兵藤一誠のダークライダー戦記 【凍結】 (ロボ戦極凌馬)
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旧校舎のダークライダー
第1話 高校生活



どうも、ダークライダーが大好きな作者 戦極凌馬です。
登場するダークライダーは、作者の好きなダークライダーとなっています。
では、第1話をどうぞ!


 

 

━駒王町━

 

 

 

 時刻は夜の22時。

 

 

 外は大雨が降っており、時間帯的にも人は殆ど出歩いていない。

 住宅街から少し離れたら場所には、何年も前に廃墟となった工場がある。

 

 

 そんな人っ子一人いない廃工場の一際大きい倉庫からナニカが出てきた。

 下半身は太く大きな四本脚、上半身は人間の男性のような体だが、顔は酷く醜い不気味な容姿をしている。

 一言で表すなら『化け物』である。

 

 

 何故、化け物が倉庫から出てきのか。

 それは、化け物が人の気配を察知したからである。

 こんな時間帯に、それも真夜中の廃工場に人が来るなど普通はあり得ないが、化け物はそんなことを考えず、人がいるのなら食えば腹拵えにはなるだろうと思い外に出てきたのだ。

 

 

 外に出て辺りを見渡す化け物。そしてある方向を見るのと同時に動かしていた首を止めた。

 

 

 化け物の視線の先には、ソレが居た。

 

 

 雨に打たれながら佇んでいるソレは、全身を紫のラインが走った黒いアンダースーツを身に纏い、胸部を保護するゲージが描かれたプロテクター、ギザギザの髪型をした黒い頭と赤い目、下腹部にはピンク色のレバーが付いた黄緑のベルトが巻かれ、ベルトには紫のゲームカセットのようなモノがセットされている。

 

 

 そしてソレは、色こそ違うがベルトにセットされたのと同種のゲームカセットを右手に持って起動させる。

 

 

 《SHAKARIKI SPORTS!》

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼

 

 

━駒王学園━

 

 

 

 

「今日もいい天気だ」

 

 

 俺は学園の敷地内にある芝生の上で仰向けになって空を見つめる。

 雲一つも無く、澄みきった青空がどこまでも広がっている。

 さらに、春特有のポカポカした陽気に心地よいそよ風が吹き抜ける。

 

 

 まさに、昼寝するのに最高のコンディションだ。素晴らしい!

 

 

 今は放課後で、グラウンドでは運動部の生徒達が元気に部活動をしており、校舎側からは吹奏楽部の演奏が聴こえてくる。

 

 

 俺は特に部活や委員会に所属してはいない。面倒くさいのと面白そうな部活や委員会が無かったてのもある。

 

 

 一応自己紹介をしておく。俺の名前は兵藤一誠。少し訳ありの町で、少し訳ありの高校生で、訳あり以外は普通の日常を送っている。

 家族構成は現在俺一人。両親は俺が中学生の頃に交通事故に合い、帰らぬ人となった。

 今はアパートで一人暮らしをしているが、寂しくはない。アパートの住人さん達は皆優しく、面白い人達ばっかりだから。

 

 

 ふと、近くから女子達の声が聞こえてきた。俺は「なんだ?」と思いながら体を起こして発生源の方を見る。

 

 

「見て!リアスお姉様よ!」

 

「朱乃お姉様もよ!」

 

「隣には木場くんも居るわ!」

 

「きぁああ~!木場くんコッチ向いて!」

 

「小猫ちゃん、相変わらず可愛い~!」

 

 

 そこには、女子生徒達の群れがあった。彼女達の視線の先には『学園の二大お姉様』と呼ばれるアイドル的存在、血のような赤い長髪のリアス・グレモリーと黒髪ポニーテールの姫島朱乃の二人が妖麗な魅力を醸し出し、脇には学園一のイケメンと呼ばれている木場祐斗、小柄な身体つきで普段から表情を崩さないポーカーフェイスで学園のマスコットである塔城小猫の四人が歩いていた。

 

 

 彼女達は学園の生徒からとても人気で、これまでに何十人の男女から告白されている。

 結果は言わなくても分かると思うが。

 

 

 この光景は学園では珍しくない。入学したら必ず一度は目にする光景だ。俺からしたらもう見飽きたけどね。

 

 

 正直な話、好きに慣れないんだよね。特にリアス・グレモリー。初めて彼女を見たとき、俺の直感が反応したんだよね。コイツとは仲良くなれないって。

 まぁ、仲良くしたいと思わないからどうでもいいけどさ。

 

 

「……白けたなぁ。帰るか」

 

 

 俺は立ち上がり、横に置いておいた学園指定の鞄を持って帰宅した。

 

 

 

 




如何でしたか?
前半に登場したライダー、分かりますよね?


次回の兵藤一誠のダークライダー戦記!

第2話 はぐれ悪魔と髑髏の戦士

お楽しみに!





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第2話 はぐれ悪魔と髑髏の戦士


第2話の投稿となります。
初戦闘回で、あのライダーが登場します。
それではどうぞ!


 

 

 

 

 

 時刻は夜の20時。

 

 

 学校から帰宅し、夕飯を食べ終えた俺は学校で親友から借りたラノベを読んでいる。

 そうして、俺が読書に耽っていると窓の方からコンコンと音がした。首を窓の方に向けると、窓の外に赤と銀で塗装された機械の鳥が飛んでいた。

 

 

「……そうか。はぐれ悪魔が出たか」

 

 

 機械の鳥『タカカンドロイド』を確認した俺は直ぐに行動を開始する。上着を着て部屋から外に出て、周りに人が居ないことを確認する。懐からサクラの形をした『ロックシード』と呼ばれる錠前を取り出す。

 

 

 そして、ロックシードの側面にあるボタンを押して、軽く空中に投げる。すると、ロックシードは空中で静止し、巨大化してバイクへと変形した。変形を終えたバイクはガシャン!と音を立てて地面に着地する。

 

 

 白を主体に軽く桃色が混じったバイク『サクラハリケーン』に跨がりヘルメットを被る。

 

 

「それじゃあ、タカちゃん!案内頼むね!」

 

 

 俺の言葉を理解したタカカンドロイドははぐれ悪魔がいる方向へと飛んでいく。俺はサクラハリケーンを走らせてその後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……またここか」

 

 

 タカカンドロイドを追って着いた場所は住宅街から離れた廃工場。

 前にもここにはぐれ悪魔が住み着いていたことがある。連中、廃工場やら森の中やらと人気の少ない場所に住み着くことが多いんだよな。

 

 

「さっさと終わらすか」

 

 

 サクラハリケーンを再びロックシードの状態に戻し、ポケットに入れる。

 そして、懐から黄色の小太刀が付いた黒いバックル『戦極ドライバー』を下腹部に押し当てる。瞬間、バックルから骨型のベルトが飛び出し、自動的に固定されるとフォールディングバンドと呼ばれる銀色のベルトに変化する。

 

 

 右手には肋骨のような意匠が入ったロックシードを握りながら、俺は工場の中へと歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

「んあ? 何故人間がここに居る?」

 

 

 しばらく歩くと、一体のはぐれ悪魔と遭遇した。頭から角が生えていて蜘蛛のような足ををしている。

 

 

「まぁ、イイか。この町に来る前に何人か食ったがまだ腹が減っててなぁ」

 

「あっそう。じゃあ、遠慮はいらないな」

 

 

 《フィフティーン!》

 

 

 俺は右手を前に突き出し、ロックシードを解錠する。

 すると、俺の頭上に円形で骨型のクラックが出現し、そこから巨大な髑髏が降りてくる。

 ロックシードから手を離すと浮遊してバックルの中央の窪みに自動的にセットされた。

 

 

「変身!」

 

 

 《ロックオン! Gyiii-yiii-yiii!》

 

 

 右手の手刀でロックシードのハンガーを閉じ、カッティングブレードを下ろす。

 頭上の髑髏が俺に被さり骨が全身を包み込むと、闇のオーラが全身を覆う。闇が晴れると俺の姿は変化していた。

 

 

 骨格のような黒い体に頭部は白い鬣と『十五』の漢数字を象った角が飾り付いている。

 

 

 十五のライダーの力を秘めた戦士【仮面ライダーフィフティーン】へと変身した。

 

 

「なんだソレは!? まさか、神器か!?」

 

「生憎、これは神器じゃないよ。詳しく教えないけどな!」

 

 

 驚愕しているはぐれ悪魔に向かって俺は走り出す。

 

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

「食らえ!」

 

 

 はぐれ悪魔は鋭い鉤爪である右手を振るうがフィフティーンは左腕で防ぐ。はぐれ悪魔はもう片方の手で攻撃するが、フィフティーンは右手から出現させたアームズウェポン『黄泉丸』で迫り来る相手の腕を斬り落とした。

 

 

「ぐぁああああああ!? よくも俺の腕を!」

 

 

 激痛で顔を歪めさせながらも鋭い目付きでフィフティーンを睨む。

 はぐれ悪魔は残った右腕を使い攻撃する。

 だが、どの攻撃もフィフティーンに防がれてしまう。上段からの攻撃を黄泉丸で防ぎ、横から振るった攻撃も軽く交わされ、正面からの攻撃は黄泉丸でいなされる。

 

 

「クソッ! いい加減に当たれ!」

 

 

 ダメージを与えられないことに段々とイライラしてきたはぐれ悪魔の攻撃はどんどん大振りになっていく。

 フィフティーンはその攻撃を掻い潜り足下に接近し黄泉丸を横に一閃。足を斬られたはぐれ悪魔はバランスを保てなくなり、その場に崩れてしまう。

 

 

「まっ、待ってくれ! 分かった! この町から直ぐに出て行くから! い、命だけは!」

 

 

 なんと、はぐれ悪魔は自分が絶体絶命のピンチに陥った瞬間、命乞いをし始めた。

 

 

「命だけは……か。お前が食ってきた人達も言ってたんじゃないか?それで、命乞いをした人達をお前はどうしたんだ?」

 

「ヒッ!? や、ヤダァ!?」

 

 

 フィフティーンは禍々しいオーラを黄泉丸に纏わせ、黄泉丸を両手で持ち直して上段に構える。そして、

 

 

「ヤダァアアアアアアアアアア!?」

 

「消えろよ、害悪」

 

 

 一気に降り下ろした。

 はぐれ悪魔は頭から真っ二つに斬られ、血の池を作りながら絶命する。

 

 

 はぐれ悪魔が死亡したと同時に廃工場の割れた窓ガラスからナニカが飛び出した。それは複数で、黒い龍、銀色のサイ、紫の大蛇に赤いエイ。『ミラーモンスター』と呼ばれるそれらは、はぐれ悪魔の死体を囲むようにしてフィフティーンに顔を向ける。

 その姿は、まるで主人からの命令を待っているかのように見える。

 

 

「あぁ、良いよ。皆で仲良く食べな」

 

 

 フィフティーンがそう告げるとミラーモンスター達は口に死体を加えて窓ガラスの中に戻っていった。

 その場に残ったのはフィフティーンとはぐれ悪魔の流した血の池だけである。

 

 

「……さて、そろそろ戻りますか。ん?」

 

 

 撤収しようとしていたフィフティーンは気付く。自分から少し離れた場所の地面に赤く輝く魔法陣が出現したことに。

 輝きが更に強くなると魔法陣から一人の人物が姿を現した。

 

 

 腰まで届く紅の髪に服越しからでも分かる抜群のスタイル。

 その人物は、フィフティーンこと兵藤一誠が通う学校の有名人な女子生徒、リアス・グレモリーである。

 

 

「アナタかしら、私の領地で好き勝手に動いているのは?」

 

 

 これが、『ダークライダー』と『悪魔』の邂逅である。

 

 

 

 




……戦闘シーンて、難しいですね。もっと頑張ります。

フィフティーンは個人的に好きなダークライダーなんですよね。私の友人は頭の十五がダサいと言う。まぁ、価値観は人によって違いますが、私は格好いいと思うんだけどなぁ。


次回もお楽しみに!


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第3話 悪魔との邂逅、そして戦闘


はい、ガッツリ戦闘回です。フィフティーンの力を発揮します。
やはり戦闘描写は難しいですね。
では、第3話をどうぞ!


 

 

 

 

 

「貴方よね? 数年前からこの町に侵入したはぐれ悪魔を勝手に討伐しているのは」

 

 

 はぐれ悪魔を倒し終えたので帰ろうと思ったら、何か魔法陣が出現してそこからあのリアス・グレモリー先輩が出て来た。

 

 

 そう言えば、駒王町って一応悪魔の管轄してる場所だったな。すっかり忘れてたよ。今まではぐれ悪魔を狩る時にグレモリー先輩と遭遇したことが一度も無いから。

 

 

「貴方……一体何者なのかしら?」

 

「……フィフティーン。それが俺の名だ。じゃあな」

 

「まっ、待ちなさい!」

 

 

 名前だけ名乗って去ろうとしたらグレモリー先輩が俺の足下に魔力弾を放ってきた。危ないなぁ~。

 

 

「悪いけれど、貴方をこのまま帰すわけにはいかないの」

 

「……理由は?」

 

「私はこの町の管理者として、はぐれ悪魔を圧倒する実力を持つ貴方を野放しにはしておけないからよ。皆、出て来て頂戴」

 

 

 すると、再び魔法陣が赤く輝き出すと三人の人物が出て来た。その三人も俺は知っている。学校でグレモリー先輩が引き連れているメンバー。

 グレモリー先輩同様にスタイル抜群で黒髪ポニーテールの姫島朱乃先輩、金髪で腰に剣を携えた木場祐斗、銀髪で両手に黒いフィンガーグローブを装着している塔城小猫の三人だ。

 

 

「貴方が大人しく着いて来れば、私達も手荒な真似はしないわ」

 

「成る程。そちらの事情は把握した」

 

「それじゃあ「だが断る」なんですって?」

 

 

 グレモリー先輩の事情は把握した。つまり、はぐれ悪魔を圧倒すら力を持つ俺を自分の管理下に置きたい訳だ。自分達にその力が向かないように。

 悪くない考えだが、従う必要がないな。

 

 

「事情は把握したが、それに従う必要性がない」

 

「……そう。仕方無いわね。あまりスマートじゃないけれど、実力行使よ。祐斗!」

 

 

 無理矢理にでも俺を管理下に置きたいらしい。

 グレモリー先輩の命令で木場祐斗が腰の剣を引き抜き凄い速さで俺に肉薄し、剣を振る。

 確かに速い、常人なら捉えられないだろう。だが、

 

 

「なっ!?」

 

「俺からしたら遅いな」

 

 

 横から振るわれた剣を左腕で防ぎ、空いている右手に禍々しいオーラを纏わせ、木場のがら空きのボディに一撃を打ち込む。

 

 

「かはっ!?」

 

「祐斗!?」

 

 

 俺の一撃を喰らった木場は工場の壁まで吹き飛び、壁にめり込む。

 瞬間、背後から気配がした。瞬時に振り向くと搭城が拳を振り抜く構えに入っていた。どうやら、俺が木場の相手をしている間に後ろに回り込んだようだ。

 

 

 そして、搭城から放たれた拳が目前に迫るが右手で受け止める。

 

 

「防げないと思ったか?」

 

「どんな反射神経してるんですか」

 

 

 俺は搭城の拳を掴んだまま右腕を上げ、そのまま一気に腕を降り下ろして搭城を地面に叩き付ける。地面に叩き付けた後、グレモリー先輩の方に放り投げる。

 

 

「小猫!」

 

 

 グレモリー先輩は搭城を上手く抱き止めたが当人は気を失ったようだ。

 すると、上からの攻撃を察知した俺は後ろに飛ぶ。さっきまでの場所に雷が落ち、地面を黒焦げにした。

 

 

「あらあら、外してしまいましたわ」

 

 

 悪魔の羽を展開し上空に上がった姫島先輩が攻撃したらしい。その証拠に、彼女の両手は雷を纏っていてバチバチ!と音を立てている。

 しかも、恍惚とした表情を俺に向けながら。

 ヤバイ、あれはドSの女性がする表情だ。

 

 

「今度は外しませんわ。覚悟して下さいね」

 

「雷か。なら、魔法をお見せしよう」

 

 《ウィザード!》

 

 

 俺は懐から十五人の平成ライダーが描かれたロックシード『平成ライダーロックシード』を取り出し解錠する。

 音声が鳴ると、俺の頭上にクラックが出現し、そこからウィザードの顔が降りてくる。

 その光景にグレモリー先輩達は、

 

 

「な、なに?」

 

「顔……ですわね」

 

 

 口を開けてポカーンとしている。

 その隙に戦極ドライバーにセットされているロックシードを取り外し、平成ライダーロックシードをセットする。

 

 

 《ロックオン! Gyiii-yiii-yiii!》

 

 《ウィザードアームズ! シャバドゥビ! ショータイム!》

 

 

 カッティングブレードでセットしたロックシードを切る。ウィザードの顔が頭に被さり、アームズが展開するのと同時に右側に紫の魔法陣が出現し、体を通り抜ける。

 ウィザードの魔法の力を秘めたウィザードアームズにアームズチェンジする。

 

 

「雷よ!」

 

 

 《ディフェンド! プリーズ!》

 

 

 姫島先輩が再び雷を放つが俺が右手を前に翳すと魔法陣が出現し、攻撃を防ぐ。

 

 

 《ハリケーン! プリーズ! フゥ! フゥ! フゥフゥフゥ!》

 

 《サンダー! プリーズ!》

 

 

 再び横に紫の魔法陣が出現し、俺の体を通過する。すると、先程まで赤かったアームズが緑色に変化していた。

 フレイムスタイルからハリケーンスタイルにチェンジし、雷の魔法を放つ。俺の魔法陣から雷が姫島先輩目掛けて放たれた。

 姫島先輩も自身の雷で迎え撃つが俺の使ったサンダーの魔法の方が威力が高く、一瞬で押し返されてしまった。

 

 

「キャアアアアアアアアアッ!?」

 

 

 サンダーの魔法を受けた姫島先輩は気を失い地に落下していく。

 

 

「朱乃!? くっ! 私の眷属をこうも簡単に倒すなんて!」

 

 

 グレモリー先輩が鋭い目付きで俺を睨んでくる。俺、正当防衛だよな?一応。

 

 

「まだやるのか?」

 

 《フレイム! プリーズ! ヒー! ヒー! ヒーヒーヒー!》

 

 《コネクト! プリーズ!》

 

 

 ハリケーンスタイルからフレイムスタイルにチェンジして、コネクトの魔法で銃と剣が一体化した武器『ウィザーソードガン』を銃形態で取り出し右手に持つ。

 

 

「よくも私の可愛い眷属達を! 喰らいなさい!」

 

 

 グレモリー先輩は禍々しい魔力を右手に溜め、それを俺に向かって勢いよく放つ。

 

 

「いくら貴方でも、その攻撃を喰らったらタダではすまないわ!」

 

「そうか。なら、打ち消せばいい」

 

 《ウィザードスカッシュ!》

 

 

 カッティングブレードを一回降ろし、ウィザーソードガンの銃口に炎を集約させる。迫り来る禍々しい魔力の塊に向けて引き金を引くと、圧縮した炎の弾丸が銃口から放たれたてグレモリー先輩の魔力とぶつかり合い、先輩の魔力を打ち消した。

 

 

「そ、そんな!?」

 

 

 驚愕に染まるグレモリー先輩。俺が打ち消すとは思わなかったのだろう。

 今のでグレモリー先輩の戦闘意欲が完全に削がれた。撤収するなら今だな。

 

 

 《バインド! プリーズ!》

 

 

 四方向から魔法陣が発生、そこから鎖が放たれてグレモリー先輩を捕縛する。

 

 

「くっ! は、放しなさい!」

 

「安心しろ。10分もすれば鎖は消滅する。今度こそ帰らせて貰う」

 

 

 《テレポート! プリーズ!》

 

 

 俺の真下に魔法陣が発生し俺を包み込み転移させる。

 そして、俺はその場から居なくなった。

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~」

 

 

 近くの森の中に転移した俺は変身を解除して一息付く。

 全く、まさかグレモリー先輩達と戦闘になるとはな。今度からは出来るだけ無視しよう。

 

 

「さて、帰るか。明日も学校だしな」

 

 

 ポケットからロックビークルであるサクラハリケーンを取り出し解錠。バイクに跨がりヘルメットを被って家に向かって走らせる。家に帰ったら風呂に入って寝よう。

 そう心で思いながら静かな道をバイクで駆ける。

 

 

 あっ、数学の課題をやらないと。

 

 

 

 

 




如何でしたか?
次回は戦闘はありません、たぶん。

フィフティーンは強い、コレ大事。


次回もお楽しみに!


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第4話 二人の親友


一誠君の親友が二人登場します。原作で有名なあの二人です。性格は変わっていますが。
戦闘はありません。


 

 

 

 

 翌日、俺はいつも通りの時間に学校へ登校した。

 あの後、風呂から出て直ぐに数学の課題に取り組んだ。課題は思いの外早く終わった。ちゃんと日頃から予習復習をしている成果だろう。

 

 

「頼む一誠!数学の課題を見せて欲しい!」

 

「またかよ松田。お前、前回も課題を忘れてたよな?」

 

 

 俺が教室の席で本を読んでいたら一人の男子生徒が頼み込んできた。

 この坊主頭の男子は松田。俺の数少ない『親友』と呼べる者の一人だ。

 どうやら、松田は数学の課題が出来てないらしい。

 

 

「半分は出来てるんだが、昨日の夜に寝落ちしてしまって」

 

「自業自得じゃねえか」

 

「頼む!今日の数学で俺当てられるんだ!」

 

「……たくっ、次はやってこいよ?」

 

 

 そう言って、俺は鞄から数学の課題を取り出して松田に渡す。松田は表情を一気に明るくしてそれを受け取る。

 

 

「ありがとう一誠!後でなんか奢るよ!」

 

「いいから早く写せ」

 

「おう!」

 

 

 別に松田は成績が悪い訳ではない。この駒王学園に一般入試で合格している時点でそれなりに学力は高いのだ。

 ただ、松田は見た目通り体育会系の人間で持ち前の高い身体能力と運動好きということから、学園の運動部に助っ人として参加していることが多い。

 それ故に、授業中に寝ていることが多々ある。

 

 

 実際に松田の身体能力と運動能力は高い。この前、バスケットボール部の試合に助っ人として参加した時は、奇跡の世代張りの活躍をした。あれはヤバかった。ボールを受け取った瞬間、瞬く間に相手選手を華麗なドリブル捌きで抜き、ダンクシュートを決めていた。

 

 

 運動に関してはアイツの右に出る奴は居ないと思う。その実力をもう少し勉学に向けてくれたら何も言うことはないんだが。

 

 

「松田の奴、また課題を忘れたのか?」

 

「おっ、元浜か。おはよう」

 

「あぁ、おはよう一誠」

 

 

 俺の所にまた一人の男子が近付いてきた。眼鏡を掛けた知的そうな雰囲気を醸し出しているこの男は元浜。松田と同じ『親友』と呼べる者の一人だ。

 

 

「全く、部活の助っ人もいいが、勉学を疎かにしては駄目だろうに」

 

「松田もそれは分かっていると思うけどな。眠気に勝てないだけで」

 

「その時点でアウトだ。眠気程度、助っ人で発揮している根性とかで打ち勝てばいいだけだ」

 

「俺じゃなくて、アイツに直接言ってやれ。その方が為になるぞ」

 

 

 元浜は俺達三人中では一番学力が高い。中学の頃も常にテストで学年トップをキープしていたからな。高校に入学してからも学年トップだ。

 えっ?俺はどうだったかって?十位以内には入ってたよ。よく三人でテスト順位を競い合ったりしたな。元浜が全勝だったけどね。

 

 

 

 その後、授業が始まった。数学の授業で松田が当てられたがちゃんと答えていた。俺の課題が役に立ったようだ。

 授業は進み、午前の授業が終了し、俺達は屋上で昼飯を食っている。

 

 

「そう言えば、二人はあの話を知っているか?」

 

「あの話?」

 

「どんな話だよ?」

 

「隣のクラスの赤羽健次(あかばけんじ)が他校の女子生徒と付き合い始めた話だ」

 

 

 昼飯を食べている時、元浜はそんな話をしてきた。

 赤羽健次、隣のクラスに所属している男子生徒だ。容姿端麗、勉強も運動も出来ることで女子生徒から人気がある。

 

 

 まぁ、人気があると言っても赤羽の容姿に関してのみだが。

 本人が知ってるかどうかは分からないが、女子生徒は赤羽健次のことをあまり好きではない。なんでも、体を舐め回すように見てくることもあったり、どこか見下したような視線を向けてくるとか色々。

 

 

 さっき、勉強も運動も出来ると言ったが元浜と松田には劣る。

 顔は確かに格好いいと思う。だがそれも、中身が駄目な性で台無しだ。

 

 

 男子も女子も表面上は仲良くしてるらしい。

 後、何故か俺と目が合うと敵意の眼差しで見てくるんだよな。アイツと関わったことはないんだけど。

 

 

「あっ、その話聞いたぜ。部活の助っ人で参加して時に他のクラスの男子が話してた」

 

「ふーん、あの赤羽がねぇ」

 

「ちなみに、コレがその他校の女子生徒だ。」

 

 

 元浜は懐から数枚の写真を俺達に渡す。写真には赤羽と女子生徒が仲良く登校しているのが写っている。

 女子生徒は、腰まである黒髪に制服越しからでも分かる程のスタイルの良さ。

 成る程、美少女だな。

 

 

「お前、こんな写真を何処から入手したんだ?」

 

「ふっ、それは秘密だ」

 

「余計に怖いわ」

 

 

 元浜が眼鏡をクイッと上げてニヤリと笑う。元浜、気持ち悪いからその笑い方止めて。

 

 

 その後も三人でワイワイ盛り上がっていると昼休みが終了した。

 午後の授業、昼飯を食べて腹が満たされたのか松田が爆睡してた。

 

 

 松田、そうやって寝てるから授業中に当てられるんだぞ?

 

 

 





今回は短かったので、次話は早めに投稿します。


次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第5話 堕天使VS暗黒龍を従えし者

次回もお楽しみに!


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第5話 堕天使VS暗黒龍を従えし者


やっと完成した!終盤はちょっとグダったような気もするが……。
はい!今回は皆さん大好き仮面ライダーリュウガの登場です!格好いいですよね、リュウガって。

それでは、どうぞ!


 

 

 

 

 

 

 日曜日、俺は気分転換を兼ねてバイクでドライブを楽しんでいた。

 軽く遠出して、ある町にやって来た。中心部はビルが立ち並び周辺を海や山に囲まれ自然も多く残っている『海鳴市』と呼ばれる場所だ。

 

 

 目的は、海鳴市商店街にある『翠屋』という喫茶店兼洋菓子店である。その店の料理は絶品なんだよね。特に翠屋のパティシエである高町桃子さんが作るシュークリームが本当に最高なんだ!あんなにも美味しいシュークリームは食べたことがない。遠出してまで買いに来る価値は断然ある。

 

 

 翠屋で昼食を済ませ、シュークリームを受け取った後は海鳴市を観光して回った。楽しい休日を過ごして俺は大満足だ。

 

 

 駒王に帰って来た頃には空が綺麗な茜色に染まっていた。

 このまま家に直行しようと公園の前を通り過ぎようと思った時、急ブレーキで愛車である『マシンディケイダー』を停める。

 

 

 停めた理由は、見知った一組の男女が公園のベンチに座っていたからだ。

 この前、屋上で親友達と話題にしていた赤羽健次とその交際相手。別にそこは問題じゃない。二人が一緒に居るのは、恐らく休日を利用してデートでもしていたんだろう。

 本来ならそのまま通り過ぎる予定だったが、流石にその交際相手である少女が突如、背中から黒い翼を生やしたのだ。これには流石の俺も止まる。

 

 

 何より、あの黒い翼は『堕天使』と呼ばれる種族の翼で彼女が人間ではない証拠であり、これから彼女が仕出かすことを察したからである。

 

 

 俺はヘルメットを外してディケイダーから降り、上着のポケットから黒い龍の顔を模した紋章が刻まれたダークグレーのケース『カードデッキ』を左手で取り出し、ディケイダーのサイドミラーにデッキを翳す。

 すると、俺の腰に『Vバックル』と呼ばれるベルトが装着される。

 

 

 俺は問題の二人の方へ走りながらカードデッキをスライドする形でベルトに装填する。

 

 

「変身!」

 

 

 デッキを装填すると、複数の虚像が現れて俺に重なり、姿を変える。

 全身が黒いアンダースーツと鎧を纏い、龍を模した仮面にツリ上がった赤い複眼。

 

 

 暗黒龍を従える黒龍の戦士【仮面ライダーリュウガ】へと変身した。

 

 

 俺の視線の先には、女堕天使が右手に光の槍を出現させ、それを赤羽に刺そうとしている。

 俺は更にスピードを上げ、二人の間に入り込む。

 

 

「えっ?」

 

「なっ!?」

 

 

 急に現れた俺に二人は驚きの声を上げた。

 俺は堕天使の腹に力を込めた蹴りを入れる。蹴られた堕天使は地面を転がりながら吹き飛んで行った。

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

「な、なんで……この世界に仮面ライダーが……」

 

 

 無事かどうかを聞いたら、赤羽はそう呟いた。

 コイツ今、『仮面ライダー』って言ったか?なんで知ってるんだ?

