宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 (謎のks)
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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 プロローグ

こんな辺鄙な所までご足労いただき、ありがとうございます。作者です。

さて、いつもどおり進めていきたいですが、一つ注意事項が。

この夏イベは「ストーリー性」を重視しながら話を書いていきたいと思っています。

そのため、いきなり夏イベから閲覧する方、夏イベまでの話忘れちゃったよぅ。という方がいたら、過去作の閲覧をした方がいいと思います(強制ではありません)。

話自体はタグの「宿毛泊地シリーズ」よりまとめてありますのでご一考を…見る順番としては

短編「宿毛泊地提督の航海日誌」→冬イベ→春イベ(合間あいまに「宿毛泊地の日常」)

が良いかなと思います。ごめんねぇ? 拙いのばっかだけど。

お止めしてすみませんでした。それではどうぞ!

p.s.艦これ運営鎮守府の皆様、長時間メンテナンスお疲れさまでした。ごゆっくりお休みください。 m(_ _)m


どぉ〜もぉ〜皆さぁん、知ってるでしょ〜う? ナレーターでございまぁす。ははははは…おいぼうしパン食わねぇか?(土佐流アレンジ)

 

さてさて、いよいよやって参りました! 艦これの夏イベ! その名は

 

 

 「西方再打通! 欧州救援作戦」

 

 

ですね!

 

今年はどのような難易度で、どのような敵が出てくるのか…オラワクワクスッゾー!

 

???「カカロットぉ―――ッ!!!」

???「落ち着けェ!?」

 

と、何か聞いたことある人たちは置いといて、早速宿毛泊地を覗いてみましょう! 提督もさぞ気合が入って…

 

 

 

 

・・・・・

 

 

 

宿毛泊地 提督執務室

 

「……」

 

…ってあれ? ずいぶん大人しいですね? …ん? 何見てるんですか?

 

「お? なんにゃナレーターさん、何か用事かよ?」

 

いやもうすぐ夏イベだというのに、余裕ですねぇ? そんなブローチ? みたいなの見つめて?

 

「おお? これかよ? …まあ、形見みたいなモンやにゃぁ?」

 

形見ぃ?

 

「ガチャッ)司令官のひいおじいさまの写真らしいですよ?」

 

吹雪ちゃん! …ってどういうことです?

 

「言うてなかったかや? オレのひじいさんは「海軍」所属やったがよ?」

 

え”ぇ!!? マジですか!? ここにきて新たな設定ですか!!

 

「そんなこと言うたち…まあこれは、オレが生まれてすぐに撮ったモンらしいけんど、オレも一応提督になったし、なんか感慨深う感じてにゃぁ?」

 

それでイベント前に写真を見ていた、と…?

 

「おぅ! …まあ墓前に報告っちゅうわけにもにゃぁ?」

「確か、無いんでしたっけ? お墓が?」

「無いのは墓やのうて「遺体」らしいがよ? …何があったか知らんけんど? 親父に聞いても「お前は知らなくて良い」っていうきにゃぁ?」

 

ふーん? …そんなことより夏イベですよ! 提督! 早くGOしましょう閲覧者さんたちも待ってるんですから!(多分)

 

「わかっちょるわや! …吹雪、皆準備はえいかよ?」

「はい! みんな大規模作戦だから張り切ってますよ!」

「ヒョコ)私もいつでも準備万端ですので、体調が悪ければいつでも?」

 

げぇ!? キザ眼鏡!!

 

「「徳田」です! キザは否定しませんが眼鏡はヤメテ! がり勉じゃないから!!」

「先生ぇは生真面目やき、がり勉呼ばわりされてもしゃぁないっちゅうか?」

「そうですね? ふふっ」

「イメージの問題です! 何というか、ミステリアスでありたいというかぁry」

 

そんなことより夏イベじゃーい!! 提督HARRY UP!

 

「おんしゃぁしわいにゃぁww …えいわ、吹雪、行こうかよ?」

「はい! 司令官!」

 

…と、吹雪ちゃんと一緒に執務室を後にした提督。

 

「…ふふ、さて果たして彼らにこれからどのような結末が待っているのか……(眼鏡くいっ)」

 

…やっぱりどう見てもガリb

 

「がり勉じゃねぇっつってんだるおおお!!!?!」

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

艦隊これくしょん

 

―2017年 夏イベント―

 

「西方再打通! 欧州救援作戦」

 

 

運河を超え、その先の地中海「欧州」へ

 

激化する深海棲艦群との戦いに、終止符は打たれるのか…。

 

そして、その先で待っているのは、束の間の平穏か、それとも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

「…」

『「総督」…ソロソロ………?』

「…ああ、行こうか。」

 

 

 

 

―wait till next e1!




〇宿毛泊地メモver.3(過去に出演した艦娘、人物は割愛)

〇徳田
運営鎮守府より派遣された「定期従軍医」(要するに旅するお医者さん)。
正規の軍人であり、各地の艦娘や深海棲艦(こちらは非公式)の健康検査や治療にあたっている。
しかし一方でその経歴は謎で、彼が何のために深海棲艦を治すのか分からない。
キザな性格で、甘いルックスと言葉で女性を口説こうとするが、あっけらかんとした性格が多い艦娘や、そもそもどうゆう意味か理解できない深海の姫たちに軽くあしらわれている。

眼鏡をかけている=がり勉と思われるのを嫌がる(イメージ的にイヤらしい)。


―艦娘の一言―(吹雪)

「今回は長いので、皆さん慎重に行きましょう! …できれば甲勲章も?」


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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-1

今回のお話は、投稿の間隔は長くなる予定です。

大規模だし、仕方ないね?


「西方再打通! 欧州救援作戦」

 

Next E1「再打通作戦発動 / リンガ泊地沖」

 

警戒隊を編成、リンガ泊地周辺の哨戒及び後方兵站線の安全を確保、西方再打通作戦準備を実施せよ!

 

 

警戒隊、抜錨!

 

 

 

…さて、とうとうやって参りました。夏イベ。

 

今回は、全7ステージを攻略していきます。…7ステージ、多いです。

 

冬イベの約2倍ですから、難易度も資材消費も「それなり」でしょうねぇ? …「提督」の皆さん、ちゃんと資材貯めました?

 

…あ、「夏イベ予想編」を見て下さった皆さんに、少しだけ訂正を?

当方、今回の作戦は「何かしらのモチーフがある(通商破壊作戦主体?)作戦」と思っていました。

ですがどうも、今回は完全な「IF」の話のようです(艦これwiki参照)…まあ、紺碧の何某みたいに、歴史変えちゃったみたいな感じなんでしょうねぇ? …この場を借りて訂正させていただきます。

 

では宿毛の提督さん? 早速いってみましょうか?

 

「おお! 任せちょき!」

「司令官! 今度こそ甲を目指してください! 出来ればオール甲で!」

 

いや〜吹雪ちゃん? 今回は諦めた方がいいかと…?

 

「夏イベ…大規模…防空……ウッ!? 頭がッ!!」

「あっ、そうですね…まぁ、ラストステージがあるからいいかな?」

「それはどうかネェ?」

 

吹雪ちゃん? そこは割り切っていきましょう?

 

「うう…わかりましたよぉ。」

「よっしゃ! …って言いたいけんど、問題があんのや?」

 

何ですか急に?

 

「いやぁ? 気合い入りすぎて…開始10分もしないに来てもうて?」

「ええ!?」

 

それってwiki等の情報が無い状態ってことです? …どうすんですか? ちょっとしたのならまだしも大規模イベですよ?

 

 

※大規模イベで最も警戒すべきなのは「札」の存在。ステージごとに出撃する度に札を貼られる(編成画面で確認できる)が、共通の作戦札以外の艦娘は他のステージに出撃不可である。

丙作戦だとその条件は外れるが、乙以上の難易度で挑む提督は、そこの兼ね合いも充分に考慮して艦娘を編成しなければならない。

 

…まあ、十分に情報が出揃ってからという提督が大半でしょうが?

 

 

「そうやにゃぁ? …やったら、こうかよ?」

 

 

○宿毛泊地水雷戦隊

 

神通(旗艦)

照月

時雨

ヴェールヌイ

夕立

綾波

 

おお! 中々バランスがいいですねぇ?

 

「ほうやろ? このメンツやったらどんな状況にも対応できるやろ!」

「駆逐四天王のみんなには、いつも助けられますねえ?」

 

駆逐四天王とは、時雨以下四人からなる、精強の駆逐艦娘たちのこと。

 

幸運の時雨

対潜のヴェル

狂犬夕立

ほんわか綾波

 

同時に古参勢にも数えられる彼女たちは、何年にも渡って宿毛泊地を支えてきました。

 

「あの、綾波ちゃんが、ツッコミどころ満載のあだ名に…?」

 

異論は認める(作者がいいの思い浮かばなかった。)

 

「よっしゃ! 早速(コンコン)…ん? 誰ぇ?」

 

「ガチャ)て〜とくぅ? 暇だからかまってぇ?」

「蒼龍(そうりゅう)さん!?」

 

こちらは蒼龍さん、はい、みんな大好き99爆乳の彼女です。

飛龍さんの相方として有名な彼女ですが、宿毛泊地では正規空母の「最古参」となります。

建造(ガチャみたいなもの)で配備された空母で、練度もそこそこ…我々のように、最初に蒼龍さんをお迎えした人も多いのでは?

 

「いや、蒼龍さん? 私はあなたに「前衛支援」をお願いしますって言いましたよね? なにやってるんですか!?」

 

支援艦隊…イベントには欠かせない要素です。

前衛支援とは、要するに道中の敵の梅雨払いをしてほしいということ。通称「道中」。まんまですね?

 

「あぁ? それは瑞鶴ちゃんに頼んでおいた〜。書類上は私になってるからだいじょ〜ぶぅ。」

「ちょ!? そんなのいいわけry」

「ok!(ズドンッ)」

「うわぁ〜やられたぁ〜。 …あ”ぁ〜ここ涼しいねぇ〜?」

 

どうやら涼みにきたみたいですねぇ?

 

「そうだよぉ? 外が暑すぎてやる気でなくってさぁ? 瑞鶴ちゃんもヒマだったみたいだしぃ、結果オーライでオーケーかなぁ? って。」

「司令官! 何かいって!?」

「わかるわぁ? オレもバイトしよった頃は、外でばぁ働きよったき、暑いのはホンマ嫌よにゃぁ?」

「さすが提督ぅ、話がわかりますねぇ?」

「お代官様ほどでは〜?」

 

「「いぇーい!!(パァン!)」」

 

「いぇいじゃない!? …はぁ、もう好きにして。」

「よっしゃ! んじゃ改めていってみるかよ! 神通!!」

『はい、提督。私たちはいつでも出撃可能です。』

 

そう答える神通さんは、涼やかな浴衣に身を包んでいます。そのまま艤装をつけている感じですねぇ?

 

これは期間限定のコスチュームですね? 他の子もちらほらと、水着だったり浴衣だったりを着ています。…あ〜ヴェルちゃん? その内実装されるだろうから?

 

「…」

「いいのかな? こんな格好で出撃なんて?」

「でもこのほうが楽しいですよ〜? ね? 夕立ちゃん?」

「ぽいっ!」

「いいなぁ〜、私も欲しいなあ?」

「照月ぃ、おめぇは対空をちゃあんとしろぃよぉ?」

「ふぁーい。」

「では皆さん? 参りましょうか?」

 

神通さんの合図で、意気揚々と出発した宿毛水雷戦隊。

 

前衛支援を受けながら、ボスマスまで前進していく…と?

 

「…」

「? 提督、神通さんが。(ボソボソ)」

『んん? どした神通??』

「えっ? いっいえ、なんでもありません。…すみません。」

『また自分は「道具」やとか思いゆうが? …そんなわけないき、お前はオレの大切な家族や。』

『司令官…』

「…なら、私は貴方にとって、なんですか?」

『えっ』

「家族という言葉では、もうこの火照りは鎮まりません。…だって、私は貴方を…」

『じ、じ神通さん!?』

『ひゅーひゅーぅ、愛の告白ぅ♪』

『茶化さないでください! 蒼龍さん!』

「…ふふ、冗談ですよ? ちょっとからかっただけです。婚約相手のいる手前、私も分を弁えています。」

「え!? じ、神通さん!!」

 

ぺぇ! おもしろくね! さっさと進みますよ!!

 

『ほれてまうやろおおおおお!!!』

『司令官はとりあえず空気読んでぇ!?』

「ふふっ」

 

 

 

 

…さて、いよいよ最初のボスマスですが?

 

「あいつやろにゃぁ? そのためにヴェルに対潜装備させちゅうがやき。」

 

…ふふ、実はわたし、彼女の悲鳴を聞くのがすきになりまして?

 

「おお、奇遇やにゃぁ? オレもよ! …さあて? 今日はどんな声で鳴いてくれるかにゃぁ?w」

 

「ぐふふふふ」ぐふふふふ

 

「素直に気持ち悪いですよ? 二人とも…」

 

では、念願のボスとご対面〜。

 

 

 

…………………………………………………

 

 

―敵艦隊 接敵―

 

クラス「姫」出現

 

 潜水艦

潜水「新」棲姫

 

『アナタタチハ…トオサナイ……カラ…』

 

「え”ぇぇぇぇぇえええ!!!?!」

 

Loliyyyyyy!?!?

 

『(ビクッ)』

 

「いやいやいや、可愛いよぉ!? 実際は嬉しいよお!!」

 

脳が蕩けるロリボイスですよぉ!?

 

「でも、何かヤだなぁ〜!?」でも、何かヤだなぁ〜!?

 

 

『……………(うるっ)』

「ああ! 泣かせたぁ!?」

 

あ~あ! また提督がやらかしましたねぇ?

 

「おいナレーターさん! また俺だけのせいにするつもりかや!? お前のせいでもあるやろ今回は!」

 

私は自分の感想を正直に言っただけですぅ~!

 

「なんやそれ!? この屁理屈こきがぁえい加減にせい!!」

 

はぁん!?## 常日頃から方々にケンカ売ってるアンタには言われたくねーですよお!!!###

 

「なんやつぉおーーー!?###」

 

『ウ……ヒッグ…』

「こら! 二人とも!! 他に言うことあるでしょ!!?」

 

「あ…えぇ…ごめんなぁ?」

 

す、すいません…

 

『……』

「お、オレらぁが大人げなかった! 許してちや!」

 

本当にごめんね? 何かお礼というか、できることある?

 

『…ジャア、一緒ニ遊ンデクレル?』

「うんうん、遊ぶ遊ぶ!」うんうん、遊ぶ遊ぶ!

『…ヤッタァ! イヒヒッ♪』

「可愛いですねぇ。…笑い方以外は。」

 

あれですねぇ? め〇がボックスの悪役の笑い方みたいですねぇ?

 

「デビルスマイル?」

「それはともかく、彼女には早々に「遊び疲れて」もらわないと!」

『アッソボ! アッソボ! イッショニアッソボ!!』

「仕方ありませんね? …各艦、突撃用意。行きましょう!」

「わかった! 行こう、夕立!」

「ぽーい!」

「綾波も参りますよぉ!」

「ハラショー」

「う〜ん? 潜水艦にこのメンツって、嫌な予感がするなぁ?」

 

…照月ちゃんの言うとおり、それはものの数分だった。

 

 

 

敗北 D

 

 

 

「ボロ負けやん」

「当たり前ですよ…」

「ん~? 潜水棲姫もぉ、手ごわい相手だったからなぁあ? 半端な装ぅ備じゃあ太刀打ちできねぇってかぁ?」

「も、申し訳ありません提督…この神通、一生の不覚…!」

「いやぁ? 俺がイカンかったがよ? 神通のせいやないき」

「そうですか…良かった。もし提督に見限られたら、切腹も辞さないところでした?」

「ハハハ、そんな…え、マジで?」

(神通さんって、時々真面目なのか天然なのか分からなくなるなぁ?)

 

ふぅむ? どうやら装備が整っていなかっただけではないみたいですよ?

 

「え?」

 

これ見てください

 

 

潜水新棲姫

耐久 377

火力 47

雷装 177(装備込み216)

装甲 47

先制雷撃 あり

 

比較 潜水棲姫

耐久 130

火力 70

雷装 155

装甲 73

先制雷撃 なし

 

 

 

こいつをどう思う?

 

「すごく…強いです」

「運営が殺しに来てるちゅうことがようわかる」

 

まあ、装甲(防御力)が紙なので、対策をしっかりすれば倒せないことはないです。

 

「具体的には?」

 

そうですね? …先制対潜はもちろん、航空戦艦でフェイズを2巡してもいいかもしれないですねぇ?

 

「お! 航戦使えるがや! やったら日向師匠に頼もうかよ?」

 

バンッ!

 

「呼ばれて飛び出た、私が日向師匠だ!」バーンッ!

 

遂に自分で言った!?

 

「師匠、その恰好まだしよったが?(瑞雲モードのこと)」

「うむ、瑞雲ハイランドのスタッフが譲ってくれてな? 今夏いっぱいまではこの盛装で瑞雲を布教できるというわけだ!」

「心なしか、口調もテンション高くなってるような…?」

「ははは! もう私に怖いものはないということだ!」

 

ま、まあこれで対策はばっちりでしょうね? 後は編成するだけです。

 

対潜番長の五十鈴「チラッチラッ」

 

「よし、次もよろしゅうな! 神通!」

「はい! 必ず挽回してみせます!」

 

「え」

 

 

 

…はい、というわけで、再編成はこちらになります。

 

○宿毛泊地水雷戦隊(再編)

 

神通(旗艦・先制対潜)

時雨

ヴェールヌイ(先制対潜)

潮(先制対潜)

龍驤

日向

 

ああ、また…

 

「え何?」

 

いえぇ? さあ早くいっきましょう!

 

「???」

 

※はい、またやらかしてます(ルートメンバー)

 

 

 

…………………………………………………

 

 

―敵艦隊 接t

 

『トオサナイッテイッタヨオォ!(デビルスマイル)』

「うわぁ、目が爛々としてます…;」

 

よっぽど遊びたかったんでしょうねぇ?

 

「はっはっは! よーしお姉さんが遊んであげよう! そのための瑞雲ガン積みだ!!」

「こっちもギラギラしてるよ…」

『ウワーイ! 早ク遊ボウ!!』

「よおし! …では行くぞ! お前も瑞雲にしてやろうか!!」

「それ某閣下のセリフ!? というか瑞雲にするって!!?」

 

では、いってみましょうか? …どうなることやら?

 

 

―敵艦隊発見、攻撃開始!―

 

 

まずは制空権を確保しましょう! 龍驤ちゃん、お願いします!

 

「よっしゃいったろか! 攻撃隊発進!!」

 

カチッカチッ…ブゥーン…ボガーン!

 

制空権 確保!

『ヌ”オ”オオオオッ!!?』

 

ん? 今どっかで聞いた声が…まあ、とりあえずこれで良いとして、問題はここから

 

「よし! 各艦、続いて対潜警戒! 爆雷投下用意!」

『!(チャプン)』

 

神通さんの号令を聞いて、海中に身を潜める新棲姫ちゃん

 

「よく狙って…今! 爆雷投下!」

 

先制対潜、孤を描いて海中に爆雷が投げ込まれる…!

 

「よし、せめてアレだけでも!」

「アレって「あの悲鳴」ですよね? …まだ諦めてなかったんですか」

「だってぇ(´・ω・`)」

「あ、アレ当たったんじゃない?」

「お!!」

 

『痛イ! …ヤ”メ”テヨ”ォ”!!!』

 

「ひぃ!? 何か違う!!?」

「よりヒステリックになってる…」

「まあしょうがないよ? ちっちゃい子が強いっていうパターンは、今に始まったことでもないし?」

「身も蓋もないですねぇ…」

 

まあ、蒼龍さんの言い分ももっともですが、対策もバッチリしていたおかげで、難なく倒せました。

 

 

勝利 S

 

 

「これが瑞雲の力だ!」

「瑞雲って何だろう…?(困惑)」

 

実際、師匠の力が大きいでしょうしねぇ?

 

『イヒヒヒャ! ア~楽シカッタ!』

「よかったですね? またやりましょうね?」

「神通さん…やる気満々だね;」

『ウン! マタ遊ボウ! 「待ッテル」カラネ!』

「はい、また…え?」

「おいおい、こいちゃあ…」

「今、「待ってる」って!」

「絶対言ったよねぇ!? また出てくるってこと!!?」

『ジャアネ! イヒヒヒャハハハァ…!』

 

そう言うと、海中に潜り何処へと行ってしまった新棲姫ちゃん。

 

「…はぁ、まあしゃぁないか! 出てきたらその時はそのときやし?」

「そうですね? …できるだけ会いたくはありませんが」

「かくして私たちは、果てしない航路、その一歩を踏み出したのだった…それはソレで、対空見張りは厳として、よろしくね★」

「蒼龍さん、ここにきて唐突なキャラ付けはやめてください…」

 

一抹の不安を残しながら、何とかE―1をクリアした提督たち。さて、これからどういう展開になるのか…

 

それにしても、「潜水棲姫」ちゃんはどこにいっちゃったんでしょうねぇ?

 

…まあ、いいか?




〇宿毛泊地メモver.3

〇蒼龍
南雲機動部隊、二航戦の緑の方。
一応正規空母としては最古参だが、その態度や言動は女子大の学生と変わらない。
相方の飛龍や、他の空母に比べて戦果に乏しいこと、影が薄いことを気にしている。
99爆乳で、USUI本では大人気だよ★

「ちょっと青葉、少し頭冷やそうか?」「ヒィ!」

〇夕立
白露型駆逐艦、時雨の妹。
かつては「ソロモンの悪夢」と称されるほど勇猛果敢な「駆逐艦という名の何か」。
…「ポイ」としか言ってない気がする、きっとポイしか言わないんだ。きっとそう。

〇綾波
綾波型駆逐艦の一番艦。その名前はとあるロボットアニメのヒロインの元ネタになった。
かつては「鬼神」と称された勇猛果敢n…とりあえず「ほんわかしてる」って認識でおk

〇五十鈴
五十鈴は添えるだけ。

〇龍驤
軽空母一の実力者。…誰だ「エセ関西人」っつったの。

「まな板ちゃうんか~い! いや誰がまな板やねーん!!」「ノリ突っ込み!?」

―艦娘の一言―(神通)

「道具であった私を変えてくれたのは、貴方…そんな貴方をお慕いしているというのは、本当ですよ?」


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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-2

話が長くなってしまった…今回は少し読みづらいかも知れません、申し訳ありません。

…それから、某作品のファンの皆様へ


『本当に申し訳ない。』


ではどうぞ。


「西方再打通! 欧州救援作戦」

 

 next E2「リランカを越えて/カレー洋・リランカ島沖」

 

 有力な西方部隊を編成、同作戦部隊を以てリランカ港湾部に拠る敵戦力を撃滅、西方方面へ進撃開始せよ!

 

 

 

 

 さて、e2、通常海域でもお馴染みの「リランカ島」ですね?

 この海域ではどのような戦いが起こるのか…では早速艦隊の編成内容をば

 

 

 

 〇西方作戦部隊

 

 磯風(旗艦)

 吹雪

 霧島

 雲龍

 阿賀野

 瑞鳳

 

 

 

 となっております。

 

「ふ、この磯風が旗艦か…司令も分かっているじゃないか?」ドヤァ

「いやぁ? 磯風は「改二」ってわけでもないし、何か心配でにゃぁ?」

 

 旗艦とは、艦隊の要を担うことになるので、大破などしたら即時撤退を余儀なくされます。

 そのため艦隊の随伴艦は、旗艦を身を挺して守るという暗黙の了解…まあ、ぶっちゃけシステム上の都合ですね?

 そのシステムを利用して、旗艦には装甲の心許ない艦娘、又は駆逐艦を据える人が多いようです。

 

「むぅ…まあいいだろう、では行ってくるぞ?」

「おう! 気ぃつけてな、磯風?」

「案ずるな、吹雪もいるのだ、大丈夫さ?」

「え、私?」

「ふっ、当たり前だ。私と吹雪はズッ友だからな!」

「いや意味がわからないんだけど!?」

 

 私の記憶違いでなければ、吹雪ちゃんと磯風ちゃんには史実的絡みはなかったはずですが?

 

「そうだとしても、わたしたちは同じ屋根の下、同じ釜の飯を食べた仲じゃないか?」

「そうだけと、浜風ちゃん(磯風の相棒)は?」

「浜風? 知らないコですね?」

 

 マシュ風「…」

 

「いやいや磯風よ? 今のはいかんぞ! 百合百合しいカップルで癒されゆう人らぁもおるがやき。」

 

 いやそもそもこの泊地が全体的に変というか…?

 

「とにかく、だ? 私たちに任せておけばいい。では行こう、吹雪?」

 

 ずいぶん気に入られましたねぇ? 吹雪ちゃん?

 

「うーん…嬉しいような、嫌な予感がするような?」

「素直に好意として、受け取っちゃりや?」

「そうだぞ、親友?」

 

 バンッ!(ドアの開く音)

 

 

「吹雪ちゃんは私のものよっ! このドロボウ猫っ!!」バァーン!

 

 

「…照月ちゃん、ややこしくなるから、とりあえず帰って?」

 

 はい、そんなこんなで、艦隊は一路ボスマスへ〜

 

 

 

 

 

 

 

「さあ皆さん! もうすぐボスにたどり着けますよ?」

 

 そう言って磯風ちゃんに変わり先導するのは、榛名さんと同じく金剛型の戦艦「霧島」さんです。

 知的に眼鏡をかけ、艦隊の頭脳派を主張していますが、その史実は例えるなら「不良の喧嘩特攻伝説」といった具合で…ついたあだ名が「マイクチェックネキ」、恐いですねぇ?

 

「そんなことありません! …何処ぞの2次創作では、メンチ切ったり、随一の武闘派だったり、素手で敵と殴りあったりしてると思いますが、私は! 断じて武闘派ではなく頭脳派です!!」

「自分で言うと信憑性が薄れますよ…?」

「大丈夫です! 私の計算では、閲覧者さんたちの「俺たち分かってるよ度」は100%です! 間違いありません!」

「どっから出てくるんですか、その自信…」

 

「」ドヤァ

 

「磯風ちゃん、「自信と言えば私だろ?」的な無言のドヤ顔やめて!?」

「さすが、フブキ、マイ、フレンド。だな?」

「さっきからなんなの!?」

「まぁまぁみんな? 怒ってばかりじゃお腹空くでしょ?」

 

 そういうのはくちk…ん”ん! 軽空母「瑞鳳」ちゃんです。

 怒ってるのは吹雪ちゃんだけだと思いますが?

 

「ちょっと!?」

「まぁ〜まぁ? ちょっとタマゴサンド作って来たんだけど…」

 

 

 たべりゅ?

 

 

 

 たべりゅううううううう!!!

 

 

 

「食べりゅー!」

「食べりゅう♪」

『司令官何言ってるんですか…蒼龍さんまで』

「たべりゅううううううううぅぅう↑!!」

『ちょ!? 徳田先生! 何やってんですか!?』

「いえね? 吹雪ちゃんが居ないからと、レディにやましいことしかねない人がいるので見張りをと?」

「いやん❤︎」

「そぉんな、するわけないちやそんなkぐへへへぇ」

『あ、それはそれは。お疲れさまでえす。』

 

 と言う訳で、瑞鳳ちゃんのTGSを食べ、ボスマスへ目指す一行

 

 …そこで待っていたのは

 

 

 ―ヒュォォオオオ(風音)

 

 そこにいるのは重巡ネ級…「ではない」

 

 鋭いアイ

「艦 殺」のマスク

「ドーモ=艦娘ノミナサン、ネ級デス。」と完璧なアイサツ

 腕を組み、サイレントに佇むその姿は「マサニ=ニンジャ」なのだ!

 

「私が言うのもなんですけど、適当過ぎません!?」

 

 しょうがないですよ、作者は原作を読んでないんですから。

 

 ※アニメはちょろっと見たのですが…ごめんね★

 

『つまり、カンムススレイヤーネ級っちゅうこと?』

「そのようですね?」

『……ス』

「ん?」

『コロス…貴様ラ、マトメテ、ミナコロスベシ……』

「アイエエ!? ナンデ!!? ミナゴロシナンデ!!!?」

『貴様ラガ…「艦娘」ダカラダ!(cv森川)』

「ふっ! 相手にとって不足なし、だ! ではいk」

 

『俺モイルゾォォオオ! 艦娘ドモォ!!』

 

「げぇ!? ヌ級!!?」

『コノ作戦デ「俺タチ」ハッ! 大量生産サレ、イクツモノ海域デッ!! 貴様ラヲ妨害スルノダァ!!!』

「え”ぇえーーっ!?」

『ありゃぁ、本気で殺しにきよるにゃぁ?』

『コンナコトニナッタ俺ヲ可哀ソウト思ウナヨォ? 俺ノ体ハァァアアアーッ!! 我ガ深海群ノ最高知能ノ結晶デアリ誇リデアルゥゥゥ!!』

 

 普通に殺意しか湧かないんですが…あ、e1の叫び声はそういう?

 

「なるほどな…だが、私と吹雪の相手ではないな!」ドヤァ

「磯風ちゃん、こんな時に何言ってんの!?」

 

 とにかく相手の力は未知数です! 気を付けてください!!

 

「おっしゃ! いってみようかよ!」

 

 

 

 

 ―敵艦隊発見、攻撃開始!―

 

 航空フェイズ

 

「よし! 雲龍さん! 一緒に行こう?」

「いいわ、第一次攻撃隊…」

 

 発艦始め!

 

 号令と共に、艦載機が飛翔する…とここで驚きの光景が!?

 

『艦娘沈ムベジ…慈悲ハナイ!』

 

 ピシュンッと飛び上がるネ級!

 

『イヤーーーーッ!』

 

 シュパッ! 手裏剣の如く投げつけたのは…!?

 

「えっ!? 深海艦載機!!?」

『お? 重巡もアレ飛ばせたが?』

 

 そんなわけないでしょう…アレが重巡に搭載可能って、本気で深海側の技術は進化してますねぇ?

 

「ホントだねぇ?」

「って瑞鳳さん! 前まえぇ!?」

「え? …ちょ!? はやっ……!!」

 

 グワーーーーッ!?

 

「ずいほーさああああん!?」

『イヤーッ!』

「ぐわぁー★」

『イヤーーッ!』

「ぐわー」

『イヤーーーッ!』

「ふっ馬鹿め! 既に計算づk…ぐわああああ!?」

「霧島さん!? 全然口だけだこの人!!?」

 

 吹雪ちゃんと磯風ちゃん以外中大破が続出…いやこれ強すぎません?

 

「うーん、狙ってほしくない所を的確に狙ってきよる」

 

 正に「汚いな流石忍者汚い」ですねぇ?

 

「よし吹雪、私が囮になる。お前が夜戦で砲撃を…」

「何言ってんの!? 霧島さんたちがやられちゃってるんだよ! もう撤退案件だよぅ!!?」

「何をいうか! それでもお前は宿毛泊地の秘書艦か!!」

「宿毛泊地の秘書だから言ってるんですぅ!!」

「ええい、相手は一隊だぞ! 私たちなr」

 

 パチンッ

 

「「え?」」

 

 ズゾゾゾゾゾ…(海から何か出てくる音)

 

 

 第二艦隊のみなさん『■■■■■■■■■■■―――! 』

 

 

 

 

 

 慈 悲 ハ ナ シ

 

 

 

 

 

 あやべっ

 

「撤退いぃぃぃいいい!!!!!」

「テメーオラァ! ナンダコラァ!! スッゾコラ”ア”ァ!!!」

「霧島さん素が!? 素が出てますって!!?」

「はいはい、早く来なさい(むんず)」

「ハナセオラァ! コ〇スゾゴルァア!!!」

 

 雲龍さんに引っ張られていく霧島さん。

 敵があまりにも強すぎるため、一時撤退してきた吹雪ちゃん達。宿毛泊地に戻り対策を協議することにしましたが…?

 

 

 

「いやぁ、敵さんがあそこまでやるとはにゃぁ?」

 

 まさか連合で来るとは、想定外でしたねぇ?

 

「何か対策を立てないと、だよね? いそk」

 

 ムッスーッ

 

「…;」

「イソ、お前えい加減にせえよ? あの場の吹雪の判断は正しかったやろ?」

「…そうだな? 私にとっても予想外だったから、とやかくは言わんが」

「?」

「私は、吹雪の他の駆逐艦にはない「もの」を頼りにしていた。それならばあの場を逆転できると思うほどに」

「それってなぁに?」

 

 蒼龍さんが問いかけると、気恥ずかしそうに顔を下に向ける磯風ちゃん

 

「まあ、努力というか、ど根性というか…そういった底力がお前にはあると思っている。私には無い力だ」

「磯風ちゃん…」

「…ほうやにゃ? コイツにはそれしかない位やにゃぁ?」

「うん、吹雪ちゃんは凄いよ? …私なんかよりずっと、ね?」

「そんな、蒼龍さんまで…」

「吹雪さん? 貴女は自身を過小評価する傾向にあります。それは客観的に物事が見れていないし、何よりも貴女を信頼してくれている、仲間たちの期待も裏切ってしまっているんですよ?」

「徳田先生…」

「もっと自分を、自分の仲間たちを信用してあげなさい?」

「…磯風ちゃん、ごめんね? あの時は、みんなを退避させなきゃってことで、頭がいっぱいで」

「いや、私こそお前の気持ちを汲まずに、すまなかった」

 

 そうですね…はい! 暗くなってしまうので、この辺で切り上げましょ!

 

「もう! ナレーターさんってば!!」

「でも実際、アレってどうしようもなくない?」

「ほうやにゃぁ?…弱体化ギミック的なのは?」

「ふむ、だが序盤も序盤だのに、そう都合よくあるものか?」

 

 …実は、そうでもないみたいですよ?

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・

 

 

 …と言う訳でやってきましたのは、とある小島。

 

「こんなとこに何があるんですか?」

「メンツも若干変わってるな?(阿賀野から葛城へ)」

 

 こうしないとたどり着けないようで…あ、見えましたよ!

 

「…あれ、あそこにいるのは…?」

 

 そこにいるのは、白のワンピースに、麦わら帽子の女性

 浜辺で砂のお城作りに勤しんでいる彼女は「港湾夏姫」さん…港湾さんの夏バージョン、ではなく全くの別人。

 その名の通り、夏の季節にしか現れないという珍しいお方。例えるなら「クリア後に出てくる伝説ポケモン」位レアです。

 

「その例えもどうなんですか…」

『…アラ? アナタタチ! イラッシャイ!』

「港湾夏姫さん!」

『おう、なっちゃん! 久しぶりやにゃぁ! 元気しちょったかよ?』

『エエ、オカゲサマデ! …私、ココデ砂イジリシテタンダケド、アナタタチハドウシテ?』

「えっと、実は…」

 

 吹雪ちゃんは、包み隠さずこれまでの経緯を説明する。

 

『ソッカ…大変ナンダネ? アナタタチ』

「そんな他人事みたいな…港湾夏姫さんは、この作戦には参加していないんですか?」

『? ウーン、ナンニモ聞イテナイシ、ソウナンジャナイ?』

「それは面妖な?」

『デモ、ソレダッタラアナタタチニ協力デキルワ! デショ?』

 

 港湾夏姫さんは、昨今の深海群の一部の協力的な姫の一人です。…え? 性格違う? では夏のお嬢さんと戦えと?

 

『私ガアナタタチノ「ショートカット」ヲ作ル。デイイカナ?』

「はい! お願いできますか?」

『モチロンヨ! ア、デモ砂ノオ城ガマダ…』

「そんなことか? なら私たちも手伝おう。駄賃代わりだ。」

『ホント? アリガトウ! 一緒ニ作リマショウ!』

 

 …こうして、港湾夏姫さんの協力を得て、一部ルートをショートカットに成功した吹雪ちゃんたち。

 これにより、燃料と弾薬に少しの余裕ができ、より高いパフォーマンスを発揮できるようになりました。

 

「関係ないけんど、ショートカットちぃどうやってやったがやろ?」

「あれですよ? ほら、その道に深海群の水雷隊がいるとして」

 

 ココデシズメテヤルワ! クラエ! クラエ!! クラエ!!!

 

『ドゴーン)グワーーーッ!?』

 

 ボディが! お留守だゼェ?

 

「…なんちぃ?」

 

 …すんません、聞き流してください。

 

「…と、こういう感じでしょうか?」

「それって、立派な反逆罪だよね? 大丈夫かな?」

「その辺はなんとも…」

 

 皆さん、そうこうしている間に、着いたみたいですよ?

 

「お? そっちはどうにゃ、吹雪?」

 

「はい、着いたんですけど…」

 

 吹雪ちゃんが見やったのは、敵連合艦隊、その第二艦隊旗艦。

 

『ニヤリ』

「何で「駆逐古姫」ちゃんが!? さっき居なかったよね!!?」

 

 彼女は昨今の敵連合艦隊のパターンの一つ「S勝利絶対取らせないウーマン」として、諸提督たちから煙たがられています。

 

『アンタタチニ慈悲ハナイッテウチノ旗艦ガ言ッテタ! キャハハ!!』

「う、うぜえ…」

「なに、我らの力を見せる絶好の機会…とは考えないか?」

「…そうだね? いこう! 磯風ちゃん! みんな!!」

「応ッ!」

「シャアオラア! ヤッテヤンヨオラア”!!」

「霧島さん、それもうただのヤンキー…」

 

 

 

 ―敵艦隊発見、攻撃開始!―

 

 

『何度デモ言オウ…「艦娘沈ムベシ! 慈悲ハナイ!!」』

 

 ピシュンッ

 

『イヤーーッ!』

 

 シュパパッ

 

「来たぞ吹雪!」

「分かってるよ!」

 

 吹雪ちゃんはネ級の艦載機に向かって、対空カットインを…ん?

 

 ―ヌウウゥッ

 

 ふ、吹雪ちゃん!? そ、それは…!

