僕のヒーローアカデミアwithスーパー戦隊&仮面ライダー (ガイコッツ)
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ヒロアカ転生

ヒロアカハマりました書きたいと思ってました
自由に満遍なく投稿するスタイル


惨め、、自分の人生は惨めの一言に尽きる。

真面目に生きてもなぁんもない、あるのは部屋のクローゼットにある仮面ライダーのベルトとスーパー戦隊のアイテム各種、、、

なんだこりゃ、、なんも無いじゃないか、、

鳴り響くサイレンの中、トラックの下で佐竹善彦(さたけよしひこ)は目を閉じた。

 

 

 

 

ピーピーピッピピー

 

善「う、、、えぁぁーー」

 

ピッ

 

聞き慣れた携帯のアラームを止め、時間を確認する。

 

善「6時、、二度寝できる、、」

 

時間を確認し、二度寝しようと目を閉じた。

 

善「んん?」

ガバッ

異変に気付いて起き上がる

 

善(まてまてまてまてぇ、おかしーぞぉ、自分は学校の帰り道にいつもの通り信号を渡ろうとしたところにぃ、暴走したイカレトラックに轢かれて下敷きになったんだぁ)

 

善彦は鮮明に覚えていたトラックに轢かれる瞬間、耳をつんざくサイレンの音、自分の吹き飛んだ下半身、、、

 

善「うっ、オロロロロロロロ」

 

思い出しただけで嘔吐する。

 

善「おかしい、完全に死んだと思ったんだけどなぁ、、」

 

辺りをキョロキョロ見ても、それはいつもの自分の部屋だ。

 

善「あれ?」

 

しかし、ある一つの変化に気づく。

 

善「ドライバー、ちゃんとクローゼットの中に入れたと思ったんだけどなぁ、、」

 

善彦のお気に入りの仮面ライダーベルトコレクションの一つ、ゲーマドライバーが机の上に置いてあるのだ。

 

善「、、、、、、」

 

ガチャ

 

母「善彦ー、起きてるー?」

 

考察していると突然部屋のドアが開き、善彦の母が来た。

 

善「うぉぉ!マミー!」

 

善彦が驚いていつも母ちゃんと呼ぶ母をマミーと呼んでしまった。

 

母「よかった、起きてたのね、転校初日に寝坊なんて大変ですもの」

 

善「ほぇ?転校?」

 

母「ちょっとちょっと、寝ぼけてんの?今日から雄英高校に行くんでしょ?ちゃんとそれ持って、学校行ってらっしゃい」

 

母がそう言いながら、ゲーマドライバーを指さすとそのまま部屋を出ていった。

 

善「雄英、、転校、、」

 

雄英高校とは生前自分がハマっていた僕のヒーローアカデミアの主人公が通っている高校だ。

 

絶対死んでいたであろう事故、このありえない展開、善彦の頭の中にある文字が浮かぶ。

 

転生

 

もしやあの事故のあと、ヒロアカの世界に転生したみたいだ。

 

クローゼットを開くと、そこには雄英の制服がかけてある。

 

善「おいおい嘘だろ?」

 

制服を着ると、机の上にあるゲーマドライバーに視線を向けた。

 

善「これを持っていけって言ってたよな、、」

 

わけのわからないままカバンにゲーマドライバーと適当なガシャットを入れた。

 

善「行ってきまーす」

 

母「はーい頑張ってねー」

 

まとまらない思考のまま、善彦は家を出た。

 

善「雄英はあそこか、、」

 

玄関から出て横を向くとみえるバカ高い建物、あれが雄英だろう

 

善「結構距離あるな、、」

 

善彦の視線がカバンに向かう。

 

善「もーしかしてもしかして〜」

 

鼻歌を歌いながらゲーマドライバーを装着する。

 

バックルを腰につけるとベルトが腰に巻きつき、キメワザスロットホルダーも勝手にでてくる。

 

善「通学用にはこれかな?」

 

《シャカリキスポーツ!》

 

善彦は適当にとったガシャットの一つシャカリキスポーツを起動させる。

 

《ガシャット》

 

ガシャットをスロットホルダーに入れると、善彦の隣にスポーツタイプの自転車が出てきた。

 

善「やっぱりビンゴ!」

 

一気にテンションが上がった善彦は自転車にまたがり雄英に向かって走った。

 

善「シャカリキ♪シャカリキ♪」

 

鼻歌を歌いながら走っていると雄英の校門に着いた。

 

善「おっ、着いた着いた」

 

善彦は自転車を降り、ガシャットを抜く。

 

《ガッシューン》

 

すると隣にあった自転車が消えていった。

 

善「うへー、やっぱでかいなぁ」

 

校舎を見上げ、どこいけばいいんだろうと辺りを見回していると。

 

?「転校生の佐竹善彦君?」

 

どこかから名前を呼ぶ声が聞こえる。

 

善「はい?」

 

声のした方をみると、そこには小汚くて見るからに不健康そうな男が立っていた。

 

善「あ、、えー、、」

 

相「君の担任になる相澤消太だ1ーAまで案内するよ」

 

善「あっはい、お願いしまーす」(担任なんだ)

 

善彦は相澤先生について行った。

 

生前いた高校の何倍も綺麗な校内、そしてマンガを読んでいたとはいえ、初めて会う人たち、意識し始めたら急に緊張して体が震え始めた。

 

相「きみのことは事前に伝えておいたから、気楽に行ってくれ」

 

善「あ、ははははは、はい、」カタカタカタカタカタカタカタカタ

 

落ち着け落ち着けと念じても、体の震えは止まらない

 

相「、、、最初俺が入るから、呼んだらきて」

 

そう言うと相澤先生は教室の中に入って行った。

 

善「は、、はい」

 

相「おーい、席つけー」

 

ドア越しに相澤先生の声が聞こえる。

 

相「今日は前日に話した転校生が来ている」

 

?「えー!まじで!」

 

?「先生!初耳です!」

 

善(初耳!伝えておいたんじゃねーのかよ!)

 

?「どんな人なのかな?」

 

?「イケメンだといいねー」

 

善(ごめんなさいなんともいいがたいです!)

 

?「いや、女かもしんねーぞ」

 

?「チョーイイボディの女来てくれー!」

 

善(ゴメンなさい男です!)

 

?「どーでもいいけど骨のあるやつこいよな、ぶっ殺しがいがあるやつ」

 

?「まーたそんなこといってる」

 

善(ガラ悪いやついるー!誰だか検討はつくけどもさー!)

 

善彦はプレッシャーと緊張で吐きそうになっていた。

 

相「おい、静かにしろ」

 

ピタッ、、

 

相澤先生の一言で教室は一気に静かになった。

 

相「おい、はいってきていいぞ」

 

善(きたぁぁぁぁぁぁぁ!)

 

とうとう善彦が呼ばれた。体の震えが最高潮に達している。

 

善(落ち着けぇぇぇぇぇぇぇぇ!落ち着けぇぇぇぇぇぇぇぇ!)

 

深呼吸を何度もして、ドアの取っ手に手を伸ばした。

 

善(よし行くぞー、せーの!)

 

ガララララ!

 

覚悟を決めて扉を開けたその時だった。

 

ガララララ、ガコン!

 

善「え?」

 

強く開けすぎてドアが外れた。

 

善「ちょっとまって、おいおいふざけんなよぉ、」

 

一同(なんだあいつ、、、)

 

ガタガタガコン!

 

外れたドアが直った。

 

善「よし、、よーし、」

 

第1関門 ドアを開ける クリア

 

善(次は入室!)

 

?「大丈夫かな?」

 

?「相当緊張してんな転校生」

 

?「あ、はいってきた!」

 

善「しし、し、シツレイシマス」

 

善彦はガチガチに固まったまま教室に入ってきた。

 

?「思った以上に緊張してるー!」

 

?「足と手が一緒に前でてるw」

 

?「ウィーンガシャンって擬音が似合うなあの動き」

 

善彦はやっとの思いで先生の隣に立つ。

 

相「ほら、自己紹介」

 

相澤先生が善彦の背中をバンと叩く。

 

善「え、ぁ、しゃ、さ、ざ、たか、さ、さ」

 

緊張で声がでない

 

善「さ、佐竹、善彦、、です!よ、よろしくおねがいし、します!」

 

声を裏返しながらも、善彦は自分の名前をハッキリいった。

 

?「おー!よろしくー!」

 

?「共にヒーローを目指そう!」

 

?「よろしくねー!」

 

善彦が名前を言うと、歓声が上がった。

 

善「へぁ、、はは、、」

 

安心した善彦はその場に膝から崩れ落ちる。

 

相「佐竹の席は、、口田の後ろだな、」

 

善「はい、、」

 

席はどこかとキョロキョロしていたら、後ろの方にいる岩のような男がここだここだと手招きしている。

 

善「!」コクッ

 

善彦はうなずいてその席に向かい、座った。

 

相「次の時間はヒーロー基礎ださっさと準備しとけよ」

 

相澤先生はそのまま教室を出ていった。

 

善「、、、、、、」

 

善彦がそーっと席を立とうとしたその時だった。

 

切「おーい!佐竹?だっけ!?俺、切島鋭児郎!」

 

芦「よろしくねー!私、芦戸三奈!」

 

瀬「俺、瀬呂範太!」

 

蛙「蛙吹梅雨よ梅雨ちゃんと呼んで」

 

善「わっわっ、よろしく、よろしく、」

 

一斉にきたクラスメイトの対応にわたわたした時。

 

ピピー!

 

飯「なにやってるんだみんな!早く準備したまえ!」

 

メガネをかけた男がドアの前で笛を吹き、みんなを誘導している。

 

飯「僕は1ーA学級委員長飯田天哉!さぁ佐竹君!きみも早く準備して行こう!」

 

切「はいはい委員長さん今行きますよ」

 

善「あ、はいー」

 

善彦は家から持ってきたヒーロースーツを片手に教室を出た。

 

〜バス内〜

 

善(やばいなぁ、みんなスーツカッケーなぁ、)

 

善彦は辺りをキョロキョロ見回してせわしない。また小刻みに震えいる。

 

緑「大丈夫?あんまり硬くならないほうがいいよ」

 

震える善彦の膝に手を置いて話しかけてくれたのは緑谷出久だった。

 

善「おぉう?は、たしか、緑谷君?」

 

緑「僕も最初は不安で仕方なかったんだけどさ、あの、、やっちゃえばどうってことはないよ!」

 

緑谷は笑顔で善彦の不安を和らげてくれた。

 

善「うん、ありがとう、ところで緑谷君のスーツ、もしかしてオールマイトのリスペクト?」

 

緑「あ!バレちゃった?僕子供の時からオールマイトファンでさ、、」

 

善「へー、かっこいいじゃん」

 

緑「佐竹君もかっこいいよ、えーと、その、逃走中の、、ハンター、、リスペクト、、、」

 

緑谷はもごもごしながら言った。

 

善彦のヒーロースーツは全身黒のスーツにサングラス、そして両手の全ての指にはキラキラと輝く指輪がつけられている。

 

麗「違うよデクくんあれは成金社長だよ」

 

切「いや、麗日違うぜこれは任侠ヒーローフォースカインドのリスペクトだろ」

 

峰田「カイジに出てくる黒服とか!」

 

上鳴「成金じゃなくて闇金社長?」

 

目の前に座っていた峰田実と上鳴電気も会話に入ってきた。

 

蛙「なんだかヤクザみたいな格好ね」

 

いろんな意見が飛び交う中、善彦が口を開いた。

 

善「、、、、これ僕の趣味なんです」

 

一同「えええええー!」

 

善彦の言葉にクラス全員が驚いた。

 

耳郎「趣味わっる!」

 

女の子のまじの声、心にブッ刺さった。

 

そんなこんなしているうちに目的地に着き、委員長により整列させられた。

 

待っていても誰も来ず、ボケーっと空を見上げていると、空からなにかおちてくる。

 

ヒュウウウウドォォォン!

 

善「うおおおお!」

 

オ「はいっ!わたしが来た!」

 

ヒーロー基礎学の先生オールマイトが空からのダイナミック着地でみんなの前に現れた。

 

オ「はっはっは今日は転校生が来たと聞いたから張り切ってしまったよ」

 

マンガで見た通り筋骨隆々、善彦は呆然と見るばかりだった。

 

オ「今日の授業は二人一組でチームを組んでもらい、追いかけっこをしてもらう!」

 

八百万「追いかけっこ?」

 

オ「イエス!今から君達が行う訓練は以前行った訓練の改良版さ!」

 

麗「以前行った訓練って私達がヒーローチームと敵チームに分かれて核を奪ったり守ったりしたあれですか?」

 

オ「そう!以前と違うところはアレだ!あそこのビルに旗が刺さっているだろう!今回の授業は以前と同様ヒーローと敵に分かれてもらい、敵チームを捕まえるか、どちらかがあの旗を奪えばそのチームの勝利となる!」

 

飯「なるほど、ヒーローたるもの素早い行動が命!敵より目的地に早く着き、人々を守る場面を想定しての訓練ですね!」

 

葉隠「なんだかビーチフラッグみたいですね」

 

オ「そう!言うなればこれはビーチフラッグ追いかけっこといったところかな!」

 

瀬「先生ー、でもそれってただスピードを試すだけですか?」

 

オ「いーや、妨害もアリだ!どちらかのチームが相手のチームを倒してもそのチームの勝利となる!」

 

爆豪「よーし!ぶっ潰す!」

 

麗(また言ってる)

 

オ「よし!それじゃあ今からチームをくじ引きできめ」

 

飯「待ってください先生!一人余ります!」

 

オ「え?あっそうか!21人だから一人余るのか!すまんすまん、えーとそれじゃあ佐竹君はみんなが引いた後にくじを引いてそのチームに入ってくれ」

 

善「えらく適当な気がしますけどわかりました」

 

そしてみんながクジを引き終わり、善彦も最後にクジを引いた。

 

善「cか、、cチームの人ー?誰かいませんかー?」

 

上「おーい佐竹ー!こっちだー!」

 

善「あっ!上鳴君!お願いしまーす」

 

善彦は上鳴に近づき、お辞儀をした。

 

耳「えー、あんたと一緒?大丈夫?」

 

善「あっえっあ、耳郎さん、お願いします!」

 

善彦は上鳴、耳郎チームに入った。

 

上「おい耳郎そんなこと言うなって」

 

耳「いーやだってさぁ、」

 

耳郎が耳から垂れたイヤホンジャックを指に絡めながらブツブツという。

 

オ「よーしそれでは始めるぞー!」

 

オールマイトがそう言うと、二つの箱に手を突っ込み、ボールを取り出す。

 

オ「ヒーローAチームVS 敵Dチーム!」

 

善「ほっ、一番手じゃない、、」

 

耳「ほらホッとしない!モニターに授業の様子が映るからちゃんと見てて!」

 

上「まぁまぁ」

 

Aチームには蛙吹と尾白 Dチームには常闇と口田がいた。

 

善「おー常闇君の個性かっけー」

 

上「お前の個性ってなんなの?」

 

善「んー?なんて説明したらいいかわからんー」

 

上「そっかー」

 

耳「なんだこのアホな会話」

 

オ「よーし!Aチームの勝利!つぎ行くぞー」

 

オールマイトがスムーズに箱に手を突っ込む。

 

オ「まずは敵!Bチーム!」

 

耳「うわっ、Bチームは青山と瀬呂か、めんどくさいぞあの二人の個性」

 

オ「そしてヒーローチームはぁぁぁぁ!」

 

葉(来ませんように、来ませんように)

 

緑(僕がでたらどうしよう)

 

爆(ぶっつぶす)

 

オ「cチーム!」

 

上「うーわまじかぁぁぁ!」

 

耳「ひぇ〜、きっつー」

 

オ「それでは各自指定された場所について!」

 

上「おーい!佐竹、こっちだぞー!」

 

善「あっはーーい!」

 

善彦はわたわたしながらついていった。

 

〜上耳善チーム〜

 

耳「開始までは時間があるから今のうちに作戦を練っておこう、佐竹も、いろいろと意見を」

 

善「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ!」

 

上「めっちゃ震えてるー!!」

 

耳「ちょっとあんた大丈夫!?あと一歩で分身出来そうよ!」

 

善「の、、ノープロブレム」

 

耳「その姿みてああそうなんていえるわけないでしょ!」

 

オ「カウントダウンスタート! 10.」

 

上「やばい、はじまんぞ!」

 

耳「ったく!あんたの個性ちゃんとしてるんでしょうね!」

 

善「まかして、、、まかせて、、、、、!!」

 

ガタガタ震えながら善彦はポケットに手を伸ばし、ガシャットを取り出す。

 

上「?なんだそれ?爆走、、え?」

 

オ「スタート!」

 

耳「ああ!はじまった!」

 

シャルル!

 

瀬「おっさきー!」

 

ビーー!

 

青「アディオス☆」

 

瀬呂と青山がテープとレーザーをつかい、善彦のいるチームと大きな差をつけた。

 

上「あいつらー!」

 

耳「ウチらもいくよ!って佐竹!?」

 

耳郎が善彦の方をみると、そこにはガタガタ震えていた善彦はいなかった。

 

上「震えが止まってる、、佐竹、腰に巻いてあんの何だ?」

 

腰にベルトがまかれ、手にはガシャットがしっかりと握られている。

 

善「よっしゃ、行きましょうやぁ!」

 

《爆走バイク!》

 

善彦がガシャットを起動させると、善彦の周りにレースのトロフィーがいくつも出てくる。

 

上「うおお!なんだこれ?」

 

耳「これが佐竹の個性?」

 

善「ご刮目」

 

そう言いながらターンをすると、ガシャットを回転させ、一言。

善「変身」

 

《ガッシャット!》

 

耳「ガシャット?」

 

《レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!》

 

善「ふっ!」

 

善彦は生前何回も練習した仮面ライダーレーザーの回し蹴りでパネルをセレクトした。

 

《アイムア仮面ライダー》

 

上「すげえ!変身がお前の個性か!」

 

善「へへっ、そう、これが自分の変身した姿、、仮面ライダーレーザーだ!」

 

耳「おおー!、お?」

 

上「ん?」

 

一瞬テンションがあがったのはいいものの、二人の目に飛び込んだのは可愛いゆるキャラのような姿の善彦だった。

 

耳「かわいい、、、」

 

善「バカにしないでくださいこれ結構つよいんですよ」

 

上「なにこの武器?タイヤ?」

 

二人は変身した姿に興味津々である。

 

青「フフフ、油断してる油断してる、」

 

物陰から青山が3人を見ている。

 

青「悪いけど、ここで誰か退場してもらうよぉ」

 

カチャ、、

 

青山がそーっとベルトの照準を3人に合わせたその時だった。

 

耳「!あそこに青山発見!」

 

耳郎がバッと振り向いて青山のいる方を指差す。

 

青「ひええ!しまった!気づかれた!でも遅いよ!」

 

青山のネビルレーザーが3人にむかって発射された。

 

善「遅いのはお前だ!」

 

ダラララララララ!

 

善彦は二人の前に立ち、ネビルレーザーを弾くとタイヤの銃を青山に乱射した。

 

青「おおっとぉ!」

 

青山は建物の隙間に逃げていく。

 

上「ああ!まて!」

 

善「自分にまかせろ!二速!」

 

善彦は即座にベルトのレバーを開き、高くジャンプする。

 

《ガッチャーン!レベルアップ!》

 

耳「二速?」

 

《爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!》

 

ガシャン!

 

善「よぉっしゃいくぜー!!」

 

バイクゲーマーレベル2となった善彦はバイクの姿にレベルアップした。

 

上「えええ!おま、えええ!」

 

耳「ええっ!レベルアップしたらこれ?」

 

善「ごちゃごちゃ言ってる暇ないよ先言ってるぜー!」

 

善彦はウィリーをするとそのまま青山を追って行った。

 

耳「、、あいつ、変身したら結構人格変わるんだね」

 

耳郎と上鳴は走っていった善彦を呆然と見送った。

 

青「フー、びっくりした、もうこのまま旗取りにいったほうがいいかもしれない」ブロロロロロロロロ

 

青「ブロロロロ?」

 

青山がエンジン音に気づき、後ろを向くと、そこには誰も乗っていないバイクが自分のことを追いかけていた。

 

青「わーーーーー!」

 

善「おらおらまてまてーー!」

 

全速力で走るがバイクと人間のダッシュじゃたかが知れている。

 

青「く、くるな、くるなー!」

 

青山は後ろ向きに走りながらレーザーにレーザーを発射する。

 

善「よっ、はっ、ほい、」

 

しかし善彦は意志のあるバイク、青山のレーザーをヒョイヒョイと避ける。

 

青「くっそー、、うっ、、お腹が、、、」

 

青山がレーザーの出し過ぎでお腹を壊し、スピードが減速した。

 

善「隙ありーー!」

 

腹を抑える青山の頭上にジャンプした善彦が襲いかかる。

青山の視界にバイクのタイヤが迫っていた。

 

青「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

耳「あそこから青山の断末魔が!」

 

上「うそだろあいつ青山倒したのか!」

 

二人がこえのした所に着くと、そこには青山の腹を前輪でグリグリする善彦がいた。

 

善「ひとり片付けましたよー」

 

耳「うっそー、、」

 

青山のやられた瞬間を建物の上で瀬呂が見ていた。

 

瀬「まじかよ佐竹にこんな個性があるとはなぁ、、」

 

上「、、!おい!あそこに瀬呂がいるぞ!」

 

瀬「ヤベッばれた!」

 

瀬呂はテープを伸ばし、その場を逃げた。

 

善「まかせろまてまてーー!」

 

ブゥゥゥゥウン!

 

調子づいた善彦はフルスピードで瀬呂を追いかける。

 

善「そこの人止まりなさーい」

 

白バイ口調の善彦がかどを曲がり、二人の視界から消えた、

 

上「あいつ俺らいなくても大丈夫なんじゃねーの?」

 

耳「たしかに、、」

 

数秒後、、、

 

善「あぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

善彦の断末魔がきこえた。

 

耳「佐竹!」

 

上「畜生あいつやられたか!?」

 

二人が大急ぎで善彦の方に向かうと、善彦が横転していた。

 

耳「どうしたー!佐竹ー!」

 

上「瀬呂にやられたかー!」

 

二人が善彦の元にかけよると、善彦はか細い声で何かを言っている。

 

善「、、、、れた、」

 

耳「おれた、、どうした!骨をやられたか!」

 

上「この状態で骨とかいう概念あるの?」

 

耳郎がよく耳をすますと、善彦の言葉がよく聞こえた。

 

善「心が、、、おれた、、、」

 

耳「キーック」

 

ガツン!

 

倒れる善彦に耳郎のローキックが入る。

 

善「あいたぁ!だってあいつ超早いんだもん!自分じゃ無理!」

 

耳「じゃあどうしろってんのよ!」

 

善「自分に乗ってくれません?」

 

善彦があっさりといった。

 

耳「え?」

 

善「だって自分バイクですもん、誰かのってくれないと調子出なくて、、」

 

耳「ええええー!無理無理無理無理!」

 

善「仕方ないじゃないですか自分バイクですもん」

 

耳「だけど!、、その座る部分あんたでいうどこの部分なのよ!」

 

善「わかんない」

 

耳「いやだぁ!気持ち悪い!」

 

上「乗ってやれよ耳郎!このままじゃ負けちまう!」

 

耳「ええ、、!うぅ、、わ、、わかったよ!乗ればいいんだろ乗れば!」

 

覚悟を決めて耳郎が善彦にまたがった。

 

善「上鳴君も乗って!」

 

上「いいの!?やったー!」

 

上鳴は大喜びで耳郎の後ろにのり、耳郎の腹に手を回す。

 

耳「うぅぅ、変なとこ触ったら殺すからな!」

 

ブゥゥゥゥウン!

 

耳郎が赤面しながらアクセルをふかす。

 

善「いよっしゃぁ!テンションマァァァックス!いくぜぇぇ!」

 

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!

 

耳「わっ!すごい風圧!」

 

上「ひゃっほう!きぃもちぃぃぃぃー!」

 

テンションがマックスになった善彦は一気に瀬呂との距離を縮める。

 

瀬「うおお!なんだありゃ!二人乗り!」

 

善「瀬呂君はっけーん!」

 

上「旗も発見したぜぇぇ!」

 

瀬「なぁんのこれしきぃぃぃ!」

 

瀬呂も負けじとテープを伸ばす。

 

耳「どうすんのよ!ビルを登らなきゃ旗は取れないよ!」

 

善「、、耳郎さん!ベルトに刺さってるガシャットを横のホルダーにいれて!」

 

耳「ええ!手ェ離して大丈夫なの!」

 

善「大丈夫!だいたいのバランスなら自分がとれるから!」

 

耳「ううう、自転車の手放しも危ういのにぃぃ!」

 

《ガッシューン》

 

ゲーマドライバーから爆走バイクのガシャットをぬくと、ベルトの隣にあるキメワザスロットホルダーにガシャットを入れた。

 

《ガシャット》

 

善「ボタンを一回おして!」

 

耳「うっさい!」

 

《キメワザ!》

 

善「そして上鳴君!電気を使ってエンジンに電気パワーを!」

 

上「了解!」

 

バチバチバチバチバチ!

 

上鳴の個性、帯電を使い、善彦のエンジンに電気のパワーを流し込む。

 

瀬「小細工したって間に合うわけないだろうが!」

 

瀬呂のテープが旗のあるビルにくっついた。

 

善「よっしゃぁぁぁ!耳郎さんボタンをもう一回!」

 

耳「だぁぁぁ!うるせぇぇ!」

 

カチッ

 

《爆走!クリティカルストライク!》

 

善「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

善彦のエンジンのマフラーから火炎が勢いよく吹き出し、ビルの壁を登った。

 

耳「うわぁぁ!上鳴!大丈夫!」

 

上「ウェ〜〜〜〜イ」

 

上鳴は電気の使いすぎで脳がショートし、アホになってしまっていた。

 

耳「うわー!こんな時にー!」

 

アホになった上鳴はヘロヘロと不安定な動きを繰り返す。

 

上「ウェ〜〜〜〜イッ!」

 

バランスを崩し、とっさに耳郎の体にしがみついた。

 

むにっ

 

上「ウェイ?」

 

さっきまでしがみついていた腹とは違う柔らかい感触、、、

 

耳郎が耳まで真っ赤になっているのをみて、上鳴は全てを察した。

 

上「あ、、、」

 

ガシッ!

 

耳郎が上鳴の服を掴む。

 

耳「どこ掴んでんだこのバカーーー!」

 

上「ウェーーーーーイ!」

 

上鳴は耳郎に全力で投げられた。

 

〜ビルの上〜

 

瀬「よいしょ、ったく、これは俺の勝ちかな?」

 

瀬呂が勝利を確信し、旗に近づいたその時だった。

 

ゥェーーーーィ

 

瀬「?」

 

変な声が聞こえ、ビルから顔をだし、耳を澄ましてみる。

 

ウェーーーーイ

 

声がだんだん近づいてくる。

 

瀬「この間抜け声、、まさか!」

 

ゴツン!

 

上・瀬「ウェイ!」

 

気付いた時には、瀬呂と上鳴の頭はぶつかっていた。

 

耳「おおうらぁぁあーー!」

 

上鳴に続いて、善彦、耳郎もビルのてっぺんについた。

 

キキィィィィィィィ!

 

耳「よいしょ」

 

耳郎はドリフトでバイクを止め、善彦から降りると旗を手に取った。

 

ピピーー!ウィナー!Cチーム!

 

オールマイトのアナウンスが鳴り響く。

 

瀬「、、、そ、そんな、、」ガクッ

 

瀬呂はそのまま目を回して気絶してしまった。

 

耳「ありがとね、佐竹」

 

善「いいえこちらこそ」

 

そして、また耳郎は善彦にまたがり、上鳴を置いてみんなの元へむかった。

 

 




書きたいものが書けてスッキリしました。

どーでもいい話ですけどバイク乗った耳郎さんってかっこいいとおもいませんか?


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コミュニケーション

大好きなのは上耳です。


耳「あんたさ、結構すごい個性持ってるじゃん」

 

皆が待っている部屋に行く道中、レベル2の善彦を押す耳郎が話しかける。

 

善「いーえ、誰かに乗ってもらわないと調子が出せないポンコツですよ」

 

耳「ふふ、ご謙遜を」

 

オ「おっと、ここでヒーローチームのご帰還だ!」

 

切「うぉぉぉぉぉぉぉ!佐竹ぇぇぇぇ!」

 

芦「すごいじゃんかそれ!私も乗せてよぉ!」

 

峰「てめー佐竹何女子乗せてんだこらー!」

 

飯「俺のエンジンとどちらが早いのだろうか、、」

 

蛙「佐竹ちゃんもすごいけど運転する耳郎ちゃんもかっこよかったわ」

 

二人が帰ってきた瞬間、みんながワッと集まってきた。

 

上「おぉ〜い、俺もいるぞぉぉぉ」

 

後からヨレヨレの上鳴が到着する。

 

葉「あ、スケベ上鳴だ」

 

芦「エロ鳴だエロ鳴」

 

上「なんだよエロ鳴って!事故だろあれは!」

 

上鳴が大声で撤回する。

 

峰「おい、上鳴上鳴」

 

峰田が上鳴を女子から遠ざける。

 

上「なんだよ峰田ぁ」

 

上鳴がしゃがむと、峰田が耳元で囁いた。

 

峰「耳郎の感触どうだった?」

 

上「え、、、結構プニプニしてた♡」

 

上鳴は一旦キョロキョロして、峰田に答える。

 

峰「えー、意外と着痩せするタイプなのかな?」

 

上「あとなあとな、あいつ結構おっぱいあっ」

 

ズビシッ、、、ドクン!!

 

上・峰「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

二人に耳郎のイヤホンジャックが襲いかかる。

 

耳「くたばれ!」

 

八「低俗、、いや、それ以下ですわね」

 

麗「やだなぁ、なんか」

 

女子の罵詈雑言

 

峰「くぅぅぅう、なんだよ!佐竹なんて1番耳郎と接触してるだろ!」

 

耳「こいつはいいんだよだってバイクだもん」

 

芦「バイクは乗り物だもんねー」

 

峰「なんだそりゃぁぁぁぁ」

 

善(フォローありがとうございます)

 

《ガッチョーン》

 

善彦はベルトのレバーを閉じ、レベル1の姿になる。

 

麗「わー!かわいいー!」

 

耳「でしょ!やばくない!?あの極道面からこれになるんだよ!」

 

芦「すごーい!これで変身するんでしょ?」

 

芦戸がベルトのガシャットに手を伸ばした。

 

《ガッシューン》

 

善「あっ」

 

芦戸がガシャットを抜いてしまい、もとの極道面に戻る。

 

騒いでいた女子達が急に静かになる。

 

耳「、、、、、、、、、」

 

麗「、、、、、、、、」

 

葉「、、、、、、、、」

 

芦「えっと、、これ返すね、、」

 

芦戸がガシャットを返すと、女子たちは申し訳なさそうな顔でその場を去った。

 

善「、、、、、、、」

 

オ「よーし!今回の授業はここまで!」

 

善「はーい、、」

 

峰「佐竹、ドンマイ、、、」

 

帰りのバスの中、善彦は一言も喋らなかった。

 

〜昼休み〜

 

善「ふぃー、飯だ飯だ」

 

善彦は学食を手に持ち、空いてる席はないかとキョロキョロする。

 

緑「おーい!佐竹くーん」

 

声のした方を向くと、そこには緑谷と飯田がいた。

 

緑谷が隣の席に呼んでいる。

 

緑「いっしょに食べよー」

 

善「うぃーっすあんがとさん」

 

善彦は緑谷の隣に座る。目の前で飯田がカレーを食べていた。

 

善彦もいっしょにオムライスをたべる。

 

飯「なぁ、佐竹君、君の個性のことなんだが少しいいかな?」

 

飯田がカレーを食べる手をとめ、善彦に話しかける。

 

善「?」(個性のことかぁ、自分でもわかんない所が結構あんだよなぁ、、)

 

飯「素朴な質問なんだが、君の個性の燃料はなんだい?俺はこの100%のオレンジジュースなんだが」

 

善「?燃料、、あーその辺の食いもんだよ」

 

答えられる質問で善彦はホッとした。

 

緑「食べ物というと、その食べ物のカロリーとかがエネルギーになるの?」

 

善「ま、そんなところかな」

 

善彦そう言いながら懐から赤いキャップの何かを取り出す。

 

飯「?なんだいそれは?」

 

善「んー?自分の燃料だよっ!」

 

飯田の質問に答えると、赤いキャップを外したそれをオムライスにぶっかけた。

 

緑「!!佐竹くんもしかしてそれって、、、」

 

善「うん、マヨネーズ」

 

飯「うっ、、オムライスといったらケチャップじゃないのか?」

 

善「いや、でもさぁ、オムライスってケチャップライスに卵乗せてまたケチャップじゃん、なぁんか味に飽きがきちゃうんだよねぇ」

 

マヨネーズを絞り終えた善彦はそれをむしゃむしゃと食べる。

 

飯田はその姿に唖然としている。

 

善「、、、、カレーにもマヨネーズって合うんだよねー」

 

飯「いや、俺は結構」

 

飯田はきっぱり断った。

 

緑(佐竹くんってマヨラーだったんだ、、)

 

善「ふー、ごっそさんじゃねー」

 

マヨネーズオムライスを完食した善彦はその場を去った。

 

飯「、、、、チャレンジしよっかな?」

 

緑「やめときな飯田君!」

 

〜放課後〜

 

今日の授業がすべて終わり、皆解放されたような顔で教室を出て行く。

 

善彦もカバンに荷物を詰め、帰ろうとした時だった。

 

芦「佐竹ー」

 

芦戸が善彦の机に近づいてくる。

 

善「なにー?」

 

芦「あのさぁ、今日の授業でバイクになってたじゃん、」

 

善「乗せてほしいと?」

 

善彦は芦戸の思っていることをすぐに言い当てた。

 

芦「そうそう!、、いいかな?」

 

善「全然いいよ」

 

芦「いいの!」

 

葉「じゃあ私もいい?」

 

麗「私も乗りたーい!」

 

切「ちょっとまて!俺も乗りてぇよ!」

 

芦戸をオーケーしたのに反応して、みんながまたまた集まってくる。

 

芦「あ、でも空いてる日でいいからさ、空いてる日連絡できるように連絡先交換しようよ」

 

麗「私も私も!」

 

切「俺もな!」

 

みんなが次々にスマホを取り出す。

 

善「あぁ、ちょっとまってて、今だすから」

 

善彦がゴソゴソとカバンをあさり、携帯を取り出す。

 

葉「あれ?佐竹くんガラケーなの?」

 

善彦が取り出したのは赤のポッチが出ている白いガラケーだった。

 

麗「えぇー、私とおんなじだ」

 

善「あ、ちょっとまってー、」

 

善彦はまた携帯を机に出した。

 

切「次はオレンジのスマホか、、なんか分厚くね?ホームボタンが横についてるし」

 

芦「というか佐竹二個持ちなの?」

 

善「うん、便利なんだよね、通話しながら調べ物できるし」

 

麗「へー、金持ちー」

 

そう言いながら善彦はまた机に何かを置いた。

 

芦「え!なに?まだもってんの?」

 

そういった芦戸が目にしたのは明らかにハンバーガーだった。

 

芦「え?なにこれ?」

 

善「携帯だよ」

 

切「嘘つけ!こんなのが携帯な訳、、」

 

切島がバッとそれをとり、パカっと開く。

 

切「!!」

 

麗「どうしたの?」

 

切「これ、、携帯だ、、、」

 

そう言いながらみんなに見せた画面にはアプリがいくつも入っていた。

 

皆「「「えええ、、」」」

 

善「これでとった写真画質いいんだよね」

 

無事にみんなと連絡先交換できた。携帯多いからすっごいめんどくさかった

 

〜校門前〜

 

善「あー疲れた」

 

初めての雄英生活、やはり体力を使う、ベルトを巻き校門を出た辺りでシャカリキスポーツを取り出そうとした時だった。

 

耳「おいーっす」

 

上「遅かったな」

 

校門前で耳郎と上鳴が待っていた。

 

善「あれ?先帰ったんじゃなかったの?」

 

耳「いや、あのー、」

 

上「またバイク乗せてもらいたくってさ」

 

二人がもじもじしながら言った。

 

善「ほぇ?」

 

耳「今日の授業でね、あの風きる感じが楽しくって」

 

上「俺ーもーあの感じくせになっちゃってさ、、」

 

善「ぜ、、全然いいよ!今変身しちゃるよ!」

 

善彦は大喜びでレベル2に変身した。

 

善「ちゃんとヘルメットしてくださいよ」

 

次はハンドルの部分に二人分のヘルメットが引っかかっている。

 

耳「ハイハイ」

 

ヘルメットを被ると、授業の時にあんなことがあったにも関わらず耳郎がハンドルを握り、上鳴が後ろに座る。

 

善「え?耳郎さん運転すんの?」

 

耳「えへへ、ちょっと、、ね?運転面白くって」

 

上「俺が運転したいって言ってもこうなんだぜ」

 

善「あはは、そうかそうか、じゃあいきますか!」

 

善彦はエンジンを吹かし、授業の時とは違う安全運転で走った。

 

耳「そういえば佐竹は体育祭に向けて準備してんの?」

 

走行中に耳郎が話しかける。

 

善「体育祭、、?」

 

善彦は帰りのHRでオールマイトが話したことを思い出した。

 

上「雄英の体育祭はどでかいからな!色々準備しとかないと赤っ恥かくぜ」

 

善「準備ねぇ、、ポーズの練習とかかなぁ、、」

 

耳「ポーズの練習?」

 

善「自分の個性はね、変身ポーズをちゃんとしないと変身できないんだよ」

 

上「あー、だから授業の時とかさっき変身前にあんなデカイアクションしてたのか」

 

善「そうなんですよねー、あと自分が変身できるのはひとつじゃないからね♪」

 

善彦は赤信号にとまる

 

耳「え?そうなの?」

 

上「まじで!見してよ!」

 

善「へへーん、体育祭の時に使う場面があったら見せてあげるよ」

 

耳「ふふっ、楽しみにしてるね」

 

信号が青に変わった。

 

上「よっしゃー!体育祭頑張るぞー!」

 

耳・善「おーーーー!」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!

 

3人の掛け声は、エンジン音と共に響いた。

 




次回は体育祭の回にします。

スーパー戦隊もその時にだす予定です。


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爆走体育祭

体育祭回です



体育祭当日、雄英の体育祭はオリンピックにも負けず劣らずのイベントである。

 

善彦はいつもより重いバッグを背負い、学校へ向かった。

 

〜1ーA控え室〜

 

入場前、やはり皆緊張しているのだろうか、空気があまり良くない。

 

芦「コスチューム着たかったなー」

 

尾「公平を期すために全員体操服なんだって」

 

そんなことはなかった。

 

しかし中には緊張しているものもいる。

 

峰「人、人、人、、ゴックン」

 

善「オロロロロロロロロロロロ!」

 

峰「佐竹てめぇ!オイラが飲み込んでんのに隣で吐くなよ!」

 

善「あぁ、、ごめんごめんゥゥゥゥエエエエレレレロロロロ」

 

峰「だから吐くなって、、ばぁぁウエエエエエエエ、、もらっちまったじゃねぇかよぉぉ、、、」

 

切「おいおい大丈夫かよお前ら」

 

二人がゲロを吐いていると控え室の扉が開く。

 

飯「さぁ、そろそろ入場だ!皆準備したまえ!」

 

善「あ、まじか、、行かなきゃ、、」

 

上「おいおい無理すんな、休んだほうがいいんじゃねぇの?」

 

上鳴がそう言いながら善彦にポカリを差し出す。

 

善「え?あぁ、、サンキュ、、、でもさぁ、ゲロ吐いてでもいかねぇと雄英生徒の名折れでしょうがよぉ、、、」

 

善彦はポカリを飲み干すと、ヨロヨロしながら控え室を出ていった。

 

耳「途中で吐かないでよねー」

 

善「うぃぃぃっす」

 

薄暗い通路を皆で歩く。

 

奥の光に近づくにつれて歓声が聞こえてくる、プレゼント・マイクのアナウンスが聞こえてくる。

 

マ「1年!A組だろぉぉぉぉ!」

 

1ーAが通路から出た瞬間、歓声が善彦の耳をつんざいた。

 

整列させられると、1年主審18禁ヒーロー『ミッドナイト』が前に立つ。

 

しかし、善彦は今緊張でそれどころではなかった。

 

ミ「選手宣誓!選手代表、1ーA爆豪勝己!」

 

爆豪がミッドナイトの前に立つ。

 

爆「、、、せんせー」

 

善(やめてくれ、周りを刺激するようなことはやめてくれ、あまり敵に回したくないんだよ他のクラスのやつを!)

 

爆「俺が一位になる」

 

案の定

 

善(おいこらぁぁぁぁ!)

 

「ヘドロ野郎ー!」

 

「おい調子乗んなやA組こらぁぁ!」

 

周りからブーイングが聞こえる。同じクラスだからこっちにも火花が飛ぶからやめてほしのに、、悪い意味で期待を裏切らない。

 

もう善彦は吐くのを抑えるのに必死でほとんどミッドナイトの話を聞いてなかった。

 

上「おいおいおいおい爆豪のやつやめてくれよな佐竹がヤバイことになってる」

 

耳「ビニール袋ならウチ持ってるよ」

 

ミ「さて運命の第1種目は、、」

 

善「え?もうやんの?早くない?」

 

善彦が情けない声をあげる。

 

そんなことは御構い無しにモニターに競技名が映し出された。

 

上「障害物競走、、、」

 

善「あっ、得意分野だ」

 

耳「回復はやっ!」

 

善彦がそれを聞いてケロリと回復する。

 

ミ「さぁ、位置につきまくりなさい」

 

善彦の後ろでガァァァァと機械音がなり、後ろを向くと、皆がもうゲートの前に立っていた。

 

善「しまった!出遅れた!」

 

ゲートには3つのランプがついており、そのうちの2つがもうついていた。

 

善「あ!ヤバヤバヤバへんし、、」

 

「スターート!」

 

善彦が変身する前にスタートし、善彦が人の波に飲まれていく。

 

善「ギャアァァァ!狭い狭い狭い狭い!小さいゲートに一気にはいんじゃねぇよ!」

 

善彦は人の波にもみくちゃにされながらゲートを出る。

 

前の方がなんだか騒がしい。

 

「さみぃ!」

 

「つめてぇ!」

 

「くそっ!動けねぇ!」

 

前方ではどうやら轟が個性を使って足場を凍らせたらしい。

 

善「、、、後ろでよかった」

 

ゲートを出て少したったら人混みがだいぶ無くなり、スペースができた。

 

善「よっしゃ短縮バージョンで!」

 

〜前方〜

 

八「甘いですわ!轟さん!」

 

爆「簡単に行かせるかよ!半分野郎!」

 

皆、轟の氷結をさまざまな方法で乗り越えていた。

 

轟「クラスの奴らは当然にしろ、、意外と残っちまったな」

 

「そーですねーーー」

 

轟「!!!?」

 

轟の隣をなにかがビュゥゥゥゥンと通り抜けた。

 

芦「あー!佐竹のやつ変身してる!しかもバイクに!」

 

峰「くっそーー!卑怯だぞー!」

 

善彦は颯爽とみんなとの距離を開けた。

 

善「へへへーん、個性の使用は禁止されてねーもーーんだ」

 

耳「そうだよーーだ」

 

上「くやしかったらここまでおいでーだ」

 

善「あれれれ!?!」

 

いつの間にか耳郎と上鳴が善彦の上に乗っていた。

 

善「なんであんたらここに乗ってんですかい!」

 

耳「えー、だって前に変身してる佐竹見つけたんだもん」

 

上「いいじゃねぇかよ、お前誰かに乗ってもらった方が調子でんだろ?ウィンウィンでいこうぜ」

 

善「うぅー、わかりましたよ」

 

善彦はしぶしぶスピードを上げた。

 

マ「おおっとバイクに変身して前にいくとはクレバーというか命知らずというかってかんじだな」

 

プレゼント・マイクが放送席でヒヒヒと笑う。

 

善「というか障害物競走っていうのに障害がないねぇ」

 

上「おい!バカ!前!前!」

 

善「え?」

 

耳「うわぁぁ!」

 

ドゴォォォォォン!!

 

目の前で何かが落ちてきた。

 

ウィーン、、「ターゲット、確認」

 

目の前にいたのはデカイロボットの集団だった。

 

耳「入試の時の0ポイント敵!」

 

「排除」

 

再びロボットがゆっくりと腕をあげる。

 

マ「ほんじゃま障害物その1と行こうじゃねーか!第1関門!その名も『ロボ・インフェルノ』!」

 

上「おいおい腕下ろしてきたぞぉぉぉぉおお!」

 

ギャルギャルギャルギャルギャル!!

 

ロボットが腕を下ろすより早く、耳郎と善彦が動いた。

 

善「ロボの数とルート確認オーケー!」

 

耳「よっしゃ!まかせろっ!」

 

耳郎は華麗なハンドルさばきで狭いロボットの間をヒョイヒョイと抜ける。

 

芦「すごぉい、耳郎ちゃん」

 

砂「どこであんな運転覚えたんだよ」

 

後から追いついた皆が唖然とそれを見ていた。

 

上「うおっとっとっと、耳郎!お前どうしたんだよ!なんだこのテクニック!」

 

上鳴が耳郎にがっしりとしがみつきながら叫んだ。

 

耳「ああん?ゲーセンにあるバイクゲームで鍛えたんだよ!」

 

地面スレスレのドリフトでロボの一撃をかわすと、そのままロボ・インフェルノを抜け出した。

 

マ「なぁんてこった!耳郎響香のバイクテクニックで第1関門を難なく突破したぁぁぁぁ!」

 

轟「くそっ、油断したか、」

 

爆「耳女、アホ面、ポンコツバイクゥ!俺の前を走んじゃねぇよこらぁ!」

 

善「後ろで怒号が聞こえる、、、」

 

耳「気にすんな、走れ」

 

善彦は言われた通り、まっすぐに進んだ。

 

 

マ「おいおい安心するのはまだ早いぜぇぇ!第2関門!『ザ・フォール』!」

 

上「おい!目の前!道がねぇぞ!」

 

善彦の目の前に広がるのは崖の数々、そして道はロープ一本、危険すぎる綱渡りである。

 

善「いくら自分でもあのロープをサーカスみたいに渡るのは無理だ!ここで降りて!」

 

耳「ふざけたこといってんじゃないよ佐竹、このまま突っ切る!」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥウン!

 

耳郎はアクセルを全開にまでふかす。速度はマックスだ。

 

善「よし!耳郎さんの考えてることわかったよ!」

 

善彦も覚悟を決めた。

 

上「あああ!バカバカバカバカ!何やってんだよ!」

 

耳「うぉらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

崖の淵の直前で耳郎がウィリーをかけ、善彦がギリギリで崖を飛んだ。

 

上「とんでるうぅぅぅ、、」

 

上鳴は電気を使ってないのにアホの顔になっていた。

 

ガシャァン!

 

耳「着地成功!」

 

バイクは次の足場に着地した。

 

マ「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!なんてクレイジーなやつらだ!ロープを渡らないで崖から崖に飛びうつったぁぁぁぁ!」

 

善「もういっちょォォ!」

 

ブゥゥゥゥウン!

 

ピョーーン

 

ガシャァン!

 

麗「うわぁ、すっごぉい、、あの3人」

 

蛙「私たちもまけてらんないわ急ぎましょ」

 

後から来た皆はそれを愕然と見ながらロープを渡っている。

 

ブゥゥゥゥウン!

 

善、耳、上「ひゃっほーーい!」

 

ガシャァン!

 

マ「おおおおい!第2関門もなんなくクリアってかぁぁ!?恐ろしい!恐ろしいぞイレイザー!お前のクラス!」

 

相「うるせぇ」

 

善彦達は第2関門を抜け、先に進む。

 

上「このまま一位確実じゃん!」

 

耳「あぁ!このまま突っ走るぞ!佐竹!」

 

善「あいよぉぉぉぉぉ!」

 

3人が笑いながら走っていたその時だった。

 

カチッ

 

善「へ?」

 

ドカァァァァン!

 

善「ギャァァァァス!」

 

上「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

耳「うわぁぁ!」

 

突然足場が爆発した。

 

マ「おおおっとここで立ち止まったぁぁ!やはりここは鬼門か!第3関門!『怒りのアフガン』だーー!」

 

善彦がよく地面を見てみると、凹凸がいくつもある、あれが地雷なんだろう。

 

善「チクショー、これじゃ進まないぃぃ、」

 

上「爆発する前に走ることはできねぇのかよ!」

 

善「無理だよ、前輪で踏んで爆発するんだから逃げられないよ、、」

 

そんなことを話していると後ろから声が聞こえる。

 

爆「はっはーーー!俺に爆発なんざカンケーーねぇーーー!」

 

爆豪が個性の爆破を使い、空を飛びながら善彦達を抜いた。

 

後からきた選手も地雷平原を注意しながら進む。

 

上「チクショォォ、俺らの一位はなしかぁぁぁぁ、」

 

耳「何いってんだよ上鳴、、まだ勝機はある、、」

 

上「はぁ!?」

 

耳「佐竹、ウチの考えてることわかる?」

 

耳郎が横転している善彦に話し掛ける。

 

佐「え?、、、、!わかった、それにかけるよ」

 

善彦は耳郎の目を見てそれを理解した。

 

上「は?え?なになに?」

 

耳「いいから乗って!」

 

耳郎と上鳴が善彦に乗ると、善彦は地面平原から距離を開ける。

 

耳「準備はいい?」

 

《ガッシューン》

 

《ガッシャット!キメワザ!》

 

耳郎はベルトから爆走バイクを抜き、ホルダーに刺す。

 

耳「上鳴!電力をエンジンに!」

 

上「え?わ、わかった!」

 

上鳴は前の授業と同じように個性の帯電で善彦のエンジンにパワーを送る。

 

善「よおぉぉおし!行くぞぉぉぉぉ!」

 

善彦がウィリーしながら地雷平原に向かって走る。

 

上「おいおいさっきと同じになんねぇだろうな!」

 

耳「うるさい!」

 

ウィリーの角度がだんだん下がっていく。そして45度近くにになった瞬間にホルダーのスイッチを再び押した。

 

《爆走!クリティカルストライク!》

 

善「だりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

マフラーからロケットのような炎が噴射される。後輪だけついていたバイクはミサイルのように角度をつけて飛んで行った。

 

飯「!なんだあれは!」

 

切「すっげー!バイクが空飛んでるぞ!」

 

みんなの動きが止まり、善彦達に視線が向けられる。

 

マ「あぁぁぁぁっとなんだぁ!角度をつけて炎を噴射し、ミサイルのように飛んでいったー!地雷を踏まずに空を飛ぶ!なんてやつらだぁぁぁぁ!」

 

相「お前それしかいってねぇな」

 

マ「シヴィーーーーー!」

 

善「必殺ミサイルバイクと名付けるかな」

 

耳「あまり喋んなよ、着地する時舌噛むからね」

 

ガッシャァァァァン!

 

崖の時とは比べ物にならないほどの音を出して善彦が着地する。

 

上「よーし!このまま行ってやるか」

 

ドガァァァァァァァン!

 

上鳴が全部言い切ろうとした時、後ろで爆音がした。

 

善「ふぇ?」

 

空に何かがとんで目の前に落下する。

 

緑「いてててて、よいしょ、、」

 

タッタッタッタッ

 

緑谷が地雷の大爆発を利用して、一気に前に出たのだ。

 

耳「、、、、はっ!バカバカバカバカ!なにとまってんのよ!早く追いかけて!」

 

善「あっ!しまったぁぁぁぁ!」

 

唖然と止まっていた善彦はすぐに緑谷を追いかける。

 

緑谷との距離はだいぶ離れてしまっていた。

 

上「まてぇぇぇ!緑谷ぁぁぁぁ!」

 

緑「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

後ろから追いかけてきたバイクに緑谷は全力で逃げる。

 

耳「くっそぉぉぉまさか緑谷がっ、、!」

 

善「さっきの爆走でだいぶ体力使っちゃったよぉぉぉ、」

 

善彦のスピードがだんだん落ちていく。

 

耳「ちょっと!佐竹!がんばって!」

 

耳郎がバシバシと叩いて最速する。

 

善「そんなことをいっても、、」

 

マ「ゴォォォォォォォル!」

 

善、耳、上「ええぇ?」

 

3人がわちゃわちゃしている間に、緑谷がゴールしてしまった。

 

耳「、、、そんな、、、」

 

善「ばかなぁぁ、、、」

 

上「ウ、ウェ〜〜〜イ、、」

 

マ「緑谷につづいて、佐竹、耳郎、上鳴もゴールだぁぁぁ!」

 

3人は上位にもかかわらず、燃え尽きた表情でゴールした。

 

障害物競走順位

 

一位 緑谷出久

 

二位佐竹善彦

 

三位耳郎響香

 

四位上鳴電気

 

※バイクは善彦なので、善彦は二位、運転手だった耳郎は三位、後ろに乗っていた上鳴は四位です。

 

 




次は騎馬戦、波乱を起こします


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ギリギリの騎馬戦

騎馬戦回です


障害物競走が終わり、集められた42人は次の種目騎馬戦への出場権が得られ、15分間の騎馬を決めるための交渉タイムが設けられた。

 

耳「よーし、あんたらは当然ウチと組むで、、あれ?」

 

さっきまで後ろにいた善彦と上鳴りが忽然といなくなっていた。

 

耳「え?おーい!お前らどこいったー!」

 

耳郎が当たりを見回しても、二人の姿はない。完全に置いていかれたようだ。

 

 

〜善彦side〜

 

善(一位の緑谷は1000万の得点が付いている、クレバーに考えてそっちに行くことは死を意味するだろうね)

 

バイクの姿の善彦は勝てるであろう相手をキョロキョロ探していた。

 

善「あ、、」

 

切「おっ」

 

同じく相手を探していた切島とばったり対面した。

 

そして切島の後ろには爆豪が大人数に交渉されている。

 

善「、、、、虎穴に入らずんば虎子を得ずって言葉しってる?切島きゅん?」

 

切「知ってるぜぇ、、」

 

そして交渉の15分が過ぎた。

 

マ「遂に、フィールド内に12組の騎馬が出揃ったぞ!」

 

相「、、、なんだあれ?」

 

ブロロロロロロロロロロロロロロ、、、

 

騎馬戦のフィールドにエンジン音が響きわたる。

 

マ「おおっとぉ!なんだ!誰だ!誰なんだ!騎馬戦に!この騎馬戦に!暴走族を入れたやつはぁぁぁぁぁ!」

 

耳「あいつ、、嘘でしょぉ?」

 

耳郎がエンジン音のする方向をみると、そこにはあり得ない騎馬が立っていた。

 

爆「おいこらぁ!だぁれが暴走族だこのやろぉ!」

 

切「おい爆豪暴れんなよ」

 

瀬「そうだよ!俺ギリギリなんだから!もうちょいで落ちそうなんだってば!」

 

善「あははははにぎやかだ」

 

バイクの善彦に切島、爆豪、瀬呂の順番で乗っていた。

 

通常二人乗りのバイクに無理やり3人乗っているので瀬呂は爆豪にしがみついて落ちないようにしている。

 

緑「うわぁ、かっちゃんえげつないのに乗っちゃってるよぉ、、」

 

マ「こいつはおもしろくなりそうだ!残虐バトルロイヤル!カウントダウン!」

 

切「いくぜ!佐竹!」

 

マ「3!」

 

爆「完膚なきまでの一位だ、、、」

 

マ「2!」

 

瀬「俺落ちねぇかなぁ、、、」

 

マ「1!」

 

善「よぅし、みんなちゃんとつかまっててね!」

 

マ「スタートォォ!」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥウン!

 

切「いょっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

スタートと同時に切島がウィリーで走り出した。

 

瀬「おおい!ばかばか!削れる!俺削れる!」

 

「うぉぉ!」

 

「あっぶな!」

 

「なんだなんだ!」

 

爆走する善彦に皆避ける。

 

「ちくしょー、A組めちゃくちゃかよ、、あれ!ハチマキがない!」

 

「私も!」

 

「俺もだ!」

 

爆「っははー!雑魚どもが!ビビってんじゃねーよバァーカ!」

 

爆豪がすれ違った騎馬のハチマキを全部取っていた。

 

善「っへへーんだ、バイクが猛スピードで迫ってきて避けないやつなんていないでしょうからね、しかもみんなビビって隙だらけだもん」

 

緑「うわわわ、あんなのにがきたらおしまいだよ」

 

「全員ひけー!」

 

それを見て他の騎馬が善彦と距離を置いた。

 

爆「逃げてんじゃねぇよ、、、しょう油顔!」

 

瀬「瀬呂なっと!」

 

爆豪が呼ぶと、瀬呂がテープを爆豪の足にぐるぐる巻きに巻きつける。

 

爆「いくぞ!爆速ターボ!」

 

ドカァァァァン!

 

爆豪が爆発で空を飛び、一番近い葉隠の騎馬と距離を縮めた。

 

葉「うわぁぁ!こっちきた!」

 

そこには耳郎もいる。

 

耳「ウチに任せて!」

 

耳郎が爆豪にイヤホンジャックを伸ばした。

 

善「瀬呂くん!」

 

瀬「あいよっ!」

 

ギャルルルルルルル!

 

善彦の合図で瀬呂が肘のテープを巻き戻すと、耳郎のイヤホンジャックを避けて爆豪が善彦のとこに戻る。

 

砂「なんだあれ!釣りのルアーみてぇ!」

 

爆「誰がルアーだ!」

 

善「あっちはめんどそうだ、他のやつを狙おう」

 

切「おおよ!」

 

爆豪を乗せると、切島がUターンした。

 

耳「佐竹、、、、」

 

切島に運転されている善彦を見て、耳郎は唇を噛み締めた。

 

爆「おいこらぁ!なに逃げてんだよ!このクソ髪!ポンコツバイク!」

 

爆豪が切島の頭をコンコン叩く。

 

善「あっ、前方に緑谷くんはっけーん」

 

爆「なにぃ!」

 

爆豪が反応して前を見ると、目の前に1000万ポイントを持っている緑谷がいた。

 

爆「デェェェェェクゥゥゥゥゥ!」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウン!

 

爆豪が緑谷を見つけた瞬間、爆豪が無理やりアクセルをひねって猛スピードで緑谷に向かって前進した。

 

切「ばっ!おまえ!あぶねぇよ爆豪!」

 

爆「ウルセェェェ!いけぇぇぇぇ!」

 

緑「うわぁぁ!こっちきたぁ!」

 

発目「任せてください!私のドッ可愛いベイビーに!」

 

ブワァァ!

 

瀬「飛んだ!」

 

サポート科の発目明のメカで緑谷の騎馬が空を飛んだ。

 

爆「くそが!テープはいらねぇ!俺がいくぅ!」

 

ドカァァァァン!

 

爆豪がテープなしで緑谷の方へ飛んで行った。

 

瀬「あー!行っちゃった!」

 

善「あの高さから落ちてきたら横転必死だね、切島くん!」

 

切「おおよ!」

 

善彦が呼ぶと切島がホルダーからガシャットを抜き出し、起動させる。

 

《ギリギリチャンバラ!》

 

切「えーと、ベルトを閉じて、刺して、また開くっ!」

 

善「3速!」

 

《ガッチャーン!レベルアップ!》

 

切「降りろ!瀬呂!」

 

瀬「お、おお!」

 

切島が善彦から降りると、瀬呂も共に降りた。

 

《爆走バイク!アガッチャ!ギリギリ!ギリギリ!チャンバラ〜!》

 

善「よっしゃー!人型だぁぁ!」

 

ギリギリチャンバラを使った善彦はレベル3の人型になった。

 

マ「おおっと!バイクがサムライに変身したぁぁぁ!ホントおもしれぇな!イレイザー!」

 

相「うるさい、俺にふるな」

 

上「ええ!おまえ人型にもなれたのかよ!」

 

轟の騎馬になった上鳴がそれを見て驚く。

 

飯「何よそ見してるんだ!目の前の戦いに集中したまえ!」

 

上「あぁ、ごめんごめん」

 

轟の騎馬は善彦の逆方向へ走っていった。

 

耳「上鳴まで、、、」

 

轟の騎馬になった上鳴をみて、耳郎は表情が曇る。

 

葉「耳郎ちゃん?」

 

耳「ん?えぇああごめん!なんでもない、ウチらも行こう」

 

耳郎の騎馬も善彦とは逆の方向へと走った。

 

善「みんな、早く騎馬つくって」

 

善彦が前に立ち、切島と瀬呂がセカセカと騎馬を作ると、なにも持ってない爆豪が騎馬に着地した。

 

爆「ちくしょう!クソデクが!」

 

善「仕方ないよ、はやくいこ、、」

 

?「隙だらけだよ」

 

バシッ!

 

切「あっ!」

 

何ものかにハチマキを数本取られた。

 

物間「あれあれぇ?僕らB組に隙をつかれちゃった?A組のほうが優秀なはずなのにねぇ?」

 

ハチマキを取った1年B組の物間寧人が嫌味ったらしく爆豪の前に立ち、ヘラヘラと笑った。

 

物「確か君、あのヘドロ事件の被害者だよね?あの時の感想聞かせてほしいなぁ、、」

 

ブチッ

 

爆「なんだとコラァァァァ!」

 

ドカァァァァン!

 

物間の一言に爆豪がブチギレて物間に爆破を食らわせた。

 

物「ふっ!」

 

ドカァァァァン!

 

物間も爆破も食らわせ、クロスカウンターの形になった。

 

切「お前も個性だだ被りかよ!」

 

爆「くそがぁぁぁぁ!」

 

ドカァァァン

 

次の爆豪の一撃が物間に当たる。

 

物「ふふっ、やっぱりいい個性だね」

 

善「あれれ!次は硬くなってる!」

 

物間は爆破を硬くなった腕で防いだ。

 

物「僕の個性はコピー、触れた相手の個性を五分間あいだ使えるのさ」

 

さっき使ったのは、切島の硬化だ。

 

瀬「なんじゃそりゃ!」

 

爆「関係ねぇぇぇぇ!」

 

爆豪はそんなことお構いなしに爆破攻撃をするが、硬化で塞がれる。

 

物「無駄なんだよ!」

 

バシッ!

 

物間が爆豪のハチマキを取った。

 

爆「ちぃぃぃ!」

 

物間の騎馬が爆豪の騎馬と距離をとる。

 

物「そろそろ時間もなくなってきた、、最後は、君の個性を使って逃げさせてもらうよ」

 

物間が善彦のことを指さしてヘラヘラと笑う。

 

善「え?」

 

切「おい!まずいぞ!佐竹の個性がマネされたら勝機がなくなる!」

 

瀬「バイクに変身されたらやばい!はやく止めろ!」

 

物「もう遅い!確かこう言ってたよな!変身!二速!」

 

爆豪の騎馬が物間に近づく前に、物間が大きく腕を広げて叫んだ。

 

切「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

、、、、、、、、、、、、、、

 

物「あれ?」

 

物間の体はうんともすんとも言わない。

 

円場「どうした?物間?」

 

物「あれれ?おかしいな、、変身!、へぇんしん!へん!しん!」

 

物間が何度も叫んで何かとポーズを決めても、物間の姿は変わらない。

 

物「おかしいぞ、、確かにあいつに触れたはずなのに、、」

 

善「隙ありやっほーーい」

 

ガシッ!

 

ブゥゥゥゥウン

 

物間がポカンとしている間にレベル2に戻った善彦が物間の隣を走り、爆豪がハチマキをすれ違いざまに全部取っていった。

 

物「あぁあ!」

 

気付いた時には善彦達は遠くに行っていた。

 

切「どういうことだ?佐竹?」

 

善「ええ?自分の個性はね、ベルトを付けて、正しい変身ポーズをした上で変身って言わないと変身できないんだよ、」

 

瀬「つまりあいつは間違いだらけってことか」

 

善「そ、変身って叫びまくった、ただの恥ずいやつになったってことだね」

 

爆「フハハハハハハ!ざまぁ!」

 

物「そ、、、そんな、、、」

 

物間は赤面してその場から動けなかった。

 

マ「タイムアーーップ!爆豪チーム、逆転勝利ィィィ!上位4位の中に食い込んだぁぁぁあ!」

 

善「自分らは二位ですね」

 

爆「クソが!一位はあの半分野郎かよ!」

 

とにかく、善彦達は最終種目へのキップを手に入れた。

 

マ「それでは1時間ほどの昼休憩を入れてから午後の部を始めるぜ!じゃあな!」

 




次はトーナメント回、お待ちかねの戦隊を出します。


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絆のために立つ男

ついに戦隊がでます
トーナメント回です


昼の1時間休憩、善彦と上鳴は共に昼食を食べていた。

 

善「すごいねー上鳴きゅん、騎馬戦すごかったよー」

 

善彦がオムライスをモサモサ食べながら話しかける。

 

上「いぃや、佐竹のほうがすげぇよ、爆豪と組むなんて考えねーよ普通」

 

上鳴もそう言いながら学食のラーメンをすすった。

 

耳「おーっす、隣いい?」

 

善「?どうぞ」

 

なぜかチアガールの格好をした耳郎が明るい顔をして善彦の隣に座った。

 

耳「二人とも騎馬戦すごかったね次のステージ進出おめでとう」

 

上「お、、おう、ありがとう、なんからしくねーな耳郎」

 

なんだか耳郎がいつもと違い穏やかである。

 

耳「そういえば佐竹マヨラーなんだって?かけたげるよ」

 

耳郎が善彦のオムライスにマヨネーズを適量絞った。

 

善「わーい、ありがとうございまーす」

 

ガシッ

 

善彦の後頭部を誰かに掴まれる。

 

善「えっ?なんd」

 

ガッシャァァァン!!

 

上「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

善彦の顔面がオムライスに叩きつけられた。

 

耳「ほーれ、たぁんとお食べよぉぉぉぉ」

 

グリグリグリグリ

 

耳郎は善彦の頭を掴んで離さない、それどころかグリグリとより強く押さえつけている。

 

上「おい!耳郎何してんだよ!佐竹をはなせ」

 

スパァァァァァァン!

 

耳「うるさいばか!」

 

上「へぼぉ!」

 

耳郎のビンタで上鳴が吹っ飛ぶ。

 

耳「お前らなんか、おまえらなんか、、惨めにやられちゃえ!バーーーーカ!!」

 

善彦の頭を離した耳郎は、涙目になってその場を離れた。

 

善「な、、なにが、、おき、て、、」

 

善彦がオムライスから顔を上げる、顔面マヨまみれだ。

 

上「しらねぇよ、なんであんなにキレてんだ?あいつ」

 

頬に真っ赤な手形がついた顔をさすりながら立ち上がった。

 

蛙「怒ってるのよ、騎馬戦のこと」

 

善「ふぇ?」

 

後ろをむくと、チアガールの格好をしていた蛙吹がその場に立っていた。

 

上「騎馬戦?」

 

葉「耳郎ちゃん、あなた達と騎馬戦出たかったんだって」

 

蛙吹の後ろから葉隠も透明で見えないけれど、顔を出して言った。

 

善「え?そうなの?」

 

葉「騎馬戦の時、上鳴くんと佐竹くんのこと見てた耳郎ちゃんの顔、すごく悲しそうだった、もしかしたら耳郎ちゃん障害物競走の時みたいに、3人でやりたかったんだと思う」

 

上「そんなこといっても、、」

 

蛙「一言を言わずにその場を去って他のところにいったら誰だって感じ悪く思っちゃうわ、しかもあんな協力した後に」

 

善「うううぅ、、、」

 

善彦と上鳴は言葉が出ない。

 

蛙「とにかく、耳郎ちゃんに許してほしかったら、それ相応の誠意を見せなきゃいけないわね」

 

そう言い捨てると、蛙吹と葉隠はその場を去った。

 

上「おい、そろそろ時間だ行こうぜ」

 

善「う、うん、、」

 

善彦は複雑な心境のまま、上鳴についていった。

 

マ「さぁ!一人寂しく昼飯食ってた俺だが!気を取り直して午後の部開始だぜぇぇぇぇ!」

 

耳「、、、、」

 

マイクの声が響いているステージの通路の階段で、耳郎は座ってうつむいていた。

 

蛙「耳郎ちゃん」

 

うつむいている耳郎に蛙吹が話しかける。

 

耳「梅雨ちゃん、、、」

 

蛙「あの二人ずいぶん反省したみたいよ、今外にいったわ」

 

耳「あんなやつら、、知らないよ、」

 

耳郎の目がだんだん潤む。

 

耳「あんな、、、やつ、、ら、、うえええ〜〜ん梅雨ちゃぁん」

 

耳郎は蛙吹の胸に泣きついた。

 

耳「あいつら、頑張るぞっていったのに、、いっしょにがんばったのに、、コロっと相手かえて、、、うえ〜ん、バカみなり〜、ポンコツバイクゥゥゥゥ」

 

耳郎は蛙吹に抱きついてワンワン泣いた。

 

蛙吹は耳郎の頭を優しく撫でる。

 

蛙「、、通路であの二人とすれ違ったけど、覚悟を決めた目をしていたわ、耳郎ちゃん、応援してあげてね」

 

耳「グスッ、、、うん、、」

 

耳郎は涙を拭った。

 

蛙「たしかもう少しで上鳴ちゃんの試合よ、さ、見に行きましょ」

 

そして今、上鳴と塩崎茨の試合がちょうど始まろうとしていた。

 

上(、、やっぱりいねぇか)

 

上鳴は辺りを見回すが、耳郎の姿はない。

 

マ「それじゃあいくぜ!スタート!」

 

マイクの声で試合が始まった。

 

上「ちっ!やるしかねぇか!」

 

耳「上鳴!」

 

上「!!」

 

上鳴がとっさに声のした方を向くと、そこにはチアガールの姿の耳郎が立っていた。

 

耳「気張っていけー!上鳴ー!」

 

耳郎が身を乗り出して上鳴を応援する。

 

上「くっ、、あいつ、、」

 

上鳴は潤んだ目をぬぐい、前を向いた。

 

上「おいあんた、この試合、ちゃっちゃと終わらせるからな」

 

上鳴の手から電気が走る。

 

塩「!」

 

塩崎も構える。

 

上(見てろよ!耳郎!)「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

上鳴は最大出力の電気を放出した。

 

〜数秒後〜

 

上「ウェイ、、、、」

 

マ「瞬殺!あえてもう一度言おう!瞬殺!」

 

上鳴は、塩崎のツルに縛られて動けなくなっていた。

 

耳「、、、、、、、」

 

善「、、、、、、」

 

耳・善「はえぇーよばかーーーー!」

 

これで、上鳴の出番は終了した。

 

善「何やってんだよ上鳴きゅん、、、、」

 

それを見ていた善彦はそれしか言葉が出なかった。

 

そして次は善彦の番である。対戦相手は八百万百

 

善「これは自分けっこうプレッシャーかな、、、」

 

善彦はそういうと、何かをポケットに入れて、ステージに向かった。

 

控え室のテーブルにはゲーマドライバーが置いてある。

 

マ「よぉおぉぉし!次の選手だ!万能創造!ダイナマイツボディ!ヒーロー科!八百万百!」

 

八「ダイナマイツボディ、、、」

 

マ「バーサス!爆走ハチャメチャバイクボーイ!ヒーロー科!佐竹善彦ぉぉ!」

 

耳「いけぇぇぇ!佐竹ぇぇぇぇ!絶対負けんなぁぁぁ!」

 

耳郎が身を乗り出して上鳴の時よりもデカイ声をだす。

 

相「ん?あいつベルトしてねぇな?」

 

相澤先生が善彦の異変に気付いた。

 

マ「おろ?本当だ!どうした佐竹選手!スデゴロで行くのか?」

 

善「んなわけあるかってんだ」

 

善彦はポケットから何かを取り出した。

 

八「!きますわね、、」

 

八百万が個性の創造で剣と盾を造った。

 

善「ううっし、いくぜ!エマージェンシー!」

 

ババッ!

 

耳「仮面ライダーじゃない?」

 

善「デカマスター!!」

 

ポーズを完璧にとった善彦は、マスターライセンスを開いた。

 

相「佐竹善彦の要請から、マスターライセンスが開くとともに、デカベースから形状記憶宇宙金属デカメタルが転送される、そして、超微粒子状に変換されたデカメタルが佐竹の全身を包み、変身完了するのだ」

 

マ「どうしたイレイザー?」

 

相「わからん、口が勝手に、、、」

 

善「フェイスオン!」

 

八「いつもとは違う姿で勝負というわけですね」

 

八百万の目の前には、仮面ライダーではない善彦が立っていた。

 

善「百鬼夜行をぶった斬る!地獄の番犬!デカマスター!」

 

善彦はバッチリと名乗りも決めた。

 

善「Dソードベガ!」

 

Dソードベガを腰からぬき、封印を解除すると、黒ずんでいた刃が美しく光る。

 

八「では参りますわ!」

 

八百万が剣を構えて迫ってくる。

 

八「隙だらけですわ!」

 

八百万の剣が善彦に一撃与えようとした時だった。

 

ザンッ!

 

八「え、、、」

 

八百万の剣の先が宙にまう。

 

善「銀河一刀流の剣技、、とくと見よ!」

 

八百万の剣がDソードベガに斬られ段々と短くなっていく。

 

八(くっ!やはり接近戦は不利!)

 

八「はぁ!」

 

ガインッ!

 

善「うおっ!」

 

八百万は盾を善彦に投げ、距離を取った。

 

八「ここは遠距離で!」

 

八百万が腕を振ると、手裏剣が善彦に飛んでいく。

 

善「なんのぉぉぉ!」

 

善彦は投げられた手裏剣を全て叩き落とす。

 

八「やはり叩き落としますか!」

 

八百万は続いて手裏剣と共に鉄球を善彦になげた。

 

善「はぁ!」

 

善彦が鉄球を斬ると、鉄球から煙が出てきた。

 

善「くそう!煙幕か、、、」

 

善彦の視界が真っ白になる。

 

善「こういう時こそ、デカマスターになりきれ、、、」

 

善彦は焦らず、静かに気配を探す。

 

耳で、鼻で、相手を探し、静かに神経を研ぎ澄ませた。

 

善「、、、、、、、、!!いまだ!」

 

善彦が後ろを向くと、そこには槍を食らわせる直前の八百万がいた。

 

八「遅いですわ!はぁぁぁぁぁ!」

 

善「うぉぉぉぉぉぁ!ベガスラァァァァァァッシュ!」

 

ガキィィィィィィン!!

 

互いの武器がぶつかる音と共に、煙幕が晴れた。

 

マ「おお!煙幕が晴れてスタジアムの様子がはっきりと見えるようになったぞぉ!」

 

煙幕が晴れたスタジアムには、八百万と善彦が互いに背中を向けた状態で立っていた。

 

善「うっ、、」

 

善彦の体がよろける。

 

マ「おおっと!どうした!」

 

が、次の瞬間

 

八「!」

 

八百万の槍がバラバラになり、地面に落ちる。

 

それと同時に、八百万のポニーテールを止めていたヘアゴムが切れ、美しい黒髪が広がった。

 

八百万が膝から崩れ落ちる。

 

八「くっ、まだま」

 

シャキン

 

八「あ、、、」

 

立ち上がろうとした八百万に、Dソードベガが向けられる。

 

善「悪いけど、降参してもられると嬉しいかな、、貴女には、デリートの許可は出ていない」

 

そう言って八百万に見せたマスターライセンスには、◯が映っていた。

 

八「、、、、、ふふっ、おかしな方、確かにこのまま戦っても、無駄なのはわかってますわ」

 

八百万が微笑みながら手を挙げる。

 

八「降参、参りましたわ」

 

ミ「八百万さん降参!勝者!佐竹くん!二回戦進出!」

 

ミッドナイトにより、善彦の勝利が伝えられた。

 

マ「うおおおおおおお!ハードボイルド!女性を傷つけずに降伏させた!佐竹善彦!文句なしの二回戦進出ぅぅぅぅ!」

 

ワァァァァァ!

 

湧き上がる歓声の中、変身を解除した善彦は何も言わずにステージを去る。

 

峰「ふざけんなよ佐竹ー!どうせスパーンとやるんだったら服だけスパーンといけよなぁ!」

 

善彦が去った後、峰田が大声でぼやく。

 

峰「オイラだったら服だけスパーンっていくぜ、服だけ」

 

スパーーーン

 

峰「あれ?」

 

峰田の服がスパーンと弾け飛ぶ。

 

耳「ひゃぁぁぁぁ!」

 

蛙「ケロッ」

 

蛙吹が舌で耳郎の目を隠す。

 

善「峰田実、貴様に対してはデリート許可は下りている」

 

峰田の後ろに立っていた善彦が、ライセンスの×を峰田に見せ、その場を去った。

 

峰「そ、そんな、、」

 

全裸になった峰田がその場に崩れ落ちる。

 

障子「早く着替えてこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次も戦隊を出します


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光と黒の侍

トーナメント回その二です


八百万との試合が終わり、善彦は控え室のパイプ椅子に腰掛ける。

 

善「はぁぁよかった、デカマスター使えたぁぁ」

 

善彦は椅子に座ると共に大きく息を吐いた。

 

善「ええと、次の相手は〜だれだっけなぁ〜」

 

善彦は、控え室に置いてあったトーナメント表に目を向ける。

 

爆豪vs麗日 爆豪の勝利

 

切島vs鉄哲 切島の勝利

 

常闇vs青山 常闇の勝利

 

佐竹vs八百万 佐竹の勝利

 

善「次は常闇くんかぁ、、、」

 

善彦は次の相手を確認すると、ロッカーにあるバッグをゴソゴソと漁った。

 

善「よし、これでいくか」

 

次のアイテムを持った善彦は、それをポケットに入れて、スタジアムに向かった。

 

マ「よぅし!じゃあ次の選手のにいくぜ!黒影を操りし黒き侍!ヒーロー科!常闇踏陰!」

 

常「、、、、、」

 

マ「バーサス!バイクに変身!デカに変身!驚かせることしかしてねぇな!ヒーロー科!佐竹善彦ぉぉ!」

 

善「雑じゃね?」

 

マ「それじゃあいくぜ!スタートォォ!」

 

湧き上がる歓声の中、試合が始まった。

 

善「驚かせることしかしてねぇか、、間違っていねぇけどなぁ!」

 

善彦はポケットから白い携帯と赤いディスクを取り出した。

 

常「また違う姿に変身するか、、、黒影!」

 

黒「アイヨ!」

 

常闇は黒影を出し、構える。

 

善「にしし、、ご刮目」

 

善彦は携帯を開く。

 

葉「あれ?あのケータイあの時見せたガラケーじゃない?」

 

観客席の葉隠がそれに気づいた。

 

麗「本当だ、何に変身するんだろ?」

 

麗日はそれをワクワクしながら見る。

 

善「ちょっと恥ずいんだけどね、、スシチェンジャー!スシディスク!」

 

パタンッ

 

《イラッシャイ!》

 

善彦はスシディスクを畳むと、スシチェンジャーの光と書いてあるボタンを押す、すると音声と共に、三味線の音楽がスタジアムに響く。

 

マ「おおお?これは何だか今までと違って賑やかじゃあねぇの?」

 

善「一貫献上!」

 

左手のスシディスクを右手のスシチェンジャーに乗せ、それを前に出すと、善彦の体が光に包まれた。

 

黒「ヒャン!」

 

常「くっ!黒影!」

 

善彦の光に黒影が怯んだ。

 

峰「おお?なんだあの姿?」

 

光が弱くなり、徐々に善彦の姿が見えてきた。

 

常「これは、、、光、、なるほど、面白いな本当にお前は、、」

 

常闇の視界に映った善彦は、顔に光の文字が書かれた金色の侍に変身していた。

 

麗「ええー!お寿司ケータイからお侍さんになった!」

 

善彦の姿に皆また驚く。

 

善「シンケンゴールド!佐竹善彦ぉ!」

 

善彦は腰のサカナマルを取り、ポーズを決めた。

 

マ「ハハハハハ!おもしれぇな!黒き侍に対して金色の光の侍か!こいつぁ面白くなりそうだ!」

 

常「変身は終わったようだな、ではこちらから行くぞ!」

 

黒「コケオドシガァー!」

 

黒影が善彦に向かってきた。

 

善「ほれぇ!」

 

ガキィィィィィィン!

 

黒影の拳とサカナマルが激突し、火花を散らす。

 

黒「ウオットット、、オラオラァァ!」

 

善「なんのぉぉぉ!」

 

黒影と善彦の高速の攻防が始まった。

 

マ「おおおぉ、こいつぁ高速っつーか光速って感じだな」

 

相「同じ読み方だからわかんねぇよ」

 

善(やっぱり強いな、、だけど!)

 

善彦がサカナマルを傾けて太陽光を反射させる。

 

ピカッ!

 

黒「ヒャン!」

 

善「自分の方が上なんだよねぇ!」

 

黒「ウギャアァ!」

 

善彦はサカナマルで黒影を斬りあげ、一気に常闇に近づいた。

 

常「くそっ!」

 

善「ちょっと眠っててもらうぜぇぇ!」

 

サカナマルを回転させ、峰の方で常闇の腹に一撃あたえる時。

 

ガキン!

 

善「なにっ!」

 

サカナマルが黒影の手で止められた。

 

常「あまりオレの黒影をなめてもらっちゃあ困るな、、」

 

黒「ウリャァァァ!」

 

善彦が黒影に投げられる。

 

善「げ!やばい!」

 

善彦の視界に、場外とを区切る白線が見えた。

 

善「おるぁぁ!」

 

ガリガリガリガリガリガリガリガリ!

 

善彦はサカナマルを地面に刺し、スピードを減速させて場外を免れた。

 

常「ふん、ギリギリセーフだな、、」

 

常闇は変わらずその場を動かない。

 

善「ったく、、これじゃあタイマンなのか2対1なのかわかんねぇや」

 

善彦が白線を踏まないようにゆっくりと立ち上がった。

 

常「ふっ、本当だな!」

 

黒「ソノ通リダナ!」

 

黒影が善彦に襲いかかってくる。

 

善「まぁ、こっちもなんだけどね!」

 

バッ!

 

善彦がその場にしゃがむと、善彦の後ろから何かが飛んでくる。

 

黒「ウワッ!ナンダナンダ!」

 

黒影はそれを防御しながら後ろに下がった。

 

善「よっしゃあ、ギリギリセーフ」

 

善彦は後ろのそれを手に取った。

 

常「一体なんだあれは?、、提灯?」

 

善彦が手に取ったのは、侍の文字が大きく書かれた赤い提灯だった。

 

?「てやんでぃ!てやんでぃ!なに情けない姿見せたんだよ!」

 

常「!!!」

 

そして突然その提灯が喋りだす。

 

善「ごめんごめん、でも助かったよダイゴヨウ」

 

ダ「てやんでぃバーロー!なに言ってんだ、ピンチになったらいつでも駆けつけたらぁい!」

 

善彦がダイゴヨウと呼んだそれは、善彦を引っ張って前に出た。

 

常「なんだ、それは一体、、」

 

善「ん?こいつぁな、自分の相棒のダイゴヨウってんだあんたの黒影みたいなもんだよ」

 

常「なにぃ、、」

 

常闇が少し後ずさりした。

 

マ「おおっと、佐竹選手新しい武器を取り出したぁ!これはありなのかぁ?」

 

相「個性で出したんなら何ら問題ねぇだろう」

 

善「よぅし、それでは第2ラウンドといくか!」

 

善彦の右手には、サカナマルではなく十手が握られていた。

 

黒「チクショウ!オレヲコンナヘンチクリント一緒ニスルナー!」

 

黒影が襲いかかってくる。

 

ダ「御用だ!御用だ!」

 

善「うおっと!」

 

ダイゴヨウが突然前に出て、秘伝ディスクを連射した。

 

黒「アイタタタタタタタ!」

 

黒影に秘伝ディスクが何発も当たる。

 

ダ「今でぃ!善彦!」

 

善「あいよ!」

 

ゴガァン!

 

善彦が黒影を十手で叩きつける。

 

常「黒影!」

 

黒「クソッタレェェェ!」

 

黒影が起き上がって再び善彦に襲いかかった。

 

善「あぶねっ!」

 

十手で黒影の一撃を防ぐ。

 

善「くのやろっ!」

 

黒「ナンノッ!」

 

再び黒影との攻防が始まったが、黒影が劣勢になっている。

 

常「くそう、今までにくらった光の攻撃で黒影が弱くなっている、、このままじゃまずいな」

 

常闇がそれを遠くから見ていた。

 

善「おおおらぁぁぁ!」

 

黒「グワァァァァ!」

 

黒影が十手のかち上げをくらい、黒影が大きく怯んだ。

 

善「今だ!ダイゴヨウ!」

 

ダ「おおよ!ダイゴヨウ!大発光!」

 

善彦がダイゴヨウを前に出すと、ダイゴヨウが強く発光した。

 

黒「ヒャァァン!」

 

常「うおっ!」

 

その光に常闇も思わず目を瞑った。

 

マ「ぬぁぁぁ!突然スタジアムがまばゆい光に包まれた!目ぇ痛って!」

 

相「サングラス意味ねぇな」

 

マ「なんで平気なんだよお前は!」

 

常「くそっ!どこだ!どこにいる!」

 

常闇が目を開けると、視界には善彦の姿は見えない。目の前には小さくなった黒影だけがいる。

 

チャキ、、、

 

常「!」

 

常闇の足元から音がする。足元を見てみると、そこにはサカナマルを構えた善彦の姿がある。

 

常「い、、いつのまに」

 

サカナマルにはスシディスクがつけられていた。

 

善「サカナマル、、、、」

 

常「ダ、、ダークシャド」

 

善「百枚おろしぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

善彦の抜刀が常闇に直撃した。

 

耳「ひゃ、、百枚おろし?」

 

麗「そんなにおろされたらめちゃめちゃ薄っぺらくなっちゃうよ!」

 

峰「鶏肉がおろされた、、、」

 

障「それ本人の前で言ったらぶっとばされるぞ」

 

常「ぬぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

常闇はそのまま場外へふっとばされた。

 

ミ「常闇君場外!勝者!佐竹君!三回戦進出!」

 

マ「光と闇の侍の闘い!勝者は光の侍だぁぁぁぁ!」

 

常「くっ、、一太刀も斬られてない、、全て峰打ちか、、」

 

倒れた常闇が体を見てみると、切り傷は1つもない。

 

常「ふふっ、、とんだ優男だな」

 

常闇はそのまま目を閉じた。

 

善彦は通路で変身を解除する。

 

善「ふぃー、なんとか勝てたな、、次の相手は、、、!!」

 

善彦はあることを思い出し、顔が青くなる。

 

善「次の相手、、、爆豪だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まだまだトーナメント回は続きます


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彩りの闘い

トーナメント回その3
vs爆豪です


緑「えーっと、確かヒーローノート控え室にあると思うんだけどなぁ、、」

 

さきほどの轟との闘いでボロボロになった緑谷が控え室の扉を開く。

 

緑「ねぇ?佐竹くんその辺にノート置いてなかっ」

 

善「これで行くか?いやダメだこれは接近戦メインだ、だからって遠距離もちょっとなぁ、、これは、、論外!ヤバいよヤバいよドンドン時間が無くなってるしぃぃ」

 

善彦が控え室中の端っこでバッグの中の変身アイテムを全て広げてブツクサ言っていた。

 

緑「うわぁぁ!何やってるの!?」

 

善「あぁん!、、なんだよ緑谷きゅんかよ、、、」

 

善彦がようやく緑谷の存在に気づいた。

 

緑「すごいねコレ、今日のために持ってきたの?」

 

控え室のテーブルに置いてあったヒーローノートを手に取ると、緑谷が床に広がっているアイテムを見る。

 

善「あーこれ?備えあれば憂いなしってやつだよ、今からその備えが効くかどうかわからない相手とバトるんだけどね」

 

善彦が大きなため息を吐きながら言った。

 

緑「あぁ、かっちゃんか、、確かにどうなんだろ」

 

善「ねぇー緑谷きゅん?なんかわかる?爆豪の個性のこと」

 

善彦がアイテムをジャグリングのようにヒョイヒョイと投げながらいった。

 

緑「うーん、かっちゃんのことかぁ、、わかることって言ったら、、確か個性の爆破は掌の汗腺からでるニトロみたいな物質を爆発させるってことと、」

 

善「掌の汗腺ん?それじゃあ爆豪は手汗を爆発させてるってことなの?」

 

緑「んー、、そういう事になるかな」

 

緑谷が首を傾げながら言った。

 

善「じゃあその手汗爆弾魔のことなんだけど、弱点とかあるかな?」

 

緑「ブフォッ!手汗爆弾魔ってそんなことww本人の前でいったらww大変な事になっちゃうよ!」

 

緑谷が手汗爆弾魔のフレーズに吹き出した。

 

緑「かっちゃんって弱点らしい弱点ないからなぁ、、接近戦もできれば爆発で結構遠くの敵とかも吹き飛ばせるし、頭も結構キレるから難しいよ」

 

善「そうかぁー」

 

緑「隙とかを作れればおそらくいけないこともないと思うけど、、」

 

善「それだ!」

 

緑谷の言葉に善彦が反応する。

 

緑「えぇ!かっちゃんの隙を突くなんて無理に等しいよ!」

 

善「隙なんてもんは驚かせれば簡単につくれる」

 

善彦はアイテムをゴソゴソと漁る。

 

緑「驚かせる?」

 

善「爆豪に勝つ方法はただ1つ」

 

善彦はアイテムを選ぶとその場に立ち上がる。

 

善「驚かせ続けることだ」

 

善彦は笑みを浮かべながら控え室を出ていった。

 

緑「驚かせ続ける?」

 

そして、爆豪との試合が始まる。

 

 

マ「そいじゃあいくぜぇぇぇ!ヒーロー科A組!爆豪勝己!バーサス!同じくヒーロー科A組!佐竹善彦ぉ!」

 

爆「ポンコツバイク、まさかお前がここまでくるとは思わなかったぜ」

 

善「自分はポンコツではない」

 

マ「スタートォォ!」

 

善「そしてバイクにもならない、フッ!」

 

善彦が上に何か投げ、ポケットから取り出したものを前に出すと、それが投げたものと重なった。

 

カシンッ!《スターニンジャーシュリケン》

 

そしてもう片方のパンパンになっているポケットからニンジャスターバーガーを取り出し、それを開いてシュリケンをセットした。

 

芦「あー!あれこの前のハンバーガーケータイ!」

 

上「スシの次はハンバーガーかよ、、」

 

耳郎と離れたところで上鳴が見ていた。

 

麗「佐竹くんもしかして食いしん坊なのかな?」

 

爆「なんだ?そのふざけたもん」

 

善「ふざけてなんかいないさ」

 

善彦がスターバーガーのボタンを押した。

 

♪〜♪《ザ・チェンジ》

 

スターバーガーからウエスタン風の聴き慣れた音楽が流れる。

 

耳「ねぇ、梅雨ちゃん?これってさぁ、、」

 

蛙「えぇ、ポテトね」

 

芦「ポテトだ」

 

麗「やっぱり食いしん坊なんだね」

 

爆「辛抱ならねぇ!さっさと潰す!」

 

変身を待たない爆豪が善彦に突進してくる。

 

善「シュリケンチェンジ!」

 

善彦はスターバーガーを構え、シュリケンを回転させた。

 

爆「ぐげぇ!」

 

爆豪が善彦の周りに出来たシュリケンにふっとばされた。

 

《スターニンジャー!wow!》

 

善彦が変身を完了する。

 

善「彩りの星!スターニンジャー!」

 

スターソードガンを手に善彦はきちんとポーズを決めた。

 

善「忍びなれども、パーリナーイ!」

 

ギュイイィィィン!

 

スタジアム内にギターの音が響く。

 

芦「ニンジャだ!ニンジャ!かっくいー!」

 

梅「でもなんだか騒がしいわね」

 

峰「パーリナイ、、、なんかエロい」

 

爆「っつつ、、うるせぇやろうだ!さっさと片付けてやんよぉ!」

 

バゴォォォォォォォン!

 

爆豪が爆破で善彦との距離をいっきに詰める。

 

爆「死ねぇぇぇぇ!」

 

ドォォォン!

 

善「ぎゃす!」

 

善彦が爆豪の攻撃をモロに受けた。

 

マ「おおぁーっと!早速攻撃を食らったぞー!」

 

爆「雑魚が、、、ん?」

 

爆豪が異変に気付く。

 

煙がはれて、見えたのは善彦の姿ではなく、『はずれ』と書いてある札が貼られた人形だった。

 

芦「すごーい!変わり身の術だ!」

 

麗「ホントにニンジャだね!」

 

爆「くそが!なめやがって!どこにいる!」

 

善「ここだぜ!」

 

爆「!!」

 

爆豪が声のした方向を見ると、そこにはスターソードガンを構えた善彦が立っていた。

 

善「くらえ!シュリケン忍法!金の術!」

 

善彦はスターソードガンにつけた五トン忍シュリケンを回転させた。

 

《キンキラジャー!》

 

爆「なにっ!」

 

爆豪が腕でガードをする。

 

、、、、、、、、、

 

何も起きない。

 

爆「なんだよ!なんもおきねぇのか」

 

グワァァァァァァァァン

 

キレた爆豪の頭に金色のタライが落ち、いい音が響いた。

 

爆「いってぇぇぇぇぇぇ!」

 

マ「ぶわっははははは!タライだぁ!タライが落ちてきた!ベタだけど生で見ると面白いもんだなぁ!」

 

観客席がいっきに笑いに包まれた。

 

爆「くぅぅぅぅうぅそぉぉぉがぁぁあぁぁぁ!」

 

爆豪がブチギレて善彦に猛スピードで突進してくる。

 

善「動きがーー単調!」

 

善彦が爆豪の攻撃をヒラリと避け、蹴りを食らわせた。

 

爆「ぐぇえ!」

 

その様子を緑谷はアワアワとしながら見ていた。

 

緑「さっき言ってたことはこういうことなんだ、、、、」

 

善「そいや!シュリケン忍法土の術!」

 

《ドンドンジャー!》

 

爆豪の足元にゴルフのホール大の穴が出来た。

 

爆「ちくしょぉお」

 

ガッ

 

爆「うぉっととととと、、、ぎゃ!」

 

爆豪がその穴につまづいてずっこける。

 

スタジアムがまた笑いに包まれた。

 

ブチブチッ!ブチブチブチブチ

 

爆「ふぅぅぅざけやがってぇぇこのポンコツクソ野郎がぁぁぁぁぁ」

 

爆豪が起き上がり顔を上げると、今までに見たことのない怒りの表情をしていた。

 

その顔にスタジアムの笑い声も収まった。

 

緑「ひぃぃぃぃぃ!あんなかっちゃん見たことないよー!」

 

芦「ねぇ、ちょっと煽りすぎじゃない?ブチギレたとかそんなレベルじゃないよ」

 

峰「こぇぇぇえ!こえぇよぉ!なんだあの爆豪!」

 

善「へへっ、やべえかな?」

 

善彦は落ち着いている。

 

爆「ぐがぁぁぁ!」

 

バゴン!ボゴン!ドカン!

 

爆発を連発させながら爆豪が向かってくる。

 

善「くっ!爆煙で何も見えない、、」

 

爆「ここだボゲェ!」

 

善「うわったぁ!」

 

爆煙の中から爆豪が飛び出たが、善彦はそれをギリギリで防御した。

スタジアムに爆発の音とギターの音が響く。

 

爆「死ぃね!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇ!」

 

爆豪の爆発ラッシュ、一発一発の威力が大きい。

 

善「うぬぅぅぅぅ、きちぃ、、、なぁ!」

 

ギャン!

 

善彦が素早くスターソードガンの銃撃を食らわせる。

 

爆「ぬぁあ!」

 

ドカン!

 

善「げぇっ!」

 

善彦が爆豪の攻撃をモロにくらった。

 

けれど爆豪との距離は取れた。

 

善「くそっ!ちょっと頭冷やせ!」

 

善彦がスターソードガンを爆豪に向けた。

 

爆「させるかよぉぉぉ!」

 

爆豪が飛びかかる。

 

善「シュリケン忍法!水の術!」

 

《ジャブジャブジャー!》

 

爆「ぬがぁ!つめてぇ!」

 

スターソードガンから冷水が勢いよく発射され、爆豪が地面に落ちる。

 

善「よっし!」

 

善彦がスターソードガンの放水をやめた。

 

爆「くそぉぉ、さみぃじゃねぇかよこの野郎」

 

爆豪が身震いしながら立ち上がった。

 

緑「寒い、、、?」

 

爆「さっさと死ねやこのボゲェ!」

 

爆豪が再び飛びかって爆発を起こそうとしようとしたときだった。

 

プシン、、

 

爆「なにっ!」

 

爆発が起きない。

 

善「よっしゃぁ!」

 

善彦は再び冷水を爆豪にぶっかけた。

 

爆「ぐわっ!」

 

緑「ああぁ!そうか!そういうことか!」

 

緑谷が何かに気づいて立ち上がる。

 

麗「どしたのデクくん?」

 

緑「わかったんだよ!佐竹くんの作戦!」

 

芦「え?なになに?」

 

緑「かっちゃんが爆発できないのは寒いからだ!かっちゃんは簡単に言えば手汗を爆発させる個性、つまり汗が爆発源だから、、今までの行動は全てこのためだったんだ!」

 

峰「だからなんだよ!わかんねぇよ!教えてくれよ緑谷!」

 

緑「今までの煽りのように見えた行動は、かっちゃんに冷水をクリティカルにくらわせるため、普通にあてようとしてもかっちゃんは絶対に避ける、タライ攻撃や転ばせる攻撃は、かっちゃんの怒りを最大にまで高めてまっすぐに自分に襲いかからせて照準を定めるためだったんだ、、」

 

峰「そんなこと考えてたのかよあいつ、、」

 

爆「くそが!姑息なことしやがって!」

 

爆豪は自由に爆発できないことにイライラしている。

 

善「よっしゃ今の内!」

 

善彦は五トン忍シュリケンを外し、風雷忍シュリケンをつける、プレートを変えた。

 

《風マジック》

 

爆「あぁん?」

 

爆豪が手を揉んで温めてながら善彦の方を見ると、善彦はスターソードガンを構えている。

 

善「これでトドメだ!シュリケン忍法奥義!ウイニングスターの術!」

 

《ハリケーンジャー!》

 

爆「うぉっ!、ぐ、ぬぁぁぁぁ!」

 

爆豪が竜巻に飲まれて空に飛んで行った。

 

善「そのまま場外か?」

 

善彦が勝利を確信した瞬間。

 

爆「な、、めんじゃねぇぇぇぇぇ!」

 

ドガァァァァン!

 

爆豪が爆発で竜巻を抜け出した。

 

善「まじかよ!」

 

爆豪はドンドン高く飛ぶ。

 

爆「くたばりやがれ!さっさと終わらしてやる!」

 

完全に手が温まった爆豪は善彦に標準を合わせると、爆発で速度をつけ、善彦に落下していく。

 

爆「くらいやがれぇぇぇ!」

 

善「うぐわぁぁぁぁ!」

 

モロにはくらわなかったが、爆発の威力が強く善彦がふっとばされた。

 

善「ぐわっ!げっ!あいで!」

 

善彦が地面になんどもバウンドして止まった。

 

爆「まだまだ終わらせねぇぞ、、全力でブチ殺してやるからなぁ、、」

 

爆豪がゆっくりと近づいてくる。

 

善「ううぅ、、これを使わざるをえないか!」

 

善彦は倒れたまま腕に何かをつける。

 

爆「今更小細工が通用するかぁぁぁぁ!」

 

倒れてる善彦に爆豪が襲いかかり、爆発を食らわせた。

 

爆「死んだか!?」

 

爆豪が笑みを浮かべた時だった。

 

善「まだ死んでねぇわい!」

 

爆「なに!」

 

《超絶!ニンジャー!》

 

爆豪の後ろに立っていたのは、赤い鎧をきた善彦、スターニンジャーだった。

 

爆「てめぇ、その姿、、、」

 

善「そう!自分が!超絶スターニンジャーでございやさぁ!」

 

善彦がそう言いながら左手の超絶ブレスを爆豪に見せた。

 

爆「ふざけやがってぇぇぇぇ!」

 

爆豪が再び爆発ラッシュをくりだした。

 

善「やはりそうきたか!オラオラオラオラオラオラァァァ!」

 

善彦は超絶ブレスのシュリケンを回転させ、発射された炎のシュリケンで爆豪のラッシュを全て相殺した。

 

爆「ちくしょぉおがぁ!姿変わったくらいで調子のんじゃねぇぞぉぉぉぉぉ」

 

爆豪が手に何かを集中させている。善彦は大技の予感がした。

 

善「自分もいかなきゃだめかな!」

 

善彦は超絶ブレスを外すと、忍者激熱刀を取り出し、それに超絶ブレスをはめた。

 

《ザ・勝負! N I N I N I N I》

 

超絶ブレスの音声がスタジアムに響く。

 

耳「N I ! N I !N I!N I !」

 

耳郎がリズムに合わせて手拍子をする。

 

上「ハハッじゃあ俺もっ! N I N I N I N I !」

 

芦「面白そー!私も!」

 

麗「私もやるやる!ほらデクくんも!」

 

緑「えぇ、、!」

 

「N I !N I !N I! N I!」

 

スタジアム内でN Iコールが始まった。

 

マ「おおっと!さっきの瀬呂のドンマイコールの次はN Iコールか!こいつの試合は全部楽しいな!」

 

善「よっしゃいくぜぇ!」

 

善彦がシュリケンのブレードを回転させた。

 

《N I N I ニンニニン! N I N I ニンニニン!》

 

激熱刀に激熱のエネルギーが溜まっていく。

 

爆「いくぞぉぉぉぉぉ!」

 

善「こぉぉぉぉおおい!」

 

二人が同時に走り出した。

 

爆「ハウザァァァァァァ!」

 

善「ちょぉぉぉぉぉぜつ!」

 

爆豪の手と善彦の刀が互いの体に迫っていく。

上・耳「いけぇぇぇぇぇ!」

 

爆「インパクトォォォォォォ!」

 

善「激熱スター忍烈斬!」

 

《一番勝負!》

 

今までにない轟音と衝撃波がスタジアム中を駆け巡る。

 

緑「うわぁぁぁぁ!」

 

峰「な、なんだーー!」

 

皆吹き飛ばされないようにどこかにしがみついている。

 

麗「う、、どうなったの?」

 

起き上がった麗日がステージを見る。

 

麗「砂煙でなんも見えない」

 

耳「あっ!でも人影がある!」

 

スタジアムのステージには1人の人影が立っている。

 

砂煙がだんだんと晴れてきた。

 

ミ「勝者!、、、、」

 

ミッドナイトが手を挙げた。

 

緑「どっちだ、、、、」

 

上「佐竹ぇぇ、、、、」

 

バッ!

 

ミ「佐竹くん!決勝戦進出!」

 

砂煙が晴れ、ステージに立っていたのは右手を大きくあげた善彦だった。

 

善「イィィィィィハァァァァァァァ!」

 

上「や、、、やっ」

 

耳「やったーーー!」

 

上鳴と耳郎がその場を立ち上がって歓喜した。

 

爆豪は場外で気絶している。

 

マ「おいおい、こいつぁ大変な試合になりそうだなイレイザー」

 

相「ああ、そうだな」

 

 

 

 

 

轟「、、、、、」

 

試合の一部始終を見ていた轟は、椅子から立ち上がり、何も言わずに通路へ歩いた。

 




次回で体育祭回はラストです


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ウイニングラン

体育祭回ラストです


決勝戦直前、善彦は精神を集中させていた。

 

善「、、、、、、」

 

善彦の手にはゲーマドライバーが握られている。

 

善「はぁ、、、、」

 

決勝戦の相手は轟焦凍プロヒーローエンデヴァーの息子、結構なプレッシャーである。

 

上「佐竹ぇ、、大丈夫かぁ、、」

 

心配した上鳴が善彦の隣に座る。

 

善「え?、あぁ、、なんとか」

 

上「プレッシャーだよなぁ轟との決勝戦なんてさ、耳郎ともちゃんと仲直りしたわけでもないし、内心ぐちゃぐちゃだろ?」

 

善「うん、、、大当たり」

 

上「、、、、」

 

上鳴が善彦の肩に手を回す。

 

上「なんも気にしねぇで行ってこい!応援してやるからよ!」

 

善「上鳴くん、、、」

 

上鳴の笑顔に善彦は少し気が楽になった。

 

上「これで優勝したらかっこいい仲直りになるぞ!また3人でドライブしようぜ!」

 

善「へへっ、、おうよ!いってくる!」

 

善彦は気合を入れると、控え室を出ていった。

 

上「がんばれよ、、」

 

マ「よぉぉぉぉぉし!いくぜぇ決勝戦!まずはヒーロー科A組!轟焦凍!バーサス!ヒーロー科A組!佐竹善彦!」

 

轟「、、、お前と戦うとは思わなかったな」

 

善「それはこっちも同じだよ」

 

善彦はガシャットを構える。

 

マ「そいじゃあいくぜ!決勝戦!スタートォォォ!」

 

善「フッ!」

 

《爆走バイク!》

 

轟「、、、、、、」

 

轟と善彦の周りにトロフィーがいくつも出現した。

 

善「変身、、ゼロ速!」

 

《ガシャット!ガッチャーン!レベルアーップ!》

 

善彦はガシャットを挿れるとすぐにカバーを開く。

 

耳「あれ、変身の仕方が違う、、」

 

善「はぁっ!」

 

善彦はパネルを回し蹴りではなく、前蹴りでセレクトした。

 

《爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!》

 

パネルに身を通し、変身を完了させた姿は、バイクではなく、細身の人型だった。

 

轟「さっきとは姿が違うな、、、」

 

善「自分の個性で爆走バイクは変身の仕方で2パターンの姿に変身できるんだよ、前蹴りだとこの姿」

 

轟「なるほど、、」

 

善「今の自分は、仮面ライダーレーザーターボだ!」

 

轟「、、、変身出来たなら、もういいよな?」

 

ビキビキビキビキビキビキビキビキ!

 

轟の右足から氷が出現し、善彦を襲ってきた。

 

善「よぉっとぉ!」

 

善彦はそれを跳躍で綺麗によける。

 

轟「くっ!」

 

地面からいくつもの氷山を出現させるが、善彦はそれをヒョイヒョイ避ける。

 

麗「すごーい!アクロバティックゥ!」

 

善「よっしゃ!いくぜ!」

 

善彦は目の前に出現したパネルをタッチして、武器を取った。

 

《ガシャコンスパロー!》

 

善「だぁぁぁぁ!」

 

善彦が空中でスパローを轟に発射した。

 

轟「はぁっ!」

 

それを轟が氷の壁で防ぐ。

 

善「なんのぉぉお!」

 

善彦は一心不乱にスパローを乱射した。

 

轟「とっとと終わらせる、、」

 

轟が大氷壁でスパローを防御しながら善彦に襲わせた。

 

善「やっぱりくるか!」

 

《ガッチョーン》

 

善彦はカバーを閉めると、ガシャットを取り出した。

 

《シャカリキ!スポーツ!ガシャット!》

 

善「爆速!」

 

大氷壁が目の前に迫ってくる。

 

善彦の立っていたステージが氷に包まれた。

 

轟「終わりか、、、」

 

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

 

氷の壁の向こうから声が聞こえる。

 

轟「!?」

 

《シャカリキ!めちゃコギ!ホット!ホット!》

 

ピキ、ピキ、、パキッ、、

 

《シャカシャカコギコギ!》

 

壁にヒビが入っていく音も聞こえた。

 

善「まだまだ終わりじゃねぇぜぇぇ!」

 

バリーーン!

 

《シャカリキスポーツ!》

 

氷の壁が割れ、そこから何かが飛んで来た。

 

轟「っっ!」

 

轟はそれを避けたが少し頬をかすった。

 

轟(擦れた跡、、一体なんだ?)

 

善「ふぃー、ギリギリセーフ」

 

轟「!?」

 

轟が善彦の方を見ると、そこには自転車を被った姿の善彦が立っていた。

 

轟「?」

 

善「レーザーターボ、スポーツゲーマーさ」

 

善彦のベルトには、爆走バイクの隣に黒いガシャットが刺さっていた。

 

マ「おおっと!バイクがチャリを着たぁぁぁ!なんだこりゃ!?」

 

相「あのチャリンコ通学用のじゃねーか?」

 

善「おぉうらぁ!」

 

善彦が返ってきた自転車の前輪をキャッチすると、再び轟に向かって投げた。

 

轟「、、!」

 

しかしそれを轟は簡単に凍らせる。

 

善「あー、やっぱりこれは無理か」

 

《ガッシューン》

 

善彦はレバーを閉じてシャカリキスポーツを抜き、ガシャットを取り出す。

 

《ジェットコンバット!》

 

轟「させるか!」

 

轟の氷が善彦に襲いかかる。

 

善「でやぁぁぁ!爆速!」

 

《ガシャット!ガッチャーン!》

 

善彦が轟の氷がくる前に跳躍して避けた。

 

轟「空中じゃあ身動きとれねぇだろ?」

 

轟が空中の善彦に右手を向けた時。

 

《ぶっ飛び!ジェット!ドゥ・ザ・スカイ!フライ!ハイ!スカイ!

ジェットコンバット!》

 

轟「!!」

 

善彦が空中をスイスイと進んだ。

 

善「よっしゃあ!どうだ!」

 

空を飛んでいる善彦には自転車ではなく、羽とガトリングガンがつけられていた。

 

マ「自転車の次は飛行機か!陸空制覇ぁ!」

 

善「うらぁぁぁぁ!」

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!

 

善彦がガトリングガンを乱射した。

 

轟「くっ!」

 

轟がそれを氷で防御する。

 

善「いけぇぇぇぇぇぇぇ、、、、」

 

氷の壁にだんだんヒビが入っていく。

 

轟「調子に、、乗るなよ!」

 

轟が腕を一振りすると、氷の壁が善彦に向かってきた。

 

善「なんのぉぉお!」

 

善彦がそれをガトリングガンで破壊しようと構えた時。

 

善「えっ?」

 

善彦がありえない光景を目にした。

 

轟「はぁぁぁぁぁ!」

 

轟がその氷の壁を走って登ってきたのだ。

 

善「えぇぇぇぇ!こっち来た!」

 

轟の走っている所をよく見ると、足場が階段になっている。

 

マ「おおっと!轟選手!氷をアナ雪のような階段にして空の相手と距離を縮めたぁ!」

 

善彦は驚いて隙だらけである。

 

轟「くらえ、、、、!」

 

轟が左手を構えた。

 

善「あっ!しまっ、」

 

轟の放った炎が善彦に直撃する。

 

善「うぎゃぁぁぁぁ!」

 

善彦が炎に包まれて落ちていった。

 

轟「あ、、、、」

 

轟がつい使ってしまった左手を見つめる。

 

轟「、、、、、ふっ」

 

轟は少し微笑むと、その場から降りた。

 

善「ううぅ、、不覚、、」

 

ジェットコンバットが抜けた善彦がゆっくりと起き上がろうとしている。

 

轟「おい佐竹」

 

轟が善彦に向かって歩く。

 

善「あい?」

 

轟「、、俺が使ってこなかった左手をお前は使わせた、、こっからはお互い本気でいくぞ」

 

轟が左側の炎をメラメラと燃やしながらいった。

 

善「、、、ヘヘッ上等だよ!」

 

ドシュッ!

 

善彦がガバッと起き上がると同時に轟にスパローを撃った。

 

轟「うぉっ、、、!」

 

善「おぅらぁ!」

 

《スパーン》

 

スパローのAボタンを押すと、弓だったものが2つに分かれて鎌になった。

 

善「ふんっ!」

 

轟「はぁ!」

 

ガギギィィィン!

 

振り下ろされた鎌を氷で防御し、鎌と氷がぶつかる音が響く。

 

善「よぉぉぉおおおし!いってやんよぉおお!」

 

善彦が轟と距離を取ると、再びガシャットを取り出した。

 

《ギリギリチャンバラ!》

 

ガチッ!《ガッシャット!キメワザ!》

 

スパローを弓に戻してガシャットを差し込んだ。

 

善「くらいやがれぇぇ!」

 

《ギリギリ!クリティカルフィニッシュ!》

 

善彦がスパローのトリガーを押すと、矢の雨が轟に降り注いだ。

 

轟「はぁぁぁぁ!」

 

轟が腕を大きく振ると、氷の壁が出現し、矢をガードする。

 

轟「くっ!」

 

しかし何発かが腕と足をかすった。

 

善「いくぞぉぉぉ、ガシャットならいくつももってんだ!」

 

《ジェットコンバット!》

 

善彦は色のついたジェットコンバットを起動させた。

 

《ガッシャット!キメワザ!》

 

轟「また来るか!」

 

轟が右手を構えた。

 

善「はぁっ!」

 

《ジェット!クリティカルフィニッシュ!》

 

善「くらぇぇぇぇえええええ!」

 

スパローからは矢ではなく、複数のミサイルが飛んでいった。

 

轟「ちっ!これは、、、、!」

 

轟が右手をしまい、左手を振りかぶって前に出した。

 

左手の炎でミサイルが轟に届く前に爆発した。

 

轟「はぁ、はぁ……」

 

轟の視界が黒煙に包まれて何も見えない。

 

轟「どこにいるん、、」

 

善「ここだぁぁぁぁぁ!」

 

ボゴォォォォ!

 

黒煙の中から善彦が出現し、轟に回し蹴りを食らわせた。

 

轟「ううううううっ!」

 

ギリギリを氷でガードしてたといえ、ダメージは大きい。

 

善「負けらんねぇ負けちゃいけねぇ負けたらいかねぇ!」

 

《ガッシューン》

 

善彦はブツブツ言いながら爆走バイクのガシャットを抜いた。

 

《ガッシャット!キメワザ!》

 

それをキメワザスロットホルダーに入れて、スイッチを押した。

 

善「はぁぁぁぁぁぁ、、」

 

善彦の右足に黄色のエネルギーが溜まる。

 

轟「大技来るか、、、」

 

轟も右手に冷気を溜めた。

 

善「いくぞ!」

 

カチッ

 

轟(いまだ!)

 

善彦がホルダーのボタンを押したと同時に氷を善彦に向かって走らせた。

 

善「でやぁぁぁぁぁ!」

 

しかし善彦は高く跳躍し、それを避けてキックの態勢をとる。

 

《爆走!クリティカル!ストライク!》

 

善「いけぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

善彦のキックが轟に向かう。

 

轟「くっ、!はぁぁぁぁぁぁ!」

 

轟も大氷壁で対抗する。

 

善「ぐぅぅぅぅゔぅ!」

 

善彦が氷を砕きながら轟に近づく。

 

轟「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

轟の氷も負けじと強度が増していく。

 

善「負けらんねぇ!負けらんねぇんだ!絶対!絶対に優勝して、優勝して、、、」

 

善彦の足にエネルギーがドンドン溜まる。

 

善「ウイニングランを、、3人で、、3人で決めるんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

バリィィィィィィィィィィン!

 

轟「なにっ!」

 

轟の大氷壁が砕け、轟にキックが迫ってきた。

 

轟「う、、、うぉおおおおおおおおお!」

 

ここで轟が吠え、左手の炎を最大の威力で放った。

 

善「負けるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ドガァァァァァァァン!

 

善彦のキックと轟の炎がぶつかり、爆豪との試合以上の爆発が起こった。

 

上「うわぁ!、、さ、、佐竹ーーー!」

 

観客席に暴風が襲いかかる。

 

緑「どっちだ、、どっちが勝ったんだ!」

 

緑谷が薄く目を開けてステージを見ると、そこには1人の人影が立っている。

 

緑「、、、、!!」

 

緑谷がその場で固まった。

 

麗「デクくん!どっち?どっちが勝ったの!?」

 

耳「くっ!どうなった!」

 

風が収まり、皆の視線がステージに向かう。

 

麗「え、、、」

 

上「うそだろ、、、、」

 

皆がステージを見て絶句する。

 

耳「そんな、、」

 

耳郎の目に涙が浮かんだ。

 

ミ「勝者!!」

 

ステージでミッドナイトが手を挙げた。

 

ミ「、、、っ!轟くん!今年度雄英体育祭一年の部!優勝!轟焦凍くん!」

 

ワァァァァァ!

 

スタジアムに歓声が上がった。

 

轟「、、、、、、」

 

轟の視線は倒れている善彦のほうに向いている。

 

そして、表彰式にうつった。

 

切「、、、なんだあれ?」

 

瀬「起き出してからずっとあぁなんだってよ」

 

表彰台のようすを一言でいえばカオスである。

 

爆「んー!ん"ー!」

 

善「ひっく、、エグ、、、ちく、、しょ、、、グスン、グス、」

 

轟「、、、、、」

 

爆豪は全身さまざまな器具で拘束され、善彦は起きてからずっと泣いていた。

 

瀬「やべぇな佐竹、ティッシュ一箱も使ってんのかよ」

 

善彦の隣には、ボックスティッシュの山と大きなゴミ箱が置いてあった。

 

そしてメダル授与、そこにはオールマイトが来てくれた。

 

善彦にメダルが渡される。

 

オ「佐竹少年、二位おめでとう!」

 

オールマイトがメダルをかけようとするが、善彦はうつむいて泣いてばかりでメダルがかけれない。

 

オ「佐竹少年?メダルがかけれないよ?泣き止んでDon.t cry、ね?」

 

オールマイトがオロオロとしている。

 

爆「ヴヴヴヴヴヴヴヴ!」バキンッ!

 

爆豪が口の留め具を無理やり外した。

 

爆「おい佐竹ぇ!てめぇいつまでもピーピー泣いたんじゃねぇぞこらぁ!」

 

爆豪が善彦に向かって叫んだ。

 

善「、、ふぇ?」

 

爆「てめぇはオレを倒したんだ!悔しいけどよぉ、、オメェは、、オレより強ぇんだよ!なのにそんなやつが泣きわめくんじゃねぇ!ぶっ殺すぞ!」

 

善「ば、、爆豪きゅん、、、、」

 

善彦が顔を挙げた。

 

オ「そういうことさ、おめでとう!佐竹少年!君はもっと強くなれる!PLUS ULTRAさ!」

 

オールマイトは善彦が顔を挙げた瞬間にメダルを首にかけた。

 

善「、、オールマイト、、せん、、せ、、」

 

善彦の目がだんだん潤んでいく。

 

善「うぇぇぇぇぇん!そうだよね!ごめんよ!そしてみんなありがとおぉぉぉぉぉ!」

 

善彦は膝から崩れ落ちて大声で泣き、新しいボックスティッシュを手に取った。

 

切「あ、二箱め突入した」

 

そして、表彰式が終わり、騒がしかった一日が終わった。

 

〜校門前〜

 

上「、、、、、、、、」

 

善「、、、、、、、、」

 

上鳴がバイクの善彦を押して校門へ向かう。話すことが思い浮かばない。

 

上「二位おめでとう、、佐竹、、、」

 

善「あぁ、うん、けど、、ウイニングラン、、できなかった」

 

善彦はまだしょんぼりしている。

 

上「あぅ!き、気にすんな!耳郎も、明日になれば忘れてるって、、」

 

そんなこんなしていると校門前についた。

 

上「、、、はぁ、帰ろうぜ佐竹」

 

上鳴があたりをキョロキョロと見て、ため息をつくと、ヘルメットをかぶって善彦にまたがった。

 

耳「ちょっと、ウチのことおいてどこ行こうってんのよ」

 

善「え!?」

 

上「おっ!?」

 

声のした方向を見ると、そこには耳郎が腕を組んで立っていた。

 

善「な、、なんで耳郎さんが?」

 

耳「いやね、こいつがあんたと話したいって言うから一緒に待ってたのよ」

 

善「えぇ?」

 

善彦が耳郎の隣を見て見ると、確かに壁に寄りかかった影が見える。

 

そしてその影が善彦にむかってくる。

 

上「ええ!?お前は!?」

 

善「?!?!!!?」

 

轟「突然すまないな」

 

話があると言う人物は、轟だった。

 

善「なに?何の用!?どうしたの!?」

 

轟「あぁ、そのことなんだがさっきの決勝戦、、、勝ったのはお前だ」

 

善「、、、、へ?」

 

突然の衝撃発言に善彦は目を丸くする。

 

轟「ぶつかり合いの時、キックで俺はやられた、しかし、お前はキックの際に体の全エネルギーを使い果たして気を失ったんだ、俺もキックにやられて気を失ったんだが、偶然、、ほんの偶然で俺が起きてしまった、それが真実だ」

 

善「でも、先に起き上がって勝ったのは轟くん、それは揺るぎない真実だよ!自分は負けたんだやめてくれ、、」

 

善彦は納得していない。

 

轟「でも、俺は、、、あの体育祭の中で一番優れて勝った者はお前だと思っている」

 

善「え、、、、、」

 

轟「優勝して、3人でウイニングラン決めるって言ってたよな?これをやるよ」

 

轟がしゃがんで善彦に何かをかける。

 

善「ひぇ?」

 

善彦にかけられたのは金メダルだった。

 

轟「俺にはそんなものいらない、ウイニングラン決めてこい」

 

轟はそう言うと、善彦に背を向けて、その場を去って言った。

 

善「え、、、ええ?え?」

 

善彦はまだ状況を把握していない。

 

耳「そういうこと!じゃあウイニングラン!いっくよー!」

 

耳郎が上鳴の後ろにすわり、上鳴に手を回す。

 

上「え?耳郎!お前、、、」

 

耳「ほぉら、いくよ!佐竹、上鳴」

 

耳郎が優しく微笑んだ。

 

善「、、、、うん!行こう!」

 

上「ウイニングランだ!いっくぜぇぇぇぇぇ!」

 

ブゥゥゥゥウン!

 

上鳴がエンジンをふかし、校門を出た。

 

そしてそれを轟は微笑みながら見送った。

 

耳「ねぇ、、二人とも、」

 

上「?」

 

善「?」

 

 

耳「昼間は、、ごめんね、ウチが身勝手だったよ」

 

耳郎が頰を少し赤くさせながらいった。

 

上「、、、、、いいってことよ!こっちこそごめんな!」

 

善「そうだよ!こっちこそごめんなさいだよ!」

 

上鳴と善彦はニッコリと笑った。

 

耳「、、、へへっそうか、、」

 

耳郎が体を上鳴にギュッと近づける。

 

耳「今日はいろんなところ走るよ、二人とも!

 

上・善「あいよぉ!」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥウン!

 

この日のエンジン音は、とても気持ちがよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




次は休日回です


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ブレイクタイム

休日オリジナル回です


雄英体育祭が終わり、二日間の休日が設けられた。

皆体育祭の疲れを癒している。

 

しかし、雄英高校のグラウンドには、爆音が響いていた。

 

ギャルギャルギャルギャルギャルギャルギャル!

 

耳「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

善「よっしゃぁぁぁぁ!」

 

善彦と耳郎は休日にもかかわらず、雄英のグラウンドでバイクのテクニックを練習していた。

 

ブゥン!ブゥン!ブゥゥゥゥウン!

 

等間隔で開かれた三角コーンの間をジグザグに抜け、ドリフトで障害物を避け、ウィリーで細い台の上を走っている。

 

上「、、、、」ジュー、ズゴゴゴゴゴゴゴ

 

爆走している二人を上鳴は遠くからジュースを飲みながら見ていた。

 

ブゥゥウン キキーッ!

 

上鳴の目の前でバイクが止まった。

 

耳「っふぅー、やっぱキモチいいや」

 

耳郎がヘルメットを脱いで善彦から降りる。

 

善「耳郎さん運転上手くなりましたねー」

 

上「バイクスーツまで着て本格的なこと」

 

耳「そうでしょー、似合ってる?」

 

耳郎は善彦を乗りこなすために真っ黒のバイクスーツを購入していた。〈上下で32000円也〉

 

耳「よーいしょ、疲れた疲れた」

 

耳郎はバイクスーツの上着を脱ぎ、タンクトップ姿で上鳴の隣にすわった。

 

上「うーわ汗びっしょりじゃんお前」

 

耳「結構蒸れるんだよバイクスーツって」

 

上鳴から渡されたタオルで耳郎が体を拭く。

 

善「そこまでして乗ってもらえるとバイク冥利に尽きますなぁ」

 

《ガッチョーン ガッシューン》

 

善彦も変身を解除し、上鳴の隣に座る。

 

上「、、、なぁ、そのリュックの中って変身するヤツ入ってんの?」

 

上鳴が善彦のリュックを指さした。

 

善「?あぁ、携帯兼変身アイテムだったらあるよ」

 

善彦がリュックをゴソゴソと漁ると、中からスシチェンジャーと忍者スターバーガーを取り出した。

 

上「なぁなぁ、それって俺も変身できる?」

 

目をキラキラさせながら上鳴が善彦に寄ってきた。

 

善「あー、、そこんところねー、、マイクせんせー」

 

バサッ!

 

マ「オーケー!」

 

耳「うわっ!」

 

3人の後ろからプレゼント・マイクが突然出てきた。

 

マ「佐竹善彦!個性"特撮変身"!彼の指紋がついた変身アイテムやベルトを身につけ、ポーズを決めることによって変身することができる!きちんとしたポーズをとらないとコスプレレベルのクソ雑魚に変身してしまうぞ!一度も変身をミスらなかったのは彼のヒーロー愛の賜物だ!」

 

善「ありがとうございました」

 

マ「おーう、頑張れよー」

 

説明を終えたマイクはそのままサッと帰っていった。

 

耳「いったい何だったんだ、、」

 

上「ってことはお前の指紋がついていれば変身できるってことだな?」

 

上鳴がスターバーガーを手に取りニシシと笑う。

 

善「しっかりとポーズ取らなきゃダメなんですよ甘く見ないでください」

 

善彦は上鳴からスターバーガーをとり、時間を確認する。

 

上「ちぇー、なんだよ」

 

善「まだ午後の1時か、、これからどうするよ?」

 

スターバーガーをリュックにしまい、二人の方を向く。

 

上「カラオケでも行くか?」

 

耳「あっ!いいじゃんそれ!じゃあウチちょっと着替えてきてもいいかな?流石にバイクスーツはちょっと、、」

 

善「ほいじゃ早く行きましょうか」

 

善彦は再び変身して、二人を乗せた。

 

〜耳郎家前〜

 

上「あいつおっせぇなぁ〜」

 

善「女の子はそういうの大体時間かかるってきまってんの」

 

耳郎が着替えに行ってから15分以上待たされている。

 

善「おっ、来たみたいだよ」

 

玄関から耳郎の声が聞こえる。しかしその声はなんだか穏やかじゃない。

 

ガチャ

 

玄関が開いた。

 

耳「ちょっといいって本当に!」

 

響徳「いいや言わせてくれ、これは父親として大事なことだ」

 

耳郎と一緒に出て来たのは、耳郎の父親の響徳だ。

 

上「あ、ちーす響徳さん」

 

善「こんにちわーっす」

 

響「お、上鳴くん佐竹くんこんにちは」

 

善彦はよく耳郎のことを送って行っているため、響徳とは顔見知りである。

 

耳「あいさつしたならいいでしょ!もうしつこいなぁ、」

 

響「佐竹くんいつもありがとうな学校の送り」

 

善「いえいえ、そんなこと」

 

響「君のことを最初見たときはなんぞやと思ったけどまさかいつもいってる店の倅だと知ったときは安心したよ」

 

善「はは、恐縮です」

 

そう、善彦の家は居酒屋なのである、店のオーナーである善彦の父と1-Aの保護者とは全員顔見知りのため、クラスメイトの親とは何かと関係はいいのだ。

 

響「これからも響香のことをよろしくな、オーナーにもよろしく伝えてくれ」

 

善「ういっす!今度ビール一杯サービスしますね」

 

耳「終わった?じゃあ早くいこ、カラオケ満室になっちゃうよ」

 

耳郎が不機嫌そうに善彦に乗る。

 

響「あまり遅くまで遊ぶんじゃないぞー」

 

耳「うっさい!早く行こ!」

 

善(思春期だなぁ、、、)

 

ブゥゥゥゥウン

 

耳郎はさっさとアクセルをふかし、その場を去った。

 

上「佐竹、お前って顔広いんだな」

 

善「全部父親ありきだよ」

 

そして3人はカラオケに着き、いろいろと熱唱する。

 

上鳴の歌うロックやパンク、テンションの割に点数がまぁまぁだった。

 

耳郎は家から持って来た自前のギターで即興ライブやはり歌は上手い。

 

善彦のスーパー戦隊メドレーと仮面ライダー主題歌メドレーはちょっと引かれたような気がした。でもとても盛り上がった。

 

耳「ふー、ちょっとウチドリンクバー行ってくる」

 

皆が落ち着き、耳郎が席を立つ。

 

上「あー、疲れたーやっぱカラオケはいいな」

 

善「え?あ、あぁ、うん」

 

善彦はなぜかうかない顔をしている。

 

上「ん?どうした?」

 

善「あー、いや、ちょっと、、いいかな?」

 

〜カラオケ通路〜

 

耳「ここってドリンクバー無料なのがいいよねー」

 

耳郎が善彦達のいる部屋に近づくが、何か異変に気付く。

 

耳「あれ?あいつら歌ってない、、休んでんのか?」

 

部屋の方に耳を傾けると話し声が聞こえる。

 

耳「イヤホンジャーック」

 

耳郎が部屋のドアにイヤホンジャックをさして会話を聞く。

 

上「じゃあお前は気持ちを伝えるんだな?」

 

善「うん、なんかドキドキして仕方がないんだ」

 

耳「!!?!??!!!?!」

 

耳郎がとっさにイヤホンをしまう。

 

耳(なに?なに?ドキドキ?ドキドキってなに?気持ち?伝える?)

 

耳郎の顔がドンドン赤くなる。

 

おそるおそる再びイヤホンをドアに指した。

 

上「その気持ち、ちゃんと伝えねぇとだめだぞ」

 

善「うん、腹くくって言ってみるよ」

 

耳(なにぃぃぃぃぃぃ!)

 

耳郎はその場にフリーズしてしまった。

 

耳(しらなかった、、そんな、、まさか、、)

 

ガチャ

 

耳郎が部屋のドアを開ける。

 

上「おー耳郎、遅かったな」

 

善「あれ?どしたんすか?顔赤いよ」

 

耳「あぁ!いや!なんでもない、、」

 

耳郎は善彦と目をそらす。

 

善「?」

 

プルルルル、プルルルル

 

ここで部屋の電話から10分前のコールがなった。

 

上「もうそんな時間か、もう歌う曲ねぇしそろそろ行くか」

 

善「そうしましょそうしましょ」

 

上鳴と善彦が部屋を出て行く。

 

耳「あ、、うん、」

 

耳郎も後からついていった。

 

そして、複雑な心境のまま耳郎は善彦を運転する。

 

上「結構暗いなー」

 

外は真っ暗だが、星が綺麗に見える。

 

善「なんかロマンチックですね、海でも見に行きます?」

 

耳「えぇ!」

 

上「お!いいねぇ!いこうぜいこうぜー!」

 

善彦は、近くの海岸まで走って行った。

 

そして海の見える公園に着く。

 

上「あー、、潮風が気持ちいいぜぇ」

 

善「いーい景色、こんなとこで女落としたら一発でしょうねぇ?」

 

善彦が耳郎の方を向くが、耳郎は明後日の方を向いている。

 

善「おろ?」

 

上「俺なんか飲み物買ってくるよ、なにがいい?」

 

善「炭酸系で」

 

耳「ウ、ウチは、なんでも」

 

上「あいよー、じゃあいってくらぁ」

 

上鳴はその場を離れてしまい、耳郎と善彦の二人きりになる。

 

耳(ヤバい、、どうしよう、なに話せば、、)

 

善「耳郎さん」

 

ビクーッ! 耳「え!な、なに!?」

 

耳郎が変な声をあげる。

 

善「ちょっと大事な話が、、」

 

善彦の目はまっすぐだ。

 

耳「え、、あ、、うん、、」

 

善「前々から思ったんですよ、あなたといるとドキドキしてしょうがない、これはあなたにとっても大事なことです」

 

耳「は、、はい」

 

耳郎は少し固くなっていた。

 

善「耳郎さん、、、お願いがあります、、」

 

善彦がリュックをゴソゴソと漁る。

 

耳(なに、なに、なに、なになになに!)

 

耳郎の心臓はフルスピードである。

 

善「よし、、耳郎さん!」

 

善彦がリュックから何かを取り出し、耳郎に突き出した。

 

耳(覚悟決めろ!ウチ!)

 

善「耳郎さん!免許とってください!」

 

耳「え?」

 

耳郎な素っ頓狂な声をあげる。

 

耳郎に差し出されたものをよくみると、『一発合格!バイク免許問題集』と書いてある。

 

善「いや、耳郎さん自分のことめっちゃ乗り回してますけど、無免許ですやん?ドキドキして仕方がないんですよ自分の個性だから大丈夫かなーって思ってたんですけど、もしものことが起きたら大変じゃないですか、命は大事にしなきゃってこと伝えたほうがいいかなって思ってさ免許とってもらいたくて」

 

善彦がペラペラと語った。

 

耳「め、、免許、免許かよぉ、、、」

 

耳郎はその場にヨロヨロと膝をついてしまった。

 

善「え!どうしたんすか!?そんなに免許いや!?」

 

ムギュ!

 

善彦の頬が耳郎につねられる。

 

善「いでデデデででなになに?」

 

耳郎が善彦の頬をつねったままゆっくりと立ち上がった。

 

耳「いいよ上等じゃない、免許なんてすぐとってやるよっ!」

 

耳郎が勢いよく善彦の頬から手を離した。

 

善「うぅ、、ありがとうございます、、」

 

善彦は赤くなった頬をスリスリと撫でる。

 

上「おーい、買ってきたぞー」

 

上鳴が帰ってきた。

 

耳「おー!サンキュー!」

 

耳郎にいつもの元気が戻る。

 

善(、、、、耳郎さんもしかして告白か何かと勘違いしたのかな、、だとしたら悪いことしちゃったなぁ、、、)

 

善彦が上鳴の方をチラリと見る。

 

上「ほれ、佐竹コーラでよかったか?」

 

耳「ちょっとぉ、あんた適当なものでいいとは言ったけどエナジードリンクって」

 

上「えー、それうめぇだろ?」

 

善「、、、、、」

 

善彦は上鳴からコーラをとり、二人を見る。

 

善(耳郎さんには、、自分じゃなくて、、な、、、)

 

善彦は上鳴の方を見ると、ふふっと笑った。

 

上「おーい!そろそろいこうぜー!」

 

耳「変身して貰わないと帰れないんですけどー!」

 

善「あいよぉ!ひとっ走り行っちゃりますよー!北は北海道南は沖縄までー!」

 

耳「そこまで行かんでいい!」

 

二人は善彦に乗り、発進させる。

 

その日の星は本当に綺麗だった。

 




次はヒーローネーム回です。


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名前と体験

ヒーローネーム回です


休み明けの学校、雨の日にもかかわらず耳郎響香はルンルンしていた。

 

耳「♩〜♫〜♩」

 

芦「あれ?耳郎どうしたーそんなルンルンして」

 

耳「んー?それはねー」

 

耳郎がポケットからカードを手に取り、芦戸に見せた。

 

耳「バイクの免許!とっちゃったんだー♩」

 

芦「えー!すごいじゃーん!」

 

耳「っふふーん♩」

 

耳郎は笑顔で免許証を周りに見せびらかした。

 

葉「おぉー、いいなー免許」

 

八「顔写真も可愛らしいですわ」

 

麗「バイク乗り放題!バイク乗り放題!」

 

女子が耳郎の周りに集まってきた。

 

切「へー、耳郎のやつが免許ねぇ、、」

 

蛙「どういう風の吹きまわしかしら?」

 

蛙吹が善彦の方を見る。

 

善「!!、、、スヤスヤ、、」

 

善彦は机に突っ伏して寝たふりをする。

 

蛙「ケロォ?」

 

上「なーに恥ずかしがってんだか」

 

ガラガラガラガラ

 

相「予鈴がなったら席につけ」

 

相澤先生が入って来た。

 

教室が一気に静かになる。

 

相「今日のヒーロー情報学で行うことについてだが、今回は特別だ」

 

善「?」

 

上(やべぇ、もしかして小テスト!?)

