インフィニット・ストラトス~深緑の狂犬~ (疾風海軍陸戦隊)
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プロローグ

時は、連合軍とナチス率いるテロリスト軍によって始まった第三次世界大戦。この戦争では奇妙な戦時条約があった。それは「使用できる兵器は1945年8月15日までに設計、または試作に着手した兵器のみ」という変な条約だった。だが、そんな条約があって、各国の軍人たちは最初は途惑ったが、次第にそんなのは慣れていき、戦いは連合軍が優勢になっていた。

 

 

 

2017年4月15日。欧州のとある地域の空の上で、10機の紫電改が飛んでいた。おそらく武力偵察だろう。

先頭を飛ぶ1機の紫電改には尾翼に白い雷と2本の赤いストライプが付いていて、もう一機は赤いストライプ1本の紫電改。そして最後に無印の紫電改が飛んでいた。

彼らは日本国海軍の戦闘機の中で精鋭の中のさらに精鋭を集めた精鋭航空隊「343海軍航空隊」の3つの精鋭戦闘機隊の一つ501戦闘機隊通称「抜刀隊」の部隊である。

 

「こちら疾風。杉田、異常はないか」

 

隊長である疾風村正大尉が副長である。先任搭乗員である杉田清美曹長に訊く。

 

「こちら杉田。周囲に異常はなし。それにしても隊長。今日はナチスの野郎おとなしいですね」

 

「ああ、まるで嵐の前の静けさだな」

 

そう話しながら空を飛んで偵察する。確かに空は静かで聞こえるのは味方である紫電改のエンジン音のみであった。だが、その沈黙もすぐに破られることとなった。

 

「っ!?隊長!!1時上空に敵機です!!」

 

と、隊員である中澤凪が、無線で知らせる。その無電を聞いた清美は、その方向を見るするとその方角には無数の点が見える。そう、敵の戦闘機だ。

 

「機種はbf109k型です!!数は18機っ!」

 

「国籍マークは!?」

 

「ハーケンクロイツにドクロ!ドイツ連邦じゃありません!!ナチスです!!」

 

「全機!増加燃料タンクを捨てろ!!空戦に入れ!!」

 

疾風の指示で全機が燃料タンクを捨て、空戦に入る。bf109もそれに気づきこちら向かって突進し機銃を撃つ。

一時期、平和だった青空は一気に戦場へと変わる。敵も味方も機銃を撃ちあい入り乱れ、機銃の弾が機体に当たり火を噴きながら落ちていくのもあれば燃料タンクに命中し爆散する機体もいた。まさにそれは地獄絵図だった。

その中で、ラバウルの時から、隊長である疾風とともに戦い続けた清美は敵の銃弾をよけ、敵の背後について翼内にある20ミリ4門を一斉に敵機に叩き込み撃墜する。

 

「よしっ!また1機撃墜!!我突撃す!日本国海軍先任曹長。戦闘501飛行隊「抜刀隊」副長。杉田清美とは私のことだぁ!!」

 

と、興奮しながら、敵を落とす。杉田清美曹長はその激しい戦いから「501の狂犬」と呼ばれて恐れられていた。その彼女に目をつけられた敵は決して逃れることはできない。そう血に飢えた狂犬から逃れることは絶対にできないのだ。彼女は乱戦の中、1機のbf109を見つける。次の獲物だ! 彼女は狂気じみた笑みを見せ、その機体へと向かう。そしてこちらの存在に気付いたのか敵機は慌てて逃げようとするが・・・・・

 

「逃がさねえぞ!!」

 

杉田は目の前にいる敵機を追いかけ機銃を撃つ。そして1発の20ミリ弾がbf109の翼に命中し、目の前のbf109は炎に包まれ地面へと吸い込まれるように落ちていくのだった。

 

「よし・・・これで6機目だな・・・・・ん?」

 

清美が周りを見ると、そこには紫電改がbf109に追われていた。清美の部下で、隊長機の3番機を務める中澤凪の機体だった。

 

「凪っ!くそ!待ってろ今助けに行くぞ!!」

 

そういい彼女は操縦桿を握りしめて彼女のもとへ機首を向けて突っ込み、そして凪機を追っている敵機に機銃掃射をする。いきなりの奇襲にbf109のパイロットは清美の顔を見る暇もなく撃墜された。

 

「す、杉田曹長。ありがとうございました!」

 

「凪!、空戦は常に背後に気を付け・・・・危ない!!」

 

清美がそういうと急に機体をあげて、凪機の盾になる形をする。するとどこからか、機銃の弾が降ってきて、清美の左翼に当たる。そう、実は上空から敵の戦闘機が急降下して凪の機体に機銃を浴びせようとしていた。それにいち早く気付いた清美だったが、無線だと間に合わないと判断し、彼女の機体の盾になるように機体を上昇させたのだ。

 

ボォン!!

 

左翼に敵の弾が当たってたちまち左翼から火が噴き出す。

 

「杉田さん!!」

 

凪は叫ぶが、清美の機体は火を噴きながらどんどん降下していく。

 

「な、凪・・・・・隊長のこと・・・あとのことは頼んだわよ!!」

 

「杉田さん!杉田さぁーん!!」

 

清美がそういうと、清美の紫電改がどんどん降下していく。それを見た凪は無線で清美の名を叫ぶが、彼女の乗る紫電改は雲の中へと吸い込まれそして消えたのだった。

 

 

 

 日本国海軍曹長   杉田清美

 

東京のとあるやくざの長女として生まれ、8歳で海軍航空隊に志願。けんかっ早い性格でよく仲間の訓練生と喧嘩三昧な生活をしていため「狂犬」というあだ名がついた。12の時に当時軍曹だった清美は太平洋の最前線であるラバウルに配属され、当時11歳だった疾風村正少尉の2番機につくが最初は彼に対して反発的で、よく疾風に喧嘩を吹っかけていた。しかし、模擬戦で疾風にコテンパンにされてから素直に疾風の言うことを聞くようになった。

ある日、敵に撃墜され、近くにあった小島に不時着したとき「私は日本の王女、杉田だ!!」といい、救助が来るまで女王としてあがめられたことがある。

その後、上官であり悪友でもある疾風とともに欧州へと派遣され343海軍航空隊通称「剣隊」の501戦闘隊通称「抜刀隊」の副長に任命された。部下からの信頼も厚く「杉さん」または親しい人から「清ちゃん」っと呼ばれていた。

2017年4月15日に敵との交戦中、仲間を守るため自らを盾とし、左翼に被弾し、そのまま行方不明となって後に16歳で戦死と判定される。

疾風は彼女の死を思いっきり嘆いたという。その疾風も同年の8月1日に機銃暴発のため行方不明となった。

彼女の撃墜記録は202機となっている。

 

 

 

 

「くそっ!!まだ落ちんな!!」

 

清美はそういい操縦桿を思いっきり上げようとするが、自分も左腕を撃たれているため力が入らない。

 

「私は!私はまだ死ぬわけにはいかないんだぁ!!」

 

そう叫ぶ、彼女は額から流れる血を首に巻き付けたマフラーで拭く。そして再び操縦かんを握り何とか機体を上昇させようとするが、機体は言うことを聞かない。まるで誰かに操られているような感じだ。

 

「くそ・・・・私はここまでなのかよ・・・」

 

彼女はそうつぶやき、目を閉じる。そこに浮かんだのは今までの記憶だ。やくざの長女として生まれ、その後空を飛ぶ飛行機に憧れ、海軍航空隊に入ったこと。また訓練生の時弱い者いじめをする先輩訓練生相手に喧嘩三昧な日々を送っていたこと。ラバウルで相棒と呼べる疾風と出会ったことや、彼との模擬空戦で友情が芽生えたことなどの様々な記憶が頭の中をよぎる。

 

「くっ・・・・まだ、暴れ足りねえけど。仲間を守って死ぬんだ。こうゆう最後なら、まあ悪くないかな・・・」

 

彼女は最後に微笑んで自分の最後の瞬間を待った。しかし彼女の最後の瞬間は来なかった。なぜなら・・・・

 

「な、なんだよ。ここは・・・・・」

 

しばらく目をつぶって最後の時を待っていた彼女だが、一向にその時が訪れなかった。彼女は不思議に思い目をうっすらと開けるとそこは、今まで飛んでいた世界とは違う別の景色だった。そこには自分が幼少のころ住んでいた東京の景色に似ていたが、まるで違う未来の世界のような景色があった。

 

「ここは・・・・東京?いや、違う・・・・・どこよここは!?」

 

こうして彼女は自分のいた時代とは全く異なる時代へと流れつくのだった。

 

 

 

 

 




はい。今回はここまでにします。ちなみに彼女の名前モデルは紫電改の撃墜王、杉田庄一ですが、なんか書いているうちにドリフターズの菅野直っぽくなってしまいました。
死んだと思った彼女ですが、目を開けたらそこは自分のいた時代から80年後の世界だった。次回はブリュンヒルデが登場します。
次回もお楽しみに。


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未知なる世界

「・・・・・ここはどこだ?」

 

確か私は欧州で敵と交戦中被弾して、墜落したはずだ。だが今みる景色は欧州の山や、町並みとは違う。見たこともないところだが何か懐かしい感じがした。

 

バルッ!バルルル・・・・

 

すると急にエンジンが止まり墜落しそうになっていた。

 

「おいっ!誰が止まれって言った!!動きやがれぇ!!!」

 

ガツンッ!ガツンッ!!

 

そういうと清美は力一杯、計器を殴りつける。すると・・・・

 

バババ・・・・・・ブオォォォー!!

 

停止した筈のエンジンが動き出して機体を持ち直した。どうやら建物にぶつかることはさけることはできたようだ。清美は改めて眼下を見渡す

 

「な、何よこれ・・・・まるで未来都市ね・・・・」

 

彼女が目にしたのは、まるでSFに出てきそうな建物や、町並みだった。最初清美は夢を見ているかと思っていたが、その街の道を歩く人たちは空を飛ぶ紫電改を見て驚いていた。その様子を見て清美は夢ではないと悟った。

 

「夢ではない・・・・じゃあ、ここはどこだ?確か私は欧州にいたはず・・・」

 

清美は懐からスマホを出し現在位置を調べる。どうやら衛星は機能しているみたいね。ちなみに使用武器は1945年8月15日までだが日常生活品はそれに入らないのでそれは大丈夫だ。私はスマホに取り付けてあったGPSで現代位置を見た。そのGPSが示した場所は・・・

 

「日本!?それに東京っ!?うそでしょ!!」

 

そう、GPSが示した場所は紛れもなく東京であった。確かに周りを見るとスカイツリーや東京タワーが見える。ただその町並みは少し変わっていた。一部のビルや建物には自分がいた東京の面影が少しある。だが今見てみると。近未来的な建物が多いのだ。

それに自分がいた場所は欧州。なぜ自分がこんなところにいるんだろうと不思議に思う清美。すると・・・・

 

バルル・・・・

 

またエンジンが止まりそうになる。清美はの機体の燃料を確認するともうあとほんの少ししかない。もってあと30分だろう。

 

「まずいわね・・・どこかに着陸できるところはないか?」

 

清美はあたりを見渡しどこかに着陸できそうな場所を探す。すると東京湾に小さな島が見える。そこにいは見たこともない建物があった。島を見る限り明らかに人口でできた島だった。

 

「何よあれは?東京湾にいつの間にあんなのできたんだ?」

 

(私が欧州に行く前はあんなのなかったはずなのに・・・・)

 

清美は不思議にそう思っていた。だが燃料は残り僅か、四の五の言っている場合ではない。幸いその島にある施設みたいな場所には滑走路みたいなのがある。清美は意を決してその島へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

IS学園それはIS操縦者を育成する学園である。その学園の廊下に二人の女性が歩いていた。

 

「お疲れ様です織斑先生」

 

「ああ、やっと入学試験が終わったな」

 

今日は入学試験だったのか、二人の教師は少し疲れ気味に言う。

 

「そういえば、今回の試験で初の男性操縦者が現れたのはびっくりでしたね。それも織斑先生の弟さんっでたしか・・・」

 

「一夏だ。織斑一夏。まったくあのバカ者は、まさか受験会場を間違えるとはな・・・」

 

織斑千冬は呆れて頭を抱えて言う。そう、今回の受験で女性でしか操縦できないはずのISに突如男性操縦者が現れたのだ。その人物の名は織斑一夏。今ここにいる織斑千冬の弟だ。実は彼は別の学園に入学受験を受けるつもりだったのだが、受験会場を間違えて同じ受験会場である、IS学園の試験会場に迷い込んでしまいそこで試験用のISを起動させてしまったことにより、「世界で唯一ISを扱える男子」としてIS学園に入学することになったのだった。

そんなことを話している二人は、廊下の窓側で、在校生である女子生徒たちが窓の外を見てみていて騒いでいるのだった。

 

「どうしたんだ?お前たち」

 

「何を見ているんですか?」

 

「あ、織斑先生。山田先生。あれ見てください」

 

女子生徒の一人がそういい、とある方向へと指をさす。千冬が女子生徒の指をさした場所を見ると、そこには1機の飛行機が飛んでいた。しかも戦闘機だ。だが、その戦闘機はジェット戦闘機ではない。第2次世界大戦で使われた戦闘機が上空を飛んでいたのだ。

 

「あれは・・・・戦闘機か?」

 

「しかも翼から煙が出ています」

 

山田先生が言う通り、その飛行機の左の翼から煙が出ていた。しかもその飛行機は降下して、今にも墜落しそうだ。その戦闘機はIS学園の輸送機の滑走路へと向かっていった。

 

「あの方角は・・・・滑走路の方か!」

 

「あっ!織斑先生!!」

 

千冬はそういうと滑走路へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

一方清美は滑走路へと着陸態勢に入ろうとしていた。すると・・・

 

 

バルゥン!!ヒュルルル~

 

燃料が尽きたのかエンジンが止まり始めていた。

 

「くそっ!まだ止まるんじゃねえ!!バカヤロー!!」

 

彼女はそう叫びながら清美は紫電改の脚を出す。するとエンジンが完全に停止し、紫電改は滑空する形で落ちてゆく

 

「落ちるんじゃねえよ!バカヤロー!!」

 

そう叫びながら彼女の機体を上にあげて紫電改は滑走路に滑り込むように着陸しするがその際、清美は頭を照準器にぶつけるのだった。

 

「いてて・・・・いってーな!このやろ」

 

そう悪態を言いながら、彼女は風防をを開けてコックピットから身を乗り出す。

 

「何とか着陸ができたが、本当にここはどこなのよ・・・・」

 

清美はあたりを見渡す。すると二人の女性が近づいてきた。一人は緑髪でおっとりとした目に眼鏡をかけた女性ともう一人は源田静司令官のような雰囲気を漂わせた女性だった。

そして黒髪の女性が俺のほうへと近づき

 

「・・・・お前はいったい何者だ」

 

そう、私に訊くのだった

 

 

 

 

 

 

滑走路にあったのは胴体着陸をかました傷だらけの戦闘機

 

「これは・・・・・紫電改か?」

 

機体を確認する、胴体に赤い一本線があり、尾翼に白いラインがあり、黄色い文字でA343-11と書かれていた。千冬はその機体番号に見覚えがあった。

 

「この機体番号は・・・・・」

 

そういい千冬は一枚の写真を取り出す。その写真は知り合いのおばあさんに渡されたものだ。その写真には若き日のおばあさんと真ん中に若い少年、そしてその隣には目つきが鋭い少女がいてその後ろには目の前にある紫電改が写っていて、写真の裏には「501戦闘隊『抜刀隊』と書かれ、左から、中澤、疾風、杉田っと書かれていた。

 

「もしかして・・・・・」

 

「織斑先生。どうしたんですか?」

 

「あ、いや、なんでもない」

 

そう話していると、コックピットの風防が開く。そのコックピットから鋭い目つきをした少女が出てきた。その眼は相手を刺し殺すとばかりに強力な修羅の目だった。

 

「・・・・・・」

 

山田先生はあまりの威圧感に声が出ないでいる。千冬は紫電改のパイロットに近づき、

 

「・・・・・おまえはいったい何者だ?」

 

と、千冬は紫電改のパイロットに訊く。すると少女は紫電改から降り、腕を組んでこう叫んだ。

 

「私は、日本国海軍曹長。343空501戦闘隊『抜刀隊』副長の杉田清美だ!」

 

そう名乗るのだった。

 

 

 

 



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会合

「私は日本国海軍曹長。343空501戦闘隊『抜刀隊』副長の杉田清美だ!」

 

と、腕を組んで自分の名を名乗ったが、二人ともポカーンとしている。何か変なこと言ったのか?

 

「少しいいか?」

 

と、黒髪の女性が鋭い目つきで私に訊く。

 

「・・・なんですか?」

 

「・・・日本国海軍の501戦闘隊の杉田清美ってあの「狂犬」杉田清美少尉か?」

 

なぜこの人は私のあだ名を知ってるんだ?

 

「・・・・あのかどうかは知らないけど。501戦闘隊で杉田という名は私だけよ。それに私は少尉じゃなくて曹長よ」

 

「えっ?それはつまり彼女は・・・」

 

「ああ、山田先生の考えるとおりだ。信じられん話だが、テロリスト戦争の英雄の一人が今、目の前にいる」

 

英雄?何のことだ?私はそんなこと言われた覚えはない。それに英雄の称号ならもっと他にいるはずだ・・・

 

「でも、織斑先生。確か、その人は40年前に戦死したって聞きましたけど・・・・」

 

え?ちょっと待って今なんて言った?

 

「40年前!?ちょ、ちょっと待ってください。40年前ってどういうことですか!?それにここはどこですか?私は欧州にいたんですよ!」

 

ほんとうに訳が分からない。私は敵の攻撃を受けて死んだと思っていた。それなのに気が付けば今いる場所は日本の東京。そして今目の前にいる人から40年だなんだといわれて私は混乱していた。

 

「落ち着け。ここではなんだ。場所を移そう。」

 

「すまないが、私の紫電改をここに置きっぱなしにすることはできない」

 

「その点は心配ない。整備士に格納庫へと入れてもらう。わかったら来い」

 

「・・・・・分かった」

 

そういい私はその人の指示に従うことにした。断る理由がないからな。上から目線なのは腹立つが、私は彼女たちに連れられただついていく。すると、格納庫に輸送機とはほかに置かれている機材があった。見るからにパワードスーツみたいな感じだがあれって・・・・

 

「・・・・・もしかして、あれは・・・・」

 

「どうしたんですか?」

 

先ほど山田先生と呼ばれた緑髪の人が私にそう言う

 

「ああ、いやなんでもない」

 

私はそう答えて彼女たちについていくのだった。

しばらく歩いて付いた先は応接室と、書かれていた。

 

「・・・・あのここは」

 

「ここだ。教員室だといろいろと面倒だからな。ここのほうが誰にも聞かれん」

 

応接?それに教員って・・・ここは学校か何かなのか?上空を飛んでいた時には学校というより軍の基地みたいだったが・・・・・

 

「まあ、とにかく入れ」

 

「・・・・お邪魔します」

 

そういい私は部屋に入った。

 

「まあ座れ。そう言えば自己紹介をしてなかったな」

 

確かにこの人たち自己紹介をしてない

 

「私の名前は 織斑 千冬だ、この学園の教師をしている」

 

「私は山田真耶です。同じくこの学園の教師です」

 

と、二人は自己紹介をする。

 

「改めまして名を名乗らせていただきます。私は杉田清美。日本国海軍の戦闘機のパイロットです」

 

「そうか・・・・・歳は?見た目からして14か15に見えるが・・・・」

 

「・・・・・失礼ながら私は16です。」

 

「そうか・・・・記録ではあまり歳のことは書れていなかったからな。あの戦争のエースパイロットがこんな小娘だったとはな・・・」

 

「悪かったですね小娘で♯」

 

確かに私は背が低いよ!でも面といわれるとなんかぐさりっと刺さる。なんか心が痛い!

 

「あ、ごめんなさい杉田さん。別に悪気があっていったんじゃ・・・・・」

 

山田先生は申し訳なさそうに慌てて謝るが

 

「いいんですよ。チビなのは事実なんですから」

 

私はそういう。まあ、事実なんだからしょうがない。言われると傷つくけど・・・

 

「それで、少・・・・いや、曹長。お前はなんでこんなところにいる。確かこの資料だとお前は2017年の4月15日に戦死となってるが・・・」

 

と、彼女は私にその資料を渡した。顔写真はなかったが、確かに私の生年月日や個人情報、そして軍歴が書かれていた。最初は偽物かと思ったが、そんなの出してもこの人にはなんも得はない。つまりこれは本物だと思った。

 

「・・・・・分かりました。話します実は・・・・」

 

私はこれまでの経緯を話した。欧州での最前線で戦ったことそして部下である凪を守るため盾になり被弾したこと。そして死を覚悟して墜落の時を待っていたが気が付くとここにいたことなどを全部話した。

 

「・・・・なるほど。確かにお前が撃墜されたと記録されていたが、飛行機の残骸も遺体もないと記録されていた。となると今言ったことを踏まえると納得できるな」

 

「でも、信じられませんまさか、過去から来た人だなんて」

 

さっきから引っかかるその言葉、過去ってなんだ?もしかして

 

「・・・・・すみませんが今何年ですか?できれば西暦で」

 

「そうだな・・・・今は2057年。お前がいた時代2017年から40年後の世界だ」

 

「そうですか・・・ってハァ!?」

 

つまり何だ、私は未来に飛ばされたって事か!?だが、そうだとするとあの東京の街並みのことも納得ができる。そういえば・・・・

 

「あ、あの・・・・」

 

「ん?何ですか?杉田さん」

 

「先ほどこの部屋に来る途中、ロボットみたいと言うか・・・パワースーツみたいなのがありましたよね。あれって・・・」

 

「はい。あれはですね・・・・・」

 

と、山田先生が言いかけた時・・・

 

「あれって・・・・・・”インフィニット・ストラトス”・・・「IS」ですよね?」

 

「「!?っ」」

 

清美の言葉に二人は驚くのだった。

 

 

 

 




今日はここまでです。清美がなぜ自分の時代にはないはずのISを知っているのかは次回わかります。
では皆さん次回もお楽しみにしてください。


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インフィニットストラトスの真実

「あれって・・・・”インフィニットストラトス”…ISですよね」

 

「「!?」」

 

杉田の言葉に二人は驚く。

 

「”あいつ”とうとうインフィニットストラトスの欠点を直したのか・・・・それはよかった。あいつの夢かなったんだな・・・」

 

二人が驚くのに気づかず杉田は一人で納得したように言う。

 

「あ、あの・・・・杉田さん?」

 

「ん?なんですか?」

 

山田先生に話しかけられ、杉田はそちらのほうへと顔を向ける。

 

「杉田さんはISを知っているんですか?」

 

山田先生はそういう。それはそうだ。ISが開発されたのは10年前、杉田が死んで30年後のことだ。なぜ知るはずもないISのことを彼女は知っているのか、二人とも疑問に思った。

 

「ん?知っているも何も、私の知り合い・・・・私がいた時代の知り合いが作っていたからよ」

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

その言葉に二人は驚く。彼女が言うには40年前にすでにISが誕生しているからだ

 

「すまん。杉田。その開発者の名は覚えているか?」

 

千冬は信じられない気持ちを抑えてその開発者の名を聞く

 

「・・・・・道子。篠ノ之道子だよ」

 

「篠ノ之・・・・道子」

 

千冬はその名を聞くと何か知っているような顔をする。

 

「織斑先生・・・・その人のこと知っているんですか?」

 

「ああ・・・・・・篠ノ之道子はISの開発者。篠ノ之束の祖母だ。私も小さいころあったことはあるが…まさか彼女が束より先にしかもそんな昔にISを開発していたとは知らなかった・・・」

 

「でも、そんな前にISが作られていたんならなぜ、道子さんは公表しなかったんでしょうか・・・」

 

「言われてみれば確かにな・・・・・・すまぬが杉田。そのことを教えてくれないか?道子さんのこと。そして彼女が作ったISのことを・・・」

 

「・・・・・・」

 

杉田は道子に会った最後の日を思い出し、二人に話した。

 

 

 

 

 

 

そう、あれは、欧州に派遣される2週間前。私は5日の休暇をもらいラバウルから日本に帰った時のことだ。

 

「おい。道子?いるか?」

 

私は親友である道子の家を訪ねた。あいつの家は剣術家でもあり神社の娘でもあった彼女はやんちゃで私とは小さい時からずっと仲良しの親友だった。

私がインターホンを鳴らしていると、ドアが開き。そこから、目はおっとりとし、髪はポニーテイルの黒髪の少女が出てきた。そう彼女が道子だ。

 

「あっ!清ちゃん。久しぶりね!さぁ入って入って!!」

 

と、元気いっぱいに私にそう言い私は彼女の家に入った。私の実家はやくざで道子の母親はあまり快く思わなかったが、父親と、娘である道子はそんなことは気にせず私と仲良くしてくれた。本当にいいやつだよ。よく小さい頃は東京の街を回って遊んだものだ。部屋に入ると、道子の両親がいないことに気付く。

 

「・・・あれ?道子。ご両親は?」

 

「ん?ああ、お父さんとお母さんは、今、用事で1日いないのよ。あっ!そうだ清ちゃん。この前、新聞で見たよ!なんか撃墜数100機超えて曹長に昇格したんだってね。今結構話題だよ。なんか近じかラバウルの戦闘が映画やドラマになるらしいし」

 

「そ、そうなの・・・・・(知らなかった・・・)」

 

元気にそういう道子に私は苦笑した。彼女は幼い時と何ら変わっていない。そのことに私は少し安心していた。

 

「そういえば道子。」

 

「ん?何、清ちゃん」

 

「そういえば、この前電話で『すごいものを作った』って言っていたけど・・・」

 

「ああ、それね♪いいよ。ついてきて」

 

そういう道子に私はついていった。そして彼女が向かったところは地下室だった。中に入るとそこは何かの研究施設のようになっていた。

ちなみに道子の趣味は科学発明で、いつかは偉大なことを成し遂げたいっていうのが口癖だった。親は神社を告げっというけど彼女は発明家になることが夢だった。

 

「これだよ・・・」

 

そういって、彼女が見せたのは何かの鎧いや、これは・・・

 

「道子。これってパワードスーツか何かか?」

 

私の目の前に置かれていたのは白色のパワードスーツらしきものだった。私がそういうと、道子は頷いて

 

「そうだよ。これが今までの常識を破る発明品で名付けて「インフィニット・ストラトス」だよ!!」

 

「インフィニット・ストラトス・・・・「無限の成層圏」っか・・・・いい名だな。道子」

 

「でしょ?」

 

私が名前をほめると道子は嬉しそうに言う。

 

「で、これはいったい何をするものなんだ?これをつけてモデルショーなんてするわけじゃないよね?」

 

「清ちゃんったら本当に冗談がうまいね♪違うよ。これは来たるべき宇宙開発…ネオフロンティアのためのパワースーツなんだ!」

 

「ネオフロンティア?」

 

「うん。今、世界中は戦争だけど、それが終われば再び宇宙進出の時代が来る。このインフィニット・ストラトスは宇宙空間での活動を想定して宇宙での過酷な任務をこなすために作ったのと、さらに災害での危険物質の除去や人命救助のために使う物なんだ!」

 

彼女ははしゃぎながらそう言う。私は道子の顔を見ると、その顔はとてもうれしそうだった。

 

「清ちゃん。これがあれば、宇宙進出もできて、さらに災害に苦しむ人を救えるんだよ!」

 

彼女はそういう。本当に道子は優しいやつだ。あいつは小さいころから困っている人のことを見過ごせない質だ。今起きている戦争を見て何か自分にできないことは何か考え、これを作ったんだろう。

 

「へ~すごいんだな・・・これ動力は何だ?」

 

「大半は電気系統などの物だけどそれを動かすための主力はこれだよ」

 

と、道子はそういい赤い球を取り出す

 

「・・・・・これは?」

 

「コアだよ。この装置を動かすための動力の源」 

 

「・・・・・これって何でできてるの?どうやって作ったの?」

 

「残念だけど、こればっかりは親友である清ちゃんでも教えられないよ。」

 

「そうか・・・・それは残念だ。・・・で、性能とか試したの?」

 

「うん。結果はすごいよ。これ見て」

 

そういい、道子はISのテスト記録書を私に渡す。その内容はまさに今までの常識を覆すものだった。

 

「・・・・・・道子。この内容。本当なのか?」

 

私がそういうと道子は今まで笑顔だったのが消えて悲しい顔になる。

 

「うん。ほんとだよ。その記録は」

 

「だとしたら、これはとんでもないものだぞ。道子これ、いつ公表するつもりなの?」

 

「清ちゃん。残念だけど。インフィニット・ストラトスは‥…ISのことは公表しないつもりだよ。おそらく永遠にね」

 

「・・・・・やっぱりか」

 

「うん。今のこれは致命的な欠点がある。それはね・・・・女性だけ、それもほんの一部しか動かすことができないんだよ。それに・・・」

 

「ああ、これはパワーが強すぎる」

 

私の呼んだ研究性能結果は、『「インフィニット・ストラトス」。別名「IS」は攻撃力、防御力、機動力は非常に高い究極の機動兵器で特に防御機能は突出して優れており、シールドエネルギーによるバリアーや「絶対防御」などによってあらゆる攻撃に対処できる。またとある場所の実験に2000発のミサイルを発射したらその9割がISにより撃墜され残り1割はエネルギー切れにより墜落。

また、このスーツは女性のほんの一部の者にしか動かすことができない』っと書かれていた。

 

「清ちゃん。清ちゃんは軍人だからわかるけど、もしISが公表され、悪人の手に渡れば・・・」

 

「ああ・・・今の戦争よりもっとひどいことになるな。たくさんの犠牲者が出る」

 

この記録を各国の軍人のお偉いさんが見たら。必ずそれをめぐって戦争になるのは火を見るより明らかだ。

 

「それにね。これにも書かれているようにこれは女性の一部の人間にしか動かせない。そうなると、男女の社会的な立場が完全に一変し、女性が男性をひどく差別する女尊男卑の時代が訪れてしまう。私はそんな時代を望んでいないし、来てほしくない。私はそんなのを作るためにISを作ったわけじゃないわ。だから、私はこの欠点を改善させるまではこれを公表する気はないわ。もしできなかったらこのISを壊し、資料を燃やして永久に封印するつもりよ。だから清ちゃん」

 

「わかっている。誰にも言わないよ。たとえ軍や国を敵に回してもね。でも道子、お前ならその欠点を直せるよ。お前は優しい科学者だ。」

 

「ふふっ・・・・ありがとね清ちゃん」

 

「道子。他にこのことを知っているやつはいるか?」

 

「清ちゃん以外なら・・・・・実験を手伝ってくれたイギリス人のリネットちゃんかな?でもあの人は大丈夫だよ。清ちゃんも何度か会ってるでしょ?」

 

「確かに、あいつは口が堅いからな。問題ないだろう」

 

「そうだね。」

 

こうして、道子は自分の発明品であるISを封印するのだった。そして私もこのことは誰にも話さないと決心するのだった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・というわけだ」

 

私は、二人に訊かれたことをすべて話した。

 

「・・・・まさか、40年前にそんなことがあったのか・・・」

 

「驚きです」

 

二人は杉田のお話を聞いて、あっけにとられていた。なんたってそんな前にISが発明されていたことと、その開発者がそのISの発表を中止したことだった。

 

「・・・・・織斑さん。」

 

「なんだ?」

 

「あなたは道子にあったといっていたな。あいつは今・・・・」

 

「・・・・・12年前に他界した。事故でな」

 

その言葉に私は、言葉を一時失う。

 

「そうですか。あいつは死んだのか・・・惜しいやつを失ったな・・・・・それにしても、あいつの発明であるISがここにあるっていうことは、あいつISの欠点が直されて、あいつの作ったISが今人々の役に立ってるんだな?」

 

私がそういうと、山田先生は気まずそうに眼を背ける。どうしたんだろうか・・・・・

 

「ん?どうしたんですか?山田先生。具合でも悪いんですか?」

 

「あ、あの・・・・・杉田さん。非常に言いにくいんですが・・・」

 

「?」

 

山田先生は何か言いにくいのか、なかなか話そうとしない。すると、織斑先生が

 

「杉田曹長。残念だが、今あるISはお前や道子さんの言っていた欠点は改善されていない」

 

「・・・・・え?」

 

改善されていないってどういうことだ?

 

 

 

 



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40年間の空白

「・・・・・え?どういうことですか?改善されていないってどう意味ですか!」

 

私は織斑先生の言葉が理解できなかった。道子が作ったISは欠点がある。だから彼女はその欠点が改善するまでISを表舞台に出さないとそう誓っていた。だから今この場にISがあるということはその欠点が直され、道子が夢に描いた現実になった。そう思っていた。

 

「今のIS・・・・・お前がいない40年間についいて説明するがいいか?」

 

「・・・・・・・お願いします」

 

織斑先生がそういうと私は頷く。私自身もこの80年間何があったのか知りたかったからだ。

そして、織斑先生はこれまでの時代を話す。もちろんその歴史の資料も渡されて。

まずは自分がいた時代、そう「テロリスト戦争」のころだ。私が戦死した4か月後、ナチスドイツ第4帝国は崩壊。戦争は終結したらしい。・でも犠牲は多かったらしい。その戦争で、疾風隊長は終戦まじかで行方不明となって戦死したことに私は驚いた。だが、凪は生き残ったらしい。

戦後から40年後。あるパワードスーツが誕生した。そう、インフィニットストラトスだ。私はその開発者の名を見た。名は篠ノ之束・・・・・篠ノ之の性が付くならおそらく道子の親類だろう・・・・だが、なんで門外不出であるインフィニットストラトスのことを彼女は知っている?道子はたとえ親友だろうが親類でも、一度口にしないと言ったら絶対に口にしないやつだ。それをなぜ彼女が知っているんだ・・・・

話を戻そう・・・当初彼女が発表したインフィニットストラトスだが、なかなか彼女の発明を受け入れてもらえなかった。

だがしかし、ある事件がきっかけでISの評価はいっぺんにして変わる。「白騎士事件」と呼ばれる事件だ。その事件の後ISは現存する兵器を凌駕する性能を持つ事から兵器への転用が危ぶまれ、世界の軍事的パワーバランスが乱れるっという結果となり道子が心配していたように女性しか使えないことから男性を差別する女尊男卑の時代となり今に至る。ちなみに私がいる場所はISの操縦者を育成する学校である「IS学園」という名前の学校らしい。

 

「はぁ~」

 

私はその資料と話を聞き終えた時、頭痛がしてきた。

 

「まさか、こんなことになっていたなんてな・・・・・」

 

もしもこれが夢なら冷めてほしいと正直私は思った。たった40年でこんな事態になっていたとは・・・・・正直あきれるを通り越してしまう。

 

「正直に言ってどうだ?お前から見てこの時代は・・・・」

 

「織斑先生。私はまだ資料しか見てないけど、・・・・・・これはひどすぎますね。俺達はこんな世の中になることを願ってあの戦争を戦ってきたわけじゃない。こんなことなら、まだナチス・・・・テロリストどもに滅ぼされていたほうが良かったかもな」

 

私は表での丁寧語を止め、普段の喋り方に代わっていた。それほど私は不機嫌なのだ。そのことに気付いているのか山田先生は震えている。

 

「織斑さん。あなた道子にあったといっていたな。道子はインフィニットストラトスのことをしゃべったのか?それにこの篠ノ之束って誰だ?」

 

私は鋭い目で織斑にそう言う。

 

「まず最初の質問だが、道子さんはISのことは一切喋っていないし、私は小さいころ地下室に言ったことが何度もあったが彼女が作ったISも見たことがない。それと今あるISの開発者篠ノ之束は道子さんの孫だ。」

 

「道子がその束っていう人に言ったという可能性は?」

 

「それはあり得ない。あの人の性格からして、大事なことはたとえ身内でも言わない人だからな」

 

「そうか・・・・道子は最後まで道子だったか・・・・・じゃあ、なぜ束という女はそのことを知っていた。今ある資料を見ても道子が作ったのと同じだぞ。偶然にしてはできすぎている」

 

「おそらく束がどこかで道子さんが書いたISの資料を見つけて作っったのだろう・・・・まあ、本当にそうなのかはあいつ自身に訊かないとわからんがな」

 

「・・・・・その束ってやつはどこにいる」

 

「あ、あの・・・・杉田さんは篠ノ之博士を見つけてどうするんですか?」

 

「決まってる。欠陥のISを作った理由を聞いて、その内容次第では半分殺す」

 

つまり半殺しだ。私は許せなかった。たとえ道子の孫だとしても道子の夢を壊した彼女がどういう系統でISを作ったのか・・・・

 

「残念だが、あいつはあの事件以来、行方をくらましている。お前の話が本当なら私もあのバカからいろいろ聞きたいしな」

 

 

織斑先生…表情は変えてないが束に対し少し怒っているのは私でもわかる。

 

「さて・・・・・杉田曹長。お前にひとつ聞きたいことがある」

 

「なんですか?」

 

「お前、これからどうする。行く当てとかあるのか?」

 

「あっ・・・・」

 

そういえばISのことに夢中で忘れていた。今の私はいわば浦島太郎と同じだ。私の知人はもうとっくに死んでいるだろうし、戸籍にしても私はもう死んでいることになっている。面倒なことになった・・・・

 

「もしかしてないんですか?」

 

山田先生が心配そうな顔で私に訊く。

 

「当たり前だ。山田先生。私は40年まえの人間。知り合いの人はもうほとんど死んでいますよ」

 

「まるで浦島太郎ですね・・・・」

 

やはり山田先生もそう思ったか・・・・

 

「ん~・・・・そうだ」

 

と、織斑先生は何かひらめいたようだ。

 

「杉田。お前にはIS学園に入学してもらう」

 

「え?」

 

「お前の歳は16。入学できる条件は満たしている。それにIS学園はいかなる国家の干渉を受け付けない独立した施設。お前が40年前の人間だということもばれずに済む」

 

「は、はぁ・・・・・」

 

いきなりのことで私はあっけにとられる。というよりその学校はそんな力があるのかよ・・・・

 

「で、どうだ?」

 

「まあ、私は文句言えない質だからな・・・・分かりました。その提案受けましょう」

 

「そうか・・・・では、今日はもう遅い。今夜はここの部屋に泊まれ、先ほど学園長から許可をもらったからな」

 

えっ?あの話しているときに彼女、部屋から出て行ってなかったけどいつ許可をもらったんだ?もしかしてこの部屋に連れてくる前に少し待たされたけど、もしかしてその時に・・・

 

「それと、”501の狂犬”だということは言わないようにな。」

 

「わかってますよ・・・」

 

聞いた話、私は英雄として記録に残っているらしい。疾風隊長ほどではないが、記録では隊長は「世界最強の戦闘機乗り」って呼ばれているらしいし・・・・

名前についてはあまり知られていないようなのでそのままでいいと言われた。追及されたとき同姓同名だといえば誤魔化せるだろう。

 

「では、私たちは明日の準備をする。ゆっくり休んでくれ」

 

「それでは杉田さん。また明日」

 

そういい、織斑先生と山田先生は部屋を出て行った。

 

「 ・・・・・・40年か・・・」

 

ここは日本だが私のしている日本ではないいわば。別の世界、別の国に来たのと同じだ。

 

「・・・・・・・・まあ、何とかなるだろう」

 

そういい私は明日に備えて寝るのだった。

 

 

 

その後、千冬は明日に向け彼女をIS学園に入学させる手続きを終えて今自室へと向かっていた。そしてさっきの応接室を通りかかると、千冬はそっとドアを開ける。

 

「・・・すぅ・・・」

 

そこにはかわいい寝息を立てた清美がいた。正直誰もこの少女があの戦争の英雄の一人だとは考えもしないだろう。どこにでも居るようなありふれた寝顔

 

「・・・・・・・」

 

彼女が言うには12の時から戦っていた。つまり4年間もあの戦争、しかも最前線で戦ってきたのだ。彼女が言うには彼の上官であるあの最強の乗戦闘機乗りは彼女より1歳年下だと聞く。

あの時代は何があってもおかしくない時代。それでも

 

「こんな小いさな子らが命を賭して戦う世界か・・・」

 

そんな世界で彼女はいったい何を思って戦ってきたのだろうか・・・・

私はいつの間にか彼女の頭をなでていた

 

「・・・うぅん・・・」

 

気持ちよさそうに寝てるみたいで見ればみるほど、どこでもいそうなただの少女だった

「さて、私は戻るか・・・」

 

私は応接室の表示を使用中にして自室に戻った。その時、私は1枚の写真を出す。

 

「中澤先生・・・・私はちゃんと先生としてやっているのでしょうか・・・・」

 

私は恩師だった先生の写真を見ながらそうつぶやくのだった・・・・

 

 



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登場人物紹介

杉田清美(すぎた きよみ)

cv(小松未可子)

所属:日本国海軍343航空隊501戦闘部隊副隊長

階級:曹長

愛機:零戦52型甲→紫電21型

生年月日:2003年10月7日

出身地: 東京浅草生まれ

趣味&特技: 特技喧嘩や英語。趣味は釣り

好きな言葉:「喧嘩上等」

年齢:16歳

身長:155㎝

体重:??

座右の銘:ニッコリ笑えば必ず墜す

所持品:軍刀、ルガーP08、スマートフォン。

 

今作の主人公。味方をかばって撃墜されたと思ったが、なぜか40年も先の未来「インフィニットストラトス」の世界に来てしまう。

ヤクザの組長の娘でショートカットな髪型で頬に傷があるのが特徴、性格は活発だが正義感の持ち主。喧嘩が大の得意で大の大人が相手でも負けたことがない。海軍の飛行訓練所に入り、弱い者いじめをする先輩訓練生とよくケンカをし、訓練所から問題児の烙印を押されてらが成績はよく常にベスト3内に入っていた。また仕返しに来た先輩搭乗員100人相手に一人で勝ちそれ以来、仲間から「狂犬」と呼ばれ恐れられていた。

12歳で戦場に飛び立ち、太平洋激戦地であるラバウルに配属になり当時11歳だった疾風村正少尉の2番機になる。最初は反攻的だったが、疾風との模擬戦に敗れ、彼の人柄と優れたリーダーシップに心服しそれ以来彼のことを敬愛するようになり、疾風の悪口を言うものには殴りかかった。

そして曹長に昇格したときに疾風とともに欧州へと派遣され501戦闘隊『抜刀隊』の副長となって戦う。

空戦での戦闘では素早く短時間で戦闘を済ませてすぐに戦場から離脱する、戦場の駆け引きを理屈ではなく体で覚えているような戦い方で、また荒っぽい操縦から「501の狂犬」と仇名され敵からも恐れられていた。最近は言葉遣いを良くしようと努力をしているのだが戦いの時や怒った時には元の口調に戻ってしまう。

名前の元ネタは杉田庄一、

 

 

篠ノ之道子(しののの みちこ)

CV(田村ゆかり)

生年月日:2003年12月8日

出身地:東京

趣味・特技:発明と剣術

年齢:16歳

身長:167㎝

体重:??