 

「…おる”あ”あ”あああっ!!!」

 

 ブォオン!!

 

 鉄槌フルスウィングがネ級艦載機にヒット! そのまま跳ね返した!!

 

『!? …イヤーーーッ!!』

「おる”あ”あ”!!」

『イヤーーーッ!!!』

「おる”あ”あ”!!!」

『イヤ”-----ッッ!!!』

「る”うううううお”お”お”らあ”あ”あ”あ”!!!!!」

 

 放っては打ち返しの連続ホームランです! すごい気迫ですねぇ、敵が怯んでますよ!!

 

『…ッ! ………ッッ!!?』

「! 今よ! 全艦載機! 発艦はじm」

『サアセルカアア艦娘ドモオオオ!! 貴様ラノ艤装ヲ! 鳥ノ羽ヲムシルヨウニ!! 1センチ四方ノクズ鉄ニ変エテクレルワアアッ!!!』

「磯風ちゃん!」

「応! させるものか!」

 

 今度は磯風ちゃん! ヌ級艦載機の前に立ちはだかる!

 

「どや顔バリアッ!!」

 

 ピキーン!! キンッキンッ

 

『ナニ”ィィィイイイ”ッ!!?!?』

「どうした! それで終わりか! 磯風の力はこんなものではないぞ?」

 

 今の自分たちの力の限りをぶつける正に「総力戦」! もう野暮なことは言いません! イケイケドンドンです!!

 

『チョット! アタシノコトヲ忘レンナ…ヨッ!!』

 

 あ”あっ!? 駆逐古姫ちゃんの魚雷が!?

 

「ふん”っ!」

 

 ズンッ! ヒュンヒュンッ

 

 え? 何ひゅんひゅんって…あ”!!? 霧島さんが! 魚雷が当たる直前に「足で踏んずけて」そのまま飛んできたのを「手に取った」!!?

 

 パシッ

 

「…お”い、いい加減舐めた真似はよせよ? な”あ”ぁ?」

『ヒィイイイイイイイ!?!?!?!?』

 

 これメンチ切るってレベルじゃないよ絶対!? 良い子は絶対想像しないように!!

 

「…返してやるよっ! お”らあ!!!」

 

 キィーーーーーン…ズゥゥゥンッ!!

 

 

 

『ウ ウ ボ オ ォ ア” ア” ア” ア” ア” ! !』

 

 

 

「…よし、一人減ったわね?」

「雲龍さんが平静すぎる! コワイ!!」

 

 奮戦の甲斐があり、見事に残りをネ級とヌ級に追い詰めた吹雪ちゃんたち!

 

『……グゥッ!!』

『ヌ”オオ…ヤハリ自爆装置ヲ作動サセルシカナイノカ…』

 

 後は夜戦を決めれば…

 

「よしっ! 夜戦…開始じゃ!!」

 

 ティン

 

我、夜戦に突入ス!

 

 ―視界は夜闇へと反転し、月の光が影を照らしていた。

 夜戦の号令と共に、磯風ちゃんが切り込む!

 

「今の磯風の「力」…舐めないでもらおうっ!」

 

 ズドォンッ!!

 

『ヌ”オオ!!! サラバダ! 忌々シイ艦娘ドモオオォオッ!!!』

 

 ヌ級、そのまましめやかに爆発四散! オタッシャデー!

 

「む、ネ級を狙ったつもりだったが…まあいい、あとは……?」

 

 磯風ちゃんは辺りを見渡すが…どこにもネ級が見当たらない。

 

「…どこにいった?」

「! 磯風ちゃん後ろ!!」

 

 瑞鳳ちゃんが叫び、磯風ちゃんは後ろを振り返った…!

 

『コレゾ、カゲイドーノ=ジツ!』

 

 なんと、ネ級は磯風の「影」に潜み、不意をつく機会を窺っていたのだ!

 

「なに!?」

『ハイクヲ詠メ…カイシャクシテヤル!』

 

 そのまま飛び上がり、磯風に止めを刺さんと今、カンムススレイヤーネ級が襲う! カラダニキヲツケテネ!

 

「くっ…!」

『イ”ヤ”---……ッ!』

 

 その時! 恐るべき速さで磯風の壁となり立ちはだかるのは「吹雪」! 殺戮者のエントリーだ!!

 

 

「い”い”いいかげんにしろやお”ら”あ”あああああああ!!!」

 

 

 ブゥオ”オン! グゥウオイ”イイイイインンン!!!

 

 

『グシャァ)ウ”ウ”ウウオ”ォォォオオオ!?!!』

 

 

 おおっとCV森川ァ! 吉良〇影のような呻き声を上げて、吹っ飛んだあ!!

 

 

「吹雪! すまん!」

「磯風ちゃん、大丈夫だった!?」

「ああ、だがお前ばかりにいい格好はさせないぞ?」

「え? それって…?」

 

 吹き飛ばされたネ級は、何とか立ち上がるが…

 

『ヴ…ウゥ』

 

「みせてやろう…どや顔バリアに続く、私の必殺技を!」

 

 そういうと、磯風ちゃんはおもむろに前に、そして

 

 シュイイイィィィイン…カシンッ

 

 …どっかで見たことある「剣」が、彼女の手に握られました。

 

「嫌な予感が…」

『コロ…ス………カン、ム…ス……コロ…』

 

 

 

 

 

 ――――束ねるは、無数のどや顔

 

 輝ける自信の顕れ…受けるが良い!

 

 

 天高く剣を掲げ、謎の詠唱を唱える…ってあるぇえ? これどっかで見たことあるぞぅ??

 

 

 

 

 

 ―約束された…勝利のどや顔( どや  カリバー)ーーーッ!!―

 

 

 

 

 

 バシュウゥゥゥ!!!

 

 

 

『………』

 

 …薄れゆく意識の中、彼女は自身の死期を悟った…だが、腹の底から湧き上がるのは、幸福にも似た感情だった。

 

 そして、そんな気持ちが芽生えた、彼女たちにむかって感謝を込め…

 

『サヨナラーッ!!!』

 

 アイサツをかわしながら、光の中へ消えていった………ポエット。

 

 

 

「色々台無しだよ!?」

 

 まあ何はともあれ、これにてe2はクリアとなります。オツカーレ!

 

「それ忍殺語じゃないから!?」

「吹雪」

 

 磯風ちゃんは吹雪ちゃんに近づくと、スッと手を挙げた

 

「…うん!」

 

 パンッ!

 

 そのままハイタッチ、青春ですねぇ。

 

「やはり私たちは最高のコンビ、だろ?」

「ふふ、そうだね♪」

『ちょっとぉ! 私のこと忘れないでよぉ~!?』

「忘れてないよ、照月ちゃん?」

「うむ、我らは「宿毛泊地3人娘」だな!」

 

 なるほど? ですが私としては「アニメの3人(吹雪、夕立、睦月)」も捨てがたいです。

 

「ああ~…でも、ここは宿毛泊地だし…?」

「いや…いいな? 二人を入れて「宿毛泊地5人娘」といくか?」

「いやいかないよ!? 私が疲れるだけだよそれ!!?」

『よ~し! 早速二人を呼んでこよーう!』

『ははは! えいやないか! にゃぁ吹雪?』

『そーそ! 賑やかでいいじゃない?』

「全然良くないですってばぁ!!」

 

 …これにてリランカの戦いは終了。さて、次はどのような激闘が繰り広げられるのか?

 

 とぅーびーこんていにゅーど、です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・

 

『…フゥ、コレデヨシ。』

 ???『オイ、何ヲシテル?』

『ア、シュウチャン! ヤッホ!』

 

 シュウちゃんこと集積地棲姫『ヤッホジャナイダロ…作戦ノ召集令ガ出テイタハズダガ…?』

 

『ヘ? ソウダッタノ?? …知ラナカッタ。』

『全ク、砂ノ城グライ帰ッテキテカラデモデキルダロ? サッサト来イ』

『分カッタ! …ンー、デモ吹雪チャンタチニ嘘ツイチャッタカナ?』

『別ニイインジャナイカ? アイツラトハ敵同士ナンダシ?』

『シュウチャン…ソンナ言イ方…悲シイヨ?』

『事実ヲ言ッテルダケナンダガ…マア、アソコハ居心地ガ良イコトハ否定シナイガ?』

『早ク終ワラセテ提督トゲーム勝負シナクチャネ?』

『ソレヲイウナ!? …ッタクアイツノ「カー〇ィ」強スギナンダヨ…ア”ァ! 泣カス! 今度コソボクノ「〇ンク」デ泣カス!!』

『フフフ♪…ジャイコッカ?』

『…アア』

 

 

 

 

『…コウシテ歩イテルト、恋人同士ミタイダネ?』

『ハアッ!? 馬鹿イウナ!!? …ッタク』

 

 




〇宿毛泊地メモver.3

〇霧島
艦隊の頭脳を自称するケンカ番長。榛名とは双子の姉と妹のような関係。
冷静になれば、本当は頭脳プレイできる子、でも手が先に出ちゃうの。

〇瑞鳳
卵料理好きなくちくk…軽空母。その悩殺たべりゅボイスで提督たちを食べりゅする。

食べりゅえばいいじゃない、人間だもの。

―艦娘の一言―(磯風、照月)

磯風「最高のパートナーとして、試作料理の味見をしてくれないか?」
照月「吹雪ちゃん! 逃げて!! 死ぬ気で走って!!!」



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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-3

もうすぐ夏イベ終わりますね?

皆さん最後までいけましたか? 私は…なんとかクリアできました。

最初に言います、「丙」です。(クリアを最優先しました)

今回もそんな感じでお願いします。ではどうぞ。


「西方再打通! 欧州救援作戦!」

 

next E3 「ステビア海の先へ/ステビア海」

 

大規模輸送部隊を編成、紅海方面への展開の橋頭堡となる拠点を設営せよ!

 

また、敵の反撃にも警戒されたし。

 

 

 

e3は輸送とボス戦闘(戦力)の2部構成…いわゆるダブルゲージ体制となっております。

 

輸送連合艦隊を編成し、欧州、地中海に向けた基地設営の物資等を運び、それからボス率いる敵連合艦隊と交戦。という流れになっております。

 

「また輸送かや…」

「こればっかりはしょうがないよ」

 

いえ、少し訂正を…この海域(ステージ)、というか全輸送作戦は、「輸送連合じゃなくても良い」ということらしいですよ?

 

「えぇ? 何それぇ??」

「つまり、水上部隊でも機動部隊でも攻略が可能ってこと?」

 

はい、輸送でやったほうが効率が良いのですが…人によっては強すぎる敵に対応するために、水上や機動を編成する人もいますよ?

 

「うーん、どれが正解ながやろ? wikiとか攻略動画とか見てもどっちつかずやし??」

 

自分のやりやすい「やり方」というのがあるでしょ? それをやればいいと思いますよ? あなた方の周りの先輩提督はこう言うはずですよ?

 

 

いや攻略方法にぃ、正解なんてなぁいと思うんですよぉうん。ってかそんなものがあったら、もう皆とっくにe3クリアs…え”っあ↑るの!? いやナイナイナイナイナイ!!!

 

 

「…それ言いたかっただけやろ。」

「まぁとにかく行くしかないよね? …で、何で「江風」ちゃんがここにいるの?」

「ン? いや、先生に頼まれてさあ〜、いつまでも持ち場を離れてもアレだしって?」

 

江風ちゃんがお留守番とは、珍しいですねぇ?

 

「それな…ここにいるヤツが慌ててか知らないけど、アタシをe1に出しやがったからヒマでさア?」

「いやいや、オマエもノってくれたやん!?」

「そりゃいきますっての、アタシは艦娘だからサ?」

 

アンタの自業自得でしょうねぇ? それは。

 

「ぐぬぬ、こっちはやまった思うたに、そんな言い方…」

「あのな、当たり前にポカするからこういう言い方になっちまうンだよ?」

「ぐはぁ正論!? うわぁん蒼龍う! カワがいじめる~!!」

「よしよし♪」

「あぁ!? 蒼龍さン! ソイツを甘やかすなっての!? 調子乗るから!!」

 

…さて、いつもの茶番はそこそこに、提督たちは欧州を目指す航海を続けるのだった…。

 

 

 

 

―輸送ゲージ編―

 

まずは輸送から。編成は…

 

 

 

〇ステビア輸送部隊(輸送連合)

 

・第一艦隊

コマンダン・テスト(旗艦)

睦月

如月

皐月

文月(not 改二)

三隈

 

・第二艦隊

阿武隈(旗艦)

那智

ポーラ

吹雪

磯風

 

と、こうなりました。…結局輸送連合なんですね?

 

「おう! やっぱサクッと終わらせたいやん?」

「そりゃそうだけど、大丈夫なのこれ?」

「編成も色々ツッコミたいけどサ、一番言いたいのは「何でコマさンなのさ」だよ?」

「いやぁ? レベル上げ?」

「おいおい…超がつく高難易度イベでナニ言ってンのコイツ。」

 

まあこの人ですし…それにしてもこんな序盤で海外艦、しかも欧州艦を2隻も使っていいんでしょうか?

 

「???」

「あちゃーやっぱり知らなかった…」

「このイベント、ルート固定とか特効とかで「欧州艦」が重要だってさ。」

「えぇマジでぇ? …まあえいやろ? なんとかなるちや!」

 

まあそういうとは思ってましたが…ちなみに欧州艦の概要は「イギリス、フランス、イタリア、ドイツの4か国の艦娘」からなっております。

 

「大丈夫だとしても、これボスまでたどり着けるの?」

「前衛支援を頼んじゅうき、心配せんでもえい!」

「え? 支援って誰がサ?」

 

 

 

 

・・・・・

 

輸送連合部隊、海上輸送中…。

 

 

ポーン ポーン

 

「敵艦隊、発見しまシタ。各艦は輸送物資の防衛に務めて下サイ。」

「はーいコマさん!」

「あたしぃ、改二になるまで練度上げるんだぁ! 司令官も楽しみにしてくれてるし!」

「トレヴィアン! いいですね? 私も頑張りマス!」

「んふふー! 一緒に頑張ろうね〜ぇ?」

 

『残念ナガラソレハデギンナアァ〜?』

 

「あっ! ヌっちゃんだ!」

「ヲっきゅんちゃんもいるぅー!」

『ヲッス!』

『貴様ラハココデ、コノヌ級トヲ級殿二! 倒サレテシマウカラダアアア! ブルゥアア”ーーッハーッハーーァ!!!』

『…ヲォ?』

『イヤ「ヲォ?」ジャナクテェ、チャント悪役シテ下サイヨ、ヲ級殿ォ?』

『ヲォヲォ?』

『ソンナ嵐ヲ呼ブ幼稚園児ミタイナ…;』

「私タチだけだと、どうしても不利デスね…?」

「よーし、こうなったらやっちゃうよ! 助けが来るまで避け切ってやる!!」

『余裕コイトル場合カアァァーーーッ!? 誰モ助ケナンゾ…』

 

 

― 支援艦隊が到着しました! ―

 

 

『ヌ”ウ”ッ!?』

 

デデンッ デンデデデ〜ン デデデ〜〜ン♪

 

『…ヲ?』

 

 

「その子らぁに手だしな。ウチが許さん。」

 

 

「加賀さんだぁ!」

「加賀さぁ~ん!」

『支援艦隊! フンッダカラドウシタアァァ!! 我々ヲ止メラレルナラ止メテ見ロオォッ!!!』

「夕立」

「ポイッ!」

『?』

「スッ(マイク)…取って……来い!」

 

ブォオン!!

 

「poipoipoipoipoipoipoipoipoi!」

 

『(パシッ)……ヲ?』

『ナンダソノ無様ナ走リハアァァ!! 犬ジャアルマイニ………ッ!!? コ、コレハ!? ウ、ヴオ”オオオオォォォオ!?!? ヤメロォ! 来ルナァァ!! ィヤメロオオオォォオオ!!!』

 

 

ブア”アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?

 

 

ちゅどーん

 

 

※不適切な表現が多数確認されましたので、描写を簡略化しました。ご了承ください。

 

 

『ヲウフ(シュー)』

『我ガ群ヨォ…永遠ナレエェ……(ガクッ)』

「ポイ! ヘッヘッヘッ」

「えい子やね?(ナデナデ)」

「助かったよ! 加賀さん!」

「メルシーポーク―。助かりました。」

「ウチらは気にせんと、はよいきや?」

「ポイポイッ!」

「ありがとうねぇ~?」

「…ところで、警戒隊(第二艦隊)は何しゆうが?」

「ああ、それは多分…」

 

 

 

「にゃはは~~~あぁ! 那智さぁん、もっと飲みましょう! もーっと!!」

「お前なぁ、こんな所で…いや、悪くないか?」

「良いわけないでショ!? もーう二人ともやめてぇ! 後で怒られるのアタシなんだからぁ~!!」

「…」

「どうする? 吹雪」

「逃げよう、二人とも」

「え? どうしてにげるn…はにゃ!? なんかとんできたぁーー!?」

 

ヒューーー………ズウウゥゥウウン!

 

「「「ぬわーーっ!?」」」

 

「加賀さんの航空爆撃(おしおき)…か?」

「…みんな、あんな大人になっちゃ駄目だよ?」

「わ、わかった…」

 

そんなこんなで、無事輸送を完遂した吹雪ちゃんたちは、待ち受ける敵の元へ向かうのでした。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

『ヨクゾココマデ来タ! 艦娘ドモ!!』

『ココマデノ快進撃! 敵ナガラ見事ナリ!!』

『ダカ! 貴様ラノ猛進モココマデヨ!!』

『ソウ、我ラハ…』

 

 

『『『『戦艦ル級! ウォール四姉妹!!!』』』』

 

 

「…」

 

『コノ先二進ミタケレバ、我々ヲ倒シテ進ムガヨイ』

『ダガ心セヨ! 我々ノ装甲ガ合ワサレバ、如何ナ攻撃、破壊ヲモッタトシテモ! 突破ハ不可能!!』

『ソウ、例エ大和型ノ主砲ダロウト!』

『潜水艦ノ魚雷カットインダロウト!』

『孫○空ノ龍拳ダロウト!! 我ラニ防ゲヌモノナドナイ!!!』

「…」

『ドウシタ? 怖気ヅイテ言葉モ出ナイカ!』

『ハハハ!! ダガ貴様ラニハ、モウトウニ逃ゲ場ナドナイワ!』

『サア、砲ヲ構エヨ! 艦娘タチヨ!!』

『果タシテ貴様ラハ、ドコマデ我ラニ傷ヲツケルコトガデキr』

 

約束された謂わゆる尺巻き(話がながいよカリバァー)ー!!

 

バシゥウウウ!!

 

『『『『ギャアアアアアア!?!??!!!』』』』

 

溢れ出るかませ臭。知ってた。

 

「だからぁ磯風ちゃん、無慈悲…」

「なに! 気にすることはない!」ドヤァ

 

まあ、原作(というかfgo)でもこんな感じでぶっ放してましたし?

 

不良息子との絶縁(もはや勘当だよカリバー)は、秀逸やった…」

 

さて、これで終わり…でしたっけ?

 

「いや、まだや。…吹雪、準備はえいか?」

『モチロンです! 編成も装備も、全て準備万端ですとも!』

「よぉし…オマエらぁ! 丸太は持ったか!?」

 

全員「イエーーーーーーーイ!!!!!!」

 

「よっしゃああいくぜえええええ!!!」

 

ええ…一体何が始まるんです?

 

???「大惨事大戦だ!」

 

 

 

 

―戦力ゲージ編―

 

いよいよ戦力ゲージボス、ですか…提督たちのことが気になりますが、行ってみましょう!

 

とここで、ボスまでのルートを最短で行くことができる「ルート固定艦」の紹介をしましょう。

 

それは当時の「インド洋作戦(セイロン沖海戦)」に参加した艦艇、その数30隻以上(艦これ実装済みの艦)の中から七隻以上艦隊に加えるというもの。

その艦娘は…各自ググって、ね?(由良さん感)

 

それを踏まえた艦隊編成は…

 

 

〇ステビア「カチコミ」部隊(空母機動部隊)

 

雲龍

葛城

霧島(史実)

瑞鳳

最上(史実)

三隈(史実)

 

阿武隈(史実)

那智

吹雪(史実)

磯風(史実)

鳥海(史実)

木曾

 

 

…カチコミって、嫌な予感しかないんだけど…;

 

さて、鬼気とした表情のまま、艦隊はボスマスへと向かっていきました。

 

 

 

…………………………………………………

 

 

―敵艦隊 接敵―

 

クラス「姫」出現

 

 

 重巡洋艦

重 巡 夏 姫

 

 

『ぢゅううううううう~』

 

…ああ、バカンスしてますねぇ。そういうことですか?

 

『ップハ……♪』

 

………………ド……ドド…ド

 

『…?』

 

ドドドドドドドドドドドドドド

 

―海が揺れていた。

 

まるで、彼女たちの怒りに呼応するように

 

それは憤慨の行進…成功した者への侵攻である。

 

『ーーーーーッ!?』

 

姫は只、震えるしか無かった。

 

それまでの脅威とは比べ物にならない…恐怖、いや絶望が今正に目の前に迫っていた!!

 

『う”おおおおおっ!! 一人だけ休んでんじゃねえええ!!! このリア充があああああああああああ!!!!』

 

社畜提督、心からの叫びであった。

 

『ヴェアアアアア↑!?』

「バカンス棲姫許すまじ! 慈悲はありません!!」

「ドーモ=バカンスサン。ウンリューデス。」

『ヴェアアア↑!? ナンデ? ウンリューナンデ!?』

「稼働全機、発艦始め。」

 

カチッカチッ ヒュー…ボガーン!!

 

『ヴェアアアアア↑!?』

 

うわあ容赦ねぇ…あっ次は決戦支援だそうです〜

 

『ヴェ!?』

 

※決戦支援とは、支援艦隊の一つで、こちらは「ボスマス支援専用」。

道中で大破撤退などしたら無駄になることが多いので、資源への注意が必要。その代わり旗艦がキラキラ状態なら必ず来てくれる(道中はその限りではない。)

 

諸提督、もちろん作者もお世話になりました。

 

 

 

― 支援艦隊が到着しました! ―

 

飛龍「よおーし! いくぞぉ!! …と思ったけど、蒼龍が居ないと調子出ないなぁ? うーん、瑞鶴、何とかして?」

「はいっ! じゃ蒼龍さんのマネしまーす! …んんっ!「行くよぉ!二航戦攻撃隊、発艦はじめっ!」」

『ちょっと瑞鶴ちゃん! それ私なの!?』

「あはい? 似てませんでした?」

『やだぁ〜超似てるぅ〜〜!! ウケるぅ〜!w』

「「wwwww」」

「ええい! 真面目にやりなさいこの女子大生ども!!」

「はーい! んじゃ発艦しまーす!」

「はっか〜ん。」

 

カチッカチッ ヒュー…ボガァーン!!

 

『ヴェアアアアア↑!? ナンデタタカレテルノ??』

「うるへー! 自分の胸に手を当ててみぃ!!」

『スッ…』

「…」

『ワカンナイ★(テヘペロ)』

「やっちめえええええ!!!」

「第一次攻撃隊、発艦始め。」

 

カチッカチッ ヒュー…ボギュグワァーーーン!

 

『ヴ ェ ア ア ア ア ア !?』

 

その日、その海域は核の炎に包まれた。

 

「あ〜アレだね? 空気よめてないヤツが、周りが忙しい時に急に休み出すってやつだねぇ?」

「あー、それやめてほしいよねぇ?」

『アンタもだよ! 蒼龍さん!?』

「テヘッ★」

 

こうして、これでもかと敵を焼き尽くした艦隊は、欧州への航路を急ぐのだった。

 

 

 

 

・・・・・

 

所変わり、ここは艦娘医療室(徳田先生のいる保健室)

 

「さて、これでよし。…かすり傷以外はどこも悪いところは見当たりませんでした。大丈夫ですよ?」

「ありがとう! 先生!」

「よかったねぇ〜? 皐月ちゃん?」

「うん! んじゃあ戻るよ! またね先生!」

「ばいばぁい♪」

「はい、気をつけて? …ふう」

 

「…随分とご多忙のようだな?」

「おや? いらっしゃるのなら声をかけてください、気づきませんでした?」

「嘘つけ、尾行してるのも察知していたんだろ?」

「さて? …それで今日はどのようなご用件で? ガングートさん?」

「別に、用というほどではない。…ただ」

「ただ? 何です?」

「…お前に対して、少し警戒をし過ぎていたようだ。それを断りにきた。」

「おや? 私の魅力に惹かれましたか?」

「違う、茶化すな。…先ほどの会話を聞かせてもらった。」

 

もっと自分を、自分の仲間を…信用してあげなさい?

 

「…ああ? それで?」

「あれがお前の本心か、それはわからんが…少なくとも欺瞞ではないと感じた。」

「だから謝りにきた…と? …っふふ、ふはは!」

「笑うな!? 人がない誠意を込めてるというのに!」

「ははっ、すみません…お気持ちは嬉しいですが、それこそ欺瞞ですよ? あの場はああ言った方が良いと思っただけですよ?」

「…そうか」

「疑っているのでしょうね? 私を…「あそこ」にいた私を」

「やはり…気づいていたか?」

「ええまあ…でも私には、もうどうでもいいことなのです。…貴女にも興味はありません。」

「そう…か」

「ご用件は以上ですか? …結構、ではお引取りを? 私も少々忙しいので。」

「ああ、邪魔したな? …ああ、それと」

「なんでしょう?」

「…彼らの信頼を、どうか裏切らないでやってほしい。アイツの信じているあの者たちを。」

 

それだけ言うと、ガングートは静かにその場を立ち去った。

 

「…ふっ、全く。信頼を裏切る、なんて…」

 

何もない空間を見つめながら、彼は言う…言ってのける。

 

「そも「信頼」とは、双方の信用があって初めて成り立つもの…なら私は違う。」

 

私は…誰も「信用していない」、のだから…

 

全てが虚無であると悟ったように、男はそれだけ言うと、悲しげに空(うえ)を見つめるのだった。




〇宿毛泊地メモver.3

〇コマンダン・テスト
コマさん。フランスの水上機母艦。
当初は日本語がたどたどしかったが、現在は上手く話せるようになった。
日向から瑞雲教に誘われているが、嬉しい反面どうしようか悩んでいる。

妖怪? そりゃ別のヤツだ。

〇皐月
ロリ少女軍団「睦月型駆逐艦」の一人。一応古参勢。
史実でも仲の良かった「文月」と一緒に行動することが多い。

〇文月
睦月型の中でも「超絶カワイイ」少女。
その可愛さは、艦これ界隈でも最大派閥の「文月教」の教祖様に奉られるほど。

フミィィィィィィィ!!

〇飛龍
二航戦で蒼龍の相棒。
少し内気な蒼龍に比べ、勝気で前向き。
いつも一緒にいるためか、蒼龍がいないと「少しだけ」やる気を無くす。

〇ガングート
ロシアの戦艦。2017年春に配置される。
尊大な物言いだが、胸の内は仲間思いの麗人。
徳田先生について、何か知っているようだが…?

―艦娘の一言―(ガングート)

「いつか、真実を打ち明けるのか? …その時、お前は…」


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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-4 前編

皆さん、突然ですがここで残念なお知らせがあります。

それは……それ、は……


???「土下座してください…」


………


???「や”れ”ええええ!! 大〇田あ”あああ!!!」


グッ…ウッ………!(土下座しようとしている)

…敵深海群の姫の…可愛らしい…水着バージョン……

この回より…「通常バージョン」にして頂きたく……

期待してくださった皆様…誠に、まことにっ! …

申し訳…! ありませんでしたっ!!(血涙)

…ああ、全海域ギャグ路線だったら…良かったのに…

いやそれ誰得?


…はい、と言う訳でお気づきの方もいるでしょうが、毎度おなじみシリアスゾーン、シリアスゾーンでございます。

今回ギャグとシリアスの落差が激しいと思われます。ご注意を。



この作戦(はなし)…長いよ!(シリアスが)

それでは、どうぞ!


「西方再打通!欧州救援作戦!」

 

next E4「遥かなるスエズ/紅海」

 

紅海方面に長躯展開した基地航空隊の援護下で、紅海突入を敢行!

 

敵深海戦力を撃滅、要衝「スエズ運河」を確保せよ!

 

 

 

 

 

さて、e4もダブルゲージのようですが、ここでまたもや固定艦の紹介です。

 

それは、連合艦隊の内3隻を欧州艦で編成するというもので

 

それに加えて、戦艦+正規空母が合計3隻以下

 

かつ

 

戦艦+空母系(軽空母も)が合計4隻以下

 

を同時に満たさなければなりません(wiki参照)それを考えた結果…って、どうすんですか?

 

「うーん、ほうやにゃぁ?」

 

戻ってきた吹雪「最近は、バナーに描かれている人が作戦に関与している、というパターンが多いですが?」

 

ふむ、今回は…プリンツちゃん、ウォー様、アクィラさん、飛龍さん、蒼龍さん。となっています。

 

「あ〜マジかぁ」

 

まぁ、蒼龍さんたち以外はレア中のレア(ドロップ限定)なので、そこまで…

 

「いゃぁ? たかさん(アクィラ、鷹なので)はおるけんど、練度がないき、いかんにゃぁ思うて?」

 

いやいるの!?

 

「司令官って、掘る時間とかやる気がないだけで、そういった運とかは人並み以上ですよねぇ?」

「そうそう、いないいないって言ってたのに、いつの間にかいたとかざらだよね〜?」

 

…世界中の提督を敵に回しますよ? それ。

 

「んー…欧州艦やったら誰でもえいの?」

 

んまあ、そうですね?

 

「ほれやったら…吹雪、この子とあの子とその子呼んできてくれん?(艦娘在籍表を見せながら)」

「あ、はい。了解しました!」

 

吹雪ちゃんが誰かを呼びに出ていきました。…一体誰を?

 

「ほれは…(コンコン)お? 早いにゃぁ? 入ってえいよぉ」

 

カチャ コツコツ

 

「失礼する…アトミラール、出撃要請と聞いてきたのだが?」

 

え、その人もしかして…

 

「おう、「グラ子」やけど? …グラ子、悪いけんど出てもらえるかよ?」

「了解した。この「グラーフ・ツェッペリン」、貴艦隊の役に立ってみせよう。」

「おう、よろしゅうn」

 

ちょちょちょ、ちょーーっと待ってください!?

 

「…なんやのん?」

 

いや、アクィラさんは(言い方アレですが)まだ大丈夫にしても、グラーフさんはマズイですよ!?

 

「なんで?」

 

いやいや、未だにグラーフさん持ってない人いますし、ツ〇ッターでも「○○手に入りました」報告で中々上がらないお方ですよ! 大丈夫ですか? ヘイト集めてません!?

 

「そんなん言うたち、この作戦でもドロップするやろ? 確か欧州艦が手に入りやすいちぃ…」

 

いや場所が場所なだけにそんな…

 

「ようわからんけど、グラ子もウチの戦力として数えちゅうきにゃぁ?」

「そうそう(ドロップ)運も実力の内ってね?」

 

ヒイィ!? 今ので全世界の(グラーフ未所持)提督を怒らせた気がするぅ!!?

 

(…それ怒らせにいってるんじゃ?)

「まあこんなオレんとこにも来たき、皆ぁのとこにもひょっこり来るちや!」

「うむ、私も諸君らを応援させてもらおう…何の話かは知らないが?」

 

も、もうこの話は終わりましょう! …えっと、後は誰が?

 

コンコン)「司令官、残りのお二人を、その…お連れしました。」

「おう。入りや!」

 

カチャ

 

果たして吹雪ちゃんが連れてきた二人とは…?

 

 

 

 

 

・・・・・

 

〇「???」迎撃部隊(空母機動部隊)

 

・第一艦隊

ウォースパイト(旗艦)

ザラ(not 改二)

グラーフ

飛鷹

隼鷹

摩耶

 

・第二艦隊

妙高

朝潮

叢雲

矢矧

北上

プリンツ

 

 

今回の目的地、地中海(欧州)へ向かうには「スエズ運河」を渡らなければなりません。

 

その門番的な役割を果たしていたル級たちは倒しましたが…その海路である「紅海」開口付近に新たな敵連合艦隊が出現しました。

 

先ずはその艦隊を討ち果たし、それから運河の最奥にいるであろうボス艦隊と戦う…という流れとなっております。

 

「…」

「uh…」

「ガクブル×5(更に命の危険を感じてる顔)」

 

 

…いいですか?

 

「なぁに?」

 

お前バカかああああ!?

 

「ええ…何でよ?」

 

あの3人の居心地悪そうな顔見える!? 特にザラさんなんて、「蛇に睨まれたカエル」じゃねぇかぁ!!? さてはテメェ時報聞いてねぇな!?

 

「皆ぁえい子やき大丈夫ちや! あれやったらと思うてプリンも入れちゅうき?」

 

もうそうじゃねーって!? あぁすみません皆さん! 今すぐ戻しましょう? ね?

 

「いや、私はこのままでいい。」

 

グラーフさん!?

 

「ニホンにはこのような格言がある…「腹を割って話し合おう」と?」

「つまり、お互い素直な気持ちになれば、どんな人とも仲良くなれる! ということね? so great!素晴らしい言葉ね!」

「そうだろう? 私たちは、確かに国としてみれば仲はあまり良くないだろう。だが、それは過去の話。今はお互いに背中を預け合う仲間だ。」

「あの、グラーフさん? 私どちらかというと国というより…」

「ザラ、我々は因果の果てにこのニホンに辿り着いた。つまり、だ? 我々は最早ニホン人なのだ。何も恥ずべきことはない。」

「え、あぁ…え? う、ゔーん???」

 

…グラーフさんが一周回って境地に達している言動ですが、我々には計り知れない考えのようです?

 

「I see! 流石ねグラーフ! 私も早くjapaneseになれるように頑張るわ!」

「ああ、お互い頑張ろう。」

「モードーニデモナーレ★(投げ槍)」

 

えー、一応解決したのかなこれ?

 

「えいやんか? 昔はむかし、今はいま。ちゅうことよ? にゃぁ?」

 

「that's right!」「まさしくな?」「ワタシハニホジンワタシハニホジンワタシハニホジン」

 

なんかすっげー不安なんですが主に約一名。

 

…まあ、とにかく艦隊は敵艦隊を目前に捉えましたが…果たして?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………

 

―敵艦隊・接敵―

 

クラス「姫」出現…

 

 

 正規空母

空 母 棲 姫

 

 

「…お? くうさん??」

「はい、額に大きな傷があります。間違いなくくうさんです!」

「………?」

「ほうか〜しばらく姿見せんき、なんかあったがやないかと思いよったがよ?」

「ですね。って蒼龍さん? どうしました?」

「…っえ? いや、なんにも…(気のせいかなぁ?)」

 

「え? 今回くう姉相手なの? マジでぇ? おーいくう姉ー! またハシゴ酒しに行こうぜぇ?」

 

隼鷹さんが大きく手を振って合図しますが、彼女は黙ったままでした。

 

「…んー?」

「隼鷹? これから戦うんだからそういうのは後にしましょ?」

 

隼鷹さんのお姉さん「飛鷹」さんがたしなめます。

 

「いや、くう姉のやつ全然反応しないから?」

「アンタに愛想尽かしたんじゃない?」

「あ、この前割り勘って言って全額払わせたの、まだ根に持ってんのかなぁ?」

「全く何やってんのアンタは……?」

 

ふと、飛鷹さんが空を見上げる。すると血相が変わり

 

「! 隼鷹っ!!」

 

どんっ

 

「うぉ! ……ッ!?」

 

隼鷹さんのいた場所、その真上には「深海艦載機」が…!

 

「姉貴!」

 

備え付けられた爆弾が、飛鷹さんに標準を定める

 

『敵船直上…急降下ッ!!』

 

飛鷹さんにめがけて、無慈悲にも爆弾が!?

 

「させないぞ。…攻撃隊! 出撃!!」

 

グラーフさんの甲板より発進した攻撃機が深海機を破壊、迅速に爆弾投下を阻止しました!

 

ズウゥン!!

 

『…フン』

「解せんな…貴公はこのような姑息な真似をするモノでないと記憶していたが…?」

『…貴様ラガ「私」ヲ分カッテイナカッタ…ソウイウコトダロウ?』

「何…?」

『! やっぱり…気をつけて! その人もう私たちの知ってるくうさんじゃない!』

『えぇ!?』

『どういうことな?』

『洒落でいう訳じゃないけど…さっきっから「殺気」がだだ洩れてるっていうの? とにかく今のあの人は危険だよ!』

「姉貴、大丈夫か!?」

 

隼鷹さんが飛鷹さんに駆け寄りますが、彼女はただ一点を見つめていました。

 

「どうして…くうさん?」

『…私ガ言ウ言葉ハ、タダノ一言ダケ』

 

 

 

― ナンドデモ…ナンドデモ、シズンデイケ! ―

 

 

 

 

―敵艦発見!攻撃開始!―

 

 

 

空母棲姫の放った艦載機はどれもが凄まじい殺気に満ちていた…それこそ、あの初めて出会った日の…否、それ以上のものにさえ思えた。

グラーフたちは態勢を整えるべく、再び艦載機を宙へ上げる…!

 

「飛鷹! 隼鷹!!」

「あ、ああ…姉貴?」

「…ええ、行きましょう。」

 

三人は制空権を確保するべく真っ向から深海艦載機に挑む…が、そのどれもがそれを捉えることは叶わない。

 

じりじりと、押されているような感覚だったが、遂に包囲網を突破され艦隊に毒牙を向けた

 

『落チロ…!!』

 

だがその刹那、防空巡洋艦「摩耶」の対空砲火が炸裂!

 

「ぶっ殺されてぇか!!」の怒号と共に発射された弾道が、確実に敵艦載機を粉砕していく!

