開けてタバネ博士を呼びに行こうとすると既に待機していたかのようにタバネ博士が銀髪で目を瞑った女性と木綿季と蒼の子供達の朷夜と美乃梨を連れて作戦室に入ってきた

 

「タバネ博士と……誰ですか?」

「この子はクーちゃん。私の娘でタバネさんの助手をしてもらってるんだよ~」

「タバネ様、渾名での紹介では分かりません。初めまして、クロエ・クロニクルです。先程のタバネ様の紹介の通りタバネ様の助手をしてます。作業を始めたいのでそちらの席を空けて下さい」

「え、あ、はい」

 

 クロエと言う女性に言われるがまま、パソコンの前にいた山田麻那はパソコンの席をクロエに譲るとクロエはキーボードを打ち始めた

 

「GNタンクによるGN粒子散布開始…システムをGN粒子による粒子システムに変更……全システム回復。伐鐘聖式からの通信、繋ぎます」

 

 クロエはものの数分で教師が数人がかりでも回復しなかった全システムを回復させた。

そして、回復した途端に更識簪の専用機伐鐘聖式から通信が入った

 

 

 

 

 

 

 通信が回復する前

 

「こちら、ラウラ・ボーデヴィッヒ!!山田教諭、聞こえますか!!繰り返す、こちら、ラウラ・ボーデヴィッヒ!!教諭聞こえますか!!聞こえているのなら返事をして下さい!!」

 

 こちらもこちらで離脱を始めてから山田麻那達、教師陣に連絡を取ろうとしていたがこちらも全く繋がる気配がしていなかった

 

「ええぃ!!どうしてつながらないんだ!!」

 

「ラウラちゃん、少し落ち着きなさい。たぶん、通信がつながらない理由を知っている人から話を聞きましょ」

「カタナちゃん、それってどういうこと?」

「これはラウラちゃんにも言えることだけどソウ君以外に私やチカ、キリトやアスナちゃん達よりもIS委員会と深く関係を持っている人が2人いる…………話してくれるわよね?

 

 

 

 

シャルちゃん、簪ちゃん」

「「「「!!??」」」」

 

 刀奈の言葉によりみんなの視線がシャルロットと簪に移った

 

「お兄ちゃんが言ってたし…勿論、話すよ。あれはイアンさんが作ったオリジナル太陽炉のプロトタイプ…通称《擬似太陽炉》。私のやオリジナルの太陽炉…GNドライヴとは違って外部からの電力で粒子を加速したり粒子を精製する為に長時間の運用は不可能。オリジナルと違う点として粒子の色が赤で毒性が色濃く残っている。オリジナルと同じ点は粒子の散布された地点から数キロメートルのレーダーや通信を使用不能にすること……私の伐鐘聖式なら山田先生達と通信することが出来た……と思ったんだけど、何度呼び出しても駄目だった……多分、向こうの通信が駄目になってる」

「アハハハ、全部簪さんに言われちゃったよ。付け加えると擬似太陽炉はIS学園クラス代表戦の少し前に委員会から盗まれたものってソウが言ってた」

 

 シャルロットと簪の話に全員が唖然としていた

 

「と、言うことは今回の銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の暴走は委員会からデータを盗み出した何者か……いえ、何処かの組織によるものって事になるわね」

「そうですわね…こんな大掛かりの事を1人で行うなんて無理ですわ」

「だけど、擬似太陽炉?をクラス代表戦からの短時間で実用化できる国なんてあるの?どの国でも第3世代機を作るだけで精一杯じゃないの?」

 

 明日奈の疑問はもっともで完璧なデータがあってもそう簡単に実用化させる…ましてや、クラス代表戦からの数カ月で完成させるのはどの国でもそう簡単には

 

「一つだけ…可能性があるわ……それは……「お姉ちゃんまって、山田先生との通信が復活した」!!本当!?それなら、今すぐに状況説明をお願い」「うん!!」

 

 

 短時間で擬似太陽炉を実用化させる事が出来る可能性を刀奈が知っていたがそれを言う前に教師陣達との連絡が回復した

 

 

 

 

続く



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VS福音 擬似太陽炉

 

 

 

 

『山田麻那です!!更識さん、みなさんは無事でしょうか!!』

 

 通信が復活して山田先生達と繋がった第一声が山田先生の焦りと心配が詰まったこれでした

 

「はい。お兄ちゃんの御陰で全員無事です……状況説明をしたいのですが大丈夫でしょうか?」

『ああッ!!、すみません。お願いします』

 

 少しパニクっていた山田先生はなんとか落ち着きを取り戻すと私は福音が第二形態移行(セカンド・シフト)したこと、お兄ちゃんの()()でお兄ちゃんを残して離脱したこと、それから……

 

「タバネ博士に伝えて下さい、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と」

『残念、もう既にいるんだよね~』

 

 山田先生にタバネ博士に伝言を頼むと、タバネ博士の声が聞こえ、映像にタバネ博士がひょっこり顔を出した

 

『予想はしてたけど本当に福音に《擬似太陽炉》が搭載されていたか~』

「あの……博士は福音に《擬似太陽》が搭載されていたのを知っていたんですか?」

 

 タバネ博士がもし、福音に《擬似太陽炉》が搭載されていたのを知っていたら……だけど、タバネ博士は…

 

『うんん、知らなかったよ。アメリカとイスラエルのデータベースに侵入して福音のことは調べたけど《擬似太陽炉》は何処にも搭載された記録は無かった……だけどね、福音が暴走したのを聞いてから今回の暴走に〝あの組織〟が関わってるのなら《擬似太陽炉》が福音に搭載されていても可笑しくないとは思ってた…「なら、どうして、私達を行かせたんですか!!」…』

 

 私は自分を抑えきれずにタバネ博士に怒鳴ってしまった

 

『……うん。それに関しては言い訳するつもりは無いよ…可能性があるとおもったら君達やシン君達に伝えるべきだった…と思ってる……だけど、君達と通信が繋がらなくなって直ぐにシン君とステラちゃんに頼んでIS委員会・独立IS部隊を動かして貰ってる。独立部隊なら気にせず動くことが出来るし《擬似太陽炉》相手なら彼らが最適だからね…戦闘海域には20分で到着するって連絡が来てるから』

「……お兄ちゃんにもしもの事があったら、私はタバネ博士を許すことは出来ません……たぶん、木綿季さんやサクヤさんも…」

『…分かってるよ……その時は私を焼くなり煮るなりしても構わない…』

 

 タバネ博士は顔を俯かせて謝ってきたが、私はお兄ちゃんにもしもの事があったら……タバネ博士を許せない

 

『みなさん、帰還しましたら、次の作戦を立てますので帰還しだい作戦室に来て下さい……『山田先生。簪さん達と話したいので少し良いですか?』……はい。大丈夫ですよ、紺野さん』

『簪さん、聞こえてるよね?』

「はい。聞こえてますよ、木綿季さん」

 

 通信を切ろうとすると山田先生の声を遮って木綿季さんの声が聞こえた

 

『ボクはこれからソウの所に向かう。ここで何もしないで待つのはもう、嫌だから』

【『!!!???』】

 

 木綿季さんの言葉に私や明日奈さん達、それから山田先生達も驚きを隠せなかった…が、

 

「駄目です」

『もう、誰に言われてもボクは行くよ。さっきも言ったけど、待つのは嫌…「貴方はお兄ちゃんのお荷物になりたいんですか!!??」ッ!!??』

【『!!??』】

 

 木綿季さんの話を私の怒声が遮った。

木綿季さんの驚いた顔を見ているとお姉ちゃんやキリトや明日奈さん達も驚いていると思う

 

「絶対に旅館からでないで下さい!!もしも、木綿季さんが亡くなったら、お兄ちゃんやソウキ君、美乃梨ちゃんが悲しむので……だから、絶対に出てきては駄目ですから!!その代わり……

 

 

 

 

私がお兄ちゃんを助けに行きますから…」

 

「「「「「『!!!!????』」」」」」

 

 私の言葉にみんな、おどろいてるだろうけど、どんな顔をしてるのかな?

 

「簪ちゃん!?それは、駄目よ!?」

『そうだよ!!??ソウはそんなこと、望んでない!!』

 

 お姉ちゃんと、木綿季さんが必死に止めようとしてくれる……だけど…

 

「ごめん、お姉ちゃん。木綿季さんもありがとう……でも、この場で《擬似太陽炉》に耐性を持つ機体は私の…伐鐘聖式だけだから……それに、私はお兄ちゃんの…更識蒼の妹で、SAOβテストで〝ソウ〟の相棒だったんだよ……助けに行かなくて……出来ることをしなくて、何が相棒だ。なんの為に伐鐘聖式を作って貰ったんだ……こういう時のために……お兄ちゃんを助けるために私はこの機体を作って貰ったんだ……《ダブルオー》…」

 

 

 私はそう言うと、伐鐘聖式で唯一のGNドライヴ【F型】が二つ付いているシルエット、《ダブルオー・シルエット》を装着した

 

「私はお兄ちゃんを助けに行って来る…誰も、付いてこないで…特に鈴さんやセリシア達の装甲が少なめな人は…」

「…なら、私も行くわ。弟と妹が頑張ってるのに自分だけ、安全な場所にいるなんて出来ないわ!!……それに、私は生徒会長よ?ここで、引いたら生徒会長としての示しがつかないわ!!」

 

 お姉ちゃんの目は本気だった…お姉ちゃんもかなりの頑固者だから、本気の目をしたお姉ちゃんに駄目は通用しない…

 

「分かった…お姉ちゃん。でも、お姉ちゃんの装甲はここの全員の機体の中で一番低い…だから、無茶だけはしないで……お姉ちゃんがいなくなるとイチカさんやキリト達…私やお兄ちゃんも悲しいから……」

「分かってるわよ、簪ちゃん。後退メンバーの指揮はシャルちゃんと明日奈ちゃんの2人でお願いするわ。2人なら間違うことは無いだろうから……それじゃあ、後はお願いするわ」

「カタナちゃんも簪ちゃんも待ってよ!!もう……言っちゃった…」

 

 

 明日奈さんの声が聞こえた気がしますが私とお姉ちゃんは気にせずに来た空域を戻っていきました

 

 

 

 

 

 

続く

 

 



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VS福音 敗北と二つの水色

今回はかなり短めです……すみません


 

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ…ち、ちくしょう……」

 

 福音が第2次移行(セカンド・シフト)してから戦いだしてまだ、20分も経ってないはずだったが、第2次移行(セカンド・シフト)前よりも速くなった福音の速度に高速戦闘で追いつけず、ダメージを与える所か防戦一方になってしまい俺のIS〝ストライクF〟は右膝から下、左腕、頭部、胸装甲半壊などの大破状態で武装もほとんどが使い物にならなくなり、残っている武装は罅がはいっているガーベラ・ストレート二本のみとなっていた

 

『La…La』

「ッ!!速度上がり過ぎだっちゅうーの!!」

 

 第2次移行(セカンド・シフト)で倍近く速くなった福音のビーム兵器を機能不全のスラスターでなんとか避けたが…

 

「アグゥ!!」

 

 ビーム兵器を避けたまでは良かったが、福音のどこぞのライダーキックを躱せずに鳩尾に直撃してしまい、近くの島の海岸近くまで叩き落とされてしまった

 

「ゲホォ…ゲホォ!!」

 

 痛む体を無理矢理動かして海岸まで這いずり仰向けで咳き込む…吐血し口の中は鉄の味が広がっていた

 

「(やべ……みんなにはああ言ったけど、この差はどう頑張っても埋められねぇな)」

 

 福音と俺の絶対的な差……機体性能とかでは無く超えられない壁……それは、生身か無人機か…、人間の本能で身体に異常なまでの負荷をかけないようにリミッターがかかるが、無人機ではそんなことは無い……機体にある程度の負荷はかかるがAIはそんなことをお構いなしに素早い動きを見せる。

この短時間の戦闘で良くわかる…普通なら当たるはずの予測からの攻撃全てを、計算外の速度上昇、軌道修正などでことごとく攻撃が外れ、逆にカウンターをもろに喰らってしまった

 

「ゲホォ…ゲホォ!!……ウゲェ!!」

 

 動くことも出来ず、空を見上げているしか出来ない状態の俺に福音はトドメをささんとばかりにゆっくりと降りてくるが俺まであと、少しの所で降りてくる速度を上げたのか、急に腹に激痛が走る……ぼやけ始めていた目で見ると福音の片足が俺の腹部を踏み潰すかのように押しつぶしていた

 

「(これは流石に無理だな……ゆうちゃんにあんなこと言っておいて、俺が逝っちまうなんてな……ゆうちゃんと喧嘩したことが悪かったのか?それとも、暗殺者だった俺への世界からの報復か?まあ、でも…もっと、生きたかったな…)」

 

 福音は俺に片腕を向けトドメを刺そうとし、俺はもう助からないと死を覚悟していた…が、

 

バシューン!!!

