【ダクソダンジョン】─快適な生活のために─ (古い底の王)
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第Ⅰ章 不死の訪れ
残念な主と、楽観的な灰


ある日のこと、いつものように亡者の連中を大剣の錆びにしていると、突然目の前が真っ白になった。

 

そして光が収まったとき、目を開けた私の前には

 

 

 

 

──土下座をしている青年がいた。

私が混乱していると、彼は

 

「突然お呼びして申し訳ございません!ここはあなた方が住んでいたところじゃないです!どうか僕を助けてください!」

 

 

──ふむ、訳がわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土下座を止めさせて落ち着かせて話を詳しく聞いたところ、どうやらここはロスリックではないらしい。

 

・彼は迷宮を作成して、管理する存在である。(以下ダンジョンマスターと呼ぶ)

 

・彼自身は死なないが、作るダンジョンがことごとく制覇されてしまうせいで、食事や睡眠どころか今日すむ部屋さえ設計ができていない。

 

・もうどうしようもないから異世界から凄腕の人を呼んでダンジョンアドバイザーをしてもらおうと考えた。

 

 

と言うことらしい。‥‥哀れというかなんというか。

大分可哀想だったし、私が元々すんでいた人外魔境を作れれば多分何とか成るかなーと思ったので引き受けた。

 

(侵入者がどの程度強いかを訪ねると平均的な侵入者のステータスを見せられた。ロスリックの羽騎士程度で熟練者といったところだ。)

 

彼に詳しい話を聞いてみると、この世界では亡者やらなにやらは一切いない(ってかスッゴいドン引きされた)がしかし、謎の力で侵入者達は死なずに町の教会で生き返るらしい。むしろロスリックより恐ろしいような気もするがこの世界では普通ということだ。

 

そして、この世界にはいくつもの種族がいて、それぞれの特徴をいかした職業についているということだ。

 

全くもってロスリックとは違うが、まぁ、こっちの世界の方が和気藹々としていて楽しそうだし、問題ない。

 

 

 

さて、彼の依頼を受けた以上完璧にこなしてこそ不死だろう。以前助けていただいた太陽戦士のかたも世界の主が一撃でも食らう前に主の敵を殲滅してこそ一流の白霊だといっていた。

 

という事で、ダンジョンについての詳細を聞いた。まとめるとこうだ。

 

・ダンジョンの壁や天井や床は基本的に壊れないが、わざと脆くしたり見た目を変えたりということはできる。

 

・罠や魔物はDP(ダンジョンポイント),LP(ライフポイント),MP(マジックパワー)で作成することができる。

 

・作成する魔物や罠によって消費量や比率は異なる。

 

・ダンジョンマスターが全力を振り絞れば異世界から召喚することができる。(基本的にランダムだが、所縁のある品があればある程度特定できる。)

 

というかんじらしい。大分やりやすそうだが、毎度毎度一月も持たずに攻略されてしまうようだ。

 

 

さぁ、では主と私の快適な生活のために早速この世界にロスリックを再現してやろうじゃないか。

 




灰の不死

右手 罪の大剣+5
暗月の長弓+5

左手 霊樹の盾+5
幽鬼のトーチ+5
裁きの大剣+5

頭 竜血の兜
胴 竜血の鎧
腕 竜血の籠手
足 竜血の具足

指輪 ハベルの指輪
賢者の指輪
カーサスの指輪
騎士の指輪



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第一階層 【灰の墓所】

感想で指摘があったんですが、インベントリの中には攻略で使うアイテムとか、余った武器防具、大量の矢が入ってます。

なのでこの作品で出てくるものはインベントリの中に全部入ってる(という設定)です。


早速居住スペースとダンジョンを作っていこうと思う。取り敢えずやはり最初ということだし灰の墓所を再現していこうと思う。

 

まぁ、端から見えた雄大なロスリックの高壁は流石に無理だが、第一階層を縦に深くして下の方に【スモークスネーク】という煙を吐き出す蛇を配置して雲の上っぽくした。

 

この蛇は戦闘力がほぼ皆無なため私のFP(なにやら、これがMP、LPの代わりに成るらしい)でわんさか召喚できた。

 

道自体も、簡単な坂道だしそこまで固くせずに少し崩れる程度にしたので節約できた。ここまでで、主が限界だといったので、取り敢えずグンダの代わりに私が仁王立ちして主の回復を待った。

 

その間に主には達人がいた辺りで休んでもらい、私は武器や道具の整理をした。

 

 

主が復活したので、亡者をどうしようかとかんがえていると、私を呼び出した影響で【グール】が楽に召喚できたため解決、私が持っていた絶対に使わないであろうローブやら【折れた直剣】、【クロスボウ】を渡してある程度打てるように訓練してから、適当な位置で死んだ降りをさせている。

 

凄く死体にしか見えないため、私でも死体かどうか判別できないほどだ。なお、インテリアとして本当の死体も配置している。こっちはDP(1日100Pほど手に入る。ダンジョンが広くなれば増える)で1Pで一ダースセットで召喚できた。まだ死んだばっかりの者は吸精を食らわして少し乾かす。

 

結晶トカゲはかなり悩んだが、【石喰らい】というヤモリの親戚みたいなやつに【結晶魔力の武器】をかけて、それに生き残ったやつに楔石を大量に食わせてそれっぽくした。

 

すると名前が【結晶喰ライ】になり、トカゲ野郎より格段に強い魔物に変化した。結果オーライとかいうやつだな。

 

【グンダ】だが、どうも、それっぽいのがいないため、強硬措置に出た。

 

まず【偉大な英雄のソウル】を錬成炉にぶちこむ。次にグンダの装備シリーズを出して錬成炉にぶちこむ。

 

これに【追うものたち】のスペルをかけて最後に【魅了】をかけた上で暗い穴を渡す。

 

これだけやって、【グンダの鎧を来た偉大な英雄の亡者】みたいなものを作った。

 

ちょっとハイになって【深みの加護】と【大魔法防護】もかけたらちょっと洒落になんない強さ(英雄グンダが無名の王の攻撃力でヨームの固さ)になった。これが出てきたら多分勝てない。二桁三桁死ぬかもしれない。

まぁ、これで安全が確保されたからよし。

 

という事で、取り敢えず様子を見てみようと思う。グンダが負けたときのために、完全武装で待機はしているが、これで大丈夫そうなら、さらに色々作ろうと考えている。

 

──さぁ最初の相手が入ってきたようだ。お手並み拝見といこうか。




グンダ擬き

見た目は完全にグンダだが、かけられた魔法となかに入っている【追うものたち】の影響で鎧の隙間から闇が漏れだしている非常に危険な見た目となった。

追い詰められると、人の膿ではなく【追うものたち】が吹き出してくる。【深みの加護】がなぜかこいつらにもかかったので多段ヒットで一撃の威力がそこそこという。強化車輪骸骨みたいになっている。

完全に倒すには、追うものたちを全て外に出した上で核となっている【偉大な英雄のソウル】を破壊する必要がある。

そこまでしても追うものたちがおってくるためほぼ確定で死ぬ。


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閑話 最初の挑戦者

 

「リーダー、狼の剥ぎ取り終わりましたよ!」

 

「ああ?遅すぎるだろ。」

 

「いやいや、この数は大変ですよ。丁寧にやったんで良いじゃないですか。」

 

「‥‥まぁ、いいだろ。良し、じゃ帰るぞ。」

 

「「オッス。」」

 

さて、Dランクの依頼は久しぶりだったが、無事に終わってよかったぜ。帰ったらそれなりの報酬に成るしな。いい加減酒場のツケ払っとかないとな。

 

そして、十分ほど森の中を歩いた頃、突然それは現れた。

 

「‥‥リーダー、あれって扉ですよね?この辺りにダンジョンありましたっけ?」

 

部下の声に首を横に振る。この辺りにダンジョンなんてなかったはずだ。この間この辺に来た連中もそんなことは言ってねぇ。ってことは

 

「新発見だな。よし、潜るぞ。」

 

「「了解です。」」

 

そして、俺たちは扉の中へ入っていった。

 

 

─────────────────────────

 

気が付くと暗いところにいる。箱みたいだが‥‥棺桶か?洒落にならん。

 

力を入れると蓋がずれたから思いっきり蓋をあげる。

蓋がずり落ち、外に出る。

 

‥‥立派な棺桶のなかにいたらしいな。帰りはこの中に寝転がれば良いのか?

 

出れねぇで騒いでた二人もふたを開けてやって辺りを調べる。見た目は墓場のようだが、いくつか蓋が空いてるな。先にはいった奴がいるのか、死霊系の魔物がいるのか。

 

取り敢えず先に進むと、なにやら死体が転がってやがる。‥‥怪しいな。

 

携帯している投げナイフをいくつか投げつけると、何体か起き上がってこちらへ走ってくる。手には折れた剣を持ってるな。

 

‥‥ちっ、後ろでクロスボウ打ってる野郎邪魔だな。

 

目の前に来た死体に蹴りを入れ倒し、斧で首を落とす。一通り終わったか‥「ぐぁっ!」

 

くそっ、しくじりやがったな。すぐさまクロスボウ野郎を殺して斥候の腕を見ると、傷口が焼けてやがる。火矢使うゾンビだと?なかなかめんどくせぇダンジョンだな。

 

傷口を治療薬で治療して奥へ進む。丁字路があったから右に曲がると、‥‥‥駄目だな。あの光ってるやつはかなり強そうだ。それに行き止まりだ。左にいくか。

 

 

そして左に進んだ一行の目にはいったものは‥‥

 

「‥‥なんだこりゃ」

 

広大な自然と、いったいどれ程の高さがあるかもわからねぇ道だった。

かなり綺麗だ。だが、この先はヤバイな。崖下を除きこむと雲海が見える。

 

──おいおい、流石に高すぎるだろ。

 

何回か戦闘もあったが、落ちないように山側で戦闘する。一匹足を滑らせて落ちた奴がいたが、落ちる音が聞こえなかった。

 

それのせいで、二人とも完全にびびってやがる。

 

その後、その先は広場となっていた。‥‥いや、違うな、この雰囲気は‥‥!

 

ガガァン!

 

見ると入ってきたところに妙な壁ができて、広場の中心には人間とは思えねぇ大きさの鎧が斧槍を構えてやがる。

 

──ここは【広場】じゃなくて【闘技場】か。

 

 

かなり強そうだが仕方がねぇ。斥候に投げナイフを投げさせようとしたところで──身の危険を感じて屈む。

 

ゴゥン!

 

‥‥風切り音がして、二人のからだが消える。一撃で‥‥いや、あの距離を一瞬で縮めやがった!

 

驚愕した俺がそいつに斧を構えようとしたとき、

 

ゴゥン、ダンッ!

 

俺のからだが二つに割れて、俺は町へ戻っていた。

 

‥‥なんだあの化け物は。こうしちゃいられねぇ。ギルドに報告しねぇとダメだ。あれはヤバイ。

 

そうして、俺は二人を取っ捕まえて、ギルドへの道をかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「楽勝だったな。」

 

「凄いです!一撃でしたね!」

 

こうして、【強化された英雄グンダ】の初戦は完全勝利で幕を閉じた。

 




亡者

正しくは【グール】という魔物だが、灰の召喚された影響で、白く、素早くなっている。しかし、攻撃力や知能は低いためそれほど脅威でもない。


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第2階層 【ロスリックの高壁】

この世界についての補足ですが、ざっくり言えば

NPCも復活するMMORPGの世界

です。物語が進むにつれて、世界も進んでいきますので、そちらは閑話でボチボチ進めようかと思います。


「よし、やっぱりあのグンダに勝てるのはあんまりいなそうだね。」

 

「そうですね、あんなに強い方はかなり少ないと思います!」

 

はじめての侵入者を二撃で倒すグンダの姿は彼らを安心させるにはバッチリであった。

とはいえ、灰は自分の経験から、どれ程強かろうと、挑み続けることでいつかは勝てることを知っていた。

それ故慢心をしない。

 

「それで主人、召喚っていうのはできるのか?」

 

「ええと、‥‥出来ますが、今の力の総量からするとそこまで強力な方は難しいかと‥‥」

 

「そうか、なら第2階層でも作ろうか。」

 

「そうですね、第2階層があれば限界が上がるので何とか成るかもしれません。」

 

 

という事で第2階層を作ることになった。不死の記憶のなかでは次に行ったのは【ロスリックの高壁】であるが、彼処へは篝火の火の記憶を使った転送で行った。

 

篝火は挑戦者に有利になるし、こちらの世界で作るのは不可能だ。材料が足りない。

 

そのため、本来ならば祭祀場へと続く道だが、達人が待っていたところに昇降機をつくり、そこから高壁の上へと行くことが出来るようにした。

 

その配置を練りに練った結果、灰の墓所からは実際のロスリックのように、高壁の端が見えるようになっている。

 

さらに、ロスリック市内の再現に入ったが、灰の墓所の亡者達は簡単にやられてしまい、侵入者たちがほぼ無傷であったことから、【ロスリック騎士】や、【羽騎士】を、ある程度増やした。

 

そして、本来ならば城内にしかいなかった【ロスリック司祭】を配置することで、より凶悪な難易度にした。

 

 

さらに、【灰の墓所】に数人のロスリック兵士を配置することで灰の墓所の難易度も上昇。

 

 

そしてだめ押しに【冷たい谷のボルド】は、また錬成炉を異常に使い、

 

グンダを魔改造したときのように全ての素材をボルド自身の物にかえ、【瞬間冷凍】【冷たい武器】を付与することで【フリーデの大鎌】を越える冷気を発する武器にした。

 

と、ここまでしたところで完全に力尽き、暫くは力を温存せねばいけなくなった。

 

「ふぅ、ここまですれば暫くは大丈夫だろうな。」

 

「いやぁ。ありがとうございます。僕だけならここまでのものは作れませんでした。」

 

「気にするな。ここは前よりは楽だし、それにこの迷宮を作り上げるのは私ではできないことだ。自身をもって良いだろう。」

 

「‥‥そう言えば、以前の世界ってどう言った世界だったんですか?」

 

「‥‥聞かない方がいいだろう。胸くそ悪くなるような辺鄙な世界だ。‥‥あえていうならこの迷宮が二日もあれば完全に踏破されるような世界だよ。」

 

「‥‥恐ろしい世界ですね。」

 

それっきり、ロスリックについての話は止めた。妥当な判断だな。

 

 

そして、二人は次の挑戦者が来るのをゆっくりと待つことにした。




ロスリック騎士(羽騎士)

ロスリックの騎士(羽騎士)の装備、武器を錬成炉にいれ、【高名な聖騎士のソウル】をいれる。

ソウルの強さの問題でボスより掛けられるスペルの量が減るため【魔力の武器】を掛けられるようにする。


と、こんな感じでつくります。


【冷たい谷のボルド】

ロスリックへの侵攻を目的として派遣させられた外征騎士の一人。彼は常に踊り子と共にあった。
しかしかの地で踊り子は祭祀長に封印され、ボルドは身を潜め、祭祀長が隙を見せるのを獣のごとく待っていた。


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新たなる不死 それは【伝説の不死人】

Dランクパーティー【狼の牙】が新たなダンジョンを発見した影響で、もよりの町はかなりの賑わいを見せていた。

というのも、普通のダンジョンとは大きく異なる様子を見せているためである。

 

曰く、この世のものとは思えない絶景がある。

曰く、あれはこの世界の末である。

 

などなど、入り口からして普通ではないここを攻略するために多くの冒険者がこのダンジョンに挑戦していった。

 

 

そして、半年後。第一階層とは思えぬほど強力なボスを初めて討伐したパーティが現れた。

彼らは討伐した後、先へ進み、巨大な昇降機を発見し、登り終えた先での光景を記録し帰ってきた。

 

さらに、彼らが持ち帰った一塊の光る玉のようなものがいま、この世界でかなりの話題になっている。

 

この光をそのパーティのリーダーが落としたさい、絶対に変わることのない人間の強さや才能の限界、【魂魄強度】が上昇したのだ。

 

これにより、世界各地の著名人や、権力者たちがこのダンジョンから光の玉を持ち帰る依頼を出したため、今強力な冒険者達が集まってきている。

 

冒険者ギルドは、この玉を【魂球】と名付け、最初に討伐したパーティにもっと持ち帰るように要請。

 

しかし、ボスは現れず、他の冒険者達が来たさいには出現するため、一パーティに一度のみだと考え、現在彼らは昇降機の先、広大な町の探索をしている。

 

だが、町の騎士達は強力で、まれに現れる竜の影響もあり、捜索は難航している。

 

 

─────────────────────────

 

あれから二ヶ月ほどたち、町へと調査へいかせた小型の魔物達が持ち帰ってきた情報がこれである。

 

恐らくソウルが増えた影響でソウルレベルが上昇したのは良いが、それどころではない。

 

最近、ロスリック市街に到達する連中が増えてきている上に、グンダのところにもわんさか冒険者が来ている。これは非常によろしくない。

 

あ、グンダだが、一度死んだはずだが、迷宮のボスに登録すると復活できるらしい。

ただ。一度殺せたのなら次も殺せるだろうから一度討伐したパーティーの前には現れないことになっている。

ソウルレベルあげてやるのもしゃくだしな。

 

 

 

「さて、主人よ。一つ聞きたいのだが。」

 

「どうしました?」

 

「私がいた世界から未だ人は呼べるのか?」

 

「えっと、今なら一月に一人くらいなら何とか。」

 

「ならば‥‥」

 

そう言って彼が取り出したのは、一振りの煤けた剣。何てことはないただのロングソード。しかし、それは強力な力を帯びている。

 

 

「これを使って召喚してくれ。」

 

「‥‥これは、誰のものですか?」

 

そう聞くと、少し黙った後、彼は低い声でこう漏らした。

 

「別の人にしようと思っていたが‥‥こうなれば仕方がない。」

 

そして、顔をあげ吟うように話し出す。

 

「それは遥か昔の話、自らの呪いを解くために火継ぎを成した人がいた。私や、前任者達のように誰かに案内されるのではなく、全ての道を自分自身で切り開いた偉大なる王」

 

 

「偉大な伝説の不死【絶望を焚べる者】を呼ぶ。」




補足説明ですが、ソウル錬成で作り出したボスたちには知能がありません。なぜなら既に狂ったときの変質したソウルを使うからです。

呼び出す場合は彼らの全盛期に近いので、知能が高く、強さも抜群です。しかし、錬成みたいな魔改造はできません。



【絶望を焚べる者】


遥か昔、滅びた王国にて、火継ぎを成した不死人。彼は呪いを解く術を探していたが、ついに見つからず、全てを終わらせるために玉座へとついた人物。

他の王と違い、彼自身の逸話はあまり知られていないが、彼自身が伝えたとされるある女騎士の伝説と、巨人と王国の戦争譚は有名な伝説となっている。


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改造 突然の招待状

この辺りからダンジョンのマップか複雑になってきます。前作をやったことのある人はあいつらか。と予想しつつご覧ください。


ここはどこだ。俺は玉座についたはずだ。

 

「お目覚めですね。」

 