 

『ナラバ…』

 

くいっと指を上げる動作と共に、敵艦隊がその姿を現した。

 

第二、第一の艦体随伴艦が壁となり、彼女を撃破するのが困難となった。

 

「…all right. 仕方ないわね、後はお任せします。」

『承りました。この妙高と第二艦隊にお任せを』

 

ウォースパイトは、空母棲姫の殲滅…出来うるなら説得を、第二艦隊旗艦「妙高」とその随伴艦に任せる。

 

妙高は先ず、空母棲姫に呼びかけた。

 

「くうさん? くうさんなのですね?」

『…』

「なぜそのようになってしまったか、私には計り知れません…ですが、何か理由があってのことですよね?」

『…サアナ?』

「…よいのです。何も仰らなくても、我々の過ごした月日はこの程度では…」

『「絆」…「信頼」…「友情」…貴様ラノ好キソウナ言葉ダナ?』

「…?」

『ダガナ、ソンナモノハアル日突然裏切ラレルモノダ? …引キチギラレ、砕カレ、何モ残ラズ沈ンデイクノダ、ソウ…』

「! 妙高さん!!」

 

『貴様ラノヨウニナァッ!!!』

 

言うや否や神風の如く速く、艦載機を差し向ける空母棲姫。

だが、軽巡「矢矧」の迅速な対応により事なきを得た。

 

遠くの方で爆発音、深海艦載機の爆弾だろう…正に間一髪であった。

 

「矢矧さん、すみません。」

「いいえ、それより…もう話し合いは無意味。と判断しますが如何でしょう?」

 

冷静に状況を把握しようとしていたであろう矢矧、その彼女が「無意味」と言ったのだ…このまま行けば、やられるのは自分たちだ。

 

「…分かっています、ですが…」

『来ナイノカ? ナラバコチラカラ…イクゾ?』

 

不敵に笑う空母棲姫。

もう声は届かない…そう理解した妙高たちは、直ぐに彼女に向き直り、攻撃態勢を整える。

 

「致し方ありません…やりましょう、皆さん!」

「状況把握、行動に支障ありません…矢矧、行きます!」

『面白イ! ハアァァーーー!!』

 

空母棲姫の航空甲板より次々と飛び立っていく深海艦載機。

 

それらを確実に落としていく第二艦隊。

 

…その時、ほんの一瞬。

 

矢矧は、彼女の顔を覗き込む…お互いの視線が合うと

 

 

―ニッ

 

 

「! くうさ―」

 

矢矧の驚きの声は、海原に響き渡る爆音に掻き消される。

 

「皆さん! 魚雷発射を! お願いします!!」

 

砲撃が終わり、魚雷フェイズに入る…妙高が叫ぶと各々が魚雷発射の準備に入った。

 

「…くっ!」

 

矢矧は一瞬ためらうも、すぐさま魚雷の準備に入った。

 

「目標、前方の第二艦隊! 狙え! …今っ! 酸素魚雷一斉発射!!」

 

プシュー…と、文字通り音もなく乾いた空気音と共に魚雷は敵艦隊を貫く。

 

「■■■■■■■■■■----!?!?」

「敵第二艦隊、撃沈確認! …ウォースパイトさん!」

「Thank you myo-ko-! 行くわよ! Open fire!!」

 

旗艦の合図と共に、鉄火の連撃が敵第一艦隊に降り注ぐ…!

 

『ッ……!』

 

水柱と硝煙、轟音が目の前の景色を一変させる。

 

 

……静寂の後、晴れゆく煙の中から出てきたのは…空母棲姫。

 

 

第二艦隊、再び戦闘態勢…しかし。

 

スッ…

 

両手を上げ、降参の意を示す空母棲姫。

 

「何を…?」

 

妙高が前に出ようとするのを、行く手を塞ぐように腕を出す矢矧。

 

「矢矧さん…?」

「…」

 

艦隊の行動終了を見届けると、そのまま海中へ沈もうとする空母棲姫。

 

「待って! くうさん!!」

 

その時、矢矧は空母棲姫の唇の動きを見逃さなかった…何か伝えようとしている…

 

 

 

 

 

キ ヲ ツ ケ テ

 

ソ ノ サ キ ハ

 

    ダ

 

 

 

 

「…え? 何を…くうさん!!」

『くうさんっ! オレは、オマエの分の飯! 用意してまっちょるき、はよ帰ってきぃや!!』

『…(ニッ)』

 

まるで提督の言葉を聞き届けたかのように、彼女はその身を深い海の闇へと消した。

 

「くうさん…」

 

…ヒラッ

 

「…? (ピラッ)! こ、これは!?」

 

矢矧の元に降りた一枚の紙。

 

これが、艦隊をさらなる激戦に導くことになる…。

 

 

 

―To be continued―




〇宿毛泊地メモver.3

〇グラーフ・ツェッペリン
ドイツの正規空母(未成艦)
いわゆるクーデレで人気も高いが、ドロップ限定のため提督たち、阿鼻叫喚。
独創的な考えの持ち主であり、周りを振り回すこともしばしば…

〇ウォースパイト
イギリスの戦艦。通称「オールド・レディ」
非常に素直で、異国の地でも積極的に他者と交流を深めようとするが、何故か逃げられてしまうことが多い(史実考えたら仕方ない?)

〇ザラ
イタリア重巡。
今回トラウマ(ウォー様)と一緒に組まされた。スッゴクカワイソッ! な人

〇飛鷹&隼鷹
強力な軽空母姉妹。
提督やくうさんとよく飲みに出かけることが多い(主に隼鷹が)

〇妙高
妙高型四姉妹の長女。
真面目で誠実な性格。お酒をよく飲む那智を窘める場面も

吹っ飛ぶ姿が様になってるお方。

〇矢矧
阿賀野型軽巡三番艦。
高レア艦だが、それに見合った戦闘能力を持ち、陰ながら宿毛泊地を支えてきた。
冷静沈着に状況を見つめ、そこから突破口を開く。


―艦娘の一言―(矢矧)

「くうさん…どんなことがあっても、私たちは貴女を見捨てたりしないわ!」


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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-4 後編

ここから先は独自設定のオンパレードとなります。アレだと思ってもほくそ笑むでオナシャス!


※e4のギミックについて
様々な憶測が飛び交った中から作者は「作中の方法」でやり、クリアしました。
確証はないですが、少なくともダメージは通りやすくなったと感じました。
皆も試してみてね! …え? 遅すぎる? イベ終わった??


ごめんねごめんねぇ~~~!!!


ではどうぞ。


綺麗だと思った。

 

 

その髪

 

その顔立ち

 

その身体

 

 

艶やかな、それでいて純粋な

 

彼女の全てが 私には好意的に思えた。

 

 

 

 

…ああ、愚かだ。

 

私は愚かにも…愛してはいけないのに

 

愛してしまったのだ…彼女を

 

 

 

 

 

―”忌むべき存在”の彼女を

 

 

 

 

 

肌は灰色だ

 

目は虚ろだ

 

時折口から牙も見える。

 

正に「化け物」だ。

 

 

 

 

…それでも、そんな彼女が「愛おしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今にしてみれば、それが私の最初の罪だったのだろう…

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「ぐっ…なんという硬さだ!?」

 

口惜しむように長門が口にする。

 

目の前には、紅海最奥に佇む「戦艦」…敵艦隊旗艦が、疎ましそうに一行を睨みつけていた。

 

 

 

…………………………………………………

 

―敵艦隊・接敵―

 

クラス「姫」出現…

 

 

   戦艦

戦 艦 仏 棲 姫

 

 

 

『コナクテ……イイ…ノニ』

 

彼女がそう言うと、備えつけられた巨大な深海艤装が、うねうねと不規則に動きながら砲火を爆ぜた。

 

その脅威を退けたのは、長門の背後から軌跡を描きながら放たれた46cm三連装砲の弾丸。

 

その持ち主は、長門と同じあの日本の誇る大戦艦であった。

 

 

 

○スエズ運河決戦艦隊(水上打撃部隊)

 

第一艦隊

あきつ丸(旗艦)

長門

大和

ウォースパイト

ザラ

隼鷹

 

第二艦隊

矢矧(旗艦)

朝潮

叢雲

北上

妙高

プリンツ

 

 

 

「長門さん、お怪我は?」

「…ああ、助かった、大和」

 

唐傘を差し、優雅に振る舞う大和。

彼女こそ、かつての大日本帝国の真の切り札。

様々な、強力な深海の姫をその主砲で屠っていった正に「決戦兵器」。

 

「それにしても…噂以上ですね? あの「姫」の尋常じゃない硬さは…」

「ああ、今の私の主砲もヤツには届かなかった…」

 

そう、主力戦艦の長門、彼女にまさかの改二が実装されたのだ。

 

様々な用途が可能となり、戦闘能力も大幅に上がった…正に鬼に金棒、敵なしであった。

 

…だが、そんな彼女であっても、敵旗艦にかすり傷を付けることで精一杯だった。

 

まるで巨大なエスカルゴ(カタツムリ)のような深海艤装に跨り座る戦艦仏棲姫。その姿を捉えることは容易であったが、肝心の損傷(ダメージ)を誰一人与えられなかったのだ。

 

彼女の周りに展開する障壁は、従来の姫のものと一切の違いは見当たらなかった、のにだ。

 

人によっては、この窮地を無理矢理に力で押し通る提督もいるだろう…だが、それは持久戦を意味する。

 

泊地艦隊にはそんな時間は無かった…資材の問題ではない。仲間として迎えていた空母棲姫が、何らかの理由かは分からないが「殺意を漲らせた姿」となってしまった。

 

恐らく今回の目的地…欧州、地中海の何処かに彼女はいる。一刻も早く彼女を救出しなければならない…そのためには

 

『モウ…帰リナサイ……帰ッテヨ…』

 

戦艦仏棲姫…障害となる彼女を倒す必要があった。

 

…その鍵を握るのは

 

 

 

 

・・・・・

 

「紙ぃ? それがどうしたぁ?」

 

提督が不可思議そうに矢矧に訪ねた。

矢矧は自身の思うところを提督たちに伝えた。

 

『彼女が消えようとした一瞬、私には何かを伝えようとしていたように感じたわ…残念ながら、聞き取ることは出来なかったけど…』

「ほうか…」

『でもその後、この「紙」が上から降ってきたの。これは彼女のメッセージよ』

 

そう言うと矢矧は、紙に書かれた言葉を読み上げた。

 

『「ソレデモ進ムナラ「L」ヲ叩ケ」…だそうよ?』

「Lぅ? なんやそら??」

「何かの暗号でしょうか?」

 

提督と吹雪が話し合っていると、蒼龍がふと目に付いた「海域の地図」を指さした。

 

「ねぇ? 普通にあの「マスの目」のことじゃない?」

 

蒼龍の言っているのは、海域の深海艦隊予測邂逅ポイント。

 

アルファベットのAから順番にポイントごとに振られている、地図における記号のような役割を果たしている。(ボス「マス」とはこのこと)

 

この場合のLマスとは、スエズ運河への海路、紅海のちょうど中流…そこにはある深海の「姫」がいるとのこと。

 

「うーん…何が出るか分からんけど、くうさんが残してくれたもんやし、いってみるかよ!?」

「まだ彼女が残したと決まったわけでは…」

『いいえ、私も提督に賛成よ? …噂ではこの先の姫は、とんでもなく「硬い」らしいから』

「ギミック解除になるかもってこと? …ん? 硬い? 強いじゃなくて??」

『そう言われてるらしいけど、事実確認は出来ていないから何とも言えないわ?』

「おっしゃ! いっちょやってみるかよ!! …ってこの場合どうしたらえいのん?」

「ええ…」

『提督、私から意見具申させてもらっていいかしら?』

「お? なんや矢矧、えいアイデアがあんのや?」

『そうね…ちょっとルール違反になるかもだけど、この際細かいことはナシにしてくれるなら…?』

「おぉ? 真面目なオマエが珍しい……ん! えいよぉ! 責任はオレがとるき、やってみぃや!」

「し、司令官…;」

「泥船に乗った気分ってこういう感じなんだねぇ…?」

「人が真面目に話しゆうに、何やのん…」

 

こうして、矢矧の立案のより「ボスマス、Lマスを同時に叩く」作戦が開始された。

 

ボスはあきつ丸を旗艦とした、テンプレートな主力戦艦水上打撃部隊が組まれる…では「Lマス」は…?

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

ここは、紅海の中流…

 

付近の人里から離れた場所の岩陰に、静かに身を潜める一人の「姫」がいた。

 

『…サテ、ト…?』

 

彼女が手をかざすと、ホログラムが出現した。

 

そこには、何かの割合(%)が表示されていた…

 

『供給率80%…フム、悪クナイ』

 

彼女は満足そうに画面を見つめる。

その傍らに、スマートフォンでネットの情報を収集する。

 

『フゥン、e4ノギミックハe1トe2ヲ叩ケバ良イ…カ? フフンッ、ソレハドウカナァ?』

 

まるで嘲笑うような顔で、彼女…「集積地棲姫」は誰に対してでもなく呟いた。

何故、集積地はこのような場所に居るのか…それは彼女が「陸上型」であることが関係している。

 

そもそも陸上型の本質は(所謂、研究からの推測に過ぎないが)深海艦隊の「本拠地」として機能している。

 

単体の戦闘能力も凄まじい彼女たちだが、一旦海域の陸地や島に居を構えると、そこが深海群にとって城…「本殿」と化すのだ。

 

将は、兵が如何に強くとも守るべき「城」が無ければただの暴徒となる…艦娘や深海棲艦にとって守るべきものが「鎮守府」か「陸上型」かの違いになるだけ…

 

尤も、それに当てはまらない事象も数多くあるが、根拠はある。

 

それは、海域上の陸上型を倒せば、付近の深海棲艦(鬼、姫クラス含む)の戦闘力が著しく低下する…ということ。

 

加えて、陸上型は補給艦が運んだ物資等を「吸収」し、それを「蓄える」…そのエネルギーが海域の「核」となっている深海の姫に送られているのだとしたら…?

 

『マァ、コノママイケバ、充分時間ハ稼ゲルダロウ?』

 

集積地はそう言って、買ってきたのだと思われるハンバーガーを一口かじる。

 

『アムッ、ムグムグ…』

 

彼女が本殿であるか、果たしてそれは分からないが、彼女が戦艦仏棲姫に細工を施していることは明白であった。

 

『…ンー、イマイチダ。コノ前食ベタ宿毛ノサラトイウ女ガ作ッタヤツノガ一番美味カッタ…「本場ノ味」トイウノカ?』

 

集積地はそう言うと、寂しそうに空を見上げた。

 

『ハァ…』

 

ため息を一つ吐くと、遠くから聞き慣れた音が近づいて来るのが判った。

 

『来タカ…ソウカ』

 

少しだけ、和らいだ表情になると、集積地は海に身を乗り出しその足を海面に浮かべる。

 

揺蕩う水面に重心を預けると、そのまま待ち人の到来を待つ。

 

遠くの空からは、これも見慣れた「艦載機」が…

 

『ソロソロダト思ッテイタ…「加賀」』

 

艦載機の後に続くように、水面を滑りながら近づく人影。

 

「…やっぱり、アンタがそうなが?」

 

加賀と彼女の率いる「支援艦隊」は、集積地に近づくと核心を衝くように言った。

 

『サテ、ナ…? ボクヲ倒セバ、解ルンジャナイカ?』

「…はぁ、何でアンタらぁは、そうやって何にも話そうとせんが? イラつくち。」

 

頭を掻きながらぼやく加賀に対し、集積地は終始不敵な笑みを絶やさない…少し嬉しそうなのは気のせいか? と加賀は思った。

 

『ヤルコトハ同ジダ…ソウダロウ?』

「まあ、そうやね? …アンタら、準備はえい?」

「ポイッ!!」

「綾波、いつでも行けます!!」

 

駆逐艦二人の頼もしい言葉に頬を緩ませると、凛とした声で開戦を告げる。

 

「ウチらが爆撃で足を止める。その隙に突撃する…いつものことやきって、調子に乗られんで?」

「「はいっ!(ポイッ!)」」

「えい子や? …サラ!」

「Aye, aye, sir! 派手にやっちゃいましょう!」

 

お互いの行動を確認し合うと、そのまま二人の航空母艦は弓を引く。

 

集積地は手製の「大篭手」を着用すると、そのまま戦闘態勢に移る。

 

『サア…「返リウチ」トイコウカ!!』

 

スエズ運河をめぐる戦いの裏で、もう一つの戦いの幕は、切って落とされた…。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

『………ッ!?』

 

戦艦仏棲姫が、その身に違和感を感じたのは一瞬。

 

それから、力が無くなったかのように彼女の周りの障壁は点滅を繰り返し始めた。

 

「! 今が勝機だ!! やるぞ!!!」

「了解であります! …全艦、砲撃戦用意! 殲滅するであります!!」

 

長門の号令と、あきつ丸の砲撃戦の合図に、連合艦隊に緊張が走る。

 

第二艦隊旗艦矢矧は、自身の策案が功を奏したことに、胸の内で安堵していた。

 

「…ふぅ」

「矢矧ぃ♪ そんなカタい顔しちゃダメだよぅ?」

 

矢矧の肩をポンと叩くのは、ドイツ海軍きっての武勲艦…重巡「プリンツ・オイゲン」。

 

幸運艦としても知られる彼女は、現在派遣されているドイツ海軍組の中でも実力が抜きんでていた。

 

が、それをひけらかすような真似はせず、むしろ朗らかに相手に接する「良い意味でらしくない」艦娘である。

 

「Flaggschiffはデンッて構えて、ヨ・ユーでいなくちゃ! そう、ビスマルク姉さまみたいに、ね!」

「…ふふっ、そうね? 助言ありがたいわ、感謝ね? プリン」

「そう? Danke! 感謝っ! ね?」

 

明るく振る舞う彼女は、艦隊のムードメーカーを買って出ていた。因みに「プリン」と言うあだ名は彼女が言い出したもの。

 

「ニホンは凄いね! Prinzも可愛らしく言えるなんて! …え、「Pudding」なの? うーん…いいや、気に入っちゃったし、プリンって呼んで!」

 

…と言う訳で、誰彼構わず「プリン呼び」させたガールが誕生したのだった。

 

「さて、これからどう動くべきか…」

 

矢矧はその眼を鋭く光らせ、これからの状況を冷静に観察する。

 

矢矧はその身を「第二水雷戦隊旗艦」に置いたことがある、名だたる水雷戦隊旗艦を務めた軽巡たちに負けず劣らずの実力者である。

 

神通が「特攻で道を拓く」、阿武隈が「連携で敵を撹乱させる」のに対し、矢矧の戦闘スタイルは「耐える、予測する」。

 

相手の出方を伺い、少しでも動きがあれば、そこから先、そのまた次を予測し、そこから敵の「パターン(弱点)」を導き出す。

 

その耐える姿勢は、史実の耐久性を思わせ、それを活かせる戦法が予測なのであろう。

 

「皆、お願い……!」

 

果たして、勝負の行方は…

 

 

 

 

―敵艦発見!攻撃開始!―

 

 

 

敵は、水上打撃連合艦隊…奇しくも「殴り合い」の形になったが…

 

旗艦のギミック解除された今、基地航空隊の爆撃が―――

 

 

 

『………シツコイ人』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イ…ッ!

 

 

ブオォン……!

 

 

「な、何だと…!」

 

長戸が驚愕した理由…それは、先ほどまで消えかかった障壁が、稲妻と共に復活したこと…!

それによって、基地航空隊の攻撃が意味の成さないものとなってしまった。

 

『下ラナイコ…駄目ネ?』

 

一筋縄ではいかない…肌で感じ取った第一艦隊。

 

「くっ! …ならば砲撃でやるまで!!」

 

長門が改装された主砲を、連続射出…徹甲弾が敵艦にクリーンヒット!

 

『■■■■■■■■■■---!!?』

『邪魔ナノヨ…!』

 

…しかし、戦艦仏棲姫には、まるで効いておらずそのまま反撃を繰り出された。

 

「! 長門さん!!」

「うおおおあ”っ!」

 

強力な砲撃だが、長門はそれを拳で何とかうち返した。…その時

 

「ぐ、くっ…こんな、ものか…侮るな?」

『………ピクッ…』

「…?」

 

大和は戦艦仏棲姫が、僅かに眉間を動かしたことに気付き、違和感を覚えた。

 

「この長門…この程度では……沈まんぞ?」

『………ッ!!』

 

不敵な笑みを浮かべた最中、長門に向かって集中砲火をする戦艦仏棲姫。

 

「な”っ!?」

「ウォースパイトさん!」

「分かったわ! 迎撃する! open fire!!」

 

二人はそれに対して攻撃、交わる砲火がまるで花火のようだった。

 

「すまん、二人とも…。」

「are you all right?」

「ああ…しかし大和、今のは?」

「はい、私も同じ考えだと思います。」

「…うむ、この事柄は矢矧に伝えよう。」

 

二人は通信で、矢矧に伝える…感じたままに、ある違和感を。

 

 

 

 

・・・・・

 

「分かったわ…ありがとう、大和。長門にもよろしくね?」

 

報告を聞き、通信を切ると矢矧は考えを巡らせた。

 

(なるほど…だとしても、迂闊に動く訳には…)

 

矢矧は思いながら、戦艦仏棲姫を見やる。

 

第二艦隊を挟んでいるため、表情をあまり見れないが、それでも向こうに「苛立ち」のようなものを感じた。

 

「何か、決定的な何かがあれば…」

 

すると矢矧は、敵のある法則を見出す…それは

 

ドォンッ!!

 

『! (クルッ)』

(…? 方向を変えた?)

 

そう、敵が自身の死角…背後の方角には絶対に攻撃を受けない(受けさせない)ということ…

 

(! そうか! 弱点は…)

『…退キナサァイ』

 

矢矧が思い悩んでいると、向こう側から攻撃を仕掛けてきた。

 

ズゥン! と響く轟音は、殺弾として真っ直ぐに矢矧に着弾しようとしていた。

 

「ちょっと矢矧! 危ないわよ!?」

 

すぐさま反応し、矢矧を窮地から救ったのは…

 

「っと…! あ、ありがとう、叢雲」

「全く、旗艦がこんなんじゃやってられないわね? ま、無事で良かったけど?」

 

皮肉を言いながら優しく安堵するのは特型駆逐艦「叢雲」。吹雪の妹なのだが全く似つかない…だが実力は折り紙つきで、改二も実装されているほど。

 

「ホント、少し注意が逸れていたわ、気をつけなくちゃ。」

「無理もないと思うけどね? …あんな事があった後じゃあ…?」

「そうね? …! 叢雲!」

「落ち着きなさいって、分かってるわよ?」

 

言うと叢雲は、身を翻し華麗に砲弾を避けてみせた。

 

「叢雲、流石ね!」

「ま、当然ね? あんな牛みたいなバルジぶら下げた奴の砲撃なんて、止まって見えるわ?」

「それは……あはは?」

 

矢矧が苦笑いしていると、向こうから殺気の混じった視線が刺さった。

 

『……………ッ!!』

「(! やはり、そう…だとしたら)叢雲、ちょっと良い?」

「え? 何よ? 耳?? もうっ……………アンタ、それ本気で言ってる?」

 

矢矧の考えが伝わると、叢雲は呆れたように聞き返した。

 

「本気よ? 貴女にしか頼めないと思ってる。」

「何よそれ? …まぁいいわ、やってあげる。」

「ねえねえ? 何話してるの? はっ、まさかこれがニホンの「ガールズトォクゥ〜」というアレなの!?」

「なわけないでしょ…」

「丁度良かった! プリン、貴女にも頼みたいことがあるの?」

「ガッテン! プリンの本気見せたげるぅー!!」

「それ涼風のセリフでしょ…?」

 

矢矧の予測は確信となり、それは彼女たちの戦いの最終段階を表していた。

 

 

 

 

・・・・・

 

―我、夜戦ニ突入ス!―

 

 

月明かりの下、スエズ運河を巡る戦いは、遂に最終フェイズを迎えようとしていた。

 

立ち塞がるのは、今作戦最強の壁「戦艦仏棲姫」。

 

随伴艦は居なくなり、残るは彼女一隻(ひとり)…だが、ここからが山場。

 

彼女を倒さなければ、この先には進めない…しかしその装甲は、容易く砕けるものではなかった。

 

宿毛泊地艦隊にとっても、正に一瞬を制する戦いであった。

 

夜戦…その一番槍となったのは矢矧。艤装に備え付けられた「20.3cm連装砲」が爆風を上げた。

 

「てえぇっ!」

 

ズドゥン!!

 

『……グッ…!?』

 

ようやくダメージらしい呻き声をあげる戦艦仏棲姫。負けじとすぐさま砲を構えた…

 

「ハッ、構えるだけにどんだけ時間かかってんのよ? 私だったら秒で返してるわね!」

 

ピクッ

 

照準を叢雲に向ける。叢雲は挑発を続けた。

 

「そんな牛みたいなモノぶら下げてるから、しょーがないんでしょうけど? 今時さぁ装甲だけの戦艦とかどうなのぉ? ホントダサいわねぇ〜? 恥ずかしくないのぉ??」

 

……ギリッ…!

 

相手のプライドを巧みに逆撫でしていく叢雲。余裕さえ感じられた戦艦仏棲姫の顔がみるみる内に激情に駆られていった…。

 

「あら、怒らせちゃった? ゴメンなさいねぇ〜私ったら本当のことばかりぃ? ま、否定はしないけどね! 流石に低速過ぎるし〜?」

 

 

…ブチィッ!!!

 

 

嫌味ったらしく言ってのけた叢雲に、遂に怒髪天を衝く戦艦仏棲姫。

 

『a”a”a”aaーーーーー!!!』

 

これでもかと、深海艤装から砲弾が雨あられと降り注いだ。

 

「うぉっと!?」

 

波がうねうち、バランスが保っていられない程の鉄の雨。その一弾(ひとつぶ)は、無慈悲にも叢雲に着弾しようとしていた。

 

「ッ!?」

「叢雲!」

 

ドンッと叢雲を押しのけ、矢矧は自身が身代わりとなって弾幕をその身に受けた。

 

ズゥン ドガァン ガァン!!

 

「! 矢矧!?」

 

…弾幕が収まると、硝煙があがる。その中から矢矧は…「大破」の状態で出てきた。

 

「矢矧! アンタ段取り違うわよ!?」

「ご、ごめん…私が言ったことだけど、貴女が沈むんじゃないかって思ったら、つい…」

「つい、じゃないでしょ!? あぁ、服も艤装もこんなに…私なら避けられたのに、無茶しないでよね?」

「それなら大丈夫よ? 「私を沈めたいなら、魚雷5〜6本ぐらい撃ち込まないと、ダメ」よ?」

「ホンットにアンタは、吹雪じゃないんだから……まぁでも?」

『g"ua"a"a"aaaaaa!!!』

「アイツ…完全にコッチに夢中ね?」

「ええ、先ずは「クリアー」。次は…北上さん! お願い!」

「あいさー! いくよ朝潮!」

「了解! 突撃します!!」

 

二人は闇夜に紛れ、戦艦仏棲姫の死角から砲撃をぶちかました…!

 

『ナ”ッ!? グッ、ヴウウゥゥゥ!!?』

 

彼女を守る障壁が震える。その時、ひび割れる様な音が

 

ピキッ パキッ

 

『!!?』

「よし、第二段階クリアー…後は撃ち込むだけ!! 妙高さん! プリン!!」

「了解! 行きましょうプリンちゃん!」

「はーい! 魚雷発射管、よぉく狙ってぇ……よーし、発射ぁー!!」

 

艤装に取り付けられた、ありとあらゆる魚雷が一斉に夜闇の海に消えた。……………程なくして、崩壊寸前の壁を槍が貫いた。

 

『キャアアアアア!!?!?』

 

重音が静寂の空間を響き渡り、彼女の悲鳴が、只虚しく木霊した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

アラ…ソウナノ……? コレデ……終ワリ…? マタ…私、何モ………ナニモ………ッ!

 

 

「…吹雪、ちょっとえいか?」

「え? はい……あぁ、可能だと思います。」

「ほうか、やったらよろしゅうしちょいてや?」

「…分かりました!」

「? なに?」

 

 

吹雪がパソコンの前で、何やらを設定し始める。

 

すると、沈む寸前の戦艦仏棲姫の前に、ドローン型の飛行物体が、そのまま何かの光を投射し始める。

 

「準備できました!」

「おう」

 

そのまま、パソコンの前に移動する提督。すると…

 

 

………ソの…笑顔………な…ニ…?

 

 

「…ごめんなぁ? 急いじょるからち、オマエにひどいことばぁして?」

 

 

………

 

 

「でも、オマエも疲れたやろ? …もう休んでもええんやで? ここには、オマエの「敵」はおらん。そういう事よ?」

 

 

……! そうカ…違うノね? 敵はいナイ…のネ……?

 

 

「そうよぉ? オマエは頑張った! それはここにいる誰もが分かっちゅうき! …早よう寝ぇや? 美人さんが台無しになるで?(ニカッ)」

 

 

…そうか、ソう…………そうよね?

 

 

 

――Merci, ”mon amiral”

 

 

 

そう朗らかに告げると、彼女は月光と共に、海の中へ消えていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「なるほどねぇ? 正に愛の告白ってやつだねぇ?」

「お? 何のことよ??」

「ダメですよ蒼龍さん、司令官そういうの全然気づかないニブチンなんですから?」

「ひどうない? ねえひどうない??」

「何にしても、これでe4はクリアしました! これにより、前段作戦は終了となります!」

「ぃよし! とりあえず何とかなったね?」

「おう! この調子で…って言いたいけんど?」

 

前段作戦終了の吉報に沸く提督たちであったが、すぐに静まった。

 

これより始まる「後段作戦」…それは、どれもが高難易なものとなるであろう…

 

何より、「戦艦仏棲姫」の強さは、従来の最終海域のボスと遜色ない強さだった……詰まる所、彼らの思うことは

 

 

―この先、どのような”化物”が潜んでいるのか。

 

 

まだ見ぬ欧州に思いを馳せ、宿毛泊地艦隊は、いよいよスエズ運河を抜け「地中海」へと向かうのだった。

 

 

 

 

― wait till next e5 -




〇宿毛泊地メモver.3

〇大和
超大型戦艦「大和型戦艦」の一番艦。
優雅な雰囲気の持ち主だが、その主砲の破壊力は泊地…いや「全鎮守府」でも一、二を争う。
決戦艦隊の切り札であるが、その分資材消費もハンパないのでご利用は計画的に?

よく食べる(冷蔵庫空になる位)。因みに好物は提督の作る「鯨のから揚げ」

〇プリンツ・オイゲン
ドイツの誇るAdmiral Hipper級三番艦。
幸運艦としても知られ、武勲もあるが普段の態度からその片鱗は見られない。
朗らかラッキーッガールは、他人には「プリンちゃん」と呼ばせたいようだ。

〇叢雲
吹雪の妹の特型駆逐艦。
ツンケンした態度だが、その実は仲間思い。所謂ツンデレ。


―艦娘の一言―(蒼龍)

「何だろ…嫌な予感じゃないけど、妙な胸騒ぎが…?」


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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-5

今日は、艦これの観艦式だそうで?

観艦式へ赴いた皆様、お疲れさまでした!(もちろん作者は行ってません。)

そして、私事ではありますが…今日で初投稿の稚作「宿毛泊地提督の航海日誌」を投稿して一年となりました。…早いですねぇ? 一年。

これからも亀のように鈍足ではありますが、それでも投稿していきたいと考えています。

よろしければお付き合いのほど、よろしくお願い致します。それではどうぞ!


…一周年記念で何かやった方が良いのかな? リクエストとか?



――――――――

 

 

「…貴方の考えはよく分かりました、ですが…これはもう国の決定事項。誰も逆らえません…誰もね?」

 

………

 

「貴方のその技術を我々に「貸して」頂くだけで良いのです。それだけで、世界の脅威からの自衛力を我々は高めることが出来る。」

 

………………

 

「新たなる兵器…新時代を駆ける抑止力は「秘密裏」でなければ…そういう意味では、貴方のそれはうってつけだ。誰も思わないでしょう、「人型の水上兵器」など」

 

………………………………

 

「要人の暗殺、他国へのスパイ、更には自国領域不法侵入者の排除、など…くく、何が「不戦の誓い」だ。そんなもので国が賄えてたまるか…アメリカの「援助」も、もう期待できそうにないですしねぇ?」

 

………………………………………………………………

 

「…何やら不服そうですが、なにか?」

 

 

 

 ― なぜそこまでして、力を求める? ―

 

 

 

「…ふっ、何ですかそれは、今更偽善者ぶるつもりですか? 良いですか? 貴方は研究者で、その研究や施設の設備の面倒は我々が見ている…古株だか知りませんが、あまり偉そうな口は聞かないでもらいたい?」

 

「…まぁいいでしょう、貴方も老い先短いのでしょう? 我々にお力添えしてもらえるなら? これから設立する新たなる「機関」の設立者として、その名を遺す栄誉が与えられるでしょう。…如何ですか?」

 

 

 

「! 貴方、何を……ッ!? ぐあああああああ!!?!?」

 

 

 

「…っが!? く、くくく……こんなことをし、ても…無駄だぁ……貴様の研究資料はこちらのモノ…いくらでも複製して、「機関」の者たちに託すことができ、る…!」

 

 

「クフフフ…既に資料は貴様の届かない場所に移動させた……どうする? 研究者風情がぁ、国を敵に回すかぁあああ~? ンフフ! クフ、ハアハハハハハハハハハハハハハハ!!! ………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ああ、これが人間か。なんと醜い。

 

「兵器」…確かに、彼女たちはこんな糞共とは違う。

 

それならば、彼女たちの方が世界に相応しい……そう、「世界」は……

 

 

…奴らは資料を持ち去った。しかし、肝心の部分は私の「頭」にある……だが、それを気づくのも時間の問題か。

 

 

 

……ならば、私の取るべき行動は、唯一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「西方再打通! 欧州救援作戦」

 

NEXT E5 「地中海への誘い/地中海・キプロス島沖」

 

欧州派遣特務艦隊を編成し、進出した基地航空隊と協同で地中海東部エリアへ展開!

同海域の制海権確保に努めよ!

 

 

 

 

スエズ運河の激闘を終え、やっとの思いで地中海へと赴いた宿毛泊地艦隊。

 

早速くうさんを探そうとするも、事態は思っていたよりも深刻であった。

 

「な、なんじゃこりゃあああ!!?」

「嘘…」

「………」

 

提督が仰天し、吹雪が絶句し、蒼龍が難しい顔で言葉も出ない理由…それは。

 

 

―赤く染まり「きった」海

 

漂流物と見られる船の残骸

 

上空には、深海艦載機と思われる飛行物体が、大量に散見された。

 

 

正に「地獄絵図」…この世の煉獄極まれりといった具合か?

 

 

「日本以外がちょっとピンチっちゅうのは聞いちょったけんど…」

「これは…ピンチじゃなくて「敗北」…?」

「二人とも落ち着いて? 欧州には世界を支える大国があるもの、この程度じゃ崩れないよ。…きっと、どこかで上手くやり過ごしてるはずだよ。」

「そ、そうか…くうさんを探しとる場合やないっちゅうことか」

「そうだね? とりあえず指令書通りに、敵艦隊をやっつけて、先ずはこの状況を打破しよう? ね、吹雪ちゃん?」

「…そうですね? 司令官! やりましょう!!」

「おう! 待っちょれよぉ欧州のみんなぁ!!」

 

 

こうして、欧州の危機に馳せ参じた提督たちは、地中海の制海権確保に尽力するのだった…。

 

 

 

 

・・・・・

 

〇地中海・制海権確保部隊(第一特務部隊)

 

ビスマルク(旗艦)

ローマ

リベッチオ

秋月

瑞鶴

翔鶴

 

 

…地中海を舞台に繰り広げられた「あの時代の戦い」は、様々な犠牲がありながらも連合国側の勝利に終わった。

 

今、眼前に広がるのは「それ以上」の甚大な被害を受けた地中海。

 

ビスマルクたちはそれぞれの胸中の思いで、変わり果てた故郷の海を眺めていた。

 

「…懐かしいわね?」

「そうね」

「私は、貴方たちの戦いは知らないけど…それでも、故郷の海はいつまでも変わらないものだと思っていたわ」

「…そう」

「ねえローマ、オイゲンから聞いたけど…その」

「ほら、旗艦がくっちゃべってばかりでいいわけないでしょ? さっさと前いきなさい。」

「…わかった」

 

そう寂しく言うと、ビスマルクは先頭に戻った。

 

「…」

 

ローマは如何にもな不機嫌な顔をしていた。そんなローマに語り掛けるのは…?