 

「……え?」

 

 遠くから何かの音が聞こえ、俺に向けられていた福音の腕が横から飛んできたピンク色のビームにより破壊された

ビームが直撃した腕が爆散し爆煙に俺と福音は包まれたが、爆煙に包まれて直ぐに腹部の痛みが和らいだ感じがしてよく見ると福音の足が離れていて福音が爆煙から出ていた

 

「…………ん!!」

「………ん!!」

 

 再び、何かの音…いや、誰かの声が遠くでなんと言っているか聞こえないが確かに聞こえてきた

 

「お兄ちゃんから離れろ!!」

「ソウ君から離れなさい!!」

「ッ!!」

 

 

 今度ははっきり2人の声が聞こえ、2人は福音に高速のドロップキックを決め、福音は水面に叩き着けられ、海の中に沈んでしまった

 

「お兄ちゃん、凄い傷……無茶しすぎだよ」

「簪ちゃんの言う通りよ、ソウ君…無茶しすぎよ……」

「…2人に……言われたくない……かな」

 

 俺の前に降り立ち、手を差し伸べてきた2人……俺の自慢の妹でSAOβテスト時の相棒、流星の剣聖の二つ名を持つ更識簪…、もう1人は無限槍の二つ名を持つ俺達の姉……更識楯無こと、刀奈姉さんだった

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 




ソウと福音の戦闘シーンは大幅カットします
その理由として高速戦闘でソウが一方的にボコられるだけで見栄えがしなかったためです。(その所為でかなり短くなってしまいましたが)


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VS福音 

サブタイトルが思いつかねぇ……
と、言うより福音戦早く終わらせたい


 

 

 

 

 刀奈と簪が戦闘空域まで辿り着く少し前…

 

 

「ダブルオーの最大速度出してるけど、お姉ちゃん、大丈夫?」

「このくらい問題ないわ。ソウ君が一人で戦っているのよ?このくらいソウ君に比べたら平気よ……それよりも、簪ちゃんの方こそ大丈夫なのかしら?簪ちゃんにも相当なGが掛かってるはずだと思うのだけど?」

「私もこのくらい平気。木綿季さんにあんなこと言ったんだから…こんなことでへこたれたりはしないよ」

 

 お互いに心配し合う刀奈と簪…簪の専用機〝伐鐘聖式〟のシルエットの中で〝ハルート〟に続き2番目に速く、直線のトップスピードなら〝ハルート〟を超えるとも言われている《ツインドライヴ》を積んでいるのが簪が使用している〝ダブルオー〟だった

 

「…見えた……お兄ちゃんは…見つけた!!直ぐ近くの島の海岸に落とされた!!」

「このままじゃ、間に合わないわよ!?ソウ君が……」

「大丈夫!!、私と伐鐘聖式なら!!〝サバーニャ〟!!」

 

 戦闘空域に辿り着いた簪と刀奈……簪が一人残った兄、蒼と福音を近くの島で見つけると〝ダブルオー〟から遠距離型の〝サバーニャ〟に切り替え、飛行したまま、ライフルビットⅡを取り出し構えた

 

「この飛行速度じゃ無理よ!?」

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。このくらいの苦難、βテストで何度も乗り越えてきた!!それに、射撃テストでお姉ちゃんやセシリアさんより成績良いんだから!!………狙い撃つ!!」

 

バシューン!!

 

 ライフルビットⅡの銃口からビームが放たれ、今まさに蒼にトドメを刺そうとしていた福音の腕のみを破壊した

 

「お姉ちゃん、しっかり掴まってて!!〝ハルート〟!!そして、トランザム!!」

「すご……って、速すぎるわよ!!!!!!???????」

 

 〝サバーニャ〟、〝ダブルオー〟に続く第三のシルエット〝ハルート〟。

〝ハルート〟は可変機構持ちの高機動機、そして、トランザムシステム…機体内部に蓄積された高濃度の圧縮粒子を全面開放する事により、機体スペックを3倍以上に引き上げる。 トランザム起動時にはGN粒子が赤くなり、それに伴ってか機体自身も赤く発光するようにっている。このシステムは本来では《オリジナル太陽炉》にしか使用不可ではあったが簪の願いにより、臨海学習前に搭載されていた

 

「お兄ちゃん!!」

「ソウ君!!」

 

 二人は舌を噛むのも気にせずに兄で弟でもある蒼の名前を叫んだが、福音の腕の破壊による爆煙により蒼のことは確認できていなかった

 

「お兄ちゃんから離れろ!!」

「ソウ君から離れなさい!!」

 

 簪は直前でトランザムを終了し〝ハルート〟から〝ダブルオー〟にシルエットを戻して、刀奈と同時に福音に高速のドロップキックを決めた。

福音は水面に叩き着けられ、海の中に沈んでしまった

 

「お兄ちゃん、凄い傷……無茶しすぎだよ」

「簪ちゃんの言う通りよ、ソウ君…無茶しすぎよ……」

「…2人に……言われたくない……かな」

 

 簪と刀奈はボロボロのソウの前に手を差し伸べながら、浜辺に降りた

 

 

 

 

 

 

 

「(ゆるさない……)」

 

 私…簪はみんなを逃がすために一人、銀の福音と戦い…目の前でボロボロの姿で仰向けに倒れているお兄ちゃんに心配すると同時にこんな姿にした福音とお兄ちゃんを置いていくしか無かった無力な自分自身に怒りを感じていた

 

「お兄ちゃん、ごめんなさい……一人で戦わせて…」

「なに、泣いてるんだよ……元々、俺が一人…で、みんなを、逃がそうとしたんだから……ゲホッゲホッ!」

「もう!!喋ったら駄目よ!!」

 

 涙を流していた私を慰めようと、お兄ちゃんは微笑んでくるが、咳き込むと一緒に血を吐き出してしまう

 

「「「ッ!!」」」

 

 お兄ちゃんの心配をしていると海の水が一部で噴き上げられ、水柱から福音が現れ私達を殲滅する対象として見ているのかバイザーが赤く光っていた

 

「お姉ちゃんはお兄ちゃんをお願い…福音は…私が()るから」

「ちょっと、待ちなさい簪ちゃん!!??」

 

 私はお姉ちゃんの静止を聞かずに福音のいる高さまで上昇した。

 

 

 

 

 私が福音のと同じ高さまで上昇するまで福音は動かず私を見ているだけだった

 

「許さない!!お兄ちゃんを彼処まで傷付けた貴方を!!…貴方は……お前は私が倒す!!」

「……La」

 

 私が〝ダブルオー〟の基本武装、両腕のGNソードⅡを展開し構えるとここで漸く福音が戦闘態勢を取り、ウィングを輝かせた

 

続く



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VS福音 終わりと戦艦

福音戦ラスト……が、グダグダしすぎてかなりヒドいことに……すみません


 

 

 

 

「ハアァ!!」

 

 右のGNソードⅡ、上段からの斬撃を福音は後方へバックステップで回避すると私の後ろに回り込んできた。

 

「タアァ!!」

『……!!』

 

 そうしてくると読んでいた私は左のGNソードⅡで薙ぎ払う。

福音は少し動揺した感じだったが、薙ぎ払いをも躱し私と距離を取ろうとしてきた……が、

 

「距離は取らせない!!」

『……!!』

 

 私は距離を取ろうとする福音に接近すると福音は回し蹴りをしてきたが……

 

「ムダァ!!」

 

 私は回し蹴りをしてきた足を切り飛ばしてお返しのサマーソルトキックをお見舞いした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「簪……強くなったな…」

「ええ、本当にね……これも全て、ソウ君が居たからよ」

「……俺?」

 

 妹の簪が1人、福音と戦っているのを見ている刀奈と蒼…2人は妹の簪の成長に喜びを感じていた。

 

「ええ、簪ちゃんはソウ君に隠れて自分を鍛えていたのよ……それも、自分の好きな動画を見る間も惜しんで…今回だってユウキちゃんを怒鳴りつけてまで助けに行こうとしたんだから…」

「簪……やっぱり、ダメだな…」

 

 蒼は腕で目を隠していたが涙が流れていた。

 

「ソウ…君?」

「簪やみんなを護ろうとして……1人で残ったのに…何も出来ずに妹に助けられて……あぁ、クソ…!!」

「ソウ君……」

 

 弟のこんな姿を見たことが無かった刀奈は一瞬どうすれば分からなくなったが、刀奈は蒼の頬を引っぱたいた。

 

「カタナ…姉さん?」

「めそめそしてるんじゃ無いわよ、バカソウ!!」

「ッ!!」

 

 ソウは姉が自分を叩いてまで怒った顔を見たことが無かったので唖然としていた。

 

「ソウ君は本当に馬鹿よ!いつもいつも勝手に背負い込んで、メンタル脆いのに何でもやろうとして!少しは私や簪ちゃんを……みんなを頼りなさいよ!!」

「……」

「簪ちゃんを見なさい」

 

 刀奈は1人、福音と戦っている簪を蒼に見させる。

 

「簪ちゃんはソウ君と一緒に戦いたくて努力していたの…虚ちゃんから聞いたことだけど、簪ちゃんが旧ALOをやっていたのは、ゲームが好きだからよりも兄のソウ君が戻ってきたら一緒に戦えるようにって…ISだって、ソウ君を守れるようになりたいからって必死に二年間勉強していたそうよ…貴方がいたから簪ちゃんは強くなれた、勿論私や他の西風のメンバーも……ソウ君、貴方は一人じゃ無いわ、みんなが…ユウキちゃんや簪ちゃん、サクヤちゃんがいるの。すぐに頼れとは言わないわ……でも、ソウ君の一声を待っている人が居ることだけは忘れないで」

「……」

 

 蒼は何も言えなかった。自分の姉は…喧嘩していた時にも簪のことをよく見ていた…護ろうとして必死だった自分以上に簪のことを理解していた。

 

 

 

 

 

 

「(…福音の切り返しが速くなってきてる、早くケリをつけないとヤバい……けど、無理に攻めるのはダメ、私がやられる)」

 

 蒼が姉の刀奈に叩かれて怒られている最中、簪は福音との戦闘に焦りを感じていた。

 

「クッ!!」

 

 最初は躱すことができた福音の攻撃が少しずつ簪に掠り始めていたのだ。

 

「そこ!!」

 

 簪はGNソードⅡをライフルモードに切り替え、射撃するが福音には当たらず、水面に当たってしまう。

 

「射撃がダメなら!!」

 

 射撃を諦め、ソードに切り替えて接近戦を試みる…が、

 

「ッ!!(当たらない!!??)」

 

 簪の近接戦闘の成績は遠距離戦よりも劣るがそれでも好成績を収めており、並の操縦者及びAIでは相手にならないはずだった。

 

「ガハァ!!」

 

 エネルギー弾の雨、銀の鐘をGNシールドで防ぐが、その直後シールドを超えて福音が簪に腹パンを決め、簪は蹌踉けてしまう。

 

「(やられた…銀の鐘は囮でシールドで視界が狭まっている所を狙われるなんて……切り替えなくちゃ……ん?切り替える?そうだ!!)」

 

 簪は体勢を立て直すと何かを閃き、深呼吸をした。

 

「スゥ~ハァ~……行く!!」

『…!!』

 

 深呼吸をすると簪は福音に向かって突進する、福音は何かを感じたのか、エネルギー弾をばらまくと簪から逃げるように距離を稼ごうとする。

 

「ホルスタービット、シザービット!!ハロ、制御任せた!!」

『リョウカイ!、リョウカイ!』

 

 簪は〝サバーニャ〟のホルスタービット、〝ハルート〟のシザービットを展開しハロに制御を任せ、福音をエネルギー弾を避けながら追う。

 

『……!!!』

「遅い!!」

 

 二つのビット展開に驚いたのか、マズいと感じたのか、福音は上昇し再びエネルギー弾をばらまくが、簪はホルスタービットから取り出したGNピストルビット二丁、シザービットで全弾撃ち落とした。

 

「これで……終わり!!」

 

 そういい、エネルギー弾を撃ち落として福音に次の行動をさせまいと全速力で福音の懐に入り込んでいた簪はGNソードⅡで切り上げた。

 

『……、……』

 

 福音は機能を停止し静かに落下……は、せずに簪が支えると待機状態の小さな鐘になってしまう。

 

「……お姉ちゃん、お兄ちゃん、聞こえる?」

『…ええ、聞こえているわ。ソウ君もなんとか、無事よ』

「なら、よかった。福音は倒したから、今からそっちに向かうよ……ごめん、お姉ちゃん。委員会の人から連絡来たから後で連絡する」

 

 簪はプライベートチャンネルを開き姉の刀奈に連絡を取っているとIS委員会からの専用チャンネルが開き簪は刀奈とのチャンネルを閉じた。

 

『私は国際IS委員会委員長直属IS部隊・第十七独立部隊所属プトレマイオスⅡ艦長で戦術予報士のスメラギ・李・ノリエガよ』

「IS学園一年、日本代表候補生更識簪です。わざわざ救援の為にお越しくださってありがとう御座います」

 

 日本代表候補生でもある簪はIS委員会のスメラギに対して敬語を使い、御礼を言うとスメラギは軽く微笑んだ。

 

『お互いにこういう言葉遣いは慣れないみたいね。普段通りでいいわよ……私もこういうのは慣れないしね♪』

「…ふふっ、そうですね。私もお兄ちゃんやお姉ちゃんと違って敬語は苦手です」

『みたいね…さて、私達は現在、救援の為、其方に向かっているわ。念のためにマイスターの一人を先行させているのだけど……』

「あ、はい。今、視認できました。私の〝ダブルオー〟のオリジナルですよね?」

 

 簪は通信中に風を切る音が聞こえ、其方を振り向くと伐鐘聖式のシルエット〝ダブルオー〟と良く似た白と蒼の機体が簪の元に向かってきており、その少し後ろに戦艦が付いてきていた。

 

『ええ、そうよ。今、私達も視認したわ。貴方を回収次第、お姉さんとお兄さんを回収するわね』

「すみませんが、よろしくお願いします」

 

 

 委員会の独立部隊が到着し今回戦闘が終わったと思われたが……

 

「ところがぎっちょん!まだ、終わらないんだなァ!これが!!」

 

 

 赤い粒子を放つ真っ赤な機体が簪達に迫っていた。

 

 

 

 

 

 

続く



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一時の安らぎ1

一部のキャラ崩壊あり


 

 

 

 

≪ところがぎっちょん!まだ、終わらないんだなァ!これが!!≫

 

「ッ!!」

 

 IS委員会の方が到着して全てが終わると安心した直後、男の叫び声が聞こえ、辺りを見渡すと福音と同じ赤い粒子を放つ赤いISが高速でこちらに向かってきていました。

 

