やはり俺の真っ白生活は間違っている。 (red garden)
しおりを挟む

とある男子高校生だった話。

 

 

 

 

俺、黒石(くろいし) 藍月(あづき)は普通の学生生活を送っていた。

いや、彼女なんてできない味気ないものだったが。

それでも、漫画やアニメの話で知り合いと盛り上がったり、割と楽しい日常だった。

 

 

子供を庇ってトラックに轢かれるという、まるで漫画のような終わり方をしてしまうけれど…

 

 

どうやら、運が悪いことに即死できなかったらしい。

視界の中は俺が流したであろう血。血。血で染まっていた。

不思議と痛みはない。人間許容できない痛みはシャットアウトするっていうのは本当だったらしい。

 

庇った女の子が泣いている。

せっかく助けたのに泣かれていてはこっちの締まりが悪いな…

クソっ、だんだんと感覚が鈍くなってきた…

 

目の前にいる子が笑ってくれるように、俺は精一杯笑って、動かない体にムチを打った。

傷だらけの腕を上げ、頭を数回撫でる。

なんだか、体がさっきから熱い。

 

泣き止んで欲しかったのに、さっきよりもこぼれる涙が増えてしまっている。

助かった奴が泣いて、助からない奴が笑っている。

なんだかおかしい状態だな、と笑いたい俺とは裏腹に意識はだんだんと遠のいく…

今度はなんだか寒くなってきた…

 

意識が落ちる前、最後に見えた女の子は

真っ赤な水たまりの中、真っ白なその肌を血で紅く染めていた。

最後までその薄赤色の瞳からガラス玉をおとしていた。

その姿がなんだかとても美しいと思った。

 

 

そして全てが真っ黒になった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の中、そもそも本当にここが暗闇なのかわからない中で

漂ってるのか落ちているのか…はたまた回っているのか…

そんな訳の分からないこの世界がずっと続くのかと思った…

 

 

 

 

 

そんな矢先に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然光の中に出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事故の後目を覚まして17年経った。今は前と同じ高校生だ。

名前は天月(あまつき)緋惺(ひせい)になった。

ものすごく簡単に言うとTS転生だ。

前世まで男だった俺は、気づいたら、かわいいかわいい女の子になっていたってわけだ。

前世の知り合いが知ったら大爆笑だろう。

それでも別段困っているわけではない。

両親はとても優しいし、別に魔法とか異能力とかが蔓延る世界ではなかった。

ただ、女の子らしい言動ができず、両親には色々悩ましてしまったが今では普通に接してくれる。

 

「そろそろ学校に行く時間じゃない〜?」

 

1階で母がそう言った。

 

「わかったー!」

 

そう言って日焼け止めを塗り俺は制服に着替え始める。

 

小さい頃は女の子の体に戸惑ったが、今では少しは慣れた。

それでも、トイレは人気のない場所を使ったり、着替えは端っこで回りを見ないように着替えているが。

別に気にしなくてもいいのかもしれないが、なんだか中身が男なので申し訳なく感じるのだ。

スカートはいまだに恥ずかしいが制服なので我慢している。

 

一通り着替え終わり、ブレザーを着て部屋を出る。

1階に降りてリビングにいる母に声をかける。

 

「それじゃ、行ってくるね」

 

「はい。いってらっしゃい」

 

母はこちらを見て優しく微笑んでそう言った。

そして玄関で靴を履き、最後に玄関の姿見の鏡で身だしなみをチェック。

 

「行ってきまーす」

 

カバンを背負いそう言った。

 

最後に、自分で言うのもあれだが、私は美少女だ。

肌は真っ白、髪もまつげに至るまで真っ白、白くないのは真っ赤な瞳だけ。

胸は無いすらっとしたスレンダーな体形。

 

 

神様のイタズラか、助けた少女と同じ姿として転生しました。

 

 

 

 

 

 

 




のんびりと書いていきます
よろしくお願いします


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作介入か?

 

 

 

登校中にこの体のことと今までのことを軽く振り返るか。

 

まずこの体は先天性白皮症に非常に似た症状のものらしい。

世間的にはアルビノと言った方が伝わりやすいのかもしれない。

 

転生特典なのか先天性白皮症としての症状はほとんど出ていない。

ほかの人より少し日に弱く、細かい文字を読むときは眼鏡を掛けなければならないぐらいだ。

本来の先天性白皮症は日焼け止めではカバーしきれないくらい日に弱くなり、目もサングラスを掛けて直射日光を避けたりと様々な対応が必要だったらしい。

あと、これはアルビノとは関係のないことだが、体が少しだけ弱いことぐらいだ。

俺は前世で健康的な男子高校生だったギャップで無理をしすぎてしまうことがある。

そのため、定期的にぶっ倒れていた時期もあった。

倒れるたびに両親に迷惑をかけてしまったな…

 

