俺の個性はザ・ワールドォ!? (クニクニ)
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第1話 転生

『僕のヒーローアカデミア』を読んでいたら書きたくなってしまった。



20XX年○月※日

 

今日、俺はようやく会社でのデスクワークを終えて会社を出て、いま家に向かって帰っていた。

 

「はあー、疲れた。まあ早く終われたし、さっさと帰ろ。」

 

大量にある書類が一段落して残りは後日にできるので、家に帰ってゆっくりと溜まった漫画やアニメ見ることにしようと思う。

 

「そういえば、本屋の袋にいれたままの本も何冊かあったな。」

 

サラリーマンとして就職して只ひたすら毎日毎日書類作業や処理。

学生の時はそれほどではなかったが、漫画やアニメが好きで本屋によったり、レンタルショップでアニメのDVDを借りることはあった。

 

でも、社会人になってからはそんな時間は減り本屋に寄って本を買っても読まずにベットに横になって寝てしまうことがよくある。

その為か次々と出る新刊を買ってしまい溜まっていく一方なのだ。

だが、今日は早いこと終わって余裕があるので帰ってゆっくりするのだ。

 

そして俺はいつものように家に帰るとき、突然後ろが悲鳴やら何やらが聞こえて騒がしかった。

 

「どきやがれ!」

 

振り向くとそこにはナイフを持った大柄の男がすぐそこにいて、こちらに向かってきた。

 

俺は本能で危険と感じて巻き込まれないようにすぐさま後ろに下がるが、運が悪いのかちょうど俺が避けた場所の近くにある店の中から出てきた男の子が男の前に出ていく。

 

「邪魔だガキ!そこをどけ!」

 

大柄の男が手に持っているナイフを子供に向かって振りかざす。

俺のいる場所が男の子の場所に近かった為か、

その時、俺は咄嗟に体がいてしまい子供を庇うように覆い被さった。

そして、俺の背中に強い衝撃が響き地面へと転がった。

 

 

「うう、だ、大丈夫か?」

 

俺は男の子の心配をして男の子に声を掛ける。

 

「お、おじちゃん・・・。」

 

男の子は泣きそうな顔をしており、いまにも涙が流れる寸前だった。

 

「おいおい・・・。そんな泣きそうな顔をするんじゃないぞ。それと俺はまだおじちゃんじゃないぞ。」

 

俺はまだ29歳なのだ。

たぶん、まだおじちゃんじゃないはずだ。

なぜかわからないけど、まだおじちゃんには早い年齢だと俺は思う。

あ、やばい意識がもうろうとしてきた。

緊張で頭がフラついたのかな?

 

「だっ、だって・・・、おじちゃんの背中に、背中に・・・ナイフがぁ・・・。」

 

えっ?

なにいってるんだ?

背中にナイフなんて・・・。

 

俺は背中のほうへと視線を向けると俺の脇腹あたりには金属のナイフが刺さっており俺の背中は真っ赤に染まっていた。

 

「えっ?・・・・・・ぁ、」

 

俺は頭の中が真っ白になり急に痛みが身体中を駆け巡って俺の体は力が入らなくなり地面を横になって倒れこむ。

それからなのか、周りの声が聞こえてきて俺が刺されたことに騒然となっていた。

 

「お、おい救急車!あと警察も呼んで!」

 

周りが騒いでいるなか俺は重くなった目を開けて目の前にいる男の子を見る。

そういえば、怪我してないかな。

男の子を見ると悲しそうな顔をしていて、涙を流していた。

でも男の子には怪我は無く無事だったようだ。

安心したのか俺の目は重くなり再び目を閉じる。

 

「おじちゃん?おじちゃん!」

 

だから俺はおじちゃんじゃねぇよ。まだお兄さんだよ。

というか、何で拘ってんだろうな俺は・・・。

でも、漫画とかだったらこんなときはヒーローが現れるのが醍醐味だよな。

 

ヒーローと言えば、家に置いてある漫画まだ途中だったな。

怪我が治ったらみようかな・・・。

 

 

 

それを最後に、俺の意識は深い闇へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

----------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・というのが、さっきまで俺が体験したこと。

 

どういうわけか分からないけど、気がついたときにはすでに天国に来ていて神様のような人にあった。

というか神様本人。

 

 

~天国~

 

「ここは?」

 

「ようこそ天国へ。」

 

「あなたは?」

 

「儂は神様じゃ。」

 

「神様?」

 

・・・・・・へ?

 

ちょ、ちょっと待てよ・・・。

まさかと思うけど、まさかと思うけど。

 

俺もしかして・・・。

 

「うむ。ついさっき亡くなった。」

 

ガーン!?

 

「そんな・・・。」

 

「ちなみにお主の死因じゃが、大きなナイフが背中から心臓を貫いて出血多量で死亡じゃ。というかサバイバルナイフで貫かれればそりゃ死ぬわ。」

 

「え?じゃあ俺がここに来たのって、」

 

「だから、お主が死んだからじゃ。」

 

「そ、そんな・・・。」

 

俺はあまりの悲しさで膝から崩れ落ちて落ち込む。

そりゃそうだ。

まだやりたいことがあったのに死んでしまったのだ。

悲しくないはずがない。

 

「まあ、ショックなのは分かるがここで悲しんでもなにもならんぞ。」

 

「ぐすっ、それじゃあどうすれば?」

 

「まあ、ここに来たからにはお主は転生できるの。」

 

「転生?」

 

転生って、あの転生?

自分のいた世界とは違う世界に生まれる奴?

 

「その転生じゃよ。」

 

「いや、神様。人の心読まないでくださいよ。」

 

「そりゃ無理じゃ。ここでは人の考えなんて丸見えじゃ。」

 

「プライバシーが丸見えじゃないか!?」

 

恥ずかしいことやあんなことまでみられたらたまったもんじゃないぞ!

 

「天国に来た時点でそれも無理じゃ。そもそも、危ない奴は地獄に落ちるからの。」

 

ん、そうか。

そうしないと危ない奴を天国にいくことになるからな。

 

「まあ、相手が変なことを考えても見てみぬ振りをするのも暗黙の了解じゃな。」

 

「やっぱりただ漏れじゃないか!」

 

「ほれ、そんなことより転生の準備をせねば。お主が話を逸らしたせいで時間がなくなるぞ」

 

俺のせいなのか?

 

「ところでなにをすればいいんだ?」

 

「簡単じゃ、転生する際に何が欲しいかだけじゃ。」

 

「え?それだけ?」

 

「それだけじゃ。ただ限度はあるぞ。前に来たものは核を無限に撃てる力や宇宙を思い通りにとか言った奴は転生の特典はなしにしてやったわ。」

 

やっぱ限度はあるんだね。

というかその力持ったらあっという間に世界が終わるんじゃないか?

 

「それで、お主の願いはなんじゃ?」

 

転生の特典か・・・。

俺は漫画で『ジョジョの奇妙な冒険』が好きだったので。

 

「ジョジョのスタンドを下さい!」

 

「よかろう。種類は何がいいかな?」

 

「えっと、どれにしようかな?スタープラチナもいいし、クレイジー・ダイヤモンドもいいけど、それか、ザ・ワールドにしようかな?」

 

あの時止めの能力は魅力的だ。

あのDIOが持っていたから魅力的に見えたのかもしれないがあの能力がいいのだ。

だが、他にも魅力的なスタンドはある。

 

「おっと、時間切れじゃ。ではお主の願いはそれで決定じゃ。」

 

「へっ?」

 

俺がスタンドを考えているとき神さまが唐突に時間切れと言ってきた。

そして俺の体は白く輝き始める。

 

「すまんのぉ。他の者もいるので時間が決まっているのだ。」

 

「待ってください神さま!まだ決めてないですよ!?」

 

「では、次の世界でも頑張るのじゃぞ。」

 

「神さまぁぁぁ!?」

 

神様の言葉を最後に俺の視界は白くなり体が包まれていくのであった。

 

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・・・という感じでこの新しい世界に転生して赤ん坊として生まれた。

 

時崎停翔(ときさき ていと)。

それがこの世界でもらった俺の新しい名前。

 

俺が転生した世界は"個性"と呼ばれる能力を所持している人は特殊な力を持っている世界で。

その力で正義のヒーローや悪の組織といったのがいるみたいだ。

 

まるで漫画の世界みたいだな。

 

そして今。赤ん坊の俺を抱いている親はイケメンの父と美人の母親だった。

ここまで美形だと羨ましく思える。

ちなみに母親の顔を見て危うく惚れそうになったのは内緒だ。

 

いやいや、だって考えてみてくれ。

前世の記憶があるからこの人が自分の母親だなんていまだに信じられない。

 

「この子泣かないけど大丈夫かしら?」

 

「ときどき静かな子もいるっていうけど・・・実際に見ると不安になるな。」

 

お父さん、お母さん!大丈夫ですよ!

息子は元気ですよ!

 

「あ、ああ~う」

 

「あ、喋ったわ!」

 

「本当だ。」

 

くそ!赤ん坊だから言葉喋れないじゃないか!?

それに母親に抱かれているから自由に動くこともできない。

とにかくなにもできないな。

あ、そうだ。

神様からもらったスタンド使えるかな。

というか、俺はなんのスタンドをもらったんだ?

 

俺は目を閉じて意識を集中してスタンドを呼び出す。

集中すると少しずつ靄みたいな状態だが何かの姿が見えてきて、数分経ったら何とかスタンドを出せた!

 

やった!

成功だこれで俺も・・・って!?

 

そこにいたのはDIOが持っていたスタンド。『ザ・ワールド』だった。

 

(マジかよ!?まさかのザ・ワールドかよ。)

 

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~回想~

 

「えっと、どれにしようかな?スタープラチナもいいし、クレイジー・ダイヤモンドもいいけど、それか、ザ・ワールド(・・・・・・)にしようかな?」

 

 

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(あれかぁぁぁ!!?)

 

俺が最後にザ・ワールドを言ったので神さまがそれを叶えてしまったのか。

 

まあいい、俺がザ・ワールドを出せたのはいいが、だが、ひとつ問題があった。

俺が出したスタンドは体が小さいザ・ワールドだった。

赤ん坊だからスタンドがちゃんとした姿で出てこれないのか。

 

あれかな?

アニメでポルナレフが小さくなったらチャリオッツが小さくなったのと同じようにいまの俺は赤ん坊だからザ・ワールドも小さいのか。

まあ、大きくなるのは成長してからのお楽しみで、後はザ・ワールドの能力の時止めが使えるか試さないとな。

 

(ザ・ワールド!時よ止まれ!)

 

ザ・ワールドの能力で辺り一体が動かなくなり全てが静止した世界になった。

 

しかし1秒が経つと自動で解除された。

 

(今は1秒が限界か。うう、なんだか体が重い。)

 

時止めの効果がなくなったあと体に倦怠感が出て、眠くなる。

 

「あら、停翔?寝ちゃったのかしら?」

 

俺は力を使い果たしそれから眠ってしまった。

それから何日か使ったが、やはり体に負担があるようで使い終わったら眠ってしまう毎日だった。

そしてこのザ・ワールドを赤ん坊の時に使うことはなかった。

まだ使うには早いのだろう。

 

 

 

 

 

----------------------

 

 

 

 

それから五年。

 

あれから俺の体も大きくなり、今ではスタンドを出すのは問題なく使える。

肝心の時止めはまだ1秒しか使えないということ以外。

赤ん坊の時は眠くなってしまったが、いまは時止めをしたとき反動で体に疲れが出てくるので恐らく体が鍛えられてないので時止めが体に負担が掛かるためストッパーとなっているようだ。

 

その為、まずは鍛えようと思う。

 

ただ前世はただのサラリーマンだったので鍛えると言っても何をすればいいのか分からなかった。

だが、意外なことに適切な人がすぐ近くにいた。

 

俺の母親だ。

 

お母さんはプロヒーローで名前はミス・スピーディー、高速移動が得意とする個性らしい。

ちなみにお母さんはヒーローだが、お父さんは普通の人だ。

お母さんがヒーロー活動しているとき偶然お父さんを助けたのがはじめの出会いだったらしく、それから縁があったのかお母さんとプライベートで偶然出会い、それから二人は恋人になり、結婚して俺を産んだらしい。

 

なので俺は母親に相談して鍛えてもらおうと思ったのだが・・・。

 

「そんなの駄目よ!!」

 

お母さんに反対されました。

 

「ど、どうして!?」

 

「もし、あなたに何かあったらどうするの!もし停翔に何かあったら私・・・。」

 

「お母さん・・・。」

 

このお母さん。

どうやら相当心配性のようだ。

俺は鍛えたいのでこれは少し困る。

でも、前の母親は家にいることは少ないキャリアウーマンみたいな人だった。

だからこんな風に心配されるなんて俺は内心嬉しかった。

できればこんなにいい母親の為に何かしたいが、俺のザ・ワールドを使えるようになるには鍛えなくてはならないのだ。

 

「ありがとう、お母さん。でも、やっぱり俺も強くなりたいんだ。」

 

「停翔・・・。グスッ、

・・・分かったわ。なら、私の特訓は厳しいからしっかりついてくるのよ。」

 

「え、えっと。はい・・・。」

 

・・・大丈夫かな俺?

 

それから数日後。

そして場所は変わり広い広場。

しかもただの広場ではなく自然、街、岩場、海と色々な環境がある広場だった。

 

「ここは、ヒーローが個性を訓練するための訓練場よ。」

 

「へぇー。よくこんな所貸してくれたね。」

 

「ええ、愛する息子の為よ。少しばかり向こうに

・・・あ、何でもないわ。」

 

おい、お母さん。一体何をしたんだ!?

 

「まあ、それはいいとして、まず停翔、あなたの個性はどんなのかしら?」

 

いいのかな?