目の前から声がした。見ると古びてはいるが竜血の騎士装備を纏ったものと、青年がたっている。

 

「ここはどこだ。」

 

「あなたの知らない世界です。」

 

‥‥ふざけている様子ではないな。記憶の世界ともまた違うようだが‥‥。

 

「順を追って説明します。よく聞いてください。」

 

 

説明を聞き終えた。中々おかしな話ではあったが死人の記憶の中へといくほうがおかしな話だ。理解はできた。

‥‥ならば、やらねばいけないことがある。

 

 

「理解した。ならば一つだけ頼みがある。」

 

「そうですか、主人、聞いてください。」

 

そういうと、青年の方が前へと出る。ほぅ、なかなか堂々とした立ち振舞いだ。悪くない。

 

彼の目の前に、二本の大剣を突き立てる。

 

青年は分からなかったようだが、後ろの騎士は理解できたようで、少し驚いているのが雰囲気でわかる。

 

「‥‥これは?」

 

「‥‥俺の恩人とその家族の遺品だ。今じゃなくて良い、直ぐじゃなくて良い。‥‥絶対にこの二人を召喚してくれ。」

 

自己満足かもしれない。彼女は望んでいないかもしれない。‥‥それでも、あの忘却に怯える彼女を救いたい。できるならば、俺が間に合わなかった彼も。

 

「‥‥わかりました。では、いつか必ず。」

 

「ああ、よろしく頼むよ。」

 

 

─────────────────────────

 

その後、私たちは情報を交換し、ロスリック市街や墓地をより強化することができた。私の知識だけでは限界があったため非常にありがたい。

 

そして、騎士が二人いて紛らわしいので、私を【アッシュ】絶望を焚べる者を【ファーナム】と呼ぶことにした。

 

彼の出自は覚えていないが、昔からこの装備を持っていたらしい。そのため、この鎧の名で呼ばれた方が違和感がないということらしい。

 

 

さぁ、二人に増えて出来ること、呼び出す亡者達の知識なども増えたことで、主人が魔力で呼び出せる魔物の数がうんと増えた。

 

それに、彼はMPこそ少ないものの驚異的なLPを持っていたため、そちらによる強化もできる。

 

 

ということで、まず、墓地を彼の知識の中にある【不死廟】と混ぜた。

 

といっても、グンダの後ろの扉を彼が知っている【王の扉】を取り付け、その扉を開けることができる指輪を不死廟の奥に配置した。

 

これは、すでにグンダの討伐を成功させた者たちにも適応され、不死廟の探索を始めているが、呪術者や、墓守達の相手にてこずっているためなかなか進めなくなっている。

 

そして、そこを治めていた【王盾ヴェルスタッド】は知能がない場合たいした脅威でもないと言われたため、彼が言っていた【ヴァンクラッド王】を再現した上で、【煙の特大剣】をもたせ、さらにだめ押しにファーナムが持っていた王の鎧を着せた。

 

ファーナムは「これを倒せる奴が仲間にいれば心強かっただろうな。」といっていた。

聞いてみると、時間はかかるが、彼なら倒せるということだ。

 

 

そして、ロスリックだが、彼が「こいつらに上から打たせれば良い。」と、LPで【アーロン騎士長】を呼び出した。

 

どうやら、彼は自分の世界にいた敵をLPで出せるようなので、やり方を聞くと「白霊召喚の感じだな。」というので、悪戦苦闘していると、何とかできるようになった。

 

これによってソウルを改造せずとも召喚できるようになったのでモブはこの方法で呼び出すことにした。

 

なお、アーロン騎士長にはいくつかの建物の上から、侵入者が見えたら矢を放つように指令を出した。

 

ロスリック騎士達とあわせて、かなりの難易度になった。

 

さらに、グンダ、ボルドをみた彼が

 

「ふむ、オルフェニクスの技か。ならばこれでも使え。」

 

と言って【竜騎兵】を数人配置した。これによってグンダのエリア直前の広場の亡者が二体の竜騎兵になったため、凶悪な難易度になった。

 

自分でいうのもなんだがひどい。

 

ロスリックがこんなだったらきっと私はもっと早く亡者になっている。

 

 

そんなこんなで取り敢えず一通り改造したところで、主人のもとに手紙が届いたという。

 

なぜこんなところに手紙が来るのかと驚いていると、どうやら、ダンジョンマスターは全世界に十数人いるらしく、そのなかでも【火塔】と呼ばれるダンジョンのマスターから、今度会議をする旨が届いたようだ。

 

これには一人でいく必要はないということなので私が護衛と観光でいくことにした。ファーナムはここを守るとのことで留守番である。

 

何をするのかは知らないが外を見るのは初めてだしとても楽しみだ。

 

さぁ、早速会議の場所へと出向こう。目的地は【冒険者の都ルーク】である。




【不死廟】

ドラングレイクにおける全ての死者を納めた巨大な霊廟。かつて最初の死者を祀っていたこの霊廟は死者に永遠の安息を、冒涜者達に無限の苦痛を与える。

かの地の墓守は最初の死者の祭祀であると言われている。そしてこの地に眠る全てのものを平等に闇の中へと封じ込める。



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【冒険者の都ルーク】 観光と怒り

さぁ、ルークへとついた。徒歩かと思っていたがダンジョンマスターにしか使えない転送装置があるようで、居住区から直通で来ることができた。

 

そして、会議は明日だということで、今日はこの街を観光しようと思う。マスターは危ないと言ってさっさと帰ってしまったため、明日会場で合流する予定だ。

 

 

早速だが、やはり戦士としては武具店はかなり気になるため、その辺りを歩いていた兵士や冒険者に話を聞いて一番人気の店へと来た。楽しみだ。

 

店内にはいると、埃と木材の臭いがする。良い感じだ。今まで言ったところと言えば祭祀場の奥のアンドレイの所かルドレスの玉座だったから新鮮だ。

 

 

 

色々と見て回ったが、ロスリックのものほどのはなかった。中々面白いつくりのものや高価な魔剣はあったが、はっきり言って【混沌のダークソード+10】とかには全くもって及ばない出来であった。

もっと技術をあげてほしいものだ。そんなことを思っていると、

 

「そこのあなた!ちょっと待って。」

 

なにやら鎧を来た少女に声をかけられた。‥‥ふむ、素人だな。鎧がガチャガチャと騒がしい。音を押さえられていないな。それに、ロングソードの位置が悪い。そこだと引き抜くときに力が入らないため初動が遅れるな。

 

「ちょっと!聞きなさいよ!」

 

おっと、考え事をしてしまった。

 

「私かね?何のようかな。」

 

「良い剣腰に下げてるじゃない!見せなさい!」

 

は?なんだこの少女は。戦士の誇りとも言える武器をそう簡単に渡すわけがないだろう。

 

「なぜだ。断る。」

 

「はぁ!?良いから見せなさいよ!」

 

あ?なんだこのクソガキ。‥‥ンンッ!ふぅ、礼儀がなっていないな。

 

「礼儀というものを見せたらどうかね。その態度は目上のものに対するものではないぞ。」

 

そう言いながら少し威圧すると、向こうも理解したらしいが、まだ生意気をいう余裕があるらしく

 

「ふん!いいからさっさとしなさい‥ひっ!」

 

あぁ、駄目だ、このガキは殺す。クソガキが私の剣に勝手に手を伸ばしたところで、【罪の大剣】を抜き相手の首もとへ突きつける。空いた手には【裁きの大剣】を取りだし相手の心臓へと重ねる。

 

そこまでされてようやく立場がわかったらしく、顔を真っ青にして震え出す。

 

「剣か。出してやったぞ。さぁこれでどうする。」

 

「あ、‥いや、」

 

「それで?出してやったのだから礼の一つでも言うべきではないかね?‥‥あぁ、礼儀知らずにそんな高尚な真似は出来ないか。」

 

そんなことをしていると、外から大柄な騎士が駆けつけてくる。

 

「姫様!いかがなさいま‥‥無礼者!」

 

そういい放ち剣を抜いた騎士、その剣に振り返らずに【裁きの光】を打ち込み剣を叩ききる。

 

柄だけになった剣を呆然と見つめる騎士を前に、クソガキがようやく謝る気になったらしく

 

「も、申し訳ございませんでした‥。」

 

などと言う。非常に腹が立っているが、仕方がないので剣を納める。

 

すると、外にいた他の騎士達が現れ私を取り囲み、剣を向ける。

 

「‥そうか、‥‥ならば皆殺しにしてくれる。」

 

そしてます目の前の騎士を殺そうとしたとき

 

 

「止めなさい!」

 

先ほどまで奥の方にいた女性が現れる。どうやらこの連中の主か何かのようだ。

 

「しかし!」

 

「黙りなさい!この恥れ者共が!帰ったらこの全てを父上に報告いたします!全員剣を納めて下がりなさい!」

 

「ですが!」

 

「黙れ!」

 

そして不承不承ながら下がる騎士達とクソガキを尻目に、女性が深々と頭を下げる。

 

「姉上、このような下民に頭を下げるなど!」

 

 

「ならばこんな無様を二度とさらすな愚か者!貴様が不甲斐ないから私が頭を下げているのだ!」

 

「そんな‥」

 

「このようなことをしでかし、誠に申し訳ございません。」

 

そう行って頭を下げる女性。ふむ、かなりの腕利きのようだな。剣も鎧も使い抜かれているし筋が真っ直ぐだ。

 

「あなたには何も思っていない。謝罪をするならそこのクソガキではないかね?」

 

そういうと、女性は振り返りクソガキの頭を握り無理矢理下げた。

すると、クソガキは震えながらか細い声で、

 

「‥‥申し訳ございませんでした‥‥、」

 

という。まだイライラしているが、謝罪されたので許す。まったく、人の武器に勝手に触れるなどパッチ以下だな。

やつもまたクズではあるが、たまに役に立つ。

 

「受け入れよう。それで、私はもうそろそろ帰りたいのだが。」

 

「感謝します。お詫びと行ってはなんですが、こちらをお持ちください。」

 

そう言われて、小さな短剣をてにいれる。ふむ、巧妙に隠蔽されているが、

 

「【致命】と【猛毒】、それと【麻痺】か?」

 

「‥!流石です、こちらで今回のことは手打ちとしていただきたく。」

 

「あぁ、分かった。これで何もなかったと言うことにしようか。」

 

「感謝します、それでは。」

 

そう言い女性は去っていった。ふむ、彼女はかなりの凄腕で権力者らしいな。ソウルの説明が中々だ。

 

さて、気を取り直して観光をしようか。

 

 

 

その後、特に問題なく、食事や細工屋、広場など色々と見て満足し、町の住人おすすめの宿をとって寝た。

 

中々悪くない一日であった。




【毒蛾の死刺剣】

法王国エストランテで少数生産されている強力な刺剣。
触れただけで死に至ると言われる毒蛾に特殊な加工をして刺剣にしている。
その毒は解毒方法が極僅かであり、他国へ流出することを防ぐため国王から直々に授けられることでしか手に入らない。


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定例会議 見学決定

さぁ、夜が明けた。宿の食事をとり、朝の素振りをし、井戸水でさっぱりしたあとに珈琲を飲む。

 

あぁ、幸せだ。こんなことをしていると本当にこの世界にこられてよかったと思う。

うむ、ファーナムを見ていて思ったが、やはり向こうの世界から人を呼んでみようかと思う。

自己満足かもしれないが、こちらの世界の方が生きている実感を得られる。

 

あの敵を殺す昏い悦びではなく。

 

まぁ、最初に恐らくファーナムが呼びたいであろう方々を呼び出さねばな。それが筋と言うものだ。

 

「アッシュさん、行きますよー!」

 

おや、主が来たようだな。少し名残惜しいが主のもとへと急ぐ。

 

「おぉ、なんかスッキリした顔してますね。良い休息になりました?」

 

「あぁ、最高だった。」

 

「それはよかったです。じゃあ、会議にいきましょうか。」

 

「あいわかった。」

 

てくてく歩くこと数十分、そこそこ大きな【市民会館】についた。金を払えば会議、食事、宿泊など色々と出来る建物らしく、各都市に一つ以上はあるらしい。

中々だよね中々良いシステムだ。

 

「本日のご用件はなんでしょうか。」

 

「【究明主人会】で会議の予約はありますか?」

 

「はい、三階の階段横の第2会議室でございます。」

 

「ありがとうございます。」

 

‥‥究明主人会か。

 

「主人、その会の名前は「僕も納得してないから何も言わないでください。」‥‥了解した。」

 

うーむ、そこまで言うなら何も言えん。‥‥流石に安直すぎると思うが。

 

 

指定された会議室にはいると、十数個のうち7つの席が埋まっていた。

 

「早かったじゃない。【十二席】」

 

「今回は迷宮が安定してますので。」

 

 

「珍しいわね。あなたの迷宮が機能するなんて。」

 

「‥‥どうも?」

 

 

主人よ、それは誉められていないぞ。少し棘のある少女だが、礼儀知らずのあんな感じではなく高貴さゆえの態度に近いな。こちらの方が好感を持てる。

 

‥‥後ろの女性が睨み付けてこなければだが。

 

私は女難でもあるのか?最近面倒な女性としかあっていないぞ。

 

そうこうしているとある程度席が埋まり、会議が始まった。議題は【定期報告】ということだ。

 

 

「さて、基本的に変わらないのならば何も言わんでいいが、変化があった場合はきちんと言うように。

では時計回りでいこうか、始めに【第一席】から。」

 

「特に何もありませんが、宝箱の質を少しあげてみようかと思っています。結果が出たら次の会議でお知らせします、以上です。」

 

そんな感じでたんたんと続き、主人のばんになった。

 

「僕からですが、まず紹介をしようと思います。【使徒召喚】でお呼びしたアッシュさんです。」

 

おっと、突然だな。主人のなに恥じぬようしっかりとせねば。

 

【一礼】をして挨拶する。

 

「ご紹介に預かりましたアッシュともうします。出身は騎士の国アストラ、現在は【暗月の剣】に所属しています。どうぞ宜しく。」

 

ロスリック式の挨拶だったがよかったか?

 

どうやら嫌悪感を抱かれてはいない模様。むしろ興味深いといった感じだな。

 

「その兜はとらないの?無礼ではなくて?」

 

おっとたしか【十一席】だったか。言われてしまったが、

 

「兜の下は非常に悪い見た目となっております。不快感を与えてしまうかと。」

 

「‥‥‥少しはずして見せてくれないかしら?」

 

む、まぁそうだな。仕方がないか。

 

ゆっくりと兜の留め金をはずし、兜をはずす。

 

するとあちこちから圧し殺した悲鳴やざわつきが聞こえる。

無理もない。左目から首までの切り傷とつぶれた左目、右の頬には巨大な火傷痕など見て気持ちのいいものではないだろう。

 

「‥‥謝るわ。そうね、兜はつけておいていいわ。」

 

顔色が悪いな。非常に申し訳ない気持ちにさせられる。

 

兜をつけ直すと、次第にあたりはもとの空気に戻っていった。

 

「‥‥話は逸れましたが、僕のダンジョンの件ですが、アッシュさんとその他の使徒の方々のお陰でかなりの侵入者数になっています。なにか質問はありますか?」

 

というと数人のてが上がる。席の番号が少ないものから順らしいな。

 

「主要な収入は?」

 

「【絶望】【歓喜】【感動】ですね。あとは【羨望】等も少し。」

 

「使っている魔物は?」

 

「【スモークスネーク】ぐらいしか既存の魔物は使っていませんね。あとはアッシュさんが品種改良を施した魔物です。」

 

「今度見に行ってもいい?」

 

「いいですよ、その方が分かりやすいでしょうし。他にも見たいかたはおられますか?」

 

そう聞くと数人の手が上がる。中々注目されているようだな。

 

「ふむ、ではこちらの方で【十二席】のダンジョンへいくメンバーの予定を調整しておきます。後で連絡を送るのでお待ちくだされ。今回の会議は以上とします。解散。」

 

と、議長が言うとそれぞれ出ていく。さぁ我々も帰るとしようか

 

「あ、アッシュさん、帰ったら三階層をお願いしてもいいですか?」

 

「あぁ、了解した。」

 

さぁ、休憩は終わりだ、仕事に入ろう。




【ロスリックの高壁】

火継ぎを祀るロスリックの国を囲う巨大な壁
その大きさは他国からの攻撃を防ぎ、イルシールへの対抗として作られた。
今は崩れ落ちた大橋、不死街への道が開かれていた頃はファランの城塞や罪の都とも交流が出来ていた。

城下にはこんな噂が広がっている。
【高壁は他国を防ぐ盾ではなく、王族を閉じ込める檻である。】


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第三階層 ダンジョンの存在意義

「主殿、一つ聞きたいことがあるのだが。」

 

「はい?どうしました?」

 

「侵入を防ぎたいのならば入り口に崖を作るなどすれば良いのではないか?なぜわざわざ招き入れる?」

 

なるほど、たしかにそれはそうだ。全くそんなことを考えていなかったな。

 

「たしかにな。どういうことだ?」

 

「あー、私たちってばほとんど不死じゃないですか。それで、実は私の食事?というかちからのもとなんですがが、【他者の感情】をエネルギーにしてるんですよ。」

 

「‥‥人の感情を食らうのか?」

 

「いや、あなた方で言うソウルに近いです。なくても死ぬことは無いんですが、力が減るし減りすぎるとその辺の幽霊みたいなことしか出来なくなるんですよ。

なので、ダンジョンの目的は【侵入を防ぐ】ことと【効率的に相手を煽る】ということなんですよ。

なので、ダンジョンはある程度攻略できて、宝箱なんかも設置するわけですよ。」

 

「あ、お二人の活躍のお陰でここはたぶん広げるだけで大丈夫ですよ。」

 

「え?なぜだ?宝箱とかいるんじゃないのか?」

 

「ぶっちゃけこのダンジョンの景観が素晴らしくてですね、【感動】【やる気】と、ここの難易度で【絶望】、さらに敵を倒せたときの【歓喜】が凄いんですよ。こんなダンジョン他にないので侵入者も増える一方ですし。」

 

「あ、力が増えたら出来ることとかも広がりますので、何か出来るようになったらお伝えしますね。」

 

 

ふむ、中々興味深い話だったな。では景観がいいところを再現した方が良さそうだな。

そう考えれば【灰の墓所】【不死廟】【ロスリックの高壁】はいい選択だったな。

‥‥ふむ、ならば次のところは景観重視でいってみようか。そんなことを考えつつ、またファーナムと次の階層の構造を考えていく。

 

「次はここはどうだろうか。」

 

「いや、そこはインパクトが弱い。それにそこはあまり敵が強くなかった直ぐに突破されてしまう。」

 

「じゃあここをこう繋ぐのはどうだ?」

 

「‥‥ふむ、ならばこうした方がより良いんではないか。」

 

「む‥‥じゃあこうするか。」

 

「よし、それでいこう。」

 

「主人!」

 

「はい?」

 

「巨大な燭台を用意してくれないか!」

 

そして第三階層を作り出す。あの闇に覆われた灰の世界、絶望に満ちた人間の国、どちらにも存在しなかった【平穏】が存在する。

それは彼らにとって何者にも変えがたい素晴らしいものだった。

 

