μ’sと仮面ライダーの物語 (シーチ)
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0章 音ノ木坂学院、入学編
0話 新しい人生の始まり!


はじめまして!シーチと言います!
初めて書くので、あまり上手くいかないかも知れませんが、よろしくお願いします!


俺が目を覚ますと、真っ白な所にいた…

 

というかここはどこ?私はだれ?

 

よくアニメなどで聞くセリフだけど、ふざけてる訳じゃないよ?ほんとだよ?ほんとに俺、今まで何してたんだ?

俺の名前なんだっけ? 俺、記憶喪失になったのか?

 

そんな事を考えてると…

 

「目が覚めた?」

 

振り返るとそこには、長い髪の毛の白いワンピースを着た、はっきり言ってかなり美人な女の人がいた。

 

「あら、美人なんて言われると照れるわよ〜」

 

心を読まれた!?

 

「女神ですもの」

 

「女神!?ってどういうことですか?」

 

「いきなりこんな事言われても混乱すると思うけど、あなたは死んでしまったの…」

 

「あっ、俺、死んだんですね?」

 

「あら、意外と冷静なんですね?」

 

「まぁ、記憶がなかったり、こんな真っ白な所にいたりしてるのであんまり驚きませんよ」

 

「でも、悲しんだりしないの?」

 

「まぁ、死んでしまってからどうこう言ってもしかたないですしね…それより、俺は今から天国にいくんですか?それとも地獄…?」

 

「ごめんなさいね、どちらでもないの…」

 

「じゃあ、どうなるんですか?」

 

「あなたにはこれから、転生してもらいます!!」

 

「あぁ転生、転生ね、転生………………………………………って、転生!?」

 

「えぇ、転生です。」

 

「じゃあ、今までとは違う世界で生きてくってことですか?」

 

「簡単に言えばそうね。そこで、1つ転生後の世界でやってもらいたことがあるの。」

 

「やってもらいたいこと?」

 

「えぇ、あなたには仮面ライダーとなって怪物達を倒してもらいたいの」

 

「えぇ!? 仮面ライダーになれるんですか?」

 

俺は、前の世界で仮面ライダーが好きだったのだ…

ってあれ?なんでこの記憶はあるんだ?

 

「あぁ、言い忘れてましたけど、あなたの仮面ライダーに関する記憶は少しだけ残してるの。変身するのに必要なものだけを。証拠に変身前の人の事は覚えてないでしょ?」

 

「あぁ、ほんとだ。 で、俺はどんな世界に転生するんですか?」

 

「それなら、ラブライブというアニメの世界よ!あなたは見てなかったみたいだけど。」

 

「それも、なんとなく記憶にある。有名で気になってたけど、結局見なかったんですよね…」

 

「そして、あなたにはそのアニメの舞台となる音ノ木坂学院の共学化試験生として、入学してもらいたいの。」

 

共学化試験生って事は、元は女子校か…男子1人はちょっときついけど、転生させてもらうんだし、それぐらいはしないとな。

 

「いいですけど、試験生って?」

 

「音ノ木坂学院は、年々生徒数が減ってきて、共学化が考えられているの。その共学化の試験生として入学してもらいたいの。」

 

「分かりました。せっかく生き返らせてもらうので、精一杯、仮面ライダーとして戦いながら、音ノ木坂学院に通います!」

 

「そう言ってくれると助かるわ!では、さっそくラブライブの世界にレッツゴーです!」

 

「えっ?ちょっ、いきなり!?」

 

女神様がそういうと、俺が立っていたところに穴が空いた… もう1度言う、穴が空いた… そして、俺は落ちた…

 

 

 

「ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

こうして、俺の意識は途絶えた…

 

 




どうだったでしょうか?
自分で書いてて思ったのですが、全然文才が無いですね(笑)
まだまだですが、感想や指摘などしてもらえると嬉しいです!
不定期更新になると思いますが、見ていただけると嬉しいです!


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1話 新しい世界!

はい!どうもシーチです!
とうとう、1話です!
まだまだ、駄目文ですがよろしくお願いします!


目が覚めると俺はベットで寝ていた…

 

「知らない天井だ…」

 

あっ、俺、転生したんだ… じゃあ、ここはもう転生後の世界ってことか?

 

「えぇ、そうよ」

 

「あっ、女神様」

 

「私も、あなたを転生させた責任があるので女神の仕事がない時はここであなたのサポートをしますね!」

 

「まぁ、分からないこともあると思うのでそれはありがたいですけど、俺ってどんな仮面ライダーになるんですか?」

 

「それはね、仮面ライダーインフィニティよ!」

 

「えぇ!? インフィニティィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!?……ってなにそれ?」

 

俺はそんな仮面ライダーは聞いたことないと思うけど…

 

「まぁ、知らなくて当然よね…なのに、なんでそんなオーバーリアクションを取ったの…?」

 

「いやぁ…なんか、お決まりっぽい事なので一応…」

 

「まあいいわ。それで、仮面ライダーインフィニティに関してなんだけど…それは、元々はこの世に存在してないライダーよ!そして更に、全ての仮面ライダーに変身出来る能力を持つ仮面ライダーなのよ!」

 

おぉ、すげぇ…

 

「全ての!?じゃあ、ディケイドみたいなやつか?」

 

「全てのライダーと言うと、少し違うわね…変身出来る仮面ライダーは、ディケイドからエグゼイドまでの仮面ライダーよ!でも、ディケイドのカメンライドでクウガからキバにも変身出来るから、平成ライダーは全て変身できるみたいなものよ。」

 

「なるほど…」

 

「じゃあ、これを」

 

 

そう言って女神様は、俺に見たことない仮面ライダーのベルトを1つと、ディケイドベルトのコンプリートフォームの時に横につけてるバックルパーツの色違いのものを1つ、カードケースとカードを数十枚、そして手につける機械を1つ(時計機能付き)を渡してきた。

 

「このベルトは、仮面ライダーインフィニティに変身するためのもの。その名も、インフィニティドライバー。

 

そして、ディケイドのバックルとカードケースは普段から腰に付けておいてね!カードを使うと変身前でも変身後でも色々な特殊能力が使えるから。

 

最後にその腕につけるものは、インフィニティドライバー以外の仮面ライダーのベルトを呼び出せるもの。それと怪物が出ると、音がなり知らせてくれる機能付きよ。授業中などはマナーモードにしとくとバイブモードになるわよ。それも、基本的にずっと右腕に付けておいてね。」

 

「へぇ…いろんなアイテムがあるんだなぁ…それに、色々便利そうなカードも多いな…」

 

俺はカードケースの中の特殊能力カードを見ていた。

その中には、ガードやパワーアップやバイク召喚など他にも色々なカードがあった。

 

「まぁ、後は生活で使うものはこの家にあるものは使っていいわよ、困らないように色々な道具はあるから。

あと、スマホも。それに、お金は一生遊んで暮らせるぐらいは用意してあるから!」

 

「まじ!?でも、転生させてもらってるから将来はちゃんと働いますけどね。」

 

「よし!あとは、あなたの名前だけね。この世界でのあなたの名前これよ!」

 

そう言って女神様に渡された名前に書かれてたのは

 

 

仮野 優

 

 

「かりの ゆう?」

 

「そう、それでいいかしら?」

 

俺は何故か、その名前がとてもしっくり来ると思った。

 

「あぁ、この名前でお願いします!」

 

「それと、最後にこの世界ではあなたの保護者としてもいるから、あなたのお母さん?でいいかしら?」

 

「いや、どう考えても高校一年生産んだ人には若すぎでしょ!? せめて姉ちゃんとかのほうがいいと思いますよ?」

 

「そう、なら私は今日からあなたの姉ね。それと、敬語は辞めてね?」

 

「おう!じゃあ、よろしくな!姉ちゃん!」

 

こうして、女神様が俺の姉的な存在になるという、普通じゃありえない事が起きた… まぁ、転生の時点でありえないか…

 

「じゃあ、俺はちょっと外にでてくるよ」

 

「いってらっしゃーい! 初めてのとこだし、迷子にならないようにね〜」

 

「ならないよ! もうすぐ、高1だぞ!」

 

「そうね。あっ、ごめん。それと、初日からで悪いんだけど、今日これから女神の仕事があるから、晩御飯は食べてくるか、買ってきてくれる?」

 

「分かった、いってきます!」

 

 

 

そうして、外に出た俺は、晩御飯の食べれる所を探してる…

 

少し歩き、俺が見つけた店は、ワクドナルド。 よくワックやワクドとも呼ばれるハンバーガー屋さんだ。ちなみに俺はワック派だ。

この世界にもあるんだな…よし、ここで食べて帰るか。

 

そして、店に入り、バーガーを頼んで食べた…(ちなみにテリヤキワックバーガー)

 

 

「ふぅ〜やっぱり、テリヤキは美味かったな…」

 

そして、食べ終わって店を出た瞬間、

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

と、悲鳴が聞こえた…

 

まさか、女神様が言ってた怪人がでたのか!?

 




今回はここまでです!
本編入ったのに、μ’sも出てないし、変身もしていない…

それと、仮面ライダーインフィニティの名前がウィザードの最終フォームと被ってる、ネーミングセンスがないなどと思われるかも知れません。すみません…
次回はとうとう変身します! ラブライブ本編に入るにはまだもう少しかかりそうです…
まだまだ、面白くないと思いますが、感想や指摘などしてもらえると嬉しいです!


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2話 初めての変身と財団X

はい、2話です!
今回、主人公が初めて変身します!
では、2話スタートです!


俺が悲鳴の聞こえた方に行くと、案の定怪人が人を襲っていた…

 

あれは、マスカレイド・ドーパント!?早く変身しないと! あっ、でも女神様が仮面ライダーである事は出来るだけバラさないようにって言われてるから、ここで隠れて初変身といきますか。

 

俺は箱型のベルト、インフィニティドライバーを腰に当てると、帯が自動的に伸びて腰に巻かれた。右腰にはカードホルダーが、左の腰にはそのカードを使うためのアタックバックルが着いている。

 

そして俺は、女神様に渡された変身に必要なノーマルデータボトルを取り出した。四角い形をしたデータボトルに付いているレバーを動かすと、上から差し込むための薄いコネクター、ノーマルデータコネクターが出てきた。

 

そして、コネクターが付いている方からベルトに横向きで、データボトルを差し込んだ。すると、待機音がなり始める。

 

「変身!!」

 

掛け声を言って、俺はデータボトルが入っているデータリーディングボックスを奥に押し込んだ。データリーディングボックスを一番奥まで押し込むと、上からスライドして長方形のものが落ちてきて、蓋をした。

 

そして、俺の体が変化していく。顔は表は水色で、裏は銀色。複眼は黒く、無限を表す『∞』に似た形をし、頭部の色が黒から水色に変化している部分から目の所にかけて、中央に黒い線が入っている。更に右目と左目の中点で繋がっている、金色の尖った細長い三角形が顔から少し浮き出て伸びている。

 

体のベースも青く、肘と膝にはそれぞれ銀色に輝くカバーがしてある。肩には五角形の黒いアーマーが装着されており、それぞれの頂点から金色の線が伸びでおり、中点で交わっている。

 

胸部の中央には、金色の線で『∞』が象られており、その中は透明に近い銀色で塗られてある。ベルトの下からは黒く塗られており、太ももに2本の銀色の線が一周している。膝より下は水色に塗られている。

 

俺はそんな姿の仮面ライダーインフィニティに変身した。

 

変身した俺は、マスカレイド・ドーパントの所へ行き、女の子を襲おうとしてるドーパントを吹き飛ばした。

 

「貴様、まさか仮面ライダーか!?」

「正解! と言っても、初変身だ!」

あっ、せっかくだから決め台詞言いたいな…

うーん… よし!

 

「俺は仮面ライダーインフィニティ!俺の強さは次元を超えるぜ!!」

 

俺はふと頭に浮かんできた決めゼリフを言って、決めポーズをとった。

 

自分で言っておきながら、恥ずかしいな…

 

「またしても、仮面ライダーが我々の邪魔を!!」

 

すると、マスカレイド・ドーパントが攻撃をしかけてきた

 

「はっ!ふっ!てぃやぁー!よし!一気に決めるぞ!」

 

俺は腰についているアタックバックルに、1枚のカードを入れた。

 

『スペシャルアタック!インフィニティストライク!』

 

アタックバックルからそう音が鳴り、

 

「おりゃあああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

俺はマスカレイド・ドーパントへライダーキックを放った。

 

 

「ふぃ〜」

 

「ハラショー…」

「こんなリアルなアクション、ウチ見たことない…」

 

マスカレイド・ドーパントに襲われていた2人の女の人がそう言っていた。

 

そして、全てのマスカレイド・ドーパントを倒した俺は、正体がバレる前に帰ろうとした時、襲われていた人に話しかけられた。

 

「あっ、あの!」

 

1人は金髪でハーフかクォーターであろう女の人、もう1人は紫がかった長い髪で2つにわけてる。

はっきり言って、2人ともかなりの美人だ。

 

「助けていだだき、ありがとうございました!」

 

「ありがとうございました!」

 

その2人は、そう俺にお礼を言ってきた。すると更に、金髪の人が、

 

「あの、あなたの名前って…?」

 

と聞いてきた。

 

恐らく人間の名前を聞いてきてるのだろうが教えるわけにもいかないので、

 

「さっきも言ったけど、俺は仮面ライダーインフィニティだ!じゃあ、俺急ぐから、じゃあな!」

 

 

 

俺は、2人から離れ変身を解除しようとした時…

 

「さっきの戦い見事でしたよ。」

 

と言い、軽く拍手をしてる白服の男が現れた。

 

「お前はさっきの奴らの親玉か?」

 

「えぇ、まぁ、でも今は戦いに来たわけじゃないですよ。我々の組織の名前だけでも紹介しようと、挨拶に参りました。」

 

「そりゃ、ご丁寧にどうも。で、その組織とは?」

 

「我々は財団Xという組織です。」

 

財団X…なんか、聞いた事あるような、ないような…前世で見てた仮面ライダーの、敵の組織だったのか?

 

「そして私は、財団Xの幹部、エアスと申します。これまでは他の仮面ライダーに邪魔され、数々の野望を阻止されてきたので、これからは本格的に動いていこうと思うのでそれを伝えに来ただけですよ。」

 

「なんで、阻止されたくないのにわざわざ伝えに来たんだ?」

 

「特に深い意味はないですよ。ただ、こちらも色々なライダーに倒された怪人を使うので、少し情報をあたえようと思っただけですよ。それでは、私はこれで…」

 

そう言いエアスは去って行った。

 

なんだったんだ…?

 

そう思いながら、俺は家に帰った。

 

 

 

翌日…

 

「ただいま〜」

という声が聞こえたと思うと、女神様…いや、姉ちゃんが帰ってきた。

 

「おかえり。」

 

「どう?こっちの世界で困った事あった?」

 

「それは、ないけど初めて変身したのと、財団Xって言う組織と戦った。」

 

「とうとう来たのね…」

 

「知ってるのか?」

 

「あっ、まだ怪人を倒してとしか言ってなかったわね。実は、本来この世界には、怪人や財団X、仮面ライダーは存在しないの…でも、誰かの手によって仮面ライダーの世界とこのラブライブの世界が融合したこの世界が生まれたの。

 

要は、これまで仮面ライダーが活躍して来た世界と、ラブライブの世界が混ざったって事よ。とは言っても、この世界にもちゃんと過去があるわ。」

 

「って事は、俺以外のライダーもいるのか?」

 

「えぇ。この世界には、元々全ての仮面ライダーがいた事になっているわ。けど、そのライダー達には、それぞれ戦っている敵がいるから、あなたに仮面ライダーインフィニティとして転生してもらったの。」

 

「そういう事か…」

 

「えぇ、そういうことだから、これからもお願いできる?」

 

「あぁ、もちろんだ!」

 

こうして俺は、改めて戦おうと決意したのだった…

 




思った以上に上手くいかない…
というか、ノーマルデータボトルってビルドのフルボトルを意識してるだろ!と思う方がいると思いますがその通りです… なんかボトルって持ち歩きやすそうだし、ビルドがかっこよすぎて…データボトルは変身する時だけに使い、特殊能力は途中出てきたアタックバックルを使います。1話で出てきたディケイドライバーの色違いのものがアタックバックルです。
そして、ついにμ’sのメンバーが少しだけですが、出てきました。初のμ’sメンバーは絵里と希でした!
まだ、ラブライブ本編に入るまでに考えてる内容がもう少しあります。ラブライブ本編が早く見たいという方はもう少し待っててくれると嬉しいです!
感想や指摘などしてもらえると嬉しいです!
3話も読んでいただけると嬉しいです!


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3話 俺の妹!?

はい!3話です!
今回はタイトル通り3人目のオリキャラの優の妹が登場します!
妹になるまでの経緯が少し無理のある内容知れません…
では、3話スタートです!


俺がこの世界に転生してきてから、1週間が経過した。

初めて戦ったあの日以来、財団Xも怪人も現れず平和に過ごしていた。

 

 

そんなある日、俺は姉ちゃんに呼ばれ、姉ちゃんの部屋に行った。そして、部屋に入ると姉ちゃんの隣で寝ている1人の女の子がいた。

 

「姉ちゃん、その子誰?」

 

「転生者よ」

 

「俺以外の転生者?俺が転生してきたのって、1週間前なのに転生者ってそんなすぐ来るのか?」

 

「いいえ、普通はこんなすぐ来ないわ」

 

「じゃあ、どういう事だ?」

 

「あなたにはまだ話してなかったけど、転生者は普通死んだ人の中から抽選で選ばれるの。でも、抽選で選ばれるのはほんの少しの人だけで、10年に1人ぐらいでしか転生する人はいないわ。

他の死んだ人は、天国か地獄で暮らし生まれ変わるまで待ち、生まれ変わる時に全ての記憶を無くして母親のお腹に宿るの。もちろん、性格や顔は全くの別人で」

 

「じゃあ、その10年に1人ぐらいで出てくる当選者が偶然1週間の間に2人も出てきたのか?」

 

「いいえ、その当選したのは今ここで寝てるこの子だけよ」

 

「じゃあ、俺は?」

 

「今回、元のこのラブライブの世界のパラレルワールドとして、本来生まれるはずの無いライダーが存在するこのラブライブの世界が何故か生まれたの。

そして、そのライダー達に倒された怪人が復活し、その怪人を利用し自分達の野望を叶えようとする組織、財団Xが現れた。この緊急事態を阻止するため、怪人を倒してくれる仮面ライダーになる転生者を探したの。それが優くん、あなたなのよ。」

 

「なるほど、でもなんで俺?」

 

「この転生者の条件が2つあって、まず日本人であることと、怪人と戦う勇気がある事の2つよ。」

 

「1つ目は当てはまるとして、2つ目は?」

 

「あなたは記憶がないけど、あなたが死んだ理由が車に引かれそうな子供を助けたからなの。」

 

「なるほど、理由は分かった。で、本題であろうその子を連れてきた理由はなんなんだ?」

 

「そう、この子は死んでしまってから転生者に選ばれて、私と出会った所までは良かったんだけど…私に死んだって言われた瞬間、ショックのあまり気絶してしまったの…」

 

「まぁ、いきなり死んだなんて言われたらな… なんでいきなり言ったんだよ…」

 

「だって優くんの時はすぐに理解してくれたから…」

 

「まぁ、確かにそうだけど… この子まだ、中学生ぐらいだしそのぐらい考えとけよ…まぁ、とりあえず、その子どうするの?」

 

「それなんだけど、優くんの妹として面倒見てくれない?」

 

「あぁ、なるほど、妹として俺が面倒見ると………って、はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「いきなりで困るのは分かるんだけど、これ以外いい案が思いつかなくて…だから、私の女神の力で記憶をちょっと書き換えて優くんの妹としてこれまで過ごしてきた記憶に変えたら問題ないし、私の事も姉という記憶にしたら良いかなって。」

 

今さらっととんでもない事言ったぞ…

 

「まぁ、姉ちゃんも女神様の仕事あるし、そう考えると俺ぐらいか…分かったよ。 女神様には転生させてもらったという返しても返しきれない恩もあるし、俺が責任もってこの子を育てるよ。」

 

「ありがとう! 助かるわ!因みにこの子は春から中学2年生になるからね!それともう、私の隣の部屋をこの子の部屋にしておいたから。」

 

「用意いいな…」

 

「じゃあ、後はこの子の名前決めたらこの子の記憶書き換えるから、優くん名前つけてくれない?」

 

「俺が!?うーん…じゃあ、俺の優に奈をつけて、優奈でどうだ?」

 

「うん!いい名前ね、じゃあ早速「ちょっと待って」ん?どうしたの?」

 

「いや、そう言えば姉ちゃんの名前ってなんて言うの」

 

「あぁ、そう言えば無いわね… じゃあ、姉ってことだから苗字は仮野として、名前は優くんつけてくれない?」

 

「え?姉ちゃんの名前なのに俺が決めていいのか?」

 

「えぇ、是非お願いします」

 

「じゃあ、優奈と同じで、優になにか付けるとして、

うーん…よし!決めた、 優に香でゆかでどう?仮野優香。」

 

「うん!とってもいい名前、ありがとね!じゃあ、今度こそ記憶を書き換えるわね。」

 

そして、姉ちゃんは優奈の頭に手を置くと光だした。

 

しばらくすると、光は収まった。

 

「終わったのか?」

 

「えぇ、しばらくすると目が覚めると思うわ。そしたら。

お兄ちゃんって飛びついてくると思うよ?」

 

「いや、飛びついては来ないだろ…それにしても、さっきは急で気づかなかったけど、改めて見ると可愛い子だな…」

 

「まぁ、手を出しちゃだめよ?」

 

「出さねぇよ!!」

 

 

そんなやり取りをしてると、優奈が、

 

「うーん… 」

 

と、目をこすり始めた

 

「目、覚めたか?」

 

「あれ?なんで私お姉ちゃんの部屋で?まぁ、いいや!お兄ちゃん!おはよう!」

 

「あ、あぁ、おはよう」

 

驚いた、本当に俺がお兄ちゃんって記憶になってる。

でも、騙してるようで悪いな…まぁ、その分しっかり俺が面倒見てあげないとな!

と、俺が考えていると…

 

「えっと… 優奈さん? 何なされているですか?」

 

「何って?お兄ちゃん成分補給してるんだよ〜」

 

そう…優奈は俺に抱きついてきたのだ…

 

というか、やばい、一応妹だけど、義理だよ?って優奈は知らないからしょうがないか…ってか、中学生にしては、やたら立派なお胸が当たってるから!! それに、なんかいい匂いもするし…

 

「うん…そろそろ離れようか?優奈?」

 

「えぇ、まだ良いじゃん!」

 

どうしよう… そうだ!こういう時は!

 

「どかないと、晩御飯抜くにするぞ?」

 

「むぅぅ…仕方ないな…」

 

良かった離れてくれた…

 

「まぁ、仲良いがいいのはいい事だけど、近所迷惑にならないようにはしゃぎなさいよ?

じゃあ、私はこれから用事があるから、晩御飯は2人で食べてくれる?」

 

と、今まで見てた姉ちゃんが言ってきた…ってか止めてよ… いや、その前に記憶を書き換える時に抱きついたりするようにするのは、やめてよ…

 

 

「分かった。お姉ちゃんも気をつけて行ってきてね?」

 

「行ってらっしゃーい!」

と、優奈と俺が見送った。

 

「じゃあ、晩御飯作るから、優奈はそれまで部屋で待っといてくれるか?」

 

「はーい!」

 

 

こうして、俺に少しブラコン気味の妹ができたのだった…




はい、という訳で優に妹が出来ました。
やっぱり、ちょっと無理のある内容かも知れませんね…
という訳で、あと1、2話本編に入る前の内容書いて、設定集を書いてラブライブ本編に入れればいいなと思ってます。
では、4話も見てくれると嬉しいです!


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4話 生徒会への勧誘!

はい!4話です!
今日は4人目のオリキャラが登場します!
では、4話スタートです!


俺に義妹の優奈が来てから約1週間が経ち、俺が音ノ木坂学院高校の共学化試験生として入学するまで、あと3日しかない。そして、優奈も転校生として音ノ木坂中学に3日後に転入するらしい。

 

そして、俺は共学化の試験生ということもあり、音ノ木坂学院高校の理事長に呼ばれ理事長室の前に来ていた。なんか、入りずらい空気があると思いながら俺は理事長室のドアをノックする。

 

コンコンコン

 

ノックはしっかり三回やった。すると中から

「どうぞ」

と聞こえたので入る

 

「失礼します。3日後から音ノ木坂学院高校の共学化試験生として、入学する仮野優です。」

 

「あなたが仮野くんね。私は音ノ木坂学院の理事長をしている南です。」

 

この人が理事長、こんな若いのか…

 

そう、俺は今日初めて理事長に会ったのだ。

普通共学化試験生なら、テストの時などに会ってるだろと思うかもしれないが、俺がこの学校の試験生として入学するのは、女神様である姉ちゃんに頼まれたからで、姉ちゃんの女神様の力で入学したから理事長はもちろんこの学校に来るのも初めてなのだ。

 

「今日あなたをここに呼んだのは、顔合わせのためでもあるんだけど、あなたに会ってみたいと言う人がいるから呼んだのでもあるの。」

 

「俺に会ってみたい人?」

 

「えぇ、もうすぐ来ると思うのだけど「コンコンコン」あっ、来たわね。」

 

すごいタイミングいいな…

 

「どうぞ。」

 

理事長がそう言うと、理事長室のドアが開いた。

 

「失礼します!あなたが共学化試験生の仮野優くんね?」

 

理事長室に入ってきたのは、音ノ木坂学院の制服を着た生徒。当たり前だけど、女の人だ。

 

「はい、そうですけど…」

 

「はじめまして!私はこの学校の生徒会長をしています。3日後から2年生の茨城茜です!よろしくね!」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

「生徒会長だからってそう、硬くならなくていいよ。」

 

「あっ、はい。分かりました。」

 

「それで、理事長に今日あなたをここに呼んでもらったのはあなたに頼みたいことがあるの。」

 

「頼みたいこと?」

 

「えぇ、実はこの前までこの学校で副会長をしてた子が転校してしまって、新学期からこの学校に副会長がいないの。だから、あなたにお願いしたいの。今話した感じだとあなたいい人そうだし!」

 

「えっ?でも俺、生徒会なんてやったことないのにいきなり生徒会副会長なんて…」

 

「そんな事ないよ?私だっていきなり生徒会長になったし。でも、今すぐ返事するのは難しいと思うから、3日後の入学式の時に返事くれる?」

 

「はい、分かりました。」

 

「じゃあ、私はこれで、失礼しました!」

 

すると、今まで黙っていた理事長が話し始める。

 

「私もあなたが生徒会副会長になってくれると、心強いし、是非お願いしたいわ。無理にとは言わないけど考えてみてね。」

 

「はい、分かりました。では、今日はこれで。これからよろしくお願いします。失礼しました。」

 

そして、俺は理事長室を出ていった。

 

俺が副会長か… どうしようか…そう思いながら俺は校門を出た。

 

すると…

「キャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

悲鳴が聞こえた。

 

悲鳴が聞こえた方に行こうとすると、急に体が重くなる。

 

(これは、重加速!? って事はロイミュードか!?)

 

そして、俺はなんとかシフトスピードを取り出し、俺の体が軽くなったので、俺はドライブドライバーを召喚する。

 

「力を貸してくれ!ベルトさん!」

 

『あぁ、いいだろう!スタートユアエンジン!』

 

そう、このドライブドライバーことベルトさんだけは、ベルトさんの意識が必要でコピー出来ないため、地下に眠っていたベルトさんを起こして協力してもらうように頼んだのだ。(姉ちゃんが)

 

俺はシフトブレスにシフトスピードをセットし、

 

「変身!」

 

レバーを入れた。俺は仮面ライダードライブ タイプスピードに変身し、ロイミュードのいる所に向かった。

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

俺は、3人の女の子を襲おうとしてた3体の下級ロイミュードNo.086、091、097に攻撃を仕掛けた。

 

「貴様仮面ライダーか!?」

 

「あぁ、そうだ!ひとっ走り付き合えよ!」

 

俺は、ドライブの決め台詞を言い、

 

「来い!ハンドル剣!」

 

ドライブの武器であるハンドル剣を呼び出し、3体のロイミュードに斬りかかった。

 

「ぐっ…くそっ!」

 

俺は、3体のロイミュードの隙を見てドライブドライバーのキーを回し、シフトブレスの赤いボタンを押し、シフトスピードのレバーを入れた。

 

『ヒッサーツ フルスロットル!スピード!』

 

ベルトさんがそう言うと、3体のロイミュードを4つのタイヤで挟み、その周りをトライドロンが回る。そして、タイヤが外れると俺は3体のロイミュードにキックを放って倒した。

 

ロイミュードを倒すと、重加速がおさまり襲われていた3人の女の子…1人はオレンジ色の髪色の元気そうな子、もう1人は青い色の髪で清楚で大和撫子風な子、そして最後の1人は灰色の変わった髪色で癒し系のような子の3人が、

 

「「「助けてくれて(頂き)ありがとうございました!」」」

 

と、言ってきた。

 

「大丈夫?怪我ないか?」

 

「うん!私は大丈夫!」

 

「私も大丈夫です♪」

 

と、オレンジ色の髪の子と灰色の髪の子は言ってきたが、青い髪の子は少し体調が悪そうだ…

 

「君、大丈夫?ちょっと体調悪そうだよ?」

 

「い、いえ、大丈、夫で、す…うっ…」

 

すると、青い髪の子が倒れた。

 

「「海未ちゃん!」」

 

と、2人の女の子が叫ぶ。俺が青い髪の子を見ると、少し機械のバグのような模様が見えた

 

(これは、ゲーム病!?)

 

そう思うと俺は、変身を解除せずにドライブドライバーからゲーマドライバーにかえて、マイティアクションXガシャットを取り出す。

 

「2人共下がってて!」

 

「「は、はい!」」

 

そして、俺はガシャットを起動した。

 

『マイティアクションX!!』

 




4人目のオリキャラ、茨城茜が登場しました!
茜は、絵里の1つ前の生徒会長ですが、絵里と同い年という設定です。ラブライブ本編に入ると登場する事は少なくなると思いますが、物語のキーとなる人物なる予定です!
あと、ベルトさんはドライブ&ゴーストの少し後に女神様に、地下から出されました。まだ、進之介はその事を知らないです。
そして、とうとう穂乃果、海未、ことりが少し登場しました!
そして、海未がゲーム病にかかってしまいました…

では、5話も是非見てください!


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5話 新たなガシャット!

5話です!
今回、オリジナルガシャットと永夢先生が登場します!
では、5話スタートです!


〜side 優〜

 

『マイティアクションX!』

 

俺がガシャットを起動するとゲームエリアが広がった。

そして、ゲーム病にかかっていた青い髪の子がバグスターにのまれた…

 

「「海未ちゃん!!」」

 

一緒にいた2人が心配そうに聞いてくる

 

「海未ちゃんはどうなっちゃうんですか!?」

 

「まだ生きてますよね!?」

 

「まだ生きてる、今から俺があの子とバグスターを分離する。君たちは危ないから今日は帰るんだ!」

 

「そんな!海未ちゃんをおいて帰れません!」

 

「そうです!海未ちゃんは大事な友達なんです!」

 

そう、涙目になりながら言ってくる2人。

 

「だからこそだ!あの子が無事に戻った時、君たち2人が怪我をしていたりしたらあの子が悲しむんだよ!あの子は俺が絶対に治すから、今日は帰るんだ。」

 

「でも!「穂乃果ちゃん!」ことりちゃん?」

 

「この人の言う通りだよ…海未ちゃんが無事でも、私達が怪我してると海未ちゃんもきっも悲しむよ…だから、今はこの人を信じよ?」

 

「うん…分かった…あの!海未ちゃんを無事に治してください!お願いします!」

 

「お願いします!」

 

「あぁ、もちろんだ!2人は安心して帰るんだ」

 

「「はい!」」

 

俺は2人を帰して、バグスターの方を向きガシャットをゲーマドライバーに入れた。

 

「変身!」

 

『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャゲーム!アイム ア 仮面ライダー』

 

そうして、俺は3頭身のとてもライダーっぽくはないライダー、仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル1に変身した。

 

「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

『ガシャコンブレイカー!』

 

俺はガシャコンブレイカー ブレイカーモードを取り出し、バグスターに攻撃するが余り効かず、バグスターの攻撃を受けゲーマドライバーからガシャットが外れ変身解除してしまった。

 

「ぐっ…!こうなったら、こいつを試してみるか!」

 

そして、俺はこの前姉ちゃんが最近バグスターが増えてきたのでともらった俺専用のガシャットを取り出し、起動した。

 

『つなげて ツムツム!』

 

「変身!」

 

『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャゲーム!アイム ア 仮面ライダー』

 

俺はゲーマドライバーにつなげてツムツムガシャットを入れて、仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル1に変身した。

 

「さぁ、今度こそ行くぞ!」

 

『ガシャコンソードバズーカー!』

 

そして、専用武器のガシャコンソードバズーカー ソードモードを取り出し、バグスターに斬りかかった。

 

すると、今度はしっかりバグスターにダメージをあたえることが出来た!そして俺はガシャットをゲーマドライバーから抜きキメワザスロットホルダーにセットした。

 

『キメワザ!』

 

『つなげてクリティカルフィニッシュ!』

 

そして、青い髪の子とバグスターを分離することが出来た。

 

そして、分離したバグスターはつなげてツムツムのボスバグスターだ。

 

「我は、完全な存在になるのだ!」

 

「よし、分離したバグスターはレベル2でも倒せるな!」

 

「2コンボ!変身!」

 

俺はそう言い、ゲーマドライバーのカバーを開いた。

 

 

『レベルアップ! つなげて まとめて 弾いて 攻撃!

つなげてツムツム〜』

 

「行くぞ!俺の強さは次元を超えるぜ!」

 

「我は貴様を倒して完全な存在になるのだ!」

 

俺は左手でガシャコンソードバズーカ ソードモードを持ち、右手で周りにあるエナジーアイテム操り、1つの所に集めた。

 

「俺の能力、見せてやるぜ!」

 

『高速化 六コンボ! マッスル化 四コンボ! 鋼鉄化 三コンボ!』

 

俺は集めてあるエナジーアイテムを高速化を6枚、マッスル化4枚、鋼鉄化3枚つなげて取り込んだ。

 

そして、高速化×6倍の速さで動き、マッスル化×4倍の強さで攻撃し、鋼鉄化×3倍の硬さでガードしながらガシャコンソードバズーカ ソードモードで攻撃する。

 

「はぁ!やぁ!オラァ!」

 

「グハッ!ウッ!わ、我は完全な存在と…なるのだー!」

 

俺はガシャコンソードバズーカのAボタンを押し、バズーカモードに切り替え、ガシャットを入れる。

 

『キメワザ! つなげて クリティカルフィニッシュ!』

 

「フッ!馬鹿め、どこを狙ってる」

 

俺は、上のエナジーアイテムの方を狙って撃った。そして、弾が当たったエナジーアイテムを取り込んだ。

 

『高速化 二コンボ! ジャンプ強化 四コンボ!マッスル化 七コンボ! 伸縮化 三コンボ!』

 

そして、ガシャットを、キメワザスロットホルダーに入れ、

 

『ガシャット!キメワザ!つなげて クリティカルストライク!』

 

俺は高速でジャンプし、足を伸ばしボスバグスターにキックし倒し、着地した。

 

『ゲームクリア!』

 

そして、俺は感染していた青い髪の女の子の元へ行った。

 

「うぅ、ここは?」

 

「大丈夫?他の友達が心配してたから早く帰って連絡してあげてね。」

 

「はい!ありがとうございました!」

 

そう言い、走っていった少女を見届け、変身を解除した時、

 

「ねぇ、君、何者なの?」

 

声が聞こえ振り返ると、白衣を来た男の人とナース服の女の人が立っていた…正体が、バレた…!?

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 永夢〜

 

僕は今、緊急通報を受け明日那さんと指定場所に着くと、知らない仮面ライダーがバグスターと戦っていた。

 

「明日那さん、あのライダーもドクターライダーですか?」

 

「分からないけど、ゲーマドライバーとガシャットを持ってるからドクターライダーの可能性もあるけど…あんなガシャット見たことない…」

 

すると、戦っているライダーがバグスターを倒した。

 

「強い…」

 

「えぇ、確かに強い…」

 

「明日那さん、あのライダー変身解除しましたよ?…って、あの子高校生ぐらいですよね!?」

「えぇ、見た感じそうね、制服もきてるし…」

 

「とりあえず話を聞いてみましょうか?」

 

「そうね。」

 

そして、ぼくと明日那さんはその子の所に行き、

 

「ねぇ、君、何者なの?」

 

そう問いかけた。

 




5話でした!
そして、はじめて優以外の視点で書いてみました!
そして、オリジナルガシャットのつなげてツムツムは、バラドのパーフェクトパズルより、レベルは低いですが能力が進化してます!パーフェクトパズルはエナジーアイテムを3種類一気に使えますが、つなげてツムツムは3種類までのエナジーアイテムをつなげてその枚数分能力を倍にして使うことが出来ます!そして、ガシャコンソードバズーカ バズーカモードでガシャットを入れて使うと一直線にあるエナジーアイテムをうった分だけ使うことが出来るので、少しチート気味です…でもレベルは2なので、パワーはそこまでないです…それと、レベル2の変身音のリズムは爆走バイクです!相変わらずネーミングセンスがないですね…
では、次回6話も見てくれると嬉しいです!


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6話 仮面ライダーエグゼイド登場!

6話です!
今回は主人公と永夢が絡みます
では、6話スタートです!


 

〜side 優〜

 

「ねぇ、君、何者なの?」

 

俺が声のした方を向くとと、白衣を着た男の人とナース服を着た女の人が立っていた。

 

(やばい!?変身解除を見られた!?)

 

「何者って、もうすぐ高校生になるただの子供ですけど?」

 

一か八か幻でも見ていたと思わせようと、平然に返すと、

 

「普通の子供がゲーマドライバーとライダーガシャットを持ってるわけないでしょ?」

 

と、女の人が返してきた…やっぱり無理か…

 

「まぁ、そうですよね… って、ん?なんでこのベルトとガシャットの名前分かったんです?」

 

「それは、僕も持ってるからね?」

 

男の人は、そう言いゲーマドライバーとマイティアクションXガシャットを取り出した!?

 

「って事は、あなたが本物のエグゼイド?」

 

「確かに僕はエグゼイドだけど、本物って?」

 

「あぁ、それは俺もエグゼイドに変身出来るからです。」

 

そう言い俺はマイティアクションXガシャットを取り出した。

 

「2つ目のマイティアクションX!?なんで?」

 

「私も初めて見た… どういう事なの?」

 

「あぁ、説明すると長いんですけど…簡単に言うと、俺がいろんな仮面ライダーに変身出来て、その1つがエグゼイドなんですよ。」

 

「じゃあ、さっき使っていたガシャットは?」

 

「あれは、俺の協力者?みたいな人からもらったんですよ。」

 

「もしかして、それって壇黎斗って人?」

 

「いいえ、その人ではないですよ。あれ?ニュースで見たんですけど、その人って今人気ゲームを次々と作ってるっていう、幻夢コンポレーションの社長さんの名前では?」

 

「あぁ。それは、ゲーマドライバーやガシャットを作ってくれたのが、その人だからだよ。」

 

「それで、ゲームなのか…」

 

「でも、ガシャットやゲーマドライバーを作れるその協力者の人って、何者なの?」

 

「いやぁ、詳しくは言えないんですけど、俺の姉みたいな人ですよ(さすがに女神様とは言えないし、信じてくれないよな…)」

 

「それと、俺がライダーって言うのは誰にも言わないでくれませんか?」

 

「それはいいけど、さっき言ってた壇黒斗って人と僕と同じライダーの人には言っていいかな?」

 

「まぁ、そのぐらいなら大丈夫ですよ。」

 

「ありがとう。自己紹介が遅れたね。僕は宝生永夢、聖都大学附属病院の小児科研修医なんだ。」

 

「私は、仮野明日那で… コスチュームチェンジ!」

 

「えぇ!?」

 

そう言うと、女の人がナース服からゲームキャラクターの様な格好に変わった。

 

「仮野明日那は仮の姿で、私はポッピーピポパポ、ドレミファビートのバグスターなの!」

 

「さっきと雰囲気が全然違うんですね…って、バグスター!?」

 

「ああ待って!ポッピーは僕らの味方で、良いバクスターなんだよ。」

 

「あぁ、そういうバグスターもいるんですね。僕は仮野優です。3日後から、音ノ木坂学院に共学化試験生として入学します。よろしくお願いします!永夢さん、明日那さん。」

 

「うん、よろしくね!でも、共学化試験生に選ばれるなんてすごいね!」

 

「いえいえ、そんなことないですよ?(だって、女神様のおかげだし…)」

 

「じゃあ、俺はそろそろ帰りますね!また何かあったら、よろしくお願いします。」

 

「うん、こちらこそよろしくね!」

 

そして、俺は家へと帰る。帰り道、『穂むら』という和菓子屋さんがあったので寄ってみることにした。

 

 

ガラガラガラ

 

「あっ、いらっしゃいませー!」

 

すると、中にいた女の子が出迎えてくれた。

 

(この子、さっきバグスターウイルスに感染していた子の友達の子だ。この様子だと無事に連絡来たみたいだな。)

 

「あっ、えっと…何かオススメありますか?」

 

「なら、このほむまんなどどうですか!」

 

「あっ、じゃあそれの8個入りを1箱ください。」

 

「はーい!1000円になります!」

 

「じゃあ、これで。」

 

「丁度お預かりします!こちら、商品になります!」

 

「ありがとうございます。」

 

そして、俺は店を出た。

 

「ありがとうございました!」

 

元気で可愛い子だったな…

 

 

 

「ただいまー!」

 

「お兄ちゃん、お帰り!」

 

「おう、ただいま…でも、帰ってくるため抱きつくのはやめような?」

 

「えぇ、いいじゃん!」

 

「ダメだ、そういえばお土産に饅頭買ってきたけど食うか?」

 

「うん!食べる!」

 

「分かった、お茶入れるから待ってろ。」

 

「はーい!」

 

 

 

「お茶入ったぞー!」

 

「ありがとう、 音ノ木坂どうだった?」

 

「良い学校だったけど、帰りにちょっとしたトラブルがあって疲れた…」

 

「トラブル!?大丈夫なの?」

 

「あぁ、大したことない。」

 

「そういえば、最近この辺で怪物が出るって噂になってるから気をつけてね?」

 

「あっ、あぁ、分かった…(ごめん、俺、その怪物と戦っていました…)」

なんて、言えないけど…

 

姉ちゃんと2人で話し合って、優奈には俺が仮面ライダーであることは内緒にしてる…優奈が知ったら絶対反対しそうだし…

 

「そういえば、姉ちゃんは?」

 

「お仕事だって、最近また忙しいらしいけど、何の仕事してるんだろ?」

 

「さ、さぁ〜?」

 

(そういえば、姉ちゃんが女神様だって事も知らないんだよな…)

 

「あ、そういえば俺、生徒会副会長にならないかって言われてるんだった。」

 

「へぇ〜、すごいじゃん!やってみたら?お兄ちゃんならできそうだよ?」

 

「そうかなぁ…でも、返事は入学式の日でいいって言われてるし、入学式の日までにゆっくり考えてみるよ。」

 

「うん、そうだね。」

 

「じゃあ、晩御飯作るから、饅頭の残りはまた今度な。」

 

「はーい。」

 

そうして俺は晩御飯を食べ、1日を終えた。

 




はい、6話でした!
永夢が登場しました!
エグゼイドの時系列は貴利矢さんが登場したすぐ後ぐらいで本編開始が10月なんですが、この小説の設定では4月に始まったことになっています。ですが、グラファイトの大量感染や平成ジェネレーションズのパックマン事件、貴利矢さんが死ぬのは本編と同じ12月、そしてその次の春に仮面ライダークロニクル発売、そしで夏にゲムデウスの大量感染がある設定にしようと思っています!
ラブライブ本編が始まった年の夏にゲムデウスの大量感染がある設定なので、本編の途中にもしかしたら書くかも知れません(まだ分かりませんが…)
そして、優が穂むらに行きましたね!
あと、優奈はお姉ちゃんが女神様な事はもちろん、優が仮面ライダーな事も知りません…

では、次回7話も見てくれると嬉しいです!


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7話 音ノ木坂学院へ入学!

7話です!
とうとう優が音ノ木坂学院高校に入学します!
では、7話スタートです!


〜side 優〜

 

「行ってきます。」

「行ってきまーす!」

「行ってらっしゃい!頑張ってね!」

 

俺と優奈は、姉ちゃんに挨拶し家を出た。

 

今日は俺が共学化試験生として音ノ木坂学院に入学、そして優奈は転校生として音ノ木坂中学に転入する日だ。

 

「じゃあ、お兄ちゃん!私こっちだから行くね!」

「あぁ、気をつけてな!何かあったらお兄ちゃんに言うんだぞ!」

「うん!行ってきます!」

 

優奈と別れて少し歩くと、音ノ木坂学院高校についた。

 

俺は共学化試験生ということもあり、まず理事長室に行かなければならない。2回目でも、やっぱり緊張するがそれよりも理事長室までの道が緊張する…

前とは違い学校が始まったということもあり、廊下や教室に生徒いる生徒からヒソヒソ話をしながら見られたりする…やっぱり女子校だから男子がいるのはおかしいからだろう…

 

そうこうしてる間に理事長室についた。

 

コンコンコン

 

「失礼します。おはようございます!理事長先生、生徒会長。」

 

「おはよっ、仮野くん!」

 

「おはようございます。いきなりで悪いんだけど、共学化試験生のあなたには、入学式の後の全校集会で挨拶してもらいたいんだけどいいかしら?」

 

「全校生徒の前でということでしょうか?」

 

「えぇ、お願いできる?」

 

「はっ、はい。(緊張するな…)」

 

「ありがとう。あとは茨城さんの方から話があると思うわ。」

 

「どう?返事決まった?」

 

「はい。」

 

「そっか。じゃあ、どうするの?」

 

「俺で良ければよろしくお願いします!」

 

「ありがとう!良かった〜じゃあ改めてよろしくね!」

 

「はい!よろしくお願いします!茨城先輩!」

 

「茜でいいよ?優くん!」

 

「えっ?下の名前ですか?」

 

「うん!同じ生徒会のメンバーになるんだしさ!」

 

「うーん……じゃあ、わかりました…あっ、茜先輩!よろしくお願いします!」

 

「うん!よろしく!」

 

 

 

こうして、俺は生徒会副会長となった。

 

しかし、この出会いが俺の人生を大きく変えることになるとは、今の俺は思いもしなかっただろう…

 

 

 

 

 

そして、数分後…

 

「この、音ノ木坂学院は年々生徒の数が減ってきて、廃校もありうる自体になっています。 そんな中、廃校を阻止する1つの案として共学化の案があります。

そして、今日から音ノ木坂学院に共学化試験生として1人の男子生徒が入学することになりました。」

 

俺は理事長の紹介で壇上に上がり挨拶する。

 

「今日から共学化試験生として、この音ノ木坂学院に入学することになりました。仮野優です。よろしくお願いします!(よし!うまく言えた!)」

 

 

 

俺は緊張で耳に入っていなかった…

 

「ねぇねぇ、結構イケメンじゃない?」

「うんうん、イケメンで優しそう!後で話しかけてみようかな〜」

 

下でこのような会話があったことを…

 

 




7話でした!
とうとう音ノ木坂学院高校に入学しましたね!
そして、この後少し設定集を書いて本編に入ります!
内容が少し変かも知れませんが、この後いきなり1年後のラブライブ本編に入りこの1年のことは、ラブライブ本編の途中で明かされる予定です!
では、次回8話も見てくれると嬉しいです!


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登場人物 設定集

今回は、4人のオリキャラの優と優奈と優香と茜のプロフィールと説明を少し書きたいと思います!
では、スタートです!


プロフィール

 

主人公 仮野 優(かりの ゆう)

 

16歳 高校2年生(本編開始時)、誕生日 3月20日(転生した日)、血液型 AB型、身長 178cm、体重 63kg、

好きな食べ物 肉、嫌いな食べ物(飲み物) 牛乳、

趣味 音楽を聴くこと、特技 家事 ダンス ピアノ 歌、

得意科目 数学 英語 、苦手科目 美術、

 

 

ある日、車にひかれそうな子を助けて死んでしまったと女神様に告げられ、転生して仮面ライダーとして人々を守って欲しいと頼まれた。

そして、怪人達がよく現れる音ノ木坂学院高校に共学化試験生として入学する。優は、イケメンだが本人は全く自覚がなく、廊下を通った時に周りの女子が少し騒いでるのも全く耳に入っていない…

入学前に理事長室に来た時、生徒会長に生徒会副会長になってくれと頼まれ、1年生の10月まで生徒会副会長に。この1年の間に、優は色々な仮面ライダーに会ったそうだ。そして優は、この1年の間にに色々あったらしいが、それが明かされるのはもう少し後の話…

 

 

 

オリキャラ紹介

 

仮野 優奈(かりの ゆうな)

 

14歳 中学3年生(本編開始時)、誕生日3月27日(優と出会った日)、血液型O型、身長154cm、体重「女の子には聞いちゃダメな事があるんだよ?」、

好きな食べ物 お兄ちゃんの作ったもの!、

嫌いな食べ物 野菜はほとんど…(特にトマト)、

趣味 スクールアイドル鑑賞、特技 歌、

得意科目 音楽 美術 体育、苦手科目 数学、

 

ブラコン気味の優の妹。

ある日、死に優とは違い10年に1人程度しか選ばれない抽選で選ばれた転生者。でも、死んだと聞いた時にショックのあまり気絶したので、優が義理の妹として迎えた。

でも、本人は女神様である優香に記憶を書き換えられ、優と優香の事は血の繋がった本当の兄と姉と思っており、とても優や優香の事が、本当の兄妹のように好きなようだ。優奈がもし本当の事を知ってしまったらどうなるのか…

 

 

仮野 優香(かりの ゆか)

 

自称20歳、誕生日 不明、血液型 不明、

身長164cm、体重「女性に聞くことじゃありませんよ?」、

好きな食べ物 パスタ シュークリーム ケーキ、

嫌いな食べ物 特にない、

趣味 読書、特技 女神なのでなんでもできる

謎の多い女神様。

 

若くて美人なので20歳と言われても信じるが、優は女神様であることを知ってるので疑ってる。

優香という名前は、優が優奈の名前を考えてる時に人間界で名前を聞かれた時のためにと考えた名前。

冷静でお淑やかな感じがあるが、時々ぬけているところがあるらしい…

 

 

茨城 茜(いばらき あかね)

 

16歳 高校2年生(本編開始1年前)、誕生日 12月24日

血液型 B型、身長 157cm、体重「秘密でーす!」、

好きな食べ物 甘い物、嫌いな食べ物 酸っぱい食べ物、

趣味 音楽を聴くこと、特技 ダンス、

 

絵里の1つ前の生徒会長で、2年生の10月まで生徒会長をしていた。2年生で生徒会長になれる実力を持っており、成績、運動神経、コミュニュケーション能力など、とても優れている。

優を生徒会副会長に誘った人物であり、優が高校1年生の時の3学期になると急に転校したことになっていたらしいが優は本当の事を何か知ってるらしい…

 




こんな感じでオリキャラの設定集を書いてみました!
優が1年生の頃にあった何かや、茜の転校の真相は、アニメで徐々に明かされて、アニメ1期の最終回の後のオリジナルストーリーで、全て明かそうかなと考えています。(まだ予定なのでわかりません…)
では、次回からはとうとう本編です!
いきなり7話から1年飛ぶので分かりにくいかも知れませんが見てくれると嬉しいです!


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1章(アニメ本編開始) ファーストライブ編
8話 俺がスクールアイドルのマネージャーに!?


はい、8話です!
今回からとうとうラブライブ本編の内容に入っていきます!
そして、気づけば14人の方からお気に入りに登録していただいていました。お気に入りに登録していただいた方、ありがとうございました!
では8話、スタートです!


〜side 優〜

 

今日から俺、仮野優は高校2年生になる。

 

そんな高校2年になる日、俺は掲示板を見て目を疑った。

そこに書かれていたのは、音ノ木坂学院が廃校になるということだった。

 

おいおい、まじかよ!?いや、でも俺がこの学校に入学したのは、入学希望者が減ったこの学校に共学化の案が出されたから、共学化の試験生として入学したんだよな…

なら、いつ廃校になってもおかしくないか…でも、まだ決定じゃない、入学希望者が集まればまだ可能性はある…

でも生徒会副会長でもない今の俺に出来ることなんてないと思うが少し考えてみるか…

 

そして、俺はこの日1日何かいい案が無いか考えては見たもののやはり思いつかなかった…

 

 

 

次の日も、学校に来ても特に思い付かなかった…

 

この日も特に変わったことも無く、強いて言えば後ろの席の高坂が俺の隣の席の園田と斜め後ろの席の南とで、スクールアイドルがどうとかはしゃいでうるさかったぐらいだ…

 

 

そして、次の日も考えては見たが全く思いつかない…

やっぱり俺じゃ、出来ることなんてないよな…けど、茜との思い出の学校だ。絶対に廃校なんてさせたくない。どうすれば…

あーもう!ダメだ…全然思いつかないし、頭使いすぎて疲れた… 久しぶりにアレするか…

 

 

そう思い俺は放課後、屋上に行った。

 

この時、俺が屋上に行ったことで俺の人生が、茨城茜との出会い以上に俺の人生を大きく変えたことを俺は知らなかった…

 

屋上に上がってきた俺はスマホとスピーカーをつなげて、音楽をかけた。何をするかというと、ダンスだ。1年の2学期頃までは良くやっていたが、最近は全然やっていなかった。

俺は、久しぶりに曲に合わせて踊り出した。

 

そして、踊り終わった…

 

「やっぱり、久しぶりだし全然上手く踊れなかったな…」

 

気がつくとふとそんなことを言っていた。

 

そんなことを考えてると後ろから拍手が聞こえてきた。振り返るとそこには、高坂、園田、南が立っていた。高坂が満面の笑みで拍手をしていて、園田と南は驚いたような表情で立っていた。

 

えっ!?見られてたの!?恥ずかしっ!!

 

すると高坂が、

 

「ダンス凄く上手だね!!」

 

と言ってきた。久しぶりであんまり上手くなかったと思うけどな…

 

「そ、そうか?ありがとう。」

 

「ねぇ!私達にダンス教えてくれない?」

 

「へっ?」

 

「こらっ!穂乃果!」

 

「穂乃果ちゃん…いきなりそんなこと言われてもこの人困っちゃうよ?」

 

「あっ、そうだね…ごめんね!」

 

「いや別にいいけど、なんで?」

 

「私達ね!スクールアイドル始めてみようと思うの!」

 

スクールアイドルか…

普通なら俺も断ったと思う… でも高坂の目を見てると、あの時のあいつの目のようにやる気に満ちてるように見えて、手伝ってやりたいって思ってしまった…

 

「いいぜ!」

 

「えっ?」

 

「ダンス、俺で良ければ教えるぜ!」

 

「ほんとに!?ありがとぉ!」

 

「本当に宜しいのですか?」

 

園田が申し訳なさそうに聞いてきた…

 

「まあな、多分だけどこのタイミングで始めるってことは廃校阻止しようと思ってるんだろ?」

 

「えぇ、そうです」

 

「なら、俺も何かしたいと思ってたところだし、何なら歌も少しなら教えられるし、色々手伝ったりも出来るよ?」

 

「ほんとに?ありがとう♪」

「本当に宜しいのですか?」

 

南もダンスを教えてもらう事にお礼を言ってきたが、園田はまだ申し訳なさそうにしている。

 

「だからいいって。」

 

「じゃあ、これから宜しくね!」

 

「私は園田海未と申します。よろしくお願いします。」

 

「私は南ことり、よろしくね!」

 

「あぁ、よろしくな!俺は仮野優だ!」

 

「みんな、知ってると思うよ?この学校でたった1人の男の子で席も近いし。私は高坂穂乃果!よろしくね!」

 

「それこそ、知ってるよ。高坂のとこの和菓子屋で、1回は自己紹介しただろ?」

 

「それもそうだねぇ。」

 

俺は1年前、高坂の家が営んでいる和菓子屋「穂むら」に初めて行った以来ハマり、よく行くようになった。その時、店番をしていた高坂と会ったこともよくあるのだ。

 

「よし!じゃあ、早速今から練習するのか?」

 

「もちろん!」

 

そう言い、3人は俺の前に並び、

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

そう言った。俺はこの3人の目を見てこの3人ならもしかしたら廃校阻止という奇跡が起こせるかもしれない、そう思った。

 

「あれ?歌は?」

「私は知りませんよ?」

「わ、私も〜」

 

前言撤回、大丈夫かこいつら…

 

期待と不安が入り交じりながら俺は、この3人のマネージャーになった。




とうとう、本編が始まりました!
少し無理やり感があるかも、知れませんが優がμ’sのマネージャーになることになりました!
これから、優も戦いながらμ’sのマネージャーとして支えていくと思います!
では、次回9話も見てくれると嬉しいです!


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9話 高坂家に訪問!

はい、9話です!
今回は、穂乃果の家から始まります。
では9話、スタートです!


〜side 優〜

 

スクールアイドルをやるという高坂、南、園田の3人にダンスを教えることになったのだが、まずは歌がないと話にならない。それについて話すために、俺は園田とともに和菓子屋『穂むら』でもある高坂の家を訪れた。

 

ガラガラガラ

 

「あら、いらっしゃい。」モグモグ

 

店の中でに入ると、高坂のお母さんが団子を食べていた。いやいや、一応営業中ですよね…?

 

「海未ちゃん!それに、仮野くんも穂乃果に会いに?」

 

実は、俺はこの穂むらにそこそこな頻度で和菓子を買いに来ている。最早常連と言っても過言ではないぐらいなので、高坂のお母さんとも顔見知りだ。

 

「えぇ、2年から同じクラスになって少し話したので。」

 

「そう!良かったわ、あの子男の友達連れてきたこと無かったから…そうだ、お団子食べる?」

 

凄く自然な流れでおダンゴを勧めてくる高坂のお母さん。この人、さらっと共犯者を作ろうとしてないか?

 

「いえ、今日は遠慮しときます」

 

まずは曲について話すのが最優先なため、遠慮しておいた。

 

「そう… 海未ちゃんは?」

 

「私も結構です。ダイエットしないといけないので!」

 

園田もスクールアイドルとしての体型を維持するため断った。

 

 

 

しかし、俺たちが高坂の部屋に行くと…

 

「「練習お疲れ様〜」」モグモグ

 

高坂と南が、しれっと団子を食べてくつろいでいた。

 

「お団子食べる〜?」

 

「今、お茶入れるね〜」

 

「「お前ら(あなた達)ダイエットは?」」

 

「「はぁっ!?」」

 

俺たちがツッコむまで、この2人はダイエットのことなど微塵も覚えていなかったようだ。

 

「努力しようという気はないようですね…」

 

ほんとに、この2人は大丈夫なのか…

 

「それで、曲の方はどうなりましたか?」

 

「うん!1年生にすっごく歌の上手な子がいるの!ピアノも上手で、きっと作曲もできるんじゃないかなって、明日聞いてみようと思うんだ!」

 

「もし作曲をしてもらえるなら、作詞はなんとかなるよねって、さっき話してたの!」

 

「作詞できる知り合いでもいるのか?」

 

おぉ!作詞家がなんとかなるだけでもとても心強い。

 

「うん!優くんの隣にいるよ!」

 

隣?俺の隣と言えば、ここに一緒に来た園田しかいない。

 

「えっ?俺の隣って…園田!?」

 

「そうだよ! 海未ちゃんってさ、中学の時にポエムとか書いたことあったよね?」

 

「えぇ!?」

 

園田がポエムを書いたことには驚いたが、俺以上に園田がそこをツッコまれたことに驚いて声を上げる。

 

「読ませてもらったこともあったよね?」

 

「ヒィ!?」

 

追い打ちをかけるかのような言葉に、更に悲鳴のような驚きの声を上げる園田。それにしても、園田がポエムとは意外だ。大和撫子な感じからは全く想像できないが、大体こういうパターンは本人にとっても黒歴史なことが多い。

 

「園田がポエムか…結構意外だな。」

 

つい面白くなってしまった俺は、ニヤニヤしながらそう言った。3人から弄られた園田は、恥ずかしさのあまりとうとう部屋から逃げ出してしまった。

 

「あっ、逃げた!?」

 

 

 

「お断りします!」

 

なんとか高坂の部屋まで園田を連れ戻したが、さっきからお断りしますの一点張り。

 

「えぇ、なんでなんで!?」

 

「絶対いやです! 中学の時のだって、思い出したくないぐらい恥ずかしいのですよ!!」

 

「いわゆる、黒歴史ってやつだな…」

 

「口に出さないでください!」

 

涙目になって怒ってくる園田。本人は怒っているつもりだろうが、涙目の上に顔が赤く全く怖くない。

 

むしろ、なんかあれだな…すごい可愛い。」

 

「なっ、急に何ですか!?」

 

俺が内心園田を可愛いと思っていた時、何故か園田はさらに顔を赤くさせて声を上げた。

 

「ん、どうかしたのか?」

 

そう聞き返すと、とうとう俯いてしまった園田。急にどうしたんだ?別にさっきは何もいじってないと思うが…

 

「優くん…」

 

「声、出てたよ?」

 

呆れたように高坂が俺の名を呼び、苦笑を浮かべた南にツッコまれた。

 

「……えっ?」

 

声、出てた…?恥ずかしっ!こっちのが黒歴史だろ!?

 

「本当にすみませんでした!決して新手のナンパなどではごさいません!」

 

声が出てたと分かってからの行動は早かった。俺は即座に土下座した。

 

「べっ、別にそこまでしなくても良いですよ!それに、嫌だった訳じゃないですし…」

 

「え?なんて?」

 

とりあえず園田から許しは出たからよかったが、最後の方が小声すぎて聞こえなかった。俺、耳は普通にいい方だと思ってたんだけどな…

 

「なんでもありません! 話を戻しますが絶対にいやです!恥ずかしいですよ!」

 

「アイドルは恥を捨てろってよく言うじゃん!」

 

「言いません!」

 

うん、それは言わないと思う。

 

「でも、私は衣装作るので精一杯だし…」

 

へぇ…衣装を作るのは南なのか。何気に初めて聞いた。

 

「穂乃果がいるじゃないですか! 言い出したのはあなたなんですよ?」

 

「いやぁ、私は… 出来ると思う?」

 

高坂がそう言うと、園田は何かを考え込む。

 

「(穂乃果の文章力といえば、あれは確か、小学生の川柳の授業…『おまんじゅう うぐいす団子 もー飽きた!』)…………うぅっ………優はどうなのですか?」

 

えっ、何?その間と声は何?高坂の文章力とは、一体どれ程のものなんだろうか…

 

「悪い…今は無理だ。」

 

折角手伝うのだから、出来ることは手伝いたい。だが、作詞作曲については今の俺には無理だ。できない。

 

「…?そうですか…」

 

俺の返答に少し違和感を感じたような園田だが、とりあえず触れないでいてくれた。

 

「お願い!海未ちゃんしかいないの!」

 

「私達も手伝うから!」

 

南と高坂が再び頼むが、相変わらず渋る園田。

 

「こうなったら、ことりちゃん!」

 

「うん!」

 

そんな園田にとうとう奥の手を出そうと言わんばかりに、高坂と南が頷き合う。すると、南が手を胸の前に置き、目に涙をためて切なげ表情になる。

 

「海未ちゃん… おねがぁいっ!」

 

やばい。これはやばい。とにかくやばい。語彙力がやばくなるくらいやばい。脳がとろけるかと思った。いや、もしかしたら1部熔けてしまったかもしれない。そう思わせるほどの破壊力を持つ、南の『必殺技、おねがぁいっ!』。

 

危ねぇ…倒れるかと思った。すると、隣の園田にも相当ダメージが入っているようだ。そりゃそうだ。アレをピンポイントに食らわされたんだから。

 

「ずるいですよ…ことり…」

 

あっ、園田が負けた。

 

「ただし、ライブまでの練習メニューは、私が作ります!」

 

「「練習メニュー?」」

 

園田の言葉に首を傾げる2人。すると、園田はパソコンで今トップのスクールアイドルらしい、『A-RISE』というグループのパフォーマンスを見せる。

 

「楽しく歌ってるようですが、ずっと動きっぱなしです。それでも息をきらさず、笑顔でいる。かなりの体力が必要です。」

 

確かに今一度しっかり考えると、アイドルって凄く体力がいるんだな…

 

「穂乃果、ちょっと腕立て伏せしてもらえますか?」

 

「こう?」

 

園田に言われ、腕立ての体制をとる高坂。

 

「それで、笑顔を作って」

 

「こう?」

 

腕立ての体制のまま、高坂は笑顔を浮かべる。

 

「それで腕立て、出来ますか?」

 

そして、少しずつ腕を曲げていく高坂。しかし、次第に笑顔は引きつっていく。

 

「うっ、うっぁぁぁ!」

 

とうとう高坂は耐えきれず、バランスを崩して倒れて地面に思いっきり顔をぶつけてしまう。

 

「弓道部で鍛えてる私はともかく、穂乃果とことりには楽しく歌って踊れる体力をつけなきゃいけません!」

 

「そっか…アイドルって大変なんだね。」

 

高坂が地面にぶつかった痛みで悶えている中、南は園田の説明を聞いて改めてアイドルの過酷さを知る。

 

「はい。ですから、明日の5時半から練習を始めます。5分前までには神田明神前まで来ておいてくださいね。」

 

「えぇ!5時半!? 早すぎだよ~!」

 

園田の言葉に、駄々をこねる高坂。

 

「そのぐらいしなければ、楽しく歌って踊れる体力は付きませんよ?」

 

園田の言う通り、スクールアイドルとはいえ、アイドルとはそれ程大変なものみたいだ。もちろん俺はスクールアイドルはやらないが、体力トレーニングぐらい参戦しますか。

 

「まぁまぁ、落ち着けって。俺もお前らと同じメニュー一緒にやるから、一緒に頑張ろうぜ!」

 

「えっ?優くんもやってくれるの?」

 

「あぁ、そっちの方がやる気出るだろ?それに、俺ももっと体力つけなきゃって思ってたから…」

 

俺が体力つける理由がよく分からず、その場にいた全員が首を傾げたが、特にツッコまれることはなかった。

 

「うーん、分かった!じゃあ、私達も頑張るよ!」

 

ということで、明日から朝練を始めることになった。

 

 

 

その後も少し話し合いをした後、日が暮れてきたため解散しそれぞれ帰った。

 

「お帰り!お兄ちゃん!」

 

家に帰った俺を、妹の優奈が出迎えてくれた。

 

「ただいま、優奈。ごめんな、遅くなって…晩御飯、急いで作るから待っててくれるか?」

 

「うん!いつも任せっきりでごめんね…」

 

「別に気にしなくていいっていつも言ってるだろ?さぁ、ご飯出来るまで待ってろ。」

 

「はーい!」

 

そう返事し、優奈は自室に戻っていった。

 

 

 

「「いただきます!」」

 

俺は夕食を作り、優奈と2人で食べ始めた。

 

「そういえば、お姉ちゃんが今日から一週間帰ってこれないらしいよ。」

 

「そうか…」

 

流石女神様、姉ちゃんも大変なんだな。

 

「あっ、そうだ! 悪い俺、明日から4時45分には、家でないと行けないんだ。」

 

「えぇ!? もしかして、またランニング増やすの!? またこの後だって行くんでしょ?程々にしないと、体壊しちゃうよ。お兄ちゃんは特別スポーツやってる訳でもないのに、なんでそこまで…?」

 

優奈が言ってるランニングとは、去年の暮れ頃から朝と夕方の2回毎日始めたランニングだ。理由は仮面ライダーとして戦うための体力作りだ。しかし、優奈は俺が仮面ライダーであることを知らないから不審がっている。

 

「ランニングじゃないよ。明日からちょっと用事があって、ランニングもちょっとやっときたいから少し早めに出るだけだよ…」

 

「それならいいけど、無茶しないでね。で、その用事って?」

 

「まぁ、ちょっとな…」

 

俺がそう誤魔化すと、心做しか優奈の眼光が強くなった。

 

「もしかして、女?」

 

いや、女って…もうちょっと優しい言い方をしなさいよ。

 

「いや確かに女の人とだけど、優奈の思うようなことじゃないから。 スクールアイドル始めてみようと思う子がいて、その朝練の手伝いだよ。」

 

っていうか、そんな朝早くから会いたがる彼氏とか絶対振られるわ。

 

すると、優奈が驚きの声を上げる。

 

「スクールアイドル!? とうとう、音ノ木坂学院にもスクールアイドルができるんだ!」

 

「あぁ。まぁ、まだ始めたばっかりだし上手く行くかも分からないけどな…」

 

「そっか、でも楽しみだな。」

 

スクールアイドルが好きな優奈は、その活躍を楽しみにしているようだ。

 

「まぁ、そういう訳なんだ。だから、朝ごはんは1人で食べることになるけど大丈夫か?」

 

「ちょっと寂しいけど、大丈夫だよ!頑張ってね!」

 

「ありがとう、そう言ってもらえると助かる。」

 

さてと、明日から本格的にあの3人のスクールアイドルを支えることになるだろう。よしっ、また頑張らないとな。

 

俺はそう思いながら、夕飯を食べた。




はい、少し中途半端ですがここで終わりです!次回から、朝練が始まります!ですが、恋愛方向にも少しもっていきたいのですが、まだ誰ともそれっぽいイベントが発生出来ず、少し困ってます。これから、少しずつ恋愛方向にも持っていけるように頑張ります!
では、次回10話も見てもらえると嬉しいです!


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10話 練習開始!

はい、10話です!
とうとう、2桁まで来ましたね。
では10話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺はいつもより早く家を出て、ランニングをしてから神田明神に来ていた。

 

「おはようございます、優。」

 

ん?この喋り方に俺のことを下の名前で呼び捨てにするのは…

 

「おはよう、園田。」

 

今は、園田しかいない。初めて会った日に俺は高坂、園田、南、下の名前で呼ばれるようになった。高坂達はマネージャーとしてこれからお世話になるからと、俺も高坂達のことを下の名前で呼んでくれといわれたが、俺は呼ばなかった。まぁ、理由は色々あるのだ…

 

「早いですね?」

 

「まぁ、元々朝と夜にランニングしてるから、その時間を早めて直接来たから、少し早くついただけで今来たところだぞ?」

 

「えっ?ランニングの後に、穂乃果達とトレーニングするのですか?」

 

「あぁ、俺はもっと体力とかつけないといけないからな。」

 

「別に穂乃果達のようにスクールアイドルをやるわけではないのに何故?」

 

「まぁ、色々あってな…」

 

仮面ライダーだからだ!なんて口が滑っても言えない…

 

 

そんな話をしてるうちに、高坂と南も到着し、トレーニングが始まった。

 

「ひぃ~、きついよぉ!」

 

「もう、足が動かない」

 

トレーニングが始まり、俺たちは神田明神前にある階段を走っていた。

 

「これから毎日、朝と晩ここでダンスと歌とは別に基礎体力をつける練習をしてもらいます。ダンスと歌は優に指導してもらっているのですが、基礎体力をつける練習は私が見ますので。」

 

「1日2回も!?」

 

「やるからには、ちゃんとしたライブをやります!そうじゃなければ、生徒も集まりませんから」

 

「は〜い… というか、なんで優くんは私達と同じトレーニングしてるのに、息1つ切れてないの!?」

 

「それは、私も思いました。優はここに来る前にランニングもしていたのですよね?」

 

「えぇ!優くんランニングしてきてるの!?」

 

と高坂、園田、南が聞いてきた。

 

「まぁ、ランニングは元々だし俺は高坂達よりも少し体力は多いからな。」

 

「す、すごい。」

 

「君達。」

 

そんな会話をしてると、巫女姿の東條先輩が話し掛けてきた。

 

「副会長さん?」

 

「その格好?」

 

「ここでお手伝いしてるんや。神社は色んな気が集まる、スピリチュアルな場所やからね。」

 

そういえば、東條先輩は占いとかそういうようなものが好きだったような…

そんなことより、東條先輩の巫女姿、綺麗だな…」

 

「もうっ、そんなこと言われたらウチ照れるやん!」

 

「えっ?俺また声に出てた!?」

 

「優くん…」

 

「昨日も思ったけど…」

 

「優は嘘がつけないタイプですね…」

 

「そ、そんなことないと思うけどな…」

 

もし、そうだったら1年も正体隠しながら仮面ライダーとして財団Xや怪人と戦うことなんて出来てないだろうし…

 

「まぁそれはそうと4人とも、階段使わせてもらっとんやからお参りぐらいしてき。」

 

パンッパンッ

 

「初ライブが上手くいきますように!」

 

「「上手くいきますように!」」

 

声には出さない方がいいと思うけど…

俺たち4人がお参りをしている様子を見て副会長が、

 

「あの子達、本気みたいやな。」

 

そう言っていたことを、俺達は知らなかった…

 

 

 

トレーニングが終わり俺と高坂たち3人は別々の神社の人目につかない所で制服に着替えていた。

 

俺は、男子ということもあり早く着替えが終わり3人を待ってる間に、ランニング途中で寄ったコンビニで買ったパンと紅茶を飲んでいた。最近は色んな所に24時間営業のコンビニがあり、とても便利な世の中だ…そんなことを思いながらパンを食べ終わる頃に高坂達が戻ってきて、俺達は音ノ木坂学院に向かった。

 

 

 

そして俺達4人は今、1年生の教室に来ていた。

 

「1年生の皆さん、こんにちは!スクールアイドルの高坂穂乃果です!」

 

高坂がそう挨拶するが、教室の1年生はよく分かっていない。

 

「あれ、全く浸透してない!?」

 

「当たり前です!」

 

「まだ、ライブどころか曲すら作ってないんだぞ!」

 

俺と園田が高坂にツッコミを入れると、南が高坂に聞いていた。

 

「それで、穂乃果ちゃんが言っていた歌の上手な子は?」

 

 

ガラララッ

 

 

その時、教室のドアが開き入ってきた赤い髪の子に高坂は近づいた。

 

「あなた、ちょっといい?」

 

「私?」

 

 

 

「お断りします!」

 

俺達は赤い髪の子、西木野さんと屋上に来て作曲のお願いをしている。しかし、キッパリと断られてしまった。

 

「お願い!あなたに作曲してもらいたいの!」

 

「お断りします!」

 

「どうして!?学校に生徒が集まるかもしれないんだよ!?」

 

「興味無いです!」

 

そう言い西木野さんは、屋上から出ていった。

 

「お断りしますって、海未ちゃんみたい…」

 

「あれが普通の反応です!」

 

「断るのは普通だとしても、あの断り方は園田そっくりだったぞ?」

 

「なっ、そんなことは…ないです…」

 

「はぁ、せっかく海未ちゃんがいい歌詞作ったのに…」

 

「おっ?歌詞できたのか?ちょっと見せて。」

 

「はい、どう「あぁ!ダメです!」

 

高坂が俺に歌詞を渡そうとしたところ、園田が高坂の持ってる歌詞を取り上げようとした。

 

「なんで?曲が出来たらみんなの前で歌うんだよ。」

 

「それはそうですが…」

 

そんなやり取りをしていると、今の音ノ木坂学院の生徒会長、3年生の絢瀬絵里が立っていた。

 

「ちょっといい?って、何故あなたがここにいるの?」

 

絢瀬先輩が高坂達に話そうとした時、絢瀬先輩の視界に俺が入りそう聞いてきた。

 

「それは、俺がこの3人のマネージャー兼ダンスと歌のコーチになったからですが何か?」

 

「いえ、別に…ただ、あなたがそんなことをするなんて思わなかっただけよ、あの件以来、極力人とは関わらないようにしてたあなたが…」

 

「えっ?優くんと生徒会長って知り合いなの?ていうか、あの件って?」

 

「まぁ、ちょっとな… それより何か用があってきたんしゃないんですか?」

 

「えぇ、そうね…」

 

 

 

絢瀬先輩が来た次の授業時間、俺の席の後ろで、

 

「逆効果か…」

 

と、高坂がつぶやいてるのが聞こえた。

 

 

「そうかもな。私ちょっと簡単に考え過ぎていたのかも…」

 

「やっと、気づいたのですか?」

 

昼休み、俺達4人は中庭で昼食を食べていた。

 

「でも、ふざけてやろうと思っていた訳じゃないよ?」

 

「確かに、頑張っているとは思いますが生徒会長の言っていたことはちゃんと受け止めなければなりません…」

 

「そうだよね…あと1ヶ月もないんだもんね…」

 

「ライブをやるにしても、歌う曲ぐらいは決めないと…」

 

「今からだと、他のスクールアイドルの曲を使うしかありませんね…」

 

「そうだよね…」

 

高坂はそう言い、俺達は教室に戻った。

 




はい、かなり中途半端になってしまいましたがここで終わりです!
そして、ラブライブ本編に入ってから初めて絵里ちと希が登場しました!
絵里の言ってたあの件、とはなんなのでしょうか?
そして、もう、本編に入ってから3話目なのにまだ1回も変身してない…
本編で、戦うのはもう少し後になるかも知れません…
そして、今回の希への言葉や前回の海未への無意識可愛い発言でわかった通り、優は嘘が下手というより天然ジゴロですね…
では、次回はとうとうグループ名が決定しますね!


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11話 グループ名決定!

11話です!
タイトル考えるのが難しい…
そして、今回は穂乃果視点から始まります。言い忘れていたのですが、〜side 〇〇〜と書かれている所以外はすべて優視点で書いています。なので、これまでの視点はほとんど、優視点になります。大事なことなのに言い忘れていてすみません…
では11話、スタートです!


〜side穂乃果〜

 

私は今、絢瀬生徒会長に言われたことを考えながら、スクールアイドルのグループ名募集の名前の箱を見ていると…

 

「どう?練習は。」

「ライブ、何か手伝えることがあったら言ってね!」

「照明とかお客さんの整理とか、色々やらなきゃいけないでしょ?」

 

友達のヒデコ、フミコ、ミカの3人が言ってくれた。

 

「えっ?本当に?」

 

「うん、だって穂乃果達、学校のために頑張ってるんでしょ?」

 

「クラスのみんなも応援しようって言ってるよ?」

 

そっか… みんなも応援してくれてたんだ、

 

「頑張ってね!」

 

「ありがとう!バイバーイ!」

 

「「「バイバーイ!」」」

 

やっぱり、スクールアイドルを続けたいなと思いながらグループ名募集の箱を開けると、そこには1枚の紙が入っていた!

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

突然、高坂が走ってきた。

 

「「「入ってた?」」」

 

俺、園田、南は高坂からグループ名募集用紙が入っていた事を聞いた。

 

「あったよー!1枚!」

 

そして、高坂の開いた紙に書いてあったのは…

 

 

µ’s

 

 

「ユーズ?」

 

「おそらくミューズじゃないかと」

 

「あぁ!石鹸?」

 

「違います!」

 

「グループ名に石鹸の名前つけるなんて、どんな嫌がらせだよ…」

 

「おそらく、神話に出てくる女神から付けたのだと思います…」

 

「確か、9人の女神だったと思うぞ?初ライブの時には無理だけど、せっかくなら9人のメンバー集めたいな。」

 

「へぇ、そうだね!」

 

「うん、いいと思う!私は好きだな!」

 

「でも、園田が女神の名前を知っていたのは意外だな。」

 

「そ、そうですか?」

 

「あっ、そう言えば前に厨二病をこじらせグハッ!」

 

俺は、園田に強烈な腹パンを食らった…

 

「痛てて…いきなり、なにすんだよ!」

 

「優が失礼な事言うからです!」

 

「うっ、悪かったよ… で高坂、グループ名はそれで行くのか?」

 

「うん!今日から私達はμ’sだ!」

 

 

 

そして、俺と高坂は最後にもう1度だけ西木野さんに作曲の依頼をするために、1年生の教室に来ていた。

 

「あぁ、誰もいない…」

 

「やっぱり、もう帰ってしまったか…」

 

「ニャン!」

 

すると、1年生であろう橙色のショートカットの子が現れた。というか、ニャン?

 

「ねぇ、あの子は?」

 

「あの子?」

 

高坂…あの子は?って聞かれて分かるわけないだろ…

 

「西木野さん、ですよね?歌の上手な」

 

すると、後ろにいた眼鏡をかけた女の子が答えてくれた。って分かる人いたぁー!?マジよく分かったな…昼来てた時のこと見てたのか?

 

「そうそう、西木野さん!」

 

「話があったんだが、この感じだと、もう帰っちまったようだな…」

 

「音楽室じゃないですか?あの子、あんまりみんなと話さないんです。休み時間は図書室にいるし、放課後は音楽室だし…」

 

「そうなんだ… 2人ともありがと!」

 

「ありがとな!高坂、行こう!」

 

「うん!」

 

「あ、あの!」

 

俺達が音楽室に行こうとすると、眼鏡をかけた女の子に呼び止められた。

 

「え?」

 

「頑張ってください、アイドル」

 

「うん!頑張る!」

 

高坂はそう言うと、走って行ってしまった。

 

「ありがとな!あいつ、すごい喜んでたよ!」

 

俺は眼鏡をかけた子にお礼を言うと、高坂を追いかけた。

 

 

 

高坂は音楽室の扉の前で、西木野さんの弾いているピアノと歌声を聴き入っている。確かに上手い!ピアノの音色も、歌っている声も綺麗だ…

 

西木野さんが弾き終わると高坂は、音楽室の扉の前ですごい顔で拍手をしていた…その顔ちょっと怖いぞ…

 

「ヴェェ!」

 

西木野さんも驚いて、すごい声出してるし…

 

 

 

「何のようですか?」

 

俺と高坂が音楽室に入ると、西木野さんが不機嫌感満載で返事をしてきた。

 

「やっぱり、もう1回お願いしてみようかと」

 

「しつこいですね。」

 

「そうなんだよね…海未ちゃんにいつも怒られてるし、最近だと優くんにも言われたな…」

 

「高坂のしつこさは筋金入りだからな…」

 

「私、ああいう曲一切聴かないから、聴くのはクラシックとかジャズとか…」

 

「へぇー、どうして?」

 

「軽いからよ!なんか薄っぺらくて、ただ遊んでるみたいで…」

 

「そうだよね…」

 

「へ?」

 

おいおい、お願いした側が認めていいのか?

 

「私もそう思ってたんだ… なんかこう、お祭りみたいにパァーっと盛り上がって楽しく歌っていればいいのかなって。でもね、結構大変なの… ねぇ、腕立て伏せ出来る?」

 

「はぁ?」

 

「できないんだぁ?」

 

高坂、その言い方はウザいぞ。まぁ、こういうタイプの子は、挑発に乗りやすいからいいんだけど…

 

「出来ますよ!そのくらい!」

 

やっぱり、乗ってきた。

 

「いち!に!さん!これでいいんでしょ?」

 

「おおすごい!私よりもできてる!」

 

「当たり前よ!私はこう見えても「ねっ!それで笑ってみて?」はぁ?」

 

高坂が西木野さんの言葉をさえぎりながら言うと、西木野さんは疑問に思いながらも、笑った。

 

「うぅ、うぅぅ…」

 

しかし、すぐにきつくなったようだ。

 

「ね?アイドルって大変でしょ?」

 

「なんの事よ!全く!」

 

「はい、歌詞。1度呼んでみてよ。」

 

「だから私は…」

 

「読むだけならいいでしょ?今度聞きにくるから、その時ダメだったらキッパリ諦める… 」

 

「答えが変わることはないと思いますけど…」

 

そう言いながら、西木野さんは歌詞を受け取る。

 

「だったらそれでもいい。そしたら、また歌を聴かせてよ。」

 

「え?」

 

「私、西木野さんの歌声、大好きなんだ!あの歌とピアノを聴いて感動したから作曲、お願いしたいなぁ、って思ったんだ…毎日、朝と夕方に階段でトレーニングしてるから、よかったら遊びに来てよ。」

 

そう言い、高坂は音楽室から出ていった。あんなにまっすぐ言われると、西木野さんも断りずらくなってるかもな…

 

「じゃあ、返事は西木野さんがしっかり考えて決めてくれ!無理やりお願いする気はないから。俺も西木野さんの歌声とピアノ、凄くいいと思ったから是非西木野さんにやってもらいたいけど…

 

それと、西木野さんは可愛いし、スクールアイドルの方も出来ると思うぞ。俺達は、いつでも大歓迎だから!とりあえず、作曲の方を考えてみてくれ。邪魔して悪かったな、じゃあな!」

 

俺も西木野さんに挨拶して、音楽室から出ていった。

 

「可愛い…//イミワカンナイ!」

 

その後、音楽室で顔を真っ赤にしながら西木野さんがそう呟いていたことを俺は知らなかった。

 

 

 

その日の放課後、俺達はいつものように神田明神前の神社でトレーニングしていた。

 

「もうダメ〜」

 

「もう、動かない…」

 

「ダメです!まだ2往復残っていますよ!それとも諦めますか?」

 

「もう!海未ちゃんの悪代官!」

 

「それを言うなら、鬼教官ような〜」

 

「ははは… まぁ園田、無理して体壊してもダメだし、少し休憩したらどうだ?俺も少し疲れたし…」

 

「そんなこと言って、息一つ切れてないじゃないですか!優は少し甘いですよ!」

 

そんな、いつも通りのやり取りをしていると、

 

「きゃぁぁぁぁ!!」

 

と、悲鳴が聞こえてきた。

 

「ん、何?」

 

「さ、さぁ?」

 

「(まさか、怪物が出たのか!?最近は怪物も、出ずに平和だったのに!)3人は危ないからここにいて、俺が見てくるから!」

 

「えぇ、優も気をつけてください!」

 

俺は園田が言い終わる前に飛び出した。

 

 

そして、俺が階段を全速力で降りて見た光景は… 東條先輩が西木野さんの胸を揉み、

 

「まだ、発展途上と言ったところやなぁ、でも望みは捨てなくても大丈夫や、まだ大きくなる可能性もある。」

 

などと言っている…

 

「なんで、こんな所でうちの学校の副会長がセクハラしてるんすか?」

 

俺が声をかけると2人は俺に気づき、東條先輩はニヤニヤとしている。あっ、やべっ!俺なそう思っている時にはもう遅く、

 

パシンッッッ!!

 

西木野さんは顔を真っ赤にして、俺をビンタした… いや、俺悪くないよね?

 

「いってて…」

 

俺は、ビンタされた頬を抑えてると、

 

「悪かったてば!」

 

全く悪びれた様子もなく、西木野さんがそう言ってきた。

 

「いや、別に怒ってはないからいいよ… それよりなんで東條先輩はセクハラしてたんですか?」

 

「別に、ただ仲良くなろうと軽いスキンシップしてただけや?」

 

「どこが軽いんですか…もし、俺があんなことして仲良くなろうと軽いスキンシップしただけですよ、なんて言ったら1発でおまわりさんのお世話になりますよ?」

 

「あぁ、もしかして仮野くんもやってみたいと思ったんやろ?」

 

「そんなこと!なくはないです…」

 

正直に言ってしまった俺は、

 

パシンッッッ!!

 

西木野さんに2度目のビンタをくらい、

 

「変態!」

 

と、言われてしまった…

 

「じょ、冗談だよ!」

 

「フンッ!どうだか!」

 

「まぁ、本当にヤバいやつがいる訳じゃなくて良かったよ… 俺は練習に戻るわ… ん?あっ、そういえば、西木野さん来てくれたんだな。ありがとな!」

 

「なっ、たまたま通りかかっただけよ!」

 

「ツンデレ?」

 

「だっ、誰がツンデレよ!」

 

「まぁ、俺は練習に戻るんで、東條先輩もこんな所でセクハラはやめてくださいよ?」

 

俺はそう言い、3人のところへ戻って行った。

 

 

「あ、優くんおかえり…って、顔に叩かれた跡あるよ!?」

 

「大丈夫だったのですか?」

 

「あぁ、まあ別に不審者とかじゃなかったよ。」

 

「な〜んだ、良かった!」

 

そんなこんなで、俺は1日を終えた。

 

てか、本当に東條先輩は何がしたかったんだ…?




やっぱり、終わるタイミングが難しいですね…
まだまだ上手くかけていませんが、感想や指摘をもらえると嬉しいです!
では、12話も見てください!


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12話 ライブ直前

12話です!
今回は、初ライブに向けて準備します!
では12話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺は今、屋上に来ていた。そこで、今朝高坂の家に届いたCDを、パソコンに入れて聴く、

 

「行くよ。」

 

高坂がそう言い、CDの音楽を流し始めた…

すると、綺麗なピアノの音に合わせて西木野さん思われる綺麗な歌声が流れた…

 

「この歌声!すごい、歌になってる!」

 

「私達の…」

 

「私達の、歌…」

 

「あっ、票が入ったぞ!」

 

「さぁ、練習しよ!」

 

「「うん!」」

 

3人は西木野さんの歌を聴いて、更にやる気を出していた…さっき入った票が、この曲を作った張本人とは知らずに…

 

 

 

 

 

「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト!ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト!…」

 

今、神田明神で俺の掛け声に合わせて高坂、園田、南がダンスの練習をしている。

 

「よし、いい感じだ!じゃあ、3分休憩だ。」

 

 

「ふぅ〜、終わった。」

 

「まだ、放課後の練習がありますよ。」

 

「でも、随分できるようになったよね?」

 

「2人がここまで真面目にやるとは思いませんでした。穂乃果は寝坊してくるとばかり思ってました。」

 

「大丈夫!その代わり授業中ぐっすり寝てるから!」

 

「いや、それはダメだろ…」

 

すると、高坂は階段の下に隠れていた赤い髪の人に気づき、

 

「西木野さーん!真姫ちゃーん!」

 

大声で呼んだ。

 

「ヴェェ!ちょっと、大声で呼ばないで!」

 

そういう、西木野さんだって声大きいような…

 

「え?どうして?」

 

「恥ずかしいからよ!」

 

「そうだ!あの曲、3人で歌ってみたから聴いて?」

 

「はぁ?なんで?」

 

「だって、真姫ちゃんが作ってくれた曲でしょ?」

 

「私じゃないってなんども!」

 

「いや、あの歌声はどう聴いても西木野さんだろ…」

 

「ガオー! うふふ、うふふふ、ウヒヒヒヒヒ!」

 

すると、高坂が西木野さんに襲いかかっていた。いや、何してんだよ…

 

「いやぁぁぁぁ!」

 

西木野さんが叫ぶと高坂は西木野さんの耳にイヤホンを入れた。なるほど、そういうことか…

 

「よし!作戦成功! 結構上手く歌えたんだと思うんだ。

行っくよー!」

 

「μ’s!」「ミュージック!」

「「「スタート!」」」

 

すると高坂、園田、南の掛け声に合わせて音楽を流し始めた。

 

 

 

そして、俺達は朝練を終え、登校していると…

 

「ねぇ、あの子達じゃない?」

 

「あなた達ってスクールアイドルやってるっていう?」

 

と、校門を通った所で話しかけられた。

 

「はい!μ’sっていうグループです!」

 

「ミューズ?あぁ、石鹸の「違います!」

 

聞いてきた人達に素早くツッコミを入れる園田。

 

「明日ライブやるんでしょ?ちょっと踊ってみてくれない?」

 

「うふふふふ、いいでしょう、もし来てくれたらここで少しだけ見せちゃいますよ?お客さんにだけ特別に。」

 

「お友達を連れてきてくれたらもう少し!」

 

どこのセールスマンだよっ!それに高坂は悪い顔しすぎだ…

そう考えてると、園田が俺の隣を信じられない速さで走っていった。

 

前々から少し思ってたが、園田なら怪人が出ても、雑魚程度なら倒せるかもな…前にバグスターウイルスに感染してたけど、それが不思議なぐらいだ。何がストレスだったんだろうか…

 

「ほんと?行く行く!」

 

「毎度あり!」

 

「喜んでるとこ悪いが、園田走ってどっか行ったぞ?」

 

「「えぇ!?」」

 

 

 

そして、園田を追いかけていくと屋上にいた…

 

「やっぱり無理です…」

 

園田ってかなり恥ずかしいがり屋なんだな…

 

「えぇ、どうしたの?海未ちゃんなら出来るよ?」

 

「出来ます…」

 

ん?言ってる意味がよく分からんぞ?

 

「歌もダンスもこれだけ練習してきましたし…でも、人前で歌うのを想像すると…」

 

「緊張しちゃう?」

 

南が聞くと、園田が無言で頷いた。

あぁ、そういうことか…

 

「そうだ!そういう時はお客さんを野菜だと思えってお母さんが言ってた!」

 

「野菜?…私に1人で歌えと!?」

 

「そこ?」

 

「何を想像したんだよ…」

 

流石、作詞担当なだけある。想像力が豊かだ。今のはちょっと、豊かすぎるけどな…

 

「はぁ、困ったなぁ…」

 

「でも、海未ちゃんが辛いならなにか考えないと…」

 

「ひ、人前じゃなければ大丈夫だと思うんです!人前じゃなければ!」

 

「ライブなんだから人前じゃないと意味ないだろ…」

 

「色々考えるより、慣れちゃった方が早いよ?じゃあ行こ!」

 

 

 

俺達は高坂に連れられ、秋葉原の人通りの多いところに来た。

 

「じゃあん!ここでライブのチラシを配ろう!」

 

「ひ、人がたくさん…」

 

「当たり前でしょ? そういう所を選んだんだから!ここで配ればライブの宣伝にもなるし、大きな声出してれば、そのうち慣れてくると思うよ?」

 

「おぉ!高坂にしてはいい案じゃん!」

 

「えへへ、ありがとう…//って、私にしてはって何よ!」

 

俺と高坂がそんなやり取りをしてると園田が、

 

「お客さんは野菜…お客さんは野菜…お客さんは野菜…」

 

呪文唱えてるように言い聞かせていた…って、これは野菜オッケーなんだな。野菜にチラシ配るなんて無理ですっ!って言うのかと思ったけど…

 

「ダメかな?」

 

「ううん、私は平気。でも、海未ちゃんが…」

 

いつの間にか園田がガチャガチャを回していた。何、現実逃避してんだよ…

 

「あっ、レアなの出たみたいですぅ…」

 

1発でレアってすごいな…

俺は園田がしていたガチャガチャを見ると、園田がしていたのは俺が変身した仮面ライダーインフィニティのキーホルダーのガシャを回していた…って、 ん?

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「ちょっ、優くん!?」

 

「どうしたの!?」

 

「優、こんな所で何叫んでるんですか!?」

 

俺の絶叫が秋葉原の街に響いた。その声に、さっきまで現実逃避していた園田までもが声をかけてきた。というか、俺許可出した覚えないというか、正体バレていない俺に許可取るとか無理だろ?なんで、こんなのあるんだよ!?

 

・・・

 

でも、俺のキーホルダーか… ちょっと欲しいな…

 

「園田、金は払うからそれくれないか?」

 

「えぇ、別に良いですよ?」

 

「ちょっと海未ちゃん!何ガチャガチャ回してるの!?それに、優くんも、叫んだと思ったら何貰おうとしてんの!?」

 

「いや、金払うぞ?」

 

「そこはどうでもいいの!」

 

 

 

「ここなら、平気でしょ?」

 

「まぁ、ここなら…」

 

結局、園田は秋葉原でのチラシ配りは出来ず、音ノ木坂学院の校門で配ることにした…

 

「じゃあ、始めるよ?」

 

そう言い、順調にチラシ配りをしている。高坂や南、俺とは逆に、園田は緊張して中々話しかけられていない…

 

そして、いざ声をかけてみると、

 

「いらない!」

 

と、一言だけ言われて帰られてしまった…

 

というか、園田の話しかけた相手って矢澤じゃなかったか?相手が矢澤じゃ、無理だろうな…

 

「ダメだよ、海未ちゃん!それ配り終えるまでやめちゃダメだからね?」

 

「そんな、無理です!」

 

「海未ちゃん、私が階段5往復出来ないって言った時なんて言ったっけ?」

 

「うっ、分かりました!やります!」

 

高坂って、こういう時だけは悪知恵が働くというか…

 

「アノッ…」

 

すると、高坂が眼鏡をかけた子に話しかけられた。

 

「あなたは、この前の?」

 

「ライブ、見に行きます。」

 

「ほんと!?」

 

「来てくれるの?」

 

「では、1枚2枚と言わずこれを全部…」

 

園田…

 

「海未ちゃん?」

 

「うっ、分かってますよ…」

 

 

 

チラシを配り終わった、俺と高坂、園田は高坂の部屋でA-RISEの動画を見ていた。

 

「うーん…やっぱり動きのキレが違うよね…こう?こう?それともこう?」

 

A-RISEの動画を見て、動きのキレを確認していた高坂があることに気づいた。

 

「あっ、ランクが上がってる!きっとチラシで見た人が投票してくれたんだね!」

 

「嬉しいものですね!」

 

そう話してると、遅れてきた南が入ってきた。

 

「お待たせ!」

 

「ことりちゃん、見て見て!」

 

「あっ、すごーい!」

 

「もしかしてそれ、衣装?」

 

高坂は南が手に持っている物を見て、そう言った。

 

「うん、今お店で最後の仕上げをしてもらって!じゃあーん!」

 

「うわぁ、可愛い!」

 

「本物のアイドル見たいだな!」

 

「ほんと?」

 

「凄いよ、ことりちゃん!」

 

「南にこんな特技があったなんてびっくりだよ!」

 

「ことり…」

 

衣装を俺と高坂が絶賛している中、園田が低い声で南の名前を言った。

 

「えっ…?」

 

「そのスカート丈は?」

 

「ん?あっ…」

 

 

「言ったはずです…最低でも膝下じゃなければ、履かないと!」

 

「だって、しょうがないよ!アイドルだもん!」

 

「アイドルだからといって、スカートは短くという決まりは無いはずです!」

 

「まぁ、園田…今から作り直してる時間なんてないんだし、それで我慢してくれないか?」

 

「そういう手に出るのは卑怯です!ならば、私は1人だけ制服で歌います!」

 

「それはそれで、恥ずかしくないか?それに、制服のスカート丈も膝上だぞ?」

 

「それはいいんですよ!」

 

なんで、それはいいんだよ…

 

「そもそも、3人が悪いんですよ?私に黙って結託するなんて…」

 

「いや、俺も今の今までスカート丈なんて知らなかったぞ?」

 

「だって、絶対成功させたいんだもん!」

 

スルーされた!?

 

「ここまで、頑張ってきたんだもん!4人でやってきて、良かったってそう思いたいんだもん!」

 

そう言って、高坂は窓から顔を出して、

 

「思いたいのーーー!!!」

 

叫んだ… 気持ちは分かるけど、近所迷惑というものを考えようね!

 

「何をしているのですか!」

 

「それは、私も同じかな?」

 

「俺もだ。俺はステージには上がらないけど、出来る限りのことは手伝ってきたつもりだ…だから、高坂と園田と南には、絶対にライブを成功してほしい!」

 

「ことり… 優………いつも、いつも、ずるいです… 分かりました」

 

「海未ちゃん、だーい好き!」

 

そう言って、高坂は園田に抱きついた…

 

 

そして、俺達は明日のライブが成功するよう神田明神にお参りに来ていた。

 

「明日のライブが成功しますように!いや、大成功しますように!」

 

「緊張しませんように…」

 

「みんなが楽しんでくれますように。」

 

(無事にライブが出来ますように。)

 

「よろしくお願いしまーす!」

 

 

 

そして、俺は夜も遅いので3人を家まで送っていき、最後の南の家に着いた。

 

「送ってくれてありがとうね!」

 

「いや、気にすんな。こんな夜中に、可愛い女の子1人で帰るのも危ないだろ?」

 

「そんな…//可愛いくなんてないよ//」

 

「そんなことないぞ?南は女子の中でもかなり可愛い部類に入ると思うぞ?」

 

「うぅ…//無自覚でそんなことを言うのはずるいよ…//」

 

南が何かブツブツいっていたが声が小さすぎて聞こえなかった… すると、

 

「きゃぁぁぁぁ!」

 

と、女の人の悲鳴が聞こえた。

 

「なんだ!? 南は危ないから家に入って、今日は家から1歩も出ないようにしろ!」

 

「え?でも、優くんは!?」

 

「俺は大丈夫だから、絶対に家から出るなよ?」

 

「わ、分かった…」

 

「じゃあな!」

 

 

 

俺はそう言い悲鳴の聞こえてきた方に行くと、マスカレイド・ドーパントと屑ヤミーに東條先輩が襲われていた…

俺は隠れて、インフィニティドライバーを装着し…

 

「変身!」

 

仮面ライダーインフィニティに変身した…

 

「はあぁぁ!オリャー! 雑魚だけか…なら、一気に決めるぞ!」

 

俺はアタックバックルにインフィニティストライクカードを入れた。

 

『スペシャルアタック!』

 

すると、アタックバックルから待機音が流れてきた。俺は1回アタックバックルを叩くと、

 

『インフィニティストライク!』

 

と、バックルから鳴り、残りのマスカレイド・ドーパントと屑ヤミーを倒した。

 

「ふぅ〜、大丈夫か?」

 

俺は東條先輩に大丈夫か聞くと…

 

「う、うん。ありがとうね、仮野くん?」

 

「いえいえ、大したことでは…って、えっ?」

 

東條先輩は何故か、変身している俺の事を、「仮野くん」と呼んだ…

 




はい、本編に入ってから初めての変身をしましたが、最後に希が優の正体を言い当てましたね!
では次回、優は希に正体がバレてしまうのでしょうか?


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13話 気づかれた正体

はい、13話です!
前回の最後に希に正体がバレた所からです!
では13話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺は今、さっきまで高坂達といた神田明神に東條先輩と2人で来ている。何故こんなことになったのかとうと、遡ること数分前…

 

 

 

俺は東條先輩を襲っていたマスカレイド・ドーパントと屑ヤミーを倒した後、東條先輩に大丈夫かと聞くと、

 

「う、うん。ありがとうね、仮野くん?」

 

「いえいえ、大したことでは…って、えっ?」

 

東條先輩が俺の名前を呼んだ。今俺は、仮面ライダーインフィニティに変身している状態なのに…

 

「やっぱり、仮野くんだったんやね?」

 

「な、なんで!?……じゃなくて俺は仮野ではなっ、ないですよ?」

 

「今更嘘ついても無駄やよ?ウチの事は騙せへんよ?」

 

「はぁ〜」

 

俺はこれ以上言い訳をしても無駄だと思い、ため息を付きながら変身を解除した…

 

「で、なんで分かったですか?」

 

「まぁ、立ち話もなんやし神田明神へ行かん?」

 

「分かりました…」

 

 

 

そういう経緯で、俺は神田明神に来ている。

 

「それで、なんで分かったですか?」

 

「ウチな、1年前にも仮野くんに助けてもらったことあるんやで?その時は絵里ちも一緒やった。」

 

「あぁ、あの時のことか…」

 

そう、忘れるわけない。俺は、あの日初めて仮面ライダーに変身し、戦ったのだから…

 

「あの時は、仮野くんのこと知らんかったし誰が助けてくれたんかなと思ったんやけど…絵里ちとウチが生徒会に入る時、初めて仮野くんと会った時に、この人はなにか不思議な感じがするなとは思っとったんや。」

 

「そんな、前から!?」

 

「うん… やけどあの時は、最近噂になってる仮面ライダーとまでは思ってはなかったやけどね。けど、何か特別な力を持ってるんじゃないかと思ってたんや。」

 

「東條先輩、鋭そうだとは思っけどまさか俺の正体を見破られるとは思いませんでした… で、ちゃんと分かったのはいつなんですか?」

 

「それは、茜っちの事件の時からかな…」

 

「やっぱり、知ってたんですね…」

 

「うん… 生徒会長である絵里ちと副会長であるウチだけは、理事長先生に本当のことが伝えられた…あの時、仮野くんは一緒にいたっていうのは聞いてたけど、仮野くんじゃどうしようもなかったと思う事だったのにすごく責任を感じてたから、もしかしたらと思ってウチ占ってみたら仮野くんが仮面ライダーだって、分かったんや。」

 

「あっ、結局は占いで分かったんすね… あの、このことは…」

 

「分かってる、ウチは誰にも言わへんよ。」

 

「ありがとう、ございます…」

 

「でも、仮野くんが仮面ライダーってことを黙ってるのって、茜っちのことがあったから?」

 

「まぁ、半分は… 後は、俺にライダーの力をくれた人があまり正体を言わないでって言われてくれたからですかね…」

 

「そっか… じゃあ、ウチは帰るね。話してくれてありがとう。」

 

「あっ、送っていきますよ?」

 

「ええよ、ウチの家すぐ近くやし。」

 

そう言って東條先輩は帰ってしまった…

俺は東條先輩には、隠し事が出来そうにないなと思いながら家に帰った…

 




はい、今回は短いですがここまでです。
希に正体がバレてしまいましたね…
この1年の間に茜にあったこととはなんなのでしょうか?これは、優が穂乃果達のことを名前で呼ばなかったり、ライダーとして前以上に戦おうと思っていることにも繋がります。
真実が分かるのはもう少し後になりそうです…
次回はファーストライブに入ると思います!


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14話 ファーストライブ

はい、14話です!
今回はファーストライブ回です!
そして、新しく2人の方にお気に入り登録をしてもらいました!登録してくれた方、読んでくれた方、ありがとうございます!
では14話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺が東條先輩に正体がバレた翌日、高坂の友達が準備を手伝ってくれた。俺も手伝おうとしたが、マネージャーなんだからしっかり支えてあげなさいよ!と高坂の友達に追い返された。

 

 

俺は3人が着替えてるので部屋の外で待っていたら、

 

「もういいよー!」

 

高坂の言葉を聞き部屋に入ると、可愛いアイドルの衣装を身につけた高坂と南がいた。

 

「2人ともすっげぇ似合ってる!園田はどうしたんだ?」

 

「それが…」

 

南が苦笑いしていると…

 

「海未ちゃん、恥ずかしがらずに出ておいでよ!」

 

高坂の言葉で、園田が渋々出てくる。あぁ、園田はまだ恥ずかしがってるのか…

 

「「「おぉー!」」」

 

中々似合ってる…ん?

 

「ど、どうでしょうか?」

 

「どうでしょかじゃないよ!何この往生際の悪さは!さっきの海未ちゃんはどこにいったの?」

 

高坂が言ったように、園田は往生際悪くスカートの下にズボンを履いていた。

 

「あの…その、かっ…」

 

「か?」

 

「鏡を見たら急に…」

 

何気にこのメンバーの中で1番乙女なのは園田なのかもな…そんなことを考えてると、

 

「てぇー!」

 

高坂が無理やり園田のズボン脱がした。

 

「いやぁぁぁ!」

 

「隠してどうするの?スカート履いてるのに!」

 

「で、ですが!」

 

「園田、そんなに恥ずかしいがらなくても大丈夫だぞ?

すっごい可愛いぞ?」

 

「なっ// そんなことは//」

 

「そうだよ、海未ちゃん!可愛いよ?」

 

「ほらほら、海未ちゃんが1番似合ってるんじゃない?」

 

高坂が園田を鏡の前まで連れていきそう言った。

 

「どう、こうして並んで立っちゃえば恥ずかしくないでしょ?」

 

「はい…確かにこうしていれば…」

 

「じゃあ最後にもう1度、練習しよ?」

 

「そうね!」

 

高坂と南が練習するため、部屋の奥に行くと園田はまた鏡を見ると、

 

「やっぱり、恥ずかしいです…」

 

そう言っていた。本番は、大丈夫だよな…?

 

 

 

『スクールアイドル、μ’sのファーストライブ!間もなくでーす!ご覧になられる方はお急ぎください!』

 

高坂達は、幕の前まで来ていた。

 

「いよいよだね!」

 

「うん!」

 

高坂と南がそう意気込むと、緊張していた園田の手を握る。

 

「大丈夫、私たちが付いてるから!それに、すぐ側で見守ってくれる人もいるんだし!」

 

「あぁ、俺はここで見てるから!それにしても本当に舞台袖で見てていいのか?」

 

「うん!優くんには一番近くで見ていてほしいから!」

 

「そっか、分かった。じゃあ、ここでしっかりと見てるから!」

 

「穂乃果、優…」

 

「でもこういう時、なんて言えばいいのかな?」

 

「うーん… μ’s、ファイト!オー!」

 

「それでは、運動部みたいですよ…」

 

「だよね〜… あっ、思い出した、番号言うんだよ、みんなで!」

 

「面白そう!」

 

高坂達は円陣を組んだ。

 

「優くんも入って?」

 

「でも、俺は歌わないぞ?」

 

「それでも、優はこれまで私達を支えてくれました。」

 

「だから、優くんは紛れもないメンバーなんだよ?だから入って?」

 

と高坂、園田、南が言ってくれた。

 

「じゃあ、俺も入らせてもらうよ!」

 

俺はそう言い、円の中に入った。

 

「じゃあ、行っくよー! いち!」

 

「にっ!」

 

「さん!」

 

「よん!」

 

高坂、南、園田、そして俺の順番で番号を言い、笑いあった。

 

「じゃあ、俺はすぐ側で見てるから頑張れよ!」

 

「うん!μ’sのファーストライブ、最後のライブにしよう!」

 

「うん!」

 

「もちろんです!」

 

そう言いブザーがなり、幕が上がった。

 

 

そこには、信じられない光景が目に映った…お客さん1人いない、講堂の客席…

 

「ごめん、頑張ったんだけど…」

 

申し訳なさそうに言う高坂の友達。

 

「穂乃果ちゃん…」

 

「穂乃果…」

 

今にも泣きそうな声で高坂が言う…

 

「そりゃ…そうだ…!世の中そんなに甘くない!」

 

「歌ってくれ…」

 

「え?」

 

「歌ってくれ!俺にはこんなことしか言えないけど、お前達3人が、どれだけ辛い練習を重ねてきたことを俺は知ってる!だから、その努力を無駄にして欲しくない!それに、ここに1人は見てる人がいる!俺はすぐ側で見てるから!」

 

「「「優くん(優)…!」」」

 

そんな時、講堂のドアから1人の眼鏡をかけた女子生徒が息を切らして入ってきた。

 

「花陽ちゃん…?」

 

「あれ?ライブは…あれ?」

 

「やろう!歌おう!全力で!」

 

「穂乃果…」

 

「だって、そのために今日まで頑張ってきたんだから!歌おう!!」

 

「穂乃果ちゃん!海未ちゃん!」

 

「えぇ!」

 

そうして、講堂の明かりが消え、3人は歌い始めた…

 

 

 

 

 

 

 

START:DASH/高坂穂乃果 南ことり 園田海未

 

 

 

 

 

 

 

 

3人の踊りを見て、俺は思った。

 

俺は高坂にダンスを教えてくれと頼まれた時、何故か引き受けた。その理由が分かった。俺はこの3人の熱意を見て、引き受けたんだと…

 

この3人が、あの事件から俺の途切れた熱意に、また火をつけてくれるんじゃないかも知れないと思ったからだ。

 

3人が踊り終わると俺と小泉さん、そして途中から来た星空さんと西木野さん、高坂の友達の3人は拍手をしていた。更に、椅子の後ろに隠れていた矢澤は、悔しそうに…けど、どこか羨ましそうに見ていた…

 

3人のダンスは、まだ完璧には程遠いが、この3人のダンスと歌はどこか人を惹きつけ、魅了する力があると思った。

 

3人の表情は、これからもやる!というやる気に満ちたものだった。

 

すると、講堂に今の音ノ木坂学院の生徒会長、絢瀬絵里が降りてきた。

 

「どうするつもり?」

 

「続けます!」

 

絢瀬先輩の問いに、即答する高坂。

 

「何故?これ以上続けても意味があるとは思えないけど?」

 

「やりたいからです!今、私もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます!きっと海未ちゃんもことりちゃんも…」

 

すると、2人も高坂に微笑んだ。

 

「こんな気持ち初めてなんです!やって良かったって、本気で思えたんです!」

 

「今はこの気持ちを信じたい!このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない…応援なんて全然貰えないかもしれない…でも、一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って届けたい!今、私たちがここにいる、この思いを!いつか…いつか私たちは必ず、ここを満員にしてみせます!」

 

高坂の真っ直ぐな心のこもった言葉は、この講堂にいる全員の心に響いた。俺は、改めてこの3人のマネージャーとして支えようと思った…

 

「ふふっ、完敗からのスタートか…」

 

講堂の外で1人、東條先輩はそう呟いていた。

 

 

 

お前がやりたかった事を、今本気でやろうとしてるやつらがいる。俺は、その3人を本気で支えようと思う。お前は、どう思う?茜…

 

 

そして、俺は返事の帰ってこない問を、1人考えていた…




はい、今回でファーストライブ編は終わりです!
ファーストの回は、自分で書いてても辛かったです…
では、次回からはまきりんぱな編です!


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2章 μ’s、結成編
15話 真姫のやりたいこと


はい、15話です。
今回からまきりんぱな編です。
では15話、スタートです!


〜side 優〜

 

ファーストライブも無事に終わった翌日、今日は朝練が休みになり久しぶりに優奈と朝ご飯を食べていた。

 

「いっただっきまーす!」

 

「いただきます、今日は随分と機嫌がいいな?」

 

「だって、久しぶりにお兄ちゃんと朝ご飯食べられるんだもん!」

 

「そういうことか」

 

俺たちが朝ご飯を食べていると、つけていたニュース番組から気になることが流れてきた。

 

『本日、幻夢コーポレーションから「仮面ライダークロニクル」という新作ゲームが発売されました。このゲームは一般人が仮面ライダーに変身して、敵キャラを倒していくというゲームだそうです。発売日の朝にも関わらず、もうかなりの数のゲームが売れたそうです。』

 

仮面ライダークロニクル?それに、幻夢コーポレーションが出しているということは、また何か裏があるのか?けど、永夢さんの連絡ではこの前ゲンムを倒したって聞いたから、壇黎斗ではないはずだ… でも、裏はありそうだな…後で、永夢さんに聞いてみるか。

 

俺はパックマン事件の時以来、永夢さんとは連絡を取り合ってお互いの状況を報告しあっている。

 

「お兄ちゃん、どうしたの?険しい顔して、もしかしてあのゲーム欲しいの?私もちょっと気になるからやってみようかなぁ…」

 

「優奈、あのゲームは絶対にやったらダメだぞ?かなり危険かもしれないから…もし、友達にやろうって子がいたら止めてあげて。」

 

「うん、お兄ちゃんが言うならわかった。」

 

「よし、じゃあ、学校行くか!」

 

「はーい!」

 

 

 

そして俺は学校に行き、今は昼休み。俺達はアルパカ小屋の前にいる。

 

「ふぁ、ふぉえ〜」

 

「ことりちゃん、最近毎日くるよね…」

 

「急にハマったみたいです…」

 

「ねぇ、チラシ配りに行くよ?」

 

「あとちょっと〜」

 

「5人にして、部として認めてもらわないと、ちゃんとした部活動は出来ないんだぞ?」

 

「うーん、そうだよねぇ〜」

 

「可愛い、かなぁ?」

 

高坂がそう言うと、アルパカが睨んできた…

 

「えぇ、可愛いよ!」

 

「前から薄々思ってたけど、南ってちょっとズレたものが好きだよな…」

 

「そうかもしれませんね…」

 

「えぇ、そんなことないよー!優くんも海未ちゃんも酷いよ! ね、穂乃果ちゃん?」

 

「ごめん、ことりちゃん…否定は出来ない…」

 

「えぇ、穂乃果ちゃんも酷いよー!」

 

すると、南がアルパカの首元を撫で始めた。

 

「ことりちゃんダメだよ?」

 

「危ないですよ?」

 

「えぇ、大丈夫だよ?」

 

アルパカが突然、南の頬を舐めた。

 

「きゃっ!?」

 

「ことりちゃん!」

 

「ほら、言わんこっちゃない…」

 

「あぁ、どうすれば… あっ、ここは1つ弓で!」

 

「ダメだよ!」

 

「アルパカ、殺す気か!」

 

「うぅぅっ!」

 

「ほら、変な事言うから…」

 

すると、小泉さんが来て、アルパカを宥めるため撫で始めた。

 

「よーし、よし。」

 

「大丈夫?ことりちゃん?」

 

「嫌われちゃったかな?」

 

「あっ、大丈夫です。楽しくて遊んでただけだと思うから…」

 

「アルパカ使いだね?」

 

「わ、私、飼育委員なので…」

 

「ふーん、おぉ!ライブに来てくれた花陽ちゃんじゃない!」

 

「いや、今気づいたのかよ…」

 

「ねぇ、あなた!アイドルやりませんか?」

 

「穂乃果ちゃん、いきなりすぎ…」

 

「君は、光っている。大丈夫、悪いようにはしないから!」

 

「なんか、すごい悪人に見えますね…」

 

「詐欺師とか悪徳宗教への勧誘の手口だろ…あれ…」

 

「でも、少しぐらい強引に頑張らないと…」

 

「強引すぎんだよ…」

 

高坂の思い切りっぷりに突っ込んでいると、小泉さんが何かを言った。

 

「あ、あの… 西木野さんが…」

 

しかし、小さい声で俺達には聞こえない…

 

「あっ、ごめん。もう1回いい?」

 

「西木野さんがいいと思います… 凄く歌、上手なんです!」

 

「そうだよね!私も大好きなんだぁ、あの子の歌声!」

 

「だったら、スカウトに行けばいいじゃないですか!」

 

「言ったよ!優くんと。でも、絶対ヤダって、それに優くんのこと変態!って言って追い返された…」

 

「へぇー、優、あの子に何かしたのですか?」

 

「もし、したんだったら、許さないからね?」

 

いやいや、なんで園田も南もそんなに怖い笑顔できるの…!?

 

「いやいや、誤解だ!あの後、高坂も怒って聞いてきたけど、カクカクシカジカで…」

 

かなり怖い笑顔で聞いてきた2人に、俺は後ずさりながら必死に弁解する。

 

「なるほど…って、カクカクシカジカで分かるわけないでしょ!ふざけた話をしているのではないのですよ?」

 

「ちゃんと、説明してね?」

 

だから、2人のその怖い笑顔はなんなんだよ…特に南、いつもの甘い声が少し低くなって、ちょー怖い…

 

観念した俺は、階段の下で東條先輩が西木野さんの胸を揉んでいたことを目撃したことを話した…

 

「なるほと、なら優は不可抗力だったってことですね?」

 

「なーんだ、それなら良かった」

 

「ふぅー…」

 

高坂もそうだったけど、女子が怒るとあんなに怖い笑顔が出来るんだな…

 

「かーよちーん!早くしないと、体育遅れちゃうよー?」

 

「あっ、失礼します!」

 

星空さんが小泉さんを呼び、それを聞いた小泉さんは体育へ向かって行った。星空さんも、俺達に一礼して去っていった。

 

「私達も早く戻りましょ?」

 

「そうだね。」

 

そして、俺達は教室へ戻った… あれ?結局チラシ配り出来てないじゃん…

 

 

 

そして放課後。俺はμ’sのメンバー募集の紙を見る、西木野さんとそれを隠れてみる小泉さんを見つけた…

 

「あれ、西木野さんだよな?」

 

俺が、小泉さんに声をかけると、

 

「ピャァ!?」

 

「いや、そんなに驚かなくても…」

 

「あっ、すみません…」

 

「やっぱり、西木野さんもアイドルやりたいんじゃないか?」

 

「でも、断ったんですよね?」

 

「まぁ、確かにそうだったけど…あっ、西木野さん帰ったな… ん?何か落として行ったぞ?」

 

それを、拾うと西木野さんの生徒手帳だった。

 

「西木野さんの、ですよね?」

 

「そうだな、俺が届けてくるよ」

 

「あの、私も行ってもいいですか?」

 

 

 

そうして、俺達は西木野さんの家に来たんだが…

 

「ほぇー!」

 

「こりゃ、かなりの金持ちだな…」

 

ピンポーン

 

インターホンを押すと、女の人の声が聞こえた…

 

『はい。』

 

「あの、西木野真姫さんと同じ学校の仮野優と言います。」

 

「え、えーと、真姫さんと同じクラスの小泉花陽です…」

 

俺達が中に入ると、西木野さんに似てる若い女の人が出てきた。

 

「えーと、西木野さんのお姉さんですか?」

 

「いいえ、真姫の母です。」

 

「え?」

 

まじで、お母さん若すぎでしょ?高坂や南のお母さんも若かったけど、音ノ木坂学院の生徒は可愛い子多いのに、親まで若くて綺麗人多いのかよ。

 

「でも、お姉さんに見えるなんて嬉しいわねぇ〜。 でも、真姫と同じ学校なのに、男の子がなんで?」

 

「あっ、去年、音ノ木坂学院の共学化試験生として入学したんです。」

 

「へぇ、試験生に選ばれるなんて凄いわねぇ。」

 

「い、いえ…」

 

全部、女神様である姉ちゃんのおかげなんだよな…

 

「ちょっと待っててね、病院の方に顔を出してるところだから。」

 

「どこか、悪いんですか?」

 

「いえ、家、病院を経営していてあの子が継ぐことになってるの…」

 

「そう、なんですか…」

 

そう言えば、この辺に西木野って名前のついたでかい病院があったような… そりゃ、こんな豪邸な訳だ。

 

「良かったわ、高校に入ってから友達1人、遊びに来ないから、ちょっと心配してて…」

 

ガチャ

 

「ただいま。」

 

ドアを開ける音がして西木野さんが帰ってきた。

 

「誰か来てるの?」

 

「こ、こんにちは…」

 

「よっ、こんにちは。」

 

「お茶入れてくるわね。」

 

俺と小泉さんが挨拶すると、西木野さんのお母さんはお茶を入れに行ってくれた。

 

 

「なんで、先輩までいるんですか…?」

 

「そんなに睨むなよ… あの時は悪かったって。」

 

「別に、もう怒ってなんていませんから!」

 

凄い怒ってんじゃん…

 

「それで、何のよう?」

 

「これ落ちてたから、西木野さんのだよね?」

 

小泉さんが西木野さんの生徒手帳を渡す。

 

「なんで、あなたが?」

 

「ごめんなさい…」

 

「なんで謝るのよ? あ、ありがとう…」

 

「やっぱ、ツンデレか?」

 

「なっ、そんな訳ないでしょ!」

 

「悪かったから、そんなに睨むなよ…」

 

「μ’sのポスター見てた、よね?」

 

「私が?知らないわ?人違いじゃないの?」

 

「でも、これポスターの前に落ちてたし…」

 

「ち、違うの、いっ、いったぁ」

 

西木野は机にぶつかりこけた表紙にスカートの中がチラッと…あっ、白…

 

「大丈夫か?」

 

「へ、平気よ。それより…見た?」

 

「えっ、なっ、何も見てないぞ?うん…白なんて見てないからな…ハッ!?グハッ…」

 

気づいた時には既に遅く、俺は西木野さんの強いパンチをくらった…

 

「この、変態!」

 

「す、すみません…」

 

「まっ、全くあなたが変な事言うから…」

 

「「プッ、プププッ…!」」

 

俺と小泉さんは我慢出来ずに笑ってしまった。

 

「笑わない!」

 

 

「私がスクールアイドルに?」

 

西木野さんは座り、俺達は落ち着いて話す事に。

 

「私、いっつも放課後音楽室の前に行ってたの。西木野さんの歌、聞きたくて…」

 

「私の?」

 

「うんっ。」

 

「私ね、大学は医学部って決めてるの。 だから、私の音楽はもう、終わってるって訳。」

 

「本当にそう思ってんのか?」

 

「えっ?」

 

「本当にそう思ってたら、毎日放課後に音楽室でピアノ弾いたりしないだろ?」

 

「それは…」

 

「俺も、西木野さんのピアノや歌声は好きだぞ?それに、好きでもないとあんなに綺麗な音色は奏でられない。ピアノは、人の気持ちにも大きく関係するからな…だから、例え将来医学部に入るのだとしても、音楽が本当に好きなら、たった1回の高校生活、自分の好きなようにした方が俺はいいと思うぞ?」

 

「私だって、そう、したいわよ…」

 

「だったら、そうすればいいじゃねえか!お前の人生はお前だけのものなんだ!だから、どうするかは西木野が決めろ。」

 

そして、俺と小泉さんは、西木野の家を出た。

 

 

 

「ちょっと、偉そうに言いすぎたかな…」

 

「えっ?」

 

「西木野に、俺なんかが言えることでもないのに…」

 

「そんなことないと思いますよ? 西木野さんに言ってる時の仮野先輩、とてもかっこよかったですよ。」

 

「え?」

 

「あっ、いえ、今のかっこいいは好きとかではなくて…」

 

「分かってるよ、ありがとな。小泉さんのおかげで元気出たよ?」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side真姫〜

 

自分の人生は、自分で決めろか… 確かに私は、先輩の言う通り、音楽が好きだ…でも、やっぱり私は、医者に…

 

「いい先輩をもったわね?」

 

「え?」

 

そんなことを考えてると、ママが部屋に入ってきた。

 

「聞いてたの?」

 

「えぇ、私もあの子の言う通りだと思うわ。真姫の人生は、真姫がやりたいようにするのが1番よ?もし、真姫が音楽を続けたかったり、スクールアイドルをやりたいなら、私は応援するわよ?」

 

「ママ…でも、パパがどう言うか…」

 

「そうねぇ、じゃあ、内緒で始めちゃえば?スクールアイドル、やりたいんでしょ?」

 

「ママは内緒にしててくれるの?」

 

「えぇ、もちろん!ママは真姫のやりたいことならやって欲しいって思ってるから!」

 

「ママ…」

 

「 あっ、それとあの先輩ならいつでもいいわよ!」

 

「えっ?何が?」

 

「真姫の彼氏にするなら。」

 

「なっ、別に私はあの先輩の事なんて!」

 

「はいはい。」

 

ママは私の反論を聞き流して出ていった。

 

もうっ、別に私はあの先輩のことなんて…//

でも、私に言ってくれた時の先輩はかっこよかったな…って、何考えてんのよ、私!

 




とりあえず、今回はここまでです。
真姫の気持ちも、少し優に向いてきてますね… ちなみに、穂乃果と海未とことりも、気づいてはないですが少し優に好意をよせてきてます。

そして、仮面ライダーエグゼイドに登場する仮面ライダークロニクルについて、少し出てきましたね。ラブライブ本編の夏頃になると、エグゼイド本編のゲムデウスのパンデミックから最終回辺りまで、少し書けれたらいいなと思っています!

あと、途中に優がポロっと言っていたパックマン事件は平成ジェネレーションズの時の話で、あの時優も戦いました。進之介にベルトさんを渡したのも優です。

そして、最後に真姫のお母さんが真姫に応援してると言っていましたが、アニメのラブライブでは最初はどうだったか分からないので勝手にそう書きました。なので、このストーリーでは真姫のお母さんは真姫のやりたいことを応援してます!講堂のライブやサニソンのライブとかにも真姫ママはいたので、応援してるはずだと思います!

では、あと1、2話でまきりんぱな編は終わりになると思います!


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16話 3人の新メンバー!

はい、16話です!
今回で真姫、凛、花陽がμ’sに加入します。
では16話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺は今、西木野の家を出て、小泉さんと歩いてる。

 

「さっき、西木野に言ったこと小泉さんもだぞ?」

 

「え?」

 

「小泉。」

 

「はっ、はい。」

 

「本当はやりたいんだろ?スクールアイドル」

 

「で、でも、私なんかに…」

 

「そんなことないぞ、小泉は可愛いし、スクールアイドルに向いてると思うし、その大人しい性格だってスクールアイドルやってるうちに、治るかもしれないぞ?」

 

「で、でも…」

 

「まぁ、無理強いはしないけど、本当に自分がやりたいって思ったら、いつでも来てくれ。あいつらも喜ぶと思うぞ?」

 

「はい!」

 

 

 

しばらく歩いてると、高坂の和菓子屋の前まで来ていた。

 

「あの、お母さんのお土産買いたいので、ちょっと寄っていいですか?」

 

「もちろん。ちなみにそこの店、高坂の家がやってて美味しいぞ?」

 

「そうなんですか?」

 

ガラガラガラ

 

「いらっしゃいませ、あっ、花陽ちゃんに優くん。私、店番あるから、私の部屋で待ってて。」

 

「高坂、トイレ借りていいか?」

 

「うん、いいよ〜」

 

「悪い小泉、階段上がった所の部屋だから待っててくれるか?」

 

「は、はい、分かりました。」

 

 

 

俺がトイレから戻ると、小泉が高坂の妹の部屋の前で戸惑っていた。

 

「悪いそこ、高坂の妹の子の部屋なんだ。」

 

「あっ、そうなんですか…」

 

「高坂の部屋はこっちな。」

 

そう言って高坂の部屋の扉を開けると、

 

「ラーンラララーンラ、ラン!ララララーン! じゃーん、ありがとー!」

 

そう言いながら決めポーズをしている園田が見えたので、すぐにドアを閉めた…

 

「小泉、俺達は何も見なかった。いいな?」

 

「は、はい… でも、もう遅いかも…」

 

小泉がそう言うと、ドアが勢いよくあき園田がそして、高坂の妹の部屋から、高坂の妹が何故かバスタオル1枚で出てきた。

 

「「見ました?」」

 

そしてその後、俺は高坂の妹に叫ばれて殴られ、意識を失った…恐らくバスタオル1枚だったからだろう… しかし、俺は高坂の妹は何していたのか見ていないのだが…

 

 

 

俺が意識を戻すと、小泉が謝っていた。小泉は何も悪くなくないか?

 

「ううん、いいの… こっちこそごめん… でも、海未ちゃんがポーズの練習をしていたなんて、ねぇ〜?」

 

「穂乃果が店番で居なくなるからです!」

 

「おい園田、人のせいにしてはダメだぞ?園田が油断してるから見られたんじゃないのか? なんだっけ…えーと…あっ、じゃーん、ありがとー!だっけ?」

 

俺がニヤニヤしながら言うと、園田が、

 

「優?何か言いましたか?」

 

と、素敵な笑顔で言ってきた…

 

「い、いえ、何でもないです…」

 

 

 

「お邪魔しまーす! あっ…」

 

しばらくすると、南も高坂の家にやって来た。

 

「お、お邪魔してます…」

 

「え、もしかして本当にアイドルに?」

 

「たまたまお店に来たから、ご馳走しようと思って。穂むら名物穂むらまんじゅう、略して穂むまん! 美味しいよ?」

 

「穂乃果ちゃん、パソコン持ってきたよ」

 

「ありがとう、肝心な時に限って壊れちゃうんだ…」

 

「ありましたか?動画は。」

 

「まだ見てないけど、多分ここに…」

 

「あった!」

 

「本当ですか?」

 

「でも、誰が撮ったんだ? すごい再生数だな…」

 

その動画とは、この前のµ’sのファーストライブの様子が映されたものだ。

 

撮ってそうなのっていえば、東條先輩なら裏で色々してくれそうだけど、ドアの外にいて見てなかったし。あとは…矢澤か?アイツなら、あなた達のやってることはアイドルへの冒涜よ!とか言って、それをわからせるためとか言ってやってるかもしれないが、椅子に隠れてじっくり見てたしな…ダメだ…分かんない…

 

「あっ、ごめん花陽ちゃん、そこじゃ見づらくない?」

 

高坂がそう言うが、小泉は動画を真剣に見ていて聞こえていない。

 

「小泉さん!」

 

「は、はい!」

 

「スクールアイドル、本気でやってみない?」

 

「でも私、向いてないですから…」

 

「私だって、人前に出るのは苦手です。向いているとは思えません。」

 

「私も歌を忘れちゃったりするし、運動も苦手なんだ。」

 

「私はすごいおっちょこちょいだよ!」

 

「プロのアイドルなら、この3人は失格かもしれない…けど、スクールアイドルならやりたいって気持ちや自分たちの目標を持って、やって見ることが出来る。それに、スクールアイドルをやってるうちに、ちょっとずつでも自分を変えることが出来るんじゃないか? ある人なんて、決めポーズの練習をするぐらいまで、変わったんだし!」

 

「優?」

 

「すみません冗談です…」

 

ちょっと冗談を言っただけじゃん…

 

「でも優の言う通り、それがスクールアイドルなんだと思います。」

 

「だから、やってみたいって思ったらやってみようよ!」

 

「もっとも、練習は厳しいですが!」

 

「海未ちゃん…」

 

「失礼…」

 

「ゆっくり考えて、答え聞かせて?」

 

「私たちはいつでも待ってるから!」

 

とりあえず、小泉さんの返事は保留という事になった。

 

 

 

そして、翌日の放課後。

俺達は今練習の休憩中だ。すると、西木野と星空さんが小泉を連れてきた。

 

「つまり、メンバーになるってこと?」

 

「はい、かよちんはずっとずっと前からアイドルやってみたいって思ってたんです!」

 

「そんなことはどうでもよくて、この子は結構歌唱力あるんです!」

 

「どうでもいいってどういうこと!」

 

「言葉通りの意味よ。」

 

いきなり言い合いを始める星空さんと西木野。

 

「わ、私はまだ、なんというか…」

 

「もう、いつまで迷ってるの!絶対やった方がいいの!」

 

「それには、賛成!やってみたい気持ちがあるならやってみた方がいいわ!」

 

2人とも、小泉をµ’sに入れるために来たようだ。

 

「で、でも…」

 

「さっきも言ったでしょ!声出すなんて簡単!あなただったら出来るわ!」

 

「凛は知ってるよ。かよちんがずっとずっとアイドルになりたいって思ってたこと!」

 

「凛ちゃん… 西木野さん…」

 

「頑張って、凛がずっと付いててあげるから!」

 

「私も少しは応援してあげるって言ったでしょ?」

 

「えっと… 私… 小泉… 」

 

小泉がまだ少し迷っているところで、西木野と星空さんが背中を押してあげた。

 

「私、小泉花陽と言います!1年生で、背も小さくて、声も小さくて、人見知りで、得意なものも何もないです…でもっ、アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです!だから、μ’sのメンバーにしてください!」

 

そう言って、頭を下げる小泉に高坂は、

 

「こちらこそ、よろしく!」

 

手を差し伸べた。 その高坂の手を小泉は握った。

 

「かよちん、偉いよ〜」

 

「何、泣いてるのよ?」

 

「だって… って、あれ?西木野さんも泣いてる?」

 

「だ、誰が、泣いてなんかないわよ!」

 

「それで、2人はどうするの?」

 

「「え?どうするって、えっ?」」

 

すごい、シンクロだな。打ち合わせでもしてたのか?

 

「まだまだ、メンバーは募集中ですよ!」

 

西木野と星空も、µ’sに入る事に…こうして、μ’sのメンバーは6人となった。

 

 

 

 

翌日、朝練のために神田明神に来ると、もう小泉、西木野、星空が来ていて、

 

「真姫ちゃーん!真姫ちゃん、真姫ちゃん、真姫ちゃーん!」

 

と、星空が騒いでいた。

 

「おはよう!早いな?星空は何騒いでんだ?」

 

俺の問いに、

 

「あっ、真姫ちゃんが名前で呼んでって言ったから…」

 

小泉が答えた。

 

「そういうことか。って小泉、メガネとったのか?」

 

「は、はい。変、ですか…?」

 

「いや、すっげぇ似合ってるぞ!」

 

「あ、ありがとうございます。先輩、ちょっと汗かいてますけど、どうしたんですか?」

 

「あぁ、俺いつも朝練前にランニングしてるんだよ。」

 

「えっ、でも、優先輩も穂乃果先輩達と同じ練習メニューしてるって聞いたんですけど、しんどくないんですか?」

 

いつの間にか、さっきまで騒いでいた星空が俺たちの所へ来て、そう聞いてきた。

 

「まぁ、俺はもっともっと体力つけないとダメだからな!」

 

「え、でも先輩はアイドル活動も運動とかもしてなかったんじゃ?」

 

「あー、それは…まぁ、色々あるんだよ。」

 

みんな、同じ事聞いてくるな…でも、口が滑っても仮面ライダーだからだ!とは絶対に言えない…

 

「ふーん、あっ、そうだ!優先輩も私たちのこと名前で呼んでくださいよ!」

 

「……うーん…悪い、今はまだ無理かな。」

 

「え、なんでよ?私たちのこと嫌いなわけ?」

 

と、西木野が聞いてきた。

 

「いや、そういう訳じゃないけど…ほら、俺、高坂達のこともまだ名前で呼んでないし…じゃあ、俺はちょっと準備してくるわ。」

 

俺はそう言って、逃げるように去って行った。

 

悪い、俺はお前達の事を名前で呼ぶことはないだろう…俺はもう、あまり人とは関わってはいけないから…

俺とお前達との関係は、あくまでアイドルとマネージャー。それ以上、仲良くなるとお前達まで危険にしてしまうかもしれない…もう、あんな悲劇を、起こさないためにも…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side花陽〜

 

優先輩は、逃げるように準備へ行ってしまった…

 

「そう言われてみると、優先輩が名前で呼んでる人って聞いたことないにゃ。」

 

「そういえばそうね。私たちはまだ、あの先輩の事をよく知らないからなんとも言えないけど…」

 

と、凛ちゃんと真姫ちゃんが言った。

 

確かに私たちは、先輩の事をよく知らないけど、優先輩が名前で呼べないと言った時の表情はとても悲しそうだった。




はい、今回でまきりんぱなの3人がμ’sに入りました。
そして、優がみんなを名前で呼ばない理由、とはなんなのでしょうか…
それと、ライブ映像を誰が出したのかを考えている時に、優が矢澤と言っていたのですが、優は元生徒会副会長ということもあり、にこがスクールアイドルだったことを知っています。
それと、途中の真姫と凛が花陽を連れてくるまでの経緯は省きました。このストーリーでは、ほぼ優視点なので優が関係せず、アニメとあまり変わらないところは省くことが多いかもしれません…すみません…
では、次回はにこ加入編です!


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17話 にこ襲来!

はい、17話です。
今回からにこ加入編です。
では17話、スタートです!


 

〜side 優〜

 

俺は今日、珍しく寝坊してしまい、ランニングをせずにダッシュで神田明神に向かっている。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、悪い遅れた…」

 

「ううん、大丈夫だよ!」

 

「そうか、悪い… で、南… 高坂はなんで頭抑えて倒れてんだ?」

 

「あぁ、それはね… さっき、黒髪でツインテールの女の人が来て、穂乃果ちゃんにデコピンして「あんた達、とっとと解散しなさい!」って言ってどこかへ行っちゃったんだ…」

 

「ん、黒髪でツインテールに解散?」

 

待てよ…黒髪でツインテールの女の人が、解散しなさいって言ってきたってもしかして…

 

「どうしたの、心当たりある?」

 

「いや、ちょっと気になっただけだ…」

 

 

 

そして、その日の放課後…

 

「それでは、メンバーを新たに加えた、μ’sの練習を始めたいと思います!」

 

「いつまで、言ってるんですか?それはもう2週間も前の話ですよ?」

 

「だって、嬉しいんだもん! なので、いつも恒例の…いち!」

 

「にっ!」

 

「さん!」

 

「よん!」

 

「ごっ!」

 

「ろく!」

 

と、高坂、南、園田、西木野、小泉、星空の順で言った。

 

「ちょっと、優くんも言ってよ!」

 

「なんで、俺まで… 俺はメンバーじゃないんたぞ?」

 

「なんでよ!優くんは踊らなくてもμ’sの立派なメンバーだよ!それに、ファーストライブの時だって言ったじゃん!」

 

「うっ、分かったよ! なな!」

 

「くぅ〜!7人だよ、7人!アイドルグループみたいだよねぇ!いつかこの7人が、神セブンとか、仏セブンとか言われるのかな?」

 

「仏だと、死んじゃってるにみたいだけど…」

 

「それに、俺もステージには上がらないから、言われたとしてもシックスだろ。」

 

「まぁ、そうかもだけど…」

 

「毎日同じことで感動できるなんて羨ましいニャー。」

 

「えへへ、そうかな?」

 

おい高坂、それ褒められてないぞ。

 

「私、賑やかなの大好きでしょ!それに、沢山いれば歌が下手でも目立たないでしょ!あと、ダンスを失敗しても「穂乃果?」冗談、冗談…」

 

「そうだよ、ちゃんとしないと今朝みたいに怒られちゃうよ…」

 

「解散しなさいって言われたんでしたっけ?」

 

「でも、それだけ有名になったってことだよね?」

 

「それより練習、どんどん時間なくなるわよ?」

 

「おぉ!真姫ちゃん、やる気満々だニャー!」

 

「べ、別に!私はとっととやって早く帰りたいの!」

 

「またまた、お昼休み見たよ〜?1人で練習してるの?」

 

「なっ、あれはただ、この前やったステップがカッコ悪かったから、変えようとしてたのよ!あまりにも酷かったから…」

 

星空が言った事に、髪をくるくるさせながら言う西木野。

ほんと、ツンデレだな… って、この前やったステップってもしかして…

 

「そうですか… 私が考えたのですが…」

 

「ヴェ!」

 

園田が凄い顔でそう言った事に、流石の西木野もしまったと思ったみたいだ。やっぱり、園田が考えたのか…

 

「まぁ園田、西木野はちょっとした照れ隠しだよ…」

 

「なっ、別に照れ隠しなんて…」

 

「でも、確かにメンバーでステップを変える提案をするのも、いいかもな!」

 

「優、やっぱりあなたも私の考えたステップが変だと思ったのですね…」

 

「いや、違うって… 園田のステップじゃなくて、全体的な話で…」

 

「気にすることないニャー!それより、練習行っくニャー!」

 

星空がそう言った瞬間、雨が降ってきた…

 

「雨だ… 土砂降り…」

 

「梅雨入りしたって言ってたもんね…」

 

「それにしても、降りすぎだよ… 降水確率60%って言ってたのに…」

 

「60%なら降ってもおかしくないだろ?」

 

「でも、昨日も一昨日も60%だったのに、降らなかったよ!」

 

「はぁ、あのな60%じゃ、降るかもしれないし、降らないかもしれない、どっちでもおかしくないんだよ…」

 

高坂、お前はもうちょっと頭を使いなさい…その時、雨が少しずつ止んできた。

 

「あっ、雨少し弱くなったかも…」

 

「ホントだ!やっぱり確率だよ!良かった!」

 

「このくらいなら練習できるニャ!」

 

「ですが、下が濡れていて滑りやすいですし、またいつ降り出すかも…」

 

「大丈夫、大丈夫!練習できるよ!」

 

高坂がそう言って、星空と2人で飛び出して行った。

 

「うぅ、テンション上がるニャー!」

 

そう言って、星空が前転や、前宙などをしながら走り回っている。 あの濡れた地面の中、よくあんな動きできるな…

 

そして、一通りの動きを終えた星空が、決めポーズを決めた瞬間、また雨が降ってきた。 逆にすごいタイミングだな…

 

「私、帰る!」

 

呆れた西木野がそう言うと、

 

「わっ、私も今日は…」

 

「そうね、また明日にしようか?」

 

みんなも次々に帰ろうとしていく。

 

「えぇ、帰っちゃうの?」

 

「それじゃ、凛たちがバカみたいだニャー!」

 

「「バカなんだ(です)!」」

 

 

 

俺達は結局、今日は練習が無理だと思いワクドナルドに来ていた。

 

「ハムッ、モグモグモグモグ…」

 

「穂乃果。ストレスを食欲にぶつけると、大変なことになりますよ。」

 

「お前はただでさえ、スクールアイドルなんだから…」

 

「雨、なんで止まないの!」

 

顔を膨らませながら言う高坂。

 

「そんなのは、神様に聞けよ。」

 

「優先輩は神様って信じてるんですか?」

 

「んんー…、まぁ、いてもおかしくは無いかなって…」

 

だって俺、女神様に転生させてもらってるし。とは言えないよなぁ…

 

「凛、何言ってるの?神様はいるに決まってるでしょ?」

 

と、西木野が真顔で答えてきた。まさか、西木野って転生者か?って、んなわけないか。

 

「真姫ちゃんが信じてるなんて意外だニャー!」

 

そんな、話をしていると…

 

「うわぁぁぁ!ウンチ!ウンチ!」

 

「うるさい!」

 

と、聞こえてきた… ここは、食べ物を食べるところなんだからそういうことは言っちゃダメでしょ…というか、さっきの「うるさい!」って声、どっかで聞き覚えのあるような…

 

「穂乃果ちゃーん、さっき予報見たら明日も雨だって…」

 

「えぇ!」

 

ん?今、高坂の隣の仕切りの向こうの客、高坂のポテト取らなかったか?

 

「あれ?なくなった… 海未ちゃん、食べたでしょ!?」

 

やっぱり、隣の客取ったか?

 

「自分の食べた分も忘れたのですか!?全く…あっ、穂乃果こそ!」

 

「私は食べてないよ!」

 

「そんなことより、練習場所でしょ?教室とか借りられないの?」

 

「うん、前に先生に頼んだんだけど、ちゃんとした部活じゃないと、許可できないって…」

 

「そうなんだよね… 部員が5人いれば、ちゃんとした部活として認めてもらえるんだけど…」

 

ん、5人?あれ、今って…

 

「おい、高坂… 今、俺を含んでも含まなくても5人以上いないか?」

 

「あっ、そうだ!忘れてた!部活申請すればいいんじゃん!」

 

「忘れてたんかーい!!」

 

高坂が言った言葉に、突然隣にいた客がツッコミを入れてきた…ってあれ、矢澤じゃないか?

 

「今のは?」

 

「それより、忘れてたってどういうこと?」

 

知らない人が突っ込んできたのに、それよりで済ませちゃっていいのか…?

 

「いや、メンバー集まったら安心しちゃって…」

 

「この人達ダメかも…」

 

西木野…否定は出来ないけど…

 

「よし!明日早速、部活申請しよう! はぁ、ホットしたらお腹減ってきちゃった、さぁて…」

 

高坂がハンバーガーを食べようとすると、隣の客が取ろうとしているところを見てしまい、それに気づいた隣の客は、そっとバーガーを置いた… いや、もう遅いぞ…

 

「ちょっと!」

 

「解散しろって言ったでしょ!」

 

やっぱり、解散しろって言ったのもこいつか…

 

「解散!?」

 

「そんなことより、食べたポテト返して!」

 

「そっち!?」

 

「あーん」

 

と、憎たらしそうに口を開ける矢澤…

 

「買って返してよ!」

 

「あんた達、歌もダンスも全然なってない!プロ意識が足りないわ!いい、あんた達がやってる事はアイドルへの冒涜、恥よ!さっさとやめる事ね!」

 

そう言って、矢澤は走り去った…

 

「何やってんだ、あいつは…」

 

「優、知り合いなのですか?」

 

「まぁ、ちょっとな…」

 

 

 

そして、翌日の放課後、俺、高坂、園田、南の4人で部活申請書を生徒会室に持ってきたのだが…

 

「アイドル研究部!?」

 

「そうよ、もうこの学校にはアイドルに関する部活が存在します。」

 

「まぁ、部員は1人やけど。」

 

「えっ、でもこの前、部活には5人以上って…」

 

「設立する時は5人必要やけど、その後は何人になってもいい決まりやから。」

 

「生徒の数が限られている今、イタズラに部を増やすことはしたくないの。だからこの話はこれで終わり…」

 

「にしたくなかったらアイドル研究部と話を付けてくることやな。」

 

絢瀬先輩の言葉を遮り、東條先輩がそう言った。

 

「ちょっと希!というか、アイドル研究部の事をあなたは知っていたんじゃないの?仮野くん。」

 

「えっ、優くん知ってたの?」

 

「あぁ、知ってたけど…だからこそ黙ってたんだよ。絢瀬先輩、あなたなら知ってるでしょ?あいつがあの事でどれだけの傷を負ったか。」

 

「そんなこと、私には関係ないわ。」

 

「あんた、それでも生徒会長かよ…もういい、だったらアイドル研究部と話をつけてきますよ!」

 

そう言い、俺は生徒会室を出た。俺に続いてほかの3人も出てきた。

 

「優くん、アイドル研究部って何があったの?」

 

「優、何か怒っているようですが…」

 

「悪い、俺からは言えない…」

 

「そっか… じゃあ、アイドル研究部に行ってみよっか!」

 

「この際、μ’sとして矢澤も再スタートするのもいいかもな…まぁ、本人の気持ち次第だが…」

 

俺は小さくそう呟いた。俺達はアイドル研究部へ向かった…

〜side out〜

 

 

 

〜side絵里〜

 

私は今、仮野くんに言われた事がどうしても頭から離れなかった。

 

「絵里ち… ウチもさっきの発言はあかんと思うよ?」

 

「希…」

 

「絵里ちとウチが生徒会長、副会長になるときの顔合わせで茜ちゃんがウチらに言ったこと、覚えとる?」

 

「まぁ…」

 

「優くんは茜ちゃんの分まで、生徒会に入っていない今でも茜ちゃんの言ったことをやろうと思ったんやと思うよ?」

 

私は希の言葉を聞いて、少し考えを直した…




はい、次回でにこ加入編を終わるつもりです。
そして、絵里が茜に言われたこととはなんなのでしょうか?それは、絵里がμ’sに加入する時にわかる予定です。(予定なので、まだ分かりませんが…)
では、次回も見てくれると嬉しいです!


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18話 にこ加入!

18話です。
今回でにこ加入編は終わりです。
では18話、スタートです!


〜side 優〜

 

生徒会室に行った後、俺達7人はアイドル研究部の前に来ていた。

 

「優くん、アイドル研究部の部長さんってこの人だったの?」

 

「あれ、言ってなかったけ?」

 

「聞いてないよ!」

 

そう、俺達はアイドル研究部の部長である矢澤にこと部室の前で鉢合わせたのだ。

 

「うぅ、うやぁぁぁぁ!」

 

すると、矢澤が高坂に片手猫パンチのような攻撃?をした。その隙に矢澤はアイドル研究部の部室へ入り、鍵を閉めた。

 

「部長さん!開けてください!部長さん!」

 

「外から行くニャー!」

 

そう言って星空が矢澤を追っかけて行った。

 

 

しばらくすると、星空が矢澤をアイドル研究部の部室まで連れてきた。

 

部室の中は、アイドルのグッズやポスターでいっぱいだ。俺は見たことがあるので驚かなかったが、他のメンバーが驚いていた。特に小泉が…

 

「こ、ここ、これは… 伝説のアイドル伝説、DVD全巻ボックス! 持ってる人に初めて会いました!」

 

「そ、そう?」

 

「へぇ〜、そんなに凄いんだぁ」

 

「知らないんですか!? 伝説のアイドル伝説とは…」

 

小泉、すごいキャラ変わってないか? その後、小泉は伝説のアイドル伝説について、色々と説明していた。

そんな中、南が誰かのサインをじっくり見ている。

 

「あぁ、気づいた?秋葉のカリスマメイド、ミナリンスキーのサインよ!」

 

南が見ていたサインに気づき、矢澤が自慢げに語る。

 

「ことり、知っているのですか?」

 

「い、いやぁ…」

 

「まぁ、ネットで手に入れたものだから、本人の姿は見たことないけどね。」

 

「せっかく書いたサインをネットで売られるなんて、本人が見たら悲しいだろうな…」

 

「そ、そうだねぇ…」

 

そう言う南は、どこかホッとしたような顔だが、なんとも気まずそうな、複雑な顔をしていた。どうしたんだ?

 

「それで、何しに来たの?」

 

「アイドル研究部さん!」

 

「にこよ。」

 

「にこ先輩!実は私たち、スクールアイドルをやっておりまして…」

 

「知ってる。どうせ、希に部にしたいなら話つけて来いって言われたんでしょ?」

 

「おぉ、話が早い!ならっ。」

 

「お断りよ!」

 

「私達はμ’sとして、活動する場所が欲しいだけなのです。なので、ここを廃部にして欲しいというわけではなく…」

 

即答した矢澤に、園田が付け足して言うが…

 

「お断りって言ってるの!言ったでしょ、あんた達はアイドルを汚しているの。」

 

「でも、ずっと練習してきたから、歌もダンスも!」

 

「そういう事じゃない… あんた達、ちゃんとキャラ作りしてるの?」

 

「キャラ?」

 

「お客さんがアイドルに求めるものは、楽しい夢のような時間でしょ!だったらそれにふさわしいキャラってものがあるの! ったく、しょうがないわね…いい、例えば…」

 

まさか、あれをやるのか?

 

「にっこにっこにー!あなたのハートににっこにこにー!笑顔届ける矢澤にこにこー!にこにーって覚えてラブにこっ!」

 

やっぱり、お得意の『にっこにっこにー』か。

これを見た、みんなの反応はそれぞれ。

 

「うっ、」

「これは…」

「キャラというか…」

「私、無理…」

「ちょっと寒くないかニャー?」

「フムフム…」

「おぉ!やっぱりそのキャラは続いてるんだな!」

 

上から順に、高坂、園田、南、西木野、星空、小泉、そして、俺の順で言った。

 

「そこの、あんた!今、寒いって?」

 

「いや、すっごい可愛かったです!」

 

矢澤の言葉に、焦って言う星空。

 

「あっ、でも、これもいいかも!」

 

「そうですね、お客様を楽しませるための努力は大事です!」

 

「素晴らしい!さすがにこ先輩!」

 

「よし!そのくらい私だって「出てって。」え?」

 

矢澤の真似をしようとしたであろう高坂を遮り、矢澤が冷たく、悲しそうな声で言った。

 

「とにかく話は終わりよ!とにかく出てって!」

 

そう言われ、高坂たち6人は追い出された。まぁ、あんなこと言われたら追い出すわな…

ちなみに俺は、椅子に座ったまま気づかれなかった。

 

「って、何であんたは残ってるのよ!」

 

「だって、気づかれなかったし。」

 

「やっぱり、あんたも変だと思う?」

 

「何がだ?」

 

「あのキャラよ!」

 

「全く。」

 

「えっ?」

 

「前にも、言ったろ?俺は全く変とは思わない。むしろ、すごいと思うぞ?矢澤の純粋にアイドルが好きな気持ちで、純粋にお客さんを楽しませたい気持ちで、キャラを作ることはとても凄いと思うぞ?だから、あいつらも悪気があった訳じゃないんだ…だからそこは代わりに謝る。悪かった!」

 

「べ、別にあんたに謝ってもらわなくてもいいわよ!そう言えば、あんたとあの子は初めてこのキャラを見せた時も褒めてきたわね…」

 

「あの子って、茜のことか?」

 

「えぇ、やっぱり、悪いことしちゃったかしらね。 最初はアイドル研究部に入れて欲しいって言って近づいてきたけど、断ったあとも、1人でいる私を思って何度も話しかけてくれたりした。私が、もう少し早く決めていれば、茜と一緒に…」

 

「そんなことねぇよ…あいつも俺も、お前がアイドル研究部であったことは知ってるから、別に怒ったりしてねぇよ。」

 

「そういえぱ、あの子の…茜の連絡先、知ってる?」

 

「へ?」

 

「いや、2年の3学期になると、転校してたでしょ?あんたなら、仲良かったし、連絡先知ってるかなって。だから、せめて気にかけてくれてありがとうってを、ちゃんと伝えておきたかったの。それと、ごめんなさいって。」

 

「……分かった、伝えとくよ…」

 

「ありがとう。」

 

「じゃあ、邪魔して悪かったな」

 

俺はそう言い、部室を出た。

 

〜side out〜

 

 

〜sideにこ〜

 

やっぱり、あいつはキャラのことを変だとか言わず、真っ直ぐ凄いって言ってくれた。そんなの、家族以外じゃ、あいつと茜ぐらいだった。

 

私はそれが凄い嬉しかった。なのに、2人に嫌な態度を取ってしまった…でも今日、謝ることができて、茜にも伝えてもらうことができた。これで、少しは気持ちが伝わったかしら。

 

けど、茜に伝えてって言った時のあいつの…優の表情はどこか暗かったような気がしたわね。

 

そういえば、優と茜って付き合っていたって噂があったわね。本人達は否定してたけど、結局どうなのかしら?付き合ってとしたら、今も付き合ってるのかしら…そう思うと胸がすこしチクッとした。

 

なんでだろう…まさか!?いやいや、そんな訳ない!このスーパーアイドルのにこにーが、恋なんてするわけないわ!

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

俺がアイドル研究部の部室を出ていくと、下駄箱に高坂、園田、南、の三人が少し暗い表情で立っていた。

 

「聞いたのか?」

 

「うん… 東條先輩から…」

 

「そっか…」

 

「なかなか、難しそうだね。にこ先輩…」

 

「そうですね… 先輩の理想は高いですから、私たちのパフォーマンスでは納得してくれそうにありませんし… 説得に耳を貸してくれる様子もありません…」

 

「そうかな…?にこ先輩はアイドルが好きなんでしょ?それで、アイドルに憧れて、私たちにもちょっと興味があるんだよね?」

 

「うん。」

 

「それって、ほんのちょっと何かあれば、うまく行きそうな気がするんだけど…」

 

「具体性に乏しいですね…」

 

すると、矢澤が階段に隠れて俺たちの様子を見ていた。

 

「今の…」

 

「多分…」

 

「だろうな…」

 

「どうします?」

 

「声掛けたら、また逃げちゃいそうだし…」

 

「うーん、あっ!フフッ…」

 

すると、なにか思いついたように高坂が言い、笑った。

 

「どうかしましたか?」

 

「これって、海未ちゃんと一緒じゃない?ほら、海未ちゃんと知り合った時。」

 

「そんな事ありましたっけ?」

 

「海未ちゃん、すっごい恥ずかしがり屋さんだったからぁ。」

 

「それが、今の状況と何か関係あるんですか!」

 

高坂の言葉に、恥ずかしそうに言う園田。

 

「うん、ねっ!」

 

「あぁ、あの時の!」

 

「ん、何があったんだ?」

 

「それはね、ちょっと耳貸して… ゴニョゴニョ…」

 

「なるほど、そういうことか!でも、それじゃあ部室の鍵いらないか?」

 

「あっ、確かに…どうしよう…」

 

「まぁ、それは、俺に任せてくれ!ちょっと学校戻るから、先帰っててくれ」

 

「あっ、うん、分かった。また明日ね!」

 

「おう!じゃあな!」

 

そう言い、俺は校舎に戻った。

 

 

 

翌日の放課後。俺達は今、アイドル研究部の部室にいる。理由は矢澤をμ’sのメンバーにするためだ。

 

すると、部室のドアが開いた。

 

「「「「「「「お疲れ様でーす!」」」」」」」

 

「なっ!?」

 

「お茶です、部長!」

 

「部長!?」

 

「今年の予算表になります、部長!」

 

「部長、ここにあったグッズ、邪魔だったんで棚に移動しておきました!」

 

「こら、勝手に!」

 

「参考にちょっと貸して、部長のオススメの曲。 」

 

「なら迷わず伝伝伝を!」

 

「あぁ、だからそれは!」

 

「ところで、次の曲の相談をしたいのですが、部長!」

 

「次は、さらにアイドルを意識した方がいいかと思いまして…」

 

「それと、振り付けも何かいいのがあったら!」

 

「こんなことで、押し切れると思ってるの?」

 

高坂達の突然の行動に、戸惑いながら聞く矢澤。

 

「押し切る?私はただ、相談してるだけです。音ノ木坂アイドル研究部所属、μ’s7人が歌う、次の曲を。」

 

「7人?」

 

「もちろん、俺は歌わないから入ってないぞ? 矢澤、この6人は絶対にあんなことをしたりしない!だから…」

 

「μ’sに入ってください!にこ先輩!」

 

「厳しいわよ?」

 

「分かってます!アイドルへの道が厳しいことぐらい!」

 

「分かってない!あんたも甘々!あんたも、あんたも、あんた達も!それに優も!」

 

「俺は、アイドルではなくマネージャーなんだが…」

 

「いい、アイドルってのは笑顔を見せる仕事じゃない!笑顔にさせる仕事なの!それをよーく、自覚しなさい!」

 

 

 

そして、俺は高坂達7人が練習してる間に、アイドル研究部への入部届けを7人分持ってきた。

 

「これ、言った通りアイドル研究部と話をつけてきましたよ?」

 

「そう…」

 

「じゃあ、話はこれだけなので。」

 

俺は前の絢瀬先輩の態度が許せず、トゲのある言い方をしてしまった。その時、

 

「待って!」

 

絢瀬先輩から呼び止められた。

 

「なんですか?まさか、入部まで認めないって言うつもりですか?」

 

「いえ、そうじゃなくて… この前は、ごめんなさい…矢澤さんの気持ちも考えずに、無神経な事を言ってしまって…」

 

正直驚いた… まさか、あの生徒会長の絢瀬先輩が謝るなんて。

 

「なに?その顔は?」

 

「いえ、まさか絢瀬先輩が謝るとは思わなくて…」

 

「私だって、人間よ!だから、自分が悪いことをしたのなら、謝るわよ…」

 

「そうですか。」

 

「でも、私はまだアイドル活動については認めないわ!話はそれだけよ。」

 

「わ、分かりました。 失礼します。」

 

結局、アイドルについては、認めないのかよ…そう思いながら生徒会室を出ていって、屋上へ向かった。

 

 

 

屋上につくと、何故か全員でにっこにっこにー!の練習をしていた。

 

「あっ、優、来たわね!あなたもやりなさい!」

 

「いや、なんでだよ!何度も言うが、俺はアイドルじゃなくて、マネージャーだぞ?」

 

「マネージャーは、アイドルを支えるためにあるのよ!だったらあんたもしなさい!」

 

「そんな理不尽な!」

 

すると、矢澤は俺の腕を引っ張ってきた… その時の矢澤の顔は、今まで見たこともないような、楽しそうな笑顔だった。

 

良かったな、矢澤…




はい、今回でにこ加入編は終わりです!
にこも、少し優に気持ちを寄せていますね。もちろん優はそんなこと全く気づいていませんが…
そして、今思うと本編に入ってからまだ1回しか変身してませんね…
ラブライブ本編の途中に怪人を出そうと思っているのですが、なかなかうまく行きません!
できるだけ、ライダーに変身するシーンも作れるよう、頑張ります!


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19話 センターは誰だ?

はい、19話です…
今回、1話でリーダー決定編を書いてしまいたいと思います!
では19話、スタートです!


〜side 優〜

 

「リーダーには誰がふさわしいか、だいたい私が部長についた時点で考え直すべきだっのよ。」

 

今、俺達はアイドル研究部の部室でリーダーについて考え直している。

 

何故こんなことになったのかと言うと、昨日の放課後にまで遡る…

 

 

 

放課後、東條先輩が生徒会の部活動紹介のビデオを取りたいと取材に来ていた。

 

「はい、笑って?」

 

「えぇ、あはぁ…」

 

「じゃあ、決めポーズ!」

 

「えぇ、じゃあ…」

 

星空に言われ、決めポーズをとる高坂…てかそれ、ボ〇ト選手の真似か?なんでそれなんだよ。それと、星空はなんでカメラマン側なんだ?

 

「はい、オッケー!じゃあ、次は…海未先輩ね!」

 

「えぇ、ちょっ、なんなんです!?失礼ですよ、いきなり!」

 

いきなりカメラを向けられた園田は、恥ずかしがりながら慌てている。

 

「ごめんごめん。実は生徒会で部活動の紹介するビデオを取ることになって、その取材をしてるところなんよ。」

 

「取材?」

 

「ねっ、ねっ!面白そうでしょ?」

 

だから、なんで星空はカメラマンしてるんだよ。

 

「最近、スクールアイドルは流行ってるし、μ’sとしては悪い話じゃないと思うけど?」

 

「わ、私は嫌です!そ、そんなカメラに映るなんて!」

 

「なんだよ、園田。カメラに向かって、お得意のラブアローシュートで見てる人イチコロにしちまえよ〜」

 

ニヤニヤしながら俺がそう言うと、園田は無言で近づいてきて…

 

「ふんっ!」

 

「グハッ…!?」

 

強烈なパンチをしてきた。ぐっ…いってぇ…ちょっと、いじっただけじゃん…俺、最近園田に殴られたり、睨まれること多くないか…そう思いながら俺は、意識を落とした…

 

 

俺が目が覚めると、みんなは部室に戻ってるね!という置き書きを残し、部室に戻っていた。冷たい…

 

 

俺も部室に戻ると、高坂達は何かの動画を見ていた。

 

「スクールアイドルと言えど、学生である。プロのように時間外で授業を受けたり、早退が許される訳ではない。よって授業中、居眠りをすることもある。昼食をしっかりとってから、ふただび熟睡。そして、先生に発見されるという1日であった。

 

これがスクールアイドルとはいえ、まだ若干16歳、高坂穂乃果のありのままの姿である…」

 

「ありのまま過ぎるよ!ていうか、いつの間に撮ったの!?」

 

「うまく撮れてたよ?ことり先輩?」

 

「ありがとう〜。こっそり撮るの、ドキドキしちゃった…」

「えぇ!ことりちゃんが!?酷いよ〜!」

 

南って、おっとり癒し系かと思ってたけど…なかなかの腹黒、小悪魔系女子かもな…そんなことを思っていると、

 

「優くん、なにか失礼なこと考えてなかった?」

 

「そ、そんな訳ないだろ!」

 

と、南が普段通りのはずなのに、とても怖く感じる笑顔で言ってきた。なんで、分かったの!?俺はこの時、南には逆らわないでおこうと思った…

 

「普段だらけてるから、そうなるのです。これからは…「さっすが海未ちゃん!」ん?」

 

高坂を注意しようと園田が言うが、高坂はそれを遮って見ているビデオの感想を言う。

高坂が見てるビデオには、真面目に弓道の練習をしている園田の姿が…と思いきや、可愛い笑顔の練習をしてる園田が映っていた。さっきは冗談で言ったが、もし園田が急に性格が変わってラブアローシュートしてきたら、命に関わるかもな…ギャップ萌えというやつだ。

 

「プッ、プライバシーの侵害です!」

 

まぁ、今のままじゃラブアローシュートの心配はなさそうだ。

 

「よし!こうなったら、ことりちゃんのプライバシーも…んっ、何だろこれ?」

 

高坂がカバンを開けると、何かを見つけたようだがすぐに南にカバンを取られてしまっていた。

 

「ことりちゃん、どうしたの?」

 

「ナンデモナイノヨ」

 

「そんなに、慌てると余計怪しいぞ?」

 

「ナンデモナイノヨ、ナンデモ… そう言えば、優くんのプライバシーはないの?」

 

「俺の?俺はないだろ…」

 

「いや、あるんよ?」

 

「え、あるんですか!?」

 

「うん、優くんの1日はウチが昨日撮ってきたんや。」

 

「それで、昨日妙に視線を感じたのか…」

 

すると、東條先輩が映し出した映像には、朝、4時半に家を出てランニング、途中でコンビニでパンを買って、神田明神に5時過ぎにつき、ストレッチと筋トレをして、みんなが来るとみんなと練習している、俺が映っていた…これ、見て面白いか…?

 

「う、嘘?」

 

「優は、ほとんど1番に来てると思ったら…」

 

「こんなに早くから運動してたなんて…」

 

「なっ、凄いやろ?」

 

「そんなに、驚くものか?俺の日課のようなもんだぞ?」

 

「いえ、これは流石に驚きますよ…でも、優は何故こんなにトレーニングをしているのですか?」

 

「前にも言ったろ?色々あるんだよ。」

 

俺のトレーニングってそんなにすごいのか…?

 

「完成したら、各部に確認してもらうから、問題あったらその時に…」

 

「えぇ、その前に生徒会長が見たら…」

 

『困ります。あなたのせいで音ノ木坂の生徒が怠け者の集団に見られてるのよ。』

 

「うぅ…」

 

「まぁ、そこは何とかしてもらうとして。」

 

「えぇ、希先輩、何とかしてくれないんですか!?」

 

「そうしたいんやけど、ウチに出来るのは誰かを支えてあげることだけ。」

 

「支える?」

 

そう言われてると、東條先輩はどこか引いて物事を見ていて、隠れてサポートなどをすることが多い気がするな。

 

「まぁ、ウチの話はええやん!さぁ、次は…」

 

ガチャン!

 

「あっ、にこ先輩!」

 

すると、矢澤が息を切らしてすごい顔でやってきた。スクールアイドルなのに、そんな顔してていいのかよ…

 

「はぁ…はぁ…はぁ…取材が来るって本当?」

 

「もう来てますよ!」

 

そう言われた、矢澤は一瞬で息を整えた。

 

「にっこにっこにー!みんなの元気ににこにこにー!の矢澤にこでーすっ!えぇーっとぉ、好きな食べ物はぁ…「ごめん、そういうのいらないわ…」えぇ…」

 

「部活動の生徒の素顔に迫るって感じにしたいんだって!」

 

「素顔…あぁ、オッケーオッケー!そっちの方ね…ちょーっと待ってねぇ…」

 

と言い、リボンを外す矢澤。

 

「いつも?いつもはこんな感じなんです…アイドル研究部の時のにこは、もう1人の私…」

 

「長くなりそうやし、今の間に出よか…」

 

東條先輩がそう言うと、みんなは部室を出た。部室を出て、しばらくすると「っていないし!」と、聞こえてきたが気にしないことにした。

 

 

 

そして、その後は1年生にインタビューをし、練習風景を撮影するため、屋上に行った。

 

「ワン!ツー!スリー!フォー!ファイブ!シックス!セブン!エイト!… 小泉はちょっと遅いぞ!」

 

「は、はい!」

 

「逆に星空はちょっと早いぞ!」

 

「はい!」

 

「ちゃんとやりなさいよー!」

 

「そういう矢澤も、昨日言ったステップ間違ってるぞ!」

 

「わ、分かってるわよ!」

 

「西木野、動きをもっと大きく!」

 

「はい!」

 

「高坂、疲れてきたか?」

 

「まだまだ!」

 

「園田、まだちょっと恥ずかしさが出てるぞ!」

 

「は、はい!」

 

「南、今の動き良かったから、忘れるなよ!」

 

「うん!」

 

「よし、ラスト行くぞー!」

 

こうして、俺たちの練習風景を少し離れたところで東條先輩が撮りながら、ナレーションをしていた。

 

「かれこれ、1時間。ぶっ通しでダンスを続けて、やっと休憩。全員、息は上がっているが文句は言わない。」

 

「どう?」

 

「さすが、練習だと迫力が違うね!」

 

「まあね。」

 

少し遠くで、練習風景を撮っていた東條先輩が、西木野と話している。

 

「でも、練習って普通、リーダーが指揮するもんやない?」

 

「それは…元々、優先輩がマネージャーになったのは、穂乃果先輩が優先輩のダンスを見たからで、タンスは優先輩とたまに海未先輩が、歌も優先輩、それに私もたまにアドバイスしてるわ。」

 

「そうなんや。」

 

東條先輩が練習風景を撮影した後、高坂の家に東條先輩と星空がインタビューに行き、他のメンバーは解散となった…

 

 

 

そして、翌日の放課後になりアイドル研究部の部室で、部長を考え直すことになった。そこで冒頭に戻る。

 

「私は、穂乃果ちゃんでいいけど。」

 

「だめよ!この子はリーダーに向いてないの!そうとなったら、早く決めた方がいいわね。PVだってあるし。」

 

「PV?」

 

「リーダーが変われば、必然的にセンターも変わるでしょ?次のPVは新リーダーがセンター!」

 

「でも、誰が?」

 

「リーダーとは!まず第一に、誰よりも熱い心をもって、みんなを引っ張っていけること!次に、精神的支柱になれるほどの、懐の深い心を持ってること!そして、何より、メンバーから尊敬される人のこと!この条件を全て備えたメンバーとなると!」

 

「海未先輩かニャ?」

 

「なんでやねーん!」

 

恐らく、矢澤は自分だと言ってもらいたかったのだろうが、星空が園田を指名した事に突っ込む。

 

「わっ、私が!?」

 

「そうだよ、海未ちゃん!向いてるかも、リーダー!」

 

「それで、いいのですか?リーダーの座を奪われようとしてるのですよ?」

 

「へっ?それが?」

 

「何も感じないのですか?センターじゃ、無くなるかもしれないんですよ。」

 

「おぉ、そっか!うーん…まぁ、いっか!」

 

「「「「「「えぇ!?」」」」」」

 

高坂以外のメンバー全員が驚いた。いっかって…

 

「じゃあ、リーダーは海未ちゃんということにして。」

 

「待ってください!む、無理です…」

 

「面倒な人…」

 

西木野、そう言ってやるな…

 

「じゃあ、ことり先輩?」

 

「へ、私?」

 

「副リーダーって感じだニャー!あっ、優先輩がいいんじゃないかニャー?」

 

「確かに、優先輩はにこ先輩の言った条件に全て当てはまるけど…」

 

「俺じゃ、PVに出れないだろ。」

 

「でも、1年生がリーダーってのは…」

 

「仕方ないわねー。」

 

「やっぱり、穂乃果ちゃんがいいと思うけど…」

 

「仕方ないわねー!」

 

「私は海未先輩を説得したほうがいいと思うけど?」

 

「仕方ないわねー!!」

 

「投票がいいんじゃないかな。」

 

「しーかーたーなーいーわーねー!」

 

「うるせぇよ!!」

 

ずっと、無視し続けてたが、とうとうメガホンをどこからか持ってきたので、俺が矢澤に突っ込んだ。

 

「で、どうするニャー?」

 

「どうしよう。」

 

ここまで無視できるこいつらも凄いな…

 

 

 

「分かったわよ!歌とダンスで結果を決めようじゃない!それなら文句もないでしょ?」

 

矢澤が提案した事で、歌とダンスで結果を決めることになった。

 

 

カラオケでは全員が90点以上とり、何故か俺まで歌わされて97点を取って驚かれたが、一応歌も教えてるので突然だと言った。

 

 

 

そして、ゲームセンターのダンスゲームでも、俺まで踊らされたがSS+のノーミスを取り、これまた驚かれた。しかし、これもダンスを教えてるのだから当然だと答えておいた。

 

 

そして、歌とダンスでは決着がつかず、チラシ配りの数で決めることになりチラシ配りをしたのだが、南と俺が1番に終わらせた。何故か俺のチラシは女の人がよく受けとりその際にL○NEのIDを聞かれたりした。……なんでだ?

 

 

そして、結局部室に戻ってきた。

 

「なかなか決まりませんね…優だけは、どれも点数がいいですが、スクールアイドルではありませんし…」

 

「じゃあ、なくてもいいんじゃなあかな、リーダー。」

 

悩んでいる俺達に、高坂は驚きの提案をした。

 

「なくても?」

 

「うん、リーダーなくても全然平気だと思うよ?みんな、それで練習してきて歌も歌ってきたんだし!」

 

「しかし…」

 

「そうよ!リーダーなしなんてグループ聞いたことないわよ!」

 

「だいたい、センターはどうするの?」

 

「それなんだけど、みんなで歌うってどうかな?」

 

「みんな?」

 

「家でアイドルの動画とか見てて思ったんだけど、みんなで順番に歌えたら素敵だなって!そんな曲作れないかな?」

 

「歌は作れなくはありません。」

 

「そういう曲、なくわないわね!」

 

高坂の問いに、園田と西木野が答える。

 

「ダンスは、そういうの無理かな?」

 

「ううん、今の7人なら出来ると思うよ。」

 

今度は南が答えた。

 

「その代わり少し練習は厳しくなるぞ?」

 

「もちろん、そのつもりだよ!じゃあ、それが1番いいよ!みんなが歌って、みんながセンター!」

 

「私、賛成!」

 

「好きにすれば?」

 

「凛もソロで歌うんのかにゃ?」

 

「わ、私も?」

 

「やるのは、大変そうですけどね。」

 

「矢澤はどうするんだ?」

 

「仕方ないわねー!その代わり、私のパートはかっこよくしなさいよ?」

 

「了解しました!」

 

「よーし、そうと決まったら早速練習しよう!」

 

と、高坂が1人で走っていった。

 

「でも、本当にリーダーなくてもいいのかな?」

 

「いえ、もう決まってますよ。」

 

「不本意だけど…」

 

「何にもとらわれないで、1番やりたいこと、1番面白そうな物に怯まずまっすぐ向かっていく。それは、高坂にしかないものかもな…」

 

そして、1人で走って行った高坂が言った。

 

「じゃあ、始めよ!」

 

 

 

そして、μ’sのPVが完成した!

 

 

 

 

 

 

 

 

これからのSomeday/高坂穂乃果 南ことり 園田海未 星空凛 西木野真姫 小泉花陽 矢澤にこ

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、PVが完成した次の日。部室に小泉が走ってきた。

 

「た…たっ、助けて!」

 

「助けて?」

 

「じゃなくて、大変です!」

 

この時、また、大きな荒波が俺たちに流れてくるような気がした…

 




はい、リーダー決定編を1話にまとめたのでいつもより少し長くなったり、カラオケやダンス、チラシ配りの所を少しカットしてしまいました…
では、次回からは絵里加入編です!


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20話 ラブライブ、開催決定!

はい20話です。
とうとう、20話まできましたね。
そして見てくれた皆さん、お気に入りに登録してくれた皆さん、本当にありがとうございます!
では20話、スタートです!


〜side 優〜

 

「大変です!」

小泉が焦りながら部室へ来た、何があったんだ?

 

「ら、ラブライブです!ラブライブが開催されることになりました!」

 

「ら、ラブライブ!」

 

ラブライブ、なんだそれ?高坂は知ってるようだけど…

 

「って、なに?」

 

いや、知らないのかよ!知ってるように言ってたじゃん。俺が心の中でツッコミを入れていると、小泉がパソコンを見ながら説明を始めた…

 

「スクールアイドルの甲子園、それがラブライブです!エントリーした中から、このスクールアイドルランキングの上位20位までがラブライブに出場。夢の大会です!噂には聞いていましたけど、ついに始まるなんて…!」

 

「へぇー。」

 

「スクールアイドルは全国的にも人気ですし。」

 

「盛り上がること間違いなしニャー!」

 

矢澤以外のμ’sのメンバーが小泉の説明を聞いていた。ちなみに矢澤は今、部室にはいない。

 

「今のアイドルランキングから、上位20組となると…1位のA-RISEは当然として、2位、3位は… ま、まさに夢のイベント、チケット発売日はいつでしょうか…」

 

「花陽ちゃん、見に行くの?」

 

「当たり前です!!これはアイドル史に残る一大イベントですよ!?見逃せません。」

 

「アイドルのことになると、キャラ変わるわよね…」

 

「凛はこっちのかよちんも好きだよ!」

 

「なんだ、私てっきり出場目指して頑張ろうって言うのかと思った…」

 

「えぇ、そ、そんな!私たちが出場なんて恐れ多いです…」

 

「キャラ変わりすぎ。」

 

「凛はこっちのかよちんも好きニャー!」

 

お前は小泉なら、なんでも好きなんだろ。でも、スクールアイドルなんだし、μ’sも目指した方がいいと思うけど、と俺が考えていると。

 

「でも、スクールアイドルやってるんだもん!目指してみるのも悪くないかも!」

 

「ていうか、目指さなきゃでしょ!」

 

南と高坂も同じ考えだったようだ…

 

「でも、現実は厳しいわよ?」

 

「ですねぇ…確か、先週見た時はとても出場できる順位では…あっ、穂乃果!ことり!優!」

 

「「「んっ?」」」

 

俺と高坂と南が園田に呼ばれて、パソコンを見てみると…

 

「あっ!」

 

「すごい!」

 

「順位が上がってるぞ!」

 

「嘘!?」

 

「どれどれ?」

 

「急上昇のピックアップスクールアイドルにも選ばれてるよ!」

 

「ホントだ!ほらコメントも!」

 

高坂が読み上げた、コメントには「新しい曲、素敵です!」「7人に増えたんですね!」「いつも、一生懸命さが伝わってきて、大好きです!」「一緒にいるマネージャーを殺してやりたいです!」などとあった。

 

・・・ 

 

いや待てぃ!最後のコメント、命の危険を感じるんだけど!?

 

「なんで、俺のこと分かってるんだよ!」

 

「だって、マネージャーだし、優くんの写真もあげておいたんだ。」

 

「それで、こないだ、俺がμ’sのマネージャーってことが分かる人いたのか…」

 

「わぁ、もしかして凛たち人気者?」

 

星空が目をキラキラさせながら言うと、西木野が、

 

「そのせいね…」

 

そう言った。

 

 

その説明を聞く前に屋上へ練習に行き、その事について聞いた。

 

「最近、校門の前で私を待ってて、写真をお願いしてくる子がいたのよ…」

 

「出待ち!?」

 

「嘘!?」

 

「あぁ、そういえば俺もこの前、校門の前で俺に写真お願いしますって頼んできた女子がいたんだけど、なんで俺なんだろ?もしかして悪質サイトに載せられたりするつもりだったのか!?撮るんじゃなかったかも…」

 

「それは、ないと思うけど…」

 

「優の鈍感さは相変わらずですね…」

 

「「「っていうか、優くん(優)撮ったの(ですか)!?」」」

 

高坂と園田と南が怖い笑顔をしながら聞いてきた。だから、なんで女子はそんなに怖い顔できるの。俺が1年生組に助けを求めると、苦笑いしてる小泉と星空。そして、心無しか西木野は不機嫌な顔をしていたように見える。

 

結局、1年生組には助けてもらえなかった。そして、なんとか高坂と園田と南にも写真を撮ることで許してもらった。でも、高坂たちもなんで俺と写真を撮りたいんだ…まさか!?高坂たちまで悪質サイトに!?

 

「っていうか、優くんまで出待ち!?私全然ない…」

 

と、高坂が落ち込んでいた。

 

「そういうこともあります!アイドルは残酷な格差社会でもありますから!」

 

「でも、真姫ちゃんも写真を撮るなんて、ずいぶん変わったニャー!」

 

「わ、私は別に…!」

 

「あっ、赤くなったニャー!」

 

「うっ…ふんっ!」

 

と、いじってくる星空に西木野がチョップをして、2人は言い合いをしていた。すると、矢澤が屋上にやって来た。

 

「みんな、聞きなさい!重大ニュースよ!フッフッフッ、聞いて驚くんじゃないわよ…今年の夏、ついに開かれることになったのよ!スクールアイドルの祭典!」

 

「ラブライブ、ですか?」

 

南、そこは言わせてあげなよ。

 

「あっ、知ってるのね…」

 

ほら、矢澤が結構悲しそうな顔してるぞ…

 

 

そして、俺たちは出場の申請をするため、生徒会室前まで来ていた。

「どう考えても、答えは見えてるわよ…」

 

「学校の許可?認められないわぁ!」

 

ぷっ…面白いな。けど星空。そのモノマネ、見つかると絢瀬先輩に何されるか分からないぞ…

 

「たよね…今度は間違いなく生徒を集められると思うんだけど…」

 

「そんなの、あの生徒会長には関係ないでしょ。私らのこと目の敵にしてるんだから…」

 

どこかの教室から出てきた矢澤が言った。どこから出てきてるんだよ…

 

「ど、どうして私たちばかり…」

 

「それは…あっ、もしかして、学校内での人気を私たちに奪われるのが怖くて…」

 

「それはないわ。」

 

「ツッコミ早!?」

 

そう言って、矢澤のいた教室のドアを西木野が閉めた。

 

「もう、許可なんて取らずに勝手にエントリーしてしまえばいいんじゃない?」

 

「ダメだよ!エントリーの条件にちゃんと学校の許可を取ることって書いてあるんだし…」

 

「じゃあ、直接理事長に頼んでみるとか?」

 

「えっ、そんなことできるの?」

 

「まぁ、理事長のとこに直接行くのはダメだって言われてないし、大丈夫じゃねえの?」

 

「でしょ?何とかなるわよ。親族だっているんだし。」

 

西木野の言葉で、全員が南の方を向いた。そういえば、南って理事長の娘だったな…

 

そして、理事長室に来たのだが…

 

「なんだか、余計入りにくいオーラが…」

 

確かに、理事長室の扉って入りにくいオーラあるよな。だけど…

 

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。こんなのは踏み込みが大事なんだよ。」

 

「なんで、優くんは緊張しないの!」

 

「俺、何回も来てるし…」

 

そう、俺は何回か理事長室に来ているのだ。

 

「えっ?なんで優くんは来て…うわっ!?」

 

高坂がそう言いかけたときに理事長室のドアが空き、東條先輩が出てきた。あっ、東條先輩がいるってことはもしかして…

 

「あっ、お揃いでどうしたん?」

 

「うわっ、生徒会長!」

 

やっぱり、絢瀬先輩もか…

 

「タイミング悪…」

 

「なんのようですか?」

 

「理事長にお話があってきました!」

 

「各部の理事長への申請は、生徒会を通す決まりよ。」

 

「申請とは言ってないわ!ただ、話があるの!」

 

「真姫ちゃん、上級生だよ。」

 

おぉ、高坂が上級生とか考えることあるんだ…

 

「優くん、今失礼なこと考えなかった?」

 

「いや、べ、別に考えてないぞ?(なんで、分かるんだよ…)まぁ、絢瀬先輩。そう、硬くならずに。俺もちょっと理事長に話があるから、入らせてもらいますね。」

 

「あっ、ちょっと!」

 

そう言って、俺は少し強引に綾瀬先輩のよこを通り抜け、中に入った。

 

「こんにちは、理事長先生。」

 

「あら、仮野くん。前来た時はすぐに帰っちゃったけど、今日は紅茶でも飲む?」

 

「いえ、今日用事があるのは、他のみんななんで遠慮しときますね。それとこの前のカギ、ありがとうございました。」

 

「いえ、そのぐらいお安い御用よ。仮野くんは色々と頑張ってくれてるから。」

 

何故、俺と理事長がご近所さんの家に来たような会話をしているかというと、理事長は俺がライダーとして戦っていることを知っているのだ。それからは、俺が音ノ木坂学院を守っているようなものだと言って、色々気を使ってくれたりもしている。気にしなくてもいいのに…

 

でも、俺が正体をここまで隠して続けることが出来ているのも、理事長のおかげてもあるんだよな。すると、高坂が俺に、

 

「優くん、鍵ってもしかして、にこ先輩をμ’sに入れる時に部室を開けた鍵って。」

 

「あぁ、理事長先生に貸してもらったんだよ。」

 

「そうだったんだ。」

 

「それより、何故優は理事長と親しいんですか?」

 

「私も、お母さんと優くんと親しいなんて話してるの聞いたことないよ?」

 

「それは、私も娘だからって学校のことを話すわけにはいかないもの。理由は、仮野くんが音ノ木坂学院の共学化試験生だから。それと去年の4月から10月まで、生徒会副会長をしていたからよ。」

 

「「「えっ?」」」

 

「優くんって、副会長だったの?」

 

と高坂、園田、南が驚いていた…

 

「あんたら、知らなかったの?かなり有名だったわよ。共学化試験生が1年生なのに生徒会副会長になったらしいって。」

 

と、矢澤が説明してくれてる間に東條先輩が俺にこっそりと聞いてきた。

 

「仮野くん、もしかして、理事長は仮野くんが仮面ライダーってこと知ってるん?」

 

「はい、去年の年末ぐらいに…」

 

「去年の年末…それって…」

 

「希、どうかしたの?」

 

「い、いや、何でもないで。」

 

東條先輩が何かに気づいたようだが、俺と東條先輩が話しているのに気づいた絢瀬先輩によって、止められた。

 

「それより、何か話があるんじゃないの?」

 

と、理事長が聞いてきたので、ラブライブについて話した。

 

「へぇ、ラブライブねぇ。」

 

「はい、ネットで全国的に中継されることになっています。」

 

「もし出場出来れば、学校の名前をみんなに知ってもらうことにもなると思うの!」

 

園田と南がそう話す。俺達2年生は理事長の前に立って、矢澤はその後ろ、そして1年生の3人は理事長室の外で待っている。

 

「私は反対です!理事長は、学校のために学校生活を犠牲にするような事すべきじゃないとおっしゃいました。」

 

絢瀬先輩は、やっぱり反対してきた。

 

「そうね。でも、いいんじゃないかしら?エントリーするぐらいなら。」

 

「本当ですか!?」

 

「えぇ!」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!どうして彼女達の肩を持つんですか!」

 

理事長の言葉に、俺達は喜びの声を上げるが、絢瀬先輩はやはり反論する。

 

「別に、そんなつもりはないけど。」

 

「だったら、生徒会も学校を存続させるために活動させてください!」

 

「うーん…それはダメ。」

 

「意味が分かりません。」

 

「そう、簡単なことよ?」

 

「うっ…」

 

「絵里ち!」

 

そして、絢瀬先輩は黙って一礼して出ていってしまった。

 

「ふんっ、ざまあみろってのよ!」

 

おい、矢澤…ここ理事長室だぞ。

 

「ただし、条件があります!勉強が疎かになってはいけません。今度の期末試験で、1人でも赤点を取るようなことがあったら、ラブライブへのエントリーは認めませんよ。」

 

「そのぐらい大丈夫ですよ。赤点とるやつなんて滅多に…ってえっ?」

 

俺がそう言おうとすると、高坂、矢澤、星空の3人が倒れ込んでいた。おい、3バカ…

 

果たして、どうなる事やら…




中途半端になってしまいましたが、ここで終わりです。
次回は勉強と亜里沙ちゃん登場をかければいいなと思ってます!


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21話 赤点回避!

はい、21話です。
今回絵里の妹の亜里沙が登場します!
では21話、スタートです!


〜side 優〜

 

「大変申し訳ありません!」

「ません!」

 

なぜ、俺たちの前で高坂と星空が謝っているのか。それは、理事長がラブライブの出場するには、次の期末テストで誰も赤点をとらないことを条件にしたからだ。

 

高坂、星空、矢澤の3人は、赤点を取るかもしれないらしいが、矢澤は頑なに認めない…

 

「小学校の頃から知ってはいましたが、穂乃果…」

 

「数学だけだよ!ほら、小学校の頃から算数苦手だったでしょ?」

 

「7×4?」

 

「に、にじゅう、ろく…?」

 

「28だろ…」

 

「これは、かなりの重症ですね…」

 

九九が出来ないって、小学2年か3年で習った事だろ…

 

「凛ちゃんは?」

 

「英語!凛は英語だけはどうしても肌に合わなくて…」

 

「た、たしかに難しいよね…」

 

小泉は、星空に甘いなぁ…

 

「そうだよ!だいたい凛たち日本人なのにどうして外国の言葉を勉強しなくちゃいけないの!?」

 

「屁理屈はいいの!」

 

「に、にゃ〜、真姫ちゃん怖いにゃ…」

 

「だいたい、お前がもし外国に行くとなったら英語が喋れないと困るだろ?」

 

「凛は外国には行かないから大丈夫ニャ!」

 

「人生何が起こるか分からないんだぞ…」

 

「これで、テストが悪くてエントリーできなかったら恥ずかしすぎるわよ!」

 

「そ、そうだよね…」

 

うわぁ、もしこれでダメだったら…

 

『これが、あなた達の実力です。勉強もろくに出来ていないのに、スクールアイドルだなんて…これからはスクールアイドルなんて言わず、残りの高校生活しっかりと勉強しなさい!』

 

って、絢瀬先輩が言ってるのが目に浮かぶ…

 

「やっと、生徒会長を突破したっていうのに…」

 

「ま、全くその通りよ!赤点なんて絶対に取るんじゃないわよ!」

 

「にこ先輩、成績は…?」

 

「にっ、ににっ、にこ?にっ、にっこにっこにーが赤点なんて、と、と、とるわけないでしょ!」

 

「動揺しすぎです。」

 

「だいたい、さっき見てた教科書も逆さ向きだった人が、成績いいとは思えないぞ。」

 

「とにかく、試験までは私とことりと優は穂乃果の、花陽と真姫は凛の勉強を見て、弱点教科を何とかしていくことにします!」

 

「まぁ、それはそうだけど、にこ先輩は?」

 

「えぇ、だから言ってるでしょ?に、にこは…「ガチャ」

 

その時、部室のドアが開き東條先輩が入ってきた。

 

「それは、ウチが担当するわ。」

 

「希…」

 

東條先輩の登場に、心底嫌そうな顔をする矢澤。

 

「いいんですか?」

 

「い、言ってるでしょ!にこは赤点の心配なんて…ヒッ!」

 

そして、東條先輩が矢澤の胸を掴んだ…いや、なにやってんの!?前、西木野の胸も触っていたが、もしかして東條先輩って、変な趣味の持ち主なのか…

 

「優くん、ウチに変な趣味はないからね?」

 

「えっ?なっ、なんのことですか?(なんで!?なんで、女の人ってみんな、心を読めるの!?…)」

 

「まぁ、とりあえずにこっち。嘘つくとワシワシするよ?」

 

「分かりました…教えてください…」

 

強っ!東條先輩強っ…

 

「はい、よろしい!」

 

東條先輩、怖いな…この時、東條先輩には逆らわないでおこうと俺は思った。

 

「よし、これで準備はできたね!明日から頑張ろう!」

 

「オォー!」

 

「今日からです!」

 

 

そして、俺たちはそれぞれ、3バカの勉強を見始めた。

 

まず、星空を見ている小泉と西木野は…

 

「うぅ、これが毎日続くのかニャー…」

 

「当たり前でしょ。」

 

「あっ、白いご飯ニャ!」

 

「えぇ、どこどこ!?」

 

「引っかかる訳ないでしょ!」

 

そう言って、西木野が星空の頭にチョップした。いや、1名とても引っかかってる人がいますよ…

 

 

そして、高坂を見てる園田と南と俺は…

 

「優くん…ことりちゃん…」

 

「なんだ?あと1問だぞ?」

 

「頑張って!」

 

「おやすみ…」

 

「おい、高坂…」

 

「えぇ!穂乃果ちゃん!穂乃果ちゃーん…」

 

「全く…ことり、優、後は頼みます。私は弓道部の方に行かなければならないので。」

 

「分かった!」

 

「なんとかする…」

 

 

そして、矢澤と東條先輩は…

 

「じゃあ、次の問題の答えは?」

 

「えっ、えっと… にっ、にっこにっこにー!」

 

「ウッフッフッフッフッ…」

 

そういって、手を上げ東條先輩の言うワシワシの形をした。

 

「や、やめて!いやぁー!」

 

「あれで、身についているのでしょうか…」

 

そう言って、園田は部室を出た。ほんとに大丈夫か…

 

 

そして、約1時間後…

 

「南、俺、ちょっと買い物があるから、悪いけどあと頼んでいいか?」

 

「うん、分かった!」

 

「じゃあ、無理はしないようにな…」

 

そう言って、俺は部室を出て今日の夕飯の買い出しに行こうと思った。

 

すると、校門の前で園田と会った。

 

「園田、今部活帰りか?」

 

「はい、優はもう勉強は終わりですか?」

 

「いや、俺は夕飯の買い出しがあるから先に帰らせて貰った。」

 

「そうですか。あっ、この曲…」

 

その時、校門を出たところでμ’sのファーストライブのSTART:DASHを歌っている女の子がいた…

 

「これ、サイトにあがってないところの映像まであるぞ…」

 

「うっ、うわぁ!?」

 

俺たちに気づいた女の子が驚いて大きな声を上げた。

 

「あっ、ごめんなさい。」

 

「悪い、驚かすつもりはなかったんだけど。」

 

「あっ、園田海未さんと仮野優さんですよね?μ’sのメンバーとマネージャーの!」

 

「いっ、いえ!人違いです!」

 

恥ずかしくなったのか、焦った園田は嘘をついた。

 

「えっ…」

 

「何、嘘ついてんだよ…めっちゃ悲しそうな顔してるぞ…ごめんな?」

 

「すみません…本物です。」

 

「ですよね!」

 

「あっ、それよりその映像?」

 

「はい、ライブの映像です!亜里沙は行けなかったんですけど、お姉ちゃんが撮影してきてくれて!」

 

「お姉ちゃん?」

 

「はい!」

 

ん?この金髪でお姉ちゃんってもしかして…

 

「亜里沙!」

 

「お姉ちゃん!」

 

「あなた達…」

 

「生徒会長…」

 

やっぱりか…

 

 

 

そして、俺たちは公園に移動して話をすることにした。

 

「お待たせしました!」

 

そう言って、絢瀬先輩の妹が渡してきたのは、何故かおでん缶。

 

「ありがとう。おでん…?」

 

「あ、ありがとな…」

 

「ごめんなさい…向こうの暮らしが長かったせいでまだこっちの生活に慣れていないの。亜里沙、それは飲み物じゃないの。別のを買ってきてくれる?」

 

「ハ、ハラショー…はい!」

 

そう言って、絢瀬先輩の妹は別の飲み物を買いに行った。

 

「ハラショー?生徒会長って、ハーフかクォーターかと思っていましたけど、ロシアですか?」

 

 

「そうよ。祖母がロシア人なの。でも、ロシア語が分かるの?」

 

「いえ、簡単な単語ぐらいならなんとなく…」

 

「それにしても、あなた達に見つかってしまうとはね…」

 

「前から、穂乃果達と話していたんです。誰が撮影してネットにアップしてくれたんだろうって…でも、生徒会長だったなんて…あの映像がなかったら私たちは今、こうしてなかったと思うんです。あれがあったから、見てくれる人も増えたし、だから、「やめて…」えっ?」

 

礼を言おうとした園田を、絢瀬先輩は止める。

 

「別に、あなた達のためにやったんじゃないから。むしろ逆。あなた達のダンスが以下に人を惹き付けられないかどうか、活動を続けても意味が無いか、知ってもらおうと思って。

 

だから、今のこの状況は想定外。なくなるどころか、人数が増えるなんて…でも、私は認めない。人に見せられるものになっているとは思えない。そんな状態で学校を背負って欲しくないの。話はそれだけ。」

 

「待てよ…」

 

「えっ?」

 

自分でも不思議なくらいの低い声が絢瀬先輩を止めた…

 

「なんで、あんたにそんなこと言われなきゃいけねぇんだよ!あんたに、必死に頑張ってるこいつらの事をそんなふうに言われたくねぇんだよ!」

 

俺は怒りで相手が先輩、しかも生徒会長ということを忘れて怒鳴ってしまったことに、園田だけではなく、絢瀬先輩までもが驚いていた。

 

「わ、分かるわよ!私は昔、バレエをやっていたの…少なくともあなた達のダンスよりは遥かに実力があったとは思うわ!それでも、オーディションに受からなかった…それよりも下手なダンスで人を魅了させることができるとは到底思えないわ!」

 

「ふざけんなよ!たしかに今のμ’sのダンスは、まだまだ完璧には程遠いものだ。けど、それでもこいつらは必死に頑張ってるんだよ!そんなこいつらの事を、挫折して諦めたあんたに、言われたくねぇんだよ!」

 

「あ、あなたには挫折した人の気持ちが分からないわよ!」

 

「わかるよ!俺は、あることで失敗して、大切な人の命まで失ってしまった。でも、そいつとの約束を守るために諦めずに続けてるんだよ!」

 

「えっ、命?」

 

俺は怒りで、自分が守れなかった茜のことまで口走ってしまった。その言葉に、絢瀬先輩と後ろで聞いていた園田が驚いていた。

 

「挫折した事がある人なんて、たくさんいるんだよ!大事なのはその後諦めずに頑張るかどうかだろ!それを、諦めたあんたなんかに…!」

 

 

パンッッッ!!!

 

 

「っ!?」

 

俺の理性が効かず、感情で言葉を吐いていると、絢瀬先輩が俺の頬を叩き、涙を流しながら帰ってしまった。そして、そこで俺は自分が言ってしまったことに気がつき、その場に座り込んでしまった…

 

「ゆ、優…大丈夫、ですか?」

 

「俺、最低だよな…女の人泣かしちゃうなんて…」

 

「そんなことないです!優は私たちのために怒ってくれたんです!今回は少し言いすぎてしまっただけです…」

 

その時、絢瀬先輩の妹、絢瀬亜里沙が俺たちの元に走ってきた。

 

「これ、飲みます?」

 

「えっ?怒ってないの?」

 

「なんでですか?」

 

「いや、君のお姉さん泣かしてしまったし…」

 

「それは…優さんの言うこともとても正しかったですし…私もμ’sのこと、優さんのこと、大好きなので、これからも頑張ってください!!」

 

「そうか…ありがとな!」

 

「はい!」

 

そう言って、絢瀬先輩の妹さんは走っていった。このまま座り込んでても、しょうがないよな。

 

「よし、園田。行くか?」

 

「えっ、どこにですか?」

 

「絢瀬先輩のことをよく知ってる人の所に話を聞きに。」

 

「は、はい!」

 

 

 

そして俺たちは、東條先輩と矢澤が勉強していたワックに来ていた。

 

「にっこにっこにー!」

 

「だから、次ふざけたらワシワシMAXだって言ったはずやん?」

 

「や、やめて!ひぃー!!」

 

そう言って、東條先輩は矢澤にワシワシしていた。どこでもやるんだな…

すると、東條先輩と矢澤は俺たちに気づいた。

 

「聞きたいことがあるんだけど、いいですか?」

 

 

 

そして、東條先輩は神田明神での手伝いがあるそうなので、そこで話を聞くことにした。

 

「そう、絵里ちにそんなこと言われたんや…それにしても、仮野くんも先輩でしかも生徒会長の人にそんなこと言うなんて、すごいね。」

 

「い、いえ…自分でも怒りでいろいろと見えなくなってしまったので、今度絢瀬先輩に謝らないと…」

 

「でも、それだけμ’sのことが大事なんと違う?」

 

「そ、そうかもしれませんね…」

 

「でも、絢瀬先輩もA-RISEのダンスや歌を見て素人みたいだって言うのはいくらなんでも…」

 

「絵里ちなら、そういうやろね。そう言えるだけのものが、絵里ちにはある!」

 

「それって、絢瀬先輩が少し言ってたバレエですか?」

 

「うん、そうやね…」

 

そして、東條先輩に絢瀬先輩のバレエの映像を見せてもらった。それは、とても上手でとても綺麗な踊りだった。

 

 

 

そして次の日の昼休み、屋上で勉強をサボっていた高坂、星空、矢澤の3人をお仕置きしている東條先輩の奥で、俺と園田は話していた。

 

「優はどう思いましたか?生徒会長のバレエ。」

 

「確かに、すごく上手だとは思った。けど、それで諦めた絢瀬先輩に、みんなのことを悪く言われたくない…」

 

「そうですか…そういえば、昨日言っていた優の命を奪ってしまった挫折っていうのは…?」

 

「……悪い…それは、教えられない…」

 

教えられるわけがない…

 

「そうですか…では、みんなにも内緒にしておきますね。」

 

「悪い…そうだ、試験勉強が終わってからの練習は、全部園田に任せていいか?」

 

「えっ?なぜですか?」

 

「いや、たまには俺以外の人が見るのもいいかなって思って…だから、それで園田が他の誰かにμ’sのダンスを教えてもらおうと思うのは、園田の自由だ。だから、頼めるか?」

 

「は、はい。分かりました!」

 

園田は俺の意図を読み取ったようで、そう答えた。

 

 

 

放課後。

 

「今日のノルマはこれね!」

 

「「「鬼…」」」

 

東條先輩が出してきた教材はかなりの量があった。確かにこれはキツいだろ…

 

「あれ、まだワシワシが足りてない子がおる?」

 

「「「まっさかぁー!」」」

 

「ことり…穂乃果の勉強お願いします…」

 

「えっ?う、うん。」

 

「悪い、俺も頼んでいいか?出来るだけ早く戻るから…」

 

「わっ、分かった…」

 

そう言って、俺も部室を出て園田を追いかけた。

 

 

園田は生徒会室の前で止まり、ドアをノックしようとしていた。

 

「順番があるんやないの?」

 

「あっ、希先輩…」

 

東條先輩が後ろにいた。

 

「ショック受けたんやろ?絵里ちの踊りに。」

 

「自分たちが今までやってきたことは、何だったんだろうって思いました…悔しいですけど、生徒会長がああ言いたくなる気持ちも分かりました…」

 

「だから、謝ろうと思ったん?」

 

「いえ、ダンスを教わりたいと思いました!もし、今のみんなが先輩の半分でも踊れるようになったら、本当の意味で人を惹き付けられるのにって!」

 

「ウチが睨んだ通りや…あなた達ならそう言うと思ってた。」

 

「希先輩…」

 

「でも、それなら先にやることがあるんとちゃう?試験まであと5日よ?」

 

そう言って、東條先輩は生徒会室に戻っていった。

 

「じゃあ、私は戻りますね。」

 

「あぁ、俺は絢瀬先輩に、言いすぎてしまったことは謝らないといけないから…」

 

「分かりました。」

 

 

 

そして、俺は生徒会室に入った。

 

「失礼します。」

 

「あっ、あなたは…」

 

やはり、絢瀬先輩も昨日のことがあって気まずいような雰囲気があった。

 

「絢瀬先輩。昨日は先輩、生徒会長に対して、生意気な態度、言葉を言ってしまい、すみませんでした!」

 

そう言って、俺は頭を下げた。

 

「頭を上げて。私も悪かったわ…叩いたりして、ごめんなさい…それと、昨日あなたが言っていた命を奪ってしまった挫折って…?」

 

「すみません…それは言えません…」

 

「そう、なら分かったわ…」

 

「失礼しました。」

 

絢瀬先輩もそれ以上深くは聞かなかった…

 

 

 

そして、とうとう期末試験の答案用紙がすべて帰ってきた日の放課後…

 

高坂が部室に入ると、真剣な目で部室にいる全員が高坂を見ていた。

 

「どうだった?」

 

「今日で全教科帰ってきましたよね?」

 

「穂乃果ちゃん!」

 

「凛はセーフだったよ!」

 

「あんた、私たちの努力を水の泡にするんじゃ無いわよね?」

 

「「「「「「「どうなの!?」」」」」」」

 

全員が高坂に注目する。

 

「う、うん…もう少しいい点数だと良かったんだけど…じゃーん!」

 

高坂が見せてきた答案の点数は、53点。ということは…赤点を回避できた!

 

「「「「「「「「「「やった!」」」」」」」」」」

 

 

 

そして俺たちは、結果を報告するために理事長室に行った。でも、ノックをしても返事が返ってこないので、少しだけドアを開けてみると、絢瀬先輩と理事長の声が聞こえてきた。

 

「そんな!説明してください!」

 

「ごめんなさい…でも、これは決定事項なの…音ノ木坂学院は来年より、生徒募集をやめ、廃校とします!」

 

えっ?今、なんて言った……?

 

 




はい、今回で茜が死んでしまって、それは優が守れなかったからというのが分かりましたね。と言っても、薄々気づいていた方も多いと思いますが…
そして今回、優が絵里に対して怒りましたね。
では、次回からはアニメ8話の内容に入っていきたいと思います!


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22話 9人の女神、集結!

はい、22話です!
今回でとうとうμ’sのメンバーが9人になります!
では22話、スタートです!


〜side 優〜

 

「音ノ木坂学院は来年より、生徒募集をやめ、廃校とします!」

 

嘘だろ…こんなに早く決まったのかよ…

 

「今の話、ほんとうですか!本当に廃校になっちゃうんですか!」

 

高坂、園田、南が理事長室に入っていき、俺も入った。

 

「本当よ。」

 

「お母さん、そんなこと全然聞いてないよ!」

 

「お願いします!もうちょっとだけ待ってください!あと1週間…いや、2日でなんとかしますから!」

 

「い、いえ、あのね…廃校にするというのはオープンキャンパスの結果が悪かったらという話よ。」

 

「オープンキャンパス?」

 

「一般の人に見学に来てもらうってこと?」

 

「見学に来た中学生にアンケートをとって、結果が悪かったら廃校にする。そう、絢瀬さんに言っていたの。」

 

「なんだぁ。」

 

理事長の言葉に、安心する高坂、だが…

 

「安心してる場合じゃないわよ。オープンキャンパスは2週間後の日曜日。そこで、結果が悪かったら本決まりってことよ。」

 

「どうしよう…」

 

「理事長、オープンキャンパスの時のイベント内容は生徒会で提案させてもらいます!」

 

「止めても聞きそうにないわね…」

 

「失礼します。」

 

そう言って、絢瀬先輩は理事長室を出ていった。

 

 

 

理事長室を出ていった俺たちは、いなかった1年生組と矢澤にオープンキャンパスのことを説明した。

 

「そんな…」

 

「じゃあやっぱり、凛たち、下級生のいない高校生活!?」

 

「そうなるわね…」

 

「私はそっちの方が気楽でいいけど…」

 

「とにかく、オープンキャンパスの時にライブをやろう!それで少しでも入学希望者を増やすしかないよ!」

 

「悪い。ちょっといいか?」

 

ライブに意気込む高坂達に、俺は話し始める。

 

「どうしたの?優くん?」

 

「これから少しの間、ダンスの練習は園田に見てもらいたいんだけど、いいか?」

 

「えっ、私たちはいいけど、どうしたの?用事でもあるの?」

 

「いや、ちょっといろいろあってな。だから、俺はサポートする事にした。」

 

「わかった。」

 

 

 

そして、俺たちは練習のため屋上に行った。

 

「ワン!ツー!スリー!フォー!ファイブ!シックス!セブン!エイト!よし!みんな完璧!」

 

「みんな、良かった。これならオープンキャンパスに間に合いそうだね!」

 

高坂を始め、みんな自分たちのダンスの出来を評価していく。

 

「でも、本当にライブなんて出来るの?生徒会長に止められるんじゃない?」

 

「それは、大丈夫!部室紹介の時間は必ずあると思うから。そこで、歌を披露すれば…「まだです…」えっ?」

 

しかし、園田はまだダメと止める。

 

「まだ、タイミングがズレています…」

 

「海未ちゃん…分かった。もう1回やろう!」

 

 

「ワン!ツー!スリー!フォー!ファイブ!シックス!セブン!エイト!… 完璧!」

 

そして、2回目のダンス練習が終わった。

 

「そうね!」

 

「やっとにこのレベルに、みんな追いついたわね!」

 

「まだ、ダメです…」

 

しかし、園田はまだダメと言う。

 

「うぅ、もうこれ以上は上手くなりようがないニャー…」

 

「まだ、ダメです…それでは、全然…」

 

「なにが、気に入らないのよ!はっきり言って!」

 

「感動できないんです…今のままでは…」

 

矢澤の言葉に、園田は静かに答えた。

 

 

 

そして、今日は解散になり、それぞれ電話で話し合うことになった…

 

「「「えっ、生徒会長に!?」」」

 

1年生の3人が声を揃えて言った。

 

「うん、海未ちゃんがダンスを教わろうと。」

 

「はい、あの人のバレエを見て思ったんです。私たちはまだまだだって…」

 

「話があるってそんなこと?」

 

「でも、生徒会長…私たちのこと…」

 

「嫌ってるよね!絶対!」

 

「つーか、嫉妬してるのよ、嫉妬!」

 

絢瀬先輩にダンスを教わろうと言う園田に、1年生と矢澤は反対気味のようだ。

 

「私もそう思っていました。でも、あんなに踊れる人が私たちを見たら、素人みたいだって言う気持ちも分かるのです…」

 

「そんなに凄いんだ…」

 

「あぁ、俺も見たけど、かなり上手かった…だから俺も生徒会長にダンスを教えてもらうのはいいと思うぞ?」

 

「私は反対!潰されかねないわ!」

 

「そうね、3年生はにこがいれば十分だし。」

 

「生徒会長…ちょっと怖い…」

 

「凛も楽しいのがいいな…」

 

やっぱり、1年生と矢澤は反対する。

 

「そうですよね…」

 

「私はいいと思うけどなぁ。」

 

そんな中、高坂は賛成意見を出す。

 

「何言ってんのよ!」

 

「だって、ダンスが上手い人が近くにいて、もっと上手くなりたいから教わりたいって話でしょ?」

 

「そうですが…」

 

「だったら、私は賛成!頼むだけ頼んでみようよ!」

 

「ちょっと、待ちなさいよ!」

 

と、矢澤が止めようとするが、

 

「でも、絵里先輩のダンスもちょっと見てみたいかも!」

 

「あっ、それは私も!」

 

と、南と小泉が言った。

 

「よし、じゃあ早速明日、聞いてみよう!」

 

「どうなっても知らないわよ…」

 

そこで。俺たちは電話をきった。やっぱり、こういう時に引っ張ってくれるのは高坂だよな…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side亜里沙〜

 

私は今、友達の雪穂、優奈とお姉ちゃんがオープンキャンパスで読む資料を聞いている。

 

「このように、音ノ木坂学院の歴史は古く、この地域の発展にずっと関わって来ました。さらに、当時の学校は音楽学校という側面も持っており、学院内はアーティストを目指す生徒にあふれ、非常にクリエイティブな雰囲気に包まれていたと言います。」

 

お姉ちゃんがそこまで言うと、隣で寝ていた雪穂が後ろに倒れそうになり、飛び起きた。

 

「わぁ!体重増えた!…あっ、すみません…」

 

雪穂、どんな夢見てたの…?

 

「ごめんね…退屈だった?」

 

「いえいえ、面白かったです!後半凄い惹き込まれました!」

 

雪穂が必死に面白かったと言うが今更言っても、嘘がバレバレ…

 

「オープンキャンパス当日までに直すから、遠慮なくなんでも言って。」

 

「亜里沙はあまり面白くなかったわ。なんで、お姉ちゃんこんな話しているの?」

 

お姉ちゃんの言う通り、私は遠慮せずに言ってみた。

 

「学校を廃校にしたくないからよ。」

 

「私も音ノ木坂はなくなって欲しくないけど…でも、これがお姉ちゃんのやりたいこと?」

 

「正直に言って、私も面白くなかったです。」

 

「ゆっ、優奈!」

 

その時、優奈が話し始めた。そして、その優奈を雪穂が止めようとするが、優奈は話し続けている。

 

 

「私には兄がいるんですけど、その兄は困った人を見たらすぐに駆けつけて助けたり、私が悩みごとがあったら、自分のことのように考えてくれるんです。

 

去年の夏、私は兄になんでそんなに人のために動けるのって聞いたことがあるんです。そしたら兄は、人はいつ死ぬか分からないから、たくさん人が楽しく生きれるように、俺は助けたい。そして、人が楽しんで生きようって思えるように、まずは自分が楽しんで生きようって思うって言ってたんです。

 

でも、今の絵里さんは自分が楽しんでるように見えません。ただ、学校を廃校にさせないためだけに頑張って、自分のやりたいことや楽しめることを全くしていないと思います!はっきり言ってしまいますが、それだと人を惹き付けられないって思います!」

 

 

優奈は、はっきりとお姉ちゃんにそう言った。その時の優奈は、あの時のお姉ちゃんにはっきりと注意した、優さんに似ていると思った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺たちは今、絢瀬先輩にダンスを教えて欲しいとお願いしに来ていた。

 

「お願いします!」

 

「私にダンスを?」

 

「はい!教えていただけないでしょうか?私たち、上手くなりたいんです!」

 

「……分かったわ。」

 

「ホントですか?」

 

「あなた達の活動は理解できないけど、人気があるのは間違いないようだから、引き受けましょう。でも、やるからには私の許せる水準まで頑張ってもらうわよ!いい?」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「フフッ、星が動き出したみたいや…」

 

そんな俺たちの様子を見て、東條先輩がそう呟いていた。

 

 

 

そして絢瀬先輩に教えてもらってるんだが、柔軟やバランス感覚、筋力トレーニングなどをやっているが女子がやるにはかなりのスパルタだ。そして、何故か俺もやらされている。まぁ、いいけど…

 

「なんで、優くんはそんなに普通に出来るの?」

 

バランス感覚を鍛えるために片足だちをやっている時に、高坂が聞いてきた。

 

「いや、俺普段からこのぐらいはやってるし。」

 

「なんで?」

 

「だって、柔軟やバランス感覚、筋力は戦い…じゃなくて、私生活でも大事だからな…」

 

危ない…最近、ちょっとボロが出そうになることがあるな…その時、バランスを崩して小泉が倒れてしまう。

 

「わぁぁっ!」

 

「かよちん、大丈夫?」

 

「だ、大丈夫…」

 

「もういいわ、今日はここまで。」

 

冷たく言い放った絢瀬先輩に、

 

「ちょっ、なにそれ?」

 

「そんな言い方ないんじゃない!」

 

矢澤と西木野がそう言った。

 

「私は冷静に判断しただけよ。自分たちの実力が少しは分かったでしょ?今度のオープンキャンパスには、学校の存続がかかっているの!もし出来ないって言うなら早めに行って、時間がもったいないから。」

 

「待ってください!」

 

絢瀬先輩が帰ろうとした時、高坂が呼び止めた。

 

「ありがとうございました!明日もよろしくお願いします!」

 

「「「「「「「お願いします!」」」」」」」

 

俺を含む全員が言った。

 

 

 

そして次の日、星空に背中を押されながら絢瀬先輩が屋上にやってきた。

 

「おはようございます!」

 

「まずは、柔軟ですよね?」

 

「辛くないの?」

 

練習を始めようとしたみんなに、絢瀬先輩がそう聞く。

 

「昨日あんなにやって今日、また同じことをやるのよ?第一、上手くなるかどうかも分からないのに…」

 

「やりたいからです!確かに練習は凄くきついです。身体中痛いです。でも、廃校をなんとか阻止したいという気持ちは、絶対に負けません!だから、今日もよろしくお願いします!」

 

「「「「「「「お願いします!」」」」」」」

 

みんながそう言うと、絢瀬先輩は屋上を出ていってしまった。

 

「生徒会長!」

 

「悪い、俺ちょっと行ってくる!」

 

俺はそう言って、綾瀬先輩を追いかけて行った。

 

 

 

俺は絢瀬先輩を探していると、東條先輩と話してる絢瀬先輩を見つけた。すると、

 

「何よ…何とかしなくちゃいけないんだから、しょうがないじゃない!私だって、好きなことだけやってなんとかなるなら、そうしたいわよ!自分が不器用なのは分かってる…でも…今更アイドルを始めようとか私が言えると思う…?」

 

東條先輩に絢瀬先輩がそう言って、泣きながら走っていくのが見えた。そういう事か…

 

「あれが絢瀬先輩の本音、ですか?」

 

「仮野くん…ウチじゃ、無理やったみたい…お願い、絵里ちを…絵里ちを助けてあげて!」

 

すると、東條先輩が俺に泣きながら言ってきた。そんな東條先輩に、俺は、

 

「分かってますよ。」

 

そう静かに答えた。

 

 

 

俺が絢瀬先輩を見つけると、綾瀬先輩は教室の椅子に座って、

 

「私の、やりたいこと…そんなもの…」

 

と、呟いていた。

 

「絢瀬先輩。」

 

「仮野くん…」

 

「絢瀬先輩、あなたが生徒会長になる時、前の生徒会長に言われたこと覚えてますか?」

 

「えぇ、覚えているわ…確か、『生徒会長は、まず第一に生徒が楽しめる学校生活にすることが大切です!そして、生徒を楽しませるには、自分が楽しまなければ何が楽しいのか分かりません。だから、自分も楽しめる学校生活にしてくださいね!』だったわね。でも、あんなの…」

 

「確かに、難しいかもしれません…俺が生徒会副会長になる時にも言われました。でも、俺はその言葉を聞いてから何をするにも、自分も楽しめることを探すようになりました。あの、天然で誰にでも優しすぎたあの生徒会長だからこそ言えた言葉に俺は、考え方が変わったんです。でも、絢瀬先輩はただ、生徒会長の義務感で動いてるようにしか見えないです。」

 

「そんなの…仕方ないじゃない…生徒会長なんだから、それにおばあ様の母校だから、廃校を阻止しなければいけないのよ!」

 

「なるほど、生徒会長だからだけじゃなく、おばあさんの母校だからってのもあったんですね…でも、だからって自分の学校生活を犠牲にして、楽しいことも何もやらない学校生活なんて、なんの思い出もないですよ!」

 

「そうかもしれない…けど…今更私のやりたいことなんて、分からないわよ…」

 

「だったら、やってみればいいんじゃないんですか?スクールアイドル。やりたいことなんて、最初から本当にやりたいって、思ってる人なんてそんなにいないと思いますよ?だから、とりあえずやってみたらやってみたいことになってるかもしれませんよ?」

 

「でも、今更私がスクールアイドルやりたいなんて言えるわけないわよ…」

 

「そんなこと、ないんじゃないですか?な、高坂?」

 

「えっ?」

 

絢瀬先輩が振り返ると、そこにはμ’s7人のメンバーと東條先輩が立っていた。

 

「あなた達…」

 

「生徒会長…いや、絵里先輩!お願いがあります。」

 

「練習?なら、昨日言った課題を全部こなして…「絵里先輩!μ’sに入ってください!」えっ?」

 

高坂の言葉に、絢瀬先輩は驚いている。

 

「一緒にμ’sで歌って欲しいです!スクールアイドルとして!」

 

そう言って、高坂は絢瀬先輩に手を差し伸べた。

 

「なっ、何言ってるの?私がそんなことするわけないでしょ…」

 

「さっき、希先輩に聞きました。それに、優と話していたことも。」

 

「やりたいなら、さっさとやりたいって言えばいいのに。」

 

「にこ先輩に言われたくないけど…」

 

「ちょっと待って!別にやりたいなんて…だいたい、私がアイドルなんておかしいでしょ!」

 

「やってみればいいやん?特に理由なんて必要ない。やりたいからやってみる。本当にやりたいことって、そんな感じで始まるんやない?」

 

そして、再び高坂が手を差し伸べして、絢瀬先輩はその手を…

 

 

 

 

 

 

 

 

取った…

 

 

 

 

 

 

 

 

「絵里さん…!」

 

「これで、8人!」

 

「いや、9人や。」

 

「えっ?」

 

高坂の言った言葉に、東條先輩が9人と言った。この場で9人って、まさか…

 

「ウチを入れて。」

 

やっぱり…

 

「えっ、希先輩も?」

 

「そうや、占いで出てたんや。このグループは9人になった時、未来が開けるって。だから、付けたん。9人の歌の女神。μ’sって。」

 

「えっ?じゃ、じゃあ、あの名前つけてくれたのって、希先輩だったんですか?」

 

「うふふ。」

 

「希…全く、呆れるわ…」

 

その発言にみんな驚き、絢瀬先輩は呆れていた。

 

そして、絢瀬先輩が立ち上がりどこかに行こうとした。

 

「どこへ?」

 

「決まってるでしょ、練習よ!」

 

 

そして全員が屋上に向かい俺も行こうとした時、東條先輩に言われた。

 

「本当は占いには、9人の女神と1人のナイト様って出たんよ?それって、優くんのことなんやない?」

 

「そうですか…それなら、多分別の誰かのことだと思いますよ?俺には、あいつらのナイトを名乗る資格なんてないですから…」

 

「前にも言ったけど、あれは優くんが悪いんと違う。怪物が悪いんと違うの?」

 

「確かに、あの時手を下したのは怪物だった…けど、茜を守れなかった俺を許すことはできません…」

 

俺はそう言って屋上に向かった。

 

 

 

そして、オープンキャンパス当日…

 

「じゃあ、みんな行くよ!もちろん優くんも入るんだよ?」

 

「分かってるよ。」

 

そう言って、俺は円陣の中に入った。

 

「いち!」

「にっ!」

「さん!」

「よん!」

「ごっ!」

「ろく!」

「なな!」

「はち!」

「きゅう!」

「じゅう!」

 

「μ’s!」

 

「「「「「「「「「「ミュージック スタート!」」」」」」」」」」

 

と高坂、南、園田、西木野、星空、小泉、矢澤、東條先輩、絢瀬先輩、そして俺の順番で言った。

 

「よし、今日は観客席からだけどしっかり応援しとくからな!」

 

「うん!」

 

 

 

そして、俺は観客席に行った。

 

「よう、優奈。」

 

「あっ、お兄ちゃん!」

 

「あっ、この前の!」

 

「あっ、お姉ちゃんの!」

 

すると、そこには絢瀬先輩の妹と高坂の妹がいた。

 

「えっ、亜里沙と雪穂ってお兄ちゃんの知り合いだったの?」

 

「うん、この前、お姉ちゃんと話してた時に会ったの。」

 

「私はお姉ちゃんの友達で、ウチの和菓子屋にもよく来てたし。」

 

「というか、優奈のお兄さんって優さんだったんだ…(それでこの前、優奈と優さんが似てるなって思ったんだ。)」

 

「おっ、そろそろ始まるみたいだぞ。」

 

そして、μ’sが9人になってからの初ライブが始まった。

 

「皆さんこんにちは!私たちは、音ノ木坂学院のスクールアイドル。μ’sです!私たちは、この音ノ木坂学院が大好きです!この学校だから、このメンバーと出会い、この9人が揃ったんだと思います。これから歌う曲は、私たちが9人になって、初めて出来た曲です。私たちの…スタートの曲です!」

 

「「「「「「「「「聴いてください!僕らのLIVE 君とのLIFE!」」」」」」」」」

 

そして、9人は歌い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕らのLIVE 君とのLIFE/μ’s

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてライブが終わってから、俺は高坂達のところへ行った。

 

「お疲れさん!」

 

そう言って、俺はμ’sのメンバー1人ずつにスポーツドリンクを渡した。

 

「ありがとう!どうだった?初の9人でのライブ!」

 

「おう!大成功だったと思うぞ?すっげぇ良かった!」

 

「そっか、良かった〜」

 

その時、俺のスマホに電話がかかってきた。

 

「もしもし?」

 

『優くん!財団Xが現れたわ!』

 

「…!?分かった、すぐ行く!悪い、俺、急用ができたからちょっとだけ行ってくる!」

 

「えっ、ちょっ、優くん!?」

 

そう言って、俺は財団Xが現れたところへ向かった。




はい、今回でとうとうμ’sのメンバーが9人になりました!
そして、1話以降全く登場してなかったベルトを呼び出す機能と怪物が出たら知らせてくれる機能の2つの重要な機能をもつブレスレットがやっと登場しました!名前は思いつかなかったので、ベルト召喚ブレスにしました…ネーミングセンスが進之介以下ですね…
そして、優奈も久しぶりに登場しました!優奈は亜里沙と雪穂と友達で、クラスメイトです!
では、次回は久しぶりに変身します!それと、次回から少しの間オリジナル回になると思います!


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23話 天才外科医鏡飛彩、登場!

はい、23話です。
今回、久しぶりに変身します!
そして、タイトルにある飛彩の登場ですが、ただ共闘するだけでそこまで深く登場はしないと思います。
では23話、スタートです!


〜side 優〜

 

『スペシャル召喚 ライドインフィニティ!』

 

俺は、自分専用バイクのライブインフィニティを召喚し、怪人の出たところまで走らせる。

 

 

 

怪人が出たところまで来ると、ヤミーと呼ばれる人間の欲望から生み出された怪人、カマキリヤミーがいた。

ヤミーか…いつもは屑ヤミーだけなのに、厄介だがやるしかない!

 

俺は右腕につけていた、ベルト召喚ブレスからオーズドライバーを出して腰につけた。そして、オーズドライバーにタカコアメダル、トラコアメダル、バッタコアメダルを入れた。

 

「変身!」

 

俺はそう言い、ベルトに入っている三枚のメダルをオースキャナーで読み込んだ。

 

『タカ!トラ!バッタ! タ・ト・バ !タトバ!タ・ト・バ!』

 

俺は仮面ライダーオーズに変身し、オーズの専用武器、メダジャリバーでカマキリヤミーに攻撃した。

 

「セイヤー!」

 

カマキリヤミーは俺の攻撃を自分の手にあるカマで防いできた。

 

「クッ、カマキリにはカマキリだ!」

 

俺は、オーズドライバーのトラコアメダルをカマキリコアメダルに変えた。

 

「タカ!カマキリ!バッタ!」

 

俺は仮面ライダーオーズ タカキリバに変身し、手についてるカマで攻撃した。すると、今度はちゃんと攻撃が当たった。

 

「ハッ!ヤッ!一気に決めるぞ!」

 

『スキャニングチャージ!』

 

俺は、オースキャナーでベルトのメダルをスキャンし必殺技を放った。

 

「セイヤッーーーーー!!」

 

カマキリヤミーは爆発し、その場にセルメダルが落ちた。

 

「これ、どうするかな…あっ、そうだ!」

 

『スペシャル召喚 タカカンドロイド!』

 

俺は持っているタカカンドロイドを5つ召喚し、起動してセルメダルを回収してもらった。

 

「これ、便利だな。それにしても、最近は雑魚しか出てきてなかったのに普通の怪人が出てきたのは珍しいな…」

 

そう呟きながら、俺は変身解除してバイクで音ノ木坂学院まで戻った。

 

 

 

俺は、音ノ木坂学院に戻り、部室に戻ると高坂たちが、

 

「どこに行ってたの?」

 

と、聞いてきたがなんとかごまかすことが出来た。半分以上、理由を察してくれた東條先輩のお陰だが…

 

 

 

そして、今日は帰ることになった。その帰り道、恐らくオープンキャンパスの帰りであろう絢瀬先輩の妹、絢瀬亜里沙さんが苦しそうに倒れていた。

 

「おい、大丈夫か!?どうした?」

 

「なんか、ちょっと息苦しくて…うわぁっ!」

 

そう言うと、絢瀬先輩の妹から爆走バイクのバグスター、モータスバグスターが分離した。

 

「まじかよ…今日、2回も戦うとは思ってなかったな。でも、早く助けないと!絢瀬先輩の妹さん、今から見ること、誰にも言わでくれ。」

 

俺は、そう言って、ゲーマドライバーと爆走バイクガシャットとギリギリチャンバラガシャットを取り出した。

 

 

『爆走バイク!』『ギリギリチャンバラ!』

 

 

ガシャットを起動すると、ゲームエリアが広がった。

 

「3速!変身!」

 

『ガシャット!』

 

俺はゲーマドライバーに爆走バイクガシャットとギリギリチャンバラガシャットを入れてゲーマドライバーのカバーを開いた。

 

 

『レベルアップ!爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!』 『アガッチャ!ギリ・ギリ・ギリ・ギリ!チャンバラ!』

 

 

俺は仮面ライダーレーザー チャンバラバイクゲーマーレベル3に変身した。

 

「ハ、ハラショー…」

 

それを見た、絢瀬先輩の妹は俺が初めて変身して戦ったのを見た、絢瀬先輩と同じ反応をしていた。さすが姉妹だな…

 

「ノリノリで行くぜぇ〜!」

 

『ガシャコン スパロー!』

 

俺はガシャコンスパローを取り出して、釜モードでモータスバグスターと戦おうと構えた。その時、モータスバグスターに俺以外の攻撃が当たった。

攻撃が来た方を見ると、仮面ライダーブレイブ ビートクエストゲーマーレベル3が立っていた。

 

「なに、監察医!?お前は死んだはずじゃ!」

 

あっ、飛彩さん俺だと気づいてないのか?だったら…

 

「よぉ!大先生!久しぶりだなぁ!」

 

俺は、少し驚かしてやろうと思い、貴利矢さんの声真似をしてみたのだが。

 

「その声、学生か?」

 

「なんだ、バレたのかよ…ってか、それよりも学生って呼び方いい加減やめてくださいよ!」

 

「そんなことは、どうでもいい。」

 

「どうてよくなんて…「患者はあの少女でいいのか?」あっ、はい…」

 

「だったら、早く終わらせるぞ」

 

そう言って、飛彩さんはバグスターと戦い始める。それに合わせて俺も、ガシャコンスパロー 弓モードで援護した。

 

「学生、決めるぞ!」

 

「はい!」

 

俺が、ギリギリチャンバラガシャットをガシャコンスパローに、飛彩さんがドレミファビートガシャットをキメワザスロットホルダーに入れようとした時に何者かの攻撃を受けた。

 

「グッ、なんだ!?」

 

「あれは、ライドプレイヤー!?」

 

「ライドプレイヤーって、仮面ライダークロニクルのですか?」

 

「あぁ、気をつけろ!奴らはバグスターだけじゃなく、俺達も狙ってくる。」

 

「なんで俺達が狙われるんですか!?」

 

「奴らは仮面ライダーをレアキャラと認識し、ガシャットや武器、ゲーマドライバーを狙って攻撃してくる。」

 

「なるほど、了解しました。」

 

「まずは、バグスターの前にレアキャラの仮面ライダーを倒そうぜ!」

 

そう言って、半分の3人のライドプレイヤーが俺と飛彩さんに、もう半分の3人のライドプレイヤーがバグスターへ攻撃を仕掛けてきた。

 

「くそっ、一般人だと攻撃が出来ない。なら、こいつで!」

 

そう言って、俺は自分専用のガシャット、つなげてツムツムガシャットを取り出した。

 

『つなげてツムツム!』

 

「2コンボ!変身!」

 

『レベルアップ! つなげて まとめて 弾いて 攻撃!

つなげてツムツム〜』

 

俺は、仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーに変身した。

 

『ガシャコンソードバズーカ!』

 

俺は、ガシャコンソードバズーカ ソードモードを持ってエナジーアイテムを操作した。

 

「よし、ここをこうしてっと!」

 

『混乱 5コンボ!混乱 4コンボ!高速化 6コンボ!』

 

1つ目の混乱のエナジーアイテムを自分たちと戦っているライドプレイヤーに、2つ目の混乱のエナジーアイテムをモータスバグスターと戦っているライドプレイヤーに、そして高速化のエナジーアイテムを自分に使用した。

 

「一気に決める!」

 

俺は、高速化の速度を利用してモータスバグスターへと一気に距離を詰め、ガシャコンソードバズーカ ソードモードにガシャットを入れた。

 

『ガシャット!キメワザ! つなげて!クリティカルフィニッシュ!』

 

俺は、ガシャコンソードバズーカ ソードモードでモータスバグスターに一気に斬りかかった。

 

「オッラァァッ!」

 

俺がモータスバグスターに斬りかかった後、

 

『キメワザ!ドレミファ!クリティカルストライク!』

 

ガシャコンソード 氷モードにドレミファビートガシャットを差し込み、飛彩さんが斬りかかった。そして、モータスバグスターは爆発して消えた。

 

「チッ、バグスター倒されちまった…」

 

「あの、ライダー強すぎだろ…」

 

「今日は帰ろうぜ…」

 

バグスターを倒したことで、ライドプレイヤー達も全員帰って行った。

 

「ふぅ〜、あっ!」

 

俺は、絢瀬先輩の妹のことを思い出して駆け寄った。

 

「大丈夫か?」

 

「はい、もう大丈夫です!ありがとうございました!」

 

「いや、気にしなくていいよ。それより、絢瀬先輩の妹さん「亜里沙でいいですよ!」……分かった、亜里沙ちゃん」

 

俺は少し考えたが、この子ならいいかと思い、亜里沙ちゃんと呼ぶことにした。

 

「このことは、誰にも言わないでくれると助かるんだけど…」

 

「分かりました!絶対にこのことは言わないでおきますね!お姉ちゃんにも言いません。あの…優奈にもですか?」

 

「あぁ、そうしてくると助かる。優奈に心配かけたくないからな。」

 

「分かりました。」

 

「ありがとう、助かるよ。」

 

「こちらこそ、ありがとうごさいました!じゃあ、私はこれで。」

 

「分かった、気をつけて帰れよ!」

 

「はい!あっ、μ’sのライブ、とっても良かったです!」

 

と、亜里沙ちゃんが言ってくれた。

 

「ありがとう!あいつらにも伝えておくよ!」

 

「それと、私を守ってくれた時の優さんも、いつも以上にかっこよかったです!それじゃあ、また!」

 

そう言って、亜里沙ちゃんは帰って行った。最後の言葉、なんか照れるな…

 

『ガッシュー』

 

俺は変身解除し、同じく変身解除した飛彩さんのところへ行った。

 

「お疲れ様です。飛彩さん。」

 

「いや、今回はお前がいて助かった。協力、感謝する。」

 

「……」

 

「どうした?驚いた顔をして、黙ってるが。」

 

「い、いえ、あの飛彩さんがお礼を言うなんて…」

 

「お前は俺をなんだと思っているんだ?俺だって感謝ぐらいする。」

 

「そうですね。つい本音を言ってしまってすみませんでした!」

 

「絶対に悪いと思ってないだろ?」

 

「はい!」

 

「否定ぐらいしろ!」

 

なんか、飛彩さんをいじるの面白いな。

 

「まぁ、こちらも飛彩さんが来てくれていなかったらまずかったです。なので、ありがとうございました!」

 

「まぁ、俺はCRに戻る。じゃあな。」

 

「はい、ありがとうございました!」

 

そして、俺は飛彩さんと別れて家に帰った。

 




はい、久しぶりのオリジナル回でした。
そして、飛彩さんの初登場!
今回はアニメ本編に入って2回目の戦闘シーンでしたが、僕は戦闘シーンを書くのが苦手なので勝つ時は、すぐに戦闘が終わってしまいます。なので、戦闘シーンはあまり上手くかけません…

序盤に変身したオーズのメダルですが、オーズ&フォーゼの後のまま、映司がプトティラ以外のコアメダルを各1枚ずつ、優がタトバとカマキリを所持しています。財団Xが持ってる物もあります。コアメダルに関しては、女神様が同じものをコピーしたのではなく、本物のコアメダルを使って変身しています。

後、オーズで思い出したのですが、今度の冬のエグゼイド&ビルドの平成ジェネレーションズfinalの映画にオーズやフォーゼ、鎧武、ゴーストのレジェンドライダーが出ますね!去年の映画はゴーストは本人出演でしたが、鎧武は本人出演ではなかったですし、フォーゼやオーズも登場しなかったので、今からとても楽しみです!

話がそれましたが、次回からも、もう少しオリジナル回が続くかもしれません。ラブライブ本編が見たいという人、本当にすみません!でも、見てもらえると嬉しいです!


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3章 動き出す財団X編
24話 激化する戦い


はい、24話です。
今回もオリジナルです。
では24話、スタートです!


 

〜side 優〜

 

オープンキャンパスが終わってから、3日がたった。

しかし、この2日間では明らかにおかしいことがあった…

 

まず、これまで俺が仮面ライダーになって戦っていた頻度は多くても1週間に1回程度…そして、その殆どが屑ヤミーやマスカレイド・ドーパントなどの雑魚怪人や、財団Xとは関係ないバグスターウイルスなどだ。

 

しかし、このオープンキャンパスの日とその後の2日で俺は5回戦っている。オープンキャンパス当日の夕方に戦ったのが、カマキリヤミーとモータスバグスター。その次の日に戦ったのが、オリオンゾディアーツ。そして、今日戦ったのがマグマドーパントとカメレオンゾディアーツだ。

そう…1回も雑魚怪人が出てきてなく、5回中4回は財団Xの敵だったのだ。

 

俺は何かあったのかと思い、女神様である姉ちゃんに聞いてみることにした。

 

「優くん、どうしたの?わざわざ喫茶店にまでよんで。」

 

「今日は家だと優奈がいて、聞かれるとまずいからな…」

 

「ってことは、ライダーか転生の話?」

 

「あぁ、今回はライダーだな。」

 

「そう、それでどうしたの?」

 

「最近、妙に財団Xが動いてるんだ…この3日間で、4回も財団Xが現れた。それに、全員雑魚じゃない普通の怪人だ…こんなこと今までなかった…」

 

「なるほど。もしかしたら、財団Xが本格的に動き出したのかもしれないわね。」

 

「確かに、本当に財団Xの目的を達成するには動いてなさすぎていたかもな…でも、財団Xの言ってた野望というのも分からないし…」

 

「なら、聞きに行ってみる?」

 

「え?聞くって?」

 

「財団Xも言ってたんでしょ?これまで、我々の野望は仮面ライダーに邪魔されてきたって。だから、その仮面ライダーに。」

 

「でも、その仮面ライダーがどこにいるか分からないし…」

 

「分かるわよ。少なくとも2組は。仮面ライダーWに変身する2人は、風都の鳴海探偵事務所の探偵、左翔太郎とフィリップ。」

 

「風都か…ここからでもそこそこ近いな…で、もう1人は?」

 

「天の川学園高校で教師をしている、仮面ライダーフォーゼ、如月弦太朗。」

 

「ん?天の川学園高校って、前に理事長が言ってたような…」

 

「じゃあ、明日は土曜なんだし会ってきてみれば?」

 

「分かった。じゃあ、理事長に天の川学園高校のこと聞いてみてくるよ!」

 

「分かった、気をつけてね。」

 

 

 

俺は、理事長に天の川学園高校のことを聞きに行くため音ノ木坂学院の理事長室に来ていた。

 

「失礼します。」

 

「あら、仮野くん。どうしたの?」

 

「いえ、前に理事長が天の川学園高校のことを知っているとおっしゃっていた事があったような気がしたんですが、知っていますか?」

 

「えぇ、天の川学園高校はいろいろと関わりのある学校だから、よく知っているけど、それがどうかしたの?」

 

「ちょっといろいろとあって、天の川学園高校の如月弦太朗先生はご存知ですか?」

 

「えぇ、今年から入った新任の先生で、天の川学園高校の卒業生でもあるらしいわ。いろんな意味で有名な子だから知っているわ。でも、如月先生のことを聞くって事は、仮面ライダーのことね?」

 

「えっ、先生は如月弦太朗さんが仮面ライダーってことを知っているんですか?」

 

「えぇ。4、5年前、天の川学園高校で怪物騒動があったの。その首謀者だったのが、当時の天の川学園高校の理事長だったの。」

 

「理事長が首謀者!?」

 

「えぇ、その事を知っているのは学園でも1部だけ…私も天の川学園高校とは、いろいろと関わりがあったから聞いたのよ。聞いた時はとても悲しかったわ。そして、その怪物騒動を止めたのが仮面ライダーフォーゼである、如月弦太朗くんと当時の仮面ライダー部の部員だったの。」

 

「仮面ライダー部なんてあるんですね…」

 

「まぁ、普通に聞いたらふざけてるように思うけど、その部は学園を救ったすごい部なのよ。」

 

「なるほど…それで、かつて1度、仮面ライダーフォーゼが戦った財団Xという組織について、如月弦太朗さんに明日聞きに行きたいんですが…」

 

「分かったわ、ちょっと待ってね。」

 

そう言って、理事長は電話をかけ始めた。

 

「もしもし?音ノ木坂学院、理事長の南です。如月弦太朗先生はいらっしゃいますか?……あっ、如月弦太朗先生ですか?音ノ木坂学院、理事長の南です。如月先生に会って話が聞きたいと言う教え子がいるんですが、いいですか?えっと、財団Xという組織についてだそうです。 ありがとうございます。では、明日うかがうそうです。よろしくお願いします。」

 

「どうでした?」

 

「明日、天の川学園高校の仮面ライダー部の部室で待ってるそうよ。財団Xに関わった他のライダーも呼ぶそうよ。まだ、これるかは分からないそうだけど…」

 

「分かりました。ありがとうございます!では、明日天の川学園高校に行ってみます!失礼しました。」

 

そう言って、俺は理事長室を出ていった。 意外とすんなり許可が取れたな。

 

 

 

そして、帰り道。

 

前の方から、蛹体のワームが5匹やってきた。

 

「チッ!財団Xはこんな厄介な敵まで、用意してんのかよ…だったら…」

 

そして、俺はベルト召喚ブレスからディケイドライバーを召喚して、腰に巻き付けた。そして、ディケイドライバーに1枚のカードを入れた。

 

『カメンライド!』

 

「変身!」

 

『ディケイド!』

 

俺は、仮面ライダーディケイドに変身した。そして、俺はライドブッカー ソードモードで蛹体のワームと戦い始めた。

 

「オラッ!ハッ!ふぅ、蛹体の奴らばっかでよかったな…そろそろ片付けるか!」

 

そして、俺はディケイドライバーにカードを入れた。

 

『アタックライド!スラッシュ!』

 

そして、俺はライドブッカー ソードモードで一気にワームを倒したが、1体のワームだけ取り残してしまい、そのワームは緑色に光っていた。

 

「やばい!」

 

俺が、そのワームを倒そうとしたが、遅かった。そのワームは脱皮してクモがモチーフのワーム、アラクネワームになった。そして、そのワームはクロックアップで俺を攻撃してきた。

 

「グハッ!速すぎだろ…だったら…」

 

俺は、1枚のカードをディケイドライバーに入れた。

 

『カメンライド!カブト!』

 

俺は、仮面ライダーカブトに変身した。

 

「クロックアップにはクロックアップだ!」

 

『アタックライド!クロックアップ!』

 

俺は、クロックアップの力を使って、アラクネワームと戦った。

 

「オラッ!ハッ!てやぁ!一気に決めてやる!」

 

『ファイナルアタックライド!カ・カ・カ・カブト!』

 

俺は、必殺技のキックを放ち、アラクネワームを倒した。

 

「ふぅ…やっぱり、ワームやロイミュードは厄介だな…アンデットはまだ出てきてないけど、出てきたらディケイドのカメンライドでブレイドにならないと、封印できないからな…」

 

そう考えながら、俺は今度こそ家に帰った。




とりあえず、ここまでです。
今回は少し短いですね…
これからも少し、オリジナルが続きそうです。
次回、優が天の川学園高校に行ってあのライダーと出会います!