 

相「コードネーム、ヒーローになった時の名前を決めてもらう」

 

「クソヒーローっぽいのきたぁぁぁぁ!」

 

皆のテンションが一気に上がる。

 

善「ヒーローネェェェェムねぇ、、、」

 

歓声の中で善彦は顔を曇らせる、善彦はこういうものを考えるのが苦手なのだ。

 

この授業には18禁ヒーローのミッドナイト先生が来てくれた。

 

ヒーロー名は発表形式一番手は青山だ

 

青「いくよ、、、輝きヒーロー"I cannot stop twinkling "!」

 

善「言いにくいでしょうなぁ、青山くん出るたびに『あー!アイキャンノットストップトゥインクリングだー』言うのか、、」

 

砂「そんな所よりツッコム所いっぱいあるだろ」

 

ミ「ここは. I を省略して、can't にした方が呼びやすい」

 

青「それね☆」

 

善「確かにそうだな」

 

口田(ツッコミ忘れちゃったのかな、、)

 

青山に続いて皆のヒーローネームがどんどん決まる。

 

耳「ねぇねえ二人とも、あんたらの名前決めてやろっか?」

 

善彦の肩が耳郎のイヤホンジャックにつつかれる。

 

上「お?なになに?」

 

善「ホワッツ?」

 

耳「上鳴はジャミングウェイ、佐竹はゴクズラーエースってのはどう?」

 

上「おぉヘミングウェイもじりか、いいじゃん」

 

善「なんか親しみもてますねぇそのネーミング」

 

二人はなかなか気に入ったみたいだ。

 

耳「だって、、ブフッ!上鳴は強いのにすぐウェイってなるし、、佐竹は極道面じゃん、、ヒーロースーツもアレだし、、」

 

耳郎が笑いをこらえながらいった。

 

上「耳郎さぁ!お前ふざけんなよ!」

 

善「極道面、、、、」

 

善彦が自分の顔をペタペタと触る。

 

そんなことも御構い無しに耳郎が前に立って発表した。

 

耳「ヒアヒーロー イヤホン=ジャック」

 

上「けっ、お前の個性の名前じゃねぇか」

 

ズビシッ

 

上鳴の眉間に耳郎のイヤホンジャックが刺さる。

 

耳「なんかいった?」

 

上「いえなんにも」

 

皆のヒーローネームが決まっていき、上鳴と善彦が少し焦る。

 

善「ちくそー、、思い浮かばん」

 

上「よっしゃ!できた!」

 

上鳴がガタンと大きな音を立てて席を立つ。

 

上「チャージ+イナズマ!でチャージズマ!」

 

上鳴かドンと発表した。

 

善「あーりゃりゃぁ、、、」

 

気がつくと善彦は大分最後らへんになってしまった。

 

善「うーー、どうしようどうしよう、、」

 

頭を抱える善彦にある言葉が思い出される。

 

善「あっ、、」

 

バッ!

 

善彦は急いでカードに名前を書くと、セカセカと前にでた。

 

ミ「お、佐竹くんできたのね?」

 

善「はい、自分はさまざま姿に変身するので、変身する前のあの姿の名前を考えました」

 

切「あの極道姿のか?」

 

善「そうなんですよ」

 

そう言うと、善彦は教卓から少し離れる。

 

瀬「なんだなんだ?」

 

ババッ!

 

善彦が腕を上にあげる。

 

善「強きを挫き弱きを救う!ヒーロー道を極めし戦士!」

 

グワァァァァ、、、

 

そのまま腕をゆっくりと円状に回し、カードを前にだした。

 

善「アルティメットヒーロー!強救道(ごうきゅうどう)!」

 

カードにはマッキーで書くはずなのに、善彦の字は達筆になっていた。

 

一同「結局極道じゃねーか!」

 

ミ「でもそういうの好み!」

 

ミッドナイトがムチをピシャンと鳴らす。

 

上「確かにお前表彰式んとき号泣してたもんな」

 

切「号泣道でもあるってことか」

 

上鳴と切島がケタケタと笑う。

 

善「だまらっしゃい!こめかみを砕くぞ!」

 

キーンコーンカーンコーン

 

善「あ、、」

 

善彦が発表したあたりで授業が終わった。

 

そして休み時間に入る。

 

耳「ねぇ、あんたさ、あの名前もしかしてウチのアドバイス元にしたの?」

 

善「え?あぁそうですよ極道ってワードからピーンときて」

 

上「ほんとお前の趣味思考わかんねーわ」

 

話していると、後ろから緑谷と麗日の会話が聞こえる。

 

緑「そういえば麗日さんは職場体験どこなの?」

 

麗「あっ聞いちゃう?私指名きてたんだよね」

 

上「!あっそうだ佐竹は職場体験どこ指名されたんだよ?」

 

善「あー職場体験ね」

 

善彦は先ほどの授業の後に話されたことを思い出す。

 

近々職場体験が行われ、そのなかには指名された人がいると善彦は指名された中の一人である。

 

善「えっと確かどこだったっけかなぁ〜」

 

善彦が配られたプリントをガサガサと開く。

 

善「あったあった自分はねぇ、」

 

麗「えっとね!私は、、」

 

麗・善「武闘派ヒーロー ガンヘッドのところ」

 

麗日と善彦の声が重なる。

 

緑「え?」

 

耳「二人とも」

 

上「一緒?」

 

麗・善「、、、、ふぇ?」

 

麗日と善彦の間の抜けた声が再び重なった。

 




次回から職場体験回です。結構オリジナル強めで行こうと思っています。
《どうでもいいこと》
この前青山優雅と誕生日同じだということを知ってメチャクチャびっくりしました。


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うららかな職場体験

職場体験回です
オリジナル強めでいきます


職場体験当日、1-A組は駅に集められていた。

 

緑「あれ?麗日さん来てないよ」

 

飯「電話にもでない、集合時間までもうすぐだぞ、、」

 

上「そっちもか?こっちも佐竹が来てねぇんだよ」

 

ブロロロロロロロロロロロロロロロロ

 

3人が不安がっている中、エンジン音が駅に響く。

 

耳「このエンジン音、、、、」

 

相「はぁ、、、」

 

耳郎と相澤先生が深いため息をついた。

 

麗「ぼーんとゅびーわぁーあぁーあー♪」

 

プロロロロロロロ

 

麗日がバイクの善彦に乗り、鼻歌まじりで駅に着いた。

 

善彦のエンジン音がいつもと違い、かわいい音になっている。

 

麗「おはよう!デクくん!飯田くん!」

 

善彦から降りた麗日はヘルメットを外し、緑谷と飯田にテトテトと近づく。

 

相「おい、時間ギリギリだぞ」

 

善「すいません、、麗日さんが、、テンション上がって、、はぁ、はぁ、めちゃくちゃ遠回りして、、、」

 

変身を解除した善彦が肩で息をしながら相澤先生に話した。

 

相「はぁ、、、体験先ではそんなことないようにな」

 

麗「はい!」

 

善「はい、、、」

 

そしてみんながそれぞれの体験先へと向かって行く。

 

善彦の視線は耳郎と上鳴ではなく、飯田に向かっていた。飯田のニュースは知っている、兄がヒーロー殺しのステインにやられたのだ。

 

善「飯田くん」

 

善彦が飯田の肩をちょんとつつく。

 

飯「ん?なんだい?」

 

善「ええっと、、あの、、これ」

 

善彦はしどろもどろしながら飯田に何かを差し出す。

 

飯「?これは、、?」

 

善「自分のコレクションの1つ、、まぁ、お守りみたいなもんだよ、使い方はこのメモみて」

 

善彦はポケットからゴソゴソとメモを取り出し、飯田に渡した。

 

飯「おぉ、、、ありがとう、いってくるよ」

 

飯田は善彦からもらったものをカバンに入れると、善彦に背を向け、体験先へと向かった。

 

麗「佐竹くーん!早く行くよー!」

 

後ろから麗日が善彦を呼ぶ。

 

善「はーいよー」

 

善彦も飯田に背を向け、麗日のいる方向へと向かう。

 

〜電車内〜

 

善「、、、、、、」

 

麗「、、、、、」

 

向かい合わせの電車の席、話すことがない善彦は窓の景色を見る。

左から右へと流れる景色をじーっと見つめる、退屈だ。

 

善「、、、、」チラッ

 

善彦がチラリと麗日の方を見ると、麗日は善彦のことをじーっと見つめている。

 

善「、、、、、、」

 

麗「、、、、、」

 

麗日はじーっと善彦を見つめている。

 

善「、、、、口でもくせぇですかい?」

 

麗「プフーーッ!」

 

麗日が盛大に吹き出した。

 

麗「いきなり、、プフッ、何言い出すかと思ったら、、プフーー!」

 

麗日の笑いは止まらない。

 

善「だってこっちばっか見んだもんよー」

 

麗「だって、、バイクが電車に乗るって、、なんか、変だなーって思ってさ、、」

 

麗日が笑いで出た涙を指で拭いながら言った。

 

善「なんじゃそら、バイクでも人間だぜ」

 

善彦は駅で購入したお茶をぐいっと飲む。

 

麗「ねぇねぇ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」

 

善「むー?」

 

善彦は口にお茶を含んでいる。

 

麗「佐竹くんってさ!耳郎ちゃんのこと好きなの?」

 

善「ブブフッ!」

 

善彦はファブリーズのごとくお茶を吹き出した。

 

麗「うわっ!きったね!図星か!図星なのか!」

 

麗日は目をキラキラさせている。

 

善「うぇっほ!ゲホゲホ!ちがうっ!ちがうって!」

 

善彦はガラガラ声で手を横に振る。

 

善「はぁ、、はぁ、、確かに、、言っていることは間違ってないけど、運転手として!運転手として好きだよ、、耳郎さん、、は、、」

 

善彦が頬を赤らめながら言う。

 

麗「へー、、運転手としてねぇ、、」

 

麗日は手を口に近づけ、クスクスと笑う。

そして電車が駅で止まった。

 

善「お、この駅じゃん、早く行かなきゃ」

 

善彦はそそくさと外へ向かっていく。

 

麗「あ!逃げんなー!」

 

麗日が善彦を追って行き、電車を降りた。

 

〜ガンヘッド事務所前〜

 

駅からバイクを飛ばして数分、ガンヘッドの事務所に着いた。

見た目は事務所というより道場である。

 

麗「こんにちはー、雄英高校のものですー」

 

麗日は躊躇なくドンドンと戸を叩く。

 

ガラガラガラガラ!

 

戸を叩くとすぐにその戸が開いた。

 

善「!!?!」

 

戸が開くと、そこには麗日の.3倍近くある大男が立っていた。

男はマスクをつけ、静かに二人を見下ろす。

 

麗「こ、こんにちは、雄英高校から来た"ウラビティ"と、、極道でーす、、」

 

麗日が後ろにいる善彦を指差す。

 

善「強救道です」

 

「、、、、、、、、」

 

自己紹介をしても大男は黙っている。

 

麗「、、、、、、、」

 

善「、、、、、、、、」

 

ガンヘッド「、、、あ、ああ!雄英高校の!よく来てくれたねぇ二人とも!これからパトロールにいくところだったんだぁ、ヒーロースーツ持ってきてるよね?僕はバトルヒーローガンヘッド!これから一週間よろしく!」

 

大男、ガンヘッドは急に饒舌になり、中へ入るよう促した。

 

善「あ、、はい、、」

 

麗「よろしくおねがいします、、」

 

二人はあっけにとられながらも、事務所に入っていった。

 




次も職場体験回です。
オリジナル強めでいきます。


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うららかに変身いたしまーす

クラスメイトが変身します


ガンヘッドの事務所に着いた二人はガンヘッドと共に街のパトロールをしていた。

 

ガ「逮捕協力や人命救助等の貢献度を申告そして専門機関の調査を経てお給料が振り込まれるよ、基本歩合だね」

 

麗(喋り方、かわいい) キュン

 

善「なるほど、そんなシステムがあるのですね」

 

麗日の隣には仮面ライダーレーザーレベル1の姿の善彦が歩いている。

 

麗(物理的にかわいい) キュン

 

麗(かわいいものに挟まれてる私って、女の子として幸せなんじゃないかな!)

 

麗日の表情がパッと明るくなった。

 

善(なんだろうこのうららかなオーラ)

 

善彦の隣からポカポカしたオーラが広がってくる。

 

ガ「よし、ここら辺は大丈夫そうだ、事務所に戻るよ二人共」

 

善・麗「はーい!」

 

麗日と善彦はテトテトとガンヘッドについていった。

 

〜ガンヘッド事務所〜

 

事務所に戻った二人は、ガンヘッド直々の元、格闘術の指導を受けていた。

 

ガ「強救道くん、今からこのナイフを使って僕に襲いかかってきてよ」

 

善「え?良いんですか?」

 

ガ「いいよいいよ、ウラビティちゃん、見ててね」

 

麗「あ、はい、」

 

その様子を麗日はアワアワした様子で見ている。

 

善「それじゃあ行きます!」

 

善彦は躊躇なくナイフをガンヘッドに向けて走り出す。

 

麗(わあぁ、あのヒーロースーツのせいで完全にヤクザがナイフ持って襲いかかってる図だよぉ、、)

 

そう、善彦のヒーロースーツは全身黒のスーツにサングラス、それがナイフを持っていたら完全にそれである。

 

ガ「よっ、はっ、」

 

善彦が振り回すナイフをガンヘッドはいともたやすくヒラリとよける。

 

善「それじゃあ!」

 

バッ!

 

善彦はナイフを逆手持ちに変え、再びガンヘッドに向かう。

 

麗「あ!お寿司サムライ戦法!」

 

ガ「逆手一文字か、、フッ!」

 

ガシッ!

 

善「あらっ!」

 

善彦の手首がガンヘッドに掴まれる。

 

ガ「相手が直接攻撃に来たら、片足軸回転で避け、手首と首元を持ち、、」

 

善「うおっとととと!」

 

ガ「一気に!ねじ伏せる!」

 

ドスゥン!

 

善「ウゲェ!」

 

善彦の体が床に叩きつけられた。

 

ガ「そして、手首をひねってナイフを落とし、蹴って遠くに離すとより良し、」

 

麗「あ、、はい」

 

麗日は善彦が床に叩きつけられた姿を見て唖然としている。

 

善「うごぉぉ、体が、、、」

 

サングラスを直しながら善彦が立ち上がる。

 

ガ「じゃあ、次は僕がナイフを持つから、できるようになるまで何度も練習!」

 

麗「はい!」

 

善「はいぃ!」

 

二人の気合がたっぷり入った返事が事務所内に響いた。

 

そして、特に大きな出来事もないまま、一週間が過ぎようとしていた。

 

〜最終日〜

 

ガ「さて、今日が最後の1日だ、二人共よろしくね!」

 

麗・善「はい!」

 

一週間の格闘訓練で二人の体は少したくましくなっていた。

 

ガ「よし、じゃあパトロールに、」

 

プルルルルルルルル

 

ガ「?」

 

事務所内の電話が鳴った。

 

ガ「はい、こちらガンヘッド事務所、、はい、はい!すぐに向かいます!」

 

ガンヘッドは電話を切ると、バッと二人の方を見る。

 

ガ「二人共、大仕事だ!近くでヤクザたちが抗争しているみたい!すぐに止めにいくぞ!」

 

麗「ええっ!、ぁ、はい!」

 

善「うっし!行きましょう!」

 

二人はガンヘッドに駆け足でついていった。

 

〜路地裏〜

 

「おらぁぁぁ!」

 

「ここはオレらのシマじやぁぁぁぁ!」

 

麗「うわぁ、、」

 

善「まじかよこれ、」

 

二人が現場に着くと、そこではヤクザ達が個性をバンバン使いながら喧嘩をしていた。

 

そこには警察もいたが、止められそうにない。

 

ガ「よし!二人共、いくよ!特訓の成果を見せてやれ!」

 

麗「はい!」

 

善「うっす!」

 

二人はガンヘッドに続いて喧嘩しているヤクザ達を押さえつける。

 

麗「ふっ!はっ!」

 

「うおぉ!」

 

「なんだ!」

 

麗日が1度ヤクザに触ると、無重力でヤクザ達の体が宙に浮く。

 

善「くっ!おおらぁ!」

 

善彦は変身していないながらもガンヘッドから教わった格闘術でバンバンヤクザ達を倒していく。

 

「おい!そいつは仲間だぞ!なにやってんだ!」

 

善「自分はヤクザじゃねぇ!」

 

ゴシャア!

 

善彦の蹴りがヤクザの顔面に当たる、何かが砕ける音がした。

 

麗「うわぁ!なにあのキック!」

 

善「どうじゃこの鉄板入りのシューズのキックわぁ!」

 

善彦が足踏みをすると善彦のはいているシューズからガンガンと金属音がする。

 

麗「うわぁ、えっぐぅ、」

 

「ちくしょう!調子づきやがって!これでもくらいやがれ!」

 

頰に大きな傷跡がある一人のヤクザが二人の前に立つと、ヤクザの体からナイフが何本も飛び出てきた。

 

ガ「二人共!伏せて!」

 

ガンヘッドが前に出て飛んできたナイフを叩き落とす。

 

善「ガンヘッドさん!」

 

ガンヘッドの腕にナイフが突き刺さった。

 

「ふぁははは!どうだ!オレは体に物をしまったり出したりすることができるんだよ!」

 

そういうとヤクザは体から拳銃を取り出した。

 

麗「どうしよう、体から刃物が出てくるんじゃ私の個性じゃうかつに触れないよ」

 

善「だったら触らなければいいか、触れるような体になればいいだけだ」

 

善彦はポケットから何かを取り出し、麗日に渡す。

 

麗「?これは?」

 

善「自分のコレクションの1つ、メモも読んで!」

 

善彦はオレンジのスマホを手にとった。

 

麗「ええええ!、ええっと、これでいいのかな?」

 

麗日は、善彦に渡されたものを腕に巻き、レバーをあげる。

 

《変身いたしまーす、白線の内側に下がってお待ちください》

 

麗「え?え?白線の内側?」

 

麗日と善彦の目の前に白線が引かれ、ヤクザ達は内側に下がる。

 

 

善彦も続いて、スマホをずらすと、そこから電車のレーンのようなものが出てきた。

 

善「これを使って変身するんだ」

 

麗「うん、、」

 

善彦は麗日にピンクの電車を渡す。

 

善「いくぞ!トッキュウチェンジ!」

 

麗「と、トッキュウチェンジ!」

 

善彦はオレンジの列車をアプリチェンジャーに走らせ、麗日は列車を腕につけたトッキュウチェンジャーにセットした。

 

善・麗「はぁ!」

 

麗日の体がピンク色のスーツに包まれ、顔にレーンが巻きついて変身を完了させた。

 

麗「!え、!ええー!変身しちゃった!」

 

《トッキュウ5号〜トッキュウ5号》

 

善「すげぇだろ?列車戦隊トッキュウジャーだ」

 

善彦はオレンジ色のトッキュウ6号に変身した。

 

麗「トッキュウ5号、、私の姿、、」

 

善「そう、イマジネーションを働かせて戦って、それがトッキュウジャーのパワー源だから!」

 

麗「う、うん!出発進行ー!」

 

麗日と善彦はヤクザ達に向かって走り出した。

 

ガ「はは、、すごいな強救道くんの個性」

 

麗「はぁ!たぁ!やぁ!」

 

変身して身体能力が上がった麗日はテッキョウクローを片手にヤクザ達を倒していく。

 

麗「すごいこの武器強い、」

 

善「あぶねぇぜ!」

 

麗「うわっ!」

 

麗日の目の前でヤクザが吹っ飛んだ。

 

「うわぁぁぁこいつ超つえええー!」

 

善「うおらぁぁあ!」

 

善彦はユウドウブレイカーを片手に無双している。

 

「なぁ、なに!オレの組の連中が、、」

 

先程ナイフを出したヤクザが二人を目の前にして動けなくなっていた。

 

麗「いくよ!さた、、強救道くん!」

 

善「あいよ!ウラビティ!」

 

善彦はユウドウブレイカーにドリルレッシャーをセットする。

 

《オーラーイ、オーラーイ》

 

麗「はっ!」カッ!

 

麗日の目が仮面の中でキッと変わる。

 

麗「はぁぁぁぁ!」

 

麗日がヤクザに向かって走り出す。

 

「うぉぉぉ!来るなぁぁぁ!」

 

ヤクザは体からナイフを飛ばし、拳銃を発砲するが麗日のテッキョウクローにすべて叩き落される。

 

麗「ふっ!」

 

麗日はヤクザの目の前で跳躍した。

 

「なにっ!」

 

一瞬視界が遮られ、視界が開けた時、目の前にユウドウブレイカーを構えた善彦がそこにいた。

 

善「うぉぉぉ!でりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「ぐぁぁぁああああ!」

 

ドリルのエネルギーをモロに食らったヤクザは、警察のいる方へと吹っ飛ばされた。

 

「うおお!協力、感謝します!」

 

警察達は善彦達に向かって敬礼をした。

 

善「はぁ、はぁ、自分らの勝ち、、」

 

麗「すごぉい、ちょっと楽しかった」

 

二人は変身を解除した。

 

そして二人の肩に大きな手が乗っかる。

 

ガ「二人共、お勤めご苦労様、今回の体験学習100点だよ♩」

 

ガンヘッドは二人に向かって親指を立てた。

 

善「はい!」

 

麗「ありがとうございます!」

 

こうして、善彦と麗日の職場体験が終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




夜中にやったので、駄文ご了承ください。

次は飯田くんの回です。


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行けよ振り切れ飯田君

もう、目の前が真っ暗になっていた。

 

あんな大声で「殺してやる」だなんて生まれて初めて言ったかもしれない。

 

絶望で頭がいっぱいだった。

 

けれど、友の声で光が見えた。

 

友のおかげで、見えなかったものが見えた。

 

体はもう、自由に動ける。

 

飯「はぁ、、はぁ、、」

 

ステインの個性の凝血が解けて、飯田は自由に動けるようになったが、ダメージが大きくて激しくは動けそうにない。

 

ステイン「その体で何ができる、お前は私欲を優先させる贋物にしかならない!英雄を歪ませる社会のガンだ、誰かが正さなければならないんだ」

 

出「飯田君、、」

 

轟「時代錯誤の原理主義だ、飯田、人殺しの意見に耳を貸すな」

 

飯「いや、やつの言う通り俺にヒーローを名乗る資格はない、しかし、ここで折れるわけにはいかない、、」

 

カチャ

 

飯田は、腰にベルトを装着し、ポケットから何かを取り出す。

 

飯「ここで折れれば、インゲニウムは死んでしまう」

 

飯(使わせてもらうぞ!佐竹君!)

 

《アクセル!》

 

出「飯田君!それって、、」

 

飯「変、、、身!」

 

飯田が腰に巻いたアクセルドライバーにアクセルメモリを差し、ハンドルをひねる。

 

ドゥルルン!ドゥルルン!

 

路地裏にエンジン音が響く。

 

エンジン音とともに、飯田の体が赤色の鎧で包まれた。

 

出「飯田君、、まさか、、」

 

轟「お前、、、」

 

緑谷と轟は変身した飯田を見て唖然としている。

 

飯「仮面ライダーアクセル、、さぁ、振り切るぞ!」

 

飯田がステインに向かって走り出した。

 

ス「変身などしたところでお前は贋物に変わりない、なにをしても無、、」

 

ドガァ!

 

ス「!!」

 

無駄と言いきる前に、ステインの体は宙に浮いていた。そして腰あたりには鈍痛が走っている。

 

ス「なに、、一体なにが起きたんだ、、」

 

この事態に、一番驚いているのは飯田自身だった。

 

飯(なんだ今のスピードは、少し走っただけでステインを吹っ飛ばしたぞ、、これが仮面ライダーの力か、、)

 

ス「くっ!贋物が、、」

 

ステインが建物の壁を蹴って跳躍し、刀を抜いて飯田に飛びかかった。

 

出「飯田君!危ない!」

 

飯「!!」

 

ガギィィィィン!

 

金属同士がぶつかり合う音が耳をつんざく、その音に緑谷は目を瞑った。

 

轟「おい、緑谷、、見てみろ」

 

緑「え?、、」

 

緑谷は轟の言う通りゆっくりと目を開ける。

 

ス「お前、、なぜそんなものを、、、」

 

飯「そんなこと、、俺がしるか!」

 

緑谷が目を開けると、飯田がステインの刀をエンジンブレードで受け止めていた。

 

緑「飯田君、、」

 

それを見て緑谷は少しホッとした。

 

飯「くっ!」

 

ギィィン!

 

ステインの刀を弾き返し、ステインとの距離を取る。

 

ス(くっ、いろいろと想定外過ぎる、どこから出てきたんだあの剣は、、しかしあのような鎧に身を包まれては個性は使えない、、)

 

半分に折れた刀を見ながらステインが次の手を考えていた時。

 

ス「!!」

 

ステインの足場が凍り始めた。

 

轟「俺たちの事を忘れてんじゃねえよ、、」

 

轟が地面に手をつき足場を凍らせたのだ。

 

ス「くっ!小癪な、、」

 

ステインが跳躍し、氷結を避ける。

 

轟「今だ!緑谷!飯田!」

 

ス「なに!!」

 

ステインが轟の声に反応して前を見ると、そこにはコブシを構えた緑谷がいた。

 

飯「二人共、、、ありがとう!」

 

ガチャ!

 

飯田がベルトのグリップを握り、アクセルをひねる。

 

飯「はぁぁぁぁぁ、、、、」

 

エンジン音と共に、飯田の右足にエネルギーが溜まる。

 

バッ!

 

飯田も跳躍し、ステインを緑谷と挟んだ。

 

飯「絶望がお前の!ゴールだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

《アクセル!マキシマムドライブ!》

 

緑「スマァァァァァァァァッシュ!」

 

飯田のキックは緑谷のスマッシュと重なり、Aの字が空中に描かれた。

 

ス「に、、せもの、、どもが、、、」

 

ステインはそのまま轟の作った氷塊の上に落ちた。

 

飯田と緑谷は地面に着地し、飯田は変身を解除する。

 

緑「飯田くん、、やったね!」

 

轟「やったな、飯田」

 

飯「あぁ、、ありがとう、二人、、と、、も、」

 

飯田の視界が、突然暗くなり、、その場に倒れた。

 

緑「わぁぁ!飯田君!」

 

飯田はその場で気を失ってしまった。

 

飯田が目を覚ますと、そこは病室だった。

 

隣には赤面しながら麗日と電話をする緑谷がいた。

 

そして飯田はある事を思い出す。

 

飯「緑谷君、すまないが電話を代わってくれないかな?」

 

緑「え?あぁ、いいよ、麗日さん、電話変わるね」

 

緑谷から電話を受け取る。

 

飯「あぁ麗日くん、近くに佐竹君はいるかい?あぁ、そうか、、すまないが、この言葉を、彼に伝えてくれないかい」

 

飯田は少し頬を赤くしながら言った。

 

飯「"ありがとう"と」




次はテスト回です


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大混乱テスト!

期末テスト回です


インターンシップが終わり6月最終週、期末テストの時が近づいて来ていた。

 

上「全然勉強してねー!」成績 21/21位

 

芦「全然勉強してなーい!」20/21位

 

教室には二人の叫びが響いていた。

 

善「あーれれ二人とも大ピンチってかんじ」?/21位

 

耳「今回のテスト赤点とったら林間学校無しだもんね」7/21位

 

切「でも佐竹ってこのクラスだと順位どのくらいなんだろうな?」15/21位

 

善「さぁーあ?前の学校では40人中20位だったからなぁ」

 

善彦が呑気に話していると教室のドアが突然ガララと開く。

 

相「お前の順位は下から数えた方が早いぞ」 ガララ、ピシャン!

 

相澤先生がそれだけを言って去って行った。

 

善「、、、うっ、吐き気が、、、」

 

善彦がその言葉で吐き気を催してきた。

 

耳「うわわわ!そうだ!佐竹もヤオモモに勉強見てもらおうよ!ウチや上鳴や尾白もヤオモモに勉強見てもらうからさ!ね?」

 

善「え、、?いいのかな?」

 

善彦がゆっくりと八百万の方を向くと、八百万は「いいですよ」と言い、手をひらひらと振った。

 

善「ありがとうございます、、上鳴くん!耳郎さん!頑張りましょう!」

 

上・耳「おーー!」

 

こうして、善彦達は八百万家で勉強会することになった。

 

〜勉強会当日〜

 

善彦達が訪れた八百万の家はまるでお城、皆その雰囲気にのまれそうになりながら着々と勉強を進めた。

 

そして筆記テスト当日。

 

上鳴と芦戸は黙々とテストに集中し、善彦も頭を抱えながらも全問を埋めてテストを終了させた。

 

芦「やったよヤオモモー!」

 

上「とりあえず全問埋まったぜー!」

 

芦戸と上鳴が八百万に歓喜の言葉を送る。

 

上「あとは実技のロボ無双だなー!」

 

上鳴がわっはっはと笑う後ろで善彦は顔を曇らせていた。

 

耳「どした?佐竹」

 

耳郎が善彦の異変に気付く。

 

善「いや、なんか嫌な予感がしましてねぇ、、」

 

耳「嫌な予感?」

 

その言葉に耳郎が首を傾げる。

 

そして実技テストの日が訪れ、校長の根津先生から試験の内容が告げられた。

 

根「今回の実技テストは我々先生達相手とやってもらうよ!」

 

その言葉に芦戸と上鳴の顔に絶望の色が浮かぶ。

 

善「嫌な予感が的中した、、」

 

相「それじゃあチーム分けを発表するぞ」

 

それぞれの先生に誰が相手するのかは事前に先生達が決めていた。

 

善彦はいつもの上鳴、耳郎ペアとを期待していた。

 

相「佐竹、轟、八百万はオレと相手をしてもらうぞ」

 

善(うおぉぉぉぉぉあぁぁぁぁ!)

 

この時善彦に衝撃が走る、あまりコミュニケーションをとったことのない二人とチームになってしまった。

 

チラリと上鳴と耳郎の方を見ると二人も驚きの表情を善彦に見せていた。

 

善「ど、、どうしよう、、」

 

そして、実技テストが始まった。

 

試験内容は敵を想定した先生に手錠をかけるか、出口を見つけ、そこから抜け出せばクリアという内容である。

 

とりあえず善彦、轟、八百万の3人は出口を探し住宅街ステージを走っていた。

 

轟「なぁ、佐竹、お前の変身能力は相澤先生に見られたら消えるのか?」

 

善「ふぇ?」

 

善彦は仮面ライダーレーザーレベル1に変身していた。

レベル2に変身していないのはエンジン音で相澤先生に悟られるのを防ぐためである。

 

轟「葉隠みたいなタイプの個性は消せないが俺や八百万みたいな発動系は消されちまうんだ」

 

善「いやー、じつはそこらはよくわかってなくてですねぇ、」

 

と喋っている時。

 

相「ゆっくりと喋っている時間はないぞ」

 

後ろから聞き慣れたハスキーボイスが聞こえた。

 

八「はっ、しまったですわ!」

 

轟「くそっ!」

 

轟が右手から氷を出そうとしたが、相澤先生の個性「抹消」で氷が出ない。

 

善「轟くん!」

 

善彦が轟の方に駆け寄ると相澤先生が善彦の方を向く、すると仮面ライダーに変身していた姿がもとのヒーロースーツに戻る。

 

善「げええ!まじかよ!」

 

相「モタモタするな」

 

相澤先生が首に巻いていた布をシュルリと善彦達に伸ばし、轟と善彦を縛り上げ、電線に宙吊りにした。

 

善「わー!しまった!」

 

轟「逃げろ!八百万!」

 

八「っく、、はい!」

 

八百万は悔しながらも背を向けその場から逃げる。

 

相「ふん、逃げたか、」

 

そういうと、轟と善彦の下にまきびしをまき、八百万を追いかけた。

 

轟「まきびしって、忍者かよ、、」

 

二人は去って行く相澤先生を見送るしか出来なかった。

 

善「ふぬー!全く切れる気配なし!」

 

轟「くそ、オレの火なら簡単に溶かせるんだがまきびしがあってはな、、」

 

轟がつぶやくと善彦がひらめく。

 

善「轟くん!自分の、、僕のこのひも溶かして!」

 

 善彦が「自分の」と言い換えたのは天然である轟が自分と言ったら轟自身のひもを溶かしてしまうかもと思ったからである。

 

轟「な、、そしたらまきびしがお前に刺さるぞ」

 

善「大丈夫!この靴の底鉄板入ってるからまきびしくらいなら平気だと思う!」

 

轟「わかった、、」

 

轟は左手から小さな炎を出し、善彦を縛っていた布を溶かした。

 

善「いよいっしょぉぉ!」 ドスン!パリンパリンパリン

 

善彦が着地すると同時にまきびしが砕ける音がする。

 

轟「どんだけ硬い鉄板入れてんだよ、、」

 

善「今ほどきますからねー」

 

善彦はまきびしを足でサッサと払うと電柱に縛られた布をワサワサとほどく、すると遠くから声が聞こえた。

 

八「お二人とも!目を瞑ってください!」

 

善「へ?」

 

轟「なんだ!」

 

すると突然眩い光が辺りを包んだ。

八百万が閃光弾を使って相澤先生から逃げ、戻ってきたのだ。

 

轟「八百万、お前戻ってきたのか?」

 

八「えぇ、チームですからね」

 

善「すごい光でしたねー」

 

八「え!見えてたんですの!?」

 

善「ええまぁ、、」

 

善彦のサングラスは遮光最高クラスであり、閃光弾も平気なのである。

 

善「とにかく、自分バイクに変身するんで二人共乗ってください!」

 

そう言うと善彦は仮面ライダーレーザーレベル2に変身した。

 

轟「よし!八百万のれ!」

 

八「は、はい!」

 

轟が運転席に乗り、八百万が轟の後ろに付いた。

その時、事が起きた。

 

むにゅん

 

轟「!!!!!!!!!」

 

背中に柔らかい物が当たり、轟の体に雷が落ちたかのような衝撃が走る、そしてそっと運転席を降りた。

 

轟「すまねぇ、八百万、電柱から降りた時足をくじいたみたいだ、運転代わってくれないか?」

 

八「え、あぁ、はい、わかりました、、」

 

こうして八百万が善彦を運転することになった。

 

善(なんか心なし轟くんの顔赤くなってるような、、)

 

八「さぁ!飛ばしますわよ!」

 

ブゥゥゥン!

 

八百万がバイクを走らせ、相澤先生との距離を大きく広げた。

 

善「八百万さん、轟くん、テスト前に渡したあれ覚えてます?」

 

善彦が二人に話しかける。

 

轟「あぁ、今も持ってるぞ、」

 

善「それを使ったいい作戦があるんです」

 

八「私と佐竹さんで作戦を考えておりました」

 

轟「、、、そうか、じゃあ二人に従ってみるか」

 

数分後、視力が回復した相澤先生は電柱の上に立ち、善彦達を探していた。

 

相「ん?なんだあれ?」

 

相澤先生が黒いエンジン音がする物を見つけた。

 

相「なるほど、黒いマントを被って俺への直視を避ける作戦ね、」

 

相澤先生が黒い物に向かって飛んで行く。

 

相「でも危ないからそういう運転はやめような!」

 

その言葉とともに捕縛武器を放つと、黒いマントが相澤先生の視界全てを遮る。

 

相「なっ、」

 

バサっとそのマントをどかすと、バイクには八百万ともう一人、見覚えのない者が乗っていた。

 

赤が半分、青が半分の色のライダーである。

 

相「なんだあれは、、」

 

轟「仮面ライダーダブル、ヒート・トリガーです」

 

ドンドン!

 

名乗りながら轟がトリガーマグナムを相澤先生に向かって撃つ。

 

相「くっ、火の弾か、、」

 

放たれた火の弾を避けると、轟達を睨み、個性を発動させる。

 

すると、善彦の個性が解け、元の姿に戻った、しかしそれを見て相澤先生は驚きの表情を浮かべた。

 

善「いてて、、大丈夫?八百万さん、、」

 

先程、轟の声が聞こえたライダーから善彦の姿が出てきたのだ。

 

相「なに、、なんで佐竹が、」

 

相澤先生がバイクに目を向けるとバイクが消えている、そして八百万にはゲーマドライバーが腰に巻かれていた、そしてスロットホルダーには爆走バイクが挿さっている。

 

相(なにがどうなっている、轟はどこだ?)

 

相澤先生が混乱している隙に、善彦が叫んだ。

 

善「轟くーん!今だ!」

 

相「なにっ!」

 

相澤先生が後ろを向くと、住宅地の角から轟が飛び出し、大氷壁を作り、逃げ道を塞いだ。

 

相「くそっ!しまった!」

 

相澤先生が跳躍し、別のルートから逃げようとしたとき、善彦が再び叫ぶ。

 

善「八百万さん!」

 

八「はいっ!」

 

善彦が呼んだのと同時に八百万がカタパルトを取り出した。

 

相「カタパルト、、?」

 

そして八百万がカタパルトのスイッチを押し、、そこねた。

 

八「!?」

 

善「え?」

 

善彦は一瞬固まったが八百万が素早く再びカタパルトのスイッチを押し、乗せていた物を発射した。

 

それは相澤先生の捕縛武器に似た形状の紐、それが相澤先生の周りに飛んで行った。

 

相「目くらましか、、」

 

と思ったらその時、八百万が轟に向かって叫んだ。

 

八「轟さん!地を這う炎熱を!」

 

轟「あぁ!」

 

轟が左手を地につけると炎熱が広がる。

 

八「ニチノール合金、ご存知ですか?加熱によって瞬時に元の形状を復元する、、」

 

相澤先生の周りの紐がガキンガキンと音を立て迫ってくる。

 

八「形状記憶合金ですわ!」

 

ギチイィィィ!

 

相澤先生の体をニチノール合金が包み、身動きを封じた。

 

善「よっしゃやったー!」

 

そして相澤先生の手に手錠をかけ、善彦達のテストは終了した。

 

相「1つだけ質問いいか?」

 

相澤先生が善彦に話しかける。

 

善「はい?」

 

相「仮面ライダーダブルってなんなんだ?なぜ佐竹の体から轟の声が聞こえたんだ」

 

善「あぁ、仮面ライダーダブルは、この自分が着けているダブルドライバーを2つ使い、轟くんと一緒に変身したんです」

 

相「だが変身が解除された時佐竹の体だけだっだぞ」

 

善「あー、一緒に変身したと言ってもドラゴンボールみたいな2つの体が1つになるフュージョンのような感じじゃなくて、轟くんの精神が自分の体に入って、変身するのが仮面ライダーダブルなんです」

 

轟「そのかわり、俺の体は抜け殻のようになりますけどね」

 

善「最初から変身解除されるのを想定して轟くんの体を電柱の陰に隠しておいたんですよ」

 

八「私の個性を使い、地面と同じ色のカバーをかけておいたんですの」

 

3人の解説に相澤先生はポカンとしている、しかしその後フフッと笑った。

 

相「なるほど、俺はまんまと虚をつかれたってわけか、文句なしの合格だ」

 

善「よかった〜」

 

善彦が、安心して膝から崩れ落ちる。

 

そして八百万の方を見ると、八百万は涙ぐみ、手で口を押さえていた。

 

善(あ、めっちゃ嬉しいんだね)

 

轟「、、どうした?気持ち悪いか吐き気には足の甲にあるツボが、、、」

 

八「なっ、なんでもありませんわ!」

 

善彦は、そのやりとりを温かい目で見る。

 

こうして善彦は林間合宿のキップを手に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は林間合宿回です


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林間合宿! 1-A変身!

林間合宿回です


待ちに待った林間合宿、テスト不合格だった上鳴達もどんでん返しで林間合宿に行けるようになり、バスの中はワイワイと賑わっていた。

 

相「1時間に1回止まるからな」

 

「やっぱりチューブだろ!」

 

「ねぇ、ポッキーちょうだい」

 

「しりとりしよー!」

 

相澤先生の声は皆に届いてはいなかった。

 

善「大変だなぁ、先生、、」

 

相「はしゃいでいられるのも今のうちだからな、、、」

 

善「ふぇ?」

 

今の相澤先生の言葉を善彦は聞き逃さなかった。

 

そしてバスが止まる。

 

しかし止まったのは何もない広場だった。

 

上「あれ?パーキングエリアじゃあねぇな?」

 

善「なぁんもないやトイレすらない」

 

善彦の足元には尿意を我慢している峰田がいる。

 

そして、広場にはプロヒーロー「プッシーキャッツ」の二人、マンダレイとピクシーボブが来てくれていた。

 

プッシーキャッツの二人と相澤先生が何か話をしているが、善彦は後ろにいたせいであまりよく聞き取れない、しかしその直後、切島の叫び声が響いた。

 

切「みんなー!バスに戻れー!」

 

切島が叫んだ後、善彦の立っていた地面が揺れ動くのを感じた。

 

善「え?ちょっと!」

 

相「林間合宿は、もう始まっている」

 

相澤先生の言葉と共に、1-A全員が土の津波におされ、崖下に落とされた。

 

マ「今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!この、"魔獣の森"を抜けて!」

 

崖の上からマンダレイが叫んだ。

 

善「魔獣、、なにそれ、、」

 

瀬「雄英こういうの多いよな」

 

峰「オイラは耐えたぞ、、耐えた、、耐えて、」

 

峰田がブツブツ言いながら前を走ると、奥からグルルと唸り声を上げて化け物が出て来た。

 

上・瀬「魔獣だーーー!」

 

善「うぉぉぉぁぁぁぃ!変身!」

 

《ガッチャーン!レベルアップ!》

 

緑「フルカウル!」

 

爆「おらぁぁぁ!」

 

轟「!!」

 

飯「はぁぁぁ!」

 

五人はそれぞれの個性を使い、魔獣を粉砕した。

 

善「よかった!前蹴りで変身してよかった!」

 

善彦は仮面ライダーレーザーレベル0に変身していた。

 

飯「佐竹くん!今の蹴りは良かったぞ!」

 

爆「褒め合ってる場合じゃねぇぞバカ共、、」

 

善「え、?」

 

耳「前方10メートルから5匹、右からも3匹!くるよ!」

 

耳郎が地面にイヤホンジャックを刺して叫んだ。

 

障「空からも何匹かくるぞ!」

 

2人の言葉にみんなが戦闘モードに入った。

 

善彦はその瞬間自分と一緒に落ちてきた善彦のリュックを確認する。

 

善「今のうちに!」

 

善彦は皆が魔獣に向かって走っているのに対し、魔獣に背を向けてリュックに走っていった。

 

耳「ん?佐竹?」

 

善彦はリュックを担ぐと皆に向かって叫ぶ。

 

善「みんなー!今から自分のコレクションをばらまくー!使い方はメモが貼ってるからそれを見て変身してくれー!」

 

善彦はそう叫ぶとリュックの中身をぶちまけた。

 

切「ん?なんだこの銃、、」

 

切島が受け取ったのは恐竜の顔をした拳銃だった。

 

それを芦戸、砂藤、常闇、轟も受け取っていた。

 

切「えーっと、、獣電池をセットして、、よし!わかった!お前らぁ!キョウリュウチェンジだ!」

 

メモを読んだ切島が4人に向かって叫ぶ。

 

「「「「おぅ!」」」」

 

5人は横一列に並ぶと、獣電池を前に突き出す。

 

切「ブレイブイン!」

 

獣電池を押すと、ガブリボルバーに獣電池をセットし、構える。

 

《ガブリンチョ!ガブティラ!》

 

《パラサガン!》

 

《ステゴッチ!》

 

《ザクトォォル!》

 

《ドリケェェラ!》

 

切「キョウリュウチェンジ!」

 

切島達がリボルバーを回すと、ガブリボルバーからサンバのリズムが流れ、皆それに合わせて踊る。

 

芦「ファイヤー!」

 

そしてガブリボルバーを上に掲げ、トリガーを引いた。

 

そして皆にスーツが装着され、変身を完了させた。

 

切「牙の勇者!キョウリュウレッド!」

 

常「弾丸の勇者!キョウリュウブラック!」

 

砂「鎧の勇者!キョウリュウブルー!」

 

轟「斬撃の勇者!キョウリュウグリーン!」

 

芦「角の勇者!キョウリュウピンク!」

 

切「史上最強のブレイブ!獣電戦隊!」

 

「「「「「キョウリュウジャー!」」」」」

 

切「荒れるぜぇ〜〜!止めてみなぁ!」

 

名乗りを綺麗に決めた5人は魔獣に向かって走り出した。

 

飯「うぉぉぉ!すごいぞ切島くん達!ならば俺も!」

 

《アクセル!》

 

飯田も続いて仮面ライダーアクセルに変身した。

 

飯「さぁ!振り切るぞ!」

 

そしてエンジンブレードを構え、魔獣に向かって走り出した。

 

切「うおぉ!どけどけぇ!」

 

切島はガブティラファングを片手に魔獣達をドンドンと倒す。

 

砂「なんだこの力は!砂糖を摂ってないのにドンドン力が湧き出てくるぞぉぉ!」

 

砂藤はステゴシールドを魔獣に向かって投げ、魔獣を一掃した。

 

轟「剣か、、悪くないな!」

 

轟は個性で刀身に炎を纏わせたガブリカリバーを片手に魔獣を斬り伏せる。

 

常「黒影!後ろだ!」

 

黒「アイヨォ!」

 

常闇はダークシャドウとガブリボルバーの連携で魔獣を倒していく。

 

常「弾丸の勇者か、、フッ良い名をもらった!」

 

芦「それそれこけろー!貫かれろー!」

 

芦戸は個性の酸で魔獣を転ばせ、転んだ魔獣をドリケランスで貫き倒していた。

 

善「みんな初めての変身なのにうまく扱ってるなぁ〜」

 

善彦は魔獣を倒しながらキョウリュウジャーの戦いに感心していた。

 

〜宿舎〜

ピ「あらーあたしの土魔獣が簡単に倒されちゃってるや」

 

相「ウチのクラスにはくせ者が何人かいますからねぇ」

 

ピ「よーしそれじゃドンドンサービスしちゃお!」

 

マ「ちよっと、あまり調子に乗らないでよ」

 

〜魔獣の森〜

 

ピクシーボブか調子に乗ったせいで魔獣の森では魔獣がドンドン増えていた。

 

麗「ねぇ!なんか増えてきてない!?」

 

トッキュウ5号に変身した麗日が叫ぶ。

 

善「そんなこと言ってもやるしかないでしょーよ!」

 

ドキュン!

 

善「えわっ!」

 

突然善彦の前を青いレーザービームが通り過ぎた。

 

青「ハロー★」

 

善彦がレーザービームが発射された方をみると、そこにはテンビンゴールドに変身した青山が立っていた。

 

青「いいねこの武器、お腹も痛くならないし、ひじょーにエレガント!」

 

青山が体を反らしながらキューボウガンを魔獣に乱射し、全弾命中させた。

 

「本当にいい個性持ってるよ佐竹くん!」

 

《メラメラジャー!》

 

善「うぉぉ!次はなに!」

 

またも突然善彦の前の魔獣が炎に包まれた。

 

葉「えへへ、忍者かっくいー!」

 

火を放ったのはシロニンジャーに変身した葉隠だった。

 

善「うわー、葉隠さんが実体あるの新鮮〜」

 

上「わはははは!マッハマッハー!」

 

騒ぎながら魔獣を倒しているのは仮面ライダーマッハに変身した上鳴だ。

 

善「おー!上鳴きゅんがマッハに!」

 

上「おうよ!追跡!撲滅!いずれもマッハ!」

 

上鳴がベルトのボタンを連打し、さらにスピードを増す。

 

《ズーット!マッハ!》

 

さらに個性の帯電を使っているため、上鳴は走るイナズマと化していた。

 

耳「はは、、なんだこの大乱闘、、、」

 

魔獣を探知するために変身していない耳郎が目の前の光景に苦笑いしていた。

 

こうして善彦達は魔獣達を全て倒し、魔獣の森を抜けた。

 




次は訓練回です


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地獄特訓!目指せ低燃費!

林間合宿2日目です



 林間合宿2日目、その日は個性を伸ばす訓練が行われた。

内容は個人さまざまで想像を絶する過酷なものだった。

 

 青山は腹痛を我慢しながらのレーザー照射、峰田は頭皮から血が出てもやめられないもぎもぎ、上鳴は延々と電気を放出し、耳郎はイヤホンジャック強化のため、何度もイヤホンジャックを岩に打ち付けていた。

 

 そして善彦もこれからピクシーボブ監督の元、訓練が行われようとしていた。

 

ピ「君の弱点をラグドールに診てもらったところ、君は燃費が悪いのが弱点みたいなんだよね」

 

善「はぁ、、燃費ですか、」

 

 善彦は自分では自覚していなかったものの、よく思い出してみると体育祭の時障害物競争で終盤体力がきれたのを思い出す。

 

ピ「だから、君の訓練は燃費の悪さを解消する訓練をするってわけ! おわかり? それじゃバイクに変身して」

 

善「はい、、」

 

 善彦は少し緊張気味に頷き、バイクに変身した。

 

ピ「よーし、じゃああたしが運転するから、その道を通ってね」

 

 そう言うとピクシーボブは善彦にまたがるとハンドルをひねり、訓練場から離れた。

 バイクを走らせて数分、着いたのは善彦達が泊まっている宿舎だった。

 

善「あれ?」

 

ピ「ちょーっとここで待っててねー」

 

 ピクシーボブは善彦から降りると小走りで宿舎の中に入っていった。

 

〜10分後〜

 

ピ「お待たせ〜」

 

善「えぇ!なぜゆえに!」

 

 戻ってきたピクシーボブは先程までのヒーロースーツではなく、私服の姿で戻ってきた。

 

ピ「さーごちゃごちゃ言わないでさっさと行くよー!あ、注意だけど、この姿の時はピクシーボブじゃなくて土川って呼んでね」

 

 善「はい、、ピクシー、じゃなかった土川さん、、」

 

 善彦は何がなんだかわからないままに土川にまたがられ、走らされた。

 

善(なんだこの道、異常にデコボコしてて走りづらい、しかも下り坂だから帰りこんなところ登るなんて話になったら大変だぞ、、)

 

 善彦は砂利や木の根などが多く飛び出た道を走らされ、体力を大きく削られていた。

 

善(運転してる当の本人は、、)

 

土「ヒャッホー!たーのしー!」

 

 ピクシーボブ改め土川流子はこの道の運転をすごく楽しんでいた。

 

善(そろそろ体力(ガソリン)がきれちまう、、)

 

土「あ、ちょっと曲がるね」

 

善「え?」

 

 土川は突然デコボコ道を曲がり普通の道路に出る、そして地元のスーパーマーケットの目の前で善彦を止めた。

 

善「あのー、、土川さん、、もしかして、、」

 

 善彦の脳裏に嫌な予感が浮かんだ。

 

土「うん、今日の晩御飯のカレーの材料買うよ、君も手伝ってね〜」

 

 善彦の顔をみた土川はねこねこと笑いながら善彦の手をとりスーパーマーケットの中に連れて行った。

 

善「あーこれが自分の訓練か〜〜〜」

 

〜1-A訓練場〜

 

耳「佐竹の姿がない、、そういえばさっきピクシーボブと一緒にどっか行ってたな、、どんな厳しい訓練をしてるんだろう、、ウチも頑張んなきゃ!」

 

 一方善彦は

 

善「えぇ!このカレールウこんな安いの!自分の住んでいるところじゃ五百いくらするのに、、」

 

土「ここらは田舎だからね〜物価は結構安いよ〜」

 

善「うぉぉ!鶏モモがありえないくらい安い!」

 

 地元のスーパーの安さに驚愕していた。

 

 そして大体の買い物を終え、パンパンに膨らんだレジ袋を両手に持った善彦が土川と共にスーパーから出てきた。

 

善「すごく重い、、」

 

土「20人分だもんねーそりゃあ重いよ〜」

 

善「これじゃあ帰りの途中でガソリンがきれないか心配なんですけど、、」

 

 善彦が恐る恐る土川の方を向くと、土川はハッと気づき、レジ袋から何かを取り出し、善彦に渡す。

 

土「今回の訓練はあくまでも君の燃費を良くすることだからね、これで我慢して」

 

 そう言われて土川から渡されたのは鮭とば一本と野菜ジュース100ml1パックだった。

 

善「、、、ありがとうございます」

 

 善彦はレジ袋を近くにあった ベンチに置くと、そのベンチに座りポケットからライターを取り出し、鮭とばをライターの火で炙る。

 

善「鮭とばって、ライターで炙ると、、おいしくなるんですよね、、」

 

土「良く知ってるね」

 

善「実家が居酒屋なもんで、、」

 

 か細い声を出しながら鮭とばをもすもすとよく噛んで食し、野菜ジュースをズゴゴと一気に飲み干した。

 

 「さて行きますか」と善彦が立とうと両手を膝に置いた瞬間、善彦の頬に冷たい物が当てられた。

 

善「ひぇやっ!」

 

 善彦が突然のことに驚き変な声を出してしまった。

 

土「あははははは! 炙った鮭とばに、野菜ジュースは合わないでしょ? これもガソリンにしな」

 

 善彦の頬に当てられたのはキンキンに冷えたラムネの瓶だった。

 

善「ありがとうございます、、」

 

 善彦が土川の手からラムネを受け取る、その時善彦達にそよ風が吹いた、土川の髪が風になびき、顔がはっきりと見える。

その時にかすかに見えたピクシーボブ、土川流子の大人の妖艶さに善彦は少し固まった。

 

土「?どした?」

 

 土川が善彦が固まっていることに気がついた。

 

善「え?あぁ!いや、なんでもありません!」

 

 善彦はそそくさとラムネを受け取るとビー玉を押し込み、ラムネを一気に飲み干した。

 

善「よし! ガソリン満タン! 変身します!」

 

 善彦はどこかぎこちない様子でバイクに変身した。

 

土「?」

 

 土川はそれに異変を感じながらも善彦に乗り、先程通った道を戻る登り坂であり、変わらぬデコボコ道、そして買い物品の重さも加わり、降りた時よりも善彦は体力を使った。

 

 一旦宿舎で止まり、土川流子はピクシーボブに戻り、善彦達は1-Aの訓練場に戻ってきた。

善彦達が戻った時間は皆が訓練を終わった時間と重なり、善彦は1-A側に戻った。

 

ピ「さァ昨日言ったね「世話を焼くのは今日だけ」って‼︎」

 

ラグドール「己で食う飯くらい己でつくれ‼︎ カレー‼︎」

 

 ピクシーボブはラグドールと共に前に立ち、普段のテンションに戻っていた。

 

善彦達は疲労困憊のままカレー作りを行う。

 

耳「そういや佐竹ってどんな訓練してたの?」

 

 耳郎が善彦と野菜を切りながら話しかける。

 

善「あぁ、ピクシーボブさん直々のバイクトレーニングだったよ」

 

 善彦が少し言葉を濁しながら耳郎に説明をした。

 

耳「うへー、厳しそー」

 

葉「というか佐竹くん手際いいね」

 

善「実家が居酒屋だからね、料理の手伝いは幼き頃から、、」

 

 善彦は素早い手際でカレーを作った。そしてカレーが完成し、実食に入る。

 

 疲れていた切島や上鳴がガツガツとカレーを食べている横で八百万も静かにたくさん食べているのが皆の目に止まる。

 

芦「ヤオモモ ガッつくねー!」

 

八「私の個性は脂質を様々な原子に変換して創造するので、沢山蓄える程沢山出せるのです」

 

善「そういう事なら!」

 

 善彦が奥のテーブルから何かを滑らせ、八百万の前で止まらせる。

 

耳「佐竹お前わー!」

 

 善彦が八百万に渡したのはマヨネーズだった。

 

善「どうぞお使いください、貴女の個性にベストマッチです」

 

八「そうなんですの?まよ、ねーず、、は」

 

 八百万はマヨネーズを手にとり、細い口のキャップを開ける。

 

耳「ヤオモモ、かけなくていい、佐竹余計なことすんな」

 

八「いえ、耳郎さん、ここは私チャレンジしてみますわ、、」

 

 八百万はカレーの一箇所にだけマヨネーズをかけ、カレーとマヨネーズが混ざったものを口に運んだ。

 

芦「あ! いった! ヤオモモ初マヨ!」

 

 八百万は目を閉じよく味わっている。そしてゆっくりと目を開け、再びマヨネーズを手に取った。

 

八「美味しいですわー! カレーの辛味をマヨネーズのまろやかさが包みこんでなおかつ酸味で食欲がドンドンわいてきます! こんな調味料があったなんて知らなかったですわー!」

 

 八百万は絶賛するとカレー全体にマヨネーズをかけ、ぐちょぐちょと混ぜてガッついた。

 

耳「ヤオモモがマヨネーズに、、目覚めてしまったぁぁ、、」

 

善「マヨは全てに通ずるオールマイティアイテム」

 

耳「うっせ!」

 

 この後1-Aは入浴を済ませ、次の日に備えて就寝する、近づいてくる、悪の波が迫ってきていることを知らずに。




2日目はこのような話にしましたが
3日目はあの人を変身させます。


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ヴィラン襲撃! あの人が変身!

林間合宿3日目です。


林間合宿3日目、2日目同様個性を伸ばす訓練は続いていた。

 

もちろん善彦の訓練も2日目と変わってない。

 

1つ変わった所といえば善彦の買い物にラグドールが知床知子として付いてきたという事である。

 

ラ「あそこ着いた時はあちきのことは知床さんねー!」

 

善「はい、、知床さん、」

 

知「はいじゃあよろしくね!」

 

ラグドールも私服に着替えてピクシーボブ改め土川流子の後ろに乗った。

 

土「よーしじゃあ今回は昨日より激しくいくらからね!」

 

そう言うと土川はバイクのアクセルをひねり、善彦が昨日通った道とは違う傾斜の急な道を通る。大きな石や木の根がデコボコと出ているため2日目の時よりも善彦は体力を使った。

 

知「にゃははは!流子の言う通り楽しいねー!」

 

土「でしょ!スリル満点でやみつきにやっちゃうのよー!」

 

善(いつのまにか訓練がスリル味わう為のアトラクションになってる、、、)

 

そして善彦達は買い物を済ませ行きと同じ道を登る。

 

低燃費になるための訓練は2日目よりも過酷なものになっていた。

 

宿舎に戻った時間は2日目同様訓練が終わった時間と重なった。

 

ピ「はーいおつかれさまねー」

 

ラ「にゃはー!佐竹くん全身バッキバキだねー!」

 

そして2人はピクシーボブとラグドールに戻っていた。

 

ピ「さーあ佐竹くーん、次は晩御飯だからみんなと作ってらっしゃい」

 

ピクシーボブが善彦の背中をバンと押す。

 

善「はい、、ありがとうございました、、」

 

善彦はもう疲れでそれどころではなかったが、フラフラと歩きながら1-Aのいる場所へ向かい、夕食を済ませた。

 

耳「佐竹聞いてた?この後肝試しがあるんだってさ」

 

耳郎が怯えた様子で善彦に話しかける。

 

善「あー聞いてたよ、クラス対抗なんだってね驚かせるなら自分の十八番だよ」

 

善彦はにししと笑うと服の内側から銃を取り出した。

 

耳「え!あんたそれでB組驚かすの!」

 

善「耳郎さん、これ変身アイテムだよ安心して」

 

善彦が取り出したのはトランスチームガンだった。

 

耳「でも銃には変わらないでしょーよ」

 

善「B組には発砲しないから安心して」

 

耳「それは当然」

 

そして肝試しが始まったくじ引きでチームが決まり、善彦は緑谷と一緒になった。

 

善「これまた珍しい組み合わせに」

 

緑「えへへ、よろしくね」

 

善彦と緑谷が笑いあってると善彦が何かに気づく。

 

善「焦げ臭い、、?」

 

善彦の鼻が何かが焦げる匂いを感じる。

 

ゴシャ!

 

善「!?」

 

そして何かが殴られる音も聞こえた。

 

峰「おい、、万全をきしたはずなんだろ!なんで、、なんで敵がいるんだよ!」

 

緑・善「ピクシーボブ!」

 

善彦達に現れたのはトカゲの顔をした敵と白い布に包まれた棒を片手にピクシーボブを抑えつける大男だった。

 

スピナー「やぁ雄英のみなさまごきげんうるわしゅう」

 

ドンドン!

 

マグネ「いやん!」

 

スピナーが何かを言い終える前にマグネが何かで撃たれる、が白い棒でそれをガードした。

 

耳「佐竹!あんた、、、」

 

何かを撃ったのは善彦だった。

善彦の顔は怒りに満ち、スピナーとマグネを睨みつける。

 

善「フー!、、フー!」

 

トランスチームガンから白い硝煙が上っている。

そしてポケットからフルボトル取り出し、カチャカチャと振りトランスチームガンにセットした。

 

《バット》

 

音声とともに善彦がトランスチームガンを胸前に構えると、地面に倒れるピクシーボブを見る。

 

善(ピクシーボブさん、、2日間自分に指導をしてくれた先生、、よくも、、!)

 

マグ「あらぁ?あの子やる気かしらん?」

 

スピ「そうならば、我らが粛清するのみ」

 

スピナーが大剣を構えた瞬間、善彦が吠えた。

 

善「許さないぞぉ!お前らぁ!」

 

善「蒸血!」

 

善彦がトランスチームガンを振ると、善彦の体が黒い煙に包まれた。

 

《ミストマッチ!、、バット、バ、バット、、ファイヤー!》

 

黒い煙が晴れると、善彦の姿はナイトローグに変身していた。

 

善「無事ですむと思うな、、、」

 

ゆっくりと歩を進める善彦の前をプッシーキャッツの虎の手が遮る。

 

虎「佐竹よ、気持ちは分かるがこの場は逃げろ!この2人は相当な手練れだ、、」

 

善「しかし!」

 

マ「佐竹くん!ここは私たちに従って、、」

 

善「ぐっ、、、」

 

虎とマンダレイに止められ、たじろぐ善彦の目に皆とは違う方向に走る緑谷が見える、そして善彦が動いた。

 

善「わかりました、、この場はお願いします!」

 

虎とマンダレイが頷くのを見ると、善彦は緑谷と同じ方向に走る。

 

マ「えぇ!ちょっと!」

 

スピ「おぉーい!どんだけ無視してんだオレらのこと!」

 

スピナーが2人に向かって叫んだ。

 

マ「あ、忘れてた」

 

 

善彦は走って緑谷に追いつくと緑谷に話しかける。

 

善「緑谷くん!行かなきゃ行けない場所があるなら送って行こうか!」

 

緑「わっ!なに!あ、佐竹くんか、、できるんならお願い!」

 

善「了解!はぁぁぁ!」

 

バギッ!

 

善彦が力むと、背中からコウモリの羽が生えた。そして緑谷を担ぐと、その場を飛び上がり、空を飛んだ。

 

緑「うわぁぁぁ!飛んでる!」

 

善「あまり騒がないで!場所はどこ!」

 

善彦の声で騒いだ緑谷は止まり、洸汰のいる場所を指さした。

 

緑「あそこまでお願い!」

 

善「了解ぃぃい!」

 

善彦は一気にスピードアップして、緑谷の指定した場所へ飛んで行った。

 

 

〜洸汰の秘密基地〜

 

マスキュラー「なぁ、ところでセンスの良い帽子だな子ども、俺このダセェマスクと交換してくれよ、新参は納期がどうとかってこんなオモチャつけられんの」

 

洸汰「うぁ、、」

 

洸汰が恐怖で逃げ出す、しかしマスキュラーに回り込まれた。

 

マス「景気づけに一杯やらせろよ!」

 

マスキュラーが個性で腕を伸ばした瞬間。

 

善「おおい!こっち向けぇ!」

 

マス「!」

 

洸「あっ、、!」

 

そこには緑谷を振りかぶりながら空に浮いている善彦がいた。

 

マス「なんだぁ!あんなやつしらねぇぞ!」

 

善「強救道&デク!即興必殺!人間ロケットォォォ!」

 

善彦がマスキュラーに向かって緑谷を投げた。そしてロケットフルボトルをセットしたトランスチームガンを緑谷に放つ。

 

《スチームアタック!》

 

緑「デトロイトスマッシュ!」

 

ドガァァァ!

 

緑谷のロケットの勢いがついたデトロイトスマッシュはマスキュラーに直撃し、岩壁に叩きつけた。

 

善「よっしゃ!自分もこいつを倒す!緑谷くんこれをつか、」

 

善彦が緑谷にもトランスチームガンを渡そうとした時。

 

緑「いや!いらない!それより佐竹くんは洸汰くんを!」

 

緑谷が変身を拒否すると、洸汰を指差す、そして善彦もそれを瞬時に頷き、洸汰を抱き抱え、その場を緑谷に任せた。

 

善「絶対に死ぬなよ!これだけ渡す!振ると力が湧き出る!絶対に死ぬなよーー!」

 

そう言うと善彦はラビットフルボトルを緑谷に渡した。

そして宿舎へと向かう。

 

パシッ

 

緑「サンキュー、佐竹くん、、」

 

ラビットフルボトルを受け取った緑谷は善彦に向かって微笑むと、キッとマスキュラーの方を向いた。

 

カチャカチャカチャカチャ

 

緑谷はフルボトルを振ると、力が湧き上がるのを感じた。

 

緑「この力なら、、こいつを、、止められる!」

 

緑谷はその状態でフルカウルを発動し、マスキュラーに向かって走った。

 

〜宿舎〜

 

一方宿舎では、荼毘と相澤先生が戦っていた。

 

相(くっ、、先程生徒に戦闘許可を出したのはいいものの、こいつはいい状況じゃないな、、)

 

相澤先生は荼毘の他にも5匹の脳無を相手していた。

 

上「相澤先生ー!これを使ってください!」

 

相「!」

 

相澤先生は上鳴から何かを受け取る。

 

相「これは、、」

 

上「佐竹のコレクションの1つです!これで変身を!」

 

上鳴が相澤先生に向かって叫ぶ。

 

相「わかった、、こっちの方が合理的かもしれんからな!」

 

《バグヴァイザーⅡ(ツヴァイ)》

 

バグヴァイザーを腰に巻き、そして相澤先生はガシャットのボタンを押す。

 

《仮面ライダークロニクル》

 

そしてガシャットを手から離すと、バグヴァイザーのAボタンを押す、するとガシャットが宙を舞い、バグヴァイザーに挿入された。

 

《ガシャット》

 

相「変身、、!」

 

《バグルアップ! 天を掴めライダー!刻めクロニクル!今こそ時は極まれり!》

 

相澤先生の体をパネルが通り、変身を完了させた。

 

切「すげぇ、、」

 

上「かっけぇ、、」

 

荼「なんだぁ、、その姿は、」

 

相「仮面ライダークロノスだ、、覚えておけ!」

 

バッ!

 

荼毘が手から炎をだそうとするが、相澤先生の"抹消"で個性が出せない。

 

荼「個性は使えるんだな、、行け、」

 

荼毘が脳無に指示を出すと、脳無が相澤先生に襲いかかってきた。

 

相「、、、、」

 

《ポーズ》

 

その音声が聞こえた瞬間、相澤先生に襲いかかってきた脳無の動きが止まった。

 

中には空中で止まっている脳無もいる。

 

相「書いてあったことは本当だったんだな、、」

 

バグヴァイザーについてあった善彦のメモに相澤は再び目を通す。

 

「仮面ライダークロノスは、AとBのボタンを同時に押すと時間が止められます、しかしその分、クロノスに変身している時の体の負荷は大きいので注意」

 

相「ふふっ、こんな便利な能力があるのに今まで使ってこなかった理由がそれか、、」

 

メモに書いてある通り、相澤先生の体にはかなりの痛みが走っている。

 

早急に倒さなければこっちが自滅するであろう。

 

《ガッチャーン》

 

相澤先生はバグヴァイザーをバックルから外し、持ち手をつけ、ビームモードにする。

 

相「さっさと片付けるか、、」

 

《キメワザ クリティカル・ジャッジメント》

 

相澤先生がブンと腕を振ると、五発の緑の弾が脳無の前で停止する。

 

そしてバグヴァイザーをバックルに戻すと、荼毘に近づいた。

 

そしてBボタンを再び押す。

 

《キメワザ》

 

相「お前の処分は、、除籍だ」

 

そしてAボタンを押す。

 

《クリティカル・クルセイド!》

 

相「はぁ!」

 

相澤先生の回し蹴りが、荼毘の頭に直撃した。

 

そしてAボタンとBボタンを再びおす。

 

《リスタート》

 

「ゴギャァァァ!」

 

荼「うおっ!」

 

上「えぇっ!」

 

上鳴が瞬きをし、目を開けた瞬間、勝負は終わっていた。

 

《終焉の一撃》

 

脳無が吹っ飛び、荼毘が泥のようになって消えていく。

 

相「また偽物か、、」

 

相澤先生は混乱する生徒を背にため息をはく。

 

切「い、今、相澤先生何かしたか?」

 

芦「い、、いや、ポーズって音が聞こえただけ、、」

 

相「おい、お前らとっとと中に戻れ」

 

《ガッシューン》

 

相澤先生が変身を解除する。

 

そして捕縛武器で縛り上げた脳無と荼毘の残骸を見る。

 

相「 今後も、こいつに世話になるかもな、、」

 

相澤先生がバグヴァイザーをもって呟いた。

 

そしてその数分後、、敵連合は去っていった爆豪勝己を連れて行って、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これで林間合宿編は終わりです。
次はオリジナル回で行きます。


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護る漢達

オリジナル回です


林間合宿が終わって数日、世間は誘拐された爆豪と雄英のことで大騒ぎになっていた。

 

1-Aの皆は緑谷のお見舞いに行った。

爆豪を救出しようということを切島が言い出したが、賛成するものはいなかった。

 

そして皆が解散した時、上鳴と善彦は皆と逆方向を歩き、耳郎の元へ行った。

 

耳郎は敵のガスを吸ってしまい、意識が戻らない状況に陥っていたのだ。

 

耳郎の病室に入ると上鳴と善彦は耳郎の横に座る。

耳郎はマスクをつけられ、ベッドの上で眠っている。

いつ起きるかは医者にもわからないらしい。

 

上「いつ、、起きるんだろうな、、」

 

上鳴が小さな声で呟く。

 

善「今にも起きてきそうな感じなんですけどね、、(あんたらどうしたの)って言いながら」

 

2人は何も出来ないまま、耳郎の横に座り見守る日々を送っていたのだ。

 

ある日は窓を開けて太陽の光を浴びせ、あくる日は病室に花を持って行き、毎日耳郎に何か変化がないか見守っているのだ。

 

しかし、耳郎に変化はない。

ベッドの上で変わらず眠っているだけだ。

 

善「そろそろ暗くなってきました、上鳴くん、行きましょう」

 

窓の外が暗くなっているのを確認した善彦は上鳴の肩をポンとたたく。

 

上「あ、あぁ、、」

 

上鳴は善彦につられ、名残おしそうに病室を出て行った。

 

尾「あれ、、上鳴達もいたのか」

 

病院の廊下を歩くと、善彦と上鳴は尾白に遭遇した。

 

尾白も葉隠のお見舞いで善彦達と同じ時間、別の病室で葉隠の様子を見ていたのだ。

 

上「あぁ、ちょっとな、、尾白はどうしたんだよ?」

 

尾「はは、、オレも用事があってな、、」

 

善「3人一緒に帰りますか」

 

3人はぎこちなさそうに喋りながら病院の廊下を歩く。

会話を繋げるのも辛そうだ。

 

善「ん?」

 

善彦がふと窓の外を見ると、病院の外に奇妙な人影が見えた。

 

善「ねぇ、2人とも、あれ見てなんか変じゃない?」

 

上「んー?どした?」

 

尾「変?」

 

2人も窓の外を見ると、病院の前の木の陰にマスクを被った全身タイツの男が立っていた。

 

上「本当だ、、明らかに怪しいな」

 

上鳴が善彦とともに「なんだあれは」と話していると尾白が何かに気づいた。

 

尾「おい!あそこにいるの、脳無じゃないか!」

 

尾白が全身タイツの男の後ろを指差すと、そこには明らかに体躯が人間離れしている生物が何匹も立っていた。

 

上「なんでこんな所に、、お前ら!行くぞ!」

 

善・尾「おう!」

 

〜病院の外〜

 

トゥワイス「やーだねやだねぇ、なんで俺が病院にいる雄英生にとどめを刺すだなんて仕事やんなきゃいけねぇんだよめんどくせぇな!頑張るぞ!」

 

病院の外ではトゥワイスが大声でボヤきながら脳無を個性の「二倍」で増やしていた。

 

「おい!」

 

ト「んぁ?」

 

《シューター!》

 

ドギャ!ドギャ!

 

「グギャァァァァァ!」

 

突然聞こえた音声と共に2匹の脳無が何かに撃たれ、泥のように崩れる。

 

ト「おおい!何してくれたんだよこのやろぉ!」

 

上「うるさい!お前こそ、そこで何やってんだよ!」

 

トゥワイスの前に立っていたのはゼンリンシューターを構えた上鳴だった。

 

上鳴の後ろには善彦と尾白も立っている。

 

ト「あー、お前ら雄英のやつらかぁ、さーてどうするかなぁ、一旦戻るかぁ? 殺しちまうか、殺そう」

 

トゥワイスは瞬時に親指で首をかっ切る動作をすると、脳無がわらわらと前に出てきた。

 

善「ヤる気みたいだね、2人とも行くよ!」

 

上「了解!」

 

尾「あぁ!」

 

善彦の声と共に上鳴はマッハドライバー炎を腰に巻いた。

 

上「いくぜぇ!」《シグナルバイク!》

 

上「レッツ!変身!」《ライダー! マッハ!》

 

派手な音声と共に上鳴の体は白い鎧に包まれ、仮面ライダーマッハに変身を完了させた。

 

尾「俺も!」《ザ・ワールド!》

 

尾白も善彦に渡されたジュウオウザライトを構えた。

 

キューブを回し、絵柄をサイに合わせる。

 

尾「本能覚醒!」《ウォー!ウォー!ライノース!》

 

そしてライトのボタンを太ももで押し、ジュウオウザライトを上に掲げる、そして変身を完了させた。

 

尾「世界の王者!ジュウオウザ・ワールド!」

 

上「追跡!撲滅!いずれもマッハ!仮面ライダーーー!マッハ!」

 

2人は名乗りも完璧に決めた。

 

善「2人とも完璧だな、、名乗り考えよっかなぁ、、、」

 

善彦はいつもの仮面ライダーレーザーターボに変身していた。

 

上「よぉおし!いくぞぉらぁ!」

 

尾「おおぃ!ちょっと待てよ!!」

 

脳無に向かって上鳴が走り出す、尾白と善彦もそれに続いた。

 

ト「ふーん、こんなもんか、めっちゃ強そ!脳無ども!行けー!」

 

トゥワイスが手を前に出すと脳無が一斉に襲いかかってきた。

 

上「おらぁ!はぁ!」

 

上鳴がゼンリンシューターで脳無を撃ち、ゼンリンで殴る。

 

上鳴に襲いかかってきた脳無が全て泥のように溶けてなくなる。

 

上「あれ?こいつらそんなに強くないぞ、尾白ー!佐竹ー!さっさと片付けるぞ!」

 

尾「わかった!」

 

尾白がジュウオウザガンロッドを使い、脳無を倒していった。

 

善「ロッドの使い方うまいねぇ!尾白くん!」

 

善彦が脳無を蹴り飛ばしながら叫ぶ。

 

尾「俺、武術好きだから杖術とかも勉強していたんだよねっ!」

 

尾白が慣れたロッド使いで脳無をなぎ倒していく、その姿にトゥワイスは少し焦っていた。

 

ト「あーれれ、やっぱり増やしたヤツは脆いな、嫌だったけどモノホン出すか」

 

トゥワイスが腕をゆっくりと上げると、後ろから2匹の脳無が出てきた。

 

「ネホヒャン!」

 

「ネホニャン!」

 

善「げ!なんかよりキモくて強そうな奴がきた!」

 

上「知るか!やってんよ!」《シグナル交換!》

 

上鳴がベルトのシグナルバイクを入れ替える。

 

《カクサーン!》

 

上鳴がゼンリンシューターを上に向かって撃つと、ネホヒャン脳無に全弾命中する。

 

上「よっしゃ!」

 

上鳴が軽くガッツポーズを取るが、異変に気付く。

 

「ネホヒャン!」

 

上「全然効いてない、、」

 

尾「どけっ!俺がやる!」

 

《ジュウオウザフィニッシュ!》

 

ドガァァァァ!

 

上鳴に続いて尾白がジュウオウザガンロッドを叩きつけた。

 

尾「手応えあr!」

 

ドガ!

 

「ネホヒャン!」

 

尾白の一撃も効かず、尾白はネホヒャン脳無に地面に叩きつけられた。

 

尾「ぐわっ!」

 

善「尾白くん!ぐえっ!」

 

「ネホニャン!」

 

尾白を助けようとした善彦もネホニャン脳無に吹っ飛ばされた。

 

ト「わーっはっは!この2匹は特別に強いんだよ!そして、、」

 

トゥワイスが倒れている脳無に手を置く、するとその脳無が増殖し始めた。

 

ト「これからお前らに凄いものを見せる!」

 

トゥワイスが倒れていた脳無から手を離すと、脳無が起き上がり、増殖した脳無と合体し始めた。

 

善「なんだ!気持ち悪い!」

 

上「まずいぞ!脳無はいろんな個性が合わさってできた生き物!合体できる個性のヤツが混じってたんだ!」

 

脳無はどんどんと合体すると、巨大な脳無として善彦の前に現れた。

 

上「おぉーい!ネホヒャン脳無達でもキツイのにあんなでかいの相手できるかよ!」

 

上鳴は絶叫しているが、尾白は落ち着いている。

 

尾「上鳴、佐竹、このデカ脳無は俺に任せてくれないか」

 

上「え!嘘だろ」

 

善「うん、わかった」

 

上「佐竹ー!」

 

尾「俺だったら、こいつを止められる気がするんだよ、、」

 

そういうと、尾白はジュウオウザライトのボタンを押し、キューブを回した。

 

《ジャンボ!ウォー!ウォー!ライノース!クロコダイル!ウルフー!》

 

尾「動物合体!」

 

尾白がキューブを再び回し、掲げると、巨大脳無の前に巨大ロボが出現した。

 

尾「完成!トウサイジュウオー!」

 

《トウサイジュウオー!》

 

上「佐竹ぇ、、お前の個性、なんでもアリだな、、」

 

上鳴はトウサイジュウオーをみてポカンとしている。

 

善「自分でもそう思う、、」

 

ポカンと立っている2人にネホヒャン、ネホニャン脳無が襲いかかる、しかし2人はそれをかわし、蹴りを一撃くらわせた。

 

上「俺たちはこいつらだ!行くぞ!」

 

善「おうよぉ!」

 

上鳴と善彦は脳無に向かって走り、尾白の操るトウサイジュウオーは巨大脳無と両手を組み合っていた。

 

尾「うおらぁ!」

 

尾白がハンドルを回すと、トウサイジュウオーの体が回り、脳無を転ばせる。

 

「グギャァァァァァ!」

 

しかし巨大脳無は再び襲ってきた。

 

ガシャァァァァン!

 

尾「うぉぉ!結構硬いな!」

 

トウサイジュウオーと巨大脳無の戦いは大迫力であった。

その迫力にトゥワイスも思わず思考を停止し、その戦いを観戦していた。

 

ト「かっけぇ、、、」

 

上「うおらぁぁぁぁぁぁ!」

 

「ネホヒャン!」

 

ドゴッ!

 

上「ぐわぁ!」

 

善「ぞぉらぁ!」

 

「ネホニャン!」

 

ベシッ!

 

善「えべっ!」

 

善彦と上鳴はネホヒャン、ネホニャン脳無に苦戦をしいられていた。

 

上「くそっ!このままだと負ける、、佐竹!あれを使わせてもらうぞ!」

 

善「えぇ!」

 

そう言って取り出したのはシフトデッドヒートだった。

 

善「まて上鳴くん!それはパワーアップはできるけどそれ相応の負荷が、、」

 

上「今そんなこと言ってる場合じゃないだろ!このままやられたら病院は破壊される!耳郎だけじゃない!ほかの入院患者まで被害が出るんだ!使うぞ俺はァァァ!」

 

《シグナルバイクシフトカー!》

 

上鳴は善彦の忠告を無視してデッドヒートをセットする。

 

善「ああぁもー!仕方ない!じゃあ自分も!」

 

《ドラゴナイトハンターZ!》

 

善彦も負荷が高いため封印していたガシャットを起動させた。

 

善「五速!」

 

上「いくぜぇぁ!」

 

《デッドヒート!》

 

《ド・ド・ドラゴナナナナーイト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンターZ!》

 

上鳴にはデッドヒートの鎧がつけられ、善彦にはドラゴンの鎧が装着された。

 

「ネホヒャン!」

 

「ネホニャン!」

 

変身が完了した隙を狙ってネホヒャン脳無が襲いかかる。

 

上「ふん!」

 

善「おぅりゃ!」

 

ドガァァ!

 

しかし、パワーアップした2人にネホヒャン脳無達は吹き飛ばされた。

 

上「へへっ、佐竹の言った通り結構キツイなこれ、、」

 

善「だがら言ったでしょ!自分のこの姿もかなりの負荷がある、、早急にぶっ飛ばすぞ!」

 

ドォォォォォン!

 

ここで大きく地面が揺れる。

 

善「うぉわっ!」

 

上「あっちも終わりそうだな」

 

トウサイジュウオーが巨大脳無を怯ませたのだ。

 

ト「あれ?あれあれ?これってもしかして、、」

 

トゥワイスが何かを察する。

 

尾「これでトドメだ!"トウサイ!トリプルザ・ビーストォォォ!"」

 

トウサイジュウオーの右手のクロコダイルからキューブ型のエネルギー弾が発射される。

 

「ガァギャァァァ!」

 

7・8・9と重ねられたキューブのエネルギーに包まれ、巨大脳無が爆発する。そして増殖の元となった脳無が地面に落下した。

 

上「くらえぇぁぁ!」

 

《ヒッサツ!》

 

善「これで終わりだァァァ!」

 

《ドラゴナイト!クリティカルストライク!》

 

「ネホヒャ!」

 

「ネホニャァァァ!」

 

上鳴のライダーキックと善彦のライダーキックはネホヒャンとネホニャンに直撃し、トゥワイスのいる所へ吹っ飛ばした。

 

ト「へ?ドバァ!」

 

油断していたトゥワイスはネホヒャンとネホニャンの下敷きになり倒れる。

 

上「やったぜ!ざまーみろ!」

 

善「あーもう二度と使わない」

 

上鳴と善彦は変身を解除し、後ろから変身を解いた尾白も到着する。

 

上「すごいな、俺達、3人で脳無倒しちゃうなんて」

 

尾「ああ、でもそれより、早く警察に連絡を、、」

 

「連絡をしよう」と言う瞬間、トゥワイスの倒れている地面にワープホールが出現する。

 

善「あぁ!まて!」

 

善彦が追いかけようとするが、トゥワイスと全ての脳無はワープホールの中へと消えていった。

 

上「だー!ちくしょー!逃げられちまったよ!」

 

尾「でも病院は守れたんだし良かったんじゃないのか?」

 

善「とりあえず自分ら病院行きません?ボロボロなんですけど、、」

 

上・尾「あ、、、」

 

上鳴と尾白が自分の体を改めてみると、傷だらけになっていたのが確認される。

 

 

上「それもそうだな、、」

 

尾「今からでも、、大丈夫かな?」

 

こうして、漢達の夜は終わった。

 

〜次の日の朝〜

 

耳「ん、、んぅ、、」

 

耳郎が目を開けると、眼に映るのは真っ白な天井。

 

耳「なにここ、、病院?」

 

耳郎がゆっくりと横を向くと、そこには傷だらけの姿で、座ったまま寝ている上鳴と善彦がいた。

 

耳「?なにがどうなってんの?あんたら、、どうしたの?」

 

同時刻、葉隠の病室でも、傷だらけの姿で、座ったまま寝ている尾白がいたという。

 

あの夜の出来事は、少しの人間しか知るものはいない。

 




次は家庭訪問回です


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あれれな家庭訪問

家庭訪問回です
今回は善彦の家族が登場します。


全寮制導入についての家庭訪問、相澤先生とオールマイトは1-Aの生徒の親から許可を頂いていた。

 

オ「あとは、佐竹くんの家だけだね」

 

オールマイトが車の中で名簿を見て相澤先生に伝える。

 

相「えぇ、それも兼ねてちょっと飲みに行きますか」

 

オ「え?」

 

相澤先生が車を止めたところは居酒屋「生き様」善彦の実家である。

 

オ「なるほど、ここなら家庭訪問もできて一杯やれるって寸法かい?」

 

オールマイトが笑いながら問いかける。

 

相「こっちの方が、合理的なのでね」

 

そう言って相澤先生は店の戸を開けた。

 

善「いらっしゃいませー、すいません開店は6時からなんでぇぇえぇ!なんでここに先生が!」

 

まず出迎えたのはめちゃくちゃ驚いた善彦だった。

 

相「家庭訪問だ、プリントを渡しただろう」

 

「あっ!先生たち来ましたか!どうぞお掛けになって下さい」

 

店の奥から声が聞こえる、声の主は善彦の父、佐竹豹介だ。

 

相澤先生とオールマイトは豹介の言われた通りカウンターに腰掛ける。

 

豹「わざわざどうもおつかれ様です、ささ!まずは一杯」

 

豹介は二人が座るなりお茶ではなく大ジョッキのビールをドンとだした。

 

オ「すみません、私お酒はちょっと、、」

 

豹「あれ!?申し訳ありませんちょっといつもの調子で出しちゃいました」

 

オールマイトが申し訳なさそうに謝ると豹介はオールマイトのビールをとり、なんの躊躇もなく一気に飲み干した。

 

善「お父ちゃん、家庭訪問でビール出すなんておかしいよ」

 

豹「えぇ?これが佐竹家流だろうがよ!まずはビール!」

 

オ(なんだこのクレイジーな家族)

 

オールマイトは善彦の家族を爆豪家とは違う感覚でみていた。

 

相「それで、全寮制導入の件なんですが、、」

 

豹「あ、全然いいですよ、」

 

相・オ「え」

 

驚くような即答に二人が硬直してしまった。

 

豹「うちの人手がなくなるのは痛いですけど、全寮制なんて人生で体験できるのなんてそうないですからね、大丈夫ですよ、」

 

豹介がつまみを作りながら二人に話す。

 

相「そうですか、、、」

 

豹「はい、これサービスです」

 

豹介が二人につまみのチヂミをサービスした。

 

善「でもお父ちゃん、自分が居なくなって酔っ払いの対処は大丈夫なの?」

 

善彦が心配そうに豹介に問いかける。

 

豹「えぇ?心配すんな俺にはこれがあるからな!」

 

そう言うと、豹介がポケットから何かを取り出し腕に挿した。

 

《マグマ》

 

オ「な!この個性は、、」

 

豹介はマグマメモリを腕にさしてマグマドーパントに変身した。

 

豹「この姿になれば大抵の客はビビって酔いが覚めるよ」

 

変身を解除すると豹介はガハハと笑った。

 

相(なるほど、佐竹の個性はここからの遺伝か、、)

 

相澤先生が納得しながらビールをぐいと飲んだ。

 

ガララ!

 

プレゼント・マイク「佐竹豹介!個性[ドーパント変身]!体の決められた場所に決められたガイアメモリを刺すことによってドーパントに変身することができる!能力はメモリによって様々!楽しい個性だ!」

 

突然プレゼント・マイクが店の戸を開け、個性の解説をした。

 

豹「お、もう6時か、いらっしゃいマイクせんせ」

 

相「ちっ、めんどくさいのが来やがった」

 

相澤先生が小さく舌打ちをする。

 

マ「おおい、つれねぇなぁ消太さんよぉ!」

 

マイクはなんの躊躇いもなく相澤先生の隣に座った。

 

相「なんで隣に座るんだ」

 

再び店の戸が開く。

 

響徳「おーい、マスターやってるかい?」

 

耳「ねぇ、ちょっと同級生の店にいくって恥ずいんだけど、、」

 

上「そんな細かいこというなよ、お前の退院祝いなんだから」

 

入ってきたのは耳郎と上鳴を連れた耳郎の父、響徳だった。

 

響「あれ!先生方達もきてたんですね!」

 

響徳はオールマイトの隣に座る。

 

オ「あはは、奇遇ですな、」

 

オールマイトは笑って響徳を隣に座らせた。

 

善「あーれれ二人ともきちゃったのねー、言ってくれればサービスしたのに〜」

 

耳「うるさいな、ウチは来たくなかったんだよ」

 

上「そんなこと言って、行きの道中ちょっとウキウキしてたくせに」

 

耳「うるさい!」

 

耳郎のイヤホンジャックが上鳴に襲い掛かる。

 

響「これこれ、先生もいるんだから落ち着きなさい」

 

耳「あ、、」

 

それを聞いた瞬間耳郎が落ち着きを取り戻す。

 

豹「さぁて今日は賑やかになりそうだなこれ、サービスね」

 

豹介は耳郎達に大ジョッキのビールを一杯とコーラを2つサービスした。

 

響「おぉ!サンキューマスター!」

 

響徳が喜んでビールを喉に流し込む、「この喉越しがロックだねぇ〜」と響徳が歓喜の言葉を豹介に送った。

 

上「ホント最高っすよおやっさん!」

 

上鳴もコーラを飲みながら言った。

 

耳「フフっ、あんたおっさんみたい」

 

善「まだまだサービスしますよ、これ、おつまみねー」

 

善彦はそう言ってつまみを響徳にだした。

 

響「おお!ありがとう!マスター!コークハイ一丁!」

 

耳「ウチも、コーラおかわりいいっすか?」

 

豹「あいよぉ!コークハイとコーラね!」

 

豹介は注文された瞬間にコークハイとコーラをだした。

 

上「はっや!」

 

善「これがウチの自慢なんだ」

 

相「それより響徳さん、今日は全寮制導入の許可、ありがとうございました」

 

相澤先生が改まって響徳に礼を言う。

 

響「なぁに、ちょっとの不祥事があったものの、こんなロックな人の元に入れるんだ響香もそれがいいでしょう」

 

響徳がオールマイトの方を見ると、ニカッとわらう

 

響「お前もそれがいいよな?」

 

響徳が耳郎の頭に手をポンと置く、すると、なにか異変を感じた。

 

耳「ふぇ?なにか言ったぁ?おとうしゃん?」

 

耳郎が顔を赤くしてフラフラとしているのだ

 

上「え?耳郎大丈夫か?なんか目の焦点あってねぇぞ?」

 

耳「なにようるはいなぁ、、ねぇ、なんかここ暑くない?」

 

耳郎がフラフラとしながら上着を脱ぎだした。

 

響「まさか、!」

 

響徳は即座に耳郎に置かれたコーラと自分のコークハイを飲み比べる。

 

響「マスターこれ逆だよ!響香の方にコークハイ行っちゃってる!」

 

豹「なにー!」

 

耳「暑い暑い暑い暑い!」

 

上「おおい!耳郎落ち着け!」

 

酔っ払った耳郎がどんどんと上着を脱ぎ、ついにシャツに到達しようとした時。

 

善「耳郎さん!これ!冷たいレモンジュース!これ飲んで!」

 

善彦がキンキンに冷えたレモンジュースを耳郎に出した。

 

耳「おーありがとねぇ」

 

耳郎は渡されたそれをグイと飲む。

 

耳「、、、、」フラ〜〜

 

上「おおっと!危ない!」

 

耳郎がフラ〜っと倒れ、それを上鳴がキャッチする。

 

豹「善彦、お前それ、、」

 

善「うん、特性酔い覚ましクエン酸ドリンク」

 

この店には酷く酔った客用に信じられないくらいの酸味のドリンクが作られていたのだ。

 

豹「いや〜申し訳ない、オレのドジで」

 

響「いや、気にしないでくださいマスター、あとは私達がどうにかしますんで」

 

相(耳郎は酔うとこんな感じになるのか、、)

 

相澤先生とオールマイトは一部始終をポカンとしながら見ていた。

プレゼント・マイクは酔い潰れて眠っている。

 

響「相澤先生、こんな娘ですけどこれからもよろしくお願いします」

 

相「ええ、こちらこそ責任を持って世話させていただきます」

 

響徳と相澤先生は、互いのジョッキを合わせた。

 

耳「ん、、あれ?なんかあったの?」

 

耳郎が意識を取り戻す。

 

上「おー起きたか耳郎」

 

耳「わぁ!ちょっとなんでウチ上鳴にもたれかかってんの!それに薄着だし!」

 

耳郎が顔を真っ赤にしながら上鳴から離れる。

 

響「あはははははは!覚えてないのか響香!まぁそっちの方がいいわな!」

 

大声で笑う響徳の後ろで、相澤先生がオールマイトと何かを話す。

 

相「こんな大変な生徒達なんで、お互い頑張っていきましょう」

 

オ「あぁ、よろしく頼むよ」

 

相澤先生とオールマイトは、互いのコップを打ち合わせ、フフっ、と笑い合った。

 




次回はお部屋お披露目回です。


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お部屋お披露目大波乱!

寮生活お部屋お披露目回です


家庭訪問が終わって数日後善彦達は相澤先生によって寮に集められた。

 

雄英敷地内、校舎から徒歩五分の場所にある"ハイツアライアンス"ここが新たな善彦達の家である。

 

相「とりあえず1年A組、無事に集まれて何よりだ」

 

皆は寮に入る前に相澤先生から説明を受けている。

 

瀬「皆許可降りたんだな」

 

葉「私は苦戦したよ」

 

耳「フツーそうだよね、、」

 

蛙「無事に集まれたのは先生もよ、会見を見た時はいなくなってしまうのかと思って悲しかったの」

 

相「、、、俺もびっくりさ」

 

オールマイトの引退後のせいかあまり先生の感じは良くない。

相澤先生は1-A全員に話を続けた。

 

相「当面は合宿で取る予定だった仮免取得に向けて動いていく」

 

その言葉に1-A全員がざわつく、いろいろありすぎて皆忘れていたようだ。

 

相「大事な話だ、いいか 轟、切島、緑谷、八百万、飯田、この5人はあの晩あの場所へ爆豪救出に赴いた」

 

峰・善「え、、」

 

その言葉に1-Aは動揺を隠せずにいた、相澤先生は言葉を続ける。

 

相「その様子だと行く素振りは皆も把握していたワケだ、色々棚上げした上で言わせて貰うよ」

 

相「オールマイトの引退が無けりゃ俺は、爆豪・耳郎・葉隠そして尾白・上鳴・佐竹以外全員除籍処分にしてる」

 

善「へ!?」

 

上「んん!?」

 

尾「え?」

 

今の言葉に三人は驚く、そして「なんで尾白達が?」という視線が善彦達に向けられた。

 

善「ちょっと!あの夜のことだれか言った!?」

 

善彦が小声で上鳴と尾白に問いかける。

 

上「言ってねぇよ!尾白、お前か」

 

尾「俺なワケないだろ!なんで除籍免れたんだ俺ら!」

 

三人が小声で話していると、相澤先生がくるりと寮の方を向く。

 

相「以上!さっ!中に入るぞ元気に行こう」

 

善(いや、待って!)

 

上(いけないです!)

 

善彦と上鳴が心の中で叫んだ。

 

そして1-Aは一階の共同スペースに連れて行かれる。

 

共同スペースは広く、テレビもキッチンもついた豪華なものだった。

 

芦「広キレー!そふぁぁぁ!」

 

善「おいこのキッチン!ウチの店よりハイテクだぞ!」

 

そして続いて皆は二階へ連れて行かれた。

 

相「部屋は二階から、1フロアに男女各4部屋の五階建て、1人一部屋エヤコン、トイレ、冷蔵庫にクローゼット付きの贅沢空間だ」

 

部屋割りは先生によって決められており、善彦は五階で砂藤の隣の部屋になった。

 

そして皆各自送ってもらった荷物を広げ、自分の部屋を作った。

 

そして皆部屋作りを終え、共同スペースに集まる善彦、上鳴、尾白達は昼間の相澤先生の言葉の違和感が取れきれず、3人でそのことについて話ていた。

 

善「あの夜のこと、誰か目撃者がいたのかな?」

 

上「いや、それはねぇだろ病院から結構距離あったし」

 

尾「でもあんな巨大脳無がでてニュースにならないわけないよな、、」

 

善「でもオールマイトの事件の夜とダブってるからね、、メディアはそっちを放送しただろうし、、」

 

善彦が頭を抱え、煮詰まっていると、芦戸が皆に向かって話かける。

 

芦「あのね!今話しててね!提案なんだけど!お部屋お披露目大会!しませんか!」

 

その言葉で、1-Aお部屋お披露目大会が始まった。

 

緑谷の部屋はオールマイトづくしのオタク部屋。

 

常闇は黒い物だらけの部屋、床に剣が刺さっていた。

 

そして青山の部屋はミラーボールや鏡だらけの光輝く部屋になっていた。

 

善「うぉぉ!まばゆい!」

 

青「イエス!まぶしいじゃなくて!ま・ば・ゆ・い!」

 

そして次の部屋は峰田の部屋になった、が誰も入らずに無視しようとする。

 

峰「入れよ、、すげぇの見せてやんよ」

 

善「自分、、、入ってみようかな、、」

 

善彦が怖いもの見たさで峰田の部屋に足を運ぶ。

 

耳「まじで!佐竹やめなって!変なトラウマになるよ!」

 

善「ごめん、好奇心が勝ってる」

 

耳郎が善彦の肩を掴み止めだが、善彦はそれを振り払い峰田の部屋に入った。

 

耳「まじかアイツ、、、」

 

上「どんななんだろう、、」

 

耳郎と上鳴が固唾を呑んでいると、峰田の部屋から笑い声が聞こえる。

 

善「あははははははは!まじか!これまじか!ギャハハハハ!」

 

腹を抱えた善彦が峰田の部屋から出てきた。

 

峰田の部屋がどのような物だったのか、聞ける人は誰もいなかった。

 

そして皆は様々な部屋を見てついに善彦のいる五階へと足を運んだ。

 

瀬呂のギャップたっぷりのエイジアンルーム。

 

轟の一体どうやって変えたのか不明な和室。

 

そして波乱は砂藤の部屋で起こった。

 

砂藤の部屋を開けると何やら甘い香りが漂う。

 

善「んだこの甘い匂い、アロマ?」

 

善彦が問いかけると砂藤は慌てて部屋にあったオーブンに駆け寄る。

 

砂「ああイケね!忘れてた!だいぶ早く片付いたんでよ、シフォンケーキ焼いてたんだ!ホイップがあるともっと美味いんだが、食う?」

 

「くうー!」

 

女子達が一斉にシフォンケーキに食いついた。

 

上「模範的以外な一面かよ!」

 

峰「おい、これ佐竹結構なインパクトないと負けるぜ」

 

峰田が善彦に耳打ちする。

 

善「別に部屋の勝ち負けには興味ないんだけどねぇ、、」

 

そう言うと、善彦は自室の扉を開けた。

 

麗「うわー、ベルトだらけー、、」

 

善彦の部屋に入るとまず目に入ったのは棚の上に置かれた仮面ライダーの変身ベルトだった。

 

そして棚の中にはスーパー戦隊に変身するためのアイテムが置かれていた。

 

障「なんかすぐに戦えるような部屋だな、」

 

「まぁね」と善彦が言うと、耳郎が部屋の中央に置かれた丸いちゃぶ台に気づいた。

 

耳「ねぇ佐竹?あのちゃぶ台の上にある鍋なんなの?」

 

ちゃぶ台の上に置かれていたのは大きな寸胴鍋だった。

 

善「あぁ、これ?実家から持って来た自分特性のもつ煮込みだけど、、食べます?」

 

善彦が鍋の蓋を開けると出汁の香ばしい香りが部屋に広がる、その香りに女子の食欲が刺激された。

 

「たべるー!」

 

善「はいはい、甘い物の後にはしょっぱい物だよねー」

 

善彦はヒヒヒと笑いながらもつ煮込みを女子に配った。

 

麗「うわーっ!とろけるぅ〜!」

 

耳「米が欲しい〜米欲しくなるよコレ〜」

 

八「初めて食べましたけどこんなに美味しいものなんですね〜!」

 

女子達の称賛の声に善彦はヒヒヒと笑いながら切島達の方を向いた。

 

切「ちくしょーこれを狙ってたのか、、うんめこれ」

 

瀬「甘い物の後の塩気作戦、、見事なり、、佐竹!米ある?」

 

切島と瀬呂はもつ煮をモリモリ食べながら善彦の作戦に脅威を抱いた。

 

そして寸胴鍋を空にした1-Aは全ての部屋を周り、共同スペースに集められ遂に投票の時がきた。

 

芦「それでは!第1回部屋王暫定1位の発表です!」

 

芦戸が投票箱に手を突っ込むと何か異変を感じる、芦戸が箱の中を確認すると、納得した顔で部屋王を発表した。

 

芦「想定外のハプニング!でもこれが結果だ!得票数5票!圧倒的独走単独首位を叩き出したその部屋は!砂藤力道アーンド佐竹善彦だー!」

 

砂「はああ!!?」

 

善「なぜに2人!」

 

芦「ちなみに砂藤は全て女子票、佐竹は男子票だったよ理由としては」

 

麗「ケーキ美味しかった」

 

瀬「もつ煮込みうまかった」

 

芦「だそうです」

 

善「部屋は!?」

 

こうしたハプニングもあったが、部屋王選手権は砂藤と善彦のダブル優勝で決まった。

 

相「楽しそうなことやってんな」

 

ここで突然共同スペースの扉を開けて相澤先生が入ってきた。

 

芦「あれ!先生なんで!」

 

相「ちょっとした用事があってな、佐竹、上鳴、尾白ちょっと来い」

 

上「あ、、ついにきた、、」

 

指名された3人は相澤先生のいる部屋に集められた。

 

相「緑谷達が爆豪を救出していた夜、お前ら耳郎達がいた病院にいたよな?」

 

突然話の本題をぶつけられる、それに対し3人は「はい」としか言えなかった。

 

相「あの夜の次の日、その病院から連絡があってな夜勤していた看護師が『雄英生が化け物と戦って病院を守ってくれた』と」

 

善「やっぱり目撃者いたんだ、、」

 

尾「いない方がおかしいでしょ、」

 

相「ヒーロー免許を持っていないお前らが敵と戦ったのは大きな問題となる、だがしかし結果として病院を守り、耳郎達だけでなく他の入院患者たちの命も守った」

 

そう言うと相澤先生が立ち上がり、上鳴と尾白の頭に手のひらをポンと置く。

 

相「よくやったなお前ら」

 

その言葉に3人は安堵の表情を浮かべ、元気よく「はい!」と返事をした。

 

相「それはそうとして佐竹よ」

 

相澤先生が善彦に顔をズイと近づける。

 

善「は、、はい?」

 

相「もつ煮、まだ残ってるか?」

 

善「すいません、、みんなで全部食べちゃいました、、」

 

相「なに、、!」

 

相澤先生の顔が険しくなる。

 

善「今度!自分の店で一杯サービスします!」

 

相「そうか、、ありがとな、話は以上だ」

 

こうして3人は解放され、長い夜が終わった。

 




次は必殺技創作回です。


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作れ!必殺技!

必殺技創作回です


寮生活が始まって数日

 

この日始めてヒーロー仮免のための授業が始まろうとしていた。

 

相「ヒーロー免許ってのは人命に直接係わる責任重大な資格だ、当然取得の為の試験はとても厳しい仮免といえどその合格率は例年五割を切る」

 

その言葉にクラス全員が緊張する。

 

相「そこで今日から君らには1人でも最低二つ、、」

 

相澤先生が指をクイと曲げると教室の戸がガララと開けられた。

 

「「「必殺技を作ってもらう!」」」

 

必殺技の講師として、エクトプラズム、ミッドナイト、セメントスの三人が来てくれた。

 

「学校っぽくてそれでいて!ヒーローっぽいのキタァァ!」

 

教室が歓喜の声で包まれる、しかしその中で善彦な苦い顔をしていた。

 

皆はそのまま体育館γ、通称TDLに集められ、必殺技を作ることになった。

 

上「必殺技を作るなんてワクワクするなぁ!えぇ佐竹!」

 

善「えぇ、、あぁ、うん、、」

 

耳「どうしたの?なんか元気ないじゃん」

 

耳郎が善彦の異変に気付き、話しかける。

 

善「いや、必殺技を作れって言われても、、自分いっぱいあるんすよね、、」

 

上「あ、、」

 

耳「たしかに、、、」

 

善彦の言葉に耳郎と上鳴は固まる。善彦の言う通り善彦は変身したら必殺技はたくさん出てくるのだ。

 

エクトプラズム「ならば変身前のその姿での必殺技を作ればいいんじゃないか?」

 

善「え?」

 

エクトプラズム先生の言葉に善彦が変な声をだす。

 

エ「どうせなら変身した姿と変身する前の姿で2種類必殺技があった方が後々のヒーロー活動の為になるかもしれん、しかもその方がカッコいいかもだからな」

 

エクトプラズム先生はアドバイスをすると「がんばれよ」と言葉を残して去っていった。

 

善「なるほど、、強救道としての必殺技かぁ、、」

 

善彦が指につけられた輝く指輪をじっと見つめた。

 

耳「そういや、その指輪って何のためににつけてるの? 」

 

耳郎が指輪についた石をツンツンつつきながら問いかける。

 

善「あぁ、これはですね、この為についてるんですよ!」

 

バキャァァァァ!

 

善彦が腕を振りかぶりセメントス先生が作った壁に拳を叩きつける、すると壁に大きなくぼみができた。

 

上「へ?、、え?」

 

耳「あんたその指輪何で出来てんだよ!」

 

耳郎が善彦の指輪を指差して突っ込む。

上鳴はパンチの威力に唖然として固まっていた。

 

善「あぁ、この指輪は結構硬い素材でできてましてね、パンチの威力を倍増させてくれるんですよ」

 

善彦が拳についたコンクリート片を払いながら説明した。

 

善「これ、必殺技にしよっかな、エメラルドフィストって」

 

善彦がウキウキしながら必殺技を1つ完成させた。

 

耳「いや、ただの指輪の硬さでしょーよ必殺技の威力には申し分ないけども」

 

上「でも必殺技は1つ完成したな、あともう1つは、、」

 

善「あ、それはですね、お父ちゃん直伝の必殺技があるんですよ」

 

上・耳「え、、」

 

その言葉に2人は嫌な予感が隠せない、しかしそんなこと御構い無しに善彦は切島を呼んだ。

 

切「なんだ?必殺技の協力?喜んでするぜ!俺は!」

 

切島が掌に拳を打ち付けてニカッと笑う。

 

善「よーしそれじゃいくよー!」

 

善彦はそう言うと、かけていたサングラスを外し、右手で握り潰す。

 

バキャン!

 

耳「え!」

 

善「おぉら!」

 

善彦はその潰したサングラスの破片を切島に向かって投げつける。

 

切「うおぉ!」

 

切島は個性の硬化を使い破片を体から守り、腕を顔の前で交差させ、破片が目に入るのを防いだ。

 

切「すげぇな目潰しかよ、、」

 

とゆっくり交差していた腕を下ろすと、切島の目の前に真っ黒な靴底が来ていた。

 

善「ずぇいしゃぁ!」

 

ドガァァ!

 

切「へぐぁあ!」

 

サングラスの破片に油断していた切島は迫って来ていた善彦に全く気付かず、善彦の鋼鉄仕込みの靴底ドロップキックが切島に直撃した。

 

上「おぉーい!それヒーローが使う技じゃねーだろ!」

 

耳「完全に喧嘩殺法じゃんか!」

 

上鳴と耳郎のツッコミが激しく善彦にぶつけられた。

 

善「いやー、これがお父ちゃんに教わった技でして、、」

 

切「何者なんだよお前の親父、、」

 

切島がイテテと頭を抱えながら起き上がった。

 

善「自分のお父ちゃん昔「デス・レオパルド」って呼ばれるくらい喧嘩強くてですね、たまにお父ちゃん直々に喧嘩の稽古をつけてもらってるんですよ」

 

耳「デス・レオパルドって、、」

 

耳郎はその異名と善彦に呆れていた。

 

エ「アイデアはいいが、サングラスを投げるのはあまり感心せんな、ヒーローはメディアの目もあるからな、ドロップキックだけにしとけ」

 

エクトプラズム先生が善彦にアドバイスを送る、それに善彦も「はい」と元気よく答えた。

 

善「てことで完成!必殺技ドロップキックメタル!」

 

善彦は両手を大きく広げ、必殺技の完成を喜んだ。

 

耳「なぁんかいい印象ないなぁ、、」

 

切「でもオレは好きだぜ!そのアイデア!」

 

耳郎は酷評したが切島は好評してくれた。

善彦はそれに素直に喜ぶ。

 

善「あとはどうすればいいですかね?自分?」

 

上「その姿のままの必殺技の精度をあげようぜドロップキックなんてそう当たるもんじゃねーからな」

 

善「たしかに!じゃあ切島くん!一緒にやってくんない?」

 

善彦がバッと切島の方をみると、切島は「いいぞ!」と言い、親指を立てた。

 

善「よーし!そうと決まったら特訓だー!」

 

切「おー!付き合ってやるぜー!ガンガンこーい!」

 

善彦と切島は肩を組みながらどこかへと去っていった。

 

上「切島のやつ、、大丈夫かな、、、」

 

耳「本人たちが楽しそうだからいいんじゃない?ウチらも必殺技作ろう」

 

上鳴と耳郎は、そのまま善彦に背を向けて去っていった。

 




次はヒーロー仮免回です


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勝ち抜け仮免!

仮免一次試験回です


訓練の日々が流れ善彦たちはヒーロー仮免許取得試験当日を迎えた。

 

試験会場は国立多古場競技場で行われることになった。

 

試験には雄英だけではなく、士傑高校、傑物学園高校からも試験を受ける者が沢山来ていた。

 

峰「試験て何やるんだろう、ハー仮免取れっかなァ」

 

峰田が不安でつい呟いた。

 

相「峰田、取れるかじゃない、取って来い」

 

相澤先生がその言葉に反応してダランとしながら峰田に言った。

 

相「この試験に合格し仮免許を取得出来ればお前ら志望者は晴れてヒヨッ子、、セミプロへと孵化できる、頑張ってこい」

 

相澤先生の頑張れの言葉に1-Aは一気に気が引き締まる、そして善彦達は試験会場に入り、説明を受ける。

 

目良「あー、、僕ヒーロー公安委員会の目良です好きな睡眠はノンレム睡眠よろしく」

 

今年は例年より志望者が多い為に達成者先着100名を通過とすることになった。

 

それぞれ6つのボールを携帯し、3つのターゲットを身につけて行い、3つ目のターゲットにボールを当てた人が"倒した"ということとされ、2人倒した者から勝ち抜くといったルールになった。

善「えーと、マトはどこに貼っつけるかなぁ、、」

 

ターゲットは体の好きな場所、ただし常に晒されている場所に取り付けることが決まりになっている。脇の下や足裏は反則らしい。

 

上「反則ギリギリかつ守りやすい場所がいいよな」

 

善「自分はじゃあ心臓部とー、太ももに1つ、後は、、横っ腹でいいか」

 

善彦は守りやすい事を前提にした箇所にターゲットを貼り付けた。

 

そして説明を受けた場所の壁が展開し、広いステージへと場所が変わる。

 

そしてカウントダウンが鳴り響いた。

 

10!

 

上「おい、佐竹はどうするんだ?俺は今回爆豪と組むけど、、」

 

善「あぁ、上鳴くん大丈夫、今回は耳郎さんと考えた作戦があるんだよね?」

 

耳「えぇそうともよ」

 

善彦と耳郎がニシシと笑いながら上鳴を見送る、そしてカウントダウンは残り3秒に迫っていた。

 

2! 1! スタート!

 

カウントダウンが終了しスタートの合図が響く、会場の1540人が一斉にボールを投げ出した。

 

緑「ここはやっぱり単独行動よりも団体行動の方がいい、僕達の個性はバレてるからほかの人達に狙われやすいからね」

 

緑谷が峰田達と固まりながら善彦に伝えた。

 

善「了解、それは自分も考えててね、しかも今回はこの日の為に特別なへんしりゅ」 ドガフ!

 

善彦が全部言い切る前に善彦の頬にボールがぶつけられた。

 

緑「わぁあ!佐竹くん!大丈夫!?」

 

善「大丈夫、、だけど、、このボール結構硬さある、、ターゲットに当たんなくてよかった、、」

 

耳「ちんたら喋ってる暇ないよ!ドンドン来る!」

 

他の高校の者達が雄英生徒を潰しにかかって来ている。

善彦は立ち上がり、ボールを投げてみるが全てターゲットからは外れ、避けられた。

 

善「だー!ちくしょー!全然当たらん!」

 

善彦がイラついて最後のボールを上に掲げた。

 

耳「バッカ!あんた感情的になるな!ってあれ?」

 

耳郎が躍起になった善彦を止めようとしたが、ボールが配られたものとは違うと気づく、そして耳郎は善彦がこれから起こす行動を察した。

 

善「天空!シノビチェンジ!」

 

掲げられたシュリケンボールは胸の前でスイッチを押され、善彦の体を光で包み、変身を完了させた。

 

善「アイアム!ニンジャオブニンジャ!緑の光弾!天空忍者シュリケンジャー!参上!」

 

「おぉお!これが雄英の変身か!」

 

「かっけー!」

 

他の高校から興奮の声が聞こえる。

 

緑「これがさっき言ってた特別な変身、、」

 

耳「声も変わってる……」

 

緑谷は善彦の変身した姿をみてどのような攻撃をするのかと考察している。

 

「変身後は隙だらけだな!雄英さん!」

 

後ろから善彦と緑谷めがけてボールが投げられる、しかし善彦はそれをシュリケンズバットで打ち返した。

 

善「それ!」

 

カキィン!

 

「うぉおお!」

 

ボールはそのままピッチャー返しとなり、投げた者のターゲットに命中した。

 

善「これは出し惜しみしてる場合じゃなさそうだね!」

 

善彦は手を顔に当てると、マスクを回転させた。

 

善「チェンジ!ファイヤーモードでぇい!」

 

そしてベルトに手を伸ばし、身につけていたプロテクターを脱ぎ捨てる、脱ぎ捨てられたプロテクターはドスンと音をたて、地面にめり込んだ。

 

「い、、一体何キロあるんだあのプロテクター、、」

 

驚く他校の生徒をよそに善彦はシュリケンズバットを構え、耳郎に向かって叫ぶ。

 

善「よぉぉし!耳郎さん!あれ行くぜぇぃ!」

 

耳「オーケー!ジャックイン!」

 

耳郎は善彦がシュリケンズバットを構えたと共に、右耳のイヤホンジャックを右腕のアンプに繋ぎ、左耳のイヤホンジャックを善彦の足に巻きつけた。

 

耳「いくよ!ハートビートファズ!」

 

耳郎が地面に衝撃波を流し込む、すると足元は大きく揺れ、地面に落ちていたボールは衝撃波で地面から離れ、宙を舞った。

 

善「今だ!耳郎さん!超忍法!」

 

耳「イヤホンコマ回し!」

 

耳郎が大きく頭を振り、善彦の足に巻きつけたイヤホンを巻き戻す、すると善彦の体はコマのように回転した。

 

善「千本ノックゥゥ!」

 

自身の回転プラス耳郎のイヤホンコマ回しで回転力を増した善彦は宙を舞ったボールをめがけてバットを振り回し、無数のボールを打ちまくった。

 

「うわぁぁぁ!雄英めちゃくちゃかよ!」

 

「ゴブッ!ターゲットを守れねぇ!」

 

善彦達の攻撃は相手には当たったものの、ターゲットにはあまり当たらず、ただ沢山の相手を気絶させただけであった。

 

善「、、、、こりゃあ派手にやりすぎちまったかねぇ」

 

耳「うん、ウチもそう思う、、」

 

死屍累々の光景を見て善彦と耳郎は少し反省をした。

次の瞬間

 

ギュウウウウン!

 

善「!危ねぇ!」

 

カキィン!

 

耳「えっ!なに!」

 

善彦が後ろから来たボールに気づいてそれをシュリケンズバットで打ち返す、しかし後ろには誰もいなかった。

 

投擲「今のを打ち返すか、なかなかやるな1年にしては」

 

今のボールを投げたのは傑物学園の投擲射手次郎だった。

 

善「へぇ、、やるってんのか?先輩さん?」

 

善彦がシュリケンズバットの先端を投擲に向け、挑発する。

 

投「ふむ、面白い、、お望みとあらばやってやろう」

 

投擲はボールを1つ拾い、善彦に向かい、構えた。

 

耳「ちょっと佐竹、大丈夫なの?」

 

善「、、、、、、」

 

善彦は耳郎に言葉を返さない、いや返せないのだ、今この瞬間は0.1秒も気を抜いたら投擲の個性"ブーメラン"によって繰り出される魔球をくらってしまう。

 

耳「ガン無視かよ、、」

 

と耳郎がつぶやいてその場をそっと離れようと動いた瞬間。

 

投「ロックオン!」

 

投擲がボールを投げた。

 

善(来た!内角低めのスライダー!狙いは太ももにつけたターゲット!)

 

※善彦は野球の投げ方を全く知りません。

 

善彦がそう勘ぐり、太ももをカバーした瞬間、ボールの軌道が変わる。

 

善「なに!」

 

耳「え!なに!ウチがターゲット!?」

 

ボールが善彦を素通りし、耳郎に向かったのだ。

 

善「しまったぁぁぁ!」

 

善彦は急いで耳郎の前に立ち、バットにボールをぶつけた。

 

ギャルギャルギャルギャルギャルギャル!

 

ボールとバットが擦れる音が辺りに響く、投擲は腕を組み見ていた。

 

投「あれに反応して動くとは見事だね、しかし全力で投げたその一球、、打ち返せるかな?」

 

善「お、、おおお、、自分を、、、」

 

善彦のバットを握る力が強くなる。

 

善「なめんなぁぁぁぁぁ!」

 

カキィィィィィン!

 

善彦の咆哮と共にボールは上空へと打ち上げられる。

 

投「なに、、、!」

 

ヒュー、、ポカン

 

「いてっ、、」

 

そして落ちたボールはそこら辺に転がっていた者のターゲットに当たり、善彦の体につけられたターゲットのマトが3つ全て発光した。

 

「通過者は控え室へ移動して下さい」

 

そしてマトから音声が聞こえた。

 

投「どうやら、2人倒したみたいだな」

 

投擲が腕を組みながら善彦に話しかける。

 

善「え?、、いつのまに、、」

 

善彦は2人倒したことなど記憶になかった。

 

投「控え室で待ってろ、俺もすぐにそこに行くからな」

 

そう言うと、投擲はゆっくりと善彦に手を伸ばした。

 

善「投擲さん、、」

 

善彦は変身を解除すると、投擲と熱い握手を交わした。

 

善「頑張って下さい、自分、この後の試験頑張ります!」

 

投「あぁ、お互いに頑張ろう」

 

2人はフフッと笑うと、善彦はそのまま「ANTEROOM」と書かれた部屋に入って行った。

 

耳「あ、おつかれー」

 

善「あれ!耳郎さんいつのまに!」

 

部屋に入ると、そこにはお茶を飲む耳郎の姿があった。

 

耳「あんたらが話してるあいだに倒れてたヤツのターゲットにボール当ててクリアしてたんだよね」

 

耳郎がお茶をズズズとすすりながら善彦に話す。

 

善「あ、、さいですか、、」

 

ガガーッ「それでは控え室の皆様、スクリーンをご覧下さい」

 

控え室のスピーカーから音声が聞こえ、皆の視線がスクリーンに集まる。

 

スクリーンには先程善彦達が戦っていたステージが映っていたが、次の瞬間。

 

ドガァァン!

 

ステージの至るところで爆発が起こり、先程まで整っていたステージが瓦礫の山となった。

 

「次の試験で最後になります!皆さんにはこれからこの被災現場でバイステンダーとして救助演習を行ってもらいます」

 

善「えぇ〜、、、」

 

これから、最後の試験が始まろうとしていた。




次が救助演習回です


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助けろ救助演習!

仮免救助演習回です


熾烈な戦いが行われたステージが破壊され、10分後に救助演習が行われるとアナウンスを受けた。

 

善彦は緑谷達と救助演習の事について話している。

 

緑「やっぱり救助演習はさっきの試験同様、皆と救助しなきゃだめかもしれないね」

 

善「じゃあさじゃあさ、これ、1-Aの皆に配ってもいいかな?」

 

善彦がヒーロースーツの上着を脱ぐと、スーツの内側には変身アイテムがビッシリとポケットに入っていた。

 

緑「え?佐竹くんもしかしてそれ全部背負って試験受けてたの?」

 

善彦のスーツを見た緑谷が信じられないような目で善彦を見る。

 

善「うん、背中にスペースあったからここにポケットいっぱい作って貰うように依頼してたんだ」

 

善彦が説明しながら変身アイテムを1-Aに配る。

 

善「毎度の事ながら変身の仕方はメモ貼ってあるからそれ見てねー」

 

切「おい!俺のはキョウリュウのヤツな!」

 

善「わかってますよ、はいコレ、緑谷きゅんもコレやるバイ」

 

善彦は切島にガブリボルバーを渡すと、緑谷にトッキュウチェンジャーを渡した。

 

緑「あれ、これ麗日さんと同じ、、」

 

麗「わー!デクくん私と同じやー!ペアルックやなー!」

 

トッキュウチェンジャーを腕につけた緑谷を見た麗日がブンブンと腕を振りながら緑谷に近づいた。

 

緑「わー!わわ、ペ、ペアル、ルルルルック!?麗日さんと!?」

 

初めての女子とのペアルックに反応した緑谷の顔が赤くなる。

そしてそのままゴニョゴニョと独り言を始めた。

 

善「スーツの内ポケに入れてたもんだからライダーに変身する為のベルトは持って行くのは無理だったけど、戦隊も結構なパワーはあるから皆よろしくね」

 

善彦はそう言うと、ゲーマドライバーを腰に巻いた。

 

緑「女の子とペアルックって、、でもペアルックって同じ服を着る事だからこれはペアルックには含まれ、、いやしかし、、」

 

ジリリリリリリリ!

 

緑谷の独り言をベルの音がかき消し、アナウンスが放送される。

 

「敵による大規模破壊が発生!規模は◯◯市全域、建物倒壊により傷病者多数!」

 

善「うぉあ!なんだなんだ!これシナリオ!?」

 

耳「え!?じゃあ、、」

 

蛙「始まりね」

 

「道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ!到着する迄の救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮をとり行う、1人でも多くの命を救い出すこと!!!」

 

アナウンスと共に控え室が展開し、スタートの合図と共に皆が走った。

 

善「わわわ!変身!」

 

善彦は焦りながら仮面ライダーレーザーレベル1に変身し、皆に続いて走った。

 

「ゔわぁぁぁぁ!おじいちゃんがぁぁ!瓦礫の下にぃぃぃ!」

 

まず善彦の視界に入ったのは地面に膝をつき、泣き叫ぶ子供だった。

 

緑「わぁ!大変だ!」

 

「ゔわぁぁぁぁ!おじいちゃんがぁぁ!」

 

善「緑谷くん!子供は自分に任せておじいちゃんを!」

 

緑「わ、わかった!」

 

善彦が緑谷に指示すると、善彦は子供の元に走った。

 

善「ボク、おじいちゃんはほかのヒーローが助けてくれるから、安心して、痛い所はある?息が苦しいとかは?」

 

善彦が子供の前でしゃがみ、確認を取っていると子供の顔が少しほころぶ。

 

「なるほど、その姿でまず心を落ち着かせるか、そして迅速で柔軟な対応だな、他のヤツらとは違う熟練されたソレだ」

 

先程まで泣き叫んでいた子供から一変してHUCの顔を見せる。

 

善「え!、あ、あぁ、実家が居酒屋なもんで、接客は慣れてるんです、今から救護スペースに連れていきますね」

 

善彦は驚きながらも子供を抱き抱え、救護スペースへと向かった。

 

「ふむ、実に迅速だ、しかしおじいちゃんがどこで潰されたか聞いてないな」

 

善「あ、、、」

 

善彦の足がピタっと止まり、ゆっくりとそして恐る恐る子供に聞いた。

 

善「ボクゥ、、おじいちゃんがいる場所ってどこかな、、?」

 

「、、あそこ」

 

善「緑谷くーん!そこにおじいちゃんいるってさー!」

 

緑「わかったー!」

 

善彦はおじいちゃんを緑谷に任せると子供を救護スペースに連れて行った。

 

〜救護スペース〜

 

善「言動ははっきりしています、出血もしていますがあまり傷は深くなさそうです」

 

「はい、ではこちらでお預かりいたします」(なんだこの可愛いの、、)

 

善「はい、お願いします」

 

善彦は子供を救護スペースのスタッフに任せると、再び災害地に向かって走った。

 

善「うーん、この姿でいるのあんま意味ないかな」

 

善彦が仮面ライダーの変身を解くと、近くで何か騒いでいる声が聞こえる。

 

「くそっ!瓦礫の下にいる怪我人を助けたいが、暗くて全然見えねぇ!」

 

他の高校の生徒達が瓦礫の下にいる怪我人の対処に苦難している姿が見えた。

 

善「どうした、ライトならここにあるよ!」

 

善彦はスーツの内側からトランスチームガンとライトフルボトルを取り出す。

 

「おい!お前どうするつもりだ!」

 

他の生徒の声を無視し、トランスチームガンにライトフルボトルをセットする。

そしてトランスチームガンを地面に向かって発砲した。

 

《スチームアタック!》

 

地面に向かって撃った箇所が光る、すると瓦礫の奥に倒れている怪我人が見えた。

 

「うぉお!地面から光が!怪我人が見えたぞ!皆助けるぞ!お前!ありがとうな!」

 

善「どーいたしまして!じゃあ自分は他の人助けてくる!」

 

善彦はトランスチームガンを懐に戻すと、他の怪我人の救助に向かおうとしたその時。

 

ドガァァン!

 

突然ステージの壁が爆発し、爆発した穴から敵役のギャングオルカが出現した。

 

善「どぇぇ!なんか来た!」

 

「敵が姿を現し追撃を開始!現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ、救助を続行して下さい」

 

ステージにアナウンスが流れる、善彦はソレを聞いて敵の制圧に徹する事にした。

 

善「ちくしょう!へんし、、ん?」

 

善彦が変身しようとした時、善彦の目の前に横一列に並んだ10人が見えた。

 

善「もしかして、、、!」

 

善彦が何かを察すると、善彦の前に立っている切島がガブリボルバーを構えた。

 

切「行くぞ!キョウリュウチェンジだ!」

 

芦・砂・轟・常「おう!」

 

上「よぉーし!皆!トッキュウチェンジいくぞ!」

 

緑「うん!」

 

飯「わかった!」

 

耳「了解!」

 

麗「よっしゃー!」

 

善「皆、、まじかよ、、」

 

呆然とする善彦を背に、皆が変身を始めた。

 

切「いくぜぇ!キョウリュウチェンジ!」

 

獣電池をガブリボルバーにセットさせ、メロディーに合わせて切島達が踊る。

 

「なにを悠長に踊ってるんだか!」

 

敵が切島達に向かってセメント弾を撃つ、しかしステップを踊る切島達はソレを全て回避し、ガブリボルバーを上に掲げた。

 

「「「「「ファイヤー!」」」」」

 

切島達はキョウリュウジャーに変身し、名乗りを省略して敵に向かって走り出した。

 

上「俺たちも!トッキュウチェンジだ!」

 

上鳴達も切島達に続き、トッキュウチェンジャーのレバーを上げる。

 

《変身いたしまーす、白線の内側に下がってお待ち下さい》

 

音声と共に、上鳴達の足元から白線が出現する。

 

敵達は音声と言う通りに、白線の内側に下がった。

 

「ギャングオルカさん、こっちこっち!」

 

ギ「お、、おう」

 

ギャングオルカも戸惑いながらも白線の内側に下がった。

 

「「「「「トッキュウチェンジ!」」」」」

 

皆で一斉に列車をセットし、レバーを下げると体が光に包まれ、変身を完了させた。

 

《トッキュウ1号》

 

上「よっし!」

 

《トッキュウ2号》

 

飯「よろしくお願いします!」

 

《トッキュウ3号》

 

耳「初変身♡」

 

《トッキュウ4号》

 

緑「わわっ、僕も初変身」

 

《トッキュウ5号》

 

麗「おひさし変身ー!」

 

上「勝利のイマジネーション!烈車戦隊!」

 

「「「「「トッキュウジャー!」」」」」

 

上鳴達は名乗りを決めると、ポーズもきちんと決めた。

 

上「しゅっぱーつ!しんこーう!」

 

上鳴と声と共に、皆が敵に向かって走り出した。

 

善「うわー、、クラスの半分が変身者になっちゃったよ」

 

善彦は敵を皆に任せ、怪我人の救助に向かう事にした。

 

上「うっひょー!剣なんてカッコいいじゃんかよー!」

 

上鳴はレールスラッシャーを片手に敵を斬り伏せ、レールスラッシャーからレールを出し敵を拘束し、半ば楽しんでいた。

 

飯「人々を脅かす敵め!この正義の弾丸をくらうがいい!」

 

飯田は設定を守りながらホームトリガーを敵に向かって撃つ。

トッキュウブラスターとの二丁拳銃で敵を倒していった。

 

耳「なんでウチの武器がハンマーなんだよ!」

 

耳郎はシンゴウハンマーを振り回し敵をなぎ倒す。

 

耳「おおらぁ!」

 

耳郎がシンゴウハンマーを地面に叩きつけると、シンゴウが青から赤に変わり、衝撃波で多くの敵を吹き飛ばした。

 

麗「行くよ!デクくん!」

 

緑「うん、麗日さん!」

 

麗日と緑谷はテッキョウクローとトンネルアックスを使い、ギャングオルカと戦っていた。

 

ギ「ぐ、うぅ舐めるなヒヨッ子!」

 

ギャングオルカが超音波を発して麗日の動きを止めた。

 

麗「うわぁぁ、頭がぐらくらするぅ〜」

 

緑「麗日さん!」

 

ギャリィ!

 

ギ「ぐわぁ!」

 

緑谷がトンネルアックスでギャングオルカを吹き飛ばし、距離をとった。

 

ギ「くそぅ、仲間の敵達がこうも簡単にやられるとは、、」

 

上「よーし!みんな!武器を合体させるぞ!」

 

上鳴がそう言うと、レールスラッシャーを上に投げる、すると他の4人の武器が集まり、レンケツバズーカを完成させた。

 

上「切島!お前らも行くぞ!」

 

切「よっしゃあ!いくぜ!ケントロスパイカー!」

 

切島がケントロスパイカーの獣電池を投げると、キョウリュウジャーの武器が合体し、ケントロスパイカーを完成させた。

ギ「な!二方向からだと!」

 

上「いくぜぇぇ!レインボーラッシュ!」

 

切「おらぁぁぁ!獣電ブレイブフィニッ、、」

 

ビーーーーー!

 

突然ステージにアナウンスが流れた。

 

「えー、只今をもちまして、配置されたすべてのHUCが危険区域より救助されました、まことに勝手ではございますがこれにて仮免試験全行程終了となります!!!」

 

上「え、、今、、?」

 

切「タイミングが、、、、」

 

上鳴と切島は用意した武器の始末にどうしようかと固まっている。

他の皆は変身を解除し、ステージをでた。

 

ギ「おい、お前も戻りな、これから結果発表だ」

 

ギャングオルカが切島と上鳴の肩をポンと叩くと、切島と上鳴の変身が解けた。

 

上・切「はい、、、」

 

そして試験合格者の映ったパネルが皆の前に出される、善彦は心臓をバクバクさせながら自分の名前を探した。

 

善「さ、さ、さ、さ、さた、さと、、、ん!さた!佐竹!あったー!合格者ー!」

 

上「俺もあったぜー!」

 

善「よかったぁぁぁぁぁ!」

 

善彦と上鳴が喜び合い、その場で抱き合う。

 

耳「ウチの名前もあったぁ〜、ってあんたらなにやってんの」

 

耳郎も合格したことを確認し、ホッと胸を撫で下ろす。

そして抱き合っている善彦と上鳴を見て引いた。

 

轟と爆豪は合格していなかったが、三ヶ月の特別講習を受け、仮免許を発行することにした。

 

そして1-Aは寮に戻り、皆で喜びを語りあっていた。

 

上「いやー、でもあのタイミングはねぇよな!せっかく必殺技決まるところだったのによぉ!」

 

切「そうだよなぁ!メチャクチャいい感じだったのによぉ!なぁ!佐竹!」

 

善「そうですよねぇ〜」ズズズ

 

善彦が上鳴と切島の話を聞きながら茶をすすっていると、後ろから誰かに服を引っ張られる。

 

善「どわっ!なに!え!爆豪さん!」

 

善彦が振り向くと、そこには善彦の襟を掴む爆豪が立っていた。

 

爆「ちょっとつら貸せ」

 

善「ふぇ?」

 

爆豪が顎をしゃくり、共同スペースから善彦を連れ出すと善彦の部屋の前まで連れて行き、ズイと善彦に顔を近づけた。

 

爆「お前、ライダーに変身させるベルト持ってんだろ?1つ貸せ」

 

善「え?今なんと、、」

 

爆「ベルトを貸せって言ってんだよ!」

 

善「はいぃ!ただいま!」

 

善彦は爆豪の気迫に負け、爆豪に似合いそうなライダーのベルトを渡した。

 

善「どうぞどうぞ、、なんなりとお使い下さい」

 

爆「おぅ、貸りてくぞじゃあな」

 

爆豪は善彦からベルトをバッと取るとそのままどこかへ行ってしまった。

 

善「一体なんなんだろうか、、」

 

善彦は緊張が解け、その場にへにゃりと座り込む。

 

そして爆豪は、共同スペースにいる緑谷にすれ違い様に言った。

 

爆「デク、後で表でろ」

 




次はビック3の回にしようか
緑谷vs爆豪のライダーバトル回にしようか迷ってます


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激突幼馴染!