「いやいやいや!なんですかその大きさ、なに作る気ですか!」

 

「これをこうして、こうしようと思うのだが。」

 

「‥‥‥えぇー流石に無茶ですよ。」

 

「ループ罠があるだろう。」

 

そんなことをしている彼らのもとに視察の連絡が届くのが三日後のことである。




第三階層はまた後のお楽しみと言うことで。



【制約:暗月の剣】

太陽の光の王グウィンが眠る【暗月の霊廟】
そこを守護する騎士たちであり、またダークレイス等の闇の住人を密かに狩ることを使命とする集団である。
騎士団長はかつては陰の太陽グウィンドリンが努めていたが、現在は最後の騎士ヨルシカがその地位に就いた。


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視察 ファーナムの強さ

「【十二席】殿、お久しぶりですな。」

 

「議長様、今回はよろしくお願い致します。」

 

「うむ、それでは、どこへいこうかな?」

 

「ではここから先は私が説明いたします。」

 

 

最初は主人に任せる気だったのだが、制作者が案内した方がいいらしく私が案内することになった。

 

という事で、冒険者用の扉から入ってもらう。

 

─────────────────────────

 

【議長視点】

 

生きている間に棺桶に入ると言う珍しい経験の後、外へ這い出す。なるほど、確かに変わったダンジョンですね。

 

辺りを確認して、全員揃っているか見渡す。どうやら良さそうですね。

 

 

早速視察にはいる。入り口は棺桶、冒険者達が使ったであろう棺桶が無造作に打ち捨てられ、回りは灰に包まれている。

 

なるほど、【灰の墓所】とはよくいったものですね。

 

「さぁ、それでは始めましょうか。」

 

「よっしゃ!先頭は俺と【七席】にまかせろ!」

 

そう行っておどりでる【第五席】。 赤く染まった軽鎧に、ロングソードとファルシオンを両手にもって、戦闘態勢に入っている。

 

「やっぱ俺もっすか。」

 

【第七席】は白銀の騎士の甲冑に身を包み、大盾と槍を構えている。こちらも声はめんどくさそうだが、しっかりと戦闘態勢になっている。

 

「ええ、よろしくお願いします。ではいきましょう。」

 

 

少し歩くと、ぼろ布をまとったグールのようなアンデット達が襲ってくる。そこそこ連携はとれているが、二人の敵ではない。

 

「‥‥む、分かれ道ですね。‥‥おや?」

 

あの従者からメッセージですね。‥‥【右へいくと今は攻略中のエリアで、左はボスエリアです。まずは右へどうぞ。】

 

なるほど、了解しました。お二人にそう伝え、他の方々を先導し左へ進む。

 

すると、大きな光るトカゲと地下への扉のようなものがある。なるほど、あれが順路ですか。

 

トカゲはかなり強かったですが、お二人は危なげなく倒し、地下へと降りていきます。

 

回りを見渡すと、綺麗な石で出来ていますが、昏く冷たい【死】の雰囲気が感じ取れます。一筋縄では行かなそうですね。

 

【お疲れ様です。今回は侵入者は居ないのでまっすぐお進みください。罠は起動していますのでお気をつけください。】

 

ほう、確かに敵に構っていては視察になりませんからね。第五席は不満そうですが。

 

この【不死廟】というのは巨大な墓地のようですね。暗くてよく見えませんが所々の大部屋に死者を埋葬してあります。

敵は騎士や魔術師のようですが、墓守といった感じではありませんね。どう言うことでしょうか。

 

奥へ進むと、鐘を鳴らすグールとその音と共に現れる魔術師が出るようになりました。

見たことのない魔術を使う強敵ですがお二人はさすがですね。

一瞬の隙をついて見事に止めを指しています。

 

どうも、最深部のようですね‥‥なるほど、そう来ますか。

 

鐘の音が鳴り響き、立っている石像から魔術師達が現れる。奥の騎士達も反応し、大群に囲まれた。

これは手を貸した方が良さそうですね。‥‥‥おや?

 

【今回は敵対しないようにしておきました。無視で構いませんが、いかがいたしますか?】

 

おや、なるほど、確かにこの人数を相手にしては負けるかもしれませんね。お二人は不満そうですがここは我慢していただきましょう。

 

 

【ここからはボスの部屋です。かなり強力ですが、どうなさいますか?】

 

 

お二人も元気そうですし、戦闘にしましょうか。お二人に任せて私たちは後ろで見てましょうかね。

 

【では、戦う方は霧の壁を通ってください。戦わない方は左のサインに触れてください。】

 

言われた通り左の白いサインに触れると、体が半透明になる。

 

【これで、戦っている二人からは見えませんし、攻撃も聞きません。お通りください。】

 

さて、では見学といきましょうか。

 

─────────────────────────

 

【第五席視点】

 

霧を通ると巨大なグールが座り込んでいた。巨大な剣と荒々しい気配はかなりの強さであることをうかがわせる。それと来ている鎧だが、どうやらかなり固そうだ。

 

七席と近寄っていくと、立ち上がり剣を構える。戦闘態勢って訳か。

 

さらに一歩踏み込むと、目の前にサインで【ヴァンクラッド王】と現れ、近寄ってくる。

 

始まった。身長ほどはある大剣をブンブン振り回しながら切りかかってくる。避けると、避けたところに剣を振り下ろし、受け流すと渾身の力で剣をふってくる。

 

「七席!攻撃しろ!」

「無茶言わんでくださいよ!こっちにも剣が来てます!」

 

この野郎後ろのやつにも攻撃してやがるな。こっち集中しろや!

 

かわして胴に入り込みファルシオンを一閃するも、鎧が固くて中々通らん、皮膚も馬鹿みたいに固くて剣が効かんな。くそ、メイスでも持ってくりゃよかったか。

 

一撃いれてはかわし、次の隙まで攻撃をしのぐ。そんな戦いを続けて一時間、ついに膠着が崩れる。

 

「がっ!」

 

七席がかわしきれずに大剣の攻撃を正面から盾で受ける。しかし、体は吹き飛び、壁に激突する。

そしてその隙を見逃すヴァンクラッドではない。一気に肉薄し壁に串刺しにする。

 

「ガハッ!‥‥カッ、‥すいません、死にます」

 

剣をねじりあげ、振り上げる、すると7席の体は真っ二つになり、そのまま消える。

 

「くそがっ!」

 

残された五席は懸命に戦うも、一対一な猛攻をしのぎきれずに、十分後、その体を切り裂かれた。

 

残されたヴァンクラッドはまた最初の位置に座り込み、次の侵入者を待ち始めた。

─────────────────────────

 

「一撃ですか‥。」

 

あのお二人が防戦一方、その上一撃食らっただけで死ぬとは。かなり強いですね。

 

「あー!くそっ!負けたっ!」

 

元気に五席が復活しました。今回はここで復活できるように十二席にお願いしていたのでその場で復活しました。

 

それにしても、お二人で倒せないとは、かなり強いですね。

 

【お疲れさまでした。では本来であれば倒してからですが、今回は先に案内します。この先が【第三階層】となっています。】

 

そういわれ先に進むと、地上へと続く階段があった。

 

上っていくと、突然光が差し込み、出口を出ると、

 

「‥‥おお、凄いですね。」

 

辺りには大海が広がり、その上を崩れた塔のようなものが通っています。見上げると巨大な灯台が辺りを照らし、左の方には巨大な神殿が見えます。

 

‥‥なるほど、【感動】や【歓喜】の感情はこう言うことですか。美しいですね。あの王を討伐後にこれを見ることが出来れば、確かに感動します。

 

【今回の視察はここまでになります。では転送します。】

 

そして、居住区に、戻ってきます。いやー、いいものが見れました。

 

戻ってきた私たちの前に二人の騎士と十二席が現れます。

 

「どうでしたでしょうか。こんな感じのダンジョンを作っています。」

 

「‥素晴らしいですね。あのマップや、敵はかなり心に響きます。あなた方のもと居た場所でしょうか?」

 

そうきくと首を降る騎士の方々。これは凄いですね。

 

感心していると五席がおずおずと聞いてきます。

 

「すまない、あのヴァンクラッドとか言うやつはどちらの案か?」

 

「‥‥俺だ。あの地の最奥部で待っていたやつを再現した。もっとも、本物の方が弱いとは思うがね。」

 

「‥‥戦ってる姿を見せてもらえないだろうか。後学のために奴との戦いかたを見てみたい。」

 

「‥‥分かった。では主人、モニターを出しておいてくれ。いってくる。」

 

おや、面白そうですね。あれをどう倒すのでしょう。

 

「‥アッシュさん、僕は二人の戦いを見たことがないんですが、大丈夫だと思います?」

 

「‥‥あの人なら勝てるさ。あの人は我々の世界の伝説になった方だ。」

 

 

皆が注目するなか、二人の戦いは静かに始まった。

 

─────────────────────────

 

‥‥また戦うはめになるとはな。

 

眼前にはかつて倒したヴァンクラッド王が以前より強力な力を持って立っている。

 

座り込んだやつのもとへ一歩ずつちかよっていく。

 

「‥‥たしか二十回ぐらいか?懐かしいな。貴様には何度も殺された。」

 

足を止め、剣をだし、両手に構える。

 

【ヴァンクラッド王】とサインが現れ、奴が近寄ってくる。

 

「来い、また貴様を墓に送ってやる。」

 

縦横無尽に剣を振り回すヴァンクラッド。しかししゃがみ、体を捩り、時に転がってかわすファーナムには一太刀も当たらない。それどころか全身を切られていくヴァンクラッド。

 

「‥‥ふむ、以前より固いがそれだけだな。対して変わってもいない。」

 

涼しげにすべてかわして、ヴァンクラッド切り刻んでいくファーナム。

 

その戦いは、約二十分そこらで、ヴァンクラッドが体整を崩したところを、首をはねられ幕を閉じた。

 

─────────────────────────

 

無傷で帰ってきたファーナムを見て第五席が

 

「弟子にしてくれ!」

 

と頼み込むが、

 

「死んで覚えろ」

 

と言われる。その通りだがいいかたってものがあるだろう。と苦笑していると

 

「第五席、その辺にしてください。十二席、ありがとうございました。非常に為になりました。ではまた次の機会に。」

 

と議長がまとめて、全員帰っていった。

あぁ疲れたな。さて、少し休もうか。

 

こんな感じで、視察は終わった。さぁ、次はなにをしようか。

 




こんな感じで導入は終わりですね。次からは少し閑話とか挟んでまた他の人を呼ぼうかなと。

呼んで欲しいNPCとかボスいたら感想にお願いします。
第三階層は【ハイデ大火塔】でした。

第二部テーマ【太陽の友】
ある程度予測できると思いますが、あの方ではないです。別の【太陽】です。


【ハイデ大火塔】

マデューラから地下を通るとたどり着く朽ちた灯台。かつて栄華を誇った灯台は崩れ落ち、今ではその存在すら忘れ去られた古騎士達しかいない。

そこはかつて重罪人を流刑に処す為の隠れた港へと繋がっていたと言う。そしてその鎮魂のために巨大な聖堂がたてられた。しかしもうそれを知る者は一人もいない


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閑話 ①
閑話 この世界における常識【スキル】


本編とはあまり関係しないですが、読んでいただけると幸いです。




「そういえばお二人のスキルはなんですか?」

 

ある日突然こう主に言われたが、なんだそれは?

 

「スキルとは?」

 

と私が聞くと「あちやー忘れてた」というように頭に手を当て、

 

「説明してませんでしたね。この世界の生物はその在り方によって一つ以上のスキルを貰えるんです。お二人もこの世界に来たんですから一つくらいできてると思いますよ?」

 

なるほど、初耳だ。興味深い。

 

久しぶりにステータスを見てみるとなるほど、パラメータの下に【スキル】の項目を発見した。どれ、

 

 

【LGスキル:全装備・魔術適正】

 

すべての武器、魔法を扱うことができる。しかし、能力値が不足している場合威力は激減する。

ある程度、物体の重量、透過性を操作できる。

 

【UQスキル:王の化身】

 

強力な感情に応じて自らに薪の王の力を卸すことができる。感情が強ければ強いほど威力、効果時間は上昇するが、精神を汚染され、また強すぎる力は深き呪いを体に穿つ。

 

【憤怒】未覚醒→覚醒済 【俯瞰】未覚醒

【悲哀】未覚醒 【探求】未覚醒

【強欲】未覚醒 【使命】未覚醒

【守護】未覚醒 【希望】未覚醒

【覚悟】未覚醒 【歓喜】未覚醒

【賭身】未覚醒 【殺意】未覚醒

 

【∞↓>×~】未覚醒

 

ほう、所々気になるが中々使えそうだな。王の化身は発動しない方がいいような気もするが。

文面から察するに私の体に王達が宿るのか?

 

「ファーナム、どうだった?」

 

「‥‥あぁ、見ていいぞ。」

 

‥‥は?

 

【LGスキル:全装備・魔術適正】

 

【LGスキル:不死人の王】

 

相手が人の形のときに限り、敵対者のステータスを80%までさげる。そして自分のステータスを全て10上昇

 

【UQスキル:愚かな四王の冠】

 

【深き底の王】【鉄の古王】【白王】【亡国の王】の力を一時的に使うことができる。

 

【Paスキル:断ち斬れぬ永遠の絆】

 

所有者が精神、身体に異常をきたした場合、繋がれたもう一方に大幅な強化、また互いを守る戦闘の場合全ステータス二倍となる。

 

 

【Rスキル:忘却者】

 

一定期間の過ぎたあと、記憶を一部欠落させる。感情の抑制、死亡以外での記憶の改竄、消去を不可能とする。

 

 

‥‥色々と突っ込みどころはあるが、無言で一つのスキルを見つめるファーナムをみると何も言えない。

 

──【Paスキル:断ち斬れぬ永遠の絆】──

 

「‥‥ルカティエル‥。もうすぐだ、もうすぐなんだ。」

 

悲哀に満ちた彼の声はあの世界ではもっともあり触れたもので、私がいつのまにか忘れてしまっていた、あの世界の犠牲者の声だった。

 

「‥‥そろそろ、主人の力もたまる頃だし、一度頼んでみようか。」

 

「‥‥そうだな、すまない。」

 

「きにするな。」

 

 

見上げたこの偽物のロスリックの空は、現実ではなくとも、同じような深い青に染まっていた。




これ以降の閑話はコメディ調なものが多くなります。本物のダークソウルではあり得ないような行為もありますので、嫌いなかたは飛ばしてください。


【王の冠】

かつてソウルの業の深奥、その一端に触れた強大な王達の王冠。彼等は王の器に手を伸ばし、しかしその手は届かなかった。
深き王は地底に眠り、鉄の王は溶岩に沈み、白王はその国を氷に閉ざした。
全ての冠を集めたとき、遂に手の届かなかった器に届くだろう。
それは吉か凶か、誰も知らない。


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設定集 第一章~第二章初め

あー。閑話うまくかけませんでした。次の章末はもう少し頑張ります。


スキル等級

Nスキル:10人~20人に一人は持っているスキル

【剣術】【筋力強化】【裁縫】など

 

Rスキル:一つの町に一人くらいは居るスキル

【雷魔法】【飛斬】【獣化】など

 

SRスキル:一国に一人か二人いる程度のスキル

【刀剣召喚】【魔術創造】【浮遊剣術】など

 

LGスキル:一世紀に一人か二人居るスキル

【魔剣召喚】【錬金術】【輪廻転生】など

 

UQスキル:その個体以外は持つことがないスキル

【王の化身】【不死人の王】【愚かな四王の冠】

 

TRスキル:その種族なら持っているスキル

【使徒召喚】【闇の手】【石化の魔眼】

 

Paスキル:なにか特定の相手とあるもので結ばれたときに発生するスキル、セットでないと効果は出ない

【断ち斬れぬ永遠の絆】《友情、愛情》

【呪い蝕む復讐者の瞳】《怨念、憤怒》

【命捧げし絶対の忠誠】《忠誠、覚悟》

 

 

アッシュ

 

右手武器 罪の大剣+5

暗月の長弓+5

 

左手武器 霊樹の盾+5

幽鬼のトーチ+5

裁きの大剣+5

 

頭装備 竜血の兜

体装備 竜血の鎧

腕装備 竜血の手甲

足装備 竜血の足甲

 

指輪 ハベルの指輪

賢者の指輪

カーサスの指輪

騎士の指輪

 

 

実は吹き溜まりの攻略を終えて、あとは火を継ぐだけの状態。なにがしたいのかわからなくなり、火をどうするか考えていると、十二席に呼び出され今に至る。

 

 

ファーナム

 

 

右手武器 魔法のブルーフレイム+10

炎のロングソード+10

左手武器 ハイデの騎士の直剣+10

魔法の叡智の杖+10

アヴェリン+10

 

装備 【ファーナム】シリーズ

 

指輪 王の戦士の指輪+1

三匹目の竜の指輪

ヨアの指輪

王の指輪

 

すべての冠を集めた上で、玉座に就いたが、呼び出され、友人を呼び出すために一生懸命働いている。心が擦りきれているが、もとは高潔な騎士であり、フォローザにこの人ありとまでいわれた武人であった。

 

 

ヴァンクラッド王【亡者】

 

大国を作り、一代で繁栄させたが、海の彼方からあるものを盗みだしそれが元で国を滅ぼした人の王。

晩年、闇に飲み込まれることを怖れ不死廟の最奥に自らを封じ、右腕とも言える【王の盾】に自らの眠りを守らせた。

朽ち果て亡者となってなお、その強大な力は衰えず、しかしその叡知は暗闇に沈み、ただ力を振るうのみの亡者となった。

 

《本物が持つ物》【LGスキル:大王の絶対命令】

 

人の形の者相手ならば相手の意思を無視して命令を下すことが可能。しかし、何かしらにおいて負けている場合不可能。《知識、覚悟等》

また、忠誠を誓った相手を大幅に強化する。

 

 

【席を持つ者】

 

神に産み出され、人間に試練を与えると言い伝えられている種族。その体は朽ちず、時間の流れに囚われぬ唯一の種族である。

しかし、力の全てを失ったとき、全ての大地と記憶からまるで霧のように消え去るのだという。

 

【TRスキル:使徒召喚】

遺品を触媒とし、その持ち主を召喚する魔法。代償は魔力消費だけではあるが、召喚された者の行動を制限できないため、呼び出した瞬間殺されることもあるため最後の手段としてしか使えない。

 

 

 

ミラのルカティエル

 

亡者となってしまったため、不死の呪いの解除、兄の捜索を目的にドラングレイクまでやって来た。

騎士団でも精鋭であり、亡者達に遅れをとることはほとんどないが、呪いの進行を止められず、【アン・ディールの館】で記憶のほとんどを失いファーナムに全てを託し行方をくらませた。

 

【UQスキル:我が意思は剣、我が記憶は鎧】

 

非常に強力な肉体強化を受けるが、意志が薄れたとき、記憶をなくしたとき、それぞれ、筋力、防御力が激減する。

 

【Paスキル:断ち斬れぬ永遠の絆】

 

