キリユウ 再会の果てに。/リメイク版 (迷劉/めいりゅー)
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第1話 [絶剣]

是非あらすじ(あらすじじゃない可能性あり)をお読みしてから本編へと!!

一応申しておきますと、私はPixivにて短編小説を書いてる者でして、ちょっと長編には慣れていないと申しますか、どうしても長く書けないんですよね。多分ですが平均して7000いけばいい方だと思います。1万字いくことはほぼないかなと。

あとですね、是非私の黒歴史ssの方もご覧に……何でもないです。

本編スターート、です!!


20××年 1月2日 ALO 新生アインクラッド22層のとあるプレイヤーホーム

 

キリト 「ようやく終わったー」

 

スプリガンの男性アバター、キリトはウィンドウを素早く閉じ、大きな伸びとともに疲れの混じった声を出す。

キリトは冬休みという長期休みの課題を、この3時間で集中して終わらしたのだ。あまり一気にやるのはよろしくない、とは分かってはいるが前後の事を考えるとこの時期にやる他ない、というものなのだ。

今このキリトのプレイヤーホームには、アスナ、シリカ、リズ、リーファ、シノンの女子組も[課題を終わらそうの会]として集まっている。

 

アスナ 「うーーん……疲れたしお茶を入れようか。」

 

そう言いながらウンディーネの女性アバター、アスナはサッとウィンドウを開き、ワンタッチのお茶を作り出した。出された多種多様のお茶を啜りながら疲れた頭を癒している時、ある会話が始まった。

 

リズ 「ふぅ……。ねぇ、キリトは[絶剣]を知ってる?」

 

ティカップをコトリと置き、話を切り出したのはのレプラコーン女性アバター、リズ。右手の人差し指をピンと立て、キリトに話題を投げかけた。それは最近のALOのトップニュースと言っても過言ではない、そんな話題なのだが…

 

キリト 「なんだそのゼッケンってのは。新しいスキルか剣の名前か?」

 

どうやらキリトは知らなかったらしく、飲みかけのティカップを口から外し、リズが口にした[絶剣]について自分なりの返答をする。

 

リズ 「のんのん、今辻デュエルをしているプレイヤーの事なんだけど、この前で40人抜きをしてね。皆が、[空前絶後の剣]ってことで[絶剣]って呼び出したんだって。」

 

残念ながらキリトの予想は外れ、リズの出した答えはプレイヤー。要約してとにかく強いプレイヤーという事だった。

 

キリト 「へぇー40人かぁ…その[絶剣]ってコンバートなのか?」

 

コンバートとはザ・シードに入っているゲームのプレイヤーデータを、他のゲームへと移行する事である。ただしデータとして持ってこれるのはそのアバターなど限られており、殆どが元のゲームに消えてしまう。

 

リズ 「うんそうよ。でも私達よりも前にALOを始めているわ。」

キリト 「ふーん、俺は聞いたことがないな。」

アスナ 「何でもね、最近は忙しくてインしてなかったらしいよ。まぁ、他の人から聞いた話だけど。」

 

リズの話とアスナの補足説明を聞きキリトは、フムフムと頷き頭の中に想像のプレイヤーを作り出す。

 

シリカ 「えっそうなんですか?ということは久々なのに、あの強さって事ですよね?」

 

アスナの補足説明に反応したのはケットシーの女性アバター、シリカ。シリカはケーキを食べながら驚いた声を上げる。それはまるで[絶剣]をこの目で見た事のある者の台詞だった。

ケットシーの女性アバター、シノンは何故か話には参加しないものの、その話題をソイツに話して大丈夫なの?とでも言いたげな顔で皆を見ている。敢えてキリトは気にしないことにしたが。

 

キリト 「その感じだとシリカは[絶剣]を見たことがあるのか?」

リーファ 「シリカちゃんだけじゃないよ。お兄ちゃん以外は全員見てきたんだ。」

 

キリトに即座に返答したのはの女性アバター、リーファ。

 

キリト 「へぇー。もしかして皆闘ったりしたのか?」

アスナ 「うん一応…ね。」

 

アスナは微妙な表情で答える。

とても渋い顔つき、曖昧な返事。それらから大体の予想はつくが、キリトは念のためにと尋ねる。

 

キリト 「で……どうだった?」

アスナ 「えーと……確か6割までは互角だったんだけどね、それからあっという間に負けちゃった。」

リーファ 「私も同じくだよ。」

キリト 「え?アスナだけじゃなくリーファもか?」

 

女子組は一同に頷く。つまりはここにいる皆は絶剣より劣ってしまっている、ということだ。

 

キリト 「ほほう、なかなか強いのか…。」

 

キリトは最近本気で、デュエルが出来ていない。何処か全力を出せない気持ちがあると言うべきか、相手と対峙した時モチベが下がると言うべきか。何であれキリトの[本気]で戦闘を出来ていないのだ。だからとても強いプレイヤーという事にかなりの興味があった。

 

キリト 「相手の…絶剣サンの種族と武器は?」

リズ 「種族は闇妖精。武器はキリトより細めの片手直剣…かな?んでとにかく動きが早いのよ。」

リーファ 「私は空中戦をしたんだけど、全然目が追いつかなかった…。空中戦には自信があったんだけどなぁ…ちょっとショックだったよ。」

キリト 「リーファよりも早い…となると、俺も捉えるのは難しそうかな。」

 

ALOでも上位の飛行速度を誇るリーファでも捉えられないとは、それまた驚く情報だ。そんな強豪なプレイヤーが隠れていたなんて、とキリトのやる気がだんだんと上がっていく。

 

キリト 「っでも、そんなに強いともう誰もデュエルをしようとしないんじゃないか?」

シリカ 「それがですね、絶剣さんはこのデュエルにもの凄い賞品をかけているんですよ!OSSで片手剣スキルの必殺技級のやつです!なんとびっくり11連撃ですよ!」

キリト 「11ぃ!?…それは確かに釣られるな。」

 

キリトもOSS作りにはチャレンジをしたことはある。が、これといって強いSSを作ることは出来なかった。それ程に難しいOSSなのに11連撃とは、今まで作られたOSSの中で最強となる。それは確かに賞品として文句のつけようのない物となる。

 

キリト 「それじゃ、俺も明日辺りやろうかな。」

リズ 「そう言うと思った!よーし、明日の2時にこのキリトのホーム集合でいい?」

キリト 「ああ、構わないぞ。」

 

明日の日程も決まり少し話しをして、この日は皆解散とした。

 

 

1月3日 PM2:00

 

キリト 「皆集まったな。それじゃあいくか!」

皆 「「おおー!!」」

 

例の絶剣が辻デュエルを行っている孤島にやって来ると、早速デュエルをしている人がいるのか、沢山のプレイヤー達が中央のデュエルスペースを囲むように円陣として集まっている。キリト達はそんな円陣の後方に降り立った。

 

キリト 「うわぁ…人が多いな。」

 

キリトがため息混じりの声を漏らした時、空からプレイヤーが落下してきた。

 

プレイヤー「ぐはっ!り、リザイン!」

 

どうやらデュエルを行っていたプレイヤーらしく、墜落し起き上がるや否やリザインコールをする。HPが残り僅かで勝ち目がないと判断したからだろう。

 

観衆 「「おおぉぉっ!!」」

 

観衆から盛大な声が上がる。勿論勝者は絶剣であり、その連勝記録が伸びたことに対する賞賛だろう。

 

プレイヤー2  「おい、もう50人抜きだぞ!誰か止めるやつはいないのか!?」

 

空からもう1人プレイヤーが下りてくる。

そのプレイヤーは綺麗に着地し観衆へ向けお辞儀をした。

観衆からさらに拍手が送られる。

 

キリト 「うーん、ここからだと見えないなぁ…。次に誰かが申し込むまで待とうかなぁ。」

 

密集した観衆達のせいでお目当ての絶剣が視認出来ない。

キリトの脳内ではとてもごつく図体の大きな、ユージーン将軍のようなガタイの男性プレイヤーを想像しながら、背伸びをして絶剣を見ようと目を凝らす。

 

絶剣 「次ーやる人いませんかー?」

 

絶剣の声が響く。次なる挑戦者を呼びかけているようだ。

 

リズ 「ほらっ行きなさいよっ!」

キリト 「待て!リズ!まだ心の準備が…。というか俺は次の次の試合を頼みたいのだが…。」

リズ 「そんなもん剣を合わせれば済むわよ!それに人が多すぎて次はないかもなのよ!ほれ、さっさと行った行った!」

キリト 「わあぁっと!」

 

とキリトは強引にリズに突き飛ばされ、観衆の間を無理やり抜け、少し抜けた声とともに絶剣の前に飛び出る。

 

絶剣 「あっ、お兄さんやる?」

 

絶剣の声にやや疑問を抱きながらも、顔を上げメを合わせる。

 

キリト 「あ、ああやろうかな……って」

キリト・絶剣 「「ええぇっ!??」」

 

それと同時にお互いの顔を指差しながら、驚き100%の声を同時に発する。

目の前にはあのデスゲーム、SAOの最期に偶然出会いデュエルをした、謎の少女[ユウキ]とよく似た…顔から立ち姿、声に至るまでよく似た少女が目の前に居たのだ。キリトが全力を出した最後の戦い。その相手がその少女…ユウキなのだ。

 

絶剣 「えぇっ!?き、キミってまさか…キリト!?」

キリト 「お前はユウキなのか!?」

 

ほぼ同時にお互いが相手の名前を確認する。相手がキリトの名前を知っているということは、キリトの記憶にある[ユウキ]で間違いないだろう。

 

ユウキ 「やっぱそうだよね…キリトだ!!うぅー、ボクキリトにずっと会いたかったんだよ!」

キリト 「ああ、俺もだよ!そうか絶剣ってユウキのことだったのか。それならこの連勝記録にも納得したよ。」

ユウキ 「えへへ〜。」

 

絶剣ことユウキは、恥ずかしそうに頭をかく。そしてニコッととてもいい笑顔をキリトに向けた。

 

アスナ 「…」

リズ 「…」

シリカ 「…」

リーファ 「…」

女子組 「「なんであの2人は知り合いなんだ!?」」

シノン (なんか悪い予感がしたのよね…。)

 

コチラも息の揃った驚き100%の声を発する。シノンだけはこうなってしまうような気がしていたらしく、呆れ顔でため息を零しているが。

 

アスナ 「え?あれ?おかしくない?さっき「会いたかった」って言ってたような気がしたよ?」

シノン (言ってたわよ。)

リズ  「なんでなの!?…理由を教えなさいよキリト!」

 

ワァワァとアスナとリズはパニックを起こしたかのように騒ぎ始める。シリカやリーファは口を開け目は遠くの景色を見るように、開いてはいるが此処には無いような感じである。シノンはと言うともはやどうにでもなれ、と海の方を眺め始めていた。

 

ユウキ 「あー!強かった人達だ!もしかしてだけどキリトの知り合い?」

キリト 「あ……うん、そうだぞ。あっちで知り合った仲間だ。」

ユウキ 「へぇ〜あっちでね…随分女の子ばっかりなんだね!」ニコッ

 

ユウキはまたニコッと笑うが先程のとは違い、奥に何かありそうな笑みだった。キリトは全く気が付かなかったが。

 

リズ 「ちょーとキリト?その娘との関係とか色々教えなさい?」

キリト 「えっと…あとで話すから!」

アスナ 「じゃあ絶対だよ!絶対だからね!」

キリト 「分かったって、後で話すよ。…じゃあユウキ…デュエルやろうぜ。」

ユウキ 「もちろん!今度は負けないよ!」

シリカ 「へ?今度は?って事は既にキリトさんは戦っ…」

キリト 「こっちだって負けないぜ!」

ユウキ 「じゃあルールはどうしようか?」

キリト 「羽無しジャンプあり、剣だけって事でどうだ?」

ユウキ 「うんいいね!あの時を思い出すよね。」

リーファ 「へ?あの時?一体どの時な…」

キリト 「よしっ、じゃあ

ユウキ!」

ユウキ 「うんっ!キリト!」

キリト・ユウキ 「「さぁ、やろうか!!」

 

完全に2人は周りをシャットアウトしていて、一向に他の人の声を聞こうとしない。テンポよく話を進め早速にデュエルを開始するようだ。

 

キリト (あぁ、久々に燃えてきた!ユウキともう一度デュエルをしたいなと思っていたが、こんな形で出来るなんてな…。うーし、ここは全力を出して二刀流で戦うべきだろっ!)

 

そう思いキリトはもう一本の剣を取り出した。それは仲間達と共に獲得したALO内最強の武器、[エクスキャリバー]だ。

 

ユウキ (うわぁ!キリトともう一度戦えるんだ!また何処かで会える気がしてたけど、嬉しいなぁ!それに…キリト…ボクと会いたかったって……いや、何考えてるのさ!キリトも本気なんだしボクも本気を出さなきゃ!…あの事…キリトに手伝って貰いたいなぁ…。)

 

さっと慣れた手つきでキリトへデュエルの申込をする。もちろんSAOでは行えなかった全損決着モードでだ。

 

ピロロンと音を立ててデュエルの申込がキリトの元へと届き、キリトはYesボタンを押す。するとスタートのカウントが始まる。

10,9,8…数が一つ減る度にキリトもユウキも心臓の鼓動が早くなっていく…2,1,0…。

カウントが0になりスタート、と同時に2人は正面向けて走り出す。キリトの始めの攻撃…ソードスキル無しの左ナナメへの振り下ろし。それに合わせるかのようにユウキの左ナナメへの振り上げ。しかしキリトとユウキではユウキの方が力で劣る。当然普通なら吹きとばされるはずなのだが、その受けた勢いを利用して回転する。体の捻りも入れた、逆にユウキの振り下ろしの攻撃へと変わる。キリトは二刀の剣をクロスさせガード、そこからユウキの剣を押し込む。そしてユウキは後方へ飛び一時距離を取る。

 

ユウキ 「さっすがキリトだね!全然攻撃が入らないよ!」

キリト 「ユウキも、な?普通は吹き飛ぶとこだぞ?」

ユウキ 「えへへ〜。ボクだってキリトに負けてから強くなったもんね!」

 

そんな2人の一瞬だが壮絶な戦いを見て、周りの観衆は静まり返っていた。

 

シリカ 「は、早すぎませんか!?」

リズ 「まっ…たく目が追い付かないわよ!」

リーファ 「一体どういう反射神経をしているんですかね?」

アスナ 「私達とはちょっと次元が違うって事じゃないかな?」

 

女子組も未だ頭の整理が終わってないらしく、アスナやリーファでさえしっかりと認識出来ていなかった。

 

ユウキ 「いくよ!」

キリト 「こい!」

ユウキ 「やぁっ!」

キリト 「ふんっ!」

 

周りから隔離されたような世界を作っている2人に、そんな場の雰囲気が伝わるわけもなく、そのまま2人の高速な打ち合いが始まる。

キリトが剣を振るとユウキが防ぎ、更にすぐ攻撃。キリトはそれを防ぎまた攻撃。ユウキが一撃キリトに入れれば、キリトもユウキに一撃入れる。お互い必中と確信したときにしかソードスキルを使わず、無駄のない動きでお互いが攻撃を繰り返していた。

この連撃の最中2人は笑っていた。特にキリトはアスナ達にも見せたことがないような最高の笑顔で、だ。

 

ユウキ (楽しいね!キリト!)