外見はかなり整っている。

自分としてはかっこいい感じの顔立ちだと思う。

 

「あなたいつもかっこいいって言われるけど、寝てるときの顔はとってもかわいいのよ?」

 

と母親はいつもそういってくるが…

髪の毛は伸ばしている、せめて見た目は女の子っぽくと思ったからだ。

もう少しで腰にまで届きそうな長さだ。

体を動かす時はヘアゴムで纏めるが、基本はそのまま流してストレートにしている。

身長は169と女性にしてはかなりの高身長に育った。

手足もすらっとしていてる、俗にいうモデル体型という奴だ。

 

小中学校では見た目や言動のせいでよく突っかかられた。

そのたびにこちらもやり返していたからなぁ…

さっき言った定期的にぶっ倒れていたっていうのはこれだ。

おかげで喧嘩はまぁまぁ強いぞ、すぐ倒れるけど。

 

親はそういう環境が原因で男っぽくなったと思ったらしく、以前泣きながら謝られたこともあった。

そのため、高校は保健室登校ということを条件に通わせてもらっている。

 

高校の名前は総武高校。前世で何度も聞いた有名ライトノベルに出てきた高校だ。

さらには、同学年には雪ノ下さんという有名人がいたり、先生には独身の平塚先生という人がいたりと明らかに俺ガイルの世界だが…

まぁ俺自体はアニメの1話しか見ていないにわかなんだけどな。

関わりたくないわけではないが、関わらなくていいならそっちの方がいいだろう。

直接的な関わりは未だに無いまま2年生に進級したし。

 

 

 

 

―――――そんなこんなで学校に着いた。

 

登校時間をずらしているため、保健室までの道のりですれ違う人はいない。

そうして、いつも通りのあいさつをして保健室に入っていく。

 

「おはようございまーす!」

 

 

 

「ああ、おはよう天月」

 

俺の声に答えたのはいつもの養護教諭…ではなかった。

 

そこにいたのは平塚先生、俺ガイルで見た先生のまんまだ。

どうやら、関わりを持たないのも今日でおわりかもしれないなぁ…

でも、なんで平塚先生が?と思っていると顔に出ていたらしい。

 

「ん?なんで私がここにいるのかって?」

 

平塚先生は一つため息をついて続けた

 

「わっかていると思うがお前のことだ、天月。これに見覚えはあるだろう?」

 

平塚先生は白衣のポケットから紙を取り出し広げて私に見せた。

どうやら紙に書いているのは去年1年間のテスト結果だ。

最初の頃は平均点を取っていたが、だんだんと落ちてきていて最後のテストでは赤点を何個もとっている。

何を隠そう私の成績だ。

 

保健室に通っているため勉強は自習が中心になっている。

もともと頭はいいわけではないので、どんどんと成績が落ちてしまったのだ。

 

「あ、あは、あはは~~」

 

笑ってごまかそうと試みる。

はぁーっと先ほどよりも深いため息をつく平塚先生。

 

「笑い事では済まないぞ天月、このままいけば2年から3年の進級は厳しいぞ?」

 

やっぱり笑い事では済まないらしい。

 

「えーっと、俺はどうすれば…」

 

これは困ったな…と内心冷や汗をかきながら尋ねる。

 

「そう。そこでだ、天月」

 

そして平塚先生はニヤリと笑った。

 

「な、何ですか?」

 

俺は嫌な予感を感じ少し後ずさる。

 

「奉仕部に入りたまえ」

 

やっぱりそうですかぁ………

 

 

 

 

 

平塚先生が言うには奉仕部には成績がとてもいい生徒がいるらしい。

だから奉仕部に入部し部活動をしながら、空いている時間に勉強を教えてもらえということらしい。

これ間違いなく雪ノ下さんのことだわ。

加えて、人間関係を少しづつからでいいから増やしていきなさいとも言われた。

最後に、ぼそぼそっと問題児が増えるなら一変にしてしまった方がいいからな…とも呟いていた。

 

すいません…ご迷惑をおかけして…

まぁ俺自身そろそろ成績をどうにかしたいとも思っていたしちょうどいい。

俺は二つ返事で了承した。

 

 

 

 

 

「では、また放課後迎えに来る」

 

「了解しました」

 

一通り説明をすると、私にふらふらと手を振りながら平塚先生は去っていった。

 

 

原作キャラとの邂逅かぁ…

うーん…緊張するなぁ…

 

 

 

 

 




ゆっくり頑張ります


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

目の腐った少年との邂逅。

 

 

 

 

さて放課後。

そろそろかなぁ…と思っていると、扉の外から話し声が聞こえてきた。

なんで保健室のほうに…とか、いいから黙ってついてきたまえとか聞こえてくる。

平塚先生以外に誰か前世で聞いたことのある男の声が聞こえる。

誰だったかなぁ…と悩んでいると

 