絆が続く限り記憶を絶対のものとする。互いの危機を察知することができる。

 

【竜狩り】オーンスタイン

 

かつて嵐の戦神に仕え、その雷を譲り受け、戦神と岩の古龍達と戦った古代の英雄。

その早さは音を越え、槍に纏った雷と共に飛来する彼の突撃は味方からは【勝利の雷】と呼ばれ、数多の竜を討伐したその力から【竜狩り】と称えられた。

 

晩年、追放された嵐の戦神の後を追い、ひっそりと姿をくらましたという。あとに残されたのは光を失った神都と幻影を守る処刑者のみであった。

 

スキル名【UQスキル:天雷纏いし黄金の獅子】

 

全身に雷を纏い音を置き去りにする速度で敵を貫く。貫かれた敵は体内から雷に身を焼かれる為、生きることはできない。

 

 

【深淵歩き】アルトリウス

 

太陽の光の神グウィンに仕え、その剛力と狼のような戦い方から【無双】のアルトリウスと呼ばれた。

戦争の終結後は深淵の使徒ダークレイスを討伐するために国中を回り、深淵に飲み込まれたウーラシールでその消息をたった。

 

一人帰りついた愛狼シフの持つ指輪から、深淵を滅ぼした英雄として【深淵歩き】の二つ名がついた。

その墓に死体はなく、かれの象徴である剣と指輪が飾られているという。

 

【UQスキル:比類無き魂の剣】

 

その心に揺らがぬ意思あるかぎり、剣を受け止められること、その剣の折れることはない。しかし、心に揺らぎのある時、その剣は何も斬れぬ鈍となる。

 

【UQスキル:深淵纏い】

 

人の闇を呑み込む深淵をその身に纏うことで、全ての能力を大幅にあげる。さらにその動いたあとには深淵の汚泥が残り、触れたものの正気を奪う。

 

 

 

【王の刃】キアラン

 

名は書物によって伝わっているが、何者なのかは分かっていない。

【常に仮面をつけ、王の敵を何も知らぬ間に排除する】と言われているため、暗殺者だと思われる。

その最後は分かっていない。俗説では【ウーラシールでアルトリウスと共に逝った】【アルトリウスの墓を守り、今はその墓の下に埋葬されている】【実は生き延びており、都を守護する暗月の剣となった】など、色々と憶測が飛び交っている。

 

【UQスキル:姿無き月下の剣舞】

 

月明かりのない新月、もしくは月の見えぬ曇り空に限り手に触れるもの、身に付けたものが全て透明になる。

 

 

【鷹の目】ゴー

 

 

比肩するものなしと言われる巨人族の弓の名手であり、その力を嫉妬され兜の隙間を蝋で封じられ、盲人となる。しかしその弓の腕は衰えず、ウーラシールの異変において音と気配を頼りに黒龍を射抜いたという伝承がある。

彼は巨人族の英雄であり、それを真似して弓に生涯を捧げる巨人族も多いという。

なお、晩年は彫刻をいくつか残しており、それらは聖遺物として、巨人の国に保管されている。

 

【UQスキル:覇者穿つ必中の矢】

 

一撃のみ、確実に相手に致命傷を与える致死の矢を放つことができる。当たった部位を完全に停止させ、どんな治療も不可となる。

 



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閑話 聖堂に現れるは黄金の獅子

「ここだな。」

 

新たなダンジョン、それもほかでは見られないような異質なものだと聞いて、我等【探求の道】はこのダンジョンの調査に来た。

我等の目的は【探求と発見】、今はこのダンジョンにギルドマスターの興味が向いているため、調査のためにギルドで一番強力なパーティーの我々が来た。

 

 

まぁなんとかなるだろうと軽い気持ちで進み、2体の赤騎士にボロボロにされたのは今となってはいい思い出だ。どうやら、先人の話を聞くとやつらの先へ進むにしろまずは右の【不死廟】へと行かなくてはいけないらしく、無限に現れる魔術師に辟易しつつ、先へ進むと【絶望】が待っていた。

 

──そして約3ヶ月、やっとあの巨大な怪物を討伐できた。落とした鍵は恐らくあの灰の騎士の先へと進むためのものだが、今回はこの先へといってみる。

 

慎重に階段を上っていくと、

 

 

──まさに絶景としか言えないものが広がっていた。

 

どこまでも広がる大海と星空に、光を放つ大灯台。しかし、動くものは何一ついない寂しい土地。

 

あぁ、素晴らしい。

 

 

我に帰った私は、呆けている他のメンバーを起こし、先へと進んでいく。ボロボロの騎士が出てくるが、対して強くはない。どうやら、ここは攻略用のエリアではなさそうだ。

 

ご褒美といったところか?

 

右の方へいくと、【灰の墓所】に現れる赤い騎士が佇んでいたため、皆でかかると、意外とあっさりと倒すことができた。やはり、あの怪物に比べれば大したことはなかったな。

 

上へといくと、巨大な石碑があり、そこには【不死廟】【ハイデ大火塔】の歴史、そこに現れる敵の背景が描かれており、非常に興味深いないようだったため、何日か行ってすべて模写してきた。

 

さらに、その先には宝箱があり、中には【エスパダ・ロぺラ】という剣と【寵愛の指輪】が入っていた。

どちらもかなり使えそうだ。その情報で褒賞金ももらえそうだし、今回はかなり素晴らしいな。

 

 

そんな感じで騎士と戦いながらさくさくと進む彼らはついに巨大な聖堂の前にたどり着いた。騎士を倒すとレバーが現れ、引くと跳ね橋が降り、進めるようになった。

 

──そして、聖堂のなかに【ソレ】はいた。

 

【よくぞ来た。挑戦者よ。】

 

壮麗な聖堂の内部、ステンドグラスに囲まれた祭壇。

 

【これより先は我等が王の住まう都なり。】

 

正面の大扉の前に槍を突き立ちふさがる獅子の鎧。

 

【進みたくば、我が試練を受けるがいい。さぁ武器を構えよ。】

 

黄金の騎士は槍を正面に構え、油断せず視線をこちらへ向ける。そして溢れだす黄金色の【神気】

 

【我こそは太陽の神グウィンが四騎士、その総長オーンスタイン。さぁ!貴様等の武勇を我に見せよ!】

 

 

そして、彼らは悟る。ここに敵が居ないのは、目の前の騎士こそが最高の防衛者だからであると。

 

このご僅か数秒、彼等は雷の槍に貫かれ、命を散らすことになった。

 

 

そして、彼等は黄金騎士に魅了され、何度も何度も彼に挑み、一年後ついに試練を突破することとなる。

 

──その先がとある城へと繋がっていて感動しつつ絶望したのはまた別の話。




次からは新章入ります。
皆さんお分かりかと思いますが次の主役は【彼等】です。


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第Ⅱ章 太陽の光は春の訪れ
一ヶ月後 そして彼等は再会する


視察か終わってから大体一月がたち、遂に新たな召喚ができるようになった。

──そう、ファーナムが待ち望んでいた彼女だ。

 

何時ものように召喚陣の前に立つ。

ファーナムに目配せすると、彼は一振りの大剣を取り出す。それは薄墓の国──かつてのミラの国にある騎士団の正当な剣、そしてファーナムに残された彼女の遺品でもある。

 

かれはその剣をまるでガラス細工を扱うように慎重に主へと渡す。

 

「‥‥任せる。頼む。彼女を解放してくれ。」

 

「承りました。では、召喚します。」

 

そういうと召喚陣が輝きだす。

 

待ち望んでいた時が来たが、それが叶うのは案外一瞬のことであり、当人からすれば永遠にも等しい一瞬である。

 

──輝きが収まったところで、目を向けると、そこには老人のようなマスクを着けた女性が立っていた。

 

「‥‥‥ルカティエル‥」

 

女性は周囲を驚いたように見渡すと、ファーナムを見つけて顔を緩ませる。

 

「‥あぁ、貴方か。これはいった‥!」

 

そして、ファーナムは限界に達し、彼女を抱き締める。

 

「な‥な!?いや、お、おい、ここここんなところでなにを!」

 

マスクで見えないが、動かせる所をじたばたさせて抵抗を試みる彼女だが、ファーナムは全く離さない。よく見ると、抱き締めた体が震え、兜のスリットから嗚咽が聞こえる。

 

「‥‥その、なんだ。‥‥おかえり。」

 

そう言われた彼女は、動きを止め、静かに抱き返す。

 

「‥‥ただいま。」

 

その辺で私と主は静かに部屋を出ていった。このまま居るのは無粋というものだ。

 

─────────────────────────

 

──大体、二時間ほどして二人が部屋から出てくる。ルカティエルは警戒を解いており、マスクも外している。

凛とした雰囲気の綺麗な女性だ。

ファーナムは今までの張り詰めた雰囲気がだいぶ落ち着いたようだ。

初めて兜を外しているところを見た。‥‥ふむ、野性味を帯びているがかなりのイケメンだな。まぁ予想通りの雰囲気だな。

 

「今はファーナムと名のっているんだな。彼に話はあらかた聞いた。どうやら、私は呪いに呑まれたようだな。助けてもらった。礼を言う。」

 

「なに、気にするな。そちらの旅はお伽噺のようなものだが、大変な旅だったんだろう。」

 

「‥あぁ。そうだな。‥‥ところで、せっかく呼ばれたからには私も何かした方がいいかと思うのだが、何かすることはあるか?」

 

と、聞かれたので少しふざけて

 

「そうだな、よし、ファーナムの世話をしてくれ。なに、我々のことは気にする‥‥ぬおっ!」

 

頭のスレスレを投げナイフが飛んできた。ファーナムめ、冗談の通じないやつだな。‥‥いや、照れ隠しか?

 

「ぬあっ!」

 

今度は両手で投げてきた。ニヤけていたら本気で怒ったようだ。

 

「悪かった!悪かったって!‥‥‥そうだな、ファーナムと二人で改装の案を考えてくれ。」

 

「ふむ、そうか、わかった。では取り敢えずドラングレイクを思い出しながら色々と話し合ってみよう。」

 

「あっ、ファーナムさんの部屋の隣に部屋を作っておいたので、ルカティエルさんの部屋にしてください。」

 

「‥‥むむ、わ、分かった。隣だな。」

 

ちょっと顔を赤くしてルカティエルとファーナムはそちらへと向かっていった。

 

居なくなった後にチラッと主を見ると、ニヤリと笑ってサムズアップをしてきたので、こちらも笑って返す。

 

「主よ、素晴らしい仕事だな。」

 

「いやぁ、新婚さんのサポートは程ほどに‥ですよね?」

 

 

フフフと二人で笑って、また次の階層の案を考えていく。

やれやれ、あの二人を守るためにもしっかりとした迷宮を作らねばな。

 

 

──気付けば、早くも一年近くたち、外には穏やかな春の気配が訪れていた。




なんとなく、呪いがなかったらこんな感じの性格かな?と思って凛としたちょっと可愛い感じの女性にしようとしました、うまく表現できてれば幸いです。

‥‥リア充爆発すればいいのに(ボソッ)

この章はほのぼのしつつも格好いい、可愛い連中を出します。カップルとしてなん組か出したいのですが、いいカップリングあったら
「こいつらオススメだよ!」
と、感想にお願いします。


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第4階層 【生け贄の道】

さて、そろそろヴァンクラッド王の所を抜けて鍵を手に入れるものも増えてきたし、グンダも結構攻略法が研究されてきているので、ボルドの次、【第4階層】を、作ろうと思う。

 

今回再現するのは、【生け贄の道】だ。だがしかし、あそこはぶっちゃけ改造し難いのだ。

森を歩くと丸太亡者、水辺を歩くと大蟹が来るあの場所だが、再現自体は簡単だった。

蟹ももともとこの世界に居る【キングクラブ】という魔物に【深みの加護】を自動で掛ける設定にしたのでかなり強い。が、多分私ならば何回か死ねば進める。

 

ので、一通り意見を聞いたところ、ルカティエルが非常にいい案を出してくれた。

 

「こんなに広いのならば強力なソウルの持ち主達を再現して自由に徘徊させればいいのではないか?私ならばそれはかなり嫌だが。」

 

「‥あぁ、【呪縛者】のあれか。」

 

ふむ、【呪縛者】というのは分からんが【墓守の大狼】がそう言えばそんなことをしてきたな。なるほど、素晴らしい。

 

さて、では次はいったい何を配置するかだ。

 

「その【呪縛者】っていうのはどんな者だ?」

 

「グンダに近いな。ただし呪縛者の方が堅実な攻撃をして来るな。」

 

なるほどな、と言うことは騎士タイプか。‥‥あの森に騎士は弱いな。できれば獣がいいな。

 

そんなこんなで悩むこと一時間。

 

「よし、【竜狩りの鎧】を配置するか。」

 

ということで、何時ものように錬成(今回は【深みの加護】、【暗月の光の剣】を付与)して真ん中の辺りに配置した。それだけではまだ少し弱いから、【竜血の鎧一式】に【光る竜体石】【光る竜頭石】、さらに【護り竜】のソウルを使用して新たな魔物を創作し、【竜の騎士】と名付けて何体か配置した。

 

ボスをどうしようか迷ったが、不死隊は特殊な敵だったから再現できなかったため【呪縛者】《大剣に【カーサスの弧炎】、装備に【大魔法防護】をかけた上で大盾に【結晶魔法の盾】をかけたフルカスタム。》を三体配置した。

 

そして、不死隊なんだが、実は召喚を試みたとき、なぜか失敗した。主に聞くと

 

「‥‥‥このスキルが失敗するのは二つの原因があります。一つは触媒が不完全、新品や模造品だったとき。‥‥もう一つは対象がこの世界の住人である場合です。」

 

 

私が触媒として差し出したのは【ファランの大剣】だ。これが模造品であるはずがない。ということはだ。この世界のどこかに【ファランの不死隊】が存在すると言うことだ。

 

‥‥まぁ彼等は深淵を滅ぼす存在だ。深淵がないこの世界では危険度は低いだろうが、問題は【他の連中】がいるのかどうかだ。

 

不死隊だけなんていう希望は捨てる。彼等がもし居るのならば、最悪他の薪の王達が来ている可能性がある。我々は召喚していない。しかし不死隊は恐らくこの世界に居る。

 

‥‥【深みの聖者】が来ている場合が最悪の展開だ。取り敢えず久しぶりに町へ行って情報を集めてこようか。

 

 

─────────────────────────

 

 

場所は変わってとある大森林。【迷いの大森林】と呼ばれる常に闇と霧に包まれた迷宮。

そこにはこの世界にはいるはずのないものがいた。

 

「‥‥おかしい。我等は薪になったはずだ。」

 

そう呟くのは腕を組み、弓を背負った特徴的な兜の男。

 

「まぁ、確かに妙なところにいつのまにか来てはいるが、問題あるまい。我等の剣に追い付く敵は今のところいないようだしな。」

 

「それより早く町にでもいこうぜ。久しぶりに人を

みたい。」

 

その周囲には三人の男。二人は右手に巨大な剣、左手に歪な短剣を持ち、一言も発していない者は、松明と小振りな槍を持っている。

時は数ヵ月ほど遡る。いつの間にかこの迷宮にいた彼等は森の獣を狩りながら少しずつそとへと近づいていった。

 

「‥‥そうだな、一度町へいこうか。ロスリックへの道を尋ねたいしな。」

 

そしてまた彼等はあるきだす。彼等が森を抜け、【辺境都市レモージョン】へとつくのは約一週間後のことである。




という訳で彼等の扱いはこんな感じです。閑話でぼちぼちそっちの話も書くと思います。

【ファランの不死隊・深淵の監視者】

彼等は今は無き【深淵歩き】の意思を継ぎ深淵を狩るために旅をする不死の一団である。狼の血で交わった彼等の力は凄まじく、時には一国を落とすこともあった。
その独特な剣技は狼に例えられることが多く、その始祖は【灰色の大狼】であるといわれている。

また、深淵に呑まれた彼等を狩る組織も存在し、似て非なる装備に身を纏い、闇を払う炎を持ち、闇に隠れる冷酷なその集団を【幽鬼】と呼んだ。


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二回目の来訪 旧友との再会

ちょっと、話が雑ですが、こんな感じで許してください


 

さて、例の件を調査するために久しぶりに町に来た。今回は迷宮には主が残るのでみんなでいってこいと言うので三人で来た。‥‥私は非常に疲れたがな。

 

さて、では別行動とするか。

 

「ファーナムとルカティエルは二人で町の大通りをいろいろと探ってきてくれ。店に入るにはカップルの方が都合がいいだろう。私は路地裏やスラムを見てくる。」

 

「了解した。何かあったらサインを送る。」

 

「あぁ。‥‥と、そうだ、ほれ、金だ。」

 

「あぁ、助かる。」

 

という事で別れた。さぁ調査の開始だ。まずはその辺の通行人に訪ねてみた。が、

 

「尖った兜のボロボロの騎士?見たことないね。」

 

「あん?敗残兵かなにかか?知らねぇな。」

 

「うーん、わからないね。この町にはいないんじゃないか?」

 

と、当たりは無し。どうやらこの町に来たかどうかすら怪しいようだ。まぁ来ているかどうかすらあやふやだしな。

 

「そこのあんちゃん。ちょっと、」

 

ん?呼ばれて振り向いてみるとフードを被った男が私を呼んでいるのが見える。しかし誘っている先が明らかに怪しい路地裏だ。

 

まぁ、いいだろう。騙されてやろうか。

 

そちらへ移動すると、男は踵を返し奥の方へと歩いていく。着いていくと、どうやら地下のようなところへと案内された。

 

「‥‥何のようだ。下らないようならば帰るぞ。」

 

というと、男は振り返り、

 

「気付かないとはな。少したるんでるんじゃないのか?」

 

「なに?‥‥誰だ?」

 

と、訪ねるとクックッも笑いながらゆっくりとフードをとる。そこにいたのは、

 

「さて、城塞の決闘以来か。久しぶりだな?不死の灰。」

 

──竜体石を巡って決闘をし、死んだ筈の【ホークウッド】がいた。

 

 

「なんだ、驚いて声もでないか。まぁいい、昔話やら積もる話は後だ。。それで、さっきお前さんを見つけたから呼んだんだがここはいったいどこだ?」

 

はっと、気を取り直して、この世界の事を簡単に説明する。ホークウッドはそれで理解したらしく、

 

「なるほどな。ククッ、面倒なことになったな?」

 

「‥‥どう言うことだ?」

 

「お前さんは俺の所属を忘れた訳じゃあるまいな。」

 

「‥‥!なるほど、不死隊がこちらへ来ているのか。」

 

「なんでかは知らねぇがそう言うことだな。大方、深淵の闇が妙に作用したんじゃねぇか?過去には強大な深淵が時間を越えたこともあるらしいぜ?」

 

「‥‥ではこの世界に深淵が現れると?」

 

「いいや、そうだな、水溜まりみたいなもんだ。少しずつ貯まっていって限界を越えたら決壊する。そして、また水を溜める」

 

