インフェクテッド ヘルシング (ゲルググ)
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第1章
始まり


バイオハザード系に近い小説書いて見ました。


2023年 日本の内陸部の森林地域に所在する如月精神病院は人気の無いところで運営されており半分、国が運営していてその他、大部分を医療の安全とセキュリティのコンサルタントを務めるガーディアン社が運営していた。ガーディアン社のシンボルマークは丸い輪の中に青い十字マークがあり十字マークの右上と左下に赤いハートのマークがついている。ハートが人命と医療で丸い輪がセキュリティを示す膜で十字マークは安全を示すということだろう。何気に意味が込められているようだ。

如月精神病院の中は見るからには監視カメラとガーディアン社の警備員の守りが固められており患者がいる場所は自由に出入りができない状態になっていた。もともとその病院は薬物中毒でおかしくなって家族から見放された者や殺人鬼並みに恐ろしいサイコパスが入院させられていた。ほとんどそこに入れられて退院した者はいない。

如月精神病院の地下には何故か白い防護服を着て作業している者がいた。何かいかがわしい研究でもしているのだろうか。研究室の出入り口には黒いヘルメットにガスマスク、防護スーツを着用した警備員の姿があった。彼らはサブマシンガンMP5を持っており何かあったときのために備えている。彼らが行っている研究は患者を使っての人体実験のようだった。怪しい新薬を試験して飲ませたり死体を使って実験したりしていた。

実験室で被験体を使って新薬の液体を注入して試験を開始したところ被験体は様々な薬物に手を出していたのか新薬が拒絶反応を起こして体全体が破裂してしまった。血や肉片は飛び散り防護服の研究員たちに降りかかった。研究員は面ガラスを吹き床も除菌用の清掃道具でふき取ったりしていた。中には床に散った血で足を滑らかすドジもいた。それを見た武装警備員も防護マスク越しに笑っていた。ところが他の被験体に試してみた結果、被験体は暴れ出し赤黒い血管を丸出しにして凶暴化し始めた。研究員は鎮静剤を打とうとするも手を噛みつかれそして肩を噛み砕かれ首に食いかかられて殺られてしまった。それに動揺した警備員が駆けつけMP5サブマシンガンを発砲した。しかし被験者はひるんだ後に警備員に飛びかかっていった。

警備員はあっという間に制圧されてしまった。入院室と診療室やナースステーション、薬剤室などにはアナウンスが流れた。

 

「非常事態発生 非常事態発生 研究員又は看護師 警備員 医師の方、そして入院患者方は迅速に避難してください。」

 

そのアナウンスが2回か3回ほど流れると中にいたスタッフや警備員たちは慌てふためいていた。難を逃れて実験室から逃れてきた研究員も避難しようとしていたが迂闊なことに地下の扉を開けたままにしてしまったため、凶暴化した被験体が地上へ出て警備員や医師、その他の研究員を襲い始めた。武装した警備員はサブマシンガンを発砲して応戦をしていたが凶暴な被験体には敵わなかった。

 

ガーディアン社 緊急対策応接室

ガーディアン社G.C.T.F「ガーディアン・クリーニング・タクティカル・フォース」特務部隊は会社とつながりのある如月精神病院の危険を感知して出動を余儀なくされた。特務部隊とは言い方を変えると特殊部隊のような位置付けで実際の扱いは傭兵集団である。俗に一般的に知られているPMC「民間軍事会社」と同等だった。ガーディアン社は表面上、軍事・警備コンサルタントと医療コンサルタントを担う大企業としてもはや国際企業まで登り詰めるほどになっていた。

G.C.T.Fの隊員たちは会社の不利益をこうむる物や都合の悪い物を除去したり会社に一大事な事か起こった時に対応するのが役目であり、Cのイニシャルはクリーニングと言われている通り当然ながら不都合な物の除去を担うため掃除部隊と言われている。実際に掃除部隊はG.C.T.Fの中隊ごとに存在しているのだ。

それぞれの隊員たちは黒や紺色の戦闘服にプレートキャリアと呼ばれる防弾アサルトベストや弾倉を収納できるポーチ付きのタクティカルベスト、サバゲ好きには分かるかもしれないがチェストリグと呼ばれる弾倉入れに前にからうように作られた上衣ハーネス型のベストを着用したりしていた。それらの装具はほとんど黒が多かった。

使用する武器は代表的なハンドガンとも言えるベレッタM92Fやオーストリア製のハンドガンであるグロッグ17を装備しアサルトライフルはM4A1カービンにサブマシンガンのMP5A5を装備していた。その他の民間用のレミントンM870と呼ばれるポンプアクション式のショットガンを装備している者もいた。

 

今任務における如月精神病院出動隊員メンバー

第1チーム

 

フリント

身長187センチ 国籍ロシア 年齢27

 

エリック

身長181センチ 国籍アメリカ 年齢30

 

レイブン

身長179センチ 国籍メキシコ 年齢23

 

拓郎

身長171センチ 国籍日本 年齢25

 

ホン

身長171センチ 国籍韓国 年齢26

 

チェン

身長173センチ 国籍中国 年齢27

 

このメンバーば個性豊かに感じた。国籍も違えば人種も違う。国際企業だけある。まさに民間軍事会社そのものだった。ほとんど黒や紺色でまとまっており、ちゃんとヘルメットも被っていた。

 

「おい、お前、日本人か?」

レイブンが拓郎に質問した。

 

「おお、そうだが。どうした。」

 

「何でもないが珍しく感じてな。」

 

「 俺は拓郎、自衛隊を辞める羽目になって社会で行き詰まってた時にここのセキュリティコンサルタントに入った結果、この部隊に入ることになったよ。」

 

拓郎とレイブンが話し終えると目的地に着いた。

 

「いよいよ出番だな。まるでお化け屋敷みたいだな。ゾクゾクするよ。」

 

韓国人のホンがニヤニヤしながら言った。

 

「まるでPS3のホラーゲームみたいだな。」

 

中国人のチェンはビビりながらつぶやいた。

 

「今からここに潜入して何が起こったのかを現状把握をして報告をするぞ。良いな。」

 

フリントはみんなにそう告げて潜入に向かう合図をしてヘリを如月精神病院の屋上に着陸させてから全員を如月精神病院向かわせた。

M870を構えて安全確認をするとフリントはOK合図を出して全員、屋上から降りるために階段に向かわせた。病院は何気に広いようで普通で3階建だった。

階段を降りるとフリントは生きている者がいたら救出することを命じた。

 

「生きている人を殺さないミッションで良かったよ。」

 

エリックは安心してつぶやいた。

全員、MP5サブマシンガンやM4アサルトライフルを構えて移動しながら周囲を警戒した。

 

 

 

 




楽しみはこれからです。


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実戦

今から第2話で実戦です。とうとう本格的に怪物と化した人間を戦うガーディアン社の私設部隊G.C.T.F.の隊員達。2階に向かった先に見たものとは。そして少しずつ奥にのめり込まれていきます。