 

清美の親友であり、篠ノ之束、箒の祖母。おっとりした目には束に似て、髪型は箒に似ている。

性格は心優しく、発明が大好きな少女。束がISを開発する40年前にISを制作していたのだが、しかしISは女性しか操縦できないのと余りにもの戦闘破壊力があるため、制作を中止し、欠点を改善するまではISを公開しないことを誓いISを封印した。清美とは無二の親友であり心の友である。またイギリス人にも友人がいてその人とも仲がいい。

また、彼女の制作したISの存在を知っていたのは清美とイギリス人でISのテストパイロットであった。リネット・オルコットだけでその他の人はその存在を知らなかった。その後、交通事故により他界する

また彼女はISの欠点を知った時、女性が男性を差別する女尊男卑の時代が来るのを嫌がっていた。

 

 

 

リネット・オルコット

CV(喜多村英梨)

所属:イギリス連邦空軍

階級:中尉、最終階級は少佐

愛機:スピットファイア

生年月日:2001年11月18日

出身地:イギリス、ロンドン

年齢:17歳

身長:168cm

趣味:料理と名言集を読むこと

好きなもの:ダージリンティー

あだ名:ダージリン、リネッチ

 

セシリア・オルコットの祖母でかつては杉田清美とともにテロリスト軍相手に戦ったイギリス連邦空軍のエースパイロットであり清美の戦友。先祖代々貴族の家柄だが、性格はまさに淑女といった性格で弱い者いじめの他、男女、人種差別をひどく嫌う。また、杉田の親友である道子とは仲が良く清美とともにお茶会を開いたりすることがある。また彼女は道子の制作したインフィニットストラトスのテストパイロットをし、彼女が作ったISのすごさを知ると同時にそのパワー恐ろしさと女尊男卑の時代が来るのを道子同様嫌がっていた。テロリスト戦争終結後は退役し自身が戦争に参加していたのを家族、特にセシリアには隠していた。趣味は以外にも料理でその腕は一級料理人の腕前、また彼女は世界の偉人たちの格言を言う癖がある。また彼女は清美の上官である疾風大尉にも親交があったのかたまに彼をお茶会に誘うことがある。

 

 

 

 

中嶋悟子(なかじまさとこ)

CV(山本希望)

所属:日本国海軍整備部隊

階級:大尉

生年月日:2001年8月9日

出身:三重県鈴鹿市

年齢:20歳(清美と再会した時は60歳)

身長:146cm

趣味:機械いじり

 

日本国海軍の精鋭戦闘機隊。343航空隊の整備部隊の整備長で、雨の日に出歩くのがが好きで部隊の仲間から「雨はナカジマ」っと呼ばれている。性格は優しく頼れるお姉さんタイプ。そして整備の腕は職人も真っ青な腕前でボロボロになった戦車や戦闘機を一夜にして直すほど。実家はかなりの大金持ちなのお嬢様で、清美がそのこととを知った時は心底驚いていたという。

戦争終結後は自身の経験を活かし自動車や飛行機の整備や修理をする工業を設立し社長になり彼女の設立した中嶋工業は世界的にも有名な工業へと成長する。そして彼女が60歳になった時40年前に戦死したと思われていた清美と再会し、彼女の愛機紫電改の修理を引き受けるのであった。

 

 

 

 

疾風村正

cv(松岡禎丞)

所属:日本国海軍343航空隊501戦闘部隊隊長

階級:大尉

生年月日:2002年10月7日

出身地: 熊本県熊本市生まれ

愛機:零戦22型→紫電21型→試製紫電32型改

年齢:15歳

身長:165㎝

体重:58キロ

趣味&特技: 読書と剣道、5か国の言葉を話せる(英語、ドイツ語、ロシア語、フランス語、イタリア語)

清美の上官であり、清美が心から尊敬する人物。第三次世界大戦の終結の立役者ともいわれ、「世界最強の戦闘機乗り」の異名を持つエースパイロット。清美より年齢は一つ下だが、空戦の腕は強く最高撃墜数は爆撃機、戦闘機を含め871機となっている。この記録は終戦から80年たってもその記録は破られておらず伝説と化している。性格は穏やかで心優しく、面倒見が良く仲間想い。そして少しいたずら好き。また仲間を助けるためなら自分の命を懸けることもある。あまり怒らない体質でよほどのことがないと怒らない。また、他人をさげすむ者を嫌う。仲間や家族のことを馬鹿にされると誰であろうと殴りかかるか殺気をぶつける。清美が戦死して数日後、爆撃機の迎撃の最中、機銃の暴発し『ワレ、機銃筒内爆発ス、諸君ノ協力ニ感謝ス、ワレ疾風一番』という電文を残し行方不明になる。

 

 

 

森守(もり まもる)

cv(加藤英美里)

所属:日本国海軍ラバウル航空隊301部隊

        ↓

第五航空戦隊「瑞鶴」戦闘機部隊

        ↓

ソロモン諸島第452海軍航空隊、第三水上戦闘機小隊『新選組』隊長

階級:准尉→少尉

生年月日:2004年8月10日

出身:東京都江戸川区生まれ

趣味:釣り

好きな食べ物:基本甘いもの

苦手な食べ物:なし

好きな色:紫紺

愛機:零戦22型甲→二式水上戦闘機改

年齢:15歳

身長:155㎝

体重:56キロ

血液型:A型

性格:温和で頭の切れる優等生タイプ。しかも運に強い

好きな戦闘機:零戦11型

通称:若頭、ボンバーキラー、シーウルフ。ソロモン諸島の狼

座右の銘:面白きない世を面白く、悪・即・斬

所持品:スマートフォン、M1911A1拳銃、小太刀

資格:銃刀所持許可書、旭日双光章、船舶・航空機整備士免許、危険物処理免許、レンジャー勲章

パーソナルマーク:波を背にして遠吠えをする青い狼

 

清美の教え子であり、かつての部下。清美が一番信頼する部下であり、初戦で敵戦闘機を二機撃墜する。戦闘機乗りとしての腕はかなり良く。上官が杉田に「部隊を移動する際、もし連れていきたい一番の部下は誰だ?」と訊かれたとき彼女は真っ先に「それは森准尉だ」とはっきり答えるほどである。

杉田とは半年近く共に戦い、杉田が海軍戦闘機隊の精鋭部隊の343航空隊に配属されるとき、森も一緒に配属になるはずであったが、杉田を快く思わない上官が杉田の悪口を言ったとき、その上官に猛抗議し、そしてその上官との模擬空戦では杉田を馬鹿にした腹いせに模擬戦の際、上官の戦闘機のアンテナを銃撃し圧し折ったことがきっかけで杉田とともに343航空隊に行くことは無しになり、代わりに最前線にある小島の防衛任務に就く第452海軍航空隊に左遷された

その時に清美は餞別として彼に小太刀を渡している

清美がタイムスリップする数年前に二式水戦でソロモン沖での強行偵察の際、敵戦闘機と交戦しそのまま未帰還となり、そのまま戦死扱いとなっている。

 

 



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初登校

この世界に来て3日たった。私はなぜか織斑先生のご厚意により「IS学園」に入ることになり、いま織斑先生の隣を歩く。聞けば入学式は私がこの世界に来て2日前に終わったらしく。私は転校生として入学することになったらしい、本当は2日前の入学式に入るつもりが、今の情勢や知識また、IS学園の制服をそろえるのに時間がかかってしまい今に至るのだが・・・・

 

「あ、あの・・・織斑先生」

 

「なんだ。杉田」

 

「何で私がスカートなんか着なきゃいけないんですか?」

 

「お前は女だろ。女がスカートをはいて何がおかしんだ?」

 

「いえ、そうなんですが、なんか女物の服を着るのは5歳以来なので・・・すこし」

 

今までは飛行服か男性用の海軍の下士官服を当たり前のように来ていたから、今スカートとかの女物の服を着るのは少し恥ずかしい。

 

「そんなことは慣れろ」

 

「・・・善処します」

 

鋭い目でにらまれた。やっぱこの人、源田司令に似ている。はっきり言って苦手なタイプだ。

 

「それよりも、その腰に下げている拳銃はどうにかならんのか?」

 

今私は制服のスカートに愛銃のルガーが入ったホルスターを下げている。紫電改の中にあった軍刀も下げたかったんだがスカートのため下げることはできなかった

 

「すみません。何か腰に下げていないと落ち着かないので・・・」

 

「・・・・はぁ・・・・まあいいが、それを使って面倒なことはするなよ」

 

「わかりました」

 

「それとだ。お前が行く教室には道子さんの孫で、束の妹である。箒がいる。」

 

「もう一人孫がいたんですか?」

 

「ああ、だが彼女の前でなるべく束のことは話すな。理由は分かっているはずだ。2日間調べてたんだろ?あいつのことを」

 

千冬がそういうと清美が頷く。清子はこの二日間、篠ノ之家のことを調べるほかに戦友が今何をしているかというのを調べていたのだ。

 

「はい。」

 

しばらく歩いていると自分のクラスになる1年1組の教室の前につく。

 

「それじゃあ、呼ぶまでここで待っていろ」

 

「わかりました」

 

それを確認すると一足先に教室の中に入っていく千冬。

数秒後にはなぜか拳骨の音が数回聞こえた後、女子の『きゃあぁぁぁぁ!』

と言うけたたましい声が数回聞こえた。声の衝撃で窓がびりびりと震えているのがわかる

 

「(すげぇー声だな・・・・この中にいる女子は肺活量強いのか?というより、うるせぇ#!)」

 

と、清美は壁にもたれかけ手を首の後ろにかけて呼ばれるのを待っていた。

しばらくして・・・

 

「杉田。入ってこい」

 

と、呼ばれ私は教室の中に入るのだった。

 

 

 

 

 

 

清美が教室に入る数分前、織斑一夏は大変気まずそうな顔をしていた。それはそうだろう本来女子高みたいな学校に男は自分ひとり、しかも周りの女子たちはみんな珍しいものを見るような好奇心のまなざしで見ているのであった。

 

「(き、気まずい・・・どうしよう・・・)」

 

たった一人でどうすればいいのか焦る一夏。何でこうなってしまっのか。一夏は思考を巡らせる。

 

「(確か・・・俺は藍越学園の入試会場に言ったっと思っていたけどたまたまIS学園の入試会場に間違えてはいちゃって…それで目の前にあったISに乗ったら起動しちゃって・・・・・あれ?これって俺のドジのせい?)」

 

「あ、あの~織斑君?」

 

「あ、はい!」

 

考えている最中いきなり山田先生に声をかけられ驚いた一夏は席を立つのだった。

 

「あ、あの、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる?怒ってるかな?ごめんね、ごめんね!でもね、あのね、自己紹介「あ」から始まって今「お」の織斑くんなんだよねだからね、ご、ごめんね?自己紹介してくれるかな?だ、だめかな?」

 

「え?ああ、こちらこそすみません。え、え・・・・と織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

一夏は自分の名を名乗ったのだが、何やら女子たちが何か期待を込める視線を向けられていた。一夏は少し困惑し・・・そして出した言葉が

 

「い、以上です!!」

 

その一言で、クラスのみんなは古典的なずっこけをしてしまい。一夏は何か変なことでも行ったのかな?っと不思議そうにあたりを見渡す。すると・・・

 

ゴチンッ!!

 

いきなり誰かに拳骨された。一夏は頭を抱えてしゃがみ込み、そして自分の頭を殴った人物を見る

 

「げぇ!千冬姉!?」

 

ゴチンッ!!

 

また頭を殴られるのだった

 

「学校では織斑先生だ」

 

「あ、織斑先生。会議は終わったんですか?」

 

「ああ、山田君すまんな手間を取らせて」

 

千冬はそういうと教卓に上がりそして・・・・

 

「諸君。私が担任の織斑千冬だ。君たち新人を1年で使い物にするのが仕事だ」

 

千冬がそういった瞬間・・・

 

きゃあぁぁぁぁーーーー!!!

 

クラスにいる女子全員が歓声の声をあげる。その声であたりは振動が起こり窓ガラスがびりびりと響くのだった。

 

「本物の千冬様よ!」

 

「私、お姉さまに憧れてこの学校にきたんです!北九州から!」

 

その姿に千冬はあきれ顔で

 

「まったく…毎年よくも馬鹿どもが集まってくるとは・・・私のクラスにだけ集中させているのか?」

 

「きゃあぁ!!もっと罵って!」

 

「やる時には優しくして!!」

 

と、またバカ騒ぎが起きるのだった。

 

「とにかく静かにできんのか、お前たちは!・・・・・・さて、それはさておき挨拶もまともにできんのか?おまえは」

 

「いや・・・・千冬姉」

 

「ここでは織斑先生だ。わかったな・・・」

 

「は、はい・・・」

 

鋭い目線で言われ一夏は頷くのだった。

 

「さて、授業を始める前に、転入生を紹介する。」

 

「転入生?どんな子かな?もしかして織斑君と同じ男だったりして」

 

「そんなわけないよ。そんなんだったらニュースになってるもん」

 

がやがや・・・

 

とまた教室が騒がしくなり

 

「静かにしろ!!まったく…しょうがないやつらだ。では紹介する。杉田。入ってこい」

 

千冬がそういうとドアから黒髪のショートヘアーで腰には拳銃を下げた少女が入ってきた。

 

「杉田清美です。どうかよろしくお願いします。趣味は釣り、嫌いなものは女尊男卑を信仰し人種差別をする馬鹿どもが一番嫌いです」

 

頭を下げて自己紹介をするのだった。こうして「501の狂犬」と恐れられた少女はこの学園に入学することになる、しかし、それは始まりの序曲に過ぎず、狂犬はとある出来事により牙をむくのだった。

 

 

 




今回はここまでです。感想お待ちしております


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代表候補生ってなに?

久しぶりの投稿です。


朝のホームルームも終わり、私は席に座る。ちなみに私の席は織斑さんの弟である織斑一夏ってやつの隣だった。そんなこんなで、ホームルームを終わった後、休み時間の廊下には多くの生徒たちが

集まって談笑とかしていた。

 

「うぅ……これが見世物にされるパンダの気持ちなのか?」

 

と、机に伏せてげんなりする一夏。

 

「大丈夫か?まだ1時限目も始まってねえんだぞ?」

 

「杉田さんだったっけ・・・・大丈夫じゃないと言えばうそになるかな」

 

そう言い、乾いた笑いをする一夏。すると・・・・

 

「一夏・・・・」

 

ポニーテイルの黒髪の少女が彼の前に立つ。

 

「箒?」

 

「(箒?ッとするとこいつが道子の孫の篠ノ之箒か・・・・)」

 

私は箒っという少女を見る。確かにわずかだが道子に似ている。髪型もそうだが、なんていうか‥‥その胸のお餅とかも

 

「何を見てるんだ?私の顔に何か知ているのか?」

 

私の視線に気づいたのか箒が私の顔を睨む

 

「いえ・・・・ただ、私の知人に似ていたので・・・・」

 

「そ、そうか・・・・それじゃあ一夏少し来てくれ」

 

「あ、ああ・・・」

 

そう言い、一夏は箒と一緒に廊下に出る。

 

「あの二人・・・・・幼馴染だな」

 

私がそう呟く。なぜそう思ったかといいうとただの勘だ。私は何もやることもなく。声をかける人もいない。よって私がいますること・・・・1時間目が始まるまでの間、寝ること。別に友達がいないとかそういうのをばれないようにするためじゃない。いや、本当よ。

まあ、そんなこんなで休み時間が終わり1時間目が始まる。

その授業の内容はISについてのものだった。教壇では山田先生が話をしていて、その横では織斑先生が授業を見ていた。一夏は授業を必死に聞いているのだが何を言ってるのかさっぱり理解できていなかった。

 

「(このアクティブなんちゃらとか広域うんたらとか、どういう意味なんだ!?そういえば転入生の杉田さんはどうなんだ?もしかして内容とかわかって・・・・)」

 

そう言い一夏は杉田のいる机を見るのだが・・・・

 

「ぐ~~~~~~」

 

いびきをかいて気持ちよさそうに寝ていた。

 

「(って、寝てるよこの人!?)」

 

「織斑君、何かありますか?」

 

すると、一夏が困惑しているのに気付いたのか山田先生は声をかける。

 

「え、えっと、あの……」

 

「質問が有ったら聞いてくださいね。何せ私は先生ですから」

 

胸を張ってそう言う山田先生に、おずおずと挙手する一夏。

 

「あの、先生……」

 

「はい、織斑君」

 

「ほとんど全部わかりません」

 

「え!?全部ですか!?」

 

一夏の言葉に山田先生は驚いて目を丸くする。すると、さっきまで山田先生のそばでじっと見ていた姉の千冬が近づいてくる

 

「織斑・・・皆もそうだが、確か入学時にISの参考書渡されたはずだよな・・・・ちゃんと読んだのか?」

 

そう言い千冬は一夏に鋭い目線を向ける

 

「あ。あの分厚い奴ですか?」

 

「そうだ、『必読』と書いてあっただろ?それをどうしたんだ?」

 

「いや、あの・・・・古い電話帳と間違えて捨てました」

 

と言った瞬間・・・・・

 

ドゴっ!

 

案の定鉄拳制裁を喰らわれた。

 

「馬鹿者っ!大切な資料を捨てるとは何事だっ!・・・・・はぁ~まったく。後で再発行してやるから、一週間以内に覚えろ。いいな!」

 

「い、いや、それ以前にあの量を一週間じゃ無理が……」

 

「やれと言っている。二度も言わせるな・・・・」

 

「は・・・はい・・・・」

 

鋭い眼光でそういう千冬に一夏は『はい』っとしか言えなかった。

 

「それとだ・・・・・」

 

千冬はそう言って杉田のところに行くそして・・・・

 

ゴチンッ

 

「あいたぁ!」

 

一夏の隣で寝ていた清美にげんこつをし、頭を殴られた清美はあまりの痛さに飛び起きる

 

「いきなり何するんですかお母さん・・・・今日は日曜ですよ?まったくおっちょこちょいなんだから~」

 

「今日は火曜だ!それと私は貴様の母親じゃない。寝ぼけるな!授業中居眠りとはいい度胸だな・・・・・杉田」

 

そう言い眉間に青筋を立てる千冬に対し、清美はあくびをしながら目をこする

 

「いや、授業の内容たってISのことでしょ?そんなこと知ってるので聞く必要ありません」

 

と、平然に言う清美に

 

「そうか‥‥聞く必要がないか・・・・それじゃあ、杉田、質問だ。ISについているアクティブ・イナーシャル・キャンセラーとは何か言えるか?」

 

「ん?能動的慣性無効化装置。物体の動きを自分の意思で止められる装置です」

 

「あ、当たってます。織斑先生」

 

「それじゃあ、次の質問だ。AICとPICの違いはなんだ?答えてみろ」

 

「それも簡単です。PICは自身のISが飛ぶための装置。よって自機のIS以外には作用しない。しかし対してAICは自分以外の機体の動きを止められることができる。つまり要約すると自機以外に効果が及ぶかの有無が違うっということです」

 

「これもあってます」

 

その後、千冬は30問ぐらいISについての問題を出した。しかも資料にはあまり書かれていないところの出したのだが清美は淡々と答える

 

「‥…ということです」

 

最後の質問の答えを言うとみんな静まりかえってしまう。

 

「お、織斑先生・・・・・杉田さんの答え全部当たっています」

 

山田先生も驚きを隠せずにいた。

 

「(そいいえばこいつ、ISの本当の開発者である道子さんとは親友だったっと言ってたな。ならば資料に載ってないことも知ってて当然か・・・・)なるほどお前がISについてよく知ってることはよくわかった。だが今は授業中だ今後、居眠りなどしないようにな杉田」

 

「……善処します。織斑先生」

 

そう、杉田がそう言い、授業は再開するのだった。

 

 

 

 

そして授業が終わり、またも昼休みが始まった。周りにいた女子生徒たちはいっせいに、杉田に集まる

 

「杉田さんってすごいね!あんな分厚い本の内容を暗記できるなんて」

 

「私なら絶対に無理だよ~」

 

「ねえ、ねえ、どうやったらあんなのを暗記できるの?」

 

女子生徒たちが杉田にさっきのことを聞く

 

「別に普通に読んでたら頭に残っただけよ。」

 

杉田は実は昔ISの開発者と親友だったから内容のことを知っていたなんて言えず、笑ってごまかすのだった。

 

「(それにしても80年たってもISの内容は9割変わらなかったな・・・・あのぐらい月日が空いてたら結構変わってると思ったんだけどな・・・・)」

 

そう言う風に考えていた。すると

 

「あ、あの・・・・杉田さん」

 

一夏が杉田に話しかけた

 

「ん?何ですか織斑?」

 

「あ、あの・・・できればいいんだけど勉強手伝ってくれないか?」

 

「ん?ああ、ISの参考書の内容のことですか?」

 

「ああ、俺一人じゃあ、どうしようもできなくて」

 

「…いいですよ。この後の予定とかもありませんし」

 

「いのか!?ありがとう杉田」

 

そう二人が話している時だった。

 

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「ん?」

 

「は?」

 

「まぁ!何ですの、そのお返事は!私に話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度と言う物があるのではないのですか!?」

 

一夏達の後ろに金髪ドリルの少女が立っていた。その様子に二人ともきょとんとしている。

 

「悪いな、俺は君が誰だか知らないし」

 

「なっ!?何ですって!?」

 

「杉田、お前はこの人が誰だか知ってるか?」

 

「知るわけないでしょ。今初めて会ったんだから(なんだこいつ・・・・それにこいつ誰かに似ているような・・・・)」

 

「なっ!?そちらのあなたまで・・・私の名はセシリア・オルコットを!?イギリスの代表候補生にして、入試主席のエリートなのですよ!そんな私を知らないですって!?」

 

「(オルコット!?まさかこいつ・・・・)」

 

清美がそう思っていると一夏が清美の肩を軽くたたく

 

「ん?何だ織斑?」

 

「なぁ、杉田、一つ聞いていいか?」

 

「何?」

 

「・・・・・代表候補生って何だ?」

 

一夏がそれを言った瞬間、クラス中の女子が思いっきりずっこけ、清美はあきれてため息をつく

 

「そのまんまの意味よ織斑。その国のISの代表者の候補者。つまり、身近でいうならスポーツのレギュラー選手の候補の人って考えればいいのよ」

 

「へ~そうなんだ・・・」

 

「信じられませんわ!この国の男性はここまで無知だったなんて。とにかく!本来であれば私のようなエリートとクラスを共にし、話しかけられるだけでも幸運なのです!そこを理解していますの!?」

 

「そうか、それはラッキーだ」

 

「ラッキーって‥‥あなたバカにしてますの……。それと杉田さんはどう思ってるんですか?あなたは女性ですからお分かりですよね?」

 

「そんなどうでもいいこと興味はない」

 

ッと、そっけなく言う清美にセシリアは・・・・

 

「な!?あなた!私の話を聞いてましたの!?私は優秀なうえ代表候補生なのですよ!?」

 

と、顔を真っ赤にしてそう詰め寄るが・・・・

 

「そんなこと知ったことじゃないわ。それにその代表候補生ていうのもただの肩書だけのお飾り。正直言って本当にどうでもいいわ(・・・・本当にこいつ代表候補生なのか?そういう風には見えん)」

 

と、あっさり言われるのであった。

 

「なな!……、ふん!まぁ良いですわ。……私は優秀ですから、そのようなことににいちいち怒ったりはしませんわ。それに優秀なものは困っている人に手を差し伸べるもの。ですからわからない事があれば、まぁ、泣いて頼んでくれれば教えて差し上げなくもないですわよ。」

 

どや顔でいうセシリアに対し一夏は・・・・

 

「いや、せっかくだけどいいよ。もう杉田さんと一緒に勉強するって約束したし」

 

一夏はそう言うがセシリアは全くひこうとしなかった。

 

「で、ですが私は入試の際に教官を倒したエリート!ですから!こんな戦い方も知らない普通の子じゃなくて」

 

と、セシリアは清美を指さしてそう言うが・・・・

 

「(私から見れば、あなたこそ本当の戦いを知らない小娘だぞ。紫電改の20ミリ機関砲ででポイしてやろうか#)」

 

と、内心イライラしている杉田だった。そんなことも気づかずセシリアは一夏と話す。

 

「ん?教官なら俺も倒したぞ?」

 

「何ですって!?私だけと聞いていましたのに!?」

 

「女性だけはっという話じゃないか?まぁ倒したっていうか、突っ込んできたのを避けたら壁にぶつかって 自爆しただけだったんだけどな。」

 

その言葉を聞き、彼女は興奮するのだったが、タイミングよく授業チャイムが鳴り、オルコットは席に着くのだった。

一方、杉田は机に肘をつき考え事をしていた。

 

「(セシリア・オルコットか・・・・・まさかと思うがあいつ(・・・)とかかわっているのか?後で調べてみるか」

 

そう考える清美だった。

 

 




はい。おひさしです。次はクラス代表対抗戦っと行きます。そしてセシリアは清美に対し思わずの爆弾発言を落とします。次回もお楽しみに


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狂犬怒る

チャイムがなりセシリアは一夏や清美の所から自分の席に戻り、織斑先生が教室に入ってきた。

 

「では、これから授業を始める。とその前にクラス代表を決めないといけないな。」

 

と織斑先生が言い、一人の生徒が質問をする。

 

「織斑先生、クラス代表って何ですか?」

 

「そうだな……クラス代表って言うのは、クラス委員みたいなものだな。クラスの代表として対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席をしてもらう。ちなみに一回決まると、一年間は変更する事は出来ないのでそのつもりで。」

 

「お~!!」

 

織斑先生の説明に生徒達は納得した。それを聞いた杉田は・・・

 

「(なるほど、私風に合わせるなら戦闘隊指揮官になるということか。でもそれやったたら結構めんどくさいんだよな・・・)」

 

実際杉田は自分の上官であり隊長でもあった疾風が戦闘で負傷し本土で療養している時に代理で戦闘隊隊長になったことがあるが、これが本当に面倒だった。部下の書類整理の手伝いに上層部に頭を下げに行ったり、新兵の訓練指導したりと本当に大変な目にあった。杉田はそのことを思い出し、名乗り出ないようにした。

 

「自薦他薦でも構わない。誰かいないか?」

 

千冬はそう言うが誰一人名乗り出ない。まあ、そんな忙しくて責任重大な事なりそうなこと誰もやりたがらないのは目に見えていた。すると・・・・

 

「はいっ!私織斑くんを推薦したいです!」

 

「えっ!?」

 

「あ、はいはい!私も織斑君が良いで~す!!」

 

と、二人の女子生徒が手を挙げてそう言い肝心の織斑は驚いた顔をしていた。

 

「よし、他にいないか?いないなら、クラス代表は織斑になるぞ」

 

「ちょっと待ってくれ!千冬姉っ!!」

 

そう言い一夏は立ち上がるが・・・・・

 

「織斑先生だ。二度は言わん。ちゃんと覚えろ」

 

「うっ・・・・織斑先生。あ、あの…これって拒否権とかは?」

 

「あるわけないだろ?お前も男なら腹をくくれ」

 

そう言われ一夏は黙って座る。

 

「誰もいないようなら、これで・・・・」

 

千冬さんがそう言いかけた時だった

 

「納得いきませんわっ!!」

 

セシリアは机をバンッっとたたき立ち上がる

 

「納得いきませんわ!なぜ私が選ばれないのですか!このイギリス代表候補生のセシリア・オルコットがっ!」

 

と、大きな声で怒鳴る。それを聞いた杉田は

 

「(だったらなぜ自分で名乗り出なかったのよ。さっき千冬さんは自推でも構わないって言ってたのによ」)

 

と、内心イライラしながら黙って彼女の言葉を聞いた。

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんて良い恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえといおっしゃるのですか!?」

 

‥…何言ってるんだこいつは?なんで男だとだめなんだ?それだけの理由でこんなに子供みたいに喚いているのか?

 

「それにですわ!文化も後進したこんな極東の島国に暮らすこと自体私には耐えがたい苦痛で・・・・」

 

セシリアはさらにヒートアップしさらにこう言う

 

「それに日本なんてちっぽけな国、イギリスの助力なしだったら40年前の第三次大戦でとっくにナチスに滅亡されていましたわ!その感謝を忘れているんじゃないですの?」

 

・・・・・・今、なんていった?イギリスの助力なしでは日本は滅亡しただと・・・・・ふざけるな。確かに私たちは太平洋、欧州でイギリスと共闘してナチスと戦ってきた。それは認めるが、しかしイギリスもあともう少しでナチスによって陥落されそうになったのを日本・アメリカなどの連合軍と協力し合ってこれを回避することができた。無論逆もしかりだ。だがあいつらは決してそれを鼻に掛けようとせず、むしろ持ちつ持たれつの仲で一緒に戦ってきたんだ。そんなことを知らず勝手なことを言う彼女に私はだんだん腹が立ってきた。すると・・・・

 

「イギリスも日本と同じ島国だろう。それに世界一まずい料理で何年覇者だよ」

 

織斑も言い返す

 

「あ、あ、あなたねえ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

セシリアがさらに怒るが・・・・・

 

「その言葉そっくり返しましょかオルコットさん」

 

すると今まで黙っていた清美が立ち上がる。

 

「な、なんですのあなたは!」

 

「オルコットさん。一つ聞く。あなた日本が嫌いなんですよね?後進国だから耐えられないんですよね?」

 

「え、ええ…そうですわ」

 

「なら、なんでお前は今この国にいるんですか?」

 

「・・・・え?」

 

「日本が嫌いなら、なんでここにいるんですか?いやなら帰ればいいじゃないですか。それにですねそのISの開発者が誰だか知ってますか?あなたの嫌う日本人だぞ。それにお前はイギリスの代表候補生なんだろ?代表候補っというのはその国の代表だ。今お前の言っていることはイギリスの声なのか?」

 

私はだんだんと口調が昔に戻っているがそんなことは気にせず発言する

 

「あ・・・・・いえ・・・」

 

セシリアも少しは事の重大さに気付いたのか少しばつの悪い顔をするのだがそれと同時に私のことを睨んでいるように思えた。

 

「だったら、そんなことを言うのは控えろ。下手をすると戦争に発展するほどの発言だぞ・・・・・・・それと織斑。お前も馬鹿にされたとはいえその国を馬鹿にしていい理由にはならないよ。それにお前はイギリスの料理はまずいと言ってたな」

 

「あ・・・ああ」

 

「お前はイギリスの料理食べたことがあるのか?」

 

「え、いやそれはないけど」

 

「食べたこともないのにそう言う発言は感心しないよ。それになイギリスにお結構美味い食べ物や料理とかあるんだぞ。例えばスコーンやスティッキートッフィープティング。特に紅茶が一番美味い。香りもよく味もよくちょうどいいくらいの熱さなのよ。」

 

実際私には元の時代イギリス兵の戦友がいた。そいつとは暇なときはよくお茶会をしたもんだ。

 

「うっ・・・・すまない」

 

織斑もさすがに悪いと思って謝罪する。しかし・・・・・・

 

「決めましたわっ!」

 

するとさっきまで私のことを睨んでいたセシリアが立ち上がりそしてどこからか出したか知らないが白い手袋を私や織斑の顔目掛けて投げ私はそれをキャッチした。織斑はわけがわからんという顔をしていたが、当然私はこの意味を知っていた。

 

「‥…セシリアさん。この意味は本気ですか?」

 

「ええ、本気ですわ!あなたと織斑さんに決闘を申し付けますわっ!」

 

私と織斑に指をさしてそう言う彼女

 

「おう、いいぜ。四の五の言うよりもわかりやすい」

 

織斑はやる気のようだけどなめんどくさいことになってしまったな。まあ、その原因を作ったのは私なんだけどね、やれやれ・・・・

 

「言っとくけど、私はするつもりはないわよ。戦う理由もないし」

 

私は喧嘩は好きだが無意味な喧嘩はしない主義。だけどこの後セシリアはとんでもないことを言った・・・・

 

「あら、逃げるんですの?やっぱり日本人は昔から臆病なのですね40年前の大戦もISがあれば無様に無駄死に(・・・・・・・)した兵士もいなかったですのに・・・・」

 

なんだと・・・・・・今なんて言ったこいつは・・・・

 

「お、おいオルコット!」

 

織斑先生は私が怒りで震えていること気付きセシリアを止めようとした。だが既に遅し・・・・・

 

バキッ!!

 

「「「「っ!!?」」」」

 

すさまじい音に生徒と教師全員がその音のがしたところに目を向けるするとそこには机素手で真っ二つにし怒り心頭の杉田清美の姿だった。髪は逆立ちその目はギラギラと光っている。そして机を殴った手は血で赤く染まっていて血がぽたぽたと垂れていた。

 

「き~さ~まぁ~~!!!!!もう一変言ってみろっ!!この野郎がぁ!!!」

 

口調も元の口調に戻ってしまい、彼女はすさまじい殺気を放つ。

その殺気が教室中に蔓延し、生徒たちは震え一部の女子はその殺気に耐えられず気絶する者もいた。杉田は怒った。自分のことを馬鹿にされるのはまだ耐えられる。だがしかし、あの大戦。祖国や平和のために命懸けで戦い死んでいった仲間たちのことを馬鹿にされたのが絶対に許せなかったのだ。

 

「喧嘩上等だこらぁ小娘!いいぜ、その決闘受けてやる。首洗って待ってろセシリア・オルコット。お前にはな生き地獄っていうのを見せてやる」

 

そう言い、杉田は教室を出ようとする。それを見て山田先生は声をかける

 

「どこに行くんですか杉田さん?」

 

「…この手見ればわかるでしょ?保健室ですよ。それと私もクラス代表の決定戦に出させてもらいます」

 

そう言い杉田は教室を出て行った。そしてその後しばらくまるで台風が去ったかのように教室は静まりかえっていた。

 

「やれやれ・・・・・とんでもないことになってしまったな。では来週の月曜日の放課後にクラス代表を賭けた勝負を行う。場所は第三アリーナで行う。それまで織斑とオルコットは準備するように決闘の順番は当日に説明する。」

 

織斑先生は話すがみんなさっき杉田が放ったさっきのせいで固まっていたのだった

 

「(な、なんですの。あの殺気は?)」

 

殺気をぶつけられたセシリアはただわけもわからず震えているのだった。

 

一方、杉田は保健室で手当てを受けてベットに座っていた。そして保健室にあったパソコンでとあるものを調べていた。

 

「・・・・・・やっぱりセシリア・オルコットはあいつの・・・・・・・くそったれ!」

 

そう、小声で悪態をつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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新たな翼

クラス代表者決定戦でセシリアに決闘を申し込まれた清美。最初は断ったのだがセシリアが自分のいた時代第三次大戦で死んだ戦友やひとびとを馬鹿にした言い方に清美は激怒し、その決闘に応じたのだった。だがしかし決闘を引き受けたのはよかったのだが一つ問題があった。それは・・・・

 

「IS、どう動かせばいいんだ?」

 

そう、肝心のISの操縦感覚がわからないのだ。教科書に書かれていることは前に親友でありISの初代の生みの親である道子に説明されたから頭に入っているしかし、聞かされたのと実際に動かすのとはわけが違う。しかし・・・

 

「まあ、ISの訓練機で身体を慣れさせるしかないなこれは・・・・」

 

彼女はどんな時でも前向きだった。ISの操縦方法は頭に入っているあとは体で覚えるしかないのだ。これは彼女が訓練兵の時だったころと同じだった。そして清美がIS訓練機のある格納庫へと向かう最中あるものが目に入るそこには「剣道場」って書かれていた

 

「剣道場か・・・・・精神統一がてらやるか。防具や竹刀はあっちで貸してくれるだろう」

 

そう言い清美は道場の中に入る。すると・・・

 

「どういうことだっ!?」

 

「ん?」

 

中に入ってみるとそこには防具を付けて尻もちついている一夏と竹刀を片手に仁王立ちをする箒だったか?その子が立っていた。あいつらも剣道か?

 

「いや、どうって言われても・・・・」

 

「どうしてそこまで弱くなっている!中学では何部に所属していた!」

 

ほほう・・・箒の言葉を聞く限り一夏も剣道をやってたみたいだな

 

「い、いや~中学は帰宅部!3年連続皆勤賞だ!」

 

ほう、それは感心。最近の若者に比べて一夏はまじめだな・・・・・・・・って何、年寄り臭いことを考えているんだ私は・・・・そんなことを考え私は貸し出し用っと書かれていた防具を見つけそれを身につけようとする。竹刀はどこかな?・・・・私が竹刀を探していると一夏が私の存在に気付く

 

「おっ?杉田さん。手の怪我大丈夫なのか?」

 

「こんな傷大したことないわ。それよりも一夏あなたはここで何してるの?」

 

そう、こんな手の傷あの戦争で散った人たちのことを考えれば傷のうちに入らない・・・

 

「い、いや…箒にISを教えてもらうはずだったんだけどなぜか・・・・」

 

「だから、お前の場合ISを動かす以前の問題だ!だから毎日放課後の三時間は剣道の練習だ!」

 

「そ、そんな~」

 

と、箒は怒鳴る。まあ話の内容から大体想像はついた。

 

「・・・・で杉田さんはどうしてここに?」

 

「私?ISを動かす前に精神統一でもしようかっと思ってね」

 

「え?杉田さん剣道できるの?」

 

「友人が剣術をしててね。よく一緒にやったものよ」

 

「精神統一って大切なのか?」

 

「当たり前よ。いついかなる時も精神が安定でないと失敗しやすいものなのよ」

 

特に戦場では冷静さをかけると命を落とすことになる。だから戦場やスポーツ。いついかなる時でも冷静さを忘れてはいけない。私に飛行訓練を教えてくれた教官の言葉だ。その言葉は今も私の中に生き続けている。

 

「へ~そうなのか・・・・」

 

一夏は納得したように言う。すると・・・

 

「おい貴様!一夏に話しかけるな!」

 

と、箒に言われた・・・・・なんで?

