忙しい人のための赤竜亭 (おーり)
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呪われ気味のハイスクール
俺、死にました!


俺のゴーストがハイスクールD×Dの二次を書いてみろと囁いたので仕上げたのがこの様だよ!


 いっぺん死んでみる?と美少女に連れられて、行きついた先はなんと地獄。ここで修行して五大精霊とやらを獄猝らから奪取するのですねわかります、と勢い勇んで突貫して行き、スピリットオブファイア略してSOFをゲットし地獄の門へと出戻って美少女に驚いた顔をされたのがこの俺である。

 SOFはハオの持ち霊じゃね?とも思ったけど、手に出来たのだから問題は無い。あとは現世に戻るだけ。「どうやってもどってきたの……?」と少女に驚かれはしたけど、済まないちっぱいは好みじゃないんだ。と応えればマウントでフルボッコである。おお痛い痛い。

 ごめんなさい、これからは好き嫌いしません。と土下座すれば謝罪を受け入れてくれた模様。再び殴られる前にクールに去るぜ……。

 

 戻った先は既に死に体。死後硬直で体が動かない状態で無理に動かそうとするも火葬で焼けて後が無い。熱い熱いと呻いている間に再び地獄へ舞い戻る。美少女と再会して喜びのハグ。きゅ♪ドゴォ!と鳩尾を凹られるコンボが綺麗に繋がった。痛い。

 肉体がなければ現世へ戻れないじゃないですかやだー、と美少女に相談してみれば、いいから地獄へおいでよ、と諦めの貌で諭される。いいのかい?今度はスピリットオブサンダーを狙うぜ?と聞いてみればそもそもそんなの無いはずなんだけど、となんだか会話が成り立たない。あえー?

 とにかく地獄へ戻る気は無い。手にはSOFが既にあるし、鬼とかもう見飽きたし、あと見る景色が乏しいし。これ以上の修行をしても戻れる肉体が無いと意味無いじゃん。転生しろというのか。金髪美人の女神様を転生神に要求する!

 じゃあ好きなところへいけば?とそっぽを向かれる。拗ねられてしまった。慌てて、ごめん、キミが一番だよ。と後ろから抱きしめればズムゥ!と肘鉄である。どうすればいいの。

 

 黒髪の美少女といくつか会話をなんとか成立させてみれば、名前は無いとか。じゃあ由美子ね。なんかこの地獄の門もスカイハイっぽいし。と名づける。これで俺が一つアドバンテージを得たぜ……!と思いきやじゃあお前は諸星あたるな、とありがたく無い名前を名づけられる。ごめんなさい由美子さん。それだけは勘弁してください。せめて横島忠雄で。

 ところで俺は何故死んだのか。聞けば呪われたとか。呪いをかけたやつもいずれ地獄行き、と応えられても納得できないのだが。というか呪われるほどひどいことしたかな、俺。前世を思い起こせば、女子更衣室に覗きに行った記憶、教室でエロDVD談義に花を咲かせた記憶、テニス部の見学で揺れるおっぱいに釘付けになった記憶が思い起こされる。それじゃね?と由美子さんにも指摘され、えっ、駄目なの!?じゃあ松田とか元浜も呪われたのか。と聞けば誰、それ。という返事が。なんで俺だけ?解せぬ。

 

 呼ばれたとか言って由美子さんが現世へ行くとか。じゃあ俺も、と行こうとしたけどついてくんな、とゲシゲシ足蹴にされる。出会った頃はクール系の美少女だったのに、誰がこんなにしたんだ!

 いいもんね!由美子さん帰ってくる前に勝手にどっかいっちゃうんだから!とツンデレっぽく叫んでみても軽く手で追い払われる。びゃー、と泣きながら地獄の門を突っ切っていった俺がいた。

 

 

 シャーマンキングの知識を基にすれば、確か地獄というのはイメージだとかいう話。じゃあ美人ばっかの極楽を妄想すればいけるんじゃね?と必死で祈った。

 その結果、すげぇ花園に出くわした俺がいた。

 マジで極楽に行き着いたのか。すげぇぜイメージ。最高だぜイメージ。じゃああの遠目に見える豪奢な館とそれを囲んでいる鎧を着た美女の群れも俺のイメージか。好きにしていいんだな!?喜び勇んで駆け抜ける。「止まれ!オーディン様の館に何の用だ!」あれー?

 

 ヴァルハラ?なにそれ?と美人さん改めヴァルキリーのお姉さんと会話に花を咲かせる。館の門の前に常駐していたお姉さん方で、片方は仕事一筋ですキリッ!とした人だったけどもう片方はゆるふわ系のぽよよんとしたお方で良かった。こちらの人はファンタジーの女戦士が着ているような鎧ビキニだし、擬音の通りにふるふるとした特徴に目が釘付けになる。そんなんだから貴方は呪われたのよ、とちっぱい代表の由美子さんに直接脳内に語りかけられた。でも目が離せません。だって鎧ビキニとか初めて見たし!釘付けになるのは仕方ないっすよ!この良さはちっぱいにはわからんとです!「お前、後で屋上な」スイマセン由美子さん、土下座りますから程よくドスの聞いた声をすぐ後ろで話しているくらい鮮明に脳に響かせないでください。

 それはそうとお姉さん方。戦乙女、とかいう神の使いとか。じゃあ神様なら俺を生き返らせれます?と質問。北欧系は結構無理が利くし、大丈夫じゃなぁい?とのこと。ひゃっはー!

 

 そしてオーディンとかいう爺様神に謁見してみれば肉体がなければ無理と一蹴されてぶちきれ槍をへし折り地に跪かせて血に染めている俺がいた。兵藤一誠、十五の春のことだった。

 

 

 




~いっぺん死んでみる?
 人を呪わば穴二つ、の冷淡系黒髪美少女。ガチで地獄行きじゃないですかやだー

~地獄で修行
 全てはイメージの力。正確には死んだことでぽっかり空いた神器の穴を埋める何某かが必要だったのでそれを埋めるべく魂の集合体を云々、とかそれっぽく理屈付けてみる。実際あのラノベでの死後観念ってどんなんなってんの?

~由美子さん
 お逝きなさい。のお姉さん。スカイハイでぐぐれ

~諸星あたる
 初代煩悩高校生

~横島忠雄
 日本を代表する煩悩高校生

~こいつ、直接脳内に・・・!
 少女の呪いは消えたわけではありませんので


なんかやってみたら書けた。パソコンの調子が悪いのにこんなのやってる暇あるのか?と書き上げた自分に問いただしたい
わかりづらいかね、と思ったので今回もあとがきに注釈付き。ネギまやれって?バカテスやれって?思いついちゃったんだし仕方なくね?

タイトルに順ずる形で短めの話を載せてゆく所存
亀更新だと思うけど、だらだら書くのであんまり期待しないよーに。では



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俺、転生します!

Q.なんでこの子こんなにつおいの?
A.イメージとか魂の共鳴とかまあなんやかんやの理屈で云々



 肉体が無いと蘇れないとかなにそれ無理ゲー、と地に伏せる爺神をぐりぐりと足蹴にする。へんじがない、ただのしかばねのようだ。でもわざわざSOFに食わせるほど強力な魂にも見えない。むしろへし折った槍のほうが強そうなのでそっちを食わせることにした。

 かゆうまと健啖に旺盛な食欲を見ていると俺も思わず腹が減る。死んでるからイメージでしかねえ、とか言われそうだけど減るものは仕方が無い。なんか食うもの無い?と護衛の女神さまとかに視線で促してみる。むしろ酒池肉林とかを要求する!肉もってこーい!酒もってこーい!女もだぁー!ひゃっはー!まるで山賊である。おお怖い怖い。

 

 豪華な料理に舌鼓を打ちつつヴァルキリーのお姉ちゃんたちにベリーダンスを要求してるといつの間にかイケメンが相席していることに気づく。名前はロキとか。ああ、今思い出したけどヴァルキリープロファイルのラスボスじゃなかったっけ?ってことはここってアースガルド?じゃあレザードヴァレスもどっかにいるんじゃね?ホムンクルス作らせて俺の体にすれば万事解決!と提案してみるものの、誰それ?と問い返されて残念無念。いねえのかよレザード。

 あーあ、ここがゲームの世界なら完全犯罪だったのになー!と不貞寝すれば「ホムンクルスは無いけど似たようなものならあるよ」とイケメンさんが形状し難きショゴスのような物体を見せてくる。ちょ、近づけんなし。「悪魔の駒≪イービルピース≫というものを聖書の勢力が抱えていてね、その悪魔の駒の大元になるものがこれさ。聖書の悪魔どもはこれを削ることで転生悪魔を生み出す土壌に云々」とめんどくさい説明の大半を聞き流す。要するにこれを使えば俺は悪魔に転生できるとか。なにそのデビルマン。かっけえ。

 

 ロキの兄さんには頭が上がらない。人間界にあるという転生に適した施設にまで魔法で送ってくれると言う。魔法の力ってすげー。「業魔殿へヨーソロー……」えっ。施設ってここ?実在したのか。っていうことはショゴスのようなあれはドリーカドモンみたいな代物なのだろうか。「悪魔合体をお望みかね?」というかこの船長の中の人がゲームとはなんか違って聞こえる。どちらかというと鋼の兄弟の錬金術師の漫画に出てくる敵役の親玉みたいな。持っていかれる……!

 でもまあせっかくなのでドリカドもどきを見せてみる。珍しい素体だって。合体できる?じゃあ三身合体で。俺とドリカドもどきとSOFで『!?』なんか驚いた顔でこっち見られたけど知らん。というか俺の言葉理解できていたのか、SOF。

 

 「オレサマ、オマエラ、マルカジリ」造魔イッセー、今後ともヨロシク……。くくく、一度やってみたかった……!

 しかし死んでいたときに比べて体が重い。今思えば爺とはいえ神に勝てたのって肉体が無かったからなんだな。由美子さんのテレパシーも聞こえなくなっているし。でも悪魔的な融合を果たしたのだからどちらかといえば人修羅かも知れん。となるとやはり首筋には突起のような立派なものが……!?『いや、外見的には以前のままだな』誰だし。

 オノレの中にいる何者かと会話を繰り広げる。赤竜帝とか。二天竜の片割れとか。俺が死ぬまで俺の中で眠っていたけど気がついたらSOFの中にいた?汝は我的な存在なのか?ペルソナとか、斬月のおっさんに擬態していたユーなんとかさんみたいな存在か?『神器というものを知らんのか。確かにそれ自体はお前の力だといえるかも知れんが、どちらかというと隔絶されたものだから別々の云々』長々としゃべるな。説明が長すぎるとダレる。『とにかく、今のままじゃ使えん。よし、ちょっと目覚めさせてみろ』どーしろと。

 なんでもオノレの思い描く最強の存在のごっこ遊びをすればセイクリッドなんとかとやらを具現化できるらしい。心源流に謝れ。具現化系さんがなみだ目になるだろうが、クラピカさんとかさあ。

 だがしかし、そういう特殊能力にwkwkするのはいくつになっても辞められないものがある。男はいつでも中二病。ここはやはりアレだろう。アレしかない。手を虚空へ伸ばし、何かを握るように掴む。もう片方の手は伸ばした腕の二の腕を掴み、息を吸い、溜める。

 

「卍・解!!!」

 

 視界が光に包まれた。おっふ、まぶしっ。

 




~形状し難き
 独自設定。悪魔の駒はこれを削ることで、と理屈付けてその大元の総量をそのまま悪魔の力へ変換できるように。イッセー最強フラグ、キタコレ

~業魔殿
 よーそろー、の船長さんと血色の悪いメイドさんがいる豪華客船。今回メイドさんとは不会合

~造魔
 人形を素体に悪魔を合成させる人造悪魔。主人のいうことをよく聞く忠誠度マックスな代物を作れるとか
 でもイッセーの場合は魂の結晶であるSOFを混ぜたからどちらかというとホムンクルス(それこそハガレンの)
 せっかくだからステータス考えてくるわ

~イッセー卍解修得するってよ
 ずっとやってみたかったネタ。能力はいずれ


なんか書けたので載せたよ!
ネギまよりずっと短いよ!
思いつくままに書いてると矛盾が酷いかもだよ!
でもガンバテルヨ!

そして赤竜帝フラグは消失しましたがドライグさんはなんとか回収できました
まあ原作でもイッセーってなんども死んでたし、このくらいの因縁なら平気だよね?

だらだら書くのでだらだら読んでね!


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友達、できました!

由美子さん、人気過ぎねぇ?


 光が収まったとき、俺の手にあったのは一本の剣だった。というかディムロスだった。ソーディアンきた!これで勝つる!『いや、そのりくつはおかしい』なんかドライグからしても予想外の形状になっていたらしい。剣の中から龍が愚痴る。驚きのビフォーアフターだとか。なんということでしょう、こんな禁手見たこと無い!バランスブレイクってなんぞ?

 せっかく業魔殿にいるのだしメアリに会いたい。よーそろーのおっさんに聞いてみたいけど中の人が違うっぽいのであんまりがっつくのも憚られる。所詮はゲームの知識だし、現実がゲームと同じだと考えるのは間違いなのだろう。と、ふと自分のことが気にかかる。ステータスとかを閲覧はできないのだろうか?悪魔全書のほうがとみに見たくなってきたので今度こそ尋ねてみた。

 

 種族:半竜・属性:chaos‐neutral・LV:78・炎吸収・破魔反射・呪殺無効・精神耐性強・弱点乳・力:98・魔:1780000000・体:78・速:24・知:5・運:13.技:ファイヤーブレス・ドラゴンブレス・マハラギダイン・天中殺・タルカジャ・マカカジャ・ラクカジャ・サマリカーム

 これが俺のステータスらしい。魔のステがカンスト以上に天元突破してた。いちじゅうと数えてみれば、十七億八千万。おかしい。それに至るまでどれだけのレベルを上げれば追いつけるのか。あれか、SOFの霊力?巫力125万というのはハオのものだったし、SOFは五大精霊だから下手な神クラスよりずっと上なはず。グレートスピリッツの五分の一を切り分けている設定だから、この数字でも少ないほうかも知れぬ。設定とか言ってる時点でそもそもおかしいけど。というかサマリカーム使えるのか。ほぼ死者蘇生じゃねえか。誰得ー?マハラギダインは使ってみたい。火炎系に妙に強くなっているのはSOFを素体に使ったからだと思われ。というか俺って竜なの?赤竜帝とかって中二臭い二つ名を名乗らなきゃ駄目?あとファイヤーブレスとドラゴンブレスの違いってなんぞ?

 

 ステを見ても疑問しか浮かばなかった。どうしよう。とりあえず、オーディンの爺神にいつ狙われてもいいようにこの実力を十全に扱えるようにある程度の鍛錬は必要かなぁ。

 

 

 

 

 

~レベル78

 三身合体補正

 

~炎吸収・破魔反射・呪殺無効

 SOF補正

 

~精神耐性強

 地獄を抜けてきた奴が普通の精神攻撃で参るはずが無いと思われ

 

~弱点乳

 イッセーなので。目視すればステータスと耐久値が半減し、直接触れればステータスが倍化する代わりに命令を聞かなくなる。最悪裏切る可能性も

 

~力・98

 覚醒補正。ドラゴンとしての性質がレベル+20の恩恵を云々

 

~魔・1780000000

 作中での解釈と同等。大体の魔法なら肌に羽虫が当たった程度の衝撃

 

~体・78

 レベルに合わせた成長と見せかけた覚醒補正付きの悪魔転生補正。肉体は頑強になりドラゴンとしての性質で+20。原作イッセーと比べれば怪物級。サマエルにやられて復活したイッセーの大体倍程度の耐久力または体力と思ってくれれば

 

~速・24

 覚醒補正。ドラゴンとしてのry

 

~知・5

 常人程度。ステータスは10あれば天才レベル

 

~運・13

 ある程度の主人公補正。実際原作でもご都合的な展開があったことを否定しちゃいけない

 

~カジャ系

 ドライグの性質を若干受け継いだと思われ

 

~天中殺

 属性・光&破魔、グングニルを取り込んだ成果。但しオノレの属性と違いすぎるので威力は半減。なお、威力は『体』に比例する

 

~ブレス

 ファイヤーは炎、ドラゴンは万能属性。要するにメギド系の広範囲攻撃。威力は両方とも『体』に比例。ちなみにタルカジャでも攻撃力は上がる

 

~マハラギダイン

 威力が魔に比例する上に割と高位呪文なために、地獄の四分の一を焼き払う程度の破壊力となっておりまーす

 

~サマリカーム

 体力回復も可。魔法の根源は魔力なので、魔力の続く限り自身を回復し続けることが出来る。と・・・

 

 

 

 

 

 業魔殿で生活すること一週間程度。ここにはサマナーだけではなくて色々と世間から外れた人種も集まるらしい。小学生みたいな外見の同い年のシスターとかが居たりした。金髪で美少女なのだが、世間の荒波に揉まれているためか若干レイプ目。やつれている姿を見るにかなり忍びなく、必死で会話やらなんやらで元気付けているうちに懐かれてしまう。エロいこと?できるわけねえよ!見た目小学生っつってんだろうが!俺はロリコンじゃない。ちなみに言語の壁は根性で乗り越えたらしい。気づいたら会話が成立していた。根性パネエな。軍覇さんが原動力にするだけはあるわ。

 話を聞くに、彼女はどんな種族でも治療できる神器・聖母の微笑み≪トワイライト・ヒーリング≫をその身に宿しており、ある日悪魔を治療する所を教会関係者に目撃されてしまい、それ以来奇跡の使い手として褒め称えられていたのに一転、教義を脅かすとして魔女扱いだとか。宗教って怖いな。でも治療できる神器って凄くね?要するにピトーさんの玩具修理者≪ドクターブライス≫を使えるっていうことだろ?俺のサマリカームでも恐らくは腕を生やすこととかできやしないと思われるし。そう考えると宗教家の考え方に納得がいかない。悪魔とはいえ身体構造に違いがそれほどあるわけじゃないのだから、治療できる事実が異端になるとかどーしてだ?ソースは俺。医療系福祉系に転向させれば良かったのではなかろうか。疲れた自分をサマリカームで回復させながらそんなことを話すと、どばぁ、と滂沱の涙を流す少女。ちょ、どーしたし。

 どうでもいいけど神器の中二臭芳しい名称って誰が考えてるの?俺のディムロスたんにも名前ついてんの?『いや、俺の姿は本来篭手だったはずなんだが……』剣じゃねえかよ。名前が無いんなら勝手に名づけるわ。卍解・紅蓮龍牙帝の剣。とかどーよ?『か、かっこいいではないか……!』お気に召してしまったようだ。じゃあ始解は紅蓮剣だなー。と脳内で会話をしていると少女も落ち着いたご様子。何があったの?

 自分と同じようなことが出来る人にはじめて会えたとか。自分のやっていたことの意味が果たしてなんだったのか、とか色々考えてしまったけど、自分は一人じゃないんだ、と思い至れたことが嬉しかったとか。や、やっちまったぜ……。っていうか玩具修理者系の能力じゃなかったんかい。少女のトラウマを土足で踏み躙ったことに凄く心が痛い。な、なんならお友達になろうか?と良心の呵責がキリキリ痛むのでそんな提案をしてみた。凄く喜ばしい笑顔で「はい!」と頷かれてしまった。やめて!イッセーのライフはもうゼロよ!?

 友達からはじめましょうをした金髪シスターの名前はアーシア・アルジェント。外国のお友達は何気に二人目である。最初のはハーフだけど。あの幼なじみは一体何処で何をしているのやら……。




~アーシアさんがログインしたよ!
 ちっぱい四天王二人目。由美子さん?そのうちね、そのうち

~軍覇さん
 松岡並みに熱い男。すごいぱーんち、略してスゴパをぶっ放す高校生

~ピトーさん
 猫耳の生えたキメラとかなんとか。お姉さんみたいな外見なのだけど、女性なのか男性なのかは知らん

~卍解・紅蓮龍牙帝の剣≪ぐれんりゅうがみかどのつるぎ≫
 中二心を擽るかっこよさげなネーミングセンス。始解状態では恐らく炎を纏わせると思われる


一年早いけど原作開始といこうではないか
オリ展開?あれだけ設定あふれる原典にそんなもの必要かね?
混ぜっ返すぜぇ、ひゃっはー!



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俺、帰省します!

 驚きの新事実発覚!業魔殿って無料で利用できる施設と違ったんだってさ!使用料を払いたくとも手持ちどころか戸籍も無い出来ることなど何もなかった現状の少年がここにいた。ていうか俺だった。やってくるサマナーの皆様の回復や悪魔合体の手伝いをするにしても生活費には程遠い。回復のほうはアーシアがいるから益々仕事がなくなる。男に回復してもらうより美少女にシテもらうほうがみんな嬉しいもんね!シカタナイヨネ!ともあれこのままでは紐男一直線。さすがに見た目小学生の美少女が働いている横で何にもしない俺が居るというのは間違っていると俺でもわかる。現状回復の伝手を求めて、一旦生まれの町へと里帰りすることを選択する。気分は出戻りするポケモンマスター。せめてスタッフロールくらいは見ておきたかった……っ!

 

 一度蘇った感触からして火葬の目に遇っているわけだから葬式も済ませてしまっていると思われる。でも一応はまだ四十九日も過ぎてないのだし、早々に死亡届を出されていないことを願って駅前なう。警察に呼び止められる。え!何!俺まだ悪いことばれてねーよ!?

 違った。なんか捜索願が出されていることが発覚。今から実家に戻るところです、お騒がせしました。と仕事熱心な交番のお巡りさんに礼儀正しく挨拶をして現状を考える。どういうことなの。『言い忘れていたが、相棒の死体を焼いたのは今相棒の一部となっている炎の精霊だ。俺はその際に取り込まれて結果として今この通りなわけだが』そういうことは早くに言おうぜ。ドライグの言葉を分析するに、俺呪われて死亡→死んだ身体自体がいくえふめい→呪ったやつが持ってった?→燃えて再構成←今ココ!ということか。呪った奴はいったいダレナンダ。由美子さんに聞けばわかるのかも知れないが呪殺無効のステの所為か届かない俺のテレパシー。美少女の連絡先を喪失したというかつてない無力感に苛まれる。

 ポジティブに考えよう。死亡届が出されていないのならば戸籍の問題は何とかなるし、この際アーシアを我が家に迎えるということも可能になる。犯罪に手を出したと親からは疑われそうだが、其処は俺のネゴシエーションの腕の見せ所。義妹というポジションをアーシアにプレゼントだ。やったねアーシアちゃん!家族が増えるよ!

 

 家族が増えて(意味深)しばらく経ったある日のこと。夜歯を磨こうと洗面台の鏡を覗き込む。少し目を離し再度目を向ければ黒髪の美少女が映っていたことに息を呑む。ホラー映画の構成である。息と同時に歯磨き粉も飲み込んだ俺は悪くない。というかよく見れば由美子さんだった。久しぶり。

 なんだかんだあってアーシアの転入が受け入れられたのがその日のこと。俺が再登校した驚き以上に我がクラスがどっと沸いたのは言うまでも無い。言葉の壁は厚くとも俺が根性で何とかなったようにクラスメイトもそのうち何とかなるとわたし信じてる!今のところは通訳係ということで、クラスからは若干距離を置かれていた俺も違和感無く溶け込めている。な、泣いてないもんね!ボッチちゃうわ!孤高なだけだわ!

 それはともかく、なんか由美子さんが言うには俺がもう一度呪われたから来てみたけど呪殺無効の謎効果の所為で殺せないとのこと。なんで俺そんなに呪われてんの?ねえこれイジメ?イジメなの?涙がほろりと頬を伝う。涙を拭けよ、と無駄に漢らしい由美子さんにほれてまうやろー!あ、でもその胸を借りるつもりは無いのでご安心ください。所詮はちっぱい、俺を受け止めるには絶壁過ぎる。そうやんわりと断ったらアルゼンチンバックブリーカーで瀕死にされる。おお、痛い痛い。

 暴力系ヒロインとか将来的にアンチ由美子というタグつきの二次創作を作られちゃうかもしれないでしょやめてよー。粗暴系ツンデレなんぞ島田さんだけで充分である。痛む躰を宥めつつ、由美子さんに謝罪の体制を緩めはしない。うちのヒロインは凶暴です。それもこれも再登場を希望されるから!あ、なんか電波混じったカットカット。

 話を戻すと、呪いをかけた人はその体に痕が残るとか。将来的に死んだら地獄行きの予約権みたいな痕跡らしい。それを探れば自分に呪いをかけた相手がわかるのでは?という提案に、この場で直接誰がかけたのかをばらすわけにはいかないのでせうか……?と疑問の声を投げかければ、おお、と手を打つ由美子さん。その考えはなかった。というリアクションが可愛いぜ。

 相手の力が自分より上だから名前だけは明かせない、と神龍みたいなことを言う。え、由美子さんよりTUEEEの?しかしその相手は、美少女で、年のころは俺と同じくらいで、呪いの痣は右乳房上乳にある、胸がCかDくらいのたゆゆんなスレンダー系、だとか。今からちょっとわら人形に釘打ってくる。と思い出したかのように険しい表情で身を起こす由美子さん。それ完全に私怨で私用じゃないですかやだー。というかやっちゃっていいものなの?「普段も真紅とかに打ってるから平気」言い残して去ってゆく。真紅って誰だし。

 

 結局詳しい相手がわからないままに登校の時刻。しかし俺を排斥しようというのなら受けて立つ。汝人狼也きや?ライアーゲームの始まりだ。それはそうと、由美子さんの連絡先を聞くのを忘れていたことに今ようやく思い至った俺が居た。




~やったねアーシアちゃん!家族がry
 おい、やめろ

~鏡に由美子さん
 鏡台を開いて、閉じて、次の瞬間に誰かが立っている。という件のあれ。わかっていても身の毛が弥立つ

~島田さん
 本当は乙女なのよー。本当よー。でも作者の方の執筆力云々のせいでツンデレがなんだか検討はずれな方向にry

~「真紅とか」
 ライバルを減らすよ!やったね由美子さん!


由美子さん再登場
これで満足か野郎ども

短い話だと文句を言われそうだけど、実際よく言われるけど、タイトルやタグを改めるつもりは一切無い
今後も一ページか二ページ程度の文章量を一話ずつ投稿する所存

イッセーを殺した奴って、ダ、ダレナンダー


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俺、狙われてます!

 「イッセーくん!イッセーくん!イッセーくん!イッセーくんぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!イッセーくんイッセーくんイッセーくんぅううぁわぁああああ!!!あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくんんはぁっ!イッセーくんの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!小説何巻だったかのイッセーくんかっこよかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!アニメ2期放送されるの?されないの?イッセーくん!あぁあああああ!かわいい!イッセーくん!間違えたかっこいい!あっああぁああ!コミックも発売で嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…イ ッ セ ー く ん は 現 実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!グレモリーぃいいぃぁああああ!!この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のイッセーくんが私を見てる?表紙絵のイッセーくんが私を見てるよ!イッセーくんが私を!挿絵のイッセーくんが私を見てる!!アニメのイッセーくんが私に話しかけてる!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!いやっほぉおおおおおおお!!!私にはイッセーくんがいる!!やったよアザゼルさま!!ひとりでできるもん!!!あ、コミックのイッセーくううううううううううううううううううん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!あっあんああっああんあぁあ!!ミッテルトォ!!ぃいいいいいいィィいいい!!ううっうぅうう!!私の想いよイッセーくんへ届け!!悪魔になっても頑張るイッセーくんの元へ届け!!」どうしてこうなった。

 ライアーゲームを始めようと意気込んだ翌日の放課後、以前に告白されたよその学校の女子、確か天野夕麻だっけ?が再びやってきて大好きっ!と抱きしめられる。以前にもされたがはっきり言って俺は自分がそこまでモテる人種だとは思ってはいない。疑心暗鬼のままに告白を断ったはずなのだが今回は更に疑惑の条件が追加されている。俺のことが好きならばおっぱいを見せてみろ。と鬼畜な命令を下した俺は悪くない。

 「イッセーくんなら……いいよ?」とするすると肌蹴てゆく制服に、肌色の面積がコンマ秒単位で増えることに目が釘付けになる。そして目に映るのは右おっぱいの上乳、ブラに包まれた本体からはみ出て見える過剰な柔肌に刻まれている呪いの痕跡。お ま え か。次の瞬間には光の槍で腹を貫かれ押し倒されて冒頭のあれに戻る。もう一度言いたい。ど う し て こ う な っ た。

 おっぱいに目が釘付けになっていたからだろう、弱点乳は伊達じゃないらしい。痛みこそそれほど無いし刺さった瞬間に筋肉が槍を挟み込んで出血もそれほど無い。が、勢いのままに押し倒されてprprされているとか変態行為が目に余ってとってもいやん。彼女は欲しいし押し付けられている胸もキモチイイが変態はノーせんきゅー。現実逃避で脳がいっぱいですにぃ……。にょわー……。

 そんなふうにされるがままになっているとすぐそばの地面に光が見える。なんぞ?と思っていたら、そこから女性が現れた。……ボンテージファッションの。二人目の変態がログインしたお!

 

 天野と二人目がなにやら言い争っているけどどうせ変態同士の縄張り争いとかその辺りだろう。聞きたくない俺は二人の会話をキャンセルした。最初からクライマックスな露出狂の格好で現れた二人目の女性も美人(美少女)の類である。赤い髪が特徴的な、多分スタイルは天野より上じゃね?というか学校の有名人である。グレモリー先輩なにしてんすか……。

 ああ、帰りたい。帰ってアーシアを抱きしめたい。ソファの上でエッチな意味合い無しに抱きしめてもふもふして癒されたい。聖母に微笑まれたいよぉぉ!んぉぉぉ!トワイライトぉぉぉ!やっべなんか変態混じった。削除削除。義妹には清純なままでいて欲しい。変態成分を迸らせ無い様に注意しないと。

 そんなことに思考を割いていると変態同士のO☆HA☆NA☆SHIは終了したらしい。「あんたなんかにイッセーくんは渡さないんだからね!おまえの魔王末端冷え性ー!」と捨て台詞を残して飛び立っていった天野。というか羽生えてたんだけど。何あれ、人外だったの?というか残ったグレモリー先輩も羽生えてるし。こっちは天野と違って蝙蝠みたいな羽である。天野のほうは黒い翼だったから……カラス天狗?あややーな山の新聞屋と同じだったのか。思い返してみればそっくりな気がする。

 「何がしたかったのかしらあの堕天使……って、それよりもこの子ね」げ。なんかロックオンされている。慌てて立ち上がり光の槍をへし折って距離を取る。このまま良いようにやられてなるものか、変態相手に同じ徹を踏む程間抜けでは無いわ!「ちょ、ちょっと!あなた大丈夫なの!?」あれ?純粋に心配されてる?てっきり捕食されるのかと思っていた過去の自分が恥ずかしくなる。あー、大丈夫です、すぐに回復できますから。そう応えてサマリカームで腹に開いた穴を治療する。大体筋肉で塞がれていたけど。ダメージ多分10も行ってなかったと思うけど。「回復系の神器……?そう、あの堕天使これを狙っていたのね……」セイ……なんだっけそれ。と思考を巡らせたのが悪かった。その隙を突いてグレモリー先輩がにじり寄る。しまった、距離を詰められた!?「ねえ、あなた、確かうちの学校の兵藤くんよね?」あれ、俺結構有名人?いやいやそんな、先輩には適いませんよー。と思わず有頂天。「ハーレムに興味、ないかしら?」えっ。




原典メインヒロインが登場
仕事帰りだとか、堕天使の力を感知したとか、まあそんな理由で

あと原作イッセーがハーレム願望を抱くようになったのはこの人が切欠のような気がしてきた俺がいる


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俺、勧誘されてます!