『更識さん!!直ぐに逃げなさい!!あの機体は危険よ!!』

「ッ!!は、はい!!」

 

 私はスメラギさんの言うとおりにスメラギさんが乗る、戦艦に向かって全速力で移動し始めましたが……

 

≪甘ぇんだよな!!≫

 

 男の声がする赤い機体に直ぐに追いつかれてしまい、赤い機体は大剣を私に向かって振り下ろそうとしてきました

 

『スクラップ…フィストォォォォォォ!!!!』

「ひでぶ??!!」

 

 赤い機体が大剣を振り下ろそうとしたとき、誰かが赤い機体を殴り飛ばしました……その誰かの背中を見た私は驚きと一緒に緊張の糸が戯け落下しそうになりますが……

 

「簪ちゃん、大丈夫かしら?」

「お姉ちゃん……うん、大丈夫。それから、ありがとう」

「ふふっ、どういたしまして」

 

 お姉ちゃんが私を支えているってことは……やっぱり、あの機体を殴ったのは……

 

「大丈夫か、簪?」

「……うん。大丈夫だよ、お兄ちゃん……じゃ、無くて!お兄ちゃんこそ、大丈夫なの!?それに、どうして()()()浮いてるの!?」

 

 近くの島で倒れていたはずのお兄ちゃんが〝ストライク〟だったであろうガントレットを片腕に装着して生身で私の目の前を浮いてました

 

「使えそうに無かった装甲をパージして、ISの必須機能を残して後は飛行能力に全振りして使えそうな装甲はこのガントレットにしてたら時間が掛かっちゃってな……まあ、間に合ったから良かったよ……頑張ったな」

「……うん、ありがとうお兄ちゃん」

 

 お兄ちゃんに頭を撫でられ顔をほんのり赤くするのと同時に褒められて嬉しかった

 

≪俺がいることを忘れてるんじゃねぁよな!?≫

「あ……忘れてた」

「「……」」

≪おいこら、忘れてたのか!?目をそらすんじゃねぇぞ!?≫

 

 敵が目の前にいることを忘れていた私達が目を逸らすと赤い機体の操縦者は怒ってきた

 

≪たく……調子狂うじゃねぇかよ!!そう思わねえかぁ、クルジスのガキィ!?≫

≪五月蝿い!アリー・アル・サーシェス≫

 

 赤い機体が再び襲いかかろうとしたとき、私の〝ダブルオー〟と同一の機体がそれを阻む。

 

『今よ!刹那が抑えている内に着艦しなさい!』

「了解」

「はい」

「はい、分かりました」

 

 私達はスメラギさんの指示の下、近付いてきた水色と白の戦艦のデッキに降り立つ、すると……

 

「お兄ちゃん!!」

「ソウ君!!」

 

 お兄ちゃんが〝ストライクF〟のガントレットを量子変換してしまうと、フラつき倒れだした

 

「お兄ちゃん、しっかりして!?」

「ソウ君!!」

 

 倒れきる前に支えることが出来たが、私の手にはお兄ちゃの血がべっとりとこびりついてた

 

「ストレッチャーを!!」

「早く、お願い!!お兄ちゃんを助けて!!」

 

 格納庫に私とお姉ちゃんの声が響きわたると直ぐに格納庫の扉が開いた音が聞こえた

 

「酷い怪我だ。直ぐに医務室に運ばないといけない。サジは僕と一緒に彼を医務室に運ぶのを手伝ってくれ。ルイスは彼女達を見てやってくれ」

「うん」

「わかったわ」

 

 声が聞こえ振り向くとそこには紫髪で眼鏡を掛け、紫色を基調にした服を着た男性、茶髪で紫髪の男性と同じで紫色では無く青色の服を着た男性、最後に金髪ロングで男性達と同じで色が桃色の服を着た女性が立っていた

 

「安心してくれ、彼は必ず助かる……いや、僕たちが助ける」

「だから、安心して君達はまずは手当を受けて」

「大丈夫よ。この船は委員会内でも最高の医療施設を完備してるんだからね」

 

 三人は私達を安心させようと優しく話しかけてきてくれた

私とお姉ちゃんはお兄ちゃんを男性2人に任せると女性と一緒に医務室で手当を受けた

 

「はい。これで2人とも大丈夫よ」

「はい。ありがとう御座います……えっと、」

「そう言えば自己紹介がまだだったわね。私はルイス、ルイス・ハレヴィよ。コードネームは〝ルビィー・ハイス〟、ルイスでかまわないわ。それから、一応、ガンダムアストレアのガンダムマイスターでもあるわ。予備だけど」

「そうですか…私は更識簪です」

「更識楯無よ」

 

 私とお姉ちゃんを手当てしてくれた女性……ルイスさんに御礼を言うと私は顔を俯かせる

 

「……お兄さんのところに案内するわ」

「ッ!!…お願いします」

「……お願いするわ」

 

 私の考えていることに気が付いたのかルイスさんはお兄ちゃんの居るのとは別の医務室に案内してくれましたが、どことなくお姉ちゃんはルイスさんの事を警戒していました

 

「治療中だから、中には入れないのだけど…」

「お兄ちゃん!」

「ソウ君!!」

 

 医務室の中を窓越しで見ると酸素マスクを着けられポットの中にお兄ちゃんが寝かされていた

 

「出血は止まったからあとはあの中で寝ていれば3日もあれば完治するよ」

 

 私達がお兄ちゃんの医務室前に到着して直ぐに格納庫でお兄ちゃんを運んでくれた茶髪の男性が医務室から出てきた

 

「沙慈!!」

 

 ルイスさんが男性の名前を呼びながら抱きつく、男性はルイスさんの頭を軽く撫でる

 

「ルイス、彼女達の前だから後でね」

「……そう、ね。時と場合をわきまえるべきだったわ」

「初めまして、沙慈・クロスロードです。コードネームはマルク・レンヤ。この部隊の整備士をしているよ」

 

 男性…沙慈さんはルイスさんに優しくささやくと、自己紹介をしてくれた。

 

「この艦はIS学園が臨海学習で泊まっている宿に向かってるよ。到着までもう少し掛かるから少し横になって休んだらどうかな?」

「……ここに居てもいいですか?」

「…わかった。楯無さんはどうします?」

「……艦長に会わせて貰ってもいいきしから?生徒会長として更識として、今回起きた事についてできる限り情報が欲しいので」

 

 お姉ちゃんはお兄ちゃんを私に任せると遠回しに言い、沙慈さんと一緒にスメラギさんに会いに行きました。

 

 

続く



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一時の安らぎ2

 

 

 

 

「ソー……」

 

 浜辺でボクは1人銀の福音を押さえるために残ったソーが帰ってくるのを今か今かと待っていた

 

「ユウキ!!」

「アスナ……」

 

 待っていると福音と戦い、ソーの命令で宿に戻ってきた親友のアスナが声を掛けてきた

 

「委員会の人がソウ君達を救助して、今ここに向かってるって、タバネさんに連絡が来たみたい…」

「ッ!!……ソーは無事…な、訳はないよね」

「う、うん。重傷だって……でも大丈夫だよ、きっと……だってソウ君だよ?重傷でも直ぐに怪我を直してくれるよ」

「そう……だね」

 

 少しでもボクを安心させようとしてくれるアスナ…ボクはアスナの気持ちは分かっているが不安がどうしても顔に出てしまう

 

「ユウキ、宿に戻らない?()()()()がまた、脱走するか分からないし休まないと体が持たないよ?」

「あの人達って……アスナ、彼らのこと嫌いなの?ボクは話を聞いただけだから良くわからないけど…」

 

 ボクは《彼ら》の事を嫌そうな顔をしながら話すアスナに少し疑問になった

 

「良い印象は無いかな?自分が王とか、一番上だと思い込んでるみたいで自分の気にくわない事があると周りに当たるような人だから……うぅ、似たような人思い出したよ~」

 

 アスナは話していると似たような人を思い出して体を擦りだした

 

「そ、そうだね……アレと同じタイプかも…ぅ、思い出しただけで寒気がしてきた……」

「私もだよ……宿に戻って暖かい飲み物飲もうよ」

「うん……そうだね」

 

 ボクも数カ月前に起きた事件の犯人を思い出して寒気がしてきて、アスナと一緒に宿に戻り暖かいココアを頂いた

 

 

 

 

 

 

「アマルティア博士、大きな戦艦がこちらに!」

「うん、来たみたいだね。専用機持ちを浜辺に集めて!でも、数人で固まって来させてね!」

「はい!」

 

 ユウキとアスナが浜辺から宿に戻りココアを頂いている最中、作戦室ではレーダーに蒼と白の戦艦を捉えていた。

それに気がついた教師の一人がタバネに連絡を入れると浜辺に専用機持ちを集めるようにと指示を受け、数人の教師がユウキ達、1年の専用機持ちを集めるべ作戦室から出て行った。

 

「…何発かは覚悟かな?」

 

 タバネは一人、兄を慕う一人の少女に約束した事を思い出し呟いていた

 

 

 

 

 

 

「この戦艦が博士の言っていた委員会のですか?」

「その通りだよ、セッちゃん。これが第十七独立部隊の戦艦、プトレマイオスⅡだよ!!」

 

 浜辺に集められた専用機持ちの前には青と白の戦艦……プトレマイオスⅡが着陸していた

 

「大きいわね…」

「そうだよね~、元々IS誕生前に作られていた二足歩行兵器運用用に作られた物なんだってさ。それに、委員長直属部隊は全部隊、このくらいの大きさの戦艦持ってるんだよ~」

「「「「「「!!??」」」」」」

 

 目の前の戦艦と同じくらいの大きさの戦艦を国際IS委員会、委員長直属部隊が全部隊が持っていることに専用機持ち全員は驚きを隠せず、セシリアや鈴は一緒に来たIS委員会委員長直属第一部隊のシンとステラの方を向いた

 

「あぁ、本当だ」

「うん、本当だよ~」

「「……」」

 

 シンとステラの言葉に何人かが唖然とするなか、一人の少年を想う二人の少女は何処かソワソワしていて落ちついているようで落ちついていなかった

 

「待たせてしまってごめんなさいね。私は国際IS委員会 委員長直属IS部隊・第十七独立部隊所属プトレマイオスⅡ艦長で戦術予報士のスメラギ・李・ノリエガよ、よろしくね♪」

 

 プトレマイオスⅡの出入り口が開き、リフトが降りてきて、完全に降りると一人の女性が下りてきた

 

「IS学園一年一組担任謙防衛部隊指揮官山田真耶です。本日は更識蒼、更識楯無、更識簪、三名の救助して下さりありがとうございました」

「気にしなくていいわよ~。救助って言っても怪我の手当をしたくらいだしね…えっと、そちらのソワソワしている二人が紺野木綿季さんに神無月サクヤナさんね?彼の所に案内するわ。簪さんもいるはずだからね」

「「……ッ!!」」

 

 集まっていた全員が山田先生に驚きを隠せなかったがスメラギの言葉によりソワソワしている二人、木綿季とサクヤナに視線が行き、二人は少しだけ顔を赤らめていた。

 

「フェルト、マリーさん。二人を先に案内してあげて、他は私とシン君達、楯無さんと話ながら案内するわ」

「はい」

「分かりました」

 

 ピンク色を基調にした服にピンク髪の女性、フェルトと同じく黄色を基調にした服に銀髪ロングの女性、マリーはスメラギの指示で木綿季とサクヤを連れて先に艦内に入ってしまった。

 

「それじゃあ、私達も行きましょ。歩きながらでも、今回の事の全てを話すわ」

「私は先に聞いたのだけど、更識家として得ている情報も含めて私からも話すわ」

 

 スメラギと楯無、二人を筆頭に集められたメンバーは歩き出した。

 

 

 

 

「今回、銀の福音暴走にはある組織が関わっているわ」

「組織ですか?」

 

 木綿季とサクヤを除いた一年の専用機持ちと山田真耶はスメラギに連れられプトレマイオスⅡの中を歩いているとスメラギが口を開いた

 

「えぇ、組織名は亡国機業(ぼうこくきぎょう)。またの名をファントム・タスク」

「ファントム・タスクですか!?」

 

 ファントム・タスクと聞き、この中で山田真耶けが声を荒げる

 

「山田先生、知っているのですか?」

「はい、オルコットさん。ファントム・タスク、亡国機業は表向きはISメーカーとしてISスーツや武装なとを開発していますが…」

「その実態はテロリストよ。特に凶悪のね」

 

「……ッ!!??」

 

 山田の説明とスメラギの発言で楯無以外の一年の専用機持ちは足を止めてしまう

 

「亡国機業は第二次世界大戦以前からあるとされていて組織の詳細は委員会でも掴めていないわ。一応これは極秘扱いなのだけど、以前IS学園クラス代表戦に乱入した三機の内二機は委員会で制作されて没になった機体なのよ。あの二機を含めてロールアウトされた十機とそれに関するデータが委員会本部から盗まれたの、擬似太陽炉はその時に一緒に盗まれていたわ……亡国機業はいろんな組織、政府にスパイを潜り込ませている話もあるくらいよ。勿論、IS学園にも委員会にもね♪」

「「「「「!!???」」」」」

 

 IS委員会から機体とデータを盗んだ亡国機業にみんな驚いたが、その後に続く、学園にも委員会にも亡国機業のスパイが潜り込んでいると言う事実に驚きを隠せなかった

 

「亡国機業が起こした事件が一つ、神薙・S・イチカくん、それからハルナさん。貴方達2人に大きく関わっている事件があるのよ」

「……俺の誘拐事件ですよね?」

「「「「!!??」」」」

「気がついていたの?」

 

 イチカの誘拐事件……ここにいるSAO組と当人、そしてハルナしかこの事は知らず、IS学園入学で知り合ったシャル、ラウラ、セシリア、それから幼馴染みの鈴すらこの事は知らなかった

 

「ハル、イチカ、誘拐事件ってどういう事よ、私聞いてないわよ!?!?」

 

 幼馴染みの鈴は自分だけ知らされていないことに怒り、ハルナとイチカに詰め寄った

 

「お前には話したくなかったんだよ…心配性のお前に……第二回モンド・グロッソ決勝……俺はアイツの優勝妨害の為に誘拐されたんだ…」

「会場で胸騒ぎを感じた私は兄さんに電話をしたんですが……繋がらず、探しに行こうとした時に……水色のフードに赤目で同い年くらいの男の子にぶつかって…その男の子が自分が助けに行くといい、私は会場内で待つことになったんです…」

「「「(……うん?水色フードに赤目の男の子?)」」」

 

 ハルナの話の中に出て来たワード、水色のフードに赤目の男の子に楯無、アスナ、キリトは引っかかりを覚えた

 

「あぁ、ハルナの言うとおり…俺は水色のフードに赤目の少年に助けられた……助けられた時に少年にこう言われた〝今回の事件を経験して守れる強さを持とうとするなら、けして闇に踏み込むな。本当に大事な物を失うぞ……俺みたいにな〟って……今にしてみるとソウに近い気もするんだよな……」

「(チカもこう言ってるし、調べてみようかしら?)」

 

 恋人のイチカの話を聞いた楯無は密かにその事件に弟のソウが関わっているかを調べてみることにした

 

 

 

 

 

 

 

 

続く



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一時の安らぎ3

今回は試験運転
少し前に知り合いに他のキャラが描写できてない、キャラが多くて誰が喋ってるか分からないと感想を言われたのを思いだして、少しやり方を変更しました
見にくければ言ってください。元に戻します
→ユウキ
→サクヤ
→簪
→マリー
→フェルト
→刀奈
→アスナ
→束


 

 

 

 

ソー!!