まあ致し方ない犠牲として、それより個性だ。

スタンドを見せてもお母さんには見えないからどうしようもないし、ましてや時間停止なんてむこうが気づくはずがない。

現にお母さんと会話しているときもザ・ワールドを出しているが、お母さんは気づくことはなかった。

 

ザ・ワールドなんて名前の個性もおかしいしとなると、誤魔化しだが仕方がない。

 

「僕の個性は超能力だと思う。」

 

「超能力なの?」

 

「うん、見てて。」

 

俺は近くにある石をザ・ワールドに拾ってもらう。

その石を掴んで持ち上げれば、スタンドの見えないお母さんにはまるで超能力で浮かしているように見えるはずだ。

 

「本当だわ。あとその個性は浮かばせるだけなの?」

 

ザ・ワールドはあと格闘が使えるから何かを殴ることぐらいか。

 

「あとはこの超能力でものを壊すことはできるよ。」

 

俺は近くにある大きな岩に向かってザ・ワールドは殴り始める。

ザ・ワールドのパンチは強く、大きな岩はあっという間に穴だらけになった。

 

「すごいわね。これなら個性には問題はないわね。

となれば、問題は停翔自身の体を鍛えないといけないわね。」

 

「能力はいいの?」

 

「ええ、どんな個性でもまず体が鍛えられてなかったら意味がないのよ。ヒーローはまず動くことが前提なのだから。そしてその体力に個性をプラスすることで能力はさらに強くなるのよ。」

 

なるほどさすがプロヒーロー。

経験があるから何が必要なのかをわかっているみたいだ。

 

 

「わかったお母さん。それじゃあまずは鍛えないとね。」

 

「ええ、それじゃあ軽く準備運動から始めるわよ。」

 

 

 

----------------------

 

 

それから数年。

中学生を過ごしながらもお母さんと特訓を続けていた。

訓練の最初は本当に筋トレとかから始めてが時間が経っていくと徐々に組み手とか実践的な内容になってきた。

 

 

「さて、準備はいいかしら。」

 

「いつでもいいよ。お母さん。」

 

「それじゃあ・・・、はじめ!」

 

お母さんの合図と同時にお母さんは高速移動を始めて俺の周りを中心に回る。

 

「さあ、停翔!この攻撃は見切れるかしら!」

 

お母さんは俺に猛スピードで接近して攻撃を仕掛ける。

俺は咄嗟に避けてお母さんの横に位置に着き、こちらも攻撃をする。

 

「おっと、危ない危ない。」

 

「くそ、もう少しだったのに。」

 

スタンドは見えない。

それはいまでも変わらないがこの母親はスタンドの攻撃がまるで見えているかのように攻撃を避けるのだ。

最初はお母さんもこのスタンドの攻撃は予測できないようだったが特訓しているうちにスタンドの攻撃が当たりにくくなっていた。

 

お母さん曰く、

「勘で避けているわ。」

 

・・・とのことらしい。

これもプロヒーローの素質なのだろうか?

 

「あら、停翔?もうおしまいかしら?」

 

「まだだ!!」

 

余裕な雰囲気なお母さんに対して俺はもう一度ザ・ワールドを出して何時でも戦える体勢を作る。

 

「やる気あるわね。なら行くわよ!!」

 

お母さんは走りだし俺の周りをすごいスピードで駆け回り、肉眼では何かがいるのと、風が凄い勢いで吹き荒れ煙が充満しているぐらいにしかわからない。

 

下手に動けば攻撃の隙を与えてしまうので、俺は意識を集中させてお母さんの攻撃のタイミングを探る。

 

お母さんスピードは凄いが攻撃するには近接又は何か道具を使わなければならない。

なので近づいてきた瞬間が攻撃のチャンスなのだ。

勝負は一瞬。

 

 

「・・・そこ!!」

 

 

俺は目を見開かせて俺自身は後ろを振り向かずにザ・ワールドを後ろに向って拳を作らせて一撃を後ろに向けて放つ。

 

「・・・さすがね。でも残念。」

 

「あいてっ!?」

 

煙が晴れるとお母さんは後ろじゃなくて正面に立っており、俺の頭に軽くチョップを食らわせる。

 

「くそ~。前だったか。」

 

「いいえ、実際あなたが後ろに攻撃するときには後ろに居たわ。けれど攻撃するタイミングが少しずれていたわよ。」

 

どうやら勘は良かったみたいが、タイミングがずれて当たらなかったらしい。

くやしいな。

 

「でも停翔、ほんとあなたはここまでよく育ったわ。」

 

「お母さんの特訓のおかげだよ。」

 

「・・・ねえ、停翔。停翔はもう高校は決めたの?」

 

「うん。雄英高校に行くよ。」

 

「そう・・・。」

 

お母さんの顔は暗くなり悲しそうな顔を浮かべている。

お母さんは俺の事を本気で心配しているからな。

 

「ありがとうお母さん。でも、俺はただ正義の味方になりたいんじゃないんだ。」

 

「え?」

 

「お母さんやみんなを守れるような立派なヒーローになりたいんだ。」

 

「停翔・・・。もうお母さん嬉しい!!」

 

お母さんの目には涙が溜まっており、お母さんは高速移動で近づいて俺の頭を胸に抱きしめる。

お母さんの大きな胸で俺の顔は埋まり息ができなくなる。

 

「むー!むむむー!むー!」

 

「え?停翔、何か言った?」

 

お母さんが俺の顔を抱きしめるのをやめて俺はようやく息ができるが危うく窒息死しそうで、もうすぐで俺の意識が飛びそうだったよ。

 

「きゃー!?停翔!?一体何があったの!?」

 

あんたのせいだよお母さん。

 

あっ、もちろん柔らかかったよ。

何がとは言わないが。

 

 

そんな感じでお母さんと何ヵ月か修行を続けて俺の体は少しずつ成長して、体は少し筋肉で硬い感じがする。

というか、中学でここまで鍛えるなんて前世の俺からしたら想像はできないな。

 

そういえば、時止めはどれぐらいできるのようになったのかな?

 

俺は自分の部屋でスタンドのザ・ワールドを出して能力を発動させる。

 

『ザ・ワールド!』

 

俺の言葉と同時に世界は動きを止めて、いまこの世界で動いているのはおそらく俺だけだろう。

5秒たつと、時止めが自動で解除される。

以前みたいに1秒ではなくなり、特訓のおかげで5秒は持つようになった。

 

俺の個性は『ザ・ワールド』はスタンドとして現れ俺の思った通りに動いてくれる。原作と同じように格闘技が得意で威力は大きな岩などをあっという間に粉々にできるほどの威力。しかも有効射程距離は10mと長く中々の強さだ。デメリットというほどではないが『ザ・ワールド』の能力とも言える時止めが制限時間があり、今のところは5秒しか持たないのだ。

なのでいまの俺に必要なのはまだまだ体力作りが必要だということ。

やはり世の中甘くないようだ。

 

 

そして俺は今日も雄英高校への入試の為特訓するのだった。




他の作品も書きつつ更新します。

ちなみに主人公の名前は『時止めディオ』をもじったものです。
時止めディオ→時崎ディオ→時崎テイト→時崎停翔


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第2話 ヒーローの息子

恋愛は人を強くすると同時に弱くする。
          ~作家 アベル・ボナール~

早速主人公じゃない母親視点のお話です。
前半は本編との関わりはほとんどありません。



~停翔の母~

 

 

私はヒーローとして悪を倒す仕事を続けてきた。

 

私の個性は『高速化』

走るスピードや、手を動かす速さが速くなるという能力。

 

ある日、街にヴィランが現れたとの連絡があったので、すぐ現場に向った。

現場に行くとそこにはヴィランと人質にされた男性がいた。

人質を救出するために他のヒーローと協力して倒した。

 

 

彼と再び出会ったのは偶然だった。

あの事件から数日たった後、プライベートで買い物に出かけているとき道端で彼と私は互いに気づき、彼がお礼をしたいということで彼と共に喫茶に入った。

最初に彼を見たとき気の弱い上に喋るときも中々言えず口のなかでゴニョゴニョと言っている人だなと思った。けど、彼と一日過ごしているとき彼は私の為に色々と気を使ってくれたりしたことがあった。

 

その時からなのか彼に興味を持ち始めた。

このとき私はただの興味だったが、もしかしたらこのときにすで惚れてしまったのは私なのかもしれない。

 

それから、私は彼のアドレスを貰ってから何回か彼と会いデートをした。

 

彼は鈍感なのか私がデートに誘っていることに気が付いたのはだいぶ後のことだったわ。

けれど、それも彼の魅力のひとつかもしれない。

・・・これは内緒だけど。

 

ちなみにプロポーズは彼がしてくれたのでもちろん私はOKだったわ。事務所から止められたけどそんなことは無視して彼とは結婚した。

けれど、頼りない彼にひとつだけ私が驚いた事がある。

料理や家事は彼のほうが上だった事だった。

もちろん、私も家事は一通りできるわ。

でも、彼の手料理を食べると正直に言って女として負けたような気がするわ。

その後、私は不貞腐れた私は彼に抱きついて頭を撫でてもらったり、膝枕をしてもらった。

 

・・・いま思えば恥ずかしいわね。

 

まっ、まあ、とにかくそれから色々あって今に至るようになったわ。

 

そして、私たちの息子である停翔を生み、赤ん坊のときはおとなしい子だったが私の愛する息子なのだ。

この子を立派に育ててみせるわ。

 

けどこの子も個性を持ったらヒーローになりたいというのかしら。

できればあんな危ないことをこの子にも味あわせたくないわ。

この子にもしもの事があったら私は・・・。

 

いいえダメだわ。

母親がこんな弱気になっては。

 

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停翔が生まれて5年が経った時遂に恐れていたことが・・・。

 

停翔がヒーローになりたいだなんて。

あの危険なところに息子がいくとことになるなんて

私の頭がフラッとなり思わず倒れそうだった。

 

自分が戦うのはまだいい。

けれど、息子が戦って傷だらけになるだなんて考えただけでゾッとするわ。

 

けれど息子の決意は固く、体を鍛えてヒーローになりたいみたいだ。

 

本当なら反対したいところなのだがこの子がこんなにもやる気になっているのに反対したら反抗期になりやすいって本に書いてあったからこの子の夢を応援しないと行けないのかしら。

 

 

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「ちょ、ちょっと困りますよ!ミス・スピーディー!」

 

「あら?いいじゃない。たまにはこういう福利厚生も。」

 

「そ、そりゃあ、ミス・スピーディーには昔お世話になったうえにこの事務所も大きくなりました。」

 

「そうでしょ?だったら」

 

「で、ですが・・・。」

 

「なら、この事務所を辞めて他に行くわ。」

 

「わ、分かりました!」

 

「ふふふ、それじゃあよろしくね。また仕事があったら連絡してね。」

 

 

そういってミス・スピーディーは部屋の外に出るのであった。

ミス・スピーディーが出て行った後、事務所の社長はため息をつく。

 

「まったく彼女には困ったものだよ。」

 

子供が生まれてから子供の話をよくしていたが、まさかここまで親バカとは思わなかった。

 

「彼女がうちの事務所の貢献がトップなのも事実なのだから彼女がいなくなったらうちの事務所はあっという間に破産まっしぐらだよ。」

 

ミス・スピーディー。

才色兼備を持ち合わせて、女性ヒーローの中で上位にいくほどの人気っぷり。

実際彼女目当てで来るヒーローは数多く、「綺麗だから」「女の憧れだから」などとこの事務所には男女様々なヒーローがいて彼女がこの事務所に来てからうちの売り上げは5倍に膨れ上がり、未だにその成長は止まない。

彼女が結婚したことで人気が落ちるかと思ったが、むしろ美しさに磨きがかかったのか売り上げはさらに伸びていった。

ヒーローというものは一種のアイドル業界みたいなもので人気が出れば出るほど売り上げが伸びる。

だが、彼女がもしこの事務所をやめてしまえば彼女目当てのヒーローはほぼ全員辞めてしまいこの事務所は終わってしまうほどなのだ。

だから彼女を辞めさせるなんて金のなる木を逃すものだ。

そんなことはできないのだ。

 

だから彼女のお願いを聞くしかないのだ。

 

「だからといって、ヒーロー専用トレーニングスタジアムを長期間貸切って・・・一体幾ら掛かることやら。」

 

ただのスタジアムと違ってヒーロー用に作った施設。

一日だけで小さい事務所は借金を背負って生きていけないほどの多額なのだ、

まあ、彼女の売り上げで借りれないことはないが・・・。

 

「はぁ~。雄英高校に連絡して何とかできるか聞いてみるか。」

 

社長は何とかしようと電話を取って雄英高校へと連絡するのであった。

 

 

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社長のおかげでここ、ヒーロー専用のスタジアムを借りることが出来た。

とは言ったもののさすがに貸し切りにはできなかった。

ヒーロー用の施設は今は増え続けているけど、いまだ数が足りない状態が続いている。

その為、時間制限付きの貸し出しとなっている。

 

そして、いま息子を連れてきて、このスタジアムで訓練させる準備をしている。

 

「ここは、ヒーローが個性を訓練するための訓練場よ。」

 

「へぇー。よくこんな所貸してくれたね。」

 

停翔は驚いておりスタジアムの中を見渡す。

この子が成長してくれるのならこの程度なんでもないわ。

 

「ええ、愛する息子の為よ。少しばかり向こうに

・・・あ、何でもないわ。」

 

社長にお願い(脅迫)したなんていってもこの子には分からないだろうけど、

まあ、あまり息子には言わないほうがいいかもしれないわね。

そういうのは教育には良くないと本に書いてあったから。

 

「まあ、それはいいとして、まず停翔、あなたの個性はどんなのかしら?」

 

私はこの話を長引かせるわけにはいかないので、話をそらせる。

でも、この子は・・・何というのかしら。

顔の容姿はとても良い。体格も訓練次第では強くなる。けどこの子から来るこの感じは・・・。

圧倒的何かを感じるのだけれどいったい・・・。

 

そうだわ、オールマイトの・・・。

あの圧倒的な存在感。

でもこの子のはまるで身が凍るような感じがするわ。

まるで・・・。

 

・・・いえ、やめましょう。

この子がヒーローにする為にこの子を鍛えてあげないと。

 

この子が立派になるようにと誓ったのだから。

 




ミス・スピーディー

とある速いアメコミヒーローをモデルにしたヒーロー。
誰とは言わない。
一体いくつなのだろうかって?それは・・・。
おや?誰か玄関に来たようだ・・・ウワッヤメロ!

