Fate/Zero ~小傘キャスター~ (寂しい幻想の刀鍛冶)
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サーヴァント:キャスターの設定

Fate知識に疎い作者が作った物です。

なのでどこか変な所があるかもしれません。

後、ネタバレネタバレ要素を含んでいます。

それでもよろしいかとはどうぞ。




真名:多々良小傘

クラス:キャスター

性別:女

属性:幻想・善

ステータス:筋力A、耐久A、敏捷A、魔力A+、幸運A、魔力耐性A

好きな事:鍛冶、家事、子ども

嫌いな事:命を大切にしない事、食べ物を大切にしない事

 

 

【本人説明】

日本のどこかにとある妖怪によって創られた世界、幻想郷のバランサーの一人。普段は鍛冶屋を営んでいるが、幻想郷内で異変が起こると行動する。特にスタンドと呼ばれるものが絡む異変には積極的に行動をする。その情報は幻想郷を創ったとされている妖怪から得ている。博麗の巫女というバランサーの一人と行動を共にしており、その者は直感だけで異変の黒幕へとたどり着くところを見てきたため、自身も直感が鋭くなったようだ。鍛冶屋としての評判も良く、幻想郷一の鍛冶屋としても有名である。

 

 

【保有スキル】

・他者の驚きを吸収し力にする程度の能力

ランク:B

説明:他者が驚いた時の力を吸収して自身の力とする。

 

・陣地作成

ランク:A

説明:自身の知識にある罠や建物の作りを妖力を使用して作り上げる。

 

・カリスマ

ランク:A

説明:幻想郷に置いてあらゆる種族から慕われ、信頼されていた為スキルとなった。

   使用する事で味方全体の攻撃力をあげる。

 

・妖力放出

ランク:A

説明:妖怪としての力の解放。

   使用する事で自身の技の威力アップ&自身の傷を癒す。

   そして弾幕を使用する事が出来る。

 

・直感

ランク:A

説明:相手の不意打ち攻撃や目的地などに直感で回避または向かう事が出来ていた

   為にスキルとなった。

   使用する事で相手の攻撃を避けたり、策を見破る事が出来る。

 

・幻想郷での絆

ランク:EX

説明:共に過ごし戦った者達のスタンド能力をそれぞれ一日に一度だけ使用する事が出来る。

 

・鍛冶屋の誇り

ランク:EX

説明:幻想郷で鍛冶屋をしていたことからスキルとなった。

   使用する事で相手が使用している道具を理解し、再現する。

   ただし、再現された物は一度しか使えない。

   再度作るにはもう一度本物を見る必要がある。

 

・幻想郷のバランサー

ランク:EX

説明:幻想郷のバランスを保つために戦ったことからスキルとなった。

   使用する事で相手の情報を知る事が出来る。

   ただし、一般的に知られている事しか知る事が出来ない。

 

 

【宝具】

名前:スタンド・シャドウ・メイカー

対人宝具

ランク:A

【破壊力 - C / スピード - A / 射程距離- ? / 持続力 - B / 精密動作性 - A / 成長性 - B】

説明:身体全体を黒いローブで覆っている人型で普段は紅く輝く目だけがローブの中から覗いている。ダメージは本体である小傘と共有されており、小傘が傷つけばシャドウ・メイカーも傷つき、シャドウ・メイカーが傷つけば小傘も傷つく。ローブの中に色々な物を収納する事ができ、そこから出た物は壊れても暫くするとローブの中に直った状態で袖に戻る。そして、自身の手で触れたものに能力の付加・強化をすることができる。能力を付加するのにも制限があり、その道具の使い道にあった能力しか付加・強化する事が出来ない。例えば、鎖の場合は拘束・強度に関係している能力を、筆や万年筆は書くことに関係している能力の付加・強化をすることができる。そして左右の手でそれぞれ一つずつしか能力を発揮できない。強化できる範囲は半径十メートル以内であり、それから外に出ると強化は切れて元の状態に戻るが、強化範囲内に効果を発揮した後に範囲外に出ても戻る事はない。

 

 

 