 

ソウさん!!

 

 ボクとサクヤが連れてこられたのは部屋の中に5個近くのポットがある部屋でその中の一番手前に酸素マスクを着けられているソーが寝かされていた

 

木綿季さん…サクヤさん…

 

 部屋の前にはソーの妹でソーを助けに行った簪が椅子に座りながらガラス越しにソーをずっと見ていた

 

……ごめんなさい。あんなこと言ったのに…お兄ちゃんにここまで大怪我させて…

 

 簪さんはボクとサクヤに気がつくなり涙を流して謝ってきた

 

うんん、簪さんの所為じゃ無いよ。誰の所為でも無い……今回の原因はボクも含めて全員がソーに頼り切ってた…これが原因……もしかしたら誰も大怪我はしなくても福音を倒せる方法があったかも…

ユウキさんの言うとおりです…あの時、無理矢理にでもソウさんと一緒に戦っていたらソウさんがここまでの大怪我をすることは無かったかもです…でも私はソウさんに怒鳴られた時に心の中でソウさんなら一人でなんとかできるかも…私達が邪魔になってるんじゃ無いかって……そう思ってしまい…

私もです……太陽炉を搭載した機体は私だけなのに……なのに、残らなかった…あの時、残っていたらって……戦闘が終わってからずっと……うんん、大怪我をしていたお兄ちゃんをお姉ちゃんと助けてから今までずっと……

 

 ボクとサクヤは簪さんを慰めていたが、ボク達二人も涙を流してしまう

 

三人のお気持ちわかります…私も大切な人をなんども無くしかけましたから……時には敵同士で好きな人と、時には私を養子にって言ってくださった人を助けられず……

 

 そんなボク達を見てマリーさんが優しく声を掛けてきて、軽く抱きしめてくれた

 

マリーさん……ありがとう御座います…

ありがとう御座います……少し楽になりました

いえ、私にはこう言うことしか出来ませんから……まだ、自己紹介してませんでしたね、私はマリー、マリー・パーファシーです。ガンダムキュリオスのガンダムマイスターです。それから……

フェルト・グレイスです。トレミー、プトレマイオスⅡの戦況オペレーターを務めてます

 

 そう言えば、スメラギさんが名前言ってただけで名前、聞いてなかった

 

知っているとは思うけど、紺野木綿季です

神無月サクヤナです

更識簪です

ふふ、よろしくお願いしますね

 

 ボク達はマリーさん達と挨拶を交わし、5人でソーを見守りながらたわいも無い話をし始めた……すると、

 

簪ちゃん、ユウキちゃん、サクヤちゃん

ユウキ、簪ちゃん、サクヤちゃん

 

お姉ちゃん……みなさん…

 

 カタナとアスナの声が聞こえ振り向くとボク達より後に連れて行くと言われていたみんなが居た

 

ソウ君は……

酷い怪我でしたけど……ここで三日寝ていれば大丈夫だそうです……束さん、あの時はすみませんでした

え……う、うんん!!かんざしちゃんは何も悪くないから謝る必要は無いよ?

 

 束さんを見つけると簪さんが謝りだした……突然に謝られた束さんは動揺を隠せずにいた、周りに居るボク達も……

 

いえ、私はあの時……束さんは悪くないのは分かってました……分かっていましたけど…何も出来ずにお兄ちゃんに言われて逃げた自分自身に苛立っていました…それを束さんの所為にしてました……あの時のは八つ当たりなんです……木綿季さんにも強く当たった……

 

 束さんの次にボクにも謝ってきた……だけど、

 

 謝らなくていいよ、簪さん。ボクもあの時は冷静に考えられて無かったから、簪さんの御陰で頭を冷やせたしソウキと、美乃梨ちゃんに悲しい思いをさせなくてすんだから

私もちゃんと言っておかなければ行けなかったのに言ってなかったからかんざしちゃんの所為じゃ無いから謝らなくていいよ。それでも……殴られる覚悟はしてたんだけどな~

無駄になっちゃったよ~

えっと、その……すみません///

 

 そう言えば簪さんは束さんにそんなこと言ってたっけ……簪さんははずかしそうに顔をほんのり赤くして俯かせてる…でも、今回は喧嘩両成敗だから別にいいよね?

 

束さん、二つお願いしてもいいかな?

ん?何かな?この束さんに何でも言ってよ!!

えー、こんなのなんですが……

 

 ボクは考えついたことをみんなの居る前で束さんに一つずつ説明した、束さんは何度か頷き、最後に目を輝かせていた

 

うん!うんうん!!それはいい案だよ!!二つとも凄くいい!!それなら、私も君達の近くに居た方がいいから、出向できるよ!!分かった、その提案を引き受けるよ!!

 

ほんとですか!??良かった~ ?みんな、どうしたの?

 

 ボクのお願いと言うなの提案を束さんは快く引き受けてくれる中、他のみんなが不思議そうにボクを見ていた

 

ユウキって時々、凄いことを平然とやってのけるよね

そうですね……でも、それがユウキさんらしいですけど…

私もそう思います…でも、だからこそ、お兄ちゃんが惚れたんだと思います

私も簪ちゃんに賛成かしらね。ユウキさんが居たからこそこうしてみんな、ソウ君の元にあつまったんだと思うわ。(それにもし、ユウキさんがいなかったらソウ君は今のように笑えていたのかしら……)

 

 アスナやサクヤ達に色々と言われたが……ボクが居たからこうして集まれたってことかな?

あまり、難しいことは分からないからいいや!!

 

 

 

 

 みんなと笑いあっている時……この時のボク達はこの後にあんなことが起こるとは知らなかった

 

 

 

続く

 

 



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宣戦布告1

 

 

 

 

 

みなさん、色々大変なことがありましたがお疲れさまでした。簪さんと楯無さんはメディカルチェックを受けてください。他のみなさんは既に受けていますので休んでもらって構いません

 

「私達は念のために明後日までこちらで待機してるから何かあれば連絡するし連絡してね♪」

 

明後日って、どういう事ですか?臨海は明日までですよね?

 

 プトレマイオスⅡから外に出た専用機持ち、山田教諭達の内、山田教諭の指示で更識姉妹はメディカルチェックを受けることになる中、スメラギの一言に鈴音が疑問を持っていた

 

あぁ!!みなさんには言っていませんでした!!学園長と協議をした結果、こちらにもう一泊することになりました

それってつまり……

はい♪みなさんも明日はおやすみです!!

「「「「「!!!????」」」」」

 

 明日丸一日休みになった専用機持ちの何人かの顔は嬉しそうに微笑み、また、何人かはあまり嬉しそうにはなかった

 

イチカも楯無さん達もどうしたのよ?あまり嬉しそうには見えないわよ?

「まあな……ソウがあんな状態で素直に遊べるかって言うとな…」

……それもそうだね。ごめん

「「「「……」」」」

 

 チカの言葉で明日の休みを喜んだ、鈴達、IS組は表情が暗くなり、IS組でソウと一番仲が良いシャルロットが謝った

 

謝らなくて良いよ。休みになったことは素直に喜べば良いんだからね。多分ソーも「俺のことは気にしないで遊べ」って言うと思うよ

クス、ソウさんなら言うと思います…ね、簪さん

う、うん。お兄ちゃんなら言うと思う……

 

 まだ、どことなく暗い簪を他のメンバーが心配し明るい話題を持ち出そうとした……その時、宿の方で爆発が起きた

 

ば、爆発!??あの…えっと…

「落ちつきなさい。貴方が一年の総責任者よ?貴方がパニックってたら他の人達がどうすればいいのかわからなくなるのよ?」

 

 突然の爆発に動揺した山田真耶をスメラギが冷静に落ちつかせる中、もう一人、今すぐにでも走り出そうとしていた

 

アスナ、みんな離して!!宿にはソウキと美乃梨ちゃんがいるんだよ!?

わかってるよ、ユウキ。でも、ユウキ一人で行かさせられないからみんなで抑えているんだよ。大丈夫。宿にははみんなで行くから……ね?

そうよ、ユウキちゃん。一旦、落ちつきなさい。山田先生、私達は宿に向かいます。現場を確認しなくてはなりませんしソウキ君達や他の生徒達の安全を確認しなくてはなりませんから

……わかりました。私も教師です、他生徒、教師の安全確認は私が行いますからみなさんはソウキ君達の安全確認をお願いします

「「「「「「了解!!」」」」」」

「私もマイスター達を連れて向かうから何があっても無理だけはしないで」

 

 スメラギの言葉を聞いた専用機持ちは急ぎ、宿の方に向かった

 

 

 

 

「……これは…」

 

 ボク達の目の前には無残にも破壊された車の残骸が散らばっていた

 

「彼奴らの乗っていた車のはずだ……誰かに解放されたのか?……そうだとしたら、ユウキ、カタナ。二人を速く探した方がいいかもしれない」

そうね。私とユウキちゃん、簪ちゃんの三人で……探す必要は無いわね。あまり良くない状況みたい

「ママ……」

「お母さん……」

 

 カタナさんの言葉、そして、ソウキと美乃梨ちゃんの弱々しい声が聞こえ、振り向くとそこには二人の男女に捕まってるソウキと美乃梨ちゃんの姿があった

 

ソウキ、美乃梨ちゃん!!

「動くんじゃねぇ!!」

 

 ソウキと美乃梨ちゃんを捕まえている男女の一人……織斑秋羅が片手にナイフを持ち大声で叫んできた

 

「秋……そこまで墜ちるなんて思いもしませんでしたよ。残念です」

「なにが、残念なんだよ春萎?全てはお前等が俺の思い通りにならなかったせいだろうがぁ!?」

「そうだ!!全て貴様等の所為だ!!」

 

 うわぁ~、ハルナの対応や彼らの聞くも耐えない怒声で直ぐにわかったよ。()()()()()()()()

自分がこの世界の王で他の人達を駒としか扱ってない、都合が悪くなると全てを他人に押し付けて自分は悪くないと思い込んでいるこの感じ…それよりも……

 

二人から離れろ!!

「何度も言わせんじゃねぇ!!動くな!!此奴らの命がねぇぞ!!」

 

 クッ……ソウキと美乃梨ちゃんが捕まっている以上、みんな動けない…どうすれば……

 

「貴方達は何が望みなんです?」

「決まってるだろ!!此奴らを八つ裂きにして、あの忌まわしき野郎に復讐してやるんだよ!!どんな、顔をしてくれるんだろうなぁ!!!」

 

 そういい高らかに笑う、織斑秋羅。

今すぐにでも此奴らからソウキと美乃梨ちゃんを助けてこの手で抱きしめたいのに!!

 

簪…さん?

大丈夫だよ、木綿季さん。彼らに二人は殺せない

 

 ボクの手を優しく握ってきた簪さんの目は確信を持っていた

 

貴方達は最大のミスをしてる。貴方達はソウキ君と美乃梨ちゃんがを捕まえているから優位にたっているだけ……もし、二人を殺そうとするのならここにいる全員が容赦しないし、貴方達の優位は無くなる

「だったら、試してやる。秋羅!!」

「あぁ!!後悔しても遅いからな!?」

 

 え?まっ、待ってよ!?なに、挑発してるのさ!?これじゃあ……彼奴らナイフを振り上げてるよ!?

 

それが、最大の油断!シールドビット!!。お兄ちゃん、那由多さん!!

「「がぁ!?」」

 

 簪さんが挑発し彼奴らがナイフを振り上げると簪さんが叫ぶと彼奴らが何かに後ろから頭を突かれ、前かがみに倒れそうになる。それと同時にボク達を何かが飛び越えた

 

ッ……ソウキ、美乃梨ちゃん!!目を瞑って!!

 

 ボクは飛び越えてきた者に嫌な予感がして2人に目を瞑らせた。

案の定だったのか、ボク達を飛び越えて着地したのは大怪我しているはずのソーと暗殺者時のソーの相棒の那由多だった

 

那由多、美乃梨ちゃんを任せる!!

