輝く音を探したら (いひょじん)
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迫り来るみかん

初めまして、初投稿です!
完全自分の妄想を楽しむために書いてます!
温かい目で見守っていただけると嬉しいです!
それでは、どうぞ!


いつからだろう

輝く音なんてものを聞いてみたいなんて思ったのは

色んなジャンルの曲を沢山聞いてきた

素晴らしい曲は何曲もあった

だけど自分の探してたものは見つからない。

そこで俺は思った

探しても無いのなら、自分で作ればいいんだ!

たぶん小さい時だったから、すぐに行動に移せたんだと思う

でも何年かたった今でもそれは見つからない。

それが不安で仕方なかった。

 

ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー

 

「起きなさーい!」

母親が俺を起こす声が聞こえてくる。

「あれ、もう朝か?」

いつの間にか寝てしまっていたから、なんだか寝た感覚がしない。

顔あげて前を向くと、モニターには作曲ソフトが起動された状態で放置されている。

「あちゃー、またやっちゃったか」

俺は趣味というかほぼ生きがいに近いものが合る

それは作曲。

放課後は時間が許す限り曲を作っている。

だけど、それが原因で三日に一度ペースで作曲の途中で寝落ちして、机の上で目覚めるということが起こってしまう。

そして今日も同じことをしてしまった。

「てか、今何時だ?」

ふと気になったので、近くにあったスマホで時間を確認する。

8:30

その瞬間血の気が引いた。

「うぉぉぉい、遅刻じゃねーか!」

俺は急いでクローゼットにかけてある制服に着替えて、床に放置されてた鞄を手に取り部屋を出る

「おはようアンド行ってきます!」

一階のリビングにいる母さんに挨拶だけして家出た。

どんな時でも必ず挨拶はするという教えだけは守ることにしている。

家を出て、まずスマホで時間を確認すると

8:35

いつもならバスを使っているが、今バスを使うと確実に間に合わない。

こういう時は父が趣味で使っているロードバイクを借りている。

超スピードで行けば何とか授業開始には間に合うはずだ。

「よぉぉぉぉし、全速前進ヨーソロォォォォォ!」

最近仲良くなったクラスメイトがよく使う言葉を借りて家を出発した。

 

それから数分後

 

「はぁはぁ、なんでこの学校はこんな坂道の上に学校作ったんだよ…」

現在、学校まで続く坂道を足に思いっきり力を入れて駆け上ってる最中。

ここを登りきれば校門は目の前だ。

「よっしゃぁぁぁ、間に合ったぁぁ!」

地獄の坂を登り終え、学校になんだか間に合い、その安心からか大声を出してしまった。

「アウトですわ!」

そこに女子生徒が声をかけてきた。

「あ、おはようございます生徒会長」

俺はちゃんと自転車から降りて生徒会長にあいさつをする。

「はい、おはようございます。って、違います!」

「あの、急いでるんで行っていいですか?」

「なら、もっと余裕を持って学校に来るべきでは、いちのさき君?」

「毎回言ってますけど、俺は一ノ崎(いちのざき)です」

名前を間違えたことを指摘すると生徒会長の顔が赤くなった。

「と、とにかく、あなたは気が緩んでいます!もっと余裕を持った生活を…」

さっきから、プリプリと怒っているこの人の名前は黒澤ダイヤさん

俺が通う、浦の星学院の生徒会長をしている3年生

昔から内浦を取り仕切っている、名家のお嬢様らしい

朝はこうやって校門で挨拶運動と遅刻の取り締まりをしているらしく、よく遅刻しそうになっている俺は生徒会長に目をつけられてしまった。

キーンコーンカーンコーン

あ、8:50の予鈴のチャイムが鳴ってしまった…

「あ、あの!俺マジで急いでるんでこれで失礼します!」

「ちょっと、まだお話は終わってませんわよ!待ちなさい!」

後ろから生徒会長が何か言ってるのを気にせず俺はまた自転車に乗り駐輪場に向かった。

 

ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー

 

「それでは、朝のホームルームはここまで。今日も一日頑張りましょう」

バーン!

俺が勢いよく教室の扉を開けすぎたせいでホームルーム中の教室が一瞬静まり返った。

「一ノ崎君、また遅刻ですよ。ホームルームも授業の1つなんですから疎かにしてはいけませんよ?」

「はい、すみません。これから気をつけます」

「わかりました、では1時限目の授業の準備をするように」

そう言って、担任の先生は教室を後にした。

別に疎かにしてるわけじゃないんだけどな。

朝起きてから全力で走ったりしたから一気に疲れがきて、俺は机に突っ伏した。

「一ノ崎君、また先生に怒られちゃったね〜」

「高海、お前だけには馬鹿にされなくない」

「え〜、私遅刻しないもーん」

「じゃあ、今日撤収の宿題全部やったか?」

「あっ…、宿題」

「高海さん、また先生に怒られちゃうね〜」

「うー、一ノ崎君のいじわる…」

朝一から俺にちょっかいをかけてきたのは、同じクラスの女子

高海千歌

みかんみたいな色の髪にアホ毛が飛び出しているのが特徴的な女の子。

これで好きな食べ物がみかんなんだから笑える。

とにかくどんなときも元気で、朝からグイグイ来られて困るときもある。

そして、俺は少しこの子のことが苦手である。

何故かと言うと…

「あ、そうだ!作曲のこと考えてくれた?」

「はぁ…。だから俺は高海に曲は提供できないって何度も言ってるだろ?」

「けど、昨日は考えとくって言ってくれたよ?」

「それは、お前が返事をくれるまで帰さないって言ったから適当に…」

「ひどい、私とは遊びだったの?」

「おい、その言い方はやめろ。変な誤解が生まれるから」

「じゃあ、曲作ってくれる⁉︎」

「だから作りません!」

「ぶー!」

高海はフグのように頬を膨らませた。

こんな風に2年生になってから、高海に毎日作曲をしてくれと頼まれている。

俺は嫌だと言っているのに、高海の一度決めたら絶対に諦めない性格がそれを許さないらしい。

しかも、頼んでくる時に俺の方にグイグイ近づいてくるから、女子特有のいい香りとか肌が触れたりするという、男からしたらドキドキするようなことを平気でしてくるという点を含め、俺は高海が少し苦手なのだ。

何故、高海が俺に作曲を頼んでくるようになったのか。

その原因は1週間前のホームルームの自己紹介まで遡る。

 

「新しいクラスになったということで、早速自己紹介から始めましょう。では、まず先生から…」

先生が黒板に自分の名前を書いて、趣味や特技なんかを話し始めた。

正直、自己紹介って得意じゃないんだよな。

色々考えて、いざ自分が話す番になるとさっきまで考えてたことがバラバラになってあたふたしながら話すことになるのがみっともなく思えるから。

だから、こういう時はなるべく手短にした方がいいんじゃないかと思っている。

「じゃあ、一ノ崎君どうぞ」

そんなことを考えていると自分の番が来てしまった。

一ノ崎将太(いちのざきしょうた)といいます。趣味や音楽を聴くことです。1年間よろしくお願いします」

うん、これくらい手短な方がいい。

どうせ、自己紹介なんてまともに聴いてる人なんていないだろう。

さて、後は新曲のイメージでも考えておくか。

「一ノ崎君、ちょっと短くないかな?先生もっと君の事知りたいかな」

え、まじか。

予想外の事にびっくりしたわ。

今まで、自己紹介短すぎるなんて言われたことないぞ。

でも、ここで嫌ですなんて言ったら確実に空気が悪くなるからな。

別にあたふたするのが嫌なだけだから慎重にゆっくり考えて言えばなんとかなるか。

仕方ないな。

「えっと、実家は農家を営んでいて、主にみかんを育ててます。けど他にも野菜なんかも育てているので良かったら食べてみてください。

あと、趣味と特技なんですけど、小学生の頃から音楽が好きで自分で作曲とかしたりしてます。結構いろんなジャンルの曲を聴いているのでそんな話をできたら嬉しいです。改めて1年間よろしくお願いします」

よし、今回は丁寧に確実に失敗しないように考えたから自分でも完璧な自己紹介が出来た。

クラスの人達も何人か「おぉ」と言ってくれている。

なんだが気持ちがいい。

今度こそ、ホームルームが終わるまで自分の世界に浸るからな。

それから俺は授業が終わるまで約30分の間、自分の世界に入り込んでいた。

授業開始1日目ということで、午前中に学校が終わるので、作曲する時間が沢山あるぞと思って、少しウキウキしながら教室を出ようとした時だった。

「あの、一ノ崎君!」

後ろから声をかけられた。

振り返ると、すぐ目の前にオレンジ色の何かがぴょこぴょこしていた。

なにかと思い顔を下げると、女の子がいた。

「は、はい?なんですか?」

不審そうに答えると彼女は満面の笑みでこう言った

「作曲をしてくれませんか⁉︎」

はい?