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25話 天の川学園高校

はい、25話です!
今回はエグゼイド以外のレジェンドライダーが登場します。
では25話、スタートです!


〜side 優〜

俺は今、天の川学園高校に来ているのだが…仮面ライダー部の部室の場所がよく分からない。そんなことを考えてると前から、サスペンダーを付けている、冴えない男の人が歩いてきた。

 

「あの、すみません。仮面ライダー部の部室ってどこにあるか分かりますか?」

 

俺はこの人に、部室の場所を聞くことにした。

 

「ん?もしかして、お前が如月の言ってた話を聞きに来るやつか?」

 

「あっ、多分そうです。」

 

「そうか、俺はこの学校の教師の大杉だ。ちなみに、俺は仮面ライダー部の元顧問だ。」

 

「あっ、そうだったんですか。今は、違うんですか?」

 

「あぁ、今は如月に譲った。あぁ、仮面ライダー部の部室の場所だったな…ついてこい。」

 

 

 

そして、俺はこの大杉先生に場所を案内してもらうことにした。

 

「ここが、部室だ。」

 

そう言って、大杉先生は部室のドアを開けた。

 

「よう、如月。お前の言ってたやつ、連れてきたぞ。」

 

「大杉先生。その連れてきたやつは?」

 

「失礼します。」

 

俺が仮面ライダー部の部室に入ると、5人の男の人がいた。

 

「ここが仮面ライダー部の部室ですか?」

 

「あぁ、そうだ。正式には宇宙仮面ライダー部だ!俺が仮面ライダーフォーゼ、如月弦太朗だ!」

 

リーゼントの男の人が言った。ってか、教師なのにリーゼントって、いいのか…?

 

「あっ、俺は音ノ木坂学院、共学化試験生2年の仮野優です!それで、この人たちは?」

 

俺が他の人たちのことも聞くと、他の人たちも自己紹介を始めた。

 

「俺は仮面ライダーオーズ、火野映司。」

 

「俺は左翔太郎。鳴海探偵事務所のハードボイルドな探偵だ。」

 

「ハーフボイルドの間違いじゃないのかい?僕はフィリップ。そして、僕達は、」

 

「俺達は、」

 

「「ふたりで1人の仮面ライダー、Wだ!」」

 

「そして、俺がインターポールの諜報員の朔田流星だ。そして、仮面ライダーメテオだ。」

 

インターポールの諜報員が簡単に名乗って大丈夫なのか…?

 

「早速だが、なぜ君は財団Xのことを知っていて、聞きたいと言ってきたんだ?」

 

朔田さんが俺に訪ねてきた。

 

「えっと…それはですね…」

 

俺は自分が仮面ライダーのこと、財団Xが最近これまで以上に動き出したこと、そしてドーパント、ヤミー、ゾディアーツを含むいろいろなライダーの怪人を復活させて何かを企んでいることを話した。

 

「なるほど、それで君は財団Xがこれまで何をしてきたのかが知りたいんだったよね?」

 

「はい。」

 

今度はフィリップさんが聞いてきた。

 

「財団Xはこれまで、死人を蘇生させる組織ネバー、ガイアメモリ、ゾディアーツスイッチ、そしてコアメダルなどの開発に資金援助してきた組織。ここ4、5年ほどは動きを見せていなかったがとうとう動き出したようだね。」

 

「それで、財団Xが企んでいることが何かは分かりますか?」

 

「それは分からないが、財団Xはこれまで地球の電力支配など成功すると、僕達仮面ライダーでも手に負えないようなことを企んできた。そして、その企みを僕達仮面ライダーがギリギリのところでいつも阻止してきた。だから、今回も似たようなうなことを企んでいるんじゃないかな?」

 

と、フィリップさんが説明してくれた。

 

「なるほど…分かりました、ありがとうございます!」

 

「いや、こちらこそ確証のあることが言えず申し訳ないね…また、なにか分かったら連絡するよ。」

 

「俺も、インターポールとして日本でいろいろ調べるから、何かあったら連絡しよう。」

 

「俺もしばらくは日本に滞在して、調べてみるよ。協力できることがあったらなんでも言って!」

 

フィリップさん、朔田さん、火野さんが言ってくれた。

 

「ただ、1つ気になることがあるんだ。」

 

「気になること?」

 

「あぁ、財団Xは最後に僕達と戦った時に、かなりの資金を使いこの4、5年で復活できるかが微妙な所なんだ。だから、もしかしたら今度は、財団Xの方に協力しているやつがいるかもしれない。だから、そこは気をつけておいた方がいい。」

 

と、フィリップさんが説明してくれた。

 

「分かりました…気をつけておきます。ありがとうございます!」

 

「おっしゃ!これで俺とお前はダチだ!」

 

そう言って、握手しようとする如月さん。

 

「ダチ?」

 

「そうだ!俺は仮面ライダー全員と友達になる男だからな!」

 

「そうですか…でも、すみません…俺はもう、友達や恋人のような大切な人は作らないと決めているので…」

 

「え?」

 

「いえ、何でもないですよ。」

 

「まぁ、なんでもいいや。これまでオレがダチにしてきたヤツらの中にも初めはそんなやつばっかりだったから、お前もいつかダチにしてやるぜ!」

 

「俺も、そうなることを願ってますよ。じゃあ、あんまり長居しても悪いですし、今日はここで帰りますね。今日はありがとうございました!」

 

「おう、またな!」

 

俺は、如月さんたちと別れて家に帰った。

 

最後、ちょっとトゲのある言い方してしまったかな…




はい、今回も短いですがここまでです。
そして、フォーゼ、オーズ、W、メテオが登場しましたね!と言っても変身はしてませんが…本当は変身させたかったのですが、今回はさせませんでした。ちなみにフォーゼはあれから5年後ですが、まだフォーゼドライバーを失う前の設定です。
そして、見てくださった方、お気に入り登録してくれた方、ありがとうございました!
では、オリジナルは後1、2話ぐらいで終わると思います。


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26話 優の異変

はい、26話です。
今回、優自身も知らないことを優香から伝えられます。
では26話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺が天の川学園高校に行った2日後の月曜日、俺はいつも通り通学中だった。音ノ木坂学院の校門を通り、校舎内に入って少しすると絢瀬先輩と東條先輩にあった。

 

「おはようございます。絢瀬先輩。東條先輩。」

 

「おはよう、優!」

 

「おはよう、優くん!」

 

2人は俺のことを下の名前で呼び始めてから初めての挨拶だったのだが、その時俺は急にひどい頭痛に襲われ、意識を失った…

 

「えっ!?優!優、しっかりして!」

 

「優くん!?絵里ち、とりあえず保険室に!」

 

「分かったわ…」

 

意識を失うところで綾瀬先輩と東條先輩がそう話してるのが聞こえた…

 

 

 

俺が目が覚めると、白い天井とピンク色のカーテンが目についた…

 

「……ここは…保健室か…」

 

「そうやで…」

 

「東條…先輩?」

 

俺の寝てるベットの隣の椅子で東條先輩が座っていた。

 

「さっきまで絵里ちもおったんやけど、さっき飲み物買いに行ったんや。」

 

「そう…ですか…因みに授業まで後どれくらいありますか?」

 

「もう、昼休みや。」

 

「えっ?」

 

「時計見てみ、ウチも絵里ちも昼休みまで寝てたら心配やで?」

 

「すみません…」

 

「優くん、最近無理しすぎとちゃう?戦ってる数も前よりも大分増えたみたいやし…」

 

「それもあるかもしれませんが、ちょっと違うような気がするんですよね…」

 

「優くんの体のことはウチには分からんけど、無理だけはしたあかんよ?」

 

「はい…」

 

俺達がそんな会話をしていたら、絢瀬先輩が中に入ってきた。

 

「優、目が覚めたのね。」

 

「はい、心配かけてすみませんでした…」

 

「いいわよ、それより無事で良かったわ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「この後はどうするの?」

 

「もう大丈夫そうなので、授業に戻ります。」

 

「分かったわ、授業まで後に20分ぐらいはあるから、それまでは休んどいた方がいいわ。」

 

「分かりました。」

 

「じゃあ、私たちは戻るわね。」

 

「じゃあ、優くん。お大事にね。」

 

「はい、ありがとうございました!」

 

2人は保健室から出ていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 絵里〜

 

私が飲み物を買って戻ってくると、優の目が覚めていた。ドアを開けようとすると保健室の中から希と優の声が聞こえてきた。その声に耳をすますと、希が優に、

 

「優くん、最近無理しすぎとちゃう?戦ってる数も前より大分増えたみたいやし…」

 

と、言っていた。戦ってるとは、何のことなんだろう…私は、優が何と戦っているのか分からないまま、保健室に入った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺が教室に戻ると、高坂、園田、南の3人にとても心配された…

 

その後は、いつも通り午後の授業を受け、練習をして帰る、といういつも通りの生活を送った。

 

ただ、ここ数日変な夢を見ることが多かった。

何故か昔の記憶を見ているような感じのする夢を…

普段なら偶然だと思い、それほど気にしないと思うが今回は何故か気のせいではないような気がする…

 

それに、今朝倒れて時も絢瀬先輩と東條先輩の挨拶に聞き覚えがあり、頭痛がしたような気がしたのだ…他にも、園田、高坂や南とも何故か会ったような気がする時がある。

でも、そんなことはありえないはずだ…俺は転生者。しかも俺は、前の世界での記憶すらない。それなのにこっちの世界にいる、絢瀬先輩や東條先輩、それに高坂や園田、南に会ったことがあるなんてことないはずだ…

 

 

 

俺に何か変化が起きているのかもしれない、俺はそう思い、姉ちゃんに聞いてみることにした…

 

「姉ちゃん…俺、最近昔の記憶のようなものが頭によぎることがあるんだが、ありえないよな?」

 

「そう、そろそろね…」

 

「えっ、そろそろ?どういう事なんだ?」

 

「優くんに、2つ言ってなかったことがあるの…1つ目は、偶に前世での記憶が戻る人もいるの。そして、2つ目は…優くんは2人の人間の性格、記憶などが混ざってもおかしくないの。というか、いつかは2人の人間の性格や記憶が混ざると思うの。」

 

「えっ、どういう…ことだよ?」

 

「それはね、1人目はもちろん前世から転生してきたあなた自身のこと…そして、2人目は仮野優、本人。」

 

「仮野優…本人…?」

 

「えぇ、優くんは転生者でも普通の転生者じゃない。私は優くんを転生させた時にはまだ、女神として人間を転生させる程のエネルギーが無かった…人を転生させるには、かなりのエネルギーが必要なの。普通の転生者は前の世界での体で転生することが出来るの。だけど、今回は緊急事態。

 

だから、私はエネルギーが少ないまま、仮面ライダーとして戦える転生者を探していたの。そして、前の世界の仮野優になる前の優くんを見つけた。でも、その時もまだ私のもってるエネルギーは転生させるには足りなかった。だから、ベースとなる体を探している時に、この世界にいる仮野優が優くんと同じで、交通事故にあいそうな人を助けて亡くなった。

 

2人とも自分の命を亡くしてでも人を助けて死んだ。だから、2人の性格が混ざったとしても仮面ライダーとして戦う勇気があり、ライダーの力を悪用することは無いと思ったの。」

 

「そうか…じゃあ、俺は二重人格でみたいなもので、2人の記憶がある。だから、この世界での昔の記憶もあるってことか?」

 

「まぁ、そのようなものよ。あとね、この世界にいた仮野優くんが死んだ時に、ベースの体になって欲しいってお願いしたんだけど…この世界でやり残したことがあるって言っていたの。それを優くんにやって欲しいと言っていた。

 

だから、記憶を消したけど蘇るようにもした。1度消した理由は、優くんの前の世界での記憶をこっちに来た時に持っていたら、いろいろと辛いだろうから、とりあえず一旦消しておいたの。まぁ、そのせいでこの世界の仮野優の記憶までなくなっちゃったんだけど。

 

でも、その記憶は優くん自身が生きて記憶を取り戻して、この世界の仮野優の願いを叶えてあげて。茜ちゃんのことで辛いのは分かるけど、自分の命を大切にしてね。」

 

「分かってるよ。俺が生きることはあいつとの、約束だから…」

 

「でも、普通の転生者は前の世界の記憶を蘇ることは、よっぽど強い記憶出ない限りはないの。でも、前の世界での優くんの記憶を取り戻すことにするためには、前の世界での記憶を取り戻して辛い思いをするかもしれない。本当にごめんなさい…」

 

「別にいいよ。そのぐらい。前の世界で仲のよかった人や大切な家族との記憶を取り戻して、辛い思いをしたとしても、俺はこの世界で茜と出会った大切な思い出がある。だから、心配しないで。」

 

「……そう、分かったわ…(ごめんなさい…優くんに起こるかもしれない辛い思いは、そういう意味じゃないの…もし、優くんが記憶を取り戻したら、優くんは本当に辛い過去を思い出すかもしれない…本当にごめんなさい…)」

 

俺はこの時、心の中で姉ちゃんがこのような事を思っていたことをまだ、知らなかった…

 

「そういえば、姉ちゃんまだ隠してることあるんじゃないか?姉ちゃんは俺が聞かないと教えてくれない、聞いても教えてくれないことが多すぎる秘密主義者ってことは、もうそろそろ分かってきた。だから、なんとなくありそうなんだけど。」

 

「えぇ、あるわ…でも、今は言えない…」

 

「そっか、なら無理には聞かないよ。」

 

俺はそう言って、さっきの話について少し考えていた。

 

でも、さっきの話からすると俺は絢瀬先輩や東條先輩、それにもしかすると、高坂や園田、南にも会ったことがあったのか?それに、気絶するほどの記憶や夢に出てくるほどの記憶。かなり仲が良かったのか…いや、やめよう。俺はもう、誰とも深くは関わらない…俺とあの9人の関係はアイドルとマネージャー。それまでだ…

 

俺が、そんなことを考えていると。

 

「あっ、そうだ!」

 

姉ちゃんが思い出したように、大声を出す。

 

「どうした?」

 

「もう一つ大事なことを思い出した!優くんにはじめ渡した、ノーマルデータボトルあるでしょ?」

 

「あぁ、俺がインフィニティに変身するためのやつだろ?」

 

「うん。あのボトルには、それぞれの仮面ライダーの基本フォームのデータ。そして、優くん自身のデータが入ってるの。」

 

「俺自身の?」

 

「えぇ。それでね、優くんはさっき話した通り、普通の転生者じゃないの。だから、優くんをこの世界にちゃんと存在させるには、それなりの時間がかかるの。だから、今はこのノーマルデータボトルに入ってるデータで優くんをこの世界での存在を保たさせているの。だから、そのノーマルデータボトルが壊れると優くんはまた死んでしまうから気をつけてね!」

 

「へぇ、そうなのか…俺は、このノーマルデータボトルが壊れると死んでしまうのか…そうか。

 

・・・

 

って、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??俺の命に関わるほど大事なことを、なんでこれまで言ってなかったんだよ!!」

 

「ごめん、ごめん。でも、優くんも戦いながら守ってる人と自分の体とデータボトルを守るのもプレッシャーかかるかなと思って…」

 

「はぁ…もし、俺が何も知らないまま、落としでもしてノーマルデータボトルを壊して死ぬほうが、よっぽど虚しいわ…今回は見逃すけど、せめて俺の命に関わるようなことは絶対に言ってくれ。」

 

「分かったわ。ごめんなさい…」

 

はぁ、ったく…姉ちゃんの秘密主義も大概だな。

 

「あっ、時間がかかるってどのぐらいでノーマルデータボトルなしで、この世界に居られるんだ?」

 

「まだ、分からないけど…多分、優くんが高校3年になってから、卒業するまでの間ぐらいよ。」

 

「そうか、分かった。それまでは、絶対にノーマルデータボトルは壊さないようにするよ。」

 

「まぁ、それからも壊したら変身出来なくなるから、壊さないようにね。」

 

「あっ、そうだな。」

 

そして、俺は部屋に戻った。

 




はい、ちょっと分かりずらかったかも知れませんが簡単に言えば、優は前の世界で死んだ優だけではなく、今いる世界で死んだ優の2人が混ざっています。書いてて思いましたが、2人の記憶が混ざるとかなり不思議な感覚なんでしょうね…
そして、今はノーマルデータボトルが壊れたら優は死んでしまいます…これは、ゴーストのタケルの生き返る前のオレゴーストアイコンみたいなものですね。でも、優はタケルと違って、ノーマルデータボトルを壊さなくても、死ぬ可能性はあります…
オリジナル回はあと1話だと思います!もしかしたら、増えるかも知れませんが…


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27話 それぞれの気持ち

はい、27話です。
今回は、それぞれメンバーがどのぐらい優のことを好きなのかを書いただけなので、変な文がいつも以上に多いと思います…すみません…
気軽な気持ちで見てもらえると、嬉しいです!
では27話、スタートです!


〜side 穂乃果〜

 

穂乃果には今、好きな人がいる。その人の名前は仮野優。かっこよくて、優しい男の子。

 

私が優くんと出会ったのは、私と海未ちゃん、ことりちゃんがスクールアイドル始めようと思い、練習をするため屋上に行った時だった。優くんは、屋上でダンスを踊っていました。それがとても上手で、私は優くんにダンスを教えて欲しいと頼んだ。優くんは少し考えてから引き受けてくれたの。優くんは、普段から優しくいろいろとサポートをしてくれる。

 

穂乃果は昔、1度だけ好きになった人がいたような気がするんだけど、小さい時すぎてあまり覚えてないんだぁ…その人の顔や声や名前も…だから、恋という感情もあまりよく分かってなかったけど優くんに対して、私は海未ちゃんやことりちゃん、μ’sのみんなとは違う好きという感情があります。多分、これが恋だと思う!

 

でも、優くんは何故かいくらお願いしてもみんなのことを下の名前で呼んでくれません…優くんは、すごく鈍感だから全然気づいてくれそうにないけど、絶対にいつか振り向かせてみせる!私、ファイトだよっ!

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side ことり〜

 

私は最近、好きな人が出来ました。仮野優くんという人です。初めは、穂乃果ちゃんがダンスを教えて欲しいってお願いして、引き受けてくれた人ってだけだった。

 

でも、ファーストライブの時に落ち込んでいる私たちを励ましてくれた言葉を聞いて、これまで支えてきてもらって、私は優くんのことが好きになりました。

 

私は昔、優くんに似た人のような感じのする人に恋をしたことがあると思います。けど、その人との思い出も、その人の顔や名前も、何も覚えてない…本当にそんな人がいたのかさえ、分かりません。でも、何故かいると思うんです。それに、何故か優くんとその人は似ている気がします。もしかしたら、私は優くんみたいな人がタイプなのかもしれません。

 

優くんは鈍感だし、ライバルだって多いかもしれないけど、絶対に負けないんだから!

 

〜side out~

 

 

 

 

 

〜side 海未〜

 

私は最近、少し体調が悪いのかもしれません…

 

ある殿方と話したり、その殿方のことを考えると胸がとてもドキドキしてしまいます…その殿方というのは、私達μ’sのマネージャーの仮野優さんです。

 

こんな気持ちになるのは、小さい頃にも1度あったような気がします。ですが、その気持ちがなんなのか分かる前に、その人と会えなくなってしまったような気がします。そういえば、その人も優と似たような感じの人だったような…

 

優はよく私のことをからかったりしてきます。もしかしたら、いつからかわれるか分からないので、緊張してるのでしょうか?それとも、殿方と喋ることがないから緊張してしまうのでしょうか?この気持ちがなんなのか、よく分かりません…私をこのような気持ちにしてしまう優は本当に不思議な人ですね…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 真姫〜

 

私は今、スクールアイドルのμ’sというグループに入っている。私がμ’sに入れたのはいろいろな人のおかげでもあるが、1番私の背中を押してくれたのは優先輩だ。私の家で優先輩が言ってくれた言葉があったから、私はμ’sに入ろうと思って、お母さんにもいいと言われた。優先輩がいなければ私は今頃μ’sに入ることは出来ていないかもしれない…

 

でも、最近私は気がつくと先輩のことを見ている。先輩が話しかけてくれると嬉しいし、別の女の人と話しているととても胸が苦しくなる…この気持ちって何なのよ…

 

そんなことを考えてると、あの先輩ならいつでも彼氏として連れてきてもいいとママ…んんっ!お母さんに言われたことを思い出した。もしかして私、あの先輩のことが好きなのかしら…って、何考えてんのよ私!私が先輩のことを好きになるなんて、あるわけないじゃない!!ほんと、イミワカンナイ!

 

〜side out〜

 

 

 

〜side にこ〜

 

仮野優…にこは最近、ずっと彼のことを考えてしまう…彼はにこが1年生の時にアイドル研究部で失敗したことを聞いてから、前の生徒会長である茜とよく私を気にかけてくれた。初めは生徒会長と副会長だからなのかと思っていた。けど、生徒会が終わった9月になっても、私のことを気にかけてくれた。

 

そして、茜が転校してからの優は前よりも暗くなったような気がした。話す機会も少なくなったけど、暗い気持ちを隠して、にこのことをを気にかけてくれたこともあった。

 

にこのことを気にかけてくれる人なんて、家族以外だと優と茜、後は希ぐらいだった…だから、とても嬉しかった。そして、最近無意識のうちに優のことを考えてしまう…もしかして、恋…?って、そんなことあるわけないじゃない!にこは宇宙ナンバー1アイドル、にこにー様なのよ!アイドルが恋なんて…

 

でも私が2年生の時、生徒会長と副会長だから一緒にいることが多いせいかもしれないけど、優と茜が付き合っているという噂があった。あれは本当だったのかしら…今でも付き合っているのか。もし、そうだとすれば…そう考えると胸が締め付けられるような感覚になる…やっぱり、にこは優のこと…好き、なのかもしれない…

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side 希〜

 

最近、よく噂になっている仮面ライダー。仮面ライダーは人を襲う怪物と戦う仮面の戦士のこと。話だけを聞くと、怪物や仮面ライダーなんて、そんなスピリチュアルなことはないと思ってしまうけど、ウチは2回も助けてもらったことがある。それに、ウチは仮面ライダーの正体も知っている。その子の名前は最近ウチが入ったスクールアイドルのμ’sというグループのマネージャーをしてくれてる子。そしてウチが最近、最も気になっている子でもある、仮野優くんや。

 

優くんは、正体を隠しながら人知れず怪人と戦っている。ウチはそんな優くんのことを偶然知ってしもうたんや。初めは驚いた。けど、優くんなら人を助けるためだったらおかしくないなともウチは思ったん。

 

実は昔ウチは、優くんと会ったことがある。今ウチはひとり暮らししてるけど、ウチの親はいわゆる転勤族というやつでよく転校を繰り返していた。そのせいで、ウチは友達を作らなかった。理由はすぐ離れるのに悲しいから。でも、そんなウチを変えてくれたのが優くんやった。そして、優くんはウチの初めて出来た友達であり、初恋の相手なんや。でも、優くんはウチのことを覚えてはいないみたいや…と言ってもしょうがないことかもしれない。当時はウチもこんな喋り方やなかったから。

 

そして、今の優くんは前のウチと同じで友達を作ろうとしなくなっている。その理由はなんとなくやけど、分かっている。だから、今度はウチが優くんを変えたいと思う。そして、今度こそウチの想いを伝えたいと思う。

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side 絵里~

 

私はこの前まで対立関係にあった、スクールアイドルμ’sに入っている。対立関係にあったとは言っても私が一方的に認めないと意地を張ってしまっていただけなのだけど…

 

でも、そんな私がμ’sに入れたのは、メンバーが私を認めてくれたことと、マネージャーである仮野優が誘ってくれたからなのだ。その仮野優という男に私は、好きという感情が生まれた。自分でもなぜそのような気持ちが生まれたのかよくはわからない…多分、私がバレエを諦めて挫折したと話した時に真剣に私を叱ってくれたり、私がやりたいことがよく分からなかった時にμ’sに誘ってくれたことがきっかけだろう。

 

そして、そんな優を見ていくうちに気づいた。私は優と、昔会ったことがある。優は覚えてないようだけど…そして、当時も私は優のことが好きだったわ。今の優と昔の優は全然変わってなくて鈍感だけど、とても優しい、いい人。

 

けど、1つだけ変わった所がある。それは、今の優は色々と秘密が多そうだ…そして、その秘密を私の親友である東條希は知っているようだ。私は希のことをよく知っているので分かるけど、聞いても教えてくれないと思うわ。だから、今は聞かないでおこうと思ってる。そして、いつか優にしっかりと想いを伝えようと思うわ。

 

〜side out〜




はい、今回はメンバーそれぞれの優への今の気持ちを書いてみました。今回は、いつも以上に面白くなかったかもしれませんね…
あれ、花陽と凛は?と思われる方がいると思いますが、全員が主人公を好きになるのもいいですが、花陽と凛はアニメ2期編に登場予定のオリキャラがいるのでその人との恋愛を繰り広げられたらなと思っています。花陽と凛ファンの方、申し訳ありません…
そして、希と絵里は優と昔会っていたということが分かりましたね。穂乃果とことりと海未は優に似た人に対して、同じ感情をもったことがあると思うような気がするみたいですね。もしかしたら、優かも…まぁ、そこはこれからをお楽しみに!
そして、オリジナル回も今回で一旦終わりです。
次回からはアニメ本編に戻ります!


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28話 バイト発覚!?

はい、28話です。
今回からラブライブ本編です。ワンダーゾーン編です。
では28話、スタートです!


〜side 優〜

 

オープンキャンパスが終わってから数日が経った。俺はこの数日に財団Xの活動が活発化したり、天の川学園高校に行ったり、俺が2人の人間の性格と記憶が混ざっているという重大なことを教えられたりとかなりいろいろあった…

 

そんな日の放課後…

 

「こっとりちゃーん!うっみちゃーん!ゆっうくーん!すごいよ!ビッグニュース!」

 

かなりのハイテンションで高坂がやってきた。うるさい…

 

高坂がハイテンションなのは、オープンキャンパスの結果が良く、廃校の決定はもう少し様子を見ることになったかららしい。

 

「でも、それだけじゃないんだよぉ。じゃ、じゃーん!部室が広くなりました!」

 

アイドル研究部の部室も広くなったそうだ。

 

「安心してる場合じゃないわよ。生徒がたくさん入ってこない限り、廃校の可能性はまだあるんだから。」

 

絢瀬先輩がそう言うと、

 

「うぅっ…ひぐっ…」

 

何故か園田が泣き始めた。廃校を阻止できるかが、不安なのか?園田もそういう所あるんだな…

 

「海未!?どうしたの?」

 

突然の事に、絢瀬先輩も驚いている。

 

「嬉しいです!まともな事を言ってくれる人がやっと入ってきてくれました。」

 

そうそう、まともな事を言ってくれる人がやっと……って、えっ?廃校を阻止できるかが不安なんじゃないのか?なんだよ…

 

「それじゃ、凛たちがまともじゃないみたいだけど。 」

 

「それは事実だろ?」

 

少なくとも、高坂と星空と矢澤はまともじゃない…まぁ、他のメンバーはまともな所もあるが、まぁ…微妙なラインだな…

 

「なっ、そんなことないニャー!」

 

「ほな、練習始めよか?」

 

俺と星空が言い合いを始めそうになった時、東條先輩が練習を始めようと言った。しかし、

 

「あっ、ごめんなさい。私、ちょっと用事が…今日はこれで…」

 

そう言って、南は部室から急いで出ていった…

 

「どうしたんだろう…ことりちゃん、最近早く帰るよね?」

 

「あれじゃね?彼氏とか出来たとか?」

 

俺がそう言うと、

 

「「「「「「「「それは絶対にない(わ)(です)!」」」」」」」」

 

その場にいる全員に否定された。南なら可愛いし、彼氏ぐらいいてもおかしくなさそうだけど…そんなに、否定するか…?

 

 

 

 

 

そして俺たちは練習のため屋上にやってきた。

 

「うわぁ、なにこれ50位?すごーい!」

 

「夢みたいです!」

 

スクールアイドルランキングでμ’sが50位になっていることに驚いている高坂、小泉を初めとするμ’sのメンバー。

 

「20位にだいぶ近づきました!」

 

「絵里先輩も加わったことで女性ファンも増えたみたいです!」

 

「確かに背も高いし、足も長いし、美人だし、なにより大人っぽい!さすが3年生!」

 

「や、やめてよ」

 

「えっ、なに?」

 

褒められて顔を赤くする絢瀬先輩に対して、同じ3年生なのかと思われたような顔をされて不機嫌な矢澤。

 

でも、確かに絢瀬先輩は女性の中では背も高いし、美人でかなり大人っぽい。普通にモデル雑誌とかに載ってるモデルよりも美人だな…」

 

「もう、優までやめてよ//」

 

「えっ、急にどうしたんですか?」

 

「はぁ、優くんのこれ、どうにかしないとそろそろメンバー外にも被害者出そうじゃない?」

 

「そうですね…いっそ、口を縫ってしまえばいいのでは?」

 

「おい、園田!何怖いこと言ってんの!?というか、声に出てた?」

 

「はぁ、ほんとに無自覚って怖いね…」

 

俺の発言に対してメンバー全員が呆れてる。

 

「でも、絵里ちにも、意外とおっちょこちょいなところもあるんよ?この前なんておもちゃのチョコレートを本物と思って食べそうになったり。」

 

「のっ、希!」

 

東條先輩の言葉に、絢瀬先輩が顔を真っ赤にしていた。

 

「でも逆にギャップ萌えしそうですよ?隠し撮りしてネットに載せれば人気があがるんじゃ…「優、そんなことしたらどうなるか、分かるわよね…?」は、はい…」

 

怖えよ!なんで女の人ってそんなに怖い笑顔できんの!?

 

「でも、本当に綺麗!よし、ダイエットだ!」

 

すると、高坂がダイエットだ!と言い出した…

 

「本当に何回目だよ…」

 

「聞き飽きたニャー!」

 

こんなやりとりをしてると…

 

「おーい、穂乃果!頑張ってね!」

 

「ファイト!」

 

「μ’s応援してるよ!」

 

と、高坂の友達の3人が応援してくれた。

 

「ありがとう!」

 

「知り合い?」

 

「はい!ファーストライブの時から応援してくれてるんです!」

 

「でも、ここからが大変よ?上に行けば行くほどファンもたくさんいる…」

 

「そうだよね…20位かぁ…」

 

「今から短期間で順位を上げようとするなら、なにか思い切ったことが必要ね…」

 

「その前に、しなきゃいけないことがあるんじゃない?」

 

矢澤の言葉に疑問を持つメンバー。

 

 

 

そして、矢澤に連れられ秋葉原に来たんだが…

 

「あの…すごく暑いんですが…」

 

高坂たちが今来てる服は、コートにマフラー、サングラスにマスク。7月の暑い時期にはかなりきつい格好だ。

 

「我慢なさい!これがアイドルに生きるものの道よ…」

 

「でも、これは…」

 

「逆に目立ってるかと…」

 

「てか、なんで俺はSPっぽい、変装なんだ?」

 

そう、俺はSPの様な格好をしながら、変装させられている。

 

「何を言ってるのよ!マネージャーだからって油断は禁物よ!それに、あんただって女性ファン多いのよ!マネージャーだから、SPの格好でカモフラージュしてるのよ!」

 

「俺のファンなんかいるのか…?」

 

俺がそう疑問に思っていると、

 

「バカバカしい!」

 

とうとう我慢出来なくなった西木野が、マスクをとった。

 

「例えプライベートでも常に人に見られていることを意識する。トップアイドルを目指すなら当たり前よ!」

 

「すごいニャー!」

 

「わぁぁ!」

 

矢澤の熱弁を聞かず、スクールアイドルショップに夢中になってる星空と小泉。

 

「なにここ?」

 

「近くに住んでるのに知らないの!最近オープンしたスクールアイドルの専門ショップよ!」

 

高坂の疑問に矢澤が答えた。

 

「こんなお店が…」

 

「ラブライブが開催されるぐらいやしね。」

 

「それに秋葉原と言ったら流行の最先端であり、人気ナンバーワンスクールアイドルのA-RISEの聖地でもあるからな…」

 

「とは言え、まだアキバに数件あるくらいだけど…」

 

みんながそんな話をしていると、

 

「ねぇ、見て見て!この缶バッジの子可愛いよ!まるでかよちんそっくりだニャー!」

 

そう言って、星空が缶バッジを見せてきた。確かに小泉に似てる…って、あれ?

 

「ていうかそれ…」

 

「花陽ちゃんだよ!」

 

と、俺と高坂が言うと、

 

「えぇーー!」

 

星空は、かなり驚いていた。

 

「親友なのに気づかなかったのかよ…」

 

 

そして、その缶バッジが置いてあった場所を星空に案内してもらうと、スクールアイドルショップにまだ小さいゾーンだが、μ’sのコーナーが出来ていた。

 

「ううっ、海未ちゃん!これ、私たちだよ!」

 

「おおお落ち着きなさい!」

 

「ミューズって書いてあるよ!石鹸売ってるのかな?」

 

「ななななんで、アイドルショップで、せせせせ石鹸売らなきゃ行けないんです!」

 

μ’sのコーナーがあることに全員がかなり動揺している。

 

「というか、なんで俺のグッズまであるんだよ…」

 

μ’sのコーナーの中には、俺の写真なども置いてあった…っていうか、これいつ撮ったの?俺、ステージにも上がらないのに…っていうか、俺って仮面ライダーなのに個人情報バレバレじゃね?まぁ、俺が仮面ライダーってことはバレてないからセーフか…

 

「どきなさい!私のグッズがない!?優のグッズまであるのに、どういう事よ!」

 

矢澤が騒いでると高坂が1枚の写真をじっくり見ていた。

 

「何見てるんだ?…ってこれ、南じゃねえの?なんでメイド服なんて…」

 

そう、その写真にはメイド服を着た南が写っていた…まさか、ここ最近南が帰るのが妙に早かったりするのはメイド喫茶かなにかでバイトしてるからで、だからメイド服の写真があるとかなのか?俺がそんなことを考えてると…

 

「すみません!あの、ここに私の生写真があると聞いたんですが、あれはダメなんです!今すぐなくしてください!」

 

メイド服を着た南が店員にそう言っていた。その時俺は確信した。さっきの予想、正解だったな、と。

 

「ことりちゃん?」

 

「ピィッ!」

 

「ことり、何してるんですか?」

 

高坂と園田に見つかった南は、目にガチャガチャのカプセルを付けて、

 

「コトリ?ホワッツ?ドーナタデースカー?」

 

と、南がカタコトの日本語で別人と思わせようとしている。いやいや、それは無理があるだろ…

 

「わぁ!外国人!?」

 

と、星空が驚いた。えっ、騙されちゃったよ…さっきの小泉の缶バッジといい、星空はかなりのおバカさんだ…まぁ、前からだけど…

 

「優先輩、今失礼な事考えてなかったかニャー?」

 

「……はっ、はぁ?そんな訳、ないだろ…」

 

なんで分かったの?女子はみんな読心術でも身につけているの?星空がおバカさんだからって、侮れないな…

 

「ことりちゃん、だよね?」

 

「チガイマース!」

 

「ことり「チガイマース!」こと「チガイマース!」…」

 

高坂が何度も呼びかけるが、南は違うの一点張り…

 

「ソロソロイカナクテハ!ソレデハゴキゲンヨーウ!ヨキニハカラエ、ミナノシュウー。サラバ!」

 

そう言って、走っていった南を高坂と園田が追いかけていった。というか、なんで最後の言葉が、良きにはからえ皆の衆なんだよ…そうとう焦ってるな…

 

「あれ、優は追いかけていかなくていいの?」

 

と、絢瀬先輩が聞いてきた。

 

「俺が行かなくても大丈夫そうですし。ほら、東條先輩が何とかするみたいですし。」

 

「えっ、穂乃果と海未じゃなく、希が?」

 

「さすが、優くん。お見通しやね。ほな、行ってくるわ。」

 

と、カードを持ちながら東條先輩が言った。そして、東條先輩も南を追いかけに行った。

 

 

 

そして案の定、東條先輩が南を捕まえてメイド喫茶へと向かった。

 

「こ、ことり先輩がこのアキバで伝説のミナリンスキーさんだったんですか!?」

 

「そうです…」

 

それで初めてアイドル研究部の部室に来た時、ミナリンスキーっていう人のサインを見たら、挙動不審になったのか…

 

「酷いよ、ことりちゃん!なんで教えてくれなかったの!」

 

「おい高坂、南にも事情とかあったんじゃないのか?」

 

「教えてくれたら、遊びに来てジュースとかご馳走になったのに!」

 

「そっちかよ…」

 

「じゃあ、この写真は?」

 

「店内のイベントで歌わされて、撮影禁止だったのに…」

 

「なんだ、じゃあアイドルってわけじゃないんだね。」

「うん!それはもちろん!」

 

と、南がアイドルではないことが分かり、みんな一安心していた。

 

「でも、何故です?」

 

「お金に困ってる様子もなかったが?」

 

園田と俺の問いかけに、南が話し始めた。

 

「ちょうど、優くんが私たちにダンスを教えてくれるようになった頃、スカウトされて…自分を変えたいなって… 私、穂乃果ちゃんや海未ちゃんと違って、何も無いから…」

 

「何もない?」

 

「穂乃果ちゃんみたいにみんなを引っ張っていくことだって出来ないし、海未ちゃんみたいにしっかりもしてない…」

 

「そんなことないよ!ことりちゃん、歌もダンスも上手だよ!」

 

「衣装だって、ことりが作ってくれているじゃないですか。」

 

「少なくとも、2年の中じゃ1番まともね。」

 

「おい西木野。それじゃ、俺もまともじゃないみたいなんですけど…」

 

「まともじゃないわよ。」

 

「そっ、そんな…」

 

俺は西木野に言われ、そう落ち込む。

 

「ううん、私はただ2人について行ってるだけだよ…」

 

そう言った南の顔は、暗い顔だった…

 

それからは、特に話もしないで、俺たちは帰ることになった。しかし、南の顔が明るくなることはなかった…

 

「じゃあね!」

 

高坂が言うと、

 

「あっ、このことはママには内緒だから。学校では、シーッ!」

 

南が言いながら、人差し指を口の前に持ってくる。

 

「分かった。」

 

そして俺は、高坂と園田、それから絢瀬先輩と帰っている。

 

「でも意外だなぁ。ことりちゃんがそんなこと悩んでいたなんて…」

 

歩いている時、そう高坂が言った。

 

「意外とみんな、そうなのかもしれないわね…自分のことを優れているって思ってる人間はほとんどいないってこと。だから努力するのよ、みんな。」

 

次に絢瀬先輩が。

 

「そっか…」

 

「確かにそうかもしれません。」

 

「まぁ、自分では優れているなんて思ってもいない部分を、ほかの人は優れているって思うこともあるからな…」

 

「そうやって少しずつ成長して、成長した周りの人を見てまた頑張って、ライバルみたいな関係なのかもね。友達って…」

 

すると、高坂が、

 

「絵里先輩にμ’sに入ってもらって本当に良かったです!」

 

と言った。

 

「何よ急に、明日から練習メニュー軽くしてとか言わないでよ。じゃあ、また明日!」

 

「俺もこっちだから、また明日な!」

 

「「また明日です!」」

 

 

 

俺が帰る方向は絢瀬先輩と同じ方向なので、綾瀬先輩と同じ方向へ向かった。

 

「ねぇ、優。」

 

俺と絢瀬先輩が歩いていると、絢瀬先輩が聞いてきた。

 

「どうしたんですか?」

 

「優は、まだ怖いの?」

 

「えっ、何がですか?」

 

「茜のこと。穂乃果達に聞いたけど、優はいくらお願いしても穂乃果達のこと下の名前で呼ばないんでしょ?それって、穂乃果達と仲良くなって今度は穂乃果達を失うのが怖いからなんじゃないの?」

 

「それは…」

 

絢瀬先輩の言葉に、俺は返す言葉が見つからなかった。

 

「でも、あれは優は何も悪くないじゃない。偶然、怪物が優を狙って茜だけが殺された…」

 

違う、偶然じゃない…俺が仮面ライダーだから、俺と一緒にいたから茜が…

 

「違うんです…俺がいたから…「ドォーーン!!」なんだ!?」

 

俺が答えようとした時、突然どこかが爆発した音がした。

 

「なに、爆発!?」

 

「絢瀬先輩は危ないから、安全な場所へ!」

 

「優はどうする気なの!?」

 

「俺は大丈夫ですから!」

 

「で、でも!」

 

俺は、絢瀬先輩の言葉を聞かずに爆発のした方へ向かった。そこには、インベスという怪人が暴れていた。

 

「インベスか…なら、こいつだ!」

 

俺は腰に戦国ドライバーを巻き付け、オレンジロックシードを手に持った。

 

「変身!」

 

『オレンジ!』

 

俺は、戦国ドライバーにオレンジロックシードをセットし、ベルトのカッティングブレードを倒した。

 

『ソイヤ!オレンジアームズ!花道オンステージ!』

 

仮面ライダー鎧武 オレンジアームズに変身した。

 

「ここからは俺のステージだ!」

 

俺はそう言って、大橙丸と無双セイバーでインベスに斬りかかった。

 

「オラッ!ハァッ!セイヤッ!一気に決めるぜ!」

 

俺は、無双セイバーにオレンジロックシードをセットしようとした時、インベスの前にイチゴロックシードが落ちてきた。そしてインベスはイチゴロックシードを食べて、巨大化した。

 

「おいおい、マジかよ…」

 

俺は大橙丸と無双セイバーで攻撃をしようとするも、大きすぎて全く歯がたたない。

 

「こいつ、大きい上に硬い…あっ、硬い敵にはこいつだ!」

 

『パイン!』

 

俺は、オレンジロックシードをベルトから外してパインロックシードを取り付け、カッティングブレードを下ろした。

 

『ソイヤ!パインアームズ!粉砕デストロイ!』

 

俺は仮面ライダー鎧武 パインアームズに変身し、専用武器のパインアイアンで攻撃をしかけた。

 

「オラッ!テヤァッ!」

 

パインアイアンの攻撃は、インベスにも効いている。

 

「今度こそ決めてやる!」

俺はベルトのカッティングブレードを3回倒した。

 

『ソイヤ!パインスパーキング!!』

 

俺はパインアイアンをインベスの頭に投げつけ、その上からインベスにキックを決めた。

 

「ふぅ…」

 

『ロックオフ』

 

インベスを倒したことを確認した俺は、ベルトからロックシードを取り外した。

 

「インベスが出てきたってことは、財団Xがヘルヘイムの森の力まで手に入れたってことか…というか、あの時落ちてきたイチゴロックシード、どう考えても財団Xの連中が落としたよな…これは、まずいかもな。」

 

俺はそう呟きながら家に帰った。




インベスも登場し、とうとう鎧武にも変身しましたね。
財団Xがヘルヘイムの森の力を手に入れたと言っても、今のところはヘルヘイムの森に侵略されることはないと思います。(まだ、今のところはですけど…)
そして、やっぱり戦闘シーンを書くのが難しいですね…
ちょっとした雑談なのですが、昨日新しいcsmがオーズドライバーということが発表されましたね!僕自身、オーズはかなり想い入れのある仮面ライダーなので、嬉しかったです。平成ジェネレーションズfinalでオーズとアンクが登場するのに合わせたんではしょうか…買うかどうかとても迷っているのですが、お金が…とりあえず、予約開始を待ちたいと思います。
では、次回はワンダーゾーンの後編です!多分、次回でワンダーゾーン編は終了です。


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29話 ワンダーゾーン

はい、29話です。
今回でワンダーゾーン編は完結です。今回のタイトルはアニメと同じにしました。
では29話、スタートです!


〜side 優〜

 

「チョコレートパフェ、おいしい。生地がパリパリのクレープ、食べたい。ハチワレの猫、可愛い。5本指ソックス、気持ちいい…うぅ、思いつかないよぉ…」

 

教室で1人、南が呪文のように何かを言っている。何故こうなっているか、それは数十分前まで遡る…

 

 

 

「アキバでライブよ!」

 

部室で絢瀬先輩が秋葉原でライブをやると言い出した。

 

「えっ、それって」

 

「路上ライブですか?」

 

「えぇ!」

 

「アキバといえば、A-RISEのお膝元よ!」

 

「これだけに面白い!」

 

「でも、随分と大胆ね…」

 

絢瀬先輩の言葉に、それぞれ反応する。

 

「アキバはアイドルファンの聖地!だからこそあそこで認められるパフォーマンスが出来れば、大きなアピールになる!」

 

おぉ、絢瀬先輩もやる気だな。

 

「いいと思います!」

 

「楽しそう!」

 

「しかし、すごい人では…」

 

「人がいなければ、やる意味無いでしょ。」

 

「それは…」

 

「凛も賛成!」

 

「わ、私も。」

 

園田は人が多い事に恥ずかしさを感じているようだが、星空と小泉は賛成意見を出す。

 

「決まりね!」

 

こうして、アキバで路上ライブをやることになった。

 

「じゃあ、早速日程を!」

 

「と、その前に!今回の作曲はいつもと違って、アキバのことをよく知っている人に書いてもらうべきだと思うの。ことりさん、どう?」

 

「わっ、私?」

 

絢瀬先輩の突然の言葉に、南は驚いている。

 

「えぇ、あの街でずっとアルバイトしてたんでしょ?きっと、あそこで歌うのにふさわしい歌詞を考えられると思うの。」

 

そう絢瀬先輩が提案した。

 

「それいい!すごくいいよ!」

 

「穂乃果ちゃん…」

 

「やった方がいいですよ!ことりならアキバにふさわしい、いい歌詞をかけますよ。」

 

「凛も、ことり先輩のあまあまな歌詞で歌いたいニャー!」

 

「そ、そう?」

 

園田と星空は南の歌詞を作ることに背中を押す。

 

「ちゃんといい歌詞を作りなさいよ!」

 

「期待しているわ。」

 

「頑張ってね!」

 

「う、うん!」

 

矢澤、西木野、高坂にも背中を押され、不安混じりだが南はやることを決意。

 

「あっ、そういえば絢瀬先輩。路上ライブなら、許可とか必要なんじゃ?」

 

俺がそう聞くと、絢瀬先輩は、

 

「優、よろしくね!」

 

と言いながら、ウインクしてきた。俺にやってもらう気満々だったのかよ…まぁ、あんまりマネージャーらしい事してこなかったし、いっちょやりますか!

 

 

そんなこんなで、南が作詞をしているのだが…

 

「フワフワしたもの可愛いな!はいっ!あとはマカロンたくさん並べたら、カラフルで幸せ〜、ルールーラーラー…うぅ、やっぱり無理だよ。」

 

このように、行き詰まっているようだ…

 

「なかなか苦戦してるようですね…」

 

「うん…」

 

まぁ、いきなり作詞をやるなんて言われても難しいだろうな…すると、高坂が教室に入っていき、

 

「こうなったら、一緒に考えよ!取っておきの方法で!」

 

南に言った。取っておきの方法?

 

 

 

 

「おかえりなさいませ!ご主人様!」

 

「おかえりなさいませ!ご主人様!」

 

「おかえりなさいませ…ご主人様…」

 

南の働いてるメイド喫茶で高坂、園田が1日メイド体験をすることになった。なるほどな、アキバで歌う歌詞ならアキバで考えろか。まぁ、それはいいんだが…

 

「なんで俺が執事服を着ているんだ?」

 

「優くん、似合ってるよ!」

 

「ほら、優くんも言って!」

 

「そうですよ!私だって恥ずかしいんですから…」

 

「分かったよ… おかえりなさいませ、お嬢様。」

 

「「「おぉー!」」」

 

「何がおぉー!だよ。というか、なんで執事服があるんだよ!」

 

「店長が持ってたから貸してくれたの、優くんみたいなイケメンが居れば、店も繁盛するだろうしオッケーだって。」

 

「どんだけ気前のいい店長さんなんだよ…というか、別にイケメンじゃないし…」

 

そんな会話をしていると、

 

「ニャー!遊びに来たよ!」

 

星空たち他のμ’sのメンバーが来た。

 

「ではでは、早速取材を…」

 

「やめてください!というか、なんでみんな…」

 

東條先輩が取材しようとカメラを取ろうとするが、園田が止めた。

 

「私が呼んだんだよ。」

 

どうやら、高坂が呼んだらしい。

 

「それよりも早く接客してちょうだい!」

 

「なんで、矢澤が偉そうなんだよ…」

 

偉そうに接客を求める矢澤に、南が、

 

「いらっしゃいませ!お客様、2名様でよろしいでしょうか?それでは、ご案内します。こちらのお席へどうぞ。メニューでございます。ただいま、お冷をお持ち致します。失礼いたしました。」

 

完璧な接客でもてなす南。すごいな…

 

「さすが伝説のメイド…」

 

「ミナリンスキー…」

 

「優くん、新しいお客様がいらしたから接客お願いしていい?」

 

「あっ、分かった。」

 

そして、俺は南に言われ、お客さんのところへ向かった。

 

「おかえりなさいませ、お嬢様。って、なんで優奈が!?それに、亜里沙ちゃんと高坂の妹まで!?」

 

メイド喫茶に来た客は、優奈と亜里沙ちゃん、それに高坂の妹の雪穂ちゃんだった。

 

「あっ、お兄ちゃん!」

 

「お姉ちゃんに、優さん達がメイドと執事をするって聞いたんです!」

 

「それより、お兄ちゃんと亜里沙って知り合いだったの?」

 

「うん、私は優さんとμ’sのファンだし!」

 

「μ’sはいいとして、なんで俺まで?」

 

「前に助けてもらいましたし!」

 

「もしかしてそれって、オープンキャンパスの日のあと?」

 

すると、さっきまでお店の奥の席に座っていた絢瀬先輩がやってきて聞いてきた。

 

「多分、その事だと思いますけど、どうかしたんですか?」

 

「あの日から、亜里沙がμ’sよりも優の話をするようになったのよ。」

 

「俺の話を?」

 

「えぇ、さっき助けてもらったって言ってたけど、何かあったの?」

 

「あぁ…えっーと…チンピラの人にしつこくナンパされてたから追い払っただけですよ。」

 

亜里沙ちゃんは、ちゃんと俺が仮面ライダーであることを伏せてくれていたみたいだ。

 

「はぁ、お兄ちゃんはすぐにどんな人でも助けちゃうからね…でも、私はそんなお兄ちゃんが大好きだけどね!」

 

「ちょっ、おい!優奈!こういう所で抱きつくな!」

 

そんなやり取りをしていると、

 

「優くん…その子誰なの…?」

 

「何してるの?仕事中に抱きつかれてニヤニヤして…」

 

「それに、お兄ちゃんなんて呼ばせて。優にはそういう趣味があったのですか?」

 

とっても恐ろ…素晴らしい笑顔で高坂、南、園田が言ってきた。

 

「違う!優奈は本当に俺の妹だから!」

 

「えっ、ほんとに?」

 

と、3人はジト目で見てくる。俺はどんだけ信用ないんだよ…

 

「本当だよ!」

 

「えっ、本当なの?」

 

すると、優奈が、

 

「はじめまして、あなた達がμ’sの皆さんですね。仮野優の妹の優奈です。」

 

と、自己紹介をした。

 

「あっ、高坂穂乃果です!」

 

「南ことりです!」

 

「園田海未と申します。本当に優の妹ですか?とても、礼儀正しいですね。」

 

「おい、園田。それじゃあ、俺が礼儀正しくないみたいにきこえるんだが?」

 

「そんなに間違ってないと思いますよ?」

 

「そんなことないだろ!」

 

「これからも、お兄ちゃんをよろしくお願いします!」

 

「うん、こちらこそよろしくね!」

 

「優くんには、いつも助けてもらってるからね!」

 

「それはそうとして、私のお兄ちゃんは渡しませんからね?」

 

「いや優奈、何言ってんだよ…俺はお前のでもないし、こいつらはそんなんじゃないぞ。」

 

「ふぅーん…ならいいけど…(見る限りメンバーのほとんどの人がお兄ちゃんに好意を寄せてるっぽいけど…まぁ、お兄ちゃんは全く気づいてないようだけど…っていうか、亜里沙までちょっとお兄ちゃんに興味あるみたいだったし、本当にお兄ちゃんは…)」

 

 

それから、俺と高坂と南は厨房へ行った。

 

「ことりちゃん、ここにいると別人みたいに生き生きしてるね!」

 

高坂がそう言った。

 

「なんかね、この服を着ているとできるっていうか、この街に来ると不思議と勇気が貰えるの。もし、思いきって自分を変えようとしてもこの街ならきっと受け入れてくれるような気がするんだ!だから、好きっ!」

 

と、南が言った。

 

「今、南が言ったことをそのまま歌にすればいいんじゃないか?」

 

俺がそうアドバイスすると、南の作曲は驚くほど早く進んだ。

 

 

そして数日後、南は作詞を完成させて、アキバで路上ライブをした。

 

 

 

 

 

Wonder zone /μ’s

 

 

 

 

 

ライブは無事、成功に終わった。 いやぁ、ライブの許可もすんなり取れたし、良かった良かった。

 

 

「上手くいってよかったね、ことりちゃんのお陰だよ!」

 

そして、ライブが終わった後、俺と高坂と園田と南は、帰りに神田明神へと寄った。

 

「ううん、私じゃないよ。みんながいてくれたから、みんなと作った曲だから!」

 

「そんなこと…でも、そういうことにしとこうかな。」

 

「穂乃果…」

 

「うん、その方が嬉しい!」

 

「ことり…」

 

「まぁ、その方がお前ららしいんじゃないのか?」

 

「優…」

 

「ねぇ、こうやって4人で並ぶと、ファーストライブの頃を思い出さない?」

 

「うん。」

 

「あの時はまだ、私たちだけでしたね…」

 

「あのさ、私たちっていつまで一緒に居られるのかな?」

 

高坂が突然、そんなことを言い出した。

 

「どうしたの、急に?」

 

高坂の言葉を南も疑問に思っている。

 

「だって、あと2年で高校も終わっちゃうでしょ?」

 

「それは仕方がないことです…」

 

「大丈夫だろ。少なくともお前達3人は強い絆で結ばれてる。大学や仕事が違っても、いつでも会えると思うぞ?」

 

「うん!そうだよ!私たちはずっと一緒。私、みんなのこと大好きだもん!それは、優くんも同じだよ?だから、優くんもずっと一緒だよ?」

 

「まぁ、そう出来たら、いいな…」

 

けど、俺は3人とずっと一緒にいる事は出来ないだろう…俺は3人のように幼馴染という訳でもないし、みんなと一緒にいると危険な目に合わせてしまうかもしれない。でも、少しでも長く、μ'sのみんなと一緒にいたい。俺はみんなと活動して行く中、そう思うようになっていた。

 

でも、この時の俺はまだ知らなかった。南の元へ届く一通の手紙と、俺の因縁の怪人が現れることによって、μ's解散の危機が訪れることになってしまうことを。そして、それは近い未来の出来事という事を…




はい、今回はここまでです。
ことりの元へ届く手紙はアニメでわかると思いますが、優の因縁の怪人とはいったいどんな敵なのでしょうか?
それが分かるのは、もう少し先の文化祭ライブのあとになりそうです。
では、次回からは合宿編です!


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30話 合宿へ行こう!

はい、30話です。
とうとう30話まで来ましたね。
そして、今回から合宿編です。
では30話、スタートです!


〜side 優ー

 

アキバでのライブが無事成功してから数日経ち、音ノ木坂学院は夏休みに入っている。

でも夏休みだからといってμ’sの練習がないどころか、ラブライブが近づいている今、いつもより少しハードだ。そして、俺たちはいつも通り屋上に練習へ来ているのだが、

 

「「あ、暑い…」」

 

夏なのでかなりの暑さだ…

 

「ていうか、バカじゃないの!この暑さの中で練習とか!」

 

愚痴愚痴言ってる矢澤に対して、絢瀬先輩が言う。

 

「そんなこと言ってないで、早くレッスンするわよ!」

 

「はっ、はい…」

 

やはりまだ対立関係だった頃が忘れられないのか、小泉は絢瀬先輩のことを怖がり、星空の後ろに隠れてしまった。

 

「花陽、これからは先輩も後輩も関係ないんだから。」

 

「はい…」

 

「そうだ!合宿行こうよ!」

 

そんな中高坂が突然合宿に行くと言い出した。

 

「はぁ、何急に言い出すのよ!」

 

「あぁ…!何でこんないいこと早く思いつかなかったんだろ!」

 

もう高坂は合宿に行く気満々のようだ。

 

「合宿かぁ…面白そうニャ!」

 

「そうやね。」

 

「でも、どこに?」

 

「海だよ!夏だもの!」

 

行く気満々の高坂だが、

 

「費用はどうするのです?」

 

園田に言われて表情が一転する。いや、そこ考えてなかったのかよ…

 

「それは…」

 

すると、高坂は南と少し離れたところで話し始めた。

 

「ことりちゃん、バイト代いつ入るの?」

 

そんなコソコソ話してるけど、丸聞こえですよー?

 

「えぇ!?」

 

「ことりをあてにするつもりだったのですか…」

 

「違うよ!借りるだけだもん!」

 

「第一、海の近くで練習できる合宿場なんて、バイト代だけで行けるようなもんじゃないぞ…」

 

「うぅ…そうだ!真姫ちゃん家なら別荘とかあるんじゃない?」

 

いくら病院経営の金持ちお嬢様だからって、別荘なんてあるわけ…

 

「あるにはあるけど…」

 

あるのかよ!

 

「ほんと!?真姫ちゃんお願い!」

 

「ちょっと待って!何でそうなるの!」

 

「そうよ、いきなり押しかけるわけには行かないわ。」

 

「そう、だよね…」

 

そう言って、捨てられた子猫のような顔をする。

 

「……仕方ないわね…聞いてみるわ。」

 

「ほんと!?」

 

「やったニャー!」

 

チョロ…

 

「そうだ、これを機にやってしまった方がいいわね。

 

「何やるんですか?」

 

絢瀬先輩の発言が気になった俺が聞いた。

 

「当日までのお楽しみよ!」

 

「まさか!?前に先輩であり、生徒会長である私に生意気なことを言ったからマネージャーをクビにと!?」

 

「そんなわけないでしょ!私をなんだと思ってるのよ!」

 

俺の冗談にしっかりと突っ込んでくれる絢瀬先輩。絢瀬先輩みたいな、園田と同じ真面目タイプはいじりやすいかもな。グフフ…

 

その後、とても黒い笑顔をしてたよ?と言われた俺だった…

 

 

 

そして合宿当日、西木野の別荘に向かうため駅に来たのだが…

 

「えぇー!先輩禁止?」

 

高坂が言った通り、絢瀬先輩が先輩と呼ぶのを禁止すると言い出したのだ。そういえば、小泉に『これからは先輩も後輩も関係ないんだから』って言ってたな…

 

「前からちょっと気になっていたの。先輩、後輩はもちろん大事だけど、踊っている時にそういうこと気にしちゃダメだから。」

 

「そうですね。私も3年生に合わせてしまうところがありますし。」

 

えっ?そうなの?それであんなに踊れてたの?

 

「そんな気遣い全く感じないんだけど?優に至っては、私だけ先輩付けずにタメ語で話してくるし。」

 

俺が園田の発言に内心驚いていると、矢澤が俺に鋭い目を向けて言ってきた。

 

「だって、俺が初めて矢澤見た時なんて校内に制服のコスプレしながら迷い込んだ小学生かと思ったぐらいだぞ?」

 

「そっ、そこまで小さくないわよ!」

 

おいおい…それじゃ小さいことは認めてるってことになるぞ…?

 

「でも、にこ先輩は上級生って感じがしないからニャー。」

 

「上級生じゃなかったら、なんなのよ!」

 

俺や星空の言葉に不満げに矢澤が聞いてきた。

 

「うーん…後輩!」

「っていうか、子供?」

「さっきも言ったが、小学生。」

「ウチ、マスコットかと思ってたけど。」

 

星空、高坂、俺、東條先輩がそれぞれ思っている事を言う。っていうか東條先輩に至ってはマスコットって…

 

「どういう扱いよ!」

 

「じゃあ早速、今から始めるわよ。穂乃果?」

 

矢澤のツッコミをスルーして絢瀬先輩がそう言った。

 

「あっ、はい、いいと思います!え、え、ぅ絵里ちゃん!」

 

「うん!」

 

「ふぁ〜、なんか緊張。」

 

高坂にも緊張することあるんだな…

 

「じゃあ凛も!ふぅー…ことり、ちゃん?」

 

「はい、よろしくね。凛ちゃん!真姫ちゃんも。」

 

「べっ、別にわざわざ読んだりするものじゃないでしょ!」

 

西木野は素直に呼ぼうとしない。今はツンの方か…

 

「あっ、マネージャーだからって優もちゃんと先輩付けずに呼ぶのよ!」

 

「えっ、俺もですか?」

 

「もちろん。マネージャーだからこそ、私たちと同じでないといけないわ。」

 

「えぇ、じゃあ…絢瀬、さん?」

 

「さんを付けたら同じじゃない。」

 

「じゃあ、絢瀬?」

 

「まぁ、それでいいわ……結局下の名前では、呼んでくれないのね…」

 

最後の方は何言ってるのかよく聞こえなかったが、いいと言ってくれたので良しとしよう。

 

「じゃあ、1年生も俺のことも先輩なしで呼んでくれ!」

 

「分かったニャー、優くん!」

 

「ゆっ、優くん!」

 

星空と小泉が言った。

 

「西木野は?」

 

「だっ、だから、別にわざわざ呼んだりするものじゃないでしょ!」

 

顔を赤くして言う西木野。さて、ツンデレな西木野さんは、いつデレてみんなを名前で呼ぶのだろうか…

 

「では改めて、これより合宿に出発します!部長の矢澤さんからひと言。」

 

「えぇ!にこ?えっ、えっーと… しゅ、しゅっぱーつ!」

 

「それだけ?」

 

「考えてなかったのよ!」

 

「考えてないにしてもそれだけって…やっぱり小学生…?」

 

「うるさいわね!」

 

 

 

そして、西木野の別荘にやって来たのだが…

 

「すごいよ!真姫ちゃん!」

 

「やっぱり、お金持ちだニャー!」

 

西木野の別荘の大きさにみんなが驚いてる中、矢澤は悔しそうな顔をしていた。っていうか、デカすぎだろ!

 

「そう、普通でしょ?」

 

「これが普通だったら、ほとんどの人が貧乏だぞ…」

 

 

 

 

そして俺は、西木野の別荘を見てまわっている。

 

「こことーった!おぉ!フワフワ、気持ちー!」

 

「凛はこっち!」

 

ベットに寝転びながら言う高坂と星空。本当に子供みたいにはしゃぐな、こいつらは。

 

「海未先輩と優先輩も早くとった方が…あっ、」

 

「やり直しですね?」

 

「海未ちゃん、優くん、穂乃果ちゃん。」

 

園田の指摘で、星空はちゃんと先輩付けをせずに呼び直した。

 

「というか、俺は一緒に寝ないよ?」

 

「穂乃果?」

 

俺の言葉の後に園田が高坂に呼びかけるが…

 

「ぐぅ〜」

 

「って寝てる!?」

 

高坂がほんの30秒程度で寝てしまっていた…

 

 

そしてキッチンでは、

 

「りょっ、料理人!?」

 

西木野の家に料理人がいることに俺たちは驚いていた。料理人雇ってるってどこまでお金持ちなんだよ!?

 

「そんな驚くこと?」

 

西木野はごく当たり前だというように言ってきた。

 

「普通驚くぞ…」

 

「そうだよ、そんな人が家にいるなんてすごいよね!」

 

南がそう言うが、矢澤は…

 

「へぇー、真姫ちゃんの家もそうだったんだ。にこん家も専属の料理人いるのよねぇ…だからにこ、全然料理なんてやったことなくてぇ…」

 

明らかに嘘だが、見栄を張ってそう言った。

 

「なんの対抗心だよ…」

 

「へぇ、にこ先輩もそうだったなんて!」

 

おい、南…それで騙されるなよ…それとも、気づいてて言ってるとか…?いや、まさかな…脳トロボイス持ちの天使南がそんな笑顔で騙されたふりなんてするわけない…南は純粋だと信じたい…

 

「にこにーでしょ?にこ先輩じゃなくて、にこにー!」

 

俺が謎の思考をしている間に、矢澤が先輩付けで呼んできた南に指摘していた。

 

 

 

そしてリビングでは、

 

「ここなら、練習も出来そうね!」

 

「そうやね!でも、せっかくやし外の方がええんやない?」

 

絢瀬先輩と東條先輩が練習場所について話し合っていた。

 

「海に来たとはいえ、あまり大きな音を出すのも迷惑でしょ?」

 

「もしかして、歌の練習もするつもり?」

 

「もちろん!ラブライブ出場枠が決定するまで、あと1ヶ月ないんだもの!」

 

「やる気やね。」

 

「本当ですね。それはそうと、なんで小泉はそんな端っこにいるんだ?」

 

「なんか、広いと落ち着かなくって…」

 

あぁ、なんか分からなくもない…小さい頃とかは、ドラ〇もんみたいに押し入れを秘密基地にして遊んでる子とか多いよな…まぁ、俺の小さい頃の記憶はないんだけど。

 

 

 

「これが、合宿での練習メニューになります!」

 

そう言いながら園田は練習メニューを見せてきた。

 

「おぉ…」

 

「すごい、こんなにビッシリ…」

 

園田が用意した、練習メニューには普通の人には到底クリア出来ない練習メニューが書かれていた。というか、3バカはなんで水着なんだよ…

 

「って海は!」

 

「私ですが?」

 

「園田、ボケるならもうちょい捻った方がいいぞ。」

 

「なんの話です?」

 

えっ?今のボケじゃなく素だったの?

 

「そうじゃなくて、海だよ!海水浴だよ!」

 

「それならほら!」

 

園田が指さしたところには、遠泳10キロと書かれていた。

 

「遠泳、10キロ…」

 

「その後、ランニング10キロ!?」

 

「最近、基礎体力をつける練習が減っています。せっかくの合宿ですし、ここでみっちりやっといた方がいいと!」

 

基礎体力減ったからって、1日でこの量は…

 

「それは重要だけど、みんなもつかしら?」

 

「大丈夫です!熱いハートがあれば!」

 

松岡〇造さんかよ!

 

「やる気スイッチが痛い方向に入ってるわよ…何とかしなさいよ…」

 

矢澤がそう言うと、

 

「う、うん。凛ちゃん!」

 

「分かったニャ!海未先輩あそこ!」

 

高坂に頼まれ星空が指で方向を指しながら、園田に言った。

 

「えっ、どこですか?」

 

「今だ!行けー!」

 

園田がよそを見た瞬間、高坂、星空、矢澤、南、小泉が海へ走って行った。ってほかのメンバーも水着着てたんかい!

 

「あなた達、ちょっと!」

 

「まぁ、仕方ないわね。」

 

絢瀬先輩が言った言葉に、

 

「えっ、いいんですか?絵里先輩?…あっ、」

 

そう聞いた園田だが、先輩付けで呼んでしまっていた。

 

「禁止って言ったでしょ?」

 

そんな園田に、絢瀬先輩がそう言った。

 

「すみません…」

 

「μ’sはこれまで部活の側面も強かったから、こんなふうに遊んで、先輩、後輩の垣根をとることも重要なことよ?」

 

「おーい!」

 

「海未ちゃーん!絵里ちゃーん!」

 

海の方でみんなが2人を呼んでいた。っていうかさっき逃げていったのに切り替え早いね…

 

「はーい!さぁ海未、行きましょ!」

 

そして、西木野以外のメンバーは海ではしゃいだり、スイカ割りをしたり、ビーチバレーをしたりしていた。ただ、西木野だけは遊ばず、本を読んでいた。

 

 

 

海に行ったあと、全員別荘に戻ってきた。

 

「買い出し?」

 

「なんか、スーパーがちょっと遠いらしくて。」

 

「じゃあ、行く行く!」

 

と、高坂が行くと言ったが、

 

「別に、わたし1人で行くからいいわよ。私以外、お店の場所分からないでしょ?」

 

そう西木野が言った。

 

「じゃあ、ウチと優くんがお供する。」

 

突然、東條先輩がそう言った。

 

「えっ、俺も?」

 

「たまには、いいやろ?こういう組み合わせも。」

 

 

 

そして、俺たちは買い出しに向かった。

 

「おぉ、綺麗な夕日やね!」

 

と、海に沈む夕日を見て東條が言った。

 

「確かに、綺麗ですね。」

 

「もう!そこは、君たちの方が綺麗って言うところとちゃうの?」

 

「そんなキザなセリフ、言いませんよ…」

 

「どういうつもり?」

 

不機嫌そうに西木野が言ってきた。

 

「別に、真姫ちゃんもちょっと面倒なタイプだなって。」

 

えっ、それを東條先輩が言うか…?

 

「優くん?今、失礼なこと考えてなかった?」

 

「そっ、そんなわけないじゃないですか!」

 

だから、なんで分かったんだよ!?

 

「そんなことより、私が面倒なタイプってどういうことよ!」

 

「本当はみんなと仲良くしたいのに、なかなか素直になれないっていうところとか?」

 

「私は、普通にしているだけで…」

 

「そうそう、そうやって素直になれないのよね。」

 

「ていうか、どうして私に絡むの!」

 

「うーん…ほっとけないのよ。よく知ってるから、あなたに似たタイプ…」

 

なるほど、絢瀬先輩か…あれ?っていうか、今の東條先輩の口調、関西弁じゃない…?それに、どっかで聞き覚えがあるような…

 

「なにそれ…」

 

「まっ、たまには無茶してみるのもいいと思うよ?合宿やし。」

 

 

 

そして買い出しを終え、西木野は先に別荘に戻ると言って戻ってしまい、俺は東條先輩と帰っていた。

 

「優くんも真姫ちゃんとどこか似てるようで、どこか違うね。」

 

と、東條先輩が言ってきた。

 

「どういうことですか?」

 

「自分はみんなと仲良くすると、みんなを危険な目に遭わせてしまう。だからみんなとの関係は、アイドルとマネージャーという関係だけで止めておこう。友達になったりするつもりはない、そう思ってるんやろ?」

 

「本当、お見通しですね…」

 

「でも、最近気づき始めてる。優くんにとって、穂乃果ちゃん達はとても大切な人たちになってるんと違う?だからまた失うのが怖くて、普通に接してるようで避けているんと違う?」

 

「違いますよ…俺は、仲良くするつもりなんて…」

 

「それ。優くんは仲良くするつもりなくても、仲良くしたい。もっと話したり遊んだりしたいって思ってるんと違う?」

 

「違います!俺は、俺は…」

 

「やっぱり、そうなんやろ?仲良くしたいならしたらええやん。茜ちゃんの時だって、優くんが悪いんでも、優くんがいたからでもない。それに、穂乃果ちゃん達が襲われたら、優くんが守ってあげれば…」

 

「簡単に言わないでください!」

 

俺はつい、東條先輩に対して怒鳴ってしまった。

 

「優くん…」

 

「すみません…」

 

俺は、その場から走って、逃げ去ってしまった…




最後、優と希が少し言い合いに…次回、しっかりと希と話すことが出来るんでしょうか…
次回かその次で、合宿編ラストだと思います。


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31話 恐怖の枕投げ…

はい、31話です。
今回は夕食からです。
そして、気づけばUAが5000を突破し、32人の方がお気に入りに登録してくださいました!見てくれた皆さん、ありがとうございます!これからも駄目文ですが、見てもらえると嬉しいです!
では31話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺が買い出しから戻ると西木野が持って帰っていた材料だけで、カレーが完成していた。しかし、1つ気になることが…

 

「なんで、小泉はご飯とカレーに分けているんだ?」

 

俺が小泉に聞いた。小泉だけ、何故かカレーとご飯を別々の器によそってあったのだ。

 

「気にしないでください!」

 

俺の言った言葉に、真剣な表情で答える小泉。

 

「にこちゃん、料理上手だね!」

 

矢澤が作ったカレーに、みんなが驚いてると、

 

「あれ、でも昼に料理なんてしたことないって言ってなかった?」

 

と、南が言った。そういえば、そんなこと言ってたな…

 

「言ってたわよ、料理人が作ってくれるって。」

 

そして、追い打ちをかけるように西木野が言った。

 

「ギクッ!?いっ、いや…にこ、こんな重いものもてなーい!」

 

話を誤魔化そうと矢澤が、スプーンを持ってそう言った。何を思って、そんな誤魔化し方をしようも思ったんだ…?

 

「いくらなんでも、それは無理がある気が…」

 

「これからのアイドルは、料理の1つや2つ作れないと生き残れないのよ!」

 

矢澤が開き直って言ったことに、

 

「開き直った!」

 

と、みんなも驚いている。

 

「まぁ、とりあえず食べましょ!」

 

そんな中、絢瀬先輩の言葉で全員が手を合わせて、

 

「「「「「「「「「「「いただきます!」」」」」」」」」」」

 

みんながカレーを食べ始める。

 

「絵里ち、取り皿取ってもらっていい?」

 

東條先輩がそう言った。

 

「優の前にあるんだから、優に頼んだら?私も届かない場所なんだけど…」

 

絢瀬先輩は俺の前に皿があるのに、俺に頼まないのかと言っていた。

 

「あっ、そっ、そうやね…優くん、お願いしていい?」

 

東條先輩もさっきのことで俺とは話しにくいようだ。実際、俺もかなり気まずい。

 

「あっ、はい。どうぞ…」

 

そして、俺も言葉をつまらせながら言って、皿を渡した。

 

「ありがと…」

 

すると、俺たちの様子を見て、

 

「ねぇ、希。優と何かあったの?」

 

と、絢瀬先輩が東條先輩に聞いていた。

 

「いっ、いや…なんもないよ…」

 

「はぁ、何かあったなら早く仲直りしなさいよ。」

 

「うん…」

 

そして、改めて俺たちは夕食を食べ始めた。

 

 

 

「ふぅ、食べた食べた〜」

 

みんな夕食を食べ終えて、今はそれぞれくつろいでいる。

 

「いきなり横になると牛になりますよ?」

 

と、園田が高坂に言った。

 

「もう、お母さんみたいなこと言わないでよぉ!」

 

「よーし!じゃあ、花火をするニャー!」

 

星空が元気にそう言った。昼あんなに遊んだのに、まだ遊ぶ気なのか。

 

「その前に、ご飯の後片付けしなきゃダメだよ?」

 

「それなら、私やっとくから行ってきていいよ?」

 

小泉が星空に後片付けをしなきゃダメと言ったが、南が自分でやると言った。

 

「ことりだけに任せる訳にはいかないわ。みんなも自分の食器は自分で片付けて!」

 

絢瀬先輩の言葉でみんなが片付けを始めたのだが…

 

「それに、花火よりも練習です!」

 

鬼教官園田様がそう言った。今からするのかよ…もう、夜だぞ。

 

「えっ、これから?」

 

「当たり前です!昼間あんなに遊んでしまったのですから…」

 

「でも、そんな空気じゃないっていうか…特に穂乃果ちゃんはもう…」

 

「ゆーきほー、お茶まだー?」

 

と、高坂がソファーで半分寝ながら言っていた。

 

「家ですか!」

 

「どこに妹がいるんだよ…ここは西木野の別荘だ。」

 

「じゃあ、これ片付けたら私は寝るわね。」

 

と、西木野は1人寝ようとしている。

 

「えっ、真姫ちゃんも一緒にやろうよ、花火!」

 

「いえ、練習があります!」

 

園田って、何でここまでスパルタなんだよ。

 

「今日は、みんなで花火やろ!」

 

「そういう訳にはいきません!」

 

星空と園田がそうお互いの意見を述べている中、

 

「かよちんはどう思う?」

 

「わっ、私はお風呂に…」

 

星空に聞かれた小泉が、そう答えた。

 

「第3の意見出してどうすんのよ!」

 

「ゆきほー、お茶ー!」

 

そして、未だに半分寝ながら、ここにいない妹にお茶を頼んでる高坂。ダメだこりゃ…

 

「じゃあ、今日はみんな寝ようか。みんな、疲れてるでしょ?練習は明日の早朝。それで、花火は明日の夜することにすればいいやん?」

 

東條先輩がまとめてくれたおかげで、みんなは納得した。そして、みんなはお風呂に入るため、風呂場に行った。

 

 

 

俺は、その間待つのも暇なので、ジャージに着替えて夜のランニングに行った。

 

はぁ、東條先輩に怒鳴ってしまったこと、まだ謝れてないな…確かに、東條先輩の言う通りなのかもしれない。俺は怖いだけで、みんなと仲良くして行きたいと本心では思っているのかもしれない…いや、そんなことない。俺がみんなと深く関われば、みんなを危険な目に会う可能性が出てくる。だから、俺はあいつらと深く関われない…

 

そんなこと考えながら、走っていると…

 

「ゆっ、優くん!」

 

東條先輩が走ってきた。謝るなら、今か…

 

「東條先輩…あの…」

 

すると、

 

「「ごめんなさい!」」

 

と、東條先輩と言葉が被ってしまった。

 

「えっ?なんで東條先輩が謝るんですか?」

 

「優くんだって、戦うの辛いはずなのに軽々しく守ってあげればいいなんて言ってしまったから…でも、優くんの方こそなんで謝るん?」

 

お互い、何故相手が謝ってくるのか疑問に思った。

 

「いや、東條先輩は俺の為を思って言ってくれたのに、怒鳴ってしまったから…」

 

「じゃあ、ウチらはお互いがお互いに悪いことをしてしまったって思ってギクシャクしてたってことやね。」

 

「そういうことですね。あっ、東條先輩はなんでここに?」

 

「もう、先輩禁止って言ったやろ?」

 

あっ、そうだった。忘れてた…

 

「あっ、すみま…ごめん、東條。」

 

「まだ、下の名前では呼んでくれへんか…」

 

と、東條は少し暗い顔をして言った。

 

「ごめん…でもやっぱりまだ…」

 

「ええんよ、ゆっくり自分のペースでね。茜ちゃんのことを吹っ切ることは難しいやろうけど、μ’sのマネージャーをしているうちに、ゆっくりウチらとも仲良くできたらいいと思う。だから、優くんにはこれからもμ’sのマネージャーを続けて欲しい…ウチだけじゃなくて、μ‘sのみんなそう思っとるよ?」

 

「もちろんです!」

 

「じゃあ、戻ろうか?みんなはお風呂上がったから優くんが入る番やで?」

 

「分かりま…分かった!」

 

俺は無事、東條に謝っていつも通りに戻ることが出来、風呂に行こうとした時、

 

「なんなら、ウチと一緒に入る?」

 

と、東條が言ってきた。

 

「なっ、入るわけないでしょ!//」

 

東條が最後に言ってきた一言で、俺の顔は真っ赤になってしまった。その顔を、東條がニヤニヤと見ていた。やっぱり、東條にはかないそうにない…そう思った瞬間だった…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 希〜

 

ウチは今、お風呂から上がって優くんを探してる。理由は2つ。

 

1つ目は優くんにお風呂が空いたことを伝えるため。

 

2つ目は、夕方のことを謝るため。

 

あの時、ウチは優くんが仮面ライダーとして戦うことに、どれだけの重荷を抱えているかも考えずに、軽々と守ってあげればいいと言ってしまった。優くんは、茜ちゃんを守りきれなかったことを今も悔やんでいる。だから、穂乃果ちゃんたちが危険な目にあったら、守れるか不安なんとちゃうかな…だから、みんなと一歩距離を置いてるんやと思う。だから、謝らな…

 

そんなことを考えていると、ランニング中の優くんを見つけた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side 優〜

 

〜現在〜

 

そして、俺は別荘に戻りお風呂に入った。てか、露天風呂あるとかすげぇな。西木野って、どんだけ金持ちなんだよ。

 

ゆっくり自分のペースで仲良くしていけばいい、か…やっぱり、俺はみんなと仲良くしたいと思っているのかもしれない…けど、俺と仲良くして、敵やみんなに俺がライダーなことがバレたら、みんなにも危険が及ぶかも知らない。そう考えると、やっぱり俺は、みんなとあまり接しない方がいいのかもしれない…

 

 

 

俺が風呂から上がると、リビングに布団が10枚敷いてあった。ん、10枚?

 

「まさかだけも、俺もここに寝るのか?」

 

「うん、もちろん!」

 

当たり前かのように言ってくる高坂。

 

「何がもちろん!だよ。俺、男だぞ!なにか間違いでも起こったら…」

 

「優はそんな事しないって分かってるから!」

 

と、絢瀬までそう言ってきた。まぁ、しないけど…っていうか、これは俺が信用されているのか、男として見てもらえてないのか、どっちなんだろう…

 

「絢瀬まで…もう、分かったよ!」

 

俺はこれ以上言っても聞かないと思い、一緒に寝ることにした。

 

 

そして、俺は絢瀬の隣で西木野の前の布団で寝ることになった…そして、明かりを消してみんなが寝静まろうとしている時…

 

「ねぇ、ねぇ、ことりちゃん。」

 

高坂が南に話しかけた。

 

「どうしたの、穂乃果ちゃん?」

 

「なんだか眠れなくて…」

 

そう言った高坂に、

 

「そうやって、話してたらもっと眠れないわよ。」

 

「明日の練習だって早いんだろ?もう、園田は寝てるぞ?」

 

絢瀬と俺が言った。

 

「おぉ…」

 

園田の寝付きの良さに驚く高坂。まぁ、これには正直俺も驚いている。

 

「穂乃果ちゃんも割とよく眠れるほうだよね?」

 

「そうなんだけど、なんだかもったいないっていうか、せっかくのお泊まりなんだし。」

 

「何度も言うけど、遊びに来たんじゃないのよ?明日はしっかり練習するんだから、早く寝なさい。」

 

絢瀬が言った言葉で、

 

「はーい。」

 

高坂もやっと寝ようとした。

 

しばらく経ち、俺も眠りかけていた時…

 

「バリッ!ボリ!ボリ!ボリ!」

 

と、聞こえてきた。

 

「ちょっ、なんの音!?」

 

まさか、財団X!?でも、奴らは音ノ木坂の近くで動いてるからそんなことないはずだが…

 

「東條、悪い。もし怪人だったらすぐにみんなを避難させてくれ。」コソコソ

 

「うん、分かった。」コソコソ

 

俺は万が一のことに備えて、ゆういつ俺の正体を知っている東條に小声でみんなの事を頼んで、いつでもインフィニティドライバーを取り出せるようにした。

 

「誰か電気付けて!」

 

絢瀬が少し焦ってそう言ったことで、電気が付いた。

 

「何やってるの穂乃果ちゃん?」

 

音の正体は、高坂がせんべいを食べている音だった…

 

「何か食べたら眠れるかなって…」

 

「何やってんだよ…」

 

「もう、いい加減にしてよね!」

 

矢澤がそう言い、こっちに振り返ったのだが、矢澤は顔にキュウリを大量に付けたパックをしていた。

 

「何よ、それは?」

 

「美容法だけど?」

 

そう言った矢澤に、

 

「ハ、ハラショー…」

 

「こ、怖い…」

 

みんなそれぞれ驚く。確かに、これはちょっと怖いな…

 

「誰が怖いのよ!いいからさっさと寝るわ、クバッ!」

 

矢澤が寝ようと言った時、東條の投げた枕が矢澤の顔に命中した。

 

「真姫ちゃん何するの〜」

 

とわざとらしく東條は西木野がやったと嘘をついた。まぁ、東條の事だから、何か考えがあるんだろうけど…

 

「あんたねぇ…」

 

そして、矢澤は本当に西木野がやったと思っているみたいだ。矢澤だけじゃなく、他のみんなも東條の言ったことを信じている。

 

「いくらうるさいからってそんなことしちゃダメよ!」

 

そう言って、今度は星空に枕を投げた東條。

 

「何するニャ!」

 

次は星空が高坂に枕を投げた。

 

「よぉーし!」

 

そして、今度は高坂が西木野に向かって枕を投げた。

 

「投げ返さないの?」

 

と、東條の挑発的な態度に西木野は苛立っていた。

 

「あ、あなたねぇ…ウッ!」

 

今度は、西木野に絢瀬の投げた枕が当たった。

 

「もう、いいわよ!やってやろうじゃない!」

 

そして西木野も枕を投げたことにより、寝てる園田以外による枕投げが始まった。

 

「グッ…痛っ。やったな!」

 

星空が投げた枕が俺に当たり、俺も枕を投げる。

 

 

激しい枕投げ合戦が行われている中、途中で投げた枕が園田に当たった。

 

「あっ…」

 

「まぁ、あんなにぐっすり寝てたんだ。大丈夫だろ…」

 

「そうだよね…」

 

しかし、俺の予想は外れた。目を覚ました園田が、ゆっくりと起き上がった。

 

「……何事…ですか…?どういうこと…ですか…?」

 

園田がとても低い声でかなりお怒りのご様子…

 

「狙って当てたわけじゃ…」

 

「そうだよ、そんなつもりは全然なく…」

 

みんな言い訳をするが、園田は聞く耳を持たない。というか、寝起きで聞こえてない。

 

「明日、早朝から練習すると言いましたよね?それをこんな夜中に、フフッ、フフフフ…」

 

「お、落ち着きなさい、海未。」

 

「フッ!」

 

園田が見えない速さで、枕を投げ矢澤に当てた。そして、矢澤は意識を失って倒れた。

 

「超音速枕…」

 

「ハラショー…」

 

「覚悟はできていますね?」

 

顔が髪で隠れ、口だけしか見えない園田がそう言った…怖い怖い怖い怖い…やっぱり園田、怪人ぐらい倒せるんじゃないか?

「生き残るには戦うしか、グハッ!」

 

「ごめん、海未!ウッ!」

 

高坂と絢瀬までもがやられた…

 

今度は、小泉と星空に向かって枕を構える園田。というか、高坂が言ったの、龍騎のキャッチコピーに似てるな…って、そんな呑気なこと考えてる場合じゃないな…

 

そして、園田は小泉と星空を次の標的に決めてゆっくりと近づいている。そして、そんな園田を見て、2人は泣きそうになっていた。

 

「クッ、こうなったら見えない速さには見えない速さだ!」

 

俺はそう言い、腰につけていたアタックバックルに1枚のカードを入れた。

 

『スペシャルアタック!クロックアップ!』

 

俺は、クロックアップカードの力で一瞬で園田を取り押さえた。

 

「東條!西木野!今だ!」

 

俺の声に合わせて、東條と西木野の投げた枕が当たった園田は気絶した。……って、ヤバッ!勢いで、みんなの前でライダーの力使ってしまった。まぁ、気づいてないよな…?

 

「優くん、速いにゃ…もしかして、瞬間移動!?」

 

しかし、俺の望みは叶わず、見ていた1年生と南が驚いていた。

 

「あぁ、これは…えっーと…」

 

俺が、なんて言おうか迷っていると、

 

「もしかして、あれやないかな?人間誰でも、危機感を感じるとすごい力を発揮するって聞いたことあるよ?スピリチュアリズムやね!」

 

と、東條が上手くフォローしてくれた。

 

「あっ、そういうことなんだ。ビックリしたにゃー。」

 

東條のおかげで、何とかバレずに済んだ。

 

「ありがとうございます。」コソコソ

 

俺が、東條に小声でお礼を言うと、

 

「ううん。ウチに手伝える事あったら、なんでも言って。」コソコソ

 

言ってくれた。

 

そして、やっとみんなは眠りについた。

 

 




はい、今回で合宿編を終わりにするつもりだったのですが、この後、少しオリジナルを入れながら、合宿編を終わらせようと思ったので、3部作に分けさせてもらいました…
では、次回こそ合宿編、終了です!


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32話 朝日の見える砂浜で…

はい、32話です。
今回こそ、合宿編は完結です。
では32話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺が目を覚ますと、時刻は午前4時前。今日は合宿の2日目だ。

 

みんなが起きる時間まで1時間程しかないため、もう起きることにした。夏ということもあり、日が昇る時間が早く、ほんの少しだけ日が昇っている。しかしまだ、外は少し薄暗いが、時間もあまり無い。俺は仮面ライダーとして戦うために体力作りとして、朝晩毎日やっているランニングをすることにした。

 

合宿の日ぐらい休んでもいいんじゃないかとも少しだけ思ったが、ライダーである以上、日々の鍛錬は大切であり1日でも休むわけには行かないのだ。

 

 

 

そして、俺はジャージに着替えて外に出て走り始めた。そして、30分くらい走っている頃に思った。ランニングを始めた頃は5分くらいで息も切れていたが今、30分走っても息もほとんど切れていない。そう思うと、少しは強くなっているのだろうか…まぁ、元々体力が無さすぎたっていうのもあるんだけどな…

 

俺がそんなことを考えながら走っていると、見覚えのある白服を着た男が4人いた。そう、財団Xの連中だ。なんで、財団Xがここに…あいつらは普段、音ノ木坂近辺で動いているはずだ。なのに何故、音ノ木坂から離れた西木野の別荘の近くに来ているのか…俺はそんなことを考えながら、腰にインフィニティドライバーを巻き付けた。

 

まぁ、考えても仕方ない。どうせまた、悪事の1つなのだろう。俺はインフィニティドライバーにノーマルデータボトルを入れ、

 

「変身!」

 

仮面ライダーインフィニティに変身した。

 

「お前ら、財団Xの連中か?」

 

俺が白服のやつらに分かりきった質問をする。

 

「なっ、仮面ライダー!」

 

「何故こんなところに?」

 

「それはこっちのセリフだっつーの!なんで、こんなところにまで来て、財団Xと戦わないといけないんだよ!」

 

『マスカレイド』

 

白服の4人はマスカレイドメモリを首に差し込み、マスカレイド・ドーパントとなった。

 

「ふっ、ここで仮面ライダーを倒してアレを持ち帰れば一石二鳥だ!」

 

「アレってなんだ?まあいい、返り討ちにしてやる!仮面ライダーインフィニティ、俺の強さは次元を超えるぜ!」

 

俺はお決まりの言葉を言いマスカレイド・ドーパントに向かっていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 絵里〜

 

私が起きると、午前4時半前。普段なら早すぎて、もう1度寝るんだけど、今日は合宿。みんな5時頃には起きてくるだろうから、もう起きることにした。すると、隣の布団で寝ていたはずの優の姿がなかった。散歩にでも行ったのかと思い、私は着替えて外に出た。

 

すると、向こうの方から大きな音がしているので、向かって見た。そこには、4体の怪物と前に助けてくれた仮面ライダーが戦っていた。

 

あれって、最近噂になってる仮面ライダー…?それに、怪物まで…こんな所にもいるのね…まさか、優が巻き込まれたりしてないわよね…?

私が見ていると、仮面ライダーは4体の怪物を倒した。良かったわ…

 

「ふぅ〜」

 

そう言って、仮面ライダーは変身を解除した。私はその姿に驚きを隠せなかった…なぜなら、その人は私達μ’sのマネージャーである、仮野優だから。

 

でも、そこで私の頭のピースはすべて繋がった。

 

前に保健室で希が優に言っていたこと。

 

たまに優が突然いなくなることがあること。

 

前に穂乃果達に聞いたことがあるけど、普通じゃないらいのトレーニングをしてる事。

 

そして、茜の死を一緒にいたからと言って、不思議なくらい責任を感じていたこと。

 

それは、優が仮面ライダーだったからなんだと思った。その時、

 

「とうとう、絵里ちにバレてしもうたか…」

 

私の後ろから私の親友、東條希の声がした。

 

「希は知ってたの?」

 

私が聞くと、

 

「うん、知ってたよ…」

 

と、希は答えた。

 

「なんで、言ってくれなかったの?」

 

「優くんは、茜ちゃんの時のことを今もトラウマとして抱えてる。だから、また他の人に正体を知られて、危険な目に合わせるのが嫌やから、黙っておいてって頼まれたんや。」

 

「そうだったのね…」

 

確かに、優は茜のことでかなりショックを抱えてた。トラウマを抱えてたとしても、おかしくないわね…

すると、

 

「優くんには、絵里ちが正体を知ったことは黙っておいて上げてくれへん?」

 

と、希が言ってきた。

 

「なんで?」

 

「さっきも言ったように、優くんは茜ちゃんの時のことをトラウマとして抱えてる。だから、みんなが正体を知ったってなると、怖くなってますますみんなと距離を置いてしまうかもしれへん。ただでさえ、ウチが正体を知ってることを不安に思ってるところもあるみたいやし。」

 

「もしかして、優がいつまでも私たちのことをいつまでも下の名前で呼ばないのって…」

 

「うん、この事が原因でもあるんや…」

 

そういう事だったのね…

 

「そうだったのね…分かったわ、このこと、優には黙っておくわ。」

 

「絵里ち、ありがとう。」

 

「じゃあ、そろそろ戻りましょ?みんなもそろそろ起きそうだし。」

 

「そうやね。」

 

そう言って、私たちは別荘の方へ戻っていった。

 

しかし、私はまだ知らなかった。優の正体がバレるのは、そう遠くない未来の事ということを…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ふぅ〜」

 

俺は4体のマスカレイド・ドーパントを倒した。

 

財団Xの連中が何故こんなところにいたのかは分からないが、何かを探しているようだった。そんなことを考えていると、1つ綺麗な赤色の宝石?のようなものに目が言った。恐らく倒した財団Xのやつらが落としたやつだろう。

 

もしかして、財団Xのヤツらが探していたものってこれか?俺は、帰って姉ちゃんに調べてもらおうと思い、持って帰ることにした。

 

 

 

そして、別荘の方へ戻る途中の砂浜で、朝日を見ながらμ’sのメンバーが全員手を繋いで立っていた。何やってんだ…?

 

「みんな、おはよう。早起きだな。というか、高坂がもう起きてるなんて意外だな。」

 

「あっ、優くんおはよう!それより、穂乃果が早起きなのが意外ってどういうこと?」

 

俺の言葉に、ムスッとしながら聞いてくる高坂。

 

「そのまんまの意味だ。」

 

「もう、馬鹿にしないでよ!」

 

高坂が言ってくるが、高坂の早起きが珍しのは事実だしな。すると、絢瀬が、

 

「ほら、優もこっちに来て!」

 

と、言ってきた。

 

「あっ、ちょっ、絢瀬!?」

 

そして、絢瀬が俺の手を繋いでみんなの中に入れてきた。

なんで俺まで…

 

「ねぇ、絵里。ありがとう!」

 

そんな時、西木野が絢瀬にそう言った。

 

「ハラショー!」

 

どうやら、西木野のことは解決したみたいだな。そうして、俺たちの合宿は幕を閉じた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 絵里〜

 

優が仮面ライダーって事には驚いたけど、前に優が言っていた人を死なせてしまったことっていうのは、茜の事よね…でも、茜のことは優が仮面ライダーだったとしても、優が悪いという訳ではない。でも、優は目の前で茜を殺されて、かなり心に深い傷が出来てしまい、私たちと距離を置いてしまっているのよね。だから、私が少しでも優の力になりたいと思った。

 

〜side out〜




はい、今回で合宿編は終了です。
そして、絵里に正体がバレてしまいましたね。でも、絵里が正体を知ったことに特に深い意味はありません…希以外に茜が死んだことを知っている絵里に先に知って欲しいと思っただけで、恐らくこの後の物語にはほとんど関係はないと思います。
そして、次回からオリジナル回を少しと、その後オリジナルではないんですが、ラブライブ以外の内容を書く予定なのでラブライブ本編は少しの間、書けないと思います。


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33話 知られる正体…

はい、33話です。
今回、とうとうμ’s全員にバレてしまいます。前回も言いましたが、前回絵里に正体がバレたのはあまり意味がなかったので、2連続でバレてしまいます。
では33話、スタートです!


〜side 優〜

 

今、俺はアメリカ発祥のファーストフード店、ワクドナルド、訳してワック、ワクドなどと呼ばれるハンバーガー店にμ’sのメンバーと来ていた。

 

絢瀬が夏休みだし、たまには休みを作らないと言ったことから、今日の練習が休みになった。そんな時、高坂がせっかくだから、みんなとどこかに行こうと言い出して、とりあえずワックに来て昼食を食べている。

 

「てか、結局このメンバーといるんだな。」

 

俺がそう言うと、

 

「でも、やっぱりこのメンバーでいるのが楽しいし!」

 

高坂が言った。

 

「それに、この10人でワックに来るのは初めてですし。」

 

「まぁ、それもそうだな。」

 

 

その後は、ハンバーガーを食べながらみんなでは喋っていると、時間は午後2時を過ぎていた。

 

「もうこんな時間か…」

 

「私達、2時間もここで喋ってたんですね。」

 

俺と園田の言葉に、みんなが時間に気づいた。

 

「どこかに行くんなら、もうそろそろ行ったほうがいいんじゃない?」

 

と、絢瀬が言った。

 

「そうだな、高坂はどこ行くとか決めてたのか?」

 

「うーん…とりあえず、前に出来たショッピングモールとか行ったらどう?お店もいろいろあるし、ゲームセンターとかもあるんだし。」

 

俺の言葉に、高坂がそう答えた。

 

「そうね、じゃあそこに行きましょうか。」

 

 

 

こうして、俺たちはショッピングモールに行くことになった。

 

「デッカ!?最近のショッピングモールはこんなにでかいのか…」

 

俺はショッピングモールの大きさに驚いていた。

 

「じゃあ、みんなどこ行く?」

 

絢瀬がみんなに聞くと、

 

「うーん…やっぱり、ゲームセンター?」

 

高坂が答えた。

 

「確かに、みんなで遊べるといえばゲームセンターぐらいか?」

 

「よし。じゃあ、みんなゲームセンターでいい?」

 

 

こうして、俺たちはゲームセンターへ行って、みんなで遊び回ってると、気づけば午後5時を回っていた。

 

「みんな、そろそろ帰りましょうか?」

 

絢瀬の言葉で、みんな時間に気づきそろそろ帰ることになった。

 

「いやぁ、9人で出かけたのは初めてだけど、楽しかったね!」

 

「そうだね!」

 

「穂乃果はちょっとはしゃぎすぎでしたけどね。」

 

「もう、海未ちゃんも硬い事言わないでよ〜。」

 

「まぁ、楽しかったしいいんじゃねえのか?」

 

こんな話をしながら帰ろうとした時、俺たちの前に白服の男が現れた。

 

「見つけたぞ。」

 

あれは、財団Xか!?こんなところで…見つけたぞって、俺たちの誰かを探しているのか?でも、なんでだ…もしかして、俺の正体がバレたのか!?

 

「あの、私達になにか用ですか?」

 

と、絢瀬が財団Xの男に近づこうとしていた。

 

「絢瀬!そいつに近づくな!」

 

「えっ?」

 

俺の言葉に、絢瀬はなんで、というような表情をしていた。

 

『ティーレックス』

 

白服の男は、ティーレックスメモリを差し込み、ティーレックス・ドーパントに姿を変えた。

 

「かっ、怪物!?」

 

「東條、みんなと逃げてくれ!」

 

俺が東條に言うと、

 

「うん、みんな逃げるよ!」

 

東條がみんなに呼びかけるが…

 

「でも、優くんは!?」

 

高坂が俺のことを気にして、そう言ってきた。

 

「俺はいいから行けっ!」

 

「嫌だよ!優くんを置いて逃げるわけないじゃん!」

 

しかし、高坂たちはそう言って逃げようとしない。

 

その時、ティーレックス・ドーパントが攻撃を仕掛けようとした。もう、覚悟を決めるしかないか…

 

「あぁ!もう、しょうがないな!」

 

俺は腰にインフィニティドライバーを巻き、ノーマルデータボトルを入れた。

 

「変身!」

 

俺は仮面ライダーインフィニティに変身した。

 

「えっ、優くんが仮面ライダー!?」

 

「えっ、嘘!?」

 

「優くんが怪物と戦っている仮面ライダーだったなんて…」

 

俺が変身したことに東條と絢瀬以外のメンバーが驚いていた。東條は分かるけど、なんで絢瀬は驚いてないんだ?

 

「女子高生を襲おうとするなんて、とんだ変態野郎だな。俺が1発お仕置きしてやる。行くぜ!仮面ライダーインフィニティ、俺の強さは次元を超えるぜ!」

 

俺はそう言い、ティーレックス・ドーパントに攻撃を仕掛けた。

 

「よしっ!今回は特別に、新兵器を見せてやる。」

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

俺はこの前、姉ちゃんから貰った新兵器、インフィニティソードを、アタックバックルに召喚カードを入れて呼び出した。俺が変身した姿である、仮面ライダーインフィニティのベースカラーである水色をベースの剣でティーレックス・ドーパントに斬りかかった。

 

「オラッ!はぁ!この武器の本当の力を見せてやるぜ!」

 

俺は、緑と黒の2色のボトル、ダブルデータボトルをインフィニティソードのボトルが入るデータボトルホルダーに入れた。インフィニティソードのボトルホルダーに各ライダーのデータボトルを入れることでそのライダーの力を使うことが出来る。

 

俺はダブルデータボトルを入れたため、ティーレックス・ドーパントをメモリブレイクできるようになり、

 

「よしっ、一気に決めるぜ!」

 

俺はデータボトルホルダーの後ろに付いているレバーを引いた。

 

『ダブル!ライダーマキシマム サイクロン!』

 

という音声が流れ、インフィニティソードから強風が出てきた。

 

「ライダーサイクロンスラッシュ!」

 

俺は、インフィニティソードのダブルの力で必殺技を放ち、ティーレックス・ドーパントを倒した。

 

「ふぅ〜」

 

そう言って、変身を解いた。さて、ここからどうするかな…

 

「えっと、お前ら大丈夫か?」

 

俺がそう聞くと、

 

「体は大丈夫だけど、」

 

「頭が追いつきません…」

 

と、高坂や園田の言葉の通り、みんな状況を上手く理解出来ていないようだ。

 

「えっと、今見てもらった通り、俺は仮面ライダーインフィニティでこのことを知ってるのは東條だけなんだよな…」

 

俺が東條は、俺の正体を知っていることを話すと、

 

「えっ、希ちゃんは知ってたの!?」

 

と、みんな余計驚いていた。

 

「うん、ごめんな。優くんに、正体はあんまり言わんといて欲しいって言われたから…けど、絵里ちも知ってたんやで。」

 

と、東條が言った。

 

「あぁ、そうだ絢瀬も知ってたんだった。そうだそうだ……って、絢瀬知ってたのか!?」

 

「えぇ。知ってたと言っても、この前の合宿の時にたまたま見ちゃったんだけど、希が優が自分で話すまでは黙っておいてって頼まれたの。」

 

そう絢瀬が言った。

 

「あぁ、そういうことか。2人とも気遣ってくれてありがとな。」

 

俺がそう言うと、

 

「じゃあ、1年前に助けてくれたのも優くんだったの?」

 

「あの時の優は姿が違いましたけど…」

 

と、南と園田が言ってきた。

 

「1年前?あぁ、高坂と園田と南がロイミュードに襲われて、その後、園田がバグスターウイルスに感染した時の話か?」

 

俺の説明に、

 

「うん。じゃあ、あの時も優くんだったんだね。改めて、あの時はありがとう!」

 

「ありがとうございました!」

 

「ありがとう!」

 

南、園田、高坂がお礼を言ってきた。

 

「いいよ、1年も前の話だし。」

 

「それにしても、1年前ってあんた音ノ木坂学院に入学する前から戦ってきたの?」

 

と、矢澤が聞いてきた。

 

「まぁ、そうなるな。あの時はまだ戦い始めだったから、俺が初めて戦ったのが高校に進学する前の春休み、絢瀬と東條を襲っていた怪人を倒したのが初変身だったな…」

 

「そんなに前から…」

 

俺の言葉に、みんな驚いていた。

 

「俺なんて最近だぞ?俺以外にも先輩ライダーたちはいっぱいいるし…」

 

「でも、学生でライダーなんて…」

 

「でも、学生の時に仮面ライダーとして戦ってた人はいるから、そんな大したもんじゃないよ。」

 

確か、この前会った如月先生は学生時代にライダーとして学園の平和を守ったって言ってたな。

 

「そんなことないよ!怪人と戦ってみんなを守るなんて、すごいことだよ!」

 

と、高坂が言ってきた。

 

「まぁ、あれだ。俺がライダーなのはそんなに気にすることじゃねえから、お前らは今まで通り過ごしてくれ。じゃあ、今日はもう遅いから帰ろうぜ!」

 

「うーん…そんなにすんなり飲み込めないけど…」

 

と、みんなはあまり納得していないようだったが、今日のところは帰った。

 

とうとうバレたか…いつかはバレるとは思っていたが、こんなに早いとはな。俺はこれ以上、あいつらと一緒にいていいのだろうか…

 




はい、とうとうμ’s全員にバレてしまいましたね。前回、絵里にバレたのにもう全員にバレるの、と思ったかも知れませんが、絵里にバレたのは特に深い意味はなかったので、もうバラしてしまいました。
そして、次回から少し、エグゼイドの最終回付近の話を書きたいと思います。ちょうど、今日から平成ジェネレーションズfinalが公開されましたね!このタイミングを狙ったわけではなかったのですが、このタイミングになりました。皆さんは、もう見に行きましたか?僕は、まだなので早く見に行きたいです!
ということで、次回からエグゼイドの話です!


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4章 エグゼイド、最終決戦編(仮面ライダーエグゼイド 最終回編)
34話 ゲーム病大量感染


はい、34話です。
今回からエグゼイドの最終回付近の話を書きたいと思います。ゲムデウスウイルスの大量感染から、書きたいと思います。
では34話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺が仮面ライダーということが、みんなにバレてから数日が経ち、夏休みも中盤に入ってきている。ここ2日間、珍しく財団Xの奴らが1度も現れず平和な日常を送っていた。だが、そんな日常も長くは続かなかった…

 

ある日の屋上での練習の休憩時間の時だった。

 

「はぁ、疲れたぁ〜」

 

そう言いながら、スポーツドリンクを飲みながら座る高坂。

 

「まぁ、ラブライブ本戦出場グループが決まるのももうすぐだし、練習も前より少しハードだからな。」

 

「でも、絶対にラブライブに出場して優勝するよ!」

 

「優勝か、やる気だな!」

 

俺と高坂がそんな話をしている時だった。

 

「うあっ!?」

 

「うぅ…」

 

「にゃ、にゃあ…」

 

「うぅっ!」

 

「穂乃果!」

 

「花陽!凛!」

 

「にこっち!」

 

高坂、小泉、星空、矢澤が倒れたことに園田、西木野、東條が声をかける。

 

「なにこれ、熱中症!?」

 

「でも、4人も急に!?」

 

と、絢瀬と南も驚いてる。そして、俺が倒れた4人を見てみると、ゲームのバグのようなものが出ていた。

 

「いや、これはゲーム病だ!」

 

「ゲーム病?」

 

俺の説明に、南が何かわからないように言っている。まぁ、普通に聞いたらゲーム病なんてふざけているようにしか聞こえないな…

 

「優、これ見て!」

 

言いながら絢瀬が見せてきたスマホには、ゲーム病が大量感染しているというニュースがあった。

 

「なんで、急にゲーム病が…とりあえず、全員1箇所な集まってくれ!」

 

「えっ、うん。」

 

そして、μ’s、9人全員を1箇所の所へ集めた。

 

「できれば、こいつは使いたくないんだけどな…仕方ない!」

 

俺は、1枚のワープと書かれたカードを取り出した。言葉通りワープができるカードなのだが、俺が変身やアタックバックルを使うのには、ライダーエナジーというパワーが必要で、ワープのカードは変身や戦うことよりもライダーエナジーを消費し、あまり使うことはできないカードなのだ。

 

まぁ、最近は戦ってないし大丈夫だろ。

 

『スペシャルアタック!ワープ!』

 

 

 

俺はアタックバックルにワープカードを入れ、全員をある場所にワープさせた。

 

「えっ、ここは!?」

 

「私達、屋上にいたよね!?」

 

みんなは急に違う場所に来たことに驚いている。

 

「悪い。急だったから、ちょっとワープさせたんだ。」

 

「そんな能力もあったんや…」

 

東條が驚いたと言葉を発した時、

 

「おわっ!?なんで優がここにいるんだ!?」

 

μ’sのメンバー以外にも驚いてる人がいて、その人がそう声を出した。

 

「貴利矢さん!その、いろいろあって大変だったと思いますが、とりあえずお久しぶりですね!」

 

そう、俺達がワープしてきた場所は、ゲーム病専門機関のCR。

 

そして、このアロハシャツの上に赤い革ジャンを羽織っている人は、九条貴利矢さん。監察医で仮面ライダーレーザーの変身者。俺が貴利矢さんに最後に会ったのは、パックマン事件の時だが、永夢さんとの電話の話によるとパックマン事件のすぐあとに、ゲンムによって殺されたが、壇正宗によってバグスターとして蘇って、壇正宗の味方の振りをしていたが、今は永夢さんたちと共に戦っているらしい。

 

「おう、久しぶり!まぁ、お前も俺が死ぬ前日に大変なことが起こったみたいだな…」

 

「えぇ…」

 

「そうだ。なんで、急にここにいるんだ?他にもいるようだけど…」

 

と、貴利矢さんが聞いてきた。

 

「突然すみません。ゲーム病の大量感染があったらしく、俺と一緒にいた9人中4人も感染したのでとりあえずここに連れてきたんですけど、何があったですか?」

 

「あぁ、とりあえず、同じゲーム病患者も多くて病室の空きが全然ないからここで座っててくれるか?」

 

「分かりました。」

 

そして高坂、小泉、星空、矢澤をCRの椅子に座らせて他のメンバーに看病してもらっている。

 

「まず、このゲーム病大量感染の原因がライダークロニクルのラスボス、ゲムデウスの誕生。」

 

「ライダークロニクルのラスボス!?」

 

「あぁ、まず俺が復活した時に連絡取っているとは聞いたけど、永夢とどこまで連絡を取ってるんだ?」

 

「えっと、パラドを仲間に引き入れて、クロニクルのマスターガシャットをパラドと壊したけど、クロノスのリセットという力によって、ハイパームテキガシャットが出来る前まで戻されたっていう所まで。」

 

俺は、永夢さんとお互いの戦いの状況について連絡を取り合っているのだ。

 

「そうか…その後、壇黎斗と「新壇黎斗だ!」うぉ!いつの間に!?」

 

「久しぶりだね。優くん。」

 

「あっ、お久しぶりですね。最後にお2人にあったのは、パックマン事件の時ですから、復活前ですね。黎斗さん「新壇黎斗だ!」新黎斗さんは随分と変わったようで…」

 

この人は、壇黎斗。今は新壇黎斗らしいが…幻夢コンポレーションの元CEO。俺が最後にあった時はまだ正体がバレてなかったが、永夢さんたちと戦っていた黒いエグゼイドの正体。そして、貴利矢さんを殺した張本人でもある。しかし、去年の春頃に永夢さんに倒され、衛生省に連れていこうとしている時に、パラドによって殺されてしまったが、この人もバグスターとして蘇り、一応今は、永夢さんたちの仲間らしい。

 

「そうだ、パックマン事件の時に君のガシャットを分析させてもらっただろう。その時、君のガシャットにいい組み合わせのレベル3のダンスゲームのガシャット、ポップダンシング。そして進化版のガシャット、レベル50のガシャットギアデュアルアルファ。

 

このガシャットに内蔵されている1つ目のゲームは、パーフェクトツムツム、君のつなげてツムツムのガシャットはエナジーアイテムを3種類まで繋げた分、倍の力にするというチートに近い力を持っている。そして、パーフェクトパズルはその進化前のような効果で2つとも似ている。その2つのゲームを融合してパーフェクトパズルと同じレベルの50まで上げたものだ。」

 

俺は新黎斗さんから、ポップダンシングガシャットとガシャットギアデュアルアルファを渡された。

 

「レベル50か…今まで以上に強力なガシャットですね…」

 

「おいおい、大丈夫なのか?優はまだレベル3、自分専用のガシャットだとレベル2までしか使っていなのに、いきなりレベル50なんて…」

 

そう貴利矢さんが、新黎斗さんに聞いている。

 

「レベル50のガシャットはたしかに強力だ。だが、この力を使いこなせるのは君自身の力次第だよ、仮野優くん?」

 

「俺自身の力…」

 

「そして、このパーフェクトツムツムにはさらに強力なチート能力を入れておいた。それは、エナジーアイテムを自由に作り出せる能力。クロノスがエナジーアイテムをすべて管理してしまった時につけた能力で、自分の思った時にエナジーアイテムを使うことが出来る能力だ。君は今、クロノス以外で唯一エナジーアイテムを使うことが出来るライダーなのだ!」

 

おぉ、エナジーアイテムを自由に使える能力…そりゃ、すごいな…

 

「ありがとうございます!こんな凄いガシャットを作れるなんて流石ですね!」

 

「フッフッフッ、礼には及ばない。君のガシャットを分析させてもらったお陰で、私はさらに強いガシャットを生み出すことが出来た。やはり、私の才能は神だぁぁっ!!!」

 

新黎斗さんがそう言ったが…ほんと、変わったな…あの時のクールな天才CEOはどこへ行ったんだ…?

 

「うるせぇよ!病人だっているんだぞ!」

 

叫んだ新黎斗さんに、貴利矢さんが怒っている。

 

「最後のがなかったら、素直に感謝できるのに…」

 

「そうそう、ガシャットギアデュアルアルファのもう1つのゲームを言い忘れていたね。」

 

「もう1つのゲーム?」

 

「そうさ。ガシャットギアデュアルアルファには、パーフェクトツムツムともう1つ、ドレミファビートの次回作として考えていた、音ゲーを入れておいた。」

 

「音ゲー?」

 

「ドレミファビートのように、ビートベースではなく、今度はピアノベースの音ゲー。そして、レベル3用のガシャットホップダンシングと合わせたゲーム。その名も、ダンシングハーモニー!君は前にピアノが弾けると言っていたから、ピアノベースにさせてもらったよ。」

 

「あっ、ありがとうございます…」

 

ピアノ、か…

 

そんな時、スーツを着た女性が階段から上がってきた。

 

「大変!病院にゲーム病患者がかなりの人数来て、これじゃあいくら人手があっても足りない!って、優くん来てたの?」

 

この人は、仮野明日那さん。またの名を…というか、本名はポッピーピポパポ。ドレミファビートのバグスターだが、味方のバグスター。ちなみに、俺は永夢さんと明日那さんの2人にライダーであることを知られたため、CRに来たりすることも出来ている。

 

「お久しぶりです。実は、俺の知り合いも4人、ゲーム病に感染したので、とりあえずCRに連れてきました。人手が足りないなら、俺にもなにか手伝えますか?」

 

「じゃあ、病院のフロント辺りに病院に来たゲーム病患者を飛彩たちが見ているから、そこを手伝ってもらってもいい?」

 

俺の言葉に、明日那さんがそう言った。

 

「分かりました。みんな、悪いけど高坂達の看病頼んだ。」

 

俺は園田たちに看病を頼んだ。

 

「分かりました。優も気をつけて。」

 

「分かった。」

 

そう言って俺は、飛彩さんの所へ向かった。

 




はい、エグゼイド最終回まで書けたらいいなと思っているのでしばらくの間、ラブライブ本編は書けないと思います。ラブライブ本編が見たいという方は本当にすみません…
そして、レベル3のガシャットとレベル50の新しいガシャットギアデュアルアルファが登場しました。パーフェクトツムツムの方はかなりチートですね!そして、ピアノの能力と聞いた時の優の言葉の詰まりはなんだったのか…
では、次回は飛彩たちと優が協力します!


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35話 ガシャットギアデュアルアルファの力 パーフェクトツムツム編

はい、35話です。
今回もエグゼイドの話です。μ’sのキャラクターが1度も登場しませんが、あのグループが登場します!
そして、新しくお気に入りに登録して下さった方が、2人いました!ありがとうございます!
では35話、スタートです!


〜side 優〜

 

「飛彩さん、大我さん、手伝えることありますか?」

 

俺は飛彩さんと大我さんの所へ来ていた。

 

「学生、助かる…」

 

「インフィニティ、お前も来てたのか。」

 

はぁ…相変わらず、この2人は名前で呼ばないな…

 

その時、

 

「ねぇ、大我。こいつ誰?」

 

大我さんの隣にいた、女の人が大我さんに聞いた。

 

「もしかして、君が西馬ニコさん?」

 

「そうだけど、なんで知ってんの?」

 

俺の言葉に、かなりトゲトゲした言い方で聞いてきた。うわぁ…めんどくさそうな人だ…

 

「永夢さんとの連絡の時に聞きました。俺は、仮野優です。音ノ木坂学院の共学化試験生の2年生で、俺も仮面ライダーです。」

 

「えっ、大我!こいつ、私よりも年下なのに仮面ライダーってどういう事!?医者でもなくて、しかも高校生に適合手術受けられるの!?」

 

西馬さんが大我さんの服を掴んで聞いている。大我さんが面倒を見ていると聞いたけど、大変そうだな…

 

「掴むな!こいつは適合手術は受けてない!」

 

「えっ、じゃあ、永夢みたいにバグスターに感染してるってわけ?」

 

「いや、バグスターウイルスにも感染してない。」

 

「じゃあ、どうして変身できるの!」

 

「いろいろあるんだよ!」

 

「だから、いろいろを聞いてるんだけど!」

 

大我さんと西馬さんの口論が始まった。

 

「えっーと…飛彩さん。俺も手伝いますから、なにからやればいいですか?」

 

とりあえず、大我さんと西馬さんの口論は放っておくことにした。まぁ、元はといえば俺のせいなんだけど…

 

「あぁ…病院の空きがないから、患者たちをロビーに座らせておいてくれるか?」

 

「分かりました。」

 

 

 

そして、俺はゲーム病にかかった人たちの案内をはじめた。すると、白い制服、多分UTX高校の生徒が3人来たので、その人たちから案内することにした。あれ?どこかで見たことある人だな…

 

「すみません。今病室の空きがないので、ここに座って安静にしててもらえますか?」

 

「分かったわ。」

 

唯一、ゲーム病にかかっていない、付き添いできたショートカットの女の人が答えた。

 

「でも、あなた高校生よね?それも、μ’sのマネージャーが何故ここに来た患者の案内をしてるの?」

 

「えっ?俺がμ’sのマネージャーってこと知ってるんですか…?まぁ、理由はボランティア活動みたいなものですよ。失礼ですが、どこかでお会いした事ありましたっけ?どこかで見たことあるような気がするんですが…」

 

「驚いた。μ’sのマネージャーが私たちのことを知らないなんて。これでも少しは有名だと思ったんだけど…」

 

この人、芸能人か何かなのか?

 

「私はスクールアイドル、A-RISEの綺羅ツバサよ。ゲーム病にかかってる2人もメンバーで、統堂英玲奈と優木あんじゅよ。」

 

「A-RISE…あっ、人気ナンバーワングループのか!」

 

「そうよ。分かってくれた?」

 

「はい、でも、なんで俺のことまで?」

 

「私達A-RISEは、μ’sの事をかなり強力なライバルとなると見ているから、マネージャーのことを知っていても当然よ。」

 

「そうですか。人気ナンバーワンスクールアイドルにそう言ってもらえると嬉しいです。では、俺は他の患者の方も見てきますから、ここで安静にしててくださいね!」

 

俺は、そう言って他の患者の案内や看病をはじめた。

 

 

 

1時間後…

 

ゲーム病患者のゲーム病は、治るどころか酷くなっている人もいる…そんな時、病院から貴利矢さんが出ていこうとしているのを見た。

 

「どうしたんですか?」

 

「壇黎斗を実験体にしてゲムデウスウイルスの抗体を作った。最強のゲムデウスワクチンのガシャット、ドクターマイティXX 。 こいつを永夢に渡しに行くんだ。」

 

「ゲムデウスワクチン…分かりました。じゃあ、永夢さんに早く届けてあげてください。」

 

そして、貴利矢さんは永夢さんの所へ向かった。

 

 

 

それから少し経つと、ゲーム病患者の症状が少しずつ回復していっている。

 

「これは…症状が回復していっている。」

 

飛彩さんも驚いている。

 

「永夢さん達、ゲムデウスを倒したんですね。」

 

俺がそう言った時、

 

 

ドゴォォォォォン!!!

 

 

病院の入口から爆発音が聞こえ、白服の男が1人現れた。

 

「なんだ!?」

 

「あれは、財団X!?」

 

大我さんの言葉に答えるように、驚きながら俺が言った。

 

「それは、お前が戦っているという組織か?」

 

「はい、ちょっと行ってきます。」

 

俺は飛彩さんにそう答え、財団Xが出てきた入口へ向かった。

 

 

「財団Xさんも病院に何か用か?怪我した割には随分と元気な登場だな?」

 

「貴様が仮面ライダーか?我々はまた新しい力を手に入れた。」

 

財団Xの男が、俺にそう言ってきた。新しい力…?

 

「それは、バグヴァイザー!?」

 

俺が男の手にしている物を見ると、それはガシャコンバグヴァイザー。男はバグヴァイザーからウイルスを出し、3体のバグスターを出した。1体はタドルクエストのバグスター、アランブラ。もう1体はバンバンシューティングのバグスター、リボル。そして、最後の1体は…

 

「その見たことないバグスター、まさか!?」

 

「そう、そのまさかですよ。君の専用ガシャット、つなげてツムツムのバグスター、ベイヤー。ちなみにレベル3。アランブラとリボルは、レベル50です。」

 

「いきなり、レベル3!?それに、レベル50なんて…」

 

「学生、アランブラとリボルは、」

 

「俺達が片付けでやる。」

 

飛彩さんと大我さんが手伝ってくれると言ってくれた。

 

「飛彩さん、大我さん、ありがとうございます。」

 

『タドルファンタジー!』

『バンバンシミュレーション!』

 

「術式レベル50!」

「第伍拾戦術!」

 

「「変身!」」

 

『デュアルアップ!タドル メグル R P G!ドール ファンダジ〜』

『デュアルアップ!出撃発進!バンバンシミュレーション〜発進!』

 

飛彩さんが仮面ライダーブレイブ ファンタジーゲーマーレベル50に、大我さんが仮面ライダースナイプ シミュレーションゲーマーレベル50に変身した。

 

「これより、バグスター切除手術を開始する。」

 

「ミッション開始!」

 

そして、2人アランブラ、リボルと戦い始めた。

 

「よし、俺もやるか。」

 

『つなげてツムツム!』

『ポップ ダンシング!』

 

「3コンボ!変身!」

 

俺は、つなげてツムツムガシャットと、さっき黎斗さんから貰ったレベル3のガシャット、ポップダンシングガシャットを起動した。

 

『レベルアップ!つなげて!弾いて!まとめて!攻撃!

つなげてツムツム!』『アガッチャ!ダンシング〜ダンシング〜ポップ ダンシング〜!』

 

俺は仮面ライダーインフィニティ ダンシングツムツムゲーマーレベル3に変身した。

 

「さてと、ここは病院だからちょっと別の場所に行こうか?」

 

『ステージ セレクト!』

 

俺はキメワザスロットホルダーのボタンを押して、俺と飛彩さん、大我さん、そして3体のバグスターと財団Xの男だけを人のいない場所に移動させた。

 

「よっし!仮面ライダーインフィニティ!俺の強さは次元を超えるぜ!」

 

俺はそう言って、ベイヤーバグスターと戦い始めた。

 

黎斗さんから貰ったポップダンシングは、その名の通りダンスをしながら戦う1種のリズムゲームだ。俺は、いつもμ’sのみんなに教えているようにリズムを取りながら踊り始めた。

 

「オラッ!よっと…ほっ!」

 

俺の踊りにパズルゲーム、つなげてツムツムのバグスターであるベイヤーは、ついていけず一方的にダメージを受け始めた。

 

「なんだ?大したこと無いやつだな。よし、一気に決めてやるぜ!」

 

『ガシャット!キメワザ!ポップ クリティカル ダンシング!』

 

俺はキメワザスロットホルダーにポップダンシングガシャットを入れてボタンを押すと、必殺技の音楽が鳴り始め、俺はその音に合わせて踊り始めた。

 

「オラッ!よっと…とりゃあ!!」

 

「グハァァァァッ!」

 

その攻撃で、ベイヤーバグスターを倒すことに成功。

 

「よし、飛彩さん達の所へ…なに!?」

 

俺が飛彩さんたちの所へ向かおうとすると、さっき倒したはずのバグスターが立っていた。

 

「復活しただと!?」

 

「復活とは、違いますね。新しいベイヤーバグスターをバグヴァイザーから生み出したのです。先程のベイヤーバグスターはあくまで、データ収集。ベイヤーバグスターのレベルを、50に上げるための。」

 

財団Xの男が説明をした。

 

「レベル50!?なら、こいつで。」

 

俺は黎斗さんから貰った、ガシャットギアデュアルアルファを取り出した。

 

「あれは、新しいガシャットギアデュアル!?」

 

「何故学生が持ってるんだ!?」

 

大我さんと飛彩さんが驚いている。俺がガシャットギアデュアルアルファを起動しようとした時、

 

「よせ!レベル3までしか使ったことのない、お前がレベル50は使えないぞ!」

 

大我さんが俺を止めようとする。

 

「大丈夫ですよ、俺はレベル50程度の力には屈しませんから!」

 

そう答え、俺はガシャットギアデュアルアルファを起動した。

 

『パーフェクトツムツム!』

 

「50コンボ!変身!」

 

俺は、ガシャットギアデュアルアルファのダイヤルを、パーフェクトツムツム側に回して、ゲーマドライバーへ入れた。

 

『デュアルアップ!全てを繋いで 己の力へ!パーフェクトツムツム!』

 

俺が変身して瞬間、俺の中へ抑えきれないほどの力が出てきた。

 

「うぁぁぁっ!」

 

「自爆ですか?ならば。ベイヤーバグスター、やりなさい。」

 

「ったく…だから言っただろ!」

 

俺に、ベイヤーバグスターが攻撃をしようするのを、大我さんが止めに来ようとしていた時、

 

「俺は…俺は、もっと強くならねぇといけないんだよ!なのに、レベル50程度の力に屈するかよ!!」

 

そう言った俺は、自分の力を制御することが出来た。

 

「ここからが、本番だ!俺の強さは次元を超える!」

 

俺は、仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50に変身した。そして、俺はベイヤーバグスターへ攻撃を仕掛けた。

 

「あいつ、なかなかやるやつだったとはな…」

 

「……」

 

俺が力を制御出来たことに、バグスターと戦っている大我さんは驚き、飛彩さんはバグスターと戦いながら、無言で何かを考えていた。

 

「よし、こいつは今唯一、エナジーアイテムを使えるガシャットだからな!使わしてもらうぜ!」

 

そう言って、俺はエナジーアイテムを1箇所に集めた。

 

『高速化 4コンボ!ジャンプ強化 5コンボ!マッスル化 7コンボ!』

 

俺は、一気にベイヤーバグスターとの距離を詰めて、高くジャンプし、ゲーマドライバーのカバーを閉じた。

 

『キメワザ!』

 

「一気に決めるぜ!」

 

俺は再び、ゲーマドライバーのカバーを開いた。

 

『パーフェクト クリティカル コンボ!』

 

そして、俺はベイヤーバグスターに必殺技の蹴りを放った。

 

「ふぃ〜」

 

そして、今度こそ2人の助っ人に行こうとした時、

 

「まだだ、まだ終わってないぞ!」

 

そう言って、財団Xの男はバグヴァイザーを自分に刺した。

 

「グハァァァァッ!」

 

「バカッ!死ぬ気か!?」

 

そして、男はバグスターへと姿を変えた。

 

「フハハハッ!この姿の私を君は倒すことは出来ない。私はダンシングハーモニーのバグスター。」

 

「なんで、黎斗さんの未発売のゲームの力を財団Xが持ってるんだ!?」

 

「フッ…壇黎斗に言っておけ。天才ゲームクリエイターのデータ管理能力はその程度か、とな。」

 

「くそっ…だから、ベイヤーバグスターも一気にレベル50になれたのかよ…」

 

「私のレベルは30だが、今の君じゃ、この私は倒せない。ダンシングハーモニーのゲームの力でしか倒せないバグスターであるこの私を、ピアノの力を使えない君ではな!」

 

男は、ダンシングハーモニーのバグスターに姿を変えてそう言った。

 

痛いところをつかれたな…




はい、新しいレベル3のガシャットとガシャットギアデュアルアルファのパーフェクトツムツムを使いましたね。
レベル3のポップダンシングの音はジュージューバーガーの音を基準にしています。そしてパーフェクトツムツムはオリジナルなので、ご想像にお任せします。(思いつきませんでした。すみません…)
そして、ダンシングハーモニーはまだ使っていませんが、バグスターが登場しました。何故、優はピアノの能力を使えないのでしょうか?
それと、個人的な事ですが、前の日曜日に平成ジェネレーションズfinalを見てきました。とても面白かったです!そして、久しぶりにレジェンドライダーの活躍が見れて、嬉しかったです!
では次回、ダンシングハーモニーのバグスターを倒すことは出来るのでしょうか?


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36話 ガシャットギアデュアルアルファの力 ダンシングハーモニー編

はい、36話です。
今回はガシャットギアデュアルアルファのもう一つの力を使います!
では36話、スタートです!


〜side 優〜

 

財団Xの男は、ダンシングハーモニーのバグスターレベル50に変身した。男の言う通り、今の俺じゃ、ピアノの能力は使えないかもしれない…でも…

 

「今はそんな事考えてる場合じゃねぇ!」

 

『ダンシングハーモニー!』

 

俺は、ガシャットギアデュアルアルファのダイヤルをダンシングハーモニー側に回した。

 

「50コンボ!変身!」

 

『ガシャット!デュアルアップ!奏でる音〜合わさるハーモニー〜合わせて踊る最高のリズム!ダンシングハーモニー〜!』

 

俺は、仮面ライダーインフィニティ ハーモニーゲーマーレベル50に変身した。さっきレベル50に変身したことでレベル50に変身することは出来た。

 

そして、ハーモニーバグスターが音をならし始め、ピアノのリズムが出てきた。俺はそのリズムに合わせて、ピアノを奏でようとしたが…手が思うように動かず、ダメージを受けてしまった。

 

「おい、インフィニティのやつ、おかしくないか!?」

 

「……そうか!」

 

俺の様子がおかしいと思う大我さんと、何か思いついたような飛彩さん。

 

「ブレイブ、どうした?」

 

「今のあいつにとっては、ピアノはトラウマでもあるのかもしれない…」

 

「どういうことだ?」

 

「あいつの殺された恋人と、よくピアノを弾いていたと言っていた。それを言うとダンスが出来るのは不思議だが、ピアノはあいつの恋人との思い出、だからその思い出を思い出して、1種のトラウマになっているのかもな…」

 

「そうか…あいつも前のブレイブと同じなのかもな…」

 

「そう…かもな…」

 

飛彩さんが大我さんに説明した。飛彩さんの言う通りだ…

 

「フハハハッ!やはり、君はピアノが弾けなくなっていたか!これで1番我々の邪魔をする、仮面ライダーインフィニティの命はない!」

 

ハーモニーバグスターは、そう言って俺に攻撃をしようとしてくる。その時、

 

『お願い!私が死んでもあなたは生きて!そして、これからもみんなを守り続けて!』

 

その時、茜が死ぬ時に約束した言葉が頭に浮かんできた。

 

「そうだ…俺は、約束したんだ!俺は、これからも戦い続けなきゃいけねぇんだよ!こんな所で倒れてられるかよ!」

 

そう言うと、俺からピアノの音色が聞こえ始めた。

 

「ハーモニーバグスター、ここからが本番だ!ノーミス、フルコンで、クリアしてやるぜ!」

 

そして、俺はリズムに合わせて音を奏で始めた。すると、ハーモニーバグスターにダメージが効き始めた。

 

「グッ、なぜだ!?」

 

「教えてやるよ!人の想いや大事な約束は、時には人を立ち直らせるすごいパワーがあるんだよ!」

 

そして、俺が再び戦い始めたのを見て、飛彩さんと大我さんが何かを話していた。

 

「あいつ、立ち直ったみたいだぜ?お前みたいにな?」

 

「いや、あいつは俺よりすごい。お前を恨んでいた俺が馬鹿みたいになる…」

 

「ん、どういうことだ?」

 

「いや、なんでもない。それより、無免許医。そろそろ片付けるぞ!」

 

『『キメワザ!』』

 

『タドル クリティカル スラッシュ!』

 

『バンバン クリティカル ファイヤー!』

 

そして、飛彩さんと大我さんはアランブラバグスターとリボルバグスターを倒した。

 

「よし、俺もそろそろ決めるか。」

 

『キメワザ!ダンシング クリティカルハーモニー!』

 

「グハァァァァッ!」

 

そして、俺もハーモニーバグスターを倒した。

 

「ふぅ〜、2人ともお疲れ様です。」

 

「お前もな。」

 

「いきなり、レベル50を使いこなすなんて大したもんだな。」

 

飛彩さんと大我さんが、俺にそう言ってきた。

 

「そろそろ、戻りましょうか。多分、さっきの様子からするとゲーム病患者も治ってると思うので。」

 

そして俺たちは病院に戻ると、案の定ゲーム病患者の症状は治っていた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 飛彩〜

 

俺は今、無免許医と2人で話している。

 

「今回はお前と学生がいて助かった。医師免許がない、ただそれだけの事だ。お前ほどのドクターはそうはいない。」

 

「よせ、もう捨てた過去だ…」

 

「本当にそれが本心か?」

 

「………そんなことより、インフィニティとお前は似ている境遇だったんだなって言った時、なんで俺なんかよりすごいって言ったんだ?」

 

そう無理矢理、話題を変えた無免許医。

 

「それは…学生の死んだ恋人のオペを担当したのは俺だったんだ。だが、運ばれてきた時には手遅れと判断し、俺はオペをしなかった。なのに学生は、俺を一切責めずに守れなかった自分の責任だと言っていた。普通、気が動転して医者のせいにするやつが多い。俺もお前に対してそうだったから。だから、学生は俺よりすごいと思っただけだ…」

 

「……そういうことか…」

 

無免許医は納得するとCRの方へ行った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

そして、俺はCRに戻ってきた。

 

「4人とも、大丈夫か?」

 

「うん!もう大丈夫ニャー!」

 

「もう大丈夫です!」

 

「もともと、にこは大したこと無かったわよ!」

 

星空、小泉、矢澤が答えた。

 

「そんなこと言って、にこっち『もうだめ〜』って言ってたやん?」

 

「なっ、そんなことないわよ!」

 

東條の言葉に、矢澤は顔を真っ赤にして答えた。

 

「はぁ、強がらなくてもいいだろ… 高坂は大丈夫か?」

 

俺が高坂にも大丈夫かと聞くが、高坂は俯いて震えている。

 

「おっ…おっ…」

 

「どうした!?まだ体調悪いのか?」

 

嘘だろ!?もう、ゲーム病の症状は引いてるはずなのに、高坂は治ってないのか…?

 

「おっ、お腹減ったぁぁー!!」

 

そう叫んだ高坂に、俺たちは唖然とする。

 

「なんだよ…びっくりさせるな、いつもの事だろ…」

 

本当にこいつは…

 

「おっ、ならケーキあるけど食うか?」

 

呆れていた俺たちに、貴利矢さんがそう言ってくれた。

 

「えっ、いいんですか!?」

 

貴利矢さんの言葉に、高坂がすぐに食いついた。

 

「穂乃果!迷惑になりますよ。」

 

「えぇ、海未ちゃんのケチー!」

 

「別にいいぜ!まだ若いのに遠慮なんてするもんじゃない。」

 

さすが、貴利矢さん。気前がいいな…

 

「貴利矢、ケーキ食べるのはいいけど、この後日向審議官が話があるって言ってるからその後にしてもらってもいい?」

 

明日那さんが貴利矢さんに言った。

 

「あぁ、分かった。悪い、すぐ済むと思うからちょっと待っててくれるか?」

 

「もっちろん!ケーキが食べられるのならなんでも!」

 

高坂はケーキを食べる気満々だ。はぁ…もう少し遠慮ってものを覚えなさいよ。

 

「穂乃果、もう少し遠慮ってものを覚えてください…」

 

俺の考えと、全く同じことを言う園田。

 

「もう、海未ちゃん!さっき、お医者さんも言ってたでしょ?遠慮なんてするもんじゃないって!」

 

「だからってお前はもう少し、遠慮しろ…」

 

「あっ、優くんにも話があるみたいよ?」

 

「えっ、俺にも?なんだろう…もしかして今回、無断でここに入ったからなんかあるのかな…」

 

明日那さんの言葉を聞き、心配する俺。

 

「それはないと思うけど…」

 

明日那さんにそう言われ、少し安心したけど、話ってなんだ…?俺、その日向審議官って人に会ったことも、話したこともないのに…

 

 

そして永夢さんやパラド、飛彩さんと大我さん、西馬さんが帰ってきた。そして、テレビ通信で日向審議官からの話が始まった。ちなみに他のμ’sのメンバーも後ろで聞いている。まぁ、高坂と星空と矢澤は退屈そうにしてるけど…

 

「みんな、よくやってくれた。九条くんには今後とも、CRの正式なメンバーとして力になってもらいたい。」

 

「フッ、乗せられてやるよ!」

 

日向審議官の言葉に、笑ってそう答えた貴利矢さん。

 

「よろしくね、九条先生。」

 

そう言って、明日那さんが貴利矢さんに白衣を渡した。その白衣を羽織った貴利矢さん。うん、似合ってるな…

 

「そして、仮野くん。今回は君が居なければ、病院は破壊され、多くの死傷者が出ただろう。ありがとう。」

 

次に日向審議官は、俺にそう話した。

 

「いえ、元はといえば俺が呼び寄せてしまった敵のようなものなので…」

 

「仮野くん。君には今後、ゲーム病患者を見つけたら、君がバグスターを倒してもらいたい。お願い出来るか?」

 

「もちろん!」

 

「助かる。では明日那くん、あれを。」

 

「はい、これを。」

 

明日那さんが俺に渡してきたものは…

 

「ゲームスコープとこれは?」

 

そう、CRのドクターが持っているゲームスコープ。そして、もう1つは何かのカードみたいだ。

 

「これを持っていれば、これからはいつでもCRに出入りでき、ゲーム病患者を治療できる。CRの特別協力者の確認書みたいなものよ。」

 

「ありがとうございます!」

 

「優くん、すごい!」

 

「病院の協力者として認めてもらうなんて流石だね!」

 

高坂と南が褒めてきた。照れるな…

 

「あれ、優。ひょっとして、照れてます?顔が真っ赤ですよ。」

 

そんな俺に、少しニヤついた園田がそう言ってきた。いつもの仕返しのつもりか…

 

「それから壇黎斗の件だが、彼がゲムデウスワクチンの開発に貢献した点を考慮し、特例措置として引き続きCRに彼の身柄を任せることにした。ただし、今後は衛生省の許可がない限り、彼の身柄を自由にすることを禁ずる。」

 

「寛大な措置ありがとうございます。日向審議官。」

 

明日那さんが笑顔で答える。やっぱり生みの親である黎斗さんは大事なんだな。

 

「賢明な判断とは思えないな。」

 

そんな明日那さんとは対照的に言う黎斗さん。

 

「チッ…黎斗、シッ!」

 

黎斗さんの言葉に明日那さんが注意するが、黎斗さんは聞かない。

 

「私抜きで止められるのか?壇正宗を。」

 

「止めて見せますよ。新黎斗さん。」

 

永夢さんがそう答えたが…

 

「新壇黎斗という名は、もう捨てた…」

 

また意味わからないことを、黎斗さんが言い出した。あの人、さっき俺が来た時に『新壇黎斗だ!』って、叫んでた癖に、もう名前を変えたのかよ…

 

「えっ、なになに怖っ!」

 

「えっ、何?何、怖いって?」

 

西馬さんと貴利矢さんは、2人でなんか言ってるし…怖くはないでしょ…

 

「今の、私は……壇!黎斗神だ!」

 

黎斗さんがそう言った時、『壇黎斗神』と書かれた垂れ幕が落ちてきた。いつ仕込んだんだよ…

 

「付き合ってられねぇな…」

 

「やはり、あいつを改心させることは不可能ということだな…」

 

大我さんと飛彩さんは呆れながら言い、永夢さんと西馬さん、明日那さんは無言で呆れていた。

 

「あの、幻夢コンポレーションの元社長が…」

 

「こんなだったなんて…」

 

「ショックだニャー…」

 

後ろで見ていた高坂、矢澤、星空もそう落ち込んでいた。

 

「お前ら、幻夢コンポレーションのゲーム好きなのか?」

 

「うん!もっちろん!」

 

「私は、幻夢コンポレーションが出したアイドルゲームをやっていただけよ。アイドル好きの私でも認めるぐらいの、素晴らしいゲームだったわ。」

 

「凛も幻夢コンポレーションのゲームは好きだニャー!」

 

この3人は、幻夢コンポレーションのゲームが好きだったらしい。

 

「まぁ、神ってことにしといてやるか…」

 

そんな中、貴利矢さんだけは笑ってそう言っていた。色々あったことで、何かが分かり合えたのかな?

 

「あっ、そうだ!ケーキ!」

 

高坂、まだ忘れてなかったのか…

 

「おっ、そうだったな!ここに3箱も置いてあったし、全員分あるから食べようぜ!」

 

貴利矢さんも気前がいいな……ん、置いてあった?こんな所にケーキ置いてる人っていえば…

 

「おい、監察医!誰が俺のケーキを食べていいと言った!」

 

やっぱり、飛彩さんのか…貴利矢さんもよく人のケーキを勧めてきたな。

 

「いいじゃねぇか!ケーキぐらい!」

 

「ケーキぐらいとはなんだ!」

 

「なんだ?世界一のドクターが、高校生にケーキを奢ることも出来ないのか?」

 

ケーキを譲らない飛彩さんに、貴利矢さんが煽るように言った。

 

「クッ…分かった…1箱は俺のだから置いておけよ。」

 

プライドの高い飛彩さんには、貴利矢さんの煽りは効いたようだ。

 

「よーし、みんな!俺の奢りだ!ケーキ食べようぜ〜!」

 

「おい、監察医が買ったんじゃないだろ!俺が買ったケーキだ!」

 

そんなこんなで、俺たちはケーキを食べることになった。さっきまでゲーム病の大量感染があったって言うのに、平和だなぁ…

 

しかし、こんな平和も長くは続かなかった…




はい、今回で飛彩が茜の手術をしたということが明らかに。
そして、優の新しいフォームが。今回も、パーフェクトツムツムと同じで音声はオリジナルなので、ご想像にお任せします。
そして、次回は大我回です!
けど、優はあまり関わらないかも知れません…


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37話 ゲムデウスウイルス大量感染、再び

はい、37話です。
今回は、大我回です。
そして、初めてメッセージを頂きました。とても、嬉しかったです!ありがとうございました!また、感想やリクエスト、指摘などを頂けると嬉しいです!リクエストにも、答えられるものには、出来るだけ答えられるように頑張ります!
では37話、スタートです!


〜side 優〜

 

今俺たちは、貴利矢さんが飛彩さんから貰ったケーキを食べていた。

 

「いやー、おいしかったー!」

 

「もう、穂乃果はもうちょっと大人しくできないのですか?ここは病院ですよ?」

 

高坂と園田がそんな会話をしている時、俺、永夢さん、明日那さん、貴利矢さんは黎斗神さんのところに集まっていた。

 

「私は心をいれかえた。暴走する壇正宗を止め、人類の未来を、笑顔を取り戻したい!だから永夢、ここから出してくれないか?」

 

「永夢、乗せられんなよー。」

 

黎斗神さんが言った言葉に対して、貴利矢さんが言う。

 

「その手には乗りませんよ。」

 

「衛生省の許可がない限り、黎斗を自由に出来ないもん。」

 

「壇、黎斗神だ!」

 

「やっぱり、反省はしてないようですね…」

 

黎斗神さんを見て、俺が言葉を漏らす。

 

「はい、解散!」

 

貴利矢さんの言葉で俺はみんなの所へ戻った。

 

「私の神の才能を弄ぶのか!壇正宗が何をしでかすか分からないんだぞ!」

 

「問題はそこだ、奴は一体何を…うっ、うぅ…」

 

貴利矢さんが突然苦しみ出すと、こっちでケーキを食べてメンバーの中でも、さっきまでゲーム病にかかっていた、高坂、星空、小泉、矢澤の4人も苦しみ始めた。

 

「穂乃果!?」

 

「凛!?花陽!?」

 

「にこ!?」

 

「これは、まさか!」

 

そして俺が高坂に、永夢さんが貴利矢さんにゲームスコープで診察すると、ゲムデウスのゲーム病に再感染していた。

 

「ゲムデウスのゲーム病が再発してる!?」

 

「やはり、こいつらもか!病院内でも、治ったはずのゲムデウスのゲーム病の感染者が、再び感染し始めている…」

 

そう言いながら飛彩さんがCRに戻ってきた。

 

「恐らく、原因はクロノスがゲムデウスを取り込んだからか…」

 

「ってことは、またクロノスが動き出すかも…」

 

「いきましょう!」

 

飛彩さん、俺、永夢さんの順で言い、CRから出て走り出す。

 

 

 

 

 

すると、ゲムデウスと混ざったクロノス…ゲムデウスクロノスが、大我さんと戦っていた。

 

俺は、ツムツムゲーマーレベル50に飛彩さんはレガシーゲーマーレベル100に永夢さんはムテキゲーマーに変身して、ゲムデウスクロノスと戦い始めた。

 

だが、最強のボスゲムデウスの力と、ポーズの能力を持つクロノスが混ざったゲムデウスクロノスに、圧倒されてしまう。

 

「こうなったら、あいつの抗体をリプログラミングするしかない!」

 

そう言って、永夢さんがマキシマムマイティXガシャットを入れたガシャコンキースラッシャーで攻撃するが、意図も簡単に防がれ、ゲムデウスクロノスの反撃を受けてしまった。その攻撃を俺、飛彩さん、大我さんも受け、強制変身解除した。

 

「案ずるな。もう君たちに用はない。」

 

「どういうことだ?」

 

「新のラスボスに挑戦できる資格を持つものは…君だ!」

 

そう言って、ゲムデウスクロノスが指さしたのしは、西馬さんだった。

 

「えっ、私?」

 

そして、西馬さんはクロノスと一緒に仮面ライダークロニクルのゲームエリアに吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

そして、俺たちは一旦CRで話すことにしようとしたが、大我さんは心配で戻ってられるかと、言っていたが何とか連れ戻した。

 

ちなみに、ゲーム病にかかった4人は貴利矢さんが寝ているCRの病室に4つベットを置いてそこに寝ている。そして、他の5人はそのベットの周りで心配そうに高坂達を見ていた。

 

「クロノスの目的はなんだ!なんで、あいつは連れていかれた!」

 

大我さんは、黎斗神さんに焦りのあまり、怒鳴り散らして聞いている。

 

「忘れたのか?仮面ライダークロニクルのルールを。全てのガシャットロフィーを集めたライドプレイヤーはラスボスへの挑戦権を得る。」

 

「じゃあ、ニコちゃんは…」

 

「壇正宗の狙いは…」

 

「西馬ニコの、抹殺。」

 

「クリアまじかのプレイヤーをゲームオーバーにして、ライダークロニクルを振り出しに戻す気か…」

 

いつの間にか来ていたパラドが言った。

 

「どうすれば、そのゲームエリアに行ける?」

 

大我さんの質問に黎斗神さんは、はっきり言った。

 

「君たちには、無理だ。君たちは伝説の戦士、クロノスに変身出来る資格を手にしていない。」

 

クロノスに変身する資格…?ってことは、まさか!?

 

「クロノスに変身って、まさかニコちゃんが!?」

 

俺が思ったことを、明日那さんが気づき言った。

 

すると、大我さんはCRにある引き出しなどを次々と漁り始めた。

 

「クロニクルのガシャットはどこだ?患者から回収したガシャットがあるだろ!」

 

そんな大我さんを止めようとする永夢さんたちたが、そんな中大我さんはクロニクルのガシャットを見つけた。そして、大我さんは1つのクロニクルガシャットを手に持った。

 

「5年前…俺がバグスターを食い止めていれば、こんなことにはならなかったんだ…」

 

「何をする気だ?」

 

「ぶっ潰してやる!壇正宗は、この俺が!」

 

『仮面ライダークロニクル!』

 

そう言って、仮面ライダークロニクルを起動して、ゲーマドライバーに入れた。すると、大我さんは仮面ライダークロニクルのゲームエリアに入っていった。

 

「どういうこと、なんで大我だけゲームエリアに?」

 

「……そうか。あいつだからこそ行けたんだ。無免許医は5年前からずっと、バグスターウイルスの苦しみに耐え続けてきたんだ。」

「自分の味わった苦しみを俺たちに背負わせないために、1人で戦い続ける運命を背負い続けてきた。初めて仮面ライターになった男として。しかし、あいつは気づいたんだ…!失いたくないものを守るため、命をかけて戦う意味を。」

 

全員が悩んでいる中、飛彩さんがそう言った。

 

「命を、かけて…」

飛彩さんの言った命をかけて、という言葉に対して、パラドが反応する。

 

「だからって、大我さんが全部抱え込むことないじゃないですか!」

 

「そうです!大我さんが、死んでいいわけないじゃないですか!」

 

「あぁ、どこまでも馬鹿な男だ!」

 

「ニコちゃんも大我さんも、これ以上誰の命も失わせない!」

 

決意した永夢さんに、

 

「だが、どうする?俺たちはゲームエリアに行くことすら出来ないんだぞ!」

 

そう問いかける飛彩さん。

 

「諸君、私の神の才能なら、ゲームエリアにアクセスするチートコードを開発するのに、5分もかからない。取引だ、衛生省の許可を取って私を解放しろ!花家先生と西馬ニコを見殺しにしたくなければなァ!」

 

おい、あんた…さっき、あんなにハッキリと『君たちには、無理だ!』とか言ってただろ…

 

しかし、他に解決策もない俺たちは、仕方なく黎斗神さんの条件を飲むことにした。

 

「出来たぞ。これでクロニクルのゲームエリアに行くことが出来る。さぁ、取引だ。」

 

「分かりました。」

 

そして、永夢さんは黎斗神さんを解放した。

 

「さぁ、行きましょう!」

 

俺がそう言ったが…

 

「待て、学生はここで待機していろ。」

 

飛彩さんが止めた。

 

「えっ、なんでですか!?ここまで来て、なんで俺だけ待つんですか!」

 

「お前は無免許医に対して、1人で抱え込むことないって言ったな。だが、それはお前もなんじゃないか?」

 

「いや…俺は別に…」

 

「研修医に聞いたが、この前まで自分が仮面ライダーとして戦っていることを、一緒に来た女子高生たちに言ってなかったらしいな。それに、今もお前が失った恋人のことも、話してないんだろ?お前はあの時のことを考え、あいつらとできるだけ深く関わらないようにしてるんだろ。また失うのが怖くて…」

 

「別に、俺は怖くなんて…」

 

俺は飛彩さんが言ってきた言葉に反論しようと思ったが、その言葉を心の底から否定出来なかった。

 

「あの時のことは、お前が悪いわけじゃない。お前も、1人で抱え込みすぎるなよ。」

 

「だからって、今回俺が戦うことと何が関係するんですか!」

 

「お前だって1人で戦ってきて、ここ最近は毎日のように戦っていたんじゃないのか?たまには、休め。それに今のお前には、しっかりと看病してやらないといけない相手がいるだろ。」

 

そう言って、飛彩さんは永夢さんとゲームエリアに行ってしまった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 飛彩〜

 

俺と研修医がゲームエリアに入り、無免許医たちのところへ向かう道中、研修医が俺に話しかける。

 

「それにしても、飛彩さんも変わりましたね。初めは、患者の事情など関係ない、患者に深入りするな、とか言ってきたのに、今では優くんのことをあんなに考えるなんて。」

 

「べっ、別に、そんなことはない…」

 

「えぇ〜?でも飛彩さん、あんなに優くんのことを考えて話してたじゃないですか?」

 

「あれは…少しほっとけなかっただけだ。あいつは、少し俺に似ているからな…」

 

「似ている?」

 

「あいつは、俺の境遇と似ている。お前も知ってるだろ。あいつの恋人が、怪物に殺されたことを…それが、少し俺と似ていたから、ほっとけなかっただけだ…」

 

「飛彩さん…」

 

「おい研修医、無免許医を見つけた。行くぞ!」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

確かに飛彩さんの言う通り、ここ最近は毎日のように戦っていたかもしれない。

 

仕方なく待機していた俺は、飛彩さんに言われた通りに高坂達のところへ看病しに行こうとした時、貴利矢さんと高坂達が上がってきた。

 

「おい、なんで上がってきたんだよ!」

 

「だって、じっと寝ているのしんどかったんだもん!」

 

高坂が言った言葉に、呆れる俺。ほんと、病人になっても落ち着きがないのか…

 

「はぁ…仕方ない…せめてここに座って安静にしてろよ…」

 

そして高坂達4人は椅子に座って、俺は他の5人と一緒にその椅子の周りで看病していた。

 

 

 

それから少し経つと、高坂達はさらに苦しみ始めた。

 

「うぅ。これは…」

 

「どうした!?」

 

すると、高坂達4人と貴利矢さんの顔がバグスターウイルスと同じの顔になった。

 

「これは!?」

 

「諸君、離れろ!触られると感染するぞ!」

 

珍しく、神発言以外で黎斗神さんが声を大きくしていた。

 

「変身!」

 

俺は、仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50に変身した。

 

「みんなはここにいろ!俺がこの5人をとりあえず外に連れ出すから!この5人以外に、このCRに感染者はいないから、ここは安全だ。だから絶対動くなよ!」

 

「わっ、分かったわ!」

 

「穂乃果達をお願いします!」

 

「優くんも気をつけてね!」

 

そして俺は、5人を病院の外におびき寄せ始めた。




はい、1話で大我回を書いてしまいました。
と言っても、優は最後のチーム医療の所では戦いませんでしたね。元々優は医者でもないのと、飛彩さんは茜を担当した医者ということで、飛彩からの言葉を書きたかったので、医療チームには入れませんでした。
では、次回はパンデミックからです。


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38話 レベル1の真の力

はい、38話です。

今回もエグゼイド回、本編の44話の話となります。タイトルはポッピーのことにしようかとも迷いましたが、やっぱりレベル1のことにしました。

では38話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺は、パンデミックでバクスターに変化した4人と貴利矢さんを何とか病院の外へと連れ出した。

 

すると、外では永夢さんと飛彩さん、そして大我さんの前に巨大化したゲムデウスクロノスがいた。

 

「人類よ、心ゆくまで楽しむがいい。永遠なるゲームを!」

 

逃げている人も次々とゲーム病に感染し、バクスターに変化している。

 

「我社の商品よ、ゲームの時間だ!」

 

そう言ってゲムデウスクロノスは、ソルティ、アランブラ、リボル、カイデンの4体のバクスターを生み出した。永夢さんたち3人と俺は、バクスターと戦い始める。

 

「みんなを助けないと…」

 

永夢さんがバクスターに変化した人を見てそう言うと、

 

「無意味だ。神の戦士となりしものを倒せば、その命は消滅する。」

 

ゲムデウスクロノスがそう言った。その時、バクスターに変化した人が俺たちを襲ってきた。

 

クロノス…一般人だと俺達が戦えないという弱点をついてきたか…

 

そして、飛彩さんがアランブラバクスターを、俺がカイデンバクスターを倒した。すると、1人の感染者のバクスターが飛彩さんを襲っていた。そのバクスターは、白衣を身につけ、その下にサングラスをかけたアロハシャツを着ている。その後ろには、音ノ木坂学院の制服を着た4人の感染者が…

 

「こいつらはまさか!?」

 

「はい、貴利矢さんとμ’sの中でバクスターウイルスに感染した4人です…」

 

すると、その5人が襲ってきた。

 

「くっ…クソッ、攻撃が出来ない…」

 

 

 

少し時間が経ち、なんとか俺と飛彩さんは感染者を食い止めているが、そろそろ限界かもしれない…

 

そう思った時、虹色に輝く光が降ってきた。そして、感染者は次々と元の姿へと戻り、バクスターウイルスが治っていた。

 

『私、信じてるから。みんなならきっと、ライダークロニクルを攻略できるって!』

 

俺達が驚いている中、そんな声が聞こえてきた。

 

「この声、まさか…」

 

「ポッピーピポパポ…お前が、患者たちを…」

 

俺と飛彩さんは、この声の正体が明日那さんだと勘づいた。

 

『飛彩、甘いもの食べすぎないようにね。貴利矢、嘘は程々にね。優くん。これからもCRのみんなと、μ’sのみんなを、支えてあげてね。』

 

「はい。もちろんです…」

 

俺は明日那さんの言葉に、静かに返事をした。

 

俺たちが暗い顔をしている中、飛彩さんが、

 

「……学生、監察医。行くぞ、壇正宗を止めに。」

 

そう言った。飛彩さんもつらいはずだ。しかし、明日那さんの犠牲を無駄にしないためにも、戦いに行こうとしている。俺も決意を固め、飛彩さんのあとに着いて行った。

 

 

 

そして、俺たちは大我さんと黎斗さんと合流し、壇正宗を止めに向かった。

 

「パンデミックを防いだか…」

 

壇正宗は俺達が来たことに気づき、話し始めた。

 

「幻夢コンポレーションを、世界一のゲーム会社にする。そんな絵空事の様な、幻にも等しい夢を実現するために私は人生のすべてを捧げた。幻夢コンポレーションは、私が命を削って築き上げた、私の全てだ!!実現してみせる…私の、夢を!」

 

そう言って、壇正宗は巨大化したゲムデウスクロノスに変化した。

 

俺はツムツムゲーマーレベル50に、飛彩さんはレガシーゲーマーレベル100に、大我さんはシミュレーションゲーマーレベル50に、貴利矢さんはコンバットバイクゲーマーレベル0に、黎斗さんはゾンビアクションゲーマーレベルX-0に変身し、ゲムデウスクロノスと戦い始めた。

 

しかし、ゲムデウスクロノスの圧倒的なパワーに押されてしまう。

 

「世界の滅亡を阻止したければ、仮面ライダークロニクルをプレイし、私を攻略してみせろ。世界よ…これがゲームだ!」

 

そう言ったゲムデウスクロノスが、俺たちに再び攻撃してきた。クソ…でかい上に、強い…

 

「こんな奴、攻略出来んのかよ!」

 

貴利矢さんがそう言った時、ゲーマドライバーを巻いた永夢さんが走ってきた。

 

「攻略法なら、ある!」

 

そう言って、永夢さんはガシャットを構えるが、そのガシャットは…

 

「マイティアクションX!?そんなガシャットで、何をするつもりだ!」

 

飛彩さんがそう言うが、永夢さんは気にせずガシャットを起動した。

 

『マイティアクションX!』

 

「ゲムデウス。お前の運命は、俺が変える。変身!」

 

『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!アイム ア 仮面ライダー』

 

そして、永夢さんは仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル1に変身した。

 

「そんなレベルで挑んだら死ぬぞ!」

 

大我さんがそう言うが、永夢さんは気に止めず、ゲムデウスクロノスに向けて構える。

 

永夢さん、何をする気だ…?けど、永夢さんは天才ゲーマーM。何か考えがあるんだろう…

 

俺がそう考えていると、永夢さんは一気に走り出して逃げたように見せかけ、クロノスに攻撃した。すると、クロノスはダメージを受ける。

 

「攻撃が効いてる!?」

 

「攻略してやる、ポッピーに教えて貰ったやり方で!」

 

「なるほど。レベル1だと、壇正宗からゲムデウスを分離できる。」

 

黎斗さんが言った。

 

「なるほど、そういう事ですね。」

 

「このレース、乗らない手はない!」

 

俺たちはそれぞれ、ガシャットを構える。

 

『爆走バイク!』

『マイティアクションX!』

『タドルクエスト!』

『バンバンシューティング!』

『つなげてツムツム!』

 

「「「「「変身!」」」」」

 

『『『『『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!アイム ア 仮面ライダー』』』』』

 

そして、全員がレベル1に変身した。

 

「これよりゲムデウス、切除手術を開始する!」

 

「ミッション、開始!」

 

「ノリノリで行っちゃうぜ!」

 

「コンテニューしてでも、クリアする〜!」

 

「俺たちの強さは、次元を超えるぜ!」

 

飛彩さん、大我さん、貴利矢さん、黎斗さん、俺の順で言い、戦い始めた。

 

「図が高いぞぉ!ひれ伏せ!」

 

1度上空に飛ばされた黎斗神さんは、落ちながらゲムデウスクロノスの龍を、蹴り落とした。

 

「悪ノリがすぎるぜぇ、幻夢の社長さん!行くぜ神!」

 

「よくやった。」

 

「へっ、ちょろいな。」

 

黎斗さんと貴利矢さんは2人で同時攻撃する。なんやかんや、コンビネーションいい2人だな。

 

俺、永夢さん、飛彩さん、大我さんも自分の武器を使い攻撃する。

 

しかし、ゲムデウスクロノスの放ったビームで俺たちは振り落とされてしまう。そして、倒れた永夢さんにゲムデウスクロノスが攻撃しようと、剣を振り落とした。

 

やばい…永夢さん!!?

 

しかし、永夢さんに攻撃は当たらなかった。

 

「パラド!?」

 

そう…変身したパラドが永夢さんをかばったからだ。

 

「何!?」

 

そして、パラドから出る青い光により、何故かゲムデウスクロノスの動きが封じられた。

 

「今だ、やれ!」

 

「あぁ、行くぞ!」

 

永夢さんの声で、俺たちはキメワザスロットホルダーにそれぞれのガシャットを入れた。

 

『『『『『『ガシャット!』』』』』』

 

「フィニッシュは必殺技で決まりだ!」

 

『タドル!』

『バンバン!』

『爆走!』

『つなげて!』

『『マイティ!』』

 

『『『『『『クリティカル ストライク!』』』』』』

 

そして、一気にゲムデウスクロノスにキックを放った。俺達は、その爆発に巻き込まれて強制変身解除してしまう。だが、壇正宗も同じく強制変身解除し、倒れている。

 

「ウゥ…馬鹿な!?」

 

そして、何故か分離したゲムデウスにもダメージが入っている。ゲムデウスを掴んでいるパラドのゲーマドライバーをよく見てみると、入っているガシャットはガシャットギアデュアルではなく、ドクターマイティXXガシャットだ。

 

「ゲムデウスワクチンを使ったからか…」

 

「バクスター同士、仲良く死滅しようぜ。ゲムデウス!」

 

バラドがそう言うと、ゲムデウスは消え、パラド自身も消えかけてる。

 

「これで少しは、償えたか…」

 

「パラド!」

 

「短い間だったが、お前とゲーム出来て、最高に楽しかったぜ、永夢。」

 

「パラド!」

 

そして、永夢さんはパラドの手をつかもうとするが、パラドは消えてしまった…

 

そんな中、壇正宗が口を開いた。

 

「運命は、この私に味方したようだ。パーフェクトノックアウトは完全に消滅し、ハイパームテキは変身能力を失った。もはや、クロノスを攻略する術は、ない!君たちの運命は、バット…エンドだ!」

 

そう言って、壇正宗はクロニクルガシャットを構えた。

 




はい、エグゼイド本編の44話でした。また、1話分一気に書いてしまいました。この回はテレビを見て、本当に感動しました。
そして、レベル1の久しぶりの活躍の回でもありましたので、この話はエグゼイドの中でもかなり好きな話です!

そして、とうとう次回でエグゼイド本編の最終回。
あと1、2話で書き終わると思います。エグゼイドとのコラボ回ももう終わってしまいますね。そしてラブライブ本編を待っている方、もう少しだけお待ちください。


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39話 これからの医療

はい、39話です。
今回でエグゼイドの最終回編も終わりです。
では39話、スタートです!


〜side 優ー

 

「運命はこの私に味方したようだ。パーフェクトノックアウトは完全に消滅し、ハイパームテキは変身能力を失った。もはや、クロノスを攻略する術は…ない…!

君たちの運命は、バットエンドだぁ!プレイヤーでない君たちによってクリアされた不正なゲームなど無効だ。君たちレアキャラは、ゲームに支障をきたすバグ!バグは削除する。」

 

そう言った壇正宗は、クロニクルガシャットを起動させた。

 

『仮面ライダークロニクル!』

 

「変 身…」

 

『ガシャット!バクルアップ!天を掴めライダー!刻めクロニクル!今こそ時は、極まれり!』

 

壇正宗は仮面ライダークロノスに変身した。俺達も、変身能力を失った永夢さん以外、ガシャットを起動した。

 

『タドルレガシー!』

『バンバンシミュレーション!』

『爆走バイク!』『シャカリキスポーツ!』

『マイティアクションX!』『デンジャラスゾンビ!』

『ダンシングハーモニー!』

 

「「「「「変身!」」」」」

 

そして、俺たちはそれぞれのライダーに変身して、クロノスと戦い始めた。

 

「私がいる限り、このゲームは続く。」

 

『ポーズ!』

 

 

『リスタート!』

 

しかし、ポーズを使ったクロノスに、すぐ攻撃を受けて倒れてしまう。

 

「仮面ライダークロニクルに、終わりの時など、なぁい!」

 

クロノスの言葉に、俺たちは反論する。

 

「ゲームは、私の全てだ!お前のようなクズに、これ以上邪魔されてたまるかぁ!」

 

「犠牲になった人の無念を晴らすまでは、終われないんだよ!」

 

「これ以上、絶対に何も失わない。その為にもテメェをぶっ潰す!」

 

「人の命がかかっている限り、戦い続ける。それが、ドクターだ!」

 

「仮面ライダーである俺も、人の命を脅かす存在である限り、戦い続けてみせる!」

 

黎斗さん、貴利矢さん、大我さん、飛彩さん、そして俺が言い、またクロノスに立ち向かった。

 

「「「「「グハッ!」」」」」

 

『『『『『ガッシュー!』』』』』

 

しかし、クロノスの圧倒的パワーによって俺と飛彩さん、大我さん、貴利矢さんは強制変身解除させられてしまい、黎斗さんはゲームオーバーとなってしまった。

 

「あぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

それを見た永夢さんは、我慢できず変身してない状態にも関わらず、クロノスに殴りかかった。

 

「ぐはぁっ…!?」

 

しかし、変身している俺たちでも敵わない相手であるクロノスに、敵うはずもなく一瞬で倒れてしまった。

 

「ドレミファビート、パーフェクトノックアウトも無意味にちった。商品価値のない命だった。」

 

「お前が…ポッピーとパラドの命を…命を語るな!」

 

「君たちの命も、もはや商品価値がない。フンッ!」

 

『ポーズ!』

 

永夢さんが怒りを顕にした時、檀正宗がポーズを発動した。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 正宗〜

 

私は、ポーズを発動した世界で、ハイパームテキにトドメを刺そうとした。

 

「フッフッフッ、私こそが命の管理者。君たちは、絶版だぁ!フンッ!」

 

そして、ハイパームテキに剣を振り落とそうとした時、何故かハイパームテキの声が聞こえる。

 

「語るな…」

 

「んっ?」

 

「お前が…お前が命を、語るなぁ!」

 

そう言って、ハイパームテキが顔を上げた。

 

何故だ!?ポーズの空間である今、私以外に動ける者など…!?

 

そして、私のベルトをハイパームテキが殴り、ポーズが解けた。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

俺が気がつくと、ポーズが解けていた。何故かは分からないが、永夢さんがやったのだろう。

 

「クロノス…お前を攻略する。」

 

「乗ってやろうじゃねぇの!」

 

「全てのバクスターをぶっ潰す!」

 

「人類の未来のために!」

 

「俺たちは戦う!」

 

永夢さんに続き、貴利矢さん、飛彩さん、大我さん、俺が言い、ガシャットを取り出した。

 

「患者の運命は、俺たちが変える!」

 

俺たちはガシャットを起動する。

 

 

『タドルクエスト!』

 

『バンバンシューティング!』

 

『爆走バイク!』

 

『つなげてツムツム!』

 

『マイティアクションX!』

 

 

「「「「「変身!」」」」」

 

 

『『『『『ガシャット!ガッチャン!レベルアップ!』』』』』

 

 

『タドルクエスト〜!』

 

『バン バン シューティング!』

 

『爆走バイク〜!』

 

『つなげてツムツム〜!』

 

『マイティマイティアクション X!』

 

 

そして、永夢さんがレベル2のレーザーに乗って、

 

「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」

 

そう言ってバイクを発進させ、それに続いて俺、飛彩さん、大我さんもクロノスと戦い始めた。

 

永夢さんがレーザーに乗ってガシャコンブレイカーで攻撃し、飛彩さんがガシャコンソードで近距離攻撃、大我さんがガシャコンマグナムで攻撃したあと、俺はエナジーアイテムを集めた。

 

「ここをこうしてっと、行くぜ!」

 

『高速化 8コンボ!鋼鉄化 5コンボ!マッスル化 7コンボ!』

 

「オラッ!ハッ!おりゃあ!」

 

俺は、高速化の力で一瞬でクロノスに詰め寄り、マッスル化で強化されたパワーで攻撃した。

 

「ぬわぁっ…ならばこちらも!」

 

そう言ってクロノスは、剣で俺に攻撃するが、

 

「残念!効きませーん!オラッ!」

 

鋼鉄化の力で攻撃を防ぎ、俺はガシャコンソードバズーカー ソードモードでクロノスを吹き飛ばした。

 

「ならば、我がキメワザで絶版にしてやる!」

 

クロノスがそう言った時、

 

「今だ!」

 

「こい、神!」

 

永夢さんと貴利矢さんが言った。すると、コンティニュードカンが現れ、そこから仮面ライダーゲンム アクションゲーマーレベル0が現れ、クロノスにキックを放った。

 

「ハッハッハ、時間差コンティニューだ!」

 

そして、その隙をついて俺と飛彩さんと大我さんが攻撃し、貴利矢さんもバイクを自力で動かしてクロノスに攻撃する。それらの影響で、クロノスが押される。

 

「何故だ!?レベル2を相手に苦戦するはずなど…!」

 

「当然だ。パラドが命をかけて、お前のウイルスを抑制したからだ!」

 

そう言って、永夢さんもクロノスに攻撃する。

 

そして、永夢さんはキメワザスロットホルダーにマイティアクションXを入れる。

 

「クロノス!お前の運命はここまでだ!」

 

『マイティ!クリティカルストライク!』

 

永夢さんはキメワザでクロノスと同時にキックを放った。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

「ぬぁぁぁっ!」

 

『改心の1発!』

 

そして、クロノスは倒れた。

 

「ゲーム、クリアだ!」

 

永夢さんがそう言った直後、段々と暗かった空に日が出てきた。

 

「グハッ!ぬはっ、はぁ、はぁ…」

 

「壇正宗。あなたの夢は、幻のままに終わった。」

 

「あなたの処分は衛生省が下します。罪を償ってください。」

 

「フッ、ハッハッハ。審判を下すのは衛生省じゃない。この…私だ!」

 

そう言って、壇正宗はボロボロになったクロニクルガシャットを取り出した。

 

まさか、まだ何かやるつもりか!?

 

「君たちは命の管理者である私に盾付き、消滅者の命を復元する手段を放棄したのだ!自分たちこそが命の救世主だと自惚れ、消滅者の運命を壊した!命の…冒涜者だ!」

 

檀正宗がそこまで言った時、衝撃的な行動を起こす。

 

「ぬぁっ!ぬぁぁぁっ!ぬぁぁぁっ、グハァァァッ!」

 

なんと、自身にクロニクルガシャットを差し込み、苦しみ始めた。

 

「最後の審判は下された…」

 

そう言って、壇正宗は消滅した…

 

 

 

数日後…

 

俺たちはあの後、高坂、小泉、星空、矢澤も元の元気な姿に戻り、永夢さんたちにお礼を言って帰った。

 

そして、夏休みも残り少ないため、スクールアイドルとしての練習を再開していた。そんな時、高坂がスマホでテレビの生放送を見せてきた。

 

「優くん!これ、見て見て!」

 

「んっ、これは…永夢さんの会見か!」

 

ちょうど今日、永夢さんがバグスターウイルスについての会見をしていたのだ。

 

その内容は、バグスターウイルスの被害状況についての説明、そして永夢さんたちCRの人達の考える、ゲーム病で消滅した人への考え方についてだった。

 

永夢さんが説明した話では、ゲーム病で消滅した人の命はなくなったのではなく、なくなったように見える症状だと考えている、というものだった。

 

医療は日々進歩している。ゲーム病は、たとえ今治らない状態でも、実験や研究、臨床を重ねていけば、5年後、10年後には治療法が見つかり、根治する可能性もゼロじゃない。

 

未来への希望を捨てず、患者と一緒に病と戦い続ける。それが、永夢さんたちドクターだ、というものだった。

 

その後、永夢さんはゲーム病に感染した人々の名前を読み上げた。その中には、黎斗さんや檀正宗、飛彩さんの恋人の小姫さんもいた。

 

「永夢さんらしい、会見だったな…よし!俺も、これから、バクスターとも、財団Xとも戦い続けないとな!」

 

「うん、その意気だよ!優くん!」

 

 

 

それからまた数日後…

 

練習の休憩時間、永夢さんから電話がかかってきた。

 

「もしもし、永夢さん?会見見ましたよ、永夢さんらしい会見で、とても良かったと思いますよ!」

 

『本当?良かったよ!それでね、もっとすごいことがあったんだよ!』

 

「もっと、すごいこと?」

 

もっとすごいこと…なんだろ…?

 

『うん!ポッピーとパラドが復活したんだよ!』

 

「えっ!?明日那さんとパラドが!?」

 

『うん。ポッピーが消える直前、黎斗さんが自分の体にポッピーを培養したらしくて、黎斗さんがポッピーの体を復元させたんだって。パラドも消える直前、僕の体にまた感染したらしくて、復活したんだよ!』

 

「なるほど…でも、良かったですね!明日那さんとパラドが復活できて。これでCRも完全復活ですね!」

 

『うん。後、バクスターウイルスの新薬の開発が進められるようになって、幻夢コンポレーションと共同開発されることになったんだ。』

 

「あっ、そういえば、幻夢コンポレーションの新社長って誰が?」

 

『あっ、それはね。前にバグスターウイルスに感染した患者として会った、小星作さんって人で、ガシャットも作れる人なんだ。』

 

「へぇ、ガシャットまで…」

 

『その新薬開発の責任者が、貴利矢さんが選ばれたんだ!』

 

「貴利矢さんが!?」

 

『うん。それと、飛彩さんが大我さんを医者として活躍できるように、こっそりお願いしてたらしくて、大我さんの功績も認められて、ゲーム病専門医として、今後も医者として活躍することができるようになったんだよ!』

 

「へぇ、飛彩さんもなんやかんやで、大我さんのこと気にしてたんですね。飛彩さんって、結構ツンデレですよね。」

 

『うん、そうだよね。』

 

思わず笑い声を上げそうになりながら言った俺の言葉に答えた永夢さんの声も、少し笑い声と混ざりあっていることに電話越しでも気づいた。

 

『でも、優くんが一緒に戦ってくれて、本当に助かったよ。だから、優くんには報告したかったんだよね。本当にありがとう!』

 

「いえいえ、俺も色々助けてもらったんで、こちらこそありがとうございました!また、何かあったら言ってくださいね!」

 

『優くんも、僕達に手伝えることがあったら言ってね。最近、敵が出現する頻度が増えてるんでしょ?』

 

「そうなんですよね…じゃあ、何かあったら頼らせてもらいます!」

 

『うん!じゃあ、μ’sのみんなとも仲良くね。それとその…茜ちゃんの時のことも、あんまり気にしすぎないようにね…』

 

「はい…ありがとうございます。永夢さんも、これからもゲーム病と小児科医の仕事、頑張ってくださいね!」

 

『うん!じゃあ、またね。』

 

「はい。では、また。」

 

そう言って、俺は電話を切った。

 

「優、誰からだったんですか?」

 

「もしかして、永夢さん?」

 

園田と高坂が聞いてきた。

 

「あぁ、永夢からの報告が色々と。」

 

「えっ、何があったの?」

 

「まぁ、いろいろだ。」

 

「えっ、いろいろって?」

 

「それより練習を再開しますよ!」

 

「えぇ、もうちょっと休憩したいニャー…」

 

「そうよ…もうちょっとぐらいいいでしょ?」

 

園田の言葉に、さっきまで休んでいた星空と矢澤が言った。

 

「だめですよ!夏休みも残り少ないのですから、しっかり練習しますよ!」

 

「そうよ。ラブライブ出場グループ決定まで、もうあまりないんだから。」

 

「うぅ…絵里ちゃんまで…」

 

「分かったわよ…」

 

「よし!みんな、ラブライブ出場に向けて頑張ろう!」

 

高坂の言葉で練習が再開された。ラブライブ、出れるといいな…

 

しかし、俺はまだ知らなかった。この後、これまでにないほどの大きな波が、俺とμ’sに待っていることを…

 




はい、今回でエグゼイドとのコラボ回も終わりです。
最終回の最終決戦の変身に、優を入れるかはとても悩みました…優を入れたら、1話との伏線が潰れてしまうので、入れないようにしようかなとも思ったのですが、このストーリーでは1話の描写も登場してないので、せっかくなので優を入れました。エグゼイドの最終回編は今回で終わりですが、今後永夢たちは登場させる予定です。あと、トゥルーエンディングや平成ジェネレーションズfinalなども書きたいと思っています。(まだ、書けるか分かりませんが…)
そして、次回からラブライブ本編に戻ります。次回からは、学園祭ライブ編です。そして、学園祭でのライブの後、優が大変なことに…


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5章 学園祭ライブ編
40話 学園祭でのライブの場所は?


はい、40話です。
今回から、ラブライブ本編に戻ります。そして、学園祭のライブ編です。アニメ1期の終盤で、盛り上がってくるところですね。
では40話、スタートです!


〜side 優〜

 

永夢さん達とクロノスを倒し、永夢さんの会見が終わってから数日が経ったある日、高坂が朝っぱらからハイテンションでスマホを見せてきた。その画面に表示されているのは、スクールアイドルのランキング。なんと、μ'sが19位にあがっていた。

 

おぉ!19位…っていうことはラブライブに出場ができるかもしれないってことか!

 

「やったじゃん!」

 

「今、クラスですごい話題になってるよ!」

 

高坂とその友達の3人が、そう話していた。

 

「よしよし、よく頑張った!」

 

「クゥーン…」

 

高坂の友達が、高坂の頭を撫でた。というか高坂…お前は犬かよ…

 

「穂乃果のことだからすぐ飽きちゃうと思ってた。」

 

あぁ、確かに…高坂のやつ、よく飽きずに続けたな。まぁ、それほど高坂が、スクールアイドルの事を好きになったってことか。

 

「でもさ、私たちってラブライブに出るμ’sの初ライブ見たことなるんだよね!」

 

「あぁ…考え深いね!」

 

ここで1つ思った。俺、空気じゃね?全然会話に参加してないというか、出来ない…高坂の友達と話したことなんて、初ライブの時に少しあったぐらいだしな…

 

俺がそんなことを考えてると、絢瀬がやって来た。

 

「穂乃果、優、おはよ!」

 

「あっ、絵里ちゃん!おっはよー!」

 

「おう絢瀬、おはよう。」

 

「穂乃果、仮野くん。先輩だよ!?」

 

俺たちの挨拶を見て、やっと俺にも話を振ってくれた。

 

「あぁ、大丈夫大丈夫!先輩、後輩やめようって話したんだ!」

 

「俺もマネージャーだからって、巻き込まれた。」

 

「すごい、芸能人みたい!」

 

そうなのか…?芸能界って上下関係厳しいとか、よく聞くけど…

 

 

それから教室に入ると、高坂が高坂の友達にサインを求められていた。

 

「えっ、サイン?」

 

「これから有名になるんだから、記念に1枚書いてよ!さっき、園田さんにも書いてもらったんだけど…」

 

そう言いながら、色紙を見せてくる。しかし、園田のサインらしきものは見当たらない。

 

「えっ、どこに?」

 

「ほんとにあるのか?」

 

高坂と俺が色紙をよく見てみると、左下に小さく青いボールペンで『園田海未』と書かれていた。

 

「ちっさ!」

 

「でしょ。恥ずかしいから、これが限界だって言うのよ…」

 

「そんなんで、アイドル大丈夫か…」

 

「だから、穂乃果は大きく書いてね!」

 

「じゃあ…」

 

そう言われ、高坂がサインを書き始めたが、『高坂穂乃』までが大きく、『果』だけが色紙内収まらず小さくなっていた。

 

なんで、2人とも普通に書けないんだよ…

 

「ごめん、入り切らなかった!」

 

「ほんと、あんた達極端よね…」

 

「あっ、せっかくだから仮野くんも書いてよ!」

 

「えっ、俺はマネージャーだぞ?」

 

「でもでも、μ’sのイケメンマネージャーってSNSで話題になってたよ!それに、女性に1番ファンの多い絢瀬先輩と、同じぐらいの女性ファンいるかもよ!」

 

「いや、それはないだろ…それに、俺はイケメンでもないぞ?」

 

俺が真顔で言うと、高坂と園田、そして高坂の友達の3人が、大きくため息をついた。

 

なんでだ…?

 

「まぁ、とりあえずサイン書いて!」

 

「まぁ、いいけど…」

 

そう言って、俺は2人と違い、普通にサインを書いた。

 

「おぉ、やっとまともなサインだ!」

 

「でも…この絵は何?」

 

「ん、それか?最近噂の仮面ライダー!」

 

μ’sのメンバーには全員バレたが、世間的にはまだ俺の正体は知られていない。

 

この前、病院で変身した時はバレたかと思ったが、ゲーム病が治りかけていた時に怪人が現れたということで、みんなパニックで俺の変身は全く見てなかった。その中でも、A-RISEのメンバーだけは見逃さなかったらしく、後で聞かれたが、口止めしておいたので大丈夫だと思う。

 

それにしても、ナンバーワンスクールアイドルは観察眼まですごいとは…

 

「えっ…でも、ネットで出てた仮面ライダーの画像は、もっとかっこよかったような。」

 

おい、本人が書いてるんだぞ?

 

「もしかして、仮野くんって絵心ないの…?」

 

「失礼な!妹に俺の書いた絵を見せたら、『お、おぉ、さすがお兄ちゃん!絵のセンスもいろんな意味ですごいね!』ってすごい褒められたんだぞ!」

 

「いや、それは褒められたというか…」

 

俺の言葉に、そこにいた5人が全員苦笑いをしていた。今日、なんで俺は苦笑いばっかされてんの…?

 

「まぁ、絵はともかく、サインはやっと普通のサインが貰えたね!」

 

絵はともかくってなんだよ…

 

「さっき、矢澤先輩にも頼んだんだけど、『すいません。今、プライベートなんで。』って言われたんだよねぇ…」

 

「私たち、芸能人ってわけじゃないし…」

 

「あれ、そういえばことりちゃんは?」

 

「そういえばいないな…」

 

確かに、いつもならこの時間には来ているはずなのに…

 

この時、俺はまだ知らなかった…この時から、南があることに悩み続けていたことを…

 

 

 

「あぁ…出場したら、ここでライブできるんだ!」

 

「すごいニャー!」

 

放課後になり、ネットでラブライブ!のホームページの会場画像を見ながら、高坂と星空がそう言っていた。

 

「何うっとりしてるのよ!らっ、ラブライブ出場ぐらいで、うぅっ…まだ、喜ぶのは早いわ!決定したわけじゃないんだから。気合い入れていくわよ!」

 

そんなこと言いながら、矢澤も嬉しさのあまり、目がうるうるして泣きそうになっていた。

 

「その通りよ!」

 

そう言って、絢瀬がA-RISEのページを開いた。

 

「7日間連続ライブ!?」

 

「そんなに!?」

 

「ラブライブ出場チームは、2週間後の時点で20位以内に入ったチーム。どのスクールアイドルも、最後の追い込みに必死なん。」

 

「20位以下に落ちたとこもまだ諦めてないだろうし、今から追い上げてなんとか出場を勝ち取ろうとしているスクールアイドルもたくさんいる。」

 

「つまり、これからが本番ってわけね!」

 

「ストレートに言うとそういうこと。喜んでる暇はないわ。」

 

「よし!もっと頑張らないと!」

 

「とはいえ、特別なことを今からやっても仕方ないわ。」

 

「まずは、目の前にある学園祭で精一杯いいステージを見せること!それが目標よ。」

 

「よし!そうとなったら、まずはこの部長に仕事を頂戴!」

 

「じゃあ、にこ。うってつけの仕事があるわよ!」

張り切っている矢澤に、絢瀬が言った。矢澤にうってつけの仕事…?

 

 

 

そして、絢瀬に言われ、うってつけの仕事をするため、矢澤を始めとするμ’sと俺は、生徒会室に来ていた。

 

「やったやったー!」

 

「茶道部。午後3時からの1時間、講堂の使用を許可します!」

 

講堂の使用を許可され、茶道部員の人が喜んでいる。

 

「なんで、講堂がくじ引きなわけ?」

 

「昔から伝統らしくて…」

 

「どんな伝統だよ…」

 

そう、絢瀬の言った仕事とは、学園祭での講堂の使用許可を貰うために、くじ引きを引くことだ。

 

というか、茶道部が講堂を使う必要なんてあるのか?あんなに喜んでたけど…こんなこと言ったら、茶道部員の人に怒られそうだけど…

 

「では、続いてアイドル研究部。」

 

「見てなさい!」

 

「ヒィ!?がっ、頑張ってください…」

 

そして、とうとうアイドル研究部の番が来たのだが、矢澤は緊張とやる気のあまり、すごい顔で近づき、生徒会の人は怖がってしまった。

 

「にこちゃん!頼んだよ!」

 

「講堂が使えるかどうかで、ライブのアピール度は大きく変わるわ!」

 

高坂と絢瀬が言う。そんなにプレッシャーかけないほうがいいと思うが…

 

そして、ついに矢澤が抽選箱のレバーを回す。そして、落ちてきた玉の色は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白…

 

 

 

「残念、アイドル研究部。学園祭での講堂の使用はできません。」

 

μ's全員が、一気に崩れ落ちた。

 

 

 

そして、とりあえず練習着に着替えて、屋上に上がってきたのだが…

 

「どうしよう!」

 

「だって、しょうがないじゃない!くじ引きで決まるなんて知らなかったんだから!」

 

「あぁ!開き直ったニャー!」

 

「うるさい!」

 

高坂と星空が矢澤に文句を言い、矢澤はそれに言い訳する。まぁ、くじだし矢澤が悪いってわけでもないけどな…

 

「うぅ、なんで外れちゃったの…」

 

小泉に至っては、涙を流していた。

 

「ま、予想されたオチね。」

 

西木野だけはあっさりとそう言った。いやオチって…

 

「にこっち…ウチ、信じてたんよ…」

 

「うるさいうるさいうるさーい!悪かったわよ!」

 

「まぁ、みんな。これは運の問題で矢澤が悪いわけでもないんだし過ぎたことを言うより、次どうするか決めないといけないだろ。」

 

「優の言う通りよ。気持ちを切り替えましょ。」

 

「あっ、そうだ!絢瀬。」

 

「ん、どうかした?」

 

「生徒会長権限で何とかできないか?」

 

「出来るわけないでしょ?」

 

素晴らしく怖い笑顔を見せて、絢瀬が言った。

 

「すみませんでした…」

 

「はぁ…講堂が使えない以上、他のところでやるしかないわ…体育館もグラウンドも運動部が使ってる…」

 

「では、どこで…」

 

「部室とか?」

 

絢瀬、園田、矢澤がそう言った。っていうか矢澤、お客も入れないし、そんな窮屈なライブ見に来る人少ないだろ…

 

「せまいよ!あっ、じゃあ廊下は!」

 

高坂…矢澤に突っ込んだけど、お前も変わらないぞ…

 

「バカ丸出しね…」

 

高坂も矢澤も、もう少しまともな意見は出せないのか。

 

「にこちゃんがくじ外したから、必死で考えてるのに!うーん…じゃあ、この屋上に簡易ステージを作ればいいんじゃない?人もたくさん入れるし!」

 

「屋外ステージ?」

 

「確かに、人はたくさん入るけど…」

 

「なによりここは、私たちにとってすごく大事な場所!ライブをやるのに、ふさわしいと思うんだ!」

 

「野外ライブ、かっこいいニャー!」

 

「でも、それなら屋上に、どうやってお客さんを呼ぶの?」

 

「確かに…ここだと、たまたま通ることもないですし…」

 

「下手すると、1人も来なかったりして。」

 

「じゃあ、大きな声で歌おうよ!校舎の中や、外に歩いてるお客さんにも聞こえるようや声で歌おう!そしたら、きっとみんな興味をもって、見に来てくれるよ!」

 

「穂乃果らしいわ。」

 

「えっ、だめ?」

 

「いつもそうやって、ここまで来たんだもんね。μ’sってグループは。」

 

「絵里ちゃん…」

 

「決まりよ!ライブはこの屋上で、ステージを作って行いましょ!」

 

「確かに、それが1番μ’sらしいライブかもね!」

 

「よーし!凛も大きな声で歌うニャー!」

 

「じゃあ各自、歌いたい曲の候補を考えてくること!」

 

こうして、μ’sのライブは屋上でやることになった。

 

 

 

しかし、最近南が高坂に何か言いたそうにしながら、何かに迷ってるようにしていることに、俺は少し気づき気になっていた…

 




はい、とりあえずここまでです。
久しぶりのラブライブ本編でした!
そして、次回も学園祭ライブ編。そして、優はことりの異変に気づき始めてますね。次回かその次には、ライブに入りたいと思います!そしてそのライブのあと、優に大変な事件が起こるかもしれません…


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41話 ことりの悩み

はい、41話です。
今回、ことりが悩んでいることに気づいた優は、どうするのでしょうか…
では41話、スタートです!


〜side 優〜

 

「えっ、曲を?」

 

俺たちは部室で学園祭ライブで歌う曲について、話し合っていた。そんな中、高坂は新曲を歌いたいと言い出した。

 

「うん!昨日、真姫ちゃんの新曲聴いたらやっぱり良くって、これ1番最初にやったら盛り上がるんじゃないかなって!」

 

「まあね、でも振り付けも歌もこれからよ。間に合うかしら…」

 

高坂の意見に対して、間に合うか不安な絢瀬。

 

「頑張ればなんとかなると思う!」

 

「でも、ほかの曲のおさらいもありますし…」

 

「私、自信ないな…」

 

園田と小泉もやるのは難しそうだと言う。

 

「μ’sの集大成のライブにしなきゃ!ラブライブの出場がかかってるんだよ!」

 

それでも、高坂はやりたいらしい。確かに、高坂の意見も一理ある。

 

「まぁ、確かにそれは一理あるね。」

 

「でしょ。ラブライブは今の私たちの目標だよ!そのためにここまで来たんだもん。このまま順位を落とさなければ、本当に出場できるんだよ。たくさんのお客さんの前で歌えるんだよ。私、頑張りたい!そのためにやれることは全部やりたい!ダメかな?」

 

「反対の人は?」

 

絢瀬の問いに、手を上げる人はいない。

 

「みんな、ありがとう!」

 

みんながやる気のある笑顔を浮かべる中、南だけが浮かない顔をしている。

 

「ただし、練習は厳しくなるわよ!特に穂乃果、あなたはセンターボーカルなんだから、みんなの倍はきついわよ!分かってる?」

 

「うん!全力で頑張る!」

 

こうして、ライブで歌う曲が決まり、俺達はまた一段と、ライブに向けて練習に力を入れることになった。

 

 

 

時は流れ、みんなが帰ろうとしている中、俺は南に話しかけた。

 

「南、今からちょっといいか?」

 

「えっ、うん…大丈夫だけど、どうしたの?」

 

「ここじゃあれだし、別の場所で話せるか?」

 

 

 

そして、俺と南はワックに来た。

 

「ごめんね、奢ってもらっちゃって。」

 

「いいって、俺が誘ったんだし。」

 

「ありがとう。それで、話って?」

 

「いや、最近ちょっと元気なさそうだと思ってさ。なんかあったのか?」

 

「っ…えっと…」

 

さっきまでの笑顔ではなく、真剣な顔で南に聞いた俺。そんな俺の問いに、南は答えにくそうに迷う。

 

「まぁ、無理に聞く気は無い。その様子じゃ、まだ誰にも話してないんだろ?」

 

「うん…」

 

「話の内容によるが、親友である高坂と園田に1番、に話した方がいいと思うし。でも、1つだけ言っておきたいことがある。バイトの件の時から少し思ってはいたが、南は少し自分の想いを心に留めすぎる所があると思う。まぁ、南が話したいタイミングとか、話すべきタイミングもあるだろうから、俺はとやかく言わない。けど、これだけは覚えておいてほしい。重大なことによればよるほど、後からだと話しにくくなるぞ?」

 

「うん、分かった…」

 

「よし、重い話はここまでだ!せっかくだし、冷めないうちに食べようぜ!」

 

「うん!」

 

 

 

そして、俺たちはワックで食事をとり終え、帰り道を歩いていた。

 

「今日はありがとね!優くんのアドバイス通りに出来るかは分からないけど、出来るだけ早く言えるようにする。でも、学園祭の後にしようと思うんだけど、それでもいいと思う?」

 

「あぁ。南が話したい時でいいと思う。まぁ、内容にもよるけど、学園祭ももうすぐだし、それからでも遅くはないと思う。まぁ、自分が後悔しないようにな。」

 

「うん、ありがとう!」

 

「よし。じゃあ今は、目の前の学園祭に向けて頑張ろうぜ!」

 

「うん!」

 

南の顔に、再び笑顔が戻った。そんな時、前から大量のダスタードが俺たちの方へ向かってきた。

 

「ゆ、優くん。あ、あれ。」

 

「あぁ、南は下がってろ。」

 

そう言って、俺はベルト召喚ブレスからフォーゼドライバーを取り出し、腰に巻き付けた。そして、フォーゼドライバーの4つの赤いスイッチを押した。

 

『スリー!ツー!ワン!』

 

「変身!」

 

俺はフォーゼドライバーのレバーを入れ、仮面ライダーフォーゼ ベースステイツに変身した。

 

「宇宙キター!仮面ライダーフォーゼ、タイマンはらせてもらうぜ!」

 

「優くん、それはタイマンじゃないと思うよ…」

 

俺の言葉に、そう南が突っ込んだ。でも、これ言わないとフォーゼとして戦えないんだ…うん…

 

『ロケット オン!』

 

俺はロケットスイッチをオンにして、右手にロケットモジュールが出現させた。

 

「一気に行くぜ!」

 

『ロケット リミットブレイク!』

 

俺はフォーゼドライバーのレバーを再び入れて、ロケットモジュールで一気に飛んでダスタードの群れに突進した。それにより多くのダスタードを倒したが、まだまだ残っている。

 

「ったく、キリがねぇ…ならこいつだ!」

 

『ファイヤー オン!』

 

俺はドライバーのロケットスイッチをファイヤースイッチに入れ替えて、オンにした。すると、フォーゼの色が赤くなり、専用武器であるヒーハックガンを現れ手に取った。俺は仮面ライダーフォーゼ ファイヤーステイツに変身した。

 

「このまま決める!」

 

俺はヒーハックガンにファイヤースイッチをセットした。すると、サイレンの音が鳴り響く。

 

『リミットブレイク!』

 

「おりゃあああ!」

 

俺はヒーハックガンのトリガーを引き、炎を吐き出した。その攻撃で、ダスタードを全て倒した。

 

「ふぅ…」

 

俺はフォーゼドライバーの4つのスイッチをオフにして、変身を解除した。

 

「きゃぁぁっ!」

 

その時、後ろにいたはずの南から悲鳴が聞こえ、南の方に振り返った。すると、南は後ろから誰かに掴まれているように苦しんでいるが、その敵の姿が見えない。

 

「どういうことだ…まさか!」

 

俺はあることを思いつき、ゴーストドライバーを腰に召喚し、手にオレゴーストアイコンを持った。すると、南が刀眼魔に捕まっているのが見えた。

 

「南、すぐ助ける!」

 

俺はゴーストドライバーにオレゴーストアイコンをセットすると、ベルトから待機音が聞こえてきた。

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

「変身!」

 

俺はゴーストドライバーのレバーを入れた。

 

『ガイガン!オレ!レッツゴー 覚悟 ゴゴゴゴースト!』

 

俺は仮面ライダーゴースト オレ魂に変身した。

 

「命、燃やすぜ!」

 

俺はガンガンセイバーを取り出して、刀眼魔に斬りかかった。

 

「はぁ!」

 

「グッ…貴様、私が見えるのか!?」

 

その攻撃で、南を解放できた。

 

「南、下がってろ。」

 

「ありがとう…」

 

「オラッ!はぁ!グハッ…!?」

 

俺がガンガンセイバー ブレードモードで攻撃するが、刀眼魔の二刀流におされてしまう…

 

「くっ…だったら、二刀流には二刀流だ!」

 

俺はゴーストドライバーのアイコンをムサシアイコンに入れ替え、レバーを入れた。

 

『カイガン!ムサシ!剣豪 ズバット 超剣豪!』

 

俺は仮面ライダーゴースト ムサシ魂に変身し、ガンガンセイバー 二刀流モードで刀眼魔と戦った。

 

「これで終わりだ。」

 

『大カイガン!ムサシ!オメガドライブ!』

 

俺は、ゴーストドライバーのレバーを再び引き、刀眼魔を斬り倒した。

 

「よし…南、大丈夫だったか?」

 

俺は変身解除して南に聞いた。

 

「う、うん。」

 

「まぁ、とりあえず今日は帰ろう。送ってくよ。」

 

 

 

そして、俺は南を家に送っていってから、俺も家に帰った。

 

「ただいま。」

 

「おかえり!」

 

「姉ちゃん、帰ってたのか?」

 

「うん。今日は、天界での仕事も早く終わったし。」

 

「そっか。優奈は?」

 

「今度の優くんたちの学校の学園祭に行く友達と、打ち合わせするからって一旦帰ってきてからその友達の家に行ってたわよ。」

 

「そういえば、優奈も学園祭来るんだったな。」

 

「それより、浮かない顔してどうしたの?考え事?」

 

「あぁ、2つ気になることがあるんだ。1つは今日、南と帰ってた時にダスタードと眼魔が現れたんだけど、仮面ライダーである俺を襲ってきたのか、南を狙ったのかどっちなんだろかなって。もし南を狙ったのなら、なんでかなって思ってさ…」

 

「うーん…確かに気になるわね…ちょっとこっちでも、調べてみるわ。それで、もう1つは?」

 

「いや、南がなんか、高坂に言いたいことがあるって悩んでたけど、なんなのかなって。」

 

「うーん…それに関しては、私は本当に分からないわね…でも、優くんは茜ちゃんのことがあってから、なるべく人に関わらないようにしてたのに、変わったわね。μ’sのみんなのおかげかしら?」

 

「いや、俺が深く人に関わると、また危険な目に合わせてしまう…だから、別に深く関わってるわけじゃないよ。ただ俺は、マネージャーとしての範囲で関わってるだけだ。」

 

「そうかしら?もう、優くんとあの子達とは、深い関係だと思うわよ?それに、優くんが仮面ライダーだからって危険な目に合わせるってわけじゃないんだし、茜ちゃんのことは不幸な事故…では片付けられないかもしれないけど、優くんのせいってわけじゃない。優くんは、もっとµ’sの子達と楽しんだらいいと思うわ。せっかくの青春時代なんだし。」

 

「そういう訳には、いかないよ…」

 

俺はそう答えて、自室に入った。

 

でも、姉ちゃんに言われたことも、当たっているのかもしれない…俺の中で、μ’sのみんなが、思った以上に大切な存在になってるのかもしれない…このままだと、また茜の時のようになってしまうかもしれない…やっぱりもう少ししたら、廃校阻止することが出来たら、マネージャーもやめた方がいいのかもな…

 




はい、とりあえずここまでです。

次回こそ、学園祭のライブに突入したいと思います!
果たして今後どうなって行くのでしょうか…


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42話 学園祭でのライブ!

はい、42話です。

今回から学園祭ライブに入ります。

では42話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺が南と話した翌日、学院内は学園祭の準備で大忙しだ。しかし、学園祭前でも授業はしっかり行われる。今は授業前。俺は教室で次の授業で使う教科書などを準備していた。

 

「ふぁ〜」

 

そんな中、高坂は大きなあくびをした。

 

「ちゃんと寝ているのですか?」

 

「あはは、つい朝までライブの事考えちゃうんだよね…今からワクワクして眠れないよ!」

 

「張り切るのはいいが、しっかり寝ておけよ?寝不足で体調不良にでもなったら、ライブどころじゃないんだからな?」

 

「はーい。」

 

 

 

時は流れ放課後になり、アイドル研究部の部室でみんなにさっきの話をすると、

 

「子供ね。」

 

と矢澤が言った。その言葉に高坂は、

 

「にこちゃんに言われたくない!」

 

と反論する。

 

「どういう意味?」

 

「はぁ…どっちもどっちだろ…」

 

「そうだ!」

 

俺が小さく零した言葉は2人には聞こえていなかったようだが、変わりに何かを思いついた高坂は突然踊り出した。いや、ほんとにどうした…?

 

「うーん…えい!どう?昨日徹夜で考えたんだ!」

 

「ちょっと、振り付け変えるつもり!?」

 

「それはちょっと…」

 

「絶対、こっちの方が盛り上がるよ!昨日思いついた時、これだ!って思ったんだ!はぁ…私って天才!」

 

「ことり、これは流石に…」

 

高坂の提案に対し、みんなそれは無理だと考える。まぁ、今から振り付けを変えるのは無理があるだろうな…

 

「い、いいんじゃないかな?」

 

しかし、南だけは肯定意見を出した。

 

「だよね!たよね!」

 

とりあえず、練習のためみんなで屋上に移動している時、俺は南に話しかける。

 

「南、高坂に隠し事しているから罪悪感があるのは分かるけど、ちゃんと自分の思ったことを言った方がいいぞ?流石に今から振り付けを変えるのは無理があると思うし…」

 

「うん、そうだよね…」

 

 

 

そして、屋上での練習が始まった。

 

「はぁ、もう足が動かないよぉ…」

 

「まだダメだよ!さぁ、もう1回!」

 

「えぇ、またぁ…」

 

もう無理と言う矢澤に、もう1回と言う高坂。高坂のやつ、張り切りすぎだけど、大丈夫か…?

 

「私たちはともかく、穂乃果は休むべきです。」

 

「大丈夫、私、燃えてるから!」

 

いや、理由になってないだろ…どこの熱血教師だよ…

 

「夜も遅くまで練習しているのでしょう?」

 

「おい、夜まで練習してるのかよ。本当に少し休め。本番までに体壊すぞ?」

 

「大丈夫だよ!それに、優くんだって朝早くと夜にランニングしてるんでしょ!」

 

「バカ、俺は仮面ライダーだから体力はしっかりと付けないといけないし、普通の人より体も頑丈だからできるんだ。お前がやると、本当に体壊すぞ!」

 

「でも、もうすぐライブだもん!」

 

「はぁ、ことり。ことりからも言ってやってください。」

 

園田と俺が言っても聞かないため、園田が南に話を振った。だが…

 

「私は、穂乃果ちゃんのやりたいようにやるのが、1番だと思う…」

 

南…やっぱり、そうなるか…

 

「ほら、ことりちゃんもそう言ってるよ!」

 

これじゃ、高坂も無理するいっぽうだな…

 

 

 

その後練習が終わり、俺は家に帰り夕食を食べて風呂に入った。ちなみに今日は姉ちゃんが居ないので、優奈と2人で夕食を食べた。

 

はぁ、明日は本番か…なんか嫌な予感がするな…

 

そう考えていると、眠れなくなってきた…俺は、落ち着かないので何か食べようと思ったが、今ちょうどお菓子やジュースなどを切らしていた。仕方ない、コンビニ行くか…

 

「優奈、コンビニ行くけど、なにか欲しいものあるか?」

 

「うーん、じゃあ、ミルクティーとミルクチョコお願いしていい?」

 

「はいよ。じゃ、言ってくるわ。」

 

「雨降ってるし、気をつけてね!」

 

「りょーかい。」

 

俺は近くのコンビニに向かって歩き始めた。今日は雨が降っていたので、流石に俺も走ってはいない。というか、雨の時にランニングに行くと、優奈が口聞いてくれなくなるし、その後お詫びにと言って、すごい甘えてくるし…嫌なわけじゃないよ?そして、シスコンでもないよ?って、誰に言い訳してるんだ…

 

そんなことを1人でブツブツ考えながら歩いていると、コンビニに着いた。俺はジュースとお菓子などを少しと、優奈に頼まれたものを買って店を出た。

 

それから、家に帰ろうと歩き始めて少しした頃、フードを被って神田明神の階段を走っている人影を見つけた。しかし、俺はその人影に見覚えがあった。

 

「まさか、あいつ…おい!」

 

俺は嫌な予感がして、その人に話しかけた。

 

「えっ、優くん?」

 

嫌な予感は的中、そいつは高坂穂乃果だった。

 

「何やってんだ!こんな雨降ってるのに走るとか本当にバカか!」

 

俺は、高坂に怒鳴りながら言った。

 

「ごめん…でも、落ち着かなくてちょっとだけ練習しようかなって思って…」

 

「前にも言ったけど、それで体壊したらどうする気だ!頑張ることは悪いことじゃないが、頑張りすぎて体壊すのはただのバカだぞ!」

 

「うん、ごめん…」

 

「はぁ、とりあえず今日は帰るぞ。傘は?」

 

「持ってきてない…」

 

「じゃあ、俺のに入れ。送ってく。」

 

「えっ、いや、でも…」

 

「風邪ひきたいのか?」

 

「うん、分かった。お邪魔します。(うぅ、これ相合傘だよ…恥ずかしいよぉ…//)」

 

高坂を家まで送る間、さっきの事もあり沈黙状態だ。しかし、その沈黙を高坂が破った。

 

「ねぇ、優くん。さっき私に、無理しすぎだって言ったじゃん。」

 

「あぁ。」

 

「それは、私もそうだったと思うけど、優くんはどうなの?」

 

「俺?どういうことだ?」

 

「だって、優くん。仮面ライダーだからって、朝早くからランニングしてたし、夜もしてる時あるし、優くんだって無理しすぎなんじゃないの?」

 

「そんなことない。今のままじゃ、あいつには勝てないから…」

 

「あいつ?」

 

「いや、なんでもない…」

 

そして、俺は高坂を家まで送り届けた。

 

「今度からは絶対こんな無茶するんじゃないぞ。それと、さっきは怒鳴って悪かったな…」

 

「ううん、穂乃果の方こそごめん…じゃあ、また明日ね!」

 

「おう、じゃあまた明日な!」

 

そして、俺は家に帰った。高坂のやつ、風邪でもひいてなかったらいいけどな…

 

 

 

そして翌日の朝、今日は学園祭当日でいつもの朝練はないので、優奈と朝ごはんを食べてから学校に行こうとした。

 

「お兄ちゃん!私も文化祭見に行くからね!」

 

「おう。まぁ、俺は踊らないけど、みんなのダンスと歌、見ててくれ!」

 

そう言って、俺は音ノ木坂学院に向かった。しかし、この学園祭であんな事件が起こるなんて、この時の俺は思いもしなかった…

 

 

 

「うわぁ、すごい雨…」

 

「お客さん、全然いない…」

 

そして、高坂以外のμ’sのメンバーは屋上の扉の前に来ていたが、あいにくの雨でお客さん1人いない。

 

「この雨だもの、しょうがないわ…」

「私たちの歌声で、お客さんを集めるしかないわね。」

 

「うぅ、そう言われると燃えてくるわね!」

 

俺たちがそんな話をしていると、園田と南が険しい顔で何かを話していた。もしかして、南が言えていなかったことを、話したのか…?俺もなにかは知らないけど、かなり険しい顔だな…

 

 

 

そして、アイドル研究部の部室で全員が着替え終わったので、俺も部室に入って準備をしていた。

 

「おはよ〜…」

 

未だ来ていなかった高坂が、やっと到着したようだ。

 

「穂乃果!」

 

「遅いわよ!」

 

「ごめんごめん…当日に寝坊しちゃうなんて…おろろっと…」

 

「穂乃果ちゃん、大丈夫?」

 

すると、高坂がよろけて南にもたれかかってしまった。あいつ、なんか様子がおかしいな…

 

「ごめん、ごめん…うぅ…」

 

「穂乃果?ちょっと声が変じゃない?」

 

「えぇ、そうかな?のど飴舐めとくよ…」

 

 

 

そして高坂も衣装に着替え終わって、とうとうライブが始まる時間が近くなってきている。しかし、雨は止むどころか、強くなってきている。

 

「全然弱くならないわね…」

 

「というか、さっきより強くなってない!?」

 

「これじゃあ、たとえお客さんが来てくれたとしても…」

 

絢瀬、矢澤、西木野が言った時、

 

「やろう!ファーストライブの時もそうだった。でも、あの時諦めずにやってきたから、今の私たちがあると思うの。だからみんな、行こう!」

 

高坂がそう言う。

 

「そうだよね。そのためにずっと頑張ってきたんだもん!」

 

「後悔だけはしたくないニャー!」

 

「泣いても笑っても、このライブの後には結果が出る。」

 

「なら、思いっきりやるしかないやん!」

 

「進化した私たちを見せるわよ!」

 

「やってやるわ!」

 

小泉、星空、絢瀬、東條、西木野、矢澤が意気込み言った。こういう時、みんなを励ますのは、やっぱり高坂のやる気と情熱だよな。

 

しかし、園田の隣にいる南はやっぱり、どこか何かを悩んでいるようだ。

 

「ことり…」

 

そんな南に気がついた園田が、南に声をかけた。

 

「あっ、ごめん…」

 

「とにかく今は、ライブに集中しましょう。せっかくここまで来たんですから!」

 

「うん。」

 

「よしみんな、今日は今まで頑張ってきた力を全部出し切ってこい!」

 

「「「「「「「「「うん!」」」」」」」」」

 

 

 

そして、μ’sのライブが始まる前、俺は観客席でライブを見るので、同じく観客席にいる優奈たちのところへ言った。

 

「優奈。」

 

「あっ、お兄ちゃん!もうすぐ始まるよ!」

 

「こんにちは、優さん!」

 

「こんにちは!」

 

優奈が俺に気づくと、同じく俺に気づいた亜里沙ちゃんと高坂の妹が挨拶をしてきた。

 

「こんにちは。亜里沙ちゃんに高坂の妹さんも!」

 

「私も雪穂でいいですよ!」

 

「……分かった。よろしくね、雪穂ちゃん!」

 

「はい!」

 

そんなやり取りをしていると、とうとうμ’sのライブが始まった。

 

 

 

 

 

No brand girls/μ’s

 

 

 

 

 

1曲目からかなりぶち上がる新曲を披露したµ’s。そんなµ’sが、2曲目に入ろうとした時…

 

「穂乃果!」

 

高坂が突然倒れた。

 

「お姉ちゃん!」

 

「高坂!」

 

雪穂ちゃんと俺が、舞台の方へと飛び出した。やっぱり、あいつ無茶のしすぎか…

 

「穂乃果ちゃん、大丈夫!?」

 

「おい、高坂!」

 

「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」

 

「すみません、メンバーにアクシデントがありました。少々お待ちください。」

 

絢瀬がお客さんにそう話した。

 

「ねぇ、続けられるわよね!ねぇ!」

 

矢澤が続けられるかと言っているが、今の状況だと…

 

「穂乃果ちゃんは無理や…それに…」

 

見ていたお客さんも帰ってしまっている。しかし、俺たちに更なる不幸が襲いかかる。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

屋上に、マスカレイド・ドーパントとグールが現れた。

 

「ああもう!こんな時に財団Xかよ!園田、南、高坂を逃がしてやってくれ!」

 

「はい、分かりました!」

 

「うん!」

 

園田と南が、高坂を支えて屋上から連れ出していってる。雪穂ちゃんも高坂について行っている。

 

「優奈、亜里沙ちゃん、2人も早く逃げろ!」

 

「いやだよ、お兄ちゃんをほっていけないよ!」

 

「優奈、優さんはその、なんというか大丈夫だから。」

 

「亜里沙!お兄ちゃんもあんな怪物にかなうわけないよ!」

 

俺がライダーということを知っている亜里沙ちゃんがなんとか優奈を逃がそうとするが、優奈は聞かない。

 

「ったく、仕方ないか…2人は下がってろ!」

 

俺はもう正体も隠せないと思い、ロストドライバーを腰に巻き付けた。

 

『ジョーカー!』

 

「変 身!」

 

俺は仮面ライダージョーカーに変身した。

 

「えっ、嘘…お兄ちゃんが、仮面ライダー!?っていうか、亜里沙は知ってたの!?」

 

「う、うん。前に助けてもらった時に…」

 

「えっ!?」

 

この事には、姉である絢瀬やこの場にいる残りのμ’sのメンバーも驚いていた。

 

「さぁ、お前達の罪を数えろ!」

 

俺はそう言って、マスカレイド・ドーパントとグールと戦い始めた。

 

「オラッ!くっ…多いしきりがないな。マキシマムドライブで決めるか!」

 

『ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 

「ライダーパンチ!」

 

俺は手に力を溜め、一気にマスカレイド・ドーパントの軍団を倒す。

 

「もういっちょ。ライダー キック!」

 

俺は更にマキシマムドライブを発動し、一気にマスカレイド・ドーパントを蹴り倒した。それにより、マスカレイド・ドーパントは全て倒しきり、残りはグールだけとなった。

 

「後はグールか。ならこいつで行くか!」

 

俺は一旦変身を解き、

 

『ドライバー オン!』

 

ベルトをウィザードライバーに替えた。

 

『シャバドゥビタッチヘンシン〜シャバドゥビダッチヘンシン〜』

 

「変身!」

 

俺は、左手に付けたフレイムリングをベルトにかざした。

 

『フレイムプリーズ!ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!』

 

俺は仮面ライダーウィザード フレイムスタイルに変身した。

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

俺はウィザーソードガン ソードモードでグールを倒し始めた。

 

「ハッ!オラッ!ったく、めんどくさい時にたくさん出て来てくれたな!ライブでも見に来たのか?」

 

「グゥー!」

 

「うわっ!冗談ぐらい言わせろよ!まぁ、そんな呑気な状況じゃないか…なら、こっちも一気に行くぞ!」

 

俺は、ウィザードライバーの手を逆に向けた。

 

『ルパッチマジックタッチゴー!フルパッチタッチレッツゴー!』

 

そして、俺は右手の指輪をキックストライクリングに替えて、ウィザードライバーにかざした。

 

『キックストライク!サイコー!』

 

俺はグールにキックストライクを放ち、すべてのグールを倒した。

 

「ふぃ…みんな、怪我はないか?」

 

「えぇ、私たちは大丈夫よ。」

 

絢瀬が全員を代表して答えた。

 

「お兄ちゃん…」

 

その時、とても暗く、怖い声が聞こえた。

 

「ひゃっ、ひゃい!」

 

俺は恐怖のあまり、つい変な声を出してしまった。

 

「なんでこんな危険なことをしているのかな…?」

 

「いや、ゆ、優奈。あのな、俺が戦わないと色んな人の命が危ないんだ。だから、分かってくれないか?」

 

「はぁ…本当にお兄ちゃんはお人好しなんだから…こうなったお兄ちゃんは、私が止めても聞かなそうだね…」

 

「優奈、ありがとな。」

 

「でも、絶対に怪我はしないでね!」

 

「まぁ、善処はするよ。」

 

「善処じゃなく、絶対だよ!はぁ、本当に心配だよ…って、お、お兄ちゃん、後ろ!」

 

「んっ、なんだ?」

 

優奈き言われ、俺が振り返ると、

 

「フフフ、久しぶりね。仮面ライダーインフィニティ。」

 

「……お前は…」

 

俺にとって、因縁の敵が立っていた。

 




はい、どうでしたか?最後に登場した優の因縁の敵とは…それではまた次回、お楽しみに!


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43話 強敵アデュサ、襲来

はい、43話です。
今回、前回の最後に登場した怪人と優に何があったのかがとうとう判明…あの怪人は、優といったい何があったのでしょうか…
そして、最近お気に入りに追加してくださる方が多く、一気に42人に増えました!お気に入りに追加してくださった方、そしていつも見てくださってる方、本当にありがとうございます!
では43話、スタートです!


〜side 優〜

 

「……お前は…」

 

「フフフ、久しぶりね。仮面ライダーインフィニティ。」

 

学園祭のライブで高坂が倒れた直後出現した、マスカレイド・ドーパントとグールを倒した俺。そんな俺の前に、俺にとっての因縁の敵が現れた…

 

「アデュサ…」

 

「名前を覚えてもらえてるなんて光栄ね。」

 

忘れるわけがない…こいつこそが茜を殺した怪物なのだから…!

 

「お前だけは、絶対に許さない…!変身…」

 

この時、俺の意識は茜を殺したアデュサを倒すことしか考えていなかった。俺は低い声で変身と言い、仮面ライダーインフィニティに変身した。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

俺は叫びながら、アデュサへ殴りかかって行った。怒りに飲み込まれた俺の意識は、そこで途切れた…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 絵里〜

 

私たちの前にまた、1体の怪物が現れた。しかし、優の様子がおかしい。優は小刻みに震えている。普通の人なら怪物に怯えているのかも、と考えられるけど、優は仮面ライダー。いつも戦っている怪物に怯えることはないと思う。私がそう考えていると…

 

「アデュサ…」

 

優はこの怪物の名前を言った。しかし、その声がかなり低い。

 

「変身…」

 

優は仮面ライダーに変身した。すると、叫びながらアデュサと呼ばれた怪物と戦い始めた。

 

「オラァァァッ!お前だけは、お前だけは絶対に許さねぇ!!」

 

優はいつも戦ってる時とは全然違う戦い方で、荒々しく、怒りをあらわにしている。

 

「ちょっと、優のやつどうしたのよ!」

 

「あんな荒れてる優くんの戦い方、見たことない…」

 

私の隣にいる、にこと希も驚いている。

 

「グハッ!クソッ!オラッ!ハッ!グァァァッ!」

 

優はいつもより荒々しい戦い方のせいで隙が生まれて、怪物に倒され強制的に変身が解けてしまった。

 

「優!」

 

「優くん!」

 

「お兄ちゃん!」

 

私と希と優奈ちゃんは優に声をかけ、他のメンバーも心配して駆け寄ろうとする。

 

「はぁ…前のあなたとの戦いは、もっと楽しかったのに、今のあなたは荒々しくて話にならないわ…本当に人間っていう生き物は、大切な人を1人失っただけで、こんなに感情的になってつまらなくなるものなのね…」

 

えっ、大切な人って…

 

「うるせぇよ…だったらこいつだ!」

 

『パーフェクトツムツム!』

 

優は前にみた、黄緑色のベルトにダイヤルのついたガシャットというアイテムを使って変身した。

 

『高速化 6コンボ!マッスル化 7コンボ!ジャンプ強化 3コンボ!』

 

『キメワザ!パーフェクト クリティカル コンボ!』

 

優は必殺技を怪物に放つが、怪物には効かず、逆に優が反撃を受けてまた変身が解けてしまった…

 

「グハァッ…!?クソッ!」

 

「はぁ、これ以上戦っても意味無いわね…次はもっと面白い戦いを期待しているわよ。」

 

そう言って、怪物は去ろうとするが。

 

「待てよ…まだだ…まだ、終わってねぇんだよ!オラァァァッ!」

 

そして、優は変身もしないで怪物に挑もうのする。

 

「優!これ以上は無茶よ!」

 

「そうだよお兄ちゃん!もうやめて!」

 

「お前らは黙ってろ…!ハッ!オラッ!」

 

優は私たちの言葉も聞かず、怪物と戦ったが変身もしてないので全く歯が立たない…

 

「はぁ、鬱陶しい…今のあなたの戦いはつまらない。今のあなたでは、私には勝てない。いい加減諦めたら?」

 

「ふざっけんなぁ!!」

 

「ハッ!」

 

「グハァァァッ!」

 

「「「「「「「優!(優くん!)(お兄ちゃん!)」」」」」」」

 

そして、優は腹部を攻撃され、気を失ってしまっ

 

「優!」

 

「お兄ちゃん!」

 

私たちは全員、優に駆け寄った。優は腹部からの出血も酷く、気を失っている。

 

「はぁ、あなたはもっと楽しめる相手だと思ったんだけど、残念ね…」

 

そう言いながら怪物は私たちに近づいてきた。

 

「やめて!これ以上、お兄ちゃんに手を出さないで!」

 

そう言って、優奈ちゃんが優の前で手を広げながら優を庇っている。

 

「あなた…そこの仮面ライダーの、妹かしら?」

 

「そ、そうだけど、なによ!キャッ!」

 

すると、怪物は優奈ちゃんの頭に手を当てた。

 

「優奈ちゃん!」

 

「ちょっと、なにしてるん!優奈ちゃんから離れて!」

 

にこと希がそう言うが、怪物は聞かない…

 

しばらくすると、怪物は手を離した。

 

「へぇ、なるほどね。これは、中々面白いわね…」

 

面白い?

 

「大丈夫よ。あなたも仮面ライダーも殺さないわ。仮面ライダーと戦うことは、私の楽しみだもの。そして、あなたも殺さない。あなたを殺したらあの人を敵に回すことになるからね。」

 

「ど、どういう意味よ!」

 

優奈ちゃんはまだ怖くて足が震えながらも、怪物に叫んで問う。

 

「さあね。それより、早く仮面ライダーを病院に連れていった方がいいわよ。思った以上に出血が酷い。今のままじゃ、確実に死ぬわ。私もちゃんと戦いたいし、こんな所で死なれちゃ困るのよ…じゃあね。」

 

そう言って、怪物は去っていった。

 

「優奈ちゃん、大丈夫?」

 

「は、はい。私は大丈夫です。それより、お兄ちゃんが!」

 

「救急車を呼んだわ。もうすぐ来ると思うわ。」

 

真姫がそう言い、しばらくすると、サイレンの音が聞こえてくる。駆けつけた救急隊員が、優を下まで運んで救急車に乗せた。

 

「付き添いの方は?」

 

「私が行きます!」

 

救急隊員の質問に優奈ちゃんが答える。そして、優を乗せた救急車は病院へと向かった。

 

「私達も病院へ向かいましょ!」

 

「えぇ。車を呼んであるから、それに乗るわよ!」

 

真姫が言ってから2、3分程度で真姫が呼んだ車が来て、私達も病院へ向かった。

 

「そうですか…私たちのいない間にそんなことが…」

 

今、病院の手術室の前の椅子に優奈ちゃんと亜里沙、さっきまで一緒にいたμ’sの1年生と3年生、そして合流した海未とことりがいた。

 

「優くん…」

 

「穂乃果はどうだった?」

 

「今は穂乃果の家で、雪穂が看病しています。」

 

「そう。」

 

私の疑問に海未が答えた。

 

「それにしても、優のやつどうしたのよ。なんか、すごい荒々しがった…」

 

「あんな優くん、見たことないニャー…」

 

「何か、すごい怒ってるようやったような…」

 

にこ、凛、希が疑問に思っていたことを発言した。

 

「もしかしたら…」

 

私は1つ、思い当たることがある。

 

「えりち、どないしたん?」

 

「あの、アデュサって怪物が言ってたでしょ?大切な人を失っただけで、って。」

 

「それって…もしかしてあの時の!?」

 

私の言葉で希は分かったみたいだけど、他のみんなは分かってないようだ。

 

「どういうことよ?」

 

「こうなったら、にこたちにも話さないといけないわね…にこは知ってるでしょ。前の生徒会長と副会長が誰か…」

 

「えぇ、副会長は優で、生徒会長は茜でしょ?でも、茜は3学期になったら、理由も言わないで急に転校したって聞いたけど、急すぎてびっくりしたわ…けど、その話が何か関係あるの?」

 

「……実は、茜は転校したんじゃない。亡くなったのよ。しかも、怪物に殺された…そこに優は一緒にいたの。それを音ノ木坂学院で知っているのは、一緒にいた優と、学院内の先生、生徒会長と副会長である私と希だけ。他の人には転校したと伝えられていたわ。」

 

「嘘、でしょ…?そんな…茜が死んだ…?」

 

茜と仲が良かったにこは、かなりショックを受けていた。

 

「ここからは推測だけど、優があんなに怒っていたのは、あの怪物が茜を殺したんじゃないかしら?」

 

「でも、優くんと茜先輩ってそんなに仲良かったの?」

 

ことりが聞いてきた。

 

「それは、私にもよく分からないけど…でも茜と優、それとにこも去年はよく一緒にいたわよね?」

 

「えぇ…スクールアイドル部の問題があった私を、茜はいつも気にかけてくれてたの。そして、優が音ノ木坂学院へ共学化試験生として入学して、生徒会副会長になってからは優も茜と一緒に気にかけてくれた。」

 

暗い顔をしたにこは、更に話し続ける。

 

「私はあの件もあったし、最初はあまり関わろうとはしなかったけど、次第に2人といることが多くなっていったわ。まぁ、優と茜は凄い仲良くしてたみたいだし、もしかしたら付き合ってたのかもしれないわね。」

 

「はい、確かにお兄ちゃんと茜さんは付き合ってました。」

 

「「「「「「「えぇっ!?」」」」」」」

 

優奈ちゃんの発言に、にこ以外の全員が驚いていた。

 

「絵里さん、茜さんが亡くなったのって、去年の12月ですか?」

 

「えぇ、そうよ…」

 

「そう、ですか…」

 

「どうかしたの?」

 

「これで分かりました。お兄ちゃんは、去年の12月頃からかなり変わってしまいました…茜さんが家に来なくなったり、急に朝と晩にランニングを始めたり、ピアノを弾かなくなったり…」

 

「ピアノ?」

 

「えぇ、お兄ちゃんはよく茜さんと一緒にピアノを弾いていたんです。でも、去年の12月になってから全く弾かなくなったんです。多分、茜さんとの思い出を思い出して、辛くなってしまうからだったんだと思います…」

 

「そうだったのね…」

 

「そして、いちばん大きく変わったのは、人と関わりを持とうとしなくなりました。」

 

「えっ?」

 

「だから、お兄ちゃんがμ’sの皆さんのマネージャーをすると言った時は、少し驚きました…でも、あまり深くは関わろうとはしてなかったようにも見えました…今考えるとお兄ちゃんは、自分は仮面ライダーだから関わった人を危険な目に合わせてしまうかもしれない、と思っていたのかも知れません。だから、他の人には自分が仮面ライダーであることを、できるだけ隠してきたんだと思います…」

 

「もしかして、優はそれで…」

 

「にこ?どうしたの?」

 

「さっきも言ったけど、アイドル研究部でにこが1人だった時、茜と優は私のことをよく気にかけてくれたの。当時は優とも喋ってて、優は私のことも『にこ』って呼んでいたの。でも、茜が転校してからは、初めてあった時のように、『矢澤』と呼ぶようになったの。それがなんでなのか、ずっと気になっていたけど…」

 

「優が、人との関わりを無くそうとしてたから…」

 

この時、私はずっと優がみんなのことを名字で呼んでいたのは、あまり深く関わりすぎないようにしていたんだと気づいた。その時、1人の綺麗な女性が走ってきた。

 

「優奈!」

 

「お姉ちゃん!」

 

「えっ、優奈ちゃん。この女性、優くんと優奈ちゃんのお姉さん?」

 

「はい。」

 

「はじめまして。優くんと優奈の姉の、仮野優香です。それで、優くんは大丈夫なの?」

 

ぺこりとお辞儀をしながら挨拶をしてきた優香さんは、挨拶を終えると優奈ちゃんにそう聞いた。

 

「まだ、分からない…」

 

「そう…」

 

「……それより、お姉ちゃんは、お兄ちゃんが仮面ライダーとして戦ってることを知ってたの?」

 

さっきよりも更に暗い声で、優奈ちゃんが言った。

 

「えぇ、知ってた…というより、私が優くんに、仮面ライダーになって欲しいってお願いしたの…」

 

 

「えっ、お姉ちゃんが!?」

 

この事には、この場にいた全員が驚いている。

 

「えぇ、そうよ…」

 

「なんで…なんで私に黙って、お兄ちゃんを危険な目に合わせるようなことしたの!!」

 

優奈ちゃんは大声で、優香さんに問い詰める。

 

「ごめんなさい…でも、優くんしか、仮面ライダーになれる人はいなかったの…それに、優くんが優奈には黙っておくようにって言ってたから…」

 

「お兄ちゃんが…?なんで?」

 

「優奈に心配かけたくないからって言ってたわ…優くんが危険な目に合うことを優奈が知ったら、絶対に止めるだろうって優くんは気づいてたから。でも、自分が戦わないと大勢の命が失われる。だから、優くんは優奈に黙って戦っていたのよ…」

 

「……本当にお兄ちゃんは、お人好しなんだから…」

 

そう言った優奈ちゃんは、目から涙を流していた…

 

それからしばらくすると、手術室のランプが消えて中から男の人が出てきた。

 

「パパ!優は!」

 

ここは真姫のお父さんの経営してる、西木野総合病院。優の手術を担当したのは、真姫のお父さんだ。

 

「お兄ちゃんは大丈夫なんですか!」

 

「最善の手は施した。しかし、かなり危険な状態だ。いつ目が覚めるかも、分からない…」

 

「そんな…」

 

「優くん…」

 

「お兄ちゃん…」

 

 

それから、解散となった私たち。

 

 

優…早く、目覚めてね…




優がいつ目覚めるか分からない状態に…
そして、茜の命を奪った怪人も登場しましたね。
次回からはアニメ本編に戻りますが、優がいないのでアニメの内容とほとんど変わらないかもしれません…
そして、これから優が目覚めるまでの間は他のμ’sのメンバーの視点で書きます。


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44話 廃校阻止

はい、44話です。
今日から、いつもよりも更新ペースが上がっていくと思います。出来れば、1期をクリスマス、年内には終わらせれるように頑張りたいです。クリスマスだと、あと2日なので無理そうですが…出来るだけ、頑張ります!
では44話、スタートです!


〜side 絵里〜

 

「申し訳ありませんでした!」

 

今、私たちは穂乃果のお母さんに謝りに来ている。

 

「……あなたたち…」

 

そんな私たちに、穂乃果のお母さんが少し険しい顔で話しかけてくる。

 

「何言ってるの?あの子がどうせできるできるって背負い込んだんでしょ?」

 

えっ?

 

穂乃果のお母さんが笑顔でそう言ったことに、私たちは戸惑った。てっきり怒られるのかと思っていた。

 

「昔からずっと、そうなんだから。それより、退屈してるみたいだから上がってって!」

 

「えっ、それは…」

 

「穂乃果ちゃん、ずっと熱が出たままだって…」

 

「一昨日辺りから下がってきて、今朝はすっかり元気よ!」

 

穂乃果のお母さんにそう言われて、私、海未、ことり、希、にこが穂乃果の部屋に上がり、1年生は下で待っている。

 

「穂乃果?」

 

「あっ、海未ちゃん!ことりちゃん!」

 

穂乃果が元気そうにプリンを食べていたのをみて、少し安心した。

 

「よかった、もう起き上がれるようになったんだ。」

 

「うん、風邪だからプリン3個食べてもいいって!」

 

それは食べ過ぎのような気がするけど…

 

「心配して損したわ…」

 

「お母さんの言う通りやね。」

 

「それで、足の方はどうなの?」

 

「あー、うん。軽くくじいただけだから、腫れが引いたら大丈夫だって。本当に今回はごめんね…せっかく、最高のライブになりそうだったのに…」

 

「穂乃果のせいじゃないわ…私たちのせい……はい。」

 

そう言って、私は穂乃果にあるものを渡した。

 

「これは?」

 

「真姫が、ピアノでリラックス出来る曲を弾いてくれたわ。これ聴いてゆっくり休んで。」

 

「わぁ、真姫ちゃんありがとー!!」

 

窓から身を乗り出して叫ぶ穂乃果を、

 

「なにやってんのよ!」

 

「あんた、風邪ひいてんのよ!」

 

私とにこが止めた。

 

「ほら、病み上がりなんだから無理しないで。」

 

そう言って、海未が穂乃果にタオルケットをかけた。

 

「ありがとう。でも、明日には学校行けると思うんだ!」

 

「本当?」

 

「うん、だからね、短いのでいいから、もう1度ライブ出来ないかなって!ほら、ラブライブ出場グループ決定までもう少しあるでしょ?なんというか、埋め合わせっていうか、なんか出来ないかなって!」

 

穂乃果が言った言葉を聞き、みんなの顔が少し曇る。そして、私は意を決して、穂乃果に説明することにした。

 

「……穂乃果…ラブライブには、出場しません。」

 

「えっ?」

 

「理事長にも言われたの。無理しすぎたんじゃないかって。こういう結果を招くために、アイドル活動をしていたのかって…それで、みんなで相談してエントリーを辞めたの…もうランキングに、μ’sの名前はないわ…」

 

「そんな…」

 

「私たちがいけなかったんです。穂乃果に無理をさせたから…」

 

「ううん、違う。私が調子にのって…」

 

「穂乃果ちゃん…」

 

「誰がいけないなんて話してもしょうがないでしょ。あれは、全員の責任よ。体調管理を怠って無理をした穂乃果も悪いけど、それに気づかなかった私達も悪い…」

 

「……そういえば、優くんは?下にもいなかったみたいだけど?」

 

穂乃果の質問にまた、みんなの顔は曇る。

 

「優は…今、病院にいるわ…」

 

「病院?」

 

「えぇ。あのライブの後、私たちの前に怪物が現れたの。でも、その怪物と戦う優はいつもと全然違う戦い方で、怒っているようだった。その戦いに負けても、何回もその怪物に挑み続けて…優は…今、意識不明の重体で西木野総合病院に入院してるわ…」

 

「そんな…でも、優くんはなんで怒って…」

 

「あくまでも予想だけど、去年の12月、優の恋人が怪物に殺された…恐らく、それをやったのが、その怪物なんだと思う…優の妹さんに聞いた話だと、去年の12月に恋人を亡くしてから、優はあまり人と関わらなくなったらしいの。いくらお願いしても、私たちのことを名前で呼ばないのも、そういう事があったからだと思うの…」

 

「そんな……」

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 穂乃果〜

 

少ししてみんなが帰ってから、私はパソコンでスクールアイドルのランキングを見ていた。本当に、ランキングにμ’sの名前がなかった。あんなに頑張ったのに、ラブライブには、出れない…それに、優くんの命が危ない状態…

 

「……優くん…会いたい…よぉ…」

 

今まで目指してきたラブライブに出れない…そして、今までずっと、私たちを支えてくれた優くんが昏睡状態。

 

それらの事実を突きつけられた私は、涙が止まらなかった…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side ことり〜

 

結局、私は穂乃果ちゃんに相談出来ないまま、留学を決めてしまった。そして、今も話せていない…

 

穂乃果ちゃんの体調が回復し、登校できるようになってから数日経ったある日、私は穂乃果ちゃんと登校していた。すると、穂乃果ちゃんはA-RISEが載っているラブライブのポスターを、少し悲しそうな表情で見ていた。

 

「気にしないで。」

 

私はこんな言葉しかかけてあげられなかった…

 

「うん。」

 

そして、私は留学のことを話そうと決意した。

 

「穂乃果ちゃん、あのね…」

 

けど、穂乃果ちゃんの悲しそうな姿を見ると、また言えなかった…

そんな時、

 

「ガシッ!」

 

「わぁぁぁぁ!希ちゃん!?」

 

希ちゃんが穂乃果ちゃんの胸を掴んでいた。

 

「ぼんやりしてると、次はアグレッシブなのいくよ?」

 

「い、いえ、結構です…」

 

「あんたも諦め悪いわね、いつまでそのポスター見てるつもりよ?」

 

すると、にこちゃんが来てそう言った。

 

「うん…分かってはいるんだけど…」

 

「けど?」

 

「希!」

 

にこちゃんが希ちゃんの名前を言うと、希ちゃんが穂乃果ちゃんにワシワシのポーズをとっていた。

 

「わぁぁぁぁ!結構です!!」

 

「そうやって元気にしていれば、みんな気にしないわよ?それともみんなに気を使って欲しい?」

 

絵里ちゃんが言った。

 

「そういう訳じゃ…」

 

「今日から練習にも復帰するんでしょ?そんなテンションで来られたら、迷惑なんだけど!」

 

「そうだね!いつまでも気にしてちゃ、しょうがないよね!」

 

「そうよ。それに、私たちの目的は、この学校を存続されること。でしょ?」

 

「うん!」

 

すると、

 

「穂乃果!昨日メールしたノートは?」

 

ヒデコちゃん達が穂乃果ちゃんに声をかけた。

 

「今渡すー!じゃあ、ちょっと言ってくるね!」

 

そう言って、穂乃果ちゃんは行ってしまった。結局、また言うことができなかった…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 絵里〜

 

私たちは屋上で、ことり以外の2年生と3年生でこれからについて話していると、屋上の扉が勢いよく開かれ、真姫、凛、花陽が息を切らして入ってきた。。

 

「た!」

 

「た!」

 

「たすけて…」

 

ん、どういうこと?

 

 

 

そして、3人に連れられて掲示板の1枚の紙を見せられた。穂乃果が掲示板の紙に書かれていた文字を読み上げると…

 

「らいねんどにゅうがくしゃうけつけのおしらせ…」

 

「「「「「これって!」」」」」

 

「中学生の希望校アンケートの結果が出たんだけど!」

 

「去年より希望する人がずっと多いらしくて!」

 

と、花陽と真姫が説明してくれた。

 

「ってことは!」

 

「学校は!」

 

「存続するってことやん!」

 

「さっ、再来年は分からないけどね!」

 

「後輩が出来るの!?やったニャー!」

 

私たちの願いが叶ったことに、みんなが喜んでいた。その時、

 

「こっとりちゃーん!!」

 

穂乃果が向こうから、歩いてきたことりに抱きついた。

 

「えっ?えっ?」

 

今来たばかりなので、ことりは何のことか分からず戸惑っていた。

 

「これ!」

 

そう言って、海未は入学者受付のお知らせと書かれた紙を見せた。

 

「やったよ!私たち、やったんだよ!」

 

「嘘…じゃ、ないんだ!」

 

ことりは驚いている。お母さんから聞いてないのかしら…?