「任されたわ!!」

 

 ソーと那由多はそれだけ言い合うとソウキと美乃梨ちゃんの下に走る。

 

「刹那、これを使いなさい」

あぁ、助かる!!

 

 那由多が二本の日本刀を量子変換して呼び出すとその内の一本をソーに投げ渡す。

そして、ボクの嫌な予感的中して那由多とソーは彼奴らのナイフを持っている腕を刀で切り落とし美乃梨ちゃんとソウキを血がつかないように彼奴らから救出した

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁ……ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」

 

ゆうちゃん、ソウキと美乃梨ちゃんを!!

ッ……う、うん!!わかった!!

 

 彼奴らのもがき苦しむ声を無視しソーはそう言うと那由多とソーが美乃梨ちゃんとソウキをボクに預けに来て、ボクが2人を抱きしめるのを確認するとまた、彼奴らの方へと走り出した……ソーと那由多の背中には彼奴らの血がべっとりとついていて、IS学園の制服は真っ赤になっていた

 

「ママ……」

「お母さん……」

 

 ソウキと美乃梨ちゃんはボクが抱きしめると泣き出してしまう

 

大丈夫、もう大丈夫だよ。ソーが助けてくれたからもう大丈夫。

ね、ねぇ……ソウは…何者なの?人の腕を平然と斬るなんて……い、異常よ…

「そ、そうですわよ……」

「話してくれないか?…私達には聞く権利があると思うのだが?」

……

 

 鈴達、IS学園で知り合った三人は顔を青くしてソーのことをよく知るボク達に聞いてきた……が、シャルロットだけは今の光景を見ても顔色を変えていたかった

 

……わかった…ソーはね……ッ!!ソー、那由多危ない!!

 

 鈴達にソーのことを話そうとしたとき、ボクの目にソーと那由多に向かう黒い影が見え、咄嗟に叫んでしまった

 

「ぐぅ!!」

 

 ソーと那由多は黒い影……黒いISからの斬撃を刀で防ぐが、ISと生身の所為で力負けしたけど、後ろに下がってきた

 

やっぱり、アンタたったんだな。IS学園のスパイ…………()()()()!!

 

 ソーがそう言うと黒いISが解除され、黒いISの中からボクは顔だけ見たことがある織斑千冬が立っていた

 

 

 

続く



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宣戦布告2

 

 

 

 

 

「更識兄……私の弟と篠ノ之の腕をよくも斬ってくれたな?」

「ふん!お前が焚き付けたんだろ?大方、怪我で俺が動けない内に美乃梨ちゃんとソウキを人質にみんなを潰そうとしたんだろうがそうはいかない。これでも俺は今回の怪我ぐらい何度も味わってきたんだからな。今更、このくらいで動けなくなるなんてことはないんだよ。まあ、久方ぶりで気を失っちまったがな…」

 

 織斑千冬にこうは言ったが、実際、昔の【()()】が残ってなければ回復が間に合わなかったかもしれないが……そんなことを言っている暇は無いな

 

「やはり、お前が我々の最大の脅威になりかねんな。ここで全員始末してやりたいところだが……」

 

 織斑千冬は一度、言葉を切り後ろに倒れている織斑秋羅と篠ノ之箒へと目をやる

 

「はぁ!!……クッ!!」

「その程度で私を倒せると思ったか?」

 

 織斑秋羅と篠ノ之箒に目をやった隙を狙ったがさすがは元ブリュンヒルデ。大剣を展開されて防がれた

 

「此奴らにはまだ、利用価値がある。ここで死なれるのは困るからな。サーシェス、フリード、彼奴らの始末は任せる。私は此奴らを組織に連れ帰る」

「あいよ、姐さん」

「アッヒャヤヤヤヤ、好みの女は好きにしてもいいんですかねぇぇ?」

「好きにしろ」

「アッヒャヤヤヤヤ!!そりゃあ、ヤりがいがありますねぇぇ!!」

 

 織斑千冬の一言で何処からか茶髪のおっさんと変な笑い声の銀髪青年が現れ、銀髪青年の目はサクヤに向いていて、先の言葉通りだと銀髪青年の好みはサクヤになる……

 

「薄汚れた、目をサクヤに向けてんじゃねぇぞ、腐ったゴミ屑」

「アッヒャヤヤヤヤ、怒った?怒っちゃいましたか!?アッヒャヤヤヤヤ、もしかして、てめぇのコレすっか?アッヒャヤヤヤヤ、そりゃあだったら楽しみが増えたじゃないですか~」

 

 銀髪青年の口調と笑い声にこの場にいる女性陣、那由多ですら、気持ち悪がっていた

 

「戻る前に、挨拶してやろう。……私の名は織斑千冬!!コードネーム、Tだ!!私……否!我々、亡国機業(ファントム・タスク)は全世界に宣戦布告する!!」

「「「「「「「!!!!????」」」」」」」

 

 織斑千冬……いや、コードネームTの宣戦布告に俺達全員に衝撃が走る

 

「我々はテロリストでは無い!我々は断罪者!醜い人間を断罪する者だ!!この醜い世界に住む全ての人間を断罪し我々がこの世界を支配する!!」

 

 宣戦布告をした織斑千冬は黒いISを展開して織斑秋羅と篠ノ之箒を連れて行ってしまう。連れて行かれる前に織斑秋羅と篠ノ之箒に睨まれた気がするが気にしなくてもいいだろ

 

「アイツは逃がすしか無いが……お前等は……聞く必要は無いよな…。那由多、あの茶髪のおっさんを頼む。スメラギさん達が来るまで耐えるだけでもいい…」

「了解よ……貴方は…言うまでも無いわね」

「あぁ……俺はあの野郎を葬る」

 

 俺は那由多にそう言うとフリードと呼ばれた男に殺意を向ける

 

 

 

 

 

「アッヒャヤヤヤヤヤヤヤ!!!!」

「チィ!!一々気持ち悪いんだよ!!(此奴……戦闘慣れしてやがる!!)」

 

 俺は刀、銀髪青年はナイフで戦闘を始めたが、銀髪青年の動きが奇抜で更には戦闘慣れしてる所為か有効打をなかなか与えられないでいた

 

「ウグッ!!(傷口が……)」

 

 完治していない状態で無理な動きをした所為か傷口が開いてしまい、ほんの一瞬動きを止めてしまった……

 

「ソー!!」

「(しまった?!)」

「アッヒャヤヤヤヤヤヤヤヤ!!!!!おしめぇーだ!!」

 

 戦闘慣れした相手がその隙を見逃すことは無く……、銀髪青年が俺の目の前で高らかに笑いながらナイフを刺して……

 

 

 

 

は、来なかった

 

 

「本当にソーは無理するんだから……ボクの気持ちも考えてよね!!」

「ゆう……ちゃん?」

 

 銀髪青年のナイフをゆうちゃんが愛刀剣のマクアフィテルで弾いていた

 

「ソー、立てる?」

「あぁ…なんとか」

 

 ゆうちゃんの肩を借りて立ち上がり、銀髪青年の方を見るとかなりイラついていた

 

「何邪魔してくれてんだ!?俺様の楽しみをクソ女!?」

「邪魔するに決まってるよ!君がどんな人だろうとソーを傷つけるのは許さない!!」

 

 ゆうちゃんは銀髪青年にそう言うとマクアフィテルの剣先を向けた

 

「ソー……ボクはソーみたいな覚悟は無い…でも、ソーの手助けはできると思う…。だから、ボクも一緒に戦わせて!」

「ゆうちゃん……わかった、頼む」

「うん!!」

 

 ゆうちゃんの言う覚悟……多分それは、【殺す覚悟】……勿論、ゆうちゃんにそんな覚悟は持って欲しくない

 

「ゆうちゃんはアイツの攻撃を躱すか弾いて……後は俺がやる」

「うん!任せて!!」

 

 ゆうちゃんとの話が纏まり視線を銀髪青年の方に向けるが先程より苛立っているように見えた

 

「何見せつけてくれてんですかねぇ!?俺様、本当に怒ったからなぁ!?」

「一々叫ぶな。鬱陶しい、そもそもお前等がこんなことをしなければ見なくてすんだんだろ?」

「アッヒャヤヤヤヤ!!ごもっともなことを言ってくれるじゃねぇか!?」

 

 相も変わらずな気持ち悪い笑いだが、ゆうちゃんが隣にいるからか先程以上に冷静な自分がいた

 

「アッヒャヤヤヤヤ!!!」

 

 銀髪青年は我慢の限界なのかナイフを片手に襲いかかってくる

 

「ゆうちゃん!!」

「任せて!!」

「アッヒャヤヤヤヤ!!!!!オラァ!!」

 

 迫ってくる銀髪青年にゆうちゃんが先行して攻撃を弾いてくれた

 

「スイッチ!!」

「はあぁぁ!!」

 

 ゆうちゃんがナイフを弾くとゆうちゃんの影から俺が飛び出し刀を振るう

 

「アッヒャヤヤヤヤ、一人の時よりやるじゃねぇか!?」

「今のを弾くとかお前、本当に人間か!?」

 

 完全に意表を突き更にはゆうちゃんの影で死角になっているはずの場所から刀を振るったにも関わらず完璧に防ぎきってきた

 

「おい、増援が来た見てぇだ!!離脱すんぞ!?」

「……分かってますよっと!!」

 

「みんな、眼を瞑れ!閃光弾だ!!」

 

 茶髪のおっさんが大慌てで銀髪青年に大声で叫んでくると銀髪青年は手榴弾を投げ、破裂すると同時に目の前で光が弾けた

 

「逃げられたか……」

 

 眼を開けると茶髪のおっさんと銀髪青年の姿は無く代わりに四機のISが上空から降りてきた

 

≪みんな、大丈夫か?≫

「はい、怪我人はいません。ティエリアさん」

 

 黒と白の機体から声が聞こえ簪が受け答えをしているなか、白と青の機体が俺の方を見ていた

 

≪……≫

≪おい、刹那!!≫

「!??」

 

 白と青の機体は何も言わずに飛び立ってしまう中、緑と白の機体の操縦者が白と青の機体に()()と言ったことに驚愕していた

 

「ソー?」

「うんん、何でもない」

 

 ゆうちゃんが心配そうに顔を覗かせてきたが横に振った

 

 

 

 

 

 

 

続く



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一学期の終わり

長かった福音編ラスト


  

 

 

 

「ねぇ、ソー?これってどういう事?」

「ン?あぁ、それは……」

 

 あのハチャメチャな臨海学習から1週間後、俺たちは学園に戻り平穏な生活に戻りつつあった……が、直ぐそばに学生としての最大最悪のイベントが近付いていた

 

「あの事件からまだ、1週間っていうのに……【期末テスト】がもうすぐなんて…」

「まあ、仕方ないさ。そういうスケジュールなんだしさ。それに、一つでも赤点なんて取ったら折角の夏休みが無くなっちゃうぞ?」

「それだけはイヤだよ~」

 

 そう、学生であるなら誰もが通る年何回かの最大のイベント……【期末テスト】だ。

それは勿論、IS学園の生徒…専用機持ちも例外なく受けることになり、一つでも赤点を取れば夏休みの半分近くは補習となる為、IS学園組の西風の旅団メンバーもALOへのイン率が下がってきている。

 

「ソーは大丈夫なの?」

「うん、俺の方は大丈夫。IS関連の知識は刀奈姉さんと簪に入学前にたたき込まれたから引っかけが来ない限りは大丈夫」

「……そうじゃない」

「え?」

 

 俺は勉強のことだと思いゆうちゃんに「大丈夫」と答えるといきなり両肩をつかまれた

 

「ボクが言いたいことはそうじゃない!!ソーは平気なのかってこと!?」

「!?……その事なら俺は平気さ。あんなの見せられて距離を取られるのは当たり前だと思うからな」

 

 臨海学習の二日目…あの事件から俺はセシリア、鈴、ラウラから距離を置かれている

ハルナさんは普段通り話してくれるが無理をしているのが分かっている。

驚いたのがシャルで普段と全く同じで一切無理していないのだった

 

「ソーって他人には甘く優しいのに自分のことにはとことん厳しくて鈍いよね……無理に割り切らなくても良いんだよ?」

「自分を甘やかして何度も痛い目にあってるからな……割り切るのも二度も割り切れなくてみんなを傷つけたから…本当のことを話すまではこんな感じだろうな」

「そうだろうね……夏休みには話すってシャルロットから聞いてるけどいつ話すの?」

「……夏休み後半になるだろうな」

 

 シャル達、四人は夏休み前半は国に帰ると以前聞いていたので話すのは必然的に夏休み後半になるだろうな

 

「もし…もしだよ?五人がソーのことを怖がって絶交してきたらどうするの?前みたいにいなくなろうとしないよね?」

「……正直分からない。五人が顔も見たくないって言うなら俺はこの学園を去ろうとも考えてる…けど、今の状況でこの学園を去るのはゆうちゃん達を危険な場所に置いといて自分だけ安全な場所にいると同じになる…それだけは嫌だからね。」

 

 今のIS学園……いや、この世界は亡国企業……ファントム・タスクと戦争状態にある…元ブリュンヒルデこと織斑千冬が臨海学習時に宣戦布告したことによって各国で小競り合いが起き始めており、IS委員会の支部は対応に追われてるらしい

 

「暗くなってても仕方ないから勉強だよ、勉強。分からないところは教えてあげるからさ」

「うぅ~」

 

 ゆうちゃんは唸っていたが折角の夏休みに追試を受けたくないからと遅れているIS関連の勉強を必死にやっていた

 

 

 

 

「ねぇ、アンタ達はソウのことどう思ってるの?」

 

 ソウと木綿季が勉強している同時刻、シャルロットとラウラの部屋に部屋の主の二人、鈴音、セシリア、ハルナの五人が勉強の為に集まっている中、鈴音が他の四人にソウの事を聞いてきた