キリト (あぁ、すごくな!)

 

2人は闘いながらも目で会話をしているかのように意思疎通をしていた。

そしてついにお互いのHPがレッドゾーンに突入した。キリトの突きを躱したユウキが、隙の出来たキリトの体に[ホリゾンタルスクエア]を決める。

 

キリト (かかった…今だ!)

 

ユウキが硬直したその一瞬に、キリトはSAO時代ずっと使ってきて、前回のユウキとの闘いにも使用した[スターバースト・ストリーム]を発動させた。ユウキにソードスキルを打たせるためにわざと隙を見せたのだ。その分のダメージを引き換えの反撃だ。

1、2、3、4、5撃と次々にユウキにヒットしていく。しかし6撃目をパリィで受け流されされ、そこでユウキの剣が紫色のライトエフェクトを纏う。ユウキも最後の攻撃としてソードスキルを発動させたのだ。互いのソードスキルがぶつかり火花が舞う。時に剣同士がぶつかり、時にダメージとして入っていく。そして2人とも残りHPが僅かとなった。

 

キリト 「うおぉ!」

ユウキ 「はぁ!」

 

ユウキはスターバースト・ストリームの最後のタメ攻撃をなんとか凌ぐ。その時点でキリトは16撃、ユウキは10撃打っていることになる。そして…

 

キリト 「まさか…11連撃!?」

ユウキ 「やああぁ!」

 

ユウキの最後の一撃である、渾身の突きがキリトに迫る

 

キリト (これがユウキのOSS!…この攻撃にやられるのならいいか…。)

 

キリト 「!?」

 

キリトは、目を見開いた。ユウキの最後の突きは目の前で止まっているのだ。

 

ユウキ 「へへ〜今回はボクの勝ちだね!」

キリト 「あ、あぁ……負けたーっ!」

ユウキ 「やったぁ!これで一勝一敗だね!」

キリト 「おう。だけど次は俺が勝つからな。」

ユウキ 「そうかなー?次もボクが勝っちゃうよ!」

 

再試合宣言をしている2人に女子組が声を掛ける。

 

アスナ 「ちょっといいかな?」

キリト 「どうした?」

アスナ 「絶剣さんとどういう関係かを話してくれない?

キリト 「え…此処でか?せめて俺のホームに戻ってから…」

 

キリトが説明をしようと、キリトのホームへ行こうと提案しようとした時、ユウキがある重要なことを思い出す。

 

ユウキ 「あぁ!ボク、デュエルに夢中で忘れてた!」

キリト 「え?何を?」

 

ユウキの叫びに驚きキリトは思わずアスナ達との会話を打ち切り、声を上げたユウキの方に振り向く。

 

ユウキ 「キリトーこの後大丈夫かな?よかったらちょっとボクに付き合って欲しいんだ。」

キリト 「そうか、別に大丈夫だぜ。」

ユウキ 「ほんと!?じゃあボクに付いてきて!」

 

そう言ってユウキは空に飛び出した。キリトもユウキのあとを追って空へ飛び出した。

 

アスナ 「…えっ?」

リズ 「あ、ちょっと!待ちなさーい!」

シリカ 「何処に行くんですか!?」

キリト 「後で連絡するー!」

 

キリトは止める言葉を無視して、そう言い残しユウキの後を追った。

絶剣のデュエルが終わった、ということで観衆は居なくなり、その場にはただ呆然と突っ立っているアスナ達だけが残った。

 

キリト 「おーいユウキ、何処に行くんだ?」

ユウキ 「んー?着いてからのお楽しみだよ〜♪」

キリト 「?」




ソードスキルは申し訳無いです。過去の自分を殴りに行かなければならなそうです。
えっとですね、スターバースト・ストリームはなんか使えることにしといてください。

あと、この作品はssnoteに出している[キリユウ 再会の果てに]のリメイク版なんで、ssnoteには最新話として随時更新中です。そちらもお読みくださいな。あとPixivもです!!


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第2話[スリーピングナイツ]

第2話ですよ〜、イェーーイ!

ところで、皆さんの中にレジスタ…やっている人居ませんかね?やっている人!今宵…8月19日0:00より、季節限定ユウキ(5選)が星9覚醒するんですよ〜!マジ興奮ものですよね!!もう楽しみ過ぎて…これ書いている今も、興奮で暴れてます!皆さん…盛大に楽しみましょ!

んで、話を変えて……この第2話ですが、本編(ssnote版)を読んでくださった方必見!…かなり…変えさせて頂きました!
具体的なのはスリーピングナイツ全員が喋ること、とかですね〜。
あと、ノリのキャラが崩壊しかけている、とかですね〜。

まぁ、グダグダの誤字脱字オンッパレーッドッ、なssですが、暇つぶしにでもなれたら嬉しい所存デス!


ユウキが向かったのは新生アインクラット最前線である27層。この層のとある宿屋。

 

ユウキ 「キリト〜着いたよ!ここが…ボク達のホームだよ!」

キリト「え、ボク達?」

ユウキ 「そうだよ。じゃあ入って入って〜。紹介するね!ボクのギルド[スリーピングナイツ]の仲間達!」

 

スリーピングナイツ 「「おかえり、ユウキ!」」

 

宿に入ると男性プレイヤー3人、女性プレイヤー2人が席に着いて待っていた。ユウキがニコニコと入っていくと、出迎えの言葉をかけていたので、ユウキのギルドメンバーで間違えないだろう。

 

ユウキ 「ただいま皆!…でこの人が…」

キリト 「キリトだ、よろしく。」

 

キリトは軽い会釈と共に自己紹介を済ませる。

 

ジュン 「俺はジュン、よろしくキリトさん!」

テッチ 「僕はテッチと言います。」

タルケン 「僕は、タルケンともうします。」

ノリ 「私はノリって言うんだ。よろしく、キリトさん!」

シウネー 「はじめましてキリトさん。私はシウネーと言います。来て下さってありがとうございます。」

キリト 「あぁ、皆よろしく。」

 

一通り名前を聞いて、キリトはメンバー全員の顔と名前を記憶する。

 

ユウキ 「それでボクが一応ギルドリーダーだよ!」

 

ユウキが胸をドンッと叩いた。

 

キリト 「へぇ…ユウキがギルドリーダーなんだ。」

ユウキ 「そうだよー。ボクがリーダーって意外だった?」

キリト 「いーや全然。こういうのユウキには似合っていると思うぜ。」

ユウキ 「ふふっ、ありがと。……それでキリト…どうかな…ボク達に手を貸してほしいんだ!」

 

ユウキはいきなりキリトの手をガシッと掴み、目を輝かせながらキリトに向かった。まるで親から何かお年玉でも貰う子供のような、そんな目でキリトを見ている。

 

キリト 「手を貸す…って具体的に俺は何をすればいいんだ?」

 

キリトのその発言に一時ユウキは目を丸くする。ポカーンとキリトを見つめ、ようやくその理由に気づく。

 

ユウキ 「あー!ボクまだ何にも言ってなかった!」

 

ズコーッとスリーピングナイツの皆は勢いよく倒れる。

 

ユウキ 「あははは〜。」

 

何時もある事なのだろうか、倒れる皆は苦笑いを浮かべている。ユウキの明るい笑いにキリトも笑いを零す。

 

キリト 「あはは…で、何の手伝いをすれば良いんだ?」

ユウキ 「ごめんね〜。それで……えっとね、ボク達はこの層のボスモンスターを倒したいんだ。…ここにいる7人だけで!」

キリト 「階層ボス討伐…それもこのメンバーだけ、か。また随分と無茶な野望だな…一体どうしてだ?」

ユウキ 「ボク達はね、とあるネットゲームで知り合ったんだ。そこで皆意気投合してね、それから皆で色々なゲームをしてきたんだ。けど四月から皆用事やら学校やらで、とても忙しくなっちゃって全員集合するのは厳しくなるんだ。だからさ、何か皆で一つ大きな思い出を作ろう!ってなってね。それならボスモンスターの撃破が良い、という事になったんだよ。」

 

ユウキはボス討伐へ至った経緯をざっと話した。

 

キリト 「なるほど、7人だけ…つまりワンパーティ撃破となると[剣士の碑]か?」

ユウキ 「うん、大正解!さっすがーキリトー。」

キリト 「けどかなり厳しい闘いになるぞ。普通は7人7パーティの合計49人で行うもの。それを7人だけとなると、1人1人の負担が大きい。その覚悟はあるのか?」

 

キリトは単刀直入に聞いた。階層のボスを倒すというのは、舐めてかかるものではない。定石の49人で向かっても苦戦する時はあるし、かなり時間もかかる場合もある。単純計算で1人が7人分の働きを維持し続ける事が、勝利への大前提となってくる。そのため精神的にかなり厳しい闘いとなるのだ。

 

ユウキ 「大丈夫。ボク達は覚悟を決めてるよ!」

 

ゴクリ…とスリーピングナイツ全員が息を飲んでキリトを見る。

キリトは暫く悩んだ。SAOにいた時ではこんな無茶は出来なかっただろう。死んだら終わりのデスゲーム。しかし今は違う遊びのゲームだ。ならばゲームとして楽しまなくては、とキリトも遂に決心した。

 

キリト 「よし、いいぜ…前代未聞のボスワンパーティ撃破をやってやろうぜ。」

 

その言葉に皆はパァーッと明るくなった。誰もこんな無茶な頼み事を聞いてくれないと思っていたからである。

 

シウネー 「い、いいんですか!?でしたら…少ないかもしれませんがこれを…。」

 

シウネーはキリトに多少のコルを送る。これがめいっぱいの謝礼だ。

 

キリト 「あぁ…金は入らないよ。ボス戦でかなり使うから。それに何より友人の頼み事だからな。断る理由が無いよ。」

 

キリトはそう言い送り物をキャンセルした。

 

ユウキ 「キリト…。」

シウネー 「で、ですが…。」

 

しかしそれでは申し訳ない、とシウネーはそんな顔だ。

 

キリト 「うーん……だったら敬語をなしにしよう。俺は早く皆とも仲良くしたいから。」

ユウキ 「よーし皆、敬語はナシだよ!」

ジュン 「じゃあ、キリト。ちょっといいか?」

キリト 「えーと…ジュン、どうした?」

ジュン 「気になってたんだけど、キリトとユウキってどういう仲なのかな、って思ってさ。さっき友人って言ってただろ?俺らが知らないゲームとかやってたりした?」

 

キリトは確かにな、と思った。ユウキ達は長い間同じメンバーであり、恐らくこのALOでもずっと一緒であっただろう。他のメンバーが知らない友人、とは中々不思議な者となる。更にリアルの友達にしては紹介されるのが遅すぎる、というやつだ。

そしてキリトは悩んだ。本当の事を言うべきかを。相手はユウキの仲間であり、とても信用のおける人物達であるに違いはない。しかしそう軽々と言いたいものでもない、と。そして悩んだ挙句

 

キリト 「皆ならいいかな。」

ユウキ 「え、キリト言っていいの?」

 

ユウキは心配そうにキリトを見る。ユウキもこのことは、なるべく伏しておきたいものだと知っているからの反応だ。

 

キリト 「ああ。………実は俺は元[SAOプレイヤー]なんだ。」

ジュン 「な!?あのニュースになったデスゲーム!?」

キリト 「そう。俺は2年間…そこで暮らしていた。」

ジュン 「なんか…その…わりぃ。」

キリト 「べつに構わないさ。俺は生きて帰って来たし、それは昔の思い出として残しているからさ。」

ユウキ 「でねでね。キリトはラスボスを倒して、6000人のプレイヤーを救った[英雄]なんだよ!」

キリト 「って、ユウキ!それは要らない情報だろっ!?」

 

キリトは咄嗟にユウキを止めようとするも、ユウキはひらりと躱してキリトの阻止から逃げる。

 

ジュン 「そうなのか!?すっげぇ!」

キリト 「いや…なんか照れるな…。」

ユウキ 「キリトも満更じゃないんだね?」ニヤニヤ

キリト 「…………」ゴゴゴゴゴ

 

ニヤニヤとキリトに笑いを向け茶化すユウキに、キリトは静かに怒りを燃やす。

 

キリト 「そんでゲームクリアした時変な所へ飛ばされてな。その時に…」

 

ユウキのほっぺたを引っ張る。それは先程のお返し(90%)を含めた行為だ。

 

キリト 「…コイツと会ったんだ。」

ユウキ 「痛い痛い、引っ張らないでよー。ボクが悪かったって〜!」

ジュン 「えぇ!ユウキもSAOの世界に行ったのか?」

 

これには驚きを顕にするジュン。ユウキがデスゲーム…SAOに行ったなんて初耳であるし、そんな素振りも見せなかったからだ。

 

ユウキ 「うんそうだよ!そこでキリトとデュエルをしたんだ…。まぁ負けちゃったけどね。」

 

懐かしいなぁー、とユウキはその時のデュエルを思い出す。キリトはSAOのアバターで、今と変わらず全身真っ黒の装備を身に纏い、2本の剣を巧みに操ってみせた。始めて二刀を使う相手と対峙して、ユウキは興奮した事を今でも覚えている。

