【銀魂】華は散り際が一番美しい (からくりPIERROT)
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春雨、鬼兵隊編
名前はこの世に産まれて、初めての贈り物である


前々から考えていたネタです!
頑張って書ききるんで応援よろしくです!
コメントとか感想もいっぱいしてください!

今は銀魂キャラは出てませんが、次の話ぐらいから出していきます!


「お頭、やはり単独では危険すぎます」

 重い空気に耐えきれなくなって一人が声を上げた。

 それはここにひれ伏す全ての女の心に思っている事だ。

 だが声に出せるのは彼女一人だけだった。

「お前は若い新入りだな?」

 下げられたのれんの向こうから

 深みのある声が鳴り響く。

 数え切れないほどの死地をくぐり抜け、

 血を流し、浴びてきた“覇者”の声だ。

 頭に呼ばれた女ははっと顔を上げた。

「申し訳ございません」

 咎められる思い、女は床に頭をこすりつけた。

 お頭には逆らってはいけない。

 それは新入りの彼女にでも分かる事だ。

 お頭の判断に意見するなどもってのほかである。

「名は?」

 帰ってきたのは以外にも温かい声だった。

 温度のある声に強張った身体が少し緩んだ。

 だが女に名はなかった。

 捨て子だった彼女に名などあるはずも無い。

 ……少しの間の沈黙。

「……名などございません」

 やっと絞り出された声は僅かに震えていた。

 茜色の光が部屋に射していた。

「そうか、ならばわっちがそなたに名を与えよう」

 女の目が見開かれた。

「いけません!このような者にお頭が与えた名を名乗ることは」

「ほう?このわらわにたてつくのかえ?」

 遮えぎられた彼女は一瞬言葉を失った。

「申し訳ございません。誠に有難く存じます」

「それで良い」

 のれん越しにお頭は声を張り上げた。

「皆のもの、今この時からこの娘は羽月(うづき)と名乗る。よいか?」

 はっ、と声を揃え、女たちは頭を下げた。

「今日のところは終わりとする。各自戻って身体を休めよ。羽月は残れ」

 女たちは散り、羽月だけが一人残った。

 夕焼けは一層赤くなり、女の肌も赤く染まった。

「羽月よ、今から言うこと、こゝろして聞け」

 のれんが上がりお頭の顔が顕になる。

 いつ見ても息を飲むほどに整った顔だ。

「この子をみよ」

 小童が赤子を抱いてきた。

 まだ歩けもしない程の赤子だ。

「これはわらわが生みし子である。その手に抱くが良い」

 羽月は顔を上げ言われたとおりに抱いた。

 赤子は眠っていて話し声にも起きる気配はない。

 母親似の黄金色の髪の毛がふさふさとしている。

 瞬く時が過ぎてからお頭は口を開いた。

「わらわは先程申したとおり7日後にあの人に会いに行く。一人でだ」

「そんなに早く……」

「聞け」

 お頭の重い声が飛ぶ。

「状況は変わった。わらわは行ってあの人の“弟子”に会って伝えねばならない。あの人は気の遠くなるほど年月の中でも“あれ”のようなものを生み出す事はなかった。

 今“あれ”が出ているということは何かが起こるということだ。それが何なのかは分からぬ。だが間違いなく起こる」

 藍色の瞳はまっすぐ羽月を射ていた。

 赤子は相変わらずすやすや寝ている。

「この子が生きるのは終焉の時代だ。羽月、お前にはこの子を護ってほしい」

 まも、る、?

 私が?

 羽月が反応できずに固まっている前で、お頭が頭を下げた。

「この鬼魁からのこの頼み、聞いて頂けぬか」

 

 

 

 10日後、お頭の訃報が郷に伝わった。

 と共に梟に刀を2本、届けられた。

 

 

 

終焉の幕は上がったばかりだ。



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人の前は露骨に考え事をするな

ぼちぼちキャラ載せていきます。
京都弁はネットで変換したものです。
全然違うかったらすみません。


 

 ヨシヨシ偉い子だねぇ、と女は梟を撫でる。

 とは言っても

 目を細める梟を並の梟よりは一回りの二回りもでかい。

 傍らにざっと目を通す。

「はぁ」

 本日何度目であろうため息。

 鵺雲(やくも)によると標的はもう港にいるらしい。

 海はあまり好きではない

 潮の匂いが鼻につく。

 コンテナに身を隠しながら女は考える。

 プランその一。

 標的が船に乗る前にやってしまう。

 プランその二。

 ……

 プランその三。

 …………

 ……………ない………

「はぁ」

 いくら知恵を絞っても出てくるのはため息だけ。

 しかし船の中で暴れて船ごと墜落してお陀仏するのだけは勘弁してほしい。

「厄介だなぁ。あの人の弟子ともなるとなぁ」

 何をしでかすかは分からない。

 だから嫌なんだよ生け捕りは、と女は意味の無い愚痴を零す。さっさと殺ってとっとと帰りたい……

 

「晋助様!どこに行かれてたんスか!」

「あぁちょっと野暮用でな」

 あれが『赤い弾丸』来島また子か……

 となると標的はあの男。

 鬼兵隊総督、高杉晋助。

 そっと梟を空に返してから女は目を凝らす。

 片目包帯で見るからに反乱分子だ。

 今やるか……?