あと、活動報告にアンケートを追加しました。宜しければ見ていってください。
※11/1にてアンケートは終了しました・・・ヤメテヒドイコトスルンデショウスイホンミタイニ(ry


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第3話 入学試験

いざ投稿してみようと見てみたら、なぜか知らない間にUAが7000でしかも評価が付いている
Σ(゜Д゜)!?

正直、2話でここまで評価がつくとは思いませんでした。
ゆっくりと投稿していきますのでこれからもよろしくお願いします。m(__)m


「えっと、ハンカチとティッシュ。あと筆箱と体操服。これだけで大丈夫かな?」

 

今日は待ちに待った雄英高校の入学試験。

 

母さんと共に修行して数年。

体には筋肉が付き、身長も親よりも伸びて185cmぐらいに伸びた。

顔もDIOに似てきて容姿もかなり整っている顔だった。

そのお陰か学生生活では女子にキャーと言われる毎日だった。

正直にいうとかなり恥ずかしい。

前世ではそんな経験どころか女性と話す機会もなかったのに出会う度にキャーと言われたら、その場から離れざるを得ない。

たまに男子からは憎しみを込められた視線があったが。

 

「停翔~。そろそろ時間よ!」

 

おっと、もうそんな時間なのか。

準備はできたからそろそろ行くか。

 

俺は部屋を出て玄関へと向かい、玄関においてある靴を履く。

 

「いよいよ、今日ね。頑張るのよ。」

 

靴を履いている俺の後ろから母さんが応援をしてくれる。

 

「母さんが鍛えてくれたんだから無駄にはしないよ。」

 

「あらそう? そう言ってもらえると嬉しいわね。」

 

「さてと、それじゃあ行ってきます。」

 

「行ってらっしゃい。気を付けるのよ。」

     

「うん、行ってきます。」

 

俺は家を出て、雄英高校へと向かった。

 

国立雄英高等学校。

ヒーローを養成する学校でヒーローを育てる学校は他にもあるがヒーローのほとんどはここを卒業しているといっていいほどの超名門学校だ。

倍率がとてつもなく高く毎年何百人という人が入試試験へと挑む。

そして、俺もその一人でここ雄英高校でヒーローとして学び資格を取って本当のヒーローへの道に歩めるのだ。

だが、その為にもまずは今日の入学試験に合格しなければならない。

 

最初に午前は筆記試験で各科目ごとの試験をして、昼休みを挟んだあとは午後から実技の試験は始めるようだ。

試験は母さんが聞いてどんな感じなのかは聞いており、それを聞いて予習はしている。 

えっ、そんなのずるいって?

勝てばよかろうなのだぁぁぁ!

 

まぁ、予習してきちんと勉強したお陰か、予習しといた問題が出てきたのでスラスラと解けた。

だが、勉強しているときに思ったがこの体になってから勉強もキチンと頭に入るし、運動でもハイスペックな体だと実感するようになった。

これも転生した影響かな?

 

だが正直、こうやってヒーローへの試験をしているだなんて前世の俺が聞いたらどう思うだろうな。

勉強がめんどくさいのは相変わらずだが、でもこの試験を受けている俺は物凄くワクワクしている。

 

前世の世界だったら子供か!って言われるかもしれないが(実際に子供だけど)、俺はヒーローになれる為の一歩を踏み出そうとしているのだ。

 

「まもなく試験終了時間です。」

 

試験管の人が試験終了時間を試験を受けている人に伝える。

 

(間違いはないかな?さっき見直ししたが念のためもう一度しておこう。)

 

ケアレスミスなんてしたらヒーローになれるチャンスを潰す可能性があるからね。

 

それからは午前の試験をすべて終了してとりあえず昼休憩で母さんが作ってくれた弁当を食べる。

ただ、弁当に『ファイト!』っと、大きく書かれていたので恥ずかしかったのでさっさと食べた。

それから昼休憩は終わり午後の実技試験へと挑むが、その前に実技試験の説明があるらしく、それぞれ別れて移動し大きな教室へと入ったあと椅子へと座った。

 

母さんが言うには本番は午後の実技試験のようだ。

学生なのだから筆記も必要だがヒーローになる為にはヒーロー活動できる体力が必要なのだ。

その為、実技試験に落ちていてはヒーローにはなれないらしい。

 

それと母さんが「実技に気を付けなさいよ。」っと言っていたがそれほど難しいのだろうか?

 

時間になり教室に一人の人物が入ってきて教壇に立ち挨拶を始めようとする。

 

『今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!』

 

――シーン

 

誰一人しゃべらず静かに沈黙が流れる。

入ってきたのはボイスヒーローの『プレゼント・マイク』と呼ばれる大音量で喋り、ラジオでの出演がある有名なヒーローだ。

その有名なヒーローがこの雄英高校の講師として教えてくれるようだ。

 

『こいつはシヴィーー!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?』

 

午後の実技についてプレゼント・マイクが説明してくれる。

要約すると実技試験の内容は10分間の『模擬市街地演習』を行い、持ち込みは自由。各自指定A、B、C、D、E、F、Gの演出会場に移動。

 

演習場には『仮想敵』と呼ばれる機械が三種・多数配置されている。

それぞれの機体にはポイントを設けてあり、自分の〝個性〝を使い仮想敵を倒すことで、ポイントを稼ぐのが目的のようだ。

 

「質問よろしいでしょうか!!」

 

俺がプリントを見ながら試験の内容をしっかりと覚えておこうとしているとき受験者の一人が手を挙げて立ち上がり、質問をする。

質問内容はプリントには四種の敵が記載されている。

四種目の敵について説明がまだないから聞いたのか。

 

「我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」

 

たぶん後で言ってくれると思うのだけど・・・。

 

「ついでにそこの縮れ毛の君!」

 

メガネの委員長みたいなのは縮れ毛の男に指を指した。

 

「先程からボソボソと・・・気が散る!物見遊山のつもりなら即刻雄英(ここ)から去りたまえ!」

 

どうやら、一人キョロキョロしてボソボソ喋っている人がいたらしくそれがあの委員長みたいなのは気に喰わなかったらしい。

誰が怒られたのかと俺はこっそりと覗く。

 

そばかすに髪の毛が少しモジャモジャ頭の男だった。

緊張していたのかついキョロキョロしていたのだろう。

その気持ち、俺にはわかるよ。

正直俺も緊張しているが、前世で社会人として経験したお陰か周りを見ずに説明を一生懸命聞いていた。

 

そして先ほど話していた四種目の敵についてだが分かりやすく言えばお邪魔虫。いわゆるポイントのない0Pの敵らしい。

プレゼント・マイクの説明だと某配管工のドッスンみたいなもの。

・・・この世界にもあのゲームがあるんだね。さすが、○天堂。世界を飛び越えて販売なんて。

 

そして、最後にプレゼントマイクから雄英の〝校訓〝をプレゼントされる。

 

『かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った。

「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と。』

 

 

―――"Plus Ultra(更に向こうへ)"!!

 

 

『それでは皆、良い受難を!!』

 

 

 

----------------------

 

 

教師の人から動きやすい服に着替えて実技試験の会場へと向かうように指示されたのでそれぞれ更衣室で体操服へと着替えたあと移動を開始した。

 

そして、移動して着いた場所を見ると・・・。

 

「広っ!?」

 

しかもグラウンドではなく、建物や瓦礫などがあるジオラマのような場所だった。

その大きさは母さんが前に用意してくれたドームより大きかった。

 

「さすが雄英。規模も半端ないな。」

 

『ハイッ、スタートォ!』

 

俺が周りを見ていた時、どこからかプレゼント・マイクの声が聞こえた。

 

『どうしたぁ?

実践じゃカウントなんてねぇんだぞ!走れ走れぇ!!

賽は投げられてんぞ!!』

 

プレゼント・マイクの声が聞こえ、全員が一斉に走りだし、それぞれ仮想敵へと向かう。

 

「みんな早いな。なら俺もっ!『ザ・ワールド!』」

 

俺はスタンドのザ・ワールドを呼び出していつでも行けるようにする。

 

「よし、行くぞ!」

 

取り合えずポイントを得る為に広場へと駆ける。

残念ながらまだ空を飛ぶことができない。

体に憑依させて力が増したのは感じたのだが空を飛ぶ制御がまだできないので今は飛ばすに広場へと向かう。

 

そして広場に着くとそこには様々な仮想敵がいた。

 

「今こそ俺の修行の成果を見せるとき!」

 

ザ・ワールドのパンチは目に見えないほど速く一瞬で仮想敵を数体も撃破する。

しかも、ザ・ワールドのパンチはただ殴っているのではなくて母さんの個性を加算して殴っている。

母さんの個性である『高速化』がどうやら俺にも遺伝しているらしく『高速化』が使えるようだ。

 

ただこの『高速化』は俺が使えるのではなくザ・ワールドにしか使えないようだ。

だがそのお陰か、パンチやキックの攻撃は大幅に上がり、速さに乗せて繰り出すパンチを仮想敵に当てると仮想敵の身体は大きくへこみ撃破する。

 

「さすがザ・ワールド。パンチの威力も抜群だな。」

 

俺が次々と倒していると後ろから仮想敵が近づいてくるのを感じて直ぐ様ザ・ワールドで攻撃をする。

 

「およそ5m。なら、ザ・ワールドの有効範囲だ!」

 

ザ・ワールドの素早いパンチを仮想敵のど真ん中に風穴を空ける。

そして、仮想敵は力尽きて倒れこむ。

 

「よし、それじゃあ…次…っておいおい、マジかよ。」

 

いつの間にか俺は周りに仮想敵が一体、また一体と、仮想敵に囲まれてピンチになっていた。

けど、ここで慌てず落ち着いて…。

 

「まずは、地面をぶっ叩く!」

 

ザ・ワールドのパンチを地面に向けて放ち、俺の周辺は衝撃により地面から瓦礫が現れて仮想敵はバランスを崩しを瓦礫に挟まれたり貫かれたりしてまとめて撃破する。

 

「よし、次!」

 

俺は直ぐ様ポイントを稼ぐために次の仮想敵の元に向かう。

 

----------------------

 

~???~

 

「ほぉ~。地面を使って敵を撹乱。そして同時に瓦礫を使って一気に撃破とは考えたね。」

 

「しかも、かなり冷静だ。新人であの状況だったら戸惑ってしまい、状況の把握が遅れてその間にやられるのが多いけど。」

 

「しかも、今回の試験はかなり優秀なのが多いね。」

 

「でも、ここから何人生き残るのかな?」

 

「限られた時間と広大な敷地。そこからあぶりだされるのさ。」

 

「状況をいち早く把握する為の『情報力』

遅れて登場じゃ話にならない『機動力』

どんな状況でも冷静でいられる『判断力』

そして純然たる『戦闘力』」

 

「市井の平和を守る為の基礎能力が(ポイント)数という形でね。」

 

「今年はなかなか豊作じゃない?」

 

「いやー、まだわからんよ。真価が問われるのは…。」

 

試験を見守っている一人が設置されているボタンを押す。

 

 

 

「これからさ。」

 

 

 

----------------------

 

よしこれで60Pか…。

 

 

俺が次の所へと行こうとしたとき、突然ゆれ始め建物が崩れ始める。

そして巨大な何かがこちらへと向ってきて俺は視線をそっちへと向ける。

 

「あれは…。」

 

プレゼント・マイクの言っていた0Pの仮想敵か。

あんなに大きいのに0Pとは。

ゲームとかだったらああいう大きいのはボスとかにされるのにここでは雑魚とは。

 

「いったぁ…」

 

ん?、どこからか女の子の声がした?

俺は周りを見渡すと大型仮想敵の足元にはこけたのか倒れていた女の子がいた。

 

「まずい!?」

 

体が動き女の子の元へと駆け出す。

 

しかし、その時大型仮想敵に向って何かが飛んでいった。

そこには教室で注意されていた縮れ毛の彼がいた。

 

縮れ毛の彼は大型仮想敵に向って拳を握り締め大型仮想敵の顔に向って飛ぶ。

 

「SMAASH!」

 

縮れ毛の彼は強力なパンチで大型仮想敵の顔を潰し崩れ落ちる。

 

「す、すごい…。」

 

俺は思わず彼のパンチ力に驚愕し思わず賞賛する。

しかし、彼は途中で力尽きたのか縮れ毛の彼は落下して落ちる。

 

「落ちる!?」

駆け出そうとするが先ほどの女の子が、仮想敵の瓦礫を使ってふわりと浮く。

そして、縮れ毛の彼の頬を叩いた。

一瞬何をと思ったが、そのあと彼の体はゆっくりと地面へと落ちる。

 

「なるほど、浮遊系の個性か。」

(ほ、なんとかなったようだな。)

 

俺はほっとして安堵のため息をつく。

残り時間は数秒で試験は終了のとき、

先程大ダメージを受けたはずの大型仮想敵は再び動き出し、大型仮想敵は縮れ毛の彼に照準を合わせたのか、彼に向かって攻撃を始めようとする。

俺はヒーローの試験を受けているんだ。助けないでどうする。

 

「さっきは何も出来なかったが今度こそ俺の番!」

『ザ・ワールド!時よ止まれ!』」

 

そして時崎はザ・ワールドの力を使い時崎以外の時間は全て止まる。

 

時間。

それは、すべての生物において絶対に避けられないもの。

この世界に宇宙が誕生した時から時間という概念が生まれ、それから何億年という時間と共に流れていった。

だが時崎はその時間を止めることができる。

まさに支配した世界。

そして、時崎はその支配した世界を自由にできる圧倒的な力を持っている。

ザ・ワールドの能力で時は止まり試験を受けている人も大型仮想敵もすべて止まってしまっている。

この空間は誰にも見ることも感じることも出来ない俺だけの世界。

 

時崎はこの隙に大型仮想敵に向って走り、瓦礫を使って大型仮想敵に向って勢いよくジャンプする。

 

「身体が大きいから殴りがいがあるな!」

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァアアァ!!」

 

時崎はザ・ワールドのパンチのラッシュで大型仮想敵に何十発とくらわせる。

そしてザ・ワールドで大型仮想敵を殴り終わり、大型仮想敵から数歩だけ歩きポーズを決めてザ・ワールドの時止めを解く。

 

「そして時は動き出す。」

 

そして時間はゆっくりと動きだし、大型仮想敵の装甲は少しずつめり込み、そしてめり込み始めた場所はザ・ワールドの強力なパンチにより貫通し、ボロボロに砕け散る。

身体のほとんど壊れ、先程の巨体な身体は見る影もなくなってしまった大型仮想敵は地面へと倒れこみ今度こそ完全に機能停止する。

 

『終~~了~~!!!』

 

大型仮想敵が倒れたあと、プレゼント・マイクの終了の合図が響き渡り、試験が終了した。

 

----------------------

「いまのは一体…。」

 

とある部屋では時崎が突然現れた途端に大型仮想敵がいきなり壊れたので室内にいる人たちは騒然としていた。

 

「えっと、彼の名前は確か時崎停翔君だったかな?