 

「うん!」

 

「ハラショー。」

 

みんなが喜んでいる中、私はそう言いながら少し涙を零した。

 

 

 

そして、その日の帰りに校門まで来ていた亜里沙にその事を伝えると、

 

「本当に!やった!やった!」

 

亜里沙もとても喜んでいた。

 

「よかったね!」

 

「よかったね!」

 

「はい!来年から、よろしくお願いします!」

 

亜里沙は私の後ろにいた、穂乃果とことりに言っていた。

 

「それには、まず入試で合格しないとダメね?」

 

私がそう言うと、

 

「うん!頑張る!」

 

亜里沙は元気に返事した。

 

 

「はぁ、家の雪穂も受験するって言わないかな…」

 

穂乃果が呟くと、

 

「あっ、この前話したら、ちょっと迷ってました!」

 

と、亜里沙が答えた。

 

「本当!よっし!あっ、でも次のライブどうしよう?」

 

「そうねぇ、大急ぎでやる必要はなくなってしまったわね。」

 

「そうだね。」

 

「あの、私ちょっと買い物があるからここで。」

 

すると、ことりがそう言った。

 

「えっ、何買いにいくの?」

 

「ちょっと…」

 

「付き合おうか?」

 

「ううん、大丈夫、じゃ!」

 

そう言って、ことりは走っていった。

 

「なんか、元気ないよね。ことりちゃん。」

 

「希も気にしていたわ。学園祭の前だったかしら?なんか、悩んでるんじゃないかって。」

 

「そんなに前から…」

 

本当に、ことりはどうしたのかしら…

 

 

 

「では、とりあえず…にっこにっこにー!みんな、グラスはももったかな?学校存続が決まったということで、部長のにこにーから一言、挨拶させていただきたいと思います!」

 

と、にこが言った。今日は学校存続が決まったということで、アイドル研究部の部室でパーティーをすることになった。

 

「思えばこのμ’sが結成され、私が部長に選ばれてから、どのぐらいの月日が流れたであろうか…たった1人のアイドル研究部で耐えに耐え抜き、こうしてメンバーの前で思いを語れる…「カンパーイ!」ちょっとまちなさーい!」

 

にこの長い話をさえぎり、みんなで乾杯した。

 

「うわぁ、お腹空いた!」

 

「みんな、ご飯炊けたよー!」

 

花陽が炊飯器を持ってきて言った。本当に花陽はご飯が好きなのね。

 

「ほっとしたようやね、絵里ちも。」

 

隣に座っていた希が、私に声をかけてきた。

 

「まあね。肩の荷が降りたっていうか。」

 

「μ’s、やってよかったでしょ?」

 

「どうかしらね。正直、私が入らなくても同じ結果だったと思うけど…」

 

「そんなことないよ。μ’sは9人と1人!だから、優くんには、早く目覚めて貰わんとね!」

 

「そうね。」

 

「あっ、でも…」

 

すると、希が少し悩んでる顔をした。

 

「どうかした?」

 

「こないだ、ウチの占い結果が変わったんよ…」

 

「どんなふうに?」

 

「μ’sに、また2人のナイトさんが増えるって…」

 

「えっ…?」

 

「まだ、分からんけどね…」

 

私たちがそんな話をしていると、

 

「でも、本当に優くんが目覚める前にパーティーして良かったのかな?」

 

と、穂乃果が言った。

 

「まぁ、優が目覚めれば、もう1度パーティーすればいいのよ!」

 

にこが言った。

 

「そうだね!こうやって、廃校もなくなったんだ!気を取り直して頑張ろう!」

 

「ごめんなさい。みんなにちょっと話があるんです。」

 

そう海未が言い出した。なんだろう…ことり以外、誰もが見当もついていない。海未とことりは知ってるのに、穂乃果は知らないなんて、珍しいわね…

 

「聞いてる?」

希も知らないようで、私に聞いてきた。

 

「ううん。」

 

すると、海未が話し始めた。

 

「実は…突然ですが、ことりが留学することになりました…2週間後に日本を経ちます。」

 

この話を聞いた時、全員訳が分からず、数秒間の沈黙が流れた。

 

「なに…?」

 

「うそ…?」

 

「ちょっと、どういうこと…?」

 

「……前から、服飾の勉強したいって思ってて…そしたら、お母さんの知り合いの学校の人が来てみないかって…ごめんね、もっと早く話そうって思っていたんだけど…」

 

ことり本人がそう説明し、

 

「学園祭でまとまっている時に言うのは良くないと、ことりは気を使っていたんです…」

 

と、付け足すように海未が言った。

 

「それで、最近…」

 

「行ったきり、戻ってこないのね?」

 

「高校を卒業するまでは、多分…」

 

その時、今まで黙っていた穂乃果がゆっくりと立ち上がって、ことりに近づきながら言った。

 

「どうして、言ってくれなかったの?」

 

「だから、学園祭があったから。」

 

穂乃果の言葉に、海未が返した。

 

「海未ちゃんは知ってたんだ?」

 

「それは…」

 

「どうして言ってくれなかったの?ライブがあったからっていうのは分かるよ?けど、私と海未ちゃんとことりちゃんは、ずっと…」

 

「穂乃果…」

 

「ことりちゃんの気持ちも分かってあげな…」

 

希がそう言いかけた時、穂乃果が大声で言った。

 

「分からないよ!!だって、いなくなっちゃうんだよ!ずっと一緒だったのに、離れ離れになっちゃうんだよ…なのに…」

 

「何度も、言おうとしたよ…!」

 

「えっ…?」

 

「でも…穂乃果ちゃん…ライブやるのに夢中で、ラブライブに夢中で…だから、ライブが終わったら、すぐ言おうと思ってた…相談に乗ってもらおうと思ってた…けど、穂乃果ちゃんが倒れて、優くんも意識不明のまま入院して…聞いて欲しかったよ!穂乃果ちゃんには、1番に相談したかった。だって、穂乃果ちゃんは初めて出来た友達だよ!ずっとそばに居た友達だよ!そんなの…そんなの、当たり前だよ!!!」

 

そう言って、ことりは涙を流しながら部室から出ていった…

 

「ことりちゃん!」

 

「ずっと、行くかどうか迷ってたみたいです…いえ、むしろ行きたがってなかったようにも見えました…ずっと穂乃果を気にしてて、穂乃果に相談したらなんて言うかってそればかり…黙っているつもりはなかったんです。本当にライブが終わったら、すぐに相談するつもりでいたんです…分かってあげてください…」

 

そして、その日は全員険しい表情のまま、解散となった。

 

 

このままじゃ、μ’sは…

 

 




今回はここまでてす。
この回はアニメで見ても、かなり複雑な気持ちになりました…書くのが少し辛かったですね…
そして、優がいなくなって今回はほとんど絵里視点で書いてみました。これからも絵里視点で書くかもしれません。個人的に絵里の視点で書くのが1番書きやすいと思います。
1期も残りわずか。そして、優はいつ目覚めるのか…


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45話 穂乃果の脱退宣言…

はい、45話です。
今回も絵里視点で書きたいと思います。また、絵里かよ!と思われるかもしれませんが、絵里が1番書きやすいんですよねぇ…
では45話、スタートです!


〜side 絵里〜

 

今、ことりを除いたμ’s8人が集まっている。

 

「ライブ?」

 

穂乃果が言った言葉に、私は答えた。

 

「そう、みんなで話したの。ことりがいなくなる前に、全員でライブをやろうって。」

 

「来たらことりちゃんにも言うつもりよ?」

 

「思いっきり賑やかなのにして、門出を祝うニャ!」

 

そう言った凛の頭にチョップしてにこが言った。

 

「はしゃぎ過ぎないの!」

 

「にこちゃんなにするのー!」

 

にこと凛が喧嘩…というかじゃれ合い始めた中、

 

「まぁ、その前に優には目覚めてもらわないとね!」

 

私がそう言った。

 

「なら、凛の元気をわけて優くんを目覚めさせるニャー!」

 

「だから、はしゃぎ過ぎないの!」

 

「だから、痛いニャー!」

 

また凛とにこがじゃれ合い始めた。

 

μ‘sの中に明るさが取り戻されてきたと思ったが、穂乃果の表情は暗い。そんな穂乃果に、海未が声をかけた。

 

「まだ落ち込んでるのですか?」

 

「明るくいきましょ!これが9人の、最後のライブになるんだから。」

 

「……私がもう少し周りを見ていれば、こんなことにはならなかった…」

 

私たちの言葉を聞いた穂乃果は、彼女らしからぬ発言をする。

 

「そっ、そんなに自分を責めなくても…」

 

「自分がなにもしなければ、こんなことにはならなかった!」

 

花陽に言われた穂乃果は、更に自分のせいだと話す。

 

「あんたねぇ!」

 

「そうやって、全部自分のせいにするのは傲慢よ。」

 

にこと私が穂乃果に言った。

 

「でも!」

 

「それをここで言って、なんになるの?何も始まらないし、いい思いもしない。」

 

「ラブライブだって、まだ次があるわ。」

 

「そう。今度こそ出場するんだから、落ち込んでいる暇はないわよ!」

 

にこがそう言った次の瞬間、私たちは信じられない言葉を耳にする。

 

「出場してどうするの?もう学校は存続出来たんだから、出たってしょうがないよ。それに、無理だよ…A-RISEみたいになんて、いくら練習したってなれっこない…」

 

「あんたそれ、本気で言ってる?本気だったら許さないわよ…許さないって言ってるでしょ!」

 

「だめ!」

 

今にも穂乃果に襲いかかろうとしているにこを、真姫がとめに入った。

 

「離しなさいよ!にこはね、あんたが本気だと思ったから、本気でアイドルやりたいって思ったからμ’sに入ったのよ!ここにかけようと思ったのよ!それを、こんなことぐらいで諦めるの?こんなことぐらいで、やる気をなくすの!」

 

「じゃあ、穂乃果はどうすればいいと思うの?どうしたいの?」

 

「…」

 

「答えて?」

 

私の質問に対して、穂乃果は冷たく言い放った。

 

「……やめます…私、スクールアイドル、やめます…」

 

えっ…穂乃果?

 

その言葉に、その場にいる全員が衝撃で言葉が出なくなった。そんな私たちを他所に、穂乃果は屋上を出ていこうと、屋上の扉へ向かった。

 

その時、そんな穂乃果の手を海未が掴んだ。そして、この場に乾いた、しかし鋭い音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

パンッッッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

海未が穂乃果の頬を強く叩いた。

 

 

「あなたがそんな人だとは思いませんでした…最低です…あなたは…あなたは最低です!!!」

 

海未は涙を流しながら言った。これがきっかけで、私たちμ‘sの間に大きな亀裂が入ることになるのであった…




今回はとても短くなってしまいました…でも、アニメ本編の12話と13話をまたいで書くのは、ちょっと嫌だったので今回は短くなってしまいました…
そして、1期のアニメ本編も後1話ですね…では、次回からアニメ13話に入ります。


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6章 μ’s、再出発編
46話 穂乃果、再出発!


はい、46話です。
とうとう、1期も終わりが近づいてきてますね…
では46話、スタートです!


〜side 絵里〜

 

私は今、生徒会の仕事が終わって、書類などを片付けていた。そんな私に対し、希が言う。

 

「本当にこれで良かったんかな…」

 

「9人いないんじゃ、μ’sじゃないって言ったのは希でしょ?」

 

「そうやけど…」

 

少し前、私はμ‘sの1年生と3年生全員を集めてある話をした。

 

 

 

〜回想〜

 

「活動休止!?」

 

「えぇ、それで少し見つめ直した方がいいと思うの。」

 

「ラブライブに出場出来ないどころか、活動も休止…」

 

「今のままで続けても、意味があるとは思えないわ。μ’sは穂乃果がいなければ、解散したようなものでしょ?」

 

落ち込むみんなに、真姫が言った。

 

「…」

 

にこは黙っていたが、悔しそうに握り拳を作っていた。

 

〜回想終了〜

 

 

 

「正直、穂乃果が言い出さなくても、いずれこの問題にはぶつかっていたとは思う…来年までだけど、学校が存続することになって、私たちは何を目標にこれから頑張るのか考える時がきてたのよ…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 花陽〜

 

私と凛ちゃんは、にこちゃんに呼ばれてワックに来ていた。

 

「あんた達はどうするつもり?」

 

「どうするって?」

 

「アイドルよ。決まってるでしょ!続けるつもりはないの?……一緒に続けない?」

 

「にこちゃん…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 海未〜

 

私は弓道の練習を終え、ことりの家に来ています。

 

「海未ちゃん、いらっしゃい。遅かったね、練習?」

 

「はい。」

 

「海未ちゃんも断ったの?」

 

ことりが聞いてるのは、にこが提案したアイドルを続けないかという話のことでしょう。

 

「はい。続けようとするにこの気持ちも分かりますし、出来ることなら…」

 

「じゃあ、どうして?」

 

「私がスクールアイドルを始めたのは、ことりと穂乃果が誘ってくれたからです。」

 

「ごめんなさい…」

 

「いえ、人のせいにしたい訳じゃないんです。穂乃果にはあんなことを言ってしまいましたけど、やめると言わせてしまったのは私の責任でもあります。」

 

「そんなことない!あれは、私がちゃんと言わなかったから…」

 

「……穂乃果とは?もうすぐ日本を経つんですよね?」

 

「うん…」

 

「ことり…本当に留学するのですか?私は…いえ、なんでもありません。」

 

「無理だよ…今からなんて、そんなこと…」

 

「そう、ですよね…優のお見舞いはもう行かないのですか?」

 

「出発の前日に手紙だけ置いてこようと思う…まだ、目が覚めてないみたいだから、せめて手紙で謝ろうと思うの。目が覚めた時に、読んでもらえたら…」

 

「そうですか…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 花陽〜

 

私と凛ちゃんはスクールアイドルを続けることを決意し、にこちゃんと3人で練習のため神田明神の階段を走っていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 

「かよちん遅いニャー。」

 

「ごめん、久しぶりだときついね…」

 

「あっ!」

 

凛ちゃんの声で私が後ろに振り返ると、穂乃果ちゃんがいた。

 

「凛ちゃん、花陽ちゃん。練習、続けてるんだね。」

 

「当たり前でしょ!スクールアイドル続けるんだから。」

 

穂乃果ちゃんの言葉を聞いたにこちゃんが言った。

 

「え?」

 

「悪い?」

 

「いや…」

 

「μ’sが休止したからって、スクールアイドルやっちゃいけないってきまりはないでしょ?」

 

「でも、なんで?」

 

「好きだから。 にこはアイドルが大好きなの!みんなの前で歌って、ダンスして、みんなと一緒に盛り上がって、また明日から頑張ろうって、そういう気持ちにさせることが出来るアイドルが、私は大好きなの!穂乃果みたいにいい加減な好きとは違うの!」

 

「違う!私だって!」

 

「どこが違うの?自分からやめるって言ったのよ。やってもしょうがないって。」

 

「それは…」

 

「ちょっと言い過ぎだよ…」

 

熱くなったにこちゃんを止めるため、凛ちゃんが言った。

 

「……にこちゃんの言う通りだよ。邪魔しちゃって、ごめんね…」

 

そう言って、帰ろうとする穂乃果ちゃんに私は言った。

 

「穂乃果ちゃん!今度、私たちだけでライブやろうと思ってて、もし良かったら…」

 

「穂乃果ちゃんが来てくれたら、盛り上がるニャー!」

 

「あんたが始めたんでしょ。絶対、来なさいよ!」

 

「みんな…」

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 絵里〜

 

亜里沙と一緒に雪穂ちゃんを送って穂乃果の家まで来ると、雪穂ちゃんに上がっていかないかと言われたため、私は穂乃果の部屋に上がらせてもらった。

 

 

「ごめんね。」

 

「いえいえ、お気になさらず。今、お茶を…」

 

「違うわ。μ’s、活動休止にしようなんて言ったこと。本当は私にそんなこと言う資格なんてないのに…つい、ごめんなさい…」

 

「そっ、そんなことないよ。っていうか、私がやめるって言ったから…」

 

謝る私に対して、そう言った穂乃果は暗い顔をした。

 

「私ね。凄くしっかりしてて、いつも冷静に見えるって言われるけど、本当は全然そんなことないの。」

 

「絵里ちゃん…」

 

「いつも迷って、困って、泣き出しそうで…希に実際恥ずかしい所を見られたこともあるのよ。でも、隠してる。自分の弱いところを…私は穂乃果が羨ましい。素直に自分が思っている気持ちを、そのまま行動に起こせることがすごいなって…」

 

「そんなこと…」

 

「ねぇ、穂乃果。私には、穂乃果に何を言ってあげればいいか、正直分からない…私たちでさえ、ことりがいなくなってしまうことがショックなんだから、海未や穂乃果の気持ちを考えると辛くなる…それに、今は優の命まで危険な状態だし…でもね、私は穂乃果に、1番大切なことを教えてもらったの…!変わることを恐れないで、突き進む勇気。私はあの時、あなたの手に救われた。」

 

私は穂乃果にそう伝え、家に帰った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side ことり〜

 

今日は私が留学先に向かう前日。私は最後に、優くんに手紙とあるものを渡しにお見舞いにきた。やっぱり、優くんはまだ目覚めていない…私はせっかく優くんにアドバイスしてもらったのに…後悔しないようにしろって言われたのに、アドバイス通りにできなかった…

 

私はその事と、留学のことを優くんにちゃんと話せなかったことを謝ろうと、手紙に書いた。これが、私の好きな人を見る最後の時かもしれないと思うと、私の目から涙が溢れそうになった…私はその涙を堪えて、病院をあとにした。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 穂乃果〜

 

私は絵里ちゃんが帰ってから、押し入れにしまってあったいつもの練習着を着た。そんなに長いこと着てなかったわけでもないのに、何故か凄い久しぶりに感じた。

 

そして、やっぱりスクールアイドルを続けようと決意した。

 

 

 

それから1日が経ち、私は海未ちゃんを講堂に呼び、待っていた。すると、講堂の扉が開き、海未ちゃんが入ってきた。

 

「ごめんね、急に呼び出したりして。」

 

「いえ…」

 

「ことりちゃんは?」

 

「今日、日本を経つそうです。」

 

「そうなんだ…」

 

「穂乃果…」

 

「私ね。ここでファーストライブやって、優くんに支えてもらいながら、ことりちゃんと海未ちゃんと歌った時に思った。もっと歌いたいって、スクールアイドルやりたいって。やめるって言ったけど、気持ちは変わらなかった…学校のためとか、ラブライブのためとかじゃなく、私好きなの、歌うのが!それだけは譲れない。だから、ごめんなさい!」

 

頭を下げ、謝った私を見た海未ちゃんは、少し驚いたような顔をする。

 

「これからもきっと迷惑をかける。夢中になって誰かが悩んでるのに気づかなかったり、入れこみすぎて空回りすると思う。だって私、不器用だもん!でも、追いかけていたいの!我儘なのは分かってるけど、私!」

 

「プッ、フフフ…」

 

私がそこまで言うと、海未ちゃんが急に笑い出した。

 

「海未ちゃん、なんで笑うの?私、真剣なのに!」

 

「ごめんなさい…でもね、はっきり言いますが…穂乃果には昔からずっと迷惑をかけられっ放しですよ?」

 

「えぇ!?」

 

 

「ことりとよく話してました。穂乃果と一緒にいると、いつも大変なことになると。どんなに止めても、夢中になったらなんにも聞こえてなくて…だいたい、スクールアイドルだってそうです。私は本気で嫌だったんですよ?」

 

「海未ちゃん…」

 

「どうにかしてやめようと思っていました。穂乃果を恨んだりもしましたよ?全然気づいてなかったでしょうけど…」

 

「ごめん…」

 

「ですが、穂乃果は連れていってくれるんです。私やことりでは、勇気がなくて行けないような凄いところに。」

 

「海未ちゃん…!」

 

「私が怒ったのは、穂乃果がことりの気持ちに気づかなかったからじゃなく、穂乃果が自分の気持ちに嘘をついてるのが分かったからです。穂乃果に振り回されるのは、もう慣れっこなんです。だからその代わりに、連れていってください!私たちの知らない世界へ!それが穂乃果の凄いところなんです!私もことりも、μ’sのみんなもそう思っています!」

 

海未ちゃんの言葉を聞いて、私は自然と笑みがこぼれる。そして、海未ちゃんはステージに上がり、私の隣に立ち、

 

「だって、可能性感じたんだ〜♪そうだ、進め〜♪」

 

そう歌った。

 

「後悔したくない、目の前に〜♪」

 

続けて私が歌う。

 

「僕らの道がある〜♪」

 

私たちには分かるはずもないのに、空港でことりちゃんも歌った。私と海未ちゃんは、何故かそう思えた。

 

 

 

 

 

BGM/ススメ→トゥモロウ

 

 

 

 

 

「さぁ、ことりが待ってます!迎えに行って来てください!」

 

「えぇ!?でもことりちゃんは…」

 

「私と一緒ですよ。ことりも引っ張って行ってほしいんです!わがまま言って貰いたいんです!」

 

「わがまま!?」

 

「そうですよ。有名なデザイナーに見込まれたのに、残れなんて…でも、そんなわがままを言えるのは…!」

 

 

 

そして、私は全速力で空港へ向かった。空港につくと、ことりちゃんが搭乗口に向かおうとしていた。ギリギリ間に合ったぁ…そう思いながら、私はことりちゃんの腕をつかんだ。

 

「ことりちゃん!ことりちゃん、ごめん!私、スクールアイドルやりたいの!ことりちゃんと一緒にやりたいの!いつか、別の夢に向かう時がくるとしても…行かないで!」

 

私はそう言って、ことりちゃんを抱きしめる。

 

「ううん、私の方こそごめん。私、自分の気持ち、分かってたのに…」

 

「ことりちゃん、行こう!みんなの元へ!」

 

「うん!」

 

私たちがみんなの待つ音ノ木坂学院に向かおうとした時、周りにいる人たちが悲鳴をあげながら逃げ始め、ことりちゃんの顔が青ざめる。

 

「ほっ、穂乃果ちゃん、アレ…」

 

ことりちゃんが指さした方を見ると、黒いスーツを着てマスクを被った怪物が、大量に襲いかかってきていた。



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47話 古代の戦士と龍の戦士

はい、47話です。
穂乃果とことりのピンチ…しかし、今回穂乃果とことりがまさかの〇〇します!
では47話、スタートです!


〜side ことり〜

 

私は穂乃果ちゃんに言葉のおかげで、留学を辞めてμ’sに復帰するために、みんなのところへ戻ると決意した。その時、私たちの前に黒いスーツを着てマスクを被った怪物が大量に現れた。

 

「ほっ、穂乃果ちゃん、アレ…」

 

「かっ、怪物!?ことりちゃん、逃げよう!」

 

「うん!」

 

私と穂乃果ちゃんは逃げようとして空港の外まで逃げてきたが、追ってきた怪物に囲まれ、とうとう逃げ場を失った…

 

「どっ、どうしよう…」

 

「うぅ、ことりちゃん…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺は気がつくと、真っ白な空間にいた。俺は…確か、アデュサが現れて戦ったけど、結局負けたんだよな…ってことは俺、死んだのか…確か、俺が姉ちゃんに転生の話を持ちかけられた時も、こんな真っ白な空間だったな…

 

はぁ…情ねぇな…今日まで、アデュサに復讐するためにトレーニングして、財団Xと戦ってきたのに、結局アデュサと戦って負けた…

 

「情けなくなんかないよ。」

 

俺が自分を悔やんでいた時、聞き覚えのある声が聞こえた。この声、まさか茜!?そう思い、俺が声のした方に振り返ると、茜が立っていた。

 

「茜…やっぱ俺、死んだんだな…ごめん…あの時守りきれなくて…俺を庇ったせいで死なせて…約束、守れなくて…それに、アデュサなんかに負けちまって…」

 

「ううん。優くんは悪くないよ。それに、優くんが今まで戦ってきたのは、アデュサに復讐するためだったの?」

 

「えっ?」

 

「私が死ぬ前にしたお願い覚えてる?」

 

「もちろん、忘れるわけないだろ。」

 

「あの時、私はこれからもみんなを守るために戦い続けてって言ったよね。なのに、優くんはアデュサに復讐するためだけに戦ってきたの?」

 

「それは…」

 

「なんで、優くんは私が死ぬ前も、死んだ後も戦ってるの?優くんは、これまで何のために戦ってきたの?」

 

「俺は…そうだ…!俺は財団Xから、怪人から、人の命を脅かす存在から、人を守るために戦ってきたんだ!」

 

「でしょ?あの時、優くんが負けたのは、ちょっと感情的になりすぎたからなんだよ。アデュサだって、これまで戦ってきた怪物と同じように人を襲う怪物。だから、優くんは、復讐のためじゃなく、人を守るためにこれからも戦い続けて!」

 

「でも、俺死んだし…」

 

「ううん。優くんはまだ死んでないよ。ここは、死後の世界と元の世界の間にある空間。だから、優くんはこれからも人を守るために戦い続けて。それに、優くんの大事なμ’s

も今、活動休止になっちゃってるんだ…」

 

「えっ、活動休止…?」

 

「うん。それに、μ’sのみんなには優くんが必要みたいだよ。だから、これからも支えてあげて。」

 

そう言った茜は、優しく、そしてどこか寂しそうに微笑んだ。

「分かった。茜、俺はこれからも人を守るために戦い続けて、μ’sのみんなも守ってみせる!」

 

「うん。それでこそ優くんだよ!じゃあ、元の世界に…あっ、その前に…」

 

「どうした?」

 

「これからは私のことは気にしないで、優くんは自分のためにちゃんと生きてね。」

 

「うーん…多分それはできないと思う。やっぱり、俺にとって茜は、本当に大切な人で、大好きな人…だから、俺は茜を忘れることは出来ない。でも、ありがとな。」

 

「そっか…本当に優くんらしいね。じゃあ…せめて、新しい恋人ぐらいは、私のことを気にしないで作ってね!」

 

「こっ、恋人!?でも、俺なんか貰ってくれる人なんて…」

 

「そんなことないよ。優くんにはμ’sのみんながいるじゃん!」

 

「いやいや、あいつらは俺のことはマネージャーとか、友達とかとしか思ってないから、そういうのじゃないよ。」

 

「(はぁ…本当に優くんは鈍感なんだから…これは、μ’sのみんなも大変そうだな…)じゃあ、そろそろ…」

 

「そうだな…最後に茜、改めて本当にありがとな!」

 

「こちらこそ、これまでありがとう!じゃあ、これを…」

 

そう言って茜は、赤いデータボトルの上に白い球体が付いたものを渡してきた。

 

「これって、データボトル?」

 

「うん。これは優くんのライダーとしてのパワーを、一段階進化させるためのデータボトル。ただ、これを使うためには、上についてる白い球体に私の魂が入らなければならないの。このデータボトルは、私と優くんの力が1つになることが出来るデータボトル、その名もレッドメモリーデータボトル。」

 

「茜の魂が入る…すげぇな…でも、それじゃあ茜は、これからずっとこのデータボトルに魂が入ったまま、俺の力になるってことになるってことじゃないのか?」

 

「うん…でも、私は優くんの力になれるなら、それでいいの。だから、このレッドメモリーデータボトルで、私と一緒に戦ってくれる?」

 

「もちろんだ!じゃあ、よろしくな。茜!」

 

「うん!」

 

そして、茜はレッドメモリーデータボトルの中に入り、データボトルの上の球体が赤く染められた。そこで、俺の意識も途切れた。

 

 

 

俺が目が覚めると、病室のような場所にいた…というか、医療器具とかもあるし、恐らく病院だろう。

 

さっきの、夢だったのか…?

 

俺はそう思ったが、すぐに違うと分かった。なぜなら、俺の手にはレッドメモリーデータボトルが握られていたのだ。そして、俺が病室を見回してみると、俺の寝てるベットの隣の机に、封筒に入った手紙が置いてあった。俺は手紙を取りだし、読み始めた。

 

 

 

『優くんへ。

 

突然ですが、私は、外国へ服飾の勉強をするために留学することになりました。私が穂乃果ちゃん達に言おうと悩んでいたのはこのことです。でも、せっかく優くんにアドバイスしてもらったのに、私は穂乃果ちゃんに話すのが遅くなってしまい、穂乃果ちゃんとちゃんと話すことが出来ないまま、日本を経つことになってしまいました。

 

その後、穂乃果ちゃんはスクールアイドルをやめると言って、海未ちゃんと喧嘩して、穂乃果ちゃんと海未ちゃんも話していません。μ’sも活動休止してしまい、にこちゃんと花陽ちゃんと凛ちゃん以外のメンバーはスクールアイドルの活動をしなくなってしまいました。

 

こんな風になってしまったのは、私がずっと黙っていたせいです。優くんにせっかくアドバイスしてもらったのに、本当にごめんなさい。そして、優くんにも話すことが出来ないまま、日本を経ってしまうこともごめんなさい。私は、9月24日に留学先に出発します。

 

自分勝手なお願いかもしれないけど、日本に帰ってきたら、また会ってくれると嬉しいです。

 

今まで、本当にありがとう!

 

南ことり』

 

 

 

嘘だろ…大事な話だとは思っていたけど、まさか留学とはな…南がいなくなる…?μ’sが活動休止…?

 

そう考えると、俺の目から涙が流れてきた。この時、気づいた…いや…本当は今までも気づいていた。けど、目を背けてきた。そう、俺は好きだったんだ。μ’sのメンバーと過ごす日々が…どうしようもなく、好きだったんだ…茜が死んでから、ずっと誰とも関わろうとしなかった俺が、何故かμ‘sのマネージャーをしたいって思った時から、ずっと大切だったんだ…μ’sの9人と過ごす日々が…

 

そう考えたら、俺はいても立っても居られなくなった。俺は南の手紙を改めて見た。9月24日って、今日何日だ…

 

そう思い再び机を見ると、手紙が置いてあったところの隣に、アタックバックルとカードホルダーとインフィニティドライバー、そしてインフィニティブレスが置いてあった。多分、姉ちゃんが置いてくれたんだろうな…俺がインフィニティブレスの時計を見ると、日付は9月24日と書いてあった。

 

……って今日かよ!

 

俺は体につけられていた医療機器などをすべて外して、病室のクローゼットにかけられていた俺の制服に着替えた。そして、アタックバックルとカードホルダーとインフィニティドライバーを持ち、インフィニティブレスを腕につけた。

 

最後に南の手紙をポケットに入れて、手紙が入ってた封筒を持つと、少し重みがあった。封筒にまだなにか入ってるのかと思い、出してみるとある物が入っていた。それを見て俺は驚いた…けど、今はそんなことを考えている場合じゃない!俺はそれも持ち、空港に向かった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side ことり〜

 

私と穂乃果ちゃんはとうとう逃げ場を失った。

 

「ことりちゃん…」

 

「穂乃果ちゃん…」

 

「私は…みんなの元に戻って、またμ’sとしてスクールアイドル活動を頑張るんだ…!こんな怪物なんかに、殺されたくなんかないよ!」

 

「そうだよ…穂乃果も、またみんなと…優くんも含んだ10人で、スクールアイドルをやるの!こんな所で、立ち止まってられない!」

 

私と穂乃果ちゃんがそう言った時、2人から光が出てきて、怪物が退いていった。

 

しばらくすると、光が止んだ。すると、私の手には黒色がベースで金色の龍の模様が入り、中にはカードが入っているカードデッキ?が握られていた。穂乃果ちゃんの腰には、4色のボタンがついた灰色のベルトが巻かれていた。

 

その時、私の頭の中にこのカードデッキの使い方が流れ込んできた。

 

「穂乃果ちゃん…これ…」

 

「うん…なんとなくだけど、使い方わかった…」

 

穂乃果ちゃんにも使い方が分かったみたい。

 

「ことりちゃん!」

 

「うん。やってみよう!」

 

そして、穂乃果ちゃんはその場で左手をベルトの上に添え、右手を上に上げてポーズをとり、私はガラスで出来た窓に、カードデッキを向けた。すると、私の腰にもベルトが巻き付けられた。

 

「「変身!」」

 

穂乃果ちゃんは赤いクワガタがモチーフの赤い戦士、仮面ライダークウガに、私は赤い龍の戦士、仮面ライダー龍騎に変身した。

 

「すごい…私達、本当に仮面ライダーに変身した…!」

 

「よし!ことりちゃん、さっさと怪物を倒してみんなの所に戻ろう!」

 

「うん!」

 

そして、私と穂乃果ちゃんは黒いスーツの怪物たちと戦い始めた。

 

「ハッ!やっ!そうだ、バックルの中に入ってるカードを…」

 

私はバックルの中から1枚のカードを取り出して、腕に付けてあるドラグバイザーの中に入れ、読み込ませた。

 

『ソードベント!』

 

すると、機械音でカード名が読み上げられ、赤い龍、ドラグレッダーが1本の剣を落としていった。私はその剣を取って、怪物と戦い始めた。

 

「よし、だったら私も!」

 

穂乃果ちゃんはそう言うと、ベルトの紫色のボタンを押し、紫のクウガ、仮面ライダークウガ タイタンフォームに変身した。

 

そして、穂乃果ちゃんは近くに落ちていた鉄パイプを持った。すると、鉄パイプがタイタンフォームの専用武器、タイタンソードに変化した。穂乃果ちゃんはタイタンソードを持ち、怪物を斬り倒し始めた。

 

「よし。ことりちゃん、一気に決めよ!」

 

「うん!」

 

私は再びドラグバイザーに1枚のカードを入れた。

 

『ストライクベント』

 

すると、私の手にドラグレッダーの頭部が取り付けられた。私はその手から炎を吐き出し、怪物を倒した。そして、穂乃果ちゃんもタイタンソードで怪物を全て倒していた。

 

「よし、ことりちゃん!戻ろう!」

 

「うん!」

 

「悪いけど、帰すことは出来ないわよ。」

 

すると、私たちの前にもう一体怪物が現れた。

 

「また怪物!?」

 

「仮面ライダーは目覚めたかしら?」

 

「まだだけど…って、もしかして、あなたが優くんを倒した怪物!?」

 

「えぇ。まぁ、今日はあなた達に用事があるんだけどね。」

 

「えっ、私たち?」

 

「えぇ、あなた達には少し痛い目にあってもらおうと思って。仮面ライダーがせっかく目覚めたら、お友達が死んでいた。なんて、面白くなりそうじゃない?」

 

「そんな理由で…」

 

「ことりちゃん!この怪物と戦おう!」

 

「でも、この怪物…優くんでも勝てなかった怪物だし…」

 

「でも、戦わないと倒されるだけだもん!はぁぁぁぁぁぁっ!」

 

そう言って、穂乃果ちゃんは怪物に向かって攻撃を仕掛けていた。

 

「フッ!やぁっ!きゃぁぁっ!?」

 

しかし、穂乃果ちゃんは一瞬で怪物の反撃を受けてしまい、倒れてしまった。

 

「口ほどにもないわね…」

 

「うぅ…まだまだ!ことりちゃん、一緒に!」

 

「う、うん!」

 

そして、私と穂乃果ちゃんは、お互いの剣で怪物に攻撃するが…

 

「「きゃぁぁっ!」」

 

怪物によって一瞬で倒され、変身が解けてしまった。

 

「うぅ…穂乃果ちゃん!大丈夫!?」

 

「う、うん…なんとか…」

 

そして、怪物の攻撃を多く受けた、穂乃果ちゃんの手には少し出血した痕があり、怪我していた。

 

「さて、そろそろ死んでもらおうかしら?」

 

そう言って、怪物は私たちの頭上に槍を持ってきて、振り下ろそうとした。その時、私は死を覚悟し、目を瞑った。しかし、怪物の槍はいつまで経っても当たらなかった。ふと目を開けると、怪物はなにかの攻撃を受けて倒れた。

 

「ふぅ〜。なんとか間に合ったな、」

 

そう言いながら立っていたのは、私たちのヒーローだった。

 




今回、まさかの穂乃果とことりが変身しましたね。
そして、優が手に入れた茜のデータが入ったデータボトル。データボトルの上に付いてる、球体のモデルはゴーストのアイコンです。ノーマルデータボトルの壊れたら優が死ぬ、という設定もそうですが、ゴーストモデルの内容が被ってしまいましたね…これは偶然なんですが、優は転生者で1度死んでるという部分から、なんとなくゴーストの内容と似たような内容になってしまう部分があるんですよね…この先も、ゴーストや他の仮面ライダーの内容と似ている部分や同じ部分があるかもしれません…
あと、レッドメモリーデータボトルという名前は、茜の赤いと思い出ということで記憶のメモリーを合体させたのですが、相変わらずネーミングセンスがないですね…
そして、穂乃果とことりのピンチにやってきたヒーロー。次回、とうとうあいつが復活します!


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48話 新フォーム、レッドメモリー

はい、48話です。
今回、とうとう優の初のパワーアップフォームが登場します!
では48話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺が空港の外まで来ると、アデュサと仮面ライダークウガ、仮面ライダー龍騎が戦っていた。

 

なんで、クウガと龍騎が!?本物の変身者なのか…?

 

俺がそんなことを考えてると、アデュサの攻撃を受け、クウガと龍騎の変身が解けてしまった。俺はその変身者を見て驚きを隠せなかった。なぜなら、その変身者は俺がマネージャーをしているμ’sのリーダーである高坂穂乃果と、留学に行ってしまうと手紙をくれた南ことりだった。

 

嘘だろ…なんであいつらが変身したんだ…

 

俺が、そう考えている間に、アデュサが2人に槍を突き刺そうとしていた。俺は咄嗟にインフィニティソードを取り出し、走り出してアデュサに攻撃した。

 

「ふぅ〜。なんとか間に合ったな。」

 

俺がそう言って高坂と南の方を振り向くと、南は涙を流し、高坂はさっきの攻撃で気を失っていた…

 

「何泣いてんだよ。」

 

「だって…だって…優くん、目が覚めたの?もう大丈夫?」

 

「あぁ、もう大丈夫だよ。心配かけたな。俺も南たちから色々聞いたりしたいけど…まずは、アデュサを倒してからだ!」

 

「へぇ、今度は私を楽しませてくれるのかしら?」

 

「あぁ。少なくとも前よりは楽しませることが出来ると思うぞ。いや、違うな…お前は楽しむ余裕もなく、俺に倒される!」

 

「そうかしら?あなたが私を倒すことなんて出来ないわ。」

 

「いや、出来る!今の俺はこの前より、何倍も強い!」

 

「へぇ…眠ってる間に強くなったとでも?」

 

「まぁ、間違ってはいないな。それに、強くなったのは力だけじゃない!本当の戦う意味が分かった今の俺は、お前には負けねぇ!」

 

そう言って、俺は茜からもらったレッドメモリーデータボトルを取り出した。

 

「新たな、データボトル?」

 

「俺の新たな力だ!茜…一緒に戦ってくれ!」

 

俺はインフィニティドライバーを巻き付け、レッドメモリーデータボトルを入れた。

 

「変身!!」

 

俺は、仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに変身した。

 

元々のインフィニティのベースカラーである水色から、赤色がベースカラーになり、その体に所々、元々のベースカラーである水色が入った姿の仮面ライダーだ。

 

「なに…その姿は?」

 

「この姿は、俺と茜2人の力だ!仮面ライダーインフィニティ!俺の強さは…次元を超えた!」

 

俺はそう言って、アデュサに向かって走り出した。

 

「おらぁぁっ!」

 

「速い!?」

 

そして、俺は手に炎を纏い、アデュサにパンチを繰り出した。

 

「はぁっ!オラッ!」

 

「クッ…確かに、少しは強くなったみたいね…」

 

「フッ、こんなもん序の口だぜ?進化したのは俺のライダーの力だけじゃない!ほかのライダーの力も進化したんだぜ!」

 

『ドライバーオン プリーズ!』

 

俺は変身を解き、ベルトをウィザードライバーにかえた。

 

『シャバドゥビタッチヘンシン!シャバドゥビタッチヘンシン!』

 

俺は左手にフレイムドラゴンリングを付け、ウィザードライバーの手型にかざした。

 

「変身!」

 

『フレイム ドラゴン!ボー・ボー・ボーボーボー!』

 

俺は仮面ライダーウィザード フレイムドラゴンスタイルに変身した。

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

『コネクト プリーズ!』

 

『ドラゴタイム セットアップ!』

 

そして、コネクトリングの力でドラゴタイマーを取り出し、タイマーをセットし回し始めた。

 

「はぁ!やっ!」

 

俺はウィザーソードガン ソードモードで攻撃を始めた。すると、ドラゴタイマーのダイヤルのメモリが青いところまで来たので、ドラゴタイマーの指を1回押した。

 

『ウォータードラゴン!』

 

すると、もう1人の仮面ライダーウィザード ウォータードラゴンスタイルが現れた。

 

「なに?2人!?」

 

「いや、それはどうかな?」

 

今度は、ダイヤルが緑のところで指を再び押した。

 

『ハリケーンドラゴン!』

 

すると、今度は仮面ライダーウィザード ハリケーンドラゴンスタイルが現れた。

 

「「「はぁ!やっ!」」」

 

「クッ!3人…だと?」

 

「悪いな。4人だ。」

 

俺はそう言い、ドラゴタイマーのダイヤルが黄色のところで指をもう1回押した。

 

『ランドドラゴン!』

 

すると、今度は土の中から、仮面ライダーウィザード ランドドラゴンスタイルが現れた。

 

「はっ!オラッ!」

 

「クッ…」

 

「複数人での攻撃はここまでだ!」

 

『ファイナルタイム オールドラゴン!』

 

俺がウィザードライバーにドラゴタイマーをかざすと、4人のウィザードが融合して、仮面ライダーウィザード オールドラゴンに姿を変えた。

 

「一気に行くぞ!はぁぁぁぁぁぁっ!」

 

俺は飛行しながら、手についてるドラゴクローでアデュサに攻撃を仕掛けた。そして、その攻撃を受けたアデュサは、ダメージを受ける。

 

「よし。次はこいつだ!」

 

俺は再び変身を解き、腰のベルトを戦極ドライバーへ変えた。

 

『オレンジ!』『レモンエナジー!』

 

「変身!」

 

そして、2つのロックシードを戦極ドライバーに取り付け、カッティングブレードを下ろした。

 

『ソイヤ!オレンジアームズ 花道オンステージ! ジンバーレモン!ハハァー!』

 

俺は、仮面ライダー鎧武 ジンバーレモンアームズに変身した。

 

「ここからも、俺のステージだ!」

 

俺は、ソニックアローで遠距離から攻撃し、アデュサがその攻撃を防いでいる隙に、近づいてソニックアローの刃の部分でアデュサへ斬りかかった。

 

「はぁぁっ!」

 

「ぐぁっ!?」

 

「今度はこれだ!」

 

俺は、ドライブドライバー2号機を腰に巻き付けた。

 

何故2号機なのかって?それは、パックマン事件の時、ウィザード、鎧武、ゴースト、エグゼイドのレジェンドライダーたちと俺、そして進之介さんが集まった時、進之介さんがベルトさんがいなくて変身できないため、ベルトさんを渡した。

 

その時、財団Xが復活させた怪人の中にロイミュードもいると聞いて、『ロイミュードが関わっているなら、俺も協力したい。』そう進之介さんが言ってくれたので、ベルトさんを進之介さんに預けたのだ。

 

ただ、俺がロイミュードの重加速に対抗できなくなるため、ベルトさんが姉ちゃんと協力して、全てのシフトカーとドライブドライバーの2号機を作ってくれた。まぁ、ベルトさんの意識が入っていないため、本来のドライブの力より弱いのだが…

 

しかし、シフトスピード、ワイルド、テクニック以外のフォームチェンジ用のシフトカーは使えなかったのだが、他のは使えなかった…でも今なら…!

 

そう思い、俺はシフトブレスにシフトデッドヒートを入れた。

 

「変身!」

 

『ドライブ!タイプ デッドヒート!』

 

俺は仮面ライダードライブ タイプデッドヒートに変身した。

 

「もうひとっ走り付き合えよ!」

 

俺はデッドヒートの強く、速いパンチでアデュサへラッシュを放った。

 

「オラオラオラオラ!てやぁっ!」

 

そして、最後に放ったパンチでアデュサを突き飛ばした。

 

「どんどん行くぜ!」

 

俺は変身を解き、ベルトをゴーストドライバーに変えた。

 

『アーイ バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

「変身!」

 

『カイガン!闘魂 ブースト!俺がブースト!震えたつゴースト!』

 

俺は仮面ライダーゴースト 闘魂ブースト魂に変身した。

 

「命、燃やすぜ!」

 

『闘魂 大開眼!ブースト!オメガドライブ!』

 

「やぁぁぁぁぁっ!」

 

俺は上空からキックを放った。

 

「最後はこいつだ!」

 

俺は変身を解き、腰にゲーマドライバーを装着した。

 

『マイティブラザーズ XX!』

 

「変身!」

 

『ガッチャーン!レベルアップ!マイティブラザーズ 2人で1人!マイティブラザーズ 2人でビクトリーX!』

 

俺は、仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマーレベルXに変身した。

 

「フッ、そんな太い体で戦うつもり?」

 

「油断できるのも今のうちだぜ?おらよっと!」

 

俺はジャンプし、アデュサに連続キックを食らわせた。

 

「くっ…見た目の割にすばしっこいわねぇ…!」

 

「だ〜い変身!」

 

俺はゲーマドライバーのカバーを閉じ、もう1度開いた。

 

『ダブルアップ!俺がお前で!お前が俺で!マイティ マイティ ブラザーズXX!』

 

そして、俺は仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマーレベルXXに変身した。

 

「「超協力プレイでクリアしてやるぜ!」」

 

「また、2人に!?」

 

「オラッ!ハッ!てやぁっ!俺、使え!」

 

ダブルアクションゲーマーXX Rの俺はガシャコンキースラッシャーで攻撃したあと、それをもう1人の俺、ダブルアクションゲーマーレベルXX Lの方へ投げ渡した。

 

「ありがとな!」

 

『ズキュキュキューン!』

 

それを受け取ったXX Lの方の俺は、ガンモードで攻撃した。

 

「よし!フィニッシュは必殺技で行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

『『キメワザ!』』

 

2人はゲーマドライバーのカバーを閉じ、また開いた。

 

『『ガッチャーン!マイティ ダブル クリティカルストライク!』』

 

「「はぁぁぁぁぁぁっ!」」

 

そして、2人でアデュサへ必殺技のライダーキックを放った。

 

「ふぅ〜。よし、これでラストだ。一気に決めるぞ!変身!」

 

俺は、再び仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに変身した。

 

そして、俺はインフィニティソードにレッドメモリーデータボトルを入れた。

 

「行くぞ!ファイヤースラッシュ!」

 

すると、インフィニティソードが火を纏い、俺はそれでアデュサに斬りかかった。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

 

俺がアデュサを斬り裂くと、その場所が爆発した。

 

「ふぅ…終わったか…」

 

俺がそう呟いた時、

 

「フフフ…」

 

さっき倒したアデュサがまだ生きていた。

 

「チッ!しぶとい奴だな…」

 

「ここまで…進化した仮面ライダーにいいことを教えてあげるわ…」

 

「いいこと?」

 

「私の能力は人の記憶を見ることが出来る。本人すら覚えていない、奥底に眠る記憶すらも…」

 

「記憶?まさか、あの時俺の頭に触れたのって…」

 

「大正解。あなたは…いや、あなた達、仮面ライダーやμ’s、それにあなたの妹もこれから大変な目に遭うことを覚えておくことね…また、会える時を楽しみにしてるわ。」

 

そう言って、アデュサは去ろうとした。

 

「待て!逃がすかよ!」

 

そして、俺がまたアデュサを倒しに行こうとした時、アデュサの前に1人の仮面ライダー?が現れた。しかし、その姿は俺、仮面ライダーインフィニティが黒くなった姿だった。俺が、そのライダーのベルトを見ると、そこに巻き付けられていたのは俺と同じインフィニティドライバーだった。

 

「あれは!?俺と同じベルトに同じ姿の仮面ライダー…?」

 

「あっ、お前は!?」

 

そして、そのライダーをアデュサは知っているようだ…

 

「お前は、命令違反をした。抹殺する。」

 

そのライダーは低い声で言って、持っていた剣でアデュサに斬りかかった。

 

「うぁぁぁぁっ!」

 

そして、そのライダーは一撃でアデュサを倒した。

 

「マジかよ…」

 

すると、そのライダーがこの場を去ろうとしていた。

 

「おい、待て!お前は何者だ?なんで、俺と同じベルトで俺と同じ姿をしてるんだ?」

 

「答える義理はない。だが、これだけは言っておく。俺はお前が戦ってる組織、財団Xの幹部だ。これ以上、俺たちの邪魔をするなら、いつかお前も消すぞ。」

 

そう言って、そのライダーは去っていった。

 

「チッ!また、厄介なのが出てきたな…」

 

それに、アデュサが言ってたのはどういうことだ…?俺はライダーだし、高坂たちはアイドルやってるから何かしらあるのかもしれない…それに、高坂と南は変身までしたしな…

 

でも、俺の妹って優奈のこと、だよな…?なんで優奈まで…そういえば優奈も転生者だけど、優奈自身その記憶はないし、俺と違ってライダーと全く関係の無い普通の転生者のはずだし…

 

まぁ、今はとりあえず高坂たちか…

 

「お前ら大丈夫か?」

 

俺が南にそう聞くと、

 

「私は大丈夫だけど、穂乃果ちゃんが!」

 

高坂は、手から血を出して気を失っていた。

 

「まぁ、このぐらいならどうにか出来る。」

 

「えっ?」

 

俺がそう言うと、南は不思議そうな声を出していた。

 

「この、レッドメモリーデータボトルは茜のデータが入ってるんだ。だから、茜のようにまた誰かを死なせてしまわないようにと願う俺の願いから生まれた、治癒の能力がある。」

 

そう言って、俺が高坂の血が出ている方の手に触れると、痕1つ残らず傷跡が塞がった。

 

「すごい、治ってる…」

 

「うぅ…」

 

傷が治った高坂が目を覚ました。そして、俺は変身を解除した。

 

「高坂、大丈夫か?」

 

「うっ、うん…って、優くん!?目が…覚めたの…?」

 

「あぁ、心配かけたな。」

 

「うわぁぁぁぁん!優くーん!」

 

すると、高坂が泣きながら飛びついてきた。

 

「おっ、おい、離れろ…//」

 

当たってるから…//何がとは言わないが当たってるから!

 

「ライブ、あるんだろ?」

 

「あっ、そうだった。」

 

「でも…今からじゃ…」

 

南が顔を暗くして言った。

 

「じゃあ、飛んでくか?」

 

「えっ?飛ぶ!?」

 

「あぁ。南の手紙と一緒に入ってたこれを使えばな?」

 

そう言って、俺は2枚のメダルを取り出した。その2枚のメダルとは、仮面ライダーオーズに変身するためのコアメダル、クジャクコアメダルとコンドルコアメダルだ。

 

「なんで、お前らが変身したり、南がこのメダルを持っていたのかは気になるが、とりあえず今は急ぐぞ!」

 

「「うん!」」

 

そして、俺は腰にオーズドライバーを巻き付け、さっきの2枚のメダルとタカコアメダルを入れ、オースキャナーでスキャンした。

 

「変身!」

 

『タカ!クジャク!コンドル!タージャードル!』

 

俺は、仮面ライダーオーズ タジャドルコンボに変身した。

 

「よし、行くぞ!しっかり捕まっておけよ!」

 

「「うん!」」

 

そして、俺は高坂と南を抱えて飛び、音ノ木坂学院へ向かった。




はい。とりあえず、ここまでです。
はい、そして優のパワーアップフォームが登場!そして、このフォームに変身することで、優がこれまで変身できなかった、パワーアップフォームにも変身できるようになりました。
そして、ドライブドライバーの2号機が登場しました。ドライブドライバー2号機は、クリムの意思のないですが、ドライブに変身できるように、女神様である優の姉の優香とベルトさんが作りました。
では、次回でとうとうアニメ1期完結です。長いようで短いような感じですね!


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49話 μ’s ミュージックスタート!

はい、49話です。
今回でアニメ1期の話は終わりです。その後にオリジナルの内容を書きたいので、そのオリジナルの終わりが本当に1期の終わりにしようと思ってます。
そしてこの前も言いましたが、最近お気に入りに登録してくださる方が多くて、46人に増えました!オリジナルに登録してくださった方、見てくださっている方、本当にありがとうございます!
では49話、スタートです!


〜side 優〜

 

音ノ木坂学院まで飛んできた俺は、校門の前で2人を下ろして変身解除した。

 

「よし、こっからは走って行くぞ!」

 

「「うん!」」

 

 

 

俺たちは走って講堂の扉の前まできた。すると、高坂が焦りすぎていたせいで、

 

「わぁぁぁっ!いってて…」

 

躓きながら講堂の中へ入っていった。それから南が入り、俺は少し扉の奥に隠れているので、みんなには気づかれていない。

 

「穂乃果ちゃん!ことりちゃん!」

 

「みんな、おまたせ…!」

 

「どうしたのです?2人とも少し目が赤いのですよ?」

 

「まさか、感動の再会的な感じになって、空港で泣いたんじゃないでしょうね?」

 

園田と矢澤が2人に聞いた。

 

「えへへ…」

 

「感動の再会とは変わりないけど、ちょっと違うかな…ねっ、優くん!」

 

高坂と南に言われ、俺も中へ入っていった。

 

「みんな…久しぶり?」

 

「ゆう…?」

 

「目が…覚めたのね!」

 

「久しぶりじゃ…ないわよ…どれだけ心配したとおもってるのよ…」

 

園田、絢瀬、矢澤が言うと、改めて俺が戻ってきたことに気づいたみんなが、涙を流し始めたり、涙を堪えながら喜びを噛み締めたりしていた。

 

「みんな、心配かけて悪かったな。」

 

「全く…本当よ。」

 

「もうっ…あんな無茶はしないでよね!」

 

「ウチら…すっごい心配したんよ…」

 

「でも、無事でなによりです!」

 

矢澤、絢瀬、東條、園田が言った。

 

「まっ、私はそんなに心配してなかったけど…」

 

「そんなこと言って、真姫ちゃんもすっごく泣いてたニャー!」

 

「ヴェェ!べっ、別にそんなことないわよ!」

 

星空の言葉に反論する西木野だが、その目はよく見ると赤く腫れている。

 

「でも、本当によかったです!」

 

その様子を眺めている小泉が言った。

 

「みんな、本当にありがとな!」

 

この時、こんなにも俺のことを心配してくれる人がいるなんて、μ’sのマネージャーになって本当に良かったと感じた。

 

「よし、これで本当に全員揃ったわね!」

 

「じゃあ、ライブの前に部長、一言!」

 

「えぇ!?なーんてね、ちゃんと考えてあるわ!今日みんなを、1番の笑顔にするわよ!」

 

絢瀬の言葉に続いて言った東條の言葉に、今度はしっかりと受け答えた矢澤。

 

「いち!」

 

「にっ!」

 

「さん!」

 

「よん!」

 

「ごっ!」

 

「ろく!」

 

「なな!」

 

「はち!」

 

「きゅう!」

 

「じゅう!」

 

高坂、南、園田、西木野、星空、小泉、矢澤、東條、絢瀬、そして俺の順で言った。

 

 

「よし!みんな、行こう!」

 

 

そして、μ’sのライブが始まった。

 

 

 

 

 

START:DASH/μ’s

 

 

 

 

 

この曲はμ’sがまだ3人だった頃に、この講堂で行ったファーストライブの時に歌った曲だ。あの時は、お客さんも数える程しかいなかった。というか、俺と高坂の友達の3人以外は、全員が今μ’sのメンバーだな。しかし、今は数えきれない程のたくさんのお客さんがいる。

 

更に、ダンスや歌のレベルも変わった。ファーストライブの時の3人の踊りも、とても魅力的だった。しかし、今のμ’sは新たな6人の仲間が増え、ダンスも歌も格段に上手くなっている。

 

アデュサが言っていたように、μ’sにもこれからさらなる困難が降りかかるかもしれない。けど、このメンバーなら、きっと乗り越えられる。俺はこのダンスを見た時にそう感じた。

 

 

 

そして、1曲歌い、踊り終わって…

 

「私たちのファーストライブも、この講堂でした。その時、私は思ったんです!いつかこの講堂を満員にしてみせるって。一生懸命頑張って、今、私たちがここにいる。この想いを、いつかみんなにとどけるって。その夢が今日叶いました!だから、私たちはまた駆け出します!新しい夢に向かって!

皆さん、今日は本当にありがとうございました!」

 

高坂がそこでライブを締めくくろうとした時、

 

「あっ、大事なことを言い忘れてました!」

 

何かを思い出して言った。何を忘れていたのか、俺や他のμ’sのメンバーも分からなかったが…

 

「さぁ、皆さん!ご一緒に!」

 

この言葉ですぐに分かった。

 

 

 

 

 

『μ‘s!ミュージックスタート!』

 

 

 

 

 

 




はい、少し短くなってしまいましたが、これで終わりです。
とうとう、アニメ1期も終わってしまいました。そして、次回からオリジナルを挟みます。優のしっかりと明かされていなかった1年の間の過去編を書きたいと思います。少し長くなるかもしれませんが、見てくださると嬉しいです!


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7章 優、1年生編
50話 優、生徒会へ!


はい、50話です。
今回から、過去編です。
そして、とうとう50話を突破しました!ここまで見てくださってる方、ありがとうございます!これからも見てもらえると嬉しいです!
では50話、スタートです!


〜side 優〜

 

講堂でのライブが終わった翌日。

 

今日は休日で学校も練習も休みの日だが、μ‘sのみんなにアイドル研究部の部室に集まってもらった。その理由は…

 

「俺、話すよ。俺の過去の事。」

 

俺の過去について話すためだ。

 

「優くん、ほんまにいいん?」

 

この中では、1番詳しく知っているであろう東條がそう聞いてきた。

 

「あぁ。ここまで大事になってしまって、みんなには心配かけてしまったし話すよ。多分、みんなも気になっているんだろうし。」

 

俺のその言葉に、全員小さく頷いた。

 

「もう、みんなも勘づいてるところもあると思うが…」

 

そして、俺は話し始めた。俺の過去についてを…

 

「俺は去年の春、この音ノ木坂学院に共学化試験生として入学してきた。」

 

 

 

 

 

〜高校1年前の春〜

 

今日は入学式の翌日。俺は生徒会室に来ていた。理由は俺が生徒会副会長になったから。

 

「今日から、よろしくお願いします!」

 

「うん!今日からよろしくね、優くん!」

 

俺の挨拶に、茜先輩は笑顔で答えてくれた。

 

 

「あの、それで…」

 

「どうしたの?」

 

俺はこの生徒会室に来てから1つ、疑問に思っていることがある。

 

「ほかの役員の方はいないんですか?」

 

この生徒会室には俺と茜先輩しかいないのだ。

 

「あぁ…今の生徒会は話し合いや大きなイベントの前以外は、生徒会長と生徒会副会長だけで仕事をしていたの。みんな、部活とかで忙しいから。だから、次に全員が集まる時に優くんのことを紹介するね!」

 

「はい!分かりました。」

 

 

 

それから、俺は茜先輩の説明を聞いてから作業を始めた。

 

「あっ、そういえばさっき、ほかの役員の人は部活とかで忙しいって言ってましたけど、茜先輩は部活とかしないんですか?」

 

「やりたいことはあるけど、今年の生徒会が終わってからにしようかなって考えてるの。」

 

「へぇ、何やるんですか?」

 

「優くんは、スクールアイドルって知ってる?」

 

「スクールアイドル?あっ、この前にニュースでチラッと見たような気がします。」

 

「私ね、将来アイドルになるのが夢なんだ!アイドルの人みたいに一生懸命歌ったり、踊ったりしてお客さんを笑顔にしたいの!」

 

そう言う茜先輩の表情を見ると分かった。この人は、本当にアイドルが好きなんだ、と。すごい熱意のある人なんだな…

 

「なるほど…いいですね!アイドルについてはあんまり詳しくないんですけど、茜先輩可愛いですし、人気アイドルになれると思います!」

 

「えっ、可愛い!?そっ、そうかな…//」

 

「あれ?でもこの学校にスクールアイドルってありました?」

 

「今は、ないの…」

 

「今は?」

 

「うん。実はね、去年アイドル研究部って部活の子達がスクールアイドル活動をやってたんだけど…」

 

そして俺は、そのアイドル研究部で部長の方と部員の方たちのスクールアイドルに対する意識の違いから、仲違いがあったことを聞いた。

「そんなことが…」

 

「うん…だから私も生徒会の任期が終わったら、スクールアイドルをやろうって思ったんだ。でも、その事があったから、アイドル研究部に入らせてもらうのも難しそうだなって…」

 

「確かに、そんなことがあったなら、その部長もまた同じような出来事があったらと思うと、怖いでしょうし…」

 

「そうなんだよね…それにその子、その事があってから友達があんまりいなくなっちゃって、殆ど1人でいるんだよね…私も気にかけて話しかけてるんだけど、強がってあんまり相手してくれなくて…いい子なんだけどね。」

 

「余計にアイドル研究部に入るのは難しそうですね…」

 

「うん…あっ、そうだ!私はこの書類終わったら終わりだけど、優くんはあとどれぐらい?」

 

「俺も、この書類だけですけど。」

 

「えっ!?初めてなのに、もう終わりなの?」

 

「まぁ、そこまで大した仕事ではなかったですし。」

 

「すごいね!あっ、それでね。その子が友達と話してるのとかあんまり見たことないから、私も話に行ったりしてるんだけど、いつも追い返されてるの。だから、優くんも今から一緒に行ってみない?」

 

「えっ、俺もですか?でも、この時間だと帰ってるんじゃ…」

 

「ううん。あの子、放課後は殆どアイドル研究部の部室にいるから、大丈夫だと思うよ。」

 

「じゃあ、とりあえず俺も行ってみます。茜先輩が生徒会長の任期が終わったら、アイドル研究部に入れて貰えるようにお願いしたいですし!」

 

「えっ、私のも?」

 

「はい。さっきの茜先輩を見て、茜先輩はアイドルが本当に好きですごい熱意のある人なんだと分かりました。だから、なんか俺もできることがあったら手伝いたいなって思ったんです。だから、俺に手伝えることがあれば言ってくださいね!」

 

「優くん…ありがとう!」

 

そして、今日の生徒会の仕事が終わり、俺は茜先輩とアイドル研究部の部室の前に来ていた。

 

 

コンコンコン

 

 

茜先輩がノックしてアイドル研究部の中に入っていったので、俺も中に入っていった。それにしても、すごい数のアイドルグッズだな…

 

「また来たの?あんたもしつこいわね…」

 

すると、部室の中に黒髪のツインテールの女の子がいた。ん…中学…いや、小学生?

 

「優くん、この子がアイドル研究部の部長の矢澤にこちゃん。」

 

「あっ、この子が部長なんですね。俺は今日から生徒会副会長になった仮野優です。よろしくね?」

 

「なんか、子供に対する喋り方のような気がするのは、気のせい?」

 

ツンツンした感じで矢澤が言ってきた。しまった…小学生っぽいから、つい小学生に対するような喋り方をしてしまった。

 

「あぁ、ごめん。」

 

「私、これでも先輩なんだけど?」

 

「えっ、先輩!?」

 

「にこちゃんは、私と同じ2年生だよ?」

 

驚いていた俺に茜先輩が説明してくれた。

 

「あっ、悪い。じゃあ、先輩とは思えそうにないから、矢澤でいいか?」

 

「ちょっと本当に悪いと思ってんの!それより、茜。なんで、こいつまで連れてきたわけ?」

 

「うーん…これから私と生徒会やる仲間だから、一応紹介しとこうかなって。それに、私が生徒会の仕事が終わったら、手伝ってもらうかもしれないから、にこちゃんとも関わることになるかもしれないじゃん!」

 

「だから、私はもうスクールアイドルはやらないの!」

 

「そっかぁ…」

 

「やっぱり、矢澤は前みたいになるのが怖いのか?」

 

俺がそう言った時、矢澤の顔が少し険しくなった。

 

「……茜、話したの?」

 

「ごめんね…でも、優くんは絶対にほかの人に言ったりしないから…」

 

「まぁ、確かにあんなことがあったら怖いのは分かるけど、茜先輩はそんなこと絶対しないぞ?」

 

「最近茜と会ったばかりのあんたに、何が分かるってんのよ。」

 

「確かにこの前会ったばかりだが、これまでの茜先輩を見てたら、茜先輩は絶対にそんな事しないって嫌でもわかる。」

 

「そんなこと…私だって分かってるわよ…」

 

「まぁ、矢澤自身のことを俺がどうこう言えないけど…たった一度の人生だし、自分のやりたいことをしっかりやっといた方がいいんじゃないかな?」

 

「……」

 

俺がそう言うと、矢澤は俯いて考えている。

 

 

 

それから、とりあえず今日は帰ることにした。

 

「どうだった?生徒会の仕事してみて。」

 

帰り道、茜先輩が聞いてきた。

 

「うーん…生徒会の仕事自体は大変ではなかったです。でも、やっぱり矢澤先輩の件が気になりますね…」

 

「そうだよね…私としても、にこちゃんと一緒にスクールアイドルやりたいんだよね。にこちゃん自身、根はすっこいいい子で、アイドルに対する想いがすごい強い子なの。だから、私はにこちゃんとスクールアイドルをやりたいんだよね。だから、生徒会長としても、私個人としても、にこちゃんのトラウマをどうにかしてあげたいんだ…」

 

「でも、一筋縄では行かなそうですよね…」

 

「うん…」

 

そんな話をしていた時、

 

ドゴォォォォォォォォォォォン!

 

突然、近くから爆発音が聞こえた。

 

「なっ、なに!?」

 

「茜先輩は危ないので、ここにいてください!」

 

「えっ?ちょっ、優くん!」

 

俺が爆発音がした方に着くと、数体のマスカレイド・ドーパントがいた。

 

「あれって、最近噂の怪物!?」

 

「茜先輩着いてきてたんですか!?」

 

「だって、優くん急に走っていっちゃうし、心配だもん!」

 

「すっ、すみません…とにかく、茜先輩は下がっててください。」

 

「えっ?優くんどうするの!?」

 

「まぁ、見ててください。けど、誰にも言わないで貰えると助かります。」

 

俺はそう言って、腰にインフィニティドライバーを巻き付け、ノーマルデータボトルを入れた。

 

「変身!」

 

俺は仮面ライダーインフィニティに変身した。

 

「えぇっ!?優くんが最近噂の仮面ライダーだったの!?」

 

「まっ、そういうことです。仮面ライダーインフィニティ!俺の強さは次元を超えるぜ!」

 

そして、俺はマスカレイド・ドーパントとの戦闘を開始した。

 

「オラッ!はぁ!ったく…毎度毎度、雑魚ばっかり来やがって…一気に決めるぜ!」

 

俺は腰のアタックバックルに1枚のカードを入れた。

 

『スペシャルアタック!インフィニティストライク!』

 

俺は飛び、残りのマスカレイド・ドーパントへ、下降しながらキックを放ち倒した。

 

「ふぅ…茜先輩、大丈夫ですか?」

 

「うっ、うん…ありがとう。でも、優くんが噂の仮面ライダーだったなんて…」

 

「まぁ…このことはあんまり言わないで貰えると、助かります。」

 

「分かった。でも、仮面ライダーとして人を守りながら、怪物と戦ってるなんてすごいね!」

 

「そっ、そうですか?」

 

「うん!かっこいいよ!じゃあ、私にも協力出来ることがあったら言ってね!優くんは私がスクールアイドルになるのを手伝ってくれるって言ってくれたし。」

 

「分かりました。じゃあ、茜先輩が危険な目に合わない程度にお願いしますね。」

 

それから、俺と茜先輩は家に帰った。




今回から、優の過去編が始まりました!1話目を書いてみて思ったのですが、少し長くなるかも知れません…そして、μ’sのメンバーでは、今回はにこが登場しました。優はにこと入学してきて、すぐあとから知り合っていましたね。
過去編では、にこ以外のμ’sのメンバーはあんまり出ないかも知れません…


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51話 学園祭と告白

はい、51話です。
今回で、過去編2話目。2話しかやってませんが、もう学園祭です。
では51話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺が音ノ木坂学院に入学し、生徒会副会長になってから約3ヶ月経過し7月になった夏休みの前日。今日は終業式だけで学校が終わり、俺と茜先輩は夏休みに入る前に出来るだけ生徒会の仕事をやっておこうと思い、生徒会室で書類を片付けていた。

 

「ふぅ…これでひとまず終わりましたね。」

 

「そうだね!相変わらず優くんの仕事は早いねぇ。」

 

「そうですか?茜先輩も早いと思いますけど…あっ、このあとアイドル研究部行きますよね?」

 

「うん!にこちゃんとも約束あるし。」

 

この3ヶ月の間、アイドル研究部への入部は認めてもらってはいないものの、俺と茜先輩はにことの仲を深めていた。今では3人でいることも多くなっでいる。

 

 

 

仕事を終え、俺と茜先輩はにこと合流して一緒に帰る道中、ワックに寄っていた。

 

「そういえば、あんた達が生徒会なのももうすぐね。」

 

思い出したように、にこが言った。

 

「そうだなぁ…俺が入ったのは3ヶ月前だし、早いもんだな…」

 

「なんか、あっという間だったね。」

 

「そういえば、次の会長と副会長はどうするんですか?」

 

「うーん…まだ決定じゃないけど、私と同じ2年生の絢瀬絵里さんと東條希さんって子にしてもらおうかなって思ってるんだ。」

 

「ゲッ…希!?」

 

「にこはその2人のこと知ってるのか?」

 

「え、えぇ…ちょっとね…」

 

なんか、にこは怯えているような感じだな…東條さんって人は、なんか怖い人とかなのか…

 

「私たちが生徒会の間にある大きな行事といえば、あとは文化祭だけだね。」

 

「そうですね。」

 

「あっ、そういえば…」

 

「にこちゃん?」

 

「どうかしたのか?」

 

「あんた達に聞きたいことがあったのよ。」

 

「聞きたいこと?」

 

「えぇ。2人って、付き合ってるの?」

 

「「……」」

 

にこの突拍子もない言葉に、俺と茜先輩は理解に遅れながら答える。

 

「はぁ?なんだよ急に…俺たちは別に付き合ってないぞ?ね、茜先輩?」

 

「へっ!?うっ、うううっうん!そっ、そうだよにこちゃん!私たちは、友達だよ?」

 

いや、茜先輩…そんな動揺してたら、逆に疑われないか…?

 

「ふーん…まぁ、別にいいけど…」

 

だが、聞いた本人は意外とあっさり興味をなくした。

 

 

 

 

 

しばらく雑談していた俺たちは、ワックを出てにこと別れた。

 

今は茜先輩がスクールアイドルになるためにこれまでダンスは練習してきてたらしいが、何か楽器も弾きたいということなので、ピアノを弾ける俺に教えて欲しいとの事なので、少し前から教えていた。

 

今日もピアノを教えるため、俺は茜先輩とともに自宅に向かっている。

 

しかし、驚いたことに茜先輩はピアノ未経験にも関わらず、上達が早く今ではそれなりに弾けるようになっている。

 

その代わりと言ってはなんだが、俺は茜先輩にダンスを教えてもらってる。ダンスはいろいろな基礎体力が付くため、ライダーの戦いにも活かせるかもしれないしな…俺、ライダーになったもののこれまで訓練とかしてなかったし…

 

 

 

今日の練習は終えた俺たちは、少しリビングで休むことにした。

 

「先輩、お茶で大丈夫ですか?」

 

「うん!ありがとね!」

 

「お兄ちゃんただいま!」

 

そこに優奈が帰ってきた。

 

「おかえり、優奈。」

 

「お邪魔してます、優奈ちゃん!」

 

「あっ、茜さんいらっしゃい!」

 

優奈も茜先輩とは何度か会ったことがあり、初めは優奈も『お兄ちゃんに女の人が!?』とか言ってあまり好印象を持っていなかったようだが、話しているうちに仲良くなったらしい。今では、連絡先まで交換してるとか…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優奈〜

 

はぁー!楽しかった!

 

私が家に帰ると、お兄ちゃんが茜先輩を連れてきていたので、私も一緒にお話しさせてもらった。

 

お兄ちゃんが初めて茜さんを連れてきた時は、少し邪険に見ていた。お兄ちゃんが変な女に誑かされてるんじゃないか…とか考えちゃったりして…

 

女子校の共学化試験生になったということもあって、お兄ちゃんが女の人と関わることが多くなるのは私も分かっていたけど、やはり少し心配だった。でも、茜さんが何度か家に来てお話ししているうちに、この人はすごくいい人だと感じた。この人なら、お兄ちゃんを任せても大丈夫と思った。

 

連絡先を交換し、更に話すようになった私と茜さん。そんな時、2ヶ月前からお兄ちゃんのことが好きなんだと茜さんに相談された。茜さんも必死にアピールしているらしいけど、お兄ちゃんは全く気づいてないらしい…お兄ちゃんらしいといえば、そうだけどね…

 

でも、この前『お兄ちゃんって好きな人はいないの?』ってさりげなく聞いてみたけど、『俺なんかが人を好きになっちゃいけないから…』ってお兄ちゃんは暗い顔をして答えた。その理由は分からないけど、その時のお兄ちゃんの顔は、とても寂しそうだった…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

夏休みが明けて少し経った。

 

今日は俺と茜先輩が生徒会としての最後の大きな仕事である学園祭の日だ。

 

「いやぁ、今日の学園祭が終わったら、私たちの仕事も生徒会のまとめだけだね。」

 

「そうですね。けど、今日の学園祭ではほとんど仕事ないですけどね。」

 

「確かにそうだよねぇ…」

 

今日の学園祭では、生徒会長と副会長はあまり仕事がないのだ。あるとしたら、生徒会長が初めと終わりに挨拶するくらいだ。

 

「……」

 

話しながら歩いていた俺たちだったが、茜先輩が急に黙った。

 

「茜先輩?」

 

「あっ、あのさ…今日の学園祭が終わったあとに、少し話したいことがあるんだけど、いい?」

 

その言った茜先輩の声は、どこか震えていて緊張しているようにも聞こえた。

 

「えっ、大丈夫ですけど…終わったあとなんですか?」

 

「うん!だから今は学園祭を楽しもう!」

 

それからはいつも通り、にこと合流もして学園祭ので店などを回った。しかし、今日の茜先輩の笑顔はやはりどこか緊張してるように見えた。

 

 

 

学園祭も終わりに近づき、今は生徒会長である茜先輩が閉会の挨拶をしている。そういえば、茜先輩がこのあと話があるって言ってたな…なんだろ…

 

 

 

俺は茜先輩に呼ばれて屋上に来ていた。

 

「すみません、おまたせしました。」

 

「ごめんね、急に呼び出して…」

 

「いえ、それで話って…?」

 

「あのね、単刀直入に言うね。」

 

「はっ、はい…」

 

いつになく真剣な表情の茜先輩に、俺も少し緊張してしまう。

 

「あのね…わっ、私ね…優くんのことが好きです!もし良かったら、私と付き合ってください!」

 

「えっ?」

 

茜先輩の口から出た言葉は、俺の予想だにしていなかった言葉だった。

 

「あっ、ごっ、ごめんね。急にこんなこと言って…」

 

今の茜先輩の顔はトマトの様に赤く、手足などは緊張のためか少し震えている。

 

正直、茜先輩みたいな可愛くて優しい人に告白されたのは、とても嬉しい。けど、俺なんかがこんなに良い人と付き合っていいのか…

 

この時俺は、何故かこう思ってしまった。俺は何故だか分からないが、俺なんかが人を好きになってはいけないと思ってしまう。けど、俺が正直に茜先輩のことをどう思ってるか…そう考えると、答えは決まっていた。

 

「俺で良かったら、よろしくお願いします!」

 

そして、俺と茜先輩は付き合うことになった。




という事で優と茜が付き合うことになりました!

そして、何故優は自分が恋愛をしてはいけない、と思ってしまうのでしょうか?恐らく、この答えは今後ラブライブ!2期の中で、明かされると思います。

そして、過去編も終わりに近づいてきています。過去編のあとに、少しだけオリジナルを書くかもしれないので、ラブライブ本編はもう少しあとになってしまうかもしれません。


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52話 にこの決意…

はい、52話です。
今回で、過去編3話目!
今回、2人のμ’sメンバーが登場します!
では52話!スタートです!


〜side 優〜

 

俺と茜が付き合うきっかけとなった文化祭から約2週間が経った。ちなみに、茜に付き合う際に「彼女になったんだから、先輩付けずに呼んでね!敬語も禁止!」と言われ、今はタメ口で茜と呼んでいる。

 

「よし、これで終わり!」

 

生徒会最後の書類をまとめ終えた茜がそう言った。

 

「これで、生徒会も終わりか…早かったな…まぁ、俺は途中からだったから9ヶ月と少ししかやってないってのもあるけど…」

 

「でも、優くんが生徒会に入ってくれて本当に良かったよ!優くんみたいに素敵な彼氏と出会えたし!」

 

「ちょっ、そんな恥ずかしいこと、急に言うなよ…//」

 

茜の言葉に俺は顔を赤くしてしまった。

 

「あっ、優くん赤くなってる〜!」

 

「うっ…//そっ、そんなことより、もうすぐ来るんだろ?次の生徒会長と副会長。」

 

「うん、引き継ぎがあるし、もうすぐ来ると思うけど…」

 

茜がそう言った時、

 

コンコンコン

 

「「失礼します。」」

 

そう言って、2人の女の人が入ってきた。1人は金髪の女の人、もう1人は紫がかった髪の女の人。正直言って2人ともかなりの美人。

 

まぁ、そんなこと言ったら茜の機嫌が悪くなりそうで怖いから言わないけど…あれ?この人達、俺が初めて変身した時に助けた人達だ…

 

「絢瀬さん、東條さん。じゃあ、早速だけど色々と生徒会の説明などをしていくね。」

 

どうやら、絢瀬先輩と東條先輩という名前のようだ…茜は絢瀬先輩と東條先輩に説明し始めた。

 

 

 

しばらくすると、茜が説明を終えた。

 

「うん。だいたい、このぐらいかな。じゃあ、これからよろしくね!」

 

「はい。茨城さんと仮野くんの仕事をしっかりと引き継げるように頑張ります。」

 

「うん、頑張ってね。生徒会長は、生徒が楽しめる学校生活にすることが大切なの。でもね、生徒が楽しめる学校生活にするためにはまずは自分が楽しまないと何が楽しいのか分からないと思う。だから自分も、みんなも楽しめるような学校にしてね!」

 

そういえば、俺が生徒会副会長になった時も同じようなことを言われたな…茜が言った言葉を聞いて、俺は生徒会副会長になった時のことを思い出していた。

 

でも、その言葉を聞いた絢瀬先輩は、少し不安げな顔をしていた。

 

「じゃあ、改めてこの学校をよろしくね!」

 

「「はい!」」

 

そして茜と俺は、絢瀬先輩と東條先輩に生徒会長と副会長を引き継いで、生徒会室を出た。

 

 

 

「とうとう、終わったな…」

 

生徒会室を出た廊下を歩きながら茜に言った。

 

「そうだねぇ…」

 

「まぁ、肩の荷が降りたって感じはするけど…」

 

「そうだね。優くん!」

 

「えっ?」

 

「共学化試験生というだけでも大変なのに、1年生で生徒会副会長になって私のサポートをしてくれて、本当にありがとう!!」

 

茜は満面の笑みでそう言った。

 

「茜…俺の方こそ、生徒会に誘ってくれてありがとう!茜のおかげで、本当に毎日楽しかったよ!」

 

「優くん…って、なんか湿っぽくなっちゃったね。卒業するってわけでもないのに。」

 

「そうだな…」

 

「よし、じゃあにこちゃんのところに行こうか?」

 

「そうだな。しっかりと引き継ぎ出来たって言っとかないと。」

 

 

 

そして、俺たちはアイドル研究部の部室にやってきた。

 

「よー、にこ!」

 

「にこちゃん、こんにちは!」

 

「あんた達、ちゃんと生徒会の引き継ぎしたの?」

 

アイドル研究部の部室に入ってきた俺たちに、にこがそう聞いてきた。

 

「あぁ、しっかりとしたぜ!」

 

「いやぁ、やっと肩の荷が降りたよぉ…」

 

俺たちがそう言うと、

 

「あんた達に、話したいことがあるの。」

 

にこがいつになく真剣な顔つきで言ってきた。

 

「どっ、どうしたの?」

 

「なっ、なんかあったのか?」

 

いつもどっちかと言うとボケが多いにこが、真剣な表情になって言ってきたことに俺と茜は少し驚く。

 

「私、もう逃げるのはやめるって決めた。だから、来年の1月からまたスクールアイドルを始めようと思ってるの。にこは、茜と一緒にやりたい!」

 

その言葉を聞き、俺たちの表情は一気に明るくなる。

 

「もちろんだよ!にこちゃん、頑張ろうね!」

 

「俺も出来るだけ手伝うから、なんでも言ってくれ!」

 

「2人とも…ありがとう!」

 

こうして、にこがスクールアイドルをまた始める決心をしたのであった…




とうとう、茜と優は生徒会の仕事を終えましたね。そして、絵里と希も登場しました!
そして、にこがスクールアイドルを始めると…しかし、その後どうなるのか…
では、過去編もあと1、2話だと思います。見てもらえると、嬉しいです!


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53話 聖夜の悲劇…

はい、53話です。
今回で、過去編ラストです。そして、タイトル通り悲劇が…
では53話、スタートです!


〜side 優〜

 

俺と茜の生徒会の任期が終わり、絢瀬先輩と東條先輩が生徒会長と副会長になってから2ヶ月と少しが経った。

 

今日は12月24日、クリスマスイブ…だけではなく、茜の誕生日だ。今日茜には誕生日だからとは言わずに、クリスマスイブということでデートすることになった。

 

俺がこの世界に来てから初めてのクリスマスイブで、前世ではクリスマスはいつもリア充め…などと思っていた気がする。まぁ、前世での記憶はないから分からないけど…

 

そんなことを考えていると、待ち合わせ場所に茜がやってきた。

 

「お待たせ!待った?」

 

「いや、俺も今来たところ。」

 

デートの待ち合わせでの定番の言葉を言った俺たち。ちなみに、今日は街の公園で待ち合わせている。

 

「それにしても、人多いね。」

 

「まぁ、クリスマスイブだしな…」

 

「でも、この前あんなに多くの人が倒れたりしたばかりなのにねぇ…」

 

「今じゃ、そんな面影はあんまりなくて平和な感じだな。」

 

つい2週間前、グラファイトが起こしたゲーム病大量感染があった。その時は、永夢さんたちが解決してくれたようだが、その2日後にDr.パックマンこと、財前美智彦が引き起こしたゲーム病大量感染が再び起こった。その時は俺と永夢さんだけでなく、仮面ライダーゴーストの天空寺タケルさん、仮面ライダードライブの泊進ノ介さん、仮面ライダーウィザードの操真晴人さん、そして進之介さんは神様と呼んでいたが仮面ライダー鎧武も協力の元事件を解決した。

 

その際、ベルトさんがいなくて変身できない進之介さんにベルトさんを預けた。そのため、俺は今ロイミュードが現れたら姉ちゃんとベルトさんが協力して作ったドライブドライバー2号機で戦っている。

 

まぁ、このように立て続けにゲーム病大量感染があったにもかかわらず、今はクリスマスムード一色だ。

 

 

 

その後、俺と茜はショッピングモールに行き、いろんな店を見たり食事をしたり、ゲームセンターでゲームをしたりした。そんな風に過ごしていると、すぐに日が暮れ夜になった。クリスマス仕様のイルミネーションとクリスマスツリーを観るため、デートスポットとして少し有名な場所までやって来た。

 

「わぁ、綺麗だね!」

 

「そうだな。あのさ、茜。」

 

「どうしたの?」

 

「誕生日おめでとう!」

 

そう言って、俺は包み紙で包まれたプレゼントを渡した。

 

「えっ、これ私に?」

 

「もちろん。クリスマスイブに誕生日って聞いたから、プレゼント。」

 

「優くん…ありがとう!」

 

茜はお礼を言いながら、俺に抱きついてきた。

 

「ちょっ、あっ、茜…//人多いし、抱きつくのは…//」

 

「あっ、ごっ、ごめん…//」

 

ここに大勢の人がいることを思い出した茜は、顔を真っ赤にさせた。まあでも、他のカップルの中にはキスしてる人も見たけど…もちろん俺にそんな度胸はありません…

 

「これ、開けていい?」

 

「あぁ、もちろん。」

 

「うわぁぁ。これって今日、優くんが付けていた。」

 

茜が開けた箱には、腕につけるブレスレットが入っていた。実は今日、このブレスレットと同じものを俺が付けていた。

 

「なにかお揃いのもの買いたいなって思って…」

 

ちょっと重いかなとも考えたんだけどな…

 

「優くん、ありがとう!!」

 

そう言って、早速茜は腕にブレスレットを付けた。

 

「優くん、一生大事にするね!」

 

「一生もか?」

 

「うん!好きな人からもらったものだもん!」

 

すると、茜は次の言葉を発する際、更に満面の笑みを浮かべる。

 

「優くん。大好きだよ!!」

 

茜のその言葉に、再び俺の顔が真っ赤になってしまった。その時…

 

「「「「「「「「きゃぁぁぁぁぁ!」」」」」」」」

 

イルミネーションを見に来ていた人が叫びながら逃げ始めた。逃げる人の奥には、1体の怪人が…

 

「優くん、あれって…」

 

「あぁ、すぐ終わらせてくる。変身!」

 

俺は仮面ライダーインフィニティに変身した。

 

「あら、あなたが噂の仮面ライダー?」

 

怪人がそう聞いてきた。

 

「あぁ。仮面ライダーインフィニティだ。俺の強さは次元を超えるぜ!それにしても、ドーパントでもヤミーでもゾディアーツでもないな…俺の知らない怪人…お前、何者だ?」

 

「ふふふっ、私は財団Xの幹部怪人、アデュサよ。」

 

「幹部か…クリスマスなのにデートとかないのかよ?暇なのか?」

 

「うふふ。今からよ?仮面ライダー、あなたとのデート(戦い)よ!」

 

「生憎だが、俺は彼女とデート中なんだよ。」

 

「あら、残念…」

 

「でも、幹部みたいな危険なやつ、放置するわけにはいかないな。少しだけなら相手をしてやる。はぁぁぁっ!」

 

内心幹部と聞いて少し焦ったが、俺はアデュサへ攻撃を仕掛ける。

 

「やぁっ!はぁっ!」

 

「ふふふ…噂に聞いてた通り、数々の財団Xの怪物たちを倒してきただけはあるわね。でも、私には到底及ばないわ。」

 

「言ってくれるねぇ…だったら!」

 

俺はアタックバックルに、インフィニティストライクカードを入れた。

 

『スペシャルアタック!インフィニティストライク!』

 

「はぁぁぁっ!」

 

俺は1度上空に飛び、降りながらキックを放ったが、アデュサに弾かれて強制変身解除してしまった。

 

「ぐはぁぁっ!?こいつ、強い…」

 

「優くん!」

 

「茜、来ちゃダメだ!」

 

「ん?ふふふふ…」

 

アデュサは茜を見た瞬間、不気味な笑い声をあげた。なにをする気だ!?

 

「フフフ、はぁぁぁっ!」

 

すると、アデュサは銃を取り出し、俺に向けて撃ってきた。

 

「っ!?」

 

その時、俺は死を覚悟した。しかし、俺には当たらなかった。

 

「えっ……?」

 

俺が顔を上げた時、信じられない光景を目にした。茜が俺を庇って、茜の腹に銃弾が当たっていた。その様子を見て、再び「ふふふ」と笑い銃を近くの草むらの方に投げ捨てるアデュサ。

 

「…あか…ね……?おい、茜!しっかりしろ!なんで…俺なんかを庇って…」

 

「ゆう…くん…最後に…1つだけお願い聞いて…くれる…?」

 

「最後とか…言うなよ…」

 

俺は涙を流しながら、茜の言葉を聞く。

 

「お願い…私が死んでも、優くんは生きて、ね…これからも、みんなを守り、続けてね…今まで…本当にありがとね…

優…くん…大好きだよ…!」

 

「そんなの…俺も茜のこと、大好きに決まってんだろ…!」

 

そう言って、茜は目を閉じた…

 

「あか、ね…?おい、嘘だろ!茜!とっ、とにかく救急車を…」

 

俺は咄嗟にスマホを取りだし、救急車を呼んだ。

 

「健気な子ね。大事な人を守るために、自ら命を落とすなんて。」

 

そんな俺に、アデュサがそう言った。

 

「てめぇ!まさか、このために俺を狙って…うおぉぉぉぉ!」

 

俺は怒りに任せて、変身もしないでアデュサに殴りかかっていた。

 

「変身もしないで、勝てるわけないでしょ。はぁ!」

 

そして、アデュサは俺の頭を掴んできた。

 

「くっ…何する気だ!?」

 

「へぇ、なるほどねぇ…」

 

そう言って、アデュサは俺を投げ落とした。

 

「次戦える時を楽しみにしてるわね。仮面ライダー。」

 

「待て!」

 

そう言って、アデュサは去っていった。

 

俺が茜の様子を見に行くと、2つの撃たれた跡から血が流れていた。クソ…救急車、早く来てくれ!

 

そして数分後、俺が呼んだ救急車がきた。

 

 

 

茜が運ばれた病院は聖都大学附属病院。飛彩さんが手術を担当した。

 

俺は手術室のすぐそばの待合室で待っていた。ただ茜が生きていることを願って…

 

そこに永夢さんと明日那さんが来た。

 

「優くん…」

 

「何があったの?」

 

永夢さんと明日那さんが質問に答えるため、俺はアデュサが現れた時の出来事を説明した。

 

「そんなことが…」

 

しばらくすると、飛彩さんが手術室から出てきた。

 

「飛彩さん!」

 

「飛彩、結果は?」

 

永夢さんと明日那さんが結果を聞いた。その時の飛彩さんの表情は、暗いように見える…

 

まさか…!?

 

「すまない…運ばれてきた時には、もう…手遅れの状態だった…」

 

「嘘…だろ…」

 

俺はその場に座り込んでしまった…

 

「茜が…死んだ…?」

 

 

 

『はじめまして!私はこの学校の生徒会長をしています。3日後から2年生の茨城茜です!よろしくね!』

 

 

『今日からよろしくね、優くん!』

 

 

『あのね…わっ、私ね…優くんのことが好きです!もし良かったら、私と付き合ってください!』

 

 

『優くん。大好きだよ!!』

 

 

 

その時、茜とのこれまでの思い出が、一気に頭をよぎった…

 

「俺の…せいだ…俺を庇ったせいで…俺が仮面ライダーだから…俺と一緒にいたせいで…茜は…死ん…クソォォォォォォォォォォォォォォッ!」

 

 

俺は涙を流しながら、そう叫んだ…ただひたすらに、涙を流し続けた。

 

 

 

 

 

それから、2週間近くが経った。今日から、3学期。しかし2週間経った今でも、俺は茜のことが吹っ切れてなかった。当たり前だ。大切な彼女で、俺の心の支えでもあったんだから…

 

そんな俺は、茜の死をきっかけに変わったことがある。1つは、毎日朝と夕方にランニングを始めたことだ。理由はもう二度と誰も死なせないために、もっと強くなるためだ。

 

2つ目は、ピアノを弾かなくなった。いや、弾けなくなった…ピアノを弾こうとすると、茜との思い出を思い出して手が動かなくなってしまう。茜と一緒にやっていたダンスも、今はやろうという気にすらなれなかった…

 

 

 

3学期の始業式を終え、今俺はスクールアイドル研究部の部室に来ていた。

 

「茜が転校!?」

 

にこに茜が転校したと説明するためだ。理事長の判断で、生徒は一緒にいた俺と今の生徒会長と副会長である絢瀬先輩と東條先輩以外には、茜は転校したと説明することになった。

 

「あぁ、俺も今日先生から聞いたんだよ…なんか、急だったらしくて。それで、先生が茜からにこへの伝言があるって聞いたから、それを俺が聞いて伝えにきたんだ。」

 

「なんか、ややこしい言い方ね…で、伝言って?」

 

「『にこちゃん、今までありがとう!急で直接言えなくてごめん。一緒にスクールアイドルやりたかったよ…』らしい。」

 

「そう…私も、あんたとスクールアイドルをやりたかったわよ…」

 

そう言ったにこは、とても悲しい顔をしている。

 

「にこはその…続けるのか?スクールアイドル。」

 

「……いいえ…茜がいないなら、私は…」

 

「そうか…」

 

「悪いわね…」

 

「別に、謝ることじゃない。茜がいなかったら、にこは1人でやることになる。だから、また本当に信頼出来る仲間に出会えたら、頑張れよ…」

 

「えぇ、そうするわ…」

 

「じゃあ、そろそろ行くわ。」

 

「えぇ、またね。ねぇ、優。」

 

「なんだ?」

 

「なんであなた、今そんなに辛そうな顔してるの?茜が転校したからってだけじゃ、なさそうなぐらい辛そうな顔してるわよ…」

 

「っ!?そうか?そんなことねぇよ……にこ、お前は俺に…いや、俺と茜にとって最高の親友だ!」

 

「なっ、何よ急に?」

 

俺の突然の発言に、にこは驚いていた。

 

「じゃあ、にこ……さようなら…」

 

「えっ?」

 

俺はそう言って、アイドル研究部の部室から出た。

 

 

 

もう1つ、俺に変わったことがある。それは、人との関わりを出来るだけ持たないようにしようと思ったことだ。理由は、俺が仮面ライダーだから。また茜のように、俺のせいで死んでしまう人を出さないため。

 

だから俺にとって、転生してから恐らく1番の親友である、にことの関わりを減らすことにした。もちろん辛い…あいつも、本当に大切な存在だから。でも、そうしないとにこを危険な目に遭わせてしまうかもしれない…だから、俺はにこに『またな』ではなく、『さようなら』と言った。これからは、『にこ』としてではなく、『矢澤』として接していくために…




はい、今回で過去編は終了です。もっと長くなるかと思ったのですが、4話にまとめてしまいました。本当は、絵里との話とかもっと書きたいところがあったのですが、今回はここまでにしました。もしかしたら、また書く時があるかもしれません。
次回でオリジナル、そして1期編は終了です。


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8章(1期最終章) 新たな謎編
54話 優の決意


はい、54話です。
今回から、現代編に戻ります。
では54話、スタートです!


〜side 優〜

 

「これが俺と茜にあった出来事だ。まぁ、勘づいていた部分もあるかもしれないけどな…」

 

俺は自身の過去を話し終えた。

 

「じゃあ、茜は…やっぱり…」

 

そう言った矢澤の表情はとても暗い。やっぱり、矢澤にとっても茜の死はかなりショックなんだろう…

 

俺の話を聞き終えた部室には重苦しい空気になり、沈黙が流れる。

 

その空気を壊すためにも、俺が話し始める。

 

「みんな…これまで俺は、みんなとの関わりを減らそうとしたり、迷ったりうじうじしたりもした…でも、もうそれも終わりだ!これからは茜と約束したとおり、財団Xから…人間の命を脅かす存在から、みんなを守る!だから…」

 

 

「穂乃果、ことり、海未、花陽、凛、真姫、にこ、希、絵里。改めて、俺をμ’sのマネージャーにしてください!」

 

 

そう頭を下げた俺に対し、

 

「「「「「「「「「もちろん!こちらこそ、よろしくお願いします!」」」」」」」」」

 

みんながそう言ってくれた。

 

「よし!どんよりとするのはここまで。優も復活したんだし、あの時の続きをしましょ?」

 

絵里の言葉で、重苦しい空気が明るく変わった。

 

「あの時?」

 

「はい。少し前、廃校阻止を記念してパーティーをしたんですけど、優が復活したらもう一度しようと話していたんです。」

 

「だから今度は、廃校阻止とμ’sが再びライブをしたのと、優くんの退院記念のパーティーだね!」

 

海未と穂乃果が言った。

 

そしてパーティーをするため、さっきまでいたアイドルグッズなどが置いてある狭い方の部室から、新しく出来た広い部室まで移動すると、いろんな料理などが置いてあった。

 

「じゃあ、みんな!」

 

「「「「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」」」」

 

全員で乾杯して、パーティーが始まった。

 

「そういえば、優くんか私達のことをずっと名前で呼ばなかったのって、あんまり関わろうとしなかったからだよね?」

 

そうことりが聞いてきた。

 

「えっ?まぁ、そういうことになるな。」

 

「フフッ、優くんってちょっと抜けてる所があるね。」

 

「そうか?ってか、穂乃果に言われたくねぇよ!」

 

「えぇ!?」

 

「確かに、穂乃果に言われるのはどうかと思いますが、穂乃果の言う通りですよ。」

 

「海未ちゃんまで!穂乃果に言われたくないってどういうことぉ!?」

 

「そのまんまの意味です。」

 

「それより、俺が抜けてる所があるってどういうことだよ?」

 

「だって、いくら関わろうとしないために名前で呼ばなかったとしても、本当に仲良くなりたいって思う人とはいつの間にか仲良くなってるものよ?」

 

絵里がそう説明した。

 

「確かに、そうかもしれないけど…」

 

俺は確かにと思う部分もあった。

 

「っていうか、優は茜がいなくなるまでにこのことを名前で呼んでいたのに、急に呼ばれなくなったにこの気持ち考えなさいよ!……私のこと…嫌いになってしまったのかと思ったのよ…」

 

にこが少し顔を赤くしながら言ってきた。

 

ん?最後の方なんて言っいたのかが、小さすぎて聞こえなかったな…

 

「うぅ…それは、悪かったよ…」

 

「もういいわよ。その変わり、これからはしっかりにこたちのことをサポートしてもらうわよ!」

 

「あぁ。もちろん!」

 

「優。」

 

「ん?」

 

「おかえり、優!」

 

「ただいま、にこ!」

 

俺はにことして接していた頃に戻ったということを意味して、「ただいま」と言った。

 

「そういえば、話を聞いてて思いましたが、優が手に付けてる2つのブレスレットって…」

 

「あぁ、誕生日に俺があげた俺と茜のブレスレットだ。茜が死んだあとどうするか迷ったけど、結局ずっと俺が2つとも付けてたんだ。」

 

海未の質問に、俺は手についているブレスレットを見つめながら答えた。

 

 

 

それからみんなでパーティーを楽しんでいると、あることを思い出した。

 

「あっ!」

 

「ヴェェ!?ちょっと優。どうしたのよ?急に叫んで…」

 

俺が叫んだことに、真姫を初めみんな不思議そうに俺を見てきた。

 

「いや、すっかり忘れてたけど…穂乃果、ことり。」

 

「「あぁ!!」」

 

「そうだよ!」

 

「私たち、すっかり忘れてた!」

 

穂乃果とことりも思い出したようだ。

 

「2人もどうしたのです?」

 

穂乃果とことりとは反対に、他のメンバーは更に不思議そうな顔になる。

 

「それが…」

 

「なんでか分からないけど…」

 

「この2人、仮面ライダーに変身したんだ…」

 

「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」

 

「でも、なんでなのかは全然分からないんだよな…まぁ、姉ちゃんに言って、調べてもらうよ。」

 

「そういえば、優くんのベルトって優香さんに貰ったんだよね?」

 

「優香さんって発明家なの?」

 

「いや、そういう訳じゃないけど…」

 

女神様なんて、言えるわけない…

 

「それにしても、穂乃果とことりが変身したなんて…」

 

「スピリチュアルやね…」

 

「あっ、仮面ライダーで思い出したけど、優くんや穂乃果ちゃんやことりちゃん、それから前に会ったお医者さんたち以外にも、仮面ライダーっているのかにゃ?」

 

「それはもちろん。他にもたくさん先輩の仮面ライダーがいる。」

 

「それじゃあ、優くんが1番よく使ってるベルトで変身するライダーっているのかにゃ?」

 

「俺が1番よく使ってるベルトって、インフィニティドライバー…これのことか?」

 

俺はインフィニティドライバーを見せながら言った。

 

「あっ、そうにゃ!」

 

「インフィニティドライバーで変身するやつなんていないはず…あっ、いや、1人いたな…」

 

「えっ、どんな仮面ライダーだったの?」

 

「ことりは見たと思うけど、アデュサを倒しかけた時に現れたやつだ。逃げようとしたアデュサを倒したんだが、どうやら財団Xのライダーで、アデュサがなんでかは知らないが裏切ったらしくて、抹殺しに来たらしい。また厄介な敵が現れたもんだ…」

 

「えっ、その仮面ライダーって緑色だった?」

 

「いや、なんでか分からないけど俺と全く同じ姿で、色だけが黒くなってた感じの見た目だ。まさにダークライダーって感じだな…」

 

「そっか…」

 

俺の言葉を聞いて、安心したように凛が言った。

 

「急にどうしたんだ?」

 

「優くんが眠ってた時に、怪物に襲われそうになったんだ…その時に優くんと同じベルトで、緑色の仮面ライダーが助けてくれたんだにゃ。けど、凛を見た瞬間なんでか驚いてどっかいっちゃったから、お礼が言えなかったんだ…」

 

「俺と…同じベルト…?」

 

どういうことだ…?あの俺と同じ姿の黒いやつに、凛が見た緑の仮面ライダー…2人も俺と同じベルトのライダーが現れるなんて、どういうことだ…?

 

「分かった。こっちでも調べてみるよ。」

 

「ありがとにゃ!」

 

「それにしても、謎が増えるばかりだな…穂乃果とことりが変身して、俺と同じベルトで色違いの敵のライダーが現れて、敵か見方かも分からないライダーまで俺と同じベルトなんて…」

 

「凛を助けてくれた仮面ライダーは、絶対に見方ニャー!」

 

「あぁ、そうだといいな…ただでさえ、俺が変身出来ない状態だし…」

 

「「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」」

 

俺の発言にみんなは驚いていた。

 

「あぁ、言ってなかったっけ?この前のアデュサとの戦いで調子に乗って、連続で色んなライダーのパワーアップフォームへの変身を繰り返したから、ワープカードとかを使う時以上のライダーエナジーを使ってしまったんだ。それでライダーエナジーがなくなって、今は変身できない状態なんだ…」

 

「そうだったんだ…」

 

「でも、今は穂乃果も変身出来るんだし!」

 

「ことりも戦えるよ!」

 

「あぁ、そうだ。そのことで話がある。恐らく、あのクウガと龍騎に変身できるのは穂乃果とことりだけだと思うが、中途半端な気持ちでは変身しないで欲しい。」

 

「「……」」

 

その俺の言葉を聞き、さっきまで笑顔だった穂乃果とことりの表情が真剣なものに変わる。

 

「仮面ライダーの力は危険だ。悪用なんてしたら、大勢の犠牲者だって出でしまう…2人がそんなことはしないのは分かってるが、仮面ライダーの力ははっきり言って敵の力と同じみたいなものだ。それぞれのライダーが敵を倒すために、その敵と同じ力を正義のために使っている戦士が仮面ライダーだ。」

「それに、アデュサの時の俺のように、私利私欲や復讐のために戦うと勝てる相手にも勝てなくて危険な目に遭ったり、下手をすると暴走して他の人を危険な目に遭わせたりすることもあるかもしれない…それに、俺は2人に危険な目に遭って欲しくない。これを踏まえて、2人はどうする?」

 

「穂乃果は…それでも、危険な目に遭う人をただ見てるなんて出来ない!穂乃果は誰かの笑顔を守るために戦うよ!」

 

「ことりも、みんなを守るために戦いたい!」

 

「まぁ、そう言うと思ったよ。2人が本当に危険な時は俺が守る!だから、無茶だけはするな。」

 

「「うん!」」

 

「あっ、それとことり。なんでお前の手紙の中に、クジャクとコンドルのコアメダルが入ってたんだ?」

 

「あれはことりにもよく分からないんだ…私の家のポストに封筒が入ってて、その封筒の中にあのメダルが入ってたの。差出人の名前に、「無限の闇」とは書いてたんだけど、それ以外は何も…」

 

「無限の闇…?」

 

一体誰なんだ…?っていうか、なんかすっごい胡散臭い名前だな…

 

「まぁ、今考えても仕方ないか…よし!今日はせっかくのパーティーだ。今からは、めいっぱい楽しもうぜ!」

 

俺たちはパーティーを楽しんでいると、いつの間にか日が暮れかけていたため、今日は片付けて解散することになった。

 

 

こうして、ことりの留学や穂乃果が倒れたりで一時はバラバラになりかけたμ‘sの問題も、俺の因縁の敵であったアデュサが再び現れた問題も解決し、またμ‘sのみんなと共に過ごす日々が戻ってきた。

 

しかし、俺はまだ知らなかった…これから俺たちにさらなる困難が待ち受け、危機が迫ってることを…そして、まだ俺自身も知らない俺の過去が、俺を更に苦しめることになることを…

 

そして、μ‘s9人にとても大きな秘密があったということを…




54話、どうでしたか?これが本当の意味で、優がμ‘sのマネージャーになったという感じですかね?

そして、前回ラストと言っていましたが、オリジナルの話、そして1期編は次回で完結となります。

その次からはとうとう2期に入ります!2期編では、さらにオリキャラが出ます!そして、最後に優が言っていたことについても書いていくので、よければこれからも読んでください!


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55話(1期最終回) 新たな謎

はい、55話です。
今回で、とうとう1期編最終回!いや、ここまで早かったような短かったような…あと、まさかのギリギリクリスマス中に終わらせました!
そして、1期編最後なのにμ’sのメンバーは全然登場しません…すいません…
では55話、スタートです!


〜side 優〜

 

パーティーが終わり、俺は家に帰ってきた。

 

「ただい「お兄ちゃん!おかえり!」うわぁっ!?」

 

俺が「ただいま」と言い切る前に、優奈が抱きついてきた。

 

「ちょっ、優奈!帰ってきてそうそう抱きつくなよ。」

 

「いーや!お兄ちゃんはずっと私を心配させてたんだから、これからはもっと甘えるんだー!」

 

優奈は俺が意識不明になったのが相当辛かったようで、昨日帰った時はもっと大変だった…

 

 

 

〜回想〜

 

μ’sの復活ライブが終わり、今日は解散となったため俺は家に帰ろうとしていた。すると、復活ライブを見に来ていた亜里沙ちゃんと雪穂ちゃんを見つけたので、優奈はいないのかと聞くことにした。

 

「あっ、優さーん!目が覚めたんですね!」

 

俺を見つけた亜里沙ちゃんがそう言いながら飛びついてきた。

 

「わっ!?ちょっ、あっ、亜里沙ちゃん!?」

 

「ちょっと亜里沙!いきなり飛びついたら、優さんに迷惑でしょ。」

 

亜里沙ちゃんを追いかけてきた雪穂ちゃんがそう注意した。

 

「あっ、すみません…」

 

亜里沙ちゃんは顔を少し赤らめながら謝ってきた。

 

「いや、大丈夫だよ。心配してくれてありがとな。」

 

俺が頭を撫でるとさらに顔を赤くした。やばい、怒らせたか…?

 

「あっ、ごめんごめん。優奈にしてるようにやっちまった…あっ、そういえば優奈は今日来てないのか?」

 

「それが…優奈、連絡しても全然元気なくて…」

 

「優香さんに聞いてみても、ずっと部屋に引きこもってるらしくて、優さんが眠ってた間1回も学校来てないんです…」

 

「そうか…分かった、ありがとう!すぐ優奈のところに行ってくる!」

 

そう言って、俺は音ノ木坂学院を出て家に向かって走り出した。

 

 

 

俺が久々の家に帰ると誰もいない…

 

優奈は部屋か?

 

そう思い優奈の部屋の前に行くと、啜り泣くような声が聞こえてきた。俺が優奈の部屋を開けると、声の正体がやはり優奈だということが分かった。

 

「うぅ…お兄ちゃん…ヒグッ…グスッ…」

 

「何泣いてんだよ?」

 

俺が優奈にそう聞くと、優奈はこちらを見て何度も目を擦り、俺を戸惑いながら見つめてきた。

 

「…お兄…ちゃん…?」

 

「悪い、心配かけたみたいだな…」

 

「おっ…お兄ちゃん!」

 

凄い勢いで優奈が俺に抱きついてきた。

 

「ちょっ、くっつくなよ…」

 

「もう、どれだけ心配かけたと思ってるの!もうあんな無茶はしないでね…」

 

「あぁ、悪い。心配かけたな…」

 

「これからはもっとお兄ちゃんに甘えるから、覚悟しといてよね!」

 

「いやぁ…それは程々にして欲しいかな。」

 

〜回想終了〜

 

 

 

とまぁ、こんな感じで優奈がさらに甘えてくるようになった。

 

「優奈、そういえば姉ちゃんは?」

 

「うーん、もうすぐ帰ってくるとは思うけど…」

 

「そっか…帰ってきたばかりで悪いんだけど、ちょっとだけ出かけてきてもいいか?」

 

「えー…もう、ちゃんと帰ってきてね!」

 

「分かってるよ。じゃあ、行ってくる。」

 

 

 

俺は家を出て、スマホを取りだし電話をかけた。

 

『プルルルルルル ガチャ』

 

「もしもし、姉ちゃん?今ちょっと大丈夫か?」

 

『えぇ、私も今から帰るところだけど、どうかしたの?』

 

「ちょっと、話したいところがあるんだ。家では余り話せないんだけど…」

 

『分かった。じゃあ、ワックでいい?』

 

「あぁ、大丈夫。じゃあ、家から1番近いワックで待ってる。」

 

俺は電話を切って最近では定番になってきているワックへ向かった。

 

 

ワックに着いた俺は適当に飲み物とバーガーを頼み、姉ちゃんを待っていた。

 

数分待っていると、姉ちゃんがやってきた。

 

「それでどうしたの?こんな所に呼び出すなんて、ライダーの話?」

 

「あぁ。悪いな、急に呼び出して。」

 

「ちょうど良かったわ。私も話したいことがあったのよ。」

 

「なら良かった。姉ちゃんから話すか?」

 

「ううん、優くんから話して。」

 

「じゃあ、まず1つ目なんだけど、俺以外にインフィニティドライバーで変身するライダーが現れたんだけど知らないか?」

 

「インフィニティドライバーで変身するライダー?……あっ、もしかしたら…」

 

「知ってるのか?」

 

 

「いや、まだ分からないんだけど…私の仲間で幼馴染の女神が、新たなライダーの適合者になれる転生者を探しだしたって言ってから、もしかするとその子かもしれないわ。」

 

「そのライダーってどんなんなんだ?」

 

「えっと、確か…緑色の姿をしてるらしいわよ。」

 

「緑…ってことは、凛が助けてもらったライダーか…」

 

「確か、優くんと同じく他のライダーに変身できるらしいわ。更に優くんのライダーシステムよりも能力が進化してて、特殊能力が追加しているそうよ。確か、自然を扱うことの出来る仮面ライダーだったかしら?」

 

「はっ!?ちょっとずるくないか!?俺そんな特殊能力なんてないぞ?」

 

「けど、優くんは茜ちゃんとの2人の力で進化したレッドメモリーズフォームに変身して、火を操れるようになったじゃない。」

 

「まぁ、そうだけど…」

 

「確か、名前は…自然を扱えるから、『仮面ライダーネイチャー』だったかしらね…」

 

「……えっ…?プッ、ププププ…仮面ライダーネイチャー?だっさくない?」

 

俺はあまりにもダサい名前に思わず吹き出して笑ってしまった。

 

「えっ、あっ…まっ、まあそうね…(優くんのインフィニティも一概にかっこいいとは言えないような…)」

 

「あっ、そうだ。インフィニティドライバーで変身する黒色で俺と同じ姿の仮面ライダーって知らないか?多分、財団Xの幹部みたいだったんだが、なんで敵がインフィニティドライバーで変身して、俺と同じ姿をしてるのかが分からないんだよな…」

 

「黒色のインフィニティ…?もしかしたら…」

 

「知ってるのか?」

 

「確信があるわけじゃないけど、優くんが持ってるインフィニティドライバーの前に、最初に作られたもう1つのインフィニティドライバーがあったの。でも、優くんが転生してくる1年前、今からだと2年ぐらい前に盗まれたの…ダークデータボトルと一緒に。その犯人が、財団Xの連中…」

 

「盗まれた!?でも、それ保管してたのって姉ちゃんたちがいる天使界?みたいなところだろ?財団Xが入れるのか?」

 

「えっ…あっ、あー…そこが不思議なのよね…」

 

ん?姉ちゃん、ちょっと焦ってる?

 

「っていうか、データボトルも試作品なのか?」

 

「えぇ、そうよ。優くんのノーマルデータボトルも、ダークデータボトルをベースにしている部分もあるから、そのライダーもインフィニティと姿はおなじだったんだと思うわ。」

 

「そういうことか…でも、なんで仮面ライダーなのに試作品がダークデータボトルなんだよ?」

 

「実は、それは私にも分からないのよね…1つ目のインフィニティドライバーとダークデータボトルを作ったのは私じゃないから…それと、優くんが入院してすぐの話なんだけど…」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「それが…天界でも危険と考えて保管していたライダーシステムがあるの。」

 

「危険?」

 

「えぇ。仮面ライダーの中でもダークライダーと呼ばれるライダー達。パラドクスやサガ、王蛇などの元も含む全てのダークライダーのライダーシテムは危険だと判断して保管していたの。理由は普通のライダーシステムより強大なパワーを持っているから。それもあって、意志の弱い人が使えばすぐに悪事に手を染めてしまったり、暴走する恐れがあるから…」

 

「なるぼと…確かに、それはかなり危険だな…」

 

「うん、そうなの…でもそのライダーシステムが、この前財団Xに盗まれてしまったの…」

 

「まじかよ…ただでさえ悪用しようとしてしまいそうなものを、悪の財団Xが手に入れてしまったのかよ…」

 

かなり危険かつ強力な力が財団Xの手に渡ってしまったということを聞いた俺だが、どうしても突っ込まずにはいれられなかった。

 

いや、その前に2回も財団Xに入られるって天界の警備って、そんなに甘いのか…?

 

なんとか口に出すのを抑え、内心そう突っ込んだ。

 

「えぇ…私が優くんに言っておきたかったのはこの事。お願い。大変なのはもちろん分かってるんだけど、もし財団Xがそのライダーシステムを使っていたら取り返してほしいの!」

 

「もちろん。財団Xを倒すのに変わりはないからな。」

 

「助かるわ。ありがとう!」

 

俺の返答を聞いた姉ちゃんはほっとしたように、ただ少し不安も入り交じったような笑顔でお礼を言った。一旦話の区切りがつき、飲み物を一口飲んでいた俺は、まだ気になっていたことを思い出した。

 

「あっ、そうだ…姉ちゃんに話しておかないことがあったんだ。」

 

「なに?」

 

「穂乃果とことりの2人が、仮面ライダーに変身したんだ…」

 

「えっ?どういうこと?」

 

「いや、俺も状況は見てはないから分からないが、本人たちの話によると怪人に襲われそうになった時、急に自分たちが光りだして穂乃果の腰にクウガのアークルが、ことりの手に龍騎のバックルが握られてたらしいんだが…」

 

「クウガのアークルと龍騎のバックル!?」

 

インフィニティだけでなくエグゼイドなどの様々なライダーシステムを開発した姉ちゃんだから、その二つを知っていてもおかしくはないが、姉ちゃんのこの驚きようは本家のそれらとは別に何かあることを知ってそうだ。

 

それについてどうしても気になり、そうなのか聞いてみると、姉ちゃんは静かに頷いて答える。

 

「実は…インフィニティドライバーを作るよりも前に、クウガからキバまでのライダーシステムをコピーしたの。けど、ファイズやキバの様にオルフェノクやファンガイアじゃないと変身出来ないっていうデメリットはなくしてね。」

 

「その分、だいぶ本家より性能は落ちてるところが多いけどね…」そう付け足して、姉ちゃんは更にライダーシステムについて話し続ける。

 

「それが、私たちが作り出したライダーシステムの始まり。けど、完成した後、そのライダーシステムが突如消えて今も行方が分かっていない状況だったの…」

 

なるほど…それで、俺が変身出来るライダーがディケイドからエグゼイドまでだったのか。てっきり、当時はディケイドの能力でクウガからキバまで変身出来てたからだと思ってた…

 

姉ちゃんの話を聞き、俺はそう納得していた。

 

「で、その消えたライダーシステムの行方が分からないまま、それらの代替という意味も含めクウガからキバまでにカメンライド出来るディケイドのライダーシステムを開発したの。それから資料などを集めながら、W以降のライダー含む色んな仮面ライダーのコピーライダーシステムを作っていたの。」

 

何気に今まで聞いていなかった俺が使ってるコピーライダーシステムの誕生の経緯を、俺は興味津々に黙って聞いていた。

 

「もしかしたら穂乃果ちゃんとことりちゃんが変身したクウガと龍騎は、その消えたコピーライダーシステムのものかもしれないわね…」

 

「じゃあ、前作り出した時の資料とかと照らし合わせてみるか?」

 

「ううん…それが、前に作り出した時の資料が今はないの…」

 

俺が尋ねると、気まずそうに暗い表情になった姉ちゃんが、小さくそう答えた。

 

資料がない…?普通じゃありえないような事だけど、姉ちゃんが今みたいに気まずそうな顔をしている時は、話してくれないんだよな。

 

これ以上追及してもただ姉ちゃんを追い詰めてしまうだけなので、俺はそう納得してこの話題を閉めた。

「まぁ、俺が聞いておきたかったことはこれだけだ。」

 

「私も後は特にない…」そう答えようとした姉ちゃんだったが、何かを思い出して声を上げる。

 

「前に優くんに頼まれたもの、用意できたわよ。」

 

そう言って、姉ちゃんは2枚のカードを取り出した。

 

「これって…」

 

「ほら、前に優くんが自分でも少し発明してみたいって言って、カンドロイドやプラモンスターの様に探索などができるメカアニマルを作ったでしょ?それをカードにして、いつでも呼び出せるようにしといたわ。」

 

実は少し前から、俺は自分でも仮面ライダーに役立つアイテムを創ってみようと思い、メカアニマルというオリジナル探索メカを2体創ってみていたのだ。完成したそれを、インフィニティソードなどと同様カードから呼び出せるよう、姉ちゃんに改造を頼んでいたのだ。

 

「ありがとう!」

 

そう礼を言って俺は2枚のカードを受け取った。

 

まず1体目が鷹がモチーフの赤いホークアニマル。主に空からの捜索を得意とするアニマル。

 

そして2体目がサメをモチーフにしたシャークアニマル。主に水中の捜索を得意とするアニマル。といっても、空を飛ぶことも出来るように作ってみた。

 

俺は姉ちゃんからその2体のメカアニマルが書かれたカードを受け取った。

 

「あと、これをモデルに私も天界の技術を使って私も創ってみたの。」

 

そう言って、姉ちゃんは羽がついた白い馬が書かれているカードを見せてきた。

 

「これってもしかして、ペガサス…?」

 

「そうよ。ペガサスがモチーフのペガサスアニマルよ!このアニマルは空からの捜索、陸からの捜索の両方を得意とする。そして何より、飛んだり走ったりするのがとても速い。まぁ、伝説の生物のメカアニマルを生み出すのは大変だったけど…」

 

「伝説の生物を作り出すなんて、さすが女神様だな…じゃあ、アタックバックルにこのカードを入れたら、メカアニマルが出てくるのか?」

 

「えぇ、そうよ。」

 

「へぇ、楽しみだな。まぁ、ライダーエナジーが少ない今、試し呼びとかは出来ないのが残念だけど…とにかくありがとな!」

 

「ううん…じゃあ、謎のライダーや穂乃果ちゃんとことりちゃんが変身したクウガと龍騎については、こちらでも調べておくわ。」

 

「あぁ、よろしく頼む!」

 

「あと、茜ちゃんのことはもう大丈夫なの?」

 

「やっぱり、俺が目覚める前に茜と会わせてくれたのは姉ちゃんだったのか…あぁ、もう吹っ切れたよ。サンキューな!」

 

「そう…なら良かったわ!じゃ、帰りましょうか。」

 

そして、俺と姉ちゃんは家に帰っていった。

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「あれ?家帰る道どっちだったっけ…?この世界来たばっかだし、まだ道わかんねぇな…」

 

1人の高校生ぐらいの少年が道に迷っていた。

 

「ん?おっ、怪人さんのお出ましか。」

 

すると、その少年の前に数体のマスカレイド・ドーパントが現れた。

 

「しゃーない!退治してやる。」

 

そう言った少年は、インフィニティドライバーを巻き付け、緑色のデータボトルを1本入れた。

 

「変身!」

 

少年は謎の緑色の仮面ライダーに変身した。

 

「俺は仮面ライダー、ネイチャー。」

 

ネイチャー、と名乗った仮面ライダーは走り出し、マスカレイド・ドーパントへ攻撃する。

 

「はぁ!オラァ!へへっ、一気に決めるぜ!」

 

『スペシャルアタック!ネイチャーストライク!』

 

「おりゃあああああ!!」

 

ネイチャーは上空に飛び、マスカレイド・ドーパントたちにキックをくらわせ倒した。

 

「ふぅ…さてと…もうすぐ会えるな、μ‘sに!」




今回で1期編は終わりです!最後の話が説明ばっかりになって申し訳ないです…
そして、次回からとうとう2期編に入ります!2期ではオリジナル回がかなり多くなると思います。ラブライブの話をみたいという方には、本当に申し訳ありません…アニメの話よりもだいぶオリジナルが多くなると思います…そして2期編では優の秘密、新しいオリキャラの秘密、穂乃果たちμ’sに関するオリジナルの秘密などを書いていきたいと思います。

そして最後に少し登場した謎の仮面ライダー、ネイチャー。彼も2期から参戦するオリキャラライダーです!

では、次回からの2期編も是非見てください!


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9章(アニメ2期開始) 新章開幕!新ライダー登場編
56話 もう1度、ラブライブ!?


はい、56話です。
とうとう2期編の開始です!
ここまで、『μ’sと仮面ライダーの物語』を見てくださった方、ありがとうございます!これからもあまり面白くないかも知れませんが、頑張るので見てください!
そして2期に入って変えたい部分があるのですが、本編開始までの『前回のラブライブ!』を書きたいと思います。これまで書けていなかったので、キリがいい2期に入るタイミングで、書こうと思います。
今回は、これまでのラブライブなので長くなるかも…
では56話、スタートです!



〜これまでのラブライブ!、μ’sと仮面ライダーの物語!〜 (ナレーション 仮野優)

 

俺、仮野優は音ノ木坂学院へ共学化試験生として入学してから1年が経ち2年生になったある日、高坂穂乃果にスクールアイドルのマネージャーになって欲しいと頼まれ、スクールアイドルμ‘sのマネージャーになった。それから、μ’sには9人の仲間が集まり、スクールアイドルとして活躍していった。

 

そして俺たちはランキング19位となり、念願のラブライブに出場できる20位以内に入った。しかし、まだ油断は出来ないため、みんな張り切って学園祭ライブをすることに。

 

しかし、そのライブで張り切りすぎた穂乃果が倒れてしまった…そんな緊急事態のなか、俺の前に俺の恋人、茨城茜を殺した怪物、アデュサが現れた。

 

「フフフ、久しぶりね。仮面ライダーインフィニティ。」

 

「お前は…」

 

俺はアデュサと戦うが、怒りで暴走しかけた俺は、あっけなく倒され意識を失った…更に俺が眠っている間、ラブライブへの出場辞退、ことりの留学、そして穂乃果の脱退でμ’sはバラバラになりかけていた…

 

「だから、連れていってください!私たちの知らない世界へ!」

 

だが、海未の言葉で穂乃果はもう1度進むと決めた。

 

そして俺の目も覚め、俺は茜の力が入ったレッドメモリーデータボトルで進化し、アデュサを撃破した。

 

そして俺はμ’sに1年生の頃にあったことを話し、更に絆を深めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「音ノ木坂学院は、入学希望者が予想を上回る結果となったため、来年度も生徒を募集することになりました。3年生は残りの学園生活を悔いのないように過ごし、実りのある毎日を送っていってもらえたらと思います。そして1年生、2年生はこれから入学してくる後輩達のお手本となるよう、新たに前進して言ってください。」

 

今、俺たちは講堂での理事長の挨拶を聞いていた。

 

「理事長、ありがとうございました。続きまして、新生徒会長挨拶。」

 

司会をしている高坂の友達のいつもの3人、ヒデコ、フミ、ミカの3人、略してヒフミトリオの3人のうちの1人が言った。

 

その時、前生徒会長である絵里が立ち上がり、拍手を始めた。おい絵里、それはちょっと浮いてるような気が…

 

そして、新生徒会長として出てきたのはなんと…

 

「皆さん、こんにちは!」

 

きゃぁぁーー!!

 

新生徒会長が挨拶を始めた途端、歓声が聞こえた。

 

「この度、新生徒会長となりました!スクールアイドルでお馴染み、私…」

 

そう言いながら、新生徒会長がマイクを投げた。いや、一応生徒会長としての挨拶なんだから、そういうのはやめときなさいよ…ライブじゃないんだよ?

 

俺がそう思っているうちに、新生徒会長がマイクをキャッチし、自分の名前を言った。ってかよくキャッチできたなぁ…

 

まぁ、スクールアイドルでお馴染み、の時点でなんとなく分かっていたでしょう!そう、新生徒会長は…

 

「高坂穂乃果と申します!」

 

μ‘sの発起人、高坂穂乃果だ。

 

 

 

 

 

「だぁぁぁ、疲れたぁ…」

 

生徒会長の挨拶が終わり、俺、穂乃果、ことり、海未は生徒会室に来ていた。

 

「穂乃果ちゃん、お疲れ様!」

 

ことりが穂乃果に労いの言葉をかける。

 

「生徒会長挨拶って、ライブとは全然違うねぇ…緊張しっぱなしだったよ…」

 

いや、普通緊張してる人がマイク投げるか…?

 

「でも、穂乃果ちゃんらしくて良かったと思うよ?」

 

……えっ、あれで良かったの?相変わらず、ことりは穂乃果に甘いな…

 

そう考えてると…

 

「どこが良かったんですか!せっかく昨日、3人で挨拶文を考えたのに…」

 

ことりとは反対に、海未はそうとうお怒りの様子だ。

 

「うぅ…ごめん…」

 

あのあと何があったかというと…

 

 

〜回想〜

 

「皆さん、こんにちは!高坂穂乃果です!」

 

穂乃果が自己紹介した後、数秒間の沈黙…そして…

 

「あぁ…えぇ…」

 

どうやら穂乃果は、挨拶文を忘れてしまったようだ。ったく、何やってんだよ…

 

「海未、ことり、行ってくる…」

 

「お願いします…」

 

「うん、お願いねぇ…」

 

舞台袖に一緒にいた海未とことりにそう言って、俺は穂乃果のところへ行き穂乃果が使っていたマイクを持った。

 

「えぇ、新生徒会長はスクールアイドルとして人前で話すのは得意ですが、こういうかしこまった挨拶は苦手で緊張してしまったらしいです…少し頼りない新生徒会長ですが、どうぞよろしくお願いします。」

 

そう俺が言って、固まった穂乃果を舞台袖まで引っ張って行ったのだった。

 

〜回想終了〜

 

 

「結局その先は真っ白…あぁ、せっかく練習したのに…」

 

「とにかく!今日はこれをすべて処理して帰ってください!」

 

そう言って、海未は穂乃果の前の机に分厚いファイルを4冊置いた。

 

「こんなに!?」

 

「それにこれも!」

 

そう言って、海未は穂乃果に1枚の紙を渡した。穂乃果がその紙に書いてあることを読み上げると…

 

「学食のカレーがまずい。アルパカが私に懐かない。文化祭に有名人を呼んでほしい。仮面ライダーに助けてもらったのでお礼が言いたいから探してほしい…って、なにこれ?」

 

「一般生徒からの要望です。」

 

あぁ、俺が副会長やってた時にも、こんな訳わかんないこと書くやついたな…そこに茜への告白文が書いてあったこともあった…

 

「えぇ、これが要望?でも、最後のは解決だね!優くん、行ってきて!」

 

「あぁ、そうだな。じゃあ、行ってくるわ…って、バカ!そんな簡単に正体明かせるか!お前らに正体がバレた時や文化祭の時や空港の時、あんなどうどうと変身して正体がマスコミとかにバレてない時点で奇跡なんだ!これ以上、無闇に正体を明かす訳には行かないんだよ…」

 

「うぅ…っていうか、海未ちゃんもすこしぐらい手伝ってくれてもいいじゃない!海未ちゃんも副会長なんだしー!」

 

穂乃果が駄々をこね始めた。

 

「もちろん、私はもう目を通しています!」

 

「じゃあやってよー!」

 

「仕事はそれだけじゃないんです!あっちには校内に溜まった忘れ傘の放置!各クラブの活動記録のまとめも放ったらかし!そこのロッカーの中にも、3年生からの引継ぎのファイルがまるごと残っています!生徒会長である以上、この学校のことは誰よりも詳しくないといけません!」

 

「でも、3人いるんだし、手分けしてやった方が…」

 

「ことりは穂乃果に甘すぎます!」

 

海未に言われ、ことりも苦笑い。

 

「うぅ、生徒会長って大変なんだね…」

 

と、穂乃果が言った時生徒会室の扉が開き、

 

「分かってくれた?」

 

「うふふ、頑張ってるかね?君たち?」

 

絵里と希が入ってきた。

 

「絵里ちゃん!希ちゃん!」

 

「大丈夫?挨拶、かなり危ない感じだったわよ?」

 

「えへへ…ごめんなさい…それで今日は?」

 

「特に用事はないけど、どうしてるかなって。自分が推薦した手前もあるし、心配で…」

 

「明日からまたみっちりダンスレッスンもあるしね!カードによれば、穂乃果ちゃんは生徒会長として相当苦労するらしいよ。」

 

「えぇー…」

 

「だから3人とも、フォローしたってね!」

 

希が俺と海未とことりに言ってきた。

 

「気にかけてくれてありがとう!」

 

「いえいえ、分からないがあったらいつでも言って!なんでも手伝うから。といっても、副会長経験者もいるから、分からないことはあんまりないと思うけど…」

 

絵里が俺を見ながら言ってきた。

 

前生徒会長である絵里が穂乃果を会長に推薦した時、穂乃果と仲が良くて息も合うだろうということで、海未とことりを副会長と書記にした。そして、副会長経験者の俺も副会長に推薦されたのだ。まぁ、という訳で、副会長が俺と海未の2人になった。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 凛〜

 

今、凛とかよちんと真姫ちゃん、そしてにこちゃんは屋上にいる。

 

「いい?特訓の成果を見せてあげるわ。」

 

にこちゃんが凛たちに言ってきて…

 

「にっこにっこに〜!あなたのハートににこにこに〜!笑顔届ける矢澤にこにこ〜あぁ、どわめぇどわめぇどわめぇ〜にこにーは、みんなのもっ、のっ!」

 

新にっこにっこにーを見せてきたにこちゃんに対して、

 

「キモチワルイ」

 

真姫ちゃんが言った。これはだいぶ寒くないかにゃー…?

 

「ちょっと!なによ、昨日一生懸命考えたんだからぁ!」

 

「知らない。」

 

「っていうか、4人でこんなことして意味があるの?」

 

凛がそう聞くとにこちゃんは、

 

「あんた達、なんにも分かってないわねぇ。これからは1年生が頑張らなきゃいけないのよ!いい?私はあんた達だけじゃどうすればいいか分からないと思って、手助けに来たの!先輩として!」

 

そう言いながらカメラを三脚にたててビデオを撮り始めた。

 

「そのビデオは?」

 

真姫ちゃんが聞くと、

 

「ネットにアップするために決まってるでしょ!今やスクールアイドルもグローバル!全世界へとアピールしていく時代なのよ!ライブ中だけじゃなく、日々レッスンしている様子もアピールに繋がるわ。ぐふっ、いっひっひっ…」

 

にこちゃんが言った途端、きみの悪い笑い方をし始めた。

 

「こうやって1年生を甲斐甲斐しく見ているところをアピールすれば、それを見たファンの間ににこにーこそセンターにふさわしいとの声が上がり始めて…ウッヒッヒッヒッ…」

 

「全部聞こえてるにゃー…」

 

「うっ…にこ〜…」

 

その時、かよちんの携帯からバイブ音が流れ、かよちんがその携帯に来た連絡を見ると…

 

「えっ……えぇっ!?ちょっ、えっえっ…えぇ!?」

 

「かよちん、どうかした?」

 

凛が驚いてるかよちんに聞くと、

 

「嘘…ありえないです…こんなこと!」

 

と言って屋上を飛び出した。

 

「えぇ、かよちん!?」

 

「追うわよ!」

 

凛達もかよちのあとを追いかけていくと、アイドル研究部についた。そして、かよちんはパソコンで何かを検索し始めた。

 

「どうたのよ…?」

 

「アイドルの話になるといつもこうねぇ…」

 

「凛はこっちのかよちんも好きだよ!」

 

「夢?夢ならそうと、先に言って欲しいです!」

 

凛たちが話している中、かよちんがさらに興奮し始めた。凛はこっちのかよちんも好きだニャー!

 

「いったい何なのよ?」

 

「教えなさい!」

 

真姫ちゃんとにこちゃんがそう聞きながらかよちんに近づき、パソコンを見ると…

 

「「えっ?」」

 

2人も驚いた。そして、凛もパソコンを見ると…

 

「えぇ!?」

 

嘘…本当にそうなのかにゃ!?

 

 

 

凛たちはそれを伝えるため、穂乃果ちゃんを探しに行った。まず、生徒会室に行ったけど…

 

「穂乃果!」

 

「あぁ、矢澤先輩。」

 

「穂乃果は?」

 

「教室の方が捗るから、そっちで仕事するって…」

 

 

そして、教室に行くと…

 

「穂乃果ちゃん!」

 

「あっ、凛ちゃん。」

 

「穂乃果ちゃんは?!」

 

「どうしても体動かしたいって屋上へ。」

 

 

そして、屋上へ行くと…

 

「穂乃果!」

 

「あっ、真姫ちゃん!」

 

「あの、穂乃果は?」

 

「お腹が空いたから何か食べてくるって…」

 

 

そして、今度は何故かアルパカ小屋に来てしまった…

 

「ここに来てどうするのよ〜…」

 

「はぁ、はぁ、穂乃果ちゃんしらない?」

 

かよちんが息を切らせながらアルパカに聞いた。他の2人も息が切れているが、凛は運動得意だから切れてないにゃ!というかかよちん、アルパカさんに聞いても分からないにゃー…

 

凛がそう考えてると…

 

「中庭ね、分かった!ありがとう!」

 

えぇ、分かったの!?流石かよちんだにゃー!

そして、凛たちは中庭へ向かった。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

俺は自分の仕事を終わらせ、休憩がてら飲み物をもって中庭へ行くと穂乃果がパンを食べていた。

 

「おい、またサボってんのか?海未に怒られるぞ?」

 

「違うよ休憩だよ!」

 

「お前はいつまで休憩してるんだ!」

 

「うっ…そっ、そういう優くんはどうなの?」

 

「俺はちゃんと仕事を終わらせてから来た。」

 

「えっ!?もう終わったの?」

 

「まぁ、俺は副会長を経験してるからな。」

 

「そっかぁ…ハムッ、モグゥモグモグ〜いやぁ、今日もパンが上手い!」

 

いつもの言葉を言いながら穂乃果がパンを食べていると、にこと凛と真姫と花陽が走ってきた。凛以外は息を切らせながら…

 

「はぁはぁはぁ…ちょっとは…はぁはぁはぁ…じっとしてなさいよ…」

 

「探したんだよ?」

 

にこと凛が言ってきた。

 

「どうしたんだ?」

 

すると、にこが穂乃果の肩を掴んで、

 

「はぁはぁ…もう1度…あるわよ…」

 

そう言ってきた。それに続いて花陽と真姫も…

 

「はぁはぁ…もう1度…」

 

「はぁはぁはぁ…もう1度…」

 

「「もう1度?」」

 

俺と穂乃果は、なんのことなのかさっぱり分からない。

 

 

 

話を聞くため、にこたちにアイドル研究部の部室に連れていかれると、海未、ことり、希、絵里もいた。すると、4人の口から予報外の言葉が発せられる。

 

「もう1度!?」

 

「もう1度!?」

 

「もう1度!?」

 

「ラブライブ!?」

 

4人からもう1度ラブライブが開催されるという知らせを聞き、俺たちは驚いた。

 

「そう、A-RISEの優勝と大会の成功とともに終わった第1回ラブライブ!、それがなんとなんと!!第2回大会が行われることが早くも決定したのです!」

 

花陽の説明によると…第2回は第1回と比べると大会規模は大きくなり、会場の広さは数倍になり、大会規模の大きい次の大会ではランキング形式ではなく各地区で予選が行われ、各地区の代表に選ばれたチームがラブライブに出場できるらしい。

 

「つまり、人気投票による今までのランキングは関係ないということですか?」

 

「その通り!これはアイドル下克上!ランキング下位のものでも、予選のパフォーマンスによれば本戦に出場出来るんです!」

 

「それって、私たちでも大会に出られるチャンスがあるってことよね?」

 

「そうなんです!」

 

「すごいにゃー!」

 

「またとないチャンスですね!」

 

「やらない手はないわね!」

 

確かにチャンスはあるな…いや、まてよ。地区予選が行われ、1チームってことは…

 

「なぁ、お前ら…これってチャンスに見えて、俺達には逆に不利じゃないか?」

 

「えっ?」

 

「どういうことです?」

 

「あっ、もしかして…」

 

絵里は気づいたみたいだ。

 

「そう。地区予選が行われるってことは、ここは東京地区。ということは、あのA-RISEと当たるのは必然。A-RISEに勝たなければならないということだ。」

 

『あっ…』

 

俺の言葉を聞き、全員が声を漏らす。

 

「あぁ、終わりました…」

 

「ダメだぁ…!」

 

「A-RISEに勝たなければならないなんて…」

 

「それはいくら何でも…」

 

「無理よ。」

 

花陽、にこ、ことり、希、真姫が諦めの言葉を発する中凛が…

 

「いっそのこと全員で転校しよう!」

 

突拍子もないことを言い出した。

 

「出来るわけないでしょ!確かにA-RISEとぶつかるのは苦しいですが、だからといって諦めるのは早いと思います!」

 

「海未の言う通りね。やる前からあきらめていたら何も始まらない!」

 

「それはそうね。」

 

海未と絵里、真姫が言った。

 

「エントリーするのは自由なんだし、出場してみてもいいんじゃないかしら?」

 

その言葉に、ある1人を除いて全員が笑顔を見せた。

 

「じゃあ、決まりだな!っと言いたいところだが…」

 

「「「「「「「「ん?」」」」」」」」

 

俺が言葉を止めたことに、1人を除いて疑問を持つ。

 

「さっきから1人ずっと黙ってるが、どうするんだ?穂乃果?」

 

さっきから穂乃果だけが焦るわけでもなく、やる気を見れるわけでもなく、優雅にお茶を飲んでいる。

 

「出なくてもいいんじゃない?」

 

穂乃果は柔らかな笑みを浮かべ、そう言った。

 

あぁ、なるほど…出なくてもいいんじゃないか、か…穂乃果の意見は出なくてもいいということね、なるほど………って、えっ?

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』

 

突然、あの穂乃果がラブライブに出なくてもいいと言い出したのだ…




とうとう始まった2期編!ですが1話目にして、仮面ライダーには変身しませんでしたね。次回の、ラブライブ本編の1話の途中か、終わった後に一旦オリジナルを挟んで変身すると思います。

話は変わりますが、皆さんは昨日放送だったラブライブサンシャインの最終回は見ましたか?僕が前書きや後書きでサンシャインの話をするのは初めてかも…まだ見てない方がいるかもしれないのでネタバレはしませんが、とても感動しました!そして、アニメが終わってしばらくしてからの重大発表もありましたね。まぁ、予想してはいましたが…

僕も今書いてる物語が終わると、サンシャインも書きたいと思っています。

ではこれから2期編頑張っていくので見てもらえると嬉しいです!


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57話 ラブライブ出場に向けて!

はい、57話です。
今回は、2期の1話の続きからです。
では57話、スタートです!


〜前回のラブライブ、μ’sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 仮野優)

 

学園祭を終え10月を迎えた。10月になり、新生徒会長が、

 

「高坂穂乃果と申します!」

 

まさかのμ’sのリーダー、高坂穂乃果に決まった。しかし、穂乃果は慣れない生徒会長の挨拶で挨拶文を忘れ、失敗する。

 

その頃、にこと1年生3人のところでも、花陽の携帯に入ってきた情報で大騒ぎになっていた。

 

それを聞くため4人に呼ばれ、残りのμ’sのメンバーと俺がアイドル研究部に行くと…

 

「もう1度!?」

 

「もう1度!?」

 

「もう1度!?」

 

「ラブライブ!?」

 

もう1度、あのラブライブが開催されるということを聞いた。今回はランキングではなく地区ごとでの勝ち上がり制という大会方式だが、μ‘sと同じ東京地区にはあのA-RISEがいるということで、μ‘sのみんなは落ち込みモードに入ったものの、立ち直って挑戦しようと意気込んでいた。

 

しかし、そんな中穂乃果が衝撃発言をした。

 

「出なくてもいいんじゃない?」

 

「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ほぉーほのぉーかぁー!」

 

今、にこが穂乃果にすごい勢いで詰め寄っている。その理由はもちろん、穂乃果がさっき言った衝撃発言が原因だ。みんな、その事を疑問に思っているが、俺は1つ思い当たるがあった。

 

もしかして、穂乃果のやつ…

 

「穂乃果、自分の顔が見えますか?」

 

みんなが穂乃果を鏡の前へ連れて行って、海未が穂乃果に聞いている。

 

「見え、ます…」

 

海未の当たり前のような質問に、穂乃果は戸惑いながら答えている。

 

「では、鏡の中の自分はなんと言っていますか?」

 

「なにそれ?」

 

「だって穂乃果!」

 

「ラブライブ出ないって…」

 

「ありえないんだけど!ラブライブよ!ラブライブ!スクールアイドルの憧れよ!あんた、真っ先に出ようって言いそうなもんじゃない!」

 

すごい勢いで、絵里、希、にこが問い詰めている。

 

「そうかな…?」

 

「何かあったの?」

 

「いや…別に…」

 

「だったら何で!」

 

「何故、出なくてもいいと思うんです?」

 

「私は歌って踊って、みんなが幸せならそれで…」

 

みんなが幸せなら、か…なるほど。やっぱり、穂乃果は…

 

「今まで、ラブライブを目標にやってきたじゃない!違うの!」

 

「いっ、いやぁ…」

 

「穂乃果ちゃんらしくないよ!」

 

「挑戦してみてもいいんじゃないかな?」

 

凛と花陽が聞くが、穂乃果は浮かない顔をしている。

その時、

 

「グゥ〜」

 

穂乃果のお腹が鳴った。

 

「そうだ!明日からまたレッスン大変になるし、今日は寄り道して行かない?」

 

「でも…」

 

「はぁ!?」

 

「穂乃果ちゃん?」

 

穂乃果の発言に絵里やにこ、花陽を筆頭にみんな疑問に思う。

 

「いいからいいから!たまには息抜きも必要だよ!」

 

穂乃果に押され、全員寄り道しに行くことに…

 

 

 

クレープを買い食いした俺たちは、ゲームセンターへ行くと、絵里がプリクラのことを知らなくて驚いていたりした。それからワックにも寄った。

 

 

 

しかし、ワックを出た所で穂乃果はA-RISEの映像を浮かない顔で見ていた。

 

やっぱり穂乃果は…本当に、極端なやつだな…

 

 

 

それから俺たちはそれぞれ家に帰り、穂乃果以外のμ‘sのメンバーで携帯電話の多人数通話機能で話していた。

 

「穂乃果もいろいろ考えて、出なくてもいいって言ったんじゃないかしら?」

 

「いろいろ?」

 

「どうしちゃったんだろ…」

 

絵里の言葉に、海未とことりは更に悩む。

 

「らしくないわね…」

 

そうにこがそう言うと、

 

「あんたもね。」

 

と真姫が言った。

 

「でも、このままじゃ本当にラブライブに出ないってことも…」

 

「それは寂しいな…」

 

花陽と凛もラブライブに出たいという意志を示す。

 

「にこっちはどうしたいん?」

 

「私は…もちろんラブライブに出たい!」

 

「そうよね…」

 

「生徒会長として、忙しくなったのが理由かも知れません。」

 

「でも、忙しいからやらないって穂乃果ちゃんが思うわけないよ。」

 

「あぁ。理由は恐らく、生徒会長だけじゃないだろうな…」

 

「優は心当たりあるんですか?」

 

「あぁ、穂乃果があの時言ってただろ?『私は、みんなが楽しく歌って、踊って、みんなが幸せならそれでいいかなって。』この言葉…多分、まだ文化祭の時のことを気にしてるんだと思う。自分がラブライブに夢中になりすぎたせいで、ことりが留学のことを言いそびれてμ’sがバラバラになってしまったって… またそんなことがあったら、今度は生徒会長として学校のみんなにまで迷惑をかけてしまったら、って考えてるんじゃないか?」

 

「えっ。じゃあ、穂乃果は…」

 

「あぁ、内心はすっごくラブライブに出たいんだと思う。」

 

「ほんと、穂乃果らしくないですね…」

 

そして、俺たちは通話を終了した。

 

 

 

通話を終了した俺は、もう1度ラブライブの情報を見ていた。

 

うーん…まぁ、花陽が説明した通り、大会規模が大きくなり会場も数倍の広さになるらしいな…

 

俺が開催予定日を確認すると、来年の3月と表記してある。

 

ん?来年の3月って、絵里たち3年生が卒業する時か…ということは、今のμ’sのメンバーで出来る最後のライブってことになる…これを知ったら、穂乃果はどう思うんだろうな…

 

そう考えながら、俺は眠った…

 

 

 

翌日の放課後…

 

「いい?これから2人でこの石段を競争よ!」

 

「なんで競争…?」

 

今、神田明神の階段の前でにこと穂乃果が話しているのを、他の7人と一緒に見守っていた。

 

「穂乃果ちゃんをやる気にさせたいみたいだけど…」

 

「強引ですね…」

 

にこが穂乃果をラブライブに出場させるため、勝負を持ちかけていた。

 

「また今度にしようよ?今日からダンスレッスンだよ…?」

 

この通り、穂乃果は乗り気ではないが…

 

「ラブライブよ!私は出たいの!勝負よ!私が勝ったらラブライブに出る!負けたら出ない!」

 

やっぱり、にこはラブライブに出たいみたいだ。まぁ、にこのスクールアイドルに対する想いを考えてみたら、出たいのは当然か…

 

そして、にこのこの言葉で穂乃果の表情も変わった。

 

「分かった!」

 

石段の前でにこと穂乃果はクラウチングスタートの体制に入った。

 

「いい?行くわよ…よーいドン!」

 

「えぇ!?」

 

にこはドンと言い切る前に走り出した。

 

いや、いくら出たいからってそれはずるいだろ…

 

驚いた穂乃果だが、遅れて走り出した。

 

「にこちゃんずるい!」

 

「フンッ!悔しかったら追い抜いてご覧なさい!ハァ、ハァハァ……キャッ!」

 

そして、にこが階段に躓いて転んでしまった。ずるはするもんじゃないな…

 

「にこちゃん!にこちゃん大丈夫?」

 

そんなにこに、穂乃果が心配して駆け寄った。

 

「へっ、平気…」

 

「もう、ズルするからだよ…」

 

「うるさいわね!ズルでもなんでもいいのよ!ラブライブに出られれば…」

 

「にこちゃん…」

 

 

 

元々曇っていたが、雨が降ってきてしまったため一旦競争を中断して、俺たちは、神田明神の鳥居の下で雨宿りをしている。

 

「そうよ。3月になったら、私たちは卒業…こうしてみんなと一緒にいられるのはあと半年。」

 

「それに、スクールアイドルでいられるのは在学中だけ。」

 

絵里と希が説明した。

 

「そんな…」

 

「別にすぐ卒業しちゃう訳じゃないわ。でも、ラブライブに出られるのは、今回がラストチャンス…」

 

「これを逃したら、もう…」

 

「本当は、ずっと続けたいと思う…実際卒業してからも、プロを目指して続ける人もいる。でも、この9人でラブライブに出られるのは、今回しかないのよ…」

 

「やっぱり、みんな…」

 

希や絵里の言葉を聞き、穂乃果の表情は迷ったように少し暗くなる。

 

「私達もそう…たとえ予選で落ちちゃったとしても、この9人で頑張った軌跡を残したい。」

 

「凛もそう思うニャー!」

 

「やってみてもいいんじゃない?」

 

花陽、凛、真姫の3人がそう言った。

 

「みんな…ことりちゃんは?」

 

「私は、穂乃果ちゃんが選ぶ道なら、どこへでも!」

 

「また自分のせいで、みんなに迷惑をかけてしまうのではないかと心配しているのでしょう?ラブライブに夢中になって、周りが見えなくなって、生徒会長として学校のみんなに迷惑をかけるようなことがあってはいけない、と。」

 

海未がそう言うと、

 

「全部、バレバレだね…始めたばかりの時は何も考えないで出来たのに、今は何を言うべきか分からなくなる時がある…でも、1度夢見た舞台だもん。やっぱり私だって出たい!生徒会長やりながらだから、また迷惑かける時があるかもだけど、本当はものすごく出たいよ!」

 

やっと穂乃果が本音を言った。

 

「穂乃果、忘れたのか?」

 

「えっ?」

 

俺の言葉に、穂乃果はふと聞き返してくる。

 

そして、海未、絵里、希、にこが、

 

「「「「だって、可能性感じたんだ〜♪」」」」

 

と、ことり、花陽、凛、真姫が

 

「「「「そうだ、進め〜♪」」」」

 

と歌う。そして、俺が、

 

「後悔したくない、目の前に〜♪」

 

最後に穂乃果が、

 

「僕らの道がある〜♪」

 

と歌った。

 

「「「「やろう!」」」」

 

と、海未、絵里、希、にこが、

 

「「「「やろう!」」」」

 

と、ことり、花陽、凛、真姫が、

 

「やろうぜ!」

 

そして、俺が言うと、

 

「よーし!やろう!ラブライブ出よう!うーん!」

 

やっとやる気を出した穂乃果が、走り出して雨が降っている方へ行った。

 

「ほっ、穂乃果?」

 

「何やってんだ?」

 

海未と俺が聞くが、穂乃果は答えないまま大きく息を吸い込んだ。

 

そして…

 

 

「雨やめぇぇぇぇぇぇーーー!」

 

 

大声で叫んだ。

 

気持ちが高ぶるのは分かるけど、何やってんだよ…そんなんで止んだら、遠足とか運動会の日は毎日晴れじゃねぇか…止むわけ…

 

俺がそう考えてると、空の雲が一気になくなり、晴れ始めた。

 

「嘘…だろ…?」

 

「本当に止んだ!人間その気になれば、なんだって出来るよ!」

 

いや、雨止めさせられるのは穂乃果だけだぞ!?

 

「ラブライブに出るだけじゃもったいない!この9人に残せる、最高の結果…優勝を目指そう!」

 

「優勝!?」

 

「そこまで行っちゃうの!?」

 

「大きく出たわね!」

 

「面白そうやん!」

 

「今のみんななら、出来そうな気がするな!」

 

みんなが驚く中、俺はμ‘sの9人なら出来るかもしれない…そう思った。

 

「ラブライブのあの大きな会場で精一杯歌って、私たち、1番になろう!」

 

 

μ’sがラブライブ出場を…いや、優勝を決意したのだった!

 

 




はい、アニメ2期の1話が書き終わりました。
これから、2期がスタートしていく、という所なのですが、合宿編の前にオリジナルを書きたいと思います。なので、次回はオリジナルです。そして、次回のオリジナルで、1人新しいオリキャラが出るかも…
そして今回の話で、今年の投稿は最後です。2期を2話だけ書いての年越しは中途半端ですが、こうなってしまいました。この、『μ’sと仮面ライダーの物語』が始まったのが、今年の10月28日だったので、ここまで約2ヶ月でした。早いようで、短いようで…
では、来年も2期編、映画編をオリジナルの話を混ぜながら頑張っていきたいので、見てもらえると嬉しいです!
では、良いお年を!


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58話 動き出す幹部怪人

はい、58話です。
そして、あけましておめでとうございます!今日が2018年になってから、初の投稿ですね。
そして、明けてから6日も経ってしまい、すみません…今年は、2017年に比べると投稿するのが遅くなってしまうことが多いかもしれません。2017年は、最後の方に詰めて投稿して1期編を終わらせたので、今年は前よりはゆっくりと投稿していきたいと思ってます。
他にも今年になってからやりたいことなどを、書いておきたいのですが、それは後書きで書きたいと思います。
では58話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ’sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 高坂穂乃果)

 

ラブライブがもう1度開催されると知った穂乃果たちμ’sは、もう1度ラブライブに挑戦しようと決める。しかし、そんな中穂乃果は、

 

「出なくてもいいんじゃない?」

 

1人みんなとは違う発言をした。その言葉に他のみんなが戸惑ってしまう。そんな中にこちゃんが、

 

「いい?これから2人で、この石段を競走よ!」

 

ラブライブにエントリーするかしないかをかけての勝負を持ちかけてきた。しかし、突然の雨で勝負は一時中断し、神田明神の鳥居の下で雨宿りすることにした。そこで穂乃果はラブライブの開催日時が3月であり、もし出場出来れば3年生の3人にとっては最後のライブになるということを知った。

 

「また自分のせいで、みんなに迷惑をかけてしまうのではないかと心配しているのでしょう?」

 

穂乃果の考えは、みんなにはバレバレだったみたい。

 

「穂乃果、忘れたのか?」

 

「「「「だって、可能性感じたんだ〜♪」」」」

 

「「「「そうだ、進め〜♪」」」」

 

「後悔したくない、目の前に〜♪」

 

「僕らの道がある〜♪」

 

「ラブライブ出るだけじゃ、もったいない!この9人に残せる、最高の結果…優勝を目指そう!」

 

みんなの励ましの言葉もあり、穂乃果はラブライブに出場し優勝を目指す決意をした!

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

穂乃果が再びラブライブに出場し、優勝することを目指すと決意して、俺たちは神田明神をあとにしようとしていた。

 

それにしても、3年生最後のライブか…でも、卒業は仕方ないことだよな…卒業する人がいるから、入学してくる人がいるんだもんな………ん?待てよ。新入生…?

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「えっ、なになに?どうしたの?」

 

「優、何かあったのですか?」

 

突然叫んだ俺に、μ‘sのメンバーが驚いている。

 

「やばい…忘れてた…」

 

深刻そうな俺に、みんな息を飲んで注目する。

 

「そうだ…今年、優奈の受験だ!」

 

俺の言葉に全員がずっこけた。

 

「えっ…今更…?」

 

「いや、この学年になってからμ’sのマネージャーになったり、財団Xの動きが活発化したりとか、いろいろ忙しくて忘れてた…」

 

「でも、優の妹ですし大丈夫なのでは?」

 

「それに、優奈はしっかりしてるじゃない。」

 

海未とにこがそう言ってきたが…

 

「いや、それが…優奈のやつ、勉強に関しては全くダメなんだよ…」

 

「えっ?そうだったの?」

 

「あっ、そういえば…前に数学の抜き打ちテストがあったって亜里沙が言ってきた時、友達の点数がやばかったって言ってたわね…その次の日、お兄さんにすごい怒られて元気がなかったって言ってたけど、それって優のことよね?」

 

思い出したように絵里が聞いてきた。

 

「あぁ。定期テストの度になんとか俺が勉強を教えてたけど、抜き打ちテストの時はかなり悪い点をとって帰ってきたんだよ…優奈は隠そうと思ってたみたいだけど、かなり挙動不審だったから問い詰めてみたら…それで、普段からしっかり勉強をしてないからだって怒ったんだけど…やばい、なんとか受験勉強させないと!」

 

「まさか、あのしっかりしてる優奈が勉強が苦手だったなんて…」

 

去年、優奈と会って話したことのあるにこが少し驚いていた。

 

「でも、妹のためにそこまで考えてあげているなんて、いいお兄さんね。」

 

「いや、俺は…」

 

違う…俺はいい兄なんかじゃない…本当は、姉ちゃんが記憶を書き換えたから兄でいられるだけだ…俺は優奈を騙しているということになる。でも、いつかは優奈にも話さないといけないよな…本当の妹じゃ、ないってことを…

 

絵里の言葉を聞いて、ふとそんなことが頭に過ぎった。

 

「優くん、どうかした?」

 

俺が苦い顔を浮かべていると、穂乃果が尋ねてきた。

 

「いや、なんでもないよ。」

 

俺がそう答えた時、機械的な鳴き声が聞こえてきた。俺たちが音のした方に振り向くと、そこにはホークアニマルが飛んでいた。

 

「何、この子…?」

 

「鳥の、ロボットでしょうか?」

 

「きゃあ、可愛い〜!」

 

穂乃果、海未、ことりが言った。

 

「だろ!可愛いだろ!」

 

「うん!」

 

「えっ?可愛い…かな…?」

 

「いや、これは可愛くないにゃー…」

 

俺とことりが可愛いと話していると、花陽と凛が言ってきた。

 

「えっ、どう見ても可愛いだろ!?」

 

「あはは…優くん、その子何なん?」

 

驚いている俺に、苦笑を浮かべながら希が聞いてきた。

 

「こいつは、俺のサポートメカであるホークアニマルだ!俺が作ったんだぜ!可愛いだろ!」

 

「ねぇねぇ、優くんが前にことりちゃんは変わったものが好きって言ってたけど…」

 

「優自身もそうかもしれませんね…」

穂乃果と海未がコソコソなにか話していたが、俺にはよく聞こえなかった。

 

「あぁ…で、どうしたんだ?」

 

俺がホークアニマルに聞くと、

 

「うわっ!?おい!どこ行くんだよ!?」

 

ホークアニマルがどこかへ案内しようと飛んでいったので、俺はそれを追いかけていった。そんな俺の後ろから、穂乃果たちも追いかけてくる。

 

 

 

そして、ホークアニマルの案内の元走っていくと…

 

「きゃぁぁぁ!?」

 

「オラッ!フハハハ、相変わらず人間は弱い!」

 

「ウヴァ、人間がボク達グリードに敵うわけないよ。」

 

そこにいたのは、グリードであるウヴァとカザリだった。

 

「っ!?とうとうグリードまで出てきたか…」

 

俺が幹部怪人であるグリードに驚いていると、

 

「グリード?」

 

グリードについて他のみんなが聞いてきた。

 

「グリードは800年前のある王によって、誕生した欲望の怪物だ。コアメダルっていうメダルを核として、その周りのセルメダルによって体が作られているんだ。」

 

「うーん…なんかよくわかんないけど、悪い怪物ってことはわかった!」

 

「まぁ、その解釈で間違ってない。とりあえず早く襲われてる人を助けないと!」

 

俺はそう言い、腰にオーズドライバーを巻き付けた。

 

「優くん、私も戦うよ!」

 

「穂乃果ちゃん!私たち、でしょ?」

 

穂乃果とことりがそう言いながら、穂乃果は腰にアークルを、ことりはすぐ近くのビルの窓ガラスに龍騎のカードデッキを翳し、Vバックルを腰に出現させた。

 

「「「変身!」」」

 

『タカ!トラ!バッタ! タ・ト・バ タトバ タ・ト・バ!』

 

俺は仮面ライダーオーズ タトバコンボに、穂乃果は仮面ライダークウガ マイティフォームに、ことりは仮面ライダー龍騎に変身した。

 

そして俺はカザリと、穂乃果とことりの2人はウヴァと戦い始めた。

 

「はぁ!おらっ!セイヤッ!」

 

俺はトラクローを展開してガザリに斬り掛かるが、

 

「はっ!」

 

「ぐはぁっ!」

 

反撃を受けてダメージを受けてしまった。

 

「もう1人のオーズが現れたって聞いたけど、こんなに弱いなんてね。君のコアメダル、貰うよ!」

 

「させるかよ!」

 

俺はベルトからトラコアメダルとバッタコアメダルを取り、クジャクコアメダルとコンドルコアメダルに変えた。

 

「変身!」

 

『タカ!クジャク!コンドル!タージャードルー!』

 

俺は仮面ライダーオーズ タジャドルコンボに変身した。

 

「はぁ…やっ!」

 

俺はタジャスピナーでカザリに炎を放った。

 

「悪いけど、グリードにコアメダルを渡すわけにはいかないんでね!俺がコアメダルを頂くよ。」

 

そして、俺はオースキャナーでベルトに入ってるメダルをスキャンした。

 

『スキャニングチャージ』

 

「はぁぁぁっ、セイヤァァァァァッ!」

 

俺は上空に飛び、コンドルレッグの爪を展開させ、下降しながらカザリを蹴りこんだ。

 

「ぬぁぁぁっ!?」

 

その攻撃で、2枚のコアメダルがカザリから飛び出し、俺はそれを掴み取った。

 

「よし!」

 

「チッ!僕のコアメダルが…今回は引かせてもらうよ。」

 

そう言って、カザリは逃げていった。その時、

 

「「きゃぁぁぁぁぁぁっ!?」」

 

「穂乃果!ことり!」

 

穂乃果とことりが、ウヴァの攻撃で強制変身解除してしまった。

 

「2人とも、あとは任せろ。」

 

俺はオーズドライバー3枚のコアメダルを取り、代わりにライオンコアメダル、トラコアメダル、バッタコアメダルを入れ、オースキャナーでスキャンした。

 

『ライオン!トラ!バッタ!』

 

俺は仮面ライダーオーズ ラトラバに変身した。

 

「はぁぁぁっ!」

 

俺は、ライオンの顔から強い光りを出した。ウヴァがその光に目をくらませている間に、

 

「セイッ!」

 

バッタの足で高く飛び、下降して一気にトラクローでウヴァの腹部を突き刺した。それにより、クワガタコアメダルがトラクローに引っかかった。

 

「クソ…ならこいつらで!」

 

ウヴァはセルメダルを取り出し、それらを割って数体の屑ヤミーを生み出した。

 

「量が多いな…ならこいつだ!」

 

そして、俺はオーズドライバーにさっき手に入れたクワガタコアメダルを入れた。

 

『クワガタ!トラ!バッタ!』

 

俺は仮面ライダーオーズ ガタトラバに変身した。

 

「はぁぁぁっ!」

 

俺はクワガタの頭から電撃を出し、全ての屑ヤミーを倒した。

 

「いってぇ…!?」

 

しかし、電撃を出した影響で俺自身の頭も少しダメージを受けてしまった。

 

「いってて…とにかくあとはお前だ!ウヴァ!」

 

「させるか!」

 

俺がウヴァへ攻撃しようとした時、何者かの攻撃を受けた。

 

「ぐはぁっ!?だっ、誰だ…?」

 

俺が辺りを見渡すと…

 

「なに!?ホロスコープス!?」

 

俺に攻撃してきたのは、ホロスコープスであるスコーピオンゾディアーツとキャンサーゾディアーツだった。

 

「私たちの邪魔をするものは排除する。」

 

「ウヴァさん。ここはあっしらに任せて、お逃げなさいな。」

 

そうスコーピオンゾディアーツとキャンサーゾディアーツが言った。

 

「あぁ、そうさせてもらおう…」

 

ウヴァはそう言い残し、去っていった。

 

「ホロスコープスだろうがなんだろうが、たお、す…うっ…!?」

 

しかし、突然変身が解けてしまい俺はその場に倒れた。

 

『優(くん)!?』

 

倒れた俺に驚き、みんなが呼びかける。

 

「くっ…タジャドルコンボを使ったり、メダルチェンジした影響でライダーエナジーを消費しすぎたか…」

 

俺はタジャドルコンボに変身して体力を多く消費してしまった上、この前の連続強化フォームチェンジで不足していたライダーエナジーがとうとう尽きてしまい変身が解けてしまったのだ。

 

「仮面ライダーが自ら倒れてくれるとは有難い。」

 

「今の間に、仮面ライダーの息の根を止めてあげましょう。」

 

そう言って、キャンサーゾディアーツは俺の方に近づいてくる。

 

「ハッハッハ…これで終わりですよ。」

 

そして、俺にトドメを刺そうと、カニの手を振り下ろしてきた…




どうでしたか?今回、ついにウヴァやカザリ、スコーピオンゾディアーツにキャンサーゾディアーツなどの幹部系怪人が登場しました。更に優の絶体絶命のピンチ!次回、優たちは生き延びることが出来るでしょうか…

そして、前書きで書いた今年からやりたいことなのですが、1つ目は本当に軽い内容で、μ’sや優の日常を書く小説を投稿しようかなと思っています。まだ、予定なのでどうなるかは分かりませんが、もし決まったら活動報告に詳しく書こうかなと思っています。もし書くと決まったら、軽い気持ちで見てもらえると嬉しいです。
そして、さっき活動報告で詳しく書こうかなと思っていると言いましたが、活動報告も今まで書いたことがないので、これからは書くことがあるかもしれません。

そしてもう1つあるのですが、次回から後書きでオリジナルライダーのプロフィールなども書いていこうかと思っています。それも見てもらえると嬉しいです。
では、次回もオリジナルです。


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59話 自然の新ライダー

はい、59話です。
そして今回、アギト以降の平成ライダーからは毎回出てきてる2号ライダーが登場します!
そして後書きでは、前回予告したオリジナルライダーのプロフィールを書きたいと思うので、そちらも良ければ見てください!
では59話、スタートです!


〜side 優〜

 

飛んできたエネルギー砲が俺に当たる、俺はそう覚悟した。しかし、俺にエネルギー砲は当たらなかった。

 

「……これは…岩…?」

 

そう、突然俺の前に現れた岩の壁によってエネルギー砲が当たらなかったのだ。

 

「なに!?」

 

「なんだ、これは!?」

 

そのことに、スコーピオンゾディアーツとキャンサーゾディアーツも驚いている。

 

「はぁぁぁっ!」

 

「「グハァァァァッ!?」」

 

その時、突然太い木が飛んできて、それにぶつかった2体ののゾディアーツは吹っ飛んで倒れる。

 

「なんだ…?」

 

俺が木が飛んできた方に振り返ると、緑色の仮面ライダーが立っていた。

 

「……お前は…?」

 

「俺か?俺は、仮面ライダーネイチャーだ!よーく、覚えておけ!怪人共、最強であるこの俺が、お前らをぶっ倒す!覚悟しろよ!」

 

そのライダー、ネイチャーが言った。

 

「お前が、ネイチャー…」

 

こいつが姉ちゃんの言っていた新しいライダーか…一応助けてもらったのか?……というか、自分で最強とか、かなりの自信家っぽいな…

 

俺は呆気に取られながら立ち上がった。

 

「あぁ!あの仮面ライダーさん、凛を助けてくれた人にゃ!」

 

ネイチャーの姿を見て以前自分を助けた仮面ライダーだと思い出し、驚いている凛。

 

「えっ、あの仮面ライダーが凛ちゃんを助けた人だったの?」

 

「優と同じベルトの仮面ライダー…2人目がいたとはね…」

 

穂乃果、にこもそれを聞いて驚いている。

 

「とりあえず、さっきまで倒れていた仮面ライダーは休んどけ。こいつらは、俺1人で充分だ!はぁぁぁっ!」

 

そう言って、ネイチャーは2体のゾディアーツに攻撃を仕掛けていった。

 

「はぁぁぁっ!オラオラオラオラオラァッ!」

 

ネイチャーはキャンサーゾディアーツに荒々しいラッシュを放ち、キャンサーゾディアーツは一気に倒れた。

 

「まずは1人目!一気に行くぜ!」

 

そう言って、ネイチャーは腰に付いている俺のとは色違いの緑色ベースのアタックバックルに1枚のカードを入れた。

 

『スペシャルアタック!ネイチャークラッシュ!』

 

すると、キャンサーゾディアーツの周りに再び大きな岩の壁が現れた。キャンサーゾディアーツはその岩の壁に挟まれ、身動きが取れなくなる。

 

「なに!?あっしが、負けるなんて…グハァァァァッ!」

 

キャンサーゾディアーツは最後にそう言い残し、潰された。

 

「強えな…」

 

「よしっ!まずは1体。今度はこいつを使ってみるか。」

 

すると、ネイチャーは腰のベルトをメテオドライバーに交換した。

 

「あいつも、姉ちゃんが言ってたように他のライダーにも変身出来るのかよ…」

 

『メテオ レディ?』

 

「変身!」

 

ネイチャーは仮面ライダーメテオに変身した。

 

「仮面ライダーメテオ。お前の運命(さだめ)は、俺が決める。」

 

あっ、やっぱりちゃんと決め台詞は言うんだな…俺がそんな事考えてると、ネイチャー…いや、メテオは攻撃を始めた。

 

「ウゥー…ワチャァァァー!」

 

「クッ…」

 

「一気に決める。」

 

メテオはメテオドライバーに入っているメテオスイッチをオンにした。

 

『メテオ・ON Ready?』

 

ベルトから待機音が流れ始めると、メテオはドライバーの球体部分を回す。

 

『メテオ リミットブレイク!』

 

「ウゥー…ホワチャァァァァァッ!!」

 

一気に飛び上がったメテオは、そのまま加工しながらスコーピオンゾディアーツに必殺キック、メテオストライクを放った。

 

「グハァァァァッ!?」

 

それにより、スコーピオンゾディアーツも消滅した。俺が倒された2人のゾディアーツがいた方を見ると、2つのホロスコープスイッチが落ちているだけでスイッチャーは見つからなかった。

 

ってことは、財団Xはスイッチを元にエネルギー体の怪人を作り出すことができるってことか…?これは厄介だな…俺はそう思いながら、後で姉ちゃんに預けようと2つのホロスコープスイッチを拾った。

 

その間に、2体のゾディアーツを倒したメテオは変身を解いていた。見た目は、俺たちと同い年ぐらいの男だった。まぁ、とりあえず礼を言わないとな…俺はそう思って、ネイチャーに変身していた男に話しかけた。

 

「今回は助かった。ありがとう。」

 

「いや、別にいい…別に、助けたわけじゃないしな…」

 

「お前にその気が無くても、俺たちは助かった。勝手に礼を言ってるとでも思ってくれ。それで、お前にいろいろ聞きた…「あの!」

 

俺が、ネイチャーにいろいろ聞こうとした時、凛がすごい勢いでネイチャーに話しかけに行っていた。

 

「うおぉぉぉ!本物の星空凛だ!」

 

ん?こいつ、凛のことを知ってるのか…?

 

「おぉ!それに他のμ’sのメンバーも!」

 

凛のことというより、μ’sのことを知ってるのか…?

 

「えっ、凛たちのこと知ってるのかにゃ?」

 

「そりゃあもちろん!みんなスクールアイドルやってるんだろ?やっぱりめっちゃ可愛いなぁ!」

 

「えっ?ってことはμ’sのファン?」

 

すると、後ろにいた穂乃果たちもこちらに来て尋ねた。

 

「うーん…ファン、というか…まぁ、ファンだな!」

 

あっ…そういえば、こいつも転生者なんだったな…ボロ出す前に話さないと…

 

「みんな、悪い!俺、ちょっとネイチャーと話があるから、ちょっとだけ行ってくる。すぐ戻ってくるから!」

 

「はっ、ちょっ、なんだよ!?俺はもっとμ’sのみんなと話したいんだけど!」

 

「あぁ、分かった分かった。話が終わったら、たんまり話せばいいだろ?それより前に話しておかないといけないことがあるんだよ。」

 

俺はネイチャーを引っ張っていった。

 

 

 

そして、みんなから少し離れた場所で…

 

「ったく…なんだよ、話って?」

 

少し不満気にネイチャーが聞いてきた。

 

「いや…お前、転生者…だよな…?」

 

「あぁ…女神様に聞いたけど、お前も転生者なんだろ?」

 

「あぁ、このことはみんなには「あぁ、分かってる分かってる!」

 

俺の話を遮り、ネイチャーが言ってきた。

 

「言わねぇよ。俺は別にどっちでもいいけど、お前は知られたくないんだろ?」

 

「あぁ、助かる。」

 

「話はそれだけか?」

 

「あと、お前を転生させた女神様と会うことできるのか?」

 

「あぁ、出来ると思うぞ。俺の家に来ることも多いし。」

 

「分かった。また今度でもいいから、1回会わせてもらってもいいか?」

 

「あぁ。別にいいけど、今はあとだ。μ’sに挨拶しとかないと…」

 

「ん?そういえばお前って転生者なのに、なんでμ’sを知ってるんだ?」

 

「はぁ!?お前、アニメ見てなかったのか?」

 

「アニメ…?あぁ、そういえばここに転生してくる時に、姉ちゃんがここはアニメの世界と仮面ライダーの世界が融合した世界だって言ってたような…」

 

「お前、ラブライブ知らないのか?」

 

「ラブライブって、今度みんなが予選に出る大会だろ?」

 

「それがこのアニメのタイトルだよ。」

 

「あぁ、そういうことか…えっ?ってことは、お前はそれから起こることが分かるってことか?」

 

「いや、俺も転生してくる時に記憶消されてるから、分かるのはメンバーのプロフィールぐらいだ…」

 

「そっか…ならいいや。話は以上だ。」

 

「よし、じゃあ俺は行ってくる!ひやっほぅー!」

 

そう言って、猛スピードで走っていった。なんか、お調子者が仮面ライダーになったな…ってかあいつ、俺に話す時とμ’sへ話す時の扱いが違いすぎる…

 

でも、なんか見覚えのあるやつだったな…

 

 

 

俺がネイチャーを追いかけてみんなの所に向かうと、既にみんな話に盛り上がっていた。特にネイチャーと凛が…恐らく、凛は助けてもらったからいろいろ言いたかったことがあったんだろうな…

 

「みんな、おまたせ。」

 

「あっ、優くん!この人、かなり私たちのファンみたいだよ!」

 

「へぇ、そうなのか。」

 

まぁ、さっきまでの感じからも分かるが、相当ラブライブが好きだったみたいだしな…というか、俺たちがこの世界に来たことで、ラブライブと仮面ライダーの世界はかなり変わってしまったんじゃ…まぁ、2つの世界が融合した時点でかなり変わってるんだろうが…今度、姉ちゃんに詳しく聞いてみるか。

 

「あっ。そういえば、お前の名前って?」

 

「あぁ、まだ名乗ってなかったな。俺の名前は、宮崎蓮だ!よろしくな!」

 

宮崎の名前を聞いた時、何故か俺の頭に痛みが走った。

 

「うっ…」

 

「優くん?」

 

「どうかしたのですか?」

 

心配して穂乃果や海未が聞いてきた。

 

「いや、ちょっと戦いの疲れが出ただけだ。大したことはない。」

 

いったい、さっきの頭痛は何だったんだ。戦いの疲れが出たわけじゃ、なさそうだったけど…そういえば、前に絵里と希と話した時の頭痛に似ていたな…

 

 

 

そして、更に話していると…

 

「ねぇねぇ、蓮くんの好きな食べ物ってなに?」

 

「俺の好きな食べ物?うーん、ラーメンかな?」

 

おぉ、すごい偶然…!凛の好きな食べ物と一緒だ。あっ、でもあいつは凛のプロフィールを知ってるみたいだし、話を合わせるためなのか…?いや、あいつにそんな考えはなさそうだし、ただ本当に偶然だろうな…

 

「えっ、凛もにゃ!今度一緒に食べに行かない?」

 

「おぉ、行く行く!」

 

このように、凛は宮崎とかなり仲良くなったみたいだ。

 

うーん…ってかもしかして凛って、宮崎に惚れた?なんか、助けてもらったらしいし、ありえなく無いな。ははっ…これは…これから、面白くなるかもな。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 穂乃果〜

 

蓮くんと話してる凛ちゃんの表情を見て、少し勘づいた穂乃果は、小声でことりちゃんたちに聞いた。

 

「ねぇねぇ、ことりちゃん。」

 

「なに、穂乃果ちゃん?」

 

「もしかして、凛ちゃんって蓮くんのこと好きになったんじゃない?」

 

「ことりもそれ気になってたの!そんな感じするよね!」

 

ことりちゃんもそう思ったらしい。

 

「ねぇ、海未ちゃんはどう思う?」

 

更に穂乃果は海未ちゃんにも聞いてみる。

 

「何がですか?」

 

「凛ちゃんって、蓮くんのこと好きになったんじゃない?」

 

「あぁ…確かに、そうかもしれませんね。とても楽しげに話していますし、凛は1度、宮崎さんに助けてもらったらしいですし。」

 

「そうだよね!それに、これまで凛ちゃんは優くんに恋愛感情を抱いてなさそうだったし、そうかもしれないよね!」

 

ことりちゃんがそう言った。

 

「でも、優くんは凛ちゃんが蓮くんのことを好きになったって気づかなさそうだよねぇ…」

 

「うん…私たちの気持ちにも全然気づかないし…」

 

私たちがそう話していると、優くんが小声で話しかけてきた。

 

「なぁなぁ、穂乃果、ことり、海未。」

 

「どうしたの?」

 

「もしかしてだけど、凛って蓮に惚れてないか?」

 

「「「えっ?」」」

 

「えっ、違ったか?」

 

「いや、穂乃果たちも…」

 

「なんとなく…」

 

「そんなふうですね、とは話していましたけど…」

 

穂乃果たちは戸惑いながらそう答えた。

 

「やっぱりそうだよな!いやぁ、今後どうなるのかが楽しみだなぁ…!」

 

優くんはそう言って、また2人の様子を見に行った。

 

「ことりちゃん…」

 

「うん…なんで優くん、凛ちゃんのこと気がついたんだろう…」

 

「もしかして優は、自分に対する好意ではなかったら気づくのでしょうか…」

 

「でも…」

 

「「「イラッとするよね(しますね)…」」」

 

私たちの好意には全く気づいてない優くんに私たちは、少しイラッとした。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 凛〜

 

凛は今、この前助けてもらった蓮くんっていう男の子と話している。

 

蓮くんは、今日初めて話したけど、とっても面白くていい人そうな男の子だ。凛は蓮くんと話していると、なんだか少しドキドキする。なんでにゃ…?もしかして、凛は蓮くんのこと好きになっちゃったの…?

 

うーん…よく分からないけど、凛は蓮くんと話していると、優くんやμ’sのみんなと話してる時とは少し違った気持ちがある気がする。

 

まだこの気持ちがなんなのかは分からないけど、もしかしたら、凛は蓮くんのことを好きになってしまったのかもしれないニャー…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

μ’sのみんなと別れた俺は、宮崎と歩いている。宮崎の家に行って、宮崎を転生させた女神様に会ってみるためだ。

 

「着いたぞ、ここが俺の家だ。」

 

宮崎に案内され、彼の家に着いた。家は普通に立派な一軒家だ。恐らく、俺と同じように女神様からかなりのお金とこの家を貰ったのだろう。

 

「へぇ、ここが宮崎の家か。」

 

「別に蓮でいい。」

 

「そっか。じゃあ、蓮!俺の事も優でいいぞ。」

 

「あぁ、優!」

 

こうして、俺たちは名前で呼び合うことになった。なんか、こいつと話してると懐かしいような感じがする。なんでだろう…

 

「ただいま。」

 

「お邪魔します。」

 

俺が蓮の家に入り、共にリビングまで行くと、

 

「おかえり、蓮くん。それからいらっしゃい。あなたが仮野優くんね?」

 

綺麗な女の人がいた。恐らく、この人が蓮を転生させた女神様なのだろう。

 

「あっ、はい。はじめまして、仮野優です。」

 

「あなたの話は、あの子からよく聞いているわ。」

 

「あの子?」

 

「えぇ、私と同じ女神で、今は優香と言った方がいいのかしら?」

 

「あっ、姉ちゃんから…」

 

俺と女神様が話してると、蓮が、

 

「んっ、女神様が姉ちゃんってどういことだ?」

 

「あぁ、俺を転生させた女神様が、私はあなたの保護者、いわゆる義理の母親になるからって言ってきたんだよ。でも、少なくとも見た目が若すぎるだろってことになって、なんやかんやで姉になった。」

 

「へぇ…じゃあ、女神様も今日から俺の姉ちゃんになってくれよ!」

 

蓮が女神様に言った。

 

「そうね!じゃあ、私たちもそうしましょう!」

 

俺の時もそうだけど、案外あっさりと決まるもんだな…いや、こんなあっさり決まって本当に大丈夫なのか…?

 

「そういえば姉ちゃんが前に言ってたけど、姉ちゃんとは幼馴染なんですよね?」

 

俺はふと女神様に尋ねた。

 

「えぇ。私と優香は幼馴染で、今もよく会って話すから、あなたのことは聞いてるわ。ありがとう。」

 

「えっ?」

 

「私たち女神には名前がないの。だから、人間の名前には憧れがあるの。だから、優くんが優香に名前をつけてあげた日にすっごい喜んで私に言ってきたの。だから、ありがとう。」

 

その時の女神様はどこか物欲しそうな顔で蓮を見ていた。なるほど、そういうことか…

 

「おい、蓮。」

 

それに勘づいた俺は、蓮に小声で話しかけた。

 

「なんだ?」

 

「多分、女神様はお前に名前を付けてもらいたいんじゃないのか?」

 

「おっ、俺に?」

 

「そうだよ、なんか付けてやれよ。」

 

俺の提案に蓮は少し考え、

 

「うーん…じゃあ、蓮子?」

 

とんでもない名前を言ってきた。

 

「……いや、お前のネーミングセンス、どうなってんだ…?」

 

「なっ、なんだよ!?」

 

「もっと、ほら…女の人らしい名前、ないのか?」

 

「うーん…じゃあ、『咲』でどうだ?」

 

あっ、今度は意外とまともな名前だ。

 

「おぉ!それならあの女神様らしくていいと思う!行ってこい!」

 

そして、蓮は女神様に話しに行った。

 

「なぁ、せっかくだから姉ちゃんにも名前つけたいなって思って考えてみたんだけど、これから姉ちゃんは咲って名前でどうだ?」

 

「蓮くん…うん!すごく嬉しい!ありがとう!」

 

「良かった。じゃあ、改めてよろしくな!咲姉ちゃん!」

 

「うん!」

 

そう言った女神様…咲さんの顔は、とても嬉しそうだった。

 

「おまたせ〜」

 

「姉ちゃん!?」

 

すると、俺の姉ちゃんも蓮の家にやってきた。

 

「私が優香も読んでおいたの。」

 

驚いている俺に、咲さんが説明してくれた。

 

「ねぇ、優香!蓮くんに、私にも名前付けてもらったのよ!」

 

「良かったじゃない!なんて?」

 

「咲って名前よ!優香もこれから私を呼ぶ時は、咲って呼んでね!」

 

「えぇ、咲!」

 

女神様2人が楽しそうに話していた。俺たち人間にとっては名前なんて当たり前にあるけど、女神様にはそういうのがないんだな…でも、なんでないんだろ…?

 

「2人目の仮面ライダーが登場したけど、敵の正体はまだ分からないままなんだよな…財団Xってことぐらいしか、まだ分かってないし…」

 

俺がそう言うと、

 

「んっ、敵は財団Xだけじゃないだろ?」

 

そう蓮が言ってきた。

 

「えっ、どういうことだ?」

 

「お前、聞いてないのか?」

 

戸惑っている俺に、そう蓮が聞いてきた。

 

「もしかして優香。話してないの?」

 

咲さんが姉ちゃんに言った。

 

「えっ、えぇ…」

 

「まぁ、そうよね…優香にとって、辛い話だものね。」

 

姉ちゃんにとって、辛い話…?

 

「優香、私から話していいかしら?」

 

「えぇ…そろそろ話さないといけないし、お願いするわ。」

 

「分かった。じゃあ、私から話すわね。優くん、心して聞いてね。」

 

「はっ、はい…」

 

「実はね、財団Xにはある協力者…協力している団体がいるの。」

 

「そういえば、前にフィリップさんが財団Xに協力者がいるかもしれないって、言ってたな…」

 

次の瞬間、咲さんがとんでもないことを言った。

 

「それが…その協力している団体っていうのがね、元私たちの仲間の女神なの…」

 

「……えっ?」

 

 

 

姉ちゃんたちと同じ……女神……?

 

 

 

 

 




では、後書きに入る前に前回予告した、オリジナルライダーのスペックなどをどうぞ!


ライダースペック、紹介コーナー!

仮面ライダーインフィニティ 変身者、仮野優
身長 202cm
体重 93kg
パンチ力 5.9t
キック力 14t
ジャンプ力 46m(ひと跳び)
走力 4.2秒(100m)
変身ベルト インフィニティドライバー
変身アイテム ノーマルデータボトル
武器 インフィニティソード
バイク ライドインフィニティ

主人公、仮野優がノーマルデータボトルで変身した、仮面ライダーインフィニティの基本形態。水色ベースの仮面ライダー。決めゼリフの『俺の強さは次元を超えるぜ!』と、言って戦うことが多い。
腕につけているインフィニティブレスから他の平成二期ライダーのベルトや変身アイテムを呼び出し変身することが出来るため、ヤミーやゾディアーツなどの敵はそれぞれのライダーに変身して戦うことが多いが、雑魚怪人や複数の敵、これまで出てこなかった怪人などはこのフォームで倒すことが多い。右腰に付けているカードホルダーから特殊能力カードや必殺技カードを取り出し、左腰に付いてるディケイドのバックルの水色バージョン、アタックバックルに入れることで特殊能力や必殺技を繰り広げることが出来る。必殺技は『インフィニティストライク』で、キックを放つ。そして、武器のインフィニティソードに平成二期ライダーのデータボトルをセットすることで、それぞれのライダーの必殺技を使うことが出来る。
普通の転生者と少し違う優は、このフォームに変身するためのアイテム、ノーマルデータボトルで優の体を保たせているため、ノーマルデータボトルが壊れてしまうと優は消えてしまうらしい…ノーマルデータボトルが無いと優の体が保てないのは長くても高校生の期間までらしいが、それまでノーマルデータボトルは壊れないのだろうか…


はい、今更ながらのオリジナルライダーのプロフィールでした!どうでしたか?もし、書き忘れていた部分があったらすみません。そして、これまでベルトを召喚するためのブレスをそのまま、ベルト召喚ブレスと書いてましたが、あまりにもダサすぎたので、インフィニティブレスと書くことにしました。これからもそうすると思います。
今回、アイテムのことなども書くため、1話などを自分で見返したのですが、あまりにも下手で誤字脱字が多すぎて読んでて恥ずかしかったです…今もあまり面白いわけでも誤字脱字がないわけでもありませんが、1話を見ると少しは、成長したのかなと思いました。これからも、もっと成長出来るよう頑張ります!
そして、とうとう2人目の仮面ライダー、ネイチャーが登場!毎度毎度、ネーミングセンスがないのは本当にすみません…そして、優香の幼馴染である女神様、咲も登場しましたね。
そして、27話でμ’sのみんなの優に対する気持ちを書いた時に、凛と花陽だけ書かなかったのは、別のオリキャラとの恋愛があるからっと言ったのは蓮でした。しかし、花陽はまた別のオリキャラなので、もう少し先になりそうです。花陽ファンの方、申し訳ありません…
そして、最後に咲の口から告げられた、重大発表。財団Xの協力者が、女神で優香にとって辛いこととは…
それは、 次回明かされると思います!


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60話 衝撃事実と新マネージャー

はい、60話です。

皆さん、お久しぶりです。最近、少し更新ペースが遅くなってしまってるかもしれません…すみません…

では60話、スタートです!



〜前回のラブライブ!、μ’sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 南ことり)

 

突如現れた怪物を倒すため、ことりは穂乃果ちゃん、優くんと共に戦う。しかし、怪物の攻撃に苦戦し、ピンチに陥ってしまう。そんな時、ネイチャーという緑色の仮面ライダーが現れた。

 

「俺の名前は、宮崎蓮だ!よろしくな!」

 

仮面ライダーネイチャーに変身していた男の子は、宮崎蓮くん。更に、以前凛ちゃんを助けた仮面ライダーも蓮くんだった。

 

ことりたちが帰った後、優くんは蓮くんの家に向かう。そこで優くんは蓮くんを転生させた女神、咲さん─優くんの勧めで蓮くんが名付けた─と出会う。更に優香さんと合流し、優くんは衝撃的な言葉を耳にする。

 

「その協力している団体っていうのがね、元私たちの仲間の女神なの…」

 

財団Xに協力しているのが女神、ということを聞き、愕然とする優くん。

 

まぁ…優くんや蓮くんが転生者ってことや、女神様がいるってことは、ことりは知らないんですけどね♪

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「どういう事…ですか?女神様が、敵……?」

 

財団Xに協力している団体が女神様。咲さんの口から告げられた衝撃的事実に、俺はかなり混乱していた。

 

「簡単に言えば、私や優香がいる天界でのトップの存在、人間がよく神様と呼んでいる人がいるの。その下に私たち女神が仕えているんだけど、2年前、4分の3ぐらいのほとんどの女神が反乱を起こしたの。」

 

「えっ、なんで…?」

 

「理由はさまざま。ある女神は、神のやり方が気に入らない。ある女神は、もっと女神にも自由が欲しい。そのように、ほとんどの女神は神に対する反乱だった。そんな反乱を起こした女神たちが人間界を脅かすようなことをすれば、神もその不満を認めざるおえないと思った女神たちは、財団Xと手を組んだ。」

 

「もしかして、この前姉ちゃんが言ってたインフィニティドライバーの1号機やダークデータボトル、それにダークライダーシステムが天界から盗まれたのって…」

 

「えぇ、女神の仕業。財団Xだけの力じゃ、とても天界に来ること、いや…天界の存在を知ることすらできないでしょうね…」

 

「それで…じゃあ、姉ちゃんにとって辛いっていうのは、仲間が反乱を起こしたってことですか?」

 

「……ううん、それだけじゃないの。実は…その反乱を起こしたリーダーが、優香の妹なの…」

 

「えっ…妹?」

 

じゃあ、姉ちゃんは今までそんな辛いことを抱えて…

 

「えぇ、そうなの。でもさっき、ほとんどの女神が神に対する不満から反乱を起こしたって言ったけど、優香の妹だけはそうじゃないみたいなの。」

 

「えっ…じゃあ、なんで?」

 

「それは分からない…でも、偶然反乱が起きる少し前に、優香が妹に神に対する不満があるかって話したらしいんだけど、その時はないって言ってたみたいなの…」

 

じゃあ、なんで…?会ったこともない人のことを考えても当たりっこないだろうが、今の俺はその思考でいっぱいだった。

 

「一気に半分以上の女神が反乱を起こしたから、神にも対処できなかった。それなのに女神が財団Xと手を組んでしまい、その対策として人間に仮面ライダーとして戦ってもらうことになった。そこで、あなた達が見つかってお願いしたってわけなの。」

 

「そういう事だったのか…」

 

「優香は自分の妹が反乱のリーダーということもあって、かなり責任を感じていたの。だから、今までその事を黙っていた。だから優くん、優香のことあんまり怒らないであげてほしいの。」

 

咲さんがそうお願いする後ろで、心配そうな姉ちゃんが見えた。まっ、俺の答えなんて決まっている。

 

「怒るも何も、最初から怒ってませんよ。姉ちゃんの秘密主義にはもう慣れっこなんで。」

 

「優くん…」

 

俺の言葉を聞いた姉ちゃんは申し訳なさそうに、安堵の声を漏らす。

 

「そういえば…前に姉ちゃんが言ってた仮面ライダー資料がないのって、もしかして…」

 

「えぇ、ライダーシステムを開発した女神の全員が反乱を起こしてる。その中で私だけが開発の方法などは知っていたから、優香と協力して2人のインフィニティドライバーや、優くんのインフィニティソードを創ることができたの。でも、反乱した女神が資料を全て持っていってしまったから、創るのにはかなり時間がかかったんだけど…」

 

咲さんの話しに続き、姉ちゃんが話す。

 

「でもね、1つだけ残っていた資料を見つけたわ。」

 

「本当に!?」

 

咲さんは知らなかったのか、驚いている。

 

「ええ、インフィニティのライダーシステムなどについて書いてあったんだけど、その中に気になることがあったの。」

 

「気になること?」

 

「えぇ、前に優くんがμ’sの合宿に行った時、持って帰ってきた宝石があったでしょ?」

 

「あぁ、財団Xの連中が探してたやつな。」

 

「その宝石についても書かれてたんだけど、実はインフィニティドライバーを創るよりも前、数百年ほど前にライダーシステムに関係する何かを封印した宝石らしいの。」

 

数百年…?そんな昔に、ライダーシステムが…?

 

「そして、数百年経ってその資料を読んだ女神が、インフィニティドライバーを作り出したんだと思う。」

 

「なるほど…じゃあ、あの宝石があればそれの封印は解けるってことか?」

 

「ううん…その封印した宝石は3つあるみたいなの。だから、3つ集めないと駄目。けど、それは封印されたぐらいだから強大なパワーを秘めていると思うわ。」

 

「なるこど…そんな物、財団Xにだけは渡すわけには行かねぇな…早く残り2つの宝石、見つけないとだな。」

 

「えぇ、そうね。既に残り2つの宝石の内、1つは場所が分かっているわ。」

 

「そうなのか!?それって、どこなんだ?」

 

「ある山なんだけど…今はそこに、真姫ちゃんの家、西木野家の別荘が建てられてるの。」

 

「真姫の家の別荘…?前のやつも真姫の別荘にあったけど、西木野家に関係があるってことか?」

 

いくら金持ちの家だからって、関係ありそうには思えないけど…

 

「それは流石にないんじゃない?だって、そのアイテムを封印した頃、真姫ちゃんの家はまだ病院を経営してなかったし。」

 

だよな…姉ちゃんの言葉を聞き、俺は思わず安堵する。

 

「それにしても凄い偶然だな…とりあえず、その別荘に行けないか真姫に今度聞いてみるよ。」

 

俺の言葉にありがとうと姉ちゃんが答え、とりあえず話が終わった。

 

姉ちゃんと咲さんはまた別の話があり2階に上がって行ったので、今は蓮と2人で話している。

 

「それにしても、優はいいよなぁ…」

 

ふと蓮が言った言葉の意図が分からず、俺は何が?と聞き返す。

 

「だって、お前は他のライダーに変身出来るだろ?」

 

「それはお前もだろ?」

 

「確かに、変身は出来る。」

 

「変身は?」

 

「俺は自然を扱える能力があるだろ。その能力を使うには、かなり負担がかかるんたよ。だから、その代わりに優が呼び出せるエグゼイドやゴーストのような1号ライダーのベルトやアイテムを呼び出すことが出来ない。まぁ、優が呼び出したら使えるけどな。」

 

あぁ、そういえば前に姉ちゃんがそれっぽいこと言ってたな…

 

「あっ、そうだ!俺が使えない1号ライダーのライダーシステム、ちょっと見せてもらえないか?」

 

「えっ?あぁ、まあいいぞ。」

 

俺は蓮に言われ、ライダーのベルトなどを召喚した。っていうか、俺はこんな簡単に呼び出せるのに、そんな負担がかかることなのか…?

 

「やっぱすげぇ!記憶ではなんとなくだけど、俺も前の世界で仮面ライダー観てたから実物に触れるなんて感激だ!」

 

へぇ、蓮も前の世界で仮面ライダー見てたのか…

 

「あっ、そういえば蓮はこの世界に来た時なんて思った?」

 

「ん、どういう意味だ?」

 

俺がふと聞いたため、蓮に聞き返された。

 

「いや、お前は前世での記憶があるんだろ?」

 

「あぁ、仮面ライダーやラブライブの内容については消されたけどな…お前は違うのか?」

 

「あぁ、俺は普通の転生者じゃないからな。」

 

「どういうことだ?」

 

俺は前の世界で死んだ俺と、この世界で死んだ俺の2人が融合した存在ということを蓮に説明した。

 

「難しくてよく分かんねぇけど、要はお前が二重人格の半分転生者って事だろ?」

 

「あっ、あぁ…まぁ、そんな感じだ…」

 

大体あってるが、半分転生者って…っていうか、別に二重人格って訳でもない。なんなら、この世界で死んだ仮野優の性格とはほとんどないし、記憶と身体を引き継いだって感じだしな…まっ、面倒臭いから説明は省くけど。

 

「それで、結局お前は何が聞きたいんだ?」

 

あっ、忘れてた。蓮に聞かれて、俺は本題を思い出し話を続けた。

 

「いや、お前は記憶があるんだったら、前の世界の家族とか友人とかと別れて、やっぱ辛いだろうなって思って…」

 

「……別に。前の世界で、想い入れのある人なんてもう、いないから…」

 

「えっ…?」

 

どういうことだ…?もう、いない…?

 

俺はそれがどういうことなのか気になったが、辛そうな蓮の表情を見て深追いしないでおいた方がいいと思い、この話を打ち切ることにした。

 

「あっ、悪い…」

 

「いや、別に。それより、なんでディケイドのカードはこんなになってるんだ?」

 

そう蓮に言われ、俺がディケイドのカメンライド用のカードやファイナルフォームライド用のカードを見てみると…

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優香〜

 

優くんと蓮くんとの話が終わり、私は咲と2階で話している。

 

「優香…あのことは、まだ話してないのよね?」

 

「あのことって?」

 

私は咲に聞き返す。まぁ、なんとなく予想はつくけど…

 

「その…優くんの、過去のこと…」

 

やっぱり…

 

「……」

 

私は咲の質問に、俯いて黙り込んでしまう。

 

「そう…」

 

それを肯定とみなした咲は、そう言って話を続ける。

 

「でも、いつかは思い出すことになるんじゃない?そしたら、優くんは辛い思いをすることになるわよ?特に、前の世界での優くんの記憶を思い出せば…」

 

「えぇ、分かっているわ。優くんには、前の世界での記憶は戻るかは分からない、とは言ってる。でも、この世界での記憶が戻るようにしているから、恐らくその影響で前の世界の記憶も戻る可能性が高いと思う…」

 

「思い出したら、優くんはどうなるでしょうね。」

 

「これは、私のせいだけど…それでも、優くんがもし思い出したとしてもまた立ち直れるって、私は信じているわ。」

 

「ふふっ…」

 

すると、咲は笑みを浮かべた。

 

「咲…?私は真面目な話をしているんだけど?」

 

「ごめんごめん。優香がそこまで認めてる子なんて、優くんはすごい子なんだなって、思って。私、もっと優くんのこと知りたくなっちゃった。」

 

「その言い方じゃ、私が厳しくて難しい人みたいな言い方ねぇ…?」

 

「えっ、違うの?」

 

えっ、咲って私のことをそんなふうに思ってたの…?真顔で答えた咲に、そう私がショックを受けていると…

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??」

 

下から突然優くんの叫び声が聞こえてきた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「優くんどうしたの!?」

 

「何かあった?」

 

俺の叫び声を聞き、姉ちゃんと咲さんが慌ててやってきた。

 

「それが、これ…」

 

そう言って、俺はディケイドのカードを見せた。

 

「これは…」

 

「どういうこと…?」

 

そのカードを見て、2人も驚いている。

 

「なんで、ディケイド以外のライダーに変身するためのカードや、他のライダーに変身して使うカードが薄くなってるんだ?」

 

クウガやカブトのように、ディケイド以外の仮面ライダーに変身するためのカードや、そんな仮面ライダーに変身して使うカードが、エンプティ状態になり使えない状態になってしまっている。

 

「どういうこと…?」

 

姉ちゃんにも分からないようだ。

 

「とりあえず、少し調べてみるわ。資料とかもないから、あんまり期待は出来ないけど…」

 

「ありがとう…」

 

もう既に外は暗くなっているため、今日は解散となった。

 

 

 

翌日…

 

それにしても、結局ディケイドのカードはなんでエンプティ状態に…?っていうか、いつからエンプティ状態だったんだ?これからは、もう少しこまめにアイテムの確認や整理をしよう。いざ使う時に使えなかったら危険だし…

 

俺が朝のホームルームの時間に、そんなことを考えていると…

 

「にゃんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

1年生の教室の方から、恐らく凛であろう叫び声が聞こえてきた。全くあいつは、朝から元気というかうるさいというか…あっ、海未の顔が強ばった。あーあ、凛のやつ、後で怒られるぞ…

 

 

 

放課後…

 

俺が穂乃果たちと一緒に部室に行くと、1年生も3年生全員が集まっていた。そして更にもう1人いる所を見て、今朝の凛の叫び声の原因が、何となく分かった。

 

「何となく予想はつくが、なんでお前がいるんだ?蓮?」

 

部室にいるもう1人の正体は、昨日会った新しい仮面ライダー、ネイチャーに変身する宮崎蓮。しかし、何故ここにいるのかはだいたい分かった。大方、蓮も転生者だし、俺と同じように音ノ木坂学院の共学化試験生になったんだろう…

 

俺が予想を立てていると、蓮が話し始めた。

 

「俺、今日から音ノ木坂学院の共学化試験生2号として転入してきたから!」

 

なんとも予想通り…

 

「それでね、穂乃果ちゃん!」

 

そこで、凛が穂乃果の名前を呼んだ。

 

「どうしたの?」

 

「蓮くんを、凛たちμ’sのマネージャーになってもらいたいんだけど、いいかな?」

 

凛が言った。

 

「なるほど!うん!いいと思う!あれ?でも、優くんがいるのにどうして?」

 

「えっ、ええっと…そっ、そのあれだにゃ!優くん1人だと、少し大変そうだったからにゃ!」

 

穂乃果の疑問に、アタフタしながら凛が答える。そこで、メンバー全員が悟った。

 

凛のやつ、蓮と一緒にいたかったから誘ったな…

 

「じゃあ、これからよろしくね!蓮くん!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「あぁ、敬語じゃなくていいよ!」

 

意外にも蓮が敬語を使ったが、それを穂乃果が止める。

 

「えっ?でも、穂乃果ちゃ…穂乃果さんたちは先輩ですし…」

 

「穂乃果たちスクールアイドル研究部は、先輩禁止してるんだ!だから遠慮なく、敬語無しでオッケー!」

 

「あぁ、そういえばそんな話あったような…」

 

「えっ?」

 

「あっ、なっなんでもないです!分かった!じゃあ、これからよろしくな!穂乃果ちゃん!」

 

「うん!」

 

「よろしくね、宮崎くん。」

 

「よろしくお願いします。宮崎さん。」

 

「よろしく!絵里ちゃん、海未ちゃん、それにみんなも。あっ、それとなんか堅苦しいし、名前で呼んでくれよ!」

 

ということで、μ’s全員が蓮を名前で呼ぶことになった。

 

こうして、μ’sに2人目のマネージャーが入った。




ライダースペック、紹介コーナー!

仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル1
変身者 仮野優
身長 179cm
体重 137.5kg
パンチ力 7.7t
キック力 11.5t
ジャンプ力 30.5m(ひと跳び)
走力 7.6秒(100m)
変身ベルト ゲーマドライバー
変身アイテム つなげてツムツムガシャット

仮野優がつなげてツムツムガシャットを用いて変身した仮面ライダー。レベル1はレベル2とは違い、エナジーアイテムを繋げて使う能力はないが、通常のレベル1と同じようにバグスターウイルスに感染した患者とバグスターを分離することが出来る。レベル2で使う武器、ガシャコンソードバズーカーのソードモードを使って戦うこともある。



ということで、前回から始まったライダースペック、紹介コーナー!。今回はツムツムゲーマーのレベル1でした。パンチ力などは、他のレベル1と変わりないですね。では次回は、レベル2のスペックを紹介したいと思います!

そして今回は、財団Xに協力しているのが神に反乱している女神だったり、その女神のリーダーが優香の妹だったり、ディケイドのカードが使えなくなったりと、いろいろありましたね。
そして、とうとう2人目のμ’sのマネージャーが!
蓮は今後どのように活躍していくのでしょうか…
次回からはラブライブ本編に戻り、新マネージャーが加入しての合宿編です!


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10章 ラブライブ!地区予選編
61話 2度目の合宿へ!


はい、61話です。
今回から合宿編です。オリジナルライダー2人目の蓮をマネージャーに迎えての、合宿です。
では61話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ’sの仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 仮野優)

 

財団Xに協力しているのが神様に対し反乱を起こした女神様、そしてその女神様たちを纏めているのが姉ちゃんの妹さんだということを聞いた俺。それを聞いた俺は驚いたのと同時に、姉ちゃんの妹さんを助けることは出来ないのかという考えが生まれた。あの姉ちゃんの妹さんが、何の理由もなしに人を殺そうとしたりする組織に加担したりはしないと思う。

 

その後、蓮と共に俺の持ってる変身アイテムなどを確認していると、とんでもないものを目にした。この前までは普通に使えてたはずのディケイドのカードが、ディケイドに変身したりそれから使うカード以外の、他の仮面ライダーに変身するためのカードがエンプティ状態になっていた。結局、これに関しては謎のまま解散となった。

 

そして翌日…

 

「俺、今日から音ノ木坂学院の共学化試験生2号として転入してきたから!」

 

蓮が音ノ木坂学院の共学化試験生2号として転入してきた。更に蓮はμ'sのマネージャーにもなり、アイドル研究部はまた一段と賑やかになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「「「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」」」

 

「どういうこと!?」

 

何故、冒頭からみんなが驚いているか…それは、屋上で花陽が説明したことから始まった。

 

 

「大変です!ラブライブの予選で発表出来る曲は、今までに未発表のものに限られるらしいです。」

 

「未発表…?」

 

「っていうことは、今までの曲は使えないってこと?」

 

花陽の説明を聞いたことりや穂乃果、他のμ’sのメンバーが驚いている。未発表…つまり新曲か…

 

「なんで急に!?」

 

「ラブライブの参加希望チームが予想以上に多く、中にはプロのアイドルのコピーをしている人達もエントリーを希望してきたらしくて…」

 

驚くにこに、花陽が再び説明した。

 

「この段階でふるいにかけようってわけやね。」

 

「そんな…」

 

「これから1ヶ月足らずで何とかしないと、ラブライブに出られないってことよ。」

 

「こうなったらば、仕方ない。こんなこともあろうかと私がこの前作詞した、にこにーにこちゃんという詞に曲をつけて〜…」

 

絵里の言葉に続き、にこが腰に手を当てて話し始めたが…

 

「実際のところ、どうするんや?」

 

「スルー!?」

 

それを遮り希が言い、にこが驚く。というか、にこにーにこちゃんって…明らかににこ全面推しの曲じゃねぇか。

 

「なんとかしなきゃ!いったい、どうすれば…」

 

穂乃果が事の解決に迷う中、

 

「作るしかないわね…」

 

絵里がそう言った。

 

「どうやって…?」

 

「真姫!」

 

海未が疑問の声をこぼし、絵里は真姫に呼びかける。

 

「ヴェ?……もしかして…」

 

真姫は自身の名が呼ばれたことに最初は疑問に思ったが、少し考えて要件がなんとなく分かったようだ。うん、っていうか俺もなんとなく分かったぞ…

 

「えぇ…合宿よ!」

 

すると、絵里はくるっと回ったり手を無駄に動かしてから答えた。なんの動きだよ、それ…ほんと、絵里はμ'sに加入してから色々と変わったよなぁ…残念な方向にも…

 

ん、待てよ…合宿、これってもしかして、チャンスじゃねぇか!?

 

 

 

 

数日後、俺たちは真姫の別荘がある、山の近くまで電車に乗ってやってきた。

 

「わぁ、綺麗!」

 

「空気が澄んでるねぇ!」

 

周りの景色を見たことりと希が声を上げた。

 

「やっぱり、真姫ちゃんすごいニャー!こんな所にも別荘があるなんて!」

 

「歌もうまいし、完璧だよね!」

 

「とっ、当然でしょ!私を誰だと思ってるのよ!」

 

凛と花陽に褒められた真姫は、安定のツンデレだ。

 

「フン!何自慢してるのよ!」

 

そんな真姫に対し、にこが少し威圧的に言った。そういえばにこは、前に合宿へ行った時も真姫に嫉妬してたな…まっ、にこの家の事情を知ってるから、分からなくもないが…

 

「べっ、別に自慢してないわよ!お願いされたから、仕方なく紹介してあげたんでしょ!」

 

「そうだぞ、にこ。真姫のは自慢じゃなくて、ツンデレだ。可愛げがあるだろ?」

 

「かっ、かわっ…!?とっ、当然私は可愛いわよ!っていうか誰がツンデレよ!イミワカンナイ!」

 

俺の言葉に、顔を赤くして真姫が言った。まさにそれだよ。

 

「それより、優はなんでこの辺の別荘はないかって聞いてきたのよ?」

 

まっ、疑問に思われて当然か…俺は真姫にある山の周辺に合宿できる別荘はないかと聞いたのだ。まぁ、周辺どころかその山自体に別荘があるんだが…

 

その理由は、この前姉ちゃんから聞いたあの宝石を探すため、それがあるであろう山の別荘がいいとお願いしたのだ。流石にそこに別荘があると知っていたら怪しまれるため、あるかどうか聞いたら偶然あったということにした。

 

「まぁ、ちょっと探しもを…」

 

「探し物?優が私の別荘で何探すのよ?」

 

「まぁ、見つかってから話すよ。」

 

俺の説明に、真姫は納得はしていたかったが、とりあえずその話を切り上げた。

 

「そろそろ別荘に移動しましょ。今回は本当に時間がないんだから。」

 

絵里がそう言うと、ドスン!と何かを置いた音が聞こえた。音の方を向くと、そこにはまるでこれから山にでも登るのかというような装いの海未がいた。

 

「その通りです!」

 

「海未ちゃん、その荷物は…?」

 

「何か?」

 

「ちょっと、多くない…?」

 

「山ですから!むしろ、みんなこそ軽装すぎませんか?」

 

いや、別に山登りする訳じゃないからいいでしょ…

 

「さぁ、行きますよ!」

 

まるでプレゼントを開ける前の子供のように目を輝かせ、海未は改札に向かった。

 

「山が呼んでいますよ!」

 

まさか海未は…いや、そんなわけない!そんなこと、絶対にない!というかあってはならない!

 

「もしかして…海未って登山マニア…?」

 

「絵里ぃぃ!」

 

「優?」

 

「俺が言わないようにしてたことを…っていうか、海未が登山マニアなんて…そんなこと…」

 

「どうしたのよ?さっきの服装や荷物、言動を見る限りそう感じたんだけど…何か変かしら?」

 

「だって海未だぞ!海未!名前が海未、イメージカラーは青!まるで海を愛し、海に愛されて生まれてきたような海未が…なんで、山好きなんだよ!?」

 

「何言ってんのよ…それにアンタ、夏の合宿では『海は!?』って言った穂乃果に、『私ですが?』って答えた海未に対して、しょうもないとか言ってたじゃない…」

 

熱く語った俺は、呆れたにこにそう言われた。

 

「まぁ、それはそうだけど…でも、やっぱり海未は…海が好きでいて欲しかった…」

 

「はぁ…本当に何言ってんのよ、別に海が嫌いって言ったわけでもないでしょうが…それより、夏の合宿の時みたいに無茶言わなきゃいいけど…」

 

にこの言葉で思い出した。そういえば、海未は夏の合宿の時にやばい練習メニューを作ってきたんだった…

 

「ほら、もたもたしてるとバス行っちゃうわよ。」

 

真姫に言われ、俺たちは改札を出た。

 

「あれ?」

 

すると、凛がふと疑問の声を上げた。

 

「どうしたんだ?」

 

「なにか、足りてない気がしないかにゃ?」

 

「忘れ物?」

 

「忘れ物じゃないけど、なにか足りてない気が…」

 

んー?確かに、なんか足りてない気がするな…それに、いつもよりなんか静かな気がする…それにしても腹減ったな…この後バスに乗るって言ってたし、その時に来る前コンビニで買っておいた菓子パンでも食うか…ん?パン…?パン…パン…

 

『いやー、今日もパンがうまい!』

 

あっ…

 

 

 

 

 

「たるみ過ぎです!」

 

なんとか集合出来た大きな忘れ物2つに対し、海未の怒鳴り声が響く。

 

「だって、みんな起こしてくれないんだもん!ひどいよ!」

 

「そうだそうだ!ひどいぞ!」

 

そう抗議するのは穂乃果と蓮。2人は電車で降りる駅を寝過ごしてしまったのだ。

 

「ごめんね…忘れ物ないか確認するまで、気づかなくて…」

 

ことり…それじゃ、2人のこと物扱いしてるみたいだぞ…ことりって偶に無自覚でそういうこと言う時があるよな…………無自覚、だよな?

 

 

 

それから長い長い海未のお説教が始まりそうだったが、絵里に急がないと時間がなくなると言い、なんとか止めることが出来た。穂乃果はともかく、蓮も寝過ごすとは…やっぱり、蓮もバカか…これからは、μ’s三バカ(穂乃果、凛、にこ)に蓮が加わり、四バカだな。

 

 

 

「「「「「「「「「「おぉ〜!」」」」」」」」」」

 

「ひゃ〜!」

 

「相変わらず凄いわねぇ!」

 

俺たちは真姫の別荘に到着し、相変わらずの大きさに驚いていた。そんな中、にこだけは「うぐぐぐ…」と悔しそうな声を漏らしていたが…

 

 

 

「ピアノ!お金持ちの家でよく見るやつ!そして、暖炉!」

 

海未に怒られ落ち込んでいたのはどこへやら…別荘の中に入ると、大はしゃぎで穂乃果が別荘内を見ていた。ちなみに、穂乃果が言ったお金持ちの家でよく見るやつとは、天井に吊るしてあるプロペラに、電気がついてあるやつだ。確か名前は、シーリングファンだったか?

 

「凄いニャー!初めて暖炉を見たニャー!」

 

「凄いよねぇ!ここに火を…「付けないわよ。」

 

火を付けないと言った真姫に、捨てられた子猫のような目をする穂乃果と凛。

 

「まだそんな寒くないでしょ。」

 

確かに、まだそんなに寒くないな。まっ、生暖炉見てみたい気も分かるけど…

 

「それに、冬になる前に煙突を汚すと、サンタさんが入りにくくなるってパパが言ってたの。」

 

そうそう…煙突を汚すとサンタさんが入りにくくなるって、パパが言うよな…………えっ?

 

「パパ…?」

 

「サンタ…さん…?」

 

「素敵!」

 

「優しいお父さんですね。」

 

優しい笑みを浮かべて、ことりと海未が言った。

 

「この煙突は、いつも私が綺麗にしていたの。去年までサンタさんが来てくれなかったことはなかったんだから!証拠に、中見てご覧なさい。」

 

すると、自慢げに真姫が言った。俺たちが真姫に言われた通りに煙突の中を見てみると、そこにはサンタさんと雪だるまのイラストと一緒に、『Thank you!』と書かれていた。

 

「ププッ、あんた…真姫が、サンタァ…」

 

笑いながら、にこが真姫に真実を言おうとする…

 

「にこちゃん!」

 

「それはダメよ!」

 

そんなにこを、花陽と絵里が必死に止めた。

 

「痛い痛い!なによ!」

 

「ダメだよ!それを言うのは重罪だよ!」

 

「そうにゃ!真姫ちゃんの人生を左右する一言になるにゃ!」

 

と、穂乃果と凛も必死に止めている。それにしても、人生を左右するって…凛はサンタさんの正体を知った時、よっぽどショックだったのだろうか…それとも、知り方に何かあったのだろうか…

 

「だって、あの真姫よ…あの真姫が…」

 

「にこ、考えてみろ。こころちゃんやここあちゃん、虎太郎くんがそれを知ったらどんな気持ちになると思う?」

 

それでも尚、にこが本当のことを言いそうになるので、俺がにこの妹たちと弟の話に例えて止めようと試みる。

 

「そっ、それは…」

 

どうやらにこも、やっと事態の重要さが分かったようだ。

 

「それと同じだ。温かく、見守ろう。」

 

「そうね。」

 

そして、その騒動を見ていた真姫は、不思議な顔をしていた。良かった、バレてないようだ…それにしても、真姫はサンタさんを信じているのか…そういえば、前に真姫は神様も信じてるって言ってたな…俺や蓮は女神様に転生させて貰ったし知ってるけど、真姫が信じていると即答したのはお父さんのお陰なのか?

 

「そういえば、サンタさんで思い出したけど、希ちゃんの小さい頃の夢ってサンタさんになることじゃなかったっけ?」

 

ふと思い出したように、蓮が言った。

 

「えっ、確かに幼稚園の頃はそうやったけど、なんで蓮くんが知ってるん?」

 

「えっ?あぁ!えっと…なっ、なんとなくだよ、なんとなく。」

 

そういえば、蓮は前世でラブライブというアニメを観ていて、内容は覚えてないけどプロフィールぐらいなら覚えてるって言ってたな。ってか蓮のやつ、ボロ出したな…

それにしても、希がサンタさんねぇ…

 

「へぇ!希ちゃんの夢ってサンタさんだったんだ!」

 

「その頃の希は、ピュアだったのね…」

 

夢の話を聞いた穂乃果とにこが言った。にこ…今日のお前、なんでそんなに地雷踏んでんだ…?

 

「にこっち、それどういう意味なん?」

 

そんなにこに対し、ワシワシポーズをしながら希が聞いた。

 

「ひぃっ!?だっ、だからそれよ!そんな事してるから、ピュアじゃないのよ!」

 

「そんなこと言う子にはお仕置きや!」

 

「いやぁぁぁぁっ!」

 

こうして、2人の追いかけっこが始まった。

 

 

 

そんなこんなで、真姫と海未とことり以外は練習を、そして真姫は作曲、海未は作詞、ことりは衣装作りをすることになった。さて、そろそろ動きますか…

 

「あっ、絵里。悪いけど俺と蓮、少しだけ抜けていいか?」

 

「えっ?えぇ、分かったわ。」

 

絵里は少し戸惑いながらも、許可してくれた。

 

 

 

俺と蓮は練習を抜け、少し離れたところに来ていた。

 

「優?なんで練習抜けて、こんなとこに連れてきたんだよ?」

 

「前に姉ちゃんが言ってたろ。過去に封印したインフィニティに関係する何かの封印を解くための宝石の1つが、この真姫の別荘のどこかにあるって…それを探すから、蓮も手伝ってくれないか?」

 

「はぁ…まあいいか、分かった。」

 

「サンキュー!助かるよ。よしっ、じゃあ捜索にはまずこれだな。」

 

そして、俺は腰のアタックバックルに3枚のカードを入れた。

 

『スペシャル召喚 ホークメカアニマル!』

『スペシャル召喚 シャークメカアニマル!』

『スペシャル召喚 ペガサスメカアニマル!』

 

俺は3体のサポートメカ、ホークメカアニマル、シャークメカアニマル、ペガサスメカアニマルを呼び出した。

 

「おっ、お前もメカアニマルを呼び出せるのか!だったら俺も…」

 

そう言って、蓮はアタックバックルにカードを入れた。

 

『スペシャル召喚 ドラゴンメカアニマル!』

 

そして、蓮は青紫色のドラゴン型のメカアニマルを呼び出した。

 

「へへっ、これが俺のメカアニマル、ドラゴンアニマルだ!」

 

「これ、お前が作ったのか?」

 

「はぁ、なわけねぇだろ?もちろん、女神様である咲姉ちゃんに貰ったんだよ。なんで俺が作ったかなんて聞いてきたんだよ?」

 

「いや、俺の場合、ホークとシャークは俺が作って、それをモデルにペガサスを姉ちゃんが作ったんだよ。」

 

「マジかよ…よくこんなの作ったな…」

 

「まぁ、ちょっとした実験だよ。とりあえず、ペガサスは陸を、シャークは川を、ホークは空を、ドラゴンは空と川を頼んだ。」

 

俺の合図で、4体のアニマルが捜索を開始した。

 

 

 

そして、俺達も探しに行こうと思い動き出したその時…

 

「危ない!」

 

『スペシャルアタック ガード!』

 

俺は声と同時にアタックバックルにガードカードを入れ、飛んできた攻撃を防いだ。

 

「よっ、よく気づいたな…」

 

蓮はその攻撃に驚きながら、そう呟いた。

 

「おい、誰だ!」

 

「まさか、俺の攻撃に気づくとは…流石だな、仮面ライダーインフィニティ。」

 

「お前は!?あの時の、黒い…インフィニティ…」

 

俺たちに攻撃してきたのは、アデュサにトドメを刺した黒いインフィニティだった。

 

「俺は、仮面ライダーダークインフィニティ。」

 

「はぁ、仮面ライダーダークインフィニティだと?ふざけんな!財団Xのお前が仮面ライダーを名乗るな!それに、俺の名前も取るんじゃねぇ!」

 

「くだらん考えだ。今日はお前らのお手並み拝見。それと、お前らも探してる宝石を取りに来たんだよ。」

 

「誰が渡すかよ!俺たちが先に見つけてやる!蓮、行くぞ!」

 

俺はインフィニティブレスからダブルドライバーとジョーカーメモリ、サイクロンメモリを召喚し、サイクロンメモリを蓮に渡した。

 

「おう!って、なんで俺が倒れるほうなんだよ!」

 

「いいじゃねぇか。俺1人だと、これまで変身出来なかったんだから…」

 

「ったく、しょうがねぇな…」

 

そして、俺がダブルドライバーを巻きつけると、蓮にも巻きついた。

 

『サイクロン!』

 

『ジョーカー!』

 

「「変身!」」

 

俺がジョーカーメモリを、蓮がサイクロンメモリを起動し、蓮はサイクロンメモリをダブルドライバーに差し込んだ。すると蓮が倒れ、蓮のドライバーのサイクロンメモリが俺のダブルドライバーに移動してきた。そして、俺はジョーカーメモリをダブルドライバーに差し込み、ダブルドライバーを開いた。

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

俺は…俺たちは仮面ライダーダブル サイクロンジョーカーに変身した。

 

「良かった、ちゃんと変身できた…」

 

「どういうことだよ?」

 

安心して呟いた俺に、蓮が聞いてきた。

 

「いや、天界で作られたダブルドライバーは、仮面ライダーに変身することができる人物にサイクロンメモリを渡し、俺がジョーカーメモリを持った状態でダブルドライバーを巻き付ければ自動的にサイクロンメモリを持った人物にも巻き付いて、ダブルに変身できるとは姉ちゃんから説明受けたけど、最後にこう言われたんだ。『………多分…』って…」

 

「一か八かの変身だったのかよ…まあいい、行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

 

そして、俺たちはダークインフィニティへの攻撃を開始した。

 

「「はぁ!やっ!とりゃあ!」」

 

俺たちは風を纏った素早い突きや蹴りなどの肉弾戦攻撃を繰り広げるが、ダークインフィニティに全て防がれてしまう。

 

「全然効かねぇ…だったら、蓮!ルナトリガーで行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

俺たちはダブルドライバーのメモリをルナメモリとトリガーメモリに変え、ダブルドライバーを開いた。

 

『ルナ!トリガー!』

 

俺たちは仮面ライダーダブル ルナトリガーに変身した。

 

「はっ、おらっ!」

 

俺たちは専用武器のトリガーマグナムから弾を放っていくが、ダークインフィニティが取り出した剣によって防がれる。ってかあの剣、俺のインフィニティソードの黒い色違いじゃねぇか!あいつ…黒いインフィニティに変身したり、剣も俺の黒バージョンだったり、俺をパクリ過ぎじゃねぇか…?いや、俺のデータボトルや剣の方があとに出来たから、俺の方がパクリなのか…?って、今はそんなこと考えてる場合じゃねぇ!

 

「蓮、一気に行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

トリガーマグナムのメモリスロットにトリガーメモリを入れる。

 

『トリガー!マキシマムドライブ!』

 

「「トリガーフルバースト!」」

 

トリガーマグナムから何発もの弾を放ち、ダークインフィニティに攻撃したが、またもや防がれてしまう。

 

「その程度か…はぁぁぁ!」

 

そう言ったダークインフィニティが剣を振るうと、斬撃が飛んできた。

 

「「グハァァァァァァァァッ!?」」

 

それを受けてしまった俺たちは、強制変身解除に陥った。

 

「くっ、だったら…!優、今度は俺が戦う!」

 

「あぁ。」

 

俺がそう答えると、ファングメモリがやって来て俺の手の上に収まる。

 

「これ使え。」

 

俺はそれを蓮に渡した。

 

『ジョーカー!』

 

俺はジョーカーメモリを起動し、蓮もファングメモリのボタンを押すが…

 

「はぁっ、なんでだよ!?なんで、反応しないんだよ!」

 

ファングメモリは何も反応しなかった。

 

「今のお前じゃそれは使えないだろうな、宮崎蓮。弱い今のお前じゃあな。」

 

「なんだと!?俺が弱い…?ふざけんな!だったら、試してやるよ!」

 

ダークインフィニティの言葉に怒る蓮は、インフィニティドライバーを巻き付けた。

 

「変身!」

 

蓮は仮面ライダーネイチャーに変身し、一人ダークインフィニティに向かっていく。

 

「おい!蓮、落ち着け!」

 

俺が声をかけるが、蓮は1人で仮面ライダーダークインフィニティと戦い始めた。

 

「俺が弱いだと?ふざけんじゃねぇよ!俺は、財団Xを…あの怪人をぶっ潰すんだよ!俺は…最強なんだよ!オラオラオラオラオラァッ!」

 

そう叫びながら蓮はダークインフィニティに攻撃するが、全く歯がたってない。

 

「グハァァァッ!?」

 

「蓮!」

 

ダークインフィニティの反撃を受け、蓮は倒れてしまった。

 

「フッ、これでもまだ最強だと言うのか?宮崎蓮。」

 

「だったら、お前をぶっ倒して証明してやるよ!」

 

「今のお前じゃ確実に無理だ。現に、今お前は俺にダメージを与えることすら出来ず、倒れているだろ。今のお前は誰にも勝てない、ただの雑魚だ。そんなんじゃ俺にも、仮野優にも到底及ばない。諦めろ。」

 

そう言って、ダークインフィニティは去ろうとする。

 

「ふざけんな!絶対にてめぇをぶっ倒す!そして、証明してやるよ!俺はお前よりも、優よりも強いってな!」

 

それを蓮は追いかけようとする。

 

「おい蓮!あいつの言う通り、今のお前じゃ勝てない。それは俺も同じだ!今の俺たちの目的は、宝石を見つけることだろ!」

 

「知るかよ!俺はあいつを、ぶっ潰す!」

 

そう言って、蓮はダークインフィニティを追いかけていった。

 

「あのバカ!」

 

俺も蓮を追いかけて走り出した。

 

 

 

俺が蓮を見つけると、ダークインフィニティの攻撃を受けたのか、彼の前で気を失っていた。

 

「おい、蓮!しっかりしろ!蓮!」

 

声をかけるが、気を失って反応しない。すると俺は、蓮が倒れている近くに緑色に光る何かが落ちているのを見つけた。

 

「これって…もしかして、例の宝石!?」

 

なんでここに…まさか、ダークインフィニティはこの場所を教えるためにわざと…いや、そんなまさか…

 

「おい、お前は本当に俺たちの敵か?」

 

「はぁ、何を言っている?俺は宮崎蓮も倒したんだぞ。敵に決まっている。何故、そんな当たり前のことを聞く?」

 

突拍子もない俺の言葉を聞き、ダークインフィニティは呆れたように言ったわ、

 

「理由は2つ、1つ目は蓮の倒れていた場所に探していた宝石があったから。これは財団Xも探していたものだ。普通は財団Xである、お前は見つけて持ち帰ったはずだ。」

 

「単なる偶然だ。俺が気づかなかっただけだ。」

 

「……2つ目。ただ、俺がそんな気がするだけだ。お前は本当は敵じゃない、悪いやつじゃないというような気がしただけだ。」

 

「……はぁ、お前は馬鹿か?甘すぎるな…俺は敵だ!いつか、お前とも戦うことにもなる。覚悟しておくことだな。」

 

そう言って、ダークインフィニティは去っていった。

 

それにしても蓮のやつなんでそんなに、強さにこだわっていたんだ?それに、途中言ってたあの怪人って…?なんにせよ、今のような戦い方のままじゃ、蓮自身の身が持たなくなる可能性が高い。これは、危険だな…

 

そう考えを巡らせながら、俺は蓮を担いで別荘に戻って行った。




ライダースペック、紹介コーナー!


仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル2
変身者 仮野優
身長 200cm
体重 110kg
パンチ力 5.3t
キック力 10t
ジャンプ力 31.5m(ひと跳び)
走力 4.7秒(100m)
変身ベルト ゲーマドライバー
変身アイテム つなげてツムツムガシャット
武器 ガシャコンソードバズーカー

ツムツムゲーマーレベル1からレベルアップした、ゲーマドライバーで変身した時の、インフィニティの基本形態。主に患者から分離したバグスターとの戦いに活躍する。ゲーマドライバーのレバーを引き、『2コンボ!』のかけ声で変身する。普段のインフィニティと同じで、『俺の強さは次元を超えるぜ!』と、決めゼリフを言って戦う。このライダーに変身するために使うガシャット、つなげてツムツムガシャットは優の姉である女神、優香から優が貰った。このガシャットは特殊能力として、パーフェクトパズルを強化した力がある。それは、エナジーアイテムを3種類まで同時に使うことができ、同じエナジーアイテムをつなげて使うことが出来る。流石、女神様が作ったガシャットと思うだけあり、チート的な能力を持ってるが、特殊能力が強いため、基本スペックはほかのドクターライダーよりも、やや低めになってしまう…そして、武器のガシャコンソードバズーカーを使うことで、よりエナジーアイテムを使うことも出来る。バズーカーモードに、つなげてツムツムガシャットを入れることで種類関係なく、様々なエナジーアイテムを同時に使うことが出来る。





はい。今回のスペック紹介は、ツムツムゲーマーのレベル2でした。次回は、レッドメモリーズフォームか、オリキャラの蓮のプロフィールかで迷っています。次回も、見てもらえると嬉しいです!

そして今回、まさかの蓮が変身する2話目にして、いきなり蓮が敗北。そして、蓮が強さにこだわる理由とは…蓮のエピソードは結構早い段階で、解決すると思います。ただでさえ、オリジナルが多くなりそうなので…
そして、ダークインフィニティの正体とは…
では、次回も合宿編です。


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62話 ユニット作戦!

はい、62話です。
今回も合宿編です!
そして、皆さん。先日、とうとうお気に入りに登録して下さった方が、50人を突破しました!そして、気づくと51人になっていて、本当にびっくりしました。お気に入りに登録して下さった方、そしていつも見てくださってる皆さん、本当にありがとうございます。この前、活動報告で書いた通り、これから少し投稿ペースが遅れてしまうと思いますが、できるだけ早めに投稿できるよう頑張りますので、これからも見ていただけると嬉しいです!
では62話、スタートです!


〜前回のラブライブ、μ’sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 園田海未)

 

ラブライブ地区予選で勝ち上がるために、更に気合を入れて練習をする私たち、μ’s。そんな中、私たちに驚きの情報が…

 

「大変です!ラブライブの予選で発表出来る曲は、今までに未発表のものに限られるらしいです。」

 

私たちは新曲を作ることになりましたが、急な事でどうするか焦って考えていると、

 

「えぇ…合宿よ!」

 

ドヤ顔の絵里が提案しました。最近、絵里が所謂ポンコツ…というのになってきている気がしますが、考えないようにしましょう…

 

そして、合宿のため真姫の別荘まで来た私たち。そこでみんなが練習を始める中、私、ことり、真姫はそれぞれ、作詞、衣装作り、作曲をすることに。

 

更に優も何かすることがあると、蓮と共に別行動することに…そんな時、謎の優と同じ姿をした黒い仮面ライダー、ダークインフィニティとの戦いで、蓮は気を失ってしまいます。

 

合宿は、このまま続けられるのでしょうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ただいま…」

 

俺が気絶している蓮を担ぎながら別荘に戻ると、何故か凛とにこがびしょ濡れになって暖炉で暖まっていた。

 

「蓮くん!?どうしたの?」

 

気絶している練習を見て、凛は驚きながら聞いてきた。いや、俺からすると凛とにこの方がどうしたのか気になるんだが…

 

「いや、ちょっと敵が現れてな。蓮がちょっと無茶しすぎただけだ。大したことはないと思うけど、とりあえず今は寝かしておいた方がいいな…それより、なんで凛とにこはびしょ濡れなんだ?」

 

「なんか、にこのリストバンドを探してたら川に落ちたみたいで…」

 

「何やってんだよ…」

 

絵里の説明を聞いて、俺は呆れて凛とにこを見た。

 

「あっ、そういえば…凛たちが川に落ちそうになってる時、なんか怪物っぽいの見たにゃ!」

 

体は暖炉で温まりながら、顔だけこちらに向けて凛が言った。

 

「怪物っぽいの…?俺と同じ姿だったか?」

 

「違うかったわよ。もっと怪物っぽくて、全然仮面ライダーには見えなかったわ。」

 

凛と同じく、顔だけこちらに向けてにこが言った。

 

「お茶、用意しました。」

 

びしょ濡れで寒そうにしている2人に花陽がお茶を渡した。それから、その場にいる全員にお茶を渡し終わると、それぞれ別の作業に向かっている3人分のお茶だけがお盆に残った。

 

「じゃあ、海未ちゃん達には私が持ってくよ。」

 

穂乃果が花陽からお盆を受け取り、2階の3人にお茶を渡しに行ってくれたので、俺はその間に蓮を別室のベットまで運んでおいた。

 

 

 

『スランプ!?』

 

上で何やら騒いでた穂乃果がリビングに戻ってくると、ことり、海未、真姫がスランプに陥っていると説明を受けた。

 

「つまり、今までよりも強いプレッシャーがかかっているって言う事?」

 

「はい…気にしないようにはしているのですが…」

 

「上手くいかなくて、予選敗退になっちゃったらどうしようって…」

 

絵里の質問に、落ち込んで覇気のない海未とことりが答えた。

 

「まっ、私はそんなの関係なく進んでたけどね。」

 

「その割には、譜面真っ白にゃ!」

 

「勝手に見ないで!」

 

真姫が凛から譜面を取り返しながら言った。

 

「確かに、3人に任せきりっていうのは良くないかも…」

 

「そうね。責任も大きくなるから、負担もかかるだろうし…」

 

「じゃあ、みんなで意見出し合って、話し合って曲を作っていけばいいんやない?」

 

花陽と絵里がそう悩んでいると、希が提案を出した。

 

「そうね、せっかく9人揃ってるんだし、それでいいんじゃない?しょうがないわねぇ、私としてはやっぱりにこにーにこちゃんに曲をつけて…「なーんて9人で話してたら、いつまでたっても決まらないよ。」

 

にこの言葉をバッサリと遮り、希が言った。

 

「そうね…あっ、そうだ!」

 

絵里が何か思いついたようだ。

 

 

それから、絵里の提案で、くじで3人ずつにグループを分けることになった。蓮はまだ眠ってるし、俺は凛が見た怪人が現れないかパトロールすることにしたため、今回は不参加になった。

 

 

 

それから9人がくじを引くと…

 

 

ことりを中心に衣装を決める班…ことり、穂乃果、花陽

 

海未を中心に作詞する班…海未、凛、希

 

真姫を中心に作曲する班…真姫、絵里、にこ

 

 

このグループで行動することに決まった。

 

「よーし!じゃあ、ユニット作戦で曲作り、頑張ろー!」

 

『おぉー!!』

「おっ、おぉ…?」

 

 

 

その様子を見届けた俺は、パトロールに向かった。ついでに、それぞれのチームの様子も見てみるとするか…

 

 

 

〜BiBiチーム〜

 

作曲組は、別荘の外のテントで作業しているようだ。

 

「って、どうして別荘があるのに、外でテント貼らなきゃいけないのよ!」

 

せっかく快適に過ごせる別荘があるのに、そこで作業しないことに文句を言うにこ。

 

「少し距離を取らないと、3班に分けた意味が無いでしょ?ちょうど別荘にテントもあったし。」

 

「こんなので本当に作曲出来るの?」

 

「私はどうせ、後でピアノの所に戻るから。」

 

視線は動かさず作業に集中している真姫が、にこの言葉にサラリと答えた。

 

「じゃあ、食事でも作りましょうか。真姫が少しでも進めるように。」

 

絵里の言葉に真姫は少し顔を赤くしたが、そのまま作曲を進めた。

 

なんか、絵里がすごいお姉さんみたいだ… いや、実際真姫よりお姉さんなんだけど、最近の絵里ってちょっとポンコツだったから珍しい光景だ…

 

 

 

〜チームPrintemps〜

 

絵里たちのテントから移動して、衣装作りチームのテントを見に来たんだが…俺がテントを見に来た時には、3人ともテントで寝てしまっていた。

 

叩き起こそうかとも考えたが、普段比較的常識人なことりと花陽も寝ていたため、移動の疲れなどもあったんだろうと思い、今はそっと寝かせておくことにした。

 

 

 

〜チームlily white〜

 

そして、作詞チームはというと…

 

「凛!絶対にこの手を話してはなりません!死にますよ!」

 

「いやぁぁぁぁっ!今日はこんなのばっかりニャー!」

 

「ファイトが足りんよ!」

 

何故か山登りしていた。

 

 

このやり取りだけを見れば、余っ程凄い山を登っているように思えるが、実際は俺が数分で登ってこれたような場所だ。そんなに危険でもない岩場なのに、一体どうしでこんな茶番を繰り広げているのだろうか…

 

いやそれより作詞は…?

 

「雲がかかってきた。山頂まで行くのは無理やね…」

 

「そんな…ここまで来たのに…」

 

険しい顔で言った希の言葉に、落ち込んだ海未が言った。その2人の後ろでただ1人、凛は泣いている。

 

うわぁ…凛が凄い可哀想…

 

「ひどいにゃ!凛はこんなとこ全然来たくなかったのに!」

 

「仕方ありません。今日はここで明け方まで待って、翌日アタックをかけましょう!山頂アタックです!」

 

おい海未、凛の話を聞いてやれ…

 

いや、ちょっと待て…?

 

翌日…?いや、作詞は…?

 

「まだ行くの!?」

 

「当然です!何しにここに来たと思ってるんですか?」

 

「作詞に来たはずにゃぁ…!」

 

その通りだ、凛。珍しく凛だけが常識人だ、頑張れ!

 

凛の言葉でようやく本来の目的を思い出した海未が「はっ!?」と目を見開いていた。

 

「まさか、忘れてたの?」

 

「そっ、そんなことはありません!山を制覇し、成し遂げた充実感が、創作の源となると私は思うのです!」

 

それっぽいこと言ってるが、海未はただ山に登りたかっただけだろ!

 

「まぁまぁ、海未ちゃん。気持ちは分かるけど、ここまでにしといた方がいいよ。山で1番大切なんは、なんか知ってる?チャレンジする勇気やない。諦める勇気。分かるやろ?」

 

なんか凄い説得力あるけど、希?君もさっきまでノリノリだったよね?楽しんでたよね?

 

「凛ちゃん。下山の準備、晩御飯はラーメンにしよ。」

 

「本当!?」

 

ラーメン一つでこんなにも顔を輝かせる少女はいるだろうか…

 

「下に食べられる草が沢山あったよ、海未ちゃんも手伝って。」

 

そう言いながら、希は山を降りていった。

 

「それにしても、こんなことにまで詳しい希って…」

 

「謎ニャー…」

 

2人も希に疑問を抱きながら下山していった。

 

それにしても…認めたくはなかったが、やっぱり海未は登山マニアだったらしい…海未なのにぃぃぃ…!