 いやもう少し待つか……?

 やっぱりやろう。

 そっと後ろに隠しているくないに手を伸ばす。

 

「お嬢ちゃんはそこで何をやってんのかなぁ?ここいらは厄介な奴らが多いもんでオメーさんのようなべっぴんは狙われやすいぜ?」

 今まさに狙われてるんすけど?

 おっさんの声だ。

 明らかに問う気はなく勧告の色も見えない。

 そこから一歩でも動いたら首吹っ飛ぶぜ?、という殺気しかない。

 振り向かずとも頭に銃口を突きつけられているのが分かる。

 ちっ、と心の中で舌打ちする。

 めんどくせぇ……

「おにいはん、ほんにすんまへん、うちは怪しいもんではあらへん」

 とりあえず用意していたセリフを返そう。

 少しの間が流れ、殺気は相変わらずだが、銃口は少し逸らしてくれたようだ。

 振り向くとそこには黒いマントを羽織ったダンディな

 おじさまが。

「うち、京から来た商人どす。船探しとったら道に迷うてしもて、困っとったんどす」

 ちょっといかにもそのような顔を作ってみる。

 どうだ……

「へぇ?どの船探してたんだい?案内してやろーじゃねぇか」

 しつこい……

 そしておじさまなんかニヤけてる。

 あんたを今すぐ冥土に案内してやりたい。

 仕事の邪魔をしやがって、こちとらそんな暇じゃないんだよ。やるべきことたんまり溜まってんだよ。どっかのおっさんの性欲みたいに溜まってんだよ。

 もういいや、

 こうなったら一緒の船に乗ってやろうじゃあないか。

 船に中で人質とればこっちのもんだ。

「京から鬼兵隊への届け物があるんどす。やから鬼兵隊の皆はんの船を……」

「ついてきなぁ」

 こいつはいったい何なのか。

 歩きながら女は考える。

 傘を指してるから夜兎には間違いない。

 と、なるとなぜ私を導くのか。

 目的は何なのか。

 考え事をしている女には気付かなかった。

 先導している男が小さく呟いた言葉に。

「飛んで火に入る夏の虫…たぁよく言うたもんだぜ」



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チャンスはそうそうやってくるものではない

戦闘というのはどうにもうまく書けないです……
誰か教えてくださいー……

と、いうことで春雨から切り込んでいきたいと
思ってまーす。

感想、評価、待ってます‼


「オメーさん、名はなんてんだい?」

名……どうしようか。

別にいいか、言っても。

鳳蝶(あげは)にございます」

「そうか鳳蝶か」

スタスタあるきながらおじさまは喋る。

「鳳蝶サンよ、春雨ってぇのは聞いたことあるかい?」

「ええ、小耳に挟むぐらいならあります」

宇宙海賊春雨。

言われずとも分かる。

間もなく船が出航いたします、とアナウンスが流れた。

間もなく出航するだろう。

まわりは人がどんどん少なくなっていき、

代わりに天人が増えていく。

「俺ら宇宙海賊はな、常に命狙われているもんだよ」

「大変どすなぁ」

これは……。

気づかれたか……。

殺気が強まっていく。

……来る……!

「あぁ大変だぜ、おまえさんの上に伝えといてくれんかね」

 

ドガァッン

 