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第四次聖杯戦争:壱





閉じよ(みったせー)閉じよ(みったせー)閉じよ(みったして)閉じよ(みったせー)。繰り返すつどに四度―――あれ、五度だっけ?えーと、ただ満たされるトキをー・・・」

 

住宅街にあるとある民家・・・

その住民は子供一人を残して殺されていた。

そして、住民を殺した男、雨生龍之介は実家の蔵にあった史記の儀式を行おうとしていた。

その準備が終わりに近づいた時、龍之介に行かされていた子供の手に入れ墨の様な紋章が浮かび上がった。

 

「うあぁぁあぁああ!?」

 

「な、なんだこれ・・・、こんな物この子どもにはなかった筈・・・・・・」

 

その紋章を見て龍之介はなかなか洒落ていると感じていた。

そう思いながらニヤニヤしていると、後ろから風が吹いてきた。

急いで振り返った龍之介が見たのは自身が描いた魔法陣が燐光を放っていた。

そして、落雷の様な轟音と共に閃光した。

光がおさまり、目を開けようとすると、龍之介は何者かに顎を殴りぬかれた。

龍之介が最後に見たのはオッドアイの少女だった・・・・・・

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

「はぁ、召喚早々マスターが危険な状況って・・・。あぁ、大丈夫かしらマスター?」

 

魔法陣から現れた少女、サーヴァントはマスターに声をかけた。

しかし、返事が返ってこない。

それを不思議に思った少女はマスターの状態を近づいて確認した。

 

「あら、気を失ってるみたいって私を召喚する為に魔力を持ってかれているから当たり前かしら?」

 

そう言いながら先程殴り飛ばした殺人鬼・雨生龍之介の方へと向かい始めた。

それと共に少女の後ろにローブで身体を隠している人型が現れ、その手にはロープが握られていた。

そのロープを受け取った小傘は龍之介から凶器になる様な物を取り上げてから縛り上げた。

そして電話を手に取った。

 

「さて、後は警察に連絡をしてこれを引き取ってもらわないと・・・。あ、警察ですか?人が殺されています!!早く来て下さい!?」

 

そう言うと少女は電話を切った。

そしてマスターである少年を抱えると、玄関へと向かった。

 

「この家はもう使えないわね。新しい拠点を探さなくっちゃ」

 

そう言いながら少年と共に少女は町の上空を駆けて行った・・・・・・

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

少年とサーヴァントが立ち去った後、魔法陣が再び輝きだし閃光した。

そこから、ぎょろりとした目を持つ者が現れ、周りを確認すると、龍之介の手の甲に令呪がある事を確認して・・・

 

「おや、私のマスターである者が気絶しているとは・・・これは幸先が悪いらしい」

 

そう言うと共に龍之介を担ぎ上げ、この場を後にしたのだった。

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

その後駆けつけた警察が殺されている夫婦が発見した。

だが、殺人犯の姿が見えず、通報した者もいない事から事件解決とはいかなかった。

しかし、殺された夫婦には子どもがいたとの証言があったが、子どもの遺体が発見されず、警察は子供の行方を追っている。

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

冬木市内の廃墟・・・

少女は子供と共に此処にやって来た。

子どもが目を覚ますまでの間少女は廃墟の状況を確認をしながら、あるものを仕掛けた。

暫くしてようやく子どもが目を覚ました。

 

「あぁ、目が覚めたみたいね」

 

「あ、あなたは・・・だれですか?」

 

「名乗るのを忘れていたわね。私は多々良小傘、今回の聖杯戦争ではキャスターとして召喚されました」

 

「どういう、ことですか?」

 

そう子どもから問い掛けられて少女、小傘は聖杯戦争について、自身がどのような存在か、そしてどの様な危険があるのかを説明した。そして小傘は子どもに対して選択を迫った。

 

「今から貴方が出来る事は私を自害させて教会で保護して貰う事。もう一つは私と共に聖杯戦争に参加して生死をかけた戦いを勝ち抜く事。前者は貴方の安全が保障されていて、後者は危険が必ずあるわ」

 

「・・・・・・ぼく、どちらもやだ」

 

「え?」

 