 

俺も遅れて、一人とぼとぼと下山していった。

 

 

 

あっ…俺もすっかり外人探し忘れてた!俺も海未のこと言えねぇじゃん…

 

 

 

そして、一旦別荘に戻ろうと思って歩いていた俺は、その道中作曲組の3人がテントの外でたき火をしているのを見つけ、木の影からこっそり覗く。

 

「ねっ、ねぇ…このままだと、火を消したら真っ暗よね?」

 

少し慌てた様子の絵里が、真姫とにこに聞いていた。

 

「何、まずいの?」

 

「まさか、苦手なの?」

 

「まっ、まさか…待っててね!ちょっとだけ、待ってて…」

 

そう言って絵里は慌ててテントの中に入り、明かりをつけていた。

 

「ふふっ…まさか絵里にあんな弱点があったんなんてね。」

 

「この年にもなって、暗いのが怖いだなんて…うっ、うわぁ!フゥ、フゥーフゥー…」

 

にこが絵里に呆れていると、持っていた木の枝にたき火の火が燃え移り、焦って消していた。

 

「全く…こんな3年生のために、曲考える方の身にもなってよ。」

 

真姫がそういった瞬間、にこの顔つきが変わった。

 

「今、3年生のためにって言った?」

 

「だったらなによ…?」

 

「そうじゃないかと思ったのよねぇ…3年生のためにいい曲作って、3年生のために勝とうって。曲はいつも、どんなときも、全員のためにあるのよ。」

 

こういう時にそれをハッキリと言えるのが、にこの凄いところだよな…たとえ一人だったとしても、アイドル研究部部長として活動してきたにこだからこそだよな…

 

「なっ、何偉そうに言ってんのよ。」

 

「部長だもん。当たり前でしょ。」

 

そう言って、にこは真姫に焼き芋を渡した。

 

「これは?」

 

流石お嬢様…真姫は焼き芋を初めて見るようだ。

 

「焼き芋よ。たき火と言ったら、焼き芋でしょ?」

 

「わぁ、あちっ、あつつつ…フゥー、フゥー、フゥー…」

 

思いのほか暑かったのか、真姫は慌てて焼き芋を冷ましながら半分に割った。その割った半分を、真姫はにこに渡した。

 

「あっ、ありがとう。」

 

にこが真姫に礼を言うと、2人は焼き芋を食べ始めた。なんやかんや、結局この2人は仲良いよな…

 

「食べたわねぇ!食べたからには、にこが1番目立つようにしてよ!3年生なんだし!」

 

真姫が一口焼き芋を食べた瞬間、にこが言った。

 

「なによそれ!台無し。」

 

本当に、にこは会った時から変わらないな…

 

改めて矢澤にこの偉大さに気づいた俺は、そこから離れた。

 

 

 

俺が別荘に戻ると、蓮が目を覚ましていた。

 

「目、覚めたんだな。」

 

「あぁ…」

 

俺の問いに答えた蓮は、やっぱりまだ暗い。

 

「なんで、あんな無茶したんだ?」

 

「お前には、関係ねぇだろ…ただ…」

 

「ただ?」

 

「悔しかっただけだ…俺は、最強でなければいけないんだ…倒さないといけない敵がいるんだ…!」

 

「はぁ…お前の倒すべき敵が、財団Xの事なのかなんなのかは知らないが、1つだけ覚えとけ。仮面ライダーの力は、自分の私利私欲や復讐のために使うものじゃないってことをな…」

 

「チッ…なんだよ、偉そうに…頭痛が治まらねぇから、もう少し寝てくる。」

 

不貞腐れた蓮は、そう言って自分が寝ていた部屋に戻っていった。

 

はぁ…自分の私利私欲や復讐のために使うなって、俺が言えることじゃなかったな…俺も、アデュサと復讐心に任せて戦ったことがあるもんな…でも、だからこそ蓮には、同じ道を辿って欲しくない…

 

それにしても、蓮の倒すべき敵って…?ダークインフィニティのことでは、無さそうだったけど…

 

リビングで一人、俺が頭を悩ませていると、ふとピアノが目に映った。そういえば、あの事件からずっと弾いてなかったな…というより、弾けなかった…けど、今なら弾けるかもしれない。

 

そう思った俺は、ピアノの椅子に座った。

 

「よし…やってみるか…!」

 

俺はピアノの鍵盤に手を置き、ピアノを弾き始めた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 真姫〜

 

私がにこちゃんと一緒な焼き芋を食べていると、別荘からピアノが聴こえてきた。

 

「なっ、なに…?別荘の方から…もしかして、幽霊!?」

 

テントからチラリと顔を覗かせた絵里が、驚いていた。

 

「そっ、そんなわけないでしょ!!でも、かなり上手ね…ちょっと、見に行ってみましょ!」

 

「いやよ!怖いわ…」

 

「しょうがないわねぇ…にこが絵里を見とくから、真姫ちゃん行ってきなさい。気になるんでしょ?」

 

子供みたいなことを言う絵里に呆れながら、にこちゃんがそう提案してくれた。

 

「でも、にこちゃんはいいの?」

 

「にこはいいわ。なんとなく、誰が弾いてるのか分かるから。というか、何回か聴いたこともあるし…」

 

「…?まぁ、分かったわ。行ってくるわね。」

 

私はにこちゃんの言った言葉の意味はよく分からなかったが、とりあえず別荘に向かって歩を進めた。

 

 

 

私が別荘に辿り着き、中に入ると、綺麗なピアノの音色と歌声が聴こえてきた。私はこの歌声を聴いて、ピアノを弾いているのが誰なのか分かった。

私がリビングの扉を開けると、優が私に気づいてピアノを弾くのを止めた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺はピアノを弾きながら、昔は茜が歌っていた歌を歌っていた。かなり久しぶりだったが、意外と弾けるもんだな…それに、何度も弾いていたこともあり、楽譜も歌詞もまだ覚えていた。まぁ、忘れるわけないか…なんたって、この曲は…

 

すると、部屋の扉が開いたのに気づき、ピアノを弾くのを止めて振り返ると、真姫が立っていた。

 

「ピアノ、上手いのね。」

 

少し驚いた様子の真姫が、そう言った。

 

「いや、そんなことないよ。あの事件から、今日まで全く弾けてなかったし…」

 

「その曲って、誰の曲だったの?歌も歌ってたみたいだけど…」

 

「あぁ、この曲はオリジナルだ。作曲が俺で、詞は俺と茜の2人で考えたんだ。」

 

茜が一緒に曲を作りたいと言ったことから、2人で作詞作曲して完成したのだこの曲だ。

 

「ヴェェ!?優って、作曲出来たのね…そんなに良い曲が作れるなら、私よりも優が…」

 

「はぁ…そんな訳ないだろ。μ’sが廃校を阻止出来たのは、真姫が作った曲があったからだ。μ’sの作曲者は真姫じゃないと絶対ダメだ。これは俺だけじゃなく、他のμ'sのメンバー全員が思っていることだ。これから、ラブライブで優勝するには、μ's9人は誰一人として欠けちゃダメなんだ!って、顔赤いぞ?どうしたんだ?」

 

俺が話していると、真姫の顔が突然赤くなっていた。

 

「なっ、なんでもないわ!そうね…!そうよね!μ’sの作曲担当の私が、弱気になってちゃいけないわよね!」

 

「おう!その意気だ!」

 

「ねっ、ねぇ、優…」

 

すると、真姫が更に顔を赤くさせ、もじもじしながら上目遣いでなにか言おうとしてきた。

 

「どうした?」

 

「あの…もちろん、μ'sの作曲担当は私。でも、優にも手伝って、欲しい…意見もらったりもしたいし、優と一緒に作りたい…」

 

恥ずかしそうに、所々声がか細くなりながらも、真姫がそうお願いしてきた。

 

「もちろん!俺でよければ、手伝うよ。」

 

俺の返事を聞いて安心した真姫の表情が、パァっと明るくなった。

 

「あっ、ありがと…」

 

そして、再び恥ずかしそうに赤く染めた顔を、ぷいっと背けた真姫が言った。

 

すると、再びリビングの扉が開き、海未とことりが部屋に入ってきた。

 

「おぉ、2人とも調子はどうだ?進みそうか?」

 

「あっ、あの…!優。」

 

「ん、どうした?」

 

「さっきの真姫との話、聞かせてもらったのですが…私の作詞も、少し意見など貰えませんか…?」

 

少し緊張しているのか、普段より小さめの声の海未が言った。

 

「あぁ、もちろん!俺でよければ、手伝うよ。」

 

「っ…!ありがとうございます!」

 

真姫と同じく顔をパァっと明るくさせた海未が、とびきりの笑顔で礼を言った。

 

すると、その様子を見ていたことりが、顔をグイッと近づかせて、

 

「あの、優くん!良ければその、私の衣装作りも手伝ってくれないかな?」

 

そうお願いしてきた。手伝いたいのは山々だが、でも…

 

「その、ことり…俺、絵とか苦手だし、それに料理とかは多少出来るけど、裁縫系は苦手で…本当にごめん!」

 

「あっ、あぁ…そっか…」

 

俺の返事を聞いたことりが、凄い落ち込んでいた。ことり、本当にごめんな…

 

「その、悪いな…」

 

「ううん、大丈夫だよ!ことりの方こそ無理言ってごめんね。じゃあ、優くんには私の考えた衣装を見て、もしダメなところとかあったら教えてもらってもいい?」

 

「あぁ、それなら大丈夫だ!」

 

「ありがとう!」

 

「それじゃ、そろそろ作業を再開す…」

 

真姫が作業の再開を提案しかけた時、

 

 

ドゴォォォォォォォォン!!

 

 

外からものすごい爆発音が聞こえてきた。

 

 

 




ライダースペック、紹介コーナー!



仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50
変身者 仮野優
身長 200cm
体重 110kg
パンチ力 59t
キック力 68.5t
ジャンプ力 62m(ひと跳び)
走力 1.9秒
変身ベルト ゲーマドライバー
変身アイテム ガシャットギアデュアルα

優がガシャットギアデュアルアルファを用いて変身した姿。このフォームは、ツムツムゲーマーレベル2の時と同じ能力を持っており、ゲームフィールド内にあるエナジーアイテムを繋げて使うことが出来る。

さらに、このガシャットギアデュアルアルファは檀黎「檀黎斗神だァ!!」が作ったため、対クロノス用の能力として、自分自身でエナジーアイテムを作り出せることが出来る。

エナジーアイテムを組み合わせて様々なことが出来るので、優はバグスターと戦う時以外にも、このガシャットを使用することが多い。





はい、今回のスペック紹介は、ツムツムゲーマーレベル50でした。えっ?前に、今度はレットメモリーか蓮のスペックで迷ってるって言ってなかったかって?……はい、そこ2つで迷ってたのですが、この際登場順でやっていこうと思い、今回はツムツムゲーマーレベル50にしました。なので、レッドメモリーと蓮はあと2、3話先になると思います。では、次回のスペック紹介はハーモニーゲーマーです!
そして今回、まさかの優が作曲まで出来るとは…優は、かなりハイスペックかも知れませんね。まぁ、仮面ライダーの時点でハイスペックなのですが…
恐らく、次回で合宿編は終了です。
そして、次回…海未と真姫が〇〇します!


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63話 鬼の戦士とコウモリの戦士

はい、63話です。
今回で、合宿編は終了です。そして、今回まさかの海未と真姫が…
では63話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ’sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 絢瀬絵里)

 

真姫の家で合宿をすることになった私たち、μ’s。

 

衣装担当のことり、作詞担当の海未、作曲担当の真姫がスランプに陥ったため、3人ずつのグループに別れて作業を進める私たち。

 

別荘でピアノを弾いている優を見つけ、作詞作曲が出来ることを知った真姫と海未は、それぞれ優に手伝ってもらうことになった。裁縫などは出来ないが、少しアドバイスするなどことりの作業を手伝うことになり、4人が作業を始めた時、

 

ドゴォォォォォォォン!!

 

外から大きな爆発音が聞こえた。

 

ちっ、ちなみに、私は別に暗いのが怖いわけじゃないわよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺、ことり、海未、真姫で衣装作りや作詞、作曲を始めようとした時、別荘の外から大きな爆音が鳴り響いた。

 

「なっ、なんだ!?まさか、凛が見たっていう怪人が…!?」

 

「外の方から聞こえましたよね?」

 

「あぁ、ちょっと行ってくる!」

 

海未の言葉に答えた俺は、立ち上がって別荘から飛び出した。

 

「えっ、優くん!」

 

それに続いて、慌ててことりと海未と真姫も飛び出した。

 

 

 

別荘の外に出ると、案の定怪人がいた。ファンガイアが2体、ウォートホッグファンガイアとスパイダーファンガイアだ。

 

「ファンガイアか…なら大丈夫そうだな…」

 

今はディケイドのカメンライドが使えない以上、あまり厄介な敵は出てきて欲しくない。ファンガイアなら、他のライダーでも倒せるから大丈夫そうだ。

 

俺はインフィニティドライバーを腰に巻き付け、1歩前に出る。

 

「優くん!ことりも手伝うよ!」

 

「あっ、あぁ、悪い…でも、無茶はするなよ?」

 

「うん!」

 

そう答えたことりは、後ろを向いて別荘の窓に龍騎のバックルを向けて、ベルトが腰に巻き付いた。

 

「「変身!」」

 

俺は仮面ライダーインフィニティ、ことりは仮面ライダー龍騎に変身した。

 

「ことり、行くぞ!」

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

「うん!」

 

俺はインフィニティソードを取り出して、ウォートホッグファンガイアと、ことりはスパイダーファンガイアと戦闘を開始した。

 

「はぁぁぁっ!てやぁっ!全く…この忙しい時に出てきてくれたな!さっさと終わらせてやる!」

 

俺は何度も斬り掛かるが、防がれてしまう。

 

 

俺の隣で戦っていることりも、ソードベントでドラグセイバーを召喚し、斬撃攻撃を繰り広げていた。

 

「やっ!えいっ!悪さをする子には、ことりがお仕置きしちゃいます!」

 

『ストライクベント』

 

そして、ことりは手にドラグクローを取り付けた。

 

 

 

ウォートホッグファンガイアとスパイダーファンガイアが同じところに集まった瞬間、

 

「ことり、決めるぞ!」

 

「うん!」

 

俺はインフィニティソードにフォーゼデータボトルを入れ、レバーを引いた。

 

『フォーゼ!ライダー 宇宙ロケット!』

 

すると、インフィニティソードの後方から炎が出てきた。

 

「「はぁぁぁっ!やっ!」」

 

そして、ことりは昇竜突破を放ちスパイダーファンガイアに炎を浴びせ、俺はフォーゼデータボトルの影響で強くなった火力で飛び、ウォートホッグファンガイアへと攻撃し、爆煙が辺りに舞った。

 

と思ったが、その刹那何者かが俺たちの攻撃を弾き返し、俺とことりはダメージを負って強制変身解除に陥ってしまった。更に、ことりは気も失ってしまっている。

 

「グハッ…何者だ!?」

 

俺がそう言って辺りを警戒していると、徐々に爆煙が晴れていった。そして、そこから現れたのは俺が持っているガシャットギアデュアルアルファに内蔵されているダンシングハーモニーのバグスター、ハーモニーバグスターだった。

 

「フッ、ハハハハ。我はハーモニーバグスター、レベルは50だ!」

 

レベル50、俺と同じか…ことりは気を失ってるし、1対3はきついな…

 

「チッ、めんどくさい時に出てきてくれたな…こっちは、作曲に作詞、衣装作りとやらなきゃいけない事が山積みなんだ。また今度にしてくれるか?」

 

「何が作曲だ?そんなものになんの意味があるのだ?貴様らのようなど素人に、良い曲など作れるわけがない!所詮、耳障りにしかならない曲ができるだろうな!フハハハハッ!」

 

あからさまな挑発だと分かっていても、俺は湧き出る怒りが抑えられなかった。

 

「……はぁ?ふざけるなよ…良い曲など作れるわけがない?そんな訳ねぇだろ!!真姫の曲に海未の詞、2人で作った曲はな!どの曲もどの曲も凄い想いを乗せて作った曲なんだよ!」

 

「「優…」」

 

「2人の曲は、今まで聴いたこともないような最高の曲ばっかなんだよ!それに、その曲に合わせてことりの衣装で踊って歌うのは本当に最高のライブで、そのμ'sは最高のグループなんだよ!!それを…お前みたいなバグスターが、侮辱していい曲じゃねぇんだよ!」

 

「そうです!私たちが作った最高の曲で歌います!」

 

「それで、絶対にラブライブで優勝してやるわ!3年生のためじゃなく、1人1人、μ'sみんなのために作った曲でね!」

 

俺に続いて、海未と真姫が自分たちの想いを語った時…

 

「なっ、なんだ!?2人共どうした!?」

 

2人を目がくらむほど眩しい光が包んだ。

 

「なっ、なんですかこれは!?」

 

「イッ、イミワカンナイ!!」

 

そして、その光が止むと、海未の手には仮面ライダー響鬼に変身するための変身音叉 音角が握られ、真姫の腰には仮面ライダーキバに変身するためのフエッスルが6つ付いたベルトが巻かれていた。

 

「これって、もしかして…」

 

「優と同じように、仮面ライダーに変身するための…」

 

2人がそう呟いた時、空からコウモリ型のロボットが飛んで来た。

 

「へへっ、俺様はキバットバットⅤ世。お前らの熱い音楽への情熱、感じたぜ!」

 

キバットと名乗るコウモリがそう言った。

 

「ん、Ⅴ世?Ⅲ世じゃ…?」

俺がふと思った疑問を口にした。俺が知っている情報では、この黄色いキバットはⅢ世のはずだ。

 

「Ⅲ世は俺様のじいちゃん、俺様はⅤ世だ!俺様はじいちゃんと違って、ファンガイアの血を受け継いでいなくてもキバに変身することが出来るんだぜ!赤髪の嬢ちゃん、俺様で良ければ力貸すぜ!一緒にファンガイア…いや、人間を脅かす怪物共と戦う勇気があるならな。」

 

なるほど…前に姉ちゃんが言ってたファンガイアじゃなくても変身できる様に改善したってのは、本来キバに変身するためのⅢ世の孫、Ⅴ世が生まれたってことか…

 

俺がキバットが言った言葉の前半の部分について考えてあると、真姫はキバットの方に向いて、普段以上に目をキリッとさせていた。

 

「もちろんあるわ!私を誰だと思ってるの?」

 

「俺様を呼び出した、知らない嬢ちゃん。」

 

真姫の問いに、キバットはサラッと答えた。

 

「しっ、知らなかったのね…まあいいわ。よろしく、キバット。私は真姫よ!」

 

「おう!よろしくな、真姫!」

 

キバットがそう答えると、2人は羽と拳をコツンと合わせた。

 

「私も…私も、戦います!人を守るために!」

 

そう言い、海未も音角を構えた。本当は危険な目に合わせるようなことはしたくないけど、今はそれどころじゃないか…

 

そして、俺はゲーマドライバーを腰に巻いた。

 

『ダンシングハーモニー!』

 

「50コンボ!変身!」

 

俺はガシャットギアデュアルアルファのダイヤルをダンシングハーモニー側に回し、ゲーマドライバーに入れてレバーを開いた。

 

「キバット!行くわよ!」

 

「おう!」

 

真姫はキバットを右手で持ち、

 

『ガブッ!』

 

左手を噛ませ、

 

「変身!」

 

ベルトに装着した。

 

海未は変身音叉 音角を開き、指に当てた。

 

「はぁぁぁぁぁぁ…たぁぁっ!!」

 

 

真姫はキバットバット5世をベルトに取り付けた。そして、海未は変身音叉 音角を手に当てて音を出した。

 

『デュアルアップ!奏でる音〜合わさるハーモニー〜合わせて踊る最高のリズム!ダンシングハーモニー〜!』

 

俺は仮面ライダーインフィニティ ハーモニーゲーマーレベル50に、真姫は仮面ライダーキバに、海未は仮面ライダー響鬼に変身した。

 

「ノーミスフルコンで、クリアしてやるぜ!」

 

俺はハーモニーバグスターに、真姫はウォートホッグファンガイアに、海未はスパイダーファンガイアに向かって走り出し、それぞれ戦い始めた。

 

俺はハーモニーバグスターが出してくる音を、リズムよく弾き始めた。

 

「はぁっ!よっ!おいおいその程度か?俺たちにあんなこと言った割に、大した音色も奏でられないな?」

 

「ぐぬぬぬ…小癪なぁ…!」

 

そう言ったハーモニーバグスターが再び攻撃してくるが、俺も再びそれを弾き返す。

 

 

「はぁっ!やぁ!」

 

真姫はスクールアイドルの練習で鍛えた自慢の身体能力を使い、肉弾戦攻撃でウォートホッグファンガイアと戦っている。

 

 

「はっ!はっ!たぁっ!」

 

海未は音擊棒・烈火でスパイダーファンガイアに炎を飛ばし攻撃している。

 

 

「そろそろ決めるぜ!」

 

俺はそう言って、ゲーマドライバーのカバーを閉め、再び開いた。真姫はキバットにウェイクアップフエッスルをキバットに取り付け、海未は音擊鼓をベルトから取り外して倒れているスパイダーファンガイアに付けた。

 

『ウェイクアップ!』

 

『キメワザ!ダンシング クリティカルハーモニー!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「やぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「火炎連打!はっ!はっ!やぁぁっ!」

 

俺たちはそれぞれの必殺技を繰り広げて、ファンガイアとバグスターを倒した。

 

「ふぅ…」

 

3体とも倒したことを確認して、俺たちは変身解除した。

 

 

 

それからすぐことりも目を覚まし、別荘に戻ってきた。

 

「それにしても、まさかだよな…」

 

「海未ちゃんと真姫ちゃんも仮面ライダーになっちゃうなんて…」

 

俺とことりがそう言うと、

 

「それには、私も驚きました…」

 

「私も…」

 

海未と真姫自身も驚いていた。

 

「まぁ、変身したのは事実だし、とりあえず今後について考えないとだな。前に穂乃果とことりにも言ったように、仮面ライダーの力はとても危険なものだ。その力を手に入れたからといって、2人が無理に戦う必要も無いし、俺もみんなをこれ以上危険な目に遭わせたくない。それを踏まえた上で、どうする?」

 

「そんなの決まっています。私は人を守るために戦います!これは決して中途半端な気持ちではありませんし、私の意思で決めたことです!」

 

「私も同じよ。だいたい、私たちが戦わないって言うと思う?」

 

そう答えた海未と真姫の顔は、真剣そのものだった。

 

「はぁ…まっ、そう言うと思った…ただ、絶対に無茶な戦いだけはするなよ?それだけは、約束してくれ。」

 

「分かってるわよ。」

 

「無茶はしません。私たちに出来る限りの力で、優や蓮のサポートをします。」

 

真姫と海未の返事を聞いて、一先ず安心した。

 

「よし!じゃあ、難しい話は終わりだ。作曲と衣装作りの続き、始めるか!」

 

「「「うん(はい)!」」」

 

そして、俺たちは作詞に作曲、衣装作りを再開した。

 

みんなには今後について考えるべきだと言ったが、やっぱりおかしいよな…穂乃果とことりだけじゃなく、海未と真姫まで変身するなんて、どういうことだよ…

 

 

 

そして、翌日の朝…

 

俺もアドバイスしたり手伝いながら、真姫は作曲、海未は作詞、ことりは衣装を作り終え、疲れて果てて寝てしまった。そんな3人にタオルケットを掛けていると、穂乃果たちが別荘に戻ってきた。

 

「みんな、おはよう。」

 

「優くん、おはよう!」

 

「3人共、曲作りや衣装作りで疲れてるから、もう少し寝かせてやってくれ。」

 

「全く、しょうがないわねぇ。」

 

「ゆっくり、寝かせといてあげようか。」

 

「そうね。でも、起きたらすぐ練習よ。みっちりね。」

 

俺の説明を聞いたにこ、希、絵里が言った。

 

「あれ、そういえば優くんはどこで寝てたの?」

 

ふと穂乃果がそう聞いてきた。

 

「俺?俺は寝てないぞ?」

 

「えっ?」

 

「もしかして、優も手伝ってたの?」

 

「あぁ、俺が作曲出来るってことを知ったら、真姫や海未が手伝って欲しいって頼んできたから。」

 

「じゃあ、やっぱり昨日のピアノは優だったのね。」

 

「あぁ、やっぱりにこは気づいたか…」

 

まぁ、にこは茜と一緒に何回か聴いてたからな…

 

「あっ、そうだ!言い忘れてたけど、昨日の夜怪人が現れたんだけど、海未と真姫もライダーに変身した。」

 

「「「「「「えっ?えぇ!?」」」」」」

 

打ち合わせでもしてたのかと思うぐらい息ぴったりで、みんな驚いた。まぁ、普通は驚くか…

 

「海未ちゃんと真姫ちゃんまで…」

 

みんなが驚いてる中、俺も眠気がやばくなってきた。

 

「悪い…俺、ちょっとだけ寝てきていいか?」

 

「えっ、えぇ。」

 

「練習の時になったら、起こしてくれ。」

 

「無理しないでいいのよ?」

 

「大丈夫。ちょっと寝れば大丈夫だ。」

 

そう答えて、ベットがある部屋に向かおうとしたが…

 

「ん?穂乃果、背中ちょっと汚れてるけど、どうかしたのか?」

 

穂乃果の背中に土などが付いて少し汚れていたのが気になって、そう聞いた。

 

「あぁ、これ?なんか朝気づいたら、崖で寝てたんだ〜」

 

「ふぅん…」

 

そう言って、俺はリビングから出た。

 

 

ん?いやちょっと待て、どうしたらそうなるだ…?まあいいや、もう眠い…寝よ…

 

 

 

 

 

それから、新曲や衣装に合わせた振り付けでの練習をし、合宿を終え音ノ木坂に帰った。

 

しかし、蓮は負けたのがよっぽど悔しかったのか、ずっと落ち込んだままだった。

 

 

 

 

 

 




ライダースペック、紹介コーナー!



仮面ライダーインフィニティ ハーモニーゲーマーレベル50
変身者 仮野優
身長 205cm
体重 123kg
パンチ力 63t
キック力 73t
ジャンプ力 64m(ひと跳び)
走力 1.7秒(100m)

優がガシャットギアデュアルアルファを用いて変身したもう1つの姿。ピアノをベースにした音ゲー、ダンシングハーモニーのガシャットであり、音を操り出し敵を攻撃したり、複数の敵がいる場合は雑魚兵程度の敵なら奏でた音楽で眠らせることや行動不能にすることも出来る。そして、このダンシングハーモニーのバクスター、ハーモニーバグスターはこのゲーマーでしか倒せないため、このゲーマーに変身し、ハーモニーバグスターが繰り出すリズムを叩いたり、逆に自らリズムを繰り出してハーモニーバグスターを倒す。





今回のライダースペック紹介は、今回の話でも活躍したハーモニーゲーマーでした!次回のスペック紹介は、レッドメモリーズフォームになると思います。
そして、今回で合宿編は終了です。そして、蓮は立ち直ることが出来るのでしょうか…
そして今回、真姫と海未と仮面ライダーに変身しましたね。優が変身アイテムを持っていないライダーは9人、μ’sのメンバーも9人…もしかして…
はい、ということで次回からは、ユメノトビラ編です。


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64話 地区予選へ向けて!

はい、64話です。
今回から、アニメ3話です。
では64話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ’sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 東條希)

 

ラブライブ地区予選で勝つための新曲や衣装を作るために、真姫ちゃんの別荘で合宿を行ったウチたち、μ’s。

 

そんな中、別荘の外に怪物が現れた。その怪物と戦う優くんとことりちゃんやけど、苦戦してしまう。

 

「私たちは最高の曲を作って、歌います!」

 

「それで、ラブライブも優勝してやるわ!3年生のための曲じゃなくて、1人1人のために作った曲でね!」

 

海未ちゃんと真姫ちゃんの熱い想いに反応して、2人は仮面ライダーに変身する力を手に入れる。そして、海未ちゃんは仮面ライダー響鬼に、真姫ちゃんは仮面ライダーキバに変身して、優くんと怪物さんたちを倒した。

 

そして、3人は地区予選を勝ち上がるための曲と服も完成させることが出来た!

 

ほんと、スピリチュアルなことばかりやね!

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

合宿を終えて帰ってきてから数日経ち、ラブライブ予選まで残り2週間となっていた。

 

今、俺とμ's9人の計10人がアイドル研究部の部室に集まっている。蓮は2週間経った今でも、ダークインフィニティに負けたことがよっぽど悔しさが忘れられず、部活に顔を出す回数も減り、顔を出したとしてもどこか暗い…

 

そんな中俺達は今、ラブライブ!地区予選でライブを行う場所を決めている。

 

「各グループの持ち時間は5分。エントリーしたチームは、出演時間が来たら自分たちのパフォーマンスを披露。この画面から全国に配信され、それを見たお客さんが良かったと思うグループに投票、順位が決まるのです。」

 

海未が地区予選の仕組みについて説明する。

 

「そして上位4組が最終予選に、という訳ね。」

 

「4組…狭き門ね…」

 

「特にこの東京地区は、1番の激戦区。」

 

「それに、なんと言っても…」

 

「A‐RISE…」

 

ちょうど話題に出たグループであるA‐RISEがラブライブ!のためにPRしている動画が流れているパソコンを眺めながら、全員ラブライブ!本戦出場にはとても大きな壁があることを再び認識した。

 

「そっ。既に彼女たちの人気は全国区、4組のうち1つは、決まったも同然よ…」

 

「えぇー!?ってことは凛たち、残り3つの枠に入らなきゃいけないの…?」

 

「そういうことよ。」

 

「でも、ポジティブに考えよ!あと3組進めるんだよ!今回の予選は、会場以外の場所で歌うことも出来るんだよ。だったら、この学校をステージにしない?ここなら緊張しなくて済むし、自分たちらしいライブが出来ると思うの!」

 

「いいかも!」

 

みんなが落ち込んでいる中、穂乃果のポジティブな発言とことりの賛成の声で希望が見えてきたように感じたが…

 

「甘いわね。」

 

 

 

「にこちゃんの言う通り!中継の配信は1回勝負。やり直しは効かないの。失敗すれば、それが全世界にさらされて…」

 

「それに、画面の中で目立たなければいけないから、目新しさも必要よ!」

 

中庭に移動して本番のようにカメラを回しながら、この中でもスクールアイドルに特に詳しい花陽とにこが説明した。

 

「奇抜な歌とか?」

 

「衣装とか?」

 

目新しいと聞いて思いついたものを言った凛とことり。

 

「フフ、セクシーな衣装とか?」

 

それに続いて希がそう言うと、海未の顔が真っ赤になる。

 

「むっ、無理です…」

 

「こうなるのも久しぶりだね…」

 

「そういえばそうだな…」

 

その様子を眺めながらことりと俺は苦笑する。確かに、最近は海未もアイドルの衣装に対して抵抗も少なくなってきてたからなぁ…

 

「絵里ちのセクシードレス姿も、見てみたいな。」

 

再び希がからかうように言うと、絵里の顔も真っ赤になった。

 

「おぉ、セクシャルハラスメンツ!」

 

それ違う…もっとやばいやつになっちゃうから…

 

「セクシーダイナマイトじゃ…?」

 

「無理です…」

 

そんな中、海未はいつまでも無理です、と蹲っている。

 

「いやよ!やらないわよ、私は!」

 

「セクシー…ドレス…」

 

絵里が希の提案を拒否すると、蹲っていた海未は何かを呟きながら妄想し、その場から逃げようとした。それを必死に穂乃果が抑える。

 

「離してください!私は嫌です!」

 

「誰もやるとは言ってないよ!」

 

「そんなことより、海未は何を妄想してたのかな?自分のセクシードレス姿?キャー、海未ったら人に破廉恥って言ってるくせに、自分が破廉恥なん…グハッ…!?」

 

俺が海未をからかう、俺の腹に強烈な痛みが生じた。

 

「優…何か言いましたか?」

 

「いっ、いえ…ずびばぜんでじだ…」

 

これもこれで久しぶりだな…

 

「私も、やらないからね!」

 

すると、にこまでそんなことを言い出した。いやいや…

 

「またまたぁ。部長には誰もお願いしてないニャー。」

 

「そうそう…にこのは誰も期待してな…グハッ…」

 

凛と俺がそう言うと、再び俺の腹に強烈な痛みが…

 

「うっ…ちょっ、ちょっとは手加減しろよ…さっき殴られたばっかで…」

 

「ふんっ!あんた達が悪いのよ!」

 

「っていうか、何人かで気を引いても…」

 

俺たちが騒いでる中、ようやくまともな意見が出た。

 

「確かにそうだよね…」

 

「っていうか、こんな所で話してるよりもやることがあるんじゃない?」

 

ん…やること?

 

 

 

俺たちは真姫に連れられて、放送室にやって来た。

 

「ほんとに!?」

 

「はい。お昼の放送で良ければ、構わないですよ。」

 

「彼女、放送部員なの。こうやってマイクに向かって、校内のみんなにアピールすれば、応援してもらえるし中継される時の練習にもなるでしょ。」

 

真姫が友人の放送部員の子に、昼休みの放送の許可を貰ってくれていたようだ。

 

「おぉ!真姫ちゃんナイスアイディア!」

 

「学校なら、失敗しても迷惑はかからないし、外に漏れる心配もない。」

 

「みんなに応援してもらえたら、心強いね!」

 

穂乃果、絵里、ことりが真姫の提案に賛同していると、凛と花陽が真姫のことを不思議そうに見ている。

 

「2人とも、どうかしたか?」

 

「真姫ちゃんが、同じクラスの子と仲良くなるなんて…」

 

「びっくり…」

 

確かに、真姫が凛と花陽以外の同じクラスの子と話してるのって見たことないな…

 

「べっ、別に!ただ日直で一緒になって、ちょっと話しただけよ!」

 

顔を真っ赤にしながら真姫が言った。

 

「安定のツンデレだな。」

 

「だっ、誰がツンデレよ!」

 

 

 

 

 

そして、まずは穂乃果が放送で話すことになった。しかし、流石は穂乃果。早速やらかした…

 

『あー。皆さん、こんにちは!うがっ…いったーい!』

 

挨拶の途中で頭を下げ、マイクに頭をぶつけた。礼儀正しいのはいいが…

 

「なにやってんのよ!」

 

『えっと…皆さん、こんにちは!私、生徒会長の…じゃなかった、μ’sのリーダーやってます!高坂穂乃果です!って、それはもうみんな知ってますよね。実は、私たちまたライブをやるんです!今度こそ、ラブライブに出場して優勝を目指します!みんなの力が、私たちには必要なんです!ライブ、皆さん是非見てください!一生懸命頑張りますので、応援よろしくお願いします!高坂穂乃果でした!』

 

ふぅ…頭ぶつけたの以外は、なんとか無事に終わったな…

 

 

『そして、他のメンバーも紹介!…あれ?』

 

他のメンバーを紹介しようとしたが…

 

「あぁ…あぁ…はぁ…」

 

「ダレカタスケテ!ダレカタスケテ!ダレカタスケテ!」

 

穂乃果以外で代表して話すことになった海未と花陽は、かなり緊張している様子だ。おいおい…これで本当に大丈夫かよ…?

 

そして、まずは海未が挨拶を始めるが…

 

『えっと…そっ、園田海未役をやっています…園田…海未と…申します…』

 

声は控えめだけど、なんとか無事に終わったな…って、んんっ!?どっちも海未だろ!誰だよ海未役の海未って!

 

「なんで、この3人にしたの?」

 

「リーダーと、1番緊張しそうで練習が必要そうな2人。」

 

「はぁ、海未のやつ…さっき俺を殴った時の度胸はどうしたんだよ…」

 

「はい?」

 

俺が愚痴を零すと、海未がこちらをギロりと睨んできた。

 

ひぃぃ…怖ぇよ!それの事だよ!!

 

そして、海未と変わって花陽が放送を始めた。

 

『μ’sのメンバーの小泉花陽です…えっと…好きな食べ物は…ご飯です…μ’sの中では…ゴニョゴニョ…』

 

やはり恥ずかしがり屋の花陽の控えめな声は、マイクに拾いきれていない…

 

「はぁ…ボリューム上げて…」

 

真姫の支持で、放送部員の子がボリュームを最大にした。それにより、花陽の声がスピーカーから聞こえるようになった。

 

『ライブ…頑張ります…是非、見てください…』

 

「おーい、声、もっと出してー。こーえ…」

 

「あっ、ごめん…」

 

外で指示を出し続けていた凛の言葉で、花陽がやっと声が小さすぎたことに気がつく。しかし、それを見た穂乃果が 何故かサムズアップしてマイクに近づき、話し始めようとした。ちょっと待て…確か、今マイクの音量って最大じゃ…?

 

俺がそう気づいた時には既に遅く、穂乃果が喋り始めた。

 

『イェーイ!!そんな訳で、皆さんμ’sをよろしく!!』

 

 

キーン…!

 

 

『あれ?』

 

うぅ…耳が、壊れる…痛い…

 

 

こうしてμ’s初の校内放送は、全校生徒の鼓膜を破りかけて幕を閉じた…

 

 

ちなみに、この穂乃果の大音量の影響で校内をパトロールしていたメカアニマルが倒れ、壊れかけていたところを無事保護された。

 

 

 

放送部員の子に何度も謝ってから、俺達は屋上に上がってきた。

 

「あぁ…まだ耳がキンキンする…」

 

にこの言った通り、俺の耳も未だにキーンという高い音が聞こえてくる。メカアニマルも、暫く動きそうにないし…

 

「まぁ、少しは練習になったんじゃない?」

 

「うん。もう無闇に大声は出さない!」

 

真姫が言った言葉にそう答えた穂乃果。まぁ、穂乃果には無理だと思うけど…

 

希も「前途多難やなぁ…」と呟いて苦笑していた。

 

「さぁ、あとは場所ね。」

 

「カメラで中継できるところなら、場所は自由だから…」

 

「でも、屋上は前にネットで使っちゃったし…」

 

「そっか…もうネットで配信しちゃってるもんね…だとしたら…」

 

その後、俺たちは学校中を見回ったが…

 

講堂、校門、グラウンド、どこもライブやPVで使った場所ばかりだった。

 

「同じところだと、どうしても目新しさが無くなっちゃうんじゃないかな?」

 

ことりがそう言うと、穂乃果も同意して再び考え込む。

 

「じゃあ、学校外も見てみましょうか。」

 

絵里の提案にみんな賛成すると、準備のため全員が制服に着替えて始めた。俺は別の場所で先に着替え終わり、みんなを待っていた。すると、俺のスマホに着信が…

 

『お久しぶりね。仮野優くん?』

 

俺が電話に出ると、聞き覚えのある女性の声が…

 

「その声、もしかして…!?」

 

『えぇ。A-RISEの綺羅ツバサよ。』

 

電話越しに聞こえるその声は、あのA-RISEの綺羅ツバサの声だった。ちなみに何故綺羅さんが俺の連絡先を知っているかというと、ゲムデウスウイルスの大量感染の時、別れ際に聞かれたからだ。

 

「お久しぶりですね。綺羅さん。」

 

『ツバサでいいわ。』

 

「じゃあ、ツバサさん。どうしたんですか?」

 

『話したいことがあるの。今からUTXに来れる?出来ればμ’sのメンバー全員。』

 

「えっ?μ’s、全員でですか…多分、大丈夫だと思います。」

 

今から秋葉原に行くため、それ自体問題は無いと思うが、何故ツバサさんがμ'sに話があるのか俺は少し戸惑ってしまった。

 

『そう。じゃあ、よろしくね。』

 

そう言って、ツバサさんは電話を切った。

 

 

 

それから2、3分経つと、着替え終わったみんなが戻ってきた。

 

「じゃあ、そろそろ行きましょうか。」

 

「あっ、悪い。アキバに行くんだよな?」

 

「えぇ、そうよ。でも、アキバにもあまり使えそうな場所は少ないかもしれないけどね…」

 

「なにより、アキバはA-RISEのお膝下。」

 

「下手に使うと、喧嘩売ってるように思われるわよ。」

 

「確かにそうかもしれないな…じゃあ、ちょっとアキバで行きたい場所があるんだけど、大丈夫か?」

 

「えぇ、いいけど…どこなの?」

 

絵里がそう聞いてきたように、μ's全員が疑問に思っているようだ。

 

「それは、着いてからのお楽しみだ。」

 

まさかA-RISEに会いにいくなんて、みんな思ってないだろうなぁ…

 

俺は内心ワクワクしながら、秋葉原に向かっていた。

 

 

 

 

そして、A-RISEの3人が通う秋葉原のUTX高校の前に来た。UTXのモニターには、堂々とパフォーマンスしているA-RISEの姿が大きく映し出されていた。さすが、ナンバーワンスクールアイドルだな…

 

「優くん。来たい場所って、ここのこと?」

 

「あぁ。けど、中に入ればいいのか?」

 

俺はツバサさんにUTXに来て、とは言われたが、中に入ればいいのか聞いていなかった。

「何言ってんのよ!UTXの生徒でもないあんたが、UTXの中に入れるわけないでしょ。」

 

事情を知らないにこにそう言われたが、ここに通うツバサさんが来てって言ってたし、中に入ってみた方が…

 

「仮野くん。」

 

そんなことを考えていた俺の前に、件のツバサさんが現れた。

 

「っ!?ツバサさん、すいません。中に入ればいいのか、迷ってたら遅くなりました。」

 

突然現れたことに俺は一瞬驚いた。しかし、μ'sの9人、その中でも特に花陽とにこはかなり驚いていて、つい大声で叫びそうになっていた。

 

それを見たツバサさんは口に人差し指を当てて、「しーっ、来て。」と言って、俺の腕を引っ張って走り出した。それを見たみんなも、慌ててその後ろを走って着いてくる。

 

 

 

ツバサさんに連れられて来たのは、UTX高校のカフェスペース。しかし、本当に高校のカフェスペースか疑うぐらいの色んな食べ物がバイキング形式で置いてあることに、俺たちは驚いていた。

 

そのカフェスペースの一室の、A-RISEの3人が勢揃いしている場に招かれた。

 

「急に呼び出したりしてごめんなさいね。」

 

「いえ…それより、なんで?っていうか、優くんはなんでツバサさんと連絡が取れたの?」

 

ツバサさんと話していた穂乃果が、俺の方をジト目で見ながらそう聞いてきた。

 

「まさか…」

 

「ナンバーワンスクールアイドルにまで…」

 

「手を出してたんじゃないでしょうね…?」

 

それに続き、海未、絵里、にこもそう聞いてくる。他のみんなも全員、ジト目でこちらを見てくる。

 

「んなわけあるか!ってか、俺は誰にも手を出してないわ!」

 

俺がそう答えると、何故か9人全員にため息をつかれた。いやいやいや!?俺は誰にも手を出した記憶ないけど!?

 

「俺がツバサさんの連絡先を知ってるのは、前に少し会った時にμ’sのマネージャーだからって聞かれたんだよ。」

 

「えっ、じゃあツバサさんは私たちのことを知ってるんですか?」

 

疑問に思った穂乃果が、ツバサさんにそう尋ねた。

 

「えぇ、もちろん。私たちね、あなた達のことをずっと注目していたの。」

 

ツバサさんの言葉を聞き、みんなかなり驚いていた。まぁ、なんたってナンバーワンスクールアイドルに注目されているんだからな…俺も初めて聞いた時はマジで驚いたなぁ…

 

「実は前のラブライブでも、1番のライバルになるんじゃないかって思っていたの。」

 

「そっ、そんな。」

 

あんじゅさんの言葉に、絵里が両手を顔の前で振りながらそう答えた。

 

「あなたもよ。」

 

そんな絵里を見て、ツバサさんが言った。

 

「絢瀬絵里。ロシアでは、常にバレエコンクールでは上位だったと聞いている。」

 

英玲奈さんが絵里のバレエについて簡単に話した。

 

「そして、西木野真姫は作曲の才能が素晴らしく、園田海未の素直な詞ととてもマッチしている。」

 

「星空凛のバネと運動神経は、スクールアイドルとしては全国レベルだし、小泉花陽の歌声は、個性の強い歌声に見事な調和を与えている。」

 

「牽引する穂乃果の対になる存在として、9人を包み込む包容力を持った東條希。」

 

あんじゅさん、ツバサさん、英玲奈さんがμ'sのメンバーについて説明していくそれにしても、ここまで調べていたとは…

 

「それに、アキバのカリスマメイドさんもいるしね。いや、元と言った方がいいのかしら?」

 

ツバサさんが微笑みながらそう言った途端、ことりの顔が一気に赤くなった。

 

マジか…ミナリンスキーのことまで知ってるなんて、ここまで来るともう…なんというか、ストー…いえ、なんでもないです…

 

「そして、矢澤にこ…」

 

俺が頭の中で馬鹿なことを考えている内に、ツバサさんが低い声でにこの名を読み上げたことで、にこは息を飲んで聞き入る。

 

「……いつも、お花ありがとう!」

 

急に笑顔で礼を言ったツバサさんに、俺たち全員呆然とする。えっ?お花…?

 

「昔から応援してくれてるよね?すごく嬉しいよ!」

 

ツバサさんの言葉を聞き、全員がにこをジト目で見ている。

 

「にこ…そうなの?」

 

「知らなかったんやけど…?」

 

絵里と希の疑惑の言葉に、にこは動揺する。

 

「いっ、いやぁ…μ’s、始める前からファンだったからぁ…って、そんなことはどうでもよくて!私のいい所は!?」

 

「ウフフ。グループには無くてはならない、小悪魔ってところかしら?」

 

「くぅぅ…!小悪魔…にこは小悪魔!」

 

それでいいのか、にこ…

 

「そして、仮野優…」

 

ツバサさんは更に話し始めた。へぇ、次は仮野優って人についてか……ん?仮野優って、俺じゃん!何言われるんだろ…やだなぁ…怖いなぁ…

 

「μ’sを支えるために重要なマネージャーの役割を果たしながら、ダンスや歌の指導もしている。そしてなにより、最近街を襲う怪物たちを倒す、人知れず戦う仮面ライダーの正体でもある。この街の、人々のヒーローね!」

 

ツバサさんにそう言われ、気恥ずかしくなってしまいつい頭をかきながら顔を背けてしまった。

 

ヒーロー…ヒーローか…ヒーローになったつもりはなかったけど、人からそう言われるとやっぱり照れくさいな…

 

「えっ?ツバサさんは、優くんが仮面ライダーであることも知ってるんですか?」

 

「えぇ、助けてもらったこともあるわ。」

 

そういえば、ゲムデウスウイルスのパンデミックの時も、病院中パニックで俺が変身するのに気づいてる人なんて全然いなかったのに、唯一ツバサさんたちだけが気づいてたんだよな…流石ナンバーワンスクールアイドル、観察眼も優れてるんだな…

 

「なんでそこまで、私たちのことを…?」

 

「これだけのメンバーが揃っているチームは、そうはいない。だから注目もしていたし、応援もしていた。そして何より…負けたくないと思ってる。」

 

「でも、あなた達は全国1位で、私たちは…」

 

不安げな顔をしながら言った海未の言葉を遮り、あんじゅさんがはっきりと言う。

 

「それはもう過去のこと。」

 

「私たちはただ純粋に、今この時を、1番お客さんを喜ばせる存在でありたい。ただ、それだけ…」

 

あんじゅさんに続き、英玲奈さんが言った。その言葉に、μ’s全員が息を飲んだ。前回の優勝者が、ここまではっきり過去のことだと言うなんて…

 

「μ’sの皆さん、お互い頑張りましょ。そして、私たちは負けません。」

 

そう言い残し、A-RISEの3人は去ろうとする。

 

「あの!」

 

その3人を、穂乃果が呼び止めた。

 

「A-RISEの皆さん、私たちも負けません!今日はありがとうございました。」

 

「フフ、あなたって面白いわね。ねぇ、もし歌う場所が決まってないなら、うちの学校でライブやらない?屋上にライブステージを作る予定なの。もし良かったら是非。1日考えてみて。」

 

決意を固めたμ'sを見て、ツバサさんがそう言ってくれた。

 

ちょうどライブの場所について考えていたし、ラッキー…いや、でもA-RISEと同じステージで歌うということは、生半可なパフォーマンスでは絶対に駄目だ。まぁ、みんながそんなパフォーマンスをするとは思えないが、ここは1日、ゆっくり考えてみ…

 

「やります!」

 

即答かよ!?まぁ、穂乃果だしな…

 

それにしても、ナンバーワンスクールアイドルにここまで言わせて、ナンバーワンスクールアイドルにこんなに真っ直ぐ負けないと断言するμ'sは本当にすごい…!

 

今からライブが楽しみだ…!俺もしっかりサポートしないとな!

 

決意を固めたμ'sを見て、俺も意気込んでいた。




ライダースペック、紹介コーナー!



仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォーム
変身者 仮野優
身長 205cm
体重 101kg
パンチ力 29.8t
キック力 36.7t
ジャンプ力 62m(ひと跳び)
走力 2.6秒(100m)
変身ベルト インフィニティドライバー
変身アイテム レッドメモリーデータボトル
武器 インフィニティソード

仮野優がレッドメモリーデータボトルを用いて変身した、インフィニティの最初のパワーアップフォーム。このデータボトルには茜の魂が入っており、優と茜の2人の力で戦う。この姿は赤いボディをベースに、インフィニティの水色カラーがところどころに入っている。
「俺の強さは次元を超えた!」という決め台詞と共に戦闘を開始する。
能力は火を操ることができ、更に治癒能力がある。治癒能力は、優が茜を死なせてしまったという後悔から生まれた力。軽い怪我などは簡単に治すことが出来るが、どのぐらいまで治せるかはまだ分かっていない…





今回のスペック紹介は、レッドメモリーズフォームでした!レッドメモリーズフォームの治癒能力は、どのぐらいの怪我や病気まで治せるのでしょうか…
次回のスペック紹介はライダーではなく、新しいオリキャラのプロフィールを書こうと思います!

そして、今回で地区予選の場所が決まりましたね。優はA-RISEの3人と、ゲムデウスウイルス大量感染の時に連絡先まで交換してました。
では、次回でアニメ3話、ユメノトビラ編は終了だと思います。


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65話 ユメノトビラ

はい、65話です。
今回で地区予選終了です。
では65話、スタートです!


~前回のラブライブ!、μ’sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 西木野真姫 )

 

ラブライブ地区予選に出場することになった私たち、μ's。しかし、1回限りの中継を全国で見られるので、失敗は許されない。ライブをする場所を考える私たちだけど、学校内はどこもライブを行った場所ばかり…目新しさのある場所でライブを行うためには、どこでやるのがいいか思いつかない。

 

そんな中、私たちは優に連れられ、あのA-RISEも通う秋葉原のUTX学園にやってきた。そこで、優はA-RISEと知り合いだったことが判明した。優のやつ、なんでA-RISEとまで知り合いなのよ…ほんとに、イミワカンナイ!

 

A-RISEと話す中、彼女たちが私たちμ'sを注目していたことを聞いた。そして、私たちはA-RISEと同じステージでライブをすることになった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

遂に地区予選当日を迎え、ライブ会場に使わせてもらうことになったUTX高校までやってきた。現在穂乃果と希はUTX高校の屋上に行き、残りのメンバーは控え室に待機している。

 

「可愛いニャー!」

 

ライブ衣装を着たにこを見た凛が言った。

 

「当たり前でしょ。今日は勝負なんだから!」

 

「よし!やるにゃ!」

 

既にやる気全開のにこを見て、改めて気合いを入れる凛。

 

「既にたくさんの人が見てくれてるみたいだよ!」

 

「みんな、何も心配ないわ。とにかく集中しましょ!」

 

「でも、本当に良かったのかな…A-RISEと一緒で…」

 

絵里が心配ないと話すが、それでもことりには不安が残るようだ。

 

「一緒にライブをやるって決めてから、2週間集中して練習が出来た。私は正解だったと思う。」

 

そう言った絵里に続いて、俺もみんなに声をかける。

 

「絵里の言う通りだ。この2週間の練習で、みんなは見違えるほど凄いパフォーマンスができるようになったと、俺は見てて感じたよ。」

 

俺たちが話していると、A-RISEの3人が控え室までやってきた。

 

「こんにちは。」

 

「あっ、こんにちは!」

 

ちょうど希と一緒に戻ってきたところの穂乃果が、そう挨拶を返した。

 

「いよいよ予選当日ね。今日は同じ場所でライブが出来て嬉しいわ。予選突破を目指して、互いに高め合えるライブにしましょ。」

 

ツバサさんがそう言って、手を差し出した。そして、穂乃果もその手を握り返して答える。

 

「はい!」

 

「ところで、そちらの彼は?」

 

ツバサさんが突っ立っていた蓮を見て聞いてきた。

 

「…えっ?あっ、えっと…最近、μ’sのマネージャーを務めることになりました、宮崎蓮です。」

 

蓮は少し反応に遅れ、小さい答えた。あいつ、もう3週間近くだったのに、まだ負けたことを気にしてるのか…?

 

「そう、よろしくね。」

 

A-RISEの3人は自分たちの控え室に戻ろうと動き出したが、ツバサさんがすれ違いざまに蓮の肩に手を置いて、小声で話す。

 

「あなたがどんな人なのか、何があったのか私は知らないけど、パフォーマンスをするμ'sが本気でライブに挑もうとしている時に、マネージャーのあなたが落ち込んでいるのは、どうかと思うわよ。」

 

何かを言い終わったツバサさんは、自分たちの控え室に戻っていった。俺たちには聞こえなかったが、ツバサさんに何かを言われた蓮は、悔しそうに拳を握りしめていた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優奈〜

 

雪穂の家に集まった私たちは、亜里沙と3人でラブライブ!地区予選のライブ中継を見ている。

 

「わぁ、ドキドキする。ねぇ、お姉ちゃんたち大丈夫かな?」

 

亜里沙はワクワクしながらも、不安そうに言った。

 

「大丈夫だよ、きっと。」

 

「そうそう!お兄ちゃんもついてるんだし!」

 

亜里沙の言葉に、雪穂と私が答えた。そして、私たちはいつμ'sのライブが始まるのかワクワクしながら、パソコンを見ていた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

ライブ開始時間が近づいたため、俺たちは屋上のライブ会場に来ていた。

 

そして、A-RISEのパフォーマンスが始まり、遂にμ'sの出番が次となった。

 

 

 

 

 

Shocking Party/A-RISE

 

 

 

 

 

流石は前回のラブライブ!優勝者。そう感じざるを得ないA-RISEのパフォーマンスに、俺たちの緊張感が高まる。

 

「やっぱり、A-RISEのライブには、私たち…」

 

「敵わない…」

 

「認めざるを得ません…」

 

花陽、ことり、海未が言った。他の6人も、緊張して俯いたりしていた。

 

「そんなことねぇよ!」

 

そんな中発した俺の言葉に、みんながこちらを向いた。

 

「確かに、前回の優勝者でもあるA-RISEのライブはすごい。けど、みんなの練習を見てて、今のみんなの歌と踊りは、始めた頃とはとても比べ物にならないぐらい素晴らしいパフォーマンスだ。A-RISEにだって、劣ってないように見えたぞ。」

 

「「「「「「「「「優くん…」」」」」」」」」

 

「それにだ。今回は、地区予選。今はとりあえず、A-RISEに勝つよりも4組の内に入ればいい。今のみんななら、絶対に出来る!もちろん、気持ちは誰よりも勝つ気じゃないとダメだけどな。だから、全力を出し切って頑張れ!!」

 

俺がそう鼓舞すると、みんなの顔が明るくなって行っている。

 

「うん!そうだよ!私たちは、全力を出し切ろう!A-RISEのパフォーマンスは凄かったけど、私たちのパフォーマンスも凄かったって、お客さんの印象に残れるように全力でぶつかろう!」

 

そして、いつものライブ前のようにμ’s9人と俺が円陣を組む。

 

「おい蓮!お前も入れ!」

 

「はぁ、なんでだよ?俺もお前も、マネージャーだろ。」

 

「μ’sの円陣は、マネージャーも入るっていう決まりがあるんだよ。」

 

「そうにゃ!蓮くんにも入って欲しいにゃ!」

 

俺に続いて凛も入るよう催促すると、蓮は観念したようにため息を一つつく。

 

「分かったよ、入る。」

 

そう答え、蓮も円陣に加わった。

 

「μ’s!ミュージック…」

 

そして、穂乃果が掛け声を掛けようとした時…

 

「穂乃果!」

 

そう声が聞こえ、そちらには音ノ木坂学院の生徒たちがいた。

 

「手伝いに来たよ!」

 

その言葉に、俺たちは笑顔で頷き合う。

 

「さぁ、行こう!μ’s、ミュージック…」

 

「「「「「「「「「「「スタート!」」」」」」」」」」」

 

そして、μ’sのライブが始まった。

 

 

 

 

 

ユメノトビラ/μ’s

 

 

 

 

 

「やっぱり、生で見るのは違うなぁ…」

 

μ'sのライブを見ている蓮が、噛み締めたようにそう言葉を漏らした。

 

「そういえば、蓮は前の世界でもμ’sのファンだったんだよな?」

 

「あぁ!」

 

そう答えた蓮の表情は、先程までとは違って純粋な子供のような笑顔。

 

「少しは、元気出たか?」

 

「えっ?」

 

俺が聞くと、蓮自身はなんの事か分からず聞き返してきた。

 

「はぁ…お前、合宿の時に負けてから、ずっと元気なかっただろ?まだみんなはあんまり気づいてないみたいだけど、みんなに心配かけないようにしろよ?」

 

「分かってるよ…」

 

こうして、地区予選でのライブは目立つような失敗もなく、それどころか今までで一番と言っても良い出来栄えで、無事終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

ラブライブ!の地区予選が終わってから、数日が経った。

 

俺たちはアイドル研究部の部室で、パソコンに釘付けになっていた。

 

「いよいよです…」

 

そう花陽が言って、この場の空気に更に緊張が走る。

 

何がいよいよかと言うと、今日はラブライブ!地区予選突破チーム、4組の発表日だ。

 

「緊張するね…」

 

「あぁぁぁ…もう、心臓が飛び出しちゃいそうだよ…」

 

ことりと穂乃果がそう話しているように、全員かなり緊張している。ただ、その中でも飛び抜けて緊張しているメンバーが一人。

 

「オワリマシタカ?オワリマシタカ?」

 

海未が耳を塞ぎながら、呪文を唱えるようにそう何度も呟いている。

 

「まだよ。」

 

絵里がそう答えるが、海未には耳を塞いでいるため聞こえない。

 

「誰か答えてください!」

 

ちょうど今絵里が答えたんだけどな…

 

「それじゃ、聞こえないでしょ?」

 

呆れ顔の真姫が言うが、それも耳を塞いでいる海未には聞こえていない。

 

「そそそそそそそそっ、そうよ。予備予選ぐらいで、何そんな緊張してるのよ!」

 

そう言っているにこも、緊張して紙パックのジュースを握り潰している。

 

「おいジュース零したぞ…にこも相当緊張してんじゃねーか…」

 

俺は苦笑しながら、ティッシュでにこが零したジュースを拭きながら言った。

 

「そうやね。カードによると…」

 

そう言いながら、希はタロットカードを見ている。

 

「よると…?うわーん!やっぱり聞きたくなーい!」

 

「来ました!」

 

花陽がそう言った刹那、今までわちゃわちゃしていた全員が再びパソコンに釘付けになる。

 

「最終予選に進めるチームは…1チーム目は、A-RISE。」

 

まぁ、これはそうだよな…

 

「2チーム目は、イーストハート。」

 

あぁ、確か4人組の…

 

「3チーム目は、みっ…」

 

「「「「「「「「「「みっ!?」」」」」」」」」」

 

『μ's』の頭文字でもある『み』が読み上げられ、全員更に緊張が高まる。

 

「ミットナイトキャッツ…」

 

違ったぁ!あと、1チーム…頼む!

 

「4チーム目は、みゅ…」

 

「「「「「「「「「「みゅ…?」」」」」」」」」」

 

みゅ!?みゅなら大丈夫だろ!?

 

「みゅー…たんとがーるず…」

 

嘘…!?もう一チーム『みゅ』から始まるグループがいた!?

 

「そっ、そんなぁ!」

 

そう穂乃果が叫んだ。

 

 

 

 

 

「っていう夢を見たんだよ!」

 

さっきまでの話は全て、穂乃果の夢の話であった。

 

「「「「「「「「「「夢なんかーい!」」」」」」」」」」

 

そして、それにその場にいた穂乃果以外の10人全員が突っ込んだ。

 

「それにしても、生々しい夢だよね…」

 

「本当に…」

 

花陽、ことりが言った。すると、穂乃果はどこか焦った様子で部室内を見ている。

 

「っていうかさ…今、夢と同じ状況だしー!」

 

「どっ、どこが同じ状況だって言うのよ!」

 

「オワリマシタカ?オワリマシタカ?」

 

紙パックのジュースを握り潰しながらにこが、耳を塞いで呪文のように海未が言っている。

 

「おい、ジュースこぼ「拭いちゃだめ!」

 

俺がにこが零したジュースを拭こうとティッシュを取り出した時、穂乃果が叫んで止めた。

 

「拭いちゃだめだよ優くん!益々夢と同じになっちゃうから!」

 

「そうやね…カードによると…」

 

そんな中、希がタロットカードを見始めた。

 

「ダメだよぉ!このままじゃ正夢になっちゃうよぉ…そうだ!にこちゃん、それ一気飲みして!」

 

「ぬゎんでよ!」

 

「じゃあ優くんでいいや、にこちゃんのジュース一気飲みして!」

 

穂乃果の言葉に呆れながら、俺が「はい?」と聞き返している横で、にこが何かブツブツ言っている。

 

「そっ…それって、間接、キッキッキッキッキッ…!?」

 

「おいにこ、何キキキキキ言ってんだ?猿の真似か?」

 

「ちっ、違うわよ!」

 

そう言い返してきた時のにこの頬は、どこか赤いようにも見えた。

 

「ふぅ…これでちょっと変わった…?」

 

そんな俺たちの様子を見て、穂乃果が少し安心したように呟いた。

 

「来ました!」

 

花陽がそう言い、全員が再びパソコンに釘付けになる。

 

「最終予選に進めるチームは…1チーム目は、A-RISE。2チーム目は、イーストハート。3チーム目は、ミットナイトキャッツ。」

 

「ダメだよ…同じだよ…」

 

花陽の読み上げる声を聞き、落ち込んだ穂乃果が言った。

 

「そして、4チーム目は…み…」

 

「「「「「「「「「み?」」」」」」」」」

 

「みゅー…」

 

「「「「「「「「「「みゅー…?」」」」」」」」」」

 

「ず。」

 

「「「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」」」

 

余りにもあっさり『ず』と言われたため、全員ワンテンポ遅れて聞き返す。

 

「μ’s。音ノ木坂学院高校、スクールアイドル。μ’sです!」

 

「μ’sって、私たちだよね…?石鹸じゃ、ないよね…?」

 

「当たり前でしょ!」

 

「凛たち…合格したの…?」

 

「予選を突破した?」

 

花陽の言葉を聞き、全員喜びよりも先に戸惑いが来ていたが…

 

「「「「「「「「「「やったぁ!」」」」」」」」」」

 

時間が経ち、漸く自分たちが予選突破したと理解し、海未以外の全員が部室を飛び出した。そして、みんながそれぞれ友人や家族、アルパカなどに報告しに行った。…………ん?アルパカ…?

 

 

 

 

 

「オワッタノデスカ?オワッタノデスカ?」

 

そんな中、今も部室で一人耳を塞ぎながら、呪文を唱えていた海未が、ふと耳から手を離した。その時、ピーンポーンパーンポーンと音が鳴り、校内放送が始まった。

 

『お知らせします。たった今、我が校のスクールアイドルμ’sが、ラブライブの予選に合格したというお知らせが入りました。』

 

「わぁ…!」

 

その放送でひと足遅れて、海未が喜びの声を上げた。

 

 

遂にμ’sは、ここまで来たのか…!

 

 




オリキャラ、プロフィール紹介!


宮崎蓮(みやざきれん)
15歳 高校1年生、誕生日 11月22日、血液型 A型、身長 175cm、体重 61kg、
好きな食べ物 肉類 ラーメン、嫌いな食べ物 野菜、
趣味特技 運動、得意科目 体育、苦手科目 数学 英語

優と同じく、仮面ライダーとして転生した男。転生前は、ラブライブを見ていたため、μ'sと会った時はかなり盛り上がっていたが、ラブライブの記憶は転生時に消えたためないらしい…
優たちと会うまでに1度凛を助けたことがあり、凛は蓮に好意があるようだ。
蓮も、財団Xにかなりの恨みがあるらしいが、それが明かされるのはもう少し先になるだろう。





今回はオリキャラ、蓮のプロフィール紹介でした。次回は、優香と同じ新しい女神の咲のプロフィール紹介です!
そして、今回でアニメ4話の途中までいきました。そして、4話の途中ですが、次回からオリジナルに入ります。新オリキャラの蓮の話です。少し長くなるかもしれませんが、見てもらえると嬉しいです。

そして、少ししたお知らせなんですが、ラブライブ!サンシャイン!!の新しい小説を書こうかなと思っています。詳しいことは、今日の夜か明日の夜ぐらいに活動報告で書こうと思ってます。そちらも、見てもらえると嬉しいです。


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11章 新マネージャー、本加入編
66話 新マネージャーとの亀裂…


はい、66話です。
今回からまたオリジナルです。新オリキャラの蓮の話がこれから続くと思います。長い間のオリジナルですが、見ていただけると嬉しいです。
では66話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 小泉花陽)

 

ラブライブ!地区予選をA-RISEと同じステージで行うことになった私たち、μ's。

しかし、いざライブが始まってA-RISEのパフォーマンスを観た私たちはA、-RISEには敵わないと感じてしまう。

 

「そんなことねぇよ!」

 

しかし、そんな私たちに優くんが励ましてくれた。その言葉に、その言葉のおかげや、学校のみんなが駆けつけたくれたこともあり、私たちは精一杯ライブで踊ることが出来ました!

 

数日後、穂乃果ちゃんがμ'sが予選敗退する夢などを見てしまったけど、私たちはなんとか予選を突破!

 

ラブライブ!に向けて、もっともっと頑張らなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

μ’sがラブライブ!地区予選を突破出来たことが分かった今日、これからは練習が更に厳しくなるため、今日だけは練習を休みにしようということになり、今は全員で帰っているところだ。

 

 

 

「優くん、あれ!」

 

帰路を歩いている途中、穂乃果が2体のグリード、ガメルとメズールを発見した。

 

「仮面ライダー。お前の持っている、コアメダルを頂くわ。」

 

「チッ!せっかくの休みなのに、グリードさんのお出ましか…」

 

メズールの言葉に、蓮がそう文句を言った。

 

ほんとだよ…せっかくの休みなのに…

 

「優くん、蓮くん。」

 

穂乃果、海未、ことり、真姫が前に出て、変身しようとしたのを俺が止める。

 

「まぁ待て。せっかくの休みだ。ここは俺と蓮に任せろ。」

 

「ですが…」

 

俺の言葉に、海未が躊躇って言葉を漏らす。

 

「海未。μ'sにとって、今1番大切なことはなんだ?」

 

「それは…ラブライブに出場することです。」

 

「だろ?だったら、今は休んどけ。」

 

それに納得した4人は、それぞれ変身に必要なものをしまった。

 

「じゃあ蓮、行くぞ!」

 

「おう!」

 

俺は腰にオーズドライバーを、蓮はバースドライバーを巻き付けた。

 

「「変身!」」

 

蓮はバースドライバーにセルメダルを入れ、ダイヤルを回した。俺はオーズドライバーに3枚のコアメダルを入れ、オースキャナーでスキャンした。

 

『タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ タトバ タトバ!』

 

俺は仮面ライダーオーズ タトバコンボに、蓮は仮面ライダーバースに変身した。

 

「よし、行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

『ドリルアーム!』

 

俺はトラクローを展開させ、ガメルに、蓮はドリルアームを手に装備してメズールに攻撃を始めた。

 

「はぁ!やっ!セイヤー…って!硬い…」

 

俺は、ガメルにトラクローで攻撃するが、硬すぎて全く効かない。

 

「オーズ…倒す!」

 

そう言って、ガメルは俺に体当たりしてきた。

 

「あぶねっ!?ったく、だったら…」

 

俺はタカコアメダルをライオンコアメダルに変え、オースキャナーでスキャンした。

 

『ライオン!トラ!バッタ!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

俺はライオンの顔から強い光を放出させた。

 

「まっ…眩しい…」

 

それにより、光に弱いガメルが怯んだ。

 

「よし、今だ!」

 

『スキャニングチャージ!』

 

俺はもう1度メダルをオースキャナーでメダルをスキャンし、バッタレッグで一飛びでガメルに接近し、トラクローで腹部を突き刺した。すると、ガメルから2枚のコアメダル、ゴリラコアメダルとゾウコアメダルが飛び出し、俺はそれをキャッチした。

 

「うぅ…俺のコアメダルが…」

 

「グハァァッ!?」

 

すると、蓮がメズールの攻撃を受けて俺の近くに倒れてきた。

 

「蓮!」

 

俺は蓮を助けるため、ベルトのメダルを変えてオースキャナーでスキャンした。

 

『ライオン!ゴリラ!チーター!』

 

そして、更にそれをオースキャナーでスキャンした。

 

『スキャニングチャージ!』

 

俺は、高速でメズールに近づいて、ゴリラレッグで強力なパンチを放った。

 

「セイヤァァァッ!」

 

その攻撃により、メズールからウナギコアメダルが飛び出した。

 

「ラッキー!一気に3枚もコアメダルゲット!」 

 

「くっ…ガメル、ここは一旦引きましょう。」

 

「メズール、分かった…」

 

「覚えてきなさい、次は私たちがメダルを奪い返してあげるわ。」

 

そう言い残し、ガメルとメズールは去っていった。

 

「蓮、大丈夫か?」

 

「クソッ!なんで…なんで、俺は勝てないんだよ…!」

 

以前、ダークインフィニティに負けた時のこともあり、蓮はかなり悔しがっていた。

 

「はぁ…お前が何でそこまで強くなりたいって思ってるのかは知らないが、まぁとりあえず立て。」

 

そう言って俺は手を差し出すが、蓮はその手を掴まないで立ち上がった。それにしても、蓮が強くなりたいって思う理由か…なんか、さっきの蓮もダークインフィニティに負けた時の蓮も、アデュサに負けた時の俺を見てるように感じた。

 

もしかして、蓮も…

 

「お久しぶりですね、仮面ライダーインフィニティ。」

 

その時、俺に対しそう声が聞こえてきた。俺が声のした方へ振り向くと、見覚えのある白服の男が立っていた。

 

「久しぶりだな。エアス。」

 

その男は、俺が初めて仮面ライダーに変身した時に会った財団Xの幹部、エアスだった。

 

「仮面ライダーに覚えていて頂けるなんて、光栄ですね。」

 

「忘れたくても忘れられねぇよ。初めて戦ったあとに、いきなり挨拶だって現れる男のことを。」

 

「ふふっ…そうですか。」

 

そう答えたエアスを少し不気味に思いながらも、俺がふと隣を見ると、

 

「ハァ…ハァ…ハァハァ…」

 

蓮がそう息を荒くして震えていた。

 

「おい、蓮?どうかしたか?」

 

俺がそう聞くが、蓮からの返答はない。

 

「……てめぇ…よく、俺の前に…ノコノコと現れたな…」

 

蓮が威圧的な声でエアスに向かってそう言った。

 

「ん…?あなたは…あぁ、前に私が殺した貧弱な人間ですか。まさか、この世界に来ていたとは。」

 

ん…この世界…?それって、蓮が転生したことを知ってるって事か!?まぁ、財団Xの協力者が女神様ってことを考えると、知っててもおかしくないか…

 

「前にも言いましたが、あなたではこの私に手も足も出せないですよ。」

 

「だったら…試してみるか?今の俺は、前の俺とは違うぞ!!」

 

そう言って、蓮はインフィニティドライバーを腰に巻いた。

 

「ほう…あなたも、仮面ライダーになっていたとは…しかし、それでも私には勝てませんよ。」

 

そう言って、エアスはガイアドライバーを腰に巻きつけた。

 

『NASCA』

 

ナスカメモリを起動したエアスは、メモリをガイアドライバーに差し込んでナスカ・ドーパントに姿を変えた。

 

上級ガイアメモリだと!?財団Xの幹部とはいえ、かなり強力なガイアメモリを持ってきやがったな。

 

「変身!」

 

そして蓮は、仮面ライダーネイチャーに変身した。

 

「お前は…俺の手でぶっ倒す!おらぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

蓮はエアスと戦い始めた。しかし、その蓮の戦い方は、ただエアスに向かって殴り、蹴りを繰り返すだけ。かなり荒々しい…

 

「なに…?あの蓮くんの戦い方…?」

 

「この前見た蓮くんの戦い方と、全然違う…なんというか、荒々しい…」

 

ことりと穂乃果が驚いてそう言葉を漏らした。

 

「でも、あの戦い方…」

 

「私たち…1回見たことあるわ…」

 

にこと絵里が言った。

 

「ん?どういう意味だ?」

 

「2人とも、どういうことですか?」

 

俺と海未、穂乃果、ことりはその言葉の意味がよく分からなかった。しかし、他の6人は全員見覚えがあるようだ。

 

「……あの蓮くんの戦い方、茜ちゃんを殺した怪物と戦った時の、優くんの戦い方とそっくりなんよ。」

 

「じゃあ、もしかして蓮は、エアスに誰かを殺されたのか…?それとも…」

 

もし、エアスが俺と蓮が前にいた世界に来た事があるなら、もしかして、蓮自身が…

 

いや、今はそんなことを考えている暇じゃない!

 

「とりあえず、蓮を止めないと!今の戦い方じゃ、蓮自身の身が持たない。…俺とアデュサが戦った時みたいになっちまう…変身!」

 

俺はインフィニティドライバーを腰に巻き付け、仮面ライダーインフィニティに変身した。

 

「やめろ蓮!そんな戦い方じゃ絶対に勝てない!落ち着け!」

 

俺は蓮の脇の下から手を入れ、肩を抑えて止めようとしながら言った。

 

「ふざけんじゃねぇ!こいつは…こいつだけは…俺が倒す!はぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

しかし、蓮は俺の手を振りほどいて再び戦闘を始めてしまう。

 

「本当に、あなたは諦めるという言葉を知りませんね…あなたでは私には敵わないということが、まだ分かりませんか?」

 

「分からねぇな!俺は絶対に、お前をぶっ倒す!」

 

「よせっ、蓮!落ち着け!」

 

そう言って、俺はさっきよりも強めの力で蓮を抑えるが、蓮は抵抗を続ける。

 

「仮面ライダーインフィニティ。丁度いい。その邪魔なライダーを取り押さえておいてください。今度はインフィニティと、ゆっくり対面したいものです。では。」

 

そう言ってエアスは去っていった。まぁ、エアスはああ言ってたし、今度また現れるだろうけど…まぁ、あいつは一先ず次でいいか…

 

俺がそう思っていたが、蓮は納得出来ない様子だ。

 

「優…テメェ…ふざけんな!邪魔しやがって!」

 

蓮は俺の胸ぐらを掴んで、そう怒鳴ってきた。

 

「でも、あのままじゃお前は負けていた。エアスとお前に何があったかは知らないけど、あんな荒々しい戦い方じゃ勝てないぞ?」

 

「……うるせぇよ…あいつだけは…俺が倒さなきゃいけねぇんだよ…!」

 

唇を噛み締め、手を強く握りしめて蓮が言った。

 

「はぁ…さっきも言ったが、どうしてエアスに対してそこまでの執着心があるのかは知らないが、これまでお前が戦ってきたのは、人を守るためじゃないのか?さっきの、我を忘れたお前じゃ、守れる人も守れなくなるぞ?」

 

俺の言葉を聞いた蓮は、舌打ちしてから話し出す。

 

「お前、何を勘違いしてんだ?」

 

「勘違い…?」

 

「俺が人を守るために戦ってきた?そんなわけあるかよ…俺はあいつを…エアスを倒すために戦ってきたんだよ。そのための力をつけるためだけに、他の怪人を倒してきたんだ。別に人を守ることなんかのために戦ってきたわけじゃねぇよ。」

 

蓮のその言葉を聞き、俺も少し頭に血が上る。

 

「……人を守ることなんか?蓮…お前のベルトとデータボトルを渡せ。」

 

「はぁ?なんでだよ…?」

 

「仮面ライダーの力は、人を守るためにあるんだ。今のお前に、その力を使う資格はない。だから、お前のベルトとデータボトルを渡せ!」

 

「ゆっ、優くん…」

 

「なっ、何もそこまで…」

 

俺の言葉に希と絵里が止めようとしてきた。

 

「希、絵里…悪いが口を出さないでくれ。」

 

「「優(くん)…」」

 

2人は俺の言葉を聞き、止めるのをやめた。

 

「さぁ、蓮。渡せ。」

 

「渡すわけないだろ。何が人を守るための力だ…お前の方こそ、おかしいだろ。」

 

「どういう意味だよ…?」

 

「そうやって人を守るためだの言って、他人のために戦ってる俺かっこいいなんて思ってんのか?」

 

蓮のその言葉に、俺はかなりカチンと来たが、心を落ち着かせてなるべく冷静に返答する。

 

「俺がそんなこと思ってるように思うか?」

 

「あぁ、思うね…人を守るために戦ってるんだかなんだか知らねぇけどよ、お前なんかに説教されたくないんだよ!お前みたいな…偽善者なんかにな!」

 

「えっ…?偽善者…?」

 

『偽善者』という言葉を聞き、俺は戸惑い他に言葉が出てこなかった。

 

「ちょっと蓮!」

 

「あんた…そんな言い方ないわよ!」

 

「優がどれほどの想いで、これまで戦ってきたのかも分からないあなたなんかに、そんなことを言う資格はありません!」

 

真姫、にこ、海未を初めに、μ’sのみんなが蓮を止めようとする。そんな中、静かに、そしてゆっくりと蓮に近づいていく人が一人いた。

 

 

 

パシンッッッッッッッッッッッッッッ!!

 

 

 

辺りに大きく乾いた音が響いた。蓮に近づいた彼女は、蓮の頬を強く叩いたのだ。

 

「凛…」

 

そう…蓮を叩いたのは、μ’sの中でも一番蓮と仲良く、そして…恐らく、蓮に好意を寄せていたであろう、凛だった。




オリキャラ、プロフィール紹介コーナー!

宮崎咲 (みやざきさき)
年齢 自称20歳、誕生日 不明、血液型 O型、身長 162cm、
好きな食べ物 魚、嫌いな食べ物 特になし、
趣味 映画鑑賞、特技 女神なのでだいたいなんでも出来る。

優香と幼馴染で蓮を転生させた女神様。咲と言う名前も蓮に付けてもらい、とても気に入っている。
蓮を転生させた女神なので、蓮の過去を知っているようだ。





今回のプロフィール紹介は、新オリキャラで女神様である咲でした。次回は、ライダーのプロフィール紹介コーナーに戻って、ネイチャーのプロフィールを書こと思います。
そして今回、まだ登場間もない蓮とμ’sの間に、大きな問題が出来てしまいましたね…これから、蓮はどうなるのでしょうか…


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67話 想いからの怒り

はい、67話です。
前回の投稿から2週間も開いてしまい、すみません…もう少し早く投稿できるように頑張ります!
では67話、スタートです!


~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 星空凛)

 

凛たちの前に、エアスという敵が現れた。そのエアスって人と戦い始めた蓮くんだけど、2人の間には強い因縁があるみたいで、蓮くんは我を忘れていつもより荒々しい戦い方だったんだにゃ。

 

エアスさんが去った後、優くんが蓮くんを注意したけど、蓮くんは偽善者などと優くんに罵声を浴びせた。それを注意するμ'sのみんなだけど、そんな中凛は一人静かに蓮くんに近づき、強く彼の頬を叩いたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

パシンッッッッッッッッッッッッッッ!!

 

凛が辺りに大きく乾いた音が響く程、強く蓮の頬を叩いた。これまで見たことないような凛の様子に、彼女の親友である花陽までが息を飲んでいる。

 

そんな中、凛はか細く震えた声で話し出す。

 

「………蓮くんは…凛のことを助けてくれて、とっても優しい仮面ライダーだってずっと思ってた…でも、ずっと辛い思いをしながら戦ってきた優くんに、そんなこと言うなんて…蓮くんのこと、見損なったにゃ!!凛も、優くんと同じ意見にゃ!蓮くんには、もう仮面ライダーとして戦ってほしくないよ!!」

 

そう言った凛の目からは、涙が零れ落ちていた。

 

「…クソッ!!」

 

蓮はそう言い残して、どこかに走り去ってしまった。

 

 

 

ポタ…ポタ……ザァー…ザァー…ザァーーーーーーー!

 

 

 

その時、俺たちの心情を表しているかのように、突然雨が降ってきた。その場には、雨の音しか聞こえない。

 

しばらくしてから、俺が話し始める。

 

「……みんな、せっかくの休みがこんなことになって悪かったな…」

 

「それは…優くんが謝ることじゃないよ…」

 

俺の言葉に穂乃果がそう返すと、再び沈黙が流れ始めた。そんな中、絵里が話し出す。

 

「……今日は、解散にしましょうか…雨も降ってきたし…」

 

絵里の言葉で、みんな解散することになった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 凛〜

 

凛は今、これまでにないほど落ち込んでいる。

 

私を助けてくれた仮面ライダーである、宮崎蓮くん。多分凛は、蓮くんのことを好きだった。凛を助けてくれて、気も合う優しい男の子。今まで凛は、蓮くんのことをそう思っていた。けど、そんな蓮くんが、優くんに対してあんなこと言うなんて…

 

つい怒りが我慢できなくて、蓮くんを叩いちゃったなぁ…

 

「凛ちゃん…」

 

凛が一人落ち込んでいると、凛を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「かよちん…」

 

声の主は、かよちん。そしてその後ろには、真姫ちゃんもいる。

 

「凛ちゃん…大丈夫?」

 

「……うん!もっちろん、凛はなんともないにゃー!」

 

凛は2人を心配させないよう、普段の元気いっぱいの凛のように振る舞う。

 

「凛ちゃん…」

 

「凛…そんな嘘、バレバレよ。」

 

しかし、2人はそれを見抜いたようだ。

 

「ウソ?凛は、嘘をなんて…」

 

「凛ちゃん…辛いんでしょ?好きになった蓮くんがあんなこと言って、その蓮くんを叩いちゃったりしたことが…」

 

「……」

 

凛はかよちんの言葉を聞いて、何も言葉が出なくなってしまった。

 

「凛ちゃん。辛かったら話してよ。私たちは、友達でしょ?」

 

「うっ…うぅ…うわわぁぁぁぁぁん!」

 

凛はかよちんに抱きつき、胸の中で思いっきり泣いた。そんな凛を、かよちんと真姫ちゃんは、優しく抱きしめてくれた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 真姫〜

 

私と花陽がしばらく凛を抱きしめていると、凛は泣きながら自分の気持ちを話し始めた。

 

今、私と花陽は泣いている凛の背中を摩っている。

 

「真姫ちゃん。」

 

花陽は摩る手は止めずに、私に声をかけてきた。

 

「どうしたの?」

 

「真姫ちゃんは、優くんの方に行ってあげて?」

 

「えっ?」

 

「優くんも、さっきのことですごく傷思うの…だから真姫ちゃんは、優くんのところへ行ってあげて。私が行くよりも、真姫ちゃんが行った方が優くんの力になれると思うから…凛ちゃんは私が見てるから。」

 

「花陽…ありがとう!行ってくる!」

 

花陽の言葉を受け、私は優の元へ向かった。

 

 

 

私が神田明神までやって来ると、優は土砂降りの雨の中傘もささずに突っ立っていた。

 

優…傘もささないで、何やってるのよ…!

 

そして私は優に近づき、何も言わずに優に傘をさした。雨水が落ちてこないことに気づいた優がこちらに振り返り、私がいることに気がついた。

 

「……真姫…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺が雨に打たれながら突っ立っていると、急に雨が当たらなくなった。俺が不思議に思い振り返ると、真姫が傘をさして立っていた。

 

「……真姫…」

 

「はぁ…何やってんのよ、傘もささずにこんなところで…風邪、引くわよ?」

 

「悪い…」

 

呆れている真姫に、俺はその一言しか出てこなかった。

 

「さっき蓮が言ったこと、気にしてるの?」

 

「真姫…俺ってさ、蓮が言ってたように偽善者だったのかな…」

 

「えっ…どういう、意味…?」

 

「前にアデュサと戦いで、怒りで我を忘れて戦った結果、ボロボロに負けた。だから、もう同じ過ちを繰り返さないために、人を守るためだけに仮面ライダーとして戦ってきた。だから、蓮にもああ言った…けど、それって偽善者ってことだったのかな…?」

 

俺がそこまで言うと、パシンッと乾いた音をたてて頬に痛みが走った。

 

「優…それ、本気で言ってる?」

 

俺の頬を叩いた真姫が、キッと鋭い目付きで俺を見ながらそう言った。

 

「えっ…?」

 

真姫の言葉を聞き、俺は思わず呆気にとられてしまった。

 

「目、覚ましなさいよっ!!」

 

涙目の真姫が、俺の制服の胸元を掴んで言った。

 

「優がそんな弱気になってどうすんのよ!これまで人のために戦ってきたあんたの覚悟は、そんなもんなの!?」

 

俺は真姫のその言葉を聞き、はっと目を見開いた。

 

「私は…ずっと、人を守るために戦って、他の人の命を大切に想って戦ってきた優のことが…ことが…」

 

そう言った真姫の頬は、少し赤く染っていた。

 

「えっ…?」

 

そんな真姫に、俺は思わず聞き返してしまう。

 

「ことが……とても、すごいと思ったわ!」

 

「俺が…すごい…?」

 

どこか焦っているように見える真姫だったが、今度はとても優しい目俺を見て話し出した。

 

「えぇ。私はそんな優のことがすごいと思ったし、尊敬もした。私は将来医者になりたいって思ってる。でも、医者の仕事は人の命を背負う仕事。それを考えるだけで、プレッシャーがあるわ。なのに優は、人の命を助けるために自分の命を懸けて戦ってる。本当に、凄いと思うわ。」

 

「真姫…」

 

「それに、私もこの前仮面ライダーにも変身して戦った。だから、優は、私にとって人生の…そして仮面ライダーとしての憧れなの!だから、次また弱気なこと言ったら、今度は本気で殴るわよ!」

 

真姫にそう言われ、俺は目が覚めた。

 

「そう、だよな…俺は、人を守るために戦ってきたんだよな。この気持ちは偽善じゃない、嘘でもない。本心だ!よしっ、俺がこんな弱気じゃ、誰も守れない。目が覚めたよ。真姫、ありがとな!」

 

「べっ、別に…」

 

俺が礼を言うと、真姫は頬を赤く染め、そっぽ向いて呟いた。

 

「っし!元気出た!蓮もあのまままたエアスと戦ったら、今度こそ大変なことになるかもしれない…さっさと何とかしないとな。まぁ、あいつももう帰っただろうし、今日のところは帰るか。」

 

「そうね…っていうか、優は傘持ってるの?」

 

「あっ……まぁ、走って帰ったらなんとかなるだろ!」

 

「何言ってんのよ!今度こそ、風邪引いてしまうわよ!私の傘に入ったら…?」

 

それって、所謂相合傘というやつでは…?

 

「えっ…?でも、真姫はいいのか?」

 

「別に、優ならいいわよ。」

 

「分かった。じゃあ、失礼します。」

 

こうして。俺は真姫の傘に入って二人で歩き始めた。二人とも、内心恥ずかしいと思いながら…

 

それにしても、さっき顔を赤くした真姫を見て、ちょっとドキッとしたな…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 真姫〜

 

もう、なんで私がこんなに恥ずかしがらなきゃならないのよ!優と…相合傘してるぐらい…

 

私は今、優と相合傘をしながら帰っている。それだけなのに、何故か恥ずかしい…

 

さっきから私は、どこか変だ。さっき優と話している時、私はつい好きだと口走りそうになっていた。

 

でも、あの時本当に好きって言ってたら…

 

 

 

〜回想〜

 

「私は…ずっと、人を守るために戦って、自分よりも他の人の命を大切に戦ってきてる優のことが…ことが…」

 

「えっ…?」

 

「ことが…ずっと、好きだった…」

 

「えっ?真姫が、俺のことを?」

 

「そっ、そうよ…こんな時に言うのはアレだけど、私は優のことが好き。」

 

そう言って、頬が赤くなる私。

 

「そっ、そうか…俺も…」

 

そう答え、優も頬を赤くする。

 

「へっ?」

 

「俺も真姫のことが好きだ!俺と、付き合ってください!」

 

「うっ、うん…」

 

「真姫…」

 

そう言って、目を閉じて顔を近づけてくる優。

 

「えっ、ちょっ…優…私まだ、心の準備が…//」

 

〜回想終了〜

 

 

 

って、私は何考えてんのよ!!私が告白しても、優が私のことを好きかなんて分からないし……っていうか、私は別に優のことが好きなわけでも……なんというか、つい言ってしまいそうになっただけで…別に、私は優のことが好きな訳では無いんだからっ…

 

「真姫?」

 

私が一人、妄想に耽ていると、優が声をかけてきた。

 

「なっ、なによ…?」

 

「いや、さっきから1人で顔赤くしたり、落ち込んだような顔したりしてたから…どうかしたのか?」

 

「別にっ!なんでもないわよ!」

 

そう言った私は、少しキツイ言い方になってしまっていた。

 

「ちょっ、本当にどうしたんだよ?怒ってんのか?」

 

「だから、なんでもないわよ!」

 

「なっ、ならいいけど…(絶対、なんかある…)」

 

~side out~

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

それにしても、真姫が俺のことを人生として、仮面ライダーとしての憧れって思ってくれてるなんてな…やばい…嬉しいけど、すごい恥ずかしい…

 

そう考え、俺の頬も少し赤くなっていた。

 

「優の方こそ、顔を赤くしてるのよ?」

 

「いや、真姫が俺のことをあんなふうに思ってくれてるなんて、嬉しいなって思っただけだよ…」

 

「なっ…!?私も恥ずかしかったんだから、思い出させないでよっ!」

 

そう言って、再び頬を赤くする真姫。

 

「いやぁ、真姫があんなふうに俺のことを思ってくれてるなんて、嬉しいなぁ…」

 

「ちょっと優!今度はわざとでしょ!」

 

「ププッ、悪い悪い…」

 

「何笑ってるのよぉ…」

 

お互い頬を赤くしながら、そんな言い合いをして家に帰っていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

……ったく…なんなんだよ…確かに、俺も言い過ぎた…けど、凛に叩かれるとは…今も少し頬が痛い…けど、それ以上に心が痛い…

 

理由は2つ。1つは優に思ってもないことを言ってしまったから。なんで、あんなこと言ってしまったのかなぁ…まぁ、あいつと似たようなこと言ったからってのもあるよなぁ…なんか優のやつ、あいつと本当に似てるんだよな…

 

そして2つ目の理由は、凛に叩かれたからだろう。多分、これが他の8人の誰かだったら、傷つきはしたけど、ここまでじゃなかったかもしれない。けど、μ’sの中でもこれまで1番仲が良かった凛に叩かれた。頬も痛いし、胸も痛い…なんか、失恋したみたいに心が痛い…まぁ、失恋どころか好きな人すら出来たことないけど…

 

それにしても、エアスを倒せなかったことの怒りを優にぶつけてしまうなんて、本当に情けないな…

 

俺が今日の出来事を悔やんでいると…

 

「どうも。お昼ぶりですね。仮面ライダーネイチャー、宮崎蓮さん。」

 

「エアス…!?」

 

俺の前に、突如エアスが現れた。

 

 

 

 

 




ライダースペック、紹介コーナー!

仮面ライダーネイチャー
変身者 宮崎蓮
身長 201cm
体重 96kg
パンチ力 9.6t
キック力 14t
ジャンプ力 51m(ひと跳び)
走力 3.5秒(100m)
変身ベルト インフィニティドライバー
変身アイテム ネイチャーデータボトル
バイク ライドネイチャー

宮崎蓮がネイチャーデータボトルで変身した、仮面ライダーネイチャーの基本形態。緑色がベースの仮面ライダーで、名前の通り草木や土、岩などの自然の能力を操ることが出来る。しかし、自然を操る能力には負担がかかるため、自身のネイチャーブレスからは2号ライダー以降の仮面ライダーのアイテムを呼び出すことしか出来ない。ただし、優のインフィニティブレスから呼び出した1号ライダーのアイテムを使用することは可能。
専用バイクのライドネイチャーはまだ登場してないが、ネイチャーと同じく緑色ベースのバイク。
変身時に使用するネイチャーデータボトルは、優とは違って蓮の体を保っているわけではないので、万が一ネイチャーデータボトルが壊れても、蓮自身に以上はない。





はい、今回のスペック紹介は、仮面ライダーネイチャーでした。次回は、まだ一度しか登場していないダンシングゲーマーレベル3のスペックを書きたいと思います。
そして今回、優と真姫の回でしたね。アニメ一期の4話以降、あまり真姫との絡みがなかったので、今回は1年生でもある真姫との話でした。


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68話 蓮の失踪…

はい、68話です。

今回、タイトルの通り蓮が…

では68話、スタートです!


~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 仮野優)

 

俺は同じくμ'sのマネージャーであり、仮面ライダーに変身する宮崎蓮と言い合いになってしまった。そんな言い合いの中、

 

「お前みたいな…偽善者なんかにな!」

 

という蓮の一言で、蓮に好意を持っていたμ'sのメンバー、星空凛が蓮を叩き、蓮と俺たちの間に亀裂が入った。

 

その後、俺は蓮に言われた偽善者という言葉に、戦う自信を失いかけていた。そんな中、真姫が俺にかけてくれた言葉で、俺は再び戦う決心をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

蓮と俺が言い合いになった翌日、今は放課後。μ’s 9人と俺はアイドル研究部の部室に集まっている。

 

「じゃあ、今日蓮は学校に来ていないのか?」

 

俺たちは1年生の3人から、今日蓮が学校に来なかったことを聞いた。

 

「うん…やっぱり、昨日のことが原因だと思う…凛が叩いちゃったりしたからかな…」

 

昨日のことをかなり気にしている凛は、暗い声色で言った。

その時、誰かのスマホから着信音がなった。

 

「誰の?」

 

絵里の言葉で全員が携帯を確認し始めた。

 

「あっ、悪い。俺だ。」

 

そう言って俺は部室の端の方へ行き、通話ボタンを押した。

 

「はい、もしもし?」

 

『優くん!?大変なの!!』

 

俺が電話に出ると、咲さんが慌てた様子でそう言ってきた。

 

「咲さん、どうかしたんですか?凄い焦っているみたいですけど…」

 

『それが…昨日から、蓮くんが帰ってこないの!!』

 

「えっ!?それ、本当ですか!?」

 

『そうなの…今、私と優香で探してるんだけど、心当たりない?』

 

「いや、俺達も今日は会ってないですし…」

 

『そっか…』

 

俺の言葉を聞き、咲さんは落ち込んでそう呟いた。

 

「とりあえず、俺も今から探してみます!」

 

『うん…ありがとう!』

 

咲さんの言葉を聞き終えてから、俺は電話を切った。

 

「優くん?」

 

「どうかしたのですか?」

 

俺が電話の相手との話で焦っていたのを気にして、穂乃果と海未が何があったのか聞いてきた。

 

「それが…昨日から、蓮が家に帰ってないらしい…」

 

「えっ!?もしかして、昨日のことが原因で…?」

 

俯いた凛が、心配そうに聞いてきた。

 

「いや、まだ分からない…とりあえず俺は蓮を探すから、みんなは練習を…」

 

「まさか、私たちは練習しとけとか言うわけないわよね?」

 

俺の言葉を遮り、にこが言ってきた。

 

「でも、みんなにはラブライブ!が…」

 

俺がそう言いかけるが…

 

「確かに、ラブライブ!も大事です。」

 

「けど、それ以上に私達も仲間の蓮くんの方が大事だもん!」

 

「だから、私たちも蓮くんを探すよ!」

 

海未、ことり、穂乃果が言ってきた。そして、他のみんなも同意見だというように頷いている。

 

「みんな…分かった。でも、蓮がいないってことは財団Xが関係してるかもしれない。だから2人ずつ、そのうちの1人を仮面ライダーに変身できるメンバーで行動しよう。」

 

そして俺たちは、

 

穂乃果、絵里ペア

 

海未、希ペア

 

ことり、花陽ペア

 

真姫、にこペア

 

俺、凛ペア

 

この5つのペア行動することになった。

 

 

そして俺は、ペアになった凛と2人で蓮を探している。しかし、凛はやはり暗い表情をしている。

 

「凛…別に蓮がいなくなったのは凛のせいでもないし、あんまり気に病むな。それに、凛も蓮とこのままじゃ嫌なんだろ?だったら、まずは蓮を探さないと何も始まらない、だろ?」

 

「うん…そう、だよね…!いつまでも落ち込んでちゃダメ!よーしっ、頑張るにゃ!」

 

凛もいつもの調子を取り戻してきた。

 

「あっ、優くんは蓮くんが昨日の怪物を憎んでた理由って知ってるの?」

 

「いや、俺も知らない。けど、あんなに蓮が取り乱すなんて、みんなも言ってたけど、アデュサに対する俺に似てた気がする。だから、もしかして蓮も恋人や家族…大切な人を、エアスに殺されたのかもしれない。」

 

昨日エアスが蓮に、「前に私が倒した」と言ってた。ってことは、何かしらの方法でエアスが俺たちのいた世界に行けるとしたら、蓮自身を…

 

まぁ、これは凛には言えないか…

 

「とりあえず凛。蓮が行きそうな場所とか、心当たりないか?凛と蓮って、よく2人で遊んでたし。」

 

「うーん…この近くに、よく一緒に行ったラーメン屋があるにゃ!あっ、あっちにも!向こうの方にも!他にも…」

 

この2人、何件ラーメン屋に言ってんだ…?

 

「じゃあ、まずあそこのラーメン屋が近いから店主さんに来なかったか聞いてみるか。」

 

「よーし…じゃあ、行くニャー!」

 

段々いつもの元気な凛に戻ってきた凛を見て安心した俺は、蓮を探すためと動き出そうとした時、凛のスマホが鳴った。

 

「あっ、かよちんからだ…」

 

花陽から電話がきたみたいだ。

 

「かよちん、どうしたの?……えぇ!?分かった、そっちに向かうにゃ!」

 

焦った様子でそう言って、凛は電話を切った。

 

「どうした?」

 

「大変にゃ!ことりちゃんとかよちんのところに怪物がいっぱい出てきたらしくて、今穂乃果ちゃん達も向かってるって!」

 

「分かった!俺たちも行こう!」

 

俺たちはことりたちが戦ってる場所へ向かって走り出した。

 

 

 

俺たちが花陽から聞いた場所に来ると、ピスケス・ゾディアーツ、アクエリアス・ゾディアーツ、そして大量のダスタードが暴れていた。穂乃果、海未、ことり、真姫の4人は既に変身して戦っていた。

 

ダスタードの数がかなり多いな…それに十二使徒が2体…とりあえず、片っ端から倒すしかないか!

 

「悪い遅れた!みんなはダスタード…この、いっぱいいる黒いのを頼む!」

 

「分かりました!」

 

海未の言葉を聞いた俺は、インフィニティブレスからフォーゼドライバーを召喚して腰に巻き付け、赤い4つのスイッチを押した。すると、ベルトから待機音が流れた。

 

『スリー!トゥー!ワン!』

 

「変身!」

 

俺はレバーを引いて仮面ライダーフォーゼに変身した。

 

「宇宙キター!っしゃあ!仮面ライダーフォーゼ、タイマンはらせてもらうぜ!」

 

「優…」

 

「2対1じゃ、タイマンじゃないわよ…」

 

絵里とにこがそうツッコミを入れた。

 

「わっ、分かってるよ…」

 

違うんだ、本家がこうだから言いたくなるんだよ…

 

「ったく、こんな忙しい時に出てきやがって…さっさと片付る!」

 

そう言って、俺はフォーゼドライバーの1番右にあるスイッチ…ロケットスイッチを押した。

 

『ロケット・オン!』

 

すると、俺の右腕にロケットモジュールが装備された。

 

「一気に行くぞっ、オラァァァァァァァッ!」

 

俺は2体のゾディアーツに向かって、ロケットモジュールで飛んでいった。2体のゾディアーツは、俺のロケットモジュールによる攻撃で少し後ろに飛び、それを確認した俺はロケットモジュールを解除した。

 

「っし、行くぜ!」

 

『エレキ!』

 

俺は、フォーゼドライバーのロケットスイッチをエレキスイッチに入れ替えた。

 

『エ・レ・キ オン!〜〜〜〜♪』

 

俺はエレキスイッチをオンにし、フォーゼの体が白から段々金色に変わっていく。俺は仮面ライダーフォーゼ エレキステイツに変身した。

 

俺がステイツチェンジしている間に、俺の攻撃で倒れていたピスケス・ゾディアーツとアクエリアス・ゾディアーツが立ち上がっていた。

 

「ビリビリで行くぜ!」

 

俺はビリーザロッドのコード、イグニッションプラグを1番左のプラグソケットにセットした。すると、ビリーザロッドに電気が走り始めた。

 

すると、アクエリアス・ゾディアーツが手に持ってる水の鞭で攻撃を仕掛けてきた。

 

「おっとと…ほら、よっと!」

 

俺はその攻撃を避け、その鞭にビリーザロッドを当てると、アクエリアス・ゾディアーツまで電気が感電し、アクエリアス・ゾディアーツにダメージが入った。

 

「まずは、アクエリアス・ゾディアーツから一気に決める!って、復活した!?」

 

アクエリアスゾディアーツは両肩の壺からダメージを回復した。

 

「まずはあれをどうにかしないとな…」

 

『ビート!』

 

俺はランチャースイッチをビートスイッチに入れ替えた。

 

『ビート・オン!』

 

俺がビートモジュールから大音量のビートを響かせると、アクエリアスゾディアーツは耳を抑えて動けなくなった。

 

「うぅ…何この音…!?」

 

しかし、それはダスタードや穂乃果たちも同様に耳を塞いでいた。

 

「みんな悪い!すぐ済むから!」

 

『ホッピング・オン!』

 

『ハンマー・オン!』

 

俺は更にホッピングスイッチ、ハンマースイッチを起動してモジュールを出現させた。

 

『エレキ・ビート・ホッピング・ハンマー リミットブレイク!』

 

フォーゼドライバーのレバーを入れ、俺はホッピングモジュールで一気に飛び、ビートモジュールの影響で身動きの取れていないアクエリアスゾディアーツに接近した。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

俺は空中から下降しながらハンマーモジュールでアクエリアスゾディアーツの右肩の壺を叩き割った。それを左肩の壺が回復しようとするが、それよりも早くビリーザロットで斬撃を放ち壊した。

 

「よしっ、これでお前は回復できない!」

 

ビート、ホッピング、ハンマーモジュールを解除した俺は、ビリーザロッドのイグニッションプラグを1番左から中央のプラグソケットに変えた。すると、今までよりも強い電気が流れ始めた。

 

そして、ビリーザロットにエレキスイッチを装填した。

 

『リミットブレイク!』

 

「ライダー100億ボルトシュート!」

 

俺はビリーザロッドからアクエリアス・ゾディアーツへと強い電気を纏った斬撃を飛ばして、アクエリアス・ゾディアーツを倒した。すると、アクエリアス・ゾディアーツのホロスコープスイッチが俺の方へ飛んできたので、それを手で受け止めた。

 

後で、姉ちゃんに預けないとな…

 

「後はお前だけだ!」

 

そう言った俺がビリーザロッドでピスケス・ゾディアーツへ斬りかかると、ピスケス・ゾディアーツは地面に潜り水中の中のように泳ぎ始めた。

 

「クソッ…これじゃ攻撃が当たらねぇな…だったら!」

 

そして俺は、ビリーザロッドのイグニッションプログを1番右のプラグソケットにセットした。そして、ビリーザロッドにエレキスイッチをセットした。

 

『リミットブレイク!』

 

「ライダー100億ボルトバースト!」

 

俺がビリーザロッドを地面に突き刺すと、電撃が周囲に飛んでいき、地面を泳いでいたピスケス・ゾディアーツに電撃が当たった。それにより、ダメージを受けたピスケス・ゾディアーツが地面から飛び出てきた。

 

「よしっ、今だ!」

 

その隙に、俺はフォーゼドライバーのエレキスイッチを取り外し、代わりにロケットスイッチスーパーワンをセットした。

 

『ロケット ス・ス・ス・スーパー!』

 

『ロケット オン!〜〜〜〜〜♪』

 

ロケットスイッチスーパーワンを起動し、フォーゼの色がオレンジに染まる。更に両手には、ロケットモジュールが取り付けられた。

 

俺は仮面ライダーフォーゼ ロケットステイツに変身した。

 

「一気に決めるぜ!」

 

俺は両腕に付いているロケットモジュールで飛び、ピスケスゾディアーツにぶつかった。そして、更にロケットの火力を高めてピスケスゾディアーツごと空に飛んできた。

 

『ドリル オン!』

 

ピスケスゾディアーツを上空に投げ捨て、ドリルモジュールを出現させ、フォーゼドライバーのレバーを引いた。

 

『ロケット ドリル リミットブレイク!』

 

「ライダーダブルロケットドリルキック!」

 

俺はロケットの火力で一気にピスケスゾディアーツに近づき、ドリルモジュールで蹴りこんだ。そのまま俺が地上に戻ってきた頃、上空ではピスケスゾディアーツが爆発していた。

 

「やったぜ。」

 

すると、俺の足元にピスケスのホロスコープススイッチが落ちてきたので、それを拾った。今回もスイッチャーは無しで、エネルギー体だったってことか…

 

「みんな、大丈夫だったか?」

 

既にダスタードたちを倒しきっていた穂乃果たちにそう聞いた。

 

「うん!」

 

「私たちは大丈夫だよ!」

 

「怪物たちも、全員倒しましたし。」

 

「私たちにかかれば、あんなの余裕よ。」

 

穂乃果、ことり、海未、真姫が答えた。

 

「じゃあ、もう1度蓮を探しに行きましょうか?」

 

「そうやね。」

 

「じゃあ、行っくニャー!」

 

絵里と希と凛が言い、俺たちが動き出そうとしたその時…

 

「探す必要はありませんよ。」

 

そう声が聞こえてきた。俺が声のした方を振り向くと、ナスカ・ドーパントに姿を変えた、エアスが現れた。

 

「どういう意味だ?」

 

「ふふっ…来てください。」

 

不敵な笑みを浮かべたエアスがそう言うと、1人の男が現れた。

 

「……そんな…」

 

「…嘘…でしょ…?」

 

花陽、にこの言葉の通り、エアスと行動を共にしているその男に全員驚愕した。

 

 

「……蓮…?」

 

 

その男は、エアスに強い憎しみを抱いていたはずの蓮だった。

 

 

 




ライダースペック、紹介コーナー!

仮面ライダーインフィニティ ダンシングツムツムゲーマーレベル3

変身者 仮野優
身長 200cm
体重 122.5kg
パンチ力 13.5t
キック力 19t
ジャンプ力 37m(ひと跳び)
走力 3.2秒(100m)
変身ベルト ゲーマドライバー
変身アイテム つなげてツムツムガシャット、ポップダンシングガシャット

仮野優がつなげてツムツムガシャットとポップダンシングガシャットを用いて変身した姿。
ポップダンシングガシャットは、つなげてツムツムガシャットを分析した檀黎斗に…「檀 黎斗神だァ!」はぁ…檀黎斗神が相性のいいガシャットとして、ガシャットギアデュアルアルファとともに、優に作ったレベル3用のガシャット。
ポップなリズムに合わせて踊るダンスゲームをモチーフとしていて、リズム通りにダンスを踊ると、敵へダメージを与えることが出来る。





はい、今回のスペック紹介はダンシングツムツムゲーマーレベル3でした。まだ1度しか登場してませんが、今後登場することはあるのでしょうか…そして、今回で今のところ登場しているオリジナルライダーのスペックは書き終えました。次回からの後書きで何か書くかはまだ決めていませんが、何か書けたらいいなと思っています。


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69話 ダークネイチャー

はい、69話です。

前回のラストに姿を現した蓮は一体…?

そして、これまで今作のオリジナルガシャット、ガシャットギアデュアルアルファの『アルファ』を『α』と表記していましたが、本家のエグゼイドを今一度確認したところ、ガシャットギアデュアルベータのベータはカタカナ表記でしたので、今作のガシャットギアデュアルアルファも、『アルファ』とカタカナで表記することにしました。

これまで書いてきた部分でも『α』から『アルファ』に変更しましたが、気づかずに変更し忘れたところもあるかもしれません。もしありましたら、教えていただけるとと嬉しいです!

では69話、スタートです!


~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 矢澤にこ)

 

にっこにっこにー!矢澤にこでぇーす!今日はぁ、にこにーの魅力をたっぷり話すにこっ!……えっ?そんなのいいから早くあらすじ紹介しろ?ぬわぁんでよ!!

 

分かったわよ…ショーがないわねぇ、ちゃんとあらすじ紹介すればいいんでしょ!今日はにこの魅力をたっぷり語ろうと思ってたのに…

 

行方が分からなくなった私たちμ'sのマネージャー、宮崎蓮を探すため動き出した私たち、μ's。蓮たちを探す中、私たちの前に蓮と深く関わりがあるらしいエアスという怪物まで現れてしまう。そして更に、そのエアスと一緒に現れたのは、私たちが探していた蓮だった。

 

にこぉ、こんな難しいこと分からぬわぁい!

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「おい、蓮!どこ行ってたんだ!……っていうか、なんでエアスと一緒にいるんだ…?」

 

突如エアスと共に俺たちの前に現れた蓮に驚いた俺はそう問いかけた。

 

「……」

 

しかし、蓮は俯いたまま答えない。そんな蓮の目は焦点が合ってなく、表情にも覇気がなく感情が読み取れない。

 

「蓮くん…?どうしたの…?」

 

そんな蓮を不審に思った凛がそう聞くが、彼女の言葉にも蓮は答えない。ずっと動きを見せなかった蓮だったが、ゆっくりとインフィニティドライバーを取り出し腰に巻き付けた。

 

「変身…」

 

そう小さく言って、蓮は仮面ライダーネイチャーに変身した。しかし、その変身した姿はいつものベースカラーが緑色のネイチャーと違い、それが黒になっておりそれに暗い緑のラインが走っている。更に普段は黄色の複眼も黒く染っていた。ベルトに入ってるデータボトルも緑のネイチャーデータボトルと違い、黒いデータボトルだった。

 

言うなれば、蓮が変身した姿は仮面ライダーダークネイチャーと言える。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

すると、蓮が突如憎悪を込めたような叫び声を上げ、俺に攻撃を仕掛けてきた。

 

「れっ、蓮!?おい!何すんだよ!」

 

蓮の攻撃を、フォーゼに変身したままだった俺は右手で間一髪防いだ。

 

「おい、エアス!蓮に何をした!」

 

今の蓮は恐らく自我を保ててない。その元凶が共に来たエアスだということは一目瞭然、俺はエアスに何をしたのかと怒鳴った。

 

「フフフフ…人間とは、単純なものですね…少し、記憶をいじるだけで…」

 

それに続き、「ネイチャー、一度攻撃をやめなさい。」とエアスが言ったことにより蓮の動きが止まった。

 

「どういうことだ…?」

 

蓮の攻撃が止み、少しだけ余裕が取り戻せた俺はそうエアスに聞いた。

 

「簡単なことです。ネイチャーの復讐の相手を変えただけです。あなたも気づいているでしょう?ネイチャーが私に対して、復讐心があるってことを。」

 

確かに、蓮はエアスに強い憎しみを抱いていた。それを記憶を書き換え、対象を変えたということか…

 

「記憶を書き換える…?」

 

どうしてもその部分が気になり、俺は声を漏らした。そういえば、転生時自分が死んだことを知った優奈がショックのあまり気絶したため、天界で記憶を書き換えたとか姉ちゃんが言ってたな…じゃあやっぱり、財団Xの協力者の中に女神様がいるのか…?

 

「フフフ…やはり気になりますか?ウチの財団には、一人記憶を書き換える能力を持つ方がいるのですよ。」

 

俺の呟きを聞き取ったエアスが、いやらしい笑みを浮かべながらご丁寧にそう説明していた。

 

「で、その復讐心は誰に向けたんだ…?」

 

何となく予想はついているが、俺はエアスにそう聞いた。

 

「あなたですよ。インフィニティ。」

 

「やっぱりか…だから俺が襲われたんだな…それで、元に戻す方法は?」

 

エアスの言葉で俺はさっきの蓮の行動に納得した。

 

「簡単なことですよ。倒せばいいのです。ネイチャーを。」

 

「そんなこと…すると思ってんのか…?」

 

サラッと言ったエアスの言葉に、俺は拳を強く握り怒気を込めた言葉を発した。

 

「そうしないとあなたが殺され、被害が広がる一方ですよ?」

 

エアスの言葉に、俺は悔しさのあまり「クソッ…!」と言葉を吐き自分の太ももを殴った。

 

「しかし、あなたでは今のネイチャーには適わないかもしれませんね。ネイチャーが今使っているデータボトルは、彼の怒りと闇を利用し仮面ライダーとしての力を最大限にまで引き出す力を持つ。ダークネイチャーデータボトル。」

 

やっぱりそう来たか…ダークインフィニティと言い、何でもかんでもダークと付ければいいわけじゃないぞ…

 

エアスの言葉に、内心そう突っ込んだ。

 

「さぁ、ダークネイチャー。インフィニティを、倒しなさい。」

 

エアスがそう言うと、蓮は再び俺に攻撃を仕掛けてきた。

 

「おい、蓮!やめてくれ!」

 

俺は攻撃を防ぎながら必死に蓮に呼びかけるが、蓮は攻撃をやめない。

 

「オラァァァァァァァッ!」

 

「ぐはぁぁぁぁっ!」

 

何度も繰り返される蓮の凶暴な攻撃を防ぎきれず、俺は強制的に変身が解けてしまった。

 

「蓮くん!もうやめて!」

 

「蓮くんは、そんなことするような子とちゃうよ!」

 

穂乃果と希を始めに、μ'sのみんなも呼びかけるが蓮には届かない。

 

「蓮くんごめんね!昨日は凛も言い過ぎたにゃ!あんなこと言ったけど、やっぱり凛は蓮くんともっと遊びたいにゃ…!わがままかもしれないけど…また一緒に、ラーメン食べたり…遊びに行ったり、したいにゃ…!」

 

暴走する蓮を見るのが辛く、最後の方は涙で言葉を詰まらせながら凛も必死に呼びかける。

 

「……ッ!」

 

そんな凛の呼びかけに、少しだけだが蓮が反応した。

 

これって、もしかして…

 

「ダマレェェェッ!」

 

俺が考え込みそうになっている内に、今度は凛に攻撃をしようとしていた蓮。

 

「やばい!」

 

『パーフェクトツムツム〜!』

 

俺は慌てて腰にゲーマドライバーを巻き、ガシャットギアデュアルアルファのダイヤルをパーフェクトツムツム側に回して起動した。

 

「50コンボ!変身!」

 

『デュアルアップ!パーフェクト〜ツムツム!』

 

俺は、仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50に変身した。

 

『混乱 5コンボ!混乱 3コンボ!高速化 4コンボ!』

 

変身した俺は混乱のエナジーアイテムをエアスと蓮の二人に、高速化を自分自身に使った。

 

「一旦引くぞ!」

 

エアスと蓮が混乱している隙に、俺はみんなを抱えてその場から離脱した。

 

 

 

俺はここまで来たら大丈夫だろう…

 

神田明神まで来た俺はそう思い、止まって変身を解いた。

 

「急で悪い…みんな、怪我ないか?」

 

俺の問いに全員が頷いたことで俺は少しだけ安心した。

 

「蓮くん…」

 

心配してそう呟いた凛を始め、みんなの表情は暗い。

 

「優くん…蓮くんを元に戻すことって、出来るの…?」

 

穂乃果が心細そうにそう聞いてきた。

 

「エアスは、元に戻す方法は倒すしかないって言ってた…」

 

「そんな…」

 

俺の言葉に落胆しかけるみんなだが、次の言葉を言った瞬間全員が少し期待する。

 

「でも、他に戻す方法が、もう1つ心当たりがある…」

 

「それって!?」

 

気になりすぎて焦った凛が、凄い勢いでそう聞いてくる。

 

「いや、まだあくまでも予想だけだから、少し詳しいであろう人に聞いてくる。みんなに話すのはそれからだ。蓮のことも、報告しとかないといけないから…」

 

俺の言葉に、みんな渋々なっとくしていた。

 

「詳しいことは明日話すから、今日は解散しよう…」

 

俺の言葉をきっかけに、その日は全員解散した。

 

 

 

みんなと別れた俺は、蓮の家にやってきた。

 

「優くん!」

 

俺がチャイムを押すと、慌てて咲さんがドアを開けて出てきた。

 

「蓮くんは、見つかった…?」

 

咲さんの後ろから姉ちゃんが出てきて、恐る恐るそう聞いてきた。

 

「それが…」

 

咲さんの前だとやっぱり言葉が詰まる。そんな俺を見て、姉ちゃんが「とりあえず、中に入って」と言ってくれた。

 

 

リビングに移動し、姉ちゃんが「これでも飲んで落ち着いて」と温かいお茶を俺と咲さんに出してくれた。それを一口飲み、咲さんは再び聞いてくる。

 

「それで、蓮くんは見つかった?」

 

「それが…」

 

蓮の記憶が書き換えられたこと。それによって蓮の復讐心の対象が俺になったこと。そして、ダークネイチャーに変身して俺に攻撃してきたこと。全てを姉ちゃんと咲さんに話した。

 

「そんなことが…」

 

「蓮…くん…が…」

 

二人とも動揺を隠せず、咲さんに至ってたは手も震え冷や汗を流していた。

 

しばらくして、咲さんは深呼吸して少しだけ落ち着きを取り戻した。それを確認した俺は、「咲さん…」と話しかける。

 

「どう…したの…?」

 

「もしかして、蓮は財団X…いや、エアスに何か因縁があるんじゃないですか?恋人や家族を殺されたとか…もしかして、蓮の場合は、その…自分自身を…」

 

蓮のエアスへの態度を見てから、ずっと気になっていた。あそこまで焦ってエアスを倒そうとするのには、何か深い理由があるんだと。

 

「…っ……よく、気づいたね…」

 

俺の言葉に、咲さんは肯定を示すようにそう小さく言った。

 

「あそこまで動揺して、焦ってエアスを倒そうとするんだから何かあるんだとは思ってました。更にエアスは俺や蓮が転生者だってことをなんとなく知ってそうでしたし、蓮に対しては『前に倒した貧弱な人間』、そう言ってましたから…」

 

「そっか……優くんの言う通り。蓮くんは前世で、家族と…そして、自分自身をエアスに殺された。」

 

っ…なんとなく予想はしていたとはいえ、やっぱり改めて聞くときついな…

 

「やっぱり…じゃあもしかして、エアスが怒りの対象を俺に変えたって…」

 

「えぇ…多分今の蓮くんは、前世家族と蓮くん自身を殺したのは優くんだって認識してるんだと思う…」

 

今度はそう姉ちゃんが説明した。

 

でも、そこまで記憶を書き換えるやつが、一人とはいえ財団Xにいるなんてかなり厄介だな…

 

「元に戻す方法は…?まさか、エアスの言ってたように倒すしかないってわけじゃ、ないですよね…?」

 

俺は恐る恐るそう聞いた。

 

「うん。まだはっきり分かってないけど、方法はあると思う…」

 

「それって…!?」

 

咲さんの言葉に、俺は少し安心して慌ててその方法を聞こうとしてしまう。

 

「多分、蓮くんが使っているダークネイチャーデータボトルをベルトから取って、代わりにこれを蓮くんのベルトに入れればいいと思う。」

 

そう言って、咲さんは白いデータボトルを取り出した。それを見て、俺は「これは…?」と尋ねる。

 

「このデータボトルには浄化の力が入ってるの。だから、これを入れれば蓮くんに取り付いた闇を払えるかもしれない。それに、書き換えられた記憶も、これなら元に戻せるわ。これなら蓮くんも元に戻るかもしれないけど…可能性はかなり低い思う…」

 

今の蓮は本気で俺を殺しにかかって来る。ボトルをベルトに入れるだけで一苦労だし、命懸けだ。でも、命懸けで可能性が低いんだとしても、今はこれしか方法がない。なら、やるしかない…!

 

「可能性が少しでもあるなら、俺はやります!」

 

俺はまっすぐ咲さんを見て、そう答えた。

 

「うん。あり、がとう…優くん…お願い…!蓮、くんを…私の大切な弟を…助けて…!!」

 

咲さんは涙を流しながらそう頼んできた。たとえ血は繋がってはいなくとも、大切な弟のために…

 

「もちろんです!蓮を…咲さんの弟を、絶対に助けます!」

 

俺は強い決意を込めてそう答え、白いデータボトルを受け取った。

 

「優くん、本当にありがとう…!」

 

咲さんの目に涙は溜まったままだが、ぎこちない笑顔を浮かべてそう言った。

 

「あっ…それから、もう一つ気をつけないといけないことがあるの。というか、この方法でも蓮くんが元に戻る可能性が低い理由の大半はこれ。」

 

俺たちの様子を見ていた姉ちゃんがそう言った。俺がそれがなんなのか聞き、再び姉ちゃんが説明してくれる。

 

「今蓮くんがダークネイチャーに変身するために使っているボトルは、心が弱っている蓮くんに漬け込んで、闇に張りつけようとしている。いわば、蓮くんのベルトに強く張り付いたような状態なの。だから、強引にボトルを抜こうとしても、抜けないと思う。」

 

「じゃあ、どうすれば…?」

 

「何かしらの方法で、蓮くんの意識を別のところに集中させないといけない。なるべく蓮くんの気を引かないとダメ。」

 

蓮の意識を集中させる、か…あんまりしたくはないけど、今回ばかりはあの方法しかないか…

 

「分かった。多分、蓮は明日にでも仕掛けてくると思う…その時に、蓮を絶対に助ける!」

 

「うん。優くん、改めて蓮くんをお願いします。」

 

再び咲さんが頭を下げ、俺にお願いしてくる。

 

「はい!」

 

そう強く返事した俺は、咲さんの家を出た。ちなみに、姉ちゃんは咲さんが心配だからと、今日は咲さんの家に泊まるらしい。

 

 

 

そして家を出た俺は、ある人に電話をかけた。

 

『もしもし…?』

 

予想はしていたが、やはり電話先の相手はいつもの元気がない。

 

「もしもし、凛か?今から直接話したいことがあるんだけど、いいか?」

 

俺が電話をかけた人物は、凛。μ'sの中でも一番蓮と距離が近く、恐らくお互い恋心を抱いているメンバーだ。

 

 

 

少し戸惑っていたが了承してくれた凛と待ち合わせしているため、俺は神田明神に来ていた。

 

「あっ、優くん。」

 

数分待っていると、凛もやって来た。

 

「凛。悪いな、急に呼び出して。」

 

「ううん…どうしたの?」

 

「その…蓮のこと、大丈夫か…?」

 

やはり元気がない彼女を見て、俺はそう聞いた。が、大丈夫なわけがない。言ってから後悔していた俺に、凛は頷きながら答える。

 

「うん…やっぱり、悲しい…」

 

そりゃそうか…凛は、休日一緒に出かけるぐらい蓮と仲良くしてたもんな…

 

「そう、だよな…でも、蓮を元に戻せるかもしれない方法が、見つかったんだ。」

 

「えっ、それ本当!」

 

俺の言葉に驚き、そして希望を取り戻した凛は慌ててぐぃっと顔を近づけて聞いてくる。

 

「あぁ。可能性は低いけど、その方法しかない。でも、それには凛の力が必要だ。」

 

本当なら、彼女たちを危険な目に遭わせるようなことはしたくない。だが、今回ばかりは彼女の力が必要だ。まさか自分の力が必要だと言われると思ってなかったのか、凛は戸惑って「えっ、凛が?」と聞いてきた。

 

「俺も凛を危険な目に遭わせるようなことはしたくないけど、作戦を成功させる可能性を大きく上げるためには凛の力が必要だ。」

 

「ううん。凛はやるよ!蓮くんを、絶対に助けたいにゃ!!凛に出来ることがあるなら、なんでも言って!」

 

俺の言葉を聞いた凛は、いつになく真剣な表情で答えた。

 

「あぁ、助かる!」

 

彼女の力が借りられるのなら、今回の作戦もかなり成功に近づく。

 

「それで、何をすればいいの?」

 

「今回、蓮を助けるにはまず蓮のベルトに入ってるデータボトルを抜かないといけないんだ。それから、このボトルを蓮のベルトに入れる必要がある。」

 

俺はそう説明しながら、咲さんから預かった白いデータボトルを見せた。

 

「それを、凛が蓮くんに入れたらいいの?」

 

「いや、それは俺がやる。今の蓮は、俺たちだとしても容赦なく攻撃してくるからな…けど、蓮のベルトに入ってるデータボトルを抜くには蓮の意識を別のところに向かせないといけない。それを、凛に頼みたいんだ。」

 

「凛、に…?」

 

「あぁ。今のμ’sで、蓮と一番仲良いのは凛だ。それに、凛が一番蓮に対して想いが強いだろ?」

 

俺のその言葉で、凛は一気に顔を赤くする。

 

「どっ、どどどういう意味かにゃ!?」

 

「好きなんだろ?蓮のこと。」

 

俺がそう言うと、凛は更に顔を赤くし、か細い声で答える。

 

「うぅ…うん…凛は、蓮くんのことが…すっ、好きにゃ…!」

 

俺は凛のその言葉を聞いて、笑顔で言う。

 

「だから、凛に頼みたい。蓮の意識を、元の状態に近づけるための言葉を、蓮にかけてやってくれないか?俺がその隙に、蓮のベルトのデータボトルを抜き取る。」

 

「分かったにゃ!凛も、もう一度蓮くんとちゃんと話したい!そして、謝りたい!だから、任せて!!」

 

俺の言葉に、凛は強い決意の籠った笑顔で答えた。

 

「多分、蓮とエアスは明日にでも仕掛けてくると思う。だから、俺がなんとか隙を作る。その時、頼む!」

 

「うん、分かったにゃ!」

 

凛がそう答えてから、俺は「それから…」と付け加える。

 

「もう一つだけ約束してほしいことがある。絶対に、無茶だけはしないでくれ。凛の安全が最優先だ。」

 

「……分かったにゃ…!」

 

その凛の言葉には、何としてでも蓮を助けたい。そんな意思が込められていたのかもしれない…

 

 

そして、話を終えた俺と凛は、明日に備えて家に帰った。

 

あの時、一瞬だけ蓮は凛の呼びかけに反応した。だから、凛なら出来るかもしれない。いや、絶対に出来るはずだ!!

 

 

 

蓮…絶対に、助ける!!

 

 

 




ライダーアイテム紹介コーナー!


『インフィニティドライバー』

仮野優が仮面ライダーインフィニティに変身するためのベルト。他にも、宮崎蓮が仮面ライダーネイチャーに変身するため、更には謎の黒いインフィニティ、仮面ライダーダークインフィニティに変身するためにも用いられている。



『インフィニティブレス』

仮野優が他の仮面ライダーに変身するためのベルトやアイテムを呼び出すために使うブレス。インフィニティ以外の仮面ライダーに変身する時は、このブレスから他の仮面ライダーのベルトなどを呼び出して変身している。更に、時計機能やアラーム機能、優が開発したメカアニマルを召喚している時には電子地図を出現させその位置を確認できたり、敵が出現した際にはそれを知らせ同じく電子地図で位置も確認できる。授業中などはマナーモードにも出来る。

普段は呼び出せるライダーシステムは全て、天界のとある部屋に保管されており、そこに保管されているベルトやアイテムは全て呼び出すことが出来る。しかし、キバ以前のライダーシステムは行方不明、更にダークライダーのライダーシステムは財団Xに奪われているため呼び出せない。

優は右手首に装着している。優が他のライダーに変身する時はベルトも変わるが、このブレスだけは常に右手首についている。余談だが、右利きの優が右手首に付けている理由としては、ドライブに変身する際は左手首にシフトブレスを付けないといけないからである。





という事で突如始まったライダーアイテム紹介コーナー。今回から後書きではオリジナルライダーのアイテムを紹介していこうと思っています。今回はインフィニティドライバーとインフィニティブレスの2つでした。

そして次回、優たちは蓮を助けることができるのか…



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70話 凛の願い

はい、70話です。

今回、優たちは蓮を無事救い出すことができるのでしょうか…

では70話、スタートです!


~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(仮野優)

 

μ'sのマネージャーである宮崎蓮。彼は、自身の因縁の敵である財団Xのエアスに記憶を操られ、仮面ライダーダークネイチャーに変身し俺たちに襲いかかってくる。

 

そんな蓮を元に戻す方法がないか姉ちゃんと咲さんに相談し、浄化の力や書き換えられた記憶を元に戻す力があるボトルを預かった。そのボトルを、ダークネイチャーデータボトルの代わりに蓮のインフィニティドライバーに入れることで元に戻るかもしれないらしい。

 

「うん。あり、がとう…優くん…お願い…!蓮、くんを…私の大切な弟を…助けて…!!」

 

弟を助けてほしい。涙を流しながらそう頼んできた咲さんを見て、俺は更に決意を固めた。

 

そして、俺はこの作戦の要となるであろう役割を凛に頼んだ。本来なら凛を危険な目に遭わせるようなことはしたくないが、この役割…蓮の意識を一時的にでも元に戻すことが出来るのは、凛だけだ。

 

蓮に凛を傷つけさせたりは絶対にしない!そして…必ず蓮を元に戻す!!

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺が凛と話した翌日。登校した俺は、まずアイドル研究部の部室に来ていた。

 

「あっ、優くん。おはよう!」

 

部室に入った俺に、穂乃果が元気よく挨拶をしてきた。穂乃果はこんな時でも元気に振舞ってくれる。そんな彼女の元気に、助けられることは多い。

 

「あぁ、おはよう!」

 

そんな穂乃果に、俺も笑顔で挨拶を返した。 すると、穂乃果の他にもう一人既に部室に来ている人物がいた。

 

「ゆっ、優くん。おはよう!」

 

既に部室に来ていた凛も、そう挨拶した。恐らく今日行われる作戦に緊張しているようだが、元気な挨拶だ。

 

「おう、おはよう!」

 

そんな彼女にも、俺は笑顔で挨拶を返した。

 

 

 

しばらくすると、μ'sのメンバー全員が部室に集まった。

 

それにしても、穂乃果があんなに早く来てたのは珍しいな…一応リーダーだし、人一倍蓮のことが心配なんだろうな…

 

「みんな、今日は俺のメカアニマルが蓮を捜索している。だから、まず今のところは俺たちは待機。もし学校が終わるまでに蓮が現れたら、授業もあるし…」

 

俺一人で行く。そう言おうとした俺の言葉を遮り、「俺一人で行くとか言わないでしょうね?」と、にこが言ってきた。

 

「はぁ…一応言っとくが、蓮はいつ現れるか分からない。もし授業中とかに現れたら、みんな授業を抜け出すことになるんだぞ?それに危険だし…」

 

俺はそう言ってみるが、やはり彼女たちの意思は変わらない。

 

「授業も大事ですが、それよりも仲間の蓮が大事です。」

 

普段なら授業を抜け出すなんてこと絶対に許さない海未だが、仲間の命が懸かってるなら話は別だと言う。

 

「それに、危険な目にだってこれまで何度も遭ってきているし、今更どうってことないわよ。」

 

いや、それはそれで問題だな…真姫の言葉に内心そう思っていた俺だったが、顔を赤くした真姫が小さく一言付け足した。

 

「そっ、それに…私たちはその度に、みんなで乗り越えてきたでしょ…」

 

「あっ、真姫ちゃんがデレたにゃー!」

 

そんな凛の言葉に、真姫は更に顔を赤くして「デレてないわよ!」と言っていた。

 

「そうだな…確かに俺たちは、その度にみんなで乗り越えてきたよな。」

 

本当なら作戦に関わってる凛以外は連れていかないつもりだったが、そこまで言われたら連れていくしかないな。

 

「分かったよ。ただし、今回戦うのは俺だけだ。全員、危険なことはしないようにな。」

 

そう言って、俺は凛の方を見た。そして、それに気づいた凛も、俺の方を向いて頷いた。

 

今回、変身できる4人にも戦わないように言ってるのには、暴走状態に近く最大限の力を躊躇なく使ってくる蓮が危険というのも勿論ある。だが、一番の理由は凛が行動しやすいようにするためだ。

 

今回は、凛にかかってるからな…凛、頼んだ。

 

俺が心の中でそう願っていると、『シャー!シャー!』そう鳴きながらシャークメカアニマルが飛んできた。

 

「来たか…よしっ!丁度、話がまとまったところだ。さっさと蓮の目を覚まさせてやるか!みんな、行こう!」

 

俺の言葉に、全員が力強く『うん!』と返事した。

 

 

 

俺たち9人はシャークアニマルの案内の元、蓮の元までやって来た。

 

「蓮、やめろ!お前の狙いは俺だろ!」

 

俺を誘き寄せるために暴れていた蓮に、俺はそうやめるように言う。その声で俺に気づいた蓮は、俺の方を向いて構える。

 

「蓮、元に戻ってくれ…」

 

俺はインフィニティドライバーを腰に巻き、レッドメモリーデータボトルを取り出した。

 

「変身!」

 

『レッドメモリー!』

 

俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに変身した。

 

「俺の強さは、次元を超えるぜ…!」

 

俺は静かに、そして力強くそう言った。

 

蓮、ちょっとだけ我慢してくれよ…!

 

俺は腰についているアタックドライバーに、カードを1枚入れた。

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

俺は召喚されたインフィニティソードを持ち、蓮と戦い始めた。

 

「はぁぁっ!オラッ!」

 

俺は蓮を何度も斬りかかるが、全て完璧に躱されてしまう。すると、今まで避けていた蓮が、俺の一瞬の隙をついて攻撃してきた。

 

「ぐはぁっ!?」

 

それをまともに受けてしまった俺は、吹き飛ばされてしまった。

 

どうすれば…!?なんとか蓮の隙を作らないと、凛が動けない…どうする…?

 

俺がそう考えていると、蓮が再び向かってきた。

 

考えてる暇はないか…!

 

俺は防ぐのに精一杯で、攻撃できない。

 

「グハァァァァァァッ!!?」

 

その時、背後から何者かに攻撃されてしまい、俺は強制的に変身が解けてしまった。

 

「ネイチャー。少し、焦れったいので、加勢しに来ましたよ。」

 

俺に攻撃してきたのはナスカ・ドーパントに変身したエアス。出てくるとは思っていたが、今の蓮と同時に相手するのはかなりきついな…

 

「余計な…真似を…」

 

そんなエアスに向かって、今日初めて蓮が言葉を発した。

 

「優くん!やっぱり、私たちも…」

 

不利になった俺に穂乃果がそう言って、変身できる4人が変身して加勢しようとしてきていた。

 

「ダメだ!今回だけは、手を出さないでくれ…」

 

そう言った俺の気迫に、彼女たちは変身をやめた。

 

「フッ…私たちに1人で勝てるとでも?」

 

嘲笑うようにエアスが言ってくる。

「別に、1人で挑むつもりはない。」

 

その俺の言葉に、穂乃果たち含め全員が理解できずにいる。

 

そんな中俺はゲーマドライバーを取り出し、腰に巻き付けた。そして、あるガシャットを起動させる。

 

『マイティブラザーズ XX(ダブルエックス)!』

 

「変身!」

 

俺はゲーマドライバーにガシャットを入れ、カバーを開いた。

 

『ダブルガシャット!ガッチャーン レベルアップ!マイティブラザーズ!二人で一人!マイティブラザーズ!二人でビクトリー! 』

 

仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマー レベルX(テン)に変身した俺は、再びゲーマドライバーのカバーを閉じた。

 

「だぁーい変身!」

 

そして再びカバーを開いた。

 

『ダブルアップ! 俺がお前で〜お前が俺で〜!(We are!)マイティ!マイティ!ブラザーズ XX(ダブルエックス)!』

 

俺は2人のエグゼイド…仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマー レベルXX(ダブルエックス)に変身した。

 

屁理屈みたいだが、これで実質二対二だ。

 

「「超協力プレイで、クリアしてやるぜ!」」

 

二人のエグゼイドに変身した俺を見て、『えぇ!?優(くん)が2人に!?』と以前この姿を見たことがあることり以外、みんな驚いていた。

 

「俺は、エアスを倒す!お前は、ネイチャーを!」

 

「了解!」

 

オレンジ色のエグゼイド、レベルXX R(ダブルエックス アール)の方がエアスと戦い、エメラルドグリーン色のエグゼイド、レベルXX L(ダブルエックス エル)が蓮を止めることにした。

 

ちなみに、本来はバグスターウイルスに感染しパラドがいた永夢さんだからこそ変身出来るこのフォームだが、これも姉ちゃん(女神様)の力によって変身出来るようになっている。だから、永夢さんのように人格が2人で違うというわけでもないのだ。

 

しかし、本当に俺の力をただ二分割しただけなので、一体のスペックはかなり落ちている。更に本来の変身よりかなり体力を消耗するし、ライダーエナジーも消費してしまう。

 

ちなみに、今説明しているのはXX Lのエメラルドグリーンの方の俺だ!…って、俺は誰に説明してんだ?

 

俺はエアスをXX Rのほうに任せて、再び蓮の攻撃を避けながら隙を作るためにどうするか考える。出来るだけ蓮に攻撃はしたくないが、今の蓮を止めるにはやはり蓮にダメージを与えないと厳しい。

 

こうなったら、一か八か。蓮、少し我慢してくれ…!

 

『ガシャコン ブレイカー!』

 

俺はガシャコンブレイカー ハンマーモードを取り出した。

 

『マイティアクションX!』

 

そして、俺はマイティアクションXガシャットを起動して、ガシャコンブレイカーに装填した。

 

『キメワザ!』

 

それにより、ガシャコンブレイカーから必殺技待機音が鳴り始めた。

 

「えっ、優くん!?」

 

「まさか、蓮に攻撃するつもりじゃないでしょうね!?」

 

そんな俺の様子を見ていたみんなは、俺が蓮をつもりなのかと驚いている。

 

「やっとネイチャーを倒すしかないと分かりましたか。しかし、そのような攻撃では今のネイチャーには勝てませんよ?」

 

相変わらず馬鹿にしてくるように、鼻につくことを行ってくるエアス。

 

その刹那、蓮が動き出した。一気に俺の方に詰め寄り、俺の腹部に殴りかかってくる。

 

俺はその攻撃を避ける。ように見せかけ、真正面から受け止めた。

 

「ぐぅっ…!?」

 

流石にかなりダメージを受けたが、蓮の殴ってきた右手が腹部に来た瞬間にそれを左手で掴んだ。

 

『マイティ!クリティカルフィニッシュ!!』

 

「はぁぁぁっ!!!」

 

俺は右手で持っているガシャコンブレイカー ハンマーモードで、蓮の腹部を殴り返した。

 

「グハァァァッ!」

 

それをまともに受けた蓮は吹き飛び、倒れたまま動けなくなっている。

 

やっぱり、今の蓮は騙し討ちに弱かったな。今の蓮は、ダークネイチャーデータボトルの力で攻撃力や速さが何倍にもなっている。しかし、その分理性を失いかけているため攻撃は単純。ただでさえ、蓮は元々超単純だからな。

 

だから、今回のように攻撃を受けたように見せかけ、蓮が安心したところを掴んで攻撃する。そんなフェイントには全く気づけなかった。って、こんな冷静に分析してる場合じゃないな…

 

「りっ…っ!?」

 

凛!!そう叫んで、彼女に説得させようとしたが…

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

倒れていた蓮が叫び出し、再び立ち上がった。

 

「嘘だろ…あんなまともに受けたんだから、かなりダメージもあったはずだ。体まで頑丈になってんのかよ…!?けど、その分蓮の体への負担が大きすぎる。早く、なんとかしないと…!」

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

 

焦っている俺の方に一気に飛びかかってきた蓮が、蹴りかかってきた。

 

「グハァァァァァァッ!?」

 

焦っていた俺は突然の蹴りを防ぎきれず、ベルトからガシャットが抜け落ちて俺は強制変身解除してしまった。それにより、エアスと戦っているXX Rの方の俺も消えてしまった。

 

『優(くん)!?』

 

その様子を見ていたみんなが、俺の名前を叫ぶ。

 

「ネイチャー、インフィニティを始末しなさい。」

 

そんな中、エアスが蓮に命令した。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

その命令を受け、蓮は倒れてる俺にトドメを刺そうととしてくる。

 

やばい…どうする…!?

 

「蓮くん、やめて!!」

 

蓮が俺にトドメを刺そうとした瞬間、凛が叫んだ。その声で、蓮の動きが止まった。

 

「蓮くん…もう、やめて…凛は…そんな蓮くん、見たくないにゃ…また、笑顔で話してくれる蓮くんが、見たいにゃ…凛は、また蓮くんと遊んだり、ラーメン食べたりしたいにゃ…前みたいに、優しいマネージャーの蓮くんに会いたい…!凛は、そんな蓮くんが大好きなの!!」

 

凛の心からの願いを聞いた蓮は、混乱して動けなくなっていた。

 

今なら…いける!

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

俺は一気に蓮のベルトに入っているダークネイチャーデータボトルを掴み、抜き取った。

 

よしっ…!あとはこいつを…!

 

俺は蓮のインフィニティドライバーに、浄化の力がある白いデータボトルを入れた。

 

「グァァァァァァァァァッ!!?!」

 

すると、蓮は叫び声を上げながら、蓮の体から取り付いていた闇が一気に黒い煙のように抜けていく。

 

 

 

 




ライダーアイテム紹介コーナー!


『ノーマルデータボトル』

仮野優が仮面ライダーインフィニティの基本形態に変身するためのデータボトル。このデータボトルには、転生する前は別の世界にいた優と、転生する前から穂乃果たちの世界にいた優、そして転生してからの優のデータが入っている。普通の転生者とは違い、穂乃果たちの世界で死んでしまった仮野優の体に二人分の魂を入れている優は、このデータボトルがあるお陰で体を保たせることが出来ている。そのため、このデータボトルが壊れてしまうと優は消えてしまう…


『ネイチャーデータボトル』

宮崎蓮が仮面ライダーネイチャーに変身するためのデータボトル。蓮は優とは違い、前の世界にいた宮崎蓮の体ごと魂も転生してきたため、このデータボトルが壊れても消えることはない。





ということで、今回はノーマルデータボトルとネイチャーデータボトルの紹介でした。

そして次回、蓮は元に戻るのでしょうか…

オリジナル回はあと2、3話続きます。早く本編が見たいという方は本当にすみません…できるだけ早く、アニメ本編に繋げるよう頑張ります!


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71話 ネイチャー、復活のサンダー!

はい、71話です。

今回、ついに彼が帰って来ます!

そして、お気に入りに登録してくださった方が61人になりました。更に前回の70話を投稿してから、初めて感想や評価をいただきました!お気に入り登録、感想や評価をしてくださった方、本当にありがとうございます!これからもお気に入り登録、感想や評価などいただけると嬉しいです。

では71話、スタートです!


~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 高坂穂乃果)

 

穂乃果たちμ'sのマネージャーである宮崎蓮くん。彼は仮面ライダーの敵の組織に操られて、穂乃果たちを敵だと思って襲ってくる。

 

そんな蓮くんを元に戻すため優くんは戦うけど、相手が蓮くんだということもあってなかなか攻撃が出来なくて優くんはピンチ!

 

蓮くんが倒れてる優くんに攻撃しようとした時…

 

「蓮くん、やめて!!」

 

凛ちゃんの一言で蓮くんの動きが止まった。

 

「凛は、そんな蓮くんが大好きなの!!」

 

凛ちゃんの想いに、蓮くんの動きは完全に止まった。優くんはその隙に蓮くんのベルトに別の白いボトルを入れた。

 

すると、蓮くんは叫び声を上げながら、体から黒い煙が出始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「グァァァァァァァァァァァァァァッッ!!」

 

俺が蓮にボトルを入れたことで、苦しみながらも蓮から闇が抜け始めた。

 

「うっ、うぅ…俺…は…何を…?」

 

取り付いていた闇が全て取り払われたため、強制変身解除された蓮がそう言った。

 

ふぅ、なんとか元に戻ったみたいだな…蓮が元に戻ったと分かった瞬間、俺は安心感と、1人で2人に分身して戦うダブルアクションゲーマーに変身したためいつもより体力を消耗したことから、少し力が抜けてしまう。

 

『蓮(くん)!』

 

蓮が元に戻ったとわかった瞬間、全員が一気に蓮の元へ駆け寄った。

 

「蓮、大丈夫か!?」

 

「あっ、あぁ…その、あの…みんな…」

 

まだ自我を失っていたことによる倦怠感が抜けない蓮だが、それ以上に気まづい様子で何かを言おうとしている。

 

「れっ…れっ、蓮くーん!!良かった…良かったよぉ…うぅ…」

 

蓮が言い淀んでいる間に、感極まった凛が嬉し涙を流しながら蓮に抱きついた。

 

「うわっ、ちょっ、凛!?」

 

それに驚き、顔を真っ赤にする蓮。

 

「あっ、ごめん…でも、良かった…!本当に良かったよ!」

 

そう安心して満面の笑みを浮かべる凛を見て、嬉しそうに微笑む蓮だったが、すぐに意を決した様子で真面目な顔つきになる。

 

「その、みんな…ごめんなさい!」

 

蓮が頭を下げながら言った。何についての謝罪なのか、そんなことは言われなくてもわかる。

 

「はぁ…もういいよ。今回は俺が言いすぎたせいでもあるしな。俺もごめん。」

 

「優…」

 

今回は蓮が一人で暴走してしまったことにも原因があるが、俺が言いすぎてしまったことも原因だ。俺はそれについて、蓮に謝罪した。

 

「それに、蓮くんにはまだマネージャーでいて欲しいし!」

 

「これからも俺がマネージャーで、いいのか…?」

 

穂乃果の言葉に驚いた蓮がそう言った。

 

「当たり前だろ?」

 

「これからも、いっぱい凛たちを支えて欲しいニャー!」

 

俺と凛の言葉に続き、μ’sのみんなも同じ意見だというように頷いていた。しかし、そう話してる時間も長くはなさそうだ。

 

「蓮、話はあいつを倒してからみたいだな。」

 

俺がそう言って指差した先には、怒りを隠しきれない様子で震えるエアスが。

 

「ぐぬぬぬぬ…ライダー1人倒さないとは、役に立たないですね…まぁ、いいでしょう。私が直接、倒してあげますよ。」

 

「悪いが、俺は…いや、俺たちはお前なんかには負けねぇよ!」

 

そう言った蓮は今までとは違い、一皮むけた。家族の敵のエアスを何としてでも自分が倒すという憎しみを抱えていたあの頃とは違い、人々を守るためにエアスを倒すという強い意志が感じられた。

 

「フッ、二度も私に負けたあなたがですか?」

 

そう煽ってくるエアスだが、今の蓮はそれにも動じない。

 

「確かに、俺はお前に負けた。でも、今の俺は戦う目的が違う!俺は、もう復讐心で戦ったりはしない。人を守るために戦う!それがこれからの俺、仮面ライダーネイチャーだ!そうだろ、優?」

 

そう宣言した蓮は、最後に俺の方を向いてニカッと笑った。

 

「あぁ!」

 

その時、蓮のインフィニティドライバーに装填されていた蓮を元に戻すために使ったボトルが光り出した。すると、そのボトルがドライバーから飛び出し、蓮はそれを掴んだ。

 

「これは…」

 

蓮が掴んだボトルは、何もデータが入っていなかった先程までとは違い、黄色いデータボトルになっていた。

 

「これは…」

 

「多分、凛の熱い想いと、蓮の決意から生まれたんだろうな。」

 

「凛の想いと俺の決意から生まれたボトルか…!でも、何のデータボトルだ?」

 

「さぁ…それは俺も分からないけど、色とか模様から察するに電気や雷とかじゃないか?もしそうだとしたら、ネイチャーの力が更に進化するな!」

 

「よしっ!だったら、早速使いますか。変身!」

 

そう言って、蓮はデータボトルをベルトに入れるが…

 

 

 

・・・

 

 

 

何も起こらない。

 

「……なんだよこれ!?まさかの不調!?」

 

「いやぁ、俺が作った訳でもないし分からない…そもそもなんでこのデータボトルが生まれたのかすら分からないし…」

 

蓮と俺がデータボトルの不調に頭を悩ませていると、エアスは大笑いして話し出す。

 

「ふはははははははぁ!!使い物にもならないようですね!大人しく私に息の根を止められなさい!」

 

勝ちを確信した様子のエアスだが、そこに蓮の姉の咲さんが走ってきて何かを蓮に投げ渡す。

 

「蓮くん、これを!」

 

咲さんに続き、姉ちゃんも走ってきた。μ'sの9人は咲さんと面識がないため、全員誰なのかわかっていない様子だ。姉ちゃんとも面識はないんじゃないかと思ったが、そういえば俺が入院して昏睡状態だった時に会ってるんだったな。

 

「うぉっとっとと…咲姉ちゃん!?」

 

『姉ちゃん!?』

 

蓮の言葉を聞き、全員が驚きの声を上げる。

 

「ねぇ、優くん!あの人、蓮くんのお姉さんなの…?」

 

それに一番興味津々な様子の凛。

 

「あっ、あぁ。」

 

俺がそう答えると、ニヤニヤした希に「将来、挨拶に行かんとね?」と弄られ、凛は顔を真っ赤にしていた。これは、俺も後でいじってやろう。

 

「咲姉ちゃん、これは?」

 

蓮は受け取った拳一つ分くらいの大きさの銀色のアイテムが何かを咲さんに聞いていた。俺も見たことないアイテムだな。データボトルでもない。銀色の本体に、中央には緑色のネイチャーを象ったマークがある。

 

「優くんに、そのボトルを蓮くんのベルトに入れてって頼んでから、優香と徹夜で作ったの。」

 

そう言った咲さんの後ろで、姉ちゃんも笑顔でサムズアップしていた。

 

「てっ、徹夜で!?」

 

「それには、蓮くんがこれまで戦ってきたデータ、そして蓮くん自身のデータが入ってるの。その名もネイチャーギア。ネイチャーギアを、そのデータボトル…サンダーデータボトルの上部に取り付けて。そしたら蓮くんが使えるようになるから!」

 

「分かった、ありがとな!」

 

そう言って、蓮はサンダーデータボトルにネイチャーギアを取り付けた。俺の予想と同じで、本当に雷の力だったんだな…ってか、姉ちゃんたちは最初から知ってたのかよ。

 

「雷の力だかなんだか知りませんが、たとえそんな力を手に入れたとしても、あなたでは私に勝てませんよ?ネイチャー…」

 

エアスが再び蓮を煽る。

 

「何度も同じこと言わせんなよ。いいか?これは、ただのデータボトルじゃねぇんだよ!このデータボトルには、俺に優、凛たちμ’sのみんな。そして咲姉ちゃんと優香さん、みんなの想いが詰まってんだ!だから、絶対に負けない!」

 

人を守るため仮面ライダーの力を使う、今の蓮からはそう言った強い想いが感じられる。

 

「よし、蓮。行くぞ」

 

「あぁ!」

 

俺は腰にインフィニティドライバーを巻き付けた。更に俺はそこにレッドメモリーデータボトルを、蓮は元々巻いたままだったインフィニティドライバーにサンターデータボトルを装填した。

 

「「変身!」」

 

俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに変身した。

 

そして蓮は、見た目は普通のネイチャーと変わらずベースカラーも緑の姿だが、所々に雷を表したように黄色の稲妻が走っており、更に頭部の上部にも稲妻のマークが象られている新たな姿、仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに変身した。

 

なんか、どことなく俺のレッドメモリーにも似てるような気がするな…

 

「俺たちの強さは、次元を超えた!蓮、行くぞ!」

 

「ちょっと、待って!なんか、お前だけ決めゼリフあるのもな…俺も、考える!」

 

俺がエアスの方へ走り出そうとすると、蓮がストップをかけてきた。

 

「えっ、今かよ!?エアスは、今にも攻撃してきそうだぞ?」

 

今にも怒りを爆発させて襲いかかってきそうなエアスを他所に、決めゼリフを考え出す蓮。

 

「よし、決まった!」

 

あっ、意外とすぐ決まんのね…

 

意外にも5秒ぐらいで思いついたことに俺は少し驚く。そして蓮は、ついにその決めゼリフを口にする。

 

「仮面ライダーネイチャー!全ての悪は、俺が倒す!」

 

それは、真っ直ぐで純粋な蓮らしい決めゼリフだった。人々を守るために、心の底からそう思うようになった今の蓮だからこそ出た言葉だろう。

 

「全ての悪…随分とでかく出たな。」

 

そんな蓮に、俺は笑い混じりに言った。

 

「次元を超えてるやつに言われたくねぇよ!」

 

「それもそうか。よし、行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

俺たちが戦闘態勢に入っていると、エアスは部下たちに司令を出していた。

 

「ぐぬぬぬぬ…マスカレイド・ドーパント共、奴らを始末しなさい!」

 

エアスの声で、大量のマスカレイド・ドーパントが現れた。

 

「いつにも増して多いな…」

 

そう苦言を漏らす俺だが、蓮は笑顔で言う。

 

「今の俺たちなら、余裕だろ?」

 

「言うじゃん!よし、さっさと終わらせますか!」

 

蓮の言葉に嬉しくなった俺は、より一層気合いが入る。

 

「優くん!蓮くん!」

 

「私たちも、手伝いますよ!」

 

「数も多いし、」

 

「私たちの手も、必要になったんじゃないの?」

 

既に変身している穂乃果と海未、ことり、真姫が前に出て言った。

 

変身までしてるってことは、これは何を言っても止められそうにないな…

 

「わかった。ありがとう。でも、あんま無理するなよ?」

 

「よっしゃ、6人で行くぜ!」

 

その蓮の言葉を合図に、全員マスカレイド・ドーパントへと駆け出した。

 

「はぁっ、たぁっ!」

 

俺は炎を纏ったインフィニティソードで次々とマスカレイド・ドーパントを倒していく。他のみんなも倒していくが、なんせ数が多い。倒しても倒しても次々と出てくる。

 

「ったく、倒しても倒しても出てくるな…」

 

「ふははははははっ!あなた達も、たった6人で、この数のマスカレイド・ドーパントには勝てませんね!」

 

部下たちに戦わせて、自身は戦わず余裕そうに見ているだけのエアス。

 

「チッ、お前は高みの見物ってかよ…」

 

蓮がそう言葉を漏らした時、「蓮くん、これを!」と咲さんが2枚のカードを蓮に投げ渡してきた。

 

「これは…新しい武器の、召喚カード…?」

 

「そうよ。1つは、今まで蓮くんの専用武器がなかったから、もともと開発してた剣の武器が完成したの。今回のサンダーデータボトルの力も入ってるわよ!それから、もう1つがサンダーデータボトルを元に新たに開発した銃の武器。色んな自然の能力が使えるから、遠距離戦や今回のような複数の敵との戦いにも有効よ!」

 

そう咲さんが説明した。

 

「なるほど…ありがとう、姉ちゃん!よっしゃ、早速使わせてもらうぜ!」

 

そう言って、蓮はもらったカードの1枚をアタックバックルに入れた。

 

『スペシャル召喚 ネイチャーピストル!』

 

そう音が鳴ると、蓮の手にそれぞれ違う色のボタンがついた緑色ベースの銃が握られた。

 

ってか、ネイチャーピストルって…相変わらずのそのまんまのネーミングセンスだな…

 

「よっしゃ、行くぜ!オラッ!」

 

そう言って、蓮はネイチャーピストルをドーパントの方に向けて引き金を引いた。

 

 

 

ピカーン!

 

 

 

しかし、俺たちの予想に反しネイチャーピストルが光っただけだった。

 

えっ、これだけ…?

 

ここにいる全員がそう思っただろう。

 

「えっ、ちょっ…咲姉ちゃん、これだけなのかよ!?」

 

「あっ、ごめーん!言い忘れてたんだけど、そこのボタンで攻撃の種類が選べるの。誤って撃たないように、何もボタンを押してないと懐中電灯のように光が出るだけになってるの。」

 

なにその安全性…?

 

「変に安全に気をつけてるな…ってことは、このボタン押せばいいのか?赤、青、黄色、緑に、黄土色に、虹色か。じゃあ、無難に赤でいいか。ポチッとな!」

 

『熱く行こうぜ!ファファファ、ファイアー!』

 

蓮が赤いボタンを押すと、ネイチャーピストルからそう音が鳴り赤く光った。

 

「今度こそ、お試しと行きますか。はっ!」

 

蓮がネイチャーピストルの引き金を引くと、強い炎の弾が出てきて一体のマスカレイド・ドーパントに命中した。

 

「おぉ、すごい威力…まだまだ!」

 

次は引き金を長押しした蓮。すると、今度は弾ではなく引き金を引いている間、炎が出続けた。蓮はそれでマスカレイド・ドーパントたちに攻撃した。

 

「よし、俺はこいつでいくか!」

 

俺はインフィニティブレスから、ゴーストドライバーを取り出して腰に巻いた。そしてそこに、エジソンゴーストアイコンを入れた。

 

『アーイ!バッチリミナー バッチリミナー』

 

「変身!」

 

そう言って、俺はゴーストドライバーのレバーを入れた。

 

『カイガン!エジソン!エレキ 閃き 発明王!』

 

俺は仮面ライダーゴースト エジソン魂に変身した。そして、ガンガンセイバー ガンモードを取り出した。

 

「命、燃やすぜ!はぁっ!」

 

俺はガンガンセイバー ガンモードでマスカレイド・ドーパントを撃ち始めた。

 

「よし、次は…青色で行くか!」

 

『クールに決めるぜ!ウォウォウォ、ウォーター!』

 

蓮はネイチャーピストルの水色のボタンを押し、連続で引き金を引いた。すると、水の弾が次々と放出される。

 

「水なのに凄い威力…次はこれだ!」

 

次に黄土色のボタンを押し引き金を引くと、土の塊が放出されていく。

 

「なんか、泥団子投げてるみたいで緊張感ないな…威力は全然そんなことないけど。」

 

その様子を見た俺は、思わず苦笑してそんな言葉を漏らす。

 

「っ!?蓮、後ろ!!」

 

すると、蓮の背後から三体のマスカレイド・ドーパントが襲いかかろうとしているのに気づき、俺は叫んだ。

 

「ん?はぁっ!」

 

蓮は銃口を後ろに向け、引き金を長押しした。すると、ネイチャーピストルから大きな岩の壁が形成される。三体のマスカレイド・ドーパントは岩の壁が突然現れたことに対応出来ず、そのまま激突して吹っ飛んで行った。

 

「攻撃だけじゃなく、防御まで出来るのか…」

 

「へへっ、すげぇだろ!こんなのもあるぜ!」

 

俺が感心していると、蓮は笑ってそう言って緑色のボタンを押した。

 

『絡みとれ!ブブブ、ブランチ!』

 

「はぁっ!」

 

蓮が引き金を長押しすると、木の枝と葉が飛び出し大量のマスカレイド・ドーパントを一纏めにして縛り上げた。

 

「最後は、黄色で決めるぜ!」

 

そう言って、蓮は黄色のボタンを押した。

 

『ビリッとくるぜ!サササ、サンダー!』

 

「優、最後は一緒に決めるぞ!」

 

「あぁ!」

 

俺はゴーストドライバーにガンガンセイバー ガンモードを重ね、アイコンタクトさせた。そして、蓮はネイチャーピストルにネイチャーデータボトルを装填した。

 

『大カイガン!ガンガンミナー ガンガンミナー ガンガンミナー…』

 

『ネイチャー!』

 

お互いの銃から待機音が流れ始めた。

 

『オメガシュート!』

 

『ネイチャー!ビリビリシューティング!』

 

俺達が引き金を引くと、それぞれの銃から強力な電気砲が発射されて縛られていたマスカレイド・ドーパントに命中した。その攻撃で、マスカレイド・ドーパントを全て倒した。そして、穂乃果たち4人もマスカレイド・ドーパントを全て倒していた。

 

「さぁ、あとはお前だけだぜ?エアス。」

 

「ふっ…まぁ、いいでしょう。ならばこの私が直々に始末してあげますよ!」

 

「みんな、あとは俺と優に任せてくれ。」

 

蓮がそう言うと、

 

「「「「うん(はい)!」」」」

 

4人は頷いて変身を解除し、他のμ'sのメンバーの元へ戻った。

 

「よし、優。行くぜ!」

 

「あぁ!」

 

そして、俺たちはエアスに向かって駆け出した。

 




ライダーアイテム紹介コーナー!

『つなげてツムツムガシャット』
仮野優が仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーへ変身するためのガシャット。このガシャットは、女神様である優香がバグスターウイルスに感染している人が急増しているため、優専用のガシャットとして作ったガシャット。レベル2のガシャットにしてはチート的な能力を持っているが、これも女神様の力。

『ポップダンシングガシャット』
仮野優がダンシングツムツムゲーマーレベル3へ変身するためのガシャット。このガシャットはパックマン事件の際、檀黎斗がつなげてツムツムガシャットのデータを取り、相性のいいレベル3用のガシャットとして作った。当時、つなげてツムツムガシャットのデータを取っている時は、「ゲームマスターの私に許可なく、ガシャットを作るとは…」と、破壊してしまおうと思ったのを我慢してデータを取ったのは、今の檀黎斗神しか知らない話…





今回のアイテム紹介は、オリジナルガシャットの2本でした!次回は、オリジナルライダーのスペック紹介に戻ります。今回登場した、仮面ライダーネイチャー サンダーフォームのスペックを書こうと思います。

そして、とうとう蓮が仲間に戻りました。そして、ネイチャーの初のパワーアップフォームが登場!今後、ネイチャーの活躍も増えると思います!
そして次回でかなり長かったですが、蓮の話は一旦終了です。
その後、1話だけオリジナルを書いて、アニメ2期の4話、にこ編に行きたいと思います!


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72話 新マネージャー、正式加入!

はい、72話です。
今回、とうとう蓮の話は完結です。
では72話、スタートです!



~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 絢瀬絵里)

 

敵に操られていた蓮を見事に救い出した優と凛。

 

元に戻った蓮は新たな力を手に入れ、仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに変身して戦った。そして、新たな武器の力も使い大勢の敵を全て倒し、優と蓮は最後の敵であるエアスへと駆け出していったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「「はぁっ!オラッ!」」

 

俺と蓮はエアスへと次々と攻撃するが、全て躱される。

 

「ふははは…所詮、あなた達ではその程度でしょう。」

 

「クソッ…だったら、咲姉ちゃん、使わせてもらうぜ!」

 

そう言って、蓮はもう一つの新装備、剣の召喚カードをアタックバックルに入れた。

 

『スペシャル召喚 ネイチャーソード!』

 

おぉ、これもそのまんまの名前…まぁ、そうだろうとは思ってたけど。

 

「よしっ、行くぜ!」

 

そして、蓮はネイチャーソードでエアスへと攻撃する。

 

「よし、俺も行くか!」

 

そして、俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに変身し直し、アタックバックルにカードを入れた。

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

インフィニティソードを持った俺は、蓮と一緒にエアスへと攻撃を始めた。

 

「「はぁっ!てやぁ!」」

 

俺は炎を、蓮は雷を纏わせた攻撃を放ち続け、やがてエアスはそれらを防ぎきれなくなりダメージを受ける。

 

「くっ…!?何故です…仮面ライダーごときに!!」

 

「何故かって?そんなの決まってるだろ。俺たちとお前で違うのは、想いだ!俺や優…仮面ライダーは、たくさんの人の命を守るために、たくさんの人の想いを背負って戦ってるんだ!」

 

「たくさんの人を守るため…?それなら、私たちだって…」

 

「はぁ?何言ってんだ?」

 

エアスの言葉を疑問に思いながらも、蓮は再びネイチャーピストルを取り出し虹色のボタンを押した。

 

『全員集合!オオオ、オールネイチャー!!』

 

更にネイチャーピストルにネイチャーデータボトルを装填させ、蓮は構える。

 

『ネイチャー!』

 

「はぁぁぁ…」

 

徐々にネイチャーピストルにエネルギーが溜まっていく。

 

「はぁっ!」

 

『ネイチャー!オールネイチャーシューティング!』

 

すると、炎、水、葉、雷、岩の5つの力が混ざりあった弾がエアスに命中した。

 

「ぐぁぁぁっ!?」

 

蓮の攻撃により、エアスは吹き飛んで倒れる。

 

「優。最後は、一緒に悪魔と相乗りしてくれないか?」

 

蓮が一度変身解除し、そう言ってきた。

 

悪魔と相乗り…?あぁ、なるほどね。きっと今の蓮なら、使えるだろう。

 

「あぁ、もちろんだ!じゃあ、こいつを使え!」

 

俺はそう答え、俺も変身解除してインフィニティブレスからダブルドライバーとファングメモリを取り出して蓮に渡した。それを受け取った蓮がダブルドライバーを腰に巻き付けると、俺の腰にもダブルドライバーが出現した。

 

そして、蓮はファングメモリのボタンを押した。

 

『ファング!』

 

前回と違い、今度はしっかりと起動できた。

 

『ジョーカー!』

 

俺もジョーカーメモリを起動させた。

 

「「変身!」」

 

俺がジョーカーメモリをダブルドライバーに入れると、蓮のダブルドライバーにジョーカーメモリが転送され、俺はその場に倒れた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

~side 蓮~

 

優のジョーカーメモリが俺のダブルドライバに転送されてきたので、俺はそれをダブルドライバーに押し込み、更にファングメモリも装填してダブルドライバーを展開した。

 

『ファング!ジョーカー!』

 

俺は…いや、俺たちは、仮面ライダーダブル ファングジョーカーに変身した。

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

俺たちはエアスと戦い始めた。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

俺たちは、つきや蹴りなど、肉弾戦攻撃でエアスと戦う。先程の攻撃のダメージもあってか、エアスの反応速度が遅く防ぎきれていない。

 

『アームファング!』

 

俺がメモリの尻尾部分のレバーを一回押すと、ファング側のボディである右腕にアームファングが出現した。

 

「はぁっ!」

 

俺はそれでエアスを斬り裂いていく。

 

「ぐっ…」

 

その攻撃にエアスが怯んでいる間に一度距離をとり、再びレバーを二度押す。

 

『ショルダーファング!』

 

今度は右肩に出現したショルダーファングを取り外し、俺はそれをエアスに向かって投げた。

 

「はっ!」

 

すると、ショルダーファングは起き上がろうとしていたエアスに命中したあと、ブーメランのように俺の手元に戻ってきた。それらの攻撃により、エアスにかなり大きな隙が生まれた。

 

「優、一気に決めよう!」

 

「あぁ!」

 

そして、俺はファングメモリのレバーを三回押した。

 

『ファング!マキシマムドライブ』

 

「『ファングストライザー!』」

 

すると、右足にマキシマムセイバーが出現した。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

そして、俺たちは上空からエアスに回転蹴りを放った。その俺たちの蹴りを受けたエアスは、メモリブレイクされ爆発した。

 

俺がダブルドライバーを閉じると、俺たちの変身が解け、倒れていた優の体に意識も戻って目を覚ました。

 

「ふぅ~…」

 

~side out~

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ふぅ~…」

 

変身解除した蓮がため息をついた。

 

「蓮、あんまり安心してる暇はなさそうだぞ。」

 

「えっ?…あっ…」

 

俺の言葉を聞いて振り返った蓮は、真剣な表情で俺の後ろに立っているμ'sのメンバーに気がついた。

 

「蓮くん!」

 

「えっと…」

 

凛の言葉に蓮は戸惑い、なんて言うべきか迷っているようだ。

 

『おかえり!』

 

μ'sと俺、10人の言葉を聞いた蓮は最初は驚いていたが、すぐにその表情は明るくなる。

 

「ただいま!」

 

そして、蓮は笑顔で返事して、二人目のμ'sのマネージャーが復活した。

 

 

 

その後、俺たちは蓮の復活祝いサプライズパーティーをしようということになり、姉ちゃんと咲さん、μ'sのみんなは蓮の家で準備をしている。主役の蓮には内緒にしないといけないので、凛が連れ出すことになったんだが…

 

「えっ、りっ、凛が!?むっ、無理にゃあ…」

 

そう顔を真っ赤にして俯いてしまったので、俺が行くことになった。

 

全く、凛のやつ…

 

『凛は、これまでの蓮くんが、大好きにゃ!』

 

あの言葉を意識してるんだろうな…蓮自身は、覚えてないみたいだけど。

 

「なんで俺の家じゃなく、優の家に来たんだよ?しかも、みんなはどっか行っちまったし…」

 

まぁ、そのみんなが蓮の家にいるんだけどな。

 

「まぁまぁ、せっかくだからライダー同士、世間話でもしようぜ。」

 

「まぁ、いいけどよ…ってか、俺たちライダーの話は、世間とは掛け離れてると思うけどな。」

 

そうツッコミを入れた蓮だが、少し考えてから真剣な表情に変わる。

 

「あのさ、優…」

 

「どうした?」

 

「改めて、あの時はごめん!」

 

蓮が言ってる『あの時』とは、俺のことを偽善者と言った時のことだろう。

 

「本当は、そんなことを思ってはいなかった。けど、お前を見てると、前の世界での2人の親友のことを思い出してしまうんだよ。それで、少しイライラしてて…」

 

「前の世界での、2人の親友?」

 

「あぁ…1人は、俺より2歳下のやつなんだけど、そいつと優はなんか見た目とか声とか、外見がちょっと優に似てるんだよ。」

 

「へぇ、俺に似てる子か。ちょっと、気になるな…」

 

まぁ、この世の中には似てる人が3人いるとか言うし、それが並行世界ともなれば見た目が似てる人がいてもおかしくはないだろう。

 

「でも、俺が思い出してイライラしてたのはもう1人の方なんだ。そいつと優は見た目じゃなくて、性格がそっくりでな。俺より1つ年上のやつで、いっつも自分のことより人のことばっかり考えてるんだ。それで自分に不幸になったとしても、人のことを助けてるやつなんだよ。俺はそいつのことを親友と思っているし、尊敬していた目標の人物でもあったんだよ。」

 

「へぇ、すごいやつなんだな。」

 

俺がそう感心していると、蓮は呆れたようにため息をつく。

 

「何言ってんだよ。そいつがお前とそっくりなんだよ。だから、またあいつと…あいつと同じような人に負けるのが悔しくてな。おまけにあいつと似たようなことまで言うから、イライラしていたんだよ。それで、あんなことを…本当にごめん!」

 

「別に、気にしてねぇよ…それに、実は俺も戦ってる理由は人を助けたいってだけじゃないんだ。」

 

「えっ?」

 

俺の言葉に、蓮は少し呆気に取られる。

 

「蓮にあんな偉そうな事言ったけどさ、実は俺も復讐のために戦って、感情的になって負けたことがあるんだ。」

 

「そう、だったのか…」

 

「その時の敵に殺された恋人に、俺にはこれからも人を守るために戦い続けてほしいって言われたんだ。だから、その約束を守るために戦っている。それと、もうひとつ…1度死んでるからってのも、理由のひとつだ。」

 

「1度死んでるから…?」

 

「あぁ、俺は姉ちゃんのおかげで、1度死んだけど転生してこの世界で生きてる。でも、それは本当はありえないこと。今の俺は、本来この世界にはいない存在。別の世界で既に死んでる人間であり、そして、この世界で死んだ人間でもある。それなのに、ここで今も生きている。でも、ほかの人は生き返ることなんてまずありえない。だから、せめてそんな自分にできる出来る、最大限のことをしたい。せめて、目の前で消えなくていいのに、財団Xに…怪物に今にも消されそうになっている命を助けたい。だから、仮面ライダーに変身して戦ってるんだ。」

 

「そういう理由か…だったら、俺も同じだ!俺も1度死んだはずの命。俺も優と同じ理由で戦うよ!」

 

「そっか…でも、蓮。自分の命を投げ出すようなことはするなよ?」

 

蓮の言葉に嬉しくなりながらも、少し心配になってそう忠告した。

 

「あぁ、善処する。」

 

「出来れば、善処じゃなくしっかりと了承して欲しいんだけどな…」

 

「でも、お前だってそうだろ?」

 

「まぁ、否定はできないかな…」

 

俺がそう答え、俺たちは少し笑いあった。

 

「あと、覚悟しとけよ?」

 

すると、蓮は突然そう言い出した。

 

「えっ?」

 

「さっきも言ったけど、優は前の世界で俺が憧れてた人物にすっげぇ似てるんだ。だから、これからの俺の目標は優だ!絶対、いつか追い抜いてやるからな!」

 

そう言った蓮の目は、純粋な目標として俺を真っ直ぐ見つめてくれている。

 

「あぁ、俺も負けねぇからな!」

 

だから俺も、真っ直ぐ蓮を見つめて答えた。すると、俺のスマホに通知が届いた。

 

『準備オッケー!』

 

どうやら、パーティーの準備が出来たようだ。

 

「とりあえず、今考えてもしょうがない。エアスはこれから財団Xと戦っていく中で、調べていくとしよう。それより、そろそろ行くか。」

 

「えっ、どこに?」

 

「蓮、お前の家だよ。」

 

「はぁ?結局帰るのかよ…」

 

ということで、俺たちは蓮の家に向かって出発した。

 

 

 

そして、俺は蓮を連れて蓮の家のリビングのドアを開けた。

 

 

 

パァーン!

 

 

 

すると、クラッカーが鳴り響き、

 

『蓮くん、おかえりなさい!!』

 

μ's全員と、姉ちゃん、咲さんがそう蓮を出迎えた。部屋の中にはたくさんの料理が並べられており、『蓮くん 復活パーティー!』と書かれているプレートを始め、たくさんの装飾がなされている。

 

「みんな…へへっ、ただいま!」

 

蓮が少し潤んだ目で、最高の笑顔を浮かべて言った。

 

それからは、みんなでパーティーを楽しんだ。蓮も、もう吹っ切れて楽しんでるみたいだ。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

~side 蓮~

 

パーティーも終わりに近づき、みんなが片付けを始めようとしている頃、俺は凛と庭に出て星を眺めていた。

 

「凛、改めてありがとな。俺を、助けてくれて。」

 

「ううん、凛の方こそ、ごめんね。蓮くんに、ビンタしちゃったりして…」

 

俺が礼を言うと、凛は申し訳なさそうにそう言った。

 

「いや、あれは俺が悪かったから…」

 

「でも、良かった。蓮くんが、またマネージャーに戻ってくれて。これからも、よろしくニャー!」

 

凛は微笑んで言った。俺はその微笑みについ見とれてしまい、ドキドキしていた。

 

「あぁ、よろしくな。」

 

顔を真っ赤にしながらそう答えた俺。

 

「蓮くん、どうしたの?顔赤いニャー。」

 

「へっ!?あっ、いや、ちょっと暑くなって…」

 

「えっ、もう10月なのに。じゃあ、中に戻るにゃ!」

 

クスクス笑いながらそう言って、凛は中に戻って行ったので俺も戻った。

 

それにしてもなんで俺、こんなドキドキしてんだ…?

 

~side out~

 

 

 




ライダーアイテム紹介コーナー!

『ネイチャーブレス』

宮崎蓮が他のライダーのアイテムを呼び出すために使うブレス。ネイチャーは名前の通り草木などの自然を操る能力があるため、インフィニティブレスとは違いネイチャーブレスでは2号ライダー以降のライダーアイテムを呼び出すことしか出来ない。



『レッドメモリーデータボトル』

仮野優が最初のパワーアップフォーム、仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに変身するためのデータボトル。このデータボトルは優の死んだ恋人、茨城茜の魂が入っているため、優と茜2人の力で戦うフォーム。炎の攻撃も使うことが出来る。





今回のアイテム紹介は蓮が使うブレス、ネイチャーブレスと優のレッドメモリーデータボトルでした!
あれ、前回サンダーフォームのスペック紹介にするっていってなかった?と思われている方、申し訳ありません。サンダーフォームはもう少し先に書くことになるかもしれません。

そして、とうとう長い間続いた蓮の話が終了しました。今までで1番長いオリジナルでしたね。前にも話した通り、2期に入ってからオリジナルが多くなってしまうと思います。アニメの内容が見たいという方、すみません。
では次回は、にこの話…と、言いたいところなんですが、オリジナルをもう1話だけ書きたいと思います。理事長からの重大発表があります。


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73話 衝撃ニュース!

はい、73話です。
今回、タイトル通り重大ニュースが…
では73話、スタートです!


~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 南ことり)

 

戦いの意識の違いから、言い合いになってしまったμ'sのマネージャーである優くんと蓮くんの2人。

そして、蓮くんは自身に因縁のある敵に操られてしまい、私たちに敵意を持つことになってしまった。

しかし、優くんと凛ちゃんの想いで蓮くんは元に戻り、新たな力を手に入れることができることができ、蓮くんを操った敵を倒すことが出来ました♪

そして、蓮くんはμ'sのマネージャーに改めて加入し、凛ちゃんとの距離ももっと縮まったのでした!

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

蓮が無事に元に戻ってから1日経った放課後。みんなには練習を先に始めてもらい、俺と蓮は理事長室の前に来ていた。その理由は、授業中に俺が勝手にμ'sのみんなを連れて抜け出したことと、蓮が無断で学校を休んだことの謝罪に…

 

というのは他の先生や生徒への建前で、理事長は他の先生達とは違い、俺と蓮が仮面ライダーであることを知っているのと、ことりに大まかな内容を聞いてるみたいだから大丈夫なのだが、何か話したいことや聞きたいことがあるらしい。

 

 

 

コンコンコン

 

 

 

「「失礼します」」

 

そう言って、俺は理事長室に入った。

 

「仮野くん。宮崎くん。朝からごめんなさいね。」

 

「いえ、どうしたんですか?話があると聞いたんですが。」

 

「えぇ、少し気になったことがあるんだけど…」

 

そう言って、理事長はパソコンのある画面を見せてきた。

「えっと、なになに…今、世間を騒がせている怪物を倒しているヒーロー、仮面ライダー…現る!って、俺たちが記事にされてる!?」

 

そう、理事長が見せてきたパソコンの画面に乗っていたのは、俺と蓮のスクープ記事。しかも、変身後の写真付きで…

 

「やっぱり、気づいていない間に撮られていたのね…けど、今回は変身した姿だったから良かったけど、変身前がバレたら大変よ。ただでさえ、あなた達はラブライブの地区予選を通過し、次の予選ではA-RISEと戦う3組のチームの1つ、μ'sのマネージャー。

 

それにμ'sは、地区予選でA-RISEとライブしてるから、注目度も他のチームより高くなってる。しかも、マネージャーであることは世間にもバレてんるだし、もう少し気をつけた方がいいんじゃないかしら?」

 

「そうですね…」

 

「それにしても、撮られていたなんて…全然気づかなかったな…」

 

と、蓮が言った。

 

この写真に写ってるネイチャーはスコーピオンゾディアーツとキャンサーゾディアーツと戦ってる時、つまり俺の前で初めて戦った時の写真。俺のは、合宿から帰ってきた次の日に、俺が1人で戦った時か…

 

ってか、インフィニティやネイチャーって名前のことまでバレてんのか…ってか、ネーミングセンスがそのまんまであれだ…とか書かれてるし…インフィニティは、そんなことない!と、思いたい…

 

「あと、こんな記事もあったんだけど…」

 

そう言って、理事長はパソコンの画面を切り替えて見せてきた。

 

「ッ!?こいつは…」

 

その画面に、蓮はかなり苦い顔をしている。まぁ、それもそうだろう…

 

「ダーク、インフィニティ…」

 

俺と蓮が手も足も出ずにやられたライダー、ダークインフィニティだった…

 

「えっと…黒い3人目のライダー、現る…青い怪物を倒した謎のライダー。このライダーは、敵か味方か…」

 

「なんで、こんなやつが味方かと思われてるんだよ…!」

 

と、蓮はこの記事に少し怒りを出していた。

 

「でも、ダークインフィニティが倒してるやつ、ナスカ・ドーパントだな…ってことは、やっぱり取り逃していたのか…」

 

この記事に写ってる写真でダークインフィニティが倒してる 怪人は、俺たちが倒したが手応えがなく、本当に倒せていたのか疑っていたエアスだった…

 

「でも、倒せてるって分かっただけ良かったな…」

 

俺の言葉に、

 

「良くねぇ!って、わけでもないか…」

 

と、蓮も俺の言葉に、賛同してくれた。多分、前の蓮だったら、俺がエアスを倒さないといけなかったのに…と、復讐心で言っていただろう…今回の一件で、それだけ蓮も成長したんだろう。

 

「やっぱり、仮野くんたちはこのライダーのことを知ってたのね。今の話を聞く限り、あまり味方みたいではないようだけど…」

 

「はい…前に俺と優を襲ってきたライダーです…」

 

と、蓮が答えた。

 

「ってことは、敵ってことかしら?」

 

「そうですね…」

 

「でも、俺は少し違う気がするんですよね…今、敵と決めつけるのは…」

 

俺の言葉に、

 

「まだ、そんなこと言ってんのかよ…あいつは、俺たちを襲ってきただぞ!絶対、敵に決まってる!」

 

蓮は反対のようだ。

 

「いや、俺はそんなふうには…それに、なんかあいつと、会ったことあるような気がするんだ…」

 

「ふんっ、どんなやつかもわからないだろ。敵だ!」

 

「いや、でも…」

 

「敵だ!」

 

俺の言葉に、ずっと反対の蓮に、俺も反論せずにはいられなかった…

 

「でも、根拠はないだろ!」

 

「そっちこそ、何を根拠に!」

 

「だから、分からないって言ってんだ!」

 

「いいや、敵だ!」

 

「分からないだろ!」

 

「敵だ!」

 

「分からないだろ!」

 

「敵!」

 

「分からない!」

 

ずっと言い合ってる俺たちを、

 

「おっほん!とりあえず、話を進めていいかしら?」

 

理事長が止めた。あっ、ここ、理事長室だった…

 

「「すみません…」」

 

「まぁ、このことはライダー本人であるあなた達に任せます。それで、本題に入らせてもらうわね…」

 

えっ、まだ本題じゃなかったんだ…

 

「発表は明後日なんだけど、2人にはもう話しておくわね。」

 

俺たちには…?

 

「来年度からも、音ノ木坂学院は入学希望者の受付をする。この発表はもう知ってるとは思うんだけど、もう1つ重大発表があるの。」

 

重大発表…?

 

「音ノ木坂学院は、来年度より…」

 

 

 

 

 

「共学にします!」

 

 

 

 

 

共学…?

 

「えっ、うそ…?」

 

「なんで…?」

 

「あなた達には、共学化試験生として入ってもらったでしょ?」

 

「まぁ、そうですけど…」

 

「でも、俺たち、なんか協力的なこと出来てます?」

 

そう、俺と蓮の疑問はそこだ…

 

「この前、女子生徒の皆さんにアンケートを取ってたでしょ?」

 

「あぁ、男子の俺たちは受けなかったやつ…それってまさか!?」

 

「えぇ、共学化に反対か賛成かをアンケートしたの。」

 

「その結果で…?」

 

「えぇ、ほとんどの生徒が賛成だって。共学化試験生を入れるってなった時、みんな不安そうだったの。多分、女子校に男子ってなると、不安だったんだと思う。けど、あなた達2人のおかげで、みんな大丈夫って思ったんだと思う。だから、ありがとう!」

 

「けど、ほとんどってことは…」

 

「えぇ、少しの生徒は反対だった…それに、今この学校にいる先生の中にも、反対だって先生もいました。けど、1番は生徒の気持ちを尊重したいから、共学をすることにしました。だから、これからもよろしくね。」

 

「「こちらこそ、よろしくお願いします!」」

 

 

 

そして、話が終わった俺たちは理事長室を出て、みんなが練習をしている屋上へ向かっている。

 

「みんなが共学化決定を知った時の顔が楽しみだな!」

 

蓮が言った。

 

「良かった。」

 

「ん、どうしたんだ?」

 

俺の言葉に、蓮が聞いてきた。

 

「俺な、ずっと思ってたんだ。俺は、姉ちゃんのおかげで、共学化試験生として音ノ木坂学院へ入学した。けど、μ'sのみんなは、俺の力なしに廃校を阻止した。だから、俺がこの学校に入学したのに、意味はあったのかなって思ってたんだ…」

 

「そんなことないだろ。俺は最近入ったばっかりだけど、これまでμ'sを支えてきたのは、優だろ?」

 

「そうかな…」

 

「それに、優が仮面ライダーとして戦い続けたおかげで、この学校も平和なんだと思うぜ?だから、優はもっと自信持てよ!」

 

「そっか…ありがとな!」

 

「よし!じゃあ、みんなのとこに行こうぜ!」

 

そう言って、蓮は俺の腕を引っ張って屋上へ走って行く。

 

「ってか、痛い痛い痛いー!ダレカタスケテー」

 

「チヨワットマッ…ってそれは、花陽のだろ!」

 

蓮、突っ込むなら…

 

「引っ張らないでくれー!」

 

ん、今階段を降りていったのって、にこ…?でも、練習中のはずだけど…って、蓮!

 

「痛い痛いー!いい加減に離してー!」

 

俺は蓮に引っ張られながら、屋上へ向かった…

 




~次回のμ'sと仮面ライダーの物語!~
練習を1人休んだにこ。そんなにこを怪しんであとを付ける残り8人のµ’sとマネージャーの優と蓮。彼女を追っていくうちに、今まで知らずにいたにこの事を知るのだった…

次回、『74話 にこの秘密』





ライダースペック、紹介コーナー!

仮面ライダーネイチャー サンダーフォーム

変身者 宮崎蓮
身長 205cm
体重 100kg
パンチ力 46t
キック力 59t
ジャンプ力 48m(ひと跳び)
走力 3.2秒
変身ベルト インフィニティドライバ
変身アイテム サンダーデータボトル(ネイチャーギア取り付け状態)
武器 ネイチャーピストル、ネイチャーソード

宮崎蓮が、仮面ライダーネイチャーの最初のパワーアップフォームである、サンダーフォームに変身した姿。ネイチャーの元々の色である緑色と、雷を表す金色に近い黄色が混ざったボディをしている。
名前の通り、今までのネイチャーの自然の力に合わせ、強力な雷の力を操ることが出来る。
このフォームへ変身するには、サンダーデータボトルだけでは変身できず、蓮が今までネイチャーへ変身して戦ってきたデータ、そして蓮自身のデータが入ってるネイチャーギアを取り付けることで変身できる。さらに、蓮の姉であり、女神である咲がこのネイチャーギアを渡した時に渡した2枚の召喚カードにより、ネイチャーの専用武器、ネイチャーソードとネイチャーピストルを使って戦うことも増えた。
このフォームに変身したことで、蓮は2号ライダー以降のライダーのパワーアップフォームにも変身することができるようになった。





はい、今回はライダースペック紹介で、ネイチャーの最初のパワーアップフォームである、サンダーフォームでした!次回からは、アイテム紹介に戻ると思います。
そして、今回から次回予告を書くことにしました!前々から書こうと思ってましたが書けていなかったので、今回から書こうと思います!
そして、とうとう音ノ木坂学院が共学化決定!久しぶりに、優と蓮が共学化試験生ということに関係する話だったので、読んでくださっている方も忘れている方も多かったかも知れませんね(笑)
では次回、全校生徒に共学化の発表を…の前に、にこの妹たちの話を書こうと思います!


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12章 9人の平成ライダー編
74話 にこの秘密


はい、74話です。
今回からアニメ本編に戻ります!
では74話、スタートです!


~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 宮崎蓮)

 

エアスを無事に倒した翌日、理事長室に呼び出され俺と優。

そこで、俺たちは仮面ライダーのニュースの記事を見せてもらったりした中、その記事の中にはダークインフィニティの記事もあった。その事に驚いていた俺たちでもあったが、それ以上に驚くことが、理事長の口から発せられた。

「音ノ木坂学院は、来年度より…共学にします!」

その言葉に驚いている俺と優。そんな中、優は自身がこの学校に入学した意味があったのだと、安心していた。

そんな優を引っ張りながら俺たちは、みんながいる屋上へと向かったのだった。

そういえば、優が階段を降りていくにこを見たとか言うけど、にこは屋上にいるから、そんなわけないよな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最終予選は12月。そこで、ラブライブに出場できる1チームが決定するわ。」

 

俺が蓮に引っ張られながら屋上に来てからしばらくして、絵里が練習前に説明した。

 

「次勝てば、念願のラブライブやね。」

 

「でも、A-RISEに勝たなくちゃいけないなんて…」

 

希の言葉に、花陽が心配の声を上げる。

 

「今は考えても仕方ないよ!とにかく頑張ろう!」

 

穂乃果が言った。

 

「その通りです。そこで、来週からの朝練のスタートを、1時間早くしたいと思います。」

 

海未の言葉に、

 

「えぇ、起きられるかなぁ…」

 

凛は少し不安そうに言った。

 

「それから、日曜日には基礎のおさらいをします。」

 

海未の言葉に、みんな少ししんどそうな顔をする。そんなみんなに、

 

「練習は嘘をつかない。けど、ただ闇雲にやればいいというわけじゃない。質の高い練習を、いかに集中してこなせるか。ラブライブ出場は、そこにかかっていると思う。」

 

と、絵里が説明した。

 

「よし、じゃあみんな行くよ!ミュー…「待って!」え?」

 

練習を始めようとした穂乃果を、ことりが止めた。

 

「誰か1人、足りないような…」

 

ことりの言葉で、

 

「ウチ、ことりちゃん、真姫ちゃん、絵里ち、海未ちゃん、凛ちゃん、花陽ちゃん、穂乃果ちゃん。それに、優くんに蓮くん。」

 

希が人数を数えた。

 

「全員いるニャー!」

 

と、凛が言うが…いや、誰か足りない…そうだ、俺が蓮に引っ張られながら見た人が…

俺がそう思いたった時、

 

「では、改めて!」

 

穂乃果がある形にした手を前に出して言った。その形でみんな思い出した。

 

「「「「「「「「「「にこ(ちゃん)!?」」」」」」」」」」

 

そう、穂乃果がした手の形は、にこのにこにこにーの時の手だった。とういうか、メンバーなんだから忘れちゃダメでしょ…

 

 

そして、俺たちは校門の前まで来て、

 

「にこちゃーん!」

 

穂乃果がにこを呼び止める。

 

「大声で呼ぶんじゃないわよ!」

 

「どうしたの?練習始まってるよ!」

 

「今日は、ちょっと、用があるの…それより、最終予選近いんだから、気合い入れて練習しなさいよ!」

 

そう言って、にこは走っていってしまった。

 

「あれ、行っちゃった。」

 

 

 

その後、俺たちはすぐに制服に着替えてにこを追いかけた。にこはスーパーへ入っていったので俺、穂乃果、海未、ことり、真姫、花陽、凛、蓮の8人はその近くの台車にのせてあったダンボールの後ろに隠れた。そして、絵里と希は、どこか別の場所へ向かっていた。

 

そして、スーパーに入る時のにこは、俺達がつけてきてないか、キョロキョロしていた。

 

「お店に入っちゃったよ!」

 

「なんであと付けるの?」

 

「だって怪しんだもん!」

 

凛、真姫、穂乃果が言った。

 

「まさか、ここでバイトしてるとか…」

 

と、穂乃果の言葉で、みんなが想像する。

 

 

『にっこにっこにー!今日のお肉は、にこでニコニコ!2525円!』

 

 

「ハマりすぎだにゃあ…」

 

凛が言ったように、確かに違和感があまりない…

 

「待って、違うみたいよ。」

 

真姫の言葉で、みんな店内のにこに注目する。すると、にこはただ買い物をしているみたいだ。

 

「普通に買い物しているみたいですね。」

 

「なーんだ。ただの買い物か!」

 

「でも、それだけで練習を休むでしょうか?」

 

「確かに、あのアイドル熱心なにこが、ただの夕飯の買い物で休むとは思えないな…」

 

「ラブライブ出場が決まって、気合いも入ってるはずなのに…」

 

海未や蓮、ことりの言う通り、買い物でにこが休むとは思えないな…

 

「余程大切な人が来ている、とか…」

 

「どうしても手料理を食べさせたい相手がいる、とか…」

 

俺は花陽と真姫の言葉で、ピンと閃いた。

 

「もしかして、彼氏でも出来たんじゃないか?」

 

俺の言葉に、

 

「「「「「「「それは絶対に違う!」」」」」」」

 

と、一斉に突っ込まれた。

 

「そ、そうか…?」

 

そういえば、ことりがバイトしてたのを隠してた時も、こんな事があったような…

 

「(7人からの好意に気づかない)お前って、本当に鈍感だな…」

 

と、蓮が言ってきた。

 

「(凛の気持ちに気づかない)お前に言われたくねぇよ…ってか、俺は鈍感でもないし。」

 

「それを言うなら、俺だって鈍感じゃねぇよ。」

 

俺と蓮がそう言い合ってると、

 

「「「「「「はぁ…」」」」」」

 

なぜか他の全員にため息をつかれた…

 

「でも、万が一にこちゃんにそんなことがあったら大変です!それはアイドルとして1番ダメなパターンです!」

 

と、花陽が言った。確かに、週刊誌とかではよく見るけどな、アイドルのスキャンダル。けど、それってスクールアイドルもなのか…?

 

そして、今の花陽の声でにこがこちらに振り返り俺たちに気づいた。

 

「「「「「「「「あっ…」」」」」」」」

 

そして、俺たちもにこに気づかれたことが分かると…

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

数秒間の沈黙のあと、にこが買い物かごをゆっくりと置いて、

 

「「「「「「「「逃げた!」」」」」」」」

 

俺たちも店内に入って追いかけるが、見失ってしまう…

 

 

それから数分後、絵里から連絡が来て、にこは裏口から逃げたらしい。それを占いで希が予想して、待ち伏せしていて追いかけているところらしいが、希占いって本当にすごいな…

 

そして、俺たちも希と絵里と合流すると、にこが車と車のあいだを通り抜けていたところだった。そして、その隙間を通れなかった希は、凛の胸元を見て…

 

「なんか不本意だニャー!」

 

凛に隙間を通らせた。その時の希の顔は、かなり黒かった。しかし…

 

「いないにゃあ…」

 

 

 

「結局、逃げられちゃったか…」

 

にこを捕まえられなかった俺たちは、近くの橋に来ていた。

 

「しかし、あそこまで必死なのは何故でしょう…」

 

「にこちゃん、意地っ張りで相談とかほとんどしないから…」

 

「誰かと同じだな。」

 

「ちょっと、優!どういう意味よ?」

 

「別に、誰も真姫とは言ってないけど?」

 

「うっ…」

 

すると穂乃果が、

 

「家、行ってみようか?」

 

と言った。

 

「押しかけるんですか?」

 

「だって、そうでもしないと、話してくれそうにないし…」

 

「でも、家がどこにあるのか、私たちも知らないわよ?」

 

「そっか…」

 

「けど、この中に1人、知ってる人がおるんとちゃう?」

 

希の言葉に、みんな不思議な顔をする。あれ、これってまさか…

 

「ねぇ、優くん?」

 

やっぱり…

 

「えっ、優くん知ってるの?」

 

「まぁ、にこの家には1年生の頃、何度か行ったことあるから知ってるけど…」

 

「あぁぁぁぁっ!」

 

俺が話していると、花陽が突然叫び始めた。

 

「どっ、どうしたんだ?」

 

「あれ…!」

 

花陽が指さした先には、

 

「にこちゃん!?」

 

「でも、少し小さくないですか?」

 

「そうねぇ…」

 

「そんなことないよ。にこちゃんは3年生の割にちいさ…小さいにゃあ!」

 

そう、にこに似ているが、少し小さい女の子が歩いてきた。あれ、この子、にこの妹のこころちゃんじゃ…

 

「あの、なにか?ってあれ、お兄さまですか?お久しぶりです!」

 

と、俺に言ってきた。やっぱり、こころちゃんか。

 

「あぁ。こころちゃん、久しぶり。」

 

俺とこころちゃんの会話を聞いて、

 

「えっ、その子優くんの妹!?」

 

穂乃果が言ってきた。

 

「いや、俺の妹じゃないよ。」

 

「あれ?あなた方、μ'sの皆さんではありませんか?」

 

こころちゃん、にこからμ'sのことを聞いたのか?そういえば、μ'sのマネージャーを始めてからこころちゃんに会うのは、今日が初めてか…

 

「お姉さまが、いつもお世話になっております。妹の矢澤こころです。」

 

「「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」」」」」」

 

こころちゃんの言葉に、 俺以外全員が驚きの声を上げた。

 

 

 

「にこっちに妹がいたなんて。」

 

「しかも礼儀正しい。」

 

「まるで正反対にゃ…」

 

まぁ、それは俺も初めて会った時思ったな。

 

「あの、こころちゃん。私たち、なんでこんなところに隠れなきゃいけないのかな?」

 

俺たちはこころちゃんに連れられて、駐車場の車の後ろに隠れたのだが、その理由を穂乃果が聞いている。

 

「静かに!誰もいませんね…そっちはどうです?」

 

「誰もいませんけど…」

 

こころちゃんの質問に戸惑いながら、海未が答えた。

 

「よく見てください。相手はプロですよ?どこに隠れているか分かりませんから!」

 

「プロ?」

 

にこのやつ、なんかに狙われてんのか…?

 

「大丈夫みたいですね…合図したら、皆さん一斉にダッシュです!」

 

「なんで…?」

 

「決まってるじゃないですか!行きますよ…」

 

そう言って、こころちゃんは走り出してしまったので、俺たちも追いかけた。

 

 

すると、着いた場所はにこの家のマンションの1階だった。

 

「どうやら大丈夫だったみたいですね。」

 

「一体なんなんですか?」

 

「もしかしてにこちゃん、殺し屋に狙われてるとか?」

 

いや、殺し屋って…にこが殺し屋に狙われる理由なんてあるのかよ…

 

「何言ってるんです?マスコミに決まってるじゃないですか!」

 

マスコミ…?それこそ、なんでマスコミなんかに、にこが…

 

「パパラッチですよ!特にバックダンサーの皆さんは、顔がバレてるから危険なんです!来られる時は、先に連絡を下さい。」

 

ん、バックダンサー…?確かに、前ににこの家に来た時は、にこの妹たちにはアイドル、ということになっていた。けど、バックダンサーなんて…って、この展開、まさか…

 

「バックダンサー…?」

 

「誰がよ?」

 

真姫の問に、

 

「スーパーアイドル矢澤にこの、バックダンサー。μ's!」

 

と、こころちゃんが答えた。

 

「「「「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」」」」

 

俺たちの驚きの声も気にしないで、こころちゃんは話を続ける。

 

「いつも聞いてます!今、お姉さまから指導を受けて、アイドルを目指してらっしゃるんですよね?」

 

「はぁ、なるほど…」

 

「状況が読めてきました。」

 

「忘れてたわ。相手はにこちゃんですもんね…」

 

絵里、海未、真姫の言葉通り、みんなは呆れている様子だ。しかし、ここで1つ疑問が生まれる。そう、俺と蓮、マネージャーに関してはどのように言われているのか…変なこと言われてなかったらいいけど…

 

そう思いながら、俺はこころちゃんに聞いた。

 

「こころちゃん。俺と蓮のことは、どんなふうに聞いてる?」

 

「お兄さまは、お姉さまと前から仲が良かったため、マネージャーとして手伝ってくれてると聞いています!」

 

ふぅ…良かった、俺のことはそのまんま伝えられているようだ…いや、手伝っているのはにこが入る前からだから、そこだけ違うが、にことは1年の頃から仲は良かったから、あながち間違いではないということにするか…

 

蓮は最近入ったばかりだが、聞いているのだろうか…

 

「じゃあ、俺のことは?」

 

と、蓮も気になったようで、こころちゃんに聞いた。

 

「あなたは、最近入った宮崎蓮さんですよね?」

 

「あぁ!」

 

「お姉さまの美貌に目を奪われ、マネージャーになった哀れな男。お姉さまの命令とあらば、10秒で焼きそばパンを買ってくるような男ですよね?」

 

うわっ、俺が普通だったから大丈夫かと思ってたけど、蓮はひどい言われ用だな…ってかにこ、小学生の妹に、哀れな男とか教えちゃダメでしょ!

 

「ハハッ、ハハハハ…チッ!」

 

蓮のやつも、こころちゃんの前だから苦笑いをしているが、かなりご立腹の様子だ。そして、その話を聞いて怒っている人物がもう1人…

 

「蓮くんは、にこちゃんの美貌に目を奪われてなんかいないのに…蓮くんは、凛が…にゃぁ…」

 

と、かなり怒っているのか、凛が少し病みかけていた…もしかして、凛は意外と愛が重い系の人なのか…?それにしても、なんで俺は普通だったんだ…?

 

「頑張ってくださいね!ダメはダメなりに、8人集まればなんとかデビューぐらいはできるんじゃないかって、お姉さま言ってましたから!」

 

「何がダメはダメなりよ!」

 

こころちゃんの言葉に、真姫が言った。すると、

 

「そんな顔しないでください。スーパーアイドルのお姉さまを見習って、いつも…にっこにっこにー!ですよ!」

 

こころちゃんの言葉とポーズは、まるでにこだ…まぁ、これは去年こころちゃんに会った時もやってな…

 

「はい、皆さんご一緒に!にっこにっこにー!」

 

「ねぇ、こころちゃん。少し、電話してもいいかしら?」

 

「はい!」

 

そして、みんなの怒りがMAXな状態で、絵里がにこへ電話をかけた。

 

 

プルルルル プルルルル プルル…ガチャ

 

 

『にっこにっこにー あなたのハートにラブにこ、矢澤にこでーす!今、電話に出られませぇーん。御用の方は、発信音のあとに、にっこにっこにー!』『ピー』

 

今聞くと、ここにいる全員が憎たらしいと思ったであろう。留守電の声が終わり、絵里が話し始めた。

 

「もしもし。私、あなたのバックダンサー!を務めさせていただてる、絢瀬絵里と申します。もし聞いていたら…すぐ出なさい!」

 

「出なさいよにこちゃん!」

 

「バックダンサーってどういうことですか!」

 

「蓮くんがにこちゃんのことを好きっていう件についても、説明するニャー!」

 

と、絵里に続いて真姫、海未、凛も怒りの声を電話へ向かって言っている。

 

 

そして、俺たちはにこを待つため、矢澤家に上がらせてもらうことにした。リビングに入ると、虎太郎くんがモグラ叩きをしていた。モグラがなぜかμ'sのメンバーだが…

 

「ここが、にこちゃんの家…」

 

「弟の虎太郎です。」

 

こころちゃんが紹介すると、

 

「ばっくだんさぁ…」

 

と、虎太郎くんが俺たちを見て言った。はぁ、まぁ、なんとなく予想はしていたが、虎太郎くんも…

 

「お姉さまは、普段は事務所が用意した、ウォーターフロントのマンションを使っているのですが、夜だけ、ここに帰ってきます。」

 

「ウォーターフロントってどこよ?」

 

真姫がこころちゃんに聞いた。ウォーターフロントって言ったら、東京の海辺にある高級なエリアとか聞いたことがあるようなないような…ともかく、そんなとこににこがマンション持ってるわけないよな…

 

「もちろん秘密です。マスコミに嗅ぎつけられたら大変ですから。」

 

「どうしてこんなに信じちゃってるんだろ…」

 

「μ'sの動画や写真を見れば、私たちがバックダンサーでないことぐらい、すぐ分かるはずなのに…」

 

花嫁と海未の言う通り、なぜここまで信じてるんだ…?確かに、前に会った時も、こころちゃんたちはにこの言うことをかなり信頼してるのは覚えてるけど、ここまでは…

 

「ねぇ、虎太郎くん。お姉ちゃんが歌ってるところとか、見たことある?」

 

「あれぇ…」

 

ことりの質問に虎太郎くんが指さした方向には、

 

「μ'sのポスターだ!」

 

「いや、なんかおかしい。」

 

真姫の言う通り、なにかが違うμ'sのポスターがある。確かめるために、俺たちがポスターに近づいてみると…

 

「合成!?」

 

そこには、真ん中の穂乃果の顔の部分ににこの顔を、にこの顔部分に穂乃果の顔写真を貼り付けた合成写真があった。

 

 

そして、にこの部屋に入れてもらうと、いろんなμ'sの写真の中心にいる人物ににこ自身の顔写真を貼り付けていた。

 

「わざわざこんなことまで…」

 

「涙ぐましいというか…」

 

絵里と穂乃果が呆れていると…

 

ガチャ

 

にこの家の扉が開き、

 

「あっ、あんたたち…」

 

俺たちに気づいたにこが入ってきた。

 

 

 

 

 

 




〜次回のµ’sと仮面ライダーの物語!〜
逃げ回るにこをとうとう見つけた優たち。しかし、結局は追い返されてしまう…
その後、にこが財団Xの怪人に襲われてしまう。そんな中、にこは新たな力を手に入れるのだった。

次回、『75話 携帯の戦士』





今回はアイテム紹介やスペック紹介はおやすみです。ここ最近時間が無くて、投稿が遅くなりすみません…海の少女たちと車のライダーの方も投稿が遅くなっているので、もうすぐ投稿しようと思っています。
そして、次回予告を見れば想像がつくかもしれませんが、次回にこが…




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75話 携帯の戦士

はい、75話です。
今回、今度はにこが○○します!
では75話、スタートです!



~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 園田海未)

 

ラブライブ地区予選を突破し、本格的に練習を強化することにした私たち、μ's。その事を屋上で私と絵里が説明する中、にこがいないことに気づいた私たち。

校門前でにこへどこへ行くか聞きますが、

「今日は、ちょっと、用があるの…それより、最終予選近いんだから、気合い入れて練習しなさいよ!」

と、にこは誤魔化して学校から出ていってしまいました。

 

その後、私たちはにこを尾行して行きましたが、気づかれて逃げられてしまいました。そこで、私たちはにこの妹、矢澤こころちゃんに会いました。こころちゃんの案内でにこの家に向かう時、にこが私たちのことをバックダンサーと言っていることに苛立ちを覚える私たち。そこに、

「あっ、あんたたち…」

私たちが探していたにこが帰ってきました。

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「あっ、あんたたち…」

 

帰ってきたにこが、俺たちに気づくと、案の定嫌そうな顔をしている。

 

「お姉さま、おかえりなさい。バックダンサーの方々が、お姉さまにお話があると。」

 

「あぁ、そう…」

 

「申し訳ありません。すぐに済みますので、よろしいでしょうか?」

 

笑顔でそう言い終えた海未は、静かに顔を変え、かなり怖い顔をしている。いやいや、女の子がそんな顔しちゃダメだよってぐらい怖いんだけど…

 

「あっ、えっと…こころ、悪いんだけど、私今日仕事で向こうのマンションに行かなきゃいけないから、じゃっ!」

 

そう言って、にこは逃げていった。しかし、にこはエレベーターに乗っていたここあちゃんに会い、話してる間に捕まえられたのであった。

 

 

 

「大変申し訳ありません。わたくし、矢澤にこ。嘘をついておりました。」

 

明らかに謝りたくない声で、にこが机に頭をつけて謝っている。

 

「ちゃんと頭をあげて説明しなさい。」

 

「うっ…いっ、嫌だなぁ…みんな、怖い顔して。アイドルは、笑顔が大切でしょ?さぁ、みんなでご一緒に、にっこにっこにー!」

 

ふざけたにこに、

 

「にこっち、ふざけてて…ええんかな?」

 

そう言って、笑顔でタロットカードを1枚取り出した。カードは正位置の死神。意味は終末、破滅など。

 

「はい…」

 

にこはタロットカードの意味を知っているのか分からないが、もう誤魔化すのは無理だと思ったのか、観念したようだ。

 

そして、にこが話し始めた。すると、親が出張に行ってて、2週間程妹たちの面倒を見ることになったらしい。

 

「それより、どうして私たちがバックダンサーということになっているのですか?」

 

「そうね。むしろ問題はそっちよ。」

 

「それは…」

 

「「「「「「「「「「それは?」」」」」」」」」」

 

海未と絵里の疑問に、にこが、

 

「にっこ「それは禁止やよ?」

 

と、またにっこにっこにーで誤魔化そうとしたが、希に止められ、とうとう逃げ場がなくなった。

 

「さぁ、そろそろちゃんも話してもらおうか?」

 

俺の言葉でとうとうにこが話し始めた。

 

「元からよ。」

 

「元から?」

 

にこの言葉に、みんな疑問を抱いてるが、去年にこの家に何度か来ている俺は、その言葉の意味がなんとなく分かった。

 

「そっ、家では元からそういうことになってるの。別に、私の家で私がどう言おうが、勝手でしょ。」

 

「でも…」

 

「お願い、今日は帰って…」

 

「にこ…」

 

 

 

俺たちは、にこに言われた通り、仕方なく今日は帰ることにした。

 

「困ったものね…」

 

「元からって、どういうことなんだろ…」

 

「にこちゃんの家では、元から私たちはバックダンサー?」

 

「いや、そういう意味じゃないと思う。」

 

「えっ?」

 

俺の言葉に、穂乃果が聞き返してきた。

 

「実は去年、何度かにこの家に行った時も、にこはスーパーアイドルってことになってたんだ。高校1年の頃、にこがスクールアイドルを始めて、妹たちにもアイドルになったって言ったんだろうな。

 

けど、失敗した時、失敗したとは言い出せずに、そのままスーパーアイドルとして妹たちも信じてたんだと思う。けど、当時はもちろんμ'sも存在してなかったから、バックダンサーっていう存在はなかった。そして、3年になって少ししてにこがμ'sに入ったら、μ'sのことをバックダンサーってにこは言ったんだと思う。」

 

「確かに、ありそうな話ですね…」

 

「にこちゃん、どんだけプライド高いのよ…」

 

そう言った真姫に、

 

「真姫ちゃんと同じだね。」

 

凛が言った。

 

「茶化さないの!」

 

すると花陽が、

 

「でも、プライド高いだけなのかな?」

 

と言った。そして、花陽は話し続ける。

 

「アイドルに、すごく憧れてたんじゃないかな。本当にアイドルでいたかったんだよ。私も、ずっとアイドルに憧れていたから、分かるんだ。」

 

確かに、にこは俺が初めて会った時からアイドルに憧れていた。そんなにこがアイドルを失敗してしまった…けど、それでも妹たちの前だけでは、スーパーアイドルでいたかったのかもな…

 

「1年の時、私見たことある。その頃、私は生徒会もあったし、アイドルにも興味なかったから、あの時、話しかけていれば…」

 

そう言った絵里は、とても後悔している顔だった…すると、

 

「そうだ!」

 

穂乃果が何かを思いついたようだった。

 

 

 

そして、穂乃果が思いついた事は明日話すと言われて、今日は解散することになった。そして、俺が蓮と2人で帰っている時、

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

突然叫び声が聞こえた。

 

「この声、向こうの公園の方からか!?」

 

「でも、この声ってもしかしてにこか!?」

 

蓮の言う通り、この声はにこの声だ。

 

「とにかく、行ってみるしかない!」

 

 

 

そして、俺と蓮は声のした公園の方へ向かった。すると、ロイミュード023・067・089がにこを取り囲んでいた。

 

「矢澤にこ。悪いが着いてきてもらおうか。」

 

「誰があんたなんかと!」

 

「やばい、蓮行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

「「変身!」」

 

そして、俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに、蓮は仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに変身した。

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

『スペシャル召喚 ネイチャーソード!』

 

「「はぁぁぁっ!」」

 

俺たちの攻撃で、3体のロイミュードがにこから離れた。

 

「にこ、大丈夫か?」

 

「優…えぇ、大丈夫よ。」

 

「はぁ!オラッ!」

 

「てやぁ!はぁ!」

 

俺たち2人の攻撃に、3体のロイミュードは倒れる。

 

「なんだ、大したことないやつだな?」

 

「蓮、一気に決めるぞ!」

 

「あぁ!」

 

そして、俺たちはそれぞれのバックルにアタックカードを入れた。

 

 

『スペシャルアタック インフィニティストライク!』

 

『スペシャルアタック ネイチャーストライク!』

 

 

そして、俺たちはジャンプして、

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」

 

キックを放った。しかし、ロイミュード023は067と089を盾にした。そして、067と089のコアが砕け散った。

 

「あいつ、仲間を盾にしやがった。」

 

「でも、後はあいつを倒せばいい。」

 

すると、突然ロイミュード023が光り始めた。

 

「なんだ?」

 

「あれは、まさか…進化するのか!?」

 

そして、俺の予想通りロイミュード023はクラッシュロイミュードに進化した。

 

「クソッ、進化体かよ…」

 

「だったら、こいつで!」

 

そして、俺と蓮はインフィニティブレスからそれぞれ、ドライブドライバー、マッハドライバー炎を取り出した。

 

「レッツ」

 

「「変身!」」

 

『ドライブ タイプワイルド!』

 

『シグナルバイク! ライダー マッハ!』

 

そして、俺は仮面ライダードライブ タイプワイルドに、蓮は仮面ライダーマッハに変身した。

 

「追跡 撲滅 いずれもマッハ!仮面ライダー~マッハ!」

 

そして、俺たちはクラッシュロイミュードへ蓮はゼンリンシューターで遠距離から、俺はワイルドのパワーを生かして肉弾戦で戦い始めた。

 

「オラッ!はぁぁぁ!」

 

俺はクラッシュロイミュードへ体当たりをくらわすがクラッシュロイミュードのパワーに負け、俺は吹っ飛ばされ変身が解けてしまった。

 

「次はお前だ。」

 

そう言って、クラッシュロイミュードは蓮に向かっていった。

 

「だったら、こいつで!」

 

そう言って、蓮はマッハドライバー炎のシグナルマッハをシフトデッドヒートに取り替えた。

 

『シグナルバイクシフトカー!ライダー デッドヒート!』

 

そして蓮は、仮面ライダーデッドヒートマッハに変身した。

 

「一気に決めてやる!」

 

『ヒッサツ バースト フルスロットル! デッドヒート!』

 

そして、蓮はクラッシュロイミュードへ飛んでキックを放った…が、クラッシュロイミュードは蓮を跳ね返して蓮は、変身が解けてしまった。

 

嘘だろ!?デッドヒートマッハでもダメなのかよ。クラッシュロイミュードなら、タイプワイルドでも倒せる。デッドヒートマッハの必殺なら、絶対に倒せたはずだ…普通のクラッシュロイミュードより、格段に強くなってんのかよ…

 

クラッシュロイミュードに倒され、俺と蓮が倒れてしまっているその時、

 

「お姉さま!」

 

こころちゃんが来てしまった。

 

「こころ、来ちゃダメ!」

 

「こころちゃん、逃げて!」

 

「丁度いい。」

 

「きゃぁぁぁぁ!」

 

クラッシュロイミュードがこころちゃんを人質を取るように捕まえた。

 

「クソッ…!」

「こころを離しなさい!」

 

「こいつを助けて欲しければ、お前が来い。」

 

「分かったわ…そのかわり、絶対こころには手を出すんじゃないわよ!」

 

「ダメだ、にこ!行くな!」

 

「いやよ。私は、宇宙ナンバーワンアイドルなの。妹ぐらい守れないと、宇宙ナンバーワンアイドル失格なの!こころ、今私が助けてあげるからね!」

 

「お姉…さま…」

 

その時、にこから光が出始めた。

 

「なっ、なんなのよ、この光!?」

 

「なんだ、この光!?」

 

「この光、まさか!?」

 

にこと蓮が驚いてる中、俺はこの光に思い当たるところがある。前に合宿の時に見た光と同じだ。

 

「なんだ、この光!?見えねぇ…ぐわぁぁぁぁ!」

 

その光の影響でクラッシュロイミュードは怯み、こころちゃんはその間に逃げることができた。

 

「こころ!今の間に逃げなさい!」

 

「はい!」

 

よし、これでこころちゃんを逃がすことが出来た!

 

 

そして、俺の予想通りその光が収まると、にこの腰にあるベルトが巻かれて、手にもあるものが握られていた。

 

「あれは、ファイズギア!?」

 

「これは、なるほどね。優、これで私も、仮面ライダーになれるのよね?」

 

「なれるけど…」

 

俺は、これ以上穂乃果たちのように仮面ライダーに変身して危険な目に合わせるようなことをさせたくないと思う気持ちが出てきて、答えに迷ってしまう。

 

「悪いけど、にこは優がなんて言おうが戦うわよ。」

 

「でも!それじゃにこが…」

 

「あんた、私の夢知ってるでしょ?」

 

「えっ…?宇宙ナンバーワンアイドルか?」

 

「そうよ。今のにこがそうじゃないことぐらい分かってる…でもにこは、いつかは絶対に宇宙ナンバーワンアイドルになってみせる!これはにこの大切な夢なの!私は人のそんな大切な夢を守るために戦う!!」

 

「ったく、これ以上言っても聞かなさそうだな…分かった。けど、にこも穂乃果たちと同じように、無茶だけはするなよ。」

 

「まぁ、善処するわ。」

 

「善処じゃ嫌なんだけどな…まぁ、とりあえず今は行くぜ!」

 

「えぇ!」

 

俺と蓮は立ち上がり、にこの横に立った。そして、俺はレッドメモリーデータボトルを、蓮はサンダーデータボトルをインフィニティドライバーに入れた。そして、にこはファイズフォンを開いて5のボタンを3回押した。

 

『スタンディングバイ』

 

「「「変身!」」」

 

俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに、蓮は仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに、そしてにこは、仮面ライダーファイズに変身した。

 

「優、蓮。行くわよ!」

 

「「あぁ!」」

 

そして、俺はインフィニティソード、蓮はネイチャーソードを、にこは肉弾戦で戦い始めた。

 

「はぁ!」「オラッ!」「やぁ!」

 

俺たち3人の攻撃に、クラッシュロイミュードはさっきとは違い、ダメージを受けている。

 

「くそぉ…だったら!」

 

その時、クラッシュロイミュードが重加速を起こしてきた。

 

俺と蓮は、ドライブの力を持っているインフィニティとネイチャーに変身しているため、重加速の影響はあまり受けないがにこは重加速の影響を受けてしまっている。

 

「やばい!重加速を止めねぇと!」

 

俺はインフィニティソードにドライブデータボトルを入れた。

 

『ドライブ!ライダーフルスロットル スピード!』

 

「ライダースピードスラッシュ!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

そして、俺はクラッシュロイミュードへインフィニティソードで斬りかかった。

 

「グハァァァァァァァァァ!」

 

その攻撃で、クラッシュロイミュードから出ていた重加速が収まった。しかし、クラッシュロイミュードは倒しきれなかった。

 

「あんた、よくも私の動きを封じてくれたわね…今度は容赦しないわよ…妹にも手を出して…あんたなんか、10秒あれば十分よ!」

 

にこの怒りがかなり大きくなっているが…すると、にこはファイズフォンのミッションメモリを、

 

『コンプリート』

 

アクセルメモリに変えた。にこは、仮面ライダーファイズ アクセルフォームに変身した。

 

「行くわよ!」

 

『スタートアップ!』

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side にこ〜

 

私はアクセルフォームの力で加速し、クラッシュロイミュードへ高速で攻撃していく。そして、ミッションメモリをファイズポインターにセットし、ファイズフォンのエンターボタンを押した。

 

『レディ』

 

『エクシードチャージ!』

 

にこは腰を下ろしてチャージできるまで待ち、チャージが出来るとジャンプしてフォトンブラッドをクラッシュロイミュードに5つ展開させた。

 

そして、その5つのフォトンブラッドの中に高速で5回クリムゾンスマッシュを決めた。

 

クリムゾンスマッシュを受けたクラッシュロイミュードは、爆発して消えた。

 

『タイムアップ』

 

そして、私は通常のファイズに戻った。

 

〜side out〜

 

 

 

「あれ?何が起こったんだ!?」

 

蓮が驚きの声をあげた。それもその筈、一瞬でクラッシュロイミュードが爆発して消えていたのだ。

 

「蓮、にこが今使ったのはファイズアクセル。10秒の間、1000倍の速さに加速することが出来るんだ。だから、俺たちからしたら一瞬の間に、にこはクラッシュロイミュードを倒すことが出来たんだ。」

 

恐らく、にこはこの一瞬の間に、1000倍の速さに加速してパンチを繰り出してクラッシュロイミュードを倒したのだろう。一瞬のこと過ぎて、クラッシュロイミュードは攻撃を防ぐことも、重加速現象を引き起こすことも出来なかったのだろう…

 

「なんだ、最後は呆気なかったな。」

 

そう言って、蓮は変身解除したので、俺も変身解除した。

 

「まあな…それよりも、これはもう確定かもな…」

 

「ん、何がだ?」

 

俺の言葉に、蓮が疑問の声をあげた。

 

「姉ちゃんが最初にコピーして、突然消えたライダーシステムはクウガからキバまでの9つ。そして、そのうちの5つがμ'sメンバーの内、穂乃果、海未、ことり、真姫、にこの5人が適合者で、変身することが出来た。まだ適合者が現れていない残りのライダーシステムは4つ。そして、μ'sメンバーで変身していないのも4人…」

 

「まさか、凛、花陽、絵里、希もライダーの適合者だって言うのか!?」

 

「あぁ。もしそうなら、なんの運命のいたずらかは知らないけどな…」

 

「でも、なんで私たちなわけ?」

 

と、変身解除したにこが聞いてきた。

 

「それは俺にも分からない…とりあえず、姉ちゃんに聞いてみるよ。」

 

「なんで優のお姉さんに聞くのよ?」

 

やばっ!自然に話しすぎてて忘れていたが、俺と蓮が転生者であることや、姉ちゃんが女神様なことを知らないにこがいるんだった。

 

「あー、いやっ…えっと、姉ちゃんはライダーシステムにちょっと詳しいから何か知ってるかなって思っただけだ。」

 

「あぁ、そういえば、前にもそんなこと言ってたわね。」

 

ふぅ~なんとか誤魔化せた…俺が安心してため息をついていると、蓮も同じようにため息をついていた。

 

「にこ。とりあえず、この件はみんなには言わないでくれ。」

 

「なんでよ?みんなも一応当事者じゃないの?」

 

「まぁ、まだ確実じゃないからな、あいつらに変な心配持たせるわけにはいけないから。」

 

「そう、そういうことなら黙っておくわ。」

 

「助かる。じゃあ、とりあえず今日は解散しよう。にこも早く帰って、こころちゃんが無事か確認しないといけないだろ?」

 

「えぇ、そうね。一応、無事に家に着いたってメールが来てたけど、ちゃんと私もこの目で確認しておきたいから帰らせてもらうわ。」

 

 

 

そして、俺たちはそれぞれの家に帰った。すると、にこから、

 

『こころ、無事に家に帰っていたわ。本当にありがとう。』

 

と、メールがきた。クラッシュロイミュードを倒したのは、にこなのにな。

 

けど、もしμ's全員が仮面ライダーに変身する適合者なら、どういうことなんだ…もしそうなら、偶然には思えない。元々μ'sのメンバーは穂乃果が勧誘するまでは接点が全くなかったメンバーだっている。なのになんでだ…それに、μ's9人に、なにか引っかかるところがあるんだよな…初めて、μ's9人が集まったオープンキャンパスのライブから、引っかかるところがあるのは確かなはずなのに、それが掴めない…なんなんだ…?

 

 

結局、答えが分からなかった俺は、姉ちゃんに9人が適合者だった場合、偶然なのかを調べてもらうことにして、今日は少し早めに登校した。その理由は、昨日穂乃果が思いついたことの準備のため。実行は、放課後だ。それまで、今日は屋上は使わないらしいので、理事長に許可をもらって朝からにこ以外のμ'sメンバーと俺と蓮で準備している。

 

 

 

そして、放課後…

 

穂乃果がこころちゃん、ここあちゃん、虎太郎くん、そしてにこを連れて屋上へやってきた。

妹たち3人は、先に屋上で準備しておいたステージで待っている。その理由は…そう、にこのステージを見せるため。

 

「これって…」

 

にこは自分に着せられた衣装を見て、そう言った。

 

「にこにピッタリの衣装を、私と希で考えてみたの。」

 

「絵里…」

 

「うふ、やっぱりにこっちには、可愛い衣装が良く似合う。スーパーアイドル、にこちゃん。」

 

「希…」

 

「今、扉の向こうには、にこ1人だけのライブを心待ちにしている、最高のファンがいる。」

 

「優…」

 

「さぁ、みんな待ってるぞ!」

 

俺たちの言葉に、にこはステージへと向かった。

 

 

そして、ステージへとにこが上がり、その後ろに他のμ's8人が立った。俺と蓮は、ステージ裏でその様子を見ている。

 

ステージに上がったにこを見たこころちゃん、ここあちゃん、虎太郎くんは、にこに見とれている。

 

「こころ、ここあ、虎太郎。歌う前に、話があるの。実はね…スーパーアイドルにこは、今日はおしまいなの。」

 

「「「えぇ!?」」」

 

「アイドル、辞めちゃうの…?」

 

こころちゃんは、悲しそうにそう言った。

 

「ううん、辞めないよ。これからは、ここにいるμ'sとアイドルをやっていくの。」

 

「でも、皆さんはアイドルを目指している…」

 

「ばっくだんさぁ…」

 

「そう思ってた…けど違ったの。これからは、もっと新しい自分に変わっていきたい。この9人でいる時が、1番輝けるの!1人でいる時よりも、ずっと…ずっと…今の私の夢は、宇宙ナンバーワンアイドルにこちゃんとして、宇宙ナンバーワンユニット、μ's、そして優と蓮と一緒に、輝いていくこと!

 

それが、1番大切な夢。私のやりたいことなの!!」

 

「お姉さま…」

 

「だからこれは、私が1人で歌う、最後の曲…」

 

その時、ステージの後ろで立っていた8人はステージから降りた。

 

そしてにこは…

 

 

 

「にっこにっこぉ…にぃー!」

 

いつものセリフを言って、3人の最高のファンへ送る、最高のライブを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~おまけ~

 

にこのライブが終わり、俺はにこと話していた。

 

「なぁ、にこ。1つ気になってることがあるんだけど、いいか?」

 

「どうしたのよ?」

 

「μ'sのみんなはバックダンサー、蓮はにこに惚れて焼きそばパンを買ってくる男ってことになってたけど、なんで俺は普通だったんだ?」

 

「えっ、それは…//ゆっ、優とは2年の頃からよく一緒にいたから、こころたちにも普通に言っただけよ!//こっ、こころ達と会った事もあったしねっ//」

 

と、にこはかなり焦りながら言ってきた。なんか、顔も赤いような感じするな…

 

「そっ、そうか。」

 

(言えるわけないじゃない…優が私のこと好きだって、嘘でも言うのがなんか恥ずかしかったなんて…あれ、でも蓮については普通に言えたのに、なんで優は言えなかったのかしら…この気持ちって、もしかして…って、スーパーアイドルの私が、そんなわけないわよね//)




〜次回のµ’sと仮面ライダーの物語!〜
とうとう全校生徒に共学化を告げる理事長。その事に驚くµ’sメンバー含む、音ノ木坂学院の生徒達。
そしてその夜、優と優奈、そして優香の3人の兄妹に、過去最大の事件が巻き起こる…

次回、『76話 兄失格…』





今回でにこまで変身してしまいました。これは、優の考えの通りなのでしょうか…
そして、次回予告でのタイトルの意味とは…


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76話 兄失格…

はい、76話です。
今回から3話ほど、オリジナル回に入りたいと思います。
そして、お気に入りに登録して下さった方が、66人になりました!お気に入りに登録して下さった方、感想を下さった方、そして見てくれている皆さん、本当にありがとうございます!
では76話、スタートです!


~前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!~(ナレーション 星空凛)

 

にこちゃんが妹のこころちゃん、ここあちゃん、弟の虎太郎くんに凛たちのことをバックダンサーと言っていたことを知った、凛たちμ's。

結局、にこちゃんに追い返された凛たちは他のみんなで話し合うことになった。しかし、まとまった答えは出せなかった。

 

そして、2人で帰っていた優くんと蓮くんに叫び声が聞こえ、叫び声の方へ向かうと、にこちゃんが怪物に襲われていた。その怪物と戦うも、苦戦してしまう…そんな中、にこちゃんから光が出てきて、にこちゃんの腰にファイズドライバーが、手にはファイズフォンが握られていた。にこちゃんが変身することに、優くんは反対しようとするが、

 

「宇宙ナンバーワンアイドルよ!宇宙ナンバーワンアイドルの私が、怪物なんかに怯えてられないわよ!」

 

にこちゃんの決意は変わらず、にこちゃんは仮面ライダーファイズに変身して戦った。そして、にこちゃんたちは怪物を倒したのだった。

 

翌日、にこちゃんは妹たちに自分がこれから、μ's9人としてアイドルをすることを伝え、3人のためにライブを行った。そして、ライブは大成功に終わったんだにゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

にこがこころちゃんたちの前でライブを行った翌日…

 

今日の全ての授業が終了した後、音ノ木坂学院の全生徒が講堂へ集められた。理由は、緊急の全校集会としか伝えられていない。

 

「急に全校集会なんてなんなのかな?」

 

「さぁ、ことりはなにか聞いてないのですか?」

 

「うん、私も今全校集会のこと知ったんだ。」

 

この3人の言葉通り、全校集会の事には、音ノ木坂学院の生徒はもちろん、理事長の娘であることりでさえ分からないようだ。しかし、例外が2人…俺と蓮だ。俺と蓮は、話の予想は大体ついてる。2日前に理事長から話を聞いたあの事だろう…

 

 

そして、全生徒が講堂に入り、俺と穂乃果とことりと海未は生徒会であるため、講堂の舞台袖で理事長の話を聞き始めた。

 

「本日、生徒の皆さんに集まってもらったのは、大切なお知らせがあるからです。」

 

理事長の言葉に、生徒は疑問の声などを上げ、ざわつき始める。しかし、そのざわつきも、理事長が話し始めることで、収まった。

 

「音ノ木坂学院は来年度より、廃校を取りやめ、生徒募集をすることになりました。そして、音ノ木坂学院には、2人の共学化試験生がいます。その2人の活躍もあり、音ノ木坂学院は、来年度より… 」

 

 

 

 

 

 

 

「共学とします!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「えっ…?」」」

 

穂乃果、海未、ことりが疑問の声を上げると、

 

「「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」」」」」」」」」」

全校生徒の驚きの声が、講堂の外まで響いたのだった…

 

 

 

 

 

全校集会が終わり放課後になり、俺たちはアイドル研究部の部室へやってきた…が、

 

ポー…

 

俺と蓮以外、全員がぼーっとしている。

 

「おーい、みんな?」

 

「何ぼーっとしてるんだ?」

 

俺と蓮の言葉に、

 

「いや、だって…」

 

「いきなり共学にするって言われたら、ウチらもびっくりするやん?」

 

「っていうか、あんたたちはなんで驚いてないのよ?1番の当事者でしょ?」

 

絵里、希、にこがそう言ってきた。

 

「いや、まぁ、な?」

 

「あぁ、そうだな。俺たちは一昨日聞いたしな?」

 

「「「「「「「「「えっ…?」」」」」」」」」

 

俺たちの言葉に、9人同時に疑問の声を上げた。

 

「優くんと蓮くんは知ってたの!?」

 

「なんで言ってくれなかったの?」

 

ことりと穂乃果が言ってきた。

 

「あぁ、俺たちは共学化の試験生でもあるから、先に言っとかないとって理事長が。」

 

「そうだったんだ。」

 

「それで、この間共学化に対するアンケートがあったのですね。」

 

「あぁ、俺たちが受けなかったやつな。」

 

「じゃあ、来年からは男の子も入学してくるんだ。」

 

「楽しみにゃ!」

 

「べっ、別に私はどっちでも良かったけど!」

 

「そんな事言って、真姫ちゃんも嬉しいくせに〜」

 

花陽、凛、真姫が言った。そして、ツンデレを発揮した真姫に絡んでいく凛と、いつもの2人のじゃれ合い?が始まった。

 

「けど、音ノ木坂学院もだんだん有名になってきてるって事だよね。」

 

「あぁ、今じゃ、μ'sは最終予選でA-RISEの強力なライバルになるかもしれないと、話題になってるからな…」

 

「その分、練習もしっかりとしなければなりませんね。」

 

海未が言葉で、

 

「よーし、じゃあみんな!練習行くよー!」

 

と、穂乃果が勢いよく屋上へ行こうとするが…

 

「穂乃果。俺と蓮は出てくから、まずは練習着に着替えるのが先だぞ…」

 

「あっ…じゃっ、じゃあみんな、着替えるぞー!」

 

 

 

「ただいま。」

 

µ’sの練習を終え、俺が帰ると、

 

「お兄ちゃん、おかえり!」

 

「優くん、おかえり。今日は私がご飯作るわね。」

 

と、優奈と姉ちゃんが出迎えてくれた。

 

 

その後、姉ちゃんの作った夕飯を食べ終え、優奈が先に風呂に入った。そして、俺は姉ちゃんと話している。

 

「へぇ、来年から共学になるんだ。」

 

「あぁ、そういえば、優奈は来年から音ノ木坂学院に通うのかな?」

 

「えぇ、そうみたいよ。お兄ちゃんと一緒の学校に通うんだ!って、言ってたわ。」

 

「そっか…」

 

「どうかした?」

 

暗い顔をした俺に、姉ちゃんが聞いてきた。

 

「いや…姉ちゃん、優奈の記憶って、いつか戻るのか?」

 

「えっ?いや、前の世界での優奈の記憶に、強くリンクすることでもない限り、ないとは思うけど…どうかしたの?」

 

「いや、いつかは優奈に本当のことを話さないといけないのかなって、最近思うんだ。やっぱり、今のままじゃ、優奈を騙してることになるし…優奈が俺に、『お兄ちゃん』って言ってくれるのも、偽りの感情だから…」

 

「そっか…けど、優奈が優くんに感謝してたりするのは、嘘じゃないと思うわよ?」

 

「そうかな…でも、いつかは話した方がいいと思う…俺と優奈が、本当の兄妹じゃないことを。」

 

俺がそこまで話した時、

 

 

 

 

 

「えっ…!?」

 

 

 

 

 

風呂を上がった優奈が運悪く聞いてしまい、言葉の意味がしっかり理解できず愕然とした様子で立っていた。

 

「優奈…!」

 

「お兄ちゃん…?嘘だよね…?私とお兄ちゃんは、兄妹…だよね…?」

「それは…」

 

俺と姉ちゃんの答えにくそうな顔で、優奈は察してしまったのだろう…

 

「…っ!」

 

「優奈!」

 

その瞬間、優奈は目から涙を零しながら走って家から出ていってしまった。

 

「姉ちゃん!姉ちゃんは優奈がここに帰ってきたら知らせてくれ!俺は優奈を追いかける!」

 

「うっ、うん!分かった!」

 

 

 

そして、俺は優奈を追いかけるため家の外へ出るが、優奈は見つからない…あいつ、走るの意外に速いんだよな…

 

それから俺は、いろいろな場所を探すが、優奈は見つからない…

 

クソッ…どこだ…なんだよ…優奈はいつも、お兄ちゃんって言ってくれるじゃねぇか…初めて兄妹になるって出会った時、優奈は俺が守るって決めたじゃねぇか!なのに…俺は、兄失格だ…

 

でも、絶対に見つけねぇと!優奈の行きそうな場所…あっ、もしかして!

1つ思い当たることがあり、俺はある人に電話をかけた。

 

 

 

プルルルル プルルルル

 

 

 

頼む、優奈。無事でいてくれ…

 

もう日が落ちてしまい、暗いことが、俺の心配を大きくする。

 

すると、電話をかけていた相手に繋がった。

 

「もしもし、絵里か?」

 

そう、俺が電話をかけた相手は絵里。亜里沙ちゃんと仲がいい優奈なら、もしかしたら亜里沙ちゃんの所にいるんじゃないかと考えたんだ。

 

『もしもし、優?どうしたの、こんな時間に?』

 

「悪い、亜里沙ちゃんのところに優奈行ってないか!?」

 

『えっ?優奈ちゃんなら、来ていないけど…』

 

「そっか、悪い、またかける!」

 

『ちょっと待って、どうしたの?すごい焦ってるようだけど…』

 

「……それが、優奈が家を飛び出して…」

 

『えっ!?喧嘩でもしたの?』

 

「いや、喧嘩じゃないんだけど…」

 

『とりあえず、今どこにいるの?』

 

「えっ?近くの公園まで、探しに来てるけど…」

 

『分かった、私もそっちに行くから待ってて。』

 

そう言って、絵里は電話を切ってしまった。

 

 

しばらくすると、絵里がやってきた。

 

「ごめん、お待たせ。」

 

「いや、こっちこそ悪いな。こんな夜遅くに…」

 

「ううん、それより何があったの?優奈ちゃん、優とはすごい仲良かったし、家を飛び出すようなことはないと思うんだけど…?」

 

「……それは…俺が悪いんだ……」

 

俺が言いにくそうにしていると、

 

「とりあえず、座りましょ?話はそれから。」

 

と、絵里に言われ、公園の中にあるベンチに座った。

 

「それで、何があったの?」

 

「それは…実はな、俺と優奈は、本当の兄妹じゃないんだ…」

 

「えっ!?」

 

俺の言葉に、絵里はかなり驚いている。

 

「それを、ずっと優奈には黙ってたんだけど、姉ちゃんと話してる時に、偶然聞いちゃって、家を飛び出していった…」

 

「そう、だったのね…その、聞いてもいい?優と優奈ちゃんが、兄妹になった理由。」

 

「あぁ、絵里には迷惑かけたし、話す…けど、これから話すことは、信じられないことかもしれないけど、信じてほしい。

それに、この話を聞いたら俺のことを嫌いになるかもしれない…けど、優奈のことは嫌いにならないでくれ。優奈は、亜里沙ちゃんと雪穂ちゃんのことを、本当に大切な友人だと思ってるから。」

 

 

俺は、俺と優奈が転生者であることを話す決心をし、絵里にそう言った。絵里は、俺がどういう意味で言ってるのか分からないようだ…

 

そして、俺はゆっくりと話し始めた…

 

俺と蓮がライダーとしてこの世界を守るために転生した転生者であること…

 

姉ちゃんが女神様であること…

 

優奈は俺と蓮とは少し違いライダーとして戦うためではなく、普通の転生者であること…

 

優奈が俺の義理の妹になった理由…

 

俺はこの世界に元々いた仮野優という死んでしまった人間の体に俺の意識、魂が入っていること…

 

そして、ノーマルデータボトルが壊れると、俺が消えてしまうこと…

 

 

「俺は、前の世界での俺の記憶も、この世界で死ぬ前の、元の仮野優の記憶も今はないから説明出来ないけど、とりあえず、これが今の俺に分かる俺に関する全ての事だ。と言っても、簡単に信じられるようなことじゃないと思うけど…」

 

「ちょっと…いや、かなり驚いているけど、仮面ライダーに変身する優が言うんだし、信じるわ。」

 

「そっか、ありがとう…俺は優奈が妹になった時、誓ったんだ。優奈は絶対に守るって…なのに、こんな事になって…俺は、兄失格だ……」

 

「そんなことないわ。」

 

「えっ…?」

 

「優は、ずっとこれまで優奈ちゃんを、本当の妹のように大切にしてきたんでしょ?それは、優奈ちゃんが1番分かってると思うわ。今は、多分動揺してるだけなんだと思う。優奈ちゃんも、優に会いたいはずよ。だから、ちゃんと会って話さないと、ね?」

 

「あっ、あぁ!」

 

「それと、あなたがこの話を話し始める前に、俺のことを嫌いになるかもしれないって言ったわよね?」

 

「えっ?あっ、あぁ…」

 

「あなた、私がこんなことで優のことを嫌いになると思った?」

 

「えっ…?」

 

「優がたとえ1度死んでいたとしても、優は優よ?私が、意地を張ってμ'sに入れないでいる時に背中を押す一声をかけてくれたり、今までずっとμ'sを支えてきてくれたり、人知れず怪物たちを倒して人々を守ってきたのは、今ここにいる仮野優なの!そんな優のことを、私が嫌いになるわけがないわよ。」

 

「えっ…?絵里…うっ、うぅ…絵里ぃ、ありがとう…本当に、ありがとう……」

 

「ちょっ、優!?私、泣くようなこと言ったかしら?」

 

突然泣き始めた俺に、驚きながら聞いてくる絵里。

 

「いや、その、本当はずっと怖かったんだ。俺が転生者であることを話したら、みんな離れていくんじゃないかって…だから…」

 

「そっか…ずっと、辛かったのね。ずっと、1人で抱えて、戦い続けてたのね。」

 

そう言ながら、腕を広げる絵里。

 

「えっ?」

 

「ほら、今は誰も見てないわ。今は、遠慮なく泣いていいのよ?弱音ぐらい、私が聞いてあげる。胸ぐらい、私が貸すわ。だから、はい。」

 

「うっ、うぅ、絵里…うぅ…」

 

絵里の言葉で俺は我慢出来なくなり、絵里の胸で泣いてしまった。

 

今思えば、この世界に来てから泣くのは、茜が死んだ時と、アデュサに負けて昏睡状態から目が覚めた時にµ’sが解散しそうって知った時以外、無かったかもしれない…そして、ここまで人に弱音を言ったのは、初めてだった…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 絵里〜

 

優が1度死んで、別の世界から来た人。そして、この世界で死んだ仮野優という人間の体に魂が入ってる。そう聞いた時、少し…いえ、かなり驚いた。けど、その話を聞いた時、優が言ったように優のことを嫌いになるなんて、ありえないと思った。

 

でも、少し不安はあった。昔、私が会った優は、恐らくこの世界で死んでしまった優。なら、私のことを思い出すことはないのかもしれない…そう思ったけど、優の話では、この世界にいた優の記憶を取り戻すこともあるかもしれないらしい。それを聞いて、少し安心した。でも今の私は、もちろん思い出してほしいとも思うけど、今の優やµ’sのみんなとの思い出がある。それがあれば、思い出さなくてもいいと思う自分もいる。

 

それにしても、優が泣く姿や、弱音を言う姿を見るのは初めてね。ずっと、1人で抱えてきた分、今の涙はこれまで我慢してきた分なのかしら…ほんと、いつもいつも1人で抱え込むのは、昔から変わってないわね…まだ、転生する前の優と…もっともっと、私達の事を、頼ってくれてもいいのに。

そう思いながら、私の胸の中で涙を流している優の頭を優しく撫でながら見ていた。

 

 

しばらくすると、優は泣き止んで私から離れた。

 

「その、悪いな。恥ずかしいとこ見せちゃって。」

 

「いいえ、優はずっと1人で抱え込んで、ずっと1人で我慢してきたんだもん。このぐらい…それより、優はもっと弱い部分を見せていいと思うわ。1人で我慢しないで、あなたには、10人の仲間と、血は繋がってなくても、2人の大切な家族がいるんでしょ?」

 

「っ…!そうだな…俺、転生してきてから、ずっと不安だったんだと思う…俺は音ノ木坂に、共学化試験生として入学するまで、ずっと1人で仮面ライダーとして戦うことになったから。

 

けど、そんな時に姉ちゃんが、優奈を連れてきた。優奈は、たとえ姉ちゃんの力で記憶が違ったとしても、俺を『お兄ちゃん』って笑顔で呼んでくれた。当時、姉ちゃん以外誰も知ってる人がいなかった俺は、優奈の笑顔に救われたんだ…」

 

そう言ってる優の目は、何かを決意した目のようだった。

 

「だからこそ、優奈にちゃんと会って、謝りたい!それで、優奈が俺と暮らすのがもう嫌なら、姉ちゃんに頼んで優奈が俺のことを忘れて、幸せな暮らせるように頼む。だから、とりあえず今は優奈に会って話さなきゃいけない!だから、優奈を探すの手伝ってくれないか?」

 

優奈ちゃんが、優と暮らすのを嫌と言うとは思えないけど…

 

「えぇ、もちろんよ!」

 

「ありがとう!でも、他に優奈が行きそうな場所か…どこだろ…」

 

「ねぇ、優。私に電話する前に、穂乃果には連絡したの?」

 

「えっ?いや、まだだけど…あっ!」

 

「そうよ、優奈ちゃんは雪穂ちゃんとも仲が良いじゃない!」

 

「そっか、穂乃果に聞いてみる!」

 

そう言って、穂乃果に電話をかける優。

 

 

 

プルルルル プルルルル

 

 

 

『もしもし?優くん、どうしたの?』

 

「穂乃果、雪穂ちゃんのとこに優奈来てないか?」

 

『えっ、優奈ちゃん?来てないよ。それに、雪穂なら今コンビニに…『ただいま』あっ、雪穂帰ってきた。ゆきほー、優奈ちゃん見なかった?『えっ、優奈ならさっき帰り道で会ったけど…』

 

「雪穂ちゃん、それほんと!?」

 

『あっ、優くん。雪穂にかわるね。』

 

「あっ、あぁ…」

 

『あっ、優さんですか?』

 

「あっ、うん。こんばんは。」

 

『こんばんは。』

 

「夜遅くにごめんね。優奈見たって本当?」

 

『えっ、はい。さっき帰り道で、少し目が赤かったのでどうしたのか聞いたんですけど、なんでもないって言われて…何かあったんですか?』

 

「うっ、うん…ちょっとね…それで、優奈はどこに?」

 

『えっと、神田明神の階段を上がろうとしてました。』

 

「分かった、神田明神…行ってみるよ!ありがとう!」

 

『はっ、はい。』

 

そう言って、優は電話を切った。

 

「絵里、神田明神だ!」

 

「えぇ、行きましょう!」

 

そして、私たちが神田明神へ向かおうとした時だった。

 

「ゆっ、優!あれ!」

 

「あれは!?」

 

私が指さした方向に、怪物がいた…

 

 

 

 

 

 





〜次回のµ’sと仮面ライダーの物語!〜
優奈の元へ向かおうとする優と絵里の前に現れた怪人。そんな時、絵里に新たな力が宿る。

次回、『77話 カブトムシの戦士』





ライダーアイテム、紹介コーナー!