自分、真面目な人間ですから(キリッ


 突然だが俺の装填数はそれほど多くない。持久力こそあるのだとは思うが、一発分に波動砲並みの溜めが必要な己のスペックは果たして平均なのだろうかとちょとだけ疑問に思わなくも無い。抜かず三発とか出来れば自信は強固なものになるのだと思うけど。なんの話しかって?言わせんなよ。猥談だよ。恥ずかしい。

 そんな俺には今回の一件でちょっとした疑心暗鬼も患っているのだと自負できる。そう、例の変態である。なんで好きなはずなのに殺すのよ。しかも俺が行方不明になったってことは殺したあいつが死体を何処かに持っていったってことだろうが。持っていって何をしたんだよ。やだよ怖いよ。とまあこんな感じで、女性に対して一定の距離感が生まれつつある昨今、俺ににじり寄ってきたのはボンテージ姿の露出狂。そんな人がハーレムとかに勧誘したところで興味持てるはず無いじゃないですかやだー。というか要するに自分のハーレムに入れということなのだろうか、この先輩の言いたいことは。

 くっ、変態一号のように胸を押し付けたりはしないが摺り寄せてくる絶妙な距離感が悩ましい……!どう贔屓目に見ても俺が知る中で一番のスペックである夢の塊。おっぱいには夢が詰まっている、とはよく言ったものである。男の夢ですね、わかります。しかしよく考えろ俺!この手練手管の巧そうな先輩はハーレムを作っている→相手は俺一人ではない→いろんな男をとっかえひっかえですね→それを見過ごせるのか……?無理だ。俺は女性とは一対一の健全なお付き合いをしたい。身体だけとか、浮気とか、そういうのはちょっと許容できない。スペックこそ高水準だけどもこの先輩とはそりが合わない、と今この瞬間に思い至った。なので拒否。すいません、俺んち仏教徒なんで……。「そう……残念ね。でも、今のままじゃあなたどうしたって狙われるわよ?」変態一号にですね、わかりたくないです。意外とあっさり引いてくれたグレモリー先輩。家まで送るとのこと。普通逆では無いでしょうか。しかもそのまま送り狼に会いそうなのが俺のほうだという現実が涙を誘う。俺はいつの間に誘い受けに……。

 あっ、ひょっとして俺の童貞とかもう奪われてるんじゃね?と、自分の死体が誘拐されたとき果たして己の身体はどの程度まで無事だったのかと要らない妄想が無常に膨れた帰りの道中。そして別れ際、「明日使いを寄越すわ、あなたが知りたいかもしれない裏の事情を、詳しく教えてあげるわね」と甘い声で囁かれ、頬に優しくキスをされる。まだ狙われてるんですね、俺。そしてそんな爛れた裏情事なんか知りたくないよう。部屋に戻れば何故かアーシアが待っていたので、思わず抱きしめてベッドへ押し倒す。アーシアぁ、汚れちゃったぁ、汚れちまったよ俺ぇ……。泣きながらエッチな意味合い無しにぎゅうぎゅう抱きしめ、すっごいあわあわと初心な反応を返してくれるアーシアたんにえらく癒された。

 

 翌朝。一緒のベッドに寝たわけではないので朝チュンとか無いですけれど、夕べのあれで少なくとも精神力の五割は回復できた。すっごいよ聖母の微笑み。むしろアーシアが聖母。トワイライトぉぉぉ!んぉぉぉ!教会から追い出した宗教連中の考えが本当に理解できない。

 小首を捻りながらリビングへ行けば、何故か朝食を一緒にとっている由美子さんの姿があった。なにしてんのあんた。納豆の小鉢をかき混ぜる地獄の門番系黒髪美少女に疑念の視線を向ける。どうやらまた呪われたらしい。一々来るのも面倒だからしばらく此処で生活するとか。億劫にも程がある。それでいいのか地獄の門番。我が家のちっぱい率が跳ね上がる。同時に美少女率も跳ね上がったので俺としては断る理由も無い。でもハーレムだけは簡便な。

 

 ドッキリイベントの遭遇率も一緒に跳ね上がったことに多少の喜びを感じていた一日の放課後、クラスがにわかに騒がしくなる。「兵藤君はいるかな?」松田&元浜の怨敵、イケメン王子との二つ名がある木場が俺をご指名である。あ?下の名前?知らね。それはともかく指名されたことで教室内の黄色い悲鳴が野太くなる。やめてよー。木場×兵藤とか誰得ー?女子得ですね、わかりませんけど。蘇生した現在の俺は彼について特に思うところなどなかったのだがこの一件で嫌いになりそう。そして誰が受けだ。嘗めんなドSじゃ。「それは嘘だろ」「Mだよな」「バリバリにドMだよねー」クラスの悪友からの評価がわからない……!

 グレモリー先輩の使いできたとか言う木場。コイツもハーレム要員ですか、そうですか。なんとお断りの返事をしようかと唸っていたところ、アーシアが俺の前に聳え立つ。むしろ木場の前に立ち塞がる。「い、イッセーさんはつれていかせません……!」おお、守られているという情けない状況だけどアーシアたんが俺の味方だというのが素直にうれしい。アーシアたんマジ天使。本当にいい子で「イッセーさんはゲイじゃないです!」おい。誰だうちの天使に変なこと吹き込んだの。未だに通訳必要なはずの意思疎通&理解度の低さの癖に余計なところにばかり手が届く。うちのクラスが魔窟です……!

 気づけば木場はアーシアから距離を取っていた。あれ?なんで?美少女と距離を取るとか本気で奴がわからない。しかも何故か表情が強張っているような。……女性恐怖症とか?いや、そうなるとグレモリーハーレムに入っているのが解せなくなる。普段は回りに女子が集まっているのなんて日常茶飯事だとも聞くし。試しにアーシアの脇に手をやり抱きかかえぐいっと近づけてみる。距離を取る。近づける。距離を取る。ほーれほーれこんなに可愛いのに何が不満だぁ?「ちょ、ちょっとやめてよ!金属アレルギーなんだよ僕!」金属?そういえばアーシアは胸元に十字架を下げていた希ガス。しかしアレルギーってそういうもんだっけ?疑問の声をあげる前に木場は撤退。アーシアたんがイケメンを撃退した歴史的瞬間である。アーシアは申し訳なさそうにしていたが、余計なことを言わずに事が済んで俺としては万々歳だった。

 

 翌日の休日。早朝より。我が家にお客様が現れる。セーラー服の銀髪中学生。しかも美少女である。見た目は今までの誰よりも幼いが美少女である。いっそ美幼女と言っても過言ではない。しかしこんな美幼女に我が家を訪問される覚えも無い。何の御用かね?「リアス先輩の使いで来ました。塔城小猫です」ん?ほほう、リアス先輩のね……。リアス、グレモリー……?両、刀……だと……っ!?




しかし処女である


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アーシアのペルソry

 休日にやってきた美少女女子中学生を追い返すほど野暮ではない。このまま連れてゆかれるのは勘弁だけど同性愛的なことにさえ目を瞑れば是非お近づきになりたい美少女だ。連れてゆきたければ俺を倒してからにするのだな。直ぐ様ファイティングポーズをとる塔城ちゃん。いきなり肉弾戦かよ。美少女戦士なの?ポジションとしては多分ちびうさ。体格的にも。残り五人の美少女戦士の登場も期待する。

 勝負内容は爆弾男。暇そうにしていた由美子さんや年中友達募集中のアーシアも混ぜての四人で対戦することに。我が家のちっぱい率が今世紀最大値に到達する。美少女率も恐らく今世紀最大値。そして最近の中学生の言語能力が凄い。アーシアと仲介なしでぺらぺらしゃべっている塔城ちゃんに脱帽である。同性愛的なことをアーシアには感染させないで欲しいが、塔城ちゃんの対応力を見る限り良識的な部類なのだろう。痴女のお仲間を無暗矢鱈と増やそうとしない娘で一安心。気兼ねなく会話の出来る友達が増えて我が家の天使も嬉しそうだ。

 爆弾男に興じる姿を眺めるだけでほんわかするが口数が圧倒的に少ないこの情景でほんわかできる俺は多分上級者。女子三人寄れば姦しいとはよく言うが、無口系が三分の二を占めていると姦しくなるには二文字足りない。しかしよく見ると件の無口系も楽しんでいる様子がようやくわかる。本当によくよく見ないとわかりづらいけど。というかそうでないと此処までじっくりゲームに興じれる空間は作れないかと思う。そんなのんびりした休日の昼前、アーシアを尋ねて優男風のイケメンが現れる。アーシアを嫁にしたいとな?

 

 美女を五人ほど引き連れてやってきた少年の名前はディオドラアスタロト。話を聞くとその昔アーシアに助けてもらった悪魔だとか。どうでもいいけど一般人が襖一枚挟んだ向こうでお茶をしている。悪魔とか教会とかいう単語が丸聞こえだと思うのだけどいいのだろうか。ちなみに茶菓子は虎屋の羊羹。黙々と食していると思われるのは塔城ちゃんと由美子さんの二人。あまり歓迎したくは無いが団体客がぞろぞろとやってきたので茶を淹れたついでに待っていてもらうことにした。対戦成績は現在3対2、勝ち越しであるからして。

 あさっての方向へ思考を逸らしている間にディオドラくんのプロポーズはひとしきり終わったようである。アーシアが意見を聞きたそうにこちらへチラッチラッと目線を寄越す。アーシアのしたいようにすればいいんじゃないかな。でもいなくなられるのはさびしいな。と本音を伝えると、決心したようにお断りの謝罪をした。ディオドラくんは教会を追われる原因を作ったお詫びに自分の嫁にしたいとか、アーシアのことを愛しているんだ、とか色々美麗成句な修飾語を乱用して誘っていたようだ。しかし悪魔の嫁となると今のままのシスターは続けられない。教会を追われても自分は敬虔な神の使徒であるというのがアーシアの言い分。今までの生き方を全て否定することはできそうにないらしい。なんだこの天使。いい娘にもほどがあるだろ。アーシアたんマジ聖母。お断りの返事をした直後空気が悪くなる。それなら力尽くでだ!と、やせいのディオドラが勝負をしかけてきた。

 こいつレベルいくつなんだろう。グーパン一発で鼻血を出してのた打ち回る優男に哀れみの目を向ける。そもそも考えるとこいつのやったことに微妙な引っ掛かりを覚える。教会のそばで怪我をしていてそれを回復してもらったのはいいけど、アーシアのいる教会に偶然いいところの坊ちゃん悪魔が怪我をしているっていう確率はいくつよ?おまけにその直ぐ後に追われたアーシアを迎え入れずに一年近く放置。愛しているとか言われても何処かその愛が歪んでいるようにしか見えない俺は穿ちすぎだろうか。極めつけはお付きの美女五人。嫁を迎え入れに来るのにこんなに引き連れてくるか、普通?

 逃げないように四肢を云々してよくよく聞いてみると美女たちは眷属だとか。眷属ってなんぞ?部下とかメイドとか下僕とかそういうもの?やっぱいいとこの坊ちゃんらしい。尋mゲッフンゲフン質問の最中、自分に手を出すと明快が黙っちゃいないとか文章として理解できない台詞ばかりのたまっていたが、要するにこのまま帰せば我が家に危害が及ぶ可能性がある、と。じゃあ封印でもするか。

 業魔殿で手伝いをしているときについでに貰ってきた白紙のカードを使う。眷属のお姉さんたちも逃がさないように封印。何でも悪魔ならばレベルが自分より低ければ問答無用で封印できるカードだとか。ゴーバクカードですね、懐かしい。業魔殿にはカードから記憶を読み取る装置もあったはずだし、内容如何によっては復活させてやっても構わない。気になることを調べずにはいられない性質。wktkしながら出発する俺がいた。

 

 衝撃の事実!アーシアの教会追放は仕組まれた罠だった!直ぐに迎え入れずに放置していたのは人に裏切られて堕ちてゆくアーシアに欲情していたかららしい。とんだ変態である。ディオドラくんに哀れみの目を向けることもなくなったアーシアに確認するまでも無い。カードは合体材料にでもしよう。ヘキサグラムではアーシアのレベルが足りないのでトライアングルを二つ。眷属のお姉さん方も合体の材料である。記憶を覗けばこの方々もディオドラくんに嵌められてはめられたらしいが、以後やっていることといったら悪魔らしい饗宴の堕落。聖母とか呼ばれていた面影もないので再生させても多分意義が無い。このままアーシア用のペルソナの材料にでもした方がよっぽど有意義だと、俺のゴーストも訴えていた。

 記憶は完全浄化でまっさらな状態にして、能力継承も出来ないけどそれほど重要な能力も無かったので降魔の際に不具合があるよりは資質だけを使うつもりで合成開始。星と魔術師が一枚ずつ誕生した。ちなみにペルソナは人間しか使えないらしい。こうやってアーシア専用の護身術を備えておけば今日のような変態にいつ狙われても安心である。やったねアーシアたん!さっそく使ってみてよアーシアたん!とりあえずは相性が良いらしい星の一枚から。「ペルソナっリリス!」光に包まれる。

 直後、ヴァンパイアセイバーのリリスのコスプレをしたアーシアが爆誕した。




~ちびうさ
 元祖美少女戦士ロリっ娘枠。かつておっきなお友達が奮起した

~ゴーバクカード
 その昔、マシュランボーというアニメがあってだな・・・

~ヴァンパイアセイバーリリス
 詳しくはぐぐれ。ペルソナについての詳しいところは次回やるわ


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アーシアがあざとry

 前回起こった三つの出来事!
 一つ!美少女戦士セーラー小猫!月に代わってお仕置きよ!?
 二つ!やせいのディオドラが勝負をしかけてきた!グーパン一発で返り討ち!
 三つ!アーシア教会追放の衝撃の真実!代償としてディオドラは犠牲になったのだ・・・!
 四つ!ヴァンパイアセイバーリリスのコスプレアーシアたんきたぁぁぁぁ!!!

 四つになっているのはご愛嬌w


 「ひゃあああああああん!!?」と、叫び声を上げてぴっちりつるぺたレオタードのサッキュバスコスプレアーシアたんがその場に蹲る。けしからん。なんという児童ポルノか。いいぞもっとやれ。聞くところによるとペルソナというのは己を媒介に存在の力を上乗せするものらしい。なるほどなー。詳しく聞けばより現実的な召喚魔術。要するに憑依合体である。霊を呼び出すわけではないからむしろ限定展開とかそっちのほうが適切やもしれんけど。鏡面界にジャンプしてカードを巡ってバトロワだ!というかスタンドみたいなのを呼び出すわけじゃないのか。ゲームとは違うんだなー。と、言いたいがゲームの主人公を呼び出す時点で色々おかしい。どういうことだ。「ペルソナは使い手の最も適切な存在を呼び出す。それがその少女にもっとも近しい“星”なのだろう」なるほどなー?

 気を取り直して適度に動かしてみて不具合を確認する。褒めちぎって宥め賺してなんとか動き回ってもらうように要求して見れば、面白いように跳ね回るアーシアがそこにいた。「身体が軽い……!こんなの初めてです……!」その台詞ちょっと待った。一歩間違えば死亡フラグである。もう少し色々教え込んだほうがいいのだろうか。それはともかく、『星・リリス』は機動力の向上が主体らしい。魔法も使おうと思えば使えるようだがこの場で使うと業魔殿がどうなることやら。もう一方の魔術師は何?と思って余っていたカードを確認する。………………。目が点になった。

 これは駄目だ。備えさせておいても構わないが本気で切り札のペルソナである。使うと辺り一体が荒野に変えられる恐れもある。ともあれリリスのみでは使い勝手が心もとない。今日中にもう一枚ペルソナが欲しいところ、何処か良い狩場はないものだろうか。考えながらロビーへ向かっていると途中で人とぶつかってしまう。「あっ、ごめんなさいにゃん」いえいえこちらこそ。………………。にゃん?振り返ってぶつかってしまった人を見てみれば猫耳と尻尾が目に入る。さすが業魔殿。あざとい人が普通にいるよ。

 よーそろーのおっさんに詳しい場所を聞いて出発。合体料&情報料込みで一万円。俺の財布が軽くなる。そういえばロビーに戻ったとき何故か一緒に来ていた塔城ちゃんに抱きつかれて匂いを嗅がれた。「懐かしい匂いがした気がしました……」どういう理由だ。塔城ちゃんって匂いフェチ?抱きつかれたときやーらかかったから気にしないけど。そしてこのまま狩場へ向かうのだが、由美子さんは興味が無いらしくお家で留守番、そもそもここまで来ていない。塔城ちゃんはどうする?完全に私用なので帰ってもかまわないのだけど。

 

 一緒に来るらしい。アーシアのレベルアップも兼ねているから、正直女子供に見学を進められるものではないのだが。しかし本人は結構乗り気。実戦に備えるくらいの気概はあるとのこと。どういう中学生だ。最近の中学生はシューティングアーツでストリートファイトでもやっているのか。戦うときは大人モードに変身したりするのだろうか。ウホッ、いい覇王!

 それでは前衛としてキュアゴールドにキュアシルバーのお二人が。後衛兼支援としてキュアドラゴンことこの俺が。俺が三人目のプリキュアになるとは……。ん?ネーミングがあんまり良くないとな?シルバーが嫌かね。じゃあストレートにキュアホワイトとキュアブラックな。「あの、何故私がブラックなんですか?」納得できていないのかアーシアたんが挙手。オノレのペルソナに聞いてみろ。こんなあざとい娘そうそう見ないわ。俺の義妹がこんなにあざといはずがない、と信じたい。とりあえず援護は任せろー。サマリカームで延々回復をかけてやるから無尽蔵に戦い続けられるぜー。日曜三時。ハンターミッションの開始である。

 

 『此処は随分と魔力濃度が濃いな……。この分なら確かに、ある程度の魔獣も自然発生するかも知れん』久方ぶりにドライグが話しかけてきたが答えてやる余裕は無い。つえーわ塔城ちゃん。思わず惚れ惚れするね。アーシアも意外と動き回るので、俺は索敵と観察くらいしかやることが無い。今更だがアーシアのステータスはかなり低い。LV:3・破魔無効・力:2・魔:7・体:3・速:3・運:−8。運がすこぶる悪いのはいっそさすがだと思ったくらいではある。珍妙且つ数奇な運命に翻弄されているのがステータスにありありと浮かぶとは思ってもみなかった。それが『星・リリス』を降魔すればこの通り。魔法半減・精神耐性中・力:4・魔:17・体:8・速:13・運:12。普段から装備させておいたほうがいいんじゃなかろうかってくらいの運気の上昇っぷりが涙を誘う。動き回れるのが愉しいのもあるのかもしれない。サッキュバスコスで縦横無尽に跳び回るアーシアたんに、俺は動画撮影することしかできなかった……。

 

 妖獣とか妖鳥とか、幽鬼とか妖樹とか。たまにビフロンスとかって強いのが出てきたが、塔城ちゃんとアーシアの元祖プリキュアコンビには適わなかった。というか俺の出番がカード封印くらいしかなかった。ともあれ適当な種類が集まったので再度業魔殿へ。時刻は午後七時。どちらにしろ今日はそろそろお開きの時間である。厳選してスクエアでペルソナ合成。出てきたのは節制。アーシアにはガチで適したカードだと思われる。中身は『節制・タカマチナノハ』おい、ちょっと待て。

 やはり俺の義妹があざといのは変えようの無い事実らしい。くそっ、ナンテコッタイ!

 




そろそろ平均評価を知りたいと思う俺は強欲だろうか?


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アーシアをプロデry

 今更ですがこの作品のコンセプトは内容の短さ(スピード)と展開の前倒しです。なので情景の詳しい描写や詳細を語るのは極力控えさせていただきます
 あまり意味の無いクロスやストーリーのカオス化は作者自身の趣味が多分に入っています。詳細を語って欲しいという方や好みで無いという方若しくは、こんなもん読むかよクソが、とおっしゃられる方は速やかに御引き返し下さい。え?もう遅い?ざまぁwww


 しばらくはアーシアのサッキュバスコスが堪能できそうだということが判明し夜の八時。俺らはともかく中学生の塔城ちゃんが出歩いていていい時間帯ではない。急いで帰るためにパソコンを使った電霊技術に挑戦してみることにした。ネミッサだったっけ?がやったような電脳空間へ実体のままに侵入するというデビルサマナーが存在するこの世界なら悪魔ならば出来そうな離れ業。一応俺も悪魔の端くれだったはずだし、やりかたわからんけどレッツとらい。マニトゥマニトゥマニトゥ……。

 「きゃああああ!?誰ですかあなたはあああ!?」成功した。誰だか知らんが美少女の部屋へとやってこれたらしい。しかし妙に広いし薄暗い。美少女の部屋というよりは倉庫のような場所である。パソコンの液晶から顔を出した俺に驚いた金髪美少女は部屋の隅へ逃げ去りダンボールに逃げ隠れてがたがた震えている。なんだあの箱入り娘。驚くにしたって芸人以上のリアクションを実際に取られると反応に困ってしまう。しかもちらっと見えたけどまたちっぱいかよ。ちっぱいに呪われているのだろうか、俺は。「……ぎゃーくん?」え、塔城ちゃんの知り合い?

 

 なにやら言いづらそうにしている塔城ちゃんの話を総合すると人見知りの引き篭もりだという金髪美少女。悪いことをしてしまったかも知れん。先ほど堕天使を倒したときにストックしたマンダラメロンをせめてものお詫びに切り分ける。せっかくなので一緒に食べようぜー、と誰も得をしないスネークごっこを辞めさせるように声をかけワルイコトシナイと全力アピール。ちっぱいでも美少女は希少だ。

 なんだかんだで一緒の卓につく事に成功した金髪美少女。名前はギャスパー。しかし引き篭もりの割には着ているのは我が駒王学園の女子制服である。そしてここはどうやら駒王の旧校舎らしい。どういうことなの。「……ぎゃーくんも、リアス先輩の眷属」ま た グ レ モ リ ー か。この娘もハーレムの一員とは余りにも世は無常。どちらかというと女子の比率が多そうなグレモリーハーレム。バイかと思いきや実はレズっ気のほうが強いのか。駒王らしい女王様である。男女の比率が1:9のためか、うちの学校ってレズ系が多いらしいんだよね。男の夢だとかいう言葉に騙されて進学した俺は悪くないが、しかしアーシアまで染めてしまうのには抵抗があるのも事実。いっそ転校も視野に入れたほうがいいのかもしれない。なんだかからす天狗のストーカーまで憑いてるし、本気で引っ越しも進言したほうが良いのだろうか。スプーンで一口ずつあむあむメロンを食べるギャスパーちゃんを眺めながらそんなことを思考していた。

 塔城ちゃんは学園のほうが家に近いらしいので此処でお別れ。帰り際、魔獣狩りが愉しかったらしくまた参加しても良いかと服のすそをつまんで尋ねられる。わかってらっしゃるこの小猫。俺の後輩はこんなにあざとい。断れるわけがなかった。それにしても、何故塔城ちゃんはギャスパーちゃんのことを君付けで呼んでいたのだろうか。謎が謎を呼ぶ展開である。みすてりー。

 

 たまに由美子さんに投げ飛ばされ関節技を極められこのままでは本当に暴力系ヒロイン認定されてしまいそうだと気が気でない一週間。からす天狗あややーもとい天野は家にまで押しかける気は無いようで一安心である。この一週間は念のためにアーシアを引き連れて家のパソコンから駒王のパソコンへと電脳ジャンプで登下校を繰り返していたのだが、その心配も杞憂に終わりそう。顔を出すたびに驚いていたギャスパーちゃんだったが、土曜になる頃にはそれほどおどおどした様子も無くなっていたのでこちらも一安心。やったねアーシアちゃん!友達が増えたよ!しかし未だにクラスへ顔を出す木場には慣れないようだ。お陰で呼び出したがっているらしいグレモリー先輩のところへ連行されずに済んでいるのでいっそこのままでも構わないのだが。

 明日は一緒に狩りにゆくということで、いっそ泊まりに来た塔城ちゃん。一体何が始まるんです?急遽お泊まり会が我が家で始まるらしいです。そんなにあのハントが気に入ったのか。グレモリー先輩には俺に関することは別段報告していないとまで言質を取れてしまった。何が彼女をそこまで掻き立てているのだろうか。階層を上がれば強い魔獣も出るらしいが自身の力量に適したところまでしか上がれないバトルタワーな件の狩場。純粋に戦うことに何某かの目標でも見出しているのかもしれない。その証拠に本日持ってきたのはメリケンサック型のボクシンググローブという微妙に殺伐とした実践向けの武装。確認をする塔城ちゃんの様子からするとキャッキャウフフなパジャマパーティは涅槃の果てにうっすらと見える程度らしい。

 

 おまえらにはフレッシュさが足りない。殺伐とした武装確認で一晩過ごすわけでないのはよかったが爆弾男や粉微塵兄弟で時間を潰すのが正しい女子の夜の過ごし方ではないと俺は断固として抗議したい。もっと女子会やろうぜ。紅茶を飲んで魔歌論とか嗜んだりしてさ。あれ、なんか違う。

 よし、ダンスを覚えよう。そんで四人組になってご町内の幸せをゲットしよう。この際引き篭もっているギャスパーちゃんを引っ張り出してでもこのプリキュアもどきに組み込ませてやる。今後の目標が決まったので明日も早いから眠ることにした。

 

 さて、今回の目標はアーシアに適正率の高い『審判』のカードを作ることである。その為には『天使』と呼ばれる人型の魔獣が出る上階に出向く必要性も出てくるだろう。恐らくは下階よりずっと強くなる。俺も参戦することを視野に入れるべきかもしれない。そのときになったら、よろしく頼むぜ相棒。『ああ任せろ。赤龍帝の実力、見せてやる』いや、しゃべらなくていいから。お前じゃなくって剣のことだし『えっ』




〜マンダラメロン
 網目が曼荼羅模様に見えるメロン。呪われている

〜ギャスパーくん登場
 こいつが四人目のちっぱい四天王だ・・・
 おそらく勝てるのは秀吉か幼女くらいだとおもわれry

〜いざというときは・・・
 イッセーくんは剣だけで戦う所存
 ドライグが涙目過ぎる

評価に必要な文字数制限を解除したらすぐに星一つって理由を言ってよ理由を
そう思った俺は悪くない
なんか狙ったようにつけられましたし、ね?
やっぱり詳しく知っておきたいので再び文字数制限
星を回すには言葉が要るぜ・・・?


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アーシアといっトry

実は原作開始の一年前なこの設定
一巻数ページどころか一行目にもかすってもいなかったのが本作品ですw


 日曜朝八時半。まさかこの時刻にプリティでキュアキュアなおんにゃのこの肉弾戦を間近で見られる日が来ようとは。ゲームに出て来る“天使”と呼べるであろう羽の生えたしかし話の通じないこいつらは生物的なポテンシャルが足りてないような気がする。特に苦もなく必要数以上の合体材料を揃えられたお陰で『審判・レナス=ヴァルキリー』を合成完了。しかしレベルが足りなくてアーシアの現状では降魔できないとか。どちらにしろサッキュバスコスで戦う現状がしばらく続きそうなことに涙目になる義妹。はうーかあいいよー。でも戦闘中はナチュラルハイな機動力がちょっとこわいよー。おめえ戦っている間は格好とか気にして無いじゃねえか。冗談はともかく。ゲームのようでゲームで無いこの現実。スライムをぺしぺし摘んで行って経験値を貯める概念が無く、強くなるには地道に愚直に自分以上の存在へと挑戦をやめないことが必要な修羅の道。アーシアや塔城ちゃんのレベルでは件の狩場では経験を貯めることができそうにない。そんなら俺のレベルではどうよ?と最上階付近へとエレベーターを動かしてみる。普通に開く最上レベルダンジョンへの扉。こ、これはなんて覇気だ……!とびびるお二人は天空闘技場最上階に初めて入ったゴンとキルアを彷彿とさせる。この先にヒソカでも潜んでいることを感知でもしているのか。今更ながらこのお二人を連れてきてしまったことが若干ながら憚れる。

 二人のレベルではやはり全然届かなかったらしい。エレベーターは何故か一方通行な仕組みになっているらしく階段を見つけて徒歩で降りてゆくしか選択肢が無い。二人を背後に控えさせながら紅蓮剣でてきとーに魔獣を切り伏せてゆく。カード封印はしている間ちょっと無防備になるので非戦闘員を二人も連れている現状では悪手でしかない。炎を纏った剣で志士雄真ごっこをしながら階段を探す。所詮この世は弱肉強食、強ければ生き弱ければ死ぬ……一の秘剣・焔霊ぁ!

 

 五階程度まで降り二人の非戦闘解除まであと少しだというころ、槍を構えた他の客と遭遇した。何気に初めてのエンカウント。あっどーもー、と山で他の登山客と鉢合わせしたようなリアクションをとって擦れ違う。その瞬間構えていた槍を振りかぶってきたので紅蓮剣ではじき返した。なにをするかー。「お前……上の階から来たのか?その二人を連れて……?」やだ……バトルマニアの香りがする……!女の子相手ならばともかく男相手とか完全に俺得ではない。のらりくらりと返事をしていると気が逸ったのか男が再び踊りかかる。それを紅蓮剣でいなすいなすいなす。槍をはじくたびに纏った炎が綺麗に翳る。「炎を纏った剣か……!聞いたことは無いがさぞかし強力な神器とみた……っ!」セイクリッドギアってなんだっけ。後ろから魔獣が来ないかを確認しながらなのでかなり話半分に剣を振るう。が、めんどくさくなってきた。背後の気配がしばらく無いことを認識、一度だけ似非ランサーを敵だと認識。力の限り斬り伏せる。ぽっきりと、槍が半分に折れた。「――………………は?」呆けている間に男の首を捕まえて持ち上げる。ペルソナ合成に余ったカードを配合して御魂合体で継承した新魔法・マイトを前方の空気に。二の秘剣・紅蓮腕(ぐれんかいな)。ボーン。似非ランサーの目の前数十センチの距離で空気が爆発した。

 

 さすがに人間(・・)を殺すほどヤクザではない。多分生きているであろう男は意識を失っていないはず。大の字に倒れているランサーもどきに近づきたくないので別の道を模索し始めると急に「は、ははは、あははははははははははははははははは!」と、声を上げて笑い出した。あれ、やっちゃった?脳を……?と回復させるべきか否か半分真剣に考える。でも回復させたらまた襲い掛かって来そうだよなぁ。

 俺のサマリカームでは完全回復させてしまうのでアーシアに怪我だけ治させる。武器がなくては戦えないらしく連れ立って狩場を脱出することに。道連れが増える。どうせなら二人の壁になれやー。道中話半分に一人語りを耳にするにどうやらこの狩場を作ったオーナーだとか。オーナーがなんで参戦してるんだよ、と聞けば、自身の強さを衰えさせないための鍛錬の場所だ、とのこと。塔城ちゃんが男の言葉に共感したらしく何度も首肯する。だからキミはどういう中学生なんだ。

 似非ランサー未満に成り下がった折れた槍の男は曹操と名乗る。嘘だ!男じゃねえか!華琳さんを真っ先に思い浮かべた俺は間違って無い。この折れた槍は黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)と言ってな、と話を続ける偽曹操。それこそちょっと待て。ロンギヌスって槍を指すんじゃなくて聖人の名前じゃなかったっけ。聖人殺しの聖人がそんな名だったはず、と中二の頃の黒歴史を掘り返しそうな追憶を髣髴とさせるイヤンな記憶。神話聖書関連にみょんに詳しくなるのは男子に良くある通過儀礼だと思ってる。で、そんな黒歴史感溢れる『さいきょうのしんめつぐ』とかいうものをへし折ったお前の名前を教えてくれ、と声をかけられる。俺に言ってるのか。応えたくない。敵を切り伏せながら前へと進む。胡乱な視線と無言の圧力が三つほど後ろから感じられる。「………………志士雄真」「そうか!その名、覚えておくぞ!」胡乱な視線が二つに減った。しょうがないだろうに。本名とか教えたくないっす。

 

 曹操もどきと別れてギャスパーちゃんの部屋で反省会兼お茶会をする。レベルの足りないアーシアをどうやって鍛えるべきか。件の狩場は偽曹操がこの先も蔓延りそうだし。なんか地脈から魔力を収集してそれを元に強力な魔獣を作る神器を使わせているとか知りたくも無いことを別れ際に教わった。なので出てくる魔獣はデータが近しい程度の作り物だとか。最終的に能力が身につけられるみたいだしどうでもいいけど。あ、でもアーシアは倒すことに若干の抵抗を覚えていたから正体がわかってホッとしていたな。それはともかくこの際ギャスパーちゃんも誘ってみようか。ちょっと生きている実感を味わえるリアルなアミューズメントだけど参加してみるかい?由美子さんは出不精だし、まずはこっちの三人娘でプリキュアを始めさせるのも悪くない考えに思えてくる。由美子さんをスイッチオーバーして銀髪キャラに変身させようぜ!