 

「あ”あもう! ローマさん! アタシこのおっもーい空気耐えられないんですけど!?」

「…瑞鶴、提督がどう思ってこの編成にしたかはとにかく、あいつと私を組ませたらこうなるってこと位、わかるでしょ?」

「ぐぬぬ…」

「瑞鶴さん、落ち着いてください」

 

瑞鶴をそう諫めるのは、秋月型一番艦「秋月」

瑞鶴とは史実でも護衛対象として接していた、本音で言い合える仲である。

 

「ローマさんたちにも色々あるでしょうし、私たちがどうこう言っても意味がないと思います。」

「秋月はそう言うけどさぁ、なーんかダメなのよアタシこういうの?」

「…はっきり言って、瑞鶴さんと加賀さんも同じかと? 少なくとも世の中ではそういう認知が」

「え”え!? いやいやいや確かにぃ、アニメとかではそうだけど、私たちは仲いい方だし? そういうケンカイも出てるし?」

「どこ情報ですか?」

「もちwikiよ!」

「…はぁ」

「何その「こいつ頼りねーなぁ」みたいな!? しょうがないじゃんそういう記憶は都合よく霞がかってんだから!!」

「もう、瑞鶴。いい加減にしなさい、メッ」

「翔鶴姉までヒドイよ!? もーう! 帰ったら加賀さんに甘えまくってやるぅ!!」

「…どうしてこうなったのでしょう?」

 

全く緊張感がないわね…と、ローマは内心そう思ったが、瑞鶴たちなりの気遣いは感じ取っていた。

ふと、隣でしょんぼりと足元の水面を眺めていた駆逐艦に目がいった。

 

「…リベ? 大丈夫?」

「えっ? …あ! うん! リベは元気~! ……げんきぃ」

「無理しなくていいわよ? でも、これが現実よ?」

「ローマさん…」

「厳しいこと言うかもしれないけど、それでも今のこの状況、どうにかできるのはあたしたちしかいないの。それは、分かって頂戴ね?」

「…うん! リベ、頑張るね!」

 

健気に笑う同郷のモノに、ローマは口を緩ませるのだった…。

 

 

 

 

 

…………………………………………………

 

―敵艦隊・接敵―

 

クラス「姫」出現…

 

 

   戦艦

戦 艦 棲 姫

 

『ナンドデモ……沈メテ…アゲル』

 

 

敵中枢部隊…その一角を担うのは「戦艦棲姫」

彼女が陣取っていた場所はイタリア半島領「サルデーニャ島」

 

そこからイタリア本国とは、正に「目と鼻の先」であった。

 

「彼女たちが、ここまで欧州に近づいていたなんて…!」

 

驚きを隠せないビスマルクをよそに、ローマはそこのけと前に出てくる。

 

「アンタ…!」

『…言イタイコトハワカル。ソレデモコレガ「我ラ」ナノダ。』

「ふざけんじゃないわよ! ここはアンタたちが汚していい場所じゃないの!!」

『ソウダナ…ココハ多クノ血、多クノ魂ガ流レタ場所…オ前タチニトッテハ「友ノ墓場」ト言ッタ所カ?』

「……!」

 

頭に血が上るローマを、ビスマルクが窘める。

 

「落ち着きなさい、それでも偉大な国を冠した名のある艦娘なの、貴女?」

「うるさいっ! アンタには関係ないでしょ!?」

「関係あるわ! ここは私たちにとっても大切な場所なの!!」

 

ビスマルクは真っ直ぐにローマを見つめる。ローマはその威勢に少したじろいだ。

 

「私たちの所業…許せとは言わないわ。でも、私たちは、「私たちには」関係ないってアトミラールは言っていた!」

「アンタ…?」

「もしこの先私を信じられなくても、私が信じるアトミラールを、貴女なら信じられるでしょう?」

 

そういってビスマルクは手を差し出す。

 

「……あー! ホンットずるいわよ、アンタ?」

 

ローマは…その手に応え、固く握手を交わす。

すぐさま戦艦棲姫に向き直り、ビスマルクは宣戦布告する

 

「これより、欧州救援作戦を本格始動するものとする! 目標は敵旗艦「戦艦棲姫」! 強敵よ、それでも」

「ええ、今の私たちなら、敵じゃないわ!」

 

艦隊の意志が一つになる。そんな光景を戦艦は…

 

『…ソウカ』

 

少し、ほんの少し頬を緩ませて見ていた…

 

 

 

―敵艦発見!攻撃開始!―

 

敵は水上打撃連合艦隊。その内容は「戦艦3 重巡2 軽空母 第二艦隊は駆逐艦多数の水雷戦隊」

 

打撃力を重視した編成…しかしてこちらには、空母翔鶴姉妹がいる。

少なくとも随伴艦は何とかなる、が問題は旗艦…戦艦棲姫であった。

 

スエズで相対した戦艦仏棲姫程ではないが、彼女はその装甲並びに火力は並居る深海姫クラスの中でもトップクラスであった。

 

果たして、ビスマルクたちの主砲は、随伴艦を押しのけ戦艦棲姫を捉えることができるのか…?

 

 

まずは航空戦。

到着した「キプロス島基地航空隊」の爆撃部隊と共に、翔鶴姉妹は制空権を確保する。

 

 

『gua”a”a”aaaaa!!!』

 

 

砲撃フェイズに入った瞬間。鼓膜を突き破らんとする轟音が空間を支配する。

 

戦艦棲姫の艤装…双肩に大砲を携えた魔獣が、艦隊に襲いかかった!

 

「フンッ!」

 

立ちはだかり、魔獣の猛攻を食い止めるローマ。そのまま両腕を合わせ力比べの体勢を取る。

 

「ローマ!」

「アンタは指揮に集中しなさい! 私一人で十分よ!!」

「! 分かった! danke!」

「prego…!」

 

ローマはそのまま魔獣を押さえていた。魔獣は涎を垂らし、唸るように喉を鳴らした。

 

『grrrrrrrrrr!!!』

「はっ! 筋肉ダルマが。無駄に付けてりゃいいわけじゃないの。」

 

そう毒づくと、ローマは魔獣の足元を払った。

その勢いでバランスを崩す魔獣。

 

「お”らぁ!!」

 

そこから顔に見事なアッパーカットをかますローマ。

仰け反る魔獣は、然程ダメージが無かったのか、そのまま距離を置き苛烈な砲撃を開始した。

 

「ぐっ……!」

 

戦艦二隻も加わり、弾幕は更に激しさを増していく…

 

『grrrruraaaaaaaa!!!』

 

最早これまで…と思いかけたローマだったが、小さな砲火がそれを妨げた。

 

「ローマさんをいじめるなあぁーーー!! うにゃー!」

「リベ…!」

 

リベに向けて敵の砲が構えられる…だがそれは、翔鶴姉妹の航空爆撃により防がれた。

 

「翔鶴姉、やるよ!」

「ええ! 翔鶴型空母、全航空隊!」

 

 ―発艦始め!

 

改二改装された翔鶴型装甲空母、その磨かれた練度は、戦艦二隻を確実に捉え、それを焼き尽くす。

 

『■■■■■■■■■■■■■■■---!!?』

「ありがとう、しょーかくさんたち!」

「いいよこの位! 秋月、対空警戒しながらリベを守って!」

「無茶苦茶言いますね…でも、言われなくても、守ります!」

 

秋月はリベの前に立ち、そのまま長10cm砲を構える。

 

全ての艦、艦隊全員が欧州を護る為に一致団結する…ビスマルクはその様子を眺めながら、少し誇らしくなった。

戦況を見定めるビスマルク…しかして旗艦としての責務は向こうも変わらないようだ。

 

『………』

 

だが、それだけではない。戦艦棲姫は頭の隅で思い返していた…自身の過去を

 

…尤も、自分にそんなものあるのかと蔑笑しながら。

 

 

 

 

・・・・・

 

―――彼女は気づいたのは、海の上だった。

 

その時に自我らしいものはなく、彼女は何の疑いもなく「頭の中の声」に従っていた。

 

 

 コロセ ウバエ シズメロ

 

 

その悪しき邪念は、とある姫により出されていた…だが、そんな彼女たちにも、自我が生まれるのは時間の問題だった。

それにより、行動を選択する自由意志が生まれ、それが彼女たちが人間に近づく、又は作戦から離反するモノを次々と「生産」していった。

それによる事かはさておき、中核を成していた姫は、ある深海の指揮者を生み出し、それを「提督」とし深海棲艦の指揮に当たらせた。

 

彼女自身は、命令違反も人間に近づくつもりも更々無かった。むしろ自分たちは「兵器」で、人類とは分かり合えるはずがないとさえ思っていた。

 

…それが彼女を、深海提督の「秘書艦」にさせた一種の理由かもしれない。

 

 

彼女たちの提督は言った。「我々は人類を駆逐するために生まれた! それ以外は考えなくていい!!」と。

 

その通りだ、それこそが真理だ。それが彼女の素直な考えだった。

 

…だが、それは、自分と同じ考えだと思っていた「一隻(ひとり)の姫」によって揺らいでいった。

 

『ウチ、やっぱニンゲンは悪い奴らばっかじゃないと思うんす。』

『ナゼダ…?』

『だってさ、悪い奴らが、あんな屈託のない笑顔で声を掛けてくるわけねーと思うんすよ? おかしいっすかね?』

『アア、オカシイ。ニンゲンハ邪悪ダ。ソレ以上ニ醜悪ダ。』

『…それっていけないことっすか?』

『ナンダト…?』

『邪悪だから、醜悪だから、戦わなくちゃいけないんすか? それって、アンタらが憎んでる「奴ら」と同じ考えじゃないんすか?』

『…ソウ、ダガ…シカシ…』

『んー…よし! じゃあこうしよう! ウチと一緒に来るっす!』

『ナッ!? 離反シロト言ウノカ!!?』

『違うっすよw…「百聞はなんちゃら」って向こうのヤツから聞いたっす。だから、来れば分かると思うっすよ?』

『………』

 

…結局、断り切れずに彼女と一緒にとある泊地に赴いた。

 

「おう! よう来たにゃぁ? 何か食べてくかよ?」

「貴女が深海側の秘書艦さんですか? 初めまして!」

 

『………』

 

正直、呆気に取られていた。

我々が戦っているのは年若い「艦娘」と呼ばれる少女たちだとは聞いていた。だがこれは…この垢が抜けない青年と最早子供ではないかと思った少女は、自分を一切警戒せず、むしろ受け入れようとしていた。

 

『ね? アホ面な奴らっしょ?』

「くうさん! 目の前におるのに何よその言い草www」

「私は違いますよね!? 司令官だけですよね!!?」

 

『……フッ…』

 

自分の考え、「人類は邪悪である」という考えは、変えるつもりはない。それは自身の存在否定にも繋がるからだ。

 

だが…

 

『コンナ者タチモ…イルノダナ?』

 

「お? 何か言うた?」

『…イヤ、ナンデモ…ワタシハ「戦艦棲姫」ト呼バレテイル。好キニ呼ブトイイ。』

「んー? ほいたら「せんちゃん」かよ?」

『だwかwwらwwwそのセンス、ネーミングセンスwwwww』

「す、すいません…ウチの司令官が…;」

 

『イヤ、気ニ入ッタ』

 

屈託のない笑顔で、彼女もまたそれを受け入れた。

 

 

 

 

・・・・・

 

回想が終わると、辺り一面は闇と静けさに包まれていた。

 

『夜戦…フフッ、スッカリ耽ッテシマッタカ?』

 

彼女が笑うと、魔獣はまるで子犬のような声で鳴いた。

 

『kuun…?』

『大丈夫ヨ…私ダケデモ、ヤッテヤルサ?』

 

魔獣の下顎を優しく撫でる戦艦棲姫。

残るは彼女一隻(ひとり)…すると、静かな空間に鳴り響く波を掻き分ける音が、彼女に向かって砲撃を加えようとしていた。

 

「逃がさないわよ…甘く見ないで?」

『何処ヘモイカンサ? …クルガイイ』

 

欧州にその名を轟かせる、ドイツ海軍戦艦「ビスマルク」

 

彼女の砲塔は、確りと敵旗艦を捕捉し、その撃鉄を食らわせようとしていた。

 

「覚悟なさい! feuer!!」

 

ズドオォン!!!

 

爆砲は確かに彼女を捉えた…しかし苦もなく魔獣に弾かれてしまう…!

 

『grrrruraaaaaaa!!!』

「くっ!」

『終ワリダ…沈ミナサイ!』

 

魔獣が砲撃の構えを取ると、双肩の砲から轟音が響いた。

 

「! ……。」

 

ビスマルクは逃げ出さず、そのまま攻撃を受ける…並の艦娘なら大破は必至の戦艦棲姫の砲撃を、中破に抑えたのは流石ドイツ戦艦といった所か。

 

『? 貴様…何故避ケナカッタ?』

「ふふ、貴女ならもう分かってるんじゃない?」

『何……!?』

 

まさか…と、戦艦棲姫は背後に視線を向けた。

 

「遅いわよ!」

 

猛スピードで突進するローマ。そのまま跳躍し、戦艦棲姫に殴りかかるが、魔獣にそれを阻まれてしまう。

 

『! gggggrrrrrryyyyyy………!』

「フンッ、まだ終わりじゃないわよ?」

 

そういうとローマは艤装の砲塔を向けた。

ビスマルクはしたり顔で言う。

 

「ニホンの格言にこういうのがあるの…「服を斬らせて、骨を断つ」のよ!」

 

ローマはそれに応えるように、ゼロ距離射撃を敢行する!

 

「こんにゃろめぇぇぇえええ!!!」

 

激しく砲火が灯る猛連撃。それは一組の深海棲艦を撃ち抜いた…

 

 

 

・・・・・

 

サア…進ムトイイ……

 

我々ハ「悪」ダ…ソレデモ、我々カラ世界ヲ守ルノハ、オ前タチダ……

 

有難ウ…世界ヲ守ルモノガオ前タチデ……良カッタ…

 

・・・・・

 

 

戦艦棲姫は、自らの敗北を認めるとそのまま夜闇の海に消えていった。

 

「…アイツ、まだ来るわね。」

「やっぱりそう思う?」

「ええ、手応えが無かったもの。…悔しいわね、ここまでして仕留めきれないなんて…」

「ふふ、いいじゃない? これでイタリア付近は大丈夫だから…う”ッ!?」

「全く、やせ我慢してんじゃないの。…ほら」

 

ローマはその手をビスマルクに伸ばす。

ビスマルクは少し驚いていたが、それでも微笑むと伸ばされた手を握る。

 

月が祝福する中、ここに欧州救援作戦「第一段階」が完遂された。

 

 

 




〇宿毛泊地メモver.3

〇ビスマルク
ドイツの誇る戦艦。
当初はプライドが高くツンケンしていたが、次第に性格は素直へと軟化していった。(畳化?)
提督から変な日本の習慣を教え込まれており、時々あらぬ方向に走る。

〇秋月
秋月型一番艦。照月たちのお姉さん。
誰に対しても礼儀正しいが、瑞鶴に対してだけは史実でも一緒に行動した影響か、辛辣になる場面も。

〇リベッチオ
イタリアの駆逐艦。
いつも明るく元気に振る舞う。そのため「そういう人たち」から好意以上の変質じみた視線で見られる。

でも気つけて、あなたの後ろに、いつでもROMA。


―艦娘の一言―(ローマ)

「全く…でも、ありがとう。……な、なんでもないわよっ!」


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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-6

これは、ちょっと分からないなぁ…

皆さん、今回長すぎて秋イベまで終わるか怪しいです。

その場合色々削ってでもこの話は書き終えたいと思っています(秋イベ編はもちろんやります。)

…秋になったというのにまだ夏、というのもアレですが…

なんなすみません! ではどうぞ。


―――――――――

 

「…これでアンタはもう、立派な「人間」になった。もう俺たち「一族」とは何の関係もない。」

 

…ああ

 

「だから、とっとと失せな。もうアンタにゃここに用事はねえんだろ?」

 

そうだな…だが

 

「あ? …「アイツ」の顔を見たい、ってか?」

 

「…そいつは願い下げだぜ、じいさん? …アンタがやろうとしてること、俺たちが気付いてないとでも?」

 

………

 

「アイツにはもう、「一人の人間」として生きてもらいてぇんだ。…俺たちの業や見てきたモンを、アイツが背負う必要はねぇんだ。」

 

…そうだな。

 

「ああそうとも…もういい加減にしろよ?」

 

 

………

 

 

老人がそのまま立ち去ろうとすると、最後に情を見せるつもりか、男が呼び止めた。

 

「…まだ、間に合うんじゃねえか?」

 

…何の話だ?

 

「アンタが「死ぬ必要が無い」って言ってんだよ。」

 

………いいや

 

「…そうかい。…あんな化け物の何が良いんだか?」

 

……

 

老人は男を睨みつける。まるで鋭く磨かれたナイフのように殺気を放ちながら。

 

「…悪かった。ほら」

 

男が追い払う仕草をすると、老人は再び歩き出し二度と振り向くことなくその姿を消した。

 

「………」

 

 

―それがアンタの選んだ道、か…

 

だがなじいさん。どんなに力を抑えようとも「運命」ってやつは、しつけぇモンだぜ?

 

そのまま行けば、アンタは…

 

 

 

  ― 魂まで消えちまう、かもな? ―

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「西方再打通! 欧州救援作戦」

 

NEXT E6 「マルタ島沖海戦/地中海・マルタ島沖」

 

マルタ島沖付近に深海棲艦が集結中。

 

友軍港湾部への救援輸送を実施しつつ、敵艦隊を撃破後「ジブラルタル」へ向かえ!

 

 

 

 

欧州の惨状に驚愕しつつも、辛くも敵中枢の一隊「戦艦棲姫・水上連合艦隊」を撃破した宿毛泊地艦隊。

 

それにより、イタリア本国への接岸が可能となり、そこへ救援物資を運ぶ算段となった。

 

救援の「必要物資運搬数(TP)」はこれまでの何十倍にも及んだが、欧州の有様を考えれば「むしろ妥協している」程であろう。

 

 

…さて、欧州への救援物資を運んでいる途中、こんなことがあった。

 

それは、イタリア本国より少し下「マルタ島」沖付近に差し掛かった時…

 

『ハア、トウトウ来チャッタカ…』

 

優雅に風を受けながらそう嘆くのは「港湾夏姫」。

彼女は宿毛泊地艦隊と仲が良く、現にE-2では、吹雪たちのボス撃破に助力したほど。

 

しかして、彼女もまた深海の姫。

 

任務に逆らうわけにもいかず、かといって堂々と彼女たちの前に出ていくのも、どこか気が引けた。

 

…そこで、彼女の取った行動とは?

 

『ウーン…ヨシ!』

 

思い立ったが吉日と言わんばかりに、彼女は深海艦載機を宙に上げた。

 

『ゴメンネ? ソレデモアナタタチナラ大丈夫ッテ信ジテルカラ。ダカラ…』

 

― Shall we dance ?

 

まるで夏の花火のような華やかな爆撃が、宿毛泊地輸送艦隊を襲った。

 

「!? 敵の航空爆撃! 何処から!!? み、皆さん! 回避行動を!!」

 

そういう輸送部隊旗艦「水上機母艦・瑞穂」は、艦隊に落ち着いて行動をするように促す。

 

何とか爆撃を避けきった一行は、一旦輸送を終えると、そのままマルタ島へと向かうが…?

 

「あ、あれ…? いませんね?」

『えぇ? そんなんあるが??』

『今、吹雪ちゃんが運営に事実確認とってるけど…』

『はい…ありがとうございます。(ガチャ)ええと、「居ないんなら別にいいんじゃない?」的な回答が…』

『ほうか、よしつぎいこー!』

『えぇ!? い、いいんで、すかねぇ…?』

『いいんじゃない? こういう事もあるよ~多分。』

「そ、そうなのでしょうか…?」

 

…こうして、マルタ島沖海戦を「一応」勝利した艦隊であった。

 

 

…そして、次に向かうのは

 

 

 

 

 

ジブラルタル決戦艦隊(第二特務部隊)

 

〇第一艦隊

足柄(旗艦)

榛名

熊野

鈴谷

祥鳳

千歳

 

〇第二艦隊

鬼怒(旗艦)

初月

荒潮

羽黒

大井

 

 

輸送を完遂した提督たち。彼らは現地イタリアで、ある情報を耳にした。

 

「ジブラルタル海峡に、深海棲艦が集まっているのを見た」…と。

 

スペインとモロッコの間にある海流「ジブラルタル海峡」。

 

それと名を同じくするスペインのイギリス領「ジブラルタル」には、かつてドイツ・イタリア両軍に対抗するため、イギリス海軍の特設部隊の基地が存在していたという。

 

今回、戦艦棲姫が牛耳っていたサルデーニャ島もまた、その特設部隊の戦いがあった場所とされる。

 

「要するに、くうさんはそこにおるかもしれんっちゅうことやろ?」

「はい、ですが…今回の作戦は、まるで」

「まるで「誰か」の戦いを辿ってるみたい? …奇遇だねえ、私もそう思ってたの。」

「ん? 史実の作戦じゃのうてか?」

「そう、これもまた深海棲艦の……ううん、いけないね? 憶測で物をいうのは。」

「???」

「とにかく行ってみましょう…欧州もまだ完全に元に戻った訳じゃないですし?」

「そうだね? 最悪彼女と戦うことになるかもだから、万全の態勢で、ね?」

 

蒼龍の意味深な言動に首を傾げながら、提督は「第二特務部隊」の編成にかかった。

 

そうして完成した編成内容は、妙高型重巡「足柄」を旗艦とした水上打撃部隊。

 

足柄は、宿毛泊地の古参勢の一人であり、提督が頼りにしている艦娘の一人である。

 

『久々の出撃ね! 腕が鳴るわーー!!!』

「おう! 頑張ってな、足柄さん!!」

『まっかせて頂戴! 勝利の報告を、期待して大丈夫よ!!』

「相変わらずやる気満々ですねぇ?」

「祥鳳さん、足柄さんをお願いね?」

『はい蒼龍さん。私でお役に立てるか心配ですが…』

『榛名もお手伝いしますので、大丈夫です! 祥鳳さん!』

『ふふっ、頼もしい限りですね?』

『よぉーし! 艦隊出撃! 完全勝利を目指して敵を殲滅よーーー!!!』

『あ!? 足柄さん、待って! 待ってください!!』

「…本当に大丈夫でしょうか?」

 

吹雪の心配をよそに、艦隊は順調にジブラルタルに向けて航路を取っていた。

 

そして、ジブラルタル海峡前まで来たところで、敵艦隊と遭遇。

 

そこには予想通り、艦隊を待ち構えるように「彼女」が立ち塞がった。

 

 

 

 

…………………………………………………

 

―敵艦隊・接敵―

 

クラス「姫」出現…

 

 

 正規空母

空 母 棲 姫

 

  戦艦

戦 艦 棲 姫

 

 

空母棲姫、そして先ほど仕損じた戦艦棲姫が並んで艦隊の前に姿を露にした。

 

「敵艦隊発見! …おっと、そうだったわね? 榛名、あとよろしく!」

「い、いきなりですね…?」

「だって私、殲滅とか勝利とかならいいけど、説得ってやったことないし?」

「えぇ…?」

「ほらほらぁ、行っていって!」

 

旗艦に促されると、榛名はそのままおずおずと前に出た。

 

「…空母棲姫さん?」

『……』

「あの、くうさん…?」

『…すか?』

「え?」

『アンタら…正真正銘の馬鹿なんすか!?』

「え!? く、くうさん」

「そう、でもただの馬鹿じゃないわ! 完全無欠の勝利馬鹿よっ!!」

「足柄さん? すこぉし空気を、お願いします…」

 

ニッっと笑う祥鳳は、どこか威圧的に感じた。

 

「…失礼しました。」

「よろしい」

『あそこまでやって、あそこまで拒絶されて!? まだウチ探してるとかどんだけっすか!!?』

「で、でも…」

『でもじゃないっすよぉ!! あ”ぁ~もう何なんすか!? ウチ悪役し損ってやつじゃね!? そゆことっすよねぇ!!?』

『…フッ』

『ちょっとせんちゃん! 聞こえてるっすよぉ~!?』

『イヤ、スマナイ…アマリニモオ前ガ滑稽ニミエテ、ツイ……フフッ』

『よぉーしテメェそこへなおれ! 戦力が減るとか知るか!! テメーここでぶっ潰す!!!』

「あ、あの喧嘩は…」

『誰のせいだと思ってんすか!? …ああ、もういいっすよ。来ちゃったんすから? さっさとやるっすよ!』

 

くうさんはいつものように言うと、そのまま戦闘態勢に入るが…?

 

「ちょっと待ちや、くうさん? …オマエがいつも通りでまずは良かったけんど?」

「空母棲姫さん。どうしてあんなことを? 私たちが貴女をどれだけ心配したか」

『い、いやそれは…』

 

言い淀んでいると、せんちゃんが割って入り経緯を説明する。

 

『オ前タチ二迷惑ヲカケタクナイ、トサ?』

『ちょw せんちゃん!? それ以上は』

『今回ノオ前タチノ作戦。我々モ想定シテイナカッタ訳デハナイ…我々ハ欧州デオ前タチト決着ヲツケヨウト考エテイタ』

「そっかぁ、それで私たちが手加減しないように?」

『ソウダ。東ノ海ハマダシモ、コノ西ノ海ハ戦力ハ充実シテイルシ、「勝目ハアル」…コイツニトッテハ、オ前タチトノ関係ヲキッパリ断チ切レル絶好ノ機会トイウワケサ?』

「そんな、くうさんどうして…?」

『だ、だってウチ、深海棲艦だし…アンタらが敵を匿っているって言われるのが嫌っすし?』

 

深海棲艦は、彼女たちを支配していた姫の一角を倒したことで、人により親密に接するようになった。

 

しかし、それを快く思わない者たちも勿論いる。

 

政府関係者、民間人問わず彼女たちは「化け物」と呼ばれ影で蔑まれ続けている…人間は少しの差異でもの違いがあれば、それを排除しようとする。

 

言い方が悪くなるが敢えて書くなら、彼らにとって深海棲艦(てき)とは「殲滅」以外有り得ないのだ。

 

「そんなん、どこの鎮守府の皆ぁも言わんだけで、やりゆうやろ? 変なこと気にせんでえい!」

『でも…』

『フッ、オ前ラシクナイ? ハッキリ言エバイイデハナイカ? アノフランスノ姫ノ打倒法ヲ教エタノハオ前ダトナ?』

「! 空母棲姫さん!!」

「くうさん…!」

「やっぱりオマエやったがやな! くうさん!」

『ち、ちがっ…あ〜〜もう! 台無しじゃないっすかぁー!?』

『下手ナ意地ヲ張ルヨリ、素直ニナッタ方ガ楽ダゾ?』

『ゔぅ〜〜〜!! ///』

『…サテ、話ハココマデニシヨウ。構エロ、ヤルト言ッタラヤルノダロウ?』

「…どうしても、戦わなければならないのでしょうか?」

 

榛名がそう言うと、戦艦棲姫は言い含むように言葉を紡いだ。

 

『…ソウダナ? オ前タチニハマダ次ガアル。コノ欧州ヲ恐怖ト絶望デ支配シヨウトシテイル「姫」…彼女ノコトヲオ前タチハ知ラネバナラナイ。』

「お? そいつを倒すためにオレらぁをここに呼んだっちゅうこと?」

『大マカニイエバソウナルナ? (尤モ、ソレダケガ理由デハナイガ…)』

「では尚更、貴女方と戦う必要性は」

『ソウハイカン。我々ハ欧州群ノ客演トシテ呼バレタ謂ワバ「前座」ダ。』

『それに、このままアンタらの勝ちのまま終わらせるの、なんか嫌なんす。プライドが傷つくというか?』

「ほうか…やったらやろうかよ!」

「司令官!?」

 

吹雪が執務室に響くほどの驚きの声をあげるが、提督は構わず続けた。

 

「あいちゃぁがああ言ゆうがやき、それに答えんのはシツレーいうことよ?」

「…そうだね? やろう! 皆!」

「…分かりました! 受けましょう!!」

 

執務室で賛同の声が聞こえる中、彼女は…

 

「…」

「榛名さん、割り切れとは言いませんがそれでも…」

「い、いいえ! 榛名は大丈夫です! …大丈夫。」

 

榛名はまだ納得しきれない顔を隠せないでいた。

 

くうさんは、真摯に榛名に宣言する。

 

『ウチは、この戦いで自分にケジメつけたいんす。だから…』

「…分かりました。でもやるからには」

 

―榛名! 全力で参ります!

 

こうして、宿毛泊地にとって、因縁の対決が始まった…。

 

 

―敵艦発見 攻撃開始!―

 

先ずは航空フェイズ。

 

基地航空隊の支援爆撃が炸裂するも、第二の駆逐艦が何隻のみの小規模の被害となった。

 

くうさんとその随伴艦、軽空母2隻の航空制圧を押し留めるは、祥鳳と千歳の2隻。

しかし、流石はくうさん。如何に練度が高い2隻であろうと、彼女を止められるモノは居ない。

 

…が、ここで手助けとばかりに「水上機(瑞雲)」が舞い上がった。

 

「鈴谷たちを忘れちゃ困るジャーン!!」

「私たちの真の力を、お見せしますわ!!」

 

改二改装された航空巡洋艦、鈴谷と熊野。

 

彼女たちの制空サポートに、少しずつ押されていくくうさんだったが

 

『もらいっ!』

 

隙を見てすり抜け、その牙は艦隊に向かっていく…が

 

「そこだ! 撃てぇ!!」

 

初月の対空カットイン! 大事には至らなかった。

 

『…チィ!』

 

笑いながら舌打ちするくうさんだが、どこか晴れやかな表情だった。

 

続いて、決戦支援艦隊が到着する。

 

 

 

― 支援艦隊が到着しました! ―

 

 

 

加賀を旗艦とした支援艦隊は、各々に砲撃を開始する。

 

特に気合の入っていたのは、リットリオ・ヴェネト級戦艦「イタリア」

 

彼女は自分の生まれ故郷を守るべく、その主砲で敵を粉砕せんとする。

 

「私たちの力! お見せします!!」

 

耳を劈く爆砲は、確りとくうさんを捉えるが

 

『サセンッ!』

『Grrrrrruaaaa!!!』

 

旗艦をかばうは、せんちゃんとその艤装。

くうさんと、彼女たちという強大な壁は、正に最強の「矛と盾」相性抜群であった。

 

「やるね。」

『当然っす!』

 

欧州、引いては世界の命運を掛けた一戦を控えた、この戦いは「どこか楽し気」であった。

 

「ちょっと! 私を忘れてない?」

 

少し遠くから魚雷を発射したのは、球磨型雷巡「大井」

先制雷撃が、敵第一艦隊の重巡を貫いた!

 

『■■■■■■■■■■■■■---!!?』

『ぐっ! しまった!?』

「気を抜いちゃ駄目よ! 勝利の道筋はあなたたちにかかってるわー!!」

「ほいきたぁ! まっかせてねっと!」

 

第一旗艦の激励に、第二旗艦鬼怒は不敵に笑い、主砲を構える。

 

まるで競い合うように、欧州の海で因縁の対決が行われていく…

 

 

 

 

・・・・・

 

― 我、夜戦ニ突入ス! ―

 

ざぁざぁと波音を立てる夜の海。

 

月影を造るのはくうさんとせんちゃん。

 

彼女たちを倒せばこの試合(ゲーム)終了(セット)となる

 

がやはりそこは姫二人、傷らしいものは見当たらず、容易には突破させて貰えなかった。

 

『それでも結構手ひどくやられてるっす。…くっそー! 夜戦でひと泡ふかせてやるっす!!』

『ヤレヤレ、元気ナコトダナ?』

『うるせぇ! ウチは「ギブ」って言うまでやるっすからね!? …よし、喰らえ!!』

 

ピヒュー…ボガァーン!

 

おにおこ「ぐわぁーやられたー、助けて大井っち―!(声真似)」

かすみん「あんたそれ誰の真似? そんなんで…」

 

……………北上さん?

 

はつちやん「…あ」

あらしおん「あらあら大変~」

はぐろ「あ、あわわ…;」

 

北上さん……泣かせたの……………

 

 

 

 

誰 ?

 

 

 

『やべ』

『終ワッタナ』

 

大井の底力が弾丸となり、そのまませんちゃんの艤装に撃ち込まれた。

 

 

ズドドドオォォォオン

 

 

『UWARABA---!!?』

『…後ハ任セル』サッ

『ちょwwwどこいくんすか!? 置いてかないでwww…あ』

 

 

 

MFR「…」

 

 

 

シ ズ メ ヤ

 

 

 

『ちょ、ま!? ギ、ギブ! ギブギブ!! ギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブ』

 

 

ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?!?!?!

 

 

 

 ちゅどーん

 

 

・・・・・

 

テーテレッテー テテテッテー

 

 

 

完 全 勝 利 S

 

 

 

「…だ、大丈夫…ですか?」

『くうはぁ、だいじょばないっすぅ(シュー)』

「それ誰の真似ですか!?」

『ソノ位デ済ンデ、逆ニヨカッタデハナイカ?』

『そ、そっすね…』

「とにかく、アタシたちの大勝利ー! ってことで良い?」

『…いいっすよ。姫に二言はねーっす。』

『(不服ソウナ顔ダガ…?)』

「おっしゃ! 後はその欧州の元締めんとこに行くだけやにゃぁ!」

「そうですね! 気合いを入れ直していきましょう!」

「…そうだね? それでも慎重にいきたいね?」

「? 蒼龍さん?」

「……ん。何でもない!」

 

何はともあれ、ジブラルタルの戦いを制した宿毛泊地一行は、この欧州を制圧する姫の元へと急ぐ。

いよいよ最終決戦…そんな彼女たちを、複雑な表情で見守る姫二人。

 

『………』

『仕方ガナイコトダ、彼ラハ「彼女」ノ元ヘ行カネバナラン』

『…そうっすね? ウチらが…何とかしないと。』

『アア、ソウダナ?』

 

決意を胸に秘め、姫二人は宿敵たちを見つめるのだった。

 




〇宿毛泊地メモver.3

〇瑞穂
水上機母艦。一応瑞雲教に入信している(日向の押しに負けたらしい)
季節ごとに違う衣装に着替えるオシャレな一面も(そのため「差分の女王」の称号を与えられてしまう…)

○足柄
妙高型重巡。宿毛泊地では古参勢であり、練度は泊地の全重巡中で最強。
勝利厨であるが、艦隊全体の働きこそが勝利に繋がると考えており、旗艦に据えれば艦隊を鼓舞しつつ敵を殲滅させる。

(黙っていれば)美人。

○祥鳳
古参勢の軽空母。
おしとやかだが少し謙虚な一面も。

宿毛泊地では、大量の「烈風」を作ったことから「烈風職人」のあだ名がある。

○大井
雷巡スリーの一角、誰が呼んだか「クレイジーサイコレズビアン」。
北上さんを傷つけたりしたら、彼女の逆鱗に触れることとなる。その重すぎる愛は、戦艦水姫など様々な深海の姫を粉砕した。


―深海の姫の一言―(くうさん)

『正直…嬉しかったっす。…何がって!? 言わねぇし!!』



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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 E-7

はい、皆様おまちかねのe7でございます。

欧州を救うため、提督たちは遂に今作戦「ラストダンジョン」に挑みます。

果たしてその結末とは…?


それでは…どうぞ!!

※言うほどでもないですが、オリジナル要素、展開多めとなっております。ご了承を。



「---! 今日からよろしくな?」

 

 

 

―――――

 

 

 

「やったな! ---!! また俺たちの手柄だってよ!」

 

 

 

―――a――

 

 

 

「ごめんな---。…つらい思い、させちまったな?」

 

 

 

――?――――

 

 

 

「---! お前は俺たちの誇りだ!!」

 

 

 

――――――――h――――り――――?――

 

 

 

 

 

………誇り…!

 

 

 

 

 

彼女にとって、彼らは「誇り」だった。

彼女にとって、彼らは「生き甲斐」だった。

彼女にとって、彼らは「愛し子」だった。

 

短い艦命だったと自覚しているが、それでも悔いはない…ない筈だった。

 

仄暗い闇の中、彼女は想起する…自身の過去を

 

唐突過ぎる別れを…

 

 

 

「お前はここで沈まない! 俺たちが! 沈ませない!! だから…沈むな! ---!!」

 

 

 

……ああ

 

 

 

「やめろ! 離せ!! 俺はこいつと…あぁ、---…ッ!」

 

 

そうか…沈むのか………私は……

もう思い残すことは無い…充分戦った。

 

だから…そんな顔をするな…これは必然なのだ。

 

 

 

私も……還る…の…だ……あの…空へ………

 

 

 

 

 

 

 

― ホントウニ?

 

本当に…私には、悔いはないのか…?

 

私にはまだ…やり残したことが………

 

 

 

 

― ソウカ…なラ、カエろウ。

 

ワタシをヒツヨうとしていル、カレらのモとヘ…!

 

 

 

そノジャマヲスルもノハ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユ ル サ ナ イ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

「西方再打通! 欧州救援作戦」

 

LAST STAGE E7

 

「ドーバー海峡沖海戦/北大西洋海域」

 

欧州救援作戦、いよいよ最終段階!

 

北部大西洋に展開、敵戦力軍を撃破! 最深部にて敵主力と交戦、これを撃滅せよ!!

