ゼロの使い魔×ジョジョ・短編集 (海棠)
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デッドスタンズQ
デッドスタンズQ


私の名前はキラークイーン(Killer Queen)

前は二人の吉良吉影のスタンドだったが今は少女(ルイズ)の・・・いわゆる使い魔として生活している。

私が求めているのは「平穏な生活」

・・・さて、今日は平穏に過ごせるだろうか。





ジョジョの奇妙な冒険Part4「ダイヤモンドは砕けない」、part8「ジョジョリオン」より「キラークイーン」を召喚。


バラバラになった彼はただ消滅を待っていた。

主人がいなくなった今、スタンドはただ消えるか、もしくは暴走するかだった。しかし、彼(?)は「手」に何の抵抗もできずに引きずり込まれている。暴走はしないだろう。しかし、いつかは消滅する。そんなとき、彼の目の前に鏡のようなものが現れた。そして彼は体がくっついていくのを感じながら、その中に引きずり込まれた。

 

その時、何かが自分にぶつかり、一つになっていく感覚がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方そのころ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは召喚の儀式を行っていた。

そして杖を振った瞬間、いつものように大爆発が起こった。

しかしッ! 今回は一味(・・)違ったッ!!

煙の中から姿を現したのは平民ではない。かといってありきたりなドラゴンでもない。

そこにいたのは、猫のような、骸骨のような顔をし、筋肉隆々の美しき肌を持ち、さらには何物も寄せ付けぬような威圧感と虚無感を放つ亜人だったッ!!

擬音をつけたらゴゴゴゴゴゴゴゴとかになりそうだッ!!

 

「や、やったわ! つ、ついに、わたし・・・!」

するとルイズは感極まって泣き出した。そしてそんな彼女に近づく影が二つあったッ!!

 

「おめでとう、ルイズ! やったじゃない!」

「賞賛する」

彼女たちの名はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーとタバサ。二人ともルイズと仲の良い悪友である。少なくとも、ルイズ本人はそれを認めていないが。

 

「ゼ、ゼロのルイズが成功した…だと…」

「こんなのってありかよ・・・」

同級生は唖然としていた。それもそのはずである! 彼女のあだ名、『ゼロのルイズ』の『ゼロ』は魔法の成功確率『ゼロ』の意味があるのだからッ!! なぜそんなあだ名がついたのかは後程詳しく説明するとしよう。

 

「・・・」キョロキョロ

そんな中亜人は自分の中に生まれている自立意志に少し戸惑いを感じながらこの状況を考えていた。

ここはどこか。天国か? いや、違う。なんとなく違うと自分の感覚が言っている。ならば夢なのか。いや、違う。自分の目に映る景色が、風が、生々しく感じられる。そして今自分の前にいる3人の女はいったい何なのか。この女たちはスタンド使いなのか? もしそうだとしたら、自分に危害は加えないのか? いや、そもそもなぜ自分はここにいるのか?

そんなことを考えていると急に桃色の髪の毛の女が顔をあげる。目にはまだ涙がたまっていたが。

そして亜人に近づいていくと口にキスをした。

 

「・・・?!」

すると亜人の左の二の腕に焼けるような痛みが走る。

 

「あつっ・・・?!!」

それと同時にルイズの左手にも焼けるような痛みが走った。

 

「ふむ・・・、珍しいルーンですね。メモしても?」

「どうぞ」

そう言いながらルイズは自分の左手を差し出した。それにつられて亜人も自分の左の二の腕を見せつける。

 

「ふむ・・・、二人(?)とも同じルーンが刻まれていますね。こんな例は今まで見たことがない」

コルベール先生はさらさらと自分の手帳にルーンを書き写してぱたんと閉じると生徒たちに声をかけた。

 

「では今日はここで終わりです。皆さん、帰りましょう」

そう言って彼はふわっと空に浮かび上がった。

 

「ルイズは歩いて帰れよな!」

「あいつレビテーションどころかフライもできないもんな!!」

そういうと周りの人間が笑いだす。

ルイズはキッと飛んでいく生徒たちを見た。

しかし、すぐに視線を彼(?)に戻すと言った。

 