ガラガラッと扉を開けて平塚先生が入ってくる。

 

「入るぞ、天月」

 

「そういうのは、入る前に言うものなんじゃないんすか?平塚先生」

 

「ん?別に構わんだろこのくらい」

 

そう言ってまったく気にしていない平塚先生。

まぁ、この人に言っても直さないとは思っていたけどな。

 

「それじゃあ、奉仕部に向かうぞ。ありがとうございました五十嵐先生」

 

五十嵐先生とは養護教諭のことだ。

彼女は踵を返し廊下に出ていく。

俺も五十嵐先生にお礼を言い、カバンを背負って追いかける。

廊下には平塚先生のほかに目の腐った猫背の青年が立っていた。

誰かいるとは思っていたがまったく気配がしなかったからぎょっとする。

その青年も私の姿を見るとぎょっとした顔をして数秒間私の顔や髪をまじまじと見た。

俺が首をかしげ見つめ返していると、さっと目を逸らした。

やはりこの姿は初対面ではインパクトが強いらしいな。

 

「ああ、言っていなかったな天月。こいつは比企谷、これから長い付き合いになるだろう生徒だ」

 

平塚先生は立てた親指をくいっと彼に向ける。

 

「うっす、比企谷 八幡です」

 

彼は目も合わせずそう言った。

 

予想はついてたがやっぱりそうか…とか

目を見て話してくれないかなぁ…とか

マジでまんまコミュ障だなぁ…とか内心で思いながら口を開く。

 

「天月 緋惺です、ひせいと言いづらかったらひせーと伸ばして読んでください。」

 

俺は頭を軽く下げ

 

「ところで、比企谷さんって同学年ですよね?」

 

首をかしげて尋ねる。

 

彼は頷いた。

 

「なら敬語は無しにしません?」

 

「ま、まぁそっちがいいなら…」

 

彼は俯きながらぼそっと言った。

 

「よし、それじゃあよろしくな八幡!」

 

俺はそう笑いながら右手を出す。

やっぱりいつも通りのほうが楽だ。猫を被るのは疲れる。

 

「お、おう」

 

比企谷は若干引き気味に俺の右手をまじまじと見ている。

引かれたことにショックを覚えつつ、

こんないきなり態度変わったらそうなるかと自分で納得する。

 

そして、俺の手は空中で独りぼっち。

…こいつ、もしかしなくても握手する手だとわかっていないな?

 

「そーい!」

 

「うおっ!」

 

俺は比企谷の腕をポケットから引き抜く。

そして比企谷の手と自分の手を重ねて握手をする。

 

「これから付き合いも長くなると思うし、仲よくしようぜ?」

 

おっ、やっと目が合った。ヘヘッと自分の口から笑いが漏れるのを感じる。

彼はちょっと嫌そうな顔をしている。

本当にこんな反応するんだなと感心するが、

さすがに今のはちょっとむっと来たぜ。

仕返しを思いついた俺はニヤリと笑い

 

「あと、もっと女の子のお尻や胸、脚を見るのなら気を付けたほうがいいぞ?」

 

 

 

中身が男だからって自分に向く視線は気付くもんだぜ?比企谷。

 

 

 

 

 

 

 

彼は数秒間固まった後、顔を青くしながら

 

「い、いや見てない。断じて見てないから通報とか勘弁してくださいお願いします!」

 

そう言って勢いよく頭を下げた。

 

「ぷっ、あははっ!はははははは!」

 

俺はそんな姿が妙にツボに入ってしまい笑いが止まらなくなる。

からかわれていたことに気付いたんだろう。

比企谷は頭を上げた、その顔は握手した時よりも嫌そうな表情が張り付いていた。

 

 

 

 

 

 




頑張ります


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

からかい過ぎはよくない。

 

 

 

 

 

「さて、親睦も深まったようだし向かうぞ」

 

一部始終を眺めていた平塚先生はそういって歩き出した。

俺は追いかけながら比企谷に謝る。

 

「悪かったな、からかって」

 

「いや、別に気にしてn」

 

「でも八幡だって悪いんだぜ。人と握手して嫌そうな顔をするんだから」

 

言葉を遮る形で俺はそう言う。

きっと悪戯が成功した子供のような悪い顔をしているのだろう。

 

「お前がどんなやつかわかったわ…」

 

比企谷は額に手を当てそうぼやいた。

 

「そいつはありがたい。あと…」

 

そこで俺は言葉をとめ立ち止まる。

 

「あと…なんだ?」

 

 

 

「俺は別に気にしないぜ?」

 

スカートの端を持ってひらひらさせる。

 

 

「っそれも冗談か…?」

 

比企谷は頬を少し赤く染め、目を逸らしながら聞いてきた。

ただ、やっぱり視線がちらちらとスカートを見ているのがわかる。

 

「さぁ?どうだろうな?」

 

