艦魂 (mangan)
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第一話『天パが鎮守府に着任しました』

前書き

 前作を書いた時にやりたいなーなどとほざいてから結構経ちましたが、ようやくお見せできます。

Q.艦これと銀魂のクロスオーバーなんて需要あるの?
A.知らね。

Q.このサイト内に元ネタ丸かぶりしてるのあるけどいいの?
A.知らね。

Q.完結できんの?
A.知らね。けど、頑張る。


「え? え? ちょっと待って。つまり、俺とお前の2人っきりでここで仕事しろってこと?」

「は、はい。万事屋の坂田銀時さんですよね? 秘書艦の電なのです。よろしく……お願い致します」

 

 照明もなく薄暗い部屋の中で、男と少女が向かい合っている。電と名乗る少女がおどおどした様子で自己紹介すると、対する男、坂田銀時は自身のおかれた状況に顔を引き攣らせていた。

 が、やがてフッと笑い大きく息を吸い込むと

 

「あのクソ提督ううううううう!!!」

「はわわわわっ?」

 

 突然の大絶叫に目の前の電はびっくりするが、銀時はお構いなしに喚き散らす。

 

「なぁぁぁにがおニューの司令部だ!? ただのボロボロの廃墟じゃねぇか!」

 

 銀時が部屋を振り返ると堆積した埃、至る所に散らかるゴミが、この建物が廃墟であるということをありありと表していた。

 そのままの勢いで銀時は窓にツカツカと近寄り勢いよく開け放つ。

 

「なぁぁぁにが南国リゾート気分だ!!? ただの『ことうぐらし!』じゃねぇか!」

 

 銀時の目の前には茫漠たる海が広がっていた。さらに言えば銀時が居る建物周辺には鬱蒼と茂る森しかなく、人の生活や文明の類など微塵もない。

 

「おまけに!」

「はわ!?」

 

 銀時は振り返りざまに電に指を突き付けると

 

「あの鉄仮面みてェなボインの秘書が就くとか言っといて、居るのはツルペタのガキ1人だけじゃねェかあああああ!!」

「はわわわわわわ!?」

 

 銀時はひとしきり叫ぶと、大きくため息をつき項垂れた。

 

「こんなのに手ェ出した瞬間、ジャンプ、いや集英社ごと俺の存在が消されかねねェよ。どうすんだよこれ……」

「あ、あの……」

「あん?」

 

 ぶつぶつと文句を垂れる銀時に、電がおずおずといった様子で話かける。

 

「確かに電は、全然小さいですけど……」

 

 両手を握り締め、意を決したように叫ぶ。

 

「毎日牛乳を飲んでお胸を大きくするので、待っていてほしいのです!」

「何言っちゃってるのこの子オオオオオ!?」

「り、立派なバインバインのナイスバデーになるのです!!」

「い、いや。アノ。だからね……!」

「な、なんなら。司令官さんに揉んでいただいて、育てるというのも……」

「ストーーーップ!! 分かった! 分かったからもうやめて! 銀さん消されちゃう! 丘の上ひなげしの花で占うあの人に消されちゃうから!!」

 

 顔を真っ赤にして体をモジモジさせる電をなんとか宥めて落ち着かせようとする銀時。年端もいかない少女に何を言わせているんだという罪悪感と共に、なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないという憤りを感じるのであった。

 

(こうなったのも、全部あのクソババアとクソ提督のせいだ……!)

 

 銀時は2日前の出来事を思い出し頭を抱えるのであった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 瓦葺の低い街並みと近代高層ビルが混在する街並み。

 それらを見降ろすように異星の船が悠然と空を飛ぶ町。

 

 

 ここは江戸の町。

 

 

 20年ほど前突如この国にやってきた宇宙人、通称『天人』。彼らの持つ圧倒的軍事力に恐れをなした幕府は、不平等な条約を飲みそれに反対する侍を弾圧した。侍達が廃れるのと反比例するように、科学技術は急速な進化を遂げた。かつて侍の国と呼ばれていたこの江戸で、天人の高度な技術力によって江戸中心部にそびえる『ターミナル』をはじめとした高層ビルや、その周りを飛び交う宇宙船を見ることはもはや珍しい事ではなくなった。

 そんな江戸の町のひとつである『かぶき町』。夜になれば様々な欲望に彩られるこの街も昼間ともなれば騒がしいながらも比較的おとなしい顔色を見せる。そんなかぶき町の一角に『スナックお登世』の看板を頂く店があった。現在、暖簾は店の中に仕舞われ準備中となっているが店内には2人の人物が居た。

 カウンター内に陣取りテレビを見ていた着物姿の老女が、タバコの煙を吐き出しながらぼやくように呟く。

 

「また出たみたいだね……」

 

 この老女はお登世。このスナックお登世の店主であり、かぶき町四天王の1人と囁かれるほどの女傑である。

 お登世のつぶやきに反応したのは、カウンターを挟んだ向かいに座りパフェを突っつく男だった。

 

「あ? 何が? ゴキブリ?」

 

 食事中とは思えない発言を繰り出すこの男は坂田銀時。スナックお登世の上に居を構え『万事屋銀ちゃん』というなんでも屋を営んでいる。

 銀時はお登世の方を眠たげな目でチラと見ると眉をしかめる。

 

「しっかりしろよクソババア。テメーの店ぐらいちゃんと管理しろよ。ウチにまで出たらどうすんだよコノヤロー」

「そうだねぇ、目の前のでかいゴキブリもさっさと駆除した方が世のためかねェ?」

 

 お登世が額に青筋を浮かべながら答えると、やれやれと言った様子でテレビに顎をしゃくる。

 

「違うよ。アレのことさね」

「あん?」

 

 お登世に促され銀時がテレビに目をやると、お昼のニュース番組が流れていた。画面いっぱいに激しく炎上する大型貨物船の映像が映っており、カメラアングルからヘリコプターからの中継映像だと分かった。テレビからローター音に負けないようにするためか、女性アナウンサーの怒鳴り気味の声が流れる。

 

『えー、現在襲撃があった現場海域まで来ています。ご覧頂けるでしょうか? コンテナ船が激しく燃えています。積荷か燃料に引火したのでしょうか? 黒煙が私の乗っているヘリのところまで届きそうです。あっ、画面映りますでしょうか!? 船体横に大きな穴が空いています。攻撃を受けた所でしょうか? 幕府は今回の襲撃も深海棲艦によるものと見ています。ここも危なそうなんで! さっさと帰りましょう! 現場からは以上です』

「……深海棲艦?」

 

 画面が切り替わり、スタジオのキャスターの画に切り替わったところで銀時が呟いた。海で襲撃というので、てっきり海賊の仕業かと思ったが聞きなれない単語が出てきたため思わず聞き返したのだ。

 そんな銀時にお登世が呆れ顔で答える。

 

「あんた知らないのかい? 最近海で暴れまわっている天人らしいよ。なんでも小さいクジラみたいななりをして、突然、海から現れて口から大砲ブッ放してくるヤバイ連中だとか。おまけに海賊みたく積荷を強奪するでもなく問答無用で船を沈めていく訳のわからない連中なんだとさ」

「ふ~ん、んちゃ砲ブッ放せるのは鳥山先生の専売特権じゃなくなったのな。世の中変わったなぁバーさんよォ」

 

 お登世の話を聞いても銀時は興味なしと言いたげに適当なコメントを吐くと、目の前にあるパフェをパクつくことに集中する。

 銀時のつれない様子にお登世は眉をひそめる。

 

「ちょいと、人ごとじゃないよ。おかげで色んな物の流が滞って物価が軒並み跳ね上がってんだから」

「……そういや最近物が高ぇと思ったら、そいつらが原因かよ」

 

 身近にある影響に気付かされた銀時は流石に思案顔になる。日々金に余裕が無い銀時にはこのところの物価高は身に迫る脅威といっても過言ではないものだった。

 

「そういうわけだから、今月からアンタんところの家賃2倍ね」

 

 お登世のセリフに銀時は思わずスプーンをカウンターに落として血相を変える。

 

「ハアアアアッ!? ふざけんじゃねぇぞウンコババア! こちとら先月分も払えてねぇのに、いきなり倍増されて払える訳ねぇだろ!」

「さりげなく先々月の分をすっぽかすんじゃないよ! こっちもあのエイリアンのせいで客足減っちまってヤベェんだよ!! 払えねぇってんなら腎臓でも金○でも売って金作ってこいや! それが出来なきゃさっさと出て行くなり仕事見つけてくるなりしやがれこのプー太郎がアアアッ!!」

 

 前触れもない急激な家賃の吊り上げに銀時は抗議の声を上げるが、家賃の滞納癖がある銀時に慣れっこのお登世は鬼の形相で金がないなら作ってこいと啖呵を切る。

 なおも言い募ろうと銀時が口を開こうとするが突然、店の引き戸が開けられる。

 

「どうも、お久しぶりですお登世さん。……今、お取り込み中?」

「おや? 誰かと思ったら……大丈夫さね」

「あ、オイ……!?」

 

 入ってきたのは一人のスーツ姿の男だった。開店時間でもないのに突然やってきた男をお登世は出迎える。お登世はこの街の顔役でもあるためこのような訪問者は珍しくなく、様子から察するに昔馴染みの知り合いなのだろう。

 お登世の注意が他に向いてしまったため銀時は舌打ちすると、喉まで出かかった言葉を器に残っていた溶けたアイスと共に飲み込む。空になった容器をカウンターに叩きつけると、しかめ面をテレビ画面に向ける。