「・・・ぼく、おねえちゃんといっしょにいたい!!!!」

 

そう言いながら子どもは小傘の服の裾を握った。

そうされて小傘は子どもの身体が小刻みに震えている事知った。

そして思い出した。この子は少し前に両親が殺されていて、それを我慢している事に・・・

小傘は静かに子どもの身体を抱きしめながら・・・

 

「我慢せずに泣いてもいいのよ?」

 

「う、うわあああぁぁあぁぁああぁあああ!!!!」

 

小傘の暖かさを感じ子どもは涙を流したのだった・・・・・・

 

後の事は任せてくださいマスター・・・・・・

 

・・・・・・わかった、お願いねキャスター

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

冬木の町、丑三つ時の夜の闇の中をサーヴァントの一人であるアサシンは駆けていた。

自身のスキルである気配遮断を使用しており、今から何者かを暗殺しようとしているのが分かる。

そして、その目的地とは遠坂時臣がいる邸宅である。

そこの庭園に入った時に自身のマスターが言っていた事を思い出した。

 

『徒に慎重にならなくていいアサシン。たとえアーチャーと対面しても恐れる必要は無い。すばやく遠坂時臣を始末しろ』

 

マスターの命令はサーヴァントに取っては絶対と言ってもいい。

今から始末する者がマスターと協力関係を築いていた事を知っていても今回の理由は聞かずに遂行しようと行動に移した。

そして庭に設置されている結界の破壊に取り掛かる。

その時に自身の様子を複数の使い魔が見ているのを察したが、アサシンは動揺していなかった。

自身に優位な事が起ころうとしているのに手を出すものはいない・・・と。

一番警戒するべきは暗殺した後である。

 

「他愛ない・・・」

 

そう考えながらも作業を進め、結界を結んでいる要石を動かそうと手を伸ばした時・・・

稲妻のような光と共に上から飛来した槍に手の甲を貫いた。

 

「ッ!?」

 

「地を這う虫ケラが、誰の許しを得て面を上げる?」

 

アサシンが上を見上げると今から始末する者のサーヴァントであるアーチャーが立っていた。

そして、これから起こる事と自身の結末を察した。

 

「虫ケラは虫ケラらしく、地を眺めながら死ね」

 

「(あれを・・・・・・恐れる事はない、だと――!?)」

 

アーチャーの後ろに複数の黄金の波紋が出現し、そこから色々な種類の宝具の様な武具が現れた。

そして、そのすべてがアサシンに向けられている。

それを見たアサシンは綺礼の言葉の意味を理解した。

恐怖よりも絶望が上回るがゆえに恐怖を感じる事が無い・・・っと。

そして武具が放たれ自身を貫く中理解した。

マスターである綺礼と時臣氏の真意を・・・

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

「あの場を見ていた使い魔は、気配が異なるものが四種類おりました」

 

「ふむ、一組足りないか」

 

教会に保護して貰った綺礼だが、先ほど殺されたはずの違うアサシンが傍に立っていた。

そのアサシンからの報告を受けた綺礼は時臣へと連絡しようと部屋を出て行った。

そう、綺礼が召喚したアサシンはまだ死んではいなかった。

敗退した様に見せる事こそが時臣と綺礼の狙いであり、アサシンが行動しやすくするためでもあったのだ。

だが、二人はまだ知らない。アーチャーがアサシンを倒すところをしっかりと全陣営が見ていた事を・・・・・・

そして、今の会話を見られていた事を・・・・・・

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

「アサシンを気配遮断は優秀なのにあんなに早く迎撃されたのは怪しいとは思っていたけど、まさか教会の者が手を貸していたなんて・・・・・・」

 

教会での様子を見たキャスターはそう言った。

その後ろにはローブを着た人型がキャスターに付き添う様にして立っていた。

そう、このローブを着ている人型こそが先程の教会での会話を見ていた物である。

 

「第三者の立場であるべき教会がこれとは・・・」

 