 

 

「お前、何故その名を……の前に、先ずはアッチを片付けないとな。お前は早くここから逃げろ」

 

 

 赤羽が何故仮面ライダーの名前を知っているのかが気になるが、先に堕天使をどうにかしないとな。

 

 

「さて、始めるか」

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 リュウガは吹き飛ばした堕天使の元へ近付く。堕天使はリュウガに蹴られた腹を左手で押さえながら立ち上がり、リュウガと相対する。

 

 

「貴様! 一体何者だ!」

 

「こういう時、先ずは自分から名乗るべきなんじゃないか?」

 

「黙りなさい! 貴様は気配からして人間ね? 人間如きに名乗る必要はないわ!」

 

「あっそう」

 

 

 堕天使は自分の名を人間であるリュウガに語る気は無いようだ。それに対しリュウガは心底興味が無いのか、気の抜けた声を出す。

 

 

 リュウガは堕天使に一瞬で肉薄し、右の拳を腹に打ち込む。打ち込むと堕天使の体がくの字に曲がるが、リュウガは左手で堕天使の頭を掴んで、自分の右膝を勢いよく堕天使の顔面にぶつける。

 

 

 堕天使は顔面から血を流すが、リュウガは気にしないで堕天使の下顎に右手でアッパーを繰り出す。

 アッパーが直撃して上空に上がり、落下してくる所をタイミングを合わせて左足で蹴り飛ばす。

 

 

 蹴り飛ばした方向には噴水があり、堕天使は激突する。激突したことで噴水は崩れてしまった。

 

 

「貴様ァアアアアアア!! 至高の堕天使であるこの私の顔に傷を付けたな!」

 

「良かったな。噴水に突っ込んだお陰で顔の血が取れてるぞ?手間が省けたな」

 

 

 堕天使は噴水の水によってずぶ濡れになり叫びながらリュウガを睨み付ける。

 対してリュウガは、軽いノリでジョークを言い放つ。それが余計に堕天使の怒りを焚き付ける。

 

 

「レイナーレ様!」

 

 

 そこに新手の堕天使三人が空から降りてくる。三人の堕天使はレイナーレを守るようにリュウガの前に立ち塞がる。

 

 

「ドーナシーク! カラワーナ! ミッテルト! 気を付けなさい! ソイツ、神器持ちでは無いけれど強いわ!」

 

「レイナーレ様にこれ程のダメージを与えるとは!」

 

「調子に乗らないで欲しいっすね!」

 

「行くぞ!」

 

 

 カラワーナ、ミッテルト、ドーナシークの三人がそれぞれ光の槍を出現させ、戦闘体制に入る。

 それを確認したリュウガは、左腕の龍の上顎を模した『召喚機ブラックドラグバイザー』のカバーを開けて、デッキからカードを一枚引き抜きバイザーに挿入しカバーを閉じる。

 

 

 《SWORD VENT!》

 

 

 ブラックドラグバイザーからくぐもった音声が発せられると共に黒い青竜刀『ドラグセイバー』が右手に握られる。

 

 

 三人が光の槍を投擲するが、リュウガは焦ること無く冷静に対処する。

 先に飛来したドーナシークの槍を左手で掴み取り、残りの槍をドラグセイバーで叩き落とす。叩き落とされた槍は真ん中からへし折れて霧散する。

 

 

「これ、返すぞ」

 

 

 左手で掴んだ槍を投げた張本人であるドーナシークに向かって投擲する。目に見えぬ速さで投擲された槍にドーナシークは反応することが出来ず、腹に突き刺さる。

 

 

「ぐぁっ!?」

 

「ドーナシーク!?」

 

「余所見はいけないな」

 

 

 カラワーナの視線がドーナシークに向いている隙にリュウガはカラワーナに接近し、ドラグセイバーを上段から振るう。その攻撃に対処できなかったカラワーナは左肩から斜め下にバッサリと斬られてしまう。

 リュウガはそのままドラグセイバーを横に振るってカラワーナの首を斬り飛ばした。

 

 

 首は地面に転がり、首があった場所からは噴水の如く血を噴き出しながら体は地面へと崩れ落ちた。

 

 

「カラワーナ!?」

 

「レイナーレ様! これは一時撤退をした方がいいっすよ!? アイツ化け物っす!」

 

「レイナーレ様! ミッテルトと共にお逃げ下さい! ここは私が食い止めます!」

 

 

 腹から血を流しながらドーナシークがレイナーレとミッテルトの前に立つ。

 レイナーレは悔しい表情をしながら翼を広げミッテルトと共に空に上がる。

 だが、

 

 

 《ADVENT!》

 

 

 リュウガのバイザーから音声が鳴ると、噴水から溢れだした水で出来た水溜まりから黒いメタリックボディの龍が現れる。

 リュウガの契約モンスター『暗黒龍ドラグブラッカー』である。

 

 

「ド、ドラゴン!?」

 

「何でドラゴンが出てくるんすか!?」

 

「奴が操っているのか!?」

 

「上空の二人を落とせ、ドラグブラッカー!」

 

 

 ドラグブラッカーはリュウガの命令を聞き、空に上がっていたレイナーレとミッテルトをその長い尻尾で地面に叩き落とす。

 更に三人の堕天使に向けて口から黒炎弾を吐いた。

 

 

「っ!? レイナーレ様!」

 

 

 ドーナシークは咄嗟にレイナーレを突飛ばした。そのお陰でレイナーレは黒炎弾を受けずに済んだが、ミッテルトとドーナシークは……。

 

 

「な、なんすかコレ!?」

 

「体が石に!?」

 

 

 黒炎弾を直撃した二人は、足から上に向けて徐々に石化していく。

 そう、ドラグブラッカーの吐く黒炎には石化する能力が含まれている。

 

 

「終わらすか」

 

 《FINAL VENT!》

 

 

 ドラグセイバーを捨て、デッキからカード一枚引き抜く。引き抜いたカードには、カードデッキに刻まれた同じ紋章が描かれている。

 バイザーにカードを読み込ませると、リュウガの体が宙に浮き、それに合わせてドラグブラッカーがリュウガを中心にとぐろを巻く。

 

 

 そして、リュウガがキック体制に入るとドラグブラッカーが黒炎を吐き、その黒炎を左足に纏ったキック技『ドラゴンライダーキック』が石化した堕天使二人に炸裂し、悲鳴を上げることもなく爆散した。

 

 

「ん?」

 

 

 着地したリュウガはレイナーレが居ないことに気が付く。どうやら、リュウガがファイナルベントを発動している隙に逃げ出したようだ。

 

 

「逃げたか。俺の詰めが甘かったな。」

 

 

 リュウガは懐から赤・青・紫の缶を五個ずつ取り出し、缶のプルトップスターターを引く。

 

 

 《タカ!》

 

 《タコ!》

 

 《プテラ!》

 

 

 すると、缶形態からそれぞれメカモードに変形する。

 

 

「堕天使を探して欲しい。捜索範囲は駒王町全域、特に廃墟となった建物や人が寄り付かない場所を重点的に頼む」

 

 

 カンドロイド達はリュウガの言葉を理解し、空に上がり散らばって行く。

 

 

 戦闘を終えたリュウガは、ドラグブラッカーにカラワーナの死体を喰わせて後、公園の出口へと歩く。

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 変身を解かずに公園の出口に向かうと赤羽健次とリアス・グレモリー先輩が居た。

 つーか、赤羽。お前まだ居たの?逃げろって言ったじゃん。

 それと、グレモリー先輩とまた会っちまったよ。

 

 

「貴方、もしかしてフィフティーンの仲間かしら?」

 

「YesかNoなら、Yesだ。リュウガ、それが俺の名だ。お前がフィフティーンの言っていたリアス・グレモリーだな?」

 

 

 ラッキー!グレモリー先輩が勝手にフィフティーンの仲間扱いしてくれた!取り合えず話に合わせとこ。

 おっと、赤羽について話さないと。

 

 

「リアス・グレモリー、そこの少年のことだが……」

 

「大丈夫よ。貴方が戦ってる間に事情は聞いたし、彼が堕天使に襲われた理由もハッキリしたわ」

 

「では、やはりその少年は……」

 

「えぇ、神器持ちよ」

 

 

 やっぱりか。堕天使の本当に一部だが、人間にしか宿らない神器を持った者を殺す堕天使が存在する。

 今回の様に手の込んだやり方をする堕天使も居れば、回りくどい事をしないで殺す奴もいる。

 

 

「それで、その少年はどうする気だ?」

 

「後日、私の方から今回のことを詳しく話すわ。神器の事と裏の世界の話を」

 

「そうか。念の為に言っておくが、無理矢理眷属にしようだなんて思うなよ?」

 

「そんなことしないわ! 私は誇り高きグレモリー家の次期当主よ? そんな三流のようなやり方は絶対にしないわ!」

 

 

 だと良いけどね。今回はグレモリー先輩を信用しよう。俺は堕天使の追撃しなくちゃな。

 

 

「彼の事は任せた。俺は逃げた堕天使を追う。詰めが甘かったせいで取り逃がしてしまったからな」

 

 

 堕天使の追撃もそうだが、一刻も早くこの人、じゃなくてこの悪魔から離れたい。絶対にこの前みたいに何か言ってくる。

 

 

「あっ、待ちなさい! この町の管理者は私よ! 私の許可無く勝手に動くのは許さないわ!」

 

「知らん。俺には関係ない」

 

 ホラ言ってきた。知りませんよ。俺は悪魔じゃないでそっちの都合に合わせる意味はない。

 悪魔と堕天使、それに天使の三大勢力は現在拮抗状態になっている。

 故に、堕天使が絡んでいる今回の事件で悪魔であるグレモリー先輩は直ぐには行動を起こせない。

 

 

 直ぐにでもレイナーレを倒さないと、次の犠牲者が出るかもしれない。そうなる前に倒さないと。

 まず、ある人物に連絡しないとな。

 

 

 俺はグレモリー先輩の言葉を無視してディケイダーに乗り、公園から離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、人影の無い場所でバイクを停めて変身を解除した。

 まだ、カンドロイド達からレイナーレを見つけた報告はない。

 俺はポケットからスマホを取り出してある人物に連絡を取る。

 

 

『……はい……もしもし』

 

 

 その声はとても疲弊してそうな弱々しい声だった。恐らく、書類の山と戦っていたのだろうと予測する。

 この声の主から、今回の堕天使レイナーレが起こした件について確認を取らなきゃならない。

 

 

「お久しぶりです、兵藤一誠です。暫く声を聞いてませんでしたが、随分お疲れの様ですね?」

 

『おお、一誠か。やっぱ分かるか? 知ってるか一誠? 書類仕事ってな、片付けても片付けても減る所か増えていくんだぜ?いい加減、綺麗なデスクを見たいんだけどな』

 

 

 どうやら相当疲れてるらしい。まぁ、今まで部下の人に任せっきりだったんだから、自業自得とも言えるが。

 

 

「自業自得ですよ。サボってるからそうなるんですよ?」

 

『痛感したよ。ヴァーリも手伝ってくれてるから何とかなりそうだ。俺一人だったら過労死してるぜ?

 それで? 急にどうしたんだ?』

 

「えぇ、実はそのことで確認したい事があるんです━━━━━━━━━━━━アザゼルさん」

 

 

 

 

 




やっぱり、戦闘シーンは難しいですね。


次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第6話 堕天使とはぐれエクソシスト軍団VS神速を持つ金色の戦士


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第6話 堕天使とはぐれエクソシスト軍団VS神速を持った金色の戦士


なんとか書き上げた!またグダったような気もするけど!
はい、今回はあの金色のライダーが登場します!
では、どうぞ!

9月16日に『デンデンセンサー』の部分を編集しました。


 

 

 

 

 

 

 時刻は19時を過ぎており、空はすっかり暗くなっている。

 

 

 俺は現在、マシンディケイダーから『マシンゼクトロン』という、黒が基本カラーでフロントカウルにはコーカサスオオカブトを模した紋章が刻まれたバイクに乗り換えて移動している。

 

 

 つい先程、カンドロイド達がレイナーレの潜伏先を発見したからだ。プテラカンドロイドが道案内してくれている。カンドロイド達は優秀だなと毎回思う。

 

 

 町をバイクで疾走しながら、俺はアザゼルさんとの会話を思い返す。

 

 

 

 

 ━数十分前━

 

 

 

『それで? 俺に聞きたいことってのは?』

 

「実はさっき、神器持ちの人間を襲おうとした堕天使と遭遇しました」

 

『……なんだと?』

 

 

 俺はアザゼルさんに駒王町で起きた出来事を話す。堕天使の名前・人数・目的、襲われた神器持ちの人間の安否等。

 詳細を話すと、電話越しからアザゼルさんの深い溜め息が聞こえてきた。その溜め息は、アホな行動をした下端堕天使と堕天使達をちゃんと管理出来てなかった自分に対するものだろう。

 

 

『事情は把握した。神器持ちの人間は無事なんだな?』

 

「えぇ、リアス・グレモリーが保護していますよ」

 

『分かった。俺は今からサーゼクスに連絡して事情を話す。俺の管理能力が甘かったてな。

 悪いな一誠、お前に尻拭いをさせることになる』

 

「仕方無いですよ。アザゼルさんは立場的に動けないし。リアス・グレモリーも直ぐには動けない。

 なら、どの勢力にも属していない人間である俺しか居ないでしょ?」

 

『……すまねぇ』

 

 

 本当に仕方無いことだ。直ぐに動けるのが俺しか居ないし、俺の詰めが甘かった性で取り逃がした訳だしな。

 それに、あの堕天使に聞きたいことがある。

 

 

「それじゃあ一度切りますね? また後で連絡します」

 

『分かった。気を付けてな?』

 

 

 そう言って電話を切ってスマホを上着のポケットに入れる。

 そろそろカンドロイド達から報告があってもいい頃なんだが。

 

 

 すると、空から紫と銀色で塗装されたプテラカンドロイドが鳴き声を上げて俺の所にやって来た。潜伏先を見つけたのか?

 

 

「場所が分かったのか?」

 

 

 俺の問にプテラカンドロイドは頷く。流石、本当に優秀だな。

 

 

 

 

 そして今に至る。

 プテラカンドロイドの案内でやって来た場所は……。

 

 

「……教会か」

 

 

 そう、教会である。住宅街から少し離れた周りが木々で覆われた場所だ。

 この教会は、もう何年前から使われなくなり、人も出入りしていない。隠れ家には丁度良いし、基本的に悪魔は教会には近付かないから堕天使は目を着けたんだろう。

 

 

 ヘルメットを外してバイクから降りる。懐からゴーグルのような形をした『デンデンセンサー』と呼ばれるメモリガジェットを取り出す。そのままゴーグルを通して教会の方を見る。

 

 

「なるほど、地下があるのか」

 

 

 このデンデンセンサーには、ゴーグル形態だと、目視不能なものまでも視認することができる。

 教会を覗いたら中に一人、奥の祭壇の下に地下に続く階段があることを確認した。

 恐らく、レイナーレは地下に居るな。

 

 

「今回は、コレで行くか」

 

 

 俺は右手首に黒いブレスレット『ライダーブレス』を嵌め、右腕を胸の前に構える。

 すると、どこからか三本の角を持った金色の昆虫型コア『カブティックゼクター』が飛来し、自らライダーブレスに装着していき、そして……

 

 

「変身!」

 

 《HENSHIN!》

 

 

 掛け声と共にゼクターが自動的に回転、ライダーブレスから瞬時にスーツとアーマーが形成される。

 

 

 《CHANGE BEETLE!》

 

 

 青い複眼に三本の角が生えた仮面、仮面と同じ金色のアーマーと右肩に鋭利なブレードを備え、サインスーツと呼ばれる黒いアンダースーツを身に纏い。腰の銀色のバックル中央には『ZECT』と彫られた文字、左腰には一本角を持った銀色の昆虫型コア『ハイパーゼクター』が装備されている。

 

 

 神速を持った金色の戦士【仮面ライダーコーカサス】へと変身した。

 

 

 変身した俺は、教会の出入り口へ歩いて行く。

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

「あー、やってらんねぇーすわ」

 

 

 教会の中にある椅子にダラけて座っている白髪の神父、フリード・セルゼンは呟く。

 彼は悪魔を狩るエクソシストではあるが、教会から追放されてはぐれエクソシストになり、今回は堕天使レイナーレに金で雇われている身だ。

 

 

「あの堕天使のネェーチャン、ただでさえ人使いが荒い癖に今度は見張りをやれだぁ? マジでファック!」

 

 

 フリードはストレスが溜まっていた。レイナーレに雇われてから買い物してこいだの、掃除をやれだの、今度はもしかしたらアイツ(リュウガ)がやって来るかもしれないから見張りをやってろだのとコキ使ってくるのだ。

 

 

 フリードからしたらアイツって誰だよ?と言いたい所だったが、自分は雇われている身だと自覚しているので仕方無く命令通りにしている。

 

 

「にしても、あのネェーチャン急に帰って来たと思ったら全身ボロボロだったな。マジざまぁ!」

 

 

 フリードは何故レイナーレがボロボロで帰って来たのかは詳しく教えられていない。レイナーレから命令されたのは、教会の中に入って来た者は殺せと言われているだけなのだ。

 

 

「んあ?」

 

 

 ふと、教会の出入り口の扉がゆっくりと開いた。フリードは「誰だ?」と思いながら首を向ける。

 扉から入って来たのは、金色のアーマーを纏い青い複眼をフリードに向けているコーカサスだった。

 

 

 フリードは一瞬ギョッとしたが、直ぐに平常に戻り、椅子から立ち上がってコーカサスと相対する様に移動する。

 

 

「もしかして、オタクが俺の雇い主の言ってた奴ですかい?」

 

「……」

 

「って、黙りかよ。まぁ、俺さま一応雇われている身なんでね?この教会に入って来た奴は殺せって言われてるんですわ。なんで……」

 

 

 フリードは両手を懐に入れて、堕天使の光の力を込められた剣と銃を取り出す。

 

 

「死んで貰いましょうかねぇ!」

 

 

 不気味な表情に変えてコーカサスに向かって肉薄しようとする。

 しかし、

 

 

「あり?」

 

 

 コーカサスが何やら軽い動作をしたと思ったらフリードの視界から消えていた。

 フリードは後ろから気配を感じてゆっくりと振り向く。

 そこには、コーカサスの後ろ姿が見えた。フリードは「いつの間に?」と思考しようと思ったが中断した。

 何故なら、急に体に言葉で表せない程の痛みが走ったからだ。嫌な汗を流しながら自分の体を確認した。

 

 

「なっ……あっ!?」

 

 

 心臓の場所辺りから大穴が空いていた。穴の空いた場所からは血がドバドバと体を伝って床に垂れていく。

 口からは大量に吐血し、膝はガクガクと震えている。

 次第に立っていられなくなり、膝から床に崩れ倒れる。

 

 

「お、オレ……ま…だ……な…に…も……して……」

 

 

 それがフリードの最後の言葉となった。

 

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 堕天使レイナーレは焦っていた。

 神器持ちの人間である赤羽健次を殺し、数日後にこの駒王町に訪れる予定になっているシスター『アーシア・アルジェント』が宿している神器『聖母の微笑』(トワイライト・ヒーリング)を抽出して、我が物にしようという計画を立てていたのに、その計画が潰れる可能性があるからだ。

 

 

 理由としては、赤羽健次を公園で殺害しようとした時に現れた謎の黒龍の騎士(リュウガ)に邪魔をされたからだ。

 レイナーレにとって、リュウガの存在はイレギュラー過ぎた。精々、駒王町を根城にしているリアス・グレモリーに警告されるぐらいだと思っていた。

 

 

 だが、現実は違った。グレモリーからの警告処か急に現れたリュウガに殺され掛けたのだ。現に部下であるドーナシーク、カラワーナ、ミッテルトの三人が殺されている。

 

 

 そして恐らく、奴は今も私を探しているとレイナーレは考えている。

 なんとか公園から脱出して隠れ家である教会に戻ってこれたが、それも時間の問題である。

 

 

「時間を掛けて計画を練ってきたのに、アイツのせいで全てが台無しよ!」

 

 

 レイナーレは教会の地下にある広大な空間で考え込む。なんとかして計画を修正しないといけない。今ならまだ修正は可能だと。

 

 

「誰!」

 

 

 地下の入り口から誰かがやって来る気配を感じたレイナーレは声を上げる。

 現れたのは、フリード・セルゼンを倒したコーカサスの姿だった。

 

 

「……貴方、アイツの仲間かしら?」

 

 

 レイナーレはリュウガと似たような仮面の戦士を視界に入れると、奴の仲間と誤認する。

 だが同時にリュウガじゃなかったことに心の中で少し安心するレイナーレ。

 

 

(アイツじゃないなら私にはまだ勝機がある。あの金色の奴がいくら凄腕だとしても、私を含めた大人数のエクソシスト相手には手こずるハズ!)

 

 

 レイナーレは、待機していた100人のエクソシスト達を使いコーカサスを数で押せば勝機があると確信しているが、それは最早無謀である。

 彼女の視線の先に居るコーカサスは、ある意味リュウガより脅威であることをレイナーレは知らない。

 

 

「一人で此処に乗り込んで来たことを後悔しなさい! 全員、そいつを殺しなさい!!」

 

 

 エクソシスト達は一斉に武器を構え、コーカサスに攻撃を仕掛けようとした、その時……

 

 

  《 HYPER CLOCK UP! 》

 

 

 地下に機械音声が鳴り響いた瞬間、エクソシスト軍団が全滅した。

 

 

「……えっ?」

 

 

 レイナーレは理解出来なかった。100人も居たエクソシスト軍団が全滅した。

 それも、一回の瞬きで視界が一瞬遮った間にだ。

 ある者は首から上がなく、腹に大穴が開いている者や、上半身と下半身が繋がっていない者、首や体が有り得ない方向に曲がっているなど様々だ。

 

 

 《 HYPER CLOCK OVER! 》

 

 

 それは突如、レイナーレの目と鼻の先に現れた。

 

 

「ヒッ!?」

 

 

 目の前に現れたコーカサスに悲鳴を上げるレイナーレ。逃げようと後ろに下がろうとした時、コーカサスに首を捕まれその場に持ち上げられる。

 

 

「ぐっ、あがっ!?」

 

 

 首を絞められもがくレイナーレだが、一向に緩められる気がしない。

 そんなレイナーレにコーカサスは問い掛ける。

 

 

「俺の質問に答えろ。そうすれば解放してやる」

 

「ほ、ホン…ド…に……!?」

 

「あぁ、だから答えろ。お前の本当の目的は何だ?」

 

 

 コーカサスは何か違和感を感じていた。ただ神器持ちの人間を殺すだけなら、あんな回りくどいことをしなくていいはず、更には堕天使の部下を三名も引き連れて駒王町にやって来ている。護衛にしては数が些か多く、殺したら急いで町から出ればいいだけの話だ。

 

 

 なのに、今では使われていない教会を隠れ家にして、大量のはぐれエクソシストを雇っていた。

 

 

「これじゃあ、まるで大きな計画を企てていますと言っているようなものだ。

 それで、実際の所はどうなんだ?」

 

 

 コーカサスは、レイナーレがギリギリ喋れる程に首の絞めるのを緩める。レイナーレは顔を恐怖に染めながら答えた。

 数日後に駒王町にやって来る神器持ちのシスターから神器を抽出する儀式のこと。抽出した神器を自分に取り入れ、堕天使のトップであるアザゼルやシェムハザから寵愛を受けるのだと。

 

 

 それを聞いたコーカサスは「そうか」と呟く。

 

 

(それは無理だな。アザゼルさんって人間好きだし、神器を悪用している人間から抽出するならまだしも、何の罪もない少女から神器を奪って殺したらアザゼルさんマジ切れするぞ)

 

 

 そんなことを心の中で思いながら、もう用済みと判断したコーカサスは動く。

 

 

「ね、ねぇ! 貴方の質問に答えたんだから私を解放して頂戴!」

 

「あぁ、約束は守ろう。解放してやる━━━━━この世からな」

 

「えっ?」

 

 

 コーカサスは左腰に接続されているハイパーゼクターのゼクターホーンに軽く左手を置く。

 

 

「……ライダーキック」

 

 《 MAXIMUM RIDER POWER! 》

 

 

 ゼクターホーンを一度倒す。ハイパーゼクターからチャージアップされたタキオン粒子がカブティックゼクターを経由して右脚部のライダーストンパーへとパワーを送り込む。

 

 

「ハァッ!」

 

 

 掴んでいる手でレイナーレの首をへし折り、宙に投げる。落ちてきた所をタイミングを合わせて、渾身の中段回し蹴り『ライダーキック』を叩き込んだ。

 

 

 タキオン粒子を纏った回し蹴りを直撃したレイナーレの体は爆散し分子崩壊して消滅する。

 

 

 レイナーレの立っていた場所には、青い薔薇が手向けられていた。

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

「アザゼルさん、終わりましたよ」

 

『そうか、済まねぇな。助かったぜ』

 

「いえ、大したことはありませんでした」

 

『それでもだよ』

 

 

 レイナーレとはぐれエクソシスト軍団を倒した俺は、アザゼルに報告している。レイナーレの本当の目的ことをアザゼルさんに話すと、盛大な溜め息を付いた。

 アザゼルさん、書類の山がまた増えますね。

 

 

『後は俺の方でなんとかする。まずは、そのアーシア・アルジェントの保護からだな』

 

「お願いします」

 

 

 そう言って電話を切る。折角の休日がこんなことになるとはな。

 さっさと、帰るとしよう。あっ、はぐれエクソシストの死体は俺が片付けた。と言っても、ミラーモンスターに喰わせただけだどね。満足そうにしてたから当分は餌はいらないな。

 

 

 教会の外に停めてあったマシンゼクトロンに跨がり、エンジンを掛けて自宅に向かう。

 

 

 明日からまた学校だ。取り合えず、帰ったらシュークリームを食べよう。

 

 

 

 




コーカサスはやっぱり強い!
フリードの口調がよく分からない。
そう言えば、コーカサスの本来の変身者である黒崎さんて本名が『黒崎一誠』らしいです。兵藤一誠くんと同じ名前です。凄い偶然ですよね!
お気付きかもしれませんが、アーシアちゃんは名前だけで本人は登場してません!これで第一巻が終わりましたね。早いなぁ~。赤羽くん何もしてないよ。
旧校舎のフェニックス編では、一誠くんは一切関わりません!
ですので、一誠くんの高校生活とヴァーリチームとの絡みでもやろうかと思っています。ちゃんとダークライダーは出ますから安心して下さい!


次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第7話 男子高校生の日常

次回もお楽しみに!


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第7話 男子高校生の日常

書けました!しかも短い!もっと日常編も長く書けるように頑張らないと。
では、どうぞ!


 

 

 堕天使レイナーレとはぐれエクソシスト軍団の処分した日から二日経った。

 俺はいつも通り学校に通い、授業を受け、親友と仲良く昼飯を食べて、午後の授業を受けてと普段通りである。

 

 

 昨日、アザゼルさんから件のアーシア・アルジェントさんを無事保護したという連絡だ。今は冥界の堕天使領である『神の子を見張る者』(グリゴリ)に滞在しているらしい。

 これで今回の件は完全に片が付いた。良かった良かった。アザゼルさんは書類の仕事が増えただろうけどさ。

 うん、書類仕事が片付いたらアザゼルさんの好きな魚釣りに誘おう。

 

 

 そして現在、俺のアパートの部屋で松田と元浜の三人で授業で出された課題をやっている。

 

 

「松田、その問題間違ってるぞ」

 

「え?マジで?」

 

「一誠の言う通りだ。途中式が違うぞ」

 

 

 俺と元浜はスラスラと問題を解いているが、松田は数学の問題でよく手が止まる。

 そう言えば、松田って数学苦手だったな。

 

 

「う~ん、数学って難しいな」

 

「数学なんて基本的に公式覚えればなんとかなるだろ?」

 

「公式を覚えるのが面倒なんだよなぁ~」

 

「頑張って覚えろよ。じゃないと、テストの時ヤバイだろ?」

 

 

 テストで赤点を取ったら勿論補習だ。夏休みの一部が消えることになるだろう。

 松田には赤点を取って欲しくはない。夏休みは遊ぶつもりだからな。

 

 

「少し休憩でもするか?」

 

「賛成!」

 

「松田、休み過ぎるなよ」

 

 

 俺達は休憩に入ることにした。頭を酷使した時は甘いものに限るよな。俺は冷蔵庫から三人分のケーキを取り出してテーブルに置き、二人にどれがいいかを聞く。

 

 

「二人はどれ食べる?」

 

「じゃあ、チョコケーキを貰おうか」

 

「あっ、じゃあ俺はモンブラン」

 

「モンブランは俺が食べるんだよ!」

 

「じゃあ聞くなよ!?」

 

 

 モンブランは俺のだ。絶対に渡さん。元浜はチョコケーキで、松田にはイチゴのショートケーキを渡す。

 

 

「そう言えば、二人は知ってるか?赤羽健次がオカルト研究部に入部したらしい」

 

「赤羽が?アイツってオカルトに興味なんてあったのか?つーか、よく入部できたよな」

 

 

 赤羽の奴、オカルト研究部に入部したのか。それってつまり、赤羽は悪魔に転生したのか?それとも協力者?

 どちらにしろ、赤羽は裏の世界に関わるのか。

 

 

「まっ、俺達には関係ないな」

 

「そうだな。松田は赤羽のことより勉強を気にした方がいいな」

 

「赤羽の話をしたの元浜だろうが!?」

 

「ハハッ」

 

 

 ホント、この二人と居ると楽しくて仕方がない。取り合えず、松田が赤点を取らないようにサポートしますか。

 

 

「さて、勉強再開しようぜ」

 

「ふむ、そうだな」

 

「えー!もう少し休憩しても」

 

「「松田!」」

 

「……はい」

 

 

 なんとか松田の課題を終わらせて、軽い料理を作って三人で食べて松田と元浜は帰っていった。




短くてすみません!
次回は、戦闘シーンありますので!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第8話 戦闘訓練 美猴VS血の鎧武者

次回もお楽しみに!


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ヴァーリチームVSダークライダー
第8話 戦闘訓練 美猴VS血の鎧武者



やっと書けた!遅れて申し訳ない!
さぁ、今回はあのライダーの登場です!タイトルで分かってしまうと思いますが(笑)
では、どうぞ!


 休日の日、俺は冥界の堕天使領にやって来ている。

 理由は、ある人物に呼ばれたからなんだけど。

 

 

「おーい、一誠」

 

「ん?アザゼルさん、ってウオッ!?」

 

 

 後ろから聞き慣れた声が聞こえ、振り返ってみると目の下に隈を作りマジで疲れてますなオーラを出しながら、アザゼルさんが佇んでいた。

 

 

「あ、アザゼルさん。その、大丈夫ですか?」

 

「おう、一応生きてる。ただ、スゲー眠いんだ」

 

「そ、そうですか」

 

 

 俺は苦笑いをしながらアザゼルさんを見る。どれだけ徹夜して仕事を片付けたのだろうか。今にも廊下で寝そうだな。取り合えず、アザゼルさんの自室か仮眠室まで送った方がいいな。

 

 

 俺がアザゼルさんに自室か仮眠室のどちらが良いかを聞こうとした時、女性の声が俺達の耳に入った。

 

 

「あっ、いた!お義父さん!一誠くん!」

 

 

 腰まである綺麗な銀髪に整った顔立ちのした美少女がこちらに走ってきた。

 彼女の名前は、ヴァーリ・ルシファー。俺をここに呼んだ張本人であり、アザゼルさんが自分の娘のように可愛がっていて、今代の『白龍皇』である。

 アザゼルさんから聞いた話だと、路頭に迷っていた幼いヴァーリを保護したんだと。それからアザゼルさんと一緒に暮らしている内に『お義父さん』と呼ばれるようになったらしい。初めて呼ばれた時は鼻血を出したって本人が嬉しそうに言ってた。

 

 

「こんにちは一誠くん。急に呼び出して御免なさい」

 

「気にするな。どうせ暇だったしね」

 

「ありがとう一誠くん。それとお義父さん!何処に向かっているの?お義父さんの部屋は、こっちとは反対方向だよ?」

 

「そうだったか?悪いな、眠すぎて勘違いしてたわ」

 

 

 これは重症だな。勘違いして反対方向来るとか相当だよ。

 その後、俺とヴァーリはアザゼルさんを部屋まで連れていき寝かせる。部屋を出て、俺達は再び歩き出す。

 

 

「そう言えば、今日は何の用で呼んだんだ?」

 

「うん。実はね、私のチームメンバーを紹介しようと思って」

 

「チームメンバー?」

 

 

 あー、そう言えば前にアザゼルさんが言ってた気がするな。ヴァーリチームっていうチームを作ったとかなんとか。一体どんなメンバーなんだろう。

 

 

「へー、どんなメンバーが居るんだ?」

 

「ふふっ、それは着いてからのお楽しみ!あっ、そこを右に曲がって直進したら模擬戦ルームだよ。そこで待って貰ってるから」

 

「分かった……ん?模擬戦ルーム?」

 

 

 なんか、不穏な言葉を聞いた気がする。大丈夫だよね?そんなことにはならないよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、メンバーを紹介するね?」

 

 

 あの後、無事に模擬戦ルームに辿り着いた俺達を待っていたのは四人の人物。

 どうやら、件のメンバーらしく。ヴァーリが端から紹介していく。

 

 

 一人目は、古代中国風の鎧を身に付けた男━━美猴。ヴァーリが言うには、闘戦勝仏の末裔らしい。

 

 

「闘戦勝仏……てことは、孫悟空?」

 

「おっ!よく知ってるなぁ。俺っちは美猴、よろしく頼むぜぃ!」

 

 

 二人目は、妖艶な雰囲気を醸し出して黒い着物を軽く気崩し、頭から猫耳を生やした女性━━黒歌。猫又と呼ばれる妖怪で、ある理由で悪魔に転生し、現在指名手配中のはぐれ悪魔だそうだ。凄い経歴だな。後、仙術っていう特殊な力を持っているらしい。

 

 

「ヴァーリから話を聞いてるにゃ。よろしくねん♪」

 

 

 三人目は、落ち着いた雰囲気を醸し出した眼鏡を掛けた金髪の男性━━アーサー。かの有名なイングランドの王、騎士王アーサー・ペンドラゴンの末裔らしい。聖王剣コールブランドの所有者でもある。

 

 

「貴方のことはヴァーリから聞いています。アーサーと申します。どうか宜しくお願いしますね」

 

 

 四人目は、トンガリ帽子を被り、服の上からローブを纏っている女の子━━ルフェイ。アーサーの妹にして魔法使いなのだそうだ。

 

 

「は、初めまして!魔法使いのルフェイと申します!ヴァーリさんから兵藤さんのお話を伺っています!」

 

 

 以上が、ヴァーリチームのメンバーだ。

 白龍皇、孫悟空の末裔、猫の妖怪、騎士王の末裔に魔法使いの妹。

 何より……強いな、全員。俺も何年も戦ってきたから見れば分かる。

 

 

「それでヴァーリ。メンバー紹介の為だけに俺を呼んだんじゃないんだろう?」

 

「……やっぱり分かる?」

 

「あぁ。模擬戦ルームに来た辺りからそんな予感はしてたよ」

 

「うん。実はね?」

 

 

 ヴァーリが申し訳なさそう顔をして俺に話してくる。

 要約すると、俺が神器ではない力『仮面ライダー』に変身できることをメンバーに話したら、興味が湧いて戦ってみたいということらしい。

 

 

「ということで、俺っち達と戦ってくれないかぃ、兵藤一誠!」

 

 

 まぁ、俺も彼らの実力が気になるし貴重な経験にもなるだろうし、別にいいかな。

 

 

「分かった。戦おうぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 模擬戦ルームはかなり広く作られている。天井も高いし、フィールドも幅が広い。戦闘訓練には打ってつけだろう。

 フィールドの中央に俺と美猴は佇んでいる。制限時間は8分。アナウンスの合図で開始する。

 ちなみに、ヴァーリ達は別の場所からこちらを観戦している。

 

 

「いやぁ、楽しみだぜぃ!」

 

 

 美猴は好戦的な笑みを浮かべながら得物の棍棒を構える。

 俺は懐から戦極ドライバーを取り出して装着する。

  だが、そのドライバーは以前使ったフィフティーンのモノとは違ってバックルの左部分の『ライダーインジケーター』が鎧武者の横顔になっている。

 

 

  『L.S.-07』という番号が書かれた赤いロックシード右手に持って開錠する。

 

 

「変身!」

 

 

 《ブラッドオレンジ!》

 

 《ロック・オン!》

 

 

 俺の頭上にクラックが出現、そこから赤いアームズが降りてくる。

 初めて見る光景に美猴は口を開けてポカーンとしている。その顔を見るのが俺の楽しみの一つになってきているが、俺は悪くない。

 

 

 赤い錠前—ブラッドオレンジロックシードをドライバーに嵌め込み、施錠するとロック調のエレキギターによる待機音声が流れ始める。そしてカッティングブレードでロックシードのキャストパッドを切った。

 

 

 《Gyiii-yiii-yiii!ブラッドオレンジ・アームズ!》

 

 

 低い音声と共にアームズが頭に被さり、同時に紺色のライドウェアが全身を包み込むとアームズが展開され、その姿が露になる。

 

 

 《邪の道!オン・ステージ!》

 

 

 頭部には三日月をイメージした角、血のように赤い色の鎧には植物のツタを想わせる黒い紋様のような模様が入っている。

 右手にはブラッドオレンジの断面をしたアームズウェポン『大橙丸』が握られており、左腰には銃と剣が一体化した片刃の直剣『無双セイバー』が携えられている。

 

 

 天下を目指した赤き武神【仮面ライダー武神鎧武】へと変身した。

 

 

「おー!それが仮面ライダーってやつかぃ!」

 

「あぁ。今の俺は仮面ライダー武神鎧武だ」

 

 

 俺は腰を軽く落として、大橙丸を肩に担ぐ。

 そして、アナウンスから開始の合図が掛かる。

 

 

『戦闘、開始!』

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 武神鎧武と美猴は合図と同時に接近する。棍棒と大橙丸がぶつかり合い火花を散らす。

 そこから、美猴が棍棒を槍のように連続で突く。素早い突きに武神鎧武は焦らず大橙丸で攻撃を捌く。

 

 

「中々やるじゃないかい、兵藤一誠!」

 

「それはどうもっ!」

 

 

 美猴の攻撃を捌いた武神鎧武は攻撃に転じる。大橙丸を上段、横薙ぎと連続で振るう。美猴は棍棒で全て防ぎ、互いに攻防を繰り返す。

 

 

 何度か打ち合い、武神鎧武は足をハラって美猴の体勢を崩そうとするが美猴は後方に軽くジャンプし下がることで回避する。

 そして、棍棒を構え直して叫ぶ。

 

 

「伸びろ、如意棒!」

 

「ッ!」

 

 

 棍棒が勢いよく武神鎧武に向かって伸びるが、武神鎧武は体を横にずらして避ける。

 

 

「その棍棒、やっぱり伸びるんだな」

 

「当然だぜぃ!」

 

「なら!」

 

 

 《Gyiii-yiii-yiii!ブラッドオレンジ・スカッシュ!》

 

 

 戦極ドライバーのカッティングブレードを一回降ろし、大橙丸の刀身にエネルギーを纏わせる。大橙丸を振るうと赤い斬撃が美猴に向かって放たれるが、美猴はそれを棍棒で叩き落とす。

 

 

 武神鎧武は大橙丸を左手に持ち替えて、左腰に携えている無双セイバーを右手で引き抜き、無双セイバーのバレットスライドを一度引いてガンモードに移行させる。残弾を表示するエナジーチェンバーに四つの光が灯る。

 

 

 無双セイバーの引き金を引くとムソウマズルと呼ばれる銃口から弾丸が発射される。発射された弾丸は真っ直ぐ美猴に向かうが避けられる。更に三発連続で発射するが、それらも避けられてしまう。

 

 

「そろそろ決めるぜぃ!」

 

「いいぜ!」

 

 

 武神鎧武は大橙丸の柄の底にあるアームズカップラーに無双セイバーを連結させてナギナタモードにする。

 

 

 《ロックオフ!》

 

 

 ドライバーのブラッドオレンジロックシードを外し、無双セイバーのドライブランチに外したロックシードを嵌める。

 

 

 《ロックオン!》

 

 《一・十・百・千!ブラッドオレンジチャージ!》

 

 

 大橙丸と無双セイバーの刃にエネルギーが纏う。

 美猴も棍棒に力を纏わせて迎撃体勢を取る。

 

 

「ハァアアアア!」

 

「ウォオオオオ!」

 

 

 そして、二人は同時に駆け出す。フィールドの中央で二人の武器がぶつかり合い、その余波で二人は吹き飛んでしまう。

 それと同時にアナウンスが鳴り響く。

 

 

『戦闘、終了!』

 

「おっと、時間切れかぁ」

 

 

 アナウンスが鳴ると吹き飛んだ二人は立ち上がる。武神鎧武はロックシードをドライバーにセットし直し、キャスパッドを閉じる。アームズとライドウェアが細かな粒子になって霧散し、変身を解除した。

 

 

「楽しかったぜぃ、兵藤一誠。また頼むぜ!」

 

「あぁ、俺も貴重な経験をさせて貰った。ありがとう」

 

 

 美猴と一誠は互いに握手し、出口に向かって歩き出す。




美猴の口調がよく分からない!
アームズチェンジを期待していた人は申し訳ない!次に登場する時はアームズチェンジさせますので。
そして、次回はあのライダーです!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第9話 戦闘訓練2 黒歌VS目覚めし戦鬼

次回もお楽しみに!