 テレビではグラフやら映像やらを使って深海棲艦の脅威に関する何かを解説している。銀時は先ほどの燃え上がる船や別の破壊された船の映像をいくつか見ると、しだいに目の焦点が合わなくなってきた。別に眠くなったわけではない。

 

(終わったと思ってるのは俺だけかねェ……)

 

 銀時の目はここではない、そう遠くない過去を見つめていた。自然とスプーンを持つ手に力が入り、段々と目が据わっていく。

 

「――とき―――んとき―――オイ銀時!」

「――っ!?」

 

 お登世の呼びかけに銀時はハッとした様子で振り向く。見るとお登世と先ほど店に入ってきた男が銀時のことを見ていた。

 銀時は耳を掻きながら気ダルそうに向き直る。

 

「んだよババア? デケー声出すんじゃねーよ」

「ぼさっとしてるオメーが悪ィんだろうが」

 

 お登世が短く文句を言うと、先ほど入ってきた男に顎をしゃくる。

 

「あんたに客だよ」

「あ? 客だぁ?」

 

 銀時はこの時初めて男に注意を向けた。男はオールバックに髪を撫でつけ、三白眼をたたえる顔立ちは如何にもさえない中年男性という印象を銀時に植え付けた。

 お登世に紹介された男は、どうもどうもと軽く会釈しながら銀時に近づくと名刺を差し出す。

 

「万事屋の坂田さんですね? 私、こういうものです」

「ああ、俺のことは銀さんとでも呼んでくれや」

 

 自己紹介を済ませる銀時は受け取った名刺を見ると、即座に眉をしかめることになった。

 

「江戸海軍、横須賀ちんじゅふ? 艦隊総司しr……って、なんだこの寿限無みてーな長ぇ肩書はよォ?」

「江戸海軍横須賀鎮守府艦隊総司令官。要するに海軍における横須賀のドンってことです。まぁ、長ったらしいから周りからは横鎮提督って呼ばれています」

「ふ~ん、海軍さんね。で? そのはみチン提督さんが俺に何の用?」

「横鎮ね」

 

 横鎮提督と名乗る男は銀時に突っ込むと隣に腰かけ用件を切り出す。

 

「一から説明すると長くなるから端折って言うと、代わりの人材が見つかるまで管理職代行としてウチで働いて欲しいんですわ」

「は?」

 

 提督の話に銀時は怪訝な顔を隠せない。

 

「おたくら公務員だろ。俺みたいなパンピーに、それも管理職なんて重要な仕事させちゃまずいんじゃねぇの?」

「本来はそうなんだけどね。そうも言ってられないのよ」

 

 提督は銀時のもっともな指摘に首肯しつつ、困った様に頭をポリポリと書きながら続ける。

 

「その名刺にある『江戸海軍』って組織、元あった水軍が組織改変されて新しく出来たやつでね。ぶっちゃけ人気無い部署なわけ」

「あん? どういうことだ? もろチン提督さんよ?」

「横鎮ね。新設された部署は倦厭されるお役所気質が半分、もう半分がアレのせい」

 

 提督があれと指さす先に銀時が目をやると、先ほどから付きっぱなしになっているテレビ画面だった。

 

「あのハゲたおっさん?」

「いやいや、深海棲艦の方ね」

 

 テレビではまだ深海棲艦の話題を取り上げており、現在は海洋学者によるうんちくを垂れ流しているところだった。

 横鎮提督は一つ咳払いすると話を続ける。

 

「目下、海軍の重大事案は深海棲艦の脅威から海上を航行する船舶の護衛及び、領土領海への侵攻を未然に防ぐことの二つになるんだわ」

「あー仰々しく言ってっけどアレか? 要するに船の用心棒とビーチの監視ってことでOK?」

「……ま、いいか」

「イヤ、いいのかいそれで?」

 

 お登世が突っ込むが話が進まないと判断した提督は銀時の曲解を放置し説明を続ける。

 

「知っての通りこの国は四方を海に囲まれていて、物流の主幹は海洋船が主だっている。空輸だと高くつくからね。で、その肝心な船が襲われないように護衛している訳なんだけど、正直手こずっていてね。この通りあまり芳しい成果が上げられないでいるのよ」

「つまり出世する点数稼ぎに向かない職場だから人が集まらねェってか? へッ。大した公務員様だなオイ?」

 

 銀時が鼻で笑うと、提督は全くだと言わんばかりに肩をすくめる。

 

「おまけに上は早いところ成果を上げて批判をかわしたいから、反攻作戦の音頭を執ったりしたもんで、人手が割かれてこちとらてんやわんやなわけ」

「それじゃあ猫の手も借りたくなるわけさね。で板挟みになってアタシに泣きついて来たってわけかい? アンタも苦労するねェ」

「いやはや全く。だからこうして休日返上して、人材探しの旅に出ないといけない訳なんですわ」

 

 組織に振り回されている提督が面白いのか、半笑いしながらお登世が茶化す。提督は申し訳なさそうにお登世に頭を下げると、一転して真面目な顔で続ける。

 

「正規の手段で来ないのは分かっている。なりふり構っているられる状況でもない。それで昔お世話になったお登世さんに紹介してもらおうと思ったんですよ。そしたらば、丁度よさそうな仕事をしている人が上に住んでいるじゃありませんか」

 

 提督はニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら銀時を見るが、銀時はわざと目を合わせないように虚空を見つめながら鼻をほじる。

 

「と言う訳で管理職代行の依頼、お願いしたいんだけど」

 

 と両手を合わせて提督はお願いするが、銀時はプイとそっぽを向いてしまう。

 

「悪ィが他を当たってくれ。俺に兵隊の頭は務まらねェよ」

「大丈夫、大丈夫。ぶっちゃけ制度上いなければならない程度の単純なお仕事だから。ね? お願い」

 

 にべもなく断る銀時に提督はすがりつくようにお願いする。

 すると、そのやり取りを見ていたお登世が横から口を挟んできた。

 

「ちょいと銀時、アンタ仕事を選り好みしている場合かい?」

 

 口から紫煙を吐き出しながらお登世は指を二本立てる。

 

「二ヶ月分の家賃」

「ぐっ……」

「それと今月の倍になった家賃。ついでにこれからの生活費……アンタ払えるのかい?」

「……チッ」

 

 銀時はお登世が立てる四本指を忌々しげに睨み付ける。そう、銀時は今まさに金が入用なのだ。このままでは、闇医者のお世話になるか家を追い出されるかの二択を迫られるのだ。ただ、銀時は自身の過去のこともあり、宮仕えというのは全く気乗りしない。むしろイヤだ。

 銀時が唸っていると、提督が胸ポケットをゴソゴソしながら口を開く。

 

「じゃあこうしよう。滞納分の家賃を前金として今払う」

「「え?」」

 

 銀時とお登世の声がはもる。提督はカウンターの上にやや厚めの封筒をポンと置く。さらに封筒と一緒に出した電卓を叩きながら

 

「それとは別にウチでの給料を働いた日数に応じて支払うってことでどう? とりあえず二週間を目途に考えてるから……」

 

 提督がホイと見せてきた電卓の数字を見た瞬間、銀時の目がギョッと見開かれる。

 

「マジで?」

「マジマジ、大マジ」

「提督、嘘つかない?」

「つかない、つかない」

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

(今思えばあの時、金に目がくらんでホイホイ仕事を引き受けちまった時からケチがつき始めやがった……!)

 

 銀時は今の自身のおかれている状況を省みてそう結論付けるのだった。

 

「で、ですから! ここにっ! ここにおいて欲じいのでずう゛う゛う゛っ!!!」

「だあああああ! やかましい!! 別にどこにもやらねえつってんだろうが! オイッ! オレの一張羅に鼻水つけんじゃねぇ!!」

 

 自分の腰に泣きながらすがりついてくる電をなんとか振りほどこうとしながら、銀時は心の中で毒づいた。

 

(なんで絶海の孤島でガキの子守なんざしなきゃならねぇんだあああああ!?)