如月精神病院

フリントはみんなに立ち止まるように合図をした。少し奥に白衣コートを着た男が立っていた。しかもこっちを向いている。フリントは男の顔をみてゾッとした気持ちになった。

男の顔は目は死んでおり口周りは血で染まっていて白衣も赤く染まっていた。男はゆっくりと歩いてきて呻き声を上げていた。フリントは異変を察知してハンドガングロッグ17を構えて足を撃った。男は転んだだけでまた立ち上がりフリントに向かって来た。フリントは「許せ」と言って頭を撃った。男は動きを止めて倒れた。完全な死んだのだった。

 

「こいつ、ゾンビかよ。何発も撃たれても死ななかった…。」

 

エリックは動揺していた。

 

「俺が高校の頃、マイアミでゾンビ事件があったような…」

 

拓郎は冷静につぶやいた。

さっきの銃声のせいなのか撃ち殺したやつと同等な奴らがいたるところから現れた。みんなでメイン武器のアサルトライフルやサブマシンガンなどで頭をめがけて撃ち込んでいた。奴らはバタバタ倒れていった。

 

「まるでシューティングゲームだな。兵役に就いてからやってないが中学以来だな。」

 

韓国人のホンは楽しそうに奴らを倒していった。

モンスター化した人間達は現れなくなり3階の一つずつの部屋を捜索することにした。入院室の中に入院着を着た患者のモンスターが沢山いたがチェンが思い切って手榴弾を投げた。モンスター化した患者は弾き飛ばされたが数体動きを止めていなかった。チェンはベレッタM92Fハンドガンで頭を撃ち抜いてとどめをさした。

「どれぐらいの規模なんだ。」

 

「生存者がいたら聞いてみよう。」

 

喫煙所に行くと体格の良い看護師と武装した警備員のモンスターが彷徨っていた。ホンの目には警備員モンスターの持っているベレッタM92Fハンドガンのシルバーカラーだった。M4アサルトライフルを単発で狙い撃ちして喫煙所のモンスターを制圧すると警備員モンスターの持ち物を漁った。しかし呼び弾薬の込められた弾倉は無く2つのシルバーカラーのハンドガンだけ取った。

ホンはシルバーカラーのハンドガンを使い捨てがてら使うことにし2つ持って仲間のところに行った。

フリントが指揮するチームは階段に向かって移動して階段に立ちはだかるモンスター達を蹴散らして2階に向かった。

2階にもやはりモンスターはうろついており誰もいない事が確認できる資料室向かって退避した。資料室を捜索して病院内の資料を読むと精神病院に収容されている患者のことやカクテル療法などの資料しか見当たらなかった。

拓郎が引き出しを開けると日記帳みたいな物が出てきて日本語に精通したチェンが取り上げて読み始めた。

 

(俺が警備員としてこの精神病院で働き始めて1、2週間は経つが最近、患者の数が少しずつ減ってきている気がする。同い年の同僚に聞いたにはどうやら患者を使った怪しい人体実験が行われているようだ。まるでB級ホラー映画のような話で信じられなかったがどうも怪しい。嘘か真か知る頃には俺は死ぬのだろうか。)

 

「人体実験?」

 

チェンは顔をしかめ出した。

 

「それが本当なら奴らはその影響でそうなったのか?患者が実験対象なのに警備員や医師、看護師があんな風になってるって事は感染するのか?映画やゲームみたいに噛まれたり傷つけられて感染するのかそれとも寄生虫による影響か?」

 

拓郎はゾンビ映画みたいに感染するものだと推測した。

 

「それが本当なら噛まれたりしないように気をつけないとな!」

 

エリックはみんなを見ながら言う。

「てっきり精神病院の人体実験だなんてアメリカやどっかの国の話だけだと思ってたぜ。」

 

レイブンが笑っていた。

「あまり油断してると死ぬぞ。」

 

能転気なレイブンにホンは忠告した。

ホンはは廊下にいるモンスターと思しき感染者をあるだけ弾の入っているシルバーカラーのハンドガンを撃ち切るまで発砲して頭を撃ち抜いて弾切れになると奴らに向かってシルバーカラーのハンドガンを投げつけた。そして自分が普段から使っている黒のベレッタM92Fハンドガンを手にとって残りの感染者を倒していった。近づいてきた感染者には前蹴りで弾き飛ばして頭を踏みつけて倒した。

みんなもそれに乗ってMP5やM4で応戦して制圧して行った。まるで無双をしているようだった。ゲームとは違い一回が命取りとなる事は承知の上だった。

ホンは陸軍に徴兵されて厳しい新兵訓練を終え配属先の部隊は歩兵部隊で前線の部隊だった。軍隊での理不尽を耐え除隊すると義勇軍外国人部隊の傭兵として中東で女子供に蛮行を行う過激派相手を相手に戦っていた。中東は宗教や思想違いの紛争が多く理不尽きわまりなかった。そんな中、理不尽で子供や女をいたぶる悪を殺すことにスコアを設定してゲーム感覚に悪党を殺すことにハマってしまった。それからいつの間にかガーディアン社のG.C.T.F隊員として働いていた。ガーディアン社の裏の顔を知らずに。

ホンは傭兵時代に沢山の地獄を見ていたため対感染者戦は苦にはならなかった。

拓郎はMP5サブマシンガンで感染者の頭を狙い撃ちしていたが見出しと照準がうまくいかず落ち着いて撃つようにしていた。自衛隊時代は89式自動小銃を使っていたが今はサブマシンガンで戦っていた。MP5サブマシンガンなんて警察じゃないと使わないだろうと他人事として受け入れてなかったが今、こうして使う時が来るとは思いもしてなかったのだ。

なんとか感染者を撃退して行ったが半分疲労感が来ていた。さすがにあれだけの感染者を相手にすれば疲れるに決まっていた。

部屋を捜索して行くと目をハサミで刺されたのに平然としている感染者の姿がありエリックはゾッとしていた。そっぽを向きながらレミントンM870ショットガンを撃ち顔面を吹き飛ばした。壁沿いに血が吹き飛び感染者は後ろに倒れた。服装からして患者のようだった。

 

「どれぐらいの数がいるのかよ?」

 

「知るかよ。この作戦を乗り切れば報酬は倍にして貰わないと困るな。いや、してもらうぞ。ここまで死にかけたのにそうこなくちゃ。」

 

チェンとレイブンはボロを出しながら喋っていた。

手術室に行くと看護師の感染者が3体いたためチェンは目の前にあったメスを手早く投げた。メスは額に刺さっていくが刺され具合が浅いためか死ななかった。そこにレイブンがグロッグ17ハンドガンで頭ををさらに撃つと感染者は倒れた。手術室は特に何もなくその場を去ることにした。

その頃、エリックとフリント、ホン、拓郎は娯楽場にいる警備員の感染者を使いまわしの良いベレッタM92Fハンドガンで頭を狙い撃ちして撃退していき這いずってこっちに向かってくる感染者の顔面を撃ち抜いて警備員の死体を捜索をした。ほとんどハンドガンの弾に対応する9ミリ口径のピストル弾しか手に入らなかった。感染者の死体から小銭入れを取ったフリントはお金をあるだけ物色していた。それに便乗した拓郎も同じことをしている。