個性は『超能力』のようだね。」

 

「それにしては中々の能力のようですね。」

 

「そうだね。彼の能力は様々な用途で使える幅広い個性のようだ。彼が成長した姿が楽しみだよ。」

 

----------------------

 

 

~1週間後~

 

あのあと試験が終わりそれから1週間が経過した。

いまのところまだ合格通知が来ていない。

 

「停翔。」

 

「ん?母さんか、どうしたの?」

 

「はい、これ届いていたわよ。」

 

「手紙?どこからだろう?」

 

俺は手紙を受け取り宛先を見るとそこには雄英高校と書かれていた。

 

「雄英高校からの合格通知みたいね。」

 

「合格しているといいけど…。」

 

「あら?ポイントは合格点をとったのでしょう?それにあなたは私の息子なのよ。合格なんて当たり前じゃない。」

 

「は、はは。そ、そうだね。」

 

俺は少し母さんの相変わらずの自尊心の高さに少しばかり苦笑いする。

 

「それじゃあ、開けるか。」

 

「自分の部屋じゃなくていいの?」

 

「別に見られても問題ないよ。」

 

俺は封筒を開けると中には円盤のような薄い機械が入っていた。

どうやって操作するのかと思ったが突然電源が入り、映像を映す。

 

『私が~投影された!!

 

 

「オ、オールマイト!?」

 

ヒーロー業界で絶大な人気を誇るNo.1ヒーローであり、"平和の象徴"と呼ばれている人物だ。

でもなぜオールマイトが映像に!?

 

『驚くのも無理はない、私がこれに映っているのは他でもない。雄英に勤めることになったからなんだ。それにしても君は素晴らしい!!敵撃破ポイントが60P!これだけでも十分合格だ。しかし、それだけではない!』

 

「それだけではない?」

 

『実は敵撃破のみではなく、さらに我々が見ていたのは救助活動P!しかも審査制だ。』

 

なるほど、いわゆる隠しポイントか。

確かに事前に伝えていたらポイントを稼ごうと救助しようとするのがいるから、あえて隠しといてヒーローの素質のあるものにポイントをあげるのか。

 

『そして君のポイントだが、君が助けた緑谷出人と麗日お茶子を0Pの敵から守ってあげたので60P。合計120P!得点はトップで文句なしの合格だ。ようこそ雄英へ!』

 

「えっ?」

 

まさかの120P。

予想より多くて思わず驚いたが、合格できたのは幸い。

これで俺もヒーローへの一歩へと歩めた。

 

ここからだ。

ここから俺のヒーローの物語が始まるんだ!




ヒーローと出番は遅れてやってくる。


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第4話 入学式…ではなく試験!?

遅くなってしまいすみません。
中々執筆の時間が取れなくて遅くなりました。
そして一言。
アイエエエエ! イチマン!? イチマンナンデ!?
前回の投稿で7000だったUAが2倍以上に膨れ上がっているぅ!?
本当にありがとうございますm(__)m

他の作品も評価やUAが上がってきて皆さんの期待にこたえられるかが執筆の際に不安になりそうです(笑)


入学試験を合格した俺は晴れて俺は雄英高校の学生の一人になり、そして今日はその雄英の入学式の日。

届いた制服に袖を通して部屋に置かれた鏡を見て服装を整える。

 

「うむ、ピッタリのサイズだな。」

 

雄英高校から送られてきた制服は時崎の体にピッタリのサイズでしかも素材に良いものを使っているのか着心地がよかった。

時崎は鏡の前で服装を整える。

 

「しかし、この世界では、この体にピッタリなのをよく用意できるな。」

 

DIOの体格は一般の人より大きな体格をしており、前世の世界でだったら特注じゃないと着れないサイズなのだろうが、この世界には個性があるので様々な体格に合わせられるようにサイズが豊富なのだ。

そして、雄英高校というマンモス校なので当然ながら服にもいい素材を使っておりいま着ているこの新品の服の着心地がよく、心地いい感触で気分が高まる。

 

「まさに 最高に「ハイ!」ってやつだあぁぁぁ!」

 

おっと、いけないついDIOのポーズを決めてしまった。

せっかくのDIOの体だから部屋でジョジョ立ちや名台詞の練習をしていた。

いざとなった時に言えたらかっこいいだろうと思って。

もちろん練習を見られるのは恥ずかしいのでザ・ワールドで時止めしているときに練習をしている。

 

さて、そろそろ時間なので出発するとしよう。

俺は鞄を持ち部屋を出て玄関へと向かい玄関で座って靴を履く。

 

「忘れ物はない?」

 

玄関に座って靴を履いていると後ろから母さんが声をかけてきてその後に父さんも一緒に来た。

 

「昨日準備したから大丈夫。」

 

「さすが停翔。しっかりしているわね。」

 

「その制服似合ってるぞ。」

 

「ありがとう。それじゃあ、行ってきます。」

 

「「行ってらっしゃい。」」

 

二人からの声を聞きつつ玄関の扉を開けて雄英高校の入学式へと向かった。

 

----------------------

 

「・・・。」

 

「行っちゃったね。」

 

玄関で息子の制服姿を見届けた父親と母親

しかし、母親はなにも言わない。

 

しかし、時間が経つにつれ妻の肩は震え始める。

 

「うう、停翔。

あんなに立派に育っておかあさんうれしいわぁ。」

 

母親は突然泣き始めて目から涙を大量に流し始める。

 

「はいはい。ほら、涙を吹いて、あとこのティッシュで鼻水拭かないと、はいチーン。」

 

「チーン!」

 

父は妻の鼻にティッシュを当てて鼻水を拭く。

 

「はい、ハンカチ。先にリビングに座っといて。」

 

「・・・うん。」

 

妻は力なくトボトボとリビングへと向っていった。

昔はできるキャリアウーマンのように強気な性格だったが、息子が生まれてからどうも親バカになってしまったのかあの子の成長のたびにこうやって泣くことが増えた。

恐らく喜んでいるのだろうが、ああやって泣くのは誰にも見せることはしてないらしい。息子には一度だけ見せたことあるらしいが。

なんでも周りからのイメージが崩れるから泣かないとか。

でも妻が泣くのは父親である僕と2人だけのときだけしか泣かないのだ。

 

「やれやれ、あとでコーヒーでも作ってあげるか。

あ、でもその前に事務所に連絡しないと。

あの調子じゃ今日はいけそうにないだろうしね。」

 

父親はリビングへ向かおうとするが途中で足を止めて再び玄関へと振り向く。

 

「頑張れよ。停翔。」

 

聞こえはしないはずの応援を父親は息子が出た扉に向ってほんの少し小声で囁き、母の待つリビングへと向うのであった。

 

----------------------

 

~主人公視点~

 

家から出発して電車に乗り雄英高校の最寄り駅前から歩いて雄英高校の入口へと到着する。

俺は入口の門をくぐり学校内の通路を通る。

 

だが先程から気になることがあった。

周りからの視線だ。

特に女子の視線。

周りにいる女子は俺のことを見て一緒にいる女子とヒソヒソと話をしているのを多々見かける。

 

(やっぱりこの容姿のせいかな?)

 

中学のときでもそうだがこの容姿で女の子からは人気を得た。(一部からは呪われそうだったが。)

だがあの時は訓練を重視していたので恋愛に関してはほとんど無視していた。

それに前世では20代なのにもかかわらず恋愛の経験どころか彼女もいないのでそもそも女の子との会話はどうも恥ずかしさがある。

 

とりあえず視線のことは気にせずに学校の敷地内に入り、俺は教室へと向かう。

俺の教室は確か1-Aだったからこっちだよな。

 

俺が教室へ向かうと入り口には以前に試験会場にいた縮れ毛の少年がいた。

挨拶しようと声を掛ける。

 

「やあ、おはよう。」

 

俺は縮れ毛の少年に話しかける。

 

彼は突然声をかけたせいなのか体をビクつかせてしまい。

こちらに驚いた顔を向ける。

何故か彼の顔色は青くなっていた。

 

(どうしたんだ?

・・・あ、もしかして突然声をかけたから驚いているのか。そうだとしたら少し申し訳ないな。) 

 

「大丈夫か?」

 

「え?

あっ・・・えっと、だ、大丈夫!」

 

彼は苦笑いしつつも大丈夫だと言う。

停翔は彼を驚かせてしまったことに罪悪感を感じてしまう。

 

「突然声を掛けてすまない。

僕の名前は時崎停翔。

君とこうして話すのは初めてだね。

よろしく。」

 

「えっと、ぼ、僕は緑谷・・・緑谷出々です。」

 

「緑谷くん、これからよろしく。」

 

「こ、こちらこそ。」

 

未だ緊張しているのか、緑谷は震えており顔は青くなっていた。

 

「もしかして、時崎くんも同じ1-Aなの?」

 

緑谷と話しているとき隣にいた少女が話しかけてきた。

その子は見覚えがあり以前の入学試験にいた浮遊系の個性を使っていた少女だった。

 

「ああ、君はたしか・・・。」

 

「あ、私の名前は麗日お茶子。よろしくね時崎くん。」

 

「ああ、よろしく。」

 

麗日さんは明るく挨拶をしてくる元気な少女のようだ。

こんな明るい子と同じクラスとはこの先も俺は頑張っていけそうだ。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。」

 

俺達が話している時どこからか声がしたので周りを見ても誰もいないのだが、視線を感じたので下を見るとそこには寝袋に入っている人がエナジードリンクのようなものを飲んでいた。

 

「ここは・・・ヒーロー科だぞ。」ヂュルッ!!

 

(((何かいる!!)))

 

俺達は突然現れた人物に驚きを隠せずクラス一同は唖然とする。

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。

時間は有限、君達は合理性に欠くね。」

 

寝袋から出てくると髪の毛がボサボサな長髪をしており長いこと手入れしていないのだろう。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね。」

 

(先生だったのか!?)

 

俺は内心で驚愕した。

まさかのこの人が自分のクラスの担任だったとは想像していなかった。

 

「さっそくだが、体操服着てグラウンドに出ろ。」

 

相澤先生が取り出したのは雄英高校の体操服だった。

これから入学式のはずなのに何故体操服を着るのだろうか。

 

・・・というかその体操服、さっき先生が入っていた寝袋から出してなかったか?

 

----------------------

 

相澤先生の案内で服を着替えてグラウンドに出て相澤先生がくるのを待った。

それから数分ぐらいしてから相澤先生がやって来た。

 

「では、これから個性把握テストを行う。」

 

「「「個性把握テストォ!?」」」

 

あまりに突然テストをすると言われてクラス一同は驚いていた。

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

本来なら入学式などをして学校の説明を受けるはずだが初日からテストをするのか麗日さんが相澤先生に問いかける。

しかし相澤先生はそんな質問を平坦な声で答える。

 

「ヒーローになるならそんな悠著な行事出る時間ないよ。雄英は"自由"な校風が売り文句。そしてそれは"先生側"もまた然り。

お前達も中学の頃からやっているだろう? 個性禁止の体力テスト」

 

そういって先生が懐から取り出したのは野球の球と同じサイズのボール。

 

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった。」

 

「・・・67m」

 

「じゃあ、"個性"を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。思いっきりな。」

 

相澤先生は手に持っていたボールを爆豪に向かって投げ渡す。

 

「んじゃまあ・・・。」

 

爆豪は投げる場所に移動して、手に持ったボールを腕を振りかぶり・・・・。

 

 

「死ねぇ!!!」

 

 

(((・・・・死ね?)))