 

 

〇ドーバー海峡決戦艦隊(空母機動部隊)

 

〇第一艦隊

 

榛名(旗艦)

照月

蒼龍

飛龍

加賀

サラトガ

 

〇第二艦隊

 

速吸(旗艦)

朝潮

五十鈴

アイオワ

北上

 

 

 

 

ドーバー海峡。

 

それは、イギリスとフランスを隔てる、別名「英仏海峡」。

 

その幅は、直線距離34kmと短く、その昔は陸橋が二国間を繋いでいたという…。

 

遠泳スポットとしても有名で、多くの人々がチャネルスイマーを目指して、その過酷な環境に挑んだという…。

 

その海峡、及び周辺の海域は、今や深海群の手中に落ちてしまった。

 

提督たちは荒れ果てた欧州を救うべく、その元凶たる姫に、戦いを挑むのだった。

 

しかし、欧州を統べる姫。その王宮へ向かう道のりは、これまでのどんな海域よりも険しいものだった。

 

 

 

 

『イヒヒヒャ! 待ッテタヨォ! 遊ボ! 遊ボ!!』

 

そう彼女たちに狂い笑いを向けるのは「潜水新棲姫」。

E1で対峙した彼女だが、今度はこの海域における道中の潜水艦たちを纏める存在として目の前に現われた。

 

自慢の深海魚雷で「先制雷撃」をかますと、第二艦隊の北上に損害が出た。

 

「に”ゃーーー!?」

 

大井が見たら発狂は確実の光景。魚雷が刺さりはしたがそれでも中破判定で耐えてくれた。

 

「うぅ…防御力は無いんだっでばぁ」

『イヒ! イヒヒ! 面白ーイ!』

「ねぇ、アタシたち急いでるからさぁ、後にしてくんない?」

『ヤダ! 遊ブッテ約束シタモン! 今スグ遊ンデクレナキャヤダ!!』

「えぇ〜それ神通がしたんでしょぉ〜? アタシら関係ないし…」

『イイモーンダ! ソレナラ勝手ニ遊ブカラ。ヨーシモウ一発ー!』

 

深海魚雷を装填し、発射。まるで積み木を積み上げて崩す遊びのように楽しげに笑う。

げっ、とする北上だったが彼女の前に

 

 

ぬっ

 

 

『!?』

 

と巨大な壁の如く現れたのは、サラと同じくUSAが誇る「アイオワ級戦艦・アイオワ」である。

彼女が庇ってくれたおかげで、魚雷は不発に終わった。

 

……ポフッ

 

「Oh! 危なかったネ? キタカミ、大丈夫ですかぁ?」

「ふひー助かったぁ。サンキュー「アイ」、今度何か奢るよ〜?」

「Wow! じゃあまたマミーヤに行きたいデス! meはアソコの料理 very like ネ!」

 

たゆたゆと自慢の胸部装甲を揺らしながら、海兵隊風のアメリカンガールは喜びを表現した。

金髪蒼眼、絵に描いたような米国美人だが、その実はニッポーンの事に興味深々。

提督からは「アイちゃん」と呼ばれている彼女。そんな彼女が泊地に来てから、もう一年以上は経過している。

おかげで「これでmeもニッポーン人ネ!」などとグラーフみたいなことを言う始末。

 

「Thank…woops! ごめんなさい、えっと「ドーモ=アリガトーゴザマス」。こんな感じ?」

 

お辞儀をしながら笑顔で回答を求めるアイ。北上は「あ〜まいいんじゃない?」と適当に答えた。

 

「むー、キタカミ「スゴイ=シツレイ」ネ?」

「はいはい…ん?」

 

『アワアワアワワ…』

 

見ると、アイに圧倒されたのか潜水新棲姫はガチガチに固まってしまった。

 

「Oh! pretty girl!!」

 

アイは新棲姫を掬いあげると、そのまま抱きついた。

 

「ニッポーンの友好表現は、こうやって抱きついて「ヨーシヨシヨシ」すると良いってadmiralが言ってたヨ!」

「う〜ん、それは一部の動物好きの話じゃない?」

「そうなの? でもすごくfunな気分ネ!(ナデナデ)」

『イッ!? イタイ! ヤメッ、ヤァ…モォ!』

 

無理やり拘束をほどくと、新棲姫は海中に戻っていった。

 

「Hey? what's wrong?」

「痛いってさ、えっと「いっつぺいん」だよ?」

「really? oh,shit! ごめんなさいネ?」

 

新棲姫は海面に顔を出すと、ジト目でこちらを見つめ口で泡をブクブク吹かせていた。

 

「ありゃ〜」

『もうIowa! 失礼なことしちゃ駄目よ?』

 

通信からサラの窘める声が聞こえる。

 

「ホントにごめん! I'm sorry!」

『…ッベー!!』

 

舌を出してふて腐れると、そのまま潜って何処かへ行ってしまう潜水新棲姫。

…が、一度だけ浮上し、振り向きながら大きく片手を振る。その顔は笑顔だった。

 

「また遊びまショー! Bye!」

「または嫌だなぁ〜?」

 

アイは笑顔で手を振り返し、北上はもうこりごりだと顔をしかめるのだった。

 

 

 

「もうIowaったら、調子に乗って…」

「いーじゃんサラさん! 私はアイちゃんのああいう元気なところ、好感持てるなぁ!」

「ふふっ、確かにHiryuとは気が合いそう…はぁ。」

「どうしたが? 気分が悪うなったが?」

「いえ! そういうわけじゃなくて…私たち(アメリカ艦)が欧州…いいえ、イギリスを救う事になるなんて…感慨深いなって?」

 

サラはそう言って、紅くなっている「畏怖すべき」空を見上げる。

彼女たちの国、アメリカのルーツはイギリスにある。

今でこそ世界経済の担い手として巨大になったアメリカとイギリスが兄弟のような間柄だと知っている人は、少ないかも知れない。

 

サラが思いに耽っている隣、同じく静かに考えている緑衣の空母がいた。

 

「…」

「蒼龍さん?」

「えっ!? 何? 敵襲!? 見張ってるよ! ボーっとしてないよ!!?」

「おいおいぃ蒼龍よぉ? 少し落ち着けぃよぉ? リラーックスぅ。」

 

照月とノリちゃんが、蒼龍に話しかける。彼女はまるで耳に入っていなかったように少し取り乱す。

 

「…あ、何だ照月ちゃん? どしたの?」

「いえ、さっきからボーっとしてるなぁって?」

「…あぁ、やっぱりそう思う?」

「まーぁなぁ? どぅした? 何か不満でもぉあるかいぃ?」

「不満なんて、逆に嬉しいくらいだよ! 久しぶりの最終海域だし…んー、でも…?」

「でも?」

「…私なんかに、「その子」を何とかできるのかな…って。」

 

蒼龍は、泊地の執務室にて艦隊の応援に徹していた。

それは決して彼女が後輩や仲間に出番を譲っていたわけでなく、逆に自分では役に立てないと卑下する心情の表れでもあった。

 

現在の泊地の空母は、軽空母込みで「22隻」。正規空母だけでも10以上はいる。

 

何の取り柄もない自分よりも、戦歴も練度も十分な娘が戦った方が、泊地も安泰だと本気で思っている。

 

…そんな彼女に出撃命令が下ったのは、くうさんの発した一言である。

 

 

 

・・・・・

 

『ウチは、蒼龍さんが良いと思うんす。』

 

「…え? 私??」

『そうっすよ? 適役っすから。』

「いやいやくうさん、オレらぁにも分かるように話してや?」

 

提督がそう言うと、せんちゃんが説明する。

 

『我々モ自分ガ何者カハ知ラン。ダガ、オ前タチノ考エガ正シイノナラ…』

 

 

彼女は―――

 

 

「…ほうか」

(…やっぱり、ね?)

 

二人の話を聞き、神妙な面持ちになる一行。

 

「その…「彼女」に蒼龍さんを合わせて、どうするんですか?」

『そりゃ…話を聞いてもらうんす。』

「えぇ…」

「オレが言えんことやけど、それもどうなのよ?」

『ナンダ? 快諾シテクレルト思ッタノダガ。』

「いやぁ…それとこれとは」

『あの子は多分、「勘違い」してるだけだと思うんすよ? だから…蒼龍さんが、こうビシッと』

「貴女方のような温厚性があるならまだしも…その彼女って」

 

吹雪が口を濁すのも無理はない。

欧州を陥落させた姫…彼女が二人のように話を聞いてくれるとは、とても思えなかった。

 

「…どうな、蒼龍。やってみるか?」

「わ、私に振るの!?」

「オマエのことやき当たり前よぉ。…んで? どうなん?」

「う、うーん…」

『蒼龍さん、お願いします! あの子を見てると、こっちまで可哀そうになって…』

『私カラモ頼ム、彼女ノ魂ヲ、救ッテヤッテクレマイカ?』

「………分かった。微力で良ければ、力を貸すよ?」

 

こうして、欧州を救うドーバー海峡決戦艦隊。その中に蒼龍が組み込まれることとなった…

 

 

 

・・・・・

 

「はぁ…」

「私は、蒼龍さんなら大丈夫だって思いますけど?」

「アハハ、照月ちゃんお世辞上手くなったねぇ。」

「違いますよぉ! 私は蒼龍さんを」

「照月ぃ、それ以上はアイツの仕事じゃあねぇかい?」

 

ノリちゃんが見やる方向から、黄色の振袖を揺らし近づく人影が…

 

「もう蒼龍! いつまでウジウジしてんの!!」

「飛龍…」

「アンタを信じてくれてるから、くうさんはアンタにその子を託したんだよ? 分からない? 蒼龍にしかできないんだよ!?」

「……でも」

「ねえ、提督はさ? いつも「昔はむかし、今はいま」って言ってるよね?」

「えっ!? 何で…」

「それってさ、言い換えれば「過去の栄光」とかも関係無いんじゃないのかなぁ?」

「! 飛龍…」

「私は、私はだよ? 蒼龍がどんなに自分に自信を持てなくても、そこから」

「待って」

 

飛龍の言葉を遮り、蒼龍は静かに、そして優しく笑う。

 

「…ありがとう。そうだよね? 提督も皆も、信じてくれてるんだよね?」

「そうだよ!」

「分かった。ここでやらなきゃ、「二航戦」の恥だよね!」

「そうとも! やっと分かったかコノヤロー!」

 

首元に腕を回すと、そのまま引き寄せ蒼龍の頭をぐりぐりする飛龍。

 

「い、痛いよ飛龍…」

「もう忘れないようにしてんの!! うりうりココがえいのんか~?」

「もうっ笑わせないでってばぁ! うふふ…」

 

二人の仲睦まじいやり取りを見て、ホッと胸を撫でおろす照月。

 

「…良かった。」

「ハハァ! やっぱこうでなきゃなぁ~?」

「…私たちも、頑張らないとね?」

「! …あぁ、そうだなぁ?」

 

蒼龍の挑む姿を見て、照月もまた決意する。

 

2年前の戦い…自分を救ってくれたであろう彼らと共に

 

自分もまた、彼女を救おうと…。

 

 

 

 

 

『さあ、こっちっすよ?』

 

第二艦隊に指示を送りながら先頭を行くのはくうさん。

彼女はボスまでの水先案内人を買って出てくれている。(もちろん手は貸さない方向で)

 

…さて、ここで気になるのは艦隊の編成。

 

今回、第二艦隊のメンバーは五十鈴を始め対潜哨戒に優れた娘で構成され、装備は対潜並びに対空を重視している。

あらゆる状況に対応することを前提にしたこの編成は、こと最終海域においては「あり得ない」ものであった。

 

それでも何故この編成なのか…それは、道中の過酷さにあった。

 

『あっ来るっすよ?』

「も、もう!? 対潜用意! 急いで!!」

 

先ずは潜水艦。欧州でも度々見かけたが、この海域には正にうじゃうじゃといた。

旗艦代理・五十鈴の号令に、先制対潜で敵を駆逐する。

 

『■■■■■■■■■■■■---!!?』

『はい次ー』

「え、ええ!? は、榛名さん!」

『了解です! 照月ちゃん? 対空戦闘用意です!』

『わっかりましたー!』

 

次に敵空母の空襲。

くうさんとは別個体の空母棲姫が、艦隊に爆撃を仕掛ける。

照月の対空カットインで蹴散らし、そのまま戦場を駆け抜ける。

 

『また来るっすよー?』

 

一行の目の前には、敵水雷戦隊。その旗艦は駆逐性姫。

 

『ヤラセハ…シナイヨッ!』

「うぅ…」

「もう来ると思うけんど?」

 

戦闘突入かと思いきや、ここで思わぬ助っ人が…

 

 

- 支援艦隊が到着しました! -

 

 

「さあ行くわよ! 葛城!!」

「はい! 瑞鶴先輩!! …攻撃隊! 全機発艦!!」

 

瑞鶴率いる道中支援艦隊か、敵艦隊に爆撃をお見舞いする。

 

『グッ!? …痛イ、ジャナイ…カッ!』

「そのまま走り抜けて! 加賀さん!」

「瑞鶴…ありがとう。」

「お礼なんていいって! ほら!!」

 

道中支援の旗艦を務める瑞鶴。彼女がまだ入りたての頃を思い出し、感慨に浸る加賀。

 

「…また稽古つけちゃる!」

「え!? そ、それは勘弁!!」

 

瑞鶴に見送られ、艦隊は海域の最深部を目指す。

 

ボンッ ボンッボンッ

 

「うわぁ!? なんか小っちゃい弾がぁ!!?」

 

『キャハハッ キャハッ!』

 

「げぇ!? pt!!?」

 

ptとは、「pt小鬼群」のこと。

最近になって活動が確認された、どの艦種にも当てはまらない、読んで字の如く小鬼の群れ。

 

戦艦や空母の攻撃が、あまりの小ささに当たらないのが特徴。

更に雷装地が異様に高く、狙われたら最後、中破か下手したら大破になってしまう。

 

「やばっ!? 第二艦隊! 砲撃用意! 目標はpt! 迅速に倒して!! 早く!!!」

 

ドォン! ズゥウン!!

 

『イ”ーッ!? イ”ーーッ!!』

 

何とかptを巻いた一行は、そのまま彼女の元へ…

 

『………』

 

出迎えたのはせんちゃん。一行は深く息を吐き、安堵した。

 

『よし! ゴール!! 皆お疲れっしたー!』

「ぜぇ…ぜぇ……や、やっと、着いたの…?」

「し、死ぬ…とんだチキンレースだよ……」

「皆ぁようやった! 少し休むかよ? 速吸、補給しちょいて!」

「はい! 皆さん艤装をこちらに! それから速吸のお茶もどうぞ!!」

 

明るくお茶を振る舞うのは給油艦「速吸(はやすい)」

補給物資で燃料、弾薬を補充し、持参した水筒のお茶で一行の心を癒す。

 

「はいっ! 榛名さんどうぞ!」

「あ、ありがとうございます。…榛名、戦えます!!」

 

榛名にお茶と、艤装に燃料等を補給する速吸。

補給を受けながら、各々が休息をとる中、せんちゃんが通信越しに提督に確認をとる。

 

『我々ハアクマデオ前タチヲ迎エイレタ、ソレダケダ』

「おう」

『良シ…デハココマデダ。コノママ行ケバ彼女ガ見エルハズダ』

「おう、すまんにゃぁ? 無理言って?」

『ナニ、我々モ…』

「え?」

『イヤ…私ハモウ行クガ、空母棲姫、オ前ハドウスル?』

『ウチは…やめとくっす。行ったら何言われるかわかんねーし?』

「? それって??」

『来てるんすよ? ウチらの提督。』

「!?」

『ソウイウ訳ダ。デハナ?』

 

そう言うと、せんちゃんは多くを語らずに奥に消えていった。

 

『あっウチは協力しないんで、一応。』

「……えぇ?」

 

遂にその姿を現わすのか、深海の提督。

そして、欧州を落とした諸悪の姫。その正体とは?

 

補給を済ませた提督たちは、まっすぐに彼女が鎮座する最深部へと急ぐ。

 

果たして、そこに待っているものとは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

 ウミノウエデ

 

 モエルヤミ

 

 ウミノナカデ

 

 

 

 ― モ ガ ク カ ゲ ―

 

 

 

 

 

 

―敵中枢部・到達―

 

クラス「姫」出現…

 

 

 

 女 王 降 臨

 

 

 

 航空母艦

欧 州 棲 姫

 

 

『コンナトコマデ…キタノ……?』

 

『バカナノ…?』

 

 

 オロカナノッ!?

 

 

ドーバー海峡の境目、白い絶壁が見える海流に、彼女は居た。

 

その立ち姿は、英国の「女王」の風貌と言ったところか?

 

どちらかと言えば、イギリス(グレートブリテン島)側に寄り添うように…まるで何かを守るように

 

「あれが…欧州をやった…?」

 

榛名は少し呆気に取られていた。

欧州を、引いては世界を墜としかねない彼女は、一見は威圧が凄まじかった。…だが

 

『………ッ!』

 

その貌は、深い悲しみと憎悪に満ちていた。

それは、ナニモノかに裏切られ、絶望と悲哀に染まったモノ…世界を憎む悪そのものだった。

 

まるで…一年前のあの「姫」を見ているような…そんな気分だった。

 

「貴女は…」

『………………フフ………』

 

『ハハハハハハハ! フハハハハハハハハハハハ!!』

 

「!?」

『ホントニ…フハッ! 馬鹿ジャナイノ!? オ前タチハ何デ! 何シニ!! 此処マデ来タトイウノ!!?』

 

欧州棲姫の発した言葉は、決して嘲笑ではない。

それは、絶望に屈した「諦めの境地」の言動…何をしても、足掻こうとも、この現実を覆すことは出来ない。そういう意味が込められているように感じた。

 

「…私たちは、この欧州の海を救いに来ました!」

『ソレハ誰ノタメダ? ニンゲンタチノタメカ!?』

 

何の為、ではなく「誰の為」と彼女は言う。

 

そうだ、と旗艦が肯定すると、何だそれはと、更に笑いが止まらない欧州棲姫。

 

『クハハハ! 下ラナイ!! ソンナコトヲシテ何ニナル!? ヤツラガオ前タチニ謝意ヲ表ストデモ思ッタカ!!?』

「私たちは、そのようなことは望んでいません! 「助けたい」から! 助けるんです!!」

『ダカラ! ソレガ「馬鹿」ナンダヨ”オ”オオォ!?』

 

まるで自暴自棄の子供のように、乱暴な口調で誠意を否定する。

 

『オ前タチニハ出来ナイ! モウ終ワリ何ダヨ!? 何デソレガ分カラナイ!!?』

「それは…」

 

『そうだそうだぁ! お前たちはもう終わり何だぞぉ!!』

 

…海域に響き渡る、この緊迫した状況に不釣り合いな濁声。

 

それは、彼女たちが「提督」と称する人物…なのだか

 

『ぴょこっ)な”ぁーはっはぁ! よく来やがったなぁ! おジャマ虫どもぉ!』

 

欧州棲姫の肩に露見したのは、人ではなく、ネズミぐらいの大きさをした丸く黒い塊。

 

…まっ○ろくろすけ、と言った方が分かりやすいか?

 

「も、もしかして貴方が…?」

『そう! オレ様こそが深海の提督サマだぁ! どうだぁ? 驚いただろ〜う!?』

「え、えぇと…?」

「Oh my god! 深海のadmiralは「ホコリ」だったのね!?」

「いやぁ〜なんか緊張感なくて、逆にありがたいわぁ?」

「まw まっww ………まぁっwww!!?」

「ちょっとちょっと飛龍、笑い過ぎだから。」

「私も思いました! アレ絶対ま○くろだよね!?」

「照月ぃ……分かっていても、口に出すんじゃ〜あんねぇ!!」

 

各々が深海の提督に突っ込む中、関係ないと言わんばかりに黒玉が続けた。

 

『まずはここまで来たことは褒めてやる! 長かったよなぁ? 辛かったろうなあぁ?』

「はぁ…?」

『だがここまでだぁ! お前たちはオレ様のかわいい手下どもが「今度こそ」倒す! な”ぁーはっは!!』

『……(ギロッ)』

『ひぃっ!? え、えーと彼女の手下であるオレ様たちが倒しますです;』

『…フンッ(プイッ)』

『…コホン、気を取り直して…戦艦ん!』

『…ハッ』

『遂にこの時が来た。おジャマ虫どもはここから、()()()逃すんじゃないぞぉ!!』

『御意…必ズヤ、勝利ヲ!』

 

『…(パチンッ)』

 

欧州棲姫が指を鳴らすと、彼女を守る騎士の如く整列する深海群。

 

そして、海中より現れた自身の艤装…クジラ型の航空甲板に乗り込んだ。

 

『証明シテヤルヨ! 何モカモ!! モウ終ワリダッテナア”アアアア!!!』

 

悲鳴にも似た絶望の咆哮を轟かせ、敵艦隊は狙いを定める。

 

宿毛泊地艦隊もまた、戦闘態勢をとる…

 

 

ここに、欧州を掛けた「世紀の一戦」が、幕を上げた…!

 

 

 

 

- 敵艦発見、攻撃開始! -

 

先ずは「基地攻撃隊」の爆撃。

 

ヒューーー………ズゥゥン!!!

 

『■■■■■■■■■■■■■----!?!?』

「……?」

 

続いて、航空爆撃。

 

「ここは、譲らんちゃ!」

 

ピシュー……ブウウゥゥン

 

ボガァァアアン!!!

 

…最後に、決戦支援艦隊―

 

 

― 支援艦隊が到着しました! ―

 

 

「翔鶴さん! 行きましょう!!」

「はい! 赤城さん!! 航空隊! 発艦!!」

 

ゴオオォォォオオ……

 

ドゴオオォォン!!!

 

(…おかしいな、なんで……?)

 

蒼龍は内心訝しんでいた。

敵に攻撃が「当たり過ぎている」…おかげで、残りの敵は欧州棲姫と戦艦棲姫だけになってしまった。

 

『…フフ、フフフ………!』

「まさか…!?」

 

蒼龍の疑問が確信に変わった時、宿毛泊地の執務室が大きな音を立てて開かれた。

 

「大変ですっ! 提督!!」

「大淀さん!?」

「どうした!?」

「今、運営鎮守府より緊急の伝令が…あぁっ、どうしましょう!?」

「落ち着きや!? どうしたっちゅうが!」

「は、はい………たった今「坊ノ岬沖」周辺に、し、深海棲艦の大群が…」

「ええぇ!!?」

「そ、そのまま、沖縄に向けて進路を…っ!」

 

大淀が震えながら告げたのは、おおよそ信じがたい報告であった。

提督は平静を保ちつつ、当たり前のことを聞いた。

 

「なんでよ! 沖縄は運営さんとこの艦娘が哨戒して守りゆうがやろ!?」

「そ、それが突然連絡が途絶えて…入れ替わるように「彼ら」が…」

「………」

 

絶句だった。

 

その場にいたものも、通信で事情を聞いていたモノも、誰もが思った…

 

「してやられた」……と。

 

『クク…ク…ハハハハハ! 馬鹿ミタイ!!』

「貴女…まさか「これ」を!?」

『ソウ! オ前タチハマンマト罠ニハマッタトイウワケ!! ドウスル?! 戦力ノ大部分ガコノ欧州ニ在ル今!! オ前タチニ何ガデキル!?』

「!? くっ!」

 

榛名は旗艦として(間に合うかどうかはともかく)急ぎ日本へ戻ろうとすると

 

『おっとぉ! そうはいくかぁ!!』

 

深海提督の目が光る、すると有象無象の深海群が一行を取り囲んだ。

 

「い”ぃっ!? まだこんなにいるのぉ!!?」

『な”ぁーはっはぁー! 正に袋の鼠というワケだぁ!!』

『……ッ…………』

「く、くっそぅ…」

「……っ!」

『言ッタハズダ…モウ終ワリダト、無駄ナンダトナア”アァァァ!?』

 

「くっそ! 大淀! 運営さんは何て!?」

「はっ、はい! まだ連絡は…」

「よし! オレらだけでも動こう! 佐世保のが近いけんど、しのごの言いよったら間に合わん!!」

「大淀さん! 皆を集めて、緊急会議を!!」

「わ、分かりましたっ!!」

 

最悪の展開になってしまった…だか彼らは急ぐ。

 

もう二度と、あの場所が戦地にならないように…

 

果たして間に合うか、そして蒼龍たちの運命は…

 

wait till next 「EGO」

 




〇宿毛泊地メモver.3

〇アイオワ
アイちゃん。昨年の春イベントより実装される。
日本(ニッポーン)に興味深々のアメリ艦。

〇速吸
給油艦。スポーツ漫画のマネージャーみたいとよく言われる。
主に最終作戦で起用される。それでもあんまり使わないって人も多いのでは?(作者もだが)


―艦娘の一言―(大淀)

「ここまで全く動きを見せなかったなんて…向こうにはどんな切れ者が!?」




・・・・・

―次回、緊急展開―

敵の壮大な「囮作戦」にまんまと掛かってしまった提督と艦娘たち。

敵が沖縄に向かう前に、艦隊は坊ノ岬で防衛線に望む。



―――だが、そこで待っていたのは…?


「-偽りの平和を望む者よ」

「我が”理想世界”の礎となり…」



  沈めッ!!



宿毛泊地提督の航海日誌

EGO(エマージェンシー・オペレーション)

「再劇、坊ノ岬沖海戦」

勝つのは「正義」か、「悪」か、それとも…?


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宿毛泊地提督の航海日誌 EGO -1

出来心なんです、許してください。


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

―alert! alert! alert!

 

▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

エマージェンシーコール! エマージェンシーコール!

 

緊急事態発生!

 

現在、坊ノ岬周辺に、大量の深海群が発生!!

進路は南「沖縄」!

 

鎮守府、並び泊地艦隊は遂行中作戦を中断!

 

残存勢力を以て、敵艦隊の彼の地への上陸を死守せよ!! 繰り返す……

 

 

 

 

・・・・・

 

「坊ノ岬」

 

この言葉を、現在の日本国民で知らぬ者はいないだろう。

 

そしてその沖合い、そこで繰り広げられた惨劇を…

 

 

〇坊ノ岬沖海戦

 

1945年(昭和20年)4月7日に沖縄へ海上特攻隊として向かった「戦艦大和」と護衛艦艇をアメリカ軍の空母艦載機との間で発生した戦闘。

 

日本海軍が発動した天一号作戦の一環として第一遊撃部隊(第二艦隊のうち、戦艦大和と第二水雷戦隊の軽巡洋艦1隻・駆逐艦8隻からなる)は沖縄方面に出撃、アメリカ海軍第58任務部隊の空母艦載機がそれを迎撃した。

 

大和以下6隻が沈没(沈没〈大和、矢矧、朝霜、浜風〉、自沈〈磯風、霞〉)。

 

日本海軍による最後の大型水上艦による攻撃となった。(wikiより抜粋)

 

 

 

今回の作戦は、艦娘側の快進撃に勢い付いた運営鎮守府が、敵の隙をついて立案したものだった。

世界情勢を元に戻すためにも、最良の作戦だった…まさかそれが敵側の誘導であるとは、夢にも思わない。

 

宿毛泊地からも、大人数の艦娘が作戦に参加している。

紅海から大西洋にかけて、非常時のため作戦参加艦娘はそのまま待機していた。

 

つまり敵の思い通り、大部分の戦力が減らされたまま戦いに赴かなければならない。

 

宿毛泊地は、坊ノ岬より一番近い「佐世保鎮守府」と、綿密に連絡を取ろうとするが…

 

「通信が入らん!?」

「はい…何度やっても向こうと連絡がつかなくて…」

「どういうことでしょう?」

「恐らく敵の妨害…「電波」で連絡が入らないみたいです。」

「向こうも作戦参加しちゅうき、気づかんはずないやろ?」

「それは…」

『ザザッ)提督。』

「! 神通! どうな、そっちは!?」

 

神通より通信が入る。

彼女は泊地に待機していた駆逐艦娘たちと一緒に先行し、佐世保鎮守府の様子を伺いに来ていた。

 

『駄目ですね…佐世保近海に深海群が哨戒しています。近づくのも、向こうから出ることも不可能かと…』

「……ほうか」

 

ため息を吐き、頭を抱える提督。

 

幸い泊地周辺には、それらしい影は見当たらなかったが…こうなればいよいよ、自軍のみで何とかするしかなかった。

 

「よし神通、そのまま磯風らぁと一緒に坊ノ岬まで行っちょいて?」

「私たちも後から向かいます! それまでお願いします!!」

『承知しました。通信を終了します。』

 

-プツッ

 

「…ふぅ」

「司令官、蒼龍さんたちは…?」

「ああ、ほうやな…こうなっちまったらしゃぁないわ。アイツらぁを信じるしかない。」

「そんな…」

「吹雪さん、私から長門さんたちに向こうへの救援をお願いしておきます。…間に合うかどうか、は別として」

「それでも構いません! お願いします!!」

 

大淀は頷くと、通信に入るためその場を後にする。

 

その後、すれ違うようにドアのノック音がやってきた。

 

「ガチャ)司令官。皆集まっている。」

「おう、すまんにゃぁヴェル?」

「緊急事態だ、仕方ない。そうだろ?」

 

ヴェルがそう言うと、一回り大きな人影が顔をだした。

 

「提督、私も及ばすながら…いや? 「当然ながら」力を貸すぞ?」

「すまん、ありがとうガンちゃん」

「何をしおらしい。お前と私の仲だろ? 気にするな」

 

早く来いよ、と言うと二人はそそくさと行ってしまった。

 

「…」

 

提督は懐からブローチを取り出し、中を開いてそれを眺めた。

 

「ひいじいさん…」

「司令官、そろそろ…」

「…ああ、後から行くわ。頭を冷やしときたい」

「……分かりました」

 

吹雪は言われた通り彼を一人にし、皆が集まる会議場へ急いだ。

 

「………」

 

提督の曾祖父は、当時一般より招集された海兵であったという。

しかし、その勇敢な戦いぶりが評価され、戦後も軍に残り荒れ果てた日本の復興に勤めたと聞く。

その後自ら軍を辞めたらしいが、何のために、辞職後に何をしていたかは不明である。

 

提督にとっては、会ってすらいない人物だが、それでも彼もあの時代に頑張っていたと思うと、勇気をもらえた。

 

(ひいじいさん…オレは、どうすればえい?)

 

暗い道に迷い込んだ彼は、松明を片手に一筋の光を見いだそうとしていた。

 

 

 

 

・・・・・

 

一方、水雷戦隊を率いて、神通は坊ノ岬沖に向かっていた。

 

メンバーは旗艦が彼女。随伴に磯風、江風、浜風、雪風、初霜を迎えていた。

 

「………」

 

磯風は普段の余裕がある態度ではなく、何処か焦りを感じるようだった。

 

「磯風…」

「…浜風か」

 

彼女たちは、坊ノ岬とは切っても切り離せないものがあった。

侵略された沖縄を取り戻すため、かつての大日本帝国が発令した、最後の作戦…もとい、特攻。

大和を中心としたその特攻部隊に、彼女たちはいた。

結果は「惨敗」…当時、既に敗北色が濃厚であった日本に、成す術などなかった。

 

だからこそ、今回の戦いは退けぬものがあった。

 

「私たちだけで防衛なんて、大和たちに申し訳ないですね?」

「ああ、先ほど通信で矢矧と話していたが、悔しがっていたよ…「私たちの分も頼んだ」と」

「…私たちで、どうにかできるのでしょうか?」

「さあな? それでも、やるしかないだろう」

「大丈夫です!」

 

雪風がいつものように元気に艦隊を勇気づけた。

 

「皆でやれば、絶対できます! 雪風は大丈夫です!!」

「あのな雪風? 言ったらまずいンだろうけど、お前だけ大丈夫ってわけにもいかねえよ?」

 

江風がそれでも茶々をいれる。雪風はハッとすると一気に落ち込んでしまった。

 

「はうぅ…」

「で、でも! 私たちも強くなったし、あの時の教訓もあるし…!」

 

初霜が雪風のフォローをしようとするが

 

「流石に幸運艦は言うことが違うねぇ~いンやぁ参ったまいったぁ!」

「あう…」

 

またも江風に毒づかれてしまう。

神通の「貴女いい加減にしなさいオーラ」が江風に刺さる。

神通を見やると「じ、冗談だって;」と言いたげに苦笑いしながら頭を小さく揺らした。

 

「…ふふっ」

「はっはっは! …そうだな? 少し力が入り過ぎていたようだ?」

「ありがとうございます。雪風、初霜?」

「は、はいっ!」「そんな、お礼なんて…」

「江風、お前にも気を遣わせてすまなかったな?」

「…まあお前らがガチになるのも分かるけどサ? いざって時にそんなンじゃダメだろうから、ねぇ?」

「…そういう事にしておきます。」

「ひどいな、神通さん…」

「まあ、私は「一日地獄演習」を課すよりマシと思いましたが?」

「ヒイィ!!?」

「そんなに嬉しいですか? では、日頃から弛んでいるようなので、この作戦が終わった後にでも指導しましょう」

「お、おにぃ!? 鬼がいるうぅ!!」

 

あ、終わった。と、誰もが江風の地獄(みらい)に合掌したが

 

「!」

 

すぐに神通が空を見上げた。

彼女が偵察に放った水上機が、無数の敵深海艦載機を捉えていた。

 

「…あれか」

「ンぉ! おいでなすったよお〜!!」

 

磯風と江風が同じく空を見上げる。

空を覆い尽くさんと、次々と黒の点々が来る…自分たちがここに向かうことが分かっていたようだ。

 

「彼方は我々を迎え討つようですね…?」

 

言いながら神通はほくそ笑んだ。獲物を狙い澄ます虎のようだ。

 

「神通さん、嬉しそうです!」

「雪風ちゃん!?」

「…ええ、そうです。あまり自負することは好みませんが」

 

ギラリと光る目は、闇夜に灯る炎。そこには敵を射殺す闘志があった。

 

「この神通、”特攻”と聞いて血を滾らせずにはいられません…!」

 

普段ならここで冷や汗一雫なのだが、それはその場にいる全員がそうだった。

 

気持ちを一つに…かつての演舞の再演が始まろうとしていた。

 

今度こそ「勝つ」…心にそう誓いながら。

 

「全艦、両舷最大戦速! …一気に駆け抜けます!」

「応ッ!」

 

旗艦の合図と共に、艦隊は爆撃の嵐へ進むのだった…

 

 

 

 

・・・・・

 

 

その頃、欧州では取り残された決戦艦隊が包囲網を突破するため奮闘するも…

 

『■■■■■■■■■■■■■ーーー!!!!!』

 

「ま、まだいるぅ…もうだ、め…」

「Meの弾薬も、もう無いネ…」

「す、すみません…予備の補給物資、持ってきていたら…」

 

第二艦隊はもう「弾」が残されておらず、敗北寸前であった。

 

第一艦隊も空母たちの対空警戒により被害は軽微だったが、それも時間の問題だった。

 

『な”ぁーはっは! これでお前たちもジ・エンドだぁ~!!』

『……提督、ソロソロ』

『ん? おぉ! そうだった! よぉし!! オレ様たちは向こうで合流する手筈になってる。後は頼んだぞぅ!』

『…フン』

 

欧州棲姫は一瞥すると返事もせずに艦隊の絶望的な状況を眺めていた。

 

『あららクール。まいっか! 行くぞぉ戦艦ん!!』

『………』

 

せんちゃんは飛龍に目配せする。

 

「? …!」

『(ソウイウコト、ダ…)』

『こらぁ~! 早く来いと言ったらこぉーい!!』

『! スミマセン…』

 

深海提督がピョイっとせんちゃんの肩に移ると、そのまま沈んでいく…これは所謂「ワープ法」であり「姫クラス」にしか使えない。海の上であればどこへでも「移動(距離等関係なく)」できる。

 

飛龍はせんちゃんたちが消えていくのを眺めながら、自分なりに情報を整理していた。

 

「(そっか…「そういうこと」なんだね? …でも)」

 

飛龍の艦載機も、既に限界を迎えていた。

加賀とサラが善戦しているが、もうこれ以上は耐えられない。

榛名の弾薬も切れている…辺りを見回すと、足が水に浸かり沈みかかっている娘もいた。

 

彼女自身も、ここまで囲まれていたらかつての勇姿も何も無かった。

 

「(多聞丸が居てくれたら違うんだろうなぁ…なんて)」

 

自身が情けなくなる…何が「飛龍の反撃」だ、と皮肉を言う。

最早、風前の灯火。過去の栄光は彼女にとっては「足枷」でしか無かった。

 

『ソウ…ニンゲンタチノコトナド、モウ忘レナサイ』

 

彼女が呟いたような気がした。「もう用済みなのよ」とも言っている。

 

『私モ…オ前モッ!!』

 

欧州棲姫の放った深海艦載機の急降下爆撃。

 

飛龍は成す術もなく、その運命を受け入れようとしていた。

 

「……ごめん、提督………」

 

蒼龍…!

 

 

 

 

 

 

 

 

その時

 

 

ガガガガガッ!!!

 

 

戦闘機の機銃掃射。敵艦載機は爆弾と共に爆発四散した。

 

『!?』

「…あ」

 

その「烈風」を放ったのは

 

「蒼龍…!」

 

彼女はまるで様子を窺うように後ろに下がり、艦隊の戦闘の行方を見ていた。

それは、機を見て確実な「勝利」をもぎ取ることを意味していた。

 

「蒼龍! …………!?」

 

飛龍は

 

彼女の顔を見て

 

 

「恐れ戦いて」いた…。

 

 

普段の彼女からは想像もつかない、険しく、鋭く、凄まじい気迫に満ちていた。

 

先ほどの言葉を訂正するなら…勝利を、ではなく命をもぎ取ろうとする顔をしていた。

 

 

…そして「唸った」

 

 

 

「…いいね。この状況、燃えてくる」

 

 

 

そう、蒼龍にとってこの状況は正に「好機」。

 

かつての雪辱…それがモチーフとなった戦いもあったが、彼女の心を晴らすものではなかった。

 

あの日…あの「悲劇」において、不甲斐ない結果で終わってしまった自分。

 

ならばと、この戦でその汚名をそそがんとしていた。

 

『!? …ナンダ、オ前……オ前ハ………ッ!』

 

欧州棲姫も、その凄みに圧倒されていた。

 

過去の栄光が足枷となるなら…「過去の汚名」が絶望を砕く鉄塊にもなり得る。

 

 

― 今、この瞬間がその時だった。

 

 

「我が名は第二航空戦隊が一隻(ひとり)、蒼龍型航空母艦”蒼龍”…!」

 

「我が一矢を食らう覚悟ある武士(もののふ)ならば、いざやこの一撃を受けるが良い」

 

 

 

「天命を以て、その精神(いのち)を刈り取ってくれよう…ッ!!」

 

 

 

かつての…いや、それ以上の覚悟と迫力が今の彼女に宿っていた。

 

まさかの展開に、艦隊は唖然とするも「彼女」に一筋の希望を抱く

 

 

『…クッ! ヤレルモノナラ……ヤッテミロ”オオオ!!!』

 

欧州棲姫が叫ぶと、有象無象の砲身が蒼龍に照準を合わせられる。

 

蒼龍は動じることなく、静かになった頭の中で「彼」の言葉を思い起こす…

 

 

 

 

 

―蒼龍。オマエが自分を信じられんやったら、それでもえい。

 

やったら、オマエの代わりにオレがオマエを信じちゃる。

 

オマエなら「できる」…分かったら行ってきぃや!

 

 

…思いっきり暴れてきぃ!!

 

 

 

 

 

 

 

「…うん!」

 

微笑み、頷くとそのまま静かに弓を引き絞り、矢を構える。

 

「行くよ…二航戦「蒼龍」攻撃隊!」

 

 

―――発艦始めッ!!