 

「お金は後にしろ今はその場を去るぞ!」

 

拓郎はホンに注意されて小銭入れを捨ててその場を後にした。

2階食堂に向かうとちょうど少しさりげなく離れていたチェンとレイブンと合流した。食堂内は配給された食べ物や飲み物が散乱していた。食堂は微妙に広く離れた距離から感染者が近づいて来ていた。2体とも距離が近くなっていた感染者にエリックがM870ショットガンで顔を撃った。2体の感染者は頭を吹き飛ばしてその場で倒れた。まさに一石二鳥だった。一回だけの発砲で2体とも撃退できたからだ。

食堂にいたのは丸腰の警備員と調理師と患者だけしか残っていなかった。全員もう生きてはいないが。拓郎は感染者の頭を吹き飛ばしていき厨房に入った。厨房の中はこれといって何の発見もなくそこから脱出した。

夜勤待機室にはいかにも柔道でもしていそうな屈強な看護師の感染者が4体ほど彷徨っておりフリントはグロッグ17ハンドガンで奴らの頭を狙い撃ちして仕留めた。

「さすがに4体相手に肉弾戦とナイフ戦は命取りになるな。」

 

「正面衝突は災いの元だな。」

 

ホンはフリントの独り言に割り込んで言った。

本来なら弾薬は尽きるところだがここの病院の警備員は銃を所持しておりそいつらの死体から漁れば良い。ある意味助かる。

フリント達G.C.T.F隊員は感染者との死闘を切り抜け1階に降りるためにエレベーターを使うことにした。階段には多数の感染者の姿があり致命的にも死角が多かったからだった。

エレベーターを前に全員いつでも戦えるように銃を構えて開くのを待った。

 

ピーンポーン

 

エレベーターは開き中には警備員の感染者が詰め詰めに入っていた。全員構えた銃で一掃していき奴らが持っている弾薬を回収してエレベーターに乗って1階に降りた。

1階に降りたエレベーター近くには感染者の姿は見当たらなく命拾いしたようである。

 

「もし奴らがいたら俺たち一貫の終わりだな。」

 

拓郎は安堵していた。

一階の中央ロビーには幸い感染者はいなかったようで何かと安心感は出たが油断は出来ない状態であった。

 




ようやく1階に無事到着して犠牲者1人も出さないのは隊員それぞれのチームワークと言えるでしょう。国家と人種と国籍を超えた団結力が勝利を読んだのかもしれませんね。笑
次回は1階に来たということでいつまで安心感浸っていることができるのでしょうかね。こんなへんぴな話ですがよろしくお願いします(^^)


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生存者の生き様と謎

ようやく3話目に入りました。内容やネタバレはできませんのでごゆっくりどうぞ。


一階を警戒しながらまず最初に受付室を確かめてみるとガーディアン社業者の資料とスタッフ資料が散らばっていた。幸いにも感染者はいなかった。あるのはコーヒーが入っているマグカップだけだった。

 

「異様に静けさを感じるな。奴らはいないのか?」

 

「いたら面白くなっていたのによぉ。」

 

エリックとチェンは独り言を言った。

男女両方のトイレを捜索するとトイレットペーパーや清掃道具、バケツなどが散らかっていた。芳香剤も倒れていて杜撰な状態になっていた。

トイレを確かめた後は診療室を捜索をしていき引き出しと棚を漁りだした。どうでも良い書類は捨てていき興味深い資料だけ手に取った。

回収した資料の中にスタッフのメモ帳を見つけた。

拓郎は回収したメモ帳を読んだ。

 

(このパニックに巻き込まれた俺。最初は何が起こっているのか理解ができなかった。たらたんによくある患者が喧嘩したり暴れ出してそれを屈強な看護師や警備員が止めに入るものだと思っていた。他人事だと思いいつも通り診療室の整理や書類の整頓をしていた時、外側から悲鳴や罵声が聞こえてきたから確かめに行くと同じ同僚や警備員が変な入院着を着た奴らに噛み殺されていた。奴は警備員の首に噛み付いたりしていて他の警備員が止めに入ったりしていた。そしてその1人が拳銃を発砲した。だが奴らは撃たれても死なず不死身だった。ようやく頭を撃ったら動きを止め完全に死んだ。そしてそのあと殺された警備員や同僚も起き上がり仲間であるはずの同僚に攻撃を加えてた。そして俺も奴らに噛まれた。傷が痛むし時間が経つにつれて赤黒い血管が浮き出たりしてきた。、俺も奴らと同じになるのか?もし変わり果てた俺を見つけたらためらわずに一思いに殺してくれ。)

 

まるで遺書を読まされている気分だった。メモ帳に長文を書いた医師は死ぬ前に何かを悟ったに違いない。

 

「気の毒だな。タクロー。」

 

後ろからその文を読んでいたチェンはおっとりとした口調で発言しながらそのメモ帳に書き残した医師に同情した。ただの医師が不条理に死んだからだった。

 

「警備室を見てみよう。」

 

「それが良いかも。警備員室に逃げている生存者もいるかもしれない。カメラもあるだろうし備えもありそうだからな。」

 

全員警備員室に移動をすると思いもよらない光景を目にすることになった。警備員室の出入り口のドアに警備員や看護師の感染者が這いつくばって叩いていた。

エリックは目の前にあった消防斧を拾って感染者の頭に刃を振り下ろして叩き割り、向かってきた感染者の顔面を突いて頭部に振り下ろして破壊した。

 

「生存者はいるか?入られないように防備を固めているだろうけど。いたら開けてくれ。化け物は俺たちが倒したから。」

 

拓郎はノックしてから警備員室のドアの隙間に向かって言った。

ドアが開き謎の男がみんなを招き入れた。

 

「感染してないな。ないならこっちに来いよ。」

 

そう言って警備員室に入れるとみんなを休ませた。あるだけの飲み物とお菓子を渡してゆっくり休むようにさせた。

 

「俺は高岡悟だ。ここの警備員をしていた。ガーディアン社の警備部門の者だ。武器ならここにたくさんある。」

 

男は軽く自己紹介してからいろんな種類の武器が入っているボックスを差し出した。中にはM16やMP5、M1911ガバメントハンドガン、さらにはイサカM37ショットガンが積み込まれていた。唯一、ショットガンの弾を回収出来ずにいたエリックは12ゲージ弾と呼ばれるM870に対応した弾だけ回収した。

高岡は装弾数の少ないガバメントを省いてM16とMP5だけ回収して落ち着きを取り戻し助けが来たことに安堵した。

 

「ここの監視カメラはほとんどのエリアに設置されておりいわば病院の目となる。」

 

高岡はG.C.T.F隊員たちに説明を始めた。

 

「ところであんたらはどうやってこの施設に潜入した?こんな頑丈なセキュリティに感染者の大群。」

 

高岡はまだ質問していて疑問視していた。

 

「俺たちはヘリで屋上に降りてそこから奴らとの戦闘を克服してここまで来たらお前とこうしてばったり会ったことぐらいかな。」

 