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第9話 戦闘訓練2 黒歌VS目覚める戦鬼

投稿が遅れて、大変申し訳ありませんでした!
夏休みが終わり、大学が始まったので遅くなりました。
ちょっと雑になってしまったかも。
それと、響鬼系のライダーは、変身解除すると服が消えますが、この作品では消えません!

では、第9話をどうぞ!


 

 

 

「一誠くん、美猴。二人ともお疲れ様」

 

 

 美猴との戦闘訓練が終わって俺達を出迎えてくれたヴァーリ達。なんか、ルフェイちゃんが目をキラキラさせて俺を見てくるんだけど……。

 

 

「えっと、ルフェイちゃん?なんでそんなに目をキラキラさせてるの?」

 

「兵藤さん!サイン下さい!」

 

「えぇっ!?」

 

 

 えっ!?いきなり何!?そんなキラキラした目で俺を見ないで!

 

 

「ルフェイ、落ち着きなさい。彼が驚いてしまっていますよ」

 

「はっ!?ご、ごめんなさい!」

 

「申し訳ありません。実は、ルフェイは日本のサブカルチャーが好きでして。貴方の仮面ライダーの姿を見て興奮してしまったんです」

 

 

 あ~、なるほどね。そう言うことか。確かに、仮面ライダーの姿って特撮っぽいよね。俺も初めて変身した時はテンションが上がったよ。

 

 

 という訳で、サインは書いたことがないから無理だけど、ルフェイちゃんが握手でもいいと言うので握手した。握手した後、ルフェイちゃんが自分の手を満面の笑みを浮かべながら見つめていた。そんなに嬉しかったのか……。

 

 

「一誠くん。少し休憩してから黒歌との訓練を始めるけど、いいかな?」

 

「俺はこのまま始めてもいいけど」

 

「え?でも、美猴と戦ったばっかりだし。疲れてないの?」

 

「あぁ、大丈夫だぜ。なんせ、鍛えてますから」

 

 

 シュッと右手でポーズをとる。体力もまだまだ有り余っているから連戦しても問題はない。

 

 

「それじゃあ、始めようにゃん。兵藤一誠♪」

 

「おう。よろしく頼む!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再び模擬戦ルームに入り、中央で俺と黒歌は相対している。

 

 

「ルールはさっきと一緒。制限時間は8分、アナウンスの合図で戦闘開始にゃ」

 

「わかった」

 

 

 俺は右手に『黒い音叉』を持って、左足に軽く打ち付ける。打ち付けた音叉から不思議な音色が響く。

 その音叉を額の前に構えると、額に鬼の紋章が浮かび上がり、俺を中心に桜の花びらが現れ桜吹雪のように身体を覆う。

 

 

「フゥゥゥゥゥゥ、ハァッ!」

 

 

 桜を勢いよく手で祓うと俺の姿が露になった。

 左が赤で右が緑という左右非対称の角が生えた頭部、刺々しい緑のボディに両肩には金色の肩当て。

 

 

 かつて人間の大人を憎み、子供を守り抜いた裏切りの鬼【仮面ライダー歌舞鬼】へと変身した。

 

 

「さっきとは別の姿。それも、まさか鬼?お姉さん驚いたにゃん♪」

 

「それはどうも」

 

『戦闘、開始!』

 

 

 アナウンスによる合図がルーム内に響き渡る。

 

 

「行くにゃ!」

 

「仮面ライダー歌舞鬼、参る!」

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

「美猴との戦いで貴方の実力が高いのは分かったわ。だから、遠慮はしないわ!」

 

 

 黒歌は両手に二種類の力を纏わせる。妖術と仙術の二つの力を波動にして歌舞鬼向けてに撃ち出す。

 歌舞鬼は両手をクロスさせて攻撃を受け止める。受け止めた部分から軽く煙が上がるが特にダメージは無いようだ。

 

 

「……今の攻撃、手を抜いた訳じゃないんだけど。一体どういう身体をしてるの?」

 

「鍛えているとしか言いようがないんだけどな」

 

「どんな鍛え方にゃ」

 

 

 ダメージが無かった歌舞鬼に対して若干引き気味の黒歌。

 歌舞鬼は再び音叉を取り出し告げる。

 

 

「音叉剣!」

 

 

 すると、音叉が片刃の刀である『鳴刀・音叉剣』に変化した。歌舞鬼が呪術を使って音叉を変化させたのだ。

 音叉剣を右手に握りながら黒歌の向かって駆け出す。

 

 

 黒歌は先程の妖術と仙術の波動を幾重にも撃ち出すが、歌舞鬼は音叉剣で攻撃を切り裂きながら距離を詰める。

 充分な距離を詰めた歌舞鬼は、音叉剣を斜め上から下に向けて黒歌に振るう。

 だが、当たる寸前に黒歌の体が霧のように消えて、攻撃は空振りになる。

 

 

 背後から気配を感じた歌舞鬼は瞬時に振り向くが、振り向くと同時に体に衝撃が走り、軽く吹き飛んだ。受け身をとって直ぐに立ち上がり先程の場所を向くと、黒歌が魔力纏わせた右手を突き出して佇んでいた。

 

 

「驚いた?貴方が攻撃したのは幻術で作り出した私の分身よ。それと、私も多少は近接戦闘は出来るの♪」

 

「なるほど、分身ね」

 

 

 歌舞鬼は納得したのか、小さく頷いた。仙術と妖術以外にも幻術まで操れる黒歌を「厄介だな」と内心呟く。

 

 

「まだまだ行くにゃ!」

 

 

 すると、黒い影が黒歌の周りに現れる。その影は次第に形を変え、黒い着物を着た女性、黒歌へと変化した。

 

 

「ふふっ♪どれが本物の私なのか分かるかにゃ♪」

 

 

 本体の黒歌が笑うと、分身体の黒歌達もクスクスと笑みを浮かべる。そして、黒歌達の右手に膨大な魔力を纏わせて歌舞鬼に向ける。

 

 

「一斉攻撃!」

 

 

 本体と分身体の黒歌達が一斉に歌舞鬼に攻撃を放つ。放った攻撃の影響で歌舞鬼の居た場所は煙に包まれる。

 本体の黒歌は、煙の中に居るであろう歌舞鬼に視線を注ぐ。仙術を使える彼女は相手の気の流れを読めるため、相手の状態を知ることができる。

 

 

「……嘘でしょ?」

 

 

 暫くして、煙が晴れる。煙が晴れて黒歌が最初に目にしたのは……

 

 

「傘?」

 

 

 そう、傘である。それもただの傘ではなく、日本の古くからある『和傘』と呼ばれる傘が開いた状態で黒歌達に向けられていた。

 

 

「ふぅ~、危なかった」

 

「まさか、その傘で攻撃を防いだの?」

 

「見ての通りそうだけど」

 

「……どんだけにゃ」

 

 

 歌舞鬼は黒歌達から放たれた攻撃が当たる寸前に『鬼傘術』と呼ばれる術で防いだのだ。

 流石の黒歌も、これにはかなり動揺している。

 

 

「さて、今度は俺の番だ」

 

「ッ!」

 

 

 音叉剣と和傘を仕舞った歌舞鬼は後ろ腰から二本の『音撃棒・烈翠』を取り出す。

 

 腰のバックルにある『音撃鼓』から緑色のエネルギーで作られた音撃鼓を目の前に浮かび上がらせ、音撃棒を握り締めて構える。

 

 

「音撃打・業火絢爛!」

 

 

 音撃棒・烈翠で目の前に浮かんだ音撃鼓を勢いよく叩く。叩かれた音撃鼓は黒歌達の元へ放たれた。

 本体の黒歌は分身体を壁にして防ぐが、業火絢爛の攻撃は黒歌の予想以上で、攻撃自体は防げたがその余波で吹き飛ばされてしまう。

 

 

「うぐっ、これ程の威力だなんて……!」

 

 

 予想以上のダメージを受けた黒歌はなんとか立ち上がる。

 

 

「そろそろ終わらせよう」

 

 

 歌舞鬼は音撃棒を仕舞い、『鬼鞭術』と呼ばれる術で特殊な鞭を黒歌の腕に絡めて引き寄せる。

 

 

 抵抗出来ずに歌舞鬼の元へ引き寄せられた黒歌の首に再び取り出した音叉剣を突き付ける。

 

 

「俺の勝ち、ってことで」

 

「ハァ、降参にゃ」

 

『戦闘、終了!』

 

 

 黒歌が負けを認めたと同時にアナウンスが鳴る。勝敗は決した。

 

 

 歌舞鬼の体が一瞬光ると、元の兵藤一誠の姿に戻る。

 

 

「貴女、本当に強いわね」

 

「まぁ、鍛えてますから。シュッ」

 

「そのシュッって何なのにゃ」

 

「挨拶みたいなものですよ」

 

 

 一誠と黒歌は他愛のない話をして模擬戦ルームを退出していた。

 

 

 

 




如何でしたか?歌舞鬼のシーンは難しかったです。
響鬼系ライダーは服が消えるのが不便ですよね。この作品では消えませんが。歌舞鬼って格好いいですよね!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第10話 戦闘訓練3 アーサーVS黄金の林檎騎士

次回もお楽しみに!


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第10話 戦闘訓練3 アーサーVS黄金の林檎騎士

お待たせ致しました!第10話の投稿です!
今回は、宇宙の神様に金メッキと言われたライダーの登場です!
それでは、どうぞ!


 

 

 

 黒歌との戦闘が終わり、少し経ってから俺は再び模擬戦ルームに戻ってきた。

 次の相手は騎士王の末裔であるアーサーだ。

 

 

 その佇み方、雰囲気や風格は正に騎士。しかも聖剣の担い手なのだから更に凄い。

 

 

「次はアーサーが相手か、よろしく頼むよ」

 

「此方こそ。よろしくお願いします」

 

 

 俺達は軽く挨拶を交わす。これから戦闘が始まるにも関わらず、その落ち着きは見習いたいと思った。

 

 

 俺は懐から本日二度目になる戦極ドライバーを取り出すが、ライダーインジケータは武神鎧武のではなく、黄金の騎士の横顔になっている。

 

 

「そのベルトは、美猴の時に使っていたのと同じですね?」

 

「あぁ。だけど、変身するのは武神鎧武じゃないぜ?」

 

 

 戦極ドライバーを下腹部に押し当てると黄色のフォールディングバンドが伸長し固定される。

 

 

 そして、『L.S.-GOLD』と書かれた林檎を模した錠前━━『金のリンゴロックシード』を右手に持ち解錠する。

 

 

「変身!」

 

 《ゴールデン!》

 

 《ロック・オン!》

 

 

 俺の頭上にクラックが生成され、そこから林檎をモチーフにしたアーマーが降りてくる。

 ロックシードを戦極ドライバーに嵌め込むと、トランペットによるファンファーレが鳴り響く。

 

 

 ドライバーのカッティングブレードに手を掛けてロックシードのキャスパッドを切る。

 

 

 《カモン!ゴールデンアームズ!》

 

 

 音声が鳴ると頭上のアームズが頭に被さり、アンダースーツを身に纏い、同時にアームズが展開する。

 

 

 《黄金の果実!》

 

 

 和風の鎧武者だった武神鎧武に対して、今の俺はその正反対。西洋をモチーフにした金のアンダースーツと赤と金のアームズを纏っている。

 鎧の各部には飾り切りしたリンゴを思わせる意匠が盛り込まれており、左手にはリンゴを模した盾型アームズウェポン『アップルリフレクター』と、その中には片手剣型のアームズウェポン『ソードブリンガー』が収納されている。

 

 

 かつて、新世代の神と称した黄金の騎士【仮面ライダーマルス】へと変身した。

 

 

「なるほど。騎士の仮面ライダーですか。ふふっ、面白くなってきましたね」

 

「嬉しそうで何より」

 

 

 俺はアップルリフレクターからソードブリンガーを抜刀し、剣先を笑みを浮かべているアーサーに向ける。

 

 

『戦闘、開始!』

 

「行きます!」

 

「行くぞ!」

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

「フッ!」

 

「ハァッ!」

 

 

 マルスはソードブリンガーを、アーサーは『支配の聖剣』(エクスカリバー・ルーラー)で打ち合う。打ち合う度に火花を散らす。アーサーが支配の聖剣を振るえばマルスがアップルリフレクターで防ぎ、ソードブリンガーで追撃するもアーサーはそれに反応して聖剣で防ぐ。

 

 

 マルスとアーサーは己の得物を巧みに扱い、何度も何度も攻撃しては防ぎ、防いでは攻撃するを繰り返す。

 

 

 暫く打ち合うと、アーサーの攻撃をマルスがソードブリンガーで防ぐと、アップルリフレクターでがら空きの胴に攻撃する。

 

 

「ぐふっ!?」

 

 

 まさか盾で攻撃してくるとは思わなかったアーサーは攻撃を受けてしまい、数メートル後ろに下がる。

 

 

 マルスはソードブリンガーに金色のエネルギーを纏わせてアーサー向かって振るう。振るわれたソードブリンガーからは、エネルギー波の斬撃が放たれた。

 

 

 支配の聖剣で斬撃を弾いたアーサーは、マルスに目を向ける。

 

 

(今の攻撃、支配の聖剣の能力が効かなかった)

 

 

 アーサーの持つ聖剣、支配の聖剣はあらゆる物を支配することが出来る。人や動物、上級の魔物や魔法の攻撃、先程防いだマルスの斬撃も含まれる。その筈なのだが……。

 

 

(能力が効かなかったと言うことは、聖剣では支配できない程の膨大な力、又は存在ということになる)

 

 

 アーサーは知らないが、マルスの使っているロックシードは、ある意味『黄金の果実』その物である。そんな神の力と言っても過言ではない攻撃を支配出来ないのは当然である。

 

 

(これが仮面ライダーの力、そして兵藤一誠の実力ですか。やはり居るんですね、規格外という存在は)

 

 

 アーサーが内心でそう呟いていると、マルスの追撃が始まる。

 

 

 《カモン!ゴールデンスカッシュ!》

 

 

 戦極ドライバーのカッティングブレードを一回倒すと、マルスの周りに金色のエネルギーで作られたリンゴが数十個出現する。

 マルスがソードブリンガーをアーサーに向けると、それを合図に宙に浮かんでいたリンゴがアーサーに元に飛んでいく。

 

 

(!? マズイ!)

 

 

 アーサーも斬撃を繰り出してリンゴを幾つか消し飛ばすが、全てを落とすことは出来なかった。

 仕方なく、横に回避することで攻撃を免れる。そこから反撃に転じようとするが……。

 

 

 《カモン!ゴールデンオーレ!》

 

 

 マルスがカッティングブレードを二回倒すと、先程とは比べられない程の大きさのリンゴ型のエネルギー波がマルスの頭上に出現した。

 

 

 その巨大なリンゴをアーサーに繰り出す。アーサーは聖剣の腹を使って盾の様にして防ごうとする。だが……

 

 

「ぐぁあああッ!?」

 

 

 予想以上の大きさと威力にアーサーは吹き飛ばされてしまった。

 体中に痛みが走るが、なんとか起き上がり剣を構える。すると、とんでもない物が視界に入ってきた。

 

 

(盾!?)

 

 

 そう、マルスの盾であるアップルリフレクターが勢い良く回転しながら迫ってきているのだ。

 

 

 アップルリフレクターを聖剣で弾くが、マルスの姿はどこにもなかった。

 

 

(一体どこに……!)

 

 

 《カモン!ゴールデンスパーキング!》

 

 

 頭上から音声が聞こえ、振り向く。そこには右手にソードブリンガーを持ちながら、金色のエネルギーを左足に纏わせてキック態勢に入っていたマルスだった。

 

 

「ハァアアアアアッ!」

 

「しまった!?」

 

 

 またも聖剣で防ごうとしたが、マルスの蹴りで聖剣を弾かれてしまい、そのままソードブリンガーを首に突き付けられてしまった。

 

 

『戦闘、終了!』

 

 

 同時にアナウンスが模擬戦ルームに響き渡る。

 

 

「私の負けですね」

 

 

 アーサーは自身の敗北を認める。マルスはロックシードのキャスパッドを閉じて変身を解除する。

 

 

「まさか、盾を投げてくるとは思いませんでした」

 

「盾は防ぐだけじゃなく、攻撃に使う物だからな」

 

「ふふっ、良い経験ができました。ありがとうございます」

 

「此方こそ。聖剣使いとの戦いは貴重な経験になったよ。ありがとう」

 

 

 一誠とアーサーは笑みを浮かべながら互いに握手を交わす。

 

 

「次はルフェイとの戦闘ですね。連戦で大変だと思いますが、頑張って下さい。ルフェイは強いですよ」

 

「魔法使いとの戦いか、油断はしないよ」

 

 

 そう言って、アーサーは一人出口に向かって歩き出した。

 

 

 




はい、仮面ライダーマルスの登場でした。格好いいですよねマルスって!
最近、前より増えたが仮面ライダークロノスが登場する小説が少ないと思うこの頃。もっと増えてくれ!私も早くクロノスを登場させたいですね。
感想をお待ちしております!

次回はあのライダーの登場です!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第11話 戦闘訓練4 ルフェイVS白き魔法使い

次回もお楽しみに!


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第11話 戦闘訓練4 ルフェイVS白い魔法使い

お待たせしました!第11話です!最後の方はぐだぐだになったような気がしますが……。
では、どうぞ!


「兵藤さん、よろしくお願いします!」

 

「あぁ、こちらこそよろしく頼むよ」

 

 

 俺は現在、アーサーの妹であるルフェイ・ペンドラゴンと対峙している。

 兄である騎士のアーサーと違い、妹のルフェイちゃんは魔法使いなのだ。

 

 

「ルフェイちゃんは凄腕の魔法使いらしいね。アーサーが言ってたよ」

 

「そ、そんな!私なんかまだまだ未熟ですよ!」

 

 

 謙遜するルフェイちゃんだが、褒められたのが嬉しかったのか、頬が少し赤く染まっており、少しだが嬉しそうに微笑んでいた。

 

 

 やだ、何この子可愛い!

 

 

 っと、いかんいかん。これから模擬戦するんだから余計なことを考えないようにしなければ。

 それにしても、魔法使いか。俺がこれから変身するライダーとの相性は良いな。あれって対魔法使いに特化してるからなぁ~。

 

 

「さて、始めますか」

 

 

 俺は両手の中指にそれぞれ指輪を嵌める。赤い枠で掌の形のしたベルトのバックルに右手を翳す。

 

 

 《DRIVER・ON!NOW!》

 

 

 すると、バックルが右手の中指に嵌められた指輪『ドライバーオンウィザードリング』に反応し、銀色のベルト『ワイズドライバー』を出現させる。

 

 

 バックルの横にある『シフトレバー』を右手で操作し、中央の『パームオーサー』を左に切り替える。

 

 

 《シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!》

 

 

 ドライバーから低い呪文のような音声が鳴り響く。俺は左手の中指に嵌めた琥珀色の指輪『チェンジウィザードリング』のカバーを下ろし、左手を拳にして軽く前に突き出す。

 

 

「変身……!」

 

 《CHANGE!NOW!》

 

 

 左手をパームオーサーに翳す、チェンジウィザードリングにベルトが反応し読み込む。

 すると、目の前に琥珀色の魔法陣が出現し、俺の身体を潜る。潜り終わると、俺の姿は変化していた。

 

 

 白を基調とし金のラインが描かれたフード付きのローブ、宝石のようなゴツゴツとした仮面、左右の肩から下に掛けられた複数の指輪。

 

 

 万物を司る白き魔法使い【仮面ライダーワイズマン】へと変身を遂げる。

 

 

 ワイズマンに変身した俺を、ルフェイは「ふぁ~!」と言う声を出しながら問い掛けてくる。

 

 

「魔法使いの仮面ライダーにも変身出来るんですか?凄いです!」

 

「アハハハッ、ありがとう」

 

 

 まさか、これ程までに喜んでくれるとは……うん、悪くないな。

 

 

 《ルパッチ・マジック・タッチゴー♪ルパッチ・マジック・タッチゴー♪》

 

 《CONNECT! NOW!》

 

 

 俺は再びシフトレバーを操作し、パームオーサーを切り替える。ベルトから待機音声が鳴り響く中、右手のドライバーオンウィザードリングを『コネクトウィザードリング』に替えて翳す。

 

 

 音声と共に俺の右側に琥珀色の魔法陣が出現し、魔法陣から飛び出しているあるモノを掴み、魔法陣から抜き出す。

 

 

 抜き出されたモノは、横笛と剣が一体化したワイズマンの専用武器『ハーメルケイン』である。

 ハーメルケインをくるりと回して左手に持つ。

 

 

『戦闘、開始!』

 

「行きます!」

 

「見せて貰おうか、魔法使いの実力を」

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 先に攻撃を仕掛けたのはルフェイだった。自分の周りに三つの魔法陣を展開し、そこから濃縮された球体の魔力弾が発射される。

 魔力弾は真っ直ぐワイズマンへと向かって行く。

 ワイズマンは、専用武器であるハーメルケインを振るって飛んで来た魔力弾を切り裂く。

 

 

 再びルフェイの周りに三つの魔法が出現し、魔力弾が放たれる。その魔力弾は先程とは違い、三つの魔法陣から無数に放たれた。狙いは勿論、ワイズマンである。

 

 

 ワイズマンは、直撃しそうな攻撃をハーメルケインで切り裂き、他は横に回避したりアクロバティックな動きで全て避ける。

 攻撃を回避し終えても安心は出来ない。何故なら第二波が迫っていたからだ。

 

 

 流石にマズイと思ったワイズマンは、肩から下に掛けている指輪を一つ手に取り、コネクトの指輪を外して付け替える。

 

 

 《YES!THUNDER!UNDERSTUND?》

 

 

 パームオーサーを切り替えてベルトに翳す。右手を前に突き出すと同時に魔法陣が出現し、そこから強力な雷が放たれて、迫っていた攻撃を全て無力化した。

 

 

 魔法を発動し終えたら、直ぐに指輪を別のに交換し、ベルトを操作して発動する。

 

 

 《YES! BLIZZARD!UNDERSTUND?》

 

 

 右手を前に突き出し、魔法陣から強力なブリザードが数メートル離れたルフェイに放たれた。

 ルフェイは、冷静に自身の前に防御魔法陣を展開、ブリザードを防ぐ。

 

 

 よく見ると、ルフェイが展開した魔法陣が凍っていた。ワイズマンの発動した魔法がどれだけ強力だったのかが伺える。

 

 

 ワイズマンはローブをバサリと翻しながら視線をルフェイに向ける。

 

 

(魔力弾の一発一発の威力が高いな。あれだけ撃ったのにも関わらず、息が乱れてない。序の口ということか)

 

 

 ワイズマンがそう内心で思っていると、ルフェイが次の行動に移っていた。

 先程よりも更に多くの魔法陣を展開し、大量の魔力弾が放たれた。

 

 

 同じ攻撃か?と思いながら迫る魔力弾を避ける。だが……

 

 

(なに!?)

 

 

 避けた筈の魔力弾が急に方向を変えて、ワイズマンの方に戻ってきたのだ。

 

 

(ホーミングか!)

 

 

 それを切っ掛けに、他の魔力弾も急に方向が変わり。右、左、上からと攻撃が迫る。

 それでも、ワイズマンはハーメルケインで凪ぎ払い、持ち前の身体能力で回避し、魔法で防ぐ。

 

 

 だが、ルフェイの攻撃は止まらない。更に魔法陣を増やして攻撃する。放たれた魔力弾が分裂していき、あり得ない量の魔力弾の雨がワイズマンに降り注がれようとしている。

 

 

 ワイズマンは、左に持っていたハーメルケインを横に倒して両手に持ち替え、それを仮面の口の部分に当てる。

 

 

 すると、ハーメルケインから綺麗で幻想的な音色が奏でられる。ハーメルケインから琥珀色の波動が放たれ、降り注がれそうになっていた魔力弾は全て霧散していった。

 

 

「そんな!?」

 

 

 流石のルフェイもこれは予想外だったようで、その顔は驚愕に染まっていた。

 

 

「そろそろ、フィナーレだ」

 

 

 ハーメルケインを再び左手に持ち直し、新たな指輪に付け替える。

 

 

 《TELEPORT! NOW!》

 

 

 ワイズマンの足下に白い円形の魔法陣が出現し、呑み込むようにワイズマンの体が消える。

 

 

「ど、どこに……!」

 

 

 狼狽えるルフェイ。そんなルフェイの後ろに先程の白い魔法陣が出現してそこからワイズマンが現れ、ハーメルケインを突き出す。

 それに気付いたルフェイは、防御魔法陣を展開して防ごうとする。だが……

 

 

「えっ?」

 

 

 ハーメルケインの刀身は、防御魔法陣に防がれる所か、すり抜けてきたのだ。これには理由がある。ワイズマンの専用武器であるハーメルケインの刃は、魔力や魔法で構成されているモノであるなら、問答無用で切り裂いてしまう効果を持っているのだ。

 例え、空間を切り裂く斬撃でかすり傷すら付かない超装甲だろうと、それが魔法で構成されているのなら容易く切り刻めるのだ。

 

 

 ハーメルケインは、ルフェイの眉間に当たる寸前で止まっている。

 これにより、勝敗は決した。それと同時にアナウンスが鳴り響く。

 

 

『戦闘、終了!』

 

「ま、参りました」

 

 

 ハーメルケインを下ろすと、ワイズマンの身体を魔法陣が潜り抜ける。潜り終わると、変身が解除されており、元の一誠に戻っていた。

 

 

「大丈夫ルフェイちゃん?怪我はない?」

 

「はい!大丈夫です!」

 

「そう。良かった」

 

 

 怪我が無いことに安堵をつく一誠。そこからは、出口までルフェイと先程使った魔法に付いて話し合った。

 

 

 そして、模擬戦ルームの外で他のメンバーが集まっていて、ヴァーリが戻ってきた一誠に向けて言葉を掛ける。

 

 

「一誠くん、最後の戦闘訓練になるけど、大丈夫?」

 

「大丈夫だよ。さぁ、始めようぜ」

 

 

 そう言って笑う一誠。

 今代の『白龍皇』と『ダークライダー』の戦闘が始まる。

 

 

 




いや~、ルフェイの戦闘シーンは悩みました。
ワイズマンって格好いいですよね!原作でも、笛木の戦闘能力も合わさってかなり無双してましたよね。
残念なことに、今回はワイズマンの代名詞と言ってもいい魔法であるExplosionは使用していません。別の機会に使いたいと思います!
感想お待ちしてます!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第12話 戦闘訓練5 白龍皇VS永遠の名を持つ戦士

次回もお楽しみに!


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第12話 戦闘訓練5 白龍皇VS永遠の名を持つ戦士

お待たせしました!模擬戦の最後は、ヴァーリVS一誠による戦闘訓練になります。
今回、独自解釈があるのでご注意を。
それでは、どうぞ!


 本日最後の戦闘訓練。相手は今代の『白龍皇』であるヴァーリだ。女性だからって侮ってはいけない。彼女の実力は、歴代白龍皇の歴代トップクラスと言われている。堕天使総督のアザゼルさん、ヴァーリの神器であり、十三種の神滅具の一つ『白龍皇の光翼』(ディバイン・ディバイディング)に宿っている『アルビオン』からのお墨付きだ。

 

 

 実際、俺は前にヴァーリの戦闘を見たことがあるから分かる。彼女の実力は本物だ。

 

 

「一誠くんとこうして戦うの初めてになるよね?」

 

「あぁ、そうなるな」

 

「美猴、黒歌、アーサー、ルフェイとの戦いは本当に凄かったよ。流石だね」

 

「そう言われると、俺も嬉しいよ。さて、そろそろ始めようか」

 

 

 俺達は会話を終わらせ、それぞれ戦闘体制に入る。

 

 

「アルビオン、準備はいい?」

 

『あぁ、問題ない』

 

「行くよ。━━禁手化」

 

 

 《Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!》

 

 

 ヴァーリの背中から光の翼が展開するのと同時に音声が鳴り響き、体を白いオーラが覆う。覆っていたオーラが消えると、ヴァーリに変化が起きていた。

 

 

 体を白い全身鎧で覆い、鎧の各部には青く輝く宝玉が埋め込まれている。

 その姿こそ、ヴァーリが所持している神滅具である『白龍皇の光翼』を禁手化させた姿━━━━『白龍皇の鎧』なのだ。

 

 

 そして、その姿から発せられる強大なオーラ。流石はヴァーリ、歴代トップクラスの実力は伊達じゃないという訳だ。

 俺も負けて要られないな。

 

 

 俺は懐から右側だけにL字状の挿し込み口が付けられた左右非対称の赤いバックル『ロストドライバー』を取り出し、下腹部に押し当てる。バックルから黒いベルトがぐるりと一周して自動で固定される。

 

 

 そして、右手には『ガイアメモリ』と呼ばれる『地球の記憶』が内包されているUSBメモリ型の記憶端末を持つ。そのガイアメモリは白く、黄色の文字で『E』と刻まれている。

 

 

 そのメモリは『エターナルメモリ』。

『永遠の記憶』を内包したガイアメモリの頂点に君臨する王者のメモリ。

 

 

 俺は右手で握りしめていたエターナルメモリを自らの顔の横に掲げ、ガイアウィスパーを鳴らす。

 

 

 《ETERNAL!》

 

 

 エターナルメモリをロストドライバーのスロットに挿入すると、黄色の波動がベルトから発生し、独特な待機音声が響く。

 

 

 そして、己を白き戦士に変えるあの言葉を告げる。

 

 

「……変身」

 

 《ETERNAL!》

 

 

 静かに言葉を告げ、右手で払うようにドライバーのスロットを斜めに倒す。

 瞬間、俺の周囲で風が巻き起こり、全身に青い電流が迸ると白い粒子が体に纏い付き、姿を変貌させる。

 

 

 純白のボディで頭部には王冠のような三本の角、『∞』を模した黄金の複眼、青い炎が刻印された両腕とアンクレット、背中・胸・右腕・左太腿には合計25本のマキシマムスロットが設けられたコンバットベルトを装備し、闇夜を彷彿させる漆黒のマント『エターナルローブ』が一瞬靡く。

 

 

 嘗て、風の街『風都』を地獄に変えようとした最凶最悪の悪魔【仮面ライダーエターナル ブルーフレア】へと変身した。

 

 

「仮面ライダー、エターナル……!」

 

「エターナル……永遠?」

 

『気を付けろヴァーリ。美猴達との戦闘で見たライダーとは別格だぞ!』

 

 

 この姿になるのも久し振りだな。俺は確認するかのように手を閉じたり開いたりを数回繰り返す。確認し終えたら、顔を上げて視線をヴァーリに向ける。 

 

 

「踊るぞ、死神のパーティータイムだ!」

 

 

 ヴァーリに向かって右手をサムズダウンさせた。

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 いつも通りのアナウンスによる合図が鳴ると同時に、ヴァーリはエターナルの元へ勢い良く駆け、引き絞った右腕を繰り出す。

 対するエターナルも、真っ直ぐに向かって来たヴァーリに勢い良く右腕を振り抜いた。

 

 

「ハァッ!」

 

「フンッ!」

 

 

 拳と拳がぶつかり合い、あまりにも威力が高いせいで大きな衝撃波が発生する。

 ヴァーリは間髪入れず次々に攻撃を繰り出す。目に見えない連続のラッシュを繰り出すもエターナルは攻撃を受け流すか、腕で払ってラッシュを防ぐ。だが、ヴァーリの追撃は続く。

 

 

 次は蹴りも加えて繰り出すが、それらもエターナルの上手い体捌きと腕と足で防がれる。エターナルは、攻撃を防ぎながら一瞬の隙を付いてヴァーリに強烈な右フックを仕掛けたが、驚異的な反射神経と身体能力を駆使し、後ろに飛び退けることでヴァーリは回避した。

 

 

「ほう?今のを避けたか。よく反応できたな?」

 

「結構危なかったけどね。ぎりぎり回避できたよ」

 

「大した反射神経だな。さて、次は俺から行かせて貰うぞ」

 

 

 そう言うと、ローブを翻してどこからかコンバットナイフを取り出す。そのナイフには、グリップとトリガー、マキシマムスロットが一つ設けられたエターナルの専用武器『エターナルエッジ』である。

 

 

 エターナルエッジを右手に持ち、走り出す。ヴァーリは手から魔力弾を複数、エターナルに発射する。エターナルはマント━━━エターナルローブで自身を覆い隠すように展開し、ヴァーリから放たれた魔力弾はローブに当たった瞬間霧散していった。

 

 

「嘘!?」

 

 

 流石のヴァーリも驚きの声を上げる。

 エターナルローブは、あらゆる攻撃を無効にすることが可能なのだ。それが打撃だろうと魔力弾だろうとだ。

 

 

 距離を縮めたエターナルは、エターナルエッジを巧みに捌き、ヴァーリの鎧にダメージを与えていく。エターナルエッジで傷付いた鎧は直ぐに修復されるが、あまりの切れ味にヴァーリは内心下を巻く。

 

 

 だが次の瞬間……

 

 

 《ROCKET!Maximum Drive!》

 

 

「ッ!?」

 

 

 ヴァーリから距離を取ったエターナルは、Rと刻まれたガイアメモリを取り出し、腰にマウントされているマキシマムスロットに装填した。

 装填すると、エターナルの周囲に大量のロケットが出現し、放たれる。目標は無論ヴァーリだ。

 

 

 ヴァーリも周囲に魔力弾を生成し、反撃する。魔力弾とロケットがぶつかり合い、爆発する。それによって黒煙が辺りに充満し、視界を奪う。

 

 

(視界が遮られた!どこから来るか……!)