緑谷vs爆豪です


カチ、、コチ、、カチ、、コチ、、

 

善「、、、、、」

 

時計の秒針の音が響く部屋、善彦はベッドの中で眠れずにいた。

爆豪にベルトを渡してその後、深夜に緑谷と2人で寮を出た姿を目撃したからだ。

 

善(あの2人、こんな夜更けに何しに行ったんだろ、、こんな時なぁ〜腐女子だったら興奮するんだろなぁ〜何起こるんだろーてなかんじで、、て、関係ないそんな話、、で、あの2人多分ベルト持ってるんだよなぁ、、爆豪くんにベルト渡してすぐだし、、)

 

ごろんと寝返りをうつと、善彦はまさかといやな予感が頭をよぎる。

 

善「そんなわけ、、ないよな、、あったとしても、自分関係ないし、ベルト渡しただけだし、寝よ寝よ」

 

善彦は考え直すと布団を頭からかぶる。

 

善「…………だめだ!見に行こ!」

 

善彦は我慢ができなくなり、ベッドから起き上がるとゲーマドライバーを巻いて2人の後をついていくことにした。

 

善「なんかあったら先生に言ってやる、、」

 

善彦が子供じみたことを言いながら寮の玄関の扉を開けると、そこに1人の人影が見えた。

 

善「あ、、あなたは、、」

 

〜グラウンドβ〜

 

「俺は、、、オールマイトを終わらせちまってんだ!」

 

爆豪勝己は誰よりも悩んでいた、考えていた、本当に戦わなければいけないのか緑谷出久は考えるこの戦いに意味なんてないかもしれない、勝ちにも敗けにも意味はないのかもしれないそれでもやらなきゃと思った。

爆豪の気持ちを今受けられるのは自分しかいないのだからと。

 

緑「丁度よかった、シュートスタイルとコレの組み合わせが君に通用するかどうか試したかったんだ、、、やるなら、、全力だ」

 

緑谷は爆豪に向けて構えをとると、左手をそっと後ろに回し、何かを掴んだ。

 

爆「この期に及んで小細工かよザコデクが、、」

 

爆豪も緑谷に続いて右手を後ろに回し、何かを掴む。

 

緑「ふっ!」

 

爆「おらぁ!」

 

そして2人は同じタイミングで腰にベルトを巻いた。

 

緑「あれ、、かっちゃんそれ、、」

 

緑谷が驚いた顔で爆豪の腰を指さす。

 

爆「な、、なんでお前も、、!」

 

爆豪も驚いた顔で緑谷の腰に巻かれたビルドドライバーを指さした。

 

そして爆豪の記憶が蘇る、幼少のころ緑谷を含む友達たちとコンビニの前でヒーローチップに付いていたカードを開封し、緑谷と同じレアカードのオールマイトのカードを当てた日のことを。

 

爆「なんでお前も同じなんだよおおおおお!」

 

爆豪が怒りながらクローズドラゴンを取り出す、そしてドラゴンフルボトルを振ると、クローズドラゴンにセットした。

 

《ウェイクアップ!》

 

爆「おらぁ!」

 

そしてやや乱暴にクローズドラゴンをビルドドライバーにセットした。

 

《クローズドラゴン!》

 

緑「くっ!こっちも!」

 

緑谷も両手にフルボトルを持つと、カチャカチャと振りベルトにセットした。

 

《ラビット!タンク!ベストマッチ!》

 

そして2人は同じタイミングでベルトのハンドルを回した。

2人のベルトからパイプが飛び出し、鎧が作られる。

 

《Are you ready?》

 

爆・緑「変身!」

 

《Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON!》

 

《Yeah!》

 

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!》

 

《イェーイ!》

 

鎧が2人の体を包み込み、爆豪は仮面ライダークローズに緑谷は仮面ライダービルドに変身を完了させた。

 

爆「変身の方法まで似てるじゃねぇか、、気持ち悪ぃ、、」

 

緑「いくよ、かっちゃん!」

 

緑谷が一歩爆豪に向かって踏み込む、すると緑谷は一瞬で爆豪との距離を詰めた。

 

爆「なに!」

 

緑「せぇりゃあ!」

 

ガキィン!

 

緑谷が繰り出す右の回し蹴りを爆豪は顔面に当たる直前腕でガードする、しかし爆豪の体は吹き飛ばされた。

 

緑(やっぱりすごい勢いだな、フルカウルの力にうさぎの跳躍力がプラスされている分威力も段違いだ、、)

 

爆「ガッ!、、クソがぁ、、」

 

爆豪がゆっくりと立ち上がる。

 

爆「舐めてんじゃねぇぞこらぁ!」

 

《ビートクローザー!》

 

爆豪がベルトからビートクローザーを出現させ、緑谷に向かって走り出した。

 

緑「えぇ!武器!?こうやれば出るのかな?」

 

緑谷が慌てながら手を前に出すと、ベルトからドリルクラッシャーが出てきた。

 

緑「おぉ!出てきた!このぉ!」

 

ガキィィィィン!

 

互いの武器がぶつかり合う、このまま2人の鍔迫り合いが始まった。

 

緑「くっ!剣の扱いは慣れないな、、」

 

爆「ブツクサ喋ってんじゃねぇよ!」

 

《ヒッパレー!ヒッパレー!》

 

爆豪が怒鳴りながらグリップエンドを2回引っ張る。

 

《ミリオンヒット!》

 

爆「おらぁぁぁ!」

 

爆豪がビートクローザーを振り抜くと、波形状のエネルギーが緑谷に襲いかかる。

 

緑「ぐぅぅぅ!」

 

緑谷はそれを受け止めながらドリルクラッシャーのトリガーを押す。

 

緑「うぉおりゃ!」

 

するとドリルが回転し、ビートクローザーから放たれたエネルギーを受け流した。

 

ミリオンヒットのエネルギーがグラウンドβのビルに当たる様子を見て緑谷がフフッと笑った。

 

緑「変身してるせいもあるかもだけど、、当たり前だけど、、、強くなってる」

 

爆「何笑ってんだぁ!?」

 

今の笑いを緑谷が強くなったものによる笑いだと勘違いした爆豪が緑谷にビートクローザーを振り下ろす。

 

緑「うわぁぁ!」

 

ガキン!

 

緑谷はそれをドリルクラッシャーで再び受け止めた。

 

爆「サンドバッグにゃならねんじゃねえのかよ!」

 

緑「ならない!」

 

緑谷がドリルクラッシャーでビートクローザーを跳ね除け、距離を取る。

 

爆「ちっ!どうせまた何か企んでんな!」

 

《スペシャルチューン!》

 

《ヒッパレー!》

 

爆豪がビートクローザーにライトフルボトルをセットし、グリップエンドを1回引っ張り緑谷に向かって走り出した。

 

爆「閃光弾(スタングレネード)!」

 

《スマッシュスラッシュ!》

 

爆豪がビートクローザーの刀身から出る光を緑谷に浴びせる、しかし緑谷はその光を腕で遮った。

 

爆「そういうのが気色悪かったんだ!」

 

爆豪が緑谷の懐に入り込み、ビートクローザーの突きを喰らわせる。

 

緑「ゲホッ!」

 

爆「何考えてるかわからねぇ!どんだけぶっ叩いても張りついてきやがって!何もねぇ野郎だったくせに!俯瞰したような目で!!見てきやがって!」

 

《スペシャルチューン!》

 

爆豪はライトフルボトルからロックフルボトルに付け替える。

 

爆「まるで全部、見下ろしてるような本気で俺を追い抜いていくつもりのその態度が!」

 

《ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!》

 

グリップエンドが3回引っ張られ、爆豪が大きくビートクローザーを振りかぶる。

 

爆「目障りなんだよ!」

 

《メガスラッシュ!》

 

蒼炎を纏ったビートクローザーの刀身が緑谷に叩きつけられる、緑谷はそのまま大きく吹っ飛ばされた。

 

緑「うぐわぁ!」

 

緑谷が吹っ飛ばされ、地面に倒れこむ。

 

緑「そんな風に、、思ってたのか、、、」

 

緑谷がゆっくりと立ち上がる。

 

緑「そりゃ普通は、、バカにされ続けたら関わりたくなくなると思うよ、、でも今言ってたように、何もなかったからこそ、、嫌なところと同じくらい君の凄さが鮮烈だったんだよ」

 

緑谷は話しながらハザードトリガーとフルフルラビットタンクボトルを取り出した。

そしてハザードトリガーをベルトにセットする。

 

《マックス!ハザードオン!》

 

そしてボトルの絵柄をラビットに合わせ、折り曲げた。

 

《ラビット&ラビット!》

 

緑「僕にないものを沢山持ってた君は、オールマイトより身近な"凄い人"だったんだ!」

 

ラビットに絵柄を合わせたボトルをベルトにさし、緑谷はハンドルを回した。

 

《ガタガタゴットン!ズッタンズタン!》

 

《Are you ready?》

 

緑「だから!ずっと、、」

 

ここで緑谷の体が黒い壁に挟まれた。

そしてハザードフォームに変身した緑谷が姿を現わす。

 

《オーバーフロー!》

 

緑(許容上限8%!)「君を!」

 

緑谷の周りに紅の鎧が空中に浮かぶ。

それを緑谷は迎えに行き、体に装着させた。

 

《紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!》

 

緑「追いかけていたんだ!」

 

《ヤベーイ!ハエーイ!》

 

緑谷はフルボトルバスターを構え、爆豪に向かって走り出した。

 

爆「新しい変身か、、」

 

爆豪は落ち着きながら何かを握る。

 

緑「もらった!」

 

ガゴン!

 

緑「うがぁ!」

 

緑谷がフルボトルバスターを振りかぶった瞬間、緑谷の胸に衝撃と熱さが走る。

 

爆「新しい武器はお前だけ持ってるわけじゃねぇんだよ」

 

爆豪は右手に持ったクローズマグマナックルを左の掌に叩きつけるとフッと笑った。

 

そしてドラゴンマグマフルボトルをマグマナックルにセットする。

 

《ボトルバーン!》

 

マグマナックルの持ち手を上に上げ、再び少し乱暴にベルトにマグマナックルをセットした。

 

《クローズマグマ!》

 

緑「まさか、、かっちゃんも、、」

 

驚く緑谷をよそに爆豪はハンドルを回す。

 

《Are you ready?》

 

爆「さっさとしろ」

 

《極熱筋肉!クローズマグマ!》

《アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!》

 

爆豪に灼熱のマグマがかけられ、爆豪はクローズマグマに変身した。

 

爆「力がみなぎる、、、魂が燃える!俺のマグマがほとばしる!」

 

爆豪の掌からマグマと爆炎が吹き出してきた。

 

緑「!あの姿、かっちゃんの個性と賭け合わさって凄い力を生み出している、油断はできないぞ、、!」

 

爆「なぁにぼさっとしてんだぁ!」

 

ドガァァン!!

 

緑「うわぁ!」

 

爆豪の拳が緑谷に叩きつけられる。

 

個性の爆炎とマグマの威力が合わさり凄まじい熱が緑谷を襲う。

 

爆「うさぎ肉調理してやんよぉ!」

 

爆豪の拳のラッシュが緑谷に襲いかかる、緑谷はフルボトルバスターで防御をしているが全てを守りきれていない、数発はモロに喰らっている。

 

緑「ぐ、、おらぁぁ!」

 

緑谷が後ろに跳躍し、そのままビルの壁を蹴り、上に上がり、爆豪に飛びかかる。

 

爆「空中じゃ俺に分がある!」

 

爆豪はハンドルに手を伸ばし、ハンドルを回す。

 

緑(意味もなく突進したワケじゃない、飛んだワケじゃない、パワーアップは想定外だったけど、こっちにも秘策はある!君の発散のケンカにただ付き合う程僕はお人好しじゃない!シュートスタイルは腕を酷使しない為の戦い方、、)

 

《タンク&タンク!》

 

緑「使えないとは言ってない!」

 

《鋼鉄のブルーウォーリア!タンクタンク!》

《ヤベーイ!ツエーイ!》

 

緑谷は空中でタンク&タンクフォームに変身すると、ハンドルを回す。

 

《ガタガタゴットンズッタンズタン!》

 

緑「悪いけど君に!勝ちたい!」

 

《Ready Go!》

《ハザードフィニッシュ!タンクタンクフィニッシュ!》

 

緑谷が拳を振りかぶり、爆豪に向かう。

 

爆「敗けるかぁああああああ!」

 

《Ready Go!》

 

《ボルケニックアタック!アチャーー!》

 

爆豪も緑谷の拳に己の拳を叩きつける、互いにの拳がぶつかり合い、大爆発が起こった。

 

緑「うおおおおおおおおお!」

 

爆「あ''あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」

 

辺りが爆煙で包みこまれる、そして爆煙が晴れ、2人の姿が見えた時、決着はついていた。

 

爆「ハァ、、ハァ、、オールマイトの力、仮面ライダーの力、そんな力持っても、自分のもんにしても、、俺に、、敗けてんじゃねぇか」

 

爆煙が晴れ2人の様子が見える、爆豪が立ち、緑谷が仰向けで倒れていた。

 

緑「ゲホッ、、ハァ、、」

 

ここで緑谷と爆豪の変身が解ける。

 

爆「なぁ、、何で敗けとんだ」

 

「そこまでにしよう二人共」

 

「ちょっとド派手にやり過ぎじゃないの?」

 

突然聞こえた声に二人が振り向く、そこに立っていたのはオールマイトと善彦だった。

 

爆「!オールマイト!」

 

緑「、、と佐竹くん、、?」

 

善「ちょっと大丈夫?緑谷くん起きれる?」

 

緑「え?あ、、あぁ、、うん、ありがと、」

 

善彦が緑谷に手を貸し、起き上がらせる。

 

善「オールマイト先生、ここでは何ですから寮に戻りましょう緑谷くん酷い傷ですもの」

 

善彦が傷だらけの緑谷に肩を貸しながらオールマイトに言った。

 

オ「あぁ、そうしようか、、爆豪少年、行くよ、、」

 

爆「、、、わかったよ、」

 

爆豪は俯いたまま、オールマイトについて行った。

 

〜1-A寮〜

 

オールマイトは困惑していた。

 

目の前には傷だらけになった体に仕置として相澤先生に縛り挙げられている緑谷と爆豪の姿、そして隣には相澤先生に向かって土下座をしている善彦がいる、どのような言葉を発していいかオールマイトは困惑していた。

 

相「試験終了日の夜に喧嘩とは元気があってよろしい」

 

相澤先生は言葉とは真逆に縛り挙げる強さを上げている。

 

善「本当に申し訳ありませんでした!自分が2人にベルトを貸したばっかりにー!」

 

善彦が相澤先生に謝罪の言葉を述べる。

 

相「ん?お前は何も関係ないだろう、生徒の中での貸し借りは自由だ、問題はその借りたもので好き勝手やったこいつらにあるからな!」

 

ギュウウウウウウウウ!

 

相澤先生の縛る力がさらに強くなる。

 

相「それにほれ、これお前のだろ?」

 

善「はい?」

 

そう言われ善彦に渡されたのはひどく傷だらけになったビルドドライバーだった。

 

善「ぎゃー!自分のコレクションの1つがぁー!」

 

善彦がそれを見て絶叫する。

 

善「多少の傷は覚悟してたもののこんなになるなんてもぉ〜〜これ2人にあげるぅ、もー新しいの買う〜〜」

 

善彦はナヨナヨとした声でビルドドライバーを爆豪と緑谷に投げた。

 

相「そんなもん2人に奢ってもらえ、佐竹お前はさっさと寝ろ」

 

善「はい、、」

 

善彦はしょんぼりとしながら自室に帰っていった。

 

相「爆豪!お前は四日間の緑谷は三日間の寮内謹慎を言い渡す!朝晩の掃除も忘れるなよ!」

 

緑「はい、、、」

 

爆「、、、、」

 

相「終わりだ!とっとと寝ろ!」

 

こうして、幼馴染2人の戦いの夜は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次はビッグ3回です。


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はじめましてのビッグ3

ビッグ3 回です


緑谷が謹慎から復帰して数日、この日善彦達はヒーローインターンについての説明を受けることになった。

 

相「職場体験とどういう違いがあるのか直に経験している人間から話してもらう」

 

相澤先生が「入っておいで」とドアの方に向かって言うと、スラーッとゆっくりと戸が開く。

 

相「多忙な中、都合を合わせてくれたんだ心して聞くように、現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名、通称ビッグ3の皆だ」

 

ゆっくりと戸が開くとビッグ3と紹介された3人入ってきて1-A全員の前に並んだ。

 

相「じゃ手短に自己紹介よろしいか?天喰から」

 

天喰「、、、!」ギンッ!

 

相澤先生に指名された天喰環が急に1-A全員に鋭い目つきで睨んできた。

 

飯(一瞥だけでこの迫力!おおおお!)

 

皆その目力に驚いたが、天喰が突然カタカタと震えだす。

 

天「駄目だ、ミリオ、、波動さん、、ジャガイモだと思って臨んでも、、頭部以外が人間のままで依然人間にしか見えない、どうしたらいい言葉が、、、出てこない」

 

か細い声で隣に並んでいる2人に話しかける、すると天喰はゆっくりと1-A全員に背を向け始めた。

 

天「頭が真っ白だ、、辛いっ、、帰りたい、、」

 

天喰はそのまま1-A全員に背を向け、後ろの黒板と向き合ってしまった。

 

切「緊張しいなところは前の佐竹にそっくりだな、あいつ緊張するとゲロ吐いてたし、」

 

善「似たり寄ったりだと言いたんかコラーい」

 

尾「雄英、、ヒーロー科のトップ、、ですよね?」

 

尾白が恐る恐る天喰に聞こうとした時。

 

波動「あ、聞いて天喰くん、そういうのノミの心臓って言うんだって!ね!人間なのにね!不思議!」

 

波動ねじれがそれを遮った。

 

波「彼はノミの『天喰環』それで私が『波動ねじれ』 今日は"校外活動"について皆にお話してほしいと頼まれて来ました」

 

波動は天喰と違ってスラスラと事を進めていった、しかしその後障子のマスクをジロジロの見始めた。

 

波「けどしかしねぇねぇところで君は何でマスクを?風邪?オシャレ?」

 

障「これは昔に、、」

 

波「あらあとあなた轟くんだよね!?ね!?なんでそんなところ火傷したの!?」

 

障子の返答を聞かず続いて波動は轟に話しかけた。

 

轟「!?、、、それは」

 

轟が返答しようとした時、再び波動が質問を始めた。

 

波「芦戸さんはその角折れちゃったら生えてくる?動くの!?ね?峰田くんのボールみたいなのは髪の毛?散髪はどうやるの?蛙吹さんはアマガエル?ヒキガエルじゃないよね?どの子も皆気になるところばかり!不思議」

 

上「天然っぽーいかわいー」

 

芦「幼稚園児みたいだ」

 

波「でも1番気になるのはね!佐竹くん!あなたなの!」

 

波動が善彦にズズイと近づいてきた。

 

波「変身出来る種類っていくつあるの?何本ベルト持ってるの?あの突然出てくる武器はなに?どっから出てくるの?というかあんな大きいベルトつけてて戦いにくくないの?ねぇねぇ!?」

 

善「えぇ?それはですねぇ、どこから答えればいいのやらうんぬんかんぬん、、」

 

波動が善彦にどんどんと質問をしていく、それに対し善彦はタジタジとするしかなかった。

 

相「合理性に欠くね?」

 

2人の様子をみた相澤先生から黒いオーラが滲み出てきた。

 

通形「イレイザーヘッド!安心して下さい!大トリは俺なんだよね!」

 

相澤先生のオーラを察知した通形ミリオが焦燥を混ぜながら1-Aの前に立つ。

 

通「前途ー!!?」

 

通形が突然耳を傾けながら叫んだ。

 

善「多難?」

 

通「よーし!通じた子はいたけどツカミは大失敗だ!」

 

通形がバッと姿勢を元に戻すと左手を頭の後ろに置き、ハッハッハッと笑う。

 

砂「3人とも変だよな、ビッグ3という割りには、、なんかさ、、」

 

常「風格が感じられん」

 

善「ワーオ常闇くん辛辣」

 

その様子をみた通形が口を開いた。

 

通「まぁ、何が何やらって顔してるよね、必修てわけでもない校外活動の説明に突如現れた3年生だそりゃわけもないよね」

 

その後通形がフフッと笑った。

 

通「1年から仮免取得、、だよねフム今年の1年ってすごく、、元気があるよね、そうだねぇ、、なにやらスベり倒してしまったようだし、、君たちまとめて俺と戦ってみようよ!」

 

そういうと、通形は大きく手を広げ、ヤーとテンションを上げた。

 

善「、、、はい?」

 

こうして1-A全員が体育館γに集められた。

 

上「なんか唐突に集められたな、、」

 

善「ビッグ3の1人vs 1-A20人、なぁんか舐められてません?」

 

耳「そのくらい強いって事でしょ?ほらいくよ」

 

善「了解!」

 

善彦は颯爽と仮面ライダーレーザーターボに変身した。

 

通「おー、生変身やっぱ迫力が違うね!」

 

通形がストレッチをしながら善彦の変身を見て感動する。

 

波「ねー!ねー!見て天喰くん!あのれーざーたーぼ!背中にも顔があるよ!不思議不思議!」

 

波動もそれを見て腕をブンブン振り興奮していた。

 

切「近接隊は一斉に囲んだろぜ!よっしゃ先輩そいじゃあご指導ぉー!」

 

「よろしくお願いしまーっす!」

 

1-A全員が通形に向かって走り出す、すると通形の着ていた体操服がスルリと地面に落ち、たちまち全裸になった。

 

耳「ぎゃーー!」

 

耳郎がそれを見て絶叫する、しかしそんな事お構いなしに通形はズボンを履き直した。

 

通「ごめんね、これ調節むずかしくって」

 

緑「はぁっ!」

 

善「何見せてくれとんですか!」

 

緑谷と善彦が通形に飛び蹴りを喰らわせる、が2人の足は通形を通り抜けた。

 

緑「え?!」

 

善「んだ今の!触った感覚がなかった!」

 

通「いきなり2人がかりプラス顔面キックかよ」

 

通形に放たれたテープやレーザー、酸液はすべて体を通り抜けた。

 

そして流れ弾が善彦達に襲いかかる。

 

善「わー!殺す気かー!」

 

通「まずは遠距離かな!」

 

地面からでた土煙と共に通形の姿が消える。

 

善「遠距離から?、、まさか!」

 

善彦が何かに気づき、走り出した。

 

緑「え!佐竹くん!」

 

善彦の走る方向には耳郎が立っていた。

 

善「耳郎さん!後ろだぁー!」

 

耳「へ?」

 

善彦の言葉に恐る恐る耳郎が後ろを振り向くと、そこには全裸の通形が立っていた。

 

耳「いぃやぁぁぁぁぁぁ!」

 

通「すごい絶叫だね!」

 

善「耳郎さんから離れんかおらぁぁぁ!」

 

通「ん?」

 

通形が上を向くと、そこにはキックの体勢をとった善彦がいた。

 

《爆走!クリティカルストライク!》

 

通「まじかよ」

 

善「どりゃぁぁぁ!」

 

ドガァァァァァ!

 

善彦のキックが通形をすり抜け地面に叩きつけられる、上がった土煙で善彦の視界が塞がれてしまった。

 

善「くっそぉ!どこだ!」

 

通「ここ」

 

ドゴッ!

 

油断していた善彦に通形のパンチがみぞおちに叩きつけられる。

 

善「うげっ!なんて威力!」

 

善彦が急に食らったパンチによろめく、すると背中に何かぶつかった。

 

善「ん?へ?耳郎さん!上鳴くんまで!」

 

善彦にぶつかったのは通形にみぞおちを貫かれグロッキーになっていた耳郎と上鳴だった。

 

上「佐竹、、気をつけろ、!耳郎のイヤホンジャックが、、」

 

善「へ?」

 

善彦が耳郎のイヤホンジャックを見てみるとイヤホンジャックがどこかに向かって伸びていた。

 

通「隙あり!」

 

通形が一瞬のうちに善彦達をイヤホンジャックで縛り上げる、そのまま3人は身動きが取れなくなってしまった。

 

善「なぁんだってぇぇ!」

 

上「くそっ!ギチギチに縛ってやがる!」

 

耳「ちょっと、、あまり暴れないで痛いから、、」

 

善「そうだ!変身を解けば少しは体積が減るかも!」

 

《ガッチョーン ガッシューン》

 

そういうと善彦がベルトのカバーを閉じ、ガシャットを抜く。

すると変身が解除された。

 

しかし

 

善「やっべ全然状況変わんね」

 

体積が少し減っても縛られたままだった。

 

上「なぁにやってんだよ!佐竹!もう一回変身しろ!」

 

善「無理!自分の変身にはポーズが必要だ!縛られた状態からの変身は出来ない!」

 

上「てことはつまり!?」

 

善「自分らの負けです!!」

 

上「ちくしょー!」

 

上鳴が天に向かい絶叫する。

 

耳「だぁからうるさいってんの!」

 

上鳴の絶叫を耳郎が怒鳴って黙らせた。

シュンと上鳴が下を向くと、上鳴の目に何かが止まる。

 

上「あ!イヤホンジャックの結び目みっけ!」

 

上鳴がギチギチに固められたイヤホンジャックの結び目を見つけたのだ。

 

善「あ!ホントだ!ラッキーなことにギリギリ手が届く!」

 

善彦が結び目に手を伸ばし、指が少し触れる。

 

耳「ひんっ!」

 

善「ん?」

 

耳郎がイヤホンジャックに触られた瞬間変な声を上げた。

 

上「何ボサッとしてんだよ!さっさとほどくぞ!」

 

上鳴は躊躇なくイヤホンジャックに手を伸ばしサワサワと硬い結び目を解いていく。

 

善「あ、あぁ!うん、了解、、、」

 

善彦も上鳴に続いてイヤホンジャックを解こうとするが、自由のきかない体勢のため、スルリスルリと撫でることしかできない。

 

耳「ちょっと、、ふたりとも、、あまりなでない、、ひぃぁん///」

 

上「、、、、佐竹続けるぞ」

 

善「了解」

 

上鳴と善彦は一瞬その声に固まったが、続けてほどく作業を続行する。

 

耳「あぁ、ちょっと!あまり!変なとこ、、さわるなぁ、らめぇらってぇ、、」

 

耳郎の声がだんだん艶めかしくなっていく。

 

その声に通形を含めた皆が固まってその様子を見てしまっている。

その状況に耳郎がようやく気がついた。

 

上「よぉし!佐竹!もうちょいで解けるぞお!」

 

善「はぃい!さっさと解いちゃいましょうやぁ!」

 

あともう少しでイヤホンジャックの結び目が解ける、2人が手を伸ばしたその瞬間善彦と上鳴の頭に何かが叩きつけられた。

 

ゴチン!ゴチン!

 

耳「いい加減にしろ!」

 

イヤホンジャックが少しほどけ、拘束から腕一本抜くことができた耳郎が2人の頭に拳骨と肘鉄を喰らわせたのだ。

 

善・上「はい、、、」

 

こうして、通形との戦いは終わり、耳郎達の拘束は蛙吹に解いてもらい、1-Aは通形の前に集められた。

 

そして通形からこの手合わせの理由が教えられる。

 

通「インターンにおいて!我々は『お客』ではなく一人のサイドキック!プロとして扱われるんだよね!それはとても恐ろしいよ時には人の死にも立ち合う、、けれど恐い思いも辛い思いも全てが学校じゃ手に入らない一線級の経験!俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ!ので!恐くてもやるべきだと思うよ1年生!」

 

その話し方はプロそのものだった。

そしてビッグ3による説明が終わり、ビッグ3の3人は廊下を歩き、教室に戻る途中、通形が口を開く。

 

通「最後列の人間から倒していく、、俺の対敵基本戦法だ、件の問題児くん、俺の初手を分析し、予測を立てた行動をとっていた、"サー"が好きそうだ」

 

天「そしてあの仮面ライダーに変身した子、、あのグイグイと前に出て戦う武闘派な感じ、、"ファット"が好きそうなタイプだった、、」

 

通「ハッハッハ確かにそうだね、あの気合いある感じとかはあの人が好みそうだ」

 

雄英の廊下に、通形の笑い声と天喰のため息が響いた。

 




次はヒーローインターン回です


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過去と目標

ヒーローインターン回第1弾です
オリジナル入れて少し過去話いれます


インターン受け入れの実績が多い事務所に限り1年生の実施を許可する。

 

善彦はインターン場所を探していた切島と共に協力し、インターンを受け入れてくれる事務所を探し、ビッグ3の天喰の紹介によって善彦と切島のインターン場所が決まった。

 

そして三人はその事務所のある関西地方に向かう新幹線に乗っていた。

 

切「いやー!ありがてーっす!フォースカインドさんが受け付けてなかったんで助かりましたよ先輩!」

 

善「本当に、ありがとうございます天喰先輩、ガンヘッドさんも受け付けてなかったので自分も助かりました」

 

天「いや、、いいんだよ、、でも君らグイグイ来て恐ろしかった、、」

 

切島と善彦は隣に座り、天喰と向かい合って座っているが、天喰はあまり善彦達に目を合わせてくれない。

 

善「ほとんど切島くんのゴリ押しでしたもんね、なんかすみません」

 

「ねぇ切島くん」とジトっとした目で右隣に座る切島を見ると切島は

ゆっくりと善彦から目をそらす。

 

切「でもよ、、そうでもしねぇと俺の目標とするヒーローになれねぇんだよ」

 

切島が急に真剣な口調で善彦に話す。

 

切「紅頼雄斗みたいにちゃんと守れるヒーローによ、、」

 

それを話す切島の目は決意に満ちていた。

 

善「そっか、憧れの人がいるんだもんねそりゃ必死になるわ」

 

切島の事情を知った善彦はフゥと息を吐き、窓の外をみる。

 

切「そういやぁ前々から聞きたかったんだけどよぉ、佐竹のなりたいヒーローってどんなヒーローなんだ?」

 

善「へ?」

 

突然の質問に善彦が固まる、この世界に転生して数ヶ月善彦は様々な死線を乗り越えていたが、目標を持ってはいなかった。その質問に対し善彦は俯きウーンと声を出しながら考えた。

 

切「おいおい、とうとう誰一人目を合わせてくれなくなっちまったぞおい」

 

切島の隣には俯き考える善彦、向かい側には緊張で目を合わせてくれない天喰、切島はなぜか孤立してしまっていた。

 

善「希望を、、、」

 

善彦がボソっと何かを呟く。

 

切「え?なんだって?」

 

善「強いて言うなら、、『希望を与えられるヒーロー』になる、、かな、、」

 

善彦がモジモジと恥ずかしそうに切島に言った。

 

切「希望を与えられる!いいじゃねぇか!ヒーローっぽくてかっけー!」

 

それを聞いた切島は善彦の肩をバンと叩く。

 

善「自分、、変わりたくってね、」

 

善彦が続いて小さな声で語った。

 

切「変わりたい?」

 

切島がその言葉に疑問を持つ、しかし善彦はそれに対して正直なことは言えなかった。

 

善彦はこの世界に転生する前、引きこもりだったのである。

原因は緊張しやすいその性格にあった、中学生のころ自己紹介の時に皆の目の前で吐いてしまってから、周りの目が嘲笑を込めたものに感じてしまうようになった。さらに肝心なところで失敗し、吐いてばかりの善彦は次第に学校が嫌になり、家に引きこもり、店の手伝いしかしないようになってしまったのだ。

 

店の手伝いも接客はせずに裏方で厨房の手伝いしかできなかった。

人間に対する恐怖が植え付けられた善彦はだんだんと自分の心が空っぽになっていくのを感じていた。

 

その空っぽな心を唯一満たしてくれたのが仮面ライダーとスーパー戦隊だったのである。

 

それを観ている時の1時間は善彦が最も心が踊り、空っぽになっていたものが満たされていくような感覚だった。

 

仮面ライダーの1つ1つの言葉が大事なことを気づかせ、スーパー戦隊の勇気が善彦にも勇気をくれたように感じた。

 

そして善彦は決意する「やり直してみよう」と。

 

もう一度学校に通うと決めた善彦は再び学校に通った。

しかしあるのは嘲笑と見下しのみ、だが善彦はそれに耐えながら学校に通っていた。

 

そしてある日善彦は思う、「このまま生きてても笑われるだけなんじゃないか」と。

改心し真面目に学校にいっても緊張しいの性格が治らない限りこの生活は続く、人に怯えながら生活をする人生になると。

 

そう思案にくれている時に善彦は事故にあい、この世界に転生したのだ。

 

そのことを思い出した善彦は黙りこくってしまう。

 

切「おーい?佐竹?大丈夫か?酔ったのか?」

 

切島が心配そうに善彦に話しかける。

 

善「あぁ、ごめんちょっと昔のトラウマ思い出してね、、」

 

切「え?もしかして俺のせい?」

 

善「いや違うよ、気にしないでこっちの勝手な事情だから」

 

焦る切島を善彦はそっと落ち着かせる。

 

善「自分はね、昔すっごくダメなやつだったんだ、でも目の前に、、困っている人や絶望している人に希望を与えている人を見てね、変わろうって思ったんだ、自分もその人達みたいに希望を与えられる人になろうってそんなヒーローになりたいって思ったんだ、、」

 

善彦はそう語ると新幹線の窓に映る自分の顔を見た。

その顔はどこか、寂しそうな表情をしていた。

 

切「なんだよなんだよぉ!お前ちゃんとした目標あるんじゃねぇかよぉ!」

 

切島が突然善彦の肩に腕を回してきた。

 

切「このヒーローインターン!俺達気合い入れて頑張ろうぜ!お互い目標とするヒーローになるためにな!」

 

切島が真っ直ぐとした瞳で善彦を見つめる、その顔に善彦の表情がパッと明るくなった。

 

善「おうよ!ヒーローインターン!気合い入れていくぞー!」

 

切・善「エイエイオー!」

 

善彦はすっかり元の調子に戻っていた。

 

天「やっぱり二人のテンションにはついていけない、、」

 

そして、新幹線は関西地方に到着した。

 




次もヒーローインターン回です


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スゴイ!固イ!漢気!

ヒーローインターン回その2です


関西地方に着きバイクに変身した善彦を飛ばして数分、善彦達はインターン先のファットガム事務所に到着した。

 

善「なんだか可愛い外観ですねぇ」

 

善彦がファットガムの顔を模した壁を見て呟く。

 

切「そうだな、佐竹早く入ろうぜ」

 

切島が善彦から降りるとせかせかと事務所の中に入ろうとする。

 

善「あぁ、ちょっと待ってよう天喰先輩からでしょ行くとしたら」

 

善彦はシートの上に乗っている天喰を降ろそうとするが天喰は何故か動かない。

 

善「天喰先輩どうしたんですか?」

 

天「いや、、初めてバイクに乗ったものだから緊張してしまって、、しかも運転が荒くて怖かった、、」

 

天喰はそう言うとぎこちない動きで善彦から降りる。

 

善「まぁ切島くんの運転って少し荒めですからね、初めてじゃキツかったでしょうに」

 

善彦は変身を解除し、天喰と共に事務所の中に入った。

 

切「失礼します、雄英高校の切島と」

 

善「佐竹です、ヒーローインターンよろしくお願いします」

 

フ「おー!来たな!雄英生徒!よう来た遠い所からなー!」

 

事務所の中に入るとBMIヒーローのファットガムが快く善彦と切島を向かい入れてくれた。

 

丸々としたマスコットの様な見た目とファットガムの明るい関西弁で善彦と切島の緊張は少し解けた。

 

フ「環が人を連れて来るとはなぁ!体育祭見たよ!元気がある子は歓迎やで!」

 

善「あ、はいよろしくお願いします」

 

切「恐縮っす!」

 

フ「こいつなんぞアガってしもて毎年ドンケツやねん」

 

そう言うとファットガムは天喰を指差しニシシと笑う。

 

天「俺のことはいいでしょう、、、」

 

天喰は事務所に入っても善彦達に背を向け目を合わせてくれない。

 

ここで切島が口を開く。

 

切「職場体験に指名してくれたフォースカインドさんもそう言ってくれました、威勢が良い奴がいると事務所の士気が上がるって、、でもそれだけッス」

 

そう言うと切島は俯き自分の胸に手を置く。

 

切「俺、、それだけじゃ嫌なんです紅頼雄斗みたいにちゃんと守れるヒーローに、、変わりたくて、‼︎だから無理言って環先パイにここ紹介してもらったんス、誰かのピンチを見過ごす情けない奴にはもうなりたくないんス」

 

切島は真っ直ぐな瞳でファットガムに言った。

 

善「自分もそうです!希望を与えられるヒーローになる為に!自分はここに来ました!ファットガムさん!よろしくお願いします!」

 

善彦はそう言うとファットガムに深々と頭を下げる、切島も続いて頭を下げた。

 

フ「、、、2人の気持ちはよーわかった!2人とも、顔上げぇ」

 

ファットガムは椅子から立ち上がると、善彦達に近づき、肩に手をポンと置く。

 

フ「ヒーローに必要なのはそんな感じの強い意志や!さぁ!二人ともヒーロースーツに着替えてパトロールや!」

 

切・善「はい!」

 

二人は元気よく返事をすると、事務所の着替え室に入っていった。

 

フ「環、お前もやで」

 

天「わかってます、、」

 

天喰も後に続いてヒーロースーツに着替えに行った。

 

〜関西地方、江洲羽市〜

 

善彦達がヒーロースーツに着替えて数分後、善彦達は江洲羽市のパトロールをしていた。

 

フ「最近チンピラやらチーマーやらのイザコザが多くてなぁぁ!腹が減ってしゃあないわ!!」

 

ファットガムがたこ焼き機を片手にたこ焼きを食べながらズンズンと歩く、善彦達はそれについて行っていた。

 

フ「せやからここらのヒーロー事務所も武闘派欲しがっとんねん、レッドライオット君、強救道君適材やで」

 

切「よろしくお願いします!」

 

善「適材なんて嬉しいですね」

 

善彦はそう言うとサングラスをカチャっと掛け直した。

 

フ「それにしても強救道君はおっかない格好やな!ヤクザ者と間違われてもおかしないで!」

 

ファットガムが善彦のヒーロースーツを見てファーっと笑う。

 

善「あはは、よく言われます」

 

フ「それに何やらオシャレなベルトつけとるなぁ!」

 

ファットガムが善彦が巻いているベルトを見て再び笑う。

 

切「ん?佐竹お前さっきのベルトじゃねぇんだな?見たことねぇヤツだけど、、」

 

切島が善彦の着けているベルトがゲーマドライバーではないことに気がついた。

 

善「あぁ、これ?おニューのベルト!カッコいいでしょ?」

 

善彦がベルトの違いに気づかれた事に喜ぶ。

 

切「へー!新しいベルトか!佐竹今ちょっと変身してみてくれよ!」

 

切島が目をキラキラ光らせて変身をせがむ。

 

善「えー、敵もいないのにー?」

 

フ「強救道君!いつ敵が来るかわからないもんやで!いつ何時でも敵が来てもいいように!変身はするべきやとファットさん思うなぁ!」

 

ファットガムも目をキラキラさせながら便乗して変身を催促する、ファットガムも変身を見たいようだ。

 

善「あー、、わかりました!やりましょう!」

 

二人の押しに負けた善彦はポケットから何かを取り出し、ボタンを押した。

 

《ウォズ!》

 

ミライドウォッチを起動させた善彦は腰に巻いていたビヨンドライバーにミライドウォッチをセットする。

 

《アクション!》

 

ミライドウォッチのカバーを開くとハンドルを前に倒しミライドウォッチのデータを投影させた。

 

善「変身」

 

《投影!フューチャータイム!スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ! 》

 

そして善彦は変身を完了させた。

 

善「我が名は仮面ライダーウォズ、以後お見知り置きを」

 

切「おぉーー!すっげー!」

 

フ「やっぱ生でみる変身は違うなぁ!カッコええやんかぁ!」

 

天「パトロール中だったんじゃなかったんですか、、」

 

ファットガムと切島が興奮している後ろで天喰が呟いた。

 

フ「あ、、そうやったそうやった強救道君の変身も終えたことやし、パトロール再開や!この時間帯はケンカとかが勃発しやすいからなぁ」

 

ファットガムがそう言いながらたこ焼きを口に放り込むと、近くで叫び声が聞こえた。

 

「ケンカだぁ!誰かぁ!」

 

フ「ん!?噂をすれば!」

 

善「来ましたか!」

 

切「よし!」

 

天「、、、、、」

 

皆が声に反応して構えると、前からヤクザ達が走ってきているのが見えた。

 

「バカがウチのシマで勝手に商売しやがって!っちくしょうついてねぇ!折角これから一旗あげようって時に!」

 

ヤクザ達がバラけようとした所をファットガムがヤクザを数人体に沈ませて捕まえる。

 

そしてファットが捕まえ損ねたヤクザが善彦達に向かって走って来た。

 

善「よっしゃここは!」

 

善彦が腕のホルダーからミライドウォッチを取り出し、起動させる。

 

《クイズ!》

 

そしてビヨンドライバーからウォズのウォッチを外し、クイズミライドウォッチに付け替えた。

 

《投影! フューチャータイム! ファッション!パッション!クエスチョン! フューチャーリングクイズ!クイズ!》

 

仮面ライダーウォズフューチャーリングクイズに変身した善彦は走って来たヤクザに問題を出した。

 

善「問題!あなたはこの仮面ライダーウォズフューチャーリングクイズから逃げられる?○か×か?」

 

「なに言うとんねんわれぇ!○に決まっとるやろ!」

 

善彦を通りすぎようとした瞬間善彦の左肩のパッドが開き×が表示される。

 

善「答えは、、×ですよ」

 

ピシャーン!

 

「ぎゃぁぁぁ!」

 

善彦の問題に○で答えたヤクザ全員が落雷に襲われ、その場に倒れた。

 

切「うーわー、おっかな、、」

 

「いいぞー!」

 

「すげぇな仮面ライダー!」

 

ヒーローの活躍を見ようとした野次馬達が徐々に集まって来ている、その中で異様な雰囲気を出している男がいた。

 

「兄貴達、、助けなきゃ!」

 

男は善彦達に向かって銃を向ける。それにいち早く気づいたのはファットガムだった。

 

フ「あかん!伏せ!」

 

ファットガムが叫んだ瞬間、天喰が撃たれた。

 

天「ぐぁっ!」

 

善「サンイーター先輩!」

 

善彦が天喰に駆け寄った瞬間。

 

「アニキィ!逃げろぉ!」

 

男は叫ぶと共に再び発砲する。

 

しかし

 

ガギィィン!

 

「弾けた!?」

 

切島の硬化によって銃弾は弾かれた。

 

切「捕えます!」

 

切島はそのまま硬化を発動させ、発砲した男に向かって走った。

 

善「サンイーター先輩!大丈夫ですか!」

 

天「あぁ、、大丈夫、思ったほど痛くない、、」

 

善彦が天喰の体をゆするが、本人は大丈夫そうだ。

 

天「けど、、個性が、、使えない、、」

 

けれども天喰は個性の『再現』が使用できない、

 

フ「なんやて!イレイザーでもおんのか!」

 

善「撃たれた弾に何かありそうですね、、自分レッドライオットの加勢に行ってきます!」

 

フ「おぉ!ここは任せとき!」

 

善彦はその場をファットガムに任せ、切島の後を追った。

 

そして善彦は切島のいた路地裏に着く、様子を見る限り決着は付いているようだ。

 

男は切島に倒されてメソメソと泣いていた。

 

善「レッドライオット!終わったようだね」

 

善彦が切島に駆け寄る。

 

切「おう!さた、、じゃなかった強救道!今片付いたところだ!」

 

善「すごいじゃん一人で倒したの?」

 

切「いや、すごいとか言ってるけどお前の方がすごいからな?一度に何人もぶっ倒してんだから、、」

 

切島と善彦が話していると、倒れていた男が立ち上がる。

 

「倒したやて?調子のんなやボケカス、、アニキらについていけば、、力を貰えるんや、、」

 

そう言うと男は首に何かを注射した。

 

「あぁああ!あ!ああああ!」

 

切「何してんだ!何打った!?オイ!大丈夫かよ!?」

 

「あ、、、」

 

男が叫んだ後に体がふらつく、そして善彦が異変に気付いた。

 

善「切島くん!危ない!」

 

ギュゥゥゥゥン!

 

切「なに!?」

 

男の体中から長い刃が飛び出し、切島を襲った。

 

切「うぐぉあ!」

 

善「こいつ!こんな個性を!」

 

《ジカンデスピア!ツエスギ!》

 

善彦が即座にジカンデスピアをツエモードにして構える。

 

切「いや、こいつの個性は刃渡り10センチ以下の刃が出る個性だ、、聞いたことがある、、個性がブーストする薬、、」

 

善「それを打ったってことね、、」

 

善彦がそれを聞いて後ろにいた一般市民に叫んだ。

 

善「皆さん!早く逃げて!こいつの刃が届かないところに、、」

 

切「危ねぇ!」

 

ガギィィィィン!

 

切島が善彦に襲いかかってきた刃を防ぐ。

 

善「うぉあ!ありがとごめん!」

 

切「くそっ!こいつが大通りにでたら惨劇じゃすまねぇ!強救道!ここで決めるぞ!」

 

善「了解!」

 

「誰が決めるんやてぇ!」

 

男が善彦達に向かって刃を伸ばす、それを善彦はジカンデスピアで叩き折った。

 

バギィ!

 

善「自分らがだ!」

 

「かっこつけんなやぁぁぁ!」

 

男が無茶苦茶に体の刃を伸ばして攻撃する。

 

切島は善彦の前に立ち、善彦と逃げ遅れた一般市民の盾になった。

 

善「切島くん無茶だ!さすがにこれの防御は無理がある!」

 

切「安心しろ佐竹ぇ!俺にはコレがある、、」

 

そう言うと切島の体がドンドンとガチガチに固まっていくのが見える。

 

善「これって、、」

 

切「個性伸ばしの圧縮訓練で到達した現時点での最高硬度!」

 

次の瞬間、切島を襲った刃は全て折れた。

 

「いでぇー!」

 

切「烈怒頼雄斗 安無嶺過武瑠(アンブレイカブル)!!」

 

切島の体は普段の硬化の時よりも刺々しくそして硬くなっていた。

 

切「佐竹、この技は30秒か40秒が限界だ、その間にこいつを倒す!時間を稼いでくれ、、」

 

切島がこっそりと善彦に言った。

 

善「了解、ならば!」

 

善彦は腕のホルダーからミライドウォッチを取り出し、起動させる。

 

《シノビ!》

 

そしてクイズミライドウォッチと取り替えた。

 

《投影! フューチャータイム! 誰じゃ?俺じゃ?忍者! フューチャーリングシノビ!シノビ! 》

 

善彦はフューチャーリングクイズからフューチャーリングシノビに変わる、すると男は全身から飛び出させていた刃を体にしまう。

 

「なんや変なのに変わったけどなぁ!こっちも一極集中して二人まとめて押し出せばええ話や!」

 

そう言うと男の腹からまとまった刃が飛び出しているのが見えた。

 

「くたばれやぁ!ってあれ?」

 

刃を出そうとした瞬間男が異変に気付く、切島の隣にいた善彦がいないのだ。

 

「あれ!?あのガキどこ行きおった?」

 

善「後ろだよ」

 

「おらぁ!」

 

男が声の聞こえた後ろを向くが、そこに善彦はいない。

 

「どこや、、どこにおんねや、、」

 

善「こっち」

 

「!!?」

 

またもや声のした方を向いたが、そこには善彦はいない。

 

善「こっちだよ!」

 

善「ここですよー」

 

善「ここ」

 

善「ここー!」

 

切「すげぇな、、本当に忍び、忍者みてぇに素早く動いてやがる、、」

 

遠くから見ていた切島は善彦の動きに関心しながら男に近づいていた。

 

そして男は四方八方から聞こえる善彦の声に混乱する。

 

「ぅううう、、どこ見ればええねーん!」

 

切「こっちを見ろよ」

 

「ふぇ?」

 

男が声のした方を見ると、そこには拳を構えた切島がいた。

 

切「必殺!烈怒頑斗裂屠!(レッドガントレット)!」

 

ガガガァァァ!

 

「うぐばぁァァァ!」

 

切島渾身のボディブローが男の腹に入る、そして男が吹き飛んだ先には善彦が立っていた。

 

善「トドメといきますか」

 

《カマシスギ!》

 

ジカンデスピアをツエからカマモードに変化させ、タッチパネルをスライドする。

 

《フィニッシュタイム!》

 

善「そぉれっ!」

 

《一撃カマーン!》

 

ズバァァァァ!

 

吹き飛んだ男がカマの餌食となり、地面に叩きつけられる。

男はそのまま地面にめり込み、気絶してしまった。

 

そして善彦は変身を解除した。

 

それと同時に切島も安無嶺過武瑠を解除した。

 

切「っしゃあ!これでいいだろ!」

 

善「完全に伸びてますね、あとは警察に任せましょう」

 

善彦が地面にめり込んだ男を見下ろしながら切島の肩に手を置く。

 

フ「遅なってすまんな!二人とも大丈夫か、、ってもう終わっとるやんか、、」

 

こうして二人は華々しいデビューを飾った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヒーローインターン回続きます


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ヒーロー達の決意

ヒーローインターン回その3です


ヒーローインターンのデビューを飾り数日後、善彦達は元の学校生活に勤しんでいた。

 

切「フヘ〜、授業終わったなぁ、佐竹よぉ」

 

善「そうですねぇ、インターンの疲れもまだ残ってるからなんだか頭が回らないッスねぇ」

 

二人がのんびりと話していると上鳴がスマホを片手に善彦達に駆け寄ってきた。

 

上「佐竹!切島!コラァ!お前ら名前!ネットニュースにヒーロー名!のってるぞ!すげぇ!」

 

上鳴が二人にスマホの画面を見せる、画面にはでかでかと『新米サイドキック!烈怒頼雄斗&強救道 爆誕!』と書かれてあった。

 

善「ふぇー、こんな写真いつのまに」

 

切「なんかすげぇなオレ達」

 

善彦と切島はスマホの画面に釘付けになって記事を見る。

 

上「いや、そんなマジマジと見なくたってネットニュースなんだからお前らのスマホでも見れるだろ、、」

 

ここで3人の間に飯田が入ってくる。

 

飯「仮免といえど街にでれば同じプロヒーロー、素晴らしい活躍だ!しかし!授業中の居眠りは関心しないぞ!」

 

切「おうよ!覚悟の上さ!なぁ!」

 

善「そうですね、ふぁ〜イやっと」

 

飯田の言葉に切島は気合たっぷりに答え善彦はあくびをしながら答えた。

 

そしてその数日後、善彦は切島とともにファットガムからの連絡を受け、寮を出ようとしていた。

 

切「お!緑谷!おはよ!お前も今日行くんだ!」

 

善「奇遇ですねぇ」

 

緑「しばらく呼ばれなくってやっと今日だよ、コスチュームはいらないって言われたけど、、」

 

緑谷の後から寮の玄関から麗日と蛙吹も出てきた。

 

麗「あれー!?おはよーー!みんなも今日!?」

 

善「あれまぁ勢揃いで、それじゃみんなで行きますか」

 

こうして五人は揃って駅まで行くことになった。

 

そして駅に着くと皆が同じ改札を通る。

 

緑「あれ?みんなこっち?切島くん達関西じゃ、、」

 

切「ん?ああ、何か集合場所がいつもと違くてさぁ」

 

そして皆が同じ電車に乗る。

 

善「あっれー?みんな同じ電車?」

 

蛙「先輩と現地集合なのよ」

 

そして皆と同じ道を通り、同じ角を曲がった。

 

善「なにこのシンクロニシティ、、」

 

そして皆が集まった場所には雄英ビッグ3が揃っていた。

 

善「天喰先輩、これからなにが始まるんですか?」

 

天「ファットから聞けばわかる、入るよ、、」

 

そして皆同じ部屋に集められた。

 

部屋の中にはヒーローがたくさんおり、ファットガムや相澤先生もいた。

 

切「ファット、今からなにが始まるんすか?」

 

フ「今にサーから説明がある、ちょっとまっててなぁ」

 

ファットの言葉通り、皆の前にプロヒーロー、サー・ナイトアイが立った。

 

サー「あなた方に提供して頂いた情報のおかげで調査が大幅に進みました、死穢八斎會という小さな組織が何を企んでいるのか知り得た情報の共有と共に協議を行わせて頂きます」

 

サーは皆の前で説明をするが切島と善彦は何がなんだかわからない。

 

切「俺ら、置いてけぼりなんスけど、、ハッサイ?なんすか?」

 

善「八海山がなんですって?」

 

フ「死穢八斎會や、悪いこと考えとるかもしれんから皆で煮詰まりましょのお時間や、お前らも充分関係してくるで」

 

善「そうですか、、、」

 

そして、善彦達はこの協議でさまざまなことを聞かされた、個性を消す弾はそこが発生源であるということ、そしてその弾にはエリという少女の体が使われているという事実を告げられた。

 

そしてその少女を、緑谷が助けることが出来なかったということを。

 

協議が終わり、サー・ナイトアイ事務所のロビーで皆緑谷からそのことを詳しく聞かされた。

 

そのことを話す緑谷はとても悔しそうだった。

 

切「そうか、、そんな事が、、悔しいな、、」

 

この話をしている時、いつも陽気な通形も元気がない、重く苦しい空気がその場に漂っていた。

 

チーン

 

相「通夜でもしてんのか」

 

ここで相澤先生がエレベーターから現れ、皆の前に立つ。

 

蛙「先生!」

 

相「あ、学外ではイレイザーヘッドで通せ、いやぁ、しかし今日は君達のインターン中止を提言する予定だったんだがなぁ、、」

 

善「はいぃ!?」

 

切「えぇ!今更なんで!」

 

相澤先生の言葉に善彦と切島は思わず椅子から立ってしまった。

 

相「落ち着け、連合が関わってくる可能性があると聞かされたろ、すると話しは変わってくる」

 

善「うぅ、、しかし、、」

 

相澤先生は善彦をよそに緑谷の方に歩み寄った。

 

相「ただなぁ、、緑谷、お前はまだ俺の信頼を取り戻せていないんだよケンカしたしな」

 

その言葉に緑谷は苦い表情をする。

 

相「残念なことに、ここで止めたらおまえはまた、飛び出してしまうと、俺は確信してしまった俺が見ておく、するなら正規の活躍をしよう、緑谷」

 

そう言うと、相澤先生は緑谷の胸に拳をトンと置く。

 

相「わかったか?問題児、気休めを言う、掴み損ねたその手はエリちゃんにとって必ずしも絶望だったとは限らない、前を向いていこう」

 

緑「はい!」

 

その言葉に緑谷は大きな返事をし、切島と善彦は感動していた。

 

切「俺、、イレイザーヘッドに一生ついていきます!」

 

善「自分もっす!感動しました!」

 

相「一生はやめてくれ」

 

切「すいァっせん!」

 

善「はいっす!」

 

麗「二人共声でかい、、」

 

蛙「佐竹ちゃんは完全に切島ちゃんの熱さがうつっちゃったわね」

 

こうして、善彦達はエリちゃんの居場所が特定できるまでの間待機となった。

 

また、インターンに関しては一切の口外を禁止された。

 

上「なぁー、俺とお前の仲だろぉ?何かあったんならいえよぉ?なぁ?」

 

上鳴が善彦の肩に腕を回しながらインターンの事を聞いてくる。

 

善「すんません、トップシークレットなんで、、」

 

耳「インターンでなにがあったのよぉ〜、いいなさいなぁ〜」

 

耳郎も善彦の頬をつつきながらインターンの事を聞いてきた。

 

善「すいません、企業秘密なんで、、」

 

善彦は二人の間をスルリと抜けてそそくさとその場を去っていった。

 

耳「あいつ本当に口硬いなー」

 

上「なー」

 

そして二日後の深夜

 

インターン組が寮の人気のないところに集まった。

 

切「来たか?」

 

善「来た」

 

緑「うん、、」

 

皆の携帯には、死穢八斎會の本部に乗り込む決行日が書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は死穢八斎會に乗り込みます


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爆走!突撃!八斎會!

ヒーローインターン回
その4です


ナイトアイが構成員のその後を"見た"結果、八斎會邸宅には届出のない入り組んだ地下施設が存在し、その中の一室に今回の目的である女児がかくまわれていることが確定した。

 

AM8:00 警察署前

 

善彦達を含めたヒーロー達は警察署前に集められ、死穢八斎會の構成員の個性リストを渡され、説明を受けていた。

 

「わかる範囲だが八斎會の登録個性をリストアップしておいた、頭に入れといてくれ!」

 

善「なんだか面白い個性がたくさんですねぇ」

 

バイクに変身した善彦が呑気に呟く。

 

切「中には強そうなのも入ってるな気合入れて行くぞ!佐竹!」

 

善「アイヨ!」 ブォンブォーン!

 

切島は善彦にまたがりアクセルを捻った。

 

「少しでも怪しい素振りや反抗の意思が見えたらすぐ対応を頼むよ!」

 

フ「環、これ食うときカジキ」

 

出動直前、ファットが天喰にカジキの缶詰を渡す。

 

天「何でカジキ、、、いただいておきます」

 

天喰がカジキの缶詰を受け取ると善彦も天喰にベルトを差し出した。

 

善「天喰先輩、これ貸しますベルト」

 

天「あ、、変身出来るやつ?、、ありがとう、、」

 

善「使い方は貼っつけてあるメモ見てください」

 

天「わかった、、」

 

天喰がメモを読みながらカジキを食べていると警官が皆に呼びかける。

 

「相手は仮にも今日まで生き延びた極道者、くれぐれも気を緩めずに各員の仕事を全うしてほしい!出動!」

 

AM8:30 決行!

 

皆が八斎會邸宅の前に集まり、まず警官がインターホンに近づく。

 

「令状読み上げたらダーッ!と行くんで、速やかにお願いします」

 

善「ダーッといくなら適役ですね」

 

切「そうだな、一気にいくぞ!」

 

そして警官がインターホンを押した時。

 

ガシャァァァァン!

 

活「何なんですかぁ」

 

インターホンを押したのと同時に八斎會の一人、活瓶力也が戸を殴り壊して出てきた。

 

活「朝から大人数でぇ、、、」

 

活瓶が続けて攻撃をしようとするが、プロヒーロー、リューキュウにその拳を止められた。

 

フ「ようわからん!もう入って!行け行け!」

 

切「よっしゃ行くぜ!佐竹ぇぇ!」

 

善「あいよぉ!アクセルいっぱーい!」

 

リューキュウが隙を作ってくれた間に、善彦と切島が1番に八斎會宅に乗り込んだ。

 

「おぉい!なんなんだ!てめーらわぁぁぁ!」

 

善「どけこらおらぁぁ!」

 

八斎會に乗り込んですぐに構成員が現れたが、バイクにびびって善彦に道を譲ってしまった。

 

「ヒーローと警察だ!違法薬物製造、販売の容疑で捜索令状が出てる!」

 

「だからってバイクでカチコミてお前らめちゃくちゃかー!」

 

フ「レッドライオットー!強救道ー!そのまま八斎會に突っ込んだれー!まっすぐ最短で目的まで!」

 

切「了解ぃぃ!」

 

ドガァァ!

 

切島は言われた通りにバイクで八斎會の宅内に戸を破壊して入っていった。

 

切「おらぁぁぁ!エリちゃんどこだぁぁ!」

 

ブォンブンブンブンブォーン!

 

緑「切島くん!そこじゃないって!ここに隠し通路あるって!」

 

善「ふぇ!?」

 

切「まじ!?」

 

緑谷が爆走する二人を呼び止め、隠し通路の階段を指差した。

 

隠し通路から出てきた構成員をナイトアイのサイドキック、センチピーダーとバブルガールが抑え、階段を駆け下りる。

 

「行き止まりじゃねぇか!」

 

階段を駆け下りた緑谷達だが、行き止まりにぶつかった。

 

善「皆さんどいてください!切島くん!」

 

切「おぅよ!」

 

善彦の合図で切島がガシャットをホルダーに差し込む。

 

《ガッシャット!キメワザ!》

 

ブゥンブゥンブンブンブンブン!

 

猛々しいエンジン音と共に善彦と切島の体が黄色のエネルギーで包まれる。

 

緑「ちょっとまさか!皆さんもっと下がって!」

 

切「いくぜぇ!」

 

《爆走!クリティカルストライク!》

 

善「おらぁぁぁ!」

 

切島はホルダーのスイッチを押し、アクセルを思い切り捻るそしてそのまま目の前の壁に突っ込み壁を破壊した。

 

ドガァァァァァ!

 

切「みんなー!道があったぜー!」

 

善「ふー、ちょっとだけ変身解除、体力もたん」

 

切島は壁を破壊するとやりきった顔で皆に手を振り、善彦は変身を解除した。

 

ロックロック「めちゃくちゃだな、、こいつら、、」

 

バイクで突進して壁を破壊した2人にプロヒーローロックロックは唖然とする。

 

フ「言ってる暇ないでっせ!さっさといきましょ!」

 

破壊した壁を越え、皆が先に進もうとすると足元が大きく歪む。

 

切「何だ!道がうねって変わってく!」

 

「治崎じゃねぇ、逸脱してる!考えられるとしたら、、本部長入中!」

 

善「あれ!でも入中って人が操れるのって冷蔵庫くらいの範囲じゃなかったんすか!」

 

フ「かなーりキツめにブーストさせれば、、ない話じゃないか!」

 

ここで善彦達の足元に穴が空く。

 

そして善彦達はその穴に落ちていった。

 

善「うおぉ!いで!一階分くらい落ちましたけど、、ここどこすか、、」

 

緑「広間、、?」

 

「おいおいおいおい、空から国家権力が、、」

 

善「!?」

 

広間の奥から3人の人影が見える。

 

窃野「不思議なこともあるもんだ」

 

フ「よっぽど全面戦争したいらしいな!さすがにそろそろプロの力見せつけ、、」

 

バッ!

 

拳を構えるファットを天喰が遮る。

 

天「そのプロの力は目的の為に、、こんな時間稼ぎ要員、、俺1人で充分だ、、」

 

そういうと、天喰は八斎會の3人の前に立った。

 

切「何言ってんすか!協力しましょう!」

 

善「いや、切島くん、ここは先輩に任せよう」

 

切「佐竹まで!」

 

善「先輩の言うことは聞いておくべきだし、ビッグ3の天喰先輩だよ、ここは任せよう」

 

善彦がそう言うと、切島が天喰の方を見るすると天喰は切島に向かって親指を立てた。

 

切「、、、わかった!環先輩!お願いします!」

 

切島はそう言い残すと、バイクに変身した善彦に乗り、その場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は天喰先輩が変身します


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メダルと絆とサンイーター

ヒーローインターン回その5です


天喰が窃野達を食い止めて数分、天喰は苦戦を強いられていた。

 

窃野の個性"窃盗"によって天喰が再現したものは全て奪われ、多部の個性"食"によって再現したものは食べられ、その隙を狙われ宝生の個性"結晶"で攻撃される。

 

しかし天喰にも秘策がないわけではない、天喰はそっと腰にベルトを巻きつけた。

 

窃「なんだぁ?ここに来てまだ何かする気か?」

 

へらへらと笑う窃野に目もくれず、天喰はオーズドライバーにメダルをセットし、バックルを傾けた。

 

天(使わせてもらうぞ!仮面ライダーの力!)

 

窃「俺らの前でチンタラするってナメすぎだろぉがよぉ!」

 

窃野が天喰がスキャナーを構えた瞬間に飛びかかる。

窃野の手がスキャナーを捕える前に、天喰はスキャナーにベルトを読み込ませた。

 

天「変身!」

 

《タカ!トラ!バッタ!》

 

窃「うげぇ!」

 

窃野は突然天喰の前に現れたメダルの光に弾き飛ばされる。

 

《♪タ・ト・バッ・タトバ・タ・ト・バッ!!!! 》

 

そしてメダルの光が天喰の体を包み、変身を完了させた。

 

天「これが、、仮面ライダーオーズ、、歌は気にするなってメモに書いてあったな、、」

 

天喰が変身した手足を見ると、窃野達の方を向く。

 

窃「なんだぁ?タカトラバッタって、、」

 

宝「気にしている暇はなさそうだな!」

 

宝生がすかさず結晶を天喰に向かって襲わせる。

 

しかし天喰はそれを跳躍で回避した。

 

宝「なに!」

 

天(避けようとして軽くジャンプしただけでこれか、、バッタの跳躍力のおかげか、、)

 

天喰は冷静に分析すると、腕を胸の前で交差しトラクローを展開させる。

 

天「はぁっ!」

 

そしてそのまま宝生の結晶をバラバラに切り刻み、着地した。

 

宝「俺の結晶をまるでバターのように刻みやがった、、」

 

窃「だけどよぉ!バラバラにしたのはいい選択じゃなかったな!」

 

窃野がバラバラになった結晶のカケラを拾い、天喰の顔面に向かって投げる。

 

天「っ!危な!」

 

天喰が咄嗟にそれを右腕でガードした瞬間、天喰の右腕につけられたトラクローが消えた。

 

窃「はーっはっはぁ!お前さっきよりいい武器つけてくれてありがとなぁ!アサリやタコより断然かっこいいぜ!」

 

天喰が結晶のカケラをガードした瞬間に窃野がトラクローを盗ったのだ。

 

窃野の右腕にはトラクローがつけられていた。

 

窃「さぁて、今度はお前が切り刻まれる番だぜぇ、、」

 

窃野にトラクローを奪われた天喰だが、焦る様子はない天喰はバックルのトラメダルを外し、青いメダルを入れ、再びスキャナーでスキャンした。

 

《タカ!ウナギ!バッタ!》

 

今度の天喰の両腕には、爪ではなく、二本のウナギウィップが握られていた。

 

窃「ウナギだぁ?多部!出番だぜ!」

 

窃野が多部を呼ぶと多部が天喰に飛びかかる。

 

多「喰う喰う喰う喰う!」

 

天「ふっ!」

 

天喰は多部に向かってウナギウィップを叩きつける、だがウナギウィップは多部の口にキャッチされた。

 

窃「ようし!そのまま食いちぎっちまえ!」

 

窃野が多部に向かって指示するが、多部の様子がおかしいことに気づいた。

 

多「ウナギ、、食えない、、マズイ、、」

 

多部がいくらウナギウィップを噛もうとしても噛みちぎれないのだ。

 

天「お前ならそう来てくれると思ったよ!」

 

天喰がウナギウィップを強く握る、するとウナギウィップから高圧の電流が流れた。

 

ビリビリビリビリビリビリ!!

 

多「ウウウウナギギギギくえないいいい!」

 

窃「まずい!感電して動けなくなってる!宝生!助けるぞ!」

 

宝「わかってる!」

 

天「!!」

 

天喰が2人の動きに気づいた瞬間、手からウナギウィップを離し、その場から離れた。

 

天「やはり連携は厄介だな、、だったら!」

 

天喰はすかさずベルトのメダルを全て取り替え、スキャナーでスキャンさせた。

 

《クワガタ!カマキリ!バッタ!♪ガ~タガタガタ・キリッバ・ガタキリバッ! 》

 

天喰はガタキリバフォームに変身し、3人の前に立った。

 

窃「次はなんだ?昆虫揃いになったが、、」

 

天「昆虫揃いになったが、甘くみるなよ、、」

 

天喰2「今度は」

 

天喰3「俺達も加わるからな!」

 

窃・宝「なにぃぃ!」

 

天喰の後ろから2人の天喰が出てくる、その光景に窃野と宝生は目を疑った、しかし何度見ても天喰が3人いる。

 

窃「昆虫って分身できたっけか?」

 

宝「いや、、俺に聞かれても、、、」

 

窃野と宝生は呆然と立ってしまっていた。

 

天1「お前らの強さは個性もあるがその連携だ」

 

天2「俺が3人になって連携を無くさせれば」

 

天3「こっちにも勝機はある!」

 

そう言うと、天喰3人はベルトのメダルを取り替え、フォームチェンジした。

 

《♪ラタ・ラタ・ラトラァータァー! 》

 

《♪シャ・シャ・シャウタ!シャ・シャ・シャウタ!!》

 

《♪サ・ゴーゾ……サ・ゴーゾォッ!》

 

ラトラータコンボの天喰1は窃野の前に立ち、シャウタコンボの天喰2は多部の前に立つ、そしてサゴーゾコンボの天喰3は宝生の前に立った。

 

窃「おいおい、まさか俺たちは3対3になったってことかよ!」

 

天1「そういうことだ!」

 

ラトラータコンボの天喰1が窃野に向かって走る。

 

窃「くっ!けどこっちの有利は動かねぇ!こっちにはお前と同じトラの爪があるんだからなぁ!」

 

窃野が天喰1に向かってトラクローを振り下ろす、しかし天喰1が突然窃野の前から消えた。

 

窃「あれ?、、あいつどこに消え、、」

 

ドゴッ!

 

窃「うげぇ!」

 

窃野が後ろを向いた瞬間、天喰1の蹴りが顔面に叩きつけられた。

 

天1「後ろに回り込んでいたんだよ、速すぎて見えなかったか?」

 

そしてその隣では多部対シャウタコンボの天喰2が戦っていた。

 

多「喰う喰う喰う喰う!」

 

多部が天喰2に向かって飛びかかる、それを天喰2は空中でウナギウィップで縛り上げた。

 

多「ウナギ!喰う!」

 

しかし多部は怯まずにウナギウィップに噛み付いた。

 

天2「そんなに喰いたいなら喰らわせてやる!」

 

天喰2はウナギウィップをグイと引っ張り自分の体に近づける、そしてシャチヘッドから高圧の水流を発射し、多部を部屋の壁に叩きつけた。

 

多「ガボボボボ!海水、、マズイ!」

 

宝「多部ぇ!ぐぉ!」

 

多部と天喰2の隣では宝生とサゴーゾコンボの天喰3が戦っていた。

 

宝生の出す結晶は全てゴリラアームで粉砕され、天喰3が優勢になっていた。

 

宝「くそ!まさかお前にこんな力があったとはな!」

 

宝生が巨大な結晶を天喰3にぶつける、しかしそれを天喰3は受け止めた。

 

天3「あぁ、まさかこんな能力があるなんて自分でもびっくりさ!」

 

天喰3は巨大結晶を宝生に投げ返し、宝生を壁に追いやった。

 

宝「ぐっ、、くそ、、まさか俺の結晶がこんないともたやすく砕かれるとは、、」

 

ドンッ

 

宝生が壁から離れようとした瞬間、宝生の体に何かがぶつかった。

 

宝「なんだ、、っ!多部!」

 

ぶつかったのは海水をたらふく飲み、グロッキー状態になった多部であった。

 

窃「あれ!なんで俺らいつのまにか壁に追いやられてんだ!」

 

多部の隣には窃野も立っており、3人は揃って壁に追いやられていた。

 

天1「そろそろトドメか、、」

 

天2「あぁ、、」

 

天3「決めてやれ!」

 

天喰2と天喰3がその場から消えると、元のラトラータコンボの天喰1人になる、そしてメダルを入れ替えタトバコンボに変わった。

 

天「互いに信頼したいい連携だったよ、お前達の境遇も怒りも哀しみも俺にはわからないが、、!」

 

《スキャニングチャージ!》

 

天喰はバックルのメダルを再びスキャナーでスキャンすると、足がバッタの脚になり、大きく跳躍する。

 

天「その固い絆とやらは俺にもわかる!!」

 

そして空中でキックの体勢をとると、赤、黄、緑とリングが空中に展開される。

 

天「セイヤァァァ!」

 

ドガァァァァァ!

 

窃「うぉおおおおおおおおお!」

 

三色のリングを通り、繰り出されたタトバキックは窃野達に直撃する。

 

天「互いを信頼しあったいい連携だったよ」

 

そのまま窃野達は気を失い、決着がついた。

 

天「悪いけど、拘束させて貰うよこんなダメージじゃあしばらくは満足に歩けないだろう」

 

天喰が個性で出したタコ足で縛り上げた3人を背に話しかける。

 

天「あとマスク、外しとくよ、何仕込んでるかわかったもんじゃない」

 

天(手こずりすぎた、、皆はちゃんと進めているだろうか、、)

 

ここで天喰の体が大きく揺らぐ。

 

天(あれ、、体が、、仮面ライダーになった反動か、、)

 

ドサッ、、、

 

天「フッ、、ちょっと調子に乗りすぎた、、かな、、」

 

天喰はそのまま、床に倒れ気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は乱破対切島・善彦編です


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矛盾の戦い

ヒーローインターン回その6です


天喰にヤクザ3人を任せた善彦達は治崎の元へ走っていた。

 

切「先輩、、大丈夫かな、、やっぱ気になっちまう」

 

緑「うん、、、」

 

善「いや、大丈夫でしょ、信じてあげてお二人」

 

善彦は天喰を信頼しているが、切島と緑谷からの信頼はゼロだった。

 

フ「背中預けたら信じて任せるのが男の筋やで!」

 

ここでファットガムが2人に一喝する。

 

切「先輩なら大丈夫だぜ!」

 

切島はその言葉で心情をコロッと変えた。

 

緑「逆に流されやすい人っぽい、、」

 

善「そーゆー人ですからね、切島きゅんは」

 

切「心配だが信じるしかねぇ!サンイーターがつくってくれた時間!一秒も無駄にできん!」

 

切島がそう言いながら走っていると後ろを走っていた善彦が異変に気づく。

 

善「そういえば、先程から壁が変化していないような、、」

 

緑「確かに、さっきまでぐにゃぐにゃだった足場が全然、」

 

「動いてない」と緑谷が言おうとした瞬間、相澤先生に壁が襲いかかってきた。

 

相(俺を狙って、、やはり"見られる"ことを嫌がって、、)

 

相澤先生が隆起した壁に押され、向かい側の壁の穴に落とされそうになる。

 

フ「イレイザー!」

 

しかし落とされる直前でファットが相澤先生を突き飛ばした。

 

相「すまない!」

 

フ「気にすんな!」

 

そしてそのままファットは相澤先生の身代わりとなり、穴に落ちて行った。

 

ファットが穴の中の洞穴をゴロゴロと転がり広間に落とされる。

 

フ「ん〜、どこやココ、、」

 

ファットが辺りを見渡すと、腹の辺りで何かが動いているのを感じた。

 

切「ん〜〜!ぷはっ!」

 

善「ぶはー!死ぬかと思った!」

 

ファットが腹を少し浮かせると、腹からよじよじとファットの腹から切島と善彦が這い出てきた。

 

フ「雛らか!何しとん!」

 

切「俺も先生庇おうとして飛び出しました、俺ならダメージねぇと思って、、そしたらファットに沈んじまって、、」

 

善「同じ理由で沈んでここにきました強救道です」

 

善彦達が理由を説明すると、ファットが「そうかそうか」と言いながら前を向く。

 

フ「まぁ、しゃーないわ!それより気ぃ張っとけ、、」

 

善彦達もファットにつられて前を向く、前は暗闇しか見えなかったが、暗闇の中から突然拳を振りかぶった男、乱波肩動が現れた。

 

切「拳!砕けてもしらねぇぞ!」《安無嶺過武瑠(アンブレイカブル)

善「変身した自分も結構硬いんだぜ!ゼロ速!」

 

安無嶺過武瑠を発動した切島とレーザーターボに変身した善彦がファットの前に出る、しかし乱破の拳のラッシュに善彦と切島は吹き飛ばされた。

 

乱「俺は思うんだ、ケンカに銃や刃物は不粋だって、持ってたら誰でも勝てる、そういうのはケンカじゃないその身に宿した力だけで殺し合うのが良いんだ、、わかるかな」

 

フ「レッドライオット!強救道!」

 

ドゴン!ドゴォォン!

 

2人の体が壁に叩きられる、善彦はかなりのダメージをくらい変身が強制解除されてしまった。

 

善「チクショウ!ベルト、、ベルトがぁ、、!」

 

善彦がゲーマドライバーを持って立ち上がる、先程のパンチのラッシュでゲーマドライバーが砕けてしまっていた。

 

善「よくも、、やって、、、くれたなぁ!」

 

善彦が激怒しながら乱破に向かって走る。

そして拳を大きく振りかぶり叫んだ。

 

善「エメラルドフィストォォ!」

 

バキャァァァ!

 

硬い素材で出来た指輪を使ったパンチが乱破に繰り出される。

しかし、その拳は乱破の目の前で何かに防がれた。

 

善「なんだこりゃあ、、バリア、、?」

 

善彦のエメラルドフィストがバリアで防がれたのだ。

善彦の指につけられていた指輪の宝石がバリアの硬さに負け粉々に砕け散る、そして善彦は素早く乱破との距離をとった。

 

天蓋「ファットガムと身体を硬化できる少年と変身ができる少年、、三人か、、フム、二人は防御が得意で一人は攻撃が得意な個性だ、乱破よ良かったな」

 

乱破の後ろから八斎會の1人天蓋壁慈が歩み出てきた。

 

天「我々は矛と盾、対するあっちも矛と盾」

 

乱「待て、、三人いるんだから矛と盾盾じゃないのか?」

 

乱破が善彦達を全員指差して問いかける。

 

天「フッ、それもそうだな、しかしそっちの少年は、盾と呼ぶには半端なようだが、、」

 

天蓋が細い目を開け切島の方を見る、それに気付いて善彦も切島の方を向いた。

 

善「切島くん!」

 

切「はっ!!はっ!!」

 

切島は乱破のパンチのラッシュに硬化した腕を砕かれ、その場から動けなくなっていた。

 

切(割れた!痛ぇ!受け切れなかった!)

 

切島が痛みでうずくまってしまった。

 

切(強くなれた気でいた!ちくしょう、、俺は、、また、、)

 

切島がうずくまりながら後悔する、そして安無嶺過武瑠を解除しようとした瞬間。

 

フ「その状態解くな!心まで折れたらホンマに負けや!」

 

ファットガムが切島に向かって叫んだ。

 

善「敵退治は『いかに早く戦意喪失させるか』だってファットガムさん言ってたでしょ?こっちが先に喪失してどーすんのさ」

 

善彦も切島に言葉をかける、そしてファットの隣に並んだ。

 

切「佐竹、、お前、ベルトが、、」

 

善「んー?なぁに隠し玉は持ってきてるのよ」

 

ベルトが無くて戦えないのではと心配する切島に善彦はニコっとほほえみながらガシャットギアデュアルを見せた。

 

天「我々に勝つつもりだぞ乱破」

 

乱「やったぞ、良いデブとガキだ!」

 

フ「こんな三下とっととブッ飛ばして皆のとこ戻るぞ!!」

 

善「はいっ!」

 

《Knockout!fighter!》

 

善彦が返事をするのと同時にギアをノックアウトファイターに合わせる。

 

《The strongest fist! "Round 1" Rock & Fire!》

 

善「変身!」

 

《デュアルアップ! Explosion Hit! KNOCK OUT FIGHTER!》

 

善彦がガシャットのボタンを押す、するとパネルが善彦の体を通り仮面ライダーパラドクスに変身を完了させた。

 

フ「うおぉ!その姿!その拳!ははぁーん、考えたなぁ強救道よ」

 

ファットが善彦の拳につけられた武器『マテリアライズスマッシャー』を見て何かを察する。

 

善「えぇ、目には目を、拳には拳をってね!」

 

善彦が再び乱破に向かって走り拳を突き出す、しかしそれも再び天蓋のバリアに防がれた。

 

乱「おい、これどけろ俺はこいつと殴り合いがしたい」

 

天「待て乱破よ、こいつの相手は我がしよう、お前にはアイツがいるだろう」

 

天蓋がファットを指さすと、乱破がマスクの中でニヤリと笑う。

 

それに気づくとファットは口を開いた。

 

フ「乱破くんいうたな、打撃が効いたんは久方ぶりや、俺も昔はゴリゴリの武闘派やってん、おまえの腕が上がらんくなるのと俺が耐えきれんくなるのどっちが先か、矛と盾どっちが強いか、、勝負してみようや!乱破くん!」

 

乱「やっぱりお前は良いデブだ!」

 

ここで天蓋がバリアを解き、乱破を解放させる。

 

乱「天蓋!バリアは!!」

 

天「出さない」

 

乱「そう!良い人ばっかりじゃねぇか!」

 

ガキィィィン!

 

乱破がファットに向かって走り出した後、善彦が天蓋に拳を振り下ろす。

 

しかしバリアで防がれた。

 

善「あっれ〜バリアは出さないんじゃなかったんスか?」

 

天「お前に対しては言っていない、こっちも勝負するか?」

 

善「あったり前よ!あんたのバリアが砕けるか!自分のこの拳が砕けるか!どっちが早いかなぁ!」

 

ドガガガガガガガガガガガ!

 

善彦の拳のラッシュが天蓋のバリアに放たれる、しかし全て防がれていた。

 

善「かったいなぁ!もうこれ!イライラする!」

 

天「そうか?なら解こう」

 

天蓋がバリアを突然解く、今さっきまでバリアを殴っていた善彦は急にバリアがなくなり、パンチが空振りし体のバランスを崩した。

 

善「うぉっと!っと!っと!」

 

天「はい、バリア」

 

ガキィン!

 

バランスを崩した善彦にバリアの壁をぶつけられた。

 

善「ぐぁ!まじかよ!」

 

天「盾は時として矛ともなる、覚えておけ」

 

善「なんだろう、この徳の高い人に教えられてる感、、」

 

天蓋は仏門の出である。

 

善「えぇい!矛だろうが盾だろうが破壊するまでよぉ!」

 

善彦は続いて天蓋に拳を突き出すが、再びバリアに防がれた。

 

善(くそぅ!硬すぎんだよこのバリア!仮面ライダーパラドクスの姿でいられるのはそう長くはない、、やっぱりレベル50の力は体に相当な負荷がかかるな、、)

 

天「どうした?試合放棄か?」

 

天蓋がバリアの中で細い目を開け、フフッと笑いながら言った。

 

善「へへっまだまだよぉ!」

 

再び善彦がバリアに向かってラッシュを繰り出す。

 

そしてその様子を切島は立って見ていた。

 

切(ファット、、佐竹、、俺を庇って、、ファットは衝撃を受け切れてねぇハズなのに!佐竹はダメージが残っているハズなのに!何やってんだよ、、)

 

切島の腕から血が滴り落ちる、腕の皮膚が砕けて激痛が走っているはずだが、今の切島にはそんな痛みは感じなかった。

 

切(何か、、出来ること!、、俺に今、、出来る事!ファットガムが死んじまう!佐竹が力つきちまう!おまえのせいで!!なんもねぇのかよ地味野郎!硬化破られたら何も出来ねぇのかよ!、、何もできねぇのかよ、)

 

切島はそこから動けなかった。

 

天「、、、、」

 

天蓋が遠くから切島の様子を見る。

 

善「なによそ見してんすかぁ!あぁ!?」

 

天「いや、、あの少年はもう無理だなと思ってねあの目は恐怖に染まった目だ」

 

善「なんだと、、」

 

ここで善彦の拳が止まる。

 

天「かわいそうに、ああなったらもう二度と立ち直れまい、、」

 

ドガン! ピキ、、

 

天「なにっ!」

 

天蓋が音がした方を向く、するとそこには拳を叩きつけた善彦とバリアに入ったヒビが見えた。

 

善「もう無理だと?、、かわいそうにだと?、、、二度と立ち直れねぇだとぉ!」

 

ガギィィィィン!

 

善彦が再びバリアに拳を叩きつける。

するとバリアに入ったヒビは広がっていた。

 

天「な、、なんだと、、我の防壁にヒビが、、」

 

善「お前は何もわかってなさすぎる!あの男は、、あの漢は!」

 

善彦の拳に紅の炎が纏う、そして大きく拳を振りかぶった。

 

善「無敵の漢気ヒーロー!烈怒頼雄斗だぞぉぉぉ!」

 

切「!!」

 

バリィィィィ!

 

天「ぬぁぁぁ!」

 

善彦の拳がバリアを叩き割り、天蓋を吹き飛ばす。

 

そして善彦は切島の方を向いた。

 

善「切島くん!あんた、キョウリュウジャーに変身した時に言うブレイブの意味!分かる?」

 

切「え、、意味?、、わかんねぇ、、」

 

善「ブレイブの意味、、、それは、、勇気だ」

 

そう言うと、善彦は切島に向かって獣電池を投げる。

 

そして切島が獣電池を受け取ったことを確認すると善彦は乱破に向かって走り出した。

 

善「おらぁぁ!今度は自分が相手だぁ!」

 

乱「おぉ!天蓋を倒したか!かかってこい!」

 

ドガァァァァァ!

 

善彦と乱破の拳がぶつかり合う中、切島は渡された獣電池を見ていた。

 

切「勇気、、、勇気、、」

 

切島が渡された獣電池を眺め、何度もその言葉を繰り返す。

 

切「勇気と漢気、、、!」

 

切島は獣電池を握りしめるとガブリボルバーを構え、ファットに向かって走った。

 

善「うぉおおおお!なんつー速さ!」

 

善彦は乱破と拳をぶつけ合っていた。

 

乱「ふはははは!楽しいぞお前!もっと楽しませろ!」

 

フ「あかん!強救道!お前さっきの戦いで体力もうないやろ!無理すな!」

 

ファットが大声で善彦を止めようとするが、善彦はフフッと笑い、ファットの方を向いた。

 

善「ファットさん!あなたまだ秘策残してるでしょ!それだいぶ時間かかるやつだろうでしょ!」

 

フ「なんや知ってたんかい!」

 

乱「おしゃべりはやめろよなぁぁ!」

 

乱破のラッシュのスピードが速くなる、善彦はそれに圧倒されつつあった。

 

乱「秘策があるだと!俺はそれを見たい!ジャマだから死ねぇ!」

 

善「ぐっ!がっ!しまった!」

 

乱破のスピードが善彦より上回り、善彦のラッシュが押し負けた。

 

乱「これで終わりだ!」

 

乱破のラッシュが一気に善彦に襲いかかってくる。

 

善「あ〜、、やっちゃったよ、、」

 

善彦が諦めかけた瞬間

 

切「頭下げろ!佐竹!」

 

切島の声が聞こえた。

 

善「えっ!」

 

善彦が言われた通りに頭を下げる。

 

バキィ!

 

乱「ぐぁあ!」

 

善彦には乱破の声しか聞こえなかった。

 

善「切島くん、、?」

 

善彦がゆっくりと頭を上げる、すると切島の姿が見えた。

 

乱「なんだ、、お前、、その姿は、、」

 

乱破がゆっくりと立ち上がる、そして切島は乱破の問いに大きな声で答えた。

 

切「その姿か、、、聞いて驚け!牙の勇者!キョウリュウ烈怒頼雄斗!カーニバル!」

 

善彦の前には、キョウリュウレッドカーニバルに変身した切島が立っていた。

 

善「切島くん、、名前勝手に変えんなよ!」

 

善彦が切島の隣に立つと、切島はフッと笑った。

 

切「ありがとな、佐竹、、お前のおかげで、ブレイブと漢気、両方思い出せた」

 

善「そいつはどーも、じゃ!行くぞ!」

 

切「応!」

 

乱「おもしろい!かかって来い!」

 

乱破のラッシュが再び襲いかかる、そしてそれを善彦と切島のラッシュで迎え撃つ。

 

その様子をファットは乱破から受けた衝撃を吸着し沈めながら見ていた。

 

フ(すまん、二人とも!俺のタメが完成するまで、、もう少し待っててくれ!)

 

善彦と切島は乱破のラッシュと真正面からぶつかり合っている。

 

二人の体はほぼ限界に近かったが、二人の拳が止まることはなかった。

 

乱「二人がかりでもこれか!まだまだ楽しませろ!」

 

善・切「やってやらぁぁぁ!」

 

ここで善彦の拳には紅い炎が纏い、切島の拳は安無嶺過武瑠の時よりも硬くなった。

 

二人の拳が乱破に向かう、その時。

 

ガギィィィィィィィン!

 

善「!!」

 

切「なにっ!」

 

二人のパンチがバリアで防がれた。

 

乱「天蓋!バリアは!」

 

天「出すに決まってるだろう、、、」

 

乱破の後ろから天蓋がフラフラとしながら現れた。

 

善「そんな、、、もう、、力が、、」

 

善彦は力つき、変身が解除される。

切島も体力が尽き変身が解除された。

 

天「この硬度でもヒビを入れるか、、末恐ろしい者共だ、、しかし無意味なことだ、我が防壁の前にはなす術なく、倒れるだけだ」

 

天蓋の言う通り、善彦と切島の体がよろめき、倒れようとしていた。

 

フ「無意味やないで」

 

天「!!」

 

倒れる善彦と切島の体が誰かに支えられている。

後ろから見えたのはエネルギーを右手に貯め、痩せたファットだった。

 

フ「まさか逆に守られるとは、、なんて言うんは失礼やな、、おおきに!ええ矛になったわ!」

 

ファットが拳を乱破と天蓋に向け構える。

 

天「最大最硬防!」

 

天蓋がバリアを張る、しかし

 

乱「無駄だ、割られる」

 

フ「敗因はたった1つや!あまく見とった!俺も!お前らも!強救道というヒーローの根性を!そして!烈怒頼雄斗っちゅうヒーローの漢気を!」

 

ドガァァァァァァァァァァァ!!

 

ファットガムの渾身の一撃、天蓋のバリアはたやすく破られ、乱破と共に吹き飛んでいった。

 

フ「ホコタテ勝負、、こっちの勝ちや!」

 

ファットは切島と善彦にも聞こえるように堂々と勝利を宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次はデク対治崎です


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救ける

ヒーローインターン回その7です


善彦と切島が乱破と戦っている最中、緑谷は治崎と戦っていた。

 

緑谷が治崎と戦って数分、治崎は構成員の音本と融合し怪物のような姿に変貌した。

 

治「増援が来て事態が悪化していること気付いているだろう、諦めろ俺の言った通りになるだけだ"全員死ぬ"」

 

緑「そんなことにはさせない!そう決まっていたとしても、、」

 

緑谷はそう言いながら腰にビルドドライバーを巻いた。

そしてフルボトルを取り出しカチャカチャと振る。

 

緑「その未来を捻じ曲げる‼︎」

 

《忍者!コミック!ベストマッチ!》

 

緑谷はドライバーにフルボトルを差し込むと、ハンドルを回転させた。

 

《Are you ready?)

 

緑「変身!」

 

《忍びのエンターテイナー! ニンニンコミック! イェーイ!》

 

緑(ワン・フォー・オール! 20%!)

 

緑谷は変身すると、ワン・フォー・オールを発動し治崎に向かって走り出した。

 

治「!!」

 

治崎と緑谷の距離が一気に縮まる、緑谷は地面に足を思い切り踏み込み足場を崩した。

 

ドゴォォォン!

 

緑(耐えろ!勝つまで‼︎治崎が手を緩めることはない!)

 

緑谷は治崎の繰り出す土の槍を四コマ忍法刀で叩き壊すと、四コマ忍法刀のトリガーを1回押した。

 

《分身の術!》

 

緑「はぁっ!」

 

緑谷が治崎の攻撃を避けるのと同時に緑谷が三人に分身する。

 

治「なっ!小癪な、、!」

 

治崎はその分身に驚きはしたが、攻撃の手を止めることはなかった。

 

三人の緑谷に治崎が土の槍を繰り出す、しかし三人の緑谷はそれを全て避け、治崎を囲んだ。

 

緑「行くよ!僕の2号!3号!」

 

緑2・緑3「わかった!」

 

本体の緑谷の合図と共に三人は治崎を囲い、周りを走り出した。

 

治「何がしたいんだお前らは!」

 

治崎が苛立ちながら槍を繰り出すが、全て避けられる。

 

三人の緑谷は治崎の周りを走りながら、四コマ忍法刀のトリガーを2回押した。

 

《火遁の術!》

 

四コマ忍法刀に炎のエネルギーが溜まる。

 

緑(こいつは死んでもエリちゃんを諦めない、時間はかけられない!ダメージを稼いでも"修復"される!一撃で!)

 

緑「みんな!行くぞ!」

 

緑谷本体の声で三人が治崎に向かって飛びかかった。

 

《火炎斬り!》

 

緑「「「はぁぁぁぁ!」」」

 

三人が治崎に忍法刀を振り下ろす、そして治崎に当たる直前。

 

ガギィィィィン!

 

緑「なにっ!」

 

三人の攻撃が治崎の造った壁で防がれた。

そして治崎の二本の腕は瓦礫の2つを掴む。

 

治「いくら奇想天外な攻撃をしようが、先の二人に比べれば、動きの"線"が素直で見えやすい」

 

ギュゥゥン!

 

緑2・3「うわぁっ!」

 

緑谷の分身は治崎の造った槍に貫かれ、消える。

そして本体の緑谷も槍に腕と足を貫かれた。

 

緑「うわぁぁ!」

 

強烈なダメージで緑谷の変身が強制解除される。

 

そして治崎は火炎斬りで受けた小さな火傷を修復し、緑谷の方をみる。

 

治「ったく、修復といってもバラす瞬間はしっかり痛いんだ、、もう止めだ」

 

緑「ううう、、、」

 

緑谷には腕と足に小さな槍が深く刺さっている。

しかし

 

緑「まだ、、」

 

緑谷は立ち上がろうとする。

 

その様子を見て治崎はため息をつくと腕を一本、壊理と通形の逃げた方へ向けた。

 

治「あぁ、そうやってルミリオンにも粘られた諦めない人間の底力は侮れない」

 

すると突然、治崎の手のひらから口が出現し、壊理に向かって叫んだ。

 

治「おまえのせいでまた死ぬぞ!これが望みなのか!?壊理!」

 

その声はしっかりと壊理の耳に届いた。

 

緑(こいつ!何を言って!)

 

ザッ、、、

 

壊「望んでない、、、」

 

壊理が逃げた方向から治崎のいる所まで戻ってきた。

 

それに緑谷はすかさず叫ぶ。

 

緑「なんで!、、駄目だ!先輩と一緒にいるんだ!エリちゃん!」

 

叫ぶ緑谷を無視して治崎が壊理に再び問いかけた。

 

治「壊理、、こいつ一人でこの状況、なんとかなると思うか?」

 

壊「思わない、、、」

 

治「ならお前は、どうするべきだ?」

 

壊「戻る、、、」

 

緑「エリちゃん、、!」

 

緑谷が立ち上がって止めようとするが、腕と足に激痛が走り立てない。

 

壊「そのかわり、、皆を元通りにして、、!」

 

その言葉に治崎は落ち着いた様子で言った。

 

治「そうだよな、、自分のせいで他人が傷つくより、自分が傷つく方が楽だもんな、、」

 

そして治崎は緑谷の方を向く。

 

治「まだルミリオン一人の方が望みはあった、奴で芽生えた淡い期待が砕かれた、、気付いてるか?壊理にとって最も残酷な仕打ちをしてる事に、、お前は求められてない」

 

その言葉に緑谷はナイトアイの言葉を思い出す。

 

「やはり、ワン・フォー・オールはミリオに継がせるべきだった」

 

ナイトアイ本人も、この事態を諦めかけていた。

 

ナ(緑谷、、もう変えられない、、エリちゃんの保護は叶わない!見てしまった、、私と貴様が殺される、治崎が逃げおおせる未来を)

 

緑「そうだとしても!」

 

緑谷は足に刺さっていた槍を掴んで叫んだ。

 

緑「余計なお世話だとしても!君は泣いてるじゃないか!」

 

緑谷は足に刺さった槍を抜くと、その場から立ち上がり槍を握り砕き叫んだ。

 

緑「誰も死なせない!君を救ける!」

 

緑谷はポケットからフルボトルを取り出し、ベルトに挿そうとする、すると天井から轟音が響いた。

 

緑「?」

 

緑谷が天井を見ると、突然天井が破壊され、上から八斎會の活瓶を咥えたリューキュウと、それに続いて麗日と蛙吹が落ちてきた。

 

リ「ドンピシャ!」

 

蛙「ケロ、、」

 

リューキュウ達は敵連合の作戦にはまり、緑谷達のいる所に落とされたのだ。

 

突然のハプニングに緑谷達は混乱する。

しかしその隙に乗じて逃げようとする治崎を緑谷は見逃さなかった。

 

緑「ウラビティ!ナイトアイの保護頼む!」

 

石柱を作り、壊理を抱え逃げようとする治崎を緑谷は逃そうとしなかった。

 

緑「治崎!!」

 

《タカ!ガトリング! ベストマッチ!》

 

緑谷はボトルを差し込むと、高速でハンドルを回す。

 

そしてホークガトリングに変身した。

 

《天空の暴れん坊! ホークガトリング! イェーイ!》

 

治「メチャクチャだ、、ゴミ共が!」

 

石柱に乗り壊理を抱えて逃げようとする治崎を緑谷は翔んで追いかける。

 

緑「させるかぁ!」

 

緑谷が壊理に向かって手を伸ばす。

しかし、あと少しで届かなかった。

 

緑「くっ!もう少しで、、届くのに、、!」

 

治「しつこい、、、、!」

 

辟易する治崎の横で何かが落ちるのが見えた。

 

治「ルミリオンのマント、、巻き上げられたのか、、気色悪い」

 

治崎がマントを無視して上に上がっている時、壊理がそのマントを掴んだ。

 

そしてその瞬間、治崎の体に異変が起きる。

 

体が何かに引っ張られるような感覚が襲ってきたのだ。

 

治「まさか、、!」

 

治崎が壊理を見ると、壊理の頭に生えていた角が光っている。

 

そして次の瞬間、治崎の体と音本の体が2つに分かれ、元に戻った。

 

元に戻った拍子に壊理が石柱から放り出される。

 

それを緑谷は空中でキャッチし、強く抱きしめた。

 

緑「もう、、離さないよ、、」

 

治「返せ!」

 

治崎が怒鳴りながら二人に手を伸ばす。

 

治崎が手を伸ばした瞬間、石柱が崩れて槍となり緑谷に襲いかかってきた。

 

緑(やばい!ダメージのせいで翼のコントロールが!1回だけ、大きく羽ばたけるか!)

 

緑谷が翼を羽ばたかせる瞬間、壊理をギュッと強く抱きしめた。

 

緑(離さない!もう絶対に離さない!あんなこと、、もう絶対にさせない!)

 

ブワァァァ!

 

緑「うぉあああああああ!」

 

そして羽ばたく瞬間、ホークガトリングの翼が大きく展開し、暴風を巻き起こしながら外に出た。

 

治「うぉおおお!」

 

治崎はその風に吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。

 

この事態に1番驚いているのは緑谷自身だった。

 

緑(羽ばたたこうとしたら、、吹っ飛んだのか、、?)

 

緑谷は空中で体制を整えると、体の異変に気付く。

 

緑「あれ、、足が、、痛くない、、?腕も、、治ってる、、」

 

先程まで激痛に襲われていた腕と足が痛くなくなっているのだ。

 

緑谷は落ち着いて壊理と一緒に地上に降りた。

 

緑(体が熱い、、いや、冷たい、!僕はおそらく、、100%を出していた、、なのに、、)

 

緑「怪我が、、治ってる、、」

 

緑谷はゆっくりと壊理の方を向き、問いかけた。

 

緑「君の、、力なの?」

 

壊理にそう問うと、壊理はゆっくりと頷いた。

 

そして次の瞬間

 

カシャン!

 

緑「えっ!変身が解けた!」

 

緑谷の変身が突然解除されたのだ。

さらに、緑谷を襲ったのは体が内側から引っ張られるような痛みだった。

 

緑「なんだ、、今度は、、体が、、内側から引っ張られてるみたいな、、」

 

緑谷がうずくまっていると、地面から轟音が響く、そして次に治崎の声が聞こえた。

 

治「力を制御できていないんだ、、拍子で発動できたものの、止め方が、わからないんだろう!壊理!」

 

地面から触手のようなものが隆起する。

轟音を立てて地面から出てきたのは活瓶と融合し、巨大な化け物となった治崎だった。

 

治「人間を巻き戻す、それが壊理だ、使いようによっては人を猿にまで戻すことすら可能だろう、そのまま抱えていては消滅するぞ、触れる物全てが『無』へと巻き戻される!呪われてるんだよそいつの個性は!俺に渡せ!分解するしか止める術はない!」

 

その治崎の言葉に緑谷ははっきりと言った。

 

緑「絶対、やだ」

 

そして緑谷はポケットから何かを取り出し、それを起動させた。

 

《ハザードオン》

 

起動させたハザードトリガーをベルトに差し込む。

そして続いてフルボトルをベルトに差し込んだ。

 

《ラビット!タンク!スーパーベストマッチ!》

 

《ドンテンカン!ドーンテンカン!》

 

緑谷はハンドルを掴み回転させる。

 

《ガタガタゴットンズッタンズタン!ガタガタゴットンズッタンズタン!》

 

緑「変身、、」

 

緑谷の変身の声の後、緑谷の体が黒い板に挟まれた。

 

《アンコントロールスイッチ! ブラックハザード!》

《ヤベーイ!》

 

緑谷はハザードフォームに変身すると、壊理を背中に乗せ、ルミリオンのマントで壊理と緑谷が離れないように固定する。

 

緑「そっか、羽ばたいた瞬間に、痛みよりも早く怪我を戻してくれたんだね、、とっても優しい個性じゃないか」

 

緑谷はそう言うと、ハザードトリガーのスイッチを再び押した。

 

《マックスハザードオン!》

 

そしてハンドルを回す。

 

緑「体感で感じてわかった、体が戻り続けるスピード!」

 

ハンドルを回すごとに緑谷の体からエネルギーがバチバチと音を立てているのが聞こえる。

 

緑「じゃあ、それ以上のスピードで常に大怪我し続けていたら!それ以上のスピードで常に暴走直前まで走っていたら!」

 

《オーバーフロー!ヤベーイ!》

 

緑「ワン・フォー・オール、、フルカウル、、100%!!」

 

緑谷の体に黒いエネルギーとフルカウルの緑のエネルギーがほとばしる。

 

緑「エリちゃん、、力を貸してくれるかい、、」

 

今、最後の戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次がヒーローインターン回最後になります。


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最終決戦

ヒーローインターン回
最後です。


一人の女児を救うための戦い、今最後の決戦が始まる。

 

治「お前も、壊理も、、力の価値をわかってない、"個性"は伸ばすことで飛躍する、、俺は研究を重ね壊理の力を抽出し"到達点"まで引き出すことに成功した、、」

 

活瓶と融合した治崎が語り始める。

語りながらも治崎の無数の手は近くの民家に伸びていた。

 

治「結果、、単に肉体を巻き戻すに留まらず、もっと大きな流れ、種としての流れ、、変異が起こる前の『形』へと巻き戻す、壊理にはそういう力が備わっている、個性因子を消滅させ、人間を正常に戻す力だ、、!」

 

治崎の手が民家を掴み、破壊を始める。

 

緑「っ!!」

 

それを見て緑谷は咄嗟に身を構えた。

 

治「個性で成り立つこの世界を!理を壊す程の力が、、!それが壊理だ!」

 

そして破壊した民家を複数の槍として形成する。

 

治「価値もわからんガキに!利用できる代物じゃない!」

 

ドガガガァ!

 

形成させた槍を緑谷に向かって一斉に襲わせる。

 

しかしそれを緑谷は避けた。

 

治「なにっ!」

 

緑谷は一瞬で治崎の懐に入り込み、右足を振りかぶっていた。

 

緑「スマァァァッシュ!」

 

緑谷の蹴りが治崎に直撃する。

オーバーフローとフルカウル100%の力が加わった蹴りは治崎を上空へと吹き飛ばした。

 

治「ぐわぁっ!!」

 

緑「はぁっ!」

 

ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!

 

緑谷はすかさず治崎を追いかけようと地面から飛び上がる。

緑谷の足は空気をも蹴り体を宙に浮かせた。

 

緑(すごいな、、空気を蹴って空中を移動している、、このまま一気に治崎まで!)

 

緑谷が治崎に向かおうとした瞬間、緑谷の脳に異変が起きた。

 

緑「ぐわっ!これは、、!」

 

ゆっくりと意識が遠退いていく感覚、それを感じた緑谷は善彦に渡されたメモに書いてあった事を思い出した。

 

「ハザードフォームは強力な力を得ることが出来るけども、あまり長く使ってると理性失うよ by善彦」

 

緑「佐竹くんが言っていたことはこういうことだったのか、、!」

 

緑谷は必死に理性を保とうとするが、一向に理性は戻らない。

 

だんだんと意識が遠退く緑谷を見た壊理は緑谷の言葉を思い出した。

 

「力を貸してくれるかい」

 

壊「っ!!」ギュゥゥ、、

 

 

壊理が緑谷に体を密着させる。

すると壊理の角が光出した。

 

緑「っ!意識が戻りだした!けどなんで、、」

 

緑谷が後ろをそっと向くと、壊理が必死に緑谷の体に自分の体を密着させていた。

 

緑「そうか、、エリちゃんの力で失いかけた理性が戻ったのか、、ありがとう!エリちゃん!」

 

緑谷は仮面の中でニカッと笑うと治崎の方を向き、空を蹴って一気に治崎との距離を縮めた。

 

治「どいつもこいつも!大局を見ようとしない!」

 

治崎は落下しながら緑谷に襲いかかってきた。

 

治「俺が崩すのはこの"世界"!その構造そのものだ!目の前の小さな正義だけの、、感情論だけのヒーローきどりが、、」

 

治崎は自分の体を分解し、体のカケラを左腕に集中させる。

 

治「俺の邪魔をするな!!」

 

そして渾身の一撃を緑谷に向かって放った。

 

しかしそれを緑谷は避け、治崎の後ろを取る。

 

緑(おまえは必ず、ダメージを負ったら分解して回復させる、、100%の力ならその隙を突ける!そしてもう回復はさせない!)

 

ボッ!

 

緑谷は空を蹴って治崎との距離を詰める。

 

そして治崎に拳を1発ぶつけた。

 

ドガァァ!

 

治「ぬぁぁぁあ!」

 

治崎の体勢が空中で崩れる、その隙に緑谷はベルトのハンドルを回した。

 

《ガタガタゴットンズッタンズタン!ガタガタゴットンズッタンズタン!》

 

緑「目の前の、、小さな女の子一人救えないで、、」

 

《Ready GO!》

 

緑「皆を救けるヒーローになれるかよ!」

 

《ハザード フィニッシュ!》

 

緑「スマァァァァァァッシュ‼︎‼︎」

 

緑谷のキックが治崎に向かって放たれる。

 

治「ふざけるなぁぁぁ!」

 

治崎も負けじと槍を緑谷に向けて放った。

 

治崎の槍と緑谷の蹴りが激突し、衝撃音が辺りに響く、が決着は早く着いた。

 

治「!」

 

緑谷のキックが治崎の槍を砕きながら迫ってくる。

 

そして緑谷のキックは治崎に届いた。

 

治「ぐおおおおおおお!」

 

緑「うらぁぁああ!」

 

緑谷はそのまま治崎を地面に叩きつけた。

 

緑「はぁっ!はぁ、はぁ、はぁ、、」

 

地面に叩きつけられた治崎の体がボロボロと崩れて行く、治崎が倒れたことを確認した緑谷は変身を解いた。

 

緑「終わった、、、」

 

緑谷はゆっくりと背中に乗せていた壊理を地面に降ろす。

 

緑「大丈夫かい、エリちゃん!ごめんよ、僕が至らなかったばっかり、、に、、、」

 

緑谷が壊理に話しかける為地面に膝をついた途端、緑谷の意識が薄れ、そのまま地面に倒れ込み気絶してしまった。

 

 

 

 

ピーポー、、ピーポー

 

緑「う、、ん、、?」

 

パトカーと救急車のサイレンで目が覚めた。

緑谷が隣を見てみるとそこには緑谷とともに倒れていた壊理の姿があった。

 

緑「えっ!わあぁ!大変だ!」

 

緑谷はすぐに起き上がり、ルミリオンのマントで壊理を包みこむと、急いで救急隊員に壊理を渡した。

 

緑「気絶してから発熱が」

 

「わかった、とりあえず病院へ運ぼう、君もだ、」

 

緑「はい、、」

 

救急隊員の後ろでは、大急ぎで救急車に運ばれるナイトアイの姿があった。

 

ナ「緑谷、、」

 

ナイトアイがか細い声で緑谷を呼ぶ。

 

ナ(私の見た未来とは違う未来、、どういった理屈かわからないがこいつは、、私の願いを確実に起こして見せた、、)

 

ナ「おまえは未来を、、捻じ曲げた、、」

 

緑谷はそれを聞くと、ナイトアイに駆け寄った。

 

緑「ナイトアイ!僕、言いそびれてて!オールマイト!生きるって!ナイトアイに合わせる顔がないって、、!必ず会いましょう!会って、、また、!だから!頑張って!」

 

ナイトアイはそれを聞くとゆっくりと目を閉じる。

 

そしてそのまま救急車に乗せられ運ばれた。

 

緑「、、、、」

 

リューキュウ「怪我人も多いし、手放しで喜ぶ状況じゃないけれど、、」

 

ナイトアイを共に見送ったリューキュウが緑谷に話しかける。

 

リ「緑谷くん、、ありがとう」

 

 

一人の少女を救ける為の戦いAM9:15 保護完了!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は爆豪と轟の仮免講習回です


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おかえりなさいのインターン

爆豪と轟の仮免講習回の前に
少しだけオリジナル挟みます。


八斎會との戦いが終わり、善彦達が退院してから数日後。

善彦達はやっとの思いで寮に帰ることができた。

学校に戻ってからも色々と調査や手続きが立て続けで結局帰ってこれたのは夜だった。

 

善「ようやっと終わりましたね」

 

切「あぁ、やっと終わったな、、」

 

善彦が寮の共有スペースの戸を開ける。

 

峰「帰ってきたァァァ!奴らが帰ってきたァァァ!」

 

まず最初に聞こえたのは峰田の叫び声だった。

 

上「大丈夫だったかよぉ!」

 

瀬「ニュースみたぞおい!」

 

八「皆心配してましたのよ、」

 

青「お騒がせさんたち☆」

 

砂「まぁとにかくガトーショコラ食えよ!」

 

戸を開けた瞬間、善彦達を襲ってきたのは1-A全員の心配の嵐、それに善彦達は戸惑う事しか出来なかった。

 

善「えぇ〜なんでこんなに皆様お揃いで、、」

 

上「当たり前だろ!おまえら毎度凄ぇことになって帰ってくる!怖いよいいかげん!」

 

上鳴が善彦の両肩を掴みブンブンと体を揺らす。

善彦はされるがままに振り回された。

 

障「無事でなにより、」

 

耳「ブジかなぁ、、無事、うん、、」

 

飯「皆!心配だったのはわかるが!!落ち着こう!」

 

心配の言葉をかける1-Aを飯田が遮る。

 

飯「報道で見ただろう!あれだけの事があったんだ!級友であるなら彼らの心を労わり静かに休ませてあげるべきだ、身体だけでなく、心も擦り減ってしまっただろうから、、」

 

飯田はそう言うと、緑谷の方をそっと向いた。

 

それに気づき緑谷は飯田に話しかける。

 

緑「飯田くん、飯田くん」

 

飯「ム!」

 

緑「大丈夫」

 

緑谷はその一言だけ飯田に送った。

 

飯「、、、じゃあいいかい」

 

飯田は確認を取ると緑谷の両肩をガシッと掴んだ。

 

飯「とっっっっても心配だったんだぞもう!俺はもう君たちがもう!」

 

瀬「おめーがいっちゃん激しい」

 

飯田は今までの心配を緑谷に全力でぶつけた。

 

八「私はラベンダーのハーブティーをお淹れしますわ!心が安らぎますの!」

 

砂「佐竹もほら、ガトーショコラお食べ」

 

善「いただきマスタング」

 

善彦は砂藤からすすめられたガトーショコラにかぶりついた。

 

善「あぁ、カケラがボロボロと落ちること落ちること、、」

 

善彦がガトーショコラの食べかすを手で拾いながら咀嚼していると善彦の携帯の着信音が鳴る。

 

善「んー?何よ今ガトーショコラ食ってんのに、、っ!!ごめん!みんな!ちょっと部屋戻らせていただくわ!」

 

携帯の画面を見て目を丸くした善彦はそそくさと共有スペースを出て自分の部屋へと戻った。

 

上「何なんだ?あいつ?なぁ耳郎?」

 

耳「、、、、」

 

上「あれ?耳郎さん?」

 

耳郎は上鳴に何も返さず、善彦の方を見ていた。

 

〜善彦の部屋〜

 

善「はい、、はい、、つまり自分が、、はい、そういう事ですよね?大丈夫ですよね?」

 

善彦は一人部屋の中で誰かと電話をしていた。

 

善「はい、、いえ、気にしないでください大丈夫なんで、はい、はいー、失礼しまーす、はいー、はい、はーい、」

 

プチっ

 

善「なぁんで自分がこんな目にぃぃぃ!」

 

善彦は電話を終えると頭を抱えて携帯を枕に投げつける。

 

善「はぁ、、ゆっくりしたいのに、、」

 

コンコン

 

善彦がため息をつくと、部屋の扉をノックされる。

 

善「はーい?」

 

耳「よっすー」

 

上「うぃっす!」

 

善彦が戸を開けると、そこには耳郎と上鳴が立っていた。

 

善「あれ?お2人ともどうして、、」

 

耳「部屋、入るよ」

 

上「おじゃまー」

 

善彦の言葉を無視して耳郎と上鳴はズカズカと善彦の部屋に入っていく。

 

善「えぇ!ちょっと!」

 

善彦が2人を追う。

 

善「ちょっとどうしたんですk」

 

ギュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!

 

そして善彦が耳郎の前に出ると、突然耳郎に頬をつねられた。

 

善「イデデデデデデデ!なにこれ!デジャヴ!?」

 

耳「まったくあんたは心配ばかりかけて!ふざけんじゃないよこのポンコツバイク!」

 

耳郎はつねりにひねりを加えて善彦に膝をつかせる。

そして善彦を見下ろした状態で言葉を続けた。

 

耳「1人でインターン行くって言って!あげくに死にかけるほどの大怪我したって聞いて!あんたふざけんじゃないよ!ウチらのこと置いていって、、置いていって、、、、」

 

ポタ、、ポタ、、

 

善彦の顔に何か雫が落ちる。

 

善彦は耳郎の顔をそっと見てみると耳郎の目から涙が流れていた。

 

耳「心配ばかりかけてぇぇぇ!バカバカバカバカバカバカァ!」

 

耳郎は頬つねりをやめると、続いて善彦をポカポカと叩き始めた。

 

善「えぇ!もうなにがなんだか!」

 

その様子を見て上鳴はフフっと笑うと、耳郎の肩に手を置きポカポカをやめさせる。

 

上「落ち着け耳郎、な?俺たちはただお前が心配だったってことを伝えにきただけなんだよ」

 

上鳴が耳郎を落ち着かせ、善彦から離す。

 

耳郎も落ち着きを取り戻し、涙を拭った。

 

耳「そうだよ、、ウチらあんたを待ってる間本当に心配だったんだぞ、ニュースでハッサイカイとかいう組織と戦って救急車で運ばれる様子見て、本当に心配したんだから、、」

 

善「耳郎さん、、そんなにまで、、」

 

善彦はその言葉に心を打たれる。

 

そして立ち上がり耳郎と上鳴の方を向いた。

 

善「ありがとう2人とも、これからは一緒に理想のヒーローになれるように頑張ろう!」

 

そう言って善彦は2人に手を伸ばした。

 

上「あぁ!よろしくだぜ!」

 

耳「今度心配かけさせたら承知しないよ!」

 

上鳴と耳郎が善彦の手を強く握る。

 

こうして、騒がしい夜が終わった。

 

 

 

そしてまた新しい"騒がしい"が始まる。

 

〜翌日〜

 

轟「爆豪、行くぞ」

 

爆「うっせぇな!行くわ!」

 

轟と爆豪は寮から出ていた。

 

轟「仮免講習の時間だ、、」

 

爆「後ろ歩けや」

 

2人は仮免の講習に行こうとしていた。

 

その後ろには何故か善彦も続いている。

 

善「はぁ、、なんでこんなことに、、」

 

善彦はため息をつきながら爆豪と轟について行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は爆豪と轟の仮免講習回です


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轟け爆撃

轟と爆豪の仮免講習回です


八斎會との戦いが終わり寮に戻った次の日、善彦は爆豪と轟の仮免講習の付き添いに来ていた。

 

善「とまどってますね、皆様方」

 

肉倉「あぁ、それもそうだろう慣れない子供との交流だ、戸惑うもの無理はない」

 

善彦と肉倉精児は観覧席で轟達の様子を見ていた。

 

間瀬垣小学校の児童達との交流に悪戦苦闘していた轟達であったが、轟達はそれぞれの個性を駆使して巨大なすべり台を作り、児童達と円滑なコミュニケーションを取る事に成功した。

 

肉「なるほどな、子供達が放った個性を支柱にし、それを凍らせてすべり台を作るとはな、素晴らしい発想力をもっているかではないか」

 

善「えぇ、轟くん達が子供の心を完全に掴みましたね」

 

一部始終を見ていた善彦と肉倉はすべり台を見て感心する。

 

肉「お前の仲間も素晴らしい個性を持っているかではないか、なぁ佐竹とやら」

 

肉倉が隣に座っていた善彦の方を向く。

 

しかし

 

肉「あれ?、、どこ行った?」

 

肉倉の横に善彦の姿は無かった。

 

夜嵐「さぁ!遊んだ後はみんなでお片づけッスよ!」

 

一方、轟達は一通り遊び終え、皆とすべり台の片付けをしようとしていた。

 

轟「爆豪、悪いがお前の個性でコレ、だいたいの大きさまで砕いてくれ」

 

轟が子供達を爆豪から離れさせながら爆豪に指示をする。

 

それに爆豪は額に青筋を浮かべながらすべり台に近づいた。

 

爆「オレをこき使うたぁ、いい度胸じゃねぇかよぉ!」

 

爆豪が腕を大きく振りかぶり、すべり台に掌を叩きつけようとした瞬間。

 

《スチームアタック!》

 

ドガァァァァァァン!!

 

すべり台が突然粉々に爆発した。

 

爆「ぐぁ!、、なんだ!」

 

激しい爆風が轟達に襲い掛かる。

 

轟「おい爆豪、威力が強すぎるぞ!」

 

爆「はぁ!?おれじゃねぇよ!半分野郎!コイツが勝手に爆発したんだよ!」

 

夜「ん!あれ!誰ッスか!?」

 

爆発したすべり台のカケラが辺りを舞う。

そして爆煙の中に1つの人影が見えた。

 

現見「もしかして、、敵、、的な?」

 

爆煙の中から現れたのは明らかに敵の形をした者だった。

 

エ「ごきげんよう皆の衆、オレの名は『エボル』今日ここにヒーローの卵が居るって聞いてなぁ、しかもそれが有名な士傑と雄英だと言うじゃないか!これは潰さずにはいられないと思ってねぇ」

 

エボルと名乗った男はトランスチームガンを轟達に向けた。

 

「え!本物のゔぃらん!」

 

「まじ!こえーけどかっけー!」

 

小学生達は恐怖を感じながらもこの状況を楽しんでいた。

 

現「はいはーい、子供達はアブいから下がっててねー」

 

現見ケミィはこの状況に焦らずに軽い様子で子供達を安全な場所に誘導させた。

 

夜「そうっす!ここはオレらに任せるっす!」

 

夜嵐が轟と爆豪と前に出て掌から竜巻を発生させる。

 

エ「ほぉ?どうやら、先に死にたいのはお前みたいだなぁ」

 

夜「オレ!死なないッスよ!」

 

夜嵐が出した竜巻がドンドンと大きくなる。

そしてエボルと夜嵐の戦闘が始まろうとした瞬間。

 

爆「邪魔だハゲ」

 

轟「ここは任せろ」

 

爆豪と轟が前に出て夜嵐を遮った。

 

夜「ここは任せろって!ここは三人で協力すべきッス!見るからにヤバそうッスよ!」

 

爆「黙ってろハゲ」

 

轟「こういう相手には慣れてる」

 

叫ぶ夜嵐を無視し、爆豪はビルドドライバーを、轟はゲーマドライバーを腰に巻いた。

 

爆「ちっ!あのヤローオレと似たようなベルトつけやがってよぉ!」

 

《Wake up!》

 

《クローズドラゴン!》

 

爆豪はクローズドラゴンを乱暴にベルトにセットするとハンドルを回し始める。

 

轟「初めて使うが、、やってみるか」

 

《タドルクエスト!》

 

轟はタドルクエストを起動させ、ゲーマドライバーに挿し込む。

 

《ガシャット!》

 

轟「術式レベル2、、」

 

そしてゲーマドライバーのカバーを開いた。

 

轟・爆「変身!」

 

《Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON!》

《Yeah!》

 

《タドルメグル、タドルメグル、タドルクエスト!》

 

エ「ほー、お前ら仮面ライダーに変身できたんだなぁ」

 

エボルが2人を見てフフフと笑う。

 

爆豪は仮面ライダークローズに、轟は仮面ライダーブレイブに変身した。

 

爆「なんだぁ?キョウリュウの次はナイト様かよ?」

 

轟「、、、佐竹に渡されたのがこれだった、、なぁ?」

 

そう言うと、轟はエボルの方を向いた。

 

エ「えっ!ちょっ!オレはエボルだ!そっちから行かないんだったらオレから行くぞ!」

 

エボルが何か焦りながら2人の方へ向かってくる。

 

轟達は即座に武器を構えた。

 

爆「オレに合わせろ!半分野郎!」《ビートクローザー!》

 

轟「、、、あぁ!」《ガシャコンソード!》

 

ガキィン!

 

エ「甘いわ!」

 

エボルが2人の剣撃をスチームブレードで受け止める。

 

爆「はぁ!?」

 

エ「そらよ!」

 

そして2人の剣を弾き、トランスチームガンの一撃を2人を喰らわせた。

 

ドキュン!ドキュン!

 

轟「ぐっ!、、」

 

爆「がはっ!なめんじゃねぇぇぁ!」

 

爆豪は銃撃を喰らったのにも関わらず怯まずにビートクローザーを振り下ろした。

 

ガギィィン!

 

それをエボルは再びスチームブレードで受け止める。

 

エ「うぉぉぉお!やっぱり強いなぁ!」

 

爆「なめんじゃねぇぞおぉ!」

 

そしてそのまま爆豪とエボルの攻防が始まった。

 

爆「うおらぁぁぁ!」

 

《スペシャルチューン!》

 

爆豪がビートクローザーにロックフルボトルを挿しこみ、グリップエンドを3回引っ張る。

 

《ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!》

 

爆「死ねぇぇぇぇ!」

 

《メガスラッシュ!》

 

蒼炎が纏われた刀身がエボルに叩きつけられる。

 

それにエボルも大きく怯んだ。

 

エ「うぉっ!これはちょっとやるしかないかなぁ、、」

 

エボルが爆豪のとは違うドラゴンのエボルボトルを取り出す。

 

そしてそれをエボルドライバーのコブラエボルボトルと取り替えた。

 

《ドラゴン!ライダーシステム!エボリューション!》

 

爆「なにぃ?」

 

《Are you ready?》

 

《ドラゴン! ドラゴン! エボルドラゴン!》

《フッハッハッハッハッハッハ!》

 

エ「フェーズ2、、完了」

 

エボルはフェーズ2に変身し、爆豪のクローズと瓜二つの姿になった。

 

爆「がっ!、、、なんでお前はベルトも似てるそれも似てるなんだよぉぉぉ!」

 

爆豪が激怒しながらエボルに向かって走る。

 

しかしそれよりも早く轟が前に出た。

 

轟「はぁぁ!」

 

エ「おっと!」

 

ガギィィン!!

 

轟のガシャコンソードをエボルは即座に出したビートクローザーで受け止める。

 

そしてそのまま鍔迫り合いが始まった。

 

エ「隙を突いた攻撃だったがまだまだだなぁ?」

 

轟「フッ、、それはどうかな!」

 

轟は瞬時にガシャコンソードのBボタンを3回押した。

 

ピキピキピキピキピキピキ!

 

エ「なんだと!」

 

ガシャコンソードの刀身に触れていたビートクローザーの刀身が凍っていく。

 

そして氷はエボルの腕にまで到達し、右腕を完全に凍らせた。

 

轟「はぁぁぁぁぁ!」

 

ガギィィィィ!

 

轟はそのままガシャコンソードを振り下ろし、エボルに直撃させた。

 

エ「ぐぁぁ!くそっ!右腕が動かない!」

 

エボルの右腕の氷は砕けず、完全に動きを封じられた。

 

エ「はっ!しかし!お前らなぞ左腕で十分!」

 

そう言って轟達の方に向かおうとした時。

 

エ「あれ?」

 

エボルの足が動かない。

 

エ「もしかして、、、」

 

エボルがそーっと足元を見てみると両足がガッチリと氷で固定されていた。

 

エ「なぁんだってぇぇぇ!」

 

轟「爆豪!今だ!トドメ行くぞ!」

 

爆「オレに指図するんじゃねぇ!」

 

轟はホルダーにタドルクエストのガシャットを挿しこみ、爆豪はベルトのハンドルを回転させた。

 

《タドル!クリティカルストライク!》

 

《Ready GO!ドラゴニック!フィニッシュ!》

 

轟「はぁぁ!」

 

爆「くたばれぇぇぇぇ!」

 

エ「おい!ちょっと!嘘だr」

 

ドガァァァァァン!!

 

2人のライダーキックがエボルに綺麗に決まる。

 

そして2人は変身を解除した。

 

そして爆煙の中からエボルの正体が現れた。

 

爆「ったく、なんでお前がここにいるんだよ」

 

轟「理由を聞かせてもらおうか?、、佐竹」

 

善「へへ、、ちょっとね、」

 

爆煙が晴れ、そこから出てきたのはエボルドライバーを巻いた善彦だった。

両手足にはギャングオルカが着けていたのと同じような重りが着けられている。

 

善彦は寮に戻ったあの日、マイク先生から連絡が入り、仮免講習の手伝いを敵役として出てくれと頼まれていたのだ。

 

善「やっぱり、、、仮免講習の手伝いなんで断ればよかった、、、」

 

フラァ〜〜、、

 

善彦はそのまま倒れ、気絶してしまった。

 

爆・轟「あ、、、」

 

そして善彦は再び入院することとなり、その日これで爆豪と轟の仮免講習も終わった。




次はオリジナル回です。
敵連合を出します。


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敵連合 変身

オリジナル回です


善「なぁぁぁぁい!」

 

学校が休みの日曜日、寮内に善彦の悲鳴が轟いた。

 

上「どうした!佐竹!」

 

切「ないってどうした!」

 

耳「ちょっとうるさいんだけど」

 

善彦の悲鳴に1-Aが善彦の部屋に集まる。

 

善彦の部屋に真っ先に上鳴が入った。

 

上「えっ、、、佐竹?」

 

上鳴が目にしたのは段ボール箱の前で両膝をつき、涙を滝のように流している善彦の姿であった。

 

善「あぁ、、上鳴きゅん、、みんな、、、あぁぁぁぁあぁ〜」

 

善彦が床に顔を伏せ泣き始める。

 

それに上鳴は戸惑う事しか出来なかった。

 

上「どうしたんだよ、おい?泣き止んでくれ?な?」

 

上鳴が善彦の背中をさすり落ち着かせる。

 

落ち着きを取り戻した善彦は上鳴に小さな声で言った。

 

善「無くしちゃった、、、」

 

上「え?」

 

善「お気に入りだったネビュラスチームガンとキバット無くしちゃったぁぁぁぁあ!」

 

善彦はそう叫ぶと再び床に顔を伏せ泣き叫んだ。

 

上「え?ねびゅら、、なに?」

 

善彦の叫びに1-A全員がポカンとしてその場から動けなかった。

 

 

 

所は変わって敵連合アジトの廃屋、死柄木弔達は今後の活動について話し合っていた。

 

スピナー「これからどうするんだ?黒霧が捕まっちまって移動手段も無くなっちまったぞ」

 

荼毘「無くなったってわけじゃねぇだろ、しかしこの先どう動くかは考えなきゃだなぁ?えぇ?」

 

荼毘が死柄木の方を向く。

 

すると死柄木はゆっくりと口を開いた。

 

死柄木「まぁ、そうだな、大体やる事やったし、あまり動くこともないだろうな」

 

そう言うと死柄木は座っていた椅子にもたれかかる。

 

その様子を見てスピナーはため息をついた。

 

ス「なんだよ、結局やる事なしか」

 

スピナーが壁に寄りかかると何かで遊んでいる渡我とトゥワイスとMr.コンプレスが視界に入った。

 

ス「おい、お前らなに遊んでんだ」

 

スピナーがトゥワイスの持っている銃を指さす。

 

それは善彦が八斎會宅で落としたネビュラスチームガンだった。

 

渡「え!これですね!すごい面白いんですよ!トゥワイス!もう一回やってです!」

 

ト「めんどくせぇな!OKやるやる!見てろよぉ!」

 

トゥワイスがネビュラスチームガンの銃口を地面に向ける。

 

Mr「人間瞬間移動マジック!」

 

渡「タネもシカケもありませーん!」

 

ト「いくぜっ!」

 

バシュゥゥゥゥ!

 

トゥワイスがネビュラスチームガンの引き金を引くと銃口から煙が出てくる。

煙はトゥワイスの体を包み込み、スピナーの視界を遮る。

 

ス「うわっ!おい!なにやってんだ!」

 

スピナーが煙をバサバサと手で仰ぐとそこにトゥワイスの姿は無かった。

 

ス「あれ、、?トゥワイスのやろうどこに、、」

 

スピナーがキョロキョロと辺りを見渡してもトゥワイスはいない。

 

ト「ここにいるぜー」

 

死・荼・ス「!!」

 

三人が声をした方を見ると、トゥワイスは廃屋から離れた木の陰から顔を出していた。

 

ス「なんだ、、1、2秒くらいの間でここからあそこまで移動したのか?ここからあそこの木まで20メートルはあるぞ!」

 

ト「はいはいここからも見逃すなよ〜」

 

驚くスピナーをよそにトゥワイスが再び引き金を引く。

するとトゥワイスの体が再び煙に包まれ、木の陰から姿を消した。

 

ス「うおっ!今度はどこに、、」

 

ト「後ろだよん!」

 

ス「うわぁぁぁぁ!」

 

先程まで木の陰にいたトゥワイスがスピナーの後ろに立ち、スピナーの背中をポンと叩いた。

 

死「騒がしいぞお前ら、トゥワイスどこで拾ったそのおもちゃ」

 

死柄木がそう言うと、「貸してみろ」と手を前に出す。

 

ト「この前八斎會んとこ行った時拾ってな!それすげぇんだぜ、引き金引いたら行ったことのある場所にワープ出来るんだってよ」

 

トゥワイスはネビュラスチームガンを死柄木に渡す。

そして続けてネビュラスチームガンに貼ってあった善彦のメモを死柄木に見せた。

 

死「ふぅん、、なるほどな、、お前ら、これと一緒になんかボトルみたいなの拾わなかったか?」

 

メモを読んだ死柄木が渡我達の方を向いて問いかける。

 

渡「ボトル?」

 

Mr「もしかして、コレかい?」

 

Mrコンプレスが死柄木に二本のボトルを渡す。

すると死柄木は不気味にニヤリと笑った。

 

死「おう、これだこれだ」

 

死柄木はそれを受け取るとそのうち一本を荼毘に渡す。

 

荼「おい、なんだこれ?」

 

死「お前もこのメモを読め、試したいことがある」

 

荼毘はそう言われるとめんどくさそうにメモに目を通す。

 

そして死柄木と共に椅子から立ち上がった。

 

荼「コレに書いてある通りにやるんだな?分かったからそれ貸せ」

 

死「おう」

 

荼毘が死柄木からネビュラスチームガンを受け取る。

 

そして荼毘は気だるそうにネビュラスチームガンにギアエンジンを差し込んだ。

 

《ギアエンジン!》

 

《ファンキー!》

 

荼毘がネビュラスチームガンを上に向かって撃つ。

 

するとドス黒い煙がネビュラスチームガンから発射された。

荼毘はギアエンジンを抜き、ネビュラスチームガンを死柄木に渡す。

 

死「フッ」

 

死柄木は少し楽しそうにネビュラスチームガンにギアリモコンを差し込んだ。

 

《ギアリモコン!》

 

《ファンキー!》

 

死柄木は荼毘と違い、体の真正面に向かって引き金を引いた。

 

荼・死「潤動」

 

二人の体が黒い煙に包まれる。

そして青と白の歯車のエネルギーが二人の体に装着され、変身を完了させた。

 

《リモートコントロールギア!》

 

《エンジンランニングギア!》

 

死柄木はリモコンブロス、荼毘はエンジンブロスに変身した。

 

渡「お、おおおおー!変身したー!」

 

ト「その機能知ってたぜ!なんだそれ!」

 

変身した二人を見てトゥワイスと渡我が興奮する。

 

荼「おぉ、、本当に変身できるとはな、、」

 

死「これで黒霧のゲートの埋め合わせも出来たし、戦力も上がって一石二鳥だな」

 

変身ができることを確認した二人は変身を解除する。

 

渡「あー、その姿写真撮りたかったのにー」

 

渡我がスマホを片手に頰を膨らませる。

 

ト「ん?トガちゃんそのスマホについてるストラップなんだそれ?」

 

トゥワイスが渡我のスマホにぶら下がっているコウモリのストラップを指さす。

 

渡「あぁ、これですか?これもその銃拾った場所に落ちてたんですよカァイイから持って来ちゃいました」

 

渡我がストラップに頬ずりしながら話す。

 

ス「どうでもいいがストラップがスマホと同じ大きさなのは気にならないか?」

 

渡「全然気になりませんよ、ねー?」

 

渡我がストラップに向かって話しかけた。

 

「いや、そこは気にしろよ」

 

突然声が聞こえる。

 

渡「? トゥワイス?なんか言いました?」

 

ト「いや、オレは何も?」

 

渡「じゃあMr?」

 

Mr「オレでもないよ?」

 

渡「えー?じゃあ誰ですか?」

 

渡我が首を傾げると再び声が聞こえた。

 

「俺だよ、俺!」

 

声の主に気がついたのはスピナーだった。

 

ス「おい!トガ!そのストラップ喋ってるぞ!」

 

渡「えぇ!」

 

渡我が慌ててストラップを見ると、そのストラップが再び喋り出す。

 

「ようやく気がついてくれたか、お嬢ちゃん」

 

渡「えー!コウモリさん喋れたんですか!」

 

キ「コウモリさんじゃねぇ、俺の名はキバットバット3世だ」

 

渡「キバットって言うんですか!カァイイです〜!」

 

名前を聞いた渡我がキバットに頬ずりをする。

 

キバットは少ししつこそうな顔をしていた。

 

キ「おぉ、そうだ、、これからよろしくな、、」

 

ス「命を宿したストラップとはな、、なんちゅう仲間ができたんだか、、」

 

死「邪魔にならなければいい」

 

死柄木がネビュラスチームガンを片手に廃屋の外に出る。

 

荼「おい、どこに行くつもりだ」

 

死「やることが出来た、お前らも行くぞ」

 

その言葉に敵連合全員が反応する。

 

死「全員行くんだな、それじゃあ」

 

キ「キバッて!いくぜっ!」

 

死柄木の言葉をキバットが遮る。

 

死「邪魔をするな、、まぁいい、行くぞ」

 

こうして、新たな力を手にした敵連合が動き出した。




次は文化祭回です


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一致団結文化祭

モンストとヒロアカのコラボめちゃくちゃエンジョイしてます


芦「見て見てー見ててー!」

 

授業間の休み時間、芦戸がストレッチを始める。

 

善「?」

 

タッタッタッタタッ

 

善彦が言われた通りに芦戸の方を見ると、芦戸がステップを踏み始める。

 

タンッ!