「どうやら誰かがドンパチしていると思いきやあんたらやったんだな。」

 

レイブンから説明を受けた高岡はひらめいたかのような表情をして頷きながら反応した。

 

「3階のところ俺らが倒しきれなかった感染者がウヨウヨいるよ。俺たち早めに1階に来た甲斐があったかもな。」

 

「もしかしたら1階にも来るかもしれんな。油断は大敵だ。」

 

生存者の高岡とG.C.T.Fの隊員達は3階が映し出されたカメラ画面を見て驚いていた。戦った時よりも数が増えていたからだった。

 

「それよりもこの病院にも地下がありそこにも事件の手がかりと脱出出来る通路が見つかるかもしれない。」

 

高岡は隊員のみんなに告げた。

 

「そこに行くにはパスワードや鍵、カードキーはいるのか?」

 

「そこは監視カメラの映像では地下から逃げてきた科学者が迂闊に開けたままにしていたんだ。運がいいことに中に入れる。」

 

「でかしたぞ」

 

高岡達は地下に入ることを決定して持ち物をチェックして小銃やサブマシンガンなどを確認して弾もちゃんと込めてから警備員室から退いていった。

地下に向かう階段前の扉に向かい銃を構えて階段を降りていき目の前のドアを開けて入った。今のところ感染者の姿は見当たらずいたるところにガラス張りの壁や部屋などが多く地下研究所そのものだった。

廊下は器具や書類が散乱しており白衣の上衣も散乱していた。G.C.T.Fの隊員はM4やMP5を構えながら周囲を警戒しながら進んでいき解析分析室に入った。

解析分析室にはノートパソコンが接続されていて電源もちゃんと入っており起動していた。高岡はパソコンで研究データを探ってみるとビデオが再生され始めた。

再生されたビデオには白衣をきた50代の科学者とその護衛に覆面に黒い戦闘服を着たガーディアン社の傭兵が2人いてM4A1アサルトライフルを装備していた。科学者の男は呂律の回っていない患者を台に寝せた状態に置き解説を始めた。

 

『皆さん、これから我々が開発した新薬を試してみようと思います。この薬は死んで使い物にならなくなった体の器官を蘇生する作用があるという結果が生まれました。それでは試してみましょう。』

 

科学者がそう言うとさっそくスタッフが来て実験を開始した。

実験の結果、被験体の患者は暴れ出し凶暴になってスタッフに遅いかかった。スタッフは首を噛まれ絶命して暴れまわっている被験体を傭兵達がアサルトライフルで一掃していたが動きを止めずに動いてたので最終的に頭を撃って終止符を撃った。

そのあと科学者が現れて結果報告を始めた。

 

『何ということでしょう。まさか中の成分が突然変異したのでしょうか?凶暴になり正常者を襲う。凶暴な特性を良いところに持って行き軍事利用すればどうなるか。ぎゃゃゃー』

 

科学者が報告している最中、先ほど噛み殺されたはずのスタッフが彼に噛みついた。そこでビデオが停止した。

 

「この病院の研究室でこんな実験をしていたのか?」

 

レイブンが資料を漁りながら呟くとその実験の資料が見つかった。

実験資料を見ると新薬名をパラノイド666と書かれていた。通称パラノイドトリプル6と言われているようだ。新薬の被験体を調べるからには最初は麻薬でぶっ飛んだような状況に陥りフラッシュバックと全身のだるけ、しばらく眠気に誘導されて眠ったあと起き上がったあと凶暴化して常人を襲うようになる。同等の人間と一緒に置くと何もならない。噛まれたり唾液が傷口に入ったりすれば感染して奴らと同じようになることだった。血液での感染はないようだった。

「まるでゾンビ映画じゃねえかよ。」

 

チェンが動揺した。

今この場に派遣されている G.C.T.Fの隊員とガーディアン社の日本人警備員の高岡は自分を雇って受け入れてくれた会社が表向きは医療と軍事、セキュリティなど人のために尽くしてる国際大企業が裏ではいかがわしくもおびただしい新薬や生物兵器の実験を行っており極悪非道な橋を渡っている事実にショックを受けた。




またしてもG.C.T.F隊員は見事死なせずに任務を遂行してるのは驚きでしたね。何というチームワークでしょうw
次回は地下に入ってからの災難と脱出について書いていきたいと思います。


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脱出 その後

遅れました。


ガーディアン社の裏表の恐ろしい真実にショックを受けたG.C.T.Fの隊員は落胆していた。

 

「会社は俺たちを使い捨てにするつもりだったんだろうな。俺たち生き残れたところで会社に殺される可能性は大だな。」

 

ホンは自分が会社に戻る危険性を察知していた。

 

「会社の悪事を暴く資料と証拠のDVDは回収したしそれを告発するまでだな。」

 

エリックは集めた資料をポーチに入れていた。

地下から脱出するとはいえさっきまでいた1階に戻っても感染者と頑丈に封鎖された扉とセキュリティによって無理だろう。

G.C.T.F隊員はベレッタM92Fハンドガンやグロッグ17ハンドガンを構えながら移動して警備員の高岡はM16アサルトライフルを構え四方八方を警戒した。廊下を歩いて移動していると少し離れたところに片腕だけ食い千切られた感染者と遭遇した。他にも赤く染まった白衣を着た研究員やボンベを背負った防護衣の感染者がいた。

 

「あのボンベを撃てば面白そうだな。」

 

フリントがグロッグ17ハンドガンを何発か発砲して命中させるとボンベは爆発して周りにいた感染者を巻き添えにして破裂した。感染者は動きを止めたが一部動いている感染者にとどめを刺した。

もともとG.C.T.F部隊はガーディアン社の警備、緊急対策部門として設立され元々は正規軍や警察官、消防士で行き詰まって流れてきた者、兵役が終えた後の一般社会で馴染めなかった者。元ヤクザやギャング、マフィア、特殊工作員、元傭兵、亡命軍人や戦犯対象者を集めたところから始まった。彼らを匿い新しい人生に幕を開かせるチャンスを与えることと高額な報酬、福利厚生を条件にして旨いように雇っていた。そのため一大事な事が起これば真っ先に投入され命を落とす者もいた。組織は各中隊や特務部隊で成り立っておりいつでもどこでも戦えるようになっている。

 

「ここを出たらしばらくどこかに潜伏するしかないな。」

 

拓郎は今の状況とこれから先の未来が不安になった。今は目の前の目的を達成するのみ。

半分国、半分ガーディアン社の運営の元に成り立っているこの秋月精神病院の看護師は男しか存在せず女性看護師しか存在しない病院だった。G.C.T.F隊員はそれを承知していた。

 

「女性の力じゃどうにもならないヤク中の野郎どもを男で制すか。備え万全なこった。」

 

チェンが笑いながら言った。

高岡はM16で実験室から現れた研究員と被験体の感染者を単発で何発も撃ち込んで倒していった。その中に元同僚がいた事に気付き落ち込み気味になった。

 

「お前もこうなってしまったのか?助けられずにすまない。仇は必ずとってやる。」

 