 

 

 黒煙を利用してエターナルがどこから攻めてくるかを考えるが、再びあの音声が響く。

 

 

 《ZONE!Maximum Drive!》

 

 

 音声が鳴り響いた瞬間、頭上に気配を感じ、上を見上げる。

 見上げた数メートル先に、エターナルが存在した。エターナルが発動させたゾーンメモリは『空間転移』の能力。その能力で自身をヴァーリの頭上に転移させたのだ。

 

 

 よく見ると、エターナルの胸のマキシマムスロットの一つに、紫色のガイアメモリが装填されていることに気付く。

 

 

 《JOKER!Maximum Drive!》

 

 

「ライダーパンチ!」

 

「くっ!」

 

 

 エターナルが左手に紫炎を纏わせたパンチを繰り出す。それを後ろに飛ぶことで直撃を免れた。先程まで立っていた場所は、エターナルのライダーパンチによってクレーターが出来ていた。

 

 

「なら!」

 

 《Divide!Divide!Divide!Divide!》

 

 

 ヴァーリは、神器である白龍皇の光翼の能力『半減』の力をエターナルに使用した。本来、触れた相手の力を半減させ、その分の力を自身に取り込むことが出来るのだが。予想外なことが発生した。

 

 

「半減が効かない!?」

 

 

 そう、エターナルに半減の効果が無かったのだ。現にエターナルは何事も無いかのように佇んでいる。

 

 

「残念だが、半減の力はエターナルには効かない。永遠という存在を、半減させることは出来ないのだから」

 

 

 アルビオンとヴァーリにとって驚愕の事実。まさか、相手は半減の力が効かない、言わば天敵と言える存在なのだから。

 

 

「これは、不味いね」

 

『あぁ。まさか半減が効かないとは厄介だな。仮面ライダー、どこまで規格外の存在なのだ』

 

「さて、時間も迫っていることだしな。決着を付けるぞ」

 

 

 そう言うと、エターナルはドライバーのエターナルメモリに手を掛けるが、一度止まる。

 

 

(いや、エターナルのマキシマムはここで使うべきじゃないな。ならば!)

 

 

 エターナルは二本のメモリを取り出す。一本は先程使ったジョーカーメモリ、もう一本はXと刻まれたガイアメモリだ。手に持ったそれぞれのメモリのガイアウィスパーを鳴らす。

 

 《JOKER!》

 

 《XTREME!》

 

 《JOKER! Maximum Drive!》

 

 《XTREME!Maximum Drive!》

 

 

 ジョーカーメモリを腰、エクストリームメモリを胸のマキシマムスロットに装填する。ジョーカーメモリで身体能力・運動能力を高め、エクストリームメモリでジョーカーメモリを極限まで強化する。

 

 

「ライダーキック!」

 

「ハァアアアアッ!」

 

 

 極限まで強化され右足に紫炎を纏わせたキックと、限界まで高めた魔力を纏わせたキックが激しくぶつかり合う。

 

 

「ハァアアアアッ!」

 

「アァアアアアアアアッ!?」

 

 

 キック同士で勝ったのはエターナルだった。エターナルを上手く地面に着地し、ヴァーリは後ろに大きく吹き飛ぶ。

 

 

『戦闘、終了!』

 

 

 同時にアナウンスの合図が鳴る。

 エターナルは変身を解除し、フラフラと立ち上がるヴァーリの元に駆ける。

 ヴァーリも鎧を解除するが、ダメージが予想以上だったせいか前に倒れる。

 だが、急いで駆け出した一誠に抱き止められる。

 

 

「ヴァーリ、大丈夫か?」

 

「一誠くん、大丈夫だよ。ちょっとフラついちゃっただけだから」

 

 

 どうやら、最後に放ったライダーキックのダメージが想像以上に大きかったようだ。一誠も流石に反省する。

 

 

(エクストリームで極限まで強化したのが不味かったか?他の強化系メモリにしとくんだったな)

 

「それにしても、驚いたよ。まさか半減が効かないなんて。仮面ライダーってどこまで規格外なの?」

 

「どこまでって言われてもなぁ~、色々あるからなぁ」

 

 

 一誠の持つ仮面ライダーの情報だと、少なくとも改造人間にされたり、不死身で太陽の子になったり、神を蹴り飛ばしたり、鬼になったり、挙げ句の果てに宇宙の神様になった存在、神の才能を持った自称神のゲームマスターがいるなんて言ったら、どうなるのだろうか?と内心思っている。

 

 

 そんなことを考えながらヴァーリを支えながら模擬戦ルームを出て他の皆と合流した一誠達。

 

 

 その後、全員が戦闘での傷をいつの間にか外で待機してたアーシア・アルジェントに、神器である聖母の微笑みで回復させて貰ったり、仲良く夕飯を食べるなど、自由に過ごしたらしい。

 

 

 途中で、復活したアザゼルも乱入したとかどうとか。

 

 

 

 




エターナルの決め台詞はお預けということで(笑)
やっと終わった模擬戦!次回は転生者 赤羽くんの話になります。赤羽くんの転生からフェニックス編までの話を1話で纏めます。
赤羽くんの話が終わったら、エクスかリバー編に突入します!
感想お待ちしてます!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第13話 転生者 赤羽健次の独白

次回もお楽しみに!


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第13話 転生者 赤羽健次の独白


お待たせしました!前回の投稿から六日経ちましたね。それなのに内容は地味です。赤羽くんのD×D世界に転生からフェニックス編までの話。

それではどうぞ!


 

 

 

 

「くそっ!一体、どうなっているんだ!?」

 

 

 俺の名前は赤羽健次(あかばけんじ)

 神様転生を実際に体験し、『ハイスクールD×D』の世界に転生した転生者だ。

 

 

 俺は現在、自宅のリビングに置いてあるソファーに座りながら苛立っていた。

 理由は、俺の予想を超えるイレギュラーが多発し、思い通りにならないことだ!

 

 

 一応、これまでの経緯について話すとしよう。

 

 

 俺がこの世界に転生する前、つまり前世ではアニメやライトノベルが好きな普通の人間だった。公立高校に通う高校2年生だったのだが、学校の帰り道の階段で足を踏み外してしまい、そのまま転げ落ちて頭を強打して死んだ。なんとも間抜けな死に方だったと今でも思っている。

 

 

 死後、『転生の間』と呼ばれる場所で神を名乗る爺さんと対面した。

 本来なら、死んだ人間は天国か地獄のどちらかに行くらしいんだが、俺の死に方があまりにも惨めだったから転生させてくれると言ってた。

 

 

 俺は喜んだ。二次創作でしかないと思っていた神様転生を実際に体験出来るのだから。しかも、転生先は『ハイスクールD×D』を元にした世界で、尚且つ特典も貰えた。

 

 

 最初は、主人公である兵藤一誠に憑依転生しようと頼んだが無理だと言われた。仕方ないので、兵藤一誠が持つはずの赤龍帝の籠手を頼んだ。他にも魔力を原作の一誠よりも多め、身体能力の向上、容姿も良くして貰った。

 

 

 これで、原作の兵藤一誠よりも『乳龍帝』とか『おっぱいドラゴン』とか呼ばれない赤龍帝として活躍して原作キャラ達でハーレムを築いて幸せに暮らすんだと意気込んだ。

 

 

 だけど、現実はそんなに甘くないということをこの時の俺は知らなかった。

 

 

 転生後、幼稚園・小学校・中学校は楽々だった。勉強も簡単で、身体能力が向上したことで前世ではやらなかったスポーツとかを楽しんだりした。

 

 

 そして、物語の舞台である駒王町にある駒王学園に合格し、テンションがハイになった。

 

 

 これは駒王学園で過ごしてて知ったことだが、この世界の兵藤一誠とその仲間である元浜と松田は原作とは最早別人だった。『変態三人衆』と呼ばれてないし。何より性格が真逆だった。

 

 

 兵藤一誠は、落ち着いた性格で運動も勉強もでき、クラスの男女から慕われていた。

 元浜は、全国模試で1位を取れるレベルで頭が良く、学園のテストでも学年1位を取り続けている。

 松田は、高い身体能力と運動能力を生かして学園の運動部の助っ人として活躍している。

 

 

 最初は驚いたが、兵藤一誠は赤龍帝の籠手を持っていないただの一般人。

 故に、原作には介入してこない。赤龍帝の籠手は俺が持っているのだから。

 

 

 そして、2年に進級し、原作が開始した。原作通り天野夕麻━━━レイナーレに告白され、デートに誘われた。デートをした後にあの公園にやって来た。

 

 

 レイナーレが本性を表し、俺を光の槍で突き刺そうと構えた。痛みは覚悟の上だ。痛みを我慢すれば、原作通りにグレモリー先輩を呼び出し、悪魔に転生させて貰う。

 その筈だったのだが、ここで予想外なことが発生した。

 

 

 そう、『仮面ライダー』の存在だ。黒い仮面ライダーがレイナーレと戦闘を始めたのだ。

 何故、仮面ライダーがこの世界に存在するのか、俺は相当パニックになった。俺を転生させた神様の爺さんが言っていた。この世界は『ハイスクールD×D』の世界を元にした世界だと。その為、原作ではなかったイレギュラーが発生するかもしれないと。だが、これは予想外過ぎる!

 

 

 レイナーレと仮面ライダーが戦ってる間にチラシを使ってグレモリー先輩を呼び出し、事情などを話した。

 結果的に、俺はグレモリー先輩の眷属になれたが、俺の計画が台無しになった。

 正式に眷属になった日にグレモリー先輩から聞かされたのだが、あの仮面ライダーが四人の堕天使を排除し、廃教会に潜伏していたはぐれエクソシストの軍団も片付けたらしい。

 

 

 原作通りなら、数日は掛かる筈だったレイナーレの事件がたった一日、それも仮面ライダーが一人で解決してしまったのだ。

 冗談ではない!本来なら俺が赤龍帝の籠手に覚醒するイベントだったのに!それが一日で台無しになった!

 

 

 念の為に数日間、町を散策したがアーシア・アルジェントには出会えなかった。あの仮面ライダーのせいで、原作がいきなり変わってしまった。お陰でハーレム要員が減ることになった!

 

 

 それから数週間が経ったある日、オカルト研究部の部室にライザー・フェニックスが現れた。原作通りなら、ライザーが現れたということは部長の結婚の話だろう。

 話し合い、と言うより言い合いが始まり、非公式のレーティングゲームで決めることになった。

 

 

 ここは原作通りだったみたいだが、俺は内心焦っている。赤龍帝の籠手が覚醒していないからだ。このままだとレーティングは確実に負けることになる。

 

 

 ライザーから十日間の期間を貰い、俺達グレモリー眷属は強化合宿をすることになった。この合宿での目標は赤龍帝の籠手に覚醒することだ。でないと、これから起こるであろう数々の事件に対応出来なくなる。

 

 

 十日間、俺は必死で魔力の扱いや木場と小猫ちゃんとの特訓をしながら、九日目で覚醒することに成功した。流石は俺だ!自力で覚醒出来たぞ!

 

 

 同時に赤龍帝の籠手に宿っている『ドライグ』と会話することも可能になった。後は片腕を対価に禁手に至れれば、と思ってドライグに話したら。

 

 

『残念だが、今のお前に禁手は無理だ』

 

「な、なんでだよ!?倍加にだってある程度耐えられるし、魔力だってある!」

 

『そういう問題ではない。片腕を対価に禁手に至りたいのなら、それ相応の覚悟と実力を俺に見せてみろ。今のお前には、禁手させる価値が見当たらん』

 

「そ、そんな!?」

 

 

 予想外の返答がだった。価値が無い?覚悟と実力が足りない?原作じゃあ、あんな変態野郎に力を貸してた癖に!

 

 

 強化合宿が終り、ついにレーティングゲーム本番の日になった。

 結果は、敗北である。

 

 

 俺は何も出来なかった。ビビってしまったのだ。本格的な戦闘は初めてで足が震えてしまい、満足に動けなかった。

 いくらレーティングゲームには一定のダメージが入ると、強制的に医務室に転移させる術式があるから死ぬことが無いとは言え、相手は本気で俺達を倒しに来る。痛みは勿論ある。

 

 

 俺はミラと呼ばれるライザーの眷属に無様に負けた。

 

 

 木場達が奮闘したが、部長が投了したことでライザー陣営の勝利となった。

 

 

 そして今に至る。

 

 

 兵藤一誠が出来たのだから、自分にも出来ると思っていた。

 だが、現実は甘くなかった。部長はライザーと結婚。本当なら、結婚が決まったら高校を中退することになっていたが、ライザーの計らいで高校は卒業させて貰えるらしい。

 

 

「なんで……なんで思い通りにならないんだ……!俺が主人公の筈なのに、兵藤一誠には出来たのに!」

 

 

 どうして、こうなるんだ!俺は一体、どこで間違えたんだ!

 

 

 




はい、赤羽くんの話でした。正直、雑だなと思ってる。それでも赤羽くんの話は一回は入れた方が良いかなと思って投稿しました。
次回の投稿はなるべく早く投稿出来るように頑張ります!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第14話 聖剣使いとの邂逅、町に迫る新たな脅威

次回もお楽しみに!感想待ってます!


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月光校庭のヤベー奴
第14話 聖剣使いとの邂逅、町に迫る新たな脅威!



前回、早く投稿するとか言っておいて結局時間が掛かってしまった。申し訳ありません!
今回は、聖剣使いとの邂逅と駒王町に迫る新たな脅威を一誠くんが知る話です。
急いで書き上げたので、雑になってるかもしれないのでご注意を。

では、どうぞ!


 

 

 

 

 ━━精神世界━━

 

 

 

 ここは、俺の精神世界。

 景色はお世辞にも良いとは言えない。辺りを見渡しても灰色の空間がどこまでも続いている。

 

 

 そんな中、俺はその空間で武神鎧武に変身した状態で右膝を地に付けていた。

 ブラッドオレンジアームズのあちこちに傷が付き、ライドウェアも所々斬られており、無双セイバーに至っては刀身が折れて使い物にならなくなっている。

 

 

 持っていた無双セイバーを投げ捨て、ブラッドオレンジの断面を模した武器である大橙丸を構えて、ある一点を見つめる。

 

 

 視線の先には、漆黒のマントを身に纏い、純白のボディに装備されたコンバットベルト、三本の角と∞を表した黄金の複眼の持ち主、仮面ライダーエターナルが専用武器であるエターナルエッジを右手で弄びながら佇んでいる。

 

 

 そのエターナルからは、圧倒的な威圧感と殺気を放っている。

 正直、今からでも逃げたくなる程だ。でも、それは許されない。

 

 

「どうした?もう終わりか?」

 

「いや、まだやれますよ!」

 

 

 俺は駆け出し、エターナルとの距離を詰める。大橙丸を降り下ろすがエターナルエッジで攻撃を弾かれる。大橙丸とエターナルエッジが打ち合う度に火花が散り、何度か打ち合うとエターナルエッジによって大橙丸が弾かれ、俺の手から離れてしまう。

 

 

 エターナルはその一瞬を付き、強烈なラッシュを俺に叩き込む。その攻撃の一発一発が意識を一瞬で持っていきそうな程だが、俺はなんとか意識を保つ。

 

 

 だが、意識は保てても体は限界だ。体にダメージが蓄積されて立っているのが精一杯の状態。

 エターナルは、エターナルエッジをしまい、代わりに『U』と刻まれたT2ガイアメモリを一本取り出し、ガイアウィスパーを鳴らした。

 

 

 《UNICORN!》

 

 《UNICORN!Maximum Drive!》

 

 

 エターナルは『ユニコーンメモリ』を腰のマキシマムスロットに装填し、スロットのスイッチを叩く。エターナルの右拳に緑の螺旋を描くエネルギーが纏い、俺のアームズに強力なコークスクリューパンチを叩き込んだ。

 

 

 直撃した俺は吹き飛ばされ、アームズのあちこちから火花を散らす。立ち上がろうとするが、体に力が入らずそのまま倒れ伏す。

 すると、纏っていたライドウェアとアームズが粒子となって消える。許容範囲を超えたダメージを負ったことにより、変身が強制解除された。

 

 

 てか、本当に痛い。立ち上がることが全く出来ない。ボロボロの体で力を振り絞って上半身だけを起こして、そのまま座る。

 

 

 視線の先には、エターナルがロストドライバーのスロットを起こしてエターナルメモリを引き抜く。変身が解除され、変身者の姿が露になる。

 

 

 歳は二十代後半で、茶髪の所々に青いメッシュが入っており、黒のズボンと赤いラインが入った革製の黒ジャケット、ジャケットの左胸と背中には林檎に突き刺したナイフ、それを取り巻く四匹の蛇が刺繍されている。

 

 

 ナイフのような鋭い目付きで俺を見て、言葉を掛ける。

 

 

「ジャスト三十分。前回より二分は延びたな」

 

 

 三十分。それは彼━━初代エターナルの変身者である『大道克己』との戦闘時間。どうやら、前回より二分は延びたらしい。

 

 

「三十分かぁ~、持った方ですかね?克己さん」

 

「まぁ、四年前よりはマシになった方だろう。まだ甘いがな」

 

「厳しいですね」

 

「当たり前だ。お前はエターナルの力を使っているんだぞ?無様な戦いは認めん」

 

 

 四年前、俺が仮面ライダー(ダークライダー)の力に目覚めた日から、精神世界で鍛えて貰っている。

 

 

 今回のように克己さん直々に鍛えて貰うこともあれば、歴代怪人達と戦ったり、量産型ライダーという数の暴力と戦ったり、凄いスパルタだけど、その分着実に力は付いてる。

 

 

 ここは精神世界である故に、怪人や量産型ライダー等を好きなだけ出現させることができる万能空間なんだ。

 

 

「おい、そろそろ時間だ」

 

「あっ、もうそんな時間ですか?じゃあ、また来ますね。今度は克己さんから一本とって見せますよ!」

 

「ふん、期待しないでおく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピピピピピピピッ!

 

 

 枕元に置いてある目覚まし時計が鳴る。

 時計を止めて、俺は布団から上半身だけを起こす。

 

 

「そこは嘘でも期待しておくって言って欲しいなぁ~」

 

 

 俺は先程の精神世界での出来事を思い返す。今回も、克己さんに一撃も攻撃を与えられなかった。あの人強さが別次元なんだよなぁ。克己さんに勝てる日が来るのだろうか?

 

 

 布団から完全に起き上がり、窓のカーテンを開けて空を見上げる。雲が一つもなく、青空が広がっている。快晴だ。

 

 

「よし、今日も頑張りますか!」

 

 

 

 

 

 

 俺はいつも通り学校に登校し、授業を受けた。

 

 

 そう言えば、アザゼルさんから聞いた話だけど、グレモリー先輩がライザー・フェニックスっていう上級悪魔と結婚したらしい。なんでも、非公式のレーティングゲームでグレモリー先輩が勝てたら結婚の話は取り消し、フェニックスさんが勝てば結婚という条件だったとか。

 

 

 結果は、グレモリー先輩が投了したことによってフェニックスさんの勝ちになったらしい。

 アザゼルさんが言うには、グレモリー先輩達は圧倒的に実力不足で、フェニックスさんは公式のレーティングゲームで何度も勝利を勝ち取っているプロなので、結果は納得だとか。

 

 

 それと、赤羽健次がグレモリー眷属になってた。

 しかも、赤羽が今代の『赤龍帝』なのが驚いた。つまり赤羽はヴァーリのライバルということになる。赤龍帝と白龍皇は昔から戦い続けていて、赤と白が戦うのは宿命と言っても過言ではない。

 

 

 まぁ、ヴァーリは別に戦いたいと思ってないし、そもそも今の赤羽ではヴァーリには勝てない。禁手化に至っていないのでは無理だろう。実力も月とスッポンレベルの差がある。

 

 

「おっ、ファイナルステージだ!」

 

 

 俺は手元のゲーム機で遊んでいる。ゲームのタイトルは『MIGHTY ACTION X』。主人公のマイティがお菓子を食べてパワーアップして攻略するゲーム。

 

 ちなみに、今は放課後になっていて松田は部活の助っ人、元浜は『洋菓子店シャルモン』でバイトに行っている。

 

 

 俺は暇だったので、誰も居ない屋上で一人ゲームを楽しんでいる。

 

 

「いよっしゃあ!ノーミスクリア!ふぅー!」

 

 

 ゲーム機の画面には『GAME CLEAR!』が表示されている。

 

 

「やっぱり、あの人が作ったゲームは面白いなぁ。心が躍る!」

 

 

 ゲームに関して、あの人はマジで天才だと思う。いや、ゲームマスターだったな。

 あの人と言うのは、俺の精神世界に居る人物のことだ。克己さん以外にも数人存在するんだが、この話はまた今度にしよう。

 

 

 ゲームを再開しようと思った時、誰も居ない屋上にスマホの着信音が鳴り響く。

 

 

「はい、もしもし」

 

『あっ、一誠くん。今いいかな?』

 

「あぁ、ヴァーリか。どうした?」

 

『実は━━━━━━━』

 

 

 

 

 青かった空は茜色に染まり、俺は自宅の帰路に着いているが、俺の表情は今の空のように明るくはない。

 理由は、先程のヴァーリから電話の内容だ。

 

 

 なんでも、グレゴリ所属の幹部堕天使である『コカビエル』が天使勢力である教会から聖剣『エクスカリバー』を強奪したらしい。

 アザゼルさんは、その件で対応に追われているらしく、代わりにヴァーリが俺に連絡してくれたのだ。

 

 

 さらに最悪なことに、そのコカビエルがこの駒王町に潜んでいる可能性が高いということ。それを聞いた俺は、直ぐ様にカンドロイドを大量に駒王町全域に放った。そう簡単に見付かるとは思ってはいないが、何もしないよりはマシだろう。

 

 

 後、天使勢力が教会から二人のエクソシストを駒王町に派遣したそうだ。それも聖剣持ちの。

 やれやれ、何故この町はこうも厄介事に巻き込まれるのだろうか。勘弁して欲しい。

 

 

 頭の中で色々考えていると、アパートが見えてきた。アパートの敷地内に入ると、俺の部屋の玄関前にローブを着た二人の人物が居た。

 俺は相手には気付かれないように警戒体勢に入り、いつでも反撃できるようにする。

 

 

「あの、そこ俺の部屋なんですけど。何かご用ですか?」

 

 

 俺は二人に話し掛ける。

 すると、一人がフードを取り顔を見せた。茶髪のツインテールで、美少女に分類されるであろう程の少女だった。

 だが、俺はその顔に見覚えがあった。

 

 

「もしかして、イリナ?」

 

「覚えててくれたんだ!紫藤イリナだよ!久し振りだね、一誠くん!」

 

 

 これが、幼少期の幼馴染との再会で、教会から派遣されたエクソシストとの邂逅であった。

 

 

 

 

 




今回明かされた一誠くんの特訓方法。万全の克己さんと三十分戦えるなら、良い方じゃないですかね?
怪人や量産型ライダーとかの戦いは、ゲームのバトライドウォーとかをイメージしてくれればOKです!
感想をお待ちしてます!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第15話 降臨!チャリのヤベー奴!

次回もお楽しみに!


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第15話 降臨!チャリのヤベー奴!

お待たせしました!タイトルで分かる人が多いと思いますが、ゲンムの登場です!
そう、チャリは聖剣より強いのさ!
そして、今回はフリード・セルゼンの代わりとなるエクソシストが登場します。まぁ、登場するのはエクスカリバー編だけですけどね!

では、どうぞ!


「お茶どうぞ」

 

「ありがとう一誠くん!」

 

「すまない、頂くよ」

 

 

 イリナとの再会を果たした俺は、外で話すのもあれだったので、二人を部屋に招き入れた。

 

 

 俺は招き入れた二人にお茶を出して向き合うように座る。

 

 

「それじゃあ、改めて自己紹介をしよっか!と言っても、一誠くんは私の事を覚えてたから良いとして。私の隣に居るのがゼノヴィアよ!」

 

「ゼノヴィアだ。今はイリナと行動を共にしている。よろしく頼む」

 

「俺は兵藤一誠。イリナの幼馴染だ。よろしく、ゼノヴィアさん。イリナも」

 

「うん!」

 

「あぁ」

 

 

 俺達は互いに自己紹介を終える。

 幼馴染である紫藤イリナは、幼稚園時代によく一緒に遊んでいたことがある。

 でも、イリナのご両親の都合で小学校に上がる前に海外に行ってしまったのだ。

 

 

 そう考えると、イリナとは約十年振りの再会になるのか。月日が経つのは早いもんだなぁ~。

 幼稚園時代のイリナは、今と違い髪も短くて俺の男友達と一緒にヒーローごっこや鬼ごっこ等をして遊んでた為か、最初は同じ男だと思ってた時期があったな。

 

 

 後々、イリナ本人から『私は女の子だよ』と告白されたんだったかな?あまりの驚愕の出来事だったので覚えている。

 今では、昔とは比べ物にならない程の美少女になっちゃって。

 

 

 イリナの隣に居るゼノヴィアさん、彼女はクール系美少女だな。邪魔にならない程度の長さの髪に、落ち着いた雰囲気の持ち主。イリナとは見事に正反対だな。

 

 

 まぁ、ヴァーリの方が可愛いと思うけどね。

 

 

 俺が内心考えていると、イリナが話し掛けてくる。

 

 

「一誠くん……その……一誠くんのご両親の事なんだけど」

 

「あぁ、知ってるんだ」

 

「うん、まさか引っ越してるとは思わなかったから、一誠くんが前に住んでた家に向かったんだ。そしたら、家には誰も住んでないし、近所の人に聞いたらご両親が事故で亡くなって、一誠くんがここのアパートに引っ越したって聞いて」

 

「あぁ、それで合ってるよ。俺が中学二年生の頃に交通事故で……な。心配しなくとも、俺はこの通り元気だよ。いつまでも悲しんでたら、シャキッとしろ!って死んだ父さんと母さんに怒られちゃうからな」

 

「そっか。一誠くんが元気で私も安心したよ」

 

 

 そう言って、イリナは俺に微笑み掛ける。

 その後、俺達三人は昔話を交えて談笑した。ゼノヴィアさんに昔のイリナがどうだったかとか、二人の海外での生活はどうとか等。

 

 

 気付けば夕方になっており、二人は宿泊先であるホテルに帰っていった。二人が帰る際に、イリナから「夜は出歩るいちゃ駄目だよ!」と言われた。

 

 

 二人が帰った事だし、一度整理してみようか。

 イリナとゼノヴィアさん、二人は教会から派遣されたエクソシストだ。野暮用があって来たと言っていたが、恐らくコカビエルの聖剣強奪の件だろうし。

 何より、ゼノヴィアさんが傍らに置いていた布が巻かれた長方体の物。あれから、ヴァーリチームのメンバーであるアーサーが持っていた聖剣特有のオーラを微かに感じた。

 

 

 ヴァーリからの情報だと、コカビエルが強奪した聖剣は三本。

 『天閃の聖剣』(エクスカリバー・ラピッドリィ)

 『夢幻の聖剣』(エクスカリバー・ナイトメア)

  『透明の聖剣』(エクスカリバー・トランスペアレンシー)

 

 

 アーサーが所持している『支配の聖剣』(エクスカリバー・ルーラー)を含めて四本。

 

 

 残りは教会が保管している

 『破壊の聖剣』(エクスカリバー・デストラクション)

  『擬態の聖剣』(エクスカリバー・ミミック)

 『祝福の聖剣』(エクスカリバー・ブレッシング)

 

 

 の三本で、計七本あることになる。

 

 

 元々は一本だったエクスカリバーが、三大勢力による戦争中に折れてしまい、折れた聖剣を錬金術師が修復した結果、七本に分かれたそうだ。

 

 

「まぁ、なんで天使勢力がエクスカリバーを所持しているのかが疑問だけど……ん?」

 

 

 俺が考えに耽っていると、町全域に放った内の一体であるタカカンドロイドが窓の外からコンコンと叩いていた。どうやら何か発見したようだ。

 

 

 タカちゃんにコカビエルか?と聞いたら首を横に振られた。どうやら、発見したのはコカビエルではなくはぐれ悪魔らしい。

 

 

 久し振りに出たな、あの廃工場以来か。頼むから悪魔勢力もその辺の対応をちゃんとして欲しい。

 

 

「さて、確認しに行くか」

 

 

 部屋を出て、赤い薔薇を模したロックシードを取り出して解錠する。それを空中に放り投げると、巨大化してバイクに変形する。ロックビークルのサクラハリケーンと同型である薔薇を模したバイク『ローズアタッカー』である。

 

 

 俺はローズアタッカーに乗り、タカカンドロイドの後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 到着した場所は、木々に覆われた廃墟になった古い洋館。俺は少し離れた場所からその洋館を観察している。理由は……

 

 

「ちょっ、ゼノヴィア!そいつを殺しちゃ駄目だからね!」

 

「分かっている。捕縛して残りのエクスカリバーの在処を聞き出す!」

 

「ふっ、そう簡単に捕まりませんよ?」

 

 

 イリナとゼノヴィアさん、神父服を着た男が得物である剣を振るって戦っている。

 しかも、三人の剣から聖剣のオーラを感じる。恐らく、あれがエクスカリバーなのだろう。となると、あの神父服の男はコカビエルの仲間か?