 

ユウキ 「あの時から今日という今日まで、お互い連絡とか本名も知らなかったんだよ?本当…奇跡ってあるものだよねー!」

キリト 「本名はまだ知らないけどな。」

シウネー 「え?ユウキ達はその一回しか会って無かったのですか?」

キリ・ユウ 「「うん。」」

タルケン 「てっきり昔からの馴染みのある友達同士なのかと。」

テッチ 「確かに。2人とも久しぶりの再会にも関わらず、自然と仲良くやってますよ。」

ノリ 「まるでカッ…」

ユウキ 「あぁぁー!!…ノリ、ストップ!ボクとキリトの出逢いのエピソードは終わり!早く本題に入ろう!!」

 

ユウキは突然大声を上げ、速攻でノリの口を手で塞ぐ。そして無理矢理に会話を終了させ、次へと進めさせた。

 

キリト 「お、おう…。」

 

キリトはユウキの勢いに押され、そのままボス討伐の作戦会議へと移行した。

キリトが指揮を執りながらボス討伐に向けて、みっちりと会議を行った。途中ニヤニヤと不敵な笑みをユウキに向けるノリに、ユウキが飛びかかっていたが、それ以外は順調に会議は進んだ。

 

ユウキ 「いやぁー、流石SAOの英雄様だねぇ。よっ、攻略のプロ〜♪」

 

キリトがテキパキと進めていった会議の事で、ユウキが少しキリトを茶化す。またもやニヤニヤするノリに、ユウキはムカーッと飛びかかる。それにはキリト以外のメンバーは、苦笑いを浮かべるしか無かった。

 

キリト 「……そうか?どちらかと言うと苦手だぞ?こういうの。」

ユウキ 「え、そうなの?テキパキ進めてたからさ。」

キリト 「あぁ…コレは攻略の鬼、もとい俺の友達の見様見真似だよ。何せ俺は[ソロプレイヤー]ですからね。」

 

キリトはドヤ顔と共に過去の自分を自慢げに語る。

 

ユウキ 「キリトがソロプレイヤー?そんなの絶対に嘘だー!だってキリトの周りには女の子ばっかじゃん!」

キリト 「それは今であって関係無い!」

 

(確かにSAO時代にも、俺の周りには何故か女子が多いが関係はない!)

 

ノリ 「へぇーキリトの周りって、女の子が多いんだ。それはユウキ〜大変だねぇ〜。」

ユウキ 「の、ノリ!?ボクは別に…そういう事じゃないのぉ!!」

シウネー 「頑張って下さいね、ユウキ。私は応援してますよ。」

ユウキ 「えぇ…シウネーまで!?だから違うってぇー!!」

 

何度目かのユウキの雄叫びが轟き、皆大笑いである。

 

ジュン 「あのさ、あのさ。さっき[ソロプレイヤー]って言ってただろ?それってもしかしてSAOでなのか?」

 

自分の知らないゲームに興味津々のジュンは、キリトに質問を続ける。

 

キリト 「あぁそうだ。」

ユウキ 「えっ、このALOでじゃないの?」

キリト 「いや…ALOでは皆と一緒かなぁ。ほらあの見に来ていた奴らだよ。」

ユウキ 「SAOってデスゲームだったんでしょ。危なくなかったの?」

 

ユウキはとても心配そうな目でキリトを見る。こういうゲームでのソロプレイは、常にゲームオーバーと隣り合わせになることとなる。それをゲームオーバー=死のSAOでは、危険行為の最高峰と言っても過言ではない。

 

キリト 「まぁ…な。あの時は色々あったから。だけど今は皆といる方が楽しいぜ。」

ユウキ 「そっか。ボクもキリトと居れて楽しいよ♪」

キリト 「ありがとな、ユウキ。」

ユウキ 「うん…!」

 

ユウキは心からの喜びの笑顔をみせた。

 

シウネー 「あの…戦闘狂のユウキにも春が来たんですね…。なんか嬉しいですね。」

ノリ 「そうだね。あの戦闘狂のユウキにも…。」

ユウキ 「むぅーっ…そこっ!2人ともうっすらと涙を浮かべながら、人の事を戦闘狂とか言うなぁ!」

 

涙を流して喜ぶ2人にユウキはビシッと指摘をする。恥ずかしさのあまりか、頬を少し紅く染めるユウキ。

 

キリト 「はっはっはっ、ユウキが戦闘狂なのに違いはないだろ?」

ユウキ 「っくぅ!キリトだけには言われたくないよ!キリトだって戦闘狂でしょ!」

 

2人の会話にどわっと笑いが起こる。

 

キリト 「ははは………ふぅー。さてと気を取り直してユウキ、締めを頼む。」

ユウキ 「うん。じゃあ、明日の2時に此処に集合だからね、皆気合いを入れて頑張ろー!」

皆 「「おぉー!」」

 

スリーピングナイツの皆、そしてユウキもそれから間もなくしてログアウトした。しかしキリトはこの後アスナ達の元へ行き、ユウキとの関係など面倒な事を話さなければならないのだ。そのために気を重くしており、飛んで行って時間を稼ごうか悩みに悩んでいた。どうせなら行かない、という手もあるのだが、それは後に厄介になってしまう。生憎皆さん揃って、キリトのプレイヤーホームに集合されている。コレは行かなければならない運命なのだ。

 

キリト 「あ、アスナからだ……ト…。」ガクガク

 

いつの間にかキリトのメッセージBOXには、アスナからのメッセージが届いていた。

 

「キリトくん今どこにいるのかな?何してるのかな?あの[絶剣]さんとどういう関係なのかな?色々聞きたいことがあるから、そっちの区切りが付いたら連絡してね、絶対だよ。」

 

それは地獄行きの片道切符であり、キリトの逃げ場完全に断ち切った狂気である。

 

キリト 「に、逃げ場無し…詰みってことかよ…。」

 

キリトがアスナへ、なんと連絡するかを迷っていた時だった。もう「終わったから直ぐに行く」や、「少し待っててくれ」などの言葉しか送れないキリトだが。

そんなキリトに向けて、不意に後から何かが飛んでキリトの背中に抱きついてきた。

 

ユウキ 「キリト〜〜♪」

キリト 「うわっ…て、ユウキか?ログアウトしたんじゃないのか?」

 

飛びついてきた何かはユウキで、ニコやかな笑顔と明るい声とともにキリトの背中に掴まった。

 

ユウキ 「うん、キリトと話したいことがあったから戻ってきたよ。」

キリト 「話したいこと?」

ユウキ 「うん、今日はありがとね。唐突にボス攻略だなんて無茶言っちゃってさ。」

キリト 「気にするなって、それにユウキは俺の願いを叶えてくれた。お相子というやつだ。」

ユウキ 「え…何のこと?」

 

ユウキには全くアテがない、という感じだ。

 

キリト 「デュエルだよ。ユウキ以外と戦っても楽しく無いんだよなぁ。今日は久々に闘って楽しかったぜ。」

ユウキ 「あーでも、キリトから来てくれたよね?」

キリト 「良いんだよ!闘えたのは事実だからな。」

ユウキ 「あはは、そうだね。ボクも楽しかったよ。…そいえばあの女の子達は?」

 

ピタッとキリトの動きが止まる。そしてギギギッと動き出す。

 

キリト 「それって強さの事だよな?……まぁ普通に強いんだけどさ、なんかこう胸に伝わるものと言うか…何かが足りないんだよな。」

ユウキ 「へぇ、なんか嬉しいね!……あ、あと聞きたいことがあったんだぁ。」

 

ユウキは手を合わせ、再度ニコッと笑う。それに合わせキリトも口を引き攣る。

 

キリト 「い、一応聞いておこう…。なんだ聞きたいこととは?」

ユウキ 「どうしたの?まぁいいけど…。でね、キリトはあの女の子達とどういう関係なの、って聞きたいんだ。」

キリト 「……はぁ……」

 

キリトはやっぱりか、というため息を深く零す。

 

ユウキ 「え、え!?聞いちゃ不味いの!?」

キリト 「いや…なに…。ユウキも聞くのかぁ…って。」

ユウキ 「ボクも、ってことは誰かから聞かれたの?」

キリト 「あぁ、アスナから「絶剣さんとどういう関係なの?」っていうメッセが先程な。」

ユウキ 「…アスナさん…って?」

 

会話に知らない人が出てきているのでは、当然と言える反応だ。しかしこのままだと話がなかなか進まない。他者の説明程厄介なものはない、と

暫くキリトは苦悩した。行きたくない、しかし両方のためには行かなければ、と。

そしてキリトはついに決心をつける。

 

キリト 「そうだな……よしっ覚悟を決めたぞ、ユウキ!この後ちょっと大丈夫か?」

ユウキ 「え?うん大丈夫だけど?」

キリト 「分かった。少しメッセージを取らせてくれ。」

 

キリトはアスナへメッセージを送った。

 

ユウキ (なんでキリトは指を震わせながら打っているんだろ?そんなに怖い人達だっけ?)

キリト 「……よ、よしっユウキ…これから俺のホーム兼俺の仲間の紹介をする。」

ユウキ 「えっ!やった♪」

キリト 「付いてきてくれ。」

 

キリトとユウキが向かったのは22層にあるウッドハウスだ。例のキリトのプレイヤーホームである。

 

ユウキ 「わぁー、ここがキリトのホーム?」

キリト 「あぁ。家本体も立地も中々気に入っているんだ。この層はモンスターがスポーンしない事で有名なんだぜ。のどかでいい所だろ?」

 

ユウキは目を輝かせながら、ぐるりとキリトのホームを一周して見る。とてもはしゃいで走るユウキの姿は、キリトにこれから先へ進むためのエネルギーを与えた。まだドアを開けるだけの体力しかないが。

 

ユウキ 「う〜ん、この層は気持ちが良いね…。おっきな森や心地よい風とか、上手く再現されてるよね!この雰囲気…ボクも好きだなぁ!」

 

ユウキは思いっきり息を吸い込み、深呼吸を行いフィールドの遠くを眺める。どうやらユウキのお気に召したらしい。キリトもそれには満足した。

 

キリト 「あぁ。実はSAO時代から此処に住んでいる、という事も補足しておくよ。」

ユウキ 「へぇ〜。キリトはセンスが良いんだね…。ボクもこの層の何処かに住みたいな〜。ねぇねぇ、いい物件とかないかな?あとで教えて欲しいな♪」

 

キリト (なんだこの安心感…。地獄の前だからこその安らぎ、的な何かか?)

 

キリトは表には出さない涙を浮かべ、目の前の無垢な少女に、神へ捧げる祈りの様なポーズを取る。心の中で。

 

キリト 「さぁ…お待ちかねの紹介タイム……。辞めるなら今だぞ?」

ユウキ 「大丈夫、覚悟は出来てるよ。それにそんな怖い人達じゃないと思ったけど。」

 

キリト (悪い奴らじゃないんだけど、質問攻めがめんどくさいんだよなぁ…。)

 

キリトは上がらないテンションのまま、軽いアクションでホームのドアを開けた。そしてキリトが先に家の中へと入り、ユウキもその後に続く。

 

女子組 「「あっ、おかえりなさーい!」」

 

リビングへと入ると直ぐに、ソファに腰掛ける数人の女子達からの声がかかる。

 

クライン 「よぉう!キリの字お邪魔してるぜ。」

 

更にそこに付け加えて、キリトとSAO時代からの仲であるクラインからも声がかかる。にしし、と笑いながらキリトに手を振る。

 

キリト 「なんだクラインも居たのか…。まぁ仕方ないか。じゃあ紹介するよ…[絶剣]ことユウキだ。」

ユウキ 「ユ、ユウキです!よ、よろしくお願いします!」

 

キリトから紹介されたユウキは、ひょっこりと顔を出した。少し緊張しているのか、所々言葉が詰まっている。

 

アスナ 「よろしくユウキさん。アスナです。」

リズ 「よろしく、リズよ!」

シリカ 「よろしくお願いします。シリカです!」

リーファ 「よろしく、リーファです。」

シノン 「シノンよ。よろしく。」

 

以上女子組の自己紹介が終わる。皆(シノン以外)一同に笑顔を作っている。怖いくらいにとても良い笑顔を。

最後に、とクラインは勢いよく立ち上がり、ユウキの前に移動する。

 

クライン 「クラインと申します。以後お見知りおきおっづ!」

 

キリトはユウキが引いている事を察し、クラインの足を強く踏む。

 

キリト 「バカか?」

クライン 「いてーなキリトよー。」

 

何時も通りのやり取りにみな少しの笑いをこぼす。が、それよりもユウキの方への視線が強い。デュエルをする時とは違う警戒心を抱いているようだ。

キリトとユウキは空いている席に着き、お茶とお菓子を頂いた。

 

ユウキ 「じゃあボクから皆に質問があるんだ。皆とキリトはどういう関係なの?」

 

ユウキの質問に対し、皆は少し悩んだ末…

 

アスナ 「…初めてパーティを組んだ仲…。」

シリカ 「…ピナと私の命の恩人…。」

リズ 「…専属スミス…。」

リーファ 「…義妹…。」

シノン 「…命の恩人…。」

 

と、全員がそれぞれに答え終わる。

 

ユウキ 「……へぇ〜そう何だ…。ボクはてっきり彼女さんでもいるのかと思ってたよ〜。」

女子組 「「えぇ!?彼女!?」」

 

ユウキの言葉に皆は焦ったような、驚いたような、そんな微妙な表情となる。まさかこのユウキから、「キリトの彼女」というワードが出るとは思ってもいなかったのだ。

 

ユウキ 「…うん、良かったー。」

 

ユウキはほっとしたように胸をなで下ろす。その動作に女子組は嫌な予感を察した。

 

((まさか…ユウキも…??))