「よろしくね、あなた」

彼は頷いた。





ネタがたまったら書きます。


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ゼロのカビ
ゼロのカビ


――――奴より下にいてはいけない。



ジョジョの奇妙な冒険Part5「黄金の風」より「グリーン・デイ」を召喚。


個人的にデザインは五部で一番好きです。






突然だが、私ことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔は『奇妙』。その一言に尽きるの。

 

 

まずはその姿、容姿よね。

身長は高く2メイル半程で体のほとんどは深緑緑色をしている。足(?)もあるがなぜかローブのように広がっている。・・・いや、訂正するわ。ローブというよりスライムね。そして体の管(?)という管から常に空気(?)がふしゅっ、ふしゅっと出ている。指も管のようになっているわ。何が出てくるのかしら? そういえばいまだに空気以外見たことがないわ・・・。

 

 

そして何より動き回る。移動速度はそこまで早くないのだけどいつの間にか教室にいたり食堂にいたり自分の部屋にいたりする。そのせいかいつの間にか私の知らないメイドとも仲良くなっている。・・・いや、あれはメイドが一方的に話しかけているだけか。

 

 

なぜそれがわかるかと言えばしゃべらないからだ。うんともすんとも言わないし、更にはわき腹をどついてもうめき声すら上げない。無口だ。おかげで使い魔のくせに名前も知らない。なので自分は新種のゴーレムもしくは亜人ということで納得している。

 

 

だけど自意識的なものはあるようで呼んだらちゃんと反応する。ただし私以外の人が話しかけても完全無視。・・・あのメイドには少し反応するみたいだけど。

 

え?どうしてそんなのが私の使い魔かって? ・・・それは召喚した日までさかのぼるわ…。

 

 

 

 

 

 

 

~召喚した当日~

 

「おい、ルイズゥ! まだ召喚できねぇのかよぉ!!」

「これで計26回目の爆発だぞぉ?!! いい加減にしろよなぁ!!」

「もうあきらめろよルイズぅ!!」

私は泣きそうになっていた。皆は召喚できているのに私だけできていない。

私は万感の思いを込めて叫んだ。

 

「宇宙の果てのどこかを彷徨う私のシモベよ……神聖で美しく、そして強力な使い魔よ、私は心より求め、訴えるわ!我が導きに…答えなさいッ!!」

 

ズドガァアアアアアアアアアア―――z_____ン!!!!

 

恐らく今世紀最大の爆発が起きた。私は衝撃でふっとばされて地面を転がる。まただ。また爆発した。

 

「やっぱりルイズはゼロのルイズだな!!」

「ほんと、やれやれだぜ」

私は悔しかった。一度でいいから私を馬鹿にするやつらを見返したかった。そう思って地面を握りしめた次の瞬間、悲鳴が上がった。

私は思わずその方を見るとそこには

 

マリコリヌの首を絞めながら地面にねじ伏せている亜人の姿が!

 

この時、私は混乱したわ。さっきまであんな亜人いなかったもの。そしてこうも思ったわ。

 

アレ、もしかして私が召喚したやつじゃ……、ってね。

 

私はそう思った瞬間、思わず叫んだわ。

 

「あなた、こっちに来なさい!!」

するとその亜人は素直にマリコリヌから手を放すとこっちに向かってきたの。私はちらっとしか見れてないけどマリコリヌの首には絞めた跡がついていたわ。結構力強いのね。

そんなことを考えている間に亜人は私の目の前まで移動していた。うわ、予想以上に大きい。

 

~☆~

 

 

 

 

・・・え?そのあとはどうしたって? この後普通に契約したわよ。そうしなきゃ私は進級できないし。

こんなあまりよくわかんない奴だけどきちんと周りの世話はしてくれるのよ。洗濯ものはするし、席を下げたりすることもできるし。だけど、たまにわざと多めに引いて私を転ばせることがあるの。それで私がひっかかった時は目元がニヤッと笑ってるのよね…、むかつくわ。

案外いたずら好きなのかもしれないわね、あいつ。

 

 