キャスターはこれからの事を考えてため息を吐いたのだった・・・・・・




どうも、寂しい幻想の刀鍛冶という者です。

始めに言っておくとこれは見切り発車です。

アニメを見た後にFGOを始めたのですが、FGO・・・楽しいですね。

まだ始めて三か月も経っていませんが・・・

過去の東方projectとFateのリベンジとしてこの作品をあげさせていただきました。

これからも時間を見てあげていきたいと思います。


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第四次聖杯戦争:弐

「セイバー!こっちよ、こっち!!」

 

「お待ちくださいアイリスフィール!!」

 

セイバーとアイリスフィールが冬木市に到着し街中を回っていた。

その様子を見ている者がいた・・・・・・

 

「まさか、サーヴァントと共に堂々と行動しているとは思わなかったわ」

 

セイバー達が通り過ぎて行ったのを確認し、そう言いながら建物の影からキャスターが出て来た。

そして、キャスターは今夜あたりから聖杯戦争が本格的に始まるのではないかと感じた。

 

「・・・はやめに下準備を終わらせた方が良さそうね」

 

そう言いながらキャスターは人混みへと姿を消して行った・・・・・・

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

その日の夜・・・

冬木市にある倉庫街にてセイバーとランサークラスのサーヴァントが戦っていた。

そして、ランサーが自身の宝具にてセイバーの片腕を封じたその時、空から戦車(チャリオッツ)が二人の間を駆け抜けた。そしてそれを動かしていたサーヴァントが・・・

 

「双方、武器を収めよ。王の御前である!!」

 

大声でそう言った。だが、セイバーとランサーの二人は戦いに水を差されて苛立つと共にその為だけに出て来た目の前のサーヴァントに戸惑った。

 

「我が名は征服王イスカンダル、此度はライダーのクラスを持って現界した!!」

 

そしてあろうことか自身の真名を明かした事にその場にいた者達を驚かせた。

その後、二人の戦いの感想を言った後自身の軍に来ないかと誘いをかけた。

だが、二人からは断られてしまった。その後、自身のマスターについてランサーのマスターと話をした後・・・

 

「さて、他にもおるだろうが。闇に紛れて覗き見をしておる連中は!さっさと姿を現さんかい!!」

 

その言葉と共に近くにあった電灯に変化が起き、その光の中に一人の人物が映し出された。

それを見た周りの者達が警戒する中、ライダーは嬉しそうな笑みを浮かべながら眺めていた。

 

『呼びかけに答えて姿を見せに来たわ。まぁ、この様な姿で申し訳ないけど・・・』

 

「いや、構わん。その様子からしてキャスターのサーヴァントであろう?」

 

『えぇ、私は此度の聖杯戦争でキャスターのクラスで現界したサーヴァント。貴方と違って真名を言うつもりもなければ、対魔力が高い者達の中に本体をさらせるほど度胸がないわ』

 

「ほぅ、その場の状況を理解して自身の安全を確保しながら姿を現したお主に我は感心するぞ。中々の知能を持っていると思われる」

 

『お褒めに預かり光栄よ征服王』

 

キャスターとライダーが話しをしていると、キャスターが現れている電灯とは違う所に黄金の波紋が生まれた。

その中から昨夜、アサシンと相対したサーヴァントが姿を現した。

 

「我を差し置いて“王”を称する不埒者が、一夜のうちに二匹も涌くとはな。真の王たる英雄は、天上天下に我ただ独り。あとは有象無象の雑種にすぎん」

 

「そこまで言うんなら、まずは名乗りをあげたらどうだ?」

 

黄金のサーヴァントに向かいライダーは問いを投げた。

しかし、黄金のサーヴァント、アーチャーにとって気に障ったらしい。

 

「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を知らぬというのなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すらない」

 

静かな怒りを顔に浮かべながらそう言い終えると、そのサーヴァントの左右に黄金の波紋が生まれ、そこから宝具と思われる武器が姿を現した。

 

『・・・あらゆる原点の所有者にしてウルクの王は気が短いみたいね』

 

キャスターの呟きを聞き、アーチャーは感心した様な顔をしてキャスターを見た。

 

「ほぅ、どうやらそこの魔術師は我の事を知っているようだな」

 

『えぇ、貴方だけでなくこの場にいるサーヴァントの真名を知っていると言っていいわ』

 