『ガシャコンソードバズーカー』
優がツムツムゲーマーレベル2に変身した時に使う武器。名前の通り、ソードモードとバズーカーモードの2種類の戦い方が出来る武器。ガシャットホルダーにガシャットを差し込む事で、必殺技を放つことが出来る。この武器は、ツムツムゲーマーレベル50やハーモニーゲーマーレベル50でも使うことがある。

『インフィニティソード』
仮面ライダーインフィニティの専用武器である剣。この武器では、様々なデータボトルを使うことが出来、レジェンドライダーのデータボトルを使う事で、レジェンドライダーの技を使うことが出来る。今は平成2期ライダーのレジェンドライダーデータボトルしかないが、今後他のライダーのデータボトルを手に入れることが出来るのか…





はい、今回は少し久しぶりのアイテム紹介をしてみました。次回も、出来ればやろうと思います!
今回、とうとう優奈に本当の兄妹ではない事がバレてしまいました…そして、優が転生者である事を絵里に話してしまいましが、今後どうなるのか…
そして次回予告での、絵里に宿る新たな力とは…タイトルで分かっちゃうかもしれませんが…


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77話 カブトムシの戦士

はい、77話です。
今回は、絵里が○○します!
では77話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜(仮野優)

 

放課後、突然講堂へ集まるように言われた音ノ木坂学院全校生徒。その理由が分からず俺と蓮以外の生徒は戸惑っている中、俺と蓮は検討がついていた。そして、理事長は衝撃的な一言を言った。

「共学とします!」

音ノ木坂学院が来年から共学になるということに驚きを隠せない音ノ木坂学院の生徒達。そしてµ’sのメンバーは、部室へ集まった。共学化になることに驚きを隠せていないが、µ’sのみんなも共学化については嬉しい気持ちらしい。

 

その日の夜、姉ちゃんと2人で話していた俺。そこで、最悪の事態が起こってしまう…今までずっと隠し続けていた俺と優奈が本当の兄妹ではないことが、優奈に聞かれてしまいバレてしまった…

俺は優奈を追いかけるが、なかなか見つからない…もしかして、友達である亜里沙ちゃんの家かと思い、絵里に電話をかけるが、違うようだ。

 

俺の電話の声が焦っているようで、絵里に心配をかけてしまい、絵里が俺のいる所に来た。そして、俺は絵里に俺が転生者であることなど全てを話してしまった。

そして、神田明神に優奈がいることが分かり、俺と絵里が向かおうとした時、

「ゆっ、優!あれ!」

俺たちの前に、怪人が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワーム!?」

 

俺と絵里の前に現れたのは、ワーム。まだ緑色のサナギ体が3体立っていた。

 

「ワームか…ディケイドのカメンライドの力が使えない今、クロックアップが使えない今のサナギ体状態のうちに倒してしまわないと!」

 

俺がインフィニティドライバーを腰に巻き付けようとした時、

 

「優!ここは私に任せて、優は優奈ちゃんの所に向かって!」

 

絵里が俺の肩に手を当てて、そう言ってきた。

 

「絵里!?何言ってんだ?ただでさえ、絵里は変身できるわけじゃ…それは…!?」

 

俺が絵里を見ると、絵里の手には仮面ライダーカブトに変身するためのベルトが握られていた。

 

「ちょっ、それどこで!?」

 

「貰ったのよ。詳しい話は後で話すわ。それより、早く優奈ちゃんの所へ行ってあげて。」

 

「でも、絵里1人でこの量のワームは…」

 

「私のことはいいから、行きなさい。これまで優は、ずっと1人で頑張り続けてきた。だから、これからは私たちも少しずつ恩返ししていきたいのよ。だから、ここは私に任せて行って!」

 

その時、絵里が持っているベルトから光が出始めた。そして、光が止むと赤いカブトムシ、カブトゼクターが飛んできた。

 

「はぁ…絵里まで仮面ライダーの資格者か…それにカブトゼクターにまで選ばれるとは、絵里はなかなかすごいのかもな。」

 

「ふふん、私を誰だと思ってるのよ?かしこいかわいいエリーチカよ!」

 

「……前言撤回。ポンコツ生徒会長だったな。」

 

「ちょっと、そんなことないわよ!」

 

「おもちゃのチョコを食べるのにか?」

 

「うっ…あれは、たまたまよ、たまたま…そんな事より、ここは私に任せて早く行ってあげて。」

 

「あぁ…悪い、任せた!」

 

俺は迷いながらも、ワームはカブトに変身できる絵里に任せることにして、

 

『スペシャル召喚 ライドインフィニティ!』

 

俺はライドインフィニティに乗って、神田明神へ走らせた。

 

 

 

 

 

〜side 絵里〜

 

優が神田明神に向かったのを確認して、私は怪物…ワームの方へ向き直した。

 

「改めて見ると多いわね…でも、あなた達は全員倒させて貰うわ!」

 

そして、私は手に持っていたベルトを腰に巻き付け、私の横を飛んでいたカブトゼクターを手に取った。

 

「変身!」

 

私はカブトゼクターをベルトに付けて、

 

『ヘンシン』

 

仮面ライダーカブト マスクドフォームに変身した。

 

「さぁ、行くわよ!」

 

私は肉弾戦攻撃で、サナギ体のワームへ攻撃していく。私はワームへ攻撃していき、2体のワームを倒すことが出来た。

 

「よし、あと1体ね!」

 

私が最後の1体のワームを倒そうとした時、ワームが赤くなり始めた。

 

「なっ、何これ!?」

 

すると、ワームの皮が剥けて、成虫態ワームであるベルバーワームに進化した。

 

「進化、した…」

 

私が進化しているのに驚いていると、

 

「きゃぁぁっ!!?」

 

私が気づかない間に、ダメージを受けた。

 

「ワームの動きが見えなかった…これが、クロックアップっていうやつなのね…」

 

 

クロックアップ…ワームの持つ特殊能力の1つ、高速移動能力。厳密にはただの高速移動ではないけど、現代の科学では計測不能な速さなので、高速移動って考えてもらっていればいいわ。

 

 

って、私は誰に説明しているのかしら…でも、穂乃果達が言ってたように、変身出来るようになったらそのライダーの知識が勝手に入ってくるっていうのは本当なのね…

 

「けど、この能力を使えるのはあなた達ワームだけじゃないのよ。」

 

私はカブトゼクターの角部分に手を置き、

 

「キャストオフ。」

 

そう言って、カブトゼクターの角を開いた。

 

『CAST OFF CHANGE BEATLE』

 

私は、仮面ライダーカブト ライダーフォームに変身した。

 

「おばあ様が言っていたわ。家族というのはかけがえのないもの。そんな家族の幸せを奪うものは許されない。それが例え、血が繋がっていない家族だとしてもね!さぁ、ここからが本番よ!」

 

私は天に向かって、人差し指を伸ばしてそう言い、ベルバーワームへつきや蹴りなどの攻撃を始めた。

 

「はぁっ!やぁ!」

 

その攻撃で、ベルバーワームが私から少し離れた時、咄嗟にカブトクナイガンのガンモードでベルバーワームを撃った。それから、クナイモードへ変えてベルバーワームに接近して斬りかかった。

 

その攻撃で、ベルバーワームは弱ったが、すぐに立ち上がり、クロックアップを発動しようとしていた。だったら…

 

「クロックアップ!」

『CLOCKUP』

 

私はクロックアップを発動し、同じタイミングでベルバーワームも発動した。

 

 

〜クロックアップ発動中〜

 

私とベルバーワームは、クロックアップを発動した中で、つきや蹴りなどの攻撃をしている。

しかし、ライダーフォームに変身している私の攻撃に、ベルバーワームは攻撃を受けて、少し怯んだ。

 

「さぁ、これで終わりよ!」

 

『1・2・3』

 

私はそのタイミングを見て、カブトゼクターの3つのボタンを押した。

 

「ライダーキック!」

 

そして、カブトゼクターの角を戻してまた開いた。

 

『ライダーキック』

 

私へ攻撃しようとこちらへ来たベルバーワームへ、振り返ってカウンターキックを放った。その攻撃により、ベルバーワームは爆発して消えた。

 

『CLOCKOVER』

 

〜クロックアップ解除〜

 

 

クロックアップが解除され、私はカブトゼクターをベルトから外して変身を解除した。

 

「ありがとねっ。」

 

私がカブトゼクターにそう言うと、カブトゼクターはどこかへ飛んでいった。

 

「ふぅ…やったわね。優は大丈夫かしら…?」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺は神田明神へ向けて、ライドインフィニティを走らせ、神田明神の前まで来た。そして、俺はライドインフィニティから降り、ライドインフィニティのいくつかあるボタンの中の1つを押した。すると、ライドインフィニティはその場から消えた。

 

今押したボタンは、ライドインフィニティを天界で姉ちゃんがいろいろ管理している場所へワープさせるボタン。俺がライドインフィニティを使いたい時は、アタックバックルで呼び出すため、このワープ機能はなかなか便利だ。

 

 

神田明神についた俺は、神田明神の敷地内に入った。その時、黒いジャージを着てサングラスを付けた俺と同い年ぐらいの男の人とすれ違ったのだが、どこかで会ったことあるような気が…しかし、今はそんなことを考えている暇はない。

 

「優奈!優奈!いたら、返事してくれ!」

 

俺が神田明神でそう言って優奈を探していると、

 

「お兄ちゃん…!」

 

神田明神のベンチで座っている優奈を見つけた。

 

「優奈…俺は…ずっと、優奈のことを本当に大事な妹だと思ってる。けど、ずっと優奈に本当の兄妹じゃないことを黙って、隠し続けていたのも事実だから、優奈が俺の事をもう信じられないかもしれない…もし、優奈がもう俺と暮らしたくないと思うなら、俺は姉ちゃんに頼んで優奈が俺がいなくても幸せに暮らせる環境を作ってもらう…」

 

「お兄ちゃん…涙流しながら、そんなこと言わないでよ…」

 

「え?」

 

優奈の言葉で、俺の頬に一筋の涙が通るのが分かった。俺は、気づかない間に、今日2度目の涙を流していた。

 

「お兄ちゃん。お姉ちゃんに頼んで、お兄ちゃんがいなくても幸せに暮らすことなんて、絶対に無理だよ。」

 

「えっ…?」

 

「だって、私はお兄ちゃんがいるから、ずっと幸せに暮らしてきたんだよ。自分が危険な目にあったとしても、人のために仮面ライダーとして戦ったり、厳しいけど私のために勉強教えてくれたり、どんなに忙しくても、私や忙しいお姉ちゃんのために家事をしてくれたりしてくれるお兄ちゃんが…例え本当の兄妹じゃなくても、ずっと大好きだよ!」

 

「優奈…ありがとう…本当に、ありがとな…あと、本当にごめん。ずっと、黙ってて。」

 

「ううん、私の方こそごめん。ビックリして、家を飛び出して心配かけちゃって。ねぇ、お兄ちゃん。これからも、私のお兄ちゃんでいてくれる?」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺の心は喜びと安心でいっぱいになった。

 

「もちろんだ!」

 

「お兄ちゃん、ありがとう!」

 

そう言って、優奈はいつものように俺に抱きついてきた。

 

「ちょっ、優奈!急に、抱きつく…まぁ、今日ぐらいはいいか…」

 

「えへへ。」

 

「よし、優奈。そろそろ帰るか。姉ちゃんもすっごい心配してると思うから。帰ってから、姉ちゃんと一緒にちゃんと俺と優奈が兄妹になった理由も話すから。」

 

「うん!」

 

 

そして、俺たちが帰ろうとした時、

 

「バグスター…けど、感染者が見当たらないという事は、財団Xのバグスターか…」

 

俺たちの前に、ガットンバグスターとチャーリーバグスターが現れた。

 

「ったく、空気も読まずに登場しやがって。優奈、ちょっと隠れておいてくれ。すぐに終わらせる!」

 

「うっ、うん…分かった!気をつけてね!」

 

「あぁ!」

 

俺は腰にゲーマドライバーを巻き付けた。

 

『つなげてツムツム!』『ポップダンシング!』

 

「3コンボ!変身!」

 

 

『レベルアップ!つなげてツムツム〜!

アガッチャ! ポップ ダンシング〜!』

 

 

俺は、仮面ライダーインフィニティ ダンシングツムツムゲーマーレベル3に変身した。

 

「ノーミスフルコンで、クリアしてやるぜ!」

 

俺は、2体のバグスターへポップダンシングのリズムで攻撃を始めるが、2体のバグスターのレベルは俺のレベルをはるかに超えているようで、効いていない。

 

「やっぱり、レベル3じゃ無理か…だったら!」

 

『ガッシュー』

 

俺はゲーマドライバーから2本のガシャットを取り出す。

 

『パーフェクトツムツム〜!』

 

「50コンボ!変身!」

 

『デュアルアップ!パーフェクト〜ツムツム!』

 

俺は仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50に変身した。

 

「よし、一気に行くぜ!」

 

『マッスル化 3コンボ!』

 

俺はマッスル化で俺自身を強化し、2体のバグスターへ近づき、肉弾戦攻撃を始めた。

 

「はぁっ!オラッ!」

 

すると、チャーリーバグスターは自転車を取り出して走り出した。

 

「そのぐらいの速さで、俺に勝てると思うなよ。」

 

『高速化 5コンボ!ジャンプ強化 2コンボ!』

 

俺は自転車で走っているチャーリーバグスターの前に現れ、

 

「行かせねぇよ。」

 

「なに!?」

 

ジャンプ強化の力で高く飛んだ。

 

『キメワザ!パーフェクト クリティカル コンボ!』

 

俺は上空から一気にチャーリーバグスターへキックを決めた。

 

「ふぅ…よし、後はガットンだけ…あれ、ガットンのやつ、どこに…」

 

「きゃああ!」

 

その時、隠れていた優奈の叫び声が聞こえきた。

 

「優奈!?」

 

俺が優奈の方を見ると、ガットンバグスターが優奈を襲おうとしていた。

 

「させるかよ!」

 

俺がガットンバグスターへ攻撃しようとした時、

 

「ぐはぁ!」

 

何者かからの攻撃を受けた。

 

「ぶぁ…」

 

「お前は、ゲンム!?」

 

俺の前に現れたのは、仮面ライダーゲンム ゾンビゲーマーレベルX(エックス)だ。

 

「やべっ!優奈!」

 

俺がゲンムに足止めされてるうちに、ガットンバグスターが優奈を襲おうとしていた。そして、ガットンバグスターが優奈へ攻撃しようとした時、

 

「グッ…!?」

 

何者かがガットンバグスターを攻撃した。

 

「何が起こった!?」

 

ガットンバグスターを攻撃したことにより出来た煙が晴れると、そこにいたのは…

 

「ダークインフィニティ!?なんで、お前が優奈を…」

 

敵であるダークインフィニティが優奈を助けたことに、俺の頭は疑問符でいっぱいだった。

 

「インフィニティ。今回だけは、こっちの事情でこのバグスターは倒してやる。でも覚えておけ、俺がお前の敵だということに変わりわない。」

 

「なんかよく分かんないけど、助かった!」

 

「ったく、大事な妹ならしっかり守れ!」

 

「えっ、あっ、おぉ…」

 

相変わらず、よく分かんねぇやつだな…ってか、あいつは優奈が妹ってことも知ってるのか…

 

「まぁ、考えるのはあとにして、ゲンム!」

 

そう言って、俺はゲンムの方に向き直った。こいつはゲンムはゲンムでも、黎斗さんではないようだ。まぁ、黎斗さんは今CRで捕まってるから、脱走でもしない限りこんな所にいるはずもないしな…

 

こいつは、財団Xが天界から奪ったダークライダーのアイテムのコピーしたものの中にあったデンジャラスゾンビガシャットとバグルドライバーを使って、誰かが変身してるいるか、この前のホロスコープスゾディアーツと同じでアイテムだけを使って作り出したエネルギー体といったところか…

 

「今度はしっかりと、お前の相手をしてやる!」

 

俺はゲンムへとそう言った。しかし、相手をすると言ったものの、俺はリプログラミングを使えるマキシマムマイティXガシャットを持っていない。不死身のゲンム ゾンビゲーマーに勝つ方法は、変身解除させるしかないか…

 

「さて、とりあえず行くぜ!はぁぁぁっ!」

 

俺はガシャコンソードバズーカー ソードモードを取り出し、ゲンムへと斬りかかった。しかし、そんな俺の攻撃をゲンムは、ガシャコンスパロー 鎌モードで防いでくる。俺はすぐにもう1度斬りかかるが、今度は逆の手に持っているガシャコンスパロー 鎌モードで防がれる。

 

「だったら…!」

 

俺はゲンムへ蹴りを入れた。その蹴りでゲンムは俺から離れて倒れた。俺はゲンムが起き上がる前に、一瞬でガシャコンソードバズーカーを、ソードモードからバズーカーモードへと変えた。

 

『つなげてツムツム!』

 

俺はつなげてツムツムガシャットを取り出し、起動させてガシャコンソードバズーカーのスロットに差し込んだ。

 

『キメワザ!つなげて クリティカルフィニッシュ!』

 

俺は起き上がりかけたゲンム目掛けて、ガシャコンソードバズーカー バズーカーモードを発射した。

 

 

ドォーンッ!!

 

 

大きな音がして、ゲンムを撃ったことで出来た炎と煙がだんだんと無くなっていく。

 

「ぶぁぁ…!」

 

しかし、不死身であるゲンムには効かず、ゆっくりと起き上がってきた。

 

「ダメか…」

 

俺がまたゲンムと戦うことになると思い、警戒していると、

 

「えっ!?ちょっ、待て!」

 

何故かゲンムはその場を走り出して、逃げていった。さっきまで戦う気満々だったゲンムが逃げていったことに戸惑いながらも、俺はゲンムを追いかけていく。

 

ゲンムは神田明神から出ていき、角を曲がった。

 

「逃がすかよ!」

 

俺がゲンムが曲がった角を曲がると、ゲンムは俺から背を向けて立っていた。

 

「なんだ?逃げるのを諦めたか。」

 

俺がまたゲンムへ近づこうとした時、

 

「ぶぁ!」

 

いつの間にかガシャコンバグヴァイザーをバックルから取り外して、そのバグヴァイザーから俺にバグスターウイルスのようなものを出してきた。

 

「なに!?ぐっ、ぐぁぁぁぁぁっ!」

 

俺はその影響で変身が解除されて、俺は気を失ってしまった…

 

 




〜次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!〜
優奈と再開した優。そんな2人の前に現れた強敵、ゲンムを優は倒すことは出来るのか…そして、優と優奈、優香の兄妹の運命はどうなる!

次回、『78話 血が繋がっていなくても…』



ライダーアイテム、紹介コーナー!

『ネイチャーピストル』

仮面ライダーネイチャーである宮崎蓮が、姉で女神である咲と、同じく女神で優の姉である優香から受け取った武器。赤、青、緑、黄色、黄土色、そして虹色のボタンが付いている。

赤いボタンでは炎、青いボタンでは水、緑のボタンでは木の枝や葉、黄色のボタンでは雷、黄土色のボタンでは土や岩の力を使うことが出来る。更に虹色のボタンでは、それら全ての自然の力を一気に放出できる。

ちなみに、ボタンを押さずに引き金を引くと、謎の安全性で懐中電灯の様に光るだけとなっている。また、ネイチャーピストルにデータボトルを差し込むことで、そのデータボトルとネイチャーピストルのボタンの効果を掛け合わせた必殺技を放つ事が出来る。



はい、今回のアイテム紹介はネイチャーピストルでした!
そして次回、ゲンムと戦った優の運命は…ダークインフィニティの考えとは…
あと、次回から、あらすじ紹介の所が少しが変わります!



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78話 血が繋がっていなくても…

はい、78話です。

突然ですが、皆さん。仮面ライダービルドは見てますか?僕は凄くハマりました!去年のエグゼイドもとても面白く、終わったらエグゼイドロスだ…と思っていたら、次のビルドもとても面白くて僕はどハマりしました!そんなビルドは最近シリアス展開が多いですが、そんな中でも、かずみんのみーたん妄想と最初のあらすじ紹介は笑えるところですね。ここで、本題なのですが、今回からあらすじ紹介の形を変えてビルドのように本編のキャラクター達がわちゃわちゃするような形であらすじ紹介を今回してみようかと思います。最後までこの形でやるか、それともいつか戻すのかは分かりませんが、とりあえずやってみようと思います。

あと、僕にはギャグセンスがないので、ビルドのように面白くあらすじ紹介をする事ができていないかもしれません。ただ会話してるだけで、あらすじ紹介すら出来ていないかもしれませんが、見ていただけると嬉しいです!

では78話、スタートです!


〜前回のラブライブ!µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「1度死んだ俺、仮野優は仮面ライダーインフィニティとして財団Xからこの世界を守るため、転生した。そして、音ノ木坂学院がとうとう共学化に決まった。共学化試験生である俺は、この事に喜びを隠せないでいた。しかし、そんな中大事件が起きてしまう…優奈が俺と本当の兄妹じゃないという事を知り、家を飛び出してしまう…俺が絵里に相談しながら優奈を探していると、俺たちの前にワームが現れる。その時、絵里がカブトに変身したのだった。」

 

蓮「えぇ!?絵里のやつ、変身したのか!」

 

優「なんだよ、蓮。俺があらすじ紹介してるってのに…あっ、こいつは宮崎蓮。俺と同じ仮面ライダーとして戦うために転生してきた男。仮面ライダーネイチャーに変身する、うるさい馬鹿。」

 

蓮「おい!バカってなんだよ!」

 

優「さっきからうるせぇよ…まだ前々回の話しか言ってねぇんだよ。本編では、俺が大ピンチだっていうのに…」

 

蓮「だったら、俺にもあらすじ紹介させろ!」

 

優「今回のあらすじ紹介は俺なんだ!」

 

蓮「なんだよ、主人公だからって目立ちすぎだ!」

 

優「いいだろ、俺が主人公なんだから!あぁ!あらすじ紹介の時間が終わる…!はぁ…初の形でのあらすじ紹介が…俺が完璧に紹介するはずだったのに…もういいよ…どうなる、78話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「お兄ちゃん…お兄ちゃん…!」

 

ゲンムとの戦いで気を失ってしまった俺の頭に、うっすらと聞こえる声で俺は目を覚ました。

 

「うっ、うぅ…ゆっ、優奈…?」

 

「お兄ちゃん!?良かった…」

 

「優奈、大丈夫か!?」

 

「もう、それ私がお兄ちゃんに聞きたいんだけど…」

 

そうジト目で言ってくる優奈。

 

「あっ、悪い…そういえば、ダークインフィニティは!?」

 

俺は立ち上がりながら、優奈に聞いた。

 

「私を助けてくれた仮面ライダーさんなら、怪物を倒して帰っていったよ。」

 

「そっか…」

 

それにしても、あいつの目的ってなんなんだ…?自身では敵だと言ってるけど、助けてくれるし…あいつに優奈を助けるメリットって…

 

「ねぇ、お兄ちゃん。あの仮面ライダーさんは、味方じゃないの?」

 

「自分では敵だって言ってる。それに財団Xのライダーで、俺たちと戦うこともあるけど、俺はなんか敵って感じがしないんだよな…」

 

「私も、あの仮面ライダーさんが敵とは思えないんだよね…助けてくれたっていうのもあるけど、なんか会ったことがあるような気がするんだよね…」

 

「優奈が、ダークインフィニティと…?」

 

「分からないけど、そんな気がするの…あっ、会ったことがあるといえば、お兄ちゃんがここに来る少し前に、暗い顔をしていた私に、話を聞いてくれた人がいるの。その人も会ったことがあるような気がするだよね。」

 

「あっ、もしかして黒い服のサングラスを付けた男か?」

 

「うん。」

 

「その男なら、俺も会ったことがあるような気がした。なんか、まだまだ分からないことがありそうだな…でも、とりあえず優奈が無事で良かった。」

 

「ねぇ、お兄ちゃん。これからも、お兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒に暮らしてもいい?」

 

「そんなの、もちろんいいに決まってるだろ。俺と優奈と姉ちゃんは、たとえ血が繋がってなくても、いつまでも家族だ。」

 

「お兄ちゃん…ありがとう!」

 

「じゃあ優奈、帰るか。姉ちゃんも心配してるから。」

 

「うん!」

 

そうして、俺たちは姉ちゃんの待つ家に帰っていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「おい、どういうことだ!あいつに手を出したら、契約違反だぞ!」

 

さっき、仮面ライダーインフィニティである優を助けたダークインフィニティが、普段の変身している仮面ライダーの姿とは違い、変身を解いて優と同い年ぐらいの男の姿で怒ったようにそう言った。

 

「契約違反って言いたいのはこっちの方よ…あなたは財団Xと、財団Xと同盟を結んで、協力関係である私たち反乱を起こした女神に協力してもらうために、仮面ライダーダークインフィニティに変身する力を与えたのよ?なのに、邪魔者である仮面ライダーの足止めどころか、あの宝石を目の前で取られてしまったのよ?このままじゃ、あなたの目的を達成するのは、難しいかもね。」

 

彼の言葉に、彼が話しかけていた謎の女がそう言った。

 

「チッ…!」

 

「それよりも。あなたの次の任務。それを伝えるわ。今度こそ、しっかりとやりなさい。」

 

「なんだ?」

 

「仮面ライダーネイチャー、宮崎蓮の抹殺。」

 

「なっ、それは…!」

 

「あなたに、宮崎蓮を抹殺する事が酷なのは分かっているわ。でも、あなたが私たちに歯向かえば、あの子を殺すだけ。たとえ、インフィニティが近くにいるとしても、我々女神と財団Xにかかれば、あんな小娘1人殺すのは容易いことよ?あの子の命が大切なんでしょ?なら、あなたが何をすべきか、しっかりと考える事ね。」

 

「クッ…そんな事、分かってる…」

 

そう言って、ダークインフィニティに変身していた男は去っていった。

 

「あなたも酷い人ですね。彼に仮面ライダーネイチャーの抹殺を命じるなんて。」

 

ダークインフィニティと入れ替わりに、謎の女の前に謎の男が現れた。

 

「ふふっ、あなたに言われたくないわよ。()()()()()

 

「ははっ、そこは、お互い様でしょうね。」

 

「それより、ゲンムはしっかりとやって来たの?」

 

「えぇ、しっかりと。これで、彼のコピー体(2人目)…いえ、コピー体(3人目)を生み出すことは成功です。コピー体(3人目)は、オリジナル(1人目)の様に、人間と手を組むような事がないといいですがねぇ…でもまぁ、仮面ライダー達は想像もしていないでしょうね。これまでの戦いは、まだまだ序章に過ぎないということを。」

 

「ふふっ、そうよ。これからが本番よ。楽しみにしてなさい、仮面ライダー。それに、()()()…」

 

先程までとは違い、少し低い声で女はそう言った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ただいま。」

 

俺が家に帰ると、

 

「優くん、優奈は!?」

 

慌てて姉ちゃんがとても心配しながら出てきた。

 

「ほら、優奈?」

 

俺の後ろに隠れている優奈に言った。

 

「あっ、あの、お姉ちゃん…」

 

緊張気味の優奈がそこまで言った時、

 

「優奈!良かった…」

 

姉ちゃんが優奈に抱きついて、涙ながらにそう言った。

 

「お姉ちゃん…ごめんね、急に飛び出して…」

 

「ううん…私も、ずっと優奈に大事な話を黙っててごめん…」

 

 

 

しばらくして、俺たちはリビングまで入ってきた。

 

「じゃあ、聞いてもいい?私とお兄ちゃんとお姉ちゃんが、兄妹になった理由。」

 

「えぇ、こうなったら、優奈に本当のことを話さないといけないわね…けど、この話は優奈にとって、辛い事だと思うわ。それでも、聞く覚悟はある?」

 

姉ちゃんがそう言うが、

 

「うん、大丈夫。教えて。」

 

「そう…分かったわ。あのね、優奈。あなたは、1度死んでるの…」

 

「……」

 

「優奈?」

 

前に姉ちゃんから、優奈が転生する時に死んだと聞いて、ショックのあまり気絶したと聞いてる俺は、優奈が黙ってることに驚いている。

 

「……あっ、ごめん。驚きすぎて言葉があんまり出なくて…」

 

「まぁ、驚くよな…」

 

「でも、これで分かった。」

 

「えっ、何が?」

 

「私、いくら考えても、中学1年生までの記憶が思い出せないの。中学2年生の時に、音ノ木坂中学に転入したけど、その時に、学校の子達から前の学校の事を聞かれても思い出せなかったの。

 

それに、私のお母さんやお父さんの記憶とか… お兄ちゃんとお姉ちゃん以外の家族に関する記憶も全然分からなかったから。」

 

「そっか…言われてみれば、そうだよな…」

 

「でも、なんで死んだ私がここに?もしかして、私って幽霊?」

 

「ううん。優奈は、転生…別の世界で死んだけど、その時に神様の力でこの世界で生き返ったの。でも、その時死んだって聞いた優奈が、ショックで気絶しちゃって、それで優くんに妹として面倒見てもらうことにしたの。」

 

「そう、だっだんた…でも、なんでお兄ちゃんに?」

 

「それは、優くんも転生者だから。優くんは仮面ライダーとして、この世界を守ってもらうためにこの世界に転生してきてもらったの。」

 

「お兄ちゃんも、1度死んでたってことだったんだ…」

 

「あぁ、本当にごめんな。ずっと、黙ってて。」

 

「ううん、お兄ちゃんとお姉ちゃんは、私のために黙っててくれたんだもん。じゃあ、お姉ちゃんも転生者ってこと?」

 

「あっ、いや…姉ちゃんは…」

 

「ふふっ、私は転生者じゃないわ。優くんと優奈を転生させた、女神よ。」

 

「あっ、そうなんだ。お姉ちゃんは女神様なん……んっ?今、なんて…?」

 

「だから、私は女神よ。」

 

「えっ……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?お姉ちゃんが、女神様……!?って事は、神様?」

 

優奈は、かなり驚いた声を出した。まぁ、そうなるよな…

 

「まぁ、神様に仕える人っていうのが正解ね。神様は、私達女神をまとめている人よ。」

 

「へっ、へぇ…私、とんでもない2人と家族だったんだ…」

 

まぁ、優奈から見れば、兄は仮面ライダーで姉は女神様。確かに、とんでもない2人だな…

 

「でも、俺達が、血が繋がっていなくても…俺にとって、優奈と姉ちゃんは本当に大切な家族なんだ。だから、俺達に気を使う必要は無い。だから、優奈は今まで通り過ごしてくれ。」

 

「うん!お兄ちゃんとお姉ちゃんと本当の兄妹じゃなくても、お姉ちゃんが女神様だったとしても、私にとって2人は、本当に大好きな家族だから。だから、お兄ちゃん。お姉ちゃん。これからもよろしくお願いします!」

 

「おう!」「うん!」

 

こうして、俺たち兄妹の大事件は、幕を閉じた…

 

 

 

プルルルル プルルルル

 

『もしもし、優?優奈ちゃん、どうだった?』

 

俺は絵里に今日のお礼と、あの後のことを聞くため、電話をかけていた。

 

「無事に家まで帰ってきて、今は疲れ果てて寝てるよ。」

 

『そう、良かったわ。』

 

「本当にありがとな。絵里がいなかったら、本当にどうなってたか分からないよ…それで、絵里の方こそ、あの後大丈夫だったか?」

 

『えぇ、ワームはきっちりと倒してきたわ。』

 

「そっか、良かった…けど、あのベルトどこで手に入れたんだ?貰ったって、言ってたけど…」

 

『それが…多分、優や蓮が戦ってる組織、財団X?だったかしら…多分、その組織の人だと思うの。』

 

「財団Xが!?なんで、奴らが…」

 

『それは、分からないんだけど、前に見た白い服を来ていたし、初めは襲われるのかと思ったんだけど…ただ、このベルトを渡して帰っていったのよね…』

 

「財団X…本当に奴らは、何が目的なんだよ…絵里を仮面ライダーにするって事は、敵を増やすって事じゃないのか…?でも、まぁとにかく、絵里が無事で何よりだ。今日は本当にありがとう。」

 

『気にしないで。これまで、私は…私たちは、これまでずっと優に助けられてきたんだから。』

 

「ありがとう。それで、絵里。やっぱり、俺が今日話したことは、みんなには…」

 

『えぇ、黙っているわ。みんなが、この話で優を嫌いになったりする事は絶対にないけど、優が話さない方がいいって言うなら、私は言わないわ。』

 

「悪いな…」

 

『だから、気にしないでいいって言ってるじゃない。じゃあ、また学校でね。』

 

「あぁ、じゃあまたな。」

 

そう言って、俺は電話を切った。

 

「今の電話、絵里ちゃん?」

 

「あぁ、今日優奈を探してる時、絵里にも色々手伝ってもらったから…」

 

「そうだったんだ。」

 

「あのさ、姉ちゃん。」

 

「どうしたの?」

 

「実は…絵里に、全部話した。俺や蓮が転生者の事や、姉ちゃんが女神様であること、それに優奈のことも…ごめん…」

 

「そっか。」

 

「えっ…怒らないのか?」

 

「別に、私が怒ることなんてないじゃないの。逆に、なんで怒ると思ったの?」

 

「だって、本当は黙ってないといけないことだし…」

 

「確かに、簡単に言っていいようなことではないけど、本当に信用出来る人には言っていいと思うわよ?私は、µ’sのみんなになら、言っていいと思うわ。でも、あんまり優くんも話したくないことだろうから、無理に言わなくていいけどね。」

 

「分かった…あっ、そうだ。俺って、仮面ライダーインフィニティに初めて変身した時に、インフィニティブレスに入ってるアイテムで変身出来る、全てのライダーへ変身することが可能な体になったって事は、俺はゲーマドライバーを使うための適合手術を受けた飛彩さん達と同じ体になってるって事だよな?」

 

「えぇ、そうだけど、どうかした?」

 

「今日、財団Xが持ってるコピーベルトで変身したゲンムと戦ったんだけど、その時にバグヴァイザーからバグスターウイルスみたいなのを出されて、それを受けて気絶しちまったんだけど、適合手術を受けたって事はバグスターウイルスに感染するはずないよなって思ってるんだけど…」

 

「えぇ、優くんがバグスターウイルスに感染する事はないと思うわ。多分、大丈夫なはずよ。だから、気絶したのはバグヴァイザーから出た衝撃を受けたからだと思うけど、一応調べてみるわね。」

 

「あぁ、頼む。」

 

こうして、少しの不安を残しながら、優奈が帰ってきたことに安心して、1日を終えたのだった…

 

 

 

 

 




〜次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!〜
優達2年生が修学旅行で不在の中、µ’sでは代理のリーダーを決める事に。µ’sのこれからの事を考えて、新リーダーは1年生がいいとなり、みんな凛を推薦するが、凛本人にはある悩みが…

次回、『79話 新リーダー、凛の悩み…』



ライダーアイテム、紹介コーナー!

『ネイチャーソード』
ネイチャーピストルと一緒に咲と優香から受け取った武器。名の通り剣の武器で、インフィニティソードと同様、データボトルを入れる事で様々な必殺技を放つ事が出来る。



はい、今回でオリジナルは終了です。次回からは、アニメ2期5話の凛ちゃん回を書こうと思います!

そして、優香は無事帰ってきましたが、また謎が増えてしまいました。謎がどんどん増えていきますが、全部ちゃんと書けるか自分でも心配です。

また、感想やご指摘などお待ちしております!よければ頂けると、嬉しいです!では、次回もよければ見てください!


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79話 新リーダー、凛の悩み…

はい、79話です。
今回のあらすじ紹介も、ビルド方式でやってみようと思います。
そして、今回からアニメ2期5話の凛ちゃん回に入ります!
では79話、スタートです!


〜前回のラブライブ!µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

穂乃果「優くんと優奈ちゃんと優香さんが、本当の兄妹じゃないという事を知った優奈ちゃんは、優くんの家を飛び出し…って、えぇ!?優くんと優奈ちゃんと優香さん、本当の兄妹じゃなかったの!?」

 

海未「穂乃果!確かに3人が血が繋がっていない事は驚きましたが、今はちゃんとあらすじ紹介をして下さい!全く、あなたはいつもいつも…」

 

ことり「海未ちゃ〜ん、まぁまぁそんなに怒らなくてもぉ…」

 

海未「ことりは穂乃果に甘すぎます!」

 

穂乃果「そんな事ないよ!海未ちゃんが厳しいんだもーん!」

 

ことり「2人とも、落ち着いて〜…」

 

優「ったく、やっぱりこいつらにあらすじ紹介させるんじゃなかった…こっからは俺が!」

 

ことり「あっ、優くん。2人を止めて〜」

 

優「えっ、ちょっことり!?でも、あらすじ紹介が…」

 

穂乃果「優くん!海未ちゃんをなんとかしてよぉ!」

 

海未「優!優も穂乃果になんとか言ってやって下さい!」

 

優「えっ、2人まで!?もう、これじゃまたあらすじ紹介が…なんで、こうなるんだよぉ…こうなったら、せめて最後の言葉だけでも!どうなる、79話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「海だ!海だ!うーみだぁー!」

 

「もうっ、人の名前を何度も叫ばないでください!」

 

「違うよ!海未ちゃんじゃなくて、海!」

 

穂乃果の言葉に対しての海未のツッコミにツッコミをする穂乃果。ややこしいな…ってか、海未はまだそのボケ?なのか素なのかは分からないけど、海って言われて海未の方の自分だと思ってるのか…

 

そして、何故俺とµ’sの2年生3人が、海に来ているのか…それは、

 

「綺麗だねぇ。」

 

「流石沖縄!青さが違います青さが!」

 

そう、修学旅行で沖縄に来ているからだ!

 

しかし、穂乃果や海未、ことりは楽しんでるが、俺は違う…なぜなら、完全に場違い感が凄いからだ…この海は音ノ木坂の修学旅行生達がほとんど。という事は、男が俺1人だけなのだ…ここ最近は、蓮が来て仲間が出来たが、修学旅行では学年が違う蓮はいない。普通の男子高校生なら、水着ハーレムだの羨ましいだの思うかもしれないが、実際は場違い感が凄いぞ…蓮も行く前同じような事言われたが、それを聞いた凛が蓮に怒ってたけど。まぁ、来年は蓮も同じ目に合うんだな!

 

「ねぇ、せーので入ろ!せーので!」

 

「うん!」

 

「ほら、優くんも!」

 

「いや、俺はいいよ。俺は見てるから、行ってこいよ。」

 

「えぇ、一緒に入ろうよ!ほら!」

 

そう言って、強引に穂乃果にてを繋がれ、隣にいることりにも繋がれて逃げ場を失った俺。

 

「よーし、じゃあ行くよ!せーの!」

 

バシャーン!!!

 

そう言って、俺達は沖縄の青い海に飛び込んだ。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

バシャーン!

 

「ぷはぁっ!」

 

「んにゃあ!真姫ちゃんとかよちんもおいでよ!」

 

優達が修学旅行で海にいる頃、俺と凛はプールに飛び込んだ。

 

「穂乃果達が修学旅行だからって、対抗することないんじゃない?」

 

「そうだよ。もう秋だよ?」

 

真姫と花陽がそう言うが、

 

「まぁ、いいじゃん!」

 

「そうそう、さぁ泳ご!」

 

俺と凛はそう言って、真姫と花陽をプールへ押した。

 

「行っくにゃー!」

「「うわぁぁぁ!」」

 

 

 

「はぁ…止まないねぇ…」

 

雨が降り出し、アイドル研究部の部室で落ち込みながら言う凛に、

 

「そろそろ練習時間よ?」

 

と、真姫が言った。

 

「って言っても、今日もこの4人。もう飽きたにゃ…」

 

「それはこっちのセリフ!」

 

「仕方ねぇよ…優達は修学旅行だし、絵里と希はその間生徒会のフォローを。今残ってるのは俺達1年生と、3年生でゆういつ暇…いや、何もやることが無いにこだけなんだから。」

 

「ちょっと蓮!今言い換えたけど聞こえてるし、言い換えてもほとんど変わってないじゃない!」

 

「あっ、つい本音が。悪い悪い。」

 

「あんた、悪いと思ってないでしょ!」

 

俺とにこがそんな話を始めた時、

 

「そうよ。気合いが入らないのは分かるけど、やる事はやっておかなきゃ。」

 

絵里と希が入ってきて、絵里が言った。

 

「今日も生徒会?」

 

「まあね。あっ、こんな所にあった…」

 

真姫の質問に答えながら、絵里は棚の上に置いてあった生徒会の書類を取った。

 

「4人が帰ってきたら、運営しやすいようにって張り切ってるや!」

 

「えぇ!?また練習凛達だけ!?」

 

「今週末は例のイベントでしょ?穂乃果達が修学旅行から帰ってきた次の日よ?こっちでフォーメーションの確認して、合流したらすぐできるようにしとかなきゃ。」

 

「でも、まさかファッションショーで歌って欲しいって言われるなんて。」

 

真姫の言葉に、

 

「きっとモデルさん達と一緒のステージって事だよね?緊張するなぁ…」

 

花陽が心配の声を上げる。

 

「そうだな…3年生だし、絵里や希はいいけど…」

 

俺はそう言いながら、にこの方を見た。

 

「なによ!ってか、私だって3年生よ!」

 

「別に、何も言ってねぇし。」

 

「別に気にすることないわ、じゃあね。」

 

「穂乃果ちゃん達は、野生のちんすこう探しに夢中で、ライブの事なんてすっかり忘れているやろうから、にこっち達がしっかりしといてね!」

 

そう言って、絵里と希は部室から出ていった。

 

 

 

残された俺たち5人には、1つ疑問が残された。

 

「野生のちんすこうって、何?」

 

その疑問、野生のちんすこうについてにこが言った。

 

「さぁ?」

 

もちろん、この中で野生のちんすこうが分かる人物なんていなかったが…ちんすこうって、食べ物だし。

 

「はぁ、沖縄か…今頃穂乃果ちゃん達、楽しんでるだろうなぁ…」

 

凛が羨ましそうに言った。

 

確かに羨ましいな…

 

『海未ちゃーん、早くおいでよ〜!』

『あははは、待ってくださいよ〜』

『優くん、行くよ〜』

『ことり〜、水かけるなよ〜』

 

とか言って、海を満喫してるんだろうなぁ…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

ザァァァァァーーー!!

 

「って、なんで雨なのぉぉぉぉっ!!」

 

穂乃果の言葉通り、運悪く台風が来た沖縄は、凄い雨…当然、海に入る事も出来ず、俺達はそれぞれの部屋で待機。

俺は男子1人、自分の部屋にいるのも退屈なため、穂乃果達3人の部屋にお邪魔している。音ノ木坂にいるみんなは、俺達が海を満喫してるとか思ってるんだろうな…

 

「台風、直撃するかもだって…」

 

「えぇ!?海は!真夏の太陽は!」

 

「諦めるしかありませんね…」

 

「やだよ!最高の修学旅行だよ!一生に1度きりだよ!こうなったら…!」

 

そう言って、穂乃果はことりの携帯に、

 

「それろぉ…それろぉ…それろぉ…!」

 

念じ始めた。

 

「はぁ…そんな事しても、意味無いと思うけどな…」

 

「そっか。それろぉ!それろぉぉぉ!」

 

今度は、窓の外に向かって念じ始めた。

だから意味無いって…いや、待てよ。確か、前に穂乃果が…

 

 

『雨やめぇぇぇぇぇぇーーー!』

 

 

って、言って晴れた事があったよな。もしかしたら…いや、でもこれは台風だしな…

 

 

ピリピリッ ピリピリッ ピリピリッ

 

 

すると、穂乃果の携帯に電話がかかってきた。

 

「あっ、絵里ちゃんだ。もしもし?……嫌味?……もういいよ…」

 

恐らく、台風が来てるとは知らない絵里が、『楽しんでる?』って聞いてきたんだろう。絵里はニュースを見てないのか?いや、生徒会長の絵里の事だし、見てると思うんだけどなぁ…

 

「それより何?……うん、そっか。確かに、そうした方がいいかも!…うーん、誰がいいかなぁ……うん?」

 

今度は、何話してるのか読めないな…そんな事を考えてると、穂乃果は電話を終わらせた。

 

「ねぇねぇ、海未ちゃん、ことりちゃん、優くん!」

 

「どうした?」

 

「私達が修学旅行に行ってる間の、µ’sの事なんだけどね!」

 

そこまで言って、穂乃果は俺達3人の耳の近くでコソコソと話してきた。俺達しかいないのに…

 

んっ、なになに?

 

「「「あぁ(うん)!いいんじゃない(か)(ですか)!」」」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「えぇ!?凛がリーダー!?」

 

「えぇ、暫定でもリーダーを決めておいた方がまとまるだろうし、練習にも力が入るだろうと思って。もちろん、穂乃果達が修学旅行から帰ってくるまでよ?」

 

驚いている凛に、絵里がそう説明した。

 

「でっ、でもぉ…」

 

「穂乃果ちゃん達にも連絡して、相談した結果なんよ。ウチと絵里ちも、みんな、凛ちゃんがいいって!3人はどう?」

 

そう言って、希は俺と花陽と真姫に聞いてきた。

 

「あぁ!」

 

「いいんじゃない?」

 

「私、凛ちゃんがいいと思う!」

 

俺と真姫、花陽はそう言うが、

 

「ちょっちょ、ちょっと待ってよ。なんで凛?他の人の方がいいよ!あっ、絵里ちゃんとか!」

 

凛は戸惑っている。

 

「私は、生徒会の手伝いがあるし…それに、今後のµ’sの事を考えると、1年生がやった方がいいでしょ?」

 

「だったら、真姫ちゃんがいいにゃ!」

 

「ヴェェ!?」

 

「歌も上手いし、リーダーっぽいし!真姫で決まり!」

 

「話聞いてなかった!みんな凛がいいって言ってるのよ!」

 

凛の言葉を聞いて、少し強気に真姫が言った。

 

「でも、凛は…」

 

「嫌なのか?」

 

「嫌っていうか、凛はそういうの向いてないよ…」

 

「以外ね。凛だったら、調子良く引き受けるかと思ってたけど。」

 

にこの言葉に、

 

「凛ちゃん、結構引っ込み思案な所もあるから。」

 

「特に、自分の事に関してはね。」

 

花陽と真姫がそう言った。

 

「凛、いきなり言われて戸惑うのは分かるけど、みんな凛が適任だと思ってるのよ。その言葉、ちょっとだけでも信じてみない?」

 

そう言って、絵里は凛の手を優しく握った。

 

「でも…」

 

そう言って、凛は全員の顔を見た。

 

「分かったよ、絵里ちゃんがそこまで言うなら。」

 

「凛ちゃん!」

 

「さぁ、そろそろ雨も止みそうだし、放課後の練習始めて!」

 

 

 

そして、俺達1年生とにこは屋上へ行って練習を始めることにした。

 

「えぇっと、では、練習を始めたいと、思います…」

 

「わぁぁっ!」パチパチ

 

凛の言葉を聞いて、拍手をする花陽に、

 

「拍手する所じゃないでしょ。」

 

真姫がそう言った。

 

「えっと、まず初めに…ストレッチから、始めていきますわ。皆さん、お広がりになって!」

 

突然口調を変えた凛に、それぞれ驚く俺と花陽、真姫とにこ。

 

「それが終わったら、次は発声ですわ。」

 

「何それ?」

 

「凛ちゃん!」

 

「えぇ、なんですの?」

 

「その口調、一体誰よ?」

 

「えっ?凛、なんか変な事言ってた?」

 

えっ、気づいてなかったのかよ…

 

「はぁ…別に、リーダーだからってかしこまらなくていいだろ?普通でいいんだぞ。」

 

「そっ、そっか。じゃあ、ストレッチを、はっじめるニャー!」

 

「もう、ふざけてる場合じゃないでしょ?」

 

 

 

そして、凛と花陽、真姫とにこがそれぞれペアになってストレッチを始めた。

 

ストレッチが終わり、今度はダンス練習。凛がテンポをとり、花陽と真姫とにこがそれに合わせて踊る。

 

「ワン、ツゥー、スリー、フォー、ワンッ、ツゥーー、スリィー…」

 

テンポが少しズレてきた凛に、

 

「凛、ズレてきてるわよ!」

 

真姫が注意した。すると凛は、

 

「ニャッ!ニャッ!にゃにゃにゃ、にゃにゃにゃにゃ!?」

 

テンパっておかしなテンポのとり方を始めてしまった…

 

 

そして次は、フォーメーション確認。

 

「ねぇ、私はここから、下がっていった方がいいと思うんだけど?」

 

そう言う真姫に対して、

 

「何言ってるのよ、逆よ!ステージの広さを考えたら、前に出て目立った方がいいわ!」

 

と、反論するにこ。

 

「だからこそ、大きくステージ使った方がいいって言ってるんじゃない!」

 

「いいや!絶対、前に出るべきよ!」

 

「「んんー…!」」

 

とうとう言い合いを始めた2人…

 

「ちょっと、2人とも!」

 

「落ち着けって。」

 

すると、

 

「そうだ、凛はどう思う?」

 

真姫が凛に聞き、

 

「そうよ、リーダー!」

 

にこも凛に聞いた。

 

「えぇ!?あぁ…穂乃果ちゃんに聞いたらいいんじゃないかな…?」

 

「それじゃ、間に合わないでしょ!」

 

「じゃあ、絵里ちゃんに…」

 

「凛!」

 

「はい…!」

 

「リーダーはあなたよ!あなたが決めなさい!」

 

にこはそう言うが、

 

「そっか…えっとぉ、あっ、明日までに考えてくるよ…」

 

結局、凛は決められないまま、練習は終わってしまった。

 

 

 

そして、俺達1年生は一緒に帰り始めた。

 

「はぁ、疲れるにゃぁ…やっぱり凛には、リーダーは無理だよ…」

 

「そんな事ないよ。きっとだんだん慣れて行くよ。」

 

「そうよ、まだ初日でしょ?」

 

「そんな事言って、2人とも自分がリーダーになりたくないから、凛に押し付けだんでしょ?」

 

「何言ってるのよ。本当に向いてると思ったから、凛を推薦したの!」

 

「そうだよ。たとえ、穂乃果ちゃん達が別の人を推薦したとしても、凛ちゃんがいいって言ってたと思うよ?」

 

「そうそう、凛は絶対にリーダーになるべきだと思うぞ?」

 

「えぇ、嘘だぁ!だって凛なんて全然リーダーに向いてないよ!」

 

「なんでだよ?」

 

「だって、ほら凛。全然中心にいるようなタイプじゃないし…」

 

そう言った凛に、

 

「んっ!」

 

真姫がチョップをした。

 

「いっててて…真姫ちゃん?」

 

「あなた、自分のことそんな風に思ってたの?」

 

「そうだよ!µ’sに脇役も中心もないよ!」

 

「グループにいる限り、みんな同じだぞ?」

 

「それはそうだけど…でも、凛は別だよ…ほら、全然アイドルっぽくないし…」

 

「それ言ったら、私だってアイドルっぽくないよ!」

 

「だって、かよちんは…可愛いし、女の子っぽいし…」

 

「それ言ったら、凛だってそうだろ?」

 

「そんな事ないぃぃぃ!!」

 

「はぁ…余程の自惚れ屋でもない限り、自分より他人の方が可愛いって思ってるもんでしょ?」

 

「違うよ!凛は違うの!」

 

「凛…」

 

「引き受けちゃったし、穂乃果ちゃん達が帰ってくるまではリーダーはやるよ?でも、向いてるなんてこと!絶対ない!」

 

「凛!」

 

そう言って、凛は走っていってしまった。

 

 

「もしかしたら、まだ昔の事…」

 

すると、花陽がそう言った。

 

「昔の事?」

 

「凛ちゃん、小学校の頃、ずっと男の子みたいって言われていて、スカートとか履いていくと、からわかわれたりして…もう気にしてないのかなって、思ってたんだけど…」

 

「そういえば、私服でスカート履いてる所、見たことないわね…」

 

「そんな事、ないのに…凛は、すっごい可愛いのにな…」

 

俺は小さく、そう呟いた…

 

 




〜次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!〜
ファッションショーでライブをする事になったµ’sだが、修学旅行に行っている2年生が帰って来れなくなった…そのため、残っている6人でライブをする事になったが、ファッションショーの会場で事件が起こってしまう…
その時、凛に新たな力が宿る!

次回、『80話 ドラゴンの戦士』



はい、今回はここまでです。凛ちゃん回は、あと2話続くと思います。そして次回、凛に宿る力とは…
評価やお気に入り登録、感想などいただけると嬉しいです!次回もよければ、見てください!


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80話 ドラゴンの戦士

はい、80話です。
今回は凛ちゃんが○○します!
では80話、スタートです!


〜前回のラブライブ!µ’sと仮面ライダーの物語!〜

蓮「優たち2年生が修学旅行に行ったため、絵里と希は生徒会のサポートをする事になり、俺たち1年生4人とにこで練習をする事になった俺たちµ’s。そんな中、穂乃果たちが帰ってくるまでのリーダーに凛が選ばれたが、自分は向いてないと言う凛…よし、今日はちゃんとあらすじ紹介出来そうだな…悪いな、初のちゃんとしたあらすじ紹介は俺だぜ、優!」ゴニョゴニョ…

 

真姫「それにしても、凛を上手く説得する方法はないかしらね…」

 

蓮「ちょっ、真姫!?今、俺があらすじ紹介を…」

 

花陽「凛ちゃんは、昔スカート履いてからかわれて可愛くないって思ってるから…」

 

蓮「はっ、花陽まで!?ちょっ、今は…」

 

花陽「あっ、そうだ真姫ちゃん!あのねあのね…」

 

真姫「何よ?」

 

花陽「凛ちゃんは、蓮くんが好きだと思うから、蓮くんに可愛いって言ってもらえたらいいんじゃないかな?」ゴニョゴニョ…

 

真姫「なるほど、良い案ね!」ゴニョゴニョ…

 

蓮「2人とも、何コソコソ言ってるんだよ?」

 

真姫 花陽「蓮(くん)!凛(ちゃん)に、可愛いって言いなさい(言って)!」

 

蓮「えっちょっ、2人とも!?急になんだよ?ちょっ、なんでジリジリ寄ってくるの!?なんか笑顔なのに怖いよ?

えぇ…せっかく、優がいない間に先にあらすじ紹介をしてやろうと思ったのに…はぁ…どうなる、80話!」

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「次こそ…次こそ勝ちます!」

 

そう言って、2枚のトランプを構える海未。

 

「えっとぉ…」

 

ことりは、海未の持ってるトランプの内、左のトランプの前に手を持ってくる。

 

「えっ…!?」

 

明らかに嫌そうな顔をする海未。

 

「こっちかなぁ?」

 

今度は、右のトランプに手を動かすことり。

 

「わぁ!」

 

そして、海未は明らかに嬉しそうな顔をする。

 

「えいっ!」

 

しかし、ことりはさっき海未が嫌そうな顔をした方のトランプ、左のトランプを取った。そのトランプは、ハートのA。

 

「やったー、あっがりー!」

「「「イェーイ!」」」

 

そして、勝ったことりと、元々勝っていた俺と穂乃果がハイタッチ。そう、俺たちがやっていたのは言うまでもなく、ババ抜きだ。しかし、海未は意外にもポーカーフェイスが出来ておらず、さっきから海未の負けばかりだ。

 

「どうして負けるのです…!」

 

 

パキッ!

 

 

さっきから負けてる事に、黒いオーラを出しながらトランプを強く握る海未。ってか、今の音なに!?明らかにトランプを握り潰しても、パキッなんてならないよね!?そのトランプって、プラスチック製なの!?いや、触った感じ絶対紙製だったはずなんだけど…

 

「そろそろ、寝た方がいいんじゃないかな?」

 

海未に怯えながらもことりがそう言った時、

 

 

コンコン カチャッ

 

 

穂乃果達の部屋の外からノック音が聞こえ、ドアが開いた。

 

「あぁ、ちょっといい?」

 

すると、入ってきたのは俺たちの担任の先生だった。

 

「どうしたんですか?」

 

先生から告げられた言葉は、俺達にとってかなりまずい事だった…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「えぇ、帰って来れない!?」

 

「そうなの、飛行機が欠航になるみたい…」

 

部室で、絵里が話した言葉に、驚きの声を上げる凛。

 

「じゃあ、ファッションショーは?」

 

「残念だけど、6人で歌うしかないわね。」

 

花陽の言葉に、そう答えた絵里。

 

「急な話ね…」

 

「でも、やるしかないでしょ!アイドルはどんな時でも、最っ高のパフォーマンスをするものよ。にこっ!」

 

「そうやね!」

 

「それで、センターなんだけど。」

 

そう言って、凛の方を見る絵里。

 

「えぇ!?」

 

 

 

そして、広い部室に移動して衣装を持つ希。その衣装は、とても綺麗なウエディングドレスだった。

 

「嘘…!?」

 

「ファッションショーだから、センターで踊る人はこの衣装でって、指定が来たのよ。」

 

「綺麗!ス・テ・キ!」

 

「女の子の憧れって感じやね。」

 

花陽と希が言ったように、男の俺でも分かるぐらい綺麗な衣装だ。

 

「これを着て、歌う…?凛が…?」

 

「穂乃果がいないとなると、今はあなたがリーダーでしょ?」

 

「これを、凛が…?ハハ…ハハハハッ、ハハハハハッ!」

 

すると、驚きのあまりか突然笑い出す凛。

 

「ちょっと、何笑ってんのよ!?」

 

「にゃぁぁっ!」

 

「凛が壊れた!?」

 

「ちょっ、どうにかしなさいよ!」

 

「あっ、野生のちんすこうが!」

 

凛…逃げようとした凛が、みんなの気を引くためにそう言った。そんなんで騙されるわけが…「どごっ!?」いや、騙されるんかいっ!

その隙に、凛は部室のドアから逃げようとした。が、

 

「なっ、鍵が!?なんでにゃ!」

 

鍵がかかってドアは開かない。そんな凛に、後ろからゆっくり近づくにこ。

 

「なんでだと思う?」

 

「さっ、さぁ?」

 

「それはいつもあなたに、捕まえられてるからよぉ!」

 

そう言って、にこが凛を捕まえようとしたが、

 

「待ちなさい!」

 

後一歩の所で、部室のドアから出ていかれてしまった…

 

 

 

「無理だよ、どう考えても似合わないもん。」

 

結局、屋上で捕まった凛がそう言った。

 

「そんな事ないわ。」

 

「そんな事ある!」

 

絵里の言葉に、すぐさま反論した凛が話し始める。

 

「だって凛、こんなに髪、短いんだよ?」

 

「ショートカットの花嫁さんなんて、いくらでもいるよ?」

 

「そうじゃなくて、こんな女の子っぽい服、凛は似合わないって話…」

 

「普段はともかく、ステージじゃスカート履いてるじゃない?」

 

「それはみんなと同じ衣装だし、端っこだから…とにかく、µ’sのためにも、凛じゃない方がいい!」

 

ああ言ってはこう返してくる凛に、俺たちも言葉が出なくなる。

 

「でも実際、衣装は穂乃果ちゃんに合わせて作ってあるから、凛ちゃんだと手直しが必要なんよね…」

 

「でしょでしょ!やっぱり凛じゃない方がいいよ!」

 

「この中で、穂乃果ちゃんに近いとなると、花陽ちゃん?」

 

「私?」

 

「そうにゃ!かよちんなら歌も上手いし、ピッタリにゃぁ!」

 

「確かに、急遽リーダーになった凛に全部任せるっていうのも、ちょっと負担をかけすぎって気もするわね…花陽、どう?」

 

絵里に聞かれ、

 

「私は…」

 

戸惑う花陽。そんな花陽に、

 

「やった方がいいにゃ!」

 

そう進める凛。

 

「でも…凛ちゃん、いいの?」

 

「いいに決まってるにゃ。」

 

笑顔のまま答える凛だが、そんな風に思っていないのだろうと分かってしまう。

 

「本当に?」

 

花陽が聞き返すが…

 

「……もちろん!」

 

結局、凛はそう答えるのに変わらない。

 

「決まりみたいね…」

 

結局、花陽がセンターで話を進めていくことになった…

 

 

 

 

 

次の日、部室で花陽が衣装の試着で花陽がウエディングドレスを着てみることになった。着替えが終わり、俺が部室に入ると花陽が綺麗なウエディングドレスを着て、

 

「うわぁ、かよちん綺麗!」

 

と、花陽をベタ褒めする凛がいた。

 

「そっ、そうかな…?」

 

「うん、やっぱりかよちんが1番似合うにゃ!かよちん、頑張ってね!凛、応援してるから!」

 

「あなたも歌うのよ?」

 

「そっか、あははは。」

 

「予想通り、ピッタリやね!」

 

「脇をちょっとだけ絞った方がいいかもしれないわね。さぁ、後はやっておくから、みんなは練習行って!」

 

「分かったにゃあ!さぁ、行くニャー!」

 

「何急に元気になってるのよ?」

 

「凛はいつも元気にゃ!」

 

にこの言葉に、そう凛が言ったが、俺にはどうしても分かってしまう…凛が、明らかに無理して元気にしている事を…

そして、部室のドアに手をかけた時、凛が花陽の方を羨ましそうに見ている。そして、花陽が凛の方を向き、凛は出ていってしまった…

 

やっぱり、凛は…だったら、俺はどうしてやれば…

 

 

 

それから、家に帰って、夕食を食べ風呂に入った俺は、自分の部屋である人物に電話をかけた。

 

『もしもし?』

 

「もしもし、優か?」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

修学旅行先のホテルで、夜電話がかかってきた。

 

「もしもし?」

 

『もしもし、優か?悪いな、こんな夜遅くに。』

 

「蓮か。いや、別にいいけど、どうしたんだ?」

 

『それが…』

 

蓮の話では、凛がセンターに推薦されたが、凛は自分が女の子らしくないし向いてないと言って断ったらしい。けど、本当はやりたいと思っているが、昔男の子っぽいとからかわれていたのを気にしてやらないと言ってるのではないか、との事らしい。

 

『なぁ、優。俺は…どうすればいいと思う?』

 

「ハハッ…アハハハハ…!」

 

『おい、優?何笑ってんだよ!俺は真剣に話してるんだぞ!』

 

「いや、悪い悪い。ここまで言っておいて、まだ気づかないのかと思うと、おかしくなっちまって。」

 

『気づかないって、何にだよ?』

 

「はぁ…お前、好きなんだろ?凛の事。」

 

『はっ、はぁ!?べっつに、好きじゃ…好きじゃねぇよ…//』

 

「そこまで動揺しといて、まだ誤魔化すつもりか?本当は自分でも気づいてるけど、自分自身を誤魔化してるんだろ?」

 

『うっ…//あぁ、そうだよ…多分、俺は凛の事が好き…だと思う…//』

 

「やっぱり、そうだろ?」

 

『はぁ…なんで他の人の事には鋭いのに、自分に対する好意とかには、あんなにも鈍感なんだよ…穂乃果達も、苦労してるんだろうな…

 

「ん、なんか言ったか?」

 

『いや、なんでもない。それで、優だったらこういう時、どうする?』

 

「俺だったら?」

 

『うん…』

 

「うーん……それは、お前自身が決めないと。」

 

『えっ?』

 

「蓮が本気で好きになったんだろ?だったら、蓮自信が決めて、しっかりと凛の事を見守ってやらないと。な?」

 

『俺自身が決める…そっか、そうだよな…よし、分かった!ありがとな、優!』

 

「こんぐらいの相談、いつでも乗ってやるよ。」

 

『お前も、なんか悩んでる事があったら、俺でよければ相談乗るから!ちゃんとみんなの気持ちに、気づいてやれよ?』

 

「みんなの気持ち?それ、どういう…」

 

 

プーッ プーッ プーッ…

 

 

俺が言い終える前に、蓮は電話を切ってしまった。

みんなの気持ちに、気づいてやれよ?って、最後の蓮の言葉は何だったんだ…?

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

俺は俺自身でどうしたいかを考えた結果、やっぱり凛にセンターをやって欲しかった。これは、自分が好きになったから特別視しているとかではなく、凛が可愛くないわけないないのに、あんなふうに自分のことを思ってるのは良くないと思ったから。

 

俺が暴走してダークネイチャーになった時も、凛がいなければ止めることは出来なかったらしい。だから、俺は凛にちゃんと自分のことを分かってほしい。凛は、優しくて可愛い女の子なんだって事を!

 

 

 

優との電話から1日が経ち、修学旅行に行ってるµ’sの2年生と、凛以外に集まってもらって、俺は凛にセンターをやってもらいたいという話をした。けど、花陽もその時同じ話をしようとしていたらしく、そしてその場にいた他のみんなもすぐに賛成してくれた。俺たちは凛には内緒で、凛がセンターで歌うように準備を始めた。

 

 

 

そして、とうとうファッションショーでのライブ当日。

今回のライブは、いつもとは違うファッションショーでのライブ。ステージにいる他の人達はみんなモデルさん。

 

「すごいね!」

 

「流石モデルね。」

 

「そっ、そうね…」

 

花陽と真姫、にこが言ったように、みんなスタイルが良く、美人な人達ばかり。まぁ、それを言うとみんなもなんだけど…そんな時、ふと俺が後ろを振り返ると、

 

「モデルなんて、そんな…」

 

「気が向いたら連絡して。」

 

いつの間にか、絵里がモデルのスカウトを受けていた。まぁ、絵里はスタイルも良いしな…モデルのスカウトぐらい、普通に受けるか。そんな感じで、ファッションショーの会場を見ていると、

 

 

ドゴォォォォォォォンッ!!!

 

 

突然、爆発音がした。

 

「何!?」

 

「もしかして、また怪物かにゃ!?」

 

突然の事に驚きながら、

 

「あの、何かあったんですか!」

 

俺は近くの人に聞いた。

 

「そっ、それが、外で怪物が!」

 

「やっぱり、財団Xか…みんなは、ここに…ってあれ!?」

 

俺がみんながいた方に振り向くと、絵里とにこと真姫…ライダーに変身出来る3人がいない。

 

「まさか…」

 

「3人とも、走って入口の方へ行っちゃった…」

 

花陽の言葉を聞いて、俺の額に冷や汗が流れた。

 

「俺も行ってくる!」

 

 

 

俺が入口の方へ行くと、仮面ライダーシグルドと仮面ライダーマリカ、そして黒影トルーパーを何体か連れて暴れていた。そして、その前にそれぞれベルトを巻いた3人が立っていた。

 

「3人とも、ここは俺に任せて下がってろ!」

 

「優がいない今、蓮1人でこの数を相手にするには厳しいでしょ?」

 

「私達も手伝ってあげるわよ。」

 

「そーよ、私達は変身出来るんだし!」

 

絵里、真姫、にこはそう言って、

 

「「「変身!」」」

 

「キャストオフ。」

『CAST OFF CHANGE BEATLE』

 

それぞれ、仮面ライダーカブト、仮面ライダーキバ、仮面ライダーファイズに変身した。

 

「ああもう!だったら俺も!変身!」

 

俺はインフィニティドライバーにネイチャーデータボトルを差し込み、仮面ライダーネイチャーに変身した。

 

「仮面ライダーネイチャー!全ての悪は、俺が倒す!」

 

『スペシャル紹介 ネイチャーソード!』

 

俺はネイチャーソードを手に取り、敵へ向かって走り出した。

 

「絵里、真姫、にこ。黒影トルーパーは任せるから、あとの2人は、危険だから俺が倒す!」

 

「「「分かったわ!」」」

 

3人は黒影トルーパーと戦い始め、俺はシグルドへネイチャーソードで斬りかかった。

 

「はぁ!」

 

しかし、シグルドの持っているソニックアローの刃で防がれてしまう。俺はすぐにもう1度剣を振り下ろすが、それも防がれてしまい、

 

「ぐはぁぁっ…!!」

シグルドに気を取られ、俺はマリカが遠距離からソニックアローで矢を放っていた事に気づかず、俺はその攻撃を受けてしまった。

 

「くっ…だったら、ロックシードにはロックシードだ!」

 

俺はネイチャーブレスから、バロンのフェイスプレートの戦極ドライバーとバナナロックシードを呼び出した。そしてインフィニティドライバーを外し、戦極ドライバーを巻き付けた。

 

「変身!」

『バナナ!』

 

俺がバナナロックシードを戦極ドライバーに取り付けると、

 

『ロックオン!〜〜〜♪♪』

 

と、ファンファーレの様な待機音声が鳴り出した。すると、俺の頭上にクラックが出現し、そこからバナナが現れた。そして、ベルトのカッティングブレードを倒した。

 

『カモン バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!』

 

すると、俺の頭上のバナナが落ちてきた。そして、そのバナナが展開し、俺は仮面ライダーバロン バナナアームズに変身した。

 

「バナナ!?」

 

「バナ…」

 

「バナにゃぁ!?」

 

「バロンだ!!」

 

後ろで見ている希、花陽、凛の言葉にそうツッコミ、俺は再びシグルドとマリカと戦い始めた。

 

バナナアームズの専用武器である、バナスピアーで2人へ斬りかかるが、今度はマリカに防がれる。しかし、そうなる事は予想通りだった俺は、ソニックアローを使ってる事で両手を防がれているマリカを蹴り、その攻撃でマリカは後ろへ飛ばされ倒れた。そして、今度はシグルドが後ろからソニックアローで斬りかかって来たため、ソニックアローを振り上げている事で隙が出来たシグルドに、俺はバナスピアーを突き刺した。

 

「まだまだ行くぜ!」

 

『マンゴー!』

 

俺はシグルドとマリカが倒れている隙に戦極ドライバーのバナナロックシードを取り外し、マンゴーロックシードを取り付けた。

 

『ロックオン!〜〜〜♪♪』

 

先程同様、ファンファーレの様な待機音声が鳴り出した。そして、今度はクラックからマンゴーが現れた。そしてカッティングブレードを倒し、

 

『カモン マンゴーアームズ!ファイト・オブ・ハンマー!』

 

今度は落ちてくる前にマンゴーが展開し、俺に落ちてきた。俺は、仮面ライダーバロン マンゴーアームズに変身した。

 

「行くぜ!はぁ!やぁぁっ!」

 

俺は起き上がってきたマリカとシグルドにマンゴーパニッシャーで攻撃を始めた。そして、マンゴーパニッシャーでのパワー重視の攻撃に怯んだシグルドの隙をついて、俺は戦極ドライバーのカッティングブレードを、2回倒した。

 

『マンゴーオーレ!』

 

そして、俺はマンゴーパニッシャーを持ちながら、グルグルと回り、ハンマー投げのようにマンゴーパニッシャーをエネルギーにして投げ飛ばした。

 

「ぐはぁぁぁぁぁっ!!」

 

その攻撃により、シグルドは爆発して、その場にゲネシスドライバーとチェリーエナジーロックシードだけが落ちた。

 

「やっぱり、エネルギー体だったか…って、うぉ!?ふぅ、危なかった…そっか、マリカが残ってたな…」

 

俺はもう1人の敵、マリカが攻撃してきたのを間一髪で避けた。そして、マリカは次々とソニックアローで斬撃を繰り出してくる。

 

「ぐっ…」

 

俺はマンゴーパニッシャーで防ごうとするが、間に合わずに攻撃を受けてしまった。

 

「やっぱり、戦極ドライバーじゃ限界か…だったら!」

 

俺はシグルドが落としたゲネシスドライバーを取り、戦極ドライバーを外してゲネシスドライバーを腰に巻いた。そして、ネイチャーブレスからレモンエナジーロックシードを呼び出した。

 

「変身!」

 

『レモンエナジー!』

 

ゲネシスドライバーにレモンエナジーロックシードを取り付けると、

 

『ロック オン!』

 

クラックから、今度はレモンが出現した。そして、ベルトの右側のハンドルシーボルコンプレッサーを押し込んだ。

 

『ソーダー!ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイファファファファファイッ!』

 

すると、マンゴー同様、展開してから、俺に落ちてきた。そして俺は、仮面ライダーバロン レモンエナジーアームズに変身した。

 

「第2ラウンドだ!」

 

俺はソニックアローをマリカへ振り下ろし、マリカもそれをソニックアローで防ぐ。2つのソニックアローがぶつかり合い、火花がちる。

 

「はぁっ!おらぁっ!てやぁ!」

 

しかし、先程までとは違い俺もゲネシスドライバーを使っているため、後はお互いの実力の差。俺がエネルギー体ごときに負ける訳もなく、マリカは俺の攻撃に怯んだ。

 

「これで終わりだ!」

 

俺はゲネシスドライバーのハンドルシーボルコンプレッサーを1度押し込んだ。

 

『レモンエナジースカッシュ!』

 

すると、ソニックアローにだんだんと力がチャージされていき、

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

マリカへ斬りかかった。すると、マリカは爆発し、シグルド同様、ゲネシスドライバーとピーチエナジーロックシードだけが落ちた。俺はそれを拾って、黒影トルーパーと戦っていた3人の方を見た。すると、3人もちょうど黒影トルーパーを全体倒していた。

 

 

俺は3人の方へ向かい、

 

「3人とも、大丈夫か?」

 

と、聞いた。

 

「えぇ。」

 

「このぐらい、どうってことないわよ。」

 

「余裕よ。」

 

絵里、にこ、真姫がそれぞれそう言った。しかし、その時、

 

「そうか、それなら良か…ぐはぁぁっ!?」

 

「「「きゃあ!?」」」

 

俺は何者かの高速移動の攻撃を受け、変身していた他の3人もその高速移動の風を受け、俺達は変身が解けて倒れてしまった。

 

「くっ…なんだ!?」

 

すると、俺達の前に現れたのは…

 

「またお前かよ…ダークインフィニティ!」

 

優が変身するインフィニティの黒バージョン。優は敵か分からないとか言っていたけど、奴は敵だ。

 

「宮崎、蓮…お前を、倒す!」

 

いつもより低い声でそう言ったダークインフィニティは、俺に攻撃をしてくる。間一髪で俺は避けたが、今日のダークインフィニティはいつもと違う。いつもより速く、強い攻撃をしてくるダークインフィニティに困惑していると、

 

「はぁぁぁっ!」

 

ダークインフィニティが持っている、優のインフィニティソードの黒バージョンの剣で斬りかかってきた。俺はギリギリで避けるも、バランスを崩して倒れてしまう。そんな俺にダークインフィニティは近づき、剣を振り上げる。

 

「宮崎蓮…お前を…お前を、倒す!はぁぁぁぁぁぁっ!」

 

ダークインフィニティは何故か1度躊躇しながら、剣を振り下ろしてきた。やべぇ…また、俺は死んじまうのか…?

俺が諦めかけた時、

 

ザッ…!!

 

「やめて!!」

 

俺の前に、そう叫びながら凛が手を広げ、俺を庇うように走ってきた。

 

「凛!?ダメだ、離れろ!!」

 

ダークインフィニティは剣を振り下ろすのをやめず、凛が剣で斬られる…と思ったが、ダークインフィニティは剣を振り下ろすのをやめた。

 

「おい、どけ…俺は宮崎蓮を……殺す。死にたくなけりゃ、お前はどいてろ!」

 

「嫌!!蓮くんは、凛にとって大事な人なんだにゃ!凛は、変身は出来ないけど…それでも、凛の大事な人を傷つけるなら、凛は戦う!!」

 

その時、凛から光が出てきた。

 

 

まさか、これって…!!?

俺の予想通り、光が晴れると…

 

 

凛の腰には、オルタリング…仮面ライダーアギトに変身するためのベルトが、巻かれていた…

 

 

 




〜次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!〜
仮面ライダーアギトに変身する力を手に入れた凛。凛は蓮と共に、ダークインフィニティと戦い始める。
そして、ファッションショーでのライブは、本来花陽の着るはずのウェディングドレスが、凛の更衣室に…ファッションショーでのライブで、凛はどんな決意をするのだろうか…

次回、『81話 1番可愛い私たち』



どうでしたか?今回は長くなってしまいましたね。まさかの8000文字越え…
そして、凛ちゃんがアギトの力を…タイトルの『ドラゴンの戦士』は、龍騎の龍と被ってしまいますが、2つともモチーフが龍だったので、『龍』と『ドラゴン』に分けました。

では、次回も良ければ、見てください。感想や評価、お気に入り登録もお待ちしております!


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81話 1番可愛い私たち

はい、81話です。
とうとう、UAが2万を突破しました!いつも見てくださってる皆様、本当にありがとうございます!
そして、少し投稿期間が空いてしまい、すみません…次回は、出来るだけ早く投稿出来るよう頑張ります!

あと、今回のあらすじ紹介は、前回中途半端なところで終わったので、おやすみです。
では81話、スタートです!



「嫌!!蓮くんは、凛にとって大事な人なんだにゃ!凛は、変身は出来ないけど…それでも、凛の大事な人を傷つけられるなら、私は戦う!!」

 

ダークインフィニティの攻撃を受けそうになった俺の前に、俺を庇うように立ち、そう言った凛。その時、凛の腰から光が出てきた。

 

その光が晴れると、凛の腰にはオルタリング…仮面ライダーアギトに変身するためのベルトが巻かれていた。

 

「これは…?」

 

「マジかよ…凛まで、変身者の資格があるのかよ…」

 

「ってことは、凛も仮面ライダーになれるの!?」

 

俺の言葉を聞いた凛が、勢い良く聞いてくる。

 

「それは、そうだけど…」

 

「そうだけど?」

 

どう話すべきか迷っていると、凛が聞き返してきた。

 

「凛…凛がさっき俺に言ってくれたように、俺も、凛の事を本当に大切な人だと思ってる。だからこそ、俺は凛を危険な目に合わせたくない。でも、最終的に決めるのは、凛だと思うから。俺は、凛のやりたいようにやってほしい。」

 

「そっか。ごめんね、蓮くん。凛は仮面ライダーになる!蓮くんや優くんみたいに、いろんな人を守るために戦うのは難しいかもしれないけど、凛は大切な人を守るために、戦いたいにゃ!」

 

「そっか。分かったよ。ただ、みんなと同じで危険な目に合うようなことは避けるようにしろよ?」

 

「分かった!」

 

「いつまで、話をしている…宮崎蓮。お前を、ぶっ殺す!」

 

俺達が話していることに痺れを切らしたダークインフィニティが、そう言ってきた。

 

「悪いな、お前に俺は殺せない。凛、行くぜ!」

 

「うん!行っくにゃー!」

 

俺はインフィニティドライバーにサンダーデータボトルを入れた。

 

「「変身!」」

 

そして俺は、仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに、凛は仮面ライダーアギト グランドフォームに変身した。

 

変身した俺達は、ダークインフィニティへと走り出した。

 

「はぁっ!やぁ!おらぁっ!」「にゃっ!にゃあ!にゃぁぁっ!」

 

俺と凛は、息を合わせてダークインフィニティへ同時攻撃。そして、

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!」「にゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

最後に同時キックを放ち、ダークインフィニティは防ぎきれずによろけてた。

 

「凛、一緒に決めるぜ!」

 

「うん!」

 

俺はアタックバックルにカードを入れた。

 

『スペシャルアタック!ネイチャーストライク!』

 

そして、凛は角のクロスホーンを展開させた。すると、凛の立っている所の下にアギトの紋章が現れた。俺と凛は同時にジャンプし、

 

「「はぁぁぁぁぁぁっ!(にゃぁぁぁぁぁぁっ!)」」

 

立ち上がったダークインフィニティに、キックを放った。

 

「ふぅ…やったか?」

 

着地した俺と凛は、爆発したダークインフィニティがいた所に振り返った。

 

「くっ…次は、必ず倒す…!宮崎蓮!」

 

『スペシャルアタック!クロックアップ!』

 

「あっ、待て!!」

 

クロックアップを使って、ダークインフィニティは去っていった…

 

「仕留められなかったか…しぶといやつだぜ…」

 

「でも、ひとまずやったね!蓮くん!」

 

「あぁ!」

 

「あのぉ、喜んでる所で悪いんやけど…」

 

「そろそろ戻って、準備しないと時間が…」

 

希と花陽の言葉で時計を見ると、ライブ30分前。着替えや準備、最終確認をするならそろそろ戻らないと…

 

「やべっ…よし、戻るか!」

 

それにしても、なんかダークインフィニティがいつもの感じと違ったな…なんで今回は、いつも以上に俺を倒しに来てたんだ?まぁ、敵の考えてることなんて、分からないか…

 

 

 

「じゃあみんな!着替えて最後にもう1度、踊りを合わせるにゃ!」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

ライブ会場に戻ると、会場内には爆発音は聞こえておらず、通常通りファッションショーが行われていた。

 

 

 

そして、凛の指示で全員が着替え始め、凛も自分の衣装がある着替え場所に向かった。いつもなら、みんなが着替えてる間は俺と優は外で待っているが、今回は1人1人着替えるための部屋があるため、俺は控え室で待っている。

 

「あっ!」

 

凛が自分の衣装がかけている所を見ると、そこには花陽が着るはずのウェディングドレスがあるのを見て、驚いている。

 

「えっ、あれ?かよちん、間違って…あっ…!」

 

凛が振り返ると、本来は凛が着るはずの衣装を着ている花陽と、同じ衣装を着ている真姫、絵里、希、にこが立っていた。

 

「間違ってないよ。」

 

「あなたがそれを着るのよ、凛。」

 

花陽と真姫の言葉に、凛の戸惑いは増していく。

 

「何言ってるの?センターはかよちんで決まったでしょ?それで練習もしてきたし…」

 

「大丈夫よ。ちゃんと今朝、みんなで合わせてきたから。凛がセンターで歌うように。」

 

絵里の言葉に、

 

「そんな…冗談はやめてよ…」

 

凛がそう言うが、

 

「冗談で言ってると思う?」

 

真剣な顔のにこがそう言い、希も優しい笑顔を見せる。

 

「でっ、でも…」

 

「凛ちゃん。私ね、凛ちゃんの気持ち考えて、困ってるだろうなって思って、引き受けたの…でも、思い出したよ。私がµ’sに入る時、凛ちゃんと真姫ちゃんが背中を押してくれたこと。今度は私の番。凛ちゃんは、可愛いよ。」

 

「えっ?」

 

「みんな言ってたわよ。µ’sで1番女の子っぽいのは、凛かもしれないって。」

 

「そんな事…」

 

花陽と真姫にそう言われても、まだ迷い続けている凛。そんな凛に、

 

「そんな事ある!だって、私が可愛いって思ってるもん!抱きしめちゃいたいって思うぐらい、可愛いって思ってるもん!」

 

普段大人しい花陽が、アイドルの事を語る時ぐらい…いや、それ以上の大きくハキハキした声で、そう言った。

 

「はぁっ…//」

「あっ…//」

 

お互いに、自分が何を言ったか、何を言われたかに気づき照れながら顔を赤く染める。

 

「花陽の気持ちも分かるわ。見てみなさいよ、あの衣装。1番似合うわよ、凛が。」

 

そう言った真姫は、花陽と一緒に凛の後ろに立って、そっと凛の背中を押した。

 

親友2人からの応援があって、凛はとうとうセンターで歌う事を決意し、ウェディングドレスの衣装に着替えた。

 

 

そして、ライブ直前になってステージ裏までやって来た。

 

「ねっ、ねぇ、蓮くん。」

 

「どうした?」

 

ライブ前に、凛が俺に話しかけてきた。

 

「あのさ…蓮くんは、凛の事可愛いと思う?」

 

「何言ってんだよ。そんなの、決まってるだろ?」

 

「えっ?」

 

「可愛いに決まってる。凛は、俺が出会った人の中で…いや、世界中の誰よりも…いや、次元を超えたどんな人よりも、今の凛は輝いてる!だから、自信もって行ってこい!」

 

「えっ…///うっ、うん!行ってくるにゃ!」

 

「あぁ!」

 

そう言って、凛達はステージへと上がって行った。やべぇ、今すっげぇ恥ずかしい事言ってたな、俺…//

 

その時、花陽が近づいてきて俺の耳元でコソッと話してきた。

 

「今日のライブは、私達が凛ちゃんの花婿さん役だけど、未来の結婚式では、蓮くんが凛ちゃんの花婿さんになってあげてね!」

 

「えっ…//えぇ!?けっ、結婚…!?」

 

そう言って、花陽もステージ上がって行った。花陽があんな事言うなんて、予想外だったけど…いつか、そうなる日が来たらいいなと、そっと願った俺であった。

 

 

 

あっ、その前に凛を振り向かせるのが先だな…いつか、凛も俺の事を好きになってくれる日が来たらいいな…やべっ、そう思うと怖くなってきた…←(最後の最後に、超鈍感発揮する蓮であった…)

 

 

「初めまして、音ノ木坂学院スクールアイドル、µ’sです。」

凛がステージに上がって、そう言った。すると、

 

 

わぁぁっ!可愛い!!綺麗!!

 

 

などと、歓声が上がる。

 

「えっ、いや…//えへへっ…//」

 

その事に、凛も更に笑顔になった。

 

「ありがとうございます。えっと…本来、メンバーは9人なんですが、今日は都合により6人で歌わせていただきます。でと、残り3人の想いも込めて歌います。それでは!」

 

 

 

「1番可愛い私たちを、見ていってください!!」

 

 

 

 

 

Love wing bell/µ’s

 

 

 

 

 

無事、ライブは大成功したのだった…

 

 

 

その後、最後に晴れて沖縄を満喫した優達4人も、無事に帰ってきた。まぁ、穂乃果は生徒会の事で絵里に注意を受けていたが…

 

そして、次の練習日。なんと、凛はスカートの練習着を着てきたのだった!

 

「よーし!さぁ今日も練習、行っくにゃー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

あっ、そういえば、野生のちんすこうって、結局なんだったんだ…?

 

 

 

 

 

〜おまけ〜

 

「ねぇ、花陽。今、私の最大の疑問を言っていいかしら?」

 

「うん。多分、私も真姫ちゃんと同じ事を思ってると思うよ。」

 

「「なんで、あそこまで言われて2人は、お互いの好意に気づかないの(よ)!?」」

 

「凛ちゃんが変身した時なんて、大切な人とか言ってたよね!」

 

「えぇ、ライブ前なんて次元を超えた誰よりも輝いてるとか、言ってたわよ!あんなのプロポーズと一緒じゃないの!µ’sのマネージャー2人の鈍感さは尋常じゃないと思ってたけど、凛もかなりの鈍感さね…」

 

「見てるこっちがモヤモヤするよね…」

 

「えぇ…あの2人、ちゃんとくっつくのかしら…」

 

 

親友の恋の行方が心配になる2人であった…

 

 




今回はアイテム紹介と次回予告はおやすみです。

そして今回、とうとう凛ちゃんまで変身し、凛ちゃんと蓮との距離も近づきましたね。

お気に入り登録、感想、評価など頂けると嬉しいです!では、次回もよければ見てください!


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82話 トランプの戦士

はい、82話です。
3週間ぶりの投稿…遅くなってしまい、本当にすみません…
今回からオリジナルに入ります。ちょっと長めかも知れません。
では82話、スタートです!


〜前回のラブライブ!µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

蓮「ダークインフィニティにトドメの一撃を刺されそうになった俺を庇った凛が、仮面ライダーアギトに変身した。そして共にダークインフィニティを倒し、さらにライブでは凛がセンターを務める事が出来た!」

 

凛「凛もこれからは、蓮くん達の力になれるように戦うにゃー!」

 

蓮「凛、いつの間に!?」

 

凛「蓮くん、なんか、顔赤くないかにゃ?どうかしたの?」

 

蓮「いっ、いやっ、なんでもねぇぞ!うん、なんでもない…(なんか、改めて好きって自覚すると、恥ずかしくて凛の顔が見れない…//)」

 

凛「えぇ、絶対何か隠してるにゃ!白状するにゃぁ!」

 

蓮「凛!ストップストップ、まだあらすじ紹介の途中なんだけど!」

 

凛「そんなの関係ないにゃ!白状するにゃ!」

 

優「えぇっと、イチャついてる2人はほっといて…どうなる、82話!はぁ…いつになったらちゃんとあらすじ紹介が出来る日が来るんだよ…」

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

『今日からこの学校に転入する、──さんだ。』

『よろしく…お願いします…』

『俺は仮野優。よろしくな、──さん!』

『…』

『──さん?』

 

 

『優くん、私…優くんの事…ううん、なんでもない…バイバイ、優くん。』

『─…またな!』

『ッ…!うん、またね!』

 

 

 

 

 

 

バサッ…!

 

 

「……夢、か…?」

 

夢から飛び起きた俺は、数秒間考えた後、今自分が夢を見ていたことに気がついた。

 

俺が見た夢は、俺が…いや、この世界にいた方の転生する前の俺の夢だった。と、思う。あれは、俺が…この世界から元々いた仮野優が、小学生の頃の夢だろう…

 

「もしかして、この世界に元々いた俺の記憶が、戻りかけてる…?」

 

そんな事を考えながら、俺は自分の部屋を出て、キッチンへと向かった。

 

 

コンッコンッ パカッ

ジュー…

 

 

卵を割り、フライパンの上で焼いて、目玉焼きを作る。俺は朝食の準備を進めていく。

 

「おはよ、優くん。」

 

「姉ちゃん、おはよ。朝食ももうすぐ出来るから、そろそろ優奈を起こしてきてくれないか?」

 

「分かったわ。」

 

時刻は7時前、今日は土曜で学校は休み。スクールアイドルの練習は午後からのため、午前はゆっくり出来る日だ。今日の朝は姉ちゃんもゆっくりする事ができるらしく、人間界の俺の家にいる。そして、まだぐっすりと夢の中にいる優奈を起こしに行ってもらった。

 

 

 

「お兄ちゃん、おはよ…」

まだ眠そうに、目を擦りながら優奈が起きてきた。

 

「おはよ、ご飯できたぞ。」

 

「うん、ありがとう…」

 

「ほら、顔洗ってシャキッとしてから食べた方がいいぞ。」

 

「はーい…」

そう言って、優奈は洗面台へと向かっていった。

 

 

「優奈の朝が弱いのは、本当に直らないな。」

 

俺はそう思いながら、テーブルに3人分の朝食を並べた。

 

「いっただきまーす!」

「「いただきます。」」

 

優奈は顔を洗うと一気に目が覚めたようでハイテンションで、俺と姉ちゃんは普段通りそう言って、朝食を食べ始めた。

 

 

「そういえば、お兄ちゃん。µ’sの練習はどう?次の最終予選を勝てば、ラブライブ出場でしょ?」

 

朝食を食べて最中、優奈が聞いてきた。

 

「あぁ、みんな頑張ってるよ。次はA‐RISEと戦うことになるからな。それに、新しいマネージャーも加入したし。」

 

「えっ、お兄ちゃん以外のマネージャーが出来たの?」

 

「そういえば、優奈は会ったことないんだっけ。そいつは俺と同じで、µ’sのマネージャーであり音ノ木坂学院の共学化試験生で、さらに仮面ライダーに変身するやつなんだ。」

 

「へぇ。お兄ちゃんとそこまで同じって事は、転生者でもあるの?」

 

「あぁ、あいつも転生者だ。」

 

優奈が俺達が本当の兄妹じゃない事や、転生者である事を知ってから、こういう会話も出来るようになった。

 

 

 

そんな会話をしながら、俺達は朝食を食べ終えた。その後、優奈は雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんと遊びに行くらしく、出かけていった。

 

「なぁ、姉ちゃん。」

 

「どうしたの?」

 

「俺、今日夢を見てたんだけど、それが俺の…転生する前からこの世界にいた仮野優の過去の記憶に関する夢だったんだ。」

 

「夢…?」

 

「やっぱり、俺の記憶が戻り始めてるのか?」

 

「えっ、えぇ…そうかも、しれないわね…」

 

「姉ちゃん…?」

 

姉ちゃんの言葉が、いつもより暗く聞こえた俺は、少し疑問になって姉ちゃんの名を呼んだ。

 

「ううん、なんでもない。そろそろ天界に行くわね、いろいろ調べる事もあるし。」

 

「あっ、あぁ…分かった、いってらっしゃい。」

 

「うん、いってきます。」

 

姉ちゃんはさっきの話から逃げるように、天界へと向かっていった。

 

「あっ、俺も練習の準備しないとな。」

 

それからしばらくして、俺も音ノ木坂学院の屋上へµ’sの練習へ向かった。

 

 

 

「よし!だいぶいい感じになってきたな。今日はこれぐらいにしよう。」

 

µ’sの練習を前で見ていた俺はそう言って、今日の練習を終えることにした。

 

みんなは広い部室の方で着替え始め、俺と蓮はにこのアイドルグッズなどが置いてある方の部室で待っている。

 

「蓮、花陽の方は頼んだ。」

 

「了解。優は希の方を頼む。」

 

「あぁ。」

 

俺と蓮が何故こんな会話をしているか、それはまだµ’sの中で仮面ライダーに変身していない希と花陽。その2人も変身する可能性が高い今、出来るだけ俺か蓮がついていた方がいいと思ったから。

 

そして、今日は希が部室の鍵を返しに行く当番であるため、希が別行動をとる事になると思い、俺は希を、蓮が花陽についておこうと思っているのだ。ちなみに、みんなには内緒で。

 

 

 

「おまたせ〜」

 

着替えを終えた穂乃果達が、俺達がいた方の部室へと戻ってきた。それぞれが帰り支度を初め、帰ろうとしている。

 

「今日は、ウチが職員室まで鍵を持って行く番やね。」

 

「あっ、じゃあ俺もついて行くよ。」

 

「えっ、優くん?ウチ1人でも大丈夫やけど…」

 

希は俺の突然の申し出に戸惑っているようだ。

 

「えっと…俺もちょっと、職員室に用があるからさ。」

 

俺はそう誤魔化し、他のみんなと一緒に部室から出ていった。

 

 

コンコンコン

 

 

「失礼します。」

 

 

「失礼しました。」

 

希は職員室で鍵を返して戻ってきた。

 

「じゃあ、そろそろ帰ろうか。」

 

「あれ?優くんもなんか用事があったんとちゃうん?」

 

「あっ…えっと、ちょっと勘違いしてたみたいで、今日の用事じゃなかったみたいだって。あはは…」

 

俺はかなり無理のある言い訳を言って、希と帰り始めた。

 

 

 

「優くん。やっぱり、ウチになんか隠しとるんとちゃう?いくらなんでも、さっきの言い訳は無理があるよ。」

 

「だよな…」

 

案の定、希に誤魔化している事がバレていたのに、俺は苦笑い。

 

「もしかして、ウチが仮面ライダーに変身するかもって思っとるん?」

 

「えっ!?なんでそれを…あっ…」

 

校門を出たところでそう言ってきた希に驚き、つい俺は口を滑らせてしまった。

 

「やっぱり、そうやったんやね。凛ちゃんまで変身しちゃってウチももしかしたらって思った時に、優くんがウチに着いてきたからね。なんとなく、そう思ったけど、当たったんやね。」

 

「ほんと、希には敵わないな…そうだよ、希も仮面ライダーに変身する可能性があるから、俺が一応ついておこうと思ったんだよ。それで、蓮には花陽についてもらってる。」

 

「そっか。なら、ウチがこれを使えるようになるのは、今日なんかもね。」

 

そう言って、希は鞄からあるものを取り出して、手に持った。

 

「ブレイバックル!?なんでそれを…」

 

「えりちが白い服の人から、カブトのベルトを貰ったって言ってたのは優くんも聞いてるんやろ?」

 

「あぁ。」

 

「実は、偶然ウチがそんなえりちを見かけて、こっそり見てたんよ。それで、白い服の人とえりちが話した後、こっそり見てた事に気づいてた白い服の人が、ウチのとこに来て、ウチにこれを渡していったんよ。」

 

「なるほど…絵里に渡した時、希にもライダーのアイテムを渡していっていたのか…何を考えてるんだ、財団Xのやつらは…」

 

「その時、白い服の人がウチにこう言ったんよ。『運命の時が来たら、これを使えるようになる。』って。それに、これを貰った時に使えるか試したんやけど、やっぱり使えなかったんよ…だから、前にウチが拐われた時も変身して戦う事が出来なかったんよ。」

 

「そういう事だったのか…それに運命の時?胡散臭いセリフだな…とにかく、そいつに会えれば話は早いんだけどな… 」

 

「そうやね…」

 

「あなた達が探しているのは、私の事ですか?」

財団Xの謎の行動に悩んでいる俺達の前に、白い服の男が俺達の前に現れ、そう言ってきた。

 

「その白服を着てるってことは、財団Xだな?」

 

「優くん!ウチやえりちにベルトを渡してきた人、この人や。」

 

「えっ、こいつが…」

 

希の言葉を聞いて俺は驚きながらも、その男と話し始める。

 

「お前の目的はなんなんだ?なんで、希と絵里にコピーライダーシステムを渡した?」

 

「あなた達が知る必要はありません。今は、ね。」

 

今は?

 

「私はこれで失礼します。」

 

そう言って、男は去ろうとする。

 

「悪いが、力ずくでも答えてもらう!」

 

俺は走り出して、財団Xの男に殴りかかった。しかし、それを財団Xの男はいとも簡単に避けてきた。

 

「財団Xの幹部であるこの私に、そう簡単に攻撃が当たると思わないでください。私は財団Xの幹部、グラスです。」

 

「幹部…アデュサやエアスの時と同じって事か…」

 

「フッ、私はアデュサやエアスとは違いますよ?私はあの方達よりも格段に強い。仮面ライダーに負けた、あの方達と比べるのはやめて頂きたい。」

 

「あいつらより強いのか知らねぇけど、さっさと話してもらおうか?」

 

「あなたの相手は、私ではありません。」

 

グラスがそう言うと、俺に向かって後ろから槍が飛んできた。

 

「うおっと!?」

 

それを間一髪で避けた俺は、槍が飛んできた後ろを振り返るが、誰もいない。俺はもう1度グラスの方へ向きなおる。

 

「誰だ、あんたら!?」

 

いつの間にか、女の人が2人立っていた。1人は槍を持ち、もう1人は何も持っていない。恐らく、何も持っていない方の人が俺に槍を投げてきた本人だろう…

 

「あなたの相手は、この方達で十分です。」

 

グラスがそう言うと、2人の女の人は黒いデータボトルを取り出した。そして、女の人は手首に巻き付けている物にデータボトルが入る場所があり、そこにデータボトルを入れた。すると…

 

「何!?姿を、変えた…?」

 

2人の女の人は、同じ姿の怪人へと姿を変えた。

 

「どういう事だ…?ドーパントでもグリードでも、ゾディアーツでもない…俺が知ってる敵では、ない…」

 

 

「これは、あなたが使っているデータボトルをベルト無しで、デビュラーブレスというブレスレットで使えるように改良したもの。

 

その名も『デビュラー』…

 

今は2人とも同じ姿ですが、中にはさらに強いものまでいます。ですが、彼女達が量産型のデビュラーだからといって、弱いわけではない。いえ、むしろこれまであなたが戦ってきた敵よりも、強いですよ。」

 

 

グラスの言葉に、俺は少し冷や汗を流す。そしてグラスが話している間に、槍を持っていない方のデビュラーが落ちている槍を拾った。

 

「希は下がってろ。」

 

「うっ、うん。気をつけてね。」

 

俺はインフィニティブレスから、ゴーストドライバーとオレゴーストアイコンを取り出した。

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

「変身!」

 

 

『カイガン!オレ レッツゴー 覚悟 ゴゴゴゴースト!』

 

 

「命、燃やすぜ!」

 

俺は仮面ライダーゴースト オレ魂に変身した。そして俺は、ガンガンセイバー ブレードモードで2体のデビュラーに斬りかかった。

 

「はぁっ!やぁ!」

 

しかし、俺の攻撃はデビュラーにいとも簡単に避けられてしまう。

 

「だったら!」

 

俺はゴーストドライバーのオレゴーストアイコンを取り外し、ロビンゴーストアイコンに変えた。

 

 

『カイガン!ロビン・フッド!ハロー アロー 森で会おう!』

 

 

俺は仮面ライダーゴースト ロビン魂に姿を変えた。そして、ガンガンセイバーにコンドルデンワーを合体させ、ガンガンセイバー アローモードに変形させた。

 

「はぁ!」

 

俺は少し離れた所から矢を飛ばした。しかし、デビュラーの持ってる槍ではじかれてしまう。

 

「だったら!」

 

俺はゴーストドライバーからロビンゴーストアイコンを取り外し、ベートーベンアイコンを入れた。

 

 

『カイガン!ベートーベン!曲名 運命 ジャジャジャジャーン!』

 

 

俺が指揮者のように手を動かすと、ピアノの音色が聴こえてきた。そしてその音色をエネルギーに変えて、デビュラーへと攻撃する。が、デビュラーはエネルギーを跳ね返して俺がダメージを受けてしまった。

 

「くっ…遠距離攻撃がダメなら…!」

 

俺はまたアイコンを変え、

 

 

『カイガン!アニキ ムキムキ 仁王立ち!』

 

 

俺は仮面ライダーゴースト ベンケイ魂に変身した。俺はガンガンセイバー ハンマーモードを取り出し、

 

「はぁぁぁ!」

 

1体のデビュラーへ振り下ろして、今度は接近戦で戦い始めた。しかし…

 

「グァァァァ…!!」

 

「優くん!!?」

 

俺はもう1体のデビュラーの槍の攻撃を受け、変身が解けて倒れてしまう。

 

「こいつら、今まで戦ってきた怪人達とは、格が違う…」

 

「このタイプの怪人、あなたも1度見た事があるでしょう?」

 

「何?……まさか、アデュサ!?」

 

「そう、彼女もデビュラーだったのです。あなたのデータボトルもそうですが、このデビュラーボトルはある並行世界のある兵器をモデルに作ったのです。」

 

並行世界…?

 

「さぁ、あなたもこれで終わりです。やりなさい。」

 

グラスのその言葉で、1体のデビュラーが俺の首元に槍を突き出してきた。

 

「やめて!!」

 

やべぇ…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 希〜

 

「やめて!!」

 

優くんの首元に槍を突き出している怪物に向かって、ウチは出せる最大限の大声で叫んだ。けど、怪物は辞める様子は全くない。今、優くんを助けるには…

 

「ウチが、これを使えたら…!」

 

ウチはブレイバックルを腰に巻き付けた。

 

「変身!」

 

ウチはブレイバックルのターンアップハンドルを回転させ、仮面ライダーブレイドに変身…出来なかった…

 

「やっぱり、ウチにはまだ…ううん、諦めたらダメや!ウチは…ううん、私は何度も優くんに助けられてる…だから、今度は私が優くんを守りたい!!」

 

その時、ブレイバックルから光が出た。

 

「これは…」

 

光が止むと、ブレイバックルが回転する前の状態、カードが見えた状態に戻っていた。

 

「今なら、変身出来る!」

 

 

「変身!!」

 

 

ウチはもう1度、ブレイバックルのターンアップハンドルを回した。

 

 

『turn up』

 

 

そしてウチは、仮面ライダーブレイドに変身した…

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「それでは、さようなら。仮面ライダーインフィニティ。」

 

グラスのその言葉を合図に、デビュラーの1体が俺の首元にある槍を少し上げ、俺に刺そうとする。俺は槍が刺さると思い、目をつぶった。

 

 

カキンッ!

 

 

しかし、槍は俺に当たらなかった。俺が目を開けると、仮面ライダーブレイドがブレイラウザーで、デビュラーの槍を防いでいた。

 

「まさか、希!?」

 

「優くん、大丈夫?」

 

「希…なんで、お前…」

 

「ウチは、優くんに助けてもらうだけなのは嫌なんよ。だから、ウチも戦う!優くんがいくら止めても、ウチはもう戦うって決めた!!」

 

「希…分かったよ。じゃあ、一緒に戦ってくれるか?」

 

「もちろん!」

 

「変身!」

 

そして俺は、仮面ライダーインフィニティに変身した。

 

「俺の…いや、俺たちの強さは次元を超えるぜ!」

 

俺と希は、それぞれ1体ずつデビュラーと戦い始めた。

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

俺はインフィニティソードを呼び出し、デビュラーへ斬り掛かる。

 

「はぁっ!おらぁっ!」

 

デビュラーは先程とは違い、俺の攻撃でダメージを受けている。そして俺は、インフィニティソードにゴーストデータボトルを入れた。

 

『ゴースト!ライダー 大開眼!』

 

「はぁぁぁっ!」

 

デビュラーはその攻撃の影響でダメージを受け、後ろへと下がる。するとそこには、希と戦っていたデビュラーも下がってきていた。希も、やったんだな…

 

「よし、希。決めるぞ!」

 

「うん!」

 

『キック』

『サンダー』

『マッハ』

 

『ライトニングソニック』

 

『スペシャルアタック インフィニティストライク!』

 

俺はインフィニティバックルにカードを入れ、希はブレイラウザーにカードをスキャンさせた。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

そして俺は仮面ライダーインフィニティの必殺技『インフィニティストライク』を、希は仮面ライダーブレイドの必殺技『ライトニングソニック』を放ち、2体のデビュラーは爆発して消えた。

 

 

「クッ…何故です…インフィニティやブレイドごときに、デビュラーが負けるなど…」

 

「さてと、グラス。話してもらうぞ、なんで希と絵里にライダーのベルトを渡した?」

 

「言ったでしょう…あなた達が今知ることじゃないと…今日のところは、引くとしましょう…」

 

「あっ、待て!」

 

そうして、グラスは一瞬でどこかへと消えてしまった…

 

「逃げられたか…希、怪我とかないか?」

 

「ウチは大丈夫。」

 

「そっか、良かった。とりあえず、今日のところは帰ろう。もう遅いし。」

 

「そうやね。」

 

そして、俺は希を送ってから帰っていった。

 

 

 

これで、µ’s9人中花陽以外が変身してる…多分、花陽もこのままだと仮面ライダーに…けど、絵里や希にライダーシステムを私財団Xの狙いが、全く分からない…敵を増やして、財団Xに得はあるのか…

 

 

あと、もう1つ気になった事がある。希がブレイドに変身する前、少しの間、いつもの関西弁じゃなく、普通の言葉で話していた。

 

そんな希を、俺は何故か懐かしく思っていた…

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

東條希が仮面ライダーブレイドに変身した日の夜、夜空の星に混ざって黄色い玉が浮いている。

 

『ったく、誰もいねぇし、ここがどこかはわかんねぇし…ここはどこだぁー!亀ー、熊ー、小僧ー、良太郎ー!!どこにいるんだぁ!』

 

その黄色い玉は、そう叫んでまたどこかへと飛んでいった…

 




〜次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!〜
希が仮面ライダーブレイドに変身した翌日。花陽以外のµ’sメンバーが変身したため、花陽にも何か異変が起こるのかと心配した俺。そんな俺の嫌な予感は当たり、花陽にある怪人が憑依してしまう…

次回、『83話 イマジン、参上!?』



ライダーアイテム、紹介コーナー!

『ホークアニマル』
鷹がモチーフのメカアニマル。財団Xを探すため街をパトロールしたりするのが主な役目。鷹がモチーフのため、空からの探索が得意。このメカアニマルは、優自身が開発した物。それを女神である優香が、アタックバックルで呼び出せるように召喚カードに変換した。

『シャークアニマル』
サメがモチーフのメカアニマル。ホークアニマルと同様、街のパトロールが主な役目。サメがモチーフのため、水中の探索が得意。普段は空を飛んで活動している。シャークアニマルも優自身が開発し、優香が召喚カードに変換した。



はい、今回はここまでです。やっぱり、オリジナルは難しい…読みにくい分も多かったと思います。すみません…
そして、次回もオリジナルです。次回予告の通り、花陽の身に異変が…

あと、昨日『劇場版 仮面ライダービルド Be The One』を見てきました!すごく面白かったです!ルパパトも面白かった!

そして、とうとう仮面ライダージオウの予告PVが…戦兎や万丈、永夢に飛彩まで本人出演で登場するみたいなので今から楽しみです!!他のレジェンドライダーも登場するのかな…?欲を言えば、全員が本人出演で登場すると良いですね。難しいとは思いますが…

話はそれましたが、今回はここまで。お気に入り登録、評価、感想など頂けると嬉しいです!次回もよければ、見てください!



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83話 イマジン、参上!?

はい、83話です。

この月曜から金曜までお腹壊して高熱出して寝込んでました、シーチです!夏休みに限って体調を崩したりしてしまうんですよねぇ…何とか今日83話を投稿出来て一安心…

あと、今回から会話ごとに1行開けて書くことにしました。今後も、多分そうしていくと思います。

では83話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「絵里にカブトのベルト、希にブレイバックルを渡した財団Xの謎の男、『グラス』が俺と希の前に現れた。そして、デビュラーデータボトルとデビュラーブレスを使って謎の怪人、デビュラーに変身した女まで現れた。デビュラーと戦うが、今まで戦ってきた怪人よりもはるかに強いデビュラーに苦戦する俺。とうとう俺がトドメの一撃を受けそうになった時…」

 

希「ウチが仮面ライダーブレイドに変身することが出来た。そしてウチと優くんは、協力してデビュラーを倒すことが出来たんや!」

 

優「グラスは逃がしたが、デビュラーを倒すことが出来た俺達だが、俺の中には多くの疑問が残っていた。」

 

希「そんな中、また何かが動き出していた事を、この時のウチらはまだ、知らんかった…」

 

優「さぁ、どうなる83話!よしっ、言えたぞ…とうとうちゃんとあらすじ紹介が出来たぞぉーー!!」

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

『さっきから聞いてりゃ、てめぇガキのくせに生意気な事ばっかり言いやがって!』

 

今、俺に大声でこう言ってきたのは誰でしょう?

正解は…

 

 

 

 

 

 

 

花陽だ…いや、正確には花陽の中にいる何かが言ってきた。

 

何故こんな事になったのか、それは数十分前に溯る。

 

 

 

 

 

今朝…

 

「えっ?じゃあ希は、私が白服の人にベルトをもらった時、近くにいたって事?」

 

今日は希、絵里、にこの3年生3人と一緒に登校している。その時に、希が変身した事とその経緯を知った絵里がそう言った。

 

「そうなんよ。ごめんな、黙ってて。」

 

「でも、これで花陽以外のµ’sのメンバーが仮面ライダーに変身したって事でしょ?なら、花陽も変身するって事じゃないの?」

にこがそう言った。

 

「確かにな…花陽にも、何か身の回りで変わった事が起きるかもしれないから、気をつけるようにって言っておくか。」

 

 

 

そして、俺たちは音ノ木坂学院に着いて、アイドル研究部に入った。その時、俺は気づいた。花陽の身の回りで変わった事が起こるかもしれないのではなかった…

 

『おいっ、俺はこんな所にいる時間ねぇんだ!離せ!』

 

「かっ、かよちんどうしちゃったの?もうすぐ授業始まるよ?」

 

 

花陽の身に、もう何かが起こっていた…

 

俺たちがアイドル研究部に入った時の様子は、いつもより髪型が尖っていて、髪にところどころ赤色になっている花陽。目付きもいつも大人しい花陽とは違い、強い目付きをしている。さらに赤いカラコンでも入れたかのように、目が赤くなっている。声まで男みたいな声になっていた。そして、その花陽の周りで困惑している凛、真姫、蓮の1年生3人。

 

「なっ、なぁ、花陽のやつどうしたんだ?」

 

「さぁ…俺が来た時には、もうこんな状態だった…」

 

「私も来た時には、こうなってたわ…」

 

俺と蓮と真姫の言葉に、凛が答える。

「それが、朝は普通だったんだけど…」

 

 

〜side 凛 回想〜

 

凛は登校中、前を歩いているかよちんを見つけた。

 

「かーよちんっ!おはようにゃ!」

 

「あっ、凛ちゃんおはよう。」

 

凛は一緒にかよちんと登校する事になって、そこでいろいろ話していると、かよちんがいつもと違うことに気づいた。

 

「かよちん?なんだか今日は嬉しそうだよ、何かあったのかにゃ?」

 

「えっ?別に、嬉しかった事というか…//昨日ね、不良の人達に絡まれたんだ…」

 

「えっ!?大丈夫だったの?」

 

「うん。その時ね、知らない男の人に助けてもらったんだ…//」

 

顔を少し赤らめて言ったかよちん。そんなかよちんを見て、凛はもしかしてと思った。

 

「へぇ〜、もしかしてかよちん、その男の人の事が好きになっちゃったの?」

 

「へっ?ちっ、違うよ!かっこいいなとは思ったけど、べっ、別に好きになった訳じゃ…//」

 

「えぇ、うっそだぁ〜かよちん、すっごく顔赤いよ?」

 

「だっ、だから違うよ//」

 

凛がかよちんとそんな会話をしていた時、空で黄色い光が飛んでいた。

 

「ねぇ、かよちん。あれなんだろ?」

 

「光の玉が飛んでる…夜だったら、幽霊みたいで怖そうだね。今でも不気味だけど…」

 

その時、かよちんにその光の玉が入り込んだ。そして、かよちんは倒れそうになり、凛が咄嗟に支えた。

 

「かっ、かよちん!?大丈夫?」

 

凛がかよちんの事を見ると、さっきまでとは違い、髪が尖って赤色にところどころなっていた。そしてかよちんの目が覚めた。すると、目が赤色に変わっていた。

 

「かっ、かよちん?」

 

『あんっ?お前誰だ?』

かよちんのその声は、男の人の声みたいに低かった。

 

「えっ、かよちん!?どうし…うわっ!?」

 

凛が話している途中で、かよちんは凛の手を払い除けて立ち上がった。そして、どこかへ歩いていこうとしている。

 

「かよちん!?どこ行くの、学校始まっちゃうにゃ!」

凛はそう言って、かよちんの腕を掴んだ。

 

『おいっ、離せ!』

 

「いやにゃっ!かよちんどうしちゃったの?とにかく、学校始まっちゃうから行くにゃ!」

 

凛は無理やりかよちんを引っ張って、音ノ木坂学院のアイドル研究部まで連れていった。

 

〜side out 回想終了〜

 

 

 

〜side 優〜

 

「というわけなんだにゃ。」

 

なるほど…光の玉が入ってきて、今の状態になったのか…これって、まさか…

 

「確かに気になるな…」

 

俺が考えていると、珍しく真剣な表情で蓮がそう言った。蓮も流石に、今回は真面目に考えてるのか。俺が感心しながらそう考えていると…

 

「花陽に恋の相手が出来たのか!」

 

「いや、そこじゃねぇ!」

蓮の言葉に俺が突っ込んだ。確かにそれも気になるけど…今はそれよりも、花陽の体に何が入ったのか…

 

「とりあえず、今の話を聞いてなんとなく分かったことがある。」

 

「本当!?」

 

「あぁ、まずは落ち着いて話がしたい。とりあえず、花陽を座らせてくれないか。」

 

俺は花陽が…いや、花陽の体に入ってるやつがこのまま暴れているままじゃ拉致があかないと思い、みんなに花陽を座らせるようお願いした。俺と蓮は、流石に女の子である花陽の体に気安く触れるわけもないので、今回はみんなに任せるしかない…

 

俺の言葉を聞いて、絵里たち3年生と、凛と真姫が花陽を座らせようとするが…

 

『だから離せって言ってんだ!俺はこんな所で油売ってる暇ねぇんだよ!』

 

なかなか言うことを聞いてくれない…しかし、5人がかりで止められている花陽の体に入ってるやつは、動く事が出来ずに椅子へ座らされた。しかし、それでも抵抗しようとする花陽を止めるのに必死な5人。その時、

 

「おっはよー!」「おはようございます。」「おはよう、みんな♪」

 

穂乃果たち2年生の3人が部室に入ってきた。

 

「って、これどういう状況…?」

入ってきて、今の光景を見た3人は、困惑の表情を浮かべた。

 

 

 

とりあえず、穂乃果たち3人に大まかな事情を説明し、その間になんとか花陽の体に入ってるやつも落ち着いてくれた。

 

「えっと…じゃあまず、凛の話から推測すると花陽の体に入ってるやつは、恐らくイマジンと呼ばれる怪人だ。」

 

俺のその言葉に、俺と蓮以外が驚きと困惑の表情を浮かべる。

 

「じゃあ、花陽の体には、怪人が入っているという事ですか?」

海未がそう聞いてきた。

 

「多分な。」

すると今度は、花陽の体に入ってるイマジンが聞いてくる。

 

『お前、イマジンを知ってるのか?』

 

「あぁ。それで、お前の事を教えてくれないか?今のお前を見る限り、お前も何か困っているように見える。俺たちなら、何か解決出来るかもしれない。」

 

『お前に何が出来るってんだ?ただの高校生のガキのくせに…』

 

お前が入ってる体も、高校生の体なんだがな…俺はそう思ったが口には出さずに、次の言葉を発する。

 

「確かに俺は高校生だが、俺は仮面ライダーだ。ただの高校生じゃない。」

 

『!?お前()仮面ライダーなのか!?』

 

俺は今のこのイマジンの言葉を聞いて思った。なんとなくは考えてたが、恐らくこいつは仮面ライダー電王と協力して戦っていたイマジンの1人だろう。

 

「あぁ、俺たちは仮面ライダーだ。だから教えてくれ、頼む。」

 

『……分かった。俺の名はモモタロス。俺はイマジンではあるが、未来から来たイマジンを止めるため、仮面ライダー電王として俺の契約者と戦ってきた。』

やっぱりか…

 

「あの、私達はまだイマジンっていう怪人について詳しく知らないんだけど、どういうものなの?」

絵里が聞いてきた事に、今度は俺が答える。

 

「イマジンっていうのは、さっきモモタロスが言ったように 未来から来た怪人だ。正確には、未来から来た人類の精神体が、人間のイメージ(記憶)によって怪人になったものだな。」

 

「人のイメージ?」

穂乃果は全く話が分かってない様子で、そう聞いてきた。

 

「イマジンは、人間と契約する事で怪人体になるんだ。その契約者のイメージによって、そのイマジンの体が決まる。イマジンは契約者の望みを叶える代わりに、その人の1番大切な時間に飛んでしまう。そしてその過去で暴れて、未来を変える事が目的らしい。その望みを叶えるっていうのも、大体のイマジンは勝手な解釈で決めるから、ちゃんとした形で望みが叶う事はあんまりないな。」

 

「なんか、難しすぎてよく分かんないや…」

「そうにゃ…」

「そうね。」

穂乃果、凛、にこは全く分かっていないようだ。他のみんなも、あまり話についてこれてないな…

 

「まぁ、簡単に言うと、過去を壊して未来を消そうとする悪い怪人と思ってくれ。」

 

『お前、よく知ってんな…お前、何者なんだよ…』

感心したように、モモタロスがそう聞いてきた。

 

「まぁ、俺は普通の仮面ライダーじゃなくて、色んな仮面ライダーに変身出来るんだ。だから、電王の事も知ってるんだ。」

 

『じゃあ、お前は電王にも変身出来るのか?』

 

「前までは、仮面ライダーディケイドっていう仮面ライダーの力で変身する事が出来たんだけど、今は何故か変身出来なくなってるんだ…」

 

『ディケイド!?』

 

「知ってるのか?」

 

『前にちょっとな…』

 

「悪い、話がだいぶ逸れたな。続きを頼む。」

 

『あぁ。1週間前、俺が乗っていた、時の電車『デンライナー』から急に弾き飛ばされて、気づいたら、訳のわかんねぇ所にいたんだ。俺と一緒に、俺の他の3人のイマジンも弾き飛ばされたんだが、そいつらも今どこにいるのか分からねぇ…それからは、デンライナーとも、俺の契約者とも、他のイマジンとも連絡が取れなくなったんだよ…それに、体も俺の契約者と契約する前のように、実態が保てなくなっちまったし…』

 

「なるほどな…分かった。俺たちにも何か強力出来る事があれば協力する。だから、花陽の体を返してくれないか?」

 

『……悪いな。断る。』

 

「何?」

 

モモタロスの言葉に、みんな驚き、険しい表情になった。

 

『実態がない俺は、今は人間の体に入らないとまともに動けねぇんだよ。それにこの体は気に入った。俺の仲間が見つかるまでは、この体借りてくぜ。』

 

「そうか…だったら、力づくでもお前を引っ剥がす!」

俺は立ち上がって、モモタロスが憑依した花陽の所まで言った。

 

『はんっ、お前にそんな事出来んのかよ?この体、仲間の体なんだろ?仲間の大事な体を、傷つけられんのか?』

 

確かに、花陽の体に入っている以上手荒な真似は出来ない…どうする…あっ、そうだ!一か八か、やってみるか!

 

「アホそうなのに、そういう所は頭回んのかよ…」

 

『なんだと!?』

俺の言葉で火がついたモモタロスは、立ち上がって大声で言った。

 

『さっきから聞いてりゃ、てめぇガキのくせに生意気な事ばっかり言いやがって!』

そして、冒頭に戻ってきた訳だが…

 

『オラァッ!』

モモタロスが俺に殴りかかってきた。よしっ、かかった!あとはどうなるか…俺がそう思っていると、

 

『うっ…なにぃ…!?』

モモタロスの手が俺の顔の前で止まった。やっぱりか…

 

やめて…ください…

その時、花陽の声が聞こえた。

 

やめてください…やめて、ください!」

すると、花陽の体からモモタロスが抜け出して、砂の状態で地面から上半身、その上に下半身があるという奇妙な状態のモモタロスが現れた。

 

そして、花陽はその場に座り込んだ。

「かよちん、大丈夫!?」

 

「うっ、うん。ごめんね、凛ちゃん。」

 

『こいつ、まさか!?』

今の出来事で、モモタロスは気づいたようだ。

 

「何が起こったの?」

みんなの気持ちを代弁したように真姫が言った。

 

「それは、多分花陽が()()()と呼ばれる存在だからだと思う。」

 

「特異点…?」

 

「あぁ、時間からのあらゆる干渉を受けない数少ない人の事を特異点って言うんだ。特異点の人は、イマジンが過去を壊して未来が変えられたとしてもその影響を受けないし、自分が今いる時間が消滅したとしても、特異点の人だけは消滅しないんだ。それに、特異点はイマジンに体を乗っ取られたとしても完全に支配される事はない。だから花陽は、今のモモタロスを止める事が出来たんだと思う。まぁ、目が覚めるまでに少し時間がかかったみたいだけどな。」

 

「もしかして、優くんは気づいてたん?」

俺の説明を聞いた希がそう聞いてくる。

 

「もしかしてって思ったんだ。特異点の人間は時の干渉を受けないため、仮面ライダー電王にも変身出来るんだ。逆に言えば、特異点の人間にしか変身出来ない。そして今、µ’sの中で花陽だけが仮面ライダーに変身してない。だから、もしかして花陽が仮面ライダー電王に変身する資格を持ってるのかもしれないと思って、一か八かの賭けに出たって訳だ。」

 

『チッ…』

俺の言葉に舌打ちしたモモタロス。

 

「なぁ、本当に頼む。俺たちも今、強大な敵と戦っているんだ。お前が元の仲間と会えるように協力出来ることはする。だから、花陽の体を乗っ取るのはやめてくれないか?」

 

『分かったよ…』

 

「助かる。」

 

『おい、お前が今言った強大な敵ってなんなんだ?』

 

「それは、財団Xという組織で、過去の様々な仮面ライダーの敵怪人を送り出してくる奴らだ。」

 

その時、俺のペガサスアニマルと蓮のドラゴンアニマルが飛んできた。

 

「噂をすれば、こんな時に財団Xかよ…授業だってもうすぐ始まるのに…仕方ない。ここは俺が行くから、みんなはちゃんと授業受けてるんだぞ。穂乃果、海未、ことり、先生に俺は遅れますって伝えておいてくれ。」

 

「悪い。凛、花陽、真姫、俺も頼む!」

 

俺と蓮はそう言って、怪人が暴れている所へと向かった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 花陽〜

 

『俺も行く!』

 

優くんと蓮くんが怪物が暴れている所に向かっていった後をモモタロスさんが砂の状態のまま追いかけていった。

 

「あっ、待って!」

 

私もその後を追いかけていった。さっきまで私の体を乗っ取られていたみたいだけど、何故か私はモモタロスさんが悪い人?悪いイマジンさんには見えなかった…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 絵里〜

 

「あっ、花陽!」

あのモモタロスっていうイマジンを花陽が追いかけていってしまった。

 

「凛たちも行こっ!」

凛がそう言ったが、

「ダメよ。」

私が止めた。

 

「えぇ、なんでにゃ?かよちん行っちゃったし、追いかけないと!」

 

「優くんに言われたやろ?みんなはちゃんと授業受けるんやって。それに、花陽ちゃんの所には優くんたちもいる。だから今は、ウチらのやるべき事をやらないと。」

 

希の言葉を聞いて、みんなは渋々納得して授業を受ける事になった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「あれはイマジン!?」

 

「あんっ?なんだお前ら!」

 

俺と蓮がメカアニマルに呼ばれた所へ向かうと、ウルフイマジンがいた。

 

「あれは、イマジンじゃねぇか!」

 

俺が声が聞こえた方に振り返ると、

「モモタロス!?それに花陽まで…なんで!」

砂状態のモモタロスと、花陽が走って追いかけて来ていた。

 

「わっ、私はモモタロスさんが出ていったから…」

 

「はぁ…仕方ない、蓮。出来るだけ早く片付けるぞ!」

 

「あぁ!」

 

その時、何故か大量のグールが現れた。

 

「なっ、なんだ?こいつら…」

 

「なんでイマジンとグールの組み合わせなのかは知らないが、そんな事はどうでもいい。とにかく両方倒す!」

 

それぞれのブレスから俺はウィザードライバー、蓮はビーストドライバーを呼び出す。

 

 

『『ドライバーオン!』』

 

 

『シャバドゥビタッチヘンシン〜!シャバドゥビタッチヘンシン〜!』

 

 

「変身!」「変〜身!」

 

 

『フレイム プリーズ!ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!』

 

『セット!オープン!L・I・O・N!ライオン!』

 

 

俺は仮面ライダーウィザード フレイムスタイルに、蓮は仮面ライダービーストに変身した。

 

「さぁ、ショータイムだ!」

「ランチタイムだ!」

 

いや、蓮のビーストドライバーは魔力を食うわけじゃないんだから、ランチタイムじゃないと思うが…

 

そして俺はウィザーソードガン ソードモード、蓮はダイスサーベルでグールへと斬り掛かる。

 

「「はぁっ!セイッ!」」

 

『ルパッチ・マジック・タッチゴー!』

 

『ビッグ プリーズ!』

 

俺はビッグリングの力で右腕を巨大化させ、グールを数体叩き潰した。

 

「次はこいつだ!」

「だったら俺はこいつで!」

 

 

『ウォーター プリーズ!スイ〜スイ〜スイ〜スイ〜!』

 

『カメロオッ!ゴーッ!カカッ、カッカカッカ、カメロオー!』

 

 

俺は仮面ライダーウィザード ウォータースタイルに姿を変え、蓮はカメレオマントを身につけた。

 

そして俺は右手の魔法リングを変え、

『リキッド プリーズ!』

リキッドリングの能力で体を液状に変えて、地面を泳ぐ。

 

そして蓮はカメレオマントの力で姿を消し、俺と蓮の場所が分からなくなったグール。

そんなグールに、

「「はぁぁっ!」」

姿を現して俺はウィザーソードガン ガンモードで撃ち放った。蓮はダイスサーベルで斬りかかった。

 

 

『ハリケーン プリーズ!フーフー! フーフーフーフー!』

 

『ファルコッ!ゴーッ!ファッファッファッ、ファルコッ!』

 

俺は仮面ライダーウィザード ハリケーンスタイルに姿を変え、蓮はファルコマントを身につけた。それぞれの能力で飛び、上空からグールへと斬りかかった。

 

 

『ランド プリーズ!ドッドッドドドド、ドッドッドッドンッ!』

 

『バッファッ!ゴーッ!バッバ、バババババッファ!』

 

 

今度は、俺は仮面ライダーウィザード ランドスタイルに姿を変え、蓮はバッファマントを身につけた。お互いの強化されたパワーで、今度は肉弾戦で戦い始めた。

 

「「あぁ!オラァッ!はぁぁぁっ!」」

 

「クッ…倒しても倒しても、きりがない…」

 

俺がそう言った時、

 

「「グハァッ…」」

 

グールばかりに気を取られていた俺と蓮が、ウルフイマジンの攻撃を受けてしまう。その事にダメージを受けたが、俺達はもう一度立ち上がって戦い始めた。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 花陽〜

 

「優くん…蓮くん…」

 

怪物との戦いでダメージを受けている優くんと蓮くん…

 

「私が、仮面ライダーになれたら…2人のサポートだって出来るのに…」

 

その時、さっき部室でモモタロスさんが私に憑依していた時の、微かな記憶を思い出した。確か、モモタロスさんは今実態が保ててない…体を取り戻すには、契約者がいないとだめ…

 

「ねぇ、モモタロスさん…」

私は近くにいたモモタロスさんに話しかけた。

 

『なんだ?』

 

「もし…モモタロスさんの実態を取り戻す事が出来たら、優くんや蓮くんと一緒にあの怪物を倒す事が出来るの…?」

 

『あっ、あぁ…』

モモタロスさんは、私の言葉に戸惑いながらも答えた。

 

「じゃあ、本当の契約者の人が見つかるまで、私と契約してくれませんか…?」

 

『はぁ?俺からしたら得なことだが、いいのかよ?』

 

「うん…」

 

私とモモタロスさんの言葉を聞いた優くんが、

 

「おいっ、花陽!何言ってんだ!お前も聞いてたろ、イマジンと契約する事の危険さが!」

 

怪物と戦いながら言ってくる。

 

「うん、聞いてたよ。けど、私はモモタロスさんが悪いイマジンに見えないの。」

 

「だとしても危険だ!絶対ダメだ!」

 

「危険だとしても!私は、少しでも2人の戦いの力になれるなら、力になりたいの!!」

 

「花陽…」

 

その時、私の体から光が出てきた。

 

 

「なっ、何…!?ダッ、ダレカタスケテ~!!」

 

 

 




〜次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!〜
花陽に新たな力が宿り、イマジンと協力してイマジンと戦う。
そして、更なるトラブルが起こる事になってしまう…

次回、『84話 電車の戦士』



ライダーアイテム、紹介コーナー!

『ペガサスアニマル』
ペガサスがモチーフのメカアニマル。優が作ったホークアニマル、シャークアニマルを元に優香が開発した。伝説の生物をモチーフにしたメカアニマルを作るあたり、流石女神様だ。ペガサスアニマルは、空からと地上から、両方の探索を得意とする。

『ドラゴンアニマル』
ドラゴンがモチーフのメカアニマル。優のメカアニマルを元に、咲が作った宮崎蓮が使うメカアニマル。空からと水中からの探索を得意とする。





今回、とうとうイマジンが登場しました!そして次回はとうとう花陽が○○します!

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84話 電車の戦士

はい、84話です!

ビルド最終回見てきました!今までの仮面ライダーには無い終わり方で、良かったですが、少し切ない…そして、まさかあらすじ紹介まで伏線だったとは…面白いからビルドのようなあらすじ紹介を書こうと思った僕が恥ずかしい…

あと、今回はあらすじ紹介はおやすみです。

では84話、スタートです!


〜side 優〜

 

突然花陽の体から出てきた光に驚き、俺と蓮、ウルフイマジン、グールも戦いを1時中断して花陽に注目している。

 

花陽の体から出てきた光が止むと、花陽の腰にはベルトが巻かれていて、手には黒いパスが握られていた。

 

「これは…?」

 

『電王ベルトにライダーパス!?なんでそれが…』

 

「もしかして、これを使えば私も仮面ライダーになれるの…?」

 

モモタロスの驚いてる言葉を聞いて、花陽がそう言った。やっぱり、花陽が電王の資格者…

 

「これで私も仮面ライダーに…だったら私は…」

 

「花陽…本当に、戦うのか?ライダーとしての戦いは、危険なんだぞ?」

 

「それは、みんなの戦いを見てきてるし、分かってるよ。でも、私もみんなと一緒。優くんに止められても、私は戦うよ。」

 

そう言った花陽の目は、俺が何を言っても聞きそうにない、芯の強い目をしていた…

 

「はぁ…これじゃ、俺が何を言っても聞きそうにないな…まぁ、それはみんなの時もだったけどな。分かったよ…」

 

『えっ?じゃあ、俺との契約はどうなるんだ?』

 

モモタロスがそう聞いてくる。

 

「うーん…私が戦えるようになるなら、契約はいいかな?」

 

『なんだよ、それぇ…!』

 

花陽の言葉に落ち込むモモタロスだが、俺は一安心している。

 

「いつまでごちゃごちゃ喋ってんだ!」

 

痺れを切らしたウルフイマジンが、俺へと攻撃してくるのを防ぎ、俺はウルフイマジンと戦い始めた。蓮もグールへと戦い始めた。

 

「よしっ、私も!変身!」

 

花陽は電王ベルトにライダーパスをかざした。すると、花陽は仮面ライダー電王 プラットフォームに変身した。

 

ってか、プラットフォームで戦うのか?俺がそう考えている間に、花陽はデンガッシャーをソードモードに組み立てた。そして、デンガッシャーを構えて戦おうとする花陽だが、腰が引けている…

 

「やっ、やぁっ!」

 

花陽は思いっきり1体のグールにデンガッシャーで斬り掛かるが、威力が足りずグールの反撃を受けてしまう。

 

「きゃぁっ…!」

 

しかし、花陽はもう一度立ち上がって戦おうとする。そして、またグールへ攻撃するが、全然攻撃が効いていない…

 

「うぅ…これじゃ、優くんと蓮くんの力になるどころか、足でまといになっちゃうよ…」

 

花陽…

 

そんな花陽を見たモモタロスが花陽に話しかける。

 

『おいっ、花陽!』

 

「はっ、はい?」

 

『お前、戦い慣れてないなら俺と一緒に戦え!』

 

「えっ?あっ、そっか…電王はイマジンと一緒に戦える…」

 

コピーライダーシステムの力を手に入れた時、脳に電王に関する情報が入ってきている花陽は、モモタロスの言葉の意味が分かったようだ。

 

『言っちゃ悪いが、今の花陽が戦っても勝てねぇ!だったら、俺と一緒に戦え!』

 

「はっ、はい!」

 

そして、花陽は電王ベルトの赤い押した。すると、待機音が流れ始め、花陽は電王ベルトにパスをかざした。

 

『ソードフォーム』

 

すると、モモタロスが花陽の体に入り、電王も赤くなった。

 

 

『俺、参上!』

 

 

仮面ライダー電王 ソードフォームに変身したモモタロスが、そう言った。

 

『よっしゃぁー、久しぶりだぜこの感覚!実態が無くて暴れ足りねぇんだ、最初からクライマックスで行くぜ!』

 

そう言ったモモタロスは、デンガッシャー ソードモードで一気にウルフイマジンへ攻撃した。

 

『オラァッ!やぁ!ってやぁ!』

 

「グハァッ…!電王!?」

 

モモタロスの攻撃にダメージを受けていくウルフイマジン。

 

「よしっ、俺達も!」

 

「あぁ!」

 

 

『フレイム ドラゴン!ボー!ボー!ボーボーボー!』

 

 

仮面ライダーウィザード フレイムドラゴンスタイルに姿を変えた。

 

 

『スペシャル プリーズ!サイコー!』

 

『シックス バッファ!セイバーストライク!』

 

 

「「はぁぁぁぁっ!!」」

 

俺はドラゴンブレスから炎を出し、蓮は6体のバッファを出現させて、全てのグールを倒した。

 

「フィ〜」

「ごっつぁん!」

 

いや、だからお前のビーストドライバーのキマイラは魔力を食うわけじゃないんだから、それ言わなくてもいいだろ…

 

『へへっ、俺も決めるぜ!』

 

そして、モモタロスは電王ベルトにライダーパスをかざした。

 

 

『フルチャージ』

 

 

『俺の必殺技、パート2(ツー)!』

 

デンガッシャーの刃先が飛び出し、

 

「オラァァァァッ!!」

 

ウルフイマジンを斬り裂いた。

 

「グァァァ!クソッ…」

 

しかし、ウルフイマジンはその攻撃に耐えている。

 

『ダメか…だったらもう一発!』

 

モモタロスがもう一度必殺技を撃とうとした時、

 

「はぁ…仮面ライダーを倒すという契約でしたが、ここで倒されてしまうなら仕方ありません。契約はもう完了という事でいいです。過去に行って思う存分暴れてきなさい。」

 

白服の財団Xの一員、グラスが現れた。

 

「グラス!?」

 

「グラス?」

 

俺の言葉に、蓮は疑問の声を上げる。

 

「財団Xの幹部だ。絵里と希にベルトを渡した人物でもある。」

「幹部か…」

 

「おっ、おぉ!分かった!」

 

ウルフイマジンがそう言うと、グラスは半分に割れ、そこにウルフイマジンが入っていった。

 

「では、私はこれで。」

 

『おいっ、待て!』

 

去ろうとするグラスに、1枚のカードをかざすモモタロス。

 

「フッ、では…」

 

グラスはまた消えていった。なるほど、ウルフイマジンの契約者はグラスだったのか…そして、モモタロスが持っているカードには、『2011年8月7日』と書かれ、ウルフイマジンが写っていた。

 

『よしっ、こいつがあれば過去に飛べるぜ!……ってあぁぁ!デンライナーとの連絡が取れねぇから、過去に飛べねぇ!』

 

「はぁ?じゃあどうすんだよ!このままじゃ、過去が壊されて、この時間が消えてしまうんだぞ!」

 

蓮の言葉に、

 

『そんな事俺だって分かってんだよ!でも、過去に飛べない限り、過去に飛んだイマジンを倒す方法なんてねぇんだよ!』

 

苛立っている様子で答えるモモタロス。

 

「どうすれば…」

 

俺たちが悩んでいると…

 

「ん?あれは…?」

空に穴が現れ、そこから電車が現れた。

 

『デッ、デンライナー!?』

 

上空から降りてきて、デンライナーは俺達の前に止まった。

 

おぉ…これが時の電車、『デンライナー』か…生で見るとかなりデカイな…まぁ、電車だしデカいか。

 

すると、デンライナーの扉が開いた。

 

『先輩、久しぶり。』

『元気にしとったか、モモの字!』

『久しぶり〜、モモタロス!』

『亀!熊!小僧!』

 

デンライナーから出てきた水色、金色、紫色の3体のイマジン。そのイマジンをモモタロスは知っているようだ。

 

『お前ら、なんで?』

 

『詳しい話は後、早く乗って先輩!それに、後ろの君たちも。』

 

俺達は言われた通り、俺と蓮は変身を解いてデンライナーの客席に。そして、モモタロスは花陽の体で変身したまま、ウルフイマジンが飛んだ過去に向かうため、操縦席に向かった。

 

 

デンライナーの客席に来ると、さっきの3体のイマジンの他に女の人がいた。俺と蓮はとりあえず席に座った。

 

「コーヒーいかがですか〜?」

 

デンライナーに乗っていた女の人が聞いてきた。

 

「コーヒー?」

 

「はいっ。私はデンライナー食堂車の乗務員、ナオミです!コーヒーいかがですか?」

 

「あっ、じゃあお願いします。」

 

そして、ナオミさんがコーヒを出してくれたのだが…

 

「「これは、コーヒー?」」

 

俺と蓮が口を揃えてそう言った。

 

ナオミさんが出してくれたコーヒーは、もはやコーヒーというよりかは、コーヒーカップに派手なクリームが乗っている様にしか見えない。恐らく、この大量のクリームの下にコーヒーがあるのだろう…まぁ、見た目はあれだが、美味しいという事もあるだろうし…そう思い、俺と蓮はコーヒーを一口…

 

「「ズズッ……んっ!?」」

 

不味っ!!なんじゃこりゃ!不味い…けど、ナオミさんは笑顔で俺達を見ている。これは、不味いと言うわけには…

 

「不味っ!!」

 

っておいっ、蓮!言うなよ!

 

「えぇ!?もうっ、酷いですよぉ!」

 

そう言った蓮を持っていたお盆で叩くナオミさん。ってか、さっきの3体のイマジンは、美味しそうに飲んでるんだけど…イマジンの味覚は、違うのか…?

 

 

 

まぁ、コーヒーの件はひとまず終わり、3体のイマジンと話し始める。

 

『遅くなったけど、僕はウラタロス。で、この熊みたいなイマジンがキンタロス、こっちの龍みたいなイマジンがリュウタロス。』

『よろしゅうな。』

『よろしくね〜!』

「「よろしくお願いします。」」

 

『今、僕達にとってもまずい事が起こってるんだ。詳しい事は、先輩達が戻ってきてから話すよ。まず、君達の事と、先輩が憑依していた子の事を教えてくれないかな?』

 

 

 

そして、俺は俺たちの事と花陽の事を説明した。

 

『良太郎と連絡がつかんようになって、デンライナーに戻る事も出来なくなったモモの字が偶然憑依した相手が、特異点やったっちゅうわけかいな。モモの字は特異点に縁があるなぁ…』

 

「モモタロスくんだけじゃなく、ウラタロスくん達も縁があると思いますよ〜。」

 

すると、俺達がいるデンライナーの車両の扉が開き、男の人が入ってきた。

 

「ナオミくん、チャーハンお願いします。」

「はーい!」

 

その男の人の言葉を聞いて、ナオミさんがチャーハンを作り始める。

 

「あの、あなたは?」

 

「おっと、これは失礼。私はこのデンライナーのオーナーです。」

 

「あっ、初めまして。俺は…」

 

「仮野優くん。そしてそちらの方は、宮崎蓮くん。2人とも仮面ライダーですね?」

 

「はっ、はい。でも、なんで?」

 

「先程のウラタロスくん達との話が聞こえていたんですよ。おや?そろそろイマジンが飛んだ過去に着く頃ですね。」

 

オーナーさんがそう言って少し経つと、デンライナーが止まった。

 

「よしっ、蓮。行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

 

 

 

 

〜2011年8月7日〜

 

俺と蓮がデンライナーを降りると、既にウルフイマジンと電王が戦っていた。

 

「「変身!」」

 

俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに、蓮は仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに変身した。

 

「俺の強さは次元を超えた!」

 

「全ての悪は、俺が倒す!」

 

『おいテメェら、決めゼリフ言ってねぇでさっさと手伝え!』

 

お前も変身した時言ってただろ…まぁ、いいけど。

 

「「はぁ!オラッ!」」

 

俺と蓮、さらにモモタロスの攻撃に怯むウルフイマジン。

 

『このまま一気に決めるぜ!(先輩!)亀公、なんだ?(僕にも変わって!)あっ、おいちょっと待て!うっ…』

 

モモタロスの動きが止まると、ゆっくりと電王ベルトの青いボタンを押し、パスをかざした。

 

 

『ロッドフォーム』

 

 

すると電王は、仮面ライダー電王 ロッドフォームに姿を変えた。

 

『女の子の体に入るのは趣味じゃないんだけど、仕方ないね。』

 

 

 

『お前、僕に釣られてみる?』

 

 

 

この声、今度はウラタロスさんが変身してるみたいだな…

 

『はぁっ!』

 

デンガッシャー ロッドモードでウルフイマジンへ華麗に攻撃していく電王 ロッドフォーム。

 

『やっ!たぁっ!(カメの字、交代や!)えっ、ちょっと、まだ全然…』

ウラタロスさんはそう言うが、手が電王ベルトの黄色いボタンを押してしまう。

 

 

『アックスフォーム』

 

 

キンタロスさんが憑依した電王 アックスフォームに、電王はまた姿を変えた。

 

 

 

『俺の強さにお前が泣いた。涙はこれで拭いとき!』

 

 

 

キンタロスさんがそう言うと、空から数枚の紙が降ってきた。もう、どこから降ってきたかは考えないようにしよう…

 

『はぁ!ていっ!そりゃあ!』

 

電王 アックスフォームは相撲のように張り手で攻撃をしていく。そして、腰にあるデンガッシャーを組み立て、アックスモードにし、それでウルフイマジンを切り付ける。

 

『はぁっ!そらっ!(熊ちゃん熊ちゃん!僕にもやらせて!)えっ、ちょっ待たんかい…!』

 

 

『ガンフォーム』

 

 

今度はリュウタロスさんが憑依した電王 ガンフォームに姿を変えた。

 

 

 

『お前倒すけどいいよね?答えは聞いてない!』

 

 

 

電王 ガンフォームはデンガッシャー ガンモードでウルフイマジンを撃っていく。

 

『はぁっ!やぁっ!』

 

これまで様々なイマジンと戦ってきただけあって、モモタロスもウラタロスさんもキンタロスさんもリュウタロスさんもかなり強い。

 

『よしっ、このまま一気に決めるよ!(おいはなたれ小僧!最後を決めるのは俺だ!)ちょっ、モモタロス!』

 

『ソードフォーム』

 

 

 

『俺、再び参上!』

 

 

 

電王はまたモモタロスが憑依し、仮面ライダー電王 ソードフォームに戻った。

 

「っておい!お前も決めゼリフ言ってんじゃねぇか!」

 

『うるせぇ!それより、さっさとこいつ倒すぞ!』

 

「「おう!」」

 

 

『フルチャージ』

 

『レッドメモリー!』

 

『サンダー!』

 

 

電王はベルトにパスをかざし、俺はインフィニティソードにレッドメモリーデータボトルを、蓮はネイチャーソードにサンダーデータボトルを入れた。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁあ!!」」

 

俺と蓮が同時にウルフイマジンへ斬りかかり、

 

『俺の必殺技、パート1(ワン)!おりゃあああああああああ!!!』

 

電王が走ってウルフイマジンを斬り裂いた。そして、ウルフイマジンは爆発して消えた。

 

『やったぜ…』

 

ウルフイマジンを倒した事を確認した俺と蓮は、変身を解除した。そして電王もベルトを外して変身解除し、同時にモモタロスも花陽の体から抜け出した。その時花陽がふらつき、

 

「花陽、大丈夫か?」

 

俺はそう問いかけながら、花陽を支えた。

 

「うっ、うん。慣れてなかったから、ちょっと疲れちゃっただけ。」

 

花陽はそう答えながら、体制を整えた。

 

「とりあえず、デンライナーに戻ろう。」

 

 

 

デンライナーに戻ってきた俺、蓮、花陽。そこには、さっきの3体のイマジンの他に、モモタロスがいた。しかも、デンライナーに乗ってるため実態がある。

 

すると、現在に戻るためにデンライナーが出発した。着くまでの間、さっきの話の続きをする事になった。

とりあえず、席に着いた俺たち。

 

「それで、ウラタロスさんがさっき言っ『ちょっと待て!』…なんだよ?」

 

俺の言葉を遮ってモモタロスが声を発した。

 

『お前、亀公の事はさん付けのくせに、俺は呼び捨てってどういう事だよ!』

 

「別に、お前にさんを付ける必要ないだろ。」

 

『はあ!どういう意味だよ!』

 

「お前に敬意を払う必要なんてねぇだろ。」

 

『ふざけんな!』

 

『うるさいよモモタロス。』

 

さっきから大声で叫んでるモモタロスに、リュウタロスさんが冷たく言った。

 

『はなたれ小僧のくせに生意気なこと言ってんじゃねぇよ!』

 

「はぁ…それで、ウラタロスさん。まずい事ってなんですか?」

 

俺はモモタロスの事は無視し、ウラタロスさんにそう聞いた。その事に、「無視してんじゃねぇ!」と叫ぶモモタロスだが、今はそんな場合じゃない。

 

『良太郎と連絡がつかなくなったって事は、もう聞いてるよね?』

 

「はい。4人の契約者の方ですよね?」

 

『うん。』

 

そして、騒いでいたモモタロスは黙り、ウラタロスさんの言葉を息を飲んで聞いている。

 

『それが、良太郎が…』

 

 

 

 

 

『記憶喪失になってたんだ…』

 

 

 

 

 




〜次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!〜
本物の電王の変身者、野上良太郎が記憶喪失だと言う事が発覚。そんな時、あるレジェンドライダーが現れる。

次回、『85話 てんこ盛り!』





まさかの良太郎が記憶喪失…そして次回現れるレジェンドライダーとは…あと、タイトルでも分かる通り、花陽の電王がパワーアップします!

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85話 てんこ盛り!

はい、85話です。

とうとう仮面ライダージオウが始まったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ネタバレになるのであまり言いませんが、戦兎!龍我!の登場がビルドロスを少し抑えてくれました…他のレジェンドライダーも出る予定らしいので!ジオウの今後の展開に期待していきましょう!


あと、いつになるかは未定なんですが、最近行間の空け方だったり書き方を少し変えましたが、これまで書いてきたのも少しずつ修正していこうと思っています。
そこで、0話からやると、その後の修正が終わってないところに違和感があると思うので、書き方を直していない最新の回(82話 トランプの戦士)から戻っていく形で修正していこうと思っています。内容はほぼ変わらないと思うので、ここまで見てくださった方は見ても見なくてもどちらでも大丈夫です。修正をしても見やすくなるかは分かりませんが、ゆっくりとやって行こうと思います。



では85話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「花陽がモモタロス、ウラタロスさん、キンタロスさん、リュウタロスさん4体のイマジンと共に、仮面ライダー電王に変身し、ウルフイマジンを倒す事に成功。」

 

モモタロス『おいっ、だから俺だけ呼び捨てはやめろ!』

 

優「却下。さっきも言ったろ、お前に敬意を払う理由がない。」

 

モモタロス『ふざけんな!じゃあ逆に、カメ公たちをさん付けする理由ってなんだよ!』

 

優「それは…あっ、早くあらすじ紹介をしないと時間が!」

 

モモタロス『誤魔化してんじゃねぇよ!』

 

優「それに、俺は良太郎さんが記憶喪失って事聞いて、心配で夜も眠れないんだ…」

 

モモタロス『はっ…お前も良太郎の事を心配してくれてるのか…グズッ…俺も心配だぜ…良太郎ぉぉぉぉぉー!!』

 

優「うるせぇよ!(まぁ、心配してるのは本当だけど、1回も会った事ないんだけどな。)では、良太郎さんが記憶喪失になった事についても話す第85話、どうぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

『おいっ、それどういう事だ!』

 

ウラタロスさんが言った言葉に、すぐ反応するモモタロス。

 

その時、俺たちがいるデンライナーの車両の扉が開き、2人の男の人と2体のイマジンが入ってきた。

 

「それは、俺たちが説明する。」

 

『侑斗に幸太郎!?』

 

モモタロスはこの人たちを知っている様だ。

 

「えっと…あなた達は?」

 

「俺は野上幸太郎。もう1人の電王、仮面ライダーNEW電王に変身して戦っている。さっき言ってたモモタロス達の契約者の良太郎って人の孫だ。」

 

「孫…?」

 

「仮面ライダー電王は、そんなおじいちゃんぐらいの年の人が変身してるのか?」

 

俺と蓮の言葉に幸太郎さんは少し笑い、

「いや、俺は未来から来てるんだ。だから、もっと先の未来で俺が生まれるって事。」

と答えた。

 

「あっ、そういう事なんですか。」

って事は、幸太郎さんは未来人って事なのか…普通の人にしか見えないけど…未来って言っても、そんな変わらないのかなぁ…

 

「で、こいつが俺の相棒のテディ。」

 

『よろしく。』

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

幸太郎さんとテディさんとの挨拶を終え、俺はもう1人の男の人が話し始める。

 

「桜井侑斗、仮面ライダーゼロノスだ。よろしく。」

 

「あっ、はい。よろしくお願いします。」

 

『俺はデネブ。こんな風だけど、侑斗は本当はみんなと仲良くなりたいと思ってるんだ。』

 

「おいデネブ!余計なこと言うな!」

 

『侑斗をよろしく!はい、これどうぞ。』

 

そう言って、デネブさんは俺と蓮と花陽に飴を渡してきた。

 

「飴…?」

 

『デネブキャンディー、おいしいよ。』

 

「あっ、ありがとうございます。」

 

 

 

そんなやり取りの後、俺達も挨拶を済ませて本題に入った。

 

「俺と侑斗でじいちゃんがいるミルクディッパーっていう喫茶店に行ったんだけど、じいちゃんに話しかけても、「誰?」って言われたんだ。」

 

「嘘をついてるようには見えなかったな。」

 

幸太郎さん、侑斗さんの言葉に深刻な雰囲気になる。

 

『けど、良太郎は特異点だろ。時間の影響を受けないあいつが、なんでそうなってんだよ?』

 

「それは俺たちも分からない。けど、俺の事をじいちゃんの姉ちゃん…大叔母さんは侑斗の事を覚えてたみたいだったな。」

 

『良太郎は覚えてないのに、愛理さんの事は覚えてたの?それに、カードの影響で愛理さんは侑斗の事は…』

 

ウラタロスさんがそう言ったが、俺と蓮と花陽にはさっぱり分からない…

 

「最近はカードを使ってなかったから、イマジンとの戦いが少なくなってからの事は覚えてたみたいだ。」

 

そう言えば、本来ゼロノスカードを使うと周りの人から忘れられるんだったっけ…?

 

「じいちゃんだけが、電王に関する記憶を無くしてる…さっきも言ったけど、特異点が時間の影響を受ける事はない。また別の、大きな何かが動いてるのかもしれないな…」

 

大きな何か、と聞いて俺は少し思い当たることがあった。

 

「もしかして…」

 

「何か分かったのか?」

侑斗さんがそう聞いてきた。

 

「俺達が今戦ってる『財団X』っていう組織があるんですが、そいつらかもしれません…」

 

「その、財団Xって組織の狙いは?」

 

「細かい事は全然分かってないんです。ただ、かなり大規模な何かをしようとしているのは確かだと思います。これまでのライダーと戦ってきた様々な怪人の力も持っているみたいで、さっきのイマジンも、財団Xの人物と契約してたみたいです。」

 

「そんな組織が…」

 

「財団Xの事で分かった事があれば、幸太郎さん達にも報告します。」

 

すると、デンライナーが現在まで戻ってきた。

 

「おい、優!」

すると、蓮が焦った様子で言ってきた。

 

「どうした?」

「これ!」

「……!?」

 

蓮が見せてきたスマホの画面には、今放送されているニュースの画面だった。その内容は、俺たちがいる時間で財団Xが暴れているという事だ。

 

「早く行かないと!」

 

「ゆっ、優くん!」

 

「花陽?」

 

「先に行っててもらってもいい?」

 

俺はこの時、何故花陽がそう言ったのか察しがついた。

 

多分花陽は、仮面ライダーとして戦うために、モモタロスたちに協力してもらえないか話したいんだろう。少し前の俺なら、絶対に止めてたんだろうな…

けど、今の俺はもう分かってる。µ’sのみんなは、俺がどれだけ止めても無駄なんだろうな…

 

「分かった。けど、ちゃんと自分自身で考えるんだぞ?」

 

「うん!」

 

「蓮、行くぞ!」

「おう!」

 

「侑斗、俺達も!」

「あぁ!」

 

俺、蓮、幸太郎さん、侑斗さん、そしてデネブさん、テディさんがデンライナーから降りて財団Xが暴れている所へ向かった。

 

〜現代〜

 

 

 

 

 

俺達が財団Xが暴れている所に着くと、この前戦ったデビュラーが4体…あと、おまけでバグスターウイルスが10体程…

 

「なんだあれ?あんな怪人、見た事ねぇぞ。」

 

「あの怪人は、デビュラー…グラスの話によると、ある並行世界のある兵器をモデルにしてるらしい…かなり強いぞ。下手したら、あのエアスよりも…」

 

「まじかよ…」

 

俺は腰にドライブドライバーを、蓮は腰にゲーマドライバーを巻き付けた。

 

 

『バンバンシューティング!』『ジェットコンバット!』

 

 

「第参戦術!」

 

「「変身!」」

 

 

『トライブ!タイプテクニック!』

 

 

『レベルアップ!ババンバン!バンババン!バンバンシューティング!』『アガッチャ!ジェット ジェット イン・ザ・スカイ!ジェット ジェット ジェットコンバット!』

 

 

俺は仮面ライダードライブ タイプテクニックに、蓮は仮面ライダースナイプ コンバットシューティングゲーマーレベル3に変身した。

 

「ひとっ走り付き合えよ!」

 

「ミッション開始!」

 

俺は地上から、蓮は空中から、それぞれ銃撃戦でバグスターウイルスと戦い始めた。

 

 

「侑斗、俺たちも。」

「あぁ。」

 

「「変身!」」

 

 

『アルタイルフォーム』

 

『ストライクフォーム』

 

 

侑斗さんは仮面ライダーゼロノス アルタイルフォームに、幸太郎さんは仮面ライダーNEW電王 ストライクフォームに変身した。

 

 

「最初に言っておく。俺はかーなーり強い!」

 

「テディ。」

 

幸太郎さんが指を2回鳴らしてそう呼ぶと、テディさんが剣に変わり、幸太郎さんは手に取った。

 

「仮野、宮崎。奥の、デビュラー?とか言う奴らは俺達がなんとかする。」

 

「はい、お願いします!」

 

俺は侑斗さんの言葉に返事し、バグスターウイルスと戦い始めた。

 

 

「まずは、あいつ。」

 

『カウントは?』

 

剣状態のテディさん…マチェーテディがそう幸太郎さんに問いかける。

 

「10…いや、8でいいや。」

 

幸太郎さんがそう言うと、テディさんがカウントを開始する。

 

『8』

 

まさか、あのデビュラーを8秒で倒そうとしてるのか!?

 

『7』

「はぁっ!」

 

カキンッ!

 

マチェーテディとデビュラーが持ってる槍、デビュラースピアがぶつかり合う。

 

『6、5、4』

 

マチェーテディがカウントしている間に、どんどんとデビュラーに攻撃していく幸太郎さん。デビュラーは、幸太郎さんの攻撃に押されている。

 

『3』

 

『フルチャージ』

 

幸太郎さんはベルトにパスをかざすと、

 

『2』

「ふっ!」

 

デビュラーを踏み台にして飛び、

 

『1』

「はぁぁっ!」

 

上からマチェーテディを振り下ろし、デビュラーにNEW電王の必殺技、カウンタースラッシュを決めた。

 

『0』

 

 

そして、デビュラーは爆発して消えた。

 

俺があんなに苦戦したデビュラーを、8秒で!?

 

「すぐに倒されたぞ。本当に強いのか?あの、デビュラーってやつ。」

 

「あぁ…デビュラーは確かに強い。でも、それ以上に幸太郎さんが強いんだ。それは侑斗さんも同じだ。」

 

『フルチャージ』

「おりゃあああああ!」

 

侑斗さんも、ゼロガッシャー サーベルモードから斬撃を飛ばしてデビュラーを倒していた。

 

「これが、俺達がライダーになる前からずっと戦って来たレジェンドライダーの力なんだ。」

 

「これが、レジェンドライダーの力…」

 

それは、俺が会ったことのあるレジェンドライダーの人たち、みんなそうだ。

 

「俺達も、もっと強くなんねぇとな!優、まずはこいつらを片付けるぞ!」

 

「あぁ!」

 

蓮はベルトからガシャットを取り外し、一旦変身を解除した。俺も変身を解除し、腰のベルトを蓮と同じゲーマドライバーに変えた。

 

『パーフェクトツムツム!』

『タドルファンタジー!』

 

「50コンボ!」

「術式レベル50」

「「変身!」」

 

 

『パーフェクトツムツム〜!』

 

『デュアルアップ!タドルメグルRPG!タドルファンタジー!』

 

 

俺は仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50に、蓮は仮面ライダーブレイブ ファンタジーゲーマーレベル50に変身した。

 

「俺の強さは次元を超えるぜ!」

 

「これより、バグスター切除しゅづっとぅっ………//んんっん!これより、バグスター切除手術を開始する!」

 

「お前、今噛んだだろ?」

 

「かっ、噛んでねぇし!」

 

そんなやり取りを終え、俺たちはバグスターウイルスとまた戦い始める。

 

「はぁっ!おらおらおらっ!」

 

俺はガシャコンソードバズーカー ソードモードでバグスターウイルスを切り裂いていく。

 

「セイッ!やぁっ!オラァッ!」

 

「なんか、今日の優の戦い方、いつもと違うな…はぁっ!」

 

『マッスル化 4コンボ!鋼鉄化 2コンボ!ジャンプ強化 3コンボ!』

 

 

『『キメワザ!』』

 

 

『パーフェクト クリティカルコンボ!』

 

『タドル クリティカルスラッシュ!』

 

 

俺とブレイブは飛び、バグスターウイルスへ必殺技のキックを放った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 花陽〜

 

「あの、モモタロスさん、ウラタロスさん、キンタロスさん、リュウタロスさん。私は、戦いとか全然慣れてなくて…このままじゃ、優くん達の力になるどころか、足でまといになってしまうと思うんです…」

 

「だから、私と一緒に戦ってくれませんか?お願いします!」

 

私は頭を下げてそうお願いする。

 

『花陽。生半可な覚悟で言ってんじゃねぇだろうな?』

 

「はい!」

 

『優の戦いを見てきてんならわかると思うが、俺たちの戦いってのは、怪我をする時もある。怪我どころじゃすまない時もある。常に危険と隣り合わせだ。それを分かって、言ってんのか?』

 

「はい!私は、それでも戦います!これまで、優くんや蓮くんがずっと戦ってきてるのを見て思ったんです。なんで、関係ない人のために、ボロボロになるまで戦えるんだろうって…

 

でもそんな2人が、私が今まで会った事のある人たちの中で1番かっこよく見えたんです。けど、私が勝手にそう思っていても、2人は戦って怪我してる時や辛い時ばっかりだと思うんです…

 

だから、私はそんな優くんたちを少しでもサポート出来るようになりたいって思ったんです。それだけじゃなく、優くんの様に仮面ライダーとして、いろんな人を守りたいって思ったんです!だから、お願いします!」

 

 

 

「私と一緒に戦ってください!!」

 

 

 

『大人しくて気が弱いやつかと思ってたが、言うじゃねぇか。俺も手を貸してやるよ。』

 

『良太郎と戦う事も出来なくなっちゃってるしね。』

 

『実態も無くなってしもうたから、俺らが戦う事もでけへんし。』

 

『僕たちは、花ちゃんと一緒に戦うよ!』

 

モモタロスさん、ウラタロスさん、キンタロスさん、リュウタロスさんがそう言ってくれた。

 

「ありがとうございます!」

 

『よし、じゃあ行くぜ!優たちの所へ!』

 

「はい!」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「クッ…なら、私たちにも策があるわ!」

 

バグスターウイルスと仲間のデビュラーを倒すと、2体のデビュラーがそう言って、腕についてるデビュラーデータボトルを似ている違うボトルに変えた。

 

すると、1体のデビュラーは武器が槍から剣に、もう1体は槍から斧に変わった。さらに、姿も少し変わった。

 

「フフフ…これが、私たちの進化した姿の1種。私はソードデビュラー。」

 

「私はアックスデビュラー。ただ武器や姿が変わっただけじゃないわ。スペックも上がってるのよ。」

 

これが、グラスの言ってたさらに強いデビュラー…そして、そこにもう1人の刺客が…

 

「またお前か…ダークインフィニティ。」

 

ダークインフィニティの登場した事に気づいたブレイブがそう言った。

 

「今度こそ、お前を…お前を殺す。宮崎、蓮!」

 

「なんでそこまで俺にこだわるのかは知らねぇが、俺も殺される気はないぜ!優、インフィニティとネイチャーで行くぞ。」

 

「あぁ!」

 

『『ガッシュー』』

 

俺たちはゲーマドライバーからガシャットを取り出し、変身を1度解いた。

 

「うっ…うぅ…うわぁぁぁあ!」

 

変身を解いた瞬間、何故か俺は強烈な頭痛に襲われた。

 

「優どうした!?」

 

「いや…なんでも、ない…大丈夫だ。」

 

俺は体制を立て直し、

 

「「変身!」」

 

俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに、蓮は仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに変身した。

 

「優くん!蓮くん!」

そこに、花陽とモモタロスたち4人のイマジンが砂の状態でやって来た。

 

「みんな、準備は良いですか?」

花陽は電王ベルトを腰に巻き付けてそう言った。

 

『花陽、俺と戦うぞ!』

 

『何言ってるの、先輩。僕が行くよ。だよね、花陽ちゃん?』

 

『何言っとるんや。花陽と戦うのは俺や。』

 

『違うよ、花ちゃんと戦うのは僕!』

 

そう言い合いを始める4体のイマジンたち。

 

「みっ、みんな。喧嘩しないで…」

花陽が宥めようとするが、イマジンたちは言い合いを辞める気配はない。

 

「何か、みんなで戦う方法はないのかなぁ…あっ、そういえばさっき電王ベルトと一緒にこれも…」

そう言って、花陽は赤い携帯、ケータロスを取り出した。

 

「これを使えば…」

 

変身した時、電王の知識が入ってきた花陽は、そのアイテムの使い道が分かったみたいだ。

 

「変身!」

 

花陽は仮面ライダー電王 プラットフォームに変身した。

 

「みんな、これを使いましょう!」

 

『ゲッ…ケータロス。花陽!それを使うのは…』

 

モモタロスは止めようとしたが、

 

『あっ、てんこ盛り!』

 

『久しぶりのてんこ盛りもええかもな。』

 

『ねっ、先輩。久しぶりに、みんなで戦おうよ。』

 

リュウタロスさん、キンタロスさん、ウラタロスさんがそう言った。

 

『仕方ねぇな…よし、花陽!てんこ盛りで行くぞ!』

「はいっ!」

 

花陽はケータロスのボタンを4つ押し、

 

『モモ・ウラ・キン・リュウ』

 

更にケータロスの側面に付いてる透明なボタンを押した。

 

 

『クライマックスフォーム』

 

 

ケータロスを電王ベルトに取り付けると、顔はソードフォーム、右肩はロッドフォーム、左肩はアックスフォーム、胸にはガンフォームの顔が付いた。

 

 

『俺たち、参上!』

 

 

花陽と4体のイマジンは、仮面ライダー電王 クライマックスフォームに変身した。

 

 

『キンちゃん狭い、もうちょっと詰めて。』

 

『これ以上詰められへん。カメの字こそ、詰めたらどうや。』

 

『わーいっ、てんこ盛りだぁ!でもやっぱり気持ち悪い…』

 

ウラタロスさん、キンタロスさん、リュウタロスさんがそれぞれ言った。

 

『うるせぇ!お前らがてんこ盛りがいいって言ったんだろ!』

 

 

『最初から最後までクライマックスで行くぜ!』

 

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

インフィニティ、ネイチャー、電王は3人でダークインフィニティと、NEW電王はソードデビュラーと、ゼロノスはアックスデビュラーと戦い始めた。

 

「はぁっ!」

 

NEW電王のマチェーテディと、ソードデビュラーのデビュラーソードがぶつかり合う。

 

「グッ…」

 

しかし、NEW電王の一瞬の隙を見逃さなかったソードデビュラーの攻撃を受けてしまったNEW電王は、少しよろけてしまう。

 

「強くなったってのは本当みたいだ…これは、早く終わらせた方が良さそうだ。」

 

『カウントは?』

 

「カウントはいらない、一気に決める。」

 

『了解した。』

 

『フルチャージ』

 

NEW電王はベルトにパスをかざした。そして、マチェーテディにエネルギーを貯めていく。ソードデビュラーも、デビュラーソードにエネルギーを貯める。

 

そして、お互い同時に走り出した。

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

NEW電王とソードデビュラーがすれ違いざまに、お互いの剣で斬り合う。そして、数秒後…

 

「うっ…そんな…進化した私が負けるなんて…」

 

仮面ライダーNEW電王は、ソードデビュラーに勝利した。

 

 

 

「はぁっ!おらぁ!」

 

ゼロノスは、ゼロガッシャー サーベルモードでアックスデビュラーへ攻撃するが、効いていない。

 

「だったら…デネブ、行くぞ。」

 

『了解!』

 

ゼロノスはベルトのゼロノスカードを抜き、向きを変えてもう1度入れた。

 

『チャージアンドアップ』

赤銅色のボディのゼロノス、仮面ライダーゼロノス ゼロフォームに姿を変えた。それと同時に、デネブもガトリングガン型武器、デネビックバスターになり、ゼロノスはそれを持った。

 

 

「もう1度言っておく。俺はかーなーり強い!!」

『その通り!』

 

 

「おらぁぁぁぁ!」

 

デネビックバスターで、アックスデビュラーへ連射攻撃していくゼロノス。その攻撃に怯んだアックスデビュラーの隙を、ゼロノスは見逃さない。

 

『フルチャージ』

 

ゼロノスはデネビックバスターにゼロノスカードを差し込み、

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

高エネルギービームを放ち、アックスデビュラーを倒した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

『おらぁっ!』

 

電王がデンガッシャー ソードモードでダークインフィニティへ斬り掛かる。

 

「「はぁっ!」」

 

それに続いて俺と蓮も、それぞれインフィニティソード、ネイチャーソードで斬り掛かった。

その攻撃を、ダークインフィニティは自身が持っているインフィニティソードの黒バージョンの剣で防ごうとするが、防ぎきれずに蹌踉ける。

 

最初にダークインフィニティと戦った時から、俺と蓮もかなり強くなってる。そして今は、レジェンドライダーの電王と共に戦っていたイマジンも一緒に戦ってる。

 

最初の頃は手も足も出なかったが、今の俺たちは違う…

 

すると、俺と似た考えをしていたであろう蓮が、

 

「今の俺たちは、負ける気がし「それ以上はダメだ!」

 

今の俺たちが知らない、プロテインの貴公子さんの決め台詞を言おうとしたので、俺は咄嗟に止めた。ん?今の俺たちが知らないプロテインの貴公子さんって誰だ?まぁ、いいや。

 

『トドメだ!』

 

電王の言葉で、俺と蓮はアタックバックルにそれぞれカードを、電王はケータロスについてる電王マークのボタンを押して、パスをかざした。

 

 

『チャージ&アップ』

 

『スペシャルアタック!インフィニティストライク!』

 

『スペシャルアタック!ネイチャーストライク!』

 

 

電王の体についてるロッドフォーム、アックスフォーム、ガンフォームの仮面が右足へと集まった。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

『『『『おりゃあああああああああ!!』』』』

 

3人のライダーキックを、ダークインフィニティに放った。ダークインフィニティがいた所には爆発が起きた。

 

『やったぜ…』

 

爆炎が収まると、そこには誰もいなかった…

 

「やった、のか…?」

「いや、多分逃げられたな。」

「またかよぉ…」

俺と蓮の会話の横で、花陽が変身した電王に入ってる4体のイマジンが何か言っている。

 

『やったぁ!やったぁ!』

『小僧!いつもいつも勝手に動くんじゃねぇよ!』

 

『先輩には、やっぱり僕がいないとね。』

『だーかーらー、勝手に動くんじゃねぇ!』

 

『なんやモモの字、照れとんのか?』

『いい加減に、しろぉー!』

 

(もつ皆さん、喧嘩しないでくださいっ!)

 

「何やってんだ、あのイマジン(馬鹿)共は…」

 

なんとか無事に戦いを終えた俺たちだが、µ’s全員が仮面ライダーとして戦う事に、複雑な感情になる俺であった…

 

 

あっ…今日の授業、完全にサボりじゃん…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「また負けて帰ってきたのね。」

 

「うるさい…」

 

以前(78話 血が繋がっていなくても…)もダークインフィニティと話していた謎の女と謎のジェフリーという男が、優たちに負けて帰ってきたダークインフィニティと話している。

 

「これで彼女たち全員が仮面ライダーに変身しました。これで計画も大きく進んだ。今のうちに宮崎蓮を始末しておきなさい。でないと、あなたでは敵わない相手になってしまう可能性だってあるんですよ。」

 

「何?」

 

「いつまでも宮崎蓮の事を侮ってはいられないって事よ。今の彼が、あのデータボトルを持ってるはず。仮野優と比べたらスピードは落ちるけど、宮崎蓮の進化だって速いわ。いつあのデータボトルを使えるようになるか分からないわよ。」

 

「そんな事、分かってる…宮崎蓮が、やる時はやるやつだって事を、俺はよく知ってんだよ…」

 

「そうだったわね。けど、今のあなたなら宮崎蓮の始末ぐらい簡単に済むはずよ。けど、あなたは本気を出していない。いえ、それとも出せないのかしら?」

 

「……」

 

謎の女の言葉に、ダークインフィニティは黙り込む。

 

「まぁ、なんでもいいわ。さっきも言った通り、このまま宮崎蓮が進化していく程、私たちにとって厄介になっていく。あなたの事情は関係ない。あなたが本気を出せないなら、出させてあげる。」

 

そう言った謎の女の声は、これまでよりも低くなる。

 

「これ以上約立たずのお荷物さんなら、私たち女神と財団Xな、徹底的にあの子を潰すわ。その事を、忘れない事ね。」

 

「……分かった…」

 

ダークインフィニティは、苦虫を噛み潰したような顔でその場から立ち去った。

 

「美穂…」

 

少し離れたところまで来たダークインフィニティは、小さくそう呟いた…

 

 

 

場所は戻りあの謎の女とジェフリーがいる部屋。

 

「そういえば、彼の調子はどうですか?」

 

「えぇ。もう調整は完了、完全に戦える状態よ。明日にでも仮面ライダーに挨拶でも行かせましょうか。」

 

「それはいいですね。彼は過去最強のバグスターと言っても過言ではないでしょう。今後の成長しだいでは、ゲムデウスにすら勝るでしょう。これは、感染者である彼の力のおかげ、でもありますが。」

 

「うふふふ。彼がどんな活躍をするか、楽しみね。」

 

不敵な笑みを浮かべながらそう話す謎の女とジェフリー。2人が言う、過去最強とも言えるバグスターとは…

 

 

 

 

 




次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!

秋葉原で行われるハロウィンイベントに、地元のスクールアイドルであるA‐RISEとµ’sが招待される。ラブライブの最終予選が控えてるµ’sは、お客さんに少しでもインパクトを与える事をしようと考えるが…

次回、『86話 インパクトを与えるためには』





とうとうµ’s全員が仮面ライダーに。そして最後の会話でダークインフィニティの事だったり、最強のバグスターだったりと少し意味深な事も…

では、次回からはアニメ2期6話に入りたいと思います。

評価、お気に入り登録、感想など頂けると嬉しいです!
次回もぜひ見てください!


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86話 インパクトを与えるためには

はい、86話です。

前回、82話から順に戻っていく形で修正していくと説明し、82話と81話を修正しました。しかし、やっぱり0話からも修正したいなと思った自分がいまして、これからは80話から戻っていく形で修正し、0話からも修正していきたいと思います。凄い分かりにくいと思います、すみません…
出来るだけ早く修正も終わらせ、投稿も出来るだけ多く出来るよう頑張っていくので、読んでいただけると嬉しいです!

では86話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスの4体のイマジンと協力し、仮面ライダー電王に変身した花陽。

花陽は更にパワーアップし、4体のイマジンと共に変身した姿、クライマックスフォームに変身した。レジェンドライダーであるゼロノス、NEW電王の力も借りてデビュラーを倒し、ダークインフィニティを追い払う事が出来た。」

 

花陽「私、これから仮面ライダーとして、ちゃんと戦えるかな…」

 

優「大丈夫だ。モモタロス達だっているんだし 。」

 

花陽「そうだよね…モモタロスさん達もいるもんね。」

 

優「それに、万が一みんなに危険が及んだら俺達ので助けるしな、蓮。」

 

蓮「あぁ。あっ、そういえば…なぁ、花陽。この前凛が言ってた、不良から助けてもらった恋の相手ってどんなやつなんだ?」

 

花陽「別に、好きとかそういう訳じゃ…//それに、どこにいる人かも分からないし…」

 

蓮「特徴ぐらいねぇのか?」

 

花陽「うーん…サングラスをかけて、黒い服を着てたってぐらいしか…」

 

優「(ん?それって、この前優奈を探しに行った時、神田明神の前で見た人と似てるな…同一人物が?)って、あぁ!あらすじ紹介の時間終わっちまう!さぁ、どうなる86話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「まったく!穂乃果は生徒会の仕事を放ったらかして、どこに行ってしまったのですか!」

 

今、海未がこうして怒ってるのは、本人が言った通り生徒会の仕事をしないでどこかに行ってしまったから…校内を探しても見当たらない…ほんとにどこ行ったんだ?

 

「もしかして…」

 

「ことり、心当たりがあるのか?」

「うん。放課後、他のみんなはハンバーガー屋さんに行くって言ってたから、それについて行っちゃってるのかも…」

 

「まったく…優、ことり、行きますよ。」

 

 

 

そして、穂乃果を探しに、お馴染みのワックに来ると、案の定1年生4人と3年生3人に混ざって穂乃果がいた。

 

「真姫ちゃん、これからはインパクトだよ!」

 

インパクト?なんの話してんだ?

 

「ごきげんよう。」

「探したんだよぉ…」

 

海未、ことりがそう声をかけた時、穂乃果の顔が青ざめる。ってか、海未のやつ超怖いんですけど…

 

「へぇ、これからはインパクト、なんですね?」

 

笑顔で海未がそう言うが、とても怖い…

 

「あははははは…うぅ、こんなインパクトいらない…」

 

 

 

それから、海未が穂乃果にお説教をした後、音ノ木坂学院の部室に戻ってきた。そこで、さっき穂乃果と1年生、3年生が話していたらしい、µ’sに出演依頼が来ているハロウィンイベントについて話している。

 

「うーん…インパクトかぁ…」

 

「でも、今回は大会じゃないよね?優越つけるものじゃないし、そんなの気にしても…」

 

「何言ってるの!勝負はもう始まってるのよ! 」

 

「にこちゃんの言う通り。確かに採点も順位も無いけど、お客さんの印象に残った方が多く取り上げられるだろうし、みんなの記憶にも残る!」

 

穂乃果、ことり、にこ、真姫がそれぞれ言った。のだが、穂乃果はかぼちゃの置物、ことりはお化けのマスコット、にこはおしゃれな?がいこつ、真姫はでっかいゴーレムを使って会話している…

 

「つまり、最終予選も有利に働くって事ね!」

「その通りよ。」

にこ、真姫がそう言った。

 

「それにA‐RISEは前回の優勝者。印象度では圧倒的に向こうが上よ。こんな大事な話をしている時に…一体何やってるのよ!」

 

「ちょっと、ハロウィン気分を…」

「トリックオアトリート…」

絵里の言葉に穂乃果とことりがそう返すと、絵里はため息をつく。

 

そんなやり取りを横目に、俺はみんなに聞こえない程度の声で蓮と話している。

 

「今朝、咲さんから聞いたか?」

 

「あぁ、ちょっとの間帰って来れないって話だろ?」

 

「あぁ。」

 

俺達が話している事は、今日の朝まで遡る…

 

 

 

〜今朝〜

 

「優くん。」

 

「どうしたんだ?姉ちゃん。」

 

「今日から少しの間、私と咲が別の天界に行く事になったから、しばらく帰って来れないと思うの。」

 

「別の天界?」

 

「あれ?言ってなかったかしら。この世界が、穂乃果ちゃん達µ’sがいる世界と、エグゼイド達仮面ライダーが実在する世界が混ざった世界っていうのは、前に説明したわよね?」

 

「あぁ。」

 

「だから、元は穂乃果ちゃん達のがいる世界と、仮面ライダーが実在する世界は別々の世界、並行世界っていうものなの。優くんは、並行世界って知ってる?」

 

「パラレルワールドの事だろ?今ここで自分が転んだ場合、転ばなかった自分がいる世界があるかもしれないとかよく聞くけど。」

 

「そう、それが並行世界。この世の中には、無数の並行世界があるの。」

 

「俺と蓮が前にいた世界も、パラレルワールドなんだろ?」

 

「そうよ。で、私はこの世界担当の女神なの。」

 

「へぇ。女神様も並行世界ごとに担当とかあるんだな。」

 

「そうなの。なんだけど、また別の並行世界を担当している女神がいる天界に行かなきゃならないのよね。確認しとかないといけない事とかがあるの。」

 

「ふぅん。どんな世界なんだ?」

 

「うーん…簡単に言うと、日本が三国に別れた世界。」

 

「えっ?」

 

「あっ、そろそろ行かないと…じゃあ、行ってくるわね。」

 

「あっ、あぁ、行ってらっしゃい。」

 

日本が三国に別れた世界…?なんじゃそりゃ…

 

〜回想終了〜

 

 

 

「それにしても、いろんな世界があるもんだな。日本が3つの国に別れてるってことだろ?」

 

「そうだろうな。他の世界にも、色々な問題があるんだろうな。姉ちゃん達も、大変だな。」

 

蓮の言葉にそう返答した俺。

 

「転生した時は、仮面ライダーになったりと色々あってそんな事考える余裕もなかったけど、今考えるとパラレルワールドがあるってだけでも凄い発見だよな。」

 

「だな。」

 

俺達が色々話していると、

 

「とにかく大切なのは、インパクトよ!」

 

穂乃果達のの話も進んだらしく、にこがハロウィンイベントで大事なのは、インパクトだと大声で主張した。

 

 

 

 

 

そして、ハロウィンイベントについての取材を受けるべく、秋葉原のハロウィンイベントが行われる予定の場所に来た。するとそこには、仮装したお客さんやテレビ局やその他の取材をしに来た人達のなどで大盛り上がり。

 

こんな仮装した人だらけだと、財団Xの怪人が混ざってても、気づかないかもな…

 

「さぁ!というわけで、今日から始まりましたアキバハロウィンイベント!テレビの前のみんな、はっちゃけてるかーい!」

 

あのリポーターの人、凄いテンション高いな…そのテンションの高さに、あの穂乃果でさえも苦笑を浮かべている…

 

今回取材を受けるメンバーは穂乃果、にこ、凛の3人。俺もマネージャーとして、少し離れたところから様子を伺っている。

 

「この通りイベントは大盛り上がり!そしてなんとなんと!イベントの最終日には、スクールアイドルがライブを披露してくれるんだぁ!あははやっほー!はっちゃけてる?」

 

リポーターさんが、穂乃果にマイクを向けてそう聞いた。

 

「ライブに向けての意気込みをどうぞ!」

 

「せっ、精一杯がんばります…」

 

リポーターさんのテンションについていけていない穂乃果は、戸惑い気味にそう答えた。

 

「よーしっ、そこの君にも聞いちゃうぞ!」

 

リポーターさんは、次は凛の所へ聞きに行った。あのリポーターさん、クロックアップでも使えるのか?すっげぇ速いし、すっげぇテンションだ…

 

「ライブ頑張るにゃ!」

 

穂乃果と違い、凛は通常運転でそう答えた。

 

「私も!にっこにっこ…「さぁ、というわけで、音ノ木坂学院スクールアイドルでした!」

 

にこもお得意の『にっこにっこにー』を披露しようとしたが、リポーターさんはそれをスルー。にこ、とうとうリポーターさんにまでスルーされたか…

 

そうこうしていると、会場にテレビが運ばれてきた。

 

「そしてそして、なんとA‐RISEもライブに参戦だぁ!」

 

モニターにA‐RISEの3人が映ると、大きな歓声が聞こえてくる。

 

『私達のは常日頃、新しいものを取り入れて、進化していきたいと思っています。このハロウィンイベントでも、私達ののイメージを、いい意味で壊したいですね。ハッピー、ハロウィーン!』

 

そこでA‐RISEの中継は終わった。最後のツバサさんの声で、会場は更に歓声が。流石A‐RISE、俺達のがそう思うのは何度目だろうか…しかしどうしても、この状況を見たらそう思ってしまうだろう。

 

その様子を見ている穂乃果、凛、にこも不安を感じているようだ。

 

その後、凛とにこは穂乃果の家に行くらしいが、俺は夕食の買い出しと支度があるため、先に帰った。

 

 

 

 

 

翌日…

海未が最近たるんでいる、根本的なところから変えてみると言い出し、ある事に挑戦してみているのだが…

 

 

「あなたの想いをリターンエース、高坂穂乃果ですっ!」

 

「誘惑リボンで狂わせるわ!西木野真姫!」

 

「剥かないで!私はまだ青い果実、小泉花陽です!」

 

「スピリチュアル東洋の魔女、東條希!」

 

「恋愛未満の化学式、園田海未です!」

 

「私のシュートで、ハートのマーク付けちゃうぞっ!南ことり!」

「キュートスプラーッシュ!星空凛!」

 

「必殺のピンクポンポン!絢瀬絵里よ!」

 

「そして私、不動のセンター矢澤にこにこ〜!」

 

『私達の、部活系スクールアイドル、µ’sです!』

 

最後は全員で声を揃えて言った。

 

「って、私顔見えないじゃない!」

 

にこがそう叫んだ後、

 

「いつもと違って新鮮やね!」

「うんうん!」

「スクールアイドルって事を考えると、いろんな部活の服を着るっていうのは、悪くないわね。」

 

希、穂乃果、絵里がそう言った。今みんなは、それぞれ違う部活動の格好をしている。

 

「でも、これだとなんか…」

「ふざけてるみたいじゃない!」

 

花陽、にこがそう言った。

 

「ひとついいですか?私のこの格好は一体、なんの部活なのでしょうか?」

 

海未は白衣に眼鏡、という格好をしている。

 

「科学部だよ!」

 

「では花陽のこれは?」

 

花陽はみかんの着ぐるみを被っている。ほんと、最早なんの部活か分からない…

 

「多分、演劇部?」

 

多分って…

 

「っていうか、そもそもこれでステージに上がるなんて、ありえないでしょ。」

 

「確かに…」

真姫の言葉を聞いてそう呟く絵里。最近、絵里が一段とポンコツになってるような気がするんだが…

 

 

 

 

「一体これのどこが新しさに繋がるのよ!」

 

制服に着替えて部室に戻って来ると、にこが怒り気味にそう言った。

 

「すみません。提案した私が馬鹿でした…」

 

「でも、ちょっと楽しかったね。」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!A‐RISEはこうしている間にも、日々進化を遂げているのよ!」

 

「うーん…」

 

「やっぱり見た目じゃないかな?1番分かりやすいのは。」

 

悩んでいる穂乃果を見たことりがそう言った。

 

「衣装を奇抜な物にするとか?」

 

「確かに、それが手っ取り早いとは思いますが…それは既に先程…」

 

前途多難…そんな時、

 

「ほな、ウチがカードの知らせを伝えるしかないようやな。」

 

希がそう言ってカードを引き始める。希のタロット占いはガチで当たるし、これは何かのヒントになるかもな…

その事で緊張が走る中、希が引いたカードに書かれている文字は…

 

 

 

 

 

CHANGE

 

 

 

 

 

「おはようございまーす!あっ…ごきげんよう。」

 

いつも通り屋上に来た穂乃果だったが、何かに気づいて海未のような振る舞いに変えた。

 

「海未、ハラショー。」

 

「絵里、早いですね。」

 

穂乃果に向かってことりが『海未』と呼び、ことりに向かって穂乃果が『絵里』と呼んだ。さらに今の2人の服装は普段の海未と絵里の練習着。そう、今µ’sの9人はそれぞれ別のメンバーになりきっている。希が引いたカードはチェンジ、という事でみんな別のメンバーになりきっているという事だ。

 

ことりに至っては、眉毛もいつもよりキリッとしてるし…みんな、見た目から雰囲気が違うな…

 

「「そして凛も!」」

 

海未(穂乃果)絵里(ことり)が振り返りながら、海未…もとい、凛に言った。

 

「なっ…うぅぅぅ…無理です!」

 

普段の恥ずかしがり屋な性格から、凛になりきる事を躊躇している海未。

 

「ダメですよ、海未。ちゃんと凛になりきって下さい。あなたが言い出したのでしょう?空気を変えてみた方がいいと。さぁ、凛!」

 

「うぅぅぅ…うぅ、にゃあー!さぁ、今日も練習、行っくにゃー!」

 

海未(穂乃果)の言葉に折れた(海未)

 

「ナニソレ、イミワカンナイ!」

 

(海未)の言葉を聞いた真姫()が髪をクルクルしながらそう言った。

 

「真姫!そんな話し方はいけません!」

 

「面倒な人。」

 

「ちょっと凛!それ私の真似でしょ、やめて!」

 

そう怒りながら屋上へやって来た真姫。

 

「オコトワリシマス!」

 

「ヴェッ…」

 

「おはようございます、希。」

 

「………」

 

「あっ、喋らないのはずるいにゃー。」

 

そう言いながら真姫に顔をスリスリする(海未)。いろいろ言ってたけど、結局はノリノリじゃねぇか…

 

「そうよ、みんなで決めたでしょ?」

 

「別にそんな事…言った覚え、ないやん?」

 

絵里(ことり)にも言われ、とうとう折れた(真姫)。そして、続いて屋上にやって来たのは…

 

「にっこにっこにー!あなたのハートににこにこにー!笑顔届ける矢澤にこにこー!青空もぉ、にこっ!」

 

そう完璧になりきっているにこ(花陽)

 

「ハラショー。にこは、思ったよりにこっぽいわね。」

 

「にこっ!あっ…」

 

そんなにこ(花陽)の方に手を乗せ、

 

「にこちゃ〜ん、にこはそんな感じじゃないよ〜…」

 

ことり(にこ)がそう言った。本人はにこ(花陽)のなりきりは気に入っていないようだ。けど、周りから見たらあんなんだけどな…

 

「いやー、今日もパンが美味い!」

 

そう言いながらパンを頬張る穂乃果()。その姿を見て、海未(穂乃果)は「ゲッ…」と声を漏らす。

 

「穂乃果、また遅刻よ。」

 

「ごっめーん!」

 

「私って、こんな…?」

 

「えぇ!」

 

海未(穂乃果)の問いに、容赦なく答える絵里(ことり)

 

「大変ですぅ!」

 

そう言いながら、焦って屋上へやって来た花陽(絵里)

 

「ハーフーハーフー…みんなが…みんながぁ!」

 

深呼吸して呼吸を整えた後、何かを言い始めた花陽(絵里)

 

「みんながぁぁ!変よ。」

 

そこで絵里に戻った絵里が、キッパリと言い張った。うん、確かに変だ。

 

 

 

結局、ハロウィンイベントのヒントが見つからなかったµ’sは、また部室に戻ってきた。ちなみに、俺と蓮は入れ替わらなかった。理由としては、俺達のはマネージャーだし、それにこんな馬鹿になるのが嫌だったし…

 

「あぁん?誰がバカだって?」

 

お前だよ…ってか、心を読むな、心を。

 

「まずいまずい…」

 

「このままじゃ、時間がどんどんなくなっちゃう…」

 

「結局、何も帰られないままですね…」

 

穂乃果、ことり、海未がそう言った時、絵里が1つの案を出す。

 

「ねぇ、ちょっと思ったんだけど…いっその事、アイドルらしいってイメージから離れてみるのはどうかしら?」

 

アイドルらしさから離れるか…ん?その時、部室にペガサスアニマルが飛んできた。

 

「どうした?うんうん、それ本当か?こんな時に…」

 

「優くん、その子達のと会話出来たんだ…どうかしたの?」

 

「あぁ、財団Xが現れたみたいだ。蓮、行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

「だったら私達も!」

 

「いや、今回は俺と蓮で行く。」

 

「みんなはハロウィンイベントまで時間が無いんだし、しっかりとライブで何をするか決めないといけないだろ?財団Xの事は、俺と優に任せとけ。」

 

俺達のはそう言って、部室を飛び出して行った。

 

 

 

 

 

「バクスターウイルスだけか…よしっ、さっさと片付けますか。」

 

暴れているのはバクスターウイルスが20体程。俺と蓮はゲーマドライバーを腰に巻き付け、

 

 

『マイティアクションX!』『ゲキトツロボッツ!』

 

『タドルクエスト!』『ドレミファビート!』

 

 

ガシャットを起動した。

 

「大・大・大!」

「術式レベル3」

 

「「変身!」」

 

 

『レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション X!』『アガッチャ!ぶっ飛ばせ!突撃!ゲキトツパンチ!ゲキトツロボッツ!』

 

『レベルアップ!タドルメグル!タドルメグル! タドルクエスト!』『アガッチャ!ド・ド・ドレミファ・ソ・ラ・シ・ド!OK!ドレミファビート!』

 

 

俺は仮面ライダーエグゼイド ロボットアクションゲーマーレベル3に、蓮は仮面ライダーブレイブ ビートクエストゲーマーレベル3に変身した。

 

「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

「これより、バグスター切除手術を開始する。ふぅ…今度は噛まずに言えたぜ!」

 

俺と蓮は、バグスターウイルスへと駆け出した。

 

「はぁ!まだまだぁ、オラァ!」

俺は左手についてるゲキトツスマッシャーでバグスターウイルスを次々と殴る。

 

「はっ!やっ!」

ブレイブは肩についてるスピーカーから音を実体化して攻撃している。

 

『『ガシャット!キメワザ!』』

 

『ゲキトツ クリティカルストライク!』

 

『ドレミファ クリティカルストライク!』

 

「「はぁぁぁっ!」」

 

俺はゲキトツスマッシャーを飛ばしてバグスターウイルスへ命中させ、ブレイブも肩のスピーカーから音を出して攻撃し、半分のバグスターウイルスを倒した。残りは10体。

 

 

 

「へへっ、こいつらもさっさと倒して、ゲームクリアだ!」

 

俺がそう言うと、

 

『マイティブラザーズ XX(ダブルエックス)!』

 

『ドラゴナイトハンターZ!』

 

俺はマイティブラザーズ XXガシャットを、ブレイブはドラゴナイトハンターZガシャットを起動させた。

 

「だ〜い変身!」

 

「術式レベル5」

 

 

『ダブルアップ!俺がお前で!お前が俺で!マイティマイティブラザーズ XX!』

 

『アガッチャ!ド・ド・ドラゴナナナナーイト!ドラ・ドラ・ドラゴナイトハンター Z!』

 

 

俺は一気に仮面ライダーエグゼイド レベルXXに変身し、XX R(ダブルエックス アール)XX L(ダブルエックス エル)に変身した。(ちなみに俺はXX L)

 

そして蓮は、仮面ライダーブレイブ ハンタークエストゲーマーレベル5(フルドラゴン)にレベルアップした。

 

「超協力プ…っておい!」

俺が(XX R)とレベルXXの決めゼリフを言おうとしたが、XX Rが勝手に走り、戦い始めてしまう。

 

「はぁ!オラァ!最速でゲームクリアと行くぜ!」

 

(XX R)はそう言いながら次々とバグスターウイルスを殴る。

 

「なぁ、なんかあの俺の戦い方、ちょっと荒々しくねぇか?」

 

「うーん…エグゼイドに変身したさっきのお前も、あんなんだったと思うぞ?それより、俺達のも行くぞ。」

 

「あっ、あぁ…はぁ!」

 

俺は蓮の言葉に少し戸惑いながらも、バグスターウイルスと戦い始めた。

 

「おい俺!レベルXXは協力プレイなんだぞ、一緒に決めるぞ!」

 

「分かってるっての!一緒に決めるぞ、俺!」

 

俺の言葉に、そう返してきた(XX R)。そして俺達はゲーマドライバーを一旦閉じ、蓮はドラゴナイトハンターZガシャットをキメワザスロットホルダーに差し込んだ。

 

『『『キメワザ!』』』

 

『『マイティ!』』『ドラゴナイト!』

 

『『『クリティカルストライク!』』』

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁっ!」」

 

俺と(XX R)はバグスターウイルスへダブルキックを決めた。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

蓮は右腕のブレードで斬撃を飛ばしてバグスターウイルスを倒した。

 

「ふぅ…」

 

「やったな。」

 

全てのバグスターウイルスを倒したのを確認し、俺達のが安心していた時、

 

「「「!?ぐぁぁぁぁっ…!」」」

 

『ガッシュー』

 

何者かの攻撃を受け、俺達は強制変身解除してしまう…

 

「くっ…誰だ…?」

 

倒れている中、俺が前を向くと、俺達のを襲ったであろう人物の足元が見える。

 

「お前は!?」

 

その足は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺…?」

 

 

 

俺がガシャットギアデュアルアルファで変身した姿、仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50の足にそっくりだった。

 

 

 




次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!
優と蓮の前に現れた、新たな強敵。
そして、ハロウィンイベントでのライブについての考えもまとまらない…そんな中、穂乃果が分かったこととは何か…

次回、『87話 ハロウィンライブ!』





はい、どうでしたか?また新たな敵が出現しました。次回、その正体が明らかになります。

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87話 ハロウィンライブ!

はい、87話です。

今回のあとがきから、新コーナーが始まります。新コーナーでも説明しますが、2話に1度のペースぐらいで行おうと思っています。更に、その新コーナーで優やµ’sのメンバーも登場しますが、メタ発言も多く、本編とは別の優達と考えてください。メタ発言など、そういうのが苦手な方は、飛ばしてください。

では87話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「秋葉原で開催される事になったハロウィンイベントに、地元のスクールアイドルであるA‐RISEとµ’sがライブをする事に。ラブライブの最終予選でA‐RISEに勝つため、お客さんに強く印象に残るパフォーマンスをするため、いろんな部活動の格好をしたり、他のメンバーになり切ってみたりしてみたものの、中々いいアイディアが思いつかない…」

 

蓮「そんな中、バグスターウイルスが暴れだしたという知らせを受け、µ’sのみんなにはハロウィンイベントに専念してもらうため、俺と優で戦うことに。」

 

優「バグスターウイルスを倒したすぐ後、何者かの攻撃を受けた俺達。すると、俺が変身した姿である仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50の足が見えた…」

 

蓮「お前まさか、分身の術が使えたのか!」

 

優「んなわけねぇ…いや、確かアタックバックルで使えるカードの中に、分身出来るカードもあったような…」

 

蓮「じゃあ、お前が攻撃して来たのか!?」

 

優「はぁ、なんでそうなるんだよ…だいたいそんな事して俺になんのメリットが…ってか、まだ足しか見てねぇし…」

 

蓮「ツッコミが多いな…」

 

優「誰のせいだよ!ったく、相変わらずうるせぇやつだ…今からの話でそれもちゃんと分かるから、大人しくしとけよ…

それでは、どうなる87話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺…?」

 

俺が変身した姿である仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50の足が見えたかと思うが、

 

「いや、違う…」

 

すぐ違うと分かった俺。

 

「まず、腰にゲーマドライバーが巻かれていない。それに、所々違うし、顔も違う。ただ似てるだけなのか…?お前は、何者だ?」

 

そいつはさっき俺が言ったようにゲーマドライバーを腰に巻かず、パラドクス レベル50が巻いてるパラドクスバックルの色が水色になっている物が腰に巻かれている。

 

「俺は、仮面ライダーラビリンス。」

 

「ラビリンス…?」

 

「このガシャットギアデュアルオメガで変身した、ツムツムゲーマーレベル50だ。」

 

「「…!?」」

 

ラビリンスは腰のベルトの右にあるガシャットホルダーに差し込んである、ガシャットギアデュアルを見せてきた。

 

「ガシャットギアデュアルオメガ…?ツムツムゲーマーレベル50…?おい、なんだそのガシャットギアデュアルは!なんで俺と同じ姿に変身出来るんだ!」

 

「そんな事どうだっていいだろ。それより、俺と遊ぼうぜ、優。」

 

「なんで俺の名前を…って聞いても無駄か…」

 

『パーフェクトツムツム!』

『バンバンシミュレーション!』

 

「50コンボ!」

「第五拾戦術」

 

「「変身!」」

 

 

『全てを繋いで 己の力へ!パーフェクトツムツム〜!』

 

『スクランブルだ!出撃発進 バンバンシミュレーションズ!発進!』

 

 

「はぁっ!」

 

俺はラビリンスと接近戦で戦い始め、スナイプは後ろから銃撃で援護している。

 

『鋼鉄化 4コンボ!』

 

しかし、ラビリンスは俺と同じパーフェクトツムツムのエナジーアイテムを自在に操る能力で防御した。

 

「そんなぬるい攻撃するなよ、お前の力はそんなもんか?優。」

 

「言ってくれんじゃねぇか…オラァ!」

 

俺は更にラビリンスを殴る。その後ろで、

 

「はぁ!」

 

スナイプが両手のオーバーブラストキャノンでラビリンスに銃撃を放つ。

 

「なんだ?」

 

しかし、ラビリンスはダメージをほぼ受けていない。

 

「俺は今優と遊んでんだ、邪魔すんなよ…」

 

『 重力操作 3コンボ!』

 

「なに!?うおっ!ちょっ、ぎゃあああ!うっ…」

 

『ガッシュー』

 

ラビリンスはスナイプへ手を向け動かすと、それに合わせてスナイプも浮いてぐるぐると動いていく。そしてスナイプが落ちると、そのダメージで強制変身解除した。

 

「どうだ、新しいエナジーアイテムの力。」

 

「新しい、エナジーアイテムまであるのか…」

 

「ついでにこいつもお見舞いしてやる!」

 

『ネガティブ化 4コンボ!』

 

「うっ…!?くっ…うぅぅ…どうせ俺なんか、なんの価値もない人間なんだ…」

 

そう座り込んで言い出したネイチャー。見てるだけで紫のネガティブオーラが見えてくる。

 

「こんなのまで出来るのか…」

 

「さぁ、優。これでお前とのフェアなバトルが楽しめるぜ。」

 

「なんでそんなに俺と戦いたいんだ?俺のファンか何かか?」

 

「へっ、俺とお前はもっと深い関係だぜ。」

 

もっと深い関係…?

 

「今はそんな事どうだっていい。さぁ、行くぜ!」

 

そう言ってラビリンスは俺に殴りかかってくる。俺はそれを左手で防ぎ、右手でラビリンスを殴る。それによりラビリンスは少し後退る。

 

「へっ…なかなかやるな。けど、勝つのは俺だ!」

 

そう言いながらラビリンスはエナジーアイテムを操り始めた。そして俺もエナジーアイテムを操り始める。

 

『『マッスル化 3コンボ!ジャンプ強化 2コンボ!』』

 

『キメワザ!パーフェクト クリティカルコンボ!』

『キメワザ!パーフェクト クリティカルコンボ!』

 

俺とラビリンスは高くジャンプし、空中でキックを放つ。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

「ぐはぁぁぁ…!」

 

『ガッシュー』

 

しかし、俺はラビリンスの蹴りの威力に負け、強制変身解除して倒れてしまう。

 

「なんで…レベルも、使ったエナジーアイテムも同じなのに…」

 

「今のお前じゃ俺には勝てない。」

 

そう言って、ラビリンスは変身を解く。

 

「パラド!?って、違うか…」

 

その姿は、永夢さんに感染しているバグスター、仮面ライダーパラドクスの変身者であるパラドに似ている。と思ったが、服装が同じなだけで、顔を見て違うと分かった。

 

「俺はパラドであってパラドじゃない。」

 

「どういう意味だ?」

 

「俺はパーフェクトツムツムのバグスター、ラビリー。パラドに似ているが、パーフェクトパズルの進化したゲーム、パーフェクトツムツムのバグスターである俺は、パラドより強い。それに、お前よりもな。優。」

 

そう言ってニコッと笑うラビリー。その笑顔は、パラドの笑顔にそっくりな無邪気な笑顔だ。

 

「どういう意味だ?」

 

「俺はパーフェクトツムツムのバグスターだ。だから、俺はお前よりもエナジーアイテムの性能を活かせている。けど、俺と同じようにエナジーアイテムを扱えるのが可能なのは、お前だけだ。また遊ぼうな、優。」

 

そう言って、ラビリーは消えていった。

 

「あっ、待て!」

 

新たな敵のバグスターで、新たな敵のライダーか…謎が多いやつだな…俺はそう思いながら、未だ座り込んでる蓮の所へ行く。

 

「おい、大丈夫か?」

 

俺は手を差し伸べながら蓮に言った。

 

「どうせ俺なんか…お前の手を撮る資格もない人間なんだ…俺は、陽の光を求めることすら許されないんだ…」

 

お前はどこぞの地獄兄弟か…

 

「はぁ…そんな事ないだろ。お前はいつも元気なんだから、元気出せよ。」

 

「いいように言ってるけど、それって俺がバカってことなんだろ…」

 

「確かにお前は馬鹿だけど、そういう意味て言ったんじゃねぇぞ。」

 

「どうせ俺なんか…」

 

「ああもうめんどくさい!とりあえず、学校に戻るぞ!」

 

俺は蓮を無理やり引っ張って、音ノ木坂に戻って行った。

 

 

 

俺は蓮を引っ張りながら、音ノ木坂学院に戻ってきた。ネガティブ化のエナジーアイテムの効果は、いつまで続くんだ…?

 

「あれ、仮野くん?それに宮崎くんも。って、宮崎くんどうしたの?」

 

そんな俺に声をかけてきたのは、穂乃果の友達であるヒデコさん、フミコさん、ミカさんの3人、通称ヒフミトリオのヒデコさんだ。この3人、いつも一緒にいるな…穂乃果とことりと海未みたいだ。

 

「アハハ…ちょっといろいろあってね。」

 

ネガティブ化したままの蓮の事を聞かれたので、俺は誤魔化す。

 

「あっ、穂乃果達って今部室にいるのか?」

 

「いや、えっと…そのぉ、今理事長室に…」

 

フミコさんの言葉に、俺は頭の中にはてなマークを浮かべる。

 

「理事長室?なんで?」

 

「それは…行って、見た方が早いと思う…」

 

苦笑いしながらそう言うミカさん。なんか、嫌な予感してきた…

 

 

 

俺は3人に言われた通り、蓮を引っ張って理事長室に来た。

 

「蓮は…ここに座らせておいた方がいいな。この状態で理事長室に入らせる訳にも行かないし…」

 

「どうせ俺なんか、理事長室に入る価値もないんだ…」

 

ほんと、ラビリーのやつ、めんどくさい事をしてくれたな…

 

「理事長!違うんです、ふざけてたわけじゃないんです!」

 

「そうなの!ラブライブに出るためには、どうしたらいいのかなってみんなで話し合って…」

 

「今までの枠に捕われていては、新しいものは生み出せないと思って…」

 

ん?絵里にことり、海未の声だな。理事長室の中から、あいつら、ほんとに何したんだ…?

そう考えながら、俺は理事長室の扉をノックする。

 

コンコンコン

 

「どうぞ。」

 

俺は理事長の声が聞こえてきたのを確認して、理事長室へ入った。すると、そこには信じられない格好のみんなが…

 

 

 

「何、やってんだ…?」

 

 

 

顔には白黒のメイク、色々とギリギリな格好、手には鎖を持ってるやつも…海外のあのハードロックバンドの人達みたいな格好だ。その事に、俺の今の顔は自分でも想像出来ない顔になっている事だろう…

 

「優くん…いや、これは…」

 

「違うの!ふざけてたわけじゃないの!」

 

「一旦、アイドルっぽさをなくしてみようという話になりまして…」

 

穂乃果、ことり、海未が必死に弁解してくる。

 

「はぁ…」

 

最近、絵里がポンコツ化してきたと思ってたけど、海未もだったとは…この話になって誰も止めないなんて、µ’sが心配になってきた…

 

「理事長、本当にすみません…」

 

「いえ、仮野くんが謝ることじゃないわ。」

 

そう優しく言ってくれる理事長。理事長…いい人過ぎる…!理事長にとっては、自分の娘がこんな格好してるってことだよな…今の理事長の気持ちは、俺には想像も出来ない…

 

「とにかく、私達はふざけてたわけじゃありません!怒られるなんて心外です!」

 

「そうですそうです!」

 

穂乃果と凛がそう言うと、穂乃果は持っていた鎖を地面に落とす。危ないだろ…結構重そうな落としたぞ、その鎖…

 

「とにかく、怒られるのは納得できません!」

 

「分かったわ。じゃあ最終予選はそれで出るという事ね?それならば、今後その姿で活動する事を許可するわ。」

 

「あぁ…えぇぇっと…」

 

理事長の言葉で固まる一堂。

 

『すみませんでしたぁーー!!』

 

9人全員が、そう叫んで理事長室を飛び出した。

 

 

「はぁ…何やってんだよ…ほんと、すみません…」

 

みんなが飛び出した後、俺は理事長にもう一度謝る。

 

「いえ、あの子達らしくていいじゃない。」

 

理事長、優しいけど、それって褒めてはないですよね…?俺はそんな疑問を抱いたが、わざわざ口に出して言わない。

 

「それよりちょうど良かった。これを、仮野くんに渡したくて。」

 

そう言って、理事長は俺に少し古そうな、辞書ぐらい分厚い1冊の本を渡した。うわっ…こんなに分厚い本、読もうとは思えないな…

 

「これは?」

 

「音ノ木坂学院の歴史書みたいな物。歴史のある学校だから、一般で発売されてはないけど、この学校の図書室に数冊この本があるの。」

 

「なんで、これを俺に?」

 

「この本には、音ノ木坂学院の…いえ、音ノ木坂周辺の事も含めた歴史が書かれているんだけど、その後には音ノ木坂の有名な物だったり、色々な事が書いてあるの。その中に、音ノ木坂の伝説という欄がある。そこには、都市伝説だったり、幽霊だったりと、まだ現代の科学では証明出来ていない事なども数多く書かれているわ。

 

私は理事長だけど、こんなに分厚い本を読もうとは流石に思えなくて…それで、この前目次の所を何となく見ていたんだけど…これを見て。」

 

そう言って、理事長は目次のある部分を見せてきた。そこは、さっき理事長が言ってた『音ノ木坂の伝説』と括られている部分。『仮面の戦士伝説』と書かれていた。

 

「これって、もしかして…」

 

「えぇ、私もそう思ってその部分を読んでみたの。そこには、仮面ライダーの事らしい物が書かれていたわ。」

 

「ほんとですか!?」

 

「私も、仮面ライダーの事については詳しくないから、ちゃんとは分からないけど、多分そうだと思うわ。だから、また時間がある時に読んでみてもらえないかしら?」

 

「もちろんです。ありがとうございます!失礼しました。」

 

俺はその本を受け取り、学生鞄に入れて理事長室を出た。

 

 

 

あっ、こいつまだネガティブ化したままなのか…俺は理事長室の前の廊下に座り込んでいる蓮を見てそう思う。みんなは蓮に気づかないスピードで廊下を走ってったのか…

 

「どうせ俺なんか、みんなに気づいてもらえないぐらい影が薄いんだ…」

 

あっ、みんなに気づかれなかった事を気にしてんだな…

 

「ほら、蓮。とりあえずみんなのとこ戻るぞ。」

 

俺は蓮を引っ張って立ち上がらせて、アイドル研究部の部室まで向かう。

 

 

 

俺はみんなが着替え終わるまで外で待っている。

 

「あっ、優くん…その…」

 

着替えを終えて部室から出てきた穂乃果が、申し訳なさそうに言ってくる。

 

「反省してるようだし、もういいよ。別に、怒ってるわけじゃないしな。」

 

「ありがとう!」

 

すると、他のみんなも着替え終えて部室から出てきた。

 

「蓮くんどうしたの!?」

 

廊下の隅っこでネガティブ化している蓮を見て、凛が慌てて聞いてくる。

 

「ネガティブ化してしまう攻撃を受けてから、ずっとこんな感じだ…まぁ、そろそろ戻るはずなんだけど…」

 

「どうせ俺なんか、何をやってもダメなんだ…何をやっても、かっこ悪い人間なんだ…」

 

「そんな事ないにゃ!蓮くんは、すっごく優しくて、かっこいい人だよ!」

 

「凛…」

 

あっ、紫のネガティブオーラが消えた。

 

「そうか?俺かっこいいか?」

 

「うん!」

 

「そうか…そうだよな!俺はダメなやつじゃないよな!よっしゃあ!俺は最強だぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ったく、調子の良い奴だ…」

 

 

 

 

 

「どうしてこうなるの!」

 

もう一度話し合いをするべく、ハンバーガー屋、ワックにやって来た俺達。まずにこが怒り気味でそう言う。

 

「そうです。もっと真面目にインパクトを与えるためにはどうしたらいいか、話していたはずです!」

 

「最初は海未ちゃんだよ!いろんな部活の格好してみようって!」

 

「それは…ですがその後は穂乃果達でしょ!」

 

そう言い合いを始めてしまう穂乃果と海未。

 

「それはそうやけど…」

 

「みんなでやろうって決めたんだし…」

 

「責任の擦り付け合いをしててもしょうがないよ。」

ことりの言葉で、とりあえず少し落ち着いた。

 

「そうよ。それより今は具体的に、衣装をどうするかを考えた方がいいんじゃない?」

「一応考えてはみたんだけど、みんなが着て似合う衣装にしたいなって思うの。」

 

真姫の言葉を聞いたことりがそう言う。

 

「だから、あまりインパクトは…」

 

さらに声を小さくしてそう言ったことりに、

 

「でも、それじゃA‐RISEには…!」

 

にこが反論する。みんなは暗い表情を浮かべ、結局その日はいい案が思いつかなかった…

 

 

とりあえず出来ることからライブの準備を進めることなった俺達は、ワックから出た。 すると、空は少し暗くなっていた。しかし、ハロウィンイベントの飾りなどがあって明るい。そんな中、穂乃果は上にある飾りや空を、じっと見つめている。

 

「何やってんだ?」

 

「置いていきますよ。」

 

俺と海未の言葉で気づいた穂乃果は、俺達の方へ振り返る。

 

「あっ、ごめん。ハロウィンって、昼と夜とじゃ、全然印象が違うんだねぇ。綺麗だなぁ…」

 

穂乃果の言葉を聞いて、俺と海未も上を見る。確かに綺麗だ…

 

「さぁ、行くわよ。遅くなるわ。」

 

絵里の言葉を聞いて、俺達はそれぞれライブの準備へ取り掛かることに。

 

 

 

 

 

ことりを中心に、にこ、花陽、そして俺は衣装作りのチーム。にこと花陽はミシンで、俺とことりは手縫いで進めている。

 

「そういえば優くん、お裁縫出来るようになったの?」

 

「あぁ。あの合宿の時以来、少しでもことりの力になれるようにって、ちょっとずつ練習してたんだ。」

 

「そうなんだ、ありがとう!」

 

俺とことりが、そんな会話をしながら作業を進めていると、

 

「あぁ…!ごめんなさい…間違えちゃった…」

 

花陽が少し失敗したらしい。

 

「おかしいと思うんだけど!なんで私達が衣装作りやってんの!」

 

にこが不満そうな顔でそう言った。

 

「みんなは、ライブの他の準備があるから。」

 

「よく言うわ。くだらない事で、時間使っちゃっただけじゃない!」

 

「そんなに無駄じゃなかったんじゃないかな。」

 

にこの言葉に、そう答えることり。

 

「はぁぁ?どこが?」

 

「私は楽しかったよ。おかげで衣装のデザインのヒントも貰えた。」

 

「衣装係って言われて、損な役回りに慣れちゃってるんじゃない?」

 

「おいにこ、言い過ぎ「優くん。」

 

俺がにこに注意しようとしたのを、ことりが止めた。

 

「ことり?」

 

「私には、私の役目がある。今までだってそうだよ。私はみんなが決めたこと、やりたいことにずっとついて行きたい。道に迷いそうになることもあるけど、それが無駄になるとは私は思わない。この衣装はにこちゃんのだよ。」

 

そう言って、ことりはにこの衣装を手に取る。

 

「みんなが集まって、それぞれの役割を精一杯やりきれば、素敵な未来が待っているんじゃないかな?」

 

ことり…そんなにµ’sの事を考えて…

 

 

そして、にこも納得し、俺達は衣装作りを再開した。

 

 

 

 

 

おぉ、すげぇ人…

今日はハロウィンイベント最終日、µ’sとA‐RISEのライブの日だ。会場には凄い数の人が集まっている。

 

「うぅ…いよいよライブ、緊張するねぇ…」

 

「でも楽しんで行きましょ。みんなもほら、楽しそうよ。」

 

絵里の言葉を聞いて、俺と穂乃果は振り返る。

 

そこには、大きなかぼちゃの風船を見てはしゃいでる凛と花陽と蓮。

 

それを見て、「まだまだ子供ね」とでも思っていそうな表情で見ている真姫とにこ。

 

その様子を暖かく見守る海未とことりと希。

 

 

そんな様子が見えた。

 

「どうしたの?」

 

それをじっと見ていた俺と穂乃果に、絵里が聞いてきた。

 

「ううん。ねぇ、絵里ちゃん、優くん。」

 

「「ん?」」

 

「私、このままでいいと思うんだ。A‐RISEがすごくて、私達もなんとか新しくなろうと頑張って来たけど…私達は、きっと今のままが1番良いんだよ。だって、みんな個性的なんだもん!普通の高校生なら、似たもの同士が集まると思うけど、私達は違う。時間をかけてお互いの事を知って、お互いの事を受け入れ合って、ここまでやってこれた。それが一番、私達の特徴なんじゃないかな?」

 

 

 

「私はそんなµ’sが好き!」

 

 

「えぇ、私も!」

「俺もだ!」

 

 

 

 

 

そして、µ’sのライブが始まった…

 

 

 

 

 

 

 

 

Dancing stars on me!/µ’s

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーしっ、絶対ラブライブで、優勝するぞぉー!」

 

「「「「「「「「「「「おぉぉーー!!」」」」」」」」」」」

 

 

こうして、µ’sのハロウィンイベントのライブは、大成功に終わった。

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

その頃…

 

優と蓮の姉であり、女神である仮野優香と宮崎咲が向かった並行世界の天界では、2人はその天界に関する事について記されている資料が大量に保管されている、資料室にいる。

 

「はぁ…それにしても、私達がいる天界でライダーシステムが盗まれてから、資料を見せてもらうどころか、他の天界に行くのにも大変になったわね…」

 

「そうね。まぁ、今までのセキュリティは甘すぎたと思うけど…」

 

優香の言葉を聞き、それに同意するも、後半は少し呆れながら言った咲。

 

「まぁ、1番偉い神様があんな感じだしねぇ…」

 

2人が言う1番偉い神様とはどんな人なのだろうか…優や蓮の様な人間界の人が、この会話を聞いたら、間違いなく「天界なのに大丈夫なのか…?」と思うだろう…

 

そんな会話をしながら、優香と咲は資料に目を通していく。すると、優香が1つの資料を見てある事に気づいた。

 

「これは…咲、これ見て!」

 

「ん?これは…!?」

 

果たして、2人が見たものとは…

 

 




優「第1回!何故私はこのライダー!?」

優「という事で今回から始まりました新コーナー。司会はわたくし、仮面ライダーインフィニティ 仮野優が務めさせていただきます。

最初に、このコーナーではメタ発言が出てくる事があります。そういうのが苦手な方は、このコーナーは飛ばしてください。

まずこのコーナーは、2話に1回ぐらいのペースで行われます。作者の都合で3話に1回になってしまう事などもあると思います。そしてこのコーナーでは、µ’sのメンバーを1人ずつゲストに呼んで、そのメンバーが変身するライダーの事や、何故そのライダーには変身する事になったのかを解説していくコーナーです。

では早速、第1回のゲストの登場です!」

穂乃果「高坂穂乃果、高校2年生です!」

優「穂乃果はことりと一緒に、初めてµ’sのメンバーで仮面ライダーに変身したメンバーだよな。」

穂乃果「そうなんだよぉ…あの時はビックリしたけど、何故かクウガの事が頭の中に入ってきたから、変身できたんだ!」

優「女神様が作ったコピーライダーシステムだから、そういう力も付いてるんだ。 」

穂乃果「けど、穂乃果が変身している仮面ライダークウガにも、本当の変身する人がいるんだよね?どんな人なの?」

優「仮面ライダークウガの変身者は五代雄介さん。冒険家で呑気な人だけど、優しくて、強い意志を持ってる人なんだ。

そして仮面ライダークウガとは、突如甦った古代種族のグロンギと戦うため、五代さんが古代遺跡から発掘されたベルトを使って変身した姿なんだ。マイティフォーム、ドラゴンフォーム、ペガサスフォーム、タイタンフォームに変身可能。大ダメージを受けたりするとグローイングフォームになり、2時間は戦えなくなってしまうんだ。」

穂乃果「へぇ。穂乃果はまだマイティフォームとタイタンフォームでしか戦った事がないなぁ…次は、ドラゴンフォームとペガサスフォームでも戦ってみたいな!」

優「あとは、基本の4フォームには進化し、雷の力を持つライジングフォームがそれぞれある。更にアメイジングマイティに、究極の力を持つアルティメットフォームがあるんだが…その力は危険だし、俺は穂乃果が使う事が無い事を望んでる。」

穂乃果「へぇ、そんなにいろんな姿になれるんだぁ…」

優「ここで本題に入るんだが、µ’s9人が何故か分からないけど、クウガからキバまでのコピーライダーシステムで変身した。そこで、何故そのメンバーが、9つのライダーシステムの中からこのライダーに変身したのか、という事について掘り下げていくのがこのコーナーだ。」

穂乃果「じゃあ早速、穂乃果が変身した仮面ライダーは、なんでクウガになったの?」

優「えっと…仮面ライダークウガは、平成最初のライダーで、その後の平成ライダーの軌道を作ったと言っても過言ではない仮面ライダーだ。そして穂乃果も、µ’sの発起人で、穂乃果がいないとµ’sは始まらなかったからな。」

穂乃果「えへへ…//なんかそう言われると照れるなぁ…」

優「あと、さっき言った五代さんの性格と、穂乃果が似てるってのもある。」

穂乃果「呑気で、優しくて強い意志を持ってるか…呑気っていうのがいいのかは分からないけど、優しくて強い意思を持ってるっているのは嬉しいなぁ。えへへ、穂乃果ってそうかな?」

優「俺と作者はそう思ってるぞ。まぁ、頭のネジは緩いけど。」

穂乃果「ムッ…優くん、酷いよ!別に、穂乃果はバカじゃ…バカじゃ…うぅ…」

優「自分でも自覚あるじゃねぇか。」

穂乃果「確かに穂乃果はおバカかもしれないけどぉ…むぅ、こうなったら、これからどんどん悪い怪物さん達を倒して、仮面ライダークウガとして活躍してみせるっ!」

優「気合い入れるのはいいけど、無茶したりはするなよ。おっと、そろそろ時間だ…とりあえず第1回のこのコーナーはここまで。最後に、次回予告をどうぞ!」



穂乃果「ハロウィンライブが無事終わって安心しているのも束の間、優くんと蓮くんと何度も死闘を繰り広げているダークインフィニティが再び現れる。」

優「ダークインフィニティはいつもより強く、苦戦する俺達。しかし、なんとか変身解除に追い込む事に成功。だが、その正体を知った蓮の様子が…」

2人「「次回、『88話 ダークインフィニティの正体…』


次回も是非、見てください!」」


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13章 3人目のライダー編
88話 ダークインフィニティの正体…


はい、88話です。今回から13章に入りたいと思います。13章では、とうとうダークインフィニティについての話です。という事で、今回から何話かオリジナル回になります。

では88話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「ハロウィンイベントでのライブで、お客さんにインパクトを与える方法を考えるµ’s。しかし、穂乃果が客観的にみんなを見た事で、自分たちには自分たちの個性があるという事に気づけた。そして、ハロウィンイベントでのライブは成功する事が出来た!」

 

蓮「成功出来てよかったよな。」

 

優「おっ、ネガティブ野郎。」

 

蓮「誰がネガティブ野郎だ!」

 

優「お前のせいで、俺はラビリンスと戦ったとこから音ノ木坂学院まで。更にそこから理事長室、部室前までお前を引っ張って来たんだぞ!どれだけ疲れた事か…」

 

蓮「どうせ俺なんか、引っ張られる価値もないやつなんだ…」

 

優「まーたネガティブに戻ったし…もう俺は知らねぇ。では、こいつはほっといて、どうなる88話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ハロウィンイベントが無事終わった日の夜、夕食を作り優奈と2人で食べた後、俺は理事長先生から預かった本を開く。目次に書いてある『仮面の戦士伝説』のページは、中間よりも少し後ろぐらいのページにある。分厚い本であるこの歴史書では、ページをめくるのでも少し疲れる。

 

「このページか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

『仮面の戦士伝説

 

 

これは、日本にまだ武士がいた頃…江戸時代の話である。

 

その頃、日本では人間よりも遥かに強い力を持つ怪人が突然現れ、人々を襲い暴れていた。武士達は刀を持ち戦おうとするが、怪人達には到底敵わない。人々は、怪人達に敗れ、生きる事を諦めかけていた…

 

そんな時、人々にとって救世主が現れた。腰にベルトを巻き、人間とは違う姿の仮面の戦士が怪人達から人々を守った。

 

その仮面の戦士は、怪人達を次々と倒し人々を守っていたが、その怪人達をまとめている者の力は他の怪人の力とも、仮面の戦士の力とも比べ物にならないぐらい強かった。

 

仮面の戦士は、その怪人と戦うため究極の姿へと変わった。究極の姿に変身した仮面の戦士は、その怪人と他の怪人達を封印する。封印に成功した仮面の戦士は、究極の姿に変身するための力を悪用されないように、今の音ノ木坂学院がある場所のどこかへ隠し、究極の姿に変身したため、変身解除すると同時に消滅した…

 

その後、何故か人々は戦士と怪人達の事に関する記憶を失ってしまった…しかし、例外となる人物がいた。その人は、その戦士が自分達を助けてくれたのだと人々に話すが、そんな話を信じるものはいない。だから、未来で誰かにその話を知ってもらうため、巻物にして記したそうだ。

 

その巻物が、今どこにあるのか…そして、この話が本当であるのか、今は誰にも分からない…』

 

 

 

 

 

 

 

 

なるほど…ってか、巻物がどこにあるのか分からないのに、なんでこの本に載ってんだよ…

 

けど、もしこの話が本当なら、その戦士は仮面ライダーである可能性が高い。腰にベルトを巻いてるって書いてあったし…

でも、江戸時代に仮面ライダーがいるなんて事ありえるのか?世界で最初の仮面ライダー、仮面ライダー1号が生まれたのが1971年。江戸時代の話なら、それよりもさらに100年から350年ぐらい前の話だ。

 

「お兄ちゃん、どうしたの?そんな難しい顔して。」

 

すると、風呂から上がってきた優奈がそう聞いてきた。

 

「いや、また仮面ライダーの事で、新たな謎が出てきたんだよ…最近、謎が出てくる一方でな…」

 

「へぇ。ねぇ、仮面ライダーって何なの?お兄ちゃんが変身してるのは、お姉ちゃん達女神様が作ったんでしょ?でも、この世界の事を調べてみると、他の仮面ライダーもいたって書いてあるし、それも女神様が作ったの?」

 

「いや、それは人間が作り出したものが多いな。まぁ、自称神が作ったものはあるけど…」

 

自称神、それはもちろん黎斗神さんの事だ。

 

「けど、かっこいいよね!お兄ちゃんは変身して、人を襲う悪い怪物から人を守ってるんだもんね。それで、お兄ちゃんが傷つくのは嫌だけど…」

 

「うーん…けど、どうかな。」

 

「どういう意味?」

 

「仮面ライダー、なんて存在はいない方がいいんだよ。人を襲う怪人がいなかったら、仮面ライダーなんていなくていいわけだし、そうなったらこの世界は平和なわけだし。」

 

「そっか、そうだよね…」

 

「まぁ、そんな事言っても、怪人がいる限り俺は戦うんだけどな。それよりも、受験勉強の方はどうなんだ?」

 

「最近は、苦手な数学でも段々と点を取れるようになってきたかな。お兄ちゃんが鬼のように教えてくれるからねっ!」

 

そう言いながら顔を膨らませる優奈は、我が妹ながら可愛いと思う。

 

「そんな事言っても、やらないで後悔するのは自分なんだぞ?」

 

「もう、そんな事分かってるよぉ…」

 

「だといいけど。じゃあ、俺は風呂入ってくるよ。」

 

「いってらっしゃーい。」

 

俺はそう言って、お風呂場に向かった。さっきの音ノ木坂の歴史書を、机に置いたまま。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優奈〜

 

お兄ちゃんがお風呂に行った後、私はお兄ちゃんがさっきまで読んでいた分厚い本が気になった。お兄ちゃんは読んでいたページを開いたままだった。

 

「お兄ちゃんは、たまにこういう抜けてる所があるんだよねぇ。まぁ、開いたまんまで置いてるんだし、ちょっとぐらい読んでもいいよね。」

 

私はそう思い、そのページに指を挟んで閉じ、本のタイトルを見た。

 

「音ノ木坂学院の歴史…?なんでこんな本を読んでたんだろ…」

 

私は指を挟んでいたページをもう一度開き、今度はそのページを読み始める。

 

「なになに…音ノ木坂の伝説 仮面の戦士伝説?」

 

私はそのページを全て読み終えた。

 

「江戸時代、そんな昔から仮面ライダーがあったんだ…けど、伝説だし本当の話なのかも分からないって事だよね。お兄ちゃんが悩んでたのはこれの事だったんだね。」

 

私は深く考えず、そのまま自分の部屋に戻って行った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

ハロウィンイベントの日から少し経った土曜日、今日の練習は午後からのため、朝俺は部屋でゴロゴロして過ごしてていた。すると、スマホから着信音がなった。

 

「ことり?」

 

電話をかけてきたのはことりだった。

 

「もしもし?」

 

『優くん?今日の練習の前って空いてるかな?』

「あぁ、空いてるけどどうかしたか?」

 

『今日、穂乃果ちゃんと一緒に衣装の生地とかを買いに行きたいんだけど、荷物が多くなっちゃいそうで…2人でも大変そうだから、手伝ってもらいたいんだ。』

 

「分かった、いいぜ。」

 

『ありがとっ!じゃあ、買ったあと直接練習に行くから、11時頃神田明神集合でいい?』

 

「了解。」

 

 

 

そして、俺は待ち合わせの時間の少し前に神田明神までやって来た。

 

「優くんお待たせ〜。」

 

俺が来た少し後に、ことりもやって来た。

 

「いや、そんな待ってないよ。まだ集合時間にもなってないし。そういや、今日は海未は来ないのか?」

 

「うん。海未ちゃん、最近弓道部にあまり行けてなかったから、今日は練習まで弓道部の方に行くんだって。」

 

そんな会話を交わしながら、穂乃果を待っているが…

 

 

集合時間から10分過ぎても、まだ来ない…

 

「はぁ…穂乃果のやつは、普段通り遅刻だな…」

 

「だねぇ…」

 

苦笑いでそう言う俺とことり。

 

「2人ともお待たせぇ!」

 

やっと穂乃果が来たみたいだ。

 

「ったく、お前はいつも遅刻だな…」

 

「ごっめーん!」

 

 

 

それから、ショッピングモールのお店で衣装の生地を買い終えた俺達は、まだ時間があるため生地を大きめのロッカーに預けて、昼食を食べる事になった。

 

俺達はショッピングモール内のあるカフェレストランにやって来た。穂乃果はハンバーグ、俺はステーキを頼んだ。そして、ことりは…

 

「チーズケーキ…?昼ごはん、だよな?」

 

「そうだよ〜」

 

「ことりちゃんは、ケーキとかよく食べてるよね。特にチーズケーキ。」

 

穂乃果はいつも通り、という表情だ。なんでそんなスタイルが良いのだろうか…

 

「穂乃果ちゃんだって、甘い物好きでしょ?」

 

「そうだけど、ことりちゃん程じゃないよ。」

 

そんな会話をしながら食べ進める2人。とりあえず、俺も腹減ったし食べよ…

 

「いただきます。」

 

 

 

「「「ごちそうさまでした。」」」

 

食事を食べ終えた俺達は、店を出てロッカーに預けておいた生地を取りに行った。

 

 

生地を取り、音ノ木坂学院へ向かおうとした時、蓮のメカアニマル、ドラゴンアニマルが飛んできた。

 

「蓮がダークインフィニティと戦ってる!?分かった、すぐ行く!」

 

「優くん、行こう!」

 

俺達3人は、ドラゴンアニマルの案内で蓮の元へ急ぐ。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

遡ること数十分…

 

「いやぁ、食べた食べた。」

 

「美味しかったにゃ!」

 

「そうだね。」

 

今日は俺、凛、花陽の3人でラーメンを食べに来ていた。いつもなら真姫もいるんだが、今日は練習前にやっておきたい事があるらしく来れなかった。

 

 

食事を終え、俺達はラーメン屋から出て歩いていると…

 

「見つけたぞ、宮崎蓮。」

 

そこにはダークインフィニティと数体のダスタードが…

 

「今度はなんだ?俺達、今から練習あるんですけど…まぁ、言ってもしょうがないか…」

 

「モモタロスさん、行けますか?(おう!俺はいつでも戦えるぜ!)」

 

「「「変身!」」」

 

俺は仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに、凛は仮面ライダーアギト グランドフォームに、花陽は仮面ライダー電王 ソードフォームに変身し、戦い始めた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「「「変身!」」」

 

俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに、穂乃果は仮面ライダークウガ マイティフォームに、ことりは仮面ライダー龍騎に変身して、蓮達とともに戦い始めた。

 

俺と蓮はダークインフィニティと、穂乃果達はダスタードと戦っている。

 

「そろそろ、お前との戦いにも決着をつけたい所だ。」

 

蓮はそう言い、ネイチャーピストルにサンダーデータボトルを差し込んだ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ネイチャーピストルから電気が放たれ、ダークインフィニティへと飛んでいく。

 

『スペシャルアタック!ガード!』

 

しかし、その攻撃はダークインフィニティによって防がれてしまう…

 

「きゃっ!?」

 

更に、跳ね返った電気砲が穂乃果へと当たってしまう…

 

「穂乃果!大丈夫か!?」

 

「うっ、うん…大した事ないよ、平気平気!」

 

「良かった…」

 

俺は穂乃果の言葉に一安心。

 

「よーしっ、まだまだ行くよ!超変身!」

 

穂乃果は緑のクウガ、仮面ライダークウガ ペガサスフォームに変身した。

 

「穂乃果、これ使え!」

 

蓮はネイチャーピストルを穂乃果に投げ渡す。

 

「ありがとう!」

 

穂乃果がネイチャーピストルを受け取ると、ネイチャーピストルはペガサスボウガンに変わった。穂乃果はペガサスボウガンでダスタードを撃ち抜いていく。

 

「「はぁ!」」

 

俺達は再びダークインフィニティを殴る。

 

「甘い、ふんっ!」

 

「「ぐはぁっ…!」」

 

俺達はダークインフィニティの反撃を受けてしまう…

 

「なんか、ダークインフィニティのやつ強くなってねぇか…?」

 

蓮の言った通り、ダークインフィニティの今の攻撃は、いつもより数倍…下手したらもっと強かった。元々強いのに、もっと強くなったのかよ…いや、それともこれまでのは本気じゃなかった…?

 

『アドベント』『フルチャージ』

 

『俺の必殺技、パート2!おりゃああああああ!』

 

「「「やぁぁぁぁぁ!!」」」

 

すると穂乃果達が戦っていた、ダスタードは全部倒したようだ。

 

「蓮、俺達も決めるぞ。」

「あぁ。」

 

「勝つのは俺だ。」

 

 

『スペシャルアタック!インフィニティストライク!』

 

『スペシャルアタック!ネイチャーストライク!』

 

『スペシャルアタック!ダークストライク!』

 

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」「はぁぁぁぁぁ!」

 

俺達とダークインフィニティのライダーキックがぶつかり合う。

 

「「ぐはぁぁぁっ…」」「ぐっ…」

 

俺達の攻撃は相討ち…俺と蓮は、強制変身解除してしまった…けど、それはダークインフィニティも同じみたいだ。

 

そして、爆煙が治まっていき、段々とダークインフィニティの変身者の姿がはっきりと見えてきた。

 

『(あなたは!?)花陽、知ってんのか?(はい。この前、不良の人達から助けてくれた人…)』

 

なに!?あいつが…

 

しかし…この中に花陽以上動揺している人物が1人…

 

「えっ…?あっ…はぁ…嘘、だろ…?」

 

冷や汗を流し、小刻みに震える蓮。

 

「蓮?どうしたんだ?」

 

「なっ、なんで…お前が…なんでだ!秀夜!」

 

「蓮…」

 

蓮の言葉に、ダークインフィニティも蓮の名前を呟く。

 

しゅう、や…?なんでだ…この名前、どっかで聞き覚えが…いや、聞き覚え程度じゃない。もっと、大事な…

 

俺がそんな考えに気を取られていると…

 

「蓮…悪い、俺は…ここで引き下がるわけにはいかねぇんだ。」

 

「どういう事だよそれ!」

 

「変身!」

 

秀夜という男は、再びダークインフィニティに変身した。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

ダークインフィニティは、自身の剣を蓮へ振り下ろす。

 

「変身!」

 

蓮は咄嗟に再変身し、ネイチャーソードでその攻撃を防いで反撃をしようとするが、しっかりと戦えてない。あの秀夜っていうダークインフィニティの変身者を、蓮は知っているのか…?