 

心が晴れやかになったユウキは、美味しそうにお茶を啜った。

 

??? 「パパに彼女さんはいないですっ!」

 

丁度その時不意に何処からか少女の声が聞こえる。この場にいるユウキの視界に映る人のものではない。また別の人の声であった。

 

ユウキ 「え、パパ?この声主は誰なの?」

 

キョロキョロと周りを見渡しもやはり新たな人物は見当たらず、何も知らぬユウキにとって怪奇現象に等しいものだった。

 

キリト 「あーごめん、紹介するのを忘れてたよ。出てきて良いぞ…これがさっきの声主の[ユイ]だ。」

 

キリトが胸ポケットを開けると、中から何かが勢いよく飛び出しキリトの肩へと着地した。

 

ユイ 「はじめましてユウキさんっ!私がユイですっ!」

 

そしてそれはとても小さな妖精だった。キリトの肩に座りユウキへと挨拶をしていた。

ユウキもキリトに近づきまじまじと、その妖精[ユイ]を見つめる。

 

ユウキ 「えっ…この娘って…もしかしてナビゲーション・ピクシー!?あっ、でもキリトのプライベート・ピクシーなのかな!?そ、それよりだよ!キリトの事をパパって…!ま、ママはいるの!?」

 

まずキリトにナビゲーション・ピクシーが付いていることに驚き、個プレイヤー専属という点に目をつけプライベート・ピクシーと改めた。それだけでユウキがかなりのゲーム眼を持っている事が明らかだ。

しかしそのピクシーについて何より気になる事が、キリトを「パパ」と呼んだ事だ。

 

ユウキ (もしかして[彼女]じゃなくて[妻]!?そういう事だったの!?)

 

ユイ 「いいえ、私にはパパだけですっ!」

 

えっへん、とユイは腕を組んで堂々と告げる。

 

ユウキ 「そうなんだ…。あはは…。」

 

そのユイの返答に焦った自分を恥てポリポリと頭をかく。

 

キリト 「なんでユウキが焦るんだ?まぁ、初めてユイが俺を「パパ」と呼ぶのは驚くけどもさ。焦る必要は…」

ユウキ 「き、キリトには関係ないのっ!」

 

ユウキは顔を少し赤く染めながら、恥ずかしさを打ち消すためにか大きく声を出す。

 

女子組  ((やっぱりユウキも…はぁ。この男は一体何人落とすのやら…。))

 

予想的中という事で皆肩を落とす。

 

アスナ 「ユウキ…色々と宜しくね!」

ユウキ 「え?………あ、うん。皆宜しく、色々と。」

 

がっしりと握手したユウキとアスナは、もうライバル同士の目と早変わりしていた。周りの皆もその雰囲気と化していた。

 

クライン 「クソォー!なんでキリトはいつもそうなるんだよ!?」

キリト 「?何がだ?」

 

相変わらずの鈍感であるキリト。頭に?を浮かべ、クラインにブツブツと文句を聞かされている。

それを置いて、ユウキはすぐに皆と打ち解け話が盛り上がった。ユウキも一応SAOに飛んだことがあるということも聞き、アスナ達も隠さないで話した。ユウキが興味津々に聞くもので、皆は自慢げにSAOの世界での思い出話を奮ったものだ。無論キリトとの思い出話を。

途中ついにキリトが

 

「なんか俺の話しかしてなくないか。とても恥ずかしいのだが…。」

 

と、言っていたが、あまりこういう話を熱弁する機会が無いものだから、という事で容赦なく話続けた。その間何度もユウキがキリトをジローッと見ては他所を見、キリトを見ては他所を見、と行っていた。

 

クライン 「キリトは人気者でいいよなぁ。俺にもその理由を教えてくれよ〜。」

キリト 「ただただ思い出話を話されるのが[人気者]なら俺は断るよ。っていうか俺はなんにもしてないんだけどなぁ…」

 

キリトは追加のお茶を啜りながら、自分の関わる思い出話がユウキへと流出するのを聞き流す事しか出来なかった。

 

そしてアレコレと話が発展し、かなりの時間が経っていた。

皆にも現実世界での予定があるわけなので、今日はひとまずこの辺で解散することになった。

 

 

-現実世界-

 

 

目を覚ました和人は装着してあるアミュスフィアを頭から取り外し、ベットに付く台に静かに置いた。

 

和人 「ふぃー。今日は何時もの何倍ま楽しかった。まさか本当にユウキと再戦出来るなんてな…」

 

和人はしばらく起きず横になり、今日の感動に浸っていた。

何時か会える気がした[ユウキ]という剣豪と再会し、それから前人未到の[ワンパーティでのボス攻略]の協力。明日が楽しくならない筈がない。

 

(ユウキとこっちでも会えないかな?ボス攻略が終ったら聞いてみようかな?やっぱり失礼かな…。うーん…)

 

などと考えていると、1階から義妹である直葉の「ご飯が出来た」という声を聞き、思考を一旦止めて1階に降りた。

 

この日はこの後特に何もなく過ぎていった…。




第3話へ続きます!

そして宣伝!私の黒歴史ssをどうか…どうか…少しだけでも……やっぱり何でもないです。お気になさらずに。

追記
この投稿、実は2度目です。同じ前書きを書いてます。結構恥ずかしいです。
ミスって黒歴史ssの方に投稿してしまいました…。すみません!

再追記
後半の三千文字程度は、後付けしたものです!
本来なら次話として出す所存でしたが、思ったより区切れが悪く、こっちに付けさせて頂きました!
ふざけた投稿で申し訳ございません!


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第3話[ボス攻略]

遅くなりました!テストも終わり、冬休み目前のこのタイミングで、ようやく仕上げることが出来ました!!

和人君の住所知らねぇ、なのでお許しください。

オリジナルの方と全然違うものとなっていますので、是非お楽しみください!

でわ!


翌日 1月3日 1:00

 

和人は昼食も食べおえ、ベッドの上でゴロゴロと暇な時間をただ過ごしていた。

ユウキ達との待ち合わせ時間は2:00。まだ1時間も先という事で、ログインをするか否かで迷っていた。

 

和人 「少し早いけど、暇だしいいか。何処かで準備運動でもしとこう。」

 

結局ログインすることに決めて、部屋の環境と体調を整えた。そしてベッドに備え付けの机に置いてある、アミュスフィアを頭にとり着けた。

 

和人 「部屋の温度良しっと…リンクスタート!」

 

その掛け声と共に和人の意識は仮想世界へと飛んだ。

 

同時刻。場所は変わって紺野家

 

木綿季 「うぅー暇だーキリトと会いたいな…そうだ、今度リアルで会えないか聞いてみよう!どんな顔なのかなー?やっぱりかっこいいのかなぁ…。」

 

昼食をとり終えベッドに寝転びながら木綿季は先ほどから、キリトの事ばかりを考えている。

昨日奇跡的にキリトと再会でき、念願であった再戦とSAOの時のリベンジも果たせた。

 

木綿季 (本当に昨日は気持ちが良かったなぁ。やっぱりどの相手よりもキリトは群を抜いて戦闘センスがあるし、何よりどことなくボクに似た戦いの意識があるような気がするんだよね。…あと…かっこいいしなぁ…。)

 

ぼふんっ、と枕に顔を埋め込み激しく転がってさっき思った事を必死に誤魔化そうとする。

そんな何気ない時間を過ごしていたのだが

 

木綿季 「ひまっ!」

 

遂には木綿季も暇になってしまった。ベッドから起き上がり喉を潤し空調を整えた。

 

木綿季 「…まだ早いなぁ…けどいいやっ!少しモンスターでも狩って気分を変えよっ!……リンクスタート!」

 

そしてアミュスフィアを取り着け掛け声を発し、木綿季の意識は仮想世界へと飛んだ。

 

ALO スリーピングナイツのホーム

 

ユウキ 「ふぅー。さてと、どこ行こっかなぁ。弱いモンスターじゃ嫌だし、最前線の手前らへんを散策しよー。」

 

集合場所であるホームでログインしたユウキ。

思考に詰まったら先ず行動に移すことに決めているユウキは、直ぐに目的地を決めて、ウィンドウを開いて飛ぼうとした。

 

ユウキ 「ん?誰かログインしたのかな。アスナ達ならちょっと誘ってみようかな〜。」

 

どうせ暇つぶしをするなら1人ではなく皆で過ごしたいと、ユウキはフレンド欄を開き誰がログインしたかを確認した。

 

ユウキ 「え!?キ、キリト!?まだ結構早い時間だと思うんだけどなぁ。キリトかぁ…誘おっかなぁ…。」

 

悩みを紛らわすために戦闘に出掛けようとしていたのに、その悩みの種であるキリトと行動しては余計に悩むばかりの気がする。しかし[今すぐにキリトに会いたい]という欲求もあり、またもやここで悩み始める。

 

ユウキ 「よしっ、キリトの所へ行こ〜♪」

 

欲求に負け、キリトのいる場所へ一直線で飛び立った。

 

10分後

 

スリーピングナイツのホーム

 

キリト 「あぁー。やっぱり誰も集まってないよな。ここまで飛んで来たけど、どっか行こうかな。」

 

キリトのホームからログインされたキリトは、集合場所であるこの場所まで飛んで来たのだ。時間も大分早いのでこうなることは目に見えてはいた。

 

キリト (そりゃそうだよな。こんな早くから誰か居るわけな…)

 

その言葉を紡ぎ終える前に、キリトの後方の遠くから誰かが高速で接近して来ていた。

 

ユウキ 「あーっキリトーっ!ようやく見つけたーっ!」

キリト 「うん?何処かからユウキの声が……ぐへっ!?」

 

声がした方へ振り向いたキリトに、勢いをほぼ殺さずにユウキが飛び込んだのだ。そのまま2人は転がり、キリトを下敷きにユウキの着地とした。

 

ユウキ 「あいててて…あれ、キリトー?何処に行ったのー?」

キリト 「お…おはよう…ユウキ。」

ユウキ 「あ、キリトおはよう。」

キリト 「悪いけど降りてくれないか?」

 

ユウキを乗せたままのキリトは、別にユウキが重くて辛い訳では無い。この体制に焦りを覚え始めたから、ということなのだ。

 

ユウキ 「わわっ!ごめんっキリト!怪我はない…分けないよね、ごめんね。」

 

ユウキはすぐさまキリトの上から降りて、両手を合わして必死に謝った。

 

キリト 「いや全然大丈夫だよ。少し突然過ぎて驚いただけ。…にしても、なんであっちから飛んできたんだ?」

 

ユウキがログインする場所は此処だと知っているキリトは、皆が此処から現れるものだと思っていたのだ。それが予想外の方角からの襲撃とは、驚かないわけが無い。

 

ユウキ 「あはは……実はボクも10分前にインしたばっかでさ。丁度キリトがインしてきたから、迎えに行こうかなと思ったんだよ。だから軽い準備運動も兼ねて行ったんだよ。」

 

ポリポリと頭をかきながらここまでの経緯を完結に説明した。

 

キリト 「そういう事か。確かにユウキが飛んできた方角が俺のホームまでのルートだもんな。」

ユウキ 「そうそう。でも居なかったものだから、見てみたらこっちに向かってたんだもん。慌てて飛んで来たんだよ〜。」

キリト 「なんか申し訳ないことをしちゃったな。俺も誰が入っているか見ておくべきだったよ。ごめんな。」

 

どうやら2人はすれ違いになっていたようで、ユウキは無駄に飛んで時間を潰したのだ。そのお陰ですっかり悩んでいた事もスッキリと奥に仕舞われていた。

 

ユウキ 「いやいや、ボクの意思で行ったわけだし、いい準備運動にもなったから大丈夫。それにしても早かったね。キリトは遅れて来るタイプかと思ってたよ〜。」

キリト 「随分と失礼な言いようだな。俺も集合する時くらいは時間を厳守するよ。それはユウキも言える事だろ?」

ユウキ 「あはは〜、まぁね。」

 

キリトにそう返され、ユウキはにこやかに微笑んだ。

2人はスリーピングナイツのホームに入って、自分の定位置に腰を下ろした。その後ユウキが気を利かして2人分のお茶を出した。

 

キリト 「そうだ、そうだ。ユウキに聞きたい事があったんだけどさ。」

ユウキ 「ボクも同じだよ!キリトに聞きたい事があったんだぁ!」

 

2人は顔を見合わせ、一瞬止まり、軽く笑ってしまった。

 

キリト 「ははは〜。なんだユウキもあったのか。」

ユウキ 「うん!キリトのリアルの住所を知りたいな〜、って思っててさ。」

キリト 「んっ!ゲホゲホ、まじか…。」

 

ユウキのその質問にキリトは思わず飲んでいたお茶を吹いてしまった。

 

ユウキ 「い、嫌なら大丈夫だよ。ごめん…。」

 

キリトの反応にユウキはしょんぼりとしてしまう。確かにあまりこういう個人情報を聞くのは無礼、と重々承知の事なのだが、キリトにもっと近づきたいユウキにとって、踏み込むべきとこだったのだ。

 

キリト 「いやいや!違うんだよユウキ!丁度俺もそれをユウキに聞きたくてさ。でも女子に聞くのは不味いかなぁ、って考えてたとこだったんだよ。ははは〜まさかお互い同じ事を聞こうとしてたなんてなぁ。」

ユウキ 「えっ、そうなの!?よ、よかったぁ…聞いちゃいけないのかと思ったよぉ。」

 

ホッ、と安心したユウキは心を落ち着けるために、お茶を一気に飲み干した。

 

キリト 「俺の住所は[埼玉県川越市]」

ユウキ 「へぇ〜!偶然なんだけど、ボクの家もその近くなんだよ!」

キリト 「えっ、そうなのか?じゃあ今度リアルでも会わないか?ユウキが良いならだけど…」

ユウキ 「うん…そうしよう!ボクもキリトと会いたいからさっ!」

 

キリ・ユウ ((やったぁぁ!!リアルでも会えるっ!!))

 

互いに会いたいと思っていたという事で、内心では表以上の喜びを見せていた。

 

ユウキ 「あとボクの住所はね、埼玉県の……」

ノリ 「おっはよー。2人とも早……」

シウネー 「おはようございます。もういらしてい……」

 

ドアを開けて入ってきたノリとシウネーと、席に座るユウキの目がぱっちりと合う。そしてユウキとキリトが仲良く話していた、と察したノリは、直ぐにニヤァッとした表情になり、シウネーは空気を読んで、ドアを閉めて出ていった。

 

ユウキ 「あ…あ…あ…!」

 

プスプスと音を立て、ユウキの顔は真っ赤に染まる。ノリとシウネーにはユウキのキリトへの想いがバレており、昨日も散々といじられた。そのために…隣にキリトが居ることも、要因に含まれているが…ユウキの恥ずかしさの限界を達したのだ。ボフンという効果音が似合う破裂が起き、ユウキの髪が舞い上がった。

 

ユウキ 「ふ、2人ともぉ逃げるなぁ!リーダー命令だぁっ…!!」

 

ユウキは勢い良く席から立ち、2人を追うようにドアを開けて出て行った。ダメージを与えられない事は知っているが、感情的に剣を抜き、それで2人を斬るように追いかけた。

置いてけぼりにされたキリトは、このやり取りにただ苦笑いを浮かべる事しか出来なかった。

 

キリト (…って、俺って何かやらかしたのか!?)