笑いながら身ぶり手振り説明をするホークウッド、なるほど、いっていることは理解できる。それに彼は深淵に関してはエキスパートだ。彼より詳しいのはそれこそ不死隊の同僚くらいのものだろうな。

ふむ、取り敢えず危険はなさそうだな。深淵が広がるということもなさそうだし、不死隊を見つけなければな。

 

「それで、ホークウッド。これからどうするんだ?」

 

「‥‥そうさな、人伝に聞いたんだが【龍の渓谷】とか言う迷宮があるらしいしな。そこに行こうかね。」

 

「‥‥そうか、達者でな。帰ってきたら顔を見せに来いよ。」

 

「あぁ、いいぜ。城塞の借りも返さないとな。」

 

「フッ、あぁ待っている。」

 

そしてホークウッドとは別れた。どうやらもう出発するらしい。ふむ、知り合いに会うのは久し振りだが良いものだな。

 

さて、それなりに時間もたったことだし帰るとするか。

 

夕方になり、二人と合流し帰っていくアッシュ。その足取りは軽かった。

 




はい、深淵のせいでした。敵対勢力とかにしようかなと思ったのですがそっちはまた別の感じで考えます。


【生け贄の道】

深みの聖堂へと続く道。その聖堂には深みの聖者が封じられ、その封印の維持のために生け贄が送られる。
道には巨大な蟹や不死人が徘徊し、いまではその生け贄すら送られなくなった。

森を進むと生け贄となり、水辺を進むと獲物となる。この呪われた道は不死人達がよみがえる以前から血にまみれていた。


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不死隊譚① 初めての町と冒険者登録

「おーい、町を見つけたぞ。」

 

「なに!やっと見つかったかー。よし、早くいこうぜ!」

 

「だな!‥‥金はこの金貨使えるかね?」

 

「‥‥分からんが行くだけ行こうか。」

 

あの後森から抜けた彼等は大剣を倒して切っ先が向いた方に進むというなんとも言えない方法でさ迷っていた。

しかし奇跡的に町を見つけ、ほっとして町へと向かっていく。皆少し楽しそうだ。

 

 

入り口の前についた彼等は困っていた。

 

「この金貨でなんとかならんかね?」

 

「そんなこと言われましても‥‥なにか身分証はありませんか?」

 

そう、入場税が払えないのだ。本来ならば銀貨二枚。農民でも払えるような額なのだが無一文の彼等にはいくらだろうと関係なく入れないのだ。

 

しかし、久しぶりに町を見たい彼等は粘る。

 

一旦入り口から離れて座り込み四人で価値のありそうなものはないか話し合う。

 

「‥‥さて、作戦会議だ、どうやって入ろうか。」

 

「俺は緑花草とか松脂ぐらいしかないぞ。‥‥剣草ではいるのは無理だしな。」

 

「俺も似たようなものだ。ククリなんかだしたら捕まりそうだしな。」

 

「‥‥幽鬼はなにかないか?」

 

と聞かれた幽鬼はカバンを無言で漁り始める。なにも言わず三人にじっと見られている幽鬼は心なしか少し焦っているようにも見える。

そんな幽鬼が突然動きを止める。

 

「お、何かあったのか?」

 

聞かれたのでゆっくりと取り出す。それは、

 

「‥‥これで‥‥いけるか‥?」

 

【ジークの酒】であった。それを見てリーダー格がなにか思い付いたように頷く。

 

こいつら門番を酔わせるつもりである。

 

 

「なぁ、門番。」

 

「 あぁ、相談は終わりましたか?」

 

「これでどうだ。」

 

「‥‥いや白昼堂々酒渡されても困るんですが。」

 

「そう言わずに、今ならこの【太陽のメダル】もつけるから。」

 

「やめてくださいよ。辺り人たくさんいるのに賄賂と酒貰ってとおしたら首になっちゃいますよ。」

 

「そこをなんとか!この通り!」

 

ついにリーダーが土下座を始める。こいつらにはもはや不死隊のプライドなど皆無である。

 

「‥‥はぁ、お前ちょっと見ててくれ。俺はこいつらをギルドに預けてくる。」

 

「‥‥お前も大変だな。今度おごってやるよ。」

 

「助かるよ。」

 

ついにおれた門番は巡回中の衛兵に門衛の仕事を変わってもらい取り敢えず身分証だけでも貰うようにギルドに案内する。

この騎士はこれで今月5回目の職場放棄であり既に15%の給料カットを宣言されている。どこまでもお人好しの門番であった。

 

妙な格好の連中を引き連れた門番は五分ほどして足を止め、全員に奥の受け付けに事情を説明するように言ってさっさと帰っていく。

 

 

「いらっしゃいませ。本日はどのような御用件でしょうか。」

 

「‥‥む、いや、門番にここに行けと言われたのだがどうすればいいのだ?」

 

「‥‥はい?‥‥あぁ、そう言うことですか。では取り敢えずここの説明をします。」

 

妙なことを言う男を格好からどこかの国の敗残兵かなにかだと辺りをつけて説明を始める。

事務的な説明だが、腐ってももとはそこそこ精鋭のファランの不死隊。きちんと理解し全員で冒険者登録をし、そのままパーティーを組む。

 

そして取り敢えず今晩の宿代を稼ぐために簡単な依頼をいくつか受けてまたそとへと出ていく。

受けた依頼は【薬草採取】と【スライムの捕獲】であつた。

 

さてここで問題が発生する。彼等にとって【スライム】とは下水道にいる汚泥か【エルドリッチの欠片】である。【薬草】とは緑花草か苔玉である。

だがしかしそんなものはいない。この世界における薬草とは【体力をある程度回復し、傷も切り傷位ならば治す草】であり、スライムとは【緑か青のプヨプヨしたゼリーの生きてる奴】である。

 

全く知らない彼等だったが頭の回転の早いリーダーが解決策を産み出す。

 

「よし、取り敢えずさっきの門番のところで話を聞こう。」

 

 

 

「あんたらまたですか‥。」

 

げんなりした表情で溢す門番。さっきの行進は結構目立っていたため聞き付けた上司に今月の給料にボーナスが付かないことを宣言されている。

 

「うむ、薬草とスライムについて情報をくれ、報酬はさっきの酒だ。」

 

「‥‥はぁ、わかりましたよ。」

 

ということで分かりやすく説明する。すると理解したらしく頭を下げ、酒を渡してその場を去っていく。

 

取り敢えずもらった酒をどうしようか迷った末腰のベルトに結びつけた彼は、その姿を上司に見られてしまい遂に給料が20%カットになり口から魂が飛び出た状態でその日の仕事を終えたと言う。

 

 

「おお、あったぞ。これで薬草はOKだな。」

 

「よし、ではスライムを捕獲しにいこうか。」

 

ということで、森を抜けて近くの湿地帯へと来た一向。

そこでなぞの事態に陥る。

 

「アッハッハッハ!リーダーそれ最高だぜ!」

 

「フグッ!‥‥か、可愛いペット‥クッ‥ですねっ‥。」

 

「‥‥むぅ。」

 

なにを思ったのかリーダーがスライムになつかれてしまい帽子の所にスライムがへばりついている。

 

歴戦の戦士である彼もこうなっては形無しである。

 

その滑稽な姿と言えば幽鬼すら肩を震わして笑いをこらえている。

 

「‥‥ついてくるか?」

 

問いかけるともちろん!というようにプルプルと震える。仕方がないので

 

「‥じゃあせめてこっちに乗れ。落ちるぞ。」

 

と言って肩の金具のところに設置する。そして、依頼にあった通りの別のスライムを捕獲して帰るとまたしても門番に止められる。

 

「‥‥あー、なつかれたってことでいいですかね?」

 

「‥‥そのようだ。入ってもいいだろうか。」

 

いつもの方は口から魂が飛び出ているので、もう一人の方が話す。

 

「まぁ、別に問題ないですよ。‥‥両手に掴んでる方もですか?」

 

「いや、こっちは捕獲依頼だ。」

 

「‥‥今度から袋かなにかに容れてくださいね。」

 

「了解した。」

 

そうして普通に入っていったつもりだったがすれ違い様に笑われ子供に「あのおじさんスライム乗っけてる!」と言われ、受け付けでも笑われた彼は非常に不機嫌になっていた。

 

なお、宿代は少し足りなかったのでじゃんけんで負けた幽鬼が地面にトーチをさして胡座をかき外で一晩を過ごした。

 

その姿はとても哀愁が漂っておりまさに【幽鬼】のようであった。

 

 

と、このような形で不死隊組の初めての町での一日は過ぎていった。




なんか凄い書きやすかったです。

この世界では不死隊はほのぼのとコメディ要因です。気が向いたら不死隊譚投稿すると思います。


【スライム】

湿気のあり、いい感じに日が当たる所に現れる魔物。基本的にはかなり弱く、攻撃方法は体当たりのみである。
プルプルと震えるだけで、餌は水と草なため、そこそこ裕福な家ではペットで飼っていることが多い。

そのためこの世界では三大ペットとして【スライム】【クライバード】【ホアー】となっている。

※クライバード=日が上ったら起きて叫び、昼になると叫び、日が沈むと叫ぶとにかくうるさい鳥。よく目覚ましとして飼われている。

※ホアー=小さな馬に鹿の角が生えたような生物。そこそこ早くて力もあるがどうしようもなく頭が悪いため子供の遊び相手くらいにしか使えない家畜である。大体一つの自治体に数匹ほど飼われている。


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休日 初めてのお菓子作り

タイトル詐欺回避できたぜ。


さて、帰ってきたぞ。 どうやら、不死隊の件は問題無さそうだから放置でいいかと思う。そうなるとまだ力も貯まってないし、階層強化も十分そうだから今日はまったりすごそうかと思う。

 

という訳で自室に来た。何だかんだ忙しかったから自分の部屋が纏まっていないためまず片付ける。

 

ちなみに今の状態は【ゴミ屋敷の武器版】といった感じだな。インベントリから整理するために出しておいて忘れてた。さぁ掃除の時間だ。

 

最初に動きやすい服に着替える。色々迷ったが【ヴィンハイムのオーベック】に譲ってもらったヴィンハイムの服を着る。ぶっちゃけこの鎧は構造上の欠点でしゃがむと転ぶ。

 

ロスリックではしょうがないからゴロンゴロン回ってたがあれは兜の飾りが痛いのだ。この服なら掃除にぴったりだな。ブーツもあるし。

 

まずは一旦装備をしまう。で、主におねだりして買って貰った【無限収納箱(期間限定vr)】(DQの宝箱風)を設置する。これのデザインがなかなかよい。

 

次に主が便利だとおすすめしていたパソコンを設置。使い方は全くわからん。説明書は貰ったが教導師の辞書並みに厚くて非常に嫌気がさす。どちらもテーブルにおいておいて次だ。

 

タンスに普段着で着れそうなものと、主に貰った服を掛ける。主はセンスがいいらしくそれなりに着れるものを渡してくれたのでその内これで町にいきたい。

 

さぁどんどんいくぞ。ベッドに残り火を押し込んで保温機能をつけて、ぽっかぽかにする。この部屋は地下に有るから寒いのだ。で絨毯もしいていい感じにした。

 

さぁ仕上げだな。武器を取り出して見映えのいい奴を壁に掛ける。‥‥どれにしようか。【ファランの大剣】は外せないな。【オーニクスブレード】もなかなかいい。うむ、弓なんかも置きたいな。‥‥【ミルウッドの大弓】かな。あとは【ガーゴイルの灯火槌】と【竜紋章の盾】でいいだろう。よし、終わり。

 

さぁまだゆっくりできそうだな。どうしたものか。‥‥よし料理でもしようか。たしかこの辺に料理本があったはず‥‥‥これだ。【初心者でもできる!簡単ケーキBEST10】。

 

 

一時間後、材料を揃えて厨房に来た。エプロンがなかったので買ってきた。何だかんだでそこそこ金を使ってしまった。

 

さぁ始めようか。

 

===三時間後===

 

うむうむ、中々の出来ではなかろうか。

 

目の前には素人が作った感まるだしな少し崩れたショートケーキが出来ていた。

 

さて、食べるか。

 

==暫し無言===食事中===

 

ふう。結構なボリュームだった。味はまぁそこそこだが不思議な充実感があるな。また今度もつくってみようか。

 

そして片付けをして部屋に戻る。まったりとした休日であった。




いやぁ難産でした。まったりとした不死がうまく想像できなくてなぜか掃除してケーキを作る展開に。

次回召喚パート行きます。


【不死特性ショートケーキ】

少し不格好ながらも仄かな甘味とさっぱりとしたスポンジのそれなりに美味しいケーキ。ポイントはオーブンが使えなくて呪術の【ぬくもりの火】を使ったためスポンジがすこし香ばしくて甘いところ。

少量のHP、FP回復効果がある。


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召喚 暴走する魔法陣

さて、階層はどうやら5を越えると作るのな必要な力が倍増するらしくもう少し力を溜める必要があるそうだ。

 

5、10、25、50、100、1000と、こんな感じで必要な力が倍増するらしい。

 

という事で、先に召喚をする。今回の召喚だが‥‥ヨルシカ騎士団長にしようかと思う。今回は差し迫った理由もなかったし、私がいなくなったあとあの塔には騎士団長しかいなくなってしまった。だからこちらでゆっくりしてもらいたい。

 

今回は色々と悩んだが、【暗月の光の剣】のスペルスクロールで召喚しようかと思う。色々と悩んだが指輪よりもこっちの方が思い入れが深いしな。

 

さぁ始めようか。

 

いつも通りにセットして光始める魔方陣。‥‥‥しかしここからがおかしかった。

 

じょじょに光が強くなり始め、またスクロールも呼応するかのように光出す。

 

「な、なんですか、これは!こんなに、力は入れてません!おかしいです!」

 

主が動揺し、力の供給を止めるが、収まらずにより光は輝き、召喚の部屋が閃光に包まれる。

 

‥‥だが、なんだか妙だ。かなり明るいはずなのに私の目は全く眩しいと思っていないのだ。兜を被っているファーナムすら手を目の前にかざし、主は全く直視できないほどの明るさなのに私には全く眩しいと感じられない。

 

それに、‥‥これは歓喜か?涙が溢れて止まらない。まるで父親にでも会ったかのように。

 

 

そして光が収まった。

 

「‥‥ふむ、その様子を見るに貴様は暗月の剣か。大義であったな。して、ここはどこだ。」

 

気がつけば誓約礼をとっていた。溢れるほどに光輝く神々しい太陽の化身。燃えるような赤金の髪に王たる覇気。

 

「‥‥グウィン様、でいらっしゃいますか。」

 

「しかり。それで、ここはどこだ。」

 

「ここは、別世界にございます。」

 

【太陽の光の王グウィン】であった。

 

「‥‥なるほど、火の力を感じないな。そのようだ。」

 

「王よ、なぜこちらに?私共の予定ではヨルシカ様がいらっしゃるはずだったのですが。」

 

そう聞くと少し愉快げに

 

「ふむ、我が系譜の者がどこともわからぬ場所に呼ばれようとしていたのでな。深淵信仰の連中の悪巧みかと思ったのだ。だが違うようで安心した。」

 

「では、ここに滞在なさりますか?」

 

「否。そなたらも分かるであろうが、我には重大な任務がある。我等が龍より勝ち取りしあの世界を深淵の闇にのまれる訳にはいかぬのだよ。」

 

それをきいて私は火継ぎの存在を忘れていたことに気がついた。気がついてしまった。

 

蒼白な顔で拳を握る私を見て察したらしく王は

 

「‥‥どうやらあの世界のことは忘れていたようだな。だがしかしそれになんの問題がある?」

 

「‥‥え?」

 

思わず聞き返すと、王は穏やかな表情になり

 

「‥‥今でこそこんな老いぼれだがな。私には大戦を起こし、友達を巻き込んだ責任があるのだ。そして闇のなかで安寧を享受していた小人達はそんな我らに続き戦っていた。

 

確かに神族にとって人間の闇は猛毒であり、天敵である。我もそれを恐れ小人の王を輪の都へと閉じ込めた。

 

‥‥だがな、彼等が供に戦ったことは紛れもなく事実であり、また我には闇の住人であった彼らを火の元へと誘い出した責任があるのだ。私は薪になり、あの火を絶やさずに保たねばいけない。

 

‥‥しかし、そなたは恐らくだが責任というものはないのだ。火継ぎはな。我のわがままでありけじめなのだ。それを人の子に負わせることは望まぬよ。火を継ぐならそれもよし、闇に包むのでも構わぬ。結局は行動を起こしたものが全ての責を負うのだよ。

 

だからそなたがここで安寧を受けることになんの問題もないのだよ。」

 

どれ、最期の置き土産だ。そう言って王が手を降ると全員が暖かい光に包まれた。

 

「我が加護だ。誓約を受けたお主ならば【奇跡】の真の力を引き出せるだろう、それこそ神族に劣らぬほどにな。」

 

「ああ、それとひとつたのみがあるのだが。」

 

「‥なんでしょうか。」

 

「我は長であり、逃げられぬ。しかしだな、」

 

王はいくつかの指輪を取り出して私に手を伸ばす。震える手でそれを受けとる。こった意匠の8つの指輪と禍々しい骸骨、小さな結晶の欠片を貰った。

 

「これは‥‥。」

 

「我が部下,子、友達のものだ。この魔法では恐らくだが何かしら関連の深いものが触媒として必要なのだろう?これを使って皆をあの暗闇から救ってくれ。あの世界で死ぬのは我一人で十分だ。」

 

「‥‥しかし、今の我々では力が足りず、」

 

「考えていないとでも思ったか?ほれ、これを使え」

 

そう言って渡された一本の長杖。とてつもない力を秘めたそれは下手をすればこの一本だけでも少しの間は火を保てそうだ。

 

「こ、これは?」

 

「我等が叡知の集大成である。魔女は理性を失い、死者は安息を願い、シースは狂ってしまった。‥‥我等が皆平穏であった頃のものだ。これを使えば良い。」

 

「‥有難うございます、このご恩は忘れません!」

 

「きにするな、そろそろ我は戻る。」

 

息災でな、そう言い残し、王は炎と供にかききえた。夢のような出来事であったが私の手には杖が残されている。

 

主が重圧から立ち直り真っ青な顔で問いかけてくる。

 

「あのお方は?」

 

「‥私たちの世界の全ての礎を築いた偉大なる太陽の神だ。あの方なら召喚に割り込むくらい造作もないだろうな。」

 

さぁ、やることができた。また力を集めて王の願いを叶えないとな。

右手の中に杖をしまいこみ、少しでも力がたまるように迷宮を改装していく。忙しくなりそうだ。




8つの指輪

鷹の指輪 【鷹の目】ゴーの指輪
狼の指輪 【深淵歩き】アルトリウスの指輪
スズメバチの指輪 【王の刃】キアランの指輪
獅子の指輪【竜狩り】オーンスタインの指輪
処刑者の指輪 【処刑者】スモウの指輪
暗月の指輪【暗月の神】グウィンドリンの指輪
嵐の指輪 【嵐の戦神】無名の王の指輪
女王の指輪【光の女神】グウィネヴィアの指輪

下二つとスモウの指輪はオリジナルですので本編にはありません。あったら感想で教えてください!