俺はそういってまた歩き出す。

まぁ別に中身が男だからな、下着や裸を見られたりとかしなければ気にしない。

胸や脚を見てしまう気持ちもわかるしな。

 

…ただ、ちょっと今のセリフは恥ずかしかったな。

 

「なら俺からも一ついいか?」

 

そんなことを思っていた俺は歩きながら後ろ向きになり、比企谷の方を見て首をかしげる。

 

「言った後に恥ずかしがるくらいなら言わないことだな」

 

比企谷はニヤリと笑いそう言った。

 

「んなっ」

 

いくら中身が男だからって図星を当てられたら言葉に詰まる。

 

「ほら、その証拠に耳が赤いぞ」

 

重ねて指摘され顔まで赤くなる。

嘘だろ!?そんなに顔に出やすかったか!?

どうでもいいけど、顔が赤くなってるって自分で自覚するとさらに恥ずかしくなるよね。

 

「そ、そんな訳ってうわぁあ!」

 

後ろ向きで歩いていたせいか、はたまた動揺したせいか尻から転んでしまう。

痛い、こんなマヌケな転び方小学生振りだ。

あ、俺今女の子の体だったわ。まずい…痛みで反射的にちょっとうるっと来てる。

 

「フンッ」

 

転んで涙目の俺の横を助けようとせず、鼻で笑い通り過ぎる比企谷。

あの野郎、俺もからかいすぎたとはいえ…!

助けられたら助けられたでちょっと困ったけど…

 

「ま、まぁ今回はこの辺で痛み分けだ」

 

ちょっと鼻声の俺はそう強がり、目を擦る。

そして、スカートについた汚れを払って立ち上がり追いかける。

 

ただ…なんていうか…その…

こんな風に遠慮の無いやり取りみたいなのが、こっちの世界に来て喧嘩以外久しくなかったから。

やっぱこういうのも悪くないかな、なんて思った。

 

 

 

おそらく奉仕部部室であろう部屋の前に着いた。

 

 

 

 

 

…雪ノ下さんって結構癖のある人だったような?

大丈夫かなぁ…?

 

 

 

 

 

 




お話がなかなか進みません…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

腐った目から見た白い彼女。

感想ありがとうございます
とても励みになります

今回は比企谷視点となっております


 

 

 

 

 

平塚先生にレポートの件でお説教を食らった後。

俺は平塚先生を追いかけて職員室から出た。

ついてこいと言った平塚先生はどうやら保健室に向かっているようだ。

そう言えばうちの高校の七不思議の一つに保健室があったな…

教室で寝たふりをしている時、聞いた話だが。

保健室に出る真っ白な幽霊だったか…

そんなことを考えながら、俺は尋ねる。

 

「奉仕活動って保健室での手伝いかなんかですか?」

 

「いや、違うぞ」

 

平塚先生はこちらも見ずに歩きながら答えた。

結果は謎がさらに謎を呼んだだけだった。

 

「じゃあ、なんで保健室のほうに…」

 

「いいから黙ってついてきたまえ」

 

平塚先生は謎を解明させてくれない。

そんなことを言い合っていれば、気付けば保健室の前。

ガラガラッと扉を開けて平塚先生が入っていった。

中から入るぞ、平塚先生の声。

そして、そういうのは入る前に…と答える少女の声。

あ、これしばらく出てこなければ逃げられるんじゃね?

と思っていると、平塚先生に続いて一人の少女が保健室から出てきた。

 

 

ぎょっとした、たぶん顔にもでてしまっただろう。

まぁそれは向こうも俺に気付いてぎょっとしたしお相子だろう。

ていうか俺なんかしました?初対面の人にぎょっとされるほど何かしました?

 

まずその少女は高校生にしては大きかった、平塚先生とほぼ変わらない身長だ。

すらっとしていてどちらかと言えばスレンダーな体形、平塚先生とは違い胸もスレンダーだ。

ただ俺が驚いたのはそんなことではない。

その少女が美少女、しかも真っ白な美少女だったからだ。

肌も血が通っていない幽霊なんじゃないかと思うぐらい、髪の毛の先や睫毛にいたるまで白い。

そんなことを思いながら彼女の人形のような顔をまじまじと見てしまっていた。

彼女の唯一白くない真っ赤な瞳が、こちらを見ているのに気づく。

さっと目を逸らす。

うっわガン見してるの気付かれた…これ絶対キモイと思われたよ…

 

そんな風に目と心を腐らせていると平塚先生が俺を指さす。

 

「ああ、言っていなかったな天月。こいつは比企谷、これから長い付き合いになるだろう生徒だ」

 

「うっす、比企谷 八幡です」

 

俺は目も合わせずそういった。

 

天月(あまつき)  緋惺(ひせい)です、ひせいと言いづらかったらひせーと伸ばして読んでください。」

 