 

「なんで?」

 

「なんでって・・・いま一夏は私と話をしているんだ!」

 

何言ってるのこいつ?もしかして・・・・・

 

「織斑がほかの女性と話しているのを見てやきもちか?」

 

「っ!?」

 

私の言葉に彼女は顔を赤らめるどうやら図星のようだ

 

「き、貴様には関係ないだろ!」

 

そう言い、彼女は私に竹刀を持ったまま襲い掛かる。やれやれ・・・・私より血の気が多い子がいるなんてな・・・まあ余計なこと言ったのは私なんだけどな。私はその一撃をひょいっっと交わした

 

「竹刀をふるうのが乱暴すぎ、もっと冷静になって打ち込みな」

 

「なっ!?黙れ!」

 

そう言い箒は何度も私に斬りかかろうとする(竹刀で)。だが私はそれをひょいひょいとかわす。本当にこいつ道子の孫か?あいつの腕は結構強かったのだが・・・・・・まあそれは個人差があるから仕方ないか。しかし彼女の振るう剣はまったく怖くないし、また大振りがないため読まれやすい・・・・調べたところ箒は剣道全国大会のチャンピオンって聞いたけど本当に剣道経験者か?まるで素人みたいだ。

 

「おのれ!ちょこまか逃げず堂々と戦え!」

 

堂々て・・・・私今竹刀を持ってないのよ。丸腰相手の人にそんなこと言うか普通。そんなことを考えながらも私は彼女の攻撃をかわす

 

「どうしたの?あなたの剣技ってこんな程度?これならあなたの祖母、道子のほうが強かったわよ」

 

「なっ!どうして貴様が祖母の名を!?」

 

「隙ありっ!」

 

その言葉に箒は動揺し隙ができる。そして私は箒の腕をつかみ組み伏せた。これは近代軍事格闘術CQCだ。

 

「勝負ありね篠ノ之箒。あなたに欠けているのは冷静さよ。ISも同じだけどどんなにかっかしても体やそのISの機体が性能以上の働きはしないし、それどころかかえってミスをするわ。私はこれで去るわ。あなたの友人との二人っきりの時間邪魔して悪かったね」

 

そう言い私はその場を立ち去ろうとする。最早入った瞬間精神統一どころじゃなかったかもしれなかったからね・・・・

 

「ま、まてっ!」

 

すると箒は立ち上がる

 

「なぜ、貴様が私の祖母、篠ノ之道子の名を知っていた!」

 

そう言えばうっかり言ってしまったな・・・・どういって誤魔化そうか・・・・すると・・・

 

「杉田がなぜお前の祖母を知っている理由はな、彼女の祖母がお前の祖母の道子さんの友人だったからだ」

 

と、そこへタイミングよく千冬さんがやってきた。まあ、誤魔化す単語としてはそれ以外ないだろう。

 

「千冬姉・・・・・」

 

「織斑先生だ馬鹿者。それと杉田。お前に渡すものがある。ちょっと来い」

 

「・・・・・わかりました」

 

私はそう言い黙って千冬さんについていった。その時の箒の目は負けた時の悔しさかじっと私のほうを睨んでいたのだった。

 

「千冬さん。先ほどのフォロー助かりました。」

 

私は廊下を歩きながら千冬さんに礼を言う

 

「まったく。危うくぼろを出すとこだったぞ。たまたま私が一夏の様子を見に来たからよかったがな。それにしてもお前が剣道をたしなんでいたとは意外だったな」

 

「ええ。よく道子と一緒にやっていたので・・・・・そう言えば千冬さん。私に渡すものって何ですか?」

 

「ああ、実はなお前宛てにISが届いたんだ」

 

「IS?誰からだったんですか?」

 

「イニシャルしか書いてないからわからん。確か・・・・M・Sっと書かれてたな。それとこんな紙もつけられていた」

 

そう言って千冬さんはある紙を私に渡す。その紙に書かれた内容は『せめてもの償い』っと書いてあった。何の意味だこれは・・・・そうしているうちに私と千冬さんはIS格納庫につく。そして目の前には布で隠された大きな物体があった。

 

「これだ」

 

そう言って千冬は二のを取るするとそこには深緑のISがあった。しかもそのISには一本の赤いストライプがあった。見た目は初めてこの地に来た時資料で見た白騎士のISと似ていたが、全く違う。このISは・・・・

 

「これは・・・・・道子が作ったIS」

 

塗装が違うが間違いない昔道子が見せてくれたISだ。だがなんで道子の制作したISがこんなところに、もしかして差出人のM・Sって・・・・

 

「千冬さん。こいつの武装は?」

 

「資料を見る限り、武装は刀一本に20㎜機関砲が二つ備え付けられている。まあ、とりあえず乗ってみろ乗り方は教科書を暗記しているお前ならできるだろ?」

 

「わかりました」

 

そう言い私はそのISを装着する。不思議な感じだまるで紫電改と乗った時と同じ感覚だ。そして私の目の前に画面が移る。それはこの機体の名とスペックっが書かれていたそして私の愛機になるそのISの名は・・・・

 

「・・・・・紫電」

 

私の前の愛機紫電改と同じ名であった。

 

 

 

 

「ふあぁ~さすがに疲れたわね・・・・」

 

そのあと私は夕暮れになるまでIS紫電の機体になれるために試験飛行をしていた。基本ISの操縦はそんなに難しくない。要は想像力の問題だ。よって私も戦闘機を操縦するような感覚で飛んでいた。まあ、普通の飛行機とは違い両手両足が仕えるうえ身体をひねって小回りができるのが利点だ。

 

まあ、そんなんことはさておき私は疲れでだるくなった身体を引きずり自分の泊まる領の部屋を探す。そして私は千冬さんに渡された部屋番号を見てその部屋にたどり着く

 

「・・・・・・ここか」

 

私はその部屋をノックする聞けばIS学園の寮は二人一部屋。もしかしたら先客がいるかもしれないからだ。するとドアが開く。

 

「はい?誰?」

 

そう言いドアを開けたのは青い髪で眼鏡をかけた少女だった。

 

「え?ああ。私は今日からここで生活するように言われた杉田清美って言います。」

 

「そう、あなたが杉田さん?私は更識簪。山田先生から話は聞きました。どうぞ。あなたの荷物も届いているから」

 

「ありがと。それじゃあ、お邪魔します」

 

そう言い私は部屋の中へと入る。そして中に入れてくれた子は部屋の据え付けのパソコンに向かっていた。私は部屋の奥にあるベットに腰を掛けるなぜならそこに私の荷物があったからだ。

 

「あなたのことはクラス中話題になっているわよ杉田さん。イギリスの代表候補生に決闘を申し込まれたとか素手で机をたたき割ったとか・・・」

 

あの出来事のこともうそこまで広まっているのか・・・まあ、素手で机を真っ二つにする学生なんて見たことも聞いたこともないからそりゃ話題になるか・・・

 

「手の怪我は大丈夫なの聞けば出血したって聞いたけど・・・」

 

そう言い彼女は包帯だらけの私の右腕を見る

 

「大したことじゃないわよ。ほら、もう握ったり離したりできるから」

 

そう言って私は右手をぐーぱーさせる。

 

「そう・・・・よかった。でも杉田さんはなんであんなことしたの?」

 

「・・・・・許せなかったんだよ」

 

「え?」

 

「あのイギリス代表候補生がな絶対に許せないことを言ったんだよ。訳はあまり聞かないでくれ」

 

あいつの放った言葉は本当に許せない。だからこそ私はあいつと戦わなくてはならないのだ。

 

「・・・・わかった。1週間後の試合頑張ってね」

 

「ああ、ありがとな更識」

 

私は簪に礼を言い、ベットで横になるすると瞼がどんどん重くなりそしてそのまま眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 



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クラス代表決定戦 狂犬飛翔する

あれから数日、クラス代表を決める試合の日、私はいつものように朝起きて食堂に向かう。

 

「あら、杉田さん?おはよう」

 

「ああ、食堂のおばちゃんおはようございます」

 

食堂につき私は食堂のおばちゃんに挨拶をする

 

「で、今日は何にするんだい?」

 

「そうね・・・・・・じゃあ、和食定食の大盛。それと羊羹」

 

「あいよ。そういえば今日試合みたいだってね。相手はイギリスの代表候補生なんだろ?」

 

「大丈夫ですよ。大和魂で乗り切ってみますよ」

 

と、笑って言うと

 

「あははっ!大和魂ねぇ~まるで戦争で戦った母と同じことを言うねあんたは」

 

「え?おばさんのお母さん第三次大戦に参加していたのですか?」

 

「ええ、なんでも陸軍の戦闘機隊に乗っていたらしいわよ。確か・・・・隼だったっけ?まあ、そんなことはどうでもいいわね。ほら出来たわよ」

 

「ありがとうございます」

 

「試合頑張んな」

 

「ええ、一生懸命頑張ります。」

 

私は定食を受け取りおばちゃんにお礼を言って席について朝食にした。今日は焼き魚か・・・・私の好物だ。私が焼き魚を食べていると・・・・

 

「あ~キヨキヨだ~」

 

と誰かに声をかけられ振り向くとそこには〇カチ〇ウ?いやあれはキツネかそう言うパジャマを着た服の少女と他二人の少女がやって来た。

 

「確かあなたは同じクラスの・・・・・」

 

「あ、私、谷本癒子」

 

「私は鏡ナギ。よろしくね」

 

「布仏本音だよ!隣いい?」

 

「え?ええ、いいよ」

 

私がそう言うと三人は私の隣に座る

 

「ところで本音さん…そのキヨキヨって何?」

 

「え?だってキヨキヨの名前杉田清美でしょ?だからキヨキヨ♪」

 

とノリノリに言う本音さん。なんかこの子を見ると道子を思い出すわ・・・・彼女も大体あんなノリだったし・・・・

 

「そう言えばふっと思い出したんだけどさ。杉田清美って昔いたよね?確か第三次大戦くらいのエースパイロットに・・・」

 

その言葉に私はわずかながらに反応をする

 

「あ~そう言えばそうだよね顔写真とか遺品とかあんまり残されていないらしいけど」

 

そっか・・・あいつら私の遺言書に書かれてたことちゃんとやってくれたのね。それはよかった。

 

「確か日本の女性戦闘機乗りの中で最多の撃墜数を記録してたんだよね~。」

 

「ナギちゃん。よっく知ってるよね~」

 

「え~?そんなの歴史の授業に出てるじゃん」

 

「ねえ、ねえ、もしかしてキヨキヨはそのエースパイロットの孫?」

 

孫っていうより本人なんだけどね

 

「いいえ、赤の他人よ」

 

「そうなの?じゃあ、同姓同名ってやつね」

 

「そう言うことよ。」

 

と、その後私は次第に3人と言葉を交わすうちに仲良くなりしばらく話していると

 

「お前たちいつまで食べているんだ!食事は迅速に効率よく食え!私は一年の寮長だ。授業に遅刻したらグランド10周だぞ!」

 

と、そこにジャージ姿の千冬さんがやってきてそう言い、みんな急いで食べ始める。へ~千冬さんってここの寮長だったのか・・・・

 

「キヨキヨ。急いで食べないとキヨキヨのごはん大盛だから・・・・」

 

「ご馳走様」

 

「早っ!」

 

「え?どうかしたの?」

 

「いや、だって杉田さんのごはん山盛りだったじゃん!いつの間に完食したの!?」

 

軍隊ではすぐに行動できるように早く食べることが鉄則になっている。それにあの量、私から見てなんとも思わない。

 

「ついさっきだけど?。それじゃあ私行ってくるね」

 

「キヨキヨ。試合頑張ってね~」

 

「あのくるくる女懲らしめちゃってね!」

 

「がんばってよ!」

 

私は三人に応援されながら試合会場である場所へと向かうのであった。

 

そしてアリーナのピットに到着するとそこにはまだ誰も来ていなく静かだった。外を見ればセシリアがISを展開させて空中待機している。おかしい第一試合は一夏とやるらしいが肝心の一夏がまだ来ていない。するとそこへ山田先生が来た

 

「あ、ここにいましたか杉田さん」

 

「ん?山田先生。どうかしたんですか?それに第一試合で出るはずの織斑一夏がいませんけど?」

 

「ええ、そのことなんですが実は先ほど織斑君はその「専用機」が今、届きまして……」

 

「ああ、なるほど分かりました。最適化に時間がかるから試合予定を変更して私が最初にセシリアさんと試合することになったんですか?」

 

「え、ええ・・・すみませんいきなりこんなこと言って」

 

「いえ、山田先生の責任じゃないですよ。それに私もちょうど出撃したくてうずうずしていましたからね・・・・・」

 

そう言い私は自分のIS・・・「紫電」を展開させる。

 

「織斑先生から聞きましたがそれが杉田さんの専用機ですか」

 

「ええ、「紫電」これが今の私の愛機よ。ところで山田先生。一つ聞いていいですか?」

 

「はい。なんですか?」

 

「この横に書かれている「ブルーティアーズ」とは何ですか?」

 

「それはセシリアさんが使用しているISで遠距離射撃型のISです」

 

「そうですか。助かりました。では行ってきます」

 

「はい頑張ってくださいね杉田さん」

 

そう言い山田先生は自分の仕事場に戻っていった。

 

「頼むな・・・・相棒」

 

私がそう言うと

 

「杉田。いつでもいいぞ」

 

と、千冬さんがアナウンスが聞こえる

 

「そんじゃま行きますか」

 

そう言い、私はカタパルトのような噴出機に足を乗せる。なんだろうまるでガ〇ダムのあれのような感覚だ。そして

 

「501杉田二番出撃する!」

 

そう言い私はカタパルトによる助走で一気に飛び立つのだった。そして上空を飛ぶとそこにはセシリアがいた

 

「あら、逃げずに来たんですか?」

 

「ええ、敵前逃亡は士道不覚悟でね。ましては気に入らない奴相手に向ける背中はないわよ」

 

「そうですか。でも、最後にだけチャンスをあげようと思ったのですが?」

 

「チャンス?自身の過ちを認める気になったのか?オルコット」

 

「違いますわ。あなたは専用機を持っているみたいですが見ればそのISは第1世代と第2世代の中間ぐらいのスペックでしょ?それにIS経験の少ないあなたじゃあ、負けは必然。私は一方的な勝利を手にするのはもう決まってますわ。だから今ここで謝るというのなら辞めてもいいのですよ?」

 

と、セシリアは鼻で笑いながらそう言う。全くどこまでふざけた奴だ・・・

 

「はっ!言いたいことはそれだけ?言っとくけどあまり相手をなめてかかると痛い目に合うわよオルコット?それにね私はあんたの言ったことが許せない」

 

「あら?何をですの?」

 

「あんたが言った第三次大戦で戦死した奴らを侮辱した言葉。絶対に許せないってことよ。だから私はあんたに降参もしないし謝る気もないわ」

 

「そうですか…それなら・・・・・・」

 

セシリアがそう言うと私の紫電にあるウィンドウ画面から警告アラームが鳴り『敵IS攻撃態勢に移行』と書かれていた。

 

「お別れですわね!」

 

 

そう言い、セシリアは大きなプラズマライフルで撃ち私はそれをよける。

 

「よく避けられましたわね」

 

「あれで避けられなかったら軍人辞めてるわ」

 

「軍人?」

 

「いえ、こっちの話よオルコット・・・・それにしても今の状況でもあなた勝った気でいるね?」

 

「当たり前ですは素人相手に私は負けるつもりなんてありませんもの」

 

「そうかい?それじゃあ、あんたには本当の戦い(戦争)を教育してやるわ」

 

そう言い、杉田はスマホを取り出す

 

「な、何の真似ですか?」

 

セシリアの言葉を無視し杉田がスマホをいじると音楽が流れ出すその音楽とは「Ride of the Valkyries」だった。

 

「さて‥‥黙示録でも始めましょうか?」

 

と、彼女は狂気的な笑みを見せるのだった。

 

 



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空の誇り

試合が始まり、ワルキューレの騎行の音楽が鳴り響く中、セシリアはビームライフルで杉田を撃つ

 

「さあ、踊りなさい!私セシリア・オルコットとブルーティアーズの奏でるワルツで!!」

 

「残念だが、私はワルツは踊れないわ。攻めて盆踊りくらいね」

 

「くっ!減らず口を!!」

 

そう言い、セシリアはライフルを撃ち、杉田はライフル弾をよける。

 

「あら?結構やりますわね?極東の島国にしてはいい腕じゃないですの。褒めて差し上げますわ」

 

完全に馬鹿にした顔でそう言うセシリア。それを杉田はじっと見る

 

「・・・・・」

 

「所詮。素人しかも東洋人がISを使うだなんて百年早いですわよ」

 

彼女のその言葉に清美は脳裏には同じ空を共に飛んで戦った戦友の言葉が浮かんだ。それは国は違えど共に空を戦った戦友の言葉だ。

 

『わたくし、人種差別もとい男女差別は大嫌いですの。私たちが飛ぶ空には国境も男も女も人種もそして肌の色も関係ない自由な場所よ。そうですわよね清美さん?』

 

その言葉は杉田にとって道子と同じ親友っといってもいい間柄の人の言葉だ。

 

「・・・・・ざけんじゃねえぞ・・・・小娘・・・」

 

すると清美の目がまるで狂犬のように獰猛で鋭い目つきに変わった。

 

「(さて・・・・本気出す前にちょっと遊んでやるか・・・・)」

 

清美はニヤッと笑うのであった。

 

 

 

「始まりましたね織斑先生・・・・」

 

「ああ・・・始まったな」

 

観客席で千冬と山田先生は試合を見ていた。

 

「織斑先生この試合どちらが勝つと思いますか?」

 

「十中八九。杉田だな。」

 

「え?なぜですか?確かに彼女は軍人ですが、ISの戦いだとセシリアさんのほうが有利じゃ・・・・」

 

「確かにそうだがな。昨日、杉田はISになれるため練習をしていたんだ。その時私も立ち会ったのだが・・・・」

 

千冬はそう言うと冷や汗をかく

 

「どうしたんですか織斑先生・・・・・・まさか!?」

 

「ああ、そのまさかだ。初めてISを動かした杉田だったが私から見たら熟練が操縦しているような腕前だった。そこで私は杉田と模擬戦をしたんだ。結果は私の完敗だったよ」

 

「お、織斑先生負けたんですか!?」

 

と、山田先生は驚く。彼女が驚くのも無理はない。織斑千冬は引退してあまりISに乗っていなかったが、彼女はかつてIS操縦者の中ではトップクラスで数々の公式戦での無敗記録を出したほどの腕前だ。そんな彼女がIS初心者である杉田に負けたと聞いて驚いた。

 

「山田先生。別に驚くことはない。確かに私は昔、数々の大会で勝ってきた。だがそれは平和な時代・・・・スポーツでの話だ。私と杉田では一つ大きな差がある。それは・・・・」

 

「それは?」

 

山田先生が聞くと

 

「本当の戦争での戦いの経験だ。彼女はこの時代では誰よりも本当の戦争を知っている。模擬戦をしたときそれを嫌ッというほど叩き込まれたよ。さすがは『狂犬』。世界最強の戦闘機乗り疾風村正大尉の補佐をしていただけあるな・・・・・」

 

千冬さんは空を見上げそう言うのだった。そしてその上空では

 

「なんで当たらないのですか!」

 

セシリアは杉田にビットや自身の持っているライフルで攻撃をするが杉田はひょいひょいと躱す。射発も当たらないためセシリアはだんだんイラついてあてずっぽうに攻撃をする。

 

「(やれやれ…下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるってか?全然ダメだね。これならまだ武装親衛隊かそれかあいつ(・・・)のほうがよっぽど骨があったわね・・・・)」

 

と、杉田はあきれ顔でそのビームをよける。

 

「な、なんでIS初心者相手のはずなのに攻撃が当たらないのですの!」

 

と、セシリアはイラついて言うと杉田は

 

「あんたの場合、慢心及び武器に頼りすぎているのが多いのよ。それに相手のことをよく見ないで撃ってるそれじゃあ当たるはずないわよ。セシリア」

 

「だ、黙りなさい!!」

 

と、セシリアは杉田の言葉に怒りビームを放つがこれもすべて避けられる。

 

「どうしたの?これがイギリス代表候補生の実力?全然ね。私に掠りもしていないわよ」

 

「う、うるさいですわっ!!」

 

そう言い彼女はビームライフルと狙撃ビットで杉田を攻撃する。すると杉田はため息をつき

 

「セシリア、相手を撃つって言うのは・・・・・」

 

杉田は20ミリ機関砲の安全装置を外し、そして引き金を撃つ。そして杉田を狙っていた狙撃ビットは一発ずつの20ミリ弾で全機墜とされた。

 

「こういうことよ・・・・・」

 

「なっ!?」

 

正確な射撃で自分のビットが墜とされたのを見てセシリアは絶句する。それはそうだろう。早い動きをしているはずの狙撃ビットが全機墜とされたのだから。そのことにセシリア信じられない顔をするのだった。

 

「な、なんですのあなたは!?あ、ありえませんわ!?こんな射撃の腕誰もできるはずありません!!」

 

「そうかしら?少なくとも第三次大戦で戦ってきたパイロットたちはこのくらいの射撃の腕を持ってたわ」

 

「なっ!?そんなはずありません!あの大戦時にこんな人外なことが・・・!?」

 

「できたんだよ。しかも私の知る中で私の敬愛する人を除いて一人だけいるわよ。セシリア」

 

「な・・・・・いったい誰が・・・・」

 

と、セシリアは杉田にそう言うと

 

「『空は国境も男も女も人種もそして肌の色も関係ない自由な場所』」

 

「なっ!?その言葉は・・・・・」

 

セシリアは目を丸くする。

 

「イギリス空軍。リネット・オルコット中尉の言葉よセシリア・オルコット・・・・」

 

「っ!?」

 

セシリアはその名を聞き固まった

 

「あ・・・・あなた。なぜ、おばあ様の名を・・・・・」

 

「セシリア。お前の祖母リネット・オルコットの誇りをここで汚すつもりか?お前の祖母はいついかなる時も人種及び男女差別し昔散っていった仲間や先人たちを馬鹿にすることは一度もなかったぞ・・・・」

 

「う、嘘ですわ・・・・おばあ様があの戦争に参加していたなんて・・・・」

 

セシリアは動揺し信じられないような顔をする。それはそうか調べた所リネットの奴、戦後は自分があの大戦に参加していたこと隠していたみたいだからな・・・・

 

「信じるも信じないのもあんたの勝手よ。ただね・・・・リネットたちの誇りを・・・あの戦争で死んだ連中を馬鹿にしたことの責任。ここで取らせてもらうわセシリア・オルコット!!」

 

そう言い杉田は全速力でセシリアに接近。そして機銃をしまい刀を抜くそして刀の峰でセシリアの腹部を斬った。

 

「ぐっ!!」

 

強烈な衝撃と痛みでセシリアは気絶しそのまま落下したのだった。そして杉田は急降下してセシリアをキャッチし、地面にそっと置いた

 

「これが本当の空の戦いよセシリア・・・」

 

そう涼し気な顔で清美はそう言うのだった。そして

 

『ブルーティアーズ及びセシリア・オルコット戦闘不能。よって勝者杉田清美!!』

 

アナウンスが鳴り、杉田は気絶したセシリアの顔を見る

 

「これはちょっとやりすぎたかな?まあ、いいわ。とにかく彼女を医務室に運ばないと」

 

そう言い杉田はISの装備のまま気絶したセシリアを医務室で運ぶのだった。

 

「さて、次は一夏ね・・・・」

 

 

 

観客席

 

「か、勝っちゃいましたね・・・杉田さん」

 

「ああ、さすが日本女子最強のエースパイロットだな・・・・・さてオルコットの様子では一夏と戦うのは無理だから次は杉田と戦うな」

 

「大丈夫なんでしょうか?織斑君。最新型の専用機ですが?」

 

「山田先生。勝負の勝敗は武器の性能だけじゃない。それを扱う人間の問題だ。あいつは杉田相手にどんな戦いをするのかな・・・」

 

「弟さんが心配ですか?織斑先生」

 

「多少はな・・・・まあ、たぶん杉田はあいつを試す気だろうな」

 

「え?試す?」

 

そう言う千冬さんにやまだ山田先生は首を傾げ、そして千冬さんは自分の弟がいる格納庫方面を見るのだった。

 

 

 

格納庫

 

「す、すげ・・・・俺。杉田さんに勝てるかな・・・・・」

 

一方、ISを装着し待機していた一夏は先ほどの試合を見て冷や汗をかくのだった。その後、セシリアは完全に伸びていたため、次の対戦相手は杉田vs織斑一夏となったのだった。

 

 



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信念

クラス代表決定戦第一試合では杉田がセシリアを倒し勝利したそして第二試合では織斑一夏対セシリア・オルコットの試合になるはずだったのだが、セシリアは杉田との試合で完全にのびていたため次の試合に出るのは無理なため、第二試合は杉田と織斑一夏の試合となった。そして杉田は上空で待機していた。あれほど激しい戦いをしたのに杉田の顔には疲れの色がなかった。

 

「一夏、頑張れよ!」

 

「おう!箒任せてくれ!」

 

下で待機していた一夏は幼馴染である箒にそう答えて自分のISを展開させて上空を飛び杉田のところに向かった。

 

「待たせたな杉田さん」

 

「いいえ、休憩時間としてはちょうどいい時間でした」

 

と、杉田は落ち着いた表情で一夏にそういう。

 

「そ、そうか・・・・・」

 

と一夏がそう言うと杉田は20ミリ機関砲をしまい、代わりに腰にさしてある軍刀を抜く

 

「あれ?機関銃使わないんだ?」

 

「ええ、あの試合で弾を結構使っちゃってね」

 

「そ、そうなのか・・・・」

 

と、少し苦笑の混じった顔でそういう。

 

「だから私はこの軍刀で相手するわ。」

 

そう言い杉田は軍刀を抜く。すると

 

『試合開始!!』

 

と、試合開始の合図が出された。そして

 

「うおー!!!」

 

と、織斑が突進してきた。なるほど・・・・私が攻撃する前に攻撃ってわけか・・・・

 

「なら、私もチャンバラに付き合おうかな?」

 

そう言い、私も彼に向かって突進し、刀を振り上げると彼もそれにつられ彼のISに装備さえている刀を振り上げる。しかし

 

ドガッ!!

 

私は織斑のわき腹を蹴り上げた。さすがに私が蹴りを入れるとは思わなかったのか織斑はもろにその蹴りを喰らう

 

「なっ!?」

 

「剣を振り上げたからって斬撃が来るとは限らないわよ。織斑」

 

と、清美がそう言うと

 

「お前・・・・卑怯だぞ!!」

 

「卑怯?何を甘いこと言ってるのよあんた?確かにこれは試合だが蹴りをしてはいけないっというルールはないしこれは剣道ではないのよ」

 

「だが・・・」

 

「それにあんた。相手が自分の都合のいい戦い方をすると思ってた?だとしたらとんだアホね」

 

「な、なんだと!?」

 

そう言い一夏は雪片を手に彼女に斬りかかるが、杉田はひょいっと躱す。

 

「感情が高ぶって剣筋がバレバレよ織斑。もっと冷静に打ち込みなさい!!そんなんじゃ下手をすれば命を落とすわよ」

 

と、厳しい目でそういう。しかし一夏は

 

「うるせぇ!」

 

焦っているのか彼女の言葉が耳に入らず、急接近しては雪片を振りかざすが、何度も避けられる。それを観客席で見てた千冬は

 

「一夏のやつ・・・・完全に遊ばれているな・・・・いや、この場合、杉田に戦い方を教育されているな」

 

「教育ですか?」

 

「ああ、杉田の奴まだ本気を出していない。それどころか一夏に戦い方を教えている・・・・しかも剣だけでっというハンデをつけてな。あいつの実力はさっきのオルコット戦でも見ただろう山田先生」 

 

そう言い千冬はそう言い空を見上げるのであった。

 

「くそっ・・・なんで当たらねえんだよ」

 

「あなたの場合相手を見て攻撃をしていないし、ただ無意味に振り回しているだけ。それじゃあ当たるものも当たらないわよ。織斑。」

 

「くっ・・・」

 

「そっちの攻撃は終わった?それじゃあ次は私の番ね」

 

そう言い、彼女は突きの構えをする。

 

「行くよ・・・・覚悟はいいわね」

 

そう殺気を含めた冷たい声でそう言う。彼女は織斑に迫り彼の胴体目掛けて突きを炸裂させる。一夏はその攻撃を何とかかわすが、彼女はすぐに横薙ぎの攻撃をする

 

「うわっ!!」

 

一夏はその攻撃を瞬時に雪片で受け止めそして鍔迫り合いとなる、そして彼女はどんどんと押し。そして杉田の持つ軍刀の刃が一夏の首筋のところまで来る。一夏がやばいっと感じたその瞬間

 

「早く。切り返さないと・・・・死ぬわよ」

 

と、氷のように冷たい声が一夏の耳に入る。その声からして彼女が冗談を言っているようには聞こえなかった。そして一夏は彼女からあるものを感じた。自分とは違う。ましては姉である千冬とも違う何かを感じた。

 

「(な、なんなんだよ・・・・・これは)」

 

今までと違う杉田の気に押され、一夏は恐怖を感じた。このままじゃ本当に殺される。一夏はそう感じた。

 

「(俺は死なない!まだ死ぬわけにはいかないんだぁー!!)」

 

「っ!?」

 

そう感じ、一夏は杉田の刀を押し返した。それに杉田は驚き下がる。

 

「俺は死ねない!俺は誰かを守るために強くなりたいんだ!だから、ここで死ぬわけにはいかねえんだよ!」

 

「・・・・・・」

 

一夏の言葉に杉田の脳裏にある言葉が浮かんだ

 

『俺はな杉田。誰かを守るために強くならなきゃいけない。だから俺はここで死ぬわけにはいかないんだよ」

 

この言葉は自分の上官である疾風村正大尉が初めて自分と会った時言った言葉だ。初めて聞いた『死にたくない』っという言葉を聞いた時は激しい嫌悪感を抱いたのを覚えている。だが、しかし彼とともに戦っているうちに彼のその信念を貫く人柄にだんだんと惹かれたんだよな・・・・

 

「そう・・・・なら、織斑、本気で来なさい。(ここ)では女も男も関係ないわ」

 

「おう!言われなくても行くぜ!!」

 

そう言い織斑は私に向かってきた。しかも先ほどとは違い少しキレのある動きだ。どうやらさっきの出少し進歩し少しはましになってきたようね。恐らくこいつは・・・・これは私も少しだけ本気出さないといけないわね。そして私は得意の『平突き』で攻撃をするが織斑はとっさに避けるしかも平付きの死角を見つけて

 

「前よりもいい動きになって来たじゃないの織斑」

 

「もう、その技は通用しないぜ杉田!」

 

と、織斑は得意げにそう言うと左手を開いたり閉じたりしていた。そして

 

「行くぜ!!」

 

と、そう言い猛スピードで突進してきた。しかも小細工とかそう言うものは一切見えない。前言撤回。やっぱ全然進歩してない。私はすらっとその突進をよけ彼の後ろに回り込み羽交い絞めにし

 

「これで終わりよ!少しは冷静になって攻撃しな!このバカチンがぁ!!」

 

「え?うわぁぁぁぁぁぁー!!」

 

そう言い私は織斑を羽交い絞めにしたままバックドロップ態勢で急降下し、織斑は驚きの声を上げる。私は大戦時、隊長の得意戦法である「前上方背面垂直攻撃]をよくしていたのでさほど気にしていない。そして地面が近づくと

 

「ジ・エンド」

 

そう言い私は織斑を思いっきり地面にたたきつけた。無論、死なない程度に手加減してその衝撃ですべてのエネルギーが0になると共に、模擬戦終了のブザーが鳴り響いた。

 

『白式戦闘不能!勝者!杉田清美!!』

 

と、アナウンスの声とともに歓声が沸く。そして観客席では

 

「負けてしまいましたね織斑君・・・・」

 

「ああ・・・・まったくあの馬鹿は・・・・何も考えずに突進する奴があるか・・・・まっ。この試合を経験にあいつも少し成長するといいんだがな・・・・・」

 

千冬はそう言うのであった。一方、試合会場では

 

 

「いてて・・・・・負けちまったか・・・」

 

と織斑は頭をさすりながらそう言う。すると

 

「・・・・・織斑もう一回、訊いていいか?」

 

「なんだよ」

 

「お前は今、誰かを守るために強くなるため死にたくないって言ったな?」

 

「ああ、言ったさ」

 

「なぜだ?なぜおまえは力を守るために使うんだ?」

 

杉田が真剣な目でそう訊くと織斑は

 

「えっと。だって世の中って結構いろいろと戦わないといけないだろ?道理のない暴力って結構多いぜ。だからできるだけ俺はその強さや力を仲間や家族を守るために使いたいんだ」

 

と、一夏がそう力強く言う。それを見た杉田は

 

「(やっぱりこいつ・・・・・)」

 

織斑の言葉に杉田は敬愛する人物と重ねていた。そして杉田は一息入れこう言った。

 

「誰かを守るっね・・・・・あなたの意見。一見立派にはみえるけど、今のあなたでは無理ね。あなたの言葉は所詮戦場を知らない奴の戯言よ」

 

「なんだって?」

 

「聞こえなかった?じゃああ、わかりやすく言うわね。織斑。あなたの今の状況じゃ誰も守れないわ。今の戦いぶりを見てもせいぜい自分を守るのに精いっぱいの実力よ・・・・・」

 

「そんな「だからあなたはもっと経験を積み己を鍛えなさい」・・・・・え?」

 

「あんたの言う理想は間違ってはいないわ。だけどさっき言った通り今のあなたは誰かを守る力が完全に不足している。だから、あなたはもっと強くなれるように仲間と協力して強くなりなさい。私もできる限りの協力はするからな」

 

と、そう言い杉田は彼の後ろに振り向き去ろうとする。すると

 

「待ってくれ!」

 

と、一夏が杉田を呼び止める

 

「なに?」

 

「なんで、俺にそんな事教えるんだ?」

 

一夏がそう言うと杉田は

 

「ふっ・・・・・・あなたがあいつ(・・・)に似てたからだよ」

 

そう言い、杉田は格納庫へと戻るのであった。

 

 

 

 

 



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クラス代表決定と和解

織斑との試合が終わり、私はピットに戻る。因みに織斑は次はセシリアと試合するため上空にあがっている。そいて私がピットに戻りISを外す。私のIS「紫電」は腕輪となり私の腕に装着するすると

 

「ご苦労だったな杉田」

 

と、そこへ織斑先生がやって来た。

 

「どうも、織斑先生・・・・・」

 

「そう警戒した顔をするな杉田。安心しろ。別に私の弟を叩きのめしたのを抗議しに来たんじゃない。むしろよくやったと言いたいくらいだ。あいつにはいい経験になったはずだ。全くあいつめ・・・最後の最後で調子に乗るとわな・・・・」

 

「え?調子に乗る?」

 

「お前も見ただろ?お前の突きを躱している最中、あいつが左手を開いたり閉じたりしていたのを?」

 

「ええ、見ました」

 

「あれはあいつのクセでな。あれが出ると大抵簡単なミスをする」

 

「流石姉弟・・・・弟さんのことをよく見ていますね」

 

なるほど・・・・さっきのあのしぐさはそう言うことだったのか・・・私がそう思っていると

 

「で、どうだ?戦ってみて?」

 

と、織斑先生がそう言うと

 

「そうですね・・・・・まだ青いですね。ですがああいうやつは鍛えようによっては凄腕のパイロットになりますよ。ただしかなりの努力をしないと実らないですがね」

 

「本当か?」

 

「ええ、保証しますよ。これでも私は新人パイロットの教育係をしていた経験があるからな」

 

と、そう言い私は胸にしまっていた白い筒状の物を加えた

 

「タバコか?」

 

「いえ、ココアシガレットですよ。先生もどうですか?」

 

「いや、遠慮しておこう。それにしても次はオルコットと織斑の試合だが、どうだ?どっちが勝つか予想できるか?」

 

「そうですね・・・・・ISでの経験ならセシリアでしょう。ですがあなたの弟である織斑一夏はまだヒヨコですが何かを思い戦う意志が強い」

 

「ほ~なんでわかる?」

 

と、織斑先生はふっと笑いそう言うと

 

「簡単ですよ、あいつがうちの隊長と似ているからですよ」

 

「隊長?もしかして疾風村正大尉のことか?」

 

「ええ・・・・確証はありませんが何となく似ています」

 

そう、私が模擬戦をして感じたことは彼の思想や考え方はどことなく敬愛する隊長である疾風大尉と似ていた。

 

「そうか・・・・・で、どっちが勝つ?」

 

「恐らくセシリアでしょう。彼女が慢心せず戦えばの話ですが・・・・」

 

「なるほどな・・・・」

 

そう言い私と織斑先生はモニターを見てセシリアと一夏の試合を見るのであった。そして試合の結果、織斑はセシリアに苦戦しつつも先ほど私と模擬戦した時よりキレのある動きでセシリアと互角に戦ったのはいいが最終的にな結果は一夏のISのパワー切れでセシリアの勝利に終わった。

 

「勝負あったな。・・・・で、どうだ今の試合を見て?」

 

「なかなかいい試合でしたね。正直言ってどちらかが勝ってもおかしくはない試合でしたよ。それと織斑のISが変形したことは驚きです。まさかあのISにあんな機能が付けられていたとはね」

 

「そうか・・・・・で、杉田。クラス代表、お前はどうするんだ?」

 

「私は辞退しますよ。もともとクラス代表目当てではなく、あのセシリアにお灸をすえるためにこの模擬戦に志願したのですから」

 

「そうか」

 

「ええ、では織斑先生。私は一足先に部屋に戻っています」

 

 

そう言い私は織斑先生に一礼するとその場から立ち去ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてその夜・・・・

 

「織斑君!クラス代表おめでとー!!」

 

『おめでとー!!』

 

あの模擬戦から数時間後の夜、食堂では織斑一夏のクラス代表就任を祝うパーティーが行われていた。すると織斑は

 

「な、なんで俺がクラス代表なんだよ?」

 

と、まるで意味が分からないというような顔をしてそう言うと、

 

「そんなの簡単だ織斑。私とセシリアが辞退したからだ」

 

と、オレンジジュースを飲みながら私はそう言う。すると織斑の隣に座っていたセシリアも

 

「杉田さんの言う通りですわ。まあ、一夏さんとの勝負では勝ちましたがそれは考えれば当然のことなんせわたくしが相手だったのですから」

 

「よく言うわ。後0・5秒遅ければ勝敗は変わっていたじゃないのセシリア」

 

「な、それを言われるという言葉も出ませんわ杉田さん・・・・・それよりもわたくし今回の試合で自分が大人げなかったことや自分の過ちを反省して一夏さんにクラス代表の座を譲ることにしたのですの」

 

「そうか・・・・じゃあ、杉田は?」

 

「私はもともとクラス代表には興味なかった。だからもしも勝ったとしても辞退していたわ・・・・・お、この羊羹美味いな」

 

と、私は羊羹をかじり一夏にそう言う。すると周りの女子もうんうんと頷き

 

「うんうん。そうだよね~せっかく男子がいるんだから持ち上げないとね~」

 

「そうそう!」

 

「うんうん、そうよね~」

 

こいつら・・・・・一夏をお祭りの神輿と勘違いしている。すると

 

「人気者だな・・・・一夏」

 

「え?そう思うか?」

 

「ふんっ!」

 

と、一夏が箒と何やら話をしている中

 

「あ、あの・・・杉田さん」

 

「ん?なんだ?セシリア」

 

セシリアが声をかけるするとセシリアは頭を下げ

 

「先ほど、教室で言った暴言・・・・・あなたとそして第三次大戦でお亡くなりになった人たちへの侮辱、心からお詫び申し上げますわ。本当にごめんなさい……」

 

と、私に謝った。

 

「・・・・・いいよ。ちゃんと謝ってくれたんだし許すよセシリア」

 

「ありがとうございます杉田さん。・・・・・それと杉田さん一ついいですか?」

 

「ん?なに?」

 

「私の祖母・・・・・リネット・オルコットのことなんですが。あの試合の後、私はすぐに電話で母に祖母のことを聞いたんです『おばあ様は第三次大戦で戦ったのかって?』」

 

「・・・・・で、なんて答えたんですか?お母さんは」

 

「はい。お母さまは、最初は黙っていたのですが、すぐに祖母のことを話してくれました。『確かに祖母は10代~20代のころ第三次大戦で空軍のエースパイロットとしてナチスと戦っていた』とそう話してくれましたわ」

 

「そう・・・・」

 

「杉田さん・・・・あなた、なんで祖母のことを・・・・・身内であった私でも知らなかった秘密を知っていたのですか?」

 

セシリアに言われ私は目をつぶり、リネットのことを思い出していた。

リネット・オルコット。イギリス空軍中尉で初めて彼女と出会ったのは14の時、欧州へ派遣されたときのとある喫茶店でお茶を飲んでいた時、勘定の時お金が足りなくて困っていた時、代わりに代金を払ってくれたのが最初の出会いだった。その後日英合同基地で再開し、その後ともに戦っているうちに仲良くなった。あいつは義理堅くそして英国人らしき淑女でもあり友達思いな奴だった。聞けばあいつは道子が開発したISのテストパイロットもしたらしい、そして彼女もISの存在を道子と同じ不安がっていた。そう彼女も道子と同じ女尊男卑のくることを嫌がっていたからだ。彼女は根っからの人種差別をする連中が嫌いな奴だったから。私が彼女に再び出会った時、私はリネットにもし女尊男卑の世界が来るとしたらどうするんだ?と、訊いたら

 

『キヨミ。わたくしはできればそんな時代があったらそんな時代まで生きたくないわ。先ほども言った通り、わたくし、人種差別もとい男女差別は大嫌いですのよ』

 

と言っていたのを覚えている。そんなリネットもあの白騎士事件が始まる半年前に道子と同じ年に病気で亡くなったらしい・・・・・二人とも来るのを恐れていた女尊男卑の世界が訪れる前に・・・・

 

「・・・・・さん?・・・・・杉田さん?」

 

「え?あ、なに?」

 

「何じゃありませんよ。顔色が悪いでしたわよ気分でも悪いんですの?」

 

「いいや。悪くないよ・・・・・あ、そうそう。なぜ私がセシリアのおばあさんを知っていたかって話だったわよね?昔、私の祖母が話してくれたのよ。私の祖母、リネットさんの古い友人みたいだったしね」

 

「そうなのですか・・・・」

 

「そう言うことよ」

 

と、そう言うといきなりいきなりカメラのフラッシュが光る。私とセシリア。そして一夏たちがその光った場所へ顔を向けると

 

「はいはーい!新聞部で~す!話題の織斑一夏君と巷で有名な女子生徒マッドドッグ杉田さんに特別インタビューに来ました~!」

 

と、いかにも新聞記者のような恰好をした女子生徒がそう言った。てかマッドドッグって・・・・ここでも沿うあだ名がつくのかよ・・・・

 

「あ・・・あの・・・そのマッドドッグって?」

 

一夏が首をかしげると、新聞部の女の子は

 

「ああ、そのネームね。いや~杉田さんの戦い方ってなんか狂犬みたいでさ。特に素手で机をたたき割るところなんかまさに狂犬っと今学園中に話題になっていますからね~それで私たち新聞部はその暴れっぷりを見て狂犬の英語名『マッドドッグ』って名付けたんですよ!あ、杉田さんそのネームどうですか?」

 

「あ、そうですか・・・・まあ、良いんじゃないかな?」

 

向こうと大して変わらないし第一もっとひどいあだ名付けられたこともあるためもうそんなことは慣れた。すると新聞部のことは

 

「なるほど。では早速インタビューをします。織斑一夏君。クラス代表になったけど、今どんな気持ちか聞かせて?」

 

「う~ん・・・・まだなったばかりで混乱しているけどみんなの足を引っ張らないように頑張りたいです」

 

「なるほど、なるほど・・・・・では杉田さん、今回はすごい戦いを見せてくれましたが何か戦う時の勝利の秘訣は何ですか?」

 

「そうですね・・・・・・何事も諦めないこと。そして、相手にもそうだが自分にも負けないように日々鍛錬すること。そして・・・・」

 

「そして?」

 

「常に後ろに注意していることですよ」

 

「はい!ありがとうございました。杉田さん。まるで軍人みたいなこと言いますね~」

 

「そ、そうですか・・・・」

 

私は『それは軍人なんだから当たり前よ』っと言いそうになり急いでその言葉を口に出さず飲み込んだ。すると新聞部の子がカメラを取り

 

「それじゃあ、ここで二人の写真を撮りたいんだけど、セシリアさんも一緒にどうぞ」

 

「え?いいんですの?」

 

「はい。注目の専用気持ちだからね~、さっ!立って立って!」

 

そう言わ私と織斑とセシリアが立ち上がる

 

「それじゃあ、三人もと握手をしてもらえますか?」

 

と、そう言われ私は渋々握手をするセシリアは何だか嬉しそうだったが

 

「それじゃあ撮るよ~3・2・1!」

 

と、そう言いシャッターを切る。そして3人の周りにはクラスの生徒が全員揃っていた

 

「なぜ全員入ってますの!?」

 

「まあ、まあ、良いじゃないの集合写真だと思えばいいじゃん」

 

と、私はセシリアにそう言うと

 

「そうそう。キヨキヨの言う通りだよセッシー」

 

「それにセシリアや杉田さんだけ抜け駆けはないでしょ?」

 

「抜け駆けって・・・・」

 

「あはは・・・・・・」

 

本音さんたちの言葉に私と織斑は苦笑するのであった。その後、私たちは夜のパーティーを楽しむのであった。

 




感想や誤字脱字などお待ちしております。さて次回はとうとう中国から来たあの少女を出したいと思います


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何年ぶりの楽しさ

あの試合から数日後私たち一組は校庭に集合した。今日の授業は基本操縦の授業だ。

 

「それではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、オルコット、杉田、試しに飛んで見せろ」

 

「わかりましたわ!」

 

そう言い、セシリアがそう言いブルーティアーズを展開させる。そして、一夏も自分のISである白式を展開させようとするが

 

「・・・・あれ?」

 

一夏は必死に展開させようとするがなかなか展開できない。

 

「早くしろ織斑。熟練のIS操縦者は展開まで一秒もかからないぞ」

 

「え、・・・・」

 

千冬さんの言葉に一夏は困惑するがすぐに冷静になりのをつぶる

 

「集中・・・・・・来い!白式!!」

 

一夏は集中し白式を呼び出す。すると一夏の体が光りISを装着した。

 

「よし!次は杉田!!」

 

「了解・・・」

 

そう言い目をつぶる。そして

 

「(行くわよ紫電!)」

 

そう言い彼女の体が光り、そして深緑のISである『紫電』を装着した。それを見た千冬さんは

 

「良し・・・・飛べ!!」

 

千冬さんの言葉に三人は急上昇する。そして先にブルーティアーズが上空500メートルぐらいに到着し二番目に紫電、そして最後には一夏の白式であった。しかも一夏はまだ操縦性能になれていないのかふらふらと飛んでしかも速度があまり出ていなかった。すると

 

『遅い!スペック上では三機の中では白式の方が上だぞ!』

 

と、無線から千冬さんの声がする

 

「そ、そんなこと言われたって・・・・全然全然イメージがつかめねぇ」

 

と、やっと二人に追いついた一夏がそう言う。するとセシリアが一夏に近づき

 

「一夏さん、それはあくまでイメージ...自分がやりやすい方法を見つけた方が建設的ですわ。」

 

と、教えるが一夏はまだ理解できないのか首をかしげる。私は少しため息をつき

 

「一夏、あなた戦闘機のゲームとかそう言うのをしたことがある?」

 

「ああ、小さい頃ゲームセンターでシミレーション戦闘機ゲームをしたことがあるよ。結構本格的でさ操縦桿とかついててさ」

 

「それなら話が早いわね。要は想像力。授業で習ったものはたとえの一つに過ぎないわ。だから一夏、今あなたは戦闘機ゲームに出てくる飛行機を操縦していると考えて飛んでみなさい」

 

「こ、こうか?」

 

そう言い一夏は私のことを言ったことを実行すると先ほどよりはスムーズな動きになった

 

「そう、そう。先よりはいい動きになったわよ」

 

「あ、ありがとう杉田さん。何となくわかって来たぜ」

 

「そうか、それはよかった」

 

と、そう話しているとインカムから

 

「織斑、オルコット、杉田、急降下と完全停止をして見せろ

 

「「「了解!」」」

 

「では一夏さん、清美さんお先に」

 