あと、杖の形状としては2の【叡知の杖】の球体が発光してて本体は闇強化みたいな色してます。更に回りを回ってる球体が中央から順に【黄金】【真紅】【紺碧】【漆黒】です。


【黄昏の長杖】

【白竜】が、【原始結晶】を削り出して作った素体に【混沌の魔女】が火を灯し【最初の死者】が結晶に闇を封じ込め、最後に【太陽の光の王】が自らの光と雷を封じた強力な杖。全てのスペルの触媒となり、その力をオリジナルのものに劣らず強化できる最高の杖。

伝承に残っていたが、王が火の炉に向かうとき、供に火にくべてしまったため焼失したと言われている。【叡知の杖】はこれを天才魔導師が作り出したものと言われているが、その力は遥かに劣る。


ステータス

魔法攻撃力 580
火炎補正 700
闇補正 700
魔力補正 700
雷補正 700

理力補正 SS
信仰補正 SS

特殊効果 FP回復秒間2% 状態異常耐性100%

SS=1P上げると 魔法攻撃力+元の値+理力/10


理力99で 580+580×99/10 ※99=100とする
=6380

どっちも99で12180

ぶっとんでますね。威力的には八周目巨人の王を雷の大槍二発で倒せます。


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召喚 古竜穿つ黄金の獅子

さて、王が帰ってから数日たった。

あの杖に回復効果があることがわかったので主に渡して瞑想してもらうと数日で召喚に必要な力が溜まってしまった。強すぎる。

 

ただ王が何かしらの制限をつけていたらしく貰ったアイテムを触媒にしないと力を使えないようだ。

 

普通の召喚をするなら杖の力は使えないということだ。

 

さて、最初の召喚だが、騎士団長殿を召喚した方が統率がとれると思われるため、最初に召喚しようと思う。

 

だから【獅子の指輪】を中心に設置して、杖をおく、すると召喚神が黄金色に変化した。

 

「では主、召喚を頼む。」

 

「ええ、行きます。」

 

そして力を注ぎ込むと、召喚陣が輝き、紫電が迸る。

 

そして、黄金の鎧を纏って槍を構えた騎士が現れた。

 

「‥‥ふぬ、王のおっしゃった通りか。となると、そなたらが王の友人というわけか。」

 

そこまで言うと、ひざまずく。

 

「改めて名乗ろう。四騎士が長、【竜狩り】のオーンスタイン、ここに参上いたした。よろしく頼む。」

 

「こちらこそよろしく、なんと呼べばいい?」

 

「‥‥仲間達からはレオンやら金獅子とも呼ばれていたな。オーンスタインでいい。」

 

レオンというと獅子か。‥‥どれだけその鎧を気に入っているのだ?

 

「あぁ、兜をはずしていなかったな。失礼」

 

と言って兜を外すと、真紅の髪に碧眼の美青年が表れた。その顔立ちは冷徹な雰囲気をかもしだし、しかしどこか穏やかな不思議な青年だった。

 

「さて、ひとつききたいのだが、私にできることはあるか?」

 

「‥?なんだ?突然。」

 

「腐っても騎士だ。なにもせずただの穀潰しには成りたくないのでな。仕事がほしい。」

 

別になにもしなくても我々としては居てくれるだけで警備として最高ではあるのだが。

 

話を詳しく聞いてみると、どうやら、ロードランに存在した強力な戦士達のことを知っているようで、騎士団に所属するもの、ゴーレムなどのことを知っているようで作ることができそうだ。

 

その中には私が知っている【黒騎士】【銀騎士】のほかにも、【巨人衛士】【バルデル騎士】【バーニス兵】など、かなり強そうな存在もあり、これは期待できそうだ。

 

そこでひらめいた。オーンスタインと言えば伝説の神の都の守衛と言われている。第六階層を神の都にしてはどうだろうか。

 

「ならば、我々と供に迷宮を作ってくれ。我々はロードランの地のことを一切知らないんだ。どこか強力な守護があり、しかし感動的な美しさがあるような場所を知らないか?」

 

というと、ニヤッと笑って、

 

「それならば取って置きの場所があるぞ。【アノール・ロンド】だ。」

 

こうして、次に作る階層が決まった。次は神々の住まう黄金郷。【アノール・ロンド】である。




嵐の指輪

嵐の戦神がその功績によって与えられた指輪。【嵐の竜】の刻印がなされており所有者は強大な嵐の加護を受ける。

それは嵐の戦神が追放されしときその力の多くを失った。しかし今だ残るその刻印からは力の残紫を受けとることがてきる。それは嵐の戦神ではなく【無名の王】の権能か。

効果 全モーション速度上昇
怯み無効


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第六階層 【アノール・ロンド】

階層強化にはあの杖も使えるようで第六階層が作れるようになった。という事で第六階層‥‥彼らのすみかをつくる。

 

普通に部屋を作ろうかと思ったんだがアノール・ロンドで暮らしたいとオーンスタインが猛烈に抗議してきたからそっちにこれから来る人たちを住まわせる。

 

さぁ早速作っていこう。先ずはオーンスタインの指示にしたがって城を作っていく。入り口は色々と迷ったが【青聖堂】の裏から行けるようにした。

 

それと、あそこのボスをオーンスタインにやってもらうことになった。竜狩りはお役ごめんという事でエンマがいた催事場に待機してもらう。

 

さぁ外観はある程度完成した。オーンスタインも満足げにうなずいている。

 

「うむ、これで夕暮れに染まった景色が見られれば完璧なのだがな。」

 

さすがに無理です。さぁ内装を作っていこう。

 

先ずはオーンスタインに元々の騎士達の配置を教えてもらいその通りに配置する。さらに、屋上、広間には【黒騎士】を追加、正門の中には銀騎士弓兵団を六人追加したうえで、巨人衛士を計四体、さらに門の横には【バーニス兵】を2体配置して通す気がないような設計にした。

 

なお、現実でこうしなかった理由だが、

 

「うむ、王が、炉に旅だったあとに全兵団を解散したのだ。そのため、あの場にいた銀騎士は私の直属の部下とスモウのペットのガーゴイル達だけしかいなかったのだ。」

 

ということらしい。今はわからないため恐らくだが最初の火継ぎの王はそうして警備が少なくなったところを侵入したんだろうな。4騎士もオーンスタインを残してみないなくなっていたようだし。

 

「あぁ、ここの奥の間なのだがな。本来ならばグウィネヴィア様の寝室となっている為私とスモウで守っていたのだが、どうする?」

 

「あぁ大丈夫です。考えがあります。」

 

久しぶりに登場、主による本来この世界にいるモンスター召喚。

 

今回呼び出すのは、【クリムゾンブラッドドラゴン】真紅の体に黒い刻印があるかなり強力な竜である。

 

「うーむ、ヘルカイトに似ているな。」

 

と言っていたのでどうやらロードランにもにたようなのがいるらしい。さぁ、魔改造の時間だ。

 

 

取り出すのは錬成炉。今回使うのは【楔石の原盤】である。閃いたのだが。オーンスタインは楔石にソウルが宿ることでデーモンと貸すこともあるといっていた。

 

ならば、錬成で擬似的に作り出せるのではないだろうか。

 

【楔石の原盤】と【偉大なる英雄のソウル】、【雷の貴石】、【炎の貴石】を投入する。

するととんでもない音をたてて、中から一体のデーモンが飛び出してくる。

 

漆黒の体に強靭な筋肉と尻尾、そして手に持つ杖槍。

【楔のデーモン】が完成した。

 

次に主の力があがってできるようになった新機能。【魔獣合成】である。

 

【楔のデーモン】と【クリムゾンブラッドドラゴン】を錬成陣の中に配置して詠唱すると、2体が輝き、混じりあい新たな生物が誕生した。

 

【赤血竜のデーモン】というらしい。

 

見た目は楔のデーモンの各パーツを竜のものに変えたような感じだ。つまり頭のない竜人である。

 

しかし両手に杖槍と特大剣を持ちさらにもう一対の腕を生やしてそこに大盾と曲剣を持っている。

凄まじく凶悪である。

 

これを見たオーンスタインも少し顔がひきつっており

 

「古竜の陣営にこいつがいたらかなり苦戦したであろうな。」

 

と言っていたのでどうやらこれはヤバイらしい。

 

広間が広いのでどうせだからもう一体作成。

 

一対には大弓、もう一対には両手にクロスボウ、配合する竜を【ブリザードクリスタルワイバーン】にしたことで、巨大な羽があり、基本的に空を飛ぶデーモンが生まれた。こっちは【爆氷竜のデーモン】となった。

 

という事で守りは万全である。ここの奥にオーンスタインの言うとおり色々と配置して完成した。

 

‥‥ぶっちゃけちょっとやり過ぎた気がしないでもないけどまぁいいや。

 

さぁ、明日は何をしようか。




はい、実際に出てきたら鬼のようにクレームが来るであろうボス用意しました。スペックはその内出します。


【処刑者の指輪】


残虐な処刑者が王から渡された指輪。つけることで筋力が上がるが、代償に知性が下がる。

その残虐さから4騎士に選ばれなかった処刑者は、しかし誰よりも最後までその主の城を守り続けた。神喰らいが全てを破壊するその日まで。

効果 筋力10増加
理力5減少(0以下にはならない。)


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不死隊譚② 日常と昇格試験

「店主、久しぶりだな。」

 

八百屋の店先にぬっと顔を出す顔の見えないボロボロのコートを纏った青年。普通なら通報されるところだが、

 

「おっ、リーダーさんよくきたね!いつもの野菜と肉かい?」

 

「あぁ、それと差し入れだ。依頼がうまくいったのでな。」

 

「お?これは酒か!いやぁありがたいね。ほれ、これも持っていけ!」

 

「ありがたい。ではまた。」

 

「あいよ!毎度ありー!」

 

と、店先で果物をもらえるくらい馴染んでいる。さらに道を歩けば

 

「おじさん、あげるー!」

 

と少年に石を貰い、

 

「おや、終わったかい、お疲れさま。」

 

おばちゃんと話し、

 

「リーダーさんこないだの件だけどさ‥‥」

 

衛兵達にアドバイスをし。

 

と、すっかり馴染んだ不死隊のリーダーであった。交流をはかりながら宿へ変えると、既に3人は宿の部屋でゆっくりと過ごしており

 

「あ、リーダー。串焼き買ってきたか?」

 

「ほれ、鳥十本、魚三本、ミックス5本。」

 

「おおー!完璧!サンキューリーダー!」

 

と、早速かぶりつく剣持ちの不死隊。

 

「この間頼んでおいたものは?」

 

「木の矢20ダース、鉄の矢8ダース、【火炎属性魔術の魔法書(初級編)】でいいよな?」

 

「ええ、それです。有難うございます。」

 

で早速本を読み出す弓持ちの不死隊。最初は前衛二人だったのだがもともと魔術が得意だったこともあり、この世界では魔術師として活動している。

 

「‥‥リーダー、俺のは?」

 

「あぁ、これだろ?」

 

「‥‥ありがとう。」

 

リーダーが取り出したのは普通のファンタジー小説。この男幽鬼だからか、そもそもこういう性格なのか、気がつくと暖かな窓の辺りで静かに読書をしている。暗くなると机に幽鬼のトーチをおいて読書をするのはどうかと思う。

 

そんなこんなではや一月。町になれてある程度だらだらと過ごしている彼等にギルドから指令が下る。

 

 

 

「‥‥試験とは?」

 

「皆さん結構着々と功績を増やしているのでそろそろDランク位までなら上がれるんですよ。それでDランクなると色々とできることも増えるのでどうかと。」

 

「ほぅ、なにをすればいいのかな?」

 

「そうですね。‥‥‥今でしたらこれですね。」

 

そう言って見せられた紙には

 

【求む、息子の家庭教師。日給 銀貨5枚】

 

とかかれていた。

 

 

─────────────────────────

 

 

「ここだな。」

 

帰ったリーダーが皆にこの事を伝えると皆OKと言うことなので早速受けることにした。家庭教師というのも勉強などではなく、武術ということらしい。

 

「失礼致します!ギルドから派遣されて参りました!」

 

リーダーが声を張り上げると大きな屋敷から数人のメイドが出てくる。

 

「お待ちしておりました。家庭教師の件でございますね?」

 

「はい、それでどなたにお教えすればいいのでしょうか。」

 

「なかで説明いたしますので、どうぞこちらへ。」

 

案内されるがまま着いていく四人組。応接間にと押されたので座って待っていると

 

「お待たせいたしました。当主の【スチュアート・ヘンリック】ともうします。お見知りおきを。

それで、依頼の件ですが。私と私の息子を鍛えてほしいのです。」

 

「‥‥というと、あなたに戦術指南をすればよろしいと?」

 

「我々は商人をしているのですがね。長旅をするならある程度の護身術が必要と思いまして。それで冒険者のかたに教えてもらおうと思いましてね。」

 

「‥‥ならば高いランクの人の方が良いのでは?」

 

「いえ、あくまでも護身術ですので。あまりお金を掛けるわけにもいきませんしね。」

 

ということらしい。細かい予定を積めていくと。明日から午後に来て、一ヶ月ほど教えれば完了ということだ。さて、どうしたものか。

 

 

帰ってから皆で何を教えるか話し合う。

 

「大剣術はいらないだろうしな。やはり、パリィや受け流しの技術か?」

 

「だろうな。大剣を護身で使うなど意味不明だ。小剣の技術でいいだろう。」

 

「では簡単な魔獣も教えましょうか。あれば便利です。」

 

「‥‥‥では気配の読み方、消し方、松明の使い方。」

 

「‥それは教えられるのか?」

 

「‥問題ない。」

 

という事で、予定が決まった。明日からは忙しそうだ。

 

 

─────────────────────────

 

13:00~14:00 大剣使いによる体術講座

 

「あー、まずは走ってもらうが。そうだな‥‥10分で庭を5周できれば合格だ。それだけできりゃ小鬼くらいなら逃げ切れる。」

 

これは二人ともある程度はできた。父親は34,息子も14程度とまだ若いため体力はある。それでも父親には少しきつかったようだが。

 

「うっし、じゃあ筋トレするぞー。」

 

こんな感じで90分はすぎていった。

 

14:10~16:00 魔術師の魔術講座

 

「ではまず【照らす】の魔法を覚えましょうか。ポイントは【暖かい火】ではなく、【明るい光】をイメージすることです。熱が多いと光は弱まりますし、近づけません。攻撃するのでないのならば熱はなくていいのです。」

 

これは息子の方が全体的に得意であった。父親が【照らす火】【発火】を覚えている間に【ソウルの矢】【音送り】【フォース】【回復】【毒の霧】を覚えていた。

調子にのった魔術師が【致死の水銀】を教えようとしたところでリーダーが大剣の鞘で殴り飛ばして強制終了となった。

 

 

16:10~17:00 幽鬼による隠密講座

 

意外だったのは幽鬼は口数は少ないもののポイントを分かりやすく噛み砕いて教えることによりサクサクとおしえていっところだ。これにはリーダーも驚いていた。

 

「‥気配と言うのは、呼吸や、足音。なにか生活をするときに人が出す痕跡だ。 ‥これをどうやって抑えるかで、有事の際、逃げやすさが、段違いだ。」

 

そう言って彼は屋敷のなかでかくれんぼをした。簡単そうだが、木製ならば足音はなるし、臭いや、足跡ものこる。

 

そういった一つ一つを細かく指摘することで二人とも終わる頃にはかなりいい感じになっていた。

 

 

17:10~18:00 リーダーによる小剣講座

 

「大切なのは力を受け流すことだ。受け止めていると、疲れるし、剣は消耗する。降られる武器にたいして50~70°の角度で受け流せ。」

 

買ってきた小さな両刃の短剣を持たせ、構えから動きを教える。流石にリーダーというべきか、きちんと教えるべき所を押さえている。これも数日である程度形になり、パリィ、受け流し、さらに案山子相手の致命の一撃もそこそこ当たるようになった。

 

 

 

こんなかんじで、一月がたち、一介の商人を下手な冒険者や兵士よりも鍛え上げたところで終了となった。もちろん依頼は成功であり、彼らは皆Dランクになった。

 

そして今回の実績からギルドの教官の仕事をうけ、たまに銀貨数枚程度でさまざまな武器の使い方を教えることになった。

 

 

 

‥‥‥‥この約半年後、息子がこっそり魔術師に弟子入りし、数年後に【暗殺魔術師】として有名になってしまうのはまた別のはなし。

 

 

 

 

 

 




暗殺コラボ

皆さんお馴染みの【致死の水銀】【見えない体】【】【隠密】【猛毒の霧】のセット。ボス相手に凶悪な威力を叩き出すこれを使いこなした商人の息子は護衛なしでもどこへでも仕入れにいくことでゆうめいになった。

(実は魔術師からこそっと【語り部の杖】を貰っている。)


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法王譚① 法王の計画、そして大きな誤算

シリーズ②です。連中の癖にめっちやほのぼのさせます。嫌いなかたは飛ばしてください。


汚泥のなかに沈んでからどれ程の時間がたったのか。やっと私の企みが成功したらしい。

 

筋書きはこうだ。

 

①世界を越えられる道具をエルドリッチに、喰わせてその力を奴のものとする。

 

②私のちからの全てをソウルに写して誰かに殺させる。

 

③エルドリッチが死んだときに私のソウルを混ぜる。

 

④奴の力で世界を越え、私が舵を取る。

 

これで世界を越えることができると確信を抱いた私は早速実行に写し、この通り成功したようだ。

 

忌々しい神の力は全く感じられず、見る限り人の営みが繁栄している。大成功といっていいだろう。ここが深海かはしらぬが。

 

‥‥‥だがしかし唯一の誤算だが、

 

「パパー、あのリンゴ美味しそうだよー食べようよー、」

 

(プルプルプルプル)

 

エルドリッチが妙なことになっていることだ。

もとは、冴えない神官であり、今は蕩けた汚泥になったはずだが、なぜか小さな少女と小汚いスライムに分裂している。

 

(エルドリッチは男だろう!っていうか本体はスライムだったはだろうが!そもそも分裂ってなんだ!)

 

「パパー、リンゴー。」

 

「ええぃ!パパと呼ぶな!サリヴァーン様だろう!