何を言い出すかと思えば、いきなり作曲って。

何をどう答えればいいか分からない。

「あ、ごめんなさい。私、高海千歌っていうの、よろしくね!」

「うん。よろしく…」

俺が困惑しているのを感じたのか高海は自己紹介をしてくれた。

けど、問題はそこじゃないんだよ。

「作曲をして欲しいってどういうことかな?」

「えっとね、私スクールアイドルをやりたいの!だけど、スクールアイドルはグループでオリジナルの曲を持ってないと行けないの。そこでさっき作曲をしてるって言ってた一ノ崎君にお願いしたいんだ!」

スクールアイドルか。

5年くらい前から急激に人気が出始めたらもので、名前の通り学校で生徒達が一から手作りでアイドル活動をするっていう事は知っている。

2、3年前に有名どころであるグループの曲は何曲か聴いてみたけど、自分の好みと合わなかったからそれ以来興味がなかった。

「なるほど。たしかに俺は作曲は出来るけど…」

俺の曲ははっきり言って人に聞いてもらえる程のレベルのものではないと思っている。

自分の納得の行ってない曲を提供するのは相手にも失礼だと考えてる。

その点を含め俺は答えた。

「ごめんなさい。俺は人に曲を提供できるほど上手くないんだ。それにスクールアイドルについて俺はそこまで詳しくないから」

「大丈夫、スクールアイドルはどんな人でもできるから、曲の上手い下手なんて関係ないよ!何事も挑戦だよ!」

「いや、だからそういう問題じゃなくて…」

それから1時間くらい頼みこまれて、このままじゃ終わらないと思ったから、「考えておく」と言って帰れた。

けど、それが問題だった。

俺が曖昧な返事をしてしまったせいで、高海が変に期待してしまい、休み時間や授業終わりに「考えてくれた?」と聞いてくるようになった。

これが高海が毎日作曲を頼んでくる原因だ。

これから毎日これが続くと思うと気が重くなる。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます!
途中の主人公のキャラがぶれたような感じもしますが、とにかく書いてみることが大事と思い投稿しました。
主人公のプロフィールを簡単に載せておきます。

一ノ崎将太(いちのさき しょうた)
身長 175cm 体重 67kg
見た目はすらっとしている
顔は中の中だと自分では思っているけど、結構いい顔をしている
家族構成 母・父・祖母の4人で住んでいる
実家は農家でみかんを主な育てているが、野菜も育てている。
千歌や曜とちゃんと関わりを持ったのは高校2年生から

とこんな感じです。
やっぱり、物事を進めるのにイケメンって方がやりやすいじゃん?ww
けど、書くからにはちゃんと描きますよ!
皆さんの感想やご意見待ってます!
それではまた次回!


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恐ろしき生徒会長

ちょっと間が空いたしまいたしたが、2話目です!
お気に入りしてくださった皆さんありがとうございます!
これかはと妄想に付き合っていた頂けると幸いです
それでは、お楽しみください。


「うっわ、もうこんな時間じゃん…」

スマホの画面を見ると時刻は17時丁度だった。

今日は家の手伝いの日だからまっすぐ帰って、早く手伝い終わらせて曲作ろうと思ってたのに、夕暮れになってしまった。

それもこれもあの高海のせいだ。

 

昼休み

 

「だから、俺は作曲は手伝えないって何千回も言ってるだろ?いい加減諦めてくれ」

「でも、やってみたら楽しいかもしれないじゃん!」

「そんな簡単に言うなよ…」

「お願い、スクールアイドルをするのにどーしても一ノ崎君が必要なの!ねっ?」

「そんな可愛い顔をして頼んでも、無理なものは無理」

「か、可愛い⁉︎」

高海が急に真っ赤になった。

よし、この隙をついて逃げよう。

「じゃ、俺はこれで」

「あ、逃げるなぁ!」

俺が走ろうとした瞬間だった。

「あなた達、騒がしすぎますわよ!」

目の前に怒りに震えてる生徒会長がいた。

「あなた達、毎日毎日休み時間になるたびに教室や廊下で騒がしくして。他の生徒の迷惑になるのを考えなさい!」

「いや、俺はどっちかと言うと被害者で…」

「お黙りなさい!」

「は、はい」

今逆らったらただではすまない。

そんな気が生徒会長から出ていて引いてしまった。

「お喋りしたり交友関係を築くのはいいことですが、他の人の迷惑にならないよう気をつけてください」

「はい…」

「だから俺は被害者だって…」

「なにか?」

「いいえ、なにも」

今の目はマジで怖かった。

「今回は注意で済ませますが、次は反省文ですからね。帰ってよろしいですよ」

解散の許可が出たので、ホッとして購買に向かおうとした時だった。

「あと、一ノ崎君は放課後に絶対生徒会室まで来るように。絶対ですわよ」

そう言って帰っていった。

俺の意思なんて関係なく、強制的に放課後の居残りが決定した。

こうなったのも高海のせいだが、その本人はというと

「あはは、一ノ崎君生徒会長に呼び出された〜」

腹を抱えて笑ってやがる。

「あのな、元はと言えばお前が騒ぐからこうなってるんだよ!」

「まぁまぁ、それよりどっか行くんじゃなかったの?」

「そうだった、購買に行く途中なの忘れてた!」

俺は急いで購買に向かった。

だが、昼休みが始まって30分程経っていたので、ほとんどのものが売り切れで、俺が唯一買えたのは菓子パン1個とパックジュース1個だけだった。

食べ盛りの男子高校生がこれだけで足りるわけがないだろ…

そんなひもじい思いをして昼休みは終わった。

そして放課後

昼休みに生徒会長に注意された際に俺だけ放課後呼び出された。

来なければ殺す、というくらいの目をしていたので、渋々生徒会室に向かった。

コンコン

「失礼します」

「はい、どなたでしょう?」

「2年1組の一ノ崎です。呼び出されたので来ました」

そう答えると2、3秒静かになり、ドアが開いた。

「お待ちしていました。中にお入りください」

「失礼しまーす」

俺が中に入ると、生徒会長は自分の椅子に座る。

そして俺は机を挟んで前に立った。

ただそれだけで、シーンとした空気が流れる。

気まずい、気まずぎる。

今すぐ帰りたい。

そんなことを考えていると、生徒会長が口を開いた。

「あなたはμ'sについて詳しいですか?」

「はぁ?」

遅刻や騒がしくしたことについて説教されるかと思っていたら、開口一番がよくわからない言葉だったので、素の「はぁ?」がでてしまった。

「だから、あなたはμ'sについてご存知なんですか?」

「μ'sってあのμ'sですか?」

「μ'sといったらスクールアイドルの神であるμ'sですわ。それ以外何がありますの?」

「いや、石鹸の方とか…」

「あなた私をそんなに怒らせたいのですか?」

「いや、全くそのつもりはないです」

「だったら、早く答えてください」

μ'sか…

スクールアイドルについては2、3年前に流行りで曲とか聞いてみたけど、どのグループよりもダンスのクオリティや歌唱力はとても高く、特に曲がいいという印象はある。

けど、詳しいとまでは言えないレベルなんだよなぁ…

「まぁ、かじった程度の知識はあります…」

「ほう、では少し試させていただきます」

「な、何をですか?」

「あなたがμ'sをどれほど愛しているかです!」

「だから、俺はかじった程度って…」

「第1問!」

うわ、この人熱くなると周り見えないタイプの人だ。

めんどうなことになってきた…

「絢瀬絵里のイメージカラーと口癖は?」

「イメージカラーは水色で、口癖はハラショーだったような」

「正解です。まぁこれくらいは基本中の基本ですから、答えられて当然ですわ」

あー、早く帰りたい。

「第2問!μ'sでは3つのユニットが存在しますが、それぞれのコンセプトを答えなさい!」

「Printempsは王道乙女ユニット。BiBiは華やかモデル系ユニット。lily whiteは天然&元気系ユニットの3つですか?」

「正解です。あなた中々やりますわね」

褒められても喜んでいいのかよくわからない。

てか、まじでこの人は何が目的で俺を呼んだんだ?

「生徒会長。俺実家の手伝いがあるでなるべく早く帰りたいんですが、俺を呼んだ理由を教えてもらっていいですか?」

「まだ問題の途中ですが家庭の事情があるのでしたら、仕方ありませんわ。あなた高海さんに作曲を頼まれてるようですね」

「はい。なんども断ってるんですが、中々諦めてくれなくて…」

「そうですか。その高海さんが何日か前からスクールアイドル部の申請に来ているのですが、部設立の条件を満たしていないということでダメと言っているのですが、何回も来るんですの」

俺以外にも高海に巻き込まれている人がいたのか。

「それで、何故スクールアイドルをしたいのか聞いてみたら、μ'sみたいなスクールアイドルになりたいって仰ったので、μ'sについて質問したら、まぁ散々なものでした…」

「で、それと俺がなんの関係が?」

「高海さんがあなたに作曲を頼んでると聞いて、作曲者にあたるあなたがどれほどスクールアイドルについてご存知かと思い今日は呼び出しました」

「俺は曲は提供できないって何度も断っているんですけどね…」

「そういうことになっているというのはつい先程知りました。でもあなたは知識もあるようですし、手伝ってあげてはいかがですか?」

「俺にも選ぶ権利くらいはあると思うんですよ。それに俺は自分が納得できる曲を作れてないのに、人の為に曲を作って中途半端なものをあげたくはないんです」

「ですが、それはやってみないとわからないことでは…」

「そりゃ生徒会長や高海はそういう風に言えますよね。だって作るのは自分じゃないんですから」

「私はそんなつもりで言ったのではなく」

「とにかく俺は曲は提供できない。それだけです」

生徒会長は黙ったまま俺を見つめる。

「失礼します」

俺は感情に任せて強くドアを閉めた。

と、いうことがあったせいで俺は帰るのが遅くなった。

生徒会室のことに関しては、どうしてあそこまで感情的になったかは自分でもわからない。

けど、先輩にとってはいけない態度や行動をしてしまったのはわかる。

明日謝りに行くとするか。

さぁ、急いで帰って家の手伝いをしないとなー。

俺は自転車に乗り学校を出た。

 

ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー

 

 

自転車に乗って帰っていると桟橋の上に女の子が立っていた。

ここらへんでは、見ない制服なので観光客かと思い、そのまま素通りしようとした。

けど、いきなり女の子は制服を脱ぎ出し、スクール水着になった。

「おいマジか、まだ4月だぞ!」

俺は急ブレーキをかけ、鞄をそこらへんに放り投げて女の子を止めに走った。

いくら暖かくなったからとはいえ、まだ4月。

水温もまだ冷たく、風邪をひく可能性もある。

そして何より女の子がいきなり服を脱いで水着で海に向かって飛び込もうとしてるのはどう見てた異常だ。

「たぁぁぁぁぁ‼︎」

「馬鹿、やめろ!あんた死にたいのか⁉︎」

なんとか女の子が飛び込む前に、止めることができた。

「離して!行かなくちゃいけないの!」

「ダメだ、今ここで離したら下手すらあんたが死んじまう!」

思った以上に抵抗してくるし、しかも力が強い。

取っ組みあいになりながらも女の子を止めていると、俺の両手が何か柔らかいものを掴んだ。

「ちょ、ちょっと!どさくさに紛れてどこ触ってるんですか!」

「違う、これは不可抗力というやつで!っていうかそんな急に体制変えると…」

するんっ。

俺の重心をかけてた足が滑り、桟橋から出てしまい俺と女の子は海に一緒に海に向かって落ちていく。

「きゃぁぁぁあ!」

「ぇぇぇぇぇ!」

ばしぁーん!

「二人ともー、大丈夫⁉︎」

何故かわからないけど、上から高海の声がした。

「俺は大丈夫。あんた怪我ないか?」

「わ、私も大丈夫」

「そっか。もう一人も大丈夫らしい」

「よかったぁ。風邪引いちゃうといけないから早くあがりなよ」

「はいよ。あんた泳げるかい?」

「まぁ、多少は」

「なら、着いてきて」

俺は女の子を桟橋のハシゴまで連れて行った。

「あの、あなたは?」

「俺はこのまま岸まで泳いでいくよ」

「そうですか」

濡れてしまったので、せっかくだから泳いでみたくなった。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回は少しダイヤさんとの絡みを多くしてみました。
アニメでは千歌達の活動を止めたつつも、陰では応援していたダイヤさんなのですが、この作品ではそういった場面を細かく書いていけたらいいなと思ってます。
後、主人公が何故曲を提供したくないのか少しだけ明らかになりましたね。
梨子ちゃんも関わってきたということでますます面白くなってくるところ。
僕も頑張って皆様に面白いと思ってもらえるものを書いていきます!
それではまた次回!

感想やご意見お待ちしております。
お気軽にお送りください


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海の音を聞きたい

皆さん、こんにちわ!
よっとんです!
早いことで第3話です。
妄想するのが楽しすぎてやばいですわ…
それではお楽しみください!


「いっぴしぃ!おぉ寒い…」

「当たり前でしょ、こんな時期に海で泳いだりするから」

制服姿で海に入ってしまった為、完全に体が冷えてしまった。

そんな俺に少し怒りながら高海はバスタオルを渡してくれた。

「サンキュー。それにしても急に海に飛び込もうとした時は本当に焦ったわ」

「本当だよー。海に入りたければダイビングショップもあるのに」

女の子はしばらく黙っていた。

「海の音を聞きたいの…」

「えっ⁉︎」

女の子が口にした「海の音」という言葉が気になった。

「海の音?」

「うん…」

「どうして?」

また女の子は黙ってしまった。

「わかった、じゃあもう聞かないー」

高海は少しめんどくさそうに嘆く。

と、思ったらまた明るい顔で質問する。

「海中の音ってこと?」

「お前、もう聞かないってさっき言ってただろ?」

「別にいいじゃん。それに一ノ崎君には関係ないでしょ」

「へぇー、そうですか。これはお邪魔しました」

「ふふっ」

さっきまで暗い顔をしてた彼女が笑っていた。

「急に笑い出してどうした?」

「ごめんなさい。2人を見てたらとっても仲良いんだなーって」

「俺と高海が仲が良い?ないない」

「一ノ崎君ひどい!私は友達って思ってるのに!」

「友達は断ってるのにしつこく頼みこんで来たり、人の昼休みの時間を奪ったりはしませーん」

「むー、なんだとぉ!」

高海は俺をぽこぽこと叩いてくる。

「私ピアノで曲を作ってるんだけど、どうしても海のイメージが浮かばなくて…」

「へぇ、ピアノで作曲か」

「一ノ崎君と同じだね?」

「同じ?」

「そう、この子もね作曲をしてるんだ!」

「お、おい!人の趣味を勝手にバラすな」

「本当なの?」

「まぁ、趣味程度だからあんたみたいにピアノとかで本格的にやってるわけではないけどな」

「そういえば見たことない制服だけど、ここらへんの高校?」

「東京…」

「東京⁉︎わざわざ?」

「わざわざっていうか…」

何か言おうとしたところに高海が近づき横に座った。

「そうだ、じゃあ有名なスクールアイドルとか知ってる?」

「スクールアイドル?」

「うん!東京だったら有名なグループ沢山いるでしょ?」

「なんの話?」

「えっ?」

お互いの間に変な空気が流れる。

「もしかして、知らないのスクールアイドル⁉︎」

「有名なの?」

「もちろん!毎年スクールアイドルのドーム大会があったりして!」

このまま行くと高海が暴走しそうだからここいらで止めておこうかな。

「まぁ、知らない人だっていてもおかしくないだろ?」

「そうかな?」

「けど、若いのに知らないって言うのはちょっと珍しいかもな」

「私、小さい頃からずっとピアノをやっててそう言うことに疎くて…」

「じゃあ、見てみる?なんじゃこりゃ〜ってなるから!」

「そう、なんじゃこりゃ〜」

そう言いながら高海は女の子に携帯の画面を見せる。

「どう?」

「どうって、なんというか普通?」

そう言われると高海は女の子の方に背を向け、海を見た。

「あ、いや、その…別に悪い意味じゃなくて、アイドルって言うからもっと芸能人みたいな感じかと思って」

「だよね?だから衝撃だったんだよ…」

高海は砂浜を歩き始めた。

「私ね、普通なの。昔から特にこれと言ってやりたいことや夢もなくて、そのうち見つかるだろうって思ってたら高2になってた。どうしようこのままじゃ普通星人を通り越して普通怪獣ちかちーになっちゃうよ!」

急に向きを変えて、女の子の顔の直前に行く。

「ガオー!」

怪獣の鳴き真似をすると、2人で笑い出した。

そしてまた海の方を見た。

「そんな時だった、あの人達に出会ったのは…」

「私と同じ普通の女子高生なのにキラキラしてた。みんなで一生懸命練習して、心を1つにしたらあんなにもかっこよくて、輝いてて、素敵になれるんだって。スクールアイドルってこんなにも、こんなにも、こんなにも、輝けるんだって!」

高海の目はとても楽しそうに笑っていた。

「それから全部の曲を聴いて、PVも見て、歌や踊りも覚えたらした。

私ね思ったの。私も仲間と一生懸命練習して、あの人達と同じステージに立ちたい…」

「輝きたいって!」

輝きたい。

その言葉に俺の中の何かが騒めいた。

俺が曲を作る理由。

忘れかけていた何が蘇るように頭の中に飛び込んで来た。

俺が求めていたもの。

「輝く音を見つけたい」

「ん、どうかしたの?」

「え?いや、なんでもない」

俺は無意識のうちに言葉に出していたらしい。

聞かれたくないわけではないか、なんだか恥ずかしくなってきた。

「ほら、一ノ崎君も梨子ちゃんに自己紹介して!」

「え、梨子ちゃん?」

「改めまして、桜内梨子です。あなたと同じ高校2年生です」

「あー、あんたの名前か、これは失礼しました。じゃあ俺も自己紹介だな。俺は一ノ崎将太って言います。ってこれくらいしか言えることないや」

「えー、もっと言えることあるでしょ?好きな食べ物はとか、特技とかさ!」

「そんな学校の自己紹介みたいなことしたくないよ、この歳になって」

「そういえば、梨子ちゃん高校ってなんて言う名前なの?」

「名前?名前は音ノ木坂学院高校」

音ノ木坂って確かμ'sがいた高校だったような。

あの高校にいてμ'sやスクールアイドルを知らないって、本当にピアノ一筋だったんだな。

けど、今それを言うのはなんだが違うような気がするからやめておこう。

それから俺達は、焚き火で少し体を乾かしそれぞれの家へ帰宅した。

 

ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー

 

時間は18時

やらかした、これは完全に怒られる。

言い訳なんかしても絶対意味ないし、どうせ怒られるなら素直にお説教された方がいいもんな。

「た、ただいま…」

ゆっくり音を立てないようにドアを開け、誰もいないことを確認しようとした時だった。

「将太、あんたこんな時間までどこをほっつき歩いとった!今日は手伝って欲しいからまっすぐ帰ってこいってお母さん言ったよね?」

「えっと、生徒会長とお話したり、海で女の子を助けたりしてたら遅くなってしまいまして…」

「なにを訳の分からんことを言ってんの?とにかく早く着替えて来て、配達行ってきて!」

「ちょっと待って!配達は俺のやる仕事じゃないやろ?いつもはオカンかオトンが車でやってるやん!」

「本来あんたがやらなあかん分の仕事をお母さんたちがやったから、その時間がなくなってしまったの!つべこべ言わず早く行け!」

「そ、そんな…」

オカンは奥の方に消えていく。

最悪だ。

配達は手伝いの中でも1番嫌な仕事のうちの1つで、配達用に改造した自転車に10数キロはあるみかんや野菜なんかを載せて運ぶもの。

基本配達先が坂の途中にあったら、遠かったりとするので親にはこれだけはやりたくないと無理を言っているのだが、今日はそうもいかないらしい。

仕方ない、大人しく従いますか。

悪いのは俺だし。

俺はぐちぐち文句を言いながら自分の部屋に戻って、配達の時の服装に着替えて、配達に向かった。

 

ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー

 

「配達って、言っても一件だけか。これは楽勝だな。えーと、なになに場所は十千万っと」

十千万というのは、家から100mほど先にある旅館。

昔からのお得意様らしく、ここで出される料理の野菜は全部うちのものを使ってくれてるらしく、美味しいと評判らしい。

自転車で、5分もしないうちに目的地に着く。

本当は裏口から届けろと親から言われてるけど、旅館の人が大変だからお客様用の入り口からでもいいよと言われてるので入り口から声をかけている

「こんばんわー、野菜届けにきました!遅くなってすみません」

すると、奥の方からトタトタと走ってくる音が聞こえてきた。

「ご苦労様です。ってあら、今日は将太君が届けてくれたのね」

「こんばんわ、志満さん。ちょっと色々あって今日は俺が…」

「そう、ご苦労様」

「いえいえ。あ、印鑑もらっていいですか?」

「あら、印鑑忘れてきちゃったわ。今すぐ取ってくるからちょっと待っててね。先に野菜もらっちゃっていいかしら?」

「大丈夫ですよ。あと、ゆっくりどうぞ」

「お気遣いありがとう。千歌ちゃん、荷物届いたから厨房まで運んでちょうだい」

志満さんが、上の階に家族らしい人を呼ぶと印鑑を取りに行った。

その間、疲れたしちょっと椅子に座らせてもらいますかね。

「志満ねえ、私今忙しいんだけどー」

階段から降りて来た女の子。

見覚えがあるどころか、さっきまで一緒にいた人が階段から降りて来た。

「た、高海!」

「あれ、一ノ崎君だ。なにしてるのこんなところで?」

「何してるのって、野菜を配達しに来たんだけど」

「あれ、いつもは優しいおばさんが来てくれるのに」

お前、あれが優しいだと?

俺からしたら鬼だ!

「あれはうちの母親。今日は訳あって俺が届けに来たんだよ」

「そうなんだ!」

「高海はこの旅館の子なのか?」

「そうだよ、生まれも育ちも十千万です!」

内浦で生まれ育って17年経つけど、まさかの近所に住んでたクラスメイトと一度も顔も合わせず育ったなんて、色んな意味で凄いな。

まぁ、昔から家の中で曲聴いたり楽器触ったりして結構インドアだったんだけど。

「この野菜、俺が厨房まで運ぶわ」

「え、そんな悪いよ」

「俺がやるって言ったんだからいいんだよ。それとも厨房に入っちゃいけない感じか?」

「それは別に構わないけど」

「じゃあ決まりな。厨房どこにあるかおしえてくれ」

「わ、わかった。こっちだよ」

「よっし、よっこいしょ!って、重っ!」

「一人で持てる?」

「だ、大丈夫だ。これくらい平気だ」

あれ、こんなに重かった?と思うくらい重たかった。

けど、クラスメイトにいいところを見せようと、俺が言ったことだ。

ここで、無理なんて言ったらカッコ悪すぎるから、意地でもやってやる。

「ふー、ふー」

「ねぇ、一ノ崎君」

大股になり息を切らしながら野菜を運んでいると高海が声をかけて来た。

「なに?」

「荷物持つって行ってくれてありがとう。かっこいいよ」

高海は可愛らしく笑いながらそう言った。

おい、そいつは卑怯だぞ。

急に女子からかっこいいって言われて興奮しない男子なんていないだろ。

きっとこういった奴が勘違い男子を生んでしまうんだろうな。

恐るべし高海。

「別にこれくらい普通だからな…」

なんとか照れてるのを隠しながら歩いて行く。

そして厨房に着いた。

「ふぅ、重かった…」

「やっぱり重かったんだ」

少し小馬鹿にしたように笑う。

「なぁ、高海」

「なーに?」

「作曲のことなんだけどさ、もう少し考えさせてくれ」

「えっ⁉︎」

「2度は言わない。じゃあ俺はこれで帰るから」

「待ってよ、今のほんとう?」

「だから同じことは2度は言わない」

「えー!」

 

なんで、俺がこの時こんな事を言ったのか。

自分の中で求めるものが見つかるような気がしたから。

高海となら。

 




今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
やっと、登場しました、梨子ちゃん!
この作品はなるべくアニメに沿った形で作っていこうと思っていて、今回はアニメでとても重要なシーンなので、何度もアニメのセリフを聞くのを繰り返して書きました。
短くなったり、変わってたりするのは読みやすくしたり長くならないように工夫した結果です。
そして3話目でやっと、アニメの1話の終わりという…
これは長くなるぞ…

お気に入りやご感想を下さった読者の方。
本当にありがとうございます。
それが僕の一番の励みになっております。
これからも頑張っていきますね!
それではまた次回お会いしましょう!

感想や評価お待ちしております。
よろしくお願いします。


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まさかの転入生‼︎

皆さん、こんにちわ
よっとんです。
色々忙しくて投稿が大幅に遅れてしまい申し訳ありません。
それでは、4話をお楽しみください


午前8:30

今日は寝落ちしてないので、いつも通り余裕をもって登校出来たので、教室でホームルームが始まるのを待っている。

そして、そろそろエンジン全開娘が来る時間だ…

「一ノ崎君、おはよう!」

「うーす」

ほら、来ちゃったよ…

たぶん次に言う言葉は「作曲してくれる気になった?」だろうな。

「昨日は本当にありがとう。志満ねぇもありがとうって言ってたよ」

「昨日も言ったけど、あれも配達のうちだから構わないから」

「それでもお礼を言いたかったの。ていうか目の下のクマすごいよ?」

「これは気にしないでくれ」

「どうせ夜更かししたんでしょ〜?授業中に寝ちゃダメだよ!」

「毎日、授業中に寝て先生に注意されてる人に言われたくないんだが」

「むー、またそうやって意地悪する!」

「ありのままのことを言っただけだよ。それよりも後5分でホームルーム始まるぞ」

「わ、ほんとだ!急がなきゃ!」

そして、高海は騒がしく教室を出て行った。

よし、これで後5分は静かに目を瞑っていられる。

そして俺は腕を枕にして顔を突っ伏した。

あれ、なんか普通に高海と話をして終わったけど、いつもみたいに作曲について頼んでこなかったな。

2年になってから毎朝の行事だったから、ないとなると案外寂しいもんだな。

って、俺は何変なことを思っているだ!

朝から無駄に元気に頼み込まれなくて逆に良いことじゃないか!

うん、絶対そうだ!

頭の中がぐちゃぐちゃになってるいると、ホームルームのチャイムが鳴った。

「さて、俺は寝るとしますか」

「皆さんおはようございます、朝のホームルームを始める前に転入生を紹介します」

お、まさかの展開だな。

少子化なんかの影響で生徒不足に陥っていた、この学校は2年前から共学化を始めたのもあって、男子生徒の数が圧倒的に少ない。

俺のクラスなんて自分を合わても男子は2人しかいない。

もし、転校生が男子だったら仲良くしたい所だな。

「それじゃ、入ってきていいですよ」

少しばかりの期待を持ちながら待っていると、ドアが開いた。

そして、入ってきた人はスカートを履いていた。

はぁ、女子かと残念に思ったんだが、その人に見覚えがあった。

見覚えがあるというより、昨日会ったばかりの人だった。

「それでは、自己紹介をお願いします」

「東京から引っ越して来ました、桜内梨子です。よろしくお願いします」

やっぱりそうだ。

昨日海に飛び込もうとしてた、桜内だ。

まさか、こっちに引っ越して来てたとは思ってなかった。

「奇跡だよ!」

前の席の高海がいきなり立ち上がり、大きな声でそう言った。

え、何が?と俺を含めた周りの人たちはそんな顔をしている。

「おい、高海。いきなりでかい声出すなよ。先生とかもびっくりしてるから」

「あ、そっか。ごめんなさい…」

高海はしゅんと小さくなって席に座った。

「桜内さんとお話をしたい人は休み時間や放課後にしましょうね。席は、窓側の男の子の横の席を使ってください」

「わかりました」

そして桜内はこちらに向かってくる。

まさかの、俺の隣の席とはこれもまた驚き。

転入生が来ても、俺の学校での過ごし方は変わらないんだけどね。

「あなたは昨日の…」

「どうも。昨日ぶりだな」

「これからよろしくね、えっと…」

「一ノ崎将太。一ノ崎でいいよ」

「わ、わかったわ。よろしくね、一ノ崎君」

「うん、よろしく」

桜内と軽い会話をして、お互い授業の準備に入った。

そして一時間目が始まる。

 