 

ステップからの体に捻りを加えたジャンプ。

 

そして床に着地すると、肩を軸にし体全体を回してブレイクダンスを披露した。

 

芦「ブレイキン!ブレイキン!」

 

青「彼女ダンスが趣味なんだよね★」

 

善「おぉー!すっげー!」

 

峰「下穿くならスカート脱げよなぁ!」

 

ダンスを見ている三人の後ろで緑谷がヒーローノートを開く。

 

緑「芦戸さんは身体の使い方がダンス由来なんだよねなんというか、、全ての挙動に全身を使う感じだ、」

 

善「すげぇよねー、ダンスって戦闘で結構役立つしいいよねー」

 

芦「え!そうなの!」

 

ダンスをしながら芦戸が善彦の言葉に食いつく。

 

善「そうともよ、アメリカには『バレリーナと喧嘩するな』って言葉があるんだから」

 

芦「私バレリーナじゃないけどね」

 

そう言いながら芦戸はバレリーナのように片足を上げ、クルクルと回っている。

 

麗「それってどういう意味?」

 

善「有名な空手家が言った言葉なんだけどね、ダンサーってリズム感に優れているし、体が柔らかくてバネが発達してるからスピードがある、さらに瞬間的な判断力に長けているからバレリーナとかダンサーが喧嘩すると天下一品だって言うんだよ」

 

麗「ふぇ〜〜物知り〜」

 

緑「なるほど、、、僕もやってみようかな」

 

上「教えてもらえば?」

 

芦「オーケーボオオイ!レッツダンスィ!」

 

緑「あっ!ええとお願いします!」

 

こうして善彦の目の前でダンスレッスンが始まった。

 

麗「佐竹くんはやらへんの?」

 

善「自分はファイトスタイル"喧嘩殺法"なんで」

 

上「"デス・レオパルド"直伝の?」

 

善「そーよ」

 

善彦は机に頬杖をつくと大きなあくびをした。

 

上「いやー、それにしてもよぉ、砂藤のスイーツとかもそうだけどさ、ヒーロー活動にそのまま活きる趣味は良いよな!強い!」

 

善「確かにねぇ趣味といえばさぁ、ねぇ、」

 

善彦が後ろを振り向くと、そこには耳郎が立っていた。

 

上「そう!趣味といえば耳郎のも凄ぇよな」

 

上鳴がぴょんと耳郎に近づいた。

 

耳「ちょっ、やめてよ」

 

上「あの部屋楽器屋みてーだったもんなぁ」

 

善「ありゃ趣味の域超えてらぁーぜー」

 

耳「もぉ!やめてってば!部屋王忘れてくんない!?」

 

上「いや、ありゃプロの部屋だね‼︎なんつーか正直かっ、、」

 

ビシッ!

 

上鳴が全て言い切る前に、耳郎のイヤホンジャックが上鳴に向けられた。

 

耳「マジで!」

 

善「あら、、、」

 

耳郎はイヤホンジャックを引っ込めると、赤面しながら自分の席に戻って行った。

 

上「何で、、?」

 

上鳴はオロオロしながら善彦の肩を揺する。

 

そして教室にチャイムが鳴り響いた。

 

相「文化祭があります」

 

「ガッポォォォォォイ!」

※学校っぽいの略

 

相澤先生の言葉に1-Aのテンションが上がった。

 

「文化祭!」

 

「ガッポイの来ました‼︎」

 

「何するか決めよー!」

 

相「決まりとして1クラス1つ出し物をせにゃならん、今日はそれを決めてもらう」

 

相澤先生が寝袋にスッポリ入ると、飯田と八百万が前に出た。

 

飯「ここからはA組委員長飯田天哉が進行をつとめさせて頂きます!スムーズにまとめられるよう頑張ります!まず候補を挙げていこう!希望のある者は挙手を!」

 

飯田が挙手を求めた直後、1-Aのハイハイの挙手の嵐が巻き起こった。

 

飯「ぐっ、、なんという変わり身の早さだ、、ええい!必ずまとめてやる!」

 

飯「上鳴くん!」

 

上「メイド喫茶にしようぜ!」

 

飯「メイド、、奉仕か、悪くない!」

 

峰「ぬるいわ!上鳴!」

 

峰田が上鳴に続いて挙手する。

 

飯「峰田くん!」

 

峰「おっぱb」 ドガッ!

 

峰「カハッ、、」

 

峰田が言い切る前に、善彦が最近購入したコレクションの一つリュウソウケンの峰で峰田の首筋を叩き、峰田を気絶させた。

 

善「峰田きゅん、それはいけねぇぜ」

 

女子達が善彦に静かに親指を立て、グッジョブのサインを送った。

 

飯「佐竹くんは何かあるかい?」

 

善「えー、、、1-A全員で変身してみせるとかは?」

 

善彦がリュウソウケンをハンカチで磨きながら言った。

 

飯「なるほど、、変身パフォーマンスか、良いかもしれない!」

 

飯田が善彦の案を黒板に書く。

 

そして1-A全員から一通りの提案が出揃った。

 

腕ずもう大会、ビックリハウス、暗黒学徒の宴、etc。

 

さまざまな案が出たが、皆自分の意見を通そうとギャーギャーと騒ぎ始める。

 

飯「静かに!静かにぃ!」

 

八「まとまりませんでしたわね、、」

 

ここで授業終了のチャイムか鳴る。

 

結局意見はまとまらなかった。

 

相「実に非合理的な会だったな」

 

相澤先生が寝袋を小脇に抱えて教室を出て行く。

 

相「明日の朝までに決めておけ、決まらなかった場合、、公開座学にする」

 

相澤先生がマジの目をしながら1-Aに言い放つと、そのまま教室を出て行った。

 

善「公開座学、、」

 

上「ありゃマジでやる目だったな、、」

 

善「こりゃあ今晩マジで決めなきゃねぇ、」

 

善彦が椅子に寄りかかると、善彦の前に申し訳なさそうな顔をした緑谷が立つ。

 

緑「佐竹くん、、今日も補習あるって、、」

 

善「あっ、、!」

 

その言葉を聞いて善彦の顔が真っ青になる。

 

善「そうだ、、インターンに行ってた自分らは補習あるんだった、、」

 

善彦はしょんぼりすると上鳴の肩に手を置く。

 

善「上鳴きゅん、、みんなで決めておくり、、」

 

上「了解したぜ」

 

上鳴は善彦に親指を立てた。

 

善「じゃあ、、よろしくね、」

 

善彦はそのまま緑谷達と一緒に補習に向かった。




次回も文化祭回です


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結成!バンド隊!

文化祭回2です


切「終わったな、、、」

 

善「あぁ、、終わったよ、、、」

 

切島と善彦は1-Aの寮の前で涙ぐんでいる。

 

切「インターン終わってから数週間、、長い戦いだった、、」

 

善「耐えたんだ、、自分らは耐えたんだね、、、」

 

善彦は体を切島に寄せ、切島は善彦の肩を抱き、補習を終えた喜びを分かち合っている。

 

麗「二人とも補習終わっただけで大げさやねー」

 

蛙「早く入りましょ、皆が待ってるわ」

 

麗日と蛙吹が二人の隣をトコトコと通る。

 

緑「切島くん、佐竹くん、入ろっか」

 

善「了解」

 

善彦と切島も寮の中に入り、共同スペースの扉を開けた。

 

切「うーす」

 

善「補習ようやく穴埋まりましたー!」

 

麗「本格参加するよー!」

 

善彦達はA組の出し物が生演奏とダンスによるパリピ空間の提供ということは知っていた。

 

今からバンドのメンバーを決めるところらしい。

ドラムは爆豪、キーボードは八百万、ベースは耳郎に決まっていた。

 

善「えぇ〜、爆豪さんがドラム〜?」

 

爆「あぁん!文句あんのかポンコツバイクゥ!」

 

善「い〜えナッシングで〜す」

 

耳「あとギターが二本欲しいんだけど、、」

 

上「やりてー!楽器弾けるとかカッケー!」

 

峰「やらせろ!」

 

ギターのメンバーに上鳴と峰田が前にでた。

 

爆「やりてぇじゃねぇんだよ!殺る気あんのか!」

 

上「あるある超ある!」

 

上鳴と峰田がギターを肩にかける。

 

上「ギターこそバンドの華だろィ!」

 

峰「、、、、」

 

上鳴はギターをちゃんと持ててるが、峰田は身長の問題で持てなかった。

 

峰「キャラデザのせいで手が届かねぇよ!」

 

峰田がギターを諦め、部屋の隅でいじける。

 

善「、、、、、ちょっと失礼」

 

善彦は一言かけると共同スペースから出て行った。

 

上「ん?どしたんだあいつ?」

 

耳「まいったなぁ〜あと一人どうしよう、、」

 

耳郎が頭を抱えていると、常闇がギターに歩み寄る。

 

常(俺は一度Fコードで手放した身、、こんな俺がやっていいものだろうか、、いや、ここは俺が!)

 

常闇が覚悟を決め、ギターを掴んだ時。

 

ギュイーーーン!

 

常「!!?」

 

上「うぉっ!」

 

耳「なに!」

 

突然共同スペースにギターの音が鳴り響く。

 

皆が音の聞こえた共同スペースの扉に注目する。

そこには音撃弦・烈雷を構えた善彦が立っていた。

 

耳「佐竹、、あんた、、」

 

善「ご刮目!」

 

ピックを構えた善彦は烈雷で轟鬼の曲を弾き鳴らす。

 

その姿に皆は唖然としていた。

 

そして善彦は曲を弾き終える。

 

善彦がチラリと皆の方を向くと、すぐ目の前に険しい顔をした耳郎が腕を組んで立っていた。

 

善「どわぁぁ!近っ!」

 

耳「あんたなんで黙ってたの?」

 

善「へ?」

 

ガシッ!

 

善彦の顔が耳郎に掴まれる。

 

耳「あんたギター上手いじゃない!なんで今の今まで黙ってたんだよぉぉぉ!」

 

善「いやだって、、この前カラオケ行った時耳郎さんのギター聞いた時、、自分より上手かったもんですから言い出しづらくて、、」

 

葉「すごーい!めちゃくちゃカッコよかったよ!何このギター!」

 

葉隠が烈雷に食いつく。

 

善「あぁ、このギターも仮面ライダーの武器の一つでしてね、剣にもギターにもなるスグレモノなんですよ、ハナシテ、ジロウサン」

 

耳郎はずっと善彦の顔を掴んでいる。

 

すると耳郎はある事に気がついた。

 

耳「そういえばアンタそのギター、アンプ繋いでないの?」

 

耳がパッと善彦の顔を離し、烈雷を指差す。

 

善「アンプ?あー、烈雷は無くても結構響くヤツみたいですね」

 

善彦が頬をスリスリとさすりながら説明する。

 

すると耳郎がズイと善彦に顔を近づけた。

 

耳「アンタこのギターもう一本ある?」

 

善「ありますよー、烈雷は二本持ちなんです」

 

善彦がそう言うと、上鳴のテンションが上がる。

 

上「マジ!貸して貸してー!」

 

善「はいよ、今取りに行くからね」

 

善彦がセカセカと烈雷を取りに行く。

 

耳「よし、これでギターは大丈夫かな」

 

常「、、、、」

 

その様子を常闇はなんとも言えない表情で見ていた。

 

善「持ってきたよ〜」

 

廊下から善彦の声が聞こえる。

 

上「おっ!来たかー!」

 

上鳴が烈雷を取ろうと善彦を迎えに行った瞬間。

 

プピーーーー!

 

上「うわぁ!」

 

突然トランペットの音が響いた。

 

善「えへへ、ビックリした?」

 

善彦がひょっこりと音撃管・烈風を持って現れた。

 

上「ビックリしたぁ〜、お前トランペットも吹けるのかよ」

 

善「えへへへへ、これもライダー武器でね、バンドのアクセントにどうかなって思ってさ、持ってきた」

 

上鳴に烈雷を渡すと「いいかな?」と確認を取るように耳郎を見る。

 

耳「う〜ん、、いいんじゃないかな!いいアクセントになると思うよ!」

 

耳郎は善彦に親指を立てる。

 

善「よかった〜あとコレ、ライダーの武器じゃないんですけど、、」

 

善彦がゴソゴソと懐を漁り、ニンジャミセンを耳郎に見せる。

 

耳「えっ!三味線!」

 

善「和ロックなんてどうでしょうか、、」

 

ベベン!

 

善彦がニンジャミセンを鳴らす。

 

芦「和ロック和ロック!カッケー!」

 

瀬「というかどんだけ楽器弾けるんだよ、、」

 

耳「採用!」

 

善「あざーす!」

 

ベベン!

 

峰「佐竹おめぇめっちゃ楽器ヤることになるな」

 

善「覚悟の上よ」ベンッ

 

上「いちいち三味線を鳴らさんでよい」

 

八「それで、肝心のボーカルはどうしましょうか、、」

 

麗「へ?うたは耳郎ちゃんじゃないの?」

 

麗日が耳郎の方を見て言った。

 

耳「いや、まだ全然、、」

 

峰「ボーカルならオイラがやる!モテる!」

 

青「ミラーボール兼ボーカルはそうこの僕★」

 

切「オウ!楽器はできねーけど歌なら自信あんぜ!」

 

善「いや、絶対に耳郎さんでしょ」

 

三人の主張を無視し、善彦は耳郎を推した。

 

峰「なにぃぃぃ!コラァ!」

 

耳「えぇ!ちょっと佐竹!」

 

葉「私も耳郎ちゃんだと思うんだよ!前に部屋で楽器教えてくれた時歌もすっごくカッコよかったんだから!」

 

上「俺も耳郎推しだな!カラオケでも90点台めちゃくちゃとってたしな!」

 

耳「ちょっと二人も!ハードル上げないでよ!」

 

善「耳郎さん、ここは一つ、一曲お願いします」

 

善彦がスタンドマイクを耳郎の前に持ってくる。

 

耳「佐竹ぇもさぁ〜」

 

耳郎がしぶしぶマイクを持つ。

 

そして耳郎が一曲歌って見せた。

 

その歌声に1-A全員が聞き惚れ、耳郎に拍手を送る。

 

芦「耳が幸せー!」

 

善「だべ!すげぇんだよ耳郎さんは!」

 

葉「セクシーハスキーボイス!」

 

飯「満場一致で決定だ!」

 

耳「うぅ、、よろしくお願いします、、」

 

耳郎が赤面しながらイヤホンジャックをいじる。

 

善「てことでバンド隊けってーい!」

 

上「バンド名はスパークエレキッズなんてどうだ!」

 

爆「俺」

 

善「激奏戦隊なんてのは!」

 

八「A組全員で臨むという意味を込めて、Aバンドというのは、、」

 

耳「それだ!」

 

こうしてバンド隊は「Aバンド」と名付けられ、長い夜が終わった。

 




次回も文化祭回です


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つまずいちゃった!バンド隊!

文化祭回その3です


耳「、、、、、、」

 

上「、、、、、、」ソワソワ、、

 

八「、、、、、、」

 

爆「、、、、、、」イライライライラ

 

芦「う〜〜〜〜〜む、、」

 

善「あー、、、、」

 

バンド隊のメンバーが決まった次の日の土曜日、練習するはずのバンド隊は曲決めに頭を抱えていた。

かれこれ二時間弱沈黙が続いている。

 

 

バンッ!

 

爆「なぁんで俺の選曲がダメなんだよ!頭おかしいのかてめぇらこらぁ!」

 

爆豪が床を強く叩き叫ぶ。

 

上「だってそんなこと言ったってお前の選曲エゲツない歌詞ばっかなんだもんよぉ〜、音で殺るって言ったってなぁ」

 

微妙な顔をして上鳴が言う。

 

芦「しかもデスメタルだし、それに合わせて踊るなんて無理だし」

 

芦戸も上鳴に続く。

 

爆「ぐぅぅ、、クソが!アホ面の選曲も歌詞バカだせぇクセによぉぉぉぉ、、」

 

上「なっ!ダサくねぇだろ!お前の感性がおかしいんだろ!」

 

善「いや、正直ダサいっす、歌詞だって夢を掴むとか翼広げてとかそんなんばっかだし」

 

上「いやちょっと待てってダサくないよ」

 

善「二曲目なんて翼広げて夢を掴むぜとかついに合体しちゃってるし」

 

上「合体ってなんだよ!イイだろ別に!」

 

耳「しかも上鳴の選んだバンド一ヶ月前に解散してるし」

 

上「えぇ〜、ザ・マッドサタンがぁ〜」

 

芦「ロックで踊りたいけどあの曲はダサい、夢をトゥメって言ってるし」

 

上「それは言わないでおくれよ、、、、」

 

上鳴が皆からボロクソ言われ、体を縮こませる。

 

耳「ウチの選んだ曲は一ヶ月で覚えられるか不安だし、、上鳴がド素人とは思わなかったし、、」

 

上「ぐっ、、、」グサッ

 

耳郎の言葉が上鳴に突き刺さる。

 

八「私はロックなどの曲は疎いので皆様に従いますけれども、、曲の方が全く決まりませんね、、」

 

善「自分の選曲はライダー主題歌かスーパー戦隊のOPですからねぇ、、みんなが元ネタわかってないと盛り上がるかどうか、、」

 

善彦がそう言って天を仰ぐと、耳郎がある事を思い出す。

 

耳「でもさ佐竹、ライダー主題歌の中でもイイ曲めっちゃあったじゃん」

 

上「そー!そー!この前カラオケで歌ったアレ!えーと確か、、えにっしんぐ、、ナンタラ」

 

善「Anything Goes ね」

 

上「それだ」

 

耳「元ネタなんて知らなくてイイんだよ、皆が楽しんでくれればさ!演奏も比較的しやすいだろうし、佐竹のライダー主題歌コレクション!持ってきて!」

 

善「え?曲はライダー主題歌?いいの?」

 

耳「いいの!早く持ってくる!」

 

困惑している善彦の背中をバンと叩き、耳郎が催促する。

 

善「りょーかーい!」

 

善彦は耳郎の言われた通り、自分の部屋からライダー主題歌のCDとラジカセを持ってきた。

 

耳「サンキュー、じゃあこの中から曲をいくつか選んでそれを演奏しよう」

 

耳郎がCDをゴソゴソとあさり、CDを選ぶ。

 

上「だいたいはカラオケで聞いたヤツだからな、だいたい覚えてる」

 

上鳴も耳郎と一緒に曲を選ぶ。

 

芦「ん?何これ?」

 

散らばったCDの中から芦戸が一枚手に取る。

 

芦「ニンニンジャー主題歌CD、、」

 

善「あ!混じっちゃったか、スーパー戦隊のCD」

 

善彦が芦戸からCDを取ろうとするが、芦戸はCDのパッケージを凝視している。

 

芦「ねー佐竹、このみんなで踊ろうってヤツなに?」

 

善「あっ、なんじゃモンじゃニンジャ祭り、、」

 

芦「これって振り付けあるの?」

 

善「ありますよ、面白いですよ結構」

 

と善彦が話すと芦戸が善彦の方を向く。

 

芦「ちょっと踊ってみてよ、ココで」

 

善「ん?」

 

芦戸の一言に善彦は硬直する。

 

善「ココで?」

 

芦「ココで」

 

善「いま?」

 

芦「今」

 

善彦がサッとポケットからスマホを取り出す。

 

善「しろーとの踊りよりプロの踊りを見たほうがいいでしょう」

 

善彦がそう言いながら検索するが、何故かなんじゃモンじゃニンジャ祭りのダンス動画がヒットしない。

 

善「、、、、、、」

 

芦「子供の踊る振り付けだろうけどさ、私がアレンジしてみるからさ!観念して踊ってみて!」

 

善「うぅ、、、」

 

善彦は赤面しながらCDをラジカセにセットし、深呼吸をして立った。

 

上「ガンバレ〜佐竹〜」

 

耳「ここにはウチらしかいないから、全力でやれ〜」

 

善「他人事だとおもって、、、」

 

爆「サッサとやれ、オラ始めるぞ」

 

カチッ

 

爆豪も芦戸側についてラジカセのボタンを押した。

 

《ヨォ〜〜!ひぃふぅみぃよぉいつ!でジャジャジャジャーン!》

 

善(ええぃ!ままよ!)

 

善彦は覚悟を決めてポーズを決めた。

 

〜数分後〜

 

善「終わりましたよ」

 

善彦が顔に手を当てながらCDをラジカセから抜く。

 

芦「お疲れ〜佐竹〜、なるほどなるほど、あそこの部分をアレンジしてあれをこーすれば、、」

 

芦戸が善彦のダンスを見て改良点を考える。

 

耳「おつかれさん、それじゃあウチらは曲の練習しよっか!」

 

耳郎が善彦の肩を叩き、烈雷を渡す。

 

善「了解、それじゃあやりますか」

 

耳「よっし!曲は決まった!ウチらはひたすら!」

 

爆「殺る気で練習ぅぅぅ!」

 

ダカシャーン!

 

爆豪のドラムの音が響く。

 

この日から本格的にAバンドの練習が始まった。

 




次も文化祭回です。

ヒロアカモンストコラボ轟だけが出なかった、、(泣)


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絶対阻止

文化祭回その4です

小説書いてる時は仮面ライダーの待機音を聞きながらやってます、1番集中できます。


曲が決まり1週間後、善彦達は練習が終わり共同スペースで休んでいた。

 

爆「てめぇ走ってんだよ!俺に続けや!」

 

上「いや、お前が勝手にアレンジすっから混乱すンだよ」

 

善「いやはやでも皆成長しやしたねぇ〜」

 

八「耳郎さんご指導も本職さながらですわ、素人の上鳴さんが1週間でコード進行まで辿り着くなんて」

 

八百万は台所で紅茶を入れている。

 

耳「別にそんな、、ってか今日のお茶良い香り」

 

善「ホントだ」

 

それを聞いた瞬間八百万の表情がパァっと明るくなる。

 

八「わかりますの!?お母様から仕送りで戴いた幻の紅茶 "ゴールドティップスインペリアル"ですの!皆さん召し上がって下さいまし!」

 

善「おー、マボロシだってさ、緑谷きゅんも頂きなよ」

 

善彦がくるっと緑谷の方を向くと、緑谷は取り憑かれた様にスマホを見てブツブツと呟いていた。

 

緑「アイテムつきオールマイト、、アイテムつきオールマイト、、僕としたことがそんなレアマイトを知らないなんて不覚も不覚、、」

 

善「マボロシに食いつけぃ!」

 

ビシッ!

 

善彦が緑谷の頭に軽くチョップすると、緑谷が何かの動画をタップしてしまった。

 

緑「あっしまっ、、」

 

緑谷のスマホの画面に紅茶が映し出される。

 

「諸君は、いつ・どんな時に紅茶を飲む?」

 

善「んだこの動画?」

 

善彦もその動画に食いつく。

 

「私は必ず仕事の前と後、仕事の大きさによってブランドを選ぶ、そしてこのお茶は高級紅茶ロイヤルフラッシュ、つまりどういうことかおわかりか?」

 

善彦と緑谷は二人して首を傾げる。

 

そして紅茶のカップしか映ってなかった画面から、男の顔が見える。

 

「次に出す動画、諸君だけでなく社会全体に警鐘を鳴らすことになる、心して待っていただきたい!」

 

ここで動画が終わった。

 

緑「この人、、」

 

善「ジェントル・クリミナルじゃん」

 

緑「え!?知ってるの!」

 

緑谷が驚きながら善彦の方を向いた。

 

善「結構見てるよ動画、最初の画面紅茶だけだったからわかんなかったけど」

 

緑「僕はなんとなくしか知らないけど、、」

 

善「なかなかおっかないですねぇ、次は何する気なんでしょうか」

 

善彦はそう言うと、紅茶をクイっと飲んだ。

 

緑「どこの特命係?」

 

 

そしてとうとう文化祭本番前日、1-Aは体育館で最終確認をしていた。

 

善「これでオーケーですかね」

 

八「緊張して参りました」

 

耳「本番で変なアドリブしないでね?」

 

耳郎が爆豪と上鳴の方を見て注意した。

 

爆「あ?」

 

耳「混乱しちゃう奴いるから」

 

上「言い方トゲあンな!」

 

これであとはもう寝て起きたら朝の9時から文化祭が始まる。

 

PM11:35

 

上「寝れねー!」

 

芦「静かに!寝てる人もいるから」

 

飯「皆盛り上がってくれるだろうか」

 

飯田がソファに座り不安そうに言うと、耳郎が隣に座る。

 

耳「そういうのはもう考えないほうがいいよ、恥ずかしがったりおっかなびっくりやんのが1番良くない、舞台に上がったらもう後は楽しむ!」

 

上「おまえめっちゃ照れ照れだったじゃねぇか!」

 

耳「あれはまた違う話でしょ」

 

善「ほんと、、、楽しむだけ、、アトは楽し、、む、、ウゲロロロロロロロロ!」

 

善彦がビニール袋に勢いよく吐いた。

 

上「わー!佐竹の緊張ゲロ吐き症候群が再発したー!」

 

耳「うーわ!すっかり忘れてた!もぅ〜治ったと思ったのにぃ!大丈夫?」

 

耳郎と上鳴が善彦に駆け寄る。

 

耳郎が善彦の背中をさするが、善彦は前にしゃがんだ上鳴の手に目が止まった。

 

善「ねぇ、上鳴くん?その手、、」

 

上鳴の両手はボロボロになっており、指には絆創膏が沢山貼られていた。

 

上「あぁ、これ?気づいたら練習の後指から血ぃ出てること結構あってさ、大丈夫!本番には影響しねぇよ!」

 

上鳴は明るい笑顔でそう言った。

 

善「上鳴くん、、」

 

その光景を緑谷は微笑みながら見ていた。

 

緑「あっ、ロープがほつれてる」

 

青「ワオ★ずっと練習で酷使してたもんね」

 

緑「僕、朝イチで買ってくるよ、朝練もあるしついでに買いたいものもあるし」

 

善「じゃあ自分に乗りなんし」

 

上「いやいや俺ら10時からだぞ」

 

善「近くのホームセンターは朝8時からやってる、自分のスピードなら5分とかからない」

 

耳「けっこーギリじゃん」

 

善「ダイジョビダイジョビ」

 

芦「そろそろガチで寝なきゃ」

 

切「そんじゃ!また明日やると思うけど、夜更かし組!一足お先に!」

 

切・上「絶対成功させるぞ!」

 

「オーー!」

 

そして文化祭当日、善彦と緑谷は買い出しに行っていた。

 

AM8:25

 

ブゥゥゥゥゥン!

 

緑「意外と売ってないもんだなぁ、コンビニにも無いし、、」

 

善「つーぎはどこ行けばいいの!早くしないと始まるぞぃ!」

 

バイクに変身している善彦は猛スピードで走っている。

 

緑「えーと、、次はねぇ、、」

 

緑谷が考えながら走っていると目の前に歩行者が出てきた。

 

緑「うわ危ない!」

 

キキー!

 

緑谷は即座にブレーキをかけて歩行者の直前で止まった。

 

善「すいません!大丈夫ですか!」

 

「気をつけたまえよ」

 

善彦達の前に現れたのはサングラスにマスクをした男と女児くらいの背丈の女の子の二人組だった。

 

緑「ぶつかってないようですね、よかった、、」

 

「ゴールドティップスインペリアルの余韻が損なわれるところだったじゃァないか」

 

ジ(ビックリしたぁぁぁぁ)

 

男女の正体は変装したジェントル・クリミナルとパートナーのラブラバだった。

 

ジ「さぁ、行こうラ、、、ハニー」

 

ラ「ハニー!!?ええ私はハニー!」

 

ジェントルとラブラバはそそくさと二人から離れようとする。

 

緑谷と善彦はジェントルが出てきた店の方を見る。

 

緑「あの家喫茶店かなんかなのかな、、わかんないや」

 

善「ゴールドティップスインペリアルって言ってなかった?マボロシだよマボロシ」

 

ジ「!!」バッ!

 

今の会話に反応してジェントルが咄嗟に振り向く。

 

ラ「ジェントル!?」

 

ジ「ゴールドティップスインペリアルが"なにか"知らなければその発想に至らぬワケだが、、君わかる人間かね!?幼いのに素晴らしい!」

 

善(ん?この声、、、)

 

善彦が聞き覚えのある声に違和感を感じる。

 

緑「あの、、僕はそんなに、、友だちが淹れてくれたから知ってただけで、、」

 

ジ「ホホウ、そんな高貴な友が、、いい友人を持っているね」

 

ラ(高貴な友、、エリート校、、あっ!あの子達雄英の!)

 

善「いやー、あの紅茶いいですよねぇ〜ほかの紅茶とは違う香りが格別で」

 

ジ「なっ!」

 

ラ「いつのまに!」

 

ジェントルとラブラバの背後には変身を解除した善彦が立っていた。

 

そして目の前には緑谷が立っている。ジェントル達を挟み込む形になった。

 

善「仕事の大きさによってブランドを選ぶ、、そーゆーことね、、自分知ってるんですよ、けっこー動画見てるんで、チャンネル登録はしてないけど」

 

ジ「い、、一体なんのことかね、、?」

 

ジェントルはそっとサングラスに手を伸ばす。

 

緑「ルーティーンってやつですよね、、?」

 

緑谷は買い物袋を地面に置くとビルドドライバーを腰に巻き、フルボトルを取り出す。

 

《ラビット!タンク!ベストマッチ!》

 

それと同時に善彦もガシャットを取り出し、起動させる。

 

《爆走バイク!》

 

二人には同じ考えが頭によぎっていた。

 

『警報がなれば即中止、、』

 

ジ「ラブラバ、カメラを回せ」

 

ジェントルはマスクとサングラスを外した。

 

緑(もう、、やめてくれよ!) 「雄英に、、」

 

善「手ェ出すな!」

 

緑・善「変身!」

 

AM8:32 A組出し物まであと 1時間28分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回ジェントルvs緑谷、善彦です


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それゆけベストマッチ!

文化祭回その5です

就活生ナウ ^_^バカつれぇ♫


《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ! 》

 

《爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク! 》

 

二人は変身するとジェントル達を挟み込んだ。

 

ジ「察しの良い少年だ」

 

緑(土曜、朝、人通りナシ、、)

 

善(雄英近辺にヒーロー事務所はほぼ無し、、自分らでケリをつけるしかない!)

 

ジ「ラブラバ!予定変更だ!これより、何があろうともカメラを止めるな!」

 

ジェントルが着ていたコートをグッと掴む。

 

ラ「もちろんよジェントル!でもでも!たたかうの!?ここで!?果たして得策なのかしら‼︎?」

 

バサァッ!

 

ラブラバがカメラを構えるとジェントルがコートを投げ捨てる。

 

ジ「諸君‼︎これより始まる怪傑浪漫!目眩からず見届けよ私は救世たる義賊の紳士!ジェントル・クリミナル!」

 

緑「んん?」

 

善「わ、生撮影」

 

ジ「予定がズレた!只今いつもの窮地にて手短に行こう!今回は!『雄英!入ってみた!』」

 

善「俗っぽ!」

 

緑「そんなことさせない!」

 

緑谷が勢いよくジェントルに突っ込む。

 

善「ダメだ!緑谷くん!」

 

善彦が緑谷を止めたが、遅かった。

 

ビチィッ!

 

緑「なっ!」

 

緑谷が透明な壁にぶつかり、動きが止まる。

 

緑谷のぶつかった壁は柔らかく、弾力のある感触だった。

 

ジ「外套脱衣のついでに"張らせて"もらった、リスナーならば承知のハズだが?もっともバイクのボウヤは気づいていたようだが、、」

 

善「ジェントルの個性は、、」

 

ジ「"弾性" 触れたものに弾性を付与する、たとえそれが空気だろうと!」

 

 

《ジェントリーリバウンド》

 

ジ「暴力的解決は好みじゃない」

 

BOING!

 

緑「うわぁぁぁ!」

 

突っ込んできた緑谷は空気の壁に勢いよく弾き飛ばされた。

 

ジ「、、、、、、」

 

ラ「エグイくらい暴力的よジェントル、、」

 

ジ「私も驚きと混乱の最中さラブラバ」

 

ジェントルは颯爽とその場から走り去ろうとする。

 

ジ「すなわちそれ程のスピードとパワー!見かけによらず恐ろしい!申し訳ない少年!私は征く!」

 

善「謝るくれぇなら来んな!」

 

善彦がジェントルに飛びかかる。

 

ジ「そいつはできぬ相談!」

 

するとジェントルが地面に手を置いた。

 

《ジェントリートランポリン》

 

バィィィィン!

 

善「わはーー!生ジェントルの技ー!」

 

善彦は弾性の付いた地面に跳ね飛ばされ、宙を舞った。

 

ジ「学生のころは私も行事に勤しんだよ、、君も懸ける想いがあるのだろうが私のヒゲと魂に及びはしない、、、この案件は伝説への大いなる一歩!邪魔はしないでもらいたい!」

 

善「、、、、、、」

 

ジ「さらば青春の煌きよ‼︎」

 

ジェントルは地面のトランポリンを使い跳躍すると、空中に空気の膜を作り、飛んで行った。

 

善「緑谷くん聞いたかね?ヒゲと魂に及ばないだとさ、、言ってくれるよねぇ、、」

 

善彦は空中で緑谷に話しかける。

 

緑谷は地面から起き上がると、フルボトルを取り出した。

 

緑「ふざけるな、、、、」

 

《タカ!ガトリング!ベストマッチ!》

 

善「サッサと片付ける!」

 

《ジェットコンバット!》

 

善「行くゾォ!」

 

緑「おう!」

 

《天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!》

 

《ぶっ飛び!ジェット!ドゥ・ザ・スカイ!フライ!ハイ!スカイ!ジェットコンバット!》

 

二人は飛行できるフォームに変身すると

ジェントルを追いかけ始めた。

 

ジ「追ってこない、、巻いたかな?」

 

バシュゥゥゥゥゥ、、

 

ラ「バシュゥ?」

 

チラッ

 

二人が後ろを向くと、善彦と緑谷が飛んで追いかけて来ていた。

 

ジ「飛んできてるーー!」

 

ラ「忘れてたわ!佐竹善彦は空を飛べるんだった!体育祭でみたわ!」

 

善「よぉぉし、、自分のガトリングは周りの民家に被害が及ぶかもしれないから緑谷くん頼むよ!」

 

緑「任せて、、、」

 

善彦の隣には右手でデコピンの構えをとった緑谷がいる。

 

緑「ジェントル・クリミナル!」

 

ジ「!?」

 

ジェントルが振り向いた瞬間、緑谷がデコピンを放った。

 

ボッ!

 

緑「デラウェアスマッシュ!エアフォース!」

 

ズドォォン!

 

緑谷の手から空気砲が放たれる。

空気砲はジェントルの背中に叩きつけられた。

 

緑「っしゃあ!」

 

ジ「空気砲だとぉ‼︎?」

 

ジェントルは突然の事に体をよろめかせるが、即座に足場を作り飛んだ。

 

ジ「しかし止めるに如かず!私は!めげっ!ない!」

 

善「ならばめげるまで攻撃あるのみ!緑谷くん!次は左手のガトリングの方でアレ撃ってみて!」

 

緑「え?うん、わかった!」

 

緑谷は言われた通り左手でエアフォースを撃つ。

 

ズドドドド!

 

すると中指一本で撃ったはずの空気弾がガトリング弾のように細かい弾になって飛んで行った。

 

ジ「いぃだだだだだだ!」

 

ジェントルの背中に全弾命中する。

 

善「やっぱり、ボトルの力が付与されてる!いろんなボトルでたたみ掛けよう!」

 

緑「わかった!」

 

緑谷はフルボトルを手に取ると、ベルトのボトルと付け替えた。

 

《ローズ!ヘリコプター!ベストマッチ!》

 

緑「ビルドアップ!」

 

《情熱の扇風機! ローズコプター! イェーイ!》

 

ラ「また新しいのに変わった!」

 

緑「くらえ!ローズエアフォース!」

 

緑谷はローズの手でエアフォースを放つとまたもやジェントルに命中する。

 

ジ「ぐわぁぁ!薔薇の!芳醇な!香りがぁぁ!痛いけど!悪く、、ない、、」

 

ラ「薔薇の花びらも散ってて綺麗よ!ジェントル!」

 

善「茨の力が付与されるわけじゃないんだね、、次行こう!」

 

緑「わかった!」

 

《フェニックス!ロボット!ベストマッチ!》

 

緑「ビルドアップ!」

 

《不死身の兵器! フェニックスロボ! イェーイ!》

 

緑「フェニックスゥゥ!エアフォース!」

 

ドガァッ!

 

フェニックスの手から放たれた空気砲は不死鳥の炎が乗せられていた。

 

ラ「ジェントル火の玉!」

 

ジ「これは避けねばぁ!」

 

ジェントルは火の玉を紙一重で避ける。

 

しかし避けた瞬間、善彦がジェントルに向かって突っ込んで行った。

 

ジ「うぉぉおおお!」

 

善「なめんじゃないっすよ!懸ける想いは全員同じなんですからねぇ!」

 

ジ「そいつは失敬!」

 

善彦はジェントルとともに工事現場に突っ込んで行った。

 

緑「佐竹くん!」

 

緑谷は腕を振り、空気弾に着いた炎を消すと善彦を追いかけて行った。

 

ラ「ジェントル!」

 

ラブラバも急いでジェントルを追いかける。

 

「事件のかほりがするぜぇ、、薔薇のかほりもなぁ、、」※ジジイ

 

善「くっそ、、工事現場に突っ込んじゃった、、」

 

善彦は気づくと鉄骨だらけの場所に立っていた。

 

ジ「まさしくこれは不測の事態」

 

善「そこか!」

 

善彦がガシャコンスパローを取り出す。

 

善彦の視界に映ったジェントルは鉄骨に引っかかってプランプランと揺られていた。

 

善「なにやってんの?ジェントルおじさん、、」

 

その姿に善彦は思わずスパローを下げる。

 

ジ「だが私は必ず企画を成功させる!その覚悟がある!紳士は動じたりしないのさ!」

 

善「諦める気は毛頭ナシか、、」

 

《ス・パーン》

 

善彦はスパローを鎌モードにする。

 

ジ「そう!私はジェントル・クリミナ」

 

善「くたばれぇぇぇ!」

 

善彦は鎌を振りかぶるとジェントルに襲いかかった。

 

ジ「ルゥゥゥゥ!」

 

バイン!

 

善「あらっ!」

 

ジェントルが飛んで逃げ、善彦の鎌が空振りする。

 

ジ「紅茶の余韻が残る間に!眠ってもらおう雄英生!」

 

善「なんの!スパローブーメラン!」

 

善彦がガシャコンスパローの一本をジェントルに向かって投げる。

 

バインッ!

 

ジェントルは鉄骨に弾性を付与し、弾んで逃げた。

 

スパローの一本も跳ね返り、善彦の足元に刺さる。

 

善「仮面ライダーレーザーの動体視力舐めんなよ!」

 

《ズ・ドーン!》

 

ガシャコンスパローを弓モードに変えた善彦はジェントルの動きを予測して発射する。

 

バシュッ!

 

しかし発射されたエネルギーの矢は空中で跳ね回る。

 

BOING!BOING!

 

善「えぇ!これは、、予測できな、、」

 

ガギン!ガギン!

 

善「うがぁ!」

 

跳ね返った矢が善彦にぶつかる。

 

ジ「エネルギーの矢か、、それならば空気の膜でお返ししよう」

 

ラ「ジェントル!悲しいけれどもうここは退いた方が!」

 

追いついたラブラバが叫ぶ。

 

ジ「いいや、ラブラバまだだ」

 

善「こんにゃろ!まてぇ!」

 

善彦がジェントルに飛びつこうとした瞬間、ジェントルが鉄骨に着地した。

 

ジ「おっと、君は私の話を聞かねばならないよ」

 

善「?」

 

ジ「私の"個性"私の意思では解除できない、徐々に元の質へと戻っていくんだ、、尋常ではない弾みを残しながら硬さを取り戻していく鉄骨、そして今私が立っているココのボルトを全て外した」

 

善「なにぃ!」

 

善彦が急いで下を見ると、いつのまにか下の方にはジジイが立って善彦達を見ていた。

 

ジ「このままだと鉄骨が崩れてしまうぞ、実に危険だ」

 

ジェントルは鉄骨から別の鉄骨に飛び移る。

 

ジ「君は雄英生、崩れる鉄骨を無視できない」

 

バキィィイィン、、

 

善「しまった!」(ジェットコンバットのガトリングで壊すか!?でもそれだと弾が跳ね返って近くの家に当たる!受け止めるしか方法はない!間に合えぇぇ!)

 

ガシン!

 

善彦が走って鉄骨を受け止めようとした瞬間、鉄骨が空中で止まった。

 

善「あれ?、、なんだ?」

 

緑「ギリギリセーフみたいだね」

 

緑谷が追いつき、フェニックスロボのロボットアームで落ちてきた鉄骨を掴み、止めたのだ。

 

「おぉぉ、きっと山場じゃ、こわやこわや」

 

ジジイは危機を感じて逃げて行った。

 

緑「下の人に落とそうとしたのか、、」

 

ジ「いいや?君らを巻きたかった、元より落ちないよう跳ね返すつもりだったからね」

 

ジェントルはすでに工事用クレーンに弾性を付与し、しならせて飛んで逃げようとしていた。

 

善「逃すかぁ!」

 

ジ「逃げるぞ!」

 

バヒュ!

 

緑「しまった!」

 

ジェントルはクレーンのしなりを使って飛んで行った。

 

緑「佐竹くんパス!」

 

緑谷はロボットアームで掴んでいた鉄骨を善彦に投げ渡すと、ドライバーのハンドルを回す。

 

善「わぁぁ!なに!あっ!おもっ、、」

 

緑「はぁぁぁぁ!」

 

《Ready Go! ボルテック フィニッシュ!》

 

緑谷はロボットアームを前に出し、デコピンのようにアームの爪を構える。

 

《イェーイ!》

 

緑「くらえぇ!ロボットエアフォース!」

 

ボガァン!

 

緑谷のロボットアームから空気砲が発射される。

 

ジ「しぶとい!」

 

ジェントルは空中で空気砲を避ける。

 

ラ「ジェントル、、あの子達も決して諦めはしないのね、、」

 

ラブラバは覚悟を決めた顔で言った。

 

ラ「使いましょう、私の"個性"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次がラストです。


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何の為に

ようやく時間ができました


上「そろそろだなー!ソワソワしてきた!」

 

八「明鏡止水、落ちつきましょう上鳴さん」

 

AM 8:45

 

1-Aの寮では皆衣装に着替え、出番を待っていた。

 

轟「緑谷がいねェな」

 

上「あっ!そうなんだよ!佐竹もいねんだ!」

 

思い出した上鳴が轟に続く。

 

青「ロープを買いに行ったさ☆」

 

轟「佐竹も一緒なら早く帰ってこれるだろ?こんな時間まで何してんだあいつら」

 

青「確かに☆」

 

文化祭スタートまであと15分

 

善「よっこらしょっ」

 

ガラァァン

 

善彦が持っていた鉄骨を置くと、緑谷が善彦の隣に着地しようとする。

 

バインッ

 

緑「うわっ!」

 

緑谷が空気膜に少し跳ねられた。

 

善「あ、あったんだ空気膜」

 

緑「危ないな、人来ても異常に気付くように」

 

緑谷が空気膜の上にナットやボルトをソッと置く。

 

善「、、、あっ!」

 

空気膜に物を置く姿を見て善彦が気づいた。

 

緑「えっ!何!」

 

善「緑谷くん!あのボトル持ってる!?」

 

その時ジェントル達は、雄英付近の森に着いていた。

 

ジ「できれば君の"個性"は退却の時まで取っておきたいが!」

 

ラ「でもでも!このままじゃ失敗濃厚よ!」

 

ジ「それもわかっている!タイムアタックだからな、致し方あるまい頼んだぞラブラバ」

 

ジェントル達が着地すると、ジェントルの頭に何か落ちる。

 

ジ「なんだ、、?」

 

ラ「雨?」

 

ジェントル達の周りに雨が降ってきた。

 

ジ「天気雨か?」

 

ジェントルが空をキョロキョロと見回すと、先程自分達が飛んできた方向から、二つの影が見えた。

 

ジ「まさか、、いや速!」

 

善彦と緑谷がジェントル達に向かって飛んでいく。

 

緑谷の姿はフェニックスロボとは違う姿になっていた。

 

《天駆けるビッグウェーブ! クジラジェット! イエーイ!》

 

緑「いくぞぉ!」

 

緑谷が右手を前に出すと、手のひらに大きな水の塊が溜まっていく。

 

そして溜まった水をジェントル達の周りに撒き散らした。

 

ジ「何をしているんだ、、」

 

雨の正体がわかったが行動の意味がわからない。

 

ラ「あっ!ジェントル見て!」

 

何かに気付いたラブラバがジェントルの袖を引っ張り、空中を指差す。

 

ラブラバに言われた通り空中を見回すと、ジェントルは行動の意味がわかった。

 

ジ「な、、空気膜が、、見える、?」

 

空中を移動する為に作った空気膜が水に濡れ、水滴で空気膜が見えていた。

 

善「空気の膜ができるってことはそこに物ができるという事、水滴つけて見やすくすればドコにナニがあるのかがわかる」

 

緑「見えた空気膜のルートを見ればドコに注意すればいいかわかる!」

 

緑谷が右手でデコピンの構えを作る。

 

折り曲げた中指の辺りに水の玉も生成されていた。

 

緑「スマァァッシュ!」

 

水を纏ったエアフォースがジェントルに向かって発射された。

 

ジ「小癪な!」

 

ジェントルが自分の目の前に空気膜を作り盾にする。

 

がその直後降って来た雨により空気膜がくっきりと見えた。

 

善「ちょっと斜めに膜作ってるよ、しかも2つ」

 

緑「了解!」

 

善彦が伝えると、緑谷が指をクイっと曲げる。

 

するとエアフォースは空気膜をヒョイとよけ、ジェントルに叩きつけられた。

 

バシャァァ!

 

ジ「ぐはっあ!」

 

ジ(何故、、曲がっ、、て、、)

 

ジェントルがエアフォースを腹にまともに喰らい、大きくよろめいた。

 

ラ「ジェントル!」

 

ラブラバがジェントルに駆け寄った瞬間、二人の体が緑谷に抑えつけられ地面に伏せられた。

 

ジ(ピクリとも動けん、、!)

 

善「クジラジェットは水を自由に操れる、エアフォースに水を纏わせたのは空気膜を避けるためだったんだ」

 

緑谷の後ろから善彦が解説しながら出てきた。

 

緑「女の子も抵抗しないで、もう諦めてくれ」

 

緑谷がそう言うと、ラブラバがズリズリと首を動かしジェントルの方を向く。

 

緑「警察に引き渡します、これからすぐに」

 

ラ「愛してるわ、ジェントル」

 

緑谷の言葉をラブラバが遮った。

 

緑谷は何も思わなかったが、善彦は気づいた。

 

善(そういえば、ラブラバはジェントルが危機に陥ったとき、いつも"愛してる"とか言うよな、、その後はカットされて逃げ切ってたり、ヒーローが倒れてたり、、まさかラブラバの個性は!)

 

善彦がラブラバの個性に気づき、緑谷に伝えようとした瞬間。

 

ブワッ!

 

緑「な、、なんだ?急に力が強く」

 

ジェントルの体からモヤが出てくる。

そして地面からグググと起き上がってきた。

 

ジ「悪いな少年よ」

 

そう言うとジェントルとラブラバが緑谷の視界から消える。

 

ジ「力づくで解決するのは好みじゃないから」

 

ドガッ!

 

善「ウワッ!」

 

緑「えっ!」

 

善彦の体が近くの木に叩きつけられ、善彦の変身が解除される。

 

次の瞬間、緑谷の体も衝撃と共に吹き飛ばされ、変身が解除されてしまった。

 

ジ「こういうところは、いつもカットしているんだ」

 

善「やっぱり、、ラブラバの個性はジェントルを強化するヤツか、、」

 

ジ「その通り、、」

 

ラブラバを胸に抱いたジェントルが善彦に歩み寄ってくる。

 

そして善彦の目の前にしゃがむと、手刀の形をとる。

 

善「マズいな、、結構ダメージでけぇや、、」

 

ジ「しばらく眠っていてくれたまえ」

 

ジェントルが善彦に手刀を振り下ろす。

 

ラ「ごめんね佐竹善彦くん、必ず最後に愛は勝つのよ」

 

ラブラバが善彦から目を逸らした。

 

カシュッ!

 

ジ「?」

 

ピタッ、、

 

突然聞こえた炭酸の音にジェントルの手刀が止まる。

 

音の聞こえた後ろを向くと、そこには大きな缶を持った緑谷が立っていた。

 

緑「もっと、、強くて速い人と、、たくさん戦ってきた、、、」

 

緑谷は持っていた缶を構えると、ジェントルを真っ直ぐと見る。

 

緑「まだ負けて無いぞ!」

 

《ラビットタンクスパークリング!》

 

ラビットタンクスパークリングをベルトに挿し込むと、ハンドルを回す。

 

《Are you ready?》

 

緑「変身!」

 

《シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング!》

 

《イエイ! イエーイ!》

 

変身を完了した緑谷は、肩で息をしながらジェントルと対峙した。

 

マ「Good Moorrrnin!ヘイガイズ!準備はここまでいよいよだ!今日は一日無礼講!学年学科は忘れてハシャげ!そんじゃ皆さんご唱和下さい!雄英文化祭!開催!」

 

AM 9:00

 

プレゼント・マイクの放送が辺りに響く。

とうとう文化祭が始まった。

 

早く決着を決めないとお互いにマズい。

 

緑「はぁっ!」

 

緑谷が先に動き、右拳を繰り出すがよけられる。

 

ジ「ありえんぞ少年!」

 

緑「頼むから!止まってくれ!」

 

ジェントルから離れたラブラバが地面に手をつき、泣きながら叫ぶ。

 

ラ「ジェントルごめんなさいごめんなさい!愛が!足りなかった!」

 

ジ「君の想いが足りないなど、誰が証明できよう!」

 

ジェントルが両手を上にあげると、勢いよく振り下ろす。

 

《ジェントリー・サンドイッチ》

 

緑「いっ!」

 

幾重にも重ねられた空気膜と地面に緑谷の体が挟まれた。

 

ジ「サンドイッチは薄い程上品とされる食べ物である、幾重にも重ねるのは好みじゃない、、しかしそれでも成し遂げたい、中年の淡い夢だ」

 

ジェントルが悲しそうな顔で語る、が次の瞬間ジェントルの顔が豹変する。

 

ジ「歴史に!後世に!名を残す!この先いつも誰かが!私の生き様に想いを馳せ憧憬する、この夢もはや私1人のモノではない!今日は偉業への第一歩、諦めろと言われて諦められる程軽くはない!」

 

ジェントルが手刀を構えた。

 

ジ「君も雄英生なら夢に焦がれるこの想い!おわかりいただけよう!」

 

善「じゃがぁしぃぃぃ!」

 

《爆走!クリティカルストライク!》

 

ジ「なにっ!」

 

ドガァァァァァ!

 

善彦のライダーキックがジェントルに紙一重で避けられ、地面に直撃する。

 

地面に当たったおかげで地面が大きくえぐれる、緑谷を空気膜と挟んでいた地面もえぐれ、緑谷が脱出できた。

 

そして緑谷がジェントルに飛びかかる。

 

緑「なんで!そこまでわかってて何で文化祭だ!何で雄英の想いを踏みにじれるんだ!」

 

緑谷の蹴りをジェントルは避ける。

 

ジ「それはもうそういうもんだろ!」

 

ジェントルが手を前に出し、空気膜を張ろうとする。

 

しかしその瞬間。

 

《ズ・ドーン!》

 

ジ「なにっ!」

 

空気膜を出そうとした瞬間、善彦のガシャコンスパローの矢がジェントルの腕に刺さり、阻止された。

 

そしてすかさず緑谷が襲いかかる。

 

緑「夢の為ならっ!人の頑張りも!そこに懸ける情熱も!笑い方も知らない女の子の笑顔も奪えるのか!」

 

ジ「それが!夢を叶えるということだ!」

 

ジェントルも緑谷に向かう。

 

互いの拳がぶつかり合った。

 

善「ラビタンスパークリングの緑谷くんとやり合ってる、、」

 

ジェントルは周りに空気膜を張り、縦横無尽に跳ね回りながら緑谷と戦っていた。

 

ジ「芯が無いと嘲笑うがいい!それでも結構!私は!」

 

ジェントルが拳を突き出す。

 

それを緑谷は掌で受け止めた。

 

緑「笑わないよ、ジェントル・クリミナル」

 

突き出された拳を握りしめながら緑谷は言った。

 

その瞬間、ジェントルの体から吹き出ていたモヤが増えた。

 

ラ「勝って!ジェントル!」

 

ラブラバの声に答えるようにジェントルの力が強くなっていく。

 

緑(ち、、力が強く、、!)

 

ジェントルと取っ組み合いになり、緑谷が押されている。

 

片膝が地面に着きそうになった瞬間、緑谷の両手に黒い手が重ねられた。

 

緑「あ、、佐竹、、くん、、!」

 

善「ぜってぇ負けるな緑谷くん!」

 

善彦が緑谷の手に手を重ね、力を貸す。

 

片膝を着きそうになっていた緑谷は立ち上がる事ができた。

 

それを見てジェントルは二人に問いかける。

 

ジ「君は、、君達は、、何の為にヒーローを志す!」

 

緑「同じだジェントル、僕だけの夢じゃない!身の丈に合わない夢を!心の底で諦めてしまってた夢を!笑わないでいてくれた!認めてくれた皆に!応えたい!辛い思いをしてきた人に!明るい未来を示せる人間になりたい!」

 

緑谷のジェントルを押す力が強くなる。

 

善「カラッポだった自分に!大切な物を入れてくれた皆に恩を返したい!何もなかった自分が得られた力を使って希望を与えたい!」

 

善彦の力も強くなる。

 

善・緑「うぉおおおおおおお!」

 

二人は力を振り絞り、ジェントルを押し返した。

 

しかしジェントルは足元に空気膜を作り、二人に飛びかかる。

 

ジ「まだ!これまで戦ってきた方々には及ばんかね!?」

 

ジェントルはすれ違いざまに二人に蹴りを喰らわせる。

 

木に弾性を付与し、空気膜を作り、飛び回る。

 

ジ「恥も外聞も流儀も捨てて!君らを断つ!それが君達という人間への礼儀だ!」

 

勢いを充分につけたジェントルが二人に襲いかかる。

 

善(レーザーターボの力を集中させろ、、タイミングをはかれ!)

 

善彦は目に神経を集中させる。

するとジェントルの動きがハッキリと見えてきた。

 

善「今だぁぁぁ!」

 

ジェントルの動きが見えた善彦がジェントルの体を蹴り上げる。

 

ジ「なにぃ!」

 

ジェントルは突然空に放り出され、体勢が整っていない。

 

善「緑谷くん!行けぇぇ!」

 

緑「うおおおお!」

 

善彦の声と共に緑谷が飛び上がる。

 

そして緑谷はベルトのハンドルを回した。

 

《Ready Go!》

 

《スパークリングフィニッシュ!》

 

緑「スマァァァァァァッシュ!」

 

ジ「ぐぁぁぁぁぁぁ!」

 

緑谷のキックがジェントルに直撃する。

 

ジェントルの体はそのまま地面に叩きつけられた。

 

ジ「カハッ、、、、」

 

緑「これまで戦ってきた誰より、戦い辛かったよジェントル」

 

ジェントルから足を退かすと、緑谷は変身を解いた。

 

善彦も続いて変身を解く。

 

善「ホント、、そうだね、、」

 

善彦は変身解除すると、ジェントルに近づいた。

 

善「とにかく、早く警察に届け、、」

 

ポコッ!

 

善彦がジェントルの近くでしゃがんだ瞬間、善彦の顔が殴られた。

 

ラ「はぁ、、はぁ、、」

 

殴ってきたのは大粒の涙を流すラブラバだった。

 

ラ「ジェントルを、、放して!放して!嫌よ!ジェントルが心に決めた企画なの!大好きなティーブレイクも忘れて準備してきたの!放せ!何が明るい未来よ!希望よ!私の光はジェントルだけよ!ジェントルが私の全てよ!ジェントルを奪わないでよ!」

 

ラブラバはポカポカと善彦の顔を殴る。

 

善彦は何も言わず、殴られ続けた。

 

ラ「ジェントルと離れるくらいなら!死ぬ!」

 

緑「、、、、」

 

ラブラバが善彦を殴ることを緑谷は止められない。

 

ラブラバに気を取られていた時、緑谷に押さえつけられていたジェントルが動いた。

 

緑「え?」

 

バビュン!

 

緑谷が気づいた時、緑谷の体は宙に舞っていた。

 

善「えっ!緑谷く、、」

 

バインッ!

 

善彦の体もジェントルに跳ね飛ばされ、宙に舞う。

 

ジ「そのまま失せたまえ、、緑谷出久、佐竹善彦、、彼女の為に、彼女の明るい未来の為に」

 

ジェントルは起き上がり、ラブラバを抱き寄せる。

 

ジェントルの周りは、ハウンドドックとエクトプラズム数人に囲まれていた。

 

緑谷と善彦は森の外へ出された。

 

善「緑谷くん、、ジェントルもしかして、、」

 

緑「あぁ、多分そうだろう、、」

 

緑谷と善彦は向かい合い頷くと、ジェントルの元へ走った。

 

善「あっ!いた!」

 

善彦がジェントルを見つける。

ジェントルはハウンドドックとエクトプラズムに質問攻めされていた。

 

エ「ソノ怪我ハ!」

 

ハ「戦ったのか」

 

二人が善彦達のボロボロの体を見て反応する。

 

緑「雄英にイタズラしようとしてるのがわかって、少し揉めました」

 

善「けど、もう大丈夫です」

 

ハ「、、、、」

 

ハウンドドックは耳の無線機に指を当てると、こう告げた。

 

ハ「端迷惑な動画投稿者の出頭希望、、俺もわかりませんとりあえず現時点で緊急性はない、引き続き警戒を続けます」

 

ハウンドドックが報告を終えると、ジェントルを起こす。

 

ハ「詳しいことは警察署で話せ」

 

ハウンドドックとエクトプラズム数人がジェントルとラブラバを連れて行く。

 

ジ「そこの二人よ、、」

 

ジェントルが善彦達に話しかける。

 

ジ「私もかつてはヒーロー科にいた、ジェントル・クリミナルはヒーロー落伍の成れの果てだ、、、とても言えた義理ではないが君達の想い、届くといいな」

 

ジェントルはそう言うと、そのままハウンドドック達に連れられ去って行った。

 

エ「緑谷、オールマイトガ心配シテイタゾ」

 

善「あーりゃりゃ」

 

エ「A組10時カラダロウ今ガ9時16、、17分」

 

善「あぁぁぁりゃりゃぁぁ!?」

 

エ「マァ、ココカラナラ5〜6分デ学校ニ」

 

緑「先生あのすいません!買い出しの品あっちに置いてきちゃって!」

 

緑谷が大焦りでエクトプラズムに話す。

 

善「まって!緑谷きゅん!買い出しの品なら!」

 

善彦な俊敏にレーザーレベル2に変身する。

 

善「座席シート開いてみ?」

 

緑「え?」

 

緑谷が恐る恐るシートに手を伸ばすと、座席シートがパカっと開いた。

 

エ「オマエ原付ダッタノカ?」

 

エクトプラズムの質問を遮るように緑谷が叫んだ。

 

緑「あ"ー!買い物入ってるー!」

 

座席シートを開いたらそこにはレジ袋と買い物の品が入っていた。

 

善「もしかしてのことを考えて入れといた!」

 

緑(体どうなってんの超怖い!)

 

エ「大丈夫ソウダナ早ク行ッテコイ」

 

緑「はい!失礼します!」

 

緑谷は善彦にまたがると、颯爽とその場を去っていった。

 

エ「リカバリーガールニ怪我治シテ貰エヨ〜」

 

エクトプラズムは緑谷達を手を振りながら見送った。

 

AM 9:25

 

相「は?緑谷と佐竹が?」

 

相澤先生は飯田に緑谷と善彦がいないことを告げられキョトンとしていた。

 

瀬「買い出し1つで何してんだあいつら!」

 

1-Aのブーイングが起こった時、激しいエンジン音が皆の耳に届いた。

 

ブォーンブォンブォンブォンブォン!キキーーッ!

 

麗「あー!デクくんきたー!」

 

緑谷がドリフトで善彦を止め、皆の元に到着した。

 

緑「ごめんみんな!」

 

善「おまたせやっしゃー!」

 

善彦も変身解除して駆け寄る。

 

耳「遅いバカタレ!準備して!」

 

耳郎が怒鳴りながらクラスTシャツを善彦に投げる。

 

善「うっすー!」

 

善彦はTシャツを受け取ると、ササっと着替える。

 

上「いくぜ佐竹!オレ達のステージだぁ!」

 

着替え終わった善彦は、上鳴から烈雷を投げ渡される。

 

耳「遅れてきたから練習時間無いよ!行ける?」

 

耳郎が腕組みしながら聞く。

 

善「問題、、無し!」

 

善彦が耳郎に親指を立てると、耳郎はフフっと笑う。

 

爆「てめぇらなにほっこりしてんだ!ポンコツバイク!何が問題無しだ脳味噌ポンコツかこらぁ!」

 

ここで爆豪の怒号が善彦に飛ぶ。

 

善「さーせぇぇん、、、」

 

耳「ほらほらいいから準備準備!」

 

耳郎が手をパンパンと叩き催促する。

 

ようやく1-Aの出番が来た。

 

AM 9:59

 

雄英体育館のステージ前は、沢山の人で埋め尽くされていた。

 

ステージの垂れ幕の裏でAバンドが待機している。

 

観客の声が聞こえて来た。

 

「お、お、始まるぞ!」

 

「きたー!」

 

「ヤオヨロズー!」

 

「バイクトリオー!」

 

AM 10:00

 

ブーーという音と共に垂れ幕が開かれ、Aバンドにライトが当てられた。

 

耳郎がマイクの前で深呼吸をする。

 

そして爆豪の声が体育館に響いた。

 

爆「いくぞコラァァァ!」

 

《雄英全員!音で殺るぞ!》

 

爆豪がドラムを叩くと同時に爆炎を上げる。

 

それに続いて皆が演奏を始めた。

 

上鳴と善彦のギター、八百万のキーボード、そして耳郎のベースが鳴り響く。

 

耳「よろしくお願いしまぁぁぁす!」

 

耳郎の声と共にダンス隊も前に出る。

 

長い時間かけて練習した演奏と息ピッタリのダンス隊のダンス、そしてそれらをさらに盛り上げる演出隊の演出。

 

全て練習以上の物が出来上がっている。

 

演奏しながら善彦は思い出していた。

 

転生前の自分の生活、何もなかった日々を、、

 

善(ここに転生したのは、こういうことだったんだな、、全部やり直すためにここに来たんだ、、つくづくありがたい、、そして、、これからもずっと!ここで!)

 

ここで演奏がギターソロに入る。

 

ここで善彦は演奏にアドリブでアレンジを加えた。

 

上鳴が一瞬、驚いた顔でこちらを見たが善彦の顔をみて上鳴もそれに付き合った。

 

善彦は、演奏しながら、泣きながら笑っていた。

 

本人はそれに気付いていない。

 

そして歓喜の声援の中で、Aバンドの演奏が終わった。

 

 




久しぶりで長くなりました、途中でデータ消える等の事故が起き、意識を少し朦朧とさせながら書いていたのでなんかグチャっとしてるかも知れません。お許し下さい(泣)

次は文化祭編ラストと言っておきながら文化祭編オリジナル回です。


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楽しむぜ文化祭 〜少しの狂乱を添えて〜

オリジナル回と言いながら小説ベースになってしまいました。
謝罪申し上げます。

金曜と土曜、ボクの学校でも文化祭をやりました
気付いたら結構エンジョイしてました


1-Aのライブが終わった後、クラスの皆は演出で使った轟の氷を片付けていた。

 

緑谷も峰田にどやされながら氷を片付けている。

 

緑「あれ?佐竹くんは?」

 

緑谷は辺りに善彦の姿が見えないことに疑問を抱く。

 

轟「あぁ、あいつならあそこにいるぞ」

 

轟が緑谷に善彦のいる方向を指差して教える。

 

指を指された方向をヒョコっと覗く緑谷、その光景に緑谷は目を疑った。

 

善「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」

 

上「おらおらぁ〜」

 

善彦は上鳴にロメロスペシャルを食らわされていた。

 

緑「え?え?なにあれ?なんで?なにやってんの?」

 

轟の方を見て緑谷は問いかけまくる。

 

轟「集合に遅れたことプラス曲を勝手にアレンジした罪でロメロスペシャルの刑なんだとよ」

 

耳「まぁったく悪い子だねぇ?ロメロスペシャルだけじゃ足りないよねぇ?」

 

ヒヒヒと笑いながら耳郎が善彦の隣に立つ。

 

善「お許しを、、お許しを、、」

 

善彦がか細い声で耳郎に訴える。

 

耳「やーだ!お仕置きだぁーー!」

 

耳郎はロメロスペシャルを決められて動けない善彦の脇腹をこちょこちょとくすぐってきた。

 

善「あ"ーーーーーー!むり!むりムリムリィ!タスケヒャヒャヒャ!ユルシあーー!」

 

善彦は上鳴と耳郎にいいように遊ばれていた。

 

耳「よーし!お仕置き終了!開放してよし!」

 

上「了解!」

 

耳郎が開放の許可を下ろすと、上鳴がロメロスペシャルを解く。

 

善「うぇ、、えぇ、、気持ちわる、、」

 

善彦はくすぐられ、関節をキメられ、グロッキーになっていた。

 

耳「さーて弱ってる暇ないよー!アンタの罪はまだ浄化しきってないんだから」

 

善彦が耳郎にグイっと引っ張り起こされる。

 

善「えぇ〜〜〜(泣)」

 

耳「一緒に出店回ってもらうよ!ちょっと奢れよな!」

 

善「そーゆーことならよかですけど、、」

 

耳「ヤオモモー!一緒に行こ!」

 

八「はいっ!耳郎さん!」

 

耳郎に呼ばれた八百万がプリプリとしたオーラを出しながら駆け寄ってくる。

 

善「あれ?上鳴くんは?」

 

上「あー、俺は芦戸達とお化け屋敷いってくるわ、耳郎行きたがらねーし、3人で行ってこいよ」

 

上鳴はそう言い残すと、お化け屋敷の方へ向かって行った。

 

善「ばいばーい」

 

善彦が八百万と耳郎に腕を引っ張られ、引きずられながら上鳴を見送った。

 

出店を回ってまず目についたのはセメントスカップのジュースだった。

 

耳「佐竹あれ買って買ってー!」

 

耳郎が子供のように善彦にジュースをねだる。

「はいはい」と言いながら善彦は3人分のジュースを購入し、2人に渡した。

 

耳「すっごいよくできてるね、このカップ!」

 

八「大人気ですわね」

 

周りを見回すとみなセメントスジュースを飲んでいた。

 

善「カップの完成度高いけど、、味はいかに、、」

 

善彦が真っ先にジュースをすする。

そして次の瞬間首を傾げた。

 

耳「ん?どした?」

 

善「飲んでみりんコレ」

 

善彦に言われた通り2人もジュースを飲む。

 

善「めちゃめちゃココナッツ」

 

中身はココナッツジュースだった。

 

耳「セメントス先生と全然カンケーない」

 

八「本当に」

 

善「セメントっぽい飲むヨーグルトだと思ってた」

 

そんなことを言いながら歩くが、皆ほんのり甘いジュースに満足していた。

 

人ごみを避け、3人は階段に腰掛ける。

 

耳郎はグイーッと背を伸ばし、息を吐く。

 

耳「初めはウチにできるかなって少し不安に思ったけど、、やってよかったな」

 

耳郎がふふっと微笑みながら言うと、八百万が言った。

 

八「私は、、、少し残念ですわ」

 

善「え?」

 

善彦が間の抜けた声をだす。

 

八「一度、歌う耳郎さんを前から観てみたかったんです。できれば最前列で」

 

耳「えぇ?」

 

耳郎が恥ずかしそうな顔をしながら耳のイヤホンジャックを指でくるくるといじる。

 

八「でも、ライトを浴びて歌う耳郎さんの後ろ姿もとてもカッコよかった、、、だから、結局最高でしたわ」

 

八百万がニコっと笑う。

 

耳「もうヤメテ」

 

耳郎は八百万に肩を預けた。

八百万もそれを受け止める。

 

善(百合の花が、、咲いている、、)

 

善彦はその様子を見ながら静かにジュースを飲んだ。

 

そして3人は再び出店を回る。

 

小腹が空いて何かいいものはないかと探していると、たこ焼き屋の屋台が見えた。

 

善「すいまっせーん、たこ焼き三つ、、ん?なにやってんの?」

 

たこ焼き屋の屋台にいたのは障子と砂藤だった。

 

砂「この屋台やってるクラスが留守になっちまってな、たまたま通りかかった俺たちが留守番を任されているんだ」

 

ヒョイヒョイと慣れた手つきで障子と砂藤はたこ焼きを焼く。

 

善「ほっへー、様になってるねぇたこ焼き三つ下さいな」

 

砂「あいよぉ!まいどあり!」

 

障「熱いから気を付けろ」

 

障子が複製腕で3つのたこ焼きを善彦達に渡した。

 

善「みんなで食べよー」

 

耳「おーー」

 

3人は再び人ごみのない階段に腰掛けてたこ焼きを頬張る。

 

耳「はふっ、あちっ、アチチ、、あっおいち、、」

 

八「ふふっ、おいちって♡可愛らしいですわ」

 

善「あついとおいしいが混ざったね、、」

 

善彦はたこ焼きを半分食べると、竹串を口に加えて懐をゴソゴソと探る。

 

耳「ん?アンタまさか、、」

 

懐を探る善彦を見て耳郎が何か察した。

 

善「イェース」

 

善彦が懐から出したのは、赤いキャップが輝く調味料、マヨネーズだった。

 

耳「アンタ砂藤にマヨネーズサービスしてもらったのにまだかけるの!?」

 

善彦のたこ焼きにかけられたマヨネーズは砂藤と障子のご厚意によって普通のたこ焼きにかける量より多くかけてもらっていた。

 

善「足りないモン」

 

善彦は赤いキャップを外すと、マヨネーズをたこ焼きにブチュブチュとかけた。

 

八「あ、忘れてましたわ私も」

 

八百万も善彦に続いてどこからかマヨネーズを取り出す。

 

耳「ヤオモモー!なんでだー!」

 

ツッコむ耳郎をよそに八百万もたこ焼きにマヨネーズをかける。

 

ソースと青のりに彩られていたたこ焼きが薄黄色のマヨネーズの色一色に染められてしまった。

 

善彦が満足そうにたこ焼きを一つ竹串で刺し、持ち上げる。

 

耳「たこ焼きじゃなくてもはやマヨ玉になってる、、」

 

引いている耳郎を気に留めず善彦はたこ焼き改めマヨ玉を口に運んだ。

 

善「うむ旨し、いと旨し」

 

八「あぁ、マヨネーズは本当に不思議な調味料ですわ、止めることかできません」

 

八百万もマヨ玉を幸せそうに頬張っている。

口の周りにマヨネーズがついていた。

 

耳「ヤオモモ、ついてる」

 

耳郎は八百万に付いていたマヨネーズを人差し指でチョイとすくいとると、その人差し指をペロっと舐めた。

 

八「ひゃあ!恥ずかしいですわ耳郎さん」

 

耳「ふふっ、マヨモモかーわい♡」

 

耳郎はニッコリと微笑んだ。

 

八「もー!からかわないでください!」

 

八百万が頬を赤くさせた。

 

善(百合の花 再び咲いた 美しや)

 

善彦 心の川柳

 

腹を満たした3人は辺りを散策する。

 

目の前でミニ遊園地のミニSLに乗っている飯田、轟、常闇、口田がいた。

 

飯「楽しいな!轟くん!」

 

轟「あぁ、でも狭ぇな」

 

結構体が大きい男達が小さいSLに乗っている光景はシュールだった。

 

耳「なんだあれ?」

 

善「さすが仮面ライダーアクセル兼トッキュウ2号、様になってるね」

 

耳「あ!そういやずっと聞きたかったんだけどさ!なんでウチの変身がトッキュウ3号なんだよ!」

 

耳郎が仮免試験の事を思い出して善彦に問いかける。

 

善「あー、トッキュウ3号の人格に最も近かったのが耳郎さんだったんですよ」

 

八「人格?」

 

善「適当に渡しているように見えてるかもだけど、その人の特徴、性格、長所や個性を考えて変身アイテムを渡してるつもりだからさ」

 

善彦は飯田と轟を見ながら行った。

 

飯田には個性のエンジンをフルに使えるであろうと予想したからアクセルのベルトを渡した。

轟には炎と氷をより自在に操れるであろうと予想したからゲーマドライバーとタドルクエストのガシャットを渡した。

 

飯田をトッキュウ2号にした理由は眼鏡と『飯田くんは青っぽいなー』という善彦の考えであり、轟のキョウリュウグリーンは『あのクールな性格はマッチするんじゃないかな?』というなかなかに浅さがある理由である。

 

耳「だからってウチの武器がハンマーて、女の子にハンマーて」

 

善「実際のトッキュウ3号も女でハンマー使ってるんでご了承ください」

 

善彦が耳郎に軽く頭を下げた。

 

八「私も変身したいですわ」

 

八百万が口に人差し指を当て、物欲しそうに善彦を見た。

 

善「機会があったらベルトなりアイテムなりを渡しますよ」

 

善彦がアハハと笑いながら歩いた。

 

3人はそのまま文化祭を満喫した。

各クラスの出し物に顔をだし、射的なり喫茶なりを楽しむ。

途中ライブを見ていた人に遭遇し、握手や写真撮影を求められた。

 

楽しい時間はあっという間に過ぎた。気づいたらもう空が暗くなり、終わりのチャイムが流れていた。

 

八「あぁ、終わってしまいましたわ」

 

耳「ウチらも寮に戻るか」

 

善「そうしましょうか」

 

3人はそのまま寮に戻り、共有スペースで皆と文化祭でなにをしたかという話題で盛り上がっていた。

 

上「どうだった?耳郎と八百万に連れられての文化祭」

 

上鳴が善彦の隣に座り、話しかけた。

 

峰「なんだとてめぇ!なんで女子2人と一緒に行動してんだおらぁ!」

 

峰田が善彦のすぐ後ろで喚きだす。

 

善「あー、楽しかったですよぉやっぱレベル高いね雄英の文化祭」

 

しみじみと思いだしながら善彦が息を吐く。

 

上「来年はオレらと回ろうな!」

 

善「あいよ」

 

2人がニシシと笑っていると、甘い匂いが漂ってきた。

 

砂「おーい、みんなできたぞ」

 

砂藤がリンゴやイチゴ、みかん、ぶどうなどのフルーツ飴を持ってきた。

 

たこ焼き屋の店番をやったお礼にもらったフルーツを飴にしたらしい。

 

善「ふぇ〜、クオリティ高いなぁ」

 

善彦がみかん飴を手にとり、口に放り投げる。

 

上「おお、うまい」

 

善彦と上鳴がチュパチュパと飴をなめていると、後ろで峰田がフフフと笑う。

 

峰「女子にはこのオイラ特製バナナ一本飴をやるぜ!だが条件がある!舐めるところをじっくり観察させてもら」

 

ガズン!

 

峰「カハッ、、、」

 

峰田が全てを言い切る前に善彦がコレクションの1つガイソーケンの峰で峰田の首筋を叩き、気絶させた。

 

善「それはやらせちゃいけねぇなぁ?おぬしが食え」

 

善彦は気絶した峰田の口にバナナ飴を突っ込んだ。

 

その瞬間1-A全員の女子が善彦に向かってサムズアップを送った。

 

八「卑猥ブドウも静かになった事ですし、今日のシメをなさいますか?」

 

八百万が飯田に提案する。

※卑猥ブドウは峰田のことです

 

善「、、、、ちょっと失礼」

 

善彦が不思議なタイミングで部屋を出る。

 

上「なんだあいつ?」

 

飯田は善彦が出て行ったことに気づかず、シメの音頭を取ろうとする。

 

飯「えー、今日という文化祭のために、全員で寝る間も惜しんで準備してきました。ですか、思えば出し物を決めるのにひと苦労したのが昨日のことの、、」

 

上「そっから振り返るのかよ!」

 

上鳴が飯田の長くなりそうな話をツッコンで止める。

 

上「手短に!手短にな!」

 

上鳴が念を押すと、飯田が咳払いをして仕切り直す。

 

飯「それでは簡素に、、、みんな!お疲れさまでし、、」

 

善「ちょぉっと待ったぁぁぁぁあ!」

 

飯田の音頭を善彦の大声が遮った。

 

飯「一体なんだね佐竹くん!」

 

飯田が不機嫌そうに佐竹にビシっと指を差す。

 

善「ごめん!みんなごめんね、あの、、これだけ聞いて?質問聞いて?この後みんな時間大丈夫?用事あるとかないよね?」

 

善彦が恐る恐る1-A全員に聞く。

 

切「いや、、別にねぇよな?」

 

尾「片付けとかもないし、、」

 

芦「なにかあるの?佐竹?」

 

皆の視線が善彦に集まった。

 

善「いやね、あのね、さっきさぁ、自分の実家に電話したのよ、空いてるかどうかってさ、、そしたらね、今日定休日だって言ってたのね、、それでね、、それでね、、みんなが良かったらね、よかったらね」

 

善彦がもじもじとしどろもどろとしながら何か伝えようとしている。

 

そして善彦は顔を上げ、皆に聞いた。

 

善「もしよかったら!今日の打ち上げウチの居酒屋でしませんか!」

 

善彦が大きな声で叫んだ。

 

「、、、、、」

 

少しの沈黙か1-Aに走る。

「だめかな?」と善彦が思った瞬間。

 

「「「大賛成だーー!!」」」

 

1-A全員が拳を上に掲げ、「うぉおお」と熱狂した。

 

葉「すごーい!佐竹くん家はじめてー!」

 

切「行ってみたかったんだよ居酒屋『生き様』!」

 

飯「しかし、学生が居酒屋に行っていいものなのだろうか?」

 

瀬「そんなこと言いっこ無しだぜ!クラスメイトの家なんだ、問題ねぇよ」

 

爆「くだらねぇ、、タメ年の野郎の店いって飯食えるか」

 

爆豪がいつものように毒づく。

 

緑「ちょっとかっちゃん」

 

緑谷がオロオロしていると善彦が言った。

 

善「今さ激辛チャレンジやってるんですよね、クリアした人1人もいないんですけど爆豪さんどうですかねぇ?」

 

善彦が挑発する様に言うと、爆豪がピクリと反応する。

 

爆「上等だコラァ!全部食い切ってやんよポンコツバイクこらぁ!」

 

爆豪がソファーか立ち上がると、誰よりも早く部屋をでた。

 

善「ちょろい、、、」

 

緑「佐竹くんかっちゃんの扱い慣れてきたね」

 

切「いいなぁおい!出発だー!」

 

皆がルンルン気分で寮を出ようとする。

すると

 

相「おいお前らどこに行く」

 

聞き慣れたハスキーボイスが1-A全員の動きを止めた。

 

善「あ、、相澤先生、、」

 

寮を出てすぐに相澤先生が腕を組んで立っていた。

 

相「クラスメイトの家とはいえ居酒屋に行くのは教師として許可できない、」

 

その言葉に全員がたじろぐ。

 

相「したがって、、先生達も打ち上げに参加します」

 

相澤先生がニカっと笑うとズラーっと相澤の後ろに先生達が並ぶ。

 

「相澤先生ーーーー!!」

 

歓喜の声が辺りに轟いた。

 

ハ「オレたちもヴヴヴゥ、、あの店の、、酒飲みたいヴルルルルル!」

 

ハウンドドックがグルグルと唸る。

 

セ「久しぶりにマスターに会いたいからね」

 

セメントスもニコーっと微笑んだ。

 

相「そういうことだ、早く行くぞお前ら」

 

相澤先生がくるりと背を向け、善彦の店に向かって歩いて行く。

 

飯「よーし!先生の許可も降りた!佐竹くんのお家にお邪魔しよーう!」

 

「「おーーー!」」

 

先生と生徒、ありえない組み合わせが居酒屋に向かう。

 

その後、皆が居酒屋『生き様』で騒ぎに騒いで店で一晩過ごしたのは言うまでもない。

 




次回はオリジナル回です!


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1からだ!

オリジナル回を多く出そうと思っております


11月も下旬に差しかかる頃、1-Aの寮にエリちゃんとビッグ3が来ていた。

 

相「エリちゃんを雄英で預かることになった」

 

緑「近い内にまた会えるどころか!」

 

時々にしかエリと会えないと思っていた緑谷は驚きを隠せない。

 

緑「どういった経緯で、、!?」

 

相「いつまでも病院ってわけにはいかないからな」

 

麗「わー、エリちゃんやったー」

 

蛙「私、妹を思い出しちゃうわ、よろしくね」

 

エ「よろしくおねがいします」

 

エリがぺこりと頭を下げる。

 

善「そう固くならずに、ほーらタカさんとバッタさんだよー」

 

善彦は部屋から持ってきたカンドロイドのタカ缶とバッタ缶を開いてエリに見せた。

 

『タカ!タカ!』

 

『バッター!バッター!」

 

エ「かわいい、、」

 

手のひらに止まったタカカンドロイドを眺めてエリが笑顔を見せる。

 

切「へー、仮面ライダーのアイテムってこんなのもあるんだなー」

 

タコカンドロイドと戯れながら切島が呟く。

 

善「戦うだけが仮面ライダーじゃないのよ」

 

缶状態のカンドロイドを握りながら善彦が話していると、ある事を思い出す。

 

善「あ!そうだ!ミリオ先輩!渡したい物があるんです!」

 

ミ「何!このバッタ缶!?スゴイ懐いてるんだけど!」

 

バッタカンドロイドに頬擦りされているミリオを通り過ぎ、善彦は渡す物を取りに行く。

 

ミ「環!見て!バッタすっごい懐いてる!」

 

天「すごいねミリオは、俺は1匹も寄り付かない、、」

 

波「でも見て見て!足にヘビ巻きついてるよ!」

 

波動が天喰の足下を指差すと、ウナギカンドロイドが天喰の足に巻きついていた。

 

天「波動さん、これウナギだよ」

 

波「なんでウナギが缶になってるの!?不思議不思議!」

 

ビッグ3が話していると、善彦が戻ってきた。

 

善「お待たせいたしましたミリオ先輩、こちらが贈り物になります」

 

善彦が改まってミリオにそれを渡す。

受け取ったミリオは目をキラキラさせた。

 

ミ「え、、コレって、!もしかして!」

 

善「仮面ライダーになるためのベルトです」

 

ミ「すげー!いいの!?よっしゃー!」

 

ミリオがベルトを掲げ、子供のように喜ぶ。

 

善「個性の使えない間、リハビリとしてと思いまして、、」

 

ミ「スッゲー嬉しい!ここで変身していい!?」

 

善「それはダメです」

 

目をキラキラさせるミリオに善彦が両手をクロスしてバツをつくる。

 

ミ「ダメか!」

 

相「なら体育館を使えばいい」

 

思わぬ人から許可が降りた。

 

切「いいんですか?相澤先生」

 

相「体育館γだったら空いてるし、多少ドンパチしても問題ないだろう、手合わせもしていいぞ」

 

そう言うと相澤先生はスタスタと体育館に向かった。

 

善「え、、?室内?室内はちょっと、、」

 

善彦が体育館の室内ということに何かもじもじしている。

 

切「何言ってんだ?あそこじゃなきゃ色々と派手にできねーじゃねーか?」

 

善「それもそうだけどさ、、」

 

緑「それにしてもよく許可してくれたね」

 

切「先生も仮面ライダーだからな!そこは肯定したいんだろう!いくぜっ!」

 

インターン組とビッグ3が相澤先生について行く。

 

その中で善彦がボソッと言った。

 

善「怒んないでね、、、」

 

〜体育館γ〜

 

だだっ広い体育館の中央にビッグ3の通形ミリオと天喰環が向かい合い、立っていた。

 

天「久しぶりだな、こんな風に手合わせするのは、、」

 

ミ「本当だよ、、なんだか感慨深いな」

 

ベルトを試しに使う、それだけなのに体育館γの中にはとてつもない緊張感が走っていた。

 

切「なぁ、、今からなんかの決勝戦始まるワケじゃないよな?ベルトのテストプレイだよな?」

 

蛙「なんだか空気が張り詰めてるわね」

 

相「後学のためになるかもしれないからよく見とけよ」

 

ミリオの変身を見にきたインターン組にも緊張が走る。

その中で善彦はなにか別のことに焦りを感じていた。

 

天「それじゃあ俺から行くぞ!」

 

天喰が腰にオーズドライバーを装着する。

そしてバックルにメダルをセットし傾け、スキャナーを滑らせた。

 

《タカ!トラ!バッタ!♪タ・ト・バッ・タトバ・タ・ト・バッ!!!! 》

 

メダルの光が天喰の体を包み、仮面ライダーオーズに変身を完了させた。

 

ミ「すっげー!環の変身初めてみた!じゃあ俺も!」

 

ミリオは善彦からもらった飛電ゼロワンドライバーを腰に巻く。

そしてライジングホッパープログライズキーを起動させた。

 

《ジャンプ!》

 

起動させたプログライズキーをベルトにかざし、認証させる。

 

《オーソライズ》

 

認証させると待機音と共にミリオの目の前にパネルが現れる。

 

それと同時に体育館の天井を突き破ってバッタのライダモデルがミリオの目の前に現れた。

 

切「どえええぇぇぇ!でっけぇバッタが出たー!」

 

麗「ハデー!てか天井ーー!」

 

突然出てきたバッタに皆驚く。

 

相「おい、佐竹コレはどういうことだ」

 

善「だから室内はちょっとって言ったのに、、、」

 

善彦は予想通りの展開に思わずしゃがみ込んでしまう。

 

ミリオは起きた事態を気にも止めず、プログライズキーを開く、そして顔の横で構え一言。

 

ミ「変身!」

 

《プログライズ!》

 

プログライズキーをベルトに差し込むと、パネルがミリオの体を通過し、スーツを形成する。

 

《飛び上がライズ!ライジングホッパー!》

《A jump to the sky turns to a rider kick》

 

そしてバッタのライダモデルが分裂し、ライダーの鎧となり変身を完了させた。

 

ミ「変身完了!俺はゼロワン!仮面ライダーゼロワンだ!」

 

ミリオは天喰の前でビシッとポーズを決める。

 

そして瞬時に戦闘態勢に入る。

 

ミ「よーし、、いくぞ!環!」

 

天「いくぞミリオォォ!」

 

2人がバッタの跳躍力を使い、お互いに飛びかかる。

 

そして互いの拳が互いの胸に叩きつけられ吹き飛んだ。

 

天「ぐわっ!」

 

ミ「うわっと!」

 

2人の体が地面に叩きつけられた。

 

ミ「うっひゃ〜、環強いなぁ」

 

ミリオが胸を摩りながら起き上がる。

 

天「ミリオも強いよ、、衝撃がまだ残ってる、、」

 

環も続いて立ち上がる。

環の手にはメダジャリバーが握られていた。

 

ミ「へへぇ!剣だ!俺もなんかないの!?」

 

ミリオが辺りをキョロキョロ見回す。

すると遠くで緑谷が叫んだ。

 

緑「先輩!これがゼロワンの武器です!使ってください!」

 

ミ「おおっ!?おお?」

 

ミリオが緑谷の方を見ると、緑谷の手にはアタッシュケースが握られていた。

 

緑「ええい!」

 

そして緑谷はアタッシュケースをミリオに向かって投げた。

 

ミ「えぇ!それ投げるの、ギャッ!」

 

投げられたアタッシュケースはキャッチできずミリオの顔面に激突する。

 

緑「わぁぁ!先輩すいません!」

 

緑谷が大焦りで頭をペコペコ下げる。

 

ミ「あぁ、、気にしないで、大丈夫大丈夫、、」

 

ミリオは顔をスリスリ摩りながらアタッシュケースを手に取った。

 

ミ「お?コレって、、」

 

ミリオがアタッシュケースを手に取るとそれをガシャンと開く。

 

《ブレードライズ!》

 

するとアタッシュケースから剣に変形した。

 

ミ「わー!おもしろー!いくぞ環ぃ!」

 

アタッシュカリバーの変形に興奮しながらミリオは環に向かって走った。

 

ガキィィン!

 

2人の剣が激しくぶつかり合う。

 

そのまま2人の剣の攻防が始まった。

 

切「おいおい、、早すぎて見えねぇ、、」

 

緑「これがビッグ3の戦い、、」

 

緑谷は間近で見るビッグ3の戦いに手に汗を握っていた。

 

ガィィン!

 

激しい金属音と共に2人は距離を取る。

 

天「これじゃあ拉致が開かないな、、これで!」

 

天喰は素早くメダルを全て取り替え、スキャナーを滑らせた。

 

《ライオン!トラ!チーター!》

 

《♪ラタ・ラタ・ラトラァータァー!》

 

天喰がラトラーターコンボに変身すると、トラクローを展開させミリオに向かい走った。

 

ミ「よっしゃこーい!」

 

ガキン!ガギン!ガギン!

 

ミ「あらぁ!」

 

ミリオは一瞬の内に3発攻撃されその場に倒れる。

 

ミ「そっちがトラならこっちも虎ちゃんだ!」

 

ミリオは起き上がると赤いプログライズキーを起動させる。

 

《ファイヤー!》

 

素早くオーソライズさせるとベルトに装着する。

 

《Gigant flare!フレイミングタイガー!》

《Explosive power of 100 bombs》

 

再び天井を突き破りトラのライダモデルが出現する。

トラが分裂し、ミリオの体に装着された。

 

切「すっげー!バッタから赤いトラになったー!」

 

麗「というか変形するとき中身見えたんだけど、、、」

 

蛙「ちょっと怖かったわ」

 

ミ「いくぜ!」

 

ミリオが両手を前に出すと掌から炎が吹き出る。

 

天「手から炎!」

 

しかしラトラーターの素早さに炎は追いつかない。

 

ミ「ならば出力最大!」

 

ミリオが両手を地面に突き叫んだ。

 

天喰は意味が分からなかったが、その直後地面から火炎が噴き出した。

 

天「ぐわぁぁ!」

 

天喰に灼熱の炎が襲いかかる。

 

ミ「必殺!虎噴火!」

 

ミリオが決めながらフフフと笑うと炎の向こうから歌が聞こえた。

 

《♪シャ・シャ・シャウタ!シャ・シャ・シャウタ!!》

 

天「甘いぞ!」

 

炎の壁からシャウタコンボになった天喰が現れた。

 

シャチヘッドから出た水流が辺りの炎を消火する。

 

ミ「なるほどお魚コンボか!ならばコッチも!」

 

ミリオは再びプログライズキーを取り出し、起動させた。

 

《ファング!》

 

オーソライズをするとプログライズキーをベルトに差し込んだ。

 

《キリキリバイ!キリキリバイ!バイティングシャーク!》

《Fangs that can chomp through concrete》

 

トラの鎧が消え、新しくサメの鎧が装着された。

 

ミ「サメだぞ強いぞ!」

 

ミリオが天喰に飛びかかり、腕のアンリミテッドチョッパーを喰らわせる。

 

天「なにっ!」

 

斬撃をモロに喰らった天喰が地面に倒れ、シャウタコンボからタトバコンボに戻ってしまった。

 

それをみたミリオもライジングホッパーに戻る。

 

天「すごいな、、初めて使う仮面ライダーの力を我が物としている、、」

 

ミ「環もすごいよ、結構キツいもんコッチも」

 

天喰は立ち上がるとスキャナーを構えた。

 

切「決着だ、、」

 

切島が戦いの終わりを悟り唾を飲み込む。

 

ミリオも構えをとり、ベルトのプログライズキーを押し込んだ。

 

ミ「いくぞ!環ぃぃぃぃ!」

 

《ライジングインパクト!》

 

天「ミリオォォ!」

 

《スキャニングチャージ!》

 

音声と共に2人が飛び上がる。

 

ミ「ウリャァァァァァァ!」

 

天「セイヤァァァァァァ!」

 

2人のライダーキックが空中でぶつかり合う。

 

激しい衝撃が善彦達を襲った。

 

切「どっちが勝つんだ!」

 

緑「吹き飛ばされる、、、」

 

皆が吹き飛ばされないように踏ん張る。

 

その時、決着は着こうとしていた。

 

天「ぐ、、押されて、、いる、、」

 

天喰の方が押されてきている。

ミリオはそれに気づき、一層力を込めた。

 

ミ「POWERRRRRRRR!!」

 

天「しまっ!」

 

グ イ ン パ ク ト

 

ミリオのキックが天喰を吹き飛ばす。

 

天「ぐわぁぁぁ!」

 

そのままスライディングの体勢でミリオが着地した。

 

グギッ!

 

ミ「あっ、、」

 

着地の際足首を捻りゴロゴロと転がりながら壁に激突する。

善彦達から「あ〜」という声が上がった。

 

ミ「いててて、、カッコつかないなぁ、、」

 

瓦礫の中からミリオが起き上がる。

 

するとミリオの目の前に変身が解除された天喰が現れた。

 

ミ「環、、、」

 

天喰はミリオに手を差し出す。

 

その手をミリオは握り、立ち上がる。

 

そしてミリオも変身を解除した。

 

天「楽しかったよミリオ」

 

ミ「コッチもいい戦いをありがとう」

 

2人はお互いの戦いを称えあった。

 

天「エリちゃんが体も心も安定するようになれば、、無敵の男復活の日も遠くない」

 

ミ「そうなれば嬉しいね」

 

天「仮面ライダーの力もあれば完全無敵だ」

 

ミ「うん、俺はルミリオンでゼロワン!100万を助けるにはまず1人からだ!」

 

2人の男の握手は美しいものだった。

 

緑「素晴らしい戦いだったね、、」

 

切「オレ、、感動した、、」

 

麗「これが男の友情なんやね!」

 

蛙「とても綺麗だわ」

 

善「いいもの見れましたね、、先生」

 

相「あぁ、、そうだな、、」

 

そういうと相澤先生は上を見上げる。

 

相(天井、、ヤバイな、、)

 

体育館γの天井は穴だらけになっていた。

 

 

 

 




結構疲れた状態で書いたので恐らく文がくちゃくちゃになっている部分あるかもしれません。
ご了承下さいorz
ライジングインパクトの再現は蛇足だったかもしれませんね
やってみたかったのですが、、


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15差の恋

お気に入り登録の数を見て毎回思います
「ありがとうございます」と「感謝します」と「こんなことって、、」です




ミリオと環の手合わせ後、天井穴だらけの体育館γは根津校長が経費で修理代を全面負担してくれる事に話は落ち着いた。

 

そしてインターン組は1-Aの寮の共有スペースで来賓が来るのを待っていた。

 

常「へっちょい!」

 

常闇のかわいいくしゃみが響く。

 

瀬「風邪?大丈夫?」

 

瀬呂が常闇にBOXティッシュを手渡す。

 

常「いや、、息災!我が粘膜が仕事をしたまで」

 

瀬「なにそれ」

 

上「噂されてんじゃね!?ファン出来たんじゃね!?ヤオヨロズー!みたいな!」

 

ギターの立ち位置を善彦に取られた常闇はダンス隊にまわっていた。

黒影を使ったダンスは結構注目を浴びていたらしい。

 

八「茶化さないでくださいまし!有難いことです!」

 

砂「そういや上鳴達もバイクトリオって呼ばれてたよな?」

 

砂藤がAバンド開催前の声援を思い出す。

 

上「あれ?そんなこと言われてたっけか?」

 

耳「言われてたよ、調べてみたらウチら結構有名になってた」

 

そういうと耳郎はスマホの画面を上鳴と善彦に見せる。

 

善「なになに、、『雄英バイクトリオ文化祭でも大爆奏』なにこれ?」

 

耳郎の見せた掲示板のタイトルをそのまま読み上げる。

 

耳「体育祭でウチら佐竹に乗って走ったでしょ?それがめちゃくちゃ注目浴びててさ、それからウチらバイクトリオって呼ばれるようになったみたい」

 

耳郎がポチポチとスマホの画面をいじりながら話す。その様子は何だか不満げだった。

 

上「なんか不満そうだな?耳郎」

 

上鳴がそれにいち早く気付く。

 

耳「だってさ、いろいろと掲示板見てたらウチのこと女ボスとか女帝(エンプレス)とか書かれててさ、なんかムカつく」

 

善彦を運転しているのは主にというよりいつも耳郎なのでその様子からそのあだ名が付けられたようだ。

 

善「ネット民の言うことなんていちいち気にしてたら身も心も持ちませんよ」

 

善彦が伸びをしながらソファにもたれかかる。

 

耳「それもそうだね、サンキューさた、」

 

善「ブレイクジャシュ!」

 

耳郎の礼を善彦の可愛げもクソもないくしゃみが遮る。

 

上「お前も噂されてるのかもな」(ブレイクジャシュ?)

 

上鳴がにししと笑っていると、共有スペースの扉が開いた。

 

飯「あ!来たぞ皆!お出迎えだ!」

 

ギィィと扉がゆっくり開いた。

 

「煌めく眼でロックオン!」

 

「猫の手手助けやってくる!」

 

「どこからともなくやってくる」

 

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」(オフver.)

 

来賓に来てくれたのはプッシーキャッツの面々だった。

 

飯「プッシーキャッツ!お久し振りです!」

 

ピ「元気そうねキティたち!」

 

久し振りに会ったプッシーキャッツに1-A全員が駆け寄る。

 

虎「あん時ゃ守りきってやれずすまなんだ」

 

虎が爆豪に向かって林間合宿の時のことを謝る。

 

爆「ほじくり返すんじゃねェ」

 

耳「ウチら大丈夫っスよ、ね?」

 

耳郎が皆にむかって言うと、葉隠がうんうんとうなずく。

 

その時、部屋の隅でもじもじしている善彦が耳郎の視界に入った。

 

砂「しかしまた何で雄英に?」

 

砂藤がプッシーキャッツに茶を運びながら問いかける。

 

ピ「復帰のご挨拶に来たのよ」

 

緑「復帰!おめでとうございます!」

 

1-A全員がプッシーキャッツ復帰を喜んでいる。

 

が善彦は1番後ろで静かに喜んでいた。

 

ピ「あ!久し振り佐竹くーん!」

 

ピクシーボブが後ろの方でパチパチと手を叩いていた善彦を見つけ、颯爽と駆け寄る。

 

善「おおぉおお〜久し振りです!ピクシーボブさん、、」

 

グイグイと迫ってくるピクシーボブの対応に善彦があたふたしている。

 

いつもと違う善彦の異変に耳郎は真っ先に気づいた。

 

耳「ねぇねぇ上鳴、あいつ、、なんか顔赤くない?」

 

上「ホントだ、スッゲー真っ赤だ」

 

特に女が苦手な訳ではない善彦の顔が熱でもあるかのように真っ赤になっているのだ。

 

峰「あ〜、、あれは惚れてるな」

 

上鳴の隣で峰田が腕を組み、ニヤリと笑いながら言った。

 

耳「ふ〜ん、、、へ?」

 

上「はぁ!?惚れてる!?佐竹が!??ピクシーボブに!!?」

 

上鳴が信じられないような顔をしながら善彦を指差す。

 

マ「いや、その線は否定できないよ〜」

 

上鳴達の後ろからマンダレイがフフフと笑いながら顔を出す。

 

耳「それってどういう、、?」

 

虎「林間合宿で敵が出た際、ピクシーボブを先に助けたのは佐竹だ、激昂しながらな、覚えているだろう?」

 

2人の様子を見ながら虎も話すと耳郎の方を向いた。

 

耳「あ、、確かにあんなブチギレてる佐竹あれ以外見た事ないかも」

 

耳郎も林間合宿の時の善彦を思い出す。

 

あいも変わらず善彦はピクシーボブ相手に赤面が止まらない。

 

そして全てを察した耳郎の口角がグインと上がり始めた。

 

耳「これ、、お助け必要なんじゃないかなぁ〜」

 

上「そうだなぁ、、助けてやるか、友として、」

 

それにつられて上鳴もヒヒヒと笑う。

 

虎「ピクシーボブも結婚適齢期、大分年下だが悪くないだろう」

 

虎も二人に乗っかってきた。

 

マ「大分って、何歳差かわかってるの!?流石にちょっとって部分あるけど、、」

 

止めようとしたマンダレイをよそに上鳴が大声でピクシーボブに向かって叫んだ。

 

上「そういやさーーー!佐竹のやつピクシーボブとデーーーートしたいって言ってたっけなーーー!」

 

ピ「え?」

 

善「はぁ!?ちょっと!!」

 

虎「ヒーローとはいえ休息は必要!二人でゆっくりする時間も悪くないと思うぞーーー!」

 

虎も続いて口に手を当て叫ぶ。

 

善「お二方ーー!ご乱心かー!」

 

善彦が大焦りで止めようとする。

 

ピ「え、、本当に、、したいの?」

 

善「はい、、?」

 

善彦が真っ赤な顔でピクシーボブの方を向く。

 

ピ「いや、、デート、、」

 

ピクシーボブの顔は少し赤くなっていた。

口元を手で押さえ、チラチラと善彦の方を見る。

 

善(くかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、、、)

 

善彦の思考がグルグルと回る。

思考が回るごとに善彦の顔が赤くなっていく。

 

そして善彦は覚悟を決めた。

 

善「あの、、お願い、します、、」

 

善彦の頭はプシュ〜と音を立てながら煙を出している。

 

ピ「うん、、来週の土曜日とかどうかな?」

 

善「はい、、お願いします」

 

こうして善彦とピクシーボブのデートが決定した。

 

虎と上鳴がそれを見てハイタッチを交わした。

 

そしてプッシーキャッツが帰った後。

 

上「いや〜、よかったなぁ〜、佐竹気合入れてけよぉ〜」

 

上鳴がヘラヘラとしながら善彦の方を振り向く。

 

カチャ

 

上「へ?」

 

上鳴の視界を覆ったのはブレイクガンナーの銃口だった。

 

バキュン!

 

上「うぉわぁあ!」

 

上鳴は瞬時に体を逸らせて銃弾を避ける。

 

善「おまえぇぇ、、なんちゅーことしてくれたんだぁぁぁ!」

 

ドンドンドンドンドンドンドンドン!

 

善彦が顔を赤くし、目を渦巻き状にさせながらブレイクガンナーを上鳴に向かって連射する。

 

上「わー!またまてまてまてまてまてまてまて!」

 

上鳴は全弾避け、善彦から逃げまくる。

 

善「まぁてこらー!!」

 

善彦はドア銃を取り出し、二丁拳銃で上鳴を追いかけ始めた。

 

耳「でもさー、どうしよっか?」

 

追いかけっこをしている二人を無視して、善彦のデート会議が共有スペースでは行われていた。

 

芦「やっぱり服装は大事だよね!」

 

葉「ご飯の場所とかも考えなきゃ、、」

 

蛙「失敗は厳禁よ、ケロケロ」

 

女子達がテーブルを囲み、真面目に話し合っている。

 

善彦は上鳴を壁際に追い詰めていた。

 

上「help、、help me、、、」

 

上鳴は両手を上に上げ、命乞いをしている。

 

峰「おいおい、佐竹よ」

 

峰田が善彦の服の裾をクイクイと引っ張る。

 

善「あ"?」

 

善彦が振り向くと、峰田が小さな箱を善彦に手渡した。

 

峰「デートには必要なものだ、これさえあれば大丈夫、自信を持て!」

 

善「お、、峰田くん、ありがとう」

 

峰田の言葉に冷静さを取り戻した善彦が渡された箱を確認する。

 

善「サガミ、、、0.01、、」

 

善彦が無言で峰田の方を見る。

 

峰「へっ、、GOOD LUCK☆」

 

峰田が善彦にサムズアップを送る。

 

《ブレイク》

 

峰「え?」

 

ドゴォン!

 

ブレイクガンナーをブレイクモードに切り替え、峰田の脳天にぶちかました。

 

床板を突き破って峰田の体が地面に消える。

 

そしてそそくさと八百万が床板を創造し、穴を塞ぐ。

峰田が完全に封印された。

 

八「佐竹さん、話し合った結果、あなた服装を見ることにしましたの」

 

耳「アンタの持ってる服みせな〜」

 

善「、、、はい」

 

こうして善彦のファッションセンスのチェックが始まった。

 

善「着替えました〜」

 

着替えた善彦が共有スペースの扉を開ける。

 

善彦の服装は全身ピッチリとしたスーツだった。

 

耳「お見合いか!」

 

芦「初デートでスーツはないよぉ!硬すぎ!カチコチ!」

 

非難轟々

 

善「えぇ〜、、じゃあ着替えます」

 

善彦が再び着替えに行く。

 

善「次はどうですか〜」

 

着替えた善彦が扉を開ける。

 

ドラゴンのスカジャン、ダメージジーンズ、漆黒のサングラスの姿の善彦が現れた。

 

耳「、、、、、、」

 

耳郎が無言でBOXティッシュを善彦に向かって投げる。

善彦の頭にガツンと当たった。

 

善「なぁんでぇ!?」

 

耳「なんでもクソもあるかぁ!ふざけてんのかぁ!」

 

葉「今度はラフすぎ!ラフ通り越して恐怖!」

 

またもや非難轟々

 

切「俺はいいと思うぜ!」

 

芦「切島は黙れ!」

 

サムズアップを送った切島を芦戸が黙らせる。

 

耳「そしてこのTシャツはなんだ!」

 

耳郎がスカジャンのファスナーを開け、バッと広げるとそこにはピンクのシャツで白字で『親しみやすさ』と書いてあった。

 

八「根本的に見直した方がいたですわね」

 

麗「期限は1週間!気合入れていくよー!」

 

「おーー!」

 

女子達が一致団結する。

 

善「、、、おー」

 

善彦も元気なく拳を上にあげた。

 

〜1週間後〜

 

ようやくデートの日がやってきた。

 

耳「ウチらが教える事は何もない、、勇気出して行ってこい!」

 

全てを教え切った女子達が善彦を見送りに来た。

 

善「ありがとう、、本当にありがとう皆、、」

 

善彦の服装は女子達が吟味に吟味を重ね選び抜いた服達、場所も徹底的に調査し、レジャーや食事なども選びに選び抜いた。

 

穴は完全にない。

 

麗「後悔のないように!」

 

八「応援していますわ!」

 

芦「いけいけ佐竹ー!」

 

葉「頑張ってね!」

 

蛙「ケロケロ!」

 

善「皆、、行ってきます!」

 

女子達からの応援、それを背に受けて善彦は寮を出た。

 

寮の玄関が閉まる。

 

耳郎が玄関の扉にイヤホンジャックを刺し、善彦が行ったことを確認した。

 

耳「さて、、、お前ら!監視にいくぞぉぉおおお!」

 

「おぉおおおおお!」

 

その頃善彦はピクシーボブとの待ち合わせ場所に着いていた。

 

善「落ち着け佐竹善彦、、変に意識するからダメなんだ、、平常心平常心、、」

 

自分に言い聞かせながらピクシーボブを待つ、すると遠くから声が聞こえた。

 

ピ「おーい、お待たせー」

 

善「あ、ピクシーボ、、」

 

善彦が声のした方向を振り向く、その瞬間、善彦の視界が見えない光に包まれた。

 

善(あぁぁあぁぁ!光がぁ!何故こんな光がぁぁ!林間の時はこんなの感じなかった!なのに何故ぇぇ!)

 

オシャレをしたピクシーボブが目の前に立っている。

その美しさに完全に心を奪われた。

 

ピ「待った?」

 

善「へ?え?いや全ぜんゼン然膳染待ってないですよ!アハハハハ!」

 

善彦が笑ってごまかす。

 

その様子を耳郎達は遠くの物陰から見ていた。

 

耳「あのバカ緊張丸出し」

 

上「ゲロ吐いてないだけマシだろうよ」

 

耳郎と上鳴は帽子なりサングラスなりをして変装をしている。

 

緑「でも憧れの人が目の前にいるんだもん、緊張するのも無理ないよなぁ」

 

飯「ううむ、たしかにそうだな、しかしこのように級友のデートを面白半分で見るのはどうだろうか?」

 

八「いいではないですか、おもしろそうですし!」

 

監視には緑谷と飯田、八百万も来ていた。

 

緑谷達の変装は爆豪を救出するために使用した変装グッズをそのまま使用していた。

 

緑谷は三角のサングラスをかけ付け髭をつけている。

飯田は眼鏡を外しオールバックでサスペンダーを着用し、八百万はドレスを来て髪をUNERIでロールしていた。

 

耳「ヤオモモ達のガチ変装はなんなの?」

 

上「あっ!動き出したぞ!」

 

上鳴が歩き出した二人を指差す。

 

耳「あっ!ホントだいくぞ皆!」

 

八「わかりましたわ!」

 

緑「オッラァ!オッラァ!」

 

飯「パイオツカイデー!チャンネー!イルヨー!」

 

二人が動き出したのと同時に耳郎達も動く。

 

善(うぉおお、さーて、さぁーーーてとぉ!どこに行くんだっけぁ?)

 

善彦はピクシーボブと歩きながらも思考をグルグル回らせる。

 

善「あっあの、ピクシーボブ?」

 

ピ「こーら、オフの時は『土川さん』でしょ?」

 

ピクシーボブ改め土川流子が善彦の鼻先を指でチョンと触る。

 

それだけで善彦の頭は沸騰した。

 

善「土川さん、、どこに、、行きましょうか?」

 

土「うーん、ネコカフェとかどうかな?」

 

土川がネコカフェを提案すると、善彦がスマホを取り出し近くのネコカフェを調べる。

 

善「ここからネコカフェだと結構距離ありますねぇ」

 

土「そっか〜、じゃあタクシーでも」

 

土川が近くのタクシーを探していると善彦が「あの!」と声を出す。

 

善「自分に乗っていけばすぐですよ、、」

 

土「あっ!そっかー!バイクに変身出来るんだっけね!」

 

善「はい!鍛えられた走りを堪能下さい!」

 

善彦は人気のいない場所に移動し変身する。

そして土川が跨るとそのまま走り出した。

 

耳「マズい、佐竹がバイクになって移動し始めた!」

 

イヤホンジャックを地面に刺した耳郎が皆に伝える。

 

上「なにぃ!走って追いつけねぇぞ!バイクだと!」

 

上鳴達が焦っていると飯田がアクセルドライバーを装着する。

 

飯「ここは俺に任せてくれ」

 

緑「飯田くん?」

 

《アクセル》

 

飯「へん、、、しぃん!」

 

飯田が仮面ライダーアクセルに変身した。

 

上「変身しても意味ねぇだろ!目立って佐竹にバレて終わりだぞ!」

 

上鳴が突っ込むが、飯田はフッと笑い両手をドライバーに回す。

 

飯「仮面ライダーアクセルには秘密があってね、、それがコレだ!」

 

飯田がベルトからハンドルを外し、飛び上がる。

すると飯田の体がバイクに変形した。

 

耳「ええー!飯田もバイクになれたのかよ!」

 

飯「俺も最近知った、早く乗ってくれ!見失うぞ!」

 

飯田が急かすと耳郎と八百万が跨る。

 

耳「場所はネコカフェ!行くよ!」

 

そのまま耳郎はハンドルを捻り、善彦達を追って行った。

 

上「、、俺たちは?」

 

緑「置いてかれた、、、」

 

その場に上鳴と緑谷が置いてかれる。

 

上「走るぞーー!」

 

緑「オッラァァァァ!」

 

上鳴と緑谷は走って耳郎達を追いかけていった。

 

その頃、善彦達はネコカフェで猫達と戯れていた。

 

土「ん〜!カワイイ〜♡」

 

土川は猫を抱き上げ、笑顔を見せる。

 

善彦は緊張で猫どころではなかった。

 

善「えぇ、、ホントに、、」

 

善彦はただブンブンと猫じゃらしを振っているだけだった。

 

土「それにしても気持ちよかったなぁ〜、君の乗り心地」

 

土川が猫を撫でながら話しかける。

 

善「土川さん、それ意味わかんない人が聞いたらヤバいですよ、変な誤解されます」

 

善彦がそう言うと土川が意味を理解し、赤面する。

 

土「あぁ!そうだね、ごめんね、危ない危ない、、」

 

善「あぁでも大丈夫ですよ!(?)」

 

善彦が意味のわからない返事をしてしまう。

 

土「でもさでもさ、ホントによかったよ、バイクの!乗り心地、風になった気分で気持ちよかった〜」

 

土川が猫を高い高いしながら言った。

 

善「土川さんの指導のおかげです、大分少ない量で長距離走れるようになれました、ありがとうございます」

 

善彦が猫をよしよしと撫でながら礼を言う。

 

土「若手を育てるのが私達の仕事だからね、礼には及ばないよ」

 

ネコネコと笑いながら持ち上げていた猫を下ろす、すると猫の前足の爪が土川の服に引っかかった。

 

土「あっ、こらっ」

 

善「えっ?」

 

善彦が声に反応して土川の方を見る、土川の服の襟に爪が引っかかって取れなくなっていた。

 

「大丈夫ですか」と善彦が近づこうとした瞬間、土川の襟が大きく引っ張られる、その時服の隙間からピンクのラインと谷間の様なものが見えた。

 

善(、、、、スクラップブレイク!)

 

邪な感情が出てしまった自分を戒めるように善彦は自分の顔面を殴った。

 

土「あー、とれたとれた、も〜悪い子でちゅね〜!」

 

ようやく猫の爪が服からとれた。

 

土川が猫に顔を近づけると猫が「ニャー」と鳴いた。

 

善「よかったです、、、」

 

善彦は殴って少し腫れた頬を隠すように猫に顔を埋めた。

 

その様子を耳郎達は遠くから見ていた。

会話は全て耳郎のイヤホンジャックで筒抜けである。

 

耳「結構いい雰囲気!」

 

上「よっしゃあ!」

 

耳郎達が静かにハイタッチをしていると善彦達が動く。

 

八「あっ動きましたわ!」

 

耳「ちょっと待って、、二人はこのまま食事に行く見たいだね」

 

耳郎がイヤホンジャックで会話を盗み聞く。

 

八「ご飯ですか、、この近くには綺麗なカフェやおいしいイタリアンがありますわ」

 

上「デートにはうってつけだぜぇ」

 

耳郎達は引き続き善彦達について行った。

 

善彦はネコカフェを出ると辺りを見回し記憶の中から近くにある綺麗な店を思い出す。

 

善(さぁてこっからが腕の見せ所ォ、めちゃくちゃオシャレなカフェでオシャレにティーブレイク!コレは勝ったぜ(?))

 

善彦がフフフと心の中で笑っていると土川がある店に反応する。

 

土「佐竹くん!私アレ食べたい!」

 

土川が善彦の服を引っ張り店を指差す。

 

善「どれですか?」

 

善彦が指差された方向を見る。

 

指差された店はラーメン『賀太郎』、善彦も何回か行ったことのあるめちゃくちゃ濃い家系ラーメンの店だった。

 

善(ふー、、オシャレは、、無しか、、良いけどもさ)

 

善彦はルンルンとした顔の土川について行った。

 

耳「、、ラーメンかぁぁ、、」

 

八「必死でサーチしたのが無駄でしたわね」

 

耳郎と八百万は少しショックを受けていた。

 

上「現実はそーゆーもんさ、行くぜ」

 

男組はスタスタと善彦達について行った。

 

土「いやここね、前から行きたかったんだけど男の人ばっかりで入りにくかったんだよね〜、佐竹くんがいて助かったよ」

 

土川が善彦の向かい側で恥ずかしそうな顔をしながら言った。

 

善「そういう事だったんですね、ならよかった、自分結構この店来てるんですよ」

 

土「ホント!オススメなに!?」

 

土川が身を乗り出して善彦と一緒にメニューを見る。

 

その様子を遠くの席で耳郎達は見ていた。

 

耳「おーおーいいねぇ〜いい雰囲気だ」

 

サーチしていた店じゃなかったことを不満に思っていた耳郎だったが、善彦達の雰囲気で機嫌が戻った。

 

上「しかし一つ!注意しなければならないことがあるぜ」

 

耳郎の隣でラーメンをすすっていた上鳴が箸を置く。

 

緑「注意って?」

 

チャーシューを頬張っていた緑谷が問いかけると上鳴がテーブルの端に置いてあった小瓶に手を伸ばし、それをテーブルの中央に置いた。

 

上「それはコレ、、ニンニクだ!」

 

飯「そうか、デート中にどちらかの口からニンニクの匂いがしたら相手が不快な思いをしてしまうかもしれないからな」

 

飯田が納得しながらラーメンをすすると上鳴がチッチッチと舌を打ちながら指を左右に振る。

 

上「それは当然だけどもっとデカいイベントがあるだろぅ?」

 

緑「それって?」

 

上鳴がテーブルに身を乗り出す、すると全員が顔を近づける。

そして上鳴が囁いた。

 

上「キスだよ!キ!ス!」

 

八「えぇえ!」

 

八百万が驚いて赤面しながら体を引っ込める。

 

耳「ヤオモモ声おっきい!」

 

八「あ、すみません、、ですけど!一日でそこまで行きますかね?」

 

テレテレとしながら八百万が顔を背ける。

 

上「行くもハッケ行かぬもハッケさ」

 

上鳴が腕を組んでハハハと笑った。

 

飯「あっちの席にラーメンが届いたぞ」

 

飯田が善彦達の席にラーメンが届いたことを伝えると耳郎がイヤホンジャックを刺し、会話を盗み聞く。

 

善「ここはこの豚骨が美味しいんですよね、いつも頼んでるんですよ、固め濃いめ多め」

 

耳「あの野郎!麺固め味濃いめ脂多め頼みやがった!」

 

上「なにぃ!それだけでもキスの時の不快感はあるかもしれないぞ!」

 

耳郎と上鳴が焦っていると土川の声が届く。

 

土「一緒のもの頼んでよかったね〜美味しそう」

 

耳「心配しなくてもいいかも」

 

二人は耳郎達の心配を他所にラーメンをすすりはじめた。

 

上「あとはニンニクだな、佐竹は結構ニンニク好きだからなぁ〜」

 

耳「場はわきまえてる奴だとは思うけど、、」

 

耳郎がイヤホンジャックに集中すると、二人の会話が聞こえる。

 

土「ごめんねニンニク取って」

 

善「はい」

 

その会話を聞いた瞬間耳郎がイヤホンジャックを引っ込める。

 

耳「キスの件はなし!」

 

耳郎は真顔でラーメンをすすった。

 

善彦達は食事を済ますと店を出てそのまま街を回った。

 

服屋に入りショッピングを楽しむ。

土川の着替えた姿を見るたびに善彦は赤面していた。

 

ゲームセンターではクレーンゲームを楽しむ、巨大なネコのぬいぐるみを善彦がゲットすると土川は子供のように喜んだ。

 

二人の楽しそうな様子を耳郎達は遠くから監視している。

二人の笑顔を見ているといつのまにか耳郎達も和んだ気分になっていた。

 

そして善彦達は夕方になると前もって調べて置いたオシャレなカフェに入る。

カフェのテラスでくつろいでいるところを耳郎達は店内から見ていた。

 

土「ん〜このパフェ美味しい♡よくこんなお店知ってたね」

 

善「調べたので、お気に召して何よりです」

 

土川はパフェを頼み、善彦はブラックコーヒーを頼んでいた。

 

土「コーヒーブラックで飲めるなんて大人だなぁ」

 

善「そんなことありませんよ、自分わさび苦手ですし」

 

会話を楽しみながらのんびりと過ごす。

 

土「パフェちょっと食べる?はい」

 

土川がスプーンでパフェをすくうと、スプーンの先端を善彦に向ける。

 

八「来ましたわ!アーンでふ!アーンでふわ!」

 

八百万がパンケーキを頬張りながら双眼鏡を覗く。

 

耳「なんだと!」

 

耳郎もイヤホンジャックを床に刺し、会話に集中する。

 

善彦は自分に向けられたスプーンに戸惑ったが、善彦はパクっとスプーンにすくわれたパフェを食べた。

 

土「美味しい?」

 

土川が微笑みながら聞くと善彦は顔を真っ赤ににしながら頷いた。

 

「よかった」と土川が再びスプーンをパフェに刺すと、土川は聞きたかったことを聞いた。

 

土「ねぇ、、なんで私なの?」

 

善「ブッ、、」

 

その質問に善彦は思わずコーヒーを吹き出しそうになる。

 

土「君のクラスにはカワイイ子もたくさんいて、あの耳郎ちゃん?とかと一緒にいるからあの子と一緒だと思ってたのに、、なんで私なのかなって」

 

土川はパフェにスプーンを刺したまま問いかける。

その質問の答えに善彦は困惑する。

 

善「えっとですね、、それは、、その、」

 

口の周りについたコーヒーを拭き取りながら思考を落ち着かせる。

ハンカチをテーブルに置くと、善彦は真っ直ぐに土川を見た。

 

善「自分は、、あの時、、スーパーのベンチでラムネをあなたから貰った時のことです、、あの時の自分に向けてくれた笑顔が、、とても綺麗で、、心を、、奪われました」

 

善彦は赤面しながら語り始める。

 

善「あの時の笑顔が忘れられなくて、、綺麗で、、優しくて、、生まれて初めてときめいて、、、だから、自分は貴女と、、土川さんと一緒になりたいと思いました」

 

土「一緒になりたい?」

 

善「あっ!」

 

思わず出てしまった言葉に善彦は思わず両手で口を抑える。

 

耳「あのバカ!早まりすぎだって!」

 

一人聞いていた耳郎も焦り始める。

 

善彦も心臓が破裂しそうなくらい焦っている。

 

土「一緒になりたいって、、もしかして私と、、付き、、」

 

土川が顔を赤くしながら言い切ろうとした時。

 

善「自分が!自分がいつか、、立派なヒーローになれた時、土川さんが認めてくれるようなヒーローになった時」

 

善彦が手を口から離し、手を膝の上に置く。

そして覚悟を決めて思いを口にした。

 

善「自分と、、番いになってくれますか!」

 

善彦は覚悟をきめたものの恥ずかしさで顔を伏せてしまう。

 

土川から返事はない。

 

善彦がダメかと思った瞬間、善彦の頭に温かい手が置かれる。

 

善彦がゆっくりと顔を上げると、土川が微笑みながら善彦の頭に手を伸ばしていた。

 

土「私のこと、、そんな風に思ってくれてたんだ、、嬉しいな、、でも私は君よりだいぶ年上だよ?いいの?」

 

善「関係ありません!そんなことは一切!!」

 

その答えをした善彦の瞳に嘘はない。

 

土「そっか、、じゃあ、、約束しよっかな立派なヒーローになるって」

 

善彦の頭に置いていた手を離すと土川は小指を立てる。

 

土「ゆびきりげんまん」

 

善彦も小指をたてて土川の指と重ねる。

 

土「私、、待ってるからね、、ずっと」

 

土川が善彦に笑顔を見せる。

その笑顔は善彦が惚れたあの笑顔と同じだった。

 

善「はい、、貴女にふさわしい男に、、自分はなります!」

 

善彦は強く小指を握った。

 

そして辺りは暗くなり、二人はそれぞれの家路に帰ろうとしていた。

 

土「今日はありがとね、楽しかったよ」

 

善「えぇ、自分も、、ありがとうございました」

 

善彦は告白の恥ずかしさが消えずまともに顔を見れない。

 

土「じゃあ私こっちだからまたね」

 

土川は善彦と別の道を歩いて行く。

 

善「自分も行くか、、」

 

善彦も家路に行こうとした時。

 

土「あ、忘れ物」

 

そう言うと土川は善彦に駆け寄る。

 

善「?」

 

善彦が振り向いた瞬間、柔らかい感触が額に当たった。

 

土「また遊ぼうね!バイバイ!」

 

土川は善彦に手を振りながら帰って行く。

 

善彦もわけがわからないまま手を振った。

 

善「あれは一体、、、」

 

善彦がもしかしてと感触の正体を悟る。

 

悟った瞬間善彦は右手で赤くなった顔を覆いながらその場に膝から崩れ落ちる。

 

そしてようやく心臓が落ち着くと、暗くなった空を見上げて呟いた。

 

善「絶対約束は守ります、、」

 

その空には星が煌めいていた。




すっごく長くなった
こう言うジャンルは書いたことも無ければあまり読んだこともないので不安がありますね

次はA組vsB組編にします


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A対B 開戦!

A組対B組編です。


善彦のデートから数ヶ月たち季節は冬。

 

A組は運動場γに来ていた。

 

葉「ワクワクするねー!」

 

耳「葉隠寒くないの?」

 

葉「めっちゃ寒ーい!」

 

冬になり皆のヒーローコスチュームが冬仕様になっているなか葉隠は個性の都合上手袋だけになっている。

 

善「根性、、」

 

善彦の服装は変わらずサングラスとスーツだった。

 

耳「あんたは全然変わんないねぇ〜」

 

善「というより変える所がないですからねぇ」

 

善彦がポケットに手を突っ込みながらハハと笑う。

 

葉「そういえばさ!ピクシーボブとはどうなの!?あの後!」

 

葉隠が思い出したようにグイッと善彦に詰め寄る。

 

善「いやぁ、それはですねぇ、、あの後から連絡取り合う仲にはなりやしてねぇ、、ホント、、その、、」

 

善彦の顔がだんだんと赤くなっていく。

 

耳「この前LINEで猫を抱っこしてる画像送られて少しニヤけてたもんねぇ〜」

 

横から耳郎がにししと笑う。

 

善「ちょっ!それどこで見てたんすか!?」

 

耳「『とてもかわいいです!』ってどっちのこと言ってたのかなぁ〜?」

 

善「それはもうねぇ、の〜あの〜ねぇ、、」

 

善彦の顔がストーブの様に真っ赤に染まり頭から煙を上げる。

恥じらいで善彦の体温は上がっていた。

 

葉「わーなんかあったかい」

 

麗「人間ストーブだ」

 

葉隠と麗日が善彦で暖をとっていると遠くから叫び声が聞こえた。

 

物「さァA組‼︎今日こそシロクロつけようか!?」

 

物間がB組の前に立ち、猛々しく叫ぶと一枚の紙を取り出した。

 

物「見てよこのアンケート!文化祭でとったんだけどさァーァ!A組ライブとB組超ハイクオリティ演劇どちらが良かったか!見える!二票差で僕らの勝利だったんだよねぇ!!」

 

切「マジかよ!見てねーからなんとも言えねー!」

 

切島が悔しそうな顔をする中、アンケートを見て善彦が何かに気づく。

 

善「ちょっと失礼」

 

善彦がアンケートを手に取ると紙を光にかざす。

 

善「やっぱりこれ、、なんか重ねた跡がある、、」

 

耳「え?ちょっと見せて」

 

耳郎もB組のアンケートのグラフを見てみるとマジックペンを重ね書きしてかさ増しした痕跡があった。

 

切「おいお前、、」

 

A組から疑惑の眼差しが向けられる。

 

泡瀬「物間、、」

 

B組からも冷たい目線を受けた。

 

物「いや違うよ!ここでペンのインクが切れたんだ!だからだよ!信用してくれよ!」

 

物間が喚きながら弁明する。

 

物「その目はなんだい!そんな目で見るな!そんな目でキュ!」

 

相「だまれ」

 

喚き散らす物間の首を相澤先生の布が締めた。

 

ブラド「今回ゲストがいます」

 

相「しょうもない姿はあまり見せないでくれ」

 

先生たちが説明するとブラドキング先生の後ろからヒョコっとゲストが出てきた。

 

相「ヒーロー科編入を希望してる普通科C組、心操人使くんだ」

 

「あ〜〜〜〜〜〜!!!」

 

体育祭で緑谷と対戦した心操が姿を表す。

口元には奇妙なマスク、首元には相澤先生の使う布が巻かれていた。

今回は心操を入れてのA組とB組の対抗戦になるようだ。

 

まずはA組とB組がクジでチームを決める。

心操はその後にクジを引き、A組B組それぞれに入るようだ。

 

相「それともう一つ、お前らに発表がある」

 

相澤先生が呼びかけると善彦に手招きをする。

善彦はため息をつきながら先生たちの隣に立った。

 

ブ「今回の授業では特別ルールも加えようと思ってな」

 

そういうとブラド先生が箱ダンボールをドスンと皆の前に置いた。

 

相「佐竹の許可をもらい、今日はA組B組に変身アイテムの使用を許可するとこにした」

 

相澤先生がニヤリと笑いながら善彦の肩に手を置いた。

 

「なぁんでだぁぁぁぁ!」

 

両クラスから叫び声が上がる。

 

相「佐竹自身いろんなヤツにアイテムを配っているからな、それに慣れてもらうのと少しの遊び心だ」

 

上「そんなのアリかよ、、」

 

善「そーゆーことです、みんなテキトーに箱から取ってください」

 

善彦がぶすっとしながら箱を指差す。

 

するとみんな一斉に箱に群がりアイテムを取っていった。

 

相「無理に変身しろとは言わん、個性の相性があるからな、すぐに取ってすぐに用意しろ」

 

両クラスそれぞれのアイテムを手に取った事を確認する。

 

これから第一戦が始まろうとしていた。

 

A組は蛙吹、口田、切島、上鳴、心操。

B組は塩崎、宍田、鱗 飛竜、円場のメンバーで対戦が始まった。

 

勝敗は制限時間内に相手チームのメンバーを自分チームの檻に閉じ込め、自陣のチームが多かった方の勝利となる。

 

蛙「基本、数で押せるようにバラけないで行きましょう」

蛙吹{装備 なし}

 

上「俺が皆から離れてテキトーにぶっぱすりゃよくね?」

上鳴{装備 マッハドライバー炎}

 

切「離れての間考えてるか?一人んなるぞ」

切島{装備 ガブリボルバー}

 

上「変身してどうにかする」

 

心「1番厄介な個性から片付けたいな」

心操{装備 ?}

 

上「わかってるじゃん心操!」

 

心「誰でもわかるでしょ」

 

心操の冷ための一言に上鳴の顔が固まる。

 

蛙「向こうもまず上鳴ちゃんをどうにかしたいって考えてるかも」

 

蛙吹の一言に上鳴の表情がさらに固くなった。

 

上「頼りにしてるぜ!皆!」

 

切「変身しといた方がいいかもな!」

 

切島がガブリボルバーを構えると鳩が口田の元に数羽集まる。

 

口「左方向から塩崎さん!1人だって!ツルで広範囲を探りながらこっちに向かってる!」

口田{装備 なし}

 

切「女の子に寄ってたかんのは気乗りしねぇが、、」

 

切島がガブリボルバーの口を開け、獣電池を装填しようとした瞬間。

 

《ガオンレイジ!!》

 

個性"ビースト"で巨大化した宍田に切島と蛙吹が吹き飛ばされた。

 

上「切島ぁ!梅雨ちゃん!!」

 

宍「口田氏の索敵に捕捉されるのは折り込み済みですぞ!」

宍田{装備 なし}

 

上「んのやろぉ!」

 

上鳴が瞬時にシグナルバイクをドライバーにセットし、変身した。

 

《シグナルバイク!ライダー!マッハ!》

 

上「うおらぁぁ!」

 

上鳴が宍田に突っ込み、キックを喰らわそうとした瞬間。

 

ダダダダダダ!

 

上「なにっ!」

 

上鳴が突然何かに撃たれる。

 

円「変身してるのはお前だけじゃねーよ!」

円場{装備 変身鬼笛・音笛}

 

宍田の肩から威吹鬼に変身した円場が出てきた。

手には音撃管・烈風を持っている。

 

円「そんでもってくらえ!個性を伸ばした新技!」

 

円場がバックルの音撃鳴・鳴風を取り、烈風に装着する。

そして烈風を口に構え、息を吹き込んだ。

 

《エア・プリズン!》

 

トランペットの音と共に口田を個性"空気凝固"で固めた箱に閉じ込めた。

 

円「音を一切通さない独居房だぜ!」

 

ここで心操が装着していたマスクに手を伸ばす。

 

円「よっしゃ蹴散らせ宍田ー!」

 

宍「任されましたぞォォォ!」

 

上「おつかれさまでしたァーー!」

 

上鳴が情けない声を上げた瞬間、宍田の動きがピタリと止まった。

 

円「俺の声で喋りやがった、、」

 

円場が心操の方を見ると、心操はマスクのつまみをチキチキと回す。

 

心「"もう一つの声帯"ペルソナコード」

 

心操につけられた新アイテム、幾多のプレートを変形、共鳴させることで声色を変えて直接外部に放出することのできるマスク。

 

心操は円場の声を出して宍田を騙し、個性を発動させたのだ。

 

心操が身につけていた相澤先生の布を宍田に投げようとした瞬間。

 

円「遅ぇ!」

 

円場が再びエア・プリズンを発射し、心操を閉じ込める。

 

円「起きろ!」

 

ガツン!

 

宍「はぁ!」

 

円場が烈風で宍田を殴り洗脳を解除する。

 

円「応答で洗脳とは聞いてたがボイチェンは聞いてねぇ、宍田!暴れろ!」

 

宍田が洗脳に警戒して声に出して返事はせず、グムッと頷く。

 

円「俺も攻め込む!威吹鬼の力を見せてやるぜぇぇ!」

 

円場が宍田の肩から降りて烈風を構える。

 

円「くらえぇ!音撃射・疾風一閃!」

 

息を大きく吸い、それを放とうとした瞬間。

 

シュイィィィン

 

円「あれ?」

 

突然円場の変身が解け、上裸の姿になる。

 

宍「円場氏!?」

 

円「うぅわ!さっぶ!なにこれ!なんで変身が解けて、、」

 

シュルルッ!

