携帯ショップ ジョウ★サイ (イジン)
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第1話 プロローグ



ハーメルン初投稿です。

携帯好きなのですが、正直最近のスマホは昔と比べればかなり進化しましたが、春夏モデルと秋冬モデルほぼ一緒みたいな所があるので、HUNTER×HUNTERの世界ならば好きな機能とか性能つけられるなと思ってしまいました。
正直、契約に関しての台詞やルールなどは、自分の体験談を書くしかできないので本職の方から見れば不快に思われることもあると思います。ルールは念用に少し改竄したりもしております。

遠慮なく「それは違うよ!」と論破してください。


こんなの乗せないで!とか誹謗中傷甚だしい!と注意がございましたら連載はやめて一人で楽しみますで、いつでもよろしくお願い致します。
一つ言いたいのは、いつもお世話になっておりますショップ様がとても素晴らしいショップ様だということです。
このショップ様に出会うまでは携帯ショップなんて、待たされるし、態度悪いし、携帯について聞いても「確認しますね」とか「大丈夫ですよ」とか曖昧な感じで、納得して携帯を買えた記憶がありませんでした。それこそ4、5年前は「キャッシュバックなので乗り換えましょう!!!という風潮が強かった為か、知識不足の方とかも沢山いらっしゃった気がします。

長々と申し訳ございません。
ですが、携帯ショップなんてと一括りにしていた自分が恥ずかしいです。皆様もマイショップ、見つけてみてはいかがでしょうか。

よろしくお願い致します。



 

 

 

 

「君の能力を僕らのために使ってくれないかな」

「……あの、勘違いされているようなので訂正させてください」

「なんだい?」

「私はこの携帯の製作者ではありませんよ」

 

 

またこのパターンかと、カウンターにドヤ顔で座るパロッキーノファミリー次期総長を可哀想な目で見てしまう。

 

それがいけなかったのだろう。

今までの紳士的な態度はなんだったのか。意味のわからない言葉を唾とともに吐き散らしている。

この後ご予約のお客様もいるのになぁ……困ったなぁ……

 

 

「お客様落ち着かれてください」

「ふざka$#^^まじ舐めてっと殺すぞオラァァ!あぁっ!?」

「気を悪くされたのなら申し訳ございません。ですが、この携帯の素晴らしさはお客様が1日体験された通り。

いかがでしょう?このまま永遠にお客様の生活をサポートさせていただけませんか?」

「ふあけんなぁ!こ、この俺に恥をかかせやがって!!ただですむと思うなよ!?組の奴らで店ごと潰してやっからな!!今すぐ呼んでやる!!!」

「………はぁ。では…”貴方はお客様ではありません“」

 

 

私が魔法の言葉をつぶやくと、椅子ごと消えた。

 

また椅子買わなきゃ…経費で落ちるといいんだけど。

 

 

最近評判が上がると同時にこういうお客様じゃない人間も増えている。

ちゃんとサイトに書いたのに…ちゃんと調べてから予約して欲しいよ、本当。

 

 

おっと電話だ。

 

「はい。ジョウ★サイ、ヨークシン店、ミドリが承ります」

『あっやっと繋がった~。俺一時間もまたされたんだけど』

 

大変申し訳ない。けれど、こればかりはスタッフ私だけしかいないから諦めてほしい。

 

「申し訳ございません…スタッフの手が足らない為ご迷惑お掛けいたします」

『いーよ。んで、ちょっと聞きたいんだけど。ここのサイトにある”ハンター専用携帯。カスタム自由!一日体験キット送ります”ってあるじゃん。これはタダなわけ?』

「仰るとおりです」

『何か制限とか制約とかあるの?ハンター専用って唄うくらいなら念なんでしょ?』

「ご心配最も。基本的にお客様に害のあることはございませんが、一日立つとすぐに消えてしまうというのと、 除念されてしまうと携帯自体消失してしうのに注意が必要かと」

『そっか〜。まぁ試してみるね。ありがと』

「こちらこそ、お問い合わせありがとうございました」

 

電話を切り、充電台に戻してふと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

契約した番号からしかお店の番号掛けられないんだけど……

しかし相手側で番号が残らないようオプションをつけていた場合、どんな手段であろうとそれを見ることはお店側では不可能に近い。

今も新しい携帯を制作しているオーナーを、こんな事で煩わせたくはない。

 

でも一応メモには控えておこう。

 

 

 

さて、気分を切り替えてご予約のお客様を迎えに行こう。

 

 

 

 

 

 






閲覧ありがとうございました。


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第二話 機種って何があるの?