 




後書き

 ここまでお読み頂きありがとうございました。
 なんか説明ばかりで艦これ要素が少ないなーと思い初回から豪華二本立てでいっちゃいます。
 続きを読みたいという奇特な方はもう少しお付き合いください。


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第二話『初対面は第一印象が大事』

前書き
 ぶっちゃけ需要があるか確認したかっただけなのに、なんでこんなに投稿したんでしょうね?
 ね? 母さん。
 続きます。



「ごめんなさいなのです。取り乱しちゃって」

「いや、もういいからそういうの」

 

 電を宥めることに成功した銀時はやれやれといった表情で適当にあしらう。

 電は安心したようにホッと息をつくと、おずおずと尋ねる。

 

「あの、お仕事に関しては……」

「ああ、提督からある程度レクチャーは受けたけどよォ。その前にまず掃除だなこりゃ」

 

 銀時は部屋を見渡すと掃除を提案する。見ているだけで鼻がむずむずしてくるほど埃が溜まっており、とても仕事をしたり生活するような環境ではない。

 銀時の一言に電はすっくと立ち上がり

 

「じゃ、じゃあ電もお手伝いするのです!」

「大丈夫か? 長旅で疲れてんじゃねぇの?」

「司令官を補佐するのが秘書艦なのです。電の本気を見るのです!」

 

 電は先ほどとは打って変わり、腕まくりして気合十分とばかりに息巻いていた。

 

 のだが

 

「はにゃああああっ!?」

「オイイイイイイッ!?」

 

 電は早くも出鼻をくじかれていた。

 

「お前この部屋でコケるのこれで5回目だぞ!? 補佐するどころかメッチャ足引っ張ってんですけど!? 掃除するどころか散らかしまくりなんですけどオオオ!?」

「ご、ごめんなさいなのです……」

 

 電は懸命に部屋の掃除を手伝おうとするが、箒を持てば銀時を小突き、荷物をどかそうとすればすっ転び、纏めたごみを捨てようとすればぶちまける。当然わざとではないのだが中々のドジっ子ぶりを発揮していたのだった。

 埃まみれで泣きそうな顔をした電に業を煮やした銀時は、怪我をされても困るのでとりあえずこの部屋から離れてもらうよう促す。

 

「もうお前あれだ。ここの掃除は俺に任せて他のことしてくんね?」

「はぅ……じゃあ、移動用のボートが届いてるはずなので、それがあるか確認してくるのです……」

「気をつけろよ。間違って海に落ちたりとか、舫い綱が緩くて沖まで流されましたとかなしだからな。銀さん泳げないから」

「き、気を付けるのです……」

 

 明らかにしょんぼりした様子でトボトボと部屋を後にする電を見送ると、銀時はひとりごちる。

 

「あんなちんこいガキが天人とやりあうのか……」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 スナックお登世で横鎮提督から依頼を受けた次の日。

 

「ここが野郎の言ってた鎮守府か……」

 

 銀時は横須賀鎮守府正門前に立っていた。提督から前金を受け取った後、詳しい仕事の説明をしたいから鎮守府に来てくれと地図と路銀を持たされたのだ。ちなみに貰った前金は、パチンコで増やそうとする前にお登世に強奪されたがここでは関係のない話だ。

 銀時が守衛に事情を説明すると、本館に行けと経路を案内される。かぶき町ではあまり見かけない赤煉瓦の建物が物珍しく、銀時は辺りをキョロキョロと見渡しながら歩を進める。

 しばらく本館までの道のりを歩いていると、銀時はふとした疑念に囚われる。

 

「女多くね?」

 

 銀時の言う通り、男性職員に交じって女性がちらほら見えるのだ。しかも服装はてんでバラバラで和装洋装は言わずもがな、巫女服姿の者まで居る始末。おまけに明らかに年端もいかない女学生のような姿をした少女もおり、銀時の横を「いっちばーん!」などと叫びながら走り去っていくのだから疑問を持たないはずはない。

 

(まさかそれらしい話しといて、イメクラかソープランドの支店長の依頼だったりしねぇだろうな? ……まあ、それはそれで良いけどよ)

 

 そんな思考を廻らせつつ本館と呼ばれるひと際大きな建屋の前にたどり着くと、入り口前に人が立っているのが見えた。

 

「……また女?」

 

 銀時の言う通り、そこに立っていたのは女性だった。青い袴の弓道着の様な服装に身を包み、短めの髪を左サイドで結っていた。

 銀時が近づくと女性も気付いたようで、無機質そうな堅い表情のまま軽く会釈する。

 

「……万事屋の坂田銀時さんですね? 提督の秘書を務めている加賀です」

「おう、よろしくな。なんかレ○ィ・ガガみてェな名ま――」

「10分遅れです。こちらへお急ぎください」

「え? ちょ、待って!?」

 

 加賀と名乗った女性は銀時の話も聞かずスタスタと建屋内に入って行ってしまう。時間に遅れたことが相当気に入らなかったのだろうか。いきなりのつっけんどんな対応に銀時も慌てて後についていく。

 銀時は加賀に連れられ廊下を歩くが、2人の間に会話はなく重苦しい沈黙だけが横たわっていた。先ほどのやり取りのせいで銀時からは話しかけづらい上、前を歩く加賀に話しかける気配が微塵もないためである。そのため、暇を持て余した銀時は歩を早め加賀に近寄ると、初めて加賀を見たときから気になっている部分の観察に勤しむのであった。

 

(やっぱりデケーよなぁ)

 

 銀時が横眼に見つめるのは加賀の豊満な胸であった。一目彼女を見た瞬間、真っ先に目に着いていた銀時は、暇を持て余した今まじまじと観察に勤しむのであった。

 

(道着を前へ前へと押し出す双丘の膨らみ。胸当てのせいで歩いていても全く揺れねェが、詰め物をしている違和感は感じられねェ。第一、このねーちゃんのキツい性格からするとわざわざそんな見栄は張らねェと見た)

 

 推理を進めると銀時はカッと目を見開いた。

 

(とするならば! これは本物のボイン!!)

 

 確信に至った銀時は思わず口元がゆるむのを抑えきれなかった。銀時は若干前のめりになり、覗き込むような姿勢で想像を膨らませる。

 

(和装だから晒しか? 意外を衝いてブラの線も捨てきれねェな。おそらく、そういうもろもろを外しても形を崩さねェ張りがあるモノに違いねェ。いや~眼福眼福。これだけでも苦労して来た甲斐があったってもんだぜ)

 

 銀時がひとり想像を逞しくしていると、視線に気付いた加賀が銀時にチラと視線をやる。

 

「私の格納庫に何か御用?」

「え!? 格納庫!? あー確かに格納してるよねー!? 俺的には開放している方が好みかな~? なんて……アハハ」

「……そう」

「……」

 

 銀時は突然話しかけられたため、思わずいつもの調子でセクハラ発言をしてしまう。しかし足を緩めず大した反応を示さない加賀に、流石の銀時も救いの場を求めて窓の外に視線を外す。

 

「――!?」

 

 窓の外に目をやった銀時は両目を見開き思わず足が止まる。銀時達のいる廊下の窓からは横須賀港の様子を一望することが出来た。そこには大小様々な船が停泊しており、中には戦闘により傷つき修理を待つ戦闘艦の姿を見ることもできた。しかし、銀時に衝撃を与えたのは大型船の威容や傷ついた艦艇ではなかった。

 

「人が……海面を滑ってる?」

 

 銀時の目には数名の少女が海面に立ち、尚且つその上をアイススケートよろしく滑っている光景が映し出されていた。彼女達は先ほど本館までの道のりで見かけた少女と変わらない年頃であり、背中には武骨な機械の様なものを背負い中には手に巨大な銃の様なものを持った者までいるではないか。

 すぐさま銀時は前を進んでしまっている加賀を呼び止める。

 

「オ、オイ! えっと……ガガさん!? あいつらなに!? ここって波紋戦士雇ってたりすんの!?」

 

 振り向いた加賀は銀時の指さす方向に目をやると、なんと言うことはないという口調で告げる。

 

「彼女達は艦娘。じきに見慣れます」

「ハァ? カンムス? いやあの、そう言う思わせぶりなセリフはいいからさ――」

「それに」

「聞こう! 人の話聞こうガガさん!」

 

 銀時の言葉をことごとく無視する加賀が1つのドアの前に進む。ドアには『執務室』という金属プレートがあしらえてあった。

 

「すべて彼が説明してくれます」

 

 そう言うと加賀はドアをノックする。

 

「加賀です。万事屋の坂田銀時さんがいらっしゃいました」

「はいはーい。入っちゃって~」

「どうぞ」

 

 加賀に勧められるままに銀時はドアを開けると、応接セットの向こうにある執務机に座る提督が手を上げる。

 

「やあ銀さん。待ち侘びたよ」

「どーも、えーと……フルチン提督?」

「横鎮ね。なんか段々エスカレートしてない?」

 

 提督がやれやれという様子でソファーに座ることを勧める。

 

「まあ立ち話もなんだ。掛けなよ。加賀さんお茶持ってきて」

「はい」

「茶葉ケチらないでね。濃いーの好きだから」

 

 加賀が部屋から出ていくと、銀時はソファーに腰掛けながら提督に用意していた質問を繰り出す。

 

「ちょっと訊きてェんだが、ここはカンムスとか言う波紋戦士も雇ってんのか?」

「波紋……? ああ、彼女達のことか。その辺も含めてこれから説明するよ」

 

 そう言うと提督はテーブルの上にある『深海棲艦 写真資料①』と書かれた茶封筒を手に取る。

 

「まず、我々の“敵”である深海棲艦のことなんだけど。どれくらい知ってる?」

「『んちゃ砲』ブッ放すクジラみてぇな天人」

「うーん、その辺りの認識から改めようか」

 

 こうして横鎮提督による深海棲艦レクチャーは始まった。

 

 

 

 

 

―10分後―

 

 

 

 

 

「よーするに、デケェのはそのイ級とかの強面の魚で? あとは人間大でヤバさは人型に近づくと上がってくると」

「そんなところ。補足するなら魚型の深海棲艦は大きくても2、3m位だから船の大砲じゃ狙いにくいのよ」

「ふ~ん……で、さっきの波紋戦士とどう繋がるんだ?」

「ああ、それはね――」

「お茶をお持ちしました」

 

 鼻をほじりながら質問する銀時に提督は答えようとすると加賀が返ってきた。

 

「ああ、ありがとう」

「おう、悪ィなガガさん」

「……気付いてない様だから言うけど、私の名前は 加 賀 です」

 

 加賀は聞き取りやすいように、1つ1つの発音をしっかり銀時に言うのだった。

 

「え? マジ?」

「……ひょっとして、今の今まで聞き違えてた? 俺、何度か呼んでたよね?」

 