 

爆豪の台詞にクラス一同は唖然とするが爆豪の投げたボールは爆風に乗って勢いよく空へと上がった。

そして空へと上がったボールは次第に落下していき地面へと落ちていった。

 

「まず自分の『最大限』を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段。」

 

先生が見せたスマホみたいな画面には『705.2m』と表示されていた。

どうやら先程爆豪が投げたのは距離を測ることのできるボールのようだ。

 

「なんだこれ!!すげー面白そう!」

 

「705.2mってマジかよ!」

 

「"個性"思いっ切り使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」

 

 

 

「・・・・・・・面白そう・・・・か。」

 

 

個性を自由に使っていいと聞いた生徒達は面白そうだと言った瞬間に相澤先生の雰囲気が変わり、とてもよさげな雰囲気ではなかった。

 

「ヒーローになる為の三年間そんな腹づもりで過ごす気でいるかい?」

 

「よし、トータル成績最下位のものは見込みなしと判断し、・・・除籍処分としよう。」

 

相澤先生は、そんな腹づもりで過ごす生徒を良く思わなかったのか、全種目のトータル成績で最下位の者は見込みなしと判断し、『除籍処分』すると課題を突きつけてきた。

 

「「「「はあああ!?」」」」

 

あまりに理不尽なことを突きつけられたので生徒の皆は驚愕の声を上げる。

 

「生徒の如何は先生おれたちの"自由"ようこそ。これが……」

 

 

『雄英高校ヒーロー科だ』

 

 

 

 

入学初日の試練。

普通に考えたらとんでもない内容だ。

 

だが、だが俺は理には適っていると思ってしまった。

俺も元は社会人。

子供の時は夢を見たり理想を追い求めたりはした。

けれど大人になったらその理想を諦めてしまう。

中途半端な気持ちでヒーローになれば取り返しのつかない結果にもなることもある。

 

そしてこの試練は普通の学生であればきついだろう。

しかし、ここは雄英。

普通の学校とは違ってヒーローを目指すところ。

 

理不尽なことをヒーローは味わうとお母さんは言っていたな。

 

 

(ヴィラン)

 

犯罪

 

自然災害

 

大事故

 

 

ヒーローは誰かを救うために理不尽なことを味わなくてはならない。

そして同時にその理不尽を覆していくのもヒーローなのだから。

 

これが雄英高校か・・・。

ふふふ、面白い。

 

俺は何故だか分からないが、この時焦りはなくむしろこの状況なのにも関わらず笑ってしまう。

もう、十何年もこっちの世界で過ごしてきたがやっぱり前の世界の常識とは違うのだなと。

 

「そういう理不尽(ピンチ)を覆していくのがヒーロー。

放課後マックで談笑したかったらお生憎、これから三年間雄英は全力で君達に苦難を与え続ける。」

 

「"Plus Ultra(更に向こうへ)"さ。

全力で乗り越えて来い。こっからが本番だ。」

 

 

(先生はああ言っているが、やはり面倒なことなのは事実。

しっかりやらないとな。気を抜いてしまって除籍されたら溜まったものじゃない。ならやるからには本気で。)

 

 

まず第1種目は50m走。

 

現在最速なのはこれもまた以前の試験で質問をしていた眼鏡の委員長みたいな飯田の3秒04。

そして次々とクラスメイトが走っていき俺の番になる。

 

「それではよ~い・・・。」

 

俺はザ・ワールドを出して走る準備をする。

 

「START!」

 

他の人たちはスタートダッシュをしたと同時にザ・ワールドの時止めを使って時間を止める。

 

ザ・ワールドの時止めの能力を使い、俺以外はすべて止まった状態になった。

他の人はスタートラインから動こうとするポーズのまま止まっていた。

五秒しかないのでこの隙に俺はザ・ワールドを体に憑依させて俺の体のパワーを上げた状態でゴールの目の前まで向かう。

ザ・ワールドのスピードが速いのであっという間にゴールの目の前にたどり着く。

これって時止め使わなくてもよかったんじゃ・・・。

ま、まあ、さっき本気でやるといったのだからこれぐらいはしないと。

 

3・・・2・・・1

 

そして時止めの能力が切れて世界が動き出しクラスメイトもスタートラインから動き出す。

だが、時が止まっているときにもうすでに俺はゴール手前に来ているので後はゴールするだけだった。

 

「ピッ!――1秒2」

 

多少ズルだが、個性を使っているので問題はないだろう。

おかげで飯田のタイムのを超えられた。

 

「アイツ、マジかよ!?1秒台かよ!?」

 

「まっ、負けた・・・。」

 

「すごーい!」

 

やはり1秒台なので周りからは注目されるが悪い気はしないな。

 

 

第2種目:握力測定

 

これもザ・ワールドに握力計を握ってもらい計るのだが・・・。

ザ・ワールドのパワーも強い為、握力計が空中で物凄い音でバキバキと音を立てながら握力計の持つ部分がペシャンコに潰れる。

 

そして握力計の数字を見てみれば数字の部分は文字化けして表示不可になっていた。

個性の力が強いのはいいのだが計測不可とは思わなかった。

 

 

第3種目:立ち幅跳び

 

これも同じ様にザ・ワールドの力を使い身体能力が上がった状態で砂場の上を大きく飛んでいく。

中にはビームを使って一直線に飛んでいくものもいれば爆風で飛距離を伸ばすのもいた。

 

 

第4種目:反復横跳び

 

もう説明は不要だろう。

 

 

第5種目:ソフトボール投げ

 

先程爆豪が投げたのと同じ要領で他のクラスメイトも投げていく中に俺の番がやって来た。

 

「それじゃあ、次は時崎。」

 

名前を呼ばれたので俺は投げる場所まで移動してボールを持ち、前方に投げずに上に投げてザ・ワールドに渡す。

スタンドの見えない人からすればボールが空中に浮かんでいるように見えるだろう。

 

「行くぞぉ!!

うりぃぃぃぃぃっ!!」

 

俺はザ・ワールドに思いっきり投げ飛ばしてもらいボールは空高く飛ぶ。

パワーバランスのおかしいスタンドたちの力なのかボールはあっという間に空高く上がる。

 

「時崎停翔、893m」

 

記録はさすがに∞の記録を出した麗日さんには勝てないが上位には入り、爆豪より長い距離は出すことはできた。

 

そしてソフトボール投げで緑谷の番が来たが彼の顔色はとても悪そうだった。

いまのところトータル合計で緑谷くんのが最下位だ。

ここから追い上げなければ最下位から脱する方法はない。

 

そして緑谷が腕を振り上げてボールを空高くあげるが・・・。

 

 

「―46m」

 

 

個性を使ってボールを投げようとしたのか、緑谷の一回目のボール投げは『46m』という普通の人の一般的な記録だった。

 

「な・・・今確かに使おうって・・・。」

 

「個性を消した。」

 

「消した・・・!

あのゴーグル・・・。そうか!

見ただけで人の"個性"を抹消する"個性"『抹消ヒーロー イレイザー・ヘッド』!!」

 

緑谷が言うヒーロー、イレイザー・ヘッド・・・。

確かアングラ系のヒーローだったな。

相澤先生の個性は見ただけで相手の個性を消す、だとしたら緑谷の"個性"を消して以前に見たスーパーパワーが使えない状態になったのか。

 

そして相澤先生は緑谷に対して言い終わったのか、相澤先生は緑谷に巻きつけていた布を取り、個性を解除した。

 

「個性は戻した。

ボール投げは2回だ。とっとと済ませな。」

 

もう一度チャンスを与えられ、再び所定の場所へと戻り、ボールを持つ。

最初はブツブツと何か呟いていたが、投げる準備が出来たのか目付きが変わった。

 

そして緑谷はボールの持つ手を大きく振りかぶり先程と同じように投げようとする。

 

だが緑谷の手からボールが離れようとするが、緑谷くんはいまだ個性の力を出していなかった。

そして、緑谷くんはとにかく粘って指から離れるその瞬間・・・。

 

「いま!!」

 

緑谷は個性を出して力を使い人差し指の力を使って投げられたボールは遠くまで飛んでいき、記録は705.3mと出た。

力任せの一振りではなく、指先にのみ力を集中させて投げたのだ。

 

「先生……!」

 

内側から爆ぜたようにボロボロになった指の痛みに耐えるように拳を握りしめ、

涙目になりながら下唇を噛み締めて……

 

「まだ……動けます」

 

彼が個性を使ったせいなのか人差し指が青紫に変色していた。

恐らく力の調整はまだ出来ていないのだろう。

 

「やっと、ヒーローらしい記録が出たよ!」

 

「指が膨れ上がっているようだが入試の件といい、おかしな個性だ。」

 

「スマートじゃないね。」キラッ!

 

「・・・・なぁ!?」

 

 

「どーいうことだ!ワケを言え!デク、てめえ!!」

 

「うわあああ!?」

 

爆豪が突然緑谷に向かって爆風による突進をする。

あまり良さそうな雰囲気ではないのでザ・ワールドを使って止めようとするが・・・・。

 

「んげぇ!?」

 

突進している爆豪に布が巻くつく。

先程相澤先生が使っていた首に巻いているマフラーで爆豪を止めたようだ。

どうやらザ・ワールドは使わなくて良さそうだ。

 

そらから、一悶着あったが相澤先生によって止められたれ、そして緑谷はまだ動ける状態だってことでこのままテストは続行することになった。

 

残りの上体起こし、長座体前屈、持久走と続き、全種目を終了。

ちなみに最後の持久走。

スタートと同時に時止めを使い先に進んで楽して1番にゴールしたのは秘密だ。

 

「んじゃパパッと結果発表」

 

すべての競技が終了して相澤先生から結果が発表される。

トータル最下位が除籍処分。

トータルは単純に各種目の評点を合計した数。

そして最下位は緑谷。

このままでは緑谷は除籍されてしまう。

だがいくらザ・ワールドでもなかったことにすることは出来ない。

残念だが彼はもう・・・。

 

「ちなみに除籍は嘘な。君らの最大限を引き出す合理的虚偽。」 

 

「「「「は―――――!!!!??」」」」

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない・・・。

ちょっと考えればわかりますわ・・・。」

 

マジか。

俺は驚き過ぎて表情固まっちまったぞ。

さっきの覚悟を決めて内心で色々思っていたことが恥ずかしくなってきた。

なんだか笑えてくるよ。

 

「そゆこと、試験はこれにて終わりだ。

教室にカリキュラム等の書類あるから目ぇ通しとけ。」

 

そういって相澤先生は先に学校の中へと戻っていった。

とりあえず、全員欠けることなく俺達1-Aは入学式初日の試験を乗り越えられた。

明日からはこのクラスメイトと共に過ごすことになることに期待を抱く。

 

そして、同時にこれから起きる波乱の幕開けでもあった。

 




やっと主人公もクラスメイトの一員になれました。
それにしても綺麗なDIOを書くのは難しいです。
ちなみにクラスの人数が奇数の21人になるので誰か削ろうかなと思いましたが原作のキャラ全員がいてこその僕アカなので奇数で頑張ろうと思います。
矛盾があるかもしれませんがよろしくお願いします。


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第5話 戦闘訓練

長い間更新できなくてすみませんでした。
ちなみに今回はほぼ原作な上、主人公の登場は少ないです。


昨日担任の相澤先生による入学試験を終えて、無事雄英の生徒となることができた。

 

そして翌日、朝早めなので出時間も余裕があり1-Aの教室に入るとすでに何人かの生徒がいた。

 

「おっ!

お前たしか昨日の試験に一緒にいたやつじゃねぇか!」

 

教室に入ったあとに、こちらに気がついたのか逆立っている赤い髪の生徒が元気よく話しかけてきた。

 

「俺は切島 鋭児郎。これからよろしくな!」

 

見るからに熱血そうに見える切島はフレンドリーな雰囲気で接してくれた。

 

「こちらこそよろしく、俺の名前は時崎停翔。」

 

「おう!お前スゲェよな!

昨日の体力測定新記録ばかりだったな!

漢らしいじゃねぇか!」

 

「切島どうしたの?」

 

切島と話しているとき彼の後ろから紫色の色の肌の少女が加わってきた。

 

「おう、いまこいつとの友情を深めていたところだ。」

 

「へぇ~。あ、私は芦戸 三奈!よろしく!」

 

自己紹介をしている2人の会話が聞こえていたのか他の生徒達も会話に混ざってきてそれぞれ自己紹介を始めてきた。

 

「自己紹介してるのなら俺も混ぜてくれよ。

おっす!俺は上鳴 電気だ。同じクラスだからよろしくな!」

 

「私は葉隠 透。服が浮かんでいるように見えるかもしれないけど透明で顔が見えないだけだよ。よろしくね!」

 

「おっと、僕の名前は青山優雅。僕のこのキラキラどうだいうつ「蛙吹 梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んでね。ケロケロ」・・・。」

 

「俺は瀬呂 範太!よろしく!」

 

それぞれクラスメイトの皆が独特な紹介をしてくる。

それより、さっき誰かの会話途切れてなかったか?

まあいいけど。

 

そしてそれぞれ個性的な自己紹介が終わったと同時に、学校のチャイムがなり全員が席につく。

ここ雄英高校はヒーローを育成するといっても俺達は高校生。

様々な科目の英語、数学、国語、理科などの普通の勉強がある。

ここはヒーロー科だが、学生の本文は勉強なのはあっちでもこちらの世界でも変わらないようだ。

 

各教科の教師はなんと有名なプロヒーローなのだが、

普通の学校と同じで・・・。

 

「んじゃ、次の英文の内、間違っているのは?」

 

「おらエブィバディヘブンズアッフ!盛り上がれ!!!」

 

(((((普通だ)))))

(関係詞の場所が違うから・・・4番!)

(前の世界より個性的だな・・・。)

 

プレゼント・マイクの授業は盛り上げようとしても誰も反応してくれなかった。

 

 

まあ、こんな感じで授業を受け、昼御飯を済ませたあと午後から始まるヒーロー基礎学の授業が始まる。

ちなみにこの授業の担任はあの・・・。

 

 

「わーたーしーがー!!

 

普通にドアから来たぁぁぁ!!!」

 

 

 

チャイムが鳴ったあと勢いよくドアが開き、HAHAHA!と画風(?)の違うヒーローが登場してきた。

もうわかると思うが誰もが知っているNO.1ヒーロー『オールマイト』

 

銀時代シルバーエイジのコスチュームを身に纏うオールマイトの姿を見て教室内にいる誰もがオールマイトの登場にざわめき、教室は活気に包まれ、俺も心の中でオールマイトの登場に興奮した。

 

(これがNo.1ヒーローか。)

 

前の世界では漫画や有名人はお目にかかることなんてないだろうと思っていたがいまではこうしてNo.1ヒーローを目の前で見れるのだ。

 

そして平和の象徴であるオールマイトは今年から雄英の教師をやることになったらしい。

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為の様々な訓練を行う課目だ!!単位数も最も多いぞ。」

 

「早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」

 

オールマイトはBATTLEと書かれたカードを手に取り、生徒たちに突き出す。

 

 

「戦闘訓練・・・。」

 

 

昨日の個性把握テストとは違う本格的なヒーローの訓練。

合格不合格はないが気を引き締めていかないといけないな。

 

「そいつに伴って・・・こちら!!」

 

オールマイトがリモコンのボタンを押すと壁が動きだし中には数字の書かれたケースが多数入っていた。

 

「入学前に送ってもらった「個性届」と「要望」に沿ってあつらえた戦闘服だ!!!」

 

入学前に学校から送られてきた書類の中の戦闘服の要望を書き学校へと送ったのが出来たのだろう。

もちろん要望通りならあの絵の通りになっているだろう。

 

「格好から入るのも大切な事だぜ少年少女。

着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!!」

 

「「「はい!」」」

 

いよいよ始まるヒーローになるための訓練。

 

だから自覚するんだ。

今日から自分は……

 

 

―――ヒーローなんだと!