今私はiPh●neを使っているのですが、
iPh●ne8発表と共にiPh●neXも発表がありましたね。

iPh●neXの予約は10月27日。16:01から予約開始です。

昔のように店頭に並ぶ必要はなく、Webで予約できるのですから便利な世の中になったなぁとは思いますが、その分回線が混み合うのが心配ですね。

私はGalaxyn●te8を予約しましたので発売後すぐに手に入りそうで嬉しいです。

皆様も見た目や中身、自分がどんな機能を使うのかを考えて機種を選ぶと、機械が苦手、という方も覚えようという気になるのではないでしょうか。うちの母はこういうタイプです。



 

 

 

用語紹介。(作者の主観)

 

ガラパゴス携帯(ガラケー)

パカパカ式やスライド式など様々な形状の携帯。

キーボードはすべてボタン。

アンテナを取り付けたり、もともとアンテナがついていたりと本当に様々な種類があり、見るだけで楽しい。

 

スマートフォン(スマホ)

一つ一つに特徴はあるが、基本的には四角い板のような形状の携帯。

キーボードから設定まで、殆どのことを画面をタッチして操作をします。

ホームボタン、と呼ばれるどの作業をしていてもすぐに待ち受けに戻れるボタンがついている機種が初心者の方にはオススメ。

現在出ているのはAndroidとiPhoneと呼ばれ区別されますが、そこは更なる説明が必要となりますので割愛いたします。

 

タブレット

簡単に言えば板型コンピューターです。

スマホを大きくした、とも取れてしまいますがタブレットで出来ることはスマホより幅広く、仕事や子育てに役立てることも可能です。

私はiP●dを利用しております。下手なノートパソコンよりも性能がよく、Word、Excel(Word、Excelは書類を作ったり計算したりするものです)が手軽に使えます。

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

現在ジョウ★サイでは

"ジョウ★サイ初心者割!"というのを行っております。

 

 

今までボタンを押すタイプのガラパゴス携帯、及び、ほかのショップで売られていた携帯をお使いのお客様がジョウ★サイオリジナル機種に変更する際の割引となります。

 

この割引は一月だけの期間限定で、発表後たくさんのお客様からお問い合わせがあり、今月だけで契約件数は200件を超えております。

お客様の笑顔だけであと一月乗り切ります。死にそうです。

 

 

因みに私はガラパゴス携帯型とタブレットの併用をしております。

ガラパゴス携帯ですと、小型で持ち運び安く、うちで契約していただくとスマホ用のプランより安いんですよね。やっぱり安くて使いやすくてずっと手放せませんよねっ!って誰に語ってんだ。疲れてる休みたいよぅ……

 

い、いけません!弱音を吐いちゃダメ!オーナーの為に頑張るって決めたでしょう?頑張れ私!!

 

 

 

 

 

二日連続クレーマー(人外)の相手をさせられている件について。

 

なんで誰も彼も一言目が「俺の為に力を使え」なの?馬鹿なの?人を勧誘する時は必ず「俺の為に力を使え」から始めましょうって優しい先生に教えて貰っちゃったりしたの?馬鹿なの?

 

携帯の評判と一緒に、勧誘したら吹き飛ばされるっていう噂も一緒に流して欲しい。

 

…さて。次のお客様はどうかいい人でありますようにっ!!

 

 

 

 

とんだ先が廃墟でした。何故?