 ギョッとする銀時に、提督は呆れ顔を向ける。

 加賀は構わず茶托を置くとお茶を配膳し出す。

 

 ジャボッ

 

「どうぞ」

「……オイ。今、親指思いきり入ってたぞ」

 

 ジト目で突っ込む銀時を見ずに加賀は普通に提督にお茶を出しながら

 

「心配いらないわ。これぐらいで火傷するほどヤワではないので」

「そこじゃねーよ! てか今度は指先を洗うな! 湯呑はフィンガーボウルじゃねぇんだよ!!」

 

 銀時に出したお茶で指先をバシャバシャと洗う加賀に銀時は抗議の声を上げる。

 その様子を見ながらため息をつきつつ提督が口を開く。

 

「ちなみに加賀さんも艦娘、君が言うところの波紋戦士だよ」

「……え? そうなの? 山吹色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)とか出来んの?」

「あーそうじゃなくてね……。加賀さん、ちょっと艤装展開してみて」

「はい」

 

 加賀はお盆を置くと、2人から少し離れ目を瞑る。

 

「航空母艦『加賀』。抜錨」

 

 加賀が唱えると背中や左腕の辺りが1瞬まばゆい光に包まれた。次の瞬間、彼女の背中には矢筒と弓が、左腕には「カ」と書かれた大きな板の様なものがあった。

 銀時は特撮の変身シーンを見ているような気分に囚われ思わず見惚れる。

 

「おお……!」

「さっきも言ったように普通の船じゃ深海棲艦は小さすぎて対応できない。そこで、人間大のあいつらを相手にするなら、こちらも人間大になればいいという思想の元、開発されたのが……あー……」

 

 提督が説明しようとするが、なぜか詰まると加賀に向き直る。

 

「ゴメン加賀さん。『艦娘』の正式名称なんだっけ?」

「しっかりしてください。仮にも提督なんですから」

 

 正式名称を忘れた提督に、加賀が突っ込むと1つ咳払いし

 

「『宇宙戦【艦】とか普通にある世界観だけど、海の上だったらウチの【娘】の方が早い、安い、可愛いで3割強いから』 略して『艦娘』です」

「イヤ長くねエエエッ!? そんな長げー名前そりゃ忘れるわッ!! ほとんど製作者側の気持ちしか言えてねェよ!? しかも最後の3割強いってなんだ!? なに基準で3割つってんだ!!?」

「……だから言っています。ヤワではないと」

「なにドヤ顔してんのオオオ!? 確かにスゲー記憶力だけど、そんな話してたっけ!?」

 

 銀時がひとしきり突っ込むと提督に話しかける。

 

「これあれか? 天人の技術だよな?」

「うん、妖精星人という種族に技術協力してもらって実現したんだ。手のひらサイズの小人見たいな天人でね、人間の海上航行艤装や携行型兵装の開発など多岐に渡り活躍してるよ」

「この子がそうです」

 

 提督が説明する横から、加賀がひょいと銀時の前に妖精星人を見せる。加賀の手には襟首を摘ままれた状態でされるがままになっている小さい女の子がぶら下がっており、銀時を見るとパタパタと小さな手を振る。

 

「はろー?」

「お、おう……」

「珍しいね。加賀さんが妖精さんを連れるなんて」

 

 思わず立ち上がりマジマジと妖精星人を見る銀時の横で提督が加賀に話しかけると、加賀はしれっとした顔で返す。

 

「給湯室で菓子類を漁っていたところを捕まえました。あとで折檻しときます」

「オイオイ、大丈夫なのかよ? こんなちんこいなりしてんだし――」

「あーん。こーふんするじゃないのー」

「……オイ、本当に大丈夫なのかコレ?」

 

 折檻と聞いて心配する銀時をよそに、妖精としてはウェルカムらしく体を器用にくねらせる。その様子に銀時は別の意味で心配になってきた。

 

「心配いらないわ。あたなと違ってみんな優秀な子たちですから」

「ねえ、君さ、さっきから俺にチョイチョイ突っかかってきてるけどさ? あんまナメた口きいてっと銀さん終いにゃ怒るよ?」

 

 加賀のことあるごとに挟む棘のある言動に銀時は青筋を立てて加賀にメンチを切っていると、まあまあ、といった様子で提督が間に入る。

 

「艦娘の説明はこんなところで良いでしょう」

 

 提督は銀時に座るように促すとサクサク説明を続ける。

 

「君には艦隊を1つ率いてもらうよ。と言っても船団護衛専門で1人だけなんだけどね」

「は? たった1人? オイオイ、そんなんであの深海魚の群れに太刀打ち出来んのか?」

「昨日も話したけど反攻作戦の関係で人員が大幅に引き抜かれちゃってね。今の輸送船の護衛は、艦娘が護衛対象に乗り合わせているんだけど、いかんせ数が足りないから従来の港から港までのやり方だと全員過労で倒れてしまう。そこで、脅威度の低い本土近海は最低限度の数にして、バトンタッチの要領で遠方からの護衛を引き継ぐという方法を取ろうと思う」

 

 この方法によって遠くから来た艦娘は帰る方向の輸送船にまた乗って戻ればいいので、本土近海往復分の工程を短縮できるという寸法だ。ただし、船会社との連絡を密にする必要がある上、艦娘が消耗した燃料や弾薬の補給も帰りの輸送船で行わなければならない。そのため、いつ誰がどの船の護衛に就くかをしっかり管理することが求められる。

 

「で、そのバトンタッチ役を君の元に就く子にやってもらいたいんだ。そして、司令部を新設するとなると便宜上、指揮官が必要になる」

「ふ~ん。何かよくわかんねぇけど、お飾りでもいいから責任者を置いておけって訳か?」

「一応、二重チェックの意味合いもあるからね? 忘れないでよ?」

「へいへい」

 

 提督の念押しに銀時は耳をほじりながら頷くが、ふと妙な違和感を覚えた。

 

「ん? てことはここのボスはあんたがいる訳だから、俺の仕事場はここじゃねェってことか?」

「察しが良くて助かるよ。君にはここに行ってもらいたいんだ」

「ハァ!? 絶海の孤島じゃねェか!? 完全に島流しだろこれ!?」

 

 提督が示した勤務地を知った銀時はしかめ面を隠さない。提督が指さしたのは、太平洋上にポツンとある島。地図上に記された南方の基地よりもはるかに近いとはいえ、絶海の孤島という表現は間違っていなかった。

 銀時はそりゃ人が集まるはずが無いと理解できた。誰が好き好んで島流しになりたがるというのか。そう判断した瞬間、銀時はそそくさと手を振って帰ろうと席を立つ。

 

「パスパス! ワリィな提督さんよこの話はなかったことに――」

「ちなみに……」

 

 立ち上がろうとする銀時にかぶせるように提督が話しかける。

 

「おニューの司令部で彼女みたいな秘書艦が付くよ」

「……」

 

 提督が彼女みたいなと指さすのは脇に控える加賀。それを見た銀時は立ち上がろうと腰を浮かせたままの姿勢で固まる。

 

「……提督あの――」

「まあなんだ。折角、南の島に行くんだ。南国リゾート気分を味わってきなよ」

 

 何か言いたげな加賀を手で制しながら、提督は朗らかに銀時に伝える。

 そして、提督の話を聞いた銀時はというと

 

 ―― ボン キュッ ボンの豊満ボディの秘書。

 ―― 2人きりのキャッキャウフフの南国バカンス

 ―― ポロリもあるでよ?

 

 というパラダイスを想像していたことは言うまでもない。

 銀時はさっきまでのしかめ面をサッと引っ込めると

 

「いやー侍たるもの、一度交わした約束は必ず成し遂げないとなー」

「じゃあよろしく。明日のフェリーで出発してちょうだい。これチケット。着いたら連絡してね」

 

 あっさり手のひらを返した銀時に提督は翌日発のフェリーのチケットを渡す。

 その後の銀時は電のいる無人島の廃屋にたどり着き1話冒頭に至るのである。

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 銀時と電が気まずい対面をしている頃、横須賀鎮守府の執務室では提督と秘書艦である加賀が書類仕事に忙殺されていた。

 加賀が申請書類にある程度目途がついたところでおもむろに口を開く。

 

「もうそろそろ坂田さんと電が顔合わせする頃ね」

「ん? そうだねぇ」

「大丈夫なんですか?」

「何が?」

 

 提督は経理の書類との睨めっこをやめ、加賀に顔を向ける。

 

「あの男のことです。仮にも彼女の上官になるんですよ」

「加賀さんは不安?」

「時間を守れない、ちゃらんぽらんでセクハラ発言、人の名前を間違える……どれをとっても人の上に立つ者には向いていませんが?」

「そこまで正論攻めされると辛いなぁ」

 

 提督は椅子に背中を預け頭の後ろに手を組む。加賀の言う通り銀時の性格は、控えめに見ても社会人としてほぼアウトと言っても過言ではないものだった。

 提督は天井の模様をぼんやりと眺めながら囁くようにつぶやく。

 

「兵隊の頭は務まらないか……」

「……なにか?」

「いや、別に」

 

 提督は加賀が指摘する社会的な物差しでは、到底測れないものを銀時に見たのだった。

 

(俺にはとてもそんな目には見えなかったよ。銀さん)

 

 提督が思い出しているのはスナックお登世で垣間見た銀時の目だった。様々なものを失い、それでもまだ抗おうとする鋭い視線。すぐにいつもの死んだ魚の様な目に隠されてしまったが、提督はその瞬間を見逃していなかった。間違いなくあの目は数々の修羅場を潜りぬけた者だけがする目だと確信していた。それがあったからこそ、今回の依頼を無理やりにでも推し進めたのだ。