天月は頭を軽く下げ

 

「ところで、比企谷さんって同学年ですよね?」

 

首をかしげて続けるように尋ねきた。

俺は質問の意図がわからなかったが頷いた。

 

「なら敬語は無しにしません?」

 

彼女は大人しそうに見えて、まるで男同士のようにぐいぐいくる。

 

「ま、まぁそっちがいいなら…」

 

俺は勢いに押されてか、そう答えてしまった。

 

「よし、それじゃあよろしくな八幡!」

 

天月は男らしく笑いながら右手を出しそう言った。

 

「お、おう」

 

いきなりさっきよりも勢いの増した天月に若干引き気味になる。

いや、いくらなんでも急に変わりすぎだろ…なに?多重人格?

あとその手は何の手だ?

俺みたいなボッチに美少女がよろしくするために握手を求めることなんてない。

どうせこの手を握ろうとしたところで

 

「えっ何?本当に握手してもらえると思ってたの?ばっかじゃないの~キャハハ」

 

とからかわれるに違いない。

ふっ、百戦錬磨のプロボッチを舐めないことだな。

 

「そーい!」

 

「うおっ!」

 

ポケットに入れていた右手を天月に引き抜かれ、さらに彼女の手に重ねられる。

女の子特有の柔らかい手に心臓が跳ねる。

 

「これから付き合いも長くなると思うし、仲よくしようぜ?」

 

そんなことを言われ天月のほうを見てしまう。

目が合った彼女はヘヘッと口から笑いを漏らした。

そんな彼女の顔を見ながら、この先面倒くさいことになると本能が告げる。

そんな俺の心情を読み取ったのか彼女は少しむっとした顔になった。

そして何か思いついたかのような顔をした後ニヤリと笑い

 

「あと、もっと女の子のお尻や胸、脚を見るのなら気を付けたほうがいいぞ?」

 

天月はそういった。

 

 

 

 

 

 

 

俺の中の時間がようやく動き出す。

すでに顔面から血の気は引いている。

人に弱みを握られたときに俺のとる行動は一つ…!

 

「い、いや見てない。断じて見てないから通報とか勘弁してくださいお願いします!」

 

そうまくしたて頭を下げる。

通報され社会的に終わるぐらいなら靴でも何でも舐めたほうがましだ。

俺は頭を下げたまま犯した罪の宣告を待つ。

 

「ぷっ、あははっ!はははははは!」

 

顔を上げると彼女は腹を抱えて笑っていた。

どうやら俺はからかわれていたらしい。

…絶対に許さないリストに天月の名が刻まれるのはそう遠くない未来かもしれない。

 

 

 

 

 

 




明日投稿できないかもしれないです
楽しみにしている方がいらっしゃいましたら
すみません


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

腐った目からみた赤い彼女。

思ったよりも時間が開いていたので投稿できました

今回も比企谷視点の続きです


 

 

 

 

 

「さて、親睦も深まったようだし向かうぞ」

 

一部始終を眺めていた平塚先生はそういって歩き出した。

天月は追いかけながら俺に謝ってきた。

 

「悪かったな、からかって」

 

まぁ実際見ていたわけだし俺にも非があった。

 

「いや、別に気にしてn」

 

 

「でも八幡だって悪いんだぜ。人と握手して嫌そうな顔をするんだから」

 

俺の言葉を遮るように天月はそう言った。

その顔には悪戯が成功した悪ガキのような笑顔が張り付いていた。

 

「お前がどんなやつかわかったわ…」

 

子供っぽくて、男っぽくて、それでいて自分のやりたいことをする。

だんだんこいつの性格みたいなのがわかってきた気がした。

 

「そいつはありがたい。あと…」

 

そこで天月は言葉をとめ立ち止まった。

止められた言葉の続きが気になり、彼女のほうを見る。

 

「あと…なんだ?」

 

 

 

「俺は別に気にしないぜ?」

 

そう言って彼女はスカートの端を持ちひらひらさせた。

 

「っそれも冗談か…?」

 

クッソ、そういうの反則だろ…

目を逸らそうとしても揺れるスカートを無意識的に追いかけてしまう。

 

「さぁ?どうだろうな?」

 

天月はまた俺をからかうだけからかって歩き出す。

…さすがにさっきから、やられっぱなしでは黙っていられない。

あれだけからかわれたんだ、やり返しても文句はあるまい。

撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだとどこかのルルーシュさんもいっていたしな。

そして、俺は反撃にでる。

 

「なら俺からも一ついいか?」

 

天月は歩きながら後ろ向きになってこちらを見て首を傾げた。

 

「言った後に恥ずかしがるくらいなら言わないことだな」

 

俺はニヤリと笑いそう言った。

 

「んなっ」

 

やはり図星だったようで彼女は言葉に詰まった。

俺はこの隙を逃さないように畳み掛ける。

 