キャスターのその言葉にその場にいるそれぞれの陣営は驚愕した。

自ら名乗ったライダーはともかく、セイバーにランサー、アーチャーのサーヴァント達は名乗っていないためである。この事からキャスターはそれぞれの戦闘を見ただけで真名を見破ったということになる。

その様な事を考えている頃、一人使い魔の視界を通してアーチャーを確認した者がいた。

間桐雁夜、養子として家にやって来た桜を救うため、その父である遠坂時臣に後悔させる為に聖杯戦争へと参加した者。その者が遠坂のサーヴァントであるアーチャーを見て冷静でいられるはずもなく・・・・・・

 

「殺せ・・・、殺すんだバーサーカー!あのサーヴァントを殺し潰せ!!」

 

その言葉に答える様に新たに黒色の鎧に身を包んだサーヴァントが姿を現した。

それを確認したそれぞれのマスターに緊張が走った。

唯でさえ半数以上のサーヴァントが睨み合っている中に新たなサーヴァントが現れたのだ。

余程サーヴァントの力に自信があるか、はたまた冷静に現状を理解できていないかの二つだからである。

 

「・・・なぁ征服王、彼奴に誘いはかけないのか?」

 

「誘おうにもなぁ、ありゃあ交渉の余地すらなさそうだわなぁ。で、坊主。あれは、どの程度のサーヴァントなんだ?」

 

ランサーの問いに答えつつライダーは自身のマスターに鎧のサーヴァントについて尋ねた。

だが、そのマスターであるウェイバーはというと呆気にとられつつ顔を横に振りながら言った。

 

「・・・判らない、ステータスが丸っきり見れないんだ」

 

『どうやら、真名を隠蔽するスキルか宝具を使用しているみたいね』

 

ウェイバーの言葉を受け継ぐように、キャスターが鎧のサーヴァント、バーサーカーに対しての結論を出した。

その間、鎧のサーヴァントは電灯の上に立つアーチャーから目を離さずにいた。

それに対してアーチャーは怒気を向けた。

 

「誰の許しを得て我を見ている、狂犬めが・・・。せめて散りざまで我を興じさせよ」

 

アーチャーの言葉と共にバーサーカーに向けて黄金の波紋から武器が放たれた。

その威力は絶大であり、路面が吹き飛び粉じんが視界を遮った。

少しして粉塵の中から黒い影、バーサーカーが姿を現した。

その手に飛来した宝具の剣を持って・・・

 

「・・・・・・奴め、本当にバーサーカーか?」

 

「狂化して理性を無くしているにしては、えらく芸達者な奴よのぅ」

 

『わずかに速く飛来した剣を掴んでその後に飛来した槍を叩き落とすなんて・・・』

 

アーチャー以外のサーヴァントは、バーサーカーらしからぬ技術を使用している事に驚くと共に、自身の宝具でもないのに十全に使いこなせている事に驚いた。

そして、アーチャーはというと先程とは比べ程にならない程に怒り狂っていた。

 

「その汚らわしい手で我の宝物に触れるとは・・・そこまで死に急ぐか、狗ッ!!」

 

黄金の波紋が先程と違い、十六もの波紋が現われ先程の宝具と同ランクの武器が姿を現した。

その様子を見た物達は驚愕した。サーヴァントが持つ宝具は大抵一つであり、多くても二、三つである。

なのに、アーチャーはその常識を大いに超えているのだから・・・

 

「その手癖の悪さで、どこまで凌ぎきれるかな狂犬よ」

 

アーチャーが言い終えると共に全ての宝具がバーサーカーに向けて射出された。

だが、バーサーカーは自身に向かってくる宝具を掴んだり、薙ぎ払ったりして防ぎきった。

それと共にバーサーカーは持っていた剣をアーチャーへと向けて投げた。

しかし、狙いがずれたのかアーチャーの足場にしていた電灯を分断しただけに終わった。

アーチャーはというと、分断される前に飛び、地面へと着地していた。

だが、顔には怒りと共に殺気が宿っていた。

 