~御魂合体
 ステータスが+1か2程度追加される。知のステが低いために何とかやってみたイッセーの苦肉の策。一緒に魔法も継承できる

~マイト
 相手を爆弾に変える魔法。着火することで爆発する、キラークイーンの下位互換ですねわかります。ゲームでは相手そのものを爆弾に変えたが、本作では相手の身体の一部などのごく狭い範囲を爆弾へと変えられる


フォービトゥンバロールビューって名前、おかしくね?時止めでバロールって、バーローさんは俺の記憶だと破壊の魔眼だった希ガス。しかも単眼で魔王
時止めっつうか存在静止ならメデューサかカトブレパスさんのほうが適しているんじゃねえかな
ちょっと気になった

とりあえず第一章はこれくらいで終わりにしとこう
次回から第二章に移行するからー
こんどこそのんびり書く


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旧校舎のディアボロス
そして、一年が経ちましたっ!


書けたのでこっちを先に

前回のタイトルは
アーシアといっしょにトレーニング
の略です


 衝撃の事実!ギャスパーは小猫と同学年だった!え、なんで駒王(うち)の制服着てたの?コスプレ?てっきり同級生かと思っていたら後輩とは。セーラー小猫が駒王に進学してきたのでそのお祝いをしつつそれとなく聞いてみたら御覧の有様だよ。愛しのリアス先輩がいるからといって旧校舎に住み着いているのだからある意味納得の現状ではあるけども。パネエなこの金銀コンビ。「誰が銀ですか」じゃあ若白髪。そう言うと腰を捻った渾身の一撃が俺の腹筋を襲う。むず痒くてくすぐったい。この美少女らとも一年近い付き合いをしており今ではこんな会話をしても軽いツッコミが入る程度の良好な関係。最近小猫の成長が著しい気がしてきたのは気のせいではないはず。身体能力だけの話ではなくね、こう普通に成長的な意味合いも兼ねて。由美子さんとは違うのだよフハハハ。そんなことを脳裏に浮かべるだけで抉り込むようなストマックブローがいつもは食らうわけだけど本日は無問題。何故ならばパーティ会場としてギャスパーのお部屋を間借りしているから。由美子さんは実はギャスパー以上に引き篭もりだったので今回も不参加。というか俺とアーシアと小猫以外は基本的に引き篭もりってどういうパーティ?去年の夏に海に行ったときとかもうちの家族+小猫という組み合わせで由美子さんは不参加だったし。何?外に出れないのはそういう病気なの?ともかく今日は安心して由美子さんディスれるぜー。そう思っていたら開かずの扉を勢い良く開かれた。

 此処一年音沙汰が無いのでてっきり幻想郷へ流されたのかと思ってた。リアス=グレモリー・参戦。新世紀の凡庸巨大人型決戦兵器アニメの作戦開始BGMがなんとなく流れる。なんか此処一年ほどかけて駄天使とかいう勢力としのぎを削っていたらしい。え、天野のこと?そーいえば一年ほど見かけてなかった希ガス。小さい勢力のそいつらがオノレらの陣地でこそこそしていたからとっ捕まえて大元に送り返したが天野だけ見つかっていないとか。そんなまるで893みたいな話を聞かされたのが開けた戸からリアス先輩含む三人ほど入ってきて小猫と俺らが居ることに驚いて小猫はばらしてませんよとそっぽ向いてパソコンから逃げるのは退出方法ばらすのも問題かなーって結局逃げられなくてこちらの友人関係を語った後の話。入ってきた三人の中には木場も居た。小猫は本当にリアス先輩に俺らの情報を一切ばらしていなかったらしく「イッセーさんとはお友達をしています」と改めて説明したのがなんか結婚相手のご両親へと娘さんをもらいに行ったときのようなシチュエーションで笑いを誘う。いや、そういう経験があるわけじゃなくてコントみたいで。リアス先輩らのほうはというと、何故か最近ギャスパーの部屋から話し声がたまに聞こえるというのが気になっていたらしい。普段は外から封印されているからギャスパー以外は入ってこれないとも聞く。封印って酷くね?いくらヒッキーだからといってそういう扱いなのはどうよ?夜は開いてる?ギャスパーって夜型?ところで小猫からもギャスパーからも全く『先輩』と呼ばれたことが無いのだがどういうことなのだろうか。

 それはそうとこの陣営。パソコンは却下だとして出入り口は教室の扉一つのみ。そこで出入りを守っているのは学園の二大お姉さまと名高い片割れの姫島朱乃先輩。小猫とギャスパーはリアスハーレムの一員だろうから問題ないとしても、俺とアーシアはそれに交わるつもりは無い。というか姫島先輩もそうだったのか。なんか遠目に見たとき距離感おかしいなと思っちゃいたがマジでガチだったのか。同性愛多くねこの学園?しかもそのハーレムの主は両刀使い。このままでは部屋に引き込まれて犯されて写真に撮られてネットに上げるぞと脅される可能性が大!「しないわよ!!」怒られた。

 

 小猫とギャスパーの進級おめでとうパーティ(物理)を終えてそのまま乱交パーティ(過剰表現)に引きずり込まれることもなく帰宅する俺とアーシア。なんかオカルト同好会とかいうのに誘われたんだけど丁重にお断り……しようとしたのに小猫が進学早々入部するということで以前から一緒の部活をしましょうと誘いをかけられていたアーシアが入部する流れに。待ちなさい、お義兄ちゃんはそんなの許しませんよ!止めることができずに入部届けに判を押してしまう義妹。俺は、無力だ……。仕方無しに学校でえっちなことはゆるしません、と活動にだけ参加する流れ。顔を真っ赤にしてそんなことしないわよ!と再び怒鳴るリアス先輩がちょっと可愛かった。くそ、落ち着け俺、アレは両刀のビッチだぞ……っ!唸る右腕を押さえつつ帰宅すると困った顔の由美子さんがからす天狗あややー改め駄天使天野の入ったダンボールを抱えて俺の部屋にいた。元いたところに捨ててきなさい。

 俺の部屋のベッドの下にスネークミッションしていたとかいう天野を発見したのは良いけど元いたところに捨てるとなると再びベッドの下になるとか。良くない。その状況を鑑みるにどうしたってホラーでしかない。いつから居たのだお前は。三日前に根城にしていた教会諸共悪魔の勢力に潰された?……お前ら弱すぎじゃね?悪魔ってあのアミューズメントタワーによくいるあーゆうやつらだよね?アーシアでさえ今では五階を踏破できるのに。勢力ってことは群体か。ワイルドハント?レギオン?それともディープワンズ?……。3、4人の人型?お前らの人数は?はぐれ悪魔祓い入れて30人弱?素人にしても弱すぎる気がする。それだけ居れば人海戦術で何とかなりそうなのだが。つうか本当になんで俺のうちにいたわけ。「……龍の神器を扱える子は上手く成長できれば強くなるから、早いうちに仲間に組み込もうかなっていうのが最初だったんだけど、キミのことを調べているうちにその、どんどんと好きになっちゃった……」聞いていることはそういうことではないのだが。顔を赤らめて言うがやっていることが完全にストーカーだし。しかもお前一回俺を呪い殺してるよね?「だって、私はこんなにイッセーくんのことを見てるのに私のことにぜんぜん気づいてくれないなら殺しても仕方ないよね?あっ今では反省してるよ?だってイッセーくんとはもう仲直りできたもんねあの日イッセーくんを引きずって帰って一緒のベッドで眠った日からずっと忘れられないんだどんどん冷たくなってゆくイッセーくんの身体がすっごく硬くなってry」黙れ本当にマジで黙ってくださいお願いします黙りやがってくださいませんかねぇ……っ!汚されたこととか鮮明に語らないでほしい。由美子さんの目が何故かすっごく冷たくなっていてもう氷点下。どうしようこの似非スネーク。リアス先輩に引き渡して事はそれで済むのだろうか、本当に。「そんな!ダンボールに捨てられた哀れな女の子を見捨てるっていうの!?」普通は女子がダンボに捨てられているとかねーよ。しかもお前のやっていたことはスネークミッションじゃねーか。ダンボールの中身は何処にやった。あと俺はあややよりは椛派。どうせならばあっちの娘をもみもみしたい。耳とか尻尾とか。……。羽ならある?椛派だって言ってんだろうがダラズ。




第一部、完ッ!!!


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戦闘校舎のフェニックス
えっ、先輩が結婚?


原作第二巻、開始


 あのカラス天狗絶対許せない。あいつはやっちゃいけないことをした。よりにもよって俺のピカチュウにニックネームを勝手につけおったのだ。久しぶりにレベルを上げようとゲームを起動してみればご覧の有様。テンションは駄々下がりである。誰だよレイナーレって。一応は女だから合体材料にするのは勘弁していたが今度の探索で悪魔合体を行使すべきだろうか。もうちょっと淑女成分を増加できればいいのに。ああでも下手に合体しても淫魔化して変態化ヤンデレ化に拍車がかかりそうな予感もする。あんまり自我が強い奴は初期化も効かないとかってヨーソローのおっさん言ってたし。スライムなんてものに変えてもそのまま襲われたら誰得な世界でしかない。軟体プレイ(受・俺)とかマジで止めて(泣)。そんな天野を一旦カード化しダンボに封印して眠りにつく。ちなみにカード化ってのは一時的なものだったらしく一晩経ったら自然と解除されていた。専用のバインダーでもあれば違うのだろうか。そんなことを次におっさんに相談しよう、とまどろんでいたら部屋が明るくなる。薄ら目を開ければ床が発光中。見たことあるぞこの光景。案の定床から恥女が現れる。しかもフリル付きのビスチェという一見してよくわかる勝負下着姿で「イッセー、何も言わずに私を抱いてくれるかしら?」やったねイッセーくん美女の据え膳だよ(棒)。聞かなかったことにして身体を反対側へと向けて布団を頭から被りなおす俺がいた。

 寝直すこともできないとかこの世界は残酷にもほどがある。無視していたのにベッドの中に勝手に入り込んで背中側から手を回されるとかこの恥女マジで死ねばいいのに。ちょ、おま、下のほうに手を伸ばすな。俺は眠いんですーぅ、あ、おっぱいは気持ちいいのでそのまま押し付けておいてくれると助かります。由美子さんを筆頭に我が家の淑女では先ず味わえないであろう感触に夢見だけは良さそうな予感がする。起きたら朝チュンとなるやも知れぬが死んでいる間に童貞を奪われていた俺にはもう何も怖くない。淫魔とすら一線を踏み越えられないラノベとは違うのである。眠さで思考がgdgdになる現在、俺は完全に受け身となってなすがままにされていた。……ん?なんか後ろで口論が聞こえる……?

 朝、目を覚ますとベッドの上には天野が覆いかぶさっていた。目の前3センチの距離で目を閉じて近づいてくる。思わず膝が飛び出た。アリガトウゴザイマスッ!と『く』の字に吹っ飛ばされて床を転がるカラス天狗。ヤンデレでどMとか救いがねぇな。それはともかく昨夜のアレは夢だったのだろうか?

 

 放課後アーシアの部活動見学のために連れ立って旧校舎へ赴く。木場と小猫も一緒であるがアーシアは未だに木場に対して警戒心が先立っている模様。まだゲイ疑惑が払拭されていないらしい。哀れに思うが下手に警戒心を紐解いてアーシアをハーレム入りさせるとか絶対にやっちゃいけないことである。もうしばらくは放置で。そんなことを考えつつ木場に先に行かせていたのだが、部室の入り口で立ち止まり扉に手をかけたまま驚愕の表情で「そんな……ここにくるまで気がつかなかったなんて……」と少し痛い中二な発言を零している。どうした、右腕でも疼いたか。埒が明かないので先立って戸を開く。紅魔館の銀髪メイドがそこに居た。

 あまりにもそっくりだったので十六夜咲夜かと思ったがどうやら他人の空似の模様。しかし本職のメイドだというのは間違いないらしい。リアス先輩の実家のメイド?マジでか。昨夜はご迷惑をおかけしましたと丁寧に頭を下げられる。昨夜?と誰もが俺のほうへと目を向けるが俺自身よくわからない。このメイドさんは初見で初対面のはずなのだが。もしや昨晩のリアス先輩の夜這い疑惑は事実だったのか。問い質そうかと口を開きかけたとき床が発光。ちょ、またかよ。

 

 転移魔法で現れた男はリアス先輩の婚約者だとか。そんなものまで居るとかどういうご実家?というか普通にお嬢様な先輩だったという事実に感嘆が漏れる。これでもうちょっと淑女なキャラが立っていれば完全に俺の好みであったのだが。役員共な生徒会はフィクションの模様である。男馴れしていない思春期な先輩でも可。それはそうとあの恥女先輩はこの婚約に納得がいってないらしい。多分ハーレムの主権を握られるのが嫌なのだろう。というか婚約者いるのにハーレム作ってるとかマジでありえないのですけど。そんなことをつらつらと考えていたら話が俺に振られる。「言っておくけど、私はもう生娘じゃないわよ。初めてはそこの彼にあげたんだから」は?何言ってんのこの恥女?

 激昂した婚約者に殴りかかられるが今はそんなことにかまけている暇は無い。涙目なアーシアとついでに冷ややかなジト目で睨んでいる小猫の誤解を解かんと。ごぱぁ、どっぱす、と『崩さない』程度の威力で顔面とあご下を殴り返せば婚約者が崩れ落ちる。俺の膂力では下手に力を込めると人体は簡単にミンチにしてしまうので加減が結構難しいのだが、それにしては意外にもいつかの悪魔くんよりはタフな男。ファイティングポーズを崩さない、が衝撃が抜け切れていないのか小鹿のように膝が笑っているのが見逃せない。大人しく椅子に座っとけよ。その間に俺は二人に誤解だと説明。というか本当に昨夜来ていたんかいこの先輩は。「人間の男に簡単に負けるとか貴方本当に悪魔?フェニックス家三男とかいうのも大したことは無いわね。プークスクス!そんな貴方と婚約を早めるなんて私の家に本当にメリットなんてあるのかしら?これは婚約解消を前提にして問題解決の足がかりをry」説明している間にそんなことをつらつらと自身の婚約者に言い連ねる恥女先輩。鬼のようなマシンガントークで相手の心を的確に叩き潰している。もう止めて!婚約者のライフはとっくにゼロよ!

 なんとか誤解を解くもこの傷はでかい。某被災地の風評被害も真っ青な迷惑行為に俺の堪忍袋は決壊寸前なのだが。誤解を解いている間に話は色々と決まったらしく何某かのレクリエーションで決着をつけるのだとか。なんの決着だ。婚約解消を決める?いやもうとっとと結婚させちゃえよこんなお転婆娘。もらってくれる人がいるうちが花だって。泣きそうだったアーシアを膝の上に乗せて慰めながらそんなことを思う。それはそうとレーティングなんとかというものに臨むには恥女先輩側は参加人数が足りないのだとか。そう話を振られてチラッチラッと俺のほうを向く先輩。出ないぞ俺は。そもそもあんたの結婚に興味も無い。そう言うとむくれる。無駄に可愛い仕草を見せるな、さっきのことがあるから先ず腹が立つ……っ!そしてあからさまにほっとしている婚約者改めらーざーとかいう男。閑話休題の辺りから俺にだけ敬語で話すのがなんだか申し訳なくも思う。ところでフェニックスとかってマジ話?コイツ合体材料にしたらうちに居るヤンデレも少しは改良できるだろうか。「勝負は一週間後だ。精々眷属を集めるんだなリアス。ハーハハハハハ!」うるさい「あ、はい。スイマセン……」




R-15タグつけたほうがいいかなぁ
でも役員共程度の下ネタだしなぁ
と少しだけ葛藤する素振りを見せてみたりなんかしちゃったり


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さぁ、ゲームの時間だっ!

出来てしまったので一日のうちに連続投稿
ちょっと長くなった


 早くも一週間が経過した。なんか心優しき我が家の聖母アーシアが恥女先輩の望まない婚姻などー、と言い出したために参加する流れになった。俺が、ではない。アーシアが、だ。それの修行だか合宿だかという名目で一週間山奥へ連れて行かれる寸前のところを危うく助け出した俺が居た。野獣の群れに生肉引っさげたような状態でウチの可愛い天使をかどわかすとはいい度胸だ。なんか文法おかしいがまあ今はいい。というか部活のレクリエーション程度で学校を休ませようとか何考えとんじゃあの女。そんな強行軍を阻止したレクリエーション当日。なんだか意気込みのおかしなオカルト部員たち。俺も見学ということで一緒に連れ出されることを承諾してもらう。というかウチの天使を連れてゆくなら俺も行くのは当然のことだと思うのだが。そんなgdgdの状態でレーティングゲーム(やっと名を覚えた。ドヤァ)スタートである。

 夜の学校が舞台。どうやら直に殴りあうのがこのゲームの本領らしい。今になってらーざーが俺の参加を危ぶんだ理由がよくわかった。起きれなくなるまで殴ればすぐに終わるしな。しかしこうなるとアーシアの独壇場な気もする。そう予想立てて画面を見続ける俺に話しかけてくる赤髪の美形青年。そのすぐ後ろには以前の銀髪メイドさんが。リアス先輩のお兄様とな?これはどうも、兵藤といいます。名前はサーゼクスさんとグレイフィアさん、と紹介に預かる。互いに自己紹介を終えたところで、グレイフィアさんに「ところで、本当にお嬢様の処女を?」と際どい質問をされる。肉親の前で話すことではなくないですか……?メイドというのはどの世界でもこんな感じなのだろうか。とは言っても知ってるメイドなんて二次元にしか存在しませんけどね!それはそうと、俺自身覚えていないのですがリアス先輩には真実だと確認しましたか?と聞いてみる。思案顔のグレイフィアさん。聞くに、あの夜部屋に入ったところ布団の中でもぞもぞ動く俺とリアス先輩を見たものの的確に繋がっていたかどうかは確認しきれて居なかったとか。やっぱり淡々と語るグレイフィアさん。そんとき俺寝てたんですけど。しかしリアス先輩の初体験に疑惑が浮上しているのは間違いない。どういうことだってばよ……?

 若干ミステリーな雰囲気になりかけたところで画面の中のアーシアが敵対勢力と接触。木場と小猫と一緒に索敵行動中であったらしい。相手側はほとんどが美女・美少女。3vs7の戦いが始まる。そして終わる。アーシアのルミナスイリュージョンで一人勝ちである。どうも相手側のレベルが足りて無いらしい。呆気に捕られていたグレイフィアさんが思い出したように放送機に手をかけていた。「ら、ライザー=フェニックス様のポーン4名、ヴィショップ、ナイト、ルーク、リタイア」ほほう、チェスのような名称でチームを組んでいるということか。始まる前に見たけど、こちらは木場に小猫にリアス先輩に姫島先輩。うわ、4人しかいねえ。ギャスパーは引きこもりだから不参加らしいし、アーシア入れても5人って。そりゃ確かに人数足りねぇってらーざーに言われるわな。で、相手側は残りポーンが4?でヴィショップ・ナイト・ルーク・クイーン、そしてキングの合計9人。戦争は数だよアニキ!こりゃアーシアと小猫を上手く使わんとすぐ負けるな。がんばれーアーシアー。

 ポテチ片手に観戦してるとあっという間に残すところキングとクイーンのみである。姿を未だに見ていないのだけど何処にいるのか。というかアーシアが無双過ぎる。リリスのペルソナが縦横無尽に動き回りすぎて狭い屋内では相手側に勝ち目が無い。例のリアルアミューズメント攻略が功を奏しているらしい。チェスだとここまで手駒が減ってゆくともう投了するのが暗黙の了解になるのだけど。クイーンを取られたら本気で勝ち目が無いぞ。なんだからーざーがちょっと哀れに見えてきた。何処にいるか知らんけど。そして爆撃が校舎を襲う。えっ。これありなの?ちらっと見ても黙認しているサーゼクスさん並びに観戦者の皆さん。……。そうなると本気でアーシアを止める『理由』が浮かんでこなくなる。どうしよう。

 「リアス=グレモリーのナイト、リタイア」木場が小猫とアーシアを守ったらしい。瓦礫の中から空中に浮かぶ女性(多分クイーン)を睨み付ける小猫。俯きがちのアーシア。あっ、これやばい『ペルソナチェンジ・魔術師』あbbbbbbb。

 

 

 一瞬の光に包まれた後、少女の格好が変わる。

 髪はツーサイドアップに纏められ、飾り気の無い黒いローブを身に纏う。そして少女の周囲には、『飴玉』がばらばらと放射線状に鏤められて行く。

 その様子に疑問符を浮かべた女王であったが、これまでの戦い方と違っているといって手を緩める気は無い。遠距離から狙撃するべく、再び魔力を手に集める。が、

「――アタシに攻撃するとはいい度胸だ。その身をもって思い知れ……!」

 少女の「らしくない」台詞に底知れぬ戦慄を覚えた。その一瞬、手が止まる。それが、悪手であった。

 警戒していなかったもう片方の白い少女が、『自分の傍まで』跳躍していたのである。

 叩き落とされる女王。そしてローブの少女はもうそんな彼女を見ていなかった。彼女は一瞬で理解する。「あの少女は自分の王を狙っているのだ」と。

「――あそこか。削り落としてやる……」

 あらぬ方向を見上げて呟く。それにつられて見れば、旧校舎の屋上で、自身の王が相手の王であるリアスと対峙しているのが目に映った。

 そして――、『飴玉』が、弾き合いを始める。

 バチ、バチバチ、バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ

 そうしてぶつかり合うその見知らぬ力の余波が、槍のような形に変化してゆくのが目にわかる。それを目の当たりにして理解した。これは自分たちが立ち向かってはいけない相手だったのだと。

「星を削れ――」

 そして、槍が、矛先を向けた。

 

「ブラックブラックジャベリンズ!!!」

 

 

 

 「………………………………………………。本日のレーティングゲームは、両者引き分けとさせていただきます。ご観戦、マコトニアリガトウゴザイマシタ……」グレイフィアさんの宣言がむなしく響く。その気持ちよくわかるわ。俺らの目の前の画面には全部諸共(・・・・)に吹き飛ばされた荒野、もとい、もと旧校舎が静かに映っていたのだから。一緒に吹き飛ばされたあの二人は果たして生きているのだろうか……?というかなんであの二人は一騎打ちなんて真似をしていたんだ?チェスなら王同士だと千日手にしかならんのは目に見えてるし、軍を上手く使いこなせなかった時点で全滅一歩手前のらーざーが敗北色濃厚だったからか?かといってそれに迎え撃つというのもリアス先輩の戦術眼もどうなのよ?そんな現実逃避をぐだぐだと考える。……うん、わかってたさ。切れたアーシアがリリスのままじゃ勝てないって判断したんだろうってことは。でも『魔術師・アクア』を使うって……、せめて『節制』なら……。と妄想してみて頭を振るう。これどっちも待っているのは『死』だわ。レベルを上げて制御力を上げるのが今後の課題だなー。と再度の現実逃避をしつつ、アーシアと小猫を迎えに行く俺であった。

 




~『魔術師・アクア』
 出典・マテリアルパズル
 飴を魔法に変える破壊の権化。飴玉一個で五十メートル級の大岩を粉砕できる魔法・スパイシードロップを行使する十歳程度の少女。今回のはそれらの破壊力をぶつけ合うことで相乗させる必殺魔法・ブラックブラックジャベリンズ。相手が死ぬ、どころではなく、下手をすれば星が削れる。直接破壊力ならナメック星でフ●ーザ様を圧倒したフルパワーの元気玉に相当するとかしないとか


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赤髪姫のウェディング

こっちがすっごい捗るんですよ


 え、小猫って人間じゃなかったの?なんでペルソナ使わないのかと思っていたらそういう事情があったらしい。そっかー、あれは人間種しか扱えないからなー。そんなわけでお返しします、と突き返される戦車・塔・月の3枚のカード。俺も使えないんだけど……。しかし残念である。戦車の『アイギス』はともかく、塔の『マジカルアンバー』とか月の『ネコアルク』とか、小猫が使うところを見てみたかったのに。俺が持っていても仕方ないのでそのままアーシアへと譲渡する。――。戦車の『アイギス』が『プリティベル』へと変化した。ちょ、まてよ。……そーいえばペルソナは扱う者次第で変化するとかヨーソロのおっさんが言ってた希ガス。これ以上アーシアを魔改造してどうするつもりよ!?恐ろしいので塔と月の変化は確認して無い。イッタイナニガハジマルンダーとガクブル。そんな会話を楽しみつつリアス先輩の結婚式会場なう。式が始まるのはもう数分後といったところ。どうも引き分けでは婚約解消の足がかりにはならなかったらしい。そして先輩自身どころか会場に居るのはほとんど悪魔だとか。マジかよ。とり放題じゃね?いえ今日はそんなことシマセンヨ?ともかく数々のことに納得した現在。あぁ、天野のいた教会を襲撃したのって先輩らだったのか。そうかー、そのお陰であの女は今俺の家に居るのかー。……小猫、後で話がある。うん、ちょっとした説教だから、安心しろ。

 アーシアのジャベリンズでも死ななかったらしい巻き込まれた御両人が現れる。多分悪魔なりの何かしらの専用医術とかが発展しているのだろう。恙無く式が始まる。この結婚に異議のないものは沈黙によって是とせよ、と言い出す神父。神父?思わず指さすとなんか人間界式のやり方で始めるとか答えられる。それカリ●ストロじゃね?というか悪魔なのに結婚式を執り行うとか神父が居るとか、この時点でなんか違う気がするのは俺だけなのか。小首を捻る、中よりによって新婦が異議を唱える「――私には既に恋人がいます」誰のことよ。

 傍観していたらなんと俺に話が振られる。将来を誓い合ったとか、身体を何度も重ねたとか、言葉の暴力とも呼べるほどの虚偽の乱打に俺が何も応えられなくなるのですけど。ちょ、サーゼクスさんまで援護射撃始めた!?俺に自覚が無いままに間男にされてゆくとか確かに悪魔といわれれば納得の所業だ。ちょっとそこを動くな赤い兄妹。文字通り今から真っ赤に割かせてやるから。「うん。魔王の妹の相手が人間だというのは誰も納得できないだろうね」安心して欲しい、俺自身納得して無いから。「そこでどうだろう、妹の嫁ぎ先を賭けて二人には最後の対峙を見せて欲しいのだけど」そのサーゼクスさんの言葉にらーざーが真っ先に土下座を見せた。

 「お願いします魔王様!そのお方の相手だけは!何卒!何卒ご勘弁願いたく存じますぅぅぅっ!!!」清々しいほどの真っ向からの土下座に唖然とする会場。なんか俺の周囲から人気が減ってゆくのですけど。俺に対する視線が若干見下していたものから畏怖に近しくなってゆくのは気のせいなのか。「しかしだね、彼に納得してもらわなければ妹が結婚なんて認めないと思うよ?」まあ最終決着自体は引き分けだったしな。どちらが上かを決定付けるにはあの結末じゃそうなるのは自明の理だろうけど。というかそもそも俺は二人の結婚に異議など無いのだけど。そう言いたいのに言葉が出ない。こんな会場で小市民の俺が好き勝手言えるわけがなかろうに。「イッセーさん!いやイッセー様!どうか!どうか俺たちの結婚を認めてください!!!」様!?いつの間にからーざーの中での格付けが魔王レベルに引き上げられていたことに驚きを隠せない。様付けとか初めて呼ばれたのだが「ライザー、イッセーは認めてほしかったら勝って見せろと言っているわ」驚いてる隙を突いてそんなことを言い出す先輩。ウェディングドレスキレイっすね、でもお腹の中は真っ黒ですね。赤髪娘のあまりのブラックストマックっぷりに呆れしか湧いてこない。あー………………、とにかく形だけでも見せようか。らーざーに視線を向け「くぁwせdrftgyふじこlp」は?

 目が合った瞬間、膝が小刻みに震え、腕が自分の上半身すら支えられなくなり、土下座に移行する姿勢のままに、床が汗と失禁と涙と鼻水で水浸しになる。その男はそのままの姿で、何も言葉にすることもできないままに、失神していた。――うん。なんだこれ。ちょっと形だけでも遊んで花を持たせようかと思っていたのだけど、それすら形にならないって酷くね?いつかの悪魔小僧……ディオドラだっけ?それよりはずっとタフだと思っていたのだけど。うーん、どうすればいいのだろうか。「………………っ!!! お、恐ろしいほどの覇気だね……、ライザーくんではまるで勝負にならないのは当然か……」……サーゼクスさんまで変なことを言い出した。やめてよー、会場が変な空気になってるじゃんかー。すっごく居た堪れないので思わず逃げ出した俺は悪くない。それも周囲に迷惑をかけないようにゆっくりと歩いて出てゆくしか俺には手段などなかった。………………あれ?なんでリアス先輩まで着いてきてんの?