「ほら、その証拠に耳が赤いぞ」

 

先ほどから赤く染まっていた耳についても指摘する。

もちろん、そんなことを言われた天月は恥ずかしさで顔まで赤く染める。

真っ白な彼女にはその赤色がよく映えると思った。

 

「そ、そんな訳ってうわぁあ!」

 

後ろ向きという不安定な状態でなおかつ動揺すれば転ぶのは必然。

心身ともに不安定になった天月はお尻から転んだ。

ちっ、スパッツ履いてたのか。パンツ見えるかと期待したじゃねぇか。

そして、俺はおそらく痛みで涙目になっている天月の横を通り過ぎる。

 

「フンッ」

 

嘲笑の意味を込めた笑いも忘れずにな。

 

「ま、まぁ今回はこの辺で痛み分けだ」

 

ちょっと鼻声になった天月はそう強がり立ち上がる。

そして、俺と平塚先生を追いかけながらちょっと嬉しそうに笑っていた。

 

…転ばされて喜ぶとかこいつMなの?

 

そんなことを考えていると何の変哲もない教室の前に着いた。

 

 

 

 

 

---------------------------------------

 

 

 

 

 

天月 緋惺

 

誕生日

 

11月11日

 

特技

 

喧嘩

子供の相手

動物の相手

 

趣味

 

読書(ジャンル、媒体問わず気になったもの)

カラオケ

 

休日の過ごし方

 

読書

カラオケ

近所の子供と遊ぶ

近所の動物と遊ぶ

 

 

 

 

 

 

 




これが投稿されている頃、私は県境の山の中にいます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

どこまでも真っ直ぐな彼女との邂逅。

視点もどります


 

 

 

 

平塚先生はからりと戸を開け、教室に入った。

比企谷に続いて俺も中に入る。

教室には一人の少女が座って、本を読んでいた。

彼女が雪ノ下雪乃…確かにものすごい美少女だ、画面で見た彼女の何倍も美しい。

まるで、触れれば溶けてしまいそうな、そんな美しさだ。

 

彼女は文庫本にしおりを挟み顔を上げた。

 

「平塚先生。入るときにはノックを、とお願いしたはずですが」

 

雪ノ下、平塚先生はそんな忠告をしただけで変わってくれる人間ではないぞ。

 

「ノックしても君は返事をした試しがないじゃないか」

 

「返事をする間もなく、先生が入ってくるんですよ」

 

ほら見たことか。

彼女は先生の言葉に不満げな視線を送った。

 

「それで、そのぬぼーっとした人と彼女は?」

 

ぬぼーっという表現に吹き出しそうになった。

あぶない、あぶない。

 

「まず彼から説明しよう。彼は比企谷、入部希望者だ」

 

「2年F組比企谷八幡です。えーっと、おい。入部ってなんだよ」

 

彼のそのつぶやきから始まる3人のやりとりがしばらく続いた。

最初は笑いをこらえられたが、小悪党と言い出したあたりからこらえられなくなった。

信頼に値する小悪党ってなんだよ、あんなの笑っちゃうだろ。

知っているセリフでも、実際に聞くと違ってくるものなんだな。

 

「まぁ、先生からの依頼であれば無碍にもできませんし……。承りました」

 

雪ノ下がほんっとうに嫌そうにそう言いひとまず区切りがついた。

 

「そうか、それで今度は彼女の件だ。おい、天月。いい加減笑いをこらえろ」

 

そして話は俺のことにうつる。

 

「あははははっ、あ。っう、うん。すいません」

 

俺は笑いを止め、咳払いをして謝った。

 

「まったく…彼女は天月。彼女も入部希望者、そしてクライアントでもある」

 

「2年無所属、あっ席は一応F組にあるみたいです。天月緋惺です。よろしくお願いします」

 

俺は頭を下げた。

 

「彼女、成績がかなり悪いんだ。ただ本人があまり何とかしようとはしていなくてな」

 

先生は俺をちらりと見る。

 

「す…すいません」

 

俺はもう一度頭を下げた。本当すいません…ご迷惑かけて…

 

「そこで、天月に入部してもらい部活動を手伝う傍ら、空き時間には雪ノ下に勉強を見てもらおうと思ってな」

 

雪ノ下は顎に手をやり、少しの間考えたあと口をひらいた。

 

「そのような交換条件でしたら、私は構わないのですが」

 

そして、そこでいったん言葉を区切り俺のほうをちらりと見る。

 

「彼女、天月さんの成績はそこまでひどいものなのですか?総武高校に入学できているのですし、決して頭が悪いわけではないと思うのですが」

 

「いや、かなり悪い。このままいけば間違いなく、もう一度2年生をやり直すことになる」

 

説明を受けた雪ノ下は今度はしっかりと俺のほうを見る。

 