そう言い残して仲間について行った。

フリッツは被験体の感染者にショットガンを撃ち込んで弾き飛ばしていた。感染者は激しく飛ばされて壁に打ち付けられて倒れた。

銃の弾薬は警備員の感染者を探し当てると必ず手に入るのが何より幸いだった。

 

「必ず奴らの悪事を暴いてやる。そのためにも必ず生き延びる。」

 

フリントは感染者を長めのナイフで感染者の額や首から脳に突き刺さるようにめり込ませたりしながら倒していった。時には前蹴りで倒してからとどめをさして制圧していった。

感染者を制圧すると廊下にあったドアを開けて突入して目の前をうろついていた感染者を単発で頭を狙い撃ちにして制圧していき周りの安全を確保した。周囲は檻だらけで周りは奴らと化した被験体だらけだった。通りには軽装の警備員の感染者が3体いた。まとめて制圧して檻だらけの場所から脱出して次の部屋に向かった。

檻だらけの場所から脱出してたどり着いたところはモニタールームだった。モニターには地下のそれぞれの場所が映し出され檻だらけの場所では檻の出入り口のドアを破られ収容されていた被験体で溢れ出していた。

 

「このままだとまずいぞ!ここを脱出するぞ。」

 

廊下を突っ走って偶然見つけた階段を登りドアを開けどうにかして脱出に成功した。感染者もここまでは追っては来れないだろう。

何とか脱出したものの時間が長く感じた。あんな化け物が存在していたなんて想像もつかなかった。

 

「みんな噛まれたところはないな?」

 

フリントがそうたずねるとみんなは「無し!」と答えてその場を去った。持っている武器が目立ち地元住民に通報されることを察し隠密行動で行動する事にした。

消されることを恐れたG.C.T.F隊員は迅速に人気がない場所に移動してあの地獄の病院から離れていく。

空を見上げると民間のヘリに見立てたガーディアン社のヘリが何機か移動を始めていた。ヘリの中ではG.C.T.Fの掃除中隊が乗っており彼らは黒い戦闘服にタクティカルベスト、ヘッドギア、覆面を装着しておりM4アサルトライフルを装備していた。ヘッドギアには暗視ゴーグルを装着して暗闇にでも対応できるようにしていた。まるで特殊部隊のような雰囲気を出していた。

「良いか?訓練通りにやれ。奴らに躊躇せず立ち向かうんだ。」

 

隊長らしき隊員が部下達に指示をする。

一方、フリント達は防弾ベストを脱ぎ捨ててジャケットを脱いでリュックやバッグに詰め込んだ。だいぶ弾の尽きかかっているライフルやサブマシンガンを弾抜きして誰にも分からないところに捨てた。

秋月精神病院に到着した掃除中隊はヘリから降りて院内に突入した。

「こちら第1小隊。屋上の階段異常なし。今から3階に向かう。」

 

「了解、何かあればその都度報告を。健闘を祈る。」

 

「了解」

 

掃除中隊の隊員は3階に降りていき発見した感染者を狙い撃ちにして排除していった。

 

「こちら第2小隊。奴らに囲まれた。来るな。来るなぁ〜。うわ〜」

 

断末魔の叫びと共に第2小隊との通信は途絶えた。

「くそっ。第2小隊が殺られた。俺たちで何とか切り抜けるぞ!」

 

第1小隊の隊長は部下を統率して残りの感染者を駆逐していき2階に降りていった。

一方、外では黒の戦闘服だけになったフリント達は一見みれば工事現場で働く外国人労働者にしか見えず何とか地元住民の目はごまかすことか出来た。しかし今、自分はどこの町にいるのか掌握できていなかった。地元の掲示板を見ると「黒蛇町」にいることが分かった。

黒蛇町は田舎と住宅地が重なったような町で産業も工業もそこそこ盛んで外国人労働者が多かったりで国際色豊かな町だった。九州では韓国人や中国人が多いことが話題になっていたが日本の中西部にある黒蛇町はアメリカ人やフランス人、中国人、韓国人、イタリア人といった幅広い人種の人達で溢れかえり日本の中にあるアメリカみたいになっていた。犯罪の有無としては日本と韓国のヤクザとフランスやイタリアのマフィアが暗躍したりもしていた。街には居酒屋やパチンコ屋、風俗店が多くもちろんショッピングセンターも多数存在していた。

街の警察官は日本のヤクザとアメリカ人ギャングの喧嘩で駆けつけたり酔っ払いのトラブルで対応したりで大変そうだった。犯罪率は少ないものの特に外国人の犯罪が目立つことが多くなっていた。フリント達は何とか国際色豊かな黒蛇町に紛れ込むことができる事を良いことにガーディアン社の悪事に立ち向かう事を決意したのだった。

 




あっけない脱出で終わってしまいましたが次は外部で事件が発生する方向にしたいと思いますw


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発生

保存日時:2017年09月13日(水) 22:41

 

如月精神病院

ガーディアン社と病院と国が開発した生物兵器パラノイド666の感染拡大によりパニックに見舞われた如月精神病院の扉の付近にフル装備にガスマスクの傭兵達がMP5A5サブマシンガンを装備して潜入準備をしていた。

 

「こちらアルファ6。只今より如月精神病院に潜入する。」

 

「了解。何かあれば一報を頼む。それでは健闘を祈る。」

 

傭兵達は病院の扉をハッキングして開け院内に入った。院内は掃除部隊に一掃された感染者の死体で溢れかえっていた。中には感染者に殺された掃除部隊の隊員の死体も見つかった。

 

「マジかよ。、、」

.

死体で溢れかえっていた先には感染者と奴らと同じ姿になった掃除部隊員の姿を含めた集団が立ちはだかっていた。

 

3日後 黒蛇町

町の中にある質屋のテレビにニュースが放送されていた。

 

『昨日、昼12時頃、黒蛇町の観光スポットである幸花山の自然公園で猟奇的な殺戮事件が発生しました。地元警察は原因を突き止めようとしましたが未だに解明されておりません。』

 

如月精神病院での惨劇を生き延びたガーディアン社の韓国人傭兵ホンはあるだけのお金で黒い帽子を購入して被り街の裏路地を歩いていた。フリント達は別々になりほとんど散らばって行動することにしたのだった。

成人向けのアダルト映画劇場のある通りのパチンコ屋付近の裏路地からよたよたとよろめきながら歩き奇妙なうめき声をあげながら歩いている人を確認した。彼は具合が悪そうな顔をしている。格好はデニムズボンにデニムジャケットを着ていた。そしてアロハシャツの上に背広ジャケットを着たチンピラ風の男とぶつかった。

 

「てめえ、どこ見て歩いてんだコラ。」

 

「う、うあ、う」

 

「まずはすいませんだろうが。クズが!」

 

うめき声ををあげている男に好戦的な態度をとって飛びかかろうとしていた。

 

「兄貴、さすがにヤバイっすよ。こいつに近づくのはやめましょう。」

 