「一緒にスクールアイドルやりませんか‼︎」

相当な声の大きさが教室に響き渡った。

俺はその声にびっくりして起きた。

どうやら、寝てしまって休み時間になっていたらしい。

睡眠の邪魔をした犯人を探そうとしたら、横の席に困っている桜内と、笑顔の高海がいた。

高海は手にスクールアイドル募集のポスターを持っていたので、大体のことが察せた。

「ご、ごめんなさい!」

「えっ?」

予想外の答えだったのか、高海は笑顔で固まっていた。

そして数秒後

「な、なんで!」

「そういうの私に向いてないとゆうか…」

「そんなことない、梨子ちゃんかわいいし。じゃあ作曲は?」

「そ、それもごめんなさい!」

桜内は逃げるように教室を出て行った。

「言っちゃった…」

「そりゃ、いきなりあんな風に頼まれた誰だって逃げるだろ」

「そうかな?何がいけないんだろ」

そう言って高海は自分の席に戻っていった。

桜内にスクールアイドルに勧誘する時に一緒に頼んでた、作曲。

いつものように俺に作曲を頼んでこなかったのも合わさって、俺の中で1つの思いが出来た。

高海は俺の返事かないから、この人に作曲を頼んでも無駄だと思ったから、桜内に移ったんだ。

たぶん、こういうことだろう。

1週間も頼んでいるに、無理とばかり答えられたら誰でも諦めるよな。

俺は昨日こともあって作曲を手伝おうと思ったけど、自分でも納得いった曲を作れてないのに、中途半端な曲を人に歌ってもらうのは嫌だったからちょうどよかったかもしれないな。

そう思うと少し気が楽になった。

だけど、同時に今まで感じたことのない気持ちが出て来たけど、俺は気にしないことにした。

 

ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー★ー

 

 

それから数日後

桜内が転入して来てから、高海は懲りずに休み時間や放課後になると絶対にスクールアイドルに勧誘している。

俺の時もそうだったが、高海はよく懲りないな。

そんな俺はあれから作曲を頼まれていない。

そして、今も教室で絶賛勧誘中である。

「ほんと、あいつも懲りないよな…」

「けど、千歌ちゃんはそれくらいやりたいんだと思うよ」

俺の独り言を聞いていたのか、斜め前の席の女子が話しかけてきた。

彼女の名前は渡辺曜。

高海と小さい頃からの幼馴染らしく、俺が高海と関係が気づいて行くうちに自然と知り合いになったクラスメイトだ。

俺の勝手な印象だけど、高海とは違った元気な子で、クラスメイトはボーイッシュなんて言うけど、俺はそんなことは思わない。

高海が暴走しかけた時に止めに入ったりとブレーキ的役目をしている。

普段の2人を見ていると本当に仲がいいなと思う。

「やりたいのは別に構わないが、なんで桜内なんだ?」

「前に千歌ちゃん言ってたんだ。梨子ちゃんじゃないとダメな気がするんだって」

「直感的なやつか?」

「そうみたい。でも梨子ちゃんが参加してもちゃんとした部を作るには後2人足りないんだよね…」

確か、この学校の校則で、部活を設立する場合、部員が5人必要って書いてあったな。

渡辺が言ったように桜内が参加しても後2人必要。

しかも生徒会長はあの黒澤先輩だからなぁ…

厳しいかもな。

てか、高海以外にスクールアイドルやりたい人って…

「もしかして、渡辺もスクールアイドルやるのか?」

「そうだよ!」

「確か渡辺って、水泳部に入部してたよな?」

「うん、だから掛け持ちってことになっちゃうね」

「それって結構大変じゃない?」

「大変だけど、それ以上に千歌ちゃんの助けになりたいんだ」

うぉぉ、何だこの人は!

友達のためなら自分は頑張れるって、聖人かよ…

「そういえば、一ノ崎君は返事決まった?」

「返事って、なんのことだ?」

「作曲について」

「それについては、高海は俺より桜内の方がいいと思ったらしいから、俺は気にしないことにしたか」

「どういうこと?」

「俺が作曲を頼まれても無理と言い続けたから、高海も諦めて俺に頼むのをやめて桜内に頼んでると考えたんだ」

「それは違うよ」

渡辺はさっきより真剣な表情になっていた。

「一ノ崎君、ちょっと前に千歌ちゃんに作曲はもう少し考えさせて欲しいって言ったんだよね?」

「あぁ、言った」

「だから千歌ちゃんは、考えるのに時間が必要なら答えが出るまで邪魔にならないように頼まないようにする。って言ってたの」

「それ本当か?」

「本当だよ。そんなことで嘘ついても一ノ崎君のためにならないし」

そんなことを高海が言ってたなんて知らなかった。

俺が言った言葉を高海はちゃんと考えてくれてたんだ。

けど、俺は勝手に諦めたなんて考えて、自分から行動せずに落ち込んでいた。

そうだ、俺はあの時高海に行ったじゃないか。

もう少し考えさせて欲しいって。

あれから俺はやっぱりダメだと思って前と変わらずいた。

けど、今は俺の言葉を信じて待っていてくれている人がいる。

だったら、怖がらずに前に出るしかない。

きっと、俺が納得した曲を作らないのは、ずっと今の自分には無理だと思い込んでいたからだ。

自分を変えられるのは自分だけだ。

「なぁ、渡辺。高海にあと少しだけ待ってくれ伝えて欲しい」

俺は机に掛けてあった鞄を持つ

「わかった。って、どこに行くの?」

「帰る、ちょっと急用が出来た!」

そして、走って教室を出て行く。

「えぇ!まだ午後の授業残ってるよー!」

だが、その声は一ノ崎将太には届かなかった

 




改めまして、こんにちわ。
学校の行事なんかで忙しすぎて書く時間なく、投稿が遅れました。
本当にごめんなさい!
こういうった、作品を書きてる人間はどんなことがあっても、楽しみにしている人を裏切らないように、ちゃんと投稿しないといけないと、感想をもらえるようになってから、痛感しました。
次からはなるべく3日に1話のペースで登校していきたいと思っております。
そして、ここに来て主人公の心境が大きく変わって来ましたね。
これからどうなって行くのか、作者自身を楽しみにしてます。
次回も是非ご覧ください。
それではさようなら!


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どんな曲がいいんだろう

皆さん、お久しぶりです!
よっとんです!
投稿が遅れてしまい、本当にごめんなさい!
なるべく3日に1話のペースで投稿したいと思います!

それでは今回もお楽しみください


「やっちまったよ…」

現在、俺は部屋でイスにもたれかかってうなだれいる。

「歌詞が無いうえに、どんなイメージの曲が欲しいとか全く聴いてない状態で曲なんて作れるわけないじゃん…」

俺は、渡辺から話を聞いた後、自分の情けなさや色んな感情が爆発しそうになり、とにかく曲を作ろうと学校を抜け出してきた。

だけど、いきなり高海達の為に曲を作ろうと思ったけど、俺は今まで高海の話をちゃんと聞いていなかったので、どんな曲を作って欲しいのか知らない。

何も知らなければ曲を作れない。

「仕方ない、今日のところはひとまずこの事は置いておいてまた明日高海達に話を聞いてみよう」

作曲のことは置いておいて、俺は趣味の方の作曲をすることにした。

 

チリリリン、チリリリン

 

一階の自宅の電話が鳴る音が聞こえてきた。

「はい、もしもし一ノ崎です」

母さんがとったのですぐに呼び鈴は収まった。

さぁ、気を取り直してやるぞー!と思った時だった。

「将太、学校からあんたに電話よ!」

「え、俺⁉︎」

あれ、俺何かしたっけ?

今日学校であったことを思い返してみる。

どうやら、俺は作曲のことで頭がいっぱいだったので大事なことを忘れていたみたいだ。

「あ、俺学校無断で抜け出したんだった」

これは確実に先生に注意された後、親に伝わって怒られる流れだな。

とにかく、電話に出ないと。

「お電話変わりました、一ノ崎です」

「こんばんわ、一ノ崎君。体調は大丈夫?」

「え、体調?」

「渡辺さんから、一ノ崎君がお昼休みに具合が悪くなったから早退するって聞いたから」

「あ、あー!すみません、急に頭痛と吐き気がしたもので。けど、今はだいぶ楽になりました」

「そう、それなら良かったわ。けど、体調不良で早退する時はちゃんと保健室で許可証をもらってからじゃないと欠席扱いになりますからね」

「はい、本当にすみません」

「今日のところは早退にしますが、次からはちゃんと気をつけるてくださいね」

「わかりました。わざわざお電話すみません」

「それは構いません。それでは失礼します」

そして、電話は切れた。

助かった。

渡辺のおかげで助かった!

まさかの早退になっていたとは。

けど、そのおかげで母さんにもバレず、先生にも注意で済んだ!

ありがとう、渡辺!