 

因みに相変わらずのキリトである。

 

2:00

 

それから約束の時間となり、男子メンバー皆も揃い集まった。目には若干の涙を浮かべ、ぷくっと薄赤く染める頬を膨らますユウキ。そしてそのユウキをノリがにやにやとしながら、肘で突いている姿を見た3人も、キリト同様に苦笑いを浮かべていた。

余談だが、先程の追いかけっこの途中、キリトの耳に届かない所でノリ達の反撃(精神)に逢い、ユウキは今に至るまで顔を真っ赤にしてしまったようだ。

 

キリト 「それじゃ皆揃ったようだし、始めようぜ?」

ユウキ 「う、うん。そうだねキリト、一旦この事は心の奥に押し込んどくよ、一旦ね。…ようし皆、今日はがんばろっ!」

皆 「「おぉっ!」」

 

キリトに促され気持ちを無理矢理切り替えたユウキ。円陣を組み、ユウキの合図で掛け声を合わせた。気合いを皆で揃えて入れると、ある種の精神的なバフがかかるのだ。そのお陰で皆がやる気で満ち溢れた顔つきへと変わった。

 

ダンジョンにて

 

ユウキ 「やあぁぁぁぁ!」

キリト 「負けるかぁぁ!」

 

前衛にキリトとユウキが、中衛にノリとタルケン、テッチとジュンが2組で構える。そして後衛のサポート役としてシウネーという布陣となっている。なるべくモンスターと出くわさないよう、走って奥へと進んでいる。が、行く手を阻まんとポップする全てのモンスターが、前衛の2人だけでカタを付けられていた。

 

他 「「…………」」

 

昨日のユウキとキリトの会話から、キリトがユウキに勝るとも劣らずの戦闘狂と分かっていたが、まさかその2人が集まるとここまでとなるとは思ってもいなかった。よって、別方向から来るモンスターを4,5匹相手をしただけで中衛の仕事は終わり、唯一シウネーだけがヒーリングの魔法を2人に掛けていたくらいであった。

 

キリト 「いやぁ、爽快爽快♪」

ユウキ 「むぅ…ねぇキリト!ボクの方へタゲが向いた敵も切らないでよ!ちゃんと自分の分だけに集中してって!」

キリト 「いやぁ、気づかなかった。ユウキに負けたくない一心で必死でさ。そんなこともしてたのか〜、そりゃ悪ぃな。」

 

ようやくモンスターラッシュの場所も過ぎ、前衛の2人の足が減速した事でパーティ全員が歩きへと変えた。

 

キリト 「あれ…もう着いたのか。なんか拍子抜けだな。」

ユウキ 「随分早かったね〜。今までで一番の早さだよ〜。」

 

2人の恐るべき特攻力により成された偉業である。出会ったモンスターも平均より少なく、まとめて集まる事もなかったのが幸いしたようだ。

 

ノリ 「あの2人はバケモノだね。二本の矛と言うよりは、一本の巨大な矛のようだったよ。私達の出番を与えないところには不服だけど。」

シウネー 「私はあまりMPを使わずに済んで、良かったのではなないかなと。2人とも仲が良さそうで何よりですよね。」

 

少し減ったMPを回復させながら、ノリとシウネーは後方で話しながら歩いていた。キリトと話す笑顔のユウキを微笑ましく眺めていたのである。

そして遂にボス部屋の巨大な扉が見える所までやって来た。

 

ジュン 「よーしっ、早くいこーぜ!」

ユウキ 「あ、ジュン待てーっ!」

 

我先に2人は走ってボス部屋へ向かう。これで3度目となるが、今回は助っ人も居るという理由でやる気が何時もより大きく、2人のテンションは最高潮であったよう、だ。

 

キリト 「2人とも止まってくれ!」

ユウキ 「え、どうしたのキリト!?」

ジュン 「なんか悪い事でもあったのか!?」

キリト 「ちよっと気になってな…」

 

何かがキリトの勘に反応したらしく、走って行く2人を止めさせた。2人は素直に立ち止まり、キリトの後に着いた。

 

キリト (あの辺だな…)

 

キリトは腰に刺してあるピックを3本、器用に指で掴んだ。それらを門の柱付近の何も無い空間へと、投合スキルを使わずに放った。

 

グサ

 

するとキリトの放つピックは柱に弾かれる前に、何か別のものに当たって空間に止まった。

 

?? 「「!?」」

ユウキ 「えっ…どうなってるの!?」

 

ユウキをはじめ、スリーピングナイツ全員が驚愕の声を漏らす。その何も無いと思われていた空間に、2人の男性プレイヤーがハイドしていたのだ。攻撃を受けたことによりハイドが解け、正体が現れたのだが、まさか自分達がバレるとは思っても居なかった2人にも、驚愕の表情が見て取れた。

 

キリト 「……お前ら何をしているんだ。まさかボス攻略に挑むプレイヤーを狙ったPKじゃないだろうな?」

 

キリトは2人をしっかりと睨みつける。少しでも妙な真似をすれば、速攻で切り伏せれるよう、背中の剣に手をかけている。

そのキリトの反応を見たユウキ達もようやく理解に至り、それぞれの武器を構える。

 

??1 「い、いや!俺たちは怪しいことをしていた訳じゃないんだ!俺らは仲間を待っていたんだ。ポップするモンスターに狙われたら面倒だから、ハイドを使って凌いでいただけなんだ。」

??2 「あぁ、そうなんだよ。アンタらボスに挑むのか?なら先を譲るからさ、武器をしまってくれないか?」

 

2人は焦って自分達の説明をする。つまりは武力行使を行わないでくれ、という内容のもの。お互い無干渉で済ます流れのようだ。

 

ユウキ 「やったね、キリト!先にやらせて貰えるって!」

キリト 「待ってくれユウキ。」

ユウキ 「え…?」

 

剣を仕舞い、先へ進もうとするユウキをキリトは止めた。キリトはまだ2人を睨んだままで、剣からも手を離していない。

 

キリト 「なぁ、あんた達。そう言えば25層も26層もクリアしたギルドだよな?」

??1 「あ、あぁ。それが一体…」

 

その確認を終えると次にユウキ達へ尋ねる。

 

キリト 「なぁユウキ。昨日話してたけど、ユウキ達がボス戦で全滅してからほぼ間もなく先を越された、そうだよな?」

ユウキ 「うん。ボク達もそれなりに急いで来たけど、着いた時には別のギルドが挑んでいたんだ。キリトの言う通り二回連続。」

 

ユウキへ確認するを終えると、キリトは再び2人を睨み、確信したように口を開いた。

 

キリト 「アンタら人を待っている、とか言ってたけど……ギルドの監視役だな。ユウキ達みたいな小ギルドが挑むのを待ち、それにトレーサーをくっ付けてボスの情報を盗み見る。ユウキ達はボスの情報をギリギリまで引き出してくれる、格好の餌だったみたいだな。それでその情報を元に攻略へと踏み出す。情報がある分、被ダメも最低限に抑えられるから、無駄なアイテムの消費が無い。その情報を取るための無駄な先行部隊も必要ない。大体そんな所だろ?まさに低コストでクリアする、とても良いアイディアだな。」

??1 「ぐっ!?」

 

キリトの言い放ったその推測は的中のようで、1人が悔しさからの声を漏らす。

 

キリト 「最近のギルド事情は面倒だからな、先に色々と見ておいて良かったよ。まさかこんなことでも、と予想していたからな。」

??2 「だけど別に問題ねぇだろ?プレイヤーに魔法を行使するのに、アンタに禁止される筋合いはない筈だぜ?」

キリト 「あぁ、別に問題はないし、禁止する事でも無い。だけど人が必死になって得た情報を、勝手に盗られていい気分になるか?普通ならならないと思うね。俺はそれを警告しただけだが、この手口はもうバレた。2度と同じ手で情報を抜き取れると思うなよ。」

 

キリトの言葉に2人のプレイヤーは舌打ちをして、不快な表情へと変えた。

 

??2 「大体アンタらみたいな小ギルドが挑むのが筋違いなんだよ!俺らのギルドに貢献してるだけで十分だろーがよ!」

キリト 「はぁ……とっとと失せろよ。」

 

大声でユウキ達を含む小ギルドを、軽蔑するような内容を口にするその男。まるでユウキ達が攻略出来るわけが無く、その情報で自分達のギルドが攻略するのが当然だと思っている口ぶりだ。

そんな調子に乗る男に、キリトは低く声を発した。キリトの手は背中の剣から離れておらず、今すぐに抜き放ち斬り飛ばせる構えだ。そのプレッシャーは効果があったようで、2人は数歩後ずさりそのまま奥へと逃げて行った。

 

キリト 「よし、行こう。」

 

ようやくボス部屋の扉の前へ辿り着き、その扉を開けた。今回は無事トレーサーを付けられることなく、情報も盗られる心配もない。

全員が部屋に入ると扉は閉まり、完全にキリト達はこの部屋に隔離された。

 

キリト 「一応ポーションを飲んで全快しといてくれ!」

ユウキ 「…キリト、本当にありがとう!ボク達だけだったら、まったく気付かなかったよ。」

キリト 「どうってことないさ。それに、もしかしたら情報もなしに突撃してくるかもしれない…一発で勝ちに行くぞ!」

皆 「「おぉっ!!」」

 

キリトの掛け声でスリーピングナイツの士気が上がる。全員は自信の表情に満ち、部屋の先へと進む。すると部屋の壁にに火が灯り、中央に頭が2つある大きな人型のモンスターが現れた。

 

ボス 「グオオオォォ!!」

ユウキ 「よーし、いっちょ勝負だよ!」

 

ユウキの気合いの声とともに今、スリーピングナイツのボス戦が開始する。




最近、[セカオワ]の[アースチャイルド]にハマりまくってます。凄く良いですよ。

次話は来年になりそうです!


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第4話[ボス攻略2]

新年明けましておめでとうございます!
今年も、亀足投稿な私ですが、どうか宜しくお願いします!

この話では、かなりのオリジナルがございますが、暖かな目で見ていただけることを望んでいます。

あとですね、最近本当に[和人]を使う時に、違う人(オリssのキャラ)が出てきて泣いています。
あとは、Pixivの方への投稿が滞ってい過ぎて、そろそろ出さないとなぁ、と。

でわ、雑談しか出来ないですが、暇つぶしにでもなればなと!


ボス 「グオォォォォ!!」

 

無謀に思える、ワンパーティでのボスとの戦闘は既に一時間にも及んでいる。その闘いはまさに激戦と言えるものであった。

キリトも、ユウキ以外のスリーピングナイツ全員が、かなりの強者であるとはわかってはいたが、想像を超える程の腕前であったのだ。

敵の攻撃パターンを瞬時に把握し、躱せるものは躱し、危ない時は大剣使いのジュンと、盾とハンマーを使うテッチが盾役として、なるべく敵の攻撃を軽減する。その間隙を突くように、キリトとユウキ、ノリとタルケンは敵の死角に飛び込む。特に俊敏性が長けるユウキは、綺麗な多連撃ソードスキルを浴びせていく。

この見事な連携をたった一人で支えるシウネーも、かなりの神経を使っている。6人分のHPと様々なバフの管理を行うのは、そう簡単な事ではない。

全員が全力を注いでいるからこそ、7人でここまで耐えれたのだ。

ボスの残り体力ゲージはあと一本を切っている。が、ユウキ達の方も大量に持ってきたMP回復薬の残りも少ない。このままのペースならば、ギリギリ勝てなくもないだろう。それでも7人全員が一時間もの間、精神をすり減らして粘っているのだ。キリトとユウキ以外には限界が来ている。先に精神が持たず敗れてしまうだろう。

 

キリト (くっ…このままじゃ、持ちそうにない…。ここまで来たと言うのに、諦めなきゃならないのか…!?)

 

キリトは悔しさのあまりぐっ、と歯を食いしばる。

 

ユウキ 「まだまだーっ!あともうちょいだよっ!」

 

暗い思考をするキリトに、ユウキのかけ声が通る。ユウキだけは一切の諦めの表情を見せずに、疲れを知らない軽快なステップでボスと相対していた。

 

キリト (ったく、俺はなんて事を考えているんだ!ユウキがまだ諦めてないのに、勝手に無理だと諦めるな!突破口が、突破口がある筈なんだ…!)

 

キリトはバシッと自分に気合を入れ直し、もう一度しっかりとボスを見る。

 

キリト 「下がれユウキ!」

ユウキ 「わわっ!?」

キリト (あのボスの防御体勢…絶対に可笑しい…。始めはそういうパターンでしているのかと思っていたが、さっきはユウキの剣が入ってからだった……)

 

苦戦する要因の一つが、ボスが行う防御行動だ。両手をクロスさせ、一切の攻撃を受け付けなくなる。その後に強攻撃が飛んでくるのだ。

 

キリト (あの結晶……もしかしてあれが弱点か!?)