‥‥まったく、一つだけだぞ。」

 

(プルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプルプル)

 

「‥‥はぁ、二つだな。」

 

くそ、本来ならばこいつと供に新たな国を作る予定であったのだが。これではどうしようもない。これじゃあ法王と神官ではなく父と娘かなにかだ。

 

「店主、リンゴを二つ。」

 

「あいよー毎度!」

 

くそ、金に変えられるように幾ばくかの貴金属を持ってきたがそろそろ目に見えて減ってきたな。どうしたものか。

 

「貴様!なにをする!」

 

む?何やら騒ぎのようだな。

 

近づいていくと薄汚い少女が、法衣をきた神官のような男に罵られている。どうやらぶつかったことで気分を害したらしいが‥─

 

 

「醜いな。」

 

声が聞こえたらしくこちらを睨み付けて騒ぎ立てる神官。

 

それに応じるように静かに前に出ていく。

 

「黙れ。神に使えるものならばその行動は神に捧げるべきものであろう。それがなんと見苦しいことか。」

 

まぁ、神ならば隣にいるものが喰らったしこの世界では私がなるつもりだがな。

 

「なんだと!喧しいぞ!妙な服をきおってからに!」

 

「‥‥なんだと?」

 

私から強い冷気が漂っているのだろう周囲の野次馬が避けていく。妙な服、妙な服か。

 

「これは我が師フリーデに頂いた神官の法衣であるぞ。法衣に向かってそのような口を利くなど」

 

そこで言葉を切って二振りの剣を取り出す。

 

「万死に値する。」

 

虎の尾を踏んだことに気づいたらしく顔を青くしている。なんと愚かな。これがこの国の神官なのか。

 

「神へ捧げる布施と物を置いて立ち去るが良い。」

 

そう宣言すると財布を投げ出して逃げ去っていく若い神官。

剣をしまうと少女が駆け寄ってきた。

 

 

「あ、あのありがとうございました!」

 

柔和に見える笑みを浮かべ腰を下ろし頭を撫でる。

フフ、子供の扱いなど知り尽くしている。

 

「きにするな。我が教義に沿った行動をしたまで。」

 

「あ、あの、どこの教徒なんですか?」

 

少し考える。もとの世界ではイルシールの法王と名乗っていたが。‥‥ううむ、そうだな。

 

「【アリアンデル教】の教えである。全ては等しく、その命が終わるまで安寧に暮らすものであると。」

 

腐り行くまで、な。

 

そんなことを知らぬ少女は目を輝かせて礼を言って立ち去る。

‥‥うむ、法王だな。

 

まだリンゴをかじっているエルドリッチを連れて歩いていく。

 

「パパ?どこいくの?」

 

「サリヴァーン様と呼べ。‥‥ふふ、布教に行くぞ。なに、我らさえいるならば一月でこの程度の町掌握して見せよう。」

 

そして町を練り歩く法王一行。彼等がこの街を、いやこの国を掌握するのは時間の問題かもしれない。

 

季節は秋。肌寒くなり始め、冷たい冬へと向かう時期のことであった。




はい、エルドリッチ幼女化しました。なんか、そんな予定はなかったのですが気づけばなっていました。

お、恐ろしい。


【女王の指輪】

光の王グウィンの長女、グウィネヴィアの指輪。彼女の柔らかな微笑みが刻印されており所有者に光の加護を与える。

王が残した国を守るため少数の銀騎士と供にアノール・ロンドの最奥にとどまり続けた。いつしか、その最後の女神すら滅び、グウィンドリンの幻だけがアノール・ロンドを保っていた。

効果 奇跡の攻撃力1,8倍
雷攻撃無効化
一部の敵が見方になる(銀騎士等)



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戦闘① ダンジョンのテスト

さて、第六階層まで出来たんだが、ここら辺で一度試験的に攻略してみようと思う。

 

メンバーはオーンスタインを除いた3人。オーンスタインには別室から客観的に見てもらうことにした。

もともと警備の任についてた彼なら私達ではわからないこともわかるだろう。

 

さて、久しぶりの戦闘だから十分に気を付けなくてはな。愛用の装備を着込んで動きを確かめ、全員の準備が整ったことを確認して入る。

 

 

懐かしい。他の二人は違うだろうが、数年前私はこうして目覚めた。あのときは驚いたよ。不死となり、火を継ぎ、終わったと思っていたのだから。

 

3人とも試練を勝ち抜いてきた戦士だ。亡者ごときに遅れはとらずにサクサクと進んでいく。

そして不死廟についた。結晶トカゲが私の記憶よりも強かったのは驚いたな。

恐らくだが錬成をつかったやつらはもとよりはるかに強くなっているのだろうな。

 

不死廟も意外と簡単だった。といっても我々基準の簡単だが。ファーナムもルカティエルもここへきたことがあるらしく敵のことをよく知っていたため対した苦戦もしなかった。

 

さぁボスだが‥‥めちゃくちゃ強かった。

 

「アッシュ!魔法が切れた!」

 

「ダメだ!灰瓶がもうない!松脂使え!」

 

速い、硬い、一撃が致命傷と三拍子揃っている。最悪だ。

 

「アッシュ!ファーナム!私がこじ開けるから斬りかかれ!」

 

そう言って盾と剣を構えて突撃していくルカティエル。タフすぎるだろう。

 

後ろから黒火炎壷を投げたりしながら切りかかっていく。そうこうしているうちになんとか倒すことができた。

 

「ぜぇ、はぁ、こいつこんなに強くなかったんだがな‥。」

 

「‥まぁ、安心できると言うものだ。さぁ、指輪も拾ったし先へ進むか。」

 

ここで迷ったが、今回は生け贄の道へ進むルートを使うことにした。

実は階層の最後はダンジョンの核に繋がっていなくてはならないという制約が有るため【生け贄の道】と【アノール・ロンド】のどちらからでも行けるのだ。

 

「じゃあ二手に別れよう。それで行ける。」

 

「‥‥私一人で生け贄の道へいけばいいのか?」

 

「オーンスタインを呼ぼう。おーい。」

 

虚空に向かって呼び掛けると目の前にオーンスタインが完全武装で現れた。やる気満々だな。

 

私とオーンスタインが生け贄の道へいくことになり、ずんずん歩いていく。

 

まぁこの二人であれば苦戦するなどということもなくサクサクと進む。が、しかし。

 

現在、なぜか【強化竜狩りの鎧】とオーンスタインが一騎討ちを始めてしまった。

そう言えば見せたことがなかったとか思うや否や槍を構えて突撃していった。なぜだ。シンパシーでも感じたのか。

 

そして私はその回りを守るために、大蟹2体と死合(誤字にあらず。)を行っている。

オーンスタイン、頼むからこちらを見てくれ。蟹2体は辛いんだ。

しかもお前らの雷の音に気づいた竜の騎士まで走ってきてるんだ。助けやがれください。

 

「ほう、貴様神代の力が残っているな。‥‥面白い!」

 

黙れバカ野郎。あぁ!ほらまたよってきた!

 

金ぴか野郎が騒ぐせいで

 

大蟹2体

竜の騎士2体

赤目グール1体

 

VS私である。ふざけるなよ。何で生きてるのか自分でも不思議なくらいの激戦だ。

 

あぁ!早く終われ!

 

─────────────────────────

 

【ファーナムルート:ハイデ大火塔→アノール・ロンド】

 

さて、懐かしきハイデに来た。‥‥と思ったのだが。

 

「‥なぜだ。」

 

「‥‥ファーナム、あれは護り竜ではないよな?あなたはあんなものをなん十体と倒したというのか?」

 

「‥‥あれは違うぞ、ルカティエル。あれはもっと別のなにかだ。」

 

空を舞う真紅の鱗の竜。護り竜のような紛い物の古竜ではなく、神代からいきた不死を絶望の底に落とした強力な竜。

 

【飛竜ヘルカイト】。その知性のない劣化版、しかし護り竜よりはるかに強いそれが数体空を飛んでいた。

 

実は前までは護り竜を設置していたのだ。しかしオーンスタインが青聖堂から景色を眺めているときに

 

「こっちの方が強い」

 

と、勝手に召喚したのである。オーンスタインの領域で、オーンスタインの力で召喚したため、他の誰にも気づかれていないまさに悪夢のアップデートがなされていたのである。

 

「さて、どうしようか。あいつらこっちをチラチラ見ているぞ。」

 

「‥それに口から火の粉が舞っているな。その内ブレスを吐きそうだ。」

 

さて、ぐちぐち言っても仕方がない。切り替えたファーナムは先ずは竜狩りの大弓を取りだし、矢をつがえる。

 

「さぁ、神代の再現と行こうか。」

 

こちらでも、戦いが始まった。

 




何話かにわけます。次に続きを出します。

【古びた頭骨】

何者かの頭蓋骨。すでに風化しかけているそれにはもう力は残っていない。

死者はその体に【頭骨】【ソウル】【人間性】を宿したとき、仮初めの生を得る。その全てを得た者は皆古き死者に仕え、彼の如く永遠に存在することを希う。


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テスト2 絶望の【デーモン】

ぜえ、はぁ、やっと終わった。

 

あの後どうしようもなくなってきたから咄嗟に誘い頭蓋をオーンスタインに投げつけた。

 

するとすべての敵かオーンスタインの方に向かっていったので後ろからちまちま大弓とソウルの槍を打ち込んで殲滅した。

 

オーンスタインに烈火のごとく怒られたかこちらの大乱闘のことをはなして逆に正座させて説教した。

そうするとなにやらこの男【ハイデ大火塔】をかってに改装したことをペラペラと話してきた。

ファーナム達は大丈夫だろうか。

 

そこからはさっくりと生け贄の道の攻略を終わらせた。

 

呪縛者達はかなり強かったがオーンスタインを囮にして後ろから魔法を連発したら倒せた。やはりもっと強くしなければな。

 

【赤血竜のデーモン】【爆氷竜のデーモン】戦、開始である。

 

‥‥‥そしてものの五分で負けた。

 

最初に上から降り注ぐクロスボウと大弓に対処したいる間にファーナムが真っ二つにされた。

 

次にそれで一手に引き受けることになったルカティエルがスタミナがなくなって押しきられ、2対1で私が完封された。

 

‥‥うん、ここの護りは大丈夫だ。抜けるわけがない。

 

こうして、全員そろって死に戻りという結果で幕を閉じたプレテストであった。

 

さて、ではファーナム達の救援に向かうとしようか。

 

─────────────────────────

 

【ファーナム視点】

 

無理。マジで無理。大弓を打ち込んだのはよかったんだがなぜか数体まとめてこちらに襲いかかってきたせいで凄まじい火の海になっている。

大火塔というか、大火(事の)塔になっている。あげくのはてにそんな設定にした覚えはないのに数体の飛竜の上には騎竜兵が乗っている。たしかに騎竜兵というがこの竜にやってはダメだろう。

 

炎の海なのに更に大矢が降り注ぐ最悪の状態だ。本の少し前まで普通に大火塔だったのに何が起きたんだ。

 

どうにか逃げ延びて青聖堂のなかに入った。

 

でもってオーンスタインが今出ているため急遽置かれた【古い竜狩り】を倒した。

 

そして、今。青聖堂を取り囲む飛竜の群れによって青聖堂はサウナ状態になっている。

 

アノール・ロンドへ抜けることができれば良いのだが、あちらはあちらでかなりきついため一度休息をしたい。

 

そのため、以前は篝火が燃えていた下層にいったのだ。

 

そして休憩中、

 

「ファーナム!無事か!」

 

アッシュが飛び込んできた。オーンスタインはなぜかいない。

 

「オーンスタインが何やら配置を変えたと言っていたので急いできた。そしたら聖堂が飛竜に囲まれていてな。かなり驚いたぞ。まぁ、無事でよかった。」

 

「‥あぁ、そうなんだが、オーンスタインはどうした?」

 

「処理だ。さすがは竜狩りといったところだな。ものの数分で全員撤退させたぞ。」

 

‥‥あれは強すぎやしないか。あれをものの数分とかどうなっているんだ?

 

「さて、じゃあ人数は揃ったことだし、次の階層へ行こうか。」

 

「そうだな。」

 

そしてオーンスタインを除いた一行はアノール・ロンドへと侵入していく。

しかし、彼らは気づいていない。そこは改造魔のオーンスタインの居城だということに。

 

─────────────────────────

 

【視点:主人公】

 

さて、やっと合流できた。それにしても、アノール・ロンドは本来ならこんな感じだったのか。以前来たときはエルドリッチの膿でおおわれていたからな。

 

進んでいくと、かなりの数の騎士たちが現れる。レイピアを持った小柄な騎士、黒鉄を纏う巨大な騎士、銀騎士黒騎士などなど、

 

‥‥‥あきらかに、錬度と数が召喚したときのものではないな。オーンスタインめ。かってに兵士を訓練したな。

 

このタイプの魔物は最低限学ぶことができる程度の知能はあるから鍛えられると非常に厄介だ。

 

まぁ、普段来るのは攻略者たちだからよしとしておこう。

 

‥‥ぬぁ!

 

対人用にはできていない巨大な矢が飛んできたため慌てて回避する。おかしい。銀騎士は掃討したはずだ。どこ‥から‥‥

 

よーくみると、私がいたロスリックにあったヨルシカ様の住まう塔。それに似たものがある。

嫌な予感がしたのでファーナムに大盾を構えてもらって遠眼鏡で拡大する。

 

──大弓を構える巨人の姿が見えた。

 

‥‥‥うむ、あれは倒せないな。行く方法がない。っていうかよく見たら壁に特大剣と大盾がおいてある。嫌な予感しかしない。

 

オーンスタインめ、やりすぎだろう。

 

大矢を回避しながら必死で逃げ回り、やっと大聖堂のなかにたどり着く。

 

そして、そこで本物の【デーモン】と遭遇した。

 

「‥‥忘れていた。そうだ、こんな連中がいたんだったな。」

 

「‥‥アッシュ、俺はこいつらと戦うすべはないぞ。魔術はすべて切れている。」

 

「私もどうしようもない。大剣以外使えんしな。」

 

「‥‥いい、私が大弓ででかいのを打ち落とす。二人で赤いやつの相手をしてくれ。」

 

 




赤血竜のデーモン&爆氷竜のデーモン

【赤血竜のデーモン】

基本的な動作は【流罪の執行者】ににているが、それぞれの武器がそれぞれ必殺の威力であり、楔のデーモンがもとになっているため防御力、体力もかなり高い。

【爆氷竜のデーモン】

ゴーに打ち落とされる前のカラミットがゲール爺並みにクロスボウを連射してくるイメージ。耐久力はそれほどでもないため、大弓で翼を射抜くと墜落する。両翼を破壊すれば飛行はしなくなるが、お構いなしにクロスボウを連射する。


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白竜招来 それは古き時代の名残

ちょっと長めです。


色々とあったがテストも無事に終えてまた挑戦者達を返り討ちにする日々が始まった。

最近ではコツコツと探索も進んでロスリックの高壁に入り込む者も多い。そろそろ次の階層を考えねばな。

 

さて、召喚話なんだが。オーンスタインに召喚陣を見せてみると、オーンスタインの神気を注ぎ込んで、さらに私とアッシュが持っている道具を使えば残りの四騎士はまとめて呼べるようだ。

 

流石に強大な力を持つ神々の直系はまだ厳しいが、まとめて呼べるのなら全員呼んだ方がいいかもしれない。

 

が、住むところがないという事で、どうしようか悩んだところ、

 

「アルトリウスは森林が好きだな。キアランはアルトリウスがいれば問題ないし、ゴーは確か高くて景色が綺麗なところが好きだぞ。」

 

と、オーンスタインが言ったのでまずは場所を整える。

キアランはよしとしてゴーとアルトリウスが少し面倒だ。森といっても【生け贄の森】はいまいちパッとしないから新しい階層を整える必要がある。

 

幸いなことに最近は挑戦者が増加している上、一人一人から得られる力も多い。階層を二つぐらいならば同時に作ることができるだろう。

 

早速階層をつくる。

 

今回のテーマは森だが、ロスリックにはちょうどいい場所はない。アッシュに聞いてみても森はあまり無かった。

 

なので今回は森というかは少し微妙だが、オーンスタイン考案で【シースの領地】を再現する。

 

「なんというか‥‥巨大な図書館、裏庭、そこから続く結晶洞窟がある。全部シース様の管理下にあったからあまり詳しくはないが」

 

と言うことなので、困っている。どう作ったものか。

図書館は【大書庫】を参考にしてみようかと思う。裏庭はアルトリウスは入ったことがあるようだからそちらもなんとかなりそうだ。

 

ただ、【結晶洞窟】というのは秘中の秘だったらしくオーンスタインすら入ったことはないらしい。

 

そこで悩んでいたときにふと気づく。

 

「先にシース公を召喚するというのは駄目なのか?」

 

尋ねるとオーンスタインが少し悩んで、

 

「駄目ということはないがあの方は少々気難しい。学者気質だから突然呼び出されると機嫌を損ねるかもしれん。」

 

むぅ、ままならないものだな。

 

「‥‥あの、これを渡すというのはどうでしょう。」

 

そう言って主が1つの小さな石を取り出す。その石は不思議な力を発しており、一目見ただけで特殊なものだとわかる。

 

「それは?見たところ尋常のものではないようだが。」

 

オーンスタインが聞くと

 

「これは、今は亡くなってしまった先代議長に頂いたものなんですが、この石は【時空間を越えて繋がる地へと移動できる】という力を秘めています。

‥‥最も今では対の石がないので反応はしないようですが。それでも貴重なものです。学者様というならば少しは興味を持たれるのでは?」

 

ふむ、一理あるな。確かにこれをみたらオーベックなどは絶対に研究するだろう。

 

オーンスタインをみると、ひとつうなずく。どうやら大丈夫なようだ。じゃあ早速呼び出そうか。

 

 

いつものように召喚陣を描き、オーンスタインが雷の力を流し込む。そして、王に貰った小さな結晶を安置し、楔石とサイン石で、装飾する。これで効果が高まるらしい。

 

描き終えた陣に力を注ぐと、今回は陣が青白く光、霧が滲み出す。さらに込めると部屋の温度が下がり、結晶が部屋を覆い始める。

 

そして、偉大な白竜が現れた。

 

白竜は辺りを見渡し、不機嫌そうな顔でオーンスタインを睨み付ける。

 

『貴様これはどう言うことだ。我は忙しいと常々言っているはずだが。』

 

オーンスタインは騎士式の礼をし喋り出す。

 

すべて話すと白竜は疲れたように目頭をもみ、

 

『あの馬鹿め。我らはよくともイザリスと長子は納得するはずがあるまいに。

奴は責任の取り方をわかっておらんな。まぁいい。話はわかった、それで、その石はどこだ。』

 

どうやら言い伝えと違って話が通じるようだ。白竜シースといえば狂気に染まった鱗のない竜と聞いていたが。

 

しかし主が石を取り出すとその態度は急変する。

 

『‥‥ッ!貴様!何処でそれを手に入れた!』

 

「これは私の死んだ知り合いから譲り受けた物です。‥‥なにか不都合が?」

 

そう言われた白竜は少しだけ冷静さを取り戻し、

 

『その石の名は【要石】。かつて世界を滅ぼしかけた獣を封じる石だ。いまでは僅かに5つしかのこっていない。』

 

聞き流せない単語が出た、【世界を滅ぼしかけた獣】だと?そんな話は聞いたことがないが。

 

「シース公、どういうことです?そのような話は王より聞いてはおりませんが。」

 

どうやらオーンスタインも知らないらしく焦った様子で訪ねている。

 

 

『‥‥この話はあとでする。いまはまずやるべきことを終わらせるぞ。暫し待て‥‥‥【生体偽装】』

 

知らない魔法を唱える。その巨体がみるみるうちに小さくなり、

 

「ふむ、久しくこの体を使うが問題ないようだな。」

 

少年がたっていた。

 