そう言いまずはセシリアが急降下をしてそして地面から10メートル時点で減速をして着陸した。いい腕だな・・・・これは私も負けていられないね・・・・そう思い私も急降下した。急降下訓練は予科練時代何度もやっていた。その後、戦場では疾風隊長とともに爆撃機相手に急降下戦法を何度もやっていたので慣れている。あの距離なら急降下して10秒くらいで減速すれば行けるわね。

 

「じゃあ、次は私が先に行ってるよ」

 

そう言い私も急降下して無事着地した。それを見た一夏が

 

「上手いもんだな二人とも・・・・・よし俺も!!」

 

そう言い一夏は思いっきり突っ込むのであったのだが、その結果はスピードを制御できずグランドにつっこみ土埃が舞う

 

「一夏!!」

 

「織斑!」

 

それを見て彼の幼馴染身である箒が真っ先に向かう。すると土埃が晴れてそこにあったのは大きなクレーターであった。

 

「織斑君。大丈夫ですか!?」

 

と、山田先生が心配そうに見ると一夏が

 

「いって・・・死ぬかと思った・・・」

 

と、一夏は頭をさすりながら言うどうやら無事なようだ。それを見てみんな安心する

 

「それにしてもこれまた派手にやったわね・・・・」

 

「馬鹿者、グランドにつっこんで大穴を開けるバカがどこにいる?」

 

「す、すみません。」

 

と、一夏が謝ると箒が

 

「まったく!情けないぞ、一夏。昨日私が教えたことをまだ覚えて・・・」

 

と箒が言いかけた時セシリアがすぐさまクレーターを下り

 

「一夏さん!大丈夫ですか!?」

 

と、そう言い心配そうに言う。なんというかこの前の模擬戦で一夏と戦った時なぜか好意を持ったらしい。すると

 

「お前!一夏に何をしている!」

 

と、箒が食って掛かった。

 

「何って篠ノ之さん。相手に気遣うことは大切であり悪いことではありまあせんわ」

 

「お前が言うかこの猫かぶり!」

 

「あら?鬼の皮を被っているよりはましですわ」

 

「なんですって!!」

 

と、二人が言い争う中、私は一夏に近寄り手を差し伸べる

 

「立てるか?一夏?」

 

「ああ、ありがとう杉田さん」

 

そう言って一夏は私の手を取り立ち上がる

 

「それにしても、派手に衝突したわね。まるで500キロ爆弾が降ったような感じのクレータね一夏?」

 

「うっ…別にぶつかる気はなかったんだけどなかなか止まんなくてよ」

 

「急降下の最中、減速はしたの?」

 

「したんだけどその時はもう地面が目の前だったんだよ」

 

「それはタイミングが遅すぎるのよ。今のあんたの速度はかなり早い、一秒間に160メートルの速さね」

 

「じゃあ、どのタイミングで減速すればよかったんだよ杉田?」

 

「さあね。そればっかりは答えられない。これは教本やマニュアルじゃ書いていないことよ。それは自分の経験で掴むのが大切よ。書くいう私自身も何度も地面にぶつけてはタイミングを学んだものだわ」

 

「そうなのか・・・・・」

 

実際私も急降下訓練や実戦で何度も飛行機を壊したからね・・・・疾風隊長ほどじゃないけど。だけどその教訓が後の戦場での命綱になったんだっけね・・・・その後、一夏はグランドの穴埋めを命じられて穴埋め作業をした。

そして私はというと・・・・

 

 

「・・・はあぁ~穴だらけね・・・あ、ここのリベット取れている。機銃もプロペラも曲がっているわね。まあ、派手に無茶な着陸したからね・・・・・これはいろいろとやることが多いわね・・・・」

 

と、私は今格納庫の中にある紫電改の整備をしていた。幸いにもエンジンは死んではいなかったが周りは穴だらけで計器もボロボロでプロペラが曲がっている。

 

「どうだ?治りそうか杉田?」

 

そこへ千冬さんがやってくる

 

「ああ、千冬さん。幸いエンジンや、照準眼鏡も無事だけど機体がガタガタの穴だらけ、正直言って飛ぶことはできるが空中分解を起こす可能性があるね。どこか修理できるところがあればいいんだけど」

 

「そうか・・・・では修理に出す必要があるな・・・・どうだろう杉田。この紫電改、私に任せてはくれないか?知り合いに飛行機工学を学んでいる奴がいてな」

 

「・・・・信頼できる相手ですか?」

 

「安心しろ彼女は信頼できる」

 

「・・・・・そうですか。ではお願いします」

 

私は紫電改のことを千冬さんに任せて部屋に戻った。そして戻るとそこには・・・・

 

「あ、お帰り杉田さん」

 

と、ルームメイトである簪さんがいた。しかも相変わらずパソコンを使って何かの作業をしている。まあ、彼女のプライバシー覗くつもりはないが気になる…おっと、その前に汗とエンジンオイルを流さないとそう思い、私はシャワーを浴びるのであった。杉田がシャワーを浴びている中、簪はパソコン画面とにらめっこをしていた

 

「だめ・・・・このままじゃ…どうすればもっとエネルギー伝達効率をあげれるのかしら・・・・それに機動性も・・・・クラス対抗戦にまにあうかしら・・・」

 

簪は困った顔をしていた。すると・・・・

 

「これってISの設計図か?」

 

「あ、え!?す、杉田さん!?」

 

いきなり背後から声がし簪が振り向くとそこにはタオル一枚姿の杉田が彼女のパソコンを覗き込んでいた

 

「あ…あの・・その・・・これは」

 

「自分でISを作るなんて感心ね。それにこのデザインもなかなか・・・・・あ、簪、ここはこうした方が機動力をあげれるし、エネルギーの消耗も節約できる。それにその配線はこうしたほうが伝達率も上がるわよ」

 

「あ、それは盲点だったわ。・・・・・すごいす、杉田さん。詳しいんですね・・・・」

 

「知り合いにこういう系の天才がいたからいろいろ教わったのよ。それに私の将来の夢、技師とかそう言うのだったから・・・・」

 

そう、戦争にならなければ私はやくざや軍人の道を選ばず道子とともに技師になることを夢見ていた。

 

「そうなんだ・・・・」

 

「ねえ、簪さん。私も手伝っていいかしら?」

 

「え・・・でも。いいの?」

 

「ええ、ぜひ手伝わせて・・・・」

 

「杉田さん・・・・・わかった。ありがとう」

 

と、こうして私は簪のISをを手伝うことにした。その後私たちは、二人力を合わせてISの設計図をどんどん作る。そしてしばらく二人でISについて話し合い夢中になっていると簪が時計を見て

 

「あ、そろそろアニメが始まる」

 

「アニメ?」

 

「うん。ちょうど今の時間好きなアニメが始まるの。杉田さん。今日はここまでにしよう」

 

「そうね・・・・今日はここまでに相手残りは明日にしよっか。私もそのアニメのこと気にになるし一緒に見てもいい?」

 

「うん♪」

 

そう言い、私たちはその簪の進めるアニメを見たがこれがなんとも面白かった。そして私と簪は楽しく笑いながらアニメを見終わった後の感想を互いに話してた。・・・・・・何年ぐらいだろうかこんなに心の底から楽しい気持ちを感じながら笑うのを・・・・私はそう感じたのであった。

 

 

 

 

一方、私たちが楽しくアニメ鑑賞をしている中、IS学園の門の前で誰かが立っていた。そして

 

「・・・・・ここがIS学園ね・・・」

 

と、微笑んでいたのであった。

 

 



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中国から来た転校生

「ふあぁ~」

 

「おい、杉田さん大丈夫か?目に隈ができてるぞ?」

 

翌朝の教室で私は大きなあくびをし目をこすると隣の席にいる一夏が心配そう言う

 

「え?ああ・・・・昨日、ルームメイトと一緒にアニメ鑑賞パーティーをしていたのよ楽しかったわ~でも終わった時は深夜の三時だったけどねハハハ~」

 

と私は乾いた笑いをする。そう昨日私はルームメイトである簪と一緒に彼女のIS制作を手伝った後、アニメ鑑賞会をしたのだ。こう見えて私は大のアニメ好きでしかも今回見たのは私の好きなジャンルのアニメだったので夜遅くまで簪と一緒に視聴しその作品内容を語り合ったんだよな・・本当に楽しかった。

 

「さ、三時って・・・・ちゃんと睡眠取った方がいいぞ体に悪いし」

 

「どうもありがとね一夏。気を使ってくれて・・・・ふあぁ~」

 

と私はまた大きなあくびをする。本当に眠いわね・・・・こんな時目が覚める栄養剤買っとくべきだったわ・・・・・私がそう思っているとナギや布仏たちが

 

「そう言えばさ、もうすぐクラス対抗戦だったわよね?」

 

「そう言えばそうね。あ、そう言えば二組のクラス代表が変更になったって聞いている?」

 

「ああ、なんとかっている転校生に変わったんだよね?」

 

「転校生?今の時期にか?」

 

「うん中国から来た子ですって」

 

と、生徒の一人がそう言うとセシリアが胸を張って

 

「わたくしの存在を今更ながら危ぶんでいる転入でしょうか?」

 

「それはない」

 

「ちょっと、清美さん!?」

 

私の突込みにセシリアがそう言う。それにしてもこの時期の転校生でしかも中国人か・・・・・何かあるのはわかるけど、それにしても中国か第三次大戦でも共に戦ったわね。特に中華義勇軍である「フライングタイガース」なんかは良くコンビを組んで戦ったわね。今思えば懐かしいわ・・・・・でもあの部隊との最初の出会いは最悪だった。あの部隊と出会ったのは隊長や仲間とともにとある店に立ち寄った時のことだ。一人のフライングタイガースの隊員とうちの部隊の仲間が些細なことで喧嘩をし、それをきっかけに店中大げんか、まるでジャッキーチェンの陸と海のケンカのような光景だったわね。まあ、私もその喧嘩に加わって二、三人ボコったんだけど・・・・

はぁ…今思えばなんで、から揚げに何かけるかでもめたんだか・・・・

 

私は頬杖をついてそう思い出にふけっている中、私はだんだん眠くなる。もういいか教師が来るまで寝ていよう。そう思い私は机にうつぶせになり仮眠をとるのであった。

一方、一夏たちは

 

「どんな奴だろう。強いのかな?」

 

「さあ、でも専用機を持っているのって一組と4組だけだから余裕でしょ」

 

と生徒の一人がそう言うと

 

「その情報、古いわよ!」

 

突然声が聞こえ、転寝している清美を除き一夏達は教室の入り口を見る。そこには一人の小柄でツインテールをした少女が立っていた

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから!」

 

と、自信満々に言う。すると

 

「鈴?お前、鈴か!!」

 

一夏はそう言うと席を立ち上がり、少女に話し掛ける。すると鈴と呼ばれた少女はふっと笑い

 

「そうよ!中国の代表候補生、凰 鈴音!今日は宣戦布告に来たってわけ!」

 

「あれが噂の二組の転校生?」

 

「中国の代表候補生の?」

 

と、クラスの生徒たちがひそひそと小声で話す中、一夏は 

 

「どうしたんだ鈴?すっげえ似合わないぞ?」

 

「な、なんて事言うのよ、あんたわ!!」

 

と、一夏にからかわれ顔を赤くし大声でそう言うと

 

「ちょっと、あなた・・・・・・朝からうるさいわよ・・・・もう少し静かに話し合ってくれない?」

 

と、さっきまで机で転寝していた清美が少し不機嫌そうに髪をボリボリとかきながら起き上がり彼女の前に行きそう言う

 

「あんた誰よ?」

 

「誰ってここのクラスの生徒よ。あんたと一夏の関係がどうなのかは知らないけどもう少し声を落としてくれ頭に響くから・・・・・え・・・と・・・・誰だっけ?」

 

「二組の鳳鈴音よ。クラス代表候補生である中国代表候補生の専用機持ちよ」

 

「ああ、そう私は一組の杉田清美。・・・・・・请多关照。鈴音(よろしく、鈴音さん)」

 

「え?あなた中国語喋れるの?」

 

「日常会話ぐらいなら少しね」

 

「そう・・・・私のことは鈴でいいからよろしくね清美。それと寝ている最中起こしちゃって悪かったわね」

 

「いや、いいさ。こちらこそよろしく」

 

と。互いに自己紹介する。すると

 

「コホン。二人とも仲良く話しているところすまないが・・・・・」

 

ゴツン、ゴツン!!

 

「あいた!」

 

「うにゃ!!」

 

いきなり拳骨が私の頭に炸裂するこの拳骨は・・・・

 

「もうショートホームルームの時間だぞ。」

 

「ち、千冬さん・・・・」

 

「織斑先生と呼べ。さっさと元のクラスに戻れ邪魔だ」

 

「す、すみません……また後で来るからね!逃げないでよ、一夏!」

 

と、そう言い彼女は風のように去って行った。すると千冬さんは私を見て

 

「それと杉田、お前もだ。さっさと席に就け。」

 

「はい、は~い」

 

と、そう言い私は席に戻るのであった。そしてその後授業が始まるのであった

 

 

 

 

 

 

 

そして数時間後の昼休み、私はクラスメイトである仏布さんやほかに名とともに食堂に並んでいた。

 

「いてて・・・・千冬さんも何も殴ることないじゃないの」

 

「それはキヨキヨが授業中に居眠りするからだよ」

 

「そうだよ。しかも涎で教科書汚れてたしね~」

 

「ほっとけ。眠気には逆らわないほうがいいのよ」

 

と仏布たちが苦笑して言う。そう、実は数時間前のISの授業で私は居眠りをして千冬さんにどつかれた。理由はやっぱり昨日のアニメパーティーもそうだがISについてはもう頭の中に入っているためあまり聞く必要がなく退屈だったからだ。

 

「でも清美さ。あんただけだよ織斑先生の目の前で居眠りする子ってあんたって命知らずだっていうかなんというか・・・・」

 

「いや~それほどでも」

 

「「「褒めてない」」」

 

とまあ、こんな話をしていると食堂のおばさんが

 

「あら、杉田さん。またいつものかい?」

 

「ええおばさん。いつもの多めで」

 

「あいよ。スギちゃんスペシャルね少し待っててね」

 

そう言いおばさんは厨房の奥へと行き、そして私は頼んだ料理を受け取りそしてみんなと一緒に席に座る。因みにおばさんが言ってたスギちゃんスペシャルとは私専用の料理みたいなもので簡単に言えばメガ盛りの料理定食である。並みに今日はカレーメガ盛りとラーメンギガ盛りに炒飯大盛である。そして私の頼んだ料理を見た三人は

 

「ねえ、清美さ。またギガ盛りなの?よく食べれるよね?」

 

「そんな量どこに入るのよ・・・・?」

 

と、少し引き気味な顔でそう言う。それを聞いた私は

 

「え?どこって胃袋よ。私食べても太らない体質だからな。正直言ってはなんだがこんなに食べる機会滅多になかったし」

 

と、答える。実際私はあの戦争で戦っていた時は食事制限が多く自由にに食べることが出来なかった。特に飛行士は炭水化物とか芋とかそう言うのはNGだったからな。理由としては体重もそうだが、飛行機内は基本風防を閉じて密閉状態になるため、その・・・・・何だ?その後については想像に任せる。

と三人ははぁ~とため息をつき自分のお腹を見て

 

「羨ましい・・・・」

 

とそう呟くのが聞こえた。何がうらやましいのかはわからず私が首をかしげていると

 

「あ~あれ、おりむーだ」

 

「あ、本当だ」

 

と、仏布さんがそう言い私がその方向へ見るとそこには一夏と今朝ほどあった中国の転校生が楽しそうに席に座って話していたのが見える。そしてその隣では数名の生徒と箒とセシリアがのぞき見していた。すると一夏は私に気付いたのか

 

「あ、お~い!杉田」

 

と手を振って私にそう言うのであったがその瞬間、なぜか箒や鈴音に怪訝な目で睨まれるが、そんなことを気にせず私は彼の所へ来る

 

「何?織斑?私に何か用?」

 

「いやさ、杉田がその大盛ご飯を持っているのに気が付いてさ。そんなに食べて大丈夫なのか?」

 

「全然平気さ・・・・あら、また会ったわね鈴」

 

「え、ええ・・・」

 

「織斑ちょっとその席座っていい?さすがに立ちっぱなしはつらいから」

 

「ああ、いいぞ」

 

と、一夏そう言い、私は鈴音の隣に座ると鈴音が

 

「あのさ、あんたと一夏どういう関係なの?やけに親しいみたいだけど」

 

「ん?ただのクラスメイトよ。それ以上でもそれ以下の関係でもないわ。逆に訊くけどさっきからあなた達もやけに親しいみたいだけどもしかして恋人かしら?」

 

と、私が食事をしながらそう言うと

 

「本当なのか一夏!?」

 

「本当なんですの!?まさかその人と、つつつ、付き合っているんじゃあ///!?」

 

と、セシリアの言葉に鈴音は顔を赤くし

 

「ち、違うわよ///!?」

 

「そうだぞ。こいつはただの幼馴染だ」

 

と、一夏がそう言うと鈴音は何やらいきなり複雑そうな顔をする。・・・・もしかしてこの子一夏のことを?

 

「幼なじみ?」

 

「そうか、丁度お前と入れ違いに転校してきたんだっけな。篠ノ之箒、前に話しただろ?箒はファースト幼なじみで、お前はセカンド幼なじみってとこだ」

 

「ファースト・・・・」

 

ファーストと言われ箒は少し嬉しそうな顔をする。というより幼馴染にファーストもセカンドもないだろう・・・・一夏に悪気はないのかもしれないが少し失礼な言い方だな。

 

「ふ~ん、そうなんだ……初めまして、これからよろしくね?」

 

「ああ、こちらこそよろしく頼むぞ」

 

と、二人は不敵の笑みであいさつする。するとセシリアはコホント咳払いして

 

「ちょっとちょっと、わたくしの存在を忘れてしまっては困りますわ。わたくしはセシリア・オルコットイギリスの代表候補生で・・・・・・」 

 

と、セシリアがそう自分のことを話している中、鈴はそれを無視して

 

「それよりもあんそれよりもあんたた 一組の代表になったんだってね」

 

「ああ、成り行きでな」

 

「良かったら、私が練習見てあげようか?ISの」

 

「それは助かる」

 

と一夏がそう言うとセシリアが机をバンッと叩き

 

「ちょっと聞いていらっしゃいますの!?」

 

「え?ああ、ごめんごめん。わたしそう言うの興味ないから」

 

「あなたいってくれるじゃないの!」

 

鈴音の言葉に眉間に青筋を入れるセシリア。そしてそれに続き箒も

 

「一夏にISの操縦を教えるのは私の役目だ!!お前は二組だろう!!」

 

「そうですわ!敵の施しは受けませんわ!!」

 

「今私は一夏と話しているのよ関係ない人たちは黙てってよ」

 

「「なんですって!!」」

 

と二人が鈴音に言いよると一夏は何かを思い出したのか杉田の顔を見て

 

「・・・・・あ、そうだ練習といえば杉田さん。昨日は練習付き合ってくれてありがとな」

 

「いいえ、別にいいわよ。私にとってもいい経験になったしな」

 

と、杉田はいつの間にか完食しナプキンで口を拭いてそう言う

 

「「「え!?」」」

 

その言葉に三人は目を丸くし

 

「それどう意味!?」

 

「一夏!どうことだ!?いつのまにこんな女と!?」

 

「そうですわ!それに杉田さん!あなたいつの間に!?抜け駆けなんて反則ですわよ!!」

 

ものすごい形相で私や一夏に言うと一夏が

 

「ああ、昨日の授業の急降下の時、失敗しただろ?だから、あの後の放課後に杉田さんに頼んで急降下の練習と飛行技術を教わってたんだよ」

 

「あの時、お願いされたときは驚いたわね。ご馳走様。それじゃあ、私そろそろ行くから。一夏また何かあれば気軽に声をかけてねできる限りの協力はするつもりだから。まあ、しばらくは私の指導は必要なさそうだしね」

 

そう言い私はセシリアたちの顔を見て不適の笑みで笑いその場を去る。なんかこれ以上ここにいると面倒くさいことになりそうだったからだ。私は喧嘩とかは好きだが無意味な喧嘩はしないし恋関係の面倒ごとはあまり首を突っ込まない。そう言うのはどちらかというと疾風隊長か中澤の十八番だ。それにしても・・・・・

 

「一夏ってやっぱりうちの隊長と似ている・・・時に変なフラグ立てるところが特に」

 

そう呟き私は廊下を歩く。そうあの一夏は少し平和ボケしている感じだがどこかうちの隊長に似ているところがある。人を引き付ける感じとか特に・・・・

 

「・・・・・・ん?」

 

しばらく廊下を歩いていると誰もいないはずなのに誰かの視線を感じる。ほかの生徒や先生とは違う何か私と似た感じの気配が・・・・・・私は腰のホルスターにしまってあるルガーの安全装置を外し警戒態勢に入り気配の出所をばれないように探る。するとあの廊下の角の所にその気配がする。きっとあそこだな。私は拳銃をそこに向け

 

「こそこそしてないで出てきたらどうだ?出てこないなら発砲するぞ」

 

と、そう言うと

 

「あれ?気が付いてたの?これでも気配は消したはずなのにね」

 

と、そこから水色の髪をした少女だ出てきた。そしてその手には扇子がありその扇子には「神出鬼没」と書かれていた。

 

「あんたは誰よ?」

 

「そんなに警戒しなくてもいいわよ。私は更識楯無。この学園で生徒会長をしているわ」

 

「その生徒会長がこそこそと付け回して、私に何の用だ?」

 

私は口調が戻り殺気を込めた目でそういうと

 

「そんなに怖い目で睨まないでくれる?あなた確か簪ちゃんと同じ部屋なんだよね?」

 

「それがどうしたんだよ?」

 

「いえ、ただそれが聞きたかっただけだから。ただ、あの子のこと頼むわね」

 

「・・・・どういう意味だ?」

 

「言葉通りの意味よ。お願いできる?」

 

「お願いされなくってもあいつとはアニメ友達よ。言われなくてもそうするわ・・・・・簪のお姉さん」

 

そう言い私はその場を後にする。それを見た楯無は

 

「バレていたのね・・・・・・でも、彼女が最近学園で噂されてマッドドッグ(狂犬)の杉田ね。あの殺気といい普通の生徒が出せるものじゃないわね。彼女は一体何者かしら?」

 

そう言い彼女もその場を後にするのだった。

 



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再会の予感?

「はぁ!!」

 

一夏たちと別れた私は今、剣道場で素振りをしていた。これはいつものように精神統一するためである。そう言えば実家にいたときも基地にいたときもこれをやっていたな・・・・・

 

「・・・・・・40年か」

 

未来の世界からきて早、数日。ここの暮らしに慣れたがまだ少し混乱していた。なぜ私が未来の世界に来てしまったのか?それだけが疑問であった。それに私に送られたあの深緑のIS「紫電」を送った人物もいまだ謎だ。一体誰なんだろうか私にあのISを送った人物は。それに手紙に書いてあったM・Sというイニシャルも・・・・

 

「ま、考えてもしょうがないか・・・・今は自分のできることをしないとね」

 

と、そう独り言を言いながら再び素振りを始める。そして素振りを千回すると私は竹刀をしまいその場を後にする。そしてしばらく廊下を歩く。そしてふっと私は一夏が放課後箒やセシリアと一緒に練習することを思い出した。そして私は立ち止まり

 

「・・・・少しだけ様子を見てみるか・・・・・」

 

と、そう思い私はグランドに向かうのであった。別にあいつのことが心配だとかそう言う感情はない。ただ少しどんな特訓をしているか気になっただけであった。そしてしばらく歩くとISの訓練場であるグランドの入り口あたりにつく。そして私の目に映ったのは箒やセシリアを相手に刀をもって模擬戦をしている一夏の姿であった。セシリアのビームライフルの狙撃攻撃を躱しながら箒の剣さばきを受け止めて自身の持つ雪片弐型で攻撃している。

 

「あいつ・・・刀だけで戦ってやがる・・・・・機銃やライフルとかの牽制用の武器とかもっていないのか?」

 

と、懐からココアシガレットの箱を取り出しそのうちの一本を口にくわえて模擬戦を見ていた。なんで刀だけで攻撃をしているのか不思議に思っていると・・・・・・

 

「またココアシガレットか杉田?いい加減その咥え方はやめろ。誤解を生むぞ」

 

「織斑先生?」

 

いつの間にかいたのか織斑先生が俺の横にいた。

 

「いいんですよ。これがココアシガレットの通な食べ方なんですから…一本いります?」

 

「いらん・・・・で、どうだ?お前から見て織斑の戦い方は?」

 

「・・・・あの…その・・・なんていうか」

 

「別に私の弟だからといって気を使わなくていい。言いたいことははっきり言え。その方が私も助かる」

 

「そうですか・・・・・・それなら遠慮なく言わせてもらいますが、まるっきり素人の動きだよ。空中戦もなっていないし、ただ流されるように戦っている。私たちのいた時代では数分も持たずに撃墜されますよ。それにですよ。彼のISの武器が刀だけ。織斑先生、一夏のISには重火器の類は搭載されていないんですか?」

 

「ない。あいつの白式の装備はあの雪片弐型だけだ。斯くいう私もあれだけで大会で優勝したからな。一夏にはそれだけで十分だろう?それにあいつは一つのことに集中して極めるのがあいつには向いている。」

 

「・・・・・」

 

織斑さんの言葉に私は言葉を失う。てか素人とIS大会の優勝者を一緒にされるのは有難迷惑のような・・・・・それ以前に・・・・・

 

「織斑さん。それでもさすがに銃器無しはきついと思うぞ?特に相手が銃器を使う相手だったら特にだ。戦いは接近戦で勝てるほど甘くはない。それに私も一介の軍人であり剣客の一人ですが牽制用に拳銃の一丁は所持していますよ?」

 

私がそう言うと千冬さんが首を横に振り

 

「あいつには重火器は似合わん。それにあいつが射撃戦闘ができるとは思わん」

 

「だったら教えればいいんじゃないですか?そう言う経験も大事だと思いますよ?」

 

と、私はココアシガレットを加えそう言うと織斑先生はふっと笑い

 

「あいにく私は剣だけで戦ってきた。重火器の戦闘の経験は薄い」

 

「どや顔で言うセリフじゃないでしょ?」

 

「それはいいとして、そう言えば杉田。お前前に新人の訓練教官を務めていたって言っていたな?」

 

「(誤魔化しやがった・・・・・)ええ、アグレッサーとか空中戦の伝授とかやっていましたけどそれが何か?・・・・・・ってまさか・・・・」

 

私が何か察すると織斑先生はたくらみを含めた笑みを浮かべ

 

「察しの通りだ。杉田。お前、織斑に空中戦のやり方。そして射撃の仕方を教えてほしい」

 

「・・・・は?」

 

「確かにお前の言う通り、あいつにはそう言う経験を積ませた方がいいかもしれない。だから頼めるか?501の狂犬、杉田清美曹長殿?」

 

と、にや付きながらそう言う千冬さん‥‥これは面倒くさいことになった。私は「はあ~」と、ため息をつき

 

「まあ、そのくらいいいですよ。できる限りのことは教える。ですが空中戦が上達するか否かは彼の努力次第ですから。それと私もそんなに暇じゃないので空いた時にいいですか?」

 

「かまわない。頼むぞ杉田」

 

「りょ~か~い」

 

まさかこの時代に来てまで教官をするとは・・・・・よけいなこと言わなければよかったな。そう思い私は重いため息をつく。すると千冬さんが

 

「ああ、そうだ。言い忘れていたがお前の紫電改のことなんだがな。とある企業の整備士に聞いたらすぐに新品同様に直してくれるとのことだ」

 

「そうですか・・・それは良かった。ところでその直してくれる企業ってどこなんですか?」

 

「確か・・・・・中嶋工業って言っていたな。なんでも創設者の社長が第三次大戦で戦闘機の整備をしていたらしい」

 

第三次大戦?それに中嶋って、まさか・・・・・

 

「っ!?あ、あのその創設者ってもしかして中嶋悟子さんじゃないですか?」

 

「ああ、そうだが、知っているのか?」

 

「はい。うちの隊長、疾風村正大尉の専属整備士で、343航空隊の整備長をしていた人だ」

 

因みにものすごい金持ちのお嬢様でもある。

 

「なるほど・・・どうりで紫電改の修理を引き受けてくれたわけだ・・・・」

 

「あ、あの。その創設者の社長は?」

 

「まだ生きている確か今年で還暦になるはずだがテレビでも見たがピンピンしていたよ。杉田、会いたいのか?」

 

「はい。今すぐにでも、それに彼女に少し訊きたいことがあるので・・・・・お願いできますか?」

 

「・・・・・・わかった。少し待っていろ」

 

千冬さんはそう言うと携帯を取り出して何かを話す。そしてしばらくして千冬さんは携帯を切ると

 

「問題ないそうだ。すぐに行ってこい。夜の9時までには戻って来いよ」

 

「はい。感謝します」

 

と、私は千冬さんからその会社の地図をもらいそして敬礼をしてグランドを出るのであった。そしてその後部屋に戻ると私は着替えて仕度をした後、学園を出てそして電車に乗りその中嶋工業へと向かうのであった。

 

「(待ってろ中嶋工業・・・・)」

 

 

 

 

 

 

一方、中嶋工業では・・・・

 

「あ、あの会長?今の電話は誰だったんですか?」

 

と、秘書らしき女性がそう言うと回転ソファーに座った女が

 

「ああ、少し私の知り合いの教え子が紹介したい生徒がいるんだそうよ?なんでもあったらびっくりする人物らしいわ」

 

「それでその方はいつ来られるのですか?」

 

「たぶん今夜中に来るわね。それよりも頼まれた飛行機はどう?」

 

「はい。ただいま最新の技術でレストア中です中嶋会長」

 

「そう・・・・」

 

と、そう言い窓を眺め

 

「(見た所、あの戦闘機の所属番号は偽物でもレプリカでもない・・・・・・しかもあの赤い一本のストライプ模様。もしかしてあの狂犬か?)」

 

と、その女はじっと窓の外に置いてある紫電改を見てそう思うのであった。

 



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中嶋工業

「・・・・・ここが中嶋工業の本社か・・・・」

 

と、私は千冬さんに渡されたメモを頼りについた場所は天高く伸びる大きな近未来を舞台にした映画に出てきそうなビルであった。私はそのビルを見て

 

「たった40年でこんなに近未来的な建物ができるなんて・・・・ISといい人間の技術って言うのはある意味恐ろしいな」

 

と、そう呟き私はビルの中へ入る。そして受け付け辺りに行くと受付の人が

 

「いらっしゃいませ。あの・・・・どなたでしょうか?」

 

「え?ああ、私は織斑千冬さんの紹介で来た杉田清美と申します」

 

「はい。杉田清美様ですね話は会長から聞いております。部屋までご案内しますのでこちらへどうぞ」

 

と、そう言われ私はその人についていき車内を案内される。修理室や開発室などの部屋なんかを通り過ぎ、そしてエレベータに乗り最上階へ行く。そしてエレベーターが止まり降りると目の前に大きな扉がありそこには「会長室」と書かれていた。

 

「ここが会長室です。少々お待ちください」

 

と、そう言いドアの傍に会ったインターホンを鳴らし

 

「中島会長。例のお客様がいらっしゃいました」

 

とそう言うとインターホンから

 

『入ってもらいなさい。後、あなたはここまででいいわ。お客様の案内ご苦労ね』

 

と、そこから女性の声がし、それを聞いた女性社員は

 

「はい。かしこまりました。・・・・・・・では私はここで失礼させてただ来ます」

 

「ああ、案内ありがとうございました」

 

と、私は社員の人にお礼を言い社員の人はエレベーターに乗り下へ行ってしまった。そして私はドアをノックすると・・・・・

 

『所属部隊と階級と名を言いなさい』

 

と、ドアの向こうから声が聞こえる。もしや・・・と私は少し笑い、そして

 

「日本国海軍343航空501『抜刀隊』副隊長。杉田清美曹長です!」

 

と、そう言うと

 

『入りなさい』

 

とその言葉を聞き、ドアを開けて中に入ると

 

「あの紫電改やあなたの写真を送られるまでは信じられなかったけど、まさかこの歳で再会できるとは思わなかったわね、先任曹長殿?」

 

と、部屋の奥のオフィスの椅子に座った女性が笑ってそう言う。40年たつとはいえその笑顔はいまだにあの時の面影があった。私はドアを閉めそして敬礼する

 

「お久しぶりだな。中嶋悟子整備長、いや中嶋大尉」

 

そう言い、私は敬礼をする。そう、あのオフィスに座っている彼女が40年前、343航空隊の航空隊の戦闘機を万全の状態で戦場へ飛ばせた縁の下の力持ちである整備隊の整備長、中嶋悟子大尉であった。すると中嶋さんはふふっと笑い

 

「まあ、そんなに硬くならないで、座りなさい。お茶や羊羹もあるわよ。それと敬礼や階級名で呼ぶのもなしよ。ここは軍の施設でもないし、それに今の私はもう軍人じゃないのだから」

 

と、にこにこと笑う中嶋さん。私は席に座り

 

「それにしても中嶋さん。変わっていませんね」

 

「あら?そうかしら。もう60歳のおばちゃんよ?」

 

「いいえ、外見ではありませんよ。中身は清々しいくらいに昔の・・20歳のお姉さんころのままだと私は言いたいんです」

 

「そうかしらね?」

 

「そうですよ」

 

と、互いに笑う。

 

「・・・・で、どうです整備長。私の紫電改の具合は?」

 

「ああ、幸い計器とエンジンは死んでいないわ。外装とプロペラを新しく変えちゃえばすぐにでも飛べるわ。まさかこの歳になって戦闘機の整備をする羽目になるとね~まあ、やるのは私じゃなくてうちの社員とその整備の責任者の私の孫の麗羅がやるんだけどね。ああ、腕は保障するよ。私に似て寝る間も惜しんで機械いじりとかが好きな子でね~」

 

「そ、そうですか・・・・・・」

 

「それにしても織斑千冬があの紫電改を持ってきたときは心臓が止まるかと思ったわ。だって運ばれたのはレプリカとかそう言うのじゃなくて本物のしかもあなたが乗っていた戦闘機だったんですもの。それに戦死だと思っていたあなたがタイムスリップして生きていたと知った時は本当にびっくりして夜も寝られなかったわ。世の中どんな事が起きるかわからないものね~」

 

「そうね・・・・あの戦争で撃墜された私が40年後の世界にタイムスリップ・・・・確かに世の中どんなことが起きるのかわからないものね。まさに「現実は小説より奇なり」とはこういう物ね」

 

と、私は中嶋さんに出されたお茶を飲む。すると中嶋さんが

 

「で、どうあなたから見てこの時代は?」

 

「はっきり言ってバカげていると思っているわ。ISの登場によって男女差別、女尊男卑の世界になったこの時代を私はあまりいい世界とは言えないわ。それならまだあの時の第三次大戦の時の方がまだましだわ。あの時代は男も女もない互いに力を合わせ苦しさも悲しさも分かち合い手を取り合い誰もが英雄であった時代・・・・・・・・」

 

と、私がそう言うと中嶋さんはため息をつき

 

「やっぱりあんたもそう思うかい。確かにあんたたちがいなくなってこの国・・・・・いやこの世界はISの登場で大きく変わってしまった。確かに平和な世界にはなったが、代わりに今、杉田さんがいった通りのことになっちまったよ。こんな世界、疾風大尉たちが見たらなんて思うんだろうね・・・・・」

 

「さあね・・・・・ただあいつがこの世界を見たら落胆していただろうな」

 

と、中嶋さんの言葉に私も頷く、もし疾風隊長が生きていたら、すごく嫌な顔をしていただろう。あいつは男女差別やそう言うのをひどく嫌う人だったからな・・・・私より一つ下の子供だったけど・・・・

 

「そうかもしれないね・・・・・・・さて辛気臭い話はここまでにして。杉田さん、あなた私にただ会いたくてここに来たんじゃないわよね?」

 

と、さっきまでお茶を飲んでのほほんとしていた中島さんの目つきが変わった。その目は企業の会長の目ではなくあの頃と同じ軍人としての鋭い目で合った。なるほど・・・・軍人としての気迫はいまだに健在か・・・・

 

「ええ、私がここに来たのは他でもない。私の使用しているISのことだ・・・・・・あれを送ったのはあんただな?中嶋さん・・・・いえ大尉」

 

と、私は鋭い目でそう言うと中嶋さんは

 

「何を根拠に?参考までに聞かせてもらえるかしら曹長?」

 

「簡単な推理さ。あの時送られたISの装備の銃器に中嶋工業と書かれていた。それだけじゃないわ。何よりあのISの塗装の深緑色はあなたしか作り出せない色。よってあのISを送ったのは中嶋工業、しかも私のことを知っているあなたしかいないのよ中嶋大尉」

 

と、わたしはじーと中嶋さんを見ると中嶋さんは

 

「はははっ!半分正解だよ杉田。確かに銃器や塗装は私たちがやったわ。でもあれはあなたがこの時代に来るまである人物から預かっていた物を塗装し武装を付けただけだよ。だから正確には送ったのは私じゃないわ」

 

「ある人物?」

 

「ええ、あなたが一番よく知っている人物よ。彼の天災篠ノ之束の祖母さ」

 

「・・・・・・・まさか」

 

「ええ、察しの通りよ。あのIS「紫電」をあんたに送ったのは篠ノ之道子よ」

 

「っ!?」

 

私は中嶋さんの言葉に目を丸くする。やっぱりあのISといいあのイニシャルのM・Sの文字も・・・・それ以前になんで道子が門外不出にし封印したISを中嶋さんに預けたんだ・・・

 

「な、なんで道子が・・・・・・」

 

「さあね。理由はわからないわ。ただあいつは亡くなる前に私の所を訪れて、ISを私に託し。もしあんたが現れたら、渡してくれと言われただけだ」

 

「そうか・・・・・」

 

と、私はそう呟く。もしかして道子の奴、私がタイムスリップすることを知っていたのか?それで私にあのISを送ったのか・・・・・そう考えていると不意に後ろの時計を見る。今の時刻は夜の8時を過ぎていた

 

「あ、すまない中嶋さん。私そろそろIS学園に戻らないと、9時に門限なので」

 

「そうかい。帰りは気を付けてね。何なら秘書に頼んでIS学園まで送ろうかい?」

 

「いや、気持ちだけ受け取っとくよ。今日は忙しい時間の所、間をつくってくれてありがとな、中嶋さん」

 

「いや、いいさ。久しぶりに旧友と話せたんだしね。それにしても狂犬と呼ばれ恐れられた先任曹長様が今では一介の学生なんてね~」

 

「言っとけ。それじゃあ、またな中嶋さん」

 

「ええ、また会えるのを楽しみにしているわ。それと私は君の味方だよ。何か困った時があったら協力するから気軽に電話してね」

 

「ああ、その時は頼むぜ整備長」

 

「うん。機械についてはお姉さんに任せないさい」

 

「今は婆さんだけどな」

 

「ふふ、そうね・・・・あ、それと後であなたのISに追加したい装備があるのよ。まあ、それは後日、資料と一緒に送るから楽しみにしててね」

 

「ああ、わかった。じゃあな」

 

と、そう言い私はお茶を全部飲むと立ち上がり部屋を出ようとすると

 

「ねえ、杉田。最後に訊きたいんだけど」

 

「なに?」

 

「あんたは篠ノ之道子の親友だと聞いたんだけど。その子が私の前に現れISを預けたたのは白騎士事件が起きる10年前のことなんだよ。なぜ彼女がそんな前からISを持っていたのか、杉田。何か知っているか?」

 

と、中嶋さんがそう訊くと

 

「さあ・・・知らないね」

 

と、そう言い私は部屋を出るのであった。そして残された中嶋はふっと笑い

 

「やれやれ・・・・・40年たって見てもあの狂犬のような目は健在ね・・・・・さて、こうしてはいられないわね。すぐに作業にかからないとやることがいっぱいだわ」

 

と、そう言い中嶋は椅子に座り誰かに電話を掛けるのであった。

 

 

 

 

 

一方、電車の中、杉田はさきほどの中嶋との会話をを思い出していた

 

『その子が私の前に現れISを預けたたのは白騎士事件が起きる10年前のことなんだよ。なぜ彼女がそんな前からISを持っていたのか、杉田。何か知っているか?』

 

「(・・・・・残念だけど、それは言えないわね・・・・・あいつとの約束を守るためにもね・・・・)」

 

と、そう思い、杉田はIS学園へと帰るのであった。

 

 

 

 

 



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直球と変化球

今日は短めです


「何とかIS学園に帰って来たね・・・・」

 

中嶋工業から戻った私は門限である9時ギリギリのところでついた。帰りの途中は順調に行っていたんだがIS学園の少し前の駅で問題があって少し電車がストップしたためその駅で降りて走ってIS学園に戻って来たのだ。そして学園の中に入ると・・・・

 

「ギリギリだぞ杉田。あと3分遅れていたら私の拳がお前の頭に落ちていたぞ」

 

と、そこには千冬さんがいた。てか、拳骨って容赦ないな・・・・まあ、元の時代でもよく軍規を破って源田のお袋さんに拳骨を喰らってたけど

 

「電車が混んでいてね。途中の駅で降りて走って来たのよ」

 

「そうか・・・・・で、どうだ。久しぶりに旧友に会えて」

 

「ええ、この時代に来て旧友に出会えるとは思わなかったわ。久しぶりに話ができたしこれほど嬉しいと思うことはないわ」

 

と嬉しそうに笑みをこぼすと千冬さんも安心したような笑みをこぼし

 

「そうか・・・・さて、お前はもうそろそろ部屋に戻れ。もうすぐ消灯時間だ」

 

「了解です教師殿」

 

と私は千冬さんに敬礼をし、部屋へと戻るのであった。そして部屋に戻る途中・・・・・

 

「あ、そう言えばロッカーにルガーを置いてきたのを忘れてた」

 

私は体育館のロッカーに拳銃を入れっぱなしにしているのを思いだし取りに行くのであった。外に行くときは銃刀法のせいで持ち運びができないからな。一応は銃刀所持の許可書を持っているのだが、それは元居た時代の代物なのでここでは役に立たない。そんなことを考えているうちに私は体育館へ付きロッカーのドアを開けるとそこには私が戦時中によく使っていたドイツの拳銃ルガーP08があり私はそれを腰に装着した。うん。やっぱりこの方が私にとってしっくりくるな

 

「さて・・・・戻るか」

 

そう言い私は部屋へ戻ろうとすると、何かの物音が聞こえた

 

「ん?なんだろう?」

 

この時間を考えてもロッカー室には私以外誰もいないはずだ。私はゆっくりと歩きだしその音のする方へ行く。そして私はその物音の正体に気付いた

 

「これって・・・・泣き声?」

 

そうその物音は何かのすすり泣く声であった。まさか幽霊じゃないかと思い私はルガーの安全装置を外す。と、言う以前に幽霊に弾丸が効かないのにそれを取り出す私って・・・・・・

そしてロッカーの角のあたりにつき、ゆっくりと覗くとそのすすり泣く声の主がいた。しかもそれは幽霊ではなくちゃんと足のついた女学生であった。しかもその女学生には見覚えがあった。