明日、何かお礼でもしないとな。

「あんた、電話の前で何してんの?」

俺は、電話の前に膝立ちになり、電話を拝むように独り言を言っていた。

そして、それを母さんに見られた。

「ん、いや何でもない」

「それより、学校から何の電話だったの?」

「俺が落とした筆箱が見つかったから、明日職員室に取りに来てって電話」

「あんたはすぐに物無くすから気をつけや」

「はいはい」

母さんは、リビングの方に戻っていった。

なんか色んな人に嘘をつくのはやっぱり気分が悪いな。

もうこんなことにならないよう、気をつけないと。

 

 

 

翌日

俺は、渡辺に昨日のことでお礼を言うためにいつもより早く家を出て学校に着いた。

教室に入るとまだ誰もいなかった。

時計を見ると8時前

少し、早く来すぎた。

自分の机にカバンを置いて、席に着く。

そして、何も考えずにただボーとする。

すると、色んな音が聞こえてくる。

風に吹かれて、擦れる木の葉の音。

微かに聞こえる波の音。

誰かが廊下を歩いて鳴る靴の音。

生徒の楽しそうな話し声。

いつもは気にしないような音も、ちゃんと聞いてみると心地良かったりする。

いいな、こういうの。

もうしばらく、この状態でいようと思った時だった。

ガラガラ

教室のドアが開いたので、そっちを見てみると桜内がいた。

「おはよう、一ノ崎君」

「おはよう」

「今日は早いんだね」

「まぁな、ちょっと用事があるから早く来たんだ。桜内は毎日この時間に来てるのか?」

「うん、余裕を持って行動したいから」

「へぇー、俺はギリギリまで寝ていたいけどな」

「けど、遅刻はダメだよ?」

「わ、わかってるよ…」

桜内、結構痛いところをついてきやがる。

「一ノ崎、気持ちよさそうにしてたけど何してたの?」

「え、見てたのか?」

「うん、すごい気持ち良さそうだったらから邪魔しちゃいけないと思って」

「どっちかというと、声かけてくれた方が良かったかも」

「ご、ごめんなさい」

「別にいいよ、見られて困るようなことしてたわけじゃないし」

桜内はホッとしたような表情になった。

「音を聞いてたんだよ」

「音?」

「そう、風とか波とか。普段気にしてないような音でもちゃんと耳を傾けてみたら、色んな音が溢れているんだなと思ってさ」

「そうなんだ。けど、そういう音って落ち着くよね」

「自然が作り出す音って人には作り出せないものだからこそ、俺は好きなんだよ」

「自然の音か…」

桜内と話しているとまたドアが開いた。

「あ、一ノ崎君と梨子ちゃんだ!おはよう!」

入ってきたのは、高海と渡辺だった。

「おはよう、高海さん、渡辺さん」

「おはようさん」

俺は昨日のお礼を言うために早速渡辺の所に向かう。

「おはよう、渡辺」

「あ、一ノ崎君!おはよう」

「昨日はありがとな」

「別にいいよあれくらい。けど、授業を抜け出すのはダメだよ」

「次からはあんなことしないように気をつけるよ。それと、お礼と言っちゃなんだが、これ貰って欲しい」

俺はカバンから1つの小さな袋を取り出し渡辺に渡した。

「うちで作った野菜を薄く切って揚げた、野菜チップスなんだけど」

「え、いいの?」

「いいよ、売り物にならない形の悪い野菜を使ってるから実質タダだし」

「じゃあありがたくいただくよ。ありがとう!」

「いえいえ、こちらこそ」

横から高海がこっちを凄い見ている。

「余った分があと何個かあるけど、高海もいるか?」

「うん、欲しい!」

高海はまるでエサを待つ子犬のようだった。

「桜内もいるか?」

「そんな、悪いよ」

「何個か余ってるし、捨てるの勿体無いから食べて欲しいんだ」

「そ、それだったら貰おうかな」

「サンキュー」

俺は渡辺にお礼をすることが出来た。

そして、一番話をしたかった高海に話をする。

「なぁ、高海」

「なに?」

「作曲のことなんだが、高海はどんな曲がいいんだ?」

「え、作曲してくれるの⁉︎」

高海が凄い俺に迫ってくる。

「話をちゃんと聞いてくれ。曲を作るとしたらどんなイメージの曲がいいとかあるだろ?」

「え、ないよ?」

高海は笑顔で答えてくれた。

「て、ことは歌詞もまだないってことか?」

「うん」

また笑顔で答えてくださった。

なるほど、これは予想外なことが起きてしまったようだ。

たぶん、高海は曲を作らないといけないけど、自分達では作れない。

だから、作曲をできる人を探していた。

それがいつのまに作曲をできる人を探すのが目的となってしまい、肝心の曲の方については何も考えてなかったというところだろう。

しかし、曲のイメージすらないとなると曲は作ることができない。

「高海はたぶん作曲してくれる人を探すより、曲について考えた方がいいと思う…」

「えー、どういう意味!」

そんな会話をしていると朝のホームルームのチャイムが鳴り、各自席に戻っていった。

今日のうちに作曲手伝うと言おうと思ったが、高海の方がもうすこし時間がかかりそうなので、今は頃合いを観るとしよう。

 

 

 

放課後

今日は特に学校に残る用事も家の手伝いもないので、いつも降りているバス停の1つ前のバス停で降りてゆっくり歩いて帰ることにした。

防波堤の上を目を瞑りながらゆっくり歩く。

波の音が聞こえ、目を開くと日が沈んでいく海が見える。

田舎に住んでていいところといえば、静かに海が楽しめるところだと俺は思う。

そうして、15分くらいかけて家の方に歩いて行った。

「いつか見たいと思っていーた、景色はまだ見えない」

人も車も全く通らないので、ふと頭に思い浮かんだ歌詞を歌ってみた。

そして、自分の家に続く坂道に着いたので曲がろうと思ったが、浜辺に人がいたので気になって見てみると、そこには桜内が海を見て立っていた。

「また海に入るつもりですか?」

「えっ‼︎」

「よ、さっきぶり」

「びっくりした。なんで一ノ崎君がこんなところにいるの?」

「なんでって、家がこの辺で帰ってる途中ってだけだよ」

「そうなんだ、私の家もこの近くなの」

そんな会話も続くはずがなく、浜辺に男女が2人海を見て突っ立てるだけになってしまっている。

だけど、桜内の顔は何か思いつめてるようだった。

「桜内はさ、高海にスクールアイドルと作曲を頼まれるのをなんで断ってるんだ?」

「え、どうしたの突然?」

「俺が急に聴きたくなったから」

「うーん、スクールアイドルってよくわからないし、クラシック以外の曲を作曲したことがないから出来ないと思ってるの」

「だから、断ってるのか」

「それに今の私にそんなことをしてる時間はないの」

「そうか」

桜内はやはり思いつめている。

たぶん理由はあのことだろう。

「海の音ってどうやったら聞こえるんだろうな」

「えっ⁉︎」

桜内はどうしてそれを?という顔をしている。

「桜内は海の音を聞きたいんだろ?」

「う、うん」

「俺もさ、そういう音を探してるだ」

桜内は何も言わず真剣な目で俺をみている。

「俺は、輝く音を探してるんだよ。ちっちゃい頃からその音を探してたんだけど、今になっても見つかってない。けど、高海に作曲を頼まれたりあいつと関わっていくうちにわかったことがあるんだよ」

「わかったこと?」

「俺が輝く音を見つけられなかったのは、今の自分には無理だと思っていたから。だけど、俺の音楽を求めてる人がいる。だったら、俺のためじゃなく、俺の音楽を求めている人のために曲を作ろうって思った。それに高海となら輝く音を見つけられそうて思ったんだ」

「つまり、何が言いたいの?」

「海の音について悩んでるんだったら、どんなことでもいいからヒントとかを見つけてみたろって言いたいんだ。俺が言えた立場じゃないが、やってみないと気づかないものもある」

「だけど、海の音のヒントなんてどうやって見つけたらいいの?」

「それは俺じゃなくて違う人に聞いた方がいいと思うぞ。じゃあ、俺は用事があるから帰るな」

「ちょ、ちょっと待って!一ノ崎君は海の音聞けると思う?」

「桜内が聞きたいと思い続けるんだったら聞こえると思う」

俺はそれだけ言って家に向かった。

これで、少しは桜内の胸の中にあるものが解決してくれるといいな。




改めました、よっとんです
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今回は2年生組の3人と主人公が一斉に絡んでいるシーンを書きました。
今回の話はアニメ一期2話の千歌ちゃんが梨子ちゃんのパンツをめくるシーンに繋がるように書きました。
違和感がある方も思いますが、お許しください!
そういうところも含め、感想や意見をお待ちしております!
皆さんの言葉が一番のご褒美です!
次回もお楽しみに!


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作詞に苦戦?

「一ノ崎君、おはよう」

桜内と海で話をしてから土日を挟んだ月曜

俺はいつも通りに授業始まりギリギリに登校した。

すると、桜内の方からあいさつをしてくれた。

顔を見る限りこの休日の間に何かあったのか、どこか表情が明るく見えた。

「うっす、おはよう」

そして、俺は普通に返事をして自分の席に座る。

「なんか前より元気になった気がするけど何かあったのか?」

「え?」

まさか俺から話しかけられると思ってなかったのか桜内は驚いて声をあげた。

「いや、勘違いだったらいいんだけどさ。なんかこの前海で話した時より明るくなったと思ったから」

「そうかな?もしそう見えるんだったら、たぶん『海の音』が聞こえたからかもしれない」

「海の音が聞けた?」

「うん。一昨日の土曜日に高海さんと渡辺さんと一緒に海へダイビングしてきたの」

「ダイビング?」

「あの時一ノ崎君が、どんなことでもいいからヒントを見つけろって私に言ったでしょ?」

「まぁ、言ったな」

「でも、海の音に関するヒントってなんだろって思ってた時に高海さんがダイビングに誘ってくれたの」

なるほど、海の音を聞くなら実際に海の中へ潜ってみた訳か。凄い簡単なことだけど案外思いつかないことだな。

「で、どうだったんだ海の音は?」

「言葉で説明しづらいけど、なんだが海に挿す光が私達を照らしてそこへ自然と旋律が流れてきた感じだったの」

「想像するのはちょっと難しいけど、きっと綺麗な音なんだろうな。それについて作った曲とかあったら聞かせてくれよ」

「うん。一ノ崎君にも色々助けてもらったし出来たら聞かせるね」

「楽しみにしてるよ」

桜内は自分の見つけたい音を見つけたのか。

俺も『輝く音』を見つけれる日が早く来るといいな。

けど、桜内が作る曲か…

けっと、綺麗な曲なんだような。

そんなことを思っていると1時間目始まりのチャイムが鳴った。

「やっべ、授業の準備するの忘れてた!」

これにより俺は昼休みに15分も先生から厳しいお叱りを受ける羽目になった。

 