 

 

「仕方ない、直接聞くか」

 

 

 俺はピンクのレバーが取り付けられた蛍光色が強い緑のバックル『ゲーマドライバー』を取り出し、下腹部に装着する。

 

 

 そして、服のポケットから『MIGHTY ACTION X』とラベルに書かれた紫色のグリップが付いたゲームカセット『プロトマイティアクションXガシャット』を右手に持ち、起動スイッチを押す。

 

 

 《 MIGHTY ACTION X!》

 

 

 ガシャットから音声が鳴り響くと、特殊な空間『ゲームエリア』が展開される。俺の背後には紫色のゲーム画面が出現し、そこから幾つもの茶色のブロックがゲームエリア内に散らばる。

 右手を前に出し、ガシャットを半回転させて、ドライバーの中央よりのスロットに装填する。

 

 

「……変身」

 

 《ガシャット!》

 

 《レッツゲーム! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム!?》

 

 

 ガシャットをスロットに装填すると、キャラが描かれた複数のパネルが俺の回りに出現し、目の前にきたパネルを左手でタッチする。タッチすると『Select!』という文字が浮かび上がり、他のパネルが弾け飛び、タッチしたパネルが俺を包み込む。

 

 

 《アイム ア カメンライダー!》

 

 

 次の瞬間、俺の体はギザギサ頭でずんぐりとしたゆるキャラのような姿【仮面ライダーゲンム アクションゲーマーレベル1】に変身した。

 

 

「……グレード2」

 

 《ガッチャーン! LEVEL UP!》

 

 

 静かに告げ、ドライバーのレバーを展開する。

 

 

 《マイティジャンプ! マイティキック!》

 

 

 ドライバーから紫色のディスプレイが放出され、体を通り抜ける。すると、レベル1のボディが分離し、大きさは元の等身大に戻る。

 

 

 《マイティーアクショーン! エックス!》

 

 

 黒のアンダースーツには複数の紫のラインが走り、背中には瞳がないレベル1の頭部が装着され、ギザギサの黒い頭部、胸部装甲にはコントローラーのボタンを模した管理モジュール『エクスコントローラー』が配置され、自身の残存体力を表示する『ライダーゲージ』が表示されている。

 

 

 自らをゲームマスターと名乗り、終には神となった黒きエグゼイド(救済者)【仮面ライダーゲンム アクションゲーマーレベル2】へと変身を遂げる。

 

 

「コンティニューしてでもクリアする!」

 

 

 俺はコンティニュー出来ないけどな。

 

 

 レベルアップした俺は、グリップナックルと呼ばれる物に紫色のパッド型武器と合体した『ガシャコンバグヴァイザー』を右手に持ち、洋館で戦闘を行っている三人の元へ歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 ▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 何故、ホテルに向かった筈のイリナとゼノヴィアが廃墟になった洋館で強奪されたエクスカリバーの内の一本である天閃の聖剣を持ったはぐれエクソシストと戦っているのか。

 

 

 単に、道に迷っただけなのだ。

 

 

 事の発端は、ホテルに向かう最中にイリナの「こっちに行けば近道になるよ!」という発言が切欠である。

 ゼノヴィアは駒王町の土地勘を完璧に把握していない為、最初は断ったのだ。

 だが、イリナが「絶対に大丈夫だよ!」としつこく言ってきたので諦めたのである。約十年前とは言え、イリナは駒王町に住んでいた。なので信じて付いて行ったのだが、案の定、道に迷った。

 

 

 住宅街から離れていて、気が付けば木々が生い茂る場所に居たのだ。

 

 

「ハァ~、やはり道に迷ったか」

 

「ちょっと!なによその溜息!」

 

「溜息も出るさ。あれだけ自信満々に言っていた結果がこれなのだから」

 

「うっ!?」

 

 

 イリナはゼノヴィアの溜息に文句を言おうとしたが、彼女に痛いところを突かれた為、何も言えなくなった。

 

 

「仕方ない。早くここから抜け出してホテルに向かおう。明日はこの町の管理者であるリアス・グレモリーと会うことになっているんだ。ホテルに帰って明日の為に早く休みたいんだ」

 

「わ、分かってるわよ」

 

 

 そう、ゼノヴィア達は明日にこの町の管理者であるリアス・グレモリーと会う約束があるのだ。教会から聖剣エクスカリバーがコカビエルによって強奪され、この町に潜伏していることと、今回の件には関わらないで欲しいということをだ。

 

 

 二人は来た道を引き返そうとした時、二人の耳に叫び声が聞こえたのだ。

 

 

「ッ!イリナ!」

 

「分かってる!」

 

 

 二人は急いで声のした方向に走る。暫くすると、古い洋館が二人の視界に入った。見た所、もう何年も使われていない廃墟された洋館のようだ。その証拠に洋館の屋根はボロボロで、窓ガラスも一部皹が入っていたり、割れたりしている。

 

 

 二人はその洋館を見て、あることに気付く。玄関と思われる扉が開いていることと、その奥から微かに血の臭いがすることに。

 

 

 イリナは、懐から長い紐を取り出した。その紐は意思を持ったかのように動き出し、形を変えて一本の日本刀と化した。これこそ、紫藤イリナの持つ擬態の聖剣の能力。形を自由自在に変えられるのだ。

 

 

 ゼノヴィアは、長方体に巻かれていた布を外し、中身が露になった。出てきたのは一本の長剣。その剣から発せられるオーラは、悪魔が見たら体が震えてしまうだろう。それ程のオーラを解き放っている。これこそ、ゼノヴィアが持つ破壊の聖剣である。

 

 

 開いている扉に近付き、二人はアイコンタクトを取る。

 次の瞬間、二人は一気に中に駆け込んだ。中に入ると、血の臭いが一気に増した。洋館の中は月の光で照らされており、電気が付いていなくてもよく見えた。

 

 

 視界に映ったのは、死体だ。それもはぐれ悪魔の。はぐれ悪魔の死体からは血が流れて池を作っていた。

 その傍らには、神父服を来た一人の男性が佇んでいた。

 だが、何よりも彼女達が注目したのは男が持っている剣だった。

 

 

「おや?まさか人が来るとは。しかも、その格好から察するに、同業者ですか」

 

「貴様、ここで何をしている?」

 

「見れば分かる通り、はぐれ悪魔を討伐していたのですよ。はぐれですが、私も一応エクソシストなのでね。

 それと、この剣の試し切りも兼ねていますがね」

 

「じゃあ、やっぱりその剣は……!」

 

「えぇ、貴女方がお持ちになっている剣と同じですよ。天閃の聖剣、それがこの剣の名です」

 

 

 二人の予想通り、男が持っていたのは聖剣だった。それも、コカビエルが強奪した三本の内の一本である。

 ゼノヴィアは更に男に問い掛ける。

 

 

「その聖剣を持っているということは、貴様はコカビエルの仲間か?」

 

「その通り。先日、コカビエルさんに声を掛けられましてね。面白そうだったので協力しているんですよ」

 

「やけに素直に話すはね貴方。そんなに喋ってコカビエルに怒られないの?」

 

「コカビエルさんは、そんな細かい事は気に留めませんよ。さて、折角ですので貴女方で試させて貰いましょうか。このはぐれ悪魔では、物足りなかったので」

 

 

 男は天閃の聖剣をイリナとゼノヴィアに向ける。二人も聖剣を構えていつでも対処できる体勢に入る。

 

 

「行きますよ!」

 

「イリナ!行くぞ!」

 

「勿論よ、ゼノヴィア!」

 

 

 そして今に至るわけなのだが。

 

 

 戦闘を開始してから既に数十分が経過しているが、一向に決着が着かない。

 そんな中、男が二人に向けて口を開く。

 

 

「聖剣の試し切りは充分ですので、私はそろそろ退散させて貰いますね」

 

「我々が逃がすとでも?」

 

 

 男は退散しようと目論むが、イリナとゼノヴィアはそれを阻止しようとする。

 三人は拮抗した状態に陥り、どうするかと思案する。

 

 

 そんな時だった。

 

 

 《チュ・ドーン!》

 

 

「「「ッ!?」」」

 

 

 そんな機械音声が洋館に鳴り響き、三人の足下に紫色の光弾が着弾する。

 

 

「誰です!」

 

 

 男が声を張り上げる。だが、返事は返ってこない。

 次の瞬間、再び洋館内に音声が鳴り響く。

 

 

 《 SHAKARIKI SPORTS! 》

 

 

 洋館内に緑色の何かが行き渡る。

 何が起きているのか分からず、三人が困惑する中、それは現れた。

 

 

 洋館の窓ガラスをぶち破り、侵入してきたのは黄緑色のマウテンバイク━━スポーツゲーマに乗るゲンムだった。

 

 

「なに!?」

 

「なんだ!?」

 

「じ、自転車?」

 

 

 ゲンムはスポーツゲーマを乗りこなし、男に攻撃する。前輪や後輪をぶつけたり、ドリフトの要領で男を転ばせる。

 

 

 イリナとゼノヴィアはポカーンと口を開けていた。聖剣を持った相手に自転車で挑むというシュールな光景を見れば誰でもそうなるだろう。

 しかも、相手を圧倒しているのだから尚更。

 

 

「誰なんだ、奴は?」

 

「凄い。自転車ってあんな使い方があるんだ」

 

 

 恐らく、世界中を探してもマウテンバイクを攻撃に使ったり、聖剣を持った相手に挑む者などゲンムだけだろう。

 

 

「くっ!もしや、貴方がコカビエルさんが言っていた仮面ライダーですか!」

 

「それがどうした?」

 

「いえ、コカビエルさんが要注意人物と言っていたので、興味がありましてね」

 

「そうか、興味ないな。いいから、さっさとその聖剣を置いていけ」

 

 

 エフェクトの掛かった声でそう言うと、ゲンムはスポーツゲーマから降りて、左腰の『ガシャットホルダー』から既に起動済みのシャカリキスポーツのガシャットを左で持ち、ドライバーのレバーを戻して、ドライバーのもう一つ空いているスロットにガシャットを装填し、レバーを開く。

 

 

 《ガッチョーン!》

 

 《ガシャット!》

 

 

「グレード3」

 

 《ガッチャーン! LEVEL UP!》

 

 

 音声が鳴ると、スポーツゲーマが変化する。先程よりも小さくなり、色も所々変わっていた。

 

 

 《マイティジャンプ! マイティキック! マイティーアクショーン! エックス! アガッチャ!》

 

 

 スポーツゲーマがゲンムの周りをグルグルと走り回る。ゲンムの頭上に飛び上がり、そのまま頭から被さる。

 

 

 《シャカリキ! シャカリキ! バッド! バッド! シャカッと! リキッと! シャカリキスポーツ!》

 

 

 頭部にはスポーツヘルメット、胸部にはガードアンプリファーと呼ばれる防御力増幅装甲が装着され、両肩には投擲武器の『トリックフライホイール』が装備される。

 

 

【仮面ライダーゲンム スポーツアクションゲーマーレベル3】である。

 

 

「なっ!?」

 

「自転車が!?」

 

「鎧になった!?」

 

 

 《ガッシューン!》

 

 《ガシャット!》

 

 《キメワザ!》

 

 

 ドライバーからシャカリキスポーツガシャットを抜き、左腰の『キメワザスロットホルダー』に装填し、ボタンを押す。

 

 

 右肩のホイールを外して右手に持つと、ホイールに独特な色を持ったエネルギーが充填され、エネルギーが溜まると再びボタンを押した。

 

 

 《 SHAKARIKI! CRITICAl STRIKE! 》

 

 

 膨大なエネルギーを纏い、表面が鋭利な刃に変化したホイールを勢いよく、男に向かって投擲した。

 男は、聖剣の腹で攻撃を受け止めようとするが……

 

 

「グァアアアアアアアアッ!!!」

 

 

 《会心の一発!》

 

 

 男が考えていた範疇を超えたパワーと威力で聖剣では防げず、男は後ろに吹き飛び壁に激突し、聖剣は彼の手から離れてしまった。

 だが、ここで予想外の事件が発生した。

 

 

「嘘でしょ!?」

 

「天閃の聖剣が、折れただと!?」

 

 

 男の手から離れた天閃の聖剣は、ゲンムの攻撃で真ん中から二つにへし折られたのだ。

 これには、ゲンム以外の全員が驚愕した。

 

 

 折った張本人は「なんだ、柔な剣だな」とちょっと落胆していた。

 

 

「くっ!」

 

 

 壁に激突した男が懐から何かを取り出して、三人の居る方に向かって投げる。

 瞬間、強烈な光が洋館を包んだ。閃光弾である。

 光が晴れると、そこには男の姿はなかった。目眩ましをしている間に逃げたようだ。

 

 

「……」

 

 

 ゲンムは無言でその場を立ち去ろうとするが、ゼノヴィアが声を上げる。

 

 

「待て!お前は一体、何者なんだ?」

 

 

 ゼノヴィアが問い掛けた言葉に、ゲンムは静かな声で返答する。

 

 

「仮面ライダー、ゲンム。それが私の名だ」

 

 

 言い終えたと同時に、いつの間にか右手に装備していた『ビームガンモード』のガシャコンバグヴァイザーをゼノヴィアとイリナの足元に向けて光弾を発射した。

 

 

 着弾してことで土埃が舞い上がり、晴れるとゲンムの姿はどこにもなかった。

 

 

「仮面ライダーゲンム……か。明日、リアス・グレモリーに聞くことが増えたな」

 

「それよりゼノヴィア、聖剣を回収しないと」

 

「あぁ、そうだな。折れてしまったが、まさか初日で一本奪還できるとはな」

 

「まぁ、教会の錬金術師の皆さんは泣くと思うけどね」

 

 

 ゼノヴィアはゲンムに興味を持つが、それは後回しにして、二人は折れた聖剣を回収し、洋館から出る。今度こそ、宿泊先のホテルに向かうのだった。

 

 

 




いやー、ゲンム登場ですよ。出したかったんですよね!
はい、フリードの代役としてはぐれエクソシストに登場して貰いました。名前は次回に判明するかな?

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第16話 デンジャラスなヤベー奴!

次回もお楽しみに!予告詐欺にならないように頑張ります!

感想お待ちしてます!



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第16話 デンジャラスなヤベー奴!前編


お待たせしました!そしてすみません。今回、急遽前編と後編で分けることにしました。申し訳ありません!
そして、遂に不死身のゾンビが登場します!

では、どうぞ!


 

 

 

 

 俺は今日もいつも通りに学校に登校し、教室の自分の席で昨夜のことを振り返る。

 

 

 昨夜の戦いの後、部屋に戻った俺は念の為にアザゼルさんに報告した。教会から派遣された二人のエクソシストであるイリナとゼノヴィアさんの事、コカビエルの仲間であるはぐれエクソシストの事、俺が天閃の聖剣をへし折ったこと。

 

 

 違うんだよ。聖剣に関しては俺も想定外だったんだよ。まさか本当に折れるとは思ってなかったんだ。寧ろ、エクスカリバーがあんなに脆かったことに驚愕したよ。

 

 

 つーかヤベーよ。BMXで、チャリで聖剣折っちゃったよ。聖剣がチャリに負けちゃったよ!

 

 

 あのエクスカリバーは『チャリに負けた』という運命を背負うことになっちゃったよ!

 

 

 この事をアザゼルさんに言ったら電話越しで「ファッ!?」って言う声を上げてた。そうだよね。伝説の聖剣がチャリに折られたんだから。

 

 

 まぁ、強奪された三本の内の一本を取り戻せたんだから結果オーライだよね!折れちゃった聖剣は、教会専属の錬金術師さんが直してくれるだろうし。

 世の中、ポジティブに生きて行かなきゃ!

 

 

 それより、俺は今気になっていることがある。

 今日の放課後、グレモリー眷属が所属している部活━━━━オカルト研究部にイリナとゼノヴィアさんが訪れることになっているらしい。

 

 

 なんで知ってるかって?昨日の洋館での戦闘が終わった後、二人の前から撤退したと見せ掛けて、実は洋館内に居たんだよね。

 そしたら、ゼノヴィアさんが「明日、リアス・グレモリーに聞くことが増えたな」とか言ってるのを聞いたからだ。

 

 

 まぁ、主な内容はコカビエルの事だろう。この町に潜伏しているのは間違いないのだから。後は、俺の事、つまり仮面ライダーについてだろうな。

 ちなみに、俺はそのグレモリー眷属と二人のエクソシストの話を盗聴する気でいる。悪いことなのは分かってるけど、やっぱり気になるしね。

 

 

「盗聴するなら、カンドロイドを使うよりシフトカーの方が良いかな?」

 

「オーース!一誠おはよう!」

 

「おはよう一誠。それと松田、朝から元気なのは良いが少し喧しいぞ」

 

「おー、松田と元浜か。おはよう」

 

 

 俺が考え込んでいると、松田と元浜が教室に入り挨拶してきた。考え事を後回しにして、俺は二人とホームルームが始まるまで他愛もない話をした。

 時間が経ち、1限目の授業が始まる。

 

 

 1限目が始まって数分後、俺は自分の精神世界に行こうと考えだした。

 

 

(本来、授業中は寝ないことにしてるんだけど。どうしてもあの人に用があるんだよなぁ)

 

 

 俺は寝ている間だけ、精神世界に行くことが可能なのだ。中学の頃も、何回か授業中に寝て精神世界で修行をしていた時期がある。ある人物に、授業はちゃんと受けた方がいいと言われたのを切っ掛けにやめて、基本的に夜の睡眠中のみにしたのだが、今回は少しばかり急用なので見逃して欲しい。

 

 

 幸い、1限目の授業は俺にとって難しい科目ではないのでチャンスなのだ。

 

 

 流石に何も出さずに寝るのはあれなので、俺は机の上に教科書とノートを開いてシャーペンを右手に持った状態で目を閉じる。

 

 

 次に目を開けると、そこは教室ではなく灰色の空間がどこまでも続く俺の精神世界。目の前には不自然に一つの扉がある。扉の隣の壁には『檀 黎斗神』と書かれた高級そうな掛け軸が掛かっている。

 

 

 俺は扉の前まで歩き、扉をノックする。

 

 

「黎斗神さーん、兵藤一誠です。居ますかー?」

 

 

 この扉の中に居るであろう人物に声を掛けたが、返事がない。

 

 

「鍵は開いてるか……入りますよ」

 

 

 俺はドアノブを回し、中に入る。部屋の中は大量の機材とそのコードが配置されており、複数の作業用デスクの上にはパソコンが置かれている。

 そんな部屋の中央に黒いスーツを着た男性を見付ける。なにやら作業中のようで、もの凄い早さでキーボードをタイピングしながらパソコンの画面を凝視している。

 

 

 この部屋の住人である人物の元に近付き、声をかける。

 

 

「黎斗神さーん、兵藤一誠です。聞こえてま「私のクリエイティブな時間の邪魔をするなぁあああああ!!」ウェイッ!?」

 

 

 彼は檀黎斗神、この部屋の主である男性の名前であり、俺がプレイしているゲーム『MIGHTY ACTION X』の開発者であり、仮面ライダーゲンムの初代変身者でもある。

 

 

 つーか耳痛い!耳がキーン!てなってるから!

 

 

「す、すみません。邪魔するつもりはなかったんです」

 

「ん?あぁ、君か。用があるなら手短に頼む。見ての通り、私は作業で忙しいのでね」

 

「えっとですね。ガシャットとバグルドライバーの調整状況が知りたくて」

 

「それなら終わっている。ほら、受け取りたまえ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 黎斗神さんから受け取ったのは、『バグスターバックル』と呼ばれる物とガシャコンバグヴァイザーが合体した『バグルドライバー』。

 もう一つは、グリップ部分が白く、ラベルにはジーパンとボロボロになった服を着て、マスクとバイザーを装着した男が描かれているガシャット。

 タイトルは『DANGEROUS ZOMBIE』と書かれている。

 

 

「全く、もう少し大切に扱って貰いたいな。いくらレベルXに昇華させたいとは言え、大道克己を相手に無茶をする」

 

「返す言葉がございません!」

 

 

 デンジャラスゾンビは、一定の『死のデータ』を集めるとレベルX(テン)から『レベルX(未知数)』にパワーアップするのだが、死のデータが中々集まらないのでデンジャラスゾンビガシャットを用いて変身したゲンムの状態で致死ダメージを受け続ければ、死のデータも充分蓄積するのでは?という結論に至り、克己さんと戦ったのだ。特訓にもなるし、死のデータも集まる。正に一石二鳥!

 

 

 結果、一日で集まった。

 レベルX(未知数)にパワーアップしたのは良いんだけど、凄い疲れた。18回から数えてないけど、とにかく何回も致死ダメージを受けた。克己さんも「不死身のゾンビか、少しは楽しめそうだ」とか言っていつも以上にバードな戦闘になった。

 

 

 しかも、その戦闘で使用していたガシャコンウェポンが大破、バグルドライバーにも軽くダメージを負った為、黎斗神さんに修理をお願いしたんだ。

 

 

 ちなみに、昨夜使用していたガシャコンバグヴァイザーは予備の物を使っていた。

 

 

「これからは気を付けて扱ってくれ」

 

「はい、本当にすみませんでした。あっ、もう一つ俺が頼んだ方はどうなっていますか?」

 

「それなら、今作業中だ。急ぎではないのだろう?」

 

「えぇ。今回はデンジャラスゾンビで大丈夫です」

 

 

 今回、コカビエルと相手をするのならデンジャラスゾンビを使おうと思っている。

 そしてもう一つ、俺は黎斗神さんに頼み事をしている。どうやら、俺が声を掛けるまでその作業をしていたようだ。

 

 

 その証拠に、黎斗神さんのデスクの上に色違いのバグヴァイザーと表が黒で裏が緑で塗装されたガシャットが専用の機材にセットされている。

 

 

「用はそれだけかな?私は早く作業に戻りたいんだが」

 

「すみません、作業の邪魔をしちゃって。それじぁ、帰りますね。バグヴァイザーとガシャット、ありがとうございます」

 

 

 そう言って、俺は部屋から退出した。

 

 

 

 

 

 精神世界から現実世界に戻った後、俺は普段通りに授業を受ける。昼休みは松田と元浜と一緒に昼食を食べ、午後の授業を受ける。

 

 

 午後の最後の授業が終わり、ホームルームが終了すると放課後になった。

 

 

 俺はアパートに直帰し、部屋の椅子に座りながらオカルト研究部の部室に潜入させたシフトカー『シフトネクストスペシャル』が見ている光景を『カラフルコマーシャル』を通して、3D映像として投影してくれている。

 

 

 映像にはイリナとゼノヴィアさん、グレモリー先輩が向かい合う形でソファーに座っている。

 そして、話を切り出したのはイリナだった。

 

 

『先日、カトリック教会本部ヴァチカン及びプロテスタント側から正教会側に保管・管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました』

 

『聖剣エクスカリバーを盗まれるなんて、とんだ失態ね。』

 

『強奪した主な連中は把握している。グリゴリの幹部堕天使のコカビエルだ』

 

『コカビエル……三勢力の戦争を生き抜いた堕天使。まさか、聖書にも記されている者の名前が出されるとはね』

 

 

 それからも話は続いた。コカビエルが強奪した聖剣と共にこの駒王町に潜伏している事。エクスカリバー争奪戦の際、この町に巣食う悪魔が一切介入してないで欲しいという事。

 

 

 グレモリー先輩はそれらを受諾。

 そこからは、ゼノヴィアさんの質問が始まった。俺が思っていた通り『仮面ライダー』についての事だった。

 ゼノヴィアさんが昨夜の出来事を話すと、グレモリー先輩達が驚愕の顔になった。自分達の知らないライダーが現れたのだから仕方ないか。

 

 

 グレモリー先輩はゼノヴィアさんにフィフティーンとリュウガの特徴を教え、それに対しゼノヴィアさんは満足そう頷いた。

 

 

『情報提供に感謝する。我々はそろそろ退室するとしよう。イリナ』

 

『了解!』

 

 

 二人が部室の出入り口に向かおう歩き出した時、グレモリー先輩の後ろで控えていた木場祐斗が行く手を阻むように彼女達の前に出た。

 

 

『君は?』

 

『君達の先輩だよ。失敗作だったけどね』

 

 

 

 

 

「ふぅ~、まさか彼がそんな過去を持っているとは」

 

 

 そこからは怒濤の展開だった。

 木場祐斗が『聖剣計画』と呼ばれる計画の生き残りで、聖剣エクスカリバーを憎んでいること。

 

 

 そんな木場君が喧嘩を売り、それをゼノヴィアさんが買った。イリナはあまり乗り気じゃなかっけど。

 そして始まった二人の戦い。結果はゼノヴィアさんの勝ちだった。憎き聖剣が目の前にあるせいか、スピードが売りの木場君の動きは普段より雑で、太刀筋も滅茶苦茶だった。彼がどれだけ聖剣を憎んでいるのかが分かったが、あれでは聖剣を破壊するのは到底無理だろう。

 

 

 チャリで聖剣をへし折った俺が言うのもなんだけどさ。

 

 

 戦闘が終了すると同時に、シフトネクストスペシャルを呼び戻した。今は俺の部屋の机の上に居る。

 

 

「あの様子だと、一人で聖剣を破壊するとか言って行動しそうだな」

 

 

 今の木場君ならやりかねない。グレモリー先輩の命令を無視してでも行動するだろう。それ程、木場君の頭の中はエクスカリバーで一杯なのだ。

 

 

 正直、俺は早くこの件を解決したいと考えている。アザゼルさんの情報だと、コカビエルは生粋の戦闘狂。エクスカリバーを強奪したのも天使勢力にちょっかいを掛け、魔王の妹であるグレモリー先輩が管轄するこの町で騒ぎを起こせば、高確率で戦争に発展するだろう。

 

 

 エクスカリバーとコカビエルの件は早々に終わらせる。コカビエルが本気になれば、この町が消し飛ぶことになるだろう。

 木場君には悪いけど、彼の復讐とこの町の命運、俺は後者を選ばせて貰うよ。

 

 

 

 

 

 翌日の放課後、赤羽が搭城さんを引き連れてどこかに向かうのを見掛けた。何をするのだろうか?

 

 

 いや、それよりも朗報がある。カンドロイド達がコカビエル達の潜伏先を発見した。場所は町外れの建物だ。上空からタカちゃんに掴まっているバッタカンドロイドから送られてくる映像で、コカビエルと例のエクソシストが謎の老人と出入りしてたのを確認した。

 

 

 映像を確認すると、数分前にエクソシストと謎の老人の二人は建物から出て来て、そのままどこかへ向かっていった。

 現在、建物の中にはコカビエルしか居ないことになる。

 

 

「……行くとするか」

 

 

 俺は椅子から立ち上がり、バグルドライバーとデンジャラスゾンビガシャットを持って部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 駒王町の外れに存在する建物。今では廃墟になっており、人は誰も住んでいない。

 そんな建物に、装飾の凝った黒いローブに身を包んだ男が居た。この男の名前はコカビエル。天使勢力から三本の聖剣エクスカリバーを強奪し、魔王の妹が管轄しているこの駒王町に潜伏している堕天使である。

 

 

 そんな、コカビエルの表情はあまりよろしくなく、眉間に皺を寄せている。原因は、自分で雇ったはぐれエクソシストである『アンドレイ』が、仮面ライダーに聖剣をへし折られ、それを教会から派遣されたエクソシストに聖剣を回収された事だ。

 

 

 コカビエルは聖剣が回収されたことについては特に何も言わない。回収されたのならまた奪えばいいだけの話なのだ。

 だが、回収された聖剣が折られたという事が問題だった。

 

 

「仮面ライダー……余計な事をしてくれたな」

 

 

 折角、強奪した聖剣をお釈迦にされ、計画に少し変更を余儀なくされた。

 いや、コカビエルにとって聖剣はどうでもいいのだ。コカビエルの目的は『三勢力による戦争』を始めることだ。何百年も前に冥界で起きた戦争、それを再び引き起こすために行動を起こしたのだ。

 

 

 だが、仮面ライダーの存在でその目的が果たされない可能性が出てきたのだ。

 

 

(奴は必ず、俺の邪魔をしにやって来るだろう。アンドレイから聖剣を奪ったのがその証拠だ。

 やはり、計画は今夜実行するべきか。なら、派遣されたエクソシスト共から聖剣を奪わなくてはな)

 

 

 コカビエルが考えを纏め終える。計画を実行するために聖剣を奪いに行こうと行動を起こそうとした、その時……

 

 

 

 

 《STAGE SELECT!》

 

 

 

 

「むっ!?なんだ!」

 

 

 建物内に機械音声が響くと、風景がガラリと一変する。

 先程まで、薄汚れたコンクリートの壁でできた部屋に居た筈が、いつの間にかどこかの採掘場のような場所に移動していたのだ。

 

 

「一体何が……!」

 

 

 何が起きたのか戸惑うコカビエルだが、背後から人の気配を感じ、即座に振り向く。

 

 

 振り向いた先には、黒のズボンに黒のジャケットという全身を黒い服装で身を包み、下腹部にはバグルドライバーを装着した男、兵藤一誠が腕をくんで佇んでいた。一誠はコカビエルを視界に捉え、口を開く。

 

 

「何度かグリゴリにお邪魔しましたけど、貴方に会うのは初めてですね。コカビエルさん」

 

「グリゴリに?それにそのベルト……そうか、貴様が仮面ライダーの正体か」

 

 

 一誠は何度かグリゴリに行ったことがあるが、コカビエルと会ったことは一度もないのだ。

 そもそも、コカビエルは普段からグリゴリに顔を出すことが少ない。各地をプラプラしたり、自主鍛練をしていることが殆どなのだ。

 

 

「俺の邪魔をしに来たのか?」

 

「そういうことになりますね。一つ聞きたいんですけど、貴方の目的は三勢力による戦争を再び引き起こすですか?」

 

「その通りだ。俺は戦争を始める!あの時の続きを!サーゼクスとミカエルにも、その他の種族共にも見せ付けてやるのだ!堕天使こそが最強の種族だということをな!」

 

 

 コカビエルは高らかに告げる。再び戦争を引き起こす理由を。自分達、堕天使が最強の種族と証明するために。

 

 

「手始めに、この町を消滅させる!サーゼクスの妹が存在するこの町を妹ごと消し去れば、サーゼクスも本気になるだろう!そしてミカエルの天使せいr「もういい」っ!?」

 

 

「もういい、黙れ」

 

 

 一誠から放たれる膨大な殺気に、コカビエルは冷や汗を垂らす。

 一誠は懐からデンジャラスゾンビガシャットを取り出し、それを右手に持つ。

 

 

「あんた、やっぱり害悪だよ」

 

「なんだと!」

 

「あんたみたいな害悪は、俺が削除する」

 

 

 そして、一誠は右手に持ったガシャットのスイッチを押す。

 

 

 《 DANGEROUS ZOMBIE! 》

 

 

 一誠の背後に、デンジャラスゾンビのゲーム画面が出現する。ドライバーから不気味な待機音が鳴り響く。ガシャットを持った右腕を横に伸ばす。

 

 

「変身!」

 

 《ガシャット! バグルアップ!》

 

 

 ガシャットをバグルドライバーにセットし、ドライバーの赤いボタン『バグルアップトリガー』を押す。

 次の瞬間、ドライバーから膨大な波動と闇の霧が出現して一誠を包み込む。

 

 

 《デンジャー! デンジャー!(ジェノサイド!) デス・ザ・クライシス!》

 

 

 一誠は目の前に出現したディスプレイに腕を突き刺して穴を開け、そのまま全身で突き破ると姿が変化した。

 

 

 《デンジャラスゾンビ!(Wooooo!)》

 

 

 闇の霧が晴れ、現れたのはゲンム。

 しかし、紫と黒を基調としたアクションゲーマーとは異なり白と黒を基調としており。左目のカバーが外れて水色のオッドアイに変化した複眼、頭部の一部が白髪になっている。

 胸部のライダーゲージは0を表示しており、左肩にはスパイクが装備されている。

 

 

 その姿は、外骨格を模した不気味な格好になっていた。

 

 

 死のデータを蓄積し、レベルXへと昇華した不死身のゾンビ【仮面ライダーゲンム ゾンビゲーマーレベルX】である。

 

 

「それが仮面ライダーか、面白い!」

 

「コカビエル、貴様を削除する!」

 

 《ガシャコンスパロー!》

 

 

 ゲンムの周囲を一つのパネルが一周すると、弓型のガシャコンウェポン『ガシャコンスパロー』がゲンムの手に収まる。

 

 

 今ここに、戦争狂の堕天使と不死身のゾンビがぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 




はい、ゲンム ゾンビゲーマーの変身回になりました。
さらっと登場した黎斗神さん。きっと、ゴッドマキシマムマイティXとか作ってくれますよ。
感想お待ちしてます!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第17話 デンジャラスなヤベー奴 後編

次回もお楽しみに!


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第17話 デンジャラスなヤベー奴!後編


なんとか書き上げました!コカビエルとの決着、そして後日談です!
ゲンム ゾンビゲーマーを出せて、私は満足だ!
活動報告でアンケートをやっていますので、もし宜しければご参加下さい。

それでは、どうぞ!