 

それはボスの双頭の首にある、水色の結晶だ。キリトが睨んだのは、あの結晶に攻撃がヒットすると、ボスは防御行動をとるということ。稀にボスが身を屈めた時にその結晶へ、誰かの攻撃が擦りでもしていたのだろう。精神集中していた戦闘時には、気づかなかった事である。

 

ボス 「グアァァァ!!」

 

次なるボスの攻撃がキリトへ向く。咄嗟に思考を停止させ、キリトは横へ飛んでその攻撃を回避する。

 

キリト (ふぅ。しかしあの結晶までか…。高過ぎてとてもじゃないけど、届くわけないよな。俺のソードスキルもユウキのも、撃った後の硬直が痛い。出来るなら全てをあの弱点に撃ち込まなきゃならないよな。…よし、ならアレを試すしかないな。)

 

キリトはアレを実行するために、ユウキの元へ作戦を伝えに近づく。

 

キリト 「ユウキ、少し時間を稼いでくれ!ボスの弱点がわかったかもしれない。」

ユウキ 「弱点?」

キリト 「首元の結晶…見えるだろ?」

ユウキ 「アレかー。うーん、ちょっと高いかなぁ。ボクのジャンプじゃ届かないよ。」

 

ユウキは首元を見上げ、自分の跳躍力では届かないと判断した。少なくとも何か良い踏み台でもない限りは届かなそうだ。

 

キリト 「そこらの事は俺が何とかするから、そうしたら例のソードスキルを食らわせてやれ!」

ユウキ 「了解!」

 

ユウキとキリトの所へボスの攻撃が行き、2人は左右に飛んで回避した。そのままキリトは後ろに下がり、何かのスペルを急いで唱え始める。

 

ユウキ 「もうひと踏ん張りだよ!さぁ、構えて!」

 

キリトの抜けた穴を埋めるよう、ユウキはさっきよりも威勢を出し、士気を高めて剣を振るう。

 

キリト 「………!」

 

魔法発動

 

スペルを唱え終えたキリトを中心に、部屋全体にぶわっと煙が広がる。

その煙の中から、かなり大きい影が現れた。

 

キリト(変身) 「グルル…グゴオォォォ!!」

 

部屋に大きな雄叫びを轟かせ、青眼の悪魔がその姿を見せた。

 

ジュン 「な…もう一体のボスモンスター!?」

テッチ 「さ、流石にこれは…」

 

もう限界に達している皆にとって、何も知らなければそれは絶望そのものだった。突如現れた二体目のボスモンスターとは、聞いたことも無かったのだから。

 

ユウキ 「た、多分違うよ!アレってキリトの仕業なのかな?けどなんであんなにデッカイ怪物!?」

 

唯一キリトから何かする、と聞かされていたユウキは、それがキリトによるものだと分かった。しかし、当然ユウキもかなり驚いている。なにせあんなに巨大なモンスターを出す魔法なんて、知るはずもなかったからだ。

 

キリト (変身) 「グオオオオォォ!」

 

そんな皆を他所に、青眼の悪魔に変身したキリトが、二頭の巨人に掴みかかる。

 

ノリ 「な、なんだかよく分からないけど…凄くレアな光景だよね。」

タルケン 「ボス級モンスター同士の闘いですからね。僕達は介入するのは無理そうです。」

 

唖然としながら、二体のモンスターの取っ組み合いを見るメンバー達。今ここで何かをしても、邪魔になるだけだろうと、判断したのも動かなかった理由の一つだ。

 

キリト (変身) 「グオォォォ!!」

 

徐々にキリトの変身した青眼の悪魔が押され始める。じりじりとユウキのいる方へと後退させられる。

 

ユウキ 「キリトーっ!負けるなーっ!」

キリト (変身) 「グオオオオオォォォ!!」

 

ユウキの強い声援に応えるように、キリトが成る青眼の悪魔は全力で巨人を倒し込み、無理やりスタン状態にさせた。キリトの狙いはこのスタンだ。スタン状態なら動かなくなるし、ある程度高さも下がる。

 

ユウキ 「やったぁ!…よーし、後はボクに任せて!」

 

ユウキはそう言い、勢いよくボスの首元へ飛び込む。そしてユウキのOSS、[マザーズロザリオ]を発動させた。

 

ユウキ 「ぜぇぇりゃぁぁぁ!!」

 

ユウキの合計11撃もの突きが、ボスの弱点を砕き、残り体力を全て削り切った。

パラパラとボスはになり、【Congratulation!!】という勝利の文字が浮かび上がった。

 

ユウキ 「はぁはぁ、やった…やったよ!キリトー!」

キリト 「あぁ、やったなユウキ!」

 

変身が解除されたキリトに、興奮しているユウキは飛びついた。しかし、ボスを倒した時の疲労が残るキリトに、ユウキを受け止める力もなく、2人はドサッと倒れる。キリトを下にユウキを上に、という本日2回目だが、今回はお互いの顔がとても近い位置にある。

 

キリト 「ちょ、ユウキ…とても不味い状況だから、一旦降りてくれないか!?」

ユウキ 「えっ…あっ!ごめんねキリト…」

 

ユウキがキリトから離れたとほぼ同時に門が開く。そこには驚き、悔しがっている大ギルドのメンバー達の姿が見えた。

ユウキとキリトは顔を見合わせ、ニヤッと笑った。そしてスリーピングナイツ全員で、その大ギルドにVサインを向けた。

こうしてひとまずボス攻略は終わり、スリーピングナイツのホームへと戻って来た。

 

キリト 「んー、ようやく終わったなぁ。」

 

大きく伸びをして、キリトは疲れを和ませている。

 

シウネー 「いいえキリトさん。まだ終わっていませんよ。」

 

完全に終わった、という雰囲気を漂わせるキリトに、シウネーとユウキは神妙な顔つきをする。

 

ユウキ 「そうだよキリト……打ち上げするぞ〜っ!」

 

ユウキはパッと明るい顔になって、右手を天井に掲げた。

 

ジュン 「あぁ、どうせならぱーっと盛大にやろうぜ!なんせ資金はたんまりあるからな!」

ノリ 「よーし酒だ!樽で買うぞっ!」

テッチ 「まったく、程々にね。」

 

スリーピングナイツ全員、この勝利に対する興奮はとても大きい。一度二度と失敗して、ようやく辿り着いたこの勝利なのだから、余計に達成感が強いのだ。

 

キリト 「そっか、打ち上げか…。皆が良ければ俺のホームでやらないか?ここより多少広いし、招待したいと思っていたんだ。」

シウネー 「えっ、そんな申し訳無いですよ…。」

キリト 「いいっていいって。やるなら盛大に、だろ?」

 

キリトのその言葉に、ジュンはぐっと親指を立てる。

 

ユウキ 「キリトがいいなら…使わせてもらっちゃおう♪」

ジュン 「よっしゃ、買い物に行ってくっか!」

皆 「「おぉ!」」

 

打ち上げ会場が決まり、あとは食べ物などという訳で、男女の二手に別れて調達してくることになった。

 

ユウキ 「ふんふふ〜ん♪こうしてお店をじっくり見るのって初めてだよね〜!」

シウネー 「そうですね。ALOに来てからは、ボス攻略に勤しんでましたから。これも全て、キリトさんのおかげですね、ユウキ。」

ユウキ 「そうだねー。キリトが居なかったら、どうなってたか分からないよ。感謝の意を込めて、沢山買ってこうね!」

 

悩みに悩んで、資金のギリギリまで使って食べ物を調達し終えたユウキ達女子組。満足気にホームへと戻って来たようだ。

 

ユウキ 「さぁ、これで盛り上がれるぞ〜♪」

 

ユウキ達は男子組の帰りを待っている。あちらの方が資金を多めに持っているので、選ぶのに手間取っているのだろう。

 

ノリ 「そう言えばユウキ。ボスを倒した後にさ、一番最初にキリトの元へ飛び込んだよね?」

シウネー 「確かにキリトさんを押し倒してましたね。」

 

唐突の2人の言葉にボフッと、ユウキは顔を赤くして押し黙ってしまう。あれは別に意図していた理由でもなく、体が勝手にキリトの方へ向かっていったのだ、とは思っていても到底言えない。

 

ノリ 「まったくぅ〜早く告って来ちゃいなよ〜。」

ユウキ 「告白!?……だ、だってほら!まだキリトとはそんな…!」

 

ノリの煽りにユウキは必死に反応している。そのため、後ろから入ってきたキリト達に気づいていなかった。

 

キリト 「ん?俺がどうかしたのか?」

ユウキ 「ふにゃぁぁぁ!?ななな何でもないよぉ!?ほ、ほら早くキリトのホームへ行こっ!?」

 

変な叫びを上げ、咄嗟の判断でさっきの事を有耶無耶にかき消す。

 

キリト 「そうだな。俺のホームへ案内するよ。皆、あとに着いてきてくれ。」

ユウキ 「そうだよ、早く行くよっ!」

 

そのままキリトは話を進め、ユウキが無理やり皆を引き連れた。

 

22層キリトのプレイヤーホーム

 

シウネー 「ここがそうですか?」

キリト 「あぁ、この土地は結構気に入ってるんだ。」

ユウキ 「うん、本当にのどかで気持ちがいいよね。」

 

何故かユウキはシウネーとノリから離れた所に居り、大きな深呼吸をしている。

 

キリト 「さぁ、どうぞ入ってくれ。食べ物は適当に机に出してくれればいいかな。」

皆 「「お邪魔しまーす。」」

 

テキパキと打ち上げの準備を整え、それぞれが自分の席に腰を下ろした。キリトのホームは、仲間との集いの場として使われているため、席の数に困ることはない。

 

ユウキ 「さてと…ボス攻略お疲れ様!…カンパーイ!」

皆 「「カンパーイ!!」」

 

ユウキの音頭で盛大な打ち上げが始まった。調達してきた食べ物に、皆が揃って食いつく。

 

キリト 「いやぁ、疲れたなぁ…。こんな事をするのも、そうそう無いもんなぁ…。」

 

SAOよりも強化されているボスを、たった7人だけで攻略とは、前代未聞の挑戦であった。キリトが過去を振り返れば、前にもこれ程の無謀に臨んだ記憶があるのだが、それとこれとはまた別の事だろう。

 

ユウキ 「ねぇねぇキ〜リト。そう言えばさ、あのデッカイ怪物になった魔法って、一体どうしたの?もしかして隠れスキル?」

キリト 「え、あれはただの幻影魔法…」

皆 「「ブーーーッ!!」」

 

キリトの出した「幻影魔法」という言葉に、皆は思わず飲んでいた物を吹き出してしまう。

 

キリト 「幻影魔法…だぞ?」

ユウキ 「いやいや、ちがうでしょ!?だって…幻影魔法って、あのスライムとか凄い弱いモンスターに化ける…あれでしょ!?」

 

念を押すように、キリトはもう一度言うも、即座にユウキにピシャリと言われてしまう。やはりユウキ達も幻影魔法のイメージはその程度で、キリトの出した程の巨大モンスターになれるとは、聞いた事がなかったようだ。

 

キリト 「驚かれるのは知ってたよ。あれは誰もが驚く筈だ…。」

 

初めて幻影魔法を使ったのは、リーファと共にサラマンダーの小隊を相手にした時だ。その時はユイに言われるがまま、知らぬ魔法スペルを唱え、気づいた時にはあの悪魔となっていた。そしてリーファ含め、サラマンダーの小隊を見事に驚かせたものだ。それもとても懐かしい思い出である。

 

ユウキ 「ほ、本当に幻影魔法なんだ…。でもあのモンスター、とても怖かったんだからね?ボク達も襲われるかと思ったくらいだよ。」

 

ユウキの言葉にスリーピングナイツ一同、そうだそうだと頷いている。

 

シウネー 「ところであのモンスターは一体何ですか?もしかして、今までのボスモンスターであったり?」

ユウキ 「あー、ボクもに気になるなぁ!」

キリト 「あ〜アレね。ふっふっふっ…聴いて驚くなよ?あれはな…」

ユウキ 「うんうん!」

 

強そうなモンスターということで、ユウキはとても興味津々のご様子。食事を止め、キラキラとした目でキリトを見つめている。

 

キリト 「あれはな、アインクラッド74層のボスモンスターなんだ。」

ユウキ 「な、74層!?す、すごいね…それ。……アレ?じゃあ、なんでキリトはソレになれるの?」

 

74層という数字に驚きだが、それなら何故キリトはその、まだ未開放のモンスターに化けれるかが不思議となる。

 

キリト 「なんか俺にも良くは分からないけど、強さによって化けれるモンスターが変わるらしいんだ。」

 

あの時の魔法発動も全てユイの指示に従ったもの。キリトにはその詳細をぼんやりとしか知らないのだ。

 

ユウキ 「へぇ〜!ってことはキリトの強さが、あのモンスターレベルってことになるのかな?」

キリト 「そうそう。アレに至っては筋力的な問題だけど、幻影魔法も捨てたもんじゃないだろ?」

ユウキ 「うん、そうだね。幻影魔法って弱いイメージがあったから、結構馬鹿にしていたよ。…だってさ、いっちばん始めの頃にノリがね、幻影魔法を使ったら何に変身したと思う?」

 

ノリもキリトと同じスプリガン。なので無論幻影魔法を使うことができるのだ。

 

キリト 「えっと…もしかして、さっき言ってたスライムか?」

ユウキ 「そう、正解!それはもう見事な巨大スライムに変身したんだよ!こーーんな………ハッ!後ろから殺気が!?」

 

ギランと目を光らせたノリが、ユウキの後ろを取っていた。

 

ノリ 「ユウキー?言っていいことと、悪いことがあるんだからねぇ?」

ユウキ 「痛い、痛いよぉ…ボクには散々言ってきたくせに…いや、本当にごめんなさい…だから頭グリグリは止めてくれない?」

 

後ろからユウキの頭に、両手をグーにしてグリグリとお仕置きを行っている。ユウキの言い訳のような事を聞いた瞬間、その力を強めたのだ。

 

ユウキ 「痛かったなぁ…って、キリトぉ…笑ってないで助けてくれてもいいじゃないかぁ…」

 

ようやく解放され泣き目のユウキが、ぶつぶつとキリトへ文句をたらす。これまでは救いの手であったシウネーだが、今では敵陣営と言っていいだろう。

 

キリト 「あはははっ…んんっ。ごめんごめん…皆は本当に仲がいいんだな。」

ユウキ 「まぁね。ボク達は皆長い付き合いだからさ。信頼とかチームワークとか言うのかな?そういうものは他よりも強い自信があるよ。」

 

酒を飲み、食事を満喫していたジュン達が、にっとキリトに微笑んだ。

 

キリト 「ってことは、かなりのゲームを渡り歩いたんだろ?良ければユウキ達のその話を聞かせてくれないか?」

ユウキ 「勿論いいよ!…ボク達は、あるゲームのコミュニティで知り合ったんだ〜。そこで皆で意気投合してね、それから色々なゲームを回っていったんだ。この[ALO]は、それらの中でも最高に楽しいよ!」