「痴れ者が、この我を同じ大地に立たせるかッ。その不敬は万死に値する、もはや肉片ひとつも残さぬぞ!!」

 

怒りと殺意を込めた言葉と共に先程の倍、三十二の黄金の波紋が生まれた。

だが、ふいに違う方を向いた。向いた方角には遠坂邸がある。

どうやら、アーチャーのマスターである時臣が令呪でストップをかけたらしい。

 

「貴様ごときの諫言で、王たる我に引けと?大きく出たな、時臣。・・・命拾いしたな狂犬」

 

その言葉と共に黄金の波紋は消え失せた。

そしてアーチャーはこの場にいるサーヴァントを見渡して言った。

 

「次までに有象無象を間引いておけ。我と合い見えるのは真の英雄のみで良い」

 

そう言い残しアーチャーはこの場を去った。

だが、戦う対象が居なくなったバーサーカーはある人物を見つめた。

そして、鎧・・・いや、甲冑の隙間から赤い光が漏れると共にその者、セイバーへと襲い掛かったのだった・・・



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第四次聖杯戦争:参

バーサーカーはセイバーに襲い掛かる手前に拾った得物を振り下ろした。

セイバーは不可視の剣で受け止めたが、バーサーカーの得物を見て驚いた。

セイバーだけではない、周りにいる者達も驚いた。

鉄柱・・・先程までアーチャーが足場にしていた電灯の残骸。

二メートルほどの長さのそれはただの鉄屑である。

なのに、何かに隠されているとはいえセイバーの宝具と鍔迫り合うなどあり得ないのである。

そう、何もしていなければ・・・

 

「なん・・・だと?」

 

その鉄柱は黒く染まっていた。

バーサーカーと同じ黒色へと・・・

 

「貴様・・・まさか!?」

 

それを見て此処にいる者達は理解した。

バーサーカーの能力・・・いや、宝具の正体を・・・・・・

 

「・・・なるほど、あの黒いのが掴んだものは、何であれヤツの宝具になるわけか」

 

『だから、アーチャーの宝具を十全に使いこなす事が出来たわけね・・・』

 

バーサーカーは鉄柱でセイバーに対して連続攻撃を行っている。

ここでランサーとの戦いでの負傷が響いてきていた。

ランサーの宝具である『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)

傷つけた個所の治癒する事が出来なくなする槍である。

それで傷つけられた左手に力が入らず、苦戦を強いられていた。

その様子を見ていたキャスターは・・・・・・

 

『(あの鎧・・・いえ、甲冑かしら?あの形と言えば欧州辺りの物だった筈・・・。そして、自身事を隠蔽していた者、もしくは偽る事を仕事にしていた者であり、セイバーであるアルトリア・ペンドラゴンと顔見知り・・・いえ、恨んでいる者と言えば・・・・・・)』

 

バーサーカーの正体についてある程度まとめていた。

その間にもバーサーカーはセイバーを追い詰めていた。

そして、セイバーの一瞬の隙をつきバーサーカーは鉄柱を振り下ろした。

しかし、それが届く事はなかった。

ランサーが鉄柱を切り離したためである。

 

「悪ふざけはそこまでにしてもらおうか、バーサーカー・・・。セイバーには俺との先約がある。・・・これ以上は黙ってはおらんぞ?」

 

その様子にランサーのマスターは納得しておらず・・・

 

『何をしているランサー、セイバーを倒す好機であろう・・・』

 

「すみません主殿。しかし、セイバーとの決着は尋常に・・・」

 

『ならん。ランサー、バーサーカーを擁護してセイバーを殺せ、令呪をもって命ずる』

 

それと共にランサーは矛先をセイバーへと変え、攻撃を始めた。

令呪とはサーヴァントに取って逆らう事はできないもの。

そのため、ランサーは申し訳なさそうにセイバーへと攻撃していた。

二人に追い詰められ、攻撃を受けそうになったその時・・・

 

AAAALaLaLaLaLaie(アァァアララララライッ)!!」

 

ライダーの戦車がバーサーカーとランサーに向けて疾走した。

ランサーは自身の速さを活かして躱す事ができたが、セイバーに集中していたバーサーカーは躱す事ができず真面に受けてしまった。ライダーが通った後には立つ事ができず、倒れているバーサーカーがいた。