 

 

ヒュッーと空を裂く風切り音と共に、その矢は艦載機へと変わり、飛翔していく

 

先頭をいく艦爆機が、敵を焼き尽くす!

 

 

ズゥウウンッ! ドガァアンッ!! ズガアアァアンッ!!!

 

 

敵は鳴き声をあげる暇も無いまま、次々と沈んでいった…!

 

『グゥ…ッ!?』

 

あまりの鮮やかな攻撃に、爆風を手で遮ることしかできない欧州棲姫

 

『ナメ、ル…ナ”ァ!!!』

 

深海艦載機を打ち上げると、蒼龍の攻撃隊を撃ち落とそうとするが…?

 

『!? ……ナ、ナンダト!!?』

 

捉えることが出来ない…それどころかどんどん離されている

 

『貴様…ッ、調子ニ…!』

 

蒼龍と欧州棲姫の艦載機、その間に割り込むは飛龍、加賀、サラの攻撃隊。

 

「蒼龍が頑張ってるんだ…! 私たちだって!!」

『クッソガァ! …!?』

 

目の前に、艦攻「流星」の得物(魚雷)が迫った。

 

『!? シマ…』

 

そのまま投げ槍が放たれ、見事に女王を貫いた!

 

『ガァ!? …グッ、舐メルナァ…ッ!』

「そうだよね、その程度じゃ…なら!」

 

蒼龍は次の矢で弓を引く、そこから現れたのは…

 

「…頼んだよ「江草隊」!」

 

彼女の切り札である「艦爆機・彗星(江草隊)」が空へ放たれる

 

同時に、流星も旋回し再度攻撃を加える…!

 

『グッ!?』

 

烈風舞い、草葉揺れ、彗星と流星が煌めく時

 

蒼天の龍が牙は、敵を噛砕かんと猛進する!!

 

 

『ウオオオオオオオア”アアアアア!!!!!』

 

 

彗星、流星の交差からの爆撃投下。

 

二重に鳴り轟く爆音は、確かに敵を捉えるのだった…

 

 

 

 

 

 

「…これで、何とかなったかな? …「皆」」

 

蒼龍の頭に響く「万歳三唱」。

 

それは、蒼龍の健闘を称えるように、今の彼女には感じられた。

 

「……ふふ」

 

小さく微笑むと、彼女は前を向いた…

 

「………え?」

 

硝煙から見えたシルエットは、彼女の目を見開かせた

 

『………グッ、ク…!』

 

耐えた、あれだけ爆撃を浴びせたのに

 

だが、そう思うも束の間。

 

『オ前ガ…オチロォ!!』

 

蒼龍の後ろから迫る敵艦載機。

その魚雷は、彼女を確りと捕捉していた。

 

「!?」

 

蒼龍に今まさに落とされるギロチン…果たして、彼女は助かるのか?

 

 

To be continued




〇おまけ「秋刀魚祭り2017 その1」


今年もサンマの季節がやってきました!

提督「さんまじゃああ! 船を出せえええええ!!!」

全員「うぇーい!!」

ローマ「今更だけど、この国どうなってんの?」

江風「いいじゃン、面白けりゃ? キヒヒ♪」

ローマ(Y)「…まあ、いいけれど別に」

吹雪「司令官! 大変です!!」

提督「どうした、吹雪?」

吹雪「いえ、今年は不漁により秋刀魚祭りは「中止」するって…」

全員「何ぃ~~~!!?」

吹雪「原因は中国人の違法漁業だそうです!!」

全員「やっちまったなぁ!!!」

まさかの時事ネタですか…

提督「おっしゃあ! まずはその人たちにどいてもらおうかや!」

吹雪「司令官、お言葉ですが彼らは大変気が立っており、如何なる妨害があっても漁をやめないでしょう!」

提督「任しちょき! 私にいい考えがある!!」

吹雪「フラグだからやめてください!!」

果たしてどうなってしまうのか…次回に続く

…え? これ続くの??


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宿毛泊地提督の航海日誌 EGO -2

ついにあのお方が……





『オ前ガァ…落チロオオオオオ!!!』

 

欧州棲姫の深海艦載機が、蒼龍を確実に破壊出来る位置を捉えていた。

 

「………!」

 

正に、魚雷を投下しようとした瞬間。

 

 

『おおっと! ちょっとm』

『チョットマッターーーッ!』

 

二対の深海艦載機が、女王の艦載機を撃破する。

 

『何ィ!?』

「間に合った!」

 

飛龍が喜びの声を上げた。

その目の先にいたのは、見慣れた人影たちだった。

 

『アナタタチ! モウ大丈夫ヨ!』

「ナッちゃん! くうさんにシュウちゃんも!?」

『ヨォ。』

『……』

『ン? ナンダホッペ膨ラマセテ?』

『べっつにぃ~? ウチのセリフ盗られたとかぁ? 思ってないしいぃ~~?』

『オイオイwBBAガナニカ言ッテルゾ?』

『テメェ!! 今BBAっつったな!!? そこで的になれやゴラァ!!』

『オーコワwww』

『フ、二人トモ仲良クネ…?』

 

蒼龍は驚いていた、深海の姫が三人も自分たちを助けてくれているのだから。

 

『ワタシタチガ来タカラニハ、コノ子タチニハ指一本触レサセナイワ! 正義ハワタシタチニアル!!』

「おお! …ん? ん〜〜?」

『貴様ラァ…作戦ノ途中ダゾ? 任務ヲ放棄スルノカ!?』

『あれぇ〜聞いてないんすかぁ? ウチらは「囮作戦」をやってたんすよ? 本隊が動き出した今、作戦は「しゅ〜りょ〜」ってことじゃないんすか?』

『屁理屈ヲ…コノコトハオ前タチノ提督ニ…!』

『ソノ必要ハナイワッ!』

『それが言いたいだけだろほ〇らメガネおらぁ!?』

『アナタヲ倒セバ、ソンナ面倒シナクテイイワ!』

『グッ!? 最初カラ裏切ルツモリダッタノカ…!』

『裏切ってないっすよ? …「アンタ」も、誰からも裏切られていないっす』

『黙レ! …モウイイ、モウイラナイ。私ヲ否定シタニンゲンタチモ! オ前タチモ!!』

 

そう言うと欧州棲姫は、裏切り者の粛清のため深海群を差しむけるが

 

『ふふ〜ん?』

 

くうさんたちは、自身の「手駒」で、それを迎え討つ。

 

「うわぁ…蒼龍あれ……?」

「うん、深海群同士の対決なんて、滅多に見られないよ?」

 

黒と「くろ」の対立に異様な感覚になるも、その頼もしさは変わらなかった。

 

『さあ。やるっすよ! 蒼龍さん!』

「…うん、やろう!」

 

動けない連合艦隊の代わりに、くうさんたちと蒼龍は獅子奮迅する。

 

このまま行けば勝てる…だが果たして、易々といくものかと、一抹の不安を感じながら…

 

 

 

 

 

・・・・・

 

宿毛泊地より出立した艦隊は、一路坊ノ岬を目指していた。

 

泊地周辺は危険性は薄いものの、油断ならない現状であった。

 

留守を霧島たちに任せて、提督は艦隊と共に、「提督専用漁船改装快速ボート」(通称:とさすくも丸)で戦地へ赴こうとしていた。

 

提督は、肩の上に乗せた妖精さんと戯れていた。

 

「(こちょこちょ)きゃはは!」

「えい風や、にゃぁ?」

「…そうでしょうか?」

 

そう提督に言葉を返すのは定期従軍医の徳田。

あからさまにしかめ面をすると、提督に対し小言をいう。

 

「もう驚きはしませんが、しかし呆れましたよ?」

「お? 何が??」

「貴方ですよ。…指揮官、それも頭である貴官が直接出向くなど、本来であれば言語道断です。」

「んー、オレも思ったけんど、居てもたっても居れんでにゃぁ?」

「全く…家族が心配なのは分かりますが、少しはご自分の立場というものを理解していただきたい。」

「それで言うたら、先生も心配でついてきてくれたんよにゃぁ?」

「な”っ!? 私は、軍医としての仕事が」

「お~ぅ? そういう事にしちょいたるわw」

「ぐっ…からかうのは私の仕事です!」

「仕事は軍医やないの…?」

「そこは普通に突っ込むなよ!? …ああ、もう勝手にしてください!」

 

徳田が言い終わると、提督は彼に問いかけをする。

 

「にゃぁ先生」

「…何ですか?」

「アンタの悩みごと、そろそろ教えてくれんかよ?」

「……何故にいまそんなことを?」

「聞いときたいがよ? 男同士、何でも話し合える仲になりたいがよ?」

「ふむ、殊勝な心がけですがそれはそれで気色悪いですね?」

「…先生ってホンマは口悪いでね?」

「隠す気もありませんからね?」

「………」

「…はぁ、気持ちはありがたいですが、今は話せません」

「それって、時期が来たら話してくれるが?」

「さあ? …ただ」

「?」

「私は、かつては夢を追い続けていました…この道を歩んでいけば、必ず光が差すと…本気で思ってました」

「…」

「しかしそれは奈落の道で…知らなかったとはいえ、そこに光などあるはずがない」

「逃げたっちゅうこと?」

「直球ですね? …まあ否定しませんが?」

 

徳田は光を失った目で海を見つめる。

どこを、というわけでなく、ただただボーッと空間を見ているようだった。

 

「それ以来私は人を信用していない…はっきり言って貴方がたの事も、全く信用していません」

「ほうか? …寂しいにゃぁ?」

「それは結構ですね? …ですが私は」

「ま、えいか? オレが信用しちょればえいし?」

「………」

「先生、今は話さんでえい。でも、その気があるいうんやったら、いつでもえいきね?」

 

提督の眩い微笑みに、徳田は思わず皮肉を言って突きかえす。

 

「ふ、一生話さないと思いますが?」

「それはそれでえいんやないの? 重荷になるんやったら手伝うでっちゅうことよ?」

「はっ! 馬鹿ですね…?」

「お互いさまやろ?」

 

先導する艦隊を眺めながら、男二人は語り合った。

その哀愁ただよう背中を、明石は操舵しながら見ていた。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「…? 爆撃が止んだ……?」

 

神通が不可思議にそう呟いた。

 

坊ノ岬に先行し、敵の空襲を掻い潜った彼女の水雷戦隊であったが、突然爆弾の雨は晴れ、辺りは波の音のみが聞こえる静けさに包まれた。

 

「…罠か?」

「あり得ますね? この様な大胆で緻密な作戦をやってのけたのですから」

「なあなあそれってよぉ? 作戦を立案したヤツがいるってことだロ? …聞いた話だとむこうの提督、ホコリみたいなってよ」

 

磯風、浜風、江風が話していると神通が前に気配を感じる。

 

「…いえ、如何やら違うようです」

「ンぇ? …は!?」

 

見ると水平線から人が近づいているのが分かった。

 

 

 

 

ピチャ

 

ピチャ

 

ピチャ

 

 

 

 

 

水の弾く音。海の上を当然のように歩いていた。

 

「……!」

 

彼女たちが気付いた時、その人物は「目の前にいた」

 

「………」

 

白のコートに、白い肌、そして白に近い長い銀髪。

 

まるで深海棲艦のような「男」の目は黒く、憎しみに染まっており

 

深海の姫の特徴である角が額に生えている。

 

その貌は痩せこけている…「幽玄」であり「荘厳」であるその姿は威圧に似た空気の圧力を感じていた。

 

「あ、あれが…?」

「ええ、恐らく…今回の作戦立案者、その張本人です」

 

神通が話すと、謎の人物はその両手を重々しく重ね

 

 

パチ、パチ、パチ

 

 

拍手。ある意味胸にのしかかるような重音だった。

 

「…流石は第二水雷戦隊の旗艦代表。その魂は本物のようだ。」

「貴方は…?」

 

男は口角を歪ませると、一言一句、丁寧に「説明」する。

 

「私は君たちの「敵」だよ。有体に言うなら深海群を率いる者…だ」

「へっ! 深海の親玉登場ってわけかい!!」

「そう早るな…私は確かに「総督」などと呼ばれているが、君たちのいう「まっとうな」深海のモノという訳ではない」

「…どういう事だ?」

「私は「元人間」だ…残念ながらね?」

「元? …!」

「察しが良いようだな? …そう、かつて人であった我が身は既に亡くなっている」

「そ、そうなのですか! それは「ぞんび」さんなのでしょうか!?」

 

雪風が無垢に言葉を紡ぐと、総督と呼ばれる男は、大げさに手を広げて見せる。

 

「近くて遠し…この身は器を改造したものに精神を注ぎ込んだ、まあ「クローン」と考えればいい」

「…つまり最早自分は人の範疇にはない、と?」

「その通りだ…付け加えるなら、例え人と言われても私は「こちら側」だ。」

 

総督はそう言うと憎々し気に顔に怒りを滾らせた。

 

「人類が始まって以来、人は無益な戦争を繰り返してきた…ある時は領土の拡大、ある時は己の誇示、と…だがそれは必然であると、百歩譲って認めるものとしよう。」

「…」

「しかして時代は進んだ…力を示す以外にも、他者を支配することなど幾らでも出来る…だがニンゲンはそれを止めようとしない、それはなぜか?」

「…何が言いたい」

 

総督の禅問答を磯風が遮るが、構わず続ける。

 

「「弱い」からだよ…力の有る無し、ましてや善し悪しではない。人類はそう運命づけられているのだ。」

「あン?」

「精神の不安定さ、それによる他者への過剰な威嚇…その手段として、「力」は彼らにとって絶好の武器となる」

「…具体的には?」

「「君達」さ…兵器は力の象徴。人類は永い歴史においても絶対的な力には服従してきた…それは何より、自身の「命」を守るため」

 

総督は皮肉交じりに、言葉を綴っていく。

 

「分かるかね? ニンゲンはその「偉大な」知恵で幾重にも渡り文明の発展を続けてきた。そんな彼らが未だに幼稚な闘争を繰り返している…ああ滑稽だ、あまりにも無様だ!」

「貴様は違う、と言いたいのか?」

「否…私とて脆弱な存在。そのような大それたことは言わんさ?」

「では単刀直入に、貴方の目的は?」

 

神通が問うと、彼はその貌を不気味に歪ませる。

 

「…復讐だよ」

「あ? なンだって!?」

「少し修正すると…「彼女たちの」復讐だ」

 

そう言うと、総督の周り…いや、海が、海面が揺れる

 

ザバァ!! と波を荒らして出現した深海群。

おおよそ百は下らないか…海上を埋め尽くす漆黒の大群。

総督の隣には、いつの間にか「離島棲姫」が控えていた。

 

『………』

「予想しなかったわけではありませんが…やはりこうなってしまいましたか」

「待て」

 

総督が空間に響き渡る声で、深海群を静止させる。

 

「君たちの提督…彼が来るまで待とう」

「ン? 提督くンの?」

「連絡はありました…彼方がそれを予期していた、かどうかは分かりませんが」

「沖縄侵略が目的でないのか? …それとも余裕のつもりか?」

「まさか。だがこれは言わば頂上決戦、かつて日の本で関ヶ原が行われたように、我らも再び雌雄を決する時が来た、というまでのこと」

「!? 待ってください! …「復讐」に「再び」…? それはどういう」

「焦らずとも語ろう…君たちには、知る権利がある」

 

総督は役者が揃うまで、艦娘たちに聞かせる。

 

深海棲艦の行動原理…彼女たちの「復讐」の理由を…

 

to be continued




〇おまけ「秋刀魚祭り2017 その2」

-問題の秋刀魚漁場 到着

中国人の皆さん「えんやっこーらー! なんやっそーらー!!」

吹雪「見るからに頑固そうな人ばっかり…」

提督「皆ぁやりゆうかよ〜?」

ちゅーか「あ"ぁん!?」

ひぃ!?

提督「オレらぁも秋刀魚獲りたいき、その辺でやめてくれん?」

吹雪「と、と言うか、貴方がたは我々の領海に無断で進入しているんですよ! やめてください! せっかくの秋刀魚祭りが!?」

なか「んなこと知るかあー###」「テメエらだけこんなうまいもん食べて! 贅沢なんだよぉ!!」「矢でも鉄砲でも八極拳でも持ってこいやぁーー!!!」

流石、話を聞く気ゼロですねえ?

提督「…そんなこと言ってえいのん?」

なかチャン★「…え?」

提督「君らぁの中で「艦これ」知っちゅう人〜?」

なかチャンだyo〜!「…(すっ)」

えっ!? 全員ですか!!?

提督「等価交換っちゅうやつよ? …君らぁが退いてくれたら、ここにいる吹雪の「パンツ」をやるわ」

吹雪「司令官!?!?!?!?」

よっろしくぅ〜★「おおおおおおおおおおおお!!!!!」

見事に釣りましたねぇ…? というか食いつきが凄い。

提督「皆さん! 時代はパンツです! 秋刀魚より吹雪の!!」

きゃはっ★「パンツ! パンツです!!」

提督「よし! 吹雪あとは頼む」

吹雪「なんでこうなるんですか…もう、こんなこともあろうかと、替えのパンツがあります!///(スッ)」

なかなか「うをおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

吹雪ちゃん、乙女の恥じらい的なものは…?

吹雪「司令官の秘書艦になってから海にぶん投げてきました! 桂浜辺りに!!」

そんなばなな

吹雪「おらぁ! さっさと持ってけこの変態どもぉ!! (ブンッ)」

いつもありがとー★「うおおお!! 俺んだあああああああ!!!」「おれがハスハスすりゅのおおおおお!!!」「それを寄越せ…全部だ!」

江風「うわぁナニこれぇ?」

ローマ「日本のヘンタイと大差ないじゃない…馬鹿なの?」

なんてこたぁない…「エロが世界を救う」ただそれだけの話さ?(イケボ)

提督「吹雪のパンツは…国境を越える!」バァーン

吹雪「やめてください!! (泣き)」

こうして、秋刀魚漁場を確保した提督たちは、無事に秋刀魚祭りを開催できるようになりました。

※え? 中国語分かるのって? …気づいてしまったか。そんな君のところに「北上さんを傷つけた」体で大井っち送っといたから。


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宿毛泊地提督の航海日誌 EGO -3

ちょっと強引過ぎた…?

※作中の彼女たちのことは、あくまで作者のオリジナル(妄想)です。



…この国の、物には付喪神(つくもがみ)が宿る、と言う逸話は聞いたことはあるだろう?

 

万物のモノには霊が宿る、と…実にこの国らしい考えだが、しかしそれは事実だ。

 

時間はかかるが、それでもモノにも魂は宿る。

 

それを踏まえて言うと、君たちや彼女たちも、そうした悠久の時の中で精神を育み、その理性ある考えもまた、時間の積み重ねによる賜物だろう。

 

だかニンゲンとの違いは、そこにある。

長い時間をかけ、精神を構築したからこそ、君たちはある意味「純粋無垢」なのだ。

 

戦えと言われても悩むことはない。

「生きる」という生存本能はあるが、そこに道徳も、美徳もない。

ましてや欲望など、あるはずもない。

 

君たちには「死」の概念はない。

 

つまり、ニンゲンの弱さの根源が君たちには存在しないのだ。

 

…そもそも闘争の原因は、ニンゲンが自身の弱さを認めないから起こる。

君たち「兵器」は、そんな在り方をニンゲンに利用されているに過ぎない。

「力」とは神の所有物だ。それを持たざる者が本来もつべきではない…

 

だが彼女たちの考えは違う。

 

彼女たちは、人の手によって作られた。ニンゲンに「使われる」ことが、彼女たちの至福なのだ。

 

…先ほど、力は神のものだと言ったが、勿論彼女たちは神ではない。

 

彼女たちは…力そのもの。

 

それも、意思ある力だ。ニンゲンとは全てが正反対な彼女たちたが、それでも彼女たち自身はニンゲンに成り代わろうなどとは思わないのだろう。

 

「…だが、私はそうは思わない」

 

ひとしきり言い終えると、総督は怒りを越え、全てに向けた殺意を漲らせた。

 

「この世界は間違っている…私がやろうとしていることは、全人類の「機能停止」だ」

「それが「復讐」…という事なのですね?」

 

総督が問いかけに答えようとした時、神通たちの後ろから波を掻き分ける音が聞こえる。

 

「おーい! 神通ぅ〜!!」

「神通さん! 皆!!」

「! 提督!」

 

提督と吹雪率いる戦隊。

メンバーは時雨、ヴェールヌイ、ガングート、阿武隈、雲龍。

残っているメンバーでは比較的練度の高いモノたちだった。

 

「吹雪!」

「磯風ちゃん!」

 

二つの艦隊は合流し、ようやく役者が揃った。

 

「…」

「お?」

 

総督は、提督を見つめていた…先ほどとは打って変わり、穏やかな表情で。

 

「…………大きくなったな……」

「? なんちぃ??」

「…君が提督かね? お初お目にかかる。私が深海群の指揮官、皆からは「総督」と呼ばれている」

「お? あぁこりゃどーも、宿毛の提督で、す…?」

「…ふむ、さて? では続きを」

「お待ちなさい」

 

総督の話に待ったをかける徳田。

 

「…君は?」

「ただの医者です。それより聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」

「ふむ…? 聞こうか?」

「どうも…貴方が指揮官、ということはこの作戦も?」

「ああ、わたしが直接指揮した…尤も、陽動はその限りではないがね?」

 

欧州への作戦へと導いたのは総督だが、その足がかり「欧州棲姫に協力を申し出た」のはあの黒玉だという。

 

「まさか、彼女が素直に要請に応じ、そして君たちをここまで追い詰めることに成功するとは…あの小物も、腐っても「提督」だということか…」

「ええ、彼女を説得するのも骨が折れたことでしょう。何せ「女王」の一角なのですから」

「…何を言いたい?」

「私が解せないのは貴方です。…沖縄は世界的に見ても最重要拠点の一つ。その彼の地の防衛は完璧に近かったはず…貴方はどうやってそれを掻い潜ったと?」

 

総督は落ち着き払った様子で、懐からある装置を一行に見せる。

 

「何よそれ?」

「これは特殊な電磁波を発生させる装置…これを今ここで鳴らせば、艦娘も、我が深海群も完全に機能を停止する」

「えっ!?」

「…それは貴方が?」

「ああ、沖縄を守っていた艦娘たちは、今頃はスクラップだろう…本当は使いたくはない手段だったが、私の提案に賛同してくれず、致し方なく」

 

それを聞いて、徳田の顔はますます険しくなった。

 

「そんなことを出来る人間など、この世には居ないはず…貴方は一体?」

「先生…?」

 

訳が分からない現状だが、総督という人物が容易に話を聞いてくれはしないとは、いくら提督でも理解していた。

 

「…私のことなど、君には眼中に無いと思っていたが?」

「! 貴方は…ッ!!」

「提督殿? 私も貴殿に質問がある」

「お? オレに?」

 

なぜ自分が? と理解出来ない顔で総督を見る。

総督は彼に、深海群のこれまでの行動に関わる核心に触れる質問をする。

 

「これまで、貴方は深海群の戦いを見てきた。その中で何か違和感があるとは?」

「お、おお…なんか作戦っちゅうか、おんなし事ばぁしよるち思うたけんど…?」

「それはかつての「戦争」の、作戦や戦いを繰り返している様に感じた…と?」

「ほうやにゃぁ? 深海のモンが恨みつらみで行動しよるって思いよったら、納得いったけんども?」

「! まさか…」

「そう、我々が「あえて」過去の作戦をなぞったのは、ニンゲンたちの罪を露見させるため…私としては気に入らんが、この作戦もまた然りだ」

 

彼女たちが作戦を繰り返したのは、人間がもう二度と過ちを犯さないため。

そして平和を願う彼女たちの祈りも込められているという。

 

…それが彼女たちなりの「復讐」であるという。

 

「なるへそ? んで、アンタはそれで、結局何を言いたいがよ?」

 

そんなことは分かりきっていると言いたげに、提督は結論を催促する。

総督は「成る程」と呟くと、話を続けた。

 

「…それを望んでいるのは彼女たちだけ。ということだよ?」

「…ん?」

「君たちが…そうだな? 去年の春ぐらいか? 深海群の拠点を見つけ、意気揚々とそこに向かい「彼女」を倒したのだろう」

「!?」

 

驚きを隠せない宿毛泊地一行。

総督が言っているのは、去年の春。ちょうどアイが配属される直前。

深海の姫たちと一大決戦を繰り広げた…そこには当時「女王」の一角として君臨していたモノがいた。

 

その名は「中枢棲姫」

 

彼女との激闘の末、遂に打倒した提督たちは、日本近海並びに周囲の海域の制海権を「ほぼ完全に」その手中に収めることに成功した。

 

「…彼女が打倒された後、私は今の地位に就いた。というのも、このまま君たちの思うままになっていくのは「面白くない」と思ったからね?」

「…ほうか。アンタが指揮しよったんは、あの子の代わりっちゅうことやにゃ?」

「これは異な事を、誰が「代わり」などと言った?」

「何やと?」

 

総督は静かに笑い、狂気をその貌に浮かべる。

 

「沖縄への侵略は前任への敬意もあるが…一番は君たちをここへ誘き寄せるため。だよ?」

「お、オレらぁを!?」

「そうだ。我が悲願、その成就には君たちは「邪魔」でしかない…此処で敵を殲滅させるため、今回の作戦を提案した次第だ」

「つまり…沖縄侵攻も罠だったのか!?」

「また嵌められた…というわけですか?」

 

磯風が驚愕し、徳田が悔し紛れに皮肉を言う。

今回の作戦の用意周到ぶりは徹底していた…常に影から暗躍し、引き金を引くだけで、設置された爆弾が互いに誘爆しあい、状況を一変させた。

激変する現状に対応しようと、敵によって敷かれたレールの上を歩く…正に二重三重に張り巡らせた罠。

 

 

…何れにしろ、目の前にいるはずの男の腹の内は、未だ垣間見ることが不可能だった。

 

 

「私が指揮官となった今、君たちの未来はないと思ってくれていい。…先ほども言ったが、私が望むのは「全人類の完全な機能停止」だ」

「はぁ!? そんなことして、何かあるっちゅうが!!?」

「ハッキリと言おう…私が目指すものは」

 

 

 

-兵器の理想郷、力あるものが統べる世界だ

 

 

 

 

・・・・・

 

その頃、欧州では一応の決着が着けようとしていた。

 

『…グッ、ハアァ………ッ!』

 

力なく蒼龍とくうさんたちの前に跪いた欧州棲姫。

形勢は完全に逆転し、もはや彼女が大人しく倒れるのを待つのみだった…のだが

 

『………ヌ”…グゥ……ガアァ』

 

声も絶え絶えになりながら、彼女は尚も立ち上がった。

 

『…もう終わりっすよ? アンタは負けたんすよ。その事実を受け入れた方が楽っすよ?』

『五月蝿イ! 私ハ……私ハッ、モウ二度ト負ケルワケニハ…!!』

「…どういうこと?」

 

まるで光を探すように、闇を湛えた目で彼女は泣きすがった。

 

『誰モ…イナイ……私ハ………モウ…ッ』

『…コレハモウ、何ヲ言ッテモ無駄ダナ?』

 

シュウちゃんは両手でお手上げを表した。

彼女の嘆きは、それ自体が深く、精神は既に抉られていた。

つまり「最初から」話が通じるはずはなかった。

 

『彼女の話、したっすよね? ウチが言った「勘違い」ってのがアレなんす』

「そうか…じゃあ私が選ばれた訳は」

『そゆことっす。んじゃ張り切ってやってください!』

 

言われて蒼龍は、彼女の前に出る。

 

「…ねぇ、どうして「裏切られた」って思ったの?」

『……ナニ…?』

「貴女が見捨てられるはずないじゃない。ここは、私たちが「生きた」時代とは違うんだよ?」

 

蒼龍が優しく、諭すように問いかけた。

だが深い闇は消えず、彼女はなおも救いを求めて叫ぶ。

 

『キコエナイ…キコ、エ………ナイ』

「…」

『キコエナイ…キコエナイキコエナイキコエナイキコエナイキコエナイキコエナイキコエナイキコエナイキコエナイキコエナイ!』

『…!』

 

ナッちゃんが絶句する。これ程までの絶望に駆られたモノは彼女は知り得なかったからだ。

 

『駄目ナンダ…モウ聞コエナインダ! アノ懐カシカッタハズノ声モ! 彼ラガ言ッテクレタ、嬉シカッタハズノ言葉モッ!!』

「…」

『私ガ負ケタカラ、沈ンダカラ! 役立タズダカラッ!! 私ハ見捨テラレタンダ! キットソウナンダ!!』

「…」

『私ハ彼ラ以外ハ「イラナイ」! 彼ラノ居ナイ世界ナンテ…無クナッチャエバ!! 沈ンジャエバイインダアアアアア!!!』

 

「いい加減にしなさいっ!!」

 

泣きじゃくるように悲痛な叫びを上げる欧州棲姫に、叱りつけるごとく声を張り上げた蒼龍。

 

『そ、蒼龍さん!?』

「ごめん、くうさん…でももう無理、もーう堪忍袋に穴が開いたよ!」

『オ、落チ着キマショ!? マズハ穏便ニ…』

『ハッ! イイゾモットヤレ! www』

『シュウチャン!?』

 

蒼龍は怒気を帯びた表情で、再び矢を構えた。

 

「構えなさい! 先ずはその腐った根性に折檻よ!!」

『!?』

「あーあ、蒼龍って頑固だから、ああなっちゃったらもう止まんないよ?」

『んもー、自分も燃料少ないって分かってるんすかねぇ?』

「…ふふっ、これがセーシュン。ですよね?」

「…さあ、ね?」

 

蒼龍の全力で振り上げた愛の鞭は、果たして彼女に届くのか。

 

to be continued




〇おまけ「秋刀魚祭り2017 その3」


―北方AL海域(3-5)


『■■■■■■■■■■------!!!!!』

「うわあーーー!?」

『シャアアアアアア!!!!!』

「いやあああーーー!?」

『ブルアアアカモノガアアア!!!!!』

「ひいいいいい!?」

『サンマナイ、カエレ』

「えええええええ!?」


・・・・・

えー色々あって最奥地まで来ました。

吹雪「よぉーし! みんな、早速作業に入るよ!」

磯風「任せろ! この磯風、秋刀魚焼きは得意中の得意だ!」

秋刀魚漁ね?

加古「ふわぁ~、アタシ寝てていい?」

ヴェル「ダメ」

加古「(´・ω・`)………( ˘ω˘)スヤァ」

結局寝るんかい!!?

吹雪「もう、加古さんはそのまま寝かせといて? 絶対起きないから」

磯風「それがいいだろうな?」

吹雪「よし! じゃあヴェルちゃんお願い!」

ヴェル「ハラショー(ピッ)」

持ってきた釣り竿でF作業をし始めるヴェルちゃん

このF作業の「F」はFish、要するに「釣り」のことですねぇ? あ、知ってました?

ヴェル「!」

ぐいっ ザパァ

磯風「おお! 活きがいいぞ!!」

吹雪「やったね! ヴェルちゃん!」

ヴェル「スパスィーバ(ビチビチ)」

見事秋刀魚を釣りあげました…こんな簡単でいいんでしょうか?

ツ級『シャーーーーー!!!』

吹雪「げぇ!? ツ級!!?」

軽巡ツ級。この海域のボスで、防空特化仕様です。

ツ級許すまじ『シャーーー(チョンチョン)』

ん? 秋刀魚を指差してますね?

吹雪「欲しいの? ご、ごめん…これ秋刀魚祭り用で…」

Tアナフィラキシー『シャー!? シャーーーーー!!###』

あからさまに怒ってますねえ?

磯風「ふははは! 欲しければ力づくで来い!」ドヤァ

吹雪「磯風ちゃん!?」

つっきゅん『シャーー!!!』

ヴェル「「秋刀魚を譲らなかったことを後悔させてやる!」…って言ってる気がする」

ヴェルちゃんが正しかったのか、ツ級は艦隊を呼び寄せ、戦闘態勢に

加古「ん"〜うるしゃいなぁ…なんなのぉ?」

吹雪「加古さん、戦闘です! 起きてください!」

加工「ふぁーい…」

こうして両者激突と相成りました。果たしてどうなるか? 次回に続く!


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宿毛泊地提督の航海日誌 EGO -4

うわーん! 秋イベ告知来ちゃったよぉー!?

…後2,3話かなぁ?(願望)


欧州の戦いは、最終決戦を終えやっとの思いで完遂しようとしていた。

 

ピヒュー………ドオォォオン!!

 

『グッ…!? ヤメテッ!!』

 

しかし流石の欧州の姫。

簡単には沈まず、さらに負けも認めようとしないので、ある意味で膠着状態が続いていた。

 

ピヒュー………バグゥオオオンン!!!

 

『ヤメロッ! ヤメテッテ言ッテンダヨ!! 聞コエナイ!!?』

「聞こえないっ!!」

 

ピヒュー………ドグュアボギャアアアンッ!!!

 

蒼龍は何か癇に障ったのか、執拗に手負いの獅子に向けて攻撃を続けていた。

 

『聞コエテンダロッ!! 馬鹿ナノカオ前ハァ!!!』

「馬鹿だよっ!!!」

『クッ…フザケルナァ!!!』

「こっちのセリフだよっ!!!」

 

 

『……どうすんすかコレ?』

「終わるまで待ちよるしかない。」

『イヤ、コレ下手シタラ一生終ワランゾ? 冗談ヌキデ』

「えっと、とりあえず帰り支度、する?」

「とりあえず海に浮かんでいい? もう体動かしたくない…」

「キタカミ、中破で頑張りましタものネ~?」

「だ、ダメですよ!? そんなことしたら沈んじゃいますから!!?」

 

ギャラリーが呑気に話していると、欧州棲姫が怒号を上げた。

 

『!! イイ加減ニ……シロォ!!!』

 

それを聞き入れたのか、蒼龍が攻撃の手を止めた。

 

『何デコンナコト…モウイッソ沈メテクレ……ッ! 私ハ…モウ………コンナトコイタクナイ…!!』

「………」

『コンナニ愛シテルノニ…必要トシテイルノニ……私ハ愛サレテナカッタ…必要ジャナカッタ……私ハ…ッ』

 

胸を押さえ、泣きわめくように、彼女は声を震わせた。

だが蒼龍は、それでも言い放った。

 

 

-貴女は間違っている

 

 

『……エ?』

「貴女が裏切られるはずない。貴女が捨てられるなんてありえない。…だって貴女は頑張ったんだから、一生懸命に」

 

貴女自身が、それを忘れているだけ。

蒼龍の温かな微笑みに、欧州棲姫はただただ魅入っていた。

 

『…ドウシテ、ソンナコト?』

「だって…私は貴女と違って、碌な戦果も無かったし、MIではあの有様だし…自分で言うとアレだけど、弱いし…?」

『………』

「でもね? それでも私は幸せ。提督に飛龍、吹雪ちゃん。みんなみんな、こんな私を支えてくれるから!」

『…ソウカ、羨マシイナ』

 

その笑顔に込められた「信頼」

彼女にとって、懐かしいような、滾る思いが溢れてくるような…そんな感覚になった。

 

「貴女もだよ? 頑張った子に幸せが来ないなんておかしいもん。」

『…私ハ』

「辛かった日々も、皆が居てくれたから、乗り越えられたんだ。…貴女にもあるでしょ? 自分が幸せだって、皆が「誇り」だって言える思い出が」

『………!』

 

その時、彼女の中で眠っていた記憶が、走馬灯のように駆け巡り蘇る。

 

 

 

”--k! お前は俺たちの誇りだ!! ”

 

 

 

『…そうか、そう…だったのか』

 

欧州棲姫の淀んだ何かが消え去り、瞳に「光」が宿る。

そのまま息を整え蒼龍を見つめた。だがそれは「睨みつける」でなく「覚悟」を決めた眼差しだった。

 

『…私ト、手合ワセシテクレ』

「それは…」

『頼ム……』

 

彼女が真っ直ぐ見つめ、紡ぐ言葉。短く自身の誠意と覚悟を込めた言葉。

 

「……うん、分かった」

 

蒼龍は彼女の意思を汲み取り、一対一の真剣勝負と相成った。

 

誰とも言わず距離を取り、海面に弧を描きながらその瞬間を待つ。

 

黄昏の月に照らされ、静かな波の音がその場に木霊する。

 

その様相は、誇りをかけた騎士の決闘か、はたまた命を賭した侍の死闘か…

 

だが、この戦いの勝敗で全てが決まる。それに変わりは無かった。

 

「…」

『…』

 

ギャラリーが見守る中、空気の流れが変わる瞬間 ―

 

 

 

ザパァッ…

 

 

 

「『―――!」』

 

 

 

波がうねり、水しぶきを飛ばす…

 

その一瞬に戦闘態勢を取る、一方は弓を、もう一方はボウガンで

 

「…!?」

 

ギャラリーにいた飛龍はその一瞬を見逃さない。

蒼龍が矢筒から取り出したのは、見たことない「矢(艦載機)」だった。

 

「(どういう事? 何を考えてるの、蒼龍…)」

 

だが彼女の思惑は、すぐに露となった。

 

 

 

『艦娘タチヨ! コノ先ヘ進ミタケレバッ!! 私ヲ斃シテ行クガイイ!!!』

 

叫ぶ、それは嘆きではない。自身の罪を認め、それを自らを以て断罪せんとする覚悟の「叫び」

 

だが

 

「嫌だよ! 私は貴女を倒すんじゃない!」

『…!?』

「私は貴女と…」

 

 

― 友達になりたいだけなんだっ!!