 

 

放課後

俺はいつも通り家の手伝いの配達があるから帰ろうとしたら目の前がガヤガヤしだした。

高海が桜内に抱きつこうとしたところを避けられ、高海が他のクラスの人にダイブした。

「待って何か勘違いしてない?」

「え?」

「私は曲作りを手伝うって言ったのよ?スクールアイドルにはならない」

「えー‼︎」

「そんな時間はないの」

あれだけ断り続けていた桜内が作曲を手伝うことにしたのか。

結構すごい進歩だな。

でも、これで俺の必要性が本当になくなっちゃったな。

高海達となら違う世界が見えるかもと思ったけど、やっぱり自分で道を切り開いて『輝く音』を見つけろってことだな。

ちょっと寂しいけど、高海達を応援することにしよう。

そんなことを思いながら俺は鞄を取りドアへ向かった。

「あ、待ってよ一ノ崎君!」

突然高海に呼び止められた。

「どうした?」

「どうしたじゃないよ!一ノ崎君も一緒に曲作るんだから作詞の方も手伝って!」

「えっ⁉︎」

どうやら、さっきのは嘘みたいで、俺はまだ必要性があったみたいだ。

 

 

俺は、高海達にまさかの曲作りの手伝いを頼まれた。

けど、放課後は家の手伝い(主に配達)などをしないといけないので遅れて参加するということを高海達に伝えた。

今日の配達はいつもより少なかったので、17時には配達を切り上げて集合場所の高海の家に来た。

「ごめんくださーい」

「はーい」

奥の方から志摩さんが出てきた。

「あら、将太君。今日のお野菜はもうもらってるけど、何かあったの?」

「えっと、今日は配達じゃなくて、千歌さんに用があって来たんです」

「あー、曲作りのことね。千歌ちゃん達ならもう部屋にいるから上がっていいわよ」

「じゃあ、お邪魔します」

志摩さんから高海家に入る許可を得て、高海の部屋へ案内してもらった。

そして高海の部屋へ入ろうと扉を開けたら、意味のわからない光景がそこにはあった。

浮き輪を首にぶら下げ、伊勢海老みたいなぬいぐるみを顔に被ってる桜内が立っていて、その前に怯えて抱き合ってる高海と渡辺。

「あのー、何してるんだ?」

「あ、一ノ崎君!やっと来てくれた!」

高海がまるでピンチにヒーローが駆けつけたかのような瞳で俺の方に近づいて来た。

「お前たち曲作りしてたんじゃないのか?」

「しようとしてたんだけどね、美渡ねぇがさー」

ドンッ‼︎

高海が何かいいかけようとした瞬間に部屋に置いてある机から物凄い音がした。

驚いて反射的に音のした方を見ると、そこには明らかに怒っている桜内がいた。

「曲作り…は じ め る わ よ ?」

「「は、はい。ごめんなさい」

桜内の気迫に押されて何故か何もしてない俺まで謝る羽目になってしまった。

 

それからやったら本格的に作詞に関する話し合いが始まったのだが、ある部分でぶつかってしまった。

「やっぱり恋の歌は無理なんじゃない?」

「いやだ、μ'sのスノハレみたいな曲を作るの!」

高海はμ'sに憧れてスクールアイドルを始めたのもあって、μ'sの曲をリスペクトした曲を描きたいらしく、今は恋愛について話し合ってる。

正直男の俺はこの話題に入りにくいので、部屋の隅の方でスマホを見ている。

「そうは言っても恋愛経験ないんでしょ?」

「なんで決めつけるの!」

「じゃ、あるの?」

「な、ないけど…」

高海達が恋愛やらなんやらについて話してるのを一応聴きながらいるけどあまり順調に進んでいないみたいだ。

俺はスマホを触りつつもそんなことを思ってると周りから凄い目線を集めているのに気がついた。

「な、なんだよ?」

「一ノ崎君って、恋愛とかしたことある?」

高海が凄い勢いで迫ってくる。

「ちょっと待て!いきなりなんだよ」

「私、μ'sのスノハレみたいな恋愛ソングを書いてみたいんだけど、

私たち恋愛なんてしたことないから、一ノ崎君ならどうかなーと思って!」

「そういうことか。残念だけど俺も今まで恋愛の『れ』の字すら感じたことない男だから参考にはなんねーよ」

「だよね〜。そうだと思ったよ…」

え、なんか俺への対応酷くないか?そうだと思ったよって自分で恋愛経験ないって行った訳だけどめちゃくちゃ傷付くな。

それから話はスノハレを作った時のμ'sは誰か恋愛していたという全く別の議題になり、高海が一人で暴走してるに近かった。

「千歌ちゃんスクールアイドルに恋してるからね」

「本当に…」

今までの会話と今の渡辺と桜内の会話を聞いて1つわかった気がした

「だったらさ、スクールアイドルに恋してる気持ちを歌詞にしてみればいいんじゃないのか?」

3人はどういう意味って顔をしている。

「だからさ、高海はμ'sもといスクールアイドルにドキドキしたりする気持ちとか、大好きって思いを持ってるんだろ?だったらそれを歌詞にすればいいんじゃないか?」

「なるほど」

桜内は頷く。

「どうだ、それだったら書けそうなんじゃないか?」

俺は高海に聞いてみた。

「うん、それならいくらでも書けるよ!」

それから高海は紙に歌詞を2分ほどで書き上げた。

「私、その曲みたいな曲を作りたいんだ!」

書いた紙を桜内は受け取る。

「ユメノトビラ?」

ユメノトビラか…

確かμ'sが第2回ラブライブの地区予選で発表した曲だったな。

俺もあの曲と映像は何度も見たけど、とても前向きな曲って印象が強いな。

「私ね、それを聞いてねスクールアイドルやりたいって、μ'sみたいになりたいって思ったの」

「μ'sみたいに?」

「うん!頑張って努力して力を合わせて奇跡を起こしていく。私にもできるんじゃないかって、今の私から変われるんじゃないかってそう思ったの!」

「本当にスクールアイドルが好きなのね」

「うん、大好きだよ!」

それから歌詞作りは順調とまではいかないが、コンセプトが決まったことにより始めよりはスムーズに進み、桜内も作曲を始めることができるだろう。

で、俺はただちょっとしたアドバイスを出しただけなんだけど、これから先俺は必要なのかと思ってしまった。

 

それから時間も経ちみんなが帰らないといけない時間になったので自然解散という形になった。

渡辺さんは家がここから少し遠いので志摩さんが車で送っていくことに。

俺は自転車で来てたので、一人で帰ろうとした。

「あの、一ノ崎君‼︎」

したけど、まさかの桜内に呼び止められた。

「どうした、家帰んないのか?」

「ううん、帰るけど一ノ崎君に話したいことがあるの」

「え?」

突然の桜内のお誘いに驚きつつもドキドキしてしまう。

「その、作曲についてなんだけど…」

「あ、あー作曲についてね!了解了解」

一人の男子高校生の淡い妄想は一瞬で泡となって消えましたとさ。

 

それから俺と桜内は十千万の目の前にある海岸で座って話すことにした。

「で、作曲についての話したいことって?」

「実は、私クラシック以外の曲が作れないの…」

「今まで、クラシック一本でやって来たってことか?」

「うん、そういうこと。あと、邦楽とか洋楽も全く聞いてこなかったからスクールアイドルの曲ってどう作ればいいかわからなくて…」

確かに桜内って、音乃木坂出身なのにμ'sを知らなかったりと、今までの人生ほとんどピアノにつぎ込んで来たんだなと思ってはいたけど、ここまでだったとは。

「で、そこで俺はどうすればいいんだ?」

「作曲を一ノ崎君に交代して欲しいの…」

桜内の一言で俺の中の何かが止めなければいけないと語りかけている

「桜内はそれでいいのか?」

「だって、スクールアイドルのための曲なんて私には書けないから…」

「そうじゃなくて、桜内は高海達と一緒にスクールアイドルしたくないのかよ!」

「それは…」

桜内は黙り込んでしまった。

「別にクラシックしか書けなくてもいいじゃねーか。そんなの今からいろんなジャンルの音楽を聴けばどうにかなる。俺は桜内が高海達と一緒にスクールアイドルをしたいかどうかを聞きたいんだ」

「わたしにはそんな時間ない…」

「じゃあ、取引しようぜ」

「取り引き?」

「そうだ、俺が桜内の作曲をサポートする。だから、桜内。お前は高海達とスクールアイドルをやってくれ!」

「なんでそうなるのよ!」

「だって、さっき高海の部屋でユメノトビラの歌詞を読んでた時、桜内が何か感じてたような気がしたからよ」

「でも、そんな急に言われても」

「大丈夫、作曲もちゃんと手伝ってやるから!」

それから桜内は10秒くらいもじもじして口を開いた。

「一ノ崎君は私がスクールアイドルやってもいいと思う?」

「やってもいいというかやった方が絶対いい!」

「そっか…。じゃあ考えてみる」

「おう、取引に乗る気だったらまた学校で教えてくれ」

「わかった。じゃあもう暗くなって来たし帰るね」

「そうだな」

桜内と二人だけの取引をすることになった。

そしてまさかだったのがら桜内の家が俺の家の通り道にあったことだった。

 

あれから俺は家に帰り、風呂に入って自分の部屋で余り物の晩飯を食べようと自室に戻ってきたところだ。

部屋にいるときはいつも何かしらの曲をBGMとしてかけているんだけど、今日はさっきの高海の家で話題になったユメノトビラをひさびさに聴きたくなったのでまた、パソコンの音楽フォルダーから洗濯しようとした時、すこし遠くの方からピアノの音が聞こえて来た。

よくよく聞いてみるとユメノトビラで、桜内がきっと引いてるんだろうなと聞き入ってたら途中で止まってしまった。

多分親に呼ばれたとかそこらへんの理由だろうな。

けど、桜内は高海達とスクールアイドルをすることが絶対いい経験になると俺は思う。

だから、頑張れ 梨子

 




いや、皆さん本当にお久しぶりです…
半年近く姿を消していましたいひょじんです。
言い訳は無しに、ほんとうにごめんなさい。
楽しみにしてくださってた方が少なからずいると聞いて、書くのが少し億劫になってこの作品を再び書くことにしました!
次話も頑張って書いて行きますね!投稿日未定ですが…

こんな奴ですが、作品の感想や評価待っております
よろしくお願いします!