 

「どう…と言われましても……」

「悪人では無いのは確かだ……しかし…」

「あんなことがあったからね……兄さんは何か知ってるみたいだったけど「アイツが話すまでは待ってろ」って」

「そうね……アタシもイチカに聞いたら同じ事を言われたわ。他のみんなも本人が話すまでは話せないって……アンタは何か知ってるわけ?」

「どうして、そう思うのかな?」

 

 四人が話している中、四人の会話を気にせずに勉強しているシャルロットに鈴音が話をふった

 

「アンタ、アタシ達の話を気にもしなかったじゃない?何かしら知ってるんじゃ無いかって。そう思っただけよ」

「……そうだね。ソウが臨海学習の時に見せた光景には驚いてる……けど、似たような光景を僕は見たことあるんだよ。僕がソウとフランスに行った時……武装集団に襲われてね。その時にソウと臨海学習の時にいた那由多って人が撃退したんだ。それも、車のタイヤを狙ったりしないで相手の人を殺してね」

「「「「!!!????」」」」

 

 シャルロットの話に四人は耳を疑い顔色を変えた

 

「こっちに戻ってから少ししてソウに僕は何者なのかって聞いた…ソウは「夏休みまで待ってくれ」って言ってた。それから「俺と那由多は今回のような経験を何度もしてきた。勿論、ゲームの世界では無く現実世界での話だ」とも……ソウは僕たちが知らない大きな何かを……大きな闇を抱えてるんじゃ無いかな……。でも、ソウが居なければ僕もお父さんも死んでいたかもしれない…僕には感謝しても感謝しきれない恩があるから…僕は目の前にいるソウを信じることにしているよ」

「「「「……」」」」

 

 

 その日は重い空気のまま解散することになった

それから1週間後、期末テストが終わり、IS学園組西風の旅団のメンバー全員、追試を逃れることができた…それから数日後、IS学園の一学期が幕を閉じた

 

 

 

 

 

 

続く



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夏休み
蒼の過去


一応過去話ですが別作品 魔法少女リリカルなのは~魔法使いな蒼い死神~の27~30話で話しを展開しているので気になる方は其方をお読みになって下さい


 

 

 

 

 

「みんな、呼び出してすまないな」

 

 IS学園の夏休みが始まってもう数週間前が経過した頃、俺はそれぞれの国から戻ってきたシャル、鈴、セシリア、ラウラ、それから話していなかったハルナさんと簪に集まってもらっていた

部屋には俺も含めた7人とカタナ姉さん、チカ、ユウキの計十人がいる

 

「それで、話ってなに?アンタの昔話でも聞かせてくれるのかしら?」

「一言で言えばそうなるな。ただし、ここから話すのは気分のいい話じゃあ無い。それでも聞くか?」

「「「「……」」」」

「勿論、聞くよ。話してくれるって約束だからね」

「私もだよ、お兄ちゃん。お姉ちゃんだけ知ってるなんてズルイもん」

 

 ハルナさん達、四人が答えられない中、シャルと簪だけが即答で答えてきた。

 

「……お前等二人は即答してくると思ってたよ。それで、お前達はどうする?まだ、ここで聞かないって選択もできるぞ?」

「……私は聞きたいです。そして、今回の話で私の中にある疑問についても知ることが出来ると思いますから……」

「私も聞くわ。今日までずっと考えてきてもアンタの話を聞かなければどうしようも無いからね」

「わたくしも聞きますわ」

「勿論私もな。ここで一人聞かないなどできないだろ」

「……少し足らないが…まあいいな。それじゃあ、お前達は数年前に話題になった蒼い死神を知ってるか?」

 

 みんなの返事を聞くと俺は話し始めたが「蒼い死神」と言う単語にみんな、頭を悩ませた。

 

「ボクは聞いたことあるよ……8年前、フランスで騒がれてた暗殺者の通り名だよね?」

「それなら私も聞き覚えがあるぞ、ドイツでも同じ名前の暗殺者が軍でも話題になっていた」

 

 シャルとラウラが思い出したかのように話すが鈴とセシリア、簪、ハルナさんは知らないみたいだった。

 

「その蒼い死神がどうしたのよ?……まさか、そんな訳……」

「鈴の考えているとおりだ。俺がその世間を騒がせた暗殺者、蒼い死神だ」

「「「「「「!!??」」」」」」

 

 俺の告白に六人は驚愕したのと同時に俺を見る目が変わった。

 

「じゃあ、僕に言ってたことは…」

「あぁ、俺と那由多はコンビで暗殺者として二年近く苦楽を共に過ごした。シャルに言ったことは暗殺者として過ごした経験だ」

 

 それから俺は六人にこれまで行ってきた暗殺者だった頃の事を全て包み隠さず話した。

 

「やっぱりあの時、兄さんを助けて下さったのはソウさん……なんですね」

「あの時は簪の護衛として偶然ドイツにいたうえに拉致された瞬間を見たからな。織斑千冬の優勝がかかった試合前に身内が拉致されたと知ったら普通試合を放り投げてでも探す…だから、日本政府は拉致された事を秘密にして終わってから伝える事にしていたみたいだが……そもそも、織斑千冬はチカが拉致されようと気にしないだろうな」

「「「「「「(うん、それは間違いない)」」」」」」

 

 織斑千冬に関してここにいる全員の意見が一致していた。

 

「さて……俺が行ってきた闇はこんな所だ…。お前達はこれからどうする?」

「どうするってなによ?」

「今まで通り仲間として友達としてやっていくのかどうかって事だ」

「「「「「!!!???」」」」」

 

 ここで、みんなの顔が強張った。

 

「今すぐに決めろとは言わない。決めろって言っても直ぐに決まるような話では無いからな。二学期が始まる前にもう一度、話を聞くからその時までに答えを決めておいてくれ。俺はこの後、シリカとの約束があるから潜る、ゆうちゃんみんなのメンタルケアをお願いするよ」

「うん。わかったよ」

「それじゃあ、ゆっくり考えろな。《リンク・スタート》」

 

 俺はそれだけ言うと仮想世界に意識を潜らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ソーはどうして、ボクにみんなのメンタルケアを任せようとするかな!?)」

 

 ソーがALOにダイブしてから10分弱、重々しい空気の中ボクは心の中でソーに叫んでいた。

 

「木綿季さんやみなさんはその……蒼さんのことを聞いていらっしゃってたんですわよね…」

「うん。SAO事件の間に少しトラブルがあってね。その時にSAOの《西風の旅団》メンバーは全員聞いてる…その時にみんな、ソーはソーで昔何をやっていてもボク達を助けてくれたのはソーだから、ソーを信じることにしてるんだよ……それにね」

 

 ボクは軽く深呼吸をしてから青ざめている六人の顔を見る。

 

「ソーって、ああ見えてかなり繊細なんだよ。誰よりもどんな人よりも繊細……少しのことでみんなが危険になるって分かると全部自分で背負い込んじゃうんだ……。そう言うところもあってボクは昔からほっとけなくてね……」

「あの…木綿季さんって、アイツと何処で知り合ったんですか?昔ながらの知り合いみたいなこと言ってたりしますけど…」

「ボクとソー、それから簪は小学校が一緒でクラスもボクが病気で入院するまで一緒だったんだよ。簪とは違うクラスだったけどね」

「はい。言われるまで木綿季さんだったことは忘れてましたけど……お兄ちゃんの隣にいつも一人の女の子がいたのを覚えてました……私では照らすことすら出来なかったお兄ちゃんの心を照らした女の子が……」

 

 簪はあの時期のソーを思い出したのか手を握りしめて顔を俯かせていた。

 

「ソーが暗殺者を辞めたって話しはさっきソーがしてたよね?」

「えぇ、相棒だった那由多さんが犠牲になったからでしたわよね?」

「でも、それって可笑しくない?那由多さんはボクも会ってるから亡くなって……」

「うん。那由多さんは本当は生きてたけど、それをソーが知ったのはSAO事件が終わってALO事件の途中だったんだよ。その間の事は分からないけど那由多さんを亡くしたソーは抜け殻でね。多分、あのままだったら今のソーは何処にも存在しないしSAO事件での被害は増えたかもしれない……それにボクや姉ちゃんと生きてなかった…「ユウキちゃん?」……うんん、最後のは忘れて」

 

 危ない、危ない。カタナに止められなかったらボクのことまで話さないといけなくなってた!!もう少し考えて話さないと、ややこしくなるよね~

 

「まあ、こんな感じ。みんなは十分に考えて決めてね。ソーはみんなの気持ちを尊重するって言ってたから……それじゃあ…解散!!」

 

 ボクが解散を言い放つと暗い顔のままリン、ティア、ラウ、シャル、ハルナ、簪が部屋を出て行き、カタナとチカも部屋を後にした。

 

 

 

 

 

続く



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不思議な国の出鱈目旅行1─1

今回から暫くやたらシリアスな話が多いこの作品でのハメ外し回になります。
普段に比べて短くなるかも……それではどうぞ


 

 

 

「束姉、話があるって言うからカタナ達を連れてきたぞ」

「あっ!待ってたよ、いっくん」

 

 ソウの過去語りから数日後、俺は臨海学習後からIS学園に留まっている束姉に呼ばれカタナ、ハルナ、簪、鈴、シャル、セシリア、ラウラの6人を連れて束姉が改築した学園の一画にあるラボに来ていた

 

「ねぇ、いっくん?彼は連れてこなかったの?」

「少し前に色々あって今は、ハルナや鈴達と距離を置いてるから今回は連れてこれなかった……それに、家族で出掛けるみたいだったからな」

「そうなんだね~それなら仕方ないか……」

 

 束姉はどこか含みのある笑みを零していた

 

「あの、束博士?僕たちをどうして呼んだんですか?」

「よくぞ、聞いてくれた!!見よ!これが私が創り出した発明!!その名も……」

 

 束姉の大声と共に束姉の後ろの暗い空間にライトが当たり、先頭が赤く車体が白い電車のような物が現れる

 

「その名も時の列車デンライナー~」

「「「「それはダメでしょ!??」」」」

 

 某ライダーの列車を創り出した束姉にそれを知っている何人かが叫んでしまった

 

 

 

 

 

 

「それで……俺たちを呼んだのはこれを見せる為なのか?」

「ノンノン!!この天災の束様がその為だけに呼ぶわけ無かろうなのだ~」

 

 それもそうだ……この人はISを創り出し、身体能力、頭の良さは多分誰も勝てない……例外はアイツくらいだろう

 

「こいつで時間旅行でもして過去を書き換えようとでもしてるのか?」

「流石に束さんでも過去、未来を往き来させることは出来なかったよ~」

 

 過去と未来を往き来させることは出来なかった?それじゃあ、まるで……()()()()には行けるって言ってるような物だよな?

 

「束さんでも並行世界に繫げることしか出来なかったよ~」

「「「「並行世界!?」」」」

「(やっぱり!?)」

 

 俺の予想が当たってしまいカタナ達は驚き、俺とハルナは頭を悩ました

 

「束姉……またこんな機密の塊を創り出して……」

「束さんですからね……ですが…」

「あぁ、ハルナの言いたいことは分かってる」

 

 俺とハルナは軽く深呼吸をすると束姉の前に歩き出した

 

「何々?いっくんもはるちゃんもそんなに怖い顔してどうしたのかな?」

「「やり過ぎだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」

「フギャアァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 俺とハルナの怒声と束姉の悲鳴がラボに響き渡った

 

 

「うぅ~、まだ頭がガンガンするよ~」

「自業自得ですよ、束さん」

 

 あれから仕方なく列車の中に入った俺たちと先程の怒声で頭を抑えている束姉は先頭車両に来ていた

 

「それじゃあ、みんな掴まっててね!!デンライナー、出発進行!!」

 

 先頭車両に備えられたレバーを束姉が引くと列車がガタゴトと音を出しながら走り始めた

 

「さあ、逝こう!空の彼方へ!!」

「だから、それはマズいって!!それに字が違う!!」

 

 なんか、もう今日は疲れたよ……パトラッシュ……

 

 

 

 

続く



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不思議な国の出鱈目旅行1─2

 

 

 

 

「みんな、着いたみたいだよ」

 

 列車に揺られて30分弱、束姉の一言と共に列車が止まった

 

「ここって……学園前よね?本当に並行世界に着いたの?」

「ムゥ~、リッちゃん信じてないな~。本当に着いてるんだよ。それに、ほら校門を見て見なよ」

 

 外の景色……学園前にいることに鈴やみんなが並行世界に着いていると信じてないと束姉が頬を膨らませながら、校門を見るように言ってきた

 

「嘘!?」

「あ、アレって!?」

「どう見たって……」

 

 

 

 

 

「「「「「私達じゃない!?」」」」」

 

 校門を見るやいなや、見覚えのあり過ぎる顔ぶれがそれぞれのISに乗りこの列車を警戒していた

 

「通信?ゲッ!!??」

「束さん、どうしました?ム〇カ大佐から通信でも来ましたか?」

「違うけど違わないかもしれなかも……た、多分通信を聞いた方が早いよ…」

 

 束姉は回線を開くと聞きたくも無い奴の声が聞こえてきた

 

『私はIS学園防衛部隊総指揮官の()()()()だ!所属と目的を言え!!』

「「「「「「…………」」」」」」

 

 通信越しに聞こえたのは間違いなく俺とハルナの元姉こと織斑千冬だ……この列車内のみんな、驚きと嫌な顔をしていてハルナに至っては殺気が少しだけ漏れていた

 