 

 

魂と思いを込め、思いきり引き絞った弓を全力で解き放つ。

 

矢は翼に変わり、思いを届けるため羽ばたく。

 

『……ッ!!』

 

目を見開いた。その先に見えるものは

 

彼女が誰よりも知る「青い翼」だった…

 

『…アア』

 

溜息にも聞き取れる感嘆の言葉を漏らし、見惚れる。

 

まるで悟ったように棒立ちとなった彼女に、最後の一撃が下った。

 

『…私ノ……「完敗」ダ』

 

その一撃は、どんな爆撃よりも強力だ。彼女はそう感じていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…浮かんでいく

 

彼女の現在の心情を表現すると、そうなる。

 

「沈んでいく」感覚は、あまり感じたくない嫌悪感があったが、これはむしろ心地よかった。

 

沈むはずなのに、浮かんでいるとはおかしな話だが…それでも

 

『コレデ…ヤット会イニイケル……』

 

彼女は胸に広がる喜びに静かに微笑んだ。

 

私のことを忘れているかもしれない…でも一目見れたら、感じれたら、私はそれで満足だ。

 

今の彼女には後悔も、絶望も、悲哀もない。

 

それで充分だ。そう思っている彼女に、突如頭の中に「鍾音」が響き渡った。

 

『…鐘ノ……音…?』

 

まるで、彼女を祝福している、厳かで、それでいて和やかな響き。

 

『…アア……コレは』

 

-それが、貴女が愛された証拠。

 

貴女は彼らと苦楽を共にした…そんな彼らが、貴女を忘れるはずないじゃない?

 

『…うン、オモいだしタ……』

 

良かった…大体、捨てられるって考えがおかしいんだよ?

 

『……?』

 

一生懸命頑張った貴女が、そんな簡単に忘れられるわけないじゃない? 下手したら私より戦果あるんでしょ?

 

『アハハ…すこシ、しっばイしたけドネ? …こんなノ……全然………わた、シ…私……うそだ……別に、私は』

 

- こんなの、望んで…ないから

 

身体の各部にひび割れ、その感覚は全身を巡ろうとしていた。

 

完全に心を取り戻した彼女が最初に感じたこと、言葉では言い表せない程の深い「罪の意識」だった…

 

深層意識の深い闇に沈んでいく彼女。

今度こそ、後悔は残したくない…彼女は

 

 

 

- どうか、もう一度……願わくば、彼女たちのため…

 

 

 

薄れ消え逝く存在は、誓いと願いにより温かな転生の光に包まれた…

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「兵器の、理想郷…?」

 

提督が言うと、狂人は然りと笑う。

 

「そう、彼女たちがニンゲンに成り代わり世界を変える…全人類の駆逐と新たな世界の構築。それが私の目的だ」

 

この突拍子もない発言に揺れる艦隊だったが、一人…徳田の意見は違った。

 

この男なら「可能」…自身の経験と勘が告げている。奴の持っているオーバーテクノロジーなら「条件が揃えば」どうとでもなるだろうと

 

…だからこそ、不可解な部分があった。

 

それは、彼がこんな回りくどいことをしてまで我々を追い詰めた、という点。

 

運営鎮守府が拠点としている鎮守府(サーバー)群は、日本各地、果てはかつての海外侵攻拠点地に設営されている。ここで注目したのは、横須賀や呉等、一大勢力となる彼らを差し置いて「宿毛泊地を選んだ」ということ。

 

それこそ、抑止力にもなり得る戦力を潰した方が効率的だ。それは、ここまでの作戦をやってのけた人物、理解していないはずはない。

 

………宿毛泊地は、言ってしまえばそこまでの戦力規模はない。せいぜい中堅どころだが、拠点を守るだけなら充分だった。

 

彼が何かを「知っている」となると、宿毛泊地には彼が脅威と見るに十分すぎる要素があるということ。

 

「(何にせよ、今はこの窮地を脱しなければ、話にならないか…)」

 

徳田は一旦その疑問を胸に押し込めるのだった…

 

「…アンタの言いたいことは分かった。やけんどそれは本当にその子らぁが望んじゅうことなが?」

「ほう? 面白いことを聞くな」

「オレとしては真面目に聞きゆうがやけんど? …にゃぁ離島、オマエはそれでえいが?」

『…私ニ決定権ハナイ。総督ノ望ム世界ヲ作ルコトガ、今ノ私ノ「義務」ダ』

「カッタイにゃぁ? 別にオマエらぁのためにやりゆうがやき、意見ぐらい言うてえいがぞ?」

『貴方ニハ関係ナイ…モウ決メタノ。ドンナコトガアッテモ、私ハコノ人ノ願イヲ叶エル』

 

その目にはかつて、提督を死地に追いやったぎらついた憎しみはなく、むしろ澄んだ覚悟が見て取れた

 

「…ほうか、やったらしゃぁない、か」

 

そんなやり取りをしていると、不意に聞きなれない声が聞こえてくる。

 

『あのぉ〜…』

「お? ありゃ!? 何なんアレ??」

「…帰ったか」

 

総督の後ろにいきなり現れたのは、せんちゃんとその肩に乗る謎の黒い生命体。

 

『は、はい…奴らの陽動と追い込むことに成功しましたです~』

「ほう? それは重畳…だが、私は奴らを「倒すまで戻るな」と言ったはずだが?」

『はひぃ!? そ、そうでしたっけ??』

『…ゴ安心クダサイ。彼奴等ハ我々ガ見テイルウチニ虫ノ息トナッテイマシタ。ソウソウ立テナオルコトハナイカト?』

「…ふん、()()()()()()()()()()()

『…ハッ』

 

総督に報告をする中で、(どうか無事であってくれ)と心で思うせんちゃんであった。

 

「…先生、あれ」

「ええ、あの黒い物体が「向こうの」提督でしょう?」

「うーん、まっ〇ろもそうやけんど、声がどう聞いてもばい〇んまんにしか聞こえん」

「…それはあまり大声で言わない方がよろしいかと?」

「……ほうやな?」

「…さて、ではここで君たちに問おう」

 

総督は艦娘たちに向けて、またも問いかけを投げた。

 

「私の言う理想郷…力そのもの足りえる君たちにも、そこに至る資格がある」

「資格って…」

「選別をしたいわけではないよ? だが、我々とてニンゲンに手を貸そうとも、君たちを破壊するなどとそこまで邪悪ではない」

「ハッ! 私は回りくどい言動は嫌いだ! 何が言いたい? ハッキリ言え!!」

 

ガングートが結論を催促した。

総督は言われるまま答えるが、それは耳を疑う提案だった。

 

 

「…私の元に就き、共に人類に反旗を翻そうではないか」

 

 

硬直、凝視、驚天動地の叫び……各々がそれぞれのリアクションを取った。

 

それは人類を「裏切り」、新人類たる深海群の繁栄に手を貸せ…という内容。

 

もちろん、それなりの見返りは約束しよう…と、典型的な誘い文句で一行の心を揺さぶった。

 

…それに対し提督は

 

「おお、ええんやない?」

 

 

 

……………

 

はぁ!?

 

 

 

「皆ぁの好きにしたらえい! ほらあれよアレ!「来るもの去るもの」とか言う…?」

「司令官! こんな時まで暢気すぎですよ!?」

「すまんにゃぁ? んでもそういうんもカッコえいにゃぁ思うて?」

「ああ、「裏切りの艦娘」って確かに語呂が…ってバカ! 馬鹿ですか貴方!?」

「先生、そんなに言わんでもえいやん(´・ω・`)」

「……ぷっ! はっはっはっは!!!」

「…ふふっ」

「本当に、貴方という人は」

「うむ、だがそれでこそ司令だ!」

「こンなのが、って思われちまうンだろうけど、それでもアタシらの頭だからねぇ?」

「そうだね? 提督は…「僕らの」提督はそうでなきゃ!」

 

一瞬にして和やか、かつ決意の固まった艦隊。

それはひとえに、提督と艦娘たちの「信頼」の賜物であった。

 

「…ふむ、交渉は決裂したようだな?」

「そういう事ですね? おバカさんたちには、狂人の戯言など通用しないということです」

「……うむ、「狂っている」か、それも然り」

「…お?」

 

総督はまるで意に介さず自身の在り方を肯定した。

 

「私はどんな抵抗や障害があろうと、この思想を覆すつもりは毛頭ない…「世界は間違っている」。脆弱であり矮小なニンゲンたちは、身に余る力を求めて今日まで闘争を繰り返してきた…そこに流れた血の跡や、名も無き命が儚く散ろうとも、己が欲望を叶えるため終わりなき戦争を続けるのだ」

 

総督の顔が怒り、殺意を超え、この世全てを呪う悪霊の形相をして見せた。

 

「絶対的な力。そのものである彼女たちは求めることも、まして競うこともない…彼女たちの支配する世界こそが! 悠久の平和足りえる「未来」なのだ!!」

「!?」

「力無き意思が世界を支配するのではない…「意志ある力」こそが、世界に相応しいのだ!!」

 

総督が言い終えると、突然に艦隊後方…提督たちの「とさすくも丸」が轟音と共に火を上げた。

 

 

ドオオォオン!!!

 

 

「ぬおぉ!? な、なんやぁ!!?」

 

爆発。唐突過ぎる揺れに思わず叫ぶ提督。

乗員三人(と妖精)は船にしがみついた。

 

「に”ゃあ”あああ~~~!!?」

「おおぅ!? 妖精さん、しっかりぃ!?」

「くっ! 何事ですか!?」

「て、提督!? 後方に敵影! 潜水艦群ですぅ!!?」

「なんやとおぉ!!?」

 

船長である明石が敵影を発見。

艦娘の艤装技術を応用したソナーに反応したのは、無数の敵潜水艦群。その先頭で次発魚雷を装填するは「潜水棲姫」

 

「私がこの展開を予測していなかったとでも? 残念ながら君たちが完全に「破壊対象」となった今、我々は全力を以て排除行動をさせてもらう!」

「し、司令官っ!?」

「間髪を入れるな! 総員、全深海魚雷を撃ち込め!!」

 

言われなくても、といわんばかりに敵潜水艦群はありったけの魚雷をとさすくも丸めがけてぶち込んだ。

 

「!? 提督っ!!?」

 

艦隊から悲鳴が上がる…果たして提督たちの運命は?

 

 

to be continued




〇おまけ「秋刀魚祭り2017 その4」

―敵艦発見、攻撃開始!―


♪~~~


!? 何で「月夜海(艦これ新オリジナルソング)」が流れてるんですか!!?

提督「えい歌やにゃぁ…」

吹雪「心が洗われますねぇ…」

加古「…そんな空気を無視してひゃっはー!!」

ズドォン!!

ツ級『シャーーー!?!?!?』

吹雪「加古さん!? せっかくの風情が台無しですよ!!?」

いやぁ毎回思うけどこの(戦闘BGMとしての)ミスマッチ感が…

提督「ぶっちゃけオレは大好きです! いいぞもっとやれ!!」

吹雪「それもどうなんですか司令官!?」

加古「よぉーし乗ってきたぁ! 「加古スペシャル」いっちゃうぞ!!」

おお! それはどんな代物で?

加古「こう、ポーズ決めるじゃん?」

ほう?

加古「でジャンプするじゃん?」

ほうほう?

加古「でそこから急降下直角キィィィーーーーーック!!!」

ドガァ!!!

つきゅーん『ギニャアアア!?!?!?』

ハイ皆さあぁん! ここツッコミどころですよぉ!? どこの仮面〇イダーだっつうんですよぉーい!!?

加古「ふっふーん(キメッ!)」

ヴェル「…違う(ポーズ修正中…)」

ヴェルちゃんがポーズを直して…なお……え


  一 欠


その人はダメエエエエ!? 最悪深海群滅んじゃうから!!?

磯風「仮面〇~~イダァ~~ブラァーック」

ヴェル「ア”-ルエ”ッ!!!」

吹雪「二人とも何言ってんの!?」

いそ&ヴェル「イエェーイ!! (ハイタッチ)」

吹雪「なにこの男子校的なノリ!?」

加古「四国(高知)の平和はアタシが守るッ!」

吹雪「もう収拾つかねえええええ!!?」

ツ級『シャー…(もう秋刀魚いいです…;;)』

こうして無事に秋刀魚漁を成功させた吹雪ちゃんたち。

大量の秋刀魚を持って、そのまま泊地に帰還します…さあ、いよいよお祭り本番です!

…次回に続く!


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宿毛泊地提督の航海日誌 EGO -5

話が急展開になっていくけど、作者が好きだから仕方ないね?

次が最後になるかも?


提督たちに、深海の潜水艦。その槍が迫ろうとしていた。

 

「うぅ…妖精さん! ダメコンをお願い!!」

「ミィ!!」

 

損傷を受けたとさすくも丸の損壊場所に、数十匹の妖精たちが群になって急いだ。

 

「くっそー!」

 

明石は船を巧みに操り、魚雷を逃れようとする。

右往、左往、ジグザグに動きながら回避行動を取る。

 

「大人しくしていた方が身の為だがね?」

 

総督が言うと、魚雷が迫る…後数センチで、木っ端微塵になろうとしていた………その時。

 

 

『ダメーーー!!!』

 

 

同じく海中に潜む小さな影が、障壁を張り立ち塞がる。

 

ズゥン!!

 

「なんや? 爆発しとるぞ?」

「あれは…?」

 

明石が操舵しながらソナーの反応を見る。

 

「この反応…もしかして「新棲姫ちゃん」!?」

 

その言葉に、思わず振り返る二人。

 

そう、潜水新棲姫が潜水艦群ととさすくも丸の間に立ち、襲い来る無数の魚雷から守ってくれているのだ。

 

『ヴゥ……』

『………』

 

潜水棲姫は、自身の改良型である新棲姫を見つめる。

 

健気に何ものを守ろうとするその姿に、心を揺さぶられる感覚になる…それは以前、どこがで見たことがあるような、または経験したことがあるような…

 

彼女がそう考えていると、裏切りの粛清と言わんばかりの無数の「槍」が彼女を串刺さんとする

 

 

 

『……アーァ、モットミンナト……アソ、ビ………タカ…タ………ッ』

『…!!』

 

 

爆発が襲い、障壁が砕かれる…泡と共に、彼女は深海に「沈んで」いった…

 

 

「新棲姫ちゃん、轟沈(ロスト)………ッ!」

「そんな…あの阿呆!」

「…ホント、馬鹿ですね?」

 

明石の絶望的な報告に、二人は各々の言葉で彼女の轟沈を悔やんだ。

 

その時、総督の怒号が辺りに木霊した

 

「どうした!! 攻撃が止んでるぞ! 潜水!!」

 

潜水棲姫は水面に顔を出すと、震える声で言った。

 

『…出来マセン』

「何ィ……!?」

『私ニハ…彼ラヲコレ以上攻撃スルコトハ……出来マセン』

 

何と、潜水棲姫が任務放棄(ボイコット)を申し出てきた。

訳が分からない展開になってきた…総督も意表を突かれていた。

 

「貴様…正気か!?」

『ハイ…彼ラヲコレ以上傷ツケタクナイト、私ノ中ノ何カガ言ッテイマス』

 

深海側から怒鳴り声に聞こえるうなり声が響いた。

深海提督も「貴様何言ってるぅ!?」と驚きと怒りの混ざった声を上げた。

 

「それが何を意味するか、理解しての発言だな?」

『承知ノウエデス…』

「…分かった。では…これより「裏切りモノ」を粛清する!」

 

そう言うと、総督の後ろで控えていた深海駆逐艦群が対潜行動を取り始める。

 

「戦艦、お前は奴らをやれ」

『!?』

「出来んとは…言わせんぞ?」

『………ッ!!』

 

総督の言葉に促されるままに、せんちゃんは魔獣に備え付けられた砲を宿毛艦隊に向ける。

 

「オマエ…」

『………』

「何や知らんけんど、オレらを守ってくれたがやろ? …ありがとう。なんかはっちゃんが守ってくれゆうみたいやにゃぁ?」

『!』

「全く貴方は、もう何も言いませんが、こちらに集中してください」

「おう! …さて、どうするかにゃぁ?」

 

前方に深海群、後方に深海潜水の大群。

正に八方塞がり、これ以上ない程の絶体絶命……だが

 

 

― Attend!

 

 

制止を求める声と共に、爆音に乗せ砲弾が深海群に着弾する

 

『■■■■■■■■■■■-----!!!?』

「おぉ!?」

「…何モノだ」

 

総督が振り向いたその先にいたのは…

 

 

淡い金髪

 

同じく淡い碧眼

 

そして帽子…上にポンポンの付いたフランスの水平帽に似ていた。

 

 

玲瓏で壮麗なその容姿は、混沌とした戦場で一層際立っていた。

 

「君は、まさか…!」

「オマエは…誰!?」

「司令官!?」

 

提督が暢気していると、謎の女性が提督側に声を掛けた。

 

「…Je suis vraiment ravie de vous rencontrer amiral. 」

「じぇ、じぇ…え?」

「ウフッ…お会いできて光栄です、amiral. 私は戦艦「リシュリュー」。貴方の味方です」

「りしゅりゅー? …あ! e4の子かえ!?」

 

欧州救援作戦。その第四海域の突破報酬(戦艦仏棲姫の場所)が、フランス、いや欧州において(性能面では)最強であるリシュリュー級戦艦の一番艦。

 

「まじでか!? でもオマエまだ作戦終わってないぞぉ?」

「Oui. ですが今は緊急事態です。事を重く見た運営鎮守府は、特例として「私たちを」増援艦隊として遣わしてくれました」

「おぉ! …ん? 「たち」??」

「今に分かります。…さて、覚悟は良いかしら?」

 

リシュリューの砲撃の続けざまに、艦載機の航空爆撃が深海群を襲う

 

 

ズウゥウン!!

 

 

『な”、な”んだあぁ~~~!?』

 

深海提督が驚くと、艦載機は持ち主のところへ戻っていく。

 

「! 貴女は………!!」

 

雲龍が瞳を向けたその先にいたのは

 

 

「…お久しぶりです。姉さん」

「天城!」

 

 

雲龍型航空母艦、その二番艦「天城」が現れた。

 

立て続けに攻撃が止まない。次に潜水艦群に向かい対潜行動をとる影が

 

 

ドオォォオン!!!

 

 

『gygygygy!!!?!??!』

 

 

「…」

 

思わず庇護欲を掻き立てられるその容姿、大きなリボンを揺らし爆雷を構えるその姿は、時雨、江風には馴染みあるようだ。

 

「あれ!? 山風の姉貴! 来てたのかヨ!!?」

「…江風、うるさい」

「山風! 君も来てくれたんだね!」

「うん…アタシも、戦う……」

 

短く自身の戦意を伝えるのは改白露型「山風」

 

そんな彼女の後ろから出てくるのは、彼女が率いる駆逐隊の随伴艦のようだ

 

「やれやれ、もうちょっと声張ったらどうだい?」

「…アタシには無理」

「くはっ! そうかい? まぁ無理は禁物さね? 悪いね」

「別に…」

 

山風の横で飄々と笑うのは、サイドテールに眼鏡の駆逐艦。

 

「うぇい!? もしかすて「天霧(あまぎり)」ちゃんですか!!?」

「お~ぅそうだよ? ま、これからよろしく頼むよ「大統領」?」

「オレ提督なんですけど!?(興奮)」

「知ってるよん? 面白いねぇアンタ! 改めてよろしく!」

 

続々と新たな駆逐艦娘が顔を連ねる。

 

「…うぃっす」

「ど、どうも…」

「ナニィ!!!! 「藤波」に「沖波」だとぉーーー!!!!!」

「…とりあえず落ち着いてください」

「でも先生、これ「大漁」…」

「今ンなことゆうとる場合かっつぅのおおおおお!!!!!」

「はい(´・ω・`)」

「藤波が来たからには、やるよ。もち!」

「わ、私も…お役に立てるか分かりませんが」

「そんな気張らんでえいよ! とにかくこれからよろしゅうにゃぁ?」

「…はい!」

 

続いて出てきたのは、黄色の羽織を着た見目麗しい少女。その佇まいは、歴戦の勇士を思わせる。

 

「…ご機嫌麗しゅうございます、司令。神風型五番艦「旗風」御身の窮地に馳せ参じました」

「おお! ありがとう! 恩にきるわぁ!!」

「ふふっ、とんでもございません。これからは私もお供させていただきます。どうぞ何なりとお申しつけ下さいませ?」

 

優雅に一礼し、朗らかに笑う旗風。

 

「おう! …って危ない!?」

 

提督が見やる先には、駆逐隊より左舷側からの潜水艦、その雷撃が発射されようとしている姿だった

 

「! 遊撃…!?」

「させません!」

 

敵潜水艦に対して先制対潜。

沈んでいく敵を倒したのは、駆逐艦の少女の平均的な大きさより一回り小さい幼子だった。

 

「ふぅ…はっ! いけない!? 司令、おはようございます! 択捉型海防艦「択捉」! 参上しました!」

「うわぁ…オレこんなに、明日死ぬんやない?」

「現実見てください!? 今がその死ぬかも知れない時ですよ!!?」

 

徳田がそう言うが、提督は内心は大丈夫だろうと思っている。

潜水艦群に対する対潜駆逐隊。彼女たちがいればなんとかなるだろうと。

 

「ここは……アタシたちに任せて!」

「任せるわ! ホンマにありがとう!!」

 

だが、援軍はこれで終わらない。

 

総督が苦虫を噛み潰したような顔をしていると、せんちゃんに向かって雷撃が迫る。

 

ドゴオォォォオオン!!!

 

『gugyaaaaaaaaaa!!!!!』

『!? ナニ!!?』

 

魔獣にクリーンヒットした雷撃を放った本人は、海面に浮上してきた。

 

「(ザパァ)…っぷはぁ! …アレ〜? 私何でここに??」

「んん?? お、おーい! オマエも艦娘かやぁ?」

「ん? カンムス?? ん〜そうみたいだねぇ?」

「え? なにそれ??」

「見たところ外国の艦娘のようですね? お名前は分かりますか、お嬢さん?」

「ん。「ルイージ・トレッリ」…だとぉ、思う? あ、ルイで良いよ〜?」

 

イタリアの潜水艦娘「ルイージ・トレッリ」改め「ルイ」。彼女は特に助けた風でもないようだが、敵意もないので軽々と艦隊の援軍に加わった。

 

「おぅ、可愛いにゃぁ?」

「ん? ナニナニぃ? ルイに一目惚れってヤツぅ〜? でもそれ「ロリコン」って言うんだよ?? ダメ大人だよぉ〜?」

「おじさんは紳士だから良いんだよ! イエスロリコンノータッチ!」

「こんな時に何言ってんだアンタ!?」

 

続々と集まる増援艦隊。形勢は提督側に傾きつつあったが、総督はこの展開も読んでいたのか平静であった。

 

「(…やはり、ヤツは危険か)」

 

総督は提督たちの隙を突き、深海群によって宿毛艦隊の「頭」を狙わんとしていた。

 

「! 司令官!! 敵前方より砲撃が来ます!!」

「!! うわっ!?」

 

吹雪が叫ぶ。提督たちが前を向いている最中、総督が合図を降ろす……

 

 

「させないよ!」

 

 

砲撃阻止の声が聞こえると、深海群を壊滅させんと艦載機の大群から爆撃の雨が降り注ぐ!

 

ヒューー…………ズウゥウン!!!

 

「ぐぅ…ッ!?」

『どわあぁぁぁあ!?』

 

黒が炎に包まれると、深海群の殆どが沈んでいく。

 

「た、助かった…? って今のはまさか!?」

 

提督が驚いていると、向こうからある二人が近づいてきた。

 

「提督!」

「てーとく! たっだいまー!!」

「飛龍! 蒼龍!?」

 

欧州の最深部、ドーバー海峡からまさかの帰還を果たした飛龍と蒼龍。

…しかし、ここで疑問が

 

「オマエらぁ、良かったけんどどうやって帰ってきたぁ!?」

「ん〜? それは…ナイショ★」

「にひひー! 後で教えたげる!!」

 

ボロボロになっていた二人だが、艤装の燃料と弾薬は補充済みだったようだ。

 

「提督! 欧州救援作戦、決戦艦隊は無事任務を完遂しました!」

「ほうか! ……ほうか、やったら皆ぁ無事なんやにゃぁ?」

「もちろん! …あ! そうだ! 向こうで新しい「仲間」が出来たんだぁ!!」

「え? それって…?」

 

二人は空を仰いだ。提督もつられて見上げる。

 

そこには、見慣れない「青い」艦載機が、持ち主のところに戻っていった。

 

「!? なっ……」

 

それを見て総督は驚愕の表情。蒼龍は朗らかに言った。

 

「私たちの泊地がピンチだって言ったら「自分も何かしたい」って、ついてきてくれたんだ!」

 

そこにいたのは、航空甲板が弓となった得物を携えた赤髪の女性…凛とした騎士のような高潔さが滲み出ていた。

 

総督が動揺を隠せない様子で女性に声を掛けた。

 

「君は……キミは、まさか………!?」

 

「…I'm Her Majesty's Ship. the name's(  私は、女王陛下が艦。名は  )

 

 

― Ark Royal !

 

 

彼女の名は、イギリス海軍において特別な意味がある。

蒼龍たちと共に中型空母の完成形と称される誉れ高き「方舟」。

 

イギリス王室御用達の戦果上等のエリート…それが「アーク・ロイヤル」である。

 

「おおぉ!!」

 

提督がただただ感嘆の声をあげると、アークは提督を見やった。

 

「…貴方が、Admiral?」

「おう、オマエが…?」

「…そう、私がArk Royal.「鐘の音」は確かに届いた…これからはこの海の平穏のため、この身は貴方がたと共にあると誓おう!」

「おう! よろしゅう頼むわ「アーク」!」

「! …フフッ、ああ! こちらこそ!!」

 

欧州より最後の援軍が駆け付けた。これにより、形勢は完全にこちら側のモノとなった。

 

「……………フ」

「ん?」

「…ッフ、フフフ! フハハハハハハハハハハ!!」

「!? 貴方、まさかまだ隠し玉が…!!?」

 

徳田が警戒するが、総督はお手上げと言った風に嗤う。

 

「いや、もう「種切れ」だ。まさかここまでとは! まさか”封印”を施した状態でこれ程までとは!!」

「…? (何を言ってるんだ?)」

 

徳田が訝しむと、提督は最後通告を行う。

 

「言うてもイカンと思うけんど…どうにゃ? もうアンタだけでも逃げた方がええんやないの? オレらぁは深海のモンは倒さな思いゆうけんど、それでも」

「それでも「慈悲」を見せる、と? フハハハッ! 笑止! 笑止千万よぉ!!」

 

総督が嗤いながら指を鳴らすと、海面を揺らし浮上する巨大な「怪物」が現れる…!

 

 

『urrrrrrrrrrrruroooooooooooo!!!!』

 

 

空気が震え、心臓に直接響くような、鼓膜を突き破る轟音で吠える怪獣。

 

せんちゃんの魔獣の、ちょうど二回りは大きいであろう巨大生物に、総督は跳躍しその方に飛び乗った。

 

「お前をこのままにしておけば、いずれ私の最大の障害となる…今回はその計測も兼ねていたのだが…」

 

総督は艦隊に、呪詛を唱えながら最大の殺意を向けた。

 

「…充分だ。お前は「今」も、私と私の理想の最大の敵となる!!」

「…ほうか。しゃあないか、それじゃあ」

 

 

 

「オマエらぁ! 準備はえいか!! いっちょやったれや!!!」

 

「おーーーーーうッ!!!」

 

 

 

宿毛泊地始まって以来の最大の戦いは、遂に終幕へと近づいていた…

 

それに相対するは深海群の「総督」

 

果たして、勝敗は…天下はどちらのモノになるのか……

 

 

「- 偽りの平和を望む者たちよ。我が”理想世界”の礎となり…」

 

 

 ”シズメッ!!!”

 

 

その結末を知るのは、神以外にはいない…

 

to be continued




〇おまけ「秋刀魚祭り2017 その5」



― 宿毛泊地、秋刀魚祭り会場 ―

提督「秋刀魚焼けたぞぉー!」

「うぇーい!! (むしゃりむしゃり)」

提督「こらこらそんながっつくなや、まだあるきゆっくり食べや!」

照月「おいしぃ~」

ノリちゃん「秋と言やぁやっぱ秋刀魚だよなぁ~?」

磯風「…」

照月「どしたのいそちゃん?」

磯風「私の秋刀魚の霊圧が…消えた(ズゥゥ~~ン)」

自分で焼いて食べようとして、見事に焦がしたようです。

照月「じゃあ私の分けたげるよ!」

磯風「おお! 心の友よ!!」

どこのジャイ〇ンですか

ウォー様「はーい! 大根をおろしたものはここにたくさんあるわよ~!」

吹雪「ウォースパイトさん、そんな無理しなくても…」

ウォー様「違うの…何かが「すりおろさなきゃ」ってささやくの…」

吹雪「病気ですか!?」

赤城「一航戦、赤城! すります!!」

吹雪「赤城さん!?」

全く、真面目にやって…ん? 誰か訪ねてきたようですねぇ?

中国人の皆さん「うぃーっす!」

ツ級『シャ~♪』

ほっぽ『サンマ! サンマ♪』

吹雪「司令官、あの人たち…?」

提督「オレが呼んだがよ? 皆ぁで食べた方がえいやろ?」

吹雪「そうですね? ふふっ♪」

くうさん『そうそう! 今日は無礼講っすよぉ!!』

吹雪「くうさん!? いやいいんですけど、秋刀魚食べすぎじゃないですか?」

秋刀魚の串焼きが、両手に10本ぐらいですかね

くうさん『なんすかぁ!! 秋刀魚祭りなんだから食わなきゃ損っしょ!?』

吹雪「いやそうですけど…」

しゅうちゃん『…フトルゾ(ぼそっ)』

くうさん『てめええええええええ!!!!!######』

しゅうちゃん『フハハハハハハハハハ…(ぴゅー)』

吹雪「こんなに楽しそうにしてくれているなんて…」

提督「おう! また来年やろうにゃぁ?」

吹雪「…はいっ!」


こうして、無事に秋刀魚祭りは終了しました。

日本の秋の風物詩、秋刀魚祭りはこれからも我々を楽しませてくれることでしょう!


※…あ、皆さん。秋刀魚漁は完遂してますか? 作者はまだなのでギリギリまで頑張りまぁーす!


秋刀魚祭り2017 (秋刀魚)缶…じゃなくて完。


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宿毛泊地提督の航海日誌 EGO -6

お察しの皆さん、正解です。

今回「超」長いです。


― 遂に本当の「ラストダンス」に挑む提督たち。

果たして世界の命運は、そして…?


…少し駆け足気味かもしれません。(読み辛かったらスマソ)



それでは




…どうぞ!


『…はぁ』

 

坊の岬沖周辺にて、深海群と一大決戦を繰り広げている宿毛泊地艦隊。

 

その戦地より遠目の場所から行く末を見つめるくうさんたち。

 

溜息をつくくうさんを、なっちゃんは心配そうにしていた。

 

『大丈夫ヨ! 彼女タチナラキット何トカデキルヨ!』

『そゆこと言ってんじゃねーすよ?』

『…ジャア何ダ?』

 

しゅうちゃんが問うと、彼女は真面目な顔になる。

 

『…ウチらはここで見守るしかないのが、歯痒いんすよ』

 

くうさんたちは彼らとは、言わば特別な関係と腐れ縁の間ぐらいの仲だと思っている。

だがそれが災いして、自分たちから彼らを助けることが出来ず足踏みしていた。

裏切るわけにはいかない。それは、育ての親を敬愛している感覚に似ていた。

 

『ソレハドウダロウカ? 僕タチハヤレルコトハヤッタ。…ダロウ?』

 

しゅうちゃんが言うやれること…それは欧州に在った蒼龍たちをこの場まで送り出したこと。

 

姫の「ワープ法」は、姫の体に触れる、手を繋ぐ、抱きつく等することで周囲の人物も一緒にワープすることが可能。

 

但し、よほど軽量でない限りは「一人」が限界…三人をこの場まで連れて、補給をしたのも彼女たちだった。

 

『でも、なんか心配で…』

『ソウダナ…奴ラガ負ケタラアノ総督ニナニサレルカワカラナイカラ、ソウイウ意味デハ勝ッテホシイナ!』

『…アンタ、「リアリスト」って言われね?』

『夢見ルBBAヨリマシダロ?』

『ほお”~ぉ? 遺言はそれだけっすかぁ~~!?』

『二人トモ…仲良クシテヨ?』

 

そんなやり取りをしながら、姫たちは戦いの行く末を見守るのであった…

 

『…みんな、負けたら承知しねーっすよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

坊の岬沖周辺では、本当の最終決戦が行われていた。

 

もはや陣形もなく、ただ「やる」か「やられる」かの狩場になっていた。

 

「てえぇーーーー!」

 

ズドォン!

 

神通の放った砲撃は、敵深海駆逐艦を破壊する。

 

『■■■■■■■■■■■…………』

 

速やかに撃沈していく敵。

 

数の問題で圧倒されるならまだしも、敵とこちらの兵力はどちらかと言えば拮抗していた。

 

だがそれでも末恐ろしいのは、乱戦ならではの「流れ弾」だろう…果たして最後まで無事でいられるか

 

…と、頭の片隅で思っているが、それでも「寄らば斬る、斬られば(しずめば)道連れ」の精神でいる神通。敵にすれば手ごわいが、味方だと「頼もしい」の一言である。

 

「! 神通さん、危ない!!」

 

そんな神通を凶弾から庇う影が…阿武隈である。

彼女はこの状況(乱戦)に不向きだと自覚しているので、遠目から観察し、急所を突くか味方を窮地から救うことに徹底することにしていた。

 

「! …あ、ありがとうございます」

「ふ~~! 何とかなってよかったぁ」

「阿武隈さん…」

 

神通は阿武隈に対しては「敬意」の気持ちでいた。

それは、同じく水雷戦隊の旗艦を務めていた、というものもあるが、自分には思いつかない方法で戦況を切り拓く姿を純粋に「凄い」と感じていることにもあった。

 

「流石ですね? この混沌とした戦況でいち早く味方の危機を判別できるなんて」

「も、もおぅ! おだてても何もでませんよぉ? …えへへっ、でも実は嬉しかったり♪」

 

阿武隈としても、かの第二水雷戦隊の旗艦である神通に褒められることはまんざらでもない。

 

「…あ、もうそろそろかな?」

「?」

 

阿武隈が呟くと、深海の黒の群れから爆発が

 

『■■■■■■■■■ーーー!?!?!?!!?』

 

「あ、阿武隈さん…?」

「ふふーん! 「甲標的」を敵の懐に仕込んでおいたんですよぉ? バレないように行動するのアタシの十八番なんですよ!!」

 

火山が噴火する如く、やられた敵が空から海に叩きつけられた。

 

「…ふふっ、やはり「流石」です」

「アタシとしては、敵をものともせず突っ込んでいく神通さんの方が凄いと思いますけど…?」

「…私には、それしか「能が」ありませんからね」

「いやいやいや!? そういう意味じゃないですって!!?」

「冗談です♪ ふふ?」

「神通さん!? もーう北上さんじゃないんですから!」

 

二人がその場に似つかわしくない和やかな会話をしていると、深海群が二人を囲み始めた。

 

『■■■■■■■■■■■----!!!!!』

「おや?」

「あばばばば!? やっちゃった!!?」

「落ち着きましょう? …「私たちなら」やれますよ?」

「! …そうですね、たまにはいいかもですね?」

「ええ。…では、行きましょう?」

「はい! …「第一水雷戦隊、旗艦」阿武隈!」

「同じく、「第二水雷戦隊、旗艦」神通!!」

 

「「推して参ります!」」

 

背中合わせに名乗りを上げ、一騎当千の兵のようにその闘志を敵にぶつけるのだった。

 

 

 

 

・・・・・

 

「…やれやれ、「出会い」ってやつは面白いねぇ?」

「あン? なンのこっちゃ??」

 

隣り合わせに会話する「江風」と「天霧」。

 

彼女たちは、潜水艦群の掃討の真っ最中…天霧を江風が手伝う形となっていた。

 

「江風、アンタはあの輸送部隊にいただろ?」

「あ~アレ? いや今はよしてくれヨ? トラウマみたいなもンだから」

「アンタは覚えてないかもだけど…あれアタシが入るはずだったんだぜ?」

「ほぉン? ンじゃあそりゃ「運命」ってやつかい?」

「そうだねぇ…いや済まなかったね? アンタが沈む原因作ったのはアタシ、何なら殴ってくれ」

「いやいやそれこそ願い下げだぜ? ありゃアタシの運が悪かったってだけサ?」

「…へへっ、いいやつだな!」

「そりゃドーモ。…さて」

 

回り込みながら潜水艦群を見やる二人。だが、その群れのちょうど横側に戦艦ル級を旗艦とした水上部隊が向かってきていた。

 

「アレどーすっかねぇ」

「なあ江風! アンタ突撃得意なんだろ! 一緒にやろうぜ!!」

「お前さン「神通さン」みたいなこと言うねぇ…ン?」

 

江風たちの前から近づく影…敵ではない。

 

透き通る白い肌をした、眼光鋭い麗人と追随する少女だった。

 

「おうカワ」

「よぉガンちゃん」

「だから! ガンちゃんと言うなっ!?」

「ガンちゃん」

「ケンカ売ってんのか! ちっこいの!?」

「おおぅ外人だぁ。大統領だけじゃなくロシア艦とも出会ってしまった…」

「…なんの話だ?」

「まあそれは置いといて、アレどうにかしてくンない?」

 

江風が指差す先に、片や潜水艦群、片や戦艦部隊が迫っていた。

 

「…ふむ、良いだろう。だがこれでは駄目だ」

「あン?」

「良いか、戦場において数は重要ではない。などと戯言を言う輩がいるかもしれないが戦の理は「人員」にある」

「所謂「人海戦術」だね?」

「そうだちっこいの…おい、誰だ…「あまぎゅる」だったか?」

「「あまぎり」だよ!? どうした?」

「お前のとこの駆逐隊。あれを集めろ、ついでに近くにいるヤツも全員だ」

 

わ、分かった…と天霧は向こう側で対潜行動を取る仲間の元へ向かった。

 

「…結局「突っ込む」のな?」

「江風、彼女は生粋のそb…ロシア艦なんだ。彼女に頼んだ君が悪い」

「そりゃねぇ? …ま、いいけど! アタシとしてもこの展開はありがたい!」

「面白そうなことをしているな?」

 

近づいてきたのは、磯風、浜風、雪風、初霜の四人だった。

 

「我々も行こう…ちょうど手持ち無沙汰だったのだ」

「ふっ! いい心がけだ!」

「私もいいかしら?」

 

次にリシュリュー。彼女は少し楽しそうな顔をしていた。

 

「こういう体験はやったことがないから、是非ともやらせて頂戴? Je peux?」

「構わん。よぉし! 大分集まってきたか?」

「おぉ~い! 連れてきたよぉ!」

 

天霧につられてきたのは、山風以下新参の艦娘。ついでにとばかりに時雨もいた。

 

「ガングートさん!」

「…何? アタシたち忙しい……」

「そう言うな、手を貸せ! …さて、こんな所か?」

 

ガングートを前に、駆逐艦、戦艦の即席混合突撃部隊が出来上がった。

 

「よし、行くか!」

「おお! 待ってましたー!!」

「漲ってきたよぉー!!」

「この磯風、いつでも行けるぞ!」

 

戦力、戦意充分のこの部隊。敵は遠目からだが戦々恐々しているように見えた。

 

「では、駆逐艦共は対潜掃討しながら追随、私とリシュリューが敵戦艦共に風穴を開ける!」

「Oui! 了解したわ!」

 

ガングートがにやりと不敵に笑う。そこには美麗な顔が、まるで別人というぐらいの「獲物を狙う狼のよう」な獣の顔をしている戦士がいた。

 

「行くぞ! 我に続けッ!! Ураааааааа!!」

 

「Ураааааааа!!!!!」

 

ガングートが雄たけびを上げ、それに続くように戦隊は大声を張り上げ、突撃する。

 

…その直後、敵は跡形もなく海に消えていったことは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

提督たちと吹雪は、総督と巨大な深海怪獣の周りを大きく円を描きながらその様子を観察する。

 

怪獣は余裕なのか、全く動く気配がない。しかし集中砲火を受けてもビクともしなかった。

 

「手詰まりかや?」

「アレが何とかならない限り、どうにもなりません」

「! 司令官! 蒼龍さんたちが!?」

 

見ると、怪獣の懐に入って艦載機を飛ばすのは、蒼龍たち航空戦力だった。

 

「Sword fish! shoot!!」

「江草隊! 発艦!!」

「よし! 友永隊! 頼んだわよ!!」

 

各々の主戦力機で爆撃を試みたが、やはり呻き声も聞こえない。

 

「hm……やはり無駄か?」

「うーん? こういう場合、口とかが弱点なんだけどね〜?」

「ん、よし! くすぐろう!」

「…Whats?」

「私もそれは無いと思う」

 

飛龍に対し雲龍が突っ込む。彼女がツッコミを入れるのは余程のことである。

 

「ダメぇ〜? 天城さんはどう思う?」

「えっと…そもそも、どこが弱点か分からない以上、そういうのは…?」

「そっかぁ。まあとりあえず撃ち続けてみようか? 何とかなるよ!」

「hiryu.私はお前たちの戦い方についてどうも言うつもりもないが、それはどうなのだ?」

 

アークは流石に窘める。もしこのまま何かアクションが無ければ、弾の無駄になるだけだ。

 

「そうだよ? アーちゃんの言う通りだよ?」

「アーちゃん!? 蒼龍ダメだよ提督じゃないんだから!!?」

「私は気に入っている(キリッ)」

「マジで!?!?」

「マジだ。soryu? 一度admiralと作戦を立てるというのは?」

「うーん、それもどうだろう?」

「あの人、役に立たない時は全く立たないからねぇ?」

「こりゃあ! 誰が役立たずやぁ!?」

 

蒼龍たちが話していると、提督たちが近づいて来た。

 

「あっ提督」

「お前ら好き勝手に言いよって…」

「しかし事実でしょうからね?」

「ぐぬぬ…」

 

徳田と提督が話していると、ルイが不貞腐れるように言葉を投げた。

 

「ねぇアメラーリオぉ? いつまでここにいるのぉ? 私泳ぎ疲れたぁ!!」

「そう言わんと、もうちょい頑張ってや、ルイ?」

「ヤダヤダァ! 私もう疲れたのぉー!!」

 

ルイが我儘を言っていると、怪獣側から何か動いたように見えた。

 

- キラッ

 

「…ん?」

「どうしました、しれ」

『!? アブナイッ!!!』

 

潜水棲姫がルイを庇うと、突如「光線」が一行の前に過ぎった。

 

キュイイイィィィィ……………ズドドドド!!!