「天月さん、あなた授業中に居眠りでもしているの?最低限授業を真面目に受けていれば、進級を危ぶまれるほどの成績にはならないと思うのだけれど」

 

授業を引き合いに出された俺は返す言葉が見つからず、助けを求める意味を込め平塚先生を見る。

 

「彼女、訳あって保健室登校なんだ。そのせいで授業を受けられていなくてな、自習だけしかしていない」

 

「なるほど、わかりました。天月さんの件も承ります」

 

「よし、なら後は頼んだぞ」

 

平塚先生はそういって出て行った。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

笑いを堪えられない私を許してください。

 

 

 

「それで、あなたはどの教科が苦手なのかしら?」

 

雪ノ下はそう確認してきた。

 

「あ、うん。国語と社会科目、理科科目の暗記部分…」

 

「あら、それだけなら何とかなりそうね」

 

俺は申し訳なくなり頬を掻いた。

 

「それ以外全部かな…それも1桁ぐらい…」

 

雪ノ下さんが固まる。

 

「そ、それはとても深刻ね…思ったより状態はまずいみたいね」

 

後ろのほうは何を言っているかわからなかったが、どうやら戸惑っているみたいだ。

彼女は顎に手を当てしばらく考えたあと一つうなづき。

 

「私が面倒を見る以上、赤点は取らせないわよ」

 

こちらを真っ直ぐに見てそう言った。

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

頭を下げた。いや本当によろしくお願いします。

 

「とりあえず、しばらくは私が提示した教科書の範囲を自習できる時間にやってもらい、わからない部分などを放課後、私が空いている時間に教えるという方針でいきましょう」

 

俺は頷く。そういう方針ならありがたい。数学とか答え見ても、もう何が何だかわからないしね。

 

「まず今日は…数学の教科書を見させてもらえるかしら」

 

俺は鞄から教科書を取り出し渡す。

 

「ふむ…なら、明日までにここからここのページまでをやってきて頂戴」

 

彼女は平然とそう言うがなかなかの量がある。

別に時間がないわけではないが、家ではのんびりしたい。

詰まる所やることは一つ。

 

「今からやらせていただきます!」

 

俺は机を引っ張り出して指定されたページを解き始める。

おっと、眼鏡を掛けるのを忘れていた。

鞄からケースを取り出し眼鏡を掛ける、赤縁の一般的なデザインのものだ。

 

「よし、頑張るか」

 

数学は苦手科目の中でも、とくに嫌いな科目だ。

さっさとやって解放されたい。

 

 

 

 

さっそくわからん。

 

「天月さん、そこはここの公式を当てはめるのよ」

 

隣に座って雪ノ下さんは教えてくれる。

って近くないですか!?いや同性だから問題のない距離なんだろうけど…

こんなに可愛い娘が近くにいると、ちょっと落ち着かないな。

 

がるるるるーっ。

 

そんなことを思っていると比企谷が威嚇してきているのに気づく。

…へぇ、そうか。売られた喧嘩は全部買う主義だ。

俺も睨みを利かせ威嚇し返す。

 

ぐゔゔゔゔーっ!

 

「ヒィッ」

 

おっと怖がらせてしまった。

 

「…そんなところで気持ち悪い唸り声をあげてないで座ったら?それと、天月さんもそんな男にかまってないで問題を解いて」

 

「え、あ、はい。すいません」

 

「うぃっす」

 

絶対零度に当てられて比企谷は大人しく引き下がる。

そして、俺も大人しく引き下がる。

うん。彼女は怒らせたらいけないね。気を付けないとね。

俺は問題を解くのを再開する。

 

雪ノ下さんは、時折俺にアドバイスをしながら比企谷と言い争っている。

彼が奉仕部に歓迎されたり、国語学年3位という意外な高スペックさを傍目に聞いたりしていた。

臭いものだって自覚はあるのね、という雪ノ下さんの発言に笑ってしまったのは許してください。

鼻つまみ者だけにな、と言った比企谷の発言で、笑いが止まらなくなったのも許してください。

笑ったことが気に障るのなら謝ります。

だから、二人して怪訝な顔でこちらを見ないでください。傷ついてしまいます。

 

そして、静寂の中に俺の笑い声だけが響く。

そんな状況で平塚先生がドアを荒々しく開け、もう一度現れた。

 

 

 

 

 

------------------------------------------------------------------

 

 

 

 

 

      進路指導アンケート

---------------------------------------

              総武高等学校 2年 ―組

             ふりがな   あまつき ひせい

             氏名      天月  緋惺

             出席番号   ―       女

---------------------------------------

 あなたの信条を教えてください

---------------------------------------

 

              笑顔で、楽しく、自分らしく

 

---------------------------------------

 卒業アルバム、将来の夢なんて書いた?

---------------------------------------

 

                  看護師

 

---------------------------------------

 将来のために今努力していることは?