 

 すげー生のドラゴンとか初めて見た。例のアミューズメント?ドラゴンらしいドラゴンってまだ出会って無いんだよ。というかノヅチとかピュートーンとかはあれドラゴンじゃねえだろ。ともあれ、帰りはこのワイバーンみたいなのに乗って送ってもらえるらしい。それはいいのだがなんで先輩まで便乗しているのかが理解できない。結婚式から新婦誘拐したようにしか見えないって、これ。完全に俺が間男なのですけど、どーしてくれるのさこの人は。そもそもハーレム作って酒池肉林の日々を送っているくせに今更結婚嫌がるとか我が侭にもほどがあると思うのですけどー?人気がなくなったので思わずそんな愚痴も出る「そんなことして無いわよ! わ、私だって初めてくらい好きな人にきちんとしたシチュエーションでしたいわよ」あれ?ビッチなはずの先輩がなんか可愛く見えた。そうか幻覚か。疲れてるんだな俺。精神疲労かな。あんな会場で注目集めてたら小市民ならなるもんなそれくらい。「現実逃避はやめなさい」……はーい。空中を遊覧飛行する中、しおらしくなった先輩はあの夜の真相を語る。やはり処女云々は嘘だったらしい。本当は何もなかったけど、正確なところを誰も掴めてないのを良い事に俺を架空の相手に仕立て上げたとか。それ、俺にすごいダメージ来てるのですけど。というか恥女疑惑もどうやら俺の勝手な妄想であったらしい。え、ってことは両刀使いもデマ?マジかー。クラスの女子に先輩が女子もいけるって答えてしまったことは内緒にしとこう。いや、悪意なんてなかったんですけどね?目を血走らせて詰め寄られるとか小物な俺には恐怖でしかなくて。そんな葛藤が背中の感触で払拭される。こ、これはあの夜の柔らかさ……っ!「イッセー、助けてくれて、ありがとう」……いや、俺なんにもしてないんですけど……?




第三部終わった!(時系列上は第二部)
さーて、また次回からイベントボスを叩き潰すだけの簡単なお仕事がはじまるぞー(棒)


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月光校庭のエクスカリバー
駆け出せ!オカルト研究部!


活動報告で宣伝してみたら見事に常連さんらの書き込みが・・・w
ともあれ原作三巻目スタートです

相変わらず何かが違うw


 エクスカリバーってあれだろ?シルクハットを被って杖を持った妙に簡単なフォルムの旧支配者n「イッセーくん、そっちについては他の二次作家さんがSSで書いてるみたいだからあまり言及するのはやめてくれないかな」あ、はい、わかりました……。『ぼくのしってるえくすかりばー』について答えたところ窘められる俺が居た。先輩の結婚式もどきから帰宅して一週間ほど経過した今現在、我が家はオカルト部員らが入り浸る魔窟となっている。字面で見ればどう考えても怪しい集団にしか見えないのに実際は美少女が蔓延る似非ハーレム。なあおい、羨ましいか?羨ましいと言うなら代わってくれ。入り浸る美女らに気を良くした母さんが俺の小さい頃の写真ばかり見せるんだ。なんという苦行。甘々な展開が欠片も無いとか昨今大量発生しつつあるハーレム系ラノベの風上にも置けぬ。そんな中で木場が一枚の写真を見つめていたので聞いてみたところ答えがあったのでそれに対して俺が応えたのが冒頭のアレである。イケメン王子の返事が辛らつだよぉ、ふええ。「お茶が入りましたぁ」そしてお前誰だ。いつもとまったく違う雰囲気で楚々として登場した由美子さんの変貌振りに開いた口が塞がらない。イケメンが居るからか?木場とか由美子さんのタイプなの?そうなると普段の暴力行為がツンデレの照れ隠しではなくて本当に唯の暴力行為にしか思えなくなるのですが。おい目を逸らすな。「まったく、この暴力女は本当にしょうがないわよね」しれっと混じっているお前も大概だと思うのだけどな。ほらーリアス先輩の眷属一同がすげぇ驚いてるじゃん。とりあえず小猫を手元に呼ぶ。疑問符を浮かべながらとてとてと近づいてきた後輩に荒縄を手渡す。それでふん縛っておいてくれ。と天野の首根っこを捕まえながら「え!?やだこんなところで緊縛プレイ!?」喜ばしい声音の天野に一言、黙れ。

 そもそも今日の集まりの趣旨は何よ?寝床の教会を襲撃するくらいなのだから何かしらの因縁がある同士なのだろう。リアス先輩と天野とのキャットファイトが廊下で勃発しているのを放置して小猫に尋ねる。簡潔に三行で説明しな。「すぐそこに迫った球技大会の打ち合わせです。アーシア先輩とイッセーさんが一緒に住んでますのでそちらへお邪魔しましょうという部長の指示で集合しました。答えたのでお菓子ください」いくつ欲しいんだ?一つか?それとも二つ?まさか三つか?このいやしんぼめ!人質ならぬ菓子質にしていたチョコレートを手ずから小猫の小さな口へと食べさせる。エロい目で見上げおって。そんなに菓子が欲しいのか。それはそうとお前アーシアのことは先輩とつけるのになんで俺のことは頑なに先輩呼びをしようとしないの?そんなに敬えない先輩かね俺は。アーシアも一年以上一緒に生活しているのに未だに俺のことをお兄ちゃんと呼んでくれないし。なんだか呼び名に不服が残る。試しで一度だけでいいから呼んでくれないかなぁ「……おにいちゃん♪」……え、真顔で?表情にまったく抑揚をつけずに小猫に呼ばれる。なんか違うって天の声が囁いてる気がする。「おにいちゃん、お菓子ちょうだい?」仕方ないなぁ小猫は。四つ目のチョコが小猫の口へと消えた。やべぇ、破壊力高いわ意外と。

 

 「ドライグ、久し……あれ?なんか違う」誰だお前は。オカルト部一行が天野を連行して帰宅した後、玄関先でいきなり人違いを敢行される。ドライグって誰だっけ。そしてこれまた恥女が出た。拘束服みたいなボンテージっぽい黒を基調としたゴシックロリータドレスを着た幼女。またちっぱいか。ここまで出てくるのが多いとなると世界意志なのかも知れぬ。いや、ちょっとまて、コイツ……隠れ巨乳、だと……っ!?俺のおっぱいスカウターがびんびんに反応していやがる!コイツは幼女の姿をしているが成長力がこれまでのちっぱいとは比べ物にならないってなぁ!「ドライグ……じゃない?誰?」しかし本当に誰だっけ。聞いた覚えがあるのだけど思い出せない。喉から出掛かっているのだが……。せめてものヒントにでもなればと思い紅蓮剣を呼び出して聞いてみる。『忘れるなよ俺だよ!』え、お前そんな名前だったっけ?思い返そうにも追憶の彼方に行ったのか記憶が帰ってこない。「ドライグ。……あれ?やっぱり違う?」『いや合ってる合ってる!間違って無いぞオーフィス!』この幼女はオーフィスというらしい。つうか知り合いか?ともあれ、話が長くなりそうなら部屋に上げよう。間違っても犯罪ではない。誘拐ではない。『俺は悪くない。』

 ウロボルスドラゴンとかいう大層な名称を持つらしいブラック幼女。次元の狭間とかいう場所へ戻りたいがために色んなところへと足を運び声をかけているらしい。今日来たのもその一環。ドライグらしい反応があったので来てみたけど実際目にしてみたら微妙に違うとか。『そりゃあなぁ、一回宿主が死んでそのまま謎の炎の精霊に食われたかと思ったら相棒と同化して復活しているし。俺の『形自体』を変えられちゃってたら認識を間違えるのも無理は無い』なんか偉そうにドライグ?がそう補足したが、「……?ドライグよりそっちのほうが強そうなのも?」『』オーフィスにそう言われて押し黙る。というか俺って剣より強いのか。まあ半竜ならある意味当然か?『……いや、いくら竜族でも二天龍より強いとかって普通無いはずなんだがなぁ……』微妙に現実逃避気味な声が空しく響く。復活のときに素体にしたSOFが功を奏したのかも知れぬ。それがいいことかどうかは別として。「ドライグの宿主、名前は?」イッセーと呼んでいいぜ。駄目なら『お兄ちゃん』でも可。「イッセー。次元の狭間に戻るために力を貸して欲しい」スルーかよ。まあいいけど。じゃあとっとと終わらせよう。と立ち上がる。『お、おいちょっと待て!?わかってるのか!?次元の狭間に行くということは――!』煩いので紅蓮剣は収納。さて、どうすればいいんだ?「もう一人、協力者が居る。そいつとも落ち合う約束してるから、今からいく」と床が発光し始める。転移魔法か。今更ながら俺は何でこの転移魔法が普通にあることを受け入れていたのだろうか。こういうのを扱う奴らが常人じゃないということくらいわかっても良さそうだろうに。如何に過去の俺が迂闊だったのかを思い知らされることを考えつつ転移が済む。「オーフィス遅かったな。協力者の宛ては……志士雄!?」転移の先には偽曹操が。協力者ってコイツかよ。




き、きっとちょっと高度な照れ隠しなんだよ!由美子さんなりの!


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そう…そのまま呑み込んで、ボクのry

ネギまが手につかないよぉ・・・


 広大な地平線。ずっと先にうっすら見える山脈。足元は大概石と砂。此処何処だ。此処は明らかに日本じゃないって。乾いて絡む風が言ってた。そしてそんな荒野で必死で逃げ切った体で疲れ果てている、幼女と偽曹操と山より巨大なドラゴンの、合わせて三つの姿。豪くへばってる。すっごい肩で息してる。まあその三人のうちの幼女と偽曹操に俺も混じって三日三晩全力で戦いあった後、ドラゴンブレス『程度』では埒が明かないと判断してマハラギダインをぶちかましたのだけど、今度は威力が強すぎてまさか全員で次元の狭間から逃げ出すことになろうとは夢にも思っていなかったことであるし。あえて言うならそうだな「放火って、怖いな」「「「お前が言うなっっっ!!!」」」口を揃えて三人共に激おこぷんぷん。大したシンクロ率だ。お前らになら新世紀を任せても大丈夫そうだな!

 焼き討ちにあった次元の狭間から方々の体で逃げ延びた俺たちであったけど今度は帰る手段が無い。此処が何処かもわからないので一旦巨大なドラゴン『グレートレッド(だっけ?)』も一緒に協力することに。次元の狭間を開いてみるグレートレッド。次元の狭間から炎がすごい勢いで吹き出して覗き込んだグレッド(略)の首を焼く。慌てて狭間を塞ぐグレッド。こんがり狐色になったそいつに聞いてみる。どう?「どうもこうもあるか!今の見ただろ!?とてもじゃないが静寂で満ちていたあの空間の面影がかけらも残っていないぞ!?」落ち着け、なんか文法変だし。「これが落ち着いていられるか……!くそ、暇つぶしのつもりでお前らみたいな小さきものと戦ってみたのが間違いだった……!焼けるものなんて何一つ無いはずなのに、なんでまだ燃え続けてるんだあの炎は……!?」魔法の力ってすげー。そんな感想(こと)を心の片隅で呟いているとグレッドがこちらを睨み付ける「……お前、あの技は絶対に地上じゃ使うなよ。これはフリとかじゃないからな!いいな!絶対だぞ!?」わかったわかった(棒)。しかしグレッドのその巨体さは悪目立ちし過ぎると思う。小さくなれないのか。そう聞くとやってみると言いながらゴキゴキと人間大の大きさに変形してゆくドラゴン。すごい圧縮率で見る見るうちに一人の女性へと姿を変えた。赤い髪でそれなり美人の……はて?何処かで見たことあるような。あ、確か業魔殿に寄ったときにすれ違った美人さんだ。確かあんときはサングラスかけてたはず。『あいかわさん』とか名乗っていたような。「以前に我と互角の戦いをしてみせた者を参考にしてみた。今の時代は猛者が多すぎるな……」「ドラゴンが最強な時代じゃないってことか……。英雄もいつまでも人類の強者の座にも就いていられなさそうだな……」「抜かった、そいつも連れてくれば勝てたのに……」なんか三人がしんみりしたことを言ってた。いや一人なんか違う?

 しばらく歩くと車が寄ってくる。現れたのは恐らくは現地の人。良かった、このまま流浪の民になってゆくのかと思ってた。そんなことを交えて会話してみるとどうやらここら一帯が立ち入り禁止指定区域になっているとか。この荒野が?と尋ね返すと「お前らナスカの地上絵を知らんのか?」え、此処ってペルーかよ。申し訳ございませんでした、と四人そろって頭を下げて車に乗せてもらう。とりあえず町まで送ってもらうことに。今後のことはそれから考えよう。まずは飯だ!

 

 あれ?此処何処?町に着いたかと思ったら突然地面が発光して光に包まれた。そして空は夜。駒王(学校)の校舎によく似た建物が見えるその前で、羽の生えたおっさんが俺らを見て呆然としていた。「これが私の宇宙CQC!冒涜的な乱数調整!~あれ?私の手札がいつの間にか全部ジョーカーに!?~です!」そんなことを叫んでいるのは……アーシア?なんか手に鈍色に輝くバールのようなものを手にしているけど。チェック系のワンピースも似合うな、意外と。「………………え、と、イッセーくん?」おお、木場。後ろのほうには小猫も。あとついでに姫島先輩とリアス先輩。なんか青い髪の知らん女もいるけど。とりあえず状況教えてくれる?二行で。「二行!?じ、状況というか、えーっと……、アーシアさんがペルソナチェンジタワーって叫んだと思ったら君らが現れて、とりあえずあの堕天使を倒せば勝ちだけど……」あのおっさんか、よしわかった。「む、とりあえずアレを潰すのか」「今度の敵は堕天使か、まあなんとかなるだろ」「我も?」これだけ揃っていれば何とかなる。とっとと凹って飯食いに行こうぜ。オラ腹減っちまっただー。「な、なんだ貴様らはうわおいなにするやめr」

 

 過去ビエルとかいう名前だったらしい、あのおっさん。政権がどーの、エクスカリバーがどーの、教会の神がどーのと皆で鍋をつついているときにそんな説明を受けるがいまいちぴんとこない。実質終わってみると親父狩りをした気分でしかなかったし。あ、こらその肉俺のぉぉぉ!「ははは!偽名を名乗っていた罰だ!信じられるか聖魔剣使い!?こいつ一年以上の付き合いになる俺に漫画の名前で名乗っていたんだぞ!?」「そ、そーなの?それは酷いよイッセーくん」バトルジャンキーに本名ばらすとか正気の沙汰とは思えないし。「というか三日も音沙汰なしで行方不明だなんて何処に行っていたの?あなたのことをソーナにも説明しておくはずだったのだけど……」リアス先輩に白滝を掠め取られる。ちょっとペルーまで……。ソーナって誰だし。というか一応由美子さんには出かけてくるって言っておいたのだけど。「近所のコンビニに行くみたいな雰囲気だったからスルーしてたけど……それがなんでペルーとかになってるわけ……?」その由美子さんに春菊を取られる。まあなんやかんやがあったんです。「……せめていつ帰ってくるかくらいは言っておいて欲しかったです」ちょっとむくれたアーシアに焼き豆腐まで。あの、俺一応三日ほど何にも食ってないんですけどね……?「大丈夫だよイッセーくん!私が取り分けて置いてあげたから!」見事に肉の入ってない椀を手渡される。誰だし。「ちょ!幼なじみを忘れないで!?」俺の幼なじみは小学校時以降一切音沙汰の無い奴だけだ。女だった記憶は無い。「そんなこと言うイッセーくんにはとってあげないもんね!」取り返されるお椀。卵すら入ってないものを渡されても困るだけだっつうの。「仕方の無い人ですね。食べさせてあげます、その卑しいお口を大きく開くがいいです」それは言い回しがどうなんだ小猫。そして葱って。葱ってお前……。我が家の小猫にサディスティック萌芽の気配が、そんな葛藤する暇もなくもしゃぁとオーフィスに横から食いつかれる。だ、誰か止めろぉぉぉ!奴の胃袋は宇宙だぞぉぉぉ!「済まない、我の胃袋は夢中なんだ」消化に!?唯一対抗できそうな戦力であるグレッドさんが自分の分の椀を確保している。その隙に食われ尽くされんとする食材の数々に暢気に鍋をつついていたオカルト部の面々も慌て始める。なんだこのカオス。こうなるんだったら牛丼屋にでもしておくんだったか……っ!自分の判断の甘さに泣き崩れそうになる。そんな俺に一筋の光明(お椀)が差し出された。「……もういきなりいなくなったりしないでくださいね?」うん。約束します。




~業魔殿
 知る人ぞ知る船上ホテル。世間のはみ出し者や人外が数多く跋扈する、その手の者らにとっての中立地帯にもなっている場所。様々な施設が料金次第で利用可能となっており、それがたとえ犯罪者やお尋ね者だとしても優雅なひと時を満喫できるとかなんとか。支配人兼オーナーの名はヴァン=ホーエンハイムとかいう噂。

~宇宙CQC冒涜的な乱数調整~あれ?私の手札がいつの間にか全部ジョーカーに!?~
 バグに近しいほどの召喚術。敵が強大であったとしても反則級の手札(ジョーカー)を揃えれば勝ちは揺るがない。一枚二枚で済まないまさかの三枚目四枚目のジョーカーがどんどん出て来る相手にとっては恐怖でしか無い手札事故発生術。アーシアの塔アルカナは当然、いつもにこにこなあの人。

~サディスティック萌芽
 おまえんちの猫じゃねーから!

~差し出された一筋の光明
 置いてかれたことにちょっと怒っていたけど最後に許しちゃうアーシアたんマジ聖母。んぉぉぉ!トワイライトぉぉぉ!

~そして、ほったらかしのとある白い子
 校庭に到着したときには地面に犬神家をしているコカビエルしか残っていなかったらしい。


原作三巻分しゅうりょーう
いろんな思惑や葛藤を振り切ってついに此処まで来ました
くぅーつかれましry

エクスカリバーが欠片も出てこないままに終わった希ガス
聖魔剣はギリギリ間に合った様子だけど
色々と出番不足なままのキャラも・・・
フリード?ヴァーリ?ゼノヴィア?誰だっけそれ

ではまた次回


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停止世界のヴァンパイア
アーシアと悪魔稼業


イベント回収章、スタート


 「ゼノヴィアという、よろしく頼む」コカなんとかさんを親父狩りしたときに後ろのほうにいた気がする青い髪の苛烈系美女がどうやら悪魔に転向したらしい。その後の打ち上げ兼鍋会には参加していなかったみたいだけどなんで?イリナもどきはしっかりと参加していたのに。ちなみに幼なじみを騙るその女朗は奪い返したとか言う聖剣を片手に既に教会へ帰ったとか。幼なじみを名乗るほうではなくてもう一方が仲間になるとか昨今のラノベでも見たこと無い展開だわー。これは見抜けなかったわー。幼なじみフラグは犠牲になったのだわー。それはそうと彼女あの時はスク水みたいなぴっちりタイツ姿だったのだがチラ見していたその格好が色物っぽくてイメージが抜けない。制服を着ていてもプレイにしか見えない。戦うときはあの格好になるわけ?なんという素朴系恥女。あざいといアーシアと同類か……。胸が熱くなるな……!

 聞くところによると元教会の人間で神は死んだ!とかって科学者らしいおっさんに言われて絶望していたところをリアス先輩に拾われたとか。そうやって弱った心に付け入るんですね。怖いわー、マジで悪魔怖いわー。ところで科学者って誰?俺そんな人見てないんだけど。まあそれは良いとして、更には同じクラスに編入だとか言う青髪ちゃん。同年代とな。マジで?とアーシアを思わずチラ見してしまう。いや、アーシアはアーシアで良さはあるよ。うん。だからその悲しそうな目をするのはやめてください……。で、そっちはともかくいつの間にか編入していたとか言う天野が俺的には一番の疑問なのだけど。俺が登校していなかった間に同クラスかつ隣の席に居座っていたアイツが彼女面していてうざいんですけど。どうなってんだようちのクラス。駄天使と悪魔と聖母とドラゴンがいるんだぜ?実は水棲の魚類とか人修羅とかがこっそり紛れていても可笑しくない。妖怪とか天使とかを見かけたらクラスに勧誘してしまいそうである。

 さてそんなゼノヴィアたんの悪魔稼業に何故かついてゆくことになった俺とアーシア。正確に言うなら俺が着いてゆく羽目になった。この三日俺のいなかった間にアーシアには悪魔稼業とやらの手伝いをさせていたらしいオカルト部。お前らなにしてんの。エッチなお願いとかは無かったらしいので良かったが、アーシアが人の役に立つことに喜びを感じるプチどMだったお陰で稼業を続行することになった。のはいいのだが、初めてのお使いならぬ初めてのお仕事をやろうというゼノビーの手伝いをやるようにとリアス先輩がアーシアに頼んだのが事の発端。それに至る前の二人のやり取り見てないのか……?「なんで悪魔に転生する必要があったんですか?」「グフッ!?い、いや、私もそれは自分でも思っているけれど……あ、アルジェントは中々に辛らつなことを聞くな……、堕ちた聖母とか出会い頭に言ったことを根に持っているのかい……?」などと、ゼノヴィアのメンタルポイントを的確に抉るアーシアが居たのだけど。二人の出会いに何があったし。そんな二人だけで行かせようとかサスペンスの予感がマッハ。丁度今火曜だし。9時03分だし。

 

 「悪魔たん!ミルたんを魔法少女にして欲しいみょぉぉぉ!!!」いや、俺悪魔と違うし。日曜朝八時にやっているようなオルタナティブとかいう魔法少女番組のコスプレをしている巨漢の乙女と遭遇。やめてwww腹筋が捻じ切れるwww。俺の領分ではないとはいえ悪魔稼業は接客業、邪魔をするわけにはいかないので正座で脛を捻じって必死で笑いを堪える俺が居た。ゼノヴィアは対処に困っている模様。さすがに魔法少女化などという願いは想定外だったらしい。悪魔は白い外宇宙の使者とは別物であることがわかって一安心している俺も居た。僕と契約して魔法少女になってよ!などと木場が言い出さないようで安心したわー。しかしゼノヴィアもさすがにトロールを魔法少女にする方法はわからないらしい。悪魔といってもなんでもできるわけじゃないようだ。あれ、本当になんでこの娘は悪魔になろうとしたんだ?ともかくこのままでは初めてのお使いは不発に終わる。そんな場面に遭遇するのも悲しいので俺が渋々手を貸すことに。アーシアー、確か持ってたよね、魔法少女になれるペルソナ。

 「マジカルトランスにょぉぉぉぉ!!!」きらきらとした演出効果に彩られる巨漢の服が弾け飛ぶ。モザイクのようなそれは巨漢の股間や乳首のみを隠し、全裸にしか見えない格好の巨漢を、新たな衣服が光の粒子によって構築され包み込んでゆく。純白の下着、黒いインナー、それらをラッピングするのは何処か私立の小学校の女児用にしか見えないセーラータイプの制服。最後に頭の先のほうの髪の毛に小さな鐘が生まれリボンで結ばれ、リィンと鳴った。「魔法少女プリティ☆ベル!推!参!だにょぉぉぉ!!!」止めてwww俺の腹筋はとっくに限界ですwww。

 念願の魔法少女に変身できた巨漢の漢女・ミルたんは両の手を握るようにしながら自らの力を確かめている動作を繰り返す。それを呆然と見ることしかできないゼノヴィア。人の役に立てたことで嬉しそうなアーシアは笑顔で拍手。俺は笑いを堪えるのに必死。「むっ、あっちの方向から邪悪な何かを感じるみょ……」「何より邪悪なものは今私の目の前にいるが……」意味深に何かを感じ取ったらしいミルたんの呟きにゼノヴィアが呟き返す。俺は思わず吹き出す寸前で思い留まる。てめぇら笑わせるんじゃねえよwww。そんなことを思っていたら窓から飛び出してゆくミルたん。ゼノヴィアの呟きは聞こえてなかったらしい「このマチの平和はミルたんが守るにょぉぉぉ!」そんなことを叫びつつぱっつんぱっつんの衣装姿のままに駆け出していった。ここ、マンションの五階だったのか……。

 

 ようやく見つけたのはどうも一般人宅らしき平屋、だが何故か部長たちが家の前に居たりする。大公からの依頼ではぐれ悪魔の討伐に来たのだとか。そしてそのはぐれ悪魔相手に無双しているあの巨漢にどう対処していいのかわからなかったとか。無理も無い。『ダブルバイセップス!アドリミナルアンドサイ!ミルたんがこの町を守るんだみょぉぉぉ!!!』ポージングを決めながらそんなことを絶叫してるお人にどう突っ込んで良いか判る奴のほうが希少だと思う。あらやだミルたんってば強くしすぎちゃった……!?簡単に人の願いをかなえてはいけないのだなぁ、と悪魔の領分を侵してしまった俺は深く反省するのであった。てへぺろ。




長らくお待たせして申し訳ない
でも次ももうちょっとかかりそうなんだー・・・

まずはゼノヴィアとミルたんから


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使い魔ゲットだぜ!

一ヶ月ぶりですけど更新
ストーリーを追う必要性が既に微塵も無い赤竜亭・・・


 「はいっ!わたしはピカチューがいいです!ぴっかー!」じゃあ俺はフシギダネかな。ダネフッシ!そう応える俺とアーシア。ゼノヴィアが使い魔を探しに行くとか言う話になって付いてきた俺たちの前に姿を現したのは半袖短パンで赤い帽子を被ったおっさんだった。口癖がゲットだぜ!となっていたのでああそういう人なんだな、と理解してしまった俺たちの「キミたちはどんな使い魔がいいんだい?」という質問に対する答えはこうなるのは当然だと思うんだ。何?TPOを考えろ?そうは言うが木場君、こんな狙い通りな格好をした相手にはこう答えるのが礼儀じゃないのか。ある意味考えた結果とも言える。任●堂が怖くないのかと詰め寄るおっさん。そう思うのならそもそもおっさんがその格好をどうにかするべきではなかろうか。

 使い魔初心者なゼノヴィアを筆頭に森の中を進む。おっさんのお勧めは伝説級のドラゴン・ティアマト。この森に居るのかと問えば返答が無い。居ないのに勧めるとかキ●ガイの極み。でもいいよねドラゴン。カイリューは普通に強い。この前は小猫のニャースにぬっころされたけど。いばる→どくどく、からのねこのてでふぶきのコンボとかマジありえない。KO食らったときに見たドヤ顔が今も鮮明に脳裏に浮かぶ。というかパーティがふざけているとしか思えないのだけど。ニャースコラッタポッポトサキントゼニガメピカチュウというニャース以外はやや被捕食者な選抜。マジでありえない。ちなみにアーシアはそんな小猫に十回やって五回勝てる。俺らの中では実は一番位の腕前。三番がギャスパー。最下位が俺。あれ、おかしいな、経験は俺が一番長いはずなのに。そんな寄り道談義をしていたらゴリマッチョな水辺でガチの肉体言語の取っ組み合いをしているのを目撃。ウンディーネとかいう精霊らしい。俺の記憶では美麗な女性型だったはずなのだが。そうコソッと異議を申し立てると縄張り争いに美しさよりは強さが必要、などと力説されてしまった。リアス先輩もしたり顔で頷いている。いえ文句はありませんけど、強さが必要だというあの姿に憧れますかアンタ?そう尋ねると目をそらす。コッチミロヤ。

 中々良い使い魔候補が現れないらしい。というかそういう話だと最初に言ってくれればタワーオブヘブンへとご招待したものを。階層によってはメギドラオン使えるピクシーとかも居たから此処よりずっと有意義に探索できたんじゃないかと今更ながら思う。最初に言われなかったのが原因とはいえ、時間を無駄に扱わせるのも癪だと思うのも確か。地面に適当な魔法陣を書いて見様見真似の業魔殿式合体魔術を再現。出力は俺の血と魔力で周辺にいそうな雑霊をおびき寄せてみる。うにゃらー、ほにゃらー、顕現せよ、ヴァジュラオン!『我を呼ぶのは誰だぁー……!』あれ、なんか変なの呼んだ。チェンジチェンジ。

 やっぱり素人が下手な術式とか作るもんじゃないわ。でかい図体の骸骨が王冠乗っけて偉そうに見下してるし。RPGの魔王とか作っちゃったのかもしれん。ゴゴゴ……とか擬音まで聞こえてきそうな巨体は爪の先だけで人間を摘めそう。帰れといっても帰らない骸骨魔王(仮)をどうしたものかと皆を見る。臨戦態勢である。気持ちはわかるがこの面子で勝てるとは思えない。レーティングゲームとは違うのよ?かといって俺が戦うのもなんか違う気がする。呼び出した手前人間の勝手な言い分で倒すのは気が引ける。まだ繋がっているっぽい魔法陣に手を突っ込みフッサフサの毛触りを鷲摑みにして引き抜いた。キミに決めた!いけ!ケルベロス!冗談で叫ぶと首が三つの巨大な犬。マジでケルベロスを呼び出したらしい。しかも骸骨魔王より巨大である。大きさ的にはグレッドさんより一回り小さい程度?よーし噛み千切れ『なんっだヴぁああああああ!?』犬には骨。これ世界の常識だよね。

 せっかくなのでゼノヴィアにはこのケルベロスを進呈。首輪はやっぱり三つ必要なのかな、と思っていたら丁重にお断りされる。もったいないと思ったが「どう見ても自分より強そうなモノを使い魔に出来るほど暢気にはなれないよ私は。……と言うかこの前のより巨大じゃないか、このケルベロス」と、実力的に無理と突っ返された。この前ってなんぞ?ちなみにそのケルベロスたんは森の奥へ押し入ってむしゃらむしゃらと何かを捕食している様子。人で無いことを祈る。というか逃げられてしまった。これからこの森の食物連鎖の頂点は間違いなくケロたんだな(白目)。

 

 森が使い物にならなくなってしまったのでゼノヴィアたん並びにオカルト部の面々をアミューズメントタタワーへとご招待する流れになってしまう。偽曹操に会わないことを祈るばかりだ。ちなみにグレッドさんとオーフィスは以前の鍋の後旅に出た。自分探しならぬ世界旅行、俺より強い奴を以下略な旅だとか聞いた気がしないでもない。え、空耳?まっさかー。あとザトゥージさんとやらも一緒に来たがっていたけど肩をぽんと叩いて「強く生きろよ」とエールを送るだけに留めておいた。外来種を下手に別の生態系に移すわけには行かないと、自然保護がなんちゃらかんちゃらってじっちゃが言ってた希ガス。多分だけどザトゥージさんはあの森の生態系の一部なんじゃないかなーって(放置)。

 似非爆竜の翼を振るって最上階から下る仕事が始まった。出会いたくないとか思っていたのにいきなりエレベーターに乗ったリアス先輩は本物の大馬鹿である。あんたパーティの筆頭なんだから考え無しに進むんじゃないよ。思った通りにレベルが足りなくて俺が先頭を取ってるよ。それでいい使い魔候補はいたのかね。紅蓮剣を振るう手を止めずに質問。ラクシャーサが対物理性能持ってて斬撃を弾くのだがコレとかどうよ?「だからそれは私より強いじゃないか」肉壁としては最上級だと思うのだけど。まあ魔法には弱いが。否定されてしまったので紅蓮腕で焼き払う。5階くらいまで降りてきてようやくオカルト部一行も戦えるレベルになってきた道中、さまよう鎧的な珍しいタイプの敵も居た。偽曹操の宗旨替えだろうか。あれはゲーム的なモンスターじゃなかったっけ?ドラゴンを模したような全身白い奴だったのだが少しだけ手強かったのでちょっとだけ印象に残る。倒しきれずに逃げられるとか初めてだったからほんの少しだけ。

 結局入り口に戻ってきても丁度良い使い魔候補は居なかったらしい。俺の一日を返せ。業魔殿へ行き悪魔全書を起動してもらってケットシーを再生させて購入の流れで話が済んでしまう。もう一度言う、俺の一日を返せ。項垂れていると業魔殿の船長に「それも合体材料かね?」と尋ねられる。それ?と指差された足元を見ると右足脹脛のところにプルプル震えるゲル状の何かが。倒した魔獣の肉片か何かだろうか、それにしては透明すぎるが。「……スライムの一種かしらね?」とリアス先輩からの答え。摘み上げてじっと見ているとうっすらと目のような部分が怯えたようにこちらを伺っているようにも見えてくる。ボクは悪いスライムじゃないよ……などという幻聴まで聞こえてきたので、折角だから飼ってみることにした。これ程度でも収穫が無いと一日が無駄すぎると思っただけであるが、これからスライム育成ゲームが捗るぜ!