 

 

 






Xpe●iaの新機種について、前の機種と一緒ジャン!と思った方。
私も思いました。一応性能的には変わっていると比較は出ているのですが、見た目が完全に同じな為、なんだかなぁという気持ちです。

XZsは確かに男性向けの色味しかなかったので、ピンクを出したのはいいとは思うのですが…うーん。家電Sony信者としては携帯にもう少し力を入れてほしいな、なんて。
これからも新機種楽しみにしています。

Gara●yNote8すごく使い勝手いいです。
Sペンという内蔵のペンが付いているのですが、書き心地がよすぎて指に戻れません。は言い過ぎましたが、本当にいいです。
ただ、歴代Noteを見るにペン先は消耗品となりますので、使ううちに削れていき定期的に変えないと画面に傷が付く可能性があります、って店員さんに教えてもらいました。
まだ21歳という若さのお姉さんはどんな機種も詳しくて本当に驚きです。

「天職ですねぇ〜」なんて笑ってらっしゃいましたが、本当に天職だと思いました。



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第3話 音楽をよく聞くんですが、どんな機種がおススメ?



お気づきかもしれませんがタイトルに意味などありません。
携帯を選ぶ時、私がよく言ってる事を書いてます。携帯って本当使い方によって機種を選ばないと、大変な事になるんですよね。

体験談なのですが、安いし初心者の方にはオススメですよと言われて買った機種の本体容量が少ないことに本体容量がいっぱいです、との表示が出てから気づき、ショップで解決方法を聞いたところ、『写真はSDに写す事で移動できますがアプリのデータは無理です』と言われてしまいました。 そもそも、『16G中7G程はソフトウェアの容量で使われています』と言われました。


これを聞いた当時の私は意味がわからん、と思いながらiPodを購入しました。
(Gというのはギガと読むそうです。容量のことですね。
あと、本体のギガと毎月のギガというのは違うそうです。奥深い)



 

 

 

「それではお客様にぴったりの機種をいくつか提案させていただきたいので、いくつかご質問させていただけますか?」

「断る。俺の質問に答える以外口を開くな」

 

 

お客様?それでは契約出来ないですよ〜。

 

とは流石に銃を突きつけられた状態では言えませんでした。

か弱い私をお許しください。給料は下げないでくださいオーナー。

 

今もこの様子を見ているかもしれないと思うと一瞬でも気をぬくわけにはいかない。

とりあえず無言で資料の用意でもしよう。

 

「勝手に動くな」

「…しかし」

「その板からは微弱だが念の気配がする怪しい動きをするなら今すぐ殺す」

 

板ってお客様……。

うん。なんとなくだけどこのお客様のことがつかめてきたかもしれない。

 

ジッと私の出した板…もといタブレットを興味津々に、そして懐疑的に見ているお客様。

彼は携帯のみならず電化製品に関りが少なく、自分を機械音痴だと言い聞かせ拒否反応を示している。

 

これは私の持論であるが、素手で機械に触れると壊してしまう人以外は真の意味での機械音痴では無い。

 

覚えられない、という人がいますが、例えばの話、車の運転はどう覚えるだろう?教習所に通い、運転していればそれなりに上達するのではないでしょうか?

それと同じで携帯には定められた手順があり、毎日弄るようなに意識すれば覚え無い方が難しいと言わせていただきたい……なんて言ったら怒られるでしょうか?私もオーナーのレッスンで覚えた口なのでなんとも言えないんですよね。受け売りです。

 

『ほとんど電話しかしないけど、あんたんとこの携帯は便利やからなぁ〜』なんて、新しい機能が増えるたびに追加してくれる初期ユーザーのお婆ちゃまは全力でサポートしてあげたい大切なお客様です。

 

逆に『俺が何年使ってると思ってんだよ!調べりゃわかるだろ』とかいう古参ぶってて対して使っていない人とか、怒って椅子を蹴ったり、お酒を飲みながら店舗に来るようなお客様はもうお客様じゃない。うん。というか使って欲しいなんて一言も頼んでないから……あれ。ごめんなさい話聞いてませんでした。

 

「おい。よくわからないぞ。これらは何が違うんだ?全部同じにしか思えん」

「俺、恥ずかしくなってきた……ねぇ君。とりあえず丈夫で水濡れオーケーでどこにいても電波の届く機種ってどれ?」

「…はい。ネテロ会長レベルの念能力使い以外の攻撃に耐えられる機種としては、このTタイプのみです。強化系以外に耐えれる機種はGタイプとXタイプです。他のタイプは念能力者を想定して作られていませんので、比べてしまうとどうしても耐久度は弱くなってしまいます。電波の点で言えば、エリアの範囲をオプションで変更できますのでどの機種でも問題ございません」