 提督は体を起こすと、こちらを見つめる加賀に笑いかけ

 

「ま、いいさ。なんとかなるだろう」

「……ふぅ、あなたも大概ね」

 

 適当とも取れる提督の発言に、加賀はため息をつくと書類を手に取り席を立つ。

 そんな加賀を見た提督はニヤリと口の端を上げると彼女の背中におもむろに声を投げかる。

 

「俺としては加賀さんが優しい人だと分かってすごくうれしいよ」

「はい?」

 

 提督の言葉に振り向いた加賀は表情を変えることなく訊き返す。

 

「なぜそのような話になるのですか?」

「わざと嫌がらせしたんでしょ? 銀さん本人から依頼を拒否させるために」

「……」

 

 加賀は何も答えず黙って提督を見つめるだけだったが、彼は構わず続けた。

 

「我慢が出来る子加賀さんが、わざわざあんな真似したんだ。お世辞にも真っ当な人間とはいえない銀さんがあの子の上官にならないようにするために。違う?」

「…………」

「加賀さんもなんだかんだで電のこと、気に掛けてるんじゃないの?」

「……さあ?」

 

 加賀は短く答えると扉をあける。そして出様にただ、と付け加えた。

 

「苦境に立たされているあの子をなんとかしたいという思いはあるわ。でも、どうすればいいかは私にも分からない……」

 

 そう言い残した加賀を提督は黙って見送ると再び天井を見上げる。

 

「ミスキャストは無いと思うんだけどなぁ……」

 

 提督が小さく呟くとそれをかき消すように電話が鳴る。

 

「はい横鎮」

「オイ、クソ提督っ! 騙しやがったなコノヤロー!」

 

 銀時の怒鳴り声を聞いた提督は先ほどより若干顔色が明るくなるのを感じた。

 

(さてさて、お手並み拝見と行こうか。銀髪のお侍さん)

 




後書き
 ここまでお読み頂きありがとうございました。ここから先は小説の内容に全く関係のない、後書きともいえないダベリの空間になるので、暇で暇でしょうがねえから仕方なく読んでやるという人だけが読んで下さい。(長いです)

 さて、この度、銀魂と艦これのクロスオーバーという黒魔術もいいところの小説を書くにあたり、私は今画面の前にいらっしゃる読者の皆さまについて悩みました。このページを開いたということは少なくとも銀魂と艦これの両方、もしくはどちらかを知っていると思うんですよ。両方知っている方はバッチ来いで済む話ですが、片方しか知らない方は知っている方の原作に大分知識が依存しているんじゃないでしょうか。個人的にですが、外食する時に知らないメニューに挑戦する時の心理状態に似ていると思うんですよ。例えばイタ飯屋に行った時に「ミネストローネとフォカッチャのセット」とか言われても「なんのこっちゃ?」となり頼みにくくなるわけですよ(少なくとも私は)。もし、その隣に「ミネストローネとナポリタンのセット」があったら「ああ、ナポリタンと何かが付くんだな」となってそっちを頼みやすくなるわけですよ。ちょっと冒険しても、片方でカバーが利く訳です。
 そんで頼みやすいからと言ってホイホイ釣られた人の中には「なんだこのミネストローネ!ただのカス汁じゃねえか!」「なんだこの油そばみたいなナポリタン!ふざけるな!」と自分の知識を総動員してケチを付ける人もいるでしょう。
気持ちは分かります。自分の期待を大きく裏切ったものが提供されればそう言いたくもなるでしょう。ただ、そういうお客さんに向かって私は声を大にして言いたい。

「ちゃんとしたナポリタンとミネストローネが喰いたかったら、ちゃんとした店に行ってください」

ウチは「なんちゃってナポリタン」と「なんちゃってミネストローネ」をセットで提供しているお店なんで、期待をすること自体が間違っています。「同じ小麦で出来てるし黄色いしラーメン麺でいいんじゃね?」とナポリタンを作り、野菜カス余ったからラーメンの煮汁も使ってスープ作っているようなどうしようもないお店です。「調理師免許?いいえ、知らない資格ですね」とか店主はほざいているわけです。
 長くなりましたが。そんな「なんちゃって」小説でもいいよ、という瀬戸内海ぐらいの心の広さを持った人に私はこの小説を読んでもらいたいと思いましたマル


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第三話『物事はだいたい急に動き出すからいつでも対応できるようにしておけ』

前書き

まず、1,2話を読んで下さった皆様。感想、評価を下さった皆様。
本当にありがとうございました。

そして、3か月もブッチこいてスイマッセンシタアアアアア!orz

あと大事な設定を3つも書き忘れていたので、あらすじに追記しときましたがこっちにも書いときます。

・時間軸としては金丸君達が万事屋から消えた後ぐらい
・提督≠銀魂キャラ≠オリキャラ
・妖精さんは人退っぽい雰囲気

最後に、後書きにおまけコーナーを作ったのでよかったら目を通して下さい。



 司令部の裏から崖下にある桟橋まで続く下り坂を電はノロノロと下っていた。けもの道の様な未舗装の道に足を取られないようにするというのもあるが、電が首を垂れているのはそれ以外の理由もある。

 

「ハァ……またやっちゃったのです」

 

 本日、何度目になるか分からないため息をつきながら電は嘆く。自然と目がうるみそうになるが電はハッとした様子で首を振ると、顔を上げ胸の前でグッと手を握りこむ

 

「もうあんな思いはしたくないのです……!」

 

 電は一人決意を新たにすると再び歩を進めるが、足元のぬかるみを見落とし転んでしまうのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「よーし、こんなもんでいいだろ」

 

 銀時は腰を伸ばしながら部屋を見渡す。

 まるで舗装されるように埃が積もっていた床は木目が見えるまでに磨きあげられ、煤けていた窓は南国の陽光を部屋に届け、蜘蛛の巣の張っていた天井はきれいに清められ照明器具まで取り付けられていた。

銀時は部屋の様子に満足げに頷くと

 

「さすが妖精さんだな。1話跨ぐ間に終わっちまうとか劇的ビフォーアウター過ぎだろ。魔法とか使えんの?」

「いやー。それほどでもー?」

「それほどかもー?」

「メタはつげんはスルーでおっけー?」

 

 銀時が足元にいる妖精達に賞賛の言葉を送ると、妖精達もワイワイと答える。なんとこの男、自分はなにもしないで妖精達に作業させていたのだ。

 事の発端は部屋の掃除を進めていた銀時が

 

「ちょっと気分転換するか(飽きた)」

 

 と、言い出しっぺにも拘らず部屋の掃除を放り出し、建物の探索しだしたことから始まる。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 銀時が部屋を出てギシギシと音を立てる廊下を眺めながら歩くとあることに気付く。

 

「……もともと、旅館だったのか?」

 

 ここに到着した時にはあまりの寂れ具合に気を取られていたが、よくよく観察するとそれらしき痕跡がそこかしこに見えてくる。

 銀時が今いる出入り口には下駄箱やカウンターが残っており、かつて客を迎え入れていたのであろう。そこから廊下が両側に伸び大小部屋が並んでいる。先ほど掃除していた部屋も客室の1つだったのだろうと銀時は見当を付けた。そして、出入り口に向かい合う形で2階へ続く階段があったが、銀時はそちらへは行かずさっき来た廊下とは反対側の廊下を進んだ。ところどころ床が抜けており、見るからに危なそうだったからだ。

 

「こっちは食堂で……ここは風呂場か? ……ん?」

 

 銀時は足を進めると、廊下の突き当たりにふと目が止まる。そこには旅館には不釣り合いな重厚な鉄の扉が据え付けられ、『工廠』と銘打ってあったのだ。

 銀時は扉に近づき恐る恐る開けると部屋の中の騒音が漏れ出してきた。部屋の中には発電機が鎮座しており、唸り声を上げながら稼働していた。他にもおもちゃの様な小さい作業台や工作機械などが6畳ほどの部屋に押し込められており、その間をちょこまかと動く小さい影があった。

 

「お? 妖精か?」

「あ、にんげんさん」

「どーもです?」

 

 銀時が声をかけると妖精達は銀時を見上げて挨拶をしてくる。銀時は彼女らに手を振り返しながら部屋を見渡す。

 

「これ全部、オメーらが用意したのか?」

「そうです」

「にんげんさんのきかい、うごかすのよゆうです」

「でんきつかえます」

「おおー」

 

 銀時は提督から事前に妖精のことを聞かされても、改めてその高い技術力に驚かされた。

 部屋を見渡していた銀時は、ふと一計を案じ思わず口角を吊り上がる。

 

「なーなー妖精さんよぉ」

「なんですか? にんげんさん」

「あー俺のことは銀さんとでも呼んでくれや」

 

 でだ、と銀時は妖精に顔を近付けるためにしゃがみ込んだ。

 

「なぁ、オメーら。このボロ屋全体の改築とかできねーか?」

「はい?」

 

 銀時は廃墟同然のこの元旅館の改修工事を妖精にやらせようというのだ。

手揉みをしながら下卑た笑いを浮かべて銀時は妖精に擦り寄る。

 

「結構な腕があんだから訳ねーだろー。なー頼むよー」

 

 そんな銀時に妖精達は銘々顔を見合わせると渋い反応を見せる。

 