 

「う・・・・・ヒック…一夏の馬鹿・・・・・」

 

「(・・・・・・鈴音?)」

 

そうそこにはロッカーによりかかり泣いている鳳の姿だった。その姿に私は放っておくことができず彼女に近づく

 

「どうしたんだ鈴音さん」

 

と、話しかけると鈴音は私の方へ振り向くと

 

「ひぐっ…あ…あんた……杉田?なんであんたがここにいるのよ?」

 

「私はただ忘れ物を取りに来ただけよ。それよりあなたはなんでこんなところで一人泣いているのよ。何かあったの?よければ相談に乗るけど」

 

「じ、実は・・・・・」

 

と、私がそう言うと鈴音は涙を拭き理由を話す。なんでも彼女は幼馴染である彼と一緒の部屋にいたくて彼の部屋にやってきて交渉するが箒に強く断られる。だが問題はそこではなかった、問題はその後だ。彼女は一夏に子供の時の約束を覚えているかどうか訊き、一夏は約束を覚えていたみたいなのだがその内容を正確に理解できていなかったみたいだ。そしてクラス対抗戦の日を機会に一夏に勝負を挑んだということだ。だけどその約束って・・・・

 

「ねえ、鈴音一つ訊いてもいいかな?」

 

「なに?」

 

「なんで、『毎日私の酢豚を食べてくれる?』が愛の告白になるわけ?」

 

そう私が疑問に思ったのはその言葉だ。それが愛の告白にはとてもじゃないが聞こえない。すると鈴音は顔を赤くし

 

「だ、だって、日本だと「月が奇麗ですね」とか『毎日私の味噌汁を飲んでくれる?』て言う愛の告白があるでしょ?だから後者の言葉を中国風で言ってみたんだけど・・・・・・」

 

「いやいや。それじゃあわからないって。大体、今時そんな言葉を知っている奴なんてほとんどいないぞ?私の世代だって知らない奴が多かったし・・・・・・」

 

「私の世代?」

 

「ああ、いや、なんでもないわ」

 

なるほど・・・・鈴音は古風な言い方で一夏に告白したが一夏にはその意味が分からないでそのまんまの意味で受け取っていたということか・・・・・・・まあ、一夏が誤解するのもわかるわね

 

「鈴音・・・・これだけは言っておくわ彼には変化球は通用しないわよ。それにあなたなんでその時に素直に好きです。私と付き合ってください!って言わなかったの?」

 

「そ、そんなの恥ずかしくて言えるわけないじゃない///!!」

 

と、顔を真っ赤にしてそういう。

 

「でもさ鈴音。一夏のような鈍感野郎には直球じゃないと通じないと思うよ?ああ言うタイプ回りくどいのは絶対に通用しないしね。全くあいつはラブコメの主人公か!私の嫌いなタイプだな」

 

「す、杉田・・・・あんたそういう系の男子に何か恨みでもあるの?」

 

「まあね・・・・・いろいろと」

 

と、鈴音が苦笑してそう言い私はそう答える。全く鈍感な人間は疾風隊長だけだと思ったがここにもいたとは・・・・・まさか一夏って疾風隊長の子孫か?まあ、それよりも今は一夏のことね。

 

「まあ、ともかく鈴音あんたは次のクラス対抗戦一夏とやるんだろ?」

 

「うん・・・・」

 

「だったら絶対に手は抜くな。全力であいつに思いをぶつけろ」

 

「え?」

 

鈴音は私の言葉に目を丸くする。口調が変わったのもそうだが私の言った言葉で驚いたみたいだ

 

「ああ言うやつは全力でぶつかんないと鈴音の気持ちをわかってはくれない。それに中途半端な戦いはかえって自分を傷つけるだけだ。だからお前は全力であいつに思いをぶつけろ」

 

と、私は真剣な目で鈴音に言うと鈴音はこっくりと頷き

 

「わかったわ。今度のクラス対抗戦、あいつに全力でぶつかってみるわ。ありがとね清美」

 

と、そう言い彼女は走り出していったのだった。それを見た私は

 

「やれやれ・・・・いつの時代も恋する女って変わらないのね・・・・・」

 

と、そう言う。私にも恋をしたことがある。相手は・・・・内緒だ。だがその相手は私の気持ちに気付かない。そこで私は彼に模擬空戦を挑んだ。結果は完敗ではあったが私は文字通り全力でぶつかったため自分の気持ちに整理がつき心がすっきりした。例え叶わぬ恋であってもあいつと一緒に入れればそれでいい。そう思い私の恋は終わったのだ。

 

「さて・・・戻るか」

 

私はそう呟き、部屋に戻る。すると部屋ではルームメイトの簪がいた。

 

「清美さん。おかえりなさい。今日は遅かったけどどうしたの?」

 

「ああ、ちょっと用事があってな」

 

「そう・・・・・」

 

と、簪はパソコンをしながらそう言うと

 

「で、どう?簪の作っている専用機完成しそう?」

 

「うん。清美さんのおかげでだいぶ進んだけど、まだ微調整や細かい部品なんかの耐久性もあるからクラス対抗戦には間に合わそうにないわ」

 

「そうか。まあ、焦ってやったらそれこそ大きなミスとかするからな。あ、簪その調整私も手伝うよ」

 

そう言い私は椅子を出して簪の隣に座る

 

「ありがとう清美さん。いつも助けてもらって・・・・」

 

「別に礼を言われることはしてないわよ。私だって簪に物理の勉強とか教えてもらっているんだから持ちつ持たれつよ」

 

と、不適の笑みでそう言うと簪さんはにこっと笑い

 

「ありがとう・・・」

 

と、そう言い私と簪はIS作りの作業に入るのであった。そして一通り終わった後、私と簪はいつものようにアニメ鑑賞をするのであった・・・・・・・・

 



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クラス対抗戦

あれから数日後、とうとうクラス対抗戦が始まる日だ。私はいつものように目を覚ましベットから起きる。すると隣のベットでは簪が寝ていた。ベットに置いてあった時計を見ると時刻は朝の6時だった。二度寝しようと思ったが、あいにく目が覚めてしまってそれができない。朝ご飯までかなり時間があるし、だからっといって部屋でずっといるのも退屈だし簪の可愛い寝顔を見るという方法もあるがそれだとなんか変なのに目覚めてしまいそうだ。それはまずい。私にはそんな趣味はない

 

「仕方がない。少し学園の周りを散歩しに行くか・・・・」

 

寝ぐせでボサボサになった髪を掻き、私は静かに着替え部屋を出るのであった。そしてしばらく廊下を歩くと目の前に図書室があった。鍵は・・・・・開いている。私は図書室に入り、本を探す

 

「ハイテクな道具ができる中、本が昔のままなのは落ち着くな・・・・・」

 

そうポツリとつぶやく、最近はスマホでも本が読める時代になった。私は疾風隊長ほどの読書家ではないがスマホで見るよりもやはり本を取り読むほうがいいあの手に取ったずっしりとした本の重みを感じた時はその本を書いた人の想いが伝わる感じがしたからだ。そんなことを思いながら私はどんな本にするべきか探す。

 

「さて・・・・どれがいいかな?できれば記録物とかがいいわね・・・・・・・ん?」

 

その時、私は一つの本に目が留まった題名は

 

「『空の抜刀隊』・・・・・・作者は中澤凪・・・・・」

 

私はまるで運命に導かれるかのようにその本を手にする。

中澤凪・・・・・忘れもしない。同じ501戦闘隊、通称『抜刀隊』の仲間であり疾風隊長の三番機を務めていて、私のだちであり後輩であり最後の教え子でもあった。私は椅子に座りその本を読む。そこに書かれていたのはラバウル航空戦でのこと、そして欧州での戦いなどを細かに書かれた文章で凪の実体験が書かれてあった。そして次に書かれていたのは疾風隊長のことや私について書かれた文章であったそしてページの下には疾風隊長の写真が貼られてあった。そして内容は疾風隊長がどんな人物だったかそしてどんなに強かったのかが書かれていた。まあちょっとオーバーに書かれていたところもあったが仕方がない。彼女は隊長のことを心から敬愛していて周りから『忠犬』って呼ばれていたからな。そして次のページをめくるとそこには私について書かれた文があった。そして本の最後のあとがきにはこう書かれてあった

 

『疾風村正大尉が世界最強の戦闘機乗りであり名隊長なら、その副官を務めた杉田清美曹長は最凶であり、最高の名教官であります。もしあの二人が前線で戦わなければ戦争はもう少し長引いていたかもしれない。またあの二人がいたからこそ、私は終戦まで生き残ることができたんだと思います。すべては最後まであきらめないという信念を教えた疾風村正大尉と生き残る術や戦い方を教えてくれた杉田清美曹長には感謝してもしきれないくらいです。あの二人は私にとって命の恩人です』

 

「・・・・・・・」

 

私はそれを読み終えた時、なぜだか知らないが目から涙が出てきた。そして私から出た言葉は・・・・

 

「バカヤロ・・・・・」

 

と、私にはそう言葉しか浮かばなかったのだった。そして私は涙を拭き本をもとの場所に戻し、部屋へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「いいのか簪。試合見に行かなくても?」

 

あれから後、部屋に戻った私は簪と一緒に朝食をとった後、一緒にクラス対応戦の試合を見に行かないかと誘ったんだが・・・・・

 

「うん。気持ちはありがたいけど、私もうちょっと部屋で専用機の調整をしたいから。清美さんは私の代わりに楽しんできて」

 

と彼女は不敵の笑みでそういう。

 

「そうか・・・・それは残念だけど仕方がないか。でもあんまり無茶するなよ。気を張り詰めすぎて体壊したらシャレにならないから。じゃあ、行ってくるわよ」

 

「うん。ありがとう清美さん。行ってらっしゃい」

 

そう言うと私は部屋を出るのであった。そして部屋を出た後、私は廊下を歩き試合会場であるアリーナへ向かう。すると・・・・

 

「あ、キヨキヨ!」

 

「おはよー!清美さん!」

 

そこへ偶然に本音たちに出会う

 

「おう、おはようみんな」

 

と私は軽く挨拶すると癒子が

 

「ねえねえ知っている杉田さん」

 

「ん?何が?」

 

「ほらクラス対抗戦で優勝者したクラスには全員に学食の食券100枚が配られるってやつよ」

 

「ああ、それね」

 

そう実は対抗戦で優勝したクラス全員に学食の食券が配られるのだ。これは私たちにとっては吉報だ。食事代が浮く

 

「学食の食券100枚って夢のようね。今まで頼めなかった料理頼めるね。パフェ大盛とかさ!」

 

「あ、それいい~おりむーが優勝したらみんなでパーティーしようよ!」

 

「あ、それいいわね。そうだったら織斑君には是非とも優勝してもらいたいわね!」

 

三人はウキウキ気分話し合う。まあ気持ちもわからくはない。斯くいう私も少しウキウキしている。

 

「ねえ、清美も一緒に試合観戦しない?」

 

「ああ、そうしたいんだけどさ、試合を観戦する前にちょっとやりたいことがあるから、先に行っててくれない?すぐに行くから」

 

「そう?それじゃあ、キヨキヨ。私たち先に観客席に行っているからね~」

 

「ああ、じゃあまた後で」

 

そう言い本絵たちは先にアリーナへと向かうのであった。そして私は

 

「・・・・さて、試合を観戦する前に格納庫で紫電の調整でもしようかな・・・・」

 

あそこにはISの整備道具があるからな。なんだか知らないけどなんだか嫌な予感がしたからだ。だから何が起きた時いつでも万全にしなければならない。そう思い私は格納庫へと向かうのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫

 

「・・・・よし。これでいいな」

 

と、私はISを展開し各部を細かく点検をし、異常かないか調べた後、私のISである紫電につけられている20ミリ機関砲や牽制用に装備されたレーザーガンやいつも装備しているルガーP08なんかを細かく調べたが異常はなかった。

 

「うん。これなら安心ね。さて試合を見に行こうかな。時間も押しているしな」

 

と、そう言い私はISをしまい観客席へと向かうのであった。そして廊下を曲がろうとしたときセシリアに出会った。

 

「あら、杉田さん。こんな所にいらっしゃったの?」

 

「ああ、セシリアか。こんなところへ何をしているんだ?もうすぐ試合が始まるぞ?」

 

「それはそうなんですけど織斑先生が箒さんとわたくし、そして杉田さんの三人は特別に管制室で観戦させて下さるそうなので」

 

「特別に?またなんで?」

 

「なんでも専用機持ちの方に経験を積ませるだとかそう言っていましたわ」

 

セシリアがそう言うと私は軽いため息をつく。織斑先生・・・・いくら何でも一部の物を特別扱いさせるのはどうかと思うぞ・・・・

 

「杉田さん?どうかしたのですか?一緒に行かないのですか?」

 

「悪い。さっき布仏さんたちと一緒に試合を見るって約束してな。悪いが遠慮させてもらう」

 

「あら、そう残念ですわ」

 

セシリアは少し残念そうに去っていった。そして私は観客席へと向かう。一方、管制室では織斑先生他山田先生、そして箒がいた。すると管制室からセシリアが入って来た

 

「お待たせしましたわ」

 

「ああ・・・・・ん?セシリア。杉田はどうした?」

 

「杉田さんなら、先約があるので自分はいいと仰られていましたわ」

 

「そうか・・・・・」

 

そう言うと箒が

 

「あいつめ、千冬さんの誘いを断るなんて薄情な奴だ」

 

と箒はそう吐き捨てる。それを見た千冬は軽いため息をつき、そしてスクリーンに映る自分の弟である一夏の姿を見るのであった。

 

 

 

 

一方、試合会場の上では激しい空中戦を繰り広げていた。それを観客席から見ている杉田は本音たちと一緒に試合を見ていた。

 

「ねえ、ねえ、みんな。どっちが勝つと思う?私はおりむーに今夜の食堂のパフェ賭ける!!」

 

「あ、それ面白そう。じゃあ私も!」

 

「私は鈴音さんにパフェとプリンをかけるわ!!」

 

と、隣で本音たちがそう賭け事をし始める。すると本音は

 

「ねえ、キヨキヨはどっちに賭けるの?」

 

「私は、そうね・・・・・・私はこの勝負、引き分けと予想するわ。だから片一方には賭けないわ。あ、それと賭けるものはIS学園特製羊羹よ」

 

「え?なんで引き分けるってわかるの清美?」

 

「ただの勘よ。あ、私、ジュースが無くなったから買いに行ってくるわ」

 

そう言い私は席を立ち販売機のある場所へと向かうのであった。階段を降り私は自販機の前に立つ

 

「さて・・・・・何にしようかな?」

 

コーラにするか・・・それともラムネににするかそれとも大人しくお茶にするか私は悩み考えていた。因みに試合はたとえ観客席じゃなくても廊下についてあるモニターで見ることができるため今私が立っている

自販機のモニターでもその様子が見れるのだ。

 

「さて・・・・一夏の奴、どう戦うのかしらね」

 

と、私はふっと笑うのであった。

 

 

 

 

 

一方、一夏と鈴音はというと、先ほどまで一夏が鈴音に接近戦をして短期戦にもちこもうとしたのだが

 

「甘いわね、一夏!!」

 

と、そう言った瞬間、鈴音のISである 甲龍のアンロックユニットから不可視の砲弾が織斑を襲う。一夏は不可視の砲弾に咄嗟に反応できず最初の一撃を諸に食らってしまう。 

 

「いてて・・・・何だよあれは・・・・」

 

一夏は頭をさすりながらそう言うと管制室では

 

「なんだ、今の攻撃は!?」

 

「衝撃砲ですね。空間に圧力をかけて砲弾を打ち出す武器です」

 

「わたくしのブルーティアーズと同じ第三世代兵器ですわね・・・・」

 

「・・・・・」

 

山田先生の言葉にセシリアがそう言う中、千冬は無言のまま一夏を見守っていた。そして自販機の傍にあるモニターで見ている杉田もコーラを飲みながら

 

「あれが衝撃砲ね・・・・・砲身も砲弾も見えないし、しかも射角が無制限か・・・・・ある意味死角なしの大砲ねあれは・・・・」

 

と、鋭い目線で見ていた。そして一夏は体を起こし鈴音を見る

 

「(くそ、あの衝撃砲をかいくぐって接近するにはどうすれば・・・・・ん?そう言えば前に杉田さんが・・・・)」

 

と、一夏は前に杉田と一緒に模擬空戦をした日のことを思い出した。

 

 

 

 

数日前のある日の放課後の第3アリーナで、杉田は一夏に空中戦の基礎を教えていた。そして杉田は一夏のおでこにデコピンをする

 

「いたぁ!!」

 

「ドあほ!何度言えばわかるのあんたは!空戦の中、敵に真っ向から突進する奴がいるか。死にたいのか!?」

 

「だけどさ。俺のISの武器といえば千冬姉と同じ接近戦の武器しかないんだよ。やっぱ剣を持ったら接近して攻撃するしかないだろ?」

 

「それはそうだけど。馬鹿正直に相手に突進するのは落第点だ。しかも空中戦の際。あんたは馬鹿正直に動きすぎるあれじゃあ、すぐに敵に読まれるわよ。仮にだ。もし相手の攻撃を躱し敵の目の前に来たらあんたはどう思う?」

 

「え?それはやった!って思うけど?それに相手の目の前に来れば後は一撃を加えるだけだし」

 

「その時にその一撃を躱されたら?もしかして相手がまだ奥の手を持っていたらどうするのよ?」

 

「・・・・あ」

 

杉田の言葉に一夏は言葉を失う。そして杉田はため息をし

 

「別に近距離戦が悪いとは言わないよ。でもあんたの場合は正直すぎる動きが多いのよ」

 

「じゃあ、どうすればいいんだよ」

 

「簡単さ、フェイント、駆け引きなんかして相手を翻弄しろ。空中戦の基本だ。そして相手のスキを突き懐に忍び込み叩く。これも空中戦の一つの手よ。まあ、要はいかに相手のスキを突くか、またどうやったら相手に自分の戦いの領域に引きずり込めるかが肝心よ。あんた自分の姉に何か教わったでしょ?それを使いながらやってみなさい」

 

そう言い、杉田はISをしまい寮へと戻ってしまった。

 

 

 

現在

 

「(相手のスキをついて接近・・・・・・・できるか?いや、やるしかないんだ!)」

 

そう思い一夏は鈴音の方へ飛び立ちそして

 

「鈴」

 

「なによ」

 

「本気で行くからな」

 

とそう言う一夏に鈴音は「そんなの当り前じゃない!」と言おうとしたが、一夏の真剣な目を見た鈴音は

 

「(あの目・・・・・こうなったら私も本気を出さないとね。前に杉田に言われたように全力で・・・・・)いいわ!格の違いを見せてあげるんだから!!」

 

と、そう言い鈴音は一夏に向かってビーム砲を撃ちまくる。そして一夏はそれを避けつつ相手のすきを窺う。そして・・・

 

「(よし、今だ!!)」

 

と、そのまま鈴音に向かって突進する。それを見た鈴音は

 

「あんた馬鹿じゃないの!動きが見え見えよ!!」

 

と、そう言いしょうげく方を構えるが、その瞬間一夏は急スピードで彼女の左下へと旋回し回り込む

 

「なっ!?」

 

急な動きに鈴音は驚きそこに隙が生まれた。それを見た一夏はその瞬間を見逃さず、以前に姉である千冬に教えてもらった覚えた瞬時加速を使って鈴に急迫する。そして一夏が雪片で鈴を攻撃しようとしたっ瞬間、二人の間に大きなビームが通り過ぎグランドに着弾し大きな砂煙を上げる

 

「なに?」

 

いきなりのことに一夏は鈴音はおろか試合を見ていた観客も驚く。そして管制室でも緊急を知らせるアラームが鳴り響く

 

「な、何!?何が起きたんですの!?」

 

「一夏!?」

 

セシリアと箒がうろたえる中、山田先生は

 

「システム破損!何かがアリーナの遮断シールドを貫通したようです!!」

 

「一体どうなっている!?」

 

千冬がそう言う中、一夏たちはその遮断シールドを貫通したものの正体を見ていた。それは・・・・

 

「なによ・・・・あれ」

 

「あれって・・・・ISなのか?」

 

と、二人が目にしたものはまるで獣のような異形な形をしたISであった・・・・・

 



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「乱入者」

クラス対抗戦。一夏と鈴音は激しいバトルを繰り広げていたが、そこへアリーナの遮断シールドを突き破って、所属不明のISが乱入してきた。

 

「なによ・・・・あれ」

 

「あれって・・・・ISなのか?」

 

一夏と鈴音はそのISの姿を見て驚く。それはISというにはあまりにも異形な形であった。一言で表すというのならそれはまるで獣のように禍々しき黒いISであった。それを見た鈴音はプライベートチャネルで

 

「一夏!試合は中止よ!すぐにピットに戻って!!」

 

一夏にそう言うと一夏のISの画面に警告文が表示される

 

「所属が不明・・・・・それにロックってあいつに俺がロックされているのか?」

 

「一夏!ぼうっとしてないで早くピットに戻って!」

 

一夏が警告表示を見てそう言う中、鈴音は彼の前に立ち、焦るようにそう言う。普段のお転婆な彼女とは違う様子を見て一夏はただ事ではないことを悟るのだが、先ほど鈴音が言ったその言葉を聞いて一夏は

 

「戻れって、鈴。お前はどうするんだよ!?」

 

「あたしが時間を稼ぐから、その間に逃げなさいよ!」

 

「え!?逃げるって……女を置いてそんなことができるかよ!」

 

一夏は鈴音の言葉を否定すると鈴音は振り向き

 

「バカ!アンタの方が弱いんだからしょうがないでしょう!!」

 

「う・・・・」

 

鈴音の言葉に返す言葉もない一夏。そして鈴音は

 

「私はあくまで時間を稼ぐだけよ。別に私も最後までやり合うつもりはないわよ。こんな異常事態、すぐに学園の先生たちが・・・・・・」

 

と、鈴音が言いかけた時その獣型のISが鈴音に向かってビームを発射する。それを見た一夏は

 

「危ないっ!!」

 

と、急加速して鈴音を抱きかかえてその攻撃を回避した。すると一夏のISから先ほどのビームの性能が表示される

 

「ビーム兵器か・・・・・威力はセシリアの奴よりも圧倒的に上かよ……!?」

 

一夏は正体不明のISのビームの威力を見てそう言うと、鈴音は最初はあっけに取られていたがすぐに一夏に抱きかかえられていることに気が付くと

 

「ちょっと!いつまで抱きかかえているのよ///!?」

 

「うわっ!?おい鈴。暴れるなよ!!」

 

「うるさい!うるさい!!」

 

と、そう言う中、黒いISは二人の方を向く。それを見た一夏は

 

「おい、お前。何者だ!?答えろ!!お前は何者だ!何が目的なんだ!!」

 

と、そう言うが黒いISは無言のままクレーターの上に立っていた。すると・・・

 

『織斑君、凰さん!今すぐアリーナから脱出してください!すぐに先生たちが「IS」で制圧に向かいます!』

 

と、インカムから山田先生の声が聞こえるが一夏は首を横に振り

 

「いいや、みんなが脱出できるまで俺たちが食い止めないと」

 

『それはそうですが・・・・・』 

 

山田先生はそう言うが一夏は無線のスイッチを切ってしまうのであった

 

「ちょっと織斑くん?いけません織斑君!!」

 

「一夏さん!」

 

「一夏!!」

 

山田先生は一夏たちからの通信から返答がなくなったことに山田先生は焦ってそう言い、セシリアと箒も呼びかける。すると千冬が

 

「本人たちがやると言っているのだから、やらせてみてもいいだろう」

 

こんな状態でも冷静にそう言う。

 

「お、お、織斑先生!?何をのん気なことを言ってるんですか!?」

 

と、山田先生がそう言うが千冬さんはそばにある机に置いてあったマグカップを取りコーヒーを入れる

 

「落ち着け。コーヒーでも飲め。糖分が足りないからイライラするんだ」

 

と、そう言いコーヒーに砂糖を入れるのだが・・・・・

 

「あ、あの織斑先生・・・・それ砂糖じゃなくて塩なんですが・・・・・」

 

「・・・・・え?」

 

山田先生の言葉に千冬は自分のコーヒーに入れたものをよく見ると確かにそれは砂糖ではなく塩であった。それを見た千冬は恥ずかしいのか顔を赤くする。彼女も内心は一夏のことを心配しているのだ。

 

「一夏・・・・」

 

箒が心配そうに見る中、するとセシリアが

 

「先生!わたくしに「IS」使用許可を!すぐに出撃できますわ!」

 

「セシリア。私もそうしたいところだが、あれを見ろ」

 

と、そう言うと画面表示にアリーナの警告アラームと表示が出ていた。

 

「遮断シールドがレベル4に設定・・・・」

 

「しかも扉がすべてロックされていますわ・・・・まさかあのISの仕業?」

 

「恐らくな。これでは避難することも救援に行くこともできな・・・・・・・」

 

と、千冬がそう言いかけた時

 

ドゴォーン!!!

 

『っ!?』

 

ものすごい轟音と揺れが起きた

 

「な、なにが起きたんだ!?」

 

と、みんなが驚くと。山田先生が

 

「織斑先生!ロックされていたアリーナの扉が何者かに破壊されました!?」

 

「何!?」

 

「でも学園の遮断シールド。しかもレベル4は核爆弾の衝撃にも耐えられるようになっていますわよね!?それを破壊するなんて!」

 

と、セシリアや箒が驚く中

 

『織斑先生。山田先生。アリーナに閉じ込められた生徒たち全員の避難ができました!』

 

と、先ほど閉じ込められた生徒を救出するため、扉を開けようと奮闘していた教師たちのうち一人が無線でそう言うと

 

「先ほどの揺れはなんだ?それになぜシールドが破壊された?」

 

と、そう訊くとその教師が

 

「そ、それはその・・・・・・」

 

「なんだはっきり言え!」

 

「あ、あの・・・実は」

 

千冬がそう言うとその教師は目線を外し、いいずらそうに言うと

 

「実は、先ほど杉田さんがいらして・・・・・」

 

「杉田が?杉田がどうかしたんだ?」

 

「はい。実は信じられないんですが杉田さんがシールドで守られた扉を持っていた刀でぶった切ったんです。そして杉田さん。またどこかに走り出しちゃって・・・・」

 

「「「え”っ!?」」」

 

その教師の言葉に山田先生はおろか指令室にいた全員が目を丸くし驚くのであった

 

 

 

 

 

 

一方、その頃アリーナでは一夏と鈴音が黒いISと戦っていた。

 

「行くぞ鈴!」

 

「言われなくてもわかっているわよ!一夏私が援護射撃するからあんたは突っ込みなさいよ!武器それしかないんでしょ?」

 

「その通りだな・・・・」

 

と、そう言い二人は黒いISに向かって攻撃する。黒いISは素早い動きでその攻撃を躱し。そして無数のビーム攻撃で弾幕を張る。その弾幕に二人は避ける。そしてまた攻撃をしようとしたが。あの黒いISは二人の戦法を見抜いたのかさらに大木のビームを放ち二人を近づけさせまいとした

 

「くそ!弾幕が激しくてなかなか近づけない!」

 

「どうするのよ!他に作戦とかないの!?じゃないとこいつには勝てないわよ!!」

 

「じゃあ、逃げてもいいんだぜ?」

 

と一夏はそう言うと鈴はむっとした顔になり

 

「誰が逃げるって言うのよ!これでも私は中国の代表候補生なのよ!」

 

と、そう言うと一夏は鈴の背中に立ち

 

「そうか、それじゃあ俺はお前の背中ぐらいは護って見せる」

 

「え・・・・・あ、ありがとう///」

 

と、一夏の言葉に鈴は顔を赤くしそう言う。そんな中、黒いISは二人に襲い掛かりビームを放つ。その攻撃を二人は必死に躱す

 

「(くそ、どうすれば…どうすればいいんだ?)」

 

一夏は必死に考えていると

 

「一夏ぁっ!!!」

 

「な、なんだ!?」

 

突然、アリーナに大声が響き渡った。その声の持ち主は

 

「男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!」

 

アリーナの滑走路で箒がそう叫んでいるのが見えた。そして一夏やっ鈴音の他その黒いISも箒の姿を見て。そして標的を変えたのか黒いISは箒の方へ体を向けそして手にビームを溜め今にも箒に向かって放とうとしていた。

 

「っ!?」

 

「あの馬鹿、何やっているのよ!」

 

「まずい、箒逃げろ!!」

 

そう言い一夏と鈴音は箒を助けるべく、箒を襲うとする黒いISに向かう。だが黒いISは発射する手前にいた。間に合わない。危うし箒!

 

「箒!!」

 

と、一夏がそう言った瞬間、そのISの頭上から銃弾が降り注ぎ、黒いISはバランスを崩す。

 

「なんだ?」

 

一夏がそう言うとすると

 

「やれやれ・・・・やっぱり嫌な予感がしたと思ったが、ここまでとはね・・・・・」

 

と頭上から声が聞こえる。一夏たちは上を見るとそこには深緑のISを纏いココアシガレットを加え20ミリ機関砲を持った少女がいた。

 

「杉田・・・・さん?」

 

一夏はいつもと違う彼女に違和感を抱く。顔の顔は今まで一夏の知っているおだやかな顔ではなくまるで狂犬のような狂気の笑みをしていた。まるで彼女の人格が変わったかのようにそして杉田は黒いISの方へ顔を向けると

 

「悪いな・・・・残念だがこいつらには手を出せないぞ・・・・・」

 

と、そのISを睨むのであった

 

「あ、あんた・・・・・」

 

「悪いな一夏、鈴音。後は私に任せてくれ。ここから先は私の戦場だ」

 

と、そう言い彼女は20ミリ機関砲のコッキングレバーを後方へ引くのであった。

 



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狂犬vs乱入者

「悪いな一夏、鈴音。後は私に任せてくれ。ここから先は私の戦場だ」

 

一夏たちの目の前に現れたのは深緑のISを装備し20ミリ機関砲を片手にココアシガレットを加える清美の姿であった。

 

「杉田!?」

 

「おう、一夏、鈴音。怪我はしてないか?」

 

「あ、ああ・・・・今のところは・・・・」

 

「私も・・・・・」

 

一夏と鈴音がそう返事すると清美は自分の機関砲に銃弾を装填しながら

 

「そうかい。じゃあ、あんたたちはすぐ後ろへ下がって滑走路でボケッとしているバカを連れて行け」

 

と、いつもと同じさばさばとした口調だが普段おだやかな雰囲気と違う清美に二人は一瞬驚くが

 

「な、何言っているのよあんたは!?」

 

「そうだよ清美。俺たちはまだ戦え・・・・「息切れして、苦戦しているのにか?」・・・っ!」

 

清美の言葉に一夏は言葉に詰まる。確かに先ほどの試合で互いの体力をかなり使った上乱入者である黒いISとの戦闘。正直言って二人が戦える体力はあまりなかった。

 

「で、でも。あんたのIS、見れば第一世代じゃない。そんなんであんたあのISに太刀打ちできるの?」

 

鈴音が強い口調で言うと、清美は

 

「なめるんじゃないわよ。これでも私はラバウルや欧州での激戦を潜り抜けたんだ。あんたらとは潜り抜けた修羅場の数が違うんだよガキども。たまには年上の言うことを聞け」

 

「年上ってあんた、私たちと同じ年じゃない!それになにわけのわからないことを言って・・・・・」

 

「それにISや武器はスペックがすべてではないわ。肝心なのは使い手の技量よ。話がそれたわね。とにかくあんたたちは先に避難しな。それにさっきも言った通りあそこの滑走路に一般人がいるしな。それでも嫌なら後方に下がって安全地帯で見物していな」

 

「でも!!お前ひとりを置いていくなんて・・・・」

 

と、いまだに滑走路にいる箒を少し睨む清美に一夏は納得しないのかそう言うと

 

「くどいぞ、それにさっきも言ったように。ここからは・・・・・・」

 

と、清美は20ミリ機関砲のコッキングレバーを後方へ引き

 

「私の戦場(テリトリー)だ・・・・・」

 

と、殺気を含んだ狂気の笑みでそう言うと二人の背筋が凍る。クラス代表候補決定戦で見せたあの笑みよりも怖い狂気の笑み。そうまるで狂犬が獲物に向かって唸っているようなそんな怖い笑みであった

 

「わ、わかったわ・・・・・でも、あんたが危なくなったら、後方から援護射撃するけどいい?」

 

「ああ、勝手にしな。ほら、さっさと行けよ」

 

「わかったわ。行くわよ一夏」

 

「でも、杉田が・・・・」

 

「今、私たちが残っても足手まといになるだけよ。今は杉田を信じよう」

 

鈴音がそう言いが一夏は

 

「でも!!俺だって・・・・・」

 

と、いまだに引き下がらない一夏、すると清美は静かに一夏のところに行き、そして無言で一夏の腹を殴り、気絶させる

 

「一夏!杉田あんた何を」

 

「多少荒っぽいが話の分からねえガキにはこの方が手っ取り早いしな。さて鈴音、時間がねえんだ。さっさと後方に下がってくれ。あ、それとね・・・・・」

 

と、杉田は鈴音に何か小声で言うと鈴音は

 

「わ、分かったわよ……でも気をつけてね……」

 

と、そう言い、鈴音は気絶した一夏を抱えて後方へと下がるのであった。そして杉田は

 

「勇敢な行為と無謀な行動を間違えるなよ一夏・・・・・」

 

聞こえないくらい小さな声でそう言うと、黒いISに武器を向け

 

「さて、待たせて悪かったわね~それじゃあ、勝負と行こうかね?」

 

杉田はにやりと笑いそう言うが、黒いISは無言のままビームを放つ。その攻撃を杉田はよけ

 

「おや、おや、無言で攻撃とはずいぶん無粋じゃないか。ここはお約束の自己紹介をするのが礼儀という者じゃないかい?まあ、そう言うのも悪くは無いがな!!」

 

と、そう言い杉田は黒いISに向けて機関砲を撃つそして・・・・

 

「おっおっおー♪オ~レたっちヒヨコの訓練兵~恐るるものなどなにもない~♪」

 

と、彼女は飛行訓練学校のころ、教官に歌わされた歌を歌いながら機銃を撃つ

 

「オ~レ~たっちヒヨコの訓練兵~ナチス、ファシストぶっ殺す~♪」

 

と清美は黒いISに機銃弾を撃ち込みながら陽気に歌っている。無論、相手もただやられるわけにはいかないと素早い動きで

銃弾をよけビームを発射するその攻撃を清美は避けると

 

「へ~さっきよりもいい動きになったじゃないかよ。いいね。こういう奴と戦うの私は好きだわ!」

 

と、そう攻撃しながらそう言う清美だが、彼女は冷静に相手の動きを分析していた

 

「(それにしても、このIS・・・・動きが人間ぽく無いね・・・・どちらかというと機械的な動きだわ・・・・・もしかして)」

 

と清美はそのISの動きに何か気が付く。そして清美はにやりと笑い

 

「さて・・・・・私の予想が当たっているか、試させてもらうわよ」

 

と、そう言うと清美はそのISに機銃を放ちながら急接近。黒いISは怯まずにビームを放つ。そして清美は20ミリの弾丸が切れると、機関砲を黒いISに向けて投げつけた。無論、黒いISはその機関砲を腕で弾く。だが、それは清美の作戦。相手が物を投げた時、必ずそれを避けるため、避けるか手に持つ者で弾き飛ばす。だが、それは一瞬の隙を与えることになる。清美はその隙を見逃さず腰に差した軍刀でそのISの腕を斬り裂く、だがその時、黒いISは痛みを感じていないのかすかさず清美の腹を蹴る。清美はすかさず刀で蹴りを防ぐが、その時バランスを崩し倒れる。しかもその時の蹴りの衝撃で片腕に激しい痛みが襲う。しかもその腕は思うように動かない

 

「(まずいな・・・これは腕、やっちまったかな?)」

 

そう思いつつも黒いISは残った腕を清美に向けビームを溜める。それを見た清美は

 

「腕を切り落とされても、痛みを感じずに蹴りをし私の腕に怪我を負わせるとは。なかなかのファイトだ。だが残念ね・・・・・・私はただの囮よ・・・・セシリア!鈴!!」

 

と、そう叫ぶと黒いISの頭上や側面からビーム攻撃が炸裂する。そう清美が鈴に言ったのはこのことであった。そしてセシリアの放った一発のビームが貫通し、そして鈴の放ったビームが黒いISの顔面に命中し黒いISはよろける。そしてビームの命中した所からスパーク音と火花が飛び散っていた

 

「やっぱり機械だったか」

 

そう、あの時清美はあの黒いISが無人機だということに気が付いていた。人間にしてはワンパターンな動きで何より腕を切り落とされても平気な人間なんてなかなかいない。そのため清美がその黒いISが無人機だということに気が付いたのだ。だがその無人機は立ち上がりそしてセシリアに空けられた部分が再生し始める。

 

「こいつ、再生機能がついているのか?」

 

このまま再生されるとまずい。そう思った時セシリアに空けられた部分に赤いコアみたいなのがちらっと見える。あれは確か・・・・・この時、清美は前に道子が教えてくれたISの動力である赤いコアのことを思い出した。

 

「あれを壊せば・・・・」

 

そう思い。私は腰のホルスターに入れていたルガーを手に取りそのコアに向けて発砲した。そして放たれたパラベラム弾はそのコアに命中しコアは粉々になる。そしてその無人機はガクッと項垂れ、倒れるのであった。そして無人機はそのまま動かなかった。

 

「はは・・・・やったか」

 

と、そう言い私は胸ポケットからココアシガレットを一本だし咥え破壊した無人機を見る、

 

「武装親衛隊やテロ共よりは少しだけ骨があったわね・・・・て、いてて…やっぱり腕折れてるね」

 

と、私は蹴りを入れられた腕を抑えて、そう呟くのであった。全く私もここに来て少し腕が鈍ったかな?そう思いながら私はアリーナを離れるのであった。

 

「さて・・・・この後、何が起きるのかしらね・・・・・・」

 

と、そう呟くのであった。そしてその後、私は学園長室へと呼び出されるのであった

 



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学園長と事情聴取

あの乱入者事件が終わった後、清美はすぐに保険室に行き手当をしてもらい。今、廊下を歩き学園長室へと向かっていた。なぜなら保健室で手当てをしている最中、あの乱入者事件で迎撃にあがった専用機持ちや、その関係者が学園長に呼び出されたのだ。そして・・・・

 

「すみません。遅くなりました~」

 

と、私は学園長室に入ると、そこにはセシリア、箒。山田先生や織斑先生など、一夏を除いたメンバーがいた。そして彼女たちの真正面には白髭を生やした初老の男がいた。彼がこのIS学園の学園長である轡木学園長だ。

 

「いいえ、問題ありませんよ。ちょうど皆来た所ですから」

 

「そうですか・・・・それよりも学園長。一夏・・・・織斑はどうしたんですか?」

 

「彼はいまだに気絶して保健室で休ませているよ。それよりも杉田さん。怪我した腕の方は大丈夫ですかな?その腕を見る限り結構なダメージに見えますが?」

 

「ええ、あの攻撃で骨にひびが入りましたが、別に大したことはありません」

 

と、私がそう言う。そう保健室で見てもらった結果、攻撃を喰らった腕の骨にひびが入っていたのだ。もしISの装甲や刀が無ければ、腕が捥げていたところだ。それよりも一夏の奴。まだ気絶しているのか……少し力入れすぎたかな?現に箒の奴、さっきから私のこと睨んでいるし・・・・・

 

「なるほど、なるほど。さて、織斑一夏君以外集まったことですし、ではもう一度事件の内容を確認しますね?」

 

と、轡木学園長が今回の事件の資料を見ながらふむふむと頷き、そう言う

 

「まず、一組対二組のクラス対抗戦中に、突如バリアが謎の無人機ISの攻撃で破壊され、そしてその無人機がアリーナに侵入した。そうですね織斑先生、山田先生?」

 

「「はい」」

 

「ふむ、では次に、対抗戦に参加していた織斑一夏さんと鳳鈴音さんは侵入者を迎撃。始めは善戦していたが、やがて相手に押されてピンチなところを杉田清美さんが助けに入った。これも間違いありませんね?」

 

「ええ、間違いないわ」

 

と、鈴音が答える

 

「そして最後に杉田清美さん。あなたはその腰に差している刀でアリーナの防御シールドを斬り裂き、生徒たちを避難させた後、すぐにISを装備し、その無人機相手に戦い、撃破した・・・・・・これも合ってますね?」

 

「はい。ですが正確にはその無人機を撃破できたのはセシリアや鈴音の援護射撃があったからこそです」

 

「なるほど・・・・・・・では、聞きたいことが二つあるので質問しますね。まず一つ目は杉田さん。あなたはその刀で核爆発にも耐えられるレベル4のシールドを斬り裂いたとの教師たちの証言がありましたが、どうやって強固なシールドを斬ったのですか?またなぜ斬ったのですか?」

 

「簡単な答えです学園長。たとえ、強固な壁でも一か所だけ脆いところがあります。私はただそこを斬り裂いたにすぎません。それとシールドを斬った理由も簡単です。もたもたしていたら、アリーナに閉じ込められていた生徒たちがあの無人機の攻撃に巻き込まれ被害が出る可能性が大きかったためにシールドを破壊したのです」

 

「なるほど・・・・・わかりました。では二つ目、あなたは無人機襲撃の時、織斑一夏さんや鳳鈴音さんを避難させるとき織斑一夏君の腹を殴って気絶させたとありますが、それは事実ですか?もし、事実ならなぜそんなことをしたのですかな?」

 

と、そう訊くと清美は少しため息をつき

 

「あの時の一夏は体力の限界の上、戦いに関しては全くのど素人。不本意だったが、ああでもして気絶させなければ奴はあの無人機に飛び込んで大怪我を最悪の場合は死んでいた可能性がありました。ですから私は彼の腹を殴り、強制退場させたのです」

 

 

「なるほど、事情は分かりました」

 

と、学園長が納得したように頷くと、箒が

 

「ふざけるな!一夏がど素人だと!あいつはああ見えて強いんだぞ!あんな相手、お前さえ乱入しなければ勝てたんだ!」

 

と、そう怒鳴ると、私は

 

「あ~そうそう、すっかりあんたのことを忘れていたわ篠ノ之箒・・・・・」

 

と、そう言うと杉田は無表情で箒のもとへ行く

 

「な、なんだ?」

 

「いえ、ただ、あんた怪我はしてないよね?」

 

「ああ・・・・それがどうかしたんだ?」

 

「それともう一つ。あんた殴られて怒られたことある?」

 

「そんなのあるわけないだろ!!私は怒られたことなど一度もない!!」

 

と、箒はじっと清美を睨んで言うと

 

「そうか・・・一度もか・・・・それは可哀そうな奴だな・・・・・・・・なら、歯食いしばれ」

 

「え?」

 

と、そう言った瞬間

 

バゴォーン!!