 

 

 ゲンムのステージセレクトによって選ばれた採掘場。その採掘場では、爆発音や衝撃音が鳴り響いている。

 

 

 

 

 グリゴリの幹部堕天使━━━コカビエル

 

 

 仮面ライダーゲンム━━━━兵藤一誠

 

 

 

 

 この二つの存在が採掘場で激しい戦闘を繰り広げている。

 

 

 コカビエルが背中から漆黒の翼を10枚広げ、上空に上がる。自身の回りに光の槍を同時に十本、二十本と出現させ、ゲンムに目掛けて放つ。その一本一本は、前に戦った下級堕天使のレイナーレが扱う光の槍とは比べ物にならないほどの力を宿している。

 

 

 その攻撃に対し、ゲンムは右手に持った弓型のガシャコンウェポン━━━━ガシャコンスパロー『弓モード』を向かってくる光の槍に狙いを定めてトリガーを引く。

 ガシャコンスパローのアローエリミネーターと呼ばれる発射装置から貫通力の優れた光の矢が発射され、一発、二発、三発と、スパローから光の矢を次々と発射し、コカビエルの放った光の槍を撃ち落としていく。

 

 

「一発も外さず撃ち落としたか……大した射撃能力だな。ならば、近接戦はどうだ!」

 

 

 コカビエルは、自ら放った光の槍を一つも漏らさず撃ち落としたゲンムの射撃能力に舌を巻く。コカビエルはゲンムと近接戦闘をするべく、左右の手に光の槍を握りしめてゲンムに向かって急降下する。

 

 

 コカビエルの行動を察したゲンムは、スパローのコントロールパネルである『アタックラッシュパッド』のAボタンを押す。

 

 

 《ス・パーン!》

 

 

 すると、スパローが真ん中から二つに分離した。ガシャコンスパロー『鎌モード』に移行したのだ。これにより、ゲンムは近接戦闘が可能になった。

 

 

 接近したコカビエルは左手に握った槍を振り降ろし、ゲンムはそれを右手のスパローで防ぐ。光の槍とスパローが切り結び、火花を散らす。

 

 

 そこから、二人の戦いはさらに苛烈さを増していく。

 両手に持った光の槍を巧みに操り、ゲンムに襲い掛かるも、ゲンムは鎌モードのスパローで防ぎ、時には弾いたりなどで応戦する。

 暫く斬り合っていると、コカビエルの片方の槍が砕け散る。それを機に、ゲンムは攻撃に転じる。スパローで残りの光の槍を破壊し、コカビエルのボディに蹴りを叩き込む。

 

 

「フハハハハハッ! やるじゃないか、仮面ライダー! 心が躍ってきたぞ!」

 

「俺は全然だよ」

 

 

 ボディに直接叩き込んだにも関わらず、コカビエルは全くダメージを受けたようには見えない。それもその筈、蹴りを叩き込まれる瞬間に後ろに飛んでダメージを減らしたのだ。

 

 

 ゲンムはコカビエルとの距離を一瞬で詰め、スパローを一閃。一瞬で距離を詰められたことにコカビエルは内心驚くが、再び後ろに飛ぶことで攻撃をかわす。

 だが、完全にかわすことが出来ず、着ていた服と一緒に腹部を軽く斬られてしまう。その証拠に、斬られた所から出血している。

 

 

 コカビエルは翼を広げ、再び空に上がる。

 

 

「貴様との戦いは楽しいが、俺にも予定があるのでな。そろそろ終わらせてやる!」

 

「へぇ~、やってみろよ」

 

「後悔するなよ! 小僧ッ!!」

 

 

 そう言うと、コカビエルは光の槍を作り出す。

 しかし、その槍は先程のとは比べ物にならない程の大きさである。太く大きいそれは、槍と言うより柱に近いかもしれない。

 

 

「くたばれ! 仮面ライダー!」

 

 

 叫ぶと同時に、巨大な槍は猛スピードで放たれ、ゲンムに直撃した。巨大な爆発音と振動が採掘場に響き渡る。

 

 

 爆発の影響で、ゲンムが居た場所を中心に土煙が舞っている。

 それを、上空から見下ろしているコカビエルが口を開いた。

 

 

「……やったか」

 

 

 だが、その台詞を裏切る結果になる。

 

 

 数分後に土煙が晴れ、コカビエルの目に写ったのは、大の字で地面に倒れ伏すゲンムだった。威力の高い攻撃を直撃したのだ、もう立ち上がることはないだろうとコカビエルが思った矢先、ゲンムに変化が起きた。

 

 

 ゲンムの体から黒と紫の粒子状の何かがが発生し、まるでゾンビのような不気味な挙動で起き上がったのだ。

 

 

「ハァーーー……」

 

 

 起きた上がったゲンムは、首や肩を軽く回したり等をして体を確かめる。

 

 

 何事も無かったかのように起き上がったゲンムを、コカビエルは化け物を見るような目で睨み付け、叫ぶ。

 

 

「ば、バカな!? 直撃したのに、何故貴様は生きている!」

 

「決まっているだろ━━━ゾンビだからさぁ。ははは、アッハハハハハハハハッ!!」

 

「この化け物が!」

 

 

 ゲンムの右胸部装甲のライフジェイルアーマーの機能によって、ライダーゲージが0になった瞬間の、一時的に変身者へのダメージを無効化する状態を再現しているのだ。

 これこそがゲンムの、不死身のゾンビの力なのである。

 

 

 

「それじゃあ、俺からもプレゼントだ」

 

 《ズ・ドーン!》

 

 《 JET COMBAT!》

 

 

 ゲンムは、二つに分離していた鎌モードのスパローを元の弓モードに戻し、橙色のガシャット『ジェットコンバット』のガシャットを取り出して起動スイッチを押し、それをスパローのガシャットスロットに装填する。

 

 

 《ガシャット! キメワザ!》

 

 

 スパローのアローエリミネーターにエネルギーが収束し、それを上空のコカビエルに向けてガシャコントリガーを引く。

 

 

 《JET! CRITICAL FINISH!》

 

 

 アローエリミネーターから放たれたのは無数のミサイル。それらは真っ直ぐにコカビエルに向かって行く。

 コカビエルは、空中で華麗に全てのミサイルを回避した。

 

 

「その程度の攻撃が当たるとでも━━!?」

 

 

 コカビエルは気付いた。首を軽く後ろに向けると、先程のミサイルが方向を変えてこちらに向かって来ていることに。

 

 

「追尾型か!面倒な!」

 

 

 コカビエルが空中で逃げ回る。ただ逃げ回るのではなく、光の槍や波動で追尾してくるミサイルは破壊する。

 しかし、ミサイルの数が多く、空中を飛び回っているので狙いが上手く定まらない。

 

 

 一分程して最後のミサイルを破壊する。ミサイルを破壊したことで黒煙が空中に発生、コカビエルの視界を奪う。

 

 

 《GIRI GIRI! CRITICAL FINISH!》

 

 

「なに!?グゥオオオオオ!?」

 

 

 そのような機械音声がコカビエルの耳に入ると、下の方から強力な光の矢が黒煙を切り裂きながら向かってくる。

 

 

 コカビエルが空中でミサイルの対処をしている隙に、ゲンムがジェットコンバットとは別のガシャットである『ギリギリチャンバラ』のガシャットをスパローに装填し、タイミングを見計らって膨大なエネルギーを収束した光の矢を発射したのだ。

 

 

 咄嗟に十枚の翼で前面を覆うように展開したが、光の矢は翼を貫通し、腹部をも貫いた。

 

 

 光の矢が腹部を貫通したことでコカビエルの腹に大穴が開き、翼もやられたことでコントロールを失って地上に落下してしまう。

 

 

 コカビエルは腹部から血を流しながら、震える足で立ち上がり、こちらに歩いて向かってくるゲンムに殺意の籠った視線を向けた。

 

 

「おのれぇ!」

 

「終わらせよう」

 

 

 ゲンムはスパローを放り投げ、バグルドライバーのAボタンとBボタンを同時に押した。ドライバーから低い音声が鳴ると、Bボタンを押す。

 

 

 《 CRITICAL DEAD!》

 

 

 地面に黒い影ができ、そこから大量のゲンムが姿を表したのだ。分身体のゲンムは、コカビエルを囲むように羽や足を押さえる。

 すると、分身体のゲンムが触れた翼が先の方から徐々に腐敗し始めたのだ。

 

 

「なっ!?俺の翼が……!」

 

 

 腐敗が進み、遂に十枚の翼が完全に朽ちてしまった。もう飛ぶことは不可能だろう。

 翼の次は足だった。分身体のゲンムが触れたことによって足も指先から腐敗していく。

 

 

「まだだ!俺は戦争を始めるんだ!こんな所で、くたばる訳には!」

 

「コカビエル、貴方の最後のプレゼントは━━━━━━死だ」

 

 

 《 CRITICAL END!》

 

 

 ゲンムが告げると、再びドライバーのAボタンとBボタンを同時に押し、最後にAボタンを押した。

 

 

 ゲンムはその場で空中に浮遊し、浮遊した状態で宙返りを行い、急降下しながら右脚にエネルギーを収束した回転蹴りを動きが取れなくなったコカビエルに叩き込む。

 

 

 ゲンムの必殺技を直撃したコカビエルは、転がりながら吹き飛んだ。

 

 

「ちく……しょ…う……お…れは……ま……だ……!」

 

 

 何かを言い終える前に、コカビエルはその場で爆発した。大きな爆発音と衝撃、黒煙と炎が舞い上がる。

 

 

 コカビエルが死んだことを確認したゲンムは、次の行動に移る為、採掘場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 場所はコカビエル達が潜伏先として使っている廃墟の建物。

 

 

 そこに、コカビエルの仲間であるアンドレイと神父服を着た老人━━バルパー・ガリレイが外から戻って来たのである。

 

 

「彼女達、恐らく追ってくるでしょうねぇ」

 

「構わん、こちらにはコカビエルがいるのだ。奴に頼んで連中の持っている聖剣を全て頂こう」

 

 

 コカビエルとゲンムが激闘を繰り広げている間、二人は教会から派遣されたエクソシスト二人とグレモリー眷属の騎士である木場祐斗達と戦っていたのである。

 

 

 天閃の聖剣はゲンムによって破壊されてゼノヴィア達に回収されてしまったので、強奪した残りの幻影の聖剣と透明の聖剣の二本を使い、三人と戦っていたのだ。

 

 

 最初はゼノヴィアとイリナだけだったのだが、途中から木場祐斗が参戦し、三対一は分が悪いと思い撤退してきたのだ。

 

 

 二人は、恐らく追って来ているであろう連中から聖剣を取り返す為にコカビエルの力を借りに戻ってきたのだが、肝心のコカビエルが居ないことに二人は疑問を感じた。

 

 

「コカビエルの奴め、どこに行きおったのだ」

 

「悪いがコカビエルなら死んだよ」

 

「だ、誰だ!?」

 

 

 二人が振り向くと、そこには先程までコカビエルと戦っていたゲンムが腕を組んで佇んでいた。

 

 

「あなたは、一昨日の……」

 

「やぁ、また会ったねエクソシスト。チャリに盛大に負けた気持ちはどうだ?」

 

「くっ!」

 

「それより、コカビエルが死んだとはどういうことだ!」

 

「そのままの意味だ。私がコカビエルを殺した。つい先程な」

 

 

 ゲンムから告げられた事に二人は驚愕した。バルパーはゲンムに声を張り上げて言う。

 

 

「証拠はあるのか!コカビエルを殺したという証拠は!?」

 

「ここにコカビエルが居ないことが証拠でもあるのだが。それが信じられないなら、コカビエルとの戦闘映像を録画してあるから、それでも見るか?」

 

 

 あの戦闘をカンドロイドやシフトカー達を使って密かに映像として記録を取っていたのだ。

 

 

「さぁ、どうする?コカビエルが居ない以上、もうお前達の計画は実行出来ないと思うが」

 

「くぅッ、アンドレイ!コイツを殺すのだ!」

 

 

 自棄になったバルパーは、アンドレイにゲンムを殺すように命令する。アンドレイは幻影の聖剣と透明の聖剣を握り締め、いつでも攻撃出来るように構える。

 

 

「あぁ、そうだ。アンドレイと言ったか、お前に忠告だ」

 

「忠告?何ですか?」

 

「後ろに注意だ」

 

 

 次の瞬間、アンドレイの後ろに落ちていたガラスの破片からミラーモンスターである紫の大蛇『ベノスネーカー』が出現し、その大きな口でアンドレイを頭からかぶり付いた。

 

 

「グァアアアアアッ!!??!」

 

「あ、アンドレイ!?な、なんだこの怪物は!」

 

 

 アンドレイは何が起きているのが分からず、錯乱し、聖剣を手放してしまう。ベノスネーカーはそのままアンドレイを丸飲みする。満足したのか大人しくミラーワールドに帰って行った。

 

 

「さて、残りは貴方だけだが」

 

「ひ、ヒィイイイイ!?」

 

 

 バルパーはその場で尻餅を付き、少しずつ後ろに下がる。だが、後ろは壁なので完全に逃げ場を無くしてしまった。

 その時である。

 

 

「バルパー・ガリレイ!」

 

「聖剣を返して貰うわよ!」

 

「皆の仇を、ここで取らせて貰う!」

 

 

 ゼノヴィア、紫藤イリナ、木場祐斗の三人が遅れながら到着した。ゲンムは三人に軽く話しかける。

 

 

「やぁ、また会ったな」

 

「むっ、お前は……ゲンムか?何やら姿が違うようだが」

 

「気にするな。それより、君達はバルパー・ガリレイ達を追って来たことで良いのか?」

 

「えぇ、その通り!と言う訳で聖剣をって、あぁー!あんな所に転がってるじゃない!」

 

 

 イリナが大声を上げて、転がってる聖剣の元に向かう。ゼノヴィアは一体何が起こっているのか、ゲンムに問う。

 

 

「どういうことなんだ?そもそも、何故貴様がここに居る?」

 

 

 ゼノヴィアの問いにゲンムは答えた。コカビエルを倒しにやって来て、目的も達成したので、アンドレイとバルパーが持っている聖剣を回収しようとここで待っていたこと。

 そして、アンドレイは既に死んでいること。

 

 

 ゲンムがコカビエルを倒したことを信じられない三人だが、ここにコカビエル居ない事、聖剣がイリナの手元にあるこで取り敢えず納得した。

 

 

「事情は話したし、バルパーの事はそっちに任せる」

 

「えっ、ちょっと待て!」

 

 

 ゼノヴィアは引き止めようとするが、ゲンムはそのまま建物から飛び降りて姿を消す。

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 あれから数日が経過した。

 

 

 あの後、俺は今回の事をアザゼルさんに報告した。コカビエルを倒した証拠として、その時の戦闘映像をアザゼルさんに渡した。

 

 

 バルパー・ガリレイの身柄は、ゼノヴィアさん達が回収した聖剣と共にヴァチカンの方に送ったらしい。死刑は免れないだろう。

 

 

 木場君の方は、バルパーから没収した聖剣を扱うのに必要な因子を集めた球体をゼノヴィアさんから渡され、色々考え込んでいるそうだ。

 

 

 取り敢えず、今回の事件は解決した。これで町が消滅することはない。

 

 

 そう言えば、ヴァーリから怒られたな。コカビエル相手に一人で挑むのは無茶し過ぎだとか。あの時のヴァーリは本当に怖かった。怒らせないようにしようと心に誓ったね。

 ヴァーリには怒られたが、正直な話、俺からしたらコカビエルを相手に一人で挑むのは無茶とはあまり思ってない。

 

 

 俺の中の無茶って言うのは、精神世界に居る克己さん相手に一人で挑むとか、歴代怪人を相手に一人で挑むのが無茶という。

 

 

 笑いながら殴ってくる、ン・ダグバ・ゼバとか。

 

 超巨大な怪人、巨大邪神フォーティーンとか。

 

 ハイパークロックアップより上のフリーズという能力を使ってくる、カッシスワームとか。

 

 倒しても倒しても復活する、フェニックスファントムとか。

 

 

 あと他にも色々と。あんな地獄の特訓に比べれば、一人でコカビエルを相手するのは楽だよ。

 

 

 ……うん、止めよう。思い出すと涙出てきた。

 そうだ、ゲームをしよう。黎斗神さんからゲームを大量に貰ってるから、楽しくプレイしよう。事件も解決した訳だし。

 

 

 こうして、俺はいつも通りに日常を過ごしていく。

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 兵藤一誠の精神世界で、檀黎斗神が自分の部屋でパソコンのモニターを凝視しながら高速でタイピングを打ち込んで行く。

 

 

「ふっ、完成だ」

 

 

 黎斗神はモニターを見ながらニヤリと笑う。モニターには『COMPLETE』の文字が表示されている。

 パソコンの横に置いてある機材から、一つのガシャットを引き抜いた。

 

 

「私の手に掛かれば、この程度の作業等は容易いこと。ふっ、やはり私は神だぁ!」

 

 

 黎斗神のしていた作業はガシャットの開発ではなく、既に開発が済んでいるガシャットに機能を付け足すことである。一誠から頼まれた作業を終えた彼は、休むことなく別の作業に取り掛かる。

 

 

「さて、一誠から頼まれた作業が終えたことだ。新たなガシャットの開発を進めるとしよう」

 

 

 そう言って、手に持っていたガシャットを一誠から預かっているバグヴァイザーの隣に置いた。

 そのバグヴァイザーは普段一誠が使っているのとは色が違い、本体の色はグリーンに近く、Aボタンが赤、Bボタンが水色となっている。

 

 

 そして、バグヴァイザーの横に置いたガシャットは表が黒く、裏が緑で塗装されており、ラベルには複数のライダーの枠が描かれている。タイトルにはこう書かれていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━━━『KAMEN RIDER CHRONICLE』と。

 

 

 




如何でしたか?エクスカリバー編はこれにて終了です!
黎斗神さんが、一誠君から頼まれた作業を終えましたね。

次回は、悪維持さんとのコラボ回になります!楽しみにしていて下さい!

次回もお楽しみに!感想待ってます!


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コラボ回 煉獄の義姉弟
コラボ回 前編 煉獄のライダー、悪魔との戦闘


お待たせ致しました!
今回は、悪維持さんの作品【煉獄の義姉弟】から鬼崎陽太郎と鬼町夏煉が登場します!

活動報告でアンケート実施しています。宜しければご参加下さい!

では、どうぞ!




 ━━駒王町━━

 

 

 

 

 

 日が傾き、夕焼けによって町の空は赤く染まっている。

 町の中心部辺りでは、学校帰りの学生や会社帰りのサラリーマン、買い物に行っていた主婦などが道を行き交っている。

 

 

 そんな町の中心部からかなり離れた所に工場が存在する。と言っても、もう何年も前に閉鎖され、場所も町から離れているので誰も近寄らない。精々、野良猫が住み着いているぐらいだ。

 

 

 だが、今日は違った。

 工場の上空、そこの空間が突如歪みだしたのだ。小さい歪みが少しずつ大きくなっていく。ある程度大きくなると、歪みの中から信じられない物が現れた。

 

 

 それは━━━列車だった。ただの列車ではなく。先頭部が人間の頭蓋骨のような形をした不気味な蒸気機関車である。

 

 

 その列車の名は━━━━『幽霊列車』。

 とある人物が造り上げた異世界渡航専用列車なのだ。

 歪みから現れた幽霊列車は、そのまま工場の開けた場所に停車した。

 

 

 暫くすると、車両の扉が開き、中から二人の男女が姿を現す。

 

 

 一人は、白髪で左目を前髪で隠し、黒い軍服のような格好をした青年。

 もう一人は、黒のセミロングで首もとに蒼いスカーフを巻き、白黒の縞模様のシャツと膝くらいの長さがある山吹色のスカートを穿いた女性だ。

 

 

 青年の名は『鬼崎陽太郎(きざきようたろう)

 

 女性の名は『鬼町夏煉(きまちかれん)

 

 

 二人は、『煉獄の園(パーガトリー・エデン)』と呼ばれる世界の住人である。二人は、とある理由があってこの世界にやって来たのだ。

 

 

 すると、陽太郎の義妹である夏煉が口を開く。

 

 

「ここが陽太義兄さんが言ってた世界なの?」

 

「そうだよ。この駒王町に僕達の探し求める人物が居るんだ」

 

 

 そう言って、陽太郎は夏煉に答える。

 そう、二人はある人物と会うために遥々この世界にやって来たのだ。

 

 

 実は、二人が住む煉獄の園であることを耳にしたのだ。内容は『無限に存在する平行世界の1つに、複数のダークライダーの力を使う者が存在する』というモノだった。

 

 

 これを耳にした陽太郎は、直ぐにこの世界の情報を集めて、義妹である夏煉を連れてこの世界にやって来た。全ては夏煉の修行の為だ。これまでにも、夏煉の修行の為に異世界に存在するライダーの元へ赴き、訳を説明して戦闘を行ってきた。今回も同じである。

 

 

 この世界に存在する、複数のダークライダーの力を使う人間━━━━『兵藤一誠』と戦うために。

 

 

「さて、彼を探しに行こうか……その前に、アレの相手をしなくちゃいけないようだけど」

 

「そうだね」

 

 

 二人は気付く、工場の建物から異形の存在が出てきたことに。

 頭から一本の角が生え、上半身裸の大きな化け物━━━はぐれ悪魔である。

 

 

 はぐれ悪魔は陽太郎と夏煉を視界に捉え、ニヤリと笑い、口を開く。

 

 

「旨そうな匂いがする、人間の匂いだ。腹が減った、お前達、食べていい?」

 

「お断りだね。私達にはこれから予定があるの」

 

「そうか……なら、お前達を食う!」

 

「どうしよう陽太義兄さん、会話が成り立たないんだけど」

 

 

 はぐれ悪魔との会話のキャッチボールが出来ないことに、夏煉は少し戸惑う。陽太郎はそんな夏煉にこう答える。

 

 

「無視して行くことも出来るけど、このまま放っておいたら無関係な一般人に被害が行くかもしれないから、ここで倒した方が懸命かな」

 

「分かった。じゃあ、私に任せて」

 

 

 夏煉がそう言うと、自身の下腹部辺りに両手を翳す。すると、黒い霧が下腹部に発生し、目の形をしたクリアグレーのベルト『ゴーストドライバー』が出現した。

 夏煉は、懐から黒紫色の目玉━━『ヘレナ眼魂』を取り出し、眼魂の横のスイッチを押す。押したことで眼魂の絵柄が変わり、アルファベットの『H』が表示された。

 

 

 ドライバーのカバーを開き、アイコンスローンと呼ばれる中央に配置された眼魂のスロットにヘレナゴースト眼魂をセットしてカバーを閉じ、ドライバーの右側に取り付けられているデトネイトトリガーと呼ばれるレバーを一度引く。

 

 

 《アーイ!》

 

 《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 ドライバーから音声が鳴ると同時に、黒地に紫の縁取りのパーカーを着た幽霊━━━パーカーゴーストがドライバーから出現し、はぐれ悪魔に体当たりする。

 いきなりの攻撃だったせいか、はぐれ悪魔は防ぐことができず、転倒してしまう。

 

 

「変身!」

 

 《カイガン!ヘレナ!》

 

 

 その隙に夏煉は、あらかじめ引いておいたレバーを押し込む。すると、回りに黒い霧が発生し、全身を紫のラインが入った黒いボディースーツに包まれる。

 そして、夏煉の頭上をぐるぐる回っていたパーカーゴーストを纏う。纏うと、紫と黒で顔が描かれ、額に炎の様な紫色の二本の角がつく。

 

 

 《デッドゴー!覚悟!キ・ラ・メ・キ!ゴースト!》

 

 

 15のD(ダーティー)眼魂を統べる煉獄のライダー【仮面ライダーヘレナ】へと変身を遂げる。

 

 

「なんだ、それは?神器か?」

 

 

 立ち上がったはぐれ悪魔は、目の前で姿を変えた夏煉を見て動揺する。

 

 

「私は仮面ライダーヘレナ。渾沌の定めに舞い殉じます!」

 

 

 被っていたフードを取り、ヘレナは走り出す。

 

 

 はぐれ悪魔は、走り寄ってくるヘレナに右腕の鉤爪を横から振るう。ヘレナはドライバーに手を翳し、そこから黒い両刃の剣『ガンガンセイバー』を取り出して攻撃をそれで防ぐ。

 今度は、左腕の鉤爪が迫って来たがヘレナは体勢を低くして攻撃を避け、ガンガンセイバーではぐれ悪魔の左腕を切り落とした。

 

 

 はぐれ悪魔は軽く悲鳴を上げるが、直ぐに反撃に移る。残った右腕の鉤爪を思いっきりに降り下ろすが、ヘレナはガンガンセイバーの腹で受け止める。受け止めた鉤爪を払い、素早く剣を振るい、右腕を斬り飛ばす。

 

 

 両腕を失ったはぐれ悪魔の顔は恐怖に染まる。戦闘を初めて三分も経っていないのに、この様である。はぐれ悪魔はヘレナとの圧倒的な差を思い知り、この場から逃げ出そうとするが、ヘレナがそうさせてはくれなかった。

 

 

 《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!ガンガンミイヤー!》

 

 

 ヘレナはガンガンセイバーをベルト翳し、アイコンタクトを取る。セイバーの刀身に黒紫のオーラが纏う。

 

 

 《オメガブレイク!》

 

 

 ガンガンセイバーのトリガーを引き、セイバーを縦に振るう。振るったセイバーから三日月状で黒紫の衝撃刃を飛ばし、はぐれ悪魔を真っ二つした。

 

 

「以外と呆気なかったな~」

 

「それ程強い敵じゃなかったからね」

 

 

 ヘレナとはぐれ悪魔から距離を取っていた陽太郎は、戦闘が終わったのを確認してヘレナの元に近付く。

 

 

 

「それじゃあ、彼を探しに行こうか」

 

「うん」

 

「待ちなさい!」

 

 

 二人は再び兵藤一誠を探しに行こうとした時、声を掛けられる。声のした方を向くと、赤い長髪の女性とその他四人の男女━━━リアス・グレモリー率いるグレモリー眷属だった。

 

 

「僕達に何かご用でも?」

 

「貴方達、一体何者かしら?仮面ライダーの仲間なのかしら」

 

「何者かって言われても、通りすがりとしか言えないよね?」

 

「そうだね。それと、僕達はそちらが言う仮面ライダーの仲間ではないよ」

 

「どうかしらね」

 

 

 陽太郎とヘレナは本当の事を言っただけなのだが、リアスにはそうは聞こえなかったらしい。

 

 

「本当の事を言ったまでだ。悪いけど、僕達には予定があってね。用が無いなら行かせてもらうよ」

 

「それは出来ないわ。貴方達には聞きたいことがあるの。小猫、あの二人を押さえて」

 

「分かりました」

 

 

 リアスの命令で小猫が二人を押さえようと飛び出す。一番近かった陽太郎を先に捕まえようと接近する。

 陽太郎は小さく溜め息を吐く、陽太郎からしたらグレモリー眷属の実力は大したことないので軽くあしらおうとした瞬間、隣に居たヘレナが陽太郎の前に出た。

 

 

「夏煉?」

 

「ここは任して、陽太義兄さん」

 

 

 ヘレナはそう陽太郎に返すと、小猫が繰り出したパンチを片手で受け止める。

 

 

「貴方、陽太義兄さんに攻撃しようとしたよね?」

 

「ッ!?」

 

「許さない」

 

 

 大切な家族に危害を加えようとした小猫にヘレナは殺気とプレッシャーが小猫に放つ。小猫は危機を察知してヘレナから距離を取ろうとするが、拳を掴まれたままなので動くにも動けなかった。

 ヘレナは小猫の腹部に掌底を打ち込む。打ち込むと同時に掴んでいる拳を離すと、小猫はグレモリーの元へ吹き飛んで行く。

 

 

「小猫!」

 

「小猫ちゃん!大丈夫かい?」

 

「うっ、ぐっ……!ゆ、祐斗先輩、大丈……夫です」

 

「……ノーヴェ、行くよ」

 

『任せな!』

 

 

 ヘレナは懐から青紫の眼魂『ノーヴェ眼魂』を取り出してスイッチを押すと、09という数字が表示された。ゴーストドライバーのカバーを開けてヘレナ眼魂を取り外す。瞬間、ヘレナの纏っていたパーカーが消滅して素状態━━━トラジェントになる。

 

 

 

 《アーイ!》

 

 《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 そして、スロットにノーヴェ眼魂をセットしてカバーを閉じる。ドライバーから青と紫の薄手の生地に胸元にⅨのマークが入っており、両腕に籠手の形をしたグローブが付いたパーカーが飛び出す。

 ヘレナはドライバーのレバーを一度引いてそのまま押し込んだ。

 

 

 《カイガン!ノーヴェ!!》

 

 《格闘!疾走!敵を討つ!!》

 

 

 音声が鳴ると同時にパーカーを纏う。

 顔には二本の角とパーカーの胸元と同じ数字のⅨが描かれ、両腕には専用装備である『ガンナックル』が装着される。

 

 

【仮面ライダーヘレナ ノーヴェ魂】にゴーストチェンジしたのだ。

 

 

「姿が……!」

 

「フッ!」

 

 

 ヘレナは地面をまるでローラースケートで滑るように移動する。小猫に急接近し、小猫も迎撃するために駆け出した。接近した二人は右腕を同時に振り抜いた。拳と拳がぶつかり合い、衝撃波が生まれる。

 

 

 そこから二人は互いに拳によるラッシュを繰り出す。拳がぶつかり合い度に鈍い音が工場内に響く。

 ラッシュ合戦をしていると、押され始めたのは小猫だった。ヘレナの繰り出す素早く重い攻撃に段々とついていけなくなり、小猫は防御に徹し始めた。

 

 

「ハァッ!」

 

「ぐっ!?」

 

 

 ヘレナの繰り出したパンチの衝撃で一瞬バランスが崩れる。その隙をヘレナは見逃さず、ドライバーのレバーを引いて押し込む。

 

 

 《ダイカイガン!ノーヴェ!オメガドライブ!》

 

 

「エアライナー!」

 

 

 ヘレナは足首部分に黄色い歯車状のエネルギーギアを纏わせて小猫を左アッパーで空に高く上げる。そして、空中に『エアライナー』と呼ばれる帯状で黄色の道を造り出すと、その上を疾走して行く。

 エアライナーで道を造りながら、先程アッパーで空に上げた小猫の元まで近付いて小猫のボディに連続でパンチ・キック・アッパー・膝蹴り等を叩き込み、最後はエアライナーで上空へ駆け上がった後にジャンプし、前転の勢いを乗せた踵落としを食らわせる。

 

 

 直撃した小猫は、そのまま地面に落下した。

 

 

「小猫ちゃん!」

 

「余所見は駄目だよ」

 

 

 一方、陽太郎は愛用の武器である鎌を使って残ったグレモリー眷属と戦っていた。

 いや、戦っていると言うより遊んでいるのが正しい。陽太郎はグレモリー眷属を倒す気がない、ヘレナに全員倒して貰う算段だからだ。

 決して、義妹に面倒事を押し付けているのではなく、ウォーミングアップには丁度良いだろうと考えているからだ。

 

 

 陽太郎はヘレナが地面に着地したのを確認すると、相手している祐斗をヘレナの所に蹴り飛ばした。

 

 

「くっ!」

 

「ほら、君の相手はアッチだよ」

 

 

 陽太郎は再びグレモリー眷属の相手に戻る。

 蹴り飛ばされた祐斗は上手く受け身を取って立ち上がると、ヘレナに視線を移す。

 

 

「今度は貴方が相手?」

 

「そうみたいだね。悪いけど、小猫ちゃんの安否が気になるから早く終わらせて貰うよ」

 

 

 ヘレナと言葉を交わす祐斗。一本の魔剣を造りだして右手で握る。騎士の駒の特性を活かして素早く動き、ヘレナに肉薄する。

 魔剣を一閃ニ閃と振るい、ヘレナはガンナックルで防御する。

 

 

「剣を使うのなら……あれかな」

 

 

 案を思い付いたヘレナは祐斗から距離を取り、ガンナックルからエネルギー弾を生成して祐斗に複数撃ち出す。

 

 

「日影、お願い!」

 

『任せとき』

 

 

 祐斗がエネルギー弾に気を取られている間に、新たに眼魂を取り出す。その眼魂は黄色と黒で塗装されており、スイッチを押すと『12』というナンバリングが施されいた。

 

 

 《アーイ!》

 

 《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 ドライバーからノーヴェ眼魂を取り外し、ヒカゲ眼魂をセットする。再びトラジェントになり、ドライバーから黄色と黒を基調とした所々破れているパーカーゴーストが飛び出した。ヘレナはレバーを引いて押し込む。

 

 

 《カイガン!ヒカゲ!!》

 

 《皆無な感情!容赦は無用!!》

 

 

 パーカーを纏うと、顔にはクロスした二本のナイフが描かれ、パーカーの袖部分には『喚蛇』と呼ばれるナイフケースが付いている。

 

 

【仮面ライダーヘレナ ヒカゲ魂】にゴーストチェンジした。

 

 

 ドライバーからガンガンセイバーを取り出し、二刀流モードに移行する。セイバーを順手、小太刀を逆手持ちにして構える。

 

 

「二刀流か、ならば僕も二刀流で行くよ」

 

 

 祐斗は、二刀流で構えるヘレナに合わせて魔剣を一本造りだして空いている左手に持つ。

 

 

 先に攻撃を仕掛けたのは祐斗だった。勢いよく駆け出して二本の魔剣を巧みに振るい、ヘレナに攻撃する。

 ヘレナもセイバーと小太刀を使って祐斗の攻撃を防ぎ、時には受け流す。

 

 

 二本の魔剣とセイバーと小太刀が打ち合う度に火花を散らし、キィン!という金属音が響く。

 暫く打ち合っていると祐斗の魔剣に異変が起き始めた。ヘレナのセイバーと小太刀により魔剣に皹が入ったのだ。

 遂に二本の魔剣が砕け散り、後ろに飛んでヘレナから距離を取る。同時に新たな魔剣を二本の造り出して構える。

 

 

 ヘレナは距離を取った祐斗の元へ駆け出し、駆け出しながらセイバーと小太刀から高速斬撃を幾つも放つ。

 その攻撃に対して、祐斗は直撃しそうな斬撃は魔剣で弾き、それ以外は体をずらしたりして回避した。

 

 

 《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!ガンガンミイヤー!》

 

 《オメガスラッシュ!》

 

 

「『秘伝忍法【ぶっさし】!!』」

 

 

 祐斗との距離が後数メートルに差し掛かった瞬間、セイバーをベルトに翳してアイコンタクトを取る。

 セイバーと小太刀にオーラを纏わせ、一気に加速して二本を振るう。

 

 

 祐斗も魔剣で防ごうとするが、打ち合った瞬間に魔剣が二本共砕けてしまい、がら空きになった祐斗のボディに力を込めて蹴る。

 祐斗の体がくの字に曲がり、工場の壁まで吹き飛びめり込む。

 

 

 戦闘不能になったことを確認したヘレナは二刀流から元のガンガンセイバーに戻す。

 再び懐から新たな眼魂を取り出す。今度は白と青で塗装された眼魂『イカムスメ眼魂』のスイッチを押すと、『03』とナンバリングが表示された。

 

 

 ドライバーからヒカゲ眼魂を取り外し、イカムスメ眼魂をセットすると、白を基調としたワンピースでパーカーの袖に2本と裾部分に8本と計10本の青い触手が生えている。

 レバーを引いて押し込み、ゴーストチェンジする。

 

 

 《カイガン!イカムスメ!!》

 

 《侵略!征服!海の使者!!》

 

 

 パーカーを纏った姿は、顔にはデフォルメされたイカが描かれ、袖と裾にある青い触手『カラメルショクシュ』がウネウネと動いている。

 

 

【仮面ライダーヘレナ イカムスメ魂】へとゴーストチェンジした。

 

 

「イカちゃん、力を貸してね」

 

『任せるでゲソ!』

 

 

 体を陽太郎とグレモリー眷属が居る方に向け、触手を2本動かす。触手は勢いよく伸びてグレモリー眷属の女王である姫島朱乃と兵士の赤羽健次の体に絡めて引き寄せる。

 