「だってさ」

「今のは呪文か。俺に魔術でもかけるつもりか」

「もう団長は黙ってれば?俺が決める。ってか俺が欲しいんだけど」

「あっ。大変申し訳ないのですが…契約数は予約順で定められていて、登録がかけられないようになっているんです。キャンセルでもあれば可能ですが」

「じゃあ団長のキャンセルにしよ」

「シャル。それじゃぁ本末転倒だろう。あんたはいっぱい持ってんだから我慢しな」

 

いつの間にか周りからかかるプレッシャーが減っている。向けられていた針のような殺気は緩やかになっていて、とっても安心。でも許可なく喋るのはやめておこう。こういうタイプはどこが琴線なのか分からない。

 

今真剣にパンフレットを見比べているお客様…団長様?

ですが、携帯の良さというのはパンフレットだけでは分かりません。

勝手に動けるのであれば今この瞬間にサンプル品を出したいのですが、許可が必要なので困ってしまいます。

 

じっと見つめていると言い争っていたうち、金髪の方がようやく気がついてくれました。

 

「ん?なに?」

 

私はあまりでしゃばらないよう、下手に伺います。

 

「よろしければ実物のサンプルがございますので、取り出してもよろしいでしょうか?」

「うん。全部出して見せて」

「かしこまりました」

 

制服のポケットから一つづつ取り出し、並べる。並べる時のポイントとして、おススメしたい商品をお客様の利き手側に並べると効果的だそうです。一番最初に手に取ったスマートフォンというのは印象に残りやすいんだそうです。

 

オーナーからは値段の高い順番に並べるように言われていますが、正直この方にはあまり良い機種よりも手頃な値段の簡単操作スマートフォンの方がいいと思います。

 

その中で一番重視したい機能が特徴の機種を推したいところですが……プライドの高そうな方なので多分他の人から薦められると気持ちよく買ってもらえない、と。

 

 

なんて面…難しいお客様なのでしょう。

 

 

 




この小説を書く前に、モデルの21歳のお姉さんに、『小説のモデルにしてもいいですか?名前とかショップ名とか個人情報とかかいてほしくないところは省くので。そもそも現実世界じゃないんです』と説明したところ。

『じゃぁショップにくる不思議なお客様や素敵なお客様のお話をかいてくださいね。後ショップの苦労とか、機種の案内と……現実世界じゃない?』と快く許可してくださいました。

なので私のマイショップの名前を公開することができません。お姉さんに会えたら皆さんもショップが好きになれると思います。

ではまた。


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第四話この機種は防水ですか?


携帯壊れたので書いたお話でした(笑)
購入して間もないのにフリーズが多く不思議に思っていたら、ある日突然画面が真っ暗になりました……

皆様も大事なデータはくれぐれも自分や家族様を頼りバックアップを取っておきましょう!!!


(え?LINEのデータ?消えたかと思いきや、LINEアプリの中にアドレスとパスワードを設定していたらしく友人やグループは全員戻りました!メモってて良かったと心から思いました〜!)


 

 

「防水って言ったわよね!?放置してたら壊れたんですけどっ!!」

「…どんな携帯でも水に濡らして放置したら壊れますよ」

「はぁ!?防水って、水を防御するのよね!?」

 

 

他のお客様の対応中。お店に乗り込んできたのはジョウ★サイのお得意様であるジン様のご紹介で先月ご契約されたピヨン様。ぴょンぴょンうさ耳をはねさせながら怒る仕草はとても可愛らしいが、身のうちからあふれるオーラのせいで店内の空気が非常に悪い。

 

これは最終手段を使うか。

 

 

「ピヨン様。お話は分かりましたが、今は私がふさがっておりましてVIPルームにてお待ちいただけますか?」

「はぁ!?私は今すぐ使いたいんだし!」

「お気持ち、よく分かります。しかし、VIPルームにはこの世界で誰も知らない情報があふれているそうですよ」

「……誰も知らない?」

「えぇ!オーナーが全力で作った”ぶぅいあーる”という技術が使われているようで、嵌りすぎ危険、と私の立ち入りも許さない徹底っぷりです」

「一時間だけ待ってあげる!!」

 

ではご案内。

 