 

円場が変身解除にうろたえている隙に蛙吹が舌で円場を縛り付ける。

 

蛙「捕まえた!」

 

上「よっしゃ牢まで持ってけ梅雨ちゃん!」

 

蛙吹が縛り上げた円場を牢まで連れて行く。

 

その様子をモニターで見ていた両クラスはザワついていた。

 

耳「佐竹、これってどういう事?」

 

善「威吹鬼とかの鬼系はですね、本来めちゃくちゃ体と心を鍛えているものにしか変身出来ないんですよ、ヒーロー科だから心身共に鍛えられていたものの、まだまだだったってことですね」

 

緑「鬼の力がまだ円場くんを認めていなかったから強制的に解除されたってことなんだね」

 

善「そゆこと」

 

耳「でもなんで上裸?」

 

善「そーゆー仕様になってるんだよね、未熟者だったり解除の仕方間違えたら全裸になってる」

 

緑「そうならなくってよかったね、、」

 

善彦が説明すると皆再びモニターに視線を向けた。

 

宍「そうはさせませぬぞ!」

 

宍田が蛙吹を追いかけようと走る。

その瞬間上鳴がベルトのシグナルバイクを交換した。

 

上「させるかよ!」

 

《シグナル交換!トマーレ!》

 

上鳴がゼンリンシューターを構え、ベルトのボタンを押す。

 

《トマーレ!》

 

音声が鳴った後にゼンリンシューターの引き金を宍田に向けて引くと止まれ標識のエネルギーが宍田にぶつかった。

 

宍「ぬがぁぁぁ!体が、、動きませぬぞぉぉ!」

 

宍田の体がその場に止まる。

 

上「梅雨ちゃん今だ!」

 

蛙「ありがと上鳴ちゃん!」

 

宍田の動きが止まった隙に蛙吹が円場を遠くに連れていった。

 

切「今のうちに反撃だぁ!」

 

口「、、、!」

 

蛙吹が去った後、宍田の前にキョウリュウレッドに変身した切島と右手に虫達を集めた口田が現れた。

 

切「烈怒頑斗裂屠(レッドガントレット)!!」

 

口「小さき者どもよ御力を貸し給え」

 

切島と口田が攻撃を宍田に喰わらそうとした瞬間。

 

宍「人モードですぞ」

 

宍田が個性を解除し、体格が元に戻り攻撃がから振る。

 

そして2人の間で再び個性を発動した。

 

宍「再ビーーーースト!!」

 

個性を発動した宍田が切島と口田を鷲掴む。

 

宍「私の力に対抗できるのは切島氏くらいでしょう!だァかァらァーー!」

 

宍田が鷲掴んだ切島を塩崎のいる方向に放り投げた。

 

切「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

放り投げられた切島の視界に塩崎の姿が入る。

 

塩「天から哀れな子羊が」

塩崎{装備 なし}

 

塩崎のツルが切島の体をがんじがらめに縛る。

 

しかし切島がガブリカリバーでツルを切り刻んだ。

 

切「甘いなぁ!キョウリュウレッドをナメるなよぉ!」

 

切島が空中でガブリボルバーに獣電池を装填し、シリンダーを回す。

 

切「獣電ブレイブフィニッシュ!」

 

切島が照準を合わせ放とうとした時。

 

《OK サターン!》

 

輪状のエネルギーが切島に襲い掛かった。

 

切「ぐわぁぁ!」

 

吹き飛ばされた切島は地面に叩きつけられ変身が解除される。

 

即座に塩崎のツルに縛られ、切島は牢にぶち込まれた。

 

塩「麟さん、ありがとうございます」

 

塩崎が後ろを振り向くと、そこには仮面ライダーメテオに変身した麟飛竜の姿があった。

 

麟「礼には及ばない、こいつらの運命は俺が決める!」

麟{装備 メテオドライバー}

 

麟が決め台詞を決めると口田を抱えた宍田が戻ってきた。

 

宍「口田氏を捕まえましたぞ」

 

口田も牢屋に投獄された。

 

一方、A組チームは空気箱に閉じ込められた心操を救出していた。

 

上「どっこらせっと!」

 

《ゼンリン!》

 

上鳴がゼンリンシューターで箱を叩き割る。

 

蛙「B組強いわね、、」

 

上「それに変身してる奴もいる、他に誰が変身してるのかわかんねぇから下手に手出し出来ねぇぞ」

 

心「だが手出ししなきゃ勝てねぇ、、」

 

ここで心操が善彦から借りたアイテムを取り出した。

 

心「こっからは俺も前線にでるぞ!」

 

蛙「私に考えがあるの」

 

そう言うと、蛙吹は体からデロリとした液体を出した。

 

その頃B組チームは3人で固まっていた。

後2人捕まえたら勝利という状況で宍田が鼻を利かせ何かに気づいた。

 

宍「蛙吹氏が3人向かって来ている!」

 

宍田の鼻が蛙吹の匂いを3人分見つけたのだ。

 

麟「何言ってるんだ?蛙吹は1人だろう?」

 

塩「なんであろうと、『ヴァイン』の名に於いて謀る者へ裁きを」

 

《ヴィアドロローサ》

 

塩崎がツルを広範囲に広げ、宍田に位置の特定を指示する。

 

宍「十時十二時二時!扇状に展開!全員地上を走り接近中!」

 

ここで宍田が何かに気づいた。

 

宍「む?すごいスピードで接近しているのが2名、、、もしかしたらなんらかの方法で蛙吹氏の匂いを他の2名に塗布したのですな、、恐らく変身した上鳴氏ともう1人が誰がわからない、、」

 

麟「誰であろうと俺が叩きのめすまでだな、、というより3人で接近て位置バレてるよな、、そんなサーチ個性向こうにいたか?」

 

ここで麟が宍田の後ろにまわりしゃがみ込む、すると宍田のズボンのポケットが膨らんでいた。

 

麟「ホラ!何かあった!」

 

麟が宍田のポケットに手を突っ込み、入っていた物を取り出す。

ポケットに入っていた物は上鳴のシグナルバイク・マガールだった。

 

麟「バイク、、これは上鳴の、、」

 

塩「1人捕獲」

 

ここで塩崎のツルがピクンと動く。

 

塩「引きずり出します!」

 

麟「誰が来るか分からない!下がってろ宍田!上鳴の場合万が一、、」

 

麟が忠告していると捕まえた1人が引きずり出た。

 

上「ハイ正解はずれクジー!」

 

捕まったのは上鳴だった。

 

上「3人ご一緒ォ!?仲良く痺れて、」

 

磔刑(クルセフィクション)

 

塩崎のツルが上鳴の周りを包み込み、拘束する。

 

信仰の盾(フェイズシールド)

 

そして自分の前にツルの盾を作った。

 

上「なんつって」

 

《シグナルバイクシフトカー!》

 

上鳴がツルの中でニヤリと笑う。

 

塩「!!」

 

塩崎のツルが震えているのが感じる。

その後強い衝撃と共にツルを突き破りデッドヒートマッハになった上鳴が登場した。

 

上「追跡!撲滅!いずれもマッハーー!」

 

上鳴が塩崎に飛びかかった瞬間。

 

《リミットブレイク!》

 

麟「ホォ~~~~~~ッワチャァア!!!」

 

ドガァァァァ!

 

麟のメテオストライクが上鳴に直撃し、上鳴を吹き飛ばした。

 

麟「こいつは敵わねぇ!ツルでサポート頼む!」

 

塩「わかりまし、、」

 

ここで塩崎の動きがピタリと止まる。

そのまま塩崎は魂が抜けたかのように動かなかった。

 

麟「おい!今のは俺の声じゃねぇよ!」

 

上「ほぉら引っかかったー!」

 

本物の麟の声が塩崎に叫ぶ。

しかし塩崎は動かない。

 

麟「どこに隠れてやがる!入り組んでて反響しやがる、、どこから声したかわからん!宍田!敵の位置を、、」

 

麟が宍田に向かって叫ぶが宍田は声を出さずに指差しをして匂いのする方向へ突っ込んで行った。

 

麟「指差し!喋れよ疑心暗鬼なりすぎ!そっちに一人いるのか!?オイ!喋れよ!」

 

麟がいくら叫んでも宍田は答えずに突っ込んでいった。

 

麟「変身してるせいで口の動きがわかんないのか、、とりあえず塩崎起こして」

 

麟が塩崎に向かって走ろうとした瞬間。

 

上「お前の相手は俺だぁぁ!」

 

上鳴の膝蹴りが麟に直撃する。

麟が転げ回っている隙に蛙吹が舌で塩崎を回収した。

 

蛙「よいっしょ、ナイスだわ上鳴ちゃん」

 

蛙吹は塩崎を抱えてその場を去る。

 

麟「宍田!蛙吹だ!隠れた!心操より蛙吹を!位置を!」

 

麟がいくら叫んでも宍田の動きは止まらない。

完全に宍田は聞こえている声全てが心操の声だと思っている。

 

麟「コミュニケーションが、、」

 

上「ボサッとすんなぁぁぁ!」

 

上鳴が麟に右拳を喰らわす。

それを麟はギリギリで受け止めた。

 

麟「ナメるなよ、、こっからはライダー同士の戦いだ!」

 

その頃宍田は1人で心操の元へ入り組んだパイプを破壊しながら進んでいた。

 

宍(匂いの動きであっちが蛙吹氏だとわかった!ならばこっちだ!)

 

宍田がパイプを破壊し進んで行くと心操の姿が見えた。

その時、宍田の目に初めて見る物が見えた。

 

宍(金色の、、銃?)

 

心操が宍田の姿を見た瞬間ニヤリと笑う。

そして心操はXチェンジャーの銃身を回転させた。

 

心「警察チェンジ!」

 

《エックスナイズ!》

 

待機音と共に再び銃身を回転させる。

 

《警察Xチェンジ!》

 

心操が銃を上に向かって撃つと、Sのエムブレムが心操の体を通り、変身を完了させた。

 

《パトレンエックス!》

 

宍「その姿は、、」

 

心「気高く輝く警察官!パトレンエックス!」

 

名乗りと共にXチェンジャーを宍田に向かって撃つ。

 

全弾当たったが、宍田は突っ込んできた。

 

宍「これしきのことで倒れる程敵は緩くないですぞぉぉ!」

 

心「そんなことわかってるさ」

 

心操は宍田の突進をヒョイと避けるとXロッドソードを取り出し、レバーを上に向ける。

 

《警察》

 

十手モードにしたXロッドソードの突きを宍田の眉間に叩きつける。

 

ズドン!

 

宍「グギャヴ!」

 

眉間を押さえ、体をのけ反り腹を見せる。

その瞬間に心操はXロッドソードのレバーを起こし、倒す。

 

《一手!二手!三手!十手!一騎当千!》

 

レバーを四回操作すると、Xロッドソードを構える。

 

狙いを定め、心操は思い切りXロッドソードを突き出した。

 

《イチゲキエックスストライク!》

 

心「エクセレントエックス!」

 

ズドォォォン!

 

強力なビームが宍田に叩きつけられる。

 

宍田はそのまま吹き飛ばされていった。

 

そしてその頃、上鳴対麟の戦いも決着が着こうとしていた。

 

上「仮面ライダーの経験はこっちの方が長いんだ!決めさせてもらうぜ!」

 

上鳴がベルトのボタンを連打し、力を溜める。

 

《バースト!キュウニ!デッドヒート!》

 

麟「ナメんなぁぁぁ!」

 

麟も負けじとメテオギャラクシーにメテオスイッチを挿して指紋照合をし、拳を構えた。

 

《リミットブレイク!》

 

麟「ホォワタァァァァァ!」

 

上「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

麟と上鳴の激しい拳のラッシュがぶつかり合う。

 

熾烈なラッシュに一歩勝ったのは上鳴だった。

麟の拳を弾き飛ばし、拳を振りかぶった。

 

上「マッハァァァァ!」

 

上鳴のボディブローが麟の腹に叩きつけられた。

パンチの衝撃が背中を突き抜ける。

 

麟「ごぁぁあ!」

 

そのまま麟の体が吹き飛ばされた。

 

吹き飛ばした方向には心操が吹き飛ばした宍田もいる。

 

上「あれっ、、あの巨体は、、」

 

上鳴が宍田の開けた穴から見えたのは吹き飛ばされた宍田だった。

 

ゴチン!

 

宍・麟「ガヒャッ!」

 

吹き飛ばされた2人の体はぶつかり合い、そのまま気絶してしまった。

 

麟の変身も強制解除される。

 

気絶したのを確認した心操と蛙吹は2人を拘束し、自分チームの檻に全員閉じ込めた。

 

蛙「遅れてるどころかとっても強力よ心操ちゃん」

 

蛙吹が言葉をかけるが心操が首を横に振る。

 

心「全然まだまだだ、おんぶに抱っこじゃダメなんだ、俺自身の実力でプロにならなきゃ」

 

ブ「第一セット!ぐぬぬぬA組+心操チームの勝ーーーー利!」

 

A組対B組の第一戦はA組の勝利に終わった。

 




長くなっちゃいました、、
次回もいろんな人を変身させます。


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知と意地と根性

A組VSB組第二セットです


A組vsB組の対抗戦、これから第二セットが始まろうとしていた。

 

A組 八百万、常闇、葉隠、青山

B組 拳藤、黒色、吹出、小森 のメンバーで始まり、B組チームは常闇の黒影と対峙していた。

 

拳「"個性"はだいたい知ってるけども、新技とか"個性"伸びてると『わからん殺し』される、だからまず様子見って感じかね!」

拳藤{装備 ?}

 

巨大な黒影がB組と向かい合っている。

黒色がゆっくりと前に出た。

 

拳「任せるよ、黒色」

 

黒影「様子見ジャネーヨ!今ココデヤレル奴ヤッチマウゼ!」

 

黒「行ってきます」

黒色{装備 無し}

 

黒影がB組に襲いかかる。

襲いかかってきた黒影の前に立ち、黒色は微笑んだ。

 

常闇は黒影越しにB組チームのいる場所を探知する。

 

常「見つけたようだ、あの一際高くそびえる煙突の下手前」

常闇{装備 ?}

 

場所を告げ、A組チームが向かっていると常闇の中に黒影の声が響く。

 

黒影「フミカゲ!ヤラレタ!」

 

黒影の声が聞こえた直後、黒影が戻ってくる。

 

青「あ、戻ってきた」

青山{装備 セイザブラスター}

 

 

常「皆散れ!戻れダークシャド、」

 

ドフッ!

 

戻ってきた黒影が常闇の腹を殴り吹き飛ばす。

 

すると黒影から黒色が出てきた。

 

葉「黒影の中から黒色くんが!」

葉隠{装備 忍者一番刀}

 

八「フッ!」

 

八百万が腕を振り、網を発射するが、黒色はそれを避け、"個性"『黒』でパイプの影に入り込む。

 

黒「常闇踏陰、おまえは俺が穿つ」

 

常闇は体勢を立て直すと羽織っていたマントを脱ぐ。

 

常「良いだろう、ホークスのもとで編み出した技"黒の堕天使"で受けて立つ」

 

黒「ケヒヒ!黒の堕天使!?良いじゃねぇか見せてみろ!」

 

常闇がマントを放り投げると右腕を上に掲げる。

そして両腕を構えると常闇が叫んだ。

 

常「忍風!シノビチェンジ!」

 

常闇が左腕を前に出すとともにハリケンジャイロを回転させる。

すると常闇の体が旋風と共にシノビスーツに包まれ、変身を完了した。

 

常「風が哭き、空が怒る。空忍・ハリケンレッド!!」

常闇{装備 ハリケンジャイロ}

 

常闇が名乗りを決めるとモニターを見ていたA組から驚きの声が上がる。

 

麗「常闇くんが赤になったーー!!」

 

芦「ブラックになると思ってたのにー!」

 

善「そりゃみんなビックリするよね、使える技を説明したら常闇きゅん『これにする』って言って持っていったんだ」

 

常闇はハヤテ丸を抜くと切先を黒色に向ける。

 

常「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を斬る!」

 

常闇が黒色に飛びかかると黒色はパイプの影に入り込み、斬撃を躱す。

 

黒「この配管まみれのステージじゃ居場所把握は無理だ!」

 

黒色の声が辺りに響く。

それを聞いた青山はテンビンキュータマを取り出し、セイザブラスターを構える。

 

青「ならば僕が辺りを輝かせてあげるよ☆」

 

テンビンキュータマをスライドさせた瞬間、青山のマントが誰かに掴まれる。

 

青「へ?」

 

青山が掴まれた方を振り向くと、そこには影から上半身を出した黒色が青山のマントを掴んでいた。

 

黒「ひっかかった」

 

黒色がケヒヒと笑うと颯爽と青山を連れ去った。

 

青「へーーーーゥプ!」

 

黒(常闇に宣戦布告したから油断していただろう!俺のスピード!そしてこの狭く煩雑なステージ!黒影は本体と繋がる"へその緒"が邪魔で動きづらいだろう!つまりA組が俺に追いつく術はない!)

 

常「と思ったか?」

 

黒色の後ろで常闇の声が聞こえる。

 

黒色が振り向くと常闇は空中を走っていた。

 

常「超忍法!空駆け・黒の堕天使!」

 

常闇は何もない空中を走っている。

背中には黒影の腕が翼のように広がっていた。

 

黒「それが黒の堕天使!」

 

黒色が驚いている隙に常闇が青山を取り返す。

 

常「取り返したぞ、黒き者よ」

 

黒「また来るぞ黒の堕天使、、否!赤黒(せきこく)の堕天使よ、、」

 

黒色は捨て台詞を吐くとパイプの影に消えていった。

 

常「赤黒、、赤き黒の堕天使か、、」

 

常闇は空を駆けながら自分の赤いスーツを見る。

 

常「悪くないな、、」

 

常闇はマスクの中でフフッと笑った。

 

八「青山さん!ネビルビュッフェを!常闇さんは自由飛行!」

 

八百万が2人に指示を出す。

 

青山はヒーロースーツの各部分からレーザーを射出し、辺りの影の形を乱す。

 

すると黒色はパイプの影から弾き出され、姿を現した。

 

八「いましたわ!葉隠さん!」

 

葉「よっしゃー!捕まえるぞー!」

 

葉隠が黒色に向かって走る。

 

八百万が黒色の確保を確信した瞬間。

 

ポムッ

 

八百万の鼻の頭からキノコが生えた。

 

八「いやっ!」

 

走っていた八百万は急ブレーキをかけ、体から生えてくるキノコを払う。

 

葉「わー!シルエット見えちゃう恥ずかしー!」

 

葉隠の体からキノコがポムポムと生え、体の形が見えてくる。

 

飛んでいる常闇と青山の体にもキノコが生えてきた。

 

常「菌茸類が大地を埋め尽くしていく」

 

青「黒色くんが見えないよ☆」

 

常闇達の周りがキノコで覆いつくされる。

黒色はすでに身を隠していた。

 

小「クロハナヒラタケくん、キシメジちゃん、エノキタケにヒトヨタケ、生えろや生えろ!世界をキノコで魅了しろー!」

小森{装備 ガシャコンバグヴァイザー}

 

小森は常闇達から離れた場所でガシャコンバグヴァイザーを使い、キノコの菌を飛ばしていた。

 

峰「人体にまで生えるのかよ、、ホラーだ」

 

モニターを見ていた峰田が思わず呟く。

 

泡「彼女のキノコは2、3時間で全部消えるから後に引かないんだ、そのせいでぶっぱ癖がついてるけど」

 

泡瀬が説明すると小森の持っているガシャコンバグヴァイザーを見て首を傾げる。

 

泡「それにしてもあの武器はなんだ?」

 

善「あれは仮面ライダーの武器ですよ、ウイルスを散布することができんの、多分小森さんの個性と合致してキノコの菌も出せるようになったんでしょうね」

 

峰「なんか変な柄のキノコも生えてんだけど」

 

善「多分バグヴァイザーのウイルスと混ざって変なのができたのかも」

 

小森の周りに生えているキノコの中にはオレンジ色の奇妙な柄をしたキノコも生えている。

 

小「可愛いキノコもいっぱい出てくる♪コレすっごく気に入った〜♪」

 

泡「ぶっぱ癖に拍車がかかった、、」

 

小森は見たことのないキノコに興奮しバグヴァイザーの菌を振り撒きながら歩いていった。

 

八「皆さん落ち着いて!まずは一かたまりに、、」

 

八百万が指示を出そうとした瞬間、遠くから奇妙な声が聞こえた。

 

吹「ゴンッ!ガンッ!ドガッ!あ〜〜ッズドッズンッ!」

 

声の後にゴンガンドガの巨大な文字の塊が襲いかかり、八百万達を散らした。

 

吹「冴えてるぞボク!ガンッて感じのがギャギャーンっと出来た!心がドワァーってなっちゃうぜ!」

吹出{装備 四コマ忍法刀}

 

具現化したオノマトペは何をしても壊れない。

 

常闇のハヤテ丸の一撃や青山のレーザーでも傷一つつかなかった。

 

葉「あれっ!ヤオモモいない!」

 

葉隠が八百万の姿がないことに気づく。

 

八百万はオノマトペの壁に分断され、1人になってしまった。

 

拳「あとは力で攻めきる!」

 

八百万の後ろから拳を振りかぶった拳藤が飛び出す。

 

八「盾をっ!」

 

八百万が瞬時に盾を創造する。

しかし拳藤の一撃で大きくひしゃげ、八百万は吹き飛ばされた。

 

拳「格闘分野に持ち込めば、こっちにも勝機があるってね!」

 

拳藤がにやりと笑いながら八百万に歩み寄る。

 

八百万は盾を大量に創造し、拳藤と距離を取る。

 

拳「無駄無駄ァ!」

 

拳藤は腕を大きく振り、盾をなぎ払う。

 

拳「あれ?」

 

盾の後ろには八百万が立っている。

拳藤は八百万の腰に着いているベルトを見逃さなかった。

 

八「いきますわ、、変身!」

 

《ピーチエナジー》

 

八百万はピーチエナジーロックシードを開くとゲネシスドライバーに装着する。

 

《ロック・オン》

 

八百万の頭上にチャックが出現し、それが開いて桃が落ちてくる。

ベルトのハンドルを押し込むと、桃が八百万の頭に被さる。

 

《ソーダ》

 

そのまま桃は展開し、鎧となって体に装着され、変身を完了した。

 

《ピーチエナジーアームズ》

 

八「仮面ライダーマリカ、、参上ですわ!」

八百万〔装備 ゲネシスドライバー}

 

八百万がソニックアローの弓を引き、拳藤に放つ。

 

拳「飛び道具!」

 

拳藤が跳躍し矢を避けるが少しかすめ頬から血を流す。

 

拳「ふふん、やるじゃん」

 

頬から流れる血を親指で拭いぺろっと舐める。

 

拳「そんじゃ私も行きますか!」

 

拳藤は両手に何かを装着すると、両手を前に出し、猛々しく叫ぶ。

 

拳「たぎれ獣の力!ビースト・オン!」

 

右手の拳を左手のひらに叩きつけ握り込む。

握った右拳を突き出すと拳藤の体がスーツに包まれ、変身を完了させた。

 

八「拳藤さんも変身を、、」

 

驚く八百万を前に拳藤は名乗りを決める。

 

拳「日々是精進心を磨く “オネスト・ハート"ゲキイエロー!」

拳藤{装備 ゲキチェンジャー}

 

拳「さぁ行くよ!」

 

拳藤が八百万に向かって走る。

 

八「くっ!これで!」

 

八百万はピーチエナジーロックシードをソニックアローに装着し、弓を引き、放つ。

 

《ピーチエナジー!》

 

無数の矢が拳藤に向かって放たれた。

 

拳「なんのぉ!ゲキワザ"打打弾"!」

 

拳藤は"個性"大拳で巨大化させた拳でゲキワザを繰り出す。999発の正拳打ちが矢を全て叩き落とした。

 

拳藤が八百万の懐に入り込む。

八百万はゲネシスドライバーのハンドルを押し込み、ソニックアローを振りかぶった。

 

《ピーチエナジースカッシュ》

 

拳「ゲキワザ"貫貫打"!」

 

八百万の全力の斬撃と拳藤の連続の拳がぶつかり合う。

互いの衝撃に2人の体は吹き飛ばされた。

 

八(今のうちに!)

 

吹き飛ばされている間、八百万は手のひらの上で何かを創造し、壁の向こうに放り投げた。

 

拳「くっ!まだまだぁ!」

 

拳藤が体勢を立て直し、八百万に向かう。

 

八「射撃と斬撃もあまり効果はない、、ならば!」

 

八百万はソニックアローを手放し、両手を上に掲げマンゴーパニッシャーを創造した。

 

拳「ハンマー!?」

 

拳藤が驚いた隙に八百万はマンゴーパニッシャーを振り下ろす。

 

拳藤は両手をクロスし、八百万の一撃を受け止めるが、一撃が重く足場が大きく陥没した。

 

拳「うぐぁ!おもっ!」

 

耳「ヤオモモがハンマー、、」

 

八百万が巨大なハンマーを使う様子を見て耳郎が唖然とする。

 

善「そういやこの前八百万さんに鎧武のDVD全巻貸したんだっけね、劇中の武器思い出して創造したんか、、」

 

八百万は次々と武器を創造し、拳藤に向かって行った。

 

八「影松!ドンカチ!」

 

右手から長槍の影松、左手から小槌のドンカチを創造する。

 

ドンカチを放り投げ、拳藤が避けた瞬間に影松の突きを喰らわせる。

 

拳「ぐっ!何この武器!?」

 

八「大橙丸!バナスピアー!」

 

続いて右手に大橙丸、左手にバナスピアーを創造し、接近戦に持ち込む。

八百万は極アームズと同じようなことをしていた。

 

突きと斬撃の猛攻に拳藤は防御をすることしか出来なかった。

 

拳「ぬぅぅぅう!根性ーー!」

 

拳藤は防御をすることをやめ、反撃を始める。

拳藤の拳が大橙丸とバナスピアーに叩きつけられる。

本物の素材ではない八百万の武器はいともたやすく砕かれた。

 

八「くっ!ならばこれで決めますわ!」

 

八百万はベルトのハンドルを二回押し込む。

 

《ピーチエナジースパーキング》

 

八百万の足に桃色のエネルギーが溜まる。

 

それを見た拳藤は右拳を巨大化させ、激気を溜めた。

 

拳「ゲキワザ、、"瞬瞬弾"!」

 

八「はぁあああ!」

 

八百万の回し蹴りと拳藤の拳がぶつかり合い、辺りに激しい衝撃が走った。

 

一方壁の向こうでは。

 

青「へーーーゥプ!」

 

青山が黒色に連れ去られていた。

 

常「菌茸類め!制動を挟む!」

 

常闇が追いかけようとするが顔にキノコが生え、視界が遮られ追いかけることができない。

 

葉「モヘ〜」

 

常「インビジブルガール!」

 

体からキノコが生えまくった葉隠が常闇と合流した。

 

葉「3人の居場所見つけなきゃ勝てないよぉ〜」

 

葉隠がキノコをむしりながら嘆く。

 

その時、常闇が宙を舞う袋を発見した。

 

常「あれは、、黒影!」

 

黒影「アイヨ!」

 

黒影が袋をキャッチし、常闇に運ぶ。

 

袋には『ヤオヨロズラッキーバッグ』と書かれていた。

 

葉「これって、、滅菌スプレーだ!」

 

袋の中にはエタノールスプレーが大量に入っていた。

 

常「それとコレはゴーグルか?」

 

葉「デザイン的に常闇くん用だね」

 

それを聞いた常闇は頭のマスクを外す。

 

葉「それ取れたんだ!」

 

常闇はゴーグルを着けるとあることに気づく。

 

常「これは、、サーモグラフゴーグルか、、」

 

辺りの温度がくっきりと分かる。

 

マスクを再び被ると常闇は相手の居場所を補足した。

 

常「葉隠、向こうに黒色と小森を見つけた、あそこには吹出がいる、吹出を頼めるか?」

 

葉「任せて!こっからは私もガチで戦うよ!」

 

葉隠が忍者一番刀を掲げるのを見届けると常闇は黒色達の方へ走って行った。

 

常「それでは任せた!」

 

常闇が疾風の如く走って行く。

 

黒「?小森、、なんかこっちに向かってきてる、、」

 

黒色が常闇を認識する直前、常闇はハヤテ丸を抜き、黒影を出現させる。

 

常「師曰く、疾さは力に勝るという」

 

黒色が常闇を認識した時、常闇は攻撃を完了していた。

 

常「深淵暗躯・疾風斬り"夜宴"」

 

黒色に斬撃を喰らわせ、小森を黒影で縛る。

 

黒「小森!」

 

黒色が小森の心配をしながら辺りの黒色を探す。

 

常「黒をお探しか?」

 

次の瞬間、黒色の体が黒のマントに吸い込まれた。

 

常「俺の外套だ」

 

黒色が吸い込まれた瞬間、常闇がマントを丸め、黒色を捕獲する。

 

常「移動のしようがなければ恐るるに足らず、、投獄に」

 

バキャン!!

 

突然常闇の頭のマスクが砕かれた。

咄嗟に襲ってきた衝撃で常闇の思考は一瞬止まり、前のめりに倒れ込む。

 

倒れる刹那、常闇の目に見えたのはバグヴァイザーを構えた小森と同じく倒れようとしていた黒影だった。

 

小「ごめんね、可愛くないから使いたくなかったけど、負けそうなのにやらないのもダメキノコだもん」

 

小森はバグヴァイザーにグリップをつけ、ビームモードにした瞬間に黒影と常闇の頭を撃ったのだ。

 

常「なんだと、、」

 

常闇が倒れ、黒影が小森の体を離した瞬間、小森はグリップを外し、常闇にバグヴァイザーのウイルスを浴びせた。

 

小「ちょっと寝ててね」

 

常闇の意識はそこで途切れた。

 

その頃吹出はシロニンジャーに変身した葉隠と戦っていた。

 

吹「わーー!こんなんだったら変身アイテム持ってくればよかったーー!」

 

葉「とおりゃぁあああ!」

 

吹出は四コマ忍法刀一本で変身した葉隠と戦っている。しかし葉隠の方が優勢になっていた。

 

吹「くらえーー!」

 

《火遁の術! 火炎斬り!》

 

葉「なんの!」

 

《ジャブジャブジャー!》

 

吹出の火遁を葉隠の水の術でかき消す。

 

吹「あーーー!やられるー!」

 

葉「とどめだーー!」

 

葉隠が一番刀を振りかぶり止めをさそうとした瞬間。

 

拳「ストップ!」

 

葉「ギャ!」

 

拳藤の巨大な手が葉隠を掴み拘束した。

 

拳「遅れてゴメン」

 

吹「拳藤!助かった、、何だいそれ、、」

 

吹出が八百万が巻きついている拳藤の体を見て首を傾げる。

 

拳「激重ハンマー付きで絡みついて来た、動きにくくてしょうがない」

 

八百万は最後の足掻きでパインアイアンを拳藤に巻きつけていたが、力尽きてそのまま拳藤に連れて行かれていた。

 

拳「創造するもの全部先見据えてて、勝った気しないな」

 

このままA組チームは牢に入れられ、第二セットはB組の勝利となった。

 




文がおかしくなってたらすみません
いつもこんなこと書いて保険かけててすみません
すみませんばっかりですみません


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魔王と気合

第3セットです


第二セットで大きくステージが壊れてしまったのでステージを変えて第三セットが始まろうとしていた。

 

A組 轟、障子、尾白、飯田

 

B組 鉄哲、骨抜、回原、角取 のチームで始まった。

 

鉄「俺ぁよ、良くバカ扱いされるわけだが、、腐っても雄英合格した男、考えなしに生きてるわけじゃあねぇのよ」

 

鉄哲が辺りのパイプをゴンゴンと叩きながら語り始める。

 

回「急にどうした」

 

鉄「このチーム!索敵搦め手からっきしな奴ばかり!ならどうするオイ!皆!なら当然!」

 

鉄哲がバッとサイブレードを取り出し、構えて叫ぶ。

 

鉄「研ぎ澄ませ、獣の刃!ビースト・オン!」

 

サイブレードのボタンを押すと鉄哲の体がスーツに包まれ、変身を完了させた。

 

鉄「才を磨いて、己の未来を切り開く! アメイジング・アビリティ!ゲキチョッパー!」

鉄哲{装備 サイブレード}

 

名乗りと共に鉄哲がサイブレードを近くのパイプに叩きつける。

 

ガゴォォォン!

 

鉄「更地にするよなぁ!!?」

 

そのまま鉄哲は目茶苦茶に暴れ回りパイプを破壊しながら突き進み始めた。

 

鉄「小細工無用!来いや死ようぜ真っ向勝負!」

 

鉄哲の破壊で辺りの建物も崩れて行く。

鉄柱が倒れて行くのを確認したA組チームは B組チームの方へ駆けて行った。

 

轟「向こうの意図は恐らく正面戦闘」

轟{装備 ゲーマドライバー}

 

飯「やるぞ!A組チーム3!!」

飯田{装備 アクセルドライバー}

 

その頃B組チームは暴れ狂う鉄哲に手間取っていた。

 

角「鉄哲くん!相手が馬鹿ショージキに来てくれるハズナイデショ!トラップと思うヨ!」

角{装備 無し}

 

角取が鉄哲に向かって怒るが骨抜がここで前に出た。

 

骨「いや!俺が向こうなら行くね!障子で状況把握、轟を軸に攻めるのが1番強い。一かたまりでこんな開けたとこいたら」

骨抜{装備 無し}

 

次の瞬間、轟の広範囲の氷がB組チームに襲いかかって来た。

 

回「だぁぁ!冷た!」

 

鉄「氷方向に轟!他は!!」

 

鉄哲が他のメンバーの居場所を確認しようとするが轟以外のメンバーの場所は分からない。

 

轟は遠くで仮面ライダーブレイブに変身し、地面にガシャコンソードを突き刺し、氷を発動していた。

 

飯「レシプロバースト!」

 

B組チームの近くに潜んでいた飯田は仮面ライダーアクセルに変身した状態でレシプロバーストを発動させる。

 

鉄「来いやぁ!」

 

鉄哲が猛々しく吠えた直後、辺りの氷がドロリと柔らかくなり、足場が崩れた。

 

骨「氷結ぶっぱは安い手じゃん、もっと非情に火攻めで来られたら打つ手なかったのに」

 

骨抜の"個性"柔化で柔らかくなった氷はB組チームの動きを自由にさせる。

 

回「サンキュー柔造!反撃が柔軟だぜ!」

 

回原が体に付いた氷を払うとポケットからセルメダルを取り出し、腰に巻いていたバースドライバーにセットした。

 

回「変身!」

 

バースドライバーのハンドルを回転させる。

 

ポンッ

 

ベルト中央のカプセルが開くと回原の周りを無数の小さなカプセルが囲み、それらが鎧となって変身を完了させた。

 

回「仮面ライダーバース!行くぜぇ!」

回原{装備 バースドライバー}

 

回原は変身すると近くで崩れた足場に戸惑う尾白を見つけた。

 

回「尾白は俺が相手する!」

 

回原が尾白に飛びかかりながらベルトにメダルを1枚入れ、ハンドルを回す。

 

《ドリルアーム》

 

ベルトから出たカプセルが右腕に集まり開く。

開かれたカプセルはドリルの形に変形し、装着された。

 

尾「うおお!本能覚醒!」

尾白{装備 ジュウオウザライト}

 

崩れた足場で尾白はジュウオウザライトを掲げ変身する。

 

クロコダイルフォームに変身した尾白はジュウオウザガンロッドのロッドモードで回原のドリルを受け止めた。

 

ガリガリガリガリガリガリガリガリ!

 

回「このドリルは俺の個性も組み合わさって通常の数倍の回転力だ!棒切れで相手できるかよ!」

 

回原のドリルがガンロッドを弾き飛ばし、ドリルアームが尾白に直撃した。

 

尾「ぐわぁぁ!」

 

飯「尾白くんっ!」

 

飯田が尾白を助けてようとした瞬間、飯田の足場が崩れ、そのまま飯田は柔らかい氷の海に落ちて行った。

 

骨「踏みしめる土台あってこその脚力、氷の下の地面も柔いぜ、あんたはとても面倒だ沈めて固めて放っとく」

 

飯田が顔まで沈んだことを確認した骨抜は氷の海に再び触れ、氷本来の固さに戻す。

 

飯「俺たちの連携を断つ気か!おのれ敵!狡猾なり!」

 

飯田は完全に氷に拘束されてしまった。 

 

一方轟サイドでは、轟と共にいた障子に角取の個性"角砲"が襲いかかっていた。

 

轟「障子!」

 

障「ぐっ!これは、、存外力強い!」

障子{装備 無し}

 

角「捜索役の障子クンは安全圏にいるとノケンカーイです!そう!例えば轟くんのバックとかネ」

 

角取の角砲は障子の体を押し通す。

轟が障子に気を取られてたとき、轟の目の前の氷が砕け、鉄哲が突進して来た。

 

鉄「角ダッシュハンマー!」

 

轟「ぐぉっ!」

 

肩と顔面を鷲掴みにされ、轟は乱暴に地面に叩きつけられた。

 

鉄「てめェよぉ!冷てぇんだよなぁ!オイ氷がよぉお!てつてつがきんきんだよ轟ィ!ステゴロでてめぇよぉ!なぁ!俺に勝てるかぁ!」

 

拳をゴキゴキと鳴らしながら轟に歩み寄る。

轟は焦る様子も見せずに立ち上がった。

 

轟「あいにく、コッチは拳じゃないんでね」

 

轟はガシャコンソードを構え、鉄哲に向かって行った。

 

その頃飯田は氷に身動きが取れなかった。

 

飯「おのれェェ!」

 

骨「悪いね、レシプロって時限だろ?開幕使用はよくないね?じゃ俺鉄哲の加勢に行くから」

 

骨抜が飯田に背を向け去ろうとした時。

 

ドルルルルルルル

 

飯「時限?いつの話だマッドマン!」

 

飯田からエンジン音が響く。

 

骨「なんだと?」

 

飯「インゲニウムはいつでもどこでも駆けつける!その為の脚!俺はもうフルスロットル!」

 

《新技 レシプロターボ!》

 

バゴォォン!

 

氷を破壊し飯田が起き上がる。

 

起き上がった飯田のベルトにはアクセルメモリではないメモリが入っていた。

 

《トライアル》

 

ベルトのハンドルを捻り、エンジン音を響かせる。

 

トライアルメモリの信号と共に飯田の体が赤、黄と変わっていく。

 

信号が青に変わった時、飯田のゴツゴツとした装甲から一変、青色の姿へと変わった。

 

骨「お前、、その姿は、、」

 

飯「仮面ライダーアクセルトライアル!さぁ、、全て振り切るぞ!」

 

次の瞬間、骨抜の視界から飯田の姿が消える。

 

骨「まさかっ!」

 

骨抜は危険を察知し、地面に潜ろうとしたが飯田の速さに追いつかなかった。

 

ガゴォ!

 

飯田の蹴りが頭に叩きつけられる。

飛びそうになる意識を気合で保ちながら骨抜は踏ん張った。

 

飯「エンジンのチューニングを完了し、レシプロの馬力を底上げした!尚且つ掛かる燃費は最小限に!さらにアクセルトライアルの速さも加わり誰の目にも捉えられることは不可能!10分だ!10分!誰も俺を止められない!」

 

骨「結局新技で初見殺しかよ!」

 

飯「ただし!」

 

飯田の声が骨抜の遠くから聞こえる。

 

飯「速すぎて!制御しきれない!」

 

1秒にも満たない間で飯田は骨抜を通り抜き様に一撃喰らわせた。

 

骨「まずい、これは、、勝負にならない!」

 

骨抜が瞬時に自分の足場を柔化し地面に沈む。

即座に地面を元の固さに戻し、飯田から完全に逃走した。

 

飯「むうぅ、マッドマン、、非常に賢く狡猾、、」

 

飯田の新しいフォームをモニターで見ていた緑谷は細かく分析していた。

 

緑「レシプロターボとアクセルトライアル、、グラントリノより断然速い、、全然姿が見えないや、、」

 

善「そーいやエンジンのチューニング手伝ったっけねー、めちゃんこ痛そうだった」

 

麗「痛いんだ、、」

 

善「タオル咥えてヴガゥゥ!って呻きながらエンジン引っこ抜いてたよ飯田くん」

 

善彦がその時の光景を思い出し、身震いしていると芦戸がモニターを指差す。

 

芦「それより見てーー!尾白が!」

 

皆がモニターに注目すると、ジュウオウザワールドの尾白と仮面ライダーバースの回原が戦っていた。

 

回「ほらほらどうしたぁ!いなしてるだけじゃ勝てないって知らないのかぁ!」

 

回原がドリルアームとショベルアームを回転させながら尾白に襲い掛かる。

 

尾(攻撃しても弾くじゃん!ドリルは回転えげつないし、ショベルの方も回転してめちゃくちゃ攻撃力ハンパないし!発想エグいよ回原くん!)

 

ガンロッドをガンモードし、リールを回転させ、回原に照準を合わせる。

 

尾「これでもくらえ!」

 

《ジュウオウザバースト》

 

ガンロッドから放たれたキューブ状のエネルギーが回原に向かう。

しかしそれを回原はいともたやすくドリルアームで粉砕した。

 

回「甘いぜぇ!」

 

尾「嘘でしょ!」

 

辺りにエネルギーの破片が散らばり、パイプに穴を開ける。

その中で地面にぶつかり、地面を傷つけた破片を尾白は見逃さなかった。

 

尾(地面に沈まないでぶつかった!もしかして!)

 

パイプをつたいながら移動していた尾白が地面に立つ。

その地面は骨抜の個性がかかっていないきちんとした地面だった。

 

尾「これならできる!」

 

尾白が全身に力を溜める。

その隙に回原がメダルをベルトに入れ、ハンドルを回した。

 

《クレーンアーム》

 

ベルトから出てきたクレーンアームはドリルアームと合体し、クレーンアームの先端にドリルが装着された。

 

回「なにをボンヤリと!」

 

回原が尾白に向かってドリルを発射する。

その瞬間、尾白の目がギラリと光った。

 

尾「野生、、大解放!」

 

尾白が叫んだ直後、尾白の両肩からサイの角が生え、両手に狼の鉤爪、そして元々尻尾があった部分からはワニの尻尾が生えた。

 

回「うぉお!なんだありゃ!」

 

回原が驚いたと同時に発射されたドリルが尾白の鉤爪に掴まれ、グシャリと握り潰される。

 

尾「もう誰にも、、普通だなんて言わせないぞ!」

 

先程まで押されていた尾白から一変、野生の猛獣のような貫禄が感じさせられる。

 

葉「尾白くん、、なにあの姿、、」

 

モニターを見ていた葉隠が震えた声をだす。

 

善「野生大解放、自分の中の野生動物のパワーを文字通り大解放させる技だよ、ザワールドは3匹の動物を宿してるからその動物のパワーを使えるの」

 

麗「サイとオオカミとワニ?」

 

善「ワニの尻尾は右手に着くはずなのに尾白くんの尻尾の着いている場所にある、、こっちも個性と合致したのか、、」

 

納得した善彦がモニターを見る。

 

装備を解除した回原は尾白の目の前に降り立つ。

 

回「最終形態ってわけか、、なら俺もやらせて貰うぜ!」

 

回原がベルトにメダルを入れ、ハンドルを回す。

 

《ブレストキャノン》《キャタピラレッグ》

 

ベルトから出たカプセルは胸と足に装着され、巨大な大砲とキャタピラが着けられた。

 

回「続けていくぜぇ、、」

 

回原はベルトにメダルを入れ、ハンドルを回しを繰り返す。

ブレストキャノンに赤い光が充填していった。

 

尾白も呼吸を整え、クラウチングスタートの姿勢をとる。

 

尾「ワールドザクラッシュ!」

 

サイ、オオカミ、ワニの力が合わさった突進が回原に向かう。回原もブレストキャノンの充填が終了した。

 

回「そらよぉ!螺旋ブレストキャノン!シュート!」

 

《セルバースト》

 

回原のブレストキャノンから螺旋回転の加わった光線が放たれる。

 

尾白はその光線に真っ直ぐに突っ込んだ。

 

尾「ぐおおおぉぉおぉ!」

 

螺旋が加わり威力の上がったブレストキャノンを物ともせずに突っ込んでいく。

 

回「突っ込んでくるかよ普通、、」

 

回原の体にはブレストキャノンの反動で非常に大きい負荷がかかっている。

回原の仮面の内側にはwarningの文字がいくつも写っていた。

 

回「負けるかぁぁぁぁぁ!」

 

尾「おらぁあぁぁぁぁぁ!」

 

回原のブレストキャノンに負けずに尾白が突き進んでいく。

 

遂に尾白はキャノン砲までたどり着いた。

 

尾「おらぁぁあ!」

 

ギャリィィィィン!

 

尾白がオオカミの爪をキャノン砲に叩きつける。

ブレストキャノンは大きく斬り付けられ破壊された。

 

回「しまった!」

 

回原がキャノン砲を破壊されたことにたじろぐ。

その隙に尾白は体を捻り、ワニの尻尾に勢いをつけた。

 

尾「くらえぇぇぇ!」

 

《尾空旋舞・(ガク)

 

勢いのついたワニの尻尾が回原に叩きつけられる。

 

ブレストキャノンを大きくひしゃげさせながら回原の体を大きく弾き飛ばした。

 

回「ぐがぁああああ!」

 

回原の変身が強制解除され宙を舞う。

その体を飯田がキャッチした。

 

尾「飯田!」

 

飯「スパイラルを牢に入れる!しばし離脱するがすぐ戻る!」

 

飯田はそう告げると颯爽と回原を牢へ連れていった。

 

尾「俺も轟の加勢に行かねぇと!」

 

尾白が轟のいる方向に向かおうとした時、変身が強制解除される。

 

尾「え、、なんで変身が、」

 

解除された直後、尾白の体が大きくよろめきその場に倒れ込む。

 

尾「動け俺の体、、ダメだ、、意識が、、」

 

尾白の意識が遠のいて行く。

力尽きた尾白はその場に気絶してしまった。

 

その頃、轟は鉄哲との戦いに苦戦していた。

 

鉄「俺拳!!」

 

バリィィ!

 

鉄哲の拳で轟の氷壁は全て砕かれていく。

 

轟「ならこれでどうだ!」

 

轟がガシャコンソードのBボタンを3回押し、横なぎに振る。

すると無数の氷柱が鉄哲に襲いかかった。

 

鉄「くらうか!ゲキワザ!捻捻弾!」

 

鉄哲がサイブレードを構えるとサイブレードフィンガーから激気の弾が生成される。

 

そのままサイブレードを振ると激気の弾が発射され、轟の氷柱を全て粉砕した。

 

鉄「お前の氷なんぞ!正義の鉄拳でブチ破る!」

 

轟「なら、、」

 

ここで轟がガシャコンソードのAボタンを押し、ソードの属性を変える。

 

《カ・チーン》

 

轟「炎の壁で!」

 

轟の目の前が氷の大地から炎の海に変わる。

鉄哲が炎の海に飲み込まれた。

 

轟「角取頼む」

 

鉄哲が見えなくなった隙に障子に指示を送る。

障子はうなずき、角取の元へ向かった。

 

轟「これで退いてくれ、、一旦距離を、、」

 

鉄「なんで俺がてめぇの相手してっか!わかってねェなあぁ!」

 

炎の中から声が聞こえる。

次の瞬間、炎の中から鉄哲が現れた。

 

鉄「効かねぇからだよ」

 

鉄哲の体は炎の熱で赤くなっていた。

 

鉄「今度ァてつてつがチンチンだよオイ!」

 

※一部地域で熱々のことをチンチンと言います。

 

鉄哲がサイブレードカッターを展開する。

カッターの刃も熱で赤く染まっていた。

 

鉄「ゲキワザ!鉄哲熱々鋭鋭刀‼︎‼︎」

 

鉄哲が全力でサイブレードを振り回す。

 

高熱の斬撃波が轟に直撃した。

 

轟「ぐはっ!」

 

斬撃波に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

 

鉄「半冷半熱!俺には効かねぇ!これが限界を超えて手に入れた俺の最鋼峰!」

 

鉄哲が大声で宣言し、サイブレードを振り上げガハハと笑った。

 

その時轟はある事を思い出していた。

 

『体の熱を限界まで引き上げろ!そしてその限界を超えろ!』

 

父エンデヴァーの言葉が轟の頭の中に響いた。

 

轟「なんで今でてくんだよ、、」

 

ふらつきながら轟が立ち上がる。

 

鉄「このまま気ィ失うまでぶちのめす!」

 

鉄哲がサイブレードを振り下ろす。

 

その瞬間轟が何かを回した。

 

《タドルファンタジー》

 

鉄「!?」

 

ガキィン!

 

音声が鳴った直後、鉄哲のサイブレードが何かに弾かれた。

 

鉄「なんだアレ!?」

 

サイブレードを弾いた者はマントを羽織った悪魔のような形をした物だった。

 

《Let's Going King of Fantasy! Let's Going King of Fantasy!》

 

轟「術式レベル50!」

 

轟はベルトにガシャットギアデュアルβを挿し込む。

 

《デュアルガシャット!》

 

そしてベルトのカバーを開いた。

 

《デュアルアップ!タドルメグルRPG! タドルファンタジー!》

 

轟の体に悪魔の鎧が装着される。

ファンタジーゲーマーレベル50

魔王の姿となった轟が鉄哲の前に立った。

 

鉄「なんだぁ?俺は退かねぇぞぉ!」

 

鉄哲は轟の姿に一歩も退かずに向かっていく。

 

轟「退け、溶けちまうぞ」

 

轟が落ち着いた声で左腕を上げる。

紅蓮の炎が鉄哲に襲いかかった。

 

鉄「あっぢいいいいぃぃぃぃい!」

 

極熱の炎が鉄哲に襲いかかる。

 

オ「轟少年、、エンデヴァー以上の火力を、、」

 

モニターを見ていたオールマイトは驚愕していた。

 

善「タドルファンタジーは魔王の力、魔王の炎は万物を燃やすでしょうね」

 

芦「ヒーローの使うソレじゃなくね?」

 

麗「でもそのまま燃やしてたら勝てそうだよ!」

 

麗日が指を指していると善彦が横から入る。

 

善「でもレベル2からレベル50に無理やり上げたからなぁ、体が轟くんの体が持つかどうか、、」

 

カメラが熱でやられ、乱れるモニターに轟の姿が映る。

 

モニターに映る轟はやはり体に強い負荷を感じていた。

 

轟(熱で頭がどうにかなりそうだ、、早く決めねぇとな、、)

 

轟が炎を発しながら意識を保っていると炎の中から鉄哲が飛び出してきた。

 

鉄「おらあぁぁあ!」

 

ガギィィィィ!

 

振り下ろされたサイブレードをガシャコンソードで受け止める。

 

鉄「我慢比べ!得意だぜぇぇ!さらに!向こうへぁあ!」

 

鉄哲の体から激気が溢れ出る。

その勢いに轟は押されつつあった。

 

鉄「格上と限界は超える為に在る!」

 

轟「うるせぇな、、」

 

轟の炎が勢いを増す。

鉄哲の激気も勢いを増し、サイブレードに巨大な激気の刃が生えてきた。

 

鉄「ゲキワザ‼︎鉄哲超超激激熱々鋭鋭刀‼︎‼︎」

 

鉄哲がサイブレードを振り下ろす。

轟もベルトのカバーを閉じ、開いた。

 

《タドルクリティカルスラッシュ》

 

ガシャコンソードに紅蓮の炎が纏われる。

 

『限界を超えろ』

 

 轟の頭の中で、エンデヴァーの言葉が響いた。

 

轟「うおぉおおお!」

 

鉄「おらぁぁぁあぁぁあ!」

 

轟の剣と鉄哲の刃がぶつかり合う。

激気と炎の衝撃波が広がった。

 

鉄「どうしたたいした威力じゃねぇぞ轟ィィィィィィ!」

 

轟「お前も鈍くなってるぞ」

 

互いの刃で押し合う。

その時後ろから声が聞こえた。

 

骨「鉄哲溶けちゃうよ」

 

ズプッ

 

轟の足場が柔らかくなり轟が沈んだ。

 

轟「な、、」

 

鉄「骨、、、抜、、」

 

突然足場が崩れ、2人は力が入らなくなる。

そして轟の頭にパイプが直撃した。

 

轟(しまった、、!集中が切れた!)

 

脳天の衝撃で変身が強制解除される。

そのまま轟は意識を失ってしまった。

 

骨「固める」

 

骨抜が地面に触れ、固さを戻そうとした瞬間。

 

バキィ!

 

飯「今度は!外さないぞ!マッドマン!」

 

飯田が骨抜に一撃喰らわせた。

メットを半分割り、意識を飛ばさせる。

 

飯田は即座に轟を回収し、その場を去ろうとする。

 

鉄「てめっ、、逃げんじゃねー!」

 

飯「慎め悪党!救助が先決!」

 

飯田がそのまま超スピードで逃げようとする。

 

飛びそうな意識を無理やり保った骨抜が叫ぶ。

 

骨「鉄哲!これをぶったギレ!」

 

骨抜が近くの鉄柱を柔化し、鉄哲に指示を送る。

 

鉄「ゲキワザ!鉄哲千千斬!」

 

鉄哲は最後の力を振り絞り鉄柱を斬り刻んだ。

 

飯「なにっ!」

 

斬り刻まれた鉄柱の破片が落ちてくる。

 

破片の一つに飯田は潰された。

潰された拍子に変身が解除される。

 

骨「やっ、、たぞ、」

 

骨抜はそのまま気絶する。

骨抜が気絶したことにより柔化した地面や鉄柱は固さを取り戻した。

 

鉄哲も変身が強制解除され気を失う。

4人はその場に倒れ気絶してしまった。

 

ブ「一気に4名ダウン!しかし牢に入るまではリタイヤにならないぞ!どうなる!」

 

ここでブラドキングの実況が入る。

 

その直後、骨抜達の元に角が飛んでくる。

飛んできた角は鉄哲と骨抜を持ち上げ、上空まで運んだ。

 

善「あれ?アレって角取さんの角だよね?」

 

モニターを見ていた善彦が指を指す。

 

芦「持ち上げて避難させる作戦?でも回原牢に入ってるからこっちの勝ちじゃない?」

 

芦戸が首を傾げていると八百万が入ってきた。

 

八「いいえ、一対一ですわ」

 

善「え!?」

 

八「尾白さんと回原さんが戦った後、角取さんの角が尾白さんを牢まで連れて行っていたんですの、他の戦いに集中しすぎて見ていなかったんですわ」

 

善「そんなことって、、ってか障子くんまだ生きてるよね!?障子がどうにかしてくれれば」

 

八「それも難しいですわ」

 

八百万がモニターに目をやる。

 

モニターでは障子が角取に追いついていた。

 

障「角取が上空に、、しかしなぜ自分のチームを上空に、、まさか!」

 

障子が気付いた時、ブラドキングの実況が入った。

 

ブ「20分経過!第三セット終了!引き分けだ!」

 

実況放送で引き分けが告げられる。

 

第三セットは一対一の引き分けで終わった。

 




感想もらうと結構モチベーション上がります
たくさんの感想には感謝しかないです


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ストレート

私事祭りで遅れてしまったことを謝罪申し上げます
言い訳がましくなってしまいますが今まで車の免許とってました
無事免許も取れて時間も出来たのでこれからは積極的に取り組んでいく所存です。


A組vsB組第4セット

 

A組 爆豪、耳郎、瀬呂、砂藤

B組 凡戸、泡瀬、鎌切、取蔭

のメンバーで始まった。

 

爆「遅ェーーンだよ!ノロマがぁ!」

爆豪{装備 ビルドドライバー}

 

パイプ入り組むステージに爆豪の怒鳴り声が響く。

 

耳「ウチ"音"聞きながらなんだけど!」

耳郎{装備 ?}

 

爆「いいからついてこいや!」

 

メンバーを置いて爆豪が先に進む。

 

砂「相変わらず"ついてこい"だな」

砂藤{装備 ガブリボルバー}

 

瀬「体育祭の時から変わんねぇや」

瀬呂{装備 なし}

 

耳「なんだかんだ協力してくれるけど、、本当に大丈夫かな、、」

 

耳郎達が不安を感じながら爆豪を追いかけていると爆豪が前に動く影を見つけた。

 

爆「止まれ!いる!耳!全員近くにいるハズだ!探れ!」

 

耳「名前!」

 

耳郎がツッコミながらイヤホンジャックを刺して音を探る。

 

ガッ、、ゴッ、、ヒタヒタ、、ガンガン!

 

耳「待って、、やられた!」

 

辺りに聞こえる不審な音、異変に気付いて耳郎が叫んだ瞬間。

 

取「ハイ、しゅーりょー」

 

爆豪の隣で声が聞こえた。

 

爆「!!」

 

爆豪が声のした方向に腕を振るが、声の主である取蔭の口部分はそれを避けて逃げていった。

 

口部分が逃げていったのと同時にパイプに隠れていた取蔭の体のパーツが這い出てきた。

 

取「ケケケケケ!耳郎の索敵を逆手に取らせてもらったよ!」

取蔭{装備 なし}

 

取蔭の個性『とかげのしっぽ切り』で切り離したパーツを爆豪に叩きつける。

 

幾つもの取蔭のパーツが爆豪に襲いかかった。

 

爆「威力はそれほどでもじゃねぇがウゼェ!的が小さすぎる!」

 

瀬「爆豪!こっちへ!」

 

《バリケードテープ》

 

瀬呂が自軍の周りにテープを張り巡らせる。

 

瀬「トカゲのパーツが攻撃できないように!」

 

空中で取蔭の顔のパーツが集まる。

片目と口部分のパーツがくっつくと張り巡らされたテープを見て取蔭が笑う。

 

取「ハイしゅーりょー」

 

《グルースコール》

 

突如上から大量の接着剤が降ってくる。

瀬呂の張ったテープに接着剤がかかり辺り一面が接着剤に染まった。

 

凡「ええやった、切奈のプラン通りじゃん」

凡戸{装備 なし}

 

凡戸が顔から垂れた接着剤を拭き取っていると続けて鎌切が耳郎達の頭上のパイプを個性"刃鋭"で腕から生やした刃で斬り刻み、接着剤がベタベタについたパイプとテープを耳郎達に落とす。

 

鎌「ヒャッヒャッヒャ!遅い遅い!ボンドでベタベタのパイプとテープ!さわればくっついてとれねぇぞ!」

鎌切{装備 なし}

 

砂「触らなければいいんだな?」

 

砂藤が落ち着いた様子で獣電池を取り出す。

 

鎌「ヒャヒャッ!いまさらだ!知っているぞ!砂藤は変身するとき踊らなければ変身できない!踊りながらくっつけ!」

 

ゲラゲラと笑う鎌切を無視し、砂藤は獣電池をガブリボルバーにセットする。

 

砂「ブレイブイン!」

 

《ガブリンチョ!ステゴッチ !》

 

シリンダーを回すとそのまま銃身を上に掲げ、叫ぶ。

 

砂「ファイヤー!」

 

引き金を引くとガブリボルバーからステゴッチ のエネルギーが放出され、そのエネルギーが降ってきたパイプとテープを一掃した。

 

鎌「なにっ!」

 

砂藤はそのままキョウリュウブルーに変身を完了させる。

 

砂「ある程度体が慣れてきてな!踊り無しでも変身できるようになった!」

 

鎌「予想外だがそれがどうした!スピードなら俺が上だ!」

 

鎌切は怯まずに刃を構え、耳郎に向かって襲いかかる。

 

取「まず一番めんどい耳郎から」

 

鎌切の刃が耳郎に向かった瞬間。

 

ドギュン!

 

鎌「ぐばぁ!」

 

鎌切が何かに撃たれた。

 

耳「索敵や音攻撃しかできないと思った?」

 

耳郎が青い銃を構えながら鎌切に向かい言葉を放つ。

 

鎌「取蔭ェ!どういうこった!コレェ!?」

 

取「まァじ!?」

 

爆「防いだかよ!虫は反射が速ぇなぁ!」

 

爆豪が即座に耳郎の前に立ち、爆撃を鎌切に喰らわせた。

 

鎌「うぐっ!」(爆豪とは正面でやりあわずすぐ退く!)

 

鎌切が颯爽と爆豪達から逃げる。

 

爆「逃げたぞ!探せ!」

 

爆豪が瞬時に耳郎に指示を出す。

 

爆「決めてんだよ俺ァ!勝負は必ず完全勝利!4-0無傷!これが本当に強ェ奴の勝利だろ!」

 

ここで爆豪がビルドドライバーを装着し、クローズドラゴンをセットしてハンドルを回す。

 

《Are you ready?》

 

爆「変身!」

 

《Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! 》

《Yeah!》

 

爆豪が仮面ライダークローズに変身を完了させる。

 

耳「全体的に遠ざかってるよ、邪魔されて捉え辛いけど、、でも数は減ってきてる」

 

瀬「減ってんの?」

 

爆「仕切り直す気か、、クソが、、なめやがって!行くぞ!今の俺らは、、負ける気が死ねぇぇぇ!」

 

爆豪が爆撃で空中を移動する。

 

その軌道上のパイプの影で泡瀬が様子を伺う。

 

泡「ようやく俺の出番ね!」

 

泡瀬が右手にもっていた黄金色のスパナを上に放り投げる。

投げたスパナをキャッチすると、左手に持っていたドライバーと重ね、巻いていたベルトに装着した。

 

泡「変身!」

 

《デカイ!ハカイ!ゴーカイ!仮面ライダーキカイ!》

 

泡瀬の体に金色の鎧が装着され、変身が完了する。

 

変身を完了させたのと同時に泡瀬が爆豪の前に出る。

 

泡「鋼のボディに熱いハート……仮面ライダーキカイ!」

泡瀬{装備 ミライドライバー}

 

爆「なんだぁ!?」

 

泡「早業着工!」

 

泡瀬が両手の指の間に挟んだ部品を爆豪にくっつける。

 

《ウェルドクラフト!》

 

泡「竣工!」

 

爆豪にくっつけた部品とパイプを溶接し、爆豪の動きを止めた。

 

泡「機械の正確さと氷結能力で硬度を上げた!ちょっとやそっとじゃ壊れねぇぜ!」

 

泡瀬はそのまま爆豪の前から去る。

 

爆「なめんな!」

 

爆豪がもがいて拘束から逃れそうとするが動けない。溶接した部品が氷のように冷たいため爆豪の掌の汗腺も働かない。

 

砂「行け!」

 

《キョウリュウシュガーラッシュ!》

 

砂藤が拳のラッシュで溶接されていたパイプを破壊し、爆豪を動けるようにする。

 

爆「なめやがってぇぇ!」

 

爆豪が怒りながらクローズマグマナックルにボトルをセットし、ベルトに装着する。

 

《ボトルバーン!》

《クローズマグマ!》

 

そのまま乱暴にハンドルを回す。

極熱のマグマが爆豪にかけられた。

 

《極熱筋肉!クローズマグマ!》

《アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!》

 

クローズマグマに変身を完了した爆豪は泡瀬を追いかける。

 

爆「くっつけてんじゃねぇぞゴラァ!」

 

爆豪が泡瀬に一直線に向かう。

 

泡「キレすぎだろ、、次は顔面に鉄骨溶接してやる!」

 

泡瀬が材料を取り出し、爆豪に向かって構えた時。

 

爆「任せるぞ」

 

爆豪が突然浮上し、泡瀬を避ける。

 

爆豪の後ろには肘を構えた瀬呂と青い銃、ショットライザーを構えた耳郎が立っていた。

 

瀬「任」

 

耳「された!」

 

ドギュンドギュン!

 

泡「うげっ!」

 

ショットライザーの銃弾が泡瀬に直撃する。

泡瀬がよろけた瞬間に爆豪が前に進んだ。

 

泡「くっ、、やってくれたなぁ!」

 

泡瀬が体勢を立て直し、耳郎達と対峙する。

 

耳「仮面ライダーに変身してるからって……ウチらに勝てると思ってる?」

 

耳郎がショットライザーを腰に装着するとプログライズキーを取り出す。

 

瀬「耳郎!お前もしかして!」

 

耳「ウチもさ、、探索やサポートだけじゃなくて!仮面ライダーとして前にでる!佐竹や上鳴ばかりにカッコイイ姿させてたまるか!ってね!」

 

《ダッシュ》

 

プログライズキーを起動させるとショットライザーにセットする。

 

《オーソライズ! 》

《Kamen Rider...Kamen Rider... Kamen Rider》

 

耳郎がショットライザーの引き金を引き、一言。

 

耳「変身!」

 

《ショットライズ! 》 

 

ショットライザーから放たれた銃弾が耳郎の周りを旋回し、銃弾が分散し、鎧となる。

 

《ラッシングチーター! 》

《Try to outrun this demon to get left in the dust.》

 

鎧が装着され、耳郎は仮面ライダーバルキリーに変身した。

 

瀬「うお〜、、女豹〜〜〜だな〜〜〜」

 

耳「チーターだよ!」

 

ビュン!

 

次の瞬間、耳郎の姿が瀬呂と泡瀬の視界から消える。

 

泡「なにっ!どこ行った!?」

 

慌てた泡瀬が辺りを見回す。

 

ギュン!

 

泡「ぐわぁ!」

 

泡瀬の背中が撃たれた。

 

泡瀬が撃たれた方を振り向くがそこには誰もいない。

 

そして次は胸を撃たれた。

 

泡「うぐぅ!速すぎて見えない!」

 

泡瀬が耳郎の速さに驚愕する。

しかし一番驚いているのは耳郎だった。

 

耳(すごい、、ウチ本当に早く動けてる、、けどコントロールは制御できてる、、いける!これなら勝てる!)

 

橙色の線が泡瀬の周りを囲んでいる。

 

瀬「すげぇ、、あの線は耳郎が走った跡だってのかよ、、速すぎる、、」

 

瀬呂は完全に手出しができず傍観することしかできなかった。

 

泡「これでどうだぁ!」

 

《アルティメタルフィニッシュ》

 

泡瀬がドライバーに手を当てると泡瀬の両腕に冷気のエネルギーが溜まる。そして溜まった冷気エネルギーを思い切り地面に叩きつけた。

 

泡「うぉらぁぁ!」

 

地面に冷気が叩きつけられ、泡瀬の周りの地面が凍った。

 

瀬「ヤバイ!足場が凍った!耳郎ー!」

 

地面が凍り、耳郎の動きが止まる。

 

泡瀬も瀬呂もそう思ったが、泡瀬の周りに耳郎の姿はなかった。

 

泡「あれ、、なんでいない!?どこにいる!?」

 

泡瀬が再び周囲を見回していると上から声が聞こえた。

 

耳「どーこみてんだよ!」

 

瀬「あれ!?」

 

泡「なにィ!?」

 

瀬呂と泡瀬が空を見上げると、そこには姿が変わった耳郎が飛んでいた。

 

《ライトニングホーネット! 》

《Piercing needle with incredible force.》

 

瀬「女豹のつぎは女王蜂だー!」

 

耳「うっさい!」

 

耳郎が両手を広げると大量の蜂型ミサイルが泡瀬に向かった。

 

泡「うぉあああああ!」

 

飛んでくる蜂型ミサイルを拳のラッシュで叩き落とすが数が多すぎて捌ききれない。

 

蜂型ミサイルと泡瀬が戦っている隙に、耳郎はショットライザーにセットされているプログライズキーのボタンを押す。

 

《サンダー》

 

そしてショットライザーの引き金を引いた。

 

《ライトニングブラストフィーバー》

 

耳「とどめだ!」

 

耳郎のつま先にハチの針を模したエネルギーが出現する。

 

泡「これで最後だ!、、あれ?」

 

泡瀬が蜂型ミサイルを全て叩き落とした時、泡瀬の視界に映ったのはこちらに向かってキックを放つ耳郎だった。

 

耳「くらえぇぇぇ!」

 サ ン ダ ー ラ イ ト ニ ン グ

ト フ ィ ー バ ー

 

泡「ぐがぁぁぁ!!」

 

耳郎のキックが泡瀬に直撃する。

上空から放たれたキックは泡瀬の体を地面にめり込ませた。

 

泡瀬の変身が耳郎に踏まれている形で強制解除された。

 

耳「、、、勝ち!!」

 

勝ちを確認した耳郎が変身を解除する。

 

瀬「おめでと耳郎、とりあえず泡瀬から足どかしてあげて」

 

耳「あ、そうだね」

 

耳郎が泡瀬から足をどかすと瀬呂がテープで泡瀬をぐるぐる巻きに縛る。

 

砂「おーい、コッチも頼むー」

 

耳郎の後ろから焦げた凡戸と鎌切を担いだ砂藤がきた。

 

砂「爆豪のヤツが取蔭探しながら辺りにマグマ撒き散らしててよ、この2人その被害者」

 

耳「えぇ〜、エゲツな」

 

瀬「てことは後は取蔭だけか」

 

瀬呂がテープで2人の体を縛る。

 

一方取蔭は体のパーツを集めながら爆豪から逃げている。

 

取「爆豪の独断先行してその他がフォロー、そこに生じる僅かな時間差や小さな隙を広げて崩壊させるつもりだったのに!なんでこんなに完璧なチームに、、」

 

取蔭が逃げている最中、下から熱気を感じる。

 

取「うわぁあっぶなぁ!?」

 

次の瞬間、下からマグマが吹き出る。

それを取蔭は全力で避けた。

 

取「アブねー、、マグマで攻撃って正気か、、」

 

取蔭が顔を上げた時、目の前に両手を構えた爆豪がいた。

 

取「あんた変わりすぎなんだよー!」

 

《ゼロ距離閃光弾(スタングレネード)!》

 

爆豪のゼロ距離閃光弾が取蔭に放たれる。

 

間近で強烈な光を浴びた取蔭はこのまま気絶してしまった。

 

爆「変わってねぇよ昔も今も俺の目標はオールマイトをも超えるNo.1ヒーローだ」

 

第4セットはA組のストレート勝ちに終わった。

 




久しぶりすぎて感覚鈍っていたら大変だ、、
徐々に感覚取り戻していきます、、


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リベンジと復讐

まず遅くなってしまったことを謝罪申し上げます。
就職が決まり、時間がなく、期間がひどく空いてしまいました。
少し空いた時間の中、少しずつ少しずつ執筆し、今回まとめて出せることができました。
また次回出せる期間が空いてしまうかと思われますが、応援のほどよろしくお願いします。


葉「ねーねー! もっかいやってー!」

 

耳「えぇ〜? また〜?」

 

 耳郎がラッシングチーターのプログライズキーを手に取ると、それを手のひらでクルクルと回し、パシッと顔の隣で止める。

 

葉「すごーい! なんでできるのー!」

 

耳「いや、ウチにもわかんないんだよね、、変身してからなんかできるようになってた、、」

 

 恥ずかしそうに頬をかく耳郎の隣で八百万がライトニングホーネットのキーで耳郎の真似をしようとするが、クルクルと回らずに危うく地面に落としそうになる。

 

八「難しいというかほぼ物理的に不可能ですわね、、なぜできるのでしょうか! すごいですわ耳郎さん!」

 

 八百万がプリプリとしたオーラを出しながら耳郎に詰め寄る。

 

耳「ちょっとヤオモモ近いってぇ、、」

 

 耳郎が対応に困っていると、モニターに映る善彦の姿が視界に入った。

 

耳「あっ! 始まるみたいだよ! 見よ見よ!」

 

 耳郎が咄嗟に話を変え、モニターに注目する。A組VS B組の最終試合が始まろうとしていた。

 

ブ「第5セット目! 本日最後だ! 準備はいいか⁉︎ 最後まで気を抜かずに頑張れよー‼︎ スタートだ!」

 

 A組 緑谷、麗日、峰田、芦戸、善彦

 B組 物間、小大、柳、庄田、心操 のメンバーで始まった。

 

善「ホントに大丈夫? 緑谷きゅん?」

  善彦{装備 ゲーマドライバー}

 

緑「大丈夫だよ、ハザードの力も制御出来る様になってきたし、佐竹くんはここで皆を守ってて」

 緑谷{装備 ビルドドライバー}

 

 善彦達の作戦はまず機動力のある緑谷が前に出て先にB組チームの位置を補足し、有利に立ち回るという作戦だ。

 

緑「まず僕が目立つことで標的になる、B組に攻撃させて全員の居場所を掘り出してから麗日さんたちと連携して捕らえる!」

 

 緑谷がパイプの上を跳び、移動しているとパイプの影からドラム缶が緑谷目掛けて飛んできた。

 

緑「柳さんの、、来た!」

 

 攻撃に反応した緑谷が空中でドライバーにボトルとハザードトリガーを挿し込む。

 

《海賊! 電車! スーパーベストマッチ!》

 

緑「変身!」

 

 緑谷の体が鋳型のフレーム『ハザードライドビルダー』でプレスされ、変身を完了させた。

 

《アンコントロールスイッチ! ブラックハザード! ヤベーイ! 》

 

 海賊レッシャーハザードフォームに変身した緑谷が飛んできたドラム缶やボルトをカイゾクハッシャーで撃ち落とす。

 

緑「このくらいなら大丈夫、、早く敵の補足を、、」

 

 緑谷がB組を探そうと見回した時、銀色の光弾が緑谷に直撃した。

 

 ドギュン!

 

緑「うがっ!」

 

 空中で撃たれたが、即座に体勢を立て直し、近くのパイプに着地する。

 

 緑谷が光弾の発射された方を見ると、そこには心操が立っていた。

 

心「緑谷、、俺はコソコソと勝負する気はねぇよ、真っ向勝負だ!」

 

 《エックスナイズ!》

 

 心操がXチェンジャーを回転させ、構える。

 

《快盗Xチェンジ!》

 

緑「快盗?」

 

 警察チェンジではなく、快盗と言ったことを緑谷は聞き逃さなかった。

 

心「快盗チェンジ!」

 

 心操がXチェンジャーを天に向かって撃つ。

 するとそこには警察ではない心操が立っていた。

 

《ルパンエックス》

 

 変身を完了した心操は銀色の姿をしていた。

 

心「孤高に煌めく快盗! ルパンエックス!」

 

緑「さっきとは違う姿に!」

 

 驚く緑谷を他所に心操はXロッドソードを取り出し、レバーを下げた。

 

《快盗!》

 

 レバーを下げると白銀の刃が飛び出し、ソードモードに変形した。

 

心「お前の"勝利"というお宝、頂くぜ!」

 

 心操が飛びかかり、ロッドソードを振り下ろす。緑谷はカイゾクハッシャーで受け止めた。

 

緑「これでどうだ!」

 

 緑谷がカイゾクハッシャーの電車ユニットを引っ張り、エネルギーをチャージする。

 

《各駅電車〜急行電車〜快速電車〜海賊電車〜!》

 

緑「くらえっ!」

 

《出発っ!》

 

 海賊電車のエネルギーがカイゾクハッシャーから放たれる。心操はそれを紙一重でかわした。

 

心「快盗の身のこなしをなめるなよっ!」

 

 かわした瞬間、ロッドソードの一閃を緑谷に喰らわせる。斬撃を喰らった緑谷は心操と距離を取り、カイゾクハッシャーを構えた。

 

緑「すごいな、、金色の時とは動きが違う」

 

心「言っただろう? 今は快盗だ」

 

 心操はロッドソードを構え、ジリジリと緑谷との距離を詰める。

 

心「行くぞぉ! 緑谷ぁ!」

 

緑「来ぉぉぉぉい!」

 

 心操が緑谷に向かって駆ける。緑谷も心操に向かう。互いの武器がぶつかり合い、火花が散った。

 

 一方、善彦達は四人で固まり、敵の出方を伺っていた。

 

善「どぉこからくんのか分かんないな、、」

 

 既に変身している善彦が辺りを見回していると、峰田が何かに反応した。

 

峰「!! なんか飛んでくるぞぉ!」

 

 峰田が叫んで指を指す。その方向からドラム缶やネジのボルトやナットが無数に飛んできた。

 

善「自分に任せろ!」

 

《ス・パーン》

 

 飛んできた物を善彦がガシャコンスパローで叩き斬る。

 

善「物を飛ばしてぶつけるくらいじゃ勝てねぇですぜ!」

 

 鎌を振り上げ、ボルトを切り落とそうとした瞬間。突然ボルトが巨大化し、善彦にぶつかった。

 

善「あいだぁ!」

 

芦「これって確か小大の個性!」

 

 小大の個性"サイズ"にまんまとやられた善彦は体が大きくよろける。そのよろけた善彦に集中するかのように巨大化したドラム缶やネジが襲いかかって来た。

 

善「いくらデカかろうがこんなのくらいぶち壊せるわい!」

 

 ドラム缶を蹴り飛ばし、ネジを払いのけ防御する。すると次の瞬間、どこからか声が聞こえた。

 

庄「ツインインパクト、、ファイア!」

 

善「え?」

 

 善彦が声の方向を振り向いた瞬間、先程蹴り飛ばした筈のドラム缶が善彦に向かって再び飛んで来た。

 

善「あばげ!?」

 

 ドラム缶が顔面に激突した善彦はバランスを崩し、パイプの隙間に落ちそうになる。

 

麗「あかん! 助けへんと!」

 

 麗日が助けに行こうとするが、柳の個性"ポルターガイスト"で操られたボルトが行く手を阻む。善彦はそのままパイプの隙間へと落ちて行った。

 

善「しまったぁぁ!」

 

 暗い隙間の中へと落ちて行く。ガシャコンスパローを近くのパイプに突き刺して減速し、地面に着地した。

 

善「ヤバイなみんなと離れちゃった、、すぐに戻らないと!」

 

物「戻らせるわけないだろう?」

 

 善彦がA組の元に戻ろうとした瞬間。闇の中から物間の声が聞こえる。

 

物「チームのみんなにお願いしたんだよ、君と二人にするように仕向けてほしいってさ」

 

 物間はゆっくりとこちらに向かってきている。闇の中から物間が出てきた瞬間、物間は腰にベルトを巻いた。

 

物「君に復讐するためになぁ!」

 

《マイティアクションX》

 

 ガシャットを起動させ、構えると物間はニヤリと笑った。

 

物「グレード0...変身!」

 

 ガシャットを差し込むとすぐにカバーを開く。その瞬間、物間は大きく体をのけぞらせた。

 

《マイティーアクショーンX!》

 

 パネルが体を通り、仮面ライダーゲンムに変身を完了させる。のけぞらせた体を起こすと物間はガシャコンブレイカーを構えた。

 

物「この時を、、この時を待っていたんだァ!」

 

善「待て待て待てぇ! 復讐って何ヨ! 自分なんかしたかよ!」

 

 善彦が両手を前に出し物間を止めると、物間は恨めしそうに語り始めた。

 

物「なにぃ!? 忘れたとは言わせないぞ、体育祭のとき! 僕は君の個性のせいで赤っ恥をこいたんだァァ!」

 

 物間は奇声にも似た声を出しながら善彦を指差す。物間は体育祭で善彦の個性を上手くコピー出来ず、変なポーズで変身を繰り返したことを根に持っていた。

 

善「逆ギレ八つ当たりもいいとこじゃろがい! オメーが自分の個性よく知らんで使ったからだろうがい!」

 

 互いの声がパイプに反響して辺りに響く。少しの静寂の後、物間が善彦を指差し、再び叫ぶ。

 

物「と!に!か!く! 僕はあれ以来その話で延々といじられ続けられたんだぁぁ! 君の個性のせいでぇぇぇ! 僕は屈辱を味わったんだぁぁ!」

 

 物間が叫びながらガシャコンブレイカーを振り上げて善彦に向かい駆ける。

 

善「めちゃくちゃなんだよぉ!」

 

 ツッコミながら物間の一撃を避ける。物間は続けて攻撃を仕掛けるが善彦はそれを全てかわした。

 

善(なんだ? 攻撃が見え見えで直線的すぎる、避けてくださいと言わんばかりだ)

 

 善彦が疑問に思っていると物間が横なぎの一撃を喰らわそうと大きく振りかぶる。

 善彦がそれを避けようと少しだけ下がった瞬間、物間は仮面の中でニヤリと笑った。

 

物「サイズ発動」

 

 次の瞬間、ガシャコンブレイカーが巨大化した。

 

善「なにっ!」

 

 油断した善彦は巨大化したガシャコンブレイカーの一撃をまともにくらい、大きく吹き飛ばされた。

 

物「忘れたのか! 僕の個性はコピー! チームの個性は全部使えるんだよ!」

 

 物間は小大の個性を解除すると、ブレイカーをハンマーモードに変え、Bボタンを連打しながら善彦に向かった。

 

善「ちくしょう忘れてた、、結構ダメージきたぁ、、」

 

 善彦が立ち上がった瞬間、物間は巨大化させたブレイカーを善彦に叩きつけた。

 

善「うがっ!」

 

 ハンマーでかっ飛ばされた善彦を見ながら物間が告げる。

 

物「コレ、十回押したから」

 

 物間が再びニヤリと笑うと、十回分の打撃が善彦に走った。

 何本ものパイプをへし折りながら善彦は吹き飛ぶ。

 

善「ちくしょうなめんなぁ!」

 

 衝撃が終わった善彦が物間に向かう。物間は逃げる素振りも武器を構える素振りも見せずに呟いた。

 

物「ツインインパクト、ファイア」

 

ドガッ!

 

善「!!?」

 

 善彦の体が突然ガクンと後ろに下がる。それを見た物間はフハッと声を漏らした。

 

物「一応説明するが、この個性はツインインパクトと言って、自分の任意のタイミングで一度与えた衝撃をもう一度相手に喰らわせることが出来るんだ」

 

 善彦はその説明を聞いた瞬間、仮面の中で顔が青ざめる。

 

物「しかもその衝撃は喰らわせた一撃目より強い」

 

 物間がくるりと回り、善彦に背を向ける。善彦はそのまま再び十回の衝撃を喰らい吹き飛ばされた。

 

善「アガ、、」

 

ドガシャァァ!

 

物「勝った、、気持ちイイ、、」

 

 善彦が吹き飛ばされた音を聞き、物間が勝利の快感にふける。

 変身を解除しようとガシャットに手を伸ばした瞬間、物間の足元に何かが刺さった。

 

物「なんだ?」

 

 足元に刺さっていた物はガシャコンスパローの片方。物間がバッと後ろを向くと、そこには変身解除がされていない善彦が立っていた。

 しかし善彦はただ立っているだけ、意識があるのかないのかわからない状態だった。

 

物「今の攻撃に耐えたか、、そこはさすがだね、やはり直接じゃないと!」

 

 物間がブレイカーを振り上げ、止めを刺そうとする。ブレイカーの刃が善彦に届こうとした時。

 

善「ぜぇぇあぁ!」

 

 善彦が回転し、物間の顔面に全力の後ろ回し蹴りを喰らわせた。

 

物「が、、なに、、?」

 

 善彦の足が物間の顔面にめり込む、そのまま物間は吹き飛ばされ、パイプに激突した。

 

ガシャァァァァン!

 

善「あーイテェ、ホントにイテェ」

 

 首をゴキゴキと鳴らしながら物間に向かい歩く。

 刺さっていたスパローを引っこ抜くと、物間に刃を向ける。

 

善「こっからはもう本気だよ、油断なんてしない! ガチ勝負しようや!」

 

物「望むところだぁぁぁ!」

 

 起き上がると同時に、物間は善彦に向かい走った。

 

 善彦と物間の真剣勝負が始まろうとした時、心操と緑谷の戦いでは予想外のことが起きていた。

 

心「緑谷、、お前、、」

 

 心操は目の前で起きている事に脳が追いつかなかった、戦っている最中、緑谷の腕から突然黒い触手のようなものが出現し、緑谷がそれに苦しんでいる。

 

緑「心、、操、、くん、逃げて、、力が、抑えられない!」

 

 突然出てきた黒い触手を抑えようと緑谷がジタバタともがく。

 

緑(なんだコレ! なんだコレ! ハザードフォームの力じゃない、ワンフォーオールの暴走か!? さっきまでなんもなかったのに!)

 

 制御できない力に何がなんだか分からず緑谷が涙を浮かべる。次の瞬間、緑谷が恐れていたことが起きた。

 

緑「ううっ、、!」

 

 意識が失われていく感覚、ハザードフォームの力も暴走しようとしていた。

 

緑(ダメだ、、やめてくれ、、意識が、、遠のく、、)

 

 緑谷の意識がハザードに飲まれる、視界が闇に覆われた。

 

「おい、ダメだよ寝てちゃ、起きなさい」

 

 誰かの声が聞こえる、緑谷がゆっくりと目を開けるとそこは知らない空間、そして目の前には青年が立っていた。

 

緑(何だ、、? ワンフォーオールの意識の中か、、喋れない、、)

 

 緑谷の口は黒い何かに覆われており、喋れない。

 

「お? 喋れないのか、ドンマイだなそれは」

 

緑(この人は誰だろう?)

 

 青年は顎に指を当てると、何かをハッと思いだす。

 

「あー、その前に自己紹介をしなきゃだな」

 

 青年はンンッと喉を鳴らすとバッとポーズを決めて名乗った。

 

戦「俺はてぇんさい物理学者"桐生戦兎" 仮面ライダービルドだ!」

 

緑(えええええええええええ!)

 

 緑谷が目を見開き、心の中で大声で叫ぶ。驚く緑谷を見た戦兎はニカっと笑った。

 




一話にまとめるのは不可能と思ったので次回に続きます。
そして一回一回投稿しようとするとまたひどく期間が空いてしまうし、一話にまとめるとだらだらと話が長くなってしまうと思ったので何話かに分けました。


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受け継ぐヒーロー

前回の続きです。
定期的な報告も無しに期間をひどく開けてしまったことには自責の念しかありません。
時間の使い方も理解できた頃なので、少しずつ進めていく所存です。


峰「なんで、、なんでなんだぁぁぁ!」

 

 B組との対戦の中、峰田は嘆いた。その声には深い悲しみが混じっている。

 

芦「そんなこと言ってる暇ないって! 早く行くぞ峰田!」

芦戸{装備 ガブリボルバー}

 

 キョウリュウピンクに変身している芦戸が峰田に叫ぶが、峰田は両手両膝を地面につけて絶望している。

 

峰「だって、、だってよぉ、、!」

 

 峰田はバッと立ち上がり、今の自分の姿を皆に見せた。

 

峰「なんでオイラがドングリの姿に変身しなきゃなんねーんだよぉぉぉ!」

峰田{装備 戦極ドライバー}

 

 峰田は仮面ライダーグリドンに変身していた。しかしその姿はあまりにも歪、頭身は峰田のままの二頭身、鎧はプラスチック感がもろ見えだった。

 

芦「知らないよそんなこと! B組とのゴタゴタでアンタが鍵取り間違えたんでしょ!」

 

峰「いいや違うね! オイラはオイラにピッタリなブドウを取ったんだ! なのに変身したらドングリ! ナニコレどういうことだよー!」

 

 峰田が天に向かって吠えると、峰田から一枚の紙がヒラヒラと落ちた。

 

麗「なんやコレ?」

 

 麗日が紙を手に取り、書いてあった内容を読む、すると麗日は盛大に吹き出した。

 

麗「ブフーーッ! 峰田くんコレ読んでよ!」

 

 麗日が腹を抱えながら峰田に紙を渡す、峰田は書いてある内容を読んだ。

 

『戦極ドライバーは着けた瞬間、側部のフェイスプレートに変身出来るライダーの顔が出現します、多分峰田きゅんはグリドン出るかな〜って思うからドングリ入れとくね 善彦ヨリ』

 

 メッセージの下にはグリドンの正しい変身の仕方が書いてあった。

 

峰「ムキーーー!」

 

 メモを読んだ峰田がメモをビリビリに引き裂く。バラバラになった紙を空に向かって放り投げると再び発狂した。

 

峰「なんだよコレー! ふざけやがってーー!」

 

 叫ぶ峰田の頭に飛んできたボルトが激突する。当たった衝撃で装甲が少し剥げた。

 

峰「えー! 鎧ぶっ壊れたーー!」

 

芦「当たり前だろ! 佐竹の個性は正しいポーズで変身しないとコスプレレベルの雑魚に変身しちゃうんだから! 早く変身しなおせ!」

 

 龍玄に変身出来るとばかり思っていた峰田は龍玄のポーズでグリドンに変身していた。そのせいで善彦の個性は上手く発動せずにコスプレレベルの変身になってしまっている。

 峰田はメソメソと泣きながら変身を解除した。

 

庄「ツインインパクト、ファイア」

 

ドガァァ!

 

 峰田が変身を解除した瞬間、ミサイルのような速度のボルトが突っ込んできた。

 

芦「わぁぁなんだ!」

 

 芦戸がボルトの飛んできた方向を見る。そこには巨大な拳をした何かが立っていた。

 

庄「うん、コレ僕にピッタリな力だな」

庄田{装備 戦極ドライバー}

 

 立っていたのは仮面ライダーナックルに変身した庄田だった。ニ、三頭身の庄田の身長は八頭身になっている。

 

庄「小大さん、柳さん、次弾装填お願い」

 

柳「了解」

柳{装備 無し}

 

小「ん」

小大{装備 無し}

 

 二人は頷くと、まず小大がドラム缶やボルト、ナットに触れる。小大が触れた物を柳が操り、庄田の目の前に運ぶ。

 庄田は運ばれたドラム缶達を拳に装備されたクルミボンバーで勢いよく殴り飛ばした。

 

芦「どわぁぁ!」

 

 殴り飛ばされたボルトは超スピードで芦戸達に襲いかかる。中には小大の個性で巨大化したナットやドラム缶も超スピードで飛んできた。

 

麗「私も変身しなきゃ!」

麗日{装備 トッキュウチェンジャー}

 

 麗日がトッキュウチェンジャーとピンクレッシャーを取り出す。しかし柳のポルターガイストで操られたボルトが麗日の持っていたピンクレッシャーを弾いて遠くに飛ばした。

 

麗「しまった!」

 

庄「隙あり」

 

ガゴォン!

 

 麗日が気を取られた瞬間、庄田が麗日目掛けてドラム缶を殴って飛ばす。

 

芦「麗日ぁ!」

 

 芦戸はポルターガイストの攻撃に邪魔されて助けられそうにない。高速のドラム缶が麗日にぶつかろうとした瞬間。

 

《ドングリアームズ! ネバーギブアーップ!》

 

峰「おらぁぁぃ!」

 

 正真正銘、仮面ライダーグリドンに変身した峰田が専用武器ドンカチで飛んできたドラム缶を叩き潰した。

 

麗「峰田くんありが、、え? えぇ!? 誰ぇ!?」

 

 麗日の視界に写っているのは八等身の人物、峰田は二頭身のはずだ。

 

峰「変身したら身長が伸びた! 今のオイラはイケイケだぜぇ!」

 

 八等身から峰田の声がする。やはりグリドンは峰田だったと麗日はポカンとしていた。

 

峰「さぁ覚悟しろよB組ぃ! こっからはオイラ達のステージだ!」

 

庄「おもしろい、、!」

 

 ドンカチを構えた峰田が庄田に向かって走る。それに答えるように庄田も峰田に向かって飛びかかった。

 

 各地で激しい戦いが始まった中、緑谷は自分の意識の中で混乱していた。

 

戦「うーむ、やっぱり説明が必要だよな、よし! 順を追って説明しよう!」

 

 戦兎はビシッと緑谷に指を差し、説明を始めた。

 

戦「まずこの空間は君の個性、ワンフォーオールの世界だ、ここでは歴代のワンフォーオールの使い手と会話ができるんだが、今回は特別に俺に説明させて貰っている」

 

 返事の出来ない緑谷は必死で首を縦を振り頷く。

 

戦「そして何故ワンフォーオールの世界に俺がいるのか! その理由は変身個性の元、佐竹善彦の個性が進化したからだ!」

 

 戦兎は再びビシッと緑谷に指を差すと説明を続ける。

 

戦「佐竹善彦の個性は言ってしまえば"偽物を本物に変える"個性だ、おもちゃのベルトを変身の出来るモノホンベルトに変えちゃうんだからな」

 

 緑谷は「確かに、すごいですよね」と言った様子で頷く。

 

戦「その個性が段々と進化、成長していき、遂に! 意識の中で君と会話が出来るようにまでなってしまったというわけだ! 原理は全くわからない!」

 

 戦兎が緑谷の顔に自分の顔をズイッと近づける。そして戦兎の髪の毛がピョコンと跳ね上がった。

 

戦「これは考察だがおそらく君の使っているビルドドライバーは使っていく事に俺の使っているドライバーと同じ物になろうとしている、そのせいで元の使い手である俺と意識が少しコンタクトできるようになったんだろう!」

 

 早口になっている戦兎の言葉を緑谷は必死に理解しようとする。

 

戦「この様子だと、ベルトやアイテムを頻繁に使っているクラスメイトにも同じようなことが起こるだろうね」

 

 戦兎はクルリと緑谷に背を向けると少し歩いて止まる。

 

緑(みんなに僕と同じことが、、)

 

 サラッと重要な事を聞いてしまった緑谷は驚きを隠せない。戦兎はハッと何かを思い出すと、緑谷の方を向いて再び説明を始める。

 

戦「忘れるところだった、さっき君から出てきた黒いウネウネは先代ワンフォーオールの使い手さんの個性"黒鞭"だ、これから君には6つの個性が出てくるよ、全部先代ワンフォーオールの使い手さんの個性だよ」

 

緑(今それ言いますかぁぁ!?)

 

 最も重要な事を今言われ緑谷は勢いよく目を見開く。

 

戦「ごめんごめん、伝えられたからセーフってことで」

 

 戦兎が緑谷の肩に手を置き、ハハハと笑う、すると突然戦兎の体が黒いモヤに包まれた。

 

戦「おっと、時間みたいだなじゃあ後いくつか、大事なことを伝えておくよ」

 

 時間の終わりを察した戦兎は神妙な面持ちに変わる。

 

戦「これから出てくる6つの個性、突然の個性の扱いに混乱するだろうけど、そんな時ボトルの力を使ってみるんだ、必ずその個性にベストマッチなボトルがあるはずだからね」

 

 仮面ライダーの先輩の言葉に緑谷は強く頷く。頷く緑谷を見た戦兎は優しく微笑んだ。

 

戦「ワンフォーオールの力も仮面ライダーの力も人を守るためにある、こっちの世界のラブ&ピースは任せたぜ、仮面ライダービルド緑谷出久!」

 

 戦兎が緑谷に微笑んだ瞬間、緑谷の意識がハザードから解放され、目の前に心操の姿が映る。

 

緑「心操、、くん?」

 

心「み、、緑谷?」

 

 二人は互いに戸惑っている。すると近くから爆音が聞こえた。

 

峰「うおおおお!ドングリがクルミに負けるかァァ!」

 

芦「行け峰田ーー!」

 

近くで峰田達が戦っている。それを確認した緑谷と心操はスイッチを切り替えた。

 

心「異常は治ったみたいだな、そんなら容赦しなくても大丈夫だよな?」

 

緑「中断してごめん、さぁ実験を始めようか!」

 

 緑谷は戦兎の言った事を思い出す。

 

緑(個性に合ったベストマッチを!)

 

 緑谷はラビットタンクのボルトを抜くと、フルボトルを装填した。

 

《ローズ! ヘリコプター! スーパーベストマッチ!》

 

 ベルトのハンドルを回し、ローズコプターハザードフォームに変身する。緑谷は意識を集中させた。

 

緑(個性は黒鞭、ローズはツルの力、ベストマッチなはず!)

 

心「いくぞぉ!」

 

 心操がXチェンジャーの光弾を放つ。光弾が緑谷に届こうとした瞬間。

 

緑「今だ!」

 

 緑谷の腕から黒いツルが飛び出し、光弾を叩き落とした。飛び出したツルは心操に向かう、心操は向かってきたツルをロッドソードで斬り落とした。

 

心「新しい力をもう使えるように!」

 

緑「やった! 成功した!」

 

 ローズの力で黒鞭を制御できたと思った直後、緑谷の腕に激痛が走った。

 

緑(やっぱり慣れない力は負荷がかかる!)

 

 緑谷は黒いツルを即座に引っ込める。激痛で隙のできた緑谷に向かい心操がロッドソードで攻撃を仕掛ける。緑谷はそれをヘリコプターのプロペラで受け止めた。

 

心「時間もない、決着をつけるぞ!」

 

 心操は緑谷と距離を取ると、ロッドソードのレバーを上げ、その後レバーを下げる。

 

《カウントダウン》

 

緑「大技くるか!」

 

 緑谷はプロペラを放り投げると、ハザードトリガーのスイッチを押し、ハンドルを回す。

 

《Ready Go! ハザードフィニッシュ!》

 

 右足に黒いツルと黒薔薇の花弁状のエネルギーが集まる。緑谷は跳躍し、空中でキックの体勢をとった。

 

心「スペリオルエックス!」

 

《イタダキエックスストライク! ヒャッハー!》

 

 心操は空中の緑谷に白銀のXの斬撃を放つ。緑谷はその斬撃に向かってキックを放った。

 

緑「スマァァァッシュ!」

 

 緑谷のキックと心操の斬撃がぶつかり合う。黒薔薇の花弁と白銀のキラメキが辺りに広がった。

 

ミ「やだ、、すごい綺麗」

 

 戦いをモニターで見ていたミッドナイトが黒薔薇と散りばめられた白銀のキラメキが織りなす美しさに思わず声を漏らした。

 

心「勝たせて貰うぞ緑谷!」

 

緑「負けるかぁぁぁ!」

 

 互いの叫びが交差する。次の瞬間、緑谷のキックが心操の斬撃を打ち砕いた。

 斬撃が砕かれ、緑谷のキックが向かってくる刹那、心操はフッと微笑んだ。

 

心「やっぱり強ぇな、ヒーロー科」

 

 ドガァァァァ!

 

 辺りに爆音と破壊音が轟く、音が収まった場所には、変身が解除され、倒れている心操と立っている緑谷の姿があった。

 

緑「ありがとう心操くん、また一つ、強くなれた、、」

 

 緑谷は礼を言うと変身を解除する。こうして緑谷対心操の戦いは決着した。

 




峰田を龍玄にしなかったのは流石に峰田=ブドウはありきたりかなと思い、思い切ってドングリにしてみました。
ふざけるなと思った方、申し訳ございません。やってみたかったのです。


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決着と大喧嘩

これでA組VS B組編は終了です。
次回の構造は未だに考え中です(泣)


緑谷と心操の決着がついた頃、峰田達の戦いは山場を迎えていた。

 

庄「これで決める!」

 

 庄田はカッティングブレードを一回倒すと、拳を振りかぶる。

 

《クルミスカッシュ!》

 

芦「うわっ! めちゃ不味そう!」

 

 音声を聞いた芦戸が思わず叫ぶ。庄田はその声を気にも止めずに空中を殴り、クルミ形のエネルギーを放った。

 

峰「コッチもいくぞぉ!」

 

 峰田も負けじとカッティングブレードを二回倒す。

 

《ドングリオーレ!》

 

芦「ギャー! コッチも不味そー!」

 

 あまりに不味そうな響きに頭を抱える芦戸の隣で、峰田はドンカチを両手で握り、その場で回転し始めた。

 

峰「グリドンインパクトォ!」

 

 回転した峰田は飛んできたクルミ形エネルギーをドンカチで打ち返す。エネルギーはピッチャー返しの形で庄田に激突した。

 

庄「うぐっ! まだまだ、、」

 

 庄田は体をよろけさせたが倒れる様子はない。

 

芦「やっぱりクルミは固いかぁ、峰田! 合体技で行こう!」

 

峰「合体!!! すごくいい響きだぁ!」

 

 合体という言葉を聞き、峰田の卑猥な脳がフル回転する。芦戸はそんな峰田を無視してカッティングブレードを三回倒した。

 

《ドングリスパーキング!》

 

峰「へ?」

 

 音声の後、峰田の鎧は戻っていき、ドングリが頭に被さった状態になる。

 

芦「オゲー、マジに不味そうな響き」

 

 芦戸は流れるような動きで峰田の足を両脇に挟み、持ち上げる。

 

峰「おい? 芦戸? まさかオイやめろ!」

 

芦「うぉらぁぁぁ!」

 

 芦戸は峰田をそのままジャイアントスイングの要領で振り回した。

 

 個性の酸液で足場を滑りやすくし、猛スピードで回転する。十分なスピードがついた瞬間、峰田を庄田に向かって投げ飛ばした。

 

芦「必殺! グリドンミサイル!」

 

峰「バカヤロォォオン!」

 

庄「なめるな!」

 

《クルミスパーキング!》

 

 庄田はカッティングブレードを三回倒し、拳のラッシュを繰り出した。

 大量のクルミ形のエネルギーが峰田に向かうが、ミサイルの如く飛んでいく峰田はそれらを全て破壊し、突き進む。

 

峰「ぎゃぁぁぁ!」

 

 鎧が頭に被さり、何も見えない峰田はただ聞こえる爆音に絶叫していた。

 

庄「こんなふざけた技で、、!」

 

 庄田がカッティングブレードに手を伸ばした瞬間、峰田の頭はもう目の前に迫っていた。

 

庄「しまっ!」

 

ゴチィィィン!

 

 ドングリの鎧が庄田に激突する。峰田はぶつかった衝撃で変身が強制解除されたが、庄田は解除されずに立っていた。

 

庄「まだやれるぞ!」

 

芦「想定内だっての!」

 

 芦戸はベルトのバックルから獣電池を取り出すと、ガブリボルバーにセットした。

 

《ガブリンチョ! アンキドン! ドリケェェラ!》

 

 獣電池をセットしたリボルバーのシリンダーを勢いよく回す。そして庄田に照準を合わせた。

 

芦「獣電ブレイブフィニッシュ!」

 

《バモラ!!ムーチョ!! ドッドリーン! ドッゴーン!》

 

 狙いを定めて引き金を引くと、ドリケラのドリル、アンキドンのハンマーのエネルギーが庄田に放たれた。

 

庄「これは避けられない!」

 

 庄田が拳を前に構え防御する。しかしドリケラのドリルで防御が弾かれた。

 

芦「クルミ割りじゃぁぁぁあ!」

 

庄「ぐわぁぁぁぁ!」

 

 アンキドンのハンマーが防御の弾かれた庄田を押しつぶす。地面にめり込んだ庄田は変身が強制解除され、その場に気絶した。

 峰田はその近くで誰にも気づかれずに倒れている。

 

柳「庄田! マズいぞ、小大とりあえずここは退いて」

 

 戦いを見ていた柳が小大の方を向こうとした瞬間。

 

麗「といやっ」

 

 麗日が柳の首筋に手刀を叩き込み、柳を気絶させた。

 

麗「ふっふっふ、戦いに気を取られてたみたいだね」

 

 一方、小大は柳と離れた所で峰田のもぎもぎに捕まっており、その場で動けなくなっていた。

 

小「、、、、、しゅん」

 

 小大が小さく俯く。峰田達の戦いにも決着がついた。

 

 そして善彦VS物間の闘いは未だに続いていた。

 

物「いいかげんしつこいな君も、、倒れた方が楽だよ、、」

 

善「あぁんたもしぶといなぁ、、膝笑ってるよ? 横になったら?」

 

 ぶっ通しで闘っていた二人の体力は限界に近づいていた。胸のライフゲージは互いに半分以下に減っている、さらに疲労で二人の足はガクガクと震えていた。

 

物「まだまだ続けようかぁ!」

 

 力を振り絞り物間が善彦に殴りかかる。善彦はそれを避ける体力もなく、そのまま物間のパンチを顔面に食らった。

 

善「まだこんなパンチだせんのか、、次はコッチの番だ!」

 

 善彦はボディブローを物間のみぞおちに思い切り叩きつける。物間は体をよろけさせ、後退りしながらも善彦を睨みつけた。

 

物「君もいやらしい攻撃するねぇ、、そろそろ終わらせようよ、、」

 

 物間はベルトのガシャットに手を伸ばし、キメワザスロットホルダーに差し込む。

 

善「自分が勝つ、、絶対にだぁ!」

 

 善彦もガシャットをホルダーに差し込み、キックの構えをとる。二人は睨み合い、同じタイミングでホルダーのボタンを押した。

 

《マイティクリティカルストライク!》

 

《爆走クリティカルストライク!》

 

物「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

善「どりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 二人が飛び上がり、キックがぶつけ合う。威力は互角で互いに一歩も譲らない。

 この闘いをモニターで見ていたA組とB組は白熱していた。

 

鉄「いけぇぇぇ! 物間ぁぁ! 漢みせろぉぉ!」

 

切「勝てぇぇ! 佐竹ぇぇ! 押せぇぇ!」

 

 二人を応援する声援がこだまする。その光景を見ていたミッドナイトはひどく興奮していた。

 

ミ「青い、、青くていい、、すごくイイッ!」

 

相「落ち着いてくださいミッドナイト」

 

 相澤先生はミッドナイトをなだめると、モニターに目をやった。

 

物「くっ、、早くやられろぉぉ!」

 

善「負けてたまるかオラァァ!」

 

 二人のキックの勢いは衰えない。互いが足に力を入れた瞬間、キックの威力が相殺され、二人の体が弾き飛ばされた。

 

物「うわぁ!」

 

善「いぎゃぁ!」

 

 キックの反動で二人の体は壁に激突し、変身が解除される。そのまま相討ちで終わるかと思われたが、二人は立ち上がった。

 

物「もう痛みを感じなくなってきた、、頭がふらふらするよ」

 

善「アハハ、、一緒だ」

 

 ふらふらになりながら二人は近づき合う。十分近づくと二人はニヤリと笑いあった。

 

物「うぉぉらぁ!」

 

 まず物間が善彦の顔面をぶん殴る。鉄拳が顎に打ち込まれたが、善彦は踏ん張り、自分の体が倒れることを拒否した。

 

善「へへ、、へへへへへッ」

 

 善彦は笑いながらヒーロースーツの上着を脱ぎ捨てる。

 

善「ぬぅぅありゃあ!」

 

 そして拳を強く握りしめ、物間の顔面にパンチを叩き込んだ。

 

耳「ひっ!指輪仕込みの全力パンチ!」

 

拳「というかあのまま殴り合うのかよ、、これがヒーローになろうとする人の図か、、」

 

 モニターを見ていた耳郎が思わず悲鳴に似た声をだす。拳藤もそれを見て畏怖していた。

 

物「メチャクチャずるいなぁ、、ならばコッチもだ!」

 

 物間も上着を脱ぎ捨てると、ヒーロースーツのズボンのベルトを引き抜く。そしてベルトのバックルを拳に巻き付け、そのままアッパーを叩きつけた。

 

物「どうだ!」

 

善「ガカッ、、カハッ、、」

 

 アッパーをまともに喰らい、上を向いたまま二、三歩後ろに下がる。

 

物「とどめだぁぁ!」

 

 物間が再び拳を振りかぶり、善彦に止めを刺そうとした瞬間。

 

ガシッ!

 

 物間の頭が善彦に掴まれる。

 

善「せぇぇぇ、、のっ!」

 

 善彦ら物間の頭をガッチリと掴み、額に全力の頭突きを叩きつけた。ゴシャリと鈍い音が辺りに響きわたる。

 

物「うがぁぁ!?」

 

 額を押さえ、物間は後ずさる。額から血を流しながら善彦を睨みつけると、拳をギリリと握りしめた。

 善彦も拳を握りしめ、構えた。

 

善「お互いこれが最後の一発、、いくぞぉぉぉ!」

 

物「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 二人は拳を振りかぶって走る。そして互いの拳が互いの顔面に叩きつけられた。

 

切「ク、、クロスカウンター」

 

 モニターを見ていた切島が唾を飲み込む。誰もが決着を待っている中、先に倒れたのは善彦だった。

 

善「う、、うう、、」

 

 善彦が膝から崩れ落ちその場に倒れる。拳を突き出したまま立っている物間はフフフと笑った。

 

物「この勝負、、僕の勝ちみたいだね、、」

 

 ふらふらとよろめきながら物間は笑う。そして善彦に背を向けた。

 

物「一応拘束しとくか、、上着あっちに飛ばしたっけな、、」

 

 物間が投げ捨てた上着をキョロキョロと探す。そして一歩踏み出した瞬間。

 

ツルッ

 

物「へ?」

 

 突然物間の視界が反転した。視界の上に地面が写っている。物間は投げ捨てた上着を踏みつけて足を滑らせていた。

 

物(足元に上着があったのか!?)

 

 受け身をとる力も残っていない。物間はそのまま頭を地面に強く打った。

 

物「そ、、そんな、、」

 

 思い切り転んだ物間は白目を向いて倒れる。すると物間の体がシュワシュワと消え始めた。

 

鉄「は!? おい! 物間が消えていくぞ!」

 

泡「なんだどういうことだ!」

 

 モニターを見ていたB組がパニックに陥る。物間の体は空気のように消滅した。

 

拳「うそ、、そんな、、」

 

ブ「も、、も、、物間ぁぁぁぁ!」

 

 ブラドキングが身を乗り出し絶叫する。

 

回「物間ぁぁぁ!」

 

円「物間ぁぁぁぁぁぁ!」

 

鉄「物間ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 B組の男子達が絶叫し、涙をながす。その中で拳藤は何か異変に気づいた。

 

拳「みんな待って! なんか聞こえない?」

 

 拳藤の一言で皆が一斉に耳を澄ます。すると後ろから何か音が聞こえた。

 

ティウンティウンティウンティウン

 

泡「おい、なんだアレ?」

 

 音の鳴る方向を一斉に向く。向いた先には先程までそこに無かった紫色の土管が生えていた。

 

拳「コンティ、、ニュー?」

 

 土管には英語でCONTINUEと書いてあった。

 

テッテレテッテッテー♪

 

 次の瞬間、土管の穴から腕組みをした物間が這い出てきた。

 

物「フハハハハハハハ! 僕ふっかぁつ!」

 

 物間は腕を大きく広げて君臨する。しかしその場は静まり返っていた。

 

物「ん? なんで僕ここにいるんだ?」

 

鉄「いや俺らが聞きてぇよ」

 

 ようやく異変に気づいた物間が辺りを見回した時、第5セット終了のブザーが鳴った。

 

ビーー!!

 

相「第五セット終了だ、投獄数B組4人、A組0人、結果はA組の勝利ってことで早く戻ってこい」

 

 B組が混乱している中、相澤先生が淡白な放送を入れて授業を締める。物間は何がなんだかわからないままその場に立ち尽くした。

 

物「ふぇ? え? へ?」

 

 そしてこのまま第5セットのチームが集められ、講評に移る。

 

相「えー、いろいろと聞きたいことがあるんだが、まず佐竹よ、物間のアレについて教えろ」

 

善「ふぁい」

 

 物間と全力で殴り合い、包帯でグルグル巻きにされた善彦が前に出る。口まで覆われた包帯をずらすと解説を始める。

 

善「物間くんの使った黒いマイティアクションのガシャット、アレにはコンティニュー機能がついてます。自分は気絶して見てないけど多分物間くんは地面に頭を打ったときライフが一個消費されたんでしょう」

 

鉄「コンティニューってあれか!? ゲームとかにある一回死んでもまた復活ー! みてぇな!」

 

 鉄哲が前に出て善彦に問いかける。善彦はコクンと頷くと物間の方を向く。

 

善「物間くん、『残りライフ出ろ!』てな感じに念じてみな」

 

物「はぁ? なんか出ろって?」

 

 言われた通りに物間は念じる。すると物間の隣にパネルが現れた。

 

物「わっ! なんだコレ!」

 

 現れたパネルには『MONOMA LIFE』と書かれており、文字の下には『98』の数字が表示されている。

 

善「コレが物間くんの残機、簡単に言うと物間くんには98個の命があるってことだよ」

 

 善彦の一言で全員がざわめく。善彦は解説を続けた。

 

善「倫理的にアウトかもしんないけど、よりによってプロトタイプのマイティアクション選んじゃったからねぇ、どう使うかは物間くん次第だよ」

 

物「命が、、98個、、か、、」

 

 物間は自分の手のひらを見つめる。すると拳を握り、口角を上げた。

 

物「いいだろう! コレも何かの縁ってヤツだ、この命をヒーロー活動にフル活用させてもらうよ! この98のライフで人々を100人、、いや1000人救ってみせる!」

 

 物間は続けて善彦を指差す。

 

物「先に言っておくが僕はさっきの戦いの決着に納得していない! 倒したと思ったら転んで頭打って自滅だと? こんなかっこ悪い勝ち方ごめんだね、再び戦って真の決着をつけようじゃないか!」

 

ブ「今日の授業コレで終わりだけどな」

 

 このまま流れで再戦しようとする物間をブラドキングがスッと止める。

 

善「望むところだ、また喧嘩しようや」

 

相「授業は終わりだ」

 

 相澤先生が捕縛布を善彦の口に巻きつけて止める。

 

ブ「それと心操は十中八九、2年からヒーロー科に編入することとなるだろう、気を引き締めろよ! お前ら!」

 

 ブラドキングが告げると、A組とB組から歓声が上がる。

 

鉄「うおおおお! どっちのクラスだー!?」

 

拳「B組じゃないかな? じゃないとA組と数合わないし」

 

相「そこんとこは後々の話だ、今日はコレで授業を終了する。各自反省点を直すようにな」

 

ブ「今回はA組に負けたが次は勝つぞ!」

 

 先生達から一言を貰い、授業が終了する。新たな決意を胸に物間が戻ろうとした時。

 

鉄「おつかれさんっ! ものマリオ!」

 

 鉄哲が通り抜き様に物間に一言言い放つ。

 

物「ん? 鉄哲今なんて言った?」

 

回「結構チートな能力追加されたけど、命は粗末にするんじゃねぇぞ! ものマリオ!」

 

 回原は物間の肩にポンと手を置くと、颯爽と去っていく。

 

取「ものマリオー! あのバトルかっこよかったよー!」

 

 取陰が遠くから物間に向かって叫ぶ。物間はようやく自分がなんと呼ばれているのか気づいた。

 

物「も、、、ものマリオ? なんだいそりゃ」

 

拳「土管から出てくるのがまんまソレだったからだよ、物間」

 

 拳藤は唯一、物間をそう呼ばずに隣に立つ。しかし拳藤の表情は明らかに笑いを堪えていた。

 

物「まんまソレってどういうことだ拳ど」

 

拳「まんま、、マンマミー、、ブフッ!! ごめん! 物間! また後で!」

 

 吹き出してしまった拳藤は口を押さえながら走り去る。取り残された物間は歯を食いしばり、拳をギリリと握った。

 

物「また、、またこんな役になるのか僕は、、佐竹善彦ぉ! 絶対に許さないぞぉおぉおおぉぉ!」

 

 物間が天に向かって吠える。その咆哮は雄英中に轟いたとかいなかったとか。

 




今回の話での書きたかったポイントは
変身無しのガチの殴り合いの描写を書いてみたかった部分と物間の変身するライダーはコピーすると言った点ではサウザーがいいかなと思ったのですが、どうしてもあの土管からでてくる物間を書きたかったといったところです。

今回はお待たせしてしまい本当に申し訳ございませんでした。
そして空いている間にも応援してくれた皆様方に感謝を申し上げます。
これからも少しずつですが時間の合間を縫って投稿していきます。


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呑んでも呑まれるな

オリジナル回に落ち着いてみました。


 A組VS B組の戦いが終わった夜、両クラスは今日の戦いの反省会をしていた。

 

 善彦の実家の居酒屋で。

 

飯「それでは皆さんご唱和ください! 本日は! お疲れ様でしたぁ!」

 

「かんぱぁぁぁぁぁぁい!」

 

 飯田のご唱和を無視して両クラスがグラスを掲げ乾杯する。もちろんソフトドリンクで。

 

飯「あっ、ごしょ、、まぁいいか」

 

 飯田は盛り上がる皆を前に諦めて席に座る。その頃善彦は厨房で調理に勤しんでいた。

 

善「ハイこっちの皿準備できたよ! アレはあと10秒あればできるから待ってて! 注文追加了解ー!」

 

 流れるような手捌きで料理をする善彦を耳郎は座敷席の戸を少し開けて覗き見ていた。

 

耳「熟練の動きだな」

 

上「なにがなんだかわからん」

 

 上鳴も一緒に覗き見るが善彦の手は俊速に動き、なにが起きているかわからない。

 

切「おーい! なに覗き見してんだよ! こっちで飲もーぜー!」

 

鉄「ここの店サイコーだな! うめーし安いし!」

 

 切島と鉄哲が肩を組みガハハと大笑いする。完全に酔っ払いのノリであった。

 

耳「ウチらジュースしか頼んでないよね?」

 

芦「なんかテンションがフルになって一周回って酔っ払いみたいになったっぽい」

 

 呆れた様子で芦戸が説明するが耳郎はさっぱりわからない。

 

拳「はーい誰かグラス空いてたらちょうだいねー、足らないのあったら注文しとくから教えてねー」

 

 B組の拳藤は手をパンパンと叩き皆に呼びかける。

 

芦「出た! 飲み会いるいる『皆をまとめるポジションの人』!!」

 

 姉御というよりお母さんと言った様子の拳藤を見て芦戸が声を漏らす。

 

常「ダーク、、シャドウ、、深淵、、グーッ、、」

 

 常闇に関してはもう潰れてダウンしていた。タオルを目に当て寝言を言いながらスヤスヤと眠っている。

 

耳「だれもお酒頼んでないよね!? なんで常闇潰れてんの!!」

 

上「疲れてんじゃねーのかな?」

 

 だれもアルコールを取っていないのにさも取っているかのような雰囲気に耳郎と上鳴は混乱していると、座敷席の戸が開いた。

 

善「おまたせ致しましたー、トリカラ大皿と回鍋肉になりまーす」

 

 善彦が大皿を両手に持ち、座敷に入ってきた。大量の鳥の唐揚げと回鍋肉をテーブルに置くと、耳郎が善彦の肩をチョイチョイとつつく。

 

耳「佐竹、あんた酒持ってきてないよね? それかこの前みたいに注文間違えて酒入りのなにか持ってきたとか」

 

 恨めしそうに耳郎が善彦を見つめる。以前耳郎にコークハイを飲ませた時のように注文を間違えているのではないかと疑っていた。

 

善「それはナイッすよ耳郎さん、そこらへん自分も目を光らせてるんで」

 

 善彦が手を横に振ると皆の様子を見回す。

 

鉄「ギャハハハハハハハハ!!」

 

切「ダハハハハハハハハハハ!!」

 

拳「ほらそこー、静かにしなきゃメーでしょー」

 

取「わー、拳藤お母さんみたーい」

 

緑「それにしてもすごいなこの唐揚げ、しっかりと味が染み込んでるし衣もサックリしている、お肉も程よい弾力で噛めば噛むほど」

 

爆「ブツブツウルセェぞデク!! 味が損なわれるだろうが!!」

 

常「我、、ダークシャドウ、、、グー、、ピヨピヨ、、」

 

 状況を理解した善彦は戸を開けてゆっくりと下がる。

 

善「ちょっと、、父ちゃんが料理酒のアルコールちゃんと飛ばしてるか確認してくる、たまに度数高い日本酒とか入れるからさ、、」

 

耳「よろしく頼むぞー」

 

上「コッチは任せろー」

 

 善彦は座敷席を後にするとすぐそこのカウンター席に目をやる。

 

ブ「相澤ぁ! お前はもっと愛を持ったらどうなんだ!! 生徒への愛を! 愛を!愛をォォオ!」

 

マ「言ってやるなブラドキング! こいつが生徒を思っているのは俺がチョーーーわかってる! こいつは中身がチョーーー激アツなんだよぉ!」

 

相「うるさい」

 

 カウンター席では先生達が飲み会をしていた。全員酒が回っており酔っ払いが出来上がっている。唯一酔っていないのは下戸のオールマイトだけだった。

 

善「大丈夫ですかね、先生方」

 

 善彦がポツリと呟くとオールマイトは善彦に気づき、親指を立てウインクをした。

 

オ(こっちの処理は任せてくれ!)

 

 オールマイトの意思を察した善彦は一礼して厨房に入る。

 

善「父ちゃーん、また料理酒代わりに度数高い日本酒いれてなーい?」

 

豹「おぉ!? なんかようかぁ!」

 

 厨房ではナスカドーパントに変身した善彦の父、豹介が超スピードで調理をしていた。

 

善「てかまたナスカメモリ使ってるし、すっころばないでくださいよー」

 

豹「舐めんなこちとらレベル上がってんだよぉ!」

 

 呆れる善彦に対し豹介は元気ハツラツとしている。豹介がナスカの剣を一振りすると、まな板に乗せられた魚が一瞬で刺身に捌かれた。

 

善「おみごと」

 

豹「酒に関しては心配すんな! アルコール分はちゃんと飛ばしてる! だが少し香りが強いポン酒使ってるからなぁ!」

 

 善彦が豹介の指差した方を見ると、そこには一本5万円もする日本酒が料理酒代わりに使われていた。

 

善「ま、、まさかね」

 

 唐揚げにも大皿の中華料理にも酒は使われている。しかしそれは微量な酒でありアルコール分も飛んでいるはず。

 

善「香りだけで酔っぱらうもんかねぇ、、」

 

 善彦がそんなはずはないと自分に言い聞かせながらクラスメイトのいる座敷席の戸をそっと開けた。

 

鉄「バカヤロォォォォォォ!!」

 

切「ぐはぁぁ!」

 

 戸を開けた瞬間見たのは切島にアッパーをかます鉄哲の姿だった。

 

鉄「俺の鉄には硬度に限界がある! だがお前には限界なんてねぇだろうがぁ! 諦めたようなこといってんじゃねぇぇぇ!」

 

切「すまねぇ、、オレ、弱気になってた、、」

 

鉄「分かればいいんだよダチ公ぉぉ!」

 

 鉄哲と切島が暑苦しい男劇場を始めている。隣では回原と尾白がプロレスを行なっていた。

 

回「そらよぉ!」

 

尾「ふんぬぅぅ!」

 

 回原と尾白は手を組み合い力比べをしている。

 

円「回原ラリアットラリアット!」

 

芦「尾白ー! ジャーマンスープレックスだー!」

 

 円場と芦戸が2人を応援して盛り上げていた。

 

善「なんだこのカオス、、もしかして酒の匂いでこんなことに?」

 

耳「ちょっと佐竹コレどういうこと!? なにこのメチャクチャ!」

 

 カオス現場の一部始終を見ていた耳郎が善彦に詰め寄る。

 

上「みんな唐揚げ食ってからいきなりこんなことに、、独特な風味がクセになるってバクバク食っちまってよぉ」

 

 上鳴の言葉を聞いて善彦が頭を抱える。

 

善「やっぱり料理酒代わりに高級日本酒使うからぁ、、」

 

耳「まったくウチのクラスがこんなに酒に弱いとは思わなかった」

 

善「そういや耳郎さん酔ってないッスね」

 

 善彦が皆が酔っているなか耳郎と上鳴が平常なことに気付く。

 

上「俺は他の料理で腹一杯で唐揚げ食ってねぇからな」

 

耳「ウチはこの前のお酒でちょっと酒に強くなったっぽい」

 

 耳郎が自慢げに話すが善彦と上鳴は何か言いたげな表情をしている。

 

耳「ん? どうした?」

 

善「あの、、耳郎さん」

 

上「上着を着てくれ」

 

 2人が目を逸らしながら耳郎に上着を差し出す。今耳郎は上着を脱ぎ、薄着直前になっていた。

 

耳「ひやっ!? なんでウチこんな格好に!」

 

 耳郎は即座に上着を取り前を隠して赤面する。

 

上「お前酔ったら無意識に脱ぐ癖あるんだから気を付けろよな」

 

 上鳴が注意すると耳郎は顔を真っ赤にさせながら上着を着直す。

 

ブ「ウガァァァァ!」

 

 突然カウンター席からブラドキングの叫び声が聞こえる。

 

善「なんだなんだ!?」

 

上「酔っ払いの喧嘩かよプロヒーローが!」

 

 善彦と上鳴が慌てて戸を開けカウンター席に目を向ける。するとそこには負けず劣らずのカオスが広がっていた。

 

ミ「ハードにいくわよぉ! もっと大きな声で鳴きなぁ!」

 

ブ「うぉぉぉ! まだまだぁ!」

 

マ「ヘイワッチャネーム!!」

 

相「zzzzz」

 

カウンター席では先生達が生徒よりも暴れ狂っていた。

 ミッドナイトはなぜか上裸になっているブラドキングの背中を鞭でビシバシと叩き、相澤先生はモツ煮の器に顔を突っ込みながら寝落ちしている。プレゼント・マイクに至っては床板に頭を突っ込み逆さに直立していた。

 

上「うわぁ、アルコールの直接摂取はやっぱりひどいや」

 

 いつもとは違う荒れ狂う先生達を目の当たりにした上鳴が思い切りドン引きする。

 

善「いーい、上鳴きゅん人間はアルコールが入ると人格が540度変わるの、自分はこの商売やってるから見慣れてるけどね」

 

 善彦がため息を吐くとあることに気づく。

 

善「あれ? オールマイト先生は?」

 

上「わーー! 倒れてるー!」

 

 上鳴が床に倒れているオールマイトを見つける。善彦と上鳴が駆け寄り起こすと、オールマイトはか細い声で喋りかける。

 

オ「も、、申し訳ない、、止められなかった、、」

 

善「いいんですよ気にしないでください! それより応急処置を!」

 

 善彦がオールマイトを上鳴に任せ処置をしようとした瞬間。

 

上「ん? オールマイト先生酒くさ、、」

 

善「え?」

 

 善彦がオールマイトの顔を覗き込む。その顔は少し赤らんでおり、酒の匂いがした。

 

オ「やっぱり私はお酒のめにゃいやぁ、、」

 

 オールマイトはそのままムニャムニャと気持ち良さそうな顔で眠った。

 

善・上「、、、、、、」

 

 善彦と上鳴はオールマイトを抱えると、空いた部屋に移動させ、布団をかけてゆっくりと休ませた。

 

上「まずいぞ、、まともなのは俺と佐竹のみ、、、二人でこのカオスを鎮めるのは不可能だ!」

 

耳「ウチも平気だぞーー!」

 

座敷席の戸から耳郎が顔を出す。しかしこのカオス状況は鎮まる気配は一向にない。

 

豹「酒は呑んでも呑まれるな、簡単そうで誰もできねぇんだよなぁ」

 

 突然厨房から豹介の声が聞こえる。善彦は豹介の手に握られたメモリを見逃さなかった。

 

善「父ちゃん、ダメだよそのメモリは! 企業秘密でしょ!」

 

豹「これはオレがやっちまったことだ、落とし前はつける」

 

 豹介はそういうとガイアメモリを挿した。

 

《テラー》

 

善「だぁぁぁぁもぉお!」

 

 善彦は絶叫するが上鳴と耳郎はなにがなんだかわからない。しかし次の瞬間、2人は善彦の絶叫の意味を理解する。

 

ゾワッ!

 

上「な、、なんだっ! この気配!この感覚!」

 

耳「今までに無い危機感ってやつがビリビリくる、、上鳴!気ぃ抜くなよ!」

 

 突然2人に強烈な恐怖感が襲いかかる。今までに感じたことのない感覚に2人は背中合わせで臨戦態勢をとった。

 

ブ「な、、なんだこの気迫! ヴィランでもこんなものを出すやつはいない!」

 

ミ「久しぶりに本気出せそう、、」

 

爆「敵かぁ! ぶっ潰す!」

 

鉄「みんな下がってろ! オレが前に出る!」

 

 その気迫と迫力に皆の酔いも覚める。それを確認した豹介は変身を解除する。

 

切「あれ、、気配が消えた、、」

 

拳「なんだったの今の、、」

 

 変身を解除したのと同時に辺りを包んでいた緊迫感が消える。皆がざわめいていると豹介が厨房から顔をだした。

 

豹「落ち着いたようだね、アイスでもどう?」

 

耳「あ、、いただきます、、」

 

 厨房から出てきたのはいつもの気のいい豹介だった。しかし善彦はまだ少し震えが残っている。

 

善「テラー、、恐怖のメモリ、、酔っ払いの収集がつかない時に使う最終手段だけどヒーローがいる所で使わないでよねぇ、、」

 

 テラーメモリは通常ドライバーを使わなければ変身できないのだがなぜ変身出来るのかは企業秘密なのである。

 

善「今度から料理酒は買いだめしとかなきゃな」

 

 善彦はくわばらくわばらと言いながら豹介の手伝いに戻る。

 

常「ダーク、、シャド、、ピヨ、、ピヨピヨ、、」

 

 常闇は未だに熟睡していた。

 

 




次回は爆豪&轟のデビュー編です


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マグマと氷のカーニバル

爆豪と轟の免許取得回です。


 冬も本番になり肌寒い夜、賑やかな夜に悪の叫びがこだまする。

 

「入れ喰いじゃーー‼︎‼︎」

 

 敵の集団が炭酸水を撒き散らしながら街ゆく人のバッグや財布をひったくる。

 

「リーダー! 休日は量が違うな量が!」

 

「お財布の濁流じゃ〜〜〜!」

 

 大量の財布を手にし、ゲラゲラと笑う。その光景を遠くからタクシーで見ている者たちがいた。

 

「おいアレ」

 

「んん!? トラブルか!?」

 

「近くにヒーローも居なさそうですねぇ」

 

「発生直後か、、じゃー俺が行くぜ」

 

「ム!? まずは周囲の状況を」

 

「確認した、二人は避難誘導を頼む」

 

「ちょっとぉ?! 二人とも勝手に」

 

「俺たちはもう、ヒーローとして戦える」

 

 そう言うと、二人はタクシーから飛び出す。

 

爆「A・Pショットォ!」

 

轟「フッ!!」

 

 飛び出した爆豪と轟は即座に敵グループに技を放つ。轟が敵を凍らせ、爆豪がA・Pショットで吹き飛ばす。

 

マ「そうだけども!! まだ取って30分だぞ!!」

 

 オールマイトもタクシーから降り、二人を止めようとするが、止まる気配はない。

 

善「無理ですよ、みんな免許取った中、二人だけ動けなかったからその分暴れたいんですよ」

 

 呆れた様子で付き添いで来た善彦もタクシーから降りる。

 

マ「気持ちは分からないでもないが、、大丈夫かねぇ」

 

善「だいじょーぶですよ、二人はアレでも考えてますし、自分らは避難誘導に行きましょ」

 

 善彦はどこからか誘導棒を二本取り出すと、オールマイトに一本渡し避難誘導に向かった。

 

マ「ん〜〜、、それもそうだね、皆さーんこっちに逃げてくださーい」

 

 オールマイトは現場を爆豪と轟に任せ、誘導棒を振った。

 

「なんじゃてめぇらヒーロー気取りかぁ?」

 

 炭酸敵が二人を睨みつける。しかし二人はそれを無視してベルトを巻きつける。

 

爆「邪魔すんなよ半分野郎」

 

《ボトルバーン!》

 

轟「お前も街を溶かすなよ、術式レベル50」

 

《タドルファンタジー》

 

 アイテムを起動させると二人はベルトに差し込む。

 

「貴様ら舐めてるな? 俺は炭酸水を操る男! 刺激を求めて生きる者!」

 

 炭酸敵は腕に着けた武器を二人に向け、高水圧の炭酸水を発射する。

 

轟「変身」

 

《デュアルアップ!タドルメグルRPG! タドルファンタジー!》

 

爆「変身!!」

 

《極熱筋肉!クローズマグマ!アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!》

 

 発射された炭酸水は轟の悪魔の鎧と爆豪のマグマでかき消された。

 

「うおおぉ!? 炭酸がぁ?! だぁがしかし俺らはうろたえない! 今日の為にオレ達は必死でサーチしたんだ! 覚悟が決まってんだよぉ!」

 

 炭酸敵はビシッと指を指しながら爆豪達に宣言するが、その直後炭酸敵の後ろで大爆発が起きる。

 

「へ?」

 

 炭酸敵がギギギと後ろを向くと、そこには気絶した敵グループメンバーとマグマの炎を背にした爆豪が立っていた。

 

爆「覚悟ができてるだぁ? 足止め程度に抑えたつもりだがなぁ? てめーら覚悟はねぇのかよ!」

 

 爆豪は仮面の中でニヤリと笑うと手のひらを爆発させた。

 

爆「痛ェ目ェ見る覚悟がよぉ!!」

 

「あるワケねぇだろ!」

 

 炭酸敵が爆豪に向かって炭酸水を発射するが、爆豪に当たった炭酸水は当たった途端に蒸発する。

 

「相性最悪!!」

 

 嘆く炭酸敵に向かい爆豪はゆっくりと歩を進め、手をゴキゴキと鳴らす。

 

「おー! かっけぇ!」

 

「行け行け仮面ライダー!」

 

 周りの野次馬達が声援を送る。善彦とオールマイトは見物人達を必死で抑えていた。

 

善「行かないで行かないで! 危ないですから! ヤバイですから!」

 

「なんでアンタ変身しないのー?」

 

善「巻き込まれて死ぬんで無理っス」

 

オ「というわけなんで下がって下さ〜い」

 

 抑える二人の後ろでは爆豪が炭酸敵を追い詰めていた。

 

「おおおぉ! 来るな! 来たらこの野次馬どもをバラバラにするぞぉ!」

 

 炭酸敵が野次馬達目掛けて炭酸を発射する。しかし次の瞬間。

 

轟「俺を忘れてねぇか?」

 

 轟が魔法で炭酸を全て凍らせた。轟もゆっくりと歩を進め、爆豪と挟み込む。

 

「本当に相性が最悪だぁ!」

 

 自暴自棄になった炭酸敵がめちゃくちゃに炭酸水をぶちまける。

 

爆「みっともねぇなぁ大人がガキみてぇに」

 

轟「被害が広がる、これで終わりだ」

 

 呆れながら爆豪はベルトのハンドルを回し、轟はベルトのカバーを閉じる。

 

《Ready Go!》

 

《ボルケニックフィニッシュ アチャチャチャチャチャチャチャ アチャー!》

 

《タドルクリティカルスラッシュ》

 

 爆豪は8体の龍を纏い、轟は冷気と魔王のオーラを体に纏わせながら宙に浮いた。

 

「あ、ぁぁあああああ!」

 

 炭酸敵は完全に足がすくんでいる。二人は敵目掛けてキックを放った。

 

爆「うらぁぁ!」

 

轟「はぁぁ!」

 

 二人のライダーキックが炭酸敵に激突する。炭酸敵はそのまま地面にめり込み気絶した。

 

善「うーわー、エゲツな死んでない?」

 

爆「威力は抑えたわボケ」

 

 変身を解除した爆豪は毒吐きながら善彦に大量の財布を渡す。

 

善「あーコレ引ったくられたやつ、いつのまに、、すごいや」

 

 善彦が取り返された財布を見ていると、いくつか形が変形している物がある。

 

善「ねぇ爆豪きゅん? コレいくつかマグマの熱で溶けてない?」

 

爆「知るかボケ!! 中の金は燃えてねぇんだ! 返ってきただけ感謝しろ!」

 

「逆に記念になっていいかもー!」

 

 善彦から財布を持っていった女性が目を輝かせながら爆豪を見つめる。

 

善「そんなモンかね」

 

 善彦は大量の財布を抱え、財布を持ち主に返して回る。

 

轟「避難誘導ありがとうございました」

 

 轟はオールマイトに礼を言う。オールマイトは誘導棒を持ったままイヤイヤと手を振った。

 

オ「こっちもビックリだよ、あんなに派手な技を使ったのに被害がない」

 

善「マグマの熱を氷で冷まして、氷の強い冷気をマグマで温めてで結構いい相性だねお二人」

 

爆「キメェこと言うなポンコツバイク!」

 

 遠くから爆豪が善彦に向かい怒鳴る。

 

オ「とにかくお手柄なのは確かだよ、あとはプロの方達に任せよう」

 

 オールマイトは爆豪と轟の頭に手のひらを乗せ、労を労う。

 

善「財布も配り終えたので戻りましょ、このまま皆さんからサインなんて求められたら深夜になっちゃいますし」

 

 善彦はタクシーの扉を開け、早く乗るように手をこまねく。

 

オ「それもそうだね、さ! 戻ろうか!」

 

 オールマイトは二人の肩に手を回しタクシーに連れ込む。後部座席に三人が座ると善彦はタクシーの助手席に座る。そして善彦はタクシーの窓から警察に連れて行かれる敵グループ達を見ていた。

 

善「これから大変なことにならなければいいけど、、」

 

 静かに善彦が呟くとタクシーは動き出す。ヒーロー免許を取得した爆豪と轟は華々しい活躍を残した。

 

 




少し短めになってしまったかと思います、いつもが長すぎたのでしょうか?
次回は敵連合の回になります。


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悪の戦争

敵連合の回です


12月中旬、敵連合は本格始動する為動き始めた。

 敵連合の協力者、氏子ドクターから活動の全面協力を得る為に出された条件はギガントマキアなる大男を従えなくてはならないという物である。

 死柄木は約1ヶ月超、ギガントマキアと戦い続けていた。

 

ギ「弱い、弱い、弱い、弱いぃぃ!!」

 

 ギガントマキアは地面をえぐりながら死柄木に襲いかかる。

 

死「ほらほらこっち……っと」

 

 リモコンブロスに変身している死柄木はネビュラスチームガンをギガントマキアに向かい乱射した。

 

ギ「弱い、弱い、弱い弱い弱い弱い弱い弱いぃぃ!」

 

 ギガントマキアは銃弾が全て当たっているにもかかわらず突進の速度を緩めない。ギガントマキアは死柄木の体を捉え、そのまま握り潰しながら崖を飛び降りた。

 

ギ「弱い……?」

 

 ギガントマキアが握り潰した死柄木の残骸を見てみると死柄木の体が蝋のようにどろりと溶けた。

 

ト「浮いてりゃ隙しかねぇ!」

 

Mr「一気にたたんじまえ!」

 

 ギガントマキアが崖から落ちている隙を狙い、隠れていたトゥワイスとMr.コンプレスが攻撃を仕掛ける。死柄木もライフルモードに変形させたネビュラスチームガンを構え、ギガントマキアに照準を合わせた。

 

死「ゲームオーバー……」

 

 死柄木は仮面の中で口角を上げると引き金を引いた。

 

ドンッ!