 

「ほう、なかなかどうして根性のあるヤツじょのう」

 

ライダーがそう言うと共にバーサーカーは霊体化してこの場を去った。

どうやら、致命傷を負ったので撤退したらしい。

 

「・・・と、まぁこんな具合に、黒いのにはご退場願ったわけだが・・・。騎士の戦いを穢すでない、ランサーのマスターよ。ランサーにこれ以上強要するのなら、余はセイバーに加勢させてもらいぞ」

 

ライダーがそう言うとランサーのマスターであるケイネスの怒りの気配がこの場に流れたが、長引きはしなかった。

 

『撤退しろランサー、今宵はここまでだ』

 

マスターの言葉を聞きランサーはこの場を去った。

周りは静寂に包まれる中、セイバーはライダーに向けて視線を向ける。

 

「・・・結局、お前は何をしに来たのだ?」

 

「さてな、そういうのはあまり深く考えないのだ」

 

ライダーの言葉を聞きセイバーはため息を吐いた。

 

『・・・さて、私もそろそろ失礼させてもらうわね』

 

キャスターは此処での戦いはもうないと考えたのかそう言った。

だが、ライダーはキャスターを呼びとめた。

 

「まぁ待てキャスター、我が軍門に降らぬか?」

 

『ふふ、ライダー。今はその話は断らさせてもらうわ』

 

「そうか・・・ん?今は?」

 

『えぇ、貴方の人格とマスターの人格がどのようなものか今は分からないもの。それが判断で来て問題がなかったら仲間、いえ同盟してあげる』

 

「ほぅ、お主が言う事も尤もだな」

 

『その代わりといちゃなんだけど、良い事を教えてあげる。アサシンはまだ脱落していないわ、精々注意して置く事ね』

 

キャスターがそう言い終えると共に電灯の光が消え、キャスターの姿はうつらなくなった。

キャスターが残した言葉に疑問を抱きながらライダー陣営とセイバー陣営はこの場を後にしたのだった。



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第四次聖杯戦争:肆

「素、素晴らしい・・・聖杯はまさしく万能であったとは・・・」

 

地下にある下水道の中、そこには八つ目のサーヴァント、イレギュラーサーヴァントが存在した。

そのサーヴァントは手元にある水晶で先程まで、サーヴァント達が戦闘をしていた倉庫街を見ていた。

 

「此度の聖杯戦争で貴方に合う事ができると、なんと素晴らしい!!」

 

しかし、このサーヴァントには一人のサーヴァントしか目に入っていなかった。

そう、セイバーしか映っていなかった・・・

 

「嗚呼、乙女よ、我が聖処女よ。・・・今すぐにお迎えに馳せ参じます」

 

そう言うと共にそのサーヴァントはこの場を去った。

手元に令呪が浮かんでいる皮膚が埋め込まれた魔導書を持って・・・・・・

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

倉庫街での戦闘が終わった事で、その場を見ていたアサシンに言峰綺礼は帰還を命じ、視覚共有をきってため息をついた。キャスターが退散する際に言った事、『アサシンはまだ脱落していない』。それを伝えられたセイバー陣営とライダー陣営の二つの陣営に対してはアサシンが追跡しずらくなってしまった。

そして、自分を保護した教会に対しても疑われてしまうだろう。

これらの事から、綺礼はどうすればいいか考えていると・・・

 

「――――恐れながら、綺礼様。教会の外で気になるものを見つけたので、ご報告を・・・」

 

その言葉と共にアサシンが綺礼がいる部屋へと入って来て、あるものを差し出した。

それは、先ほどまで生きていたであろう蝙蝠の死骸だった。

 

「・・・使い魔か」

 

「結界がいでしたが明らかに教会を監視していたものと思われます」

 