 

VIPルームの扉を開くと一目散に駆け込んで行くピヨン様。

 

ふふっ、とお客様……エレナ様が思わずといったように微笑む。

私も苦笑を返して、失礼しました。と頭を下げる。

 

「ねぇ、教えて」

「はい、何でしょう」

「私がこれから買う機種に永遠の防水をつけたらいくらかかるの?」

「エレナ様の機種は遠くにいる相手にもクリアな音で通話ができるように、と作られた機種です。

無理矢理その機能を付け足せば…オーナーは無理とは言わないでしょうが、月にかかる金額は国家予算レベルになってしまいます」

「じゃぁあの子には?」

「あの方はお試しで気に入った機種にされたいとのことでしたから」

 

言外に安い機種なのだ、と告げるとエレン様は『勿体無いわね』とまたも素敵な笑顔で微笑まれた。

 

 

安い機種でいい。

何でもいい。

見た目がいいからこれにする。

電話しかしない。

 

実はそれはかなり勿体無いということに、気づいてない人が多い。

 

そりゃ、世の中には破滅的な機械音痴さんがいらっしゃる。

そういう方はもう絶対に壊れない子供ケータイを持つしかない。(今だけ基本料500ゼニー期間中!!!)

 

 

 

けれどケータイというのは誰かと電話するためだけの機械ではない。

それが欲しいならばジョウ★サイケータイにする意味がない。

 

 

例えばうちのスマートフォンの中に、Uシリーズという機種がある。

この機種最大の特徴は、自分の趣味をメインに中身を決めれるという点。

 

例えば読書が趣味ならば、世界中の図書館のフリーパスのページが元々内蔵されていたり、

知らない土地でもマップを開けば近くの本屋にチェックがつく。

 

例えば動物を飼っているならば、ジョウ★サイ動物語の翻訳アプリ。

勿論全ての動物というわけではなく、色々制約はある。でもペットと会話ができるのは飼い主の夢だろう。

 

このように、持ち主の夢を叶えるのが携帯電話。すなわちジョウ★サイケータイなのだ!!

 

最近の変わったリクエストだと『空を飛びたい』ですね。

オーナー大爆笑で作っていました。

 

エレナ様の機種の改造が終わったとの連絡と共に私の手元に現れる携帯。

きっかり1時間で仕上げられたAAA(トリプルエー)特別モデル。

 

サイズは片手で操作できるサイズ。色は透き通るピンクゴールド。

中身の性能もさることながら、外装は全て砕いた宝石を念で溶接し研磨した見た目も珍しくあのオーナーがこだわった一品。

 

エレナ様はこの機種の大ファンで、もう4年以上この機種を使っていらっしゃいます。

事あるごとにオーナーにAAAの新機種の催促をしていますが、オーナーは『まだ無理』の一点張り。

何が無理なのかは、本人にしかわからない。

 

 

「ありがとう。また来る。新機種早く、と伝えて」

「はい。お時間ありがとうございました!またのご来店お待ちしております」

「ん。今度ご飯も行こ」

 

 

ぺこりと頭を下げると撫でられる。

今は接客モードだと言うのに嬉しくて、営業スマイルが崩れてしまう。

 

 

 

 

_________________________

 

 

 

 

さて。

実はピヨン様が来店されてから5時間経過しています。

もう閉店の時刻ですのでお帰りいただかなくてはなりません。

 

 

私はカウンターの裏にあるVIPルームの、ぶぅいあーるの電源を落としました。

 

10秒後、泣きながらピヨン様が部屋から出てきました。なんてこった想定外。

 

 

「ピ、ピヨン様?いかがされましたか?」

「きゅ、急に電源落ちちゃったのっ!ピヨン何もしてないのに…っ。い、一時間のつもりが、いっぱいやったから?だから壊れちゃったの?」

 

 

耳をたれ下げ子どものように泣くピヨン様。

 

あっ、あっ、どうしましょう。

 

 

(オーナーオーナー!緊急事態ですっ!)

(……ん?珍しいね。お前が緊急回線を使うなんて。何?宇宙人でも来た?)

(故障でクレームのお客様をVIPに案内して、いつも通り遊んでもらって電源切ったら……大泣きです!)