基本的にこれは一人称です。


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ゼロのカビ2

実を言うとゼロの使い魔のSSはキラークイーンで書く予定でした。





突然だけど、私ことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔の実力は『恐ろしい』。その一言に尽きるの。

 

え?なんで恐ろしいかって? それはつい数日前にさか戻ることよ・・・。

 

 

 

 

 

~数日前~

 

私はいつものごとく爆発を起こしてしまい、後片付けをしていた。使い魔もきちんと後片付けに協力してくれた。・・・図体がでかいせいか逆にホコリをまき散らしてたけど。

というわけで私は使い魔に自由に行動していいと命令した。すると使い魔は素直にどっかヘ行ってしまった。・・・本当に自由に行動しなくてもいいじゃない。

 

そんなことを考えながら後片付けを終えて食堂に向かうと何か騒がしかった。

何事かと思って人をかき分けていくとそこにはガタガタと生まれたての小鹿のように震えているあのメイドとそれに対峙しているギーシュの姿がッ! しかもギーシュの頬には二つの紅葉のマークができている。とりあえず私は近くにいるキュルケに話しかける。

 

「ねぇ、キュルケ」

「ん、なにかしら?」

「これ、何があったの?」

「ああ、実はね・・・」

するとキュルケは話してくれた。

彼が落とした香水を彼女が拾ったこと。それで二股がばれてビンタをくらわされたこと。そしてその席にを彼女に擦り付けて始めたこと。そして今に至ること。

・・・うん。

 

「止めに行くわよ」

「あなたならそう言うと思ったわ」

私が一歩踏み出そうとした次の瞬間、使い魔は現れた。あのメイドの後ろに背後霊のように立ち、じぃっ…とギーシュを見ている。

 

「な、なんだい、君は?」

使い魔は答えない(そもそもしゃべらないので答えることもできないが)。じぃっとギーシュを見つめている。

 

「・・・あぁ、よく見たら君はあのゼロのルイズの使い魔じゃないか。引っ込んでくれたまえ、君には関係ないことだろう」

しかし使い魔はうんともすんとも言わない。ただギーシュを見ている。というよりにらみつけているに近い気がする。なんかわかる。

 

「ふん、どうやら聞く耳も持たないようだね。使い魔を見るときは主人を見ろ、主人の実力は使い魔を見ろというが…、ルイズと同じように君も大したことないようだね」

私は思わずカチンときた。そして思わずこんなことを思った。

 

苦しめばいいのに

 

次の瞬間、使い魔は行動に出た。メイドの前に進んで彼に向かっていった。

 

「ん、何をする気だい? 君に何g」

全員が驚愕した。なぜかって?

 

使い魔がギーシュの首をつかんだからよ。

 

しかも地面にねじ伏せたのよ。なんと片腕(・・)で。

そしてそのままぎりぎりと絞め上げていくの。一気に気絶させるんじゃなくてじわじわとなぶって殺しに行ってるみたい。

どんどん彼の顔が赤く染まっていくのよ。だけど気絶してない。どうやら気絶しないぎりぎりの力で絞めてるみたい。・・・何で掃除すらまともにできないのにそこだけ器用にできるのかしら。

 

「かッ・・・ごぇッ・・・ががッ・・・」

彼はもがきながら杖を握ろうとするが空気が足りないのか手が震えてうまく握れてない。というよりつかめてもあの状態じゃ詠唱できやしないだろう。詠唱は唱えなきゃだめだし。

そんなことを考えていると段々ギーシュが白目をむき始めた。私ははっとして叫んだ。

 

「やめなさい!」

すると使い魔はパッと手を放して私に向かってきた。皆が私から離れていく。

使い魔は私をじっと見る。私も負けずににらみつける。

するとギーシュが復活してむせながら私と使い魔に話しかけた。

 

「き、きみたち・・・僕の誇りに泥を塗ってくれたな・・・」

こいつはいったい何を言ってるのだろう?