「どうする?」

「けっこうひろいし……」

「ざんぎょうだい。つきます……?」

「あ? 知らねーよ。提督に聞けや」

「これ、でないぱたーん」

「わがしゃに、いほうざんぎょうはありません……」

「ここがぶらっくしょくばか……」

 

 銀時の発言に妖精達は肩を落とした。ある者はポケットに手を突っ込み足元を弄り、ある者は遥か彼方を眺めるなど、あからさまにやる気をなくした様子を見せるのだった。

 銀時はというと南の島で凍死することは無いとはいえ、廃墟で初日の夜を迎えるなど真っ平ごめんだった。なんとしても妖精達に工事をやらせようと思案顔になると、ふと最初に見た妖精を思い出した。

 

(……まさかな)

 

 そう思いながらも、ポケットからあるものを取り出し妖精に見せびらかすように振ってみる。

 

「分かった分かった。完成したらこいつをやるってことでどうだ?」

「あまあまー!?」

「んんwwwいたチョコにしかみえませんぞwwwww!?」

「みなぎってきたー!?」

 

 露骨にテンションが上がった妖精達を見た銀時は口元の笑みをもはや隠そうともしない。

 

(やっぱりな。コイツら甘いもんに目がねェ)

 

 きっかけは横須賀鎮守府に行った時に、加賀が捕まえた妖精が頭によぎったことだった。あのドMの妖精は給湯室で甘味を漁っていたところを加賀に捕まっていた。加えて、妖精が女の子の姿をしていることから甘いモノ好きであると推測したのだが、結果としては大当たりだった。

 かくして、妖精達のやる気スイッチをONに出来た銀時は、超ド短時間で居住環境を整えることが出来たのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 銀時は様変わりした自分の新しい城を眺め、ほくそ笑みながら辺りを闊歩する。

 

(おまけに家具まで用意してくれちゃって、食いかけの板チョコ1枚でサービス精神旺盛すぎだろ?)

 

 銀時が仕事部屋と指定した場所には机や椅子、本棚といった家具一式が据えられており、新しい主が使う瞬間を今か今かと待っていた。

 銀時はさっそく出来たばかりのデスクにふんぞり返っていると足元から話しかけられる。

 

「ぎんさん。ぎんさん」

「あん? どした?」

 

 銀時が目をやると黒電話が足元に浮かんでいた。どうやら妖精が電話を頭の上に担いでおり、姿が隠れてしまっているようだ。

 

「でんわできるようになりました」

「あ? 電話つったってかける相手なんざ……あ」

 

 銀時は妖精の報告を適当に流そうとするが、ここに来るはめになった人物を思い出すと、妖精から電話を奪い取り猛然とダイヤルを回した。

 数コールしたところで目当ての相手が受話器を取った。

 

『はい横鎮』

「オイ、クソ提督っ! 騙しやがったなコノヤロー!」

 

 銀時は相手が出ると、開口一番怒鳴りつける。

 

『やあ、銀さん。たどり着いたようでなによりだよ』

「なにがなによりだよ!? ボインの秘書付きの南国リゾートなんざありゃしねェぞ!? つるぺたのガキ1人と孤島の廃墟で黄金伝説じゃねェか!!?」

『騙しただなんて人聞きが悪いな~。俺はあくまで秘書がつくとしか言ってないよ』

「テメエエエッ!? 詐欺師かコンチクショオオオオオっ!!?」

 

 銀時は電話越しでも提督の口元がニヤついていることが分かり、あらん限りの怒鳴り声を受話器に叩きこむ。

激昂する銀時を宥めるように提督は付け加える。

 

『まあまあ、そんなさみしい銀さんに、俺からささやかな潤いを提供しようじゃないの。今日の午後辺りに着くはずだから、楽しみに待っててよ』

「エロ本か? いや、ワリーな。持ってくりゃよかったと後悔してたとこなんだわ」

『んなワケ無いでしょ、電も居るのに……。まあ、着いた時のお楽しみってことで』

「へーへー。ご親切にどーも」

 

 銀時と提督が男同士の話していると部屋の扉が開かれる。

 

「ただ今戻ったのです!」

 

 電は部屋に入りながらしきりに辺りを見渡し興奮を隠そうとしない。

 

「はわー、中がすっごく綺麗になっていてびっくりなのです!」

「まぁ銀さんが本気を出せばこんなもんよ」

 

 まるで自分がすべてやったかのように銀時はふんぞり返ると、電話越しに提督が尋ねてきた。

 

『……電がいるのかい? 丁度いいや。ちょっと代わってくれない?』

「へいへい。オイ、電。提督から」

「はいなのです!」

 

 銀時が電を呼ぶと電話を替わる。

 

「もしもし?」

『電、引越し早々悪いが船団護衛の引き継ぎ任務だ。1500時にポイントM-8で合流。本土まで護衛せよ』

「了解なのです!」

『初めての環境だろうが、無理だけはしないように』

「ハイ、なのです」

『……うん、銀さんに代わって』

「ハイなのです。坂田司令、どうぞなのです」

「……なぁ」

 

 電が受話器を差し出すが、銀時は受け取らず頭をボリボリと掻くと電に話しかける。

 

「オメーも俺のこと銀さんて呼んでくれて構わねェよ」

「え?」

「何か名字で呼ばれるのはむずがゆくてよ。まー短い間かもしれねーが仲良くしようや」

 

 銀時はいつもの調子でヘラヘラと話しかけるが、対する電はしぼんだ風船のようにくしゃくしゃと困ったような表情になっていき

 

「そ、そういう訳には、いかないのです……」

 

 蚊の鳴くような声でそういう電は銀時と目を合わせようとしなかった。

 

「坂田司令は電の上官に当たるのですから……」

「別に俺は――」

「で、では行ってくるのです!」

「あっおい!」

 

 そう言うや否や電は銀時に受話器を押しつけると、部屋を飛び出して行ってしまった。

 銀時は電が出て行った扉を見つめていると受話器の向こうで提督が話しだす。

 

『まぁ、難しい年頃だから、がんばってちょうだいな』

「……いい加減、すっとぼけんのやめたらどうだ提督さんよ」

『ん?』

 

 銀時は椅子に座りなおしながら提督に尋ねる。

 

「思春期とか中二病なんてもんじゃねぇぞありゃ? 初めて会った時は逆セクハラする勢いだったのがさっきは拒絶ときたもんだ。挙動不審過ぎんだろうが?」

 

 銀時は電に感じていた違和感を話しながら机に足を載せると、若干語気を強める。

 

「アンタ、電のことで俺に何か言ってねーことあるんじゃねェの?」

 

銀時に問い詰められると提督はしばらく沈黙し

 

『……聞きたい?』

「聞かせてもらうぜ。こちとらあのガキとこっから共同生活なんだからよ」

『……教えなーいってトボケたいところだけど、ここまでバレちゃったら隠しても意味無か』

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 陽光が燦々と降り注ぐ海原で、電は一人白波を立てながら海上を航行していた。天気だけを見れば雲一つなく絶好の航行日和といえ、潮風を切っていれば憂鬱な気分も風に流されると思った。

 しかし、電の表情は晴れることはなかった。頑固な汚れの様に暗い気持が電の心にべっとりとまとわりついていた。

 

『聞かせてもらうぜ。こちとらあのガキとこっから共同生活なんだからよ』

 

 電は銀時と提督の会話に思い返していた。電は部屋を飛び出すと少しの間だけ部屋の前で聞き耳を立てていたのだ。すぐにその場を離れたが、そのあと銀時と提督がどのような会話をしたか予想するのは容易だ。

 

(あの後、提督は電のしでかしたことを話したのでしょう)

 

 電が考えごとをしていると合流相手の輸送船団が見えてきた。近づくにつれ甲板の上で南方から護衛していた艦娘が手を振っているのが見えた。

 電も手を振り返しながら相手を確認すると、護衛は4名のはずだが3人しか見当たらなかった。真面目に見張りを行っているのか。それとも戦闘で怪我をしたのか。それとも……。

 

「うっ……!」

 

 そこまで考えた電は不意に胸が抉られるような感覚に襲われ、振り返していた手を胸に当て荒くなった息を整える。

 

(深雪ちゃん、早くよくなって欲しいのです……)

 

 電はここにはいない1人の艦娘に思いを馳せていた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 銀時は改装を終え指令室として生まれ変わった部屋の中で、一人椅子に背中を預けていた。両手を頭にやって目を瞑っている姿はまるで昼寝をしているようだった。しかし、銀時の眉間には1本のシワが刻まれており、惰眠をむさぼっているわけではないことをあらわしていた。とうに日は傾き宵闇が迫ろうとしているが、銀時は身じろぎ一つせず、ひとり言を呟いた。

 

「事故って同期が昏睡状態、ねぇ……」

 

 銀時は提督から聞いた話を頭の中で反芻していた。

 

 

 

『実は彼女、電は同期の艦娘を訓練中の事故で沈めてしまっているんだ。

 ああ、大丈夫。死んではいないよ。すぐに旗艦に救助されたからね。

 ただ、長く呼吸出来なかったせいか、いまだに昏睡状態のままだ。

 ……そう、そういうこと。

 電は人一倍やさしくて思いやりがあり、責任感の強い子だ。

 それゆえに、事故だったとはいえ相当ショックだったし自責の念に駆られているんだろう。

 

 ん? それがこの無人島配属にどう関係するかって?