~ダネフッシ!
 そこはせめてヒトカゲにしとけよ

~ヴァジュラオン!
 君臨せよ!鬼しn

~骸骨魔王
 ハヤテの如く!とかに登場した記憶が・・・

~ケロたん
 コカビエルが召喚したものよりずっと巨大な本家レベルケルベロス。召喚したイッセーの命令は聞くけどそれ以外は基本自由。森が食い尽くされる・・・!

~白いドラゴンのさまよう鎧
 どこかで見たことあるような気がする。うっ、頭が・・・

~ラクシャーサ
 全身鎧の赤鬼。斬撃を反射する7階くらいに居る邪鬼。仲魔に出来れば肉壁として非情に役立つ

~スライムわくわく育成ゲーム
 DQとかに居るようなはっきりとした奴ではなくて、もうちょっと不定形のある程度ゼリーに近い手のひらサイズ。色は水色。多分使い魔の森から付いてきた超弱小モンスター。悪魔合体で強くしろ!


お久しぶりです更新です
今回もまた登場を忘れていたキャラの回収回と相成りました
ザトゥージさんにケルベロスさんにヴァーリさん
あとは無限と夢幻のその後を少し

面白さを追求したいのですが今ひとつな気分がしないでもない
ネギまにかかりっきりなのでこっちはまた放置になるかと思われます
では


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プール掃除らんなうぇい

副題を思い出せないので適当に


 やだ、うちの子ってばなんでも食べる。我が家の新しい家族・スライムのすらりんは好き嫌いをしないいい子であった。可燃ゴミor生ゴミを食せば一時間もあれば消化するし、不燃ゴミは三時間で食いつくし、粗大ゴミや資源ゴミでも端から徐々に消えている。食った体積は一体何処へ行くのかと疑問が浮かぶがまあそれはいい。問題は俺のベッドの下のお気に入りを食わせた由美子さんである。部屋の掃除ついでにお宝DVDが家族の腹へと消化されたことを知り悲しみに咽び泣く。今のは痛かった……、痛かったぞーーー!

 

 帰ってこない遥か遠き理想郷(アヴァロン)の一端のことはともかくとして、支取会長にプールの掃除を命じられる。なんでも先日あった球技大会に不参加であったことが無駄に目立ってしまったらしい。やだ、俺ってば人気者?数日休んだだけで心配されちゃったの?……違った。オカルト研究部の部員として登録されていた上で、部活対抗戦に出てなかったことが対戦相手の癪に障ったとかで悪目立ちだそうである。ボールを合法的にぶつけられる相手が居なくて勝てなかったとオカルト部と対峙した全部活からの大ブーイングだそうだ。貴様ら情け無いと思わんのか。そんなお前らの不満以上に今の俺の居た堪れなさが天元突破。恥ずかしさで埋まってしまいたいくらいである。浮かれた数秒前の自分にメギドラオンを食らわせてやりたい。撃てないけど。

 ともかくそんなわけでばれてしまった俺の出席日数不備を埋めるための奉仕活動として、プール清掃を命じられた次第であった。話を戻すが、こういうのは普通教師から受けるものらしいがこの学園の教師は一筋縄では行かない+生徒の自主性を重んじる。という指導傾向にあるので、生徒会長である支取蒼那さんが直接やってきてくれたとか。ありがてぇありがてぇ。これで横に居る匙とかいう少年が俺のことを睨んでいなければ万々歳であったのだが。なんか文句あんのかオラ。メンチを切り返せば目を逸らすこともない睨み合いが続く。ほほう、こいつ意外といい度胸してる。そこらの悪魔よりは若干だが。そんなことを思っていたら支取会長に小突かれる匙。去って行く二人を見て、なんだか出来の悪い弟の面倒を看るお姉さんのようだ。などと両者の関係性を分析する。俺も、こんなお姉さんが欲しかった……!(切実)

 

 はーん?あいつも悪魔?プールの掃除をしつつ手伝ってくれるというアーシア並びに小猫・木場に匙の正体を聞かせられる。支取会長が魔王の妹で匙はその下僕という名の転生悪魔らしい。先日政権騒動の折に紹介されたとか。いつの話よ。俺知らないよ?……行方不明中でそれどころじゃなかった?そりゃ失礼。レイプ目で表情の消えるアーシアに背筋を寒くしつつ底床の苔を擦り取る。取れないなー。

 悪魔の割には態度が不遜というか、俺と張り合っているように見えたのはどういうことなのか。そこらの悪魔だと大概怯えるのだが。と木場に尋ねてみれば、「彼の実力不足なんじゃないかなー」と目をそらされながら応えが返る。あれか、弱ければ相手の強さを感じることもできない、という戸愚呂の言葉にあるあれのことを指すのか。「イッセーくんはそもそもあの神器を出現させていないと普通の人間と変わりないからね。いやそれでも殺気を込めればその状態でもライザーを圧倒できるから規格外なんだけど……」実際ライザーが泣いて漏らして失神したのって俺が木場の言う『普通の状態』のときだものな。普通とはなんだったのか……。「少なくとも手を貸してくれる友人が私たち以外に一人も居ない人のことは指さないと思います」べ、別にボッチじゃねえし。クラスに友達ぐらいいるし。変態だけど。……思い返せば変態しか居ない……!?言い返しながら改めて自分の人間関係の異常さに目から汗が零れ落ちる。姉代わりみたいな立場の由美子さんはドSの地獄少女だし、先輩筆頭のリアス=グレモリーは露出狂、今妙に支度に手間取っている天野はドMである。ここは一つ、転生悪魔とはいえ普通筆頭の匙くんとやらを友人に加えたいところだ。彼ならばいいツッコミに回ってくれそうな予感をひしひしと感じる。「お待たせイッセーくんっ!」そう、こんなときとかに必要。――なんでこの駄天使ボンテージ系水着で現れたんだよ……ッ!?

 

 天野の協力の甲斐あって清掃も無事終わる。余りにも場違いな格好で現れた天野には床掃除の罰を与えたので昼になる前に終えることが出来た次第である。これから学食にでも行こうかと思っていた時間帯、リアス先輩並びに姫島先輩が弁当持参で陣中見舞いに来てくれた。そのリアス先輩曰く「人間スポンジは床にやるものじゃないわよ!?」とのこと。知らねぇよ。文句は天野に言え。恍惚そうなあのHEN=TAIに。「ハァハァ……私汚れてる、汚されちゃってる、イッセーくんにぃぃぃ……!」耳に入れたくないので思考からカットカット。スポンジ代わりにモップの先に括り付けた駄天使(羽箒)なんていなかったんだー。

 「イッセーくんオイル塗ってくれる?」「イッセーさん泳ぎを教えてください」「イッセーくん遊びません?」そういうお誘いは木場にやってやれよ。という台詞を浮かべた画面の前の貴様ら、甘い甘すぎる。ナニを隠そう最初の台詞が木場である。ウホッ、いいBL(ベーコンレタス)!とか無かった。無かったったら無かった。水を張りなおしたプールにて、小猫に泳ぎを教えて姫島先輩と遊んでアーシアにも泳ぎを教えた。俺、今、青春しちゃってる……!その視界の隅では水着を持ってこなかったらしいリアス先輩が体育座りで見学していた。こういう場面で持ってこないとは珍しい。もしかして天野と同じようなボンテージ系の水着を持ってきちゃって二番煎じになりそうだから諦めてたりして?まさかねー。――「グフッ!?」「ぶ、部長っ!? しっかりしてください、傷は浅いですよっ!?」――遠目に木場と先輩がいい雰囲気であるので邪魔しないようにしておこう。ギャスパーも来ればよかったのになー。

 

 その帰り道、白い髪をしたイケメンに遭遇。「そうか、キミが僕のライバ――え?なんだアルビオン?ん微妙に違う……?――……す、すまない、人違いみたいだ。……?」となんだかわかりづらい独り言を呟きつつすれ違う。誰だし。

 そんなことよりも驚愕の事実が。すらりんが女体化した!




なんだかリアスが不憫に・・・
もう少し焼き鳥編で出番を増やしておくべきだったか・・・


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愛と戦慄の授業参観・・・ッ!

こっそりと投稿


 女体化したのを構わないのは俺だけのようである。アーシアと由美子さんが凄い目ですらりん改めショゴスたんを見やる。アーシアの目からは光が消え所謂レイプ目状態、由美子さんはそのたわわなぷりんを親の敵のような目で睨み付ける。そんなに睨み付けても防御力は下がらない。いや、これ以上下がったら俺の攻撃力が逆に上がりそうで止めて欲しいのは確実だが。そんなことになったらペットに欲情する義兄というレッテルを張られてアーシアに申し訳が立たない。何より我が家の女性陣からの視線が怖すぎる。泣く泣くお宝DVDに集録されていたお気に入り女優らのいいところだけを取り揃えた美少女キメラ・ショゴスたんを元の形へと戻るように説得。体積が増えたから無理?じゃあ犬にでもなっていてくれ。大型犬が新たな家族となった瞬間だった。

 

 そんな休日が明けて翌日、月曜だというのに授業参観がある本日、我が家の両親は可愛い愛娘のアーシアを見に来ると豪語して止まなかった。そして家族が居ないと耳にしていた小猫の授業も親代わりとして参観すると。俺はそれらのさらについでのおまけだそうである。お父様お母様、実の息子は俺ですよ?まあ俺が同じ立場だとしても間違いなくその二人を見に行くのだろうから言葉にはしないけど。しょっちゅう居なくなる放蕩息子よりかは可愛らしい娘に目をかけたくなるのは親心だというのはよおく理解できる。そんなことを思い出しながら登校していたところへゼノヴィアと遭遇。おやおやプール清掃を手伝ってくれなかった心優しきクラスメイトたんではないですか、と若干の厭味を滲ませつつ挨拶すれば「すまない、休日はバイトで忙しかった」と返事が返る。詳しく聞けば教会から立場を剥奪された際に資金援助も無くなったので生活費を得ることも難しくなったとかなんとか。なので先ずは日雇いからだが休日バイトをして食い繋いでいるらしい。……駒王の学費はどこから出ているのだろうか。話を聞いて浮かんだ疑問を尋ねてみれば、そこはグレモリーに一任しているとのこと。リアス先輩の下僕となったためにそういう部分での援助はしてもらえているらしい。生活費の方も頼んでおけばいいのではなかろうか。と若干図々しい心積もりも起き上がる俺の心は多分薄汚れてる。あとついでに「今住んでいるボロアパートも立て付けや鍵の強度が悪く、外国人労働者が無駄に多くて地味に夜間の危険度が跳ね上がっている。微妙に貞操の危機だからもっと住みやすい場所は無いだろうか(チラッチラッ」と意味深な視線を向けられ愚痴られたけど拒否。うちには既に由美子さんという居候が居るからな!

 

 粘土で語る英会話とかイミフ過ぎる。何を作って良いかわからず、結局円錐型の尖端に丸い突起の付いた不可思議な生き物を模造する。見事に需要が無いことに軽く絶望する。みんなはどんなものを作っているのかと見渡してみれば、松田と元浜は不定形の女体を、天野はご立派なマ●ラ様を、ゼノヴィアは立派なおにぎりを、アーシアは蛸と蝙蝠の合わさったような立像を作っていた。……カオスになる。改めて授業参観当日にやる授業ではない。教師は何を考えているのだろうか。あと相変わらずアーシアの目から光が消えてた。おっぱい星人でごめんなさい……っ! そんな授業を終えて人でごった返しの廊下へと出やる。昼食にしようということで空腹を切実に訴えていると思われるゼノヴィアを学食へと誘ってみる。奢ると言えば凄い勢いで感謝された。この町にやってきたときに貴方に会えていれば……!と。一体ナニガアッタシ。

 腹ペコキャラ認定したゼノヴィアと一年近く日本で生活しているので箸の扱いは完璧なアーシアと元祖腹ペコキャラである小猫とのささやかな昼食会を終えて、気がつけば天野やリアス先輩が隣のテーブルで茶を啜っているのを発見する。相席しているのは赤い髪のイケメン・サーゼクスさんであるお久しぶりです。そういえば兄であったか、と授業参観に来ていたらしい魔王様にその父親とメイドがついておまけに駄天使も憑いているというこちらはこちらでカオスなテーブル。程よく談笑すれば恥ずかしさで気が狂いそうだったとか愚痴るリアス先輩が真っ赤で可愛い。むしろ可愛いよね、と妹様アピールされるのではぁまぁ、と愛想で答えれば更なる+レッド。りんごより赤ーい、ってこれまたいつの間にか相席していた姫島先輩がリアス先輩を囃し立てた。そんな姫島先輩の遥か後方で彼女を激写している叔父様は何処のどなたなのだろうか。見た感じ美形っぽいし駒王の有名所の血縁であるだろうなのは確実。ひょっとしてあれが姫島先輩の父親か? ……見なかったことにしよう。そう判断して、そっと、目をそらした。

 学食から出るとにわかに騒ぎ出している一角を発見。普通担当の匙君が生徒会の仕事として廊下で屯するなと突貫してゆく姿を垣間見る。蜘蛛の子を散らして露見した中心には魔法少女コスプレの美少女が!いつかのなんちゃって筋肉魔法少女なんかとは明らかに違う、完全無欠の正統派魔法少女である。これが正しい本来の魔法少女のはずなのに感激している俺がいた。今も街の何処かで正義の魔法少女をしていると思われる出落ち系魔法少女のことを記憶から削除して、写真一枚いーですか?と問いかける。空気読めよ、と匙君に窘められてしまった。てへぺろ。そんなところへやってきた支取会長。どうやらこの魔法少女がお姉さまらしい。あれ、確かお姉さまって魔王だって言ってなかったっけ。小猫に確認を取れば神妙な表情でこくり、と頷かれる。マジでか。「あらあら? ひょっとしてキミがサーゼクスちゃんの言っていた兵藤君?」おおう、サーゼクスさん俺のことどう説明してるのですか。本人預かり知らぬ間に話題に上がっていたのがこっ恥ずかしい俺のことを興味津々な目で見つめてくる魔法少女ならぬ魔王少女。名前はレヴィアタンとかいうらしい。むしろレヴィアたんと呼んで(はーと)と言われた。合点ですレヴィアたん。そういえばうちにも魔法少女のコスプレが出来る娘がいたっけ、とアーシアを紹介しようとしたところで「リアスちゃんの恋人なんですってね!」「違います」あまりにもアレな発言をされてしまったので即座に否定&断言した。リアス先輩が端のほうで「(´・ω・`)」って顔してたけどそんなん知らん。本当にどういう紹介をしているんですかいサーゼクスさん……。




~スライム改め
 でもショゴスたんは他のところでも結構見かける人気キャラなので出番が縮小される予感

~睨み付ける(キッ
 ファイヤー先輩の必殺技。でも攻撃手段がつつくだけってどうなんですか?

~円錐型の丸い突起
 少し潰れ二つ揃ったら確実に女性の胸部のあれ。単体で触手をつければイスの偉大なる種族に早変わりする

~こいつ、しゃべったぞ・・・!?
 何気にイッセーの発言が始めてのような気がする


何気に一番気の合いそうなレヴィアたん登場
順調にキャラクターの回収を終えているって信じてる

あと活動報告もこっそり投下しとく


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餃子ぁーーー!

ギャスパーの霊圧が・・・消えた・・・!?


 放課後の駒王にて、天使長魔王堕天使総督での三竦み会談が始まるらしい。一週間ほど前の授業参観に魔王直々に学園まで遠出したのはそういう意図もあったとのことだ。まあ人間にとっては正直関与しきれない話だよな。そういうわけで勝手にやっててくれ。そう思っていたのだがナンデ俺はこの場に借り出されているのだろうか。会議室の長テーブルにて魔王と魔王少女に挟まれながらそんなことをふと思う。この人間から逸脱している超人という表現ですら生ぬるい人種の差を飛び越えた超VIPに居並ぶのがただの凡人で庶民である俺で果たして良いのであろうか、と少々ナーバスな気持ちになるのも致し方ないことなのである。そう他人事で事を済ませようという俺の思惑を察知したとでも言いたいのか、戦争がどーの冷戦がどーのと話していたアザゼルさんとかいうイケメン中年が俺を名指しで指名してきた。何でも前に親父狩りしてしまったコカなんとかさんのことで問題視されているらしい。さすがに四人でフルボッコは不味かったのか。そう切り出してみたらどうも気になっている点は別の部分らしい。「ちげぇーよ。お前も問題だけど残りの三人も問題なんだよ。一体何処のどういう勢力のやつらだ。コカビエルは聖書に語られる最古参の堕天使なだけあって強い。それを『弱くした』っていうならまだしも、そのままの状態で四人がかりとはいえ再起不能に追い込んだ。――さすがに見逃すにはやばすぎる情報だ……」知らんがな。神妙な顔でアザゼルさんは言うが、正直そうとしか答えようが無い。連絡先も交換して無いし、そもそもあいつら今時珍しいくらいにケータイすら所持していないのである。バッグパッカーをやっていると思われるグレッドさん並びにオーフィスたんが今何処にいるのかも俺はまったく知らないし。

 正直尋問みたいなことが始まるのかと思っていたが聞き出せないなら聞き出せないで先送りにしておくらしい。俺の正体とやらも後ほど攻略することに決めたのか、会談本題がようやく始まる。この場にいるものは皆『神の死』を認識している。そう切り出したアザゼルさん。そーなの?と聞くと信じられないものを見るような目をいっせいに向けられた。どうやら常識であったらしい。とにかくそういう前提で話を始める。そう続けたアザゼルさんマジイケメン。でもそれを邪魔するように美麗なお姉さんが会議室の扉を大きく開けて現れた。話を邪魔されてしょんぼりなアザゼルさんマジ苦労人。

 登場したお姉さんはカテレアとかいう魔王らしい。停戦協定を結びに来たとかいうサーゼクスさんやレヴィアたんへリコールをかけに来た、ということなのか、要約すれば。高圧的かつ好戦的にこの場を包囲したと高飛車に笑うカテレアさん。言われて窓の外を見てみれば大量の悪魔さんがぞろぞろと。戦争反対派を大量に引き連れてきたとか。でも魔王と名乗っているとはいえ三界の最大戦力とやらが揃っているこの場へわざわざ顔を出すとか正気の沙汰とは思えない。詳しく聞くと旧魔王派という派閥らしく、魔王の立場を追われたのだとか。支取会長がこっそりと教えてくれました。あれか、このまま戦う相手がいなくなると戦果を上げて返り咲くことが出来なくなるとかいう理由なのか?死の商人みたいなものか……。「ちょうどいい。兵藤一誠、お前がそいつをどうにかしろ」他人事みたいに考えていたらいきなり話を振られたでゴザル。コカなんとかさんをぶっ飛ばした一角の実力を生で見たいとか言ってwktkしているアザゼルさん。うーむ、まあ俺もカテレアさんには言いたいことがあるので俺が相手をするのは問題ないのだけど。

 

 前へと出てきた俺を見て挑発的に笑う女怪。正面に立ってみればその資質がよく見える。――やっぱりだ、この女……、上げ底、だと……ッ!?「ふざけるなぁーーーッ!!!」ドゴォッ!と俺の覇気で鉄筋コンクリート製の会議室の壁が穴を開けた。というかカテレアさんを覇気で吹き飛ばして壁を突き破り校庭へと吹っ飛ばした。奴はやってはならないことをした……!俺のスカウターで計測できない乳は無い。オーフィスの成長期待値を見破った俺の前で、よくもまあパッドなんて入れられたもんだな……!「立ち上がれよカテレアさん。お前は身を弁えるということを覚えなくちゃならないはずだぜ……?」校庭に落ちた女性を追って正面へと降り立つ俺に、怯えた表情で後ずさるカテレアさん。腰が抜けているらしい。だが俺は心を鬼にして教え込んでやらなければならない。乳は隠すものではない、たとえどんなに小さくても、胸を張って誇るべきものだと、俺はこの女性に教えてやらなければいけないんだ……!「かッ、カテレア様を守れーーーッ!!!」「「「「おおおおお!!!!」」」」む、校庭に降りたことで周囲にいた悪魔さんらも近くなってしまったな、そういえば。彼女を守るように勇ましく奮い立つ男性悪魔の数々。旧とはいえ魔王派、それなりに支持は持っているらしい。「――ニーヴェルンヴァレステイン!」えっ。

 不穏な台詞に振り向けば、巨大な槍を形成したアーシアの姿が会議室の抜けた壁穴から見えていた。その槍を大きく振りかぶって、こちらへと投擲するヴァルキリーコスプレのアーシアたん――ペルソナを使ったのか、青い甲冑を着込んだ戦乙女な格好が実に神々しかった――。飛んできた槍はその余波だけで悪魔たちをなぎ払い、カテレアさんの顔面すれすれの位置でぴたりと静止する。勇んだ悪魔さんらは悲鳴を上げて吹き飛ばされて、その切っ先を向けられたカテレアさんは完全に戦意喪失した涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔でその場にへたり込んでいた。地面が濡れている気がするのは……、気にかけないようにしておこう。

 死者こそ出なかったものの光の波動を発する巨大な槍を向けられて、悪魔さんらは完全に萎縮してしまっている。それをペルソナ・節制で次々無力化してゆくのは我らが聖女アーシアたん。「デイバイーンバスター!」「「「アッーーー!!!」」」一応は非殺傷設定らしいピンクの光線で打ち抜いて捕縛してゆく姿を見てると、改めて俺の出番が無いと思い知る。というか俺らだけでもこの有様なのに、なんで突貫してきたんだカテレアさんは。「……本当は時間停止の神器使いをこちらで確保する手はずだったのだけど、なんか、自爆した……とか……」青い顔で呟くカテレアさん。時間停止……DIOのことか……。そんなことをぼけーっと考えていると傍へ降り立つ別の誰か。「あの覇気でようやく理解した……、やはりキミが赤竜帝か……、俺のライバル!」あれ、そういえば居たねいつかのキミ。で、誰?




龍と書くと東洋のイメージ
竜と書くと西洋のイメージ
なのに赤“龍”帝というのが未だに納得がいかない

というかウチのパソコンでは一発変換が未だに“赤竜帝”
もうこれでいいかなー、って


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イッセー卍解使うってよ

出来てしまったので更新
これが休日の力か・・・!

あといつもよりちょっと長くなったけど、キリのいいところまで書いてみた


 「知ってるか、ドラゴンは神聖な生き物。体も強く頑強で、小手先の業も効かない。そんなドラゴンを神器として扱っている俺は、すなわち最強の生物の一端に引っかかっているわけだ。さあそろそろ始めようか兵藤一誠、それとも今から尻尾を巻いて逃げるかい赤竜帝!?」白龍皇のヴァーリが勝負を仕掛けてきた! でも正直相手したくないのだが。逃げていいというならば逃げたいっすよ。でもコイツいつかの曹操と同じ匂いがするんですけど。で、赤竜帝ってなんだっけ。「思えば長かった……、最初の出会いはバトルタワーだったな。白髪化するほどの恐怖を味わったのは初めてのことだったよ……、まさか一撃だけであんな目にあうなんてな……」白龍皇と名乗った彼は滔々と語る。しかし、バトルタワー……?いたっけ?「負けて以降、俺は力を欲した。もっと強くなるために修行も重ねた。あんなに渇望したのは子どもの頃以来だ……。――覚えてないか?この鎧を!」『Balancebreak!!』ドラゴンを模したような白い鎧姿へと変わるヴァーリ。……覚えが無いなぁ……。「あ、あれ?ほら、いただろ、無様に逃げたこの姿の鎧がさ」………………覚えが無いなぁ……。「そ、そうか……」しょんぼりしてしまう白龍皇。なんかごめんね?で、白龍皇ってなに?

 赤いドラゴンと白いドラゴンが喧嘩したことで天使と悪魔と堕天使との戦争を妨害したとか、その一角を封印した神器を俺たちがそれぞれ所持しているとか。まあ色々聞いたが、正直俺が喧嘩に乗る謂れなど無いのではあるまいか。丁重に白い奴の挑発を拒否る俺。「そ、それなら教えてやる、俺は停戦なんて真っ平ごめんだ。俺の目的は強い奴と戦うことだ、このまま実力を飼い殺しにされるのなんて我慢ならないのさ。だから!こいつら旧魔王派を今日の会談にぶつけるつもりで煽った!俺もまたこいつらの仲間ということだ!」で?「……い、いや、で?って……。お、俺を倒さないといけないんじゃないかなーって……、ほら、体面的に、さ……」いや、正直俺としてはどうでもいいことだし。黙っておけば問題ないんじゃないか?「そんなわけがあるか……!」俺の言い分に切れるヴァーリ。お前が挑発返されてどうする。俺の言えたことでは無いけど。「そ、それならば!お前の陣営にいる時を止める神器使いを使うように提案したのも俺だ!どうだ!これで理由ができただろう!」必死すぎだろうお前。大体時を止めるとか、DIO様なんぞ俺の知り合いには居らぬわ。「……あれ、ひょっとして知らなかったのか?」何が。

 

 いつまでもグジグジと小うるさいヴァーリを鎮めるために仕方なく相手することに。すげぇいい笑顔で喧嘩のための準備運動をするこの白髪頭を今すぐぶちのめしてやりたい。しかし彼は今のところ無害である。俺にとっては。なんか色々因縁を作ろうとしていたみたいだがどれもこれも空振りに終わっているような気配すら感じるし。そんなとんだピエロなヴァーリを相手にコブシを構える。「神器を使わないのか?」素手相手に剣で対抗させるとかって俺どういう鬼畜よ。斯く言うコイツは鎧を着込んでいるけど、まあぶん殴れば問題ないだろ。俺の膂力は規格外だって自分で良く知ってるし。では、そい。「グゥッ!?」軽く振りかぶっててきとーに右フック。左腕で受け止められるがメシリと鈍い音がした。「ぐ、な、い、一撃でこのデイバインスケイルメイルに皹を入れた……!?」長い名前だな。というか中二病の匂いがぷんぷんしてくる。もう一撃で終わるかなー、すごいぱーんち。「ぐふぁっ!?」左手でがら空きのあご下へとアッパーを打ち噛ます。とは言っても軽く振り上げる程度だが。威力は充分だったらしく、高く飛ばされるヴァーリ。が、入りは今度は浅かったらしい。一瞬よろけたものの、なんとか着地。あご下には右腕が添えられていた。「はは……、やはり強い……。だが、ただでは終わらん!」『Divide!』お?なんか力が抜ける感じが。「そしてぇ!くらえ!」一瞬で距離をつめ、握り直した右コブシで鋭く打ち込んでくる。これはなんとなくやばいと感じた。ので、左腕を突き出すことで逸らして回避。逸らしただけで衝撃が腕に伝わった。……強くなった?「疑問に思うか?教えてやる。白龍皇の能力は半減と吸収。相手の力を半減し、半減した分の力を吸収することが出来る。――お前の力は戴いたぞ……っ!」なるほど。……これは生身のままではさすがに無理か。よし。出て来い紅蓮剣。『うむ、やっと出番か。久しいなアルビオン』『ドライグか……。以前も気になったが、何故そんな姿に……?』『まあ、色々あってな……』出現した紅蓮剣が勝手にしゃべりだす。それに応えるのはヴァーリの着ている鎧らしい。お前ら結構仲いいの?何はともあれ、おしゃべりしている暇など無い。俺はアレを使うぞJOJOーーー!『!?な、なに!?もうか!?』『ど、どうしたドライグ?そんなに慌てて……』『くそっ、忠告しておくぞアルビオン。――死ぬな』「『――は?』」ヴァーリと鎧の声が疑問符で重なる。俺は出現させた紅蓮剣を正面へ向ける。いくぜ、相棒。「『卍!解!』」その瞬間俺たちは光に包まれた。

 差し詰め『装纏衣紅蓮竜』と言ったところか。赤いドラゴンの鎧を纏った俺の手には紅蓮剣は無かった。その姿を見てヴァーリは言う。「禁手化か。……何かと思えば」『Divide!』再び俺の身体から力が抜ける感覚が。そのままさっきのお返しだと云わんばかりに殴りかかってくるヴァーリ。だが、この状態の俺ならばそうそう負けはしない。『Extraboost!』俺の鎧が叫ぶ。そうして攻撃を受けて、すぐに殴り返した。吹っ飛ばされるヴァーリ。「――は!?」当てやすい身体を狙ったので、起き上がったヴァーリの鎧は胸当ての部分が崩壊していた。「な、何が起こった……!?ただの倍化じゃないのか……!?くそっ!」『Divide!』もう一度力が抜ける。が、甘い。「――ぐふっ!?」『ヴァ、ヴァーリ!?』鎧が心配そうに叫んだ。無理も無い。ヴァーリは血を吐いて膝を着き、片手で自らを支える体勢へと変わったからだ。『な、なんだこれは……!?』「ぐ、あ……!か、からだが、あつい……!おもい……!やけるように……!」立ち上がれない。そう判断して、ファイティングポーズを解き近づく。『――無理も無い』俺の鎧が勝手に語りだした。まあ説明めんどくさいしどうぞ。『教えてやる。この状態の俺たちは自身の力を二乗させることが出来る』「『な、なん……だと……っ!?』」ブリーチ乙。『こいつの力が0か1で無い限り、最低でも2でも無い限り、お前らは勝つことは出来ない。ついでに言うと、吸収した力が余分すぎるのだろう?今すぐ鎧を解いて降参しろ』「は、はは……、この吐血はそういう意味か……。俺の制御力じゃ、この力を扱えないという……!……舐めるなっ!」お。まだやる気か。立ち上がるヴァーリ。だが正直言って生まれたての小鹿のほうがまだしっかりした足取りをするんじゃないかってくらいよろめいてる。『い、いかん!ヴァーリ止めろ!このままでは死ぬぞ!』「強くなれるなら……!死ぬことなんて恐れない……!制御してやる……!アルビオンは余分な力を逃がせ……!」『さっきからやっている!だが、言うことを聞かない……!』高田厚志は言っていた。魔力を通じて相手の動きを支配できる、と。お前らは誰の力を吸収した?俺の二乗化は使い道の無い膨大な魔力で構成している術式でもある。――『力を抜く』というシステムが組み込まれていることなんて、初めからお見通しだ。『Extraboost!』懇切丁寧に教えてやった直後、再び二乗化される。絶望的な表情を見せていたヴァーリは、それでも諦めるということをしなかった。「――っ!――う、うおおおおおおおおおおお!!!」『Divide!』――絶叫した瞬間、ヴァーリの四肢と鎧は盛大に弾け飛んだ。

 

 『Extraboost!』最後の二乗化を終えて、芋虫のようになって倒れ伏しているヴァーリに近づく。「……っ……っ……っ」息も絶え絶えな彼の傍へしゃがみ込み、見下ろしていると声が届いた。「と、どめ、を……さす、か……」必要ない。そもそもお前は俺と喧嘩するには弱すぎる。コブシを交わす価値も無い。「く、そ……くそ……、くそぉ……っ」だから、助けてやる。「――……?」ライバルを自称するくらいなのだし、この大本の能力も多分知っているだろう。説明は不要とばかりに倒れているヴァーリの肩へと手を乗せる。「ま、まて……なにを、する……気だ……?」力が欲しい、とお前は言った。そんなに力が欲しいというならば「やめ、やめろ……!やめ……!」 「くれてやる」 「やめろぉぉぉぉ!!!」 『Transfer!』 「ぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




ワタルとジャバウォック混じったw

只でさえ制御できない力(半減半減二乗半減二乗半減二乗=?)を譲渡とか・・・
こんな優しいイッセーくん初めて見たー(白目)


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停止世界のヴァンパイア?