 

キリトに自分達の出会いのエピソードを、楽しそうに話し始めるユウキ。他のメンバーも、懐かしそうにその話に聞き入っている。

 

ユウキ 「それでね、初めて皆と行ったゲームがね…」

 

ユウキの話はキリトにとって、とても面白いものだった。ユウキの話したゲーム中には、キリトもプレイした事があるものもあった。それも含め、どんどんと話が盛り上がっていった。

 

ユウキ 「…最悪はあれかな…[インセクサイト]って言うゲームだね!もう、とにかく虫ばっか!敵が虫なのはいいんだけどさ、自分達プレイヤーも虫なんだよ?まぁ、ボクは二足歩行のアリだったから、まだ良かったんだけどね〜。シウネーなんか…」

シウネー 「ゆ、ユウキ…その事は言っちゃ…!!」

 

ユウキがその事を話そうとするのを、何故かシウネーは必死に食い止めようとした。しかし、そんなシウネーの抵抗虚しく、ユウキはお返しと言わんばかりの表情で話を続けた。

 

ユウキ 「…でっかいイモムシなんだよ!口から糸をピューって。」

 

そう言ってユウキはケラケラと笑い出した。ひとしきり笑ったあと、悔しそうなシウネーを見て、満足気にグラスにあるものを飲み干した。

 

キリト 「ユウキ達のギルドの雰囲気は、本当に良いな。」

 

その意にはSAO時代の殆どをソロで攻略していた、かつてのキリトが唯一加入したギルド[月夜の黒猫団]での、楽しくも悲しい思い出が含まれていたかもしれない。そして今の今まで、自発的にギルドには入らなかった、そこから生まれた、友好的なギルドに入り、仲間と共に過ごしたいという感情は、少なくとも入っていた。

キリトのその気持ちに気づいたユウキは、ある事を提案する。

 

ユウキ 「ねぇ、キリト…スリーピングナイツに入らない?これからもこうして皆で集まって、クエストとか色々やりたいんだ!」

 

キリトへユウキ達[スリーピングナイツ]の招待だ。

 

キリト 「…え?俺が入ってもいいのか?だって、このギルドは昔からの仲なんだろ?会って直ぐの俺なんかが…」

ユウキ 「ぜーんぜん大丈夫だよ!ボク達はキリトの事を仲間と思っているし、年月に関わらずキリトとは仲良く出来ると思うんだ!」

 

躊躇っているキリトの言葉を遮り、ユウキは明るい声で更にキリトへ加入の手を伸ばした。ユウキの言葉聞いていた皆は「大歓迎」と言う顔をキリトに向けていた。

 

キリト 「そっか…皆がいいなら入らせてもらおうかな。」

 

ユウキの押しに負けたのか、自分の感情に従ったのか。とにかくキリトは口元を緩まし、スリーピングナイツの一員となった。

 

ユウキ 「やったぁ♪よーし、スリーピングナイツ7人目のメンバー、キリトに…」

皆 「「カンパーイ!!」」

キリト 「じゃあ皆、改めてよろしく。」

ユウキ 「こちらこそ!よろしくね、キリト♪」

 

キリトがスリーピングナイツに入ったことの祝いも含め、打ち上げはこの後どんちゃん騒ぎになった。買ってきた物は全て片付き、もう何も無くなった時に、リアルタイムで7時過ぎ。いい時間ということで、今日はここで解散となった。

部屋の片付け、という体でユウキだけは残り、今は2人きりである。

 

ユウキ 「今日は楽しかったね、キリト。でもキリトがボク達のギルドに入ってくれて、本当に嬉しかったなぁ。」

キリト 「そうだな。これからも宜しくな、リーダーさん?」

ユウキ 「あはは…普通の呼び方がやっぱり良いな。」

 

そんな雑談を交えながら、2人は片付けを済ませた。

そしていざユウキも落ちようとした時だった。

 

キリト 「なぁ、ユウキ。今日話していた事だけどさ。今度リアルで会ってみないか?」

ユウキ 「…へ?あ、うん、いいよ!り、リアルだよね、うん、ボクも会いたい!」

 

まさか覚えていたとは思ってなかったユウキは、唐突の話に焦ってしまう。

 

キリト 「じゃ、いつにするか?俺は大抵暇だから、ユウキの好きにしてくれていいよ。」

 

ユウキは頭の中でスケジュール表を開いた。出来れば直ぐに会いたいユウキは、明日の予定を無理やり空けた。

 

ユウキ 「あ、明日空いてるよ…?」

キリト 「それなら明日でいいかな。」

ユウキ 「うん、いいよ!」

キリト 「了解。集合場所は何処にしようか…。」

ユウキ 「そうだなぁ…ボクがキリトの家を見たいから、キリトの家はどうかな?」

キリト 「そうか、わかった。9時以降なら何時でも大丈夫だ。」

 

ユウキ (や、やったぁ…!明日…明日キリトの家に行けるって!もう最高だよぉ!)

 

ぐっぐっと心の中で何度もガッツポーズをとり、今にも暴れ出しそうな程の喜びを内に隠した。

 

ユウキ 「オーケー♪じゃあボクも落ちるね。…バイバイキリト!また明日!」

 

こうして明日の予定も決まり、ユウキは笑顔でログアウトへと移った。

 

キリト 「おう、また明日。」

 

ユウキがログアウトするのを見送り、キリトは改めて考え直した。

 

キリト 「んー明日が楽しみだな〜。そういえば女子を家に呼ぶの初めてだよな…ま、いいか?」

 

そう呟いて、キリトもログアウトしていった。

 

その付近の森の中

 

アスナ 「皆…あの2人の話は聞いていたわよね?」

 

茂みの中からキリトとユウキのを会話を盗み聞きをしていた者共が、ガサガサと謎の会議を始めた。

 

リズ 「えぇ、もうバッチリと!」

シリカ 「キリトさんに予定が入っていると聞いて、怪しんで来てみたら…」

シノン 「まさかユウキと一緒だなんて…!」

 

アスナの問いかけに答えるよう、それぞれが思いを吐き出す。

 

リーファ 「そ、それだけではないですよよ!お兄ちゃんにユウキさんと同じギルドマークが付いてましたよ!」

 

リーファはしっかりと細かい所までを確認していたようだ。あのキリトがそこまでするとは、かなり驚きがあった。

 

アスナ 「くっ…そして決めてはあれよね?」

皆 「「キリト(くん)(さん)の家への招待!」」

 

アスナの問いに見事なハモリを見せた女子組。余程その事が悔しいのだろう。

 

リズ 「私達の誰も行ったことがないのに…!」

シリカ 「私達の方が付き合い長いですよね?」

シノン 「まぁ、私は皆より短いけど…」

リーファ 「まぁ私は、自分の家なんですけど…」

皆 「「羨ましいなぁ…。」」

 

最後にもう一度、綺麗なハモリをしてからから、対ユウキ会議を暫くした後、今日の所は解散とした。




どうか、どうかオリssの方もご覧になってください!
あとはPixivにも!!


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第5話 [現実での対面]

今回の修正点

・和人のキャラ崩壊の軽減
・木綿季のキャラ崩壊の軽減

が、主となっております。元を知らないと、何が何だかさっぱりかも知れませんが、多分問題ナッシングです!

でわ、暇つぶしにでも!!


仮想世界から現実へと和人の意識は戻される。部屋の温度や湿度を感じ取り、喉に多少の乾きも覚える。こうした感覚から、現実に戻っていることを、改めて認識したりもするのだ。

 

和人 「うぅーん、今日は疲れたな…。」

 

アミュスフィアを頭から取り外し、定位置へと置く。普段通りの大きな伸びをし、ベッドから起き上がろうとするも、中々動く気になれない。

特に何もすることも無く、横になって天井を見つめ、ただただ呆ける時間を過ごす。

今更に、ボス攻略という偉業に喜びが込み上げ、それに浸っているのだ。

目を瞑れば、直ぐにでも夢の中へ誘われそうな、それほど心地よい気分だが、今の和人にはするべき事が一つある。

夕食や風呂など、ごく当たり前な事ではない。それらは最悪、抜かしても多少の問題としかならない。

 

和人 「やはり片付けしなくては、だよな…。」

 

和人はベッドから起き上がり…ベッドに座った。そして久しぶりに、まじまじと自分の部屋を見渡す。あまり物が置いていない分、大体は綺麗に片付いているのだが、それでも所々は散らかっている。どれもこれもゲームに関する本だったり、機器だったりが多少乱雑に置かれている。

明日はユウキが来るのだ、多少なりとも見栄えをよくしなくては、という事である。

言うなればこれも多少の問題なのであろうが、印象とは交友関係上かなり大切なものである。

 

和人 「さてと…やるか。」

 

気合いの入らない声を漏らし、和人はまず、水を飲むために1階へ降りた。

 

和人 「さてと…やるか。」

 

その後、部屋へと戻ってきた和人は、先程と同じ言葉を口にした。とは言いつつ、やる気がない訳では無い。ゴミ袋を左手に、掃除機を右手に携えた和人は、雑に置かれた物達から順に片付けをし始めた。

 

和人 「…ここもホコリが溜まってるな。…あぁ、ここもか。」

 

普段は気にもしない所まで、部屋の隅々のホコリやらゴミやらを取り除く。此処を綺麗にすると、そっちが気になる。そこを綺麗にすると、また他の所が気になっていく。その繰り返しで、和人は部屋をぐるりと一周、片っ端から掃除機でかけ回した。

何故これほどやる気になって、部屋の掃除をしているのか。和人はそれを不思議と思ったが、頭の奥へと仕舞い、作業を着々と進めていった。

 

30分後

 

和人 「うーん…あともう少し整理整頓をするか…。」

 

部屋のホコリは勿論、学校から配られる不要なプリントなどを、まとめて捨てる。こうして、用意したゴミ袋の半分弱程のゴミを摘出した。この際要らない雑誌も一緒に捨てようと、側にはその山も出来上がっている。

残すは本棚の整理整頓。ここは性格がにじみ出る所だが…

 

直葉 「入るよ、お兄ちゃ〜ん。今日の夕食…って、なにしてるの?」

 

和人の部屋に入ってきた直葉は、和人が片付けをしている事に驚愕する。普段から散らかしはしないものの、掃除などめんどくさがってしない、あの和人が、明日ユウキが来るという事で、率先して片付けを行っているのだ。これに驚かないわけが無い。

 

和人 「んー片付け。」

 

どういう風に並べようかの検討中の和人は、素っ気なく直葉の質問に答える。

 

直葉 「ごめん、確かに片付けをしているのは分かるよ。けど何で急に?」

 

直葉はユウキが来る事を知らない、という設定なので、会話の流れとして聞かざるを得ない。もしかしたら、和人の気まぐれの可能性もあるのだから。

 

和人 「明日さ、この前ALOで紹介したユウキが来るからよろしく。明日家で何かする予定とかないか?」

 

やはり後者が理由ということはなく、ユウキが来るから、が答えとなる。

それにしては随分力が入っているね、とは言えるはずがない。

 

直葉 「そ、そうなんだ。明日はなんにもないから、問題ないよ。楽しみだなーユウキと会うのー。」

 

仕方なく、まるで棒読みの返答をする直葉。

気持ちとしては会って顔を見たいのが2割、家には来ないで欲しいが8割を占めている。

 

和人 「もしかしたら、ユウキはスグと同い年かもしれないな。俺も会うの楽しみだな〜。」

 

珍しく機嫌のいい和人は、直葉を置いて本棚の整理を開始した。

 

直葉 「…あっ、そう言えば今日の夕食は惣菜だけど大丈夫?」

和人 「あぁ、別にいいぜ。」

直葉 「りょーかい。」

 

直葉はそう言って部屋から出ていき、流れる速度でスマホを取り出し、明日奈達へ先ほどの出来事をメッセージで送った。ユウキ関連で判明したことは、速攻で情報伝達する事を、今日の会議で約束したそうだ。

 

直葉 (お兄ちゃんってユウキの事が、実は好きなのかな?でも、あの時の一回きりしか会ってないんだよね?もしかしたら強者同士で分かり合う事とかでもあったのかも!?)