「通信は無視して列車から降りよう、アイツと話すつもりは無いが、この世界の自分には興味がある」

「確かにそうね。私も気になることがあるし」

「僕もかな?こっちの僕はラファールみたいだし」

「私も気になるわね。それに、見た感じソウ君やキリト達がいないみたいだから、その辺も聞いてみたいからね」

「私はシャルロットさんと同じかな?こっちの私のは多分、()()()の打鉄弐式だから……お兄ちゃんや彼らがいないなら仕方ないかもだけど……気になる」

「わたくしもですわ……(最近陰薄すぎて)(読者の皆様に忘れられてないか)(心配もありますわ)

 

 メタイ心の声が聞こえた気がするが……気にしない方がいいな、本人の為に……

 

「それじゃあ、全員で降りるってことでいいかな?それから、デンライナーのスペアキーはいっくんに渡しておくよ。いっくんなら盗まれることも無いだろうから安全だろうからね」

「分かった」

 

 俺は鍵を受け取ると外に出るために先頭車両から二両目に移った

 

 

 

 

 

並行世界side

 

「一向に向こうからの連絡がありません……織斑先生どうしましょうか?」

「仕方ない……全員、砲撃用意!私の合図で……『相変わらず短気で物騒だな』ッ!!誰だ!!」

 

 この世界の山田真耶と織斑千冬が通信から返答が無く10分経つと砲撃用意させようとすると列車の方から声が聞こえ、織斑千冬が叫ぶと列車の二両目のドアが開いた

 

「なぁ!?」

「え!?どういう事よ!?」

「そんな!?」

 

 出て来た顔ぶれにこの世界のラウラ、鈴音、シャルロットが驚愕の声を上げ、他は声を出すことが出来なかった

 

「やあ、初めまして。()()()()の俺たち、俺の名は神薙・S・イチカ。旧姓織斑一夏だ」

「お、俺!?」

 

 こちら側の織斑一夏と見た目が全然違うイチカにこちら側の織斑一夏は驚愕して、こちら側の幼馴染みの篠ノ之箒と鈴音は信じられないような顔をしていた

 

「俺たちの事情を話すがこれは他言無用で頼む」

 

 

 

 

 

 

 イチカside

 

「並行世界!?そんなの信じられるわけ無いじゃ無い!!」

 

 「並行世界」と聞いてまず、噛みついてきたのは鈴だった

 

「(やっぱり、お前が噛みついてくるよな)お前なら、そう言うと思った。だが、お前と瓜二つの()()()()()鈴がいることにどう説明してくる?」

「クッ……そ、それは」

「信じたくなかろうとこれは現実なんだ。目の前で起こっている事が全てが現実とは言わないが今、この瞬間は紛れもなく現実なんだ」

「わ、分かっているわよ……少し混乱してるだけ」

 

 そう言って鈴は一歩下がり、頭を悩ませていた

 

「他に聞きたいことかはあるか?いや、何人かが聞きたいことは一つ分かっているけどな……本人もだろうが俺たちの世界の篠ノ之箒はどうしているのか気になるんだろ?一言で言えば奴は……奴らは敵だ」

「「「「「「!!!???」」」」」」

 

 予想通り篠ノ之箒が敵と伝えると並行世界の俺たちは驚愕していた

 

「それから、織斑千冬……お前もな。いや、俺たちの世界のお前が元凶なのか?」

「そうですね、兄さん……私達にはこの世界には居ないと思いますが一つ上の兄が居ました……かなりゲスですが…その兄と千冬さん、そして篠ノ之箒の三人は臨海学習の時に敵へ渡りました……千冬さんは元々スパイとしてIS学園に潜入していたみたいですが…」

「千冬姉がそんなことするわけ無いだろ!?」

 

 そう、声を荒げたのはこちら側の俺……織斑一夏だ

 

「そっち側の織斑千冬は知らないが俺たちの世界の織斑千冬はそう言う存在だ。認めたくないのは分からなくもないがお前達の世界と俺たちの世界は全く別物だ。それを忘れるな……それとも、実力行使で分からせないとダメか?」

 

 殺気を少しだけ漏らすと並行世界の俺は気がついていないのかケロッとして居るが他のシャルロットや刀奈達は冷や汗をかいていた

 

「いいぜ、1対1で勝負……あいたぁ!!?? 」

「いい加減にしろ、馬鹿者。お前はまだ、実力差がわからんのか!?」

「ち、千冬姉だけど……」

「織斑先生だ!!」

 

 俺の挑発に乗ろうとした織斑一夏は脳天直撃の拳骨を織斑千冬から喰らい、更に私生活と学校を区別も出来てなくもう一度、拳骨を喰らっていた

 

「私の生徒がすまないな」

「いや、俺もイタズラが過ぎた。でもまあ、そうだな。折角だし並行世界の自分自身の実力をこの目で見てみたいな。俺は一人で良いから全員で……「待ちなさい、チカ。ここは私に良い考えがあるわ」……分かった任せる」

 

 並行世界に来てから一言も喋ってこなかった刀奈が口を出してきた

 

「織斑先生。ここには両世界共に八人の専用機持ちが揃ってます…ですので……

 

 

 

 

 

 

八対八のチーム戦を行いませんか?」

 

 

 

 

 

 

続く



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不思議な国の出鱈目旅行1─3

 

 

 

 

「お姉ちゃん、どうしてチーム戦の提案をしたの?」

「特に理由なんて無いわよ?。ただ、チカだけ戦うなんて面白くなかったからだけよ」

 

 チーム戦をやることになったカタナ達はあてがわれた更衣室で着替えていた

 

「クスッ、お姉ちゃんらしいよ。そう言えば、チーム戦が決まって直ぐに束さんとイチカさんが話してたよね?」

「えぇ、何でも本来、アマルティア博士がチカに渡すはずだった専用機をチカが使いたいって言ったみたいよ」

「イチカさんの本来の専用機?それって……」

「はい、簪さんの考えているとおり秋……織斑秋羅が使っていた白式です」

 

 姉妹で話していると近くで着替えていたイチカの妹でもあるハルナがイチカの専用機について話した

 

「兄さんは元々白式を使うつもりも無く束さんが解体することが決まってましたが……なにを思ったのか兄さんは白式の改修を束さんに依頼したそうです。それを聞いた時に兄さんはこう言ってました「もし、SAOのチカが役目を終えて使えなくなったときに現実世界での力が必要だ。」だから、兄さんは改修してもらったそうです」

「へぇ~、チカは私に何も言ってくれなかったわね。まあ、そんなことだとは思ったのだけど…」

 

 不敵に笑みを零すカタナ……そんなカタナを見て簪とハルナは少しだけ怖いと思っていた

 

 

 

 

「チカ、待たせたわね」

「いや、俺も白式のスペックを確認していたから問題ない」

 

 俺はBピットで今回使用する機体……白式のスペックを再確認しているとISスーツに着替えたカタナ達が更衣室から出て来た。

 

「アンタ、本当にアレを使うつもりなの?」

「あぁ、元々は俺用にって束姉が造ってくれた機体だからな。現実世界でイチカとして戦うなら今のままじゃダメなんだよ」

「……そ、アンタが決めたんなら何も言わないわ」

「そうしてくれると助かるよ、鈴……さて、カタナ。作戦はどうする?」

 

 俺と幼馴染みでもある鈴が心配そうに声をかけてきたが俺は自分の意思を伝えた

 

「そうね、簪ちゃん。今回の指揮を一任するわ。貴女なら私以上に務まると思うの」

「……お姉ちゃんがそう言うなら分かった」

 

 今回の指揮をカタナは簪に一任したが……俺達は驚くことは無かった

簪の専用機が完成してから少ししてチーム戦を模擬戦に組み込んでから簪が良くチームの指揮を行っていたからだ

 

「まず、お姉ちゃんとイチカさん、鈴さんはフロントアタッカーでそれぞれの相手……こちら側の自分達を仕留めて、シャルさんとラウラ、それからハルナさんはガードウィング、やることはお姉ちゃん達と変わらないけど、一撃離脱で仲間の支援も行ってもらう」

「フロントアタッカーね、わかったわ。こちらの私はどうなのかしらね?」

 

 敵陣に先行するフロントアタッカー…近接メインの俺、カタナ、鈴、機動力を活かしての一撃離脱のガードウィング…ハルナ、シャル、ラウラ……かなり良いポジション人選だな

それぞれの戦い方に合わせての人選で鈴の機体はガードウィングにもなるが機動力が他に比べると劣ってしまうのもありフロントアタッカーか…

 

「セシリアさんはセンターガード、主に相手に支援砲撃をさせないポジションだけど、貴女の性格を考えると1対1の戦闘になると思う」

「ぅ……本当のことで何も言い返せませんわね…分かりましたわ。センターガードの任お受けしますわ」

「うん。お願い、最後に私がフルバック。後方支援を行いつつ、指示を出していくよ……それじゃあみんな…

 

 

 

 

 

 

勝とう!!」

「「「「「「「おう!!(うん!!)(ええ!!)(はいですわ!!)」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

続く



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不思議な国の出鱈目旅行1─4

 

 

 

 

『各チーム、出撃して下さい』

 

 少し待っていると並行世界側の山田先生のアナウンスがありBピットのカタパルトのハッチが開く

 

「俺から行かせてもらう」

「ええ、チームリーダーが先頭よ。イチカ!新たな機体を見せなさい!!」

「分かってる」

 

 俺は白式を展開する……以前の白式と違い、全身白でほぼ全身装甲(フルスキン)状態…装甲が無いのは膝や肘などの関節部だけ、更に頭部には一角獣の角が一本と白式の面影を一切残されていない

 

「白式改・雪獣(セツジュウ)。いくぜ!!」

 

 俺は勢い良くカタパルトから飛び出した

 

 

 

 

「あっちの一夏のISはなんなの!?」

 

 先にアリーナに出ていた並行世界側の鈴が驚愕していた

 

「機体名は……白式改・雪獣(セツジュウ)……白式だと!?」

「え?!嘘、アレが私達の知る白式なの!?」

「……」

 

 白式だとわかった並行世界側の全員が驚愕して声を上げている中、簪と本人の一夏だけが驚いていたが何も言わなかった

 

「待たせたな。これが俺の専用機、白式改・雪獣(セツジュウ)。織斑千冬によって束姉が俺用に用意していたのを織斑秋羅用に勝手に造り直された機体を束姉が俺用に改修した機体だ。性能テストには十分だろう?」

「ッ!?」

 

 俺の言い方がかんに障ったのか並行世界側の俺の顔色が変わり怒っているようだった

 

「初めて使う機体で戦う……ふざけたこと言ってんじゃねぇ!?」

「別にふざけた事を言ったつもりは無いんだがな……それにしても……其方の機体は懐かしいのが幾つかと……お前のそれは白式の第二形態移行(セカンド・シフト)か?篠ノ之の機体も見たこと無いが……気にすることも無いな」

「なぁ!?」

 

 並行世界側のシャルのラファール、ラウラのレーゲン…そして、簪の打鉄弐式を見て少し懐かしく思う……それから並行世界の俺の形態変化している白式に篠ノ之の真っ赤な機体は見たことが無い機体……油断はするつもりは無いが篠ノ之と戦うことは無いな……それにしても、並行世界の俺は沸点が低くないか?

 

「そっちの機体は殆ど見たこと無いんだが……」

「私やラウラはIS委員会から機体の改修と新機体を渡されてる。シャルのはお父さんと和解しているから……」

「父さんと!?」

 

 並行世界のシャルが驚いて目を見開いているが……そんなに驚くことなのか?

 

「そっちは違うかも知れないけど……知り合いに頼んで父さんに会いに行った時、父さんは僕をデュノア家から護るために男装までさせてIS学園に転入させたんだって……話を聞いた後に少しイザコザがあったけど父さんとは和解してこの機体…ミストラル・オーブを受け取ったんだ」

「そ、そうなんだ……」

 

 シャルの話を聞いて並行世界のシャルの顔は沈んでいた……無理も無いかもしれない、この世界では和解できてないと思うからな

 

「貴女にこのデータを渡す。そのデータを活かすも殺すも貴女次第」

「これって……マルチロックオンシステム!?」

「「「「!!!???」」」」

 

 簪が並行世界の自分に何かのデータを送り、それを確認すると並行世界の簪はかなり驚いていた

 

「どうして?」

「私だけ使えて貴女が使えないのは嫌だから……同じ土俵で戦いたい」

「……ありがとう」

 

 簪同士はなんか仲良くなっているような気がするな…

 

『それでは、8対8のチーム戦始め!!』

 

 少ししてチームごとに少し距離を空けると山田先生の合図で試合が始まった

 

 

続く



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不思議な国の出鱈目旅行1─5

やばい、戦闘回はかなりグダル


  

 

 

 

 

一夏VSイチカ

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「……」

 

 チーム戦が始まって直ぐ……同一自分で戦っている中、俺はシールドで防ぐことに専念していた

 

「(う~ん、機体性能だよりの動きだな。あの雪羅って武装は零落白夜を射撃用、格闘用で使う武装みたいだが……本人の技量が低すぎるな)」

「反撃してこないのか?」

 

 俺が分析していると並行世界の俺が手を止めてきた

 

「そうだな……分析は元々俺がすることじゃ無いからな……ここから反撃に移るからな……はぁ!!」

「グゥ!!」

 

 俺の願いで改修された白式には抜刀術に耐えうる刀が何本か用意されていた

並行世界の自分に振るったのもその一本……名を時雨(しぐれ)

ビームコーティングされたこの刀は俺の技量次第ではビームやレーザー、シールドバリアをも切り裂くことが出来る代物と束姉に言われた

 

「雪羅、射撃モード」

 

 並行世界の俺が距離を離すと左手の雪羅を射撃用に切り替えて大出力荷電粒子砲を放ってきた

 

「あらよっと」

「ッ!!なら!!」

 

 簡単に避けられたことで頭に血が上ったのか大出力荷電粒子砲を連射してき

 