十六巻をチラ読みしてきたという友人に内容を掻い摘んで教えてもらう
ギャスパーが闇化してギャスパーのヒロインっぽいヴァレリーという女の子が出てくる?更に神器を無効化するラスボスの登場とな。ほうほう
でもうちのイッセーなら普段から神器使ってるようで使ってないし、捕まえて凹れば勝てるんじゃね?と赤竜亭を薦めてみる俺がいた

――笑いすぎて腹筋が崩壊した、と訴えられる
知らんがな


 そのあとのことを掻い摘んで語ってみよう。力が欲しいと悔しげに訴えていたヴァーリに俺の二乗化した力を譲渡したのはいいが瀕死の肉体では制御できなかったらしい。一瞬のうちにドラゴンへと変化し、暴れまわるのかと思いきや身動きが出来ずに呼吸困難に陥っているような状態で“暴走”していた。まるでまな板の上に乗せられたコイキングのようですらあった。そのあとはやってきたアザゼルさんに事情を説明して引き渡す。冥界側へと引き渡したほうが良いのではないかという意見もあったらしいが、その点はサーゼクスさんが拒否したらしい。暴走状態の白龍皇なんぞ遣されてもどうしたらいいのかまるでわからない、という理由らしいが、後に聞いた話によるとアザゼルさんはヴァーリの育ての親らしいからその辺の内情を汲み取ったんじゃないかって木場が予想していた。どっちでも構わないが。

 カテレア=レヴィアタンとかいうフルネームだったらしい隠れちっぱいのお姉さまは引き連れてきた眷族やら旧魔王派共々冥界へと連行。名前から、ひょっとして支取家の長女?とかって連想した俺は悪くない。予想は完全に外れたけど。そして俺とヴァーリで喧嘩している中で三者会談は終了。停戦条約を結び冥界・天界・地上の三つの領域は互いに協力して生存領域を広げてゆこう、ということになったらしい。なんでも彼ら“聖書の領域”以外にも神話体系が他にあるとかで、そっちのほうから侵略される恐れもあるから人間との接触には注意が必要になっているのだとか。でも正直人間側の意見から言わせてもらうと、神話って既に“終わった話”が大半だから今更領域を広げられても問題ないんじゃないかな。って思う。というか信仰心とかが必要な種族だったのか、悪魔とかって。数だけは居るし肉体も持ってるから、てっきり人間と大差ないと思ってた。

 そして衝撃の事実が発覚。カテレアさんとかヴァーリとかがいちいち言っていた時を止める神器使いというのはギャスパーのことだったらしい。この一週間は引き篭もりの彼女を連れ出そうと色々やっていたとか小猫から教えられる。そういうときこそ俺を呼べよ。今更遠慮するような仲でもあるまい。そう言ってイケメンポイントを稼いでおく。というかヒッキーを無理に外出させようとか悪魔のメンタル面の扱いの適当さは異常。それはともかく、自爆したとか言っていた話を確かめに部室へ行けば見事に焼け焦げて爆発四散した旧校舎の姿が!……これアーシアのデイバインバスターで吹き飛ばした結果とかじゃないよな?餃子ったという情報の正しさを改めて知り、おそらく彼女は旧魔王派に連れ出されてオカルト部メンバーの足を引っ張ることを良しとしなかったのだろう、と推測する。飲茶しやがって……と、夜空に彼女の笑顔が遺影のように浮かぶ。南の空に星が輝くとき僕らはキミを決して忘れはしない。そう心中で唱えて敬礼を『あ、あの~……、ボク、まだ生きてます~……』……しようとしたところで、なんか声が懐から響いた。

 懐に仕舞っていたスマホから聞こえた声の正体はギャスパーからであったが、画面に映る彼女は本物なのか?問うてみれば以前俺が教えた電霊化技術を参考に肉体を爆発四散させるギリギリのところでパソコンへと魂のみ逃げ込んだらしい。画面から話しかけてくる美少女なんて、それなんてアルターエゴ?画面をタッチすればぷにぷにと彼女は恥ずかしそうに擽ったそうにほっぺを動かす。なんてあざといタッチパネル機能……!業魔殿に行けば肉体を再構成することも出来るだろうけど、このままでもいい気がしてくる俺がいた。




十六巻購入特典はあざといギャスパーたんのはわわアプリ!(大嘘)


>闇ギャスパーの出番が完全消滅しました

>ヴァレリーの出番が危ぶまれています

>ラスボスが出たくねぇ、と嘆いています

>おーりは活動報告でアンケートを取りたそうにこちらを見ている・・・


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冥界合宿のヘルキャット
「い、いっせーさんなんておっきいひと、はいらないよぉ……」


新章突入ということで若干書き方を変えてみました
具体的にいうとイッセー視点を排除しました
緩やかに物語は進みます


 

 悪魔の駒も含めて爆散させてしまったのでもうこのままネットの世界に引きこもることになるのかなぁ、と期待半分で覚悟もしていたのだけれど、どうやらイッセーさんの伝手を辿ることで肉体を復活させてもらえることもできるらしいです。

 それは本来ならとてもありがたいことなのだろうけど、元々引きこもりでもあった僕のことであるし、正直要らない世話なんじゃないかな、とも思いかけてしまうけど……。

 ……うぅ、でも自分でもわかってはいるんです。いつまでも逃げているだけじゃ駄目だって。

 流され続けることに定評のある某凡庸機動兵器人形のパイロットの少年だって自分を奮い立たせていたのだし、僕だって男だし、いつかは自分の生まれ故郷であるルーマニアとかに戻って気にかけていた幼なじみの女の子のことも確認しなくてはいけないとも思っている。

 男だから女だから、っていう単純かもしれない理由だけど、それでも心残りでもあるのは間違いないのだし。その際にでも必要にはなってくるはずなので、肉体を得ておくことは断るつもりはありませんでした。

 

 ――こんな結末になるとは思いもしなかったですけど。

 

「………………ダンボール?」

 

 台車に載せてガラガラと運ばれた僕を見てでしょう、小猫ちゃんからの率直な意見が聞こえます。

 悪魔合体、とやらを行使したお爺さんの説明によるとこれは見栄えだけらしいので。ですが問題はそこではないのです。

 愛●みかん、とご丁寧にロゴまで入っているそれを見下ろしている気配が複数あるのは中からでもわかるので、出たくないのが正直な感想です。

 

「え、なんなのこれ? ギャスパーは文字通り箱入りに……?」

「一応合体は成功して、中に人型が出来ているって爺さんの話だけど。出てこようとしないんだよな、何故か」

「何か不都合でもあったのかしら?」

 

 リアス部長、イッセーさん、朱乃さんが順に声をかけてきます。

 このまま部室まで運んでもらえないかなー……、なーんて。

 

「分類は秘怪、秘文怪異とかいうのの略称だそうで、種族はミミック」

「吸血鬼成分は何処に行ったんだ」

「肉体と一緒に爆破されたんじゃね?」

「で、神器と悪魔の駒もだよね……。この先ギャスパー君の扱いってどうなるんだろうね……?」

 

 イッセーさんとゼノヴィアさんがからりとした会話を、それに続いて祐斗先輩の心配そうな声が。

 あ、あれ?そうなるとひょっとして僕って文字通りお払い箱に?

 た、確かに停止世界の邪眼は亡くなった気配がありますけど、それですぐさまお外に出そう、なんて考えてはいないですよね……?正直、まだ外の世界は怖いところがあったりしてー……。

 

「……懸念が無くなったなら出てこない理由はないですね」

 

 ひぃ!?小猫ちゃんの言葉と一緒にダンボールのふたを開ける気配が!?

 ま、まだ心の準備ができてないのにぃ!

 

「小猫ちゃん、無理やりはだめですよ?」

 

 めっ、というアーシア先輩の台詞で開けようとする気配が治まりましたぁ!

 ありがとうございますアーシア先輩!僕も今日から聖母教に入信します!

 ほっ、と胸をなでおろして、内側から抑えていた手をふたから離しました。

 

「――と見せかけてご開帳ーぅ!」

「ひきゃあああああああああああああ!?」

 

 ――その瞬間イッセー先輩の声と共に上から差し込む光がぁ!?

 目がぁ!目がぁあああ!?

 

「なんだ、どれだけ隠しているからどんな変貌かと思ったら、それほど大差ないじゃないか」

「あらそうね。格好もいつもの駒王の制服だし、姿かたちも生前のままね」

「部長、生前って言い方はどうかと……間違ってはないですけど」

「あらあらうふふ」

「てっきりどんな怪物が生まれたのかと焦ったが、これなら間違って討伐しなくて済みそうだな」

 

 確認されて口々にそう仰る先輩方ですけども、もうちょっと注目ー!?ほらほら!違うところがきっちりありますからね!?

 

「………………あれ、ギャスパーちゃん、なんか成長しました?」

「………………ささやかだけど、胸が……」

「え、マジ?」

 

「はいそうですよそこですよ!イッセーさんに聞きたいんですけども!?なんで僕女の子になっちゃってるんですかぁあああああ!?」

 

 若干嬉しそうな目で胸へと視線を移さないでくださいよ!あとなんかアーシア先輩と小猫ちゃんの目つきが怖いですぅ!?

 

「おお、ほんとだ。見たところ……C、か、D?」

「「なん……だと……?」」

 

 ひぃっ!?お二人の視線がさらに鋭くなった!?

 

「やったなギャスパー!ちっぱい四天王から脱却できたぞ!」

「嬉しくないですしそもそもそんなのに入っていた覚えも無いですよ!?いい笑顔でサムズアップする前に後ろのお二人のフォローからお願いしますぅ!!」

 

 あまりの怖さに再びダンボールの中に逃げ込んだ僕はきっと悪くないはずです!

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

「………………言われてみると確かにそうね。ごめんなさいギャスパー、気づかなかったわ」

「………………あら、本当に。ギャスパーくんにもきちんとブラのつけ方とか教えないといけないですわね」

「………………ああ、本当だ。ちなみに私はつけてないからな、聞かれても答えられん。すまん」

「………………お三方にはわからないんですよ、しっかり凝視しないとわからない大きさでも無いのに気付かなかったとか……。普段から乳袋をぶら下げている豊乳同盟のお三方には既に見慣れたものだったのでしょうね……」

「………………胸の大きさには貴賎の差が如実に顕れる……」

 

 意味合いの違う沈黙をそれぞれ抱えて、女性陣は口々に人の胸部を凝視して呟きます。あとゼノヴィアさんはちゃんと下着はつけましょうね?

 そしてそんな空気にはなじめないのは男子の性なのでしょうね。少し離れた場所から遠巻きに、裕斗先輩とイッセーさんはこちらを窺っていました。

 

「なんだろうねこのカオス」

「ああ、かける言葉が見つからないな」

 

 僕もそっちに匿ってください。一番怖いのが小猫ちゃんです。鷲摑みされているんです。もぎ取られそうです。復活できたばかりだというのに早くも命のピンチです。

 

「小猫、放してあげなさい」

「でも、でも、部長……!」

「あなたがそんな泣きそうな顔になるのは珍しくて貴重で重視してあげたいのだけども、それを放置する代償が部員の命というのはさすがに看過できないの。だから、ね?」

「でも……!」

 

 早く、ヘルプ。

 

「小猫ちゃん、大丈夫です。私はちゃんとわかってますから」

「……っ!お姉ちゃん……!」

 

 優しく抱きとめてあげるアーシア先輩。優しいなー。小猫ちゃんの暴走っぷりが目に入らないくらいだー。

 

「で、ギャスパーって女の子じゃなかったの?」

「男の子ですよ!?」

「ああ、男の娘か。見ただけじゃわからなかったわ」

「あれ、なんか今微妙な食い違いが……?」

 

 あとイッセーさんはおっぱいレーダーとか自称するくらいの凄い感覚器官を持っているはずなのに、なんでわからなかったのでしょうね?

 それはともかく、ひと段落して近寄ってきたイッセーさんに一言。

 

「とりあえず早めに元に戻してください」

「え?なんで?」

「なんで!?」

 

 いやむしろこっちがなんでと聞きたいですよ!?

 

「逆男の娘として生きていけばいいんじゃね?山田も最終的にはそうなったんだし」

「誰ですか山田って!?あと嫌ですよ!男に戻してください!」

 

 縋るような仕草で詰め寄れば、お、おう、と少し顔を赤くするイッセーさん。

 ……中身は男子ですよ!?

 

「いや、そう主張するのもわかるのだけどもな、前々から女子として見ていたから今更男子だといわれても判断できないというか、身体は正直というか……」

「前から気になってはいましたけどガチで女子としか見られていなかったとか……!」

 

 遣る瀬無い気持ちで胸がいっぱいです。

 いえ、そうとしか見えない格好をしていた僕にも責任はあるでしょうけども。けども!

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

「悪魔合体をお望みかね?」

「いや、男子に戻してほしいとかって言われたんだけどできる?」

 

 イッセーさんに連れられてさっきの部屋へと出戻りします。

 というかなんかダンボールから出られないのですけど。これって呪いなんじゃないんでしょうか。

 

「……?性別を変更する仕様など無かったはずだが」

「え。じゃあギャスパーやっぱり元から女子なんじゃね?」

「男子ですってば」

 

 何度言えば納得してくれるのか。

 

「ふぅむ。男性悪魔に成りたいと言うならば更に合体すれば出来る可能性もあるが……。その場合自我が融けて新たな身体に持っていかれる可能性もあるな……」

「ナニソレコワイ」

「じゃあやっぱりそのままでいようぜ。部の皆も受け入れ体勢だったんだし、平気じゃねえの?」

 

 いえ、約二名ちょっと怖かったんですけど。

 うう、でもこれから女子として生きていくのかぁ……。気が重い――

 

「ちなみに安易に合体すれば今の容姿は完全に消えてこういったものになるかも知れぬ」

「――このままでお願いします」

 

 ぱっ、と正面のモニターに映し出された筋骨隆々のマッチョとか上半身裸の頭部の捻じれたものとか高らかに哄笑している姿のパンクなイケメンとか。そんな色物に変えられるくらいならこのままがいい、と判断した僕でした。

 やっぱり可愛いのが一番だよね!可愛いは正義!これからは色んなコスプレを楽しめるかも!

 

「吹っ切れるの早すぎだろ」

「だってろくな姿が候補に無いですし!あと僕自分の容姿にもそこそこ愛着があるので!」

「まあ、いいけどさ……。あ、あとダンボから出られないらしいんだけど、これって仕様?」

「当然である。ミミックは箱の内部から出現して人を脅かすフォークロアであるからして」

 

 え、なにそれ聞いてない。

 

「あれ。それじゃあ僕やっぱり引きこもりのままになるんでしょうか」

「だなぁ、移動できないとなると……」

 

「誰が移動できないといったかね」

 

 イッセーさんと二人、若干落ち込んでいるとお爺さんが口を挟んできた。どうやらまだ説明があるみたいです。

 

「箱から箱へ、ミミックの中の人はそういう移動方法をとると聞く。箱限定の亜空間移動こそがミミックの本領である」

「中の人とか言うのはどうかと」

 

 でもそっか、そうやれば移動できるのか。

 

「よっし、じゃあ試しに俺の部屋にあるダンボールへ移動してみるか。念のため俺も」

「そうですね、やってみますか――イッセーさんも?」

 

 言うが早いかダンボールへと足を挿入れるイッセーさんの姿が!?

 いやいやいや無理無理!二人とか入れないですよ!?

 ちょ、ふぁ、キツイ……!ひぁああ!変なところ触っちゃらめぇえええ!?

 

 

 




集まった票を参考に書いてみたので載せてみたけど
なんだこれw


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「……私を、大人にしてください……(意味深)」

なんか期待されてるみたいだから急遽やってみた
内容は微妙ぉー・・・


 

 お爺さんが拍手を打って地面へと手を当てます。

 見た目もそうですけどこの人やっぱりホーエンハイムなのではないでしょうか。

 それはともかく赤い光が地面を、魔法陣の上を迸り、両側に配置されたそれぞれのカードを伝って中心の私へと光が注がれま、はぁん!……こそばゆいです。

 

「完成である」

「小猫、エロい」

 

「……一言余計です、イッセーさん」

 

 

   ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

 女体化すると同時に胸のサイズまで変化したギャーくんを見て、私に天啓が授かりました。悪魔合体をすれば私も巨乳に……!?と。

 あとついでに強くなりたい私が、姿が大きく変わらない程度の合体を望むのは自然の摂理でした。恥ずかしいので部長には内緒ですが。……初めから巨乳の人には、この気持ちはわからないのです。

 

「――で、これはなんでしょうか?」

「うさみみ、かなぁ。バニーガール?」

 

「太乙金仙・玉兎である。合体は成功であるな」

 

 種族をお爺さんに説明してもらえましたが、猫又の悪魔から兎へとなる日が来ようとは夢にも思ってませんでしたね。

 あとイッセーさんの連想はやっぱりえっちぃです。

 

「兎は確か年中発情期なんだよな」

「最悪ですか貴方は」

 

 何故そう余計なことばかりを。

 それはそうと胸のサイズはどうなっているのでしょうか?なんか変化がありませんが?

 

「悪魔合体は整体の場ではないのである」

 

 ちっ。使えないですね。

 

「小猫、舌打ちした……?」

 

 

   ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

 ナニアレどういうこと?

 業魔殿でまさかの白音の姿を見かけたから出てくるところを眺めていたら、男性と腕を組んで出てきた。

 ……え、そういうお相手が見つかったってこと……?

 

 港に停泊している業魔殿だけど、その容貌からは一般人の方々にはそういう宿泊施設だと思われている部分があるらしい。

 『そういうところ』から妹が出てくる姿を見るのははっきり言ってかなりショックなのだけど……。まさか白音が悪魔合体とかに興味を持つとは思えないしにゃー……。

 ……やっぱりそっちの合体ですかにゃ?

 

 うわー、なんか、すごい。すごいショックを受けてる自分がいるにゃー……。

 私のことは気にせずに白音には幸せになってもらえれば嬉しいけれども、さすがにそういう姿を惜しげもなく見せ付けられるとへこむんですけど……?

 しかもなにあの格好。白音ってばウサ耳プレイとかしてあげちゃうの?

 私の妹があんなに淫乱なはずがなーい……。

 

 って、なんか混乱してわけわかんなくなってきちゃったにゃ。

 

「ど、どうしよう……」

「とりあえず声をかけるのが第一では?」

「い、いやぁ、でも、その昔置き去りにしちゃった妹だよ?やむにやまれぬ事情があるとはいえ今更声をかけられるとは到底思えないにゃ……」

「まずは一歩を踏み出すことが大事です。その一歩目が何より最強の魔法だって、エターナルロリータも言ってます」

「……その言い方だとあんまりありがたみがない、にゃ………………?」

 

 あれ?私誰としゃべってるの?

 

 今気付いて、声のしていた後ろを向くと、

 

 ――白音がいた。

 

「はろー、お姉さま」

 

 ――っ!?

 

「逃がしません」

 

 ちょぅっ!? 尻尾! しっぽつかんじゃらめぇ!?

 思わず駆け出しかけたら咄嗟に尻尾を鷲掴みにされて逃走不可に!?

 白音ってばなんか急に強くなってないかにゃ!?

 

「悪魔合体の成果ですね。種族は変わりましたがお陰で気配察知が超向上しました。お姉さまの見ていた腕を組んでいた私は幻術です」

「まさかのイザナミ!?」

 

 やっべぇ! 下手すれば見た目が醜悪にもなるかもしれない悪魔合体を敢行していただと!? この娘は絶対やらないと思っていたのに何が白音を急き立てたというの!?

 そしてその強化率がなんかおかしいよ!? 普通の合体じゃ精々が4か5レベル上がる程度のはずなのに!? 私が感知しきれない気配隠匿とか術の隠蔽とかどんだけ強くなってんのさこの娘!

 

「今の私のレベルは72です」

「ありえないにゃぁっ!?」

 

 ウチの妹が魔王過ぎるぅ……。

 

 

   ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

 業魔殿の外に行っていた小猫が黒猫コスのお姉さまを引き連れて戻ってきた。うさぎさんにジョグレス進化した小猫を果たしてその名のままで呼んでいいのかはさておき、誰?と小首を傾げる。生き別れのお姉さんらしい。というか先日も覗いていましたよね、アーシアに抱きつく小猫にすげぇ視線向けていた人がいたのを俺はきっちり覚えている。『この泥棒猫……!』って感じで見ていた気がする。そう告げると胡乱な視線を小猫がお姉さんに向ける。心なしか猫耳がへにゃっていた。

 聞けば悪魔たちには追っかけられている指名手配らしきお姉さま。小猫としてもさすがに引き渡すつもりにはなれない程度の情があるらしく、なんと俺に飼え、と命令してくる。すげぇだろ?これでも後輩なんだぜ?お前のうちで面倒見ろよ、とアイアンクローでOHANASHIしているとお姉さんからとんでもねぇものを見るような視線を向けられた。さすがに妹に肉体言語は駄目ですか。

 小猫のうちではペット不可だとか。俺のうちも既にショゴスがいるのだが。しかも大型犬になって。女性として匿うとしてもお姉さんの胸部が問題である。由美子さんに見つかったら抉り取られてしまう。「帰ってきたらお前お仕置きな」やべぇ、聞こえてた。脳内に響いたえらく鮮明な声音にガクブルしつつ、結局黒猫として匿うこととなる。この歳になってベッドの下で生き物を飼うことになるとは思っても見なかった。昼間はダンボールを通じてギャスパーのところにでも送っておけばいいかなー。




~うさぎこねこ
 ぴょこんと跳ねたうさみみがきゅーと
 口は×印でむきゅーなのを妄想すれば尚好し
 可愛いよね。可愛いだろ!?

~強さは強者にしか察知できない
 二次元が三次元に干渉できないように云々
 藍染ぇ・・・
 黒歌のレベルは大体38


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「こ、こんなに熱いの初めて……!」

最近のラノベにこんなの見たわ


 

「お嬢様、何か言い遺すお言葉などはございますでしょうか?」

「えっ、どういうことなの?」

 

 我が家つきの列車の車掌にいきなり変なことを言われて戸惑ってしまう。

 なんなの?私死ぬの?というか車掌に止めを刺されるの?

 

「ご、ごめんなさい、何か気に障るようなことをしてしまったのかしら……?」

「え? ああ、いえいえ。そういうわけではございません。お嬢様にはいつもご贔屓にしてもらっておりますので不満などはございませんとも」

「だったらなんで今みたいな質問を……」

 

 夏休み、ということで我がオカルト研究部は旅行も兼ねて冥界へと向かっている。まあ行き先は私の実家なのだけれど、オカ研の大半は私の眷属なのだから連れてゆくことも吝かではない。それよりも重要なのはそれ以外である二人との仲をもう少し縮めたいという目的であったりするのだ。

 今回の小旅行に連れ出して個人的に心の距離を縮めたかったわけだが、あわよくばイッセーにも眷属になってもらいたいという下心がなかったりもするとは断言は出来ない。というかちょっと狙っている。

 そもそもが彼の正体が赤竜帝であったわけなのだから、というわけではない。彼のことは嫌いでは無いしライザーのことに関しては若干の恩もある。そして彼は自他共に認める女好きであるらしいのだから、肉体的には一番成熟している(というよりは抜きん出ている)私か朱乃あたりに好意を抱いていてもおかしくないはずなのだ。それならば、未だどこの所属にもなっていないのならば、一番近しいであろう私が彼を所有していたとしても問題は無いはずだ。そのはず、なのだ。

 

 ――なんであの子は私たちにアプローチを微塵も仕掛けないわけ!?

 

 女の子が好きだというのは間違っていないはず。小猫やアーシアにも相応に対応しているし、時にはエッチなネタも振っていたりする。そういうときは相手が嫌がらなければセクハラではないから、適度な対応のできる小猫に、時に困惑しつつも受け入れ態勢もあるけれど若干意味のわかっていない様子のアーシアとの仲は中々良好に見える。……実はギャスパーにもそういうことをしていて距離が近かったらしいというのも驚きだけど、まあそれは今はいい。そもそもそういう距離感を測り兼ねている所謂草食系男子とは違う、という部分はノーマル系むしろ男性的といえば男性的で女子に興味を持っているのならば問題はありません、って指南書にも載っていたし。

 だったら、一番興味を持つであろう女性の身体が、特に顕著である私や朱乃にそのスキンシップをしようとしないのはどういうわけなのか。ライザーみたいなどろどろのハーレムをぐいぐい作り出そうなんていう性格で無いことは好印象なのだけど、普通に眼中にありません、みたいに言われているみたいで正直不満が残るのよね。

 その原因を考えてみたのだけど、やはり距離感が遠いんじゃないかっていう結論に達したわ。

 そこで前々から企画していた実家への招待を兼ねての小旅行! いつもとは違う空気を味わせつつ開放的になった彼の積極性を私たちが受け入れることで心の距離だってぐーんと縮まる!

 なんて完璧な計画! さすがは恋の指南書! しっかりと読み解いた甲斐があったというものだわ!

 

 そうして冥界へと行ける列車でイッセーは珍しくテンションが上がっていたみたいだし(なんか列車での旅行ということでちょっと困惑していたみたいだけど、どうしてかしら?)、計画通りと心の中で呟きつつ普段は近寄らせてもらえないような彼の隣というレア席もゲットできたしもう万々歳!

 と、いうところで列車は急停止。

 慣性に投げ出された私が彼に覆いかぶさってしまうという、彼が言うようなラッキースケベ?とかいう展開になったときはドキドキしたけど、イッセーも気にしていなかったみたいだし気を取り直して。

 車掌を呼んで原因を問い詰めたところで返ってきたのが冒頭の返答だった。どういうことなのかしら……。

 

「まず、お嬢様はご存知かもしれませんがこの列車は冥界と地上との次元の狭間である空間を通過します。そこまではよろしいですか?」

「ええ。けど、それと今の台詞とどういう関係が……」

「次元の狭間は今現在原因不明の火災でとんでもないことになっておるのですよ」

「――どういうことなの」

 

 ほっほっほ、と自棄になったみたいに乾いた笑いを発しながら、彼はとんでもないことをのたまっていた。

 

「次元の狭間の、我々が関わらない深層みたいな部分があるのですがね、言うなれば人間が概念で語るような地獄みたいな部分が。八層くらいになっているとかわたくしめは漫画で読みました」

「そ、そう、なんだか物知りね」

「お褒めに預かり光栄にございます。で、その概念がおそらく次元の狭間にも適応するのではないかと当初は次元の狭間の開拓に勤しんでいたのですよ、我々悪魔も」

 

 正直初耳すぎるけれど、所詮私は地上に住まう身だし、話題を持ってこられなくても仕方ないのかもしれない。彼の言葉を止めることなく、無言で続きを促す。

 

「深層の部分に繋がったのでしょうなぁー……。以来時たまとんでもない影響が表層でしかない此処とか使い魔の森とかに出るわけです」

「それが、火災?」

「はい。まあ百聞は一見にしかず、ちょいとご覧ください」

 

 そうして締め切りの窓を開いて見て、

 

 ――絶句した。

 

 列車の周りをぐるりと、壁のように大きく空すら覆い兼ねない炎で囲まれていたのだ。

 列車とは距離はあるけれど、その炎の壁が徐々に近づいてきているし、遠いはずなのに余波で肌がちりちりと炙られているみたいな感覚に恐怖すら覚える。

 

炎炎炎炎炎炎炎炎

炎      炎

炎  列車  炎

炎      炎

炎炎炎炎炎炎炎炎

 

 ↑図にするとこんな感じで……。

 ……あれっ、もう詰んでない?これ?

 

「――とまあ、こんな状態が時たま」

「ちょ、なんでそんなに暢気にしてられるの!?」

 

 普通に逃げ場が無いってどういうこと!?

 

「大丈夫でございますよお嬢様」

「何処が……! って、ああ、助かるのね……。よかったわ……」

 

 そうね、考えてみれば彼はこういう事態に何度も遭遇しているっぽいし、きっと生き延びる方法が――、

 

「紙と墨と硯はサービスでご用意できますので」

「遺書ってこと!?」

 

 火に巻かれたら一緒に消し炭になるわよねそれ!?

 

「落ちついてリアス、こういうときこそ貴女の魔力の出番ではないかしら?」

「そ、そうね! だ、大丈夫よ、落ち着きなさいリアス=グレモリー、グレモリーはうろたえない! 今こそ滅びの魔力であの炎たちを逆に消し去って……!」

「いえお嬢様、調査の為にあの火災の原因を探りに行ったフェニックスの次男様が一歩足を踏み入れた瞬間に煤に変わってその場で復活するたびに煤になり続けていて助けだすことも出来ない状況になっているという噂もございます」

「不死鳥を殺す火ってどういうこと!?」

 

 もう駄目だわ……。

 さすがに誰もが己の死を自覚できたのだろう。祐斗は呆然と炎の壁を見詰めて乾いたような笑いを浮かべて、ギャスパーはダンボールの中に納まってがたがた震えている。朱乃は震えている小猫をあやすように抱きしめて……、こんなときにも発揮される母性というのはある意味凄いわね。

 

「……悪魔になっても火事は怖いのか?」

「悪魔だとしても死ぬときは死ぬのよ、覚えておきなさいゼノヴィア。……もう意味なんて無いかもしれないけど……」

「そうか。困ったな」

 

 マイペースね貴女は……!?

 

「ごめんなさい、私が貴方たちを旅行になんて連れ出さなければこんなことには……って、あら? イッセーとアーシアは?」

 

 気がつくと二人の姿が消えていた。

 ……そうね、こんなときだからこそ、二人っきりでいたいとか、そういう風に考えるのかもしれないわね。あーあ……、私も素敵な彼氏とか、ほしかったなぁ……。

 

「二人なら真っ先に外へと出て行ったが?」

「止めなさいよ!?」

 

 さすがに自殺は駄目でしょ!?