 

そして、ダークインフィニティは自身の剣に自身のベルトに入っているデータボトルを差し込んだ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぐぁぁぁぁぁぁっ…!」

 

その斬撃を受けた蓮は、再び強制変身解除になり気絶してしまった…

 

「蓮くん!」

 

「クソっ、一旦引くぞ!」

 

『スペシャルアタック!スモーク!』

 

俺はその場に煙を出し、蓮を抱えてみんなとその場から離れた。

 

 

 

 

「蓮!?」

「どうしたのですか!?」

 

音ノ木坂学院のアイドル研究部の部室までやって来た俺達。他のメンバーはもうみんな来ていて、気絶した蓮を担いできた事に、驚いている。とりあえず、椅子を3つ並べてそこに蓮を寝かせた。

 

「それが…」

 

 

 

「そんな事が…」

 

俺はさっきあった事を説明した。

 

「蓮とあの秀夜ってやつは、どういう関係なんだ…」

 

それに、俺はあの秀夜というやつと会った事があるような気がする…どこで…あっ、そうだ。優奈を探しに行った時、神田明神ですれ違ったのはあいつだ!いや、でもそれじゃない…もっと、他に何かが…

 

「優くん?どうしたの?」

 

難しい顔をしていた俺に、そうことりが問いかけてくる。

 

「いや、なんでもない。それより、花陽は大丈夫なのか?」

 

「えっ、私?」

 

「あぁ。前に不良から助けてもらったっていうのも、あの男だったんだろ?」

 

「うん…もちろん悲しいけど、私は大丈夫だよ。」

 

「そっか…」

 

「うっ、うぅ…」

 

俺達が話していた間に、蓮が目覚めたようだ。

 

「蓮、大丈夫か?」

 

「優…みんな…」

 

蓮はゆっくりと起き上がり、椅子に座る。その顔は、いつもの冗談を言ったりする元気な蓮じゃない…

 

「蓮…お前と、あの秀夜って男は、どういう関係なんだ?」

 

「俺とあいつは…親友だった…」

 

その言葉に、俺を含むその場にいる全員が驚きを隠せない。

 

「俺には、3人の親友がいるんだ。1人は、さっき言った秀夜…もう1人は、俺より2つ年下の悠斗。そしてもう1人は…」

 

「拓真…」

 

俺は蓮の話を聞いていると、その名前がふと頭に浮かんだ。

 

「優?なんで知ってんだ…?」

 

「えっ…?」

 

「いや、俺が今言おうとした名前、拓真だぞ。」

 

「そうなのか…?なんでだろ…なんか、頭に浮かんできたんだ…」

 

「…?とりあえず、話を続けるな。」

 

そんな俺に蓮は不思議な顔をしながらも、話を続ける。

 

「俺達4人は幼馴染で、小学生の頃なんか毎日のように遊んでた。けど、中学に上がる頃、秀夜が引っ越す事になったんだ。それでも、連絡を取り合ってたりしてたんだけど、なんか突然連絡がつかなくなっちまったんだ…まさか、こんな事になってなんて…なんで…なんでなんだよ…秀夜…」

 

そう涙を流す蓮。部室には、蓮の涙を流す声だけが聞こえている。

 

「とにかく、今日は練習どころじゃないし、解散にしましょ。蓮も、今日はゆっくり休んだ方がいいわ。」

 

絵里の言葉で、今日は解散する事に。

 

「凛。悪いんだけど、ちょっと蓮についててくれないか?多分、今あいつを1番支えられるのは、凛だと思うんだ。」

 

「もちろんにゃ。凛が出来るか分からないけど、元気ない蓮くんは嫌にゃ。」

 

「悪いな。」

 

部室を出る前、俺は凛にそう頼んだ。俺はさっきの蓮の話を聞いてから、俺は何故かモヤモヤしている。蓮の気持ちを考えたら俺も辛い…ただそれだけじゃない…

 

「優、私達も帰りますよ。」

 

俺が1人、冷や汗を流して考え込んでいると、海未が、穂乃果とことりと一緒にそう言ってきた。

 

「悪い。俺はちょっと、やらなきゃいけない事があるんだ。先に帰っててくれ。」

 

「やらなきゃいけない事?」

 

「あぁ、ちょっとな。」

 

「…?分かった、じゃあまたね。」

 

「あぁ、またな。」

 

俺は穂乃果達と別れ、ある場所に向かう。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side ことり〜

 

「あっ!」

 

優くんがどこかへ向かったすぐ後、私はある事を思い出して声を出した。

 

「ことりちゃん?」

 

「どうしたのですか?」

 

「それが、お母さんが今日の夕方の会議で使う資料を忘れたから、練習の時ついでに持ってきてって言われてたんだ。今から渡してくるから、穂乃果ちゃんと海未ちゃんは先に帰ってて。」

 

「待っていますよ?」

 

「ううん、大丈夫だよ。先に帰ってて。」

 

「分かりました。」

 

「じゃあまたね、ことりちゃん。」

 

「うん。」

 

私は2人に別れを告げ、理事長室に向かった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

ダークインフィニティに変身していた男…秀夜という男は、この前の謎の女と話している。

 

「逃げられはしたものの、ネイチャーにトドメを刺しかけた。あなたも、やっと戦う気になったのね。そこで、あなたにこれを渡しておくわ。」

 

「これは、新しいベルトとデータボトル…?」

 

「そう。これは、あなたが更に強くなれる新しいベルトと強化アイテムよ。けど、今のあなたじゃ使えないと思うけどね。」

 

「どういう事だ?」

 

「これは、装着者の意思とリンクしている。あなたがネイチャーを倒し、我々と共に戦うと強い意志を持って決断した時、使えるようになると思うわ。」

 

「なんで意思とリンクする、なんて面倒な事したんだよ?」

 

「元々、ライダーシステムは装着者の意思が強ければ強いほど、そのライダーのパワーも上がる。さっきも、あなたの意思が強くなったから、インフィニティやネイチャーよりも強くなっていたのよ。

 

このベルトで変身すると、ダークインフィニティ以上の力が出せる。そのため、変身する前から強い意志が必要って事よ。」

 

「なるほどな…安心しろ。次は、絶対に蓮…ネイチャーを倒す…!」

 

「そう。期待してるわ、ふふっ…」

 

不敵な笑みを浮かべ、謎の女はそう言った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「失礼します。」

 

俺が3人と別れて向かった場所は理事長室。

 

「仮野くん?どうしたの?」

 

「突然すみません。この前貸してもらった本についてなんですが…」

 

俺はそう言いながら、この前の本を開く。

 

「もしこの本に書かれている事が正しいなら、究極の姿に変身する力がこの音ノ木坂学院に隠されているはずです。音ノ木坂学院に、何かが隠されているという事は聞いた事ありませんか?」

 

俺が理事長室に来たのは、あの本に書かれていた究極の姿に変身するための力の事を知っているか聞くため。そんな力が本当にあるのか、あったとしてもインフィニティドライバーで使えるのかは分からないが、かけてみる価値はある。

 

「うーん…そんな話は聞いた事ないわね…」

 

「なんでもいいんです!ちょっとした手がかりでもいいんです。何か、聞いた事はありませんか?」

 

「落ち着いて。どうして、そんなに焦っているの?」

 

「すいません…けど、俺はどうしても強くならないといけないんです。」

 

今のままじゃ、強くなったダークインフィニティには敵わない…蓮との同時攻撃でやっと相討ち…けど、蓮は戦えないと思う。なら、俺がダークインフィニティを止めるしか…

 

「たとえその究極の姿に変身できたとしても、仮野くん、あなたが死んでしまうんじゃないの?私は、生徒が死ぬような力を渡さないわ。」

 

「……大丈夫です。俺は死ぬような力だったら使いませんから。だから、教えてください…」

 

「……はぁ…さっき言った通り、その力を使うためのアイテムの事を、私は知らないわ。けど、手がかりならあるかもしれない。」

 

「それは?」

 

「この学校に長方形で、何かが書かれている岩があるのを、知ってる?」

 

「はい。この学校に来てすぐ、茜に学校を案内してもらった時に見ました。確か、この学校が建てられるよりも前からあるものなんですよね?かなり昔からある特別な岩で、謎が多いとも聞きました。」

 

「そうよ。今あなたが言った通り謎が多く、なんのためにあるものなのか分からないんだけど、私が理事長に就く時、ある噂…いえ、伝説を聞いたの。」

 

「伝説?」

 

「えぇ。さっき言った岩に、ある宝石のような物を決まった数置けば、何か隠されている物が現れる。そんな話を聞いた事があるわ。そして、その宝石のような物の1つが、これよ。」

 

そう言って、理事長は大切そうに理事長の机の鍵付き引き出しに閉まってある箱を取り出し、開けて中身を見せた。

 

「それは…!」

 

俺はそれに見覚えがあった。過去µ’sの合宿に2度行ったが、その両方で俺が見つけたあの宝石…財団Xも狙っていて、姉ちゃんに調べてもらい、インフィニティシステムの根源のような物を封印した石と似ていた。

 

なるほど…この石…というか宝石は、インフィニティシステムの根源を封印したのには変わりないけど、この宝石を使って、更に指定の場所に置かなければいけなかったのか…

けど、これで確信した。究極の姿に変身するための物は、インフィニティに変身する俺が使う事の出来る物って事だ。

 

「これは、音ノ木坂学院が創設された時から、代々理事長が大切に保管しているわ。この伝説が本当なのかは分からないけど、本当だった場合これを受け継いでも大丈夫な人に託すため、密かに保管していた。私は、あなたなら大丈夫だと思って、これを託そうと思うわ。」

 

「理事長…ありがとうございます!」

 

「ただし!絶対に、無茶はしないでね。私は戦う力なんて持っていない。大切な生徒が怪物と戦って危険な目に遭っているのを、指をくわえて見てる事しか出来ない自分が悔しい。でも、私は戦う事が出来ない。大切な生徒…それに大切な娘まで戦っているというのに…」

 

「理事長、ことりが仮面ライダーになった事を…?」

 

「えぇ、ことりから聞いたわ。その時、ことりが言ったの。

 

『私は、お母さんにどれだけ反対されても戦うよ。これまで優くんはたった1人で、危険な戦いをしてた。私は、それを近くで見守ってる事しか出来ないかった。だから、私が変身出来るようになった今、私は少しでも優くんの力になれるように、少しでも多くの人を守るために戦いたいの!』

 

って。あんなに真剣なことりは、あんまり見た事なかった。だから私も、ことりの意見を尊重したの。」

 

「理事長…本当に申し訳ありません…俺が、もっとしっかりと止めておけば…」

 

「いいえ。さっきも言った通り、私はことりを信じてあの子の意見を尊重した。それに、私は仮野くんの事だって信じてる。だから、この宝石をあなたに託すわ。」

 

「本当にありがとうございます!」

 

俺は頭を下げてそう言った。俺は、理事長に感謝してもしきれないな…

 

その時、

 

ガチャ

 

理事長室の扉が開いた。

 

「ん?」

 

俺が扉の方へ振り返ると、入ってきたのはことりだった。

 

「ことり?帰ったんじゃなかったのか?」

 

「うん、お母さんに渡さないといけない物があって。はい、これ頼まれてた書類。」

 

「ありがとう。」

 

「じゃあ、私は帰るね。」

 

そう言って、ことりは理事長室から出ていった。

 

「俺もこれで失礼します。本当にありがとうございました。」

 

「あっ、もう1ついいかしら?」

 

「なんですか?」

 

「こんな時に聞くのもあれなんだけど…」

 

 

そこで俺は、理事長にあることを聞かれた。タイミングがいいのか悪いのか…まさか今、こんな事を頼まれるなんて思ってもなかった…

 

 

「じゃあ、これで失礼します。本当にありがとうございました。」

 

俺は理事長との会話を終え、そう言った。

 

「仮野くん。さっきも言ったけど、絶対に死ぬような力なら使わないでね。人の命を守るあなたは、とても素晴らしいわ。けど、自分の命も大切にして。約束よ。」

 

理事長室を出る前、俺は理事長にそう言われた。

 

「……はい。失礼します。」

 

俺はそう返事し、理事長室から出ていった。

 

 

 

 

理事長…ごめんなさい。俺は、その約束を守るとは言いきれません。

 

 

俺は、なんでこんな大事な事を忘れていたんだ…自分の大切な友人…それに、まだもっと何か大事な事を忘れている気がする…

 

なんだよ…転生しても、俺は俺のままなのかよ…結局俺は、転生しても最低な大馬鹿野郎なのかよ…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

なんで、秀夜がダークインフィニティなんだよ…けど、秀夜の事だ。多分、何か理由があるんだろう。それがどんな理由だとしても、俺はお前を止める。大事な、親友だからこそ…

 

 




次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!

ダークインフィニティの正体が蓮の親友だと分かり、更に優も何なを思い出す。そして、3つの封印を解くための宝石を揃えた優は、封印を解いてダークインフィニティと戦おうとする…

次回、『89話 封印されたデータボトル』





はい、今回多分初の1話の文字数が1万文字を超えました。結構長かったかもしれません。

そしてとうとう明かされたダークインフィニティの正体は、蓮の前世での親友。更に、優とも何か関わりがある人物なのか…?


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89話 封印されたデータボトル

はい、89話です。

ビルドが終わり、絶賛ビルドロスです…けど、平ジェネFOREVERやプライムローグ、Vシネクローズを楽しみに待ちたいと思います!

それに、毎週ジオウに過去作品から本人出演されていますし、個人的には内容も好きなので、ジオウも楽しみです。今日の放送で、巧に草加、大杉先生も出るそうなので今から見ようと思います。弦太郎は、やっぱり難しいんですかね…

だいぶ話がそれましたが…

では89話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「とうとう明かされたダークインフィニティの正体。その正体とは、俺が前に神田明神で目撃した人物であり、花陽を不良から助けた人物でもあるそうだ。しかし、それ以上の衝撃的事実が発覚する。ダークインフィニティに変身した人物…秀夜という男は、蓮の幼馴染だと言う。」

 

ことり「その事に驚く私達。そんな中、優くんの様子にも少し異変が…」

 

優「そんな俺が向かった先は理事長室。そこで俺は、インフィニティシステムの根源のような物を封印したという宝石を、理事長から託してもらう。」

 

ことり「そして、理事長室から出た優くんは、ある事を思い出すのだった…そんな秘密が多く語られる89話、始まりますっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

 

理事長…ごめんなさい。俺は、その約束を守るとは言いきれません。

 

 

俺は、なんでこんな大事な事を忘れていたんだ…自分の大切な友人…それに、まだもっと何か大事な事を忘れている気がする…

 

なんだよ…転生しても、俺は俺のままなのかよ…結局俺は、転生しても最低な大馬鹿野郎なのかよ…

 

 

 

理事長室から出た俺の頭には、そんな考えが頭をよぎる。その時、俺の目から涙が流れてきた。何粒も何粒も…それが繋がり、川が流れるように流れてきた。

 

「優くん!?どうしたの!」

 

「ことり…まだ、いたのか…」

 

「それよりどうしたの?泣いてるよ?」

 

俺は泣き止み、服の袖で涙を吹き取った。

 

「いや、なんでもない。それよりも、行かないと…」

 

そうだ…こんなとこで泣いてても何も始まらないし、何も解決しない。ったく、なんかこの前の絵里の時と言い、俺の涙腺は緩くなったのか…?

 

「行くって、どこに?」

 

「多分、ダークインフィニティ…秀夜と蓮が戦っても、蓮は本気を出す事は出来ないし、勝つことも出来ないと思う。なら、せめて俺が何としてでも食い止めないと…」

 

ピコンッ

 

俺がことりと話していると、蓮からあるメッセージが送られてきた。

 

「やっぱり…ナイスタイミング過ぎて怖いけど、ほらこれ。」

 

そう言って、俺はことりにスマホの画面を見せる。

 

「これって…!」

 

「あぁ。あいつは、相手が親友だろうと、戦おうとしてるんだろうな…」

 

蓮から送られてきたメッセージには、『多分、秀夜は明日にでも勝負を仕掛けてくると思う。もう俺は大丈夫。あいつとは、俺が決着をつける。』と書かれていた。

 

「無理しやがって…蓮のやつ。」

 

俺はそう呟いて、1人歩き出す。

 

「優くん?どこ行くの!」

 

そう言って、ことりは俺の後ろを着いてくる。

 

 

 

俺が来たのは、さっき理事長と話したインフィニティシステムの根源が封印されている岩がある場所にやって来た。

 

ここに3つのあの宝石を置けば、新たな力が手に入る…

 

「よし…」

 

「優くん、何するの?」

 

「この3つの宝石を、この岩の3つの穴に入れれば、封印されている力が手に入るらしい。」

 

「それって、もしかして…」

 

「ことり?」

 

「前にお母さんが、音ノ木坂学院について色々書いてある分厚い本のあるページを読んでたの。それをこっそり読んでみたんだけど、そのページが仮面ライダーに似ている物が江戸時代にあったって書いてあったの。もしかしてその封印されている力って、その本に書かれていた究極の姿に変身するための物?」

 

「知ってたのか…」

 

「うん。ついこの前、お母さんが読んでいたのをこっそり見たんだ。ねぇ、その力を使ったら、消滅しちゃうんだよね?」

 

「それは…」

 

「絶対ダメだよ!そんな力使ったら!」

 

ことりは俺に必死に訴えながら、俺が持っている宝石を取ろうとしてきた。

 

「落ち着け!まだそうと決まったわけじゃないだろ。それに、封印されているのを解くだけなら問題ないはずだ。それで調べてみて、安全そうなら使うっていうのもアリだろ?」

 

「うん…そうだね。」

 

俺は何とかことりを説得して、再び岩に宝石をはめようとする。

 

そして、1つ目の宝石をはめた。次に2つ目。最後に、3つ目の宝石を……

 

 

 

はめた。

 

「きゃっ…!」

 

「なんだ!?」

 

すると、岩から突然光が出てきて、辺りが揺れ始めた。

 

「ことり、捕まれ!」

 

俺はことりの手を握り、揺れから耐えられるようにした。

 

 

 

しばらくすると揺れは治まり、光も消えていった。

 

「ことり、大丈夫か?」

 

「うっ、うん。」

 

俺が再び岩の方を見ると…

 

「これは…?」

 

さっきまでは3つの宝石を填める穴があったが、それが無くなり、岩は大きく形を変えていた。そして、岩の上には黒い箱が置かれていた。

 

「この中に…」

 

俺は黒い箱の蓋を取ろうと、蓋に手をかける。

 

「うっ…!?うぅあああああああ!?」

 

すると、俺の体に電流が流れた。

 

「優くん大丈夫!?」

 

「あぁ、大丈夫だ。けど、簡単には開けさせてもらえないか…」

 

俺はもう1度蓋に手をかけた。

 

「あれ、今度は普通に触れるのか…よし、開けるか…」

 

俺は蓋を開ける。すると、箱の中にはデータボトルが1つと、石化したデータボトルが1つ、更にインフィニティドライバーが入っていた。

 

「これは…なるほどな。」

 

「優くん、何か分かったの?」

 

「あの3つの宝石だけじゃ、このデータボトル…究極の姿に変身するためのアイテムの封印は解けなかったみたいだ。ほら、この通り石化してる。それで、こっちの石化していないデータボトルとインフィニティドライバーは、江戸時代にいた仮面ライダーが変身するために使っていた物なんだと思う。」

 

俺が今言った事は、あくまでも推測。だが、恐らく当たっているはずだ。

 

「でも、なんでか分からないけど、こっちの石化していないデータボトルでも、凄い力を感じる。これなら、秀夜を止められるかもしれない。」

 

「けど、その力だって危険かもしれないんじゃ…」

 

「そうかもな…だとしても、戦わないと。これ以上、誰も傷つけない為にも。」

 

「優くん…」

 

「よしっ!」

 

『スペシャル召喚 ライドインフィニティ!』

 

俺は専用バイク、ライドインフィニティを呼び出した。

 

「どこ行くの?」

 

「今のうちにこいつを試して、特訓しとこうと思って。ついでに送ってくよ、乗れ。」

 

俺はそう言って、ことりにヘルメットを渡した。

 

「ううん、優くん。私も着いてく!」

 

「なんで?」

 

「お願い!」

 

そう言ったことりは、前に海未にやったようなお願いではなく、真剣そのものだった。

 

「…?分かった。着いてきてもいいけど、退屈だと思うぞ。」

 

「大丈夫。」

 

俺はバイクの後ろにことりを乗せ、走り出した。

 

 

 

 

そして、俺達がやって来たのは神田明神。

 

「ここで特訓するの?」

 

「あぁ。」

 

神社でそんな事するのはどうかとも思うが、俺の姉ちゃんは女神様だし、神様に力を借りるって事でまあいっか。

 

俺達は、他の神田明神に来た人の迷惑にならないように、神田明神の裏側までやって来た。

 

「さて。江戸時代の仮面ライダーが使ってたこのデータボトルなら、ダークインフィニティを止められるかもしれない。早速、試してみるか…!」

 

俺は腰にインフィニティドライバーを巻き付けた。そして、江戸時代の仮面ライダーが使ってたデータボトルを差し込んだ。

 

「変身!」

 

俺は変身しようとしたが…

 

「ぐっ…ぐああああああああああああああぁぁぁ!!?」

 

「優くん!」

 

変身しようとした瞬間、俺の体に電流が走った。俺は咄嗟にデータボトルをベルトから抜き取った。

 

「クソッ…とんでもねぇ力だな…江戸時代の仮面ライダーは、こんな強力な力で戦ってたのか…」

 

「優くん、大丈夫!?」

 

そう俺に駆け寄って来たことり。

 

「あっ、あぁ…大丈夫だ、それより離れてろ。もう1回…変身!」

 

俺は再びベルトにデータボトルを差し込んだが、

 

「ぐああああああああああぁぁぁぁ?!!」

 

また電流が俺の体に流れ、変身出来ない…

 

「クソッ…なんで変身出来ない…!もう1回!」

 

「優くん、ダメだよ!危険だよ!」

 

「それでも、俺は…変身!」

 

俺はもう1度データボトルをベルトに差し込み変身しようとしたが、また体に電流が走って変身できなかった…

 

 

 

 

 

「クソッ…はぁはぁはぁはぁ…」

 

もう10回以上変身を試みているが、結果は同じ…

 

「優くん!もう無理だよ…これ以上は、優くんがっ…!」

 

「ダメだ…さっき戦ったダークインフィニティは、これまでよりもずっと強くなってた…次戦う時は、もっと強くなってるかもしれない…このデータボトルを使わない限り、俺でも蓮でも勝てない…」

 

「優くんどうしたの?今日なんか変だよ?なんか、焦ってるように見えるよ…このままじゃ、優くんの体がもたないよ…!何かあったの?」

 

「それは…」

 

「話してよ…優くん、いっつも1人で抱え込んじゃってるよ?もっと、ことり達を頼ってよ…!」

 

「ことり…」

 

今にも泣きそうな、か細い声で俺に言ってくることり。そういえば、前に絵里にも似たような事言われたな…

 

「ごめん…俺、焦って心配かけちゃったみたいだな。分かった、話すよ。これは、蓮も気づいてない話なんだ。」

 

「蓮くんも?」

 

「あぁ。実は…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

翌日…

 

ピーンポーン

 

ダークインフィニティの正体が秀夜だと判明した日の翌日の朝、俺の家のインターホンが鳴った。

 

朝から誰だ…?姉ちゃんならまだ天界にいるだろうし、帰ってきたとして鍵を開けて入ってくるはずだ。

 

「はい…」

 

俺はそんな事を考えながらも、家のドアを開けた。

 

「蓮くん、おはよう。こんな朝からごめんね。」

 

「凛?それに花陽に真姫も。どうしたんだ?こんな朝っぱらから。」

 

俺の家を訪ねて来たのは、凛と花陽と真姫だった。

 

「蓮くん、大丈夫かなって…」

 

「俺の事、心配して来てくれたのか…ありがとな、俺はもう大丈夫だ。もう親友なんて関係ねぇ。次あいつが現れたら、俺が戦う!」

 

「蓮くん…」

 

その時、俺のメカアニマル、ドラゴンアニマルが俺の元へやって来た。

 

「おっ、ナイスタイミング!財団Xが現れたみたいだ。行ってくる!」

 

俺はそう言って、走り出した。

 

「あっ、蓮くん!」

 

その後ろを、凛達3人も走って追いかけてきた。

 

 

 

俺がドラゴンアニマルの案内で財団Xが暴れている所まで来ると、そこにはマスカレイド・ドーパント、屑ヤミー、ダスタードが暴れていた。

 

「多いな…今はこんな奴らの相手している場合じゃないってのに…」

 

「「「「変身!」」」」

 

『ガンフォーム』

 

俺は仮面ライダーネイチャーに、凛は仮面ライダーアギト グランドフォームに、花陽は仮面ライダー電王 ガンフォームに、真姫は仮面ライダーキバ キバフォームに変身した。

 

「全ての悪は、俺が潰す!」

 

『お前倒すけどいいよね?答えは聞いてない!』

 

「はぁぁぁぁ!」

 

俺達は怪人達と戦い始めた。

 

「はぁっ!」「にゃっ!」「やぁっ!」『えいっ!』

 

「ったく…キリがない。」

 

「だったら、フォームチェンジにゃ!」

 

凛はベルトの左腰についているボタンを押した。すると、アギトのベルト…オルタリングからストームハルバードが出現し、左腕と胸が青色に変わり、凛は仮面ライダーアギト

ストームフォームに変身した。

 

『(リュウタ、交代。)ちょっ、亀ちゃん待っ…』

 

『ロッドフォーム』

 

『バッシャーマグナム!』

 

花陽は仮面ライダー電王 ロッドフォームに、真姫は仮面ライダーキババッシャーフォームに変身した。

 

「うにゃ!やぁっ!」

 

凛はストームハルバードで敵を斬り裂いていき、電王はデンガッシャー ロッドモードで敵を貫く。真姫はバッシャーマグナムで撃ち抜いていく。

 

『(カメの字、交代や!)きんちゃん、ちょ…』

 

『アックスフォーム』

 

『ドッガハンマー!』

 

凛はオルタリングからフレイムセイバーを取り出し、仮面ライダーアギト フレイムフォームに、電王は仮面ライダー電王 アックスフォームに、真姫は仮面ライダーキバ ドッガフォームに変身した。

 

「にゃっ!やぁぁっ!」

「えいっ!やぁ!」

『せいっ!ソイヤッ!』

 

今度は凛はフレイムセイバーで、電王はデンガッシャー アックスモードで斬り裂いていく。真姫はドッガハンマーで敵へ打撃攻撃を仕掛けていく。

 

それぞれの攻撃でマスカレイド・ドーパント、屑ヤミー、ダスタードは残り少なくなっている。

 

「よしっ、一気に決めよう!」

 

俺は仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに変身した。それに続いて、凛は再びオルタリングからストームハルバードを取り出して2つの武器を構え、仮面ライダーアギトトリニティフォームに変身した。

 

『ガルルセイバー!』

 

『ソードフォーム』

 

更に真姫は仮面ライダーキバ ガルルフォームに、電王は仮面ライダー電王 ソードフォームに変身した。

 

凛はクロスホーンを展開し、俺はアタックバックルにカードを入れ、電王はベルトにパスをかざし、真姫はガルルセイバーの刃をキバットに噛ませた。

 

『スペシャルアタック ネイチャーストライク!』

 

『フルチャージ』

 

『ガルルバイト!』

 

『俺の必殺技、パート1!』

 

真姫はガルルセイバーを口にくわえ、電王と共にマスカレイド・ドーパンド、屑ヤミー、ダスタードを斬り裂いた。

 

「はぁぁぁぁぁ!」「にゃぁぁぁぁぁ!」

 

最後に、俺と凛で上空からライダーキックを決め、全てのマスカレイド・ドーパンド、屑ヤミー、ダスタードを倒した。

 

戦いが終わり、静かになった辺りに、

コツ コツ コツ

 

と、誰かの足音が響く。

 

「来たか…秀夜!」

 

「蓮…」

 

「今度は、手加減しねぇぞ。みんな、あいつは俺1人でやる。今回は手を出さないでくれ。」

 

俺の言葉を聞いた3人は、変身解除して後ろに下がる。

 

「決めたんだ…暴走して、財団Xに操られてたのを助けてもらったあの時から…全ての悪は、俺が倒すって…それが…それが、たとえ親友のお前でもな!!」

 

「変身!」

 

秀夜は、ダークインフィニティに変身した。俺達は同時に走り出し、

 

「「はああああああああぁぁぁ!!」」

 

お互い同時に攻撃を始めた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「蓮くん…」

 

蓮がダークインフィニティと戦ってるのを、凛、花陽、真姫は心配そうに見ている。

 

「はぁっ!オラァッ!」「ふんっ!オラァッ!」

 

お互い凄い気迫で戦っている。

 

「みんな!」

 

そこに穂乃果、海未、絵里、希、にこの5人が駆けつける。

 

「やっぱり、蓮が決着をつけるって言ったのね…」

 

「うん…」

 

「ねぇ、優とことりはどうしたのよ?」

 

「そういえば、昨日音の木で別れてから見てないね…」

 

にこの言葉で、穂乃果がそう言った。そんな会話を交わし、再び戦いに注目する。

 

「蓮くん、大丈夫かな…」

 

心配そうに、凛は呟いた…

 

「ぐあああああああああああ…!!」

 

「蓮くん!?」

 

ダークインフィニティの攻撃で強制変身解除した蓮。

 

「蓮…くっ…ああああああああぁぁぁ!!」

 

「やめてぇぇぇぇ!!」

 

ダークインフィニティは1度躊躇いながらも、蓮へと剣を振り下ろ…

 

カキンッ!

 

せなかった。

 

突然現れた優が、インフィニティソードでダークインフィニティの剣を防いだからだ。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

カキンッ!

 

蓮に剣を振り下ろそうとした秀夜を、俺は咄嗟にインフィニティソードで防いだ。そして、ことりもみんなと合流していた。

 

「させないぜ、秀夜。」

 

「なんだ?俺を倒しに来たのか?」

 

「優、やめろ…秀夜は俺が…」

 

「悪いな、蓮。ここからは俺がやる、お前は休んでろ。こいつは、俺が止める。」

 

「止める?倒すの間違いじゃないのか?」

 

「いや、俺はお前を止める。このままお前が財団Xにいると、いつか人の命を奪ってしまうかもしれない。そうなったら、お前はもう後戻り出来なくなる。お前が、その一線を超えてしまう前に俺が止める!」

 

「どこの誰かも知らない俺を止める、か…随分とお人好しな野郎だな。」

 

「何言ってんだよ。お前、気づいてんだろ?俺達は、大事な…大事な親友だって事!!」

 

 

「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」

 

「はぁ!?優、お前今、なんて…?」

 

「優…お前、思い出したのか…?」

 

俺の言葉に、さっき事情を説明したことり以外の8人と蓮は驚き、秀夜はバツが悪そうにしている。

 

「あぁ。全部、とは言えないけど、お前らの事は思い出した。」

 

「おいっ、優!どういう事なんだよ、思い出したとか、俺達は大事な親友だとか!」

 

「その話は後だ。さてっ、新たな力…いや。最古の力の、お披露目だ!」

 

俺はそう言い、インフィニティドライバーを腰に装着した。そして、江戸時代のデータボトル…オリジンデータボトルを取り出した。

 

「変身!!」

 

俺は新たなインフィニティの姿に、変身した。

 

「仮面ライダー、インフィニティオリジン!俺の強さは…超次元をも超えてやる!!」

 

「新しい、インフィニティ…?」

 

「オリジン…?」

 




『第2回!何故私はこのライダー!?』

優「という事で始まりました、第2回!早速ですが、第2回のゲストをお呼びします。」

ことり「南ことり、高校2年生ですっ!」

優「という事で、第1回ゲストの穂乃果が変身した時に一緒にライダーの力を手に入れたことりが、今回のゲストです。ことり、これを見てる人はことりが変身するライダーを知っているとは思うけど、一応説明して貰ってもいいか?」

ことり「うんっ!私と穂乃果ちゃんの前に現れた怪物を倒したい、そう願った私と穂乃果ちゃんにライダーの力が宿ったの。私が変身する資格を貰ったのは、仮面ライダー龍騎です。」

優「ありがと、ことり。じゃあ、まずは簡単に仮面ライダー龍騎について。

仮面ライダー龍騎は、仮面ライダーがミラーワールドという世界から人間を襲おうとするミラーモンスターを倒し、人々を守る…という訳ではない。」

ことり「えっ?どういう事?仮面ライダーなんだから、人を守るんじゃ…」

優「本物の仮面ライダー龍騎の変身者の城戸真司さんは、龍騎のバックルを偶然手にし、仮面ライダー龍騎に変身した。確かに彼は、人を襲うミラーモンスターを倒すために仮面ライダーとして戦っていた。

けど、仮面ライダー龍騎には龍騎を除いて12人…龍騎を含むと計13人の仮面ライダーがいるんだ。そのライダー達は、それぞれ自分の望みを叶えるためにライダー同士で殺し合いの戦いをしている。そして、最後に勝ち残った1人が、13人目のライダーであるオーディンと戦って勝つと、なんでも望みを叶えられるらしい。」

ことり「ライダー同士で、命をかけて戦って自分の望みを叶える…なんか、悲しいな…ことりは、そんな戦い間違っていると思う。」

優「やっぱり、ことりならそう言うと思った。その13人のライダーの中にも、ライダー同士の戦いを止めようと思っているライダーが2人いたんだ。さっき言った仮面ライダー龍騎に変身する城戸真司さんと、仮面ライダーライアに変身する手塚海之さん。

そしてここからは、ことりが9つのライダーシステムのうち、龍騎に変身した理由について。城戸真司さんがライダー同士の戦いが間違っていると止めたように、ことりもそう言うと思ったからなんだ。俺の予想通り、さっきことりが言ったしな。

あと、龍騎には初の女性ライダーが登場し、そのライダーの契約モンスターが白鳥なんだ。ことりと言えば、やっぱり鳥のイメージがあるからな。

更に、龍騎の契約モンスターは龍。龍は中国神話に出てくる四神の東、東の青龍も龍。ことりの苗字は南。その四神の南は朱雀。朱雀は火の鳥と言われている。龍騎はストライクベントでは火を出して攻撃する。そして、南の鳥と言えば、南ことり。だから、ことりが変身するライダーはことりにしたって、作者が言ってたぞ。」

ことり「けど、最後のはちょっと無理があるんじゃ…」

優「……おっと、そろそろ次回予告をしないとな。」

ことり「優くん、話しそらしたでしょ?」

優「まあまあ、細かい事は気にすんな。」

ことり「細かくはないと思うけどぉ…とりあえず、次回予告やろっか!」





優「新たな姿、仮面ライダーインフィニティオリジンに変身する俺。」

ことり「そして優くんは、ダークインフィニティに変身している秀夜さんと戦い始めた。優くんは、秀夜さんを止める事は出来るのか…」

2人「次回、『90話 起源の力、インフィニティオリジン』



次回もお楽しみに!!」


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90話 起源の力、インフィニティオリジン

はい、90話です。

今回、優の新フォームであるインフィニティオリジンが戦っていきます!

では90話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「ダークインフィニティの正体が蓮の親友、秀夜だという事が明かされた。そんな時、俺も秀夜について何かを思い出した。

 

それに気づいた俺は焦り、ことりが見守る中江戸時代の仮面ライダーが使っていたデータボトル、オリジンデータボトルで変身しようとするが変身出来ない。そんな時、ことりに俺が思い出した事を話す。

 

そして、秀夜と戦う事を決意した俺は、秀夜の元へ…

 

秀夜と蓮が幼馴染という事だけでなく、更に俺までもが幼馴染と発言した俺。そして俺は、新たな姿…仮面ライダーインフィニティオリジンに変身したのだった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「仮面ライダー、インフィニティオリジン!俺の強さは…超次元をも超えてやる!!」

 

新たなインフィニティ、仮面ライダーインフィニティオリジンに変身した俺。

 

「秀夜…お前は俺が止める!」

 

「拓真…お前が相手でも、容赦しないぞ!」

 

「拓真!?」

 

秀夜の言葉に、驚く蓮。

 

「「はぁぁぁぁぁ!!」」

 

俺達はお互い、同時に攻撃する。

 

「はぁっ!」

 

そして秀夜が、2激目の攻撃をしてきた。俺はそれを止めて、

 

「はぁぁっ!」

 

今度は俺が秀夜に攻撃する。

 

「くっ…そのデータボトル、かなりの力を秘めてるな…」

 

「そりゃな。これは江戸時代で戦ってた、大!大!大先輩の仮面ライダーが、使ってたデータボトルだ!強いに決まってる。」

 

「そんな昔に、仮面ライダーが…?いや、今はそんな事どうでもいい。」

 

『スペシャル召喚!ダークソード!』

 

そう言って、秀夜は自身の黒い剣を呼び出した。あっ、その剣本当にダークソードだったんだ…やっぱり、ダサい…って、今はそんなことどうでもいい!

 

「まだまだ行くぞ!」

 

『スペシャル召喚!インフィニティソード!』

 

秀夜の言葉を聞き、俺はインフィニティソードを呼び出して構える。

 

「はぁっ!」

 

「せいっ!」

 

「やぁ!」

 

「おりゃあ!」

 

インフィニティソードとダークソードがぶつかり合っていく中、

「はぁぁぁっ!」

 

「ぐっ…」

 

一瞬の隙を見逃さなかった俺は、透かさずインフィニティソードの柄で、秀夜の腹部を殴る。それにより、秀夜が少し引き下がった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

優が、拓真…?

 

俺は信じられない事実を突きつけられながらも、納得してしまう自分がいた。

 

何故か、優と拓真が似ていると思った事が何度もあった。それに優は転生時、この世界で死んだ仮野優という人間の体に入り、顔や体は転生前とは違う人になっている。なら、優が拓真でもおかしくない。

 

それに…今の2人の戦いを見て、俺は懐かしく思った…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「はぁぁぁっ!」

 

「ぐっ…」

 

俺が殴った事で、少しよろけて後ずさる秀夜。

 

「これで、決める…!」

 

俺はインフィニティオリジンに変身した時に生まれた、新しい特殊能力カードをインフィニティバックルへ、秀夜もカードをバックルに入れた。

 

 

『スペシャルアタック オリジンフィニッシュ!』

 

『スペシャルアタック ダークストライク!』

 

 

「「はぁぁぁぁ…」」

 

俺達はそれぞれの必殺技待機に入る…そして、同時に飛んだ。

 

「「はああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」」

 

俺達のライダーキックが、上空でぶつかり合う。

 

「はぁっ!」

 

「ぐぁっ…!?」

 

俺の威力が勝ち、秀夜は強制変身解除を受ける…

 

「俺の勝ちだ、秀夜。さて、なんで財団Xと手を組んでたのか、話してくれるか?」

 

そう言った俺は、インフィニティドライバーからオリジンデータボトルを取り出して変身解除した。

 

「俺は…」

 

そう小さく呟いた秀夜。その時、

 

 

ポツッ…ポツポツッ…ザァァーーーーーーー!!

 

 

突然大雨が降り出した。

 

「こんな時に、雨かよ…」

 

「くっ…はっ…はああああああああぁぁぁ!」

 

「おいっ、秀夜!?」

 

雨に文句を零した俺だったが、秀夜が俺に殴りかかってきた。そんな秀夜に驚きながらも、間一髪の所で防ぐ。

 

「俺には…絶対やらないといけない事があるんだよ…こんな所で、止まってる訳にはいかねぇんだよ!」

 

その言葉を聞いた俺は、秀夜の胸ぐらを掴む。

 

「馬鹿野郎!俺はお前がしなきゃいけねぇ事が何かは知らない!けど、財団Xと手を組んで…悪に落ちてまでして、やらなきゃいけねぇのかよ!少なくとも、俺が知ってるお前はそんな事するやつじゃない!」

 

「お前に…お前に何が分かるんだよ!!」

 

そう叫んだ秀夜は、再びの顔を殴る。

 

「グッ…」

 

俺が殴られた口元を拭うと、手に血がついていた。

 

「そうかよ…だったら、俺も力ずくでお前を止める!おりゃああああ!!」

 

俺も秀夜を殴る。

 

「あぁぁぁぁぁ!」

 

再び秀夜が殴り返す。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!」

 

俺も殴り返す。雨が降る中、びしゃびしゃになりながらも、俺達の大事な物を駆けた殴り合いが始まった…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

雨が降り出した事で、それぞれが傘を差す。

 

「あの2人、あんな雨の中変身もしないで戦ってるよ!?止めないと…」

 

そして穂乃果が、2本の傘を取り出してそう言った。

 

「いや、いいよ。」

 

「蓮くん?」

 

「昔も1回、あの2人が大喧嘩した時があったんだ…その時も、雨の中血だらけになっても喧嘩してた…理由はなんだったのかは忘れたけどな。多分、今の2人も、俺達が何言っても止まらないよ。」

 

「じゃあ、やっぱりあの秀夜って人と、蓮くんだけじゃなく、優くんも親友なの?」

 

「あぁ。」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「あぁぁ!」

 

「おらぁぁ!」

 

「「うおりゃああああああああああああああああ!!!!」」

 

俺と秀夜は、同時に殴り、

 

「「うっ…」」

 

同時に倒れた。

 

「くっ…ハハハハハハッ!」

 

「……何笑ってんだよ…?」

 

突然笑い出した俺に、そう聞く秀夜。

 

「いや、違う世界に来ても…記憶無くしても…変わんねぇなって思ってな。」

 

「そうだな…お前の言う通りだと思うよ。」

 

「えっ?」

 

「多分、財団Xと手を組んであいつを助けても、あいつは喜ばないと思う…」

 

「あいつ…?助ける…?」

 

俺には、秀夜の言った言葉の意味が分からない。もしかして秀夜は、誰かを助けるために…?

 

「……美穂…いや、優奈か。優奈は元気か?」

 

「あぁ、元気だよ。」

 

「そっか。」

 

そう言って、寂しそうに秀夜は笑った。

 

「なぁ、秀夜。お前の目的とかは知らないけど、また俺達と親友に戻らないか?それで、俺達と一緒に戦って欲しい。」

 

俺は立ち上がって、秀夜に手を差し出した。

 

「俺とそう思ってる。」

 

そして、俺の隣に蓮が来て、同じく手を差し伸ばす。

 

「いいのか…?お前達の命を、何度も何度も奪おうとしたんだぞ…ずっと、騙してたんだぞ?」

 

「俺も、財団Xに操られてたとはいえ、優やµ’sのみんなの命を狙った事もある。」

 

「秀夜、お前はどうするんだ?」

 

「俺は…俺は…やっぱり、あんな奴らと組んでた俺が馬鹿だった…俺は、財団Xをぶっ潰す!」

 

そう言った秀夜は、昔の…俺達の大親友の秀夜顔に戻っていた。それと同時に、雨が止み、太陽が射してきた。

 

「やっぱり、お前はそうでなくちゃな!」

 

「ったく、心配させやがって。」

 

そう笑い合った俺達だったが、少し真剣な表情に戻って俺が切り出した。

 

「それで、なんでお前は財団Xと手を組んだんだ?」

 

「……詳しい事は後で話すけど、簡単に言えば美穂のためだ。」

 

「えっ?」

 

「実は、美穂は重い病気にかかってる。余命ももう短い…」

 

「嘘、だろ…?」

 

「俺も嘘だと信じたい…けど本当だ。そんな時、俺の前に財団Xとその仲間の女神が現れて、美穂を助けてくれるって言ったんだ。その交換条件として、俺が転生してダークインフィニティとして財団Xに入る事だったんだ。」

 

「美穂ちゃんが…」

 

美穂ちゃんを知っている蓮も、ショックを受けている。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

おっとと…ここまで見てきて、まだ謎な部分が多いと思うので、俺仮野優がパパっと説明したいと思います!ちなみに、今説明しようとしている俺は、本編とは関係ないので、気にしないでくれ!

 

まず、蓮と秀夜が前世からの幼馴染で、他に拓真と悠斗という幼馴染もいる。そしてその拓真という人物が俺、仮野優だったのだ!

 

まず、今の俺のおさらいから。今の俺は、この世界で死んだ仮野優という人物の体に、前世で死んだ俺の魂が入ってる。さらに、今の俺の体である仮野優の魂も入っているため、今の俺は2つの魂が入ってるらしい。まぁ、この世界に元々いた仮野優の魂の方はちょっと弱いらしいが…

 

まぁ、転生後の仮野優のおさらいはこんな感じ。で、ここからが本題。今の俺は仮野優の顔だから、俺が拓真という事に蓮は気づかなかったんだ。俺も前世の記憶が無いし。秀夜は知ってたみたいだけど…

 

そしてそして、さっき出てきた美穂ちゃんという人物についてだ。彼女の本名は黒崎美穂。秀夜の苗字も黒崎。そう、秀夜の実の妹だ。しかし、美穂ちゃんも俺達がいた前世で死んでいるようだ。それは何故か…美穂ちゃんは、俺が義理の妹として一緒に住んでる優奈だからだ。記憶を取り戻した時は、俺も驚いたぜ…

 

そんな美穂ちゃん…いや、今は優奈だな。優奈が重い病気にかかっているとはどういう事なのか…以上、本編とは関係ない所の仮野優でした!

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「とりあえず、この話は移動してからにしよう。大事な話だし、立って話すのもあれだろ。」

 

「だな。」

 

そして俺と蓮は、みんなの元へ戻る。秀夜はこれまでの事を気にして、少し離れた所にいる。

 

「みんな、ごめんな。俺達の問題に巻き込んじゃって。」

 

「ううん。それより、さっき言ってた事ってどういう事なの?」

 

みんなを代表して穂乃果が聞いてくる。さっき事情を話したことりと、俺が転生者だということを知ってる絵里は何となく察しているようだが、他のみんなは穂乃果同様気になっている様子だ。

 

「悪い。それはまた今度、ゆっくりと話すよ。俺達も俺達で、分かってない事も多いから。」

 

「うん、分かった。」

 

「ありがとな。」

 

そして、今日はそれぞれ解散する事に。俺と蓮、秀夜は色々話があるため俺の家に行くことにした。

 

「俺達も行くか。」

 

「あぁ。」

 

「あっ、あのっ!」

 

帰ろうとした秀夜の腕を、花陽が掴んだ。

 

「……なんだ?」

 

「この前は助けてくれて、ありがとうございました!」

 

「別に、助けてわけじゃない…」

 

花陽の言葉に、ぶっきらぼうに言う秀夜。

 

「それに、俺はこれまで、それ以上にお前達を危険な目に合わせてきたんだ…」

 

「それでもっ!私は助けてもらったと思ってます!」

 

「お前は、俺が怖くないのか?」

 

「怖くないって言ったら嘘になるかもしれないけど…でも、あなたが優くん達と戦ってたのも、何か事情があるみたいだし…とにかくっ、私は助けてもらったと思ってます。ありがとうございました!」

 

そう言って、花陽は帰って行った。そして、秀夜も無言で歩いていく。

 

「おいっ、待てよ!」

 

俺と蓮も、慌てて秀夜を追いかけた。

 

いろいろあったけど、秀夜がまた仲間になって良かった…

 

 

 

しかし、俺達の関係の修復はそう簡単にはいかないようだ…また新たな壁が、俺達に立ち塞がるのだった…

 

 

 

 

 

 

 




次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!

黒崎美穂…今の仮野優奈が重い病気にかかり、その病気を治すために優達と敵対していた秀夜。その秀夜の話を聞き、優奈の事…更に、これまで謎に包まれてた財団Xの目的も、少し見えてくるのだった…

次回、『91話 財団Xの目的』






また新たな優達の仲間が増えるんですが…そう簡単には、行かないのか…

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91話 財団Xの目的

はい、91話です。

まさかのジオウに、檀黎斗神…いや、檀黎斗王が登場するとは…王って何!?けど、ちょー楽しみなシーチです!

前回ヤンキードラマの様な雨の中の殴り合いをして、仲直り?をした秀夜。今回は結構重大な事があるかも…

では91話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「蓮、そして前世での俺の親友、秀夜がダークインフィニティと分かり、俺と蓮はそれぞれが秀夜を止めようと動き出す。そして、俺はオリジンデータボトルを手に入れた。」

 

『仮面ライダー、インフィニティオリジン!俺の強さは…超次元をも超えてやる!』

 

優「新たな姿、仮面ライダーインフィニティオリジンに変身した俺は、秀夜が変身したダークインフィニティを止めるため戦う。俺は新たな力で、秀夜を変身解除まで追い込んだ。」

 

 

ポツッ…ポツポツッ…ザァァーーーーーーー!

 

 

優「突然大雨が降り出したが、俺達の戦いは終わらない。お互い変身もせず、雨が降りかう中殴り合いのような戦いをし、俺は秀夜を止める事に成功。果たして、秀夜は俺達と共に戦う事が出来るのか…どうなる91話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺の家にやって来た。俺と蓮が家に入るが、秀夜が入ろうとしない。あっ、そういう事か…

 

「安心しろ、優奈…美穂ちゃんなら今はいないから。」

 

「べっ、別に美穂に会うのが緊張してるとかじゃねぇからなっ!」

 

「はいはい、分かってる分かってる。」

 

「やっぱ、秀夜は秀夜だな。」

 

「おい、どういう意味だ!」

 

 

 

「で、俺がまず聞きたいのは、優は本当に拓真なのか?」

 

「あぁ。俺の前世は橋本拓真(はしもとたくま)だ。まぁ、まだ全部思い出したわけじゃなないけどな。」

 

蓮の言葉に、嘘偽りなく答えた俺。

 

「どういう事だ?」

 

「思い出したのは、蓮と秀夜、それに悠斗と一緒にいた小学生時代の事だけ。中学生に上がってからの事は、まだ思い出してない。それに、こっちの世界にいた俺の事もな。」

 

「なるほどな。」

 

「やっぱり、優が転生してきた経緯は難しくてよくわからん…お前は分かってんのか、秀夜?」

 

「あぁ。俺はお前と違って、ここが良いからな。」

 

そう言って、秀夜は自分の頭を指差す。

 

「おいっ、それどういう意味だよ!」

 

「そのまんまの意味だ。」

 

「はぁ、やんのかこら!」

 

「おいおい、せっかく3人が揃ったってのに落ち着けよ。ったく、お前らはほんとに変わんねぇな。そうだ、2人に言っとかないといけない事があるんだ。」

 

俺は2人の言い合いを収めて、話を進める。

 

「どうしたんだ?」

 

「実は、絵里に続いてことりにも、転生者って事を話した…」

 

「そっか。」

 

「分かった。」

 

「いや軽っ!?いや、転生者って事を話したんだぞ?」

 

「いや、別に俺は転生者ってバレてもいいし。」

 

「俺も、これまでお前達の命を狙っていたんだ…お前の判断なら、別に良い。」

 

えぇ…そんな軽く解決出来るのか…?

 

「まぁ、2人がいいって言うならいいけど…じゃあ本題に入るけど、優奈…いや、美穂ちゃんの事だ。」

 

「優奈でいい。今の美穂は、お前の妹の優奈なんだから。」

 

「でも、本当の兄は秀夜で…」

 

「いいんだよ。今の優奈を、しっかりと育ててきたのは優、お前なんだ。俺は感謝してる。」

 

「分かった。それで、優奈が重い病気にかかってるってのは…」

 

「今から3年前の事だ。体調を悪そうにしてた優奈を病院に連れていったら、医者に余命が4年ほどだと言われた。俺は優奈を治せる医者を必死に探したが、見つからなかった。優奈の病気は、前例のないケースだったらしい…」

 

「そんな…」

 

「そんな俺の前に、財団Xのトップと、財団Xと手を組んでる女神のトップ的存在が現れた。そいつらに、この世界に来て財団Xに協力したら、優奈を治してくれるって…だから俺は、財団Xに協力してダークインフィニティに…」

 

「でっ、でも、優奈は死んでこの世界に転生して来た。なら、その時に治ってるんじゃ…」

 

「俺もそれは思ったが、違うって言われたよ…」

 

「くそっ…!って事は、優奈の命は後、1年程って事かよ…」

 

優奈が、死ぬ…?信じられない、そんなの…

 

「とにかく、姉ちゃん達ならなんか知ってんじゃないのか?ほら、もうそろそろ帰ってくるんだろ。」

 

「あっ、あぁ…今日の3時頃に帰ってくるって連絡があったから、もうそろそろ帰ってくると思う…」

 

蓮の言った通り、姉ちゃんなら何か知ってるはずだ。

 

 

 

1分程経った時、予想通り姉ちゃんと咲さんが帰ってきた。

 

「ただいま、優くん!結構すごい発見があっ…って、どうしたの?そんな暗い顔して。」

 

「それに、君は?でも、どこかで見た事が…」

 

「あっ、えっと…」

 

咲さんに聞かれ、答え方に戸惑っている秀夜だが、今はそれどころじゃない。

 

「姉ちゃん!優奈が…優奈がもうすぐ死ぬってどういう事なんだ!」

 

「へっ…?優奈が?」

 

「聞いたぞ。優奈が重い病気にかかってて、余命が短いって。姉ちゃんは何か知ってるんだろ?」

 

「あぁ。それ、優奈の前世の頃の話でしょ?」

 

「けど、転生しても治ってないんだろ?」

 

「何言ってるのよ。優奈が転生したのは別の事故だったけど、その時に優奈は一度死んでるのよ。だから、この世界にいる優奈は性格とか容姿とかは転生前の優奈とほとんど変わらないけど、体…特に内部は全く一緒って訳じゃないの。だから、転生時に優奈の病気の原因となるものは消滅してるのよ。」

 

 

・・・

 

 

「「「えぇっ!?」」」

 

「じゃあ、秀夜は…」

 

「ずっと財団Xに騙されてたって事になるんじゃ…?」

 

「俺が、騙されてた…?財団Xは、何の報酬も払う気ないのに、俺を従わせてたのか…ははっ、ははははっ…」

 

「やばっ、秀夜が壊れた…」

 

突然笑い出した秀夜に、蓮がそう言葉を漏らす。

 

「ははははっ!はぁ…財団X、ぜってぇ許さねぇ!お前らは、1人残らずぶっ潰す!」

 

「まぁ、これで優奈が死ぬ事もないんだしいいんじゃねぇか。」

 

「いや、安心できないぞ。」

 

怒りを顕にしていた秀夜は、通常運転に戻ってそう言った。

 

「どういう事だ?」

 

「財団Xに協力したら優奈を助けるかわりに、裏切ったら財団Xは優奈を殺すって言ってきた。だから、これからも優奈が狙われるかもしれない。俺も出来る限りは守るつもりだが、学校に行ってる時の優奈までは、俺も守れないからな…」

 

「なるほど…なら、こいつの出番かもな!」

 

俺はアタックバックルで使える、1枚の召喚カードを取り出した。

 

「それは?」

 

「これは、俺と蓮が持ってるメカアニマルの強化版。その名も……ハイパーメカアニマルだ!!」

 

「「「「……は?」」」」

 

「なんだよその反応!?ってか、姉ちゃんと咲さんは調整してくれって頼んだ時に、名前言ったでしょ!」

 

「なんだその小学生みたいな考えは…」

 

「ハイパー付けたら進化するみたいな発想、なんなんだよ?」

 

「蓮にまで馬鹿にされた…ってか、ハイパーカブトとハイパーガタックに謝りなさいよ!それに、永夢さんの最終フォームに変身するためのアイテムの名前も、『ハイパームテキ』だぞ!ちょーーーー強いんだぞ!」

 

「なーに熱く語ってんだよ…で、そのハイパーメカアニマルってなんだ?」

 

「名前の通り、メカアニマルの進化版だ。元々探索用に俺が作ったメカアニマルだったのを、戦闘、通信など出来るんだ。メカアニマルがわざわざ俺達の所に来るのが、かなりのタイムロスになってたからな。

 

更に、このメカアニマルはカードの状態でも近くに怪人が現れたら、アタックバックル無しでも自動的にメカアニマルになって戦ってくれるんだ。」

 

「凄いな…ん?通信って、何と通信するんだ?」

 

「俺達の場合、インフィニティブレスやネイチャーブレスと通信出来る。秀夜の付けてるその…」

 

「名前は俺も知らん。」

 

「その名前未定のブレスとは、まだ通信出来ないから、設定しとかないとな。あっ、それに、スマホとも通信可能だ。」

 

「よくそんなもん作れたな。」

 

「いや、流石にそういうのは姉ちゃんと咲さんにやってもらった。今のところ、俺たち用に作った3つ以外に、10種類ある。」

 

「多くね?」

 

「いやぁ、なんかいろんな動物のアイデアが出てきて止まらなくなったんだよ。だから、このハイパーメカアニマルの1つを優奈に持たせておけば、俺達が到着するまで守ってくれる。少し戦闘が出来るからな。」

 

「お前、将来は研究者にでもなるつもりか…?」

 

呆れ混じりに聞いてくる秀夜。

 

「いや、別にそんなつもりはないけど、つい作っちまったんだよ。」

 

「ぶっ飛んでんな…」

 

蓮にそんな事言われるのは、心外なんだけど…

 

「とにかく、蓮と秀夜に1つずつ渡しとくよ。」

 

「これは、オオカミか?」

 

「俺のは、コウモリか。」

 

「蓮に渡したのは、ウルフハイパーメカアニマル。秀夜のはバットハイパーメカアニマルだ。ちなみに、俺のはライオンハイパーメカアニマルだ。」

 

「これでまた、財団Xとの戦いに役立つアイテムが増えたな。」

 

「あぁ。未だに財団Xの目的が分からないからな…そういえば、秀夜は何か知らないのか?」

 

「ごめん、その前にちょっといい?」

 

俺が秀夜に聞こうとした時、姉ちゃんがそう言った。

 

「私達、君の事知らないんだけど…」

 

「あっ、俺は黒崎秀夜です。その…ダークインフィニティの変身者です。」

 

「「えっ!?」」

 

「あっ、でも姉ちゃん!秀夜は前世での俺達の親友なんだ!それに、秀夜は騙されて財団Xに協力させられてたんだ。優奈の病気が、まだ治ってないって言われて…」

 

「そう…それは、その…災難だったわね。でも、どこかで見た事がある子だと思ったけど、蓮くんと優くんの前世の資料で見た事があったのね。」

 

咲さんがそう言ったが、姉ちゃんがどこか焦りながら話し出す。

 

「ねっ、ねぇ優くん…」

 

「ん?どうしたんだ、姉ちゃん。」

 

「もしかして、優くんの記憶が戻ったの?」

 

「あぁ。」

 

「じゃっ、じゃあ、あの事も…?」

 

「あの事…?あっ、悪い。言い忘れてたけど、小学生までの事しか思い出してないんだ。」

 

「そう…」

 

「なぁ、姉ちゃん。いつも俺の記憶に関する事を聞いた時、焦ってるよな。何かあるのか?俺がまだ思い出せていない、中学生の頃に何か。」

 

「ううん、思い出していないなら、思い出さなくてもいい事。優くんが知る必要の無い事よ。」

 

「姉ちゃんが、そう言うなら…」

 

姉ちゃん…やっぱり何かを、隠してるのか…?俺は姉ちゃんの言う事に同意しながらも、やっぱり疑念が残っていた。

 

「それで、秀夜は財団Xの目的について何か知らないのか?」

 

「さあな、最終的な目的については俺も知らない。だが、その目的と関係しているかは知らないが、1つ分かっている目的がある。」

 

「「その目的って?」」

 

俺と蓮が、同時に秀夜に聞き返す。

 

「お前ら、気づいてなかったのか?」

 

「「何が?」」

 

「お前ら、これまで財団Xと戦ってきて、本当に気づかないのか…?」

 

「「あぁ。」」

 

俺と蓮は同時に同じ返しをした。しかし、

 

「あっ、でも、何か引っかかる事があるんだよなぁ…µ’sが9人になった、あのオープンキャンパスの時ぐらいから何か…」

 

俺が思い出して、そう言った。

 

「だったら、振り返ってみろ。お前が転生して仮面ライダーインフィニティとして戦ってきた、約1年と半年の戦いを。」

 

「振り返る…?」

 

「ちょうどいいじゃん!俺も転生するよりも前のことをしっかり知っておきたかったし、聞かせてくれよ!」

 

秀夜の言葉に、賛同する蓮。

 

「分かった。じゃあまず、俺が転生した日、初めて仮面ライダーインフィニティに変身して戦った時の事…」

 

 

 

『貴様、まさか仮面ライダーか!?』

 

『正解! と言っても、初変身だ!』

 

 

『俺は仮面ライダーインフィニティ!俺の強さは次元を超えるぜ!!』

 

 

『またしても、仮面ライダーが我々の邪魔を!!』

 

 

 

「確かこの時は、マスカレイド・ドーパントに襲われてた絵里と希を助けたんだ。」

 

「なぁ、前から気になってたんだけどさ、お前の決めゼリフの『俺の強さは次元を超えるぜ!』ってやつ、最初から言ってたんだろ?なんで、この決めゼリフにしたんだ?」

 

「あー…それは、なんか最初に決めゼリフ考えた時、パッと頭に浮かんだんだよな…」

 

突然聞いてきた蓮の言葉に、俺はそう答えた。ほんと、自分でも不思議なんだよなぁ…なんで、『俺の強さは次元を超えるぜ!』なんて厨二臭い決めゼリフにしたんだっけ…?まぁ、仮面ライダーの決めゼリフはそんなのが多いけど…

 

「で、次に戦ったのが、穂乃果とことりと海未の3人を襲っていたロイミュードだったな。そのロイミュードを倒した直後、海未がゲーム病に感染して、初めて俺専用のつなげてツムツムガシャットを使ったんだよな。」

 

「なぁ、咲姉ちゃん。俺にも専用ガシャットねぇのかよ?」

 

「えっ?あぁー…また今度ね。」

 

ははは…蓮、多分これは作られないな。ドンマイ。

 

「その時に永夢さんと出会ったんだよなぁ…」

 

「なぁ、そんな思い出話ばっかしてると、時間なくなるからもっとサクッと進めてくれ。」

 

俺達の話を聞いて、秀夜がそう言ってくる。

 

「了解、じゃあ次。次に戦ったのが、俺が生徒会副会長になった日に音ノ木坂学院の近くに現れたマスカレイド・ドーパント。それからそんな戦いが続いて、12月になった時、初めての強敵アデュサが現れたんだよな…そこで、茜が殺された…」

 

「お前の恋人、なんだよな…?」

 

「あぁ……はいはいっ、今はその話はなしっ!せっかく秀夜が戻ってきたんだ、暗くなるのはごめんだ。」

 

俺は暗くなりかけた雰囲気を戻すため、そう場の空気を切り替えた。

 

「そうだな。」

 

「ほんと、お前は強いよ…」

 

蓮、秀夜がそう言い、俺は話を続ける。

 

「それからも何やかんやあって、2年になって初めて戦ったのが、希が襲われてたのを助けた時。次がオープンキャンパスのライブの後に現れたヤミーだったり、絵里といた時に近くに現れたインベスだったりと、この時から戦う頻度が高くなった。

 

そして、µ’sのみんなと俺がいる時にティーレックス・ドーパントが現れて、俺の正体がみんなに知られた。」

 

俺がそこまで説明した時に、

 

「そのぐらい振り返ったら、そろそろ気づいたろ?」

 

秀夜がそう言ってきた。

 

「うーん…あとちょっとで、分かりそうなんだけど…」

 

俺は集中して考える…なんだ、何か大事な事を見落としてる…

 

現れた怪人…いや、ドーパントにヤミーとか、バラバラだ。

現れた場所…確かにこの周辺がほとんどだけど、それじゃない…けど、それと近い…あっ、そうか!

 

「そうだ!」

 

「優くん、何か分かったの!?」

 

俺と同じく、頭を悩ませてた姉ちゃんが聞いてくる。咲さんも蓮も、早く教えて欲しいというのが見え見えな表情を浮かべている。

 

「あぁ。なんでこんな簡単な事を、見落としてきたんだ…これまで財団Xが襲ってきた人物、そこに手がかりがあったんだ。」

 

「襲ってきた人物…?」

 

「あぁ。例外はあるが、ほとんどに共通点がある。最初は絵里と希。次に穂乃果、ことり、海未。その後も音ノ木坂学院の近くだったり、希だったり、絵里だったり、µ’s全員がいるところだったり…最近だと、蓮がマネージャーになってすぐ、真姫の別荘に行った時にまで現れてる。」

 

「「「あっ!」」」

 

蓮、姉ちゃん、咲さんも気づいたようだ。

 

「そう。ほとんどが、µ’sの誰かを狙ってたり、µ’sの誰かがいる周辺で暴れている…」

 

「けど、なんでみんなが!?」

 

「俺に分かるかよ…秀夜、それについてはなんか知ってんのか?」

 

「いや、なんであの9人を狙っているのかまでは、俺もまだ知らない。けど、あの9人は9つのコピーライダーシステムの資格者にまで選ばれてる。絶対に、何かあるのには間違いないだろうな…」

 

「けど、µ’sのみんなが狙われてるなら、残りの9つのハイパーメカアニマルは穂乃果達に持たせておくか。」

 

「財団Xの目的は、あの9人を殺す事じゃなく、捕獲みたいだ。」

 

「捕獲…?あっ、そういえばにこがファイズに変身した時に…」

 

 

 

『矢澤にこ。悪いが着いてきてもらおうか。』 

 

『誰があんたなんかと!』

 

 

 

「って、クラッシュロイミュードが言ってたな…けど、µ’sのみんなだけじゃなく、他の人達に危害が及ぶのには変わりない。俺達は、これからも人を守るために戦う。秀夜、これからは俺達と一緒に戦ってくれるか?」

 

「改めて聞くけど、本当にいいのか…?俺は、お前達を殺そうとしたんだぞ…」

 

「俺だって、お前の正体を知らない時は、お前を本気で倒そうとしてた。」

 

「それは、俺が蓮を襲ったからで…俺は、本当に許されない事をしたんだ…」

 

蓮の言葉に、歯切れが悪そうに言う秀夜。

 

「確かに、お前は許されない事をした。けど、またやり直せばいい。それに、秀夜は秀夜だ。今も秀夜の中には、強い正義があるって信じてる。」

 

「…俺がした事は、もう許されないと思う…けど、せめてもの罪滅ぼしのために、俺は戦う。俺を、もう1度仲間にしてください!」

 

そう頭を下げて秀夜が言った。

 

「「もちろん!」」

 

「けど、世界って広いようで狭いよな。仮面ライダーに変身することになった3人が、親友なんだもんな…」

 

「俺達の場合は、世界を通り越してパラレルワールドを越えてるからな。」

 

「もしかしたら、悠斗もこの世界に来て仮面ライダーになったりしてな。」

 

俺たちのもう1人の親友、悠斗もこの世界に来て仮面ライダーになったりするんじゃないか、そんなことを言い出した蓮。

 

「変な冗談はやめろ、蓮。あいつには、前の世界で平和に暮らして欲しい。」

 

「そうだな、あいつはまだ若いし。」

 

「いや、お前は2歳しか変わらねぇだろ。俺でも3歳だ。」

 

俺は蓮の言葉に突っ込んだ。

 

「それで、優奈の事は優奈として接していくって決めたけど、お前はどうすればいいんだ?優なのか、拓真なのか。」

 

秀夜の言葉に、俺は少し悩んだが、答えはもう決まっている。

 

「俺は…俺の事は、これからも仮野優として接してくれ。この世界に転生して来てからは、俺はずっと仮野優なんだ。だから、俺はこれからも仮野優だ。」

 

「お前が言うなら、俺達は文句ねぇ。」

 

「あぁ、それがお前らしい答えだよ。」

 

蓮も秀夜も、俺の答えに了承してくれた。

 

「そういえば、姉ちゃんが帰ってきた時、何かすごい発見があるとか言ってたけど、何かあったのか?」

 

「あっ、そうだった。あのね、データボトルについて分かった事があるの。私と咲が、別の並行世界の天界に行った時に見つけたんだけど、まずはこの写真を見て。」

 

姉ちゃんが見せてきた写真には、見た事ない仮面ライダーの姿が…

 

「仮面ライダー、ビルド…?」

 

「そんなライダー、聞いた事ないぞ。」

 

俺と蓮が言ったように、そんなライダー聞いた事も見た事もない。

 

「2人が知らないのは当然よ。これは並行世界に存在する仮面ライダー、ビルド。天才物理学者が変身するライダーよ。」

 

「まだ俺達の知らない仮面ライダーが…こうなって来ると、俺達が知っている仮面ライダー以外にも、まだまだいそうだな。」

 

「で、その仮面ライダービルドがどうかしたんですか?」

 

秀夜が聞くと、今度は咲さんが仮面ライダービルドのベルト部分を指しながら言う。

 

「このベルトに入ってる物、何かに似てない?」

 

「んん…? 」

 

「確かに、言われてみれば何かに…」

 

「これって…」

 

「「「データボトル!?」」」

 

「そう、データボトルに似てる。このボトルは、フルボトル。仮面ライダービルドに変身するためのアイテムみたい。データボトルとは別よ。」

 

「やっぱり、データボトルとは違うよな。けど、それがどうしたんだ?データボトルと似てるからって…」

 

「ここからが本題。インフィニティシステムのライダーは、平成ライダーの色々な所をモチーフにしている。例えば、アタックバックルは言わなくても分かると思うけど、ディケイドライバー。データボトルのデータの部分は、ダブルの地球の記憶が入っているガイアメモリ。こんな風にね。」

 

「確かに、平成ライダーの色んなモチーフが入ってるよな。インフィニティも、ネイチャーもダークインフィニティも。」

 

「そう。なのに肝心のデータボトルの、ボトルの部分が何をモデルにしてるのか分からなかった。ただデータを収めるためにボトルにしただけで、モデルなんてないんじゃないかって考えてたわ。けど、このフルボトルがモデルになってるかもしれないって分かったの。」

 

「私達は、このフルボトルについてもう少し詳しく調べてみるわ。ボトルがモデルってだけなら良いんだけど、もしかしたらインフィニティシステムの手がかりが見つかるかもしれないからね。」

 

姉ちゃんと咲さんがそう言うが、俺はそこに関して引っかかる事がある。

 

「ちょっと、待ってくれ。そのフルボトルってやつ、いつ生まれたんだ?」

 

「その並行世界では、10年ぐらい前よ。」

 

「じゃあ、データボトルのモデルになってたら辻褄が合わない…」

 

「えっ?」

 

「というか、インフィニティシステムが平成ライダーの色んな物をモデルにしてるっての自体、おかしくなる。だって、データボトルは江戸時代からあるらしいぞ。」

 

「どういう事…?」

 

俺は姉ちゃんと咲さんに、理事長から借りた本に書かれていた事と、3つの封印の宝石を使ってオリジンデータボトルと石化したデータボトル、4つ目のインフィニティドライバーを手に入れた事を。

 

「江戸時代に、仮面ライダーが…?そんな、ありえないわ。今の人間の技術でも檀黎斗や、クリム・スタインベルトと蛮野天十郎のような天才でしかライダーシステムは作れないのよ。江戸時代の人間に、ライダーシステムが作れるわけないわ。」

 

「もちろん、江戸時代の人間の技術じゃ作れないだろうな。けど、人間じゃなかったら?」

 

「えっ?」

 

「優くん、それってまさか…」

 

姉ちゃんはまだ気づいてないようだが、咲さんは少し勘づいたようだ。

 

「そう。女神様や神様の技術だったら、江戸時代だとしても作れない事ないだろ?」

 

「それはそうかもしれないけど、江戸時代の人間にライダーシステムを渡したなんて聞いた事ないわ。大体、ライダーシステムだって、財団X側の女神が開発したインフィニティドライバーとダークデータボトルが初めてなのよ?」

 

「それが違うかもしれない。天界の事について、俺は全然分からないけど、江戸時代でインフィニティドライバーとオリジンデータボトル、更に究極の姿に変身するためのデータボトルなんて作れるのは、女神様ぐらいだろ?それだと、辻褄が合う。

 

聞いたことないか?江戸時代で、インフィニティドライバーを作った女神様。」

 

「けど、もしかしたら、神なのかも。」

 

「優香、どういう事?」

 

「いや、ほら。前に何かそれっぽい事言ってた事なかった?」

 

「そう言えば、あったかも。」

 

「神様って、姉ちゃん達女神様のトップだろ?」

 

「うん。私達は、神に探りを入れてみるわ。」

 

「頼んだ。」

 

江戸時代のオリジンデータボトルと石化したデータボトル、インフィニティドライバーの事は姉ちゃんと咲さんに任せる事にした。

 

「あの、このインフィニティドライバーとダークデータボトルも、返さなくていいんですか?財団Xが、天界から盗み出したものなんですよね?」

 

秀夜が姉ちゃんにそう言った。

 

「いいわ。優くんと蓮くんが秀夜くんを信じるなら、私達も秀夜くんを信じるわ。あなたが、この力を正義のために使ってくれるって。けど約束して。この力は、闇のライダーの力を秘めた危険な物。力に飲み込まれないように、気をつけてね。」

 

「分かりました。ありがとうございます。あの、1つお願いがあるんだけど、いいですか?」

 

「何?」

 

「これも、調べて欲しいんです。」

 

そう言って秀夜が取り出したのは、見た事ないベルトとデータボトルを取り出した。

 

「これは?」

 

「まだ使った事ないんですけど、財団Xから貰ったんです。けど、しっかり使えるか怪しいんで、調べて欲しいんです。」

 

「分かった、調べてみるわね。」

 

「ところで、秀夜。お前、泊まるとこあんのか?」

 

「……ない…今まで、財団Xのとこにいたからな。」

 

「そうか…」

 

「そこは私に任せて。明後日までに家を用意するわ。」

 

「えっ、そんな事までいいんですか?」

 

「えぇ。あなたを、こんな事を巻き込んでしまったのも、馬鹿な妹のせいだし、このぐらいさせて。」

 

やっぱり姉ちゃんは、責任を感じてたんだな…

 

「女神様は…」

 

「優香よ。」

 

「優香さんは悪くないのに、本当に何から何まで、ありがとうございます。」

 

「じゃあ秀夜、家が用意出来るまで俺ん家くるか?」

 

家が無いと言う秀夜に、蓮がそう提案する。

 

「じゃあ、お願いする。」

 

「秀夜。俺からもう1つ、提案があるんだ。」

 

「「提案…?」」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

蓮の家に泊まらせてもらうことになった日、俺は少しコンビニに行くと言って蓮とは別々に帰っている。コンビニで目的の物を買い、前もって蓮に聞いておいた家の住所まで向かっている。

 

まさか、優があんな提案してくるなんてな…けど、本当に俺が行ってもいいのだろうか…

 

俺は1人、そんな事を考えていると、10体ほどの黒影トルーパー、それと戦っている電王 ソードフォームの姿が見えた。しかし、数が数なだけ電王押され、黒影トルーパーに強制変身解除まで追い込まれてしまった。変身解除してしまった小泉に、黒影トルーパーはトドメを刺そうとする。

 

「変身!」

 

『スペシャル召喚 ダークソード!』

 

俺は咄嗟に変身し、ダークソードを召喚した。そして走り出し、

 

「はぁ!」

 

黒影トルーパーへ斬撃を放つ。

 

『スペシャルアタック ダークストライク!』

 

俺は必殺技のライダーキックである、ダークストライクを放ち残りの黒影トルーパーを倒した。

 

「ふぅ…大丈夫か?」

 

「はっ、はい。また助けていただき、ありがとうございました!」

 

「別に、助けた訳じゃない…黒影トルーパーを倒しただけだ…それじゃあな。」

 

「あっ、待ってください!」

 

俺は小泉に呼び止められるが、逃げるように蓮の家まで向かっていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

優と秀夜、それに優香さんと咲姉ちゃんと話した日の翌日、俺は教室まで向かう道で考えていた。

 

昨日優には、俺は別に転生者である事はバレてもいいって言ったけど、本当にいいのか…?この世界に転生してきた時は、本当にそう思っていた。

けど、μ'sのみんなという大切な存在…それに、凛という好きな人が出来た今、転生者という事がバレたら、みんなにどう思われるのか、そんな不安が俺の中に少し生まれていた。

 

なんか、優がバレないかと心配している理由が、ちょっと分かった気がするな…

 

「おはよっ!凛、花陽、真姫。」

 

俺はさっきまでの考えは一旦忘れ、いつも通り元気に挨拶しながら1年生の教室に入る。

 

「あっ、蓮くんおはよっ!昨日は大丈夫だった?」

 

「あぁ、もう大丈夫だ。元の俺達の関係に戻った…とはまだ言えねぇかもしれないけど、これから元の関係に…いや、それ以上に最高な仲間になるつもりだ!」

 

俺がそう言って、ニカッと笑うと、

 

「凛にはよく分からないけど、蓮くんが嬉しそうに笑ってると、凛も嬉しいにゃ!」

 

そう言った凛、それに花陽もニコッと笑い返してくれた。けど、真姫は心做しか暗い表情を浮かべているように見える。

 

 

キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン

 

 

すると、チャイムが鳴り俺達は席に着く。

 

「皆さん、おはようございます。今日はホームルームの前に、突然ですが転校生を紹介します。」

 

先生の言葉に、ザワつく生徒達。そして、入ってきたのは…

 

 

「黒崎、秀夜です…よろしくお願いします。」

 

短く、少しぶっきらぼうに挨拶した転校生。それは、なんと秀夜だった!




はい、今回は次回予告はおやすみです。

まさかの、秀夜が財団Xにいた理由が騙されてたとは…
そして音ノ木坂学院に転校してきた秀夜。しかし、そう簡単にはいかない事が…

次回もぜひ、ご覧下さい!お気に入り登録、評価、感想なども頂けると嬉しいです!


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92話 3人目の男子生徒

はい、92話です。

先日、お気に入り登録が80人を突破しました!もうすぐ100話を迎えることですし、100話までには難しいと思いますが、お気に入り登録も100人も目指していきたいと思います!UAも、もうすぐ25000を超えそうです。

見てくださってる皆さん、お気に入り登録をして下さってる皆さん、本当にありがとうございます!
お気に入り登録がまだという方は、良ければしてくださると嬉しいです!評価、感想などもいただけると嬉しいです!

では92話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「秀夜が仲間になり、俺、蓮、秀夜、姉ちゃん、咲さんの5人は集まって話し合う事に。そこで、財団Xの狙いがµ’sだということや、並行世界で戦っているらしい仮面ライダービルドのフルボトル、というアイテムとデータボトルが似ていることなど、様々な謎が増えた。」

 

蓮「その翌日、俺達1年生の教室に、転校生がやって来たのだが…なんとその転校生は、秀夜だったのだ!」

 

優「さぁ、どうなる92話!」

 

蓮「今日のあらすじ紹介、なんか短くないか…?」

 

優「まだ秀夜との激闘があってすぐだから、はっちゃけてあらすじ紹介するのはおかしいだろ?」

 

蓮「それもそうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ちょっと、優!蓮!」

 

「どういう事よ!説明して!」

 

秀夜が転校して来た日の昼休み、µ’s9人と俺、蓮、秀夜は部室に集まっている。秀夜が転校して来た事に、にこと真姫がまず1番にそう言ってくる。

 

「実は一昨日、理事長と話した時の事なんだけど…」

 

 

 

〜一昨日の理事長室〜

 

「あっ、もう1ついいかしら?」

 

「なんですか?」

 

理事長室を出ようとした俺を、理事長が引き止める。

 

「こんな時に聞くのもあれなんだけど…誰かこの学校に転校して来てくれそうな、男子生徒を知らないかしら?」

 

「男子生徒の転校生…?」

 

「えぇ。本格的に共学化が決まったけど、それは来年の新入生から。だから、今の1年生にもう1人男子生徒に入ってもらいたいの。共学化試験生としてじゃなく、転校生としてね。」

 

「分かりました、探してみますね。」

 

「えぇ、助かるわ。」

 

タイミングがいいのか悪いのか…まさか今、こんな事を頼まれるなんて思ってもなかった…

 

〜回想終了〜

 

 

 

「という事があって、秀夜に共学化試験生として入ってもらった。」

 

「そうだったんだ。」

 

「じゃあさ、秀夜くんにもµ’sのマネージャーになってもらおうよ!」

 

「「「「「「「「えぇ!?」」」」」」」」

 

突然の穂乃果の言葉に、他の8人は驚いてる。俺と蓮も結構驚いてるし、秀夜なんて口ぽかんとあいちゃってるし…けど、もし秀夜がµ’sのマネージャーになるなら、俺達も嬉しい。

 

「いいのか、穂乃果?」

 

「うん!」

 

そう答える穂乃果だが、

 

「ちょっと、穂乃果!何勝手に言ってるのよ!」

 

「そーよっ!たとえ優と蓮の親友だったからって、私は信用出来ない!」

 

真姫とにこは反対している。やっぱり、そうなるよな…

 

「けど…」

 

「けどじゃない!こいつは今まで、私達を殺そうとしてたのよ?」

 

「にこ…けど、秀夜は騙されてたんだ…だから…」

 

「そんなのが理由にならないわ。私達を殺そうとしてたのは、騙されてようが事実なんだから。」

 

「それは…」

 

にこの意見は、当たり前の意見だ。秀夜と元々なんの関わりもないにこや真姫からしたら、これまで自分たちを襲ってきていた秀夜に敵意を向けるのは当然なのだろう…

 

「優、蓮。俺がしてきた事は、そういう事なんだ…だから、もう充分だ…ありがとな。」

 

そう言って秀夜は、部室から出ていった。

 

「あっ、秀夜!」

 

「とにかく、私はあいつをµ’sのマネージャーにするなんて反対だから。」

 

「私もにこちゃんと同じよ。」

 

にこと真姫の意見は変わらない。そして、その場に気まずい雰囲気が流れる。

 

 

 

そして、昼ご飯を食べないと授業も始まってしまうので、一旦それぞれ教室に戻る事に。

 

「「「「……」」」」モグモグ

 

俺は今、2年生の3人と昼ご飯を食べているのだが、普段なら色々話したりするが、今日は会話をしない。そんな中、俺が口を開く。

 

「なぁ。穂乃果はなんで、秀夜をµ’sのマネージャーに誘ってくれたんだ?」

 

「うーん…だって、秀夜くんが悪い人って感じしないんだもん。」

 

「……えっ、それだけ?」

 

穂乃果の言った言葉に、俺は少し驚きながら聞いた。

 

「うん。だって、秀夜くんは騙されてたんでしょ?」

 

「そうだけど…ことりと海未は、どう思う?」

 

「私は、秀夜くんをマネージャーに迎え入れてもいいと思うよ。優くんの話聞いて、優くんと蓮くんが信じてる人ならいいって思ったよ。」

 

ことりはそう答えた。

 

「正直に言うと、私は分かりません…彼が私達を襲っていたのは事実です。しかし、それも何か事情があるようですし…でも、私もことりと同じで、優と蓮が信じてる人なら、私も信じてみようと思います。」

 

今度は海未が答えた。

 

「ことり…海未…ありがとな。」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「悪い。俺今日は秀夜のとこ行くから、凛達とは別で食べる。」

 

「えっ、じゃあ凛達も…」

 

そう言った凛と花陽が、俺と一緒に行こうとするが、

 

「いや、いいよ。ほら。」

 

そう言って俺は真姫の方を見る。

 

「ふんっ。私はいいわよ!あんな奴と食べたいなら、行ってくれば。」

 

「あんな事言ってるけど、多分寂しいんだと思うから…俺は秀夜と食べてくるから、凛達はいつも通り食べててくれ。」

 

「うん、分かった。」

 

俺は、秀夜がいるであろう屋上へ向かった。

 

 

 

俺が屋上に来ると、秀夜が1人で柵にもたれかかっていた。

 

「よっ。何してんだよ?」

 

「別に…」

 

「ほら、食えよ。」

 

そう言って、俺は余分に買っていたパンを渡す。

 

「ありがと…」

 

そう言って秀夜がパンを食べ始めたので、俺も自分の分を食べ始めた。

 

 

しばらく無言でパンを食べていると、秀夜がゆっくりと話し始めた。

 

「また優と蓮と仲間になって、音ノ木坂学院に転入した。じゃあ、次はµ’sのマネージャーになって、楽しい学園生活を…って、そんな甘い話ないよな…」

 

「そんな事は…お前はただ、やり方を間違っただけだ。財団Xに騙されて俺達と敵対したけど、それも美穂ちゃ…いや、優奈ちゃんのためだったんだろ。」

 

「でも、俺のした事は、許される事じゃない…」

 

「秀夜…」

 

でも、俺も秀夜の立場だと同じ事を考えるのかもしれない…そう思うと、俺はなんて声をかけるべきか分からなくなってしまった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 絵里〜

 

「あんた達はどう思ってるのよ?」

 

私が希とにこと昼食を食べている時、にこがムスッとした表情で聞いてくる。

 

「どう思ってるって…秀夜くんの事やんな?」

 

「そうよ。」

 

希の言葉に、にこが答える。

 

「私は…私は、まだ不安はあるけれど、いいと思う。なんとなくだけど、彼が悪い人っていう感じがしないのよね。」

 

「なんの根拠があって、そんな事言えるのよ。あいつは、今まで私たちを襲ってきてたのよ?」

 

にこの言葉の通り、確かに私の言葉に根拠は無い。

 

けど、これまで前の世界での記憶が思い出せていなかった優が、彼と出会って優の前世の親友が蓮と彼だという事を思い出している。それだけ、優にとって彼は大切な存在だったって事。私は、そんな彼が悪いとは思えない。

 

「希はどうなのよ?」

 

「うーん…ウチも彼がマネージャーになるのは賛成。それに、ウチの占いでも、彼は悪い人やないって出てるんよ?にこっちも、これまでのこと考えずに、客観的に秀夜くんのこと見てみたらいいと思うよ。」

 

「希まで…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 花陽〜

 

「……モグモグ…モグモグ…」ムスッ

 

「まっ、真姫ちゃーん…」

 

不機嫌そうにご飯を食べる真姫ちゃんに、凛ちゃんが気まずそうに声をかける。

 

「何よ…2人も蓮のとこに行きたいなら、行ってくればいいじゃない…」

 

「そんな事ないにゃ。凛達は真姫ちゃんともご飯を食べたいよ!」

 

「そうだよ!」

 

真姫ちゃんの言葉を否定する凛ちゃんと私。

 

「…2人も、あの秀夜って人がマネージャーになるのはいいと思ってるの?」

 

「私は、そう思ってるよ。秀夜さんには、前に助けてもらってる。それに昨日戦ってた時、負けちゃって…その時も、秀さんが助けてくれたんだ。だから私は、秀夜さんが本当に悪い人だと思えないな…」

 

真姫ちゃんの質問に、まず私が答えた。

 

「凛は…まだ怖いかな…でも、かよちんや蓮くんが信じるっていうなら、凛も最初から否定するんじゃなくて、ちゃんと見てから決めたいにゃ。だから、真姫ちゃんも最初から否定しないで、秀夜さんを知ることから始めよ?」

 

「凛…分かったわよ…」

 

普段の凛ちゃんとは少し違い、真剣に、優しく真姫ちゃんに言った凛ちゃんを見て、真姫ちゃんは少し驚きながらも、考え方を変えたみたい。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「そうだ、蓮。お前に言っておかないといけない事がある。」

 

パンを頬張っている俺に、真剣な顔で秀夜がそう言った。

 

「どうしたんだよ?」

 

「優の事だ。」

 

「優の…?」

 

「最近、あいつの身体に変わった事はないか?」

 

「優に変化…?うーん………そういえば、頭痛を訴える事や、戦いが少し荒くなってる事があるな…」

 

「やっぱりか…それ、ゲーマドライバーを使った時だろ?」

 

「あっ、そういえばそうだな。それがとうしたんだよ?」

 

「実は、あいつは今……」

 

 

 

「バグスターウイルス感染症だ。」

 

 

 

「は?優がゲーム病?そんな訳ないだろ。インフィニティドライバーを使って初めて変身した時、全てのライダーに変身する能力を得てるはずだ。優も、俺も、多分お前もそうだろ?」

 

「あぁ。」

 

「なら、適合手術を受けた体に優はなってる。バグスターウイルスには感染しないはずだぞ。」

 

「あぁ、本来ならな。けど、今回のバグスターウイルスは特殊らしい。」

 

「どういう事だよ?」

 

「さぁ。俺もそうとしか聞かされてない。今考えると、俺が裏切るかも、と予想してたんだろうな。俺には計画の詳しい事も、聞いた事はあまり無かったな。特に、優と蓮と戦い出してからは…」

 

「そうだったのか…けど、優がゲーム病…」

 

「今の優は、本物のエグゼイド…宝生永夢と同じだ。バグスターウイルスに感染した事で、優のバグスターの適合能力を失った。だから、優に感染しているバグスターを切除したら、優はもうゲーマドライバーで変身できなくなる。」

 

「じゃあ、バグスターに感染した人は助けられない…でも、それは俺達がやればいい。それよりも、優に感染してるバグスターを切除しないとだな。」

 

「あぁ。なにか策を考えて、やるしかないな…」

 

「そうだな…」

 

「この事は優には黙っておこう。」

 

俺と秀夜は、そうする事にした。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

放課後になり、いつも通り…という訳には少しいかなかったが、練習はしっかりとした。そういえば、練習中なんか蓮の様子が変だったような…俺をチラチラ見て、体に変な感じしないか?とか聞いてきたけど…

 

 

 

そして練習が終わり、みんなそれぞれ帰ることに。秀夜は俺達が練習している間に、先に帰ったようだ。

 

「さて、帰るか。」

 

「そっ、そうだな…」

 

やっぱり、蓮なんか変だな…

 

「蓮、どうかしたのか?」

 

「いや…なんでもないぞ。」

 

「そうか?」

 

 

そして、音ノ木坂学院を出て少し歩いた頃、

 

ピコンッ

 

俺のスマホに1件の通知が。

 

「ん?姉ちゃんから…フムフム…なるほど。了解っと。」

 

俺は姉ちゃんのメッセージに返信した。すると、今度は大きな音が響く。

 

 

ピピピピピピッ!

 

 

「財団Xか!?」

 

音の発生源はインフィニティブレスとネイチャーブレス。俺のライオンハイパーメカアニマルと、蓮のウルフハイパーメカアニマルが財団Xを発見したんだろう。µ’sのみんなにも、早くハイパーメカアニマルを渡しとかないとな…

 

『スペシャル召喚 ライドインフィニティ!』

 

『スペシャル召喚 ライドネイチャー!』

 

「行くぞ!」

「あぁ!」

 

俺達はバイクを走らせ、財団Xが現れた場所へと向かう。

 

 

 

「お前はこの前の、確か…ラビリー!?それにゲンム…」

 

俺と蓮が到着すると、そこにはこの前のラビリンスに変身していたバグスター、ラビリー。そして、この前神田明神で戦った、仮面ライダーゲンム ゾンビゲーマーレベルXがいた。

 

「財団Xのゲンムがいるって事は…何となく予想はしてたけど、ラビリーは財団Xのバグスターか…」

 

「おいおい…その言い方じゃ、俺があの財団Xとかいう組織の犬みたいじゃねぇか。はぁ…俺は俺だ。自分の意思で、お前と戦うんだ。今日こそは、本気(マジ)のバトルと行こうぜ。このガシャットの、もう1つの力を見せてやるよ。」

 

すると、ラビリーはガシャットギアデュアルオメガを取り出し、この前のツムツムゲーマーに変身した時とは逆側にダイヤルを回した。

 

『迷宮トレジャー!』

 

「50コンボ!」

 

あいつ、変身前の掛け声俺と同じなのかよ…パクリやがって…俺がそんな事を考えてる間に、

 

「変身!」

 

『デュアルアップ!探し出せ財宝!手に入れろ宝!迷宮トレジャー!』

 

ラビリーは新たな姿に変身した。

 

「この姿は、ガシャットギアデュアルオメガのもう1つのゲーム、迷宮トレジャーの力で変身した姿。仮面ライダーラビリンス トレジャーゲーマーレベル50だ。迷宮トレジャーは、主人公が数々の罠が張り巡らされている迷宮で、お宝を見つけ出すゲームだ。」

 

「まさに、ラビリンスの名の通りってわけか…」

 

俺がそう言うと、

 

「優!蓮!」

 

秀夜が俺達の所に合流した。

 

「悪いな、ラビリー。今日のお前の相手は、俺じゃない。蓮、秀夜、ラビリーはお前に任せていいか?」

 

「あぁ。」

「分かった。」

 

俺、蓮、秀夜は並び立つ。そして俺達は、それぞれのブレスからゲーマドライバーとガシャットを呼び出す。俺はオリジンデータボトルで進化したため、使えるようになったマキシマムマイティXガシャットを。蓮はガシャットギアデュアルベータを2つ呼び出し、1つを秀夜を渡した。

 

『マキシマムマイティX!』

『タドルファンタジー!』

『バンバンシミュレーションズ!』

 

「マックス大!」

「術式レベル50」

「第伍十戦術」

 

「「「変身!」」」

 

 

『ガシャット!ガッチャーン!レベルマーックス!』

『『デュアルガシャット!ガッチャーン!デュアルアップ!』』

 

『最大級のパワフルボディ!ダリラガーン!ダゴズバーン!マキシマムパワーX!』

 

『タドルメグル R・P・G!タドルファンタジー!』

 

『スクランブルだ!出撃発進 バンバンシミュレーションズ!発進!』

 

 

俺は仮面ライダーエグゼイド マキシマムゲーマーレベル99に、蓮は仮面ライダーブレイブ ファンタジーゲーマーレベル50に、秀夜は仮面ライダースナイプ シミュレーションゲーマーレベル50に変身した。

 

「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」

 

「これより、ラビリンス切除手術を開始する!」

 

「ミッション、開始!」

 

俺はゲンムに、蓮と秀夜はラビリンスと戦い出す。

 

「ゲンム、今度こそ決着つけてやる!」

 

俺がラビリンスじゃなく、ゲンムと戦うと言った理由。それは、仮面ライダーゲンム ゾンビゲーマーレベルXはリプログラミングしないと倒せない。マキシマムマイティXガシャットを使えるようになった、今の俺なら倒せる。だから、ラビリンスは2人に任せたという訳だ。

 

『ガシャコンキースラッシャー!』

 

『ジャジャジャッキーン!』

 

俺はガシャコンキースラッシャー ソードモードを手に取った。

 

「はぁ!やぁっ!」

 

ガシャコンキースラッシャーでゲンムを斬りつける。

 

「おりゃあ!」

 

更に斬りつけ、ゲンムは倒れる。

 

「ぶぁぁぁぁ…!」

 

しかし、不死身のゲンムには効かないため、すぐに立ちあがってくる。

 

「このゾンビ野郎!これでお前の不死身も終わりだ!ふんっ!」

 

『ズキュキュキューン!』

 

俺はガシャコンキースラッシャーをガンモードに変えた。

 

『マキシマムガシャット!キメワザ!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

『マキシマムマイティ!クリティカルフィニッシュ!』

 

俺はゲンムへガシャコンキースラッシャー ガンモードを向け、引き金を引いた。俺が放った銃弾は、見事ゲンムに命中した。

 

「よしっ!ゲンムのライダーゲージが復活した。」

 

俺の攻撃により、ゲンムのライダーゲージが戻り、攻撃が効くようになった。

 

「一気にゲームクリアと行くぜ!」

 

俺はゲーマドライバーのレバーを閉じ、

 

『キメワザ!』

 

また開いた。

 

『ガッチャーン!マキシマムクリティカルブレイク!』

 

俺は地面を殴り、その衝撃でゲンムが空へ飛ぶ。そして俺も飛び、

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

ゲンムへライダーキックを決めた。

 

『会心の一発!』

 

俺の攻撃でゲンムは爆発し、その上にはゲームクリアと表示された。

 

「ふぅ…」

 

俺がひと息着いていると、ゲンムに変身していたであろう白服の財団X団員がよろけているのが見えた。体制を立て直したその団員は走って逃げようとしていた。

 

「あっ、待て!」

 

俺が追いかけようと団員が曲がった先の曲がり角を曲がると、既に団員はその場から消えていた。

 

「逃げられたか…」

 

俺は気を落として元の場所に戻ってくると、あるものを見つけた。

 

「おっ、これは…?」

 

ゲンムを倒したその場所には、デンジャラスゾンビガシャットとガシャコンバグヴァイザーが落ちていた。

 

「よし、とりあえずこれらは回収完了だな。」

 

俺は2つのアイテムを回収した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「はぁ!」

 

「ふんっ!」

 

俺はガシャコンソード 炎モードで近距離から、秀夜は両腕の砲台で遠距離からラビリンスと戦う。

 

「生ぬるい技だなぁ。」

 

俺の斬撃を止めたラビリンスがそう言ってくる。

 

「なんだと?」

 

「はぁ!」

 

「くっ…」

 

ラビリンスの攻撃に、少し後ずさる俺。

 

「はぁぁぁ!」

 

「足元には気をつけろよ。」

 

ラビリンスが向かって来る秀夜にそう言った。

 

「何!?ぐぁぁぁぁぁ!?」

 

すると、秀夜の足元には罠が仕掛けれれていたようで、秀夜は空に吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐっ…」

 

『ガッシュー』

 

「秀夜!」

 

秀夜は落ちてきたダメージで、ガシャットギアデュアルベータがベルトから外れ、強制変身解除。

 

「俺のガシャットのゲームは迷宮トレジャーって、言っただろ?様々な罠がはられてる。ガシャットは、こうやって使うんだよ。」

 

「だったら、近づかなきゃいいだけだ!」

 

『キメワザ!』

 

俺はゲーマドライバーのカバーを閉じて、もう1度開く。

 

『タドル!クリティカルスラッシュ!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺は斬撃を飛ばすが…

 

「ふんっ!」

 

ラビリンスはバリアを貼り、斬撃が俺にはね返ってきた。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!?」

 

『ガッシュー』

 

俺のベルトからもガシャットギアデュアルベータが抜け落ちてしまい、変身解除してしまった。

 

「なんでもありかよ…レベルは同じはずなのに、ラビリンスの方が数倍強い…」

 

「お前達は、ガシャットの性能を活かせていない。ゲームはレベルが同じなら、実力が高い方が勝つんだよ。トドメだ。」

 

そう言って、ラビリンスは俺と秀夜の前に来る。

 

『マキシマムマイティ!クリティカルフィニッシュ!』

 

「ん!?」

 

すると、どこからか飛んできた攻撃が、ラビリンスに命中する。

 

「優!?」

 

「待たせたな!」

 

そこには、仮面ライダーエグゼイド マキシマムゲーマーレベル99に変身した優が。

 

「ゲンムは?」

 

「倒したぜ!さて、ラビリンス。後はお前だ。」

 

そう言った優は、ラビリンスと戦い出す。

 

「蓮、まだ行けるか?」

 

「あぁ。」

 

秀夜の言葉に答えた俺だが、秀夜が手に持っているガシャットに目が行く。

 

「お前、それプロトガシャット!?それ使うのは…」

 

秀夜が持ってるのは、プロトマイティアクションXガシャットオリジン。

 

「大丈夫だ。このガシャットは、財団Xが改良した物。プロトガシャットの副作用はない。その分スペックは落ちてるし、ライフの増加とか一部能力はないけどな…蓮、お前はこれ使うか?」

 

そう言って、秀夜はあるガシャットを取り出す。

 

「爆走バイクガシャット?俺も持ってるけど…」

 

秀夜が取り出したのは爆走バイクのガシャットだが、俺のネイチャーブレスや優のインフィニティブレスから呼び出せるアイテムに既に含まれているはずだ。

 

「お前が持ってる爆走バイクはレベル1、レベル2に変身するようだろ。これは、レベル0用だ。」

 

そういえば、レベル0だと人型のレーザーに変身できるんだっけか…

 

「なるほど…サンキュー!」

 

『爆走バイク!』

 

『マイティアクションX!』

 

「0速」

 

「グレート0」

 

「「変身!」」

 

『爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク〜!』

 

『マイティジャンプ!マイティキック!マイティアクショーンX!』

 

俺は仮面ライダーレーザーターボ バイクゲーマーレベル0に、秀夜は仮面ライダーゲンム アクションゲーマーレベル0に変身した。

 

「ノリノリで行くぜ〜!」

 

「コンティニュー出来ないけど、クリアする!」

 

出来ないけどって…なんか締まらねぇな…秀夜の言葉に内心そう思いながら、俺たちは武器を取り出す。

 

『ガシャコンスパロー!』

 

『ガシャコンブレイカー!』

俺はガシャコンスパロー 鎌モードで、秀夜はガシャコンブレイカー ソードモードで優に加勢するため、ラビリンスへと走り出す。

 

「フッ…」

 

俺達が走り出した事に不敵に笑うラビリンス。

 

「はぁ!おらぁ!」

 

「ふんっ!せいっ!」

 

「!?くっ…なんでだ…なんでトラップが発動しない!?」

 

なるほど。さっきラビリンスが笑ったのは、あそこにトラップが仕掛けられてたからか…

 

「残念だったな!さっきの攻撃で、お前の能力はリプログラミングされた。つまり、今のお前はトラップの力を使えない!」

 

「くそっ!」

 

優の言葉に、明らかにイラついているラビリンス。

 

「秀夜、これ使え!」

 

「これは…だったら、蓮。お前はこいつを。」

 

秀夜は優からデンジャラスゾンビガシャットを、俺は秀夜からプロトジェットコンバットガシャットを受け取る。

 

「爆速!」

 

「グレートX-0!」

 

『『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!』』

 

『爆走バイク〜!』『アガッチャ!ぶっ飛び!ジェット!ドゥ・ザ・スカイ!フライ ハイ スカイ!ジェットコンバット!キメ』

 

『マイティアクショーンX!』『アガッチャ!デンジャー!デンジャー!デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビ!』

 

俺は仮面ライダーレーザーターボ コンバットバイクゲーマーレベル0に、秀夜は仮面ライダーゲンム ゾンビアクションゲーマーレベルX-0に変身した。

 

「これで終わりだ!」

 

『『『キメワザ!』』』

 

『マキシマム!クリティカルブレイク!』

 

『ジェット!クリティカルストライク!』

 

『デンジャラス!クリティカルストライク!』

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」

 

『『『会心の一発!』』』

 

「くっ…」

 

俺達の必殺技を喰らったラビリンスは、ライダーゲージが残り1つになってしまい、変身解除した。

 

「燃え尽きたぜ…今日のところは、引くとしよう…」

 

そう言って、ラビリンスはどこかへと消えていった。

 

「逃げたか…あっ、そうだ秀夜、蓮。さっき姉ちゃんから連絡があったんだけど、2人のブレスを貸して欲しいらしい。」

 

「分かった。」

 

「ほらよ。」

 

俺は2人からブレスを受け取り、今日は解散となった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

俺が音ノ木坂学院に転入した翌日。俺は普通に授業を受け、放課後を迎えた。優と蓮は、µ’sの練習を見ている。俺は音ノ木坂学院を出て、行くあてもなくただブラブラする。

 

 

 

「はぁ…俺は、どうすればいいんだよ…」

 

音ノ木坂学院の近くに、夕日が綺麗な場所を見つけ、ただぼーっと見つめる。もう夕日が登ってる。って事は、もう2時間程ブラブラしてたのか…優と蓮は、もうそろそろ帰ってる頃なんだろうか…

 

「はぁ…優達はああ言ってくれたが、俺なんかが仮面ライダーになる資格は…」

 

1人、そう呟いた俺。そんな俺に、

 

「あっ…秀夜さん?」

 

と声をかける人物が1人。俺が声のした方に振り返ると、

 

「小泉…」

 

俺の前に現れたのは、優と蓮の部活仲間である小泉花陽。俺は何かと、こいつとは縁があるようだ。前も、不良に襲われてたのを、助けた…いや、助けた訳じゃないが…それに昨日も、黒影トルーパーに襲われてたのを偶然見つけて、黒影トルーパーを倒した。

 

「どうかしたんですか?もしかして、真姫ちゃんとにこちゃんが言ったことを気にして…」

 

「いや、あいつらの言い分は正しい。これまで何度もあいつらを狙って、いざ騙されてたとわかったらこれから仲間です。そんな上手い話、あるわけない…」

 

「……秀夜さん、本当はあんな事したくなかったんですよね?」

 

「えっ?」

 

「だって、本当に悪い人なら、私を助けたりしてくれないから…それに、優くんが騙されてたって言ってたので。」

 

「……確かに、俺は騙されてた。けど、それが理由にはならない。俺は、何度もお前らを危険な目に合わせてきた。本当は音ノ木坂学院に転入して、学院生活だって送っていいはずないんだ…俺はもう、幸せな生活なんて送っていいはずないんだ…俺には、仮面ライダーになる資格なんてないんだよ…」

 

「そんな事、ないと思います…」

 

か細い声で言う小泉。

 

「私には、難しい事は分からないです…私がこんな事を言うのは、無責任かも知れません…けど、人はやり直す事が出来ると思います。秀夜さんが、自分のやった事が間違いだと思ってるなら、これからやり直したらいいと思います!」

 

大人しそうな小泉が、自分の意思を俺に訴えかけてくる。

 

「秀夜さんに助けてもらったあの日、私は優くんや蓮くんみたいって思いました!人を守る、仮面ライダーみたいだって思いました!それに、昨日だって襲われてた私を助けてくれました。私は、秀夜さんが仮面ライダーになる資格がないなんて事、ないと思います!」

 

「小泉…」

 

「私にとって、秀夜さんは正真正銘仮面ライダーです!だから、これからも秀夜さんに、仮面ライダーとして戦って欲しいです!」

 

「小泉…俺は…」

 

 

 

俺は…




『第3回!何故、私はこのライダー?』

優「という事で3回目のこのコーナー。今回のゲストはこの方!」

海未「音ノ木坂学院2年生、園田海未と申します。」

優「これでμ'sの2年生は全員ゲストに来たな。じゃあ早速、海未が変身する仮面ライダーは?」

海未「私が変身する力を得た仮面ライダーは、仮面ライダー響鬼です。が、ずっと優に聞きたいことがあったんですが…」

優「ん、どうしたんだ?」

海未「私って、優達とも、穂乃果達とも違って、ベルトじゃなくて音叉で変身するんですか?それに、私だけ『変身!』じゃなくて、『はぁぁぁぁ…たぁ!』って掛け声で変身するんですか?」

優「あぁ…それは響鬼が、元々仮面ライダーじゃなかったからな。」

海未「仮面ライダーじゃない?」

優「響鬼は元々、別のヒーロー作品の予定だったからな。それが、仮面ライダーになったってわけだ。だから、ベルトを使って変身するんじゃないし、掛け声も変身じゃないんだ。」

海未「そうですか。」

優「あっ!でもちなみに、この小説では、同時変身の時とかには、海未も変身って言って変身する時があると思うけど、そこは大目に見てくださいね。」

海未「あの、今更ですけど、ヒーロー作品とかこの小説とか言ってますけど、大丈夫なんですか…?」

優「……大丈夫大丈夫。このコーナー、メタ発言ありのコーナーだから!」

海未「心配しかありません…」

優「つっ、続いて仮面ライダー響鬼の説明!仮面ライダー響鬼はさっきも言った通り、音叉で変身する仮面ライダー。だから、響鬼も威吹鬼も轟鬼も斬鬼も、みんな音を出して変身するんだ。」

海未「スクールアイドルとして活動しているのですし、音は切っても切り離せない関係ですし、音で変身したり戦うのは嬉しいですね。でも、私が変身できるようになったライダーが、何故響鬼なんですか?」

優「海未と響鬼の共通点。まず1番大きな点が、『和』だな。」

海未「和…?」

優「平成1期のライダーのうち、唯一の和をモチーフにしたライダーなんだ。そして海未も、μ'sのメンバーで1番和を感じるメンバーだろ?」

海未「言われてみれば、私の家は日本舞踊の家元でもありますし、アイドル研究部と兼部ですが、弓道を嗜んでいますし、和のイメージがあるのかもしれませんね。」

優「それともう1つ、仮面ライダー響鬼の変身者であるヒビキさんは凄い鍛えていて、強靭な肉体を持っている。海未も、真面目に鍛錬など積んでいるから、そこも共通してると思ってな。」

海未「いえ、私はまだまだですよ…そういえば、本物の仮面ライダー響鬼に変身する方の名前も、ヒビキなんですね?」

優「あぁ、鬼は基本名前で呼ばれないからな。」

海未「鬼!?ヒビキって方は、鬼なんですか?」

優「響鬼を含む音撃戦士は、特殊な訓練を積んで鬼の力を得ているんだ。海未はコピーライダーシステムで変身してるから、鬼の力を得てはいないけど、鍛錬を積んでいる海未だからこそ、響鬼に変身できたんだと思うぞ?」

海未「そっ、そうですかね…//私も、これからもっと鍛錬を積まなければなりませんね!」

優「ほっ、程々にな…(また合宿の時みたいに、あの凄い練習メニューを俺たちまでやる事になるのは流石になぁ…)」

海未「あっ、優。そろそろ、次回の話の説明を…」

優「あぁ、そうだな。」





優「今まで敵だった自分が、仮面ライダーになっていいのかと苦悩する秀夜。しかし、花陽の言葉を聞いて、秀夜の考えも変わる。」

海未「そして、新しいドライバーとデータボトルで、新たな仮面ライダーに変身するのだった!」

2人「次回、『93話 進化する新ライダー』



次回もお楽しみに!」


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93話 進化する新ライダー

はい、93話です。

なんと、とうとうUAが25000を突破致しました!

そして更に、本日でちょうど『μ'sと仮面ライダーの物語』を書き始めて、1年です。長いようで短いようで…もう1年が経ったんですね。ここまで見てくださっている皆さん、本当にありがとうございます!

これからも是非、見てください!お気に入り登録、評価や感想なども頂けると嬉しいです!

では93話、スタートです!



〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

蓮「音ノ木坂学院に転入してきた秀夜。そして、µ’sのマネージャーに穂乃果が誘うが、メンバー内で反対意見も出てしまう…特に、にこと真姫が1番反対している。

 

そんな中、秀夜から優がゲーム病だということを聞く。

 

驚きの事実が次々と分かる中、秀夜は財団Xにいた自分が仮面ライダーになる資格はない。幸せな生活を送っていいはずがないと悩む。そんな秀夜に、花陽は自分の意思を必死に訴える。秀夜はどうするのか…

 

どうなる93話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 真姫〜

 

私は今、µ’sの練習が終わってから、にこちゃんと2人で帰っている。

 

「にこちゃん。私、あの秀夜って人の事、ちゃんと自分の目で見て決めようと思う。これまでの事か無しで。」

 

「私も。あの時は、頭に血が上っちゃってたけど、ちゃんと見てから決めないとって思った。絵里と希に言われて、気づいたわ。」

 

にこちゃんも、私と同じ考えみたい。そんな会話をしていた私とにこちゃんの前に、

 

「こんにちは。西木野真姫さん、矢澤にこさん。」

 

見覚えのある白服の男の人が現れた。

 

「あんたは確か…グラスとかいう!?」

 

「私達に、なんの用よ?」

 

「そんな怖い顔で睨まないでください。私は、あなた達に着いてきて欲しいだけです。」

 

「そんなのお断りよ!」

 

「そうですか…ならば、こちらも手荒な方法を使わざるを得ないですね。デビュラー。」

 

グラスって人がそう言うと、女の人が2人出てきた。そして女の人はボトルを取り出し、腕につけてる物に入れた。すると、姿が怪物に変わった。

 

「にこちゃん!」

 

「えぇ、行くわよ!」

 

『カブッ!』

 

『スタンディングバイ』

 

「「変身!」」

 

『コンプリート』

 

私は仮面ライダーキバに、にこちゃんは仮面ライダーファイズに変身した。

 

「「はぁぁぁ!」」

 

私とにこちゃんは、2体の怪物と戦い出した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

「小泉…俺は…俺は戦う!」

 

俺はついに決意し、それを小泉に告げる。

 

「秀夜さん…!」

 

俺の言葉に、顔を明るくする小泉。

 

 

 

ピンポーン

 

 

俺は小泉と話して戦う事を決意した後、優の家に来た。小泉も着いてきているが…

 

「はーい。あっ、秀夜くん。どうしたの、優くんならまだ帰ってないわよ?」

 

「いえ、今日は優香さんに用事があるんです。」

 

「私に?とりあえず入って。」

 

優香さんに案内され、俺と小泉はリビングに。優香さんは俺と小泉に紅茶を出してくれた。

 

「それで、今日はどうしたの?」

 

「この前の、ベルトの事で。」

 

「あぁ、それなら私の部屋にあるわ。着いてきて。」

 

「分かりました。悪い、小泉。ちょっと待っててくれ。」

 

俺は小泉にそう言い、優香さんの部屋に行く。

 

 

「お邪魔します。」

 

「このドライバーからアクセスしたら、削除されてたデータが復元できたわ。このドライバーに関する事だけなんだけどね。このドライバーは、フォースドライバー。」

 

「フォースドライバー…」

 

「それで、一緒に渡されてたデータボトルの方なんだけど…」

 

言い難そうに言う優香さん。

 

「どうしたんですか?」

 

「言い難いんだけど、財団Xは元々あなたを殺すつもりだったんだと思う…あのデータボトルには、何もデータも入ってなかった。あれはただのボトル。でも、その代わりに自爆装置が付けられていたわ。あのボトルを使った瞬間、あなたは死んでた…」

 

「そうですか。薄々、気づいてはいたんです。財団Xは、ただ俺を利用してるだけ。だから、邪魔になったら消されるんだろうと…」

 

「でも、このフォースドライバーを調べてみて、使えるデータボトルを作ってみたの。」

 

そう言って、1本のデータボトルを取り出す優香さん。

 

「イボルブデータボトル。あなたが、新しい仮面ライダーに変身するためのデータボトル。このドライバーも、データボトルも、強い精神を持ってないと力に飲み込まれてしまうわ。けど、今の秀夜くんなら大丈夫そうね。」

 

「はい。もう俺は迷いません。これまで俺がしてきた事が、こんな事で許されるとは思ってません。けど、せめてもの償いとして、人を守るために仮面ライダーとして戦うって決めました。それに、さっき小泉に言われたんです。

 

『私にとって、秀夜さんは正真正銘仮面ライダーです!だから、これからも秀夜さんに、仮面ライダーとして戦って欲しいです!』

 

1人でも俺をそう思ってくれてる人がいるなら、その思いに応えたいって思いました。だから、俺はこれからは、人を守るために戦います!」

 

「えぇ。これからお願いね。秀夜くん。」

 

「はい!」

 

「じゃあ、あとこれも渡しておくわ。イボルブに変身して、使えるカードを作っておいたの。」

 

そう言って、優香さんはカードを俺に渡してくる。

 

「ありがとうございます!」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「にこ!真姫!」

 

俺と蓮は、グラスと2体のデビュラーが現れたと聞いて、駆けつけた。2体のデビュラーと、変身して戦ってるにこと真姫。

 

「インフィニティ、ネイチャー。あなた達が来ることはお見通しです。」

 

「うおっ!?」

 

そこに、デビュラーが更に5体現れる。

 

「デビュラーが5体…厄介だけど、やるしかねぇ!」

 

「「変身!」」

 

俺は仮面ライダーインフィニティオリジンに、蓮は仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに変身した。

 

「俺の強さは、超次元をも超えてやる!」

 

「全ての悪は、俺が潰す!」

 

俺と蓮に向かってくるデビュラー。その内の1体が、俺に槍で刺そうとしてくるのをしゃがんで避け、デビュラーの腹部を殴る。

 

「はぁ!」

 

すると、そのデビュラーが後ろへ吹っ飛ばされる。

 

「えっ!?いつも通りの攻撃だったのに、すげぇ威力…オリジンデータボトルの力、とんでもねぇな…」

 

俺はオリジンデータボトルの力に驚きながらも、戦いを続ける。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

『シングルモード』

 

ファイズに変身したにこは、ファイズフォンに『103』も押し、更にエンターボタンを押した。ファイズフォンを銃モードに切りかえたにこは、デビュラーを撃ち抜いていく。

 

キバに変身した真姫は、肉弾戦でデビュラーと戦っていく。

 

「にこちゃん、決めるわよ!」

 

「えぇ!」

 

『レディ』

 

にこはファイズポインターにミッションメモリーをセットし、右足に取り付けた。そして、ファイズフォンを開き、エンターボタンを押した。

 

『エクシードチャージ』

 

そして真姫は、キバットバット5世にウェイクアップフエッスルを吹かせた。

 

『ウェイクアップ!』

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

にこはクリムゾンスマッシュ、真姫はダークネスムーンブレイクを2体のデビュラーにそれぞれ放つ。

 

「「…!?きゃっ…!」」

 

しかし、その攻撃ではデビュラーに勝てず、逆にデビュラーの反撃を受け、強制変身解除してしまう。

 

「さて、あなた達には着いてきてもらいますよ。」

 

グラスの言葉で、デビュラーは2人に近づく。

 

「にこ!真姫!」

 

「邪魔だ、どけぇ!」

 

優、蓮はにこと真姫を助けに行こうとするが、5体のデビュラーに邪魔される。

 

「こっ、こないで!」

 

デビュラーがにこと真姫に、触れそうになった…その時、

 

 

ドンッ!

 

 

黒崎秀夜が、バイクで2体のデビュラーを吹き飛ばした。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

俺は財団Xが現れたという知らせを聞き、今まで名前がついてなかった俺の専用バイク…ライドイボルブに小泉を乗せ、走ってる。

 

すると、5体のデビュラーと戦っている優と蓮。そして、2体のデビュラーに襲われそうになっている矢澤と西木野。

 

「小泉、危ないから降りてろ。」

 

「えっ?はっ、はい。」

 

俺は小泉をバイクから降ろし、

 

「飛ばすぞ…行っけぇ!」

 

思いっきり、ライドイボルブを飛ばす。

 

 

ドンッ!

 

 

俺はライドイボルブで、2体のデビュラーにぶつかった。

 

「あんた…」

 

俺を見た矢澤が、少し驚いたようにそう呟く。

 

「ダークインフィニティ…いつかはそうなると思ってましたが、やはり裏切りましたか。」

 

「グラス…悪いが、もう俺はダークインフィニティじゃない!」

 

俺はそう言い、腰にフォースドライバーを巻き付けた。そして、イボルブデータボトルを取り出す。

 

「なんです?そのデータボトルは…」

 

俺はフォースドライバーに、イボルブデータボトルを入れた。

 

俺がこれまでしてきた事は、何をしても許されない…でも、せめてもの償いとして…

 

「俺はこの力を正義のために使う!こんな俺でも、仮面ライダーとして認めてくれるやつもいる。そいつの、期待に応えるためにも!」

 

そう言って、俺は小泉を見る。

 

「秀夜さん…!」

 

 

「変身!」

 

 

俺は仮面ライダーイボルブに変身した。

 

 

「俺は、仮面ライダーイボルブ!俺の正義が燃え上がる!!」

 

 

「小癪な…デビュラー、やつを殺しなさい!」

 

グラスの言葉で、2体のデビュラーは俺に襲いかかってくる。

 

「遅い!はあぁっ!」

 

一体のデビュラーの攻撃を防ぎ、反撃する。そして、そのデビュラーは吹き飛ばされた。

 

「くっ…だったら!」

 

もう一体のデビュラーは、デビュラーブレスにスピードデビュラーボトルを入れた。

 

「ふんっ!」

 

すると、そのデビュラーはさっきよりも速く動き攻撃してくる。

 

「ぐっ…!」

 

その攻撃に後ずさる俺。

 

「はぁ!」

 

デビュラーは素早い動きで殴りかかってくるが、

 

「オラァ!」

 

それを俺は避けながら殴る。カウンターを決めた。

 

「お前の動きはもう見切った。」

 

「馬鹿な…速さに特化したスピードデビュラーの動きを、そう簡単に見破れるはずが!?」

 

「俺は進化する仮面ライダーだ。さっきの攻撃を受け、俺は一段階進化した。今の俺は、こんな速さを見破るぐらい、造作もない。」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「秀夜のやつ、やるな…蓮、俺達も決めるぞ!」

 

「あぁ!」

 

『サンダー!』

 

蓮はネイチャーピストルに、サンダーデータボトルをセットする。

 

『ライダー!サンダーシューティング!』

 

蓮はデビュラー2体に、電気砲を命中させ倒した。

 

『スペシャルアタック オリジンストライク!』

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺は上空から3体のデビュラーに、オリジンストライクを決めた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

俺はアタックバックルに、さっき優香さんから貰ったカードの1枚を入れる。

 

『スペシャル召喚 イボルブアロー!』

 

優香さんが開発した新武器、イボルブアローを呼び出した。イボルブアローは、その名の通り弓の武器。

 

「はっ!」

 

俺はイボルブアローから矢を放ち、2体のデビュラーに命中させる。

 

「まずは一体!」

 

『イボルブ!』

 

俺はイボルブアローに、イボルブデータボトルを入れて、普通のデビュラーの方に狙いを定める。

 

「はぁ!」

 

『ライダー!イボルブシュート!』

 

俺が弓を引くと、矢が5本放たれてデビュラーに命中する。1体目のデビュラーを倒すことに成功。

 

「後はお前だ!」

 

『スペシャルアタック イボルブストライク!』

 

「ふんっ!」

 

俺はその場からジャンプし、

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

スピードデビュラーに、イボルブストライクを決めた。そして、俺は着地し、スピードデビュラーを倒すことに成功した。

 

「くっ…今回は、一旦引くとしましょう…」

 

そう言って、グラスは去っていった。

 

「ふぅ…なんだ、その…えっと、大丈夫か…?」

 

俺は変身を解き、矢澤と西木野に、話しにくいが怪我などないかを確認する。

 

「大丈夫…その、ありがと…」

 

「この前は、言い過ぎたわ…ごめんなさい。」

 

「私も、ごめん…」

 

矢澤、西木野が俺に謝ってくるが…

 

「なんでお前らが謝るんだよ…悪いのは、俺だろ。本当に、ごめんなさい…」

 

「許さないわ。」

 

「にこちゃん…」

 

「「にこ…」」

 

俺が謝ったことに、キッパリと許さないと言った矢澤。その言葉を聞いた小泉、優、蓮は、暗い顔をする。

 

「これまで私達を危険な目に合わせてきたあんたを、私はただじゃ許さない。私の言うことを、聞いてもらうわ。」

 

「分かった、なんでもする。」

 

俺はここで、どんな事でもする覚悟はあった。が、次に矢澤が言った言葉を聞いて、俺は耳を疑った。

 

「アイドル研究部に入部して、私達µ’sのマネージャーになりなさい。」

 

「えっ…?」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「アイドル研究部に入部して、私達µ’sのマネージャーになりなさい。」

 

「えっ…?」

 

「聞こえなかったの?マネージャーになりなさいって、言ったのよ。」

 

「いいのか…?」

 

にこの言葉に、信じられないという表情を浮かべる秀夜。

 

「いいも何も、私達がそうしなさいって言ってるのよ。花陽と凛と話して、あなたの事を何も知らないのに、否定ばっかりするのは良くないって思ったの。だから、優や蓮。µ’sのみんなが信じるっていうあなたを、私も信じてみようと思ったの。」

 

「私も。絵里と希と話して、同じことに気づいたわ。だから、私も信じてみようと思うわ。µ’sのマネージャーになりなさい、秀夜。これは、アイドル研究部の部長命令よ。」

 

真姫、にこが言った言葉に、

 

「西木野…矢澤…ありがとう…本当に、ありがとうございます!」

 

これまで見た事がないぐらいの嬉しそうな顔で、頭を下げながら礼を言う秀夜。

 

「にこ…真姫…ありがとな。」

 

「べっ、別に、優と蓮のためにやったわけじゃないんだからっ…//」

 

顔を赤くして、相変わらずのツンデレで言う真姫。

 

「そうだ、秀夜。もう1つ、言い忘れてた事があるわ。」

 

「ん?」

 

「これからは、ごめんは禁止!」

 

「私達は、あなたを信じてマネージャーに入れたの。だから、これまでの事で謝るのは禁止。分かった?」

 

「……あぁ、分かった。小泉も、ありがとな。俺が仮面ライダーとして戦う決心したのは、小泉のおかげだ。」

 

「いえ、私なんてそんな…でも、これからもよろしくお願いします!秀夜さん。」

 

「あぁ、よろしくな。」

 

「やったな、蓮。」

 

「そうだな、優。」

 

一段落し、蓮が変身を解いた。俺も変身を解除しようとした時、

 

「んっ!?なん、だ…!?うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

 

俺の体に電流が走る。

 

「優、どうした!?」

 

「優!?」

 

蓮、秀夜、真姫、にこ、花陽が心配して駆け寄ってこようとしたその時…

 

俺は光に吸い込まれ、その場から消えた…

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

「ここは、音ノ木坂学院…?」

 

俺が気がつくと、見慣れた音ノ木坂学院の校舎が見えた。

 

「なんだ、ワープでもしてきたのか…?誰か来た!?」

 

俺は変身したままの姿でいるため、姿を見られるわけにはいかず、近くの木の後ろに隠れる。

 

「あれは…!?」

 

そこに来たのは…

 

「まったく、ほのかは!むかえに行ったらまだねているなんて…」

 

「うぅ、ごめんってばぁ…」

 

「まあまあ、うみちゃん。おちついてぇ…」

 

この聞き覚えのある会話。そう、穂乃果、ことり、海未だ。けど、その姿に俺は驚いた。なぜなら…

 

 

彼女たちが、小学校低学年ぐらいの身長だからだ。

 

 

「けど、たのしみだね!ひさしぶりに、あえるんだよね!」

 

「そうですね。ことり、かれはここに来るんですよね?」

 

「うん、お母さんのがっこうに来るって言ってたから。」

 

久しぶり…?誰かに会うのか…?

 

すると、俺がいる所の少し奥の方の草むらから音がする。

 

「りっ、りんちゃん…やっぱり、かってに入ってきちゃダメだったんじゃ…」

 

「ちょっとぐらいなら、だいじょうぶにゃ!かよちんはしんぱいしすぎにゃ!」

 

あれは、花陽と凛…?2人も小さくなってる…いや、もしかして、俺が過去にタイムスリップしてるのか!?

 

「かよちん、あっちいくにゃ!」

 

やばい、こっちに来る!?凛と花陽がこっちに来ようとしてるので、俺は気づかれないように音ノ木坂学院から出る。

 

「けど、過去に来てるとしたらどうやって戻れば…変身を解いたら戻れなくなるかもしれないし、かといって変身した状態じゃまともに動けねぇし…」

 

俺がそう考えていると、少し前の方を歩いている白服の男が見えた。

 

「まさか、財団X!?過去にもいるのか…とにかく、追わ…うっ!?うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

 

俺は財団Xの男らしき人物を追おうとしたが、さっきと同じような電流が体に走り、光に吸い込まれた。

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「うっ…いってて…」

 

「優、大丈夫!?」

 

「どこ行ってたのよ!?」

 

真姫、にこがそう言いながら駆け寄ってくる。俺はどうやら、現代に戻ってきたようだ。

 

「戻って、来たのか…」

 

「何があったんだ?」

 

「光に吸い込まれたと思ったら、1分ほどでまた帰ってきたけど…」

 

「多分、過去にタイムスリップしてた…」

 

「えっ?」

 

「気がついたら、音ノ木坂学院にいたんだ。そこに、小学校低学年ぐらいの穂乃果と海未とことり。それに、凛と花陽がいたんだ。」

 

「えっ、私も?」

 

自分の名前を呼ばれ、そう聞き返してくる花陽。

 

「あぁ。」

 

俺はそう答え、インフィニティドライバーからオリジンデータボトルを取って、変身解除する。すると、オリジンデータボトルが一瞬光、さっきの出来事についての情報が、少し頭の中に入ってきた。

 

「なるほど…このオリジンデータボトルには、時を超える。言わば、タイムスリップ出来る能力があるみたいだ。」

 

「時を超える…?それって、すっげぇじゃん!」

 

蓮がざっくりと、バカっぽくそう言う。

 

「けど、今の俺にはまだ使いこなせないみたいだな…俺がオリジンデータボトルを完璧に使いこなせるようになった時、俺は過去や未来に自由自在に行けるようになってるんだと思う。」

 

「過去や未来に…もしこの力が財団Xの手に渡っていたらと考えると、ゾッとするな…」

 

「だな。でも、過去や未来に行くんだから、かなり体力を使う。これまでレッドメモリーの治癒能力や、ワープのカードの様にライダーエナジーを多く消費するものはいくつかあったが、そのどれよりも多くライダーエナジーを消費するだろう。」

 

「じゃあ、優は少しの間戦えないのか?」

 

「まぁ、今回は少ししか過去に滞在してないから、明日明後日には元に戻ってると思うし、大丈夫だろ。」

 

まぁ、過去に戻ったりしたが、にこと真姫が秀夜の事を認めてくれ、なんとか無事に終わった。

 

それにしても、過去に戻った時見た財団Xの男は、何をしようとしてたんだ…?

 

そんな疑問が、俺の頭に残りながらも…

 

 

 

 

 

「という事で、秀夜がアイドル研究部に入部して、µ’sのマネージャーになる事になったわ。他のみんなも、それでいい?」

 

翌日。放課後、部室に集まってにこがそう言う。

 

「もちろん!これからよろしくね、秀夜くん!」

 

「よろしくお願いします、高坂先輩。他の皆さんも、よろしくお願いします。」

 

なんか、秀夜が礼儀正しくしてるのって、違和感あるなぁ…俺は内心そう思いながらも、秀夜がマネージャーになった事に喜んでいる。

 

「秀夜。この部活に入ったら、1つルールがあるのよ。」

 

「ルール?」

 

絵里が言った言葉に、秀夜は聞き返す。

 

「先輩禁止よ!」

 

「先輩禁止…?」

 

「そう、先輩禁止。」

 

「でも、絢瀬先輩は先輩ですし…」

 

「だから、そういう遠慮を無くすためよ。」

 

「ならついでに、みんなのこと下の名前で呼んでよ!」

 

絵里に続き、穂乃果もそう提案する。

 

「わっ、わかりました…穂乃果、絵里。」

 

少し戸惑いながらも、秀夜は2人のことをそう呼んだ。

 

「ちょっと待って!」

 

「どうしたの、にこ?」

 

「秀夜。あんたさっき、絵里だけじゃなくて、穂乃果にも先輩付けて呼んでたわよね?」

 

「よっ、呼んでたけど?」

 

「けど、昨日私の事は呼び捨てだったわよ?」

 

「あぁ…それは、なんかにこって先輩って感じしないし…」

 

「なっ…やっぱ嫌いよ、あんた!!穂乃果にまで負けるなんてぇ!!」

 

あははは…秀夜のやつ、俺や蓮と同じようなこと言ってるし…

 

「それで私たち、3人の関係をまだ聞いてないんだけど?」

 

「えっと…それは…」

 

真剣な空気に変わり、真姫がそう聞いてくる。ここで転生者という事を話す訳にはいかない…なんて言えば…

 

「べっ、別に聞かなくてもいいんじゃないかしら?」

 

「そっ、そうだよ!別に、そんな深追いすることじゃ…」

 

転生者だということを知っている絵里、ことりが焦ってそう言うが…

 

「ことり、絵里。なぜそんなに焦るのですか?」

 

「怪しい…2人は何か知ってるのかにゃ?」

 

逆に怪しまれている。こうなったら…話すしかない。俺がそう思った時…

 

「まぁ、いいんじゃないかな?誰にだって、話したくない事だってあると思うし。」

 

「穂乃果…?」

 

1番気になって聞いて来そうな、穂乃果がそう言った。まさか穂乃果が、そんな大人っぽい言葉を言うとは思いもしなかった。その事に、俺を含む他のみんなも驚いている。

 

「えっ、どうしたのみんな?」

 

「いえ、穂乃果がそんな大人っぽい事を言うなんて…」

 

「むっ、酷いよ海未ちゃん!他のみんなも、そう思ってるんでしょ?」

 

「けど、穂乃果の言う通りかもね。私達は、今の秀夜を信じるって決めたんだし。」

 

「うん。そうだね!」

 

けど、なんとかみんなも納得してくれたようだ。いやぁ、助かった…

 

「そうだ、みんな。みんなに渡しておかなければならないものがあったんだった。」

 

「えっ、何?」

 

俺は9枚の召喚カードを取り出す。

 

「これは、俺や蓮が持ってるメカアニマルの進化版。ハイパーメカアニマル。本来なら、俺達が腰に付けてるアタックバックルを持ってないと召喚出来ないんだけど、今回は特別仕様。使用者を1人設定すると、その使用者がカードを投げると召喚出来るようになったんだ。それを、みんなに1つずつ渡しておこうと思って。」

 

「なんで穂乃果たちに?」

 

「えっ…?いや、その、みんな仮面ライダーに変身したし、持っておいた方が便利かなと思って。」

 

「へぇ、そうなんだ。ありがとう!」

 

そして俺は、みんなにハイパーメカアニマルの召喚カードを渡していく。ちなみに、優奈にはアルパカハイパーメカアニマルを、昨日渡しておいた。

 

「穂乃果のは熊さんなんだ!可愛い!」

 

穂乃果に渡したのは、ベアーハイパーメカアニマル。熊モチーフのハイパーメカアニマル。

 

「私のは兎ですか…可愛いですね。」

 

海未に渡したのは、ラビットハイパーメカアニマル。兎モチーフのハイパーメカアニマル。

 

「私のは羊さんなんだぁ…可愛いぃ〜!」

 

ことりに渡したのは、シープハイパーメカアニマル。羊モチーフのハイパーメカアニマル。ことりに渡したけど、今回は鳥モチーフではない。

 

「凛のは猫だにゃ!」

 

凛に渡したのは、キャットハイパーメカアニマル。猫モチーフのハイパーメカアニマル。

 

「私のは鹿だ。可愛いねぇ!」

 

花陽に渡したのは、ディアーハイパーメカアニマル

 

「私のはひょうかしら?私みたいにクールで、かっこいいじゃない!」

 

真姫に渡したのは、レオパードハイパーメカアニマル。ひょうモチーフのハイパーメカアニマル。

 

「私のは、キツネかしら?」

 

絵里に渡したのは、フォックスハイパーメカアニマル。キツネモチーフのハイパーメカアニマル。

 

「ウチのはたぬき?可愛いやん!」

 

希に渡したのは、ラグーンドックハイパーメカアニマル。たぬきモチーフのハイパーメカアニマル。

 

「私のは、パンダ?なかなか可愛いじゃない。」

 

にこに渡したのは、パンダハイパーメカアニマル。パンダモチーフのハイパーメカアニマル。

 

「設定はしてあるから、必要になったらそれを上に向けて、軽く投げてくれ。そしたら、そのカードからハイパーメカアニマルが飛び出す。後、財団Xや他の怪人など、敵の反応が近くに出たら、それを感知して起動するから。」

 

「優、ありがとうございます。」

 

「よーしっ!秀夜くんも一緒に、練習行くぞー!」

 

そして、穂乃果の言葉で、全員屋上に…っとその前に、もう1つの部室で穂乃果達が、アイドルグッズなどが置いてある方の部室で俺達男子が着替える。

 

そして、屋上で練習を始めるのであった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

新マネージャー、黒崎秀夜を迎え入れたµ’sが、屋上で練習を始めた頃…

 

「そう。フォースドライバーを使って、黒崎秀夜が新たな仮面ライダーにねぇ…裏切ると思って渡しておいた、自爆用のボトルも、お姉様に気づかれたのね。まぁいいわ。

グラス。これからは宮崎蓮、黒崎秀夜の抹殺。そして、彼女達の捕獲を目的としながら、覚醒するよう観察しなさい。」

 

「かしこまりました。」

 

この前の謎の女が、グラスにそう命じていた。

 

 

 

 

 

さらにと気を同じくして…

 

µ’sのメンバーの1人、高坂穂乃果の部屋で、その妹の高坂雪穂が文句を言いながら本棚を整理しながら、漫画を探している。

 

「もう、巻数バラバラ…続き読みたいのに…よくこれで生徒会長が務まってるなぁ…」

 

文句を零しながら本棚を探っていくと、机の横に落ちている封筒に目を移す雪穂。

 

「あーもうっ!信じらんない、こんな書類まで散らかして!よしっ、帰ったらお説教だ!」

 

封筒を机に置き、本棚の方に戻ろうとする雪穂だが、封筒の中身が気になって見てみることに…

 

封筒から1枚の紙を取り出し、中を見る雪穂。すると、その紙を持つ手が震えていく。

 

「だはぁ…ああぁぁぁああぁ…やっぱり!?」

 

果たして、彼女が見た紙に書かれていた内容とは…




〜次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

黒崎秀夜が仮面ライダーイボルブに変身し、無事μ'sのマネージャーになった。しかし、そんなμ'sの前に、穂乃果の体にある異変が起きていたり、生徒会でもトラブルが発生したりと、様々な問題が…

次回、『94話 トラブル発生!?』





ライダーアイテム、紹介コーナー!

・ハイパーメカアニマル

仮野優が開発した、メカアニマルの進化版。通常のメカアニマルと違い、近くに敵の反応をキャッチすると、自動的に起動して優の元へ場所などを連絡する。更に、少しの戦闘も可能。雑魚程度なら、勝つことも出来る。通信機能などは優が頼み、女神である優香と咲が付けた。

最初に13体開発し、3体は優、蓮、秀夜が持っている。そして、財団Xの狙いがμ'sである事が分かり、9人に1つずつ渡し、残りの1つは優奈が所持している。μ'sと優奈は、カードを投げる事でも起動させることが可能。
それぞれが所持しているハイパーメカアニマルは、下記の通り。

・ベアーハイパーメカアニマル/高坂穂乃果

・フォックスハイパーメカアニマル/絢瀬絵里

・シープハイパーメカアニマル/南ことり

・ラビットハイパーメカアニマル/園田海未

・キャットハイパーメカアニマル/星空凛

・レオパードハイパーメカアニマル/西木野真姫

・ラグーンドックハイパーメカアニマル/東條希

・ディアーハイパーメカアニマル/小泉花陽

・パンダハイパーメカアニマル/矢澤にこ

・ライオンハイパーメカアニマル/仮野優

・ウルフハイパーメカアニマル/宮崎蓮

・バットハイパーメカアニマル/黒崎秀夜

・アルパカハイパーメカアニマル/仮野優奈





はい、という訳で、μ'sに新たなマネージャーが。そして、次回からはアニメ2期7話のストーリーに入ります!

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14章 覚醒し始めるμ's
94話 トラブル発生!?


はい、94話です。

今回から、アニメ2期7話のダイエット&予算会議回に入ります。

では94話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

穂乃果「黒崎秀夜くんをµ’sのマネージャーに誘う私、高坂穂乃果。けど、秀夜くんは穂乃果達と敵対していた時の負い目から、マネージャーになる事を断る。更に、にこちゃんと真姫ちゃんも秀夜くんがマネージャーになる事に反対する。」

 

ことり「秀夜くんは、自分が仮面ライダーとして戦うことにも迷いがあった。しかし、花陽ちゃんの言葉で戦うことを決意。そして、秀夜くんは新たな戦士、仮面ライダーイボルブに変身して戦った。」

 

海未「その姿を見た真姫、にこも秀夜の事を認め、秀夜をマネージャーに迎え入れる事に。µ’sに3人目のマネージャーが入る事になりました!」

 

穂乃果「そんな時、穂乃果の部屋で雪穂が封筒を見つける。封筒の中身を見た雪穂は、驚愕するのであった…!ってあぁ!?雪穂、また私の物を勝手に…」

 

海未「それより、そんな大事なものを何故放って置くのですか!なんの書類だったんです?」

 

穂乃果「えっとぉ…沢山ありすぎて分かんないや…あはは…」

 

海未「穂乃果!部屋にすぐ物を放ったらかしにするからそうなるのです!いつも言ってるでしょ!」

 

ことり「まあまあ海未ちゃん、落ち着いてぇ…」

 

穂乃果「もう、わかってるよぉ…その封筒の中身も、94話で分かるからぁ!もうっ、どうなるの、94話!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

朝、例の封筒の中身を見て驚愕する、穂乃果の母と雪穂。

 

「こんな事になっていたなんて…!?」

 

「これって、まずいよね…」

 

「まずいなんてもんじゃないわ、もう手遅れね…」

 

「お母さん、そんな!?」

 

どんな一大事件が起こったのだろうか…そう思わせる会話をする穂乃果母と雪穂とは違い、

 

「おっはよー!」

 

通常運転の穂乃果が、元気に朝の挨拶をしながらやって来た。

 

「穂乃果…」

 

「あっ、それ身体測定の紙。どこにあったの?封開けたっきり、どっか行っちゃってぇ…」

 

何故封を開けたのに中身を確認しなかったのか。そして何故どこかへ行ってしまったのか。そして、どこかに行ってしまったと思ってたものが、机の横という比較的わかりやすい所に落ちていたのを雪穂が発見したのか。

そんな疑問はさておき、会話が進んでいく。

 

「あなた、まだ知らないの?」

 

「何が?」

 

母から身体測定の紙を渡され、目を通す穂乃果。

 

「身長157センチ。変わんないなぁ…それから体重…うっ、うぅぅぅん!?これは…なんとかしなくっちゃ!」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「たるんでる証拠です。書類もこんなに溜め込んで。全てにおいて、だらしないからそんな事になるんです。」

 

「ごめんごめん。でもさぁ、毎日あんなに体を動かして、汗もかいてるでしょ?まさか、あそこまで体重が増えているとは…」

 

海未の言葉に、そう答える穂乃果。

 

俺、海未、ことりは生徒会室で書類の整理をし、穂乃果はランニングマシンに乗って走っている。何故生徒会室にランニングマシンがあるんだ…?それはともかく、穂乃果は身体測定の結果を見て、体重が増えていたらしく、ダイエット中らしい。

 

「身長は変わらないの?」

 

「うん。雪穂に怒られちゃった…そんなアイドル見たことないって…あっ、それオニオンコンソメ味?」

 

ことりが食べていたポテトチップスを見て、そう聞く穂乃果。

 

「うん、新しく出たやつだよ。」

 

「食べたかったんだよねぇ…1口ちょーだいっ!」

 

そう言いながらランニングマシンから降りて、ことりの方へ来て、ポテトチップスの袋に手を入れようとする穂乃果…の腕をつかみ、

 

「雪穂の言葉を忘れたのですか!」

 

と怒る海未。穂乃果のやつ、ダイエットする気はあるのか…?いや、それよりもダイエット中の穂乃果の前で、何故ことりはポテトチップスを食べていたんだよ…

 

「大丈夫だよ!朝ごはん減らして来たし。今もほら、走ってたし!」

 

呑気なことを言ってる穂乃果を睨む海未。

 

「何が大丈夫なんだよ…そういえば、朝ご飯を食べないと逆に太るらしいぞ?」

 

「そうなの!?」

 

俺の言葉で落ち込む穂乃果。

 

「どうやら現実を知った方が良さそうですね。」

 

そう言った海未は、ファーストライブで3人の時に披露した『START:DASH!!』の衣装を穂乃果に渡し、着るように言う。俺達3人は、生徒会室から出ていく。

 

「ファーストライブの衣装を着せて、何するんだ?」

 

「私の目が間違ってなかったら、これで明らかになるはずです。穂乃果の身に、何が起きたのか。」

 

「穂乃果ちゃんの、身に…」

 

深刻そうに言う海未とことり。えっ?太っただけじゃないの?なんでそんな深刻な表情を…俺がそんな事を考えていると、

 

「きゃああああああああああああああああ??!!?!」

 

突然穂乃果の叫び声が聞こえる。

 

 

 

「うっ…うぅ…うぅぅ…」

 

生徒会室に戻ると、穂乃果が泣いていた。

 

「ほっ、穂乃果…大丈夫、か…?」

 

「今日はもう、1人にして…」

 

なるほど、ファーストライブの衣装が着れなかったのか…女の子からしたら、そういうのは悲しいのかもな。

 

「きっ、気にしないで。体重は増えたかもしれないけど、見た目はそんなに…」

 

「ほんと!?」

 

立ち直りはやっ!?

 

「気休めは本人のためになりませんよ!さっき鏡で見たでしょ?」

 

「うぅぅ…」

 

そう引き下がる穂乃果に、

 

「見たんでしょ!」

 

鏡を向けて、追い討ちをかける海未。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!やーめーてぇぇぇぇ!!」

 

「体重の増加は、見た目はもちろん、動きのキレを無くし、パフォーマンスに影響を及ぼします!ましてや穂乃果はリーダー。ラブライブに向けて、ダイエットしてもらいます!」

 

こうして、穂乃果のダイエットが始まった…

 

 

 

「収穫の秋!秋といえば、なんと言っても新米の季節です!」

 

「いつにも増して大きいにゃー!」

 

「まさかそれ、1人で食べるつもり?」

 

顔ほどでかいおにぎりを持つ花陽。

 

「なぁ、小泉…じゃなくて、花陽っていつもあんなおにぎり食べてるのか?」

 

まだ下の名前で呼ぶことに慣れていない秀夜が、蓮にそう聞く。

 

「まぁ、花陽は無類のお米好きだしな…」

 

「だって新米だよ?ほかほかでツヤツヤの!これぐらい味あわないと!あーんっ…ん?」

 

「おいしそぉ…」

 

花陽のおにぎりを見て羨ましそうにしている穂乃果。そんな穂乃果に、

 

「食べる?」

 

花陽がそう聞き、一瞬笑みを浮かべたが…

 

「いけません!それだけの炭水化物を摂取したら、燃焼にどれだけかかるか分かってるのですか?」

 

鬼の教官、海未様がそう言い、穂乃果はがっかり。

 

「どうしたの?」

 

「まさかダイエット?」

 

「うん、ちょっとね…最終予選までに減らさなきゃって。」

 

凛と真姫の問いに答える穂乃果。

 

「それは辛い。せっかく新米の季節なのに、ダイエットなんて可哀想はぁーんっ!モグモグ…」

 

巨大おにぎりを頬張りながら花陽が言った。

 

「さっ、ダイエットに戻りますよ。」

 

「ひどいよ海未ちゃん!」

 

「仕方ないでしょう!可哀想ですが、リーダーたるもの、自分の体調を管理する義務があります!それにメンバーの協力があった方が、ダイエットの効果も上がるでしょうから!」

 

いや、海未さん…後ろで美味しそうにおにぎりを頬張る方が1名いますよ…?さっきも誰かさんは、ダイエットしてる人の前でポテトチップス食べてたし。メンバーの協力というよりかは、鬼教官海未の厳しい指導のような…

 

「優、何か失礼なこと考えてませんでしたか?」

 

「いっ、いえ!何も!」

 

素敵な笑顔でそう言ってくる海未。怖ぇよ…

 

「でも、これから練習時間も増えるし、いっぱい食べなきゃ元気でないよぉ。はむっ…モグモグモグ…」

 

「それはご心配なく。食事に関しては、私がメニューを作って管理します。無理なダイエットにはなりません。」

 

「でも食べたい時に食べられないのは、ハムッ…モグモグ…」

 

巨大おにぎりを頬張りながら悪魔の囁きをする花陽。そんな花陽に…

 

「かよちん…?」

 

「気のせいかと思ってたんだけど、あなた最近…」

 

「ん?」

 

凛、真姫が何かを疑う。

 

 

 

「ピヤァァァァァァァァァァァァァ?!!」

 

俺達男子3人が部室から出ていってと言われ、部室から出て待っていると、花陽の叫び声が聞こえる。

 

「まさか、花陽も穂乃果と同じで…」

 

 

 

「うぅぅぅ…」

 

µ’s9人とマネージャー3人、屋上に移動してきた。そこで倒れ込む花陽。どうやら花陽も、穂乃果と同じで体重が増えていたようだ…

 

「まさか、こんな事になっていたなんて…」

 

「まぁ2人とも、育ち盛りやから、そのせいもあるやろうけど…」

 

「でも、ほっとけないレベルなんでしょ?」

 

穂乃果と花陽の身に起こった事を、今知った絵里、希、にこがそれぞれ言った。それぞれ落ち込んでいる穂乃果、花陽に、

 

「これが、今日からのメニューです!」

 

『ダイエット ギリギリまで絞るプラン 園田海未』と書かれた紙束を見せる海未。

 

「夕飯これだけ!?」

 

「おっ、お米が…」

 

「夜の食事を多く摂ると、体重増加に繋がります。その分、朝ごはんはしっかり食べられるので、ご心配なく。」

 

「頑張るしかないよ、穂乃果ちゃん…」

 

「そうだね…でも良かったよ!」

 

花陽も含むここにいる全員が、穂乃果の言葉に『何が?』と思ったであろう。

 

「私と同じ境遇の、仲間がもう1人いてくれて。」

 

花陽の手を握り、そう言う穂乃果。

なんかいい雰囲気にも見えなくはないが…ただのダイエット仲間である。

 

「仲間…?」

 

「目、逸らした…?」

 

花陽と穂乃果がそんな会話をしていると、

 

「あの、今休憩中…ですよね?良かったら、サイン頂きたいんですけど。」

 

音ノ木坂学院の生徒が3人、屋上にやって来てそう穂乃果達に頼む。

 

「あなた達は?」

 

「あっ、すみません。」

 

「私たち、この前のハロウィンイベントを見て感動して。」

 

良かった。やっぱり、穂乃果が気づいたµ’sにはµ’sの個性がある、というのは間違いじゃなかったな…

 

「ありがとう、嬉しいわ。穂乃果、どう?」

 

「もちろん!私たちでよければ!」

 

絵里、穂乃果がそう言って、サインを書くことに…

 

 

「うわぁ、ありがとうございます!実は私、園田先輩みたいなスタイルに憧れてたんです!」

 

「そんな、スタイルだなんて…//」

 

「私、ことり先輩のすらっとした所が綺麗だなって!」

 

「全然、すらっとしてないよ…//」

 

サインを書いてもらった子達が、海未とことりにそう言った。その言葉に、2人は照れる。

 

「私は穂乃果先輩の!」

 

「のっ?」

 

穂乃果が期待して聞き返すが、

 

「えぇっと…元気なところが大好きです!」

 

「あっ、ありがとう…」

 

スタイルの事は言われず、喜びが半減してしまった穂乃果…

 

 

 

「やっぱり、みんなそう思ってたんだね…」

 

生徒会室に向かう廊下を歩きながら、落ち込んで言う穂乃果。

 

「そんな事ないよ、さっきのはたまたまなんじゃないかな?」

 

「これでより、やらねばと思ったでしょ?」

 

そんな穂乃果を慰めることりだが、海未はより一層ダイエットに励むよう言う。

 

「人間はそんな簡単に出来てないよ…」

 

「まあけど、やるならしっかりと頑張っていかないとだろ?」

 

「そうだね…」

 

俺の言葉に答えた穂乃果が、生徒会室に入る。

 

「なにこれ?」

 

机の上に置かれた大量の書類を見て、顔を顰めてそう聞く穂乃果。

 

「そろそろ予算会議だからな。」

 

「各部から予算の申請が集まっているんです。」

 

穂乃果の言葉に、俺と海未が答えた。

 

「こっちは私とことりで、あっちは優が処理しておきますから、穂乃果はまず、これを全部処理してください。」

 

そう言って、分厚いファイルを穂乃果に渡す海未。

 

「うぅ…こんなに…?」

 

書類の量に愚痴をこぼす穂乃果。そんな時、生徒会室に1人の女子生徒が入ってくる。

 

「あの、すみません。美術部なんですけど、急いだ方がいいと思って、直接予算申請書を持ってきました。」

 

 

「はい、問題ありません。ありがとうございました。」

 

美術部の部長が持ってきた予算申請書に、目を通した俺たち。

 

「じゃあ、お願いします。」

 

そう言って、美術部の部長は生徒会室から出ていった。

 

「はいことり。」

 

海未が持っている予算申請書をことりに渡し、ことりは予算申請書を置きにいった。のだが、この時ことりが予算申請書を入れた箱を、しっかりと確認しておけばよかった。そう後々思うのであった…

 

 

 

「「「「「「「「「「すごい!」」」」」」」」」」

 

練習のため、神田明神に移動してきた俺たち。穂乃果と花陽以外のµ’s7人と、マネージャーである俺たち3人はパソコンで、ハロウィンイベントで行ったライブの動画を見ている。

 

「物凄い再生数ね。」

 

「A‐RISEに強力なライバル出現。」

 

「最終予選は見逃せないって。」

 

「どうやら今まで通りのスタイルで行って、正解やったみたいやね!」

 

「よーしっ、最終予選も突破してやるにゃ!」

 

絵里、海未、真姫、希、凛がそれぞれ言った。

 

「それまでに、2人にはしっかりとしてもらわないとね。」

 

そう言って絵里は、穂乃果と花陽に目を移す。

 

「「はぁはぁはぁはぁ…はぁはぁ…」」

 

「なにこれ…?」

 

「この階段、こんなキツかったっけ…?」

 

神田明神の前の階段を登ってきた花陽と穂乃果が、すごい顔をしてそう言った。

 

「あんた達は今、体におもりをつけて走っているようなものなのよ。当然でしょ。」

 

「はい、ではこのままランニング5キロ。スタート!」

 

「「えぇ!?」」

 

「何してるのです、早く行く!」

 

「もうっ、海未ちゃんの鬼!」

 

そう言って、穂乃果と花陽はランニングに向かっていった。

 

「なっ、なぁ海未。流石にあれはキツイんじゃないか…?」

 

「いえ、あれぐらいは当然です。優だって、前まではもっと凄いトレーニングをしていたでしょう?」

 

「いや、あれは俺も、アデュサへの復讐で頭がいっぱいいっぱいだった時の事だし…それに、流石に厳しすぎると…」

 

「何か?」

 

「ヒィッ…!?いっ、いえ、なんでもありません…」

 

海未の恐ろしい笑顔で、俺は何も言えなくなった…2人とも、ごめん!頑張れ!

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「「フッフッ…ハッハッ…フッフッ…ハッハッ…」」

 

文句を零しながらも、順調にランニングを進めていく2人であったが、穂乃果が足は動かしたまま1点の場所にいる。そこの看板には『GOHANYA』と書かれている。

 

「フゥフゥ…」

 

「はぁはぁ…」

 

「フゥゥ…」

 

息で会話しながら、穂乃果はご飯屋さんを指差す。

 

「ハァハァハァハァ!あぁぁ!フッフッ…」

 

一瞬目を輝かせながらも、ダメとジェスチャーする花陽。それでも穂乃果はその場から動こうとしない。

 

これ以上は誘惑に負ける、そう思った花陽はその場から走り去ろうとしたが…

 

「フウッ!」

 

「あぁぁ!?」

 

穂乃果に掴まれて動けなくなってしまう。

 

「フッフッフゥッ!」

 

そして穂乃果は、『黄金米』と書かれた旗を指差す。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

とうとう誘惑に負けた花陽は、穂乃果と共に『GOHANYA』に入店してしまった。

 

それにしても、ここまで息で会話してきた2人。元はアニメだからよく分かったが、文字では伝わりにくすぎるのであった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

穂乃果たちがダイエットを初めて3日経った。

 

「もうっ、海未ちゃんも疑い深いよね!」

 

練習終わり、俺は穂乃果と2人で帰っている。海未とことりは用事があって一緒に帰れないらしく、穂乃果が寄り道して何かを食べないか俺に見張っておいてくれと海未に頼まれた。

 

「まぁ、海未も穂乃果のためを思って言ってるんだと思うぞ?」

 

「うん…それは分かってるけど…」

 

そんな会話をしながら、俺たちは歩いていると…

 

「穂乃果、危ない!」

 

工事現場の下を通っていると、組み立てが崩れて鉄パイプなどが落ちてくる。俺は穂乃果の肩を支えながら横に避ける。

 

「大丈夫か?」

 

「うん、ありがと…優くん。」

 

「ダスタード…」

 

鉄パイプが落ちてきた工事現場の上の方を見ると、ダスタードがいる。そして周り見渡すと、更に20体ほどダスタード。穂乃果がいる所に来たってことは、やっぱり狙いはµ’sなのか…

 

「優くん、行くよ!」

 

「あぁ!」

 

「「変身!」」

 

俺は仮面ライダーインフィニティに、穂乃果は赤のクウガ、仮面ライダークウガ マイティフォームに変身した。

 

「俺の強さは次元を超えるぜ!」

 

俺と穂乃果は、それぞれダスタードを相手にしていく。

 

「はぁ!おらぁ!」

 

「やぁ!えいっ!超変身!」

 

穂乃果はマイティフォームから青のクウガ、仮面ライダークウガ ドラゴンフォームに姿を変えた。穂乃果は落ちていた鉄パイプを持ち、ドラゴンロットに変えた。穂乃果はドラゴンフォームで強化されたジャンプ力で、工事現場の上の方にいる鉄パイプを落としてきたダスタードの元へ飛ぶ。

 

「はぁ!やぁぁぁ!」

 

上にいた3体のダスタードは、穂乃果のドラゴンロットでの攻撃で倒された。そして、再び穂乃果は降りてくる。

 

「よし、一気に終わらせちゃおう!」

 

「あぁ!」

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

俺はインフィニティソードを呼び出した。

 

『ウィザード!ライダー フレイムマジック!』

 

「はぁぁぁぁ!」「やぁぁぁぁ!」

 

俺はインフィニティソードに炎を纏わせ、穂乃果はドラゴンロットでダスタードへ攻撃を決め、全てのダスタードを倒した。

 

「よし、やった…」

 

ダスタードを倒し、一安心したのもつかの間、俺たちの前に新たな敵が…

 

「レオ・ゾディアーツ!?」

 

俺たちの前に現れたのはゾディアーツの幹部であるホロスコープスの1人、レオ・ゾディアーツ。

 

「穂乃果、気をつけろ。あいつは獅子座の力を持つ、ゾディアーツっていう怪人だ。幹部でもあって、かなり強い…」

 

「うっ、うん、分かった!」

 

「「はぁぁ!」」

 

俺たちはそれぞれの武器でレオ・ゾディアーツへ攻撃するが、

 

「効いてない…グハッ…!?」「きゃっ!?」

 

俺たちの攻撃は効かず、逆に反撃を受けてしまう。

 

「超変身!」

 

穂乃果は再びマイティフォームに戻り、

 

「やぁ!」

 

今度は肉弾戦で戦うが、防御力も高いレオ・ゾディアーツには効いていない。

 

「やっ…なに?もしかして、また…!?…きゃぁぁぁ!?」

 

「穂乃果!?」

 

突然苦しみ出した穂乃果に驚きながらも、俺はレオ・ゾディアーツの近くで苦しんでいる穂乃果を助けるため、インフィニティソードで斬りかかる。それでなんとかレオ・ゾディアーツから穂乃果を遠ざけることが出来た。

 

「穂乃果、どうしたんだ!?」

 

「なっ、なんか突然、体に電気が流れてきて…」

 

「電気が…?レオ・ゾディアーツにそんな能力はないはずだが…」

 

俺は疑問に思いながらも、更にレオ・ゾディアーツに攻撃を仕掛ける。

 

「はぁ!オラッ!」

 

「優くん避けて!」

 

穂乃果の言葉で、俺は素早く横に避ける。

 

「はぁぁ…たぁ!やぁぁぁぁぁ!!」

 

穂乃果は助走をつけてジャンプし、マイティキックをレオ・ゾディアーツに決める。が、レオ・ゾディアーツが防御し、跳ね返されてしまう…

 

「はぁ!」

 

更に、レオ・ゾディアーツはエネルギーを溜めて俺に飛ばしてきた。それを受けた俺は、強制変身解除してしまう。

 

「くっ…だったら…!」

 

俺はインフィニティブレスからフォーゼドライバーを呼び出し、腰に巻き付けた。4つのスイッチを押して、

 

3(スリー)2(トゥー)1(ワン)!』

 

「変身!」

 

俺は仮面ライダーフォーゼに変身した。

 

「宇宙キター!仮面ライダーフォーゼ、タイマンはらせてもらうぜ!」

 

『チェーンアレイ・オン!』

『スパイク・オン!』

 

俺はチェーンアレイモジュールでレオ・ゾディアーツを叩きつけ、ジャンプして上空からスパイクモジュールで蹴る。

 

『クロー・オン!』

『チェーンソー・オン!』

『ハンマー・オン!』

 

更に、俺はクローモジュールとチェーンソーモジュールでレオ・ゾディアーツを斬り裂き、ハンマーモジュールで叩きつけた。

 

「やぁぁぁ!うっ…まだビリビリくる…ていっ!」

 

穂乃果はどうやらまだ電気が走っているようだが、それでも戦い続ける。

 

「割って、挿す!」

 

『N!S!マグネット・オン!』

 

俺は、仮面ライダーフォーゼ マグネットステイツに変身した。

 

「穂乃果、避けろ!」

 

穂乃果が横に避けたのを確認し、両肩のNSマグネットキャノンから電磁砲を放っていく。

 

『ランチャー・オン!』

『ガトリング・オン!』

 

俺はランチャーモジュール、ガトリングモジュールを取り付け、フォーゼドライバーのレバーを入れた。

 

『リミットブレイク!』

 

「ライダー超電磁ボンバー!」

 

両肩のNSマグネットキャノン、ランチャーモジュール、ガトリングモジュールから一斉に射撃した。しかし、射撃の爆煙が止むと、レオ・ゾディアーツが倒された形跡はなかった。

 

「逃げられたか…穂乃果、大丈夫か?」

 

「うん…なんか最近、戦ってるとビリビリ来ることがあるんだ。前に海未ちゃんとことりちゃんと戦った時も、ビリビリ来たことがあったんだ…」

 

ビリビリ…?どういう事なんだ…?

 

 

 

 

 

レオ・ゾディアーツとの戦いから4日、結局ビリビリの正体は分からないままだった…まぁそれは置いておいて、穂乃果と花陽はダイエットに励んでいる。

 

「いってきまーす!行くよ、花陽ちゃん!」

 

「はい!」

 

そう張り切って、ランニングに向かう穂乃果と花陽。

 

「2人とも、頑張ってるな!」

 

「これなら、ダイエットも順調なんじゃないか?」

 

そんな2人を見て、蓮と秀夜がそう言ったが…

 

「どうでしょうか…」

 

低い声でそう言った海未。

 

「この1週間、このランニングだけは妙に積極的なような気がするんです。」

 

「気のせいじゃないかなぁ…?」

 

ことりの言う通り、気のせいだと思うけど…

 

「確認する必要がありますね。せっかくなので、優にもらったこのハイパーメカアニマル?を使ってみましょう。」

 

いや、別にそういう使い方のために渡したわけじゃないんだけど…そして海未は、自分のハイパーメカアニマルであるラビットハイパーメカアニマルを起動した。

 

「私も後から追いますので、穂乃果達を探してきてください。見つけたら、スマホに連絡をください。」

 

海未がそう言うと、ラビットハイパーメカアニマルは頷き、穂乃果たちを探しに行った。

 

 

 

数分後、どうやら本当にサボっていたらしい2人が、泣きながら海未に捕まって帰ってきた。その海未の肩には、ラビットハイパーメカアニマルがちょこんと乗っていた。

 

後から聞いた話だと、2人は『GOHANYA』でご飯を食べていたらしい…ダイエットに1番の天敵と言っても過言ではない炭水化物の塊、白米を食べていたなんて、本当にダイエットする気はあるのだろうか…

 

 

 

 

 

「それでは、これまでのダイエットの状況を報告します。」

 

「「はい…」」

 

広い方の部室に移動してきた俺たち。ランニングをサボってご飯を食べていた事で、海未にお説教された2人は、落ち込みながら海未の話を聞いている。

 

「まずは花陽。運動の成果もあって、なんとか元の体重に戻りました。」

 

「ほんと!?」

 

海未の言葉に、2人は笑顔になる。

 

「しかし穂乃果!あなたは変化なしです。」

 

「えぇ!?そんなぁぁぁ…」

 

「それはこっちのセリフです。本当にメニュー通りトレーニングしてるんですか?」

 

「してるよ!ランニングだって、腕立てだって!」

 

海未の言葉に、穂乃果はそう言うが…

 

「昨日ことりからお菓子をもらっていたという、目撃情報もありますが?」

 

「えっ、あれは…1口だけぇ…」

 

食べる穂乃果も穂乃果だが、ことりもなんであげたんだよ。ことりは本当に穂乃果に甘いなぁ…

 

「雪穂の話では、自宅でお団子も食べていたとか。」

 

「あれはぁ…お父さんが新作を作ってたから、味見してて…」

 

「じゃあその後のケーキは?」

 

「あれは、お母さんがもらってきて…ほらっ、食べないと腐っちゃうから!」

 

「問題外ね…」

 

にこの言った通りだ…穂乃果、本当にダイエットする気はあるのだろうか…

 

「何考えてるのです!あなたはµ’sのリーダーなのですよ!」

 

「それはそうだけど…」

 

「本当にラブライブに出たいと思ってるのですか!」

 

「当たり前だよ!」

 

「とてもそうとは思えません!」

 

「そんな事!」

 

穂乃果に叱る海未。だが、穂乃果も穂乃果で反論する。そんな2人を見て、

 

「穂乃果ちゃん、可哀想…」

 

「海未は穂乃果の事になると、特別厳しくなるからね。」

 

凛と真姫がそう言った。更に凛が、

 

「穂乃果ちゃんの事、嫌いなのかな?」

 

と言った。

 

「ううん。大好きだよ。」

 

ことりがそう説明した時、

 

「穂乃果!一体あなたはなんでいつもいつもこうなのです!私だって、こんなにガミガミ言いたくないのですよ!」

 

更に海未は、穂乃果に怒鳴った。

 

「そうは見えないけど…」

 

「まぁ、昔からあんな感じだよな。海未が穂乃果のお母さんみたいな感じ。」

 

「えっ、昔から?私たちと優くんと出会ったのって、高校に入ってからだよね?」

 

「えっ?」

 

「ほら、今昔からって言ってたけど…」

 

「俺、そんな事言ったか?なんでだろ…俺が穂乃果たちのこと知ったの、ことりが言った通り高校入学してからなのに…」

 

自分でも、なんでこんな事を言ったのか分からなかった。すると、部室に穂乃果の友達の1人であるヒデコがやって来た。

 

「あの…」

 

「どうしたの?」

 

ヒデコが入ってきた事で、穂乃果と海未の言い合いは収まり、話を聞くため、生徒会である穂乃果、海未、ことり、俺の4人は生徒会室に。

 

 

生徒会室に移動してきた俺たちは、ヒデコ、フミコ、ミカの3人から説明を受ける。

 

「えぇ、承認された!?」

 

「うん。美術部の人、喜んでたよ?」

 

「予算会議前なのに、予算が通ったって。」

 

「そんな事ありえないだろ。」

 

「会議前なのに、承認なんて…」

 

美術部の予算申請が承認されたと聞き、俺と海未がそんな事ないと話す。

 

「あぁぁ…」

 

そんな中、ことりは美術部の予算申請書を見て青ざめている。それを俺達も見に行ってみると…

 

「なんで!?」

 

「どうして承認されているんです!?」

 

美術部の予算申請書には、承認とハンコが押されている。

 

「多分、あたし…あの時…」

 

ことりは、美術部の予算申請書を受け取った時、間違えて承認の箱の方に入れてしまっていたらしい…

 

「ごめんなさい…」

 

「とにかく、美術部に話に行ってみよう!」

 

 

 

そして、俺たち4人は美術部の部長さんに話をしに行ったのだが…

 

「えぇ!?今更言われても困るよ!そっちが承認してくれたんでしょ?」

 

と言われてしまった。そう言われては、俺達は何も言い返せない…

 

「ですから、あれは間違いで…」

 

「だったら、その時に言ってくれれば良かったじゃない。私みんなに話しちゃったし…今更みんなにダメだったなんて言えないよ! 」

 

美術部の部長さんにそう言われ、俺たちは追い返されてしまった。

 

一体、どうすれば…




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

美術部の予算申請が、間違って申請されてしまっていたというトラブルに直面する生徒会。そして、とうとう予算会議の日がやって来る。果たして、美術部の問題を解決し、予算会議を無事終えることが出来るのか…

そして、穂乃果と優が戦ったレオ・ゾディアーツが再び現れる。しかし、レオ・ゾディアーツの圧倒的な強さに苦戦する。そんな時、穂乃果に新たな力が宿り、更に優のあるカードが復活する。

次回、『95話 金のクウガと復活するカード』





オリキャラプロフィール、紹介コーナー!

黒崎秀夜(くろさきしゅうや)

年齢 16歳/高校1年生、誕生日 7月7日、血液型 A型、身長 176cm、体重 62kg、
好きな食べ物 和食、苦手な食べ物 トマト、
趣味 読書、得意科目 国語 歴史、苦手科目 数学

転生前の優である、橋本拓真と蓮の幼馴染。病にかかった優奈(転生前は美穂)を助けるため、財団Xに協力し転生した。優が転生するよりも少し前から、秀夜はこの世界に来ていた。
普段は落ち着いて冷静だが、幼馴染の2人と会話する時などには笑顔を見せることも多々ある。段々と、μ'sのみんなにも心を開いていっている。
果たして、実の妹である優奈に、本当の兄だと知られる時はあるのだろうか…





今回は久しぶりのオリキャラプロフィール紹介。3人目のオリジナルライダー、仮面ライダーイボルブに変身する秀夜のプロフィール紹介でした。
『何故、私はこのライダー?』のコーナーは少しの間お休みで、次回からはダークインフィニティ、イボルブ、インフィニティオリジンのスペック紹介をしようと思ってます。

見て下さり、ありがとうございました。次回も見ていただけると嬉しいです!お気に入り登録、評価や感想などもお待ちしてます!


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95話 金のクウガと復活するカード

はい、95話です。

今回の前半で、アニメ2期7話は終了です。後半はオリジナル回です。

では95話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

 

秀夜「穂乃果の体重が増えた事を知った海未。更に花陽まで体重が増えていた。2人は海未の考えたダイエットメニューを、弱音を吐きながらも頑張っていたと思っていたのだが…」

 

凛「2人はランニングの途中にご飯を食べていたんだにゃ…そんなハプニングがありながらも、かよちんはダイエットに成功!けど、穂乃果ちゃんの体重は変わっていなかった…」

 

蓮「そんな中、予算会議を目前にしていた生徒会に思わぬ出来事が…なんと、美術部の予算申請書を間違えて承認してしまい、予算会議前に予算を通してしまっていた…さぁ、どうなる95話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「面倒な事になったね…」

 

とりあえず、美術部の件について、前の生徒会長と副会長である絵里と希に相談した。

 

「すみません…」

 

「注意していたつもりなのですが…」

 

「海未ちゃんが悪いんじゃないよ、私が…」

 

「ううん。私が悪いんだよ…仕事溜めて、海未ちゃん達に任せっきりだったし…」

 

「とりあえず、誰が悪いとか言うのは後にしよう。」

 

「優くんの言う通り、今は予算の事をどうにかしないと。」

 

「3年生に、美術部OGの知り合いがいるから、私からちょっと話してみるわ。」

 

「そうやね。元生徒会長の言うことやったら、協力してくれるかもしれないしね。」

 

「すみません…」

 

俺たちは、絵里と希に美術部OGの人に話してもらう事にしようとしたのだが…

 

「でも、私たちで何とかしなきゃ、ダメなんじゃないかな。自分たちのミスだもん。私たちで何とかするよ!今の生徒会は、私たちがやってるんだから!」

 

穂乃果が、真剣な表情でそう言った。

 

「でもっ……えっ…希?」

 

絵里が何か言おうとしたが、希が止める。

 

そして、俺たちは予算会議に向けて、動き出した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

自分たちでなんとかする。穂乃果にそう言われた後、絵里と希は音ノ木坂の校舎から出る。絵里は、そんな穂乃果たちが生徒会の仕事をしているであろう生徒会室の窓を、寂しげに見ている。

 

「気になる?」

 

「あっ…いや、まぁ…」

 

希に聞かれ、歯切れ悪く答える絵里。

 

「帰り、パフェでも食べてこうか。」

 

「えっ?」

 

「ウチらが卒業したら、4人でやっていかなきゃいけないんやから。」

 

決して口には出していないが、この時既に、3年生は卒業するという寂しさを、感じていた…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ふぅ…これでよし! 」

 

どうやら穂乃果は、もう任されていた仕事が終わったようだ。

 

「終わったのか?」

 

「すごーいっ!」

 

「らんらららっらーん!スッキリ!予算の方も手伝うよ!何すればいい?」

 

「全く…集中すれば出来るのに、どうして毎日少しずつやれないのですか?」

 

呆れ混じりに海未に聞かれる穂乃果。

 

「えへへ…そうだよねぇ…分かってはいるんだけど…」

 

「まっ、それが出来たら、私がやる事が無くなっていますけどね。」

 

そう言われた穂乃果は、海未とことりと笑い合っている。

 

それを見た俺は、何故か懐かしく感じた。なんでだろうか…俺も、久しぶりに2人の幼馴染と再開することが出来たから、共感が生まれているのだろうか…

 

「海未ちゃん、そっちの方は?」

 

「今、計算合いました。優はどうです?」

 

「こっちも、もう終わりそうだ。」

 

「よーしっ、ラストスパート!」

 

俺たちは予想以上に早く、仕事を進めるのであった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

とうとう迎えた予算会議当日。生徒会の4人は、今頃生徒会室で各部部長を待っている頃だろう。

 

「いよいよね、予算会議。」

 

「上手くいってくれるといいけど…」

 

準備運動をしながら、そう心配する真姫と花陽。

 

「大丈夫だろ、あの4人なら。」

 

「俺も、なんとなくそう思う。」

 

俺と秀夜は、根拠はないが、絶対に大丈夫だと思っていた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

とうとう迎えた予算会議。生徒会室には、生徒会である俺、穂乃果、海未、ことり。更に各部の部長が集まっている。

 

「うぅ…空気が重い……ん?にこちゃん!?どうしてここに?」

 

緊張している穂乃果が、各部の部長が座っているところににこを見つけ、そう聞いた。

 

「当たり前でしょ?アイドル研究部の部長よ!私は。」

 

「そっか。」

 

そういえばそうだったな…

 

「それより分かってるんでしょうね?部費アップ頼むわよ!

 

小声で俺たちにそう言ってきたにこ。ほかの部長だっているんだから、ここで言うなよ…マジでアイドル研究部を贔屓してるって思われるだろ。

 

「穂乃果、そろそろ始めるぞ。」

 

「あっ、そうだね。では、各部の部長も揃ったようなので、これより予算会議を始めたいと思います。まず、初めに私から。」

 

「はい!その前にまず、美術部の件について説明してくれますか?」

 

穂乃果の言葉を遮り、美術部部長が言ってきた。更に、にこを除く他の部長も拍手して、美術部部長の意見に賛成する。

 

「えっと…」

 

「それは…」

 

迷う俺たちだったが、

 

「無い袖は振れません!」

 

穂乃果がそう発言する。

 

「はぁ!?」

 

「穂乃果ちゃん!?」

 

「何を言い出すんですか?」

 

これには、にこ、ことり、海未も困惑する。もちろん俺も。

 

「えっ、だめかな?それでは、説明させていただきます。美術部の予算の件につきましては、完全に生徒会のミスです。承認の書類箱に間違って入れたものに、判を押してしまったもので、弁解のしようもありません。」

 

各部の部長に説明していく穂乃果。

 

「ですが、予算会議前に承認することは、やっぱりあってはならないと思います。ですので、謝罪とともに、取り消しをお願いしたいと思います。それで予算ですが、音ノ木坂学院は、今年廃校を免れた状態です。生徒の数も、去年に比べて少ないのが現状です。

そこで、勝手ながら、生徒会で予算案を作成させて頂きました。」

 

そして、海未とことりが各部部長に予算案を配っていく。その予算案を見た部長たちからは、

 

「作ってたんだ、予算案…」

「そういえば最近、遅くまで生徒会室電気ついてた…」

 

そんな声が聞こえてくる。

 

「各部去年の予算と、今年度提出された希望額から、暫定で振り分けてみました。各部とも要求額に届いていませんが、全ての部で希望の八割は確保しています。」

 

「この予算案であれば、各部の今年度の活動に支障はきたさないと考えます。来年度、生徒が増えることを信じ、今年はこれでご理解頂けたらと思います。」

 

俺と穂乃果がそう説明し、俺たち4人は椅子から立ち上がる。

 

「生徒会として、精一杯考えました。」

 

「至らぬ所もあると思いますが、」

 

「どうか…どうかお願いします!」

 

「「「「お願いします、」」」」

 

頭を下げ、4人そうお願いする。しかし、各部の部長達は悩んでいる。そんな時、

 

「はぁ…予算案に賛成の人。」

 

にこが手を挙げてそう言った。すると、部長たちは次々と手を挙げていく。

 

そして、全ての部長に納得してもらい、予算会議はなんとか丸く収まった。

 

 

 

 

 

「それで予算通しちゃったのぉ!?」

 

予算会議のことについて、俺たちは他のµ’s5人と、蓮と秀夜に説明した。

 

「ほんと危なかったぁ…」

 

「でも、上手くいってよかったね!」

 

穂乃果、ことりがほっとしながらそう言っていると、にこが話し始める。

 

「私のおかげよ、感謝しな…」

 

「ありがとう!にーこちゃーんっ!」

 

にこに抱きつきながら、そうお礼を言う穂乃果。

 

「そんなのいいから、アイドル研究部の予算を!」

 

「その前に、ダイエットです。」

 

海未は容赦なく穂乃果にそう言う。穂乃果は「えぇ!?」と言うかと思いきや、

 

「それがさ、さっき量ったら戻ってたの!」

 

そう言った。その言葉に、みんな「えっ?」と驚く。

 

「本当?」

 

「うん!4人で一生懸命頑張ってたら、食べるの忘れちゃって。」

 

「わかりやすいにゃー!」

 

凛の言う通り、ほんと極端というか単純というか…

 

「ことりの言った通りね。」

 

ことりのところに行き、そう言う真姫。

 

「えっ?」

 

「3人、信頼し合ってるんだなって。」

 

「うん。お互い、いい所も、悪いところも言い合って、成長出来てるんだなって思う。」

 

そう言いながら、またパンを食べようとしている穂乃果と、それをダメと追いかける海未を見る。

 

「けどね、今は3人じゃないよ。」

 

「えっ?」

 

「だって、優くんだっているんだし!」

 

そう言って、ことりは俺の方を見る。

 

「おっ、俺も?」

 

その事に、俺は驚いて少し顔を背ける。

 

「あっ、優!今照れただろ?」

 

そんな俺を見て、ニヤニヤしながら蓮が言ってくる。

 

「べっ、別に照れてねぇから!」

 

そんなことを言いながらも、俺は内心、とても嬉しく感じていた…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「生徒会、大丈夫そうやね。」

 

「えぇ。」

 

穂乃果たちを見ながら、安心したように…そして、少し寂しそうにそう言った希と絵里。

 

寂しそうな表情を浮かべている希を見て、

 

「今日もパフェ、食べに行く?」

 

絵里がそう聞いた。

 

「そうやね…」

 

そして希も、静かにそう答えた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

予算会議の日の放課後、俺と蓮と秀夜は姉ちゃんに呼ばれ、蓮の家に来ていた。蓮の家に来た秀夜に、姉ちゃんがまず、鍵を2本と紙を1枚渡した。

 

「はい、この紙に書かれている住所があなたの家の住所。この鍵は家の鍵と、合鍵ね。必要な家具だったり、お金だったりは用意してあるから。」

 

「何から何まで、本当にありがとうございます!」

 

「それと、3人から預かってたブレスも返しとくね。」

 

俺たちはそれぞれのブレスを姉ちゃんから貰う。

 

「そういえば、秀夜くんのブレスの名前、どうする?」

 

「イボルブブレスで、いいんじゃないですか?」

 

咲さんの言葉に、そう答えた秀夜。

 

「やっぱりそうなるか…インフィニティブレスにネイチャーブレス、そしてイボルブブレス。ライダーの名前にブレスつけただけじゃねぇか…」

 

「それと、今回預かっている時に、ネイチャーブレスとイボルブブレス。それぞれ共通のベルトを呼び出せるようにしといたから。」

 

「共通のベルト?」

 

「そう。ネイチャーブレスから呼び出せるアイテムをイボルブブレスからでも、イボルブブレスから呼び出せるアイテムをネイチャーブレスからでも呼び出せるようにしたの。」

 

「なるほど…」

 

「それから、インフィニティブレスからも、イボルブブレスから呼び出せるアイテムを呼び出せるようにしといたわ。ネイチャーブレスの物は、元々呼び出せてたけど。」

 

「そういえば、蓮は自然の能力があるから1号ライダーのベルトはネイチャーブレスから呼び出せるように出来ないって言ってたけど、秀夜のイボルブブレスからはどうなんだ?」

 

「それも無理みたい。1号ライダーのベルトを呼び出すのは、インフィニティの特権ってことね!」

 

「特権かぁ…あっ、そういえば前聞いてなかったんだけど、秀夜は財団Xの本拠地を知ってるのか?」

 

「いや、本拠地については俺も知らない。俺がいたのは、あくまで財団Xの基地の1つだ。女神様と手を組んだ財団Xをまとめているジェフリーというやつと、女神様をまとめてる…その…優香さんの妹も、たまに来てはいたけど…」

 

「そうか…ん?って事は、財団Xにはいくつも基地があるのか!?」

 

「あぁ。俺も聞いた話だから、よくは分からないけどな。詳しくも聞かされてないし…」

 

「なんだよ…詳しく聞かされてない事ばっかじゃんか。」

 

「悪かったな!どうせ俺は、信用されてませんでしたよ…まぁ、裏切ったしその通りなんだけどよ。」

 

蓮の言葉に、少しむくれながら答える秀夜。それ、可愛い女の子がやるのはいいけど、男がやっても気持ち悪いだけだぞ…

 

「それと、優くん。」

 

「ん?」

 

「ノーマルデータボトル、ちょっと借りてもいいかしら?いろいろ調べときたいことがあるから。」

 

「分かった。」

 

俺はインフィニティに変身するためのデータボトル、ノーマルデータボトルを姉ちゃんに渡した。

 

「それじゃ、俺はそろそろ帰る。」

 

「もう帰るのか?」

 

「あぁ。優奈も待ってるだろうし、夕飯も作らないといけないからな。」

 

「そっか、分かった。」

 

 

そして、俺と姉ちゃんは俺の家に帰った。

 

「あっ、そうだ優くん。」

 

「ん?」

 

「これ、希ちゃんに渡しといてくれる?」

 

そう言って、姉ちゃんはあるものを渡してくる。

 

「これって、ラウズアブゾーバー?」

 

「うん。中にスペードのジャックとクイーンのカードも入ってるわ。」

 

「けど、希がこれでキングのカードを使って13体のアンデッドと融合してしまったら、希はジョーカーに…」

 

「多分、それは大丈夫よ。キングのカードコピーシステムは、作ってないから。」

 

「そうなのか?」

 

「うん。というか、作れないのよ。私たちの技術じゃ、それぞれのライダーの最終形態に変身するためのアイテムは…」

 

「そうなのか?」

 

「うん…」

 

「なら、今のところ大丈夫か。分かった、ラウズアブゾーバーは希に渡しとくよ。」

 

「ありがとう。」

 

俺は、姉ちゃんからラウズアブゾーバーを受け取った。

 

 

 

 

 

そして更に翌日…

 

放課後の練習を終えた俺達は、音ノ木坂学院から出て歩いている。しばらく歩いていると、

 

「あっ、悪い。俺忘れ物!」

 

蓮がかばんを見てそう言った。

 

「なんだよ蓮…って、あっ!俺もだ…」

 

どうやら秀夜まで忘れ物があったようだ。

 

「なんだよ、2人揃って…」

 

「穂乃果たち待ってるから、取ってきなよ!」

 

「先に帰ってていいから!じゃあ、ちょっと行ってくる!」

 

そう言って、2人は音ノ木坂学院へ引き返して行った。

 

「ったくあいつらは…」

 

「あははは…」

 

そう苦笑いするみんな。そんな俺たちの前に…

 

「この前のダスタードとレオ・ゾディアーツ…いや、それよりもかなり多い!?それに、屑ヤミーにガメルとメズールまで出てきやがった…」

 

前よりもかなり多いダスタード、更に屑ヤミー。それに前戦ったのと同じレオ・ゾディアーツ、それにガメルとメズールまでいる。

 

「優くん、私たちもやるよ!」

 

「あぁ、頼む。」

 

そして、俺たちは横に並んだ。それぞれみんなベルトを巻き、海未は返信音叉・音角を手に持った。俺はインフィニティブレスからディケイドライバーを呼び出し、腰を巻き付けた。

 

「「「「「「「「「変身!」」」」」」」」」

 

クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、響鬼、カブト(キャストオフ)、電王、キバ、ディケイド、計10人の平成ライダーが並び立った。

 

「行くぞ!」

 

俺たち10人は、それぞれ大量の敵と戦い始めた。

 

俺と穂乃果はレオ・ゾディアーツとリベンジマッチ、ガメルとメズールは3年生3人が、ダスタードと屑ヤミーは後のみんなが戦っている。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

ディケイドに変身した優は、ライドブッカー ソードモードを取り出し、レオ・ゾディアーツへ斬りかかる。それに対し、穂乃果は肉弾戦でレオ・ゾディアーツで戦っている。しかし、ホロスコープスの中でもかなり強いレオ・ゾディアーツには、攻撃がなかなか効かず、反撃を受けてしまっている。

 

 

海未、ことり、真姫、凛、花陽(モモタロス)は、大量のダスタード、屑ヤミーを相手にしている。

 

「数が多い…」

 

「切りが無いにゃ…」

 

真姫と凛が言ったように、屑ヤミーとダスタードの数はかなり多い。そんな時、

 

ブゥーンッ!

 

2台のバイクが屑ヤミーとダスタードを轢いた。

 

「蓮!秀夜!」

 

現れたのは仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに変身した蓮と、仮面ライダーイボルブに変身した秀夜だった。

 

「待たせたな!」

 

『スペシャル召喚 ネイチャーピストル!』

『スペシャル召喚 イボルブアロー!』

 

2人はそれぞれの武器を召喚した。

 

「蓮、一気に蹴散らすぞ。」

 

「あぁ!」

 

『サンダー!ライダー サンダーシューティング!』

『イボルブ!ライダー イボルブシュート!』

 

蓮はサンダーピストルから電気砲を、秀夜はイボルブアローから大量の矢を放った。それにより、かなりのダスタードと屑ヤミーを倒した。

 

 

「海未ちゃん、凛たちも!」

 

「えぇ。」

 

凛はオルタリングからフレイムセイバーを取り出し、仮面ライダーアギト フレイムフォームに変身した。

 

「はぁぁぁぁ!!」「にゃぁぁぁぁ!!」

 

凛はフレイムセイバーに炎を纏わせ、屑ヤミーとダスタードを斬り裂いた。海未は音撃棒に炎を纏わせ、凛と同じく敵を斬り裂いた。

 

 

『ストライクベント』

『バッシャーマグナム!』

『ガンフォーム』

 

『お前たち倒すけどいいよね?答えは聞いてない!』

 

ことりは手に、契約モンスターであるドラグレッターの頭部を手にはめた。真姫は仮面ライダーキバ バッシャーフォームに、電王はガンフォームに変身した。

 

『フルチャージ』

『バッシャーバイト!』

 

『「「はぁぁっ!」」』

 

ことりは炎を、花陽(リュウタロス)は銃弾を、真姫は水の弾を飛ばす。それにより、全ての屑ヤミーとダスタードを倒した。

 

 

そして、絵里とにこはメズールと戦っている。

 

「はぁっ!」「やぁっ!」

 

「あなた達のような小娘の攻撃なんて、効かないわ。はぁ!」

 

メズールが飛ばした水流に押される。

 

「だったら…10秒で決めてあげるわ!」

 

にこは腕に付けているファイズアクセルからミッションメモリーを外し、ファイズフォンに付けた。

 

『コンプリート』

 

にこは、仮面ライダーファイズ アクセルフォームに変身した。

 

「クロックアップ!」

 

『スタートアップ』

『CLOCK UP』

 

にこと絵里は高速移動を開始する。

 

『レディ』

『エクシードチャージ』

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

にこはメズールにクリムゾンスマッシュを放った。

 

『1・2・3』

 

「ライダー、キック。」

 

『ライダーキック』

 

絵里はメズールに静かに近づき、回し蹴りを決めた。

 

『タイムアウト』『CLOCK OVER』

 

「きゃぁぁぁ!?」

 

にこと絵里の動きが通常の速さに戻り、メズールは何も抵抗することなく爆発した。その影響で、メズールからシャチコアメダルとタココアメダルが飛び出し、絵里がキャッチした。

 

「なにこれ?」

 

「さぁ?よく分からないけど、優に渡しとけばいいんじゃない?」

 

「そうね。」

 

「こんな小娘ごときに、コアメダルを2枚も持ってかれるなんてね…今日は、撤退と行きましょうか…」

 

そう言って、メズールは去っていった。

 

 

「希、これ使え!」

 

レオ・ゾディアーツと戦っている優が、希に向けてラウズアブゾーバーを投げ渡す。

 

「これは…うん。なんとなくやけど、使い方も分かる。」

 

希はラウズアブゾーバーを腕に付け、中からジャックとクイーンのカードを取り出す。

 

『アブゾーブクイーン』

 

希はラウズアブゾーバーにクイーンのカードをセットし、

 

『フュージョンジャック』

 

ジャックのカードをスキャンさせた。

 

「まっ、眩しい…」

 

ブレイドのボディは光り輝き、ガメルもそれに怯んでいる。そして希は、仮面ライダーブレイド ジャックフォームに変身した。

 

「これが、ウチの新しい力…なんか、行けそうな気がするやん!」

 

「うぉぉぉ…!」

 

ガメルが希に向かって突進してきたが、

 

「やぁ!」

 

ブレイラウザーで斬りかかり、ガメルへダメージを与えた。

 

「ふんっ!」

 

希はオリハルコンウイングを展開させ、上空へ飛び、加速する。

 

『スラッシュ』

『サンダー』

 

『ライトニングスラッシュ』

 

そして段々と低空飛行になっていき、希はガメルをライトニングスラッシュで斬り裂いた。それにより、ガメルからサイコアメダルが飛び出し、希がキャッチした。

 

「ふぅ…これは、優くんに渡しとかんとね。」

 

「メズールゥ!」

 

ガメルはそう言いながら、去っていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「グハァッ…!?」

 

俺はレオ・ゾディアーツの攻撃を受け、吹き飛ばされて倒れてしまう…

 

「優くん!?やぁぁぁぁぁ!!」

 

穂乃果は勢い良く走り出し、レオ・ゾディアーツを突くがその腕を掴まれてしまう。そして、首元を掴まれて持ち上げられ、穂乃果は身動きを取れなくなってしまう…

 

「うぅぅ…」

 

「くっ…穂乃果!」

 

俺は立ち上がろうとするが、さっきのダメージで立ち上がれない…

 

「あなた達なんかに…この世界を、みんなを、無茶苦茶にさせない!この世界は…穂乃果達が守ってみせる!」

 

その時、穂乃果の体が光り出す。

 

 

そして、光が止むと…

 

「あれは…ライジングマイティ!?」

 

穂乃果は、仮面ライダークウガ ライジングマイティに変身していた。俺は驚きながらも、立ち上がる。すると、俺が腰につけているライドブッカーからカードが飛び出してくる。俺がそれをキャッチすると、

 

「これは…!?」

 

エンプティ状態になっていたクウガのカードが、復活した。

 

「なんかよく分からないけど、戻ったのか?クウガの力が…」

 

「優くん、一緒に。」

 

「あっ、あぁ…」

 

俺はディケイドライバーに、復活したクウガのカードを入れた。

 

『カメンライド クウガ!』

 

ベルト部分がディケイドのクウガ、仮面ライダーディケイド クウガに変身した。仮面ライダークウガ ライジングマイティと仮面ライダーディケイド クウガ、2人のクウガが並び立った。

 

「「はぁぁぁ…」」

 

『ファイナルアタックライド ク・ク・ク・クウガ!』

 

「「やぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

俺と穂乃果は、同時にレオ・ゾディアーツへとキックした。それにより、レオ・ゾディアーツは爆発した。そして、俺と穂乃果は変身解除した。

 

「やったね、優くん!」

 

「あぁ!」

 

俺は倒されたレオ・ゾディアーツが落とした、獅子座のホロスコープススイッチを拾った。そこに、残りのμ's8人と、蓮と秀夜が変身解除して集まってくる。

 

「けど、なんで穂乃果はライジングマイティに変身したんだ…?穂乃果が使っているコピーされたクウガのベルトには、ライジングに変身するための力は付いていなかったし…

それに、30秒の時間制限なしで使えていた。いや…これは穂乃果自身の力かもな…」

 

「確か、クウガのライジングフォームって、電気ショックを受けて変身出来るようになった姿だよな?」

 

悩んでいる俺に、秀夜がそう聞いてきた。

 

「あぁ…穂乃果、電気ショックを受けた事なんて、ないよな…?」

 

「電気ショック…?」

 

「ほら、心停止した人が受けるやつだよ。」

 

「えぇ、そんなの受けたことないよ?」

 

「だよな…でも、ならなんで…」

 

確かに、そんなの受けたことあるはずないよな…

 

「あっ!」

 

「どうしたことり?何かわかったのか?」

 

「電気ショックじゃないけど、前に秀夜くんと戦ってた時、蓮くんが電気の弾を出して、跳ね返っちゃって、穂乃果ちゃんに当たってたよね?」

 

「そういえば…」

 

確かに、秀夜がダークインフィニティだと分かった時の戦いで、穂乃果にネイチャーピストルから発射された電気砲が当たってしまった事があった。

 

「確かに、ネイチャーピストルは雷と電気の力も宿している…電気ショックと同じ、下手したらそれ以上の電気の力がある。それを受けたから、ライジングマイティに変身出来たのかもしれないな…

けど、クウガに変身した状態で受けたから耐えられたけど、人間の状態で受けていたらどうなっていた事か…」

 

「でも、ある意味ラッキーだったって事だよね?そのおかげで、強くなれたんだし!」

 

「ラッキーって…ライジングの力だって、危険なんだぞ?」

 

「分かってるよ。危険な戦いはしないよ!」

 

「ならいいけど…」

 

「あっ、優。これ、さっきの怪物が落として行ったものよ。」

 

「ウチも拾ったよ。」

 

「おっ、シャチコアメダルにタココアメダル。それにサイコアメダルまで。ありがとな!」

 

俺は絵里とにこと希からコアメダルを受け取った。

 

 

そんなこんなで、無事レオ・ゾディアーツ達を倒した俺たち。

 

けど、俺に残る疑問はもう1つ。クウガのカードが復活したこと。もしかしたら、μ'sの誰かがパワーアップしたら、ディケイドのカードも復活する…?

 

いや、でも姉ちゃんは最強フォームのアイテムは作れないって言ってたし…もしかしたら、穂乃果のライジングマイティと同じように、みんなが自力で力を手に入れる…?いや、そんなまさかな…

 

そんな疑念が残りつつも、1日を終えたのであった…




今回は次回予告はおやすみです。次回から少し長い間、オリジナル回になります。軽い予告として、『近くにいた、お前が悪い。』次回は、あのライダーが登場します!

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96話 蘇った凶悪犯

はい、96話です。

昨日、Aqoursの4thライブにライブビューイングで参加してきました!ネタバレになるのであまり言いませんが、色々なサプライズ演出があり、とても最高なライブでした!今日も同じくライブビューイングでの参加ですが、楽しんできたいと思います!

紅白出場も決まりましたし、とてもおめでたいことばかりですね!

そして、仮面ライダーの方では『平成ジェネレーションズFOREVER』の予告解禁!レジェンドライダーの本人出演などはまだ明かされませんでしたが、平成最後に相応しい映画になりそうでとても楽しみです!

おっと、長く喋りすぎてしまいましたね…

では96話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「美術部の問題もなんとか解決し、予算会議を無事終えた俺たち。そんな俺たちの前に、レオ・ゾディアーツが率いる大量のダスタードと、ガメルとメズールが率いる大量の屑ヤミーが現れた。」

 

穂乃果「ダスタードと屑ヤミーは、蓮くんと秀夜くん。海未ちゃんと凛ちゃん。そしてことりちゃん、真姫ちゃん、花陽ちゃんに別れて全て倒した。」

 

優「メズールはにこと絵里が撃破。ガメルは希が、姉ちゃんから預かったラウズアブゾーバーで仮面ライダーブレイド ジャックフォームに変身して倒した。そして、レオ・ゾディアーツと戦う穂乃果は…」

 

穂乃果「なんと穂乃果は、仮面ライダークウガ ライジングマイティに進化した!その影響で、優くんも使えなくなっていたディケイドのクウガのカードが復活した仮面ライダーディケイド クウガに変身した。」

 

優「俺たち2人は、協力してレオ・ゾディアーツを倒したのだった!」

 

穂乃果「けど、まさか蓮くんの電気砲のおかげで、新しい力を手に入れることが出来たなんて驚いたよぉ。」

 

優「世の中には、何があるか分からないもんだな…」

 

穂乃果「でも、電気ショックを受けた人ってあんな気分なんだぁ…そうた!もう1回、蓮くんの攻撃受けたら強くなれるかな?」

 

優「やめとけ。穂乃果はいきなり、時間制限なしでライジングフォームに変身したんだし、これ以上強くなるのは危険だ。もし、究極の力を持つ者に変身してしまったら…」

 

穂乃果「究極の力を持つ者?」

 

優「あっ…いや、なんでもない。さぁ、どうなる96話!」

 

穂乃果「ちょっと、優くん!究極の力を持つ者って何なのぉ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ワン!ツー!スリー!フォー!ファイブ!シックス!セブン!エイト!」

 

放課後、屋上で俺の手拍子と掛け声に合わせ、μ's9人がダンスの練習をしている。

 

「よしっ、もう時間も遅い。今日の練習はここまで。」

 

今日の練習が終わり、蓮と秀夜がスポーツドリンクをみんなに渡した。

 

「疲れたぁ。でも、なんかいい感じだね!」

 

 

「えぇ、だいぶ仕上がってきたわ。」

 

「最終予選まで、もっとしっかりと練習して行きましょう。」

 

穂乃果、絵里、海未の言った通り、みんなのダンスは凄い上達している。

 

「俺達も、しっかりとサポートしないとな。」

 

「あぁ。」

 

「もちろんだ。」

 

俺の隣に来た秀夜が言った言葉に、蓮と俺もしっかり返事した。

 

 

 

着替えた俺達。俺は穂乃果、海未、ことりと帰る。校門を出て来たところで、

 

「あっ、あれ誠くんじゃない?」

 

ことりが1人の男の子を見て、(まこと)くんと言った。

 

「あっ、本当ですね。」

 

「おーい、誠くーん!」

 

ことりはその男の子へ向かって走り出した。それに続いて穂乃果と海未も。

 

「あっ、ことりお姉ちゃん!穂乃果お姉ちゃんに、海未お姉ちゃんも!」

 

「久しぶりですね。」

 

「元気にしてた?」

 

「うん!」

 

海未と穂乃果に聞かれ、元気に答えた誠という男の子。

 

「その子は?」

 

「あっ、この子は誠くん。前よく遊んだりしてたんだ。」

 

「そうなんだ。俺は仮野優。よろしくね、誠くん。」

 

「うん!」

 

「誠くんは、今年小学生になったんだよね?」

 

「そうだよ!」

 

「大きくなったねぇ!」

 

そう言いながら、ことりは誠くんに抱きついている。

 

「もうっ、ことりお姉ちゃん恥ずかしいよぉ。」

 

「誠!」

 

すると、車に乗った女の人が誠くんの名前を呼んだ。

 

「あっ、ママ!じゃあ、僕行くね!またね、ことりお姉ちゃん、穂乃果お姉ちゃん、海未お姉ちゃん!優お兄ちゃんも!」

 

そう言って、誠くんはお母さんの所へ行き、車に乗って走っていった。

 

「元気そうで良かったですね。」

 

「うん、会うのはちょっと久しぶりだったけど、変わってなくて良かった。」

 

穂乃果と海未が、安心してそう言っている。ことりも笑みを浮かべている。そして俺も、去って行く誠くんを見てクスッと笑う。

 

「優くん、どうしたの?」

 

「あのぐらいの子供を見ると、俺改めて思うんだ。あの子達の未来を、しっかり守らないとなって。子供たちの未来を、財団Xに壊されてたまるかってな…」

 

「優くん…そうだね。」

 

ピピピピピピッ!

 

「おっと…早速出番か。場所がちょっと遠いな…急ごう!」

 

「「「うん(はい)!」」」

 

俺たちは、財団Xの現れた場所へ向かった。少し遠いので、急いで走る。

 

 

 

俺たちは、数分で財団Xがいる場所に着いた。

 

「あれは…仮面ライダーガイに、仮面ライダーシザース…?」

 

そこには、ことりと同じVバックルで変身する仮面ライダーガイ、仮面ライダーシザースが人々を襲っていた。後、毎度おなじみおまけのダスタードも引き連れている。

 

「誠くん!」

 

そんな中、近くのコンビニに車を止め、コンビニに寄ろうとしている誠くんと誠くんのお母さんが、一体のダスタードに襲われているのが見えた。俺は走ってダスタードを蹴り飛ばす。

 

「大丈夫?」

 

「うっ、うん。」

 

逃げれるような場所は、なさそうだな…

 

「隠れてて。」

 

俺の言葉で誠くんとお母さんは、近くの物陰に隠れる。

 

「「「変身!」」」「はぁぁぁ…たぁ!」

 

俺は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに、穂乃果は仮面ライダークウガ タイタンフォームに、ことりは仮面ライダー龍騎に、海未は仮面ライダー響鬼に変身して、まずはダスタードを相手にする。

 

「えいっ!これ、借りるね!」

 

穂乃果はダスタードから刀を借り(奪い)、タイタンソードに変えて自身の武器にした。

 

「はぁ!オラッ!」

 

「たぁ!」

 

「やぁ!」

 

俺たちはダスタードを倒し、ガイとシザースの方へ向かった。

 

「ふっ…うぅ!」

 

シザースがシザースバイザーで穂乃果に攻撃する。それを穂乃果は、タイタンフォームの高い防御力で受け止めようとするが、防ぎきれなかった。

 

「うぅ…やっぱり、いつもの敵より強い…だったら、新しい金のクウガで行くよ!はぁぁぁ!」

 

穂乃果は仮面ライダークウガ ライジングタイタンに変身した。更に、タイタンソードもライジングタイタンソードへと進化した。

 

「ふっ!」

 

今度はしっかりと攻撃を防ぐことが出来た穂乃果は、

 

「はぁ!やぁ!」

 

ライジングタイタンソードで、シザースへと斬りかかった。

 

 

 

そして、海未とことりはガイと戦い、俺は穂乃果に加勢しようとした。しかし、俺たちは見落としていた…

 

「誠!危ない!」

 

隠れていた誠くんを、誠くんのお母さんが庇う。俺たちはダスタードを一体取り残していて、そのダスタードが誠くんのお母さんの背中を切りつけた。

 

「しまった!」

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード! 』

 

「はぁぁぁ!!」

 

俺は斬撃を飛ばしてダスタードを倒し、誠くんへ駆け寄る。俺が見てた限り、3人の中で1番誠くんと仲良さそうだったことりも駆け寄る。すると、誠くんのお母さんの傷はかなり深い。

 

「ママ!ママ、起きてよ!」

クソッ…さっき守るって、誓ったばかりなのに…

 

「誠くんは、怪我ないか…?」

 

俺は悔しみながらも、誠くんにそう聞く。

 

「なんで…なんでママを守ってくれなかったの!お兄ちゃん、仮面ライダーなんだよね?だったら、ママ守ってよ!ママを、助けてよ!」

 

涙を流しながら言う誠くん。くっ…誠くんの言う通り、俺は仮面ライダーなのにお母さんを守ってあげることが出来なかった…クソッ!

 

「頼む、治ってくれ!」

 

俺は誠くんのお母さんの傷口に、手を当てる。すると、お母さんの傷口が塞いで行く。気絶はしたままだが、傷は完全に治すことが出来た。

 

「良かった…」

 

レッドメモリーズフォームの力で、傷を治すことが出来て、安心する俺とことり。

 

「何か来る…?ことり、誠くんを頼む。」

 

そんな俺たちに近づくように、コツコツと足音が聞こえてくる。それに気づいた俺は、ことりにそう頼んで身構える。

 

「うん。」

 

俺の言葉に答えたことりは、変身を解いて誠くんを抱きしめる。

 

人影が夕日に照らされ、顔が段々とはっきり見えてくる。そこには、金髪混じりのの白髪の男がいた。

 

「なんだ…お前?」

 

「ここか?祭りの場所は…」

 

「祭り…?怪人がいる所を見て、祭りなんて言うやつ、ただの人じゃねぇな…何者だ?」

 

「南ことりってのは、お前か?」

 

男は俺の言葉を無視して、静かに言った。

 

「私…?」

 

「まぁなんでもいい。そこのお前はライダーか…だったら俺と戦え。」

 

そう言って、男は近くのガラスに、ある物を向ける。

 

「王蛇の、バックル!?」

 

「変身!」

 

男は仮面ライダー王蛇に変身した。

 

「アァ…」

 

「王蛇…!?」

 

『ソードベント』

 

王蛇は専用武器であるべノサーベルを召喚した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

穂乃果のライジングタイタンソードとシザースのシザースバイザーがぶつかり合う。

 

「なかなかやるねぇ…けど、穂乃果も負けないよっ!」

 

そう言った穂乃果を、シザースがシザースバイザー押し斬ろうとする。

 

カキンッ!

 

その攻撃を、ライジングタイタンの高い防御力で受け止める。

 

「やぁ!」

 

そして、そんなシザースをライジングタイタンソードで斬り裂いた。

 

 

 

「はぁ!はぁはぁはぁ!」

 

穂乃果とシザースが戦っている場所より少し離れた所で、海未がガイと戦っている。海未は音撃棒の先から、火の弾を放っていく。そして、一気にガイへ近づき、

 

「たぁぁ!」

 

音撃棒で叩く。

 

「くっ…効きませんか…」

 

『ストライクベント』

 

するとガイは、ストライクベントでメタルホーンを装備した。

 

「たぁ!はぁはぁはぁはぁ、てぁぁ!!」

 

海未は再び音撃棒で叩くが、ガイはメタルホーンで防ぐ。が、海未は更に音撃棒で叩いていく。そんな時、

 

「ん…?これは…!?」

 

海未の音撃棒から赤い光が出てきて、更に海未自身が変身した響鬼の体からも赤い光が溢れてくる。その赤い光が、段々と火に変わっていき、響鬼が紅くなっていく…

 

「はぁぁぁぁ…てやぁ!」

 

海未は、仮面ライダー響鬼紅に変身した。

 

「これは…私の、新しい力?なるほど、行きますよ!はぁぁぁぁ!」

 

海未はガイへと走り出し、音撃棒で叩きつける。

 

「よしっ、今度は効いてますね。たぁたぁたぁ!」

 

進化した紅の力でガイにダメージを与えていく。

 

「これで決めます!……んっ…!?どこへ…?」

 

海未がガイにトドメを刺そうとした時、ガイが消えて爆煙が出てきた。

 

 

 

海未の前からガイが消えた数分前…

海未が戦っている近くで、王蛇はべノサーベルを優へ向けて振り落とす。

 

「うっ…一撃が、重い…!?」

 

優はインフィニティソードで辛うじて防いだが、王蛇の重い一撃にダメージを受ける。

 

「これは、長くは戦えなさそうだ。」

 

王蛇との戦いは持久戦では勝てないと考えた優は、一瞬で蹴りをつけようと考える。

 

「はぁぁ!ぐぁ…!?」

 

優はインフィニティソードで王蛇へ斬りかかるが、王蛇に殴られ膝まづいてしまう。

 

「なーんてぇ、なっ!」

 

優は王蛇の腹部を蹴り、王蛇から少し距離をとる。

 

『鎧武!ライダー オレンジフレッシュ!』

 

俺はインフィニティソードに鎧武データボトルを入れた。

その時、

 

「これで決めます!……んっ…!?どこへ…?」

 

一瞬で海未の前からガイが消えた。その事に少し戸惑う海未。

 

それに気づかず、斬撃を王蛇へ飛ばした優。それにより、爆発が起こった。

 

「やったか…?……何!?」

 

しかし、爆煙が晴れると、そこに見えたのはガイを盾にした王蛇の姿が見える。そして、ガイは爆発して消え、その場にガイのバックルだけが残った。

 

「ガイを盾にしやがった…」

 

「近くにいた、こいつが悪い。」

 

「くっ…はぁぁぁ!!ぐっ…」

 

王蛇へ走り出した優だが、王蛇から膝蹴りを受けて倒れる。

 

「なんだ、もう終わりか?もっと俺を楽しませろ。」

 

「楽しま、せろ…?っざけんじゃねぇ…俺たちは楽しくて戦ってんじゃねぇんだよ…人を守るために、戦ってるんだよ!」

 

「ハハハハッ!人を守るために戦う?そんな綺麗事を言うライダー、前にもいたな…お前を見てると、イライラする…あぁ…!」

 

「ぐぁっ!?」

 

倒れている優を躊躇いもなく踏みつける王蛇。

 

「優!たぁぁぁ!」

 

そんな優を助けようと、海未も王蛇へ突進していく。

 

「くぅっ…!?」

 

しかし、紅に進化した海未の体当たりでも、王蛇へダメージは与えられない。逆に、べノサーベルで反撃を受け、強制変身解除して倒れてしまう。

 

「優くん!海未ちゃん!変身!」

 

ことりは仮面ライダー龍騎に再び変身し、

 

『ソードベント』

 

ドラグセイバーを呼び出し、王蛇へ斬りかかる。それを王蛇は、べノサーベルで受け止める。

 

「その姿…!?城戸と同じか。」

 

「城戸?なんだかよく分からないけど、これ以上あなたに暴れさせない!」

 

「ふははは…お前に俺を止められるのか?はぁ!」

 

王蛇はことりを斬りつける。

 

「うぅ…まだまだ。やぁ!」

 

ことりはドラグセイバーを王蛇へ振り落とす。しかし、王蛇は何事も無かったかのように、ビクともしない。

 

「嘘…」

 

「あぁ?はぁ!あぁ!」

 

「うっ…きゃっ!?」

 

「ふははは…これだからライダーの戦いは面白い。生きるか死ぬかの命の奪い合い、こんな面白い事は無い。アァ!」

 

「きゃっ…」

 

ことりは王蛇の攻撃を受け、強制変身解除してしまう。

 

「ことり…」

 

優はさっきまでのダメージで、まだ足が震えながらもなんとか立ち上がる。

 

「はぁぁぁあ!」

 

優は王蛇に殴りかかるが、王蛇はそれを腕で防ぎ、優を蹴り飛ばす。

 

「うっ…ぐはぁ!」

 

『ファイナルベント』

 

王蛇はべノバイザーにファイナルベントのカードを入れた。すると、王蛇の契約モンスター、ベノスネーカーが現れた。そして後ろに飛んで回り、ベノスネーカーの黄色い毒液を浴びながら、優に飛び蹴りを喰らわした。

 

「ぐあぁぁぁぁぁあ!!」

 

その影響で、優は強制変身解除。その優には、胸元から血が流れ、血反吐を吐いた。そして王蛇も、変身解除した。王蛇に変身していた男は、近くに落ちていた鉄パイプを拾う。

 

「ふははは…アァ…!」

 

「ぐっ…」

 

王蛇に変身していた男が、倒れている優の顔面を鉄パイプで叩きつける。

 

「ぐぁぁ…!」

 

更に男は、優の髪の毛を引っ張って顔を持ち上げ、優の顔面を地面に叩きつけた。王蛇に変身していた男は、意識が朦朧としている優に、躊躇なく痛めつけている。

 

「なんだ?こんなもんか、仮面ライダーってのに。もっと俺を楽しませろよ。」

 

「優!!?」

 

「もうやめて!!」

 

海未とことりが、そう叫ぶ。

 

 

少し離れた所で、シザースと戦っている穂乃果は、優が男から痛めつけられていることに気づいてない。

 

 

 

更に少し離れたところ。

 

「浅倉威。やはり彼を利用するのは正解なようですね。以前ナイトオブサファリガシャットのデータを取る時にも、いいように使われてくれましたしね。」

 

「あぁ。けど、あれじゃやりすぎだ。仮野優、やつに死なれては困る。」

 

白い服を着た男が、財団Xの幹部であるグラスが話している。

 

「そうですね。彼を止めてきてください。」

 

「俺が?珍しいな。いつもはお前が行くのに。」

 

「そろそろ、あなたも仮面ライダー達に挨拶してきてはと思いましてね。」

 

「分かった。」

 

そう言って、白服の男は優たちの元へ向かっていく。

 

 

 

「やめて!」

 

優に向けて鉄パイプを振り上げた王蛇に変身していた男…浅倉威にそう叫んだことり、そして海未も仮面ライダーに変身しようとした。その時、

 

「やめろ。」

 

浅倉の鉄パイプを、さっきの白服の男が掴む。

 

「あぁ?お前は、さっきの。」

 

浅倉と白服の男は面識があるらしく、浅倉がそう気付いて言った。

 

「この男に死なれちゃ、俺達が困る。今日のところは一旦引くぞ。」

 

「俺に指図するな。俺を戦わせろ、もっと!」

 

「だから、お前が目的を達成すれば、その望みを叶えてやると言っただろ。戦いたかったら言うことを聞け。」

 

「本当に戦えるんだろうな?」

 

「あぁ。」

 

「あの、あなたは…」

 

突然現れた白服の男に困惑しながら、海未がそう尋ねる。

 

「仮面ライダーに初めましてとでも言っておこうと思ったが、こりゃ完全に意識ねぇな。俺はクロッカー、お前達が敵対している財団Xの幹部だ。」

 

クロッカーと名乗った男の言葉を聞き、やっぱりかと思いながら海未とことりは身構える。

 

「別に、今日お前らと戦いに来たわけじゃない。それより、このまま放っとけば、そいつ死ぬぞ。」

 

そう言って、クロッカーは去っていった。

 

「優くん!」

 

俯きで倒れている優の元へ駆け寄り、優を仰向けにさせる。

 

「きゃっ…!?」

 

「そんな…」

 

優の顔は女子高生が見るには辛いほどに血だらけになっており、それを見た2人も驚きながら青ざめる。

 

「とにかく救急車呼ばないと!」

 

ことりはスマホを取り出し、救急通報をした。

 

 

 

「やぁ!」

 

ライジングタイタンソードでシザースへ斬りかかった穂乃果。それをシザースは、シザースバイザーで防ぐ。そんな戦いが続き、なかなか決着がつかない2人。そこに、さっきのクロッカーという男がやって来た。

 

「シザース。お前も今日のところは引くぞ。」

 

クロッカーにそう言われ、シザースは素直に従ってクロッカーに着いて行った。

 

「あれ?行っちゃった…さっきの男の人、なんだったんだろ…あっ、優くん達のところに戻らないと。」

 

戦いを終えた穂乃果も、優達の所へ向かった。

 

 

 

「優くん!?何があったの!」

 

優が血だらけになっているのを見た穂乃果は、困惑しながら駆け寄る。

 

「王蛇っていう仮面ライダーにやられて…今救急車を…」

 

「優くん…酷い、こんな…」

 

「あっ、そうだ誠くん。穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ちょっと優くんの事お願い。誠くんも心配だから…」

 

「分かりました。」

 

ことりは誠と母親が隠れているところまで行く。

 

「誠くん、大丈夫だった?」

 

「うん…その、さっきはごめんなさい…お兄ちゃんに、酷い事言っちゃった…ママの傷を、治してくれたのに…」

 

「誠くん…誠くんは偉いね。ちゃんと謝れて。」

 

そう言いながら、ことりは誠の頭を撫でる。

 

「うっ…うぅん…?」

 

すると、誠の母が目を覚ました。

 

「ママ!」

 

「誠…大丈夫だった?」

 

「うん!ママ、怖がったよぉ…」

 

そう母親に抱きつき、泣き始める誠。そのまま誠は、泣き疲れてか眠ってしまった。

 

「ことりちゃん。本当にありがとう、この子を守ってくれて。私の傷が治ってるのも、ことりちゃんと一緒にいた仮面ライダーさんが治してくれたんでしょ?」

 

「うん…」

 

「本当にありがとう。良かったら、また誠と遊んであげて。誠、いつも楽しそうにことりちゃんと穂乃果ちゃん、海未ちゃんの事話してるから。」

 

「もちろん。あっ、私たちが仮面ライダーだって言うことは、内緒でお願いします。」

 

「分かったわ。誠にも言っておくわね。」

 

「ありがとうございます!」

 

そして、ことりは2人と別れて優と穂乃果と海未がいる場所に向かった。

 

 

 

「優くん…優くん…」「優…優…」

 

優の名を呼び続けながら、手を握っている穂乃果と海未。

 

 

ピーポーピーポー

 

 

そこに救急車が駆けつけ、救急隊員が優を救急車に入れる。

 

「付き添いの方は?」

 

救急隊員にそう聞かれ、

 

「どうする?」

 

と考える3人。みんな行きたいが、全員が行くわけにはいかない。と思っていたが、

 

「3人ともでも、大丈夫ですよ。」

 

と言われて、3人付き添いで行くことに。

 

 

 

王蛇と戦っていたところは、音ノ木坂学院から少し離れた場所。そのため、西木野総合病院よりも、仮面ライダーエグゼイドの変身者である宝生永夢が働いている聖都大学附属病院の方が近いため、優はそこに搬送された。

 

 

 

聖都大学附属病院に搬送された優は、手術室に運ばれて緊急手術が始まった。

 

「うん、うん。分かった、ありがとう。」

 

手術室の前で待っている穂乃果、海未、ことり、ことりはスマホで通話していた。

 

「お母さんも分かったって。帰りに車で、穂乃果ちゃんと海未ちゃんも一緒に迎えに来てくれるって。」

 

ことりは母である理事長に電話をかけていたようだ。穂乃果と海未も、自身の母に遅くなると連絡し、許可をもらったようだ。

 

「ありがとう。優くん…」

 

3人とも、優を心配して暗い表情を浮かべている。

 

 

しばらくすると、手術室の扉の上に付いている『手術中』というランプが消え、手術を担当していた医者が出てきた。

 

「飛彩先生!」

 

「優は!」

 

3人がそう言って、飛彩に近づく。そう。優の手術をしたのは、かつて仮面ライダークロノスに変身した檀正宗を倒すため共闘したドクターライダーの1人、仮面ライダーブレイブの変身者である鏡飛彩だ。

 

「俺に斬れないものはない。」

 

「って事は…」

 

「成功したのですね!」

 

「良かったぁ…」

 

飛彩の言葉を聞き、穂乃果、海未、ことりの3人はほっとする。

 

「とは言ったものの、かなり危険な状態だった。胃の損傷が激しく、外部からも内部からもかなりの傷があった。もし常人なら、ここに運ばれて来た時点で命はなかっただろう…」

 

「えっ?」

 

「恐らく、仮面ライダーインフィニティに変身した事でか、学生の肉体も強化されているんだろう。だから、生命力や回復力は並のものでは無い。が、その分学生の体にはかなり疲労が蓄積される。」

 

「じゃあ優くんは…」

 

「あぁ。これまで、かなりの疲労を溜めていたのかもしれないな。」

 

「そんな…」

 

「確かに、ここ最近、優は毎日戦ってましたしね。それに、優は私たちを出来るだけ戦いに巻き込ませたくなかったようですし…」

 

「そうだよね…私たちに仮面ライダーに変身する力が手に入った時、私たちが強く戦うって言わなかったら、優くんは私たちを戦わせなかったし…」

 

優の身体の状態を聞いた穂乃果、海未、ことりは驚愕しながらも、納得する部分もあった。

 

「まぁ、学生は全治1週間。普通は命を落としていたかもしれないが、学生なら全治1週間で治ってしまうだろう。だが、この1週間は入院生活だ。この1週間で、どれだけ傷も疲労も回復できるかだな。」

 

「優くんは、いつ目覚めるんですか?」

 

「明日にでも目覚めているだろう。今日はもう遅い、帰った方がいい。」

 

「「「ありがとうございました!」」」

 

3人は飛彩に心から礼を言い、頭を下げた。それを聞いて、飛彩はほんの少し、気づかれない程度の笑みを零し、去っていった。

 

そして、ことりの母である理事長の車が聖都大学附属病院まで着いた。その車に乗って、3人は帰って行った。

 

 

 

 

時を同じくして、グラスとクロッカーは浅倉威を連れ、財団Xのとある基地に来ていた。

 

「おい、何故俺を止めた!もっと俺を戦わせろ!」

 

「落ち着きなさい。あなたがしっかりと、役目を果たしてくれたら約束しますよ。あなたが完全に生き返って、永遠の戦いを。」

 

「チッ…あの女を捕まえてくればいいんだろ?城戸と同じ、龍騎に変身したあの女を。」

 

「えぇ。しかし、彼女も仮面ライダー。そう簡単に捕まえられないでしょう。さっきの戦いで、仮野優を痛めつけたあなたを、警戒しているでしょうし。そこで、この女を捕まえてください。」

 

そう言って、グラスは1枚の写真を浅倉に見せた。その写真に映っているのは、高坂穂乃果。

 

「この女…高坂穂乃果も仮面ライダーですが、さっき仮野優を痛めつけたあなたを、直接は見ていない。南ことりよりは、警戒心は薄いはず。だから、この女を人質に取って、南ことり。それから、園田海未を呼び出して、捕獲する。そうすれば、一気に、我々の目的に必要なうちの、3人も捕獲できます。」

 

「分かった。これが成功すれば、俺は完全に生き返って、永遠に戦えるんだろ?」

 

「えぇ、もちろん。」

 

「ふははは!やっぱり最高だ、ライダーってやつは…!」

 

不敵な笑みを浮かべ、3人を狙い始める浅倉威だった…




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

仮面ライダー王蛇、浅倉威に攫われてしまった穂乃果。穂乃果を助けるため、ことりと海未は再び王蛇に挑む。そんな2人は、新たな力に覚醒する。

次回、『97話 サバイブと最強の鬼』





ライダースペック、紹介コーナー!


仮面ライダーダークインフィニティ

・変身者 黒崎秀夜
・身長 202cm
・体重 93kg
・パンチ力 15.9t
・キック力 29t
・ジャンプ力 51t
・走力 3.5秒(100m)
・変身ベルト インフィニティドライバー
・変身アイテム ダークデータボトル
・武器 ダークソード
・使用ブレス 謎のブレス(後のイボルブブレス)
・使用バイク 謎のバイク(後のライドイボルブ)


黒崎秀夜が財団Xを裏切る前に、変身していた姿。見た目は、ほぼインフィニティが黒バージョン。インフィニティのプロトタイプであり、危険なため保管されていたダークデータボトルを財団X側の女神に盗まれ、それを黒崎秀夜が使用していた。

インフィニティのプロトタイプなのにインフィニティよりスペックが高いのは、危険な闇の力を持っているため。また、ダークインフィニティよりもスペックが高いレッドメモリーズフォームやサンダーフォームに勝ったことがあるのは、黒崎秀夜の実力。

ダークインフィニティ時代は使用していないが、腕に付けているブレス(後のイボルブブレス)を使い、ゲンムやネクロムなどのレジェンドライダーに変身可能。





今回はダークインフィニティのスペック紹介をしました!そして今回、浅倉威が登場!東映特撮ファンクラブ限定の仮面ライダーブレイブ、ビーストスクワッドで1度復活してますし、それにも財団Xが関わってます。今回はそれより後の話になっています。

そして優のピンチ…更に次回、ことりと海未が手にする新たな力とは…次回もぜひ、ご覧下さい!

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97話 サバイブと最強の鬼

はい、97話です。

皆さん、2週間投稿を休んでしまいすみません。少し私生活の方が忙しくて、投稿が出来ませんでした…不定期更新と言っていますが、一応週一ペースでは更新していくつもりです。しかし、今回のように予告無しに休んでしまうこともあると思います。すみません。

では97話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「俺、穂乃果、ことり、海未。その4人の前に、仮面ライダー王蛇、浅倉威が現れた。そんな王蛇と戦う俺たちだが、王蛇の圧倒的なパワーに押されてしまう…そして、俺は王蛇に倒されて病院に搬送された。なんとか一命を取り戻したが、意識不明のまま…

 

えっ?じゃあ今話してる俺は誰かって?それは…大人の事情ってやつだ。

 

とっ、とにかく、どうなる97話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「うっ…うぅ…ん…?」

 

俺が目を覚ますと、白い天井が見えた。

 

「ここは、病院か…?そうだ。俺、王蛇に…」

 

とりあえず、ナースコールを押すべき、だよな…?俺がそう悩んでいると、

 

「目が覚めたのか、学生。」

 

飛彩さんが入ってきた。

 

「飛彩さん…ってことは、聖都大学附属病院に入院したんですね。」

 

そう言いながら、俺は病室に置いてあるデジタル時計を見る。時刻は午後5時。日付は王蛇と戦った次の日だった。

 

「って、俺こんなに寝てたんですか!?」

 

「あぁ。無理もない話だろう。お前が運ばれてきた時一緒にいた3人には言ったんだが、学生の体はかなり強化され、生命力や回復力が並のものでは無い。それは自分でも分かっているんだろ?」

 

「はい。仮面ライダーインフィニティに変身した事で、俺は普通の人よりも高い回復力を持っています。」

 

「そうか…しかし、それによって蓄積された疲労も溜まっていた。今回は少なくとも、1週間は入院だ。」

 

「そんな!その間に財団Xが現れたら…」

 

「1週間は入院しないと、まともに戦う事なんて出来ないぞ。それに、お前の仲間だって、戦えるようになったんだろ?」

 

「けど、今回の敵は強敵です…人を殺すことになんの躊躇いもなく、戦いをただ楽しんでいる。μ'sは最終予選だって近いのに、そんな危険な相手と戦わせる訳にはいかないんです。」

 

「だが、危険な相手と戦ってまた傷を負うことなるのは、お前も同じだ。」

 

「違います!俺は人を守るために仮面ライダーになったんです!俺が今1番やらなきゃいけないことは、人を助けることと、μ'sのみんなをサポートする事なんです。だから、俺は戦わなきゃいけないんです…そのために、俺は…」

 

この世界に転生してきたんだ…最後のその一言は、声に出さず心に深く言い聞かせた。

 

「俺はお前が何を背負っているのかは知らないが、このまま無茶を続けると学生自身が持たなくなる。それは、しっかりと自分でも覚えとけ。それで、今回の敵はどんな相手なんだ?」

 

「王蛇っていう仮面ライダーに変身する男です。」

 

「王蛇?まさか…そのライダー、蛇のモンスターの力を使ってなかったか?」

 

「えっ?あぁ、はい。使ってました。知ってるんですか?」

 

「あぁ。俺の知っている王蛇だとしたら、やつの名は浅倉威。俺も1度戦ったことがあるだけで、詳しくは知らない。が、やつは1度死に、何者かの力によって蘇ってきたらしい。その時俺と戦った。その時また死んだはずだが、まさかまた蘇っていたとは…医者としては信じられないな。」

 

「もしかして、前に浅倉威が蘇った時も、財団Xが関わっていた…?飛彩さん、何か財団Xが関わってそうな手がかりとか、ありませんでしたか?」

 

「いや、そんなものは特になかったぞ。強いて言えば、その時使ったナイトオブサファリガシャットが、消えたことぐらいだ。」

 

「ガシャットが、消えた…その、ナイトオブサファリってガシャットは、黎斗さんが?」

 

「いや、確かあのガシャットは研修医が…待て、確か財団Xという組織は、白い服を着ているのが特徴だったな?」

 

「はい。」

 

「確か、ナイトオブサファリガシャットは研修医が白服の男とぶつかった時に、ポケットに入れられていたと言っていた。」

 

「じゃあやっぱり、その時も財団Xが…だとしたら、財団Xは死人を蘇らせる事が出来るのか…?」

 

 

コンコン

 

 

その時、俺がいる病室の扉がノックされ、俺と飛彩さんの会話は途切れた。

 

「優くん、目が覚めたんだ!良かったぁ…」

 

俺の病室に入ってきたのは、ことり、海未、蓮、秀夜が入ってきた。

 

「あぁ、悪いな。心配かけて。」

 

「ううん。みんなも来たがってたけど、病院に大勢で行くのは迷惑だと思って、練習を早めに終えて4人で来たんだ。」

 

「……ありがとな。」

 

「りんご買ってきたんで、剥きますね。」

 

そう言って、海未がりんごの皮を剥き始める。

 

「ありがとう。」

 

「あんたが鏡飛彩さん?」

 

俺が穂乃果達と話している時、蓮が飛彩さんにそう言った。

 

「なんだお前は?」

 

「初めまして、俺は宮崎蓮。仮面ライダーネイチャーだ。」

 

「俺は黒崎秀夜。仮面ライダーイボルブです。」

 

天才外科医であり、年上の飛彩さんに堂々と挨拶する蓮と、実は意外と礼儀正しい秀夜が自己紹介した。

 

「新しい学生の仲間か。俺は鏡飛彩、天才外科医だ。」

 

「自分で天才って…」

 

「事実だからな。俺に斬れないものはない。」

 

そんな感じで、蓮と秀夜が飛彩さんに挨拶を済ませた。

 

「どうぞ。」

 

「いただきます。」

 

俺は海未が剥いてくれたりんごを食べる。すると、また扉が開いた。

 

「お兄ちゃん大丈夫!?」

 

「優奈、雪穂ちゃんに亜里沙ちゃんまで。来てくれたのか。」

 

病室に入ってきたのは優奈、雪穂ちゃん、亜里沙ちゃんの3人。

 

「当たり前だよ。入院したなんて聞いたから、学校終わって慌てて来たんだよ?お姉ちゃんも、仕事が終わったら来るって。それで、私の話聞いて、雪穂も亜里沙も来るって。」

 

優奈が言う仕事とは、女神様の仕事の事だろう。

 

「2人とも、ありがとな。」

 

「いえ、私達も心配ですから!」

 

「私もです!」

 

そう言う雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんを見て、彼女たちは本当に優しいんだと思った俺。μ'sのみんなも然り、この世界に来てからは、本当に優しい人達と出会ったんだなと実感する俺であった。

 

「そういえば雪穂、穂乃果の具合はどうですか?」

 

「穂乃果の具合?」

 

海未の言葉を疑問に思った俺がそう聞くと、ことりが答える。

 

「穂乃果ちゃん、今日お休みだったの。だから、風邪なのかなって思って。連絡しても、出れないみたいだし…」

 

「えぇっ、お姉ちゃんが休み?お姉ちゃんなら、朝『遅刻だー!また海未ちゃんに怒られるー!』って騒ぎながら行きましたよ?」

 

「そうなんですか?待ち合わせ場所に穂乃果がいつまで経っても来ないので、学校に行ったんですが、結局1日来ませんでしたよ?」

 

「そんなはず、ないと思いますけど…」

 

海未と雪穂ちゃんの言葉を聞いて、俺は嫌な予感がした。

 

「飛彩さん、俺もう退院します。」

 

「お兄ちゃん、何言ってるの!?」

 

「馬鹿を言うな。少なくとも1週間は、ここに入院してもらう。」

 

「でも、穂乃果が理由もなしに学校に行かないわけない。何かあったのかも…」

 

「それは私たちに任せてください。優はしっかりと、休養を取ってください。」

 

「でも、もし浅倉が関わってるなら、危険すぎる…」

 

「俺と秀夜もいるんだし、大丈夫だ。とりあえず、お前は体を回復させる事だけを考えろ。」

 

「みんな……分かった…穂乃果を頼んだ。」

 

みんなに反対され、俺は渋々入院生活を続けることになった。

 

「あっ!」

 

「秀夜?」

 

「どうかしたのか?」

 

突然声を上げた秀夜に、俺と蓮が問いかけた。

 

「そういえば、穂乃果が持ってるハイパーメカアニマルから、通信とかなかったのか?敵の反応をキャッチすると、優のスマホとインフィニティブレスに連絡来るって言ってたよな?」

 

「そういえば…あっ、通信が来てた!寝てたから気づかなかったのか…朝6時前。穂乃果が朝練のために神田明神に向かってる途中、財団X…恐らく、浅倉威が襲ったんだろう。場所は、ここだ。」

 

そう言って、俺はスマホの地図を見せる。そこには、今穂乃果が持ってるベアーハイパーメカアニマルに付いてる発信機が示している場所が表示されている。

 

女子高生に発信機の付いている物を持たすのはちょっとあれだが、今回のような緊急事態にしか使わない。それに、穂乃果たちの了承も得ている。

 

「とにかく、俺達はそこに向かう。優はしっかりと休んどけよ。」

 

「悪い、頼む。」

 

そして、4人は病室から出ていった。優奈たち3人も、帰って行った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

俺たち4人は、発信機が示している場所に来た。そこは使われていない廃工場。いかにもって感じの場所だな…

 

「海未、ことり。危ないし、俺と秀夜に任せてもいいんだぞ?」

 

俺が2人にそう言うが、

 

「逆に、これまで危なくなかった戦いなんてありません。」

 

「それに、穂乃果ちゃんが攫われたんだよ。私たちだって心配だし、助けたい気持ちは同じだよ!」

 

海未とことりの答えは変わらない。

 

「分かった。」

 

そして、まずは俺と秀夜が。それに続いて、海未とことりが廃工場に入る。

 

静かに廃工場の中へ入っていくと、廃工場の奥にある部屋へとたどり着く。恐らく、この部屋に浅倉がいると思う…

 

「隠れながらは無理か…正面から行くしかない。入るぞ。」

 

俺はドアノブに手をかけ、ドアを思いっきり開けた。

 

「穂乃果!」

 

しかし、ドアを開けた先には、鎖が巻かれているベアーハイパーメカアニマルしかなかった。

 

「これは…フェイクを仕掛けられたってことか…」

 

「そんな…穂乃果ちゃん…」

 

「これじゃ、穂乃果の居場所の手がかりが…」

 

「聞いた浅倉威の人物像から考えても、浅倉威がこんな事考えるとは思えない。やっぱり、財団Xの指示か…」

 

唯一の穂乃果の手がかりが外れた事に、落胆する俺たち。

 

「こうなったら、とにかく探すしかねぇ…もう暗いし、2人は帰った方がいい。」

 

「後は俺達が探しておくから。」

 

「でも!」「ですが!」

 

「もしかしたら、2人も狙われてるのかもしれないんだぞ。送ってくから、2人は帰れ。」

 

「……うん…」

 

「分かりました…」

 

俺は海未を、秀夜はことりを家まで送るため、別れてそれぞれを送り届けた。

 

 

「じゃあ、また明日な。俺は穂乃果を探してくる。」

 

「はい。見つかったら、連絡してください。後、この子を貸しておきます。良かったら、使ってください。」

 

そう言って、海未はカードを1枚取り出し、そこからラビットハイパーメカアニマルを召喚した。

 

「これ、海未のラビットハイパーメカアニマル。ありがと。」

 

俺はラビットハイパーメカアニマルを受け取って、

 

『スペシャル召喚 ライドネイチャー!』

 

「行ってくる!」

 

ライドネイチャーを走らせた。

 

 

 

しばらく走っていると、前からライドイボルブに乗った秀夜が見えた。

 

「秀夜!」

 

「蓮、とりあえず俺達が持ってるメカアニマルにも手伝ってもらって、手当り次第に探すしかない。」

 

「あぁ。」

 

『『『スペシャル召喚』』』

 

『ドラゴンメカアニマル!』

 

『ウルフハイパーメカアニマル!』

 

『バットハイパーメカアニマル!』

 

俺達は一体のメカアニマルと、2体のハイパーメカアニマルを起動させた。

 

「ことりから、こいつも預かってきた。」

 

そう言った秀夜の手の上にいたのは、ことりのシープハイパーメカアニマル。

 

「お前も、手伝ってくれるか?」

 

フェイクの廃工場に仕掛けられていた、穂乃果のベアーハイパーメカアニマルに聞くと、小さく頷いた。5体のハイパーメカアニマルと、ドラゴンメカアニマルに、穂乃果の捜索に向かってもらった。

 

「よし、俺達も探すぞ。」

 

「あぁ。」

 

俺と秀夜も、バイクを走らせて、穂乃果を探しに向かった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「穂乃果ちゃん…」

 

家に帰ってきたことりは、自室で1人、穂乃果を心配して声を漏らす。

 

 

「穂乃果…」

 

それと時を同じくして、海未も自室で1人、穂乃果を心配して声を漏らす。

 

 

そんな2人のスマホに、同時に電話がかかってくる。

 

「穂乃果ちゃん!?」

 

穂乃果からの連絡かと思ったことりだが、

 

「違う…非通知だ。誰からだろう…?」

 

穂乃果ではなく、非通知からの電話だった。少し疑問に思いながらも、ことりは電話に出る。

 

「はい、もしもし。」

 

『どうも。南ことりさん。』

 

「どこかで聞いたことがある声…えっとぉ…ごめんなさい、誰ですか?」

 

『財団Xのグラス、と言ったら分かりますか?』

 

「…!?あなたが私に何の用ですか?」

 

さっきまでのぷわぷわしたことりの声のトーンが、少し下がってそう聞いた。

 

『あなたの大切なお友達、今どこにいるか分からない方がいますよね?』

 

「まさか、穂乃果ちゃん!?やっぱり、あなた達が穂乃果ちゃんを…穂乃果ちゃんを返して!!」

 

『まあまあ、少し落ち着いてください。』

 

 

そして、海未の方にも同じ内容の電話が、財団Xのクロッカーから電話がかかってきていた。

 

「穂乃果をどこにやったんですか!」

 

『まぁ、落ち着け。高坂穂乃果を返して欲しかったら、こちらの要求を飲んでもらう。』

 

「何が目的ですか…」

 

『明日の午前8時、今から言う場所に、お前と南ことりの2人だけで来い。もちろん、他言無用でな。』

 

「私とことりの2人…何故ですか?」

 

『別に、そんな事話す必要などない。高坂穂乃果を助けたければ、俺達の言うことを素直に聞け。場所は…』

 

そして、海未はクロッカーから場所を伝えられる。

 

「分かりました…」

 

海未がそう言ったのを聞いて、クロッカーは電話を切った。

 

「穂乃果…絶対に助けます!そうだ、ことりに…」

 

海未はクロッカーとの電話を切ったスマホの連絡先を開き、ことりに電話をかける。

 

「ことり!」

 

『海未ちゃん!もしかして、海未ちゃんにも電話が?』

 

「もしかして、ことりにも?」

 

『うん。』

 

「ことり、覚悟は出来てますか?」

 

『もちろん。蓮くんや秀夜くん、優くんにも内緒って事だよね?』

 

「えぇ…他言無用と言っていましたし。それに、優に話した場合、病院を抜け出してしまうでしょうし。」

 

『そうだね。じゃあ、また明日ね。』

 

「えぇ。」

 

そう言って、海未とことりは電話を切った。

 

 

 

海未と電話を終えたことり。

 

「穂乃果ちゃん…絶対に助けるよ!でも、今の私じゃ、あの浅倉って人の強さには…」

 

穂乃果を助けたい気持ちでいっぱいなことりだが、浅倉威の強さに敵わないと思ってしまうことり。そんな時…

 

 

キーン…キーン…キーン…

 

 

と音が聞こえた。

 

「なっ、なんの音…!?もしかして、この中から?」

 

音の出どころを探ったことりは、自室の鏡からだと気づく。すると、鏡の中に3体のモンスターがいる。

 

「あれって、確か…ミラーモンスター?」

 

鏡の中にいたのは、ゲルニュートという赤いミラーモンスターが3体。

 

「そういえば、仮面ライダー龍騎は本当は鏡の中の世界、ミラーワールドで戦うんだったよね。よしっ!」

 

ことりは、その鏡に龍騎のデッキを向ける。すると、Vバックルがことりの腰に巻き付けられる。

 

「変身!」

 

ことりはVバックルに龍騎のデッキをセットし、仮面ライダー龍騎に変身した。

 

「しゃっ!」

 

そう言って、ことりはミラーモンスターへと入っていった。

 

 

 

ことりはミラーワールドに入るまでの異次元空間、ディメンションホールに入ってきた。そこに、ライドシューターが置いてある。

 

「これに乗らないと、ミラーワールドに行けないんだよね…?バイクの免許とか持ってないけど…仕方ないよね。」

 

そう言って、ことりはライドシューターに乗り込んだ。

 

 

ライドシューターを走らせ、ミラーワールドまでやって来たことり。そこに3体のゲルニュートがいる。

 

「やぁ!」

 

ことりは3体のゲルニュートへ殴り掛かる。

 

「穂乃果ちゃんを助けないといけないのに、あなた達の相手なんてしてられないんです!」

 

『ストライクベント』

 

ことりは腕にドラグレッターの頭部、ドラグクローを取り付けた。

 

「はぁ…やぁぁぁ!」

 

ことりはドラグクローから炎を吐き出し、まずは2体のゲルニュートを倒した。

 

『ファイナルベント』

 

すると、ドラグレッターが現れ、ことりは空中へ飛んだ。そして、ドラグレッターが吐き出した炎に包まれながら、残りの1体のゲルニュートへドラゴンライダーキックを放ち、倒した。

 

「よし…」

 

ゲルニュートを倒した事を確認したことりは、ミラーワールドから現実の世界に戻ろうとした。その時…

 

「ん…誰?」

 

ことりの前に、人影が見えた。

 

「仮面ライダー…?」

 

その人物…といえるのか分からないが、そいつは金色の仮面ライダーだ。

 

「私は仮面ライダーオーディン。」

 

「オーディン…?あなたは、何者?」

 

「知る必要は無い。」

 

そう言った仮面ライダーオーディンは、1枚のカードをことりに投げた。それをことりは、人差し指と中指で挟み取った。

 

「これって、アドベントカード?」

 

ことりが受け取ったアドベントカードには、炎の中に鳥の羽が描かれている『サバイブー烈火』のカード。

 

「これを使え。そして戦い、強くなれ。南ことり。」

 

そう言って、去ろうとするオーディン。

 

「待って!このカードは何?あなたは、何者なんですか!」

 

その疑問に答えないまま、オーディンは去っていってしまった。

 

「なんだったんだろう…」

 

そう疑問を残し、ことりはミラーワールドから通常の世界に戻った。

 

 

 

その頃、海未は家にある道場で黙想し、正座していた。

 

「(穂乃果を助けるには、もっと強くならなければなりません。しかし、期限は明日の8時…何としてでも、穂乃果を助けなければ!)」

 

海未はそう心に誓い、音撃棒を取り出し特訓を始めた。

 

 

「駄目です…この程度の力じゃ、王蛇には勝てない…」

 

額に汗を流しながら言う海未。

 

「進化した響鬼紅の力でも、王蛇にダメージを与える事すら出来なかった。もっと…もっと強く!はぁ!」

 

海未は再び、音撃棒で敵を倒すイメージで特訓を始めた。

 

 

 

その頃、穂乃果が捕えられている場所では…

 

「なんでこんな事するの?」

 

浅倉威に、椅子に縛られている穂乃果がそう問いかけた。

 

「なんで?面白いからに決まってるだろ。ライダー同士の戦い、生きるか死ぬかの戦い、こんなに面白いことはない。」

 

「戦いが面白い?なんで、そんな風に思えるの?穂乃果は、仮面ライダーになってみんなを守るために戦ってる。けど、相手が悪い怪物だと分かっていても、殴ったりするのは泣きそうになるぐらい辛いよ…」

 

「ふんっ…人を守るため?そんなのただの綺麗事だ。他人のために戦って何になるってんだ。」

 

「だって、知らない人だとしても、怪物たちに命を奪われていくのは辛いんだもん!それをただ見てるだけなんて、穂乃果は耐えられない。穂乃果は、人の笑顔を見たい。だから、穂乃果は戦うの!」

 

「昔1人いたな。そんな事を言うやつが…」

 

「えっ…?」

 

キーン キーン キーン

 

すると、近くの鏡から音が鳴る。

 

「なっ、何?」

 

焦る穂乃果とは対照的に、浅倉は動じない。そんな鏡の中に見えたのは、浅倉に盾にされたガイの契約モンスターであったメタルゲラス。

 

「お前は…そうか。契約者を殺されたから、俺を殺しに来たのか。」

 

すると、浅倉へ向かってメタルゲラスが飛び出し、浅倉の命を奪おうとしてくる。そんなメタルゲラスに向かって、浅倉は1枚のカードを翳す。すると、そのカードが光り、メタルゲラスが吸い込まれた。

 

浅倉が翳したカードは『コントラクト』。そのカードにメタルゲラスが吸い込まれた事で、浅倉はメタルゲラスと契約した。

 

 

 

 

 

そして、翌朝を迎えた。ことりは母と2人で朝食を取っている。

 

「仮野くんの様子はどうだった?」

 

「うん。もう目が覚めてて、1週間で退院だって。あのね、お母さん。今日、ちょっと遅刻しちゃうと思う。」

 

「えっ?」

 

ことりが言った言葉に、ことりの母は疑問の声を漏らす。

 

「けど、絶対に行くから。穂乃果ちゃんと、海未ちゃんと一緒に。」

 

「ことり…分かったわ。絶対、無事に帰ってきてね。」

 

「うん!」

 

ことりが仮面ライダーだと知っていることりの母は、ことりの真剣な眼差しを見て、戦いに行くのだと察しが付き、優しくそう声をかけた。そんな母の言葉に、ことりははっきりと答えた。

 

 

 

 

 

「海未ちゃん、おはよう。」

 

「おはようございます、ことり。」

 

「じゃあ、行こっか。」

 

「はい。」

 

待ち合わせ場所で、ことりと海未はそう会話を交わし、穂乃果が捕えられている場所に向かった。

 

 

時刻は8時。海未とことりは、約束の場所にやって来た。穂乃果が捕えられている場所は、ベアーハイパーメカアニマルがいた場所とはまた別の廃工場。やはり、廃工場なだけあって、悪の溜まり場感満載である。

 

「これは、正面からしか入れそうにないですね。」

 

「うん。行こう!」

 

海未とことりは、廃工場の中へと入る。

 

「約束通り来ましたよ!」

 

「穂乃果ちゃんを返して!」

 

そう言いながら中に入った2人の耳に、

 

「海未ちゃん!ことりちゃん!」

 

穂乃果の声が聞こえた。

 

「穂乃果!」「穂乃果ちゃん!」

 

「来たか。」

 

そこに現れた浅倉威。その横には仮面ライダーシザースも。

 

「早く穂乃果を返してください!」

 

「ただで返すわけないだろ。俺を倒したら、その女連れてけよ。」

 

そう言った浅倉は、近くに置いてある鏡に王蛇のバックルをかざす。

 

「変身!」

 

浅倉は、仮面ライダー王蛇に変身した。

 

「あぁ…」

 

「やるしかないようですね。ことり、行きますよ。」

 

「うん!」

 

ことりは浅倉が使った鏡に龍騎のバックルをかざした。

 

「変身!」「はぁぁぁぁ…たぁ!」

 

ことりは仮面ライダー龍騎に、海未は仮面ライダー響鬼に変身した。

 

「「やぁぁぁぁぁぁ…!」」

 

2人は駆け出し、海未はシザース、ことりは王蛇と戦い出す。

 

 

「穂乃果を助けないといけないのに、あなたに構っていられません。はぁぁぁぁ…たぁ!」

 

海未は仮面ライダー響鬼紅に変身した。

 

「はぁ!やぁ!たぁ!」

 

海未は音撃棒でシザースを叩いていき、

 

「灼熱真紅の型!たぁ!」

 

響鬼紅の必殺技、灼熱真紅の型で、シザースを倒した。

 

「ことり!」

 

海未がことりの元へ向かうと、王蛇のべノサーベルによる攻撃に、ことりが押されていた。

 

「たぁ!」

 

海未は音撃棒を王蛇へ振り下ろすが、べノサーベルで防がれる。

 

「あぁ!」

 

「くっ…!?」

 

そして、べノサーベルで斬りつけられ、海未は吹き飛ばされる。

 

『ソードベント』

 

ことりはドラグセイバーで王蛇へ斬り掛かるが、再び王蛇によって防がれる。

 

『ストライクベント』

 

そして、王蛇はストライクベントで、前にガイが使っていたメタルホーンを召喚した。

 

「あれって…前にガイって仮面ライダーが使ってた…なんであの人が?」

 

そう疑問に思ったことりを、王蛇がメタルホーンで突き刺そうとする。

 

「きゃっ!?」

 

その攻撃で、ことりは転ぶ。

 

「ことり!」

 

ことりを助けようとした海未。

 

『ファイナルベント』

 

すると、王蛇が仮面ライダーガイのファイナルベントのカードを使った。すると、メタルゲラスが現れた。

 

「おらぁぁぁぁ…!」

 

王蛇はメタルゲラスに足を乗せ、そのまま海未に向かって突進していき、メタルホーンで海未を突き刺した。それにより、海未は強制変身解除してしまった。

 

「くっ…」

 

「次はお前だ。」

 

『ファイナルベント』

 

王蛇が次にスキャンしたカードは、本来仮面ライダーライアが使うファイナルベントのカード。すると、エビルダイバーが現れ、それに乗って王蛇はことりに突進した。

 

「きゃああああ…!?」

 

その攻撃で、ことりまでもが強制変身解除。

 

「ことりちゃん!海未ちゃん!もう穂乃果の事はいいから、2人だけでも逃げて!」

 

傷ついていく2人を見た穂乃果は、涙を流しながらそう言った。

 

「そういう訳には、いきません…」

 

「穂乃果ちゃんは…大切な、友達だから!だから、私達は…」

 

「負ける訳にはいきません!」「負ける訳にはいかないの!」

 

そう言って、2人は立ち上がった。すると、ことりが持っている1枚のカードから、光が漏れる。

 

「これは…あの金色の仮面ライダーに貰ったカード…」

 

光り出したカードは、仮面ライダーオーディンから貰った『サバイブー烈火』のカード。

 

「園田海未。」

 

その時、財団Xのクロッカーが、海未に向かってある剣を投げた。

 

「これは…?」

 

海未が受け取った剣は、音撃増幅剣・装甲声刃(アームドセイバー)

 

「何故これを私に?」

 

「教える必要は無い。」

 

何故敵であるクロッカーが、パワーアップアイテムである装甲声刃(アームドセイバー)を渡したのか疑問に思った海未。しかし、今はそれどころじゃないと考えた。

 

「変身!」「はぁ…たぁぁぁぁ!」

 

ことりは仮面ライダー龍騎に、海未は仮面ライダー響鬼に再び変身した。

 

そして、ことりは『サバイブー烈火』のカードを、海未はアームドセイバーを取り出した。すると、ことりのドラグバイザーがドラグバイザーツバイに進化した。そして、『サバイブー烈火』のカードをドラグバイザーツバイの口先に入れた。

 

『サバイブ』

 

ことりは、仮面ライダー龍騎サバイブに変身した。

 

「よし…」

 

更に、海未はアームドセイバーを構える。すると、海未は仮面ライダー響鬼紅になり、

 

「はぁぁぁぁ…セイヤッ!」

 

そこに何体ものディスクアニマルが現れ、海未の体に装着されていく。海未は、仮面ライダー装甲響鬼(アームドヒビキ)に変身した。

 

 

 

 

 

その時、優の病室では…

 

「なんだ!?」

 

突然インフィニティブレスから2枚のカメンライドカードが飛び出した。そのカードは、龍騎と響鬼。エンプティ状態だったそのカードに、色がついた。

 

「どういう事だ…?何が起こったんだ?」

 

その事に困惑する優であった。

 

 

 

 

 

そして、王蛇と戦っていることりと海未は…

 

『ソードベント』

 

ことりが『ソードベント』のカードをスキャンし、ドラグバイザーツバイの先端に剣先が伸びる。

 

「「やぁぁぁ!」」

 

海未はアームドセイバーで、ことりはドラグバイザーツバイで王蛇へ斬り掛かる。王蛇はそれをべノサーベルとメタルホーンで防ごうとするが、防ぎきれない。

 

「何…?オラァ!」

 

その事に驚きながらも、王蛇は反撃する。しかし、海未がそれを防ぎ、ことりがそんな王蛇に斬り掛かる。

 

「グァ…!?何故だ…何故俺が負ける!」

 

『ファイナルベント』

 

ことりはファイナルベントのカードをスキャンした。すると、ドラグバイザーが現れ、バイクに変形した。海未はアームドセイバーを構える。すると、アームドセイバーが火を帯び、長くなっていく。

 

「はぁぁ…セイヤァァァ!!」

 

海未はそれで王蛇を斬りつけた。その直後、ことりがドラグバイザーに乗り、走り出した。そしてドラグバイザーが炎を吐き出しながら、王蛇を轢き潰した。

 

「ぐあぁぁぁぁぁ…!?」

 

それにより、王蛇は強制変身解除。浅倉威の体が、段々と消えかけていく。

 

「何故だ…もっと戦わせろ。もっと、たたか…わ、せろ…」

 

そして、浅倉威は消えた。最後まで、戦うことを望んで…

 

「やりましたね…」

 

「うん。穂乃果ちゃん!」

 

「穂乃果!」

 

穂乃果に駆け寄り、縛りを解く海未とことり。すると、穂乃果は涙を流しながら2人に抱きつく。

 

「うあああん!!ありがとぉ!2人ともありがとう!」

 

「気にしないでください。」

 

「穂乃果ちゃんが無事で良かった!」

 

「海未ちゃん…ことりちゃん…ありがとう!」

 

再びお礼を言う穂乃果。

 

「じゃあ、遅刻になっちゃうけど、学校に行こうか!」

 

「えっ?でも、念の為病院へは?」

 

穂乃果の言葉に、海未が驚きながら聞く。

 

「大丈夫!それに、みんなにも会いたいから!」

 

「そうだね!お母さんにも、3人で絶対に帰るって言ったし。」

 

「では、行きましょうか。」

 

無事穂乃果を助けることに成功。3人は、笑い合いながら、音ノ木坂学院へ向かった。

 

 

 

 

その様子を、ある財団Xの基地でカメラを通して見ていたグラス。

 

「終わったぞ。」

 

そこに、何故か海未にアームドセイバーを渡したクロッカーがやって来た。

 

「お疲れ様です。やはり、浅倉威を利用したのは正解でしたね。彼女たちの覚醒は、無事完了しました。」

 

「あぁ。残り6人…いや、7人だな。急ぐぞ。」

 

「えぇ。」

 

そう不敵な笑みを浮かべる2人。

 

「そういえば、復元完了しましたよ。」

 

そう言ったグラスは、丸い石の箱をクロッカーに渡した。

 

「流石はグラス。仕事が早いな。」

 

「あなたの方こそ、まだ意識のない状態の仮野優としか会っていないのに、もう行動に移すのですか?」

 

「あぁ。別に、会ってからじゃなくてもいいだろ。それより、このワームホールは大丈夫なのか?」

 

そう言って、クロッカーは目の前にあるワームホールに目を移す。

 

「えぇ。今は閉じないように、無理やりこじ開けてる状態ですが、大丈夫ですよ。1度閉じてしまっている物なので、また開けてこの場所まで持ってくるのは大変でした。これを復元するのもね。」

 

「悪いな。が、これがあれば奴は人間では無くなっていく。」

 

「でも、それはあなたもでは?」

 

「別に、今更人間でありたいなんて思っていない。」

 

「それもそうですね。」

 

そこで会話を一区切りさせた2人。そしてクロッカーは、グラスからもらった箱をゆっくりと開けていった。

 

一体、その箱の中身とは…




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

凛を好きと自覚した蓮。蓮は凛と出かけたいと秀夜と花陽に相談する中、蓮の意外と純粋な一面が見られることに…

次回、『98話 純粋な想い』





ライダースペック、紹介コーナー!