 

「ヴぇ・・・ヴェストリの広場で決闘だ・・・」

「貴族同士の決闘は禁止されてるわよ?」

「僕の首をよくも絞めてくれたな、使い魔…!! これは『死』を持って償わせてやる…!!」

次の瞬間、使い魔は私とメイドをつかんでテーブルの上にほうるとギーシュの肩をグワシと掴んだ。

 

「な、なにをする・・・!! はなッ・・・!!」

次の瞬間、異変が起こった。ギーシュの指がボロボロと崩れ始めたのだ。

 

「な、なんだぁ――――――――――?!!!!」

彼が叫ぶ。全員が一体どうしたのかとギーシュに近づいた。すると全員にも同じような効果が表れたのよ。

 

「う、うわぁああああああああ~~~?!!」

「わ、わたしの指がぁああ~~~~~~!!」

「いやぁあああああああああ!!!!」

私とメイドは訳が分からず机の上でガタガタと震えていたわ。その間にも異常事態はどんどん加速していくのよ。よく見ると使い魔の管という管から緑色の何かが噴き出してるの。私はあれが原因じゃないかって直感で思ったの。

私は呼びかけたわ。

 

「やめなさい!」

するとピタッと異常事態が止まったの。傷口はそのままで。ギーシュはほぼ死にかけていたわ。

 

 

この後聞いた話だけど学園中の人間や使い魔がカビに侵されていたらしい。

 






ちなみになぜ首を絞めるのに器用かというと元の本体の影響です。


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獰猛な使い魔
どう猛な使い魔


『どう猛』、それは・・・『爆発するかのように襲い…、そして消える時は嵐のように立ち去る』



ジョジョの奇妙な冒険Part5「黄金の風」より「パープル・ヘイズ」







私の友人ことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔は『個性的』である。

 

・・・その前に自己紹介よね。私の名前はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。彼女のヴァリエール家とは因縁の中よ。私個人としてはどうでもいいけど。

 

そして彼女、ルイズ自身について話さなければいけないと思うの。

彼女ことルイズは頭はいいし、容姿は淡麗、可愛らしいピンク色の髪、つつましやかな胸。どこをとっても非の打ち所がないわ。あるとしたら魔法が使えないこと。そして・・・

 

「このクサレデブがァ――――ッ!!!」ドグシャアッ!!!

 

・・・プッツンすると口が悪くなって人をぼこぼこにするところかしら。

私が叫び声が上がった方に視線を向けるとそこにはマリコリヌの髪をひっつかんで怒りの形相を浮かべながら彼の顔面を机の上にガンガンとたたきつけているルイズの姿が!!

・・・再度いうけど普段のルイズは魔法は使えないけどすごく頭がよくて常に努力を欠かさない可愛い女の子なのよ。

ただ、一度プッツンすると相手をぼこぼこにするまで収まらない上に途中で止めようとしたらそっちの方に矛先を向けちゃうのよ。たとえそれが先生だろうと容赦しないわ。

しかもこれのタチの悪いところは相手を一度殴るまでしつこく追いかけること。多くの人が彼女にぼこぼこにされたわ。そしてマリコリヌはルイズを昼休み前の授業で相当バカにしたからその報いを受けてるのよね。・・・ちなみに私はその第1号よ。

あの時はすごかったわよ・・・。私が覚えてる部分だけ抜粋すると・・・

 

「この(さか)りのついたクサレ牛女がぁあああああああああ!!!!!! 私をなめてんのかぁあああああああああああ!!!!!」

 

「その無駄にでかい乳をひんむいでランプの明かりにしてやらぁあああああ!!!!!」

 

「二度とSEXできない体にしてやるぞごらぁ――――――――――!!!」

 

・・・うん、思い出したくないわね。すると今度はまた別の方から声が上がった。

その方を見るとなぜか頭からワインをかぶっているギーシュとガタガタ震えているメイドの姿が。

偶に漏れる会話から推測するに自分が落とした香水で二股がばれてしまい、その責任をメイドに押し付けようとしているみたいだ。

私といつの間にかそばにいるタバサが呆れて止めに入ろうと動いたその時、

 

「うじゅるるるるるるるるる…」

 