 

「「「「っ!?」」」」

 

すさまじい音とともに箒が吹っ飛ばされ壁にたたきつけられた。そして箒の前には拳を振り上げた清美がいた。そう清美が箒の顔面を思いっきり殴ったのだ。箒は殴られた頬を手で押さえ

 

「なっ!?い、いきなり何するんだ!!!」

 

と、怒鳴るが、清美は

 

「てめぇ・・・・・自分が何をしたのかわかっているのか。篠ノ之箒?」

 

殺気を含め怒りを込めた言葉で清美は静かに言う

 

「何をって・・・・・・」

 

「わからなければ教えてやる。貴様は危険地帯であるアリーナの滑走路に丸腰でいたんだぞ。それがどういう意味か分かっているのか?」

 

「何を言っている!私は一夏に喝を入れようとしていただけだ!!それのどこが悪いっていうんだ!!」

 

「はっ!馬鹿かてめえは!!たかが喝入れたぐらいで戦況が変わるわけねえじゃないかよ!そんな中そんな馬鹿なことをして、てめえ死にたいのか!」

 

「うるさい!!うるさい!!貴様が・・・貴様が出しゃばらなければ一夏は勝てたんだ!!」

 

と、そう言い箒が清美に殴りかかろうとしたとき

 

「馬鹿野郎っ!!!」

 

清美がそう言い目にもとまらぬ速さで箒のもう片方の頬を殴る。そのパンチに箒は倒れ清美の方を睨むんだが

 

「あの時無人機はお前を攻撃しようとしていた。もし奴の攻撃を喰らって怪我・・・いや最悪の場合、お前が死んだら一番責任を感じるのは一夏なんだぞ!!」

 

「っ!?」

 

清美の言葉に箒は目を見開く

 

「もしお前が怪我したり死んでもしたら。一夏はどんな思いをするんだ。きっとお前を守れなかったと自分を責めるぞ。お前は一夏にそんな思いをさせたいのか?箒、お前が幼馴染である一夏のことを大切に思うのなら、もっとよく考えてからしろ。勇気と無謀って言うのは全く違うんだからな・・・・」

 

「くっ・・・・・」

 

清美の言葉に箒が悔しそうに顔を歪めると

 

「そこまでです。清美さん。あなたは生徒を殴ったため反省文100枚の提出をかします。そして篠ノ之箒さんも今回危ない行動をしたため反省文200枚提出するように。異論はありませんね?」

 

と学園長がそう言う

 

「わかりました」

 

「・・・・・・はい」

 

「では、尋問、報告は以上とします。皆さん今日は本当にお疲れ様でした。今日はゆっくり休んでください。それと織斑先生と山田先生。そして杉田清美さんは残ってください」

 

と、そう言うと教師二人と清美以外の生徒は部屋を出るのであった。

 

「あ、あの・・・・・学園長。まだ私に何か?」

 

と、清美がそう訊くと学園長はジーと清美を見つめると

 

「・・・・・やはり、母の言った通りの人ですな」

 

「・・・・・はい?」

 

清美は学園長の言葉に首をかしげると学園長は

 

「あなたのことは織斑先生や山田先生から詳しく事情は聞きました。タイムスリップ・・・・・にわかに信じられない話ですが、あなたの行動や、そして先ほど無人機や前のクラス代表選で見せた空戦能力。そしてどんな相手にもはっきり言う正義感・・・・・・子供のころ母に聞かされた通りの方ですね杉田清美曹長。あなたのことは母からよく聞かされたのですよ?」

 

「あ、あの・・・・・母って言うと」

 

清美は学園長の言葉が理解できず首をかしげながらそう訊くと

 

「あ、失礼。さっき言った通り私の苗字は轡木なのですが、母の苗字は結婚する前は「源田」と申しまして・・・・・・」

 

「源田?もしかして・・・・・・・」

 

「はい。お察しの通りです。私の母のもとの名は源田静。かつて日本国海軍戦闘機部隊の精鋭部隊343航空隊。通称剣隊の司令官をしておりました」

 

「源田のお袋さんの・・・・・・・」

 

「はい。あなたのことは良く聞かされておりました。喧嘩早くて乱暴ではあるがその反面、勇猛果敢で誰よりも平和を愛し正義感の強い方だと。今のあなたを見てそう思いました・・・・・・」

 

「あ・・・・いえ、その」

 

「あ、あの・・・・どうかしたんですか杉田さん?」

 

清美が何か驚いているのを見て山田先生が首をかしげると織斑先生は

 

「山田先生、無理もない。自分の上官だった人の子が目の前にいるんだから。清美が驚くのも無理はない」

 

と、そう言うのだが清美は

 

「あ・・・・いえ、織斑先生。それもあるんですが・・・・・・・」

 

と清美が一呼吸すると

 

「源田司令官。やっと結婚できたんですね・・・・・・」

 

「そこっ!?」

 

私の言葉に山田先生は驚く。そして学園長は笑いだし

 

「あははは!確かに母もよく『自分が結婚できたなんて夢のようだ』と、そう言っていましたね」

 

確かに源田司令官は美人ではあったが男勝りで、すぐ拳で語るような熱血漢だったな・・・・合コンが失敗に終わった時、よく私や隊長を巻き込んではやけ酒に付き合わされたっけ・・・・・そう清美は昔のことを思い出していると学園長はコホンと咳ばらいをし

 

「ま、とにかく杉田さん。話は以上になります。止めてすまなかったね・・・・」

 

「いえ、では・・・・「あ、それと・・・」なんですか?」

 

「曹長。いきなり違う時代にタイムスリップして大変でしょうが、この時代で頑張ってください。何か困ったことがあればいつでも頼ってください。私はいつでも協力しますよ」

 

と、そう言うと清美はふっと笑い

 

「お心遣い感謝します」

 

と、そう言いうと学園長に敬礼した後、部屋を出るのであった。

 

 



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勇気と無謀

更新が遅くなって申し訳ございませんでした


学園長の話が終わり私は部屋を出て、ある所に向かった。その場所は保健室。一夏が寝ている場所だ。本当はすぐに部屋に戻りシャワーとか浴びたかったのだが、さすがに見舞いもしないのはどうかと思い部屋へ帰る前に一夏の様子を見ようと思ったのだ。

すると、

 

「あれ?清美じゃない」

 

「ああ、鈴音。どうも」

 

と、そこへ偶然、鈴音に会うのだった

 

「一夏のお見舞い?」

 

「まあね。鈴音は行って来たの?」

 

「うん。さっきね。一夏の奴、起きているわよ」

 

「そう・・・・・・・で、どう、一夏とは?」

 

「うん。一応は仲直りできたけど、でもあいつ最後の最後まで私の気持ちに気が付かなかったわ・・・・」

 

「そうか・・・・」

 

「でも、私は後悔してないわ。だって全力であいつに自分の想いをぶつけたんだから、今はそれでいいわ」

 

「そう・・・・・今はね。いつか気付いてくれるといいな鈴音」

 

「ええ、絶対にあいつに私の本当の気持ちを気付かせるんだから」

 

「そう、応援するわ」

 

と、そう言い清美と鈴音は笑いあう。

 

「それじゃあ、私はそろそろ行くからね」

 

「ええ、じゃあね鈴音」

 

と、私は鈴音と別れて、一夏のいる保健室へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

一方、一夏は・・・・・

 

「あれ?ここはどこだ?」

 

俺は今。ISを着けずにに空に浮いている。下を見るとそこは南国らしき島の風景が見える。確か俺は保健室にいたはずだ。そして見舞いに来てくれた鈴音とセシリアと一緒に話し、そして二人が部屋から出た後、また眠気が襲って寝たんだっけな・・・・・ということはこれは夢なのか?そう俺が思っていると、

 

「ん?なんの音だ?」

 

遠くから何かの音が近づいてくる。そして俺の頭上を何かが通り過ぎた。それは深い緑色のした戦闘機だった。しかもその戦闘機は今の時代にあるジョット機ではなく、プロペラ、そうレシプロ機であった。しかもそのレシプロ機は一夏でも知っている戦闘機であった

 

「あれって・・・・・・零戦か?」

 

そう、一夏の目に写ったのは日本の代表的な戦闘機である零式艦上戦闘機。通称零戦であった。だが、そこにいたのは零戦だけではなく無数の戦闘機や爆撃機がいて、激しい空中戦を繰り広げていた

 

「もしかしてこれ・・・・・太平洋戦争か?」

 

最初、一夏は今見ている夢が大昔に起きた太平洋戦争の出来事かと思っていたが、一夏はすぐに違うとわかった。なぜならゼロ戦が戦っている相手はアメリカの戦闘機ではなくドイツの戦闘機bf109であった。もし太平洋戦争であったなら当時同盟国であったドイツと日本が戦わないはず。だとするとこれは・・・・

 

「これって・・・・・第三次世界大戦か?」

 

一夏はふっと昔、面倒を見てくれたおばさんの話を思い出す。第三次世界大戦。今では教科書でも乗るほどの大きな戦争の一つで、その戦争は奇妙な戦争規定があった。それは『第二次世界大戦で使用された平気で戦うこと』。だからあの戦争で使用されていたのは昔に使われていた兵器だけであった。そしてそのおばさんも昔はその戦争に戦闘機のパイロットとして従軍していたらしい。

 

「なんでこんな夢を見ているんだ?」

 

激しい空中戦の中無数の飛行機が火に包まれ堕ちていくのを見て、一夏は顔を青ざめる。戦争については教科書やドキュメンタリー番組では見たことがある。だが目の前に見えるのは映像では見られない本物の戦争。悲痛な声がいびき渡り堕ちる飛行機から火に包まれるパイロットの姿が見えた。その光景に一夏は目をそらしたくなる。すると・・・・

 

『疾風一番!疾風一番!ワレ敵戦闘機隊を発見す!501部隊続け!』

 

と、少し幼げな声が響くと上空から帯に白い稲妻模様で胴体に赤い二本のストライプ模様のが特徴の零戦がつっこんで、戦闘機を撃ち落とす。そしてそれに続き他の零戦も急降下して次々と敵戦闘機を落としていく。そして一夏は先ほど先頭にいた零戦は相手の弾丸をひらりひらりと華憐に躱しそしてその戦闘機の背後を取りのコックピットを覗くとそこには中学生くらいの黒髪の少年が乗っていた。

 

「なんで中学生が戦闘機に?」

 

一夏が驚いていると、今度は別の零戦が現れた。その零戦は先ほどの冷戦のように胴体に一本の赤いストライプがあった。そしてその零戦は先ほど華憐に飛んでいた零戦と違い荒々しい動きだが、それでもどこか奇麗な飛び方をし敵機を撃墜するのが見えた。そして

 

「戦果!敵戦闘機、一機撃墜!!」

 

「この声は・・・・」

 

何処か聞いたことのある声に一夏は先ほど荒々しい動きをするゼロ戦を見る。そして再びその零戦から

 

「ワレ、突撃す!目標敵戦闘機!我、疾風二番!!」

 

と声がした瞬間一夏はその零戦を操縦する人の顔を見るのであった

 

「あれは、杉田!?」

 

そう、そのコックピットにいたのは自分のクラスメイトである杉田の姿であった。そして次の瞬間一夏の視界が真っ白に輝くのであった

 

 

 

「うっ・・・・・ここは」

 

一夏が目を覚ますと、そこは先ほど自分がいた保健室であった。外を見るともう日は落ちて暗くなっていた。

 

「そうか・・・・俺は確か寝ていたんだっけな・・・・・」

 

と、一夏は今の状況を整理してるとふっと先ほどの夢を思い出す

 

「なんであんな夢を見たんだ?」

 

ト一夏は考える。ただの夢にしては現実味がありすぎる。そして先ほど零戦に乗っていたクラスメイトのことを思い出した。

 

「・・・・・何で杉田が、零戦に乗っていたんだ?」

 

と、そう疑問に思っていると

 

「失礼するぞ」

 

とドアが開き、そこから杉田が入ってくる

 

「体の具合はどうだ一夏?」

 

「あ、ああ・・・・この通りどこも問題ねえよ。それよりも杉田その腕・・・・」

 

と、一夏はギプスをはめている清美の腕を指さすと

 

「ああ、これか。何ちょっと派手にやりすぎてヒビが入った」

 

苦笑してそう答える。そして清美は

 

「それよりもすまなかったな一夏。腹を殴ってよ。だけどあの時なぜ私がお前の腹を殴ったかわかるか?」

 

「座るぞ」という言葉とともに杉田は椅子に座りそう言うと

 

「いいや。全然わからないよ。なぜ殴ったんだ?」

 

とそう訊くと杉田がはぁ~とため息をつき

 

「お前、そんなこともわからないであの無人機に突撃したのか・・・・あ、例の無人機についてはもう知っているな?」

 

「ああ、俺が気絶している間のことは鈴音から聞いたよ。で、さっきの言葉なんだけど?」

 

「ああ、そうだったな。お前を気絶させたのはお前があのままこの場に残ってあいつと戦っていたら完全に命を落としていたということだ」

 

「え?」

 

「え?っじゃないだろう。あの時のお前は鈴音の試合でスタミナ切れを起こしていたし。ただでさえ接近戦用の武器しか持っていないうえ経験不足のお前が重火器を装備するISと戦えばどうなるか目に見えている。万が一勝てたとしてもその時は相打ちか、良くて大怪我をする。だから私はあんたを殴って気絶させたんだ。その意味は分かるだろ?」

 

「あ・・・ああ」

 

「一夏。お前は確か誰かを守りたいんだよな?」

 

「ああ」

 

「そこでお前が大怪我をし、最悪の場合死んだらお前の護る人たちがどんな思いをするのか考えたのか?」

 

「っ!?」

 

一夏は清美の言葉に驚く。そんなこと考えてもいなかったからだ

 

「一夏。誰かを守りたいのならお前自身も含めなきゃだめだ。勇気と無謀っというのは全然違うものだ。ヒーロー気取りでやりたいのなら。それは誰かを守る資格はない。そのことを心の隅に入れておけ」

 

「すまない・・・・」

 

と、一夏は申し訳なさそうに言う

 

「謝るんなら俺じゃなくお前のクラスメイトに言いな。それよりも一夏。話しは変わるが、鈴とはどうなった?」

 

「え? ああ、一応仲直り(?)は出来たと思う。でもいまだに『料理が上達したら、毎日あたしの酢豚を食べてくれる?』にタダメシ以外の意味があるような気がしてさ」

 

まあ、確かに味噌汁の酢豚版じゃあ、わからんよね。ほんと

 

「なあ、杉田。鈴は何を言いたかったんだ?」

 

「それは私に聞くことじゃない。直接本人に聞くか、自分で解決するしかない」

 

「うー。女子の考えってまったく理解できねえ!」

 

織斑がそんなふうに頭を抱える様は少しだけ面白かった。その姿を見て私は笑みをこぼし

 

「ふふ・・・お前は少し女心を勉強することだな。じゃあ、一夏。私はこれで」

 

と、そう言い清美は立ち上がり部屋を出ようとすると

 

「なあ、杉田」

 

「ん?何だ一夏?」

 

一夏が清美を呼び止めると清美が振り返る。

 

「あ、あのさ……変な事を訊くんだけどさ」

 

「なに?」

 

一夏の言葉に清美が首をかしげると一夏が

 

「あのさ。杉田てさ、戦争に参加したことがあるのか?」

 

一夏は先ほど夢で見たあの光景を思い出し杉田が戦争に参加していたかどうか訊く

 

「・・・・・・」

 

一夏の言葉に清美は目を見開き驚いたような顔をするが、すぐにふっと笑い

 

「そんなわけないでしょ?なんでそんなこと訊くんだ?」

 

「あ、いや。違うなら違うでいいんだ。ごめんな。そうだよな。変なこと聞いて悪い」

 

「そう。じゃあ、またね」

 

と、そう言い杉田は部屋を出るのであった 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~びっくりした・・・・」

 

部屋を出た私は胸を押さえてそう言う。あの時、一夏に『戦争に参加したことがあるのか?』と訊かれたときは心臓が飛び出るかと思った。私は基本的に一夏に自分がタイムスリップした人間だとは一言も言っていない。一夏にそんな疑問を抱かれるほど、私は挙動不審であっただろうか。過去を振り返ってみても、思い当たる節がない。だったらなんで一夏はあんなことを言ったのであろうか?

 

「・・・・・まあ、わからないことを考えてもしょうがないな・・・・」

 

と、頭を掻きながら私は自室へ戻る。

 

「ただいま~」

 

部屋を開けてそう言った瞬間

 

「清美さん!大丈夫!?」

 

と、簪が俺に駆け寄ってそう言う

 

「え?え?簪?」

 

俺はいきなりのことに戸惑うと簪は

 

「清美さん。あの無人機と戦って怪我したって聞いたから・・・・・」

 

「え?ああ。まあちょっと腕をやったぐらいだけど別に命にかかわるような怪我はしてないよ。ほら、この通り元気だし」

 

とニコッと笑ってそう言うと簪は

 

「よかった・・・・・もしかしたら死んじゃうんじゃないかと心配していたんですよ」

 

「そうか・・・・ごめんね簪。心配かけて」

 

と、私はルームメイトである簪にそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いてて・・・・・あの女。思いっきり殴るなんて・・・・」

 

一方、箒は自分の部屋で、清美に殴られた頬を抑えてそう言う。だが、箒は清美に殴られ叱られたことを思い出す。そして・・・・

 

「そう言えば、誰かに殴られて叱られるんなんて、お祖母ちゃん以来だな・・・・・」

 

と、箒はぽつりとつぶやき祖母である篠ノ之道子のことを思い出す。

自分の祖母は神社の経営者で、私や一夏が遊びに来た時は一緒に遊んでくれたりと本当に優しい人であった。だが私はそんな優しい祖母に思いっきり叱られたことがあった。

あれはまだ私が幼い時、学校で誤って先生の花瓶を割ってしまった時、私は誰かに怒られるのが怖くて他の生徒に擦り付けたことがあった。だが、花瓶を割った人物が私だとバレた時、私は必死に言い訳をして逃れようとした。そして他の大人たちは私が篠ノ之束の妹だからっということで怒ろうとはせず、むしろ私の言い分を通そうとした時、ちょうどそこにいたおばあちゃんに思いっきりビンタされたのを覚えている。周りの大人たちは慌てたがおばあちゃんは

『たとえ有名人の身内だとしても。悪いことをして叱らないのは愚の骨頂。叱るべき時に叱らないと。子供は人として間違った道を歩んでしまう』

 

と厳しくそう言っていた。今思えば祖母に叱られたのはあの時だけであった。あの時私は祖母のこと嫌いになりそうだったが、今思えば祖母は私の為に怒ってくれたんだと改めて思ったのだ。その祖母も数年前に亡くなった。それ以来私を叱ってくれる人は一人もいなくなり、次第に私は『自分のすることはなんでも正しい』と思いこむようになってしまった。杉田が私を殴るまで・・・・・。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

頬をさすりながら私は一人廊下を歩くのだった。

 

 




因みに清美が言っていた『疾風二番』とは疾風機二番機という意味です


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欧州から来た二人の転校生

2015年。南太平洋のどこか、雲一点もない青空。そして見渡す限りの青い海の上に小さな島があった。すると・・・・・

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

急に上空から悲鳴が上がり、そしてその青空から甲高い音とともに一機のBF109戦闘機が砂浜へ墜落する。そしてそれと同時にその戦闘機の操縦者であろうか一人の少女がパラシュートで降りてくる。砂浜に着地した彼女はパラシュートスーツを脱ぐ。その少女は外国人で長い金髪で青い目をした少女であった。そして少女はあたりを見渡すと上空から一機の深緑の零戦が火を噴きながら落ちてくるのが見える。そしてその戦闘機が落ちてきた方を見るとそこにはパラシュート降下してくる人影がみえた。彼女はすぐにパラシュートが降りた場所へ行く。そして丘を越えるとちょうどパラシュートが降りた所らしく、そしてパラシュートから一人の日本人の少女が顔を出す。その少女は黒い髪で髪は短く、そして目つきはまるで飢えた狂犬のごとく鋭かった。それを見た外国の女性は

 

『Va te faire enculer!japonais!!』

 

と、フランス語でそう言うのと同時に彼女はホルスターからM1935拳銃を取り出し、日本人の少女に向かって発砲する。それを見た彼女は身を守ろうと構えたが、しかし距離が離れていたためか銃弾は彼女に当たらず周辺の砂場に当たる。そしてそれと同時に彼女の銃弾は空になったのか拳銃はホールドオープン状態になる。

攻撃された彼女は自分の体を見てどこも撃たれてないと知ると、先ほど撃った彼女を睨み、パラシュートのベルトを取ると懐からルガー拳銃を出し彼女に向ける。向けられたあ彼女は撃たれると思って急いで逃げる。そんな中、日本人の女性は彼女に向かって発砲し、そして追いかける。どの位、時間がたっていたのでだろうか二人は必死に追いかけ逃げての鬼ごっこをしていた。そして金髪の少女が着いた場所は切り立った崖であった。つまり行き止まりである

 

「Jésus・・・・」

 

と彼女がそう言った瞬間背後から殺気を感じ振り向くと・・・・・

 

「とうとう、追い詰めたぞナチ野郎・・・・貴様には私怨はないがこれも戦争だ」

 

彼女がそう言うのと同時に彼女は腰に差してあった軍刀を抜き彼女に向けて構える。それを見た金髪の少女は身構えると同時に日本人の彼女は斬りかかり、金髪の少女がそれを避ける。そして日本人の少女が彼女の腹に向かって突きをするが彼女は間一髪その刀を掴む。すると日本人の少女がニヤッと笑い刀を前に押すと刀の刀身を掴んでいた外国人の手が斬れ血が流れる。その痛みに彼女は悲鳴を上げるがすぐに金髪の少女は掴んだ刀を引っ張り、そして思いっきり日本人女性を殴る。

 

「ぐわぁ!」

 

殴られた少女はその衝撃で転倒するも。すぐに起き上がり腰の後ろに隠していたナイフを取り出し、刺し殺そうとするがすぐさま金髪の少女が彼女の腕をつかみ防ごうとする。すると、急にあたりが暗くなりゴゴゴとものすごい音が鳴り響く。

 

「な、なんだ!?」

 

「Ce qui!?」

 

その音に二人は互いに殺し合うの止めその音のする方へ顔を向ける。するとそこには巨大な生物がいた。まるで黒い恐竜みたいな姿に二人は驚き、日本人の女性もそのことに驚いているのか手に持っていたナイフを落とす。そして巨大な恐竜は二人の方を見ると甲高い雄たけびを上げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・さん。・・・杉田さん!起きてください!」

 

「ん・・・・・・え?」

 

急に誰かに揺り起こされた私はうっすらと瞼を開けると最初に私が見たのはルームメイトでありこの時代で初めてできた友人の簪であった。

 

「え?あ、大丈夫だよ。あれ?もう朝?」

 

「うん。それよりも杉田さん大丈夫?うなされていたみたいだけど悪い夢でも見たの?」

 

と、心配そうに言う彼女に私は首を横にして

 

「いいえ、大丈夫よ。ちょっと昔の夢を見てただけだから」

 

と、彼女を不安させないように私は笑ってそう言うと

 

「そうなの?どんな夢?」

 

と、そう言うと私はにこっと笑って

 

「だから昔のころの夢よ。強いて言えば子供のころ・・・・・・かな?」

 

「そうなの?あ、そろそろ食堂行かないと朝食を食べる時間無くなっちゃうよ」

 

「ああ、もうそんな時刻か。じゃあ、飯食いに行こうか」

 

「うん」

 

私たちは部屋を出て、食堂へと行くのであった。

 

「(それにしてもなんであんな夢を見たんだろう・・・・もう昔のことなのに・・・・)」

 

「清美さん?」

 

「ああ、すまない今行くよ」

 

 

 

 

そして食事を終えた後、俺と簪は別の教室へ別れ、私はいつものように教室の自分の椅子に俯せになってウトウトしていると。

 

「またいつものように居眠りしていると、織斑先生に怒られますわよ清美さん」

 

「ああ、セシリアか・・・・」

 

そこへセシリアがやってきて呆れたようにそう言うと

 

「先生が怖くて居眠りなんかできないわよ・・・・・・それよりも」

 

と私は周りにいる生徒たちを見ていると何やらざわざわと話をしている。普通の会話にしてはなんか変だ

 

「セシリア。みんな、なんの話で盛り上がっているのか?」

 

「さあ、私もよくわかりませんわ。箒さんは何か知っています?」

 

「い、いや…私にも全然・・・・・」

 

と、セシリアがそう言うと箒はこっちを向きそう言うが私と目が合うとすぐに嫌そうな目をしてそっぽを向く。これは相当嫌われたか・・・・まあ好かれようとは思ってはいないけど。そう思っていると

 

「みんなおはよう」

 

そこへ一夏が入ってくると、みんなの視線が一夏に向く。どうやらみんなが話していたのは一夏についてのことだな

 

「あれ?みんななに盛り上がっているんだ?」

 

「「「何でもないよ!」」」

 

一夏が首をかしげてそう訊くとみんながそう言う。そしてさらに首をかしげる一夏に織斑先生が入ってきて

 

 

「ホームルームの時間だぞ。さっさと席に座れ!」

 

その言葉にみんなが席に座ると副担任である山田先生が

 

「今日は、皆さんにお知らせがあります。なんとこのクラスに2人転校生が来ました。では自己紹介してもらいましょうか」

 

と、そう言うのと同時に教室から二人の生徒が入って来た。それは短い金髪少年であった。そして金髪の子が前に出て

 

「初めましてシャルル・デュノアです。フランスから来ました。皆さんよろしくお願いします」

 

と満面の笑顔でそういう少年にみんなは驚いた顔をしていた

 

「え?男!?」

 

「はい。僕と同じ境遇の方がいる事を聞いて、本国から転入することになり・・・・・」

 

とシャルルがそう自己紹介しようとする。ああ・・・・・これはあれが来るな・・・そう思い私は耳栓を取り出し耳にはめる.その瞬間

 

『キャアァァァァァーーーーーーーー!!!!!』

 

と、まるで戦艦の砲撃音のようにすさまじい叫ぶ声が教室中に響き渡る。私がここに来た時もそうだが、本当にすさまじい声だな下手をしたら鼓膜が破れる・・・・・

 

「きゃあぁ!織斑君に続いて男よ!」

 

「しかも超イケメン!!」

 

とわいわい騒ぐ女子陣・・・・となりにいる織斑は・・・・ダメだ。さっきの叫び声で結構ダメージを喰らったのか少し気分悪そうな顔をしている

 

「おい、大丈夫か一夏」

 

「ああ、杉田。だ、大丈夫だよ」

 

私は少し心配して彼に訊くと一夏は引きつった顔で答えるのであった。そして転校してきたシャルルもこの雰囲気に苦笑いしていた。すると

 

「静かにしろお前たち!!まだもう一人紹介していないんだぞ!!」

 

と千冬さんがそう注意するとみんなは静かにし。そして千冬さんは

 

「ボーデヴィッヒ。入って来い」

 

と、そう言うと教室から銀髪の生徒が入って来た。その瞬間私は目を丸くした。馬鹿な…なぜ彼女がこの時代にいる!?

 

「おい、杉田。どうしたんだ?」

 

一夏が私が驚いているのに気づいて声をかけるのだが私は答えずただ目を見開き、ボーデヴィッヒと呼ばれた少女を見る。なぜ私が彼女の顔を見て驚いているかというとその少女は眼帯はしているがある人物と瓜二つなのだ

 

「(なぜ、貴様がここにいるんだ・・・ラウラ・フォン・アドラー!)」

 

そう、私が脳内に浮かんだ人物は、ナチス第三帝国総統であり第三次大戦を引き起こした。かつての独裁者アドルフ・ヒトラーの再来と言われた。あの独裁者。彼女はまさに生き写しとも言えるくらいにそっくりなのだ。

私が彼女をじっと見ている中、彼女は何一つ言葉を発しない。その様子にみんなが困惑していると

 

「おい、ラウラ。黙っていないで挨拶ぐらいしろ」

 

「はい。教官」

 

と、そう返事をする。教官?つまり彼女は千冬さんと面識があるのか?そして彼女は一歩前へ出ると

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

と、そう言う。名前まで同じか・・・・・・それにしてもこのラウラという女。あの姿勢と言い目と言い。間違いなく軍属出身だな・・・・・

 

「あ、あの・・・・・以上ですかラウラさん?」

 

「以上だ」

 

彼女の簡単な自己紹介にと困惑する山田先生にラウラは表情も変えずにそう答えると、ラウラは視線を私の隣に座っている一夏に向け

 

「貴様が・・・・」

 

どこか殺意を含めた目でそう言い彼に近づき、手をあげ彼を平手打ちにしようとしたのだが、彼女はそれをすることができなかったなぜなら・・・・・

 

「貴様・・・・・私の邪魔をする気か?」

 

私はあいつが一夏に振り下ろそうとしていた右手の手首を掴んで止めた。そして私が

 

「うるせえよ。ただでさえ今、機嫌が悪いのに転校早々に同級生を殴ろうとするのはどう言った了見だよ。答えによっちゃあただじゃすまねえぜ」

 

と鋭い目つきでそういう私にラウラは少し怯んだがすぐに私を睨みつけ

 

「貴様らのような平凡な一般市民には関係のないことだ」

 

明らかに馬鹿にしたような目でそう言う彼女に

 

「あんた。見た所その態度と口調からして軍人だな?だが今の貴様の発言と態度じゃあ、とてもそうには見えん。まるでガキがコスプレして飯事やっているような物だな。ナチ野郎・・・・」

 

「なんだと!」

 

と、私の軽い挑発にラウラは顔をしかめ、私を睨むが私はそんなことを気にせず、私は殺気を出して彼女を睨む。その瞬間。私の体から溢れた殺気に周りにいた生徒たちが凍りつくような感覚に襲われ始める。そしてラウラも彼女の目を見て

 

「(なんだ・・・・こいつは。こいつの目に体から発せられる殺気。・・・・ただの一般市民ではないな)」

 

とラウラは彼女の目や殺気を見てただの生徒じゃないことを感じる。すると・・・・

 

「二人ともそこまでにしろ」

 

一機触発なところ千冬さんが止める。そして千冬は少しため息をつき

 

「ラウラ。これ以上面倒ごとを起こそうとはするな」

 

「・・・・了解しました教官」

 

「杉田もだ。喧嘩っ早いのは勘弁してほしい。前のようにいろいろと問題を起こされては困るからな」

 

「・・・・了解」

 

とその言葉に渋々、引き下がる私たちだった。そして千冬さんは

 

「さてと転校生の紹介が終わったことだし。これから授業を始める!今回の授業は二組と合同で「IS」模擬戦闘を行う。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合しろ。いいな!!それと、織斑。デュノアを案内してやれ。では解散!!」

 

と、そう言いホームルームが終わり一夏はフランスから来た転校生を連れて先に教室を出たのであった。そして私も授業に出るべく教室を出たのであった

 

「(それにしてもあの独裁者に似た少女に、フランス少年か・・・・これはまた面倒なことに・・・・・・・あれ)」

 

この時私は不意に妙な違和感を覚えた

 

「そう言えば、あのシャルルって奴、デュノアって名乗っていたが・・・・・まさか。・・・・これもあとで調べてみるか。後ついでにあのラウラってやつも」

 

独り言をつぶや飽きながら私は第二グランドへ向かうのであった。 

 



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清美、親友の子孫たちと食事をとる

『ジークハイル!ジークハイル!ジークハイル!!』

 

ベルリンのとある場所で民衆たちのコールが鳴り響く中、演説台の上にハーケンクロイツの旗の前に長い銀髪の髪をなびかせた少女が立ち

 

「栄光ある、第4帝国臣民諸君今日は記念すべき日である!遂に我々はイギリスを除く欧州を制圧し、そして今、アジアの半分を手に入れようとしている!この戦争が始まって以来我々は一度も敗北していない!!だが諸君忘れないで欲しい、現在我々を囲む状況は非常に困難である。アメリカ、イギリスなどの連合軍はもちろん愚かしくも東洋の黄色いサルである日本までもが我々に平伏す事を拒否し無謀な戦争を仕掛けてくる!だが諸君安心した前!我々ナチスは!第4帝国は不滅だっ!!我々には屈強な兵士や親衛隊たちがいる!彼らの活躍によって連合軍の連中は一人残らず殲滅されるだろう!諸君我々に逆らう者共が潰えるまで戦い抜こう!我々に逆らうやつを皆殺しにするのだ!栄光ある第三帝国の永遠の繁栄のために!ジークハイルッ!!」

 

ナチス式敬礼を上げそう叫ぶと、それを聞いた民衆たちが

 

「ジークハイル!!ハイルフューラー!!ハイル!アドラー!!」

 

彼のJをたたえるかのように彼らもまたナチス式敬礼を上げそう叫ぶのであった。そしてそれを聞いた彼女はにやりと笑うのであった・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!!」

 

学園の屋上の上で、ドイツから転校してきたラウラ・ボーデヴィッヒは目を覚ます。本来この時間、彼女のクラスは2組と合同のISの訓練なのだが、彼女は参加せず、ここ屋上でみんながISを運転しているところを見ていたのだが、おそらく寝ていたのであろうか目を覚ますともう授業が終わりそうな時間になっていた

 

 

「なんなんだ・・・・・・・さっきの夢は・・・・・」

 

ラウラは先ほどの夢を思い出した。自分とそっくりの少女がかつて悪魔の軍団と称されたナチスドイツの旗を掲げて演説をしていた姿を・・・・・

 

「誰なんだ・・・・あの女は・・・・・」

 

そうポツリとつぶやく中、ラウラはちらっとアリーナの方を見ると一夏が箒と何か話していた。それを見たラウラは険しい顔になり・・・・・・

 

「織斑‥‥一夏」

 

と、鷹のように鋭い目つきで彼を睨みそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん!久しぶりに相手に飛行技術を教えたから少し疲れたな~」

 

訓練が終わり清美は背を伸ばし、そう言う。

 

時間は少し遡り、今回の訓練では、まず始めに専用機モチによる実演が始まった。その時セシリアと凛院が山田先生相手に試合したのだが、結果は互いに込みにケーションが取れずに山田先生の見事な射撃にて完敗し墜落 グラウンドに小規模なクレーターを作る羽目になった。聞けば山田先生は元日本の代表候補生だったとか・・・・

まあ、それはともかく専用機の実演が終わった後は各グループに分かれて専用機持ちの生徒が他の生徒にISの動かし方や飛行の仕方を教えることになったのだが、一夏とシャルルの班では

 

「一目見た時から決めてました!!」

 

「ぜひ、手取り足取り教えてください!」

 

と、ものすごい笑顔でアピールで二人に迫る女子に対し、セシリア、鈴の班になった生徒は少し落ち込んでいて、私にいたってはなぜか怯えられた 

 

「あの・・・・・何であんたたち怯えているのよ?別にかみついたりしないわよ?」

 

「え?だって清美さん『狂犬』て仇名なんでしょ?」

 

「それに聞けば清美さん前に素手で机を真っ二つにしたじゃない?間違えたら殴ったりしないよね?」

 

と、少し怖がってそう言うと

 

「大丈夫だよ~キヨキヨはとっても優しいからそんなことしないよ~ねえ、そうでしょキヨキヨ~♪」

 

と、一緒の班になった本音さんがそうフォローし私も頷いて

 

「ええ、別に失敗するのは誰でもあるし、別に理不尽に殴ったりしないわよ。まあ命にかかわるような失態したら怒るけど。そんなことはしないわよ」

 

軍隊では鉄拳制裁なんてよくあるのだが、私が所属した部隊、いや訓練場では鉄拳制裁は本当に命にかかわるような失敗をしなければ殴られることは一切なかった。殴って相手の腕が上達できれば苦労はしないからね

 

「は~良かった~」

 

「ほんと良かった~」

 

それを聞いて女子生徒たちはほっとした顔になりそれを見た私はふっと笑い

 

「それじゃあ、練習を始めましょうか」

 

『はい!』

 

私の言葉にみんなは返事をし、私はまずISの基本である歩行から始める

 

「そう、そのまま、そのまま。慌てないでまずは自分のペースで動いてみて」

 

「は、はい!」

 

と、緊張をほぐすように私が言う中、女子生徒は返事をし、ISを稼働させる

 

「うん。先ほどより上達したわね。よし、じゃあ次の人に交代して。ただし降りるときはしゃがんで降りてね。そのまま降りたら次の人が降りれないから」

 

「は、はい!」

 

と、私は根気よくそしてわかるように相手にいろいろISの操縦の仕方を教え、そして授業が終わると

 

「いや~、まさかここまでできるとは……」

 

「杉田さんでよかった!」

 

「最初はひやひやしたけどね……」

 

「ありがとう杉田さん!」

 

と、お礼を言われた。私は別にお礼を言われるようなことは一切していない。ただ元の時代でやったように新兵の訓練の指導をしたのと同じ感覚でやっただけなんだけどな・・・・

 

「じゃあ、すぐに機材をかたずけようか」

 

「は~い」

 

と私たちは使用したISを少し談笑しながら倉庫に戻し、各自分かれて今に至るのだ。

 

「それにしてもあれくらい素直だと、かえって物足りない感じだな・・・・」

 

私がぽつりと呟く、私…いや隊長と一緒にいた部隊は基本的に問題児が多く、よく私か隊長に反発したりして結構大変だったのを覚えている。まあ、書くいう私自身も隊長に反抗した問題児の一人なんだけどな・・・・

 

「はぁ~ポッポが私に反抗してきたときのあの頃が懐かしいな・・・・・」

 

私は遠く見つめかつて部下であった彼女を思い出す。

ポッポとは新たに配属された新人の子で本名は羽藤沙月。性格はくそまじめでマニュアル重視のマニュアルバカではあったが、小柄でみんなからは羽藤の羽を取って『ポッポ』と呼ばれていた。私がそんな昔のことを考えながら。私は別のことを考えていた。

ラウラ・ボーデヴィッヒについてはナチス総統ラウラフォンアドラーと無関係だというのはすぐにわかったが、彼女の素性についてはドイツ軍の規制によって調べることはできなかった。そのほかにシャルル・デュノアも彼が転校してきてすぐに調べたが彼はフランスISメーカの大企業デュノア社の社長の子だということはすぐにわかった。ただ、問題なのはそこではない。問題はデュノア社の社長に息子はいないということだ。万が一息子がいてISを操縦できるのならとっくの昔にニュースになっているし、それに会社からすれば大宣伝に利用できる。そのため私はシャルルのことが少し気になっていた。それ以前にも私には気がかりなことがあった

 

「デュノア・・・・・もしかしてあのシャルルもあいつの子孫なのか・・・・・」

 

そう呟くと・・・・

 

「お、杉田」

 

「あ、一夏。あなたも今終わったの?」

 

偶然、一夏と出会う

 

「ああ、・・・・あ、そうだ杉田。ちょっといいか?」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園の屋上

 

「・・・・・で、一夏。これはどういうことだ?」

 

箒が一夏をジト目でそう訊くと一夏は笑って

 

「いや、だって大勢で食べたらうまいだろ?それにシャルルは転校して来たばっかりだし、右も左もわからないだろ?」

 

「それはそうなんだが・・・・・」

 

と箒はため息をつく。そう今私は先ほど一夏に一緒に昼ご飯を食べようと誘われついてきたところ。屋上にて一夏や箒、セシリア、鈴、そしてシャルルと一緒に弁当を食べているのだが箒は一夏のことをジト目で見ている。恐らく箒が一夏に一緒にご飯を食べようと誘っていたみたいなのだが‥‥一夏の奴。本当に女心がわかっていない・・・・

 

「えと・・・・僕、帰った方がいいのかな?」

 

「いや・・・もういい・・・・」

 

シャルルが気を使って言うが、箒は諦めたように返した。そしてその後はみんなでお弁当を食べ始める鈴は酢豚で、箒は唐揚げ、セシリアはサンドイッチ。ちなみに私はおにぎりと沢庵と紅鮭であった。そしてみんなお弁当のおかずを交互に交換して食べて、鈴の酢豚はとても美味しく。高級店でも出せるくらいの味であった。次に私はセシリアのサンドイッチをいただく。そう言えば彼女の祖母、私にとっては戦友だったリネットは料理が趣味でその腕前は一流シェフに劣らない料理が得意だったがどうかな・そう思いながら私はセシリアのサンドイッチを口に入れる・・・・その瞬間・・・

 

「っ!?」

 

サンドイッチを食べた瞬間私は冷や汗が止まらなくなった。な、何ともいえないこの味……! 口の中で、甘みと酸味と苦みと渋みと辛味が狂ったようにコサックダンスを踊っている!!な、なぜだ・・・・なぜこんな味に…見た目はすごくおいしそうなのになぜこうなった!?