(うん。俺には無理)

 

 

切られました。

許すまじ。

 

 

「ご、ご安心下さいピヨン様!見たところ、長時間利用による一時的なフリーズだと思われます!暫くさめるのを待って強制再起動をすれば大丈夫ですよ!!」

「……本当?本当にピヨン壊してないの?」

 

潤んだ瞳に罪悪感がズキズキと痛みます。

 

 

ジョウ★サイオリジナルキャラクター、

ジョウ君のクリアファイルやヌイグルミを渡すと、なんとかかんとか泣き止んでくれました。

 

「今日は代用機お貸出し致しますので、明日には修理してご連絡いたしますね」

「うん!ここって本当に凄いお店だね!……あっでもでも、データはどうなるの?消えたら困るんだけど」

 

出た。 自分で壊しておいてデータが戻るのが当たり前と思っていらっしゃるタイプ。

 

もちろん顔には出さず、私は悲しそうに目を伏せる。

 

「残念ながら……こちらの機種の操作ができないとバックアップは取れないんです」

「そんなぁ!!…ジョ、ジョウ★サイでもどうにもならないの!?」

「オーナーの方針でして『そんなに大事なら定期的にバックアップしとけ』だそうです」

 

壊したらデータは消える。

便利な物にはリスクが付きまとうのはどんなものでも変わりありません。 念は決して万能ではない。

 

「そ、そうだけどさぁぁぁ!やり方分かんないんだもんっ!」

「説明書にも、ジョウ★サイサイトにも、契約の際にもご案内は」

「口で言われただけじゃ……うぅん。 でも、私が悪いんだもんね…分かったよぅ」

「……ふふっ。ピヨン様は素敵な方ですね。修理の際にバックアップ方法もご案内させていただきます。是非これからも、よろしくお願い致します!」

「うん」

 

私はピヨン様の目を見て、意識してゆっくり微笑む。

 

「もし分からないことがあればすぐにご連絡下さい。対応できる私がいれば、すぐに派遣させていただきます」

「……分かったよぅ。これからもよろしくね?」

「すぐに代用機お持ちします……あっ!それと、近々新機種発売に伴い、事前予約で”ぶぅいあーる”が10台限定無料でプレゼントさせていただきます、と、これはピヨン様にだけ特別にお伝えしているので。内緒にしてくださいね?」

「今すぐ予約する!!!」

 

まぁあと数時間後にはジョウ★サイ携帯をお使いのお客様全員に通知が行くわけですが。ひいき、だなんて店員としては落第点かもしれませんが、落胆して帰っていただくよりは喜んで帰っていただくのが携帯ショップ店員の役割。

 

スキップしながら店外へ繋がる扉を開く背中に一礼。

 

 

 

 

「ありがとうございました!」

 

 

 

 

 





評価と感想とても嬉しく思います。
自分の実績とは思っておりませんが、これからものんびりと書いていこうと思います。


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第5話「故障でございますね。ただ今待ち時間が2時間となっております」

お久しぶりの投稿です。

中々携帯ショップ行く機会がなくて…ネタが(笑)
タイトルは、久々に会ったお姉さんに言われた衝撃の一言。
勿論その後「冗談ですよ〜。30分待ちになりますので、お水を飲んでお待ちくださいね!」と輝く笑顔で言われました。弄ばれている間が好き。携帯ショップって、行くの嫌なイメージがあると思いますが最近はそんな事ないようですよ。ちゃんとフロア?スタッフさんが一人必ずいらして、来店してすぐ要件を伺いにきてくれるようです。(ってお姉さんが')


 

 

 

 

『悪っ。壊れた』

 

 

 

 

電話口でそんなふざけたことを抜かす馬鹿を俺は一人しか知らない。いや、名前と顔しかしらんけれども。

 

 

俺の名前をこの世…大人気ファンタジーバトル漫画(作者が生きてる間に完結の見込無し)作品…で知っていいのは一人だけ。姿形を見ていいのも一人だけ。そんな条件で強制転移させられた俺は、転移先でモブキャラに出会っちゃってお先真っ暗。かわいそうな俺。まさかの異世界で幼女かよ。たいして可愛くないし。マチ呼んで来い。

 