来訪者は現れた。私とタバサ、そして一部の人が食堂の入口の方に顔や目を向ける。

その姿は全身のほとんどが紫と白のチェック柄で、よだれをたらしている口と体の所々につぎはぎがある。目は鋭く見開かれており、頭には変わった兜のようなものをかぶっている。更にいつも凶悪そうな表情をしている。よく「うじゅるるるるるる」とかうなっている。

そんな亜人こそがルイズの使い魔だった。使い魔はあたりをきょろきょろと見まわし始めている。そしてギーシュにおびえているメイドを見つけると歩いて行った。それと同時に騒ぎに気付いたルイズもギーシュの方に歩いていく。彼女のいた場所にはぐったりしているマリコリヌがいた。かわいそうに、誰にも気づいてもらえない運命なのね・・・。

 

「どうしたのよ、この人だかり。・・・ギーシュ、あんたなんでワインまみれなのよ? 拭かないと風邪ひくわよ?」

「あぁ、聞いておくれルイズ。この子は僕の顔に泥を塗ったんだ」

「? あんたが顔にかぶってるのはワインじゃない」

「違う、そうじゃない。そうじゃないんだ」

「あぁ、わかってるわよ。で、そこのメイドさん」

「は、はい・・・」

「いったい何があったのかしら?」

「わ、私はただ…ミスタ・グラモンが香水を落としになったのでそれを拾ってグラモン様にお届けしようと……」

「やれやれ、低脳な平民はコレだから困る…。いいかい? よく聞け。僕はあの時、コレは僕のじゃない、と言ったんだぞ。君はその時点で場の流れを察し、その香水を手に早々に去るべきだったんだ」

するとルイズは「こいつ、頭おかしいのか?」みたいな表情をしてギーシュを見た。使い魔も頭に指を置いて首をかしげていた。

 

「いや・・・、どう考えてもあなたの自業自得じゃない。落とす方が悪いのよ」

「いやいや、ルイズ。この子は二人の女の子の名誉を傷つけたんだぞ? それ相応の報いをするのが礼儀ってものだろう」

「だったら今からあ・な・たが二人に謝りに行きなさいよ。どうせ色欲にまみれたあなたのことよ。二股とかしてたんでしょう? それを察しろという方が頭悪いわよ。違うかしら?」

するとギーシュは言葉がつまり、周りからおぉ、と声が上がった。

 

「いいぞルイズー!」

「さすがルイズ、俺たちに言えないことを平然とずかずか言っていくッ! そこにしびれる憧れるぅ!!」

なぜルイズに応援の声が上がるかというと、先輩でも先生でもむかつく奴はキレて殴り飛ばすため周りからは見ててすっきりするとおおむね好評だからなのよ。

 

「ふ、ふん・・・。やはりゼロのルイズに理解しろという方が難しいか。下がりたまえ」

するとルイズはスッ・・・と机の上にあるフォークに手を伸ばした。全員がさっと顔を青くした。実を言うとルイズは切れて暴れた後の10分くらいは非常に気が立っており、普段なら切れるほどのことでもない言葉にも切れてしまうのだ。そして今、ルイズは切れていた。次の瞬間、

 

グサァアッ!!!

 

彼の頬にフォークが突き刺さった。やったのは意外にもルイズではなかった。かといってもちろん泣いているメイドでもない。やったのは

 

「うじゅるるるるるる・・・」

 

ルイズの使い魔だった。

 

「ギャ―――――――――ッ?!!!!」

ギーシュは思わずうずくまってしまう。しかし使い魔はつま先で彼の顔を蹴り上げて無理やり顔を起こさせると顔面に膝蹴りをくらわした。その姿は『悪魔』そのものだった。

 

この時、パープル・ヘイズは怒っていた。自分には難しいことなんてわからない。寿命で死んだフーゴの下を離れていつの間にかここにいて少女(ルイズ)の『使い魔』になっていた。事情なんて分からない。だがッ!! こんな自分でも『善』『悪』は分かるッ!! 『善』はルイズで、『悪』は目の前のクソッタレ野郎!! さらに彼(?)はこんなことも思っていた。