 

 

   ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

 出て行ったという場所を聞くと列車の屋根の上だと聞いた。

 続くはしごを登り、天板を開けると正面へと目を向ける二人の姿がそこにあった。

 

「ペルソナ! タカマチナノハ!」

 

 以前に見たとてつもない魔砲を放つ、サイドテールに白い何かの制服みたいなロングスカートを着たアーシアへと姿を変える。一緒にあらわれた機械的な杖を上へと向けると、

 

「受けてみて!デイバインバスターのバリエーション!」

 

 ゴッ! と周囲の炎が見る見るうちにアーシアの杖先へと集まってゆく。

 ――まさか、それを撃つつもり? でも――、

 

「――っ無理です!さすがに全部は収束し切れません!私の制御力じゃ打ち抜ける威力には全然足りてません!」

 

 そう。集められた炎は欠片程度しかない。

 炎の壁、いや炎の囲いの全体の1パーセント程度しか集まって無いのだ。

 

「いや、それでいいんだ。アーシア、それを俺に向けて撃て!」

 

 イッセーの言葉に驚き、剣を構えた彼の方を見、

 

「バスター!」

 

 ――って、一瞬の逡巡もなくぶっ放した!?

 

「紅蓮剣!」

 

 でもそれを切り裂いた!

 し、心臓に悪いわ……。

 というか、今のやり取りの意味は何? 炎を切り裂ける威力を出せる剣戟なのは凄いけれど、炎の量的にそれですらすずめの涙に思えてくるし……。

 

『――覚えた』

 

 不意に、剣がしゃべった。

 

「よし、なら問題ないな。いくぞ」

『ああ、任せろ相棒』

 

 何かを確認しあうイッセーと剣。その剣をイッセーは前へと構え、

 

『卍、解!!!』

 

 えぇ!? 此処であの鎧になる――って、違う?

 イッセーの姿は変わってない。変わったのは剣のほうだった。

 なんだか刀身が真っ赤に染まっていて、今までよりも凶悪な威圧感を醸し出している……。なんなの、あれは……? この私が、恐怖をあの剣自体に感じているというの……?

 

「紅蓮龍牙帝の剣」

 

 変化した、いいえ、生まれ直したその剣を、イッセーは高く振り上げて――、

 

「一刀一剛力――、108煩悩(ポンド)砲!」

 

 そう叫んで前へと、炎の壁へと向けて剣を振り下ろす。

 

 ――次の瞬間には炎の壁は消し払われて、冥界へと続く列車の線路が残るだけだった。

 

「――いや、今のどう見ても月牙天衝でしょ」

 

 遅れてやってきた祐人がそう呟いたけど、窮地を救ってくれた彼の後ろ姿に見惚れる私にとっては実にどうでもいいことでしかなかったという。

 

 

   ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 オカルト研究部の小旅行に誘われる俺とアーシア。正直嫌な予感がびんびんに感じたのだが。連れ出された先で乱●パーティとかいう可能性が無きにしも非ずでちょっとだけ引きかけたのが俺である。あとは見も知らぬ土地に連れ出されて……崖下へ突き落とされる?船越さんの出番だな!ちょっとしたミステリーツアーみたいな雰囲気に充てられたアーシアを見捨てることは出来ず、ブルーシートとヘッドライトとスコップとロープと軍手を誰も所持していないことを確認しつつ列車にて出発する俺たち。……行き先は冥界?つまりは地獄?生きたまま地獄へ連れ出されるとか番人であるはずの由美子さんはナニヲシテルンダ。というか列車で行ける地獄ってなんだ。地続きなの?どういうツッコミを入れるべきか迷ったが発車してしまった今となっては時既に時間切れ。開き直ってヒャッハーしてやるぜヒャッハー!

 ぽよんぽよんな爆乳を押し当てられるというラッキースケベに珍しくも遭遇してしまいどっきどきな俺を他所になんだか外が大変なことになっているらしい。火に囲まれた?ん?此処が次元の狭間?……思い当たる節が若干ある。あと小猫の弱点が火であるとかで普段以上にガクブルな彼女に申し訳が立たないので、俺が処理をするつもりで外へと出る。マハラギダインでも当てようか?………………。更に凶悪な威力となって襲い掛かる炎に頭を抱えて蹲る。手加減がいけなかったのか?でもあんまり強すぎると到着地点も消し炭となるしぃ……。そこにアーシアが登場。節制のペルソナで火を集められないかと問いかける。――。全部は無理みたいだ。――っティンときた!今こそ第一の卍解の出番!

 『説明しよう!紅蓮龍牙帝の剣とは!封印される()の赤竜帝・ドライグ=スカーレッドのドラゴンとしての性質そのものを凝縮した剣を生み出すイッセーの究極奥義である!その効果とは“倍”!しかも剣そのものの倍などではない!剣で切った相手の性質を覚え!その倍の硬度・強度・速さ・鋭さ・重量・膂力を剣に纏わせる!己の倍の剣で振るわれる威力に耐え切れるものなど存在しない!絶対無敵のまさに究極の剣なのであるっ!!!』説明乙。聞いてるの多分俺だけだけど。量で駄目なら質で勝負だ。そう意気込んで斬撃を飛ばすっ!必殺の一刀三刀流!!!必殺技は適当に叫んでみれば炎をなぎ払えた俺がいた。

 その後、車内に戻ってみたらやたらともじもじしているリアス先輩がなんだか可愛らしかったのが驚きであったりする。……今更さっきのエロハプニングを恥ずかしがってるのか?どうやら本気で男慣れしていない乙女らしかった。なんだか学園中に蔓延っている両刀使いの噂の出所が俺であるとは、今更言い出せなくて申し訳が立たなくなってきた……。やめて!そんなに恥ずかしそうな仕草を見せないで!何気に普通の乙女の反応に慣れていなかったらしい、こんな新たな自分なんて知りたくなかったYO!

 




予想外に長くなった
あれ?これ赤竜亭であってるよね・・・?


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「その可愛いお口を開いて、言って御覧なさい……?」

出来ちゃったの・・・
というわけで投稿

無意味に真面目くせェ・・・
おめぇーの意見とか必要ねえからぁ!


 

 冥界へと渡航して一週間ほどたった頃のある日、わたくしたちはパーティへと出席していました。

 新人悪魔、というよりはレーティングゲームに出場できる上流階級内での新人悪魔ですわね。それらの若手悪魔(ルーキー)のお披露目というかお目見えというか、まあそんな感じの会合です。

 なのですけど、正直リアスの下僕集めって難航してるのよね……。

 今年に入ってから下僕として転生させた悪魔といえばゼノヴィアぐらいなもので、ギャーくんもお外に出てこれるようにはなったものの悪魔の駒自体は彼(……彼女でしたわね……)の中には残ってないという診断結果が出てしまったわけですし。それでも出場を許されたのは魔王の妹だから、という理由でしょうね。リアスは気に食わなかったご様子でしたけれど。

 兵藤君を下僕に、とはもう考えて無いようですし……。というかあれは完全に恋する乙女状態でしたわ。爵位も持ってない無名の体外的には人間なのですけれど、魔王様とかと同レベルのトップ陣ぐらいには名を通達されている超VIPでもありますし、リアスの想いさえ通じれば実る恋かもしれませんわね。そう考えるとちょっとわくわくしてしまうのは仕方の無いことですわ。

 でもそういう相手だからこそ自分より下には絶対にできないから、やっぱりリアスの戦力(駒)は足りないまま……。将来的には面白そゲフンゲフン応援できるのですけれど、今日この日に限って言うとお披露目としては数合わせとしてしか見られないのが少々手痛いかしら。

 あ、ちなみにアーシアはレーティングゲームには参加不可だそうです。

 

「なんでなのでしょうか?」

「アーシア……、貴女、前回やったことを思い出しなさい……」

 

 疲れた顔でリアスは肩を落としました。

 維持していたシールドを崩壊させるほどの威力を醸し出した一撃を放出できる彼女は、“歩く決戦兵器”みたいな扱いを一部から受けているとかいう噂です。その証拠に、会場中からアーシアを見る目が、なんとなく恐ろしいモノを遠巻きにされているように見えるのですから。

 

「それはそうと、なんで俺までここにいるんでしょうか」

「ご、ごめんなさい。でも貴方は貴方で結構有名だから、つれてこないわけにはいかなかったのよ。対外的には人間のままなのだけれど……」

「ぅぐ、いや、まあ、わかりましたから、その上目遣いやめてください……」

 

 ついでにもじもじとした仕草も加わってますから今の朱乃的にはポイント高いですわね!

 兵藤君に対する積極性が乙女フィルターによって大幅削減されている現状が、彼にとっては一番効果的のようですわ。それをほぼ無意識で再現できるなんて……、リアス、恐ろしい娘……っ!

 

「あ、兵藤!」

 

「おお、匙くん。そういえば悪魔だっけ」

 

「えっ」

 

 ……まさか種族から覚えられて無いとは思っていなかったのか、匙君が兵藤君の台詞に硬直しました。

 彼って、何処か抜けているのですわよね……。

 

「リアス、先に来ていたのね。それと赤竜帝のキミも」

 

「あら、ソーナ」

「あ、どーも会長。こんちわ」

 

「はい、こんにちは。匙、きちんと挨拶したかしら?」

「……はっ、あ、ど、ども、グレモリー先輩。……それと兵藤も」

 

「おう」

「こんにちは。

 ――ソーナ?匙くんどうかしたのかしら?」

「気にしないで。ちょっと気が張っているだけだから」

 

「ま、まけねぇからな!」

「なにが」

 

 ……ひょっとしてライバル視でもしているのかしら……?

 でも兵藤君って今日の趣旨上紹介もできない完全なゲスト枠なのですけども……。

 

「あら?そうなると紹介すべきはゼノヴィアくらいですわね」

「ん?副部長、何の話だ?」

 

 わたくしの独り言に反応したのか、パーティの料理をお皿いっぱいに盛ってきたゼノヴィアが口に物を詰めたまま振り向きました。

 いいから貴女は食べてなさい。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

 アガレス、グラシャラボラス、バアル、とグレモリーにシトリー。一通り集まったところで色々一悶着あったわけですけれど、結果だけ言うならグラシャラボラス家は選出する若手を完全に間違えましたわね……。早々に兵藤君にちょっかいをかけるとか……。

  “王”であるリアスやソーナ様を初めとした若手陣の主張や目的を発表してもらうはずだったのに、それ以前に眷属揃って緊急搬送されるとか……。

 ま、まあ命があるだけモノダネですわよね。何でもアスタロト家は選出するはずだった若手が行方不明になっていて今回の会合に新たに代表を立てるのが間に合わなかったらしいですし、それに比べれば……。

 

 ですけれど、やはりソーナ様に対する風当たりは若干強かったですわね……。

 彼女の目標は『レーティングゲームの学校を作ること』。

 上流階級の嗜みでもあるこのゲームを悪魔社会全体に普及させようという思想は評価できるのかもしれませんけれども、魔王様に連なる上級悪魔の方々には好印象には繋がらなかったみたいですわね。笑われたことで匙君なんか食いかかっていきましたし……。

 ……そういえば、兵藤君は大人しかったですわね……?彼は何も思わなかったのかしら……?

 そんな疑問を浮かべていると、上級悪魔の方々のうちの一人がとんでもない地雷を踏み抜いてきました。

 

「さて、そういえば今日この場に相応しくないものたちが来ているようだが、キミたちも一応はこちらの事情に関わるものなのであろう? キミたちは誰なのか、まずは自己紹介でもしていただけないかな?」

 

 ちょっ。

 サーゼクス様!そのひととめて!?

 

「はぁ、どーも兵藤です」

「アルジェントです」

 

 当たり障りの無い気の無い返事を返す二人。

 当然ながら若干上の方の席から、見下したような目を向けている初老の上級悪魔。

 ……正直、今にも何か起こりそうで気が気ではありませんわ……。

 

「ふむ。二人とも人間か。グレモリー殿の、ご友人かなにかかな?」

 

 この人はリアスの結婚式に出席してないのかしら……?

 周囲の方も止めようとしないってことは、なんかもう見放されてるのかもしれませんわね……。

 

「部活仲間、みたいなものです……?」

 

「何故疑問系……。まあいい、学園関係者ならば、シトリー殿の意見にも対応できるのではないかな」

 

「どう対応しろと。んー、でも正直なところ若干反対かなぁ」

 

「ほぅ? 聞かせてもらってもかまわないかな?」

 

「夢は夢として語ってもいいんですけれどね、俺としては学校という形を作るのが少しいただけないかなって。そういう形で教育の場を用意すると、どうしたって個人間で軋轢生まれますし。だから個人的には私塾程度の規模で収めておいたほうがいいんじゃないかと」

「……兵藤君は私の夢には反対ですか……?」

 

 あれっ。なんだか変に真面目な話に?

 ソーナ様まで話に加わってきましたわ……。

 

「規模を縮小すべきかな、ってだけの超個人的な意見ですよ。ほら、学校ってどうしたってイジメとか生まれるものですからね」

「なるほど……。参考になりました、意外とモノを見てるんですね」

「あはは、まあそういう問題に関わっている身なので……」

 

 遠い目をして虚空を見つめる兵藤君の姿がそこにありました。

 ……いじめられている張本人とか、そういうオチですの?

 

「そういう話ではない!」

 

 空気扱いされていた初老の方が叫びました。

 正直このまま話を終えてしまいたかったのですけれど。

 

「人間、口を慎んだらどうだ? ここは上流悪魔の会合だぞ? シトリー殿のような意見など肯定されてはあってはならないのだからな」

 

「でもそれってそっちの都合じゃね?」

 

 今にも俯きかけたソーナ様が表情を変える前に兵藤君がツッコミを入れました。

 まさか食って掛かられるとは思ってもなかったのか、初老の方が顔を真っ赤にしています。それ以外の方は……、おそらくリアスの結婚式に参列したかグラシャラボラス家の顛末を知っている方々なのでしょうね。あーあ、って感じの表情を浮かべて養豚場から出荷される豚を見るような目で彼のことを見ていますわ……。

 

「意見を言えって言ったんだから言っただけなのに怒られるとかわけわかめ。激おこって感じー」

 

 日本語をしゃべりなさい、貴方も。

 挑発にしか聞こえなかったのでしょうね。初老の方が激昂して怒鳴り散らします。

 

「ええい! 人間風情が馬鹿にしおって! その場を動くなよ! 今から格の違いというものを思い知らせてや――!」

「――ふぅん」

 

 次の瞬間には、座っている彼のすぐ正面へと立っている兵藤君の姿が、遠目に確認できました。

 

「な――」

 

 そして、空いた椅子にはらりと落ちる一枚のカード。

 兵藤君が手をかざした瞬間の出来事で、彼は何かを言う暇すら与えられずに消えていました。

 

「で。何か?」

「「「「「「いいえ、なにも」」」」」」

「そですか」

 

 にっこり、と笑ってそばにいらっしゃる上級悪魔の方々に視線を向けましたけど、そのやり取りだけで事は終了しました。

 兵藤君は椅子に落ちている一枚のカードを拾い上げて、すぐにこちらへと戻ってきたのでした。

 ……正直、そのカードって反則ですわよね。

 

「でもこれってレベルに差が無いと効果は上手く発揮されないんすけど?」

「だから、貴方のレベルとやらに匹敵するのなんて魔王様くらいでしょう?」

 

 どちらにしろ対処できる悪魔なんてこの場にいません。

 

「はは、リアス、話に聞いてはいたが凄まじいな、キミの眷属は」

「……サイラオーグ、彼は私の眷属では無いわよ」

「しかしいずれそうなるのではないか? 俺は彼とも戦ってみたい」

「止めなさい。死ぬわよ」

「……確定事項なのか?」

 

 真顔で頷くリアスに、サイラオーグ=バアル様はゴクリ、と生唾を飲み込んだのでした。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

 新しい合体材料ゲトー。おっさんではあるけどそこそこレベルのありそうなレアモノを確保できて万々歳な俺である。一緒にいらっしゃった偉そうなお歴々の方々からは文句はなかったみたいなので後でバインダーに保存しておこう。ブック!とかいって簡単に出せれるようになりたいなー。

 若手悪魔同士の会合の後は眷属とかの下僕悪魔の紹介に移ったらしき方々を尻目に出された料理を貪る俺とゼノヴィアとアーシアそして小猫。俺とアーシアはともかく二人はそっちの話に混ざるべきじゃね?――。いや、いいよ、おなか減ってるんだね、うん……。若干の涙目で衝撃を受けたかのような表情の二人を見てしまうとナニモイエナイ。そういえばゼノヴィアは日頃食うものに困っているとか言ってたわ。やっぱりうちで保護してやるべきか……?でもアーシアとの仲が微妙にしか見えないんだよなー。

 若手陣で集まっているところへと引っ張り出(ドナドナ)されてゆくゼノヴィアを眺めつつ陣営を見やる。サイラオーグ=バアル、リアス先輩の従兄らしい。シーグヴァイラ=アガレス、風紀委員タイプってところか。支取会長とリアス先輩は知っているので割愛。以上である。サイラオーグさんを除けば見事に女子会にしかみえない。なんか絡んできたからへし折ったヤンキーがいれば違ったのだろうか。正直あーゆうやつが上流階級かと問われると悪魔も人と変わらねぇなとしか感想が沸かない。でも同レベルの立場の男子が自分しかいないというのにうろたえずに、どっしりと構えているサイラオーグさんマジイケメン。戦場で仁王立ちして『着いてこれるか?』とか問われれば正直惚れそうである。ポッ。

 サイラオーグさんのセナポはさておき、支取会長とリアス先輩が大体一週間後に対戦するらしい。しかしリアス先輩は手駒が足りないのではなかろうか。アーシアが手を貸すのも禁止されているし、どうしたものか。……俺?嫌だよ。せっかく友達になれそうな匙くんをボコるとかどういう鬼畜だよ。むしろ俺にそう誘いかける方が鬼畜だよ。でも手駒が足りないのはどうしようもない事実。どこからか調達できれば問題ないのだろうけど……。

 そんな会話をしているとゼノヴィアが思い出したかのように電話をかけていた。ケータイ、持ってたんだな……。ちなみに俺のケータイに彼女の番号は入ってない。というか正直二桁逝ってない。ぼ、ボッチじゃねーし!友達は選別しているだけだし!やめろその哀れみの目!?そんなやりとりを小猫としているとサラリーマンのお兄さんが現れた。「やあゼノヴィアちゃん!僕に何か御用かい!?」誰だおめぇ。

 お兄さんの名前は森沢さんというらしい。小猫とゼノヴィアの悪魔稼業のお得意さんだとか。どんな願い事も対価を支払いきれないとかっていう稀有な資質の持ち主で、正直偉く手に余っていたとかいう話だ。「そんな彼だけど、悪魔にしてあげれば大体の願いなら解決するんじゃないかと思ってね」「却下よ」「「何故!?」」驚愕の表情で台詞がはもるゼノヴィアと森沢さん。ですよねー、としか言いようがないわな。

 資質は最低で転生のために必要な駒は兵士が一つ、特別な武器を所持しているわけでもなければ特殊な能力で戦力として扱えるわけではない。そんな配下に加えても毒にも薬にもならない雑魚を悪魔として転生させることに、リアス先輩にははっきり言って得がないのである。そんな説明を先輩が滔々と優しく噛み砕いて説明したところ、理解力だけは上々な森沢さんはしょんぼりとしょげ返っていた。「役に立たない……転生させても意味が無い……」「すまない森沢さん……私の力が及ばなかったばかりに、また貴方の願いを叶えてあげられなかった……」「はは……、いいよ、ゼノヴィアちゃん……、僕には、ファンタジーの主人公になれるだけの資格がなかったってことさ……」そんなシリアス風味な会話を交わす二人。かける言葉も見つからず、すごすごと立ち去ってゆくその背中には哀愁漂う侘しさしか見出せない。惚れる要素なんて皆無であったとさ。「……それよりも、此処、冥界なのですけど……」どうやって此処まで来たのでしょうね。と姫島先輩が訝しげに呟いていたのが印象的であった。




~セナポ
 一番の使い手は赤い弓兵
 漢なら背中で語れ!そして魅せてみろ!

~イジメ問題
 イッセーの対人運は正直異常。原作を含めて
 良い友人に恵まれているように見えないのは、類は友を呼ぶということなのだろうか・・・


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「ふわぁ……!すっごく、大きいやぁ……!」

なんかすげぇ時間空いたけど更新するわ
出来はなんか微妙だけど
あと今のうちに謝っとく。土下座体勢は万全です


 

 僕の名前は森沢信一郎。これといって特長らしき特徴の無いサラリーマンである。

 先日いつもやる契約とは違った意図でお誘いを受けて、お得意さんの根城である魔界へと足を踏み入れた稀有な経験を持った青年である。と自負しても過言ではない。

 

 ………………嘘です。めっちゃ話盛りました。

 

 人付き合いに難を持っていて、人恋しさに悪魔の契約に手を出してしまった脆弱な人の子です。しかも願い事を叶えてもらうには必ずといって良いほど自らの命を差し出さなければ対価にならない、とかって自身の価値の低さに辟易としだした男です。あ、あと若干オタク趣味もあります。

 どうしたらいいのだろうね……?

 

 先日は帰宅早々に泣き寝入りしたわけだけど、このままでは僕の尊厳は最底辺のままだ。

 どーしたら強くなれるのかな……、と子供の頃の志向に嵌まりかけていたそのとき、玄関のドアを叩く音が聞こえたのでほぼ条件反射的に顔を出す。

 おや?確かキミはゼノヴィアちゃんや小猫ちゃんといっしょにいた男の子の……?

 

「いこうぜ!」

「いきなりどこへ!?」

 

 さわやかアルカイックスマイルの少年に連れ出される。二十七の夏であった。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

「ただいま戻りましたー」

 

 部長の自宅へと一週間ぶりの帰宅をしたわけだけど、返事が無い。まだ皆帰ってきてないのかなぁ。

 ソーナ会長とのレーティングゲームは一週間前に二週間後に行うと告げられた。つまりあと一週間修行のための猶予はあるのだけど、師匠の下で着実に実力をつけてゆく以上に、思うところがあったために師匠の修行を一週間で切り上げてもらったわけだ。

 それもこれも規格外の実力者を目前にしてしまっているせいなのだろう。

 師匠にイッセーくんのことを聞いてみたところ、「根本的に生物としてのぽてんしゃるが普通の悪魔を零五桁くらいは上回っているような印象を見せてくれますね。元は普通の人間だったという話でしょうが、的確に鍛えれば今以上の実力に成り得る“才能”を後天的に賦与されたと私は見ます。……そんな怪物を的確に鍛えられるとれーにんぐめにゅーとか私には思いつけませんが……」と説明してもらった。

 そこで僕が思いついたのは、彼に実戦の相手を取り次げないかという考えだ。今回のレーティングゲームではこちらのセコンドに入ってくれているというし、これくらいの注文を受けてくれるとは期待しているのだけど。

 そんなことを考えながら屋敷内を歩いていたところ、中庭にてオカ研の皆を発見した。

 

 ………………。

 絶賛修行中だった。

 

 サイドテールの髪形となったアルジェントさんを相手に、部長と朱乃さんとゼノヴィアの三人でほぼ互角に渡り合っている。

 一瞬文章がおかしいなと思ったけど、アルジェントさんの実力を考えれば何も可笑しなことはなかった。

 近くに控えていたメイドさんに聞くと、この一週間でようやくこのレベルに達したらしい。

 そして小猫ちゃんはギャスパーくんの修行をつけているらしい。

 改めて僕のやることも無いので、声をかけることもなくそっとその場から立ち去った。――ところで、

 

「ただいま戻りましたー」

 

 イッセーくんがひょっこりと玄関から現れた。どうやら彼も屋敷にいなかったらしい。

 

「イッセーくん、お帰り。どこに行ってたの?」

「おう、ちょっと人材発掘に元の世界へ。兵士二人程度なら目星がついたからさ」

 

 彼は彼でやることを考えてくれていたようである。

 

「木場は、確か剣の師匠に手ほどきを、とか言ってなかったか? もう修行は終わったのかよ?」

「そのことなんだけど……」

 

 僕らはあえて中庭の惨状には目を向けないようにしつつ、今後の修行について話し合った。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

「本とーーーーーーーーうに、いいのか?」

「改めて聞かないで、決心が鈍るから」

 

 頼み込んだところ、休み明けの学食を奢ることで話が付いた。

 自分でも思うけど安すぎやしないだろうか。

 

「じゃあ、木場の実戦経験を研ぎ澄ますためにそのいちー」

 

 僕は構えて、彼の攻撃に備える。

 僕が知る中で最強に位置に立っている彼の攻撃に慣れることで、それ以下でも対処できるような強さを身につけたい。そう思っての組み手の依頼だ。

 さあ、どうくる?

 

「俺もこのままだと戦闘向き、ってわけでもないんでな。ちょっと気合入れさせてもらうぜ? あれだ、レイフォンの剣の素振りみたいな」

 

 これまで耳にした中でこれ以上に驚異的な例えが果たしてあっただろうか。

 

「はぁああああああ……!」

 

 気合を、文字通りに溜めているような息遣い。

 これが冗談ですまないんだから、せめて生きる希望が折れませんように、と祈ってみる。神は死んだらしいので魔王様にでも。

 

「――ふぅん!」

 

 ボゴォン!と一瞬で肉体が三倍くらいに膨れ上がった!?

 

「ふぅ……、待たせたな……」

 

 声まで変わってる……!?

 っていうか誰!? 目の前で起こったことが信じられないんだけど!?

 

「え、ちょ、いっせーくん……だよね……? なに、なにをしたの……?」

「どうした木場、随分と小さくなったな」

「君が大きくなりすぎたんだよ……!?」

 

 いやいやいやいや、これはない。

 これは完全に別の世界線のイッセーくんだよ。この世界で再現しちゃ駄目だよ。他の作家さんに怒られちゃうよ。

 

「というかなにをやったの……?」

「よくぞ聞いてくれた。

 

 ――俺は強さを求めた。生まれなおした俺が手に入れたのは自身で抑えきれないほどの膨大な魔力、そして膂力。それらを制御しきるには第一に肉体を精神を強く保たねばならないと思ったからだ。

 魔法を覚え、自分の使える技を覚え、レベルの果てを目指すことを止めることなく、御魂合体を繰り返して強くなろうと躍起になった。

 ……違ったんだ。俺が本当に鍛えなくてはならなかったのは、俺自身の扱い方だ。

 膨大な魔力があっても使い道がなかった俺は、もっと器用になるために様々なことに手を出した。その一端はお前も知っているはずだ。電霊化、そして魔法陣の生成。だが、必要なのはそれ以上の制御力――。

 

 一時は神器を使うことも視野に入れた。

 二乗化の鎧に、相手の倍になれる剣。どちらも強力な卍解だ、得たことに不満は無いが、やはり俺の魔力はまだ騒いだんだよ――もったいない、ってな」

 

 ……彼の肉体を、炎のようなものが取り囲んでいるように見える。

 これは、闘気……?

 

「見えるか? これは炎そのものだ。

 俺はついにこの方法にたどり着いた……!

 最大攻撃力と最大破壊力を持つ魔法・マハラギダインを放つことなく圧縮!

 それを喰らうことにより、その魔法力全てを命を燃やす燃焼力へと変換!

 炎を食らった肉体は超活性によって一時的な爆発力により膨れ上がる!

 そう、これこそ俺自身が真に強くなれる第三の卍解!

 名づけて、『超新星・竜闘気』……!」

 

 前から言おうと思っていたけど、君のそれ絶対に卍解じゃない。

 

「いくぞ木場、生き延びて見せろ」

 

 気付いたときには目の前にイッセーくんの姿が立ちはだかって、コブシをゆっくりとこちらへと押し出してきていて……、

 

 あれ、これ、ちが、あれだよ、死ぬ前に見るっていう、走馬t――

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

「――はっ!?」

 

 死んだ。かと思ったけど、どうやら夢だったらしい。

 イッセーくんのコブシが腹へと突き刺さった瞬間、僕の全身が真っ赤に燃焼して爆発――。

 五体全てが粉々に粉砕される姿まで幻視した、やけにリアルで最悪な夢見だった。

 悪夢にしたってタチが悪すぎる――、

 

「起きたか。情け無いぞ、一回死んだ程度で気絶するなんて」

 

 ………………夢じゃなかったぁー……。

 

「……っていうか、僕確かに死んだよね……?」

「ああ、だから蘇生させた」

 

 無茶苦茶にもほどがあるんですが。

 

「大丈夫だ、俺のコブシは相手を爆発させてもすぐに元に戻せる。これで命を惜しまずに戦闘経験がたまるぞ?」

 

 それ何処の主人公級&ラスボス級スタンドの複合?

 

「っていうか見たことあるよその修行。あれだよね、ザラキさんと卯の花さんのやっていた臨死の斬り合い――」

「そーれすごいぱーんち」

「ちょっ最後まで言わせt」

 

 ボーン。僕は死………………ぬこともできなかった……。




~森沢さん強化計画
 そして放置。

~木場の師匠
 口調が変な気がするわ。沖田さんであってるんだっけ?

~まっするいっせー
 なんかごめんなさい!

~第三の卍解!
 名前だけ。木場が全てを代弁してくれました。
 黒龍波と爆肉鋼体を複合したような超進化。

~ザラキと卯の花(ry
 死ぬたびに蘇り斬り合うすげぇ剣戟。
 魔法全てを身のうちに取り込んだイッセーのコブシにはサマリカーム(完全蘇生呪文)とマイト(爆弾化呪文)が同時に含まれているので、殴った相手を爆発させて復活させるという“ダイヤモンドは砕けない”を全て表現したような効果を発揮させる。相手は死なないけど確実に心が折れる。トラウマは必至。


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「イッセーさん!レーティングゲームですよ!レーティングゲーム!」

参考としてアニメの画像をちょっと検索してみた
・・・アーシアってちっぱいじゃなかったんだ・・・


 

 そしてレーティングゲーム当日。私たちは改めておめかしして、観客席へと足を運びました。

 なんでも立食パーティみたいな仕様にしたらしく、食事しながら観戦できるVIPな扱いです。

 それはともかく、イッセーさんと二人っきりとか久しぶりでした。

 あれです、リアス部長のご実家では私はお三方の修行相手をしてましたし、意外と小猫ちゃんやギャスパーちゃんのほうがイッセーさんと一緒にいることのほうが多いんです。思わず朱乃さんやゼノヴィアさんにちょっと強めの魔砲をぶっぱしてしまうのも仕方ないですよね?いえ、ストレス発散とかそういうことではないですよ?ちょっとだけ手元が狂っただけなのです。大丈夫です、消し炭にしても基本的に非殺傷ですし、酷い怪我をしたときには私の神器で回復も出来ますし。初めて使ったときにはなんでか驚かれてましたけど。そういえば見せたことなかったでしたね。

 そもそもイッセーさんと二人っきりとか何を話していいのかわからなくなるときがあります。イッセーさんは未だに私のことを妹扱いですし、根本的に好きな人相手だとそれだけでどきどきするんですよね。修道女をしていたころには考えられない人生で、私いますっごい青春してるって感じです!追放の理由を作ってくれたDIOなんとかさんには感謝しても仕切れませんが、此処は元修道女らしく主に感謝の祈りを捧げます。あっ、亡くなってたんでした。ではとりあえず運命的な何かに。すていないと、でしたっけ?

 

 会場には色んな人(悪魔なのでしょうか?)がいらっしゃいました。

 何故かアザゼルさんまでいました。……あと天野さんも。

 

「よぉ赤竜帝、それと聖母さん。お前さんらはゲームには出ないのか?」

「どーもアザゼル=サン、俺は元々誰かの眷属ってわけじゃないですし」

「私は何故か出禁扱いでした」

「そうなのか……」

 

 本当に何故なのでしょうか?