 

 

----------------------

 

 

・・・というわけで教室からロッカー室へと移動して先ほど支給されたこのコスチュームへと着替えている。

 

最初はデザインはどんな服にしようかと悩んだ。

いくつか候補があったが、いまの俺にはやはりこれしかないと思いこのデザインにした。

 

ーこの『第3部のDIOの服』を!

 

特に機能等を付けていない服なのだが希望で動きやすく破れにくい服にしてくれとだけ希望した。

 

実際に戦うのはザ・ワールドであって自分はあくまでも体を鍛えただけで一応スタンドがなくとも戦えるようにお母さんから生身でも戦える訓練をしている。

さらにはザ・ワールドの力を憑依させるとなると体を思いっきり動かすのでこの要望にしたのだ。

 

まあ、もう1つ理由はただDIOの服を着たいだけであるが・・・。

たがちゃんといい素材を使っており体にピッタリのサイズでしかも動きやすいのでちゃんと希望通りの服を作ってくれたようだ。

 

そして俺はコスチュームを着て最後に赤色のマントを付けて着替えが終わったので、更衣室からグラウンドβに向かった。

 

グラウンドβにはすでに他の人も着替えており授業が始まるのを待っていた。

 

グラウンドβは入試で使った演習場のと同じくビルが建ち並び、かなり本物の町に近い作りとなっている。

今回はここで戦闘訓練は行われるのだ。

 

「おっす、時崎。」

 

グラウンドβで声を掛けてきたのは上半身にはなにも着ていないワイルドな格好をしている切島だった。

 

「切島か。君の服装なかなか・・・ワイルドじゃないか。」

 

「お、分かるか!俺の個性は『硬化』だから防御に関しては硬化で防げるからこのコスチュームでいいんだ。

しかも切れ味も抜群だから対人じゃ強ぇけど、いかんせん地味なんだよな。」

 

「硬化か。防御も攻撃も兼ね備えた個性か。近接では強力な個性になるな。」

 

「そうか?それにしても時崎のコスチュームはおしゃれな感じがするな。」

 

「ん?そんな感じがするか?」

 

「あら、その格好でもいいじゃありませんか。」

 

俺と切島が喋っているとき、後ろから女性から声を掛けられたので振り返る。そこには髪が黒色のスタイルのよい少女がいた。

 

(彼女は確か八百万百だったか・・・なにぃ!?)

 

八百万の着ているコスチュームを見て時崎は思わず素っ頓狂な声を出してしまいそうだった。

それもそのはずだ。

彼女の着ているコスチュームは胸元からへそ辺りまで開いた赤いスーツを纏って、レオタード風の衣装から何ら恥じる様子もなく肌を露出させていた。

男なら誰でもその格好のことを突っ込むだろう。

 

「そ、そういう君もなかなか・・・独特な格好をしているじゃないか。」

 

「ありがとうございます。」

 

彼女は俺が誉めているととったのかお礼を言ってきた。

 

その時、背後から裾を引っ張られるのを感じて下を見ると、黄色いマントと紫のマスクを被った峰田という少年が、

「ヒーロー科最高。」

と親指でグッドをしながら俺に言った。

 

取り合えず気を取り直して戦闘訓練が始まるのを待っていると誰かが出入口から走ってきた。

 

「皆早い・・・!!」

 

戦闘服を着るのに手惑っていたのか、皆より遅れて通路を一人で走っている緑谷くんだった。

グラウンドに急いで来たためか息を荒げていたので時崎は緑谷に近寄り声を掛ける。

 

「大丈夫か?」

 

「あ、時崎君。だ、大丈夫だよ。」

 

「そうか、それならいいが・・・。

ところで緑谷君、もしかして君のそのコスチュームは・・・。」

(どうみてもオールマイトを模しているのかそっくりだな。)

 

緑谷くんが着ているコスチュームの外見がオールマイトの髪の触手(?)部分に似ているのですぐにわかった。

 

「あ、この服僕のお母さんが作ってくれたんだだからこの服で参加しようと思って。」

 

「ふむ、なるほど。」

(危うく笑いそうになった。せっかく作ってくれたものを笑っては悪いな。)

 

 

「では始めようか有精卵共!!!

戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

全員が集まったところでオールマイトが訓練の開始を知らせる。

 

オールマイトからの説明によると今回の戦闘訓練は屋内の戦闘を想定して建物の中で『ヒーロー』と『ヴィラン』共に二人一組になり、制限時間15分以内に『ヴィラン』側が持つ核を『ヒーロー』がタッチするか、『ヴィラン』を『確保テープ』というテープでヴィラン側に巻き付けて全員捕まえればヒーローの勝ち。

逆に制限時間が過ぎるか、『ヴィラン』がヒーローを捕まえれば『ヴィラン』の勝ちというものだ。

 

「では、コンビ及び対戦相手は・・・『クジ』だ!」

 

((((適当だな・・・))))

「このマントヤバくない?」

 

「・・・と言いたいところだがこのクラスの人数が奇数のため一人組だけ人数が一人となる。」

 

「先生!それだとかなり不利な状況ではないですか?」

 

本来は二人一組の状態で対等なのだが偶然にもクラスが奇数のため一人だげチームがない状態となる。

 

「確かにかなり苦戦を強いられると思うが常に誰かがついているとは限らない。時と場合に依っては一人で戦うこともありうる。それを乗り越えてこそ"Plus Ultra(更に向こうへ)"だ。

それにこの一人は実は前から考えていたのさ。

以前の入学試験のトップでもあった時崎君、

君にしようと思う。」

 

オールマイトが指名したのはまさかの自分だった。

別に嘘をいっているわけでもなく真っ直ぐに俺に視線を向けている。

 

「俺?」

 

「そう。君でなら問題ないとすでに学校からの許可は取ってある。強制はしないが君がよければだ。」

 

正直この事態はめんどうである。

俺の世界の普通の社会ではわざわざ指名されると周りの視線がきついことがある。

変に期待されたりとか冷ややかな視線を浴びてしまうのだ。向こうが悪気があるのかは知らないがこっちからしたらたまったものではない。

だがここまで期待されているのだから答えてやらないと後味が悪い気がする。

 

「わかりました。」

 

断ることもできないので俺はオールマイトに頭を縦に振り承諾する。

 

「では、決まったことだし早速戦闘訓練を始めるとしようか!」

 

オールマイトは先ほど用意していたくじを全員に引いてもらいパートナーを決める。

その光景を俺は離れてみていたら1つあることに気がついた。

 

(あれ?よく考えたらクラスメイトと仲良くなるチャンスを逃した?)

 

俺は途中でそのことに気がつき内心焦り始めていた。

しかし、そんなことを知らない1-Aのクラスは全員がパートナーが決まったのでこれで戦闘訓練の準備が整った。

 

「では続いて対戦相手は・・・こいつらだ!!」

 

「Aコンビがヒーロー!!Dコンビがヴィランだ!!」

 

Aチーム緑谷&麗日チーム

     ×

Dチーム爆豪&飯田チーム

 

 

最初の対戦相手は昨日喋っていた緑谷君と麗日さんだった。

対するヴィランチームは一人は委員長みたいな眼鏡の飯田君は知っているがもう一人のいかにもヤンキーみたいなのは昨日の体力測定の時に見たが話したことはないな。

 

 

それから2チームは戦闘訓練となるビルへと向かい準備を整えている間、俺たちはモニタールームへと移動した。

 

「さぁ、君たちも考えて見るんだぞ。」

 

モニターには各場所にカメラが設置されておりヒーローチームやヴィランチームの行動がバッチリ映っていた。

 

ヒーローチームの緑谷君たちはビルの窓から潜入し、ヴィランチームの核の元へと向かう。

しかし、ヒーローチームはヴィランチームの核が何処に置かれているのかは知らされていないのでかなり不利と言えるだろう。

 

まあ、現実では核の場所がわかっていたら苦労はしないのだから不利なのも仕方がないのだろう。

そして、緑谷君たちが道を進んでいると突然通路の曲がり角から爆豪が飛び出してきて奇襲を仕掛けてきた。

 

しかし、緑谷君は予測していたのか爆豪の右手大振りの攻撃をギリギリのところです避ける。

爆豪の攻撃は壁に当たり同時に壁が爆発する。

もしあれが当たっていたら大ケガをしていただろう。

 

『デクこら、避けてんじゃねぇよ!!』

 

「爆豪ズッケェ!!奇襲なんて男らしくねぇ!」

 

「奇襲も戦略!彼らはいま実戦の最中なんだぜ!」

 

切島は爆豪の奇襲が男らしくないと批判するがオールマイトの言うとおり奇襲も戦いの手の1つだ。

正々堂々とした戦いではないが戦いがすべて正面からしかこないとは限らないのだから。

 

『ああ、クソ!中断されねぇ程度にぶっ飛ばしてやらぁ!!』

 

爆豪は再び緑谷君に向かって攻撃を仕掛け、緑谷君に右手大振りの攻撃をするが今度は緑谷君は巧みに避けて右手を掴み取り、一本背負いで爆豪を地面へと叩きつける。

 

『かっちゃんは・・・大抵、最初に右の大振りなんだ。

どれだけ見てきたと思ってる!

いつまでも"雑魚で出来損ないのデク"じゃないぞ!

 

"頑張れって感じのデク"だ!』

 

 

『・・・ムカツクなぁ。

 

クッソ!ムカツクなぁぁぁ!!

 

緑谷君の言葉が爆豪の逆鱗に触れたのか爆豪は声を荒げて再び緑谷君に向かって攻撃をする。

 

爆豪は緑谷君に攻撃を向けており、緑谷君は爆豪と相手している隙に麗日さんは本来の目的である核の元へと単独で向かう。

 

恐らく2手に別れる為に緑谷君は爆豪を引き付けているのだろう。

だが、爆豪は麗日さんにら見向きもしていないので彼の目的は確実に緑谷君だろう。

 

しかし、緑谷君は爆豪の攻撃を巧みに交わして、次の攻撃に備えていた。

 

「すげぇなあいつ!個性を使わないで渡り合ってるぞ!」

 

しかし、緑谷君は態勢を整えるためか爆豪から離れるために直ぐ様曲がり角に向かって走り出す。

 

『待てコラ!デク!!』

 

『なぁオイ!俺を騙していたんだろォ!楽しかったかずっとぉ!!

あ!?ずいぶんと派手な個性じゃねぇか!?』

 

『使ってこいや!俺の方が上だからよぉ!!』

 

「なんかすげぇイラついているな。コワッ」

 

爆豪のイラついている姿に上鳴は思わず呟く。

 

自尊心の塊なのか又は緑谷君に対して何か思いがあるのか、明らかに感情的になっているところが見られる。

正直、このまま進めていたら歯止めが利くのかどうかが分からないな。

 

----------------------

 

そして一方緑谷君と別れた麗日さんは緑谷君のいる直上階におり、そこには核とそれを守る飯田君がいた。

 

爆豪とは違い飯田君は冷静にこの訓練をこなすだろう。

さて、彼はどんな感じで核を守のかな。

 

爆豪くんはナチュラルに悪いが今回の訓練には的を射ているわけだ。ならば僕も敵に徹すべきなのだ・・・そうだ。これも飯田家の名に恥じぬ立派な人間となる為の試練!なりきれ!!』ブツブツ

 

『俺は至極悪いぞおぉ!!』

 

・・・彼はどうやら形から入る人のようだ。

 

飯田君の姿を見てか麗日さんは思わず吹き出してしまい、飯田君にバレてしまった。

 

『来たか麗日君、君が一人で来ることは爆豪くんが飛び出した時点で判っていた。』

 

『触れた対象を浮かしてしまう"個性"・・・。』

 

『だから先程君対策でこのフロアの物を全て片付けておいたぞ。ぬかったなヒーロー!フハハハハハ!』

 

形から入っている飯田君だったが、ちゃんと麗日さん対策を施しており、核を守れるようにしていた。

 

そして二人は互いに攻撃の隙をうかがうかのように互いに一触即発の状態となっていた。

 

----------------------

 

そして再び緑谷君の戦闘を見て見ると緑谷君は離れた場所で作戦を練っておりそして爆豪は彼の元へと徐々に近づいていた。

 

そして遂に爆豪は緑谷君の元へとたどり着いてしまう。

 

『何で使わねぇ、舐めてんのか?デク・・・。』

 

『かっちゃん!』

 

互いの距離は空いており、二人とも個性を見る限り近距離特化の個性だろう。

リーチは恐らく爆発を使う爆豪に分があるだろうが、以前の入学試験の際に見た緑谷君は距離を積めれば彼に分がある。

しかし、あれは威力が高い上に制御ができていないように見える。

 

 

『・・・てめぇのストーキングなら知ってんだろうがよぉ。

俺の爆破は掌の汗腺からニトロみてぇなもん出して爆発している。』

 

『・・・?』

 

突然爆豪は一人で自分の個性について語り出した。

その語りに緑谷君は疑問を抱いているのか理解できていない様子。

 

『"要望"通りの設計ならそいつを内部に溜めて・・・。』

 

「爆豪少年、ストップだ!殺す気か!!」

 

オールマイトは爆豪の言っていることをいち早く理解してか、直ぐ様止めるようにマイクを握ってしゃべる。

 

"要望"通りの設計。

爆豪の個性である爆発の元であるニトロを装備品の内部に溜めてる設計。

それってつまり・・・。

 

『当たんなきゃ死なねぇよ!』

 

爆豪は腕を緑谷君に向け、腕に付いているピンを引き抜いたと同時にモニターは画面一杯白くなり大きな爆発音が響き渡る。

 

 

ドオオオオォォォン!!