 

 ライフルの光弾がギガントマキアに向かう。ギガントマキアは落ち着いた様子で勢いよく手を開いた。

 

ギ「弱いっ!」

 

 手のひらを開く。それだけで辺りに衝撃波が走り、空中にいたトゥワイス達は衝撃波で吹き飛ばされた。

 

渡「未来の王様がピンチです」

 

キ「ホントに懲りないねぇ、いつものことだよ」

 

 その衝撃波は離れた場所からも確認出来た。渡我とキバットはそれをボーっと見ている。

 

ス「というかお前なにダッフルコート買ってんだよ、それにコイツにマフラーぜってぇいらねーだろ」

 

 渡我の後ろには私服のスピナーもいる。スピナーは勝手にダッフルコートとキバット用のマフラーを買った渡我に呆れていた。

 

渡「寒いと動きが鈍るのです、それにキバットさんにもなんかかけてあげないとかわいそうでしょ? それにカァイイからいいのです」

 

キ「とってもぬくいぜぇ〜〜」

 

 渡我は山道をピョンピョンと進んでいく。キバットもマフラーにご満悦の表情を浮かべながら渡我について行った。

 

ス「自由だな……」

 

 スピナーは目に包帯を巻くと、渡我について行った。

 

渡「弔くん生きてますか?」

 

 渡我達がついた場所では死柄木達が崩れた岩に座って休んでいた。

 

Mr.「寝たか、いつ飯食ってんだあの化け物」

 

 コンプレスが恨めしそうにギガントマキアの寝床の方を向く。死柄木は疲労が溜まっているはずなのに口角が上がっていた。

 

死「あいつの動きはすっトロいんだ、初めに比べりゃだいぶ近づける……! 必ず跪かせてやるあのゴリラ」

 

 死柄木はギアリモコンを手に取ると更に口角を上げる。その瞳はまるで夢を追う少年の様な眼差しだった。

 ギガントマキアを服従させるために戦い続ける。コレが敵連合の現状、しかしそれは一通の電話で大きく変わった。

 

「君たちは名を上げすぎた、我々の手で潰し解放軍再臨の狼煙とする」

 

 電話の相手はデトネラット社代表取締役社長"四ツ橋力也" 異能解放軍のリーダーである人物からだった。

 今まで敵連合のサポートを担ってくれた義爛を人質とし、お互い戦い合うことを要求するものだった。

 

デ「戦おう、異能を解放して、これからすぐ! 愛知は"泥花市"へ来るといい! 来れば義爛は解放しよう! そして選ぶといい私たちと戦って潰えるかヒーローに捕まり潰えるか! 死柄木弔!」

 

 電話越しのデストロの勇ましい声が響く。敵連合はそれを承諾した。

 

死「荼毘の居場所は?」

 

 死柄木は耳につけた通信機でドクターと通信する。

 

氏「三重と滋賀の県境じゃな」

 

死「いいとこいやがる……よし、行くぞ」

 

 死柄木はニヤリと笑うとネビュラスチームガンを取り出す。

 

ス「突っ込むのか!? 相手の事何も分かってねぇんだぞ!」

 

 スピナーが死柄木を止めようとするが、死柄木に止まる気は無い。

 

死「約1ヶ月も戦ってるとわかる、アレは無敵じゃない体力が多すぎなんだ」

 

 死柄木がギガントマキアの寝床を指すとスピナーが死柄木の意図を察する。

 

ス「そういうことか……死柄木がどこにいても探し当て追ってくる」

 

死「ギガントマキアをぶつけて戦わせる、さすがのデカブツも少しは疲れてくれるだろう」

 

 死柄木はニタリと笑うとネビュラスチームガンの引き金を引いた。銃口から煙が噴出され、死柄木達の体を包んだ。

 

死「ぶっ壊してやる」

 

 死柄木達は一瞬で荼毘の元着く。死柄木が煙から出ると目の前には荼毘が立っていた。

 

荼「それ便利だよな」

 

Mr.「黒いゲボ吐くより全然いいや」

 

 敵連合は全員集合すると泥花市が一望できる丘に立つ。

 

荼「ったく、何で俺までこんな面倒なことを……」

 

ト「お前も義爛に紹介してもらっただろ!」

 

 荼毘の一言に逆上しトゥワイスがメジャーを投げつける。荼毘はソレをヒョイと避けた。

 

荼「関係あんのか?」

 

ト「てめぇぇぇ!」

 

 荼毘とトゥワイスが喧嘩している横で渡我が何かに気づいた。

 

渡「誰か来ます!」

 

 その一言で荼毘、渡我、スピナーが臨戦態勢に入る。向かってきた人物は敵連合の前で止まった。

 

「ストップ! 私は案内役を仰せつかった者、解放軍指導者と話したければ私にういてきたまえ!」

 

 案内役として来たのはヒーロー"スライディンゴー"だった。

 

 スライディンゴーの案内で敵連合は泥花市に入る。市内には人が居なかった。

 

「私はここで失礼するよ!」

 

 案内を終えたスライディンゴーが立ち去ると、目の前に2人の人影が見えた。

 

花「遠路はるばるようこそお越し下さいました! 本日は記念すべき日、敵連合は主賓、さぁ始めて参ります、異能解放軍"再臨祭"!」

 

 心求党 党首 花畑孔腔が手を広げた瞬間、周りの家の窓、玄関や車の影から大人数が飛び出し、敵連合目掛けて個性を発動した。

 

 屋根瓦を操る者や衝撃波を出す個性を持つ者達が死柄木達を狙い撃ちにする。敵連合の姿が土煙で覆われた時、攻撃の手が止んだ。

 

花「おや、案外大したことないですね」

 

 敵連合がやられたと思い花畑がせせら笑う。すると次の瞬間、花畑の頬を何かが掠めた。

 

花「は?」

 

 花畑の頬から血が流れる。花畑が固まっていると土煙の中から何かが飛び出した。

 

「花畑さまっ!」

 

 市民の一人が花畑を突き飛ばし、飛び出て来た物から守る。飛び出て来たのは歯車の形をしたエネルギーだった。

 

花「い、今のは?」

 

 花畑が敵連合の方を見ると土煙が晴れる。そこにはリモコンブロスとエンジンブロスに変身した死柄木と荼毘が立っていた。

 

渡「ナイス防御です二人とも!」

 

Mr.「ん? アレ心求党の花畑じゃねーか」

 

 死柄木の背中から渡我とコンプレスがヒョコっと顔を出す。

 

ス「これ11万人ガチであるぞ!」

 

ト「何でもいい来たぞ! 義爛は!」

 

 スピナーとトゥワイスは荼毘の背中からヒョコっと顔を出し叫んだ。

 

花「ブ、ブローカーなら最高指導者と共に彼処でお待ちです!」  

 

 花畑は突然の反撃に驚きながらも落ち着いた様子で自分の後ろに建つタワーに手を向けた。

 

ト「来たら返すっつったろーがよ前チョロ!」

 

 トゥワイスが花畑に向かい怒鳴ると二人の市民が襲いかかってくる。

 

「死柄木弔ぁ!」

 

 ドギュンドギュン!

 

死「とりあえずタワーへ」

 

 死柄木は右手のネビュラスチームガンで二人の脳天を撃ち抜くと左手で体に触れ、襲いかかって来た二人の体を崩壊させた。

 

荼「集まってたら一気に潰される、バラけて迎え」

 

 エンジンブロスに変身している荼毘はスチームブレードを構え走った。

 

ト「はー! 嫌だよ! わかった了解!」

 

Mr.「そんじゃ行ってくる!」

 

 トゥワイスとコンプレスも別のルートを走りタワーに向かった。

 

渡「そういうことなら得意です!」

 

キ「行こうぜトガちゃーん!」

 

 渡我とキバットもタワーに向かって走る。すると次の瞬間。

 

ドガン!

 

渡「ぎゃっ!?」

 

キ「トガちゃん!」

 

 渡我の走っていた地面が突然爆発した。

 

「連続失血死事件、その犯人 渡我被身子ちゃんね」

 

 倒れている渡我に集瑛社 専務 気月置歳が歩み寄る。

 

気「女子高生は何故 狂気に至ったか 生前に語られた衝撃のインタビュー! 受けてくださる?」

 

 気月が渡我に微笑みながら問いかける。対する渡我は露骨に嫌な表情を見せた。

 

渡「え〜〜〜……や」

 

キ「嫌だってさ」




今回は話を繋げるのが難しくてちょっとグチャっとしてしまったかも知れません、次回は渡我vs気月です


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インタビュー・ウィズ・King of vampire

渡我vs気月です



気「潜伏解放戦士は日々訓練を積んできたの、肉体を、心を、打ち続けて来た、より人らしく生きる為に」

 

 気月置歳は側近を連れ渡我に歩みよる。渡我は解放戦士によって囲まれていた。

 

気「迷惑なのよ、後発の……大義もないあなた達が取り沙汰される現状、トガヒミコ インタビューは嫌いなようね、でもごめんなさい取材対象への遠慮なんて一年目で捨てちゃった」

 

 気月は自分の周りに戦士を置くと、渡我と対峙した。

 

気「トガヒミコあなた今から丸裸よ、少女の凶行とその理由……! とてもいい記事になりそう、現役だった頃の血が疼いちゃう!」

 

 今から取材できると気月はウットリとした表情を見せる。すると突然気月の隣に立っていた男の肩にナイフが刺さった。

 

気「? いない、これね、この子が捕まらないワケ……どこに」

 

 ナイフが投げられた方に渡我の姿は無い。渡我は飛び上がり、気月の頭上からナイフを振り下ろそうとしていた。

 

「キュリオス様の取材中!」

 

 ナイフを振り下ろそうとした瞬間、気月の側近が個性を発動し、渡我を吹き飛ばした。

 

渡「きゃっ!」

 

キ「トガちゃん!」

 

 吹き飛ばされた渡我はラーメン屋のガラスに激突し、店内に入ってしまう。

 

気「あぁそこ! 気をつけて!」

 

 興奮しながら気月はラーメン屋の床を指差す。渡我が床に目を向けた瞬間、店内の床が爆発した。

 

気「戦士達に慈悲はないの、延命したければ受けて下さいインタビュー」

 

 気月は爆発の様子を見てニヤリと笑う。キバットはその戦いに入る余地がなく上空でただ見ているしか出来なかった。

 

キ「アイツの個性は色んなものを爆発させる個性か! くそっ! オレが入っても邪魔になるだけじゃねーか!」 

 

 キバットが上空で歯がみする。一方店内では渡我がラーメン屋に潜んでいた戦士達に襲われていた。

 外からも解放戦士が入り込み、渡我に襲いかかる。

 

渡「チウッ」

 

 渡我は襲いかかって来た戦士達に向かい注射器を投げる。注射器が刺さったことを確認すると口元にマスクを装着した。

 

渡「直飲みチウチウマスク」

 

 渡我が息を吸うと注射器が血を吸い、血液がチューブを流れる。その光景を見た気月は更に興奮した。

 

気「注射器! 血を摂取し変身する異能! なるほどしかもそうやって複数人から摂取してこちらに候補を絞らせない!」

 

 気月はマスクの分析をしながら興奮する。上空から渡我の戦いを見ていたキバットは何か異変に気づいた。

 

キ「なんでアイツら注射器刺さって血ィ抜かれてんのに何もしねぇんだ? まさかっ!」

 

 解放戦士の意図を理解したキバットは急降下し渡我の元へ向かう。チューブを流れる血液は渡我の口に届こうとしていた。

 

キ「トガちゃんダメだぁ!」

 

 キバットはマスクから伸びるチューブを噛みちぎる。しかし一本だけチューブが残り、その血液を渡我は摂取してしまった。

 

ドンッ!

 

渡「ゲホッ!?」

 

キ「やっぱりアイツら! 味方も爆弾に変えてやがった!」

 

 血液が渡我の体の中で爆発する。それと同時に注射器を刺した解放戦士の体内も爆発した。

 

気「あら賢いコウモリさんね、一人分の血液しか摂ってないからダメージも余りなさそう」

 

 気月が自身の攻撃を察したキバットの行動を見て関心する。そして更に気月の興奮が高まった。

 

気「でも分かったでしょう! 変身して紛れ込もうと考えちゃダメ! 自身が起爆装置になる事を厭わぬ戦士があなた達を異能で追い詰めます!」

 

 解放戦士は攻撃の手を緩めない。体の内部を攻撃された渡我を狙い次々と戦士達が襲ってくる。

 

キ「この外道ども! 来るんじゃねぇ!」

 

 キバットは飛行しながら解放戦士の攻撃から渡我を守る。渡我はヨタヨタと体をよろめかせながらラーメン屋から抜け出した。

 

渡「キバットさんありがとうです……」

 

 渡我はボロボロの体で戦士達に背を向け逃げる。しかし戦士達は渡我を見逃さずに攻撃を続けた。

 

気「渡我家長女 8月7日生まれ17歳! 中学卒業式出席後失踪! ご両親への突撃取材はご覧になられましたか!?」

 

 渡我が袋叩きにされている最中、気月はインタビューを始める。返答がなくても気月は質問を続けた。

 

気「中学の同級生にインタビューした映像は!? 皆言ってましたよ! とても明るく聞き分けの良い子だったと! だからこそ何故! 何故あんな事をと! 何故 普通の暮らしを捨てたのか! 自身の口から聞かせて頂けますか!?」

 

 気月のインタビューは止まらない。渡我は戦士達に攻撃され続け地面に伏せていた。

 

キ「トガちゃん! トガちゃぁぁん! クソッ離せこのやろう!」

 

 キバットがトガに向かって叫ぶが返事は無い。キバットは解放戦士に捕まり、身動きが取れなかった。

 

気「私は知っています! あなたの苦しみ! 何故あなたは狂気に至ったか!」

 

 気月の興奮は最高潮に達する。しかし次の瞬間、その興奮の熱は一気に凍りついた。

 

渡「普通の暮らしって……なんですか?」

 

 渡我は地面から起き上がり気月に問う。その表情はまるで感情のない人形の様だった。

 

気「やっと答えてくれましたね……」

 

 その仮面のような感情の無い顔に気月の興奮は収まる。

 

渡「解放軍さん、とっても素敵な世の中つくろうとしてるので私あなた達好きですよ……私も普通に生きるのです」

 

 渡我の口角がゆっくりと上がり、不気味な笑顔を見せる。その笑顔を見た瞬間、気月の興奮に再び熱が入った。

 

気「やはり私の勘は衰えてなかった、あなたは超人社会の闇を体現する者……」

 

 気月が舌舐めずりをしていると渡我が立ち上がろうとする。しかし攻撃され続けていた渡我は立ち上がれずに地面に倒れた。

 

渡「ゲホッ……コホッ」

 

気「体の内外ともにボロボロ、カワイソウに」

 

 満身創痍の渡我に向かい気月は歩を進める。そして渡我の近くまで歩み寄ると地面に膝をつけ、そっと渡我の顔に手を伸ばした。

 

気「異能の抑圧によって自分を殺した不幸な少女、それがあなたなんでしょ? 渡我被身子」

 

 気月は優しく渡我に語りかける。渡我はその隙を狙い、気月にナイフを突きつけた。

 

渡「うるさいなぁ!」

 

《デトネラット社 謹製 「チェインリング」キュリオスパンク》

 

 気月の着けていた腕輪がブロック状のグローブの様な武器に変形する。

 ナイフを突き刺そうとした渡我にキュリオスパンクを叩きつける。叩きつけられた箇所が爆発し、渡我は爆撃を顔面に食らった。

 爆撃をモロに喰らい渡我の顔面は血に塗れる。気を失い地面に伏せようとする渡我の体を気月は受け止めた。

 

気「あなたの普通と解放軍の目的に相違はありません、なればこそあなたは解放軍の正しさを立証しうる人柱となれるのです……死して悲劇を確立させましょう」

 

 気月は腕の中でグデンとしている渡我に優しく語りかける。

 

気「あなたの人生は現代の"聖典"として語られるでしょう」

 

 気月は渡我に優しく微笑み抱き寄せる。その光景を見ていたキバットは我慢の限界を迎えた。

 

キ「勝手なこと言ってんじゃねぇぞお前らぁぁぁ!」

 

「うぎゃあ!」

 

 解放戦士に捕まっていたキバットは戦士の手に噛みつき、手から逃れる。

 そしてそのまま気月に向かって飛んで行った。

 

気「おっと」

 

 気月はキバットに向けてキュリオスパンクを繰り出すがキバットはそれを避け、渡我の服に噛みつく。そしてそのまま服を引っ張り気月の元から離した。

 

キ「黙って聞いてりゃ人の人生ほじくり返して不幸だなんだと好き勝手言いやがって! 渡我ちゃんの人生をてめーらが決めんじゃねぇ!」

 

 渡我を気月から離すとキバットは気月達に向かって怒鳴る。それを見た気月の口角はグインと上がった。

 

キ「なんて素晴らしい友情なの……あなたの事も取材したい、いい記事になりそう」

 

 舌舐めずりをしながら気月はキバットに向かい歩を進める。いくらなんでもキバットだけでは気月に勝てるワケがない、解放戦士誰もがキバットを鼻で笑った瞬間。

 

渡「嫌な人……私はちっとも不幸じゃない」

 

気「!?」

 

 キバットの後ろで倒れていた渡我がゆっくりと起き上がった。

 

渡「嬉しい時にはニッコリ笑うの、あなた達が好きな人にキスするように、私は好きな人の血を啜るの……私は不幸なんかじゃないの」

 

 よろよろとしながら渡我は立ち上がる。その姿を見たキバットは覚悟を決めた。

 

キ「トガちゃん、このままだとさっきと変わらず袋叩きだ、けど一つだけ手がある……オレの名を呼んで左手を出してくれ、そうすれば変えられる!」

 

 キバットが渡我に伝えると渡我はゆっくりと左手を前に出した。

 

キ「キバット……」

 

 か細い声でキバットの名を呼ぶ。するとキバットは渡我の左の掌に噛み付いた。

 

キ「ガブッ!!」

 

 キバットが渡我の掌に噛みつき、魔皇力を注入する。魔皇力を注入された渡我の顔に紋章が浮かび出る。そして腰に鎖が巻きつくと、鎖がベルトに変わった。

 

渡「変身……」

 

 渡我が無意識に一言発する。キバットはベルトに逆さまに装着された。

 キバットがベルトになったと同時に渡我の体が鎧に包まれ、変身を完了させた。

 

気「こ、これは?」

 

 目の前で起きた事態に気月は後ずさる。それを見たキバットは逆さまになりながら笑った。

 

キ「仮面ライダーキバだ、覚えときな!」

 

 キバットがビシッと決めると渡我は自分の体を見回した。

 

渡「これが……私?」

 

 仮面ライダーに変身した自分の姿に渡我は唖然としている。更に先程までのダメージが無い事に驚きを隠せなかった。

 

渡「体が軽い……とてもいい気分です!」

 

 渡我はゆっくりと構えを取ると気月達に向かって走り出す。

 

気「変身したと言っても所詮付け焼き刃、体が耐えられるわけがない!」

 

 自分に向かって走る渡我に向かいキュリオスパンクを構える。近づいて来た渡我に向かって繰り出した瞬間、視界から渡我の姿が消えた。

 

気「え、どこに?」

 

 気月が周りを見回す。すると自分の周りに立っていた戦士達がバタバタと倒れた。

 

渡「こんな変身も悪くないですね」

 

気「!?」

 

 声のした方を気月が向くと、そこには電線にコウモリのように逆さでぶら下がっている渡我の姿があった。

 

キ「トガちゃん、君の持っている血液をオレに飲ませてみてくれ、驚く事が起きるぜ」

 

渡「? わかりました」

 

 キバットがこっそりと渡我に伝える。渡我は首を傾げながら自分の血のストックの一つをキバットに差し出すと、キバットはフエッスルを咥えるように血の入ったカプセルを咥えた。

 

キ「はいはいなるほど、イイぜトガちゃん、そろそろトドメにかかろう」

 

渡「わかりました!」

 

 渡我は電線から降りると気月に向かう。気月は口角を上げながらキュリオスパンクを振りかぶった。

 

気「こんな展開! いい記事になりそう!」

 

 真っ直ぐに向かって来た渡我にキュリオスパンクを喰らわせる。爆発が直撃した事を気月が実感した瞬間。

 

気「え?」

 

 気月の体が宙に浮いた。気月の体はどんどんと高く登っていく。

 

渡「お茶子ちゃんの個性が……使える?」

 

 渡我は自分の手のひらを眺める。変身しているので指の肉球はわからなかったが、何かがある実感はあった。

 

キ「変身している時、トガちゃんは口が塞がっているから血を摂取できない、でもオレはこの通り喋れるから変わりに血を摂って君を変身させることができるようになったのさ」

 

 キバットが自慢げに教えると気月は思わず叫んだ。

 

気「何で! 彼女の個性届けでは確かに外見だけと……まさか! 今伸ばしたとでも! 死への恐怖が! 異能を!」

 

渡「ううん」

 

 渡我は気月の言葉に対して首を横に振る。そしてフエッスルを手に取った。

 渡我はフエッスルをキバットに咥えさせる。

 

キ「ウェイクアップ!」

 

 キバットはフエッスルを吹くとベルトのバックルから飛び立ち、右脚のカテナを解除した。

 その瞬間、空は暗くなり夜になる。夜空には三日月が浮かんでいた。

 

気「なんなの……これは」

 

 気月は宙を浮きながら三日月の方を向く。するとそこには空高く飛び上がり三日月を背にした渡我の姿があった。

 

渡「私は恋して生きて普通に死ぬの」

 

 渡我は両手の指を合わせ、お茶子の個性"ゼログラビティ"を解除する。宙を浮いていた気月の体は重力に従い、地面に向かい落ち始めた。

 

渡「私はもっと"好き"になる」

 

 渡我は気月に向かいキックを放つ。気月はニヤリと口角を上げた。

 

気「なんて素敵な見出し……最高の記事に」

 

 気月が全て言い切る前に、渡我のキックが激突する。そしてそのまま気月の体は地面に叩きつけられ、地面にキバの紋章が刻まれた。

 

「そ、そんな……キュリオスさまぁぁ!」

 

 キックの衝撃で解放軍の戦士が集まってくる。地面にめり込む気月の姿を見た戦士達が悲鳴を上げる中、変身を解除した渡我は建物の隙間に隠れていった。

 

渡「フフ……ボロボロ、負担が大っきい、出久くんみたい」

 

 変身を解除した瞬間、一気に変身の負荷が襲いかかる。しかし渡我は笑っていた。

 

渡「仕方ないよね、だって気に入らないのは壊すんだもんね弔くん」

 

 渡我はそのまま建物の隙間の闇の中へと消えていった。




インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
この題名を見た瞬間 キングオブヴァンパイアの仮面ライダーキバが思い浮かび、そうだトガヒミコをキバにしてみよう! と思い実践してみました。 主人公ライダーを敵連合に使うとは何事か! と思う人もいるかもしれませんがそこはご勘弁ください。
次回も敵連合VS解放軍です


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思い知れや

VS解放軍
展開を考えるのがなかなか難しいです(焦)


 眠い……

 

 大勢の解放戦士が自分に襲いかかってくる中、死柄木は思った。

 

死(眠いとアレだなぁ、動いてないモンが動いて見えたり、聞こえない音が聞こえたり、不必要な情報が押し寄せてくる感覚、体がバグってるのがよくわかる)

 

 死柄木は眠気で体をよろよろと揺らめかせる。そしてゆっくりと左手を横に上げると歯車のエネルギーが充填された。

 

死「最高に気分が悪い」

 

 死柄木が左腕を解放戦士に向かい振り下ろし、歯車を放つ。だが放たれた歯車は解放戦士達の個性で受け止められた。

 

「耐えろ耐えろ! キュリオス様の死を無駄にするなぁ!」

 

 解放戦士は互いを支え合い歯車を食い止める。しかし次の瞬間。

 

ビキッ!

 

「え?」

 

 前方で歯車を受け止めていた解放戦士の体にヒビが入った。そのヒビは後ろで体を支えていた戦士の体にも入る。

 

「ウソ! そんなっ!」

 

 ヒビの入った解放戦士を歯車は無情に砕いていく。死柄木を襲った解放戦士は全員、塵となって崩れた。

 

ス「見間違いか……? 今歯車に触れていたヤツが崩壊したぞ……それに触れていない人間にまで崩壊が伝播してなかったか?」

 

 そのままフラフラとタワーに向かう死柄木を見たスピナーは唖然としている。荼毘は仮面の下でニヤリと笑うとスチームブレードをヒラヒラと振り回した。

 

荼「リーダーがやってんなら俺もいいよなぁ、元より殺さず温存なんて向いて……」

 

荼毘が全て言い終える直前、荼毘はその場から離れ、頭上から襲いかかってきた者を避けた。

 

荼「氷……氷ね、こんなゴツいなりで気配も見せずに」

 

 荼毘は呟きながら解放戦士の氷男を眺める。両腕に巨大な氷を纏わせていた氷男は両手の氷を分解させた。

 

氷「蒼炎の使い手荼毘、連合で唯一広範囲攻撃可能、何故すぐに炎を出さずに歯車ばかり出す」

 

 氷男は分解させた氷を柱のように形成する。荼毘は舌打ちをするとスチームブレードを振りかぶった。

 

荼「おいおいどうやら知らねぇな!? 仕方ねぇ教えてやるよ特別だぜ?」

 

 荼毘の振りかぶったスチームブレードに蒼炎が纏われる。さらに荼毘はスチームブレードのバルブを回転させた。

 

《エレキスチーム!》

 

荼「氷は溶けちまう」

 

 荼毘がスチームブレードを振り下ろすと蒼炎と電気を纏った斬撃波が氷男に向かう。

 氷男は氷の柱を、上に伸ばし、荼毘の斬撃波を避けた。

 

氷「そうか、それは大変だ」

 

 氷の柱を斬撃波で破壊され、空中に放り出された氷男は自分の後ろのコンビニに手を向ける。するとコンビニの中から大量のロックアイスが飛んできた。

 

氷「知らないようだから教えてやる、僕は氷を操る」

 

 氷はコンビニだけではなくスーパーマーケットや各家の冷凍庫の物までも集まってくる。操った氷で足場を作り氷男はそこに立つと、集めた氷で巨大な龍を造った。

 

氷「ずっと異能を鍛えていた、学校にも行かず、ヒーローなんかよりもずっと長く、最高指導者が僕を強くしてくれた」

 

 氷男が手を上に上げると氷の龍が動く。それを見た荼毘は右手に出現させた歯車のエネルギーに蒼炎を纏わせた。

 

荼「素敵な人生歩んだな! 可哀想に! いいカキ氷ができる!」

 

氷「生半可な炎で氷が溶けると思うなよ」

 

 荼毘は右腕を大きく振り、蒼炎の歯車を放ち、氷男は氷の龍を向かわせる。

 

 巨大な氷と蒼炎の歯車が激しくぶつかり合った。

 

ト「ハァ、ハァ、嘘だろ 『真実さ』」

 

 その頃トゥワイスは誰かの民家の庭に立っていた。

 

ト「どこに行っちまったんだって……心配したんだ 『へっちゃらだよ』 あああ畜生! なんてこった!」

 

 トゥワイスの目の前では渡我が物置の中で蹲って倒れていた。頭を抱えるトゥワイスにキバットが飛んでいく。

 

キ「近くに敵はいねぇ! 今のうちに応急処置だ!」

 

 キバットは渡我が物置で倒れた瞬間飛んでいき、トゥワイスを呼んでいた。トゥワイスは渡我を抱き抱え物置から出す。

 

ト「トガちゃん! ウソだろウソだろ 『本当だ!』 人肌がこんなに冷たくなるなんて!! 『畜生なんでこんなに熱いんだ!』」

 

キ「おい、トゥワイスお前1人でなにやってんだ?」

 

 キバットは一人でやりとりをしているトゥワイスの姿に困惑している。トゥワイスはまだ自分と会話していた。

 

ト「黙ってろよ! 『黙ってられねええだろうが! 血まみれなんだぞ!』 息はまだある! 『ないね!』 顔がグチャグチャだ、敵の血か!? 『君の血だ!』」

 

 トゥワイスは自分との会話を続けている。トゥワイスは気を失っている渡我を抱き寄せると涙を流した。

 

ト「だめだ生きてくれ、きみは……連合の皆は俺の……居場所なんだ……!!」

 

キ「トゥワイス……」

 

トゥワイスの様子を見たキバットも涙ぐむ。しかし後ろを見た瞬間、その表情は一瞬で青ざめた。

 

キ「トゥワイス! なんだコレぐわっ!」

 

ト「コウモリ!?」

 

 キバットが殴られた音に反応しトゥワイスが後ろを向く。するとトゥワイスは大勢に囲まれた。

 

「分倍河原 仁 トゥワイス 異能『二倍』ある種トガとは真逆の男」

 

 義爛が監禁されているタワーの一室、デストロと共にいる近属友保はパソコンを開きキーボードを弾き始めた。

 

近「自らを増やし自らに殺されかけ、自らの人生を見失ってしまった男、分倍河原わかるか? 使い方だ! 何故己の価値を理解してない!」

 

 大勢に囲まれたトゥワイスはマスクの中で絶望と驚嘆の混ざった表情を浮かべる。トゥワイスを囲んでいるのは近属の個性『人形』で作られた分倍河原の顔をした人形だった。

 

近「お前は解放軍に引き入れる!」

 

 タタンッ! と近属がキーボードを弾くと人形の分倍河原がトゥワイスと渡我に襲いかかる。

 

ト「うわぁぁぁ! やめろぉおぉ!」

 

 人形分倍河原はトゥワイスのマスクを脱がし投げ捨てるとトゥワイスを渡我から引き離す。そのままトゥワイスは人形分倍河原に押されつけられた。

 

ト「やめろ冷てぇなんて冷てぇ手だ畜生あぁくそうおまえ誰だ俺か!? 俺の顔だ誰なんだよおまえは!」

 

 人形分倍河原に押され連れられたトゥワイスに自身のトラウマが蘇る。

 

キ「ヤバい……トゥワイスの野郎パニックになってやがる……無理もねぇけどこのままだとマズい!」

 

 人形分倍河原に殴られ地面に叩きつけられたキバットがゆっくりと起き上がる。人形分倍河原は渡我の首を掴み、へし折ろうとしていた。

 

ト「あっアァ……包まねぇとやばいやめろやめろ! あぁ畜生やめろ! トガちゃん!」

 

 人形分倍河原は渡我の首をゆっくりと捻りそのまま折ろうとしている。トゥワイスは過呼吸状態に陥りその場から動けない。

 

キ「落ち着けトゥワイス! お前はお前だろうが! 自分を見失うな!」

 

 キバットがトゥワイスに声をかけるがトゥワイスには届かない。人形分倍河原は渡我の首を捻る力を強くしていった。

 

ト「あぁ! 俺が! 殺そうとしている! ハンカチで包んでくれたあの子を! 俺が! 俺か? え? 俺なのか? じゃあ俺は! 本当の俺は!?」

 

 目の前で自分が渡我を殺そうとしている。トゥワイスは完全に自分を見失っていた。自分が本物の自分かどうかもわからない、目の前の自分が本物の自分かもしれないと混乱に陥る。

 

ト「ええ、あぁ、裂ける裂けるぞ! 俺は違うのか!? 俺は! 俺か!? 俺は!」

 

キ「おらぁぁぁぁぁぁ!」

 

 トゥワイスが混乱している最中、キバットは猛スピードでトゥワイスの腹にタックルを喰らわせた。

 

ト「うげぇ!??」

 

近「なんだ?」

 

 キバットのタックルを喰らったトゥワイスは人形分倍河原の拘束から逃れ、地面にゴロゴロと転がる。監視カメラのモニターを見ていた近属は首を傾げる。

 

キ「目が覚めたかこの野郎! どうだ! 骨折するくらいの勢いで突っ込んだ! イテェか!?」

 

 キバットがトゥワイスに向かい叫ぶ。トゥワイスは強く咳き込むと自分の体をペタペタと触った。

 

ト「ゴホッゲホッ! 消えてねぇ……腹がズキズキいてぇ……いてぇ痛ぇよ……」

 

 トゥワイスは強烈な痛みを感じながら笑みを浮かべ始める。強いダメージを受けても消えない、トゥワイスは自分が本物のなのだとようやく気付いた。

 

ト「痛ぇのに消えねぇよ俺!」

 

 自分が本物と分かった途端、涙を流しながら笑う。トゥワイスを逃した人形分倍河原はゆっくりとトゥワイスの元へ歩み寄って行った。

 

近「あのコウモリ……やはり曲者だな、E、Bは分倍河原をやれ、Dはコウモリを仕留めろ」

 

 近属はキーボードを弾き人形分倍河原に指示を送る。人形分倍河原がトゥワイスに近付いたてきた時、トゥワイスはゆっくりと立ち上がった。

 

ト「なるべく大怪我をしねぇように気を付けてきた、消えちまうのが恐かったから……いっつもそうだ、そうなんだ、誤った選択を取り続けるんだ、自分を殺してみりゃわかった事だろうに!」

 

 トゥワイスはスーツの中から何かを取り出すと腰に巻きつける。

 

ト「こいつもヤクザんとこで拾ったんだ……使わせてもらうぜ! 俺は逃げて転げて落っこちた! 落っこちた先で見つけた場所! トガちゃん‼︎ 君を助けるよ」

 

《マツボックリ!》

 

 トゥワイスは戦極ドライバーを腰に巻くと、マツボックリロックシードを開錠する。するとトゥワイスの頭上のトラックが開き、マツボックリが降りてくる。

 

ト「変身!」

 

 トゥワイスがカッティングブレードを倒すとマツボックリが頭にかぶさり、鎧へと変形した。

 

《マツボックリアームズ! 一撃! インザシャドウ!!》

 

ト「仮面ライダー黒影……見参!」

 

 変身を完了したトゥワイスは長槍の影松を振り回し、ビシッとポーズを決める。すると次の瞬間トゥワイスから複数のトゥワイスが飛び出してきた。

 

近「なに……? アイツ自分を増やして……」

 

モニターを見ていた近属は目を見張る。トゥワイス本体は前に歩み出ると人形分倍河原に向け影松を突きつけた。

 

ト「どけよ偽物、俺は仲間を殺さない、個性『二倍』その恐ろしさ思い知れや! 解放軍!」

 

「「「うぉおおおおおお!」」」

 

 二倍で増やされたトゥワイス達は影松を上に掲げ雄叫びを上げた。

 




トゥワイスの変身はライドプレイヤーか黒影かでめちゃくちゃ悩みました!
でも黒影の方がカッコいいかなぁ、量産系ライダーでは結構いい方だよなぁ? と考え黒影に決定いたしました!


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激進

いろいろと忙しいのもあり
私事で入院していたのもありで間がこんなに伸びちゃいました、時間を多く取れるようになったので積極的に動いていきます


ト「いこうぜトゥワイス!! 皆殺しの時間だぜ!」

 

 心の傷を克服したトゥワイスは自身の分身を大量に造り出した。

 

「スケプティック様のヘルプを!『二倍』は殺さ……ず?」

 

 トゥワイスの元に解放戦士達が集まる。しかし戦士達は目にした光景を目の当たりにし全員その場に固まってしまった。

 

《無限増殖 哀れな行進(サッドマンズパレード)

 

ト「行けいけイケェェ!」

 

 トゥワイスは増殖に増殖を繰り返し山の様に重なり溢れかえっていた。

 

荼「そぉらよっ!」

 

 一方、荼毘と氷男の戦いは激化していた。  荼毘は氷男の繰り出した氷塊を蒼炎を纏わせた歯車のエネルギーで粉砕する。

 

荼「威勢と状況が合ってねぇな、氷が粗方消えちまったよ」

 

 腕から煙を出しながら荼毘はスチームブレードをヒラヒラと振り回す。

 

Mr「余裕があんならこっちヘルプ!」

 

 荼毘の後ろでコンプレスが叫ぶ。コンプレスは左手の義手が破壊され、多数の解放戦士に襲われている。

 

荼「何で俺が助けなきゃいけねぇ?」

 

Mr.「情が薄くねーーーか!?」

 

 コンプレスがツッコむと荼毘が顎をシャクリ、そっちを向く様促す。

 

荼「そいつらに頼めつってんだ」

 

Mr.「そいつら?」

 

 コンプレスは言われた通り荼毘の示した方を向いた。

 

ト「荼毘! Mr.コンプレス! 助っトゥワイス参上だゼェェェ!「荼毘!「コンプレス!「皆殺しだー!「いてぇな! ヤリが刺さってんだよヤリが!《マツボックリアームズ!《マツボ《マツ《マツボッ「仮面ライダー黒影だ!《一撃インザシャドウ!》」

 

Mr.「う、うるせーー!」

 

 コンプレスの向いた方向には大量のトゥワイスがワラワラと向かって来ていた。

 

ト「うぉりやぁ! どきやがれ外道め!」

 

 トゥワイス達はコンプレスを襲っていた解放戦士を長槍の影松で突き刺し、払いのける。

 

Mr.「おまっ、その姿……てかトラウマは!?」

 

ト「愛と勇気が塗りつぶしてくれたよ!」

 

 トゥワイス達は歩兵の如く槍を構え突進していく。解放戦士に突進しながらトゥワイスは荼毘とコンプレスに伝える。

 

ト「お前らも増やしてやるぜぇ! 連合どころか県になっちまうぜ総人口! さぁ行くぞ敵県!」

 

 トゥワイスが猛々しく叫んでいると前方からトゥワイス達の叫び声が聞こえた。

 

ト「うおおお氷の大波だーー!」

 

荼「なに?」

 

 荼毘が声のする方向を見るとトゥワイス達が巨大な氷塊と鬩ぎ合っていた。

 

荼「この町氷が特産か? 量がおかしいぜ」

 

 氷塊の上空では氷男が氷の足場の上に立っていた。

 

氷「"氷を操る"と言ったはずだが」

 

荼「あ、なるほどね」

 

 荼毘は辺りを見回して納得する。氷男は氷の温度を操り水道の排水管の中の水さえも凍らせて操っていた。

 

氷「解放軍の目指す先の未来では異能を高める事こそが生きる事そのもの! 異能の強さ以外に生の価値はない」

 

 氷男が声高に宣言すると荼毘が鼻で笑う。

 

荼「じゃあオマエ価値ねぇな」

 

氷「なんだと?」

 

 氷男が首を傾げると氷塊の下から声が聞こえた。

 

ト「いくぜ俺たち! こんな氷に負けるかぁ!」

 

「オオーーー!」

 

 トゥワイス達は一斉にカッティングブレードに手を伸ばし三回倒す。

 

《マツボックリスパーキング!》

 

ト「おりゃーーーー!!!」

 

 トゥワイス達はその場から飛び上がると影松を構え空中で高速回転をし始めた。そのまま氷塊に突っ込みドリルの様に氷を削り始めた。

 

ト「ドリルだドリル! カキ氷にしちまえ!「カキ氷なんて食う季節かよ!「おーい! カルピスの原液みつけたー!「そこの俺ナイス! ぶっかけて食おーぜー!「全部削ったら何人前だ!?」

 

 ヤイヤイと騒ぎながらトゥワイス達は氷塊をドンドンと削っていく。氷男は負けじと氷を集めトゥワイス達に押し込んでいく。

 

氷「ふざけるな……こんなふざけた奴らに!」

 

荼「ほぉーら価値がないのはどっちだか」

 

 荼毘がクスクスと笑いながらスチームブレードのバルブを回転させる。

 

《デビルスチーム》

 

荼「ん? なんざそら」

 

 荼毘が初めて聞いた音声に首を傾げる。

 

荼「まーやってみっか」

 

 荼毘がスチームブレードのトリガーを押し一振りするとネビュラガスが飛び出し、近くのトゥワイスにネビュラガスが向かう。

 

ト「わーなんだ!「気持ち悪りぃ!「なになに!?」

 

 ネビュラガスがトゥワイス達の体を包むとトゥワイス達の姿が仮面ライダー黒影から怪人のスマッシュの姿に変わる。

 

荼「ははっ! こんなおもしれぇ機能あったのかよ!」

 

ト「おい荼毘なんだこりゃ!「俺飛んでる! 飛んでるよお!「わっ、火ぃでた!」

 

 ガスに包まれたトゥワイスはストロングスマッシュ、フライングスマッシュ、バーンスマッシュに姿を変えていた。

 

荼「なんでもいいだろ? ホラ行くぜ」

 

 荼毘は三体のスマッシュを連れて氷男の方へ向かって行った。

 

ス「うおおお! なんだこの氷!」

 

 スピナーと死柄木は二人で義爛が監禁されているタワーに向かっていた。

 

ス「死柄木ぃ大丈夫か!?」

 

死「見ろよスピナー、タワーが近いぜ、人も多くなって来た」

 

 死柄木達がタワーに近づいていくごとに解放戦士達の数も多くなっていく。解放戦士が死柄木達に向かって個性を発動した瞬間。

 

ト「とらぁぁ!」

 

 トゥワイス達が一斉に影松を放り投げ解放戦士達の個性を相殺した。

 

ス「え! お前らトゥワイス!? 多くね!?」

 

死「おいおいマジか増えたのかよ」

 

 スピナーと死柄木は自分を取り囲むトゥワイス達を見回す。

 

ト「あぁ!「これで少しは役に立つかなリーダー」

 

「おまえがいくら増えようが再臨の贄となるだけだ!」

 

 解放戦士はトゥワイスに臆する事なく向かっていく。

 

ト「ひえ〜!!「ニエ!?「気味が悪いぜオカルトだぁ!」

 

 トゥワイス達も負けじと解放戦士の元へ突進していく。

 

死「すごいぜトゥワイス、ついでにタワーまでの道拓けるか?」

 

ト「おうよ任せろ! うっかり俺たち一人で解放軍を手籠めにしちまうぜ!「まってろ義爛!」

 

 トゥワイスの勢いは止まることを知らずに押していく。

 

ス「すげぇないつの日かやった戦極ゲームの歩兵みてぇ、もうトゥワイスだけでいーんじゃねーか?」

 

 スピナーがポカンとしていると死柄木が首を横に振る。

 

死「いーや、アイツは義爛を好きすぎる……人の心を弄びやがって……許せないぜ解放軍」

 

 死柄木はタワーを見上げると展望台を睨みつけた。

 

ト「てめーか!俺たちの居場所をブッ潰してぇバカ教組ってのァ!」

 

 その頃タワーでは、トゥワイスが解放軍のリーダー"四ツ橋力也"の居る展望スペースに辿り着いた。

 

義「分倍河原……!」

 

 その場には拘束された義爛もいる。

 

ト「ずいぶんハゲてんじゃねーかてめーー! ハゲ教組じゃねーーか失礼しました!」

 

 トゥワイスは叫びながら分身を増やす。

 

四「宮下と違って捻りがないな」

 

 振り向きトゥワイスの方を見る四ツ橋の目元に黒いアザの様なものが浮かび上がった。

 




久しぶりに書くと楽しいです。
時間を見繕いながら行動していきます


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記憶の歯車

死柄木vs四ツ橋です


ト「いいかてめーら! てめーらはコピーだ! よって死んでも存在が消える事はない!」

 

 トゥワイスが二倍で増やした死柄木達に向かい叫ぶ。

 

死「死ぬ前提でリーダーを増やすなよ」

 

ト「復唱しろ! 『僕たちは複製死んでも死ぬ事はない!』心がスッと軽くなるはず」

 

荼「しねぇよ」

 

 コピーの荼毘がトゥワイスの言葉を遮るとチラリと隣を見る。

 

荼「てかなんでコンプレスがいない?」

 

ト「うるせぇ細けぇこと言うな! 変身してるお前らが率先して戦え!」

 

 荼毘がMr.コンプレスがいないことに気付くがトゥワイスが誤魔化す。

 

荼「まー確かにここに変身してないヤツがいたら足手まと」

 

ト「いくぜっ! 黒影トゥワイス突撃だーー!」

 

 荼毘の言葉を遮るようにトゥワイス達は一斉に長槍の影松を構え四ツ橋に向かい走った。

 

 パンッ!

 

ト「オレ達ィィィー!」

 

 次の瞬間、四ツ橋に向かったトゥワイス達が破裂する様に消えていった。

 

四「ずいぶん脆い、ところで君人質の意味を理解しているのかね?」

 

 溶けていくトゥワイス達の後ろから腕を前に出した四ツ橋の姿が現れる。

 何が起きたか分からないトゥワイス達はざわついた。

 

ト「おい、何が起きたかみえたか?「オレは見えたぜ! 全然わかんねぇ!「オレ達ィィィ!「ライダーになったのに簡単にやられちまったぁ!」

 

 トゥワイス達がざわつき、ガヤガヤと騒いでいると死柄木がトゥワイスの肩に手を置く。

 

死「大丈夫だトゥワイス、おまえがつくったこの状況……1対たくさんだ」

 

荼「それもそうだ、義爛を取り返しゃあいいんだろ?」

 

ト「そうだいけー!」

 

 死柄木の言葉で荼毘とトゥワイス達が四ツ橋に向かう。

 荼毘の蒼炎とトゥワイスの槍が四ツ橋に届こうとした瞬間。

 

四「……ひどい連中だ」

 

 四ツ橋がため息を吐きながら左腕を上げる。次の瞬間、四ツ橋の上げた左腕が巨大化した。

 

ト「え?」

 

 巨大化した腕で荼毘とトゥワイスを薙ぎ払う。薙ぎ払った衝撃で展望台の窓が一面破壊された。

 

四「同じ土俵で争っているのが馬鹿馬鹿しい……」

 

 四ツ橋が再びため息を吐くと視線の端に溶けかかったトゥワイスが見えた。

 

ト「ぎ、義爛……「義爛!」

 

 溶けかかったトゥワイスは分身を作り、椅子に縛り付けられていた義爛に駆け寄った。

 

義「お前……カッコよくなってんじゃねーか……」

 

 義爛はトラウマを乗り越え仮面ライダーに変身したトゥワイスを目の前に笑みを見せた。

 

ト「バカヤロウ……オレのどこがカッコいいんだ……」

 

 トゥワイスは指の無い義爛の右手を見ると仮面の中で涙を流した。

 

四「まったくしぶとい」

 

 四ツ橋がトゥワイスと義爛にトドメを刺そうと歩を進めようとした瞬間。

 

ドギュン!

 

四「おっと」

 

 四ツ橋は後ろから放たれた銃弾を首を傾げて避けた。

 

死「あれ? おかしいな」

 

 四ツ橋が振り向くとそこにはライフルモードのネビュラスチームガンを構えた死柄木が立っていた。

 

四「生きているとは! 丁度いい! 君を量ろう」

 

 四ツ橋は標的を自身の一撃を避けた死柄木に変えた。

 

死「トゥワイス、義爛守るならめちゃくちゃ離れとけ」

 

 死柄木はトゥワイスにそう告げると左腕をダラリと上げた。

 

ト「わかった! いくぜ義爛!」

 

 トゥワイスは頷くと義爛を横抱きする。

 

義「俺こんな趣味ねぇんだけどな……」

 

ト「俺もお姫様抱っこなんぞしたかなかったわ!」

 

 トゥワイスは義爛を抱えながら展望台から飛び降りる。四ツ橋はソレを気にも止めずに死柄木と対峙していた。

 

四「ふんっ、歴史のないチンピラの破壊衝動に……我々以上の重みがあると思うか?」

 

四ツ橋の左腕が大きく膨らむ。死柄木の左腕にも巨大な歯車のエネルギーが充填されていた。

 

ト「えっほ えっほ えっほ」

 

 ドゴォォオオン!!

 

 トゥワイスが義爛をお姫様抱っこで運んでいると後ろから轟音が響く。

 

ト「うぉおおお! 死柄木ハデすぎぃ!」

 

 轟音のした方向を振り向くと死柄木と四ツ橋の戦っていたタワーが粉々に崩れ落ちていた。

 

バゴォォォン!

 

トゥワイスが崩れ行くタワーを茫然と見ているとすぐ後ろで爆音が響く。

 

ト「次はなんだ!?」

 

 トゥワイスが爆音の方を向くと爆音の原因をすぐに見つけた。

 

義「おいおい……こりゃなんだ」

 

ト「夢なら覚めてくれ……」

 

 爆音の原因の影がトゥワイスと義爛を覆う。トゥワイスの顔が仮面の中で青ざめた。

 

死「高い所から落ちたら死ねよなァ人として……おまえがボスか? あれ? お前デトネラットのCM出てたよな?」

 

 タワーの瓦礫の下から死柄木が起き上がる。高い場所から落ちたのにもかかわらず変身は解除されていなかった。

 

四「…………ふんっ、やはり本物のようだな」

 

 瓦礫の下から四ツ橋も起き上がる。四ツ橋の上半身は大きく膨らんでおり、顔には黒い紋様が浮かんでいた。

 

死「なぁデトネラット、今どんな気持ちなんだ? いや、な? 数に任せて高みの見物きめこんでたんだろ?」

 

《ギアリモコン!》

 

 死柄木は四ツ橋に問いかけながらネビュラスチームガンにギアリモコンをセットし、四ツ橋に照準を合わせる。

 

死「格下相手にわざわざリンチの場ァ設けてさァ、ここまで来るこたーないとタカくくってよォその挙句におっことされた気分はさ……」

 

 ライフルモードのネビュラスチームガンの銃口に歯車を模したエネルギーが充填されている。死柄木は引き金にそっと指を添えた。

 

死「どうなんだって聞いてんだよ」

 

《ファンキーショット! ギアリモコン!》

 

 引き金を引くと歯車と弾丸を模したエネルギーが四ツ橋に向かう。四ツ橋は俊敏な動きでソレを回避した。

 

四「怒ってるよ」

 

 死柄木の頭上に飛び上がった四ツ橋は死柄木目掛けて腕を振り下ろす。

 地面を抉る威力の攻撃を死柄木は後ろに飛んで逃げたが、左手が四ツ橋に捕まった。

 

死「うぐっ!」

 

 四ツ橋が死柄木の左手を強く摘む。

 

四「悪さをするのはこの掌か!?」

 

 四ツ橋の摘む力が強くなる。しかし死柄木はその痛みに苦しんでいなかった。

 

死(心に沈む正体不明の苛立ちに……スッポリ抜けてた思い出が嵌っていく……感情に経験が伴っていく!)

 

 ガキガギガギガギガキガギガギガギ!

 

 死柄木は苛立つ度に頭の中に不快な金属音が鳴り響く。まるで噛み合わない歯車がぶつかり合っているような不快な音が。

 

 ヒタ……

 

 死柄木は苦し紛れか無意識に小指と薬指を四ツ橋の指に触れさせる。次の瞬間、四ツ橋の指に激痛が走った。

 

四「っ!」

 

 四ツ橋は即座に死柄木を放り投げる。死柄木は地面に叩きつけられた衝撃で変身が強制解除されてしまった。

 

四「ヒビ割れた……」

 

 四ツ橋は自身のヒビ割れて血の流れている指を眺める。そして倒れている死柄木に目を向けた。

 

四「五本の指でなければ発動しないはず……誤情報を摑まされたか?」

 

死「うぅっ! ゲェッ! アぁ!!」

 

 死柄木が頭を抱えながら起き上がる。死柄木の顔は脂汗に塗れていた。

 

死「頭が……割れるっ!」

 

 死柄木の頭の中で幼い記憶が映像となり流れる。それと同時にあの不快な金属音も鳴り響いていた。

 

死「ぐあっ……アアアアア!」

 

 死柄木が激痛のあまり蹲る。すると突然四ツ橋に向かって駆け出した。

 

四「速いっ! 変身していないのにこの俊敏性!」

 

 死柄木は駆けながらネビュラスチームガンを四ツ橋に向かい乱射する。四ツ橋はソレを巨大化した腕でガードした。

 

四「!?」

 

 四ツ橋がガードの為に前に出した腕の隙間から腕を振りかぶった死柄木の姿を確認する。四ツ橋はその場を飛び上がり死柄木の攻撃を避けた。

 

四「格下と断ずるのは尚早だったな……」

 

《解放 80%》

 

 四ツ橋が着地すると個性『ストレス』の出力を上げる。四ツ橋の身体が膨らみ、上半身のスーツが張り裂けた。

 

四「戯れはここまでだ」

 

 ストレスの黒いエネルギーが四ツ橋の身体全体を覆い、鎧となる。

 死柄木にストレスのエネルギーをぶつけようとした刹那、四ツ橋の動きが止まった。

 

四「白い……?」

 

 死柄木はその場でボーッと立ち尽くしたままネビュラスチームガンとボトルを構えている。四ツ橋の目に止まったのは死柄木の持っているボトルがギアリモコンではなくギアエンジンであることだった。

 

荼「オレが持ってても意味がねぇ……お前が持ってろ」

 

 荼毘は死柄木から離れる前にギアエンジンを渡していた。

 

《ギアエンジン!》

 

 死柄木はギアエンジンを挿し込むと即座に引き抜く。

 そしてギアリモコンの入っているポケットに手を伸ばした。

 

死「俺は本当にただ……」

 

 ポケットからギアリモコンを取り出すと、ギアリモコンと共に死柄木が身につけていた家族の手が足元にポトリと落ちた。

 

《ギアリモコン! ファンキーマッチ!》

 

四「やはりこの若者は……覚醒の最中に!」

 

 不吉な予感を察知した四ツ橋が左手にエネルギーを充填させる。

 死柄木は四ツ橋を気に留めずにネビュラスチームガンを構え、引き金を引いた。

 

死「潤動……」

 

 死柄木の身体が煙に包まれる。

 

《フィーバー!》

 

四「ストレスアウトプット!」

 

《負荷塊!》

 

四「祭りを終わらせる!」

 

 死柄木が変身する前にトドメを刺そうと四ツ橋がストレスの黒い塊を放つ。

 しかしその一撃は死柄木を包む煙から出現した歯車によって砕かれた。

 

四「なんだと!」

 

 死柄木の周りを飛び交う青と白の歯車はそれぞれ噛み合い回転すると死柄木の身体に装着された。

 

《パーフェクト》

 

 歯車が装着されると死柄木に纏わりついていた煙が晴れる。

 

四「なんだアレは……」

 

 四ツ橋は見た事のない死柄木の姿に目を見開いた。

 

死「……」

 

 ヘルブロスへと変身した死柄木は足元に落ちていた父親の手を見つめる。

 

死「全部思い出した……俺はただ……壊すだけだ」

 

バギャン!

 

 死柄木は足元に落ちていた父親の手を踏み砕く。

 

死「こんなものも全て……要らない!」

 

 この時、死柄木の中の不快な音が消えた。歯車が噛み合い、動き出す。

 死柄木はゆっくりと歩き出した。




死柄木の心情を表現するのがとても難しかったです……
次回で決着がつきます


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とまらない

敵連合VS解放軍 終了です。


 全部思い出した、俺はあの時お父さんを殺したくて殺した。お母さんたちが崩れて行くのをみて心が軽くなった……あれは悲劇なんかじゃない…………。

 

 ヘルブロスとなった死柄木は四ツ橋に向かいゆっくりと歩く。四ツ橋は両手に黒いストレスのエネルギーを溜めた。

 

四「ストレス100%!」

 

 歩を進め向かってくる死柄木に全力のストレスエネルギーを叩きつける。

 黒いエネルギーが死柄木の体を包み込んだ瞬間。

 

四「……っ!」

 

 ストレスエネルギーから巨大な歯車が飛び出し、四ツ橋の頬をかすめた。

 

死「歯車一つでどーにかなるな」

 

 ストレスのエネルギーを崩壊させ死柄木が歩み出てくる。

 自分の全力をたやすく抜け出された四ツ橋はポケットのスイッチを起動させた。

 

四「私の力は手段である! 人々を解放する為の! デストロの意識を完遂する為の!」

 

 四ツ橋がスイッチを起動させると辺りの地面から鉄塊が飛び出る。飛び出た鉄塊は四ツ橋の身体に鎧となって張り付いた。

 

死「窮屈そうだな、リ・デストロ」

 

 死柄木は変わりゆく四ツ橋の姿を落ち着いた様子で眺めていた。

 

《デトネラット社謹製 負荷増幅鋼圧機構 "クレストロ"》

 

四「150%だ!」

 

 四ツ橋の身体が鋼圧機構に包まれる。四ツ橋が拳を死柄木に放った時でも死柄木は落ち着いていた。

 

死「ああそう」

 

 バチィィ!

 

 四ツ橋の全力の拳を死柄木はネビュラスチームガンの銃撃一発で弾いた。

 

死「150%ね、プルスウルトラってやつだ? でもデカイだけだなぁ」

 

四「な……」

 

 四ツ橋が弾かれた拳を確認すると、拳部分の装甲が剥がれていた。ネビュラスチームガンの威力が上がっている。

 

四「まだだ……抑圧ではなく解放を! 異能の自由行使は人間として当然の……」

 

 四ツ橋の闘志は折れずに死柄木に向かう。視線を拳から死柄木に移し、向かおうとした瞬間。

 

四「なんだあれは?」

 

 死柄木に向かう四ツ橋の足が止まった。死柄木は左腕を高く挙げている。死柄木の身体からは青と白の歯車が幾つも飛び出ていた。

 

死「ハハ……ハハハハハ」

 

 飛び出た歯車は死柄木の頭上で重なり合う。大小様々な歯車が重なり、噛み合うと歯車は巨大な左手の形を模した。

 

荼「なんだアレ?」

 

 氷男と交戦していた荼毘は一時攻撃の手を止め死柄木の造った歯車の左手を眺めていた。

 

氷「リ・デストロ!」

 

 氷男は荼毘との交戦をやめ、四ツ橋の方へ急いで向かって行った。

 

荼「お〜い待てよー、ったく変身が突然無くなるし変な手ェ出て来るし」

 

 氷男について行くように荼毘も死柄木の方へ向かっていった。

 

ト「解放軍頑張れよアリとゾウじゃねぇか!」

 

 トゥワイス達は義爛と渡我を抱えながらギガントマキアに蹴散らされている解放軍を見ていた。

 

ト「あいつ死柄木の方に向かってる!」

 

 ギガントマキアは個性を発射する解放軍を物ともせずに死柄木に向かう。

 

Mr.「甘かった! 俺たちとやってる時は本気じゃなかったんだ! ギガントマキアは止まらない!」

 

 ギガントマキアが死柄木と四ツ橋の戦いの場に向かう。しかしギガントマキアが死柄木の姿を見た瞬間、ギガントマキアの進撃が止まった。

 

四「あれほど巨大な手だ、振り下ろすしか出来ないだろう、範囲外に出れば!」

 

 四ツ橋がクレストロからジェットを噴射し、宙に浮かぶ。そして装甲を解除し、死柄木から逃れようとした時。

 

死「ぶっっっ!」

 

 死柄木が左腕を思い切り振り下ろす。すると歯車の手も振り下ろされ、地面に叩きつけられた。

 

死「っっっっ壊れろ!!」

 

 歯車の手が地面に付いた瞬間、手を構成していた歯車達が分解され、泥花市全体に放たれた。

 

ト「オオオオオ! 逃げるぞ義爛! 俺達!」

 

 トゥワイス達は義爛と渡我を抱えながら歯車から逃げる。

 放たれた歯車は民家やビルを粉々に粉砕して行く。歯車は泥花市を一瞬で更地へと変貌させた。

 

死「ハハハハハ! ハハハハハハハハハハ!」

 

 惨劇の中心で死柄木は両手を広げて大きく笑う。仮面の中の表情は正に解放されたかのように爽快だった。

 

 崩壊が終わり、更地となった泥花市の地面に四ツ橋は座りこんでいた。

 四ツ橋の膝から先は無くなっている。

 

死「脚ぃ地面に触れちまったか、全身壊れる前に切り離したんだな」

 

 変身を解除した死柄木が四ツ橋に歩み寄る。四ツ橋の隣には血のついたクレストロの残骸が置いてある。

 

死「なぁ、何で戦ってんだっけ?」

 

 呼吸の荒い四ツ橋と対峙すると死柄木は嘲笑いながら指を指した。

 

死「お前が喧嘩売ったからだよなァ」

 

 四ツ橋が死柄木を睨んだまま荒い呼吸を続けていると。

 

花「リ・デストロォォオ!」

 

 心求党の花畑が残った解放戦士を連れ、四ツ橋を助けに来た。

 

花「皆さん! 最高指導者を救うのです!」

 

 花畑が個性の『扇動』を使い解放戦士を動かそうとした時。

 死柄木が解放戦士に微笑んだ。

 

「…………!」

 

 その微笑みに解放戦士の身体が固まる。

 

花「扇動が掻き消されている!? そんな……」

 

 通常なら花畑の言葉一つで敵に突っ込んでいく解放戦士が動かない。初めての事態に花畑は驚愕していた。

 

四「トランペット、これ以上は無駄な死だ」

 

 四ツ橋が花畑に向かい手を挙げる。すると花畑は顔に着けていた装備を解除した。

 

四「彼らは皆、デストロの意志に賛同し殉する覚悟を培っていた者たち」

 

 四ツ橋は両膝と両手を地面につける。

 

四「君の言う通り喧嘩を売って負けた。殺るなら殺れ、私もまたデストロの意志に殉する覚悟」

 

 この光景をギガントマキアは大人しく見ている。この時ギガントマキアのある記憶が蘇った。

 

四「異能解放軍はお前の後についていく」

 

 四ツ橋は額を地面につけ、死柄木に降伏した。四ツ橋には死柄木が輝いて見えてしまっていた。

 

ギ「後継……」

 

 頭を下げられている死柄木を見たギガントマキアは涙を流しながら死柄木を後継者と認めた。

 

死「…………」

 

 死柄木はこの事態に対してボンヤリとしている。すると自分の空腹に気づいた。

 

死「あっ……お前社長だから金あるよな!」

 

 閃いた死柄木は四ツ橋に向かいニカッと笑う。

 

 死柄木達の物語の歯車は加速し、もう誰にも止められなくなっていた。

 




とっても難しかったです……
悪役の複雑な心を読み取るのはキツかったです……
クチャクチャになってたらすみません……


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崩れたバイク

オリジナル回です


12月下旬、終業まで数日。善彦は初めて学校を休んでいた。

 

 泥花市崩壊のニュースを寮のテレビで見た途端、突然吐いて倒れたのだ。

 

耳「あの吐き方、いつもと違かった」

 

上「あぁ、オレ達にはわかる」

 

 耳郎と上鳴は寮の共有スペースでソファーにもたれかかりながらニュースを見ていた。

 

瀬「吐き方わかるとかあるんだ……」

 

飯「被害規模は神野以上らしいが地方だったため死傷者数は抑えられたそうだ」

 

 飯田も泥花市のニュースに注目する。すると画面が切り替わり、上空からの映像が映し出された。

 

上「あの紋章を見た途端に吐いたんだよな」

 

 テレビに映されていたのは地面に刻まれたキバの紋章だった。

 

切「保健室に運んでる時、アイツ小さい声でキバって言ってたな」

 

 切島が呟くと上鳴が思い出す。

 

上「確か仮面ライダーにもキバっていたな……それにこの前キバットを無くしたって泣いていた」

 

飯「つまりこの被害は仮面ライダーによるものだというのか!?」

 

 飯田が声を上げると耳郎が指を自分の口に当てる。

 

耳「しーー! 静かに! その可能性も否定できない、多分暴動を起こした連中は佐竹の無くしたって言ってた仮面ライダーのアイテムを拾って使ったのかもしれない」

 

上「それを勘付いた佐竹はパニックになって吐いて倒れたのかもな」

 

 上鳴の言葉にA組全員が黙る。

 

善「うぅっ……ゲェェ! ガハッ……カ……」

 

上「っ! 起きたか! 大丈夫か!?」

 

 上鳴が善彦の吐いた声を聞いた途端、善彦の部屋に向かい走り出した。

 

上「佐竹!」

 

 上鳴が善彦の部屋の扉を開ける。そこにはベッドから落ち、倒れている善彦がいた。

 

善「くそぉ……また、また期待を裏切るのか……また全部……無になるのか」

 

上「おい! 大丈夫か!? しっかりしろ!」

 

 倒れて伏せている善彦を上鳴が起こす。善彦の目に光はなかった。絶望や自責に飲まれた目をしている。

 

善「自分の……せいで……人が……たくさん人が死んで……」

 

 善彦はボソボソと言葉を吐く。すると上鳴は善彦の手に握られたガシャコンスパローの片方に気がついた。その瞬間上鳴は善彦に掴みかかる。

 

上「おい、お前なにする気だった! 早まるのはよせ!」

 

 上鳴は声を荒げるが善彦は虚ろな目をしたまま反応がない。

 

善「自分が消えれば……おそらく個性は消える……」

 

上「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ! 誰がお前に消えろって言ったぁ!」

 

 上鳴は善彦を引き寄せ身体を揺する。しかし善彦は人形のようにグラグラとするだけだった。

 

善「自分は……絶望を撒いてしまった……なにが希望を与えるヒーローだ……なにが仮面ライダーだ……自分なんて……」

 

 上鳴の言葉は善彦に届かない。

 

上(ちくしょう情けねぇ……オレは目の前の友達一人救えねぇのかよ……!)

 

 上鳴は善彦の服を掴んだまま強く歯を食いしばる。

 

爆「あーーーあ! こんな時オールマイトがいたらよぉ!」

 

 突然善彦の部屋の外から爆豪の声が聞こえた。

 

上「爆豪?」

 

爆「オールマイトだったらよぉ! こんなザコ事件一瞬で片付けてんだろーなー! あーあーオールマイトが現役だったらなぁ!」

 

 上鳴が善彦の部屋から出ると爆豪は部屋に背を向け大声でひとりごちているように見えた。

 

爆「あーーあーーめんどくせぇなぁ! ボケくそぉ!」

 

上「おい爆豪! いい加減に」

 

 爆豪の無神経な言葉に上鳴は怒りを覚える。上鳴が爆豪に向かい肩を掴んだ瞬間。

 

爆「オレのせいだよ」

 

 爆豪が自分から振り向き、親指を自分に指した。

 

上「は?」

 

 爆豪は上鳴の手を払うと善彦の方に向かった。

 

爆「オレがヤツらに捕まったせいでオールマイトを終わらせちまった……オレが捕まらなきゃそんな事は起きなかった、センコーに頭も下げさせた」

 

 爆豪は座り込む善彦の前に立つとギロリと善彦を睨みつけた。

 

爆「オレの方が……てめーの何十倍もの絶望と混乱を呼んでんだ……それなのにてめーはグチグチネチネチと腐りやがって……」

 

 爆豪は善彦の胸ぐらを掴むと無理やり立ち上がらせる。

 

爆「ふざけんな! テメェの落とし前ぐれぇテメェで片付けろぉ!」

 

 爆豪は善彦の胸ぐらを強く握ると部屋の外へ投げ飛ばした。

 

善「ぐあっ!」

 

 部屋から投げ飛ばされ善彦は床に叩きつけられる。

 

善「なん……なんだよ」

 

 善彦が起き上がろうとした瞬間。

 

耳「さた……け」

 

 耳郎が善彦の目の前に立った。善彦を呼ぶその声は震えている。

 

善「え……」

 

 善彦が顔を上げると、耳郎は大粒の涙を流していた。

 

耳「お願いだから……戻ってきてよ……ウチは……アンタと上鳴で……三人でヒーローになりたいの……だから……」

 

 耳郎が涙を拭いながら善彦に話す。すると突然善彦の体が引っ張り起こされた。

 

切「漢気注入!」

 

 バチィィィィ!

 

 引っ張り起こされた直後、善彦の頬に切島の全力ビンタが叩き込まれた。

 

切「お前! あの時俺に勇気と漢気を教えてくれただろ! あの時、無力感に襲われた俺を救ってくれたのは佐竹じゃあねぇか! シャキッとしやがれぇ!」

 

 切島は腕を組みながら大声を出す。ポカンとしている善彦の肩に、上鳴の手が置かれた。

 

上「みんな佐竹を大事に思っているし信頼している、絶望ばかり数えるな、俺らの先にある希望を見ろ!」

 

 上鳴が善彦の目を見ながら説く。すると善彦の目に光が戻ってきた。

 

善「いいのかよ、本当に」

 

 善彦が問いかけると上鳴は笑顔を見せる。

 

上「当たり前だろ! 友達じゃねぇか!」

 

 上鳴は善彦の額に自分の額をつけると爽やかな笑顔を見せた。

 

耳「ウチも忘れんな」

 

 耳郎も上鳴と善彦の間に入る。涙の筋の残る耳郎は善彦に優しく微笑む。

 

耳「おかえり、佐竹」

 

上「バイクトリオ再結成だ!」

 

 耳郎と上鳴の言葉に善彦は涙を一筋流す。

 

善「ありがとう……みんな……ありがとう……」

 

 善彦は涙を流すと二人の体を抱き寄せた。

 

爆「…………行くぞ」

 

 爆豪は切島に向かい顎をしゃくると切島と共にその場を離れる。

 

切「珍しいな、お前が人を励ますなんて」

 

 切島が爆豪に向かって微笑むと爆豪は舌打ちをしながら顔を逸らす。

 

爆「そんなんじゃねぇ、ただ……」

 

 爆豪は顔を逸らすと同時に善彦の方を見る。

 

爆「オレを倒したヤツが、こんな所で折れて欲しくねぇだけだ」

 

 爆豪はそう告げると足早に去っていく。

 

切「素直じゃねぇなぁ」

 

 切島は爆豪の背中を見送ると後ろを振り向く。

 

 そこには何よりも美しい友情の形があった。

 




今回はこのような話ですが次回は平和なものです


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インタビュれ!

インタビューの回です


 泥花市の事件から9日、善彦は完全復活を遂げていた。

 

善「次は数学か……」

 

 善彦は休んでいた分のノートを上鳴のノートを拝借し書き写していた。

 

麗「よかった〜佐竹くん超復活やね」

 

青「心配したんだよ☆」

 

 皆 善彦の復活に胸を撫で下ろしていた。

 

善「えへへ、ご心配をおかけしました」

 

 善彦は照れ臭そうに笑うとマヨネーズを取り出す。赤いキャップを外すと口をつけソレを一気に飲み干した。

 

瀬「お前死ぬぞ!! 相澤先生じゃねぇんだぞ!」

 

砂「マヨネーズ一気飲み……オェッ」

 

 善彦のイッキに瀬呂と砂藤はドン引きするが、上鳴と耳郎は微笑んでいる。

 

上「よかったいつもの佐竹だ」

 

耳「アンタご飯食べてもすぐ吐いちゃってたもんね、よかったよかった」

 

芦「あーらら基準がぶっ壊れてら」

 

 芦戸がその光景をニシシと笑いながら見ていると教室の戸が勢いよく開く。

 

相「今日は特別講師を招いている」

 

 相澤先生がヒョコっと顔を出すと特別講師が入ってきた。

 

Mt.「勝利を約束された者への声援は、果たして勝利を願う祈りだったのでしょうか! ショービズ色濃くなっていたヒーローに今、真の意味が求められる!」

 

 特別講師にはMt.レディとミッドナイトが来てくれた。

 

Mt.「今日行うは『メディア演出』! わたしがヒーローの立ち振る舞いを教授します!」

 

 Mt.レディが授業内容を説明すると耳郎が善彦に耳打ちする。

 

耳「久しぶりのヒーロー授業、気合入れてやんなよ!」

 

善「よっしゃ頑張ります!」

 

 そしてA組はヒーロー授業の場所に移動した。

 

Mt.「今日はヒーローインタビューの練習よ!」

 

切「緩い!」

 

善「1発目コレかぁ」

 

 切島と善彦は授業の緩さに体の力も緩んだ。

 

 授業内容は仕事を終えた体でのインタビューをMt.レディがインタビュアーとなり質疑応答に答えるといったものだった。

 

 まず轟がインタビューを受ける。

 

Mt.「ショートさんはどのようなヒーローを目指しているのでしょうか?」

 

轟「俺が来て皆が安心できるような……」

 

 轟は落ち着いた様子で返答をする。Mt.レディは質問を続けた。

 

Mt.「どのような必殺技をお持ちで?」

 

 Mt.レディが質問をすると轟はゲーマドライバーを腰に巻いた。

 

緑「あれ? なんでベルトを?」

 

轟「変身」

 

 緑谷が首を傾げると轟はガシャットを取り出し仮面ライダーブレイブに変身した。

 

轟「前までは"穿天氷壁"という技があったんですが、仮面ライダーの力を得て進化しました」

 

 轟はガシャコンソードを逆手に持つとソレを床に突き刺す。床に刺されたガシャコンソードから氷が走り巨大な氷山を作った。

 

轟「威力、範囲共に進化しより多くの敵を制圧できる"穿天氷壁・極"です」

 

 轟は説明しながらガシャコンソードのモードを変える。

 

轟「そして炎の方も繊細なコントロールができるようになりました」

 

 轟が氷山に向かいソードを一振りすると炎が氷山を包み一瞬で氷山を片付けた。

 

轟「この力で俺は、より多くの人を救って見せます」

 

 轟がガシャコンソードを構えるとA組から歓声が上がった。

 

Mt.「いいわいいわ! 変身するのは良いアピールになるわ! そーゆーのドンドンちょうだーい!」

 

 興奮したMt.レディはA組をドンドンと壇上に上げた。

 

飯「兄・インゲニウムの意志を継ぎ懸けるものであります! 絶望が敵のゴールだ!」

 

 飯田は仮面ライダーアクセルに変身し、エンジンブレードを高く掲げた。

 

Mt.「誠実さが伝わるね!」

 

常「人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ……闇を知らぬ者に栄光は訪れぬ!」

 

 ハリケンレッドに変身した常闇は紅の傘を投げ、黒影を出すと見得切りを見せた。

 

Mt.「良い〜雰囲気良いよ〜」

 

切「牙の勇者! キョウリュウレッドライオット! 俺の後ろに血は流れねぇ! 漢気ブレイブ見せてやるぜぇ止めてみなぁ!」

 

 キョウリュウレッドに変身した切島はド派手にポーズを決めた。

 

Mt.「あぁーーキョウリュウ兄貴ーー!」

 

尾「世界の王者! ジュウオウザワールド! もう誰にも俺を普通だなんて言わせないぞ!」

 

 ジュウオウザワールドに変身した尾白はガンロッドを構える。

 

Mt.「世界の王者! どでかくでたわね!」

 

峰「仮面ライダーグリドン! ナメんじゃねぇぜ! ネバーギブアァァァップ!」

 

 峰田はドンカチを高く掲げ叫ぶ。

 

Mt.「フッ……成長したじゃない」

 

 Mt.レディは峰田に静かにサムズアップを送った。

 

Mt.「さぁ次は誰!?」

 

 Mt.レディがまだインタビューしていない生徒を呼ぶ。

 

善「うーわー、最後は嫌だなぁ緊張してきた」

 

 善彦はいつ出ようかとオタオタしている。

すると耳郎が善彦の手を引いた。

 

善「じ、耳郎さん!?」

 

耳「ほらアンタもいくよ!」

 

上「おおっととマジか!」

 

 耳郎は上鳴の手も引っ張ると壇上に上がった。

 

Mt.「あら? アラララ!! トリを飾るのは雄英バイクトリオじゃなーい!」

 

 三人で上がってきたことにMt.レディは興奮した。

 

飯「先生! 三人同時でもいいのでしょうか!」

 

ミ「いーのよ、1人でやるとも限らないしね」

 

 飯田の質問にミッドナイトは淡々と答えた。

 

Mt.「それではインタビューを始めますね! まずはチャージズマさん! あなたが目指すヒーローは!?」

 

上「そりゃもう当然イカしたヒーローでしょ! ビリっと痺れてくれよ!」

 

Mt.「イヤホン=ジャックさんは!」

 

耳「ロックなヒーロー! みんなヨロシク!」

 

Mt.「そして強救道さん!」

 

善「あぁ自分か!」

 

 自分の番が回ってきた善彦は大きく戸惑う。

 

善「ええっと……その……」

 

 善彦の目が泳ぎ始めソワソワし始める。すると耳郎と上鳴が視界の端に入った。

 

耳「いけっ! ヒーロー!」

 

上「ビシッとやっちめぇ!」

 

 2人の意志を察した善彦はゆっくりと息を吐き、顔を上げる。

 

善「絶望を消し、希望を届けるヒーロー、それ一択です、ヒーローの道を極める男! それが強救道! ヨロシクお願いします!」

 

 善彦は大きく頭を下げ、決意を新たに固めた。

 

Mt.「完全復活……というよりパワーアップしてるわね……それじゃあ皆さんお待ちかねのアレをお願いします!」

 

 Mt.レディが三人から下がると善彦達はベルトを腰に巻いた。

 

上「いくぜぇ!」

 

《シグナルバイク!》

 

耳「行こうか!」

 

《ダッシュ! オーソライズ》

 

善「よっしゃあ!」

 

《爆走バイク!》

 

 それぞれ準備を完了するとポーズを構え一言。

 

上「レッツ!」

 

「「「変身!」」」

 

《シグナルバイク! マッハ!》

 

《ラッシングチーター! 》

《Try to outrun this demon to get left in the dust.》

 

《爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!!》

 

 三人が変身を完了させると一気に歓声が上がった。

 

上「追跡撲滅いずれもマッハ!」

 

耳「悪の対象を破壊する!」

 

善「ノリに乗っちゃう自分らは!」

 

「「「雄英最速! バイクトリオ!」」」

 

 仮面ライダーマッハ、バルキリー、レーザーに変身した三人はポーズを完璧に決めた。

 

Mt.「最高……やっぱり雄英」

 

ミ「こんな青春……痺れちゃう……」

 

Mt.レディとミッドナイトはバイクトリオに完全に心を奪われていた。

 

善「みんな……本当にありがとう」

 

上「何言ってんだ、友達だろ?」

 

耳「これからもウチらは走り続けるよ!」

 

 雄英で出来た固い絆は、これからもずっと走り続ける。

 




なんか最終回っぽくなりましたけどまだ続きます(╹◡╹)


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温かいクリスマス

時間がないとアイデアが全然出ずでこんな事になってしまいました……この先の展開を考えるのはなかなか難しいです……
だけども考えて出来ていくのはとても楽しいです^_^


善「以上が……自分が無くし、盗られたであろうアイテムの特徴および能力です……」

 

 善彦は吐き気を我慢しながら先生達の前に立ち、敵連合に盗られた変身アイテムの説明をしていた。

 

根「う〜む、どれも強そうだね! 戦闘になった際コチラに勝算はあるのかな!?」

 

 相澤先生の首元から根津校長が飛び出し善彦に問う。根津校長の勢いの良い質問の声で善彦は胃から何かが逆流しようとしていた。

 

善「うぐっふ! 仮面ライダーキバの強化アイテムである"タツロット"には触れていないのでキバの強化はありません、そのほか仮面ライダー黒影には強化フォームがないので戦力が上がりこちらが不利になることは基本的にないでしょう」

 

 善彦は自身の後ろに立っているホワイトボードに貼られているキバットとマツボックリロックシードの写真を指示棒で指し説明するとミッドナイトが微笑む。

 

ミ「佐竹くん落ち着いて、私達は相手の能力が知りたいだけなんだから、アイテムを落とした事について先生が寄ってたかって怒る訳じゃないの」

 

耳「そーだよ、佐竹落ち着け」

 

上「水飲むか?」

 

 ミッドナイトがフォローすると善彦の隣で待機していた耳郎と上鳴が善彦のサポートに入った。

 

相「なんでお前らもいるんだ」

 

耳「佐竹が途中で吐いてめちゃくちゃにならないためのサポートです」

 

上「佐竹の次に仮面ライダーに詳しいの俺らなんで」

 

 相澤先生がため息を吐くとセメントスが手を上げる。

 

セ「強化フォームが無いって言っていたけどリモコンブロスとエンジンブロスにはヘルブロスって姿があるんじゃないのかい?」

 

善「その点に至っても大丈夫です、ヘルブロスに変身する際片方の変身者の変身が解除されますし、ヘルブロスには相当の負荷がかかります、使えたとしても短時間でしょう」

 

 善彦がホワイトボードに貼られているヘルブロスの写真を指すとセメントスはふむふむと頷く。

 

ブ「だがその短時間でこちらがやられるという心配はないだろうか」

 

 ブラドキングが腕を組み善彦に視線を向ける。善彦が口籠ると相澤先生が前に出た。

 

相「心配には及ばない、何故なら俺のクラスのほとんどは変身者であり俺も仮面ライダーだからだ」

 

 相澤先生は善彦の肩に肘を置くとバグヴァイザーⅡを皆に見せた。

 

善「先生……」

 

善彦が相澤先生の顔をそっと見ると相澤先生はゆっくりと口角を上げた。

 

根「そーゆーことさ! 心配はなさそーだね! ハッハッハッハッハ!」

 

 この日、根津校長の高々な笑い声で会議は終わった。

 

善「あぁ……生きた心地がしなかった……」

 

 寮へ戻る最中、善彦はグロッキー状態で廊下を歩いていた。

 

耳「でもよかったじゃない、なんもなかったんだし」

 

上「相澤先生があんなフォロー入れるなんてなぁ」

 

 耳郎と上鳴が感心していると三人の前から葉隠と芦戸が駆けてきた。

 

葉「終わったー? みんな待ってるよー!」

 

芦「キョーは楽しむよー! しんみりタイム終わりぃ!」

 

 二人は異常に高いテンションでまくしたてる。すると耳郎が思い出した。

 

耳「あっ確か今日は……」

 

上「行くかぁ!」

 

善「わぁぁ」

 

 続いて思い出した上鳴が耳郎と善彦の手を引き、足早に寮へ向かった。

 

「メリィィィクリスマァァァス!」

 

 寮に着くや否や善彦達はサンタ服に着替え、1-Aのクリスマス会が始まった。

 共有スペースの中央のテーブルには多くの料理が並んでいた。

 

善「すみませんね、ウチの居酒屋はこの時期お客が多くて入れないんですよ」

 

 善彦が申し訳なさそうに頭を下げると切島が善彦の隣にドスンと座る。

 

切「気にすんな! いいじゃねぇかよ寮もわるくねぇ!」

 

上「そーだよ! 何回もお世話になってるんだからさ!」

 

 上鳴と切島が笑っていると瀬呂がチキンを頬張りながら呟く。

 

瀬「そーいやインターン行けってよー、雄英史上最も忙しねぇ一年生だろコレ」

 

耳「二人はまたリューキュウだよね?」

 

麗「そやねぇ、耳郎ちゃんは?」

 

 クリスマス会にインターンについての話を進めていると奥から砂藤が出てくる。

 

砂「まぁまぁ、今日はご馳走を楽しもうや!」

 

 砂藤はウインクしながらローストチキンを運んできた。

 

葉「料理もできるシュガーマン!」

 

善「あっそういえば……」

 

耳「佐竹?」

 

 善彦が何かを思い出し台所に入る。耳郎が首を傾げると善彦が戻ってきた。

 

善「おまたせ致しましたー、ローストビーフになりまーす」

 

 店員口調の善彦は巨大なローストビーフを運んできた。

 

芦「料理できるぜ強救道!」

 

 善彦と砂藤の料理にA組の盛り上がりは増した。

 

相「遅くなった……もう始まってるか?」

 

 盛り上がりがピークに迎えた時、共有スペースの扉が開いた。

 

エ「とりっくおあ……とりーと?」

 

相「違う、混ざった」

 

 扉の影から相澤先生とサンタ服を着たエリが出てきた。

 

麗「サンタのエリちゃん! 可愛いー!」

 

緑「似合ってるねぇ!」

 

 サンタのエリに皆が集まる。

 

エ「おにわそとおにわうち」

 

 エリは色々な行事の情報が混ざっていた。

 

善「賑やか賑やか」

 

 善彦は皆が騒いでいる様子を見ながらローストチキンを頬張る。

 

相「それとまだゲストがいるぞ」

 

 相澤先生が扉の方を向いた。すると扉が勢いよく開いた。

 

「煌めく聖夜にロックオン!」

 

「猫の手手助けやってくる!」

 

「どこからともなくやってくる」

 

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」

 

 ゲストとして来たのはサンタコスチュームのプッシーキャッツだった。

 

上「キャッツだぁぁぁ!」

 

 上鳴が思わず叫びながらチラリと視線を横に向ける。

 

善「ナンデココに?」

 

 善彦は突然来たピクシーボブに驚き硬直していた。

 

緑「皆さんなぜここに?」

 

マ「スケジュール空けてきたの、美味しいものいっぱいあるって聞いたし」

 

 マンダレイがエヘヘと笑うと後ろでラグドールが料理をつまんだ。

 

ラ「スゴイうまーい!」

 

 ラグドールがローストチキンを頬張っているとピクシーボブがローストビーフを口に運んだ。

 

ピ「ホントだおいしー! やわらかぁい!」

 

上「それ佐竹がつくったんすよ」

 

 上鳴がコッソリ教えるとピクシーボブが善彦の方を向く。

 

ピ「おいしーよ♪」

 

善「どうもです……」

 

 ピクシーボブが善彦にウインクを送ると善彦は赤くなった顔を逸らした。

 

切「よっしゃあ! 人数も増えたしもっと盛り上がるゼェ!」

 

 切島の一声によりクリスマス会はより盛り上がりを見せた。

 

飯「それではこれよりプレゼント交換を行います!」

 

 クリスマス会は終わりに近づきプレゼント交換会が行われた。それぞれが持ち寄ったプレゼントにリボンを繋ぎ、皆で引いてそのプレゼントを貰うといったものである。

 

峰「ナニコレ……」

 

 峰田が引いたのは青山の自撮りブロマイドだった。

 

上「オレのプレゼントだれのやつ?」

 

 上鳴が引いたのはバスケットボールであった。

 

善「あはは、みんなスゴイの入れるなぁ」

 

 善彦は適当にリボンを引っ張りプレゼントを引く。

 

善「あぶっぴ!」

 

 勢いよく引くとプレゼントが善彦の顔に激突した。

 

善「猫ちゃん?」

 

 善彦が引いたのは大きな猫のぬいぐるみであった。

 

ピ「あっ、それアタシのー!」

 

善「あわっ! ありがとうございまし!」

 

 プレゼントの山の奥でピクシーボブが手を振る。善彦もぎこちなく手を振った。

 

ピ「ん? なんか重い」

 

 ピクシーボブもリボンを引っ張るが、プレゼントは微動だに動かない。

 

ピ「ふんっ! 重いいい!」

 

マ「手伝うよ! ナニコレ重っ!」

 

 マンダレイも加勢し引っ張るがプレゼントは動かない。

 

虎「どぉれ手を貸すぞ!」

 

ラ「あちきもー!」

 

 ラグドールと虎も加わりリボンを引っ張るとプレゼントがプレゼントの山から飛び出てきた。

 

善「げっ!」

 

ピ「剣?」

 

 ピクシーボブが引っ張り出したのは巨大な剣だった。

 引っ張り出され宙を舞った剣は床に突き刺さる。

 

耳「これ佐竹のプレゼントじゃない?」

 

ピ「へ?」

 

 耳郎の言葉でピクシーボブが善彦の方を向く。善彦は頭を抱えながら剣を指差した。

 

善「土豪剣激土……まさかピクシーボブさんに当たるだなんて」

 

 善彦がプレゼントとして用意したのは土豪剣激土だった。

 

ピ「土豪剣激土……これも変身アイテム?」

 

 ピクシーボブが問いかけると善彦は頷いた。

 

ピ「なるほど……ふんっ!」

 

 ピクシーボブは床に突き刺さった土豪剣激土を引き抜くと肩に担いだ。

 

マ「わぁゴッツイ」

 

ピ「いいもの貰った! ありがとう佐竹くん!」

 

 ピクシーボブは巨大な剣を肩に担ぎながら善彦にウインクを送った。

 

善「どうもです……」

 

 善彦は終始顔を赤くしたままクリスマス会は終了した。

 

緑「ヨイショ、この皿はこっちでいい?」

 

麗「手伝うよデクくん」

 

 クラス全員で食器を片付ける。その中で善彦は外で一人、石段に座り佇んでいた。

 

善「ふぅ……」

 

ピ「なーに黄昏てんの」

 

 善彦が夜空を見上げているとピクシーボブが善彦の後ろに立つ。

 

善「あっピクシーボ」

 

土「土川さんって呼んで」

 

 土川が指示すると善彦の隣に座った。

 

土「今回は大変だったね、大丈夫?」

 

 土川が問いかけると善彦は無意識に顔を逸らす。

 

善「この事態は自分が呼んだトラブルです、立派なヒーローになるって言ったそばからコレじゃあ……合わせる顔がありません、それでは」

 

 善彦が立ち上がりその場を去ろうとした瞬間。

 

ギュッ……

 

 善彦の身体が温かいものに包まれた。

 

土「そんなに重くならないで、聞いたよ君がどれだけ苦しんでたか」

 

 土川は善彦を優しく抱きしめる。善彦が離れようとすると抱きしめる力を強くした。

 

善「自分に……こんなことされる資格はありません」

 

土「資格どうこうじゃないの、慰めたいからこーするの」

 

 土川は優しく善彦を包み込む。その温もりで善彦の中の何かが崩れようとしていた。

 

善「慰められる資格なんてありません! 自分は……自分は……」

 

土「自分をそんなに責めないで、大丈夫だよアタシがそばにいてあげるから」

 

 土川は優しく善彦の頭を撫でる。その瞬間、善彦の何かが崩れた。

 

善「う、うぅぅう……」

 

 善彦の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。「止まれ」「泣くな」「カッコ悪い」と心の中で言い聞かせても涙は止まらない。しかし土川は泣き続ける善彦を優しく包みこんだ。

 

土「おーおーいっぱい泣け、ぜーんぶお姉さんが受け止めてあげるからねー」

 

 土川は幼子のように涙を流す善彦を優しく包み、頭を撫で続けた。

 そして数分経ち、ようやく善彦の涙が止まった。善彦はゆっくりと呼吸を整える。

 

土「落ち着いた? もう大丈夫?」

 

 土川が優しく声をかけると善彦は立ち上がり、顔を上げる。

 

善「溜まっていたものが全部出ました、体がとっても軽いです」

 

 善彦は涙の線が残る顔を見せると笑顔を見せた。その笑顔を見ると土川は微笑む。

 

土「よかった、じゃあ戻ろっか」

 

 土川は善彦の手を引き寮の中へと戻った。その二人を遠くから見ていた者が二人。

 

相「計画成功だな」

 

マ「元気出てくれてよかった」

 

 相澤先生とマンダレイは物陰から土川と善彦のやりとりを隠れながら見ていた。

 

マ「しかし驚きましたよ、まさか相澤さんからお誘いの電話きたと思ったらこういう事だったんですね」

 

相「まぁね、アイツはアレでも重要な生徒ですから」

 

 相澤先生は適当に流すとマンダレイに背を向ける。マンダレイは相澤先生の背中を見送ると笑みを浮かべた。

 

マ「素直じゃないんですから、それじゃ私も戻りますか」

 

 相澤先生の姿が見えなくなるとマンダレイは寮の中へと戻る。寮の中には涙の跡が少し残る善彦が皆に言い寄られていた。

 

上「どうした、お前その顔どうしたよ」

 

切「二人でなにしてたよ」

 

善「ほっとけ、ホトケほっとけ」

 

 その様子を土川はソファーにもたれながら見ている。

 

マ「いろいろと大変な事は有りそうだけど、あの子とは大丈夫そう?」

 

 マンダレイが隣に座り問いかけると土川はふふっと笑う。

 

土「歳の差はあるけどアタシは遊びだなんて思ってないからね、早く立派になって迎えに来て欲しいな」

 

 土川は優しく、クラスメイトに追いかけてられている善彦に微笑んだ。

 




次回はインターンのオリジナル回です。
感覚を鈍らせないよう間隔を開けすぎないよう努力します
応援してくれる方々には感謝しかありません


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西で輝く漢たち

ずいぶんと……長くなってしまいました



切「やってきたぜインタァァァァァァァァァン!!!」

 

鉄「初関西じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 クリスマス会の数日後、切島、鉄哲、善彦は関西のファットガムの事務所にインターンに訪れていた。善彦と切島は二回目であるが鉄哲は初めての関西に興奮していた。

 

フ「これまた元気な子ぉが来てくれたのぉ! ファットさん大歓迎やでぇ!」

 

天「テンションについていけない……帰りたい」

 

 二人のテンションにファットは喜んでいるが天喰はいつもの通りテンションは低く壁に額をつけている。

 

善「先輩、気を落とさないで自分は味方です」

 

 善彦は気分の落ちている天喰の肩に手を置き励ます。天喰は善彦の手に手を重ねると壁から額を離す。

 

天「ありがとう……助かるよ」

 

 天喰が少し立ち直ると鉄哲は辺りをキョロキョロと見回し目を輝かせる。

 

鉄「すっげー! やっぱり賑やかでいいなぁ! 羨ましいぜA組ぃ!」

 

フ「鉄哲くんは関西初めて来たんか、よし! じゃあファットさんがいろいろとガイドしてやるわ!」     

 

鉄「まじすか!? あざーす!」

 

 鉄哲の元気の良い返事にファットはさらに喜んだ。

 

フ「元気がええなぁ!! 最近まぁたココらで暴れる奴らが出てきたから頼もしいでぇ! 鉄哲くんよろしゅうな!」

 

鉄「おっす! 頑張ります!」

 

切「張り切っていこーぜぇぇ!」

 

 ファット、鉄哲、切島の元気と気合満点のやり取りに天喰と善彦は完全に置いてかれていた。

 

善「この三人の元気があればこの国に敵がいなくなるかもですね」

 

天「俺の居場所も無くなりそう……」

 

 ハイテンションな三人の後ろを善彦と天喰は静かについて行った。

 

鉄「ん? 肉吸いってなんスカ!?」

 

 歩いていると肉吸いと書かれた旗が鉄哲の目に入る。

 

善「簡単に言えば肉うどんのうどん抜きだよ、肉吸いと卵かけご飯の組み合わせは関西では鉄板だね」

 

 善彦が教えると鉄哲は目を丸くする。

 

鉄「へーー!! 初めて知ったわ! そんなんあるのかぁ!」

 

フ「それにしても佐竹くん詳しいなぁ!」

 

善「エヘヘ、ウチの居酒屋のメニューであるんです。父親が昔 関西で過ごしていたことがあって」

 

 佐竹が照れ臭そうに教えると切島が横から入る。

 

切「お? デスレオパルド情報かぁ、それなら信憑性あるな」

 

善「切島きゅんBe quiet」

 

 善彦が切島を流すとファットは早速うどん屋の暖簾をくぐろうとしていた。

 

フ「丁度お昼やし! ここで飯にするかぁ! せっかくやし肉うどんご馳走したるわ! 環ぃ! お前も牛ストックしとこぉや!」

 

天「俺の答えなんて関係なく食べるでしょうファットは……」

 

鉄「いよっしゃあ! 初関西飯だぜぇ!」

 

ファットはズンズンと店内に入っていき鉄哲と切島はその後を追いかける。善彦はテンションの低い天喰の腕を引きながら店内に入った。

 

 その様子を物影から覗く男が一人。

 

「デス・レオパルド……まさかあのガキ、佐竹豹介の……」

 

 男は持っていた空き缶を握りつぶすと路地裏に消えた。

 

フ「あーー! 食った食った! ごっそさんなぁ!」

 

 一方、満腹のファットはうどん屋の中でくつろいでいた。

 

鉄「やっぱり噂通りメチャクチャ食うんすね! 十杯以上は食ってましたぜ!」

 

善「しかもファットさん器が自分らと違ってデカイすり鉢なんだもんなぁ……」

 

 善彦がファットの前に重ねられたすり鉢に少し引いている。ファットは爆笑しながらポケットからゴルフボール程の大きさの飴玉を取り出した。

 

フ「まだまだ腹八分やぁ! こっからのパトロール張り切るでぇ!」

 

 ファットは巨大な飴玉を口に放り込みガリガリと噛み砕く。その様子に鉄哲は目を輝かせていた。

 

鉄「デッカー! 何すかその飴!」

 

フ「ん? コレか! コレは特注して作ってもろた巨大キャンディーや! みんなにもあげよーな!」

 

善「歯が欠けちめぇます」

 

天「お腹いっぱいなので」

 

 善彦と天喰はきっぱりと飴を断るが切島と鉄哲はファットから巨大キャンディーをいくつも受け取った。

 

切「こういう時の為の個性だよな!」

 

鉄「ホントだぜ! 甘くてウメェ!」

 

 切島と鉄哲は硬化とスティールの個性を使い巨大な飴玉を噛み砕く。

 

フ「おぉ! イイ歯ぁしとるな君ら!」

 

 ファットはご機嫌な様子でそれを見ていた。

 

善「天喰先輩、自分ちょっとお手洗いに」

 

天「あ、いってらっしゃい」

 

 善彦はトイレに行こうとテーブルに手をつき立ち上がる。その時、袖の中から何かが落ちた。

 

天「あれ? 佐竹くんなにか落ちたよ」

 

善「へ? あぁしまった待って待って」

 

 袖から落ちたものはコロコロとテーブルの下を転がる。善彦はそれを拾おうとテーブルの下に潜り込む。

 

鉄「おっと! 飴落としちまった、勿体ねえ」

 

 同じタイミングで鉄哲が飴玉をテーブルの下に落とし、それを拾おうとテーブルの下に潜り込んだ。

 

善「あったあった」

 

鉄「おー見っけた、3秒ルール3秒ルール」

 

 二人は同じタイミングでテーブルから頭を出す。その時鉄哲は手に持っていたものをすぐに口に放り込んだ。

 

善「あれ? コレ違うじゃん飴ちゃんだ、鉄哲くん拾ったも……」

 

 バリゴリボリゴリゴリボリボリゴリ

 

鉄「なんか変な味だな、それにさっきより固い」

 

 鉄哲は飴玉ではないものをバリバリと噛み砕いている。善彦の顔が一瞬で青ざめた。

 

善「おおおおーーい! それ食いもんじゃないよ出して出して!」

 

 善彦が鉄哲の首に掴みかかりブンブンと揺さぶる。その時鉄哲の喉からゴクンと音がした。

 

鉄「わ、わりぃ……飲み込んじまった……」

 

 鉄哲が空っぽになった口を開けると善彦は膝から崩れ落ちた。

 

切「おい! 佐竹! 鉄哲ナニ飲んじまったんだよ!」

 

フ「ヤバイもんやったらファットさん腹押して出させたるでぇ!」

 

 切島とファットが崩れ落ちた善彦に駆け寄る。善彦はヒーロースーツの中から何かを取り出すと口を開いた。

 

善「アレはキラメイストーンっていう石です……アレを身体に埋め込んでから変身する姿があるんですけどまさか飲み込まれるなんて……」

 

鉄「オレ石食っちまったのか!?」

 

 善彦は頭を抱えうなだれる。そして鉄哲にスーツから取り出した物を差し出した。

 

善「コレあげるよ、キラメイストーンを飲み込んで身体に入れた鉄哲君なら多分使える」

 

 鉄哲が受け取ったのはシャイニーキラメイチェンジャーだった。腕に巻きつけると鉄哲はニカッと笑う。

 

鉄「ハハッ! きっかけは何であれ鉄哲パワーアップだぜぇ!」

 

 鉄哲は腕を掲げると高らかに笑う。ご機嫌な様子の鉄哲に善彦は安堵した。

 

善「お気に召して良かったです、パクっと」

 

 善彦は手に持っていた巨大キャンディーを口に放り込む。

 

天「いやさっき落ちたやつ、3秒以上経ってるよそれ」

 

 天喰が冷静に突っ込むとファットも大声で笑い出した。

 

フ「なんか愉快なメンバーやなぁ! こっからのパトロールも張り切れそうや!」

 

 ファットは笑いながらうどん屋の暖簾を潜り店を出る。すると外は喧騒に包まれていた。

 

「喧嘩だ喧嘩だぁ!」

 

「ちょっ! 誰か! 警察かヒーローよんでぇ!」

 

フ「何や何やどうしたぁ! ファット一行が今行きまっせぇ!」

 

 ファットは人混みをかき分け騒ぎの中心部に辿り着く。そこにはピンク色の髪をした男がいた。

 

「何やオドレらこらぁ! ヒーローの出る幕ちゃうぞぉ!」

 

 ピンク髪の男は大声で喚きながら一般人の胸ぐらを掴み殴り倒している。すると男は善彦に目が止まった。

 

「おーおーおったおったわオンドリャぁ!」

 

 男は善彦を見るや否や大声を出す。

 

切「佐竹、コイツ知り合い?」

 

善「むーむー」

 

 飴玉を頬張っている善彦は「違う違う」と手を横に振る。すると男は親指を自分に指して名乗った。

 

千「ワイは"クレイジーチーター"こと千田 瞬太郎や! ガキこらてめぇデスレオパルドのセガレやな?」

 

善「あー! 思い出した! 昔 父ちゃんが話してくれた"西のクレイジーチーター"!」

 

 善彦がようやく思い出し手をパンと叩くと千田は恨めしそうに拳を握りしめる。

 

千「そうや! ワイは昔ひょっこり出てきたデスレオパルドにボコスカにやられたんや! その日からワイはレオパルドへの復讐のために生きてきた! そして来たのはレオパルドのセガレぇ!? 悪いが憂さ晴らしさせてもらうデェ!」

 

フ「なんやコイツえらい小さいやっちゃなぁ」

 

 千田は善彦を睨みつけるとポケットから小さな瓶を取り出す。

 

千「じゃがぁしゃあ! 往生せいやぁ! レオパルドォォオ!」

 

 千田が瓶の蓋を開けると瓶から黒い煙が噴出する。千田の体は煙に包まれ、人間の姿からストロングスマッシュの姿へと変貌した。

 

千「ゴォォオォォオ!」

 

フ「な、何やアレェ!?」

 

善「スマッシュ!? なんでネビュラガス持ってんの!?」

 

天「チーター感がゼロ……」

 

 善彦が驚き声をあげるが千田の意識は無い。天喰は自分の腕をタコの触手に変化させ、一般人を千田から遠ざけた。

 

天「とにかく今はコイツを止めなきゃ!」

 

切「よっしゃ! 行くぜ佐竹!」

 

善「よっしゃ行ったらば!」

 

 切島がガブリボルバーを構え善彦がゲーマドライバーを巻きガシャットを取り出す。しかし善彦の口にはまだ巨大な飴玉が残っており呂律が上手く回っていない。

 

切「おい佐竹、大丈夫か?」

 

善「ごめん、この状況だけど無理そう……うまくへんひん言えなきゃ調子でなひ……」

 

 善彦の口の中で飴玉がコロコロと転がりまわる。善彦がモゴモゴとしていると鉄哲が前に出た。

 

鉄「おいおいせっかくパワーアップしたのにお預けは無しだぜぇ! それにこんな男らしくねぇやつならオレが相手してやる!」

 

 鉄哲がシャイニーキラメイチェンジャーを千田に見せるとビシッと人差し指を千田に向ける。

 

鉄「おい! 西のジバンシーピーター! てめぇみてぇな野郎はこの鉄の漢! 鉄哲様が相手になってやるぜぇ!」

 

善「クレイジーチーターだよ」

 

 善彦のツッコミを横に鉄哲はキラメイチェンジャーのボタンを押した。

 

《輝け!!》

 

 待機音が流れるとキラメイチェンジャーの円盤に手を伸ばす。そして一言。

 

鉄「キラメイチェンジ!」

 

 鉄哲が円盤を回すと身体が銀の輝きに包まれる。顔に仮面が装着され、変身を完了した。

 

《Oh! シャイニー!》

 

鉄「貫きシャイニング! キラメイシルバー!」

 

 鉄哲の体は全身シルバーに輝くキラメイシルバーへと変身する。その姿に切島は目を奪われていた。

 

切「カッケェェェェェェ!!! 輝いてるぜ鉄哲ぅ!」

 

 切島の声援に手を振り答えると鉄哲はシャイニーブレイカーを肩に担いだ。

 

鉄「漢気! 貫かせて貰うぜ!」

 

千「ウガァァァァ!」

 

 スマッシュとなった千田は鉄哲に襲いかかる。千田の大振りの一撃を避けると鉄哲はシャイニーブレイカーのハンドルを引きハイパーアームモードに変え、エンブレムボタンを押した。

 

鉄「そら行くぜ!」

 

《アーム一撃!》 《ヘイお待ち!》

 

 千田は再び鉄哲に襲いかかる。鉄哲は襲いくる千田の頭をアームで挟み込んだ。

 

フ「おぉお! いっけー!」

 

鉄「いきまっせぇぇ!」

 

 鉄哲は大きく足を踏み込むとブレイカーごと千田を振り上げる。そしてそのままアスファルトの地面に叩きつけた。

 

《一丁上がり!》

 

「うぉおおお! カッケーぞ兄ちゃん!」

 

「やったれやったれ! オレ昔コイツにカツアゲされてんねん!」

 

 千田が叩きつけられると周囲から声援が飛び交う。その様子に善彦は困惑していた。

 

善「な、なじぇこんなテンション高いの?」

 

天「ここの人達はノリが良いからね、それにあの武器の音声が心地いいからみんなテンション上がってるんでしょ」

 

善「あ〜……なるほど……」

 

 善彦がモゴモゴと飴玉を転がしながら頷くと鉄哲はシャイニーブレイカーをドリルモードに戻し、エンブレムボタンを2回押した。

 

《ドリル一発!》 《入りまーす!》

 

鉄「これでもくらいやがれ!」

 

 シャイニーブレイカーのハンドルを両手で持つとドリルの先端を地面に突き刺しトリガーを引く。すると地割れが千田の方へと走った。

 

千「グ!? ガァァァァ!!」

 

 《一丁上がり!》

 

 地割れの威力で千田の体が宙を舞う。鉄哲が追撃に行こうとした時、鉄哲の隣を誰かが飛び上がった。

 

切「オレも混ぜろや鉄哲ぅ!」

 

 切島は飛び上がるとハンマーのような物で千田を地面に叩きつける。そして鉄哲の隣に着地した。

 

鉄「おおお! オメーもカッケェじゃねぇか!」

 

切「そーだろ!! カーニバルで行くぜぇぁ!」

 

 切島はキョウリュウレッドカーニバルに変身していた。右手には水色のハンマー、左手にはピンクのドリルが装着されている。

 

切「キョウリュウレッド! マッチョカーニバルだ!」

 

 切島が腕を広げポーズを取ると周りを囲んでいた一般人達のテンションが更に上がった。

 

「おぉー! いけいけ兄ちゃんら!」

 

「はよ決めてまえー!」

 

  黄色い声援は鉄哲と切島に集中している。その様子に善彦はモジモジとしていた。

 

善「ぐぬぬぬぬ……久しぶりだってのに自分が活躍できないなんてあり得るかよぉ……」

 

 善彦は舐め続けて小さくなった飴玉を奥歯で挟み込む。

 

天「? 何のこと?」

 

善「コッチの話デス!!」

 

 バキン!

 

 善彦は飴玉を噛み砕くと即座にレーザーターボに変身し、切島の隣に並んだ。

 

善「遅れてごめん! ようやく噛み砕けた!」

 

切「おっしゃあ! 待ちくたびれたぜぇ!」

 

 三人が変身した姿を見て天喰は何かを察する。

 

天「……相手の特徴を捉えて……このコンボで行くか」

 

 サゴーゾコンボに変身した天喰も善彦の隣に並んだ。

 

フ「ふぉおお……仮面ライダーと戦隊が揃い踏みや……」

 

 ファットの前には変身した四人が並んでいる。

まず先に向かったのは天喰だった。

 

天「佐竹くん行くよ! まず先にアイツを弱らせる!」

 

善「わかりました!」

 

 天喰の後ろに善彦が続く。善彦は駆けながらガシャコンスパローを千田に発射した。

 

千「ウガッ! ガッ!」

 

 向かってくる無数の矢を千田が受けている隙に天喰が懐に入り込み拳を構えた。

 

天「セイヤァァ!」

 

 天喰はゴリバゴーンでアッパーカットを食らわせる。まともに食らった千田の体は再び宙を舞った。

 

善「自分も行きます! このヤロォがぁ!!」

 

 善彦は跳躍するとオーバーヘッドシュートの要領で千田を更に上へと蹴り飛ばす。千田の真下にはそれぞれの武器を構えた切島と鉄哲が立っていた。

 

切「よっしゃあ鉄哲!」

 

鉄「アイヨォ! 行ったらぁ!」

 

《ビーム一丁!》 《喜んで!》

 

 切島はガンモードのミニティラを鉄哲はシャイニーブレイカーを上空へ向ける。そして照準を合わせると二人同時にトリガーを引いた。

 

切「獣電カーニバルフィニィィィッシュ!」

 

鉄「シャイニングビームアタックゥァア!」

 

 放たれたドリルのエネルギーとガブティラのエネルギーは空中の千田を貫き爆発を起こす。

 二人は爆発に背を向けると武器を肩に担いだ。

 

「「「一丁上がりぃ!!」」」 《見事なり!!》

 

 この瞬間戦いを見ていた一般人達の声が完璧に重なり歓声が起きる。鉄哲と切島は声に応えるように手を振った。

 

善「さーてとさてと」

 

 歓声の中、善彦は黒焦げになり地面に倒れている千田に歩み寄りその場にしゃがんだ。

 

善「さーてチーターさん、あんたが持ってたあのボトルはどこから手に入れたんですかい?」

 

 千田は瞳だけ動かして善彦の方を向くとか細い声で話し出した。

 

千「先月……体がえらいツギハギな男からもろたんや……それとこのキショイ本もな……」

 

 千田が目線をズボンの右ポケットに向けると善彦はポケットから本を取り出す。そこには少し焦げた本が入っていた。

 

善「異能解放戦線……?」

 

千「その本……読んでみたけどワイ……アホやからよくわからんかった……」

 

 千田は善彦の方を再び向くと哀しそうな顔を見せる。

 

千「レオパルドのセガレェ……悪かったなぁ……レオパルドによろしゅう言うといてくれェ……アイツ、ワイのこと忘れてへんかなぁ……」

 

善「忘れてませんよ、いつも武勇伝として話してます、『いいライバル』だって」

 

 善彦がそう告げると千田は微笑みを見せる。

 

千「武勇伝て……ワイからしたら黒歴史やがな……」

 

 その言葉を最後に千田は目を瞑る。気を失ったことを確認した善彦は本を持ち立ち上がる。

 

善「何かホントに嫌な感じ……」

 

 善彦はこれから起きるであろう大きな戦いを予感した。

 

鉄「ワンダーだったろう!!」

 

切「ブレイブだぜぇ!」

 

 一方善彦の後ろでは鉄哲と切島がファンサービスを送っている。

 

鉄「ワンダー!」切「ブレイブ!」「ワンダー!」「ブレイブ!」

 

天「ワンダーとブレイブを繋げないでなんか別のものになっちゃいそう」




原作では体にストーンを埋め込むでしたけど今回は飲み込むという形にしてみました
結構苦肉の策でした(汗)


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超ヒーロー対談 その1

オリジナル回です



飯「ん……ここは?」

 

 飯田天哉が目を覚ますとそこは何も無い真っ白な空間だった。

 

飯「なんだここは? そして何故制服を……」

 

 飯田は雄英の制服を着て謎の空間に立っている。辺りを見回していると後ろで足音が聞こえた。

 

飯「!? 誰かいるのか!」

 

 飯田が振り返るとそこには赤の革ジャンを着た男が立っていた。男は何も喋らず飯田を見ている。飯田は小さく深呼吸すると男に問いかけた。

 

飯「すみません、ここはいったいなんで」

 

「俺に質問をするな」

 

飯「!!」

 

 飯田の質問を遮り男は目つきを鋭くし冷ややかに言い放つ。飯田は驚いたものの、負けじと目つきを鋭くし言葉を返した。

 

飯「突然話しかけて申し訳ありませんでした! 僕の名は飯田天哉といいます! 貴方のお名前も教えて貰えないでしょうか! 質問をしなくては話ができません!!」

 

 飯田は手をシュバシュバと動かしながら自己紹介をすると、男は先程の表情とは一変しポカンとした表情を見せた。

 

「……フッハハハハハハハハ!! なるほどな、そう来たかそんな風に返されたのは初めてだよ」

 

 そして突然笑い始める。今度は飯田がポカンとしてしまった。

 

照「そう言われてしまったら名乗らなければなるまい、俺の名は"照井 竜" 仮面ライダーアクセルだ」

 

飯「あ、あなたが!?」

 

 飯田が驚くと照井は静かに頷く。その時飯田は善彦から言われたことを思い出した。

 

飯「貴方に会えたという事は僕のベルトは本物に近づいているという事なのでしょうか?」

 

照「あぁ、原理は分からんがそういう事らしいな、会えて嬉しいよ"飯田天哉"くん」

 

 照井は優しく笑うとスッと手を差し伸べる。飯田はその手を握り握手を交わした。

 

飯「こちらも会えて光栄です! 照井さん!」

 

照「俺がココに来たのは君に大事なことを伝えに来たからだ、しっかり覚えてくれ」

 

 飯田が「はい!」と返事をし頷くと照井は口を開く。

 

照「俺は以前、復讐の為に仮面ライダーの力を使っていた、しかし仲間が俺を変えてくれた……人は復讐ではなく誰かを守ろうとした時に強くなれる! 邪魔な物は全て振り切れ! 君には立派な足があるからな!」

 

 その言葉に飯田は照井の手を両手でガッシリと握った。

 

飯「照井さん! ありがとうございます! 仮面ライダーアクセルに恥じぬ戦いをしてみせます!」

 

照「ありがとう、飯田天哉くん……諦めずに走り続ければ、君のゴールは絶望になんてならないぞ」

 

 照井は笑顔を見せると照井の体は黒いモヤに包まれ消えていった。

 

飯「照井さん……ありがとうございました!」

 

 飯田は消えていく黒いモヤに向かい90度 頭を下げた。

 

 そして同時刻、飯田と同じ現象に遭遇している者が存在していた。

 

轟「なるほど、俺のベルトが本物に……」

 

鏡「そうらしいな、だからこうして会えている」

 

 轟は仮面ライダーブレイブの変身者"鏡 飛彩“と対談していた。

 

轟「……それ一人で食うんすか?」

 

 飛彩は照井とは違い、椅子に座りホールケーキをナイフとフォークで食べていた。

 

飛「脳を働かせるには糖分が必要だからな」

 

轟「なるほど……」

 

 飛彩は手を伸ばし轟を目の前に座るよう促す。轟が座ると目の前にざる蕎麦が出現した。

 

飛「そばか……」

 

轟「好きなんすよ、一口どうすか?」

 

飛「いや、ノーサンキューだ」

 

 そばを断ると飛彩は切り分けたケーキを口に運ぶ。轟は蕎麦を一口すすった。

 

飛「君はたしかヒーローらしいな、俺はドクターだ、人を救けると言った点では同じだろう」

 

 飛彩がそう言うと轟は蕎麦を咀嚼しながら頷く。

 

飛「俺の力を使う上で一番大切なことを教えてやろう」

 

 飛彩はホールケーキを食べ終わると皿に置かれたシュークリームを取り出す。そしてナイフとフォークを構えた。

 

轟「?」

 

 轟が首を傾げると飛彩はナイフをシュークリームの上で十字に動かす。するとシュークリームは四等分に切り分けられた。

 

轟「すげぇ……シュークリームをこんなに綺麗に……」

 

 シュークリームを切り分けると飛彩は轟の方を向いた。

 

飛「一番大切な事は"俺に斬れない物はない"と信じる事だ、俺は俺を世界で一番のドクターだと自負している」

 

 飛彩は切り分けたシュークリームを一つ口に運んだ。

 

轟「すごい自信ですね、世界で一番……」

 

 飛彩は轟の反応を見るとシュークリームを見つめ少し微笑む。

 

飛「大切な人に……なって欲しいと言われたからな」

 

 飛彩は切り分けたシュークリームを轟の前に置いた。

 

飛「君も自分は世界で一番のヒーローだと思ってみればいい、そう思えば守りたいものを守る時、迷いは生じない」

 

轟「鏡さん……」

 

 飛彩の体が黒いモヤに包まれ消えていく。轟は消えていく飛彩を見届けるとシュークリームを手に取った。

 

轟「俺に斬れない物はない……か」

 

 轟は蕎麦を食べていた箸を置くと静かにシュークリームを口に運んだ。

 




元のライダーの変身者との絡みは絶対に書きたかったので書きました
次回も同じような話にします


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超ヒーロー対談 その2

オリジナル回その2です


 飯田と轟が元の変身者と会っている中、上鳴電気も同じ現象にあっていた。

 

上「マッハァァァァ!」

 

詩「違う違う! もっとこう腰を落として腕を滑らかに魅せて……マッッッハァァァァァァ!!」

 

 上鳴は仮面ライダーマッハの変身者"詩島 剛"に決めポーズのレクチャーを受けていた。

 

上「やっぱり本物の動きは全然違うなぁ」

 

詩「でも電気くんの動きもいいよぉ〜センスがピカイチだ!」

 

 レクチャーが終わった二人は地面に座り込んだ。

 

上「まさか本物に会えるなんて思わなかったっすよ」

 

詩「俺もだよ! コッチのマッハもイケイケで嬉しぃぜぇ〜〜!」

 

 剛は嬉しそうに上鳴の頬を指でツンツンとつつく。

 

詩「君はいいねぇ、素晴らしいバイクを持っているしいい仲間にも恵まれている」

 

上「あ……ありがとうございます、知ってるんスか? 佐竹と耳郎のこと」

 

詩「まぁね! そっちの情報はベルトを通じて少しわかるんだ!」

 

 詩島はニカッと笑うとその後少し寂しそうな顔を見せ、上鳴の肩に手を置いた。

 

詩「俺にも一人、親友がいた……ソイツは不器用なヤツで最初は気に食わなくて突き放していたんだ……でも段々と知らぬ間に自分の中でかけがえのない存在になっちまってなぁ……」

 

 剛は語りながらポケットからチェイスのシグナルバイクを取り出した。

 

詩「ソイツが居なくなって気づいた、かけがえのない存在はすごく身近にいる、友達は……ダチは大切にしろよ」

 

上「剛さん……」

 

 剛は上鳴の手を取ると手のひらにシグナルチェイサーを乗せ、握らせた。

 

詩「よろしくな、上鳴電気……マッハを任せたぞ」

 

 剛は上鳴に微笑むと黒いモヤに包まれる。

 

上「そんな……剛さん!」

 

 上鳴は消えゆく剛に手を伸ばす。上鳴の手が黒いモヤに触れた瞬間、上鳴はベッドから起き上がっていた。

 

上「あれ……? 夢だったのか?」

 

 上鳴が辺りを見回すとそこは自分の部屋、先程までの出来事が夢なのかと考えた瞬間、手に何か握っているのに気づいた。

 

上「コレって……」

 

 上鳴の手にはシグナルチェイサーが握られていた。

 

上「夢じゃ……なかった……剛さん、俺……やりますからね!」

 

 上鳴はシグナルチェイサーを握り胸に誓う。

 

 上鳴はシグナルバイクの整理をしたまま寝落ちした事をど忘れしていた。

 

 そして耳郎も元の変身者と会っていた。

 

耳「え〜それマジっすか?」

 

刃「本当だ、全くあのセンパー野郎には困らされた」

 

 耳郎は仮面ライダーバルキリーの変身者"刃 唯阿"と対談していた。何故かタピオカミルクティーを飲みながら。

 

耳「話を聞く限りその天津って社長相当ヤなやつですね、ウチだったら我慢できないかも」

 

刃「当然辞めてやったさ、天津 垓の顔面をぶん殴ってな!」

 

 唯阿は天津 垓の顔面を殴る動作をすると自慢げな表情を見せる。

 

耳「おぉ〜! さすが先代バルキリーは違うなぁ〜」

 

 耳郎が拍手を送りながらタピオカを吸い込むと唯阿は耳郎の肩に手を置く。

 

刃「君はまだ学生だから選択肢は沢山ある、これから社会で生きていく上で大切なのはそれが自分にとって本当にやりたいのかどうかだ!」

 

耳「は……はい」

 

 ヒーローとしてではなく社会人としての心得を説かれ耳郎は驚きを飲み込み頷く。

 

刃「自分の望まないことを続けること以上に苦痛なものはない、辞めたかったら辞めて自分の進みたい道を進む! コレが一番だ!」

 

 気分の上がってきた唯阿は立ち上がるとビシッと腕を天に掲げる。そしてタピオカミルクティーを飲み興奮の熱を冷ますと耳郎の隣に座った。

 

刃「それとあと一つ、大事なことを教えるぞ」

 

 唯阿はタピオカの容器を置くと耳郎の目を真っ直ぐに見つめる。

 

刃「思いはテクノロジーを越える、相手がどんなに優れた能力を持っていたとしても、強い思いがあるならそれを越えられるんだ」

 

 唯阿はその言葉をくれた乱暴で何でも力で解決しようとする男を思い出し、少し微笑んだ。

 

耳「刃さん?」

 

刃「いやすまない、あるゴリラを思い出してな」

 

耳「ゴリラ?」

 

 耳郎が首を傾げると唯阿の体が黒いモヤに包まれる。

 

刃「そろそろ時間だな、また会おうな耳郎ちゃん」

 

耳「はい、ありがとうございました」

 

 耳郎が消えゆく唯阿に頭を下げると唯阿は耳郎の頭を撫でる。

 

刃「次は美味しい寿司でも食べような」

 

 唯阿は笑顔を見せると黒いモヤに包まれ消えていった。

 

耳「思いはテクノロジーを越えるか……」

 

 耳郎はその言葉を胸に深く刻みつけた。




書きたい物を書けてスッキリしました
今年もよろしくお願いします
不定期になりますがよろしくお願い致します。


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新年披露目一発

 言い訳も何も致しません
いつも遅くて申し訳ありません。
orz


 冬休みはあっという間に過ぎ、始業。怒涛の一年次も気づけばもう残り3ヶ月。

 

飯「明けましておめでとう諸君! 今日の授業は実践報告会だ! 冬休みの間に得た成果・課題等を共有する、さぁ皆!スーツを纏いグラウンドαへ!」

 

 朝のホームルームで飯田が皆に告げると教室の扉が勢いよく開く。

 

相「いつまで喋って」

 

芦「先生あけおめー」

 

飯「本日の概要伝達済みです!」

 

 相澤先生が注意する前に皆が教室を出る。その様子を相澤先生は黙って見送った。

 

上「飯田が空回りしてねー」

 

善「せいちょーデスネ」

 

 上鳴と善彦が前のようにテンションが空回りしていない飯田を見て呟く。すると飯田は眼鏡を直しながら二人の方を向いた。

 

飯「マニュアルさんが保須でチームを組んでリーダーをしていてね、一週ではあるが学んだのさ……」

 

 次の瞬間、飯田は腰を前後にクネクネと動かし始めた。

 

飯「物腰の柔らかさをね!!」

 

上「あー空回った」

 

瀬「すぐにチェーン外れる自転車みてぇ」

 

善「早く行きましょー」

 

 空回りしている飯田を尻目に皆はヒーロースーツに着替えに行った。

 

上「佐竹ェ、そーいや切島と一緒だったけどなんか成長したのかよ?」

 

 着替えながら上鳴が善彦と切島に聞くと切島は力こぶを見せる。

 

切「あったりメェよ! イロイロ楽しかったしなぁ!」

 

善「そーですねぇえ」

 

 切島は善彦の肩に腕を回す。善彦は切島にガクガクと揺らされながら上鳴にピースを見せた。

 

緑「あれ? 佐竹くんコスチューム変えた?」

 

 ガクガクと揺すられている善彦を見て緑谷が気づく。揺れが止まった善彦は着ていたヒーロースーツの上着をビシッと整え、緑谷に見せた。

 

善「気づいた? 前とは変わって伸縮性のあるスーツに変えたんだ、スーツの色も真っ黒から明るめのグレーに変えたし、サングラスと指輪も外しちゃった〜」

 

 善彦はその場でクルクルと回り、新しくしたスーツを見せるとそのまま更衣室の扉に向かった。

 

瀬「色々と省いて印象変わったなー」

 

峰「前まで逃走中のハンターだったもんなぁ」

 

ガンッ!

 

善「アデッ!」

 

 回りながら扉に向かった善彦は頭を扉に強打した。

 

上「抜けてる所は変わってねーな」

 

 頭を強打し目を回している善彦を介抱しながら上鳴はグラウンドαに向かった。

 

オ「わーたーがーしー機だ!」

 

 更衣室を出て1-Aが集まると綿菓子機を抱えたオールマイトが出迎えた。

 

芦「あれ? 相澤先生は?」

 

善「わぷっ、わたがし飛んできた、甘い甘い」

 

オ「ヘイガイズ私の渾身のギャグ受け流すこと水の如し」

 

 ギャグをスルーされたオールマイトが木枯らしに吹かれる。その風で飛んでいった綿菓子は善彦の顔面に張り付いた。

 

オ「相澤くんは本当今さっき、急用ができてしまってね、私が見ることになったんだ」

 

 オールマイトは事情を説明しながらA組を誘導する。

 

 グラウンドαに集められたA組はそれぞれペアを組み、ロボットの大群に新技を披露する事になった。

 

「去ネヤ人類! 俺タチがこの世界のスカイネットだ!」

 

芦「そんな言葉どこで覚えたんだか」

 

 青山・葉隠・芦戸チームが襲いくるロボット達と対峙する。

 

青「僕に任せて⭐︎」

 

 テンビンゴールドに変身していた青山はキューボウガンを構え、ロボットに向かい光線を放つ。しかし光線の軌道の前にシロニンジャーに変身した葉隠が現れた。

 

葉「よーしいくよー!」

 

 葉隠が両手を前に出すとグイッと手を傾ける。すると手の中の空間がグニャリと曲がり、光線の軌道を変え、ロボット達を蹴散らした。

 

上「オー曲げたぁ! 見ててキモちぃなぁ」

 

葉「光の屈折をグイッと変えられるのです!」

 

 葉隠は自慢げに手の中の曲がった空間を見せると忍者一番刀で後ろに立っていたロボットを斬った。

 

芦「みんな退いてー! 粘性MAX!」

 

 皆が声のした方を向くと上空からキョウリュウピンクに変身した芦戸が降りてくる。芦戸の身体はピンク色の酸液に包まれていた。

 

芦「アシッドマン! ドリルキィィィック!」

 

 芦戸が空中でキックの体勢を取ると身体を覆っていた酸液がドリルの形を成す。芦戸はそのままロボットの大群に突っ込んだ。

 

「ニンゲン……コワッ……」

 

 その言葉を最後にロボットはドロドロに溶け、地面に伏せた。

 

芦「こーんな」

 

葉「感じでーす」

 

 芦戸が皆の方を振り向くとアシッドマンと変身を解除する。それに続いて葉隠と青山も変身を解除した。

 

オ「素晴らしい! みんな拍手だ! 芦戸少女達は"具足ヒーロー ヨロイムシャ"の下でインターンだったな!」

 

 オールマイトが芦戸達に拍手を送るとA組も拍手を送る。するとオールマイトは後ろを振り向く。

 

オ「この調子で各々インターンの経過を見せてくれ!」

 

 オールマイトがそう告げると尾白と砂藤のチームが前に出た。

 

尾「行くぞ砂藤ぉ!」

 

砂「おうよぉ!」

 

 ジュウオウザワールドに変身した尾白は、キョウリュウブルーに変身した砂藤と共にロボットの群に向かった。

 

尾「野生大解放!」

 

 尾白は走りながら動物の力を解放するとワニの尻尾を砂藤の体に巻き付かせた。

 

砂「頼むぜ尾白!」

 

尾「了解! うぉおらぁぁ!」

 

 尾白は体を捻り、砂藤をロボットの群の頭上目掛けてぶん投げた。

 

砂「いくぞぉ! 力道スーパーどっこいしょぉぉぉぉ!!」

 

 砂藤がロボット群の中に勢いよく着地すると、着地の衝撃で全てのロボットが宙に浮いた。

 

尾「今だっ! ワールドザクラッシュ!」

 

 宙に浮き、身動きの取れなくなったロボットに向かい尾白が突進する。

 ロボットはバラバラになりながら宙を舞った。

 

砂「俺たちが学んだのは! 手数と!」

 

尾「先読みの力!」

 

 ロボットの残骸が降る中、尾白と砂藤がビシッと決めるが、A組の反応は芳しくなかった。

 

瀬「手数は少なくすんだけど……」

 

善「ほぼ力技だね」

 

オ「次行ってみよー!」

 

 オールマイトは授業を進めた。

 

常「超忍法……影の舞!」

 

 ハリケンレッドに変身した常闇が印を結ぶと障子がパタンと閉まった。

 

「ナンダコレ!? グワッ!」

 

 障子の裏ではロボット達が常闇に蹴散らされている。最後の一機を倒すと障子が開いた。

 

常「総合力……向上!」

 

 常闇がハヤテ丸を納めると一斉に拍手が起こった。

 

緑「動きに無駄が一切ない!」

 

オ「流石だぜジャパニーズニンジャ! 次行ってみよー!」

 

 次に出たのはキョウリュウレッドカーニバルに変身した切島と仮面ライダーレーザーターボに変身した善彦だった。

 

切「よっしゃあ! 次はオレが荒れるぜぇ!」

 

善「自分もノリノリで行くよー!」

 

 まず先に善彦がロボットの群れに突っ込む。走りながら善彦はガシャットをホルダーにセットし、ボタンを二回押した。

 

《爆走クリティカルストライク!》

 

善「おらぁぁ!」

 

 善彦は飛び後ろ廻し蹴りでロボットを蹴散らす。そして残骸を踏み台にし、ロボットの頭上を跳ねながら善彦はロボットを次々と潰した。

 

善「後よろしく!」

 

 善彦がロボットの頭を蹴り、宙を飛ぶとカンフーカーニバルに変身した切島が突っ込んで来た。

 

切「いかに早く戦意喪失させるかやぁ!」

 

 切島は左腕の鉄球を横薙ぎに放つとロボット群を簡単に蹴散らした。

 

善「わーい最短記録ー!」

 

切「うおおお! ブレイブだぜぇぇ!」

 

麗「やっぱり迫力が違うわぁ、ねぇデクくん?」

 

 宙を舞う善彦とその下で雄叫びをあげる切島を見て麗日が緑谷の方を向くが、緑谷は善彦の方を見ていた。

 

緑「あのキックのフォーム……そしてあの動き、やっぱりそうだよな……」

 

麗「デクくん?」

 

 ここで緑谷はようやく麗日に気づいた。

 

緑「あぁあ! ごめん麗日さん! すごかったよね!!」

 

 麗日に気付き赤面する緑谷の前に善彦が着地する。

 

善「いやー、お疲れさんでした」

 

 善彦が変身を解除すると緑谷が善彦に詰め寄った。

 

緑「ねぇ佐竹くん! さっきの動きは誰から教わったの? 動きに見覚えがあるんだけどもしかして……」

 

善「先生が呼んでるから行かなきゃだよ二人共!」

 

 善彦は緑谷の質問を遮るようにオールマイトの元へ戻って行く。

 

オ「皆しっかり揉まれたようだね! これからもインターン頑張るように! 更なる向上を!」

 

善「はーい!」

 

緑「なんか変だなぁ……」

 

 緑谷は善彦の様子に疑問を持ったまま授業を終えた。

 




次は半分オリジナル回です。


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いくぜ語るぜ鍋パだぜ

 キムチ鍋は大体のものを美味しくすると信じています


 授業が終わったその日の夜、A組の寮の共有スペースの中央には無数の鍋が並んでいた。

 

飯「では! "インターン意見交換会" 兼 "始業一発気合入魂鍋パだぜ‼︎ 会"を! 始めようーー!」

 

 A組の寮内では鍋パーティーが行われていた。皆で笑顔で鍋を囲み、夢心地の空間を楽しんでいる。

 

麗「やっぱり豆乳鍋が一番やね」

 

爆「んだコレ! キムチ鍋の辛さが足りねぇんだよ!!」

 

切「みんなが食べやすい辛さにしてんだよ」

 

善「こんなこともあろうかとキャロライナ・リーパーを持ってきました」

 

 善彦が真っ赤な粉末が詰まったビンを爆豪に差し出すと爆豪はそれをブン取った。

 

耳「キャロライナ・リーパーって確か世界一辛いんじゃ……」

 

 不安の表情を見せる耳郎を横目に爆豪は自分の器にキャロライナ・リーパーをバサバサとふりかけると、真っ赤に染められた何かを口に運んだ。

 

爆「グォッ! カッ!? ヌァァア!! こんぐれぇじゃねぇと足りねぇんだよ!!」

 

 悶えるほどの辛さを堪えると爆豪はガツガツと鍋をかきこんだ。

 

善「お気に召してなにより」

 

 善彦が塩鍋のスープをすすると、共有スペースの扉が開けられた。

 

鉄「おっしゃーー! 一番乗りー!」

 

拳「イイにおーい、お邪魔しまーす」

 

 A組の寮にB組が入ってきた。

 

飯「おぉ! 待ってました!」

 

 鉄哲は切島と善彦の隣に座るとキムチ鍋の具が入った取り皿を渡される。

 

鉄「お! サンキュー!」

 

 鉄哲がキムチ鍋の豚バラ肉を頬張ると目を見開く。

 

鉄「んん!! うんめぇ! 柔らかぁ!」

 

善「どれだけ分厚い肉でも圧力鍋を使えば一発で柔っこくなるんですよ」

 

拳「ホントに美味しい〜、A組は幸せ者だなぁ」

 

 鍋を頬張っている拳藤も至福の表情を浮かべる。

 

 そしてひと段落ついたところで緑谷が切り出した。

 

緑「そういえば気になってたんだけど佐竹くんは切島くんと鉄哲くんとインターン一緒だったんだよね?」

 

善「ん? そうですよ」

 

鉄「初関西で楽しかったぜぇ!」

 

 鉄哲が善彦の肩に手を回し、親指を立てる。緑谷は質問を続けた。

 

緑「関西のヒーローってファット・ガムだよね、でも今日見た佐竹くんの動きが違うヒーローの動きだったから気になったんだ」

 

 緑谷が首を傾げながら問いかけると、麗日と耳郎も入ってきた。

 

麗「たしかに、何というか軽やかだったし、よく跳ねてたし」

 

耳「ウチの知ってる佐竹は後ろ廻し蹴りなんて使わないからね、いつもの喧嘩殺法の大振りミドルキックじゃなかった」

 

上「そこんとこどうなんだぁ?」

 

 上鳴が善彦の顔を覗き込む。その瞬間、上鳴は善彦の異変に気づいた。

 

善「そ、そそそそれはねぇ……」

 

 善彦の表情が明らかに青ざめていた。善彦は豆腐を箸で掴もうとするが、豆腐はどんどんと半分に千切れてバラバラになっている。

 

切「聞かねぇでやってくれ! そこはデリケートなんだ!」

 

鉄「大丈夫だ! アレは過去の話だ!」

 

 鉄哲と切島は必死に動揺している善彦を落ち着かせた。

 

緑「な、なんか聞いちゃいけなかった?」

 

 緑谷も善彦につられて動揺するが、善彦は「大丈夫」と首を横に振り、鍋の取り皿をテーブルに置いた。

 

善「いずれ話そうと思ってました……アレは関西インターンの三日目のこと……」

 

 善彦はゆっくりと語り始めた。

 

 関西のインターン三日目、善彦達が関西の街をパトロールしている時だった。

 

フ「急ぐでぇ! なんやチンピラ共が暴れとるらしいわ!」

 

鉄「っしゃあ! やったるデェ!」

 

善「行くでヤンス!」

 

切「鉄哲は分かるが佐竹は何故だ!?」

 

 善彦達が通報を受けた大通りに着くと、奇妙な光景が広がっていた。

 

フ「……なんやあれ?」

 

 人集りの奥ではチンピラらしき格好の男が空を飛んでいる。そして人集りの中心では聞いたことのある声が聞こえた。

 

「弱ぇえ弱ぇえ! 全然来たかいがねぇ!」

 

フ「んあぁ! あんたミルコやないか!」

 

切「うおお! マジだ!」

 

 ファット達が人混みをかき分けて中心に着くと、そこにはプロヒーローNo.5のミルコが立っていた。

 

ミ「おぉ! ぷよぷよ団子!」

 

フ「ファットや! 覚えてくれんとそこは! あんさん九州のヒーローやろ? なんで関西に?」

 

 ファットが聞くとミルコは両腕をバッと上にあげた。

 

ミ「蹴飛ばし遠征だ!」

 

フ「おっかない遠征やのぉ」

 

 ファットが呆れているとミルコは善彦に目を向けた。

 

ミ「お! お前たしかバイク小僧! 知ってるぜ!」

 

 ミルコは善彦に向かいズンズンと歩を進める。善彦は完全に萎縮していた。

 

善「あ、恐縮です……」

 

 ミルコは善彦に近づくとニカッと笑う。そして次の瞬間。

 

ボッ!!