 

「う、うわぁぁあああああ!!?」

 

「キャァアアアアアアアア!!?」

 

「朱乃!健次!」

 

『ぶっ飛ぶでゲソーーー!』

 

 

 触手に捕縛された朱乃と赤羽は、地面や工場の壁や屋根に叩きつけられて、朱乃らヘレナから少し離れた場所に放り投げられ、赤羽は空高く投げられる。

 

 

 持っていたガンガンセイバーを変形させてガンモードに移行する。ガンモードにしたセイバーをベルトに翳してアイコンタクトを取る。

 ガンモードの銃口にまるでイカ墨を凝縮した黒いエネルギーが充填され、それを空の赤羽に向ける。

 

 

 《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!ガンガンミイヤー!》

 

 《オメガシュート!》

 

 

 トリガーを引くと黒いエネルギー『イカスミ爆弾』が発射され、まるで吸い込まれるかのように落下中の赤羽に命中し、爆発した。威力を落として撃ったので死にはしない。

 

 

 全身がイカスミで真っ黒になりながら落下して、ガシャンッ!という音を立てながら工場の屋根を突き破った。

 

 

「真っ黒になったね」

 

『ざまぁ見ろでゲソ!って、夏煉避けるゲソ!』

 

 

 イカムスメの言葉で攻撃を察知したヘレナは即座に前転して回避する。

 先程まで立っていた場所は、朱乃から放たれた雷で黒焦げになっていた。

 朱乃はヘレナに怒りを向けながら口を開く。

 

 

「よくも健次君を!これはお仕置きが必要ですわね!」

 

 

 両手に雷を纏わせてヘレナに放つ。それをバックステップ等で回避しながらヘレナは新たに眼魂を取り出す。

 

 

 緑色の眼魂『パティ眼魂』のスイッチを押すと、『07』というナンバリングが表示される。

 

 

「パティ、力を貸して!」

 

『えぇ、任せて』

 

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 ドライバーにパティ眼魂をセットしてカバーを閉じる。ドライバーからフードの頭部に青いカチューシャを着けた緑で長袖のパーカーゴーストが現れた。

 

 

 《カイガン!パティ!!》

 

 《粒子と変化し!不思議な女子!!》

 

 

 ゴーストチェンジしたヘレナは顔を粒子で形成し、身体そのものを粒子気体に変化させる 『パーティクル・トランスコート』を纏った姿。

 

 

【仮面ライダーヘレナ パティ魂】である。

 

 

「幾ら姿を変えても無駄ですわ!」

 

 

 悪魔の羽を広げて空に飛んだ朱乃はヘレナに雷を幾重にも放つ。だが、ヘレナはパーティクル・トランスコートの能力で身体を粒子に変化させて攻撃を回避した。

 

 

 粒子から元に戻ったヘレナは、ガンガンセイバーを薙刀モードに移行して右手で握る。

 朱乃は再び雷の攻撃を放ち、ヘレナは走って移動しながら攻撃を回避しながら薙刀モードの両刃に紫電を纏わせて、そのまま紫電を纏った斬撃を朱乃を放つ。

 

 

 一閃ニ閃と薙刀を振るって紫電の斬撃を飛ばし、朱乃は雷で打ち消したり空中で回避する。

 

 

 《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!ガンガンミイヤー!》

 

 《オメガストリーム!》

 

 

 薙刀モードのガンガンセイバーをベルトに翳してアイコンタクトし、ガンガンセイバーを風車の様に勢いよく回転させることで粒子竜巻を発生させる。

 粒子竜巻から離れようとするが、予想以上に竜巻の威力が凄く、朱乃は呑み込まれてしまう。

 ヘレナは竜巻に突撃し、呑み込まれた朱乃に目掛けてセイバーを斬りつけた。

 

 

 斬りつけたと言っても、実際は斬ってなく峰打ちで済ましたのだ。

 

 

 自分の眷属が手も足も出ないで負けた姿を見たリアスは顔を恐怖に染める。

 

 

「そ、そんな……!私の可愛い眷属達が、一方的に……!」

 

「言っておくけど、次は君の番だよ?夏煉!」

 

「うん!」

 

 

 陽太郎はリアスとヘレナから充分に距離を取る。

 

 

「最後は貴方だね」

 

『娘よ、妾を使え。トドメを指すぞ』

 

「分かりました、羽衣狐さん」

 

 

 ヘレナの懐から勝手に飛び出した漆黒の眼魂『ハゴロモギツネ眼魂』を手に取りスイッチを押す。『02』というナンバリングが表示される。

 

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 アイコンスローンに眼魂をセットすると、ドライバーから漆黒のセーラー服で裾の部分には九つある白銀に煌めいた狐の尻尾が生えたパーカーゴーストが出現する。

 

 

 《カイガン!ハゴロモギツネ!!》

 

 《魅惑の妖狐!統べるは漆黒!!》

 

 

 顔には九本の尻尾を持った狐の後ろ姿が描かれ、裾には『ミスティックナインテール』と呼ばれる九つの尻尾がある。

 

 

【仮面ライダーヘレナ ハゴロモギツネ魂】である。

 

 

「ッ!!いいわ、私が消し飛ばしてあげる!喰らいなさい!」

 

 

 リアスは自身の滅びの魔力を凝縮した魔力弾を放つ。その辺のはぐれ悪魔が当たれば完全に消滅してしまう程の威力だが、今のヘレナには無意味だった。

 

 

 ヘレナのミスティックナインテールの一つである二尾が展開し、そこから鉄扇が現れた。その鉄扇でリアスの魔力弾を防ぎ、鉄扇を扇ぐことで突風を引き起こしてリアスを吹き飛ばした。

 

 

 リアスは直ぐに立ち上がり、両手から次々に滅びの魔力を撃ち出す。ヘレナは三尾から太刀が、四尾からは槍を展開させる。太刀で魔力弾を真っ二つにし、伸縮自在の槍で魔力弾を次々に突き刺し、太刀と槍から逃れた攻撃は鉄扇で防いだのだ。

 

 

「そ、そんなッ!?」

 

「もう、終わらせよう」

 

『そうじゃな』

 

 

 《ダイカイガン!ハゴロモギツネ!!オメガドライブ!!!》

 

 

 ミスティックナインテールにオーラを纏わせ、高速で連続攻撃を繰り出した。リアスは防御魔法陣を展開するも、連続で繰り出される尻尾の攻撃に魔法陣が耐えきれず破壊されてしまい、そのまま食らってしまい、戦闘不能になる。

 

 

「やり過ぎたかな?」

 

 《オヤスミー!》

 

 

 ドライバーから眼魂を取り外し、そのままカバーを閉じると変身が解除される。

 

 

「夏煉、お疲れ様。どうだった?」

 

「うん。充分ウォーミングアップになったよ、陽太義兄さん」

 

「それは良かった。それにしても、彼らの相手をしたせいで予定より大分時間が遅れてしまったね」

 

「それもだけど、この人達どうしよっか」

 

「それは俺に任せて貰う」

 

 

 二人がグレモリー眷属達をどうすればいいかと考えているとき、男の声が聞こえた。

 二人が声のした方を向くと、金色と黒で彩られた身体で頭部には黄金のトンガリ帽子を被り、顔は原石のような造形ででカイゼル髭が生え、下腹部には赤い枠で手の形をしたベルトを巻いていて、その姿はお伽噺に出てくる魔法使いを彷彿させる。

 

 

 あらゆる魔法を使いこなす金色の魔法使い【仮面ライダーソーサラー】である。

 

 

「ソーサラー……ということは、君がこの世界のダークライダー……兵藤一誠かな?」

 

「そう言うことになるな」

 

「……あの人が」

 

 

 陽太郎は探していた人物が向こうからやって来てことに内心喜び、夏煉は今から戦うであろう人物を前にして少しばかり緊張し出す。

 

 

「あんた達のことは途中から見てたよ。俺を探してたんだろ?だけどその前に、グレモリー先輩達を学園の部室に届けるから少し待って欲しい」

 

「なら、僕達も手伝うよ。彼らがあぁなったのは僕達の責任にでもあるからね」

 

 

 三人は散らばっていたグレモリー眷属五人を一ヶ所に集める。集め終えると、ソーサラーがベルトのパームオーサーを操作して右手の指に嵌められている指輪『コモンウィザードリング』をベルトに翳す。

 

 

 《ルパッチマジック・タッチゴー!ルパッチマジック・タッチゴー!》

 

 《 CURE(キュア)!NOW!》

 

 

 ソーサラーの持つコモンウィザードリングは、その指輪一つであらゆる魔法を扱うことが可能な指輪。その数々の魔法の中から今回選んだのは回復の魔法である。

 

 

 右手を前に突き出すと、そこから緑色の光がグレモリー眷属達を包み込んだ。光が消えると、傷跡が跡形も無く消えていたのだ。制服はボロボロのままだが。

 

 

「後はこれだな」

 

 

 《ルパッチマジック・タッチゴー!ルパッチマジック・タッチゴー!》

 

 《 TELEPORT!NOW!》

 

 

 転移の魔法を発動し、五人を学園のオカルト研究部の部室に転移させた。

 転移を終えると、ソーサラーは変身を解除する。

 

 

「それで、何で俺を探してたんだ?」

 

 

 そして陽太郎と夏煉の口から、自分達はこことは別の世界からやって来て者で、陽太郎の義妹である夏煉の修行相手を探していたこと。この世界の唯一のライダーである兵藤一誠のことを耳にして、遙々やって来たことを全て話した。

 

 

 話を聞き終えた一誠は、二人に話す。

 

 

「良いよ。俺で良いなら修行相手になるよ」

 

「ホントに?ありがとう!」

 

「良かったね、夏煉」

 

「俺も異世界のライダーに興味があるしね。それじゃあ、戦っても大丈夫な場所に移動しようか」

 

 

 《 STAGE!SELECT!》

 

 

 腰に装備していたキメワザスロットホルダーでステージを選択。場所はこの前コカビエルと戦った採掘場である。

 

 

 夏煉はゴーストドライバーを出現させ、カバーを開いてヘレナ眼魂をセットする。

 

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

「変身!」

 

 《カイガン!ヘレナ!》

 

 《デッドゴー!覚悟!キ・ラ・メ・キ!ゴースト!》

 

 

 夏煉は仮面ライダーヘレナに変身し、準備万端である。

 

 

「やっぱりスペクターに似てるな。なら、俺もそっちに合わせるか」

 

 

 一誠は下腹部にヘレナと同じくゴーストドライバーを出現させる。

 

 

「ゴーストドライバー!?」

 

 

 ヘレナは一誠がゴーストドライバーを持っていることに驚きの声を上げる。

 一誠は懐から眼魂『ダークゴースト眼魂』を取り出しスイッチを押す。ドライバーのカバーを開けてアイコンスローンに眼魂をセットしてカバーを閉じる。

 

 

 《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

 

 ドライバーから黒を基調としたパーカーが飛び出し、一誠の回りをグルグルと回る。

 

 

「変身!」

 

 《カイガン!ダークライダー!》

 

 《闇の力!悪い奴ら!!》

 

 

 全身を白いラインが駆け巡りトラジェントになり、パーカーを着込む。

 生える一本角と禍々しい邪悪な模様の目が刻まれ、黒いフードを脱ぐ。

 

 

 嘗て全人類をゴーストにする計画を企て、100の英雄眼魂を手にした闇の幽霊【仮面ライダーダークゴースト】へと変身を遂げる。

 

 

「仮面ライダーヘレナ、渾沌の定めに舞い殉じます!」

 

「仮面ライダーダークゴースト……さぁ、戦いを始めよう」

 

 

 今、煉獄のライダーとダークライダーがぶつかり合う。

 

 

 

 




如何でしたか?次回はダークゴーストとヘレナの戦いになります!ゴーストチェンジ合戦をご期待下さい!
仮面ライダーヘレナの設定を詳しく知りたい方は、悪維持さんの【煉獄の義姉弟】をご覧下さい!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

コラボ回 後編 激闘!ヘレナVSダークゴースト

次回もお楽しみに!
活動報告でアンケートを実施していますので、宜しければご参加下さい!



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コラボ回 中編 激闘!ヘレナVSダークゴースト

お待たせ致しました!遅くなってすみません!

それと、作者の都合でコラボ回は『前編・中編・後編』の3つに分けることになりました。今回は中編になります!
活動報告で新たにアンケートを実施しました!

それでは、どうぞ!


 

 

 

 

「行きます!」

 

「ハァッ!」

 

 

 鬼町夏煉━━━仮面ライダーヘレナ

 

 兵藤一誠━━━仮面ライダーダークゴースト

 

 

 二人のライダーによる戦いが始まった。

 

 

 二人は同時に駆け出し、走りながらそれぞれ右腕を振り絞る。二人の距離が縮まった所で振り絞った右腕を振り抜くと、拳と拳がぶつかり合って鈍い音が鳴る。

 そこからヘレナの攻撃が始まる。ダークゴーストにパンチとキックを組み合わせた連続攻撃を繰り出した。

 

 

 ダークゴーストはヘレナの振り抜かれた拳を掌で防ぎ、ある時は上半身を反らして避け、横から振られるキックは片腕を盾にして防ぐ等で冷静に対処する。

 顔面に目掛けて振り抜かれたヘレナの拳を右手で掴み、二人はその場で拮抗する。

 

 

「やるな」

 

「私も日々、特訓してるからね」

 

「なら、俺も力を見せよう」

 

 

 ヘレナの攻撃を全て凌いだダークゴーストが攻撃に移り始めた。

 

 

 掴んでいた拳を素早く離して左の拳を振り抜いた。ヘレナはその拳を掴むが、ダークゴーストは右足でヘレナの足を蹴り体勢を崩し、崩れた所をヘレナのボディに掌底を打ち込んだ。

 

 

 その一撃は重く、打ち込まれたヘレナは後方に吹き飛ばされてしまい、地面を転がる。

 打ち込まれた箇所を左手で押さえながらヘレナは立ち上がり、ゴーストドライバーからガンガンセイバーを取り出してダークゴーストに接近する。

 

 

 斜め、横からとガンガンセイバーを振るうがダークゴーストは最小限の動きで回避し、ヘレナは上段からガンガンセイバーを降り下ろすが、それをダークゴーストは片手で刀身を掴んだ。

 

 

「ウソッ!?」

 

「フンッ!」

 

 

 ガンガンセイバーを持っているヘレナの右手に目掛けて足を振り上げると同時に刀身を掴んでいた手を離した。手を蹴り上げられたことで、ガンガンセイバーがヘレナの手から離れてしまい宙に舞う。

 

 

 そのガンガンセイバーをダークゴーストが奪い取り、そのままヘレナに連続で斬り付けた。斬られる度にアーマーから火花が散り、数度斬り付けた後に力を込めた蹴りを叩き込んだ。

 

 

 蹴られた事で後ろに下がったヘレナに、ダークゴーストは奪ったガンガンセイバーを投げる。放り投げられたガンガンセイバーはヘレナの側に突き刺さった。

 

 

「くっ、強い……!」

 

 

 ヘレナはそう口にしながら冷静に相手と自分の実力を分析する。

 

 

(明らかに相手の方が実力も経験も上!私の攻撃に対しても最小限の動きで全部防いでる……!これが、この世界のライダー━━━兵藤一誠の実力……!)

 

 

 内心でそう思ったヘレナにダークゴーストが話し掛ける。

 

 

「どうした?ゴーストチェンジをしないのか?」

 

「ッ!!なら、お言葉に甘えて!」

 

 

 ヘレナは懐からカラーリングが青と紫眼魂『ディエチ眼魂』を取り出してスイッチを押すと、眼魂に『10』というナンバリングが表示された。

 ゴーストドライバーのカバーを開けて、セットされていたヘレナ眼魂を外し、そこにディエチ眼魂をセットしてカバーを閉じてレバーを引く。

 

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 ドライバーから青と紫を基調とした薄地のパーカーを着たパーカーゴーストが飛び出し、ヘレナの頭上をグルグルと回る。

 

 

 《カイガン!ディエチ!》

 

 《見つめる瞳!捉える砲撃!》

 

 

 レバーを押し込むと音声が鳴り、トラジェントのヘレナがパーカーゴーストを着込む。

 顔に数字の『X』が描かれ、パーカーの胸元には顔の数字と同じXが刻まれている。

 

 

【仮面ライダーヘレナ ディエチ魂】へとゴーストチェンジしたのだ。

 

 

 ドライバーから『ガンガンハンド』と呼ばれる可変武器を取り出し、懐中電灯に変型するサイ型のゴーストガジェット『サイデントウ』がどこからか現れ、ガンガンハンドと合体した。

 これにより、ガンガンハンド『ビームカノンモード』の使用が可能になった。

 

 

「ディエチさん、行きますよ!」

 

『うん、夏煉』

 

 

 ビームカノンモードに移行したガンガンハンドを構え、ダークゴーストに狙いを定める。

 

 

「ッ!マズイ!」

 

 

 ヘレナがガンガンハンドの引き金を引いた瞬間、銃口が一瞬光った。

 ダークゴーストはいち早く危機を察知して体を捻った。体スレスレで光の何かが擦った。その証拠に、擦った部分から煙が出ておりプスプスと音が鳴っている。

 

 

「今の攻撃、ビームか。面倒だな」

 

「今の攻撃を避けた。当たると思ってたんだけど……」

 

『夏煉が撃つ寸前に体を捻ってたから、危機察知が相当高いね』

 

 

 ガンガンハンドから放たれたビームはダークゴーストの高い危機察知により、ボディを軽く掠めただけだった。

 

 

「相手が銃を使うなら、俺も使うとしよう」

 

 

 ダークゴーストは紫色の眼魂『ノブナガ眼魂』を取り出してスイッチを押す。『12』というナンバリングが表示され、ドライバーのカバー開けてダークゴースト眼魂を取り外す。

 着込んでいたパーカーが消滅してトラジェントになり、ノブナガ眼魂をアイコンスローンにセットした。

 すると、ドライバーから紫の袖無しのパーカーゴーストが現れ、ダークゴーストの周囲を旋回する。

 

 

 《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

 《カイガン!ノブナガ!》

 

 《我の生き様!桶狭間!!》

 

 

 旋回していたパーカーゴーストをダークゴーストは着込む。

 顔には二丁の火縄銃がクロスした模様が描かれ、頭部には『ヒナワファイアヘッド』というチョンマゲが生えている。

 

 

【仮面ライダーダークゴースト ノブナガ魂】である。

 

 

 ドライバーからヘレナ同様にガンガンハンドを取り出して『ガンモード』に移行させ、即座に構えてヘレナに向かって引き金を引いた。

 銃口からエネルギー弾が発射され、ヘレナに命中する。

 

 

「くっ!」

 

『夏煉、ここは隠れる場所が少ないから狙撃は無理。だから弾丸を切り換えて反撃するしかないよ』

 

「分かりました!」

 

 

 ディエチからのアドバイスを聞き入れ、ヘレナはガンガンハンドの銃口を回転させる。

 ヘレナのガンガンハンドは銃口を回す事で様々な弾薬を装填することが可能なのだ。

 今回、ヘレナが装填したのは強力なエネルギー弾を発射する『バレットキャノン』である。

 

 

 装填し終えたヘレナはダークゴーストにガンガンハンドを向ける。ヘレナが向けたと同時にダークゴーストはガンガンハンドを構えながら横に走り出す。

 それを追い掛ける様にヘレナも構えながら走り出した。

 

 

 互いに走りながら引き金を引いて弾丸を発射する。二人の間で弾丸が雨の様に飛び交う。互いに撃った弾丸が肩・腕・ボディに当り、火花を散らし。飛び込み前転の要領で避けたり、弾丸同士がぶつかり合うなどを繰り返す。

 

 

 撃ち合いを続けていると、ダークゴーストが急に方向をヘレナに変えて走り寄っていく。

 ヘレナはその行動に一瞬驚いたが、すぐに頭を切り換え、ダークゴーストにエネルギー弾を一発二発と発射する。

 

 

 ダークゴーストに命中するも、その動きは止まらない。ガンガンハンドを盾にして一部の攻撃を防ぎ、体のどこかに命中しても気にせず走り続ける。

 そして、ヘレナとの距離が数メートルに達した時、ダークゴーストは次の行動に出た。

 

 

 その場でスライディングをしたのだ。それにより、ヘレナの照準から姿を消した。スライディングをしながらガンガンハンドを構え、ヘレナに発砲する。

 まさかの行動にヘレナは対応することが出来ず、ダークゴーストのガンガンハンドから放たれた弾丸を全て受けてしまった。

 

 

 攻撃を受けたヘレナは後ろに転がる。スライディングから元の体勢に戻ったダークゴーストは、ドライバーにガンガンハンドを翳してアイコンタクトを取る。

 

 

 《ダイカイガン!ガンガンミナー!ガンガンミナー!》

 

 

 ダークゴーストの周囲にガンモードのガンガンハンドが複数宙に出現した。これは両肩の『テンカフォースショルダー』の能力で、装備している武器を複製、増産することが可能なのだ。

 

 

 手に持っているガンガンハンドを立ち上がろうとしているヘレナに向けると、宙に浮いている複製されたガンガンハンドも銃口がヘレナに向けられた。

 

 

 《オメガスパーク!》

 

 

 引き金を引くと全てのガンガンハンドから一斉に弾丸が発射され、弾丸の雨がヘレナを襲う。

 回避することが出来なかったヘレナは攻撃を受け、吹き飛ばされた。同時にディエチ魂が解除されてしまい、元のヘレナに戻ってしまった。

 

 

「うっ、くっ!だったら!」

 

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 ヘレナは新たに黒と薄紫色の眼魂『カズラ眼魂』を取り出しナンバリング状態にする。眼魂には『13』と表示されている。

 

 

 《カイガン!カズラ!》

 

 《縛って読み取る!万能な触手!!》

 

 

 ドライバーから飛び出した黒と薄紫色でフードの左端に黒髪のサイドテールがあるパーカーゴーストを纏う。

 顔を触手で形成し、自身の体を黒い触手に変化させる『テンタクル・トランスコート』を纏った姿。

 

 

【仮面ライダーヘレナ カズラ魂】である。

 

 

 ヘレナはテンタクル・トランスコートの能力で、両腕を黒い触手に変化させてダークゴーストに向かって触手を伸ばす。

 ダークゴーストはガンガンハンドで迎撃するが、触手は不規則な動きで攻撃を回避する。

 

 

 片方の触手をガンガンハンドに絡ませて奪う。残った触手はダークゴーストの体に絡ませて動きを封じ、そのまま体を持ち上げて地面に叩き付けた。

 何度か地面に叩き付けた後、ダークゴーストを放り投げる。

 

 

 放り投げられたダークゴーストは空中で体勢を立て直して地面に着地する。

 

 

「触手か、厄介だな。なら、これを使うか」

 

 

 ダークゴーストが取り出したのは緑色の眼魂『グリム眼魂』である。スイッチを押してナンバリング状態にすると『14』という数字が表示された。

 

 

 《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

 

 ドライバーにセットすると、半袖で白と深緑でカラーリングされたパーカーゴーストが出現。ダークゴーストの周囲を旋回する。

 

 

 《カイガン!グリム!》

 

 《心のドア!開く童話!!》

 

 

 パーカーゴーストを纏うと、顔は本を模し、両肩には伸縮なワイヤーで接続されているペン先型の武器『ニブショルダー』が装備されている。

 

 

【仮面ライダーダークゴースト グリム魂】である。

 

 

 両肩のニブショルダーを射出する。肩からワイヤーが伸び、ヘレナの触手に対抗する。

 ヘレナも負けじと触手を鞭の様に振るったりして応戦する。ニブショルダーと触手の先端がぶつかり合い小さな火花を散らす。

 

 

 暫く攻防を繰り広げていると、二人はほぼ同時にドライバーのデトネイトトリガーに手を掛けて、一度引いて再び押し込む。

 

 

 《ダイカイガン!!カズラ!オメガドライブ!》

 

 《ダイカイガン!!グリム!オメガドライブ!》

 

 

 ヘレナは触手に変化させた両腕の先端を尖らし、その部分にエネルギーを纏わせる。

 ダークゴーストも、ニブショルダーのペン先にエネルギーを纏わせる。

 触手とニブショルダー、二つがエネルギーを纏った状態で一気にぶつかり合う。

 

 

 ぶつかり合うと、大量の火花を散らし、そして爆発した。

 

 

「ぐぁっ!」

 

「キャッ!」

 

 

 爆発の余波で二人は吹き飛ばされ、元の形態に戻ってしまった。

 

 

「ハッ!盛り上がって来たな!!」

 

「まだまだっ!!」

 

 

 二人は直ぐに立ち上がりそれぞれ眼魂を手にする。

 ヘレナは灰色の眼魂、ダークゴーストは薄緑の眼魂を手にし、スイッチを押してナンバリング状態にする。

 

 

 《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 それぞれの眼魂をドライバーにセットし、デトネイトトリガーを押し込む。

 

 

 《カイガン!ロビンフッド!》

 

 《ハロー!アロー!森で会おう!》

 

 

 《カイガン!チンク!》

 

 《投げる刃!相手を爆破!!》

 

 

 ダークゴーストは緑のパーカーゴーストを纏う。顔は弓を模した絵が描かれ、フードには黄色い『オブジェクレアボヤンスフェザー』が付けられており、パーカーの色は緑。

 

 

 ヘレナは顔には『V』の文字が刻まれ、灰色のロングコート『シェルコート』の胸元には同じくVが刻まれている。

 

 

【仮面ライダーダークゴースト ロビン魂】

 

【仮面ライダーヘレナ チンク魂】である。

 

 

 ヘレナはシェルコートに仕込まれている投げナイフ『スティンガー』を指と指の間に挟み、走りながらダークゴーストに投擲した。

 

 

 ダークゴーストはガンガンセイバーと電話機能のあるゴーストガジェット『コンドルデンワー』を合体させた弓『ガンガンセイバー・アローモード』を構え、エネルギーの矢を放つ。

 

 

 放たれた矢は正確に投擲されたナイフに命中する。エネルギー矢とスティンガーが衝突した瞬間に小規模な爆発が起きる。

 チンク魂の固有能力である『ランブルデトネイター』は、触れた金属にエネルギーを付与、爆発物に変換させることが出来る。その能力で、投擲したスティンガーを爆発物に変換させたのだ。

 

 

 ヘレナは次々にスティンガーを投擲し、ダークゴーストをエネルギー矢でそれらを撃ち落としていく。

 

 

 ヘレナは近接戦をするためにダークゴーストに向かって走り出す。ダークゴーストはヘレナにエネルギー矢を放つが、ヘレナの体に当たる瞬間、矢が霧散してしまったのだ。

 

 

 これはヘレナのシェルコートによる能力で、目に見えぬバリアを発生させることで衝撃や爆発等の攻撃を無効化させることが可能なのだ。

 

 

 エネルギー矢が効かず、チンク魂とロビン魂では相性は悪いことに気付いたダークゴーストは軽く舌打ちをする。

 

 

 ダークゴーストに接近したヘレナは両手に一本ずつスティンガーを握り締め、振るう。正面・横からと振られるナイフの攻撃にダークゴーストは片腕で対処するが、段々と押され始めた。

 

 

 片腕ではキツいと判断し、ガンガンセイバー・アローモードを手放して両腕を使ってヘレナからの攻撃を防ぐ。

 ヘレナから渾身の蹴りを繰り出されるが、両腕をクロスすることで防ぐ。

 

 

 《ダイカイガン!チンク!オメガドライブ!!》

 

 

 ヘレナが必殺技を発動した。ダークゴーストからある程度距離を取ると、周囲に大量のスティンガーが出現し、刃先は全てダークゴーストに向けられていた。

 手に持っていた二本のスティンガーを投擲した同時に浮遊しているスティンガーが一斉に放たれる。

 

 

 スティンガーの雨がダークゴーストに降りかかる瞬間、ヘレナがフィンガースナップをすると、全てのスティンガーが大爆発を起こした。

 チンク魂の能力であるランブルデトネイターで、予め浮遊させていたスティンガーを爆発物に変換させていたのだ。

 

 

 爆発を食らったダークゴーストはロビン魂が解除されてしまった。

 

 

 だが、爆発を直撃したにも関わらず、ダークゴーストは何事もなかったかのように立ち上がり、ヘレナに視線を向ける。

 

 

「やるな。今のは効いたぞ」

 

「……そうは見えないけど」

 

 

 オメガドライブを直撃したのにまるでダメージを負ってるようには見えないダークゴーストに若干引くヘレナ。

 

 

「あれだ、鍛え方が違うんだよ」

 

「日頃からどんな鍛え方をしてるの……」

 

 

 そんな事を言っていると、ダークゴーストは新たに眼魂を取り出した。

 それを視認したヘレナも別の眼魂を取り出す。

 

 

 ダークゴーストが取り出したのは濃い青色の眼魂、ヘレナは青緑の眼魂を取り出してナンバリング状態にする。

 ダークゴーストのは『NB』、ヘレナのは『06』と表示されている。

 

 

 《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 ドライバーのアイコンスローンに眼魂をセットしてトリガーを押し込む。

 

 

 《カイガン!ナポレオン!》

 

 《起こせ革命!それが宿命!!》

 

 

 《カイガン!ヨミ!》

 

 《乙女の振る舞い!バトルは豪快!!》

 

 

 ダークゴーストの姿は赤・青・黄のトリコロールで、顔には二本の剣が交差し、頭部には二角帽子を被り、左肩からだけ垂れているマントの様なコート『ヴァリアントコート』、右手にはガンガンセイバーが握られている。

 

 

 ヘレナの姿は青緑と白が基調のエプロンドレス、フードには青緑の丸い帽子があり、両腕にはガントレットに変型する狼型のゴーストガジェット『ウルフガントレット』が装備されている。

 

 

【仮面ライダーダークゴースト ナポレオン魂】

 

【仮面ライダーヘレナ ヨミ魂】である。

 

 

 ダークゴーストはガンガンセイバーを構え、ヘレナはウルフガントレットをした状態でファイティングポーズを取る。

 

 

 二人は一気に駆け出したのであった。

 

 

 




という訳で、後編に続きます!後編は早くて今週の木曜日、遅くて金曜日に投稿します!
活動報告でアンケートを実施しましたので、宜しければご参加ください!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

コラボ回 後編 決着!ヘレナVSダークゴースト

次回もお楽しみに!感想待ってます!


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コラボ回 後編 決着!ヘレナVSダークゴースト


遅れてしまい本当に申し訳ありません!!!二週間以上掛かって本当にすみません!!
モチベーションの問題や執筆時間があまり取れなくて遅くなってしまいました!

今回、コラボ回の最終編です!

では、どうぞ!


 

 

 

 

 ナポレオン魂のダークゴースト、ヨミ魂のヘレナは各々の武器であるガンガンセイバーとウルフガントレットがぶつけ合う。

 

 

 振るわれたガンガンセイバーをガントレットで覆われた腕を盾にして防ぐヘレナ。防ぐ度に金属音が鳴り響き、小さな火花が散る。

 ヘレナもただ防いでいるだけじゃなく、隙を突いて反撃に出る。

 

 

 ダークゴーストが振るうガンガンセイバーに己の拳をぶつけて攻撃を弾く。ダークゴーストはその反撃の仕方に一瞬驚くも、攻撃を続けた。振られたセイバーを防ぎ、弾く、これを何度も繰り返す。

 

 一瞬の隙を突いて、ヘレナは右の黒いガントレットの『黒狼』をダークゴーストのボディに叩き付けると、ガントレットに付いている銃口から大砲が発射された。

 

 

「ぐぁっ!?」

 

 

 ゼロ距離で発射された攻撃にダークゴーストは数メートル後ろに吹き飛ばされてしまう。

 更にヘレナの攻撃は続く。今度は左の白いガントレット『白狼』からボウガンの矢が発射される。発射された大量の矢は立ち上がっている最中のダークゴーストに向かっている。

 

 

 それに気付いたダークゴーストは、ガンガンセイバーを左に持ち替えて、右手でドライバーのデトネイトトリガーを引いて押し込んだ。

 

 

 《ダイカイガン! ナポレオン! オメガドライブ!!》

 

 

 ガンガンセイバーの刀身にエネルギーを纏わせ、それをヘレナから放たれた矢に向かって横に一閃、斬撃が放たれる。斬撃によってボウガンの矢を全て粉々にし、斬撃はそのままヘレナを襲う。

 

 

 ヘレナはガントレットを盾にして防ぎ、デトネイトトリガーを引いて押し込んだ。

 

 

 《ダイカイガン! ヨミ! オメガドライブ!!》

 

 

「『秘伝忍法ニヴルヘイム!!』」

 

 

 オメガドライブを発動して両腕のガントレットを前に突き出す。白狼からは大量の矢と手裏剣が、黒狼からは大砲をダークゴーストに撃ち出した。

 

 

 それに対してダークゴーストは、サングラスと剣を合体させた武器『サングラスラッシャー』を取り出して剣モードにして右手で握り、デトネイトトリガーを引いて押し込み、オメガドライブを発動する。

 

 

 《ダイカイガン! ナポレオン! オメガドライブ!!》

 

 

 ガンガンセイバーとサングラスラッシャー。刀身にエネルギーを纏わせて二本の剣を巧みに扱い、向かってくる大量の矢と手裏剣を斬り落とし、大砲を真っ二つにしていく。

 終いに、その場で勢い良く回転して矢・手裏剣・大砲を薙ぎ払った。

 

 

「ガントレットにどれだけ武器を仕込んでるんだ?」

 

「それは内緒だよ」

 

 

 二人は軽く会話するも、直ぐに戦闘に切り替える。各々、眼魂を取り出してナンバリング状態にする。

 

 

 ダークゴーストは『05』とナンバリングされた茶色の眼魂。

 ヘレナは『08』とナンバリングされた黒と白で塗装された眼魂をベルトにセットする。

 

 

 《カイガン! ビリー・ザ・キッド!》

 

 《百発百中! ズキュン! バキュン!!》

 

 

 《カイガン! ミライ!》

 

 《全弾必中! ダキューン!! ドキューン!!》

 

 

 ダークゴーストの顔にはリボルバーの拳銃が描かれ、茶色の長袖パーカーに頭には『クイックドロウハット』と呼ばれる帽子が装着される。

 

 

 ヘレナは顔の左目辺りに巴模様が入った眼帯、ネコミミが付いた黒いゴスロリのパーカーを纏い、背中には黒い鳥の翼が生えており、裾にはネコの尻尾が付いている。

 

 

【仮面ライダーダークゴースト ビリー魂】

 

【仮面ライダーヘレナ ミライ魂】である。

 

 

 ダークゴーストはガンガンセイバーと蝙蝠型のゴーストガジェット『バットクロット』をガンモードに変形させてニ丁拳銃にした。

 

 

 対するヘレナもガンガンセイバーをガンモードに変形させて、如雨露に可変するワニ型ゴーストガジェット『ワニジョーロ』を合体させた西洋傘型機関銃を模した武器『ガンガンセイバー・マシンガンモード』にする。

 

 

 ゴーストチェンジを終えた二人は、瞬時に武器を構えて引き金を引く。

 ダークゴーストは走って移動しながらニ丁拳銃で早撃ちの要領で次々と弾を撃ち出す。

 ヘレナも構えたガンガンセイバー・マシンガンモードを移動しているダークゴーストに向けて弾丸を連射する。マシンガンモードから放たれる弾丸はダークゴーストの早撃ちを上回るレベルだ。

 

 

 ヘレナからの攻撃を避けながら早撃ちで反撃するも、マシンガンモードの銃口から発生したエネルギーシールドによって防がれており、ダークゴーストの攻撃はヘレナには届かない。

 

 

(連射性能はアッチが上。おまけにエネルギーシールドで自身の身を守っていることで此方の攻撃が届かない……か)

 

 

 採掘場に建てられた小さな建物に身を隠して相手と自分の能力差を分析しながら「厄介だな」と呟くダークゴースト。

 

 

 《ダイカイガン! ガンガンミイヤー! ガンガンミイヤー!》

 

 《オメガバレット!!》

 

 

「『秘伝忍法ヴァルキューレ!!』」

 

(マズイッ!!)