 

 

「授業だぞこれ!」

 

「緑谷少年!」

 

爆発が大きいのかモニタールームも揺れ、どれだけの爆発かがうかがえる。

爆発によりビルの一部が吹き飛び壁には大きな穴が開いていた。空いた壁により発生した煙は外へと出て煙が晴れるとモニターには仮面がなくなった状態の緑谷君がいた。どうやら大きな怪我はないようだ。

 

「爆豪少年。次それ撃ったら強制終了で君らの負けとする。」

 

「屋内戦において大規模な攻撃は守るべき牙城の損壊を招く!

ヒーローとしてはもちろん敵としても愚策だ大幅減点だからな!」

 

さすがに危険と感じたのかオールマイトはさっきの攻撃の使用を禁止させる。

あれは人に向けていいような攻撃ではない。

ましてや同じヒーローであるものに対しては特に。

 

『ああ~~!!じゃあもう、殴り合いだ!』

 

さっきの技が使えなくなり爆豪は緑谷君に向かって爆発を使って急接近をする。

緑谷君は避けることができないため反撃をしようとするが爆豪は緑谷君の目の前で爆発を起こして軌道を変えて緑谷君の後ろへと回り込む。

しかもさっきの爆発の光で緑谷君への目眩ましにもなっており、緑谷君は後ろに爆豪がいることに気が付いていないようだ。

そして爆豪はその隙に緑谷君の背中を攻撃してすかさず右手の大振りで脇腹を攻撃する。

攻撃により緑谷君が怯んだところをすかさず爆豪は腕を掴み緑谷君を一本投げで地面へと叩き付ける。

 

「緑谷もすげぇと思ったけどよ、戦闘能力に於いて爆豪は間違いなくセンスの塊だぜ。」

 

そう・・・。

一見ただ痛め付けているかのように見えるが、技としてみてみればモニターで見る限り彼の力は天才の部類になるだろう。

彼の性格がよければもう少し評価は良かったのかもしれないが。

 

『ぐぅっ!』

 

緑谷君はすぐ起き上がり爆豪から距離をとる。

 

『何で個性を使わねぇんだよ!俺を舐めてんのか!?

ガキの頃からずっと!そうやって!!

俺を舐めてたんかてめぇはぁ!!』

 

 

『違うよ。』

 

『君がすごい人だから勝ちたいんじゃないか!勝って越えたいんじゃないかバカヤロー!!』

 

『その面やめろクソナード!!』

 

爆豪は余裕がないのか緑谷君のことに強く反応しており逆に緑谷君は爆豪に対して言いたいことをいっているが冷静を保っているかのようにも見えた。

 

そして二人は同時に駆け出して互いに右手を引いて相手に自分の一撃を食らわせようとする。

 

「先生!ヤバそうだってこれ!」

 

事態がまずいと思ったのか切島はオールマイトに止めるように促す。

 

オールマイトは止めようとマイクを握るが、なぜか俺からしたらオールマイトはこの戦いを止めたくはないかのようにも見えた。

 

「双方・・・中止『麗日さん行くぞ!!』」

 

『はい!』

 

オールマイトが止めようとしたとき、緑谷君と爆豪とのパンチが当たるというところで緑谷君は麗日さんに指示を出してパンチを爆豪・・・ではなく上に向けて放った。

 

そして攻撃は直上階にいる麗日さんのいる床が緑谷君の放った攻撃により地面は砕けて破片が散らばる。

 

『ごめんね飯田君!即興必殺"彗星ホームラン"!』

 

そして麗日さんは緑谷君の放った攻撃で折れた柱を個性で軽くしたのか持ち上げて、空中に浮かんでいる破片を野球のバットで当てるかのようにいくつもの破片を飯田君に飛ばす。

 

飛んできた破片に思わず飯田君は防御して顔を隠してしまい。

その隙にと麗日さんは飯田君の横を通りすぎて核へと一直線に飛び付く。

 

今回の戦闘訓練の目的はヒーローが核へとタッチしたらヒーローチームの勝利という条件。

つまり・・・。

 

「ヒ、ヒーローチームWIーーN!!」

 

緑谷君たちは時間ギリギリの所での逆転勝ちとなった。

 

「負けた方がほぼ無傷で、勝った方が倒れている。勝負に負けて試合に勝ったというところか。」

 

黒いマントを身に付けている常闇が言っている通り、緑谷君たちはボロボロなのに爆豪たちは怪我を負っていないという状態だった。

 

それからして緑谷君は怪我がひどいのでリカバリーガールのいる保健室に連れていかれ、残りの3人はモニタールームへと戻ってきた。

 

 

「勝利したのはヒーローチーム・・・とはいっても今戦のベストは飯田少年だけどな!!」

 

「なな!!」

 

オールマイトの評価で良かったのは勝ったヒーローチームではなく、飯田君であった。

 

「勝ったお茶子ちゃんや緑谷ちゃんじゃないの?」

 

疑問に思ったのか梅雨ちゃんはオールマイトに質問する。

 

「なぜだろうな~~。分かる人!!?」

 

「はい、オールマイト先生。」

 

オールマイトの問いに対して八百万一人だけ手を挙げた

 

「それは飯田さんが一番状況設定に順応していたから、爆豪さんの行動は戦闘を見た限り私怨丸出しの独断、そして先程先生が仰っていた通り、屋内での大規模攻撃は愚策。

緑谷さんも同様の理由ですね。

麗日さんは中盤の気の緩み。そして攻撃が乱暴すぎたことと、ハリボテを核として扱っていたら最後のあんな技を使った危険な行為できませんわ。

けれど飯田さんは相手の対策をこなし且つ、"核の争奪"をきちんと想定していたからこそ飯田さんは最後対応が遅れた。

ヒーローチームは訓練という甘えから生じた反則のようなものですわ。」

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・。」」」」」

 

八百万の的確すぎる解説と評価に誰もが沈黙する。

というか、的確すぎて他の人はなにも言えない。

 

「・・・・ま、まあ、飯田少年もまだ固すぎる節はあったりするわけだが・・・。

まあ、正解だよ。」

 

八百万に全部言われたからかオールマイトも特に言えることがなかった。

 

「常に下学上達!

一意専心に励まなければトップヒーローになれませんわ。」

 

一意専心・・・、他のことを考えずその事だけ集中することか。

 

確かに訓練とはいってももし本当の核などがあれば爆豪の大規模攻撃や、緑谷君の直上階への攻撃に、麗日さんの攻撃で核が爆発していた可能性も否定はできない。

 

だが正直に言うと、俺は興奮していた。

さすがに表に出してはいないが、緑谷君の戦闘を見ているとまるで緑谷君が漫画の主人公になっているかのようなのを見ているかのような感じになり、かっこいいなと思った。

 

もちろんこれは漫画でもアニメでもない現実であり、彼らは一生懸命に戦っているのだ。

だから自分も頑張らなければならないのだ!

 

 

そして、緑谷君達の対戦が終わったので次の訓練を始めることとなる。

 

「では次に行ってみよう!

次の対戦相手はこいつらだ!!」

 

 

「Iチームがヒーロー!Kチームはヴィランだ!!」

 

 

Iチーム葉隠&尾白チーム

     ×

Kチーム時崎チーム

 

 

さてそれじゃあ次は俺の番か。

 

順番の来た俺は訓練となる場所へと移動して訓練の準備をするのであった。




次回、ようやく主人公の戦闘シーンです。


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第6話 ヒーローVSヴィラン

お待たせして申し訳ないです。
そして、おまちかねDIO様の登場です!


~ヒーローチーム~

 

ヒーローチームはビルの外へと待機していつでも行けるようにと準備をする。

 

「よお~し!尾白くん私ちょっと本気出すわ!

手袋もブーツも脱ぐわ!」

 

葉隠は身に付けているものを全て脱ぎ去れば完全な透明人間となる。

だが忘れないでほしい。

彼女の体は透明だが服は透明ではない。

察しているかもしれないが、彼女は何も着ていないのだ。

 

「うん・・・。」

(葉隠さん・・・透明人間としては正しい選択だけど、女の子としては倫理的にやばいぞ。)

 

脱ぎ出すパートナーに対して複雑な感情をもつ尾白は止めるべきなのかこのままでいいのかを悩んでいた。

 

そして葉隠が服を脱ぎ終わって準備ができたのでビルの中へと侵入する。

 

「それじゃあ、私が先行して先に行くね。」

 

葉隠の個性は透明なので潜入にはうってつけの個性を持つため先行して核の元へと向かうのであった。

 

 

----------------------

 

一方、モニタールームでは・・・。

 

「HAHAHAHA!

さて、では先程の戦闘に引き続き3人の戦いを見ていこう。」

 

爆豪と緑谷の戦いが終わりいまは次の対戦相手の時崎と尾白&葉隠の3人の戦いを1-Aのクラスメイトがモニターで観戦していた。

 

「今回はヒーローチームには尻尾を使った武術で戦う尾白さんと透明になれる葉隠さん。

そして、対するヴィランチームには超能力を使った個性の対戦ですわね。」

 

「でも、今回の戦いはヒーローチームにいる透明になれる葉隠がいるとなるとヒーローチームが圧倒的に有利じゃねぇか?」

 

先程の緑谷達に細かい採点をした八百万の説明に対して切島が疑問に思ったことを八百万に問う。

 

「確かに葉隠さんの透明になれる個性は相手の意を突くにはピッタリの個人ですわ。

そして、対する時崎さんの個性は恐らく近距離から中距離までの範囲を超能力主体で使いますので、葉隠さんがいかに時崎さんに対して息を殺して近づけるかが鍵となるはずですわ。」

 

「へぇー、それじゃあほぼヒーローチームが有利みたいだな。」

 

「ですが、逆にいうと葉隠さんが仮に捕まったとして、残ったヒーローチームには尾白さんがいますが尾白さんの個性は近距離向けの個性なので超能力の個性を持つ時崎さんには少々不利になってしまいますわね。」

 

八百万の説明を聞き、不安を感じながらもどちらが勝つかという予想を交えてモニターを見つめるのであった。

 

----------------------

 

尾白と別れた葉隠は足音を立てずに周囲を探索していた。

 

見つからないように2階、3階と上へ上がっていき、

そして遂に葉隠は目的である核のある部屋を見つけた。

そして当然のごとく核の前には時崎が立ち塞がっていた。

 

しかし時崎は葉隠の姿は見えるはずがないので気付いている様子もなく葉隠達が来るのを待っている状態だった。

 

(ふふふ、いくら優秀でも私の透明化は見抜けないようね。)

 

このまま気がつかれないまま核へとこっそり近づいて、いつのまにか後ろにいたら彼は驚いた顔をするだろうと、葉隠は心のなかで笑っているが顔には出さなかった。

もし笑っていたらさきほどの麗日さんと同じような結果になってしまうのだから。

そして葉隠は音を立てず時崎に見つからないようにこっそりと部屋の中に入ろうとする。

 

 

 

しかし、突然時崎は右手の手の平を顔に覆いだして、

そしてもう片方の手はまるで葉隠のいる場所がわかるかのように人差し指をまっすぐ向けたポーズを決め、

その瞬間時崎の雰囲気が突然変わり・・・。

 

「貴様、見ているな!」

 

姿の見えないはずの葉隠に向かって人差し指で葉隠に向かって指したのである。

 

「えっ?嘘!?何でわかったの!?」

 

これには葉隠は驚きを隠せず、

見えるはずのない自分がいるこちらに向かって指を指して来たので葉隠は思わず声を出してしまった。

気づいたときには時すでに遅し、時崎は葉隠に向かって戦闘態勢をとる。

 

「そこかぁ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

時崎が動き出したと同時に突然葉隠の周りの壁が大きく凹みだした。

壁はまるでなにかが突進してきたような感じで壁が凹んでおり、

もし人に当たっていたら大ケガしていたであろう。

 

だが時崎はそれをわかっており怪我をさせないように葉隠の周りの壁だけを凹ませたのだ。

ヒーローなら直ぐ様体勢を建て直すだろうが彼女はまだヒーローとしてなり始めたばかりだった為突然のことで理解が追い付けずその場にへたりこんでしまった。

気がつかれることはないだろうと思ったのだろうがあっさりと見つかり、さらには突然自分の周りが見えない何かによって壁に穴が開いたのだから。

 

「はい、捕まえた。」

 

そして葉隠は体勢を立て直すために体を動かそうとするが、体にはいつの間にか確保テープで巻かれており、身動きが取れなくなっていた。

 

「え?、え!?」

 

先程見つかって攻撃されたはずなのに、気がついたときにはすでに確保テープで身体中に巻かれていた。

何をいってるかわからないかもしれないけど、私も何されたか分からなかった。

 

見つかって攻撃されて、次の瞬間には確保テープで巻かれている。

 

あまりの突然のことなので理解できないが、催眠術とか超スピードとかそんなものではなかった。

私は時崎君の個性の恐ろしい片鱗を味わった気分がした。

 

----------------------

 

「おいおい、いま何が起こったんだ!?」

 

切島は時崎の行動をモニターで見ていた。

もちろん目を離さずにだ。

だが、彼も突然起こった出来事に理解が追い付かなかった。

 

「突然壁に無数の凹みが出来たと思ったら同時にいつの間にか葉隠さんが確保テープで確保されていましたわ。」

 

緑谷たちの戦闘に的確に指摘した八百万でさえも時崎の突然の出来事には答えを出すどころか何をしたのかさえも分からなかったのだ。

 

(むむむ、時崎少年の個性はやはり謎があるな。

校長先生の言うとおり彼の個性は超能力以上の力があるようにも見える。

だが、彼は一体何をしたというのだ?)

 

オールマイトは実際に時崎の個性を見るのは初めてであり、そしてオールマイトすら彼の力を見抜くことはできなかった。

 

No.1ヒーローにそう言わせるということは同時に時崎の個性に対して教師として警戒しておかねばならないということにもなっているということを。

 

だが、誰もが時崎がスタンドという力を使ってさらには時を止めているなどと夢にも思わないだろう。

止まっている時間は彼以外に感じることはできないのだから。

 

----------------------

 

葉隠が捕まってしまったことは尾白にも伝わっていた。

 

「くそっ、葉隠さんが捕まったか!」

 

透明だから捕まらないだろうと考えていたがどうやらそれは甘かったらしくあっという間に葉隠は捕まってしまった。

 

あまりの誤算に尾白は動揺が隠せなかった。

 

尾白はいま一人となってしまい、元々一人である時崎と一対一の状態となっていた。

彼も葉隠と同様に時崎の能力について考えているが、

尾白は葉隠とは違い実際に見たわけではないため攻撃範囲など個性の情報が少なすぎる為対抗策を考えても失敗する可能性が非常に高い。

尾白はとにかく出来ることをしようと考えている時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーコツン・・・。

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」ゾワッ!!