 関係大ありさ。

 ちょっと考えてみれば今回銀さんに依頼した件、おかしな話だと気付くはずだ。

 君に説明したバトンタッチ式の護衛だが……え? 忘れた? ……まあいいか。

 結論から言うと、わざわざそんな離れ小島に拠点を置く必要なんて無いのよ。

 そう、俺が今居るこの鎮守府だけで全て事足りちゃうの。

 どうせ港から沖まで往復するだけなんだから。そっちの方がずっと効率的でしょ?

 ……まあまあ、そう言わずに。帰るなんて言わないでちょーだいな。

 銀さんにはそこにいてもらわなきゃならないんだから。

 そう、彼女に鎮守府にいられちゃマズイのよ。

 なんでかって? 簡単な話さ。

 彼女は艦娘。俺は提督。

 もし敵の大群が襲来してきたといった一朝事があったら。

 もしその時、他に出撃させられる者がいなければ。

 俺は彼女を戦線に送り出さなければならない。

 ……分かってくれた?

 彼女の様子を見た君なら想像がつくと思うが、ただでさえそそっかしい電が事故のショックでテンパってるところで戦場に行ったら?

 ご明察、確実に戦死する。

 え? そもそも向いてない? 戦場に立つ人間じゃない?

 ふ~ん。まるで戦場にいたことがあるような意見だね……?

 いやいいさ。話を戻そうか?

 銀さんからの指摘の通り、彼女は正直戦場に立たせちゃいけない子だ。

 もっとも子供を戦場に送り出している時点でどうかしているんだけどね?

 でもね、ここしかないんだよ。彼女の居場所は。

 ……彼女の過去?

 良い質問なんだけど、残念ながら電の艦娘になる前の経歴に関しては提督である俺でも知らされていない。

 ただ、艦娘となった女性達は幕府関係者の身内か、募集に応じてやって来るかの2通りに大別される。

 まかり間違っても、鉄やアルミなどの無機物から人体錬成の如く出来ることはない。

 ……何を言ってるんだって? いやいや、こっちの話。

 でね、その募集でやってきた者の中でもっとも多いのが、働き手が居なくなった家の者だったり、身寄りのない孤児だったり……。

 銀さんも記憶が新しいんじゃないかな?

 攘夷戦争。

 あの戦では多くの血が流れた。

 結果として、膨大な数の戦災孤児や遺族が生まれるに至った。

 ……そう、戦場で男が死んで残された女子供が流れるようにウチに来るって寸法さ。

 おまけに理由は知らないが艦娘は女性しかなれないみたいだから、ウチも本腰入れて募集をかけてるしね?

 ……そう怖い声出しなさんな。俺みたいなしがない元町奉行の与力じゃどうしようもないことなのよ。

 そうだよ、畑違いの俺の様な人間を長に据えなきゃならんほど海軍は人手が足りていない。

 足りていないからこそ来れば受け入れる。

 それに放っておいても彼女達には野垂れ死ぬか、吉原に身を落とす未来しか待っていないときたもんだ。

 みんなで幸せになるっていうのが俺の信条だけど、今とれる最善の選択肢はこれしかないんだわ。

 

 いや~銀さんの勘が鋭くて助かるよ~。

 こうしてより深く事情を把握してくれたわけだしね?

 え? 退路のない状況に追いやった上で? 同情を誘うぶっちゃけ話をしといてよく言うって?

 ……俺もなりふり構っていられなくてね。

 手前味噌で申し訳ないけどね。

 奉行所……いや、治安組織の仕事はほとんどが負け戦なんだよ。

 風邪薬と同じさ。症状が出てから使われるのがほとんどだ。

 熱が出れば解熱剤を、咳には咳止めを投与するように、俺達も症状に合わせて投与される。

 与えられた仕事を淡々とこなしているうちに、なんとか社会が状態を取り戻す。

 何かあってからでしか動けない。本質的には手遅れなんだ。

 たださ? どうせ手遅れなら、同じ負け戦なら、彼女達には生き残って欲しいと思うわけ。

 俺も彼女達に安い国のために死んで来いなんて命令するなんざ真っ平ごめんだ。

 だから今回は提督の立場を最大限に利用して予防接種みたいな真似をしてみたってわけさ。

 ほら? 提督ってさっきの話でいえば医者や薬剤師みたいなもんじゃん?

 ただ、提督と言う立場があるゆえに、左遷みたいな形になってしまったのが心残りだけどね。

 

 ん? 結局、どうすればいいのかって?

 彼女を見守って欲しい。それだけさ。

 別にカウンセリングなんてデリケートなこと出来ないでしょ?

 それに電のことは電自身で答えを見つけるべきだ。

 外野がとやかく言ったところで本人が納得しなければ意味がない。

 だが、彼女はまだ子供だ。

 だからこそ手助けする大人が必要なわけ。

 その時は銀さんなりに助言なりなんなりやってちょうだいな。

 え? 人選ミスもいいところ?

 またまたそんなこと言っちゃって。

 銀さんならうまくやってくれるんじゃないかなーと思ってるよ。

 根拠? んー……勘かな?

 まあいいじゃないのそんなこと。

 じゃあ、電のこと。よろしく頼むよ銀さん。

 あ、言い忘れてたけど電から連絡があるかもだから無線の近くには居てよ?

 

 

 

 銀時は目を開くと椅子から体を起こしながら頭を掻きむしる。

 

「護ってくれつったって、そいつ今海の上なんですけど?」

 

 銀時が誰もいない部屋で一人ごちると机の上に目をやる。そこには無線機が鎮座していた。

 

「おまけに電からの連絡もねーし」

 

 無線機は提督との電話が終わるとタイミングを見計らうかのように妖精が持ってきたのだった。スイッチ1つで電と通話が可能らしいが、今のところ使う機会は訪れずに沈黙し続けていた。

 銀時は重い体を持ち上げるようにのそのそと立ち上がると

 

「取りあえず晩飯ぐらい作っといてやるか」

 

 部屋を出た銀時は食堂の方へ歩くが、食堂の扉の前で思わず歩を止めた。中から人の気配と物が動く音が聞こえたからだ。妖精たちが何かをしているのかとも思ったが、それにしては移動する足音が大きすぎる。

 

(電にしては足音が重い。こんな孤島までモノ盗りか?)

 

 銀時は腰に差した木刀に右手をかけると、勢いよく引き戸を開けた。

 

「警察だ!!」

「きゃっ!?」

 

 銀時が食堂に踏み込むと、割烹着を着た女性が驚いた様子でこちらを振り返った。銀時は想定していた相手とかけ離れた容姿の彼女に肩透かしを食らい、思わず反応がぎこちなくなる。

 

「えーっと、どちら様で?」

「あ、はじめまして。私、給糧艦の間宮と申します」

「給糧艦?」

 

 間宮の自己紹介に銀時はオウム返しをするしかなかった。最後に艦が付くからおそらく艦娘なんだろうなという予想は立ったが、全く素性が分からない。

 いまいちピンと来ていない様子の銀時に間宮は怪訝そうな様子でたずねる。

 

「提督から聞いていませんか? 今日こちらで食事と甘いものをふるまってくれと頼まれたのですが?」

「あーハイハイ。俺のことは銀さんとでも呼んでくれや」

 

 銀時は昼間の提督の言を思い出しはたと手を打った。楽しみにしていろと言っていたのはこのことだとようやく合点がいった。よくよく見てみれば間宮の手にはお玉があり、火にかかった鍋が目の前にあるのだから料理の真っ最中だったのだろう。

 だが、銀時はそれ以上に気になるセリフが間宮の口からもたらされたことに注目していた。

 

「ところでさ。今、甘いものって言った?」

「はい、提督から銀さんへの差し入れということで、どうぞお召し上がりください」

 

 間宮は銀時に説明しながら、四角い包みを銀時に差しだした。包みを受け取った銀時は速攻で包み紙を破り、齧りつく衝動を抑えきれなかった。

 

「ンまい! ンめーじゃねえかッ! これ羊羹だよな!?」

「ええ、私は艦娘の中でも兵站担当でして、本土から離れたところで任務に就いている子達にこういった甘味を届けるのも仕事なんです」

「……天使か?」

「うふふ、そんな大げさですよ」

 

 銀時の賞賛に間宮ははにかむように笑って答える。銀時はバクバクと羊羹を頬張る口を休めず間宮に尋ねる。

 

「こういったってことはなに? 羊羹の他にも何かあんのか?」

「ええ、最中や饅頭、色々ありますよ」

 

 間宮は割烹着の隙間や袖の中などありとあらゆるところからマジシャンの如く甘味を取り出して銀時の前に並べて見せた。

 

「……神か?」

「だから大げさですって」

「いやいや、奇跡以外のなにものでもないでしょ? どこから取り出してんのコレ?」

「企業秘密です♡」

「んなことどーでもいいや! ラーメン天使のどんぶりの中身だって知らなくていいもんなー?」

 

 すっかり上機嫌になった銀時は細かいことなど気にせず羊羹を平らげると、机に並んでいる他の甘味も飲み込むように食べだす。

 

「ヤベエ……ウマすぎてほっぺ落ちそうだよ? 大丈夫? 俺ほっぺ付いてる?」

「あはは……大丈夫ですよ……」

 

 間宮が出した羊羹や饅頭などの甘味を銀時は貪るように食らう。間宮も普段は甘味をふるまった時の艦娘を見ていると微笑ましくなるものだった。だが、この男に関してはそうならない。間を置かずに甘味を平らげていく様を見せつけられると、こちらが胸焼けしそうになってくる。