地面が削れた。

間一髪で避けたがそれでも袖が少し破れた。

「何にも小娘一匹差し向けなくてもいいじゃないかってなぁ」

第2波が来る……

避けえれてはいるが反撃のすきが見つからない。

「てめぇが生きて帰れたらの話だがなぁ?」

このままじゃ埒が明かない。

頭上に振り下ろされた傘を刀で止める。

やっぱり夜兎の力は並々ならない。

押されかけ始めているのが分かる。

攻撃の一発が一発が強い。 

「阿伏兎ぉ、なんだか楽しそうな事やってるじゃん!なんで呼んでくれないのさ?」

なんかさっきからピンク色の頭が視界にチラついているが今はそれどころじゃあない。

「コレのどこが楽しそうなんだこのスットコドッコイ!」

このまま避け続けるのは相当難しい。

体力の差は一目瞭然だ。

「さっさとやっちまいなよ阿伏兎。晋助が呼んでたよ」

のんきな声でピンク色の頭は揺れる。

……いらつく。

「団長よぉ、俺は殺るのは得意でも生け捕りは苦手なんだよ」

あら、私と同じじゃあないの。奇遇だね。

とか言ってる場合じゃないのは分かっている。

喋ってる空きにクナイを命中させる。

勝算はだたひとつ……

「おいおい、まじでやんのかよ。おじさんの我慢も限界があるんだぜ?」

操縦室を乗っ取る。

それまでに敵は多いかもしれないがこいつらのような化け物よりは断然マシだろう。

ていうかこっちだってそろそろ限界だ。

煙弾幕を立て続けにぶつけて少しの間体を休める。

阿伏兎は今煙で目が開かないはずだ。

なんでこうなった……

やはり港でやっとけば良かったか。

船はもうとっくに出航している。

このまま続けても意味はないだろう。

身体もおそらく持たない。

現に今脇腹から血が溢れている。

よし、もう行こうこのまま煙の中を走りぬ……

「つーかまえたー!」

後ろからガシッと首に腕を回される。

ちっ、あのピンク頭か……すっかり忘れていた。

いつの間にか後ろに回っていたのか。

どんどん腕の力が増していき、首を締められる。

クナイで腕をぶっ刺してもびくともしない。

ここまでか……また羽月姉様に怒られるよ……

殺すなよ、という阿伏兎の声が遠くに聞こえる。

「じゃっまたね!」

それを最後に、完全に意識が暗闇に包まれた。



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心の声は心の中で出せ

『鳳蝶様、誠に申しづらいのですが、羽月様の病はかなり進行しております。おそらくもう長くは……』

やめろ……

言うな……それ以上言うんじゃない!

 

身に染みる寒さに目が覚めた。

夢……か……

だが、鳳蝶にとってそれは感謝すべきことである。

 

傷の痛さに思わず唸りたくなるなるが、

そこはグッと堪えて周りの様子を探る。

おっさんが一人……

ここは装ったほうが良いか。

「よぉ、目が覚めたかい?お嬢ちゃん」

覚めてない……ていうか覚めたくない……こんな敵しかいない海賊の船の中で。

そう言いたくなるが、言えばバレるので引き続き黙る。

「騙そうたって無駄だぜ?夜兎にはそんなもん通用しねえよ」

やっぱり無理か……

なんで寄りにもよって夜兎なのか……ほんとめんどくさい

「言っとくけど、さっさと起きたほうが身のためだぜ?

どっかのスットコドッコイな団長なら……」

 

パァン、と銃弾が頬を掠める。

その反動で起きたが……

 

……ほら言わんこっちゃねぇ、と阿伏兎はぼやく。

「さっさと起きてよ」

ピンク色の頭、ていうかアホ毛が近づいてくる。

「もうすぐアホ提督に呼ばれて晩餐会なんだ、それまでに吐かせろだけ吐かせろって言われてさ。俺は早く飯が食いたいんだよ」

改めて状況を確かめよう。

殺風景な牢の中に閉じ込められ、

手には手枷が嵌められており、足も鎖に結ばれている。

刀などは牢の外に出されているようだ。

しかも夜兎族が二人。

お世辞にも良いとは言えない状況である。

ていうか地球の小娘一人捕らえるのにこんなにもいるものなのか?

「自己紹介しておこう。俺は神威。春雨第七師団、一応団長だよ。こっちは阿伏兎、副団長だ」

こりゃまた厄介なとこに突っ込んじまったもんだと

心の中で舌打ちをする。

まだ生かされているのは恐らく情報を引き出すためだろう。

「わっちは鳳蝶だよ。残念ながら言えることはそれだけかな……」

作戦変更だ。

ていうか変更せざるをえない。

今は船再び地球に戻るまで、五体満足で生き残ることを最優先に考えよう。

「わっちは高杉晋助という男に用があるんだが伝えてほしい」

一か八かで言ってみる。

合わせてくれるなら少しは生存率が変わるかもしれない。それが上がるか下がるかは別として。

神威は少し難しい顔して考えていた。

「晋助に用?そりゃ困ったね。俺鬼兵隊じゃないし。言うだけ言ってみるよ」

以外にも承認してくれたようだ。

ていうかこいつ本当に情報を吐かせる気があるのか。

どっかから椅子引きずってきて座ってるじゃないか。

一体なにしにきたのだか。

「暇つぶしだけど?」

「いや、人の心読まないでほしいです」

「声に出てるよ?」

「出してるんです」

ムカつく野郎だ。

まだ阿伏兎のほうが話せる。

「阿伏兎さん、この船はどこに向かっていて?」

一応知っておきたい。

知って変わるものなどないけど。

「洛陽だ、お嬢さん。あんたがそれまで生きているかどうかは分からんが、そこの奴ら地球の奴らよりも何倍も荒いぜ?気をつけなぁ」

洛陽か……こりゃまた物騒な星へだな……

「ご忠告感謝します」

出来るだけイヤミを込めて言う。

まあ神威よりは話が通じるのは本当にありがたいが。

「団長、そろそろ時間だ。こいつ引っ張ってくぞ」

「えーめんどくさいな」

こっちだって行きたかねーよ。

足の鎖だけ解かれて引っ張ってかれる。

ほんとめんどくせぇことなった…



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