付き添いの手下らしき男が引き止めようとしていた。

うめき声をあげている男は飛びかかろうとしていたチンピラ風の男の腕を掴み上腕に噛みついた。

 

「いてててて。こいつ、噛みやがった。話せこの野郎。」

 

チンピラ風の男は激しく抵抗して振りほどいて男に殴りかかった。顔を何発か殴り張り倒して蹴ってから手下の男と共に逃げた。チンピラに噛みついた男はまた立ち上がって手下の男に掴みかかって首に噛みついていき喰い殺した。

喰い殺されたチンピラの手下は倒れこみ血を口から吐き出しながら苦しみそしてまた立ち上がった。

ホンはまさかと思い近づこうしたところパトロール中の警察官が2人来てチンピラ達の方に向かった。彼らが血で汚れているのを見た警察官はチンピラ達に職務質問をしようとしたところデニムジャケットを着た男とチンピラの手下が2人で1人の警官に襲いかかって上腕や首に食いついて行った。噛みつかれた警官は口から血を出して絶命した。

「クソッ。」

 

もう1人の警官はやむを得ず拳銃を取り出し威嚇した。

「その場で止まれ。」

 

銃口を向けても奴らは反応を示さず襲いかかって行こうとしていた。警察官はやむを得ず拳銃を発砲して何発か胸に撃ち込んだ。

撃たれた男達はびくともせず拳銃を発砲した警察官を襲い喰い殺した。

「まさか、奴らが外に出てしまったというのか?」

 

ホンは事の重大さを悟って野次馬としてその光景を携帯で動画撮りながらタバコを吸っている不良の男に近づいた。

 

「あんたらも今のうちに逃げたほうが身のためだ。」

 

そう言ってその場を離れた。

付近の道路では救急車やパトカーが頻繁に通行して警察官は略帽ではなく白いヘルメットを被っていた。ホンはグロッグ17ハンドガンをバッグに隠し持っておるため下手に行動すると捕まりかねないため裏道を通るようにした。さっきの奴らと同じようなのがホンに近づいて来た。

ホンは前蹴りで倒してその場を走り去った。とうとう感染者が外に出てしまったのだ。

感染者達は棍棒や小型ナイフで立ち向かうチンピラや出動した警察官に襲いかかっていた。そして通りすがりのサラリーマンやショップ店員を手当たり次第に襲って行った。

ホンは近くに落ちていた鉄パイプを拾って感染者に変わり果てた警察官を叩き殺して拳銃M37を手に入れてその場を走って逃げた。逃げた先は大通りの歩道でその先にはヤクザがトカレフで感染者を必死に狙い撃ちしていた。

 

「何で死なねえんだ。こいつら化け物かよ。」

 

ヤクザは投げやりになって感染者を撃っていき最後の弾で自分の頭を撃って自殺した。ホンは動揺しつつトカレフを拾い彼のジャケットのポケットから弾薬を回収して装填すると奴らの頭を撃ってい立ちはだかる感染者を通り抜けた。

トカレフは旧ソ連製のオートマチックピストルでかつてその同盟国の中国や北朝鮮、そしてソ連圏内となっていた東ヨーロッパの軍隊で採用されていた。ホンがヤクザから回収したのは中国製のトカレフだった。中国名は五四式自動手槍と言われており裏社会用語では通称「銀ダラ」と呼ばれている。今では粗末な拳銃でいつ暴発してもおかしくはなさそうだった。

ホンはトカレフをバッグにしまい人が集まっている場所に向かった。

通りの先にはバリケードがされており近くには機動隊達が待ち構えていた。街から逃げようとしている人々が押し寄せて来てそれを盾で押し払おうとしていた。バリケードの後ろにはガーディアン社の武装した警備員が感染予防のマスクをしておりMP5サブマシンガンを構えて立っていた。さらにその後ろには高い塀やフェンスで封鎖していきフェンスの上には鉄条網を張り合わせていた。

バリケードの前に溢れてきつつある人々達は機動隊達に抗議をしていた。

 

「私たちをここから出して。何の権限があってそうしているのですか?」

 

中年の女性が機動隊の人に問いただした。

 

「私達は命令で動いてるのでお答えできません。」

 

機動隊の人がそう言って困った表情をしていた。

 

「このポリ公め。国家権力の紐付き犬め。」

 

1人、喧嘩早そうな半グレの男が機動隊の人に殴りかかっていき怪力の腕前で一人一人倒していった。それと同時に発砲音が高鳴った。

音と同時に半グレの男は額に風穴を開けて後ろに倒れた。少し遠くから赤いベレー帽を被った武装警備員のチーフがグロッグ17ハンドガンを構えていた。

 

「これからこの町は新型感染症の拡大の恐れがあるため隔離エリアとなります。先ほどの暴動からさらに悪化した状態にあるため、住民の皆さんは自宅に戻ってください。」

 

赤いベレー帽のチーフが拡声器を持って機動隊達の前に立ちはだかる住民達に警告した。

赤いベレー帽の男はレイ・杉下。日本とアメリカのハーフで元アメリカ海兵隊の隊員。アフガンテロ戦争でイスラム国を相手に戦った経験あり。今はガーディアン社の傭兵として警備業務についていた。

「おい、そこの赤いベレー帽のお前、何したかわかってるのか?てめえ、聞いてんのか?」

 

中年の男達がレイに罵声を浴びせきた。

罵声が響く中、一発の銃弾が鳴り響いた。レイが空に向かって発砲したのだった。

 

「今からあなた達は自宅に戻りなさい。さもなければ業務、公務執行妨害及び感染拡大に対する処置として射殺する。」

 

レイの拡声器からでてくる声と同時に周りの武装警備員や機動隊の人たちがサブマシンガンを構えた。

押し寄せてきた住民のほとんどが逃げていき立ち向かった者は射殺された。

 

「マジかよ。」

 

ホンは影からガーディアン社と警察の暴挙を目にしていた。

黒蛇町警察署

警察署内では取調室でヤクザ風の男が屈強な強面刑事の腕に噛み付いており他の捜査員や制服警官が男を引き離そうとしていた。男は蹴られても殴られてもビクともせずずっと強面刑事の腕を噛み付いて離れそうになかった。ようやく離れたと他の捜査員が安心すると強面刑事も男と同じように凶暴になり他の捜査員に噛みつき出した。あっという間に取調室は血の海と化していた。

通路や受付の場所では機動隊が警棒で感染者を叩いたりして対抗したり拳銃を発砲したりして応戦しているが感染者の数は一方的に増えるがままだった。中には仲間であるはずの警察官や捜査員の姿もあった。

 

『……こちら本部より、本官の心強い限りなことにガーディアン社の私設部隊がこの町に派遣されるようだ。機動隊の銃器対策班は彼らと連帯を取ってくれ…」

 

無線機からは雑音と同時に朗報らしき情報が入ってきていた。

黒蛇町上空

民間用のヘリコプターが1つのマンションの屋上に到達していきネイビーブルーの戦闘服に黒い防弾ベストに黒いキャップ帽を被りカラスマスクをしたガーディアン社の傭兵がロープを垂らして降下していた。