 ただ、間宮としては聞いておかなければならないことがあったので、ぎこちない笑みを銀時に向けるとそっと語りかける。

 

「あの、銀さん?」

「なんすか?」

「そんなに食べて大丈夫ですか?」

「大丈夫、大丈夫。もう医者から血糖値高過ぎって注意されてっから。もう銀さんそのへん割り切ってるから」

「いえ、そちらも心配ですけど……」

 

 間宮はいったん切ると銀時に顔を寄せると

 

「お代払えるんですか?」

「え?」

 

 間宮の問いかけに銀時はキョトンとした様子で聞き返す。

 

「え? コレ提督からの奢りじゃねェの?」

「ええ、羊羹一本は。それ以外は銀さんが勝手に食べちゃったので」

「えっ?」

「え?」

 

 当然だが銀時は無一文である。そもそも金が無いから依頼を受けたのだからあるはずが無い。確かに、差し入れとして手渡されたのは羊羹1本だけであり、銀時の胃袋に入っている他の甘味は間宮が見せただけで、食べていいとは一言も言ってなかった。

 そのことに考えが至った銀時は冷汗を流し顔を痙攣させていたが、やおら爽やかな笑みを浮かべると

 

「俺と君の思い出に付けといて」

「会って5分しか経ってないのですが?」

 

 訳の分からないことを言って銀時は誤魔化そうとするが、間宮がピシャリと突っ込む。

 そんな銀時の様子に間宮は仕方がないですねと言わんばかりに肩を竦めると、にこやかに銀時に尋ねる。

 

「右腕と左腕どちらが良いですか?」

「へ?」

 

 次の瞬間、間宮が背中に手を伸ばすと、身の丈ほどはある刀を引き抜き様に銀時に振り下ろす。

 

「どっせいいいいいっ!!」

「ウボアアアアアアッ!!!」

 

 銀時が転がるように斬撃を躱すと近くにあった椅子が真っ二つにされる。間一髪で避けた銀時は後ずさりながら叫ぶ。

 

「チョットオオオオッ!! ソレどこから取り出したの間宮さんんんん!!?」

「企業秘密です♡」

「あらヤダ! さっきと同じセリフなのに恐怖しか感じねェエエエエッ!!」

 

 若干、笑顔に影が濃くなった間宮に銀時は指を突き付ける。

 

「アンタ兵站担当だろ!? なんでそんな近接武器もってんの!?」

「武器ではありません。ただのマグロ解体用の包丁です」

「どっちにしろ凶器には違いねェだろうがあああああっ!! っていうかタダ食いしただけで普通ここまでするかっ!!?」

「当店の経営方針です。盗人の腕は切り落として償わせます」

「なにそのハムラビ法典んんんんん!!」

 

 間宮は銀時と会話しながらもゆっくりと間合いを詰め、包丁?を担ぐように構えなおす。

 

「では……その腕置いてけえええええっ!!!」

「いやあああああああああっ!!!」

 

 間宮は猟奇的な笑みを浮かべながら、包丁?を振りかざして銀時に襲いかかる。銀時は情けない悲鳴を上げながら逃げまどうしかなかった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 洋上を航行する輸送船の甲板の上で、電は西日のオレンジ色に顔を焼かれながら海を眺めていた。護衛任務は電も何度か経験しており、大半が海とにらめっこする非常に退屈な時間となる。もちろん監視を怠れば自分もろとも護衛対象や味方を危険にさらすので流木一つ見逃さない気持ちでいつも臨んでいた。

 ただ、今回ばかりはどうしても身が入らない。そもそも、本土近海でさしたる危険はないということや、護衛するには目の数が足りなさ過ぎるということではない。海を眺めていると頭の中で様々なことが渦巻いてしまうからだ。

 今後の自分の行く末や迷惑をかけた提督、己の身を案じてくれた姉妹、それこそ挙げていけばきりが無かった。そして電のもっとも心に重くのしかかっていることに考えが及ぶと、思わずため息が漏れる。

 

(なんにしろ、深雪ちゃんは許してくれないですよね……?)

 

 周りからは事故だからしょうがないと励まされこそしたが、自分が引き起こした事故だ。今も昏睡状態にある深雪のことを考えると、電は自分を責めずにはいられなかった。

 

(どうごめんなさいすればいいのか分からないのです。そもそもそんな機会が来てくれるのでしょうか……?)

 

 電が甲板でたそがれていると電子音が耳を打ち、意識が現実に呼び戻される。無線の呼び出し音だと気付くと慌てて受信ボタンに手をやる。

 

「こちら電、どうしたの――」

『電っ! 頼むっ! 金貸してくれエエエエッ!』

「はわっ!?」

 

 若干食い気味に金の無心をしてくる銀時に、電は困惑を隠せない。

 

「な、なにがあったのです?」

『文無しで間宮の甘味食ったら殺されかかってる! おまえ給料それなりに貰ってんだろ!? 頼む! でないと銀さん片腕持ってかれちまう! 明日からシャンクスになっちまう!! 赤髪じゃなくて白髪海賊団率いることになっちまうよオオオオオっ!』

「……なにやってるのですか?」

『頼むっ!! もうお前だけが頼りな……え? 子供から金借りて恥ずかしくないのか? しゃーねーだろ! ねー袖は振れねーんだよ!! 大体オメーもちょっとタダ食いしただけでケチケチし過ぎなんだよ! 俺の引越し祝いってことにしてサラッと流せる度量もねーのか!?』

 

 電はスピーカーの向こうで間宮を相手にギャーギャーと喚く己の司令官の声を聞いていると、電は先ほどまで悩んでいた自分が段々バカらしくなってきた。

 

「ハァ、まったく人の気も知らないで……ん?」

 

 電は呆れたように目を逸らすと、ふと海の様子に目が止める。夕焼けに目を細めながら欄干から身を乗り出すようにジッと目を凝らす。電の乗る船から少し離れた海面が、沸騰するようにボコボコと泡立っていたのだ。

 電はそれが何を意味するのかに気付くと、慌ててインカムを押す。

 

「こちら駆逐艦電! 緊急! 緊急なのです!」

「イヤイヤ緊急事態はこっちだよ!? もうすぐそこに甘味の主が迫ってんだよ!!?」

「そんな場合じゃないのです!」

 

 危機感のない銀時に電は一喝すると、インカムを押す指に力を込めながら報告する。

 

「我、敵艦見ゆ! 我、敵艦見ゆ、なのです!!」

 

 電が叫ぶのとほぼ同時に海を割ってソレは躍り出た。

 黒々としたクジラを思わせるフォルムだが、生気を感じさせない青白い眼光が周囲を威圧する。おどろおどろしい歯が上下に並んだ口が開かれると、その隙間から伸びる1門の大砲が見るものを恐怖させる。

 

 今まさに深海棲艦が電の乗る船に狙いを定めようとしていた。

 




教えて!! 銀八司令

銀時「ハイ、と言う訳で唐突に始まりましたこのコーナー。司会の坂田銀時と」
電「電です。よろしくお願いします」
銀時「えー、これからシリアス全開の戦闘パートに突入するっていうのに、急にこんなコーナー挟んできやがって。空気読めよ作者コノヤロー」
電「はわわ!? コーナー自体を否定してはダメなのです!」
銀時「まあ、この駄文書いてる理由はいろいろあるんだが、一番大きな理由を言うとだな……」
電「言うと?」
銀時「作者がシリアス疲れした」
電「自爆なのです!」
銀時「もともと銀魂と艦これのクロスオーバーのギャグネタが浮かぶから、ネタ帳にある程度溜めたところまではよかったんだよ。そしたらよ? 肝心の導入部分を全く考えてねーのにスタート切りやがったんだよ? あのバカ」
電「だから投稿がこんなに遅くなってるのですね……?」
銀時「リアル残業が多くて進められないのもあるけどな? そんなフワフワ設定で話書くから、3話目にしてとんでもないシリアス設定ブチ込みやがったから目も当てられねェよ」
電「艦娘の設定と電の過去がものすごく重いのです」
銀時「つーわけだから、ココではシリアスなしのギャグオンリーでグダグダと話を展開しまーす」
電「作者の心の平穏を保つためにご協力くださいなのです」
銀時「ゆくゆくは読者からの質問や感想を取り上げたりするつもりだったんだが……早速、緊急事態発生だ」
電「このコーナー書いてる間に質問が来てしまったのです……」
銀時「今回はコーナーの説明だけにするつもりが、秋イベやってる間に来ちまうとか想定外過ぎんだろ?」
電「嘆いていても仕方ないのです。とっととやるのです」
銀時「しゃーねーな。ペンネームていおさんからの質問。『装備すると全能力が1上がる眼鏡(新八)は出ますか?』。えーズバリお答えします。出ます。チョイ役で」
眼鏡(新八)「どんだけえええええ!! っておいいいいい! 名前逆だろおおおおっ!!」
銀時「あー新八。出てきて早々ワリーけど、そろそろコーナー終わるわ」
新八「ええッ!? 何でですか!? まだ、名前の部分しか突っ込めてないですよ!!?」
銀時「作者このコーナー1000字以内で収めるって決めてるんだわ」
新八「ええええっ!! ちょっとそんなのって――」
銀時「じゃあ今日はここまで。新八は本編でも顔出すから、ていおさんは楽しみにしててねー」
電「またなのです!」
新八「ちょっと! まだ全能力プラス1の所突っ込めてないんですけ

―終―


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