---------------------------------------

 

            人付き合いをうまくいかせる努力

 

---------------------------------------

 先生からのコメント

 

     あなたらしい信条でいいと思います。ただ、自分らしく生きるために

     勉強を疎かにされては困ります。勉強さえできれば、あなたならいい

     看護師になれると思います。人付き合いに関しては、あなたはもっと

     いろんな人とミュニケーションをとってください。

     それが一番の近道だと思います。

 

 

 

 

 

 




おもしろい文章が書けるように頑張ります


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

そして物語は始まる。

忙しくて遅くなりました、すいません


 

 

 

 

「雪ノ下。邪魔するぞ」

 

そう言って平塚先生は中に入ってくる。

 

「ノックを…」

 

「悪い悪い。どうやら、比企谷の更生に手こずっているようだな」

 

やっぱり気にしない平塚先生。

俺は平塚先生が入ってきたときに笑うのをやめたが。

ただ、勉強する気分でもないので中断してやりとりを見ることにする。

 

「本人が問題点を自覚していないせいです」

 

比企谷の場合、もはや自覚していて開き直っているレベルだと思うぞ…雪ノ下さんよ。

 

「そうじゃねぇよ。…なんだ、その、変わるだの変われだの他人に『自分』を語られたくないんだっつの」

 

「あなたのそれはただ逃げているだけ。変わらなければ前に進めないわ」

 

比企谷は譲らないし、雪ノ下はさっきからずっと刺々しい。

でも雪ノ下さん、さすがにいつもそんなに気を張ってたら疲れるぞ?

俺だったら半年も持たないね。

 

「変わるなんてのは結局、現状から逃げるために変わるんだろうが。逃げてるのはどっちだよ。本当に逃げてないなら変わらないでそこで踏ん張んだよ。どうして今の自分や過去の自分を肯定してやれないんだよ」

 

お、たまにはいいこと言うね。

ただ、そのセリフはちょっと俺に刺さるからやめてほしいな。

 

「…それじゃあ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない」

 

どことなく、怒気すら孕んでいそうな雪ノ下の言葉。

比企谷の言葉に嫌な顔をしていた俺はさすがに仲介に入る。

 

「まぁまぁ、落ち着いて雪ノ下さん。それに八幡もだ。これでお互いのことはなんとなくわかっただろ?」

 

俺は二人の間に割って入りながらそう言い、場の空気を和らげる。

 

「面白いことになってきたな。私はこういう展開が大好きなんだ。少年漫画っぽくていいじゃないか」

 

そんな中、平塚先生だけは一人だけテンションが上がっている。

 

「古来よりお互いの正義がぶつかったときは勝負で雌雄を決するのが少年漫画の習わしだ」

 

「「いや、何言ってんすか…」」

 

比企谷とセリフが被った。うっかり本音がこぼれてしまったみたいだ。

 

「つまりこの部で、どちらが人に奉仕できるか勝負だ!」

 

「強引すぎる…」

 

それにも同意見だぜ…比企谷。

なんで先生ってこう強引な人が多いんだろうな。

 

「勝った方が負けたほうに何でも命令できる、というのはどうだ?」

 

何でも命令できるといわれ、俺の中の男の血が騒ぎだす。

何でもと言われアレを想像しない男はいない。

 

「なんでもっ!?」

 

比企谷も例に漏れずそうらしい。心なしか興奮しているようにも見える。

 

「お断りします。この男が相手だと身の危険を感じます」

 

雪ノ下は後ずさり、自分の身体を抱えて防御形態だ。

 

「偏見だっ!高二男子は卑猥なことばかり考えているわけではない」

 

比企谷は高二男子を代表しそう言った。

 

「そうそう、あとは世界平和とかだけどな」

 

俺は頷きながらそう返した。

 

「なんで、そこであなたも納得したような顔をしているの。天月さん…」

 

雪ノ下は額に手を当て、あきれたようにため息をついた。

 

「さしもの雪ノ下雪乃といえど恐れるものがあるか…そんなに勝つ自信がないかね?」

 

「…いいでしょう。その安い挑発に乗るのは少しばかり癪ですが、受けて立ちます」

 

うわぁ…雪ノ下さん負けず嫌いだなぁ。

そのあえて乗ってあげますってところが可愛らしいな。

 

「決まりだな」

 

「あれ、俺の意思は…」

 

「君のにやけた表情を見れば聞くまでもあるまい」

 

比企谷のほうも問題なく参加するようだ。

なんだかんだで俺は勝負事が好きだから乗りたくなってきた。

 

「先生、俺は?」

 

「なんだ?君のことだからてっきり参加するつもりだと思っていたが、違うのか?」

 

なかなか分かってるじゃないですか、平塚先生。

俺はニヤリと笑って宣言する。

 

「もちろん、乗らせてもらいますよ。そして、勝負するなら勝つ!」

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。