そう思ったものの教育すればそれなりに使える人間になったのでよしとしよう。

あいつに店のことは放り投げて、理想の携帯を作る日々は正直最高。

 

新しいものだけを追い求める。そんな俺にこの仕打ち。

壊れないようにがっちがちにしたのに、このアホくそ甲斐性なしクズは月1ペースで壊しやがる。

修理とか俺が一番嫌いな言葉なんですけど。もう急所に盾として携帯いれんのやめて死んで。いや冗談抜き。

 

『行くの無理だからミドリ派遣してくれ』

「今あいつ空いてないですよお客様くたばれ」

『いや一人くらい空いてるだろ?それが取柄じゃん』

「ミドリのことミニドラ扱いやめろ」

『は?』

「あんでもふぁい」

 

ドラ焼きのないこの世界に絶望して早急に和菓子を広めたかいがある美味さ。

流石グルメハンター。こいつには次サービスしてやろう。だがしかしジンお前はダメだ。

 

「今どこにいるんですかね放浪野郎」

『パドキア』

「本当くたばれ。データは」

『何とかしてくれ』

「さようなら」

 

ジンの番号と名前で検索をかけると、確かに現在地はパドキアと出ている。そんな危険地帯にミドリを行かせる訳がないだろボケカス。ミドリが死んだら俺が困るだろうが。

 

しかも危険信号が出てる。

 

「おい。バッテリーに穴空いてんだろ。捨てろ」

『捨てたらデータ!おわっ』

「じゃあ今すぐ凍らせるかなんかしろ。燃えるぞ」

『は?なんで?』

「バッテリーに穴を開けたら燃えるという常識を知らない素人はマジでクソ。あっ口から全部出た。まぁいいか」

『おい!なんか知らんが馬鹿にすんな!』

 

自分ができないことは他の人にやらせよう。その姿勢は買うし、評価に値するけど、できないと決めつけるのはやってからにしてくださいと思うのは俺だけでしょうか。いいえ誰でも。

 

ジンだってバックアップができない訳じゃない。

ただ毎日やるとは面倒って放置するからこんなことになるんだろうがボケ。携帯ってのは精密機械なんだぞ。故障しない携帯なんかない。いやまぁこの世界なら作れなくはないかもしれないけど……それだって"念"っていうチートのおかげ。俺以上のチートで壊される可能性は十分にある。

 

「……しゃーね。会長の予約ブチらせるわ。クレーム?知りませんねぇって感じで」

『マジ?それ俺が泥かぶるやつじゃねーの』

「文句言うな。金は全部お前持ちだからな?俺とミドリは一銭も出さねぇからよろしくな」

『おう。じゃ』

「ん。二日我慢しろ」

 

新しい携帯より修理の方が難しい。

故障の原因がどこにあるか解体して調べないといけないし、直した後の動作確認もしないといけないし、あいつの機種解体するの大変なんだよな。今は春の新機種作るのに忙しいのに余計な仕事増やされた感が凄い。でも俺以外直せないし。てか俺の携帯に触らせたくないし。教えないし。直すなって感じ。念能力は除く。

 

お店で客と仲よさそうに接客を楽しんでいるミドリへ内線を飛ばす。

 

(お〜いミドエモン。明日の会長の仕事キャンセルな〜)

(えぇっ!?そんなぁ大口の仕事が……)

(代わりにパドキア行ってジンの携帯回収してこい。無事に帰ってきたらハンバーガー爆誕記念とお前の生還を祝おうな。ハンバーガーで)

(え?ハンバーガー?私の命ハンバーガーと同価値?しかも買ってくるの私ですよね!?)

(パドキアでは買うなよ。あそこの料理は料理じゃねぇから)

(てゆーか接客中にやめてもらえます?集中できないから!)

 

俺のミドリが冷たい。

俺上司なのに、泣いちゃう。泣かないけど。

 

 

……あっ。次の新機種農業系にしよう。絶対面白い。

 

 





お姉さんたちが耳につけている内線では、意外とアホみたいな話が飛んでくることもあるようです。

例)
店長『休憩行きたい人ー!』
A『はーい』
B『はーい』
C『はーい』
A『じゃあ三人で行くんで、店長お店お願いしますね〜』
店長『あかん』



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