綺礼は蝙蝠の死骸をよく見た。

腹の部分にカメラがバンドで括り付けられている。

それを見て綺礼は考えた。魔術師は使い魔と視覚共有する事ができるし、この様な現代の物を使用する事はない。つまり、使い魔にこの様な物を付けなければいけないほど未熟な魔術師、または現代の道具を戸惑いなく使用する魔術師と考えられるが、綺礼が得ている情報の中には魔術師として未熟な者はいなかった。その時、師である遠坂時臣から言われていた現代の道具を使用する魔術師殺しの存在を思い出した。

 

「・・・衛宮切嗣」

 

『魔術師としての誇りをまるで感じられない』

 

時臣から伝えられていた切嗣のあり方が頭をよぎった。

そして、切嗣に対して深く考え始めた。

先程まで考えていたキャスターに対してよりも・・・・・・

 

 

 

 ~・~・☆・~・~

 

 

 

「けっこうスピード出るもんでしょ?これ」

 

冬木市内の国道・・・

そこを猛スピードで爆走する一つの車。

その車を運転しているのはアイリスフィールであり、運転をしながら隣にいるセイバーへと問い掛けた。

助手席に座るセイバーはというと緊張に強張った表情をしていた。

 

「お、思いのほか・・・達者な、運転ですね。・・・せ、専門の方を雇った方が良かったのでは?」

 

セイバーとしては何時事故が起こってもおかしくないこの状況から早く脱したかった。

そう思っていると、途方にも無い魔力を感じた。

それを感じたセイバーは無理やり車を停車させ、外へ出た。

アイリスフィールもセイバーに続くように車の外へ出た。

そして、魔力を再確認したセイバーに先程よりも緊張が走った。

その魔力が禍々しく感じた為である。セイバーがその魔力の異常さに気付くと共に一人のサーヴァントが姿を現した。そのサーヴァントは二人は初めて見た。

しかし、先ほどの倉庫街で全てのサーヴァントが出そろって、あの場にいなかったアサシンは昨夜アーチャーによって脱落したことを考え、二人は困惑した。目の前にいるサーヴァントは何者なのか・・・・・・

 

「お迎えに上がりました、聖処女よ」

 

「なにっ・・・」

 

「セイバーの知り合い?」

 

「いや、見覚えはありませんが・・・・・・」

 

セイバーの呟きを聞き、目の前のサーヴァントは血相を変えて叫んだ。

 

「おおぉぉ、御無体な!この顔をお忘れになったと仰せですか聖処女よ!?」

 

「知るも何も、貴公とは初対面のはずだが・・・・・・」

 

目の前のサーヴァントの嘆きに戸惑いを隠せないセイバー。

 

「私です!貴方の忠実なる永遠の僕、ジル・ド・レェにて御座います!!此度の聖杯戦争にて、貴方の復活とフランスへの復讐の為にアヴェンジャーのクラスにて、こうして時の果てにまで馳せ参じてきたのです、ジャンヌ!!」

 

「ジル・ド・レェですって・・・それにエクストラクラスのサーヴァントだなんて・・・・・・」

 

アイリスフィールは目の前にいるサーヴァントの正体を知り息を呑んだ。

そしてエクストラクラス、アヴェンジャー・・・つまり復讐者として現れたのだ。

たしかに逸話としてはアヴェンジャーとして現界していても不思議ではないが、そのクラス名からして厄介な敵に変わりない事はアイリスフィールにも理解できた。

 

「私は貴公の名を知らぬし、ジャンヌという名でもない!!我が名はアルトリア、ウーサー・ペンドラゴンの嫡子たるブリテンの王だ!!」

 

「・・・セイバー、その男には何を言っても無駄よ」

 

セイバーは知らないが、ジル・ド・レェとしての逸話を知っているアイリスフィールはそう言った。

 

「なんということか、そこまで貴方が追い詰められていようとは、その為には準備をしなければ」

 

そう言うと共にジル・ド・レェはセイバーと距離を取とった。

 

「ジャンヌ、我が聖処女よ。次に会う時には必ずや・・・・・・神の呪縛から貴方の魂を解放して差し上げます」

 

その言葉と共にジル・ド・レェは霊体化していった。

それを見送ったセイバーは此度の聖杯戦争が真面ではない事を直感で理解したのだった・・・・・・




遅くなってしまい申し訳ございませんでした。


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