 

「うぅおおお!!!?」

「うわあーーー!?」

「な、何!? 熱線!? これSFっぽいけど、そういうのオーバーすぎない!?」

「落ち着けsoryu! …どうやらあちらが攻撃を仕掛けてきたようだ?」

 

アークが見上げると、巨大怪獣の背中にこれまた巨大な目玉が飛び出していた。

 

「…ぷはっ! あー危なかったぁ?」

『モウ! チャント周リヲ見ナイカラ!! 気ヲツケテネ?』

「ふぁーい。ありがとお姉さん? グラッツェ!」

 

ルイの無邪気さに、思わず頭を撫でる潜水棲姫。

こうして見る分には、仲の良い姉妹のようだ。

 

「すまん、ありがとうせんちゃん?」

「司令官、こんな時ですけど、せんちゃんは戦艦棲姫さんでは?」

「お? ほれやったらせんさんでえい?」

「何処のガンダ○パイロットですか…」

『…アハート』

「ん?」

『私ハ「アハート」…今ハソウ呼ンデ?』

「アハートさん?」

「えいやん! よろしゅうなアハート?」

『…ウン』

 

潜水棲姫、改め「アハート」の自己紹介も終わり、提督たちはもう一度空を見上げた。

 

目玉は一点を凝視して動かず、気のせいか「光っている」ようにも見えた…正にSFやファンタジーのそれ。

 

「うえぇ~気持ちワルッ!?」

「ですがアレが「弱点」なのは明白ですね?」

「そうなが? たしかにそう言われりゃぁ…」

「何にしてもあそこ攻撃すりゃ分かるよ!」

「Soryu…」

「分かってくれる? ありがと。色々苦労あんのよ……」

 

一行は背中の巨大目玉を攻撃することにした。…その時

 

「……お?」

 

目の前を離島棲姫とせんちゃんが阻んだ…それは逆に、なにがしかのギミックである証明となった。

 

「…ふむ、不味いですね?」

 

徳田が冷静に呟く。艦隊の編成も作戦も、対策装備も整っていない状態で、姫クラスを二体も相手取るのは困難…いや、不可能に近い。

 

「離島が相手なら「デコイ作戦」が可能ですが…?」

「ルイちゃんにかや? まだ早いがやない?」

「私は別にいいよぉ〜?」

「司令官みたいに軽く言っちゃダメだって!?」

「吹雪、一言多いぞ…?」

「しかし戦艦もいますし、方法が…」

『…私ガ』

「お?」

「アハートさん?」

『私ガ、彼女ヲ引キツケル…私ナラ、彼女モ気ヲトラレルト思ウ』

「…言っておきますが、私は貴女を信用していない。提督? 彼女に重要な役目を任せるなど無茶です」

 

徳田が辛辣にアハートを非難する。だが提督の考えは違った。

 

「ええんやない? 任せても?」

「!? しかし…」

「先生。アンタがどういうこと言いたいかわからんけんど、コイツが憎いんやったら同士討ちのチャンスっちゅうことやん?」

「司令官!」

「誰がそんなこと!! 私はッ!!!」

 

徳田が珍しく声を荒げた。

ハッとする彼は、すぐに提督に発破をかけられたことを理解した。

 

「…貴方ねぇ?」

「ぬふふ。オレはコイツなら信用できるち思うちゅう。先生もそうやろ?」

「……はぁ、どうなっても知りませんよ?」

 

こうして、アハートをデコイに、空母組でせんちゃんを相手取る手筈となった。

 

「(ごにょごにょ)…えいかよ?」

「ん。分かった!」

「蒼龍、なんの話?」

「んふふ、ナイショ♪」

「…よし! 作戦開始!! 皆ぁ気ぃつけや?」

 

提督の号令の下、恐らく最後の作戦が開始された。

 

先ず、アハートが雷撃を仕掛けた。…魚雷は真っ直ぐせんちゃんに

 

『い"や"あ"あああ!?』

「アハート! せんちゃんには…!」

 

提督が彼女には手心を加えるように呼びかける…が

 

ボガァアアアン!!!

 

「!? せんちゃん!」

 

せんちゃんを非情の槍が貫いた…かに思われたが?

 

『……? コレハ?』

『た、助かったぁ…?』

 

せんちゃんを前に魚雷が「勝手に」爆発していた。…つまりこれが彼女なりの「手心」。

 

「お、おうぅ…」

『…フフッ』

『貴女…ソコニイルノネ?』

 

離島がアハートに向かって対潜行動をとる。

水中に泡の柱が次々と「建てられていくが」、彼女はそれを華麗にかわしながら囮を務める。

 

『モウ何モ咎メナイ…ダカラ、私タチノ邪魔ヲシナイデ!!』

『……ソウ、デモソレハ「コチラ」モ同ジ…!』

 

デコイ作戦は見事に成功した。提督は蒼龍たちにゴーサインを出すと、彼女たちの艦載機が宙を舞った。

 

「さあ! 行きなさい!!」

 

先陣を切るアークの「ソードフィッシュ」。爆撃が水のヴェールを作り、せんちゃんの視界を奪う。

 

『…グッ(ココマデカ…!)』

『ひいぃぃぃぃ!? …ん"?』

 

深海提督がふと前を見やると、蒼龍たちの艦載機が近づいてくる…そこには

 

「ミヤアァァァァァ!!!!!」

『どぅおわああああああああ!?』

 

艦載機から宙ぶらりんになり、手を伸ばした妖精さんが。そのまま深海提督をキャッチした。

 

『うぅおわぁぁぁぁぁ!? た、助けてぇー! 戦艦んんーーー!?』

 

そのまま彼を連れ去ってしまった…訳が分からないまま固まっていると?

 

「おーぅ! よう聞きやぁ!! オマエらぁの提督は預かった! 返して欲しかったらオレらぁに「手ェ貸せ」や!!」

『!?』

 

提督がニンマリしながらウィンクする。それに含まれた「意味」を読み取ったせんちゃんは

 

『…フッ、ソウダナァ? ソウイウコトナラ、仕方ナイナァ?』

『!? ナニッ!!?』

 

せんちゃんが魔獣と共に離島の方に向き直った…意地悪く笑いながら。

 

『悪ク思ウナ? 何セ私タチノ提督ノ「命運」ガカカッテイルノダ?』

『grrrrru…♪』

『貴女…正気ナノ!?』

 

せんちゃんが振り返り「ここは任せろ」と言わんばかりに愛らしくウィンクを返すと提督は小さく手を振った。

 

「…よしっ! 蒼龍!」

「分かった! 皆行こう!!」

 

蒼龍を先頭に艦隊は怪獣の更に懐…巨大目玉に届く位置まで移動する。

 

奇しくも、姫同士の戦いの様相となった。せんちゃん、アハート。それに対する離島。

 

離島も実力はあるが、こうなってはどうなるかは分からない…

 

『ソレデモ…私ハッ!!』

 

彼女は自分の中で敗北を認めながらも、愛するモノのために死闘を演じる。

 

 

 

 

・・・・・

 

蒼龍たちが艦載機を巨大目玉に届く位置に差し掛かったころ、上から深海艦載機が、そして彼女たちの目の前にヌ級の大群が現れた。

 

『ブルアアカモノガアアアアア!!!』

『貴様ラノ棺桶ヨオオオオ!!!』

『紫外線照射装置ヲ作動サセルゾオオオ!!!』

『飲ンドル場合カアアアアア!!!!』

『ブアーーーッハァーーッハァーーー!!!』

 

「…何故だかコイツらを見ていると、胸糞悪い気分になるのだが?」

「過去に囚われちゃダメ。今を生きないと」

「二人とも、とりあえず真面目にお願いします?」

 

蒼龍とアークのやり取りに、思わず突っ込む吹雪。

だがこのまま彼らを相手取ってもいけない。それは、空を見上げた徳田の表情が物語っていた。

 

「……!? 皆さん! 早くアレを何とかしなければ!?」

「ど、どうしたぁ? 先生?」

「あ、アレを!」

 

彼が指差すのは、怪獣の口。何故か光が収束していくような…

 

「これは予測ですが…アレはあの目玉から、大気中のエネルギーを吸い取っているのでは?」

「はぁ!? いよいよSFやけんど、ホンマなが?」

「分かりません…ですがそうでなければ、あんな禍々しいモノを彼女たちが守るものでしょうか!?」

 

徳田が言うと、辺りに総督の声が響き渡る。

 

ー そうとも、これは周りの魂のエネルギーを集める深海兵器!

 

コレは未だ配備には実験が不十分だが、ここからなら! 確実に貴様らの国を滅ぼすことが出来る!!

 

貴様らが守ろうとしているものを! 我が深海群の「霊子波動収束射出装置」が焼き尽くすのだ!!

 

「なぁ!?」

「くっ…最後まで油断出来ない…!」

 

いよいよ時間が足りなくなって来た。

目の前のヌ級群を抜いて、総督が日本を滅ぼす前にあの巨大目玉を破壊しなければならない。

 

「…Soryu?」

「だね? …提督! 私たちが日本救っちゃっていいかな?」

「え!? …ん! 分かったぁ! 行ってきぃや!」

 

まるで出かける娘を見送る父親の言葉のように、提督は蒼龍たちに全てを託す。

 

徳田がいつもと同じく小言を漏らした。

 

「…全く」

「ホント、全くだよねぇ? …んじゃ蒼龍、あとよろ〜?」

「うん、まか…て飛龍!?」

「Hiryu…?」

「もう終わりみたいだし? 今回頑張ったの二人だし? 私も空気読まなきゃって?」

 

飛龍は二人を送り出すため、ヌ級群の掃討を自ら志願した。

 

「…分かったよ? じゃ終わったら間宮ね?」

「「マミーヤ」?」

「あ! アーちゃん知らないんだ! すっごくおいしいレストランだよ! 後で紹介したげるよ!」

 

三人は和やかな会話を交わし、改めて前に向き直った。

 

「…じゃね?」

「うん! じゃね!」

「行ってくる…」

 

蒼龍とアーク。二人揃って駆け出し、そのままヌ級群に突撃する。

 

「よし! 飛龍攻撃隊! 二人の道を拓いて!!」

 

飛龍の放った矢は艦載機となり、そのまま爆撃投下。

発艦の遅れたヌ級群は、爆炎の餌食になり、二人はその脇を通っていく…

 

『ヌ"オオオオオオ!?』

 

「…行ってきな! 気をつけてね……?」

 

飛龍たちは彼女たちを見送りながら、ヌ級たちの掃討に尽力するのだった。

 

 

 

 

・・・・・

 

やっとのことで怪獣の懐、艦載機が発艦出来る位置に移動した二人は、早速艦載機で敵に打撃を与えようとするが…

 

 

ー 何故だ

 

「!? あのおじさんの声!」

 

何故君たちは抗う…特に「アークロイヤル」。君は何故「戻ってきた」?

 

「…」

 

君が戦う理由はもうない…大切な友人も、かつての守るべきモノも、此処にはない…更には君自身は、もう役目が終わったと自ら運命を受け入れたのではないのか? …何故だ。

 

「…そうだな? 私はもう一度「星を見たい」と願った」

 

………何だと?

 

「かつて彼らと見た星…それはそれは見事に満天に散らばり、白く光輝き、美しかった…私は彼らと、あの星をもう一度見ようと約束した」

「アーちゃん…」

「だが、それはもういい。私は大罪を犯した…そんな私を救ってくれたモノたちがいる。今の私はその「恩義」に報いようと思う」

 

その程度で私に逆らうのか? 恩義? 大罪? 理解できん。それは君にとっては当然の「怒り」だ。ニンゲンたちが受けるべき当然の罰だ。

 

「…確かにさ、人って争ってばかりだよね? …でも、それが…それを全部引っくるめて「生きる」ってことなんじゃない?」

 

…私は、ニンゲンたちの在り方にはもう嫌気が刺している。

 

奪うための理由をつけ、殺し、欺き、畜生以下の蛮行で他者を支配しようとする…生きているだけで「悪性」を振りまく奴らに、世界の覇権を握らせていいはずがない!

 

「…そうだな、付け加えればそれは未来永劫に変わらないだろう」

 

そうだ。そこまで理解しておきながら、君たちはまだ奴らの肩を持つのか? 君たちは奴らに利用されているというのに!?

 

「え? 私たち利用「されている」って思ったことないよ?」

「ああ、私たちは「兵器」、使われて当然だ。感謝こそすれ嫌だと思ったことは一度もない」

 

…ならば、君たち自身がそれを理解していないだけだ! …愛おしい君たちが、あの愚か者共に利用されるのは、私には我慢ならん!

 

「そう。おじさんは優しいんだ? でも」

「私たちは、人間のいない世界など望まない。彼らがいたから私たちは「心」を学ぶことが出来たんだ」

 

もういい! …充分理解した。君たちはどうあっても、私の敵だと!

 

総督が叫ぶと、空の上から雨あられと深海艦載機が舞い降りた。

 

「…Soryu」

「うん」

 

二人は弓を構えた…一つの弓を、二人で引き絞る。

 

 

シズメエェッ!!

 

 

「…」

 

 

 

― いっけえええええ!!!!! ―

 

 

 

放たれた矢は音速を超え、深海艦載機の群れを縫い駆ける。

 

一直線にターゲットを捉えると、爆撃の雨をお見舞いした。

 

「…!」

 

爆撃によりダメージが与えられた目玉から、空間を揺るがす振動。

 

光が辺りを飲み込むと、振動は最高に達する。

 

「! アーちゃん!!」

 

蒼龍がアークを庇うと同時に、大爆発が起こった…当然怪獣も、脆くも崩れ去った。

 

『Gaaaaaaaaaaaaa-----!!!!!!』

 

最後の断末魔の叫びと共に、赤くひび割れた巨塔は海中に没した。

 

 

 

 

 

 

 

 

― なぜだ なぜだ なぜだ

 

私は…間違っていたのか? …いや、そうであったのだ。

 

 

 

そう、最初から。

 

 

 

 

 

…だとしても、私は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「…ぷはっ!」

 

蒼龍とアークは、海面に潜り爆発の難を逃れた。

 

そこにいたはずの深海怪獣は、その巨影を見事に消し去っていた…まるで、最初から居なかったように海はいつもの静かな波音を奏でていた。

 

「あまり無茶をしてくれるな…?」

「へへっ、でも何とかなったでしょ?」

「…ふふっ、そうだな?」

 

アークは静かに微笑んだ。

 

すると、そこに提督たちが駆け付ける………全ては終わった。そう直感した二人。

 

「おぉ~い! 二人ともぉ!!」

「無事ですか! お二人とも!!」

 

提督と吹雪の声がする。

 

「ん? どしたの海に入って? あ! 潜水艦のつもり?」

「やれやれ、呑気ですねぇ?」

 

ルイの能天気に突っ込む徳田。蒼龍は何故か「ある意味」な苦笑いを浮かべた。

 

『ヨカッタ…無事デ』

『ソウダナ…』

 

アハートとせんちゃんも駆け付けた…ああ、やっと終わった。そう思った

 

 

 

 

― ザパアッ!!

 

「!?」

 

ヌゥ…と海面から「立ち上がったのは」総督。

 

肩から息をするほどの疲労、そして爆発の影響で体がひび割れ、衣服もボロボロだった。

 

「はぁ…はぁ……」

「アンタ…まだ」

 

総督は息が上がったまま提督を睨みつけると言った。

 

「…お前は、何なのだ」

「何…?」

「提督…お前は一体、何がしたいんだ!?」

 

総督の問いに、困惑する提督。二人の指揮官の問答が始まる。

 

「この娘たちを「使い」、奴らの言いなりのまま「戦い」…それが本当に彼女たちの為だと思うか!?」

「…」

「お前は何のために戦うのだ! 答えろォ!!」

 

暴言に近い総督の感情を込めた言動。提督は

 

 

「…んー? 何でやろにゃぁ?」

 

 

やはりいつもの調子で回答した。周りの者たちも「ああ、やっぱりか」という微笑んだ顔をしていた。

 

「…はぐらかすつもりか!?」

「いやぁ? オレはこれは…まあ最初は「仕事」としてやりよった身分やし? 偉そうな口聞いたらアカン思うてにゃぁ?」

「それが「司令官」ですからね?」

「そうやろ吹雪? …それやっても、強いて言うんやったらオレは」

 

この娘らぁのために戦いゆう…かや?

 

「…言うではないか? 貴様がやっていることは、彼女たちを安易に危険に晒しているのだぞッ!!」

「オレはそうは思わん…やって皆オレらぁと「同じ」やもん」

「同じ…?」

「オレたちと同じ、この娘らぁにも心がある思うてにゃぁ? …オレはこいつらぁを、どうしても「兵器」や思えん」

 

提督の語りに、心穏やかな表情を浮かべる艦娘たち。

 

「こいつらぁにも悩みはある。どうしても頭から離れんことがある…でもそれはもう終わったことや。何ちゃぁ気にせんでえいことながよ?」

「…」

「それでもオレらぁもよ? 心の傷っちゅうんは簡単には消えんものやん? アホみたいに騒いでもそれは変わらんがよ…やきオレは、忘れさせるっちゅうわけやないけど、こいつらぁの好きにさせようって思うたがよ?」

「…それが、お前の望む未来に繋がるのか。お前はその先に何を見ている?」

 

総督が再び問うと、提督は頬を指でポリポリと掻き

 

「いやぁ…深海の娘らぁも、艦娘も、何も関係なくなったら…てにゃ?」

「何?」

 

提督は、少しの恥じらいと共に自身の心情を吐露していく。

 

「この娘らぁが戦う必要のない「笑い合える場所」を、オレらぁの居場所(はくち)で作れたら思うて?」

「…!?」

「子供みたいな、って言うんは分かっちょるんやけど? 何もわからんオレにはこの娘らぁにできることは、これしか思い浮かばんかった」

 

やがては彼女たちと同じように、争う人が手を繋いでいける世界にしたい…いつものように、ごく自然な笑顔で彼はそう言った。

 

「…フ」

 

― スッ

 

「!? 貴方、それは!?」

 

叫ぶ徳田の目に映ったのは、総督の「特殊電磁波発生装置」…ここで発動すれば、人以外のモノはその精神を停止させる。

 

「!!」

「…ッハ」

 

…ガキャン!

 

総督は皮肉めいた笑いを浮かべると、そのまま装置を「握りつぶした」。

 

「な…っ!?」

「…何と幼稚だ。だが……そんな言葉、久しく聞いていなかった」

 

提督と初めて対峙した時と同じ、穏やかな表情を浮かべる。

 

「分かった…ならば、それがお前の望む世界ならば……私は悦んでこの身を沈めよう」

「アンタ…?」

「……その願いは「美しい」。決して…手放すんじゃないぞ?」

「…うん」

 

フッと笑うと、彼の姿は一瞬にして消えた。

 

 

 

「- 忘れるな。お前の「力」は、決して良き縁ばかり呼び込むものではない、と」

 

 

 

去り際、提督にはそんな言葉が聞こえたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

― Following the epilogue ―




※エピローグ後に大事なお知らせがあります。ご留意を


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宿毛泊地提督の航海日誌 夏イベ編 エピローグ

皆様、お疲れ様です!

とうとう長かった夏イベ編が終わりました。…いや、春イベの言葉を見事にフラグ回収してしまった…

皆さんにも苦労かけましたが、ここまでついてきてくれて、感謝です!

…それでは少し短めのエピローグ、楽しんで頂ければ幸いです。どうぞ!


「おーし! 皆ぁ準備えいか?」

「うぇーい!」

 

提督の声に答える艦娘たち。

 

日差しと晴れ渡る青空が広がっている。今回の「祝賀会&歓迎会」は宿毛泊地の外でやる。

 

天気が良いためか、どこからともなく地元の人たちが集まって来る…もちろん艦娘や、一部の深海の姫も顔を連ねた。

 

「よっしゃあ! 今回も、お疲れっしたー!」

 

 

「カンパーイ! (キンッ)」

 

グラスを隣にいた人同士で傾け、軽快な音を立てた。

 

今回の夏は、今まで以上に長く、険しいものだった…何せ地球を半周する程。更には「アクシデント」もあったが、何とか収めることが出来た。それと言うのも…

 

「ナレーターさん! いつまでそうしてるんですか? もうその「口調」は良いんですよ?」

 

…いや、吹雪ちゃん。ここまでやって私必要かなって? もう全部シリアスでいいかなって?

 

「なんでですか! いつも暗いのはイヤって、ナレーターさんが言ってるんですよ?」

 

うーん。まあいいか? では皆さん、もうしばらくお付き合いくださいね?

 

…さて、今回のアクシデントは言うなれば様々な「因果」が絡み合った結果に起こったもの…いえ、起こるべくして。ですかね?

 

総督、欧州の危機、更には過去の戦争…これらは全て「人間」の手により(直接的な原因はないにしろ)巻き起こったもの。

 

そう考えると、人はある意味神さまより凄い力があるってことですかね…ま、今更ですか?

 

もちろんそんなことはないのでしょうけど、今回を機に改めて「人類が行ったこと」を見直してもいいかもしれません。

 

「ナレーター! おんしゃぁ言ゆうことがまぁだ固いぞぉ?」

 

うわ、酔っ払いだ。

 

「コッチ来て酒飲むか? おおん? 来れんち言い訳は無しぞ! オマエも仲間やきなホラ? ///」

「司令官昼間からお酒飲み過ぎです…」

「吹雪、オマエもこっちきぃや! 近所のおんちゃん(おっさん)らぁに可愛い顔見せちゃりぃ…ヒック」

「分かりましたから、ほら? お酒はほどほどに」

「わっかりやしたー! いいもん、後でくうさんらぁと飲みに行くき」

 

吹雪ちゃんに連れられ、提督は会場に戻っていった…やれやれ?

 

まあ、仕方ないですね? 今回は危なかったですから。喜びもひとしおです。

 

その代わり、色々謎も残っちゃってますけど…まあ、それはおいおい。…おや? 照月ちゃん?

 

「………(ズウゥゥゥン)」

「照月ェ…」

「なに、次があるさ? お前は良く戦ったよ」ドヤァ

「腹立つー! その言い方メッチャ腹立つぅーー!!!」

 

ああ、あれだけ啖呵切ってさほど活躍していないことを気にしているんですねぇ?

 

「もーう!! 声に出さなくていいから!! …どーせ私は役立たずだよぅ」

「まーあ、その分蒼龍が活躍したんだぁ。良しとしよぉうじゃあねぇかぃ?」

「そうだ。また来年活躍すればいい」

「…それまで私の出番残ってるかなぁ?」

「………(目逸らし)」

「いそちゃん!? 何とか言ってよぉ!!?」

「ハハハ! ハッハッハーァ!!」

「ノリちゃんも笑ってごまかそうとしないでぇーー!!!」

 

まあ、本人はああ言ってますが、皆頑張ったからこそです、よね?

 

…さて、そんな賑わいを見せる会場を、遠くの丘の上から見つめる影が二人。

 

『…フフッ。楽シソウ』

『ソウ思ウナラ行ッテクレバイイ。誰モトメナイサ?』

 

なっちゃんとしゅうちゃん。宿毛艦隊とは不思議な縁を築いている彼女たちですが、それでも気が引けるんでしょうか中々会場に足を運ぼうとしません。

 

『…シュウチャンコソ、行ッテキナヨ? 私ノ分マデ楽シンデキナヨ!』

『全ク、ドウシテソウ頑ナニ…』

『ダッテ私ハ、モウ「時間」ダシ…』

『ソレデモ顔位見セテヤレヨ。アイツラハ』

『…ウウン、ヤッパリイイ。マタ来年会エルシ? …サヨナラハ、言イタクナイノ』

『ソウカ…マアオ前ノ好キニスレバイイ』

 

彼女たちは会話を終えると、おもむろになっちゃんが距離をとる。

 

『…フフッ! 今回ハイツモヨリ楽シカッタ!』

『マタクレバイイ…イツデモ、待ッテイル』

 

しゅうちゃんが微笑むと、二人だけの言葉で別れを告げる。

 

『…ジャア! マタ来年ネ!』

『…アア、マタ』

 

しゅうちゃんがそう言うと、夏の終わりを感じさせる秋のそよ風が、二人の間に吹いた。

 

夏の姫は、その風に乗って姿を消した。

 

『……フゥ』

『おやおやぁ? お熱いっすね〜? お二人ともぉ?』

『…何ダBBAカ』

『テンメェそのぐれー言えんだったら心配ねえなぁ? あん? せっかく慰めてやろーと思ってんのによぉ?』

『ハッ! 誰ガ慰メルダ? 顔ニ似合ワズ女々シイオ前ガカ?』

『はぁ!? テメェいい加減に』

『…オ前、奴ラト戦ッタ時作戦ヲバラソウトシタダロ?』

『げっ!!?』

 

彼女が言っているのは、この台詞でしょうか?

 

 

『-気をつけて。その先は「罠」だ…』

 

 

『なななっ何言ってんすかぁ!? ウチは』

『心配スルナ。バラシハシナイサ? 特ニ僕タチノ提督ニハ』

『…ふぅ。だってあの胡散臭いヤローが指揮したんしょ? なんか気に食わねーっつうか?』

『ソレデアレヲ失ッテハ世話ナイナ? アレハアレデ有能ダッタロウニ』

『アンタも乗ったんだから、同罪っしょ?』

『違イナイ。…ソレハソレデ、サッキカラ後ロニ視線ヲ感ジルンダガ?』

 

おや? 確かに見ると木の後ろに誰か…?

 

『…何シテルンダ? 戦艦』

 

観念して出てきたのはせんちゃん。彼女もまた宿毛泊地とは縁浅からぬ仲ですね?

 

『…イヤ、少シ様子ヲナ?』

『ナラアソコマデ行ケバイイ。一緒ニ行クカ?』

『ソレハ出来ン。私ハ深海ノ姫、ソレモアノ人ニ一番近イ…私ガ行ケバ、他ニシメシガツカン』

『…ハア。マアナンデモイイガ?』

『めんどくせーすね? もういっそ皆でボイコットする? アハートも向こうに居ついたみたいっすし?』

『…フ、ソウ言ウナ? 彼ニモイイトコロハアル。ソレニ』

 

せんちゃんは言いながら泊地に背を向け歩き出す。

 

『…彼ニハ、私ガ必要ダカラナ?』

 

まるで恋する乙女の顔で微笑むと、彼女はその場を後にした。

 

『ホントに様子見に来ただけとか…;』

『マアイイダロ? …サテ、行クカ? アア、マタ秋イベマデ狩ラレルノカ…』

『いんじゃね? 横須賀とかにボコられても、ここで休めばよ?』

『僕ハマダイイガ? BBAハソロソロ隠居ヲ考エナイトナ?』

『そうそうここで第二の人生をね? 予約しとこうtってオラぁーー!!!』

『ハッハッハッハ!!!』

 

二人でじゃれ合いながら、泊地に向かい駆け抜けていく…私が言うとアレかもしれませんけど、皆良い人過ぎません?

 

 

 

 

…さて、盛り上がったパーティも終わりを告げ、夕方になり片づけに勤しむ艦娘たち。

 

夕陽に照らされながら何とか片づけを終えると、各々の部屋に戻っていく…そして夜が降りてくる。

 

夜空には銀色に輝く星の光が、黒の絨毯に敷き詰められていた。

 

「綺麗だねぇ」

「ああ…」

 

蒼龍とアークは、二人で泊地前の新港の車止め(黄色と黒のアレ)に座り込み夜空の星を眺めていた。

 

「ねえ? アーちゃんの乗員さんたちと見たのって、こんな感じだった?」

「…どうだったろうか? 記憶が朧気でな、楽しかったということしか覚えてない」

「そっか…でもいいよね、大事にされててさ、愛娘って感じでさ?」

「Soryuもそうだったんだろ?」

「私は…まあ変人が多かったけど、それでも十分愛されたかな?」

「なら、それを誇るといい。それをしないのは彼らに失礼だぞ?」

「はーい。ふふっ」

「ははっ」

 

二人は朗らかに笑い合い、持ってきた酒を少しずつ飲みながら楽しむ。

アークは「日本酒」は初めて見るらしいが「澄み渡って、味も不思議だな?」と興味深げだった。

 

「…なあSoryu? 質問があるのだが」

「ん~。なあに?」

「どうしてお前は、私を助けようと考えたのだ?」

「…それ聞いちゃう?」

「ああ、聞きたい」

 

んー。と蒼龍、悩まし気に声を出すと、間を置いて一言。

 

「ほら、アーちゃんって私と共通点あるというか」

「それは本格空母としての役割の事か?」

「んーそれもあるけど…私って、南雲機動部隊の一員じゃん?」

「ああ。音に聞こえし日本最強の機動部隊だな?」

「うん。でね? 私ってその中でも「最弱」だって自負があるのよ?」

「…hm.それはあまりに考えが飛躍してはいないか?」

「自分でもそう思うけど、赤城さんは私たちのリーダー格だし? 加賀さんは練度も戦果も、佇まいも一級品だし? 飛龍は…言わなくても分かる?」

「「Counterattack of Hiryu」だな?」

「そう。私そこからすると「何の取り柄もない」わけよ?」

「待て。お前にもいるだろう、ほら「EKUSA」だったか?」

「江草さんは…確かに私とは切っても切り離せないって感じだけど、他の三人からすると…言ったらアレかもだけど「地味」というか…」

 

アークは蒼龍の愚痴に似たネガティブな発言を聞くと、はぁ。とため息を吐き

 

「蒼龍。お前は私を救ってくれた。そんなお前が「地味」なものか、今度言ったら怒るぞ」

「ごめん。そうじゃないのよ? …ホラ、誰かさんに似てない? 決めつけているとことか?」

 

…あ。と少し顔が驚きの表情になるアーク。

 

「…You're nitpick.(揚げ足取りめ)」

「ふふふっ、違うったら。…私なら、貴女を分かってあげられるんじゃないか、ってね? 言ってくれた人がいたの。…最初はどうなるかと思ったけど、何とかなってよかった」

 

蒼龍はそう言うと、星空を見上げ微笑んだ。

 

「そうか…I see.なら、そのモノにも感謝しなければ」

「ううん。あーちゃんは「全員」に助けられたのよ? 少なくともここにいる「泊地」のみんなにね?」

「…ああ、そうだな?」

 

アークは誇らしげに上を向いて夜空の星を眺めた。

 

「私ももう暗いこと言ってられないな? 目の前に貴女みたいな人がいたらね?」

「そうだぞ? もう一度そんなこと言ってみろ。絶交するぞ」

「え!? ヤダヤダ!」

「…ふん。ジョウダンだ?」

 

アークがフフンと鼻息を鳴らすと、蒼龍が口を開け驚き、すぐにムスッと顔をしかめた。

 

「Sorry.そう怒るなsoryu」

「ふんだ。どうせ私なんて…」

「……Soryu?」

「あ、はーい。気をつけまぁ~す…」

 

「「…ふっ、あはは!」」

 

二人で笑いながら、アークは星空を見上げて心の中で愛しい者たちへ思いを馳せた。

 

(皆…私は元気でやってるよ? これからはこの場所で…私を助けてくれたモノたちと共に、この海の平和を守っていくよ…だから、それまでは)

 

 

― Good bye, my dears.

 

 

こうして…長いながい航海の果て、欧州、そして世界を救った艦娘たちの、一か月に渡る「夏の戦い」は幕を下ろしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

…だが

 

そのひと時の平穏の水面下では、次なる戦いの種火が焚かれようとしていた。

 

『…総督』

 

 

 

― 次の作戦は、私が直接指揮を執る。

 

なぁに、少し前へ出るだけだ? 無茶はせん。

 

…ヤツは必ず現れる。でなければ、アイツは私のーーー

 

 

 

『…モウ怒リモ、憎シミモ、湧イテコナイ…デモ』

 

『私ハコノ「虚無」ト共ニ、何トシテモアノ御方ノ夢見タ世界ヲ実現サセル…!』

 

ソノタメニハ…

 

彼女の視線の先、そこには緑に光る生物的なバイオカプセルに入れられた一人の「少女」が

 

『貴女ノ力が必要ヨ…!』

 

新たに建造される深海の姫。

 

彼女が、宿毛泊地に最大の試練を与えようとは…この時、知る者はいない

 

『………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




終わったアーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!

イ”エエエエエエエエエエエエエエエエエエエ(ry

…はい。



皆さん改めて、こんな作品群を日頃から、そして最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。

ところで皆さん、秋刀魚祭りはどうでした?

私は完遂…ではなく、最後の任務をやり残してしまいました(まあ毎年そうだけど…)

…23尾だ



2 3 尾 だ 。



…もっと頑張れ? ウルセーこっちは忙しいんだよ!! (社畜の言い訳)

えーっ、と。

最後に、大事なお知らせがあります。

それは…次の秋イベ編をもって宿毛泊地の物語を「一旦区切り」とさせて頂きたい…ということです。

まあそういう体で話を進めて来たというのもありますが…一番の理由が「意外と時間がかかる」ということ。

僕も色々と他の小説に手を付けていきたいのです…すみません(これを流れの構成と動画編集でやってるんでしょ? ゆ〇っこ先生どんだけだよって話)

ああ、もちろん「日常」の方は終わっても不定期で更新するつもりです、ご心配なく!

…さて、長くなりましたが夏イベ編。これにて閉幕です!


ご閲覧、ありがとうございました!

…秋イベは楽でありますよーに (><;)


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