 

 

 採掘場に響いた必殺技発動の音声を耳にしたダークゴーストは素早く建物の陰から飛び出す。

 飛び出した次の瞬間、ヘレナのマシンガンモードから放たれた呪術を練り込ませたエネルギー弾が建物に着弾し、大爆発を起こした。

 

 

 爆発で発生した爆風で吹き飛ばされ、その影響でダークゴーストのビリー魂が解除されてしまう。

 

 

「次はコレだ!」

 

「行くよ、ウェンディ!」

 

 

 二人は眼魂を取り出してナンバリング状態にする。

 青色の眼魂で『13』と表示された眼魂をダークゴーストが、青と紫の色をした『11』と表示された眼魂をヘレナが、それぞれベルトにセットする。

 

 

 《カイガン! フーディーニ!》

 

 《マジイイジャン! すげぇマジシャン!!》

 

 

 《カイガン! ウェンディ!》

 

 《攻防一体! 敵を粉砕!!》

 

 

 ダークゴーストがフーディーニ眼魂をベルトにセットすると、チェーンが巻いてある青いバイク『マシンフーディー』が何処からかやって来てパーカーゴーストに変形し、それを纏う。

 顔にはX字の鎖の中央に南京錠が描かれ、両肩には防御フィールドを発生させる『バインディングショルダー』を装備されている。

 

 ヘレナは青と紫を基調としたパーカーを纏う。顔と胸元には数字の『XI』が刻まれ、両肩には二分割されたボード『ライディング』が装着されている。

 

 

【仮面ライダーダークゴースト フーディーニ魂】

 

【仮面ライダーヘレナ ウェンディ魂】である。

 

 

 ダークゴーストは背中のグライダーを展開してグライダーのとなり、四基の回転翼『シュトゥルムローター』を高速回転させて空に飛ぶ。

 ヘレナも両肩のライディングを分離し合体させ、ボード状にして浮遊させてその上に飛び乗り空に上がる。

 

 

 空に上がった二人の壮絶な空中戦が始まる。

 ガンモードにしたガンガンセイバーをダークゴーストに狙いを定めて撃つヘレナだが、ダークゴーストは空中で華麗に回避したり、シュトゥルムローターの中心部から強靭な鎖『タイトゥンチェーン』を生成して、それを両手に持って鞭の様に振るって弾丸を弾く。

 

 

 それを暫く続けていると、ダークゴーストがオメガドライブを発動した。

 

 

 《ダイカイガン! フーディーニ! オメガドライブ!!》

 

 

 シュトゥルムローターからタイトゥンチェーンを4本生成し、ヘレナに向かって射出する。

 ヘレナはボードで高速移動して回避するが、鎖はまるで生きているかの様に動きヘレナを追尾する。捕まらない様に必死で逃げるヘレナだったが最後の一歩の所で鎖に拘束されてしまった。

 

 

 鎖で動きを封じられたヘレナにダークゴーストは体を回転させて、ドリルキックを叩き込んだ。

 

 

 直撃したヘレナは重力に従ってそのまま地面に落下し、同時に落下した影響でウェンディ魂が解除されてしまった。

 

 

 ダークゴーストも地面に降り立ち、ヘレナに向かって言葉を掛ける。

 

 

「そろそろ限界なんじゃないか?」

 

「まだッ……やれる!」

 

 

 そう言いながら、ヘレナは右手に桃と白のカラーリングのした新たな眼魂を手にしながら立ち上がる。

 ダークゴーストも立ち上がるヘレナを見て、懐から銀色の眼魂を取り出してナンバリング状態にする。

 

 

 《カイガン! ベートーベン!》

 

 《曲名! 運命! ジャジャジャジャーン!!》

 

 

 《カイガン! キョウコツ!》

 

 《骸の畏れ! 貰うは眼球!!》

 

 

 ダークゴーストの顔には楽譜のようなデザイン、両耳には解析装置『デスティニーチューナー』があり、パーカーの胸部部分には鍵盤『ソナタ・ド・コーダ』が存在する。

 

 

 ヘレナの顔には頭蓋骨と蛇が刻まれており、『ムクロノキモノ』と呼ばれる桃と白を基調とした着物で紫の掛け衿には『狂骨』の漢字が刻まれ、フードの後頭部に紅い蝶結びの髪止めをつけた長い黒髪が伸びている。

 

 

【仮面ライダーダークゴースト ベートーベン魂】

 

【仮面ライダーヘレナ キョウコツ魂】である。

 

 

 ヘレナはガンガンハンド・銃モードにしてダークゴーストに狙いを定めて引き金を引く。ガンガンハンドの銃口から弾丸が発射されるが、その弾丸は通常のとは違いがあった。

 発射されると同時に弾丸が頭蓋骨と蛇に形を変えたのだ。これはキョウコツ魂の能力で、ガンガンハンド内で生成されるエネルギー弾に『畏』を加えてことによるものだ。

 

 

 頭蓋骨の形に変わった弾丸は真っ直ぐだが、蛇の形に変わった弾丸は本物の蛇のように動き、ダークゴーストの側面から襲おうとする。

 

 

 しかし、ダークゴーストも黙って攻撃を受けるつもりはない。ダークゴーストは両腕を一定の位置まで上げて構える。

 そして、指揮者のように腕を動かし始める。メロディーを奏でて迫り来る頭蓋骨と蛇の弾丸に音の攻撃を放ち、攻撃を防ぐ。

 

 

 ヘレナは更にガンガンハンドから頭蓋骨と蛇のエネルギー弾を次々と発射していく。

 ダークゴーストも片手で腕を動かしながら、もう片方の手でパーカーの胸部部分にあるソナタ・ド・コーダを弾き始める。

 

 

 音符とメロディー、頭蓋骨と蛇の攻防が続く。そして、二人は同時にオメガドライブを発動する。

 

 

 《ダイカイガン! ベートーベン! オメガドライブ!!》

 

 《ダイカイガン! キョウコツ! オメガドライブ!!》

 

 

 キョウコツ魂の能力で 、『東西の通り名の唄』という唄を口ずさみながら魔法陣を展開させ、陣から京妖怪の巨大な骸骨の妖怪『がしゃどくろ』と多数の武者甲冑を装備した骸骨兵を召喚し、ダークゴーストに襲い掛かる。

 

 

 ダークゴーストは鍵盤のソナタ・ド・コーダと腕を振って奏でたメロディーを無数の音符型のエネルギー弾に分裂させ、そのエネルギー弾を向かってくる妖怪軍団に放つ。

 

 

 妖怪軍団と音符型のエネルギー弾がぶつかり合い大爆発を起こした。

 ダークゴーストとヘレナは爆風で飛ばされないようにその場で踏ん張る。

 暫くすると、爆風の影響で蔓延した砂煙が晴れる。そこには妖怪軍団の姿は何処にもなかった。

 

 

 ダークゴーストとヘレナは、また新たな眼魂を取り出してナンバリング状態にし、ベルトにセットする。

 

 

 《カイガン! ヒミコ!》

 

 《未来を予告! 邪馬台国!!》

 

 

 《カイガン! ミオ!》

 

 《過激な転移! 3人に分身!!》

 

 

 桃色と金のカラーリングをしたパーカーゴーストをダークゴーストが、黒いレザーのタンクトップのパーカーゴーストをヘレナが纏う。

 

 

 ダークゴーストの顔には四つの勾玉が描かれており、頭部には『ヘッドホウカン』と呼ばれる金の王冠が備わっている。

 

 

 ヘレナの顔には三つの逆三角形が刻まれ、黒のタンクトップ『ムーヴタンクトップ』は自身や身体の一部を転移させる能力が備わっている。

 

 

【仮面ライダーダークゴースト ヒミコ魂】

 

【仮面ライダーヘレナ ミオ魂】である。

 

 

「行くよ!」

 

 

 ヘレナがそう言うと、次の瞬間、ダークゴーストの視界から消える。

 

 

「何処に……ぐッ!?」

 

 

 突如、ダークゴーストの背中に強い衝撃が走る。瞬時に振り向くが、そこには何も無い。

 だが、再び背中・側面から衝撃が走る。振り向くとヘレナが佇んでいた。

 

 

 ヘレナに拳を振り抜くダークゴーストだが、その拳は当たることはなく、当たる寸前でヘレナが再び視界から消え、ダークゴーストから数メートル離れた場所に現れた。

 

 

「……なるほど、転移能力か」

 

「当たりだよ」

 

 

 ヘレナ ミオ魂の能力を言い当てたダークゴースト。ヘレナのムーヴタンクトップの能力で自身を転移させていたのだ。

 

 

(転移してから次の転移までのインターバルが異常に短い。転移と言うより瞬間移動に近い……オーディンみたいだな)

 

 

 ダークゴーストはヘレナの転移能力が自身が変身するライダーの一つである『仮面ライダーオーディン』の持つ瞬間移動と同等と判断する。

 

 

(だが、相性が悪かったな)

 

 

 ダークゴーストはサングラスラッシャーを取り出して銃モードに変形させて構える。

 ヘレナが再び転移能力で視界から姿は消す。何処から襲ってくるか分からない状態にも関わらず、ダークゴーストは慌てることなくその場で佇む。

 

 

 《ダイカイガン! ヒミコ! オメガドライブ!!》

 

 

 オメガドライブを発動し、サングラスラッシャーの銃口に『浄化の炎』を溜める。

 

 

(何でオメガドライブを発動したかは分からないけど、貰った!)

 

 

 オメガドライブを発動したダークゴーストの行動に疑問を感じるヘレナだが、佇むダークゴーストの右斜め背後から気配を消して姿を完全に現した瞬間、予想外なことがヘレナを襲う。

 

 

「キャアッ!!?」

 

 

 攻撃に転じようとした瞬間、ヘレナが大きく後ろに吹き飛んだのだ。

 理由は、ダークゴーストが脇のしたからサングラスラッシャーに溜まった浄化の炎をヘレナに放ったからだ。

 

 

「ど、どうして私の位置を?」

 

「君がそこに現れるのを知ってたからだよ」

 

 

 オメガドライブを直撃し、ミオ魂が解除されたヘレナが疑問を口にする。

 

 

 これこそ、ダークゴースト ヒミコ魂の両肩にある黄金の装甲『プロフェシーショルダー』能力である。ヒミコ眼魂が生み出す神秘的なエネルギーを増幅し、敵の攻撃タイミングや突発的な自然現象などを予測できる。

 

 

 まさに『未来予知』である。

 

 

 それをヘレナに説明すると、納得したのか首を縦に振った。

 

 

「ミオ魂とヒミコ魂じゃ、相性が悪かったんだね」

 

「そう言うことになるな。それで?まだ続ける?」

 

「勿論、次で最後だよ」

 

 

 そう言って、ヘレナは桃色と白で塗装された眼魂を、ダークゴーストは白の眼魂を取り出してナンバリング状態にし、ベルトにセットした。

 

 

 《カイガン! ハルカ!》

 

 《傀儡! 薬物! 開発王!!》

 

 

 《カイガン! サンゾウ!》

 

 《サル! ブタ !カッパ ! 天竺を突破!!》

 

 

 ヘレナは黄色のラインに桃と白を基調としたレオタード風でフードの頭部にはピンクの大きなリボンが付いているパーカーゴーストを纏う。

 

 

 ダークゴーストの頭部には僧侶頭巾のような装甲『テンジクヘッドガード』が装着され、背部には『ゴコウリン』と呼ばれる取り外し可能な黄金のリングが装備されており、両肩・背中には御供であるサル・ブタ・カッパの顔を模した装甲がある。

 

 

【仮面ライダーヘレナ ハルカ魂】

 

【仮面ライダーダークゴースト サンゾウ魂】である。

 

 

 ヘレナはパーカーを纏った際に出現した白衣『クスリトゲボクノホワイトコート』から下僕である傀儡ロボット『下僕ガジェットロボ H(ハルカ)ー1(ワン)』、他にも眼魔コマンド、バグスターウイルス等を出現させた。

 

 

 出現した下僕達は一斉にダークゴーストの方へ走り出した。

 それに対して、ダークゴーストは背部のゴコウリンを取り外して右手に持つ。手に持ったゴコウリンを向かってくる下僕軍団に投擲する。

 すると、リングの表面から光の円形刃が発生し、更にはリングその物が巨大化した。

 

 

 ゴコウリンはサイズの調整が自由自在で、相手の大きさに合わせることが可能なのだ。

 今回は、敵の数が多い故にサイズを大きくして一網打尽にするのがダークゴーストの狙いである。

 

 

 巨大化したゴコウリンは高速回転しながらヘレナの下僕軍団を全て破壊した。そして元の大きさに戻りながらダークゴーストの手元に戻っていく。

 

 

 ヘレナは駆け出してダークゴーストに接近して格闘戦を仕掛ける。

 ダークゴーストもゴコウリンを背部に戻して応戦する。

 

 

 接近したヘレナは回し蹴りをするもダークゴーストは上半身を後ろに軽く反らすことで攻撃を回避する。ヘレナの追撃は続く。連続で繰り出されるパンチを掌で受け流すように弾き、突くような中段蹴りを後ろに跳ぶことで避け、横から殴打するようなキックを腕を盾にして防ぐダークゴースト。

 

 

 ダークゴーストから一旦距離を取り、コートから爆発性の液体が入った試験管を数本取り出して、それをダークゴースト目掛けて投擲する。

 当たれば爆発する試験管だが、ダークゴーストは投擲された試験管を指と指の間で上手くキャッチして、それをヘレナに投げ返す。

 

 

 ただヘレナに投げ返すのではなく、ヘレナから数センチ離れた地面に投擲したのだ。試験管は地面に当たった同時に爆発した。爆音と爆風が一番近かったヘレナを襲った。

 

 

 怯んだ隙をダークゴーストは見逃さず、オメガドライブを発動した。

 

 

 《ダイカイガン! サンゾウ! オメガドライブ!!》

 

 

「ッ!!!」

 

 

 必殺技の発動を耳にしたヘレナもオメガドライブを発動した。

 

 

 《ダイカイガン! ハルカ! オメガドライブ!!》

 

 

 ヘレナもオメガドライブを発動したが、発動が早かったダークゴーストに仕掛けられる。

 

 

 ダークゴーストは、御供であるサル・ブタ・カッパを出現させて三体を特攻させる。

 三体から繰り出された攻撃をヘレナは防ぐことが出来ず、受けてしまう。

 

 

 最後にゴコウリンを取り外し、横に倒して浮遊させて、その上にダークゴーストが飛び乗る。ゴコウリンは真っ直ぐヘレナに向かって移動し、ダークゴーストが手に持っている『ガンガンキャッチャー』を叩き込もうと構えた時、ヘレナとの距離が後5メートルの所で……

 

 

「『超秘伝忍法The World is mine!』」

 

 

 コートから劇薬入りの試験管を一本取り出して、それをヘレナはダークゴーストと自分との中間場所に叩き付けた。

 

 

 次の瞬間、叩き付けた場所を中心に大爆発が発生し、ヘレナとダークゴーストは近距離で受けてしまう。

 

 

「ぐわぁぁぁあああッ!!?」

 

「キャァァァアアアアアッ!!!?」

 

 

 勢いよく吹き飛ばされた二人はサンゾウ魂とハルカ魂が解除され、元の標準形態に戻ってしまった。

 

 

「ま…だッ……!これで……!」

 

 

 《ダイカイガン!》

 

 

「これで最後だ!」

 

 

 《ダイカイガン!》

 

 

 二人はダメージを負いながらも立ち上がり、デトネイトトリガーを引いて押し込み、最後のオメガドライブを発動した。

 

 

 《ヘレナ!》

 

 

 《ダークライダー!》

 

 

 

 

 《 オメガドライブ!!! 》

 

 

 

 

 オメガドライブを発動して宙にに飛び上がり、空中で二人の『ライダーキック』が炸裂する。

 

 

「ハァァアアアアアアアアッ!!!」

 

「ウォォオオオオオオオオッ!!!」

 

 

 膨大なエネルギーを纏ったキックがぶつかり合い、拮抗する。キック同士がぶつかり合うことで火花が大きく散る。

 

 

 そして、遂に決着が着く。

 

 

「キャァァアアアアアアアッ?!!」

 

 

 勝ったのはダークゴーストだった。

 ヘレナは重力に従って地面に落下し、落下したのと同時に変身が解除される。

 そして、ステージセレクトも解除されて元の廃工場に戻る。

 

 

「夏煉!」

 

 

 今まで二人の戦いを見守っていた鬼崎陽太郎が倒れた夏煉の元に近付く。

 

 

「夏煉、大丈夫かい?」

 

「う、うん。大丈夫だよ陽太義兄さん。フラフラするけど」

 

 

 陽太郎は夏煉の安否を確認すると、笑顔を浮かべ、夏煉に自分の肩を貸しながら立ち上がる。

 

 

「怪我はないか?」

 

 

 ダークゴーストも変身を解除して一誠に戻り、夏煉に怪我は無いかを確認する。

 

 

「大丈夫。フラフラするのと、身体中がダルいだけだから」

 

 

 無理もない。あれだけの連続ゴーストチェンジと激闘を繰り広げたのだから、それだけで済んだのは寧ろ良い方だろう。

 

 

 三人は改めて向き合い、口を開く。

 

 

「兵藤一誠、今回は僕達の要望を聞き入れてくれてありがとう。お陰で、夏煉に良い経験になったと思う」

 

「本当にありがとう。良い勝負が出来て、私は満足だったよ」

 

「此方こそ、別世界のライダーと戦えたのは良い経験になった。ありがとう」

 

 

 三人はそれぞれお礼を告げる。すると、三人の側に幽霊列車が現れて停車する。停車した幽霊列車に夏煉と陽太郎は乗り込み、幽霊列車はゆっくりと発車する。

 

 

 工場上空の空間が一部を歪み、幽霊列車はその歪み中へと消えていった。

 

 

「さて、帰りますか」

 

 

 二人を見送った一誠は自宅へと歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?ゴーストチェンジ合戦は疲れました!

次章からは原作四巻である『停止教室のヴァンパイア』です!

おまけ!次章予告!!

駒王学園では授業参観が始まり、そして━━━三大勢力による会議が行われようとしている。

悪魔・天使・堕天使のトップ、そして仮面ライダーこと兵藤一誠。

会議に襲撃を掛けるテロリスト集団【禍の団】


「カテレア・レヴィアタン、お前に審判を下すのは現魔王でも最早存在しない聖書の神でもない━━━━━━この俺だ」


そして遂に━━━━━伝説の戦士が降臨する!


「今こそ、審判の時」

《 KAMEN RIDER CHRONICLE! 》


次章 停止教室の審判者 ━下される審判━


《 PAUSE! 》

「━━━カテレア・レヴィアタンは絶版だ」

《 RESTART! 》

近日投稿予定!


はい、次章予告でした(笑)。調子に乗ってすみません!
それでは、いつもの次回予告です!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第18話 授業参観と備える力

次回もお楽しみに!感想待ってます!








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停止教室の審判者 ━━下される審判━━
第18話 授業参観と備える力



お待たせしました!遅れて申し訳ない!そして短いです。
今回、授業参観の内容と一誠の精神世界に居る人物達の会話になります。

三勢力会議と戦闘シーンは次回になります!

では、どうぞ!


 

 

 

 

 

 

 今日の学校は一段と騒がしい。理由は『授業参観』があるからだ。

 

 

「あ~、遂にこの日が来ちまったな」

 

「松田よ、授業参観なんて後ろで親が見ているか否かの違いだぞ。何が問題なんだ?」

 

「あれだよ元浜。今日は松田の親が来るらしいから、授業中に寝れないんだよ」

 

「そうなんだよ!俺はどうしたらいい!?」

 

「「いや、起きてればいいだろ」」

 

 

 俺達三人も教室で授業参観について話し合っている。教室を見渡せば、クラスメートも授業参観のことを話している。

 

 

 俺は別にどうも思わない。授業中は居眠りしないし、予習復習をちゃんとしてるから授業にも着いていけるから問題はない。

 それに、俺の両親は俺が中学一年の頃に亡くなってる。故に授業参観なんて関係ない。

 

 

「つーか、英語の授業がある日に授業参観なんて運が悪いぜ!英語の先生って出席番号順に当ててくるから、高確率で当たるじゃねえか!」

 

「騒ぐな松田。それは仕方のないことだ。当てられたら頑張って答えろ」

 

 

 元浜の言葉に松田はガックリと項垂れる。そんなこんなで午前の授業が始まった。

 

 

 

 

 

 

 あれから時間が経ち、現在は午後。昼休みに俺は松田と元浜の三人で自販機に飲み物を買いに廊下を歩いている。

 英語の授業では、まさかの粘土で好きな物を作れという全く関係ない内容にだった。

 

 

 先生に言われた通り皆は好きな物を作った。猫や犬等の動物、車や電車、中にはアニメキャラを作った奴までいた。

 ちなみに、俺は『ブラッドオレンジロックシード』を作った。細部まで完璧だぜ。何故それにしたかって?

 

 

 俺の趣味だ、良いだろう?

 

 

 自販機までやって来た俺達はある事に気付く。

 

 

「むっ、何やら向こうが騒がしいな」

 

「ホントだ。結構人が集まってるぜ」

 

 

 元浜と松田はそう言って人だかりの方へ向かって行く。俺は自販機でジュースを買い、遅れて松田達の元へ向かう。

 よく見ると、集まってる人達はカメラを持っていてカシャカシャとフラッシュをたきまくっている。

 

 

 その中心には『魔法少女』の格好をした少し背が低い女性が一人、ノリノリで決めポーズを取っていた。

 俺はその人、いや……その()()を知っている。

 

 

 冥界において、悪魔達を統べる現四大魔王の一体、『セラフォルー・レヴィアタン』だ。

 前にアザぜルさんから現四大魔王の写真を見せて貰ったことがあるから間違いない。

 

 

 だが、何故魔王がここに?

 

 

(そう言えば、生徒会役員も悪魔だったな。その中で生徒会会長である『支取蒼那』先輩のお姉さんだったか……)

 

 

 この学園にはグレモリー先輩の率いるグレモリー眷属以外にも悪魔が存在する。

 生徒会長である支取蒼那先輩、本名は『ソーナ・シトリー』。眷属は全員が生徒会に所属する役員達だ。

 

 

 それにしても、ソーナ・シトリーだから支取蒼那か……中々考えてるなぁ。

 

 

 それにしても……

 

 

(妹である生徒会長を観に来たんだろうが、その格好はどうにかならないのか?)

 

 

 魔法少女のコスプレで授業参観に来るのは正直、常識を疑う。いやまぁ、悪魔だから人間とは価値観が違うのだろうけど幾らなんでもアレはない。

 コスプレという文化は素晴らしいと思うが、時と場所を考えて欲しい。

 

 

 現に写真を撮っている生徒以外の生徒と親御さん達の視線が「有り得ない」と訴えているぞ。その視線にあの魔王は気付いてないようだけど。

 

 

「スゲェな、魔法少女のコスプレだぜ。若いから内の生徒のお姉さんかな?けど……流石にあの格好はどうなんだ?」

 

「同感だな。ここは生徒達の学舎だ、コスプレ会場ではないというのに」

 

 

 二人からも酷評である。当然だよな。

 その後、関わるのが面倒なので俺達は自分達の教室に戻って午後の授業を受けた。

 

 

 

 

 

「はぁ、今日はいつもより疲れたな」

 

 

 その日の夜、学校も無事に終わって俺は自宅で寛いでいる。肉体的よりも、精神的に疲れたな。

 

 

 あの後、午後の授業も滞りなく終わった。終わった直後に松田が「やっと終わったぜ!!俺は自由だぁぁああああああああ!!!」と叫び喜んでいた。

 

 

 俺は今、部屋の椅子に座って机の上に置いてある物に目を向けている。

 机の上には、ゲンムの時に使っているガシャコンバグヴァイザーとは色違いの『ガシャコンバグヴァイザーⅡ』と、黒と緑で配色されたガシャット『仮面ライダークロニクルガシャット』の二つがある。

 

 

 俺はクロニクルガシャットを右手で持ち、それを眺める。

 

 

『一誠、何を考えているんだ?』

 

「ん?あぁ、二世か」

 

 

 クロニクルガシャットを眺めていたら俺の横、正確には左肩から低い声がした。肩を見てみると、そこには赤と黒の色をした一匹の蝙蝠『キバットバット二世』だった。

 

 

『ずっとガシャットを眺めているが、何か問題でもあったのか?』

 

「ガシャットに問題はないよ。黎斗神さんが機能追加と同時に整備してくれたからさ」

 

 

 この前、俺がコカビエルを倒した日の夜に精神世界で黎斗神さんに渡された。俺が頼んだ機能を組み込んでくれただけでなく、整備もしてくれたのでいつでも使えるようになっている。本当に黎斗神さんには頭が上がらない。

 

 

『では、何故そんなに眺めている?』

 

「いや、近々コレを使う事になるかもしれなくてさ」

 

『確か、三勢力による会議が行われるんだったか。その時に使うのか?』

 

「あぁ、使う可能性は高いかもしれない。なんか、嫌な予感がするんだよね」

 

 

 昨日、アザゼルさんから近々駒王学園で三勢力のトップ同士が集まって会議を開くという連絡があった。

 内容は、コカビエルが起こした事件の詳細と三勢力のこれからについてらしい。

 

 

 そして、その会議に俺も出席して欲しいとのことだ。

 なんでも、天使勢力と悪魔勢力のトップ達が事件を解決した張本人である俺に御礼を言いたいのと、人間代表として会議に参加して欲しいらしい。

 

 

『三勢力が和平を結ぶと思うか?』

 

「少なくともアザゼルさんにはその気はないと思うよ。三勢力が和平なんて結んだら他の勢力から潰されるかもしれないからね」

 

 

 ただでさえ、三勢力は他の勢力から目を付けられているのだ。和平なんて結んだら大変なことになるし、絶対に三勢力の内部から離反する連中が出てくるだろう。

 特に悪魔勢力が一番狙われるだろう。

 理由は幾つかあるが、中でも悪魔が開発した『悪魔の駒(イービル・ピース)』と呼ばれる物が原因だ。

 悪魔の駒とは、他種族を悪魔に転生させることが出来るアイテムだ。先の三勢力同士の戦争で、種族が減少した悪魔が救済措置として作った物だ。

 

 

 だが、この悪魔の駒はかなりの欠陥品である。転生させる対象の意思に関係なく悪魔に転生させることができ、転生した転生悪魔は元の種族には戻れない。更には力に溺れたりすると醜い化け物になってしまうというクソ仕様である。はぐれ悪魔と呼ばれる悪魔がそれだ。

 

 

 故に珍しい種族や珍しい神器を持った人間を転生させる等、悪魔の駒を悪用する悪魔が多いのだ。主に悪魔上層部や貴族悪魔が多いというのが現状だ。全員という訳ではないが。

 

 

 そして、俺が一番懸念していることは会議中に何かが起きる予感がすることだ。杞憂であって欲しいんだけど。

 

 

 俺が思案していると、二世が話し掛けてくる。

 

 

『もし必要なら、俺も力を貸そう』

 

「ありがとな二世。近い内にお前の力を使う時が来るよ」

 

『ふっ、その時は我々の力を見せ付けてやろう』

 

 

 それから、俺が寝るまで二世と話続けた。

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 

 一誠の精神世界、そこに存在するとある部屋で三人の男と一台の『ベルト』がデスクを囲んで座っていた。

 

 

 一人目は、全身を黒と紺の服装で包み腕組みをしている我等が神『檀黎斗神』。

 

 

 二人目は、長い黒髪をポニーテールにして前髪に白いメッシュが入り白衣を着た男『戦極凌馬』、又の名を『プロフェッサー凌馬』。

 

 

 三人目は、軽くボサボサした黒髪に無表情の顔で茶色のロングコートを着込んだ男『神崎士郎』。

 

 

 そして、この中で唯一『人』ではなくベルトの存在。メカメカしい銀色のバックルから赤いベルト伸び、バックル中心部のモニターには表情が表されている。

 ベルト『ドライブドライバー』に搭載されたAI『クリム・スタインベルト』、通称『ベルトさん』である。

 

 

 三人と一台は、それぞれ報告をし合っている最中の様だった。

 

 

 《では、各自報告を頼む。まずは檀黎斗神、君からだ》

 

「現在開発中のガシャットを除いたドライバーとガシャットの整備と調整は終わっている。クロニクルガシャットとバグルドライバーⅡも一誠に譲渡済みだ」

 

 

 黎斗神は淡々と報告した。確認したクリムは次の人物に振る。

 

 

 《━━━プロフェッサー凌馬》

 

「私も檀黎斗神とほぼ同じだ。戦極ドライバーとゲネシスドライバーに必要なAランクとSランクのロックシード及び全ロックビークルの整備・調整は終わっているよ。あぁ、それとこれもね」

 

 

 そう言うと、プロフェッサー凌馬は白衣のポケットから1つのロックシードを取り出してデスクの上に置いた。

 そのロックシードは、一誠が普段使っているのよりも大きく、角ばっている。色はブラッドオレンジロックシードと同じで血のように真っ赤で、『K.L.S.-01 』という製造番号が刻まれている。

 

 

「まさか、サガラが造り出したロックシードを私が造ることになるとは……思ってもみなかったよ」

 

 《ふむ、これで武神鎧武は更に強化されたようだね》

 

「それともう一つ、開発中の『鍵』はもう少し掛かりそうだ。データが足りなくてね」

 

 

 報告を終えたプロフェッサーは椅子の背もたれに寄りかかり、デスクに置いてあるコーヒーの入ったカップを取って口に運ぶ。

 

 

 《━━━━神崎士郎》

 

「……戦力強化として、特殊なアドベントカードをリュウガのカードデッキに組み込んだ。

 それと、『疾風』と『烈火』のサバイブが完成した。オーディンの持つ『無限』を含めて3枚のサバイブが揃ったことになる。3枚が揃ったことでオーディンは100%の力を発揮することが可能だ」

 

 《そうか。例のアレはどうなっているかね?》

 

「……問題ない。『4枚目』のサバイブは1週間もあれば完成する」

 

 

 この時も、神崎は表情を一切崩さずに淡々と報告した。

 すると、今度は黎斗神がクリムに尋ねる。

 

 

「クリム、君の方はどうなんだ?」

 

 《私の方も問題ないよ。各種シフトカーとネクストライドロンの整備は終わっている。シフトブレストと私自身もね。

 もう一つ、2機目のハイパーゼクターが完成した。後はダークカブトに接続出来るように調整するだけだ》

 

 

 クリムも他の三人同様に報告する。彼らは今回の様に定期的に会議を開いている。会議内容は様々だが、ライダーシステムや武器の開発状況、一誠のバイタル及び訓練状況の確認だ。

 

 

 今回、彼らが会議を開いたのは一誠から三勢力がトップ同士集まって会議を開くことと、その会議に一誠が参加することを聞いたからだ。

 

 

 《一誠に確認を取ったが、やはり彼の意志は変わらないそうだ》

 

 

 一誠の意志。三勢力には所属せずに人類側に居るということや、もし三勢力が無理矢理に自陣に引き込もうとするなら実力行使に出ること。

 アザゼルは既に一誠の意志を知っているが、改めて三勢力会議で宣言するということ。

 

 

 今回の戦力アップにはそう言ったことが含まれている。

 クリム達がこれからの方針を暫く話し合った後、解散した。

 

 

 

 

 




如何でしたか?最後辺りがグダったような気がしますが。
いや~、一誠君の戦力がどんどんアップしていきますね!


次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

第19話 ━━審判の時━━

次回もお楽しみに!感想待ってます!


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