 

不意にこちらに近づく足音が聞こえてきた。

 

それは静寂を切り裂く不気味な足音だった。

その足音はビルの通路から靴音を鳴らせながらこちらに近づいてくる。

 

(そんな!?

葉隠のいる場所からここまでの距離は離れていいる!

こちらの居場所がバレるはずかない。)

 

しかし、足音は大きくなりこちらへとどんどん近づいていた。

クラスメイトなのだからここまで警戒するのはおかしいかもしれないが言葉に表せられないような不安により体が直感で危険だと反応してしまったのだ。

そしてさらに近づいてくる足音。

足音が近づいてくる度に尾白の心臓の鼓動の打つ速度が早まり額から顎にかけて汗が垂れる。

 

 

音はさらにその気配と共に、こつん、こつん、と。

 

足音が徐々に近づいて来るので尾白はいつでも攻撃できるように構え、足音が聞こえてくる通路に目を向けた。

 

 

 

そして・・・。

 

 

 

ーーコツン、コツン・・・。

 

 

 

 

ついに足音は目の前の通路の角で止まり・・・。

 

 

 

 

 

「そこにいたか・・・。」

 

現れたのは対戦前とは明らかに雰囲気の違う時崎が立っていた。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

 

時崎の背後からは圧倒的なオーラが立ち込めており、鳥肌がたつほど強烈な気配だった。

 

「さぁ・・・、第2ラウンドを始めようか。」

 

 




恐らくなぜ葉隠と尾白にしたのかと思う人がいると思いますが、個人的に原作を読んだとき葉隠と尾白の出番が少ないような感じがしたのと単純に尾白が格闘を使っているのでこの二人にしました。

あとDIOなのでヴィラン側にしました。


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第7話 ヒーローVSヴィラン②

俺は戻ってきたぞジョジョォォォ!
(遅くなって申し訳ありませんでした!)

あとお気に入りが1000突破しました。
ありがとうございます!


通路から現れた時崎。

明らかにこちらに対して戦う覚悟のある雰囲気を纏っており、

こちらの事をじっと見つめてこちらの様子をうかがっていた。

そして尾白はどこから攻めようかと思考を凝らしていたとき何かを感じ取ったのか、背筋に寒気を感じとっさに避けると、何か堅いものが肩を擦った感じがした。

 

恐らく時崎の個性である超能力だろう。

 

見えない攻撃を避けれたのは武術で鍛えてきた勘により

時崎の放った攻撃をもらってはいなかった。

だが時崎の超能力の範囲がわからない以上、近距離での戦闘しかできない尾白は下手に距離を取ると危険と判断したのか尾白は体勢を低くして時崎に急接近し、時崎の懐に入り一撃を与えようとする。

 

尾白の攻撃に時崎が気がついたときはすでに拳が懐に向かって接近しており実質相手からしたら防御不可能な状態だった。

 

(勝った!)

 

これが実戦であれば、このまま入って懐に一撃を食らわせれば確実に大ダメージを与えられることとなる。

だがこれは訓練なので攻撃が当たりそうな所で止める

 

 

・・・はずだった。

 

 

「ほぅ、素早いな。」

 

目の前にいたはずの時崎はいつの間にか尾白の真横に立って笑っており、尾白が時崎に放った攻撃は当たることもなく虚空に向かって放っていた。

 

つまり自分はいま隙だらけの状態となってしまったのだ。

 

これでは先ほどの時崎とは立場が逆転してしまった。

時崎がいつの間に動いたのかわからない。

だが自分の体感した時間が正しければ数秒もたっていない。

いや、それよりも短いのかもしれない。

だが、確実に言えるのはいま自分が攻撃されたら反撃も防御もできない状態だということだ。

 

しかし、時崎はこちらを顔を向けて口をニヤリと笑っているだけでこちらに何もしてこなかった。

 

そしてそのまま尾白は勢いに乗りつつ時崎から離れて、再び構えをとる。

 

時崎はこちらに視線を向け、その視線に身震いした尾白は無意識にか後ろへと後ずさりした。

そして、尾白は動悸の激しい心臓を抑えながらいま可能な限りの時崎の情報を思い出して

 

(一度体勢を立て直すために退くか?

いや、恐らく時崎君は僕をここから逃がすつもりはないはずだろう。

・・・なら、相手の死角を突けば!)

 

尾白は再び時崎に向かって一気に距離を詰めて先程と全く同じように拳を懐に向かって攻撃する。

そして拳が後少しで届くところで再び目の前から時崎の姿は消えていた。

だが、これこそが尾白の考えた作戦。

ただし同じ攻撃をして相手も先程と同じように避けるかが条件だったが時崎は先程と同じように尾白真横に立っていた。

いま時崎の意識がこちらの拳に集中しているいま、背中に対してはがら空き、そこで自分の長い尻尾を使い時崎の背中に向かって一撃を放った。

 

今度こそ当たる!

そう確信した。

だが、尾白が尻尾を当てようとした瞬間にはまた時崎の姿はどこにもなかった。

 

「どっ、どこに!?」

 

慌てて回りを見るとに時崎は尾白の背後に回っており、余裕の表情を浮かべていた。

 

「そんな!?

いつのまに!?」

 

今度こそ当たると思った。

しかし、それでも時崎に当たることはなかった。

確かに隙を見つけて背後に攻撃を与えようとしたがそこにはいなかった。

催眠術や超スピードとかそんなものではなかった。

まるでそこには初めからいなかったかのように一瞬で居なくなりそして回り込まれているのだから。

それを2回も。

 

尾白は訳がわからなくなり混乱しそうになるが意識を保ち今はこの訓練に集中しょうと気張った。

 

「では、次はこちらの番だな。

無駄ぁ無駄ぁ無駄ぁ!!」

 

時崎は何もしていないが先程のように見えない攻撃が来ると思い咄嗟に尾白は自分の腕を交差させて防御の体勢をとり、その直後に見えない攻撃が尾白を襲う。

 

尾白は防御に徹しているが時崎の攻撃がどこかしら手加減をしていると尾白は感じたが時崎の攻撃の一発一発の拳が重く感じ確実に相手にダメージを与えるパンチにも感じた。

もしこれが本気で攻撃していたらと思うとゾッとする。

もし本気ならばこの防御している腕は耐えていられたのだろうか。

そんなことばかりが頭の中で考えてしまう。

 

「無駄だぁ!!」

 

そして時崎の個性で吹き飛ばされて体勢を立て直そうとして腕のクロスをといてしまうが、隙ありとばかりに時崎が追撃を仕掛けてきた。

 

「しまっ!?」

 

尾白は再び顔の前で腕をクロスさせて防御の体勢を取るが、防御しているとはいえ時崎の攻撃はザ・ワールドのスタンドの力を借りて瞬発力とパワーを使って勢いよく地面を蹴り上げ勢いをつけたパンチをモロに受けてしまう。

時崎も手加減はしているだろうが、いくら防御していても威力の軽減は出来るが完全に消すことはできない。

そのため時崎のパンチが尾白の腕に当たり、勢いと共に尾白は背中から壁へと向かって飛んで行きいくつも連なった壁を突き破りながら飛ばされる。

 

訓練用に作られた建物は通常の建物より頑丈にできているが時崎の個性の力はそれを物ともしないかのように尾白を弾き飛ばすのであった。

 

「はぁ、はぁ。」

 

尾白はフラフラと立ち上がり時崎を見据えると、時崎はこちらを待っており、追い討ちをかけない辺り手加減してくれたのだろうが攻撃によるダメージはそこまで大きくなかったが、少し意識が朦朧として呼吸がかなり荒れてきた。

誰かが喋っているような気がしたがとりあえず、気を落ち着かせて息を吸って吐くを繰り返して呼吸を整える。

 

(このままじゃ、こちらが負ける。)

 

正攻法もフェイントも防がれた。

なにか方法がないかと考えるが時崎の個性の攻めどころが見つからない。

 

(でもヒーローになるためには無茶でも戦わないと。)

 

尾白は再び構えをとって拳を時崎に向ける。

攻撃しても恐らく先程のように姿が消えて避けられるだろう。

しかし、ヒーローになるためにはこの程度で弱音を吐くわけにはいかない。

 

いずれは更なる強敵とも戦う事になるだろう。

だから試験で無理だと決めつけてしまってはダメだ。

 

ならば取るべき選択肢に逃げはなく、

あるのは攻めと受け。

この二つのどちらを取るかだ。

 

「すぅー、はぁー、」

 

目を閉じ一呼吸をおき、全神経を集中させる。

 

「・・・時崎。」

 

「なんだ?」

 

尾白の呼び掛けに時崎は返事をして応えてくれる。

 

「今回は試験だから互いに手を抜いていたかもしれないけど、時崎くんの個性に対抗できる気がしないから今から少しだけ本気を出すよ。」

 

「・・・いいだろう。」

 

「ありがとう。」

 

尾白の答えの選択は攻めだった。

 

しかし、攻めるにしても手加減することができないかもしれないので

 

 

----------------------

 

~モニタールーム~

 

「いいんですか、オールマイト先生?」

 

モニタールームで見ていた生徒の一人八百万は二人の会話に不安を抱き教師であるオールマイトに質問する。

 

「ムムム、もし熱くなって手加減が出来ないのなら止めた方がいいのかもしれないけど二人はいたって冷静のようだからね。」

 

「ですが・・・。」

 

「まあ注意はしとかねば一応私も教師だからね。」

 

そう言ってオールマイトはマイクを手に取り二人に呼び掛ける。

 

「尾白少年、時崎少年、二人ともあまり本気にならないようにもしもの時は試験を中断することなるからね。」

 

『はい』

『了解』

 

----------------------

 

「さあ、オールマイト先生からもOKだったから再開といこうじゃないか尾白。」

 

「ああ、もちろんだ。」

 

 

尾白は踏み込んで時崎に攻撃するがやはり突然避けられてしまいいつの間に現れたのか今度は後ろに現れた。

 

「いくぞぉ!」

 

後ろを取った時崎は尾白に向かってスタンドのパンチを食らわせようとする。

ザ・ワールドの姿は尾白には見えるはずもなく、ザ・ワールドの拳は尾白に向かって迫っているなか尾白のとった行動はカウンターだった。

 

見えないはずのスタンドの攻撃を尾白は紙一重のところで避けることができた。

 

尾白がザ・ワールドの攻撃を避けられたのは別に気配を感じるというわけでも見えるわけでもなくただ単純なことだった。

 

それは時崎の視線である。

 

人間は無意識の内に攻撃をする先を見ており尾白は時崎の視線の先を読んで、攻撃を運良く避けることができたのだ。

 

その為、時崎の攻撃を運良く2回(・・・・・)避けることに成功したのだ。

 

当然ながら誰にでも簡単にできるわけではなく尾白が幼い頃から続けていた格闘術を学んでいたお陰で今回それが役に立ったのだ。

 

そしてその技術をいかして時崎のスタンドの攻撃を尾白は避けることができたのだ。

 

「なにぃ!?」

 

そして一方で、スタンドの攻撃が避けられるという想定外のことが起きたためか時崎は驚きを隠せない。

 

「だ、だがまだ、ぐぉ!?」

 

時崎が動揺しているとき尾白はここぞといわんばかりの隙を見つけて自分の尻尾を振り回して時崎に攻撃を当てることができ時崎は吹き飛ぶ。

 

しかし、その程度で終わるはずもなく時崎は直ぐ様体勢を立て直して尾白へ攻撃体勢をとる。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!!」

 

時崎のザ・ワールドのラッシュを尾白に向かって放ち、尾白は直ぐ様時崎から距離を置いて離れることにした。

 

しかし、時崎は時止めを使い尾白の元へと一気に距離を詰める。

 

時崎が目の前に現れ、そして尾白は逃げられないと察したのかそこから離れることはせず最初と同じように時崎の懐へと入り込んだ。

 

そして一方の時崎は尾白へ追い討ちをかけるため時止めを使ったばかりなので少しばかりのクールタイムが必要の為、尾白が懐への攻撃を避けることができない状態だった。

 

「いいだろう。ならば、来い!」

 

時崎はスタンドを使わず己の身を使って尾白に向って飛びかかり、尾白は最後の力を振り絞って握った右手の拳を時崎に向かって放ち、そして時崎自身は個性を使わず己の拳を振りかざし尾白へと向けた。

 

そして二人の拳は互いに擦り、拳は互いの顔へと吸い込まれていった。

そして大きく鈍い音が響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・。」

 

 

「・・・はは、どうやら君の勝ちのよう・・・だね。」

 

 

そして力尽きて倒れ込んだのは・・・、

 

 

 

尾白であった。

 

 

 

時崎の拳は尾白の腕の内側に運良く入り込んでいたため僅かな差だが尾白の拳は時崎の顔には当たらず時崎の攻撃だけが尾白へ当たっていた。

いわゆるクロスカウンターである。

 

そして攻撃の当たった尾白は力尽きて目を閉じて気絶してしまった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、勝った・・・のか?」

 

「ふ、ふふふふふふふふふふ、

ははははははははははは!

WRYYYYYYYYYーーーッ!!」

 

時崎は勝利が嬉しいのか大きく笑ったあとまるで勝利を宣言するかのように腕を左右に広げ胸を突き出しつま先立ちをした状態で高らかに叫んだ。

 

『勝者、ヴィランチーム!!』

 

初の学校での戦いは時崎が勝利し終了した。

 




俺TUEEEE展開も良かったんですが、やっぱり学生ならこういう熱血展開がいいかなと思いました。

時止めを使う相手の熱血展開の描写は悩みまくりましたが・・・(;´д`)

次回は主人公視点です。


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