仮面ライダーイボルブ

・黒崎秀夜
・身長 103cm
・体重 98kg
・パンチ力 60.2t
・キック力 69.8t
・ジャンプ力 59m
・走力 1.9秒(100m)
・変身ベルト フォースドライバー
・変身アイテム イボルブデータボトル
・専用武器 ダークソード、イボルブアロー
・使用ブレス イボルブブレス
・使用バイク ライドイボルブ
・使用バックル イボルブバックル

黒崎秀夜が変身する仮面ライダー。常に進化し続ける仮面ライダーで、上記のスペック以上の力を引き出す可能性もある。変身ベルトであるフォースドライバーは、財団Xが渡したもの。それを元にフォースドライバーのデータを復元した優香が、イボルブデータボトルを開発し、秀夜に渡した。その時、専用武器であるイボルブアローと、必殺用の『インフィニティストライク』のカードを渡した。
常に進化し続ける仮面ライダーであるイボルブには、底知れない力が眠っている…







今回のスペック紹介はオリジナル3号ライダーである、仮面ライダーイボルブ。そして次回は、蓮と凛のメイン回で、久しぶり?の日常要素多めの話です。

見て下さり、ありがとうございました。お気に入り登録、評価や感想など頂けると嬉しいです。次回もぜひ、見てください!


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98話 純粋な想い

はい、98話です。

今回は久しぶりの日常要素多めの話、凛ちゃん&蓮メイン回です。あと、後書きにて告知があるので、後書きまで見ていただけると嬉しいです。

そして、評価☆10を頂きました。初の☆10で、久しぶりの評価だったので嬉しかったです。お気に入り登録も85人を超えて、現在86人です。本当にに嬉しいです。まだお気に入り登録や評価などをされていない方は、良ければよろしくお願いします!

では98話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

 

穂乃果「仮面ライダー王蛇との戦いで負傷し、緊急手術して1週間の入院生活を送ることになった優くん。」

 

海未「そんな時、穂乃果が浅倉威に誘拐されてしまう。穂乃果を返してもらうために、財団Xが持ち出してきた条件は、私とことりが誰にも言わずに来ること。穂乃果を助けるため、私とことりは穂乃果が捕えられている場所へ。」

 

ことり「だけど、圧倒的な強さを持つ王蛇に苦戦する私達。そんな時、私は仮面ライダー龍騎サバイブに、海未ちゃんは仮面ライダー装甲響鬼に覚醒し、王蛇を倒すことに成功。無事、穂乃果ちゃんを助けました!」

 

海未「しかし、何故敵であるクロッカーが、私にアームドセイバーを渡してきたのでしょう…」

 

穂乃果「うーん…あっ!穂乃果を助けようとする2人を見て、やっぱり悪いことはやめようと思ったとか!」

 

海未「はぁ…彼がそんな人情のある人なら、これまで非情に人を殺してきた組織に入ってないでしょう…」

 

ことり「でも、だったらなんでなんだろ…財団Xって、結構謎な行動する時多いよね。」

 

穂乃果「うーん…そうだよねぇ…」

 

海未「まぁ、それをここで考えても仕方ありません。本編を見ていく内に、その謎も解明されると思いますし。では、98話始まります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「「変身!」」

 

蓮と秀夜は、出現した屑ヤミーを倒すため、蓮は仮面ライダーバースに、秀夜は仮面ライダーバース プロトタイプに変身した。

 

『カッターウィング』『ショベルアーム』

 

蓮はカッターウィングの力で飛行し、上空から下降していきショベルアームで屑ヤミーを蹴散らす。秀夜はバースバスターで屑ヤミーを撃ち抜いていく。

 

『クレーンアーム』『ドリルアーム』

 

「おりゃあああ!!」

 

蓮は次に、上空からクレーンアームを伸ばして、その先端に付いているドリルアームで屑ヤミーへ攻撃する。

 

『キャタピラレッグ』

 

蓮は地上に降り立ち、キャタピラレッグで屑ヤミーへと進んでいき、右足のキャタピラレッグで蹴り回す。

 

「蓮、決めるぞ。」

 

「あぁ!」

 

『『ブレストキャノン』』

 

蓮と秀夜は、胸にブレストキャノンを装備する。それにより、蓮は全てのバースCLAWsを装備した姿、仮面ライダーバース・デイに変身した。

 

「「シュー!!」」

 

2人はブレストキャノンからエネルギービームを発射し、全ての屑ヤミーを倒した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ことりと海未が、龍騎サバイブと装甲響鬼に変身!?」

 

俺が入院している聖都大学附属病院の病室に、2年生3人が来て、穂乃果を無事助け出したと報告してくれた。その事に安心していた俺だったが、ことりと海未が新たな力を手に入れたと聞いて驚きを隠せない。

 

何故だ…?姉ちゃんの話では、コピーライダーシステムには、最終フォームに変身するための力は作ってないって言ってたし…

 

「金色のオーディンっていう仮面ライダーが現れて、このサバイブのカードを渡してきたんだ。それを使って変身したよ。」

 

「私は、財団Xの幹部であるクロッカーが渡してきた、アームドセイバーを使って、装甲響鬼に変身しました。」

 

「なんで財団Xが、2人にパワーアップアイテムを渡したんだ…?そういえば、絵里と希にベルトを渡したのも、財団Xだったな…いや、それよりも、開発されてないサバイブとアームドセイバーがなんで…?」

 

俺の頭の中には、考えても分からない疑問ばかり浮かんでくる。そんな中、もう1つある考えが浮かぶ。

 

そういえば、龍騎と響鬼のカメンライドカードも復活したんだった…クウガのカードも、穂乃果がライジングマイティに変身した時だったし…もしかして、μ'sのメンバーが進化する時に、そのライダーのカメンライドカードも復活するのか?ライジングマイティは違うけど、龍騎サバイブと装甲響鬼に至っては最終フォームだし…

 

「優くん。財団Xの具体的な目的って、何か分からないの?」

 

「……いや、俺にもまだ分からない。」

 

穂乃果が聞いてきた事に、俺は半分嘘で答えた。確かに、正確な目的は俺も知らない。が、今の財団Xの狙いは、穂乃果たちμ's9人だと言うことはこの前聞いた。しかし、最終予選も近いみんなに、そんな事言って不安にさせる訳にもいかないからな。

 

「そっか。」

 

「しかし、この力のおかげで、私もパワーアップする事が出来ましたし、損ではなかったのでは?」

 

「そうだな…」

 

けど、これも何かの計画なのでは?そんな事が頭に浮かび、俺は不安に思ってしまった…

 

そして、穂乃果たちは帰り、1日を終えた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

「で、相談ってなんだ?」

 

俺は蓮から相談があると言われ、学校もμ'sの練習も終わった放課後に呼び出された。最近入ったばかりの俺は知らなかったが、μ'sの中ではお馴染み(?)らしいハンバーガー店、ワクドナルドで話をすることにした。まぁ、世界的にも有名店な店舗なだけあって、俺も何度も来たことがある。前世でも有名な店だったけど、名前が1文字変わってるんだよな。

 

優たちとは違って1人暮らしの俺と、今日は咲さんが天界の用事でいないらしい蓮は、ついでに夕食も食べることに。

 

「それが…」

 

「そっ、それが…?」

 

いつもとは違って深刻な表情を浮かべている蓮に、俺は思わず聞き返す。

 

「凛のことを好きだと気づいたはいいけど、どうしたらいいのか分かんねぇんだよ!」

 

「そうか………は?」

 

そうか、と返事してみた俺だったが、蓮が言ってきた内容がただの恋愛相談だと気づいた俺は、思わず「は?」とだけ言った。

 

「は?じゃねぇよ!」

 

「あのなぁ…わざわざ放課後呼び出されて、どんな相談かと思ったら恋愛相談だと思うかよ。」

 

「それは悪かったって。けど、俺にとっては一大事なんだよ。最近、凛を見るとドキドキして、何話せばいいかわからなくなる時があるんだよ……」

 

「……いや乙女か!」

 

意外だな…蓮の事だから、好きだと気づいたら猛アタックでもするのかと思ってた。意外とピュアだな、こいつ…

 

「で、蓮は付き合ったりしたいのか?」

 

「そりゃしたいけど…凛はスクールアイドルなんだし、とりあえずスクールアイドルをやってる間は、告白はしないでいようと思ってる。」

 

「そうか…けど、凛は俺たちと同じ1年生。μ'sの3年生が卒業した後、スクールアイドルを続けるのかは知らないけど、続けるとしたら2年後になるぞ?」

 

「まあな。それに関してはいいんだけど、このままだと高校生活、ずっと凛とまともに話せなくなっちまう!どうすればいいんだよぉ!」

 

「俺に聞くなよ。俺だって、まともに恋なんてした事ないんだぞ。」

 

「えっ?お前、花陽のこと好きなんじゃないのか?」

 

「はぁ?なんでそうなるんだよ?」

 

「だってお前、不良に絡まれてる花陽を助けたんだろ。初対面なのに。てっきり、一目惚れでもしたのかと思ったぞ?」

 

「別に、そういう訳じゃねぇよ。確かに、可愛いとは思うし、気がついたら助けてはいたけど、好きとかじゃない。」

 

「本当にそうなのか?」

 

「そうだって言ってるだろ。それより今は、お前の話だろ。」

 

しつこく聞いてくる蓮から逃れるため、俺は話を元に戻した。

 

「でも蓮は、μ'sのマネージャーになって1番最初に仲良くなったのが、凛なんだろ?今も休みの日は、一緒にラーメン食べに行ったりしてんだろ?」

 

「まぁ、1番話が合ったのも凛だし、仲良いとは思う。」

 

「でも、仲が良いからとは言っても、お前がこの世界に来て凛と知り合ってから、まだ2、3ヶ月だろ。だから、まだ凛の知らないとこもいっぱいあるはずだ。」

 

「確かに、ラーメンが好きだからラーメン食べによく行くけど、他のところに遊びに行ったりとかもしてないな…」

 

「だから、まずは情報収集をしよう。」

 

「情報収集?」

 

「あぁ。凛の事をよく知る人物に、色々聞けばいいだろ。」

 

「なるほど…となると花陽だな。」

 

 

 

そして翌日…

 

「それで急に、私達3人でお昼ご飯を食べようって誘ってきたんだ。」

 

凛について教えて欲しいと蓮が頼んだことに、そう納得した花陽。昼休み、真姫に理由を話して、凛と別々にご飯を食べてくれることに成功。真姫が意外とノリノリで協力してくれた事に、少し驚いた俺と蓮だったが、

 

『べっ、別に友達に恋愛相談されたのが初めてだから嬉しいとかじゃないわよ!仕方なく、手伝ってあげるだけなんだからっ!』

 

と言った真姫を見て納得した。生のツンデレ、初めて見た。

 

そして、3人で昼食を食べながら、花陽に凛について聞く。

 

「それで、凛ちゃんの事について聞きたいんだよね?」

 

「あぁ。凛が行きたい場所とか。」

 

「フムフム…凛ちゃんとのデートスポットかぁ…」

 

「デッ、デート!?」

 

花陽の言葉に、顔を真っ赤にする蓮。

 

「だって、凛ちゃんと2人で遊びに行きたいんでしょ?だったらデートだよ。」

 

「そっ、そうなのか…?」

 

蓮って、こんなにピュアなやつだったか…?

 

「うーん…でも、蓮くんと凛ちゃんって、よくラーメン食べに行ってるよね?」

 

「そうなんだけど…逆に、ラーメンしか食べに行ってないというか…遊びに行ったりしてないんだよな。だから、凛が行きたい場所とか知らないか?」

 

「凛ちゃんが行きたい場所かぁ…あっ!そういえば、ファッションショーのライブ以来、凛ちゃんも可愛い洋服とか着てみたいって言うようになったから、ショッピングとか行ってみたら?」

 

「なるほど…それいいな!」

 

蓮はショッピングデートに乗り気なようだ。

 

「じゃあ、明日は土曜で練習は午前までだろ?その後、1年生で優の見舞いに行くんだし、その帰りに2人で行ってきたらどうだ?」

 

「おっ、おう!そうだな!」

 

少し緊張気味に、そう意気込んだ蓮。

 

「そのまんま、手でも繋いでから帰ってこい。」

 

「てっ、手を!?」

 

「あっ、けどファンの人には気をつけてね。最終予選も近いし、バレたらまずいから。だから、人のいない所に連れて行って、そっと手を繋ぐ。はぁぁ…ロマンチック〜。そのまんま、そっと甘い口付けを〜。」

 

「くっ、口付け!?そそそそれはまだっ、むむむむむ無理!」

 

そう焦る蓮を見て、俺と花陽がクスッと笑う。それにしても、花陽もああいう事には憧れるのか…って、別にそれがどうこうって訳じゃないんだが………そうだよな?…って、誰に聞いてんだか。

 

そんな感じで、蓮のデート大作戦(?)が始まった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 真姫〜

 

「それにしても、珍しいにゃ。蓮くんと秀夜くんとかよちんの3人でご飯食べるのは。なんでなんだろ…」

 

私と凛で昼食を取っている時、そう凛が言った。まぁ、理由を知らなければ珍しいと思うのは無理ないわね。本当は、あなたに想いを寄せる人の恋愛相談なんだけど。

 

「まぁ、たまにはそういう事もあるんじゃない?」

 

「そういえば、真姫ちゃんは今まで彼氏とかいたの?」

 

「ヴェェ!?」

 

突然凛が聞いてきた質問に、驚く私。

 

「何よ急に。」

 

「いいからいいから!」

 

「べっ、別に、今まで言い寄ってくる男は何人もいたけど、私に見合う人がいなかっただけよ!」

 

「って事は、いなかったって事かにゃ?」

 

「そっ、そうよ…急にどうしたのよ?そんなこと聞いてきて。」

 

「えっ?いやぁ…そのぉ…//」

 

急に顔を赤くした凛を、少し不思議に思った私。でも、少し思い当たることがあった。

 

「もしかして、蓮について?」

 

「えっ、なんで分かったにゃ!?」

 

「あなたが恋愛関係のこと聞いてきて、顔を赤くする事なんて、蓮の事ぐらいしか思い当たらないわ。」

 

でも驚いたわ。蓮が凛についての恋愛相談をしてる時に、凛も蓮について恋愛相談してくるなんて…これも、何かの運命ってやつなのかしら。まぁ、運命なんてないとは思うけど…

 

「それで、何を聞きたいの?」

 

「凛、今まで恋とかした事なくって…だから、蓮くんにどうすれば振り向いて貰えるかなって。」

 

「そんな事?自然で良いのよ、自然で。」

 

「自然で?」

 

「えぇ。何かのサイトのアンケートで見たことがあるわ。男の人が好きになる女性は、笑顔が素敵な女性だってね。凛は普段からとても可愛い笑顔してるんだから、そのまんまでいいのよ。」

 

「真姫ちゃん…ありがとっ!」

 

「べっ、別に、大したことじゃないわよっ//」

 

ついいつもの癖で、髪をクルクルさせながら言った私。そんな私を見て、凛がクスクスと笑う。

 

「とにかくっ、蓮とデートにでも行って、さりげなく手でも繋いできなさい。」

 

「デッ、デート!?それに、手を繋ぐなんて…//」

 

「凛!」

 

そう顔を赤らめた凛のとこに、ちょうどいいタイミングで蓮たち3人がやって来た。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「凛!」

 

遊びに誘うため、凛の元へ行き声をかける俺。

 

「蓮くん?どうしたの?」

 

「あっ、あのさ…そのぉ…」

 

誘うんだ、俺!ただ、遊びに行こうって。いつも通りの事…いつも通りの事…なのに、なんでこんな緊張するんだよぉ!大丈夫だ、俺。デートじゃない、遊びに行こうって誘え俺!

 

「あのさ、明日デートしてください!」

 

「デッ、デート!?」

 

しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?デートって、言っちまったぁぁ!ほら、凛も凄い驚いてるし…なんなら、隣にいる秀夜も、花陽も、真姫もビックリしてるし…デートなんて言ったら、絶対断られちまうよぉ…

 

「うっ、うん…よろしく、お願いしますにゃ!」

 

ほらぁ…断ら………えっ…?

 

「えぇ!?いいのか!?」

 

「うん!凛も、蓮くんとデート行きたいにゃ!」

 

少し顔を赤らめながら、そう言う凛。なんだ、俺は夢でも見てるのか…?

 

「じゃあ、明日優のお見舞いの後、デート行こう!」

 

「うん!」

 

そう笑い合う俺たち。しかし、この後俺達は気づく。雰囲気を壊さないため、そっと見守っている3人に、俺たちのやり取りを見られていたという事に。それに気づき、顔を真っ赤にする俺たちであった。

 

 

 

「フッフッフーン〜♪凛とデートっ!フッフッフー!!」

 

凛がデートの誘いを受けてくれた事に喜び、もし周りに人がいたら引かれるレベルの鼻歌を歌いながら、スキップで自宅へ向かう俺。

 

「ん…?うおっ!?」

 

すると、少し強めの風が俺に向かって吹いてきた。俺はその風により、少し尻もちをついてしまう。

 

「なんだ…?」

 

「宮崎蓮ってのは、お前だな…?」

 

そう言いながら、俺の前に現れたのは…

 

「お前は…ウェザー・ドーパント!?」

 

強力なガイアメモリであるウェザーメモリを使用するドーパント、ウェザー・ドーパントだ。確か、天候を操る事が出来るんだったよな…?

 

「質問に答えろ。宮崎蓮ってのは、お前だな?」

 

「あぁ、そうだ。そういえば、財団Xは俺の命も狙ってるんだったな。って事はお前、財団Xか?」

 

「財団X?あぁ、この姿になれる力を渡してきた組織か。」

 

渡してきた組織…?こいつ、財団Xに入ってる人間ってわけじゃないのか?

 

「まあなんでもいい。さっさと片付けるだけだ。」

 

俺はネイチャーブレスからアクセルドライバーとアクセルメモリを取り出す。そして、アクセルドライバーを腰に装着した。

 

『アクセル!』

 

「変……身ッ!」

 

アクセルメモリをドライバーに差し込み、ハンドルを回した。

 

『アクセル!』

 

すると、メモリの名前が鳴った後にバイクのエンジン音が鳴り、仮面ライダーアクセルに変身した。

 

「さぁ、振り切るぜ!」

 

俺はエンジンブレードでウェザー・ドーパントへ斬りかかった。

 

「はぁ!てやぁ!」

 

しかし、それを躱され、

 

「ふんっ!」

 

ウェザー・ドーパントは俺に向かって雷を落としてくる。

 

「ぐぁぁぁっ…!?」

 

「その程度か…ふんっ!」

 

「うおっ!?これは…集中豪雨?」

 

ウェザー・ドーパントは俺がいる所だけに、大雨を降らせてきた。

 

「くっ…だったら!」

 

俺はアクセルドライバーのグリップを握り、ハンドルを再び回した。

 

『アクセル!マキシマムドライブ!』

 

「おりゃあああああ!!」

 

俺はウェザー・ドーパントへ向かって、後ろ回し蹴りを繰り出そうとしたが、その足を掴まれ、阻止されてしまった。

 

「ぐはっ…」

 

掴まれた足を投げられ、俺は後方に飛ばされて倒れてしまう。

 

「お前を、殺す!はぁぁ!」

 

俺の近くまで来て、俺を踏み潰そうとするウェザー・ドーパント。俺は咄嗟に近くに落ちていたエンジンブレードを取り、ウェザー・ドーパントへ突き刺す。

 

「ぐはぁ…!?チッ…一旦引くか。」

 

ウェザー・ドーパントは竜巻を起こし、その場から消えた。

 

「逃げられたか…それにしても、あいつは誰なんだ?財団Xじゃないらしいし。それにしても、ウェザー・ドーパントか…厄介なやつが出てきたもんだな。まぁ、あの様子じゃ使ったガイアメモリは、ウェザーメモリだけのようだな。」

 

俺は文句を零しながら、家へ帰った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

今日は土曜。μ'sの練習は午前までらしく、μ's1年生3人と、マネージャーの蓮と秀夜がお見舞いに来てくれた。ちなみに、飛彩さんの話では、明日か明後日ぐらいには退院出来るらしい。

 

「悪いな。お見舞いに来てもらって。」

 

「いっ、いや、気にすんなよ!」

 

「そっ、そうにゃ!優くんが入院したのに、お見舞いに来ないわけないにゃ!」

 

そう蓮と凛が言ってくれるのだが…

 

「どうしたんだ?2人とも、なんな緊張でもしてるのか?」

 

「いっ、いや!なんでもないぜ!」

 

「そっ、そうにゃ!」

 

「ん…?」

 

何故かあたふたしている2人に俺は疑問に思い、秀夜に目を向ける。すると、秀夜は『あとでいう』と口パクしてきた。多分だけど。

 

 

それから、しばらく病室に居たみんなは、帰っていった。さっきの事について秀夜に聞くため、秀夜だけは残っていた。

 

 

「なるほどな、それであんなに緊張してたのか。」

 

蓮と凛は、これからデートに行くため緊張してたと聞いた俺。

 

「あの2人がデートねぇ…これで少しは進展するといいけどな。」

 

「まぁ、蓮は凛がスクールアイドルでいる間は、告白しないでおこうかと悩んでいたがな。」

 

「ふーん…まぁ、2人とも鈍感だからなぁ…お互いの想いに全然気づいてないし。」

 

「そっ、そうだな…(いや、優も鈍感だろ…こんなに近くに、自分に好意を寄せてる人物が7人もいるってのに気づいてないんだから…)」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「「……」」

 

俺と凛は聖都大学附属病院を出たところで、無言で立ち止まっている。

 

やべぇ…どうするどうする、俺!?俺、デート経験なんてないぞ!ってか、俺もう完全にデートって認めちゃってるし…やばい、どうしよ、緊張する…けど、ここで立ち止まっている訳にもいかない。行くぞ、俺!

 

「「あのっ!」」

 

まさかの同じタイミングで話し出したぁ!?嘘だろ、そんな漫画とかアニメみたいな展開あるかぁ!?

 

「「プッ…あはははっ!」」

 

そんな状況に笑いが止まらなくなった俺と凛は、思わず吹き出してしまう。しかし、これまた漫画とかアニメみたいな展開だな。

 

「なんか、いつもは普通に話してるのに、改めて2人でちゃんとお出かけするってなると、なんか緊張するにゃ。」

 

「そうだな。」

 

緊張が少し和らいだ俺達は、笑いながらそう話す。

 

「よしっ、じゃあ今からは出来るだけ通常運転に戻って、行きますか!」

 

「うん!」

 

 

そして、ショッピングモールにやって来た俺たち。

 

「そういえば、なんでショッピングモールに来ることにしたにゃ?」

 

そう聞いてきた凛。凛には、服を買いに行くことは言っていない。言ったら凛が恥ずかしがるかも、と花陽に言われたので、直前まではショッピングモールに行くとしか伝えないことにした。

 

「フッフッフッ…まあまあ、着いてきなさい。」

 

不敵な笑みを浮かべる俺を不思議に思いながらも、着いてくる凛。

 

 

そして、俺達が来たのは最近オープンした色んなオシャレな服などが売ってる、今話題のお店。まぁ、男子の俺にはよく分からないのだが、花陽におすすめされた。

 

「うわぁぁぁ…!!」

 

その光景に、目をキラキラさせる凛。

 

「あのファッションショーでのライブ以来、凛が可愛い服とかに興味があるって聞いたから、ここに来たんだ。」

 

「うわぁ…!ありがとっ、蓮くん!」

 

そうニコッと笑って言った凛に、俺はドキッとして見惚れていた。

 

そして、早速色んな服を見ていく凛。

 

「うわぁ…!うわぁ…!うわぁぁ…!!」

 

本当にキラキラした目で服を見てく凛を見ると、自然と俺も笑顔になる。

 

 

それからしばらく服を見てた凛と、そんな凛を見てた俺。これだけ聞くと、俺が変態みたいだな…

 

そして、凛がとても気に入った服があるらしく、試着室に入って試着をする事に。

 

「じゃーん!どうっ、蓮くん!」

 

「うわぁ…!すっげぇ可愛い!」

 

「えっ…//そっ、そうかな…//」

 

俺の語彙力じゃ、『可愛い』としか言えないが、凛が着た服は、元々ちょー可愛い凛にちょー似合う服装だった。(スクフェス、フラワーブーケ編のSSR凛ちゃん覚醒前の服。)

 

「じゃあ、これ買おうかな。」

 

「じゃあさ、このままこれ着て行くか?」

 

「うん!あっ…でも、やっぱり制服で行くにゃ。」

 

「いいのか?」

 

「うん。だって、蓮くんも制服だから…//」

 

可愛いかよ!まじえんじぇーだよ!という事で、一旦制服に着替えるため試着室に戻った凛。待ってる俺の目に、ある帽子が映った。

 

 

「お待たせ!」

 

そう言って、試着室から出てきた凛。

 

「よし、じゃあ会計行くか。」

 

俺は凛が持ってる服を借りて、レジの店員さんに渡す。さっき俺が目に付いた帽子も一緒に。

 

全てレジに通した店員さんは、合計の金額を言った。俺は財布を取り出し、代金を出す。

 

「蓮くん?こんな高いのに、凛が払うよ!それにこの帽子…」

 

確かに、学生には少し痛い出費ではあるが、昨日の夜デートに行くって言ったら、咲姉ちゃんが小遣いをくれたのだ。

 

「この帽子は、さっき凛が試着室にいる間に見つけて、凛に似合うだろうなと思って。それに、俺が誘ったんだし、このぐらいのプレゼントはさせてくれ。」

 

「でも…」

 

「いいから。」

 

「分かった。ありがとう、蓮くん!」

 

 

 

服を買った俺達は、カフェに行った。凛と2人でこういう所に来るのも初めてだったが、とても楽しかった。途中、定員さんにカップルだと間違えられて2人であたふたしてしまったが…

 

 

 

「楽しかったにゃ!また行こうね、蓮くん!」

 

「あぁ!」

 

帰り道、笑顔でそう言う凛。俺は嬉しくなり、笑顔で答える。そこで、俺はある事を思い出す。あっ…そういえば、秀夜と花陽に手を繋いで来いって言われてたんだ。どっ、どうする…けど、チャンスなんてもう無いかもしれないし…よしっ!

 

そして俺は、凛の手に自分の手を近づけていく。

 

10cm…8cm…5cm…3cm…1cm…

 

とうとう俺の手が凛の手に触れそうになった時、

 

「蓮くん!あっ、あれ!」

 

凛が何かを指しながらそう言ったので、咄嗟に手を引っこめた。そして、凛が指さしてる所を見ると、昨日のウェザー・ドーパントがいた。

 

「またお前か…いい所だったのに…邪魔しやがって。」

 

「……」

 

俺の言葉には無反応で、じっと凛の方を見るウェザー・ドーパント。

 

「やっぱり…なんで…なんでお前みたいなやつがあぁぁ!!」

 

突然叫び、俺に殴りかかってくるウェザー・ドーパント。

 

「うおっ!?なんだよ突然!」

 

「蓮くん!」

 

「あぁ!」

 

「「変身!」」

 

俺は仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに、凛は仮面ライダーアギト グランドフォームに変身した。

 

「にゃ!やぁ!」

 

凛がウェザー・ドーパントに蹴り込み、隙ができた瞬間に、俺が殴りかかる。

 

「おい、お前財団Xじゃねぇって事は、まさか一般人か?」

 

「だったらなんだ?」

 

「そのメモリは危険だ!今すぐ捨てろ!」

 

「お前なんかの指図、受けるかよ!」

 

再び俺に殴りかかってくるウェザー・ドーパント。

 

「くっ…だったら、力ずくで止めるだけだ!」

 

『スペシャル召喚 ネイチャーソード!』

 

俺はネイチャーソードを取り出し、ウェザー・ドーパントへ斬りかかる。そして、凛も仮面ライダーアギト フレイムフォームに変身し、フレイムセイバーで斬りかかった。

 

「はぁ!オラァ!」「にゃ!やぁぁ!」

 

ウェザー・ドーパントを何度も斬り、

 

「「やぁぁぁぁ!」」

 

右と左から、それぞれ2人で同時に斬り裂いた。

 

「ぐぁぁっ!?」

 

そのダメージでか、ウェザー・ドーパントからウェザーメモリが抜け出し、ウェザー・ドーパントは人間の姿になった。ただし、メモリブレイクをした訳では無いので、ウェザーメモリは壊れていない。

 

「ドーパントの正体はあんたか。とにかく、そのメモリは危ないから渡して「あぁ!」凛?どうしたんだ?」

 

俺がウェザー・ドーパントの変身者の持ってるメモリを取りに行こうとした時、凛が大声を出した。

 

「えっと…確か、木村くん?」

 

「知ってるのか?」

 

ウェザー・ドーパントの変身者を見て、木村と聞いた凛。凛は、こいつの事知ってるのか?

 

「くっ…」

 

「あっ、待て!」

 

俺が凛の方へ振り返っている隙に、木村と呼ばれた男はウェザーメモリを持って逃げていった。

 

「で、あの男を知ってるのか?」

 

「あっ、うん…小学生の頃の、同級生。」

 

少し顔を曇らせたと思ったが、すぐにいつも通りに戻って答えた凛。

 

「そうか。本当に、それだけか…?」

 

「えっ?」

 

「いや、さっき一瞬、顔が曇ったから。」

 

「……いや、なんでもないにゃ!」

 

「そっか。」

 

そう言って、俺と凛は歩き出した。が、もちろんなんでもないと思った俺ではない。これは、またあの子に聞くのが1番かな…

 

 

「最後は色々あったけど、今日は楽しかったにゃ!服もありがとっ、蓮くん!」

 

家まで送ってきた俺に、そう笑顔で言う凛。

 

「気にしなくていいよ。それより、俺も楽しかった。あっ!あのさ…また、良かったら遊びに行かないか?」

 

俺の言葉に、

 

「もちろんにゃ!」

 

更に顔を明るくして、そう凛が答えてくれた。

 

「じゃあ、またな。」

 

「うん!」

 

凛に別れを告げ、俺は自宅へ向かった。

 

 

 

「ただいま。」

 

「お帰り、蓮くん!デート、どうだった?」

 

俺が帰ってきたと分かった咲姉ちゃんが、玄関まで走ってきて、そう勢い良く聞いてきた。

 

「すっげぇ楽しかった!」

 

「そっか、良かった!じゃあ、ご飯はもう少しで出来るから、先にお風呂に入る?」

 

「あぁ、そうするよ。」

 

そう答えて、俺は風呂場へ向かう。咲姉ちゃんがこの家に帰ってきてる時は、基本的にご飯を作ってくれる。料理が全く作れない俺だけだと、買ってきた物だけで済ませてしまいそうなので、とても有難い。

 

 

 

「ご馳走様でした。」

 

「はい、お粗末さまでした。」

 

風呂から上がり、夕食を食べ終えた俺。

 

「それにしても、まさか一般人がガイアメモリを使用するなんてね…まぁ、財団Xがミュージアムに資金援助してた時は、ミュージアムが風都の人達にガイアメモリを渡してたけど…」

 

帰りにウェザー・ドーパントが現れ、その正体が一般人だった事を話した俺に、そう言った咲姉ちゃん。

 

「財団Xが、更に大きく動きだしたってことかもな…何か他に行動を起こしてなければいいけど…」

 

「優くんは、いつ頃退院するって?」

 

「明日か明後日だって。」

 

「そう。そうだ、蓮くん。」

 

「ん?」

 

すると咲姉ちゃんが、ある物をテーブルに置く。

 

「これって…秀夜が使ってる、フォースドライバー。なんで、もう1つ?」

 

「秀夜くんのフォースドライバーのデータを打ち込んだら、フォースドライバーに関するデータを復元することが出来たって言ったでしょ?それを元に、なんとかもう1つ作り出すことが出来たわ。だから、強化アイテムとして蓮くんに渡そうと思って。」

 

「俺に?」

 

「うん。でも、このドライバーで使うためのデータボトルの開発が出来てないの。フォースドライバーの資料にも、イボルブデータボトルしか載ってなかったから。全く資料もないものを、新しく作るのはかなり大変なの。今試行錯誤してはいるんだけど、作れるかどうかは分からないわ。ごめんね。」

 

「別に、咲姉ちゃんが悪いってわけじゃないだろ。普通のネイチャーとサンダーフォームだけでも、俺は充分戦えてるんだし。けど、やっぱり大変なんだな。変身アイテムとかの開発って。」

 

「うん。ただでさえ、財団X側の女神に資料を盗まれてるからね…このフォースドライバーの2つ目を作るのにも、結構苦労したのよ。インフィニティドライバーも、優くん用と蓮くん用の2つは作れたけど、これ以上増やすのは難しいと思うわ。」

 

「そっか…まぁ、焦らず行こうぜ。俺も優も、それに秀夜だって、強化アイテムがなくたって人を守るために戦い続けるんだし。」

 

「そうね…とりあえず、フォースドライバーを渡しとくわね。これだけだと、変身出来ないんだけどね。」

 

「分かった。預かっておくよ、ありがとう。」

 

俺はそう言って、咲姉ちゃんからフォースドライバーを受け取った。

 

 

 

その後、自室で1人俺は考えている。

 

咲姉ちゃんには大丈夫とは言ったけど、正直サンダーフォームの力でも、敵わない敵が出てきてるんだよな…フォースドライバーで使えるデータボトルか。何か、解決策はないのか…?

 

あっ!そういえば、あのデータボトルって、俺が持ってるままだよな…フォースドライバーなら、あの力を制御して使えるかもしれない。危険だけど、今使えるのはあのデータボトルしかない…

 

俺は引き出しにしまっておいた、あるデータボトルを見つめながら、そう悩んでいた。




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

ウェザー・ドーパントの変身者、木村と凛の関係を聞いた蓮。そして、再びウェザー・ドーパントと戦う蓮と凛。苦戦する2人に、新たな力が宿る!

次回、『99話 炎と輝きのアギトと地球の力』





ライダースペック、紹介コーナー!

仮面ライダーインフィニティオリジン

・変身者 仮野優
・身長 204cm
・体重 109kg
・パンチ力 67t
・キック力 70.1t
・ジャンプ力 56.2t
・走力 1.5秒(100m)
・変身ベルト インフィニティドライバー
・変身アイテム オリジンデータボトル

音ノ木坂学院建設前より古くからある石の封印を解いた際、謎のデータボトル、インフィニティドライバーと共に入れてあったオリジンデータボトルを使用して、仮野優が変身した姿。
これまでのフォームより遥かに優れた力を持ち、過去苦戦したデビュラーを簡単に倒すことも可能。更に、時を越える力が備えられているようで、1度優が過去に遡ったことがある。しかし、まだ力の制御が出来ずにすぐに戻ってしまった。まだ謎が多い力を持つフォームだが、いつか力を使いこなし、優が時を越える時は来るのか…








いやぁ、今回は蓮と凛ちゃんがイチャイチャしてましたねぇ…来週は蓮と凛ちゃんが新たな力を手に入れるようですが、どうなるのでしょうか…


そしてそして、ここで告知です!!

なんと…なんと…初のコラボをする事になりました!小説投稿を開始して、約1年経ちましたが、ここに来て初のコラボさせて頂く事になりました。コラボさせて頂くのは、

ロギア クロニクルさん作『ラブライブ!Qいや、俺の出番なくね?Aあります』

です。コラボ作品の投稿は、年末年始辺りを目処としています。僕の方とロギアさんの方で、それぞれ別の話を書くので、是非両方ご覧下さい!僕が書くと、ロギアさんの書く仁くんと違ったりしてしまうかもしれませんが、そこは温かい目で見て頂けると幸いです。

改めてロギアさん、よろしくお願いします!


では今回はこの辺で…前書きでも少し書きましたが、お気に入り登録、評価や感想など頂けるととても励みになります!次回も見て頂けると、嬉しいです!


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99話 炎と輝きのアギトと地球の力

はい、99話です。

昨日、平成ジェネレーションズFOREVERを見てきました!ネタバレになるので、あまり言いませんがとにかく神映画!笑いあり涙あり熱い心ありと言った、平成最後にふさわしい映画だと思いました!更に、サプライズがあり、その瞬間僕を含め会場がざわつきました。まだ見てない方は、絶対見た方がいいと思います!

では99話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

 

秀夜「想い人である星空凛を、デートに誘う宮崎蓮。そうして、2人はデートに行く事に。2人はデートを楽しんだが、その帰路でウェザー・ドーパントと遭遇。その正体は、凛の小学生の頃の同級生である、木村という男だった。」

 

花陽「木村…?木村…木村…えぇ、木村くん!?」

 

秀夜「花陽、どうかしたのか?」

 

花陽「うん…ちょっとね。凛ちゃん、せっかく克服したのに、あの時の事思い出してなければいいけど…」

 

秀夜「あの時の事?」

 

花陽「うん。それは、本編見たら分かると思うよ。では、99話、始まります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「花陽、木村っていう同級生知ってるか?」

 

俺は昨日の『木村』という男について、花陽なら知っているかもしれないと思い、花陽に聞きに来ている。今日は日曜。練習が終わり、花陽と秀夜とカフェに来ている。

 

1年生でカフェに行くとして凛も誘うと、凛は少し遅れるから、もう少ししてから合流するとの事だ。だから、今のうちに木村について聞くことに。真姫も誘ったんだが、今日は用事があって来れないそうだ。

 

「木村…?あっ、もしかしてあの木村くんの事かな。確か、小学生の頃の同級生だよ。凛ちゃんによくちょっかい出してた子だから、なんとなく覚えてるよ。」

 

「凛にちょっかい…?」

 

「うん。凛ちゃんを男の子みたいって、からかってた子がいるって話はしたよね。その男の子の1人が、木村くんなんだ。木村くんは、それ以外でも、よく凛ちゃんに絡みに行ったりしてたけどね。」

 

「男の子みたいって言ったり、からかったりしてた…それ以外でも、よく凛に絡みに行ってた…そんな奴が、俺を狙ってきた?それって、もしかして…」

 

「蓮?」

 

「何か分かったの?」

 

何かに気づいたような反応をした俺に、秀夜と花陽がそう聞いた。そんな時、

 

「3人とも、遅れてごめんにゃ。」

 

凛が俺達の元へやって来た。

 

「あっ、凛ちゃん。」

 

凛が来たので、話題を逸らし木村の話はそこで途切れた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 絵里〜

 

「いやぁ、入院生活も今日で終わりか。やっとだよ。体なまって戦えない、なんて事なけりゃいいけど。」

 

「本当にもう大丈夫なの?あの怪我じゃ、全治1ヶ月や2ヶ月でもおかしくないのよ?」

 

優の担当医である鏡飛彩先生に、今日で入院生活が終わりと告げられ、喜んでる優。そんな優に、心配してそう声をかけた私。今日は私、希、にこの3人がお見舞いに来ている。希とにこは、飲み物を買いに行き、今は私と優の2人だけが病室にいる。

 

「絵里も聞いてるだろ?仮面ライダーインフィニティに変身していく中で、回復力や生命力が高くなってるんだよ。」

 

「それはそうだけど、優はいつも人を守るために無茶ばっかりしてるから、心配なのよ。優は、自分の欲とか望みとかってないの?」

 

「ないわけじゃないぞ。人を守りたいって思ってるし、μ'sのみんながラブライブ優勝できるように、出来る限りのサポートをしたいって思ってるし。」

 

「それじゃ、他の人や私たちのためじゃない。自分自身の望みはないの?」

 

「うーん…」

 

「もうっ…ちょっとは自分の事だって考えてよ。私たちや、他の人の事ばかりじゃなくて。優は1度死んで、転生してきたんでしょ。生き返ったんだから、自分の命をちゃんと大事にして。」

 

「……分かってるよ。」

 

「…ならいいけど…」

 

あまり納得出来ず、少し口を尖らせてそう答えた私。そんな時、病室のドアが開く。

 

「ただいま〜。はい、絵里ちと優くんの飲み物。」

 

「「ありがと。」」

 

私と優は、希から飲み物を受け取り、飲み始めた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「にこは?」

 

病室ににこが戻ってこなかったことが気になった俺は、そう希に問いかける。

 

「にこっちなら、お手洗い行くから先戻っててって言ってたよ。」

 

「そうか。」

 

「ごめん。私もお手洗い行ってきていいかしら?」

 

「分かった。」

 

「行ってらっしゃい。」

 

絵里がトイレに行き、病室には俺と希だけが残った。

 

「なぁ、優くん。ウチ、ずっと優くんに聞きたかったんやけど。」

 

「どうした?」

 

「優くんって、どこの小学校やったん?」

 

「えぇ!?」

 

「どないしたん?そんなに驚くことやった?」

 

「いっ、いや、別に…」

 

やべぇ…どうやって答えりゃいい…俺まだこの世界の俺の記憶、思い出してないのに…こうなったら…

 

「実は俺さ、関西の方出身だから、小学校も関西なんだ。」

 

「えっ、そうやったん?」

 

「あぁ。話し方とかは、関西っぽくないかもしれないけどな。」

 

これ自体、嘘ではない。別世界から来た俺…橋本拓真の前世では、小学生までは関西にいた。中学に上がる頃、東京に引っ越したんだけど。もちろん、蓮と秀夜も関西出身。俺たち全員、話し方は関西らしさはあんまりないかもしれないけど…

 

「そっ、そうやったんや…」

 

「ん?あぁ。」

 

少し戸惑っているような希を不思議に思いながらも、俺はそう答えた。そんなに俺が関西出身だという事が不思議なのか…?

 

「あれ?そういえば、優くんがゲームやってるのって、珍しいんとちゃう?」

 

話を逸らすためなのか、それともただ単に気になっただけなのか、3人がお見舞いに来てくれるまで暇つぶしにやっていたゲーム機を見てそう聞いてくる希。

 

「あぁ。元々、あんまりゲームやらなかったんだけどな。弱くてすぐ負けるし…けど、最近凄いゲームをやるようになったんだよ。それに、なんか凄い強くなってて、レベルMAXのラスボスまで倒せたんだ。」

 

「へぇ。ゲームって、そんなにすぐ上手になるもんやったっけ?」

 

「うーん…そんな事、ないと思うんだけどな。」

 

そんな会話をしていると、絵里とにこも病室に戻ってきた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 絵里〜

 

それからしばらくして、あまり長居するのも良くないので、帰ることになった私たち。

 

「じゃあ、また明日な。明日からいつも通り、通学する予定だから。」

 

「いきなり大丈夫なの?」

 

「あぁ、もう怪我は完治してるからな。」

 

にこの問いに、そう答えた優。

 

「じゃあ優くん、また明日ね。」

 

「もう少しの間、ちゃんと休んでるのよ。」

 

希と私がそう言って、私たち3人は病室を出て、聖都大学附属病院を後にした。

 

 

 

本当に優は分かっているのかしら…また無茶をして、2度目の死を迎えるような事になってしまったら、今度は本当に…そういえば、ことりも優が転生者である事を知ってるのよね。ことりはどう思ってるのかしら…

 

「絵里ち?どうかしたん?難しい顔しとるけど…」

 

聖都大学附属病院を出て1分経っただろうか…そんな時、つい考え込んでしまっていた私を不思議に思った希に、そう聞かれた。にこも隣で不思議そうに私を見ている。

 

「いや、なんでもないわ。」

 

「そうなん?ならいいけど…」

 

「ねぇ、もしかしてあれって…」

 

にこが何かを指さしながらそう言ったので、私と希はその方向を向いた。

 

「あれは…確か、バグスターだったかしら?」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「あれは…確か、バグスターだったかしら?」

 

にこが見つけたのを見て、絵里が言った。数十メートル先にいたのはバグスターと呼ばれる怪人。モータスバグスター、バーニアバグスター、チャーリーバグスターの3体だ。

 

「名前なんてどうでもいいわ。行くわよ!」

 

にこがそう言って走り出し、それに続いて絵里と希も走り出した。

 

「確か、バグスターって人に感染して生まれるウイルスの怪人よね?」

 

「そうやった気がするよ。けど、感染してるような人は見当たらんなぁ…」

 

「別に、見当たらないなら見当たらないでいいんじゃない?倒してしまえば、その人のゲーム病も治るでしょ。」

 

絵里、希、にこはそう言って、それぞれ変身の準備に入る。

 

「「「変身!」」」

 

『コンプリート』『turn up』『ヘンシン』

 

にこは仮面ライダーファイズに、希は仮面ライダー(ブレイド)に、絵里は仮面ライダーカブト マスクドフォームに変身した。

 

「「「やぁぁぁ!」」」

 

絵里はチャーリーバグスターと、希はバーニアバグスターと、にこはモータスバグスターと戦い始めた。

 

 

 

〜絵里VSチャーリーバグスター〜

 

絵里の周りを自転車でグルグルと走るチャーリーバグスター。そして、チャーリーバグスターは加速をつけて絵里に突進する。

 

「はっ!」

 

そのチャーリーバグスターの自転車をさけ、チャーリーバグスターの腹部へパンチした絵里。チャーリーバグスターは少し後ろに下がったが、そのダメージには耐え抜いた。

 

「キャストオフ。」

 

『CAST OFF CHANGE BEATLE』

 

絵里はマスクドフォームから、ライダーフォームにキャストオフした。

 

「おばあ様が言っていたわ。人の命を奪うのは、たとえどんな理由があっても許されない。ましてや、なんの理由もなく命を奪うのはウイルスと同じだってね。」

 

そうチャーリーバグスターに向かって言った絵里。

 

しかし、ウイルスと同じと言っているが、チャーリーバグスター自体バグスターウイルス感染症の原因となるウイルスだ。こういう事が多いから、絵里がポンコツだという噂が広まっているんだろう。

 

「やぁ!」

 

そんな事を気にもしないで、絵里はチャーリーバグスターへ攻撃する。しかし、チャーリーバグスターは自転車で周りを走り出し、絵里の攻撃をさける。更にスピードを上げ、絵里を撹乱させる。

 

「あちこち走り回って、厄介ね。少しずるいかもしれないけど、私の能力、使わせてもらうわ。クロックアップ!」

 

『CLOCK UP』

 

 

〜クロックアップ発動中〜

 

クロックアップを発動し、人間のスピードを遥かに超えるスピードで動けるようになった絵里。

 

1(ワン)2(トゥ)3(スリー)

 

「ライダーキック。」

 

『ライダーキック』

 

チャーリーバグスターが気づくことも出来ない中、絵里は回し蹴りを放った。

 

『CLOCK OVER』

 

「ふぅ…」

 

 

 

〜希VSバーニアバグスター〜

 

『スラッシュ』

 

「やぁ!」

 

スラッシュリザードのラウズカードの力で、斬れ味が増したブレイラウザーでバーニアバグスターへ斬り掛かる希。バーニアバグスターはダメージを受け少し引き下がったが、そのまま空へ飛んだ。バーニアバグスターは、上空から希へミサイルを飛ばす。

 

「空からの攻撃…これは厄介やね。目には目を、空からには空から。カードがウチにそう告るんや!」

 

『フュージョンジャック』

 

カードのお告げなのかはともかく、希は仮面ライダーブレイド ジャックフォームに変身し、バーニアバグスターがいる上空へ飛んだ。

 

「一気に決めるで!」

 

『サンダー』

『スラッシュ』

 

『ライトニングスラッシュ』

 

「やぁぁぁぁ!」

 

希はそのまま、バーニアバグスターにライトニングスラッシュを放ち、倒した。

 

「やっぱり、カードのお告げは間違ってなかったようやね。スピリチュアルやね!」

 

 

 

〜にこVSモータスバグスター〜

 

「最近、怪物が出る頻度増えてるような気がするわね…まぁいいわ。スーパーアイドルにこにーが相手してあげるわ、感謝しなさい!」

 

そう言ったにこは、モータスバグスターへ殴りかかるが、モータスバグスターはバイクに乗って走り出した。

 

「バイク!?それは卑怯でしょ!」

 

そう文句を零し、にこはモータスバグスターへ追いつこうと必死に走る。

 

「この俺に走って追いつこうなんて、舐めてくれるじゃねぇか。オラオラァ!」

 

そう言ったモータスバグスターは、更にスピードを上げる。そして、スピードをつけたモータスバグスターは、にこへ向かって走り出す。

 

「轢くつもりね…一か八か。」

 

にこはファイズショットにミッションメモリーを入れ、

 

『エクシードチャージ』

 

グランインパクトを向かってくるモータスバグスターへ向かって放ったが、モータスバグスターの威力に負けて吹き飛ばされてしまう。

 

「へへっ、トドメだ。」

 

そう言って、モータスバグスターはにこへと再びバイクを走らせる。

 

「ぐぉっ…!?」

 

しかし、走り出したモータスバグスターは何かにぶつかり、後ろに吹き飛んだ。

 

「ん…?何、あのロボ!?」

 

モータスバグスターがぶつかったのは、バイクと人型に変形できる『オートバジン』だ。そして、オートバジンはにこの前まで来る。

 

「なっ、何…?」

 

敵なのか分からないオートバジンが、自身に近づいてきて身構えるにこ。するとオートバジンは、バイク型のビークルモードに変形した。

 

「バッ、バイクに変わった!?」

 

「にこちゃーん!」

 

驚いてるにこに、そう声をかけたのは優の姉である優香。

 

「あっ、優のお姉さん!」

 

「それ、オートバジンって言うバイクで、人型にもなるの!にこちゃんのだから、使って!」

 

「私のって…それより、私免許持ってないですよ?」

 

「大丈夫!それは私がなんとかする!」

 

「えぇ…なんとかって…でも、あいつ倒すのにはバイクいるし…ありがとうございます!」

 

流石に年上ということもあり、にこは普段と違って敬語で優香にそう言い、オートバジンに跨る。

 

「使い方は…うん、なんか分かるわ。」

 

「バイクを使おうが、爆走バイクのバグスターである俺に敵うとでも?」

 

立ち上がったモータスバグスターはそう言い、再びバイクで走り出す。

 

「ふんっ、試してみれば分かるわ。」

 

そして、にこも走り出す。

 

「なにィ?」

 

すると、すぐににこはモータスバグスターに追いついた。

 

「言ったでしょ?試してみれば分かるって。トドメよ!」

 

『コンプリート』

 

にこは仮面ライダーファイズ アクセルフォームに変身した。

 

「10秒で終わらせてあげる。」

 

 

『スタートアップ』

 

その瞬間、にこのスピードは1000倍に加速した。

 

『エクシードチャージ』

 

にこはファイズポインターを足に取りつけ、

 

「やぁぁぁぁぁ!!」

 

モータスバグスターにクリムゾンスマッシュを放った。それにより、モータスバグスターは消えた。

 

『タイムアウト』

 

 

「ふぅ…ていうか、最初からアクセルフォームになれば、良かったわね。まぁ、10秒しか加速できないから、温存していたんだけど。」

 

そうボソッと言ったにこは、優香の元へ。

 

「このバイク、ありがとうございます。助かりました。」

 

にこが敬語を使う、という事にとても違和感があるが、優香にそう言ったにこ。

 

「ううん。こっちこそ、危険な戦いに巻き込んじゃってごめんね。」

 

「いえ、私が自分で決めた事ですから。」

 

「強いね、にこちゃん達は。」

 

「宇宙No.1アイドルグループですから!」

 

にっこにっこにーのポーズをして、そう言ったにこ。そんなにこを見て、微笑んだ優香。

 

「あっ、そろそろ行かなきゃ。」

 

「どこか行くんですか?」

 

「うん。優くん、今日退院だから、色々と持ってくるものとかあってね。」

 

「あぁ、それで…」

 

「じゃあ、またね。」

 

「ありがとうございました。」

 

そう言って、にこは絵里たちの元へ向かった。

 

「やっぱり、μ'sの子達はいい子ばかりね。あんなにいい子達が心配してお見舞いに来てくれるなんて、優くんは幸せ者ね。」

 

そう呟いて、優香も優の病院に向かった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ありがとうございました、飛彩さん。」

 

退院する事になった俺は、飛彩さんにお礼を言った。今姉ちゃんは、病院の入口の方で待っている。

 

「あぁ。」

 

ピリリリッ ピリリリッ ピリリリッ

 

その時、飛彩さんが首にかけているゲームスコープから緊急通報の音が鳴った。バグスターが現れたのか!?

 

「またか…」

 

「また?最近は、ウイルスも沈静化して、バグスターが現れる頻度は減ったんじゃ…?」

 

「そうなんだが、最近この辺りでバグスターが現れるようになったんだ。しかも、マイティアクションXやタドルクエストのように、ワクチンが開発されているバグスターでもそのワクチンが効かない。だから、ドクターライダーが倒しに行くしかないんだ。」

 

「もしかして、また財団X絡み…?とにかく行きましょう!」

 

「いや、バグスターと戦うのは本来は医者である俺達の仕事だ。安易に学生を巻き込む訳にはいかない。俺1人で行く。」

 

「それだったら、今回のバグスターは財団X絡みかもしれないんです。それなら、俺がやるべき戦いです。」

 

「そうかもしれないが、学生はまだ退院したばかりでもあるんだ。無理はするな。無理をしすぎると、本当にお前が守りたい人を守れなくなるぞ。」

 

「……分かりました。バグスターは、お願いします。」

 

「あぁ。」

 

そう言って、飛彩さんは去っていった。今回は、飛彩さんにお世話になってばかりだな…それにしても、初めて会った時の飛彩さんからは考えられないぐらい、患者の事を考えてくれる人になっていたな。これも、永夢さんの影響なのかな…

 

俺は入口の姉ちゃんの元まで行き、1週間ぶりの我が家へ帰った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 希〜

 

どういうことなんやろ…

 

蓮くんと秀夜くんと同じ小学校やったって聞いて、不思議に思ったウチは、優くんに小学生の頃はどこにいたのか聞いてみたんやけど…

 

優くんが関西出身なら、ウチが小学生の時少しの間やけど同級生やったのは誰…?よく転校してたから、関西の学校に行ったこともあったけど、優くんと同じ小学校だった時は東京の学校やった…その子の名前は仮野優で、顔も優くんやったのに、どういうことなんやろ…

 

蓮くんと秀夜くんと幼馴染なのに、優くんは秀夜くんが敵やったって事が分かってからしばらくするまで、2人とは初対面みたいな感じやったし…優くんには、何か秘密があるようやね。優くんは、何を隠して、何を抱えているんやろ…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

カフェから出た俺、秀夜、花陽、凛の4人。そんな俺達の前に、ある敵が現れる。

 

「眼魔か…」

 

眼魔スペリオルが、何体もの眼魔コマンドを率いて俺達の前に現れた。

 

「毎日毎日、戦う俺たちの身にもなってほしいものだぜ…」

 

「そんな事言ってもしょうがないだろ、蓮。」

 

「でも、今日はいつにも増して数が多いね。」

 

俺、秀夜、花陽がそう言った。花陽が言った通り、確かに眼魔コマンドの数がかなり多い。軽く30体はいるな。いや、もっとだな…

 

「とにかくみんな、行くにゃ!」

 

凛は腰にオルタリングを出現させ、花陽は電王ベルトを巻き付けた。俺はネイチャーブレスからゴーストドライバーを、秀夜はイボルブブレスからメガウルオウダーを呼び出した。

 

『アーイ!バッチリミロー!バッチリミロー!』

 

『ステンバイ!』

『イエッサー!』

 

「「「「変身!」」」」

 

『ソードフォーム』

 

『カイガン!スペクター!レディゴー!覚悟!ド・キ・ド・キ・ゴースト!』

 

『テンガン!ネクロム!メガウルオウド!』

 

凛は仮面ライダーアギト グランドフォームに、花陽は仮面ライダー電王 ソードフォームに、俺は仮面ライダースペクターに、秀夜は仮面ライダーネクロムに変身した。

 

『俺、参上!』

 

俺達は眼魔との戦闘を開始した。

 

「はっ!はぁっ!」

 

俺はガンガンハンド ロットモードで次々と眼魔コマンドを倒していく。

 

『デストロイ!』

 

俺はゴーストドライバーのレバーを引き、秀夜はメガウルオウダーのボタンを押した。

 

『大カイガン!スペクター オメガドライブ!』

 

『大テンガン!ネクロム オメガウルオウド!』

 

「「はぁぁぁぁぁ!」」

 

俺と秀夜は必殺技のキックを放ち、10体程の眼魔コマンドを倒した。しかし、まだかなりの数残っている。

 

「だったら、英雄の力で!」

 

『カイガン!ツタンカーメン!ピラミッドは三角 王家の資格!』

 

俺は仮面ライダースペクター ツタンカーメン魂に変身した。俺はガンガンハンドにコブラケータイを取り付け、ガンガンハンド 鎌モードで眼魔コマンドを斬り裂いていく。

 

「はぁ!オラァ!」

 

すると、俺の周りを何体かの眼魔コマンドが囲む。

 

「はぁぁぁ!」

 

その眼魔コマンドを、一回転してガンガンハンド 鎌モードで倒す。

 

「次は信長、頼むぜ!」

 

「だったら、俺はグリムで!」

 

『カイガン!ノブナガ!我の生き様 桶狭間!』

 

『テンガン!グリム!メガウルオウド ファイティングペン!』

 

俺は仮面ライダースペクター ノブナガ魂に、秀夜は仮面ライダーネクロム グリム魂に変身した。俺はガンガンハンド 銃モードで眼魔コマンドを撃ち抜き、秀夜はニブショルダーを展開して眼魔コマンドを突き刺していく。

 

『大カイガン!ノブナガ オメガドライブ!』

 

『大テンガン!グリム オメガウルオウド!』

 

俺はガンガンハンド 銃モードを増やし、そこから眼魔コマンドへ連射攻撃を放ち、秀夜もニブショルダーで眼魔コマンドを突き刺して倒して行った。

 

「眼魔コマンドはあと一息だな。一気に決める!」

 

俺はゴーストドライバーに、ディープスペクターゴーストアイコンを入れた。

 

『ゲンカイガン!ディープスペクター!ゲットゴー 覚悟 ギ・ザ・キ・ザ・ゴースト!』

 

俺は仮面ライダーディープスペクターに変身した。

 

「俺の生き様、見せてやる!」

 

『ゲンカイ大カイガン!ディープスペクター!ギガ・オメガドライブ!』

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

俺は上空から近くにいた全ての眼魔コマンドにキックを放ち、倒した。秀夜、凛、花陽がいる方にいた眼魔コマンドも、3人が全て倒してくれていた。

 

「よし、後は眼魔スペリオルだけ…って、お前は…」

 

「宮崎蓮、今度こそお前を倒す!そして、今度こそ俺は…」

 

そう言いながら現れたのは、ウェザー・ドーパント、木村だ。

 

「ちょうど良かった。俺もお前に用があったんだ。」

 

「眼魔スペリオルは俺たちで片付ける!ウェザー・ドーパントは、蓮と凛に任せる!」

 

「あぁ、分かった!」

 

秀夜と花陽に眼魔スペリオルは任せて、俺と凛はウェザー・ドーパントと戦うことに。

 

「凛、ちょっと待っててくれ。」

 

「えっ?うん、分かった。」

 

そして、俺はゴーストドライバーからディープスペクターゴーストアイコンを抜き取った。

 

「何故変身を解いた?舐めてるのか!」

 

俺が変身解除した事に、イラつくウェザー・ドーパント。

 

「別に、舐めちゃいねぇよ。けど、お前とちょっと話がしたくてな。」

 

「話?俺はお前と話すことなんてない!お前を、殺すだけだ!」

 

「なんで、なんで木村くんがそんな事をするの?木村くん、凛にちょっかい出してきたりすることはあったけど、いい人だったのになんで!」

 

「別に、理由なんて…」

 

言葉を濁そうとしたウェザ…いや、木村に、

 

「凛が好きだから、じゃねぇのか?」

 

俺はそう言った。

 

「なっ!?」

 

「えっ…?えぇ!?」

 

俺の言葉に、2人は驚く。

 

「蓮くん、まさかそんな事…」

 

「なんで、分かった…?」

 

「えぇ!?」

 

俺の言葉を認めた木村の疑問に、凛は更に驚く。

 

「花陽に木村が小学生の時、どんなやつだったのか聞いたんだよ。そしたら、凛によくちょっかい出してたやつだって。それに、凛を男の子みたいって言ってやつの1人でもあるって。」

 

「それが、どうかしたの?」

 

凛はまだ俺の言ってる言葉の意味は分かっていないようだ。

 

「凛にちょっかい出してたのも、凛を男の子みたいって言ってたのも、全て照れ隠しだったんだろ?好きだけど、素直に気持ちが伝えられない。でも、凛と話したりしたい。そんな気持ちから、照れ隠しでちょっかい出してたんだろ?」

 

「あぁ、そうだ。俺は小学生の頃からずっと星空が好きだった。けど、中学になって学校が別れた。それでもずっと好きだったけど、もう会うこともない、あの時のことを謝ることも出来ないと思って諦めてた。そんな時だった。偶然ネットに流れてたラブライブ地区予選の、μ'sの映像を見た。」

 

「なるほど、それで凛を見つけて、忘れかけてた想いを思い出したって事か。」

 

「あぁ…」

 

「うぅ…//」

 

突然告白された凛は、マスク越しでも分かるぐらい顔を真っ赤にしている。

 

「で、なんで俺を襲ってきたんだ?」

 

「そうだ…お前だけは許さない!お前は、星空を脅して無理やり付き合ってるんなんだろ!ただ付き合ってるなら俺は諦めたが、そんなやつと星空が付き合ってるなんて許せない!だから俺が、お前を殺す!」

 

「「……は?(え?)」」

 

「お前それ、誰に聞いたんだ?」

 

「このメモリを渡してきた、白服の男が。」

 

「はぁ…今までのやり取り見てたら、そんな事が嘘なことぐらい気づけよ。」

 

「は?嘘…」

 

「あぁ。」

 

「だいたい、凛と蓮くんは付き合ってもいないよ。それに、もし蓮くんがそんな事する人なら、仮面ライダーとして人を守ってないよ。」

 

俺は凛の事好きだけど…って、今考えることじゃないか。

 

「とにかく、もうそのメモリを使う理由はないだろ?危険なメモリなんだ、俺に渡してくれるか?」

 

「あぁ、すまなか…うぅ!?」

 

ウェザー・ドーパントが人間に戻ろうとした時、突然ウェザー・ドーパントに電気が走った。そして、ウェザー・ドーパントが突然殴りかかってきた。

 

「うおっ!?」

 

「もう少し粘って欲しかったですが、バレてしまったのなら仕方ありません。」

 

俺がウェザー・ドーパントの攻撃を間一髪で避けた時、ウェザー・ドーパントに電気を流した張本人であろう男が、そう言いながら現れた。

 

「グラス…またお前か。木村に何をした?」

 

「戦う気がなくなった彼に用はありません。だから、自我を失わせたのです。今の彼は、あなたを襲ってくる事しか行動を起こしません。」

 

「余計な事をしやがって。変身!」

 

俺は仮面ライダーネイチャー サンダーフォームに変身した。そして、既にアギトに変身している凛と一緒に戦おうとするが、ウェザー・ドーパントに吹き飛ばされてしまう。

 

「くっ…自我を失ってる分、かなり強くなってる…!?」

 

そして、ウェザー・ドーパントが俺と凛に向かって冷気を噴き出して来た。

 

「ぐっ…!?」「にゃ…!?」

 

それにより、段々と凍っていく俺たち。やべぇ、もうダ…

 

「うぅ…諦めちゃ、ダメにゃ!」

 

「凛…そうだよな!ウェザー・ドーパントを倒して、木村自身も助け出さねぇと!」

 

その時、凛のベルトから熱い炎の光が出てきて、俺たちの体から冷気が消えてくる。更に、俺のあるデータボトルから光が出てきた。それと同時に、2人とも変身解除してしまう。

 

「あれ、凛のベルトが変わってるにゃ!」

 

凛が言ったように、凛のオルタリングが紫に変化していた。更にもう1つの変化が。

 

「ダークネイチャーのボトルが、変化した…?」

 

これは、俺がフォースドライバーで使えるかもしれないと、昨日引き出しから持ってきたデータボトル。そのデータボトルとは、以前エアスに操られてダークネイチャーに変身させられていた時のデータボトルだ。そのデータボトルの色が、真っ黒だったのが青と緑の2色に所々赤が加わっている色に変化していた。

 

「蓮くん。これなら!」

 

「あぁ、あいつを止められるはずだ!」

 

俺はフォースドライバーを腰に巻き付け、新たなデータボトルを差し込んだ。

 

「「変身!」」

 

凛は仮面ライダーアギト バーニングフォームに変身した。

 

そして俺は、緑のボディをベースに雷の黄色が混ざっているサンダーフォームから、更に進化した姿に変わった。草木や山の緑のボディをベースに、太陽の赤、氷と海の水色と青、雷の黄色が混ざった、地球上の全ての自然を操るライダー、仮面ライダーアースネイチャーに変身した。

 

なるほど…さっきウェザー・ドーパントが放った冷気と、凛のベルトから出た熱気に反応して、更に自然を操れるボトルに変化したのか…

 

「仮面ライダーアースネイチャー。全ての悪は、俺が倒す!」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

『テンガン!サンゾウ!メガウルオウド サイユウロード!』

 

『モモ!ウラ!キン!リュウ!クライマックスフォーム!』

 

秀夜は仮面ライダーネクロム サンゾウ魂に、花陽は仮面ライダー電王 クライマックスフォームに変身した。

 

「モモタロス、一気に決めるぞ!」

 

『おう!』

 

『フルチャージ』

 

『大カイガン!オメガドライブ!』

 

電王はベルトにライダーパスをかざし、秀夜はガンガンキャッチャーを取り出してグリムゴーストアイコンを入れた。

 

『俺の必殺技、クライマックスバージョン!おりゃああああああああああ!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

2人はそれぞれの武器で、眼魔スペリオルをすれ違いざまに斬り裂いた。それにより、眼魔スペリオルは消えた。

 

「ふぅ…」

 

『やったぜ。』

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「仮面ライダーアースネイチャー。全ての悪は、俺が倒す!」

 

新たな姿、仮面ライダーアースネイチャーに変身した宮崎蓮。同じく新たな姿、仮面ライダーアギト バーニングフォームに変身した星空凛。

 

「また進化しましたか…まあいい。ここで倒すまでです!マスカレイド・ドーパント!」

 

グラスの声で、マスカレイド・ドーパントが現れた。2人に向かってくるマスカレイド・ドーパント。しかし、

 

「ふんっ!」

 

蓮は自分の前に円型の氷を出現させ、マスカレイド・ドーパントの攻撃を防ぐ。更に、マスカレイド・ドーパントに炎を投げ追い討ちをかけ、マスカレイド・ドーパントを倒す。

 

そして凛は、向かってくるマスカレイド・ドーパントを全て防ぎながら、バーニングフォームの攻撃力でマスカレイド・ドーパントを倒していく。

 

進化した2人の力の前では、マスカレイド・ドーパントは手も足も出ずに倒された。

 

「時間稼ぎにもなりませんか。ですが、こちらにはウェザー・ドーパントもいます。」

 

グラスがそう言うと、ウェザー・ドーパントが蓮たちに向かって雷を落とそうとする。

 

「凛、ちょっと下がってろ。」

 

蓮に言われた通り、凛は後ろに下がる。その瞬間、蓮に雷が落とされた。が、蓮は手を上げ、そこに雷を吸い込ませる。

 

「この雷、そっくりお前に返してやるよ!」

 

そう言った蓮は、その手からさっきの雷をウェザー・ドーパントに向けて放った。ただし、そっくりそのまま返した訳ではなく、威力を上げて。それを受けたウェザー・ドーパントは、ダメージを受け苦しむ。その隙に、凛がウェザー・ドーパントに近づき腹部を殴る。

 

「凛、決めるぞ。」

 

「うん。」

 

蓮は1度変身を解除した。そして、腰にアクセルドライバーを巻き付ける。メモリブレイクをするには、ガイアメモリの力がないといけないからだ。

 

『トライアル』

 

「変……身ッ!」

 

『トライアル!』

 

アクセルドライバーにささってるトライアルメモリから名前が読み上げられた後、レースが始まる前に鳴るスタートシグナルが鳴る。その音に合わせ、蓮は普通の赤いアクセルになり、次に黄色のアクセルに変わり、最後に青いアクセル、仮面ライダーアクセルトライアルに変身した。

 

「全て、振り切るぜ!」

 

そして、時間的にもう沈みかけている太陽が、凛を照らす。すると、凛のバーニングフォームの赤い装甲が剥がれていく。そして凛は、先程のバーニングフォームと違い、細身で銀色の光り輝く戦士、仮面ライダーアギト シャイニングフォームに変身した。

 

シャイニングフォームに変身した凛は、2振りに分離させたシャイニングカリバーを取り出した。

 

「はぁぁぁ…にゃあああ!」

 

凛は高速でウェザー・ドーパントの元へ行き、シャイニングカリバーでシャイニングクラッシュを放った。

 

『トライアル マキシマムドライブ!』

 

凛がシャイニングクラッシュを放った直後、蓮はトライアルメモリのタイマーをスタートさせ、上空に投げて高速でウェザー・ドーパントの元まで行く。

 

「はぁ!はぁ!はぁぁぁぁあ!」

 

蓮は音速をも超える速さで、何度もウェザー・ドーパントを、T字状に蹴っていく。

 

「はぁ!オラァ!オラオラオラ!おりゃああああああああああああ!!」

 

最後のキックを決めた蓮は、落ちてきたトライアルメモリをキャッチして、タイマーを止める。そこに表示された秒数は9.8秒。

 

「9.8秒。それがお前の絶望までのタイムだ。」

 

蓮がそう言うと、ウェザー・ドーパントは爆発し、木村の姿に戻り、ウェザーメモリは砕けた。

 

「まあいいです。今日の目的は果たしましたし、帰るとしましょう。」

 

そう言って、グラスは去っていった。

 

「今日の目的は果たした…?あいつ、なんもしてねぇじゃねぇか。」

 

そう疑問に思った蓮だったが、とりあえず変身を解除した。それと同じく、凛も変身解除した。

 

「俺、は…?」

 

メモリブレイクされた事で、自我を取り戻した木村。

 

「大丈夫か?」

 

「あぁ、すまなかった。」

 

蓮に差し出された手を取って立ち上がりながら、そう答える木村。

 

「星空。」

 

「どうしたの?」

 

「今日の事もそうだけど、昔のこともごめん!男の子みたいってからかったり、ちょっかい出したりした事、ずっと謝りたかったんだ。今更謝っても、許されるとは思ってないけど、本当にごめん!」

 

「大丈夫だよ。」

 

「えっ?」

 

「だって、蓮くんやかよちん、μ'sのみんなのおかげで、凛にも凛の魅力があるって気づいたから。もう大丈夫にゃ!」

 

「星空…俺、警察行ってくるよ。」

 

「「えっ?」」

 

「このガイアメモリを使用するのは犯罪だって、知ってたんだ。でも、使っちまった。だから、警察行って自首するよ。それで、反省してくる。」

 

「分かったにゃ。頑張ってね、木村くん。」

 

「あぁ。宮崎、ちょっといいか。」

 

「ん?」

 

木村に呼ばれ、凛と少し離れたところで小声で話し始める2人。

 

「お前、星空と付き合ってないとは言ってたけど、好きなのか?」

 

「なっ…//おっ…」

 

「おっ?」

 

「俺に質問するなぁぁぁぁぁ!!」

 

「蓮くん!?突然叫んでどうしたの?」

 

「いっ、いやなんでもない…」

 

「今のでだいたい分かった。頑張れよ、じゃあな。」

 

「あぁ。」

 

そして、木村は去っていった。

 

「蓮くん、木村くんと何話してたの?」

 

「いや、なんでもないよ。けど、やっぱりみんな、ちゃんと凛の事が可愛いって思ってたろ?」

 

「うん、ビックリしたにゃ。ずっと可愛くないって言われてたと思ってたら、それが照れ隠しだったなんて。」

 

そう照れ笑いする凛。

 

「(あっ、そういえば昨日のデートの時、ウェザー・ドーパントが現れた事で出来なかったけど、手を繋ごうとしてたんだった、俺!でも、今するような事じゃないよなぁ…いや、でも次いつこんなチャンスがあるか分からないし…けど、付き合ってるわけでもないし、俺の片想いだし…)」

 

そう1人、心の中で悩む蓮。

 

「りっ、凛!」

 

「えっ?」

 

「あのさ、もう暗いし、送ってくよ。」

 

「あっ、うん!」

 

そして、歩き始めて凛の所まで行った蓮は…凛の手を取った。

 

「れっ、蓮くん!?」

 

「あっ、悪い!その、暗いし迷うといけないと思って…

(何やってんだよ俺!勢いで手繋いじまったけど、そりゃ嫌がられるに決まってるだろ…それに言い訳ももっとマシなの言えよ。なんだよ、迷うといけないって。こんなよく歩く場所で迷うわけないだろ…)」

 

そう自分がした事を悔やむ蓮。

 

「わっ、悪い、とりあえず離すよ。」

 

そう言って、手を離そうとする蓮。しかし、

 

「待って!」

 

そう凛が止める。

 

「えっ?」

 

「その…繋いだままがいいにゃ…//」

 

「……えっ?あっ、分かった!」

 

顔を真っ赤にして凛が言った言葉に戸惑いながらも、手を繋いだままている蓮。

 

「じゃっ、じゃあ、帰るか。」

 

「うん!」

 

そして、手を繋いで帰り始めた2人。その2人の顔は、暗闇で見えないが、恐らく真っ赤なのであろう。

 

((恥ずかしいけど、この時間がずっと続けばいいのに…//))

 

同じことを思った蓮と凛であった。

 

 

 

「蓮も、やる時はやる男だな。」

 

「うん。良かったね、凛ちゃん。」

 

少し離れたところで、2人を見守る花陽と秀夜。

 

こうして、蓮のデート大作戦(?)が幕を閉じた。

 

 

 

 

 

その頃、この前の財団Xの基地では…

 

「体の調子はどうですか?」

 

「あぁ。だいぶ馴染んできた。そろそろ、俺もあの姿になる事が出来るだろう。」

 

「そうですか。そろそろ頃合ですね。」

 

「あぁ。全ては、()()()()()()()()()のために…」

 

財団Xが企む、来るべき壮大な計画とは…




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

退院し、久しぶりに通学することになった優。そんな優たちの前に、仮面ライダーラビリンスが現れる。そして、ついに優があの秘密を知ってしまう。

次回、『100話 ウイルスの正体』





はい。今回、凛ちゃんが覚醒&蓮の3つ目のフォームが登場しました。アースネイチャー…ダサい!というのは、自覚しております…恐らく、これが本編で登場する蓮の最強フォームだと思います。蓮のフォーム自体は、もしかしたらまだ登場するかもしれませんが、一応最終フォームの予定です。

あと1つ、個人的なご報告があります。本日から2週間程、海外に行くのでネット環境が使えない場所が多くなってしまいます。ですので、感想などの返信や投稿頻度も遅くなってしまうかもしれません。すみません…一応、投稿する予定ではありますが、もしかしたら投稿が出来ないかもしれないので、ご報告させて頂きました。

そして、次回はとうとう100話。是非見ていただけると嬉しいです!そして、お気に入り登録や評価、感想など頂けると嬉しいです。


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100話 ウイルスの正体

はい、100話です!

という事で、今回で『μ'sと仮面ライダーの物語』も100話を迎えました!いやぁ…長いようで短いようで…って、これは1周年のときもいいましたねの時も言いましたね。(笑)ギリギリ年内に100話を迎えることが出来て、嬉しく安心しているような、これからも頑張らないとという気持ちになりました!他にも色々話したいですが、これは後書きに…

では100話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

 

秀夜「凛と花陽の同級生、木村が変身したウェザー・ドーパントが蓮と凛の前に現れる。グラスによって自我を失わされていた、ウェザー・ドーパントの力に苦戦する2人。」

 

優「そんな時、凛が仮面ライダーアギト バーニングフォーム、更にシャイニングフォームに覚醒。そして、蓮が新たな姿、仮面ライダーアースネイチャーに変身し、無事自我を失っていた木村を元に戻すことに成功した。」

 

蓮「えへへへっ…凛と手まで繋いじまった。」

 

優「蓮?何気持ち悪い顔してんだ?」

 

蓮「気持ち悪い?失礼なっ!」

 

優「はいはい、それはいいから、どうしたんだ?」

 

蓮「それがこの前、凛と手を繋いだんだ!」

 

優「へぇ、お前にしてはやるなぁ…」

 

蓮「なんだよ!俺にしてはって。」

 

秀夜「おい、そんな事よりも今日でこの『μ'sと仮面ライダーの物語』も100話だぞ。まぁ、0話と設定集もあるから、実質102話なんだが…」

 

優「おぉ。もうそんなに経ってんのか…いやぁ、ここまで見てくださった方々に感謝だな!」

 

秀夜「あぁ。改めて、ここまで見てくださっている方々、」

 

優、蓮、秀夜「「「ありがとうございます!」」」

 

蓮「でも、これからも更に物語も進んでいくぜ!」

 

優「あぁ。俺たちだけじゃなく、もちろん『ラブライブ!』の主役であるμ'sの9人ももっともっと大活躍して行くし、もしかしたら色んなレジェンドライダーが登場するかも…これからも、是非ご覧ください!ではっ、」

 

優、蓮、秀夜「「「100話、スタートです!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「んーっ!」

 

背伸びをしながら、朝の日差しを浴びる俺。

 

「久しぶりの登校だな。」

 

俺が退院した翌日、今日は月曜。久しぶりの登校にウキウキしている俺。まぁ、入院で体なまってなけりゃいいけど…それにしても、凛がシャイニングフォームに変身して、蓮まで新しい姿に変身するなんてな。

 

俺は昨日、秀夜から凛と蓮が新しい姿に変身したと報告を受けた。そして、恐らく凛がシャイニングフォームに変身した頃、俺が持ってるアギトのカメンライドカードがエンプティ状態から元に戻った。これで分かったが、恐らく、μ'sの誰かが強い力に覚醒した時、そのライダーのカメンライドカードが復活するんだろう…

 

「あっ、穂乃果!海未!ことり!」

 

そんなことを考えていた俺は、穂乃果、ことり、海未を見つけ、そう声をかけた。

 

「優くん、おはよう!」

 

「おはようございます、優。」

 

「おはよう、優くん!」

 

待ち合わせ場所に来ていた穂乃果、海未、ことりが俺に気づいてそう挨拶する。

 

「3人ともおはよう!それにしても、まさか穂乃果がもう来てたなんてな。」

 

「だって、優くんとの久しぶりの登校なんだもん!」

 

「全く…いつもそのぐらい早く起きてください。」

 

「まあまあ、海未ちゃん。」

 

「ことりは穂乃果に甘すぎです。」

 

穂乃果を叱る海未、そんな海未を宥めることり。いつもと変わらない様子を見て、たった1週間入院してただけなのに、懐かしく感じた。

 

 

 

それから音ノ木坂学院へ足を進めていた俺達だが、俺のインフィニティブレスにライオンハイパーメカアニマルからの連絡が来る。

 

「ったく…朝っぱら現れやがって。」

 

「怪物?」

 

「あぁ…3人は先に音ノ木に…「もちろん、私達も戦いに行くよ!」…はぁ…まぁ、そう言うとは思ったけど…分かった、行こう!」

 

 

 

ライオンハイパーメカアニマルから送られてきた場所に来ると、そこには屑ヤミーがいた。

 

「雑魚だけか…数は多いが、これなら早く済みそうだな。」

 

「「「変身!」」」「はぁぁぁ…たぁ!」

 

『カメンライド ディケイド!』

 

穂乃果は仮面ライダークウガ マイティフォームに、ことりは仮面ライダー龍騎に、海未は仮面ライダー響鬼に、俺は仮面ライダーディケイドに変身した。そして、それぞれ屑ヤミーと戦い始める。

 

「はぁ!やぁ!」

 

俺はライドブッカー ソードモードで屑ヤミーを斬り裂いて行く。

 

「そうだ。この前復活したこのカード、使ってみるか。ことり!」

 

「えっ?あっ、うん!」

 

『サバイブ』

 

『カメンライド リュウキ!』

 

ことりは仮面ライダー龍騎サバイブに、俺は仮面ライダーディケイド 龍騎に変身した。

 

『シュートベント』

 

『アタックライド ストライクベント!』

 

俺は手にドラグクローを装備し、

 

「「やぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

俺はドラグクローから、ことりはドラグバイザーツバイから炎を吐き出し、多くの屑ヤミーを倒した。

 

「次はこれで!」

 

「行きます!」

 

『カメンライド ヒビキ!』

 

「響鬼 装甲!」

 

俺は仮面ライダーディケイド 響鬼、海未は仮面ライダー装甲響鬼(アームドヒビキ)に変身した。

 

『アタックライド オンゲキボウ・レッカ!』

 

「「はぁ!はぁ!はぁ!はぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

俺と海未は音撃棒を取り出し、叩いて屑ヤミーに向かって炎を放った。その頃、穂乃果マイティキックを放ち、屑ヤミーを倒していた。

 

「よし、全部倒した…!?ぐぁぁぁぁぁ!?」

 

その時、俺は誰かからの攻撃を受けて強制変身解除してしまった。

 

「優くん!?」

 

「くっ…誰、だ…?」

 

「見つけたぞ、2人目のオーズ。」

 

「ボク達のメダル、返してもらうよ。」

 

俺を襲ってきたのは、ウヴァとカザリ。

 

「お前らか…逆にこっちが奪ってやるよ!グリードと戦うなら、ディケイドよりも、こっちの方がいいな。」

 

俺は腰にオーズドライバーを巻き付け、メダルを3枚入れた。そして、オースキャナーでそのメダルをスキャンした。

 

「変身!」

 

『タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ・タトバ・タトバ!』

 

俺は仮面ライダーオーズ タトバコンボに変身した。

 

「はぁ…セイッ!」

 

俺はトラクローを展開し、カザリとウヴァへ攻撃する。

 

「お前らも戦え!」

 

そう言ったウヴァは、セルメダルを取り出し、割って投げた。すると、屑ヤミーが再び現れた。

 

「さっきの屑ヤミーを出したのも、ウヴァだったのか…」

 

「優くん、このいっぱいいるのと緑のは私達に任せて!」

 

「あぁ、頼む!」

 

俺はウヴァと屑ヤミーを穂乃果達3人に任せて、カザリと向き合う。

 

「フッ!」

 

「ぐぅっ…!?だったら!」

 

カザリは俺に向けて風を吹かせてきた。それを受けた俺は、オーズドライバーの3枚のメダルを変えた。

 

『クワガタ!カマキリ!チーター!』

 

俺は仮面ライダーオーズ ガタキリーターに変身した。

 

「はぁぁぁ…!」

 

俺は高速で走り、カザリの元まで行くとジャンプし、クワガタヘッドから電撃を放ってカマキリソードでカザリを斬ろうとしたのだが…

 

「ふんっ!」

 

「ぐぁっ…!?」

カマキリソードを振り上げた瞬間、カザリの爪で殴られ、倒れてしまう。更に、その反動でベルトの3枚のコアメダルが飛び出してしまい、強制変身解除。

 

「コアメダル、もらったよ。」

 

「カザリ!俺のメダルをよこせ!」

 

「仕方ないなぁ…感謝しなよ!」

 

カザリはウヴァにクワガタとカマキリのコアメダルを投げると、ウヴァの体にコアメダルが吸い込まれる。

 

「ふははは!俺のコアメダル。オラァ!」

 

ウヴァは穂乃果に殴りかかり、穂乃果はそれにより少し吹き飛ぶ。

 

「うぅ…ちょっと強くなった。なら穂乃果も!超変身!」

 

穂乃果は青の金のクウガ、仮面ライダークウガ ライジングドラゴンに変身した。

 

「ごめんなさい、これ借ります!」

 

穂乃果は近くに立てかけてあった鉄パイプを拾い、それをライジングドラゴンロッドに変えた。

 

「あと2枚、ボクのコアメダル持ってるよね?それも返してもらうよ。」

 

「渡すわけねぇだろ。変身!」

 

『サイ!ゴリラ!ゾウ!サゴーゾ・サゴーゾ!』

 

俺は仮面ライダーオーズ サゴーゾコンボに変身した。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「はぁ!」

 

カザリは再びジャンプし、俺に爪を突き刺そうとしてきた。その隙をついて、俺はカザリの腹部をゴリラアームで殴り、カザリは吹き飛ばされる。

 

『スキャニングチャージ!』

 

俺は少し空中に浮き、そこから一気に降りる。それにより、俺は少し地面にめり込む。そして、重力を操りカザリを引き寄せ、

 

「セイヤーッ!!」

 

カザリは引き寄せられながらも右手にエネルギーを溜めていき、俺はサイヘッドと両手のゴリラアームでカザリへ殴る。それと同時にカザリも殴り、お互い吹き飛んだ。その影響で、カザリからセルメダルが飛び出す。

 

「こいつは、貰ったぜ…」

 

俺は咄嗟に掴み取った1枚のメダル、トラコアメダルをカザリに見せる。

 

「チッ…けど、ボクも貰ったよ。」

 

そう言って、カザリはトラコアメダルとライオンコアメダルを見せてくる。

 

「えっ!?」

 

俺はそれに驚き、腰のメダルホルダーを見ると、トラとライオンのコアメダルが無くなっている。くそ…これじゃプラマイゼロどころか、ライオン持ってかれてマイナスだ…

 

「くっ…だったら、タジャドル…いや、シャウタで行くか。」

 

俺は更にオーズドライバーのコアメダルを変えた

 

『シャチ!ウナギ!タコ!シャ・シャ・シャウタ!シャ・シャ・シャウタ!』

 

俺は仮面ライダーオーズ シャウタコンボに変身した。

 

「水がないから本領発揮出来ないのは残念だけど…一気に決める!」

 

『スキャニングチャージ!』

 

俺はウナギウィップでカザリを拘束し、タコレッグの8本の足を回転させながらキックした。

 

「ぐっ…これ以上は危険そうだね。けど、これで完全復活まで、2枚…」

 

そう言って、カザリは逃げていった。コアメダルは取り返せなかったか…俺はそう思いながら、変身解除した。

 

「うっ…」

 

すると、少しふらっとして倒れかける。

 

「やっぱり、コンボの使いすぎはきついな…」

 

そう思いながら、俺は穂乃果たちの方を見ると、ウヴァも屑ヤミーもいなかった。ん?待てよ、2枚…?

 

「優くん!」

 

俺はカザリの言った2枚という言葉を不思議に思ったが、穂乃果たち3人が俺のとこまで来て考えがそれた。

 

「3人とも、大丈夫か?」

 

「うん。いっぱいいるのは倒したけど、緑の怪物には逃げられちゃった。」

 

「そうか…ん?」

 

俺が携帯を見ると、絵里達からの着信が多くあった。

 

「やばっ…朝練とっくに始まってるよ…とにかく電話しないと…」

 

俺はとりあえず、着信履歴の1番上にあった絵里の名前を押した。

 

「もしもし、絵里か?」

 

『優、何かあったの?穂乃果とことり、海未もまだ来てないみたいだけど…』

 

「悪い。財団Xが現れて、今まで戦ってたんだ。」

 

『もう終わったの?大丈夫だった?』

 

「あぁ、大丈夫だ。」

 

『分かったわ。練習先に始めてるから、落ち着いたら来て。』

 

「あぁ、分かった。」

 

そこで俺は電話を切った。

 

「絵里ちゃんから?」

 

「あぁ。先に練習始めてるって。」

 

「では、私達も行きましょうか。」

 

 

 

 

 

それから、遅れたが俺達もいつも通り練習に参加し、授業を受け、放課後になった。今は地区予選に向けて練習しているところだ。

 

 

 

 

 

「よし、ちょっと休憩だ。」

 

放課後の練習中、一旦区切りがついたので休憩時間に入ったμ's。蓮と秀夜は、なんか話があるとか言って2人で屋上の隅の方に行っている。

 

「うーんっ、疲れたぁ…でも、最近動きのキレが良くなったような気がするんだぁ!」

 

背伸びしながらそう言った穂乃果。

 

「ダイエットの成果かもしれませんね。」

 

「そういえば、私も前より軽やかに動けるような気がする。」

 

海未と花陽がそう言った時、俺のインフィニティブレスとスマホに連絡が…

 

「なんだ?って、インフィニティブレスにまで連絡が来る時点で財団Xだよな…悪い、みんな。ちょっと行ってくるわ。完全下校時間になったら、先に帰っててくれ。」

 

「優くん達だけでいいの?」

 

「あぁ。みんなは最終予選もあるんだし、練習しといてくれ。じゃあ、行ってくる。」

 

俺はそう言って、蓮と秀夜の方へ向かった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

放課後。俺と秀夜は、優の声に合わせてダンスの練習をしているμ'sのみんなから少し離れた所で、優のバグスターウイルスを治す方法を考えている。

 

「けど、今のところゲーマドライバーを使った時以外、ゲーム病の影響を受けてないっぽいよな。」

 

俺がそう話し始める。

 

「あぁ。もしかして、もう優の体内から分離してる…?」

 

「秀夜、それ本当か!?」

 

「いや、分からないけど…でも、可能性はある。」

 

「なら、いち早くそのバグスター見つけないと!」

 

「待て、そうと決まったわけじゃない。」

 

「そうだな…」

 

けど、なんで財団Xは優をバグスターウイルスに感染させたんだ…?

 

「なぁ、俺思ったんだけど、優なら話してもいいんじゃないか?」

 

「でも、もしそれでストレスを溜め込んで消滅したら、どうするんだよ…」

 

俺の言葉にそう言った秀夜。

 

「そうだけど…優なら、大丈夫な気がするんだよな…」

 

「まぁ、俺もそんな気はするが、今の優は、半分は俺達が知っている前世での優とは別人でもあるんだ。」

 

「そうか…確かに、何が起こるのか分からないよな…」

 

「あぁ。それに、財団Xに関する問題はそれだけじゃない。この前の件で更に問題が出てきた。財団Xは、一般人にガイアメモリを渡した。」

 

「あぁ。でも、元々ガイアメモリを開発してたミュージアムは、風都の人に渡してただろ?」

 

秀夜が言ってきた言葉に、俺はそう聞き返す。

 

「それはそうだが、今の規模の財団Xが無差別に一般人にガイアメモリを渡したとしたら、それこそ大変なことになる。」

 

「あぁ…それに、優が鏡飛彩っていうドクターライダーから聞いたらしいけど、聖都大学附属病院の近くでまたバグスターが出現し始めたってのも気になるな。」

 

「蓮にしては、賢いこと言うじゃねぇか。」

 

「俺にしてはってなんだよ!」

 

「言葉通りの意味だ。それにしても、そのバグスターも財団Xが生み出したバグスターだろうな。普通のバグスターなら、CRと幻夢コーポレーションが共同開発したワクチンで治るはずだからな。」

 

「そうだよなぁ…」

 

悩んでいる俺たちに、

 

「蓮!秀夜!」

 

優が俺達がいる屋上の隅の方に走ってきた。

 

「優、どうした?」

 

「財団Xが現れた!」

 

「またぁ!?」

 

「とにかく行くぞ!場所は?」

 

「ちょっと遠い。みんなには、俺たち抜きで練習してもらう事になった。」

 

「分かった。」

 

俺は屋上から出て、音ノ木坂学院を出たところでそれぞれのバイクに乗って、財団Xが現れた場所へ向かった。

 

 

 

 

 

ブゥーーン…

 

ライオンハイパーメカアニマルから送られてきた場所に付くと、ロイミュード022、034、035、054、059、070、081、094、104の9体が暴れている。

 

「なんだ?今日はロイミュードのオンパレードだな。」

 

俺はそう言いながら腰にドライブドライバーを、蓮と秀夜はマッハドライバー炎を巻き付けた。

 

「「「変身!」」」

 

『ドライブ!タイプ フォーミュラ!』

 

『ライダー!デットヒート!』

 

『ライダー!チェイサー!』

 

俺は仮面ライダードライブ タイプフォーミュラに、蓮は仮面ライダーデットヒートマッハに、秀夜は仮面ライダーチェイサーに変身した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「ひとっ走り付き合えよ!」

 

「追跡、撲滅、いずれも〜マッハ!仮面ライダー、マッハ!」

 

優達は、それぞれ3体ずつロイミュードと交戦し始めた。

 

「はぁぁぁぁ、やぁ!」

 

優は高速で移動しながら、1体のロイミュードを殴る。

 

『タイヤコーカン!フォーミュラ・01(ゼロワン)!』

 

『ゼッ、ゼッ、01!』

 

優は両腕にマンターンタイヤを取り付け、更に加速する。そして優は、ロイミュード034を殴り、そのロイミュードのコアは砕けた。

 

『フォーミュラ砲!』

 

優はトレーラー砲を取り出し、シフトフォーミュラをセットした。

 

『ヒッサーツ!フルスロットル!』

 

更に、トレーラー砲の中に、シフトスピードとシフトワイルドを入れた。

 

『フルフル フォーミュラ大砲!』

 

「はぁぁっ!」

 

優はトレーラー砲から強力なエネルギーを発射し、ロイミュード094と104を一気に倒し、コアが砕けた。

 

「ふぅ…ん?なんだ、またお前か。お前は俺のストーカーかなんかか?」

 

「ストーカーは酷いなぁ、優。もっとマシな言い方してくれよ。俺とお前は、それ以上に近く、分かり合える存在なんだぜ。」

 

そう言いながら現れたのは、バグスターのラビリー。

 

「なんだそれ、男同士でそんなことを言われても、悪寒が走るだけだっつーの…それに、今のお前とは分かり合える気なんて全くしねぇがな。」

 

優はそう言いながら、シフトブレスからシフトフォーミュラを外し、更にドライブドライバーも外す。その影響で、優の変身は解除される。そして優は、腰にゲーマドライバーを巻き付けた。

 

『『バーフェクトツムツム!』』

 

「「変身!」」

 

『『デュアルアップ!全てを繋いで 己の力へ!パーフェクト〜ツムツム!』』

 

優は仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50に、ラビリーは仮面ライダーラビリンス ツムツムゲーマーレベル50に変身した。

 

姿は違うところがいくつかあるが、変身時ガシャットからなる音声や、ゲーム名も全く同じのようだ。

 

「俺の強さは次元を超えるぜ!はぁぁぁ!!」

 

優はラビリンスへ向かって殴るが、それを防ぐラビリンス。

 

『『高速化 3コンボ!』』

 

優達はエナジーアイテム、高速化を取って周りからは見えないほどの速度で戦っている。

 

 

 

そして、蓮と秀夜は…

 

『バースト!キュウニ デットヒート!』

 

「おりゃあああ!」

 

蓮のデットヒートタイヤが、バーストしてバーストタイヤに切り替わる。

 

『ゼンリン!』

 

「はぁぁぁ!!」

 

蓮はゼンリンシューターのゼンリン部分でロイミュード059を倒し、コアが砕けた。

 

『マッテローヨ!』

 

秀夜がシンゴウアックスにシグナルチェイサーを入れると、歩行者用信号が赤く光る。

 

『イッテイーヨ!』

 

歩行者用信号が青に変わると、秀夜は走り出してロイミュード070と081を斬りかかった。

 

『フルスロットル!』

 

「はぁ!」

 

それにより、ロイミュード070と081のコアが砕けた。

 

『『ヒッサツ!フルスロットル!』』

『バースト!デットヒート!』

『チェイサー!』

 

「「はぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

蓮と秀夜は、残りの3体のロイミュードへキックを放つ。そして、ロイミュード022、035、054のコアが砕けた。

 

「良い絵だったでしょ。」

 

 

 

 

 

『ガッシュー』

 

「ぐはぁっ…」

 

ラビリンスの攻撃を受け、ガシャットがベルトから取れて強制変身解除してしまう優。

 

「言ったろ。同じレベルで同じガシャットを使っても、俺は倒せないって。」

 

「だったら!」

 

『マキシマムマイティX!』

 

優はマキシマムマイティXガシャットを取り出し、起動させた。

 

「マックス大変身!」

 

『マキシマムパワーX!』

 

優は仮面ライダーエグゼイド マキシマムゲーマーレベル99に変身した。

 

「はぁ!」

 

優はラビリンスを殴り、それによりラビリンスは吹き飛ばされ、その一撃だけで強制変身解除した。

 

「いくらお前がパーフェクトツムツムを使いこなしていようが、このレベル差には敵わない。」

 

「優!」

 

ロイミュード6体を倒した蓮と秀夜が、優の元に駆けつける。

 

「だったら、俺もレベルアップすればいいってことだろ?」

 

「それは、ゲーマドライバー!?」

 

ラビリーはフッ、と笑ってゲーマドライバーを巻き付けた。

 

『デュアルガシャット!』

 

「99コンボ!変身!」

 

『ガッチャーン!マザルアップ!仕掛けられたトラップ!連鎖するパズル!パーフェクトトレジャー!』

 

ラビリーはまた新たな姿に変身した。

 

「この姿はパーフェクトツムツムと迷宮トレジャー、2つのゲームが混ざった力。仮面ライダーラビリンス パーフェクトトレジャーゲーマーレベル99だ。」

 

「なんでお前が、ゲーマドライバーを…?」

 

仮面ライダーラビリンス パーフェクトトレジャーゲーマーレベル99に変身したラビリーだが、バグスターウイルスであるラビリーがゲーマドライバーを使用できたことに驚く優。

 

「さて、軽く遊ぼうぜ。優!」

 

「遊んでる暇はない。さっさと片付けさせてもらう!」

 

優は走り出し、一気にラビリーの所まで行き殴りかかった。

 

「はぁ!」

 

「オラァ!」

 

しかし、ラビリンスはそれを避けてマキシマムゲーマーのデカいボディを殴る。すると、優は「ぐっ…」と声を漏らして後ろへ吹き飛ぶ。マキシマムゲーマーは見た目の通り防御力も高いはずだが、それをいとも簡単に殴り飛ばしてしまったラビリンス。

 

「優!?」

 

次は秀夜がラビリンスへと近づき、ブレイクガンナーからビームを放ったが、

 

『反射 2コンボ!』

 

ラビリンスは反射のエナジーアイテムを使い、秀夜が放ったビームは自身へと浴びせられた。

 

「ぐっ…」

 

『ゼンリン!』

 

蓮はゼンリンシューターのゼンリン部分でラビリンスへ殴りかかったが、

 

『残像 3コンボ!』

 

今度は残像のエナジーアイテムを使ったラビリンスは、その名の通り残像になって消えた。

 

「どこに行きやがった…!?」

 

そう戸惑っている蓮と、先程の攻撃を受け倒れてる秀夜に、地面から鎖が出てきて2人を拘束した。迷宮トレジャーのトラップ能力だ。

 

「くそっ…」

 

「優、邪魔者は消えた。今度こそ遊ぼうぜ。」

 

「その前に教えろ。なんでお前が、ゲーマドライバーを使えるんだ!」

 

「簡単な話さ。この前、マキシマムマイティXガシャットを使って、お前は俺をリプログラミングした。」

 

「それがなんだよ?」

 

「…ッ!?そうか、そういうことか…ってことはあいつが!?」

 

「秀夜?」

 

ラビリンスの言葉の意味を理解できない優だが、何かに気づいたような秀夜。そして優と同じく、何も分かっていない蓮。

 

「前にも同じようなことがあったの、知ってるだろ?」

 

「同じようなこと…それってパラドの事か?リプログラミングしたからと言って、バグスターがゲーマドライバーを使えるわけじゃないだろ。あれは、永夢さんに感染していたのがパラドだから…」

 

ラビリンスの問いに答えた優。

 

「だから、そういう事だよ。」

 

「えっ…?」

 

「待て!それ以上言うな!」

 

「まさか!?くそっ!これさえ取れれば!」

 

ラビリンスに叫びながら話すことを止めようとする秀夜と、それにより何かに気づいたような蓮が鎖を剥がそうとする。

 

「だから俺は…」

 

「待てぇぇぇ!」

 

「言うなぁぁぁ!」

 

「優。()()()()()()()、バグスターウイルスだ。」

 

「は…?どういう事だよ?それじゃあ、俺は…ゲーム病?」

 

呆然としながらそう呟く優。そして、戦う気力を失ったからか、ゲーマドライバーからマキシマムマイティXガシャットが抜け落ち、変身解除した優。

 

「あーあ。今日はもう、戦えそうにないな。お前は宝生永夢のように、これでストレスを溜め込むなんてことないって信じてるぜ。優。」

 

そう言ったラビリンスは変身解除し、ラビリーに戻りどこかへ消えていった。

 

そしてその場には、自身がバグスターウイルス感染症ということを知った優と、その事実を優が知ってしまったと驚愕する蓮と秀夜。その3人が立ち竦む姿だけが残った。

 

 

 




次回のμ'sと仮面ライダーの物語!

自分がバグスターウイルス感染症だと知った優は、ラビリーを攻略するためある場所に向かう…そして、優はガシャットギアデュアルアルファの、真の力を開花させる!

次回、『101話 ガシャットギアデュアルアルファの真の力』





という事で、100話目の話が終了しました。今回は優に感染しているバグスターがラビリーという事が明かされましたが、結構お気づきの方もいたかもしれませんね。

そして、前書きでも話しましたが、今回で100話を迎えました。今回が年内最後の投稿なので、そこで100話を迎えられたことを嬉しく思います。

最近は少し丁寧に書くことを意識していましたが、今でも誤字脱字や変な文が多いと思います。なので来年は、物語もどんどん進んでいく予定ですので、出来るだけ週一投稿を途絶えさせず、丁寧に書けるよう努力していこうと思っています。なので、誤字報告など、気軽にして頂けると嬉しいです。

次回で今回のラビリー編(仮)は完結しますが、その後はロギア クロニクルさんとのコラボ回を予定しています。そちらも是非見てください!

では改めまして、この100話まで見てくださった皆さん、今年も本当にありがとうこざいます!見ている方で、お気に入り登録、評価や感想などがお済でない方は、よければよろしくお願いします!

そして来年は、物語も段々と佳境に向かっていきますので、楽しみに見ていただけると嬉しいです。来年には、完結出来るかな…?と考えております。

長くなりましたが、本年も本当にありがとうこざいました!


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101話 ガシャットギアデュアルアルファの真の力

はい、101話です。

皆さん、あけましておめでとうございます。年内最初の投稿が、ちゃんと1月1日に出来て少し安心しているシーチです。2019年も、μ'sと仮面ライダーの物語をよろしくお願い致します!

では101話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 仮野優)

 

自身がバグスターウイルス感染症、そしてそのバグスターがラビリーということを知った俺、仮野優。そんな衝撃的事実を知った俺は、どう行動するのか…どうなる、101話!?

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「そうか…」

 

「うん。今朝そう連絡が来て。」

 

俺と秀夜は、登校中に会った穂乃果、海未、ことりにある事を聞いた。それは優から『悪い、朝練には行けない。放課後には戻れるようにする。』と、穂乃果の元に連絡が来たらしい。確かに昨日、明日は行けないかもとは言ってたな…

 

「何かあったのですか?」

 

「いや…まぁ、あったと言えばあったんだけど…そんな大したことでもないというか…」

 

本当はかなりの重大事件なんだけど…昨日、自分がゲーム病を患っていると知った優は…

 

 

 

〜昨日の回想〜

 

しばらく座り込んでいた優だが、突然立ち上がりどこかへ向かって歩き出す。

 

「優?」

 

「どこ行くんだ?」

 

「悪い、行かなきゃならない場所があるんだ。明日、もしかしたら休むかもしれないから、その時は頼んだ。」

 

『スペシャル召喚 ライドインフィニティ!』

 

俺と秀夜の問いにそう答えた優は、バイクに乗って走り去っていった。

 

「おいっ、優!」

 

〜回想終了〜

 

 

「なぁ、秀夜。昨日急にどっかに行っちまったけど、優のやつ…大丈夫なのか…?」

 

「分からないけど、あの顔の時の優は、何かを決心した時の優だ。多分、大丈夫だと思う。」

 

確かに、あの時の優はストレスを溜め込んで消滅しそうなこともなかったな…クソッ!今はあいつを信じる事しか、出来ないのかよ…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

時を遡ること1日…

 

『スペシャル召喚 ライドインフィニティ!』

 

ラビリーが去ってからしばらくして、蓮と秀夜の元からライドインフィニティに乗って走り去って行った俺。

 

俺自身がゲーム病と知り、もちろん戸惑った。でも、たとえ俺がゲーム病だとしても、俺がすることは変わらない。財団Xから人々を守り、μ'sのみんなをサポートする。

 

それに、今のところラビリーは俺と戦う(遊ぶ)ことが目的らしく、直接人を襲っていない。だが、いつ人を襲うかわからない以上、どの道倒さないといけないんだ。けど、もしそうなったら俺は、ゲーマドライバーを使って変身することが…

 

「あぁ!とやかく考えても仕方ない!とにかく、早く向かわないと!」

 

俺はそう大きめの声を吐き出し、バイクのスピードを上げた。

 

 

 

 

 

俺は目的地に着き、ライドインフィニティを天界にワープさせて、目的の建物に入った。その建物のエレベーターに乗り、普通の人には知られていない部屋に入るための暗証番号を入力して入った。俺はその部屋の階段を上り、更に奥に入った。

 

「どうも、黎斗さん。」

 

「檀っ…黎斗神だぁぁぁぁぁぁぁ!!!っておや?君がここに来るなんて珍しい。どうしたんだい?」

 

俺に変わった挨拶を返してきたのは、檀黎斗神さん。ここまで来れば分かるかもしれないが、俺が来たのは先日まで俺が入院していた聖都大学附属病院。今俺の目の前にいる檀黎斗神さんに会いに来たのだ。

 

「あなたに、聞きたいことがあるんです。」

 

「ほう…この私に、聞きたいこと?」

 

「えぇ。あなたが開発した、このガシャットについてです。」

 

俺はそう言いながら、ガシャットギアデュアルアルファを黎斗神さんに見せた。

 

「ほう…そのガシャットの、何について聞きたいのかな?」

 

 

 

 

 

「なるほど…このゲームには、そういう意味が…」

 

なら、ラビリーを倒すんじゃなく…

 

「あぁ。たとえ発売しないゲームでも、しっかりと構成を練るのが私の主義なんでね。私がこんな所に入れられていなければ、すぐにでも発売したいゲームだよ。」

 

ガシャットギアデュアルアルファについて聞きたいことを、一通り聞き終えた俺。

 

「あれ、優くん?」

 

そんな俺の背後に現れた人物が、そう俺の名を呼んだ。

 

「永夢さん!夏ぶりですね。」

 

「うん!久しぶり、飛彩さんから聞いたよ。この前は無理して戦って、大怪我と疲労の溜まりすぎで入院してたんでしょ?」

 

「はい…」

「それで、今日はどうしたの?黎斗さ「檀…黎斗神だぁぁ!」黎斗神さんと話してたみたいだけど…」

 

「あっ、黎斗神さんに聞きたいことがあったんです。実は俺、ゲーム病に感染してるみたいなんです…」

 

「えぇ!?優くん、それ本当?」

 

さっき黎斗神さんには話したので驚いていないが、それに反して永夢さんはとても驚いている。

 

「はい…それで、感染しているバグスターはもう分離してて、ガシャットギアデュアルオメガっていうアイテムを使って、仮面ライダーに変身して、何度か俺たちとも戦っているんです。実はそのバグスターが、このガシャットギアデュアルアルファの、パーフェクトツムツムのゲームのバグスター、ラビリーなんです…」

 

「そうなんだ…」

 

「またこの私に許可なく、不正なガシャットが生み出されてかァ!!」

 

驚いている永夢さんに対し、黎斗神さんは自分以外が開発したガシャットが生まれたことに悔しがっている。

 

「そこで、永夢さんにもお願いがあるんです!」

 

「僕に、お願い?」

 

「はい。俺にゲームを教えてください!」

 

「えっ…ゲームを、教える…?」

 

「はい。今のままじゃ、たとえ同じレベル99になったとしても、俺はラビリーには勝てません…ラビリーは、ガシャットのゲームの特性を活かして戦っている。ラビリーが感染した事で、少しゲームが出来るようになった俺でも、全く敵いません。だから、天才ゲーマーMである永夢さんに、ゲームを教えて貰って、ゲームの特性を活かして戦えるようになりたいんです!」

 

「なるほど…」

 

「永夢さんが小児科医の仕事で忙しいのは、分かっています。でも、時間が無いんです!ラビリーは、明日にでも戦いを仕掛けてくるかもしれないんです…」

 

「そっか…いいよ。僕でよければ、教えるよ。」

 

「!?あっ、ありがとうございます!!」

 

こうして、俺と永夢さんのゲーム特訓が始まった。

 

 

 

「じゃあ、まずはこれやって見て。」

 

最初は1人で、永夢さんが貸してくれた『マイティアクションX』をプレイするところから。

 

 

 

「よし、じゃあ次は僕と、これで対戦してみようか。」

 

マイティアクションXのプレイ練習が終わり、次は格闘ゲームである『ノックアウトファイター』を、天才ゲーマーMである永夢さんと対決。

 

「じゃあ、僕はレベル30のキャラで戦うから、優くんは最高レベルのレベル99のキャラで戦って。」

 

「えっ?そんなレベル差なら、天才ゲーマーMが相手だとしても、流石に勝てますよ。」

 

「それはどうかな?」

 

そう言って、永夢さんはゲームを起動して、コントローラーを持つ。

 

「よっしゃ、ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

その瞬間、小児科医の宝生永夢先生から、永夢さんに感染しているパラドの影響である、天才ゲーマーMの人格に変わる。

 

「こっちこそ、ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

そして、ゲームをプレイし始めた俺と永夢さん。だったが…

 

 

 

「そっ、そんな…負けた…なんで…」

 

なんと、69ものレベル差で俺が負けたのだ。

 

「そういえば、今の優くんって、そのラビリー?ってバグスターをリプログラミングしたんだよね?」

 

ゲームを終了し、小児科医の宝生永夢さんの人格戻った永夢さんがそう聞いてきた。

 

「はい…でも、ラビリーが感染していた影響で、ゲームの腕は上がっているはずです!」

 

「そうだね。でも、あのレベル差でも僕には勝てなかった。なんでか分かる?」

 

「うーん…永夢さんが、天才ゲーマーMだから…?」

 

「まぁ、それもあるかもしれないけど、1番の理由はゲームの特性を活かしているか。さっき優くんが、ラビリーに負けた理由の1つとして、自分でも言っていたことだよね?」

 

「はい…」

 

「例えば、さっきプレイしたノックアウトファイターには、ステージにアイテムが落ちてるけど、優くんはそれを使わず、ただただ僕のキャラクターに攻撃してきた。僕はアイテムを使って強化したり、優くんを混乱させたりした。だから、あのレベル差でも優くんに勝てた。」

 

「なるほど…」

 

「優くんが使っている、ガシャットギアデュアルアルファの片方のゲームは、パーフェクトツムツム。エナジーアイテムを自由自在に使えるゲームなんだから、その特性を活かして戦えるようになったら、もっともっと強くなれるはずだよ。期限はあと10時間ぐらいしかないから、どれだけ使いこなせるようになるかは、優くん次第だよ。」

 

「分かりました。必ず、習得してみせます!」

 

残り十数時間…その間に、俺はパーフェクトツムツム。そして、ダンシングハーモニー。ガシャットギアデュアルアルファに内蔵されている2つのゲームの特性を活かして、戦えるようにならなければならない。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

優と別れてから十数時間…

 

翌日を迎え、俺と蓮が穂乃果から朝練には行けなという優からの連絡を聞いてから、時が経ち、放課後を迎える。

 

「よしっ。優はいないけど、とにかく練習始めようか。」

 

蓮がそう言うと、μ'sの9人は「うんっ!」と答える。そんな時…

 

 

キャーー!!

 

 

という叫び声が聞こえる。

 

「なんだ!?」

 

俺達は驚き、屋上の柵から下を見るとバグスターウイルスとグールが大量に…更に、そいつらを従えているようにラビリーとメデューサファントムが、校門から侵入してきている。

 

「みんなは逃げるてる生徒を避難させてくれ!蓮、行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

「「変身!」」

 

俺達は腰にフォースドライバーを巻き付け、俺は仮面ライダーイボルブに、蓮は仮面ライダーアースネイチャーに変身した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 穂乃果〜

 

「うぇ!?飛び降りちゃった…」

 

仮面ライダーに変身した蓮くんと秀夜くんは、屋上の柵から飛び降りて、そのまま怪物と戦い始めた。

 

「みんな!私達は、秀夜に言われた通り逃げてる生徒の避難を!」

 

絵里ちゃんに言われ、穂乃果達は「うん!」と答えて、階段を降りて校舎から出て、逃げ遅れたみんなを避難させ始めた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

バグスターウイルス、グールと戦っている秀夜と蓮を見ているラビリーとメデューサ。そんなラビリーの隣に、クロッカーが現れる。

 

「珍しいな。お前が俺たちと行動を共にするなんて。俺達財団Xがお前を生み出した時から、お前は俺達に反抗的だったのに。」

 

「俺は、誰かの犬になるのが嫌なだけだ。今回は、優をおびき寄せて遊ぶために、協力するだけだ。」

 

「だが、仮野優に感染しているお前なら、あいつの居場所ぐらい分かるんじゃないのか?」

 

「あぁ、分かるさ。けど、俺と本気(マジ)で戦う気のない優と戦うよりも、本気(マジ)の優と戦う方が楽しいだろ?」

 

「そういうことか。お前が戦う理由はどうでもいいが、あんまり暴れすぎるなよ。ここを壊されると困る。」

 

「…?分かった。」

 

ラビリーの答えを聞き、クロッカーは去っていった。そんな中、蓮と秀夜は戦いを続ける。

 

「はぁぁ!」

 

蓮が両手を振り上げると、水が渦巻きになって飛び出し、バグスターウイルスとグールはそれに飲み込まれていく。

 

『スペシャル召喚 イボルブアロー!』

 

秀夜はイボルブアローを取り出し、敵を次々と撃ち抜いていく。2人がそれぞれ戦っている中…

 

 

ブルルルルルルル…

 

 

バイクの走行音が聞こえ始め、そのバイクは音ノ木坂学院の前で止まった。

 

「悪い、待たせたな。」

 

ライドインフィニティに乗って、音ノ木坂学院まで戻ってきた優。

 

「優!お前どこに行ってたんだよ!」

 

戦いながら、優にそう聞く蓮。

 

「詳しいことは後で話す。ラビリーは俺に任せてくれ。」

 

「でもお前…」

 

「頼む!」

 

「分かった…」

 

蓮と秀夜が承諾した事を確認した優は、ラビリーの元へ向かう。

 

「さて、ラビリー。お前の目的は、俺だろ?」

 

「来ると思ってたぜ、優。」

 

「さて、さっさと決着つけようぜ。」

 

「いいのか?俺を倒したら、お前はゲーマドライバーが使えなくなる。」

 

「最初はそれが悩みだったんだよなぁ…けど、それが大丈夫になった。」

 

「……?どういう意味か分からないが、お前じゃ俺は倒せない。邪魔が入っても厄介だ。」

 

そう言い、ラビリーはゲーマドライバーを装着した。

 

「99コンボ!変身!」

 

『マザルアップ!仕掛けられたトラップ!連鎖するパズル!パーフェクトトレジャー!』

 

「ステージに移動しようぜ。」

仮面ライダーラビリンス パーフェクトトレジャーゲーマーレベル99に変身したラビリーは、キメワザスロットホルダーのボタンを押した。

 

『ステージセレクト』

 

「優!秀夜、優1人で本当に大丈夫かな…」

 

優が別のステージに移動したのを確認した蓮が、そう秀夜に言った。

 

「優が自分で決着をつけたいって言ってるんだ。今は優を信じて、目の前の敵を倒すことだけ考えろ!」

 

「そうだな、分かった!」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺とラビリーはステージセレクトして、別の場所に移動した。その場所は、山の近くにある工場の近く。

 

「ここは、かつて宝生永夢とパラドが戦った場所。あの時結局つけられなかった、人間とバグスターの決着。俺達がつけてやろうぜ。まぁ、俺が勝つけどな。」

 

「悪いが、今度は負けるつもりは無い。今の俺は、昨日の俺と違うぜ。」

 

俺はそう言い、腰にゲーマドライバーを巻き付ける。

 

「……大丈夫。今の俺なら、出来るはずだ。」

 

ガシャットギアデュアルアルファを手に持ち、そう呟いた俺。そんな俺の頭には、昨日黎斗神さんと話した時のことが過ぎった。

 

 

〜回想〜

 

「ほう…そのガシャットの、何について聞きたいのかな?」

 

「このガシャットは、パラドのようにマザルアップしてレベル99に変身する事が、可能なんじゃないですか?」

 

「やはり気づいたか…その通りさ。ガシャットギアデュアルアルファを使えば、レベル99に変身する事が可能だ。」

 

黎斗神さんの言葉に、喜びの表情を浮かべた俺だったが…

 

「ただ、それに変身して耐えられるかは君次第。レベル50とは比べられないほど、強力な力だよ。」

 

「大丈夫です。それに、レベル99になら、マキシマムゲーマーに変身したことありますし。」

 

「それだけじゃない。このガシャットでレベル99に変身するには、鏡先生のタドルレガシーのように、迷いを捨てなければならない。今の君は、何か迷っているように見える。」

 

迷い…ラビリーを倒したら、俺はゲーマドライバーが使えなくなる。だから、少し倒すのを躊躇しそうな自分がいる。

 

〜回想終了〜

 

 

けど、黎斗神さんのあの話が本当なら、俺は今からラビリーを倒すんじゃない。

 

「99コンボ!」

 

『デュアルガシャット!』

 

そして、俺はダイヤルを回さず、ガシャットギアデュアルアルファをゲーマドライバーに入れた。

 

「変身!」

 

『ガッチャーン!マザルアップ!虹色輝くハーモニー!青いパズル連鎖!パーフェクトハーモニー!』

 

ツムツムゲーマーとハーモニーゲーマー、2つのゲーマーが混ざった新たな姿に変身した俺。

 

「この姿は、お前と同じマザルアップした姿。その名も、仮面ライダーインフィニティ パーフェクトハーモーニーゲーマーレベル99だ!」

 

「まさか、お前もマザルアップするなんてな…けど、前にも言ったよな。レベルが同じなら、絶対に俺が勝つって。」

 

「さぁ、それはどうかな…行くぞ!俺の強さは、超次元をも超えてやる!」

 

『『高速化 2コンボ!マッスル化 4コンボ!』』

 

2人は同じエナジーアイテムを使用し、高速移動しながら殴り合う。

 

「くっ…俺の能力はもう1つある事を忘れんなよ!」

 

俺の攻撃を受け、少しよろけたラビリーはそう言い、地面から鎖を飛び出させて優を拘束した。

 

「悪いな、俺の能力ももう1つあるんだよ!」

 

そう言い返した俺が指を鳴らすと、メロディーが流れ始めて鎖が溶けたように消えた。

 

「何!?」

 

「これで驚いてたら、着いてこれなくなるぜ!はぁ!」

 

俺が指揮をするように手を動貸し始めると、再びメロディーが奏でられ、周りに音符が飛んでくる。

 

「…!?ぐぁっ…!」

 

その音符がラビリーの体にぶつかると、ラビリーはダメージを受ける。その間に、俺はエナジーアイテムを作り出し、あるエナジーアイテムを移動させラビリーの体に入れた。そして、ラビリーは立ち上がり、再び俺に向かって走り出した。

 

「…!?うわぁ!」

 

しかし、ラビリーは落ちていたバナナの皮を踏んで転んだ。

 

『滑稽!』

 

さっき俺がラビリーに入れたエナジーアイテムは、『滑稽』。その能力で、ラビリーはバナナの皮を踏んだ。

 

「なんでだ…昨日よりも、エナジーアイテムやゲームの特性を活かして戦ってる…?」

 

「凄い師匠に、教えてもらったからな!」

 

 

 

〜回想〜

 

「じゃあ、これで最後の特訓にしようか。手加減はしなくていいよ。僕は負けないから。」

 

永夢さんはそう言い、ゲーマドライバーを装着した。それに続いて、俺もゲーマドライバーを巻き付ける。

『ハイパームテキ!』『マキシマムマイティX!』

 

『パーフェクトツムツム!』

 

「ハイパー!大!」「50コンボ!」

 

「「変身!」」

 

『ハイパームテキ エグゼイド!』

『パーフェクトツムツム〜!』

 

永夢さんは仮面ライダーエグゼイド ムテキゲーマーに、俺は仮面ライダーインフィニティ ツムツムゲーマーレベル50に変身した。

 

「はぁ!」

 

先に動き出したのは俺。永夢さんに向かって、拳を突き出す。しかし、それを意図も簡単に防ぐ。次に永夢さんが俺に向けて攻撃を放ってくるのを、俺はなんとか防いでいく。

 

やっぱり、ムテキゲーマーにレベル50…それも永夢さん相手に挑むのは、無謀すぎる。普通じゃ勝ち目はない。

 

 

『ゲームは、もちろんレベル差が大きければ勝ち目は少ない。けど、そのステージにあるアイテムや、そのキャラの能力を活かせば逆転できる。』

 

 

そんな時、永夢さんに言われた言葉を思い出す。

 

『高速化 3コンボ!』

俺は高速移動を始めるが、ハイパームテキ自体に高速移動能力がある永夢さんも、俺と同じ速度で動き出し、何度も殴り合う。そして、俺に一瞬隙ができ、永夢さんが俺に殴りかかってきた時…

 

『液状化!』

 

俺は液状化し、勢いをつけて拳を突き出していた永夢さんは、勢いのまま少し前に進んだ。俺はそうなると予測し、予めそこにもう1つのエナジーアイテムを置いておいた。

 

『バグ!』

 

エナジーアイテム『バグ』の影響で、

 

「…!?くっ…体が、思うように動かない…」

 

永夢さんは思うように動けない。

 

「流石のハイパームテキでも、バグは生じるみたいですね。はぁ!」

 

俺は戸惑う永夢さんの腹部に拳を突き出し、ギリギラのところで止めた。

 

「はぁ…俺の負けだ。これなら、ラビリーってバグスターにも勝てる。必ず、お前が望むようになると思う。俺とパラドが、そうだったからな。さぁ、行ってこい。」

 

「はいっ!ありがとうございました!」

 

〜回想終了〜

 

 

 

「俺は勝つ!永夢さんに…天才ゲーマーMに教えてもらった、必勝法で!」

 

俺はガシャットギアデュアルアルファのダイヤルをパーフェクトツムツム側に回し、ゲーマドライバーのカバーを閉じた。

 

『キメワザ!』

 

キメワザ待機音が流れ始め、再び俺はゲーマドライバーのカバーを開いた。

 

『パーフェクト!クリティカルコンボ!』

 

『暗黒!』『混乱!』

 

「くっ…どこだ!?」

 

エナジーアイテム『暗黒』の影響で、突然辺りが暗くなったように見え、『混乱』し始めるラビリンス。

 

「はぁぁ!」

 

俺はそんなラビリンスに、回し蹴りを放つ。そして、今度はガシャットギアデュアルアルファのダイヤルをダンシングハーモニー側に回し、ゲーマドライバーのカバーを閉じ、

 

『キメワザ!』

 

また開いた。

 

『ダンシング!クリティカルハーモニー!』

 

「混乱したままじゃ、気持ち悪いだろ?最高の演奏、お楽しみください。」

 

俺が指揮を始めると、再びメロディーが奏でられる。

 

「うっ…なんだこの音楽。力が、抜けてく…」

 

ラビリーの言葉通り、俺が奏でた音楽を聴いたラビリーは段々と力が抜け、変身が解除がされた。俺はそんなラビリーに近づく。

 

「くっ…まさか、俺が負けるなんてな。トドメを刺すなら、刺せよ…」

 

「いや、お前にはトドメを刺さない。」

俺はそう言いながら、変身解除した。

 

「…?何故だ。俺は、お前を殺そうとした。」

 

「本当にそうか?本当に、俺を殺すために戦いを仕掛けてきたのか?」

 

「どういう意味だ?」

 

「昨日、お前がラスボスのゲーム、パーフェクトツムツムについて聞いたんだ。」

 

昨日、黎斗神さんと話していた時のこと…

 

 

 

〜回想〜

 

「黎斗神さん。もう1つ、聞きたいことがあるんです。このパーフェクトツムツムの、ラスボスであるラビリーについてです。」

 

「ラビリーについて…?」

 

「はい。俺、実はゲーム病だったんです。」

 

「ほぅ…まさか君が。」

 

「それで、俺に感染していたバグスターが、パーフェクトツムツムのラスボス、ラビリーだったんです。」

 

「なるほど。それで、ラビリーについて聞きたいのか。いいだろう。この私が発明したゲーム、パーフェクトツムツムのラスボス、ラビリーについて教えてあげよう。」

 

そう答えてくれた黎斗神さんは、ラビリーについて話し始めた。

 

「私がパーフェクトツムツムのラビリーについて考えたのは、君にガシャットギアデュアルアルファを渡す少し前。宝生永夢とパラドが、協力することになったのを見て思いついたのさ。ラビリーは、主人公に何度も戦いを仕掛けるが、その真意は、主人公と共にゲームをしたいから、そう思っているキャラクターさ。」

 

「えっ…?」

 

「そして、最終ステージで主人公は、ラビリーを倒すんじゃなく今後協力していくと決意する。そんなストーリーさ。」

 

「なるほど…このゲームには、そんな意味が…」

 

「恐らく、そのバグスターのラビリーが、共にゲームをしたいと考えている主人公は、君のことさ。」

 

なら、ラビリーを倒すんじゃなく、協力していくって道がある。

 

〜回想終了〜

 

 

 

「それを聞いて、俺はお前を倒すんじゃなく、お前と仲間になろうって思ったんだ。」

 

「でも、俺はバグスターで、お前ら人間の命を狙う存在で…」

 

「俺は、そんなことないと思う。ポッピーやパラドみたいに良いバグスターもいると思う。お前も、そんなバグスターになれると思うぜ。」

 

そう言って、俺はラビリーに手を差し出した。

 

「俺が…」

 

そして、ラビリーはその手を取り、立ち上がった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

『スペシャルアタック アーススプラッシュ!』

 

『イボルブ!ライダー イボルブシュート!』

 

蓮は水流を、秀夜は大量の矢を放ち、グールとバグスターウイルスを倒した。

 

「「…!?ぐぁぁぁっ…!」」

 

そんな蓮と秀夜に、何者かの攻撃が当たり、2人は強制変身解除してしまう。2人に攻撃したのは、2体のデビュラー。

 

「デビュラーか…厄介だな。」

 

秀夜がそう呟いた時、

 

「悪い、2人とも。待たせたな。」

 

そう言って、ラビリーを連れて優が戻ってきた。

 

「優…って、ラビリー!?なんで?」

 

秀夜は驚きながらそう聞いた。

 

「詳しいことは後で話すけど、ラビリーも仲間になったんだ。」

 

「なんかよく分かんねぇけど、分かった!」

 

蓮もそう答え、秀夜もそれに同意した。

 

「ラビリー、行くぞ。」

 

「あぁ!」

 

「「99コンボ!変身!」」

 

『『マザルアップ!』』

 

『虹色輝くハーモニー!青いパズル連鎖!パーフェクトハーモニー!』

 

『仕掛けられたトラップ!連鎖するパズル!パーフェクトトレジャー!』

 

優は仮面ライダーインフィニティ パーフェクトハーモニーゲーマーレベル99に、ラビリーは仮面ライダーラビリンス パーフェクトトレジャーゲーマーレベル99に変身した。

 

「俺たちの強さは!」

 

「「超次元をも超えてやる!!」」

 

優に続いて、ラビリーも優と同じく言った。

 

「秀夜、こいつ預けとく。デビュラーは俺たちに任せろ。」

 

優は秀夜にウィザードライバーとウィザードリングを渡し、ラビリーと共にデビュラーへと走っていった。

 

「よし、蓮。俺達も行こう!」

 

「あぁ!」

 

秀夜はウィザードライバーを、蓮はビーストドライバーを巻き付けた。

 

「変~「変身!」~身!」

 

『フレイム プリーズ!ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!』

 

『セット・オープン!L・I・O・N・ライオン!』

 

秀夜は仮面ライダーウィザード フレイムスタイルに、蓮は仮面ライダービーストに変身した。

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

「ランチタイムだ!」

 

『コネクト プリーズ』

 

秀夜はコネクトリングを使い、ウィザーソードガン ソードモードを取り出し、蓮はダイスサーベルを取り出した。そんな2人に向かって、メデューサは自身の髪を伸ばして攻撃する。

 

「「はぁ!」」

 

2人は自身の剣で、それを防いでいく。髪を元に戻したメデューサは自身の杖、アロガントを取り出し2人に接近して攻撃する。それを秀夜が防ぎ、蓮がダイスサーベルでメデューサを斬る。

 

『ドルフィ!ゴー!ドッドッドッドッ・ドルフィン!』

 

蓮はドルフィマントを纏った。

 

『キャモナ・スラッシュ・シェイクハンド!

フレイム!ヒーヒーヒー!』

 

『フォー!ドルフィ!セイバーストライク!』

 

秀夜は炎を纏ったウィザーソードガン ソードモードでメデューサへ斬りかかり、蓮はドルフィンを4体出現させメデューサへ攻撃。だが、メデューサにそれを防がれてしまう。

 

「だったら!」

 

『フレイム・ドラゴン!ボー・ボー・ボーボーボー!』

 

『ゴー!ハィハィハッ・ハイパー!』

 

秀夜は仮面ライダーウィザード フレイムドラゴンスタイルに、蓮は仮面ライダービーストハイパーに変身した。

 

「一気に決めるぜぇ!」

 

『チョーイイネ!スペシャル サイコー!』

『ハーイパー!マグナムストライク!』

 

秀夜は胸部にウィザードラゴンの頭部を出現させ、そこから炎を放った。それと同時に、蓮もミラージュマグナムからビーストキマイラの形をしたエネルギー砲を放った。その攻撃で、メデューサは倒された。

 

「ふぃ〜…」

 

「ごっつぁん!」

 

 

 

一方、優とラビリーは…

 

『疾風!』

 

ラビリーはエナジーアイテム『疾風』の力で、風のような速度で動き、デビュラーへと連続攻撃を放っていく。2体のデビュラーは、それをなんとか防いでいくが…

 

「オラァ!俺ばっかりに気を取られてるんじゃないぞ。ジョーカー(切札)は俺じゃない。優!」

 

「あぁ!」

 

『切札!』

 

「はぁぁ!」

 

予めエナジーアイテム『透明化』を使用して姿を隠していた優が、透明化を解除して一体のデビュラーを殴る。

 

「優、決めるぜ!」

 

「あぁ!」

 

『『キメワザ!』』

 

『パーフェクトツムツム!クリティカル フィニッシュ!』

『パーフェクトトレジャー!クリティカル フィニッシュ!』

 

ゲーマドライバーのカバーを開き、キメワザ待機状態に入った2人。

 

『『相棒!』』

 

「俺達は、最高の相棒だ!」

 

「俺達が主人公(ヒーロー)になってやる!」

 

エナジーアイテム『相棒』を使用し、更に力が合わさる2人。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

2人は上空からキックを放ち、2体のデビュラーを倒した。感染者と感染源という関係だからか、初めてとは思えない連携プレーをした優とラビリー。

 

「「よっしゃ!」」

 

2人はお互いに、ハイタッチをした。

 

こうして、優にまた新たな仲間が出来たのであった…

 

 

 

 

 

「ラビリーが裏切りましたか…」

 

「あぁ。黒崎秀夜に続いて2人目か。」

 

「ラビリーが仮野優にどのような影響を及ぼすかと思いましたが、まさか仲間につけてしまうなんて…流石、選ばれし男という感じですね。」

 

ラビリーが裏切ったことを知り、そう話すグラスとクロッカーであった。




という事で、優がラビリーと協力することになったんですが、ここでご報告を…

次回から、ロギア クロニクルさんとのコラボ回が始まります!!

前にも話しましたが、初めてのコラボなので緊張しています…ロギアさんが書く仁くんとは違う感じにならないように気をつけていますが、もしかしたら違うキャラだろ!って感じになってしまっているかもしれません…

あと、コラボ回は何話かに分ける予定なのですが、コラボ回1話に入る前、序章というか、0話的な話を書く予定です。

では改めて、コラボ回共々、本年も『μ'sと仮面ライダーの物語』を、よろしくお願い致します!お気に入り登録、評価や感想などもよければお願いします!では、次回からのコラボ回も、是非ご覧ください!


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シーチ×ロギア ZWEI コラボ回!
序章 地球外生命体との遭遇


はい、コラボ回序章です!

ということで始まりました!ロギア ZWEIさんの『ラブライブ!Qいや、俺の出番なくね?Aあります』とのコラボ回。今回は序章なので、仁くんの登場は少ないですが、次回からは仁くんも登場します!

あと、仁くんの声の時は普通の「」この鉤括弧を使い、エボルトボイスの時は『』この変身音などを表している鉤括弧を使用しています。

あと、コラボ回で話すことではありませんが、話す機会がなかったので、ここで少しだけ。ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over The Rainbowを公開2日目に見てきました!もう一言だけ…最高でした!僕はまだまだ見に行きます!というか今日も行く予定です!

ではコラボ回序章、スタートです!


〜三人称視点〜

 

ここは、優達がいる世界とは違う世界…いわゆる、並行世界という別世界。

 

現在は夜…人通りが少ない中、1人の男が歩いている。

 

「お前が、石動仁…いや、エボルトか?」

 

その男の前に、そう問いかけながら黒いスーツを着た人間が現れた。

 

「なんだ、お前?」

 

「悪いが、俺に着いてきてもらう。」

 

「あっ、結構です。」

 

「答えは聞いていない。」

 

「なんだそれ。リュウタロスか?」

 

「悪いがふざけている暇はない。着いてくる気がないなら、少し手荒な真似だが仕方ない。やれ。」

 

「ん?うっ…!?」

 

エボルトと呼ばれた男は、突然気を失った。その後ろにはスーツの男の部下であろう男が数人、その1人は麻酔銃を持っていた。

 

「悪いな。エボルトの力を使われると厄介なんだ。連れていけ!」

 

スーツの男はそう部下に命令し、エボルトと呼ばれた男を連れていく。

 

 

 

 

 

時は少し流れ、優達がいる世界でも夜が訪れる。

 

「まさか、ハンバーグ作るのに玉ねぎを買い忘れてたなんてね…にことしたことが。早く帰らないと、こころたちもお腹空かせているだろうし…」

 

暗い夜道を愚痴を零しながら歩いているにこの手には、玉ねぎが入った買い物袋が。妹たちの夕飯を作るため、少し急ぎながら帰っているにこだが、その前に立ちはだかる者が…

 

「…!?はぁ…この急いでる時に怪物が出るなんて、少しでいいから空気を読んで欲しいわ。まぁ、無理な話でしょうけど。」

 

また別の並行世界のとある仮面ライダーがいる世界。にこの前に現れたのは、その世界の世界政府や敵が所持している、ガーディアンという機械兵。顔と胸には『X』と表示されているため、財団X製のガーディアン。だが、優たちが今戦っている財団Xは、今はまだガーディアンを所持していないはず。そんなガーディアンが、何故この世界にいるのだろうか…

 

「変身!」

 

にこはそんな事を気にもとめず、仮面ライダーファイズに変身し、暗い中ファイズのラインが赤く光る。にこは走り出し、ガーディアンと戦い出した。

 

『エクシードチャージ』

 

ファイズショットを取り出し、ミッションメモリを入れ構えるにこ。

 

「やぁぁぁぁ!」

 

にこはファイズショットをガーディアンに向けて突き出し、その衝撃でガーディアンを何体か倒したがまだ残っている。

 

「数が多いわね…」

 

にこがそう呟いた時、何者かの攻撃でガーディアンが数体倒された。

 

「あっ、オートバジン!来てくれたのね。よし、一緒に行くわよ!」

 

ガーディアンを倒したのはオートバジン。にことオートバジンは再びガーディアンへと駆け出した。

 

「やぁ!」

 

にこが肉弾戦で戦う中、オートバジンは上空へ飛び前輪から弾丸を放ち始めた。

 

「ってうわっ!?ちょっとちょっとやめなさいよ!こっちにも飛んできてるじゃない!」

 

しかし、ガーディアンの近くで戦っていたにこも巻き添いを受けてしまう。にこの声を聞いたオートバジンは、にこの元へ降りてきた。

 

「ったく、にこに当たらないようにしなさいよ!この約立たず!はぁ…とりあえずバイクに戻りなさい。」

 

『オートバジン ビークルモード』

 

にこは『5886』とファイズフォンに入力し、エンターボタンを押した。すると、オートバジンはバトルモードからビークルモードに戻った。にこはバイク型に戻ったオートバジンのハンドルに、ミッションメモリーをセットし、ファイズエッジを抜いてガーディアンを斬り裂いていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

夕食を食べ終え、自宅にいる俺のインフィニティブレスとスマホに、1件の通知が届いた。

 

「ん?にこのパンダハイパーメカアニマルから…って、こんな時間まで敵が現れたのか…行くしかねぇな。」

 

俺が玄関の扉を開き、外に出ようとした時、

 

「優。どこ行くんだ?」

 

ラビリーが俺にそう聞いてきた。

 

「ラビリー、財団Xだ!」

 

「よし!じゃあ、俺も行く!」

 

「あぁ。行こう!」

 

俺とラビリーは家を飛び出し、ライドインフィニティに跨り向かった。

 

 

 

「なんだ、あれは?」

 

俺とラビリーが目的地に着くと、謎の機械?とにこが戦っている。敵の数が多く、少しにこが押されている。

 

「なんかよく分からないけど、顔と胸に『X』って書かれている所を見ると、財団Xの敵ってのは間違いなさそうだな…ラビリー、行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

「「99コンボ!変身!」」

 

『パーフェクトハーモニー!』

『パーフェクトトレジャー!』

 

俺は仮面ライダーインフィニティ パーフェクトハーモニーゲーマーレベル99に、ラビリーは仮面ライダーラビリンス パーフェクトトレジャーゲーマーレベル99に変身し、ガーディアンと戦っているにこの加勢をする。

 

「「はぁぁ!」」

 

「優!?それに、ラビリーまで。」

 

「大丈夫か?にこ。」

 

「これぐらい余裕よ。やぁ!」

 

俺の言葉にそう答えたにこが、戦いを再開したのに続いて俺とラビリーを謎の機械を殴る。

 

 

しばらく謎の機械と戦っていた俺たちだが…

 

『エレキスチーム!』

 

突然どこかから飛んできた電撃が謎の機械を全て倒した。

 

「なにが起こったのよ!?」

 

「なんだ!?」

 

謎の機械を倒したことによる爆煙が晴れると、見たことの無い仮面ライダー?が1人。

 

「誰だ…ん?その腰のベルト…」

 

俺がそいつのベルトを見ると、ある事に気づく。

 

「仮面ライダービルドのベルトに似てる…?」

 

そのライダー?のベルトは、以前姉ちゃんに見せてもらった、別世界の仮面ライダー、ビルドが装着していたベルトの色違いだった。

 

『ほぅ…お前ビルドを知ってんのか?だが惜しい!俺はビルドじゃない。仮面ライダー、エボルだ。』

 

「仮面ライダーエボル…?」

 

『以後、お見知り置きを。see you♪』

 

「おいっ!ちょっと待て!」

 

俺が呼び止めたのも虚しく、謎の仮面ライダー、エボルは去っていった。

 

「何だったんだ…?」

 

「あぁーー!!?」

 

「どうしたにこ!?」

 

「私変身する時、ここに置いたはずの買い物袋がない!どうしよ…こころたちの夕飯が…」

 

「マジか…戦いの途中、蹴っ飛ばされたりしたのかもな…」

 

俺達がそう会話している中、そばに停めてあったオートバジンがビークルモードからバトルモードに変形した。そして、にこに近づいてある物を渡す。

 

「買い物袋!あんたが持っててくれたのね…さっきは約立たずなんて言って悪かったわね。ありがと。」

 

にこはオートバジンから買い物袋を受け取り、オートバジンをビークルモードに戻した。それにしても、約立たずって、何があったんだ…?

 

「良かったな。」

 

「えぇ。じゃあ、私は帰って夕食作るから。また明日ね。」

 

「あぁ。」

 

にこはオートバジンに乗って帰って行った。

 

ちなみに、にこのバイクの免許は、姉ちゃんが女神様の力で作って渡していた。もちろん、ちゃんと姉ちゃんからバイクの安全な運転方法など、教習所で習う以上のことも習って。勉強嫌いのにこが、意外と真面目に勉強していたのは意外だったが…

 

「さて、俺達も帰るか。」

 

「あぁ。」

 

それにしても、仮面ライダーエボルって何者なんだ…?そう思いながら、俺は帰路についた。

 

 

 

「あっ、お兄ちゃん。それにラビリーさんも、お帰り。」

 

家に帰ると、リビングで受験勉強していた優奈がいた。

 

「「ただいま。」」

 

ラビリーがこの家に住み始めてから、優奈とラビリーも仲良くしている。

 

「あっ、2人とも、お帰り。」

 

すると、風呂上がりの姉ちゃんが洗面所から出てきた。

 

「あぁ、ただいま。姉ちゃん、ちょっといいか。」

 

「うん。どうしたの?」

 

「前に言ってた、ビルドって仮面ライダーの件についてなんだけど。実は、ビルドの腰に巻かれているベルトと色違いのベルトをした仮面ライダーが現れたんだ。」

 

「ビルドと似たベルト?うーん…ちょっと着いてきて。」

 

俺は姉ちゃんに呼ばれ、姉ちゃんの部屋に入る。

 

「確か、前ビルドについての資料データがあったから、借りてきたの。」

 

そう言って、姉ちゃんは自身のパソコンにUSBメモリを挿した。

 

「えっと…まず、仮面ライダービルドがしてるベルトは、ビルドドライバーと言って、ビルドドライバーと2本のフルボトルを使用して変身する仮面ライダーよ。」

 

姉ちゃんはパソコンに映し出されたビルドに関する様々な情報、写真とともに、仮面ライダービルドについて説明を始める。

 

「フルボトルにはそれぞれ成分が入っていて、1本は有機物、もう1本は無機物の成分のボトル。ある決まった組み合わせで変身するフォームをベストマッチと言って、30のベストマッチ、60本のフルボトルが存在するわ。他にもあるらしいけどね。」

 

「有機物と無機物か…」

 

「更に、仮面ライダービルドの変身者自身、天才物理学者。自分で開発した強化フォームがいくつか存在するみたいね…あと、ビルドドライバーで変身するクローズという仮面ライダーもいるみたいよ。1本のフルボトルの力を2本の力に分散させることが出来る、クローズドラゴンというアイテムを使って変身するみたい。」

 

「天才物理学者って、結構チートだよな…」

 

「あはは…まぁ、そうよね。けど、優くんもチートだと思うけど…」

 

「そうか?」

 

「だって、色んな仮面ライダーに変身できるし、メカアニマルとか自分で作っちゃうし…それに、自分で言うのもあれだけど、姉が女神だし。」

 

「確かに、言われてみれば…」

 

「とりあえず話を戻すけど、仮面ライダービルドが戦っているのがスマッシュと呼ばれる怪人。人間にスマッシュの成分を注入する事で生まれ、倒すと人間まで死んでしまうので、弱らせて成分を抜くと人間に戻るみたい。更に、政府や敵の組織が所持しているガーディアンという機械兵もいるらしいわ。これが、スマッシュとガーディアンの写真。」

 

「あっ、このガーディアンってやつ、さっき戦ったやつだ!」

 

「えぇっ!?でも、ガーディアンはこの世界にはいないはず…」

 

「それで、エボルってライダーの事についてはあるか?」

 

「うーん…エボルという仮面ライダーについては見当たらないわね…あら?おかしいわね…天界には全ての情報があるはずなのに、シークレットと表示されているなんて…」

 

すると、姉ちゃんはファイルの中に『secret』と表示されているものを見つけ、それを開いた。

 

「なになに…えっと…」

 

地球外生命体エボルト。地球ではまだ発見されていない星の生命体であり、あらゆる星を吸収し進化するブラット族(星狩り族)。火星を侵略した際、火星の王妃であるベルナージュとの戦いで相打ちになり、星を狩るための力、仮面ライダーエボルに変身出来なくなったため、火星に来た宇宙飛行士、石動惣一の体を乗っ取り、現在は地球にいる。

 

「多分、優くんが見た仮面ライダーエボルってのは、この事だと思うわ。」

 

「おいおい…これってマジでやばいやつじゃん…って事は、そのエボルトってのは、この地球を吸収しに来たのか?」

 

「でも、ここに書かれているのを読んだ感じ、今エボルトは仮面ライダーエボルに変身出来ないはずよ。」

 

「でも、あいつは自分で仮面ライダーエボルって名乗ったぞ。」

 

「そうね…それに、もし仮にエボルトだとしても、どうやってこっちの世界に来れたのかしら…」

 

「そうだよな…仮面ライダービルドがいる世界って、並行世界なんだろ?それに、俺があった仮面ライダーエボルは、そんな悪そうなやつじゃなかったしなぁ…財団Xを倒してくれたし。」

 

「うーん…この文面を見る限り、そんないい人な感じしないけどねぇ…」

 

そう混乱する俺と姉ちゃん。しかし、この仮面ライダーエボルとの出会いが、俺たちの戦いに大きな影響を与えるということを、まだ知らなかった。

 

 

 

「で、ここでxをここに代入するんだ。」

 

「なるほど…」

 

俺が姉ちゃんの部屋にいる間、ラビリーが優奈の勉強を教えていたみたいだ。バグスターでも、勉強分かるんだな…

 

 




という事で、コラボ回序章でした!今回仁くんの登場は少なめでしたが、口調など違和感ありありで本当にすみません!

後、読んでいて気づいた方もいるかもしれませんが、今回は優たちの世界に、並行世界にいる仁くんが来るという話になっています。来た経緯などは、次回から語られていくと思いますので、楽しみに待っていただけると幸いです。

あと、お気に入り登録をして下さった方が95人になりました!本当にありがとうございます!!

お気に入り登録、評価や感想など頂けると嬉しいです!『μ'sと仮面ライダーの物語』の本編を見たことない方は、そちらもよければ見てください。僕が宣伝するのも恐縮ですが、ロギア ZEWIさんの作品も、是非見てみてください!

それでは、次回もお楽しみに!



ロギア ZWEIさん、改めてよろしくお願いします!!


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1話 異世界の仮面ライダー

はい、コラボ回1話です!

という事で、とうとうコラボ回本編開始です!ただ、今回書いてて思いました…やばいやばい、全然仁くんらしくねぇー!という事で、ロギアさんが書く仁くんとは、違和感あると思いますが、そこはまぁ、温かい目で見てください。

ではコラボ回1話、スタートです!


前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!

 

優「突如現れた謎の機械兵、ガーディアンと戦う俺、ラビリー、にこ。そんな俺たちの前に、ガーディアンを倒して、現れた謎の仮面ライダー、エボル。俺が姉ちゃんに聞くと、仮面ライダービルドがいる並行世界の地球外生命体、エボルトだと分かった。」

 

蓮「地球外生命体エボルト?なんだそりゃ。」

 

優「さぁ?なんか、星を吸収して進化するらしくて、これまでも数々の星を狩ってきたらしいぜ。」

 

蓮「それやべぇやつじゃん!ってか、地球外生命体なんて本当にいたんだな…」

 

優「そうだな。」

 

秀夜「おい、お前ら大事な事忘れてるぞ。」

 

優・蓮「「ん?」」

 

秀夜「お前らの姉、女神だろ?」

 

優・蓮「「あっ…」」

 

優「確かに、女神様も地球外だな…まぁ、そんなエボルトの正体に近づく、波乱満載のコラボ回第1話、どうぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「それで、昨日の仮面ライダーは結局なんだったのよ?」

 

地球外生命体エボルトが現れた日の翌日の放課後、μ's9人と蓮と秀夜が集まる中、アイドル研究部の部室でにこが俺に聞いてきた。

 

「俺も詳しくは分からないが、地球外生命体かもしれない…」

 

俺の言葉に、『地球外生命体!?』とその場にいる全員が声を揃えて言った。

 

「あぁ。それも、あらゆる星を吸収してきた…」

 

「星を吸収…?って事は、この地球も狙ってきたの?」

 

「それはまだ分からないんだけどな…」

 

「地球外生命体かぁ…穂乃果、会ってみたいなぁ!友達になれるかな?」

 

「地球外生命体ですよ?言葉が通じるのかも分からないというのに…それに、本当に地球を吸収しようとしているなら、どうするんですか…」

 

「でも、穂乃果ちゃんなら、お友達になっちゃうかも。……あれ?」

 

「ことり、どうかしたのか?」

 

「なんか、ちょっと外が騒がしいような…」

 

「言われてみれば、確かに…」

 

俺達が窓から外を見てみると、警備員さんと1人の男の人が揉めている。

 

「なんか揉めてるな…」

 

「ちょっと行ってみる!」

 

「おい、穂乃果!」

 

穂乃果が部室から飛び出して行ってしまったため、それを追いかける形で俺達も出ていく。

 

 

 

校門の前まで来ると、同じく降りてきていた理事長が例の男と話している。

 

「理事長!俺だよ俺!」

 

「そう言われましても、私はあなたのような方は存じ上げませんが…」

 

「はぁ?なんで…ん?」

 

困惑した様子のその男が、俺たちの方を見て何かに気づいた。

 

「あっ、穂乃果!」

 

男は嬉しそうに笑みを浮かべながら、そう穂乃果に声をかけた。

 

「知り合いですか?」

 

「えっ、穂乃果?いや、知らないよ。なんで穂乃果のこと知ってるんだろ…」

 

海未の言葉にそう答えた穂乃果。すると、男は更に笑みを浮かべて声を発した。

 

「それに、海未にことりも!やっぱりここにいたかぁ…」

 

「海未とことりのことも知ってるみたいだぞ?」

 

「私はあのような方、存じませんが…」

 

「私も…」

 

穂乃果、ことり、海未に呼びかけた男だったが、3人はこの男のことを知らないようだ。

 

「なんだ?荒手のファンとか?」

 

「うーん…とにかく聞いてみよう。あのー、穂乃果たちあなたのこと知らないんだけど、どちら様ですかー!」

 

「はぁ?穂乃果が俺の事を知らない…?ん、もしかして…」

 

穂乃果の言葉を聞いた男は、なんか1人で呟いている。あいつ、本当に大丈夫か…?俺の頭に、謎の男を心配する心が生まれたのもつかの間、突然爆発音が聞こえてきた。

 

「…!?」

 

音がした方を見ると、音ノ木坂学院の前の階段を降りた所に、昨日の機械兵…ガーディアンがゾロゾロと押し寄せて来ていた。更に、その後ろには初めて遭遇した怪人…いや、正確には昨日の夜姉ちゃんに見せてもらった資料の写真で見たことはある怪人、スマッシュが2体いた。

 

「あれは…財団X製のガーディアンに、クローンスマッシュが2体か…」

 

そう呟いた謎の男。こいつ、ガーディアンとスマッシュを知ってる…?

 

「優くん、とにかく行くよ!」

 

「えっ?あっ、あぁ…理事長は生徒の避難をお願いします!」

 

「えぇ、分かりました。」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「「「変身!」」」「はぁぁぁぁ…たぁ!」

 

優は仮面ライダーインフィニティオリジンに、穂乃果は仮面ライダークウガ ライジングマイティに、海未は仮面ライダー装甲響鬼に、ことりは仮面ライダー龍騎サバイブに変身し、まずは先頭出待ち構えているガーディアンと戦い始める。

 

「穂乃果たちが仮面ライダーに変身した!?やっぱり、この世界は…」

 

謎の男は、驚きのあまりそう声を漏らす。

 

「きゃあ!」

 

すると、逃げようとしている生徒たちの前にもガーディアンが。

 

「「はぁ!」」

 

そのガーディアンを、仮面ライダーアースネイチャーに変身した蓮と、仮面ライダーイボルブに変身した秀夜が殴り飛ばす。

 

更に、ファイズに変身したにこ、ブレイドに変身した希、カブトに変身した絵里、キバに変身した真姫もガーディアンと交戦を開始した。

 

「はぁ!」

 

自身の剣、インフィニティソードでガーディアンを斬って行く優。

 

『俺、参上!加勢に来たぜ!』

 

「凛もいるにゃー!」

 

電王 ソードフォームに変身したM花陽と、アギト バーニングォームに変身した凛も優の元へ駆けつけた。

 

「そうだ。この前使えるようになったこのカード、使ってみるか。」

 

優はそう言って、1度変身を解いた。

 

「凛、一緒に行くぞ。」

 

「分かったにゃ!」

 

優は腰にディケイドライバーを巻き付け、1枚のカードを構える。そして、凛は腰のオルタリングを紫色に変える。

 

「変身!」

 

『カメンライド アギト!』

 

優は仮面ライダーディケイドアギトに、凛は仮面ライダーアギト シャイニングフォームに変身した。そして、凛はシャイニングカリバーで、優はライドブッカー ソードモードでガーディアンを斬って行く。

 

『ファイナルアタックライド ア・ア・ア・アキド!』

 

優と凛はそれぞれ構え、

 

「はぁぁぁぁぁ!!」「にゃぁぁぁぁ!!」

 

ガーディアンを蹴る。それにより、優たちの周りのガーディアンは全て倒した。残りは蓮たちの方のガーディアンのみ。だが、優の近くには2体のスマッシュが。

 

「穂乃果たちは、蓮たちの方に行ってくれ。スマッシュは俺が片付ける。」

 

「分かった!」

 

優の言葉を聞き、穂乃果たち5人はガーディアンを倒しに向かった。

 

「そういえば、スマッシュは成分を抜かないと人間まで死んでしまうんだよな…どうするか。」

 

 

悩んでいる優から少し離れたところで…

 

「やっぱり、この世界は通常のラブライブの世界でも、俺がいた世界ともまた違うラブライブの世界か…とにかく、俺も行くか。」

 

例の男がそう言い、優へと近づいていく。

 

「ん?おいっ、危ないからこっちに来るな! 」

 

その男に優が注意を促すが、男は聞かずに近づいてくる。

 

「大丈夫大丈夫、俺は強いからな。」

 

「強いってなぁ…人間が敵う相手じゃ…っ!?」

 

優がそこまで言った時、男は赤いビルドドライバー…エボルドライバーを腰に巻き付けた。

 

『エボルドライバー!』

 

「そのドライバー!?」

 

『コブラ!』『ライダーシステム!』

『エボリューション!』

 

エボルドライバーに2本のエボルボトルを入れた男は、ドライバーのハンドルを回し始める。

 

『Are you raady?』

 

「変身!」

 

『コブラ コブラ エボルコブラ!』

 

男は、仮面ライダーエボル コブラフォームに変身した。

 

「あいつが、仮面ライダーエボル…」

 

『エボル、フェーズ1。』

 

「声が、変わった…?」

 

驚いている優だが、そんな中仮面ライダーエボルとスマッシュの戦いが始まる。エボルに向かっていく2体のスマッシュだが、いとも簡単にエボルが吹き飛ばす。

 

『スマッシュ如きで、俺に敵うと思うなよ。これで終わりだァ!』

 

「待てっ!そのスマッシュってのは、成分を抜かないと人間ごと死んでしまうんだろ!」

 

『フッ…安心しろ。こいつはクローンスマッシュ。人間は入っていない。』

 

「クローンスマッシュ…そういうのもいるのか。」

 

『Ready Go!エボルテックフィニッシュ!』

 

優が関心している間に、エボルは2体のスマッシュを蹴り飛ばして倒していた。その頃、蓮や秀夜、μ'sのメンバーもガーディアンを全て倒していた。

 

「まさか、お前が昨日の仮面ライダーエボル…」

 

『昨日の?あぁ…お前がゲーマドライバーを使って、俺が知らない仮面ライダーに変身していたやつか…』

 

「お前、何者なんだ…?本当に、地球外生命体なのか…?」

 

警戒しつつ、そうエボルに問う。しかし、エボルは答えない…否、答えられなかった。

 

「はぁ!」

 

突如、戻ってきた蓮がエボルに殴りかかり、それを防いだからだ。

 

「蓮!?」

 

「こいつがお前の言ってた、この星を吸収する地球外生命体なんだろ?だったら倒すまでだ!」

 

そう言って、エボルに手を付き出そうとする蓮。

 

「やめろ、蓮。」

 

そんな蓮を、秀夜が止めた。

 

「秀夜?」

 

「俺達はまだそう聞いただけで、こいつが本当にそうだとは限らないだろ。」

 

『ほぅ…話が分かる男もいるもんだ。』

 

「で、お前は本当に、地球外生命体エボルトなのか?」

 

『その通り!俺は地球外生命体エボルトだ。以後、お見知り置きを。』

 

「って事は、お前はこの星を吸収しに来たのか?それから、ビルドとかいう仮面ライダーがいる並行世界から、何故この世界に来れた?」

 

『ビルドの世界?あぁ、なるほどな…ふぅ…』

 

ため息を1つついたエボルは、ベルトからボトルを抜いて人間の姿に戻った。

 

「俺は石動仁。それと、俺がいたのはビルドがいる並行世界じゃない。お前達が今いる世界のように、μ's9人がいる世界だ。」

 

「…!?μ'sがいるもう1つの世界…だからあの時、穂乃果達を知っているような口ぶりだったのか…」

 

「あの…ごめんなさい。話が読めないんだけど…」

 

優と仁という男が話している間に、絵里がそう言いながら入った。その後ろには、同じように疑問を浮かべるμ's9人が…

 

「あー、悪い。えっと、みんな並行世界…パラレルワールドって知ってるか?」

 

「アパレルワールド…?」

 

「パラソルワールド…?」

 

穂乃果と凛が言った言葉に、苦笑を浮かべる優たち。

 

「えっと…例えば、今ここで転んだ自分がいるとして、でも転ばなかった世界もある。そんな話しやったら、聞いたことあるんやない?」

 

希がそう穂乃果たちに説明した。普段占いなどしている希は、並行世界などの知識もあるようだ。

 

「あー…なんか聞いたことある!……気がする。」

 

「ははは…まぁ、俺たちとは違う世界って考えてくれればいい。で、仮面ライダーエボルは、その違う世界の穂乃果たちと友達らしい。」

 

「そうなの!?ほら、やっぱり穂乃果が言った通り、友達になれるんだよ!」

 

「じゃあ、ことりとも友達だったんだぁ!」

 

「そういう事。穂乃果たちと会えたと思ったら、なんか知らない人みたいな反応されたから、不思議とは思ったが、並行世界に来てたとは…(まぁ、今まで転生したり、白いパンドラパネルを使ったりで、色んな世界に行ってるんだけどな…)でも、やっぱ違う世界の穂乃果でも、ア穂乃果ってのは変わりないな。」

 

「えぇ!?ちょっとそれどういうことー!」

 

仁の言葉に、頬を膨らませながら聞く穂乃果。

 

「アッハッハ!そのまんまの意味だ。」

 

「プッ…その通りだよ。」

 

仁の言葉に肯定した優に、更に頬を膨らませる穂乃果。

 

 

「まぁ、とりあえず話を戻すが、お前はビルドの世界とは別のエボルトで、この世界を吸収する気はないってことか?」

 

「あぁ、そういう事だ。それに、俺も元いた世界に帰りたいしな。」

 

「帰れないのか?どうやってこの世界に来たんだよ?」

 

「それは…」

 

そうして仁が語り始めたのは昨日の事…

 

 

 

〜回想〜

 

昨夜の夜…

 

「連れていけ。」

 

スーツの男の言葉で、その部下たちがエボルトと呼ばれた男を連れていく。

 

 

そして、ある場所の実験台のようなベットに連れてこられたエボルトと呼ばれた男…石動仁。

 

「さて、まずはこいつが持っているはずのアレを頂くとするか…」

 

そう言いながら、石動仁の体に触れようとしたスーツの男だったが…突然仁の体が赤い液体のようなものに変化し、別の場所に移動した。

 

「チッ…目覚めていたか…取り押さえろ!」

 

「させるか…よっ!」

 

取り押さえようとしたスーツの男の部下を、謎の赤いエネルギーを出して倒し、仁は再び赤い液体となって消えた。

 

〜回想終了〜

 

 

「ってなわけで、逃げてきたところにガーディアンと戦っているお前とファイズ、それにもう1人謎のライダーがいたのを手助けしたってわけだ。その時にはもうこの世界にいたって事は、多分俺が眠らされている間に、何らかの方法でこっちの世界に連れてこられたんだと思う。」

 

「なるほど…とりあえず、その黒いスーツの男を見つけ出さなきゃならないな。黒いスーツ…って事は、財団Xじゃない何者か。白服と違って、黒いスーツの男なんて沢山いるからなぁ。どうやって探し出すか…」

 

「もしかして、協力してくれるのか?」

 

「ん?当たり前だろ。」

 

「なんで?見ず知らずの地球外生命体だぞ?」

 

「お前が別に地球を吸収するつもりがないなら、俺達はお前を倒すつもりは無い。そんなお前が困っているなら、例え見ず知らずの地球外生命体だとしても助ける。それが仮面ライダーってもんだろ?」

 

「フッハハハハ!変なやつだな。」

 

「よく言われる。」

 

「じゃあ、改めて自己紹介するか。俺は石動仁。地球外生命体エボルトの力を持っている、仮面ライダーエボルだ。」

 

「俺は仮面ライダーインフィニティ。今の姿はインフィニティオリジンなんだけど…」

 

そう言いながら、優は変身を解いた。

 

「んで、俺自身の名前は仮野優だ。」

 

「俺は仮面ライダーネイチャー。名前は宮崎蓮だ。」

 

「俺は仮面ライダーイボルブ。黒崎秀夜だ。」

 

蓮と秀夜も、変身解除しながら自己紹介した。

 

「私たちはμ's…って、もう知ってるんだったよね!」

 

「あぁ。μ'sの皆さんの事は知ってる。よろしくな。」

 

「お前が元の世界に戻れるよう、全力で協力する。よろしくな、仁。」

 

「あぁ。よろしく、優。」

 

 

 

こうして、別々の世界の2人の仮面ライダーが手を取り合うことに…その出来事が、今後の戦いに大きな影響を及ぼすことになることは、まだ誰も知らないのであった…

 

 




次回予告!

仁が帰るため協力することにした優たち。しかし、仁がどうやって来たのか分からないため、帰る方法も分からず苦悩する。そんな時、仁の前にエボルトの力にも匹敵する敵が現れる!

次回、『2話 帰る方法』





という事で、コラボ回1話どうでしたか?まぁ、色々意見があると思いますが、僕自身書いてて色々思いました。それに、ロギアさんの方のコラボ回が凄い面白く、とても焦っています…是非、ロギアさんの方のコラボ回も見てください!

お気に入り登録、評価や感想など頂けると励みになります。では、次回のコラボ回2話、お楽しみに!


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2話 帰る方法

はい、コラボ回2話です。

いやぁ…今回も仁くんのキャラが全然違うかもしれませんが、よろしくお願いします!

ではコラボ回2話、スタートです!


〜side 優〜

 

並行世界から来た地球外生命体エボルトの能力を持つ男、石動仁と出会い、仁が元の世界に戻れるよう協力する事にした俺たち。とりあえず、今日は解散することにして、俺と仁は、俺の家に来ていた。

 

「ただいま。」

 

家に入り、リビングまで来た俺たち。するとそこには姉ちゃんが。

 

「あら、優くんおかえり。そこの彼は?」

 

「ただいま、姉ちゃん。悪い、とりあえず、ちょっと話いいか?」

 

「?えぇ、いいわよ。私の部屋に来て。」

 

 

姉ちゃんの返事を聞き、俺たちは姉ちゃんの部屋に来た。

 

「で、彼は?」

 

俺は仁のことについて、一通り姉ちゃんに説明した。

 

 

「ビルドの世界にいるエボルトとは、また別のエボルトか…」

 

「石動仁だ。以後、お見知り置きを。で、あんたは優の姉ちゃんか?」

 

「えぇ、仮野優香。女神をやってます。よろしくね。」

 

「あっ、よろしく………」

 

 

・・・

 

 

「……ん?女神をやってます?……ってはぁ!?」

 

数秒の沈黙。姉ちゃんが言った言葉の確認。更に数秒の沈黙の後、仁はようやく言葉の意味を理解したようだ。

 

「なんで女神が優の姉…?」

 

「まぁ、それは色々あってね。後で優くんに聞いて。」

 

姉ちゃんのやつ…めんどくさい説明俺に押し付けやがった…

 

「それで、私に仁くんを元の世界に戻して欲しいと…」

 

「あぁ、頼む!」

 

「俺が持ってる白いパンドラパネルを使えば、並行世界へ移動できるはずなんだが、なんかこっちの世界に来てから全然反応しないんだ。だから頼む!」

 

「ごめんなさい。それは、出来ないの。」

 

「えっ!?なんで?」

 

「人間を別世界に行かせることが出来る方法は2つ。1つは、転生。転生時、死んだ人間の魂のみ、又は体ごと天界に持っていき、転生させる。そして2つ目は、生きた人間を天界経由で別世界に送る方法。」

 

「じゃあそれで…」

 

「でも、それが実行できるのは、天界で1番の権限を持っているもの…神のみなの。」

 

「神様、のみ…」

 

「ん?神って、もしかして…」

 

俺が驚いている中、仁は何か引っかかる事があるようだ。そんな仁に、姉ちゃんが話す。

 

「多分、今仁くんが考えている神とはまた別のね。」

 

「そうか…」

 

「で、その神が、今ちょっといないのよ…」

 

「いない?」

 

「えっ、えぇ…少し私用で出かけてて…」

 

神様の私用って、何するんだろ…?

 

「まぁとにかく、今神がいなくて、いつ戻ってくるかも分からない状態だから、天界の力で仁くんを元の世界に帰すことは出来ないの。ごめんなさい。」

 

「いや、別にあんたが悪いってわけじゃないだろ。こうなったら、自力であいつを見つけ出して、何とかするしかないってことだな。」

 

「そういえば、仁をこの世界まで連れてきたのは、財団Xじゃないってことだよな。スーツ来てるらしいし。姉ちゃん、何か知らないか?」

 

「スーツ?白服じゃないって事は、財団Xじゃないと思うけど、今のところ別の組織が動いてるって話は知らないわ。とにかく、こっちでも出来る限りは調べてみるわ。あっ、仁くん。」

 

「ん?」

 

「さっき言ってた、白いパンドラパネルっていうのを貸してもらいたいんだけど…少し、分析してみたいの。」

 

「まぁ、あんたは良い人そうだし、別にいいか…ついでに、この黒いパンドラパネルも貸しておくよ。」

 

「ありがとう。」

 

仁が姉ちゃんに白と黒のパンドラパネルを渡し、俺達は一旦話を終えて、夜も遅いので帰ることに…

 

「って俺家ない!」

 

という事なので、仁は俺の家の空き部屋に泊まることになった。

 

 

 

そして迎えた翌日…

 

「おはよー。」

 

「おう。おはよ、仁。」

 

俺と優奈が朝食をとっていると、仁が着替えて起きてきた。姉ちゃんは、昨日の夜からパンドラパネルの分析と、謎の組織について調べるため天界に戻っている。

 

「お兄ちゃん、この人がさっき言ってた、今日から少しの間泊まりに来るって人?」

 

「あぁ、そうだ。」

 

「はじめまして。お兄ちゃんの妹の、仮野優奈です。」

 

「はじめまして。俺は石動仁。」

 

優奈と仁が挨拶を交わした事を確認し、俺は立ち上がりキッチンに用意してあった仁の朝食を運んでくる。

 

「ほいっ、お前の分。」

 

「ありがと。いただきます。」

 

仁が手を合わせてそう言い、朝食を食べ始めた。すると、見ていたテレビのニュース番組から、気になる情報が…

 

『ここ数日発生している、連続行方不明事件。昨夜新たに、5人の行方不明者が出たと分かりました。これで、この1週間の間に22人の方が行方不明になりました。尚、行方不明者の年齢、性別共に規則性はなく、中には70歳の男性や、生後8ヶ月の乳児と母親共に行方不明になっています。』

『いずれも犯人は同一人物であると見られますが、犯人の痕跡はほとんど残されていません。警察は、犯人が複数人いるとも考え、操作を進めている模様です。』

 

ニュースキャスターが淡々とそう読み上げた。

 

「物騒な事件もあるもんだな。ただでさえ、財団Xだったり、仁をこの世界に連れてきた謎の連中も動いてるってのに…」

 

「財団Xだったり、その謎の組織って可能性はないのか?1週間で22人なんて数、普通人間じゃ無理だろ。」

 

「うーん…でも、財団Xの今わかってる狙いは、また別だし…謎の連中については目的すら分からないから、なんとも言えないな。」

 

俺はそう答え、俺たちはまた朝食を食べ始めた。

 

 

 

「じゃあ、俺は今のうちに、いろいろと情報収集してくる。」

 

「分かった。俺も部活終わり次第そっちに向かう。」

 

朝食を食べ準備を終えた俺は、いつも通り授業やμ'sの練習があるため仁と共に家を出た先でそう会話を交わす。仁とは1度別れて俺は音ノ木坂学院に向かう。仁はその間、1人で例の男を探すようだ。

 

 

しかし、ここ最近は俺が何も無く登校できる事の方が珍しい。それは何故か…

 

「やっぱりお出ましか。」

 

財団Xが現れるからだ。

 

「えぇ。あなたが手に入れたオリジンの力について、研究したいのでね。」

 

そう言いながら現れたのは、ダスタードを引き連れた財団Xの幹部、グラス。

 

「だったらお望み通り、その力で倒してやる!変身!」

 

俺は仮面ライダーインフィニティオリジンに変身した。

 

「俺の強さは超次元をも超えてやる!」

 

俺は最初に向かってきたダスタードを殴り、その次のダスタードを蹴り飛ばす。更に次々とダスタードへ攻撃する俺。

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

「はぁっ!」

 

俺はインフィニティソードを呼び出し、ダスタードを斬り、次々と倒していく。ほとんどのダスタードを倒した時、残りのダスタードが俺を取り囲んできたので、俺はそのまま回転斬りでダスタードを全て倒した。

 

「さて、お前の手下は全て倒したぜ。グラス。ちょうど聞きたいことがあったところだ。」

 

「あなたが私にそんなことを言ってくるなんて、珍しい事もあるものですね。それで、聞きたいこととは?」

 

「素直に答えてくれるとも思わないが、お前らのように白服じゃなく、スーツを着た男が高校生の男を狙ってるらしいが、また財団Xの仕業か?それとも、別の何かか?」

 

「スーツを着た男…?見ての通り、私たち財団Xは白服を着ているので、財団Xではないでしょう。心当たりがないこともないですが、正確には分かりませんので、今は私の口からは言わないでおきましょう。」

 

「心当たり?」

 

俺がそう口から発した時、

 

「きゃあああああああ!!」

 

叫び後が聞こえた。

 

「…!?ダスタードが残ってたか!?」

 

俺が声のした方に振り返ると、ダスタードではなく、昨日と同じガーディアンが、恐らく中学の制服を着た変わった赤色の髪の少女に、今にも襲い掛かりそうな勢いで立ち塞がっていた。

 

「ガーディアン!?とにかく早く助けないと!」

 

俺は走り出し、ガーディアンを斬り倒した。数自体は少なく、すぐにガーディアンを倒すことが出来たのがせめてもの救いだった。

 

「何故この世界にいないはずのガーディアンが…まぁいいです。インフィニティオリジンに、ガーディアンのデータも取れましたし今日は退散します。では。」

 

俺が戦っている様子を見ていたグラスは、そう言い残し去っていった。

 

「大丈夫?」

 

俺は少女に手を差し出し、そう聞いた。

 

「はっ、はい…ありがとう、ございます。あっ…」

 

少女が俺の手を取り、立ち上がった時、近くに壊れてしまったキーホルダーがあった。それを見た少女は、目に涙を浮かべる。

 

「キーホルダー?ガーディアンに襲われた時、壊れちゃったのか…大切なものだったのか?」

 

「はい…昔、大切な人から貰ったものなんです。」

 

「そっか…あっ!その大切な人から貰ったものだし、変わりにはならないとは思うけど、良かったらこれあげるよ。」

 

俺はせめてもの慰めになるかと思い、学生鞄に付けていたキーホルダーを渡した。そのキーホルダーとは、以前海未から譲ってもらった仮面ライダーインフィニティ、俺のキーホルダー。(分からない人は、12話を見てみてね!)

 

「いいん、ですか…?」

 

「うん。まぁ、そんな嬉しくもないとは思うけど…」

 

「そんなことないです!ありがとうございます!」

 

「なら良かった。あっ…遅刻するかもしれないから、そろそろ行った方がいい。」

 

「あっ、ほんとだ…ありがとうございました!」

 

少女は学生鞄を拾い、走っていった。と思ったら、少し立ち止まり聞いてきた。

 

「あのっ!そういえば、あなたは?」

 

「えっ?あぁ、俺は仮面ライダーインフィニティ。また怪物に襲われるようなことがあったら、必ず俺みたいなお節介な仮面ライダーが助けてくれるさ!」

 

「仮面ライダー…ありがとうございました!」

 

そう言い、再び少女は走っていった。

 

「ってやべ!俺も早く行かねぇと、朝練遅刻だ!」

 

俺は大急ぎで、音ノ木坂学院へ向かう。結局、あのガーディアンを引き連れている謎の組織については、分からないままか…本当に、何者なんだ…?

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

優が大急ぎで音ノ木坂学院に向かっている頃、仁はある人物と遭遇していた。

 

「やっと会えたぜ。お前、俺を並行世界に送って何をするつもりだ?」

 

その人物に向かってそう問う仁。その人物とは、仁を並行世界に送った謎のスーツの男。

 

「特別に教えてやろう。俺たちの狙いは、お前が持つパンドラパネルだ。」

 

「パンドラパネルが狙いか…」

 

「そこで、お前に提案がある。お前が俺たちの言うことに従うのなら、お前を元の世界に帰してやる。更に、お前が向こうの世界の地球を滅ぼしたいならば、その手伝いだってしてやる。」

 

「そりゃ魅力的な提案だ。」

 

「なら…」

 

「と言うとでも思ったか?俺は地球滅亡なんて興味ねぇし、得体の知れないお前らの力を借りて元の世界に戻るつもりもない。お前から力ずくで帰る方法を奪ってやる!」

 

「大人しくしていればいいものを…」

 

そう言いながら、スーツの男は1つの銃を取り出した。

 

「トランスチームガン…」

 

『バット!』

 

「蒸血…」

 

『ミストマッチ!バット・バッ・バット!ファイヤー!』

 

男は黒い蝙蝠の怪人、ナイトローグに変身した。

 

『ドラゴン!』『ライダーシステム!』

『エボリューション!』

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『ドラゴン ドラゴン エボルドラゴン!』

 

仁は仮面ライダーエボル ドラゴンフォームに変身した。

 

『ビートクローザー!』

 

仁はビートクローザーを取り出し、ナイトローグに斬りかかる。それをナイトローグはスチームブレードで防ぐが、仁が放つ次の一撃には耐えられず、更に攻撃されそのダメージで倒れるナイトローグ。

 

『フッハハハ!ナイトローグ如きで、俺に敵うわけがないだろう!お前は一体何者だァ?』

 

「……」

 

『答えないか…だったら、どうやったら俺は元の世界に戻れる?』

 

「……」

 

『それも答えないかァ…だったら、死ねェェ!……?』

 

ビートクローザーでナイトローグにトドメを刺そうとしたが、何かに気づいた仁は赤いエネルギーになりその場から離れた。すると、エボルトが元いた場所にエネルギービームが放たれてきた。

 

『何者だァ?お前…』

 

「はじめまして。地球外生命体エボルトさん。私はニュート、あなたをこの世界に送ってきた張本人です。」

 

不敵な笑みを浮かべ、そう言いながら現れたのは、1人の女性。

 

『アァ?このナイトローグじゃなかったのか。だったら、どうやったら俺は戻れる?』

 

「簡単な話よ。私が移動するためのゲートを開くか、私を倒すか。私を倒せば、ゲートを開くことが出来るデータボトルが手に入る。それを、私達の目的でもある、あなたが持つ白いパンドラパネルに差し込めば、元の世界へのゲートが開くわ。」

 

『教えめくれるなんて、随分と親切じゃねぇか…白いパンドラパネルは、なんでか使えないからな…』

 

「えぇ、私のせいでね。」

 

『アァ?』

 

「私たちの組織は、白いパンドラパネルのデータを持ってる。私自身のパラレルデビュラーの力も、それを元に作られた。白いパンドラパネルと同じ能力を持つ私の能力で、あなたの白いパンドラパネルの力を防いでるからね。だから、私を倒してデータボトルを白いパンドラパネルに差し込むしか方法はないってこと。」

 

『そんな事が可能なのか…まあいい。だったら話は簡単だ。お前を倒すだけだァァ!フッハハハ!』

 

「そう簡単に倒される私じゃないわ。」

 

そう言ったニュートは、手のブレスに1本のボトルを入れ、新たなデビュラーに変身した。

 

「この姿はパラレルデビュラー。私はこの力で、あなたを並行世界に送った。」

 

『ほぅ…そいつは面白い!』

 

「ナイトローグ。エボルトの相手は私がするわ。あなたは去りなさい。」

 

「あぁ…」

 

ナイトローグはトランスチームガンから煙を出し、その場から消えた。そして仁は、一瞬でニュートの元に行きビートクローザーを振り下ろした。が、それをニュートも常人では目で追えない速度で動いて避けた。

 

『…!?』

 

「あら?地球外生命体エボルトの力は、その程度なの?」

 

『舐めるなッ!俺はお前と違い人間じゃない。地球外生命体だァァ!』

 

怒りをあらわにした仁は、更にビートクローザーで斬りかかるが、簡単に避けるニュート。

 

「私だって、人間じゃないわよ。」

 

『人間じゃない…?』

 

「えぇ。はぁ!」

 

仁の隙をついたニュートは、エボルトを蹴り飛ばした。

 

「さて、パンドラパネルは頂くわよ。」

 

そう言いながら仁に近づくニュート。

 

『させるかっ!』

 

仁はトランスチームガンを取り出し、ニュートを撃つ。更にトランスチームガンから煙を出し、その場から消えた。

 

「逃げられたわね…まぁいいわ。私がいない限り、この世界から逃げられないんだから。」

 

 

 

 

「俺とした事が、油断したな。パンドラパネル預けといて正解だったな…でも、これで帰る方法は分かった。案外簡単に分かったはいいけど、あのニュートとかいう女、かなりの強敵だな。エボルトの力に匹敵するなんて…あっ…」

 

変身解除してそう呟いた仁が、何かに気づいた。

 

「結局、なんで優の姉が女神なのか聞いてねぇじゃん…」

 

 

 

時は流れ放課後になり、スクールアイドル部の練習もちょうど終わった頃、一気に3箇所でガーディアンが暴れだしたと連絡を受けた優たちは、3チームに別れてガーディアンと戦い始めていた。

 

1箇所目のガーディアンと戦っている優、蓮、秀夜の3人の前に更にクローンスマッシュが2体と、ナイトローグが現れる。3人はガーディアンを全て倒し、2体のクローンスマッシュを倒そうと、インフィニティソード、ネイチャーピストル、イボルブアローにそれぞれデータボトルを入れ、攻撃する3人。

 

「「「はぁぁぁぁぁ!」」」

 

本来ならその攻撃でクローンスマッシュ2体を倒せているはずだが…

 

「倒せて、いない…?」

 

倒れたクローンスマッシュは、再び何事もなかったかのように起き上がった。

 

「フッハハハ…ガーディアン程度の量産型の雑魚兵ならともかく、ライダーの敵はそのライダーの力でしか倒せない。知らなかったのか?それも相手は、痛覚を感じないクローンスマッシュだから尚更だ。」

 

「どういう事だ…今まで財団Xが送り込んできたバグスターやドーパントは、インフィニティや他のライダーでも倒せていたぞ!?」

 

「あぁ…我々を旧型と同じにしてもらっては困る。」

 

「旧型…?」

 

「そして、お前たちも今から…」

 

『アイススチーム!』

 

スチームブレードから放たれた冷気を受けた3人は、強制変身解除に追い込まれ倒れる。

 

「スマッシュとなって暴れ回るのだ!」

 

『デビルスチーム!』

 

「「「ぐわぁぁぁぁぁ?!?」」」

 

スチームブレードから放たれたガスを受け、苦しみ出す3人。

 

「さぁ…これでスマッシュに…っ!?」

 

ネビュラガスを注入し、スマッシュ化するはずの3人だったが、スマッシュにはならずに耐え抜いた。

 

「スマッシュにならないだと…?くっ…まあいい。だったら、殺れ。」

 

ナイトローグはクローンスマッシュに3人にトドメを指すよう命じ、2体のクローンスマッシュは3人に近づく。

 

『ラビット!』『ライダーシステム!』

『エボリューション!』

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『ラビット ラビット エボルラビット!』

 

『Ready Go!エボルテックフィニッシュ! 』

 

3人にトドメを刺そうとしている2体のクローンスマッシュを、仮面ライダーエボル ラビットフォームに変身した仁が表れ、倒した。

 

『チャオ〜』

 

「仁…悪、い…助かった。」

 

立ち上がりながら仁に礼を言う優。

 

「邪魔が入ったか…」

 

そう言いながらトランスチームガンから煙を吐き出し、ナイトローグは再び消えた。

 

『ふぅ…』

 

ため息を1つついた仁は、エボルドライバーから2つのエボルボトルを取り出して変身解除した。

 

「大丈夫か?」

 

「あぁ、悪いな。突然スマッシュになれとか言いながら、変なガスかけられたんだよ…ったく、なんだったんだ?」

 

「スマッシュになれ…ネビュラガスを注入されたのか!?」

 

「ネビュラガス?」

 

「あぁ。ネビュラガスを人間に注入すると、その人はスマッシュ化する。」

 

「でも、俺達はスマッシュにならなかったぞ?」

 

「あぁ。人間のネビュラガスに対する耐久力を数値化したもの、それをハザードレベルって言うんだ。ネビュラガスを投与して間もなく死に至る人間を、ハザードレベル1。スマッシュに変化する人間をハザードレベル2。そしてごく稀にいるハザードレベル2を超える人物、そういう人間はスマッシュ化しないんだ。お前達のようにな。」

 

優たちにネビュラガス、ハザードレベルについて説明する仁。

 

「そして、更にハザードレベル3を超える人物がいる。そんなハザードレベル3を超える人は、フルボトルを用いたライダーシステムを使用することが出来る。ちょいと失礼。」

 

そう言い仁は、3人に軽く触れる。

 

「おぉ…最初からこんなに…すげぇな。」

 

「…?何したんだ?」

 

「ブラット族である俺には、ハザードレベルを測る能力がある。それで、3人のハザードレベルを測ったんだ。」

 

「なるほど…で、どうだったんだ?」

 

「優はハザードレベル4.9、蓮はハザードレベル4.4、秀夜も同じくハザードレベル4.4だ。普通は戦っていく内に上がっていって、このレベルになるんだが…やっぱり、これまで財団Xと戦ってきた経験値がここまでハザードレベルを上げているんだろうな。」

 

「へぇ…じゃあ、俺たちもビルドとかに変身出来るのか?」

 

「あぁ。ビルドのライダーシステムを使うために、必要な条件は主に2つ。1つ目はさっきも言った通り、ハザードレベル3以上。でも、これは使うアイテムによって異なり、もっと高くないと使えないものもある。」

 

「もう1つは?」

 

「そして2つ目は、ネビュラガスを投与されていること。これは、さっきナイトローグに投与されてるから、2つの条件両方とも満たしていることになる。そこで、俺が帰るまで3人には、これを貸しておく。」

 

仁は蓮と秀夜にスクラッシュドライバーを、そして優にはビルドドライバーを渡した。

 

「いいのか?」

 

「あぁ。さっきナイトローグが言ったことが本当なら、これがないとスマッシュを倒すことが出来ないんだろ?後、これも渡しとくから、これを使って変身しろ。」

 

蓮はロボットスクラッシュゼリー、秀夜はクロコダイルクラックフルボトル、優はフルボトルをいくつか預かる。

 

「何から何まで悪いな。」

 

「いや、協力してもらってるんだ。このぐらいは当然だ。ところで、俺まだ優の姉が女神だって理由聞いてないんだけど?」

 

「あぁ…信じられないかもしれないけど、俺はある並行世界で1度死んでるんだ。そんな時、この世界にいる仮野優も死んだ。そんな並行世界の俺を、こっちの世界の仮野優の体に、俺と俺の魂を入れ、女神である姉ちゃんが転生させた。」

 

「お前も、転生者だったのか…それも、2人の人間が混ざってる。」

 

「お前もって、まさか…」

 

「あぁ。俺も1度死んで、神様って名乗るやつから転生の話を持ちかけられて、その特典として地球外生命体エボルトの力を貰った。最初は俺が元いた世界とはまた別の世界にいたんだけど、その後色んな世界に行って、今いる世界に来たってわけだ。くじで選ばれたらしいんだけど、優もなのか?」

 

「いや、俺は財団Xと戦うため、仮面ライダーの変身者として転生したんだ。ちなみに、蓮も秀夜も。まぁ、2人は俺と違って、前の世界の体のまま転生してきたんだけどな。あっ、この事こっちの世界のμ'sのみんなには内緒で頼む。」

 

「言ってないのか?」

 

「あぁ。まぁ、絵里とことりだけは知ってるんだけどな。」

 

「そういえば、みんなの方のガーディアンはどうなったんだ?」

 

「あぁ!そうだった。穂乃果たち、大丈夫かな…」

 

仁と話している中、蓮に言われ焦る優。

 

「優くーん!」

 

そんな優たちの元に、ちょうど走ってくる穂乃果たち9人。

 

「あっ、みんな…無事だったんだな。」

 

「もっちろん!」

 

Vサインをして言った穂乃果を見て、ほっとする優。

 

「あっ!そういえば、俺が帰る方法が分かったぞ!」

 

仁のその言葉を聞き、全員が注目した。

 

 

 

 

 

『失敗したようだなぁ。』

 

「…!?スターク…」

 

仁に敗れ逃げてきたナイトローグに、赤いコブラの怪人、ブラットスタークが話しかける。ブラットスタークは地球外生命体エボルトが変身した姿だが、もちろんこのスタークは仁が変身しわけでも、並行世界の石動惣一に憑依したエボルトが変身したわけでもない。

 

『これまで俺達は、仮面ライダーどもにも、寝返っていない女神どもにも気づかれないよう、慎重に下準備を重ねてきた。もうそろそろ、あいつをこの世界に呼び寄せる。それからは、更に計画が動き出す。今回は、正体を隠し続けてきた俺達が、ライダーの前に現れてまで成し遂げようとする程、その計画にとって重大な事だ。』

 

「そんな事、分かっている…」

 

果たして、ブラッドスタークの言う計画とは…




はい、どうでしたか?今回は次回予告は無しです。まぁ、今回は説明が多い回でしたね。

という事で、今回はここまで。

お気に入り登録、評価や感想など頂けると嬉しいです。次回も是非見てください!


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3話 強敵ニュートとの初戦闘

はい、コラボ回3話です。

平日に投稿するのは、かなり久しぶりなような気がします。今回もコラボ回、タイトルにもある通り、優が初めてニュートと戦うことになります!

ではコラボ回3話、スタートです!


〜side 優〜

 

「パラレルデビュラー、ニュート…」

 

俺は帰宅し、自室で1人仁から聞いたことについて考えている。

 

パラレルデビュラー、ニュートという敵が仁をこの世界に送り、そいつを倒せば仁は元の世界に戻れる。そいつらの狙いは、仁が持つパンドラパネル…

 

けど、デビュラーは財団Xが持つ力。財団Xも今回の件について分かっていない。財団Xが協力している訳でもないのに、なんでデビュラーの力を…

 

そう悩んでいると、俺の部屋の窓をホークメカアニマルがつついてきたので、窓を開けホークメカアニマルを中に入れる。すると、ホークメカアニマルは俺に何かを訴えてくる。

 

「…?ガーディアンがまた現れた!?分かった、案内してくれ。」

 

俺が部屋を飛び出すと、そこには仁がいた。

 

「仁。ガーディ…」

 

「あぁ。だいたい分かった。行くぞ。」

 

俺の言葉を遮り、仁がそう言った。そして、仁が家を飛び出して行ったので、俺も追いかける形で飛び出した。

 

 

 

ガーディアン(ファウスト型)が暴れているのは、比較的人が少ない場所だった。やはり、仁が持つパンドラパネルを奪うための罠か…

 

俺達に気づいたガーディアンは、一斉に襲いかかってくる。

 

「おっとと…さっさと片付けますか。はぁ!」

 

俺達はガーディアンを避け、蹴り飛ばす。俺達はガーディアンと戦いながら、それぞれドライバーを巻き付けた。再び俺達は、近くにいたガーディアンを蹴り飛ばし、ガーディアンとの間合いを取った。

 

『コブラ!』『ライダーシステム!』

『エボリューション!』

 

 

『Are you ready?』

 

「「変身!」」

 

『コブラ コブラ エボルコブラ!』

 

 

俺は仮面ライダーインフィニティ、仁は仮面ライダーエボル コブラフォームに変身した。

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード』

 

俺はインフィニティソードで、仁は肉弾戦でガーディアンと戦う。

 

「せっかくだし、こいつ使ってみるか。」

 

俺は一旦変身解除し、インフィニティドライバーを取り外す。そして今度は、ビルドドライバーを巻き付ける。さらに、俺は2本のフルボトルを取り出し、シャカシャカと振り出した。

 

『ラビット!』『タンク!』

『ベストマッチ!』

 

「さぁ、実験を始めようか。」

 

俺はフルボトルを2本セットし、レバーを回し始めた。

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『鋼のムーンサルト ラビットタンク!イェーイ!』

 

 

俺は仮面ライダービルド ラビットタンクフォームに変身した。

 

「はぁぁぁ…はぁ!」

 

俺は腰を低くし、左足の兎の跳躍力で思いっきり飛び、右足のタンクのパワーで、一気に多くのガーディアンを蹴り飛ばす。

 

俺はビルドドライバーのレバーを再び回し、それにより数式が辺りに現れ混乱するガーディアン達。

 

『Ready Go!』

 

俺は地面を蹴り込み、穴を開けて潜った。その頃地上では、1番ベストな必殺技の角度を表している無限軌道装置が現れ、ガーディアンを数体挟み込んでいた。

 

『ボルテックフィニッシュ!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

俺は無限軌道装置の角度に沿って、挟み込んで捕獲しているガーディアンにキックを放って倒した。

 

「まだまだ居るな…よしっ、複数を一気に倒すならこいつで!」

 

『ガトリング!』

 

俺はタンクフルボトルをガトリングフルボトルに変え、ビルドドライバーのレバー回し、

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

仮面ライダービルド ラビットガトリングに変身した。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

俺はドリルクラッシャー ガンモードとホークガトリンガーを取り出し、周りのガーディアンを回りながら撃ち倒した。

 

『タカ!』

『ベストマッチ!』

 

「ベストマッチ来たぁー!ってまぁ、知ってるんだけどね…」

 

俺はラビットフルボトルを、タカフルボトルに取り替えた。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『天空の暴れん坊 ホークガトリング!イェイ!』

 

 

俺は仮面ライダービルド ホークガトリングフォームに変身した。俺は背中のタカの羽を広げ、上空へと飛んでいく。

 

『10…20…30…40…50…60…70…80…90…』

 

ホークガトリンガーのダイヤルを回していく。

 

100(ワンハンドレッド)!フルバレット!』

 

「仁、しゃがめ!」

 

俺の声を聞いた仁がしゃがむと、俺はホークガトリングでガーディアンへと連射した。

 

『ドラゴン!』『ロック!』

『ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『封印のファンタジスタ ギードラゴン!イェーイ…』

 

俺は仮面ライダービルド キードラゴンフォームに変身した。変身した瞬間、俺の体に電気が流れたような感覚に陥る。

 

「なんだこれ…ラビットタンクやホークガトリングよりも、とんでもねぇパワーを感じる。このドラゴンのフルボトル、凄い…はぁ!」

 

俺はガーディアンの攻撃を左手のバインドマスターキーで防ぎ、右手のドラゴラッシュアームで吹き飛ばした。

 

「一気に片付ける。」

 

『Ready Go!ボルテックフィニッシュ!』

 

俺はバインドマスターキーから鎖を放ち、全てのガーディアンを拘束し、ドラゴラッシュアームで蒼炎を纏ったパンチを放ち、ガーディアンを全て倒した。仁の方にいるガーディアンも、ちょうど全て倒したところらしい。

 

「…!?ぐぁぁ…!」

 

そんな俺たちに向けて、エネルギービームが放たれ、俺は強制変身解除。仁は赤いエネルギーになり、簡単に避けていた。

 

「仁…気づいたなら、俺にも言えよ…」

 

『悪い悪い。俺も咄嗟だったんでな。それより、お出ましみたいだぜ。俺達が探している、ニュートさんがよ。』

 

「あら、覚えてもらえているなんて、嬉しいわ。」

 

不気味な笑みを浮かべ、ニュートという女がそう言った。

 

「お前が、ニュート…パラレルデビュラー。」

 

「えぇ。早速だけど、パンドラパネルを頂くわ。」

 

「残念だが、それは無理だ。仁は今、パンドラパネルを持っていないからな。狙われると分かっていて、ノコノコと持ってくるかよ。」

 

姉ちゃんに預けといて正解だったな…

 

『まぁ、持っていたとしても俺から奪うなんて無理だがな。』

 

「はぁ…だったら、今日のところは一旦退かせ…」

 

「るかよ。こっちはお前に用があるんだ。」

 

「まあいいわ。少し遊んであげる。」

 

そう言い、ニュートはパラレルデビュラーに変化した。

 

『なんか優の戦い見てたら、こいつ使いたくなっちまった。』

 

そう言い、仁は変身解除し、ドライバーをスクラッシュドライバーに変えた。

 

「優、こいつ倒すまでは、お前は俺の相棒だ。」

 

「なんだ?お前らしくないセリフ。けどまぁ、乗ってやるよ!」

 

俺はそう返し、フルボトルではなく、缶ジュースのようなアイテム…ラビットタンクスパークリングを取り出し、シュワシュワと振り、上部のタブを開けた。

 

『ラビットタンクスパークリング!』

『ドラゴンゼリー!』

 

『Are you ready?』

 

「「変身!」」

 

『シュワっと弾ける!ラビットタンクスパークリング!イェイェイ!』

 

『潰れる 流れる 溢れ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!』

 

俺は仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォームに、仁は仮面ライダークローズチャージに変身した。

 

「さぁ、もう1度実験を始めようか。」

 

「今の俺は…いや、今の俺も負ける気がしねぇ!」

 

俺達は同時に飛び出し、ニュートへと殴る。

 

「「はぁ!」」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「いやぁ…食った食った。」

 

義姉である咲が不在のため、一人暮らしの秀夜と夕食を食べに行っていた蓮。

 

「なんか最近、咲姉ちゃんいない日多いんだよなぁ…」

 

「まぁ、咲さんも女神様なんだし、忙しいんじゃないのか?財団Xも更に過激な動きをし始めてるんだしな…」

 

帰り道、そう話す蓮と秀夜。そんな2人の前に、ある男が現れる。

 

「久しぶり、ってわけでもないか…宮崎蓮、黒崎秀夜。」

 

「クロッカー…」

 

ある男とは、財団Xの幹部の1人、クロッカー。

 

「こんな時に…満腹だし、あんま動きたくないんだけどな。」

 

「別に、今日はお前らを殺しに来たわけじゃない。」

 

「何?」

 

「昨日仮野優に言われ、グラスが調べてみた。石動仁…だっけか?あいつをこの世界に連れてきた組織、あまり俺たち財団Xといい関係ではなくてな。今回の件も、俺たちに取って不味いことになるかもしれない。今後の話だけどな…」

 

「で、俺たちに何の用だ?」

 

「別世界の石動仁がこの世界に来たのは、あの組織のある実験のためだろう。もしその実験が成功したら、ますますあいつらが好き勝手に動くようになる。ここまで雲隠れしてきたあの組織が、ここに来て動き出したということは、何か目的のため動き出したということだろうな。」

 

「まどろこしいなぁ…で、何の話に来たんだよ?」

 

「まあ落ち着け。石動仁が元の世界に帰るまで、一時休戦だ。パラレルデビュラーを倒して、石動仁を元の世界に帰す。そして、あの組織が目論む実験を阻止してくれ。」

 

「へっ…お前達に言われるまでもない。」

 

「そうか…ならいい。黒崎秀夜。」

 

クロッカーは秀夜に何かを投げつける。

 

「ん?これは…」

 

クロッカーが秀夜に投げ渡したのは、ビルドドライバーとそれで使えるある変身アイテム。

 

「依頼料、と言ったところだ。そのボトルが使えるのは1度きりだ。気をつけろ。じゃあな。」

 

「えっ、ちょっ…俺は?俺にはなんかないのかよ!?」

 

「ないな。あっ、あとお前らに依頼したのも、それを渡したのも財団Xの許可なく俺が勝手にやった事だ。だから、他の組織のやつらには秘密で頼む。」

 

「「えっ…?」」

 

去り際にクロッカーが放った言葉に、揃えて疑問の声を上げる蓮と秀夜であった…

 

 

 

 

 

「エボルの力でも勝てなかった私に、スパークリングとクローズチャージで勝てるわけないじゃない。はぁ!」

 

ニュートの攻撃に吹き飛ばされる優と仁。

 

『ツインブレイカー!』

『ビームモード!』

 

仁はツインブレイカー ビームモードで遠距離からニュートを撃ち、その隙をついて優がニュートを突き、次に肘打ちを喰らわせた。

 

「くっ…なかなかやるわね。けど、まだ甘い!」

 

ニュートは近くにいた優を蹴り飛ばしたが、優は飛ばされている空中で咄嗟にカイゾクハッシャーを取り出し、

 

『各駅電車!発射!』

 

ニュートを撃ち抜いた。

 

『アタックモード!』

 

『シングル!シングルブレイク!』

 

「オラァァァァァ!!」

 

その隙をついて、ツインブレイカー アタックモードにドラゴンスクラッシュゼリーを挿入し、ニュートへシングルブレイクを放った。

 

「うぅ…」

 

完全に隙をつかれたニュートは、ダメージを受けた。

 

「私としたことが、油断してしまったわね…今日は帰らせてもらうわ。」

 

「帰すかよ。俺達は、お前を倒さなきゃいけないんだよ。」

 

「ふふふ。代わりに、この子達が遊んであげる。」

 

ニュートが謎のゲートを開き、そこから2体の怪人が。それと同時に、ニュートは消えた。

 

「ソルティバグスターに、コウモリインベス…やっぱり、スマッシュ以外の怪人も呼び出せるのか…おっと!?」

 

コウモリインベスが優に、ソルティバグスターが仁に飛びかかり、それを避ける2人。2人はそれぞれ反撃を開始するのだが…

 

「全然効いてねぇ…?」

 

「そういえば…ライダーの敵を倒せるのは、そのライダーの敵だけって言ってたな…」

 

「なんだそれ?アナザーライダーみたいな話だな。」

 

「アナザーライダー?」

 

「おっと…お前にとっては、これまだ未来の話、だったな。」

 

「はぁ?ってうおっ!?危ない…なぁ!」

 

仁の言葉を理解出来ていない優に、コウモリインベスが襲いかかってきたが、それを蹴り飛ばす優。

 

「とにかく、ライダーの力でしか倒せないなら、こいつだ!」

 

優は変身解除し、インフィニティブレスから戦極ドライバーを呼び出した。

 

「お前、なんでそれを!?」

 

ソルティバグスターを押さえつけながら、そう聞く仁。

 

「言ってなかったっけ?俺、色んなライダーに変身出来るんだよ。」

 

「あぁ…そういえば、μ'sの皆さんがクウガとかに変身したりした時、お前ディケイドに変身してたっけ…おらぁ!だったら俺は、こいつだ!」

 

仁はソルティバグスターを吹き飛ばし、変身解除してゲーマドライバーを巻き付けた。

 

「お前も、ゲーマドライバー使えるのか…」

 

「まあな。行くぞ。」

 

『オレンジ!』

 

『マイティアクションX!』

 

それぞれロックシード、ガシャットを起動させ、

 

「大」

 

「「変身!」」

『ロックオン!』

 

『ガシャット!』

 

それぞれのベルトにセットした。

 

『オレンジアームズ!花道・オンステージ!』

 

『ガッチャーン!レベルアップ!マイティジャンプ マイティキック マイティマイティアクション・X!』

 

優は仮面ライダー鎧武 オレンジアームズに、仁は仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル2に変身した。

 

「ここからは俺たちのステージだ!」

 

「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

 

「「はぁ!」」

 

優は大橙丸でコウモリインベスへと斬りかかり、仁はソルティバグスターを殴る。そして、優と戦っているコウモリインベスは自身の能力で、空へと飛んだ。

 

「上空ならこいつだ!」

 

「だったら俺はこいつで!」

 

『イチゴ!』

『ドラゴナイハンターZ!』

 

「大・大・大・大・大変身!」

 

『イチゴアームズ!シュシュっとスパーク!』

『レベルアップ!ド・ド・ドラゴナーナナナーイト!ドラ・ドラ・ドラゴナイトハンターZ!』

 

優は仮面ライダー鎧武 イチゴアームズに、仁は仮面ライダーエグゼイド ハンターアクションゲーマーレベル5(フルドラゴン)に変身した。

 

『イチゴスカッシュ!』

『ガシャット!キメワザ!ドラゴナイト クリティカルストライク!』

 

「「はぁぁぁぁ!」」

 

優はイチゴクナイをコウモリインベスに投げつけ、仁は火炎を放ちソルティバグスターを倒した。

 

『ロックオフ』

『ガッシュー』

 

「クソ…ニュートには逃げられちまったか。」

 

「あぁ。けど、あいつの狙いも俺のパンドラパネルだ。すぐに会えるだろ。」

 

「そうだな…」

 

夜道を歩きながら、そう会話する2人。

 

 

 

 

 

そして、優がいる世界でも、仁がいた世界でも、ビルドの世界でもない、また別のある並行世界…

 

「博士ー。博士?あれ…いないし。」

 

博士と呼ぶ人物を探す少年。

 

ピンポーン

 

その少年の家のインターホンが鳴り、少年は玄関に向かい扉を開けた。

 

「はい?」

 

「突然ごめんなさい。私、こういう者です。」

 

1人の女性がそう言いながら見せたのは、警察手帳。それに続き、後ろにいた女性の部下らしき男も警察手帳を見せた。

 

「刑事さん?」

 

「えぇ。宮崎蓮くんのことについて、君に聞きたくて。君が、宮崎蓮くんと幼なじみって聞いたので。あっ、もちろん君を疑っている訳では無いので、安心してね。君があんなことする理由もないし、君が出来るような事件じゃないしね。」

 

「もちろん、僕に協力出来ることがあれば、なんでも協力します。」

 

「ありがとうございます。」

 

「では、どうぞ。」

 

少年は、2人を家の中に招き入れた。優たちの今いる世界とは違うこの並行世界で、蓮の話を聞きに来た刑事とは、どういうことなのだろうか…

優と仁がニュートと戦っている裏で、また新たな事件が起ころうとしていた…




ということで、どうでしたか?

エボルトに匹敵するニュートが、なんでスパークリングとクローズチャージに負けそうになってんだよ!という意見、多分あると思います。いやぁ…それはまぁ、ニュートが完全に油断していたということと、優と仁の頭脳戦連携プレーが凄かったということで…

そして最後に、謎の並行世界で、謎の少年の家に訪問した警察官が、何故か蓮について聞くという…これも、後々重要になってくるかも、しれません。

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4話 決戦開始!

はい、コラボ回4話です。

いつもは週1だったり、2週に1回と更新ペースが遅い僕ですが、コラボ回なんで、あんまり更新ペースが遅いと失礼かなと思い、早めの投稿です。

ではコラボ回4話、スタートです!


〜side 優〜

 

「この前はなんとな追い詰める所まではいけたけど、次ニュートが現れたら、もうあんな単純な連携プレーは通用しないよな…」

 

音ノ木坂学院へ向けて登校中、俺と仁は共に歩いていた。

 

「まぁ、なんとかなるだろ。俺なんて、まだ完全体のフェーズ4にもなってないからな。その上の怪人態や究極態なんて、出さなくても勝てるんじゃないか。」

 

「まだ強いのあるのかよ…」

 

「あっ、そうだ。優、お前にこれも渡しとくよ。」

 

「なんだこれ…?」

 

仁は赤いアイテムを渡してきた。

 

「昨日の戦いを見て、お前にならこいつを預けておいても大丈夫だと思った。これはハザードトリガー。こいつを使って変身すると、強力なパワーを得られるが、自我を失ってしまう恐れがある。」

 

「自我を、失う…」

 

「あぁ。だが、このフルフルラビットタンクボトルを使えば、自我を失わず使える。ただ、両方使えるかはお前のハザードレベルと、精神力次第ってとこだな。」

 

「なるほど…分かった。責任持って使わせてもらう、ありがとな。」

 

俺が仁からハザードトリガーとフルフルラビットタンクボトルを受け取った時、少し離れた場所で爆発音が聞こえた。

 

「「…!?」」

 

それに気づいた俺と仁は、走り出した。

 

 

場所が近かったため、数十秒で現場に着いた俺たち。そこでは、ガーディアンやバグスターウイルス、ダスタード、屑ヤミーが、ちょうど登校中だった俺のクラスメイト達、ヒフミトリオに襲いかかっていた。俺は咄嗟にラビットフルボトルを取り出し、シャカシャカと振り出した。

 

「はぁ!」

 

俺はラビットフルボトルを握ったまま、襲いかかっていたダスタードを殴る。すると、かなりの距離吹っ飛んでいってそのダスタードは消えた。

 

「大丈夫か?」

 

「うっ、うん…ありがとう。」

 

「早く逃げろ。」

それを聞いた3人は、音ノ木坂学院の方へ逃げていった。

 

「それにしても凄い威力。本当に振れば振るほど強くなるのか…」

 

「「はぁ!」」

 

俺と仁は、怪人たちと再び戦い始めた。

 

「はぁ!」

 

「ふんっ!優、おはよ!って、挨拶してる場合じゃ、ないなっ!」

 

そこに、蓮と秀夜も加勢に来た。

 

 

 

しばらく戦っていた4人は、全ての怪人を倒した。

 

「ふぅ…」

 

そこに、突如謎のモニターが投影され、ニュートが映る。

 

「どうも、仮面ライダーの皆さん。」

 

「ニュート…」

 

「私たちの狙いは、石動仁が持つパンドラパネル。あなたたちの狙いは、私を倒し石動仁を元の世界に帰すこと。そこで、1つ提案があるの。」

 

「提案…?」

 

「今日の17時、白と黒のパンドラパネルを持って来なさい。そこで戦って、決着をつけましょう。あと、あなた達に拒否権はないわ。」

 

ニュートがそう言うと、映像が切り替わった。

 

「人!?まさか…」

 

その映像には、縛り付けられた29人の人が映っていた。そして、最近続出している行方不明者。今朝やっていたニュースで、昨日の夜29人になったと言っていた。

 

「あら、これだけで気づいちゃったみたいね。流石、察しが良くて助かるわ。そう。この人間たちは、最近続出している行方不明者たち。あなた達が17時に来て、私たちに勝つことが出来れば解放できる。

 

あなた達がパンドラパネルを持って来なかったり、私たちに勝てなかったら、この人間たちは私たちのある実験に使わせてもらうわ。」

 

「ふざけんな!人間は、お前らのおもちゃでも、実験道具でもないんだぞ!」

 

「ふふふふ。いくらでも吠えてなさい。さて、では17時にお待ちしているわ。」

 

そこで、一方的に映像が途切れた。

 

「クソッ…」

 

俺は怒りを顕にする。

 

「罠、だよな…」

 

「あぁ…でも、これはある意味チャンスかもしれない。」

 

「そうだな。向こうはパンドラパネルを奪おうと思ったら、いつでも奪いに来ることが出来る。けど、こっちはニュートが出てこない限り俺が帰る方法はない。向こうが決着をつけようとわざわざ提案してくれるのは、ある意味チャンスだな。」

 

蓮の言葉に答えた俺に、同調して言う仁。

 

「あっ、やべっ!」

 

「どうした秀夜?」

 

「時間!」

 

「あっ!やべぇ、遅刻!」

 

「じゃあ俺は、時間になったら預けてたパンドラパネル持ってくる!」

 

「悪い仁!じゃあまた後で!」

 

俺達3人は、音ノ木坂学院へ駆け出した。やばっ、もう完全に朝練終わる時間だ!

 

 

 

俺たちは校舎に入り、そうっと部室の扉を開いた。すると、凄い顔の海未が…その後ろには、既に練習が終わり制服に着替えた残り8人もいる。

 

「「「……」」」

 

それを見た俺たちは、無言で扉を閉めた。

 

「…3人とも。何故、扉を閉めたんですか?」

 

とても美しい声、だが何故か冷や汗が流れてくるような海未の声が聞こえた。

 

「早く、開けてください?」

 

「「「……はい…」」」

 

俺たちはゆっくり扉を開け、正座して誠意を見せた。

 

「……なんて、冗談ですよ。」

 

「「「へ?」」」

 

突然普段の海未に戻ったことに、俺たちは拍子抜けした声を出す。

 

「ヒデコたちから、怪物に襲われてた時優くんに助けてもらったって、ちゃんと聞いたんだよ。」

 

「だから、ちゃんと遅れた理由も分かってるよ。」

 

穂乃果とことりの言葉を聞き、ホッとする俺たち。

 

「すみません。穂乃果と凛と希が、せっかくだから驚かそうと提案しまして…」

 

「なんだよ…ったく、お前らは…」

 

まぁ、ニュートとの決戦から、少しは気が紛れたかな…

 

 

 

そして、決戦の時がやって来た。

 

「よう。」

 

「おう。って、μ'sの皆さんは?」

 

「ニュート、どんなことしてくるか分からないからな。ラブライブ最終予選も近いから、連れてこなかった。」

 

「そうか。それが良い判断かもな。」

 

俺と仁がそう話すと、

 

「さてと、行くか。っと思ったけど…」

 

「向こうからのお出迎えが来たみたいだな。」

 

蓮と秀夜が正面からゾロゾロと来ているガーディアンに気づき言った。

 

「おぉ…ゾロゾロとお出ましだな。」

 

「よしっ。サクッと捕まった人達を救っちまおう!」

 

「あぁ!そんで、お前を元の世界に連れて帰る!」

 

仁の言葉に俺が答え、俺たち4人は、それぞれフルボトルを振りながら、ガーディアンたちとの戦闘を開始した。

 

俺はラビットフルボトルを振り、ラビットの能力で跳躍力とスピードが上がった。

 

「はぁ!」

 

俺は少し高めに飛び、降りるタイミングで一体のガーディアンを蹴り飛ばし、その後数体のガーディアンを殴り飛ばした。

 

「生身であんな高く飛ぶなんて、結構怖いな…はぁ!」

 

ボソッと呟いた俺だったが、すぐにガーディアンが襲いかかってきたため、そいつを殴り飛ばした。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

しばらく戦っていた4人は、ガーディアンを全て倒した。その時、突然謎の黒いホールが現れ、それに吸い込まれた4人。

 

「ようこそ。仮面ライダーの皆さん。ここは、私の力で作り出した仮想空間。さぁ、まずは私のいる所まで辿り着けるか…簡単には辿り着けないから、せいぜい足掻いてなさい。」

 

ニュートの声が聞こえ終えると、辺りがパッと明るくなる。そこには…

 

「おうおう…こりゃ、随分と派手な歓迎だな。」

 

ガーディアンやバグスターウイルス、ダスタード、マスカレイド・ドーパントなど大量の量産型怪人がいた。

 

「まぁ、うだうだ言っても仕方ない。」

 

「どうせ、こいつら倒さないと進めねぇんだから。」

 

秀夜、蓮がそう言い、

 

「そうだな。仁、こいつは返しとく。これは、お前が使うんだろ?」

 

「あぁ、サンキュ。」

 

優は仁に、2本のフルボトル…ドラゴンフルボトルとロックフルボトルを返した。

 

『『ビルドドライバー!』』

 

『『スクラッシュドライバー!』』

 

4人はそれぞれベルトを巻き付けた。

 

『デンジャー!』『クロコダイル!』

 

『ロボットゼリー!』

 

『Wake up!』『クローズドラゴン!』

 

『ラビット!』『タンク!』

『ベストマッチ!』

 

 

『『Are you ready?』』

 

 

「「「「変身!」」」」

 

 

『鋼のムーンサルト ラビットタンク!イェーイ!』

 

『ウェイクアップバーニング!ゲットクローズドラゴン!イェーイ!』

 

『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボットイングリス!ブラァ!』

 

『割れる!食われる!砕け散る!クロコダイルインローグ!オラァ!キャー!』

 

優は仮面ライダービルド ラビットタンクフォームに、仁は仮面ライダークローズに、蓮は仮面ライダーグリスに、秀夜は仮面ライダーローグに変身した。

 

「行くぞ!」

 

「「「おう!」」」

 

優たちは走り出し、大量の量産型怪人との戦闘を開始した。

 

「はぁ!今度はこいつで!」

 

『ゴリラ!』『ダイヤモンド!』

『ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

 

『輝きのデストロイヤー ゴリラモンド!イェーイ!』

 

 

優は仮面ライダービルド ゴリラモンドフォームにフォームチェンジした。

 

『Ready Go!ボルテックフィニッシュ!』

 

地面がダイヤモンドに変わり、優の周りにいた量産型怪人の足元は固まり身動きが取れない。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

優はゴリラの腕、サドンデストロイヤーで地面を殴り、その影響で周りの量産型怪人を倒した。

 

『掃除機!』

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

優は仮面ライダービルド ゴリラクリーナーに変身した。

 

「はぁ!はぁぁぁぁ…」

 

優はサドンデストロイヤーでガーディアンを殴り、更に大量の量産型怪人を左腕の掃除機、ロングレンジクリーナーで吸い込み始める。

 

『ライオン!』

『ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

 

『たてがみサイクロン ライオンクリーナー!イェーイ!』

 

 

『Ready Go!ボルテックフィニッシュ!』

 

優は仮面ライダービルド ライオンクリーナーフォームに変身し、右腕のゴルゴドライオガントレットからライオン型エネルギーを放ち、吸い込んでいる量産型怪人を倒した。

 

『ニンジャ!』『コミック!』

『ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

 

『忍びのエンターテイナー ニンニンコミック!イェーイ!』

 

 

優は仮面ライダービルド ニンニンコミックフォームに変身し、4コマ忍法刀を取り出した。

 

『風遁の術!竜巻斬り!』

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

4コマ忍法刀から竜巻が放たれ、量産型怪人たちが空高く舞い上がり、倒された。

 

『海賊!』『電車!』

『ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

 

『帝国の反逆者 海賊レッシャー!イェーイ!』

 

 

優は仮面ライダービルド 海賊レッシャーフォームに変身した。

 

『各駅電車!』『急行電車!』『快速電車!』

 

優はカイゾクハッシャーにエネルギーを貯めていく。

 

『海賊電車!』

 

「はぁっ!」

 

『発車!』

 

カイゾクハッシャーから放たれたエネルギーで、大量の量産型怪人を倒した。

 

 

 

『ネビュラスチームガン!』

『スチームブレード!』

 

仮面ライダーローグに変身した秀夜は、ネビュラスチームガンとスチームブレードを取り出し、次々と量産型怪人を撃ち抜き、斬り裂いて行く。

 

「はぁっ!」

 

『アイススチーム!スチームアタック!』

 

「はぁぁぁ!」

 

秀夜はスチームブレードから冷気を放ち、周りの量産型怪人を凍らせ、氷の刃で斬り裂いた。

 

「次はこいつだ!」

 

『フルボトル!ファンキーアタック フルボトル!』

 

秀夜はネビュラスチームガンにトラフルボトルを装填し、トラ型のエネルギーを放ち量産型怪人を倒した。

 

 

 

「はぁ!オラオラオラァ!」

 

次々と量産型怪人へと肉弾戦攻撃を放つ、仮面ライダーグリスに変身した蓮。

 

『ツインブレイカー!』

 

蓮はツインブレイカー ビームモードを取り出し、次々と敵を撃ち抜いていく。

 

『ツイン!』

 

蓮はツインブレイカー ビームモードに、クジラフルボトルと潜水艦フルボトルを装填した。

 

『ツインフィニッシュ!』

 

「はぁぁぁ!」

 

ツインブレイカー ビームモードから、大量の水エネルギーが勢いよく放たれ、次々と敵を倒す。

 

『アタックモード!』

 

今度はツインブレイカーをアタックモードに変形させた。

 

『シングル!』

 

蓮はツインブレイカーに、ウルフフルボトルを装填した。

 

『シングルブレイク!』

 

「オラァァァァァ!」

 

ツインブレイカー アタックモードが、狼のエネルギーを纏い、それを蓮は大量の量産型怪人へと打ち込んだ。

 

 

 

『スペシャルチューン!』

 

『ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!』

 

仮面ライダークローズに変身した仁は、ビートクローザーにロックフルボトルを装填し、ビートクローザーのレバーを3回引いた。

 

『メガスラッシュ!』

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

仁は斬撃を飛ばし、大量の量産型怪人を倒す。更に仁は、ビルドドライバーのレバーを回す。

 

『Ready Go!ドラゴニックフィニッシュ!』

 

「おりゃああああああああああ!!」

 

仁は背後に出現したドラゴンの吐く蒼炎を纏い、上空から量産型怪人たちへ飛び蹴りを放った。

 

 

 

『タートル!』『ウォッチ!』

『ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

 

『時をかける甲冑 タートルウォッチ!イェーイ!』

 

 

優は仮面ライダービルド タートルウォッチフォームに変身した。優へ向かって、大量の量産型怪人が襲いかかってくるが、亀の甲羅の防御力で防いだ。更に…

 

「はいはい。ちょっとの間ノロマさんになってもらいますよ〜!」

 

『Ready Go!ボルテックフィニッシュ』

 

優がビルドドライバーのレバーを回すと、量産型怪人たちは突然動きがスローになった。否、優以外全ての物体の動きがスローになった。

 

「はぁぁぁ!」

 

そして、周りにいる量産型怪人たちを、亀の甲羅のエネルギー体を出現させ、叩き潰した。

 

「次はこいつだ!」

 

『おばけ!』『マグネット!』

『ベストマッチ!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

 

『彷徨える超引力 マグゴースト!イェーイ!』

 

 

優は仮面ライダービルド マグゴーストフォームに変身した。

 

「さて、一気に決める!」

 

『Ready Go!ボルテックフィニッシュ!』

 

優が量産型怪人たちへ手を向けると、全ての量産型怪人たちが宙に浮き、マグネットの力で1つの場所へと引き寄せられていく。そして、優もゴーストの力でフワフワと宙へと浮いた。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

そして、そのまま怪人たちを蹴り、全て倒した。

 

「ふぃ…」

 

『ラビットタンク!イェーイ!』

 

着地した優は、ため息を1つつき、仮面ライダービルド ラビットタンクフォームに戻った。

 

「よし、これで全部片付いたな。」

 

「あぁ、さっさと先に…とは、行けなそうだな。」

 

優に続き、仁が話していると、前方から緑の機械兵がゾロゾロと押し寄せて来ているのに気づいた。。

 

「なんだ?あの緑の…」

 

「見たことないやつ、だな。」

 

「あれはハードガーディアン。普通のガーディアンの何倍も強い。」

 

蓮と秀夜の言葉に、そう説明する仁。

 

「まーた面倒なやつが…」

 

その時、向かってくるハードガーディアンに何者かの攻撃が当たった。

 

「なんだ!?」

 

4人が振り返ると、それぞれ変身したμ's9人が立っていた。

 

「みんな…どうやってここに?」

 

「優くんたちが吸い込まれた黒い穴があったから、そこ入ったらこれた!」

 

「私たちも戦います。」

 

「優くんたちが戦ってるのに、黙って待ってることなんて出来ないもん!だから、ここは私たちに任せて先に行って!」

 

「みんな……分かった。ありがとう!」

 

優がそう答えると、μ's9人はハードガーディアンと戦い始め、道が少し開ける。

 

「よしっ…行こう!」

 

優、仁、蓮、秀夜はニュートがいる奥へ向かって、走り出した。

 

 

 

『さてと…お前達の力がどれほどのものか、見せてもらおうじゃねぇか。地球外生命体エボルト。

それと、あいつと同じ特別体質の中心核、選ばれし男、仮野優…フッハハハ!これは面白くなりそうだァ…』

 

少し離れたところで、優たちを見ているブラッドスタークが、笑いながら言った。

 

 




ということで、早くもコラボ回の最終決戦に突入。と言っても、ここから結構長くなるかもしれません。

そして、最後謎のブラッドスタークが出現し、意味深なことを…今回のコラボ回では、各話の最後にいろいろ重要なことが隠されているかもしれませんね。

そして、仮面ライダービルド本編未登場のタートルウォッチとマグゴーストが登場。能力などは、オリジナルで考えました。

では今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想など頂けると励みになります!次回もよければ、見てください!


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5話 絶体絶命!?

はい、コラボ回5話です。

今回、コラボ回ということで、冬映画的な感じであるフォームが先行登場します。まぁ、皆さんにとっては知ってるフォームなんですが…しかし、先行登場は今回だけではありませんので、お楽しみに!

ではコラボ回5話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

『シュワっと弾ける!ラビットタンクスパークリング!イェイイェーイ!』

 

「はぁ!」

 

仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォームに変身した優は、ドリルクラッシャーのドリルを回転させ、立ち塞がっているハードガーディアンを斬り裂いた。

 

「ふぅ…これで、ハードガーディアンの群衆からは抜けられたな。」

 

「とにかくニュートのとこ目指すぞ!」

 

秀夜と蓮がそう言った直後、

 

「そうはさせないわ。」

 

謎の女がそう言いながら、謎の男を連れてやって来た。

 

「この感じ、敵だよな…」

 

「だろうな…っ!?」

 

優の言葉に答えた仁は、何かに気づき一瞬目が赤く変色した。

 

「お前ら、まさか…」

 

「えぇ。お察しの通りよ。」

 

「俺たちは、お前と同じブラッド族。」

 

「なんでこの世界に、俺と同じブラッド族がいる?」

 

「そんなの、教えるわけないじゃない。企業秘密よ。」

 

そう言いながら、女と男はそれぞれあるボトルを取り出し、振り始める。そして、それを自身の体に差すと、2人はスマッシュに変化する。それも、ただのスマッシュじゃない。

 

「ロストスマッシュ…なるほど。白と黒のパンドラパネルを持って来いって言うくせに、ロストボトルを要求してこなかったのは、もう持ってるからか…」

 

女はスパナロストスマッシュに、男はキャッスルロストスマッシュに変化した。2人がスマッシュになるため使用したボトルは、ロストボトルだった。

 

「なんでこの世界に、ブラッド族がいて、ロストスマッシュになれるのかは知らないが…まぁ、今はそんなことどうでもいい。お前らを倒せば済む話だし。」

 

「そうだな。仁、優、お前たちは先に行け。」

 

「ここは俺と蓮に任せろ。」

 

仁の言葉に賛同した蓮、そして秀夜は優と仁に先へ進むよう促す。

 

「分かった。優、行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

「蓮、俺はあっちのを相手する。お前はあの、城?みたいなやつ頼む。」

 

「了解!」

 

優、仁が先に進むと、蓮はキャッスルロストスマッシュ、秀夜はスパナロストスマッシュを前に構える。

 

 

 

一方その頃…

 

「「「「「「「「「やぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」」」」」

 

μ'sそれぞれが攻撃し、全てのハードガーディアンを倒していた。

 

「よし…」

 

「終わったわね。」

 

「絵里ち、にこっち。残念ながら、そういう訳にはいかんようや。」

 

また新たな刺客、ストロング、フライング、プレス、ストレッチの4体のクローンスマッシュを引き連れ、あるライダーがやってくる。

 

「あれって、スマッシュっていう怪物だったよね?」

 

「でもかよちん、その後ろにいる白い人って誰にゃ?」

 

「ベルト巻いてるし、仮面ライダーっぽいわね。」

 

その白…否、銀色の仮面ライダーとは、仮面ライダーサガだ。

そして9人は、4体のクローンスマッシュ、仮面ライダーサガと戦闘を開始した。

 

 

 

 

 

 

「やっと会えたぜ、ニュート。」

 

「さっさとお前を倒して、捕まった人を解放させてもらうぞ。俺も元の世界に帰りたいしな。」

 

「ちゃんとパンドラパネルは持ってきたのかしら?」

 

「もちろんだ。そっちこそ、誘拐した人は無事なんだろうな?」

 

「もちろん。あの建物にいるわ。」

 

ニュートが指差した方向には、小さめの建物があった。その近くに突然モニターが現れ、囚われている人々が映る。それを優と仁が確認すると、モニターは消えた。

 

「一応、最後のチャンスをあげるわ。大人しくパンドラパネルを渡すのなら、あなたを無事に帰してあげてもいいのよ?」

 

「ふざけんなよ。お前なんかの提案を受けて、帰りたくなんてねぇよ。力ずくでお前を倒して、ボトルを頂く!」

 

「あら残念。なら、こちらも力ずくで、パンドラパネルを頂くわ。」

 

そう言ったニュートは、パラレルデビュラーの姿に変化した。そして、2人とニュートとの戦いが始まった。

 

 

 

 

〜クウガVSストロングクローンスマッシュ〜

 

「やぁ!って硬ぁ…うわっ!?」

 

仮面ライダークウガ マイティフォームに変身した穂乃果は、ストロングクローンスマッシュを突いたが、硬いボディに穂乃果自身が少しダメージを受けてしまう。更に、ストロングクローンスマッシュのパワーアームによるパンチを受けてしまう。

 

「痛たたぁ…超変身!」

 

穂乃果は仮面ライダークウガ ライジングタイタンに変身した。そんな穂乃果を、ストロングクローンスマッシュが殴ってくるが、それを受け止め殴り返す。

 

「やぁ!よしっ、今度は効いた。このまま決めるよ!超変身!」

 

次に穂乃果は、仮面ライダークウガ ライジングマイティに変身した。

 

「ふんっ!はぁぁぁぁぁ…」

 

穂乃果は両手を開きながら腰を落とし、走り出してジャンプしライジングマイティキックを放った。それにより、ストロングクローンスマッシュは大爆発を起こしながら消えた。

 

「おぉ…凄い威力。仮想空間…?だったけ。ここがそれで良かったなぁ…」

 

 

 

 

〜龍騎&ブレイドVSフライングクローンスマッシュ〜

 

「高くて攻撃が出来ない…」

 

フライングクローンスマッシュ上空へ飛び、龍騎に変身したことり、ブレイドに変身した希を翻弄する。

 

「だったらウチに任しとき!」

 

『アブゾーブクイーン』

『フュージョンジャック』

 

希は仮面ライダーブレイド ジャックフォームに変身し、羽を広げて上空に飛ぶ。

 

『スラッシュ』『サンダー』

 

『ライトニングスラッシュ』

 

「やぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

希は上空でフライングクローンスマッシュへライトニングスラッシュを放ち、フライングクローンスマッシュは地上に落ちる。

 

『サバイブ』

 

『ファイナルベント』

 

仮面ライダー龍騎サバイブに変身したことりは、ドラグランザーに乗り込む。

 

「やぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

そして、フライングクローンスマッシュを轢き倒した。

 

 

 

 

〜アギト&響鬼VSプレスクローンスマッシュ〜

 

「響鬼、装甲!」

 

凛は仮面ライダーアギト バーニングフォームに、海未は仮面ライダー装甲響鬼に変身した。

 

「凛、一気に決めますよ。」

 

「分かったにゃ!」

 

凛は手に炎を起こし、走り出す。

 

「はぁぁっ!」

 

そして、プレスクローンスマッシュへバーニングパンチを放った。

 

「凛、伏せてください!」

 

海未の言葉を聞き、しゃがむ凛。すると、海未が装甲声刃から炎を伸ばし、プレスクローンスマッシュを斬り裂いた。それにより、プレスクローンスマッシュを倒した。

 

 

 

 

〜ファイズ&電王VSストレッチクローンスマッシュ〜

 

『モモ・ウラ・キン・リュウ クライマックスフォーム!』

 

M花陽は仮面ライダー電王 クライマックスフォームに変身した。

 

『俺たち、参上!』

 

「そんなこと言ってないで、さっさと決めるわよ!」

 

『んなこと分かってる!』

 

『先輩、ダメだよ。女の子には優しくしないと。』

 

『モモの字にそんなこと言ってもしゃーないやろ。』

 

『そうそう!モモタロスみたいな、バカに言ってもねぇ…』

 

『なんだと!?』

 

「うるさいわねぇ…喧嘩は後にして、さっさと決めるわよ!」

 

『『『『あっ…はい…』』』』

 

にこの鋭い声を聞き、イマジンたちは静かになる。

 

『コンプリート』

 

『チャージ&アップ』

 

にこは仮面ライダーファイズ アクセルフォームに変身し、電王はベルトにライダーパスをかざし、左足にウラ、リュウ、キンのデンカメンが降りてくる。

 

そして、電王がキックを放とうとジャンプした時、

 

『スタートアップ』

 

にこの動きが1000倍の速さに加速し、電王とストレッチクローンスマッシュの動きは止まったように見える。そしてにこは、高速で動きながら足にファイズポインターを取りつけ、スマッシュクローンスマッシュへとアクセルクリムゾンスマッシュを放った。

 

『タイムアウト』

 

そして、にこの動きが元の速さに戻った瞬間、電王がストレッチクローンスマッシュへボイスターズキックを放ち、倒した。

 

 

 

 

〜カブト&キバVSサガ〜

 

「「はぁ!」」

 

カブトに変身した絵里と、キバに変身した真姫がサガに殴り掛かるが、全く効かないどころか、更に強力な反撃を受ける2人。更に、サガは2人に攻撃を続ける。

 

「うぅ…このライダー…」

 

「強い…」

 

そしてサガは、自身の武器、ジャコーダーを取り出す。

 

「まだまだ…はぁぁぁぁ!」

 

絵里はカブトクナイガン クナイモードを持ち走り出すが、サガの鞭状のジャコーダーによる攻撃を受けて倒れる。

 

「絵、里…やぁぁぁぁ!」

 

真姫も走り出したが、無防備のあまり、すぐ攻撃を受けて倒れる。そしてサガは、白いフエッスル…ウェイクアップフエッスルを取り出し、ベルトに挿す。

 

『ウェイクアップ』

 

機械的な音声でベルトから音が流れ、サガはジャコーダーを振り上げ皇帝の紋章が現れる。そして、サガはジャコーダーを真姫のいる方へ向け、構える。

 

「真姫!おねっ、がいっ…立って…!私の足、動いてっっ!真姫を、助けなきゃ、いけないのよっ…!」

 

その時、絵里の前に時空の歪みが現れる。そして、そこから飛び出したのは、ハイパーゼクターだ。

 

「これは…よしっ。」

 

絵里はハイパーゼクターを掴み取る。

 

「きゃあああああ!?!」

 

「真姫!」

 

しかし、間に合わずサガは真姫の腹部を刺し、上に吊り上げた。サガがジャコーダーを引き抜くと、真姫は強制変身解除しながら倒れ、腹部から血が流れている。

 

「ハイパーキャストオフ!」

 

『HYPER CAST・OFF CHANGE・HYPER BEETLE』

 

絵里は突然何故か現れたハイパーゼクターを使い、仮面ライダーカブト ハイパーフォームに変身した。

 

「ハイパークロックアップ!」

 

『HYPER CLOCK・UP』

 

絵里がハイパーゼクターのボタン押すと、時が戻っていく。

 

『ウェイクアップ』

 

時はサガがウェイクアップフエッスルをベルトに挿したところまで戻り、サガは真姫に向けてジャコーダーを構えている。

 

「はぁ!」

 

絵里は突然時空の歪みから現れ、サガを蹴り飛ばす。

 

「絵里…?姿が変わってる?」

 

突然現れた絵里に戸惑う真姫。絵里はサガへの攻撃を続ける。そして、真姫の前にもう1体現れる…

 

『ビュンビューン!テンションフォルテッシモ!』

 

「なっ、何…?キバット、知ってる?」

 

『いや、俺様も知らないぜ…』

 

『私はタツロット。正確にはタツロットⅡ世。助っ人に来ましたよ、真姫さん!』

 

「なっ、なんだか分からないけど、分かったわ!」

 

『ドラマティックに行きましょう。変身!』

 

タツロットがキバの肩アーマーを展開させると、次々と鎖が解き放たれていく。そして、タツロットが真姫の腕に取り付けられ、仮面ライダーキバ エンペラーフォームに変身した。

 

「真姫も進化した…」

 

サガと戦いながら見ていた絵里も、そう言葉を漏らす。

 

『進化ではありません。これが本来の姿ですよ。』

 

「本来の姿…よしっ、行くわよ!」

 

真姫は走り出し、絵里と共にサガと再び戦う。

 

「はぁ!」

 

「やぁ!」

 

「「はぁぁぁ!」」

 

「真姫、決めるわよ。」

 

「えぇ。」

 

『マキシマムパワー』

 

『ウェイクアップフィーバー!』

 

「ハイパー、キック。」

 

『ライダーキック』

 

絵里と真姫は同時にジャンプし、サガへとキックする。

 

「「やぁぁぁぁぁぁぁ!」」

 

そして、仮面ライダーサガを倒した。絵里のベルトからカブトゼクターとハイパーゼクターが、真姫のベルトからキバットとタツロットが離れ、2人は変身解除した。

 

『真姫さん。また近い未来、あなたがある決断をした時に、私はあなたの前に現れます。では… 』

 

そう言い、ハイパーゼクターと共にタツロットは時空の歪みへ消えていった。

 

「なんだったのかしら…」

 

「多分、タツロットも、私が使ったハイパーゼクターも、未来から来たんだと思うわ。ハイパーゼクターには、時を超える能力があるからね。」

 

「未来から…じゃあ、私がするある決断って一体…?」

 

 

 

 

 

そして、キャッスルロストスマッシュと戦っている蓮は…

 

「オラァ!くっ…なんだかよくわかんねぇけど、この姿でこいつと戦うのは、心が痛くなるな…はぁぁ!オラオラオラァ!ぐぁぁっ…!?」

 

蓮はキャッスルロストスマッシュを殴り続けるが、全く効かず、反撃を受けてしまう。

 

「だったら…」

 

『ディスチャージボトル!』

 

蓮はヘリコプターフルボトルをスクラッシュドライバーに入れる。

 

『潰れない!ディスチャージクラッシュ!』

 

その能力で、上空へと上がっていく。

 

『ビームモード!』

 

『シングル!シングルフィニッシュ!』

 

「はぁぁっ!」

 

ツインブレイカー ビームモードにフェニックスフルボトルを入れ、そこから炎の鳥を吐き出し、キャッスルロストスマッシュに放つ。

 

「うぅ…りゃあ!」

 

しかし、それをキャッスルロストスマッシュは跳ね返し、それを受けた蓮は墜落する。

 

「その程度じゃ、俺は倒せねぇぞ。」

 

「まだまだァ!」

 

『ツイン!』

 

蓮はツインブレイカー アタックモードに、冷蔵庫フルボトルとドライヤーフルボトルを装填した。

 

『ツインブレイク!』

 

「おりゃあああああああああああああ!!」

 

蓮はツインブレイカーから強風と冷気を放ちながら、キャッスルロストスマッシュへと刺し込もうとした。強風と冷気に気を取られて、キャッスルロストスマッシュは少量のダメージを受ける。

 

「これで決める!」

 

『スクラップフィニッシュ!』

 

「オラァァァァァァァァ!」

 

蓮はヴァリアブルゼリーを噴射させながら、キャッスルロストスマッシュへキックを放つ。

 

「うぬぬぬ…おりゃああ!」

 

しかし、キャッスルロストスマッシュはそれを防ぎ、蓮を跳ね返した。それにより、蓮は強制変身解除した。

 

 

 

 

 

そして、スパナロストスマッシュと、仮面ライダーローグに変身して戦っている秀夜は…

 

「ふんっ!はぁ!」

 

スパナロストスマッシュと肉弾戦攻撃で戦う秀夜。

 

「何!?」

 

「フフフ…甘いわ!」

 

しかし、接近しすぎた秀夜は、スパナロストスマッシュに掴まれてしまう。

 

「お前がな。」

 

『ネビュラスチームガン!』

 

秀夜は咄嗟にネビュラスチームガンを取り出し、銃口をスパナロストスマッシュの腹部にあて、引き金を引いた。それにより、秀夜はスパナロストスマッシュから離れる。

 

『フルボトル!スチームアタック!フルボトル!』

 

そして秀夜は、ネビュラスチームガンにハチフルボトルを装填し、ネビュラスチームガンから大量のハチが飛び出し、スパナロストスマッシュを襲う。

 

「トドメだ。」

 

『クラックアップフィニッシュ!』

 

秀夜は両足にワニのエネルギーを宿し、スパナロストスマッシュへ噛み付くようにキックした。

 

「フフフ…はぁ!」

 

しかし、スパナロストスマッシュはそれをいとも簡単に吹き飛ばし、秀夜は強制変身解除…

 

そして、秀夜が吹き飛ばされた後ろには、同じくキャッスルロストスマッシュに吹き飛ばされ、強制変身解除した蓮がいた。

 

「「フッハハハ…これで終わりよ(だ)!」」

 

 

 




いかがでしたか?ということで、ハイパーカブトとエンペラーフォームが先行登場。ネタバレになってしまいますが、今後再び絵里と真姫が変身することでしょう…

ということで、実はコラボ回も残すところ後2話…残り2話、しっかりと書き上げて行きたいと思います!それでは今回はこの辺で…

お気に入り登録、評価や感想など良ければお願いします。次回もよければ、見てください!