「こんなやつに自分のウイルスを使うまでもない。ただただ叩きのめして地獄に送ってやるッ!!!」と。

 

何回か机にガンガンとギーシュの顔をたたきつける。すると彼の顔を自分の目線まで持ち上げる。

 

うばっしゃああああああああああああ(地獄に落ちろこのド低能がァーーーッ)!!!!!」

そして叫びながら彼を投げつけるように机にたたきつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにルイズは使い魔に毒気を抜かれたのかすごく落ち着いていた。

 

ギーシュとマリコリヌは保健室に運ばれた。

 

使い魔は膝蹴りの時についた血を必死に机のクロスで拭っていた。





ここではフーゴは寿命で亡くなってしまったという設定にします。

そして残されたパープルヘイズが召喚されました。



※一部不適切な表現がありました。
 「ド低能」→「クサレ脳みそ」


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どう猛な使い魔2

個人的に「心を許す」と「信頼している」は違うと思います。言葉には言い表せませんがなんか違うんです。そんな気がするんです。













 

突然だが、彼・・・彼?ことパープル・ヘイズの朝は早い。

 

朝早くに起きて*1洗濯籠を洗い場に持っていく。これは初日、というか2日目に教えられたことでもある。最初は自身が覚えている射程距離より離れられることに驚いていたが今となっては慣れたものである。

 

 

「あ、使い魔さん!」

そこでメイドのシエスタと合流する。彼女とはこの世界にやってきた次の日からの縁であり、パープル・ヘイズにとっては主人以外に信頼している数少ない相手でもあった

そして洗濯場で洗いものをする。彼はどう猛で野性的であったが意外にもきれい好きであった。自分のつばを気にするほどである。彼は器用なことに絶妙な力加減で洗っていく。最初のころは何枚も破ってルイズやシエスタにしかられたものだが数日あればなんとかなるものである。意外と何とかなるものである。

そして洗濯物をすべて干し終わるとシエスタとともに食堂に向かう。

 

「おぉ、来たか! 使い魔さんよぉ!」

するとコック長であるマルトーが声をかけてきた。パープル・ヘイズは返事としてお辞儀をする。彼も最初はパープル・ヘイズのことを怪しげに見ていたが今は自分の仲間のように扱っている。パープル・ヘイズが心を許している数少ない人間である。

パープル・ヘイズは皿洗いを手伝い始めた。最初は力加減を間違えてよく割ってしまっていたが今は割らずに洗えるようになった。

そして皿を洗い終わると今度は教室に向かう。主であるルイズのところへ向かったのだ。パープル・ヘイズが扉をガラガラと開けた瞬間、怒号が響いた。

 

 

「くたばれクソガキャァア―――――――!!! 二度と減らず口叩けない体にしてやるぞゴラァ―――――!!!」

 

 

どうやらルイズが我慢の限界を超えて同級生を椅子にたたきつけたみたいだ。周りの人間が少し遠巻きで見物している。パープル・ヘイズはほかの使い魔に紛れ込んだ。かかわらない方がいいと判断したみたいだ。

そしてルイズは散々殴って気分が落ち着いたのかそのまま席に座った。パープルヘイズは周りの使い魔と世間話していた。どうやら使い魔同士通じることもあるみたいだ。

 

そして午前中の授業が終わって昼食が始まり、パープルヘイズが色々手伝いをしているとき、奴は現れた。

 

「決闘だ!!」

奴は彼?を指さして言った。それに対して彼はその場で首筋にチョップを軽くたたきこんだ。チョップだったらカプセルも割れにくいからだ。(・・・割れないとは言っていないが)

 

パタッ

悲鳴を上げる暇もなくギーシュは意識を刈り取られた。パープルヘイズはそれを見るとさっさとその場を退散した。触らぬ神に祟りなしである。おまけに今回悪いのは決闘を吹っ掛けようとした彼のほうである。特にとがめられることはないはずだ・・・多分。

 

それを見たルイズは夜、パープルヘイズをよしよししたという。その時の彼はどことなくにっこりしているように見えたそうだ。

*1
・・・"起きる"という表現は厳密にいえば正しくないが



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