 

「どうですか清美さん?」

 

にこやかにそう言うセシリアに私はまずいとは言えず

 

「・・・こ…個性的な味だな・・・・」

 

苦笑いして最大級のお世辞を述べるのだった・・・・・・・その後私たちは軽い談笑をした。すると・・・

 

「へ~シャルルってデュノア社の社長の子なんですか?」

 

「うん。そうなんだ。そう言えばセシリアさんの家も確か有名な企業のだったよね?」

 

「へ~本当なのかセシリア?」

 

「はい。そうですわ。でもそれだけじゃありませんわよ私の祖母はかつて第三次世界大戦でエースパイロットとして活躍していたらしいですわよ」

 

「へ~そうなんだ」

 

セシリアの言葉に一夏はそう言うと鈴音も

 

「それを言うなら私のおばあちゃんも第三次大戦のエースパイロットなのよ!」

 

「え?そうなのか?」

 

へ~それは初耳だな・・・・私はお茶を飲みながら黙って聞いていた

 

「そうよ一夏!あの戦争中国は参加してないって言われているけど、本当は義勇軍として参加していたのよ。もう亡くなっちゃたけど、私のおばあちゃんもその義勇軍の一部隊の隊長として参加してたんだよ」

 

「へ~・・・で、どんな部隊なんだ?」

 

箒がそう訊くと鈴音は

 

「う~ん・・・・・確か第二次世界大戦でも活躍した部隊で・・・・・確か『フライングタイガース』だったかな?」

 

「そうなんですの・・・・で、おばあさまの名前はなんていうの?」

 

「確か・・・・・・嫁入りする前の名前は確か・・・・・張蓮華…だったけ?」

 

「ぶふっ!!」

 

「うわっ!ちょっ、大丈夫か杉田!?」

 

「だ、大丈夫。ちょっと咽ただけだから・・・・・」

 

私は鈴音の祖母の名を聞いた瞬間、思わず飲んでいたお茶とともに吹きだしてしまった。するとシャルルは

 

「張蓮華…‥『空の呂布奉先』と呼ばれたあの中国の撃墜王?」

 

「うん。その張蓮華。今では鳳蓮華になっているけど。小さい頃よくおばあちゃんにその時のこと訊かせられたよ。特に日本人と喧嘩した時の話をしたときおばあちゃん嬉しそうに話してたよ」

 

「日本人と喧嘩?」

 

私がそう訊くと

 

「うん。なんでもおばあちゃんが若い時、部下と一緒にとある酒場で同じ店に入った日本の戦闘機乗り達と鉢合わせしたらしいんだけど、何かの言い争いで大喧嘩になったらしいのよ。特におばあちゃんその中でも日本人女性のパイロットと激しい殴り合いをしたんだって。でもその後、互いの腕を認め合ってその日本人と仲良くなったみたいだよ。おばあちゃんによれば『いい友人ができた』って言ってたよ」

 

「な、殴り合いって・・・・」

 

「へ~それは‥‥すごいね」

 

と見んなは苦笑し、私も苦笑いをしながらお茶を飲む。そして・・・

 

「(その日本人・・・・・・・・私だ・・・・)」

 

鈴音の話で今思い出した。確かに私蓮華と殴り合った。確かあれはとある店で、から揚げに何をかけるかで口論になって、蓮華が私に水をぶっかけたのが喧嘩の始まりだったな。まあその後青春ドラマみたいに殴り合った後、互いの腕を認め合って仲良くなり、たまに道子やリネットたちと一緒に買い物に行ったりカフェでお茶したりなんかといろんなことしたっけ・・・・・と、言うより鈴音が蓮華の子孫だというのに驚いた。確かに言われてみれば目つきが似ている・・・・・それよりもこの学園ってやたらに私の知人の子孫が多いんだけど・・・・・・

そんなことを思っていると一夏は

 

「そう言えば、シャルルのおじいちゃんやおばあちゃんも戦争に参加したのか?」

 

と、そう訊くとシャルルは

 

「う~ん・・・・・僕あまりおばあちゃんにあったことないからわからないけど戦争には参加していたって言っていたよ。なんでも自由フランス軍に所属していたとか、でも初戦でナチスの捕虜にされてしばらくナチスの兵としてアジアで戦っていたみたいなんだけど、すぐにナチスから脱走して連合軍に保護されてまたフランス軍として戦ったみたいだよ?」

 

とシャルルはそう言う

 

「(・・・・・・やっぱり。こいつは・・・・)」

 

 

シャルルの言葉に私はじっと彼を見る。すると昼休みを終えるチャイムが鳴る

 

「あ、チャイムが鳴った。もうそろそろ教室に戻らないと」

 

「そうですわね」

 

と、みんなかたずけをし教室に戻るのであった。そんな川田氏はシャルルを見た後、空を見上げ

 

 

「(ああ・・・・何という運命のいたずらなんだよ・・・・・・・そうだろ姉妹・・・)」

 

と空を見上げてそう小さな声でつぶやくのであった



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清美、姉妹と再会する

2015年。南太平洋のとある島で二人の少女が筏を作っていた。だがその筏は不思議な形でいろんな飛行機の残骸を寄せ集めてできたもので筏というよりは船に近かった

 

「どう、清美?」

 

「ああ、大丈夫だあとはこのプラグを繋げば・・・・」

 

「清美。それ本当に動くのかしら?もし動かなければ私たち一生・・・・」

 

「何弱気になってるのよ姉妹!動くに決まっているでしょ!なんせこれは私とエルザ、二人3ヵ月で作ったグレイフォックス号よ!絶対に大丈夫だって!」

 

そう言い彼女はエンジンをかける。すると、エンジンがかかる

 

「やった!やったぞエルザ!」

 

「ええ、やったわ清美!これでこの島から脱出できるわね!」

 

そう言い二人は笑顔で抱き合い嬉しそうに言うのであった。すると島の森の方から甲高い雄たけびが聞こえる

 

「っ!?」

 

あいつ(・・・)が来る!エルザ!早く乗るわよ!」

 

「ええ!!」

 

そう言い二人は船に乗るのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・やっぱりそうだったのか」

 

図書室のパソコン室で杉田はあることを調べていた。そして

 

「やはり私の思った通りね。しかもあいつ日本にいたなんて・・・・休日が取れたら会いに行こうかな」

 

と、独り言をつぶやく、シャルルとラウラが転校してから早一週間。清美はその日から授業が終わった後、図書室で調べ物をすることが多くなっていた。

 

「それよりも今は旧友に会うことじゃなくて、その孫のことだな・・・・・」

 

と、そう一人呟くと

 

「授業が終わった後、図書室で勉強するのは感心だな杉田」

 

「・・・・千冬さん」

 

背後から声が思振り向くとそこには千冬がいた

 

「ここでは織斑先生と言ったはずだ。年上には敬意を払えガキ」

 

「授業は終わっていますし、今は二人だけですし構わないだろ?それに年齢というのなら私はあんたより年上だと思うが小娘?」

 

「・・・・・・・ふ」

 

清美のその言葉に千冬は参ったというような顔を見せ

 

「まあ、一理あるな・・・・・・で、何を調べていた曹長?ただ単にこの時代のことを調べていたわけじゃないのだろ?」

 

「・・・・・ええ、実はシャルル・デュノアについて調べていた」

 

「なに?彼女を調べていた?」

 

「ああ、少し気になることがあってな」

 

「そうか・・・・で、何かわかったのか?」

 

千冬に言われ、杉田はシャルルのことについて話すと千冬は目を丸くして驚いた

 

「まさか、あのシャルルが・・・・」

 

「ええ、千冬さん。シャルルの件、私に任せてはくれませんか?」

 

「それは、放っておけないという意味の個人的な物か?それとも昔の借りを返すためか?」

 

そう言うと杉田は少し目を細め彼女を睨む。それを見た千冬は

 

「すまない。失言だったな」

 

「いえ、良いんですよ・・・・・それとさっきの質問の答えは・・・・両方です」

 

「そうか・・・・・では頼む。こちらも学園長に相談してできる限りの協力はしよう」

 

そう言いと杉田は無言で頭を下げ、その場を後にするのであった。そして廊下を歩いていると携帯電話が鳴り杉田はそれに出ると

 

「もしもし?」

 

『ああ、繋がった。やあ杉田君、学園性格は楽しんでいるかい?』

 

電話の相手は中嶋聡子会長であった

 

「中嶋整備長・・・・・ええ、楽しんでいますよ。それよりなんの用ですか?もしかして紫電改の修理が終わったのですか?」

 

「ううん。それはまだ、なんせパーツが昔の代物だからね。それにピッタリの物がなかなか見つからなくてね。それで電話を掛けた理由なんだけど前に君のISに新しい装備を付け加えるって言ったよね?』

 

「ええ、もしかして・・・」

 

『うん。今日届くから。使ってみて』

 

「了解しました。それでその新装備はというと?」

 

『一つは君の持っている20ミリ機関砲を改造したものだよ。発射速度も倍に増えて、それだけじゃなくて実弾の他にレーザー砲に切り替える装置がついているんだよ』

 

「ほ~レーザー砲にですか。まるでSFですね。で、ほかには?」

 

『他には。接近戦を考えたナイフなんだけどね、それブーメラン型にしているんだよ。名前は『アイスラッガー』。だから投げて遠距離攻撃もできるようになっていてそれだけじゃなく使用者の脳波でコントロールできるようになっているんだよ』

 

「アイスラッガーって・・・・中嶋さん。もしかしてそれセブンに影響されました?」

 

『うん。そだよ。じゃあとにかく夕方くらいには届くと思うから使ってみてね~』

 

「ええ、感謝します整備長。ああそれとあの件ですが?」

 

「ああ、あれならもう連絡しているよ。今日からでも行くつもりでしょ?」

 

「ああ、信じてもらえるかわからんがな」

 

「まあそこは向こう次第だね。じゃあ健闘を祈るよ」

 

「ああ、ありがとな」

 

そう言い電話を切る杉田。そして・・・・

 

「さて・・・・ちょっとISの操縦の練習でもしようかな」

 

と、そう言い杉田はアリーナの方へ向かうのだった。そしてアリーナの方へ着くと内部が騒がしい事に気づいた杉田はいたは様子を見るためアリーナの内部を見渡した。そこにはラウラが一夏に喧嘩を売っているのが見えたそれを見た杉田はため息をつき

 

「まったく、これだから今時の奴は」

 

頭をがりがりと掻き二人のもとへ行くのであった

 

「織斑一夏」

 

「なんだよ?」

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。なら、私と戦え」

 

「いやだよ。理由がねえ」

 

「貴様になくても・・・・・・」

 

そう言いラウラは一夏にレーザー砲を向け

 

「私にはある!」

 

そう言い発砲しようとした瞬間、どこからか銃弾が飛んできて彼女のレーザー砲に当たる

 

「っ!?誰だ!」

 

ラウラは銃弾が発射された方向を見るとそこには

 

「やれやれ・・・・今のドイツ連邦の軍人はこんなにまで沸点が低かったとはな・・・・」

 

「ぐッ、貴様は・・・・」

 

「杉田!?」

 

ラウラの発砲を邪魔したのは紫電を装着し20ミリ機関砲を構えた杉田の姿があった。それを見たラウラは鼻で笑い

 

「ふ、その装備見れば超旧式の第一世代。それに持っている武器もレーザーではなくMG 151 機関砲・・・・・そんな骨董品で私の邪魔をするとはいい度胸だな?」

 

「ふ、見た目で判断し相手の力量も分析できないとはな。ドイツ連邦の佐官とは思えない発言だなラウラ・ボーデヴィッヒ少佐?」

 

「っ!?私の事を調べたのか?」

 

「ええ、ドイツに友人がいてな・・・・ラウラ・ボーデヴィッヒ、ドイツ連邦所属で階級は少佐。IS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』通称黒兎隊の隊長。どうだ合っているか?」

 

「貴様・・・・それをどこで」

 

「さっきもいったろ、ドイツ軍に詳しい友人に教えてもらったと、貴様も軍人ならば、規則の大切さぐらいは体で覚えていると思ったが?」

 

本当は中嶋整備長に頼み中嶋整備長がドイツ軍の友人に調べてもらって、その情報を知ったというだけであった。

 

「ぐッ…この小娘が」

 

「小娘・・・ね。はっきり言うが私から見れば貴様こそ実戦経験のない小娘だ・・・・」

 

殺気を含めた杉田の目にラウラは気が付く

 

「そうか・・・・その言動と言いその目の殺気と言い・・・・・貴様も軍属・・・・・・いや、傭兵か?」

 

「違うな私はちゃんとした正規兵だ」

 

「減らず口を。たかが旧式機で私の相手をするか?」

 

「お前こそ思い上がるなよ。機体の性能差が勝敗を分かつ絶対条件ではない事をその体に叩き込んでほしいのか?」

 

そう言い二人は激しく睨み合うと・・・・・

 

『そこの生徒!何をしている!』

 

と、先生のアナウンスが鳴るとラウラは舌打ちをしISを解除すると

 

「今日の所は引いてやろう」

 

そう言いうとラウラは杉田と一夏を睨みその場を去った。そして

 

「大丈夫か?一夏?」

 

「ああ、杉田か。助かったよ」

 

「一夏。あの女とお前に何があった?あのラウラの態度を見ても普通じゃないぞ?」

 

「それが俺にもよくわからないんだ」

 

一夏は不思議そうに首をかしげる。どうやら本当に身に覚えがないらしい

 

「そうか・・・・じゃあ、私はこれで、ちょっと用事ができたし・・・・」

 

そう言い杉田はシャルルをちらっと見るとその場を去るのだった。するとシャルルは

 

「ねえ一夏。その子ってこの前、ラウラの平手打ちを止めた子だよね?」

 

「ああ、杉田清美って言って、俺にISの空中戦を教えてくれたり射撃とかを教えてくれるいい奴だよ」

 

「そ、そうなんだ・・・・」

 

そう言いシャルルは杉田の方を見て

 

「(あの人・・・・・どこかで見たような・・・・・)」

 

と不思議そうに杉田を見るのであった。

 

一方、杉田は校門前にいてその場には山田先生がいた

 

「では杉田さん。織斑先生にも言われていると思いますが、夕方までには戻ってきてくださいね」

 

「ええ、わかっています。それでは行ってきます」

 

そう言い清美は山田先生にそう言い学園を出てバスに乗る。そしてしばらくして彼女はバスを降りる

 

「・・・・・・ここね」

 

そう言い彼女が付いた場所は小さな喫茶店だった。その店の名は「ラゴス」と書かれていた。そして清美は店の前に着くとそこには「close」と書かれていたのだが、彼女は気にもせず扉を叩く。

 

「店長さん?いますか~?私です中嶋工業の会長さんから聞いていると思いますが?」

 

と、そう言うが何も返事がない。だが、店の奥を見ると人影がみえるので留守ではないのはわかる。すると清美は一息入れ・・・・・

 

「いるんだろ!元ナチス空軍及び自由フランス軍『ジャンヌダルク隊』隊長、エルザ・デュノア中尉!!!」

 

と、大声で言うと、いきなりドアが開く。そしてドアを開けたのは外国人の老婆であった。そして老婆は

 

「・・・・私は・・・・私は夢でも見ているのか・・・・・それともあの世から迎えが来たのかい?」

 

と驚いた顔で私を見る。私は首を横に振り

 

「いいや、夢でもましてはあの世からの使いでもないぜ・・・・・俺はこの通り生きているよ。ただ時空を越えちまったけど」

 

「あ・・・・あああ。神は本当にいたのね・・・・・またこうして死んだ戦友に会えるなんて・・・・」

 

と、彼女は私に抱き着き、私は彼女を抱きしめ

 

「本当に・・・久しぶりね・・・・清見」

 

「40年ぶりの再会だな・・・・・・姉妹」

 

私は40年ぶりに姉妹契りを交わした仲間と再会するのだった

 

 

 

 



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義姉妹

「コーヒー上がったよ」

 

「すまないな。エルザ」

 

喫茶ラゴスの店内で清美はエルザにコーヒーをもらう因みに喫茶の入り口には『今日は閉店』と書かれていた。そしてエルザは椅子に座り

 

「生きて40年たつけど、まさか、こんなことって本当にあるのね・・・・」

 

「その割には驚かないんだな?」

 

「長生きもすればちょっとやそんなでは驚きはしないわ。例え義姉妹の契りを躱した友人がタイムスリップしてきてもね」

 

「私がタイムスリップしてきたことは疑わないのねエルザ。もしかしたらただのそっくりさんがいたずらでそう言っているだけかもしれないぞ?」

 

「それはないわね。あなたは私の知っている清美よ」

 

「・・・・・・その根拠は?」

 

「お前の瞳だ。お前の瞳には嘘をついている目じゃない。それ以前にその目はあの時の清美そのものだからな。まあ他に理由があるとすれば・・・・・・」

 

そう言いエルザは両方の手のひらを見せ

 

「初めて会った時あんたにつけられた刀傷がさっきから疼いていたからね」

 

「・・・・・悪かったよ。あの時は・・・・」

 

「わかってるわ。あの時は戦争中、しかも互いに敵同士だったしね。仕方のないことさ」

 

と、そう話し合いながらコーヒーを飲む二人。すると清美が

 

「それにしても喫茶『ラゴス』ね・・・・・この店の名前あの島からとったの?」

 

「ええ・・・・私と清美が初めて会ったあの島だからね」

 

「・・・・・で、あの島は?」

 

「まだ見つかっていないわ」

 

「そっか。それならそれでいい。あの島で見たことは私たちだけの胸の内にしまっておかないといけないからね」

 

「そうね・・・・あれだけは絶対に表に出してはいけないものよ・・・・・」

 

何やら意味深いことを話す二人。そしてエルザは

 

「・・・・で、ナカジマからお前が訪問することは聞いているが、訪問理由はなんだい?まさか私に会うだけ来たわけじゃないわよね?」

 

と、じっと見るエルザに清美はふふっと笑い

 

「ああ、お前に会うのもそうだが本命はそれだけじゃない。エルザ。中嶋さんから聞いたのなら話が早い。私がIS学園にいるのは知っておるわよね?」

 

「ええ、無論知っていますわ。学園生活は楽しんでいるのかい?」

 

「ええ、それなりにね・・・・・あ、それと。リネッチや蓮華、そして道子の孫もあの学園にいるわ」

 

「・・・・マジか」

 

「ええ、本気と書いてマジだ」

 

「なんという運命のいたずら」

 

「それは私も思ったよ。で、肝心な話なんだけど。私が一番訊きたいのはその学園にフランスのデュノア社からシャルル・デュノアと言う子が転校してきたんだけど・・・・あの子。あんたの孫でしょ?」

 

「っ!?」

 

そう言うと、エルザは目を丸くし思わず手に取っていたコーヒーカップを落としてしまう

 

「いま・・・なんて・・・・シャルロットがあの学園に?」

 

動揺して言うエルザに清美は

 

「やっぱり…シャルルの正体は女だったか・・・・・体系的にも骨格的にも…なりよりあの子は若き日のあんたにそっくりだったからね。そうだとは思ったが・・・・」

 

清美がコーヒーを飲んでそう言うとエルザは

 

「そうか・・・・あの女狐ね・・・・とうとうシャルロットにまで手を掛けたのか・・・・」

 

「どういうこと?」

 

首をかしげる清美にエルザは

 

「清美。確かにシャルロットは私の孫よ。でも・・・・・」

 

「何か深い訳がありそうね。いいわ話して」

 

そう言うとエルザは静かに語りだす。エルザの孫であるシャルロットはデュノア社の社長の本妻の子ではなく妾の子なのだという。

 

「私から見れば妾の方が本妻だと思っている・・・・・」

 

「どういうこと?」

 

「シャルロットの母。妾の人のことだが、あの子は私の息子が今の本妻と結婚する前から付き合っていた人で互いに愛し合い、結婚まで考えていた・・・・無論私も大賛成だった。しかし・・・・・」

 

とエルザは眉間にしわを寄せる

 

「当時、息子が経営をしていた会社は戦後の不景気で潰れかけていた。その時とある富豪が自分の娘と結婚する代わりに会社を立て直すだけの援助をしてやる。そう言って気負ったのだ。無論私も息子も最初は反対したが、私がナチスに寝返った裏切者だということで耳も貸してもらえず、すぐに息子に自身の娘と結婚するよう詰め寄て来た。息子は会社を捨てて、その妾と駆け落ちしようと計画を立てたが妾の子が『私のことはいいから、あなたは自分の会社と社員を助けてあげて。私は妾でも友人でも構わないから・・・・・』と、自身の幸せを捨てて息子を助け、息子は今の社長夫人と結婚し、その人は要という枠になった。そしてシャルロットが生まれた後はしばらく母のもとで暮らしていたが母が亡くなった後はデュノア社に連れて行かれたらしい」

 

「らしい・・・て、エルザはその子を引き取ろうと思わなかったのか?」

 

「しようとしたさ。しかしな。やはり第三次大戦の話を持ち出された挙句、あの子にはIS適性があるとかで連れて行かれてしまったよ。なんも力もない私は今、こうして日本で喫茶店をしている始末さ。まあ喫茶は昔からの夢だったから別にいいが」

 

悲しげに言うエルザ

 

「私はこれほど自分が情けないと思ったことはないよ。もし、BC部隊が壊滅せずナチスの捕虜となりナチスの兵として戦うことが無ければ、息子も…孫であるシャルロットも辛い思いをしなずに済んだかもしれないか・・・・・」

 

「そうか・・・・」

 

腕を組みそう呟く清美

 

「戦後から40年。確かに世界は平和になり心は豊かにはなったが・・・・・ISの登場によって少しだけゆがんだ平和になっちまったね・・・・清見。あんたから見てこの世界をどう思う?」

 

「そうだな・・・・確かに平和になり豊かになった・・・・・だが、人の心は貧しくなったように見えるね・・・・女尊男卑の世界。こんな世界。戦争で死んだ連中は果たして望んだのだろうか・・・・・・・」

 

と遠目で見る二人。激しい血みどろの戦争を経験した者たちがもし、今の時代を見たらどう思うのであろう。そんなことを二人は考えていた

 

「清美・・・・・」

 

「なんだエルザ」

 

「自分勝手な頼みだと思うが・・・・・・」

 

そう言うとエルザは頭をさげ

 

「私の孫・・・・シャルロットを守ってほしい・・・・今の私じゃあの子を助けることができない・・・だからお願いだ」

 

必死で頭を下げるエルザに清美はゆっくりと立ち上がり

 

「言われるまでもないよ・・・・・姉妹。シャルロットの件。私もできる限りのことはするわ。ただ最終的な決断をするのはあの子、本人だがね」

 

「・・・・・すまない清美」

 

そう言うと清美はコーヒーの代金を置きその店の玄関まで行き

 

「久しぶりに話せてよかったよエルザ・・・・コーヒー美味かったぞ。今度は友達やあんたの孫も連れてくるよ」

 

「・・・ええ、いつでも来てくれ。いつでも開いているから・・・・・清美」

 

エルザの言葉に清美はにこっと微笑店を出るのであった。そして帰るとき清美は近くにあった駄菓子屋でココアシガレットを買い、一本を箱から取り出し、口にくわえる。そしてIS学園につき、校内を歩いて自室の寮へと戻ろうとすると・・・・・

 

「(あれは・・・・・ラウラに織斑先生か?)」

 

向こう側でラウラが織斑先生に何かを訴えかけているのが見えた。清美は盗み聞きするつもりはなかったのだが気の影で二人の会話を聞いていた。話の内容はラウラが織斑先生にドイツに戻り教官職への復帰を希望。しかし、断られ、ラウラは織斑先生もとを去る。そして織斑先生は軽くため息をついた後

 

「門限以内に戻ってきたことは褒めるが、盗み聞きとは感心しないな杉田」

 

「別に盗み聞きするつもりはありませんよ。ただ聞こえただけです」

 

「そうか・・・・で、用事はすんだのか?」

 

「ああ、今のところはな・・・・・・で、織斑先生。一つ訊きたいことがある」

 

「なんだ?」

 

「おおよその話は先ほど聞いたが、なぜラウラはあんなに織斑先生に執着しているんだ?あれはさすがに行き過ぎだと思うんだが?」

 

「…………」

 

織斑先生はしばらく沈黙していたが、やがてラウラとの関係を説明した。それを聞いた清美は

 

「それは織斑先生に責任がある」

 

「なんだと?」

 

鋭い目で見る織斑先生に清美は

 

「あなた。ちゃんとラウラのことを見てやったのか?」

 

「ちゃんと見ていた」

 

「いや、訓練とかそういうのではなく。真っ正面から向き合って彼女のことを見てあげたのかと私は聞いているんだよ」

 

「・・・・・・」

 

「千冬さん。あなたも教師の端くれ、しかもISの教官なら覚えておいたほうがいい。指導する人間はただ指導するだけではなくその教え子にも正面から向き合い互いに理解し合わなければいけないと・・・・・・まあ、これは年寄りからの警告だとでも思ってくれ」

 

そう言うと清美は寮の方に帰って行った。織斑先生はしばらく放心状態であったのだった。

 

 

 

一方、杉田と簪の部屋では簪はネットで何かを調べていた

 

「やっぱり・・・・・・・・」

 

そのネット記事を見て簪は驚いた顔をする

 

「清美さん・・・・・あなたは一体・・・・」

 

簪の見ていた記事には

『第三次世界大戦の英雄たち』

と書かれていてそのうちの一枚の写真には、零戦を背に敬礼をする清美の姿が写っていたのであった

 



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簪、清美の正体を知る

古い友人であり、シャルロットの祖母であるエルザと会った清美は学園に戻っていた。廊下を歩く。すると清美のポケットにしまってある携帯が鳴る。清美は携帯をとると

 

「もしもし?」

 

『ああ、曹長。私だよ』

 

「ああ、中嶋さん。なんか用ですか?」

 

『ああ、嬉しい知らせが二つある。まず第一に君の紫電改の修理が終わったよ』

 

「っ!?ほんとですか?」

 

『ああ、当時の部品集めてレストアするのは大変だったよ。まあでも新品同様に直ったわよ。近々IS学園の格納庫に送るから。後で乗った時の感想送ってね』

 

「ありがとうございます整備長」

 

『いいのよ。40年ぶりに楽しめたから』

 

「それはそれは‥‥で、二つ目は?」

 

『ああ、シャルロットの件。お膳立ての準備はできたよ』

 

「・・・・本当ですか?こんな短時間で?」

 

『結構大変だったけどね。けどデュノア社の社長とは旧友の仲だしね。彼も賛成していたよ。やっぱりここの本心では娘のことを心配してたみたいだよ。エルザの息子だけあって、心優しい、いい父親だ』

 

「それで、デュノア社長はなんて?」

 

『さっきもいったろ『賛成する』って。手続きなんかもすでに準備するそうだ。後はシャルロット次第だってさ。だから彼女との交渉は任せたよ先任曹長殿』

 

「そうか・・・わかった。任せてくれ。お膳立てすまないな」

 

『いいっていいって、昔のよしみよ。気にしないでね。それじゃあ学園生活楽しんでね』

 

そう言いうと電話が切れる。そして清美は自室の寮室につき部屋に入り椅子に座ると、ポケットから、ココアシガレット一本を取り出し口にくわえるだが、その表情はどこか寂しそうな表情であった。

 

「はは・・・・エルザに出会えたのはよかった・・・・だけど」

 

そう言い清美は鏡に映る自分を見る

 

「タイムスリップ・・・・・・まさに浦島効果ってやつね。私の知る友人たちは皆、戦死したか年老いたのに対し、私は一人あの頃のまま・・・・・寂しい話ね」

 

40年後のこの世界では自分の知る知人や友人たちは歳を取っているか、もうこの世にはいない。そう一番の親友であった道子もこの世にはいない

そう清美が思っていると

 

「清美さん・・・・・」

 

いつの間にいたのか簪が自分の後ろにいた。まあ、この部屋は簪の部屋でもあるのだからいるのは当然だ

 

「ん?なんだ簪か・・・・・どうしたんだ?また弐式のデータ調整についてか?」

 

「ううん。弐式は清美さんが手伝ってくれたおかげで後は組み立てるだけだから・・・・・」

 

「そうか。じゃあどうかしたのか?そんな真剣な顔をして?」

 

と、清美はひょうひょうと笑顔でそう言うが簪の表情は無表情だった。その表情を見た清美はいつもの簪とは違うことに気付いた

 

「・・・・・・どうした簪?」

 

「清美さん・・・・・・あなたは一体誰なの?」

 

「誰って・・・・・決まっているじゃないか。私は杉田清美。それ以上でもそれ以下でもないわ。なぜそんなこと訊くんだ?」

 

清美がそう訊くと簪が一枚のタブレットを取り出し、

 

「これ・・・・・清美さんだよね?」

 

「ん?」

 

清美は簪に渡されたタブレットを見る。そこにはゼロ戦と一緒に多くの搭乗員とともに敬礼した姿が写った清美の写真だった

 

「これ、40年前の・・・・・第三次世界大戦の頃の写真なんだけど。なんでそんな昔の頃の写真に清美さんが写っているの?それにその人の名前も杉田清美。清美さんと同じ名前だわ」

 

「他人の空似じゃないかな簪。名前も同姓同名てこともあるだろ?」

 

「いいえ、この写真に写っているのは間違いなく清美さんよ。それにネットの記録によれば第三次大戦で戦死したと言われる杉田清美曹長は実際は行方不明で、ヨーロッパの大地に彼女の乗った紫電改の残骸はおろか遺体も見つかっていないって記録されている。それに・・・・・」

 

そう言い簪はタブレットを動かし、一枚の新聞記事を出し

 

「この紫電改に乗っているの恐らく清美さんだよね?」

 

そのタブレットに書かれた記事は数か月前。しかも日付は私がタイムスリップした時刻であった。そして表面の記事には『突如現れた旧軍の紫電改!IS学園の孤島にて消える』と書かれており、写真には翼から煙を出す紫電改の写真があった

 

「この紫電改が現れた直後清美さんが転校してきた。偶然にしては不自然です。清美さん・・・・あなたは本当に何者なの?」

 

ジーと真剣に清美を見つめる彼女に清美は、少し苦笑した。もう隠し通すことはできない。そう思ったのだろう。そして清美はタブレットを持ち、最初の零戦を背に敬礼している搭乗員の写真に戻し

 

「・・・・・・ふっ・・・懐かしい。この写真はまだ元号が平成だったころ、訓練を終えて初めての戦場ラバウルに配属されたときの写真だったな・・・・・・疾風隊長とはこの写真を撮った2か月後に会ったんだよな・・・・・」

 

どこか懐かしむ表情を見た簪は

 

「じゃあ、杉田さん。やっぱりあなたは・・・・・」

 

「ああ。私は40年前の時代から来た時空の漂流者さ・・・・・・・びっくりしただろ?」

 

寂しさの入り混じった表情で言う清美に簪は首を横に振り

 

「ううん・・・・・たとえ過去から来た人間でも清美さんは清美さんだもの」

 

「ありがと簪」

 

「それで清美さん。なんで40年前の時代からこの時代に?」

 

「私にもわからないわ。仲間を庇って被弾して、自分の死を覚悟していたんだが、気付けばこの時代にいた。私が知っているのはそれだけさ・・・・・・・」

 

「そう・・・・・で、清美さんこの時代を見てどう思ったの?」

 

「そうね・・・・・強いて言えば・・・・」

 

「女尊男卑の時代にがっかりした?」

 

「・・・・・・・ま、それも一つかな。だけどそれだけじゃないわ。私が最初に思ったのは女尊男卑のことだけじゃないわ・・・・・・私の知人が・・・・・・私の家族がもうほとんど死んでいるという事よ」

 

清美はこの時代に来たばかりのこと、最初にした行動は知人や戦友がどうなったかの他に自分の家族のことを調べたのだ。前に住んでいた家に行けばもうどこが引っ越した後で、詳しく調べた結果、父も母もすでにこの世にはいなかった。エルザ、中嶋と数少ない知人がいるが清美は事実上一人ぼっちになってしまったのだ

 

「家族に会いたくても会えない・・・・・知っている友もいない・・・・私はこの時代で・・・・・・一人ぼっちよ」

 

清美は落ち込んだ表情でそういう。いつも元気な表情でふるまい。軍人でありあまたの激戦を潜り抜けてきた彼女だが心の奥底では寂しさと不安さが募っていた。すると簪は清美の手を握る

 

「清美さん・・・・そんな…そんな悲しいこと言わないでください!」

 

「・・・・・・簪?」

 

「清美さん。あなたは一人じゃない。いいえ決して清美さんを一人になんてさせはしないてさせない!」

 

力強く言う簪。

 

「清美さん。清美さんは一人じゃないわ。私がいる!私が友達になってあげる。だからそんな悲しいこと言わないで」

 

「簪・・・・・そっか・・・・そうだよな・・・お前はこの時代でできた初めての友達だったもんな・・・・ありがとう簪・・・・簪。これからも友達でいてくれるか?」

 

「うん。もちろんだよ清美さん。私たちは友達よ」

 

「時空を超えた友達だな・・・・・」

 

「そうね・・・・・そう思うと清美さんは私より年上になっちゃうわね」

 

「ふふ・・・そうだな。歳の差64歳だな。不思議な感じだ。だが友達に歳の差なんて関係ないな」

 

「うん。そうだね。・・・・あ、そろそろアニメが始まる時間だわ」

 

「おお、もうそんな時間か。今日はアニメスペシャルだったな」

 

そう言い清美と簪はその後仲良くテレビアニメを見るのであった。例え生きた時代が違っていても、二人の友情は壊れないだろう

そして簪自身もたとえ清美がタイムトラベラーだとしても友だという事には変わらない。そう思うのであった。

 

 



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修羅

IS学園にやって来た新たな生徒 男子で2番目のIS男性パイロット『シャルル・デュノア』と軍人然とした謎が多い『ラウラ・ボーデヴィッヒ』たち二人が転校してから早や数日が過ぎた。杉田と簪の友人関係はたとえ杉田が過去からタイムスリップした人間でも簪はいつものように彼女に接した。

そして今、簪は第一アリーナで自分の制作したISの性能テストと、そして杉田に飛行技術を教わっていた

 

「簪!もっと速度を落として旋回して!大丈夫落ち着いてやればできる!」

 

「は、はい!」

 

「よし、さっきより動きはスムーズになったわ。忘れないでISを道具やアクセサリーみたいに飛ばすんじゃない。自然と飛び操縦者はそれに寄り添い、そして互いに信頼しあい協力し合って飛ぶものよ」

 

「うん。わかったよ清美さん!」

 

簪は杉田の指示を素直に聞き飛行訓練を見る。そしてその様子を地上で見る杉田は彼女を見て

 

「(うん・・・・飛び方、武器の扱い方はまだ少し荒いけど。簪ならすぐに上達するわ。もしかしたら空中戦で私と互角・・・・・いいえ、それ以上の達人になるわね。一夏といい、簪といい楽しませてくれるわね)」

 

清美は簪の飛行に関心を持ちそして彼女の才能を見抜いた。それは大戦中に様々な新人や飛行学生に飛行技術を教えた杉田だからこそ分かったのだった

 

そして数時間後、

 

「よし!今日はここまでにしようか?」

 

「うん。清美さん。ありがとう私に付き合ってくれて」

 

「構わないさ。私も久しぶりの経験をしたからね」

 

「そう言えば杉田さん。大戦中に教官をしていたのよね?」

 

「ええ。よく知っていたわね?」

 

「ネットで調べてたら出てきたの。でもいまだに夢のようだわ。あの大戦中のエースパイロットである清美さんに教えてもらっているんなんて」

 

「アハハ!買いかぶりすぎよ簪。私はただの飛行機乗りで元軍人のただの女子高校生さ……しかも56歳のね」

 

「アハハ・・・・清美さん。それ笑えないよ」

 

と、互いに笑いながら、そう話す二人

 

「ねえ、清美さん。その後の予定とかはある?」

 

「そうね・・・・あ、午後はセシリアと鈴音にトーナメント戦に向けての練習に付き合う約束をしていたっけ・・・・あ、それと夕方には一夏の練習の指導・・・・」

 

「いろいろ大変だね・・・・杉田さん」

 

「いいや。ラバウル時代に比べればまだましよ。あの頃は激戦の最中新しく入ってきた子の訓練を教えて、さらに隊長と一緒に睡眠時間削って書類仕事をするの繰り返しだったか」

 

「それは大変だったわね杉田さん・・・・・」

 

「ええ、隊長は休んでいいって言ってくれたけど、、あの人だけにさせるわけにはいかないからな」

 

「隊長・・・・・て、あの疾風村正大尉?世界最強の戦闘機の乗りって呼ばれてた伝説のエースパイロットの?」

 

「ええ、私が最も敬愛していた人で悪友とも言ってもいい奴だったわ・・・・」

 

「どんな方だったんですか?歴史の記録でもあまり詳しく書いていなかったんで・・・・」

 

「簪、興味あるの?」

 

「私。歴史とかミリタリーが好きで・・・・・」

 

「そうなの?まあ、隊長・・・・疾風大尉は私より一つ年下でね。でも幼いわりに誰よりも平和を愛し仲間を愛し、仲間を救うためなら自信が危険な目にあっても構わないっていう人だったわ。ま、最初初めて会ったとき・・・・・当時私は軍曹だったけど隊長はあの時、少尉で、会った時、私はあいつのことを嫌っていたわ」

 

「え!?嫌っていたんですか?」

 

「ええ。あんな年下のガキの言うことを聞くのが気に食わなかったのよ。今思えばあの時の私も若かったってところね。ま、今でも若いけど。それである時、あの人の実力がどんなものか試したくて彼に模擬戦闘を申し込んだのよ」

 

「それで、どうなったの?」

 

「それがコテンパンにやられたわ。なんども背後に回れてキルコールされたわ。ま結果的に私の惨敗だったわね。まあ、その後基地に戻ったとき同僚からひどく陰口をたたかれたわ…その時隊長が、私を庇ってくれたのよ」

 

その時、杉田はあの時のことを思い出す。同僚たちが兵舎で杉田と疾風の模擬戦で新喜多が疾風にコテンパンにされたことをで陰口しかも悪口に近いもの言い合っていた。それを偶然に聞いた疾風が

 

『お前ら!全力で勝負を挑んだ相手を罵るとは恥を知れ!!』

 

『た、隊長殿!?』

 

『下劣なものほど、平気な顔で批判し!ほかの人をを馬鹿にする!一人立って失敗し、敗北することのほうが何万倍も価値がある!』

 

疾風は腕を組み怒気を含めて清美を馬鹿にしていたパイロットを睨み

 

『もしお前たちがこれからも戦い続けるようであれば、自らに求道精神を持てっ!!そしてあがいて見せろ!あの杉田軍曹のように!!』

 

彼のその言葉に皆は圧倒されその後、皆は何も言えなくなった、そして・・・・

 

『は・・・・・疾風・・・・・隊長』

 

偶然、疾風の話を聞いていた清美は自分を必死に庇いそして怒ってくれたことの嬉しさに涙していたのであった

 

 

 

 

「と、まあこんなことがあってかな。私が疾風隊長のことを敵意ではなく尊敬の念を持つようになったのは」

 

「へ~そんなことがあったんですか」

 

「ええ、あの時の私ってただ、喧嘩か相手を殺し戦うことだけしか考えてなくって求道精神とかそんなこと考えもしなかったわ。だから何度、模擬空戦を挑んでも隊長にはそう言うのがあったから私に勝てた。あれほど強くそして力強い信念があったからこそ、エースパイロットになったんだとね。だから私もあいつとともに歩めばきっと本当の強さを見つけられるそう思ったのよ」

 

「本当にすごい人なんですね・・・・でも確か疾風大尉って・・・・・」

 

「ええ・・・・この時代に来て調べてみたら、隊長は私が戦死…この時代に来て4か月後の8月1日に機銃が暴発してそのまま基地に帰還できず行方不明になって戦死になった・・・・・もし、私があのまま生きていたら隊長を守れたのに・・・・・・」

 

「清美さん・・・・・」

 

「でもね簪。私は隊長はきっと生きていると信じているのよ。私がこの時代に来たように隊長も未来か過去か、それとも異世界に飛ばされたんだろう・・・・て」

 

「そうだといいですね清美さん。なんか清美さんの話を聞いているうちに私もその人に会いたくなってきちゃったな」

 

「きっと簪も気に入ると思うわよ」

 

と、そんな会話をすると簪が

 

「そう言えば杉田さん。あの噂聞いた?」

 

「噂?何それ?」

 

「なんか、学年別トーナメントで優勝したら織斑君と付き合えるって学年内で噂になっているのよ」

 

「ふ~ん。ちっとも知らなかったわ。まあそれ以前に私には全然興味ない話だし、もしかしたら根も葉もないただのうわさかもしれないしね。何?簪はあいつと付き合いたいの?」

 

「ううん。全然」キッパリ

 

と、私と簪はそんな話をしながらアリーナを出る。そして簪は自室で弐型の整備をしたいと言う簪に私が手伝おうか?と訊いた、一人で大丈夫といわれ私はセシリアや鈴音たちが来るまで、どうするか、考えていると

 

「あ、そうだ・・・・中嶋整備長からもらった整備でも見てみるか」

 

そう言うと清美は以前、中嶋から贈られた紫電の新装備の確認をするのであった

 

 

 

 

 

 

そして第三アリーナでは・・・・

 

「あら?鈴音さんいたんですの?てっきり私が一番乗りだと思いましたのに」

 

「セシリア、あんたも学年別トーナメントに向けて特訓?」

 

「ええ、そうですわ。それに今日は杉田さんが空戦の方法を教えてくれるって、あなたもそうなのでしょ?」

 

「ええ。悔しいけど空中戦の技術はあいつのほうが上だからね」

 

「そうですか・・・・・それにしても杉田さん。遅いですわね。てっきりもうここで待っていると思ったのですけど?」

 

「そうね・・・・・そうだセシリア。何なら杉田が来るまでウォーミングアップも含めて模擬戦でもしない?」

 

「あら?それはいいですわね。受けて立ちますわ」

 

そう言い二人は鈴とセシリアが同時にISを展開した。そして二人が戦闘を開始しようとしたその時二人の間に一発の光弾が飛んでくる。二人は驚きそして鈴音たちは砲弾が飛んできた方向を見ると、そこにはドイツ第三世代のIS『シュヴァルツェア・レーゲン』を纏ったラウラが立っていた

 

「どういうつもりですの。ラウラ・ボーデヴィッヒさん?」

 

「いきなりぶっ放すなんて、良い度胸しているじゃない!」

 

そう言い二人は武器を構えラウラを見ると

 

中国の甲龍にイギリスのブルー・ティアーズか・・・・データで見たときのほうが強そうだったな。まあいいこんな一人の雄を取り合う雌どもが私と同じ第三世代持ちとはな。中国もイギリスも底が知れるな」

 

と、挑発じみた発言をすると二人はキッとした眼でラウラを睨み

 

「今なんて言った!私にはどうぞ好きなだけ殴ってくださいって聞こえたけど!!」

 

「国だけではなくこの場にいない人を馬鹿にするなんて許しませんわ!」

 

「ふん!いいからさっさとかかってこい!」

 

その言葉に鈴とセシリアはラウラに向かうのであった。一方、一形はシャルルと一緒に廊下を歩いていた

 

「一夏。今日も特訓するよね?」

 

「ああ、今日は杉田も付き合ってくれるってよ。シャルルも一緒にやるだろ?」

 

「うん。それにしてもあの杉田さん。なんか不思議な人だよね?」

 

「え?何がだ?」

 

シャルルの言葉に一夏は首をかしげると、数名の女子が二人の横を走り

 

「第三アリーナで代表候補生三人が模擬戦をしているって!」

 

「「え!?」」

 

とその言葉を聞いた、一夏とシャルルは驚き第三アリーナへと向かうとそこには数十名の生徒がベンチで座ってみていた。そしてアリーナでは鈴とセシリアがラウラと戦っていた。

二人掛かりでラウラに向かうが、ラウラのIS、レーゲンの持つ機能『AIC』つまり停止結界の前に攻撃が通用せず、手も足も出ない鈴とセシリア。そしてラウラのレーゲンから射出されたワイヤーが鈴の甲龍の足に絡みつき、そこにセシリアのブルー・ティアーズが攻撃をしかけ、動きが止まった所をライフルで攻撃するが、ラウラはレールガンを放ち、ライフルの威力を打ち消す。そしてラウラはワイヤーで捕らえた鈴音を振り回し、セシリアにぶつけ二人は地面に打ち付けられた。そしてラウラは二人にとどめを刺そうと近づくと二人は接近してきたラウラに向けて砲撃したが、ラウラに停止結界を張られて、結果は効果はなかった

 

「次は・・・・私の番だ」

 

そう言いラウラはレーゲンから射出したワイヤーで二人の首を縛り上げ、二人が動けないのを良い事に、彼女達のISを殴り、蹴り、壊し始めた。これはもはや試合ではなくただのリンチであった。そして二人のISから警報が鳴る。もしこれ以上攻撃されISが強制解除されれば、二人の命が危ない。それを見た一夏は

 

「やめろラウラ!!」

 

そう叫ぶがラウラはやめようとせずむしろこの状況を楽しんでいるのか笑っていた。それを見た一夏はISを起動させようとした瞬間、突如どこからか白熱化したブーメランが飛んできて二人を縛っていたワイヤーを切り裂いた。そしてワイヤーが切れ鈴とセシリアは地面へと倒れ、ラウラは

 

「誰だ!誰が邪魔を!!」

 

と、そう言うと

 

「おいおい・・・・・ガキがじゃれ合うぐらいなら別にこのままだったけど・・・・少しやりすぎのようだなラウラ・ボーデヴィッヒ?」

 

「っ!?」

 

上空から声がしラウラは上を見ると・・・・・

 

「杉田・・・・清美」

 

そこにはIS『紫電』を纏い腕を組み怒りと殺気の入り混じった眼でラウラをじっと見ている杉田の姿があった

 

「そんなに暴れたいなら。アグレッサー経験の俺が相手になってやるぞ小童。お前に本当の戦い方を教えてやる」

 

と、狂犬のような怖い笑みをラウラに見せるのであった

 

 

 



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ラバウル(戦場)の狂犬vsドイツの軍用犬

更新遅くなってすみませんでした!ついさっき更新したと思ったらもう数か月がたってしまい本当に申し訳ありません!!