 

そんな直葉の心情なぞつゆ知らず、和人は納得のいくまでに本棚を綺麗に整えた。実に2時間もかけて、丁寧に掃除をしきってみせたのだ。

そして満足した和人は夕食をとり、風呂を済ませる。それから特にすることも無く、だらりとした夜の一時を送り、この日を終えた。

 

翌日1月4日AM8:50

 

直葉は何故か急用が出来た、ということで外へ出ており今は和人だけが家にいる。

約束の時間の少し前となり、ソワソワとした感情の和人は、特に汚れてもない机を拭いたり、家具の微妙な位置調整など、何かせずにはいられなかった。

 

《ピーンポーン》

 

そこへ、インターフォンのベルの音が鳴る

 

和人 「はーい、どちら様でしょうか?」

??? 「あの、えと…キリト…だよね?」

 

和人のその問いに、訪問者は妙にたどたどしく疑問形で答えた。

相手が和人のプレイヤーネームである、[キリト]を知っているということは、それがユウキである事に違いない。

それに機械越しだが発せられている声は、昨日聞いてたユウキの声そのものだ。

 

和人 「あぁ、ってことはユウキか?」

??? 「うん、ユウキだよ〜!いや〜、お家を間違えてなくて良かったぁ…。」

 

どうやらユウキは和人の家を間違えているのではないか、という不安があったから、慎重に恐る恐るといった声をしていたようだ。

ここが和人宅と分かるとすぐに、何時もの元気な声へと戻った。

 

和人 「あはは…今開けるから、ちょっと待ってて。」

??? 「は〜い♪」

 

和人が玄関のドアを開けると、そこには中学生くらいの少女が立っていた。髪は黒く、どちらかと言うと短めで、ユウキのチャームポイントであるヘアバンドを着用している。

 

木綿季 「えへへ、一応は初めましてと言おうかな。ボクは木綿季、紺野木綿季だよ♪」

 

その少女は少し照れくさそうに、笑顔で自己紹介をする。紺野木綿季こそがALOで絶剣として知られる、ユウキというわけだ。

 

和人 「木綿季…か。本名と同じにしてるのは、アスナと一緒だな。」

 

アスナも本名は結城明日奈。木綿季と同じく名前をプレイヤーネームに使用しているのだ。

 

木綿季 「へぇ〜、アスナもなんだ。ボクはあんまり良い名前が思いつかなくてさ。…キリトは?」

和人 「俺は桐ヶ谷和人。俺もゲームの名前は本名から取ってる。」

木綿季 「ふむふむ、桐々谷和人で"キリト"か。それじゃ、リアルでもこれからよろしくね、和人!」

 

遂にお互いの顔と本名を認識し、改めて木綿季は挨拶をする。やはり仮想世界で会うのと、現実世界で会うのは違ったものがあり、どこか新鮮な感情があるようだ。

 

和人 「こちらこそよろしくな、木綿季。…っと、折角来てもらったのに立ち話はなんだし、どうぞ家に入ってくれ。」

木綿季 「うん、お邪魔しま〜す。」

 

和人は木綿季を家に招き入れ、リビングへと案内した。キラキラとした目で和人の家を見渡しながら、木綿季は椅子に腰掛けた。

 

和人 「いや〜、ドアを開けて見た時は誰かと思ったよ。当然のことなんだけど、やっぱり違うな。」

木綿季 「そうだよね。一番違ったところと言えば、髪の長さかな?大分あっちとはギャップがあると思うよ。」

 

ALOのユウキは腰の高さまで髪が伸びているが、木綿季は首の付け根辺りまでしかない。その差は明らかで、一見では同一人物とは判断出来ないだろう。

 

和人 「あぁ。けど雰囲気は変わらないな。」

 

根拠というものは無いのだが、和人は木綿季からそう感じ取った。それに加え、一人称が「ボク」という、特殊なものであったので、そこから感じるものも会ったのかもしれない。

 

木綿季 「和人が言うならそうなのかも。…ねぇ和人、ボクって長髪と短髪だと、どっちの方が似合う…?」

 

木綿季は少し恥ずかしがりながら訊ねる。それはユウキと木綿季では、どちらの方を好んでいるか、と言うものと変わりはしない。

 

和人 「木綿季にはどちらも似合ってると思うぜ。」

木綿季 (うぅ…!照れちゃうなぁ…。)

 

まるでどちらの自分も選ばれたような、そんな喜びが込み上げる。

 

木綿季 「ど、どちらかと言うと…どっちの方が好き…?」

 

2人きりでこんな機会は早々ない、と木綿季は詰め寄って質問をする。ドキドキとしながら、まっすぐ和人を見つめている。

 

和人 「え、え?髪って女性の命とか言うんだろ?それを俺の意見何かでいいのか?」

木綿季 「ボクは和人の意見が聞きたい…。」

 

関係や接触は多いものの、あまり女性を意識する事が少なかった和人。自分の意見など到底アテになるものではない、とそう括っている。

しかし、木綿季にそう言われては、有耶無耶に誤魔化すのは申し訳ないだろう。和人は少し間を置き、自分の本心を口にする。

 

和人 「俺は今の木綿季の方かな。理由とか、そういうのはないんだけどさ。本当に何となく、こっちの方が似合ってると思うぜ。」

 

和人の答えを聞いて、木綿季は頭を下に傾け、赤くなる顔を隠した。

木綿季とユウキとでは、似ている所があるとは言え、やはり容姿が全く違う。ゲーム内での仮の姿の事を好いてくれたとしても、本当の自分も同じようとは限らない。

なので、比較された時、本来の木綿季を選んでくれたことは、素直にとても嬉しい事であったのだ。

 

木綿季 「そ、あ、うん…ありがとうね。なら髪を伸ばすのは辞めようかな。」

和人 「意見を求めるなら俺より適任者はいると思うんだが。」

 

他の誰でもない、和人に言ってもらうことに意味がある。これで木綿季の本日の目的の一つを達成した。木綿季には残り2つ目的が残っている。それらを達成しない内は、家に帰る予定はない。それほどの決意で満ちている。

 

木綿季 「そう言えば、和人の顔を何処かで見たことあるなーって思ってたら、SAOでボクと闘った時のキリトなのかな?」

和人 「あぁ、SAOではこの素顔をアバターに反映されてたからな。ALOでもそこまで変わりはしなかったけど、多少の違いはあるのかもな。」

 

ALOのキリトのアバターは、完全にそっくりとはいかないものの、かなり酷似したものである。そのため、木綿季は和人を見て、さほど驚きはしなかったのだ。

 

木綿季 「確かにALOのキリトも似てるよね。だからこそ、あのデュエルの時に、ボクもキリトだと分かったからさ。」

和人 「あぁ。見た目が変わってなくて助かった点があったな。」

木綿季 「ふふっ、そうだね♪」

 

和人と木綿季は、それから話に花を咲かせた。自分の趣味や、食べ物の好き嫌いなど、ごく一般なことばかりだが、それでも2人は熱中しておしゃべりを続けた。

お互いが他の周りのことについて、かなり注意散漫であったのだろう。コソコソと死角から2人を…主に木綿季を見つめる者が居ることに、まったく気づかなかった。

 

直葉 「さぁ…ズームして…カシャッと。よしっ、取れた!早速送信♪送信♪」

 

急用がある、と外出しているはずの直葉が、木綿季の写真を盗撮していた。それを迷うことなく明日奈達へ流出する。偵察部隊のお仕事は完璧な様子だ。

そして直葉は、2人に気づかれることなく、静かにその場から立ち去り、外出という体を持ち直した。

 

和人 「さてと、木綿季。これからどうするか?」

 

ある程度の話題が終わり、今後の予定作りへと移る。

因みに、まだ昼食までは時間がある。現在10時過ぎくらいだ。

しかし、まだ会って直ぐの異性と、外出にでも行きましょう、とは到底言えない。かと言って、ここでさようなら、となるのはお互いが望まない。

最善手となるのが、木綿季の希望を聞き入れることだ。

可能な範囲内なら何でもこい、と和人は木綿季の答えを待ち受ける。

 

木綿季 「ん〜、そうだな〜。和人の部屋を見てみたい…かな?」

 

少し悩んだ挙句、木綿季はそれを提案する。和人にも見られたくないものがあるのではないか、と思う木綿季には躊躇いが混じっている。

しかし、既に昨晩のうちに部屋を完璧な状態に整えている和人は、思わず心の中でガッツポーズを行う。元より、木綿季の思慮していた、そんな物は置いてはいないのだが。

 

和人 「あぁ、それなら全然構わないぞ。」

木綿季 「やった♪」

 

まるで余裕の表情で和人は席を立った。それにつられて木綿季も席を立つ。

 

和人 「俺の部屋は2階だから、付いてきてくれ。」

木綿季 「は〜い♪」

 

2階和人の部屋

 

木綿季 「ほへぇー、[黒]だね!」

 

木綿季は和人の部屋の入り口に立ち、部屋をぐるっと見渡した。

基本的に和人は黒色を好んで使う。ゲーム内でも、リアルでもそれは変わらない。

黒とは一番使いやすく、あまり目立たない。迷ったら黒、と物を揃えていると、いつの間にか部屋に黒が散りばめられている、という状態になっているのが今である。

 

和人 「何か嬉しくない感想だな…。」

 

汚い、乱雑などではないため、この評価はプラマイゼロと言ったところ。確かに平均よりも黒を多く使っている。だからといって、全体を黒く染めている訳では無い。そのため、もう少し良い感想が欲しかったのだ。

 

木綿季 「え、そ、そうかな…?あっ、パソコン2台もあるんだ、凄いね!」

 

木綿季が指す2台のパソコンの内、一つが普段使っているパソコン。もう一つが、ネットゲームをするための、ゲーム用パソコンである。

 

和人 「まぁ、これでも俺はインドア派だからな。」

木綿季 「ヘーソウナンダー。」

 

和人の木綿季は明らかな棒読みをかましてくださった。

和人が少し的外れな事を言うせいでもあるが、木綿季の棒読みはあからさまにも程があるものだった。

 

和人 「その喋り方で言われると、かなりショックなんだけど…。」

木綿季 「あはは、ごめんね。ボクはてっきりアウトドア派かと思ってたよ?」

 

木綿季はそう言い直すものの、やはりわざとらしい言い方であった。どうにも、和人がアウトドア派だと言い切る事は、嘘や建前でも不可能であるようだ。

 

和人 「まぁ、少しは俺も改善を心がけようとはしているからな。」

木綿季 「因みにボクもインドア派なんだよね〜。あんまり外へ出たくない性格なんだ〜。」

和人 「それこそ意外だな。てっきり木綿季は外で駆け回っているものかと。」

 

木綿季が閉め切った部屋でゲームをしている姿より、外で元気に遊んでいる姿の方が、イメージがしやすい。実際、木綿季はかなり動けそうな外見である。

 

木綿季 「ははは…昔はそうだったかな。…さてと、これからどうしようか。」

 

木綿季は話を切り上げ、整理された本棚に近寄る。そこにはゲーム関係の雑誌も並べられており、木綿季の目にそれらが止まった。

 

和人 「気になるのがあったら読んでくれて構わないぜ。座るなら、俺の椅子を使ってくれ。」

木綿季 「ありがとう!このゲームの記事を読みたかったんだ〜♪」

 

一番気になる雑誌を手に取り、和人の椅子に腰を下ろす。そして、パラパラと中身を読み始めた。

木綿季に自分の椅子を貸してしまったため、ベッドの上に腰かける和人。木綿季が楽しそうに雑誌を読むのを見て、聞きたかったが聞けなかった事を出す。

 

和人 「…ところで木綿季って何歳?」

 

木綿季は雑誌を読むのを一旦止め、和人の方を向いた。いつもと比べ、怪訝そうな表情を見せた。

そんな木綿季を見て、やはり聞くべきじゃなかったか、と和人は後悔する。

 

木綿季 「もぉ…和人。そういう事を聞くのはレディに失礼なんだよ?体重とか聞いたら一発でセクハラになる所だよ!」

 

口でそう言っているものの、顔は嫌そうな顔ではなくなっていた。若干嬉しそうな、そんな感情であるようにさえ見える。

 

和人 「いや、そうだよな、ごめん。けど俺はただ純粋に聞きたかっただけなんだ。本当に下心とか、そういうのじゃなくてだな…!」

 

しかし、こんな会話をしているこの状況、和人が木綿季に何かをしたと思われても仕方ないのだ。何せ付き合っていない異性と、個室で2人きり。そう疑わない訳がない、その条件が出揃っている。

ということより、和人は必死に弁明をする他ないのだ。言うことは間違いなく本音である。

 

木綿季 「あんまり焦らなくてもいいよ?別に和人になら何とも思わないからさ。…えっと、今ボクは15歳で、来年度から高校生になるね。」

和人 「良かった…。で、木綿季は15か。俺は木綿季の一個上だぜ。来年度から高2になる。」

 

木綿季が和人だからと、年齢を答えてくれたのだ。和人も教えないわけにはいかない。

 

木綿季 「ふ〜ん。やっぱり結構近いと思ってたんだよね〜。」

和人 「俺はもう少し下だと思ってたんだがな。」

 

木綿季ではなく、ユウキから予想していた年齢は、和人の2個したからそれ以下であったのだ。それでも年下という予想は的中であったのだが。

 

木綿季 「えーっ!なにそれ、ボクが子供みたいだ〜って、言いたいの?ボクってそんなに幼く見える?」

和人 「えーとまぁ、予想より大きかったってことだ、うん。」

木綿季 「もうっ、失礼しちゃうな〜。」

 

頬を膨らまし、木綿季は軽く睨むように和人を見つめる。どうやら木綿季にとって、幼いと思われることは、相当傷つくことだったようだ。

 

和人 「それじゃ、何高校に行く予定なんだ?もう決めているだろ?」

木綿季 「うん。〇〇高校を受験する予定だよ。もしかして和人の高校だったりする?」

和人 「ご名答だな。俺は木綿季の先輩になるようだ。」

 

ここで、2人の高校が重なることが判明した。偶然であるが、これからも交友関係を、継続して繋いでおける事が確定したことになる。

明日奈や他のメンバーとは違う高校のため、木綿季が一緒になったことは、和人にとっても嬉しい話であった。

 

木綿季 「やった〜♪これからも宜しくだね、和人先パ〜イ♪」

 

普通、先輩を付けて呼ぶ時は苗字が多い。しかし、親しみを込めた名前に先輩付け、ということらしい。

 

和人 「あはは…木綿季に先輩呼びされると、なんかくすぐったいな。呼ぶ時はいつもみたいで良いからな?」

木綿季 「え〜先輩呼びの方が高校とかではいいんじゃないの、和人先輩?」

 

木綿季は和人を先輩付けで呼ぶことにハマったらしく、和人を呼ぶ木綿季は笑顔でとても楽しそうである。

 

和人 「う、う〜ん…確かに先輩、って呼ばれるのはそりゃ、嬉しいっちゃ嬉しいんだけどさ。…木綿季からは普通に、いつも通りで呼んでもらいたいかな。」

木綿季 「…っ!?……か、和人ぉ…そういうのは反則だってぇ…!」

 

和人の思わぬ言葉が、木綿季の心にクリーンヒットしたよう。そんな木綿季は、真っ赤にした顔を手で覆い隠している。

 

和人 「え、えぇ!?俺が何かをしたのか…?」

木綿季 「違うのぉ、ちょっと…ううん、何でもなーい!」

 

一向に理由の分からない、理解不能な和人。気を紛らわすために雑誌へと切り替えた木綿季。2人の時間はもう暫し続いたのであった。




本来ならこの1日(約4500文字)を訂正して、1万近くにしようとしてたんです。が、1日の半分終わる前に7000を超える、問題発生によりこうなりました。


それと、私男子高校生やらせて頂いているのですが、やっぱりちょい過激キリユウ(いわゆるR18)を望む自分が居るのですよね。
ご希望としては、
・イチャラブ
・キリト(押し気味)→ユウキ(あまり乗り気じゃない)
ですね。ユウキには乱れて欲しくない、が絶対となるんですよね。

まぁ……自分15ですし、書かないし、読まないんですがね!(超書きたい)


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