白髪に青い眼、すこし鋭く、冷たい印象を受ける。体にはローブを纏い、杖をつくその姿は少年でありながら老人にもみえる。

 

「‥‥その魔法は?」

 

「なんだ、オーンスタインに聞いていないのか。イザリスはともかく我とニト、巨人族はその体では不便でな、開発したのだ。最も人間が使うと妙なものに変化するようだが。」

 

‥‥どうやら【偽装】の本質は人間、神以外の存在が体を圧縮するために使うようだな、オーベックが知ったら眠れないほど興奮して研究を始めそうだ。

 

「さて、では我が書庫を作るのだろう。案内しろ。」

 

やはり魔術師とは皆高圧的になるのだろうか。そんなことを考えながら彼を案内していくのであった。

 




分かる人は分かると思いますがここからあのゲームが登場です。なお、登場人物は一人も出しません。というか設定上出せません。御了承ください。


【白竜シース】

岩の古竜達を裏切り、グウィンのもとにて竜の鱗の研究をしていた古竜の生き残り。
しかし研究は進まず、ついに狂気に落ち、【原始結晶】を発見した。

【独自設定】

四人の巨大なソウルの持ち主のなかでは最も冷静で思慮深い。偉大な発明家であるり、開発した数々の技術は神族を繁栄させたが、そのすべての功績は歴史の海に沈んでいる。
今伝わっているのは【魔法の祖】の名のみである。

*この小説内で彼の発明物として扱うもの

・エレベーター技術
・魔法生物達(結晶ゴーレム)(月光蝶)等
・二つの鐘とゴーレム機構
・魔法
・【アノール・ロンド】【公爵の書庫】の設計
・ 楔石の加工技術
・特殊な道具(頭蓋ランタン)(底抜けの木箱)等


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結晶竜 煌めく森は公爵の屋敷

コオオオオ‥‥‥

 

シース公を呼んでからだいたい一時間が経過した。シース公のこだわりは凄まじく

 

「森はこういう配置にしろ」「本棚はこれより大きく」「馬鹿者、そこにはエレベーターを設置する」「そこは隠し扉だろう愚か者」

 

などと罵倒の嵐。しかしそのかいあってか素晴らしい図書館ができた。さすがはアノールロンドの設計者と言うべきか。

 

そして今は竜形態で、森と書庫を結晶でおおっている。すごく幻想的な光景だ。しかし非常に恐ろしい。

 

先ほど巨大な水晶を持ってきて

 

「【原始結晶】を設置するからどけ。」

 

と言われ、言われるがまま行動すると

 

《第7階層が占領されました。これより支配下から外れます。》

 

とアナウンスが流れた。つまり7階はシース公が支配したようだ。主も想定外らしくひきつった笑みを浮かべていた。さらに

 

「‥‥む?魔力が流れてきているな。支配者になった影響か。」

 

といいながら【結晶ゴーレム】【多頭竜】【月光蝶】【結晶トカゲ】【結晶大トカゲ】を量産し始めた。我々は原始の神を舐めていたらしい。

こうなるということは【ニト】【イザリス】を呼ぶときも一階層ずつ取られるのだろうか。取られるんだろうな。

 

「とりあえずはできたぞ。足りなかったら使いを出す。」

 

完成したようだ。なるほど素晴らしい。

‥‥奥の湖になにやらオリジナルの竜のようなものが泳いでいることは気にしない。気にしてはいけない。

 

「魔力が流れ込むのでな。色々と研究段階で止まっていたものが完成したぞ。」

 

‥‥知らない。聞いていない。

 

空には2対の翼の竜、書庫内には結晶でできた巨大な蛇、使用人として出せと言われた亡者達は古老並みに魔法を使えているが知らないったら知らないのだ。

 

さて、改装の作成が終わった。という事でまずシース公の能力について訪ねてみた。

 

【UQスキル:不死に焦がれし結晶竜】

 

十分間不死性を得る。周囲に原始結晶がある場合効果時間無制限。

 

【TRスキル:白竜の息】

 

結晶を作るブレスを吐き出す。

 

【LGスキル:魔法の始祖】

 

魔法を創造し操る。知識が増え、魔法生物を産み出すことが可能となる。

 

【UQスキル:分け与えられし原始の炎】

 

原始の炎の力で一時的に全てを平伏させる絶対的なオーラを産み出す。炎の恩恵を持たぬものには効果がない。

 

 

 

流石は王の一人というか。不死なのか。古竜が不死になるのか。もうこの人たちは我々の常識では図れないな。次元が違うとはこの事だ。

‥‥最初の薪の王は倒したのか?正気を失っていたにしろ強すぎるだろう。まぁ一人で数万年炎を保ったというしそれほどの力があるのか、凄いな。

 

書庫を見学していると、シース公に全員呼び出された。シース公の部屋は結晶におおわれており、その奥の椅子に座ると、

 

「さて、では先ほど話していなかった要石の話をしようか。」

 

と切り出した。

 

 




公爵の書庫が、超強化されました。シースは正気なので本来の戦い(魔力99による純魔プレイ)をしてきます。さらに二つ以上同時に魔法を出せます。左手に【追尾するソウルの結晶塊】右手に【ソウルの結晶槍】とかできます。


【原始結晶】

狂気に染まった白竜が妄執の果てに産み出した究極の魔導。擬似的な不死性を与え、魔法の効果を倍増させる。
その作成法に触れたものは正気を失う。


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昔話Ⅰ 灰色の獣

──あれは我々が岩の古竜との戦争を終わらせたあとの話だ。

 

当時はまだアノールロンドは完成しておらず、炉の火はごうごうと燃え上がり衰えなど微塵も感じさせなかった頃だ。

 

その時はグウィンの息子もまだ雷の戦神として名を馳せ、そこのオーンスタインはその筆頭騎士として働いていた。

 

ある日、イザリスが小さな赤子を拾ってきた。肌寒くなってきた秋の始め、人間や神族とは異なる姿をしていた。それを見たグウィンがそれを【獣】と呼んだ。

人よりかは確かに獣達に近い姿ではあったな。

 

既に数人の娘と共にイザリスの都を治めていた彼女はその小さな獣を自分の息子として育て始めた。

 

奴のことだ。震える獣を見て同情でもしたのだろうな。

 

 

時がたち、アノール・ロンドが完成し、戦神の振る舞いが問題視され始めていた頃、我々には誰にも話せぬ問題に直面した。

 

イザリスが育てていた獣が火の恩恵を持たぬものであったのだ。

 

炎は差異を産み出した。光と闇、熱と寒さ、昼と夜、生と死。

だがしかし、灰の古竜達はその炎を受け入れることはなかった。なぜなら我らには全て不要であったからだ。

 

死なず、生きず、光も闇も何も感じず、全てを俯瞰しただそこに在り続ける。それが我々の生きざまであった。

 

しかし古竜は戦に破れた。その結果として大きく数を減らし、衰退することとなったのだ。

イザリスの獣はその【朽ちぬ灰】に属する存在であった。

 

はじめはある程度好奇心や興味の赴くまま行動していた獣は、ある時期を境に動くことをやめた。

 

その体は成長し、いつしか灰の古竜達と同じような生活になり、そして、全てを微睡みに落とす【色の無い霧】を産み出すようになった。

 

そんな獣をイザリスは息子として扱おうとした。当然だ。灰の陣営ならばその命をグウィンが許すことはない。今でこそ融通の聞くが、当時のやつは本当に頭の硬いなんとも頭の悪い奴だった。

 

イザリスは母であり、研究者だった。生まれながらに溶岩の中に呑まれた息子にそれから身を守る指輪を与えたように、獣の出す霧、それを諸悪の根元として封じることを考えた。

 

そして奴は最初の禁忌に手を出した。灰に炎をつけようとしたのだ。

 

奴は獣をさに火を与えるために様々な触媒を作り出し、時には我やニトの所へ行きその力を借りつつ、あるひとつの仮説を作り出した。

 

【吹き出す色の無い霧に灯をともすことで獣が火の恩恵を受けとることができるようにする。】

 

という荒唐無稽なことを考えた。思えば、イザリスは最初から狂っていたのだろうな。我やニトは安寧と不変を好み、グウィンは一族の繁栄を望んだ。しかしイザリスには何もなかったのだ。

 

最初に火の力を手に入れたとき、奴は小さな苗木だった。他のものと違い、奴だけは生き延びるために火に根を伸ばした憐れな植物であったのだ。

 

イザリスはその計画の無謀さに気づかぬまま準備を進めていった。そして完成したのが奴自身の枝と炎を使って作られた【宿り木の槍】であった。

 

その槍は霧をソウルに変換し炎をつけるという構造であり、後の篝火の礎となる品だった。

 

結論から言えば──それは失敗した。

 

当然だ。無から炎を産み出すのは不可能だ。ましてや薪もないのに燃える炎などあるはずもない。

 

獣に刺さった槍は獣のソウルを吸収し、その身に莫大なソウルを宿す道具となった。ソウルを吸収されることで、獣の動きは完全に止まり、霧は止み、しかしそのソウルは炎に変換されることなく槍に溜まり続けた。

 

すると不可思議なことが起きた。槍が成長を始めたのだ。

 

槍はぐんぐんのび、いつしか大樹となった。その木に近付いた者は槍に内包される絶大なソウルの恩恵を受けた。

人はそれを見て【ソウルの木】と呼んだ。

 




【灰の獣】

古竜の力を持つ謎の獣。その力はわからぬまま王によって封印された。そのからだから発する霧はソウルを奪う力がある。

かつての資料に少しだけこの獣についての供述が残っていた。異端の魔術師はこの獣を模して【相手の体力を奪う霧】の魔法を作り上げたと言われる。



デモンズちゃんと攻略できてないので考察がイマイチです。違和感等があったら感想のところでお願いします。


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考察 獣の世界

槍が刺さってから数百年が過ぎた。獣には苔が生え、蔦が絡まり本当の岩にしか見えなくなった。

そして獣は忘れられ、木だけが地上に出ていた。

 

木は人の中で徐々に神格化されていった。その木の下に国ができ、争乱がおき、国が滅び、また国が起こる。

 

その死者達のソウルを吸い、獣はぐんぐん成長していった。人はもう覚えてはいなかったが、大戦の生き残り達は獣のことをよく覚えており、これを倒そうとした。

 

獣のソウルは古竜のそれに似始めていた。しかし、イザリスがそれを止めていた。あれは息子だと、私にとっては欠けがえのない息子だからどうか殺さないでくれと。

 

今なら絶対に従いはしないだろうが当時はイザリスがそこまで言うならと、皆引き下がった。

 

 

そしてまた数百年が過ぎた。獣が変化を起こした。成長を遂げた獣はついに目を覚ましたのだ。槍の吸収力を越え、ついに目を冷ました獣を見て、人々は口々に

【霧の魔物】と呼んだ。

木の力を逆手にとり、生存に必要なソウルすら奪っていったのだ。そして、餌を逃がさないために無色の霧を生み出した獣はついに当時大国とされていたひとつの国を飲み込んだ。

 

そこで、グウィンは遂に獣を封印する決断をした。

 

霧は神の力を蝕むことがわかっていた。だからグウィンは当時我やニト、イザリスのもとにいた魔術師達を呼び封印をさせた。そして変質させた楔石を渡し、その力で封印を永久のものとした。

 

その石が【要石】と呼ばれ、封印を施した魔術師達を【要人】と呼ぶようになった。

 

要人はその力を悪用されぬように記憶や感情をある程度消され、要石は神に被害がでないように当時友好的だった五つの国と、巨人の国に送られた。

 

最後に、獣を封印した地域を誰にも眼の届かぬように時空間をずらす魔法を使って消し飛ばした。

 

 

‥‥そしてその数年後、獣の残していった魔力が暴走し、要石の存在する五つの地域を獣のいる次元へと引きずり込んだ。

 

巨人の国には当時ニトが居たためギリギリのところでなんとかなったが、巨人の国の要石は崩れてしまった。

 

そして我々の知る世界には、獣と要石は存在しなくなったのだ。

 

 

それからまた長い長い月日が流れた。イザリスは実験に失敗し苗床となり、デーモン達が産まれた。

 

‥‥そしてあの獣の波動がこちらへと届いた。

 

研究対象として砕けた要石の欠片を持っていた。その欠片が振動したのだ。それは封印が解ける兆しだった。

 

我は独断で火守女を向こうへと送り込んだ。我々を除けば最も封印術にたけた人種だ。

 

黒衣の女は快諾してくれた。しかし向こうへいくには代償が必要だ。封印に通すための代償が。

 

‥だから我は火守の一族の眼を、奪った。世界を永久に越えるためには巨大な代償が必要だった。

 

そのため、黒衣の一族は途絶えたのだ。

 

 

 

ここまでが我の知る要石の物語だ。

 

ここからは我の推理の話だ。

 

恐らくだが火守女は役目を果たしたのだろう。そして向こうの世界で獣と対峙した。だが、火守女が封印にたけているとはいえ獣の封印は我等と要人、要石の三つがあってようやく成功したものだ。

封印したならば火守女の命もつきただろう。

 

次にこの要石の破片だが、砕けたのは【巨人の長の要石】だけのはずだ。しかしここにあるのは違う。

‥‥そうだな、恐らく【小国の王の要石】だろう。この模様はそれに近い。

 

要石が砕けたとき、その封印がほころび、封印の礎にしていた怪物が甦る。

 

つまり、これがここにあると言うことは【ファランクス】【我が残したゴーレム】【王の近衛騎士の一族】の三体の封印が解かれているはずだ。

そして獣もまどろみから覚めかけている。

 

‥‥‥あと3つの要石の内2つが砕ける、若しくは封印が解けてしまっている場合、獣は目覚めるだろう。

 




シースの新作

【月光竜】

月光蝶みたいな竜。イメージとしてはモンハンのタマミツネに月光蝶の羽。能力的には結晶ブレスを吐くヘルカイト。


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対策案 徹夜テンションは死の香り

もう一作品スローライフ×ダークソウルもの書こうと思います。テーマは【RTA後】です。今日中にでもだすので、興味があればよろしくお願いします。


さて、話を聞き終えた。まぁなんとも形容しがたいがこの時私とファーナムの心は恐らくひとつだろう。

 

((イザリスここに居ないし出たら倒そう。))

 

 

そう、こいつらは火継ぎをしようとしていた連中であり、障害物は切り捨てる以外の選択肢を持たない連中である。普段の態度はともかくこういう面倒は取り敢えず一回倒してから考えるのだ。

 

「‥‥お前達なにやら物騒な目をしているな。何を言いたいかは分かるがそれはおいておけ。」

 

おや、いつの間にか剣を装備していた。不思議なものだ。隣を見るとファーナムも首をかしげて剣を見つめている。同士だ。

 

そんな風に通じあっていたところ、

 

「まぁいい。それでだな。これをばらまいておけ。」

 

と、シース公から一冊のファイルをもらった。見ると中には

 

【ソウルの矢】【強いソウルの矢】【ソウルの太矢】【ソウルの槍】【魔法の剣】

 

などなど見覚えのある魔法がスクロールで入っている。

 

「我の魔法を記した書だ。それを一ページずつばらまいておけ。全部に我の力の欠片が入っているからこれがあれば周囲の監視ができる。」

 

あのスクロールってそんな仕組みだったのか?確かに至るところに散らばっていたが、まさかそんな理由だったとは。

 

取り敢えず言われた通りに巻いていく。強い魔術や知らない魔術はあとで読むからまだ持っておこう。

 

 

そして新しい宝箱の設置を終えた。さて、これが広まればシース公の監視網が出来上がるのか。便利だな。

 

‥‥あ、そうだ主人の不思議なアイテムを使っておこうか。

 

「シース公、主人の持っている印刷機で印刷しても使えるだろうか。」

 

「‥‥なんだそれは。」

 

この後シース公に印刷機の説明をするとまた研究者の眼になってなにやら研究を始めてしまった。さてどうしようか。

 

 

印刷しても大丈夫なようだ。打ったら出た。運悪くでできたオーンスタインに直撃したが無傷でよかった。烈火のごとく怒っていたが。

 

 

 

さて、シース公のやることは一区切りついたのであとはまた魔力をためて今度は四騎士を呼ぼうと思うのだが、その前に戦力を増強しておく。

 

最近また冒険者の質が上がったらしくそれなりの数の冒険者が高壁の先へと進んでいる。いい加減どうにかしないといけない。

 

 

‥‥‥三日後

 

 

 

ふはははは。やってしまった。私は天才だ!

 

寝ないで作った設計図を見直す。ヒントになっのは【アリアンデル】へ行くときに使った絵画の破片だ。一日徹夜した後に袋の中身を見ていると欠片が出てきてひらめいた。

 

そうか。ここでハードモードに落とせばいいのか!

 

*この時点で既に徹夜明けハイテンション

 

思い付いた私は実行に写した。主に聞いたら全く同じ景色の異空間に落とすループ罠があるとのことで、それを作る。

 

そしてその先により強化した亡者どもを配置する。この辺りで徹夜二日めだ。

 

 

そして今は四日目。作り終えて一晩ゆっくり寝た彼が目を覚まして最初にしたのは後悔だった。

 

私はなんてことを‥‥‥

 

シース公の所でこの四日間月光蝶と遊んでいたファーナムは隣で呆然としている。

 

「‥‥‥アッシュ。俺は全盛期の張り積めていた俺であってもこの道を進める自信がないぞ。」

 

「‥‥私もだ。」

 

 

何をしたのか。答えようか。

 

ではまず一階層【灰の墓所】

 

ロスリックでは亡者どもがへたりこんでおり、広場には串刺しにされたグンダがいた。あそこを抜けねば奥へとは進めない。試験場であった。

 

 

‥‥‥へたりこんでいるのは同じだ。ただへたりこんでいる奴が問題だ。

 

【ダークレイス】。闇に落ちた狂気の不死者。始まりの深淵に呑まれたそいつらをなぜか私はたくさん配置している。

 

ちなみに再現度は120%だ。全員の剣が【亡者】補正されている。これを私はテンションだけでつくりだしてしまった。

 

そしてグンダだが‥‥‥二人いる。大事なことだからもう一度しっかりと言おう。

 

【魔改造してしまった強化グンダと全く同じ強さのグンダが二人いる。】

 

と言うことだ。

 

 

 

 

次だ。第二階層【不死廟】

 

‥‥‥正しい意味での不死廟になった。今までであった人物を、模した格好、技を使える奴がいる。

 

分かりやすく言えば【ホークウッド】と【忌み探し】を同時に相手しながら【オーベック】と【コルニクス】の魔法を避ける必要がある。

 

私は何を考えていたんだ。本物より弱い模造品とはいえこれはひどい。

さらにヴァンクラッドは【サリヴァーン】の魔術を使えるようになった。つまり分身を出せる。そして空を飛べる。

 

私はバカではないのだろうか。

 

 




最近の冒険者

「あ、初心者来たな。いつグンダ倒せるかな。」
「いやあんなの雑魚だろww初見にきまってんだろww」

このレベルに達しました。なお、デーモン2体、オーンスタインに阻まれてそれ以上は進めておりません。


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