 

善「ウワッぷ!」

 

 ミルコが突然ハイキックを繰り出した。善彦はそれを体を逸らして回避する。

 

切「わぁ佐竹!」

 

フ「ミルコあんた何しとんの!」

 

 ミルコはファットの声を無視して善彦に蹴りを繰り出し続ける。

 

善「いきなりなんなんだか!」

 

 ハイキックやローキックを避け続けた善彦はとうとうミルコに反撃のハイキックを繰り出した。

 

ミ「ソラよっ!」

 

 ミルコは善彦のハイキックをハイキックで弾き飛ばす。蹴りの威力で善彦のバランスは大きく崩れた。

 

善「いってぇ!」

 

 バランスを崩した善彦は地面に尻餅をつく。地面に座り込む善彦をミルコは見下ろした。

 

ミ「んー! やっぱりだな! 蹴りが弱すぎる! 弱すぎて話にならん!」

 

 ミルコは善彦の顔にズイッと顔を近づける。そして善彦の服の襟を掴んで引っ張り起こした。

 

ミ「団子! ちょっとコイツ借りるぞ!」

 

フ「ファーー?!」

 

 ミルコの発言にファットは変な声を出す。

 

善「えぇ!? いきなりなんで!?」

 

ミ「アタシの蹴りを伝授してやる! 着いてこい!」

 

 ミルコはそういうと大きくしゃがみ込む。

 

鉄「おいおい切島! 佐竹を助けるぞ!」

 

切「わかった! やめて下さいミルコォ!」

 

 鉄哲と切島がミルコを止めようとした時、ミルコはその場から大きく跳び上がった。

 

善「アァァ! みんなーー!」

 

ミ「三日後くらいには返すぜー!」

 

 ミルコはそう言い残すとファット達の前から姿を消した。

 




次回はオリジナル回です


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ラビットレーニング レッスン1

オリジナル回です


 ミルコの小脇に抱えられて数分、ビルの上を跳んで移動していたミルコはようやく着地した。

 

ミ「よーし! 着いたぞ! ココがアタシの関西事務所だ!!」

 

善「へ?」

 

 抱えられたままの善彦が顔を上げると見えたのはボロボロのプロレスジムだった。

 

ミ「ミルコ様のご帰還だ!」

 

 ミルコがジムのドアを蹴り開けると、中では屈強な男達がリングの上で取っ組み合っていた。

 

「!! ミルコ様のお帰りだ!」

 

「全員整列!」

 

 ミルコがジムの中に入った瞬間、ジムの中の男達はリングから降り、横一列に並んだ。

 

「お疲れ様でぇぁす!!!」

 

 全身ゴツゴツの筋肉で覆われた男達が一斉にミルコに頭を下げる。その光景に善彦は全く着いていけなかった。

 

善「あだっ!」

 

 ここでようやくミルコは善彦を離す。抱えられた状態から突然離された善彦は床に叩きつけられた。

 

ミ「今日から三日間! ココでアタシが専属コーチとしてお前を育てる! 問題ないよなお前ら!」

 

 ミルコがレスラー達の方を向くと、レスラー達は頭を下げた。

 

「問題ありません!」

 

善「何がなんやら……わっ!」

 

 善彦が起き上がろうとした瞬間、善彦はミルコに蹴飛ばされ、リングの上に乗せられた。

 

善「イテテテテ……」

 

ミ「よっし! さぁやるぞぉ!」

 

続けてミルコもリングに上がると、善彦を手招いた。

 

善「え? 何を? へ?」

 

 善彦が全く事態を理解せずにいるとミルコはリングを蹴り、善彦との距離を詰めた。

 

ミ「いいからコイっ!」

 

善「わああ!」

 

 距離を詰めるとミルコは蹴りを放つ。善彦はそれを後ろに飛んで避けた。

 

善「実践稽古しかないのかよやっぱぁ!」

 

ミ「おしゃべり厳禁!!!!」

 

 ミルコは容赦なく連続で蹴りを放つ。善彦はリングをゴロゴロと転がりながら蹴りを全て避けた。

 

善「ぞうりゃ!」

 

 善彦は両手を床につけ、水面蹴りを放つ。しかしミルコは軽々と上に跳び、蹴りを避けた。

 

善「狙い通り!」

 

ミ「おっ!」

 

 空中に跳んだミルコに善彦は渾身のハイキックを放つ。善彦の蹴りがミルコに当たった瞬間。

 

ミ「ハハッ! アイデアは悪くねぇな!」

 

 ミルコは善彦の蹴り足を踏み台に使い、更に宙を跳ねた。

 

善「ウソぉ!!?」

 

ミ「ホントだ!!」

 

 ミルコは空中で右足を大きく上にあげ、踵落としの構えを取る。善彦は両腕を交差させ、防御を試みるが、防御は意味を成さずにミルコの踵は善彦の脳天に叩きつけられた。

 

善「ヌガッ……!」

 

 善彦は白眼を剥き、膝から崩れ落ちてリングに倒れた。

 

善「う、うう……」

 

 数分後、善彦が目を覚ますと見知らぬ天井が見えた。

 

善「あっ……そういえば」

 

 ここで善彦はリングの上でミルコに倒された事を思い出した。善彦はジムの端のベンチに寝させられている。

 

善「とにかく起きなきゃ……」

 

 善彦が自分の体を起こそうとした時、違和感に気づいた。

 

善「あれ?」

 

 右手を動かすと左手も動く。そして手元でチャラチャラと音がする。

 恐る恐る視線を下に向けると善彦の手首には手錠が着けられていた。

 

善「なんじゃコレェェ!!」

 

 善彦が絶叫しているとミルコが後ろから善彦の頭をコツンと足で小突く。

 

ミ「おう起きたか! 今日からお前はその手錠を着けて過ごしてもらうぞ!」

 

善「えぇ!? 意味あるんですか?!」

 

 善彦が問いかけるとミルコは腰に手を当てビシッと指を差した。

 

ミ「ある! アタシの戦いは拳は使わないからな、蹴りを伝授するって言っただろ?」

 

 ミルコは脚を上げると「ニヒヒ」と笑う。その笑顔で善彦は反論を諦めた。

 

善「わかりました……」

 

ミ「風呂と便所の時は外してやる! 始めるぞ!」

 

 こうして善彦とミルコのマンツーマンのトレーニングが始まった。

 

ミ「月堕蹴(ルナ・フォール)!!」

 

善「だぁぁ!!」

 

 手錠を着けてのミルコとの手合わせ、ミルコは初っ端から大技を善彦に見舞う。善彦はミルコの攻撃を避けることしかできなかった。

 

善「くそっ! 手錠を着けての戦闘なんて前例がないからなぁ〜」

 

 善彦は手を動かせない戦いに悪戦苦闘している。しかしミルコは容赦なく向かってきた。

 

ミ「オラオラどうしたぁ!」

 

 ミルコのハイキックを善彦は身をかわして避ける。自分の体の隣にミルコの蹴り脚が来た瞬間、善彦は即座にミルコの蹴り脚である右足を脇で挟んで捕らえた。

 

ミ「おっ!」

 

善「よしゃ!」

 

 蹴り脚を捕らえた善彦は軸となっている左脚を刈りにローキックを向かわせる。しかし次の瞬間、ミルコはニヤリと笑った。

 

ミ「よっと」

 

 ミルコはピョンと跳ね、善彦のローキックを避けると同時に左足で延髄斬りを食らわせた。

 

善「おわぁっ!?」

 

 蹴りの衝撃で善彦は掴んだミルコの脚を離す。右足が離れた瞬間、ミルコの両足が善彦の頭を挟んだ。

 

ミ「覚悟しろよテメェ!」

 

善(確かこの技は"月頭鋏(ルナ・ティヘラ)"!!)

 

 善彦はこの後に喰らわさせる強烈なフランケン・シュタイナーを想像する。受け身の取り方を考えているとミルコが動いた。

 

ミ「よぉぉいしょっ!」

 

 ミルコはグイッと善彦の頭を引っ張るとリングに倒す。そしてそのまま脚を善彦の首に絡ませ太腿の三角絞めを決めた。

 

善「ウゲェェ!! 絞め技!?」

 

 手錠を着けられた状態でミルコの太腿三角絞めを食らう善彦の様を見ていたリングの外のレスラー達の表情はどこか羨ましそうだった。

 

善「うくぅぅぁ……意識が……」

 

 完全に絞め技が決まっている善彦に邪な感情は全くなかった。

 

ミ「よし今日はここまで!!」

 

 満足したミルコは三角絞めを離す。善彦はリングの中央でボーッと倒れていた。

 

「大丈夫か坊主? ホレ水だ」

 

 倒れている善彦の顔にレスラーが水をかける。ビシャビシャの顔になった善彦はムクリと起きると窓の外を見た。

 

善「もう……こんなに暗いんですね」

 

 外は日が沈み、真っ暗になっていた。ボンヤリと外を眺める善彦の肩に手が置かれる。

 

「あと二日だ、頑張れよ坊主」

 

 レスラーが言葉をかけると善彦は静かに頷いた。

 

ミ「今日の訓練はこれで終わりだ! 飯喰って風呂入って寝ろ!」

 

 ミルコはリングの外から善彦に呼びかけると生のニンジンにかじりついた。

 

「飯はこっちで用意したぞ、食おうぜ」

 

 善彦はレスラーに連れられ、ジムの奥の食事スペースに連れられた。レスラーとの食事中、善彦は気になっていたことを聞いた。

 

善「あの……なんでミルコさんはここに居座ってるんですか?」

 

「あぁそれはねぇ……」

 

 質問をした瞬間、レスラーはバツの悪そうな表情を見せる。そして深呼吸をして語り始めた。

 

「おれ……昔は暴走族でな、その時駆け出しヒーローだったミルコさんにボコられてさぁ……その日からミルコさんには逆らえないんだ……ここには来ないと思ったのにいきなり来るなんて……」

 

 レスラーはその時の事を思い出すと頭を抱え、食事の手を止めてしまった。

 

善「……お先に失礼します」

 

「おう……ミルコさんには気ぃつけろよ」

 

 善彦は席を立ち、その場から去ろうとする。後ろからレスラーが手を振って見送った。

 

善「さて……これから風呂だけどもミルコさん外してくれっかなぁ?」

 

 善彦が風呂場に向かっていると突然頭をガシッと掴まれた。

 

善「え!? なに!?」

 

 善彦が狼狽えていると手錠がカチャリと外れ、床に落ちた。

 

善「おっ!! 手錠が外れ」

 

ミ「風呂入って便所済ませたらココに来い、逃げたらわかってるな?」

 

 解放を喜んだのも束の間、善彦は無言で首を縦にブンブンと振ると、早足で風呂場に入った。

 

善「耐えるしかない……今は耐えるしかないんだ……」

 

 善彦は自分に言い聞かせながらシャワーを浴びた。

 

善「とりあえずスッキリサッパリ」

 

ミ「そりゃよかったな」

 

 善彦が風呂を終え、用を終えると目の前にミルコが立つ。そして瞬く間に善彦の手首に手錠をつけた。

 

善「サヨナラ手の自由……」

 

 善彦が肩を落とすとミルコは善彦の服の襟を掴み、隣の部屋に引きずり入れた。

 

ミ「もう寝るぞ、明日も速いからな!」

 

 善彦が引き摺り込まれた部屋の床には布団が敷いてある。そしてその隣にはベッドが置いてあった。

 

善「あのベッドは?」

 

ミ「アタシのだ! お前は床な!」

 

 ミルコは言い放つとベッドの上にゴロンと寝転がる。善彦はベッドと布団を交互に見ると手錠の繋がった手を挙げた。

 

善「え!? 一緒の部屋なんですか?」

 

ミ「あー、部屋がねぇからな、相部屋だ! いーから寝るぞー」

 

 ミルコは何も気にする様子もなく部屋の電気を消し、布団にくるまった。

 

善「休める気がしない……」

 

 善彦も床につくが、手錠の違和感と相部屋の緊張とで眠気が全く来ていない。

 こうしてミルコとのトレーニング1日目が終了した。




次もオリジナル回です


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ラビットレーニング レッスン2

オリジナル回その2です


 ミルコとのトレーニング二日目、善彦はミルコと共に関西の街をパトロールしていた。

 

ミ「今日は歩き回りながら輩退治だ!」

 

善「手錠はそのままなんですね」

 

 善彦はミルコと共に街中を歩いているが、手錠をかけている善彦は非常に目立っていた。

 

「連行中?」

 

「ヤー公か?」

 

ミ「アタシの弟子だ! ヨロシク!」

 

 ミルコはヒソヒソと話す人達にビシッと手を振った。

 

善「恥ずかしい……」

 

 善彦が手錠を見つめてため息を吐くと、ミルコに襟を引っ張られた。

 

ミ「ヨーシこい! 輩は暗い所を好むんだよ!」

 

 ミルコは路地裏に善彦を引き摺り込む。すると案の定、狭い路地裏にはガラの悪い輩がタバコを吸いながらたむろしていた。

 

善「うーわ絵に描いたようなヤンキーだ」

 

「あぁ? なんやワレェ!」

 

ミ「ヒーローだワレェ!」

 

 ミルコがヤンキー共に指差すとヤンキーの一人が善彦に気づいた。

 

「オォ!! あいつチーターの兄貴を倒したやつや!」

 

「ホンマや! ウォンテッドやーー!」

 

 善彦に気づいた瞬間、ヤンキー共は鉄パイプやメリケンサックを手に取りだす。戦闘態勢に入ったヤンキーを見たミルコはニヤリと笑った。

 

ミ「よっしゃお仕事だ! 行ってこい!」

 

 ミルコは善彦の背中をバンと叩き、前に押し出した。

 

善「だっ! えぇ!?」

 

 善彦は突然の状況が飲み込めないが、ヤンキー共は容赦なく襲いかかってきた。

 

善「あぶねっ! このぉ!」

 

 善彦は振り下ろされる鉄パイプやメリケンを避け、蹴りを喰らわせる。しかし手錠を着けられた状態に善彦は手間取っていた。

 

善「あぁもうコレ邪魔!」

 

「よそ見すんなや!」

 

 善彦が手錠に気を取られた瞬間、善彦は背中を鉄パイプで殴られた。

 

善「あぐっ!」

 

「畳みかけろぉ!」

 

 隙を突いたヤンキー共は一気に勢いを増した。

 

善「うぐぅあぁぁ!」

 

 善彦も負けじと蹴りを放つ。全力のハイキックがヤンキーの頭に直撃した。

 

「ハガッ……」

 

善「アレ……この感じ……」

 

 善彦は蹴りが当たった瞬間、いつもの違う感覚を覚える。しかし次の攻撃に移ろうとした時、足をもつれさせその場に倒れてしまった。

 

「やっちまえー!」

 

 倒れた善彦にヤンキーは容赦なく襲いかかる。ヤンキー共は倒れた善彦を寄ってたかって踏みつけた。

 

善「ぐっ、あがっ……」

 

 善彦は頭を腕でカバーし、なんとか防御をするが、反撃はできずに踏まれ蹴られるだけだった。

 

「ケッ! くそザコが! はよ消えろぉ!!」

 

 善彦を十分に踏みつけると、ヤンキーの一人が鉄パイプを振り上げた。

 

善「やばっ……」

 

 善彦の意識が虚ろの中、鉄パイプが振り下ろされようとした時。

 

ドギュン!

 

「ぐわっ!」

 

 ヤンキーが手にしていた鉄パイプが突然砕けた。音のした方を見るとそこには二人の人影があった。

 

善「へ?」

 

切「うぉらぁぁぁ!」

 

鉄「ワンダァァァ!!」

 

 倒れながら善彦が見たのはキョウリュウレッドに変身した切島とキラメイシルバーに変身した鉄哲だった。

 

切「何てめぇら男らしくねぇことしてんだゴラァ!」

 

鉄「全然ワンダーじゃねぇ! 倒させてもらうぜぇ!」

 

 切島と鉄哲は怒涛の進撃でヤンキー共を蹴散らした。

 

フ「はいはいここでファットさんのお出ましやでぇ!」

 

天「俺の出番がない……」

 

 蹴散らしたヤンキーを天喰とファットが回収する。ヤンキー全てを片付けた切島と鉄哲は変身を解除した。

 

切「ミルコがここに来てたって聞いて行ってみりゃこれだよ! 大丈夫か佐竹!」

 

鉄「お前がボコられるなんてらしくねぇぞ?」

 

善「ごめんねみんな……」

 

 鉄哲と切島は善彦を支えながら起こす。すると善彦の手錠がファット達の目に止まった。

 

天「っ……手錠? なんでこんなものが」

 

フ「アイツらに着けられたんか!?」

 

 ファットがヤンキーを指差すが、切島は首を横に振る。

 

切「いや、コイツはそんなヘマをする男じゃねぇ……考えられるのは!」

 

 切島はバッと後ろを向き、ミルコを睨みつけた。

 

鉄「まさかミルコがこれを!?」

 

ミ「修行の一環だ!」

 

 ミルコは恥じる事なく言い放つ。それを聞いたファットはズンズンとミルコに歩み寄った。

 

フ「正気かアンタ! ヒーロー志望とはいえ学生に手錠つけてヤンキーと喧嘩させるてありえへんで!」

 

切「佐竹はポーズとらねぇと個性が出せないんだ! 個性無しで手錠であの人数は無理だろ!」

 

鉄「流石にありえねぇぜコレは……」

 

天「俺やミリオもここまではしていない……ありえないというより非常識だ……!」

 

 ファット達はミルコに軽蔑の眼差しを向けるがミルコに反省した様子はなかった。

 

ミ「あんな人数にやられるのはコイツがまだ弱いからだ、だからアタシが鍛えてやってんだろ?」

 

フ「アンタなぁ! ホンマいい加減にしろやぁ!」

 

 我慢のできなくなったファットはミルコに掴み掛かろうとする。しかしその手は横から弾かれた。

 

フ「な、佐竹くんなんで……」

 

 ファットの手を弾いたのは善彦だった。荒く息をしながら善彦はミルコの前に立つ。

 

切「佐竹! もういいんだぞ! 元々お前はファットのインターンだろ!?」

 

鉄「これ以上そっちにいたら死んじまうぞ!」

 

 切島と鉄哲は善彦の事を止めるが、善彦は首を横に振る。

 

善「ゴメン……やばいのはわかってるけど……なんか予感がするんだ……」

 

天「予感?」

 

 天喰が首を傾げると善彦は少し微笑んだ。

 

善「確かに……ミルコさんのトレーニングはメチャクチャで……乱暴でわけわかんないけど……なにかが得られそうなんだ」

 

フ「なにかってなんや?」

 

善「とにかく……まだミルコさんの元に居させてください……あと一日なんです……お願いします」

 

 善彦はファット達に頭を下げる。善彦の姿にファットの怒りは落ち着いた。

 

フ「わかった、君がそう言うならオレは止めへん、キッチリとその何かってヤツ貰ってきぃや」

 

 ファットはそう言い残すとミルコと善彦に背を向けた。

 

切「オレも佐竹がそう言うなら信じるぜ、待ってるからな!」

 

鉄「っつ〜〜〜! わかった! オレも待ってる! ワンダーになって帰ってこい!」

 

 切島と鉄哲は言い残すとファットについて行った。

 

天「えっ、ちょっ、頑張ってね! 待ってくださいファット」

 

 少し遅れて天喰もファットについて行く。ファット達を見送った瞬間、善彦はフラリと倒れた。

 

ミ「おっと危ねぇ」

 

 地面に倒れかけた善彦をミルコはキャッチして受け止めた。

 

ミ「コイツ……気ぃ失ってやがる」

 

 ミルコの腕に抱かれている善彦は気を失っていた。

 

ミ「まったく……よっこらせ」

 

 ミルコは善彦を背中に回すと、善彦を背負いそのままジムへと戻っていった。

 ジムに戻ったころにはもう時間は夜になっていた。ミルコは善彦をそのまま寝室へ連れて行った。

 

ミ「マジでこいつ起きねぇのな、重くてしゃーねぇ」

 

 ミルコは善彦を床の布団に寝かせようとしたが方向を変え、自分のベッドの上に善彦を寝かせた。

 

ミ「いちいち布団かけるのもめんどくせぇからな」

 

 そう言うとミルコは善彦の隣に寝転び、布団をかぶった。

 一つのベッドを二人で使いながらミルコは善彦の頭にそっと手を乗せる。

 

ミ「気ぃ使わせて悪かったな、ゆっくり寝ろ」

 

 よしよしと頭を撫でると善彦の身体をそっと自分の体に寄せる。

 

ミ「こんなアタシでも、ついてきてくれてありがとな」

 

 ミルコはそう言うと、ゆっくりと瞼を閉じた。

 

 

 

「ぐっ……クソが! まだ終わらへんど……」

 

 深夜の路地裏、人目のない場所で男は黒い気体の入ったボトルを握りしめていた。

 




次がオリジナル回のラストです
なるべく早めに出せるように頑張ります!


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ラビットレーニング final

オリジナル回のラストです


善「ん……うぅん……」

 

 ミルコトレーニングの最終日の朝、善彦は目を覚ました。

 

善「? ココどこ?」

 

 目を覚ますと善彦は真っ暗の中にいる。そして体は動かない。

 

善「確かあの時ボコボコにされて、ファットさん達に会って……」

 

 善彦は気絶した後の記憶が飛んでいる。辺りを見回そうと頭を動かそうとすると、頬に柔らかく温かいものが触れた。

 

善「へ!? なに!?」

 

 驚いた善彦が顔を上げると、見えたのはぐっすりと眠っているミルコの寝顔だった。

 

ミ「ん? 起きたか?」

 

 ミルコは目を覚ますと起き抜けに善彦の頭をよしよしと撫でる。次の瞬間、善彦はゴロゴロと転がり、ミルコのベッドから抜け出した。

 

善「状況が理解できません!!」

 

ミ「お前はアタシと寝たんだ!!」

 

善「はいいい!?」

 

 善彦が状況を理解できずに混乱しているとミルコはベッドから足を伸ばし、善彦の服の端を足の指で掴む。

 

ミ「こーゆーことだよ!」

 

 ミルコは体を捻り、善彦を引っ張り込むとベッドの中に引きずり込んだ。

 

善「わばっ!」

 

 ベッドの中に放り込まれた瞬間、ミルコは善彦の体に腕を回す。

 

ミ「湯たんぽ〜♪ あと1時間だ」

 

 ミルコは善彦を抱えたまま目を閉じた。しかし善彦は全く状況が飲み込めていない。

 

善「これ……どうしよう」

 

 考えていると善彦も眠気に襲われる。善彦も瞼を閉じようとした時。

 

 ピクッ

 

ミ「敵がでやがった! お仕事だ行くぞ!」

 

 ミルコの耳がピクッと動き、瞬時にベッドから飛び起きる。善彦は寝ぼけ眼でミルコについていった。

 

善「兎の聴力か……なにがなんだか」

 

 善彦はミルコについていくと、街中に出る。街中では善彦達より先に切島達が着いていた。

 

ミ「よぉ団子!」

 

フ「ファットや! 覚えろやいい加減!」

 

切「おぉ! 佐竹ぇ! 来てたのか!」

 

鉄「まだ手錠着けてんのかよ!」

 

善「修行中でね! それより状況は?」

 

天「あそこに敵が一人!」

 

 善彦が状況を聞くと一番端に立っていた天喰が指をさす。指を差した方には一人の男が街の中心に立っていた。

 

「見つけた……兄貴の仇!」

 

 男は善彦を見た瞬間、ポケットから瓶を取りだした。

 

善「あ!? ネビュラガス!」

 

フ「あの時と同じガスかいな!」

 

 男は瓶を開けると黒い気体に体が包まれ、フライングスマッシュへと姿を変えた。

 

鉄「また姿を変えやがった気持ち悪りぃ!」

 

切「佐竹が動けねぇ分オレらがやるぞ鉄哲!」

 

 鉄哲と切島はシャイニーキラメイチェンジャーとガブリボルバーを構えて変身する。

 

天「ファットと俺は皆の避難誘導を!」

 

フ「ハイな! 俺じゃ流石にアレじゃ無理や、行くで!」

 

善「じゃあ自分も……」

 

 ファットと天喰は一般人の避難誘導に向かう。善彦も天喰について行こうとした瞬間、ミルコに服の襟を引っ張られた。

 

善「ぐぇぇなんで!?」

 

ミ「お前の相手はあっちにいるぞ」

 

 ミルコが指を差した方向には武器を持ったヤンキー達が善彦を待ち構えていた。

 

「昨日の今日ですまんのぉ、三島がヒーローと遊んでる間はオレらと遊んでくれや」

 

善「嘘でしょ?」

 

 善彦がバツの悪い表情を見せるとミルコが善彦の頭に手を置いた。

 

ミ「心配すんな、アタシも協力する」

 

 ミルコは善彦に笑顔を見せると手錠を指さした。

 

ミ「さらにサービスだ! こっからは手錠から解放してやるよ!」

 

善「やったー!」

 

 ミルコは懐に手を入れ、手錠の鍵を探す。しかし様子がおかしかった。

 

善「ミルコさん?」

 

ミ「カギどっかいった!」

 

 ミルコは堂々と言い放つ。次の瞬間、痺れを切らしたヤンキー達が襲いかかってきた。

 

善「あぁぶない!」

 

ミ「礼儀知らずめ!」

 

 ヤンキーの攻撃を避けるとミルコはヤンキーを蹴り飛ばす。善彦は前日と同じく必死に立ち回っていた。

 

切「うぉおお! こいつ飛び回りやがるから攻撃あたんねぇ!」

 

鉄「オレら射撃の才能皆無だな!」

 

 切島と鉄哲は空を自由に飛行するスマッシュに苦戦していた。

 切島と鉄哲の放つ銃弾は一発も当たらず、スマッシュの急降下攻撃を喰らい続けていた。

 

善「鉄哲くん! シャイニーブレイカーは空飛べる機能付いてるから! それ使ってみて!」

 

 善彦は振り下ろされた鉄パイプを手錠の鎖で受け止めながらアドバイスを送る。

 

鉄「飛べるだと!? よっしゃ切島!」

 

切「あいよ! ブレイブ肩車ぁ!」

 

 鉄哲はシャイニーブレイカーを両手で掴み、上に掲げると切島は鉄哲を肩車した。

 

鉄「飛ぶぜ! シャイニー!」

 

 鉄哲の掛け声と共にシャイニーブレイカーからジェットが噴出され、鉄哲と切島は宙を舞った。

 

鉄「飛んだー! このまま突っ込むぞー!」

 

切「よっしゃー!」

 

 二人は空を飛んだことにテンションを上げているが、コントロールが出来ずに辺りをメチャクチャに飛んでいるだけだった。

 

ミ「わー、アホが飛び回ってる」

 

善「やっぱり難しいかなっ!」

 

 メチャクチャに飛んだ鉄哲と切島はスマッシュに向かう。しかしスマッシュは簡単に鉄哲を叩き落とした。

 

鉄「あぁダメだ!」

 

切「ドンマイ!」

 

 鉄哲はシャイニーブレイカーを離し、切島と共に落下していく。ドリルを下にして落ちるシャイニーブレイカーを見た善彦はあることを思いついた。

 

善「これだっ! ひらめキーーング!!」

 

 善彦は駆け出すと地面にしゃがみ込み、手錠の鎖をピンと張った。

 

ミ「何してんだアイツ?」

 

善「ここだっ! 来い!」

 

 善彦は鎖の位置を細かく調整する。するとシャイニーブレイカーのドリルが手錠の鎖を貫き、地面に突き刺さった。

 

善「いぃぃぃぃよっっっしゃあああああ!!!!!!」  

 

 腕が自由になった善彦は歓喜の雄叫びを上げた。

 

ミ「すげぇな! あのギリギリ攻めたか!」

 

鉄「復活だぜぇ!」

 

切「ブレイブに暴れちまえ!」

 

 善彦は腰にゲーマドライバーを巻く。そしてガシャットを起動させた。

 

《爆走バイク!》

 

 善彦はクルリとターンし、ガシャットを構え、一言。

 

善「変身」

 

《ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ!》

 

 ガシャットを挿れると同時にカバーを開く。そしてパネルを前蹴りでセレクトした。

 

《爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!!》

 

 パネルが善彦の身体を通り、仮面ライダーの姿へと変えた。

 

善「仮面ライダーレーザーターボ……ノリノリで行くぜ!」

 

 変身を完了した善彦は地面を蹴る。すると次の瞬間、善彦を囲んでいたヤンキー達が一瞬で全員倒れた。

 

ミ「ん? 何が起きた?」

 

善「一瞬で倒しました」

 

 一瞬で起きた出来事にミルコは困惑している。そのミルコの後ろに善彦は立っていた。

 

ミ「っおお! ビックリした!」

 

善「みんな、こっからは自分に任せて!」

 

 善彦は仮面の中で微笑むと再び地面を蹴り、その場から跳んだ。

 

切「わっ! スッゲー跳んだ!」

 

フ「何やアレ!? 佐竹くんか?」

 

 一般人の避難誘導を終えたファットは善彦を見上げる。善彦はフライングスマッシュと同じ位置まで跳び上がっていた。

 

「グガァッ!」

 

 スマッシュは爪を振り下ろし、善彦に喰らわそうとするが、それよりも速く善彦の蹴りが叩きつけられた。

 

善「ッシャア!」

 

 スマッシュは勢いよく地面に叩きつけられる。そして起き上がった瞬間、視界が善彦の踵で覆われた。

 

善「月堕蹴(ルナ・フォール)!!」

 

 ミルコ直伝の蹴りがスマッシュの頭に叩きつけられる。善彦の連続攻撃に切島と鉄哲は動けずにいた。

 

切「容赦ねぇな佐竹のヤツ……」

 

鉄「まぁ…………溜まってたんだろうな」

 

 鉄哲と切島は唖然としているが、ミルコは善彦の戦いをじっくりと見ていた。

 

ミ「あんのやろうアタシの技をマネやがったなぁ」

 

 ミルコが微笑むと、スマッシュは善彦から逃れ、空に飛び立つ。

 

善「また飛びやがったなぁ」

 

 上空に飛び立つスマッシュを目にしても善彦は落ち着いていた。

 

「ウガァァァァァ!」

 

 スマッシュは急降下し、善彦に向かう。善彦はガシャットをホルダーにセットした。

 

《ガシャット! キメワザ!》

 

 スマッシュは鋭い爪を善彦に向かわせる。爪が善彦の左胸を捕らえようとした瞬間、善彦はホルダーのスイッチを押した。

 

《爆走クリティカルストライク!》

 

善「ほっ」

 

 善彦はスマッシュの爪を跳躍で避ける。そして右脚を高く掲げ、黄金色のエネルギーを充填させた。

 

善「踵半月輪(ルナ・アーク)!!」

 

 スマッシュの背中に踵落としを喰らわせる。地面にめり込んだスマッシュはそのまま爆発した。

 

切「よっしゃーーー! 大復活じゃねぇかぁ!」

 

鉄「ワンダーカッコよかったぜぇ!」

 

 戦いが終わった善彦に切島と鉄哲が駆け寄る。善彦は変身を解除すると両手を差し出した。

 

切「ん? その手はなんだ?」

 

善「これ外してくれない? 輪っかが取れないの……」

 

 善彦の両手首には手錠の輪がつけられたままだった。

 

鉄「それは大変だ、まかせろ」

 

 鉄哲は鉄化させた指で手錠の輪を破壊し、手首を解放させた。

 

善「アリガトォォオ……ヤバいくらいキツかったぁぁ」

 

 手錠が完全に外れると、善彦は切島と鉄哲に寄りかかった。

 

鉄「お疲れだ、よく頑張った!」

 

切「オマエは良くやったぜぇ!」

 

 善彦が二人に寄りかかっているとミルコに襟を引っ張られた。

 

善「え? なんですか?」

 

 青ざめる善彦の顔にミルコは顔を寄せた。

 

ミ「おいお前、この三日で得たものはアタシの技って事か?」

 

 強い圧で迫ってくるミルコの問いに善彦は首を縦に振って答える。

 

善「ミルコさんの蹴りを喰らって避けてを繰り返していたらなんか覚えてしまいまして……昨日の蹴りでコツみたいなものを掴んだので今日実践してみたら使えました……」

 

 善彦がたどたどしく答えるとミルコは善彦の体に腕を回した。

 

ミ「なるほどなぁ〜〜〜〜、たった三日でアタシをパクったと言うわけか」

 

 ミルコが善彦の体を寄せると「ニヒヒ」と悪い笑顔を見せる。

 

善「えっ!? いえそう言うわけでは!」

 

 善彦が急いで否定しようとミルコの方を向く。するとその瞬間、善彦の頬に柔らかいものが触れた。

 善彦が視線を少し横に向けると目を丸くし、驚いた表情を見せる切島達がいた。

 ファットは顔を両手で覆い、指の間から善彦とミルコを見ている。天喰は顔を赤くして目を逸らしていた。

 

ミ「よく頑張ったな! アタシの愛弟子! 嬉しいぞ!」

 

 ミルコは恥じる様子もなく善彦の頭をよしよしと撫でる。事態を理解し始めた善彦の顔は段々と赤みを帯びてきた。

 

ミ「これからも精進を忘れないよーに! じゃーな!」

 

 ミルコは言い残すと地面を蹴り、屋根の上を跳ねながら去っていった。

 

善「…………」

 

 善彦はその場に立ち尽くし、惚けている。その後ろから切島が善彦の肩に手をそっと置いた。

 

切「佐竹……本当に……おつかれさん」

 

 善彦は何も言わずに静かに頷く。こうして善彦の関西インターンは幕を閉じた。

 

 そして場面はA組の寮に戻る。

 

善「とまぁ、こんな事がありましてねぇ……」

 

 善彦が語る横では切島と鉄哲が「大変だったな」と言わんばかりに腕を組み、ウンウンと頷いている。

 しかし緑谷、麗日、上鳴、耳郎の表情は芳しくなかった。

 

上「浮気だ」

 

耳「浮気だな」

 

麗「浮気やな」

 

緑「なんて大胆な……」

 

善「え!? まってそんなんじゃないよ?! そーゆー話じゃなかったじゃん!」

 

 あらぬ疑いをかけられた善彦は必死に弁解しようとしていた。

 

拳「コラ、抵抗はやめなさい、罪が重くなるよ」

 

 B組の拳藤は善彦を宥めるが善彦はとまらなかった。

 

善「罪とかじゃないやん! 自分は無実やん!」

 

 焦りまくる善彦の肩に手が置かれる。善彦が振り向くとそこには爆豪が立っていた。

 

爆「こんなバカみてぇなことに口挟みたくねぇけどよぉ……うじうじしてねぇで誰を選ぶか決めろよな」

 

 そう言い残すと爆豪は去って行った。

 

善「だぁかぁらぁ! 違うんだってぇぇぇぇ!」

 

 善彦の悲しみの咆哮は寮内に響いたとか響かなかったとか。




次回の構想は……まだ思いついておりません!
すみません!


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超ヒーロー対談その3

長らくお待たせ致しました!
体調を心配してくださりありがとうございます!
ガイコッツは元気です!



切「ん?」

 

 切島が目を覚ますとそこは何もない白い空間だった。

 

切「アレ? オレ部屋で寝てたはずなんだけど……」

 

 切島が辺りを見回すと後ろから声が聞こえた。

 

芦「切島? アンタも来てたの?」

 

砂「何処なんだいったい……」

 

 空間には切島と共に芦戸、砂藤が居た。

 

切「あれ? なんでお前らもいるんだ? 一体なんの共通点が……」

 

 切島が首を傾げていると後ろから声が聞こえた。

 

?「共通点は、こーゆー事だぜ!」

 

 声に反応し、切島達が後ろを振り向くと、全員が目を見開いた。

 

ダイゴ「お前らがコッチの世界のキョウリュウジャーかぁ! 会えて嬉しいぜぇ!」

 

切「もしかして……キョウリュウレッドの桐生ダイゴ!?」

 

ノブハル「うっはぁ! みんな若いなぁ!」

 

砂「あなたはキョウリュウブルー! 有働ノブハルさん!!」

 

アミィ「ワォ! 角の生えてる子がいるわ! それにピンク!」

 

芦「えぇえーー! キョウリュウピンクのアミィ・結月ィィィ!?」

 

 切島達の前に立ったのはキョウリュウジャーのレッド、ブルー、ピンクの変身者、"桐生ダイゴ" "有働ノブハル" "アミィ・結月"だった。

 

切「えぇえええ! て事はオレらのガブリボルバーが本物に近づいてるって事かぁ?」

 

芦「アタシらが1番使ってるから夢でシンクロしたってこと?」

 

砂「理屈わっかんねぇ〜……」

 

 切島達が困惑しているとダイゴが切島の肩に腕を回す。

 

ダ「理屈なんてどうだっていいじゃねぇか、お前らのブレイブがオレらと繋がったってことだよ」

 

切「なるほど!」

 

ノ「会えて嬉しいよ、砂藤力道くん♪ ノッさんって呼んで♪」

 

砂「あああありがとうございます! ノッさん!」

 

 砂藤はノッさんと固い握手を交わす。その隣では芦戸とアミィがハグをしていた。

 

ア「嬉しいわ! コッチのピンクはとってもキュート! 角も生えてて角の勇者にピッタリだわ!」

 

芦「アタシも会えてうれしーですぅ! 本物さんもとってもかわいーー!!」

 

 皆、互いに会えたことを喜び合った。

 

ダ「お前たちの戦いはガブリボルバーを通じて見ていた、全部ブレイブだったぜ!」

 

ノ「高校生とヒーローの両立だなんてひーろーうが溜まるでしょう?」

 

 ノッさんの一言で切島達は一斉に首を傾げる。

 

砂「あぁ! ヒーローと疲労の『ひーろー』をかけて!」

 

 砂藤がようやくギャグを理解したが、ノッさんは肩を落としていた。

 

ノ「さすがキョウリュウブルー……僕のギャグはわかってくれるんだね」

 

ア「ノッさんのギャグはこの子達にはまだ早いわよ」

 

ダ「でもよかったじゃねぇか、わかってくれたんだからよ」

 

芦「あ……なんかすみません」

 

 芦戸が頭を下げるとアミィは笑顔をで手を振った。

 

ア「大丈夫よ、いつものことだから」

 

 アミィが場を宥めるとダイゴが話を戻した。

 

ダ「今回オレたちが来た理由はただ一つ! 後輩のキョウリュウジャーに会いたかった! それだけだ!」

 

切「え!? それだけッスか!?」

 

ア「キング! それだけじゃないでしょ!!」

 

ノ「僕たちは会いに来たのと同時にアドバイスを送るために来たんだよ」

 

切「アドバイス?」

 

 切島が再び首を傾げるとダイゴ達は横一列に並び、切島達の前に立った。

 

ダ「いいか! オレたちキョウリュウジャーはブレイブを忘れねぇで戦っている! 自分の弱さも強さに変えろ!」

 

ノ「いつでもユーモアを忘れずに! ヒーローが笑ってないとみんなも笑わないよ!」

 

ア「やりたい事はなんでもやっちゃえ! 自分らしさをフルに使うのよ!」

 

 ダイゴ、ノッさん、アミィはそれぞれポーズを決めながら伝えたいことを並べた。

 

ダ「そんでもってエイジロー!」

 

切「うぉっ! オス!」

 

 ダイゴは切島にビシッと指を指した。

 

ダ「お前はオレたちには持ってねぇスッッゲェパワーを持ってる!それがなんだか分かるか?」

 

ダイゴは切島の肩に手を当て、問いかける。ダイゴの問いの答えにすぐに気付いた。

 

切「漢気……ッスよね?」

 

ダ「そうだぁぁ!! ブレイブと漢気の合体なんてオレたちには出来なかった! でもお前はそれが出来た! ガブティラも言ってるぜ! エイジローにはオレとは違う輝きのブレイブを持ってるってなぁ!」

 

切「マジすか!?」

 

ア「ミナちゃん、ドリケラも言ってたわ、貴女と闘っていると楽しいって」

 

芦「ドリケラが!? ちゃんと声聞いた事なかった……」

 

ノ「ステゴッチも、砂藤くんの周りは笑顔でいっぱいだって言ってたよ、僕のギャグより君の料理の方が人を笑顔にするみたい」

 

 砂藤にそう告げるノッさんの様子は何処か哀しそうだった。

 

砂「え、あ、き恐縮です!」

 

 三人が切島達にそう伝えると、ダイゴ達の足元が黒いモヤで包まれ始めた。

 

ダ「おっと、そろそろ時間だな」

 

ア「え〜もっとお話ししたかったのに〜」

 

ノ「モヤに包まれるなんて 『も〜や』だねぇ〜」

 

切「あぁ! そんな! オレも色々と聞きたかったのに……」

 

 切島が悲しそうな表情を見せるとダイゴは切島の肩に手を乗せた。

 

ダ「最後に一番大切なことを教えるぜ、いいか、オレ達は同じ戦隊だ! 戦隊は誰であろうと欠けちゃあいけねぇ、皆を信じてブレイブに戦え!」

 

 ダイゴは肩から手を離すと親指を立て、明るい笑顔を見せた。

 

切「コッチの獣電戦隊はオレ達に任せてください! 先輩達のブレイブは俺たちが受け継ぎます!」

 

 切島が気合の入った返事をするとダイゴ達キョウリュウジャーは安心の表情を浮かべた。

 

ア「キング、私達の心配は無用だったみたいね」

 

ノ「この子達、僕らが思っていた以上にたくましいや、このまま切磋『たくま』してね!」

 

砂「『たくま』しいと切磋『たくま』をかけたんですね、ノッさん」

 

ノ「しょーゆーこと♪」

 

 ノッさんが砂藤にウインクを送ると砂藤もウインクを返した。

 

ア「ミナちゃん、ちょっとだけいい?」

 

芦「はい?」

 

 アミィが手を招くと芦戸が近づく。すると芦戸の耳元でアミィが囁いた。

 

ア「そっちのレッドをよろしくね♪ レッドを狙えるのは赤の入ったピンクだけよ、ミーナちゃん♡」

 

芦「うぇぇ!? アアアタシと切島はそーゆーんじゃ……」

 

 芦戸が赤面していると三人を包んでいた黒いモヤが広がり、全身を包み混んだ。

 

ダ「うぉおお! もう限界みたいだな! ソレじゃあまたな!」

 

ノ「頑張ってねー! でも無理しないでねー!」

 

ア「応援してるわ! キョウリュウジャー!」

 

 ダイゴ、ノッさん、アミィの三人は笑顔で切島達に手を振るとモヤに包まれ、消えてしまった。

 

砂「行っちまったな」

 

芦「やっぱり元気な人だったぁ〜……それに抜け目なかった」

 

 キョウリュウジャーが消えてしまい、砂藤と芦戸は少し寂しそうな表情を見せる。しかし切島はキョウリュウジャーの消えた跡を見たまま、動かなかった。

 

芦「切島?」

 

 不思議に思った芦戸が切島に歩み寄った瞬間、切島は上を向いた。

 

切「ウォォオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

芦「うわっ! どーした切島!」

 

切島は急に天に向かい雄叫びをあげる。その大声に芦戸と砂藤は耳を塞いだ。

 

切「芦戸ぉ! 砂藤ぉ! オレ達スッゲェ体験したよなぁ! 上鳴や飯田も同じ事あったって言ってたけどオレ達の方がスッゲェよなぁ!」

 

 切島は芦戸と砂藤の肩を持ち、ブンブンと揺する。肩から手を離すと切島はガブティラの獣電池を取り出す。

 

切「見ていてくれよ! ガブティラ! ダイゴさん! オレは……オレ達はサイコーのキョウリュウジャーになるからなぁぁ!」

 

 切島は再び雄叫びを上げる。芦戸と砂藤は互いに向かい合い、静かに頷くと獣電池を取り出し、切島の隣に立つ。

 

砂「よっしゃあ! 一丁やったろうぜぇ!」

 

芦「雄英キョウリュウジャー! バモラー!」

 

 肩を並べた三人は獣電池を高く掲げ、雄叫びを上げた。




どうしても戦隊の対談を書きたかったので書かせていただきました!


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超ヒーロー対談その4

 皆様の感想で心が温かくなります^_^



 切島達がキョウリュウジャーと会っている最中、尾白も同じ現象に遭遇していた。

 

尾「…………」

 

 しかし尾白は戸惑っている。突然何もない空間に立たされ、目の前にいる男は体育座りをしているのだ。

 

尾「えーと……あなたはもしや……」

 

操「ジュウオウザワールド……門藤操だ……君は尾白猿夫くんだね」

 

 尾白は頷くと操の隣で体育座りをした。

 

尾「なんかあったんですか? そんなに俯いて、オレでよかったら聞きますよ?」

 

 尾白が操の顔を覗き込み、問いかけると操はより縮こまった。

 

操「いや……オレに……君に何かを話す資格はない……そもそも君に会う資格が……オレにはないんだ……」

 

 操が涙まじりの籠った声をだす。その瞬間尾白は焦り出した。

 

尾「いやいやいやいやどうしたんですか操さん! ありますよ資格! あなたがザワールドの先輩なんですから!」

 

 尾白は必死で操を宥める。すると操はゆっくりと顔を上げた。

 

操「そうか……? じゃあ少し話させていただく……」

 

 少し調子が落ち着いた操はゆっくりと話し始めた。

 

操「正直に言って……君は俺よりザワールドの使い方が上手い……武器の使い方も……野生大解放も……俺よりすごかった……」

 

 操は先程までと違い、スラスラと話すが、だんだんと声が籠ってきた。

 

操「俺よりすごい人に何のアドバイスをすればいいんだ……やはりオレに……話す資格なんて……」

 

 話していくうちに気分が落ちてきた操は再び縮こまり、自分の膝に顔を埋めてしまった。

 

尾「ああああそんな事ないですよ! オレーえーとあのガンロッドの釣り竿モード使えないですもん! オレ釣りやったことなくてぇ!」

 

 尾白は必死に言葉を選んでフォローする。すると操は尾白の方をゆっくりと向いた。

 

操「釣り……やった事ないのか?」

 

 操が聞くと尾白はウンウンと素早く頷いた。

 

操「そうか……そうか! なら俺が教えてやろう! 釣りは心を落ち着かせ、自分と対話する事ができるんだ!」

 

 急にテンションの上がった操は立ち上がり、釣り竿を取り出した。

 

尾「釣り竿ってここに海や川なんて……」

 

 釣り竿を持っていても釣りが出来ないだろうと尾白が辺りを見回すと尾白の後ろには湖が広がっていた。

 

尾「……マジ?」

 

操「さぁぁ始めるぞぉ! 尾白君もやってみるんだぁ!」

 

 操はハイテンションで釣竿を振り、針を湖に放り込む。しかし尾白は釣り竿の使い方が分からなかった。

 

操「釣り糸は、あまり糸を出さずに、振り子のように振ってから勢いをつけて……」

 

 尾白は操の言う通りに竿を振り、針を投げると遠くまで飛んでいき、湖に入った。

 

尾「あ、あんな遠くまで……! スゴイっす! このまま魚が来るまで待てばいいんですね?」

 

操「そうだよ、気長に待とう」

 

 二人は湖に針を入れると獲物が食いつくまで待つ。

 

尾「なんか……いいですね、綺麗な水面を眺めながらボーッとして……」

 

操「そうだろ? わかってくれてよかったぁ〜、大和たち……ジュウオウジャーのみんなからは苦い顔をされてたからなぁ」

 

 操はジュウオウジャーの皆に釣りを勧めた時の反応を思い出し、苦笑する。

 

操「でも、みんながいてくれたから俺は変われたんだ……気の弱かった俺は仲間がいてくれたから変われたんだ、君にも仲間はいるんだろ?」

 

 操は湖を眺めながら尾白に問うと、尾白はゆっくりと頷いた。

 

尾「います……大切な人が、俺も変われましたよ、操さんのおかげで普通普通って言われていた俺は、今は世界の王者です」

 

操「ハハッそれは嬉しいなぁ」

 

 二人は静かに笑いあう。すると尾白の釣り竿がピクと動いた。

 

尾「あっ! かかった!」

 

 すぐさま反応した尾白は急いでリールに手を掛ける。操もすぐさま尾白のサポートに回った。

 

操「すぐにリールを回すと魚に逃げられる! 少し油断させてから回すんだぁ!」

 

尾「はいっ!」

 

 尾白は操の言う通り魚を針にかからせる為に泳がせる。そして針がかかった瞬間、リールに手をかけ、一気に回した。

 

尾「釣れたっ!」

 

 尾白が竿を上げると針には魚がかかっていた。

 

操「おっ! ヤマメかぁ、大きいのが釣れたな、尾白くん」

 

 操が尾白の釣ったヤマメをバケツに入れると、操の体が黒いモヤに包まれた。

 

操「あぁ、もう時間か寂しいな」

 

尾「もう……行っちゃうんですね」

 

 尾白が寂しそうな表情を見せると操は尾白の肩に手を置いた。

 

操「大丈夫、君は俺より強い、頑張れよ! 世界の王者!」

 

 操が拳をゆっくりと突き出す。尾白はその拳に自分の拳を合わせた。

 

尾「はいっ! ありがとうございました!」

 

 操が微笑んだ瞬間、黒いモヤが操の体を包み、消えていった。

 

尾「……」

 

 尾白はバケツに入ったヤマメを見つめる。

 

尾「釣り……初めてみよっかな」

 

 尾白は釣り竿を持つと優しく微笑んだ。

 

 同じ現象はB組にも起きている。拳藤はゲキイエローの変身者、"宇崎ラン"と会っていた。

 

ラ「フーッ…………ハッ!」

 

拳「フッ!」

 

 ランと拳藤は組手をしている。ランの正拳突きを拳藤は横に叩き、軌道をずらす。そしてそのまま拳藤は右足のハイキックを向かわせた。

 

ラ「なんのっ! 根性ー!」

 

 ランはキックを腕で防ぐと、右足を肩に担ぎ、一本背負いの要領で拳藤を投げた。

 

拳「ウソっ!」

 

 拳藤は空中に投げられたが、体を捻り体勢を立て直し着地した。

 

拳「ウシッ!」

 

 拳藤は着地すると同時に拳を構える。その姿にランは拍手を送った。

 

ラ「さすがコッチのゲキイエロー、やるわね」

 

 ランは拳藤に歩み寄るとスッと手を前に出す。拳藤はその手を握り、握手を交わした。

 

拳「いえ、やっぱりランさんの方が強いですよ、正拳の速さ私の比じゃないですもん」

 

 二人はお互いを讃えるとその場に座り、肉まんを頬張った。

 

ラ「そっちも大変みたいね、結構クセのある子達をまとめてるんでしょ?」

 

拳「いやーまーソレほどでもぉ……ありますかね」

 

 拳藤は少し俯くと視線をランの反対の方に向けた。

 

鉄「うんめぇ! コレすーげー美味いっすね!」

 

ケン「そうだろぉ! ここのメンチカツはうめーんだよなぁ! 何個食っても飽きねぇ!」

 

ク「ワンダーメンチカツだな、こりゃいける!」

 

 拳藤の視線の先では鉄哲とゲキチョッパーの変身者"久津ケン" とキラメイシルバーの変身者"クリスタリア宝路" が大量のメンチカツをモリモリ食べていた。

 

ラ「大変ね……一佳ちゃん」

 

 ランが拳藤の肩に手を置くと拳藤は何も言わずに頷いた。

 

ラ「そうだ! これだけは伝えたかったんだ、一佳ちゃん、聞いてくれる?」

 

拳「あっ、はい!」

 

 ランが拳藤の前に立つと拳藤は気を取り直す。

 

ラ「私のモットーは『突きこそ基本! 魂込めて!』 これだけは受け継がせたかったの! 激獣チーター拳の後継者! 拳藤一佳! よろしくね! 押忍!」

 

 ランは足を肩幅まで開くと正拳突きを披露する。ランの正拳突きは疾く、そして真っ直ぐだった。

 

 

拳「押忍! 任せてください! マスターラン!」

 

 拳藤も正拳突きを繰り出す。拳藤の正拳突きも真っ直ぐだった。

 

ラ「エヘヘ、いい後継者に恵まれたな♪」

 

 ランが微笑むと体が黒いモヤに包まれる。

 

ラ「あっ、もう時間か……それじゃあね、一佳ちゃん、根性だよ!」

 

 ランが拳を突き上げると黒いモヤに包まれ、消えていった。

 

拳「押忍! ありがとうございましたぁ!」

 

 拳藤は消えていくモヤに向かい、頭を深く下げた。

 

鉄「じゃーなー! 先輩達ー!メンチカツごっそさんでしたー!」

 

 拳藤の後ろでは鉄哲がメンチカツを片手に手を振っていた。

 

拳「マジメにやれっ!」




次はストーリーを進めていこうと考えてあります!
時間を空けすぎないように努力していきます!
3ヶ月以上は空けないように頑張ります!


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爆裂 兎と亀

ようやくヒーローvs解放軍です(汗)
最初は蛇空病院の場面からです


 この日、全てのヒーローは超常解放戦線の一斉掃討を行なうべく、群訝山荘と蛇空病院、この二カ所に集められている。

 そして今、蛇空病院にプロヒーローが大勢向かっていた。

  

ミ「さっさと全員蹴っ飛ばして終わらせるか!」

 

 病院に向かっている最中、ミルコはウキウキした様子で歩いている。するとミルコの隣にピクシーボブが立った。

 

ピ「随分ご機嫌そうね、ミルコ」

 

ミ「ん? 誰だっけアンタ?」

 

 ミルコはピクシーボブの事を知らない、ピクシーボブは咳払いをすると笑顔で名乗った。

 

ピ「ワイルドワイルドプッシーキャッツのメンバー、ピクシーボブです、No.5ヒーローさん」

 

 ピクシーボブは笑顔で答えるとミルコはある事に気づいた。

 

ミ「アンタ……アタシのことキライだろ!」

 

ピ「キライな訳じゃないの、敵視しているだけです」

 

 ピクシーボブは笑顔を崩さない。しかしその背後には炎のようなものがメラメラと燃えているように見えた。

 

ピ「関西ではあの子がお世話になったようですねぇ」

 

ミ「あの子?」

 

 ミルコが首を傾げるとピクシーボブは携帯を取り出し、善彦とのツーショットが写っている待受画面を見せた。

 

ピ「この子ですよ〜、忘れたとは言わせませんよ」

 

ミ「あー! コイツかぁ! しっかり鍛えてやったなぁ!」

 

 ミルコはようやく善彦を思い出す。ピクシーボブは携帯をしまうとミルコに顔をズイと近づけた。

 

ピ「ホント、あの子から連絡が来た時はビックリしましたよぉ、『ミルコさんに稽古つけてもらいました! 立派なヒーローにまた一歩近づけました!』って文章が来たもんですから」

 

ミ「なんだ? 横取りされたとでも言いたいのか? アイツはアタシの弟子だ!」

 

 ミルコがキッパリと言い切るとピクシーボブは背中に背負っていた土豪剣激土に手をかけた。

 

ピ「いーえ、あの子は私の大切な人なんです! 手錠かけて不良にボコボコにさせるような人の弟子なんかではありません!」

 

 ミルコとピクシーボブは歩きながら睨み合う。すると蛇空病院の近くまで来ていた。

 

ミ「そろそろか……じゃあターゲットを先に捕まえた方がアイツに相応しいって事でいーよな?」

 

ピ「ちょっと! この状況で何言ってんの、そんなゲームをやってる場合じゃ……」

 

 ピクシーボブが止めようとした時、ミルコは誰よりも早く蛇空病院の奥へ跳んでいった。

 

ピ「あぁ! もう勝手なんだから!」

 

「え!? ピクシーボブ! どこ行くの!」

 

 マンダレイを無視し、ピクシーボブはミルコを追いかけていった。

 

虎「放っておけ、コレは女の戦いぞ、我らは早く病院の人間全員を退避させるぞ」

 

 虎はマンダレイの肩に手を置くとすぐに自分の仕事に取り掛かった。

 

「もおぉ! 世話が焼ける!」

 

 マンダレイがヤキモキしている時、ミルコは病院奥の霊安室の扉を蹴り破っていた。

 

ミ「たしかここの奥だよなぁ!」

 

ピ「待てこの! 抜けがけすんな!」

 

 ピクシーボブは跳びまわりながら隠し通路を進んでいくミルコを追いかける。するとミルコが何かに気づいた。

 

ミ「おいネコぉ! 見ろ見ろ!! メチャクチャ動いてるぞぉ!」

 

 ミルコはその場に立ち止まると笑顔を見せながら振り向いた。

 

ピ「動いてる? げっ!」

 

 ミルコに追いついたピクシーボブが通路の奥を覗くとピクシーボブの表情が一気に引き攣った。

 ピクシーボブは耳に付けられた通信機にゆっくりと手を伸ばした。

 

ピ「あのー、エンデヴァーさん? ピクシーボブです……いま霊安室の奥の隠し通路にいるんですけどぉ……脳無がたくさんいます!」

 

 ピクシーボブの目線の先には脳無が湧いて出ていた。

 

エ「そうか、すぐ向かう……と言いたい所だが、少し待ってろ!」

 

相「悪いな、取り込み中だ!」

 

 エンデヴァーや相澤先生は偽物の殻木を追い詰めた後、病院から出現した脳無と交戦していた。

 

相「マイク! 行けるか?」

 

《仮面ライダークロニクル》

 

マ「あたぼうよ! 行くぜ!」

 

 相澤先生はガシャットを取り出し、バグヴァイザーⅡを腰に装着する。プレゼントマイクは腰に手を回すと一冊の本を取り出し、ページを開いた。

 

《ヘンゼルナッツとグレーテル》

 

《とある森に迷い込んだ小さな兄妹の、おかしな冒険のお話…》

 

 マイクはライドブックを閉じると腰から音銃剣錫音を取り出し、ブックをセットした。

 

《ガシャット》

 

 それと同時に相澤先生はバグヴァイザーⅡにガシャットをセットした。

 待機音が鳴り響く中、マイクは逆手で持っていた錫音を持ち替え、トリガーを押した。

 

《ヘンゼルナッツとグレーテル》

 

 錫音にセットされたライドブックが開いたと同時にマイクは錫音を構え、一言。

 

マ「変身!」

 

《銃剣撃弾! 》

《銃でGO!GO! 否!剣でいくぞ!音銃剣錫音! 》

 

 マイクの身体がお菓子で包まれる。そして装甲がマイクに装着され、変身を完了させた。

 

《錫音楽章!甘い魅惑の銃剣が、おかしなリズムでビートを斬り刻む!》

 

相「変身……!」

 

 相澤先生もバグヴァイザーのボタンを押した。

 

《バグルアップ!》

 

《天を掴めライダー!刻めクロニクル! 今こそ時は、極まれりィィィィ!!》

 

 パネルが相澤先生の身体を通り、変身を完了させる。

 変身した二人は横に並び、脳無の前に立った。

 

相「悪いが、ここで時間を食ってる場合じゃない!」

 

マ「合理的に、だよな?」

 

 相澤先生はバグヴァイザーⅡをチェーンソーモードにすると、ボタンを押す。マイクはライドブックを取り出し、錫音にリードさせた。

 

マ「スナック・音・ザ・チョッパー!!」

 

《錫音 音読撃!イェーイ! 》

 

相「お前らの処分は除籍だ!」

 

《クリティカルサクリファイス》

 

 マイクが音銃剣錫音を横一閃に振り、お菓子のエネルギーを斬撃刃に乗せ、脳無に繰り出す。

 相澤先生はバグヴァイザーⅡを縦に振り下ろし、丸鋸型のエネルギー刃を繰り出した。

 

 十字に重なった斬撃波は立ち塞がる脳無を蹴散らした。

 

相「まだまだ出てくるな」

 

 大量の脳無を蹴散らしたが、脳無はまだ出てくる。しかしマイクは錫音を構え、仮面の中でニヤリと笑った。

 

マ「いい事教えてやるよ化け物共! 英語を早く覚えるには音読がいいんだぜ!」

 

相「指導のしがいがあるな!」

 

 マイクと相澤先生は武器を構えると脳無の群れに走った。

 

ピ「うーわー、あっち始まっちゃったよぉ」

 

 事の顛末を通信機で聞いていたピクシーボブは自分の目の前でワラワラと出てくる脳無を確認すると覚悟を決めた。

 

ピ「ったく! やるっきゃないか!」

 

 ピクシーボブは背中に背負っていた土豪剣激土を右手で掴むと、そのまま激土を振り下ろし、地面にめり込ませた。

 

ピ「佐竹くん……力を貸りるよ!」

 

 ピクシーボブはライドブックを取り出すとページを開いた。

 

《玄武神話》

 

《かつて、四聖獣の一角を担う強靭な鎧の神獣がいた…》

 

 ライドブックのページを閉じると激土にセットする。そしてトリガーを押し、ブックを開いた。

 

《玄武神話》

 

 そして激土を肩に担いで一言。

 

ピ「変身!!」

 

《一刀両断!》

 

 ピクシーボブの前に亀の甲羅を模した岩盤が出現する。ピクシーボブは激土を振り下ろし、岩盤を砕いた。

 

ピ「うぉおらっ!」

 

《ブッた斬れ!ドゴ!ドゴ!土豪剣激土!》

 

 砕かれた岩盤はピクシーボブに張り付き、装甲となる。変身を完了させると激土を地面に突き刺した。

 

《激土重版!絶対装甲の大剣が、北方より大いなる一撃を叩き込む!》

 

ミ「ゴッツい! マジかよ!」

 

 変身を間近で見ていたミルコはテンションが上がっている。

 その場でピョンピョンと跳ねているミルコを横に、ピクシーボブはライドブックを激土にリードさせた。

 

《玄武神話! ドゴーン!》

 

ピ「ミルコ! ちょっと下がってて!」

 

ミ「了解! なんかヤバそ!」

 

 ピクシーボブが構える激土の刀身に岩石が集まり激土が巨大化する。さらにピクシーボブの個性である『土流』で激土の力が強化され、刀身はさらに巨大になっていた。

 

ピ「大断断!!」

 

《会心の激土乱読撃! ドゴーン!》

 

 超巨大化した激土を縦に振り下ろす。激土の一撃は通路を塞いでいた脳無を全て粉砕した。

 

ミ「うぉぉお〜……おんもしれぇ〜!」

 

 一瞬の出来事にミルコは目を丸くしていた。

 

ピ「よしっ! じゃあこっからはスピーディーに行くよ!」

 

 ピクシーボブは激土を背中に背負うとスマホを取り出す。

 

《ガトライクフォン》

 

ミ「は? さっきのケータイ?」

 

 ミルコが首を傾げるとピクシーボブはガトライクフォンを上に放り投げた。

 

《ライドガトライカー!!》

 

 投げられたガトライクフォンは縦に畳まれ、三輪のトライクへと変形した。

 ピクシーボブはトライクに乗り込むとハンドルを捻り、エンジンを響かせ、トライクを走らせた。

 

ピ「じゃあお先!」

 

ミ「あっ! 待てコラぁ!」

 

 爆走するトライクをミルコは追いかける。

 

ピ「トライクと並走すんな! どんな脚力だ!」

 

 ライドガトライカーとミルコは並走していた。一人と一台で走っていると目の前から脳無が出現する。

 

ミ「っしゃあ! 蹴っ飛ばす!」

 

 脳無を発見した瞬間、ミルコが脳無に向かおうとする。しかしピクシーボブはトライクを前に出し、ミルコの前を走った。

 

ミ「オイネコ邪魔すんな!」

 

ピ「いーから下がってて!」

 

 ピクシーボブはハンドルのボタンを押すとライドガトライカーからガトリングガンを連射した。

 

「ギギャァァァァ!!」

 

 発射されたガトリングの弾で脳無はたちまち倒れていく。そして脳無をトライクで弾き飛ばしながら進んでいった。  

 

ミ「わーカッケー! アタシも乗せろ!」

 

 ミルコは飛び上がるとピクシーボブの後ろに飛び乗る。

 

ピ「こら突然乗るな! 楽すんな走れ!」

 

ミ「いーじゃねーかよ! イケイケー!」

 

ピ「ハァ……わかったよ、飛ばすからね!」

 

 ピクシーボブは呆れながらもアクセルを吹かし、全速力で走った。

 

殻「ハァ、ハァ、苦渋の決断じゃ!」

 

 一方その頃、通路の奥にある研究室では殻木が脱出の準備をしていた。

 

殻「ジョンちゃん! 今すぐワシと死柄木をワープさせるんじゃ!」

 

 殻木がお気に入りの脳無のジョンちゃんに駆け寄る。殻木に答えるようにジョンちゃんが口を開いた瞬間。

 

 ガシャァァァァ!!

 

「キャッ」

 

 研究室にトライクが突っ込み、殻木が複製した個性のストックを粉々に粉砕した。そしてトライクが吹っ飛ばした扉がジョンちゃんを押しつぶす。

 

殻「やぁあああああ!!!」

 

 殻木はショックで膝が崩れ落ちる。そして暴走するトライクを見た殻木が気付いた。

 

殻「誰も乗ってない?」

 

 ライドガトライカーには誰も乗っていなかった。そしてライドガトライカーが止まると、突っ込んできた穴の奥から足音が聞こえる。

 

ミ「ひとーつ、非道な悪いやつにゃ」

 

 足音は近づいてくる。そして上がる土煙の奥に二人の人影が見えてきた。

 

ピ「ふたーつ、震える大地の怒りを」

 

 一人の人影が剣を振るうと土煙が晴れ、二人の姿が見えた。

 

ミ・ピ「みーっつ! 見舞ってやるぜ! 問答無用ぉ!!」

 

 煙が晴れた先に見えたのはミルコと仮面ライダーバスターに変身しているピクシーボブだった。

 

殻「あァァあァァああ!!」

 

 ガンッ!!!

 

殻「ひぃっ!」

 

 耳障りな殻木の悲鳴をピクシーボブは激土を地面に刺し、その轟音で黙らせる。

 

ピ「アイツを先に確保した方が、あの子に相応しいのね、悪いけど先に行かせてもらうわ」

 

ミ「んだよぉ〜、結局乗り気なんじゃねぇか」

 

 ピクシーボブは激土を肩に担ぐとミルコと共に歩を進めた。

 

 




今回はプロヒーローを変身させてみました。
次は群訝山荘の方を書きます


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山中の開戦いざ候

群訝山荘編です

ワクチン接種2回目完了!
熱はあまり出なかったのですが万力で締め付けられるかのような頭痛がヤバかったです(汗)
今はカロナールのお陰でだいぶ良くなりました


 エンデヴァー達プロヒーローが蛇空病院に突入している時、群訝山荘でもヒーロー達が行動を始めていた。

 解放軍が潜伏する館の付近ではプロヒーローが集まっている。その中には雄英生も前線に入っていた。

 

上「何で俺が最前線なんスか!!? わぁーん!みんなが恋しい! A組が恋しいよぉおぉぉぉぉ!!」

 

 最前線に組み込まれた上鳴は情けない声を上げる。すると隣で立っていた善彦が上鳴の両肩に手を置いた。

 

善「だーいじょうぶだよ、自分らもついてるし、活躍するのは最初だけって先生らも言ってたでしょ?」

 

 喚き散らす上鳴とは反対に善彦は落ち着いている。善彦の様子を見た上鳴は少し平静を取り戻した。

 

上「そ、それもそうだな! ありがとよ佐た」

 

善「あ、ゴメンちょっと失礼、オボロロロロロロロロ!!」

 

 上鳴が落ち着いた瞬間、善彦は上鳴から離れ、人のいない場所で勢いよく吐いた。

 

上「ダメだーー!!! A組が恋しいヨォぉぉ!」

 

 吐きまくる善彦を見た上鳴は膝から崩れ落ち、再び絶叫した。

 

耳「はいはい静かにしましょーねっ!」

 

上「アダぃ!」

 

 喚き散らす上鳴の頭を耳郎は平手で叩いた。頭を抑える上鳴の横を通ると続いて善彦の元へ寄る。

 

耳「はーいコレからもっとキツイのが待ってるかもだからここで全部吐いちゃいなー」

 

善「面目ないで……ウゲェッ! ガボガボ!!」

 

 耳郎は善彦の背中をさすり、吐くことを促す。そして嘔吐が止まったのを確認すると耳郎はミッドナイトの元へ駆け寄った。

 

耳「すみません、バカとポンコツがご迷惑を」

 

ミ「いいのいいの、それにしても頼りになるわね、耳郎さん」

 

 耳郎が頭を下げるとミッドナイトは大丈夫だと手を振る。

 

ミ「あなた達は初動の要とも言える役割なの、荷が重いでしょうけど不甲斐ない大人を助けると思って」

 

ブ「それにここに集められたのは特撮知識豊富な佐竹くんが編成したプロヒーローチームだ、期待しているぞ」

 

 親指を立てるブラドキングの隣でミッドナイトが申し訳なさそうな表情を見せる。すると吐き終えた善彦と頭を抑えた上鳴が耳郎のとなりに立った。

 

上「不甲斐ないなんてそんなこと思ってませんよ」

 

善「そこまで言われたんならやってやるしかないでしょう、ね? みんな」

 

 善彦がそう言うと耳郎と上鳴は頷く。するとエッジショットの無線に連絡が入った。

 

エ「病院側が動いた! 我々も動くぞ!」

 

 エッジショットの声で森に潜伏していたヒーロー達は一斉に動き出した。

 

上「えー! もう! 早くないスカ!?」

 

耳「妥当な時間! いくよ!」

 

善「っしゃあ! 覚悟決めたぜぇ!」

 

 動き出したのと同時に三人はベルトを装着した。

 

《爆速バイク!》

 

《シグナルバイク!》

 

《ダッシュ》

 

 アイテムを起動させ、ベルトにセットすると一言。

 

上「レッツ!」

 

善・上・耳「変身!!」

 

《シグナルバイク! マッハ!》

 

《ラッシングチーター! 》

《Try to outrun this demon to get left in the dust.》

 

《爆走 独走 激走 暴走 爆走バイク!!》

 

 三人は変身を完了させると耳郎はまず善彦に跨った。

 

ミ「アレ? 上鳴くんは乗らないの?」

 

 いつもは耳郎の後ろに乗り、ニケツしていた上鳴だが、今回は耳郎の後ろに乗らなかった。

 

上「フフフ、実は今回、オレにも相棒ができたんですよ!」

 

 上鳴が指を鳴らすと上鳴の後ろから白いバイクが迫り、上鳴の隣で停車した。

 

上「オレの相棒! ライドマッハーです! サポート科に造って貰いました!」

 

 上鳴はライドマッハーに跨るとハンドルを捻り、エンジン音を響かせた。

 

ブ「だが上鳴、お前バイクの免許は……」

 

上「持ってます!」

 

ブ「なら良し!!」

 

 心配するブラドキングに上鳴は自身の免許証を見せる。ブラドキングが安心すると同時に森に潜伏していたヒーロー達が一斉に群訝山荘へと走り出した。

 

耳「行くよ佐竹! 気合入れな!」

 

善「乗ってくれるの久しぶりっスね! テンションノリノリでさぁ!」

 

上「全部マッハで片付けるぜぇぇ!」

 

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!

 

 プロヒーローが走り出すと同時に耳郎と上鳴はバイクを走らせる。集まっていた森を抜けるとまずセメントスが前に出た。

 

セ「開けます!」

 

 セメントスが解放戦線の館の石床に手をつけると床のセメントが波打ち、そのまま館の壁を大きくこじ開けた。

 

善「わぁスッゲェ! こんな柔らかく!?」

 

 ゼリーのように崩れるセメントを目の前に善彦が仰天していると館から一人の男が歩み出てきた。

 

「死柄木など待つからこうなる、始めてしまえばよろしいのだ……今ここより、解放を!!」

 

 男を皮切りに館から解放戦士が出てくる。解放戦士を目の前にエッジショットが後ろを向き、皆に伝えた。

 

エ「一人たりとも逃すな! 彼らは訓練されている! 全員が目的成就に命を懸ける! 一人逃せばどこかで誰かを脅かす! 守る為に攻めろ!」

 

 エッジショットがヒーロー全員に伝えると上鳴は耳郎と善彦の方に目を向けた。

 

上「守る為に……攻める!」

 

 上鳴がハンドルを強く握ると、解放群の男がスタンガンを取り出し、自分の手のひらに押し付けた。

 

「数は無意味、『増電』増やして放つ! 我が個性こそ最強にして至高!」

 

 スタンガンの電気が男の体で増幅し、辺りに広がる。そしてヒーローに向け、一気に電撃を放った。

 

《制圧放電 雷網!》

 

上「マッッッハァァァァ!!」

 

「!?」

 

 放たれた電撃に上鳴はライドマッハーと共に前に出る。そして上鳴が雷網に突っ込むと電撃が上鳴に吸収された。

 

「電撃が吸われている!?」

 

上「ハイ! 幹部一名無力化成功!」

 

 上鳴はライドマッハーのシートに立ち上がるとそのまま飛び上がった。

 

上「うぉら!」

 

「ガハッ!?」

 

 飛び上がると同時に上鳴は飛び蹴りをスタンガンの男に繰り出し、男を吹っ飛ばした。

 

上「後衛に心配かけねー為にも、皆さんパパッとやっちゃて!」

 

 上鳴が着地し、ポーズを決めると解放戦士が勢いよく向かってきた。

 

「舐めんなクソガキィィ!」

 

耳「舐めてないからこの人数なんでしょうが」

 

 向かい来る解放戦士の前に耳郎と善彦がドリフトで現れる。そして解放戦士にアタッシュショットガンを向けた。

 

「うぉっ! し、ショットガン!?」

 

 向けられたショットガンに向かってきた解放戦士がたじろぐ。

 

善「耳郎さん、自分もやるっス」

 

耳「ハイよ」

 

 善彦がそう言うと耳郎はギリギリチャンバラのガシャットを善彦のドライバーに挿し、カバーを開いた。

 

善「三速!」

 

《ギリ・ギリ・ギリ・ギリ!チャンバラ〜!》

 

 レベル3になった善彦はガシャコンスパローを取り出し、ギリギリチャンバラガシャットを装填させた。

 

《キメワザ!》

 

善「準備完了〜」

 

《リボルバー!》

 

 ガシャコンスパローを構えた善彦に続き、耳郎はガトリングヘッジホッグプログライズキーを起動させるとアタッシュショットガンに装填させる。

 

《Progrise key confirmed. Ready to utilize.》

《ヘッジホッグズアビリティ!》

 

 プログライズキーを装填させると一度アタッシュモードに戻し、再度ショットガンモードに展開した。

 

《チャージライズ! フルチャージ! 》

 

 エネルギーが充填されたショットガンを解放戦士に向ける。そして二人はトリガーを引いた。

 

《ギリギリクリティカルフィニッシュ !》

 

《ガトリングカバンバスター!》

 

 善彦のスパローから無数の矢が発射される。耳郎のショットガンからは針型のエネルギー弾が一斉に解放戦士に向かった。

 

「マジで撃ってきやがったヒーローがショットガンをよぉ!」

 

 発射された矢と弾に解放戦士は逃げ惑う。しかし弾も矢も解放戦士に一発たりとも当たらなかった。

 

耳「か・い・か・ん CHU♡」

 

 耳郎はアタッシュショットガンを掲げると銃身に唇をつける。

 するとバイクに戻った善彦が耳郎をチョンチョンと突く。

 

善「牽制作戦成功、早くズラかりますよ」

 

耳「そうだね、上鳴も行くよ!」

 

上「オッケー!」

 

 耳郎が善彦に跨ると耳郎の後ろに上鳴は乗り、耳郎の腹に手を回した。

 

上「あ〜懐かしき耳郎ちゃんのお背中♪」

 

耳「なんでウチの後ろに乗るんだよ! 自分のバイクあるだろ!」

 

 耳郎が突っ込んでいると善彦がアクセルを吹かす。

 

善「いいから早く行きますよ! こっからはプロの出番なんですから!」

 

上「そゆこと! 運転お願いね! 電気エネルギー分けっからさ!」

 

 上鳴はスタンガン男から吸収した電力を善彦のエンジンに送った。

 

耳「あーもー! しょうがねーな!」

 

 耳郎はアクセルを捻るとバイクを走らせ、前衛から離れた。善彦が離れるとライドマッハーは自動で善彦の後をついていった。

 

リュ「まったく無茶するねぇ、アンタのトコの生徒」

 

ミ「でもアレがいいのよ、あのチームプレイがあの子達の売りなんだから」

 

 善彦達から離れた場所ではミッドナイトと本来、蛇空病院のチームであったドラグーンヒーロー"リューキュウ" が善彦達の様子を見ていた。

 

ミ「さてと、あの子達の出番が済んだことだし、そろそろ私の出番かな」

 

 ミッドナイトは頃合いを見計らうとヘアゴムを取り出し、髪を後ろでまとめた。

 

リュ「え? なんでポニーテールに?」

 

 リューキュウが疑問に思っているとミッドナイトの隣にエッジショットが立つ。

 

エ「手早く決めるぞ」

 

 エッジショットが懐に手を回すと、一冊の本を取り出した。

 

《猿飛忍者伝》

《とある影に忍は疾風! あらゆる術でいざ候…》

 

 ライドブックを閉じると後ろに手を回し、腰に装備していた風双剣翠風を取り出した。

 

ミ「私も行きますね」

 

 ミッドナイトがゆっくりと両手を前に出すと煙が出現する。煙の中に手を伸ばすと剣が出現した。

 

《煙叡剣狼煙》

 

 ミッドナイトが煙叡剣狼煙を左手に持ち変えると一冊の本を取り出す。本に吐息を吹きかけると表紙が開いた。

 

《昆虫大百科》

《この薄命の群が舞う、幻想の一節…》

 

リュ「わっ、色っぽい……」

 

 リューキュウが思わずつぶやくとミッドナイトはライドブックを閉じ、エッジショットと共にライドブックを聖剣にセットした。

 

 まずはエッジショットが風双剣翠風を二本に分断させ、ライドブックを開かせる。

 

《猿飛忍者伝!》

 

 二本になった翠風を構え、一言。

 

エ「変身!」

 

《双刀分断!》

《壱の手、手裏剣!弐の手、二刀流!風双剣翠風! 》

 

 緑の旋風がエッジショットの体を包む。エッジショットが二本の刀を振り下ろすと仮面ライダー剣斬へと変身を完了させた。

 

《翠風の巻!甲賀風遁の双剣が、神速の忍術で敵を討つ!》

 

 ミッドナイトも狼煙を構え、トリガーを押し、ライドブックを開かせて一言。

 

ミ「変身」

 

《狼煙開戦! 》

 

 橙色の煙がミッドナイトを包み込む。

 

《FLYING! SMOG! STING! STEAM! 昆虫CHU大百科! 》

《揺蕩う、切っ先!》

 

 煙が晴れた頃にはミッドナイトは仮面ライダーサーベラに変身を完了させていた。

 

エ「仮面ライダー剣斬……いざ参る!」

 

 エッジショットは地面を蹴ると解放戦士の群に飛びかかった。

 

《ニードルヘッジホッグ》

 

 エッジショットはライドブックを取り出すと翠風にリードさせた。

 

エ「忍法……疾風千枚通し・雷電!」

 

《翠風速読撃!ニンニン! 》

 

 エッジショットが空中で翠風を振ると金色の針が緑の旋風に乗り、多くの解放戦士の体を貫いた。

 

「カハッ!」

 

エ「肺に小さく穴を開けた、暴れれば死に至る危険はあるが、安静にしていればすぐ治る」

 

 エッジショットが着地すると続いてミッドナイトが宙を舞った。

 

ミ「蝶のように舞うわよっ!」

 

《狼煙霧虫!》

 

 ミッドナイトが狼煙のボタンを押すと自身の体が煙に変わる。

 

 煙となったミッドナイトは解放戦士達を包み込んだ。

 

「なんだこの煙! うっ……眠気が……急に」

 

 ミッドナイトが変化した煙は個性の『眠り香』が合わさり、多くの解放戦士を眠らせた。

 

ミ「ダメ押しよっ!」

 

 ミッドナイトは上空で煙化を解除させると蝶の羽を生やして宙を舞う、そして狼煙のボタンを二回押した。

 

《狼煙霧虫!》

《煙幕幻想撃!》

 

 ミッドナイトが空中で狼煙を振り下ろすと赤い煙の刃が解放戦士に向かい、直撃した。

 攻撃が当たった戦士や当たらずとも煙を吸った戦士もその場で倒れ、眠っていく。その様子をミッドナイトは宙を舞いながら眺めていた。

 

ミ「この力、私にジャストフィットね」

 

 仮面ライダー二人に解放戦士が手間取っている最中、館の中のある一室ではある事が起きていた。

 

ト「どうなってんだよ……なぁ?」

 

 解放軍の館の一室、その中ではトゥワイスが戦国ドライバーを巻いた状態で無数の羽根に囲まれていた。

 

ホ「襲撃日時は暗号でやりとりしました、いやー、めちゃくちゃ大変でしたよ」

 

 トゥワイスの目の前にはNo.2ヒーローのホークスが立っている。

 

ト「なぁ……おい!」

 

 トゥワイスが荒げた声を出そうとした瞬間、ホークスの羽が戦国ドライバーのベルトを攻撃し、トゥワイスの腰から外した。

 

ト「おい……なぁって……ねぇ」

 

 トゥワイスの目には涙が溜まっていた。




次は病院編にしようと思っております


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共闘ウサカメ

交互に展開を考えていくのは結構楽しいです


 蛇空病院に突入して数分、ヒーロー対 脳無の戦いは激しくなっていた。

 

「おいマンダレイ! 院内の避難は!?」

 

「丁度最後の一人が済んだとこ!」

 

 ここで蛇空病院に入院していた患者が全員避難する。その報告を受けた瞬間、仮面ライダースラッシュに変身していたマイクが仮面の中で口角を上げた。

 

マ「OK! そんじゃこっからは本気出すぜぇ!」

 

《ブレーメンのロックバンド》

 

《とある戦いを強いられた動物達が奏でる、勝利の四重奏…》

 

 マイクはライドブックを開くと音銃剣錫音のモードを切り替えた。

 

《銃奏》

 

 ライドブックを錫音にセットするとトリガーを押した。

 

《銃剣撃弾!》

 

《剣で行くぜ!NO!NO!銃でGO!GO!BANG!BANG!音銃剣錫音! 》

 

《錫音楽章!甘い魅惑の銃剣が、おかしなリズムでビートを斬り刻む!》

 

マ「イィィィィイイィィィエエエェェェェェェアァァア!!!!!!!!!!」

 

 マイクの左腕にアンプ型の装備が着けられた瞬間、急にマイクのテンションが上がり、シャウトが院内に響いた。

 

エ「ウグゥゥ!! なんだこの声は! 鼓膜が破れそうだ……」

 

 エンデヴァーを含め、院内にいるヒーローは全員耳を塞ぐ。マイクのシャウトを聞いた脳無は数匹が白目を剥いて倒れた。

 

相「おいマイク、声を抑えろ! 他のヒーローも巻き込むな!」

 

 相澤先生がマイクに叫ぶが、マイクは自分の声で周りの声が聞こえていなかった。

 

マ「こちとらテメェらのせいでハラワタが煮えくりかえってモツ煮なんだヨォォオオォォオ!!! ご一緒に弾丸(マメ)はいかがですかァァィィィ!」

 

 マイクは上体を逸らしながら錫音を乱射する。放たれた弾丸は全て脳無に直撃した。

 

マ「俺の剣は、響きが違うぜェェェ!!」

 

エ「あんなテンションなのに全段命中とは……」

 

ロ「頼もしいけどコッチも限界が来ちまうよ!!」

 

 ヒーロー達は耳を抑えたままその場で動けなくなっていた。院内ではマイクだけが縦横無尽に暴れ回っている。

 

マ「キモちわりぃバケモンがウジャウジャとよぉ!」

 

《ブレーメンのロックバンド! イェーイ! 》

 

 マイクはライドブックをリードさせると錫音に青色のエネルギーが充填される。そして脳無に照準を合わせ、トリガーを押した。

 

《錫音音読撃!イェーイ! 》

 

マ「ガンズ・アンド・ミュージック!!」

 

 錫音から青色の光弾が脳無に炸裂する。ホーミングする光弾は多くの脳無を蹴散らした。

 

マ「イェェェエエェェ!! ロックンロールだぜェェェェ!!!」

 

 マイクは足を大きく開き、再びシャウトを上げた。

 

《ポーズ》

 

マ「ん?」

 

《リスタート》

 

 次の瞬間、マイクの変身は解除され、テンションが元に戻った。

 

マ「あれ? 一体何が……」

 

 ゴツン

 

マ「イタイッ」

 

相「早く行くぞ」

 

 困惑しているマイクの頭を相澤先生が小突く。相澤先生の手にはブレーメンのロックバンドのライドブックが握られていた。

 

 そして蛇空病院の奥深くの研究所ではミルコとピクシーボブが殻木と対峙していた。

 

ミ「強そうな脳無とジジイがいた」

 

ピ「殻木を発見しました、これより確保を」

 

ミ「本物か調べる!!」

 

 通信を取るピクシーボブの横でミルコは殻木に向かい飛び出した。

 

ピ「あぁコラ!」

 

殻「あああああ!! 本物じゃ! ワシ本物じゃ!」

 

 殻木は情けない声を上げながらミルコから逃げる。ミルコは瞬時に殻木に追いつき、大きく足を振りかぶった。

 

ミ「蹴りゃわかる」

 

 ミルコの脚が殻木に叩きつけられようとした時、小さな脳無がミルコに体当たりした。

 

ミ「あ!?」

 

 脳無の体当たりでミルコの蹴りが外れる。ピクシーボブは飛び上がり、土豪剣激土で脳無を両断した。

 

ピ「邪魔すんな!」

 

 二人が脳無に気を取られた瞬間、殻木は白衣のポケットからリモコンを取り出した。

 

殻「奇跡じゃ、守ってくれたんじゃなぁ……ワシを守って……うぅうぅ、モカちゃんの勇気、無駄にはせんぞ!」

 

 殻木がリモコンを操作すると脳無が入っていたカプセルに電流が流れ、次々と脳無が飛び出してきた。

 

殻「忌まわしきヒーローを共を蹂躙せよ! 愛しきハイエンド達!」

 

 カプセルから飛び出したハイエンドはミルコを張り手で突き飛ばした。

 

ピ「ミルコッ!」

 

 ピクシーボブは瞬時に走るとミルコを壁に激突する寸前で受け止めた。

 

ピ「大丈夫!?」

 

ミ「ってぇ! サンキューなカメネコ! 殴られた瞬間蹴り飛ばしてやったぜ!」

 

 ミルコはピクシーボブの腕の中で鼻血を拭くと笑みを浮かべる。ミルコを突き飛ばしたハイエンドの右手は手首から先が無かった。

 

「〜〜〜〜おっ」 「えこっ」

 

 ハイエンドの右手はすぐに再生すると五体のハイエンドが向かってきた。

 

「ヒ……ロ……」 「久し……ぶり」

 

「全部コロして……暴れましょ」

 

 つたない言葉でハイエンドは歩を進める。

 

殻「頼むぞハイエンド達!」

 

 殻木は椅子に座ると椅子と共に研究室の奥へと逃走した。

 

ミ「逃がすかよジジイィ」

 

ピ「先にコイツらを片付けないとね」

 

 ピクシーボブは激土を肩に担ぐとハイエンドと対峙する。ミルコは耳をすまし、研究所の奥の音を聞いた。

 

ミ「カタカタカタカタやってんなぁ〜」

 

ピ「ターゲットは奥ね」

 

 ミルコが殻木の居場所を見つけた瞬間、ミルコは床を強く蹴った。

 

ミ「まずはジジイだ!!」

 

ピ「コッチは任せて! 来やがれ化け物共!!」

 

 ミルコはハイエンドを飛び越え、殻木の元へ走った。ピクシーボブは激土を構え、ハイエンドへと走る。

 

「蹂躙せよト ソ そういう指令だ」

 

 殻木に向かうミルコにハイエンドの一体"アバラちゃん" が頭の触手を伸ばし襲わせる。

 

ピ「うぅらぁ!」

 

 ミルコに届こうとした触覚をピクシーボブは斬り落とした。

 

ピ「邪魔させるかってんだ!!」

 

 ピクシーボブが激土を肩に担ぐとハイエンドの"ゾウさん" と "ウーマンちゃん" がピクシーボブに襲いかかってきた。

 

《玄武神話! ドゴーン!》

 

 ピ「大断断!」

 

《激土乱読撃!》

 

 ピクシーボブは瞬時にライドブックを読ませると巨大化した激土を横凪に振るった。

 

「ギャッ!」「ウグッ」

 

 ゾウさんとウーマンちゃんの半身は一瞬で崩れる。激土を振り抜いたピクシーボブの背後にはアバラちゃんの触手が迫ってきていた。

 

ミ「踵月輪(ルナ・リング)!!」

 

 ピクシーボブに迫っていた触手にミルコの踵が落とされる。ミルコはピクシーボブの後ろに立った。

 

ピ「サンキュー、うさちゃん」

 

ミ「うっせぇ! 助けられてばっかなのはシャクなんだよ!」

 

 二人は互いに背中を合わせると笑みを浮かべる。すると二人にアバラちゃんの触手が向かう。

 

「ジュ、蹂躙……すル」

 

 ピクシーボブは一冊のブックを取り出した。

 

《ジャッ君と土豆の木》

 

《とある少年がふと手に入れたお豆が、巨大な木となる不思議な話…》

 

 ブックを激土にセットし、トリガーを押す。左腕に豆のツタを模した装備が装着された。

 

《激土重版!絶対装甲の大剣が、北方より大いなる一撃を叩き込む!》

 

ピ「うりゃあ!」

 

 ピクシーボブが左腕を前に出すと腕から豆のツタが伸びる。

 ツタはアバラちゃんの触手と絡まり、ツタと触手が一本に繋がった。

 

「ッグ……戻セなイ……」

 

 アバラちゃんの触手が引っ込めなくなった瞬間、ミルコは跳び上がった。

 

ミ「てんめェェ〜〜〜!!」

 

 ツタと触手の上を走り、アバラちゃんに迫る。ミルコが脚を振りかぶった瞬間、左腕に激痛が走った。

 

ミ「痛ってぇぇ!」

 

 アバラちゃんの奥で、頭にアーマーをつけたハイエンド"ロボットちゃん" がミルコの左腕の空間を曲げ、腕を捻り切ろうとしていた。

 

「チョ、チョコマカと……!」

 

 ミルコの左腕はバキバキと音をたて、折れようとしている。ロボットちゃんが突き出していた右腕を更に捻り、ミルコの腕を千切ろうとした瞬間。

 

ピ「させるか!!」

 

 ピクシーボブが左腕から土豆を発射し、ロボットちゃんの身体に無数の穴を開けた。すると空間を曲げていた個性が消え、ミルコの左腕が千切れずに済んだ。

 

「ナ、ナニ……豆で穴が……」

 

 自身の身体に穴が空いたことにロボットちゃんが戸惑う。その瞬間、ミルコがロボットちゃんの頭を両脚で挟んだ。

 

「臆サず飛び込ンデクルとは」

 

 ロボットちゃんの眼に光りが帯びる。その時ミルコは笑みを浮かべた。

 

ミ「咄嗟に遠距離出す奴ァ、近距離 弱ぇと決まってる」

 

 ロボットちゃんの隣ではアバラちゃんとピクシーボブの綱引きが行われていた。

 

「離セ! キサま!」

 

 アバラちゃんはピクシーボブの力に必死に抵抗している。ピクシーボブは左腕だけでハイエンドと張り合いながら、激土にブックを読み込ませた。

 

《玄武神話! ドゴーン!》

 

 読み込ませた瞬間、ピクシーボブの左腕から無数の豆のツタがアバラちゃんに向かい伸びる。そしてアバラちゃんにツタが絡まった。

 

「ググッ! 動ケぬ!!」

 

 アバラちゃんの身動きを封じるとミルコの方を向く。

 

ピ「行くよミルコ!!」

 

ミ「はいよぉ!」

 

 ピクシーボブが声をかけた瞬間、ミルコは体を逸らし、ロボットちゃんの眼から放たれた光線を避けた。

 

ミ「月頭鋏(ルナ・ティヘラ)!!」

 

 ミルコはロボットちゃんの頭を千切るとそのまま千切った頭をフランケンシュタイナーの要領で地面に叩きつけた。

 

《会心の激土乱読撃!》

 

ピ「大旋断!!」

 

 ピクシーボブは地面から足を離すと自身がツタに引っ張られる勢いを乗せ、アバラちゃんの身体をバラバラに切断した。

 

「ジュ……蹂り……ン……」

 

「お……ノ……れ……」

 

 二体のハイエンド脳無が地面に倒れる。

 ピクシーボブとミルコは二人横に並んだ。

 

ピ「なるほど頭を潰せば動かないのね、バラバラにしても動かないっぽい」

 

 ピクシーボブがハイエンドの亡骸を確認するとミルコは笑みを見せる。

 

ミ「ドタマ潰しゃあ止まンなら、むしろそこらの敵よかよっぽど楽だ!」

 

 二人の目の前では身体の再生を終えたゾウさんとウーマンちゃんが立ち上がっていた。

 

ミ「こちとらいつ死んでも後悔ないよう毎日 死ぬ気で息してる! ゾンビにヒーローミルコは……」

 

 ミルコは突然言葉を止める。そしてピクシーボブの肩に手を置くとハイエンド脳無の二体に笑顔を見せた。

 

ミ「こんなゾンビにヒーローミルコとピクシーボブは殺れねぇぞ!」

 

 ピクシーボブは仮面の中で笑顔を浮かべると激土をハイエンド脳無に向けた。

 

ピ「そーゆーこと! ウサカメパワー舐めんなよ!!」

 

 ピクシーボブは激土を肩に担ぐとミルコと共にハイエンド脳無に向かった。

 

 




次は山荘の方を書きます。
話の形は少し固まっているのでなる早で頑張ります!


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幸せな人生

時間ができたのでようやく出せました。


 ここまで、誰にも気付かれずにやってきた、気取られずに、慎重に、そして今、こちらが優勢になっている。後は自分がミスらないようにすればいいだけ。

 たとえ良いやつが相手であろうと、絆されることの無いようにしなければならなかったのに。

 

荼「絆され(ミスっ)てんじゃねーか! ヒーロー!!」

 

 ホークスは今、激しい蒼炎を上げる荼毘と対峙している。トゥワイスを仕留めようとした瞬間を荼毘に攻撃され、ホークスの個性の要である羽根は多く焼かれてしまっていた。

 

荼「"武器"がだいぶ減っちまったな」

 

ホ「仲間も燃えるところだったぞ」

 

 ホークスがボロボロに燃えた上着を脱ぎ捨てると荼毘は不気味に口角を上げる。

 

荼「大丈夫、ヒーローってのァ……咄嗟に人命救助しちまうもんだ」

 

 ホークスの隣にはトゥワイスが横たわっていた。

 

ホ「皮肉が冴えてるね、わかってたような勢いだったけど……バレてた?」

 

 荼毘の手にはネビュラスチームガンが握られている。

 

荼「バレるも何も……最初から何も信じちゃいねぇ」

 

《ギアエンジン!》

 

 荼毘はギアエンジンをネビュラスチームガンに装着すると、銃を掲げた。

 

荼「潤動」

 

《ファンキー!》

 

 引き金を引くとネビュラスチームガンの銃口から発射された煙が荼毘の身体を包んだ。

 

《エンジンランニングギア!》

 

 エンジンブロスに変身した荼毘はスチームブレードを構えながらホークスに歩みよると、横たわっていたトゥワイスが急に起き上がる。

 

ト「燃やせぇ!」

 

 トゥワイスはホークスから離れると同時に、戦国ドライバーとロックシードを即座に拾い、腰に装着した。

 

《マツボックリ!》

 

ト「変身っ!!」

 

 戦国ドライバーにロックシードを装着すると、カッティングブレードを倒し、鎧を装着させた。

 

《マツボックリアームズ!一撃インザシャドウ!》

 

 仮面ライダー黒影に変身したトゥワイスは変身完了と同時に自分の分身を作り出し、荼毘の横に立った。

 

荼「最高だぜトゥワイス、さぁ邪魔者の掃除と行こうぜ」

 

ト「うぉおおおおおお!!!」

 

 荼毘の一言でトゥワイス達は長槍の影松を高く掲げ、雄叫びをあげた。

 

ホ「マズいな……変身した奴が相手じゃ、焦げた羽根で太刀打ち出来ない……」

 

 荼毘とトゥワイス達はホークスに向かい、歩を進める。しかしホークスは突然、口角を上げた。

 

ホ「だけど俺の弱点は俺が一番知っている。だからツクヨミくんにお願いして届けてもらったんだよ」

 

 ホークスはそう言うと腰に何かを装着した。

 

荼「あれは……」

 

 荼毘の足が止まった瞬間、ホークスはポケットから取り出した物を起動させた。

 

《インフェルノウィング! 》

 

 プログライズキーを起動させると腰に着けたスラッシュライザーに挿しこんだ。

 



《バーンライズ! 》

《 Kamen Rider…Kamen Rider…Kamen Rider…》

 

 ホークスはゆっくりとスラッシュライザーの引き金に手を添える。そして目線を前に向け、一言。

 

ホ「変身」

 

荼「させるかよ」

 

 荼毘が変身途中のホークスに蒼炎を放つ。ホークスが引き金を弾くかのように押した瞬間、スラッシュライザーから赤い炎の鳥が飛び出し、蒼炎を弾いた。

 

《スラッシュライズ! 》

 

 炎の鳥はホークスの背後に降りると紅蓮の翼でホークスを包み込む。そして翼が広げられた時、ホークスは変身を完了させていた。

 

《バーニングファルコン! 》


《"The strongest wings bearing the fire of hell." 》

 

ホ「仮面ライダー迅……これが俺のもう一つの姿だ」

 

 変身したホークスが翼を広げると、そこから炎が飛び出す。その炎は周りを包んでいた蒼炎を紅蓮の炎へと変えた。

 

荼「なるほどね、羽根が燃えるのが弱点なら、自分がすでに燃えちまえばいいわけだ」

 

 荼毘は床を蹴るとスチームブレードを振り下ろす。ホークスはスラッシュライザーを手に取ると、荼毘の剣を受け止めた。

 

ホ「そーゆーことだよっ!」

 

 ホークスが荼毘の剣を弾いて距離を取る。すると大勢のトゥワイスがホークスに襲いかかった。

 

ト「死ねぇぇぇぇええ!!」

 

 長槍の影松がホークスに届こうとした刹那、ホークスは背中から鋼鉄の翼を広げた。

 

ホ「俺の個性を忘れてないか?」

 

 ホークスの翼から炎の羽根が発射される。炎の羽根はホークスを囲んだトゥワイスの分身を一瞬で蹴散らした。

 

荼「あーらら、仮面ライダーの力と個性が組み合わさってんのか」

 

 荼毘はトゥワイスの前に出ると、向かってきた羽根を歯車のエネルギーで防御した。

 

荼「ほらよっ!」

 

ト「行くぞこの屑野郎が!!」

 

 荼毘が歯車をホークスに放つと、それと同時にトゥワイスが次々と分身を増やし、ホークスに向かわせる。

 

《インフェルノウイング!》

 

 向かいくる歯車とトゥワイスを前にホークスはプログライズキーのボタンを押す。そして刀身に炎を纏ったスラッシュライザーの引き金を押した。

 

《バーニングレイン!》

 

ホ「ハァッ!!」

 

 ホークスは歯車のエネルギーをスラッシュライザーで弾き飛ばす。そして翼を広げると回転しながらトゥワイス達に突っ込んだ。

 

 二 

  ン

   グ  レ イ ン

 

 ホークスは回転しながらトゥワイス達を斬りつける。全てのトゥワイスを斬り伏せると最後の一太刀を荼毘に振り上げた。

 

荼「速すぎだ……鷹見啓悟!!」

 

 荼毘が名前を口にした瞬間。ホークスの手が一瞬止まった。

 

ホ「何故 俺の名前を知って……」

 

《マツボックリスカッシュ!》

 

ト「ウリャアァァァ!!」

 

 ホークスの手が止まり、一瞬の隙ができた瞬間。トゥワイスの渾身の突きがホークスに直撃した。

 

ホ「グゥッ!!」

 

 まともに突きを喰らったホークスは吹き飛び、部屋の壁を突き破る。トゥワイスは影松を構えると荼毘の前に立った。

 

荼「助かったぜトゥワイス、おまえ一人いればヒーローなんて蹴散らせる。連合のみんなが待ってるぜ」

 

 荼毘がトゥワイスの肩に手を置く。するとトゥワイスは槍を強く握った。

 

ト「あぁ……ああ!!」

 

 トゥワイスは強く頷くと部屋の扉に向かって走る。トゥワイスが部屋を出ようとした瞬間、ホークスが前に立ちはだかった。

 

ト「どけやあああ!!」

 

 トゥワイスは分身を作りながらホークスに突っ込んだ。ホークスはベルトにスラッシュライザーを戻すとプログライズキーのボタンを押した。

 

《インフェルノウイング》

 

ト「だぁぁぁああああ!!!」

 

  全員のトゥワイスはカッティングブレードを三回倒すとホークスに突っ込んだ。

 

ト「皆を守らなきゃあ! 守れトゥワイス! 受け入れてくれた恩を……」

 

《マツボックリスパーキング!》

 

ト「仇で返して終わるんじゃねぇ!!」

 

 全てのトゥワイスはホークスに襲い掛かる。ホークスはスラッシュライザーの引き金を押した。

 

《バーニングレインラッシュ!》

 

ホ「ウォオオオオオオ!!!」

 

 ホークスはキックの体勢を取ると翼を展開しながら炎を纏った飛び蹴りを放つ。

 トゥワイスの槍とホークスの蹴りがぶつかった瞬間、解放戦線の屋敷の一角が爆発した。

 

Mr.「わぁあなんだ!?」

 

渡「スゴイ揺れです!」

 

 爆発の衝撃で屋敷が大きく揺れる。Mr.コンプレスと渡我 被身子が揺れに気を取られた瞬間。

 

「迫 圧紘! 渡我 被身子 確保! 飲み込みます!!」

 

 二人の身体がヒーローに捕まった。

 

渡「やー! 離して下さい!!」

 

Mr.「しまった!!」

 

 二人は必死にもがくが、拘束は解けそうにない。

 

「今度こそ終わりだ! 敵連ご……」

 

 ヒーローが言い終えようとした時、ヒーローの胸から刃が飛び出した。

 

ト「離せ……離せ……離せ……」

 

 ヒーローが倒れるとトゥワイスは影松をヒーローの身体に何度も突き刺す。渡我とMr.コンプレスが拘束から逃れると笑顔を見せた。

 

渡「仁くん!」

 

Mr.「来たー! ハイ勝ち!!」

 

 二人は喜びながらトゥワイスに駆け寄った。

 

Mr.「増えまくれトゥワイス! 変身してるお前がいれば無敵だぜぇ!」

 

 Mr.コンプレスはテンションを上げているが、影松を杖代わりにして自分を支えるトゥワイスの身体は少しずつ解け始めていた。

 

ト「ごめんコンプレス、増やせない」

 

Mr.「何で!?」

 

 変身していたトゥワイスの身体はみるみる崩れていく。ベルトの部分が溶けると変身が解除された。

 

ト「自分の形を留めるのに必死だ……ウンコ我慢してる時と同じだ、ライダーキックをマトモに喰らっちまったから」

 

 トゥワイスはおぼつかない足取りで二人に歩み寄る。

 

ト「ごめん二人とも、また俺のせいだ……ホークスにやられた、また、やっちまった」

 

 トゥワイスはポケットに手を伸ばすと渡我に向かう。

 

ト「トガちゃん、あぁ……また可愛い顔を傷つけちまった」

 

 トゥワイスは渡我の頬にハンカチを当てた。

 

ト「ハンカチ……返すよ」

 

 渡我に当てたのは、自分を包んでくれたハンカチだった。

 

渡「…………」

 

 渡我はトゥワイスの手にそっと自分の手を添える。トゥワイスの身体はギリギリ原型を留めている。顔を包んでいたマスクは溶け、素顔が見えていた。

 

ト「俺……もう……増えない……ごめん、最後まで……本当に」

 

渡「仁くん……」

 

 トゥワイスは謝罪を続けている。溶けて無くなろうとする身体を、渡我は優しく抱き寄せた。

 

渡「たすけてくれてありがとう」

 

 トゥワイスの身体は渡我の腕の中で溶けていく。溶けゆくその表情は泣いているようにも笑っているようにも見えた。

 

ト「自分を求めてさ迷って、自分よりも大切な仲間に恵まれた、これより最高な人生があんのかよ……死ねよホークス、"運が悪かった"なんててめぇが決めるな……俺はここに居られて幸せだったんだ!」

 

 爆発の起きた部屋の近くには、黒く焦げた戦国ドライバーとマツボックリロックシードが転がっていた。

 




トゥワイスの戦いを書くことができて満足しました。
次回もよろしくお願いします


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終焉の雄叫び

_:(´ཀ`」 ∠):
やっと時間が出来ました……


エンデヴァー達プロヒーローが蛇空病院に突入して数時間、エンデヴァー達はミルコとピクシーボブが開いた隠し通路を進んでいた。

 

「うわぁ……脳無がバラバラになってる……なにこれタイヤの痕?」

 

 プロヒーローのロックロックが通路に散らばる脳無のカケラに絶句する。しかしエンデヴァーはそれを気にせずに通路を進んだ。

 

エ「近道だ!」

 

 エンデヴァーが通路を見つけると、ハイエンド脳無のおデブちゃんが身体を肥大化させ、通路を塞いだ。

 おデブちゃんの前ではプロヒーローのクラストが立ち往生していた。

 

「エンデヴァー! 再生能力が厄介なんだ!」

 

「大丈夫です」

 

 クラストが声を上げると、近くで声が聞こえる。

 

《ポーズ》

 

《リスタート》

 

「!?」

 

 次の瞬間、おデブちゃんの身体はバラバラに四散した。

 

相「俺が止めて……消します」

 

 おデブちゃんの背後には仮面ライダークロノスに変身した相澤先生が立っていた。

 

 そして通路奥の研究所では、ミルコとハイエンド脳無のウーマンちゃんが交戦していた。

 

ミ「ッシャァァァァ!!」

 

 ミルコの繰り出す蹴りをウーマンちゃんは軽々と避けていく。その隣では仮面ライダーバスターに変身しているピクシーボブがハイエンド脳無のゾウさんと交戦している。

 

ピ「どりゃあぁぁ!!」

 

 ピクシーボブは土豪剣激土を振り下ろすが、ゾウさんは激土の刃を全て避けていた。

 

ピ「ねぇミルコ……」

 

 ピクシーボブはゾウさんと距離を取ると、ミルコに背中を合わせる。声をかけるとミルコは頷いた。

 

ミ「わかってる、あたんなくなってきたな……」

 

ピ「アンタ疲れてんじゃないの〜? 息上がってるしさぁ〜」

 

 ピクシーボブがミルコに寄りかかると、ミルコはその言葉を笑い飛ばした。

 

ミ「バカ言うんじゃねーよ、こいつらの目が覚めてきたんだ」

 

ピ「だ〜よねぇ〜……」

 

 ピクシーボブはミルコの背中から離れると、激土を肩に担ぐ。そして二人は対峙しているハイエンド脳無へと顔を向けた。

 

ミ・ピ「しゃーねっ」

 

 次の瞬間、ミルコは地面を蹴り、その場を跳ねる。ピクシーボブは激土にライドブックをリードさせた。

 

《玄武神話! ドゴーン!》

 

 激土の刀身に岩石が集まり、激土が巨大化する。しかし、ハイエンド脳無は冷静だった。

 

「この攻撃は先ほども見た……避けられる」

 

 ウーマンちゃんはゾウさんに目配せをするとゾウさんは頷いた。

 

ピ「大断断!!」

 

《激土乱読撃! ドゴーン!》

 

 ピクシーボブは巨大化した激土を構える。ピクシーボブに向かっていたウーマンちゃんは攻撃の軌道を読んでいた。

 

「私たちを仕留めるには横薙ぎの一撃……跳んで避けた後に一撃を食らわせる」

 

 ウーマンちゃんとゾウさんはその場から跳び上がり、ピクシーボブに襲いかかる。その瞬間、ピクシーボブは激土を縦に振り上げた。  

 

「振り上げた!?」

 

 ハイエンド脳無の視線は振り上げられた激土に向かう。ピクシーボブはそのまま激土をウーマンちゃんとゾウさんの間に振り下ろした。

 

ミ「でかしたぞカメネコォ! いってきまぁぁす!」

 

 振り下ろされた激土の峰にミルコが降り立つ。ミルコはそのまま激土の峰を駆けて行く。激土の剣先は殻木が逃げた研究室へと向かっていた。

 

「コイツ……攻撃のためじゃなく、博士の元へ向かうための道を作るために!」

 

 ウーマンちゃんの視線は殻木に向かうミルコの方へ向かっている。すると次の瞬間、ウーマンちゃんの顔面に拳が叩き込まれた。

 

ピ「よそ見厳禁でしょうがっ!!」

 

 ピクシーボブは飛び上がると、ミルコに注意が向いたウーマンちゃんとゾウさんを殴り飛ばし、地面に叩きつけた。

 

「グバァッ!!」

 

ピ「いってらっしゃいウサちゃん♪ こっちは任せろ!」

 

 ピクシーボブが着地すると、着地の衝撃で地面に刺さっていた激土が宙を舞う。

 

ピ「ほいっと」

 

 宙を舞った激土を手に取ると、ピクシーボブは激土を構える。そして、起き上がるハイエンド脳無へ切先を向けた。

 

ピ「ミルコの後は追わせないよ!」

 

 ピクシーボブがハイエンド脳無へと駆ける。その時、ミルコは研究室の通路を疾走していた。

 

ミ「目的はジジイと死柄木! バケモノは任せて走ることだけに集中すりゃムズイこたぁねぇ!」

 

 暗い通路を走っていると、奥に光が見える。そして光の先にある物を確認した瞬間。ミルコは一気に距離を詰め、踵を高く上げた。

 

殻「へ?」

 

 コンピューターを操作していた殻木がミルコに気づいた時、ミルコの踵はすでに振り下ろされようとしていた。

 

ミ「視界に入った瞬間に理解しやがった、兎の生存本能……ダメなヤツだ! ダメだこれは!」

 

 ミルコの目の前には、カプセルの中に入った死柄木。溶液の中に沈められた死柄木の表情は、微笑んでいるようにも見えた。

 

ミ「これは出しちゃいけねぇ! 何を差し置いても!!」

 

 ミルコは迷いなく、死柄木の入ったカプセルに脚を振り下ろした。

 

ミ「踵半月輪(ルナ・アーク)!!」

 

 ミルコの全力の踵落としはカプセルを粉砕する。喚き散らす殻木の後ろでは、数々のコンピューターから爆発が起き、煙が上がっていた。

 

殻「きゃああああああ!! やだぁああああああ!!」

 

《ポーズ》

 

殻「え?」

 

《リスタート》

 

 突然声が聞こえると、殻木の目の前に二人の仮面ライダーが現れた。

 

相「マイク、決めてやれ!」

 

マ「ありがとよぉ!!」

 

 相澤先生がマイクの肩に手を置くと、マイクは銃モードの音銃剣錫音にライドブックをリードさせた。

 

 《ブレーメンのロックバンド! イェーイ! 》

 

 鈴音の銃口にエネルギーが充填される。死柄木の入るカプセルに鈴音を構えると同時にマイクは大きく息を吸った。

 

殻「コレはまずい! 半端な形は不本意じゃがっ!!」

 

 鈴音を構えるマイクを前に殻木は大急ぎで瓦礫の中を探る。そしてコードに繋がれた端末を手に取った。

 

殻「起きろ! 死柄木 弔ァ!!!」

 

 殻木の指が端末に触れようとした刹那、マイクが鈴音のトリガーを引いた。

 

《錫音音読撃!イェーイ! 》

 

マ「ラウドヴォイス!!」

 

 鈴音から放たれた光弾はマイクの個性“ヴォイス"によって強化された声の音波と重なり、巨大な音の塊となって死柄木のカプセルに激突した。

 

 音波の衝撃で殻木は吹き飛ぶ。死柄木の入っていたカプセルは粉々に砕け散り、死柄木の身体は人形のように放り出され、床に叩きつけられた。

 

ミ「うわっ! すげぇ音……って耳栓?」

 

 マイクの声にミルコが耳を塞ぐと、ミルコの耳には耳栓が刺さっていた。

 

相「時間を止めた時につけておいた、アンタの聴覚じゃ手で塞いだだけじゃ防げないでしょう」

 

 ミルコの隣に相澤先生が立つ。

 

ミ「わっ! 誰っ! というか聞こえねぇ!!」

 

 ミルコが仮面ライダークロノスの姿の相澤先生に驚く。その後ろではマイクが殻木の姿を捉えていた。

 

マ「真贋確認!!」

 

 殻木はヨロヨロと立ち上がると顔を上げる。その時視界に入ったのは、空中でキックの体勢を取るマイクの姿だった。

 

マ「D・J キック!!」

 

殻「ゴピヤァッ!!」

 

 マイクのキックが殻木の顔面にめり込む。殻木はそのまま壁まで飛ばされた。

 

マ「それと友だち(同僚)泣かしたぶん!」

 

 殻木が床に伏せると、眼銃ヒーロー"エクスレス"が死柄木に駆け寄る。

 

「息が無い……心臓が止まってる」

 

ミ「まじか!」

 

 エクスレスの言葉にミルコが目を見開くと、マイクに胸ぐらを掴まれた殻木が目に涙を浮かべる。

 

殻「仮死状態にして定着の負担を軽減させるんじゃ……ハッ……死柄木のために生きてきた」

 

 殻木の目からは涙が止まらない。涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら殻木は嘆いた。

 

殻「終わる……終わってしまう! 魔王の夢が!!」

 

 この時、研究室には大勢のヒーローが流れ込んでいた。

 

 




学生の頃から投稿させていただいて今日まで至ります……
社会人ってイヤ! 時間できないし!

待たせてしまい、ごめんなさいでした_:(´ཀ`」 ∠):


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紅の鳥達

本誌がえげつなさ過ぎて……結構辛いですが!
頑張ります!


荼「よくも! トゥワイスを殺したな!!」

 

 群訝山荘の解放軍の館では、荼毘とホークスの戦いが激化されていた。荼毘の蒼炎は勢いを増し、ホークスに襲いかかる。

 

ホ「炎を温度がどんどん上がってやがる!」

 

 荼毘の蒼炎をホークスは紅蓮の炎の羽根で対抗する。しかし蒼炎の勢いが留まることはなかった。

 

ホ「それが仲間を殺された奴の声か……!?」

 

 荼毘の声には仲間を失った悲しみがこもっていないように聞こえる。表情の見えない仮面の中で、荼毘は不気味に口を開いた。

 

荼「なんって言い草だ! ひどい! 涙腺が焼けて泣けねぇんだよ俺ァよ!」

 

 荼毘は叫びながら、スチームブレードを振り上げる。ホークスは即座にスラッシュライザーを手に取り、振り下ろされた荼毘の剣を受け止めた。

 

荼「トゥワイスがいりゃあ俺の夢はより確実に叶っていたんだ! 悲しいに決まってる!」

 

 荼毘の体から激しい蒸気と蒼炎が上がる。それと同時に荼毘の剣の力が強くなった。

 

ホ「クソッ! どこからそんな膂力が……」

 

 ホークスは荼毘の剣に耐えている。跳ね除けようとした刹那、ホークスの胸に銃口が突きつけられた。

 

ホ「!?」

 

荼「すげえ悲しいよ」

 

《ファンキードライブ! ギアエンジン!》

 

ホ「ぐあぁぁぁぁあ!!」

 

 ネビュラスチームガンの強烈な一撃がゼロ距離で放たれる。まともに食らったホークスは吹き飛び、変身が強制解除される。そしてそのまま地面を転げた。

 

ホ「グッ……連合の素性を調べたっ! おまえと……死柄木だけだ! 何も出なかった人間は……!」

 

 ホークスは倒れながらも荼毘に問う。荼毘は静かにスチームブレードとネビュラスチームガンを合体させていた。

 

ホ「誰だお前は!」

 

荼「《ライフルモード》」

 

ホ「っ……!?」

 

 ホークスに対する問いを、荼毘は答える。ネビュラスチームガンの音声と共に放たれた答えはホークスの思考を一瞬停止させた。

 

荼「トゥワイスよりも、誰よりもおまえは俺をマークしなきゃいけなかったんだ」

 

 荼毘はライフルモードに変形させたネビュラスチームガンをホークスに向けた。

 

荼「連合も、死柄木も、最初からどうでもいい……じゃあなホークス」

 

 荼毘の指がライフルの引き金にかかる。

 

荼「お前の生死も俺にはどうでもいい」

 

 仮面の中で荼毘が不気味に笑う。そして引き金を引こうとした瞬間。

 

常「超忍法! 乱舞三重衝!!」

 

 突如現れた赤い影が荼毘のライフルを弾いた。赤い影はそのまま荼毘に斬撃を食らわせる。

 

荼「チッ! なんだぁ?」

 

 荼毘は後ろに飛び、ホークスから距離をとる。すると赤い影はホークスの隣に着いた。

 

常「ホークス! 無事ですか!?」

 

 荼毘の前に現れたのはハリケンレッドに変身した常闇だった。

 

ホ「その声は……常闇くん!? まさか君も変身してるなんてね……」

 

 常闇の姿を見たホークスは横たわりながら微笑んだ。

 

荼「雄英の……ダセェなぁ、学生まで引っ張り出してんのか……」

 

 荼毘は自分の隣に目をやると、視線をホークスと常闇に戻した。

 

荼「見ろよガキ」

 

 荼毘は自分の足元を指差す。そこには焦げた戦国ドライバーが転がっていた。

 

荼「コレ仲間の形見だよ、ホークスが殺した……仲間を守ろうと戦ってくれたアイツは、ライダーキックで吹き飛んで……」

 

 荼毘がトゥワイスの最期を常闇に語る。

 

常「ホークス……」

 

 常闇がホークスの方を向くと、ホークスは後ろめたそうに視線を逸らした。

 

荼「何しに来た? 助けに来たか? 何を助けに来た? 学生が健気に夢見るプロってやつぁ……俺たちなんかよりよっぽど薄汚ぇぞ」

 

 荼毘は悪意の篭った笑みを浮かべる。常闇はハヤテ丸を構えると、ホークスの前に立った。

 

常「俺は、ただ師を案じただけだ!」

 

ホ「常闇くん……ありがとう」

 

 対峙する常闇に、荼毘は右手を突き出す。

 

荼「思考停止」

 

 突き出した右手から蒼炎を纏った歯車のエネルギーが放たれる。放たれた歯車は常闇の立っていた床もろとも吹き飛ばし、焼失した。

 

荼「あっけねぇなぁ……ん? なんだコレ?」

 

 荼毘が目を凝らすと、目の前にハリケンレッドのスーツが宙を舞っていた。

 

荼「変わり身の術ってヤツかぁ? くだらねぇ」

 

 スーツを手にした荼毘がそのままスーツを燃やすと、荼毘の周りに桜の花弁が舞い降りた。

 

荼「次はなんなんだ……」

 

 荼毘が振り向くと、拍子木の音と共に幕が開き、そこから番傘を担いだ常闇と仮面ライダー迅に変身したホークスが現れた。

 

常「風が哭き、空が怒る。空忍・ハリケンレッド!!」

 

ホ「自由を求め、羽根は舞う。 地獄の翼・仮面ライダー迅‼︎」

 

 二人は傘を放ると、常闇が前に立ち、見栄を切る。

 

常「人も知らず! 世も知らず!」

 

ホ「見えぬ速さで悪を打つ!」

 

常・ホ「忍風戦隊! ハリケンジャー・迅!! 参上!!!」

 

 二人はポーズを決め、荼毘の前に立つ。荼毘はそれを黙って見ていた。

 

荼「終わったなら行くぞ」

 

 荼毘は右腕を振り、蒼炎と歯車を繰り出す。

 

ホ「常闇くん! 今だっ!」

 

常「御意!」

 

 ホークスは翼を展開し、常闇は超忍法空駆けで飛び上がり、歯車を避けた。

 

荼「飛べるのがお前らだけだと思うなよっ!」

 

 荼毘は足から蒼炎を放ち、その勢いでホークスと常闇に接近した。

 

常「やはり飛んできたか……」

 

 荼毘が近づく最中、常闇は先ほど荼毘の蒼炎を躱した際にホークスに告げられた事を思い出す。

 

ホ「荼毘の炎は連発出来なくなっている。歯車に薄い蒼炎を纏わせてばかりで、炎で攻撃してこないのが証拠だ、歯車を出す時には少しの隙ができる……その間を叩こう!」

 

 そして常闇は更に、ホークスの言葉を頭に浮かべた。

 

常「速さは……力に勝る! 超忍法! 影の舞!!」

 

 常闇が韻を結ぶと、突如あらわれた障子が閉じ、荼毘を閉じ込めた。

 

荼「なんだってんだ今度は……」

 

常「はぁっ!」

 

 荼毘が障子の中に入り、障子越しの影しか見えない時、常闇のハヤテ丸の一閃が荼毘をとらえた。

 

荼「うぐぁっ! テメェ……」

 

ホ「フンッ!!」

 

 続けてホークスが通り様にスラッシュライザーを袈裟に食らわせる。そして間髪いれず常闇は攻撃を続けた。

 

常「影の舞は相手をこの襖の空間に閉じ込め、矢継ぎ早に攻撃を繰り出す忍術……敵に反撃の隙など与えない!」

 

 常闇とホークスは矢継ぎ早に斬撃を食らわせる。そして常闇が止めに蹴りを喰らわそうとした時。

 

荼「面倒だ……」

 

 突然、荼毘の全身から激しい蒼炎と歯車が飛び出した。

 

常「なにっ! 避けられない!!」

 

 蹴りを放ち、荼毘に接近していた常闇の目の前には蒼炎と歯車が迫っていた。

 

ホ「まずいっ!!」

 

 ホークスは翼を展開すると、常闇へと駆ける。蒼炎を背に向け、常闇を受け止める。しかし蒼炎と歯車はホークスの背中を襲った。

 

ホ「うぐぁあ!!」

 

 放たれた歯車は影の舞の障子を突き破り、ホークスと常闇は吹き飛ばされた。

 

荼「こんな事もあろうかと、ずーーっと弱火で節約してました」

 

 手に蒼炎を纏わせながら荼毘が笑みを浮かべる。

 

 ホークスは変身が解除され、常闇の腕の中で倒れている。

 

常「息はまだある! 先ほどの一撃で気絶しただけか!」

 

 ホークスが生きていることを確認すると、常闇の背中から黒影(ダークシャドウ)が出てくる。

 

黒「フミカゲ……ホークスノ背中ガ……」

 

常「言うな……」

 

 黒影(ダークシャドウ)はホークスの背中に回ると、目を涙を浮かべる。常闇はホークスを抱えると、荼毘と対峙した。

 

荼「節約したぶんブッ放すぜぇ」

 

 荼毘はスチームブレードを取り出すと、刀身に蒼炎を纏わせた。

 

常「くっ!!」

 

 常闇がホークスを庇うように荼毘に背を向ける。荼毘がスチームブレードを振り下ろそうとした瞬間。

 

荼「っ!!」

 

常「なにっ!!」

 

 突然、解放戦線の館の中に巨大な氷塊が突っ込み、荼毘と常闇の間に入ってきた。

 館の外では、プロヒーローと解放信者との戦いが激化している。

 

外「楽に死ねると思うなよ……国の犬ども」

 

 氷山の天辺では、解放戦線の幹部、氷を操れる男、外典がフードを外し、ヒーロー達を睨んでいた。

 

荼「ってぇ……ぶっ放しやがってあの氷ヤロウ……」

 

 氷に巻き込まれ、体勢を崩した荼毘が立ち上がる。顔を上げると、そこには常闇とホークスの姿は無かった。

 

荼「…………早めに始めるか」

 

 荼毘は二人の追跡を諦めると、変身を解除し、そのまま館の奥へと消えた。

 

 そして、常闇はホークスを黒影(ダークシャドウ)に抱えさせ、レッドウインガーで館から脱出していた。

 

 黒影の腕に抱えられているホークスは、気絶したまま動かない。しかし常闇は、目に涙を浮かべながら言葉をかける。

 

常「薄汚くなどないぞホークス!! 信じてる! 皆信じてる! 正しいことをしたんだと! だから死ぬな!!」

 

 常闇は訴えかけながら森の上を滑空する。一方、森の中では問題が発生していた。

 

上「佐竹! お前しかいないんだ!!」

 

耳「お願い!! 立ち上がって!!」

 

 カタカタカタカタカタカタカタカタ……

 

善「無理……自分には無理ぃ……」

 

 森の中では、善彦がうずくまり、激しく震えていた。

 




次回も群訝山荘の話にします


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立ち上がり、前に立ち

お久しぶりになりました(-.-)


 

 自分は今まで責任から逃げてきた。めんどくさかったからじゃない、背負えないからだった。背負おうとすると、その重圧で頭が回らなくなる。死ぬほど気分が悪くなる。

 

 そしてその時、決まって自分は腹からこみ上げてきたものを吐き出していた。

 最初は周りの人達は心配していた。しかしそれが二度三度と続けば、人は呆れ、失望し、見捨てていった。

 

 自業自得なのは重々承知している。だけどもなにかを成し遂げたかった。心の中では役に立ちたかった。

 けれど、いつしか体が動かなくなった……。いつも空回りしていた。

 今はそんなトラウマなんて忘れていると思っていたのに。

 

善「はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!」

 

 群訝山荘付近の森の中、善彦は木にもたれかかり、息を荒げていた。

 

上「どうしちゃったんだよ佐竹!? 落ち着いてくれ!」

 

 このような事態になったのは数分前に遡る。善彦達は解放戦士の牽制を終え、森の中で待機していた。

 

〜数分前〜

 

上「このまま大人達に任せろって言われたけどよぉ……」

 

 上鳴は館の方に目を向ける。解放戦士の力は増しており、ヒーロー側の状況は芳しくなかった。

 

耳「でもさっ! 先生や他のヒーローには佐竹が厳選した変身アイテムがあるから大丈夫でしょ!」

 

善「なぁにぃ? 突然なぁにぃ? 自分いまお水飲んでたんだけどぉ」

 

 耳郎は不安を和らげるように善彦の肩を掴み、上鳴の前に差し出す。突然前に出され、オロオロする善彦の表情を見た上鳴は顔が綻ぶ。

 

上「それもそうだな、先生達の戦闘力も考えたら大丈夫だろ」

 

 上鳴は安堵すると、ゆっくりと息を吐いた。

 

上「そういえばお前、先生達にどんなもの渡したの?」

 

善「あー、それはですねぇ」

 

 上鳴が問いかけると、善彦はメモを取り出した。

 

善「ミッドナイト先生には聖剣の煙叡剣狼煙、エッジショットさんには風双剣翠風ですね」

 

上「確かどっちも仮面ライダーのアイテムだけど、戦隊のアイテムは使ってないのか?」

 

 上鳴が首を傾げると、善彦はしたり顔を浮かべた。

 

善「それは当然あるよぉ、なんせこのアイテムを使ってもらうために編成を変えてもらったんだから」

 

 そう言うと、善彦は一丁の銃を取り出した。

 

善「コレ! ギアトリンガーって言うんだけど……」

 

耳「おぉー! 有名なヤツじゃーん!」

 

 耳郎が登場したギアトリンガーに拍手を送ると、突然善彦の表情が青ざめた。

 

上「ん? 佐竹どうし……」

 

善「あぁーーー!! 一個渡すの忘れたァァァァ!!!!」

 

 上鳴の言葉を遮り、善彦の絶叫が響き渡る。咄嗟の絶叫に耳郎は耳を塞いだ。

 

耳「どうした! 渡し忘れ!? それってやばいんじゃない!!」

 

 善彦はギアトリンガーを抱えながらアワアワと焦っている。

 

善「やっばいよコレぇ! 他の四丁は先生やプロヒーロー達に渡したんだけど肝心のリーダーのゼンカイザーになるはずだったミリオ先輩がいない!! 詰んだんだけどコレェェ!!」

 

 焦り散らし、辺りをグルグルと歩き回る善彦を上鳴が止める。

 

上「落ち着けって佐竹! 居ないもんはしゃーねーだろ! そうだ! じゃあ佐竹が変身すりゃあいーじゃん!」

 

 上鳴の提案に耳郎も思わず手を叩く。

 

耳「そうじゃんか! ゼンカイジャーは全部の戦隊の力を使えるんだし! 知識豊富の佐竹にピッタリじゃん!」

 

上「それもそうだな! リーダー決めちまえよ!」

 

 耳郎が提案すると、善彦の動きがようやく止まった。

 

善「あ……その手があったか! そうと決まれば戦線復帰で……」

 

「お前もう邪魔だよ」

 

善「え……?」

 

 突然、善彦の耳元で声が聞こえた。

 振り向いて辺りを見回すが、自分の近くには誰もいない。

 

上「佐竹?」

 

 様子のおかしい善彦に気づいた上鳴が声をかける。

 

善「あっ! ごめんごめん! なんでもない」

 

 善彦が気を取り直し、前を向いた瞬間。

 

「お前にはどうせなにもできない……」

 

善「あっ………………え?」

 

 突然、善彦の目の前に学生服の少年が現れた。

 

 しかしその姿は上鳴と耳郎には見えていない。見えない何かに対して後退りする善彦に、耳郎は気づいた。

 

耳「佐竹? どうかしたの?」

 

 耳郎が善彦に歩み寄った瞬間。善彦は膝から崩れ落ちた。

 

耳「ちょっ! さた」

 

善「ウゲェェェア!!」

 

 倒れた善彦に駆け寄ろうとした瞬間、善彦は胃から這い上がってきた物を吐き出した。

 

上「はぁ!? どうした佐竹!」

 

耳「え!? なんで! どうしたの!?」

 

善「ごめん……ごめん本当に……」

 

 善彦は手を膝に当て、立ちあがろうとするが、体が細かく震えている。

 

 善彦が顔を上げると、目の前には学生服の少年が立っていた。少年が不気味に口角を上げると、善彦の視界に、この世界に来る前の記憶が映し出された。両手で頭を抱え、その場にうずくまる。

 

善「ごめん……ごめんって!! 悪かったってぇ!!」

 

上「なんだなんだ!? なにが起きてんだよ!!」

 

耳「まさか解放信者の個性!」

 

 上鳴は善彦に駆け寄り、耳郎はイヤホンジャックを地面に差し、周りの音を探る。しかし周りには善彦と上鳴しか居なかった。

 

 そして時間は今に戻る。

 

善「無理ぃ……自分には無理ぃ……」

 

 善彦はその場に蹲り、細かく震えていた。

 

上「じろぉ、佐竹一体どうしちまったんだぁ?」

 

 上鳴は何かに怯えている善彦に手が出せずにいる。上鳴が耳郎に助けを求めると、耳郎は何も言わずに善彦に近づいた。

 

耳「やっぱり……誰かと話してる……」

 

 耳郎はその発達した聴覚で、善彦がなにをひとりごちていたかを聞いていた。

 

善「もう出しゃばらないから……もう一人でいるから……」

 

 善彦は頭を抱え、腕で耳を塞ぎ、周りを見ようとしない。しかし耳郎は言葉をかけた。

 

耳「佐竹、そこには誰もいないよ、大丈夫、佐竹にもリーダーは出来るって」

 

 耳郎はわかっていた。善彦が恐れる理由はリーダーや先頭に立つ事への重圧に耐えきれない部分から来ていることを。

 

上「そっか……ゼンカイザーはリーダーポジションだから、そのプレッシャーに……」

 

 上鳴はようやく原因を理解できた。

 

善「無理……そんなの無理だってぇ……」

 

「お前はいつもそうだったろう? 自分を変えようだなんだとほざいては失敗ばかりで! 迷惑しかかけてないだろうが!」

 

 善彦の前に見えている幻はうずくまる善彦の頭を踏みつける。思い出したくもない生前の記憶に善彦の心が折れそうになった瞬間。

 

耳「いいかげんにしなさい!!!!」

 

ドクンッ!!