「杉田・・・・清美」

 

突然、邪魔をされラウラは空を見上げると、そこには紫電を纏い怒りを含んだ眼でラウラを睨んでいた杉田の姿であった。

 

「・・・・・」

 

清美がここにいいたのは数分前のことだ。新しく配備された機関砲とブーメランであるアイスラッガーの点検が終わり、アリーナに来てみれば、そこでラウラがセシリアや鈴音たちと模擬戦でもやっているかと見ていたが、だんだんとそれがエスカレートしてきて、今にも二人を殺さんとするラウラに清美は黙っていられず、IS紫電を纏い出撃したのだ

 

「貴様・・・・・なぜ邪魔をする」

 

ラウラは清美を睨み、そう言うが清美は

 

「ガキがじゃれ合うぐらいなら別にこのままだったけど・・・・少しやりすぎのようだなラウラ・ボーデヴィッヒ?」

 

清美はそれ以上の殺気を含めた目でラウラを睨み、そして

 

「そんなに暴れたいなら。アグレッサー経験の俺が相手になってやるぞ小童。お前に本当の戦い方を教えてやる」

 

その冷たく、そして重い言葉にラウラは初めて身震いがした。教官である織斑千冬以上の威圧が彼女を襲った。

 

「(な・・・なぜだ。なんで私はこんなただの学生に震えている・・・・いいや、そんなはずはない!)ふん!織斑一夏同様、貴様らのような有象無象のひとつでしかない存在に負けるはずがない!!」

 

「グダグダ言っていないで、さっさとかかってきなよヒヨコ(新兵)が」

 

杉田は不機嫌だった。ラウラは織斑やセシリア達を有象無象のひとつでしかないと言った。その有象無象とはこの学園の生徒全員を意味している。そんな馬鹿な意見を持つ物には当然、軍人の先輩としてお灸を据えなければならないだろう。しかし現在の清美はあの無人機襲撃事件で腕の骨にひびが入っていた。以前に比べて治りかけて入るのだが、まだ完全には直っていなくたまに鈍痛がする。しかし闘争本能が燃え上がった清美にはそんなものは関係なかった。

 

「思い上がるなよ。たかが訓練機と同性能の第一世代型で私の相手をするか?」

 

「お前こそ思い上がるなよ。さっきも言ったようにISの性能差が勝敗を分かつ絶対条件ではない事を教えてやる!」

 

「ならば容赦はしないっ!」

 

感情的になって突っ込んでくるラウラ。その動きは至極単純で、カウンターを当てるには簡単すぎる程だ。

 

「ぐっ!」

 

清美のカウンターパンチをまともに食らい、よろけるラウラ。それを見た清美は

 

「そんなものか少佐?やはり士官学校上がりは一から戦場で戦っている奴より経験不足のようだな」

 

挑発することで相手の激情を買い、相手の動きをさらに感情的にさせる。

 

「貴様・・・・やはり軍人。しかも下士官だな!」

 

「今は違うさ。今はただのヤクザ気取りの学生だ」

 

片手に20ミリ機関砲を構え(※普通の人には持てない)ラウラに向けて20ミリ弾を撃つ。ラウラは慌てて射線上から出ようとするが、至近距離から放たれた弾を完全に避けることはできずに掠り傷を負う

 

「くっ!この下士官風情が!!」

 

感情に流されるままラウラはワイヤーを放つが

 

「デュア!!」

 

清美がアイスラッガーを投げるとアイスラッガーは白熱化しそして清美の脳波によるコントロールでワイヤーを切り刻む。そしてラウラは次にレールガンを放つが清美はその弾道を読み次々とその攻撃をよける。

 

「なぜだⅠなぜ当たらない!!?」

 

あれだけの攻撃をして躱されることに焦りを覚えるラウラ。そんな中、清美はラウラを冷静に見ていた

 

「(ラウラよ。お前は軍属でIS専用の部隊の隊長で、確かにそれに見合うだけの実力がある。しかもお前は織斑千冬に──その強さに憧れているんだったな。しかしラウラよ。心得ているか?道子には悪いけどISは確かに兵器だ。世界最強の力だ。だが、それが必ずしも強さに繋がるとは言わない。攻撃力は・・・・暴力あくまで暴力でしかないのだ。今のお前のやり方は完全に間違っている。単純に言う強さは軍事的価値と言って大差ないが、哲学的な強さはもっと複雑で奥深な物なのだ。だからそれを分かっていないお前は・・・・・・)」

 

そう言い清美は機関砲をしまい、アイスラッガーを手にする。そして

 

「お前はまだまだ軍人としては素人(ガキ)なんだよ・・・・」

 

ラウラよ貴様にはわかるか?生まれた時代は違えど身体的な幼さを言うなら、俺とお前の年齢は一緒なのだから俺も幼いという事になる。しかし俺はあの戦場で強さを見つけた。ただの暴力ではない本当の強さを…力とは何かを、力とはそんな形だけの物じゃないことを・・・・今のあなたには持っていないものだ

 

「喰らえ!!」

 

アイスラッガーの刃をレーゲンの装甲に刃を押し込む。しかもそこはレーゲンの特徴とも言えるAICの展開するための機関だ。しかし破壊した訳ではない。あと1センチ押し込めばAICを展開できなくなる。しかしそれは今度の学年別トーナメントに支障をきたすため武士の情けとしてそれはしなかった。代わりに俺はラウラの体を掴みCQCの技で奴を組み伏した

 

「こ、この私が……お前ごときに!!」

 

「これでも学園の生徒皆が有象無象だと言うのかラウラ?まだ不満がありやりたいのなら私は喜んで続きをやるわよ。どうする?」

 

「くっ・・・!!」

 

清美の言葉にラウラも今の状況が分かっているのだろう。これ以上抵抗することはなかった。そしてそこへ千冬がやってきて、今後トーナメント戦が行われるまでの死闘を禁ずるという命令が出てしまった。そしてその戦闘を見ていたシャルルは

 

「すごい・・・・・・第一世代で第三世代に勝つなんて・・・・・ねえ、一夏。杉田さんって・・・一体?」

 

「俺にもわからねえ。でもすげぇ・・・・・やっぱり俺、杉田に勝てる気がしないよ」

 

と、唖然とした表情で見ていた。そして同じく箒も

 

「(なぜだ・・・・なぜあんな奴にそんな力が・・・・・強さがあるんだ・・・・)」

 

と疑念の目で見ていた。そして一方、清美の方は暗い廊下の中利き腕を押さえていた

 

「ちっ・・・・・・少し無理をしたか・・・・」

 

少し顔を歪ませ、そう言うそして抑えている腕は紫色の痣ができ少し腫れていた。自分の腕を見た杉田は

 

「まあ、きつくテーピングして補強してトーナメントまで大人しくしていれば大丈夫か・・・・・あ、そうだ今夜にでもシャルルと話し合うか…あいつの今後の運命を」

 

そう独り言をつぶやき、誰もいない廊下を一人寂しく歩くのであった。

 



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お見舞いとトーナメントペアの勧誘

ラウラの死闘の後、セシリアと鈴音は保健室へと運ばれた。そして放課後に夕方一夏はセシリアたちのお見舞いに来ていた

 

「助けてくれなくてよかったのに」

 

「このまま続けてたら勝っていましたわ」

 

と包帯を体中に巻きベットに横になりながら鈴音とセシリアが一夏にそういう

 

「お前らな・・・・・」

 

一かがそう言うとシャルロットが水の入ったコップを二人に渡し

 

「二人とも無茶しちゃって」

 

「無理って?」

 

「二人とも好きな人の前でかっこ悪い所見せちゃったから恥ずかしいんだよね?」

 

「え?」

 

シャルロットの言葉に一夏は意味が分からず首をかしげると

 

「ななな、何を言っているのよ!?」

 

「そそそ、そうですわ!?別に無理なんかしてませんわ」

 

二人は顔を赤くして総否定すると一夏は

 

「そもそもなんでラウラと決闘することになったんだ?確か杉田さんと一緒に練習するはずだったんだろ?」

 

「「ぶふっ!?」」

 

一夏の言葉に水を飲んでいた二人は思わず咽る

 

「えっと・・・・それは・・・・」

 

「何と言いますか。女のプライドを侮辱されたと言いますか・・・・」

 

「え?プライド?」

 

二人の説明にますます訳が分からんと首をかしげる一夏。すると

 

「あっ!わかった!!もしかして一夏のことを・・・・・」

 

シャルが気づいてそう言おうとした瞬間、鈴音とセシリアはベッドから飛び起きてシャルの口を慌ててふさぐ。

 

「あんたって本当に一言多いわね!!」

 

「ほんとですわ!!」

 

顔を真っ赤にしてそう言うと

 

「二人ともやめなって!二人ともケガ人のくせに動きすぎだぞ」

 

そう言い一夏は二人の肩を掴むと

 

「「ひっ!?」」

 

やはり怪我していたかったのか二人とも小さな悲鳴を上げるそれを見た一夏は

 

「ほら、やっぱり痛いんじゃん。馬鹿だな」

 

と呆れたように言うと

 

ガツン!

 

「あいたっ!?」

 

「馬鹿はお前だ!」

 

後ろから誰かに殴られ、頭を押さえる一夏。そして後ろを振り向くと

 

「え!?す、杉田?」

 

そこには清美が立っていた

 

「ケガ人に対し怪我したところを掴む奴がいるか。それにお前は女心を勉強しろと教えたはずだ」

 

「うっ…ごめん」

 

清美の言葉に思わず謝る一夏。するとシャルが

 

「あ・・・あの杉田さんは何でここに?」

 

「お見舞いだよ。二人のね。はい差し入れ。仲良く食べなよ」

 

そう言い清美にお菓子の入った籠を置く。すると

 

「清美さん。その腕どうしたんですか?」

 

セシリアは清美の利き腕に包帯がまかれていることに気付き訊くと・・・・

 

「ん?ああこれか。さっきのド素人とやってる最中に前の傷が少し悪化してな保険の先生に包帯とギプスつけてもらった」

 

「大丈夫なのか?前って確か骨が折れてたんだろ?」

 

「ええ、幸い治りかけの骨にちょ~とひびが入っただけみたいだから次のトーナメント戦は出れるわ」

 

「いや、骨にひびが入っている時点でアウトでしょ?」

 

と、清美の言葉に鈴音が突っ込み、皆がそうだと言わんばかりにうなずく

 

「まあ、それはいいとして二人ともかなり酷くやられたわね。まあ命だけ助かっただけでもよかったよ」

 

「ええ。それにしてもあのドイツ人!今度こそトーナメントでボコボコにしてやる!」

 

「…その体では、無理だと思いますわよ。それに、おそらく私達のISはダメージレベルがCを超えていますわ。先生方が出場を認めるとは思えません。」

 

「あんたね!あれだけやられて悔しくないの!?」

 

「それもそうですが、お忘れですか?あの後、清美さんにボコボコにされた、あの人の姿を?」

 

「あ…そうだったわね」

 

「いや。あいつならトーナメントに出場するわよ」

 

「え?どういうこと清美?」

 

「だって私あいつのISを完全にぶっ壊してはいないからよ。ちょっと修理すれば済むレベルね」

 

「なんで、壊さなかったのよ!」

 

「まあ、武士の情けって奴ね。私的には私闘でよりトーナメントでボコりたかったしね」

 

「じゃあ!アイツはトーナメントに出るって事!?…ッ!いたた...」

 

「落ち着きなって、大声を出すと傷に響くわよ。」

 

「う、わかってるわよ…」

 

杉田の言葉に鈴音がそう答えると『ドドドドド』とまるで雪崩のような音が廊下から聞こえて来た

 

  「な、何?」

 

鈴「じ、地震!?」

 

一夏「いや、なんか嫌な予感が…」

 

次の瞬間、保健室のドアが瞬間的に開いて、無数の女子が文字通り『雪崩れ込んできた』その生徒たちは一夏やシャルル、清美を確認すると3人を取り囲んだ。すると何やら紙のような物を3人の前に突きつけた

 

「「「「「「これ!これ読んで!」」」」」」

 

「え・・ええ……変更の知らせ………トーナメントはタッグで行う?この用紙ってもしかして…」

 

「そ!ペアの申請用紙!だから!」

 

すると女子たちがそれぞれの獲物に群がり始めた

 

「織斑君!私と組もう!」 

 

「デュノア君は私とお願い!」

 

「杉田さん!!私と一緒に出よう!杉田さんと一緒なら絶対に優勝できる!!」

 

まるで雪崩のように群がる女子たち、これにはセシリアや鈴も唖然としていたその時、

 

「わ、悪い!俺はシャルルと組みから諦めてくれ!」

 

「そっか、男子同士ってのも、まぁ良いっか。」

 

「他の女子と組まれるよりましよね。」

 

「それにまだ学園最強の杉田さんが居るしね!」

 

そう言い女子人の視線が清美に向くと

 

「「「「「「杉田お姉さま!!どうか私とペアになって!!」」」」」」

 

見事に揃った女子の声に清美は苦笑してしまう。杉田は一部の女子たちからはかなり人気がよく、また面倒見のいいところから『姐さん』とか『お姉さま』なんて呼ばれているのだ

すると清美は

 

「みんなごめんね。もう私、パートナー決めちゃったから」

 

「「「え~そんな~」」」

 

清美の言葉にみんなはガックシを項垂れてしょぼしょぼと部屋を出て行くのであった

 

「やれやれ・・・・一体何だったのよ。あいつら・・・・」

 

清美は軽くため息をつくと

 

「それじゃあ、私はこれで。怪我は約治るよう祈るわ二人とも」

 

「ええ、ありがとう清美」

 

鈴音が礼を言うと清美は少し笑い

 

「あ、そうそう一夏」

 

「ん?なんだ?」

 

「後であんたの部屋に来るから」

 

「え?なんで?」

 

「ちょっと話したいことあるから。もちろんシャルルも一緒ね。二人にどうしても相談したいことがあるから」

 

「え?ここじゃ、だめなのか?」

 

一夏は首をかしげると清美は一夏の耳元まで近寄り小声で

 

「シャルル・・・・いえシャルロット・デュノアについてよ」

 

「っ!?」

 

清美の言葉に一夏は驚いた。現時点でシャルが女であることを知っているのは一夏だけだからだ。

 

「お、おい・・・杉田」

 

「ま、そう言うことだ。シャルロットの今後について相談したい。構わないか?理由の後で説明する」

 

「わ、わかった・・・・」

 

清美の小声に一夏は頷くと、清美は部屋から出て行った。それを見てた鈴音は

 

「一夏。清美と何を話していたの?」

 

「え?ああ、なんかプライベートなことで今話せないから後で相談したいんだと」

 

「ふ~ん」

 

と、そう言うとシャルが

 

「それにしても本当に不思議な人だよね杉田さんって」

 

「ええ、なんと言いますかね?なんか別次元の人って感じですわ」

 

「ああ。なんていうか大人って感じというか・・・・」

 

そう言うとシャルが

 

「そう言えば昔にも杉田さんと同じ名前の人がいたよね?確か第三次大戦くらいに?」

 

「そう言えば。そんな人いたわね・・・・確か、第三次大戦で従軍した戦闘機パイロットの撃墜数スコアで二位だったはずよ。確か一位はナチスのエミリア・ハルトマンで・・・・・二位は確か・・・・」

 

鈴音が思い出そうと頭を悩ますと・・・・

 

「杉田・マッドドッグ・清美・・・・・・」

 

シャルがそう呟く

 

「確か二位は杉田清美だったと思うよ。確か年齢もちょうど私たちぐらいの年だったはずだよ。たしか昔の雑誌に書かれたような・・・・」

 

「それと杉田さんがどう関係しているんだよ?ただ同じ名前なだけだろ?それに同姓同名なんてよくあることだし」

 

「そうなんだけどね・・・・・・でも僕には彼女がその人と関係しているんだと思うんだよ」

 

一夏の言葉にシャルそう言い彼女たちは清美の出た扉をじっと見るのであった

 



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強さと力

二人の見舞いを終えた私は、一夏にシャルルのことについて話し合う約束をした後、私は部屋へと帰る

 

「うぅ・・・・・」

 

腕に痛みが走る。本当に無茶したなこれは・・・・・

 

「はぁ‥‥これじゃあいつのこと言えないな」

 

軽くため息をつき、そういう私。あいつとは無論私の上官である疾風大尉のことだ。あいつも結構危険を顧みずに無茶をする奴だからな。その性分がうつったんだろうか・・・・・

まあ、今はそれより今回は二つ問題がある。一つは令のシャルロットについてだ。まあ、お膳立ては中嶋整備長やシュルロットの親父さんの協力でできている。後は彼女の勇気しだいだ。

私は、胸ポケットからシガレットココアを出そうとしたが・・・・・

 

「・・・・・空か・・・後で買わないとな」

 

私は深いため息をつく。あれ咥えると気分が落ち着くのよね・・・・そう残念な気持ちを抱きながら、私は廊下を歩くすると・・・・

 

「おい、お前・・・・」

 

私の前に箒が立ちはだかる

 

「なんですか篠ノ之さん?それに私の名は杉田だが?」

 

私はめんどくさそうにそう言う。箒の態度を見ていると本当にあの道子の孫か?と疑いたくなってしまう。いや、別に道子を疑うわけじゃないんだが、箒をどう見ても性格というか・・・なんというか・・・まあ胸はそっくりだな。うん。胸だけは・・・・

 

「うるさい!お前、私と勝負しろ!」

 

「・・・・はぁ?」

 

ちょっと何言っているのかわからない・・・・・・

 

「すまない。どうやらボートしてたみたいだ。今なんて?」

 

「私と勝負しろと言ったんだ!」

 

「・・・・・・なんで?」

 

「決まってるだろ!お前が一夏にISの操縦を教えるなんて間違っている!それは私の役目だ!だからそれを証明するためどっちが強いか勝負するんだ」

 

「・・・・・・・」

 

呆れてものが言えないとはこういうことを言うのだろうか。箒の自分勝手な言い分に私はたぶん鏡を見たらチベットスナギツネみたいな表情をしているだろう

 

「お断りよ。あんたとやる理由はないわ。それにISの練習といってもあなた、剣道しか教えてないじゃない」

 

「うるさい!一夏は操縦よりもまずは剣の鍛錬から始めるべきだ」

 

「お前、さっき言っていることと矛盾しているわよ?」

 

「うるさい!うるさい!いいから勝負しろ!」

 

子供のように駄々をこねる箒の姿を見て私は

 

「(たくっ・・・・高校生にもなってガキかこいつは・・・・こいつの両親はどんな教育をしていたのか・・・・・道子も大変だったろうな)」

 

と、そう思いながら箒を見た。これはもう引き受けるまでしつこく迫ってきそうだ。

 

「はぁ・・・・・分かったわ。で、勝負は何?あなたの得意分野の剣道かしら?」

 

「当り前だ!それ以外に何がある!?」

 

「(いや、ISの問題ならISの模擬戦でやるでしょ普通・・・・)いえ、なんでもないわ。後、私これから約束事があるから、早めに済ましたいんだ。」

 

「ふん!貴様の約束など知ったことか。それに私も早くお前を叩きのめして一夏のもとに行きたいからな!早く来い場所は剣道場だ」

 

「はいはい・・・・」

 

本当のガキだなこいつは・・・・いい機会だし、ここは道子に代わってこいつを教育するかこのままだとこいつは人としての道を踏み外したまま手遅れになってしまう

そうなる前に私はこいつにちょっと仕置きをすることに決めたのだった

 

 

 

 

剣道場

 

「剣道着を着るのは・・・・久しぶりだな」

 

私は道着を着て防具をつけながらそう言う。ガキの頃はよく親父や組の連中のやつらと健どうしたっけ…といっても親父や兄貴分以外は勝負にならなかったけど・・・・あ、道こともやったけ・・・・それに軍学校でも。

そして私は着替え終わると竹刀を持ち、道場へと入る前に一礼し入ると、すでに着替えと防具をつけ終えた箒が待っていた

 

「・・・・・」

 

箒は私を睨んでいる。やれやれ・・・・

 

「お待たせ。さあ始めるか」

 

「望むところだ」

 

そう言い互いに礼をし構えるのだった・・・・・・・

 

 

 

 

箒視点

 

私はあいつが気に食わなかった・・・・・あんな不良が一夏のそばに更には一夏のISの練習を指導しているあいつのことが目障りで嫌だった。

なのにあいつは強かった・・・・・あのセシリアも無人機もそしてあのドイツ人との戦いにあいつは旧式機で勝っていた。

 

私は彼女の強さを見てさらに腹が立った。

あんな不良でヤクザみたいなやつがどうしてあんなに強いんだ・・・・なんで一夏のそばにいるんだと、

私はそれを知るため彼女に勝負を申し込んだ。あいつに身の程を分からせるため、一夏の隣が私であることを分からせるために

だが、専用機を持っていない私がISで戦っても勝てない・・・・・

だから私は自分の特技である県道であいつに試合を申し込んだ。剣道なら勝てると思ったからだ。

あいつは嫌な顔をしていたが、私には関係がない。

今の自分はあいつに勝つ。ただそれだけだ

 

 

 

 

 

 

・・・・そう、そのはずだったのに・・・・・

 

 

 

 

 

 

「突き一本。これで、勝負ありよ篠ノ之箒」

 

私はいつの間にか仰向けになって倒れていた。そして喉が若干痛い・・・・・いったい何が起きたのかはわからない。確か試合が始まった瞬間、私は彼女に向かい面を狙った。しかし。気が付けば私は仰向けに倒れていたのだった・・・・

 

「まけ・・・・た?」

 

私はそうしか言えなかった・・・・

 

 

視点終了

 

 

 

 

 

 

勝負は一瞬で私が勝った。試合開始直後、箒が私に向かって竹刀を振り上げた。どうしてこいつの攻撃はこうも単純なのだろうか・・・・いや、あいつの目を見てももはや、私を叩きのめすことしか頭にないな・・・・・

 

「はぁ・・・・」

 

私は軽くため息をつき彼女の面取り攻撃をかわしそして

 

「突きっ!!」

 

と、彼女の喉めがけて突き技をした。突き技は私の得意攻撃で、道子との試合の時はよく彼女に躱されて面打ちをされたもんだが、箒は自分の攻撃が交わされたのもわからずボートしていた。そして私の月は見事彼女にのどに命中し、彼女は仰向けに倒れた。これで事実上勝負はついた

 

「突き一本、勝負ありよ。篠ノ之箒」

 

「まけ・・・た?」

 

私は面を取り、そう言うが彼女はなぜ自分が負けたのかわからない状態の顔をしていた。

 

「なんで負けたかわからないって顔をしているわね?大方ISでの模擬戦で勝てないと思ったから自分の特技である剣道で勝負を挑んだみたいだけどね。私はね。こう見えて剣道大会で何回か優勝しているのよ」

 

「そ、そん・・・な」

 

まあ、優勝といっても三回までで、あとは準優勝、優勝は道子に持っていかれたけど・・・・・どうやら箒は今まで自分以上の実力者と戦ったことがないようだな。まあこの敗北で彼女が成長すればいいんだが・・・・・

 

「じゃあ、私は行くわよ」

 

そう言い私は防具と竹刀をかたずけタオルで汗を拭いながらそう言ったが・・・・

 

「待て!」

 

箒が立ち上がり私を呼び止めた

 

「私が負けるなんて認めない!お前何かズルをしただろ!!」

 

「・・・・・」

 

本当にいい加減にしてほしい・・・・私は素直にそう思った。

 

「ズルはしてないよ。ちゃんと互いに正々堂々の勝負をした。そしてあなたは負けて私が勝った。それだけの話よ」

 

「ふざけるな!私は全国大会で優勝し新聞の表紙を飾ったことがあるんだぞ!そんな私がお前なんかに・・・・・」

 

いい加減にしろ!!!

 

「っ!?」

 

「さっきから黙って聞いていれば、お前のその態度は何なんだ!!それが剣道をする者の言葉か!!」

 

私は今まで我慢してきた怒りと不機嫌さに我慢できずに箒に怒鳴る

 

「自分の力に過信し己惚れるのもいい加減にしろ箒!!この間の無人機襲撃事件の時もそうだが、お前は自己中心的すぎだ!もっと相手のことも考えろ。お前は剣道を通して何を学んできたんだ!一体この何年間お前はいったい何をしていたんだ!!いくら道子の孫とはいえ本当にボコボコにしばき倒すぞ馬鹿野郎がっ!!」

 

素に戻ってそう怒鳴る私に箒は唖然としていた。すると箒は

 

「うるさい!お前が強いのがいけないんだ!お前がいなければ…私は一夏と・・・・」

 

と、少し震えそう言う箒に私は

 

「あのさ、さっきから気になっていたけど。強い強いっていうけど。お前なんでそんなに強さにこだわるんだ?」

 

素のままそう訊くと

 

「私は強くなりたいんだ・・・・昔みたいに単なる憂さ晴らしで勝つだけじゃ…ダメなんだ・・・・」

 

「・・・・」

 

箒がそう言う。なるほど…そう言うわけか。彼女は力を求めるあまりにこうなってしまったのだと・・・・そしてこれはおそらく私の推測だが、彼女は姉である篠ノ之束というやつににはかなりのコンプレックスを感じている。それでああいうひねくれた正確になっちまったんだな。

なら、私がまず聞くべきことは一つだな

 

「なあ、箒よ。お前さ。力が欲しいとか強くなりたいっていうけどさ」

 

そう言い私は一呼吸入れると

 

「お前の言う力って・・・強さって・・・・なんなんだよ?」

 

「・・・・え?」

 

「力にも様々なモノがある。知力、体力、…そして暴力…お前の言う力は何を指して『力』と表現するんだ?お前の言う強さとは一体何なんだよ?」

 

私はそう言うと箒は黙ってしまう。これはすぐに彼女の答えが出ないことを判断した私は

 

「出ないなら、それでいい。よく考え自分を見つめ直し手答えが出たなら、聞く。じゃあこれで」

 

私はそう言い剣道場を去ったのだった。

 

「・・・・・・」

 

そしてただっ一人残された箒は

 

「私の求める力・・・・・・」

 

誰もいない剣道場で箒は無気力にただそう呟くのだった。

 

 

 



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歯食いしばれ

「もう!清美さん!あまり無茶しないでよ!」

 

「アハハ・・悪い悪い」

 

私は部屋に戻った後、簪に怒られた。理由は腕を怪我しているにも関わらずに無茶をしてけがを悪化させてしまったことだ。

 

「でも、保健の先生にはテーピングを巻けば大丈夫だって・・・・」

 

「でも!」

 

簪は心配した表情で私を見る・・・・うん。これは私もやりすぎちゃったみたいだな」

 

「本当にごめん簪。心配してくれて」

 

「当たり前だよ。だって友達じゃない!」

 

「友達か・・・・嬉しい言葉だな」

 

私は素直に嬉しかった。この時代、友も身内もほとんどいない未来の世界。その世界で初めて友達になってくれた簪の言葉に

私は簪の言葉に感謝した

 

「それで清美さん。今度のトーナメント戦。出れるの?」

 

「保険の先生によればテーピングでしっかり固定すれば出れるがあまりお勧めしないと言われたよ。まあ、大丈夫さ」

 

「もう・・・・」

 

「そんな心配そうな目で見るなよ」

 

「じゃあ、約束。清美さんは後方での支援。私が前衛に出るから」

 

「わかった。わかった。援護射撃は任せてくれ。まあ、今回の試合はもともと簪に前衛に出てもらおうかと考えていたしな」

 

「え?」

 

「お前の空戦の練習を見て。お前のIS、打鉄弐式は機動性に特化したISだ。しかも練習の成果を見るに機体の操縦に慣れてきている。そろそろ前衛の戦い方を覚えるには今回のトーナメント戦はいい機会だと思ってさ」

 

杉田は簪に自分の素性を話した後から彼女の訓練の指導をしていた。ラバウル時代から新人の教育係をしていた彼女から見て、簪の動きは最初に比べればよくなっており、そろそろ前衛の経験を積ませてもいいと考えていたところちょうどいいところにトーナメント戦の話が出たのだ

これを機会に杉田は彼女に前衛に出てもらおうと考えたのだ。もちろん断れば自分自身が前衛に出て見本を見せようとも考えていたが、簪は

 

「うん!私頑張るよ清美さん!清美さんに教えてくれたこと発揮してみたいから!!」

 

「あはは・・・そうかい」

 

どうやら無駄な心配だったようだ。そう思い杉田は立ち上がる

 

「さてと・・・・」

 

「どこに行くの清美さん?」

 

「ちょっと野暮用でね。ちょっと部屋を出るけどいい?」

 

「う、うん」

 

清美の言葉に簪は頷くと清美は部屋を出て、一夏のいる部屋へと向かう理由はシャルル・・・いやシャルロットのことだ。彼女が今後どうしたいかを聞くためだ。

もし、デュノア社の言いなりになりたければそれでいい。自由に生きたいのであれば中嶋さんが用意してくれた逃げ場を紹介する。

シャルロットの父親についてはすでに話をつけている。

杉田は時間を作り、モニター越しで彼と話したが、いい父親であった。常に娘のことを気遣い。娘の幸せを考えていた。だが立場上、それを娘に伝えることも話してやることもができなかったことを後悔していた。

それで一時とはいえ、表上はISのスペックを盗めという名目で国外の日本に留学させ、デュノア社から彼女を遠ざけた。だが、それは一時的なしのぎでしかない。いつ帰還命令が出てもおかしくはないからだ。今の会社の主導権を握っているのは妻の方であり父親である社長にはなんも権限がないに等しいのだ

 

「(それで、彼女の未来を中嶋さんや私に委ねたっか・・・・・不器用な愛情だな)」

 

清美は彼女の父親の不器用な愛情に半ば呆れつつもいい父親だと思った。

清美の実家は関東…特に浅草を縄張りとする大ヤクザの一家である。そしてそのヤクザの組長の長女として生まれた。むろん兄とか弟はいない。だから清美は次期、組長としての期待が大きかった。特に彼女の父親はそうだ。だが、第三次大戦が勃発し、軍に志願したいと願ったときは大げんかになった。

 

『戦争は男の仕事だ。お前は…特に女は体に傷をつけることはするな』

 

父親にそう言われたとき、清美も

 

『ヤクザに生まれたらどっちにしたって血で血を洗う世界に入る。そしてどのみち私の体も傷だらけになる!だからどうせ傷だらけになるのなら、この命、この体、ヤクザの抗争ではなく!国を守るために使いたい!!』

 

そう、抗議し、清美は半ば家で同然に組を出て行ったのだ。だが、軍に入り、ラバウルに配属になったときは父親からの手紙がいくつも来た。

『怪我してないか?』『虐められてないか?』『ご飯はちゃんと食べているか?』と、あれだけ大喧嘩をしたのにも関わらず家出した娘に自分を心配してくれる手紙を送ってくれるなんて、その時、清美はその嬉しさに思わず涙ぐんでしまったことを思い出した。しかし彼女は返事を書かなかった。いや、書けなかった。あんな大ゲンカしたにもかかわらずどう返事をすればいいか、彼女はわからなかったのだ

 

「(今思えば、ちゃんと返事書いとけばよかったな・・・・本土に戻っても道子の家に世話になってたし・・・・あ、そう言えば夏祭りのときに話したっけ。まあ、あんときは軽い会話で終わっちまったけど・・・・)」

 

あの時ちゃんと話せばよかった。そう清美は思っていた。

 

 

 

 

そしてしばらく歩き、一夏とシャルロットの部屋がある場所に近づいてきた

 

「一夏・・・・シャルロットに変なことしてなきゃいいんだけどな・・・」

 

ふと、清美は一夏のことを思い出した。あの時彼女について彼に聞いたときあいつは動揺していた。間違いなく一夏は彼女の正体を知っている。

問題はそこじゃない。仮に男女同じ部屋にいるそれが問題なのだ。

一夏が彼女に何かしているんじゃないか少し不安に思えたが・・・・

 

「(いや、それはないか。あいつは恋愛ごとに不器用だし、何より女に手を出すほどの馬鹿じゃないからな・・・・・・たぶん)」

 

清美は一夏がそこまでの変態じゃないだろうと考える…いや、そうであってほしいと願っていた

 

「(まあ、出したら出したで顔の形が分かんなくなるまで殴るけどな)」

 

そんなことを考えつつ、一夏たちの部屋にたどり着く清美。

 

「さてと・・・・」

 

彼女は深呼吸して、ドアをノックする

 

「おい、一夏。私だ。杉田だ。例の件で話に来た。いるんならドアを開けてくれ」

 

そう言うが返事は帰ってこない

 

「・・・・いないのか?」

 

首をかしげるがドアの奥から、声が聞こえる。聞こえるってことはいるっていうことだ。

 

「おい!一夏!返事ぐらいしろ」

 

そう言いドアを叩くと、ドアがすっと開く

 

「ん?開いてる?不用心な・・・・・」

 

開いているのなら仕方ない。そう思い彼女は中に入る。そして寝室に入ったとき二人の姿があった

 

「おっ!いたいた…いるならいるって返事を・・・・・・・っ!?」

 

その瞬間、彼女は衝撃的なものを目にした。それは上半身裸で下着一枚の一夏が、四つん這いで下着姿のシャルロットのパンツを飛びついて脱がしていたのだ

 

「なっ!?ななな!!」

 

「す、杉田!?なんで部屋に!?」

 

「えっ!?す、杉田さん!?」

 

杉田の姿に二人は驚くが杉田は体をわなわな震わせる

 

「言っただろ?後で部屋に来ると・・・・ノックしないからいないのかと思ったがドアが開いていたから中を見たんだが・・・・・・」

 

氷のように冷たい声でそう言う、杉田。そして杉田は

 

「おい、一夏・・・・・その手に持っているのは何だ?」

 

「え・・・えっとその・・・・」

 

「杉田さん。これは誤解だからね?」

 

杉田が一夏の持っているパンツを指さし二人は慌て言い訳をしようとするが、

 

「おい・・・・一夏」

 

「は、はい?杉田・・・・さん?」

 

どすの利いた声に一夏は顔を青くすると杉田はニッコリと笑う。しかしその目は笑っていない。そして拳をぎゅっと握りしめ

 

「話し合いの前にやることができたわ……覚悟はいいな?自称ハーレム野郎及びリア充さん?」

 

そう言うと同時に、杉田の目は狂犬のようにギラリと光り

 

「てめぇ!!歯ぁ食いしばいやがれ!このガキャァー!!!」

 

その怒鳴り声と同時に衝撃音と一夏の悲鳴が上がるのであった



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命の選択

「・・・・・なるほど。事情は分かった」

 

一夏の部屋の中ベットに座り腕を組みながら鋭い目をする清美に対し、一夏とシャルロットが正座をしていた。特に一夏は頭に大きなたんこぶをしていた

そう、あの現場を目撃した清美が一夏の頭に強烈な拳骨をしたからだ

 

「いてて・・・・・千冬姉以上に痛いゲンコツだな」

 

頭をさすりながら言う一夏に清美が

 

「むしろそれぐらいに済んだことありがたいと思え。もし意図的にセクハラまがいなことやっていたら小指を落とそうと思ったぐらいだぞ」

 

「小指ってヤクザじゃないんだから・・・・・まあ杉田はちょっとヤクザっぽい顔つきだけどさ。顔に傷あるし・・・」

 

「なんか言ったか?」

 

「なんでもありません」

 

目を細め怖い目つきになる清美に一夏は目をそらしてそう言う

 

「それにデュノア。仮にもあんたは女だぞ?男の前で着替えるとかそう言うのはちょっと褒められることじゃないな・・・・・」

 

「ごめんなさい・・・・・」

 

「はぁ・・・・まあいいわ。それで一夏。私がここに来た理由はわかるよな?」

 

「ああ・・・・でも一ついいか?なんで杉田はシャルロットが女だって知っていたんだ?」

 

「ん?始めからわかっていたぞ?」

 

「「え?」」

 

清美の言葉に二人は驚く。それはそうだシャルロットは完璧に男装し、そばにいた一夏ですらに向けなかったのに清美はすぐに彼女が女だってことを知っていたことに一夏は驚いていた

 

「第一、織斑に続いての第二の男性操縦者ならニュースにもなっているし、何よりデュノア社がバンバンと宣伝するだろうが」

 

「た・・たしかに」

 

「そして突然男性生徒としてここに来た。男装する理由はおそらく、男性である一夏と接触し、あわよくば白式の情報を聞き出すか盗み出すように会社から送られたスパイ・・・・・そうだろ?」

 

「・・・・」

 

「沈黙は肯定と捉えるぞ?」

 

「ち、違うんだ杉田。シャルは・・・・」

 

清美の目を細め疑う目線を見た一夏はシャルロットを庇おうとするが

 

「いいんだよ一夏・・・・そうだよ杉田さん。私は・・・・」

 

シャルルは一夏を止め首を振る。もう隠し事はできないと・・・・そして杉田にすべてを打ち明けた。自分がスパイであることを・・・・

そのことに清美はただ黙って聞いていた

シャルロットについては事前に知っていたが、彼女からの言葉で再度事実確認をしたかったからだ

 

「なるほど・・・・それで、あんたは今後どうするんだ?会社に自分の正体が学園にばれたらフランスに強制送還される可能性が大きいぞ?」

 

「私は・・・・」

 

「それなら大丈夫だよ」

 

「ん?どういうことだ?何か対策でもあるのか織斑?」

 

「ああ。IS学園は『学園の土地はあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対して一切の干渉が許されない』て規定があるから、だから学園内にいる間に対策をすればいいんじゃないかなって・・・・」

 

一夏の言葉に清美は軽くため息をつき

 

「30点ってところだな・・・・」

 

「え?なにが?」

 

「お前のその対策内容だ。それじゃ詰めが甘いうえ、根本的な解決にならないよ。それによく考えて見ろ。学園には夏休みや冬休みなんかがある。その間にフランスに帰って来いって向こうから連絡が来たらどうする!それだけじゃない。たった三年の間でお前はフランス企業相手にどういう対策をするんだ?」

 

「それは・・・・」

 

「彼女を守ろうとする姿勢は立派だ。ただ。何も対策なしはただの無責任だ」

 

「じゃあ、どうすればいいんだよ!」

 

一夏は清美に訊くと

 

「簡単な話だ。彼女が逃げ込み守れる場所を作ればいいデュノア社が手が出せない所にな」

 

「じゃあ、IS学園に・・・・」

 

「馬鹿か。たとえどこぞの勢力が干渉できない学園でも学校は学校だ一生そこに匿うのは無理がある」

 

「じゃあ・・・・」

 

「私に考えがある。その前にデュノア。お前に訊きたいことがある」

 

「ぼ、僕に?」

 

「そうだ。今回のことは君の人生だ。お前はどうしたい?」

 

「それは・・・・」

 

「このままデュノア社の操り人形として生きるのもよし。普通の女の子として自由を求めるのもよし。お前の人生だ自分で決めろ。他の奴の言葉で動くんじゃない。自分の人生はお前自身で決めなくちゃいけないんだ」

 

「自分で・・・・・」

 

「そうだ・・・・」

 

清美の言葉にシャルロットは黙る。一夏が何か言おうとしたが清美は『余計なことは言うな』と言わんばかりに手で制す

 

「僕は・・・・生きたい。もうデュノア社の操り人形じゃなくて自由に生きたい」

 

と彼女は力強くそう言うと清美は

 

「そうか…それならいい」

 

と、そう言うとスマホを出し電話をかける

 

「杉田さん。どこにかけているんだ?」

 

「ん?彼女の駆け込み寺さ。織斑、デュノア。お前『中島工業』って聞いたことあるか?」

 

「中島工業って・・・・たまにテレビに出ている会社か?」

 

「僕も知っている。一夏、中島工業って世界有数のトップ企業の一角だよ。デュノア社もあの工業から鋼材とか機材とか発注している。すごい企業だよ。僕のラファールに使われている金属も中島社が提供してくれたものなんだよ」

 

「そんなにすごいのかその会社。それと清美に一体・・・?」

 

「あそこの会社の会長とは昔馴染みでね・・・・・あ、もしもしナカジマさんか?ああ私だ。例の件OKだそうだ・・・・ああ今代わるよ」

 

そう言い、清美はスマホをシャルに渡すと彼女は恐る恐るスマホを耳に当てる

 

「も・・・・もしもし?」

 

『おっ!きみがシャルロットさん?初めまして私はナカジマ工業会長を務める中嶋悟子だよ』

 

「ああ!あなたが中島社の!ぼ、僕の会社がいつもお世話になっています!」

 

『そんなに畏まらなくていいよ。話は杉田さんから聞いたよ。それでね君の身柄は私たち中島社が保護するよ』

 

「え?」

 

『面目はうちの会社のISのテストパイロット手形だけど。基本は普通の子のように生活して問題ないから。住む場所もある人が提供してくれるって言ってくれているし』

 

「それは・・・嬉しいんですが、父がなんと言うか・・・」

 

『ああ、君のお父さんのこと?その件なら大丈夫だよすでに許可取っているから』

 

「え!?」

 

中嶋の言葉に驚くシャル。それはそうだろう自分の父が他社に身柄を譲るとは思っていなかったからだ

 

『うん。君のお父さんも君を心配しててね。前に電話でこのことを話したらすぐに承諾してくれたよ。本当に君のことを心配していたんだよ?『ふがいない父親で済まなかったとか』『君を守ることが出来なくてごめん』て』

 

「お父さんが・・・・・」

 

『うん。なんなら変わろうか?お父さんに?せっかくだしここで話し合うのもいいんじゃないかな?』

 

「は…はいありがとうございます」

 

そして、シャルは父親と話した。自分が父にどう思っていたのか。そして父親もシャルと母親のことをどれだけ思っていたのか、今までずっと何十年間話せなかったことをいっぱい話したのだった。

そして話終え、中島さんとの会話も終わり電話を切る

 

「終わったか?」

 

「うん。清美さんありがとう・・・・でも一つ訊きたいことがあるんだ」

 

「ああ。それは俺も思った。杉田さん。あんたはいったい何者なんだよ?有名な会社の会長と知り合いだったし・・・・」

 

一夏の質問に清美は指を口に当て

 

「それは今は内緒だ。女には秘密の一つや二刀流ある方が魅力的なんだぜ」

 

と軽くウィンクし、

 

「それじゃあ、私は戻るわ。お前らも早く寝ろよ。それと一夏は彼女を襲わないようにな。やったら今度は拳骨じゃ済ませねえからな?」

 

と、そう言い、部屋を出ていく。その姿に二人はあっけにとられ呆けるのだった

 

「さてと…まずはこの件は何とかなりそうだな・・・・残るはあのドイツ野郎か・・・・・久しぶりに血がたぎりそうだな」

 

そう呟きながら彼女は自分の部屋へと帰るのであった



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