 

「俺に続け。」

 

分隊長が部下達に声を張って指示をする。

 

「後に続きます。」

 

部下の1人が言うと階段を降りていきベレッタM9ハンドガンで感染者の頭を狙い撃ちしていきながら下を目指して行った。3階に降りた時に大学生ぐらいの青年が腕を押さえながらベランダのところに行って飛び降りて自殺しているところを目の前で見てしまった。

「最悪な日だな。」

 

傭兵の1人が呟いた。

 

「感傷に浸ってる暇はない。行くぞ。」

 

分隊長が怒鳴ると部下達は「了解」と返事して1階に降りて行った。

派遣された傭兵部隊の1人であるアルバニア系のエギーユは照準サイトを取り付けたMP5A5サブマシンガンに弾薬を装填して感染者がいつ来てもいいように臨戦体勢を取っていた。

エギーユはもともと東ヨーロッパで末端のアルバニアマフィアとして紛争地域で武器密輸をしていた。おもに東側から流れてくるベストセラー銃と言われる旧ソ連圏の自動小銃AK47や西側から流れるM16そしてMP5を密輸していた。武器は何かしらと儲かる。エギーユがいた組織は人身売買と売春管理をするマフィア組織と対立しており抗争が絶えなかった。エギーユの組織には戦闘部隊というものがありほとんどの人が迷彩服や緑色の服を着て戦えるように準備しておりまるで軍隊のような集まりだった。しかし抗争の際、謎の部隊に攻撃に遭い敵対する売春管理組織が壊滅して自分の戦闘部隊も全滅してしまった。そして唯一生き残ったエギーユは謎の部隊に捕まった。その相手がガーディアン社の傭兵だったのだ。

捕まったエギーユは新しく人生をやり直すのと高額な報酬を条件にガーディアン社の傭兵として雇われたのだった。

一階に降りた部隊は周りをさまよう感染者の頭を狙って撃ちながら生存者の捜索に乗り出して行った。

分隊長は群れて現れた感染者達に手榴弾を投げた。爆発音と同時に感染者達は弾き飛ばされて動かなくなった。エギーユは動きを止めていなかった感染者を連発でハンドガンを撃って仕留めて行った。

 

「奴らは頭を撃てば、潰せば倒せる。順調にやれ。弾は節約したりして無駄遣いはするな。」

 

分隊長は分隊の全員に叫ぶと他の隊員は「はい。」と返事して感染者の頭を狙い撃ちして行った。そして近くの居酒屋の中に入っていった。

 




ようやく部外編が終わりました。最近、LINE交換できた女の子にいたぶられるのを妄想しながら眠ってしまうことが多いですね。Mながら変態ですね笑
次はどうしましょうかね。今回は韓国人傭兵ホンが登場しましたね。次は誰が登場するか見ものですね


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増殖

居酒屋に逃げ込んだエギーユはウォッカの入った瓶に布を付けて火炎瓶を制作していつでも戦える姿勢をとった。部隊の隊員の1人であるウチハラはイスラエル製のサブマシンガンUZIに弾薬を装填してベレッタM92Fハンドガンの弾も装填してから感染者がドアを叩く方向へ構えた。右手にUZI、左手にベレッタM92Fの状態だった。

大量の感染者が押し寄せてきた勢いでドアが破れウチハラはUZIサブマシンガンを連射して感染者に発砲していくがひるむだけで感染者は近づいてくる。

エギーユは火炎瓶で多数の感染者に攻撃をして反撃に乗り出した。近づいてきた感染者にはナイフで応戦して倒していき厨房に逃げて裏道へ続くドアを開けて居酒屋を脱出した。裏路地の死角になるところから感染者に変わり果てた警官が現れてウチハラの上腕の筋肉にかぶりついた。ウチハラは悲鳴をあげてエギーユに助けを求めた。

 

「エギュー、助けてくれ。」

 

助けを求めるウチハラの方向に向かって感染者を蹴った。

感染者はウチハラから離れて倒れまた立ち上がった。離れた感染者に投げナイフを見舞いして撃退した。

居酒屋や風俗店が並ぶ町では防弾チョッキを着た制服警官と機動隊の銃器対策班の隊員が拳銃やサブマシンガンMP5、ショットガンM3で感染者を撃っていき迎撃して行った。ヘリからは警察特殊部隊がロープで降下して応戦する。

 

「クソッ、何故奴らは死なないんだよ。化け物かよ!」

 

機動隊の1人がボロを出しながら応戦していっていた。

感染者達は迎撃してくる警察官に迫っていき近くにいた制服警官に掴みかかって噛みついていき他の感染者も機動隊や警察特殊部隊の隊員に掴みかかって反撃していった。残りの警官はやむを得ず手を引いてその場を離れて離脱していった。

エギーユとウチハラ達は警官達と感染者が交戦していた現場を避けて風俗店が多い地域に入り込んだ。感染者の出現のパニックで部隊の仲間とはぐれてしまい3人しかいなかった。もう1人はウォンと呼ばれる男だ。国籍は香港にして元香港警察の食い詰めだった。

 

「これを使って止血してください。」

 

ウォンは新品の包帯を渡した。

ウチハラは応急処置をして気を取り直した。

 

「これでなんとかなるはずだ。」

 

応急処置して休憩を終えると現在地を離れて移動を始めた。

一方、ホンは乗り捨てられた車に乗って運転してスーパーマーケットに入り飲み物を調達しようと袋を取ってジュースを入れていた。すると出入り口から他の人が入ってくるのが見えた。人数は5人ほどで鉄パイプや鉈、ナイフなどを持っており服装も派手な柄のジャージやダボダボのズボンに龍や虎の書いてある服や作業服を着ている。髪色も金髪や茶髪が多く漫画で見るような不良男子のようだった。

 

「ここなら食料もあるぜ。ここを確保するぞ。他の奴らがいたら追いはらうか殺すかしろ!」

 

リーダー格の男がはしゃいでいた。

他の男達は物置やはしごを蹴ったりレジを荒らしてお金を盗んだりしていた。

 

「マジかよ。最悪な状況だな。」

 

ホンは出くわさないように隠れていた。ハンドガンは持っているが撃てば音で奴らがやってくる。ナイフを手にしていつでも応戦できるように待ち構えていた。

派手なジャージを着ている男がホンが隠れている方向に移動してきた。そこでホンはハンドガンに持ち替えてその男に向けた。

 

「動くな。」

 

銃口をジャージ男に向けると他の者がこっちに向かって来た。

 

「下手に動けばこいつの命は無いぞ。このハンドガンはトイザラスやホビーショップに売ってるようなおもちゃで無ければモデルガンでも無いぞ。俺は本気だ。」

 

ホンは強気で脅してジャージ男に銃口を押し付ける。

 

「あれが本物だってよ。どこからどう見てもおもちゃだろ!ガハハハ」

 

ゴロツキ風の男が腹を抱えて笑っている。

ホンはジャージ男の足を撃った。

 

「おぉぉ。ギャーーーーーー」

 