 

 耳郎のイヤホンジャックが善彦の体に刺さり、爆音の心音が善彦の体内に響いた。

 

善「グバァッ! ハァ!!」

 

 突然体に強い衝撃を受けた善彦は胃の中に残っていたものを全て吐き出した。

 

上「わー! 佐竹ー!」

 

耳「あーあ、さっき全部出しとけって言ったのにぃ、こんなに残ってんじゃん」

 

 耳郎は嘔吐する善彦の後ろに周ると、背中をゆっくりとさする。その表情は穏やかだった。

 

上「おいおい耳郎! 容赦なさすぎだってーの!」

 

 上鳴は状況に慌てふためくが、耳郎は依然として落ち着いている。

 

耳「全部出た? じゃあコレ、水飲みな」

 

 耳郎は善彦が吐き終えたことを確認すると、善彦に水を差し出した。

 

善「あ……ありがとう」

 

 この時、初めて善彦は耳郎の声が聞こえた。

 

耳「ようやく聞こえたね」

 

上「おお! よかった! 帰ってきた!」

 

 上鳴は正気に戻った善彦に駆け寄る。上鳴の眼には涙が浮かんでいた。

 

耳「どう? 耳障りな声は消えた?」

 

 耳郎が微笑むと、善彦は頬をかきながら頷く。

 

善「おかげさまで……心音って案外、気持ちが落ち着くんですね」

 

上「よかったぁ、いつもの佐竹だぁ……」

 

 上鳴は善彦の肩に手を置くと、その場にへたりこんだ。

 

耳「佐竹、アンタが昔なにがあったか知らないけどウチらは知ってるよ、アンタが成長してること、できるヤツだってこと」

 

上「そして、お前はもう前に立てるってことをなっ!」

 

 上鳴は明るい笑顔を見せると、善彦にギアトリンガーを差し出す。そして、耳郎は1枚のギアを善彦に差し出した。

 

善「二人とも……ありがとう!!」

 

 善彦は顔を上げると、二人の手からそれを受け取り、そこから走り出した。

 

善「ごめんね……そしてありがとう! 自分はもう逃げないし折れない! ここに生まれ直したのはそういう事だったんだ! ようやく! 自分を変えることができたんだ!!」

 

 善彦は森の中を駆けつづけ、森の外へ出る。そこはヒーローと解放信者が戦う戦場だった。

 

セ「む!? 何故佐竹くんが!!」

 

 まず先に佐竹に気づいたのはセメントスだった。 セメントスが善彦に駆け寄ると、善彦はギアトリンガーを見せる。

 

セ「なるほど、君が真ん中みたいだね」

 

 セメントスは事を理解すると、地面のセメントに手をつけ、柱を作り出した。

 

セ「そして、コレを作ればっと」

 

 セメントスは柱の先端にマークを作る。それができた瞬間。三つの人影が善彦の元へ集まった。

 

ブ「お? 来たのは佐竹くんかい?」

 

ハ「ガルルルルルルル!! 一年がナゼここにいるルルルルルルルル!!」

 

リ「まぁまぁ、この子さっきアイツらを牽制してたんだし、弱くはないでしょ?」

 

 集まったのは1年B組の担任ブラドキング、同じく雄英教師のハウンドドッグ、そしてプロヒーローのリューキュウだった。

 

善「皆さん! 誠に勝手ながら、今回のセンターを務めさせて頂きます! 1年A組! 出席番号10番! 佐竹善彦です! 準備はいいですね!」

 

 プロヒーロー達は頷くと、善彦を真ん中に横一列で並んだ。

 

ブ「よしっ! 初変身だ!」

 

ハ「ヴルルルルルル!! 荒ぶるぅルルルルルル!!」

 

リ「これを構えればいいのね!」

 

セ「やっちゃいますよぉぉ!! 張り切ってきたぁ!」

 

 四人はギアトリンガーを構えると、カバーを開き、ギアをセットした。

 そして全員で構えて一言。

 

「「「「「チェンジ全開!!」」」」」

 

 ギアトリンガーのハンドルを回すと、中のギアも回転した。

 

《45バーン!!》

《16バーン!!》

《25バーン!!》

《29バーン!!》

《30バーン!!》

 

 格センタイギアの番号が読み上げられると、再びギアトリンガーを構える。

 

《バンバン♪》

 

 まず先にブラドキングのハウンドドッグがその場でターンする。

 

《バンバン♪》

 

 次にセメントスとリューキュウがターンする。

 

《バンバン♪》

 

 最後に善彦がターンすると、全員でギアトリンガーを突き出し、引き金を引いた。

 

善「はっ!」

 

《ババン!ババン!ババン!ババン!ババババーン! 》

 

 引き金を引くと、銃口からギアを模したエネルギーが発射される。そしてギアが体を通り、鎧が装着された。

 

《ゼンカイザー!》

《ゼンカイジュラン!》

《ゼンカイガオーン!》

《ゼンカイマジーヌ》

《ゼンカイブルーン!》

 

 五人は変身を完了させると、まず善彦が前に出た。

 

善「秘密のパワー! ゼンカイザー!」


ブ「恐竜パワー! ゼンカイジュラン!」


ハ「百獣パワー! ゼンカイガオーン!」


リ「魔法パワー! ゼンカイマジーヌ!」


セ「轟轟パワー! ゼンカイブルーン!」

 

善「五人揃って!」

 

「機界戦隊ゼンカイジャー!」

 

 その時、善彦は初めてセンターに立った。五人の後ろにそびえ立つ柱には、ゼンカイジャーのマークと雄英の校章が刻まれていた。

 




全部を一話でまとめようとしたんですけどメチャクチャ長なってしまいそうなので分けます


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初のリーダー! 負けれぬ戦い!!

だいぶ文が長くなってしまいました


 

外「ゼンカイジャー? なんだあの珍妙なヤツらは」

 

 突如現れたゼンカイジャーを前に外典は怪訝な表情を浮かべた。

 

善「よぉぉし! 全力全かぁぁぁい!!」

 

 善彦はその場で腕を振り、足踏みすると、そのまま全員で解放戦士の群れへと走った。

 

ブ「うぉぉぉぉ!! ティラノサウルスなんて男のロマンじゃねぇかぁ!!」

 

 ゼンカイジュランに変身したブラドキングはジュランソードを手に解放信者を斬り伏せていく。するとブラドキングの背後から解放戦士が飛びかかった。

 

「いい歳こいて恐竜にテンション上げんなぁ!」

 

ブ「しまった!」

 

 飛び上がった解放戦士が武器を振り下ろそうとした時、黄色の影が空中の解放信者を叩き落とした。

 

ブ「助かったぞハウンドドッグ!」

 

 黄色の影はブラドキングの隣に着地する。ブラドキングの隣に立ったのはゼンカイガオーンに変身したハウンドドッグだった。

 

ハ「オレは犬なんだがなぁ! ライオンも悪くないものだ!」

 

 ハウンドドッグはガオーンクローを構え、地面に手を着き、獣の構えをとる、その後ろにブラドキングは立った。

 

ブ「猛獣二人! この群れを蹴散らそうぜ!」

 

ハ「っしゃあ! ガルルルルルルルァァ!!」

 

 二人は武器を構えると解放戦士へと突っ込んだ。

 

セ「うおおおおお!! コレはいいぞぉ!」

 

 一方ゼンカイブルーンに変身したセメントスは、仰向けの体勢になり、肩と腕に着けられたタイヤで戦場を走り回っていた。

 

「うおおおぉ! なんかキモイ体勢で青い何かが走ってきたぁぁ!!」

 

「足元! ヒーローのくせに足元ねらってきやがる!」

 

 セメントスは解放戦士の足元を走り回っていた。

 

「フンっ! 大したことねぇよ! 足元に来た瞬間にヤツを潰せばわけねぇ!」

 

 その時、解放戦士の1人が斧を取り出し、セメントスに向かい構えた。

 

「っしゃあ! ぶった斬ってやらぁ!」

 

 解放戦士は迫り来るセメントスに向かい、斧を振りかぶる。その瞬間、セメントスの眼がギラリと光った。

 

セ「現れよマイウェイ!!」

 

 セメントスが叫んだ瞬間。地面のセメントが隆起し、セメントスはその坂を滑走した。

 

「な! 個性で道路を造りやがったぁ!」

 

セ「ハハハハハ!! 私の個性とこの姿は最高の組み合わせだ!」

 

 セメントスは自身で作った道路を走りながらブルーンピッカーを構え、道路から飛び出した。

 

セ「コースアウトからのぉぉ!」

 

 セメントスは斧を持った解放戦士の頭上に飛びかかる。

 

セ「ブルーンダイビングアターック!!」

 

「ぎゃあああああ!!」

 

 セメントスは斧の解放戦士と数人を巻き込んで着地した。

 

リ「いや、武器持った意味は?」

 

 ゼンカイマジーヌに変身したリューキュウがセメントスが戦士を一網打尽にしている場面を眺めていると、リューキュウの背後に解放戦士が立つ。

 

「我らの意志に反する愚道者が! ここで潰してやる!」

 

リ「っ!」

 

 リューキュウが背後の解放戦士に気づくと、マジーヌスティックを構え、解放戦士と対峙した。

 

リ「出たわね! みんなを困らせる悪い人達!」

 

 次の瞬間、リューキュウの口調が変わる。その様子に解放戦士も固まった。

 

「あれ? コイツってこんな感じだっけ?」

 

 解放戦士達が顔を見合わせ混乱していると、リューキュウはマジーヌスティックに手をかざした。

 

リ「いくぞぉ〜! ヌヌヌマジーヌ・ドラドラリューキュウ!! 落ちろカミナリ!」

 

「ギャァァァ!!」

 

 リューキュウがマジーヌスティックを掲げると、解放戦士の頭上を暗雲が覆い、落雷が戦士を襲った。

 

セ「あれ? リューキュウさんこんな喋り方でしたっけ?」

 

 立ち上がったセメントスが首を傾げると、リューキュウの動きがピタリと止まった。

 

リ「あぁ……それはね……」

 

 リューキュウはセメントスの方を振り向く。その瞳は星の如く輝いていた。

 

リ「私! 実は小さい頃から魔法少女って憧れてたのー! こんな所で夢が叶うなんて思わなかったぁ! 嬉しぃぃい! ゼンカイマジーヌいっちゃうぞ♡」

 

 リューキュウはウインクをすると高く跳び上がり、マジーヌスティックを掲げた。

 

リ「魔女っ子ドラゴン リューキュウいきまーす!」

 

 キャラが変わり、ノリノリの様子のリューキュウをセメントスは静かに見送った。

 

セ「元気がなによりです」

 

リ「ベギラゴン!!」

 

セ「コラっ!! 魔女っ子じゃないですそれ!」

 

 そして善彦はギアトリンガーを片手に、多数の解放戦士と戦っていた。

 

善「チョアーーーー!」

 

 善彦は次々と繰り出される解放戦士の攻撃を避けながら銃撃を喰らわせていた。

 

「調子乗んなガキ!!」

 

 善彦の背後から個性で腕を武器化させた解放戦士が襲い掛かる。

 

善「ッチョアァァ!!」

 

「ガハァッ!!」

 

 しかし善彦はそれをひと蹴りで蹴散らした。

 

善「よしっ! 上手く動けてる!」

 

 善彦がゼンカイザーの姿に慣れた時、頭上に殺気を感じた。

 

善「うぉおおわっ!」

 

 善彦がその場から跳ぶと、両腕に氷塊を纏った外典が落ちてきた。

 

外「フンッ! すばしっこい奴め!」

 

 フードを外した外典は氷塊を腕から解く。そして善彦を睨みつけた。

 

外「なんなんだ貴様ら……こんなふざけた奴らが我々の思想を邪魔するというのか!」

 

 外典が腕を振ると、氷塊が氷柱となって善彦に襲い掛かる。しかしその氷柱は善彦の目の前で防がれた。

 

ブ「ふざけた? これはユニークというんだよ」

 

 善彦の前に立ったブラドキングは突き出したジュランシールドから顔を出す。

 すると外典の周りをハウンドドッグ達が囲んだ。

 

ハ「ガルルルルルァァ! もう観念しろォア!」

 

リ「悪いことはもうさせないんだから☆」

 

セ「リューキュウさん入りこんじゃったなぁ」

 

 外典は周りを見回すと、目を見開き歯を強く食いしばる。

 

外「国家の犬どもがぁ……使いたくなかったが仕方ない!!」

 

 外典は懐から小さなボトルを取り出すとキャップを開ける。

 するとボトルから黒い煙が噴き出し、外典の体を包んだ。

 

善「ネビュラガス! 皆さん気をつけて! コイツ怪人になります!」

 

 善彦が告げると、全員が武器を構える。

 

外「ウガァァァァァ!!」

 

 ネビュラガスを払い、出てきた外典はアイススマッシュへと変貌していた。

 

セ「ムゥ! これが噂のネビュラガス!」

 

ハ「一気に臭いが変わった……危ない臭いだ!」

 

ブ「敵とも脳無とも違う、気を抜くなよ!」

 

リ「魔女っ子ドラゴンやっちゃうぞ!」

 

 プロヒーロー達はスマッシュを見た瞬間、即座に武器を構える。

 外典は冷気を纏った右手を地面につけると、その瞬間、外典を中心に地面が凍り付いた。

 

善「氷が迫ってくる! 跳んで避けなきゃッ!」

 

 ゼンカイジャーは足元に迫ってくる氷を避けるため、その場でジャンプする。

 

善「ギャッ!」ブ「オッ!」ハ「バウッ!」

リ「きゃっ!」セ「グワっ!」

 

 しかし着地した瞬間、凍った地面に足を滑らせ転倒した。

 

善「そりゃそうだよ、凍ってんだから……」

 

ブ「いい歳こいてコケてしまうとは……腰打ったァァ」

 

 善彦とブラドキングは氷の上で横たわり悶絶している。

 

ハ「バウッ!!」

 

 横たわる二人を飛び越え、ハウンドドッグは外典へと駆け出した。

 

善「うわっ! 氷の上でも軽々走ってる!」

 

ブ「爪を使って氷の上を走ってるんだ、ライオンになって獣の力が上がってるんだろう」

 

 ハウンドドッグは氷上を走り、外典との間合いをつめる、そしてガオーンクローを振り上げた時。

 

ハ「っ! しまった!」

 

 外典の足元から氷柱が生え、ハウンドドッグを弾いた。

 

ハ「ぐゥゥ!」

 

 ハウンドドッグは空中で体勢を整えると、そのまま着地する。

 

セ「こやつは氷を操る個性、怪人になってその力が上がっているようですぞ!」

 

 氷上で足をプルプルさせながらセメントスが伝える。するとリューキュウがマジーヌスティックを支えにしながら手をかざした。

 

リ「それなら任せて! ヌヌヌマジーヌ・ドラドラリューキュウ!」

 

 リューキュウがマジーヌスティックを掲げると、スティックから放たれた光が善彦達の足下へ向かった。

 

ブ「おぉ!? 踏ん張れるぞ!」

 

 ブラドキングが足の裏を確認すると、足の裏には光のスパイクが生えていた。

 

セ「意外と物理的なんですね」

 

ハ「ともかくこれでまともに戦える!」

 

 滑らなくなったブラドキング達は外典に向かい走った。

 

善「最高です! リューキュウさん!!」

 

リ「キャホー! 魔法ってたのしー!」

 

 ハイテンションな善彦とリューキュウも外典に向かった。

 

外「グガガガガガ!!」

 

 向かってくるゼンカイジャーに外典が構える。その時、外典の周囲が爆炎に包まれた。

 

ブ「おらぁ!」

 

ハ「ガルァ!」

 

 先にブラドキングとハウンドドッグの斬撃が外典をとらえる。

 

リ「ドラゴンファイアー!」

 

外「ギィィィィィ!!」

 

 斬撃をくらい一瞬動きが止まった隙を狙い、リューキュウが魔法で外典を炎で包んだ。

 

セ「何年ぶりかのグルグルパンチでぇぇす!」

 

 炎に包まれ、もがく外典にセメントスは上半身を高速回転させ、外典に突っ込んだ。

 

外「ウガァァァ!」

 

 セメントスのパンチで外典が空中に飛ばされる。

 

善「そして今度は自分のバン!!」

 

 宙に浮いた外典を見据えながら、善彦はギアトリンガーにセンタイギアをセットし、ハンドルを回した。

 

《33バーン!》

 

善「ハッ!!」

 

《ババン!ババン!ババン!ババン!ババババーン! 》

《シンケンジャー!!》

 

 善彦が引き金を引くと、シンケンジャーギアのエネルギーと共にシンケンレッドが出現する。

 

善「わっ! 初めまして!」

 

 シンケンレッドは手にしていた烈火大斬刀を善彦に渡すと、そのまま消えていった。

 

善「ありがとうございますっ!!」

 

 善彦は烈火大斬刀を構えると、その場で跳躍し、外典との距離を縮めた。

 

善「チャンチャンバラッ!!」

 

外「ゲバっ!!」

 

 烈火大斬刀の横薙ぎの一撃は外典の胴に入る。外典が地面に叩きつけられると、善彦は空中でバックルからセンタイギアを取り出し、ギアトリンガーにセットした。

 

善「まだまだぁ!」

 

《28バーン!!》

 

 ハンドルを回し、ギアを読み込ませると、瞬時に引き金を引く。

 

《ババン!ババン!ババン!ババン!ババババーン! 》

《デカレンジャー!!》

 

 デカレンジャーギアのエネルギーと共に、ディーバズーカを構えたデカレンジャーが出現する。そして善彦の手にディーバズーカが授けられた。

 

外「グ……グガガ……」

 

 外典は体をよろめかせながら立ち上がる。その直後、外典の胸に銃口が突きつけられた。

 

善「ゴッチュー!!」

 

 善彦は外典が立ち上がった瞬間にディーバズーカの引き金を引いた。

 

外「うおおお!!」

 

 ゼロ距離でバズーカを喰らった外典は大きく後ろへ飛んでいく。

 ディーバズーカが善彦の手から消えると、ブラドキング達が善彦の横に並んだ。

 

ブ「よくやったぞ佐竹くん!」

 

善「ありがとうございます! じゃあトドメ行きましょう!!」

 

「「「「了解っ!!」」」」

 

 五人はギアトリンガーを構えると、再度ハンドルを回した。

 

《ヒーロー!スーパーゼンカイタイム! 》

《キカーイ!スーパーゼンカイタイム! 》

 

 五人がハンドルを回すと、頭上に巨大なゼンカイジャーのマークが形成された。

 

《ゴッゴー!バンバン! ゴッゴー!バンバン!》

 

善「ゼンカイフィニッシュバスター!!!」

 

 全員が照準を外典に向け、引き金を引く。五人のギアトリンガーから発射された光線は外典に直撃した。

 

外「グギャァァ!! ……ア?」

 

 外典は光線をくらい、大きくのけぞる。外典が上を向いた瞬間、巨大ゼンカイジャーマークが外典に落とされ、大爆発を起こした。

 

外「アァァ!!」

 

《ダイゼンカイ!!》

 

善「やったぁぁぁ!!!」

 

 外典の起こした爆発を背に善彦は勝利の叫びを上げた。

 

セ「中々良い暴れっぷりでしたよ」

 

リ「ホンットにありがとう佐竹くん! 夢が叶ったもぉん!」

 

 セメントスは善彦の肩に手を乗せ、労いの言葉を与える、リューキュウはその横でピョンピョンと跳ねていた。

 

外「グググ……あの野郎……使えないもの渡しやがってぇ……」

 

 吹き飛ばされ、スマッシュ化が解除された外典は地面に倒れている。ボロボロの体を起こそうとした時、外典は目の前で倒れている人物に目を見張った。

 

外「リ……デストロォ!」

 

 外典の目の前で倒れていたのはエッジショットとの交戦で敗れたリ・デストロだった。

 

デ「げ……外典か」

 

 デストロは息絶え絶えで外典に目線をむけると、皮肉げな笑みを浮かべた。

 

デ「フフフ……なんと情けない姿になってしまったことか……もうストレスを感じる気力も残っていない……」

 

 デストロは空を仰ぐと、目に涙を浮かべる。その時、外典はデストロの手に己の手を重ねた。

 

デ「外典……?」

 

外「リ・デストロ……僕の力を使ってください……この命……救世の糧になるのならば喜んで授けます」

 

デ「おぉ……ありがとう……外典よ」

 

 外典の言葉にデストロは涙する。涙が頬を伝い、落ちようとした刹那、デストロの体が氷に包まれた。

 

ギ「我が主の元へぇぇぇ!!」

 

 同時刻、解放戦線の館からギガントマキアが飛び出した。

 死柄木の声を受け取り、主の元へ走る。善彦達はそれを見逃さなかった。

 

善「マズイ! 早く止めないと!」

 

 善彦がギアトリンガーに手を伸ばした瞬間、背後で轟音が響いた。

 

ブ「今度はなんだ!?」

 

 ブラドキングが振り返ると、そこには体に氷を纏ったデストロが肥大化していた。

 

デ「ヌオォォオ!! ストレスパワーが満ち満ちてきたぞぉぉぉ!!」

 

 外典の作り出した氷の鎧が体を締め付け、更に体を冷やし、多大なるストレスを与えている。破壊された義足をも氷で造り出し、今まで以上のストレスが解放されたデストロはギガントマキアと同じサイズへと巨大化した。

 

外「アイスクレストロとでも名付けるか!」

 

 外典はデストロの頸椎に氷で張り付いている。周囲を見回し、善彦達を捉えた外典はデストロの右腕に氷の剣を形成した。

 

外「デストロォ! まずはこの愚者共に鉄槌をぉ!」

 

デ「承知したぁ!」

 

 デストロはゆっくりと善彦達へ歩を進める。ブラドキングは後方のギガントマキアに目線を向けた。

 

ブ「くそっ! このままではヤツを行かせてしまう!」

 

リ「でも! こんなヤツをほっとくわけにはいかないよ!」

 

 リューキュウはデストロを指差しながらアタフタと慌てる。

 しかし、その中で善彦は冷静だった。

 

善「皆さん! 一旦アッチのデカイのは放っておいて! まずはコッチのでかいヤツを片付けましょう!」

 

 善彦の発言にブラドキングは目を丸くした。

 

ブ「何を言っているんだ! このままヤツを放っておいたら死柄木の元へ!」

 

善「大丈夫!」

 

 ブラドキングの言葉を善彦は遮る。そして真っ直ぐな瞳で善彦は続けた。

 

善「ヤツが向かった方向には自分と同じ、ベルトや戦隊アイテムを持ったA組とB組がいます! みんなが恐らく……いや、確実にみんながアイツを止めてくれます!」

 

 それを聞いたブラドキングは思考を回らせる。そしてため息を吐くと、善彦の肩に手を置いた。

 

ブ「よしっ! オレの育てたB組がいるというのなら心配ないだろう! オレらはこっちのデカブツを処理するぞ!」

 

 ブラドキングはデストロにジュランソードを向ける。ブラドキングの横にハウンドドッグ達が並ぶと、ギアトリンガーにセットしたセンタイギアを裏返し、ハンドルを回した。

 

ハ「よく言ったな佐竹よ!」

 

セ「生徒を信用するのも教師の仕事!」

 

リ「パパッとやっつけちゃおう!」

 

《ビッグバン!》

 

 ハンドルを回すと、ギアトリンガーを天に向かって放つ。するとギアのエネルギーが四人の体を通った。

 

《ゴー! ゴー! ゴゴッゴー!》

 

ブ「機界変形! ジュランティラノ!」

 

ハ「ガオーンライオン!」

 

リ「マジンドラゴン!」

 

セ「ブルーンダンプ!」

 

 四人は巨大化すると、機界変形でそれぞれの姿に変形し、デストロと対峙した。四人の後ろで善彦もハンドルを回し、ギアトリンガーを掲げた。

 

善「行きますよぉ! ハッ!」

 

《全開合体!!》

 

 善彦が引き金を引くと、ゼンカイジャーのマークが出現する。まず先にブラドキングとハウンドドッグの元へ向かった。

 

 マークが地面に突き刺さると、二人の周囲が野球場へと変化する。

 

《ゼンカーイ!》

 

 そして、何処からかファンファーレが響き、二人の体は再び変形して行った。

 

ブ「一応話には聞いていたがキツイな!」

 

ハ「ヴゥゥ……体がどうなっているのか不気味だ……」

 

《ガッシーン!!》

 

《ゼンカイジュラン 、ゼンカイガオーン》

 

 変形した二人が合身するとウグイス嬢のアナウンスが入る、善彦も合体した内部へと転送される。そして変形も最終段階に入った。

 

《GO!GO!GO! 》

 

 脚が出現し、腕が形成され、胸のマークが傾くと、閉じていた頭が開かれた。


《ゼンカイオー ジュゥラガオーン!! 》


ブ・ハ「ゼンカイオージュラガオーン!」

 

 ジュラガオーンの合体が完了すると、ゼンカイジャーのマークはセメントスとリューキュウの間に落ちた。

 

 落ちた瞬間、二人の周囲がボクシングリングへと変化した。

 

《ゼンカーイ!!》

 

 そして再び何処からか入場曲が鳴り響くと同時に体が変形する。

 

セ「うおおぉ! 再びトランスフォーム!!」

 

リ「魔法少女! 二段へんしーん!」

 

《ガッシーン!!》

 

《ゼンカイブルーン! ゼンカイマジーヌ!》

 

《1・2・3・4・GO!1・2・3・4・GO!1・2・3・4・GO! 》

 実況のアナウンスと共に二人の身体が変形すると、そのまま合身する。そして合身した体にドラゴンの翼やダンプのタイヤが着けられ、閉じていた頭が開かれた。

 

《ゼンカイオー ブゥルマジィィーン!! 》

 

セ・リ「ゼンカイオーブルマジーン!」

 

 ブルマジーンの合体を完了した二体は再びデストロと対峙する。その様子をギガントマキアの背中から見ていたものが一人。

 

渡「ア"ア"ーーーーー!! なんかデカいのが出てきました!!」

 

 渡我の突然の絶叫に、敵連合の全員が耳を塞いだ。

 

荼「なんつー奇声だよ……」

 

ス「耳ぶっちぎれるかとおもった!」

 

Mr.「トガちゃん周波数ヤバかった!」

 

 耳を塞ぐメンバーに気づいた渡我は手で口を押さえ、頬を赤らめた。

 

渡「ごめんなさいです、思わず自分でもビックリするくらい変な声が」

 

 そう言って渡我が再び館へと視線を向けた瞬間。

 

渡「ア"ア"ア"ーーーーー!! 戦闘開始チュン!!!」

 

 渡我が再び絶叫を上げた。

 

Mr.「チュンってなにぃぃ!?」

 

 渡我の言った通り、視線の先ではジュラガオーンとデストロが互いに剣をぶつけ合っていた。

 

ブ「フンッ! どうだぁ!」

 

デ「うぐっ!」

 

 ブラドキングが剣を振り下ろすと、デストロの氷の剣が粉砕される。しかしその時、外典が力を込める。するとデストロの拳に氷の爪が生えた。

 

外「武器ならいくらでも出せるんだよ!」

 

 外典が叫ぶと、デストロが氷の拳をジュラガオーンに叩きつける。

 

善「うわっタァ!」

 

 ジュラガオーンの内部で善彦がバランスを崩すと、ハウンドドッグの声が響いた。

 

ハ「バトンタッチだ! いいな!」

 

善「お願いしますぅ!」

 

 善彦が許可すると、ジュラガオーンの頭が二回閉じられた。

 

《ガオーン!》

 

 次の瞬間、ジュラガオーンの武器が剣からガオーンクローに変わった。

 

ハ「グァルルルルァ!」

 

 ハウンドドッグはブラドキングと違い、俊敏な動きでデストロに爪をくらわせた。

 

デ「ヌオオッ!! 装甲が剥がれていく!」

 

外「まだまだぁ!」

 

 攻撃を受ける度に氷の鎧が砕ける。しかしその度に外典が鎧を修復した。

 

 その様子をブルマジーンは上空から観察している。

 

セ「どうやら先にあの方の個性をどうにかしないとですね!」

 

リ「かしこまり! ヌヌヌマジーヌ・ドラドラリューキュウ!」

 

 リューキュウ人格のブルマジーンはマジーヌスティックを振り、天に掲げる。するとスティックが強く輝き、光の弾がデストロへ向かう。

 

外「っ! デストロ! 後ろから来ます!」

 

 迫り来る光弾に気づいた外典がデストロに叫

ぶ。

 それに反応したデストロは光弾に拳を叩きつけた。

 

デ「こざかしいぞ貴様……」

 

 貴様らと言い切る前に、デストロが破壊した光弾から青い液体が弾け、デストロと外典をずぶ濡れにした。

 

外「……ブルーハワイ」

 

 デストロにかけられたのはブルーハワイシロップだった。

 

セ「好きなんですか?」

 

リ「ホントは練乳いちご♡」

 

 デストロの頭上ではこのようなやりとりが行われていた。

 

デ「どこまで人をコケにすれば気がすむんだ……」

 

 シロップをかけられたストレスでデストロの体が更に肥大する。

 

デ「外典ん! 鎧だぁぁ!」

 

外「了解しましたぁ!」

 

 デストロの咆哮で外典は氷の鎧を形成する。

 その瞬間、ブルマジーンがデストロへ急行下した。

 

セ「大きくなってくれたおかげで的がでかくなりました!」

 

 ブルーンピッカーを手にデストロに向かう。その時、デストロの手には氷のハンマーが形成されていた。

 

デ「ほざくな小蝿がぁ!」

 

セ「なんのぉぉ!」

 

 デストロの巨大ハンマーがブルマジーンに襲いかかる。しかしセメントスはブルーンピッカーを振り下ろした。

 

ブ「バカな! セメントスー! お前がやられるぞぉ!」

 

 無謀な戦いにブラドキングが叫ぶ。しかしその時には互いの武器がぶつかり合っていた。

 

デ「このまま潰してくれる!」

 

 デストロがハンマーを振り下ろし、ブルマジーンを潰そうとした刹那。

 

パキンッ!

 

 突然デストロのハンマーが粉々に砕けた。

 

デ「な……なんだ」

 

セ「せぇりゃァァ!!」

 

 セメントスはこのままピッカーを振り下ろし、氷の鎧を砕いた。

 

デ「ぐわぁぁああ!!」

 

外「な、なぜだ!? 絶対零度のハンマーが……鎧が、簡単に……」

 

 この状況に外典も動転する。しかし口に入ったシロップで外典が気づく。

 

外「あ……あぁ! しまったァァ!」

 

セ「氷というのは、不純物が入るとちゃんと凍りませんからね」

 

 リューキュウはデストロにかけたブルーハワイシロップを不純物とさせ、外典の氷を脆くさせていた。

 

ブ「おぉ! 何はともあれ相手は丸裸だ!」

 

善「よっしゃあ! トドメ全開!」

 

 善彦はジュラガオーンの内部でギアトリンガーのハンドルを回す。するとジュランソードにエネルギーが溜まった。

 

善「今度はコッチ!」

 

 善彦は内部の歯車をくぐると、ブルマジーンの内部へとワープする。そしてギアトリンガーのハンドルを回した。

 

《キカーイ! スーパーゼンカイタイム! 》

 

 ジュラガオーンはジュランソードで大きな円を描く。

 

 デストロの背後では、ブルマジーンがタイヤを走らせ、エネルギーを溜めたブルーンピッカーを振り上げた。

 

ブ・ハ「ジュランソード円月クラッシュ!!」

 

セ・リ「ブルーンピッカーアクセルストライク!!」

 

 二体の一撃はデストロに直撃する。デストロの氷の義足が砕けると、その場に崩れ落ちた。

 

デ「ス……ストレスの溜めすぎは……体に悪いから適度なストレス解消を心がけろぉぉぉ!!」

 

外「デストロォォオ!!」

 

 その言葉を最後にデストロが倒れると、大爆発が起きた。

 

善「世界全開! オールオッケーじゃないですね早くアッチのデカブツの方へ!」

 

ブ・ハ「わかった!」

 

セ・リ「早くいきましょう「行くわよ!」

 

 勝利の喜びを感じる暇もなく、善彦達はギガントマキアが向かった先へと走った。

 





やはりゼンカイ脳は本家じゃないとダメですね、次も山荘の話を書きます


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狼煙

_:(´ཀ`」 ∠):


 

 群訝山荘の解放軍の館からギガントマキアが飛び出し、死柄木への元へ駆ける。その背中には敵連合が乗っていた。

 

Mr.「何が起きた?」

 

荼「死柄木が起きたんだろう、それ以外にこいつが動く道理が無ぇ」

 

渡「予定より早いです」

 

 先程まで個性で変身していた渡我は服を着直す。その時、ギガントマキアの背後にこちらに迫ってくる紫色の煙に気づいた。

 

渡「なんでしょうアレ?」

 

 渡我がソレに気づくと、スピナーが目を擦った。

 

ス「あぁ…なんか眠くなってきた……疲れたのかな?」

 

荼「何言ってんだこの状況で」

 

 荼毘が突っ込むと、渡我がある事を思い出した。

 

渡「そういえば……」

 

 走るギガントマキアの背後では仮面ライダーサーベラに変身したミッドナイトが煙に変化し、追いかけていた。

 

ミ「このスピードなら追いつける! このまま顔に近づければっ!」

 

 ミッドナイトがギガントマキアの顔に近づくと煙化を解除し、煙叡剣狼煙のスイッチを押す。

 

《狼煙霧虫!》

 

ミ「はぁっ!」

 

 ミッドナイトが狼煙を構え、ギガントマキアに振り下ろそうとした時。

 

渡「邪魔しないでください」

 

ミ「っ!」

 

 突然頭上で声が聞こえる。ミッドナイトが見上げると、そこには仮面ライダーキバに変身した渡我が、頭上を覆っていた。

 

ミ「うわっ!!」

 

渡「キャハハッ!」

 

 渡我はミッドナイトに掴みかかると、そのまま地面に落ちていった。

 

Mr.「ありゃりゃあ!! トガちゃん落ちちゃったよぉ!!」

 

 コンプレスが落ちていく渡我を見送ると、荼毘は不気味な笑みを浮かべる。

 

荼「いいじゃねぇか、アイツなら勝手にどーにかしてくれるよ」

 

Mr.「大丈夫かねぇ」

 

 心配するコンプレスの下の森林では、着地の衝撃で変身が強制解除されたミッドナイトと渡我が対峙していた。

 

渡「さっき信者さん達を眠らせてたのはアナタですよね? 煙でピンときました、来ないでください邪魔です」

 

ミ「邪魔してんのはどっちよ、トガヒミコ!」

 

《昆虫大百科》

 

渡「私の好きを楽しむ世界にはヒーローは邪魔なんです、キバット!」

 

キ「はいよぉ! キバって行くぜ!」

 

 ミッドナイトは煙叡剣狼煙を構え、ワンダーライドブックを取り出す。

 

 それと同時に渡我の手にキバットが噛み付いた。

 

キ「ガブッ!!」

 

 キバットが噛み付いた箇所から魔皇力が流れ、渡我の顔に紋章が浮かび、腰に巻きついた鎖がベルトに変化する。

 

ミ「フッ!」

 

《この薄命の群が舞う、幻想の一節…》

 

 ミッドナイトは昆虫大百科に息を吹きかけ、表紙を開けると、すぐさま閉じ、狼煙にセットした。

 

 渡我はキバットを、ミッドナイトは狼煙を構えて一言。

 

ミ・渡「変身!」

 

《狼煙開戦! 》

《FLYING! SMOG! STING! STEAM! 昆虫CHU大百科! 》
《揺蕩う、切っ先!》


 

 ミッドナイトは煙に包まれ、渡我の体は鎧に包まれる。煙が消え、鎧が形成されると、二人は変身を完了されていた。

 

渡「行きますよ!」

 

 まずは渡我が地面を蹴り、ミッドナイトとの距離を縮める。その刹那、渡我の視界に剣の切先が映った。

 

渡「わっ!」

 

 瞬時に上体を逸らし、狼煙の突きを回避すると、そのまま地面を後転し、ミッドナイトと距離を取った。

 

渡「先に仕掛けたのは私なのに…流石に剣士さんは速……」

 

 「速い」と言い切る前に、ミッドナイトは渡我の背中を取り、狼煙を振り上げていた。

 

渡「わぁっと! 危ないです!」

 

 渡我は振り下ろされた剣を避けると同時に拳を繰り出す。その拳はミッドナイトの体を貫通した。

 

キ「やりぃ! 決まったァ!」

 

ミ「ハァッ!!」

 

 キバットが声を上げた直後、ミッドナイトの斬撃が渡我を捉えた。

 

渡「ギャッ!」

 

 渡我は後ろに飛び、再び距離を取る。拳を叩きつけたミッドナイトの胸には確かに穴が空いていた。

 

ミ「当たる直前に後ろに飛んだわね、威力半減、やっぱり凄い反射神経」

 

 しかしその穴は一瞬で塞がり、元の形に戻った。

 

渡「やっぱり、当たった時手応えが無かったです、まるで煙を叩いてるみたいでした」

 

 渡我が一言放つと、ミッドナイトは狼煙の切先を向け、再び構えをとる。

 

ミ「気づいたみたいね、私は煙の剣士、"仮面ライダーサーベラ" 貴女の攻撃は通用しないわ、観念なさい、トガヒミコ」

 

渡「アッチは武器ありでコッチは素手…私の持ってるナイフ達は役に立ちそうにありませんね」

 

キ「ふぁ〜あ……」

 

 渡我が次の手を考えていると、突然キバットがあくびを吐いた。

 

渡「キバットさん危機感なさすぎです、ムカつきました」

 

 渡我は平手でキバットの顔を軽くはたいた。

 

キ「イデッ! すまねぇトガちゃん、なんだか突然強烈な眠気が襲ってきやがって……」

 

渡「眠気?」

 

 キバットの言葉で渡我は周囲を見回す。そして瞬時に鼻と口を腕で抑えた。

 

渡「やられましたキバット、囲まれました」

 

 渡我とミッドナイトの周りには紫色の煙が漂っている。その煙にはミッドナイトの個性"眠り香"が染み付いていた。

 

ミ「気づいたみたいね、なら観念なさい」

 

渡「冗談」

 

 瞬間、渡我は地面を踏み込む。一瞬で間合いを詰め、そのまま廻し蹴りを繰り出すが、ミッドナイトの体は煙となった。

 

渡「またっ!」

 

ミ「言っとくけど、油断している時なんて無いわよ」

 

 渡我の背後から声が聞こえる。振り向くより先に狼煙の刃が渡我を捉えた。

 

渡「うぐゥゥ!」

 

 斬撃を喰らうと同時に意識が遠のく。渡我は地面に片膝をつくと、自分の頬を叩いた。

 

渡「剣にも眠くなる煙が入ってます……喰らうたびに意識を保つのがやっとです……」

 

 渡我の頭の中はまさに煙がかかったようにぼやけている。瞼が重く、必死に目を閉ざさんとする事が精一杯だった。

 

ミ「策に嵌ってくれたようね、ここで必要なのは短期決戦……早く眠らせてあのデカブツを追いかける!」

 

《狼煙霧虫!》

 

 狼煙のスイッチを一回押すと、弓を引くように剣を構える。

 

渡「マズイ……この状態じゃ避けられません」

 

 薄れゆく意識の中、渡我は体を思うように動かせない。するとキバットが羽根を拡げた。

 

キ「トガちゃん! 俺にフエッスルを吹かせろ!」

 

渡「フエッスル?」

 

 首を傾げる渡我にキバットは必死にベルトの横を羽根で差した。

 

キ「横についてるやつ! 早く!!」

 

 渡我はフエッスルを取り出すと、キバットの口に咥えさせた。

 

ミ「させない!!」

 

《インセクトショット!》

 

 ミッドナイトは渡我より先に動き、狼煙を突き出す。切っ先から放たれた紫煙の刃は渡我に直撃した。

 

ミ「……終わった?」

 

 渡我の周りは紫煙で覆われ、姿が見えない。ミッドナイトが確認しようと一歩踏み出すと。

 

《ガルルセイバー!!》

 

ミ「っ!!」

 

 突然、煙の中からけたたましい笛の音が聞こえた。

 すると同時に渡我を包んでいた煙が晴れる。そこには煙を背に立つ渡我とその隣には狼を模した彫像が宙に浮いていた。

 

ミ「あれは……」

 

 ミッドナイトが狼の彫像を目にした瞬間、以前、雄英で善彦から解説をうけた、仮面ライダーキバのフォームを思い出す。

 

 狼の彫像は形を変え、剣へと変形する。渡我がガルルセイバーを左手で掴んだ瞬間、左腕に鎖が巻きつく。

 するとキバと複眼とキバットの瞳が青色に染まり、左腕が鎖から解放された。

 

渡「ぐるるるぅ! がおーー!」

 

 ガルルフォームへ変身を完了させた渡我は、腕を大きく広げると、狼のような雄叫びをあげた。

 

キ「なぁんか覇気がねぇなぁ〜」

 

 渡我の雄叫びを聞いてキバットは頬をかく。狼男の力を得た渡我は眠気が吹き飛んでいた。

 

渡「さぁヒーローさん、チャンバラしましょ」

 

 ガルルセイバーを構えた瞬間、ミッドナイトの視界から渡我が消えた。

 

ミ「消え……」

 

 その時、ミッドナイトの背後に殺気が走る。振り下ろされたガルルセイバーをミッドナイトは狼煙で受け止めた。

 

渡「そーーれっ!!」

 

ミ「うぐぅ!!」

 

 ミッドナイトは渡我の剣を防いだが、渡我はそのまま剣を振り抜き、ミッドナイトを吹き飛ばした。

 

ミ「姿が変わっただけでこの動きの違い……ならっ!」

 

《狼煙霧虫!》

 

 ミッドナイトは狼煙のボタンを押し、体を煙へと変化させる。そして渡我の周りを囲んだ。

 

渡「また眠くなる煙で捕まえたつもりですか? 芸がないです」

 

 渡我はガルルセイバーを自分の背中に回す。するとそこにミッドナイトの剣が振り下ろされた。

 

ミ「防がれた!?」

 

 今まで防御されずにいた奇襲が防がれ、ミッドナイトの動きがコンマ一秒止まる。その瞬間、渡我の廻し蹴りがミッドナイトに当たった。

 

ミ「ぐあっ!」

 

 強烈な蹴りが叩き込まれたが、ミッドナイトは再び煙となり、姿を消す。ソレを見た渡我は、仮面の中で不気味に笑った。

 

渡「無駄ですよ、アナタは攻撃の瞬間は完全に実体に戻ります、そして狼さんの力をもらった今ならその瞬間を絶対に見極めることができるのです」

 

 そう言うと、振り向き様にガルルセイバーを振る。するとその剣をミッドナイトは防御した。

 

ミ「うぐッ……! 完全に読まれてる……」

 

 ミッドナイトは再び煙に戻る。渡我は剣を下げると、ため息を吐いた。

 

渡「もう面倒臭いです」

 

 渡我はガルルセイバーを構えると、狼の頭の後ろに、手を添えた。

 

ウオォォォン!!

 

 ガルルセイバーの狼の頭から咆哮と共に超音波が吐き出された。 

 

ミ「ぐっ! あぁああ!! なんなのこの音!?」

 

 超音波の衝撃で周りの煙が飛ばされる。その威力はミッドナイトの体も吹き飛ばした。

 

ミ「ぐわっ!」

 

 吹き飛んだミッドナイトは木に激突する。立ちあがろうとするミッドナイトの前に、渡我は立った。

 

ミ「う……オラァァァ!!」

 

 ミッドナイトは刺突を渡我に走らせる。俊速の突きを前に、渡我は剣を突きの軌道上に置いた。

 

ギャリィン!!

 

 ミ「なっ……」

 

 ミッドナイトの刺突は軌道上に置かれた刃によって大きく外れる。その刹那の隙に、渡我はガルルセイバーをミッドナイトの胴に叩きつけた。

 

渡「キャハァッ!!」

 

 渡我は笑いながら剣を振り抜く。斬撃をまともに食らったミッドナイトはその場に膝を着いた。

 

ミ「グッ……まだまだぁ!!」

 

 ミッドナイトは狼煙を支えに倒れんとする。

 その時、渡我はガルルセイバーの刀身をキバットに噛ませた。

 

キ「ガルルバイト!!」

 

 キバットが噛み付く事により、刃に魔皇力が注入される。渡我がガルルセイバーを構えると、空が暗くなり、満月の夜へと変わった。

 

渡「ガブっと」

 

 渡我はガルルセイバーを口に咥えると、大きく腰を落とし、構えをとる。

 構える渡我を前に、ミッドナイトは激痛が走る体を無理やり起こした。

 

ミ「ヴヴヴヴヴヴァァ!!」

 

《超狼煙霧虫!》

 

 ミッドナイトは狼煙を構えると、背中から煙が噴射され、蝶の羽を形成した。

 

渡「ハッ!」

 

ミ「ガァア!!」

 

 渡我とミッドナイトは地面を蹴り、共に高く跳び上がる。

 

 先に仕掛けたのは渡我だった。

 

渡「がるるぅ!!」

 

 渡我の剣がミッドナイトの喉元に向かう。渡我の刃がミッドナイトの首をとらえた時。

 

渡「手応えがない!」

 

 斬ったはずの首からは煙が漂っていた。その瞬間、ミッドナイトの狼煙の刀身が赤色のエネルギーを帯びる。

 

ミ「はあぁああ!!」

 

《昆虫煙舞一閃!》

 

 ミッドナイトは狼煙の横一閃を渡我に走らせる。渡我は剣を振り抜き、大きな隙ができていた。

 

渡「グルルルルルルァァ!!」

 

 狼煙の刃が体に当たった一瞬、渡我は体を捻った。

 体を捻り、咥えていた剣の刃をミッドナイトの左肩にぶつける。しかしそれは斬るためのものではなかった。

 

ミ「飛ん……だ?」

 

 渡我はガルルセイバーの刀身をミッドナイトの肩にぶつけ、それを土台としてさらに上を飛んだ。

 

渡「私の好きを楽しむために……退いてください」

 

 その時、渡我の影は満月と重なる。そして体を捻らせ、ガルルセイバーをミッドナイトへ走らせた。

 

ミ「負けるわけにはいかない……あの子たちにまだ! 教えないといけないことが!!」

 

 ミッドナイトは狼煙を再び走らせる。ガルルセイバーの刃は狼煙を弾き、ミッドナイトの体を袈裟に斬った。

 

ミ「あっ……」

 

 斬られた刹那、ミッドナイトの中で何かが消える。そしてそのまま地面へ落ちていった。

 

渡「ほいっと」

 

 渡我は着地すると、変身を解除する。その瞬間、腹に痛みが走った。

 

渡「ちょっと斬られちゃいました、やっぱりプロですね」

 

 渡我は視線の端に目を向けると、その場を去る。そこには煙叡剣狼煙が地面に刺さっていた。

 

 

 

ミ「くそっ……不甲斐ない」

 

 狼煙から少し離れた森の中、ミッドナイトは倒れていた。

 息絶え絶えの中、ミッドナイトは耳につけた通信機に手を伸ばす。

 

ミ「聞こえるかしら、クリエティ!!」

 

八「ミッドナイト先生!?」

 

 通信を繋いだ先は1-Aの八百万だった。荒い息を整えながらミッドナイトは続ける。

 

ミ「状況は……わかってるね?」

 

八「ええ、耳郎さんの音と障子さんの目で!」

 

 それを聞いたミッドナイトは、唇を噛み締めた。

 

ミ「アレは力押しでは誰も止められない、眠らせたい」

 

八「え!?」

 

ミ「法律違反になっちゃうけど……事態が事態よ、麻酔で……」

 

八「あの!」

 

 ミッドナイトが説明している最中、八百万がそれを止めた。

 

ミ「八百万さん?」

 

八「申し訳ありません先生……力押しが駄目だと言われた直後なのですが……」

 

 八百万は上を見上げると、苦い表情を浮かべた。

 

八「今まさに……力押しで事態を止めてる最中なんですの!!」

 

ミ「……は?」

 

 ミッドナイトは言葉の意味を飲み込めていない。その直後、轟音と共に地面が震えた。

 

ミ「な、なに!?」

 

 ミッドナイトが顔を上げると、そこにはギガントマキアと対峙するもう一つの巨人の姿が見えた。

 

ミ「ハハッ……本当に面白い子達なんだから」

 

 ミッドナイトは笑みをこぼすと、仰向けに転がる。

 

ミ「八百万さん……聞こえる?」

 

 この時のミッドナイトの声は穏やかだった。

 

ミ「ここから先は……あなたの………判断に任せます」

 

八「先生?……先生!?」

 

 八百万の声は、ミッドナイトに聞こえない。ミッドナイトは通信機から手を離すと、ゆっくりと目を瞑る。

 紫色の煙は、空へと消えていった。

 

 

 




山荘はまだ続きます、と言うより山荘の方を書かせて下さい


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迎え撃つ

vsギガントマキアです
書くのが楽しくて長くなりそうです


 時は、ミッドナイトとトガヒミコが闘う数分前に遡る。

 

耳「うわぁっ!!」

 

 突如、驚きの声と共に耳郎が地面に挿していたイヤホンジャックを引き抜く。

 

上「どうした耳郎ジャック!?」

 

耳「ヤバい!!」

 

 上鳴が声をかけると、耳郎はすぐに目の前のプロヒーローに伝えた。

 

耳「めっちゃデカいのが向かって来ます!!」

 

「なに!? 包囲が突破された!?」

「前に詰めるぞ! ラインを下げるな、インターン生はその場で待機!!」

 

 通信を受けたプロヒーローは雄英生につたえながら駆ける。

 

峰「ヒーロー集結してんだろ……?」

 

 遠くなるプロヒーローの背中を見ながら峰田が呟く。

 

峰「なんで状況が悪くなるんだよ!!」

 

 プロヒーローの向かう先では、ギガントマキアが死柄木に向かい進行していた。

 

砂「Mt.レディが吹き飛ばされたってよ! マズイだろこれ!」

 

 その時、プロヒーローの通信を聞いた砂藤が皆に伝える。すると峰田の顔色がみるみる内に青くなった。

 

切「マズイとかそんなの関係ねぇだろ……つまり今! デケェヒーローぶん投げるバカデケェ敵が暴れてるってことだろう!!」

 

 切島はガブリボルバーを構えると、前に出る。それを見た八百万は思わず叫んだ。

 

八「待って下さいまし! 変身出来るとしても分が悪すぎます! 無謀ですわ!」

 

 八百万は、切島を必死に止める。

 

尾「いや、行くべきだよ」

 

 その時、尾白が口を開いた。

 

瀬「尾白!! お前なに言ってんだ!?」

 

 前に出た尾白に瀬呂が驚く。尾白はジュウオウザライトを構えると、拳を強く握った。

 

尾「俺らには……戦う力があるんだ、それがあるのに黙って立つなんて出来るわけないだろ!」

 

 尾白が強く叫ぶと、切島はニヤリと笑う。

 

切「そーゆーこった! 無謀じゃねぇよなぁ! 芦戸! 砂藤!」

 

芦「当たり前!!」

 

砂「あぁ! やってやらぁ!!」

 

 切島が振り向きざまに叫ぶと、ガブリボルバーを持った芦戸と砂藤が前に出た。

 

瀬「はぁ……こりゃ何言っても止まんねぇな」

 

 並んだ姿を見た瀬呂はため息を吐く。しかしその表情は笑っていた。すると八百万が前に出る。

 

八「敵に背を向けるヒーローになれと……教わった事はございません」

 

 八百万の腰には、ゲネシスドライバーが巻かれている。そして、後ろを振り向いた。

 

八「私は戦います! 皆さんは」

 

上「言うなヤボだぜ!」

 

 八百万の言葉を上鳴は遮る。上鳴は笑うと、シグナルバイクを取り出した。

 

上「コス着て外でりゃヒーローなんだ!!」

 

 上鳴の腰にはマッハドライバー炎が巻かれている。上鳴の言葉に頷いた皆は、それぞれのベルトやアイテムを取り出した。

 

八「ここで迎えうちます!」

《ピーチエナジー!》

 

上「待ってました!》

《シグナルバイク!》

 

耳「任せてよねっ!」

《ダッシュ》

 

切「行くぜA組! 男気見せるぜ!」

《ガブリンチョ! ガブティィラ!!》

 

砂「糖分満点! いくぞ!」

《ステゴッチ!!》

 

芦「デカい敵がナンボのもんじゃい!》

《ドリケェェラ!! 》

 

峰「おおおオイラもやるぞ!!」

《ドングリ!》

 

青「僕もやるよぉ☆」

《テンビンキュータマ》

 

葉「見せるぞヒーロー科の底力ぁ!》

《シロニンジャーシュリケン》

 

尾「王者の力を見せてやる!」

《ザワールド!》

 

 A組は並び、それぞれのアイテムをセットする。それを見た鉄哲は、雄叫びを上げた。

 

鉄「ウォオオオオ!! 俺らも負けてらんねぇぜぇ!! 研ぎ澄ませ! 獣の刃!」

 

拳「確かに! ビビってらんないね! たぎれ! 獣の力!」

 

庄「微力ながら手伝わせていただく!」

《クルミ!》

 

三人はA組と並ぶと、そのまま構えた。

 

「変身っ!!」

 

「キョウリュウチェンジ!」

 

「スターチェンジ☆」

 

「シュリケン変化!」

 

「本能覚醒!」

 

「ビーストオン!」

 

 森の中に全員の声が轟く。その時、ギガントマキアは木々を薙ぎ倒し、Mt.レディを引きずりながら進んでいた。

 

Mt.「男に縋るなんて中学以来だわちくしょうがぁぁ!!」

 

 Mt.レディはボロボロになりながらもマキアにしがみつく。だがその握力は失われつつあった。

 

Mt.「ダメだ……もう力が…」

 

シ「レディ! 頑張れ!」

 

 Mt.レディの頭でシンリンカムイが叫ぶ。Mt.レディの手がマキアから離れた瞬間。

 

「ギャオオオオオ!!」

 

 突然、咆哮が聞こえた。

 

ギ「!?」

 

 その声にマキアの足が一瞬止まる。その時、赤色の恐竜がマキアに飛びかかった。

 

ギ「グォオッ!!」

 

 飛びかかった恐竜は、マキアの頭に噛みつき、そのまま投げ飛ばした。

 

Mt.「なに……アレ」

 

シ「ティラノサウルスか?」

 

 二人は目の前の光景を唖然と見ている。するとマキアの背後から低いクラクションが聞こえた。

 

シ「今度はなんだ!?」

 

 シンリンカムイが音の方向を向くと、そこには黒いトレーラーが走っていた。

 

尾「うぉおおおお!! 行くぞキューブライノス!」

 

 トレーラーの中では尾白がハンドルを握っている。ハンドルを切ると、そのままマキアの足元に突っ込んだ。

 

ギ「ウォオオッ!」

 

 足をすくわれたマキアは大きく転ぶ。キューブライノスはそのまま恐竜の隣に停まった。

 

尾「やったぞキューブライノス! ざまぁないぜ!」

 

切「ナイスだぜ尾白ぉ! あいつコケやがった! オマエもよくやったなぁガブティラ!!」

 

 赤い恐竜、ガブティラの頭の上で切島が親指を立てる。

 

Mt.「まさか……あのヒヨッ子たち?」

 

シ「プロが助けられちまうなんてな……」

 

 シンリンカムイとMt.レディは安堵の息を吐く。すると再び大きな足音が聞こえた。

 

芦「ちよっとー! 置いてくな切島ー!」

 

砂「すげぇ! 俺たち本当に恐竜に乗ってるよぉ!」

 

 ガブティラの背後から、ドリケラに乗った芦戸とステゴッチに乗った砂藤が追いつく。そしてギガントマキアと対峙した。

 

Mr.「イテテテテ……一体全体なんだってんだよぉ」

 

近「理解が……追いつかない」

 

 マキアの背中では、敵連合のMr.コンプレスと異能解放戦線の近属がひっくり返っている。

 

ス「なんかコッチと同じような大きさのヤツが集まってきたぞぉ!」

 

荼「おー、本当だ」

 

 同じく背中に乗っていたスピナーが前を指差す、荼毘は前に出て眺めると、その光景に笑った。

 

ギ「心配するな、我が同胞よ……」

 

 ギガントマキアは立ち上がると、両手の指先を鋭く尖らせた。

 

ギ「主への最短距離……蝿に時間を割くなど寄り道甚だしい」

 

 ギガントマキアは体がどんどん巨大化し、切島達を見下ろした。

 

芦「えっ……この声」

 

 その時、芦戸の記憶が蘇る。中学生の時、同級生が巨大な体躯の男に襲われようになった時、自分が前に出てその場を凌いだ。

 

砂「芦戸、どうした?」

 

芦「まさか……あの時の」

 

 砂藤の声は芦戸に届いていない。芦戸の中に、その時の恐怖が蘇ろうとしていた。

 

切「お前も気づいたか芦戸」

 

芦「え……」

 

 切島の声に芦戸が目を見開く。切島はあの時、ギガントマキアに恐れて体が動かなかった。

 

切「大丈夫、あの時とは違う! オレらは強くなった! ブレイブに行くぞ!!」

 

 切島の声で、芦戸の中にあった恐怖は、跡形もなく消え去った。仮面の中で笑うと、芦戸は切島と並んだ。

 

芦「当たり前じゃん! やってやろうよリベンジ!!」

 

 芦戸はギガントマキアに拳を向ける。切島は頷くと、ガブティラの頭から飛び上がった。

 

切「カミツキ合体だぁぁぁ!!」

 

 切島が叫んだ途端、辺りに軽快なサンバホイッスルの音が響いた。

 

「ギャオオオオオ!!」

 

 ガブティラが吠えると、それに応えるようにドリケラとステゴッチが駆け寄る。そして二体の獣電池がガブティラの口に差し込まれる。

 

《ガブリンチョ!ステゴォッチ! 》
《ガブリンチョ!ドリケェェェラ! 》

 

 獣電池を読み取ると、ステゴッチとドリケラは脚を畳み、ガブティラの顎の下と尻尾の下に噛み付いた。

 


《HA!HA!SHIY!HA!HA!! HA!HA!SHIY!HA!HA!! 》

 

 二体が噛み付くと、ガブティラの足が変形し、背中から頭が起き上がり、兜が被せられた。

 

《キョウリュウジン!! 》

 

 合体が完了すると、三人の体がコックピットに転送され、自身の横に立てられたホルダーに、ガブリボルバーをセットした。

 

切・砂・芦「完成! キョウリュウジン!! 」

 

切「って…なんだコレェェェ!?!?」

 

砂「佐竹の個性なんなんだよ本当に!?」

 

芦「なんかすんなりと動いちゃったけどコレすごいな……」

 

 合体完了の掛け声をした直後、三人は自分の置かれた状況に気づき、慌てふためいた。

 

尾「動物合体!」

 

《トウサイジュウオー!》

 

 キョウリュウジンの隣で尾白も合体を完了させる。それを見た三人は気を取り直した。

 

切「うぉお! 尾白の合体したヤツもかっけぇな!」

 

尾「合体にテンション上げてる場合じゃないよ! ここでコイツを止めるんだ!」

 

切「おうよ! 俺たちの後ろで血は流させねぇ!!」

 

 尾白の言葉でキョウリュウジンはステゴシールドとドリケラドリルを構える。

 

 そして時は現在に戻る。

 

八「今まさに……力押しで事態を止めてる最中なんですの!!」

 

 今、ヒヨッ子ヒーローと巨大凶悪敵との戦いが始まろうとしていた。




合体描写を表すのが難しいデス……


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巨人集結

巨大戦その2です


荼「2対1……舐められたもんだなぁ」

 

 ギガントマキアの頭の上で、荼毘は不気味に笑う。

 マキアと2体が対峙した後、キョウリュウジンが先に動いた。

 

切「先手必勝! いくぜぇぇ!」

 

芦「いっけぇドリケラ!」

 

 切島達がコックピットで左腕を突き出すと、それに連動してキョウリュウジンが左腕に付けられたドリケラドリルを突き出した。

 

ギ「甘いっ!!」

 

 しかしマキアはドリルを首を傾けて避ける。そしてカウンターで左の貫手を放った。

 

砂「どっこいしょお!!」

 

 放たれた貫手と共に、砂藤が瞬時に右腕を突き出す。するとキョウリュウジンが右腕のステゴシールドを前に出し、マキアの貫手を防いだ。

 

ギ「ナニッ!」

 

切「まだまだぁ!!」

 

 切島が叫びながら後ろ回し蹴りを繰り出す。キョウリュウジンと連動した蹴りは、そのままマキアの側頭部に直撃した。

 

ギ「グォ……」

 

切・砂・芦「っしゃあああ!!」

 

 マキアは体を揺らめかせると、そのまま地面に膝をつく。それを前に三人は雄叫びを上げた。

 

尾「ハハッ……俺の出る幕はなさそうだな」

 

 トウサイジュウオーはキョウリュウジンの勢いに圧倒され、その場から動けない。尾白はコックピットで苦笑いを浮かべた。

 

近「おい! まさかこのままやられるんじゃないだろうな! 共倒れなどごめん被るぞ!!」

 

ス「オェッ……酔った」

 

 攻撃を受けたマキアの衝撃や揺れに晒された近属が頭を抱え、体を小さく丸めながら荼毘に叫ぶ。スピナーは揺れに酔い横たわり、荼毘はマキアの突起に掴まりながら口角を上げた。

 

荼「問題ねぇよ、マキア! さっさとコイツら片付けてねぇと、お前の大好きな主様に会えねぇぞ!」

 

 荼毘はマキアの耳に向かって叫ぶ。すると俯いていたマキアの眼にギラリと光が灯る。

 

ギ「グォオオオオオオオオオ!! 我が主の元へぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 次の瞬間マキアは立ち上がり、天を仰いで咆哮する。そしてそのままキョウリュウジンに飛びかかった。

 

切「だぁぁぁ! なんなんだコイツ!」

 

砂「スゴイパワーだ! 剥がれねぇ!」

 

芦「キモイきもいぃぃ!! 乗り物越しなのがまたキツイ!」

 

 飛びかかったマキアはキョウリュウジンにしがみ付き、無雑作に拳を振り下ろす。キョウリュウジンは引き剥がそうとするが、マキアは離れずに連続で拳を振り下ろした。

 

ギ「邪魔だ!邪魔だ!邪魔だ!邪魔だぁぁ!!」

 

尾「コレはヤバい! 離れろデカブツがぁ!」

 

 事態を見た尾白が瞬時にハンドルを動かし、トウサイジュウオーを走らせる。

 

Mr.「おおっと! 行かせねぇよ!」

 

 その瞬間、Mr.コンプレスが義手の指を開け、個性"圧縮"で縮めた球をトウサイジュウオーに投げた。

 

尾「なんだ?」

 

 投げられた球に尾白が気づく。分析しようとした刹那、Mr.コンプレスが指を鳴らした。

 

Mr.「イッツショータイム!」

 

 Mr.コンプレスの個性が解除され、投げられた球から荼毘の蒼炎が放出された。

 

尾「うわぁ熱っ!」

 

 蒼炎は一瞬でトウサイジュウオーを包む。Mr.コンプレスは続けて球を放り投げた。

 

Mr.「まだまだ行くぜ!」

 

 Mr.コンプレスが再び指を鳴らすと、個性が解除され、球から巨大な瓦礫が出現した。

 

尾「しまった!」

 

 炎を消そうともがいていた尾白は瓦礫を避けれず、まともに喰らう。

 トウサイジュウオーはそのまま仰向けに倒れた。

 

Mr.「火ぃ貸してくれてサンキュな」

 

荼「お安い御用だ、ナイスだぜコンプレス」  

 

 荼毘とMr.コンプレスはマキアの背中で親指を立てた。

 そしてその時、マキアがキョウリュウジンの両腕を掴んだ。

 

ギ「このまま引きちぎってくれる!」

 

 マキアはキ地面に立つと、キョウリュウジンを持ち上げ、腕を引っ張った。

 

切「ぐあぁあああ! マズイ! このままじゃ!」

 

 コックピットの三人は身動きが取れない。

 

ギ「グォオオオ!!」

 

 マキアが腕に力を込めると、キョウリュウジンの両腕を引きちぎった。

 

ス「やった! 倒したぞ!!」

 

 腕を取られたキョウリュウジンを見たスピナーが思わず叫ぶ。その時、キョウリュウジンの中で切島は笑った。

 

切「なんつって♪ オラァ!」

 

 腕を取られたキョウリュウジンは、マキアの顔を踏み台に、高く跳び上がった。

 

ギ「ウォオ!?」

 

 顔を踏まれたマキアは後退る。その時、切島が後ろを向いて叫んだ。

 

切「今だ鉄哲ぅ!」

 

鉄「どっせーーい!!」

 

 切島が叫んだ直後、銀色のサイがマキアに突っ込んだ。

 

ギ「ガァア!!」

 

 サイの突進でマキアは後ろに飛ぶ。その拍子でマキアに握られてたドリケラとステゴッチが解放された。

 

鉄「おっしゃあ! やったぜサイダイン!!」

 

 鉄哲はゲキチョッパーに変身し、ゲキビーストのサイダインの背中に乗っていた。

 

芦「キョウリュウジンは両腕も獣電竜なんだから離れてもダメージないんだよ!」

 

 跳び上がったキョウリュウジンの中で芦戸はマキアに言い放つ。そしてアンキドンの獣電池を取り出した。

 

切「この隙にカミツキ合体だ!」

 

 切島はブンパッキーの獣電池を取り出し、二人はそれを放り投げた。

 

鉄「こっからは俺も参戦させて貰うぜぇ!」

 

 鉄哲は叫ぶと操獣刀を取り出し、掲げて叫んだ。

 

鉄「獣拳変形! サイダイオー!!」

 

 鉄哲の声と共に、サイダインが立ち上がる。そして上体を捻ると、砕大剣と盾を持つ獣拳の王が誕生した。

 

鉄「押忍!」

 

 サイダイオーの内部で鉄哲が操獣刀を向けると、連動してサイダイオーも砕大剣をマキアに向けた。

 

切「鉄哲ぅ!」

 

《キョウリュウジンカンフー!アーチョ!》

 

 その時、キョウリュウジンがサイダイオーの隣に降り立った。キョウリュウジンの両腕は、アンキドンとブンパッキーに変わっている。

 

鉄「おっしゃあ! コレで俺たちゃ無敵だぜぇ!!」

 

尾「俺も忘れないでくれぇ〜」

 

 キョウリュウジンの横にトウサイジュウオーも並ぶ。

 

荼「3対1になったかぁ……おもしれぇ」

 

 荼毘はマキアの頭上に登り、目の前の光景に口角を上げる。その直後、一筋の矢が荼毘に放たれた。

 

荼「おっと」

 

 自分に向かってきた矢を、荼毘はネビュラスチームガンで撃ち落とす。

 

八「撃ち落とされましたわ!」

 

 矢が放たれた場所には、仮面ライダーマリカに変身した八百万がソニックアローを構えていた。

 

荼「なぁんだ……遊び相手がいるじゃねぇかよ!」

 

《ギアエンジン!》

 

 荼毘は笑顔を浮かべると、ギアエンジンをセットする。そして銃を掲げた。

 

荼「潤動」

 

《ファンキー!》

 

 煙が荼毘の体を包み、エンジンブロスに変身する。そしてライフルモードに変形させたネビュラスチームガンを構えた。

 

荼「これで退屈しなさそうだ!」

 

 スコープを八百万に合わせると、引き金に指を添えた。

 

ギ「グガァァァァ!!」

 

 その瞬間、マキアがキョウリュウジンに飛びかかる。

 

荼「あららっ」

 

 その揺れで荼毘の体勢が崩れ、そのまま倒れた。

 

切「うぉおらぁぁ!!」

 

 向かいくるマキアに、切島はアンキドンハンマーを振り下ろす。しかしマキアはハンマーを跳んで避け、そのままサイダイオーへ襲いかかった。

 

砂「しまったフェイントか!」

 

 砂藤が気づいた時には、マキアはサイダイオーの頭上に滞空していた。

 

鉄「っしゃあ! 来やがれぇ!」

 

 鉄哲は笑みを浮かべながら、砕大剣を構える。迎撃しようと剣を振りかぶると、マキアの動きが空中で止まった。

 

ギ「ヌ!?」

 

 マキアが足元を向くと、四角いワニがマキアの右足首に噛み付いていた。

 

尾「世界の王者を忘れるなぁぁ!!」

 

 トウサイジュウオーは右腕のキューブクロコダイルをマキアに深く喰らいつかせる。しかし個性で痛覚がないマキアは瞬時に標的を尾白に変えた。

 

ギ「はなせ蝿め」

 

 マキアは右脚を軸に体を捻り、延髄蹴りをトウサイジュウオーに叩き込んだ。

 

尾「ぐわっ!」

 

 蹴りの衝撃でキューブクロコダイルが右脚から離れる。マキアが地面に立つと、サイダイオーが剣を振り下ろした。

 

鉄「おらぁ!」

 

ギ「フンッ!」

 

 しかしマキアは剣を腕で弾き、そのまま掌底を放つ。

 

鉄「どわぁっとぉ!?」

 

 鉄哲は掌底を盾で防ぐが、そのまま後ろに吹き飛ばされた。

 

切「ブンパッキーボール!」

 

 切島が左腕を振ると、鎖鉄球がマキアに向かう。しかしマキアはキョウリュウジンの方を向かずに鉄球を片手で受け止めた。

 

芦「見ないで止めた!? 離せこのやろー!」

 

 キョウリュウジンが左腕を引くが、マキアの握力で鉄球が離れない。

 

ギ「こざかしい蝿どもがぁ……」

 

 マキアは額に青筋を浮かべながら鉄球を引き寄せる。キョウリュウジンはそれに抵抗し、鎖を引いた。

 

切「ぐぅぅぅ! 負けるかァァ!!」

 

砂「ここで綱引きかよぉ!」

 

芦「このやろぉ! おらー!」

 

 三人はコックピットの中で必死に左腕を引く。そのままマキアとキョウリュウジンの綱引きが始まった。

 

荼「フッ…この隙に目ん玉潰しますか」

 

Mr.「次は外さないでね」

 

 マキアの背中では荼毘がライフルモードのネビュラスチームガンを構える。そして照準をキョウリュウジンの眼に合わせた。

 

《クルミオーレ!》《ドングリオーレ!》

 

ギ「ウオッ!?」

 

荼「またかよっ」

 

 突然、音声と共にマキアが膝から崩れ落ちる。それと共に荼毘は再び体勢を崩した。

 

 マキアの両膝の裏では、変身した峰田と庄田が跳んでいた。

 

庄「うまくいった! 体勢を崩したぞ!」

 

峰「ややややったぞ! ざまぁみろ!」

 

 2人が着地すると、八百万が前に出る。

 

八「切島さん達だけに任せてはおけません! 私達も攻めますわ!」

 

 八百万の手には、マキアに効く量の麻酔のカプセルが握られていた。

 

Mr.「雄英!? こんなに来てたのかよ」

 

 マキアの頭上でMr.コンプレスが驚く。その横で荼毘はライフルを肩に担いだ。

 

荼「散々邪魔しやがって……今度こそ退屈しなさそうだな」

 




今月は時間ができるので精一杯がんばりますorz
vsギガントマキアは楽しいです


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巨人集結しすぎ

vsマキアです!
妄想易し書くは難し! 


八「マッドマン! 今です地面を! 皆さんは先程言った通りの場所に!」

 

 ギガントマキアが膝を着いた直後、八百万が皆に指示を送る。まず先にB組の骨抜が動いた。

 

骨「はいよっ!」

 

 骨抜は言われた通りに、地面に手をつける。個性の"柔化"で地面が柔らかくなり、マキアの足が地面に沈んだ。

 

近「うおぉお!? なんとかしろぉ!」

 

荼「わめくな」

 

 沈むマキアに焦った近属が荼毘に叫ぶ。荼毘はネビュラスチームガンを骨抜に向けた。

 

取「骨抜危ない!」

 

骨「おおおっと! アリガトゥ」

 

 発砲された直後、個性"トカゲのしっぽ切り"で分離した両手が骨抜を引っ張り、弾丸を避けた。

 

八「大丈夫ですか!?」

 

骨「オレは大丈夫、けど触れる時間が短かったからあんまり沈めらんないかも!」

 

 安全圏に移動された骨抜が八百万に伝える。八百万は毅然とした態度で腕を前に出した。

 

八「少しでも身動きを奪えれば十分ですわ! 皆さん!」

 

 八百万が叫ぶと、マキアの首にさまざまロープが巻かれた。

 

塩「多勢に無勢をお許しください」

 

瀬「強度が不安だけどもやるぜ!」

 

拳「いっけぇ! ゲキハンマー!」

 

葉「シュリケン忍法チェーンの術!!」

《キンキラジャー!》

 

 塩崎の茨の蔓、瀬呂のテープ、ゲキイエローに変身した拳藤のゲキハンマーの鎖、シロニンジャーに変身した葉隠の金の術で造った鎖、更に八百万が創造した硬質ロープが首に巻きつく。

 首に巻いたことを確認すると、それを全員で引っ張った。

 

宍「立ち上がられたら望み薄ですぞぉ!」

 

拳「寝ぇぇてぇぇろぉぉ!!」

 

 巻きつけた全員で鎖やロープを引っ張る。起きあがろうとしたマキアの頭は徐々に下がり、顎が地面についた。

 

八「耳郎さん今です!!」

 

耳「ゴーゴー! ゴーゴー!!」

 

 その瞬間、仮面ライダーバルキリーに変身した耳郎がマキアに走る。手には八百万が創造した麻酔薬が握られていた。

 

荼「なんか持ってんなぁ、手首ごと吹き飛べ」

 

 荼毘が耳郎の麻酔薬に気づくと、ライフルを構える。スコープを覗くと、そのまま引き金を引いた。

 

上「うぉりゃっ!」

 

 耳郎に弾丸が放たれた瞬間、仮面ライダーマッハに変身した上鳴が耳郎の前に飛び出し、弾丸を受け止めた。

 

耳「大丈夫かー!?」

 

上「痛くねぇー!!」

 

 仮面の下で涙を浮かべ、地面にのたうち回りながら、上鳴はベルトのシグナルバイクを交換した。

 

《シグナル交換! カクサーン!》

 

上「んのやろぉ!!」

 

 倒れた体勢のまま、ゼンリンシューターの引き金を引くと、拡散されたエネルギーがマキアの頭上の荼毘に向かった。

 

荼「身を挺してってか? くだらねぇ」

 

 荼毘は動じずに頭を腕でカバーし、降り注ぐエネルギー弾を防いだ。

 

青「僕達を忘れないでよ☆」

 

小「ノコー!」

 

 その瞬間、テンビンゴールドに変身した青山がキューボウガンを発射し、その横ではB組の小森がガシャコンバグヴァイザーのビームを発射した。

 

Mr.「あぶねぇ!」

 

 2本のビームが荼毘に当たる直前、Mr.コンプレスが瓦礫を圧縮させた球を投げ、荼毘の前で個性を解除しビームを防いだ。

 

小「防がれたノコ!」

 

青「けど注意はそらせたよ☆」

 

 青山が視線を向けた先では、耳郎がマキアの口へと麻酔薬を振りかぶっていた。

 

耳「いっけぇぇぇ!!」

 

 耳郎が麻酔薬をマキアの口へ放り投げる。一直線に投げられた麻酔薬がマキアに届こうとした時。

 

ギ「ブッ!!」

 

 マキアが息を吹き、麻酔薬を飛ばす。マキアが軽く吹いただけの息は麻酔薬だけでなく、耳郎まで吹き飛ばした。

 

耳「うわぁっ!」

 

八「耳郎さんっ!」

 

上「ヴェェェェ最悪! 息くせぇ!」

 

 吹き飛んだ耳郎を八百万が受け止める。その横では上鳴が息に吹かれて地面を転げ回っていた。

 

宍「ぬぐぅぅ! 決して離してはいけませんぞぉお!!」

 

拳「わかってるってぇぇ!」

 

 マキアの起こした強風は鎖やロープを引っ張る拳藤達にも襲いかかる。しかし全員手を離さなかった。

 

荼「そのまま離すなよぉ」

 

 マキアの頭上で荼毘が右腕に歯車のエネルギーを充填する。そして蒼炎を纏わせると、横に並ぶ拳藤達に歯車を放った。

 

拳「っ! みんな逃げてぇぇ!」

 

 迫る歯車に拳藤が叫ぶ。歯車はマキアを締めていた鎖やロープを断ち、通過した箇所から蒼炎が上がった。

 

葉「アチチチチ!! これじゃ近づけないよぉ!」

 

 葉隠は水の術を炎にかけるが、一瞬で蒸発する。

 

ギ「蝿は二度とたからぬように払うのが最短」

 

 首が自由になったマキアは、柔化された地面から抜け出し、そのまま立ち上がる。

 そして足元の八百万達を見下ろし、睨みつけた。

 

鉄「害虫はテメェだこのやろぉ!!」

 

 マキアの視線が下を向いた瞬間、盾を構えたサイダイオーが突進する。

 

ギ「あまいっ!!」

 

 しかし不意を突いた一撃を、マキアは受け止めた。

 

鉄「負けるかぁぁぁ!!」

 

 鉄哲は止められて尚、盾に力を込める。踏み込んだ足が地面にめり込むと盾を突き出し、マキアを突き飛ばした。

 

ギ「グォッ!」

 

 突き飛ばされたマキアは宙に浮く。空中で体勢を直すと両手足を地につけ、着地した。

 

切「やったな鉄哲!」

 

鉄「あぁ! だがやっぱりダメだ!」

 

 サイダイオーの横に、キョウリュウジンが並ぶ。すると鉄哲は切島の方を向いた。

 

鉄「切島ぁ! 少しの間でいい! 時間を稼いでくれ!」

 

切「なんかあるんだな!? 行くぞ尾白ぉ!!」

 

尾「オッケー!」

 

 切島は頷くと、尾白の方を向く。尾白が頷くと、トウサイジュウオーはマキアの背後に立った。

 

鉄「すまねぇ皆!」

 

 そう言うと、鉄哲はサイダイオーから降りる。

 

拳「は?! 鉄哲!? なんでここにいんの?!」

 

 降りた場所には、ゲキイエローに変身したままの拳藤が立っていた。

 

鉄「拳藤! わりぃけどサイダイオー任せていいか?」

 

 鉄哲は右手で謝りながら左手で操縦刀を差し出した。

 

拳「はぁ!? 出来るわけないでしょ何言ってんの!」

 

 当然、拳藤は受け取らずに手を横に振る。鉄哲は更に頭を下げながら両手を合わせた。

 

鉄「頼むよ頼む! コレ持って振ってりゃそのとーりに動くから! な! な!」

 

 鉄哲は申し訳なさそうにしながら拳藤に歩み寄ると、無理やり操縦刀を握らせた。

 

拳「ちょっ、ちょっと鉄哲!」

 

鉄「それじゃ頼むわ! おぉ頼むわ! うぉら頼むわ! 押忍!!」

 

 戸惑う拳藤を他所に鉄哲はその場から走り去る。置いてかれた拳藤は呆然としたままサイダイオーを見上げた。

 

拳「もぉぉお!! 勝手なんだからぁ!」

 

 拳藤は地団駄を踏むと地面を跳び、サイダイオーに搭乗した。

 

鉄「拳藤にわりぃことしちまったな、まぁでも大丈夫だろ! オレはオレのやるべきことをやる!」

 

 拳藤から離れた鉄哲はゲキチョッパーの変身を解除する。

 そしてシャイニーキラメイチェンジャーを構えた。

 

《輝け!!》

 

鉄「キラメイチェンジ!」

 

 シャイニーキラメイチェンジャーの円盤を回すと、変身を完了させた。

 

《Oh! シャイニー!》

 

鉄「貫きシャイニング! キラメイシルバー!」

 

 キラメイシルバーに変身すると、すぐさまキラメイチェンジャーのボタンを押し、円盤を回した。

 

《魔進ドリジャン!》

 

鉄「おおっ! キタキタァ!」

 

 音声と共に鉄哲の隣に魔進ドリジャンが現れる。そして再びボタンを押した。

 

《輝くのだ!》

 

鉄「ワンダーチェンジ!! シャイニーング!」 

《>Oh!エクセレント!!》

 

 鉄哲が跳び上がると、体がキラメイストーンに変化する。そして魔進ドリジャンと合体した。

 

鉄「さぁ! ギガンとドリルぜ!」

 

 鉄哲と合体したドリジャンは鉄哲に呼応するように変形し、剛力の巨人が誕生した。

 

鉄「完成! ギガントドリラー!」

 

切「うぉおおお!? 鉄哲ぅ!?」

 

砂「だれだれなになに!?」

 

尾「なんでもアリだな……」

 

 ギガントドリラーの登場に全員の手が止まる。そして次に視線が向けられたのはサイダイオーだった。

 

芦「じゃあアレの中は誰が入ってんの!?」

 

拳「私でーす」

 

 芦戸の声に答えるように、拳藤はサイダイオーの中で操縦刀を振った。

 

鉄「4対1だ! 覚悟しやがれ!」

 

 集まった四体はマキアと対峙する。マキアの頭上でMr.コンプレスとスピナーは顔を青くした。

 

Mr.「荼毘ぃ……コレ詰んでねぇか?」

 

ス「なんなんだよアレ誰の個性なんだよ……」

 

 青ざめる二人を横に、荼毘は笑みを浮かべる。

 

荼「さぁな、けどコレで丁度いいじゃねぇか、やれるよな? マキア」

 

ギ「愚問」

 

 荼毘の声にマキアは走る。まず向かったのはサイダイオーだった。

 

拳「おぉお! コッチきたぁ!」

 

 真っ先に標的にされた拳藤は剣を構える。その時、マキアが跳び上がった。

 

鉄「させるかよ!」

 

 それと同時に鉄哲も跳び上がり、左腕を振りかぶった。

 

鉄「うぉおおらぁ!」

 

 左腕のパワーアームはマキアの腰を捕える。そしてそのまま上半身を回転させた。

 

Mr.「アアアアアアア!!」

 

鉄「投げるぞ切島ぁぁ!」

 

 Mr.コンプレスが絶叫する中、鉄哲が叫ぶ。充分な回転をつけると、マキアを空高く放り投げた。

 

切「ナイスだぜ鉄哲ぅ!」

 

 切島は宙を舞うマキアにブンパッキーボールを放つ。マキアの頭上でスピナーが迫る鉄球を指差した。

 

ス「おいぃ! 避けろ避けろ!」

 

ギ「フンッッ!!」

 

 マキアは鉄球を足で受け止めると、それを足場に飛び上がる。

 鉄球に気を取られた瞬間を尾白は捉えた。

 

尾「狙い通りだ! トウサイ!トリプルザ・ビースト!」

 

 トウサイジュウオーの右腕から、7・8・9が刻まれたキューブ型のエネルギーが放たれる。

 鉄球を蹴った直後のマキアは体勢が崩れ、完全に不意を突いていた。

 

荼「クソがっ……!」

 

《ファンキーショット! ギアエンジン!》

 

 迫るキューブに荼毘がライフル弾を放つ。しかし荼毘の弾は7のキューブを破壊したのみだった。

 

ギ「ぬぅぅん!」

 

 8と9のキューブはマキアの右肩と左大腿部に直撃する。しかし痛覚のないマキアは尾白の方を睨み、着地した。

 

尾「ダメだ! このままじゃコッチの体力が持たない!」

 

 トウサイジュウオーの中で尾白が息を切らす。荼毘が四体の様子に気づくと、仮面の中で笑みを浮かべた。

 

荼「ようやく気づいたか! コイツのバカスタミナと馬鹿力には俺たちも困らされたんだよなぁ」

 

 四体を前に荼毘がせせら笑う。そして再び、マキアは切島達へ向かった。

 

砂「切島! このまま続けたら俺たちがスタミナ切れになっちま」

 

切「でもやるしかねぇだろ! ここで俺たちが引くわけにはいかねぇ!」

 

 砂藤の言葉を切島が遮る。しかし切島の体力も減りつつあった。

 

切「奮い立て俺達のブレイブ…燃え上がれ男気! ヒーローは……諦めねぇぇ!!」

 

 キョウリュウジンの中で切島が咆哮する。その直後、マキアがキョウリュウジンに襲いかかった。

 

《ゼンリョクミラクルパワー!》

 

ギ「!?」

 

 突然どこからか声が聞こえると、キョウリュウジンの背後から、ピンク色のリボンが伸びる。

 

荼「なんだっ!」

 

 リボンは空中のマキアに巻きつき、地面に落とした。

 

「みんなー! 待たせてごめーん!!」

 

尾「その声はっ! 遅いぞ……へ?」

 

 久しぶりに聞いた声に尾白が顔を綻ばせて振り向く。しかし、振り向き様にみた光景に尾白の言葉が止まった。

 

ブ「鉄哲!拳藤!宍田!骨抜!取陰!小大!庄田!小森!塩崎!柳!黒色! よくやったぞぉお!! あとは先生に任せろぉお!」

 

セ「A組の皆さんもお疲れ様です!」

 

ハ「ようやく追いついタルルル!!」

 

リ「よーし! やっちゃう魔女っ子ドラゴン本気だすぞー!」

 

 プロヒーローの声が尾白達に迫る。しかしその声は一体の巨人の手足が口を動かして発せられていた。

 

鉄「うぉおお! ブラキン先生ティラノになってるぅ!」

 

拳「ハウンドドッグ先生と……セメントス先生も!?」

 

芦「あのピンクのドラゴンから聞こえる声は……リューキュウさん? キャラ違う気が……」

 

 ゼンリョクゼンカイオーの手足から聞こえる声に全員戸惑う。

 善彦はコックピットの中で両手を広げると、気合十分に叫ぶ。

 

善「ここで挽カイ! 逆転ゼンカイ! 行きましょー!」

 

「「「「オー!」」」」

 




次回で決着させます! ダラダラと長くならないよう善処します!


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終結

今年一発目です
よろしくお願いします


善「全力全開! いきましょおォォオ!!」

 

「「「「オォーー!!」」」」

 

 善彦の声に、ゼンリョクゼンカイオーの手足が答える。そしてマキアに走った。

 

ギ「蝿が次々とぉおお!!」

 

 リボンを千切ったマキアは、起き上がるとともにゼンリョクゼンカイオーに走った。

 

善「うぉおおお!」

 

ギ「グォォォオ!!」

 

 善彦とマキアが拳を振りかぶる。そして互いの拳がぶつかる瞬間。

 

善「合体解除ぉおおお!!」

 

「了解っ!」「ガルァ!」「はいっ!」「イェイッ!」

 

ギ「ぬぉおっ!?」

 

 ゼンリョクゼンカイオーの合体が解除され、マキアの拳が空振りした。  

 

善「そして別々! ゼンカイ合体!」

 

 善彦は空中でギアトリンガーのハンドルを回し、引き金を引いた。

 

ブ・ハ「ゼンカイオー! ジュラガオーン!」

 

セ・リ「ゼンカイオー! ブルマジーン!」

 

 合体を終えると、全てのロボットはマキアを囲むように地に降りた。

 

善「合体ロボット合計6体! ファンとしては眼福すぎるねぇ!!」

 

 善彦はマキアを囲む皆を落下しながら眺める。そしてそのまま八百万達の集まる場所に着地した。

 

耳「おぉ!佐竹!」

 

上「おかえり!」

 

善「遅れました! 説明お願いします!」

 

 善彦はゼンカイザーの変身を解除すると、変身したままの耳郎と上鳴のもとに駆け寄った。

 

耳「ウチもロボットの解説ほしいけどわかった! 手短に話すよ!」

 

 耳郎は善彦に今まで起きたこと事を説明する。説明を受けた善彦は頭を抱えた。

 

善「なぁんて滅茶苦茶で無茶苦茶な……」

 

上「まぁカオスだわな」

 

 上鳴が同情すると、善彦は気を取り直した。

 

善「ともかく、あのギガントマキアを止めるには、攻撃より麻酔で眠らせたほうがいいってことですね」

 

耳「でもアイツの動きは止まんないし、それに背中には連合が乗ってるから迂闊に近づけない」

 

 三人が見上げると、ゼンカイオーとマキアが戦っていた。

 

善「確かにこれじゃあねぇ……」

 

 善彦はマキアを見上げると、歯を食いしばる。善彦は飛び降りた時、マキアの頭上に立つエンジンブロスを確認していた。

 

善「耳郎さん、上鳴くん……」

 

 善彦はマキアを見上げながら二人に呼びかける。

 

耳「なに?」

 

上「呼んだか?」

 

 善彦の声に二人が答えると、善彦は振り向いた。

 

善「協力……してくれる?」

《爆速バイク!》

 

 善彦は笑みを浮かべると、ベルトを腰に巻いた。

 

ブ「よくもオレの生徒をぉぉぉ!」

 

マ「ヌンッ!」

 

 マキアはジュラガオーンが振り下ろした剣を腕を突き出し、受け止める。

 

セ「足元がガラ空きですっ!!」

 

 その隙を狙い、ブルマジーンがピッカーを足元に走らせる。しかしマキアは片足を上げ、ピッカーを受け止めた。

 

リ「それも止めるの!?」

 

マ「グオオオオオ!!」

 

 マキアは二つの攻撃を受け止めると、一気に弾き飛ばした。

 

マ「小蝿が幾ら集まろうと……」

 

 マキアは二体を跳ね除けると、地に足をつける。その瞬間、バイクのエンジン音が轟いた。

 

《爆速クリティカルストライク!》

 

耳「今今今今!! ゴーゴーゴーゴー!!」

 

 マキアの足下で耳郎がバイクに変身した善彦に跨り、アクセルを捻る。

 マフラーから炎が勢いよく噴き出すと、マキアの爪先に上がり、そのままマキアの左足を登った。

 

善「いぃよっしゃああああああ!! このままお口にゴーだぜぇぇ!!」

 

 爆走する善彦は一瞬で大腿部を通過し、腰部に到達する。その時、マキアが視線を落とした。

 

マ「むず痒い!!」

 

 マキアが善彦に気付き、右腕を振り上げる。

 

切「させるかボゲェ!!」

 

 振り上げられたマキアの腕に鎖が巻き付く。マキアの背後では、キョウリュウジンが左腕のブンパッキーボールを全力で引いていた。

 

マ「小癪な!!」

 

 マキアは続けて左腕を振り上げる。

 

鉄「おらぁあ! キャッチィ!」

 

 しかし振り上げた腕は、ギガントドリラーのアームに掴まれた。

 

Mr.「身動きが取れねぇ!!」

 

荼「無駄な足掻きをよぉ……」

 

 マキアの頭上では、焦るMr.コンプレスの横で荼毘がライフルを構える。

 荼毘がスコープを覗き、照準を耳郎に合わせる。

 

上「はいオレがいましたぁ!!」

《シューター!》

 

荼「うおっ!」

 

 荼毘が引き金に指を添えた瞬間、耳郎の後ろから上鳴がゼンリンシューターを放つ。

 不意を突いた銃弾は荼毘に直撃し、荼毘を後退させた。

 

耳「ナイス上鳴!」

 

上「ハハッ! こちとらニケツ慣れしてんだよ!」

 

 親指を立てる耳郎の後ろで、上鳴はゼンリンシューターを掲げた。

 

善「このまま勢いに乗りますぜぇぇ!!」

 

耳「了解ぃぃ!」

 

上「いょっしゃあぁあ!!」

 

 耳郎がアクセルを捻ると善彦はスピードを上げ、マキアの胸部まで到達する。その時、マキアの背後では、ブルマジーンがマジーヌスティックを掲げていた。

 

リ「ここで大人が助けなきゃメンツ丸潰れでしょーが! ヌヌヌマジーヌ・ドラドラリューキュウ!」

 

セ「その通りです! あの子達に勝利の道筋を!!」

 

 マジーヌスティックから放たれた光はマキアの顔を覆った。

 

マ「ぬおっ!? オゴゴゴゴ?!」

 

リ「マジカル鼻フック!!」

 

 光は実体化すると鼻フックへと変化し、マキアの鼻を吊り上げた。

 

セ「なんで鼻フック!? バラエティ番組じゃないんですから!」

 

リ「口枷だと簡単に壊されるかと思って」

 

 セメントスのツッコミにリューキュウは冷静に答えた。

 

マ「グオオオッ……鼻が……もげる……」

 

ス「うぉおお! バランスがぁぁ!!」

 

近「おぉおい! 落ちる! 誰か助けろ!」

 

 鼻を吊り上げられたマキアは大きく口を開き、上体を仰け反らせる。頭上の連合はマキアの髪や突起に掴まった。

 

セ「効果バツグン!?」

 

リ「ホラやっぱりぃ! 口も開いたし! 連合の身動きも封じた!」

 

 ブルマジーンの中でリューキュウが跳ねながら喜ぶ。

 その時、善彦達はマキアの口元についていた。

 

善「ようやく着いたぁ! 二人ともぉ!」

 

耳「オッケー佐竹!」

 

上「まかせろぉ!!」

 

 善彦が叫ぶと、耳郎と上鳴が善彦のシートを蹴り、飛び上がった。

 

ス「アイツらまた変なビン持ってやがる! マキア! 息吹け息ぃ!」

 

 耳郎と上鳴の手には麻酔薬が握られている。それに気づいたスピナーがマキアに叫んだ。

 

マ「グォ……ブッ! フヒュッ! ガファッ?!」

 

 しかし鼻フックで顔を吊り上げられ、上体を反らされたマキアの吹く息は勢いがまるでなかった。

 

Mr.「これでも食らえ! こんにゃろ!」

 

 マキアの額によじ登ったMr.コンプレスは義手を二人に向ける。

 義手の指が開いた瞬間、回転した鎌が義手を切り落とした。

 

Mr.「ありゃーー!!」

 

 Mr.コンプレスが落ちた手首を見て絶叫する。

 レベル0に変身していた善彦は、戻ってきたガシャコンスパローの片割れを受け止めた。

 

善「邪魔はいなくなった! 決めちゃってくだせぇ!!」

《ズ・ドーン!》

 

耳「まぁかぁ!」

 

上「されたぁ!!」

 

 善彦の声で耳郎と上鳴が麻酔薬を放り投げる。投げられた二つのビンは一直線にマキアの口に向かった。

 

善「早く効くようにしてやんよ!」

 

 ビンが口に入った刹那、善彦がスパローを放つ。放たれた矢は麻酔薬のビンを貫き、中の麻酔薬を直接マキアの胃の中に流し込んだ。

 

上「ナイスだぜ佐竹ぇ!」

 

耳「一つで効くヤツを二つ入れたんだ! さっさと寝やがれ!」

 

 ビンを投げた後、耳郎はベルトのプログライズキーをライトニングホーネットに変え、上鳴を抱えながら浮遊していた。

 

善「これでデカブツは倒れるはず!」

 

 善彦は麻酔薬が入った事を確認すると、プロトジェットコンバットガシャットを取り出す。そしてベルトに装填しようとした時。

 

マ「ぐぅぅううあぁぁ!!」

 

善「へ?」

 

 突如マキアが起き上がり、マキアの額が一瞬で善彦に迫った。

 

善「ぐわぁあ!!」

 

 マキアの頭突きを喰らった善彦は上空に弾かれる。その一撃でガシャットは手から離れ、善彦の胸に表示されていたライダーゲージが半分に減った。

 

切「佐竹ぇ!」

 

鉄「なんで起き上がったんだアイツゥ!」

 

 高く飛ばされた善彦に切島と鉄哲の視線が向けられる。その瞬間、マキアが腕に力を込めた。

 

マ「邪魔だぁぁ!!」

 

切「どわぁ!」

 

鉄「うぉわあ!」

 

 マキアが両腕の拘束を振り払い、鼻に引っかかったフックを投げ捨てる。

 マキアの頭上では、右手に蒼炎を纏わせた荼毘が立っていた。

 

ス「荼毘ぃ! ナイスだぜ!」

 

荼「フンッ、フック引っ掛けてたロープを焼き切ってきた」

 

 親指を立てるスピナーの横で荼毘は蒼炎を収めると、宙を舞う善彦の方を向いた。

 

耳「マズイ! 佐竹を助けなきゃ!」

 

上「じゃあ一旦オレおろせ! 二人は無理だろ!」

 

耳「んなことしてたら間に合わないでしょーが!」

 

 耳郎は上鳴を脇に抱えたまま、善彦の元へ向かう。その時、荼毘はネビュラスチームガンを構えていた。

 

荼「仕置きだクソガキ」

《ギアエンジン!》

 

 荼毘が仮面の中で笑みを浮かべると、銃口に歯車のエネルギーが充填される。そしてスコープを覗き、照準を善彦に合わせた。

 

善「うぐっ……ん?」

 

 善彦は空中で気を取り戻すと、ライフルを構えたエンジンブロスが視界に入る。そして視界の端では、耳郎と上鳴がこちらに向かっていた。

 

善「ぐっ……ぬあぁぁぁぁ!」

 

 次の瞬間、善彦は弓モードのガシャコンスパローを耳郎に投げつけた。

 

耳「わっ! 佐竹!?」

 

 耳郎は無造作に投げられたガシャコンスパローを受け止め、急ブレーキをかける。

 

耳「一体何を……」

 

《ファンキーショット! ギアエンジン!》

 

 耳郎が視線を善彦に戻した時。一筋の弾丸が、善彦の胸に撃たれた。

 

善「う……あ……」

 

 善彦のライダーゲージが全て消える。そして変身が解除され、空中に放り出された。

 

耳「へ………………?」

 

 目の前の光景を耳郎は理解できず、その場で固まる。その時、上鳴が飛び出した。

 

上「うわぁぁぁ佐竹ぇぇえ!!」

 

 上鳴は善彦を受け止めると、そのまま善彦を抱えて落ちていく。

 

耳「あっ、ヤバい!!」

 

 気を取り戻した耳郎も急降下で二人の元に向かった。

 

切「よくも……よくも佐竹をぉぉ!」

 

 その光景を見ていた切島は、仮面の中で涙を流し、吠える。その声に芦戸と砂藤も同調した。

 

芦「絶対に許さない!」

 

砂「ちくしょうがぁぁぁ!」

 

 三人はコックピットで構えをとる。そしてマキアに照準を合わせた。

 

切「キョウリュウジンカンフー! ブレイブフィニッシュ!」

 

 三人が左拳を突き出すと、連動してキョウリュウジンが左腕を突き出し、ブンパッキーボールを放った。

 

マ「直前的な攻撃か……」

 

 マキアは向かってくる鉄球を受け止めようと体を向ける。その瞬間、マキアの体が大きく傾いた。

 

マ「!?」

 

ス「さっきの薬か!」

 

 スピナーが気づいた時、ブンパッキーボールは、マキアの胴に叩きつけられた。

 

マ「ぬああぁぁあ!!」

 

 鉄球が直撃したマキアは大きく吹き飛び、仰向けに倒れる。

 切島はマキアに目もくれず、キョウリュウジンを善彦の方へ動かした。

 

切「がぁぁぁ! 佐竹ぇぇぇ!!」

 

 善彦は上鳴に抱えられながら落下している。切島が手を伸ばそうとした瞬間。

 

耳「えぇい!!」

 

 耳郎が二人を受け止めた。

 

芦「耳郎か! ナイス!」

 

 芦戸が安堵すると、耳郎はゆっくりと、しかし迅速に八百万達のいる箇所へと降りていった。

 

耳「佐竹……アンタ、あのままウチらが助けに行ってたら……一緒に攻撃受けるから、ワザと武器を投げて……ウチを止めたんだよね?」

 

 耳郎の声はこもっている。その時、善彦の目がゆっくりと耳郎の方を向いた。

 

善「あれ……? 耳郎さん…………無事だったんだ……よかった……」

 

 善彦は耳郎の顔を見ると、安堵の笑みを浮かべる。

 

上「よかったじゃねぇよお前……無茶しやがってぇ」

 

 上鳴は善彦が目を覚ますと、仮面の中で涙を流す。すると善彦はゆっくりと上鳴の方を向いた。

 

善「上鳴きゅん? マッハは空飛べるフォームないのに……そっちが無茶でしょうよ」

 

 善彦は上鳴にもたれかかると、静かに笑った。

 

善「とにかく……二人が無事で…………よかっ……た……」

 

 善彦は安心すると、天を仰いだ。

 

善「あれ? なんかこの感じ……前にもあったような」

 

 青い空を眺めていると、善彦は何かを思い出そうとしていた。それと同時に、耳郎が地面に降り立つ。

 

八「耳郎さん! 佐竹さんは」

 

耳「ヤオモモ! 急いで救護班に連絡入れて! それと応急処置!!」

 

 八百万が駆け寄った瞬間、耳郎が即座に叫ぶ。上鳴は変身を解除すると、善彦の異変に気づいた。

 

上「おい佐竹! どうした!?」

 

 上鳴に支えられていた善彦が、急に地面に倒れようとしていた。

 上鳴は善彦を地面に寝かせると、上鳴の声に気づいた耳郎が駆け寄った。

 

耳「なんだ! どうした上鳴!」

 

上「わかんねぇよ!! いきなり佐竹が倒れたんだ!!」

 

耳「どいて!!」

 

 善彦の目は半分開いているが、瞳に光がない。耳郎は変身を解除すると、善彦の横にしゃがみ、イヤホンジャックを挿した。

 

耳「えっ…………」

 

 イヤホンジャックを挿した瞬間。耳郎の表情から血の気が引いた。

 

耳「うそ……うそだ……」

 

 耳郎は震える声で地面にへたり込み、両手で頭を抱えた。

 

上「おい、耳郎……何が起きたんだよ!」

 

 震える耳郎に上鳴が問いかける。耳郎は両手を頭から離すと、上鳴の方を向いた。

 

耳「佐竹の心臓が……動いてない」

 




今年も宜しくお願いします


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二回死んで

_:(´ཀ`」 ∠) _:(´ཀ`」 ∠):


善「あり? ここどこ?」

 

 善彦が目を覚ますと、白い空間に立っていた。

 

善「あれ? 制服だわ自分」

 

 善彦は着ている衣服がヒーロースーツから雄英の制服になっていることに気づく。そしてある事を思い出した。

 

善「あっそうか……自分、死んじゃったんだ」

 

 善彦は白の空間にくる前の事を思い出すと、その場に座り込んだ。

 

善「あの感覚、一回死んだ時と同じだったのか」

 

 善彦は納得すると、大の字に寝そべった。

 

善「まぁ……今回は、綺麗な死に方だったかな」

 

 寝そべりながらため息混じりで呟く。すると、近くで足音が聞こえた。

 

「おーい、君が二代目で〜いいんだよなぁ?」

 

善「え?」

 

 突如聞こえた声に、善彦は起き上がる。そして声の主が見えた瞬間、瞬時に立ち上がった。

 

善「まさか……アナタは……」

 

 善彦の目に涙が浮かぶ。善彦の前に立つ男は、かけていたサングラスを上げると、爽やかな笑顔を見せた。

 

貴「お〜っす、九条貴利矢で〜す♪」

 

 仮面ライダーレーザーの変身者、"九条貴利矢"は、善彦にヒラヒラと手を振った。

 

 

耳「ヤダ……嫌だ嫌だ嫌だ!! 佐竹! 佐竹起きてぇ!!」

 

 イヤホンジャックを抜いた耳郎は、心臓の止まった善彦の肩を掴んだ。その瞬間、上鳴が耳郎を剥がす。

 

上「どけ耳郎! 確かこういう時は……呼吸を聞いて……」

 

 上鳴は授業で教わった応急手当てを必死で思い出す。そして善彦の口元に耳を傾けながら、胸と腹の動きを見た。

 

耳「途切れ途切れだけど……少し聞こえた……まだ間に合うかも!」

 

 落ち着きを取り戻した耳郎は、上鳴に告げる。それを聞いた上鳴は、自分の掌を重ね、左胸に添えた。

 

上「心臓マッサージだ! 確か回数は……」

 

八「胸骨圧迫は30回ですわ! その後に人工呼吸! それを繰り返しますわ!!」

 

 上鳴が心臓マッサージを開始する直前に、八百万が大声で告げた。

 

上「わ、わかった! って人工呼吸!? マウストゥマウス!?」

 

八「人口呼吸用のマスクがあるのでお使いになってくださいまし!!!」

 

 人工呼吸の言葉に戸惑う上鳴に八百万は人工呼吸用のマスクを投げつけた。

 

 

善「ようやく……ようやく貴方に会う事ができた……やっと、やっと……」

 

 一方、善彦は貴利矢と対面し、涙を流していた。

 

貴「おいおい、そんなに泣くほどかよ?」

 

 貴利矢は号泣する善彦を前に苦笑いを浮かべる。善彦は涙を拭うと、呼吸を整えた。

 

善「だって、ようやく憧れの人に会えたんですもの……でもなんで今? もっと早くてもよかったと思うのに」

 

 善彦が首を傾げると、貴利矢はサングラスをかけ直し、善彦の眼前に顔を近づけた。

 

貴「それはね、キミがいろんなのに変身しすぎたから自分が出るのが遅れたの!」

 

善「あ"っ」

 

 貴利矢の言葉に、善彦は一瞬で固まった。

 

貴「デカマスターにシンケンゴールド、スターニンジャーそれにトッキュウ6号や仮面ライダーW! 仮面ライダーウォズに仮面ライダーパラドクスに1番最近はゼンカイザーでその他もろもろetc、etc……」

 

善「あうあうあうあうぅ……」

 

 貴利矢はサングラスをカチャカチャさせながら善彦に歩み寄る。善彦は目を逸らしながら後ろ向きに歩いた。

 

善「すみません…当時は自分の個性が趣味と合致して調子に乗ってましたぁ」

 

貴「キミってば噂に違わぬ浮気者なんだねぇ〜」

 

 俯く善彦の肩に貴利矢は肘を乗せる。そしてサングラスを傾け、したり顔を浮かべた。

 

貴「ま、キミはオタクだし乗りに乗っちゃう気持ちはわからなくないけどね♪ 1番変身してくれてんのは自分だし、全然いいんだけどさ」

 

 貴利矢はサングラスを外すと、善彦の肩に腕を回した。

 

善「でも……自分は仮面ライダーレーザーの姿で、死んじゃいました……申し訳ないです」

 

貴「友達を守るためだろ? カッコイイじゃねーの監察医の自分が言っちゃいけないけど」

 

 貴利矢は善彦に笑顔を見せる。善彦は俯き、顔を合わせる事ができなかった。

 

 

上「ちくしょう! 起きろ! 起きてくれぇ!!」

 

 上鳴は、未だ息をしない善彦の心臓にマッサージを続けていた。

 

上「ぐ、ぐぅぅぅうううう!! なんで……なんで動かないんだよぉ!!」

 

 授業で学んだ心肺蘇生法を何度繰り返しても、善彦の心臓は動かない。長時間、心臓マッサージを続けていた上鳴の腕は力が入らなくなっていた。

 

八「AEDの構造は……仕組みは……覚えていたはずなのに…創れませんわ……」

 

 八百万は上鳴の後ろでAEDを創造しようとしている。しかし、目の前の状況に気が動転し、正確なAEDが創造できなかった。

 

八「早くしないと……佐竹さんの命が……」

 

 八百万は頭を抱え、一筋の涙が流れる。その時、耳郎が八百万の肩に手を置き、前に出た。

 

八「耳郎さん?」

 

 耳郎は何も言わずに善彦の元へ向かい、上鳴と対面する位置に座った。

 

上「くそっ……もう腕に力が……」

 

 善彦の心臓に添えた上鳴の手は、疲労で細かく震えている。耳郎は上鳴の手に自分の手を重ねた。

 

耳「諦めないで、上鳴」

 

上「耳郎……?」

 

 上鳴が顔を上げると、耳郎は自身の手の甲にイヤホンジャックを挿した。

 

耳「今から佐竹の心臓に、ウチのビートを流し込む! 上鳴はそこに強い電撃を流して! 即席のAEDにする!」

 

 耳郎は決意の眼差しで上鳴に告げる。その言葉に上鳴は目を見開いた。

 

上「な、何言ってんだよ! 俺は耳郎の衝撃慣れてっから平気だけど…お前が俺の電撃に耐えれるわけねぇだろ!!」

 

耳「でもやるしかねぇだろうがっ!!!」

 

 上鳴の惑いを耳郎の叫びが遮る。耳郎の怒声が響き、辺りが静寂に包まれる。

 

八「じ、耳郎さん……っ!」

 

 八百万が声をかけた刹那、耳郎の手の甲に、一粒の雫が落ちた。

 

耳「やんなきゃ……ウチらがやんなきゃ佐竹が……ウチらの親友が………死んじゃうよぉ……」

 

 耳郎の両目からは、大粒の涙が流れている。顔を下げ、歯を食いしばる耳郎の手に、上鳴は手を重ね、耳郎の手に挿さっていたイヤホンジャックを自身の手の甲に挿した。

 

上「やろう! ビビって止まってる場合じゃねぇ……MAXのビートを叩き込め!! 俺たちで起こしてやろうぜ!」

 

 上鳴は口角を上げながら目に涙を浮かべている。そして耳郎の手を強く握った。

 

耳「おうっ!! 行くぞ上鳴!」

 

 耳郎は涙を拭うと、上鳴の手に手を重ねる。そして二人は目を合わせ、共に頷いた。

 

耳「ハート…」

 

上「ビート…」

 

耳・上「「ショック!!」」

 

 二人の声に合わせ、耳郎の心音の衝撃、上鳴の電撃が善彦の心臓に叩き込まれた。

 

上「ガハッ!!」

 

耳「グゥウウッ!!」

 

 耳郎の強烈なビートが上鳴に、上鳴の電撃が耳郎に流れ、互いに顔を歪ませた。

 

上「さ、佐竹の心臓は!?」

 

耳「まだ動いてない……」

 

 息を切らしながら耳郎は耳を傾けるが、心臓の鼓動は聞こえなかった。

 

耳「もう一回だ!!」

 

上「あぁわかったぁ!!」

 

 二人は再び手を重ねると、強く歯を食いしばった。

 

 

善「ん?」

 

 白い空間の中、善彦は突然、自分の左胸を押さえた。

 

貴「どした?」

 

 貴利矢が首を傾げると、善彦は左胸をさすった。

 

善「いや……何か急にバクンッてきたような?」

 

貴「ふ〜ん……」

 

 貴利矢はサングラスをかけると、善彦の前に立った。

 

貴「そーいやさっ、君ってなんで自分と同じライダーに変身したの?」

 

善「へ?」

 

 貴利矢の質問に、善彦は目を丸くする。貴利矢は爆走バイクのガシャットを取り出すと、善彦に見せた。

 

貴「だってさ、ゲーマドライバーだったら名人のマイティアクションとかあるじゃないの、自分で言うのもなんだけど、何だってバイクに変身する爆走バイクを選んだのかなぁって思ってね」

 

善「ソレは……」

 

 善彦は今まで人にベルトやアイテムを貸す際、個人の個性や特性を考えて渡している。しかし自分が何故、仮面ライダーレーザーを選んだのかは誰にも話したことは無かった。

 

善「斬新でかっこいいなぁって思ったから……」

 

貴「ん?」

 

 善彦の答えに貴利矢のサングラスがズレる。しかし善彦は続けた。

 

善「ゲーマドライバーで変身するライダーは他のライダーと色々とデザインが違うのにレーザーは本当に他とは一線を画してて、レベル2がバイクになるって斬新だし、そこからレベルが上がると人型になったりするのがカッコいいし、それに蹴り技もスゴいスタイリッシュでパネルをセレクトするときのキックもメチャクチャ練習したんですから」 

 

貴「あーわかった、オッケーオッケー理解したから止まって、聞いてて恥ずかしくなっちゃったよもぅ」

 

 貴利矢はサングラスを外すのと同時に手で顔を隠す。そして小さく息を吐いた。

 

貴「まったく、そんなに自分のファンだったとはね、嬉しいことこの上ないよ」

  

 照れくさそうに笑うと、サングラスを服の襟にかける。そして、善彦の左胸に手をかざした。

 

善「うぉお! またバクンッて来た!」

 

 その時、再び善彦の胸に衝撃が走る。そして貴利矢は笑った。

 

貴「やっぱり、呼ばれてるみたいだね」

 

善「呼ばれてる?」

 

 善彦が言葉の意味を理解できずにいると、貴利矢は善彦の胸に手を置いた。

 

貴「君は自分が死んでると思ってるみたいだけど、アッチの方で君を死なせたくない人がいるみたいだよ」

 

善「へ……っ!」

 

 それを聞いた瞬間、善彦は目を見開いた。自分の胸に響いた鼓動と微かに走った電気の感覚。

 

善「まさか……まさか……」

 

 よく知っている二つの感覚。目の奥が急に熱くなり、涙が頬を伝う。その涙に、貴利矢は優しく微笑んだ。

 

貴「戻ってやんな、大切なパートナー達が待ってんだろ?」

 

善「はいっ……」

 

 善彦は涙をボロボロと流しながら頷く。その瞬間、善彦の体が黒いモヤに包まれた。

 

善「あれっ! なんで自分に!? みんなの話と違う!」

 

 白い空間では元の変身者が黒いモヤに包まれるが、今は善彦の体がモヤに包まれていく。それを前に貴利矢は言った。

 

貴「そりゃ君にお迎えが来てんだからね、早く行って安心させないと」

 

 善彦を包む黒いモヤはあと少しで全身に回る。全てが包まれる前に、善彦は手を伸ばした。

 

善「あのっ……! また! また会えますよね!?」

 

 善彦は必死の形相で貴利矢に叫ぶ。貴利矢は善彦に歩み寄ると、伸ばされた右手を強く握った。

 

貴「当然だよ、コレは君の個性が生み出した空間だ、また会えるよ」

 

 貴利矢は善彦に爽やかな笑顔を見せる。その笑顔に、善彦は安堵の表情を浮かべた。

 

貴「自分、今までの君の活躍見てきたけどノリノリで最高だったぜ♪ 自分も死んで生き返った、いい運転手もいるんだし、もう死ぬんじゃねーぜ! 佐竹善彦 仮面ライダーレーザー!」

 

 貴利矢は嘘のない言葉を善彦に送る。

 

善「自分……仮面ライダーレーザーで良かった」

 

 そして、善彦の体はモヤに包まれ、白い空間から消えた。

 

 

ドクンッ……

 

耳「え……」

 

 森林の中、耳郎は善彦の異変に気づく。

 

上「耳郎! まだ佐竹の心臓は動かねぇのか!?」

 

耳「ちょっと黙って!!」

 

 上鳴の声を耳郎が一喝する。そして善彦の胸に添えた手を退けた。

 

善「うぅ……ガバッ!! オエェ!!」

 

 突如、善彦は目を開き、激しく吐血した。

 

善「うぇっ……気持ち悪ぃ……」

 

 善彦は咳き込むと、瞳を動かして辺りを見回す。善彦の両脇には耳郎と上鳴が座っていた。

 

善「あ、おはようございます……」

 

 善彦がぎこちない笑顔を二人に見せる。その直後、上鳴と耳郎は善彦に飛びついた。

 

上「うわぁぁぁぁぁ! 佐竹!佐竹佐竹佐竹ぇぇぇぇ!!」

 

耳「よかった……ホントによかったぁぁ」

 

 二人は善彦に抱きつくと、二人して大粒の涙を流した。

 

八「えぇ……本当によかったですわ……ですがお二人とも」

 

 耳郎達の後ろには同じく涙を流す八百万が立っている。指で涙を拭うと、その指で善彦を指差した。

 

善「あの……上鳴きゅん耳郎さん……ハチャメチャ苦しい……」

 

 善彦は二人に覆い被さられ、呼吸が出来ずに顔を青くさせていた。

 

耳「あぁ!! ゴメン佐竹!」

 

 善彦の言葉で二人は一斉に善彦から離れる。

 

善「いや、いいんですけど……なんか呼吸が上手くできないのとアバラ?のあたりが痛いような」

 

上「すまねぇ! それオレが心臓マッサージしたからだ!! アバラ折る勢いじゃねぇとダメって授業でも言ってたからよぉ!!」

 

善「そうだったのねアリガト上鳴くん気にしないでゴバッ!!」

 

 善彦が頭を下げる上鳴に手を上げ、大丈夫と言おうとした瞬間、善彦は再び吐血した。

 

耳「わー! そっか心臓が動いたとはいえ呼吸とか脈は不安定なんだ! 早く救護班来ないの!?」

 

上「佐竹ー!! 気ぃしっかり持てよぉおぉ!!!」

 

善「はぁい……頑張るます……」

 

 善彦の吐血に二人は慌てふためく。その様子を見た八百万は涙を流しながら微笑んだ。

 

八「よかったですわ…やっぱりこの三人はこうでないと」

 




心臓止まった時の応急処置、結構調べましたこれからもよろしくお願いします
2ヶ月も開けるなんてごめんなさいでしたorz


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始まる準備

残り少ないGW中でも上がれるだけあげたい心です



切「おぉぉぉぉい佐竹ぇぇぇ!!」

 

鉄「無事か平気か大丈夫かぁぁぁぁ!!」

 

 善彦が蘇生して数分後、変身を解除した切島と鉄哲は善彦の元に全力で駆け寄ってきた。

 

耳「しーー!! いま呼吸が安定して眠ったとこなんだから!」

 

 ドタバタと迫る二人に耳郎は目を吊り上げながら口元に人差し指を当てた。

 

切「うおっととと! すまねぇ耳郎……」

 

鉄「なんとか大丈夫なんだな」

 

 耳郎の声で二人は急ブレーキをかける。地面で横になり、眠る善彦には八百万が創造した人工呼吸器がつけられていた。

 

八「おつかれ様ですわ、皆さま、佐竹さんは助かりましたし、ギガントマキアは再起不能になりましたわ」

 

 八百万が視線を向けた先には、ギガントマキアが倒れている。その時、切島が眉をひそめた。

 

切「なぁ……今、プロヒーロー達がデカブツに向かってんだろ? 静かすぎねぇか……」

 

上「た、確かに」

 

 マキアの頭上には敵連合が乗っている。ヒーローが駆け付けているのに、マキアの周りは異様なほど静かだった。

 

峰「大人しく自首してるなんて、ありえねーもんなぁ……」

 

 峰田は苦い顔を浮かべながら後退りする。その時、八百万の無線に連絡が入った。

 

八「はい! へ!? 連合がいない!?」

 

 八百万の出した声に周りの全員が反応する。その直後、解放戦線の屋敷で爆音が起きた。

 

拳「今度は何ぃ!?」

 

 突然の爆音に全員が一斉に屋敷を向く。すると屋敷が宙に浮かんでいた。

 

砂「や、屋敷が飛んでる?」

 

 砂藤が目を点にすると、宙に浮く屋敷から竜の首と翼が生えた

 

「ギャオオオオオオオオ!!!」

 

 屋敷から生えた竜は咆哮を上げると、翼を羽ばたかせ、空を飛んだ。

 

上「キャッスルドラン……」

 

 羽ばたいた竜を前に、上鳴が呟く。

 

鉄「な、なんだそりゃ?」

 

 鉄哲が首を傾げると、上鳴は説明を始めた。

 

上「仮面ライダーキバに出てくる城のドラゴン……まさか佐竹の個性でここまで出せるなんて……」

 

 上鳴はキャッスルドランを見上げると、膝から崩れ落ちた。

 

小「そんなのありノコ?」

 

峰「あんな隠し球あるなんて……オイラ達に希望あったのかよ……」

 

 頭上を見上げた小森と峰田はその場で固まる。そして峰田が呟いた。

 

峰「もしかしてオイラ達のやってきたことは……無駄だったんじゃねぇか……? 最初から……詰んでたんじゃねぇのか?」

 

 キャッスルドランはプロヒーローや上鳴達に目も向けずに去っていく。皆はそれを、呆然と見るしかできなかった。

 

 

Mr.「いやー!! 助かったよトガちゃぁん!」

 

 キャッスルドランの中では、Mr.コンプレスが新たな義手を装着しながらソファにもたれかかっていた。その隣ではスピナーが部屋をキョロキョロと見回している。

 

ス「まさかこんなもんまで出せるとはな……」

 

 落ち着きなく歩き回るスピナーを背に、荼毘は窓の外を眺めていた。

 

荼「マキアより速ぇ、こりゃ予定より早く着きそうだな」

 

渡「お手柄ですよキバットさん♡」

 

キ「ふふん♪ 真の悪ってのは無駄な破壊をしないもんなのさ⭐︎」

 

 荼毘の隣で、渡我はキバットを撫でる。渡我の腕の中でキバットはドヤ顔を浮かべていた。

 

近「おお、ネット環境も整っている。頼まれていた物も、ココなら精度良くできそうだぞ」

 

荼「宜しく頼むぜ」

 

 不安定なマキアの頭上からテーブルと椅子で安定した場所へ移動できた近属は、満足した様子でノートパソコンを打ち始める。荼毘は視線を近属に向けると、不敵な笑みを浮かべた。

 

 そしてキャッスルドランが向かう蛇空病院では、最悪の事態が起こっていた。

 

ミ「おぉおいカメネコ!! もっと飛ばせ! 粉微塵になるぞぉ!」

 

ピ「わーかってるよウルサイな!!」

 

 蛇空病院地下の研究室が塵となって崩壊する。崩壊は壁や床を伝播し、ピクシーボブとミルコに迫っていた。

 

 迫る崩壊はライドガトライカーの後輪に触れ、崩壊が始まる。

 

ピ「しまった! 後輪っ!」

 

 ピクシーボブはそれに気づくと、土豪剣激土で後輪を切り離し、トライクをガトライクフォンに戻した。

 

ピ「こっから走るよ!!」

 

ミ「いや乗り捨てろよ!!」

 

ピ「あの子との思い出が詰まったケータイでもあるんだよ!!」

 

 ピクシーボブはガトライクフォンをしまうと、ミルコと並走した。

 

 死柄木が眠りから覚め、地を一撫でして数分。蛇空市の三分の一が崩壊し、更地へと変貌した。

 

死「外だとより寒い、あの銃は……流石にないか」

 

 崩壊した地の中心に死柄木が立つ。周りを見渡すと、ネビュラスチームガンがない事に気づく。

 そして自分が眠っていたカプセルの横に置かれた端末を手に取った。

 

死「さて……状況は良くなさそうだが、俺が起きたら始めるんだったな」

 

 死柄木は端末を口元に近づける。そしてゆっくりと口を開いた瞬間。

 

Mr.「グッモーニーン! リーダー!」

 

死「は?」

 

 突然、死柄木の端末からテンションの高い声が上がる。死柄木が眉をひそめると、電話口の声が変わった。

 

荼「どけコンプレス、死柄木、俺だ」

 

死「荼毘? なんでお前がこの携帯に電話してんだよ」

 

 荼毘はキャッスルドランの黒電話から死柄木に電話を掛けている。死柄木は端末を耳に当て、カプセルの残骸に寄りかかる。そして完全に電話の体勢に入った。

 

荼「ん〜……まぁ話せば長くなるからいろいろ端折って話すぜ、そんで簡潔にだ」

 

死「あぁ頼む」

 

 荼毘は死柄木に今まで起きた事を説明する。死柄木は静かに頷きながらそれを聞いていた。

 

死「なるほど、いろいろやられて、マキアもやられて、トガのライダーの能力でこっちにきてるわけだ」

 

荼「あぁ、おかげで快適な空の旅を楽しんでるぜ、そう長く待たせねぇから安心しな」

 

死「こっちの気も知らねぇで……フフッなるべく早く来いよ」

 

 死柄木が告げると、電話を切る。その時、頭上から熱気が迫ってくるのを感じた。

 

死「ん? ……ハハッ、寝起きにNo. 1かよ」

 

 死柄木が頭上を見上げると、迫る人物を前に笑みを溢した。

 

 そして同時刻、緑谷と爆豪はビルを飛び移り、死柄木の元へ向かっていた。

 

緑「かっちゃん何でついてきてくれたの!?」

 

爆「ぶっ飛ばすぞ!」

 

緑「そんな!」

 

 緑谷の一言に爆豪が瞬時に怒鳴る。そして爆豪は前を向いた。

 

爆「自惚れんな、『きてくれた』だぁ? てめぇ主役にでもなったつもりかよ、俺ァあの死柄木(カス)に用があんだよ」

 

 その時、爆豪に記憶が蘇る。敵連合に誘拐され、起きてしまった悲劇が。

 

爆「オールマイトを終わらせちまった男として……」

 

 緑谷は皆まで聞かずに頷いた。

 

爆「OFA(てめー)は餌だ あの日の雪辱を果たすンだよ俺ぁァ! 完全勝利する絶好の機会なんだよぉ!!」

 

 爆豪はビルから飛び上がると、腰にビルドドライバーを巻く。それを見た緑谷も、ドライバーを巻いた。

 

《クローズドラゴン!》

 

《ラビット! タンク! ベストマッチ!》

 

緑・爆「変身!!」

 




GWに新宿の特撮バーに行きました
アイデアの相談もしてきました、より正確にするためにまた行きたいです
(バー行きたいだけ)


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待っているのは

お久しぶりです
時間がないのもあったんですが、展開が難しい!! どーしよっ!って考えてボツにしてを繰り返して繰り返して今に至ります(涙)



死「手ェ逆だっけ? 後出しで悪いんだけどさ」

 

 倒れるエンデヴァーの上で死柄木が右腕を上げている。そして死柄木の周りは、ニア・ハイエンドが囲んでいた。

 

死「さてと……邪魔だイレイザーヘッド」

 

 死柄木が振り向いた先には、相澤先生が立っていた。

 

相「っ!」

 

 相澤先生は個性の"抹消"を使うため、クロノスの変身は解除していた。

 

マ「イレイザーさん!」

 

 相澤先生の横には、抹消のサポートをするためにプロヒーローのマニュアルが立っている。相澤先生は瞬時にマニュアルの前に立ち、バグヴァイザーⅡの銃口を向けた。

 

相「死んでたまるか! やつらの卒業を見送るまで……」

 

 相澤先生は照準を死柄木に合わせる。そして充血した目を見開いた。

 

相「お前は邪魔だぁぁぁ!!」

 

 ヒーローを掻い潜り、死柄木の手が相澤先生に伸びる。そして手が触れようとした刹那。

 

緑「先生!!」

 

《フルフルマッチブレイク!》

 

死「!?」

 

 死柄木に紅の光弾が迫る。死柄木は身を捻り、光弾を避けた。

 

爆「そっちは囮だ」

 

 その直後、死柄木の背後に爆豪が立った。

 

爆「今度はこっちの番だ!!」

 

《ボルケニックナックル! アチャー!》

 

 緑谷の攻撃を避け、体勢を崩した死柄木は爆豪が繰り出したマグマの拳をまともにくらった。

 

死「熱っっつ!」

 

 マグマの熱に顔を歪ませた死柄木は大きく吹き飛び、地面に叩きつけられた。

 

相「お前ら……なんで」

 

 相澤先生の前に二人影が立つ。それは仮面ライダーに変身した緑谷と爆豪だった。

 

緑「すみません先生……この場合の最悪は、先生を失う事!」

 

 ラビットタンクフォームの緑谷は、フルボトルバスターを構える。

 

緑「ずっと守ってきてくれた先生を失う事です!!」

 

爆「合理的に行こうぜ!」

 

 その隣では、仮面ライダークローズに変身した爆豪が、自身の手のひらに拳をぶつけた。

 

相「緑谷……爆豪……」

 

 窮地に現れた二人の生徒、その時、相澤先生は二人を前に、目を閉じることを必死に耐えていた。

 

エ「何故デクとバクゴーがここにいる」

 

 その時、復活したエンデヴァーが合流した。

 

エ「来てしまったものはしょうがない、何故かは今問わぬ」

 

 エンデヴァーの視線は、吹き飛ばされた死柄木の方へ向かっていた。

 

死「あっちぃ……あと一手ってとこなんだけどな……」

 

 爆豪に吹き飛ばされた死柄木は、頭を抑えながら起き上がる。

 

死「よしっ」

 

 死柄木は起き抜けに地面を蹴ると、一瞬で緑谷との距離を詰めた。

 

死「緑谷出久を攫ってすぐ去っちまえば!」

 

エ「バクゴー! デクを守れ!!」

 

 エンデヴァーは指示を飛ばしながら、迫る死柄木と対峙する。

 

《ヘルスパイダー!》

 

 エンデヴァーの指から糸状の炎が放射される。死柄木はそれを掻い潜り、エンデヴァーに向けて手を伸ばした。

 

グ「当たれば致命、逸らすに限る!」

 

 その直後、伸ばされた手をグラントリノが側面から蹴り、軌道を逸らした。

 

グ「これ以上、志村の思いを踏み躙るな!」

 

死「誰だよ」

 

 突然現れたグラントリノに死柄木は白けた顔を見せる。その時、グラントリノの後ろから、こちらに迫るエンデヴァーが見えた。

 

死「ふんっ」

 

 死柄木は地面を踏み込むと、グラントリノとエンデヴァーをくぐり抜け、緑谷に接近した。

 

 しかしその時、上空で構える影が一つ。

 

爆「興味ないにも程があるぜ! ガンギマリ野郎!!」

 

《ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!》

 

《ツイン!!》

 

 死柄木の真上では、ビートクローザーとツインブレイカーを振り上げた爆豪が滞空していた。

 ビートクローザーにはドラゴンマグマフルボトルが、ツインブレイカーにはドラゴンスクラッシュゼリーとロックフルボトルが装填されていた。

 

爆「そいつぁ餌だ!! 死ねぇぇ!!」

 

《メガスラッシュ!!》

 

《ツインフィニッシュ!!》

 

 爆豪の両手の武器からマグマのドラゴンと蒼のドラゴンが放たれる。

 

死「あ?」

 

 そして爆豪が意識外だった死柄木に二匹のドラゴンが噛み付いた。

 

死「うおおぉ!?」

 

 二匹の龍に絡め取られた死柄木の動きが一瞬鈍る。その瞬間、エンデヴァーがマグマのドラゴンに突っ込み、拳を振りかぶった。

 

エ「この火力は有難い!!」

 

 エンデヴァーは拳に灯した炎にマグマの熱を乗せる。

 

《バニシングフィスト!!》

 

 エンデヴァー渾身の拳は死柄木のボディを捉え、そのまま殴り飛ばした。

 宙を舞う死柄木は地面をバウンドし、そのまま地にふせた。

 

エ「死柄木 弔、いくら力を得ようとも…っ! 信念なき破壊に我らが屈することはない!」

 

 倒れる死柄木にエンデヴァーは言い放つ。死柄木は手を地面につけ背中を丸めた。

 

死「信念ならある……あったんだ」

 

 死柄木は地面に片膝をつき、立ちあがろうとする。そして自身の過去を語り出した。誰からも手を差し伸べられなかった過去、そして世の中に否定されてきた今までを。

 

死「これまで目にした全てに、お前たちの築いてきた全てに否定されてきた……だからこちらも否定する、だから壊す、だから力を手に入れる、シンプルだろ?」

 

 この時、死柄木は天を仰ぎ不敵な笑みを浮かべた。

 

死「理解できなくていい……できないから、ヒーローと敵だ」

 

エ「な、何だ?」

 

 つられてエンデヴァーが空を見上げると、上空から迫るものに、エンデヴァーは目を見開いた。

 

「ギァオオオオ!!」

 

 突如、死柄木の頭上から降りてきたのは、城の体を持つ、小柄の赤いドラゴンだった。

 ドラゴンは死柄木の背後に降りると、翼の羽ばたきであたりに強風を起こす。突然の強風に、ヒーロー達は体勢を固めた。

 

緑「アレっ確か……シュードラン!?」

 

爆「よく覚えてんなぁ!!」

 

 強風を受けながらドラゴンを見た緑谷は思い出す。その隣で爆豪は叫んだ。

 

「ギュアァ」

 

 シュードランは死柄木に顔を寄せると、舌を出す。

 

死「なるほど……お使いってわけか、ありがとよ」

 

 舌の上に乗ったものを見た死柄木は笑みを浮かべ、シュードランの頭を撫でた。

 そしてその時、死柄木の目の前には、轟炎を上げたエンデヴァーが拳を振り上げていた。

 

エ「わざわざインターバルをどうも!!」

 (なにかする前に叩き潰す!!)

 

 死柄木に接近し、赫灼の拳を頭に下ろそうとした刹那。

 

エ「な……」

 

 エンデヴァーの視界を銃口が覆った。

 

《ポーズ》

 

死「!」

 

《リスタート》

 

 死柄木が銃の引き金を引いた瞬間、死柄木の視界からエンデヴァーが消える。

 死柄木が視線を落とすと、仮面ライダークロノスに変身した相澤先生が、エンデヴァーを地面に降ろしていた。

 

「あ、あぁ……イレイザーさん……」

 

 突然、自分の目の前から消えた相澤先生にマニュアルがその場にへたり込む。相澤先生が変身したクロノスの眼には、血走ったような赤い線が見えていた。

 

相「はぁ……はぁ……」

 

死「一回時間止めただけで、えらくお疲れだなぁ……イレイザー」

 

 肩で息をしながら自分を睨む相澤先生を死柄木はせせら笑う。

 そしてネビュラスチームガンにギアリモコンをセットした。

 

《ギアリモコン!》《ファンキー!》

 

死「潤動……」

 

 黒煙が死柄木を包み、リモコンブロスへと姿を変える。そしてネビュラスチームガンの銃口を相澤先生に向けた。

 

相「エンデヴァーさん、ここは俺に任せてください……」

 

エ「イレイザー……お前」

 

 相澤先生はエンデヴァーの前に手を出して静止すると、死柄木へ一歩踏み出した。

 

緑「ゲムデウスクロノス!? 先生、いつの間にゲムデウスウイルスを……」

 

 緑谷は相澤先生の姿を前に戦慄する。すると爆豪が隣に立った。

 

爆「ほんっとによく覚えてんなぁ、先生は合理性を大事にすっかんなぁ……我が身を犠牲にしてでもってヤツなんだろうよ」

 

 爆豪は落ち着いた様子で相澤先生を見る。その時、相澤先生の手から剣と盾が出現した。

 

相「おおおおおおおお!!」

 

 次の瞬間、相澤先生は地面を強く踏み込み、一気に死柄木との距離を積める。そして剣を振り上げた。

 

死「キャラじゃねぇなぁ大声出してよぉ!」

 

 振り下ろされた剣を死柄木はスチームブレードで受け止める。そしてそのまま二人の剣が激しくぶつかり合った。

 

死「ハハハハハ!! カッコいいなぁイレイザー!!」

 

 死柄木は斬撃の間にネビュラスチームガンの銃撃を挟む。

 

相「甘い!」

 

 しかし相澤先生は即座に反応し、銃弾を盾で防ぐ。そしてそのまま剣での突きを放った。

 

死「グオッ!」

 

 カウンターで出された突きは死柄木の肩に刺さる。

 

死「いてぇな、コラ」

 

 しかし死柄木は意に介さず、銃の引き金を引いた。

 

相「ぬあぁぁ!」

 

 乱射された銃弾は相澤先生の体を捉える。撃たれた衝撃で相澤先生が後退りし、死柄木との間合いが開く。その瞬間、死柄木はスチームブレードを振り上げた。

 

死「目ぇ開けっぱなしツレェだろ? 寝かせてやんよ」

 

 仮面の中で死柄木は口角を上げる。そしてスチームブレードを振り下ろした刹那。

 

相「ガァァァッ!!」

 

 相澤先生は唸り声を上げ、自身の剣で死柄木の刃を弾いた。

 

死「うおっと! マジか」

 

 予想外の反撃に死柄木の体勢が崩れる。その時、相澤先生は仮面の中で血涙を流していた。

 

相「紅蓮爆龍剣……」

 

死「あ?」

 

 体勢を崩した死柄木が視線を落とすと、相澤先生が紅蓮の炎を纏う剣を構えていた。

 

相「ぬぅぅぅあぁぁ!!」

 

 千載一遇の隙を狙った渾身の一撃は、死柄木の胴を確実に捉えた。

 

死「うぉおおっ!!」

 

 死柄木は剣を叩き込まれながら仮面の中で吐血する、そして相澤先生を見つめた。

 

死「本っ当……かっこいいぜ、イレイザー」

 

 激しく血を吐きながら、死柄木は笑みを浮かべる。その時、ほんの一瞬、相澤先生は瞬きをしてしまった。

 

死「とは言えさすがに、一瞬 綻ぶ」

 

 血に塗れた口で不気味に笑うと、死柄木は自分に叩きつけられた紅蓮の剣を掴んだ。

 

相「なっ!」

 

 剣を掴まれた刹那、相澤先生が再び個性を発動しようとする。しかしその前に死柄木は衝撃波を発動した。

 

緑「うわぁっ!!」

 

 死柄木が発した衝撃波は遠くで戦いを見ていた緑谷の方まで届いた。

 死柄木は衝撃波とともに歯車のエネルギーを放出している。至近距離にいた相澤先生は無数の歯車をくらい、変身が強制解除されていた。

 

死「ようやくクソゲーも終わりだ」

 

 死柄木は地面を蹴り、相澤先生との距離を詰める。

 

緑「うわぁぁあ!!」

 

 緑谷は絶叫しながら腕から黒鞭を相澤先生に伸ばす。黒鞭より死柄木の手が相澤先生に触れそうになった刹那。

 

《タドルクリティカルスラッシュ!》

 

死「!?」

 

 突如、巨大な氷塊が出現し、死柄木の体を吹き飛ばした。

 

轟「先生ェ!」

 

 氷塊の先にはファンタジーゲーマーに変身した轟の姿がある。そして死柄木の体が宙を舞った瞬間、緑谷はもう死柄木の目の前に迫っていた。

 

《ボルテックフィニッシュ!!》

 

 緑谷のキックは死柄木を捉え、遠くまで蹴り飛ばす。そして瞬時に相澤先生の元へ走った。

 

緑「ゔゔっ! 先生……先生!!」

 

 至近距離での歯車をくらい、相澤先生の右脚と左眼は激しく損傷している。

 それを見た緑谷は目に涙を浮かべた。

 

 

 遠くに飛ばされた死柄木は起き上がると、不敵な笑みを浮かべる。

 

死「守った先になにがある? 必死に先送りしても」

 

 死柄木はスチームブレードを肩に乗せると、緑谷の方を向いた。

 

死「待っているのは破滅だけ」

 




時間を空けてしまい、大変申し訳ありませんでした
しかし、ようやく道筋のようなものができた気がします。
これからもよろしくお願いします


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