 まあお陰でイッセーさんと離れる必要性が無いのでありがたいですけど。

 

「それはそうと赤竜帝、お前の仕出かしたヴァーリの回復だけどな、ようやく目処が立ったぜ」

「それ俺に言う必要あります?」

「言わせろよ。お前の所為でここんところ連日徹夜だったんだからな。回復できたからこうして俺も冥界へと足を運べたわけだし」

 

 ああ、それでなんか足取りがふらついているのですね。

 目の下には隈らしきものまでうっすらと見えます。……お休みになられた方がよろしいのでは……?

 

「まあ今日はこれから付き合っていく相手への顔出しだな。それと、今後ともというわけでお前らの町に駐在するのはそいつらだ。顔なじみのほうがわかりやすいだろうと思ってな」

「天野は知ってますけど……、そっちの人らって誰ですか?」

 

 天野さんと、少し暗い雰囲気のおじさんと、髪の長いお姉さんと、私と同じような金の髪色をした女の子でした。そういった人たちがアザゼルさんの後ろにいました。

 

「あんたがイッセーね……! この泥棒猫っ!」

「猫じゃないドラゴンだ。誰だてめぇ」

 

 女の子が何故かイッセーさんに凄い攻撃的です!

 小猫ちゃんみたいなろ、ろりっこ? なのですがあれは雰囲気が違います!『くーでれ』である小猫ちゃんとは違う『つんでれ』の香りがします!

 

「私はミッテルト! レイナーレさま一番の僕(しもべ)だ! レイナーレ様を返せー!」

「レイナーレって誰だっけ」

 

 誰でしたっけ?

 

「ちょ、忘れないでほしいんだけど。まあそれはともかく、ごめんねイッセーくん、この娘ってちょっと⑨な娘だから」

 

 さいきょーなんですか。わかりました。

 小首を傾げていると天野さんが女の子を押し留めてました。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

「よお!久しぶりじゃないか!」

「あっ、ロキさん! 久しぶりっす!」

 

 どちら様でしょうか……?

 天野さんたちと別れた後料理を手に取り談笑しているところへ、美人さんを引き連れたいけめんのお兄さんがイッセーさんに話しかけてきました。お知り合いですか?

 

「そちらの娘とは始めましてだな。俺の名はロキ、彼とは生まれ変わる前からの知り合いだよ」

「この人のおかげで業魔殿を利用することができたから、ある意味アーシアの恩人でもあるな」

 

 なんかさらりと衝撃の事実を聞いた気がします。

 あと周囲から「お前か」という声が聞こえました。

 

「今日はまたなんで?」

「ん? 聖書の陣営が他の神話体系にも目を向けるっていう話を聞いてな、とりあえず俺が代表として顔出しにきた。こっちのヴァルキリーはロスヴァイセという、といってもキミとは一応顔合わせは初では無いけど」

「そーでしたっけ?」

 

 言われてぺこりと頭を下げる美人さん。

 

「どうも、代表である彼のお目付け役としてきました」

「はあどーも。でもそういうのって普通主神とかが出張るものでは?」

「……此処だけの話、オーディン様はグングニルを奪われたことですっかり腑抜けてしまいまして、今では縁側で茶を飲むご隠居に成り果てています。(まあセクハラ爺だった以前よりはずっとましなので貴方には感謝もしているんですけど」

「はい?最後なんて?」

「いえ、何も」

 

 なんとなくロスヴァイセさんから苦労人のオーラを感じました。

 

 そして、レーティングゲームのスタートとなったのです。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

『くそっ! 何処にいるんだあいつら!』

 

 画面の中では匙さんが駆けずり回っておりました。

 ステージは百貨店。敵陣に真っ先に切り込んでいったソーナ会長陣営の何人かは、開始十分経った今でもリアス部長眷属の皆さんを一人も見つけられていません。

 それもそのはず。リアス部長ご一行はギャスパーちゃんの作ったダンボール空間の中に隠れていますから。リアルハイドアンドシークを再現できる性質の前では範囲を狭めた決闘場では不利になる一方ですよね。あとアザゼルさんが「えげつねぇな……」って呟いてました。

 そしてステージの百貨店内は人間界のそれを忠実に再現しているわけですから、再現された倉庫にはダンボールが山のようにありました。それを持ってきて全階層に配置しながらかく乱作戦を実行しているのが今の戦状です。

 指し詰めピラミッド内部の宝箱トラップと言ったところでしょうか。

 

「開けるとグレモリー陣営の悪魔が飛び出してくるか……。たまげたなぁ……」

「完全に『待ち』ですけど、戦略としては面白いですね」

 

 このお二人意外と仲がいいのでしょうか。

 ふむふむと頷きながら、画面に食い入るように観戦しているロキさんとロスヴァイセさんでした。

 そして画面の中では、匙さんが箱の一つに手をかけます。すると――、

 

『俺!参上!最初ッからクライマックスだぜぇえええ!』

『誰!?』

 

 あ、森沢さんが飛び出してきました。

 イッセーさんが一週間ばかり人間界へと戻っていた折、彼を集中強化する特訓を行っていたようです。

 私のようにペルソナを与えようかとも思っていたそうですが、悪魔に転生するとなるとペルソナは扱えなくなりますから、仕方なく神器のように悪魔の力を注入したそうです。

 結果、森沢さんは首のところに突起のようなものが生えた、全身を淡く発光する紋様で武装した『人修羅』となった。というのがイッセーさんのお話でした。ひとしゅらってなんですかね?

 

「成果と調整の為にトレーニングタワーの最上階に置いてきたのが功を奏したみたいだ。一週間で結構な力量になったようだし」

「せめてもうちょっとやさしく扱ってあげましょうよ」

「男ならある程度叩いても平気だって」

 

 イッセーさんの男女観は極端な気がします。今更ながら、ギャスパーちゃんが元男性だったって、気付かれなくって良かったのかもしれませんね。

 

『ひゃあ勝てねえ!撤退だぁ!』

『って戦わないのかよ!?あっ待て……って速っ!?』

 

 ある程度の打撃を加えて飛び跳ねて逃げ惑う森沢さん。

 戦闘能力よりは逃走能力に重点を置いて“強くなった”気がするのですが……?

 

「置いとく場所間違えたかな」

「最上階では転生したての人ではちょっときつすぎるんだと思いますよ?」

「そのトレーニングタワーとやら、ちょっと気になるな……」

 

 ロキさんが思案顔でそう呟いたとき、森沢さんが別のダンボールをひっくり返します。すると、

 

『GAAAAAAAAuuuuuuuuu!!!!』

『げぇ!?今度はなんだぁ!?』

 

 使い魔の森に解き放っていたはずのケルベロスちゃんが飛び出てきました。

 

「二人目の兵士ってあの子だったんですか」

「そう。一応悪魔じゃないと駄目かなーって思ったからさ、ミルたんはこっちの世界に引き込んじゃ駄目だろ?」

 

 イッセーさんにしては賢明な判断でした。

 

「………………おい、あれうちのフェンリルじゃ無いか? ここんところ姿見ないと思ったらなんでこんなところに……」

「えっ、いえケルベロスですよ?首きちんと三つあるじゃないですか」

「いや、あの二つの首完全に作り物だろ。しかもあの神食いの気配とか俺が間違えるはずが無い」

 

 ……はて?どーいうことなのでしょうか……?

 わけがわからない話にそろって首を捻る私とイッセーさん。

 そうこうしているうちにレーティングゲームは架橋です。どっちも頑張れー。




~すていないと
 アーシア、それ運命違いや

~ちっぱい要員追加
 レイヴェルちゃんだと思った?残念!ミッテルトちゃんでした!
 駆逐されたけど命まで奪う理由がなかった駄天使陣営は全員生存
 いつから全滅していたと錯覚していた・・・?

~ぐんぐにる
 槍は男性自身の象徴だとかって何処かで聞いた気がする
 特に悪魔の持つ三椏の槍は悪魔には三つの男性器が備わっているんだぜ?という意味合いを持っているとか・・・
 それを知った今、微妙に目にする子悪魔系女子のファッションに注視するのも重要かもしれない。ゴクリ・・・

~森沢さん
 悪魔合体亜種。種族・人修羅
 レベルは7、言うほど強くなったわけではないご様子。なのに最上階に放置とか鬼畜の極み
 鍛え上げられた特性はポケモン的な逃げ足。相手が強ければ強いほど逃走率がぐんっと跳ね上がるらしい

~ケルベロスたん
 真相は闇の中


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おい、タイトルロール何処行った

一日のうちに次話を更新するとは思ってもみなかったか?
畳み掛けるように書き上げた、ご主人様は思春期完結記念(大嘘)
続きが出ると信じながら似た構成を意識して書いてみましたw


 

≪レーティングゲーム前≫

 

「今回のゲームは百貨店がステージなのね……」

 

 今回の、といいつつもリアスが戦うゲームは実質二度目。それも今回は前回のような切り札的存在などはおらず、戦力としては若干の不安しかない。

 だが、それを補うだけの修行はつけてきたはずである。

 思い返すだけでも、サイドポニーにしたアーシアの『教導官』と名乗った実にいい笑顔が脳裏に浮かぶ。

 

『先ずは痛みを覚えようか。それから攻撃を避ける動き。大丈夫だよ、人間はそう簡単に壊れないから!』

 

 その言葉と共に何十という魔力スフィアが周囲に浮上して圧縮、一瞬のうちに消し炭にされた。

 それから後のことはよく覚えていないが、五体満足でゲームに臨めるのならば、きっと地力が備わるような特訓を得られたのだろうと思うことにしておく。

 

「……まさか私が戦慄するほどとは……、あれがアーシアちゃんの本領で無いことを祈るばかりですわね……」

「光が……彗星かな……いや、違うよな、星ならもっとバーって輝くもんな……」

 

 約二名ほど、壊れたままなのは見ないようにしておくとして。

 

「……それに、一応兵士二人を確保できたってイッセーも言っていたしね」

 

 その内訳は聞かされていないが、彼が推し進めるのならば問題ないのだろう。そう信じて、残りの不備なく戦えるメンバーに声をかけた。

 

「さぁ、始まるわよ!」

 

「………………」ブツブツ・・・ブツブツ・・・

「が、がんばります……!」

「おー」

 

 あ、これ駄目かもしれない。

 実質戦えるものが二人しかいない現状に、リアスの頑張る心はぽっきりと折れていた。

 

 

 

 

 

≪木場の場合≫

 

 始まる前はなんだか小声で呟いていた木場だったが、その内側はイメージが渦を巻いていた。

 それというのもイッセーに実戦形式で稽古を取ってもらったのが原因であった。

 

『聖魔剣!』

『脆い』

 

 一言で無敵の肉体にぽっきりと折られる、禁手に至った木場の渾身の切り札。

 悪魔であってもそれ以外であっても、二種混合の属性剣ならば普通は簡単に折れたりしないのだが、イッセーの場合は単純に生物としてのポテンシャルが桁違いであったのが重要であった。

 最初ゼノヴィアと戦ったときにも言われたが、一剣集中は彼本人の資質にはあって居なかった。それなのに神器はこういう手に進化するのだから、世の中こんなはずじゃなかったことばかりである。

 

『それなら、ドランゴンスレイヤーを作れば……っ!』

『属性だけで倒せると思うな!ポケモンをやってるんじゃないんだぞ!』

 

 造っては折られ創っては折られ、繰り返すうちに自分でも何を目指せばいいのかわからなくなった。

 実際ドラゴンスレイヤーってどういう剣だよ、と悩みながら創造した時点ではまた別種の亜種とも言うべき地点に至っていた木場なのだが、剣の種類を増やすだけでは届かないのも事実。

 ついでに言うなら師匠である沖田の剣は元来人の剣術である。規格外すぎる怪物相手では、構えて切る、という悪魔のポテンシャルに至っていながらの剣戟も功を奏せず、抜刀術にも手を出してみようとしたがそもそも自身の剣自体が西洋剣だったことに思い至ってそこで初めて相性の悪さを思い知っていた。

 

「木場先輩、きます」

「……わかったよ」

 

 ならば、戦いやすい戦い方を選べばよい。

 小猫の言葉に備えていたイメージの全てを解放しつつ、木場はダンボールから飛び出て急襲を仕掛けた。

 

「万剣招来! 刀剣郷(とうけんきょう)!」

 

 全てのイメージの解放は、地面から剣を生やすことに繋がった。

 さながら地獄の針山の如く。刀山剣樹がダンボールの正面に立っていた数人の生徒会役員を串刺しにする。彼女らは皆血花を咲かせてリタイアと相成った。

 

「……それがイッセーさんとの特訓の成果ですか?」

「……駄目だ! これだけじゃイッセーくんには到底勝てないよ! こんな針みたいな剣の群れだけじゃ全部踏みつけられてへし折られるのがオチだ!」

「貴方何と戦ってるんですか」

 

 当然仮想敵はイッセーなのだが、強大すぎて『今の』相手がほぼ見えていない。

 台詞も無しに退場した哀れな生徒会の女子らに、小猫は静かに黙祷を捧げた。

 

 

 

 

 

≪小猫の場合≫

 

「全ての箱は僕のモノォ! 地上全てのダンボールに恐怖すればいいんだぁ!」

 

 それにしてもこのギャスパーノリノリである。

 百貨店中にダンボールを鏤めて何処から出てくるかわからない奇襲を仕掛けたリアス陣営。そして箱の亜空間内部で邂逅した二人の兵士。一方の使用駒が一つであるというのは納得したが、もう一方は単純につれてきただけらしかった。イッセーの言うことは聞いているので、こちらを襲ったりはしないと思うが。

 そしてその一方である森沢さんに囮になってもらい、その隙に小猫がダンボールを数多く設置してゆく。ダンボールで侵食されてゆく戦場に、今頃生き残った生徒会役員は恐怖を覚えているはずであろう。

 その間にもう一方の戦力が“外”へ出て、おもちゃで遊んでいるらしかった。おもちゃの名は匙というらしいが。

 

「配置終わり。いつでもいけます」

「よし、ギャスパー!ケルベロスちゃんを連れ戻せる?」

「はい!すぐに……あ」

 

「げふぅっ!?」

 

 戦場で逃げ惑っていた森沢さんと匙、そしてケルベロスも一緒にダンボールへと落ちてきた。

 押しつぶされて意識が朦朧としているらしき匙に止めを刺すべく、小猫が密かににじり寄る。

 

「うう、こ、ここ何処だ?」

「ようこそ、地獄へ」

「――へっ?」

 

「以心伝心・請仍棒」

 

 杵の形をした武器が小猫から振るわれる。

 その有無を言わさぬ攻撃にも驚いたが、何より匙の目を引いたのは潰される瞬間に目撃した小猫の姿であっただろう。

 

「――な、なんで、バニーさん……?」

 

 ぷぎゅぅ、と轢き潰される断末魔は、小猫の格好を端的にしかし的確に表した言葉であった。

 

「――仕様です」

 

 少し恥ずかしげに、ほほを染めながらも小猫は応えた。えっちいのは禁止です、と。

 ちなみに使ったこの武器、小猫の合体の際に抜け出た不純物とか言うものを業魔殿で形成しなおしてもらった代物である。合体と合わせて代金は¥2万5000.イッセーの財布にクリティカルであったのは言うまでも無い。

 

 

 

 

 

≪やめて!ソーナの出番はもうゼロよ!≫

 

「至上類を見ないほどの酷い試合だったな、というかフェンリルを用意した時点で勝てるものがどっちになるかは一目瞭然だったか」

 

「一緒に巻き込まれていた森沢さんという青年は無事なのでしょうか?」

「まさか最終的に王一人を取り囲んでフルボッコとなるとは思いもしませんでしたねー」

 

「……さすがにこの試合でシトリーのお嬢さんに評価をつけるのは酷な気がしてきたよ」

「……そー言ってくれると嬉しいかなー、なーんて……」

「というか、レーティングゲームのルール自体をしっかりと教えなおす必要性が浮上してきて無いかね?」

 

「……兵藤もいないのになんであんな結果になったのだろうな」

「兵藤って赤竜帝だっけ? あーゆう連中以上ってことか。俺っちもちょいと興味わいてきたぜぃ」

「止めとけ、死ぬぞ」

「マジで……?」

 

「はー、悪魔の世界も中々大変なのですねー」

「呑気だな妹。で、お前はどっちにつく?」

「そりゃあ私も魔女っ娘のはしくれですから、やっぱり悪魔さんですよ!」

「そうか、やはり俺は英雄の末裔だからな、天使側につくと思う。戦争にはならないという話だが、敵対したときには容赦できんかもしれんな。――この筋肉は手加減を知らない」

「――それ、格好つけられてませんから」

 

「いっやー笑った笑った、あれは無理だ、特にあのバニー! あれ神器使ってないよな!」

「……で、したね」

「こりゃあカテレアが負けるのも道理だ。くくく、奴は真魔王派の中でも一番の小物、とかやってる場合じゃねえよあいつらも」

「何処の四天王ごっこですか。そんなことはさすがにやってないと思いますけど」

「じゃあなんで一緒に動かないのかね?手分けした時点で詰んでるとか思い至らないんだろうかにゃー」

「それでは我々も手を拱いている暇も無いのでは――、あっ? 何処に行くんですか? ねぇちょっと!?」

「ははは、こんな魔界にいられるか!俺は逃げる!」

「ええええっ!? あっ、本当に逃げた!? 貴方が今いなくなったらどれもこれも計画が空中分解してしまうのですけどーーーっ!?」

 

 

 

「――はっ!」

「どうしましたかイッセーさん?」

「どでかいフラグがたった今消し飛んだ気がする……!」

「――はい?」

 

 片方はルール違反でもう片方は全滅という結果に、無効試合となったレーティングゲームを見ながら、イッセーは謎の予感に苛まれていたという。




誰が誰かは各自察してw
二人づつで分けたから(一部除く)
文章に違和感あったら遠慮なく言ってくれ
これも二時間弱でやったからさー

とりあえずこれで五巻目?終了!
ついでにこのシリーズも終わっていい気がしてきた!
禍の団構成されて無いから原作准えねえんだよ!


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以下略ッ!!
赤竜亭よ、永遠に


色んな二次作家さんがハイスクールD×Dの原作とのリンクをやっているので便乗してみた
忙しい人のための赤竜亭、最終回


 意識を高めて、呼吸を整え、身の内にいる相棒と力をあわせる。祈り、輝き、詠唱――!「『卍・解!!』」装纏衣・赤竜王、此処に推参。えっ?名称違う?気のせい気のせい。

 夏休みも終わる頃、庭先で卍解を発揮する俺とドライグ。それというのもつい先ほどアラスカから届いた手紙が発端であった。『拝啓、残暑がまだ厳しいと思われますそちらの塩梅は如何なものでしょうか? こちらは適度に涼しく、妹と二人のんびりとした毎日を過ごしています。先日は亜熱帯の地域に滞在していたのですが、そちらにいると故郷のことを思い出し少々ノスタルジックな空気に陥ってしまったのが困りものです。妹もいい加減に帰りたいなどと駄々を捏ねるものですから、つい口喧しく叱ってしまうもこの遣り取りがまるで本当の家族のようで、と益体も無いことを思ってしまうものです。そちらの夏はまだ暑いでしょうが、どうぞ体調にお気をつけてお過ごし戴けますように配慮いたしております。追伸、そろそろ帰りたくなってきたのは私も同じ想いです』風情と育ちの良さを匂わせる気持ちのいい手紙であった。誰からだろうと裏を見てみれば、流氷を背景にピースを決めたオーフィスとグレッドさんの姿が。お前らかよ。というか改めて文面を読むと次元の狭間に早く帰らせろ、とせっつかれている様にしか聞こえない罠。まあ俺としてもどうにかしないといけないなとは思ってはいた。冥界から帰るとき同じように炎に囲まれて切り裂いたのもいい思い出。

 『Extraboostッ!Extraboostッ!Extraboostッ!Extraboostッ!Extraboostォォォォッ!』二乗化を五回繰り返せばいい具合に次元の壁くらい乗り越えられる強さを得られるはず。破ァッ!と中空に向けてコブシを突き出せば何処かで見たような地獄の劫火がよんどころの無い勢いで燃え盛っているのが見えた。もう此処焦熱地獄とかに名称改名しようぜ。それはともかく穴が塞がらないうちに突っ込んで内側から穴を無理矢理塞ぐ。気分はフュージョンしたスーパーゴテンクス。

 

 さて、炎を鎮めるにはどうすればいいのか。燃えるものが無いのに未だに燃え続けているお盛んな劫火に億劫な気分になりつつも、自分の使える手札を思い浮かべる。……ここで炎をさらにやっても二度手間だろうなぁ……。そうなると使える手札は限られる。食らえ、今まで使う機会のなかった必殺技!ドラゴンブレスを両手を構えて吹き出した。属性は万能物理、攻撃的には多分“りゅうのいぶき”なんだろう。そう思ってやってみたらビッグバンアタックだったでござる。炎は消えたが一緒になんかやべえものまで消し飛ばしたようないけない気分になる。次元の底のほうで燃えていたなんかでっかい生き物っぽいのってなんだったんだろう……?

 とりあえず火は消えたのだから問題は解決した。そう思って元の世界に戻ろうとしたとき、知った気配を感じてそちらへ目を向ける。……何故かアーシアが気を失った状態で次元の穴を破って落ちてきた。なんで?

 

 とりあえず拾い上げて連れ帰ることにしたけど、アーシア、お前そんな簡単に気絶するようなか弱い子じゃなかっただろ。いやウチでのレベル的にはそれも致し方ない程度だっただろうけど、精神的には結構修羅場を潜って来た彼女にしては現状が無防備すぎる。まるでヒロインのように降ってきたアーシアに「親方ー空から女の子がー」と叫びつつ始めはどっきりかと思ってカメラを探したのは仕方ない。無かったけど。彼女の現状を疑問に思いながらも次元の狭間を抜け出、元居た庭先へ。ブーストを解除し卍解も解除したときにようやく目を覚ます我が家のお姫様。そして泣きながら俺に抱きつく我が家のお姫様。ええっ!?アーシアがあざとくないだとっ!?普通に可愛いと思って抱きしめ返したのは仕方ない。そしてその姿を家の中からひょっこり出てきたアーシアに目撃されたのも仕方な……い……? どういう、ことだってばよ……?

 二人いるアーシアズに内心一番狼狽えているのは間違いなく俺である。お前らいつのまに細胞分裂まで身に着けたんだよ。「そこはせめて双子とかそういう可愛い表現をつかってくれませんか?」ごめんなさい。家の中から出てきたほうが我が家のお姫様のようである。一人あわあわしている連れ帰った方のアーシアの方が正直あざとくなくて可愛いし。そんなことを思って見ていたら何かに気付いたのか、我が家の姫がもう一人へと近寄って、むんず、ともう一人の自分のおっぱいを鷲掴みにしていた。「イッセーさん!この子私よりおっぱいあります!」「なん、だと……っ!?」アーシア(ちっぱいじゃない)との見分けのつけ方が確定した瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪数ヵ月後≫

 

 イッセーは死んだ。

 サマエル、というドラゴン殺しの毒にその身を蝕まれて、次元の狭間にて息絶えた。

 それを看取るのは彼と共に生きた仲間たちではない。

 力無き無限の竜神と、彼の相棒としてずっと片腕に宿ってきていた赤龍帝のみである。

 そのイッセーの死はどうしようもなく無情だが、彼はようやく満たされた気分を味わえていた。

 

「(アーシア……、これでようやく、俺も、そっちへ、逝ける、よ……)」

 

 数ヶ月前、彼は仲間の一人にして救いたかった少女を見失った。

 唐突に出現した敵の攻撃を感知することも出来ずに、光の中へとむざむざと失ってしまった。

 悪魔にとって光は絶対的な凶器。

 それは元が聖母と呼ばれた彼女であっても同じこと。

 その祈りを大天使に緩和されていたとしても同じこと。

 

 そんな彼女を失った哀しみで、一時は我を忘れて暴れ回った。

 それを救ってくれたのは彼を愛した赤い髪の少女。

 彼を受け入れてくれたのも赤い髪の処女(乙女)。

 ――それを受け入れられなかったのは、他でもない自分自身だった。

 

 もっと彼女と楽しい思い出を作りたかった。

 もっと彼女に色んなものを見せてあげたかった。

 もっと彼女を、愛していると、伝えたかった。

 

 それをできなかった自分を許せずに、彼はがむしゃらに、受け入れてくれた主のために強くなろうとした。

 救えなかった命を取り戻したかったのだろう、救いたい者たちへと積極的に手を伸ばした。

 その果てに、こうなった。

 

「(ああ、もう……)」

 

 もう、終わる。

 自分の意識が消えかけているのを実感して、兵藤一誠の人生に、ついに暗幕が下りた。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

「へいらっしゃい!」

 

「――は?」

 

 え。此処何処だ?

 妙に騒がしくなったと思ったらたくさんの人たちが飲み食いしている空間へといた。な、何が起こったのか俺でもわからねぇ。死後の世界がこんなんでいいのか?

 

「ご注文はなんにします?」

「いやいやいや、その前に俺金持ってませんし、つーか此処ってどこな――」

 

 思わずきょろきょろと辺りを見回して、――気づく。

 周囲の人間の顔に、どれもこれも見覚えがあるんだけど!?

 

「あ、あんたら歴代の!?」

 

 赤龍帝の篭手≪ブーステッドギア≫の持ち主であった先輩方の残留思念だと!?

 皆さんなにしてんのさこんなところで!

 あれか! 俺が死んだから一緒に死後の世界にやってきたってそういうオチっすか!?

 

「ご注文はなんにします?」

「なにもねえよ!? っつうか店員さんさっきから俺の話聞いてなくねっ!?」

 

 ちょっとしつこいよこの店員さん!

 そんな意味も込めて振り返れば――、絶句した。

 

「まあまあ、腹が減っては戦もできぬって言うじゃないか。ご注文は?」

「――お、お任せで……」

 

 ――その店員は、俺自身だったのだから。

 

「ま、騒がしいのも事実だし」

 

 その居酒屋の店員の格好をした“俺”は、伝票を放って手のひらをパン、と一回叩く。

 次の瞬間には先輩方は消えて、俺と“俺”だけが屋台を挟んで座っていた。

 

「赤竜亭へ、ようこそ」

 

 どうやら、それがこの『店』の名前らしかった。

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

「はあ? 毒にやられた? 弱くね?」

「うるせー、ドラゴン殺しなんて持ってこられたら普通死ぬっつうの」

 

 突き出されたちくわぶとかはんぺんとかをいただきつつ、この店についての話と、俺自身の話を突き合わせる。

 此処はどうやら並行世界の俺が作り出した内側の仮想空間であるらしく、俺自身が死んだことによって変なリンクが繋がったらしい。次元の狭間で死んだことが関係してるんじゃね?というのがもう一人の“俺”の見解であった。

 そして自分の死因を語ったところ、盛大に馬鹿にされる。そんなん言うならお前も食らってみろよ!

 

「んー、まあこのまま死なせるのも寝覚めが悪い。手を貸してやるよ」

 

 心で繋がっていても俺自身死んでるんですけど。

 そう思いつつも、握手のように差し出された手を渋々握る。次の瞬間――、

 

 

     ☆   ★   ☆   ★   ☆

 

 

「ドライグ、泣いてる……?」

『相棒……、オーフィス、相棒を、なんとか復活させることは出来ないか? このまま死なせるには、あまりにも相棒が浮かばれない……!』

 

 そう、二人(?)が会話しているそのとき、イッセーの身体に魔法陣が出現した。

 

『――ん?』

 

 胸の部分にウヴォッと出現した小さな魔法陣、それは見たことも無い紋様の召喚陣で、とても小さかった。

 とても小さかった“それ”から、手が生えた。

 

『は?』

 

 手から腕が続き、肩まで出たところでもう一方の手が続く。

 テレビの画面から這い出る貞子のように、腕が陣のふちを掴んでよっこいしょういち、と掛け声と共に少年の身体が抜き出てきた。

 

「――な、」

 

 普段驚く、という感情表現すらしないオーフィスですら目を丸くした。

 抜き出てきた少年は、その陣の真下で死んでいる、兵藤一誠自身であったのだから。

 出現した“イッセー”は立ち上がって、こきこきと身体をほぐす仕草を見せた。

 

「――ふぅ、逆召喚成功っと。さぁて、俺の死体は何処にある……、あ、下か」

 

 踏んでいるそれに目を向けて、手をかざす。

 

「サマリカーム」

 

 ぱぁっ、と光が倒れている“イッセー”を包み、次の瞬間には彼の鼓動がドライグにも聞こえてきた。

 

『なっ!? 馬鹿な! こんな簡単に!? 相棒、いや、お前は一体……!?』

「そんなことより早くそいつ起こしてもらえないか? ちょっと話しておきたいことがあって」

 

 さすがに自分の相棒ではないと理解できたドライグであったが、急かされて何も言えなくなる。

 何より実力差をすぐに理解できたからだ。目の前の“兵藤一誠”は全盛期の頃の自分と同等、いやそれ以上かもしれない、と。

 そしてそんな相手に下手な質問をぶつけても無意味であるとも理解できた。

 だから、彼にできることは自分の相棒を起こす努力をすることしかない。

 

『――おい、相棒。生きてるだろ、生きてるならとっとと起きろ』

「う、ぐ……、ど、ドライグ……? あれ? 俺、生きてる……?」

 

 意外にも早くに目を覚ましたイッセーに内心胸を撫で下ろすドライグ。

 そしてそんな二人に、“兵藤一誠”は言葉を放った。

 

「生存したところでちょっと重大発表があるのだけど」

「え……は? あ、あれ!? お前ひょっとして並行世界の俺!? なんで此処にいるの!?」

「いや、そっちの世界のアーシアをこっちで預かってるんだけどね」

「――はぁっ!?」

「あの子ウチの世界で超癒しだから返したくない。もらってもいい?」

「▲☆◆○■△●▽っ!?!?!?!?」

 

 なんかもう衝撃発表過ぎて、イッセーには言葉にすることも出来なかった。




・シリアスとかいらないって言っただろうがダラズ
・此処に来てタイトルロールを回収
・原作アーシアは天使、はっきりわかんだね

つうわけで最終回でした
フリじゃないからな。此処のスレッドは完結したんだからな。期待されても続きは書かないんだからねっ!
というか当初は隙間なく埋めてゆく書き方を貫き通すつもりだったのだけど、それだけだとさすがにきつくなったのは俺の力不足。イッセー視点だけじゃ書ききれないことってたくさんあるよね。原作でも木場サイドとか普通にやってたし
ぶっちゃけ、ラノベだとしてもあーいう書き方ってどうなのよ?って思う。二次創作じゃねえんだからさぁ

あと今回アーシアを入れ替えるネタを考えていたのだけど、そうなると赤竜亭のログ回収が出来ないから仕方無しにこうなった。入れ替わるとDIOなんとかさんを聖母とペルソナで全力で弄るアーシアさんが見れたりしたのだろうけど、誰かやってくれてもいいのよ?
つうかうちの子を誰か使ってあげてください。無敵進化しすぎたイッセーとか、イッセーとか、森沢さんとか
魔法少女りりかるアーシアを誰か始めてくれると期待しつつ、またどこかでお会いしましょう
さよならさよならさよなら





・・・たまにはギャグの無い話を書いてみたいとも思ってるんです。本当ですよ?


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