ジャージ男は足を押さえて叫び散らしてうずくまっていた。

他の男達は動きを止めて動揺していた。

 

「だから言っただろ?本物だと。」

 

ホンはニコニコしながら男達に言うとさっきまで笑っていた男がこっちに鉄パイプ持って襲いかかってきた。ホンは男の腹部を撃って動きを止めた。そして残りの男達も投げやりになって立ち向かっていくが足や腹部を撃たれて倒れうずくまっていた。

 

「この音で奴らが来る。まあ、せいぜい頑張って。」

 

ホンは無法者な男達を置き去りにして袋に入れた飲み物を持って店を出た。

従業員や警備員、清掃員の感染者達が十何体か現れて男達に向かっていた。

 

「来るな。来るな。来るなー」

 

1人が叫ぶが御構い無しに数体の感染者が群がって食いかかって行った。

ホンは調達できるだけ飲み物を確保してスーパーマーケットから脱出して近くの車庫に立て籠もった。車庫の中には車両工具やバッテリーが集められている。これといって役に立つものは何も無い。感染者達はスーパーマーケットに押し寄せたため外にはあまりいなかった。

車庫を飛び出して道路を走っていくと猟銃を装備した作業着姿の中年男と出くわした。

 

「動くな。」

 

中年男は銃を構えた。

 

「待て待て。俺はあんたの敵では無い。」

 

ホンは中年男に言った。

 

「おっと、すまない。これから安全な避難所があるんだが一緒に行くか?」

 

「俺はパスするよ。どっちにしろ救助は来ない。」

 

ホンは中年男に現実的なことを言った。

 

「なぜ、そう言い切れる?先ほど救助は署の本部に依頼したら2日後に来ると言っていたんだ。」

 

「当てにならんな。警察の機能はほとんどやられている。武装した警官も感染者の仲間入りだ。」

 

「俺はダメ元で救助を待つ。」

 

中年男は救助が来ることを信じることにした。

いっぽうエギーユ達は警察署まで来ていた。ウチハラは噛まれた場所を押さえて具合が悪そうにしていた。

 

「頑張れ。ウチハラ。あともう少しだ。」

 

感染者と化した警官を撃退しながら階段を登っていきヘリポートに到達した。遠くからヘリコプターが飛んでいるのが見えた。エギーユは発煙筒を使用して助けを求めた。

 

「おーい。こっちだ。俺はここにいる。」

 

ヘリコプターに向かって必死に存在をアピールするが着陸する気配は無い。その見返りとしてヘリポートにボックスを落とした。

 

「クソっ、俺達を置き去りにする気かよ。それにこのボックスは何だ。」

 

エギーユはボックスを開けてみた。

ボックスの中には救急品と3日分ほどの食料、飲料水、M16アサルトライフルが入っていた。

 

「ありがたいがこんなのはいらない。それより脱出だ。」

エギーユは腹を立てて怒鳴った。

 

「エギュー、俺たちは消耗品だ。いつでもどの世界でも。必要なくなれば使い捨て。はじめから俺たちは物なんだ。使い捨てのゴミなんだよ。」

 

ウォンは絶望して悲観的になっている。

 

「ウチハラ、行くぞ。おい、聞いてんのか?おい、ウチハラ…」

 

エギーユが強気で呼ぶもののウチハラは奴らと同じようになっていた。エギーユはそっぽを向いてウチハラの額に弾丸を撃ち込んで葬った。

 

「ウチハラ、お前はジャップにして最高の兵士だった。お前の仇は俺が取る。」

 

エギーユとウォンは亡きウチハラにそう誓って警察署内を調べ回ることにした。

 

「まずは所長室に行こう。」

 

ウォンはエギーユに提案しするとエギーユはそれを承諾して所長室に突入した。所長室をくまなく調べて書類を漁るとガーディアン社と警察組織の密約したものと思われるデータやプリントが見つかった。

 

「警察の奴ら、ガーディアン社と密約して生物兵器開発、密売に加担してたのか?」

 

エギーユは信じられずにいた。

ガーディアン社は各医療機関や警察組織と密約を交わし悪事を行っていたのだ。表向きは医療と軍事に精通した民家軍事警備会社だったが実はそうではなかったのだ。

所長室を出てから周りを見渡すと監視カメラが気になった。

 

「どうやら俺たちは見られているようだな。」

 

ウォンは監視カメラが気が散るような言い方でつぶやく。

2人でモニタールームに入ってカメラで確かめるとエギーユ達と同じくして派遣された傭兵部隊と制服警官に機動隊員が集まっていた。そして突然鳴り響いた銃声とともに彼らは一網打尽にされて倒れて死んだ。

遠くから覆面をして全身黒で固めた完全装備の特殊部隊らしき男達が合図をしながら全身を始めた。防弾ベストには「POLICE」と書かれていた。

 

「どうやら、警察内部の証拠隠滅部門の特殊部隊さんか?これは参るな。」

 

ウォンはベレッタM9のスライドを引いていつでも撃てるように準備した。

特殊部隊と思われる証拠隠滅部隊は四周を警戒して感染者を排除して中には潜り込んでいる警察官やガーディアン社の傭兵達を射殺していった。

 

「こちら1班、制圧完了。」

 

「こちら2班、了解。」

 

各班報告を終え別の場所に向かっていく。

後から出遅れて立て籠もった部屋から出てきた警察官3人は証拠隠滅部隊と遭遇した。証拠隠滅部隊はサブマシンガンを警察官たちに向けて発砲した。

 

「こいつら何だ。同じ警察だろ?なぜ俺らを…」

 

負傷した1人の警官を2人で抱えて遮蔽物に連れて行った。1人は応急処置をしてもう1人は数の限られた拳銃で応戦している。

証拠隠滅部隊の1人がグレネードを3人の警官に向かって投げた。手榴弾は炸裂して3人の警官はあっけなく死んでしまった。

エギーユとウォンはモニタールームを出て廊下を歩いていると証拠隠滅部隊とばったり遭遇した。

ウォンは奴の顔を撃ちもう1人の隊員の腕を撃った。そして腕を撃たれた隊員を殴って銃口を突きつけた。

 

「お前らは何者だ。」

 

尋問すると隊員はあっけなく答えた。

 

「俺は警察庁直轄の特殊部隊所属。階級は巡査だ。俺らはただ命令されただけだ。」

 

「そうか?ご苦労。」

 

ウォンはためらわずに頭をベレッタM9ハンドガンで撃って殺した。

証拠隠滅部隊の隊員達はエギーユたちを集中的に銃撃をしている。ウォンはベレッタM9ハンドガンの弾薬をリロードしてまた撃ち返していた。その何発かが隊員の首や腕に命中して何人か倒れた。エギーユ達との銃撃に気を取られた証拠隠滅部隊隊員の所に警官や機動隊員の感染者たちが現れて1人そしてもう1人に噛みついて行った。

 

「うわぁぁぁあ。助けてくれ。」

 

サブマシンガンを乱射しながら断末魔の叫びをあげていた。

その隙に証拠隠滅部隊隊員達をめがけて銃撃しながら警察署を脱出した。

 



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