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マネージャー始めました

「ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー」

今、俺は海岸でリズムを取りながら、前で踊っている高海、渡辺、桜内の3人のダンスを見ている。

「高海、ちょっとリズムずれてきてるぞ〜」

「えっ!」

リズムがずれていることを指摘するとさらにリズムがずれてダンスもめちゃくちゃになってしまった。

「うぅ〜ごめんね…」

「ううん、気にしないで。一回ここで撮った動画見てみない?」

「そうね」

俺は桜内が持ってきた譜面台の上で録画に使われてた渡辺の携帯を本人に渡す。

「はいよ、これ」

「ありがとう。将太君は何かおかしいと思ったところとかある?」

「ダンスとかはよくわからんけど、まだ全体の動きが揃ってなくて違和感はあるな」

「なるほどね…。ありがとう、参考にさせてもらうね」

そして渡辺は高海達のところに戻って行く。

というか、何故俺がこんなことをしているかというと数日前に遡る。

 

 

 

高海の家で作詞をしていた次の日。

俺は前日の作詞の時に話題に出てきたμ'sという言葉が頭から離れず、家に帰ってからライブを見たら曲を聞いたりしていると、前に聞いた時よりなんか魅力を感じて時間も忘れて夢中でμ'sのことを調べていた。

そして気づいた時には朝の5時になっていて、そのまま寝ずに学校に行くのに一番早いバスで学校に向かった。

教室に着くとまだ8時前だったので、授業が始まるまで寝ることにした。

眠りについて少し経った頃だった。

誰かが俺の体を揺さぶりながら名前を呼んでる気がした。

また、高海だろうと思って反応せず寝ていると、思ったよりもしつこく揺さぶって来るから少しイラッときたので

「あぁー、もう起きてるから揺さぶるな!」

と大きめの声で言い、顔を上げるとそこには驚いた様子の桜内がいた。

「ご、ごめんなさい。起こしちゃって…」

「いや、こっちこそ大声出してごめん。ていうかなんで桜内が?」

「ちょっと言いたいことがあるんだけど、いいかな?」

「あー、別に構わないけど」

桜内が俺に言いたいことがあるなんて珍しいな。

「あのね、私千歌達とスクールアイドルやってみることにしたの」

「えぇ、本当か!」

「うん。あの後千歌ちゃんと話しね、私が笑顔になって欲しいし、ピアノも諦めて欲しくなって言われたの」

「そっか、高海がそんなことを…」

高海なら桜内が胸に抱えてるものを消してくれると思ってたけど、本当に消してくれたんだな。

「スクールアイドルやろうって踏み出せたのは一ノ崎君が背中を押してくれたおかげだから、お礼を言いたかったの」

「お礼なんて、そんな大したことしてないぜ。俺はただ桜内はスクールアイドルをやったほうがいいと思ったから言ったまでだしよ」

「それでも私にとっては凄い勇気をもらえた言いたいの。本当にありがとうね」

そうして桜内は笑顔でお礼を言ってくれた。

「お、おう…」

俺はそれだけ言うと窓側を向いた。

この時、桜内の表情にドキッとしたのとお礼を言われて照れてしまって顔が赤くなったから窓側を向いたのは内緒だ。

 

「梨子ちゃんおはよう!ってあれ、今日は一ノ崎君からの早いね」

朝一から元気な声で挨拶をしてくれたのは高海だった。

「おはよう、千歌ちゃん」

「おっす、高海」

「一ノ崎君がこんな早くクラスにいるなんて珍しいから」

「今日は早くきたい気分だったんだよ」

「あ、そうだ!梨子ちゃんが私達とスクールアイドルやってくれることになったんだよ!」

「知ってるよ、さっき桜内から聞いたから」

「えぇー!そうなの〜」

高海はそう言いながらガックシと音が聞こえるくらい落ち込んだ。

さっきから元気に挨拶したり、急にがっかりしたと感情が忙しい奴だな。

「あ、そうだ!一ノ崎君にお願いがあったんだ!」

「今度はなんだよ…」

「一ノ崎君にスクールアイドル部に入って欲しいの‼︎」

「は?」

高海の唐突すぎる頼みに思わず声が出てしまった。

「えっと、どう言う意味だ?」

「だから、スクールアイドル部に入部して欲しいの!」

「うん、言ってることはわかるけど…。俺男だぞ?」

「それは知ってるよ?」

高海のなに当たり前のこと言ってるんだみたいな顔がなんか負けた気がする。

「スクールアイドルは女子高生がアイドル活動を部活と言う形で行うっていうのが定義みたいなもんだぞ。そこに男の俺が参加できるわけないだろ?」

「あ、そっか!」

「あ、そっかってお前なぁ…」

高海の呑気すぎる返答に怒りがこみ上げてきたが、呆れて何も言えなくなった。

「てか、なんで俺にスクールアイドル部に勧誘なんかしたんだ?」

「それはね、生徒会長さんから部を設立するには部員が5人必要って言われたんだ」

「だから俺を部員にさせて数を増やそうと?」

「そういうこと!」

めちゃくちゃ安直な考えだけど、スクールアイドルをやるのに必死な証拠だよな。

「けど、男の俺じゃ…」

「だったら、マネージャーとかだったらいいんじゃないかな?」

「「マネージャー?」」

渡辺の提案に俺と高海は揃って疑問を投げかけた。

「マネージャーだったら男の子の一ノ崎君でも出来そうだし、部員と書いてるけどマネージャーという形式で入部でもいいんじゃない?」

確かにその案なら男の俺でも役に立てそうだな。

流石、頭の回転が早い渡辺だ。

「わかった。それだったら引き受けるよ」

「本当に⁉︎」

「あぁ、俺も作曲の手伝いをするなら普段の部活動からも参考にできるかもだし。それに俺に出来ることなら協力したいしさ」

「うぅ、一ノ崎君ありがとうぉぉ!」

高海はそのまま俺に飛び付いてくる。

「だぁぁぁ、だから急に抱きつくなってぇ!」

「そんな照れなくてもいいのに〜」

「そういうことじゃねー!」

 

 

と言うことがあって、現在に至る。

そして、俺が入部をきっかけに苗字で呼ぶのをやめて、下の名前で呼ぶ会うように決められた。

「それにしても、俺がまさかスクールアイドル部のマネージャーになるなんてね〜」

 

ブロロロロブロロロロ

 

独り言を呟いてるとヘリが俺たちの頭上を飛行していた。

 

「なにあれ?」

「小原家のヘリだねぇ」

「小原家?」

「淡島にいる経営してて、新しい理事長もそこの人らしいよ」

「へぇ〜」

小原家か。

昔からそこのホテルにうちで取れた蜜柑や野菜を配達してるなぁ。

けど、親の配達についた行ったりすると毎回そこの娘さんの遊び相手をさせられてたな…

そんなことを思っていると、ヘリがどんどんこちらに近づいてることに気づいた。

「おい、なんかあのヘリこっちに近づいてきてないか?」

「気のせいよ」

「いやまじだって…」

そう言ってる最中にもヘリは俺たちに近づいて来ている。

ぶつかるんじゃないかと思うくらいまでヘリが来たから、俺たちは急いでヘリから逃げるように砂浜へ身を投げた。

「なになに?」

ヘリは俺たちの頭上を通過した後、そのまま降下してきた。

そして着地出来そうな距離まで来たところでヘリの後部席のドアが開いた。

そして中から出てきたのは…

「チャオ〜」

よく見知った顔だった。

「げっ!鞠莉さん…」

「あらぁ〜、将太じゃない!」

まさか、ヘリから出てきたのは、昔から俺を着せ替え人形のように扱い、俺のことをあちこちへ連れ回したりした破天荒なお嬢さまだった。




みなさん、お久しぶりです
またまた半年間逃げていたいひょじんです。
いやぁ〜4thライブ最高でしたね。
僕は何回も泣いちゃいました。
それにしても久しぶりの投稿。
社会人になるとやっぱり自由に使える時間も減るものですね。
けど、それはいいわけになっちゃうね。
次回もなるべく早く投稿できるよう頑張ります。
それではまた次回


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