「なんで、あたらねぇ!!」

「射撃用のセンサーリンクが無いんだろ?それに、射撃はかなり苦手だな。まあ、苦手なのは俺も一緒だな」

「うるせぇ!!」

 

 並行世界の俺は雄叫びを上げて突っ込んできた

 

 

 

 

 

 

 

箒VSハルナ

 

「はぁ!!」

「クッ!はぁ!!」

 

 並行世界の篠ノ之と戦うことになった私は何度も打ち合っていた

 

「これじゃあ、らちがあかない……仕方ない、バレットシュート!!」

「クゥ!き、貴様剣士では無かったのか!?」

「私は双剣双銃使い…銃の腕だけなら兄さんにもセシリアさんにすら勝ってますよ……それではどんどん行きます。ディバインシューター、シュート!!」

 

 篠ノ之は私が銃を使うと怒ってきた…そんなに銃を使うのを嫌いますかね?言っている本人もレーザーを使ってきますけど

 

「このくらい!!」

「残念、そこ!」

「チィ!!」

 

 無数の白のエネルギー弾を発射し篠ノ之が弾に気を取られている間に死角からバスターを放ちますがそれを察知したのか直撃はさせられませんでした

 

「なかなかの直感ですね……私達の世界の篠ノ之に見習って欲しいくらいです」

「……そっちの私は一夏やお前に嫌われているんだな…」

「嫌われてる?いいえ、違いますよ。兄さんは分かりませんけど私は私の世界の貴女が大っ嫌いです。兄さんが織斑の出来損ない?剣道が弱い?ふざけんな、秋羅に良いように使われて剣道では八百長で負けさせては訓練と称して集団で虐めて……それを見ているしか出来なかった私の気持ちが貴女に分かりますか?どんなに罵倒されても虐められてもいつかは姉や兄に認められると信じていた兄さんの気持ちが分かりますか?」

「…………」

 

 篠ノ之は私の話で俯き黙り込んでしまいました……

 

「話はここまでです。ここからは全力で行きますよ!!はあぁ!!」

「く!!」

 

 話を終え突っ込んだ私の二刀からの連撃を篠ノ之は長刀二本で防いで来ました

 

「バレットシュート!!」

「同じ手を喰らうか!!何!?」

「同じ手なんて甘いことを代表候補生でもある私がすると思いましたか?」

 

 篠ノ之が同じバレットと思って避けたのは爆裂弾、これは発射前に爆発させるタイミングを決めてから放つ物で小刻みに回避する剣士や弾いたり防いだりする相手には有効なのですが……欠点として意表を突いた時にしか使えないんですよね…

 

 

 

 

 

 

 

続く



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不思議な国の出鱈目旅行1─6

皆様は台風は大丈夫だったでしょうか?
私の家は停電しました。
私の家付近はある程度停電に強かったんですが……まさかの長期停電となって電気が使えなく困ってたりしてます……はい


 

 

 

 

鈴VS鈴

 

「だらぁ!!」

「グゥ!?重い!!」

 

 甲龍を纏い双天牙月を振るう鈴に、並行世界の鈴はそれを双天牙月で防ごうとするが一撃の重さに耐えられずにいた

 

「アンタの機体、本当に甲龍なの?双天牙月の重さが違うわよ!!」

「多分同じよ?今のは双天牙月の重さに重心の移動であたしの体重も上乗せした物よ……武術とかでも使われるやり方かしらね?」

「あたし、武術なんて習ってないわよ!!」

「そ、ならあたしとの差はそこよ。あたしは彼奴の隣に立つために八極拳を血反吐を吐く思いで覚えたわ。その位しないと彼奴の隣に立つことはできないと思ったからよ……あなたにその位の覚悟があるかしらね?」

「……」

 

 鈴の言葉に並行世界の鈴は黙ってしまう

 

「あるわけ無いわよね。こっちと違ってそっちの彼奴は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()もんね?」

「ど、どういうことよ!?」

 

 鈴の言葉に並行世界の鈴は動揺を隠せずにいた

 

「そうね……これは本人達に聞くのが一番だわ。もし、このチーム戦が終わってから聞くなら一つだけ忠告しておくわ、彼奴の話で()()()を使わない方が良いわよ。彼らにとって()()()はその世界を……その世界で生きた人たちへの最大の侮辱よ…。確かセシリアが侮辱して痛い目見たって言っていたわね……話はこれぐらいにしましょ?」

「ッ!……ええ、そうね。ここからは……」

 

 お互いに深呼吸をすると大声で叫び突っ込んでいく

 

「「全力全開で叩き潰す!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルVSシャル

 

 

「「…………」」

 

 イチカやハルナ、鈴とは違いシャル対シャルの周りは銃弾が飛び交っていた

 

「中遠距離が得意なのは変わらないんだね」

「そうみたいだね…」

 

 同一人物では過ごし方が変わらなければ戦いスタイルはそう簡単に変わらない……イチカや鈴がそうみたいに……だが、同一人物でも大きく変わっているのがシャルだった

 

「……≪ブースト≫」

「は、はやい!?」

 

 シャルが小声で呟くとミストラル・オーブの動きが変ると同時にシャルは()()を展開していた

 

「け、剣!?」

 

 なんとかシャルの攻撃をシールドで防いだ並行世界のシャルは驚きを隠せなかった

当の本人は近接武器はシールド・ピアースことパイルバンカーしかなく剣を使ったことがなかった…が、目の前の自分が剣を使ってきたのだ、驚きを隠せるわけが無かった

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「うぅぅ……」

 

 並行世界のシャルはなんとか距離を離そうとするが剣を持ったシャルは距離を離されまいと接近と連撃を続けた

 

「はぁ……はぁ…はぁ、そっちの僕は剣を使うんだね…」

「僕たちの世界は近接のプロフェッショナルが多いからね…中遠距離だけじゃその人たちに勝てないから僕を……僕とお父さんを助けてくれた人に剣を教わってるところ」

「……」

 

 並行世界のシャルはお父さんと聞くと顔色を暗くし黙り込んでしまう

 

「多分、君も昔の僕と同じ悩みを持っているんだと思うよ……僕は彼のお陰で助かったけど…君にはこの言葉を贈るよ……【ぶつからなきゃ伝わらないことだってあるよ。】」

「!!」

「ある人からの受け売りなんだけどね♪」

 

 並行世界のシャルは暗くしていた顔色を驚愕に変えた

 

「話はここまでかな……そろそろ行くよ!!」

「…そ…そうだね!!」

 

 シャルは剣を構え、並行世界のシャルはシールドとサブマシンガンを構える

 

「「はあぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

続く



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不思議な国の出鱈目旅行1─7

雑な戦闘で申し訳ない


 

 

 

 ラウラVSラウラ

 

「ちっ!!」

 

 ラウラは並行世界のレーゲンを纏うラウラと1on1で戦っていた

 

「はあぁ!!」

「グゥ!!、負けてたまるか!!」

「ッ!!」

 

 ラウラのクロスボーンのショットランサーと並行世界のラウラのレーゲンのプラズマ手刀が打ち合い、火花を散らす

 

「そこだ!!」

「ツッ!!」

 

 並行世界のラウラは距離を取ろうとするがそれを読んでいたラウラはクロスボーンのレールカノンを発射する

並行世界のラウラはレールカノンを躱しきれずに右腕に着弾してしまう

 

「同一人物の所為か…貴様の動きがなんとなくわかったが……こうも予想通りに動くとわな…」

「なんだと!?」

「いや、少し違うかもな。環境…過去…仲間、ほんの少しでも違ければそれは同一人物であって、同一人物じゃない……確かに彼奴の言っていたことは正しかったかもしれん」

「試合中に考え事とは余裕だな!!」

 

 ブツブツと呟くラウラに余裕を見せられたと勘違いする並行世界のラウラは怒りにまかせレールカノンを連射する

 

「遅い!!」

 

 ラウラはザンバスターでレールカノンの弾丸を的確に撃ち抜いてみせる

レールカノンの弾丸を撃ち抜いたことに並行世界のラウラ含め、並行世界のメンバー達は驚愕していた

 

「レールカノンを撃ち抜いただと!?」

「IS委員会の委員長直属IS部隊の人達に短時間だが鍛えられた私にその程度のレールカノンを撃ち抜けないと思っていたのか!!」

 

 ラウラはそう言うとザンバスターをサーベルにし接近する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリアVSセシリア

 

「漸く?私の出番がやってきましたわ!!」

「いきなり叫ぶのはどうかと思いますわよ!?」

 

 アリーナ内の一番高い場所ではセシリアVSセシリアが行われていたが……並行世界のセシリアは急に叫びだしたセシリアに驚愕していた

 

「……ンン、申し訳ありませんわ。あの回(クラス代表戦)からほとんど出番が無かったものでつい、叫んでしまいましたわ」

「メタ過ぎますわよ!?それよりも、貴方のビットはどうなっておりますの!!わたくしのティアーズには防御機能はございませんわよ!?」

 

 念の為に確認しておくが……彼女達のポジションはセンターガード、相手同ポジションからの支援射撃を止めつつ自分のチームメンバーへの支援射撃を行うのだが……並行世界のセシリアは戦闘開始直後から集中砲火を浴びせて来ていた……が、そのほとんどをブルー・ティアーズのBT兵器の〝ブルー・ティアーズ〟に防がれていた

 

「わたくしのティアーズはIS委員会のビット及びドラグーンを参考に改良された物になりますわ。今までの機能にシールドモード、スピアモードの二つ、更にレーザー型のビットを大型化し一基に三門、計12門となってますわ……尚も委員会の機体にはほど遠いのが現状ですわね…」

「……」

 

 セシリアの話しに並行世界のセシリアは唖然としていた…自分の機体よりも性能が高くなっているのにも関わらずそれよりも上の存在が存在しているのだから……

 

 

 

 

 

 

 

続く



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不思議な国の出鱈目旅行1─8

戦闘回なのにもはやただの会話……本当にドウシヨウ…


 

 

 

 

 楯無VS楯無・簪VS簪

 

 

「貴女はどういう教え方をしたら猪みたいに速攻突貫する人ができあがるのかしらね?!」

「私が教えたのは一夏くんだけよ!!」

 

 ガキンと火花を散らしながら蒼流旋同士をぶつけ合いつつ言い争いをする2人の楯無……それを2人の簪が呆れてみていた

 

「……お姉ちゃんがごめん…」

「…それはお互い様…」

 

 言い争いをする2人の姉を見つつ軽く話していた2人の簪は軽くだが打ち解け合っていた

兄が居たり少しの環境の違いはあったがやはり同一人物な為、仲良くはなれていた

 

「ちょっと、簪ちゃん?お互いに話し合うのは構わないけど……ちゃんと戦わないと駄目よ?」

「そうよ~」

「「はぁ……お姉ちゃんは黙ってて」」

 

 同時に姉にそう言うと簪は距離をお互いに離すと薙刀の夢現を構える

 

「…一応、チーム戦でもあるから……」

「うん。手加減はしない!!」

 

 気持ちを切り替えた2人はぶつかり合う…一撃、また一撃と数度打ち合うだけで並行世界の簪はあることに気がついた

 

「(……数度の打ち合いでわかった……私の打鉄二式に比べて出力が高い!!)」

 

 並行世界の簪の打鉄二式よりも簪の伐鐘聖式の方が出力が高かった……それは当然のことではあるが、並行世界の簪はそんなことは当然知らない

 

「簪ちゃん!!」

「あ、待ちなさい!!」

 

 並行世界の楯無が押されている簪を見て自分の相手をほっぽり出して助太刀しようとする

 

「邪魔!!」

「ぐぅ!?」

 

 助太刀しようとするも簪に不意討ちで一発もらってしまい、並行世界の楯無は吹き飛んでしまう

 

「簪ちゃん!!邪魔しないで!!」

「……自分の妹を信用出来ないの?」

「ど、どういうことよ!!」

 

 並行世界の楯無は簪の言葉に驚いていた

 

「ピンチに助けるのなら…わかる。だけど、今は劣勢であるだけでまだ彼女は戦う意思がある……その状態で助けようとするなら貴女は自分の妹の力を信用できてない証拠…」

「そんなこと……」

「あるわよ」

 

 簪と並行世界の楯無が話している中、楯無が話しに割り込んできた

 

「……まあ、同一人物だから簪ちゃんを優先するのはわかるわ…だけどね、それは本当に簪ちゃんが望んでいるのかしら?

貴女は押されている簪ちゃんを見ただけで助けに行こうとした……ほんの少し押されているだけよ?まだ、彼女の機体には武装が二つ残っている。それを使えばなんとかなると思うわよ?」

「……彼女達の言うとおりだよ、お姉ちゃん」

「簪ちゃん?」

 

 楯無が並行世界の楯無にそう言っていると並行世界の簪が上がってきた

 

「私は一人でも戦えるから、お姉ちゃんは相手に集中して……」

「わかったわ……」

 

 並行世界の楯無は妹の願いで引き下がったが、納得は出来ていないようだった

 

「……貴女を倒して簪ちゃんの援護に行くわ」

「へぇ……良いわ。その言葉そっくり返してあげるわ」

 

 楯無はそう言うと蒼流旋をしまい、赤細い槍を展開する

 

「この槍は〝ロンギヌス〟。私が≪()()≫で無く≪()()()≫としての本気の武器よ」

 

 

 

同じ頃

 

 

「お姉ちゃんがごめん」

「いいよ。私のお姉ちゃんも同じようなものだから……」

 

 簪同士は向かい合い、並行世界の簪は先程の姉のことで謝っていた

 

「ここからは本当に二人での戦い…」

「うん、だから……」

 

 簪は夢現をしまうと一本の刀を展開する

 

「それは…?」

「真銘・正宗……私が≪()≫では無≪()()()()≫としての本気……だから」

 

 

 

 

「「本気の私を倒してみなさい!!」」

 

 

 

 

続く



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