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6話 グリス&ローグVSロストスマッシュ

はい、コラボ回6話です。

とうとうコラボ回も終盤です。

ではコラボ回6話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

『急行電車!発射!』

 

「はぁ!」

 

仮面ライダービルド ラビットタンクスパークリングフォームに変身した優が、カイゾクハッシャーでニュートを撃ち抜く。

 

『Ready Go!ドラゴニックフィニッシュ!』

 

「オラァァァ!」

 

その隙に、仮面ライダークローズに変身した仁が、ニュートに蹴り込む。しかし、ニュートに防がれ、吹き飛ばされてしまう。

 

「フフフフ…あなた達は、私を倒すことは出来ないわ。」

 

「いや、絶対に倒す!人を実験道具にするなんて絶対に許さねぇ…」

 

『マックスハザードオン!』

 

優はそう言いながら、ハザードトリガーを起動させる。そして、フルフルラビットタンクボトルを振り始める。

 

 

ピョンピョン!

 

 

「……いや、真面目な話してんのにピョンピョンって…」

 

フルフルラビットタンクボトルから流れた音声に、突っ込んだ優。

 

『ボトルバーン!』

 

優はフルフルラビットタンクボトルを、仁はクローズマグマナックルをビルドドライバーに入れる。

 

『ラビット&ラビット!』

『クローズマグマ!』

 

『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!』

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

『オーバーフロー!』『紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!ヤベーイ!ハエーイ!』

 

『極熱筋肉!クローズマグマ!アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!』 

 

優は仮面ライダービルド ラビットラビットフォームに、仁は仮面ライダークローズマグマに変身した。

 

「勝利の法則は決まった!」

 

「力がみなぎる…魂が燃える…!俺のマグマがほとばしる!」

 

優は空高くジャンプし、上空から右手を伸ばしてニュートを殴る。その後ろから、クローズマグマナックルでニュートへ殴り掛かる仁。そのまま、ニュートと戦っていく2人。

 

『『Ready Go!』』

 

『ハザードフィニッシュ!』『ラビットラビットフィニッシュ!』

 

『ボルケニックアタック!』

 

優は再び上空に飛び上がり、それに合わせて仁も8体のマグマライズドラゴンと共に飛ぶ。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

優はそこから足を伸ばして、ニュートに蹴り込む。

 

「オラァァァァァァ!」

 

そして仁も、8体のマグマライズドラゴンを足に収束させ、ニュートへ蹴り込んだ。それにより、爆発が起こる。

 

 

 

 

 

時は少し遡り…

 

「「フッハハハ…これで終わりだ(よ)!」」

 

倒れている蓮と秀夜の前に、今にもトドメを刺す勢いの、キャッスルロストスマッシュとスパナロストスマッシュがいる。

 

「まだだ…」

 

「ん?」

 

「こんな所で、終わってたまるか!」

 

「往生際が悪いわねぇ…」

 

「俺たちは仮面ライダーだ。ブラッド族かなんか知らねぇけど、負ける訳には行かないんだよ!」

 

「例え相手が地球外生命体だろうが、俺たちは地球を…人々を守る!」

 

そう言い、蓮はスクラッシュドライバーを、秀夜はビルドドライバーを巻き付ける。

 

『ロボットゼリー!』

 

『プライムローグ!』

 

蓮はロボットスクラッシュゼリーを、秀夜はプライムローグフルボトルをベルトに装填する。

 

『Are you ready?』

 

「「変身!!」」

 

『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボットイングリス!ブラァ!』

 

『大義晩成!プライムローグ!ドリャドリャドリャドリャ・ドリャー!』

 

『ドラゴンゼリー!』

 

蓮は予め仁から借りていたドラゴンスクラッシュゼリーを装填し、仮面ライダーグリス ダブルツインブレイカー状態に、秀夜は仮面ライダープライムローグに変身した。

 

「命をかけて、見ず知らずの人を守ってなんの価値がある?」

 

「俺も最初はそう思っていた。けど…あいつが教えてくれた。」

 

「「目の前で消えかけている命があるなら、迷わず助ける!」」

 

「理由はそれだけで十分だ。仮面ライダーとして、人々を守る。そのために…」

 

「大義のための、犠牲となれ…!」

 

「心火を燃やして、ぶっ潰す…!」

 

蓮はキャッスルロストスマッシュ、秀夜はスパナロストスマッシュに向かって、再び走り出す。

 

「はぁ!オラオラオラオラオラオラオラァ!」

 

2つのツインブレイカー アタックモードを使い、繰り返しキャッスルロストスマッシュへ攻撃する蓮。

 

「グッ…!?感情に連動して、ハザードレベルが急激に上がってる…」

 

「まだまだァ!激情!情熱!心火!もっと俺を満たしてくれよォ!」

 

蓮は叫びながら次々と攻撃を繰り出していき、キャッスルロストスマッシュを追い詰める。

 

『ビームモード!』

 

『『ツイン!』』

 

蓮は1つのツインブレイカーをビームモードに変形させ、ローズフルボトルとクジラフルボトルを、アタックモードの方にロボットフルボトルとロボットスクラッシュゼリーを装填した。

 

『ツインフィニッシュ!』

 

ツインブレイカー ビームモードから水が飛び出し、次に薔薇の花と棘が飛び出す。

 

『ツインブレイク!』

 

その水と花と棘に、キャッスルロストスマッシュが気を取られている。その間に、蓮はキャッスルロストスマッシュを、ツインブレイカー アタックモードで突き刺す。

 

「ぐぅぅ…!?」

 

その攻撃で、キャッスルロストスマッシュは更にダメージを受ける。

 

「これで祭りの終わりだ!」

 

『スクラップフィニッシュ!』

 

「おりゃああああああああぁぁ!!」

 

蓮のキックにより、キャッスルロストスマッシュは爆発し、その場にはキャッスルロストボトルのみが残された。

 

「ふぅ…」

 

蓮は変身解除し、キャッスルロストボトルを拾い上げた。

 

 

 

 

 

「はぁ!」

 

「ふんっ!はぁ!」

 

スパナロストスマッシュの攻撃を防ぎ、蹴り返す秀夜。

 

『アイススチーム!』

 

秀夜はスチームブレードから冷気を出し、スパナロストスマッシュを氷の刃で斬りつける。

 

「これで終わりだ…」

 

『Ready Go!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

『プライム!スクラップブレイク!』

 

秀夜はスパナロストスマッシュを、噛むようにして蹴り倒した。そこには、スパナロストボトルだけが残された。

 

「よし…」

 

秀夜は変身解除し、スパナロストボトルを拾い上げた。それと同時に、プライムローグフルボトルは壊れた。

 

 

 

 

 

『鋼鉄のムーンウォーリア!タンクタンク!ヤベーイ!ツエーイ!』

 

『フルボトルバスター!』

 

「はぁ!」

 

仮面ライダービルド タンクタンクフォームに変身した優は、フルボトルバスター バスターブレードモードを取り出し、ニュートへ斬り掛かる。

 

先程のラビットラビットフォームとクローズマグマの攻撃をモロに受けたはずのニュートは、何事もなかったかのように立ち上がり、2人に反撃してきたのだ。

 

「この前は油断したけど、今日は油断しないわ。このぐらいの攻撃、人間でいう蚊にかまれたようなものよ!」

 

「だったら、こっちも少し本領発揮だ。」

 

ニュートの攻撃で強制変身解除していた仁は、立ち上がりエボルドライバーを巻き付けた。

 

『オーバー・ザ・エボリューション!』

 

『コブラ!』『ライダーシステム!』

『エボリューション!』

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

『ブラックホール!ブラックホール!レボリューション!』

 

仁は仮面ライダーエボル ブラックホールフォームに変身した。

 

『フェーズ4、完了。』

 

「あれが、仁の…エボルトの完全態…」

 

優が驚いている間に、仁は一瞬でニュートのところまで行き、殴り飛ばす。すぐに起き上がったニュートだが、先程までとは違い、しっかりダメージを受けた影響で、ふらついている。そこを狙い、仁はニュートを蹴りつける。

 

『ダイヤモンド!ガトリング!ロケット!ライト!』

 

『アルティメットマッチ ブレイク!』

 

優はフルボトルバスター バスターキャノンモードから、ダイヤモンドの強度を持つ弾をガトリング銃のように大量に、ロケットのような勢いで光を放ちながら発射させ、ニュートへ命中させる。

 

『Ready Go!ブラックホールフィニッシュ!』

 

『ふんっ!』

 

フルボトルバスターからの攻撃が終わった直後、仁はニュートに強烈なパンチを放ち、ニュートは吹き飛び倒れる。

 

『さてと、トドメだァ…』

 

『おっと…そうは行かねぇぜ。』

 

「ん?仁、なんか言ったか?」

 

『いや、俺は何も…』

 

「でも、確かにお前の声…」

 

その時、倒れているニュートの前に、ブラッドスタークが現れる。

 

『ブラッドスターク…?』

 

『その通り!俺はブラッドスタークだ。こいつには、もうちょっと頑張ってもらわないとねぇ…ほらよ。』

 

ブラッドスタークは、倒れているニュートにボトルを1本渡す。

 

『さっき宮崎蓮と黒崎秀夜が倒した、ブラッド族の残りの細胞を入れたボトルだ。こいつを使えば、お前は更に強くなれる。』

 

「フフフ…助かるわ。」

 

「おい、お前は何者だ?」

 

『今俺とお前が話す時じゃない。お前たちの活躍、楽しみにしてるぜ。』

 

そう言って、ブラッドスタークは去っていった。

 

「フフフフフフ…今度こそこれで、あなた達を倒すわ。ふんっ!ぐぅぅぅぅ…うわぁぁぁぁ!」

 

ブラッドスタークから貰ったボトルを使い、ニュートは苦しみながらも姿を変える。

 

「今の私の姿は、パラレルブラッドデビュラー。エボルト、あなたと同じブラッド族の力を手に入れたわ。ここからが、本領発揮よ!」

 

パラレルブラッドデビュラーに変身したニュートは、仁に向かって行く。

 

「ふんっ!」

 

『ぬぅ!?』

 

ニュートは仁に拳を突き出し、それを仁は防ぐ。が、防ぎきれず吹き飛ばされる。

 

「仁!?はぁ!」

 

優はニュートに向かって、フルボトルバスター バスターキャノンモードで砲撃するが、全く効かない。

 

「フフフ…これで終わりよ。」

 

ニュートが手から、仁へエネルギー砲を放つ。その影響で、仁は強制変身解除し、その直後爆発した。爆煙が晴れると、そこには仁の姿は跡形も無く消えた。

 

「仁!!?そんな…嘘だろ…仁が、死んだ?」

 

「地球外生命体の力も、この程度だったようね。でもおかしいわね…パンドラパネルはどこかしら?パンドラパネルなら、壊れるなんてことないはず。爆風に巻き込まれて、どこかに飛んで行ったのかしら…?まぁ、後で探せばいいわ。さて、後はあなたを倒すだけ。」

 

「ニュート…てめぇ!!」

 

優は怒りに任せてニュートへ突っ込んでいき、何度も何度も殴る。

 

「…!?ハザードレベル 5.0、5.1、5.2…凄い勢いで上がっていく…怒りの感情が増幅したからかしら。でも、その程度じゃ私は、倒せないわよっ!」

 

「ぐぁっ!?」

 

ブラッド族の力を手に入れたニュートは、優のハザードレベルを測定し、次々と上がっていくことに疑問を抱きながらも、優を吹き飛ばす。

 

「はぁぁぁ!」

 

しかし優は立ち上がり、フルボトルバスター バスターブレードモードでニュートへ斬り掛かる。

 

「ハザードレベル 6.5、7.0…!?」

 

その時、優が腰につけているフルボトルホルダーのラビットフルボトルが、金色に変化する。

 

「こんなに急激に上がるなんて、流石ね…インフィニティ。ふんっ!」

 

ニュートは再び優を吹き飛ばし、優は強制変身解除に追い込まれる。そんな優に、ニュートは近づいていく。

 

そしてニュートは優の目の前で、先程仁に喰らわせたエネルギー砲のエネルギーを貯めていく。

 

「さぁ、これで本当に終わりよ。」




いかがでしたか?

最後まさかの仁くんが死ぬ…?そこの真相は是非次回…そして次回は、コラボ回最終話…是非最終話まで…いや、最終話が終わっても本編の方を見てくださると嬉しいです!



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最終話 また、いつか…

はい、コラボ回最終話です。

ついに、コラボ回最終話です。

ではコラボ回最終話、スタートです!


〜三人称視点〜

「さぁ、これで本当に終わりよ。」

 

ニュートが倒れている優の至近距離から、エネルギーを貯め、放出しようとしている。そして、優にエネルギー砲が放たれる…と思った直前、

 

『Ready Go!エボルテックフィニッシュ!』

 

突如優の体から仮面ライダーエボル コブラフォームが現れ、ニュートへ鋭い蹴りを放った。完全に油断していたニュートは、吹き飛んでいく。

 

「仁!?なんで俺の体から…」

 

仁は変身解除し、優の問いに答える。

 

「俺にあのエネルギー砲が当たる直前、俺はコブラフォームに戻って細胞の1部を残し、優の体に憑依した。優にも気づかれないようにな。で、その細胞の1部を爆発させて、俺が死んだように見せかけたんだ。」

 

「そんなことまで出来るのかよ…」

 

「優のハザードレベルが急激に上がったのは、優の怒りの感情が増幅したのもあるが、1番は俺が憑依した影響だ。ほらよ。」

 

仁は優に、1本のボトルを投げ渡す。

 

「これは…?」

 

「俺が優に憑依している間に、お前の体内から作り出したボトルだ。本来ならエボルボトルが生まれて、俺が使えるはずなんだが、エボルボトルじゃないっぽい。形は似てるけどな。多分、お前が使うデータボトルなんじゃないのか?」

 

「確かに、データボトルだ…これなら、なんか行ける気がする!」

 

「フハハ…ジオウみたいなこと言うな。」

 

「ジオウ、なんだそれ?」

 

「あっ、お前はまだ知らねぇか。なんでもない。行くぞ、優。」

 

「あぁ。」

 

優はインフィニティドライバーを巻き付け、優の体内でエボルトの遺伝子と結合し、生成されたデータボトル…エボルデータボトルを挿し込んだ。

 

「「変身!」」

 

2人が同時に掛け声を言うと、仁は液状化して優に再び憑依する。そして、優は新たな姿、仮面ライダーインフィニティ エボルフォームに変身した。

 

『エボル、フェーズフュージョン。完了。』

 

「俺たちの強さは、宇宙最強だ!」

 

 

 

 

 

その頃、囚われている人達がいる建物では…

 

実はこの建物には、優や仁から見えない場所に裏口が存在していた。その裏口の前に、ナイトローグとブラッドスタークが立っていた。

 

『ブラッド族の力を手に入れたニュートが負けるとは思えないが、念には念をだ。今のうちにここの人間どもを、この仮想空間から移動させるぞ。』

 

「あぁ。」

 

そう話すナイトローグとブラッドスターク。

 

「そうはさせねぇぞ、スターク。」

 

「またお前が動いてんのかよ!」

 

ローグとスタークの前に、2人の仮面ライダーが現れる。1人は黒のボディをベースに銀のアーマー、もう1人は赤い仮面ライダーだ。

 

そして、銀のライダーは謎のベルトを、赤いライダーは、なんとインフィニティドライバーを巻き付けている。更に、どちらのベルトにもデータボトルが入っている。

 

「おい、このスタークはまだ俺たちのこと知らないだろ。」

 

「あぁ、そうだったな。」

 

『アァ、誰だ?……っ!?』

 

スタークが謎のライダーの方へ振り返ると、何かに気づき驚く。

 

「知ってるのか?スターク。」

 

『その姿、まさか…そういう事か、なるほどな。フッハハハ、こいつは面白いっ!おい、ローグ。ここはお前に任せるとしよう、チャオ。』

 

「おいっ、スターク!」

 

そう言い残して消えたスタークを呼び止めるローグだが、それも無意味。

 

「まあいいや。今日はお前を倒す、ナイトローグ。」

 

「おい、今更だけど、ここに俺たちが介入して大丈夫なのか?このローグ倒したら、歴史が変わるんじゃねぇのか?」

 

「恐らく大丈夫だ。このナイトローグは、俺たちが知ってるローグとは、変身者が違うはずだ。」

 

「そうか、だったら思いっきり暴れるぜ!」

 

2人の仮面ライダーは、ナイトローグへ殴り掛かる。

 

「「はぁ!オラ!たぁ!」」

 

同時に攻撃する仮面ライダーに押されるナイトローグ。そして、銀色の仮面ライダーは1本の剣を取り出す。

 

『リーパー!』

 

そして、その剣に自身のベルトに入っているデータボトルを挿し込んだ。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

その剣から放たれた斬撃に、倒れるナイトローグ。

 

「よし、バカ。一気に決めるぞ。」

 

「誰がバカだよ!一応言うけど、俺先輩だぞ?」

 

「今更お前を先輩なんて思ってない。これ何回目だ、やっぱりバカだな。」

 

「うるせぇ!」

 

銀のライダーの言葉に、そう言う赤いライダー。そんな2人のライダーは、右腕についているブレスにまた別のデータボトルを入れる。

 

『ビルド!』

 

『クローズ!』

 

『『Hey!カモン!』』

 

陽気な音がブレスから流れると、2人の手にはビルドドライバーが現れる。2人は自身のベルトを取り外し、呼び出したビルドドライバーを巻き付けた。

 

『ラビット!』『タンク!』

『ベストマッチ!』

 

『ウェイクアップ!』

『クローズドラゴン!』

 

『『Are you ready?』』

 

「「変身!」」

 

『鋼のムーンサルト ラビットタンク!イェーイ!』

 

『ウェイクアップバーニング!ゲットクローズドラゴン!イェーイ!』

 

「勝利の法則は決まった!」

 

「今の俺たちは負ける気がしねぇ!」

 

『『Ready Go!』』

 

『ボルテックフィニッシュ!』

『ドラゴニックフィニッシュ!』

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁ!」」

 

ビルドとクローズは、ナイトローグへ同時キックを浴びせ、倒した。

 

「よし…」

 

「あー、終わった!やっと帰れる!」

 

ビルドが静かに一息つくと、クローズは伸びをして盛大に一息つく。

 

「腹減った…」

 

「よしっ、じゃあ帰って飯作るか!こっちに来る前、ローストビーフの仕込みしてきたんだよ!」

 

そうクローズが言う。

 

「意外にお前の料理って、めちゃくちゃ美味いよな…ちゃんとした料理だし、店出せるレベルだ。」

 

「へへっ、最初は『お前の料理?どうせヤバいもん作るんだろ…』とか言ってたくせによ。」

 

「悪かったって!」

 

クローズの言葉に、そう手を合わせながら謝罪するビルド。どうやらクローズは、料理を作るのが上手いようだ。

 

軽口を言い合いながらも楽しそうに会話し、先程のように息ぴったりの連携プレーで戦う姿は、どこか本当のビルドとクローズ…桐生戦兎と万丈龍我を彷彿とさせる。

 

突如現れた謎の2人の仮面ライダー。この2人の仮面ライダーが何者なのか…優たちや、これを読んでいる皆さんが、それを知るのは近いようで遠い、遠いようで近い未来の話である。

 

 

 

 

 

『エボル、フェーズフュージョン。完了。』

 

「俺たちの強さは、宇宙最強だ!」

 

仮面ライダーインフィニティ エボルフォームに変身し、1人の仮面ライダーに融合した優と仁。

 

「うわぁ…なんか変な感じ、俺の中に仁がいるって…」

 

「たかが融合して、姿が変わったからって、私に敵うわけないわよ!はぁぁ!」

 

ニュートが殴りかかってくるのを、2人は受け止め、ニュートへ反撃する。

 

「っ!?まだまだ、はぁ!」

 

『「ふんっ!はぁぁぁ!」』

 

「くっ…ありえない。この私が負けるなんて…!下手な感情に左右されて、争い合い失敗ばかり繰り返す人間程度…そんな人間の見方をするくだらない、ブラッド族のエボルトが憑依しただけの、あなた達なんかに負けるなんて…!」

 

「人間も、仁も、くだらなくなんてねぇよ!」

 

『確かに、お前がくだらないと言う感情が、人間同士の争いを生み失敗する。だが、時にはその感情が人間を強くする。フッハハハ…これだから人間は面白いんだ!』

 

「そんな人間を否定し、実験道具にしようとするお前の方が、よっぽどくだらねぇんだよ!仁、決めるぞ。」

 

『あぁ。』

 

インフィニティ エボルフォームは、その姿に変身した時に生成された1枚のカードを、腰のアタックバックルに入れる。

 

『スペシャルアタック!インフィニティ&エボルフィニッシュ!』

 

インフィニティ エボルフォームはジャンプし、ニュートへ向かってキックを放つ。それを防ごうとするニュートだが、インフィニティ エボルフォームの後ろに仮面ライダーインフィニティと仮面ライダーエボルの幻影が現れ、更に威力が増し、防ぎきれなかった。

 

『「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」』

 

そして、2人はついにニュートを、パラレルブラッドデビュラーを倒した。そして、その場に1つのボトルだけが落ちた。

 

「終わったな。」

 

『あぁ。』

 

インフィニティ エボルフォームは、ドライバーからエボルデータボトルを取り外し、変身解除した。優から離れ、仁は自身の体に戻った。そして、仁はニュートが落としたボトルを拾う。

 

「これを使えば、元の世界に戻れるのか…」

 

「あっ、囚われている人を助けないと!」

 

優がそう言った時、地面がグラグラ揺れ始める。

 

「なっ、なんだ!?」

 

そして、だんだんと外の景色が剥がれていき、黒くなっていく。そして、全てが剥がれ落ちると、白く光り出す。

 

 

光が止むと、ニュートが作り出した仮想空間から、元の世界に戻っていた。

 

「ニュートを倒したことで、あいつが作り出した仮想空間が消えたのか…」

 

「あっ、優くん!」

 

「穂乃果…みんなも、無事だったんだな。良かった…」

 

俺が辺りを見回すと、蓮や秀夜、μ'sのみんなだけじゃなく、囚われていた人々も戻っていた。

 

「大丈夫ですか!?」

 

俺が赤ちゃんを抱いている女性に聞くと、

 

「…?あなたは?私は、今まで何をしていたんでしょう…」

 

「えっ…?」

 

何も覚えていないかのようにそう聞き返された。

 

「オギャーオギャー!」

 

そんな中、突然赤ちゃんが泣き出してしまう。

 

「ほらほらー、大丈夫ですからねー。すみません。なんだかよく分かりませんが、私はこれで。」

 

そう言い、女性は去っていく。他の人たちも、何も覚えていないらしく、戸惑いながらも帰って行った。

 

「記憶を消されてるみたいだな…結局、ニュートたちがなんの組織だったのか、分からないままだし…」

 

「分かったことなんて、また、敵が増えちまったってことぐらいだな。」

 

「だったら、また俺達が倒せばいい。」

 

優、蓮、秀夜の3人には、結局多くの謎が残されたままだった…

 

 

 

 

 

「スター、ク…」

 

『ん?生きてたのか。』

 

謎の2人の仮面ライダーに敗れたナイトローグに変身していた男は、最後の一撃をなんとか耐え抜き、ここまで命からがら逃げてきたのだ。

 

「あっ、あぁ…なんとかな。とにかく、助けてく…うっ!?おまっ…なっ、ん…ぐはっ…」

 

助けを求めようとした男に、スタークは毒を注入し、男はそのまま消えていく。

 

『お前は用済みだ。所詮、お前はこのトランスチームガンとバットフルボトルがちゃんと機能するかの、実験体に過ぎない。』

 

スタークは、男が消える時落としたトランスチームガンとバットフルボトルを拾い上げながら、そう言った。

 

「相変わらず非情だねぇ…いや、非情じゃないからこそ、なのか?」

 

そこに、もう1人謎の男が現れる。

 

『さあな…それより、ニュートが敗れた。』

 

「おぉ…そりゃ残念。あいつの戦力を失うのは大分惜しいが、まあよく働いてくれたよ。これで、並行世界移動装置も、ちゃんと完成しそうだろ?」

 

『あぁ。』

 

「それより、そろそろ帰った方がいいんじゃないのかい?彼が心配するよ。」

 

『そうだな。じゃ、この並行世界移動装置が使えるのは、行き帰りそれぞれ1回きり。これが最後の1つだから、次会うのは並行世界移動装置を完成させ、最終調整が終わった後ってことで。』

 

「あぁ、期待している。」

 

『んじゃ、チャオ。』

 

そう言い残し、ブラッドスタークは黒いホールを出現させ、消えていった。

 

「あの2人のライダーが現れ、ナイトローグを倒した。ということは、未来では我々の思い通りにことが進んでいる、ということなのかな?」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「もう、帰るのか…?」

 

俺は元の世界に戻ろうとする仁に、そう聞いた。その後ろには、蓮、秀夜、μ'sのみんながいた。

 

「まぁ、いつまでも居たって、しょうがないしな。俺には向こうの世界で、やらなきゃいけないことだってあるし。」

 

「そうか。」

 

「元気でいろよ。」

 

「並行世界ってなると、また会うのは難しいかもしれないけど、またいつの日にか、会えたら会おう。」

 

秀夜、蓮、俺がそれぞれ仁に言葉をかける。

 

「仁くん!仁くんの世界の穂乃果たちに会ったら、そっちもスクールアイドル頑張ってって言っといてね!本当は、会ってみたいんだけど…」

 

「分かった。伝えておくよ。」

 

「じゃあ、仁。これありがとな。これがなかったら、ニュートたちには勝てなかった。」

 

そう言いながら、俺たちはビルドドライバーやスクラッシュドライバーなど、仁から借りていたものを返した。

 

「いや、俺の方こそ、協力してくれて助かった。この世界には、財団Xやニュートたちの組織が暴れ回ってて大変だと思うが、頑張れよ。」

 

「あぁ。またいつか、会える日が来るのを望んでる、仁。」

 

「あぁ、じゃあな。」

 

仁は白いパンドラパネルを取り出し、ニュートが落としたボトルを入れた。すると、ボトルは消滅し、ワームホールが出現した。

 

「それじゃ、チャオ〜♪」

 

そう言い残し、仁はそのワームホールの中に入っていった。

 

「行っちゃったか…」

 

お前のこと、絶対に忘れないからな、仁。

 

まぁ、地球外生命体と共闘したなんて、忘れたくても忘れられないか…仁、楽しかったぜ。

 

また、いつか…

 

会えるといいな。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 仁〜

 

俺が元の世界に戻ると、経った1日しか時間が経過していなかった。こっちの世界と、優たちの世界では、流れる時間の速度が異なるんだろう…

 

「仁くーん、おはよ!昨日はどこに行ってたの?連絡も無く休んでたから、心配したよ。」

 

「おぉ、穂乃果。おはよ。まぁ、ちょっとな。」

 

「ちょっとって何!」

 

そう言いながら、俺の方に勢いよく飛びかかろうとした穂乃果は、思いっきり転けそうになる。そんな穂乃果の手を、俺は掴む。

 

「危なかったぁ…ありがと、仁くん。」

 

「はぁ…本当、穂乃果はどこの穂乃果でも、やっぱりア穂乃果だな…」

 

「えぇ!?それってどういうこと?酷いよー!」

 

「はいはい。あっ、そうだ。伝言頼まれてたんだった。スクールアイドル頑張って、だそうだ。」

 

「へぇ…うん!頑張る!……って、誰から?」

 

「さぁ?誰だろうな。」

 

「えぇ、誰なのー!」

 

そう言いながら、俺を追っかけてくる穂乃果。さて、俺は俺で、こっちの世界で頑張るか…

 

 

優、ありがとな。また、どこかで会えたら、よろしくな。チャオ〜♪

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

こうして、石動仁を元の世界に帰すことに成功した優たち。しかし、これは単なる序章に過ぎなかった。今回の事件が、今後優たちの世界にどのような影響を及ぼすのか…

 

優たちと財団Xの戦いも、更に激化し、だんだんと決着に近づいている…

 

しかし、その裏に隠れて暗躍しているある組織の存在、財団Xの真の目的、あらゆる謎の真相にたどり着くのは、まだまだ先の出来事なのかもしれない。

 

そして、優たちは、スクールアイドル活動をしていき、財団Xと戦う中、様々なレジェンドライダーと出会うことになる。1人目のレジェンドと出会う時は、すぐ訪れる…

 

 

 

 

『ブドウアームズ!龍・砲 ハッハッハッ!』

 

『メロンアームズ!天下・御免!』

 

 




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

μ'sの練習が休みになったある休日、優は穂乃果とことり、そして蓮と遊びに出かけることに…
そこで、インベスと戦うある仮面ライダーと出会う。

次回、『102話 アーマードライダー、登場!』




ということで、ロギアさんとのコラボ回も完結致しました。仁くんを書くのは難しかったですが、なんとか書き終えることが出来て良かったです。

ロギアさんは、今は事情でアカウント削除されたそうなのですが、もしこれを見ていたら…今回のコラボ回、本当にありがとうございました!

そして、次回からは本編に戻ります。今回の最後と、次回予告でなんとなく分かるかもしれませんが、次回はあのライダーが登場!これから、どんどんレジェンドライダーが登場する予定です!

あと、最近オリジナルばかりで、アニメ本編の話が全然進んでいませんが…次のアーマードライダー編が終了すると、アニメ本編の話を書く予定です。

では今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想など、良ければお願いします!見ていただき、ありがとうございました!

改めてロギアさん、ありがとうございました!


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15章 レジェンドライダーとの出会い編
102話 アーマードライダー登場!


はい、102話です。

久しぶりの本編。そして、今回はタイトルにもある通り、沢芽市のあのライダーたちが登場します!ちなみに時系列は、鎧武小説後の話となっております。

では102話、スタートです!


〜前回までのラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「はいっ、ということで久しぶりのあらすじ紹介!」

 

蓮「おい、タイトルが『前回の』じゃなくて、『前回までの』になってるぞ?」

 

秀夜「多分、コラボ回の間あらすじ紹介やってなかったから、前回だけの解説じゃないってことだろ?」

 

優「その通り。では早速…俺に感染したバグスター、ラビリーを仲間に引き入れた俺たち。そんな俺たちの前に、地球外生命体エボルトが現れる。」

 

蓮「最初は仮面ライダービルドの世界にいるエボルトが、この世界の地球を滅ぼしに来たのかと考えたが、そのエボルトとはまた別…」

 

秀夜「そのエボルトは、俺たちの世界とはまた違うμ'sがいる世界から来たようだ。そのエボルト…石動仁を元の世界に帰すため、パラレルデビュラー、ニュートを倒すため動き出す。」

 

優「そして、俺たちは数々の苦難を乗り越え、ニュートを倒すことに成功。そして、無事仁は元の世界に帰ることが出来た。ニュートを送り込んできた組織が、何者なのかという謎は、解けないままだった…」

 

蓮「結局、あの組織は何者だったんだろうな…」

 

優「さあな。でも、俺たちにとって、今後とても脅威となる組織には違いない、そんな予感がする。」

 

秀夜「同感だ。」

 

優「とりあえず、その謎の組織については、姉ちゃんが調べてくれてる。今は俺たちのやるべき事をやるしかない。というわけで、久しぶりの本編、102話どうぞ!」

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「3年生が全員風邪!?」

 

仁が帰った翌日の金曜日の朝、穂乃果からそう伝えられた。

 

「うん。さっき、絵里ちゃんたちから連絡があって、今日はお休みだって。」

 

「ラブライブ最終予選まで、あと1ヶ月って時に…大丈夫だといいけど…」

 

 

 

そして時は流れ放課後になり、3年生不在の中練習をした。

 

「多分、絵里たちの誰か1人が風邪にかかって、それが移ったんだろうな…最近、ラビリーの件や仁がこの世界に来たりと、色々あった中で練習してたから、疲れが溜まってたのかもな…」

 

「そうですね。絵里たちもすぐには回復しないと思いますし、明日明後日の土日は、練習を休みにしてはどうでしょう?」

 

練習が終わった後、海未がそう提案した。

 

「そうだな。よしっ、じゃあ明日明後日は練習休みってことで。」

 

「あっ!そうだことりちゃん、前に行きたいって言ってたスイーツのお店あったよね!あそこ行こうよ。」

 

「いいね!」

 

「穂乃果…また太りますよ?それに、休養を取るための休みなのに…」

 

「甘い物食べて心を休ませるんだよ!だから海未ちゃんも行こっ!どうしても行きたいの…」

 

「海未ちゃん、おねがいっ!」

 

「うっ…ずるいですことり…」

 

ことりの必殺、おねがいっ攻撃を受けた海未は、あっさりと負けた。

 

「ですが、私は明日私用があるので行けません。穂乃果たちだけで楽しんできてください。」

 

「そっか…なら仕方ないね。分かった…優くんは?」

 

「俺は別に暇だし、大丈夫だ。1年生たちはどうする?」

 

「凛はちょっと用事があって…」

 

「前からやりたいことがあったから、せっかく休みになったし私もパスで。」

 

「私も、また太っちゃうといけないので、やめとくね。」

 

凛と真姫と花陽は行けないようだ。

 

「ほら見てください。花陽はしっかり気をつけてるじゃないですか!」

 

「うぅ…海未ちゃんのケチ!」

 

その穂乃果の言葉をきっかけに、穂乃果と海未の言い合いが始まってしまった。

 

「あはは…蓮たちはどうする?」

 

「俺は大丈夫だ!」

 

「俺は…あー、明日は無理そうだな。」

 

ということで、俺、蓮、穂乃果、ことりでスイーツを食べに行くことになった。

 

「そういえば、結局どこに行くんだ?」

 

「あぁ、それはね…えっと…ほらっ、この雑誌に乗ってるこのお店!」

 

穂乃果が取り出した雑誌を覗くと、そのお店は今注目を集めるスイーツ店、という記事で紹介されていた。

 

名前は『シャルモン』。場所は沢芽市、かつて仮面ライダー鎧武がインベスと戦っていた場所である。

 

 

 

 

 

ということで、あれから一日が経過し、土曜日の朝、電車に乗り数駅で沢芽市に着いた。

 

音ノ木坂からそんな遠くなかったから良かったけど、まさかここに来るとはな…ここに来るのは初めてだけど、確かここでインベスが暴れ、アーマードライダーと呼ばれる仮面ライダーたちが戦ってたんだよな…

 

俺は過去、パックマン事件の時1度だけ仮面ライダー鎧武に出会ったことがある。

 

「よーしっ、じゃあ行こう!」

 

「うん!」

 

穂乃果とことりはよっぽど楽しみにしてたのか、勢いよく走り出して行ったので、俺と蓮はそれを走って追いかけた。

 

 

しかし、俺たちがシャルモンに向かっている途中、こっちに逃げてくる人たちが…

 

「悪い、穂乃果、ことり。シャルモンに行くのは、あいつら倒してからだな。」

 

逃げてくる人たちの奥には、初級インベスたちがゾロゾロと向かってきていた。

 

それにしても、なんでここにインベスが…またクラックが開いたわけでもないはず。なら、こいつらは財団Xのインベス。財団Xは音ノ木坂学院周辺でしか、働いていないはずだが…

 

俺はインベスを倒すため、ひとまずその考えを捨てた。

 

「穂乃果、ことり。インベスは俺たちが相手するから、逃げてくる人たちの誘導を頼む。」

 

「分かった!」

 

逃げてくる人たちは穂乃果とことりに任せ、俺と蓮は戦極ドライバーを巻き付けた。

 

「「変身!」」

 

『オレンジ!』

 

『バナナ!』

 

ロックシードをそれぞれ起動し、ベルトに取り付ける。

 

『『ロックオン!』』

 

俺の戦極ドライバーからは和風の、蓮の戦極ドライバーからは洋風の待機音声が鳴り始める。

 

『ソイヤッ!オレンジアームズ 花道・オンステージ!』

 

『カモンッ!バナナアームズ ナイト・オブ・スピアー!』

 

俺は仮面ライダー鎧武 オレンジアームズに、蓮は仮面ライダーバロン バナナアームズに変身した。

 

「ここからは俺たちのステージだ!」

 

俺たちはインベスとの戦闘は開始した。

 

「はぁ!オラッ!」

 

「フンッ!はぁ!」

 

大橙丸とバナスピアーで、それぞれインベスを斬り裂いていく。

 

『ソイヤッ!オレンジスカッシュ!』

 

俺は大橙丸にエネルギーを貯め、インベスを斬り裂いて倒した。

 

「次はこいつだ!」

 

『パイン!』

 

『ロックオン!ソイヤッ!パインアームズ 粉砕・デストロイ!』

 

俺は仮面ライダー鎧武 パインアームズに変身した。

 

「おりゃあ!」

 

パインアイアンを取り出し、振り回しながらインベスを殴り倒していく。

 

『イチゴ!』

 

『ソイヤッ!イチゴアームズ シュシュッと・スパーク!』

 

俺は仮面ライダー鎧武 イチゴアームズに変身した。そして、無双セイバーを取り出し、

 

『ロックオン!』

 

イチゴロックシードを取り付けた。

 

『一・十・百…イチゴチャージ!』

 

俺は無双セイバーから、イチゴクナイ型の斬撃を飛ばし、インベスを倒す。

 

『オレンジ!』『レモンエナジー!』

 

『ロックオン!』

 

『ソイヤッ!ミックス!オレンジアームズ 花道・オンステージ!』『ジンバーレモン!ハハァー!』

 

続いて仮面ライダー鎧武 ジンバーレモンアームズに変身し、ソニックアローを取り出す。

 

「はぁっ!」

 

そしてソニックアローから矢を放ち、インベスへ命中させていく。

 

『チェリーエナジー!』

 

『ジンバーチェリー!ハハァー!』

 

再びアームズチェンジし、俺は仮面ライダー鎧武 ジンバーチェリーアームズに変身した。

 

「はぁぁ!」

 

俺はジンバーチェリーアームズの能力で高速移動し、インベスたちをソニックアローで斬り裂いていく。

 

『ロックオン』

 

俺はソニックアローにチェリーエナジーロックシードを取りつけ、

 

『チェリーエナジー!』

 

ソニックアローから無数の矢を放ち、インベスを倒した。

 

『カモンッ!バナナオーレ!』

 

その頃蓮はバナスピアーでインベスを斬り裂き、俺たちは全てのインベスを倒した。と思っていたが、まだ2体残っていたようで、俺と蓮に背後からそれぞれ襲いかかっていたようだ。俺たちが気づいた時には、もう遅い…と思ったが…

 

バンッ!

 

銃声が鳴り響くと、俺の背後のインベスが倒された。蓮の方のインベスと、何者かが斬り裂き、倒していた。そこに立っていたのは…

 

「仮面ライダー龍玄…それに、仮面ライダー斬月…」

 

そう、仮面ライダー龍玄 ブドウアームズと仮面ライダー斬月 メロンアームズだ。

 

「大丈夫ですか!?それより紘汰さん、戻ってきてたんですか?」

 

「それに、何故死んだはずの駆紋戒斗、お前がいる?」

 

龍玄と斬月から、そう聞かれた。

 

「紘汰…?」

 

そういえば、前に会った仮面ライダー鎧武は、葛葉紘汰と名乗っていたな…なるほど、俺たちを本物の鎧武とバロンだと思っているのか…

 

『『ロックオフ』』

 

俺と蓮はとりあえず変身解除した。

 

「ッ!?誰です…?あなたたち。」

 

「何故戦極ドライバーを使える?」

 

「すみません。俺は仮野優、仮面ライダーインフィニティです。」

 

「俺は宮崎蓮、仮面ライダーネイチャーだ。」

 

「俺たちは色んな仮面ライダーに変身出来る能力を持っていて、その内の1つが鎧武とバロンなんです。」

 

俺の言葉聞いても、疑問が晴れない2人。

 

「それで、あなたたちは?」

 

「僕は呉島光実。さっき変身していた、龍玄です。」

 

「俺は呉島貴虎。斬月に変身する。とりあえず、君たちに詳しい話が聞きたいんだが…」

 

「あぁ、それはいいんですが…ちょっと待ってくださいね。友人も一緒に来てて、一緒に行きたい場所があるんですが…」

 

「優くーん!」

 

「怪物は全部倒したの?」

 

「あっ、あぁ。」

 

ちょうど、俺たちの元まで戻ってきた穂乃果とことり。

 

「それで、君たちの行きたい場所とは?」

 

「えっと…シャルモンっていう、スイーツ店です。」

 

「そうか、ならちょうどいい。」

 

「「「「…?」」」」

 

 

 

 

 

「俺の奢りだ。好きなだけ食べてくれ。」

 

俺たちは貴虎さんに連れられ、シャルモンにやって来た。

 

「やったー!ことりちゃん、どれにする?」

 

「うーん…これもいいなぁ…これもいいなぁ…」

 

「好きなだけって言ってくれてるんだし、両方食べちゃおうよ!」

 

「でも、海未ちゃんに怒られちゃうよぉ…」

 

「内緒にしとけばいいじゃん!」

 

はしゃいでいる穂乃果とことり。全く、遠慮ってものを知らないのか…

 

「本当にいいんですか…?」

 

「あぁ、俺たちが聞きたいことがあって、呼んだんだからな。それに、ここは知り合いの店なんだ。」

 

「メルシー。お久しぶりね、メロンの君。」

 

「久しぶりだな。」

 

突然現れた筋肉ムキムキのおネエ口調の人に、ギョッと驚く俺たち。

 

「この人は凰蓮・ピエール・アルフォンゾ。この人も、アーマードライダーで、この店のオーナーだよ。」

 

そんな俺たちに、光実さんが説明してくれた。

 

「へぇ…この人もライダー…」

 

「変身してなくても、強そうな人だな。」

 

「元傭兵だからね。」

 

俺と蓮の言葉に、再び光実さんが答えてくれた。

 

 

「んー!」

 

「おいしぃ…!」

 

頼んだケーキと飲み物が届き、それを食べ満面の笑みを浮かべる穂乃果とことり。

 

「あむっ…んん!?確かに、凄い美味い…」

 

俺と蓮も食べてみると、そこには優しい甘みが口の中に広がる。

 

「うん、また腕を上げたな。」

 

「メロンの君にそんなこと言ってもらえるなんて、光栄ね。それで、そこの子達は?」

 

「あぁ…ちょっと話があってな。そのために呼んだんだ。凰蓮、よければ君にも聞いて欲しい。厨房の城乃内も呼んで。」

 

「分かったわ。この時間帯はお客様も少ないから、ちょうど良かった。ちょっと坊やを呼んでくるわ。」

 

凰蓮さんは厨房へ入っていった。

 

「ミッチ!貴虎!それにシャルモンのおっさんも。久しぶりだな。どうしたんだ、シャルモンに呼び出して。」

 

そこに、また1人男性がやって来た。

 

「ザック、久しぶり。」

 

凰蓮さんも、男の人を連れて戻ってきた。

 

 

そして、テーブルをくっつけて、9人が囲んで座る。

 

「俺はザック。かつてアーマードライダーナックルとして、戦っていた。今はビートライダーズの仲間たちと、この町で踊っている。」

 

改めて知らない人もいるので、軽く自己紹介することになり、ザックさんが初めに挨拶した。

 

「俺は城乃内秀保。ザックと同じで、かつてはアーマードライダーグリドンとして戦っていた。今は凰蓮さんの元で、パティシエとして働いている。パティシエ、なめんなよ。」

 

なめてませんけど…

 

「ワテクシは凰蓮・ピエール・アルフォンゾ。アーマードライダーブラーボとして戦っていたわ。元傭兵で、今はこの店のオーナーよ。」

 

うん。とりあえず、この人が1番濃いキャラってことは分かった…

 

「あっ、えっと…俺は仮野優です。音ノ木坂学院の共学化試験生で、高校2年生です。仮面ライダーインフィニティとして、財団Xって組織と戦っています。」

 

「俺は宮崎蓮。仮面ライダーネイチャーで、優と同じ共学化試験生で、高校1年生です。」

 

「えっと…高坂穂乃果です。音ノ木坂学院2年生の、スクールアイドルです。」

 

「私は南ことりです。穂乃果ちゃんと同じ音ノ木坂学院2年生で、スクールアイドルです。」

 

一通り自己紹介が終わった時、

 

「あぁ!」

 

ザックさんが声を上げた。

 

「ザックさん、どうかしました?」

 

「μ'sだ!μ'sの高坂穂乃果と南ことり。高校生なのに歌もダンスも上手くて、俺もダンスやってるから、よく見てるんだよ!」

 

「えっ、そうなんですか!?あっ、ありがとうございます//」

 

ザックさんの言葉に、照れる2人。

 

「それで、貴虎さん。僕たちに話とは?」

 

「あぁ。まず、君たちは戦極ドライバーを使えるようだが、さっき出てきたインベスについて、何か知っているか?」

 

「えぇ。あれは僕たちが戦っている財団Xという組織が作り出した、インベスだと思います。」

 

「なるほど…だからクラックが開いたわけでもないのに、インベスが現れたみたいだね。兄さん。」

 

「あぁ。実はここ最近、突然あのインベスたちが沢芽市に現れ、暴れ出しているんだ。」

 

「えっ!?でも、財団Xは音ノ木坂周辺でしか出没してなかったはず…なんで、沢芽市に…」

 

そういえば、飛彩さんが最近バグスターの出現頻度が上がったって言ってたな…それとも何か関係があるのか…?

 

「それで、海外に行ってた兄さんも一時帰国して、インベスたちを倒しているんだ。」

 

「クラックが開いていた時とは違い、沢芽市が封鎖されてはいないが、市民の不安は変わらない。いや、寧ろまたクラックが開いた時みたいに、沢芽市が封鎖されて見殺しにされるのではと、不安が大きくなっている…」

 

「ここにいる全員、戦極ドライバーとロックシードを再び手に入れることが出来ていたのが、せめてもの救いだったな。」

 

ザックさんの話だと、葛葉紘汰さんがヘルヘイムの森ごと宇宙のとある星に向かった時は、光実さんしか戦極ドライバーを持っていなかったようだ。

 

その後、貴虎さんはメガヘクスの侵略の際、ザックさんはネオバロンの事件の際、城乃内さんと凰蓮さんは狗道供界の事件の際、ドライバーとロックシードを再び手に入れたようだ。

 

ピリリリッ

 

その時、貴虎さんに電話がかかってくる。

 

「私だ。」

 

おぉ、渋い…かっこいいな、貴虎さん。

 

「…!?そうか、分かった。すぐ現場に向かう。」

 

「どうしました?」

 

「またインベスが現れたようだ。」

 

「分かりました、行きましょう。」

 

俺、蓮、貴虎さん、光実さん、ザックさんは一斉に店を飛び出した。今日は俺と蓮がいるため、凰蓮さんと城乃内さんは店番もあるので、店に残るようだ。そこに、穂乃果とことりも残らせてもらった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

優たちがインベスが暴れている場所まで到着すると、そこには初級インベスを引き連れ、ライオンインベスとヤギインベスがいた。初級インベスの1体が、1人の女性に襲いかかっていたのを、優が蹴り飛ばし助けた。その女性は、近くの物陰に隠れた。

 

「「「「「変身!」」」」」

 

『カチドキ!』

『バナナ!』

『ブドウ!』

『メロンエナジー!』

『クルミ!』

 

『『『『『ロックオン!』』』』』

 

『カチドキアームズ!いざ出陣 エイエイオー!』

 

『バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!』

 

『ブドウアームズ!龍・砲 ハッハッハッ!』

 

『メロンエナジーアームズ!』

 

『クルミアームズ!ミスターナックルマン!』

 

俺は仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ、蓮はバロン バナナアームズ、光実さんは龍玄 ブドウアームズ、貴虎さんは斬月・真 メロンエナジーアームズ、ザックさんはナックル

クルミアームズに変身した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「我々で初級インベスを片付ける。」

 

「優くんと蓮くんは、上級インベスをお願いします。」

 

「分かりました!」

 

光実、貴虎、ザックは初級インベスと戦闘を開始し、その援護を受け、初級インベスを掻き分け2体の上級インベスと戦闘を開始した優と蓮。

 

「はっ!はぁ!やぁ!」

 

「はっ!はっ!」

 

「オラッ!おりゃあ!」

 

光実はブドウ龍砲を器用に使い、遠距離から射撃した後打撃攻撃を放つ。貴虎はソニックアローを取り出し、初級インベスを斬り裂いていく。ザックは、クルミボンバーで次々に殴り倒していく。

 

『ブドウスカッシュ!』

 

『メロンエナジースカッシュ!』

 

『クルミスカッシュ!』

 

光実はブドウ龍砲から龍型のエネルギー砲を、貴虎はソニックアローからエネルギーの矢をそれぞれ放ち、ザックはクルミボンバーのエネルギーを放ち、初級インベスを全て倒した。

 

 

 

 

『火縄大橙DJ銃!』

 

優は火縄大橙DJ銃のディスクをスクラッチし、和風の重低音が流れる。

 

「はぁ!はぁ!オラッ!」

 

優は火縄大橙DJ銃から、大砲のように重い弾をライオンインベスに放っていく。そして、背中アーマーに付いているカチドキ旗を取り出す。

 

「はぁぁ!」

 

優はカチドキ旗で、近距離からライオンインベスへ攻撃する。そして、火縄大橙DJ銃と無双セイバーを合体させた。

 

『ロックオン!一、十、百、千、万、億、兆…無量大数!』

 

「おりゃああ!」

 

『カチドキチャージ!』

 

優は火縄大橙DJ銃 大剣モードで、ライオンインベスを斬り裂き、倒した。

 

 

 

「ふんっ!はぁ!」

 

蓮はバナスピアーを持ち、ヤギインベスへ斬撃を放つ。

 

「次はこいつだ。」

 

『マンゴー!』

『ロックオン!』

 

蓮はマンゴーロックシードの錠前を解除し、戦極ドライバーに取りつけた。

 

『カモンッ!マンゴーアームズ ファイト・オブ・ハンマー!』

 

蓮は仮面ライダーバロン マンゴーアームズに変身した。

 

『マンゴーオーレ!』

 

蓮は戦極ドライバーのカッティングブレードを2回倒し、

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

マンゴーパニッシャー型のエネルギーを投げ飛ばし、ヤギインベスを倒した。

 

 

 

「よし、全部倒したな。」

 

「2人とも、強いですね。」

 

「あぁ。お前たちの戦い見てると、紘汰と戒斗を思い出したぜ!」

 

貴虎、光実、ザックが優と蓮に言った。

 

「いやいや、俺たちなんてまだまだ…ずっと戦ってきたあなたたち先輩には、敵いませんよ。…っ!?」

 

その時、5人に向けてエネルギーが放たれ、爆発が起こる。それにより、5人は少し吹き飛ぶ。そして、爆煙の影に何者かが…

 

「くっ…何者、だ…?」

 

「あの影の形、まさか!?」

 

そして、爆煙が晴れると、そこには赤い怪人が1体立っていた。その赤い怪人とは…

 

「オーバー、ロード…!?」

 

オーバーロード、デェムシュだ。

 

 




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

オーバーロード、デェムシュの力に苦戦するライダーたち。デェムシュの強大な力で、優がピンチに陥った時…

「あなたは?」

『この姿で会うのは初めてだな。』

ある人物が優の前に現れる。そして、優は新たな力を手に入れる…

次回、『103話 変身!極みの力!』





という事で、鎧武編前編。どうでしたか?次回の後編では、優があの力を…

では今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想など、良ければお願いします。


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103話 変身!極みの力!

はい、103話です!

えっと…ここまで、コラボ回を除いてだいたいの話であらすじ紹介を書いてきましたが、今回からは不定期で書いていこうと思います。なぜなら、その話の雰囲気とかによってあらすじ紹介入れると変になる事もあるので…なので、入れるか入れないかは僕の独断となってしまいますが、よろしくお願いします。

では103話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

「オーバー、ロード…!?」

 

優たちの前に、赤い怪人、オーバーロードのデェムシュが現れた。

 

「オーバーロードって確か、知能を持ったインベスで、他のよりもかなり強いっていう…」

 

「うん。あのデェムシュは、その中でも短期で好戦的な、危険なオーバーロード。」

 

光実からの説明を受けた優と蓮は、ゴクリと喉を鳴らす。

 

「まだ滅んでいなかったのか、猿共。せっかく蘇ったんだ。今度こそ、俺が猿共を滅ぼしてやる!」

 

デェムシュは自身の剣で、蓮へ斬りかかる。蓮はそれを防ぎ、残りの4人のライダーがデェムシュに攻撃を仕掛ける。しかし、デェムシュは一気に5人のライダーを吹き飛ばす。

 

「ぐっ…確かに、他のインベスとは桁違いか…はぁっ!」

 

優は無双セイバーを取り出し、再びデェムシュに斬りかかる。それを合図に、ライダー全員がデェムシュへ飛びかかっていく。しかし、また一瞬で反撃を受け、倒れる。

 

「相変わらず口ほどにもない奴ら。こんな猿に一度負けたとは、未だに信じられない。ん?」

 

倒れている優たちを見下しながら、そう言っていたデェムシュは、物陰に隠れている1人の女性に目を向ける。

 

「手始めに、この猿を殺してやろう。」

 

「きゃあああ!?」

 

「やばい…!」

 

『カチドキ オーレ!』

 

優は立ち上がり、戦極ドライバーのカッティングブレードを2回倒し、カチドキ旗から竜巻をデェムシュに向けて起こした。そして、その隙に女性を抱えてその場から離れ、それに着いて4人のライダーもその場を離れた。

 

 

 

「ふぅ…危なかった。」

 

『ロックオフ』

 

「大丈夫ですか?」

 

全員が変身解除し、優が女性に聞いた。

 

「触らないで!」

 

「えっ…?」

 

「仮面ライダーなんかに、助けてもらったと思わない!」

 

「それってどういう…」

 

「こいつ…白い仮面ライダーが、私たちを見殺しにして、私のお兄ちゃんが死んだのよ!」

 

女性が貴虎を指差し、そう言った。

 

「えっ?そうなんですか…?」

 

「いや、身に覚えがないが…」

 

「あっ…」

 

貴虎がそう答える中、光実が何かに気づく。

 

「最低!仮面ライダーなんて、二度と信じない!」

 

そう言い残して、女性は走り去って行った。

 

「あっ、ちょっと!」

 

 

 

そして5人は、再びシャルモンに戻ってきた。

 

「それは大変なことになったわね…」

 

「まさか、オーバーロードが復活するなんてな…」

 

「……」

 

凰蓮、城乃内が貴虎たちの話を聞き、そう驚いている間、優は1人考えていた。

 

「優、どうかしたのか?」

 

「いや、さっきの女の人、なんか気になってな…貴虎さんは、本当に知らないんですか?あっ、別に疑ってるわけじゃないんですが…」

 

「いや、大丈夫だ。さっきも言った通り、俺はあの女性は、見たこともない。だが、あの女性が嘘を付いているようにも見えなかったが…」

 

「ごめんなさい…兄さん。」

 

「光実?何故お前が謝る?」

 

「さっきの女性が言ってた斬月は…僕が変身した、斬月なんです…」

 

光実の言葉に、優と蓮、ザックたちも驚くが、兄の貴虎はどことなく気づいていたのか、表情を変えない。

 

「えっと…どういう、事ですか?」

 

「それは…」

 

 

 

〜回想〜

 

約3年前、沢芽市にオーバーロードが現れ、ヘルヘイムの森に侵食されてしまい、完全に封鎖されていた頃…

 

「出たな、インベス!」

 

封鎖された沢芽市で暴れているインベスの前に現れたのは、後に黄金の果実を手にし、神様となり高司舞と共に宇宙に旅立つ、葛葉紘汰。

 

「変身!」

 

『オレンジ!』

 

「はぁ!オラッ!」

 

紘汰は戦極ドライバーを腰に巻き付け、勢い良くオレンジロックシードを取り付ける。

 

『ソイヤッ!オレンジアームズ 花道・オンステージ!』

 

紘汰は仮面ライダー鎧武 オレンジアームズに変身して。

 

「ここからは俺のステージだ!」

 

大橙丸を取り出し、インベスへ向かっていく紘汰。その様子を遠くで見ている人物が…

 

「葛葉紘汰…あなたが希望とかいう戯言を信じるせいで、あなたの周りの人間まで希望とかいう戯言を信じる病気に感染してしまう。舞さんは…僕が助ける。」

 

そう言ったのは、黒ミッチと呼ばれる時代の呉島光実。

 

「変身…」

 

『メロンエナジー!』

『ソーダー!メロンエナジーアームズ!』

 

光実は仮面ライダー斬月・真…もとい、仮面ライダー斬月・偽に変身した。

 

『一、十、百…オレンジチャージ!』

 

「おりゃぁぁぁぁぁああ!」

 

大橙丸と無双セイバーを合体させたナギナタモードで、インベスを倒した紘汰。

 

その様子を見ていた光実の近くで、

 

「きゃあっ!?」

 

大学生ぐらいの男性と、中学生ぐらいの女の子が、インベスに襲いかかっていた。

 

「アーマードライダー…たっ、助けて!」

 

光実の姿を見た女の子がそう呼びかけるが、

 

「……ふんっ。はぁぁぁ!」

 

そんなのお構い無しに紘汰へ襲いかかっていった。

 

「リカ、お前だけでも逃げろ!」

 

「でも、お兄ちゃんは!」

 

「俺のことはいいから行け!」

 

「うっ…お兄ちゃん!」

 

兄がインベスを捕まえ、リカと呼ばれた女の子は涙ながらに逃げていった。そして、兄はインベスに命を奪われてしまった…

 

〜回想終了〜

 

 

 

「そうだったんですか…」

 

「うん。ごめん兄さん。僕が兄さんのベルトを使って、紘汰さんを狙っていたばっかりに…」

 

「気にするな。葛葉も言っていただろ。人は変われる。俺も、お前もな…」

 

「うん…」

 

少し重たい空気に包まれ、その場にいる全員が無言になった。その後、貴虎は仕事、ザックはダンスの練習に行き、凰蓮と城乃内はちょうど客が多くなる3時になったため厨房に戻って行った。

 

 

 

優、蓮、穂乃果、ことり、光実もシャルモンから出ていった。

 

「俺と蓮はこれから、オーバーロードについて探ってみる。2人はどうする?目的のシャルモンのケーキも食べたし、先に帰っとくか?」

 

「ううん。穂乃果も待ってるよ。」

 

「うん、ことりも。」

 

「そうか…悪いな。」

 

 

 

穂乃果とことりは、待っている間沢芽市を見て回ることにし、優と蓮は二手に分かれてオーバーロードについて探り始めた。光実も手伝うことにし、蓮と共に行動を開始した。

 

「やっぱり、気にして、ますよね…?」

 

蓮が光実に対し、そう聞いた。

 

「……うん。2、3年前、沢芽市からヘルヘイムの脅威が去った後、紘汰さんが帰ってきた時があったんだ。その時、人は変われる…俺たち、いつまでも仲間だぜ、って言ってくれたんだ。僕はその言葉を胸に、変わろうと思ったんだ。ザックたちも受け入れてくれた。けど、やっぱり僕のせいで人の命が失われたって改めて聞くと、ね…」

 

「光実さん…」

 

「ごめんね。僕のせいで、人を助けるためずっと戦ってきた蓮くんたちまで、最低呼ばわりされることになって…」

 

「いや…俺も、人は変われるって思ってます。俺も1度、財団Xに自分自身の弱さにつけ込まれて、優たちを倒そうとしたことがあります。でも、優に助けられて、人は変われるって教えられました。」

 

「蓮くん…」

 

「だから、今はオーバーロードを倒して、光実さんが変わったんだって証明しましょうよ!って、俺が偉そうに言うのも変ですけど…すみません…」

 

「ううん。ありがとう。そうだね、蓮くんの言う通りだ。」

 

2人は再び、オーバーロードを探し始めた。

 

 

 

優が歩いていると、1人の女性とぶつかった。

 

「あっ、すみません…って、あなたさっきの…」

 

その女性は、斬月に見殺しにされたと語ったリカという女性だった。リカは優の顔を見た途端、走り去ろうとした。

 

「まっ、待ってください!」

 

「……なんですか?あなたたちと話すことなんて、何もありません。」

 

「斬月…白い仮面ライダーに変身していたのは、さっきの人じゃなくて、光実さんって人なんですけど、彼は怪物に騙されて、大事な人を取り戻すためにいっぱいいっぱいで、あなたを見捨ててしまったんだと思います…」

 

「だから許せと?ふざけないでください!大事な…たった一人の家族であるお兄ちゃんを失った私の気持ちが、あなたに分かるっていうんですか!!」

 

「……確かに、しっかりとは分かりません。でも、俺も家族は、姉と妹だけなんです。だから、妹を想う兄の気持ちは、なんとなく分かるんです。もし俺と姉ちゃんが死んで、妹だけが残されたら、僕はその妹に恨むことばかり考えて生きて欲しくない。出来る限り幸せに生きて欲しい。」

 

「……」

 

「お兄さんを失って、許すことなんて出来ないのは分かります。けど、人は変われるって僕は思ってます。だから、今の光実さんが本当に人を守るために戦ってるのは、本当なんです。だから、そこは信じて貰えませんか?」

 

「……」

 

優の言葉に苦い顔を浮かべるリカ。リカが答えに迷っている中、

 

「見つけたぞ、猿。」

 

オーバーロード、デェムシュが再び現れる。

 

「デェムシュ…探す手間が省けて助かったぜ。えっと…」

 

リカの方を見て言葉を詰まらせる優を見て、リカは察して答える。

 

「リカよ…」

 

「リカさんは、逃げてください。」

 

そう言い、優は腰に戦極ドライバーを巻き付ける。

 

「変身!」

 

『カチドキアームズ!いざ出陣 エイエイオー!』

 

仮面ライダー鎧武 カチドキアームズに変身した優は、カチドキ旗でデェムシュに攻撃する。

 

「はぁっ!」

 

先程とは違い、優の隙のない鋭い攻撃に、デェムシュはダメージを受けていく。そして、優は火縄大橙DJ銃のツマミを回し、ディスク部分をスクラッチする。すると、音程の高い和風音が流れる。

 

「オラァァァァァ!」

 

火縄大橙DJ銃をマシンガンモードにし、弾丸を放つ優。その攻撃に怯むデェムシュ。

 

「ぐぬぬ…人間如きが、図に乗るな!ハムッ!ムシャムシャ!」

 

「それは…!?」

 

デェムシュはある果実…ヘルヘイムの森の実を取り出し、豪快に頬張った。その影響で肩に角が生えた、デェムシュ 進化体へと変化した。

 

「ふんっ!」

 

デェムシュは優へ斬りかかり、優は無双セイバーで防ごうとするが、防ぎきれず倒れる。そして、デェムシュは手を上に上げると、クラックが開き、そこから何十体かのインベスと、2体のオーバーロードインベス…デュデュオンシュ、グリンシャが現れる。

 

「数が多いな…はぁ!」

 

優はインベスに無双セイバーで斬りかかるが、他のインベスに囲まれ吹き飛ばされる。そんな倒れている優に、インベスが向かってくる。

 

「はぁ!」「おりゃあ!」

 

そんなインベスに、飛び蹴りを放った凰蓮と城乃内が、駆けつけた。

 

「優くん、大丈夫!?」

 

そこに、穂乃果とことりも駆けつける。

 

「あっ、あぁ、悪い…」

 

「子供だけに戦わせる訳には行かないわ。」

 

「インベスは俺たちに任せろ!」

 

「変「変身!」身!」

 

『ドングリ!』『ドリアン!』

 

『『ロックオン!』』

 

『ドングリアームズ ネバーギブアップ!』

 

『ドリアンアームズ ミスターデンジャラス!』

 

城乃内は仮面ライダーグリドン ドングリアームズ、凰蓮は仮面ライダーブラーボ ドリアンアームズに変身し、インベスへ向かっていく。

 

「ことりちゃん、穂乃果たちも行こう!」

 

「うん!」

 

「「変身!」」

 

穂乃果は仮面ライダークウガ マイティフォームに、ことりは仮面ライダー龍騎に変身し、城乃内たちと共にインベスとの戦闘を開始した。

 

そして優の前には、3体のオーバーロードインベスが立ちはだかる。

 

「優!」

 

「優くん!」

 

そこに蓮と光実、更に後ろからザックと貴虎が走ってきた。

 

「遅れてすまない。」

 

「いえ、大丈夫です。」

 

「俺たちも戦うぜ!」

 

「「「「変身!」」」」

 

『ナイト・オブ・スピアー!』

『龍・砲 ハッハッハッ!』

『メロンエナジーアームズ!』

『ミスターナックルマン!』

 

蓮はバロン バナナアームズ、光実は龍玄 ブドウアームズ、貴虎は斬月・真 メロンエナジーアームズ、ザックはナックル クルミアームズに変身した。

 

「皆さん、行きましょう!」

 

優の言葉を合図に、優はデェムシュと、蓮とザックはグリンシャと、光実と貴虎はデュデュオンシュと戦闘を開始した。

 

 

 

「はぁ!せいっ!」

 

「やぁ!っりゃあ!」

 

ブラーボはドリノコで、グリドンはドンカチでインベスを殴っていく。

 

「数が多いわね…数の暴力ってわけね。」

 

「へっ。地獄のパティシエ修行に比べたら、こんなもん楽勝ですよ。おりゃあ!」

 

グリドンは次々とインベスを倒していく。

 

「やるようになったじゃない。はぁ!」

 

続いてブラーボもインベスを倒していく。

 

「ことりちゃん、穂乃果たちも負けてられないね!」

 

「うん!」

 

『ソードベント』

 

「穂乃果ちゃん、これ使って!」

 

「ありがと!ことりちゃん!」

 

ことりはドラグセイバーを呼び出し、穂乃果に貸した。

 

「超変身!」

 

『サバイブ』

 

穂乃果は仮面ライダークウガ ライジングドラゴンに、ことりは仮面ライダー龍騎サバイブに変身した。ライジングドラゴンに変身した影響で、ドラグセイバーがライジングドラゴンロッドに変化した。

 

穂乃果はライジングドラゴンロッドでインベスへ打撃し、ことりはドラグバイザーツバイで、上空を飛ぶコウモリインベスを射撃していく。

 

「一気に決めますわよ!」

 

『シュートベント』

 

『ドリアンオーレ!』

 

『ドングリスパーキング!』

 

穂乃果はライジングドラゴンフォームの高いジャンプ力で飛び、上空に残っているコウモリインベスへライジングドラゴンロッドを突き刺して倒した。

 

ことりはドラグバイザーツバイから火炎を、凰蓮はドリノコから巨大なドリアン型エネルギーを、城乃内はドンカチから巨大なドングリ型エネルギーを、前にいるインベスの群衆へ放ち、全て倒した。

 

 

 

「「はぁ!」」

 

グリンシャにバナスピアーを突き出す蓮と、クルミボンバーで殴りかかるザックだが、2人の攻撃にグリンシャはピクリとも動かない。

 

「何!?」

 

「俺たちの攻撃が、全く効いてない!?」

 

そして、グリンシャは蓮を殴り飛ばす。その直後、ザックがグリンシャにクルミボンバーで殴りかかったが、それと同時にグリンシャが殴り、2人の拳がぶつかり合ったが、ザックがすぐに吹き飛ばされてしまう。

 

「くっ…なんてパワーだ。」

 

『バナナスパーキング!』

 

『クルミオーレ!』

 

「オラァァァァァァ!」

 

ザックがクルミボンバーにクルミ型のエネルギーを纏い、グリンシャを殴る。そして、蓮はバナスピアーを地面に突き刺し、地面から現れたバナナ型エネルギーがグリンシャを貫こうとしたが、グリンシャはそれを弾き飛ばした。

 

「「ぐぁぁぁぁ!?」」

 

そして、グリンシャは自身の大剣で2人を斬り付け、その影響で2人とも強制変身解除してしまった。

 

 

 

その頃、光実と貴虎は…

 

「はぁっ!」

 

「やぁ!」

 

デュデュオンシュを遠距離からブドウ龍砲で射撃する光実と、近距離からソニックアローで斬りかかる貴虎。2人は息の合った連携プレーで戦うが、全てデュデュオンシュに防がれてしまう。

 

『キウイ!』

 

「だったらこれで!」

 

『ハイーッ!キウイアームズ 激・輪 セイヤッ!』

 

仮面ライダー龍玄 キウイアームズに変身した光実は、両手のキウイ激輪でデュデュオンシュに斬りかかるが、デュデュオンシュが持つ曲剣で防がれてしまう。

 

『キウイスカッシュ!』

 

『メロンエナジースカッシュ!』

 

2人はそれぞれの武器にエネルギーを貯め、まず光実が回転しながらキウイ激輪で斬りかかる。その後、貴虎はソニックアローから斬撃を飛ばしたが、デュデュオンシュに弾き返されて2人に当たる。それにより、2人は強制変身解除した。

 

 

 

『カチドキチャージ!』

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

火縄大橙DJ銃 大剣モードで、デェムシュに斬り掛かる優。

 

「ふんっ!」

 

「何!?」

 

しかし、デェムシュは火縄大橙DJ銃の刃を、簡単に掴み防いだ。

 

「相変わらず威勢だけはいいな。下等な猿共が。ふんっ!」

 

デェムシュはそう言いながら、自身の剣から斬撃を飛ばし、優を強制変身解除に追い込む。そんな優に、デェムシュは近づき、優の首筋に剣を当てる。それを見て蓮、光実、貴虎、ザックは助けようとするが、先程のダメージで立ち上がれない。

 

「死ね、猿が。」

 

「くっ…」

 

デェムシュが優へ斬り付けようと、剣を振り上げた。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

「くっ…」

 

デェムシュが俺に向けて剣を振り下ろそうとした時、俺の視界は白い光に包まれ、気が付くと白い空間にいた。

 

「ここは…まさか、死んだのか?」

 

『いや、死んでいない。』

 

俺にそう声をかけたのは、銀色の鎧に身を包んだ金髪の男の人。

 

「あなたは?」

 

『この姿で会うのは初めてだな。俺は葛葉紘汰、今は始まりの男と呼ばれる存在だ。』

 

「葛葉紘汰…って、仮面ライダー鎧武!?」

 

「あぁ、そうだ。」

 

俺はパックマン事件の時に、仮面ライダー鎧武と変身した姿では会ったことがある。が、変身していない鎧武と会うのは、これが初めてだ。

 

「で、ここはどこなんですか?」

 

『今の俺は、お前の脳内に直接話しかけている。』

 

何その厨二病みたいな能力…

 

「仮想空間…でも、なんで俺を?」

 

『……デェムシュが再び沢芽市に現れ、暴れているそうだな。』

 

「はい…そうだ、早くデェムシュを倒さないと…!」

 

『待て。今お前が変身出来る姿で、オーバーロードとまともに戦える姿はない。』

 

「でも、それでも…オーバーロードを倒さないと、沢山の犠牲者が!」

 

『なら、これを使ってみるか?』

 

そう言って、紘汰さんは光に包まれたある物を取り出す。

 

「それは…」

 

『俺の体内にある知恵の実の1部を取って作り出した、2つ目の極ロックシード。』

 

「そうか…極アームズなら、デェムシュを倒せる!」

 

『だが、これを使えば、お前はこれまで通りじゃいられない。お前に、その覚悟はあるのか?仮野優。』

 

「…えぇ、もちろん。俺は、誰かを守ることが出来るなら、自分がどうなろうと、どんな力にだって手を伸ばします!」

 

『……そうか。だったら、これをお前に授ける。』

 

「ありがとうございます!」

 

俺が極ロックシードを掴み取ると、再び白い光に包まれた。

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

デェムシュが剣を振り下ろした時、優から光が込み上げ、デェムシュが吹き飛んでいく。

 

「優、無事か…」

 

優の無事に安心した蓮が呟くと、優は静かに立ち上がる。

 

「まだやる気か。下等な猿が…」

 

「それはどうかな?ここからの俺は、一味違う。変身!」

 

『カチドキ!』

 

『カチドキアームズ!いざ出陣 エイエイオー!』

 

優は仮面ライダー鎧武 カチドキアームズに再変身し、極ロックシードを取り出した。

 

「それは…!」

 

「なんで優くんが、極ロックシードを…」

 

その事に驚き、言葉を発する貴虎と光実。

 

『フルーツバスケット!』

 

優は極ロックシードを、カチドキロックシードの横に取り付ける。

 

『ロックオープン!』

 

すると、優の周りに様々なアームズのフルーツが飛び出してくる。

 

『極アームズ!大・大・大・大・大将軍!』

 

優は、銀色のボディのオーバーロードの力を持つアーマードライダー、仮面ライダー鎧武 極アームズに変身した。

 

「その姿は…!?」

 

以前自身を1度倒した極アームズの姿を見たデェムシュは驚き、怒りの感情が込み上げてくる。

 

「デュデュオンシュ!グリンシャ!そっちの猿を殺せぇ!」

 

その言葉を聞いたデュデュオンシュとグリンシャは、それぞれ光実と貴虎、蓮とザックの方を向いて構える。

 

 

 

デュデュオンシュの前で構える光実と貴虎。

 

「兄さん。」

 

「あぁ。オーバーロード、お前を倒して人々を守る。それが俺たちに出来る、罪滅ぼしだ。」

 

「紘汰さんと約束したんだ。紘汰さんが旅立った後は、僕達がヒーローになる!」

 

そう言った2人は戦極ドライバーを巻き付ける。それも、2人ともゲネシスコアが着いた戦極ドライバーだ。

 

「「変身!」」

 

『ブドウ!』『ドラゴンフルーツエナジー!』

 

『メロン!』『メロンエナジー!』

 

『『ロックオン』』

 

『ハイーッ!ブドウアームズ 龍・砲 ハッハッハッ!』『ミックス!ジンバードラゴンフルーツ!』

 

『ソイヤッ!メロンアームズ 天下・御免!』『ミックス!ジンバーメロン!』

 

光実は仮面ライダー龍玄 ジンバードラゴンフルーツアームズに、高虎は仮面ライダー斬月 ジンバーメロンアームズに変身した。

 

「はぁ!」

 

斬月は取り出したメロンディフェンダーとソニックアローで、デュデュオンシュを斬り付ける。

 

「はっ!」

 

龍玄はソニックアローで、矢を飛ばす。2人の攻撃に、今度はダメージをしっかり受けるデュデュオンシュ。そんなデュデュオンシュは、口から火玉を吐き出した。それを斬月が電磁バリアを張り、防いだ。

 

「兄さん、一気に決めるよ。」

 

「あぁ。」

 

『メロンスカッシュ!』『ジンバーメロンスカッシュ!』

 

『ブドウスカッシュ!』『ジンバードラゴンフルーツスカッシュ!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「はぁっ!はぁぁぁぁぁっ!!」

 

光実はソニックアローから、2体の龍を放ち、貴虎はソニックアローから矢を放った後、メロンディフェンダーを投げつけた。その攻撃に、デュデュオンシュは爆発して消えた。

 

 

 

蓮とザックの前に、グリンシャが立ちはだかる。

 

「ザックさん、まだ行けるか?」

 

「もちろんだ!」

 

蓮はゲネシスドライバー、ザックは戦極ドライバーを巻き付けた。

 

「戒斗、見ててくれよな…」

 

そう言ったザックは、戦極ドライバーに、かつて駆紋戒斗が使っていたゲネシスドライバーのゲネシスコアを取り付けた。

 

「「変身!」」

 

『レモンエナジー!』

 

『クルミ!』『マロンエナジー!』

 

『『ロックオン!』』

 

『レモンエナジーアームズ!ファイトパワー ファイトパワー ファイファイファイファイファファファファファイッ!』

 

『クルミアームズ ミスターナックルマン!』『ミックス!ジンバーマロン!』

 

蓮は仮面ライダーバロン レモンエナジーアームズに、ザックは仮面ライダーナックル ジンバーマロンアームズに変身した。

 

「はぁぁっ!はぁ!オラァ!」

 

ザックは走り出し、少し飛び、落ちながらグリンシャへマロンボンバーで殴る。そこから更に、2発目3発目と殴りかかっていく。

 

「はぁっ!」

 

蓮はザックに当たらないよう、グリンシャ目掛けて矢を放つ。そして、蓮もグリンシャに近づき、ソニックアローで斬り掛かる。

 

『クルミオーレ!』『ジンバーマロンオーレ!』

 

ザックは戦極ドライバーのカッティングブレードを2回倒した。ザックは、マロンボンバーから棘を飛ばしてグリンシャへ命中させる。

 

「オラァァァァァァァ!!」

 

棘が無くなり、赤くなったマロンボンバーに炎を纏わせ、ザックはグリンシャへ強烈なパンチを決めた。

 

『レモンエナジー!』

 

ソニックアローにレモンエナジーロックシードを取り付けた蓮は、矢を放って弱っているグリンシャに命中させ、トドメをさした。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

『バナスピアー!』

『ブドウ龍砲!』

 

仮面ライダー鎧武 極アームズに変身した俺は、ブドウ龍砲でデェムシュを撃ち抜きながら、バナスピアーで突き刺す。

 

『マンゴパニッシャー!』

 

次にマンゴパニッシャーを呼び出し、デェムシュを殴る。

 

『キウイ激輪!』

 

そして、キウイ激輪をデェムシュに向かって、思いっきり投げつける。

 

「ぐぬぬ…俺が負けるなど、有り得ない。ふざけるなぁ!!」

 

『メロンディフェンダー!』

 

デェムシュが振り下ろした剣を、俺はメロンディフェンダーで防ぐ。

 

『ドンカチ!』

『イチゴクナイ!』

 

俺はドンカチと3本のイチゴクナイを呼び出し、デェムシュに命中させていく。

 

『ドリノコ!』

 

俺は2本のドリノコを手に、デェムシュを斬り付けていく。

 

『火縄大橙DJ銃!』

『無双セイバー!』

 

「これで終わりだ。」

 

『極オーレ!』

 

俺は大剣モードに合体させた火縄大橙DJ銃にエネルギーを貯め、

 

「はぁぁぁぁ!」

 

デェムシュを斬り裂いた。

 

「またしても…こんな猿如きに、負けるなどぉぉー…!!」

 

最後にそう言い残して、デェムシュは消えた。

 

『ロックオフ』

 

デェムシュを倒したことを確認した俺は、変身解除した。

 

「ふぅ…」

 

「優!」

 

そんな俺の元に、それぞれオーバーロードを倒した蓮、ザックさん、光実さん、貴虎さんがやって来た。

 

「優くん。君、極アームズに…」

 

「その力が、どんなものか分かっているのか?」

 

光実さん、貴虎さんがそう聞いてくる。

 

「えぇ。それは、覚悟の上です。」

 

「極アームズって、なんかあるのか?」

 

「あぁ。きわ…」

 

極アームズの代償について知らない蓮の言葉に、貴虎さんが答えようとしたのを遮り、

 

「いや、何でもないぞ。」

 

俺が言った。

 

「優くん…」

 

何か言いたげな貴虎さんたちに、俺は目で『何も言わないでください』と訴えた。

 

「それで、極ロックシードはどこで手に入れたんだ?」

 

「デェムシュに斬られそうになった時、俺の精神世界?みたいな所で、仮面ライダー鎧武、葛葉紘汰さんに会ったんです。」

 

「紘汰さんに!?」

 

「はい。そこで、紘汰さんから極ロックシードを授かったんです。」

 

「そうか。紘汰が…」

 

「紘汰さんは、この極ロックシードの力を1番良く知ってる。だから、紘汰さんは優くんを信じて、この力を渡したんだと思うよ。」

 

「俺を、信じて…?」

 

「うん。紘汰さんは、地球にはいないけど、いつも僕達のことを見守ってくれてるからね。」

 

光実さんの言葉を聞き、俺はふと、空を見上げた。

 

「あっ…」

 

そんな時、リカさんが俺の方に向かってくる。

 

「私は、仮面ライダーに兄を見殺しにされたことを、許したわけじゃない。」

 

「……」

 

「でも、今はこの世界を守るために、戦っているんだってことは、少しだけ信じてあげる…」

 

「っ!リカさん!ありがとうございます!」

 

俺はつい嬉しくなり、リカさんの手を握った。

 

「ちょっ、ちょっと!やめてくださいよ!」

 

「あっ、すみません…つい。」

 

「じゃ、私はこれで。」

 

そう言って、リカさんが去ろうとした時…

 

「あの!」

 

光実さんが、リカさんに声をかけた。

 

「あの時の白いライダーは、僕なんです。改めて、本当にすみませんでした!」

 

「………さっきも言ったでしょ。今は信じてあげるって。

 

そう小さく言い残して、リカさんは去った。

 

「優くん。もしかして、僕のためにいろいろ言ってくれたの?」

 

「えっ?いや、まぁ、大したことじゃないですよ。」

 

「そうなんだ…ありがとう。」

 

 

 

 

 

「いろいろと、ありがとうございました。」

 

穂乃果たちとも合流し、そろそろ音ノ木坂に帰らないといけないため、俺は光実さんたちに挨拶した。

 

「いや、こちらこそ助かった。」

 

「オーバーロードは、優くんたちがいないと、危なかったからね。」

 

「でも、これからも沢芽市にインベスが現れた時は、俺たちが倒す。だから、優たちは自分が守るべき場所を、しっかり守れよ!」

 

「はい!」

 

貴虎さん、光実さん、ザックさんの言葉に、俺たちは頷いた。

 

そして、俺たちは音ノ木坂へ向かう電車に乗るため、駅に入っていった。

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「本当に良かったのか?仮野優自身、気づいてはいたみたいだが、極アームズに変身したらオーバーロードと同じ体に変化していくと、伝えなくて。」

 

「うん。紘汰さんが渡したってことは、紘汰さんが地球に来ることが出来ないから、何か考えがあって優くんに渡したんだと思う。じゃないと、紘汰さんがオーバーロードになる恐れがある極ロックシードを、渡すはずがないよ。」

 

「そうだな。よし、2人とも。阪東さんが、パフェ用意してくれてるって!シャルモンのおっさん達もいるみたいだし、早く行こうぜ!」

 

優たちを見送った貴虎、光実、ザックの中に不安が過りながらも、ドルーパーズに向かって走っていった。

 

(僕のためにリカさんと話してくれたり、自分になんの見返りもないのに、人のために何かする。そんな優くんが、どうしても紘汰さんと被って見えた。でも、だからこそ少し心配なんだ。君が、極アームズに変身した影響でオーバーロードになっていって、紘汰さんと同じような運命を辿らないか…)

 

光実の心には、そんな心配が残っていたが…

 

 

 

 

 

宇宙のとある星…

 

「本当に良かったの?彼に、知恵の実の1部を渡して。」

 

高司舞(始まりの女)が、葛葉紘汰(始まりの男)にそう聞いた。

 

「……正直言うと、まだ悩んでる。でも、あいつなら何とかするかもしれない。そう思ったんだ。」

 

「珍しいね。紘汰が、そういう理由で危険な力を渡すなんて。でも、私もそんな気がする。」

 

「あぁ。とりあえず今は信じよう。優と、優の仲間と、優自身はまだ出会ったことがない、あいつを見守っている本物の神様を。」

 

そう言った2人は、これからも、遠く離れた地球を見守り続ける。

 

 

 

 

 

こうして、レジェンドライダーと協力し、また強大な力を手に入れ、オーバーロードを倒した仮野優。

 

そんな彼と、彼の仲間の前に、また新たなレジェンドライダーが…

 

 

 

『turn up』

 

 

 




次回の、μ‘sと仮面ライダーの物語!

とうとう近づいてきたラブライブ!の最終予選。最終予選を控え、そのライブで歌う曲を考えるμ‘sと優たち。中々曲が決まらない中、希と絵里には何か想いがあるようで…

次回、『104話 最終予選で歌う曲は?』





という事で、鎧武編が終わりました。あと、鎧武編に入る前言い忘れていたのですが、今回の最後にもあったレジェンドライダーは…のやつは、お気づきの方も多いと思いますが、ジオウのウォズのやつがモデルです。

そして次回からは久しぶりのアニメ本編の話です。更に、次回は久しぶりにあのコーナーが復活する予定です。

お気に入り登録、感想や評価なども頂けると嬉しいです。後、質問などもあれば是非!

では今回はこの辺で、また次回お会いしましょう!


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104話 最終予選で歌う曲は?

はい、104話です。

皆様、投稿が遅れてしまい本当にすみませんでしたぁぁぁぁ!!久しぶりの投稿になってしまいましたね…
そして今回からは、久しぶりのアニメ本編の話です。そして、あるレジェンドライダーがまたまた登場します!

では104話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「シャルモンというケーキ屋に行くため、沢芽市に行く俺、蓮、穂乃果、ことり。」

 

蓮「しかし、その沢芽市で、俺たちはインベスと遭遇。更に仮面ライダー龍玄、斬月、ナックル、ブラーボ、グリドンと出会った。」

 

穂乃果「そこで、インベス?っていう怪物が、沢芽市でまた暴れていることを聞いた。」

 

ことり「そんな時、強力な力を持つオーバーロードというインベスが暴れ始める。」

 

優「オーバーロードを倒そうとする俺たちだが、苦戦してしまう。そんな時、俺の精神世界で始まりの男である、葛葉紘汰さんから極ロックシードを託される。極アームズに変身した俺は、無事オーバーロードを倒したのだった。しかし、極アームズに変身したことで、徐々に俺の体は…」

 

穂乃果「俺の体?優くんの体がどうしたの?」

 

優「あっ…いや、なんでもないぞなんでも!」

 

ことり「むむむ…怪しいなぁ。優くん、何か隠してない?」

 

優「だっ、だからなんでもないって。という事で、またあるレジェンドライダーと出会う俺たちの姿、103話でご覧あれ!」

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

沢芽市から帰ってきてから約1週間経ち、12月に入り最初の金曜日。

 

「それではっ、最終予選に出場する最後のグループを紹介しましょう!音ノ木坂学院、スクールアイドル、μ'sです!この4組の中から、ラブライブに出場する1組が決まります。では1組ずつ、意気込みを聞かせてもらいましょう!まずは、μ'sから!」

 

「あっ、はい!」

 

今日は多くの記者が集まる中、ラブライブ最終予選に向けてのインタビューがある。ハロウィンイベントの時もスクールアイドルについてレポートしていた、ハイテンションなレポーターさんが、A‐RISEなど他3組もいる中、真っ先にμ'sのインタビューをする。そのことに驚きながらも、穂乃果が答える。

 

「わっ、私たちは、ラブライブで優勝することを目標に、ずっと頑張ってきました。ですのでっ!私たちは、絶対優勝します!」

 

『おぉぉぉ!!』

 

あっ…

 

その言葉に、周りの記者たちからの歓声が上がるが、穂乃果と同じく記者の前にいるμ'sも、少し離れたところから見ている俺、蓮、秀夜の3人も、苦い表情を浮かべる。

 

「すすす凄いっ!いきなり出ました、優勝宣言です!」

 

「バカ…」

 

「言い切っちゃった…」

 

にこと花陽がそう呟く中、

 

「ついに…ついにここまで来たんや…!」

 

希が手をギュッと握り、そう呟いた。

 

っていうか、ラブライブTVなんてあったんだな…リポーターさんが持っているマイクに書かれている、ラブライブTVという文字を見た俺は、そう思った。

 

 

 

「ぬぅわに堂々と優勝宣言してるのよ!」

 

「いやぁ、勢いで…」

 

部室に戻って早々、にこに問い詰められる穂乃果。

 

「でも、実際目指してるんだし、問題ないでしょ。」

 

「確かに、A‐RISEも…」

 

 

『この最終予選は、本大会に匹敵する、レベルの高さだと思っています。』

 

 

って、綺羅ツバサさんが言ってたな…

 

「そっか。認められてるんだ、私たち…」

 

「それじゃあこれから、最終予選で歌う曲を決めましょ。歌える曲は1曲だけだから、慎重に決めたいところね。」

 

「勝つために…」

 

「私は新曲がいいと思うわ!」

 

「おぉ!新曲!」

 

「面白そうにゃ!」

 

「予選は新曲のみとされていましたから、その方が有利かもしれません!」

 

にこの提案に、穂乃果、凛、海未が賛成する。

 

「でも、そんな理由で歌う曲を決めるのは…」

 

「新曲が有利っていうのも、本当かどうか分からないじゃない。」

 

「それに、この前やったように、無理に新しくしようとするのも…」

 

花陽、真姫、ことりの意見も確かに正しい。そんな中、希が新たな意見を出す。

 

「例えばやけど、このメンバーでラブソングを歌ってみたらどうやろか?」

 

『ラブソング!?』

 

「なぁるほど!アイドルにおいても恋の歌、すなわちラブソングは必要不可欠!定番曲の中には必ず入ってくる曲の1つなのにそれが今までμ'sには存在しなかった!」

 

全員が声を揃えて言ったのと同時に、花陽(オタク早口モード)が凄い勢いで顔を青くしながら言った。

 

相変わらず凄い変わりよう…

 

「希…?」

 

「でも、どうしてラブソングって、今までなかったんだろう?」

 

「それは…」

 

穂乃果の言葉に答えるように、ことりがある人物…μ'sの作詞担当である海未を見る。あぁ、なるほど…

 

「……なっ、なんですかその目は!?」

 

「だって、海未。お前、恋愛経験ないだろ?」

 

俺がそう言うが、何故か海未以外全員が、ジト目で見てくる。

 

「えっ?なっ、なに?」

 

「別に、なんでもないぞ。ハハッ…(相変わらず、優の鈍感さは筋金入りだな…)」

 

「で、海未ちゃん。恋愛経験はあるの?」

 

穂乃果を筆頭に、みんなが詰め寄って聞く。

 

「なっ、なんですか!?なんでそんな食いついてくるんですか!?」

 

「あるの?」

「あるにゃ?」

「あるの?」

 

「なんであなた達まで!?」

 

「海未ちゃん答えて!どっち!?」

 

「海未ちゃぁん…」

 

「そっ、それは…ありません…」

 

とうとう挫けた海未は、膝をついて答えた。

 

「なっ、なぁんだ…はぁ…(やっぱり、海未ちゃんも海未ちゃんで鈍感だなぁ…未だに自分の気持ちに、気づいてないんだから…)」

 

「もうっ、変に溜めないでよ。びっくりするよ。(とうとう海未ちゃんが、自分の気持ちに気づいたのかなって…)」

 

「なんであなた達に言われなきゃいけないんですか!あなた達もない…あっ…」

 

穂乃果の言葉に、そう言いかけた海未だが、途中何かに気づく。

 

「えっ!?穂乃果たち、恋愛経験あるのか!?」

 

「えっ?あぁ、えっと…まぁ、それなりに…(っていうか海未ちゃん、自分の気持ちには鈍感なくせに、なんで穂乃果たちのには気づいてるのぉ!?相変わらず優くんは鈍感だし…)はぁぁ…」

 

「まっ、アイドルとしてはどうかと思うけど、優以外みんな気づいてるわよ。穂乃果たちの恋愛事情ぐらい。」

 

「にこ、そうなのか!?教えてくれ!」

 

「ふんっ!そのぐらい、自分で考えなさいよ!」

 

「いって!まっ、真姫?なんか怒ってるのか?」

 

「別に!」

 

「えぇ…」

 

「まっ、まあまあ。みんな、今は新曲のことについてでしょ?」

 

「でも絵里、今から新曲は無理よ。」

 

「真姫…でも、諦めるのはまだ早いんじゃない?」

 

「絵里?」

 

「そうやね。曲作りで大切なんは、イメージや想像力やろうし。」

 

「まぁ、今までも経験したことだけを詞にしてきた訳ではないですが…」

 

「でも、ラブソングっていわゆる恋愛でしょ?どうやってイメージ膨らませればいいの?」

 

「そうやね…例えば!」

 

 

 

あの…えっと…受け取ってくださいっ!」

 

そう言って、カメラを持つ秀夜に向かって、プレゼントの包みを渡す。

 

「おっ、いい感じやん!」

 

「っていうか希。なんで俺が、カメラマンなんだ?」

 

「だって、相手が秀夜くんの方が、花陽ちゃんもやる気出るだろうしねぇ。」

 

「のっ、希ちゃん!?//」

 

「ん?」

 

希の言葉に顔を赤くする花陽だが、当の本人である秀夜は全く気づいていない。はぁ…鈍感なやつだ。(←お前が言うな)

 

「でも、これでイメージが膨らむんですか?」

 

「そうや。こういう時咄嗟に出てくる言葉って、結構重要よ。」

 

「でも、なんでカメラが必要なの?」

 

「そっちの方が緊張感でるやろ?それに、記録に残して、後で楽しめるし。」

 

「明らかに後者が本音だろ…」

 

「じゃ、次。真姫ちゃん行ってみよう!」

 

「ヴェッ?なんで私が!」

 

 

 

という事で、何やかんや言って裏庭まで移動してきて、カメラの前で顔を赤く染めている真姫。ちなみに、今度は何故かカメラマンが俺に変わった。

 

「はいこれ。いいから受け取んなさいよっ!」

 

そう言われ、プレゼントの包みを受け取る。

 

「べっ、別にあなただけにあげたわけじゃないんだから!勘違いしないでよねっ//」

 

「おぉ…!」

 

「パーフェクトです!完璧です!」

 

「漫画で見たことあるにゃ!」

 

「俗に言う、ツンデレってやつだな。」

 

「どう?これで満足!っていうか蓮、ツンデレ言わないで!」

 

「あれ?優くんどないしたん?なんか、顔赤くない?」

 

「えぇ!?いっ、いや別になんでもないなんでもない!」

 

恥ずかしくて言えるかよ…ドキッとして見惚れちまったなんて…

 

「ふんっ。何調子に乗ってるの?」

 

「別に乗ってなんかいないわよ!」

 

「じゃあにこっちもやってみる?」

 

「ふぅ…全く、しょーがないわねぇ。」

 

 

 

という事で、アルパカ小屋に移動し、再びカメラを構える俺。ってかなんでアルパカ小屋…?

 

俺に背を向けたにこは、突然ツインテールを結んでいるリボンを解く。

 

「どうしたかって…分からないの?ダメ!恥ずかしいから見ないで!」

 

これには、この場にいる1人を除いて、全員がジト目…その1人であることりは、最早アルパカに夢中で、にこのことを気にもとめずにアルパカを撫でている。

 

何故だろう…さっきと違って、これには全然ドキドキしない…

 

「もうっ…しょうがないわね。ちょっとだけよ。髪、結んでない方が好きだって、前言ってたでしょ?あげる。にこにーから、スペシャルハッピーな、ラブに…」

 

ピッ…

 

「あっ…バッテリー切れたな。」

 

「ぬわぁんでよ!」

 

 

 

そんなこんなで、下校時刻になり音ノ木坂学院の校門までの道を歩く俺たち。

 

「結局、何も決まらなかったねぇ…」

 

「難しいものですね。」

 

「やっぱり、無理しない方がいいんじゃない?次は最終予選よ。」

 

「そうだなぁ…最終予選は、これまでの集大成だし…」

 

「えぇ。これまでの事を精一杯やりきる。それが大事な気がします。」

 

「私もそれがいいと思う。」

 

「でも、もう少しだけ頑張ってみたい気もするわね。」

 

『えっ?』

 

絵里がそう言ったことに、全員が声を出して反応する。

 

「絵里ちゃんは反対なの?」

 

「反対ってわけじゃないけど…でも、ラブソングはやっぱり強いと思うし、そのぐらいないと勝てないと思うの。」

 

「そうかなぁ…」

 

「難しいところですが…」

 

でも、確かに次は、確実にA‐RISEに勝たないといけない…けど…

 

「それに、希の言うことはよく当たるから。」

 

絵里がラブソングを進める理由は、勝つためだけじゃない気がする。それも、希に何か関係のある…

 

「じゃあ、もうちょっとだけ考えてみようか!」

 

「私は別に構いませんが…」

 

「それじゃあ、今度の日曜日、みんなで集まってアイデア出し合ってみない?資料になりそうなもの、私も探してみるから。希もそれでいいでしょ?」

 

「えっ…あぁ、そうやね。」

 

みんなそれに納得し、日曜日に集まることに…でも、そんな絵里を怪しげに見つめる、2つの…いや、4つの目。

 

最初の2つは、もちろん俺。怪しんでる、っていうほどでもないけど、何かはあると思う。そしてもう1人は…

 

真姫だ。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 真姫〜

 

帰り道、私と凛と花陽は、カフェに寄り、外の席に座って飲んでいる。蓮と秀夜も誘ったけど、用事で来れないらしい。

 

「ずずずっ…おかしい。」

 

「おかしい?」

 

「絵里ちゃんが?」

 

私の言葉に、そう聞き返す花陽と凛。

 

「変じゃない?絵里があそこまで率先して、ラブソングにこだわるなんて。」

 

「それだけラブライブに出たいんじゃないかなぁ…?」

 

「だったら逆に止めるべきよ!どう考えたって、今までの曲をやった方が完成度は高いんだし。」

 

「希ちゃんの言葉を信じてるとか?」

 

「あんなにこだわる所、今まで見たことある?」

 

「じゃあなんで…」

 

「それは、分からないけど…」

 

「あっ、もしかして!

 

『わぁるかったわねぇ、今まで騙してっ♪』

 

ってことに…」

 

凛が絵里の真似?をしながら、椅子の上に立った。凛は絵里がA‐RISEと手を組んでいるんじゃないか、と思ったらしい…

 

机の上に乗るなんて行儀悪いと思ったら、靴はしっかり脱いでいる。絵里が生徒会長で対立していた頃も、『認められないわぁ!』とか言ってたし、凛の中での絵里のイメージって、どうなってるのよ…

 

「ハラショー…」

 

「あの3人に絵里ちゃんが加わったら、絶対勝てないにゃー!」

 

「何想像してるのよ。有り得ないでしょ。」

 

「じゃあ…」

 

「分からないけど、何か理由があるような気がする…」

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 希〜

 

「えりち!」

 

えりちと2人での帰り道、ウチはえりちを呼び止める。

 

「どうしたの?」

 

「いくらなんでも、強引すぎやない?みんな戸惑ってたみたいやし…」

 

「いいの。私がそうしたいんだから。ずっとやりたかったことなんでしょ?じゃあね!」

 

ウチに飴を1つ渡して、えりちは走って帰って行った。

 

「全く、お節介やね…えりちは。」

 

去っていくえりちを見つめながら、ウチはそう呟いた。

 

「危ないっ!」

 

その時、金色の仮面ライダー?がウチの背後から襲いかかってきた。それに気づかなかったウチやけど、男の人が現れて、ウチの体を支えながら避けさせてくれた。

 

「ありがとう…お兄さん、腕から血が…えっ、血?」

 

ウチはお兄さんの腕から血が流れてしまったことに気づいたが、お兄さんの血が緑色だったことに戸惑う。

 

「これは…まぁ、気にしないでくれ。それよりも、危ないから下がってて。」

 

お兄さんはそう言って、金色の仮面ライダーの前に立つ。

 

「お兄さんも危ないよ!」

 

「俺は大丈夫さ。まさか、お前の方から現れてくれるとはな、レンゲル。」

 

お兄さんは、金色の仮面ライダー…仮面ライダーレンゲルに向かって、そう言った。そして、お兄さんは腰にあるものを巻き付けた。

 

「それはっ!?」

 

あるもの、とはウチが変身する時に使っている、ブレイバックルと同じものだった。

 

「変身!」

 

『turn up』

 

そしてお兄さんは、仮面ライダー (ブレイド)に変身した。

 

「お兄さん…何者なん?」

 

 

 

「俺の名は…剣崎一真。仮面ライダーブレイドだ。よろしく。」

 

 

 




『第4回!何故、私がこのライダー?』

蓮「さて、久しぶりのこのコーナー。もうこんなコーナーがあったことなんて忘れている人も多いかもしれないけど、まだまだ続いていくぜ!早速、今回のゲストはこのメンバー!」

凛「にゃんにゃんにゃーん!星空凛だにゃ!あれ?このコーナーって、優くんが司会じゃなかったの?」

蓮「あー、なんか凛がゲストなら、蓮が司会しろーって言われたんだよ。」

凛「なっ、なんでにゃ?(もしかして、凛が蓮くんを好きだから…?)」

蓮「さっ、さぁ?(もしかして、俺が凛のこと好きだからか…?)」


※どっちもです。


蓮「えーっと…じゃあまずは、凛が変身する仮面ライダーアギトについて、軽く説明していくとしますか。」

凛「うん!」

蓮「まず、仮面ライダーアギトはオルタリングで変身する、龍がモチーフの仮面ライダーだ。」

凛「えっ、龍がモチーフだったの?」

蓮「あぁ。アギトは基本フォームのグランドフォームに加え、ストームフォーム、フレイムフォーム、そしてその3つの力を持つトリニティフォームがある。そして、先日凛が覚醒し変身した、強化フォームのバーニングフォーム、最終フォームのシャイニングフォームがある。」

凛「あのシャイニングフォーム、すっごく強かったにゃ!もうっ、にゃにゃっ、にゃにゃにゃにゃっ!って感じにゃ!」

蓮「うん。凛、文字だし、あんま伝わらないと思うぞ?まあいいか。元のアギトが戦っていたのは、人々を襲うアンノウン。でも、無差別に人を襲っていた訳ではなく、アンノウンの目的はアギトになる可能性のある人間、いわば超能力者の可能性がある人間を殺していたんだ。」

凛「えっ?じゃあ、アギトになれる人はたくさんいるってこと?」

蓮「まぁ、多いってわけでもないけど…例えば、透視、未来予知、手を使わずにものを動かしたりできる、超能力者が実はいるんだ。そういう人が、アギトになる可能性を秘めているってこと。」

凛「へぇ、そうだったんだ…」

蓮「まぁ、アギトについての説明はこのぐらいでいいだろ。ということで、本題に入ろう。」

凛「本題?」

蓮「このコーナー、ゲストメンバーが、なんでその仮面ライダーに変身することになったのかってのが、一応メインコーナーなんだよ。」

凛「確かに、9つの仮面ライダーの中から、なんで凛はアギトに変身することになったのか、少し気になってたにゃ!」

蓮「そっ、そうなのか…でも、あんまり期待しない方がいいぞ…」

凛「えっ、どうしてにゃ?」

蓮「では、発表します。作者が初めて仮面ライダーアギトを見た時、モチーフが虎とかのネコ科の動物だと勘違いしたから。凛といえば、やっぱり猫だしな。」

凛「えっ、それだけ?」

蓮「まぁ、あとは元の仮面ライダーアギトの変身者、津上翔一さんの性格と、凛の性格が少し似てるからってのもあるな。」

凛「そうなの?その津上翔一って人の性格と、凛の性格って、どこが似てるの?」

蓮「まずは、優しい。」

凛「おぉ!嬉しいにゃ…//」

蓮「あとは、少し能天気なところがある。」

凛「うんう…ん?」

蓮「2人とも素直だが、素直すぎて少し毒舌な部分がある。」

凛「えぇ…最後の2つ、全然嬉しくないにゃぁ…」

蓮「大丈夫!俺は凛のそういう所も好…んんっ…いっ、いいところだと思うぞ!」

凛「そっ、そうかにゃ?」

蓮「あっ、あぁ!そうだよ!(あっぶねぇ…危うく好きって言っちまうところだった…)とりあえず、これが凛が仮面ライダーアギトに変身した理由だ。じゃあ凛、今日の感想とかあればどうぞ。」

凛「仮面ライダーアギトについて、意外と知らないことも多くて、そんなことも沢山知れたし、凛が仮面ライダーアギトに選ばれた理由も知れて、楽しかったにゃ!」

蓮「はい。じゃあ、この流れで次回予告行きますか。」

凛「了解にゃ!」



凛・蓮「次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!」

蓮「本当の仮面ライダーブレイド、剣崎一真と出会った希。」

凛「そんな時、かつてブレイドたちが封印したはずの、あるアンデッドが現れる…」

凛・蓮「次回、『105話 復活するアンデッド』

お楽しみに!」








はい、どうでしたか?久しぶりの何故私がこのライダーのコーナーでした。

そして、今回からアニメ8話&ブレイド編に入ります!最後には、ケンジャキ…んんっ。剣崎も登場しましたね。

と思ったら、まさかの仮面ライダージオウの方でも次回から剣崎と始が登場するとは…本当に驚きと嬉しさで、朝から叫んでしまいました。

ということで、今回はこの辺で。お気に入り登録、評価や感想など頂けると嬉しいです。質問などもあれば是非。では、次回もよろしくお願いします!


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105話 復活するアンデッド

はい、105話です。

前回から始まったアニメ8話&ブレイド編。ジオウのブレイド編も、すごい良かったです。賛否両論あるみたいですが、僕は真の最終回って感じがして好きでした。

ですが、あの話を見て気づきました。あれ?これじゃあ今回俺が書くのと矛盾してしまう…なんなら前回の最後で剣崎変身しちゃってるし…いやぁ、僕のにわかな部分が出ちゃいましたね…剣崎と始が出会ってはいけないというのは、ブレイドを見て知ってましたが、まさか変身もダメだったとは…

でも、前回書いてしまったので変えるということはしたくありません。でも、矛盾してしまうのも避けたい…と思ったんですが、今回は少し矛盾点が出てしまうと思います。まぁ、そこは暖かい目で見て貰えたら嬉しいです。

では105話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

「俺の名は…剣崎一真。仮面ライダーブレイドだ。よろしく。」

 

仮面ライダー(ブレイド)に変身した剣崎一真。そんな剣崎が、先程襲いかかってきたレンゲルと戦い始めたことに、驚きが隠せない希。

 

海外にいたはずの剣崎が、何故日本にいるのか。事の発端は、1ヶ月ほど前に遡る…

 

 

 

〜約1ヶ月前〜

 

数ヶ月前、ゲーム世界に囚われた仮面ライダーエグゼイド、宝生永夢たちを助けるため、エグゼイドたちと協力して檀黎斗を倒した剣崎。そんな剣崎は、自分自身の運命と戦うために、今はある国の紛争地域にいる。そんな中、事件は突然起こった。

 

「むっ、睦月…?」

 

突然、剣崎の前に仮面ライダーレンゲルが現れる。レンゲルの変身者といえば、すれ違うこともあったが、かつて共に戦った上城睦月。そんな睦月が、十数年ぶりに変身した状態で自分の前に現れたことに、戸惑う剣崎。

 

「俺はお前たちと、会う訳にはいかないのに…って、なっ、なんで変身してるんだ…?」

 

すると、突然レンゲルが剣崎に向かって、レンゲルラウザーを突き出してくる。

 

「っ!?ナズェ攻撃してくる!?」

 

しかし、レンゲルは攻撃の手を辞めない。

 

「お前、睦月じゃないな…まぁ、睦月がこんな所にいるはずないか。くっ…やはり俺は、運命からは逃れられないのか…!」

 

剣崎は躊躇いながらも、ブレイドに変身しようとブレイバックルとカテゴリーA、そしてキングフォームへ直接変身するため、カテゴリーKのラウズカードも取り出した。

 

「はぁっ!」

 

その時、レンゲルラウザーが振り下ろされ、カテゴリーKのラウズカードが手元から離れ、レンゲルに奪われてしまう。

 

「しまった!?」

 

「目的のものは貰った。」

 

レンゲルが変身解除し、そこに1人の白服を着た男が現れる。

 

「お前、誰だ?なんで、レンゲルに変身している?」

 

しかし、男は答えることなく去ろうとする。

 

「待て!」

 

剣崎は追いかけて行ったが、見失ってしまった。

 

〜回送終了〜

 

 

 

剣崎は相手が日本人だったので、奪われたラウズカードを取り返すため、一先ず日本に帰国してきたのだ。

 

「えっと…君…」

 

「あっ、ウチは東條希。」

 

「希ちゃん、ちょっと下がってて。」

 

「うっ、うん。」

 

「お前が奪ったカード、返してもらうぞ。ウェーイ!」

 

剣崎はブレイラウザーでレンゲルへ斬りかかるが、レンゲルラウザーで防がれる。更に、レンゲルの反撃を受けてしまう。

 

「ウッ…」

 

『スラッシュ』

 

「ウェイ!」

 

斬れ味が増したブレイラウザーで、レンゲルに斬りかかる剣崎。

 

『キック』

『サンダー』

『マッハ』

 

『ライトニングソニック』

 

「おりゃあああああああああああ!!」

 

剣崎はレンゲルに向かって、ライトニングソニックを放っていく。

 

『ゲルジェリー』

 

しかし、レンゲルはカテゴリー7、ゲルジェリーフィッシュのカードを使用し、液状化して攻撃を避けた。

 

「だったら…」

 

『アブゾーブクイーン』

 

『フュージョンジャック』

 

剣崎は仮面ライダーブレイド ジャックフォームにフォームチェンジし、再びレンゲルへ剣を振り下ろす。

 

「剣崎さん…やっぱりウチも戦わな!」

 

希はそう言い、自分もブレイバックルを巻き付ける。

 

「変身!」

 

『turn up』

 

希は仮面ライダーブレイドに変身した。

 

「やぁ!」

 

剣崎の後ろから走り、希はレンゲルへブレイラウザーを振り下ろす。

 

「希ちゃん!?なんで君も、ブレイドに…」

 

「うーん…詳しくはウチも分からないんよ…でも、剣崎さんが取られたものを取り返すの、ウチも手伝うよ!」

 

「あぁ、ありがとう。」

 

2人は共に駆け出し、ブレイラウザーでレンゲルを斬りつける。

 

「剣崎さん、今や!」

 

「あぁ!」

 

『『スラッシュ』』『『サンダー』』

『『ライトニングスラッシュ』』

 

2人はブレイラウザーに電気を纏わせ、剣崎は上空から、希は地上からレンゲルを斬り裂いた。

 

「キングのカードを返せ!」

 

さっきの攻撃の影響で倒れているレンゲルに、そう剣崎が言う。

 

「これの事か?」

 

カテゴリーKのカードを取り出したレンゲルは、そのカードを空中へ投げた。

 

『リモート』

 

そして、カテゴリー10、リモートテイピアのカードを使用し、カテゴリーK(キング)であるコーカサスビートルアンデッドの封印を解いた。

 

「カテゴリーKが、復活した…それがお前の狙いか!」

 

「あぁ、その通りだ。俺はリモートの能力で、既に他のアンデッドも解放している。さぁ、君はどうするかな?」

 

『スモッグ』

 

そう答えたレンゲルは、煙幕を出してコーカサスビートルアンデッドを連れて逃げ去って行った。

 

「待て!」

 

それを、剣崎も追いかけて行った。

 

「あっ、ちょっ…行っちゃった…そういえば、前に優くんが、ウチ達が使って変身しているライダーのアイテムは、本物のベルトをコピーした物って言ってたような…なら、あの人が本物のブレイド…」

 

希はレンゲルが落としたカテゴリーKが封印されていたカードを拾い上げながら、変身解除し希が言った。

 

「あれ?これは…」

 

更に、その近くにさっきレンゲルが言っていた、解放したであろうアンデッド、ダイヤのカテゴリーAからカテゴリーKまでのブランクラウズカードが置いてあった。

 

「なんで、これがここに…?もしかして、さっきのレンゲルっていう仮面ライダーが、どうするって聞いてきたのは、剣崎さんに対してやなくて、ウチに対して…?」

 

そう言った希は、ラウズカードを拾い上げた。

 

 

 

 

 

「はぁ…(やっぱり、極ロックシードを使った影響だよな…今日食べたものが、少し味が薄いと感じたのは。この一週間、多分オーバーロード化が進んできている…このままじゃ、俺は…)」

 

希が剣崎一真と出会った頃、優は1人で帰りながら、ため息を1つついて考える。

 

「どうしたんですか?優。」

 

そんな優の前に、海未が現れ聞いた。

 

「海未…お前、なんで?穂乃果とことりと、先に帰ったんじゃ…」

 

「少し、最近の優が気になったので。」

 

「最近の俺?」

 

「はい。ここ一週間、いつも通り振舞っているように見えましたが、さっきみたいに、ため息をつく事が多かったですよ?何か、あったんですか?」

 

「いや、別に…」

 

「なら聞き方を変えましょう。何か、あったんですよね?」

 

「……まぁ、なかったと言えば嘘になるな。でも、大したことでもないから、気にすんな。」

 

「本当にそうなんですか?」

 

「本当、だよ…絵里といい、ことりといい、μ'sはみんな心配性だな。」

 

「当たり前です。優は人を守るために、自分を投げ捨ててしまいそうなことが、何度もありました。なのに、心配しないわけがありません。あくまで予想ですが、今回も人を守るために、何か自分自身を犠牲にしようとしているんじゃないですか?」

 

「っ!?」

 

図星を突かれた優は、一瞬表情を変えた。そんな時、

 

「きゃっ…」

 

後ろから走ってきた女性が、優にぶつかり、後ろによろけてしまう。そんな女性の手を、優が掴む。それにより、海未との話が逸れる。

 

「すみません。大丈夫ですか?」

 

「えぇ…こちらこそ、本当にごめんなさい!焦っていたもので…あっ!」

 

優の支えを頼り、体制を立て直そうとした女性が、勢い余って優に抱き着くような形になってしまう。優の体に密着したことで、女性の豊富な胸が優に当たり、服がはだけてその胸が少し見える。

 

「あっ、すみません!」

 

「ひゃっ!いっ、いえっ//大丈夫でしゅ!」

 

顔を真っ赤にした優は、噛みながらそう答える。

 

「本当にすみませんでした。あっ、頭になにかついてますよ。」

 

女性はそう言い、優の頭に手を乗せ、少ししたらちょんちょんと何かを払うような動作をした。

 

「あっ、取れました!じゃあ、ありがとうございました。」

 

「いっ、いえ、こちらこそありがとうございました…//」

 

去っていった女性に、骨抜きにされた優。果たして、優は何に対して礼を言ったのだろうか…

 

「ふんっ!」

 

そんな優の足を、海未が踏みつける。

 

「痛っ!なっ、何すんだよ…」

 

「ふんっ!知りません、破廉恥な優なんて!」

 

「はっ、破廉恥…」

 

「それにしても、不思議な方でしたね。」

 

「あぁ…すげぇ美人だったなぁ…//」

 

「そういう意味ではありません!もう12月だというのに、あの女性は少し露出の多い、半袖のワンピースを着ていたじゃないですか。」

 

「確かに…」

 

「全く、あんなにデレデレしてる優は初めて見ました…」

 

「あはは…なんか、面目ない…っ!?海未!」

 

その時、後ろから襲撃してきたアンデッドに気づき、海未の体を支えながら避けた。

 

「大丈夫か?」

 

「はっ、はい…ありがとうございます。」

 

「なんでアンデッドが…いや、とにかく倒すしかないか…」

 

優と海未を取り囲むのは、ダイヤのカテゴリーA・スタッグアンデッド、カテゴリー2・アルマジロアンデッド、カテゴリー5・ホエールアンデッド、カテゴリー6・フライアンデッド、カテゴリー9・ゼブラアンデッドの5体。

 

「変身!」「はぁぁぁぁ…たぁ!」

 

「響鬼装甲!」

 

優は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに、海未は仮面ライダー装甲響鬼に変身した。

 

「俺の強さは次元を超えた!」

 

優はインフィニティソード、海未はアームドセイバーでアンデッドたちへ斬りかかる。

 

「はぁ!」

 

海未は音撃棒を取り出し、スタッグ、ホエールアンデッドへ叩いていく。

 

「はぁっ!たぁっ!やぁっ!」

 

それにダメージを受けた2体のアンデッドが、1箇所に集まる。

 

「鬼神覚声。はぁぁぁぁ…やぁぁっ!!」

 

海未は装甲声刃を通して声を増幅させ、音撃としてアンデッドに攻撃した。その影響で2体のアンデッドは倒れ、腰のアンデッドバックルが開いた。

 

 

優はインフィニティソードを片手に持ち、アルマジロアンデッド、フライアンデッドを斬りながら、ゼブラアンデッドを蹴り飛ばす。

 

「さて、一気に片付けるとしますか。」

 

『オーズ!』

 

優はインフィニティソードに、オーズデータボトルを差し込んだ。

 

『ライダー スキャニングコンボ!』

 

3体のアンデッドを一気に斬り裂いた優。すると、メダジャリバーの斬れ味と同じく、アンデッドが半分に斬れ別れたが、すぐに戻る。そして、アンデッドバックルが開いた。

 

「ふぅ…一応全部倒したけど、封印するためのラウズカードを持ってないんだよな…このままじゃ、すぐまた起き上がってくる。どうすれば…」

 

「優くん!」

 

その時、希が走ってきて、5枚のブランクラウズカードを投げ渡す。

 

「希。なんでこれを?って、とりあえず後でいいか。海未!」

 

「はい!」

 

優はその内の2枚、カテゴリーAと5の封印前のラウズカードを海未に渡し、海未はその2体を封印した。そして、優もカテゴリー2、6、9のアンデッドを封印した。

 

2人は変身解除し、希に駆け寄った。

 

「希。どうしてあのカードを持っていたのです?」

 

「さっき、レンゲルっていう仮面ライダーが現れて、落としていったんよ。」

 

「仮面ライダーレンゲル…」

 

「多分、財団Xの人が変身したんやと思う。」

 

「(なんで財団Xが、レンゲルのシステムやアンデッドを持っているんだ…?まさか、アンデッドまで作り出せるようになったんじゃないだろうな…?)まぁ、とりあえず希、これはお前が持っててくれ。」

 

優はそう言い、さっき封印した5体のアンデッドが入ったダイヤのラウズカードと、封印前の残りのラウズカードを希に渡した。

 

「えっ、ウチが?」

 

「あぁ。俺が持ってても、どうせ使えないしな。それに、なんか希が持ってた方がいい気がする。もし、本当の持ち主と出会えたら、返しといてくれ。」

 

「うっ、うん。分かった。」

 

希が5枚のラウズカードを受け取り、その日は解散となった。

 

 

 

「へぇ、あれが今のインフィニティねぇ…中々可愛い子じゃない。それに、面白い記憶を持ってるようね。リミッターも解除したことだし…フフフ、そろそろ私も動く頃合いかしらね。」

 

優たちの戦いを少し離れたところで見ていたさっきの女が、不敵な笑みを浮かべてそう言った。

 

 

 

 

 

翌日、土曜日…

 

曲の件に関しては明日、全員で集まることになっているので、今日は基礎練習をしているμ's。

 

 

 

それと同時刻、喫茶JACARANDAでは…

 

「いらっしゃいませ。って、お前か。」

 

入ってきた客にそう言ったのは、この喫茶店の従業員、相川始。ジョーカーアンデッドであり、仮面ライダーカリスに変身する男だ。

 

「悪かったな、俺で。」

 

始にそう返したのは、橘朔也。BOARDの一員として、仮面ライダーギャレンとして戦っていた男。

 

「それより大変だ。ア「アンデッドの封印が解かれた、だろ?」

 

「っ…!知っていたのか?」

 

「俺はジョーカーだ。俺以外のアンデッドは剣崎しかいない。そんな中、突然多数のアンデッドの封印が解かれたら、嫌でも気づく。」

 

「そうか。」

 

そう話す始と橘。2人が再開したのは、1ヶ月半ほど前まで遡る。

 

 

 

〜約1ヶ月半前〜

 

「いらっしゃいま…橘?」

 

「久しぶりだな。始。」

 

「あぁ。今日はどうした?何か食べに来たのか?」

 

「いや、そういう訳では無いんだが…でも、せっかくだし何か食べるとするか。」

 

「そうか。今日のおすすめはグラタンだ。」

 

「じゃあ、それとホットコーヒーで。」

 

 

グラタンとホットコーヒーが運ばれてきて、それを食べ始める橘。

 

「それで、用はなんだ?」

 

「あぁ。本当なら、こんな呑気に食事をしている場合ではないんだ。」

 

「何があった?」

 

「BOARDで厳重に保管されていた、ダイヤとクローバーのラウズカードと、レンゲルバックルが何者かに盗まれた。」

 

「何!?」

 

「それで、お前に預けているハートのラウズカードが無事か、確かめに来たんだが…見た感じ、大丈夫そうだな。」

 

「あぁ。今も俺が持っている。」

 

そう言い、13枚のラウズカードを見せる始。

 

「そうか。」

 

〜回想終了〜

 

 

 

「恐らく、封印が解かれたアンデッドは、盗まれたレンゲルバックルで変身した何者かが、クローバーのカテゴリー10、リモートの力を使って封印を解いたんだろうな。」

 

始が橘にそう言った。

 

「あぁ。とりあえず、俺はアンデッドを探す。だが、ラウズカードがない今、変身することが出来ない…」

 

「なるほど。それで変身できる俺に。」

 

「あぁ。悪いな…」

 

「いや、俺もアンデッドが封印されたと気づいて、動こうと思っていたところだ。それに、たとえお前が変身出来るのだとしても、俺は戦っている。せめて、剣崎の代わりに戦うぐらいはしないと、あいつに面目がたたん。」

 

「ふっ…始は変わったな。」

 

「そんなことは無い。それに、万が一俺か、この世界のどこかにいる剣崎が封印されてしまったら、たとえ全てのアンデッドを封印しているとしても、またダークローチが大量に出てきて、人類が滅ぶ可能性がある。」

 

「あぁ…それに、もし今の状況でお前も、剣崎も両方封印されてしまったら…」

 

「その後バトルファイトに勝ち残った、何かのアンデッドの子孫が繁栄した世界に変わり、人類が滅ぶ。そんなことにはさせない…!悪い、少し待っててくれ。遥香さんが下にいるから、一言言ってくる。」

 

「あぁ。」

 

その数分後、2人はJACARANDAを飛び出して行った。

 

 

 

 

 

「変身!」

 

練習終わりの帰り道、ダイヤのカテゴリー3・フロッグアンデッド、カテゴリー4・ペッカーアンデッド、カテゴリー10・カメレオアンデッドと遭遇した優は、仮面ライダーインフィニティに変身して戦闘を開始する。

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

「はぁ!」

 

優はインフィニティソードで3体のアンデッドへ斬りかかって行った。

 

 

 

時を同じくして、ダイヤのカテゴリー7・トータスアンデッド、カテゴリー8・バットアンデッド、仮面ライダーレンゲルが暴れているところに、JACARANDAを飛び出して行った、橘と始の2人が駆けつける。

 

「やはりダイヤのラウズカードから、アンデッドが復活されていたのか…」

 

「あぁ、その通りさ。今俺が変身しているレンゲルの、リモートの力でな。ジョーカー、君の持っているラウズカードも貰うよ。」

 

「俺をその名で呼ぶな。」

 

始はハートのカテゴリーA、チェンジマンティスのラウズカードを手に構える。すると、始の腰にカリスラウザーが出現する。

 

「変身!」

 

『CHANGE』

 

始は黒いスーツに銀のアーマーを纏ったライダー、仮面ライダーカリスに変身した。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

始はカリスアローを手に、2体のアンデッドとレンゲルへ斬り掛かって行った。

 

 

 

「ぐっ…相手が3体ともなると、やっぱりきついな…」

 

優が3体のアンデッドに苦戦している時、

 

「変身!」

 

『turn up』

 

後ろから現れた仮面ライダーブレイドが、アンデッドを斬り裂いた。

 

「大丈夫か?」

 

「その声、希じゃない…じゃあまさか、本物の仮面ライダーブレイド!?」

 

「あぁ、俺は剣崎一真。…!?」

 

その時、自身の能力で周りの景色と同化していたカメレオンアンデッドが姿を現し、剣崎に襲いかかった。それを手で防いだ剣崎は、ダメージを少し受ける。

 

「とにかく話は後だ。さっさと倒そう!」

 

「はい!」

 

優はオリジンデータボトルを取り出した。

 

『フュージョンジャック』

 

剣崎は仮面ライダーブレイド ジャックフォームに、優は仮面ライダーインフィニティオリジンに変身した。

 

『スラッシュ』『サンダー』

『ライトニングスラッシュ』

 

「ウェーーイ!」

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

剣崎はブレイラウザーに電気を纏わせ、フロッグ、ペッカーアンデッドを斬り裂いた。優はインフィニティソードでカメレオンアンデッドを斬り裂いた。

 

「ふぅ…あっ、しまった…封印前のラウズカードも、希に渡してたんだった…こうなったら。」

 

優は変身解除し、ウィザードライバー(ドライバーオン前のベルト状態)を呼び出し、コネクトリングを指にはめた。そして優は、リングをはめていない方の手でスマホを操作し、電話をかけた。

 

「ベルトが変わった!?」

 

優のベルトがウィザードライバーに変わったということに、剣崎は少し驚く。

 

「もしもし、希か?」

 

『優くん?どないしたん?ウチ、今ちょっと急いでて…』

 

「悪い、すぐ済むから!今、どの辺にいる?」

 

『えっ?ちょっと用事があって、音ノ木坂学院にいて、今校門の前やけど?』

 

「そうか、分かった。」

 

『コネクト プリーズ』

 

「魔法陣!?えっ、手が魔法陣の中に!?」

 

優はコネクトリングをはめている方の手を、魔法陣の中に入れた。そして、その事に驚く剣崎。

 

 

「わぁっ!?えっ、てっ、手?」

 

優が魔法陣を通じて手を向かわせた場所は、希のところだった。

 

『希、悪い!昨日渡したカテゴリー3、4、10のラウズカードを貸してくれ!』

 

魔法陣から出ている手をチョイチョイと動かし、電話でそう伝えた優。

 

「えっ?あっ、うん。ええけど…」

 

希は優の手に3枚のラウズカードを乗せ、それを確認した優は手を引っ込めた。

 

「なんやったんやろ…って、ウチもはよ行かな!」

 

一瞬戸惑った希だが、すぐにどこかへ走っていった。

 

 

 

「うわっ!魔法陣からラウズカードが…ってか、なんでラウズカードを?」

 

「驚きすぎですよ、剣崎さん。」

 

そう言いながら、優は3体のアンデッドを封印した。

 

「いや、それは誰でも驚くと思うけどな…」

 

そう答えた剣崎は、変身解除した。

 

「改めて、俺は剣崎一真。よろしく。」

 

「はい。俺は仮野優です。よろしくおねが…っ!?」

 

その時、さっきのダメージで剣崎の手から血が流れ出し、その血が緑色だということに気づき、驚く優。

 

「剣崎さん、血が…そうか。剣崎さんは、ジョーカーアンデッドだから…」

 

「知っているのか?」

 

「はい。一応、ブレイドに関する知識も多少は得ているので…」

 

「あぁ、その通りだ。アンデッドとの融合度数が高い俺は、カテゴリーKを使ってスペードの全てのアンデットと融合した。その影響で、アンデッドになった。」

 

「あの、失礼なことを聞くかもしれませんが、怖くなかったんですか…?剣崎さんは、アンデッドになる恐れのある力を使うことが…」

 

極アームズというオーバーロードになる恐れがある力を1度使い、自身の体に違和感を感じ始めている優は、似た力で人間じゃなくなった剣崎に、どうしても気になってそう聞いた。

 

「なんでそんなことを?」

 

「それは…俺も、似た力を手に入れたんです。まぁ、今はなるべく使わないようにしているんですけどね…」

 

「そうか…怖くなかった、っていえば嘘になるかな。」

 

「えっ?」

 

「元々は、俺もなるべくキングフォームの力を使わないようにしてた。でも、たとえ人間じゃなくなるんだとしても、仲間と離れ離れになるんだとしても…それ以上に守りたいものができた。だから、俺はアンデッドになる道を選んだ。」

 

「それ以上に、守りたいもの…」

 

「だから、君がその力を最終的にどうするかを決めるのは、君自身だ、優。」

 

「俺自身…」

 

「まぁ、俺に言えるのはこれぐらいかな?俺はそろそろ行くよ。じゃあな。」

 

そう言い、剣崎は去っていった…




〜次回のµ’sと仮面ライダーの物語!〜

ラブソングについて再び話し合うµ’sだが、中々決まらない…
そして、剣崎一真と出会った希。そんな希はアンデッドを倒すため駆けつけた場所で、また新たなライダーと出会う…

次回、『106話 トランプライダーズ』



ということで105話、どうでしたか?ジオウであんな良いブレイド編があった後にこの話を投稿するのは、かなりお恥ずかしいです…ですが、残りのブレイド編も、書くからには全力で書かせていただきます!

では今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想など頂けると凄く嬉しいです!では次回も是非、見てください!



あと、最近投稿ペース遅くなってしまい、すみません…


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106話 トランプライダーズ

はい、106話です!

恐らく、今回が平成最後の投稿になると思います!

では106話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

「はっ!何!?くっ…」

 

始はカリスアローでレンゲルを撃ち抜こうとするが、トータスアンデッドに邪魔される。

 

「始!くそっ、俺が変身さえ出来れば…っ!?」

 

悔しそうに声を漏らす橘に、バットアンデッドが襲いかかる。それを避けるため後ろに下がった橘は、その衝撃でポケットに入っているギャレンバックルを落としてしまう。しかし、そんなことはお構い無しに再びバットアンデッドが襲いかかってくる。

 

「たぁぁぁぁ!」

 

そこに、優に3枚のラウズカードを渡したすぐ後の希が駆けつけ、バットアンデッドに体当たりして橘を守る。

 

「お兄さん、大丈夫?」

 

「あっ、あぁ…君は?」

 

「ウチは東條希。仮面ライダー、ブレイド。」

 

「ブレイド!?」

 

「あれ?これは…ってことはもしかして、これお兄さんの?」

 

橘が落としたギャレンバックルを見た希は、希が持ってるダイヤのラウズカードを見せながら橘に問う。

 

「何故君がこのラウズカードを?」

 

「敵の組織が落として行ったんよ。持ち主の人と会ったら返そうと思っとんたん。ちょうど良かった、これお兄さんに返すね。」

 

「あぁ、ありがとう。」

 

希からラウズカードを受け取った橘。その後、希はブレイバックルにスペードのカテゴリーAのラウズカードを入れて、腰に巻き付ける。

 

「変身!」

 

『turn up』

 

希は仮面ライダーブレイドに変身した。

 

「本当に君が、ブレイド…」

 

「行くで!」

 

橘が驚いている中、希は始に襲いかかっているトータスアンデッドと戦闘を開始した。

 

「とにかく俺も…」

 

橘は目の前にいるバットアンデッドの方を向き、ギャレンバックルにダイヤのカテゴリーAのラウズカードを入れ、腰に巻き付けた。

 

「変身!」

 

『turn up』

 

橘は仮面ライダーギャレンに変身した。

 

「はぁ!」

 

橘は走り出し、バットアンデッドに殴りかかる。

 

その橘から少し離れたところで仮面ライダーカリス、相川始とレンゲルは、それぞれの武器がぶつかり火花が散る。

 

『バイオ』『チョップ』

 

始はカリスアローから出したツタでレンゲルを拘束し、そのまま引き付けて強力なチョップを食らわせた。

 

「くっ…ならば!」

 

『バイト』『ブリザード』

『ブリザードクラッシュ』

 

「はぁぁあ!」

 

レンゲルは冷気を放ちながら挟み蹴りを放とうとするが、

 

『リフレクト』

 

カリスはバリアをはり、跳ね返した。

 

「これで終わりだ。」

 

『フロート』『ドリル』『トルネード』

『スピニングダンス』

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

始は竜巻を起こしながら浮遊し、回転蹴りを放った。それにより、レンゲルはバックルが外れ、強制変身解除に至り倒れた。

 

「こいつは返してもらうぞ。」

 

カリスは落ちているレンゲルバックルを拾い上げ、そう言った。

 

「くっ…ぐぁぁぁぁぁ!」

 

すると、レンゲルに変身していた男は苦しみだし、粒子となって消えた。

 

「何?ぐっ…!?」

 

その事に驚いた始だったが、その直後何者かの攻撃を受けた。

 

「お前は…!」

 

「カテゴリーK…」

 

始を襲ったのはスペードのカテゴリーK、コーカサスビートルアンデッドだ。その事に、バットアンデッドと戦っている橘も驚く。

 

「何故剣崎が封印したはずのあいつが…!?」

 

「さっきのレンゲルが、リモートってカードを使って封印を解いたんです!」

 

驚く橘に、トータスアンデッドと戦いながら説明する希。

 

「しかし、レンゲルを倒した今、リモートの能力も切れるはず…なのに何故…」

 

「恐らく、財団Xが改造でもっ…はぁ!したんだろう…」

 

会話の途中でバットアンデッドを吹き飛ばし、距離を取った橘。

 

「橘さん!」

 

そこに、もう1人ある人物が現れる。

 

「睦月!?」

 

現れたのは、上城睦月。かつて仮面ライダーレンゲルに変身していた男だ。

 

「どうしてここに…」

 

「たまたま通りかかったら、アンデッドがいたんで駆けつけました。俺も戦います!」

 

「でもっ!」

 

「今の俺は昔と違います!相川さん、バックルを!」

 

「あぁ!」

 

始は睦月に、レンゲルバックルを投げ渡す。睦月はレンゲルバックルにクローバーのカテゴリーAのラウズカードを差し込み、腰に巻き付ける。

 

「変身!」

 

『OPEN UP』

 

睦月は仮面ライダーレンゲルに変身した。その前には、トータスアンデッド、バットアンデッド、コーカサスビートルアンデッドの3体のアンデッドが構えている。

 

そして、変身した睦月の隣に、希たちも並び立つ。ブレイド、カリス、ギャレン、レンゲルの4人の仮面ライダーが並び立った。

 

「お二人さん、これを。」

 

希は睦月と橘に、カテゴリー7、8の封印前のダイヤのラウズカードを渡した。

 

「よし、行くぞ。」

 

4人のライダーは走り出し、希と始はコーカサスビートルアンデッドと、橘はバットアンデッドと、睦月はトータスアンデッドと戦闘を開始した。

 

 

 

『スタッブ』

 

「おりゃあああ!」

 

打撃力を強化したレンゲルラウザーで、トータスアンデッドを突き刺す睦月。

 

「はっ!やぁ!」

 

更にレンゲルラウザーで殴り、突いていく。睦月の攻撃に、押されるトータスアンデッド。

 

「何年も戦ってなかったけど、体はあんまりなまってないな…よしっ!」

 

『ラッシュ』『ブリザード』『ポイズン』

『ブリザードベノム』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

睦月は上空に飛び、冷気を出しながら着地と同時にトータスアンデッドに、レンゲルラウザーを突き刺した。更に、レンゲルラウザーから毒を吐き出した。そのダメージで、トータスアンデッドのアンデッドバックルが開き、睦月はラウズカードを投げ封印した。

 

 

 

『バレット』

 

橘はバットアンデッドへ、ギャレンラウザーから、強化した弾丸を放っていく。

 

『アッパー』

 

「はぁぁ!」

 

更に、腕力を強化し、強力なアッパーを放った。

 

「これで決める。」

 

『ドロップ』『ファイア』『ジェミニ』

『バーニングディバイド』

 

橘は上空で2人に分身し、炎を纏った両足でバットアンデッドにキックを決めた。そして、倒れているバットアンデッドを封印した。

 

 

 

『スラッシュ』

 

『トルネード』

 

「やぁ!」

 

希は斬れ味の増したブレイラウザーで、コーカサスビートルアンデッドを斬りつけるが、腕のバリアで防がれてしまう。始もカリスアローから風を纏った矢を放ったが、それも防がれてしまう。

 

『タックル』

 

「はぁぁあああ!!」

 

希はコーカサスビートルアンデッドに向かって、思い切りタックルするが、それも効かない。

 

「あのバリアをなんとかせんと…」

 

「同時にあの盾を狙ってみるぞ。」

 

「そうやね。」

 

『ビート』

 

『チョップ』『バイオ』

 

始はコーカサスビートルアンデッドを拘束し、自分たちの方へ引き寄せてくる。

 

「やぁぁぁぁ!」「はぁぁぁぁ!」

 

そして、引き寄せてきたコーカサスビートルアンデッドの盾に向けて、希と2人でダブルパンチを浴びせた。それにより、少し盾にヒビが入った。

 

「よし、このまま一気に…やぁぁぁぁ!」

 

希はコーカサスビートルアンデッドの盾を殴り、更にもう一発、もう一発と続いて何度も殴る。

 

「やぁ!やぁ!はぁぁ!」

 

希の連続攻撃に、怯んでいくコーカサスビートルアンデッド。

 

「たぁぁ!」

 

最後に思いっきり希が殴り、ついにコーカサスビートルアンデッドの盾を壊すことに成功した。

 

「やった!」

 

「喜ぶのはまだ早い。トドメを決めるぞ。」

 

「あっ、はい!そうやね。」

 

『フュージョンジャック』

 

『エボリューション』

 

希は仮面ライダーブレイド ジャックフォームに、そして始は、仮面ライダーワイルドカリスに変身した。そして、始はハートの13枚全てのラウズカードを融合させた。

 

『スラッシュ』『サンダー』

『ライトニングスラッシュ』

 

『ワイルド』

 

「やぁぁぁぁ!」「はぁぁぁぁ!」

 

希は走り出し、コーカサスビートルアンデッドとすれ違い様にブレイラウザーで斬り裂き、その逆から始がカリスアローで斬り裂いた。その攻撃の影響で、コーカサスビートルアンデッドのアンデッドバックルが開いた。

 

「よし…あの、これを。」

 

希はコーカサスビートルアンデッドを封印し、そのラウズカードを始に渡した。

 

『スピリット』

 

そして、始はハートのカテゴリー2、スピリットラウズカードをスキャンし、相川始の姿に戻った。それに続いて、希、橘、睦月も変身解除した。

 

「始と協力したとはいえ、まさかカテゴリーKを封印するなんてな…中々強いな、君。」

 

「ウチなんて、そんな…」

 

「自己紹介がまだだったね。俺は橘朔也だ。」

 

「俺は上条睦月です。」

 

「相川始だ。」

 

「あっ、改めてウチは東條希です。」

 

「ところで、何故君はブレイドのバックルとラウズカードを持っている?本来は長いこと会えていない、俺達の仲間が持っている力だ。場合によっては…」

 

「ちょっ、ちょっと待って!多分これは、その仲間の人が持ってる物とは違う。これは元のブレイバックルとラウズカードをコピーして作られた物って、前に聞いたんや。」

 

「そうか。しかし、何故そんなものが…」

 

「うーん…それは、ウチにもよう分からんのよ。そういえば、さっき言ってたお仲間さんって、剣崎さんのこと?」

 

「…!?けん「剣崎を知っているのか!?」

 

驚いて橘が聞こうとしたのを遮って、焦って始が聞いた。

 

「うっ、うん…昨日、さっきのレンゲルが現れて、その時ブレイドに変身して助けてくれたんや。ウチと同じ姿に変身したから、よく覚えとるよ。」

 

「昨日!?」

 

「なら、今も剣崎さんは、この近くに…どうします?橘さん、相川さん。」

 

「……俺はあいつと会うわけには…」

 

「とにかく、今はまだ封印していないアンデッドが先決だ。それに、剣崎が戻ってきているのも、アンデッドを封印するためかもしれないからな。」

 

迷う始に、そう促した橘。

 

「じゃあ、希ちゃん。俺たちはこれで。」

 

「はい。ありがとうございました。」

 

橘、睦月、始の3人は希と別れて走っていく。しかし、始は途中で立ち止まり、希の方に再び戻ってくる。

 

「東條希。お前のアンデッドとの融合度数がどのぐらいかは知らんが、万が一お前が剣崎程の融合度数なら、このまま変身を続けると、元のままではすまなくなるかもしれない。それでも、お前は戦うか?」

 

「……うん。ウチには、どうしても守りたい人がいるんや。その人は、自分の命のことなんて考えもしないで、人を守ることだけを考えてる。だから、そんな彼の力に、少しでもなりたい。だからウチは、誰かに…たとえその彼に止められても、人を守るために戦う!」

 

「そうか…俺はもう、剣崎のようにアンデッドになる人を、出したくはない。だが、今のお前を何故だか信じたくなった。剣崎と同じ、ブレイドに変身するお前を…」

 

「ウチを、信じる…?」

 

「あぁ。そうだ、こいつはお前が持っておけ。」

 

始はさっき封印したスペードのカテゴリーKのラウズカードを、希に渡す。

 

「多分、剣崎はもう俺と会おうとしないだろうからな。また剣崎と会ったら、返しておいてくれないか?それまでこのカードをどう使うかは、お前の自由だ。」

 

「えっ…?それってどういう…」

 

そんな希の言葉には答えず、始は去っていった。

 

「……ありがとう、始さん。ウチは、あなたが信じれる人になれるかはわからんけど、頑張ってみるよ。」

 

始の後ろ姿を眺めて、希は小さく、強く言った。

 

 

 

「すまんな、勝手にラウズカードを渡して。」

 

「いや、俺はいいんだが…お前はいいのか?」

 

戻ってきた始に、橘にそう聞いた。

 

「どういうことだ?」

 

「剣崎の時は、13枚全てのラウズカードを揃えたことで戻ったが、もし希ちゃんがキングフォームに変身したら、お前はまたジョーカーになる恐れが…」

 

「大丈夫だ。根拠はないが、そう言える。これ以上、剣崎の努力を無駄にしたくはないからな。」

 

「そうか…」

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

翌日…

 

「好きだ!愛してる!うわぁぁ、こんなんじゃないよねぇ…!」

 

穂乃果の家に、μ's9人と俺たちマネージャー3人が集まり、ラブソングについて話し合っている時、穂乃果が自分の恋愛のイメージを伝えてはみたものの、中々しっくりとこなかったようだ。

 

「まっ、まぁ、間違ってはないわね…」

 

苦笑を浮かべてそう言った絵里を、真姫はどこか怪しげな目で見つめている。

 

「はぁ…ラブソングって、難しんだね…」

 

「ラブソングは結局のところ、好きという気持ちをどう表現するかだから、ストレートな穂乃果には難しいかもね。」

 

「ストレートというより、単純なだけよ。」

 

せっかく絵里がやんわりと言ったのに、そんなストレートに言ってやるなよにこ…

 

「と言うにこっちも、ノート真っ白やん。」

 

「うわっ…これから書くのよ!」

 

「まあまあ、じゃあ参考に、恋愛映画でも見てみない?」

 

「恋愛映画かぁ…」

 

 

 

ことりの提案で、恋愛映画を見ることになった俺たち。映画は愛し合うことが認められない2人が禁断の恋をする、という、まあ定番って言ったら定番な話。そんな映画も、最後の盛り上がりを見せている。

 

「うぅ…可哀想…」

 

涙を流しながらそう言った花陽。絵里、ことりも涙を流しながら映画に夢中。それとは真逆で、退屈だったのか穂乃果と凛、更に蓮も夢の中だ。真姫もどこか興味なさげに映画を見ているが、その隣のにこはというと…

 

「うぅぅぅ…ぬわぁによ、安っぽいストーリーねっ…」

 

口では文句を言っているが、ボロボロと涙を流している。

 

「涙出とるよ。それにしても、秀夜くんがああなるのは、なんか意外やね。」

 

希が指さした方向には、花陽たちと同じく感動で涙を流している秀夜。

 

「あー、あいつ意外とロマンチストなんだよなぁ…」

 

「うっ…うるせぇよ、くぅ…」

 

「うぅ…くぅ、うぅぅ…」

 

そんな中、感動とはまた違う、怯えたようにうずくまっている人物が1人…

 

「海未ちゃん?なんで隠れてるの?怖い映画じゃないよ。」

 

「ぞうよ、こんな感動的なジーンなのに…」

 

「分かってます!恥ずかしいっ!あ、あぁぁ…ひぇぇぇぇ…」

 

「「「あぁ!」」」

 

そして、とうとうお待ちかね?のキスシーン。2人が口付けを使用としたその時、

 

ピッ

 

海未がテレビの電源を切り、電気をつけた。あちゃー、1番の見せ場が…

 

「はぁはぁ…」

 

「海未ちゃん!」

 

「恥ずかしすぎます!破廉恥です!」

 

「そうかな?」

 

「そもそもこういうことは、人前ですべきものじゃありません!」

 

「うぇ…?」

 

「なんだ…?」

 

「終わったにゃ…?」

 

眠そうな穂乃果、蓮、凛が目を覚ました。

 

「穂乃果ちゃん、開始3分で寝ちゃってたね。」

 

「ごめぇん…のんびりしてる映画だなぁって思ったら、眠くなっちゃって…」

 

「中々映画のようにはいかないわよね。」

 

「っていうか、映画よりももっと身近に、恋愛経験がある人がいるでしょ。」

 

にこがそう言うと、全員が『えっ?』と声を上げる。

 

この中で恋愛経験って、まさか…

 

「優。あんた、茜と付き合ってたんでしょ?」

 

やっぱり…

 

「いや、まあそうだけど、別に大して話すようなこととかないぞ?」

 

「でもでもっ、付き合ってたなら、キスとかしたんでしょ?」

 

穂乃果がそう俺に詰め寄って聞いてきた。

 

「……いや、その…………………//」

 

「えっ?なんて?」

 

「だから…したこと、ないんだよ…キス…//」

 

 

・・・

 

 

『えぇー!?』

 

俺の返答に、海未を除く全員が驚いて声を上げる。海未だけは、「高校生の男女がキスなんて、破廉恥です…//」などと呟いている。

 

「なんでなんで!?」

 

「いや、なんでって言われても…」

 

「茜ちゃんからは誘われたりしなかったん?」

 

「茜のあの性格なら、積極的に言ってたと思うけど…」

 

茜を知ってる希と絵里が、そう聞いてくる。

 

「いや、まあなかったと言えば嘘になるんだが…その…いつも恥ずかしくて話逸らしてたんだよ…//」

 

「優くん…」

 

「ヘタレ…」

 

「まぁ、優らしいと言えば優らしいわね…(好きな人である優がキスしていなかったんだから嬉しいことなんだけど、これは茜が可哀想ね…)」

 

穂乃果、にこ、絵里がそう言ってくる。他のみんなも苦笑を浮かべている。っておい、にこ…ヘタレってなぁ…いやまぁ、その通りだよな…茜が死んだ今となっては、あそこでヘタレた俺を殴り飛ばしたい…

 

「とりあえず、もう一度みんなで言葉を出し合って…」

 

「待って!」

 

絵里の言葉を遮って、真姫が言う。

 

「もう諦めた方がいいんじゃない?今から曲を作って、振り付けも歌の練習もこれからなんて、完成度が低くなるだけよ。」

 

「でも!」

 

「実は私も思ってました。ラブソングに頼らなくても、私たちには、私たちの歌がある。」

 

「そうだよね。」

 

「相手はA‐RISE。下手な小細工は通用しないわよ。」

 

真姫に続いて、海未、穂乃果、にこも言った。

 

「でもっ!」

 

それでも絵里は、ラブソングがいいと言おうとした。しかし…

 

「確かにみんなの言う通りや。今までの曲で全力を注いで頑張ろ?」

 

最初にラブソングを提案した希本人が、そう言った。

 

「希…」

 

「今見たら、カードもそれがいいって。」

 

「待って希…あなた…」

 

「ええんや。一番大切なのは、μ'sやろ?」

 

「どうかしたの?」

 

その希の言葉に、疑問を持った穂乃果が聞いた。

 

「じゃあ今日は解散して、明日からまた練習やね。」

 

希がそう言い、今日は解散することになった。しかし、俺の中には気がかりなことが1つ…

 

なんで絵里は、あそこまでラブソングにこだわっていたんだ…?多分、それには希もなにか関わっている…仕方ない。こんなことするのはどうかと思うが、尾行してみるか…

 

そして、絵里と希の後をつけようと思い、2人が帰って行った方向に向かった俺。これじゃあ、俺が変態みたいだな…

 

絵里と希に追いつき、物陰に隠れようとした時、同じ考えだったのか真姫がいた。

 

「真姫?」

 

「優。どうしたのよ?こんな所に来て。」

 

「いや、多分真姫と同じ考えだと思う。」

 

「そう…」

 

俺は真姫と同じく物陰に隠れ、2人の会話を盗み聞きする。

 

「本当にいいの?」

 

「いいって言ったやろ?」

 

「ちゃんと言うべきよ。希が言えば、みんな絶対協力してくれる。」

 

「ウチには、これがあれば充分なんよ。」

 

1枚のタロットカードを取り出し、そう言った希。

 

「意地っ張り…」

 

「絵里ちに言われたくないなぁ…」

 

「どういうこと?」

 

2人の会話を聞き、真姫の口からそんな言葉が零れた。

 

ラブソング…恋…

 

 

『優くん、私…優くんの事…ううん、なんでもない…バイバイ、優くん。』

 

『─…またな!』

 

『ッ…!うん、またね!』

 

 

何故か突然、いつしか俺が見た夢がふと頭を過ぎる。普通夢なんて、すぐ忘れるものだけど、昔の記憶に関する夢は覚えていることが多い。

 

俺が考え込み、少しぼーっとしている間に…

 

「待って!」

 

真姫は我慢の限界で、2人に声をかけてしまった。

 

「前に私に言ったわよね!めんどくさい人間だって。」

 

「そうやったっけ?」

 

「自分の方がよっぽどめんどくさいじゃない!」

 

「気が合うわね。同意見よ。」

 

「そうだな。それは俺もそう思う。」

 

 

 

「「お邪魔します。」」

 

「遠慮せんと入って。」

 

それから俺たちは、希に案内され彼女の家にやってきた。

 

「お茶でええ?」

 

台所でお湯を沸かしながら、そう聞いてくる希。

 

「あっ、うん。」

 

「悪いな。」

 

そう答えた真姫と俺は、キョロキョロと希の部屋を見回す。すると、1つ気になる点が…

 

「1人暮し、なの?」

 

この家には、希以外誰か住んでる気配がないのだ。

 

「うん。子供の頃から、両親の仕事の都合から、転校が多くてね。」

 

「そう、なのか…」

 

「だから、音ノ木坂に来て、やっと居場所が出来たって。」

 

「その話はやめてよ。こんな時に話すことじゃないよ。」

 

絵里の話をそう言って止めた希。

 

「ちゃんと話してよ。もうここまで来たんだから。」

 

「そうよ。隠しておいても、しょうがないでしょ?」

 

「別に、隠していたわけやないんよ?えりちが大事にしただけやん。」

 

「嘘。μ's結成した時から、ずっと楽しみにしていたでしょ?」

 

「そんなことない。」

 

「希…!」

 

「ウチが、ちょっとした希望を持っていただけよ。」

 

絵里と希が話しているが、俺と真姫にはなんの話なのか全く検討がつかない。

 

「いい加減にして!いつまで経っても話が見えない!」

 

「どういうことなんだ?」

 

俺たちがそう聞いても、希はまだ話そうとしない。

 

「希!」

 

そう少し威圧的に言った真姫に、

 

「簡単に言うとね、夢だったのよ。希の。」

 

絵里が代わりに話し始めた。

 

「えりち。」

 

「ここまで来て、何も教えない訳にはいかないわ。」

 

「夢?」

 

「ラブソングが?」

 

「ううん。大事なのは、ラブソングかどうかじゃない。12人みんなで、曲を作りたいって。一人一人の言葉を紡いで、想いを紡いで、本当に全員で作り上げた曲。そんな曲を作りたい、そんな曲でラブライブに出たい!それが希の夢だったの。だから、ラブソングを提案したのよ。上手く、いかなかったけどね…」

 

残念そうに笑いながら、そう話す絵里。

 

「みんなでアイデアを出し合って、1つの曲を作れたらって…」

 

「言ったやろ。ウチが言ってたのは、夢なんて大それたものやないって。」

 

「じゃあなんなの?」

 

「なんやろうね…ただ、曲じゃなくてもいい。12人が集まって、力を合わせて、何かをうみ出せれば、それで良かったんよ。ウチにとって、この12人は奇跡だったから…」

 

「奇跡?」

 

「そっ。ウチにとって、μ'sは、奇跡…」

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「そっ。ウチにとって、μ'sは、奇跡…」

 

そう言った希は、昔の自分について語り始める。

 

 

「転校ばかりで、友達はいなかった。当然、分かり合える相手も。でも、そんな小学生の頃、1人だけ、友達が出来た。1人でいるウチに、何度も何度も話しかけてくれた子が…でも、その子とも転校ですぐに別れることになってしまった。それに、多分もうその人も、ウチのことなんて忘れてしまってると思う。」

 

「…!」

 

そして、時は過ぎ2年前…希が音ノ木坂学院に入学した時のこと…

 

『皆さん、はじめまして。絢瀬絵里といいます。よろしく。』

 

「初めて出会った。自分を大切にするあまり、周りと距離を置いて、みんなと上手くとけ込めない。ずるが出来ない。まるで、自分と同じような人に…想いは人一倍強く、不器用な分、人とぶつかって…」

 

 

『あのっ!』

 

『あなたは?』

 

『わっ、私…あっ…ウチっ、東條希!』

 

 

「それがウチとえりちの出会いやった。その後も、同じ想いを持つ人がいるのに、どうしても手をとりあえなくて…真姫ちゃん見た時も、熱い想いはあるのに、どうやって繋がっていいか分からない。そんな子が、ここにも、ここにも…そんな時、それを、大きな力で繋いでくれる存在が現れた。」

 

そう話す希の脳裏には、まだ3人だった頃のμ'sが浮かぶ。

 

「想いを同じくする人がいて、繋いでくれる存在がいる。必ず形にしたかった。この12人で、何かを残したかった。確かに、歌という形になれば、良かったのかもしれない。けど、そうじゃなくても、μ'sはもう既に、なにか大きなものを、とっくに生み出してる。ウチはそれで充分。夢はとっくに…」

 

そう言いながら希が持ったティーカップのお茶には、笑っている子供の頃の自分の姿が映し出された。そして、1人で夕食を食べていた頃と違って、以前µ’s9人とマネージャー3人で、ほむまんを食べたことを思い出す。

 

「1番の夢は、とっくに…だからこの話はおしまい。」

 

「って、希は言うんだけど、どう思う?」

 

絵里にそう聞かれ、真姫は絵里と一緒にスマホを取り出す。

 

「まさか、みんなをここに集めるの!?」

 

「いいでしょ。1度ぐらい、みんなを招待しても。友達、なんだから。」

 

「(友達…)」

 

そして、他のメンバーをここに呼ぶことになった。そんな中、優は何故か上の空。

 

「優、どうかしたの?」

 

「あっ、いや、なんでも…希、少しいいか?」

 

「えっ?」

 

 

 

全員揃うまで時間があるため、ベランダで話すことになった2人。

 

「希って、音ノ木坂に来るまでは標準語だったんだな…」

 

「あー、うん…そうなんよ。」

 

「あのさ、さっき言ってた小学生の頃の友達のこと、覚えてるか?」

 

「……うん。よく覚えとるよ。さっきも言った通り、その子はもうとっくに忘れてしまってると思うけどね。」

 

「ごめん!」

 

「えっ?」

 

「さっきの話聞いて、思い出した。俺と希、小学生の頃に会ってるよな?」

 

「優、くん…思い出した、の…?」

 

「あぁ。」

 

「うぅ…」

 

「希!?」

 

手で顔を覆い、涙を流し始めた希に驚く優。

 

「良かった…もう、思い出してもらえないと、思ってたから… 」

 

「希…本当にごめん。」

 

涙を流す希を、そっと抱きしめてそう言った優。そんな優の胸の中で、希はしばらく涙を流し続けていた。

 

 

「ごっ、ごめん…ウチ…//」

 

優から離れて、自分が想い人に抱きついていたことを自覚し、希は恥ずかしくなっていた。

 

「俺こそ、本当にごめん。ずっと忘れてて…」

 

今の優は、この世界で死んだ仮野優と、別の世界で死んだ橋本拓真の2人の意思が入っている状態。その影響で2人両方の記憶にリミッターがかけられていて、思い出せなかったのだ。だが、優にはそんなこと関係ない。自分が希のことを思い出せなかったことに、変わりはない。そんな罪悪感があるのだ。

 

「ううん。ウチも、こんな風に話し方変わってるから、仕方ないよ。あと、ウチずっと優くんに、言いたかったことあるんよ。」

 

「言いたかったこと?」

 

「うん。ウチ…ううん。私を助けてくれて、ありがとう!」

 

「えっ?」

 

「小学生の頃、1人でいた私に、優くんだけが話しかけてくれて、友達になってくれた。だから、本当にありがとう!」

 

「希…」

 

「良かった…小学生の頃も、高校生になって再会してからも、ずっと言えてなかったから。言えて、本当によかった!」

 

希は優しい笑みを浮かべて、そう言った。

 

 

 

こうして、仮野優は小学生時代の東條希について、思い出したのであった…




次回のµ’sと仮面ライダーの物語!

全員の言葉、想いを紡いで新曲のラブソングを作ることになったµ’s9人とマネージャー3人。そんな時、封印していない残りのアンデッドが優たちの前に…そして、希はそれぞれの想いを胸に、新たな力に覚醒するのであった…

次回、『107話 想いを紡いで…』





今回、ついに優が小学生時代の希のことを思い出しました。次回はそんな希が新たな力に覚醒します。

そして、前書きでも少し触れましたが、今回が平成最後の投稿になると思います。ここまで見てくださった皆様、本当にありがとうございます!

令和になっても、読み続けて頂けると嬉しいです!お気に入り登録、評価や感想、あと質問などもあれば頂けると嬉しいです!

では、また令和になっての初投稿でお会いしましょう!


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107話 想いを紡いで…

はい、107話です。

令和最初の投稿となります!と言っても、本編はエグゼイドの物語が終わった年の冬…2017年なので、平成のままなんですけどね…令和になりましたが、これから更に物語が加速していく予定です!これからも応援よろしくお願いします!

今回、アニメ8話&ブレイド編ラストになります。

では107話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、µ’sと仮面ライダーの物語!〜

 

優「ラブライブ最終予選の曲決めに難航するµ’s。そんな中、財団Xがレンゲルバックルを奪い、リモートの力でスペードのカテゴリーK、コーカサスビートルアンデッドとダイヤの13体のアンデッドを復活させられた。

 

希「封印を解かれたアンデッドが暴れる中、剣崎一真さん、相川始さん、橘朔也さん、上城睦月さん。ウチは4人の仮面ライダーと出会い、協力してアンデッドを封印した。そして、残るアンデッドはダイヤのカテゴリーJ、Q、Kの3体となった。」

 

優「そういえば、スペードのカテゴリーKも封印したのか?」

 

希「うん。仮面ライダーカリスと協力して、なんとかね。」

 

優「そうか…(もし希がキングフォームに変身して、剣崎さんのようにカテゴリーKだけじゃなく、13体全てのアンデッドと融合したら…)」

 

希「優くん?あれ?優くーん?」

 

優「……えっ?あっ、悪い。」

 

希「もう、しっかりしてよ。久しぶりのあらすじ紹介なんやから。じゃあ、色々とウチが大活躍する107話、どうぞ!」

 

優「それ自分で言うのかよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

希の家にμ's9人とマネージャー3人が全員揃い、希の部屋で曲について話し合いを始めていた。

 

「えぇ!やっぱり作るの?」

 

「そっ。みんなで作るのよ。」

 

穂乃果の言葉に、そう答えた真姫。

 

「希ちゃんって、一人暮らしだったんね。」

 

「初めて知りました。」

 

「何かあったの?真姫ちゃん。」

 

「なんにもないわよ。」

 

「ちょっとしたクリスマスプレゼントって、とこだな。」

 

「μ'sから、μ'sを作ってくれた女神様に。少し早めだけどね。」

 

花陽の言葉に、真姫、優、絵里が答えた。

 

「みんなで言葉を出し合ってかぁ…あっ、これって…」

 

部屋を見回していた花陽が手に取った2つのものに、全員が注目する。

 

「あっ!」

 

それらを焦って隠した希。それらとは、μ's9人で音ノ木坂学院の講堂でパフォーマンスをした、START:DASHの写真。もう1つは、秀夜がマネージャーに加わってから、12人で撮った集合写真。

 

「そういうの飾ってるなんて、意外ね。」

 

「べっ、別にいいやろ…ウチだってそのぐらいするよ。友達、なんやから。」

 

「希ちゃん…!」

 

「可愛いにゃー!」

 

ことりは手を合わせて、凛は希に飛びかかりながら言う。みんながじゃれあっている中、何かに気づいた優は、気づかれないように静かに希の部屋を出ていった。

 

「もうっ!笑わないでよ!」

 

「話し方変わってるにゃ!」

 

そんな凛を枕で押さえながら抵抗する希。

 

「暴れないの。たまにはこういうこともないとねっ。」

 

「もう…」

 

絵里に抱き抑えられた希は、頬を少し赤くして言葉を漏らす。

 

 

 

「みんな曲作りにやる気を出してるんだ。悪いが、相手は俺1人だけにしてもらおう。」

 

夜になり、辺りには街灯の光しか照らされていない中、優はそう言った。希の家の近くの公園に、カテゴリーJ・ピーコックアンデッド、カテゴリーQ・サーペントアンデッド、カテゴリーK・ギラファアンデッドの3体が現れたことに気づき、優は1人来ていたのだ。

 

「変身。」

 

優は仮面ライダーインフィニティオリジンに変身した。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

優は3体のアンデッドへ攻撃を仕掛けたが、相手は3体。それも、3体とも上級アンデッドということもあり、すぐに反撃を受けて倒れてしまう。そんな優を、3体のアンデッドが取り囲み、ギラファアンデッドが優にトドメの一撃を放とうとする。

 

「くっ…(インフィニティソードを召喚しておけば…)」

 

そして、ギラファアンデッドは自身の双剣を優に振り下ろそうとした。優は死を覚悟した…

 

 

その時、30秒ほど時間が戻り、優は再び3体のアンデッドに吹き飛ばされた。

 

「っ…!何が、起こった!?」

 

そう驚く優の手には、何故かインフィニティソードが握られている。そして、ギラファアンデッドが振り下ろしてきた双剣を、自身の剣で咄嗟に防いだ。

 

「はぁ!」

 

そして、片膝立ちで、3体のアンデッドをインフィニティソードで斬りつけ、その隙に優は立ち上がった。

 

「まさか、時間が戻った…?そういえば、オリジンの力は時を操る能力。今度は30秒程だけど、俺はまた無意識のうちに時間を戻したのか…?」

 

そう自問自答する優の前に、再びアンデッドが…

 

「はぁぁ…」

 

優は再び、アンデッドへ剣を構え、戦闘態勢に入った。

 

 

 

その頃、希の家では…

 

「あれ?優くんがいないよ?」

 

「ほんとだ…」

 

「ったく、あいつ何も言わずに出てったのかよ。」

 

優がいないことに気づいたμ's、蓮、秀夜。

 

「全く…せっかく話がまとまったっていうのに、どこに行ったのよ。」

 

「もしかして…怪物が現れたとか?」

 

「だったら早く行かないと!」

 

穂乃果がそう言い、全員家を飛び出して行った。

 

 

 

「優!」

 

「みんな、なんで!?」

 

穂乃果たちが来たことに、驚いて反応する優。

 

「みんな。相手は3体だ。ここは俺と…」

 

「俺に任せて下がってろ。」

 

そう前に出る蓮と秀夜。

 

「蓮くん。秀夜くん。それに、みんな。」

 

そんな中、そう声をかけた希。

 

「どうした?」

 

「今日は、ウチに戦わせて!」

 

「希?」

 

「お願い!」

 

「でもっ…」

 

「分かった。」

 

蓮が止めようとしたが、秀夜はそれを許可する。

 

「秀夜?」

 

「ただし、やばいと判断したら、俺たちも加勢するからな?」

 

「うん。ありがとう!」

 

希はそう答えて、ブレイバックルを巻いて前に出る。

 

「変身!」

 

『turn up』

 

「やぁぁぁ!」

 

希はブレイラウザーを手に、優とともにアンデッドへ斬りかかっていった。

 

「はぁっ!」

 

「やぁっ!」

 

2人はそれぞれアンデッドを斬り、火花が飛び散る。そして、優が次にギラファアンデッドへ斬りかかったが、バリアを張られ弾き返される。

 

「くっ…だったらこれで!」

 

『オリジン!』

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

優はオリジンデータボトルをインフィニティソードに差し込み、ギラファアンデッドへ斬撃を飛ばしたが、それも防がれてしまう。そして、ギラファアンデッドが反撃を飛ばし、その攻撃で優は強制変身解除に陥る。

 

「優くん!こうなったら、これを…」

 

そう言って、希が取り出したのは、スペードのカテゴリーK…コーカサスビートルアンデッドのラウズカード。

 

「…!?希、なんでそれを!」

 

『アブゾーブクイーン』

 

希はラウズアブゾーバーに、カテゴリーQのラウズカードを差し込む。

 

「ダメだ!希それは!」

 

「ごめん優くん…でも、たとえ危険なものだとしても、ウチは…私はこの力を使う!今の私には、それ以上に守りたい人がいる!」

 

 

『でも、たとえ人間じゃなくなるんだとしても、仲間と離れ離れになるんだとしても…それ以上に守りたいものができた。だから、俺はアンデッドになる道を選んだ。』

 

 

その時、優の脳裏に昨日の剣崎の言葉が浮かぶ。

 

「希…」

 

「だから、ウチは戦う!みんなを絶対に守る!カードやない…これが、ウチ自身が出した答えなんや!」

 

その時、そう言った希の手に握られているカテゴリーKのラウズカードが光った。

 

『エボリューションキング』

 

希の周りに13枚のラウズカードが出現し、希と融合していく…そして希は、13体のアンデッドと融合した姿、仮面ライダーブレイド キングフォームに変身した。

 

「13体のアンデッドと、融合した…!やっぱり、希の融合度数も高いのか…っこれは!?」

 

その時、優のインフィニティブレスからブランク状態だった、ブレイドのカメンライドカードが飛び出し、色がついて復活した。

 

「またディケイドのカードが、復活した…」

 

「優くん、お咎めの言葉は後で聞くから、今は一緒に戦おう!」

 

「あぁ、もちろんだ。」

 

そう答え、優はディケイドライバーを巻き付ける。

 

「変身!」

 

『カメンライド ブレイド!』

 

優は仮面ライダーディケイド ブレイド(以下 Dブレイド)に変身した。

 

「優くん、行くよ。」

 

「あぁ!」

 

希はキングラウザー、優はライドブッカー ソードモードを持ち、アンデッドへ向かっていく。

 

優はピーコックアンデッド、サーペントアンデッドと、希はギラファアンデッドと戦闘を開始した。

 

『アタックライド マッハ!』

 

優は高速で移動し、ピーコックとサーペントを斬り裂いた。

 

『スペード2・3・4・5・6』

『ストレートフラッシュ』

 

希はキングラウザー、ブレイラウザーを取り出し、二刀流でギラファアンデッドと向かい合う。

 

まずはブレイラウザーでギラファアンデッドへ斬りかかったが、バリアで防がれた。しかし、そこにキングラウザーで追い打ちをかけ、少しバリアにヒビが入る。

 

「やぁぁぁぁぁ!」

 

そして、最後に2つの剣で斬り裂き、ついに、ギラファアンデッドのバリアを張れなくするのではなく、バリアを破った。

 

「よしっ…!この前の戦いで、バリアを壊すのは慣れたんよ。」

 

「バリア壊すのなれるって…まあいいや。希、決めるぞ。」

 

「うん!」

 

『スペード10(テン)J(ジャック)Q(クイーン)K(キング)A(エース)

『ロイヤルストレートフラッシュ』

 

『ファイナルアタックライド ブ・ブ・ブ・ブレイド!』

 

優は3体のアンデッドにまとめて、ライトニングブラストを放った。その直後、希は自身の前に現れた5枚のカードを通り抜け、3体のアンデッドをキングラウザーで一気に斬り裂いた。

 

その攻撃で、3体のアンデッドのバックルが開いた。

 

「よし…」

 

希はそれぞれのアンデッドに、ラウズカードを投げつけ封印した。

 

「優くん!希ちゃん!」

 

「みんな!」

 

「やったね!」

 

「うん!」

 

優たちの元に穂乃果たちが駆け寄ってきて、穂乃果が希とハイタッチして言葉を交わした。

 

「あっ、優くん…」

 

「別に、そんな顔しなくてもいいよ。」

 

「えっ?怒って、ないん…?」

 

「あぁ。俺は止めはするけど、最終的に希が真剣に決めたことなら、俺は怒ったりしない。っていうか、俺にそんな権利はないだろ?」

 

「優くん…」

 

「ただ、絶対に死ぬような真似はするなよ。」

 

「うん!あっ、あとこれ。」

 

そう言い、希はさっき封印したダイヤの3枚のラウズカードを、優に渡した。

 

「あっ、見て見て!」

 

優と希の会話が一区切りした時、穂乃果が空を見上げてそう言った。すると、空からは白い雪が降ってきていた。その光景に、全員目を輝かせる。

 

「想い…」

 

降ってきた雪を手に、穂乃果がふと言葉を発する。

 

「Melody。」

 

「切なさ。」

 

「予感。」

 

「勇気…」

 

「不思議…」

 

「未来…」

 

「ときめき…」

 

「空。」

 

「純情…」

 

「気持ち…」

 

それに続いて、花陽、秀夜、海未、蓮、凛、真姫、ことり、にこ、優、絵里が言った。

 

「好き!」

 

そして最後に、希が言った。その言葉には、再開してようやく自分のことを思い出した、想い人へ向けての密かな想いを込めていた。のかもしれない…

 

 

 

 

その後、全員解散となり、自分の家に帰ろうとした希は、ある人物が近くでさっきの戦いの様子を見ていたことに気付き、話しかける。

 

「剣崎さん。そんなとこでどないしたん?」

 

「希ちゃん。気づかれちゃってたか…」

 

「ウチにはこれがあるからね。他のみんなは、気づいてないと思うよ。」

 

希はタロットカードを取り出しながら、そう言った。

 

「手助けしようかとも思ったけど、必要なさそうだったし、俺があんまりブレイドの力を使う訳にもいかないからな。」

 

「そうだ、剣崎さん。やっぱりこのカードは、返しておきます。」

 

希はそう言い、スペードのカテゴリーK、コーカサスビートルアンデッドが封印されているラウズカードを取り出した。

 

「えっ?」

 

「だって、このカードは元々剣崎さんのやろ?」

 

「あっ、あぁ…まぁ、そうだな。」

 

「だから、このカードは剣崎さんに返すよ。1度勝手に使って、ごめんなさい。」

 

希は剣崎にラウズカードを渡し、剣崎はそれを受け取る。

 

「いや、気にしなくていい。俺はこれからまた、海外に行くことにしたんだ。」

 

「えっ、そうなん?」

 

「あぁ。だから、この世界の平和は頼んだぞ。希ちゃん。いや、仮面ライダー(ブレイド)。」

 

「っ…はい!」

 

仮面ライダーブレイド本人に、そう認めてもらえた希の心に、嬉しさがこみ上げ、剣崎に返事した。それを聞き届けた剣崎は、その場から去っていった。

 

「剣崎さん。ウチ、頑張るよ…!」

 

 

 

 

 

翌日…

 

『クワガタ!ウナギ!バッタ!』

 

「はぁ!」

 

路地裏に現れた屑ヤミーを倒すため、オーズ ガタウタに変身して戦う優。

 

『スキャニングチャージ!』

 

優はクワガタヘッドから電気を放ち、屑ヤミーを倒した。

 

「ふぅ…っ!?ぐはぁ!?」

 

その時、また新たな敵が現れ、そいつが放った攻撃を受け、俺は強制変身解除に追い込まれる。

 

「オーバーロード…」

 

その敵とは、オーバーロード、シンムグルンだ。

 

「くっ…オーバーロード相手なら、これじゃないと…」

 

俺は手に極ロックシードを握り、考える。

 

 

『たとえ危険なものだとしても、ウチは…私はこの力を使う!今の私には、それ以上に守りたい人がいる!』

 

『でも、たとえ人間じゃなくなるんだとしても、仲間と離れ離れになるんだとしても…それ以上に守りたいものができた。だから、俺はアンデッドになる道を選んだ。』

 

 

「何迷ってんだよ、俺…希も、剣崎さんも、守りたいもののためにキングフォームに変身したっていうのに、俺も腹くくらないといけねぇだろ…!俺も、人を守るためにこの力を使う!」

 

俺はそう言いながら、立ち上がった。

 

『カチドキ!』『フルーツバスケット!』

 

「変身!」

 

『ロックオープン!極アームズ 大・大・大・大・大将軍!』

 

俺は仮面ライダー鎧武 極アームズに変身した。

 

「ここからは、俺のステージだ!」

 

『クルミボンバー!』

 

「はぁ!たぁ!せいっ!」

 

俺は両手にクルミボンバーを取り付け、シンムグルンへ連続パンチを放つ。

 

『パインアイアン!』

 

「オラァ!」

 

そしてクルミボンバーを外し、パインアイアンでシンムグルンを殴りつける。

 

『ドリノコ!』

 

2本のドリノコを持ち、交互にシンムグルンへ斬りかかっていく俺。

 

『影松!』

 

俺は2本の槍、影松と影松・真を取り出し、シンムグルンへ突き刺していく。

 

『大橙丸!』『無双セイバー!』

 

「これで終わりだ。」

 

『一・十・百・千・万!オレンジチャージ!』

 

「おらぁぁぁぁぁ!!」

 

俺は大橙丸と無双セイバーを合体させたナギナタモードにオレンジロックシードを取りつけ、すれ違いざまにシンムグルンを斬り裂き倒した。

 

「ふぅ…」

 

俺は変身解除し、変身する前に路地の隅に置いておいた学生鞄を取った。

 

「流石だな。」

 

そんな優に、背後から声をかけた人物が1人…

 

「剣崎さん?どうしたんです?」

 

「優に預けておきたいものがあってな。」

 

「俺に預けておきたいもの?」

 

「これ。」

 

「…?これって、カテゴリーKのラウズカード…でもこれって、今希が持ってるんじゃ…」

 

「昨日希ちゃんと会って、返すって渡された。」

 

「でも、これは剣崎さんのカードですよね?なんで俺に?」

 

「俺、これからまた日本を離れるんだ。そんな俺が持ってても、使う時は来ないと思うから。」

 

「だからって、なんで俺に?」

 

「今後、希ちゃんがブレイドに変身して戦うなら、キングフォームの力が必要になる時が来るかもしれない。優がそう判断したら、これを渡してあげてくれ。」

 

「本当に、いいんですか…?」

 

「あぁ。お前と希ちゃんを信じて、これを預ける。その時が来たら、頼んだぞ、優。」

 

「はい。ありがとうございます!」

 

「あっ、そうだ…残りの3枚の、ダイヤのラウズカードは持ってるか?」

 

「はい。希から預かってますけど…」

 

「じゃあ、俺が預かっていいか?」

 

剣崎は優から3枚のラウズカードを受け取り、去っていった。

 

 

 

アンデッドの騒動も一通り解決し、久しぶりに仕事前にゆっくり外で朝食を食べてきた橘朔也と上城睦月は歩いていた。

 

「それにしても、また仮面ライダーに変身するなんて思っていませんでした。」

 

「あぁ。でも、昔の睦月なら自分から戦うなんて言わなかっただろうに…カテゴリーAをちゃんと封印したことで、それだけ成長したんだな。」

 

「そっ、そうですか?でも、これも橘さんや相川さん、それに望美や嶋さんたち色々な人の支えがあったからです。それに…剣崎さん…」

 

「剣崎…」

 

2人が剣崎の名前を呟いた時、少し下を向いていた橘は前から来ていた男性に気づかず、ぶつかってしまう。

 

「あっ、すみま…って、いない…」

 

謝ろうと振り返った橘だが、そこには誰もいなかった。

 

「ん?」

 

ポケットに違和感を感じた橘は、上着のポケットの中に手を入れる。

 

「これは…」

 

そこには、ダイヤのカテゴリーJ、Q、Kのラウズカードが入っていた。更に…

 

「それって、剣崎さんの…」

 

「あぁ…」

 

剣崎が昔から付けている指輪…スペードのマークが入っているものと、黒い模様が入っているものの2つが入っていた。

 

「じゃあ、さっき橘さんがぶつかった人って、剣崎さん!?」

 

「そうだろうな…希ちゃんが剣崎と会ったと言ってたのは、本当だったのか…この2つの指輪は剣崎のだ。剣崎は今でも、どこかで運命と戦い続けていたんだな…」

 

「そうですね…今回も、陰ながらアンデッドと戦っていたみたいですし。」

 

「剣崎、ありがとな…」

 

「ありがとうございます。剣崎さん…」

 

 

 

「橘さんも、睦月も元気そうでよかった。多分、始も元気にやってるんだろうな…でも、俺はお前と会うわけにはいけないんだ…俺はこれからも、運命と戦い続ける。お前はこれからも、人間の中で生き続けろよ、始。」

 

橘と睦月の元から少し離れた剣崎は、1人そう呟いた。

 

こうして、剣崎は再び日本を離れて、運命と戦うことになる。しかし、そう遠くない未来、剣崎と始は再開することになる。そこで、2人の運命は大きく変わることになるのであった…

 

 

 

 

 

その頃、剣崎との話を終えた優は…

 

「さて、そろそろ学校に行かないとな。今日朝練がなくて助かった…っていうか、敵は屑ヤミーとオーバーロードだけだったのか…?」

 

そう1人呟く優の周りに、5つの紫色に光る何かが現れる。

 

「っ!?なんだ!?ぐっ…うわぁぁああ!うっ…」

 

そして、その5つの紫色の物体は、優の体内に入っていった。その影響で、優は意識を失い倒れたのであった。

 

 

「ついに仮野優に、あれを入れたのですね。」

 

その様子を離れたところで見ていた財団Xの幹部、グラスは同じく財団Xの幹部であるクロッカーにそう言った。

 

「あぁ。俺の体内に入れたのも、大分馴染んできたからな…もう、変身することも可能だ。」

 

「そうですか。仮野優の中の5枚と、あなたの中の5枚…くくくっ…どうなるのか、楽しみですねぇ…」

 

 

剣崎一真、相川始、橘朔也、上城睦月。4人のレジェンドと出会い、封印を解かれたアンデッドを再び封印することに成功した優たち。

 

しかし、そんな優たちに再び新たな事件が降り注ぎ、またレジェンドと出会うのであった…

 

 

 

 

 

『タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!』

 

 

 

 

 

ラブライブ!最終予選まで、残り21日…

 

 

 

 

 




次回の、µ’sと仮面ライダーの物語!

全員で出し合った言葉を元に、ラブライブ最終予選の曲を作るµ’s。初のラブソングに、恋愛経験に疎い海未は苦戦…海未は恋愛について探るため、優とデートすることに…

次回、『108話 新曲作りとデートと謎の女幹部』





ということで、アニメ8話&ブレイド編完結です。そして次回のレジェンドは…まぁ、本編の最後とタイトルを見れば分かりますね。

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108話 新曲作りとデートと謎の女幹部

はい、108話です!

今回からあるレジェンドライダーが登場するオリジナル回。更に海未ちゃんメイン回でもあります。今回は海未ちゃんと優がキャラ崩壊してると思います…

では108話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ'sと仮面ライダーの物語!〜

 

希「ラブライブ!最終予選で歌う曲を考えるウチらμ's。」

 

海未「初めてラブソングを作曲しようということになり、考えてはみたものの、なかなか決まりません…そんな中、希は本当の仮面ライダーブレイド、剣崎一真さんに出会う。そこに財団Xが現れ、コーカサスビートルアンデッドの封印を解かれてしまいます。」

 

希「そしてウチは、更にレジェンドライダーと出会う。仮面ライダーカリスに変身する相川始さん、仮面ライダーギャレンに変身する橘朔也さん、仮面ライダーレンゲルに変身する上城睦月さんと出会ったウチは、先輩たちと協力してなんとかコーカサスビートルアンデッドを封印した。」

 

海未「そこに、3体のダイヤの上級アンデットが現れる。」

 

希「ウチはアンデットを倒すため、カテゴリーKのラウズカードを使おうと決意する。そして、13体のアンデッドと融合した姿、仮面ライダーブレイド キングフォームに変身し、3体の上級アンデットを封印した。」

 

海未「そこに集まった私たちは、空から降ってきた雪に心打たれる。そして、私たち一人一人が言葉を出し合い、ラブソング製作に一歩近づきました!」

 

希「それにしても、珍しい組み合わせでのあらすじ紹介やね。ウチと海未ちゃんの2人って。」

 

海未「そうですね。こういうのも、新鮮でいいと思います。それにしても、優はどうしたんでしょう?一緒にあらすじ紹介する予定だったというのに…私、ちょっと探してきます!」

 

希「えっ、まだあらすじ紹介のとちゅ…あっ、行っちゃった…えっ、えっと…どうなる108話!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「ふわぁあ…」

 

まだ薄暗い朝、黒崎秀夜は目が覚め寝付けなくなってしまったため、朝食を買おうとコンビニに寄っていた。その帰り、神田明神の近くを通った秀夜は、何かに気づく。

 

「あれは、花陽か?」

 

「ふっふっはっはっ…ふっふっはっはっ…」

 

花陽が神田明神の前の階段を、走っていたのだ。秀夜はそんな花陽に声をかけた。

 

「秀夜くん?」

 

「こんな朝っぱらから、走ってるのか?まさか…また太ったのか?」

 

なんともデリカシーのない発言をした秀夜に、花陽は顔を赤くしながら慌てて答える。

 

「ちっ、違うよ!」

 

「じゃあなんで?」

 

「それは…私、今は戦う時モモタロスさんたちに頼ってばかりだけど、いつまでもそういう訳にはいかないと思うの。元の契約者である野上良太郎さんが記憶を取り戻したりしたら、少なくとも今のようにって訳にはいかないと思うの…だから、その時がきたら私1人でも戦えるように、最近トレーニングしてるんだ!」

 

「花陽…」

 

普段は気弱な面がある花陽がこんなにもしっかり考えていたことに感銘を受けた秀夜は、思わず彼女の名前を呟いた。

 

「あっ、これモモタロスさんたちには内緒だよ?この時間はまだモモタロスさんたちも寝てるし、バレないようにしてるから。」

 

「あぁ、分かった。花陽は偉いな。よしっ!明日からは、俺も一緒に走る!」

 

秀夜の言葉に、花陽は思わず「えっ?」と聞き返した。

 

「俺も仮面ライダーだからな。優と蓮も、それにμ'sのみんなもどんどん強くなってるのに、進化の仮面ライダーなのに俺はまだまだ全然追いつけないなって前から思ってたんだ…だから、これは良い機会だと思うし俺も一緒に走るよ。付き合わせてくれ。」

 

「えっ!?つつつ付き合う!?」

 

秀夜の言葉の最後の部分に強く反応した花陽は、顔を真っ赤にしながら驚いた。それにキョトンとした様子で「どうしたんだ?」と聞く秀夜。

 

「あっ、ううん…なんでも。走るのに付き合うってことだよね?」

 

「それ以外に何があるんだよ?」

 

秀夜が言ったように、話の流れからして走ることに付き合うということ以外ではないのは明確だが、恋は盲目。そう言われるように、花陽は交際する方かと一瞬考えてしまったらしい。

 

「そうだよね…うん!こちらこそ、よろしくお願いします。」

 

こうして、これから2人は毎朝ランニングすることになった。

 

 

 

「では、行ってきます。」

 

秀夜と花陽が走る約束をした頃から2時間程時は流れ、μ‘sのメンバーの1人である園田海未は、音ノ木坂学院に向かうため家を出た。そんな海未の前に、財団Xが仕向けてきたであろうダスタードが現れる。

 

「…!?全く、朝から迷惑ですね…仕方ありません。」

 

海未は音叉を取り出し、展開して音を奏でた。

 

「はぁぁぁぁぁ…たぁ!」

 

海未は仮面ライダー響鬼に変身し、

 

「はぁぁぁぁぁ…」

 

更に響鬼紅に進化した。

 

「はぁ!たぁ!」

 

音撃棒でダスタードを叩いて倒し始める。

 

「これで終わりです。はぁぁ!」

 

そして、音撃棒に炎を纏わせ、一気にダスタードを倒した。

 

「よし…早く学校に行かないと…うっ!?体が、うご、かない…」

 

その時、何者かの力によって海未の動きが封じられ、強制変身解除に追い込まれる。そして、そんな海未の前に、恐らくその犯人であろう人物が現れる。

 

「あ、なたは…財団Xの…」

 

「あぁ、クロッカーだ。」

 

その男とは、財団Xの幹部であるクロッカーだ。

 

「早く、これを解いて…ください…!」

 

海未はクロッカーを睨みつけながら言った。

 

「そう言われて簡単に解く敵はいないだろうな。まぁ、そう怖い顔するな。すぐに済む。」

 

「っ!?」

 

そう言ったクロッカーは、海未に向けて何かを投げつけた。それに気づいた海未は、驚いて目を瞑る。数秒目を瞑っていた海未だが、特に異変を感じなかったので目を開けた。

 

「あれ、いない…?」

 

目を開けた時には海未の前からクロッカーは消えていて、体も自由に動かせるようになっていた。

 

 

 

 

 

海未がクロッカーと一悶着あった頃、優の周りに現れた紫色の物体が体内に入り、優は気を失って倒れてしまっていた。

 

「優くん!優くん!」

 

路地裏で倒れている優を、偶然見つけたことりが駆け寄りそう声をかける。

 

「優くん!しっかりして!」

 

ことりのその声が聞こえたのか、優の瞼が少し開いた。

 

「優くん?」

 

「こと、り…?」

 

「目が覚めた…良かったぁ…」

 

「あっ、あぁ…わる、い…」

 

優はことりに支えてもらい、ゆっくりと立ち上がりながら答えた。

 

「なんでこんな所で、倒れてたの?」

 

「えっと…俺は確か、剣崎さんと会ってラウズカードを預かって別れた。それから…ダメだ、思い出せない…倒れる直前の記憶が、抜けてるみたいだ。」

 

優は少しずつ倒れる前のことを振り返っていたが、剣崎一真と別れてからのことは思い出せなくなっていた。

 

「そっか…どこか痛むとことかない?」

 

「あっ、あぁ…大丈夫みたいだ。」

 

ことりに言われ、優は自分の体を軽く動かしながら答えた。

 

「良かった…」

 

安心して胸をなでおろしたことり。

 

「心配かけて悪い。」

 

そんなことりに対しそう言った優だが、ことりは首を横に振って話を続ける。

 

「ううん。ねぇ、最近優くんずっと戦ってるし、無理しすぎてるんじゃ…?」

 

「……そんなことねぇよ。」

 

優にも思うところがあるのか、少し返事に間が空いたがそれを否定する。

 

「むぅ…無理してても、そうとしか答えないでしょ?」

 

しかし、ことりにはそれはお見通しな様で、優に顔を近づけて頬を膨らませながら言った。

 

「なんか、最近似たようなこと何度も聞かれているような気がするな…」

 

優は苦笑し、頭をかきながらそう言った。

 

「それだけ、みんなが心配してるってことだよ。」

 

「悪い…でも…」

 

「分かってるよ。それでも優くんは、戦うんだよね?」

 

「あぁ。最終予選も、それに勝ったら本線も控えているみんなに、できるだけ戦って欲しくないんだ。ことりたちの可愛い顔に、傷がついたらダメだろ?顔だけじゃないけどな。」

 

「かわっ…!?無自覚でこういうこと言うのは、反則だよ…

 

優の言葉を聞き、みるみる顔を赤くしたことりは小さく呟いた。

 

「ん?なんな言ったか?」

 

「ううん。なんでも!優くんは、出会った時から何も変わってないなぁって思っただけ。」

 

「なんだよそれ?」

 

「今は知らなくていいのっ。それより、本当に大丈夫?病院に行った方が…」

 

「大丈夫大丈夫!ほらこの通り元気元気!」

 

そう言いながら、手と足をガシガシ動かす優。

 

「それより、ことり。今何時だ?」

 

「えっと…8時だよ。」

 

「……今、なんて?」

 

「だから、8時だよ。」

 

「8時…?」

 

「うん。」

 

「8時…はっ、早く行かないと!遅刻遅刻!」

 

「あっ!学校!」

 

「忘れてたのかよ!あーもうっ、仕方ない!」

 

『スペシャル召喚 ライドインフィニティ!』

 

「後ろ乗って!」

 

「うん!」

 

優はライドインフィニティを召喚し、ことりにヘルメット を投げ渡した。2人はライドインフィニティに跨り、音ノ木坂学院に向けて発進させた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「想い、ときめき、予感、未来、Melody、不思議、切なさ、勇気、純情、空、気持ち、好き…」

 

放課後になり、部室で海未がノートにまとめながら、昨日みんなで出し合った言葉を言っている。

 

「いろいろ出たなぁ…っていうか蓮、勇気って少年漫画じゃないんだぞ?」

 

「でもさ、想いを伝えるには勇気がいるだろ?」

 

俺の言葉に、そう答えた蓮。

 

「なるほど…お前にしては、まともな考えだな。」

 

「俺にしてはって、なんだよ!」

 

「優、蓮。今はそれより、曲作りでしょ?」

 

「んっ…そうだな。」

 

絵里にそう言われ、俺たちは口を閉じる。

 

「では、他に曲の案などはありますか?」

 

「そうだなぁ…」

 

「やっぱり、甘酸っぱい感じがいいよね!」

 

「あとは、雪が降る中で考えたから、雪が降る冬の日って感じがいいとちゃう?」

 

各々が意見を出していく。

 

「甘酸っぱい感じ…雪が降る冬の日…分かりました。その感じで、出し合った言葉を元に考えてみますね。」

 

「よろしくね、海未ちゃん!」

 

「はい。」

 

残りは普段から作詞している海未に任せることになり、今日は解散となった。

 

「優、少しよろしいですか?」

 

「どうした?」

 

帰り、海未に呼び止められ振り返る。

 

「あの、その…//」

 

少し話すのを躊躇ってか、モジモジとする海未。その顔は、少し赤みを帯びているようにも見える。

 

「この後、空いてますか?」

 

「あっ、あぁ。空いてるけど…」

 

そんな海未の様子に、俺は少し戸惑いながら返した。

 

「でしたら…わっ、私とデートしてください!!」

 

顔を真っ赤にしながら、意を決したようにそう言った海未には悪いが、俺はこんな反応しかできなかった。

 

「えっ…?」

 

 

 

「でっ、では、行きましょうか…」

 

「あっ、あぁ…」

 

という事で、俺と海未は少しどぎまぎしながらデートすることに…っというのはあくまでも建前。海未が突然デート、なんて言った時は驚いたが…

 

『いっ、いや…あの、その…ラブソングを作るのは初めてですし、全員で言葉を出し合いましたが、やっぱりイメージを掴んでおきたいので…』

 

ということらしい。

 

「それで、どういう所に行きたいんだ?」

 

「実は、あんまり決まっていなくて…殿方と2人で出かけることなんてあまりありませんし、普通の恋人がどういう所に行っているのか分からなかったので…」

 

「なるほど…」

 

「優は、茜さんとどういう所に行っていたのですか?」

 

「俺が茜と行ってたところ…」

 

そう聞かれて1番に思いつくのは、スクールアイドルショップ。茜自身、スクールアイドルが大好きだったからよく行ってた。でも、海未と2人で行く場所ではないか…

 

あとは、ハンバーガーショップのワックだったり、ファミレスだったりで適当に話したり…あとは、家でゴロゴロしてたり…あれ?よくよく考えると、俺たちってあんまりデートっぽいことしてなくね?そういえば、あのクリスマスの日が、初めて本当にデートっぽいことしたんだったな…

 

それにしても、どうしよ…海未と行くような場所…あっ、そういえば…

 

 

『へぇ…玲奈ちゃん早速熱々だねぇ。』

 

『優奈?携帯見て何言ってんだ?』

 

『友達の玲奈ちゃんがね、彼氏出来たらしいんだけど、スイーツデート行ってきたんだって。ほら、これその写真。もう、こんなの送りつけてきて自慢かよって感じだよね…』

 

『優奈…もしかして、好きな男でもいるのか…?』

 

『えっ?んー、特に居ないよ。』

 

『そっ、そうか…もし彼氏出来たら、ちゃんとお兄ちゃんに会わせるんだぞ?変な男に捕まらないように気をつけろよ?』

 

『わかってるよ。全く、お兄ちゃんは心配性だな…』

 

 

あの時は優奈が彼氏でも出来たのかと思って気にも止めなかったが、スイーツデートか…海未はスイーツというより和菓子ってイメージではあるけど、意外といいかもな…

 

 

※以上、優の脳内で約2秒間で行われた考えである。

 

 

「よし、海未。偶には、甘い物食べに行くのとか、どうだ?」

 

「はい!いいですね!」

 

会ったことないけど、玲奈ちゃんとその彼氏、ありがとう!

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 海未〜

 

デート…私、園田海未は、これまでの16年と少しの人生で、殿方との関わりはほとんどありませんでした。穂乃果やことりも、同じようなものらしいのですが…そんな私にとって、デートというのはもちろん初めてです。

 

そんな初デートの相手は、仮野優。優がμ'sのマネージャーになってから、私はどんどん優が気になり始めました。優と話すと心音が早くなったり、優のことを考えるだけで気持ちが少し高ぶります。最初はほぼ殿方との関わりもなかった私なので、殿方と接するとそうなるのかと考えていました。しかし…

 

 

『海未ちゃん…いやいや、それは、ねぇ…ことりちゃん?』

 

『うん…海未ちゃん、その気持ちには自分で気づかなきゃ!』

 

『そうだよ!それは、海未ちゃんにとって、大切な気持ちだから!』

 

 

穂乃果とことりに聞いたところ、そう言われました。私にとって、大切な気持ち…それは一体なんなんでしょう?

今回のデートは新曲のイメージを掴むためと言いましたが、それと同時に優に対してのこの気持ちが、一体なんなのかというのを考えるためでもあります!

 

それに、最近優がどこか元気がないように見えます。私たちの前では、元気そうに振舞っていますが…これで少しでも元気が出してもらうことができればいいのですが…

 

「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

 

そんなこんなで、私たちは最近流行っていると有名なカフェにやって来ました。

 

「2人です。」

 

「では、こちらのお席にどうぞ。」

 

優が答え、店員さんの案内の元、私と優は席に着きます。この店は人気で入店することが困難と聞きましたが、平日ですし今日は何席か空いているようです。ですが、平日でも席が多く埋まっている所を見ると、本当に人気なようですね。

 

「ただいまカップル限定メニューがおすすめです。」

 

私たちを恋人同士だと勘違いしたのか、そう勧める店員さん。そういえば、前にテレビでここのカップル限定メニューを食べれば、永遠に結ばれる方が多いと言っているのを見ましたね…

 

「いや、俺たちこいび…むぐっ!?」

 

「それお願いします!」

 

「かしこまりました。」

 

恋人じゃないと言おうとした優の口を防ぎ、私は限定メニューを注文した。

 

「海未?」

 

「はっ…//すっ、すみません…その、ついどういうものなのか気になって…」

 

「そうか…まぁ、カップル限定って言っても2人分のものってだけだろうし、ちょうどいいんじゃないか?」

 

「すみません…」

 

本当に、何故こんなことを言ったのでしょうか…やはり、慣れていないので少し戸惑っているのでしょうか…?

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

「お待たせ致しました。ごゆっくり、お楽しみください。」

 

頼んだカップル限定メニューを、店員さんが運んできてくれたのはいいんだが…

 

「想像よりガッツリカップル向けのやつが来たな…」

 

俺たちの元に運ばれてきたのは、1つの容器に入った大きめの…恐らく2人分のパフェと、同じく2人分の大きめのジュース。ジュースにはご丁寧に、途中ハートを型どりながら交わっている2本のストローが付いている。

 

ここまでならまだ良かった。問題は、パフェやジュースと一緒に運ばれてきた説明書。その説明書には、食べ方について書かれている。

 

『STEP1:ジュースは向かい合って、愛する人と見つめ合いながら飲みましょう。

 

STEP2:パフェはお互いにアーンで食べさせ合いましょう。

 

STEP3:最後にパフェに刺さっているポッキーでポッキーゲーム!』

 

っていうか、こういうのってベタな恋愛映画とかにしかないと思ってたのに、現実でもあるんだな…

 

「まぁ、海未。絶対にこの通りに食べないといけないってわけでもないし、普通に食べてもいいんじゃないか?」

 

「そうで…っ!?」

 

海未は近くの席で同じくカップル限定メニューを頼み、パフェを食べさせ合っているカップルを見て、言いかけてた言葉を飲み込んだ。

 

「いえ、やっぱりせっかくなので、この通りに食べましょう!」

 

「えっ…?」

 

何がせっかくなんだ…?なんか今日の海未、変じゃないか?いつもならこんなこと、『破廉恥ですっ!』とか言うはずなのに…

 

「まぁ、じゃあ海未がそう言うなら…」

 

「っ!」

 

俺の言葉を聞いた海未は、一気に表情を明るくする。

 

「では、まずは飲み物から…」

 

「おっ、おう…」

 

俺と海未はお互いストローを口に咥え、チューとジュースを吸い始める。

 

「「……//」」

 

しかし、俺達は店にいる他の恋人たちのように、キャッキャッと少し恥じらいを見せながらイチャイチャしているのとは違い、もはや恥じらいしかない状態。お互い顔が真っ赤だ。

 

「じゃっ、じゃあ次はパフェを…//」

 

「そっ、そうですね…//」

 

お見合いかっ!

 

俺がパフェを食べるためスプーンに手をかけようとした時、あることに気づく。

 

「あれ?スプーン1つしかない…あっ、なんか書いてる…」

 

その事に気付き、ふと説明書きを見ると、『恋人同士の仲を深めるため、1つのスプーンを使って食べるべし!』と書かれていた。

 

「「……」」

 

「海未、流石にこれは…」

 

「いっ、いえっ大丈夫です!一緒に食べましょう//」

 

何が大丈夫なの…?最早海未もやけくそな感じになっているのか、何を言っているのか本人も理解してないんじゃないか…?

 

「では、行きますよ…」

 

海未はスプーンを手に取り、パフェの生クリームを掬い、俺の顔の前まで持ってくる。この店で、こんなに真剣な顔でこれやってるのも俺たちぐらいだろう…

 

「では…」

 

「あっ、あぁ…」

 

「あっ、あーん…//」

 

「あーん…//」

 

声に出す必要があるのかは知らないが、海未は俺に生クリームを食べさせた。

 

「どう、ですか…?」

 

「うん、美味い…//」

 

そう言った俺だが、恥ずかしすぎてなのか、オーバーロード化の影響なのか…いや、恐らく両方の影響で、味なんて分からなかった。

 

「じゃあ、次は俺が海未に食べさせるのか…?」

 

「おっ、お願いします…//」

 

俺は海未からスプーンを受け取り、同じく生クリームを掬い取る。

 

「じゃあ…」

 

考えるな…考えるな…間接キスということは、今は考えなくていい…

 

「あーん…//」

 

「あーん…//(はっ…!これはまさか、優との間接…キ、ス…?)」

 

 

ボンッ!

 

 

俺が海未に食べさせた瞬間、海未の顔が真っ赤になり、ボンッと大きな音を立てて頭から湯気を出した(ように見える)。

 

「うぅ…やっぱり、恥ずかし、すぎますぅぅ!」

 

「えっ、ちょっ、海未!?はやっ!?」

 

恥ずかしさの頂点に達した海未は、俺からスプーンを取り、目にも止まらぬ速さでパフェを完食した。

 

「ははは…」

 

俺は苦笑を浮かべながら、残ったポッキーをポリポリ食べていた。まぁ、この状態じゃポッキーゲームなんて出来ないだろうしな…でも、恥ずかしがり屋の海未がこんなことしようとするなんて、ちょっと驚いたな…

 

 

 

「ありがとうございました〜。」

 

俺は会計を済ませて、海未と店を出た。

 

「すみません…あんなことになってしまった上に、お金まで…」

 

「気にしなくていい。でも、海未があんなことしようって言うなんて意外だったよ。なんかあったのか?」

 

「自分でも、よく分からないんです…」

 

「そうか…」

 

「(本当に、私はどうしてしまったのでしょう…今も、優の隣を歩いているだけで、鼓動が早くなってしまいます…それに、心做しか顔が熱い…//)きゃっ…」

 

「おっとと…大丈夫か?」

 

地面に落ちていた小石に躓いた海未を、俺は手を握って支える。

 

「はっ、はい…//すみません…(うぅ…優の顔が、近い…//)」

 

本当、今日の海未どっか変だな…

 

「(このままじゃ、照れてばかりになってしまいます…話題を変えないと…あっ、そうだ!)」

 

すると、さっきまで真っ赤だった海未だが、突然真剣な顔付きになった。

 

「海未?」

 

「そういえば、今朝前に会ったクロッカーという財団Xの幹部が、私に会いに来たんです。」

 

「えっ!?何かされたのか!?」

 

「それが…少し動きを封じられましたが、特に何もせずに帰っていってしまったんです…」

 

「そうか…何もされてないなら、とりあえずはよかった…」

 

それにしても、何が目的で…でも、財団Xの狙いはμ‘sだし、やっぱり海未本人が狙いか…

 

「あら、こないだの…」

 

その時、誰かに声をかけられたので、俺たちの話は一旦途切れる。俺たちが声の聞こえた方に振り返ると、そこにいたのはこの前俺と海未が一緒にいた時、俺とぶつかった超美人なお姉さんだ。

 

「あぁ、こんにちは。」

 

「こんにちは。ちょうど良かったです。挨拶しておきたかったので。」

 

「挨拶…?」

 

女性の言葉を疑問に思った俺。すると、女性は再び言葉を発し、少し不敵な笑みを浮かべた。

 

「ふふふっ…これから長い付き合いになると思うので、仮野優さん。」

 

「なんで俺の名前を…?それに、長い付き合いって?」

 

「あぁ、その前に自己紹介と行きましょうか。私の名前は、ガリュサ。財団Xの幹部で、あなた方がデビュラーと呼ぶ存在です。」

 

「っ!?」

 

その瞬間、俺も海未も一気に警戒心を持つ。

 

「まあまあ、そんな怖い顔をしなくてもいいじゃない。別に、今日は戦いに来た訳ではないわ。ただ、伝えておきたくて。」

 

「伝える?」

 

「私はあなたの全てを知っている。あなた自身も、知らないようなこともね。」

 

「どういう意味だ?」

 

「フフフ…」

 

「っ!?いつの間に!?」

 

不敵な笑みを浮かべたガリュサは、目で追えない速さで海未の目の前に移動してきた。

 

「きゃっ!」

 

「海未!」

 

そして、海未の頭に触れた。

 

「ふんふんふん…なるほどね。」

 

「てめぇ…海未から離れろ!」

 

俺がガリュサに殴りかかると、それを避けガリュサは海未から離れた。

 

「海未、大丈夫か!?」

 

「はい。特に変わったことは、ありません…」

 

「フフフ…そんなにカッカしなくてもいいじゃない。」

 

「巫山戯んな!海未に何しやがった!」

 

「それは今から分かるわ。園田海未さん。」

 

「はっ、はい…?」

 

「あなたの今日の朝食は、白米、味噌汁、鯖の塩焼き、納豆、小松菜の胡麻和え。それから、飲み物に緑茶と言った、まさに和食の朝食だったわね?」

 

は?突然何の話だ…

 

「そうなのか?」

 

「はっ、はい。何一つ間違えありません。」

 

「それから、今朝高校に向かっている途中財団Xに遭遇したり、財布を拾って交番に届けていたりして、少し遅刻しそうになって慌てたわね?」

 

「そうですけど、何故それを…?」

 

「まさかあんた、海未のストーカーか?」

 

「フフッ、まさか…気づかない?」

 

「…?もしかして、お前の能力って…!?」

 

「その通りよ。私の能力は、人…というよりかは、生き物の記憶を覗いたり、少し操ったりできる能力よ。」

 

また厄介な能力だな…あれ、でもこれって…

 

「これで分かったでしょ?私があなたの全てを知っているってことが。」

 

 

『あっ、頭になにかついてますよ。』

 

 

「そうか…あの時も、俺に何かついていたわけじゃなく…」

 

「その通り。あなたの記憶を覗くためよ。あなた、面白い過去を持つのね。フフッ、あの子が興味を持っていたのも分かるわ。」

 

「あの子…?どういうことだ。俺の過去について、何を知ってる…?」

 

「だから言ったでしょ。全部よ。やっぱり気になるのね?でもいいの?私がここで話しちゃったら、困るのはあなたよね?」

 

「くっ…」

 

俺はガリュサの言葉を聞き、後ろに海未がいることを再確認する。すると、ガリュサはコツコツと、俺にゆっくり近づいてくる。そして、俺の頭部をコツンと少し触った。

 

「何をした?また何かの記憶でも覗…っ!?」

 

その時、俺の脳内に『明後日の午後6時、羽田空港で待ってるわ。誰にも内緒のデートと行きましょ♪』という言葉が浮かんだ。

 

「そういうこと。じゃあね。」

 

そう言って、ガリュサは去っていった。まさか、こんな能力まであるのかよ…

 

「優、さっきのがガリュサという女性が言った言葉、どういう意味ですか?」

 

「……何の話だ?」

 

もちろん、海未が何を聞いてきているのかは分かった。だが、とぼけたふりをして聞き返してしまう。こういうとこは、俺の悪い癖だということを自覚している。

 

「優の過去の話です。」

 

「別に、大したことなんてないよ。」

 

まぁ、俺自身も知らないこともあるし…

 

「っ!?」

 

その時、俺の脳内に、言葉では言い表せられないほどの嫌な気配を感じとった。

 

「優?」

 

「この感じ…まさかグリードか…!?海未、多分怪人が現れた!」

 

俺の脳内には、グリードが現れた気配が、なんとも気持ち嫌な感じで浮かんだのだ。

 

「行きましょう!」

 

俺と海未は、グリードが現れたであろう場所に向かって走り出した。

 

それにしても、何でグリードの居場所が頭に浮かんだんだ…?もしかして、またさっきのガリュサの能力かなにかなのか…?

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「ごめんことりちゃん!今日お店の手伝い頼まれてて、先帰るね!」

 

「あっ、そうなんだ…分かった。頑張ってね、穂乃果ちゃん!」

 

時は少し遡り、海未が優とデート(仮)に向かった頃、穂乃果と帰ろうと思っていたことりだったが、穂乃果は家の店の手伝いがあるそうで先に帰って行った。

 

「あっ、そうだ。ちょうどいい機会だし、話してみようかな…絵里ちゃん!」

 

穂乃果と別れたことりは、にこ、希と共に帰ろうとしていた絵里に話しかける。

 

「ことり?どうしたの?」

 

「ちょっと、話があって…一緒に、帰れないかな?」

 

「……希、にこ。ごめん。今日は2人で帰ってもらってもいい?」

 

ことりの表情を見て、何かを察した絵里は希とにこにそう言った。

 

「絵里?」

 

「ごめん。」

 

「じゃあにこっち、ウチらはパフェでも食べて帰ろか。次は絵里ちもやで。」

 

そう言って、希はその場から去っていった。

 

「うん。ありがとう。」

 

「あっ、ちょっ、希!」

 

にこも慌てて希を追いかけて行った。

 

「ごめんね。急に。」

 

「大丈夫よ。優のこと、よね?」

 

「うん。絵里ちゃんも、知ってるんだよね?」

 

「えぇ。知ってるわ。」

 

明確に何を知っているのかと聞かれた訳では無いが、絵里の中で心当たりは充分にあるようだ。

 

「ちょうど良かったわ。ことりがあの事を知ってるのは聞いていたけど、詳しく話すタイミングがなかったから、話したいと思っていたのよ。」

 

「µ’sの中では、私たち2人だけなんだよね?知ってるの。」

 

「そうみたいね。まぁ、話が話だけに、仕方ないといえばそうなんだけどね。立ち話もなんだし、ワックにでもよりましょうか?」

 

 

 

絵里の提案で、毎度おなじみのハンバーガー店、ワクドナルドまでやってきた2人。夕飯前ということもあり、2人とも頼んだのは飲み物だけ。

 

「単刀直入に、聞くね…絵里ちゃんは、優くんが1度死んでるって聞いてどう思った?」

 

「そうね…もちろん、最初は驚いてわ。でも、だからと言って優に接する態度が変わるかって言われたら、何も変わらない…いえ、何も変えないようにしないとね。じゃないと、優が感じる負い目が増えちゃうから…」

 

「けど、私ちょっと不思議なんだ。」

 

「不思議?」

 

「優くんって、なんであそこまで負い目みたいなのを、感じてるんだろって…もし、1度死んで蘇ったからって理由だけなら、あそこまで感じてる必要ないと思うし、なんなら喜ぶ人だっていると思う。だから、他に何か理由があると思うの…」

 

「……実は、私も少し考えてたの。確かに、優は転生してから茜の事だったり、色んなことがあって仮面ライダーとしての重みを感じたり、負い目を感じるのも分からなくはないわ。でも、ことりの言う通り、感じすぎているとも思う。もしかしたら、優が転生してくる前に、何かあったのかもしれないわね…」

 

「優くんが、転生してくる前…」

 

「えぇ。もしそうなら、優自身もその事を知らないのかもしれない。」

 

「あっ…!そっか。優くんは、高校生になる前までの記憶が無いって言ってた…ねぇ、絵里ちゃん。もしも、優くんにそんな過去があったとして、それを思い出したらどうなると思う…?」

 

「……優の過去がどんなものかにもよるけど、仮面ライダーとしての責任を人一倍感じて、正義心が強い優のことだし…下手したら、優自信が…壊れるかもしれないわね。」

 

「壊れる…」

 

「あくまで可能性の1つ。でも、嫌な可能性が実現することだってあるかもしれないから、頭にその事を留めておくのも必要かもしれないわね…」

 

「うん…」

 

その時、ワックから少し離れたところから、爆発音が聞こえた。

 

「っ!?絵里ちゃん!」

 

「えぇ、近いわね…行きましょう!」

 

2人は飲み終わった紙コップを捨て、ワックから出ていった。

 

 

ワックから走って20秒程度で、2人は現場に着いた。

 

「殺れ!屑ヤミー。人間共を襲って、オーズを誘き寄せろ!」

 

緑色のグリードと呼ばれる怪人、ウヴァが屑ヤミーを従え、人間を襲っている。

 

「絵里ちゃん、変身を…きゃっ!?」

 

ことりと絵里が変身しようとした時、屑ヤミーが2人に襲いかかる。なんとか避けた2人だが、その拍子に転んでしまう。そんな2人を、4体の屑ヤミーが取り囲む。

 

「絵里ちゃん…」

 

「ことり…」

 

2人は少し目に涙を貯め、お互い手を握り合う。そして、屑ヤミーが2人に襲いかかろうとした時…

 

『スキャニングチャージ!』

 

「セイヤーー!!」

 

4体の屑ヤミーに斬れ跡が3本入り、倒された。

 

「優、くん…?」

 

太陽の光に照らされあまりはっきりとは見えないが、ことりの目線の先には仮面ライダーオーズのタカヘッドが…優が過去オーズに変身しているのを目撃した2人は、その戦士は優だと思ったが、

 

「大丈夫?」

 

その戦士から聞こえてきた声は、別人のものだった。

 

「えっ、えぇ…あなたは?」

 

「俺は火野映司。オーズ、仮面ライダーオーズだ。」

 

 




次回の、μ‘sと仮面ライダーの物語!

出現したヤミーと戦う優の前に、新たなレジェンドライダーが…更に謎のヤミーが出現するが、そのヤミーは何故か優を助けるのであった…

次回、『109話 恋心と紫のメダルと欲望の暴走』





どうでしたか?今回は優と海未ちゃんのデート回でしたが、まさかあんな風になるとは(笑)
そして次回は、あのレジェンドライダーたちが登場します!


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109話 恋心と紫のメダルと欲望の暴走

はい、109話です。

まず皆さん、投稿がかなり遅れてしまい申し訳ありません!!最近少しリアルの方が忙しくて、これからも投稿ペースがかなり落ちてしまうかもしれません…

そして、僕が投稿してない間にジオウは色んなレジェンドキャストの方が出演されてましたね!更に、ラブライブフェスが開催!μ‘sの皆さんが久しぶりに戻ってこられて、更にAqours、SaintSnow、虹ヶ咲学園とも共演するとか…これはかなり熱いですね!!

そんな中、僕は昨日Aqours5thにLVで参加してきました!本当に最高で、感動しましたよ!今日もLV参加ですが、かなり楽しみです!

では109話、スタートです!


μ‘sと仮面ライダーの物語、前回の3つの出来事。

 

1つ。初のラブソングの作詞のため、優と海未はデートをすることに。

 

2つ。そんな優と海未の前に、新たな財団Xの幹部『ガリュサ』が現れる。

 

そして3つ。屑ヤミーに襲われている絵里とことりを助けたのは、仮面ライダーオーズ『火野映司』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ふふふ…待っていたわよ。2人目のオーズの坊や。」

 

俺は海未と頭に浮かんだ場所まで来た。そこには、どうやら俺を待っていたらしいメズールとガメルがいた。

 

「俺とメズールのメダル、返せぇ…!」

 

「ガメル。行くわよ。」

 

「うん…」

 

メズールの言葉にガメルが頷くと、メズールがガメルにセルメダルを入れた。すると、ガメルから白ヤミーが出現し、すぐに融合系のヤミーへと進化した。

 

ガメルから生まれたヤミーは、右肩に赤いタコの顔のようなものが着いていて、右腕と両足は赤くタコの吸盤のようなものが付いている。右肩、右腕以外の上半身はゴツゴツと膨らんでいるボディ。

 

恐らくガメルのコアメダルを取り返すという欲望から生まれた、メズールの水棲系とガメルの重量系、その2つが融合したヤミー、タコガウルヤミーだ。

 

「ヤミーか…」

 

「待て待て待てぇ!」

 

その時、俺たちの後ろから大きい牛乳缶を持って走ってきた男性が、タコガウルヤミーに1発蹴りを入れた。更に、後ろからバイクに乗った男性も現れ、メズールとガメルを轢いた。

 

「君たち、大丈夫か?」

 

バイクに乗った男性に、そう聞かれた。

 

「はっ、はい…」

 

あれ?っていうか、この男の人が乗ってるバイク、見覚えが…あっ、ライドベンダーだ!

 

「伊達さん!」

 

「おう!そこの2人、ちょっと下がってな。」

 

伊達、と呼ばれた男の人は俺と海未にそう言った。そして、2人はある物を腰に巻き付ける。

 

「バースドライバー!?まさか、あの人たち…」

 

「「変身!」」

 

2人はバースドライバーにセルメダルを入れ、ライドベンダーに乗っていた人は仮面ライダーバースに、伊達と呼ばれた男の人は仮面ライダーバース・プロトタイプに変身した。

 

「伊達さん、行きましょう!」

 

「おう。さーて、お仕事開始だ!」

 

2人のバースはガメルとメズール、タコガウルヤミーと戦闘を開始した。

 

「うぅ…ママぁ…どこ?」

 

その時、草むらに隠れて泣いている女の子が、俺の目に映った。

 

「海未、あの子を頼む。」

 

「分かりました!」

 

海未はそう答え、女の子の方へ向かった。そして俺は、オーズドライバーを呼び出し、腰に巻き付ける。

 

「変身!」

 

『タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!』

 

「はぁ!」

 

俺は仮面ライダーオーズ タトバコンボに変身し、トラクローを展開してタコガウルヤミーを引っ掻く。

 

「なんで君がオーズに!?いや、話は後だな…グリードは俺と伊達さんが引き受ける!君はヤミーを頼む。」

 

「分かりました!」

 

俺は頼まれた通り、タコガウルヤミーを再びトラクローで引っ掻く。

 

「せいっ!っく…かったぁ…」

 

ガウル側の体へ攻撃するが、硬くて全く効かない。

 

「だったら、こっち側を…はっ!ってうおっ…!?」

 

俺は右肩のタコの部分を殴ったが、ボヨンという音を立てて跳ね返されてしまう。

 

「クソ…これじゃ攻撃が効かない…」

 

どうする…メズールとガメルのヤミーなら、ライオンとかが効果的だけど、この前カザリに取られたし…よし、だったら…

 

俺は腰のメダルを変え、オースキャナーでスキャンする。

 

『タカ!クジャク!バッタ!』

 

俺は仮面ライダーオーズ タジャバにコンボチェンジした。

 

「はぁっ!」

 

そして、タジャスピナーから炎を吐き出し、タコガウルヤミーに命中させる。すると、今度は少しダメージが入った。

 

「よし…まだまだ、はぁ!」

 

俺は更に炎を吐き出したが、同時にタコガウルヤミーが墨を吐き出して打ち消されてしまう。

 

「ぐぁっ…!?」

 

更に後から吐き出された2つの墨を受け、俺はダメージを受けてしまう。

 

「くっ…だったら…!」

 

俺はオーズドライバーに入っているタカ、クジャク、バッタの3枚、そしてセルメダル4枚をタジャスピナーに入れ蓋を閉めた。

 

「「ぐぁっ!?」」

 

「オーズ…!」

 

その時、バースたちと戦っていたガメルが、2人のバースを強制変身解除にまで追い込み、俺の方へ襲いかかってきたのを、間一髪で避けた。のそのそと力任せに襲いかかってきたため、ガメルは体制を崩した。

 

『タカ・クジャク・バッタ・ギン・ギン・ギン・ギン…』

 

俺はその隙に、オースキャナーでタジャスピナー内のメダルをスキャンした。

 

「はぁっ!!」

 

『ギガスキャン!』

 

そのタジャスピナーで、俺は傍にいたガメル、そしてタコガウルヤミーを巻き込んで強力な炎を吐き出した。それにより、ガメルとタコガウルヤミーは吹き飛ばされていったが、俺はもう1人の敵を忘れてしまっていた…

 

「…っ!?ぐぁぁっ…!?」

 

身を潜めていたメズールは、俺の腰についているメダルホルダー目掛けて殴りかかってきた。それをもろに受けた俺は、コアメダルを2枚こぼしてしまい、更に強制変身解除して倒れてしまう。

 

「2枚…私のメダルじゃないわね…今日はまあいいわ。ガメル!今日は一旦引くわよ。」

 

「うん。分かったぁ…」

 

メズール、ガメル、そしてタコガウルヤミーは、メズールが出した水の中に消えていった。

 

「またメダル奪われちまったな…」

 

「後藤ちゃん、大丈夫か?」

 

「はい。すみません、伊達さん。」

 

『伊達』と呼ばれた男の人に支えられながら、『後藤』と呼ばれた男の人は立ちあがり、2人は俺の方に向かってくる。

 

「ところで、君は一体?オーズに変身していたようだが…」

 

「俺は仮野優。インフィニティって仮面ライダーで、その他いろんな仮面ライダーに変身できます。」

 

「まさか、火野が持ってるやつ以外にも、オーズのベルトがあったとはな…あっ、俺は伊達明。世界を駆けるドクターだ、よろしくな。」

 

「俺は後藤慎太郎、警察官だ。よろしく。」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

 

「優、お待たせしました。」

 

そこに、海未が戻ってきた。

 

「海未、あの子は?」

 

「無事、お母様の元へ送り届けました。」

 

「そうか、悪いな。あっ、そうだ。この人は後藤慎太郎さんと、伊達明さん。先輩の仮面ライダーの方だ。」

 

「園田海未と申します。よろしくお願いします。」

 

礼儀正しい海未は、ぺこりとお辞儀をして挨拶した。

 

「あぁ、よろしく。」

 

「それにしても美人だな。なんだ、優の彼女か?」

 

普通に挨拶を返してきた後藤さんだが、伊達さんは俺たちの関係について冗談混じりに聞いてきた。

 

「かっ…//」

 

「違いますよ。ただの友達だ。」

 

「なーんだ。そうなのか。」

 

ただの友達と答えた俺に、残念そうに言った伊達さん。なんであなたが残念そうにしてるんですか…

 

そんな中海未が少し不機嫌な顔で俺を見ていたのに、俺自身気づいていなかった。

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「俺は火野映司。オーズ、仮面ライダーオーズだ。」

 

絵里とことりを助けたのは、仮面ライダーオーズとしてヤミー、そしてグリードたちと戦っていた火野映司。

 

「危ないから、少し下がってて。」

 

映司は絵里とことりにそう言い、腰のベルトのトラ・コアメダルをカマキリ・コアメダルに変えた。

 

『タカ!カマキリ!バッタ!』

 

仮面ライダーオーズ タカキリバにコンボチェンジした映司は、両腕のカマを展開して屑ヤミーに斬りかかっていく。

 

「はぁ!セイッ!」

 

『スキャニングチャージ!』

 

映司は屑ヤミーの群れに斬撃を飛ばし、全て倒す。

 

「オーズ…お前が持ってる俺のメダル、返してもらうぞ。」

 

「悪いけど、こっちの手持ちのコアメダルも少なくてね。そういう訳にはいかない!」

 

睨み合っている映司とウヴァ。先に動いたのは、ウヴァだ。ウヴァは映司に向かって走り出し、そのまま殴りつけようとする。しかし、映司はそれを防ぎ右手のカマでウヴァを斬りつけ距離を取る。そして、映司が次の一撃を放ちに行こうとした時…

 

「がぁっ!?」

 

映司の前に突然現れた男が、映司を蹴り飛ばし強制変身解除に追い込んだ。その男はゆっくり倒れている映司の方へ向かい、強制変身解除の際に映司が落としたタカ、カマキリ、バッタのコアメダルの内、カマキリとバッタを拾い上げた。

 

「ウヴァ、この前の借りを返そう。お前のコアメダルだ。」

 

「おぉ…有難い!」

 

男はその2枚のコアメダルをウヴァに向けて投げ、ウヴァはそれを自身の体に取り入れた。

 

「あなた…この前の…」

 

その男を見た絵里は、見覚えがあるように言った。

 

「確か、クロッカーっていう…」

 

それに続いてことりが言った。そう。その男は、財団Xの幹部の1人、クロッカーだ。

 

「ウヴァ。お前の目的の2枚は手に入っただろ。今日は引け。」

 

「あぁ。そうさせてもらう。」

 

クロッカーの言葉を聞き、ウヴァは去っていく。すると、入れ替わるように一体のヤミーがクロッカーの横に出現した。

 

「ヤミー!?しかも、でかい…」

 

映司が呟いた通り、そのヤミーは通常のヤミーよりも人回りほど大きく、背中や足に大きなヒレが付いた魚のような見た目をしている。

 

「こいつは俺が作り出したヤミーだ。」

 

「っ!?なんで、君がヤミーを作り出せるんだ…?」

 

ヤミーの登場に驚いた映司は、クロッカーの言葉に更に驚いて問いかける。

 

「さぁ、なんでだろうな?」

 

ニヤッと笑って答えたクロッカーは、倒れている映司の胸ぐらを掴んで自分の方へ引き寄せ、自身の顔を見せる。

 

「っ!?その目の色、もしかして!?」

 

すると、一瞬クロッカーの目が紫色に変化した。

 

「流石、経験者はすぐに気づくな。このヤミーはある女の欲望から生まれたヤミーだ。」

 

「でも、そのメダルは器物からしかヤミーは生み出せないんじゃ…?」

 

「俺が、このメダル以外にも取り込んでるとしたらどうだ?」

 

「っ!?」

 

「さてと…バハムートヤミー、お前は親の欲望のために動き始めろ。」

 

バハムートヤミー。そう呼ばれたヤミーは静かに頷き、地面を水中のように泳いでどこかに向かっていった。

 

「タカちゃん!あのヤミーを追って!」

 

映司は咄嗟に2体のタカカンドロイドを起動させ、ヤミーが泳いでいる跡の上を飛んで追わせた。

 

「君、なにも……いない…?」

 

映司がクロッカーに対して話しかけようとしたが、振り返った時にはクロッカーはいなくなっていた。

 

「あっ、君たち。大丈夫?」

 

映司は立ち上がり、絵里とことりに問いかけた。

 

「はい。」

 

「ありがとうございます。」

 

「良かった…あっ、ごめん。俺はさっきのヤミー…怪物を追いかけるから!」

 

そう言って、映司は走っていった。

 

「あっ、ちょっ…」

 

「それにしても、最近よく私たち以外の仮面ライダーの人と会うなぁ…」

 

「あっ、そういえば、ことりは前に沢芽市に行った時仮面ライダーの人と会ったんだっけ?」

 

ことりの言葉を聞き、絵里がそう問いかけた。

 

「うん。5人会ったんだ。」

 

「へぇ…そういえば、希も仮面ライダーに会ったって言ってたわね…」

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

伊達明と後藤慎太郎と出会った優。

 

「っ!?」

 

そんな優は、さっきメズールとガメルが現れた時に感じたのと同じ感覚に陥った。その時、優の目の色が紫色に変わった。

 

「お前、その目…」

 

優の目の変化に気づいた伊達は、以前体内にあるメダルを取り込んでいた人物が、同じ変化をしていたことを思い出し驚いた。

 

「目…?」

 

「いや、なんでもない…(まさか、な…)」

 

しかし、当の本人の優は気づいていない。優の後ろにいた後藤と海未も気づいておらず、伊達の言葉を聞いて不思議に思った。

 

「それより、またグリードが現れました!」

 

「えっ!?なぜわかるんだ!?」

 

優の言葉を聞いた後藤が、そう聞いた。

 

「それはわかりません…でも、現れたのは確かです。」

 

「分かった。とにかく行こう!」

 

そして、優を先頭に後藤と海未も走り出した。

 

「(こいつ、グリードの気配を感じ取った!?じゃあ、やっぱりこいつは…)」

 

そんな考えが頭を過った伊達も、少し遅れて走り出した。

 

 

 

 

「来たね。2人目のオーズ。」

 

優たちが現場に着くと、そこにはカザリが待っていた。

 

「ったく…今日はグリードのオンパレードかよ!」

 

優はオーズドライバーを、後藤と伊達はバースドライバーを巻き付けた。そして、海未も音叉を取り出そうとしたが…

 

「海未、今日は後藤さんと伊達さんもいる。俺たちでなんとかするから、下がっててくれ。」

 

「…分かりました。」

 

優の言葉に一瞬迷ったが、海未は従って少し下がる。

 

「「「変身!」」」

 

『タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!』

 

優は仮面ライダーオーズ タトバコンボに、後藤は仮面ライダーバースに、伊達は仮面ライダーバース・プロトタイプに変身した。

 

『ドリルアーム』

 

優はメダジャリバー、後藤はドリルアームで近距離からカザリへ攻撃し、伊達はバースバスターで遠距離から撃ち抜いていく。

 

「っ!?お前はさっきの!?」

 

その時、カザリと戦っている優に、タコガウルヤミーが再び襲いかかった。その攻撃の影響で、後藤と伊達は少し離れたところまで吹き飛ばされた。メダジャリバーで、タコガウルヤミーへ斬りかかる。

 

「はぁ!やっぱり狙いは俺のコアメダルか…セイッ!」

 

優は更にタコガウルヤミーへ斬りかかっていくが、ガウルの硬い体には全く効かない。

 

「くっ…目が、見えない…」

 

タコの墨を顔に受け、優の視界が妨げられる。

 

「ぐぁぁぁっ!?」

 

次にガウルのパワーで追い討ちを受けた優は、強制変身解除に追い込まれる。

 

「くっ…」

 

そんな優に、トドメを刺そうとタコガウルヤミーが近づいていく。そんな時、タコガウルヤミーを足止めしようと、優の前に手を広げて立つ海未。

 

「海未…!バカ、逃げ「逃げません!」海未…」

 

「優が、自分の命を投げ出して他の人を守ろうとするなら、私はそんな優を守るために戦います!」

 

そう言った海未の前に、タコガウルヤミーが立った。その時、タコガウルヤミーが何者かの攻撃を受けて倒れた。

 

「っ!?どういうことだ…?まさか、ヤミーが俺たちを守った…?」

 

その攻撃を放ったのは、さっき火野映司たちの前に現れたクロッカーが生み出したバハムートヤミーだ。ヤミーが優と海未を守った、という状況に困惑する優。

 

「大丈夫!?」

 

その時、バハムートヤミーを追ってきた火野映司が、優に駆け寄って聞いた。

 

「映司さん!?」

 

「久しぶりだね、優くん。」

 

「はい!お久しぶりです。どうしてここに?」

 

「あのヤミー…バハムートヤミーを追ってきたんだ。って、ヤミーとヤミーが戦ってる…?」

 

映司は先程優を守ったヤミーを指さして言った。そうしている間に、バハムートヤミーはタコガウルヤミーを圧倒していた。

 

「でも、あのバハムートっていうヤミー、さっき俺たちを守ったんです…」

 

「えぇ!?ヤミーの親の欲望に関係してるのかな…?とにかく、ヤミーを倒さないと!」

 

「そうですね!」

 

「一気にコンボで行こう。優くん、シャウタで行ける?」

 

「それが、タコ以外取られちゃってて…」

 

「じゃあ、これ。」

 

そう言って、映司はシャチとウナギのコアメダルを渡す。

 

「ありがとうございます!」

 

2人は腰にオーズドライバーを巻き付ける。

 

「「変身!」」

 

『タカ!クジャク!コンドル!タージャードルー!』

 

『シャチ!ウナギ!タコ!シャッ・シャッ・シャウタ!シャッ・シャッ・シャウタ!』

 

映司は仮面ライダーオーズ タジャドルコンボに、優は仮面ライダーオーズ シャウタコンボに変身した。

 

「海未、それ使って怪物を記録しといてくれ。」

 

「分かりました!」

 

優はそう言い、海未にバッタカンドロイドを投げ渡した。そして、優と映司はまず、確実に敵だと分かっているタコガウルヤミーに攻撃を仕掛けた。

 

「はぁ!」

 

「セイヤッ!」

 

しかし、ガウルの頑丈なボディにはやっぱり効かない。

 

「ぐぁぁぁ!?」

 

そして、映司はタコガウルヤミーの反撃を受け、吹き飛ばされてしまう。更に、優にも反撃しようとしたが…

 

「っ!?」

 

それを、バハムートヤミーが守った。

 

「まさか、バハムートヤミーは俺を守ってるのか…?あっ、映司さん!大丈夫ですか?」

 

「うっ、うん。ありがとう…」

 

そう呟いた優は、倒れている映司に手を差し伸ばし、映司を立ち上がらせた。

 

「このヤミーには、普通の攻撃は効かないみたいですね…」

 

「だね。だったら…はぁ!」

 

映司はタジャスピナーから炎を吐き出し、タコガウルヤミーに命中させた。

 

「はぁ!」

 

そして、優はウナギウィップでタコガウルヤミーを縛り、電撃を放った。

 

「よし、効いてるみたいですね…」

 

「このまま一気に行こう!」

 

そう言った優と映司は、更にタコガウルヤミーへ攻撃を仕掛けて行った。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 海未〜

 

またです…また、優はボロボロになってでも、誰かを守るために戦っている。

 

優は誰にでも優しい。私にも、µ’sのみんなにも、他の友人にも、全く知らない人にも…そうやって、誰にでも優しくする反面、自分が損していることが何度もあります…

 

優は『仮面ライダー』だから、と自分の使命を重く受け止めている。そして、人々はそんな仮面ライダーに、身勝手に助けて欲しいと願う。仮面ライダーが、どれほど辛いものなのかも分からないのに…

 

でも、この時私は、もっと身勝手なことを…身勝手な欲望を願ってしまった…

 

嫌です…これ以上、優に傷ついて欲しくない。他の人の願いを聞いて、他の人を守って、優が傷つくなんてもう嫌です…

 

優が…私だけを見てくれれば…

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「よし…これで終わりだ!」

 

優と映司は、タコガウルヤミーにトドメを刺そうと前に立つ。その時…

 

「ぐぁぁぁああ!」

 

「なんだ!?」

 

突然、頭を抑えてバハムートヤミーが苦しみ出した。

 

「ワタシ…ダケ、ヲ…グァァァァ!」

 

そして、優に襲いかかった。

 

「ぐっ…!?」

 

「優くん!?はぁぁぁ…セイヤァ!」

 

映司はタジャスピナーにエネルギーを貯め、バハムートヤミーへ炎を吐き出した。それを受けたバハムートヤミーは、苦しみながら逃げていった。そして、いつの間にかタコガウルヤミーもいなくなっていた…

 

「優!大丈夫ですか?」

 

「あぁ、大丈夫だ。」

 

駆け寄ってきた海未に、変身解除した優が答えた。同時に映司も、変身解除した。

 

「あっ、映司さん。コアメダル、ありがとうございました。」

 

そう言って、優は借りていたシャチとウナギのコアメダルを返した。

 

「そういえば、あのヤミーを生み出したグリードって誰だったんですかね?バハムートって言ったら、伝説の魚でしたよね?」

 

「それが…あのヤミーを生み出したのは、財団Xのクロッカーっていう幹部らしい…」

 

「クロッカー!?なんであいつが…」

 

「彼、どうやら紫のコアメダルを取り込んでいるようなんだ…」

 

「紫の、コアメダル…!?あれ…?でも、紫のコアメダルは器物からしかヤミーを生み出せないんじゃ…」

 

「そうなんだけど…彼、他にも何かのコアメダルを取り込んでいるらしい。だから、人間からでも生み出せた。」

 

「ってことは、バハムートヤミーは融合系のヤミーってことですね…だとしても、さっきまで俺たちを守ってたのに、なんで突然襲いかかってきたんでしょう…」

 

「もしかしたら、途中でヤミーの親の欲望が少し変わったのかも…」

 

優の言葉に、ふとそう呟いた映司。

 

「えっ?」

 

「ほら、最初は優くんを守ってたでしょ?けど、突然苦しみながら優くんを襲った…そういえば、あの時ヤミーが何か言ってたよね?」

 

「そういえば…『私だけを』って、言ってた気がします。」

 

「なるほど…あっ、もしかして!ヤミーの親が、優くんに好意を抱いているとか?」

 

「えっ?俺に好意を…?」

 

「うん!最初は好きな優くんを守りたいとか、力になりたいとか、そんな欲望だったんじゃないかな?でも、途中で欲望が暴走して、優くんを自分のものにしたいって思ったとか?」

 

「っ!?(もしかして…)」

 

映司の言葉を聞き、海未の表情が少し険しくなる。

 

「確かに、それだと辻褄は合ってますけど…まさか…」

 

「「火野!」」

 

そこに、カザリと戦っていた後藤と伊達が駆けつける。

 

「伊達さん!後藤さん!」

 

「悪い。カザリに逃げられてしまった…」

 

「こっちも、ヤミーに逃げられてしまいました…」

 

「そうか…」

 

「とりあえず、もう遅いし優くんと…」

 

「あっ、園田海未と申します。」

 

映司と初対面の海未は、そう挨拶してぺこりと頭を少し下げる。

 

「俺は火野映司。よろしくね。とりあえず、優くんと海未ちゃんは、もう暗いし帰った方がいいんじゃない?」

 

時刻は6時過ぎ。12月で冬真っ盛りのため、辺りはもう暗い。

 

「そうですね。じゃあ、俺達は帰りますね。」

 

「うん。優くん、バハムートヤミーの親の欲望が何にしろ、多分また優くんを襲ってくると思う。だから、気をつけてね。」

 

「はい。では…」

 

そこで、優と海未は3人と別れた。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 海未〜

 

あの怪物を生み出したのは、財団Xのクロッカー…そういえば、今朝彼は私の前に現れた。

 

あの怪物は、人の欲望から生み出される…

 

あの怪物は、最初は優を守っていたのに、途中で優を自分のものにしたいという身勝手な欲望のため動き始めた。そのタイミングが、私だけを見て欲しいと身勝手なことを願った時と一致します。ということは、あの怪物は私の欲望から生まれた…

 

でも、これでようやく分かりました。優と話したり、一緒にいるとドキドキする。そんな気持ちの正体に…

 

私は、優に恋をしていたんですね…

 

 

「…み…うみ…海未!」

 

「えっ…?」

 

ぼうっとしていた私は、優が声をかけていたことに気づきませんでした。

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

映司たちと別れて家路についた優と海未。すると、海未が何か考え事をしているのに気づいた優は、海未に声をかけた。

 

「海未?海未。海未!」

 

「えっ…?優、どうかしたんですか?」

 

「それはこっちのセリフ。なんか考えこんでるみたいだけど、どうかしたのか?」

 

「いえ…その…」

 

「ん?」

 

「申し訳ありません!」

 

「えっ!?ちょっ、なんだよ突然?」

 

「さっきの怪物を生み出したのは、私かもしれないんです…」

 

「えぇ!?」

 

「怪物と戦う前に少し話しましたが、今朝クロッカーが私の前に現れたんです。だから…」

 

「でも、それだけで海未がヤミーの親だとは限らないだろ?」

 

「根拠は、それだけじゃありません…あの怪物の動きは、私が望んでいることと似ていたので…」

 

「海未が望んだこと…?って、海未は俺の命を狙ってるのか!?」

 

「ちっ、違います!そうじゃなくて…」

 

「ん?」

 

「そうじゃなくて…さっきの、火野さんの推理の通りです…」

 

「映司さんの推理…?って、海未は俺のことを…!?」

 

海未の言葉の意味を理解した優は、顔を赤くしてそう言った。

 

「はい…どうやら、私は優のことを、好きになっていたみたいです…」

 

「えぇ!?」

 

「最初は、いつも他の人のために戦ってボロボロになる優を見て、優を守りたいって思ってました…でも、途中少しこう思ってしまいました…優が、私だけを見てくれれば…と、身勝手な欲望を…」

 

「海未…」

 

「本当にごめんなさい!私の気持ちが、暴走しなければ、怪物だって倒せていたのに…」

 

「まぁ、気にすんな…ってのは難しいかもしれないけどさ、俺も茜を好きになったことがあるから少し分かるんだ。茜って生徒会長だったから、いろんな人と接する機会も多かった。誰にでも優しいあいつは、いろんな人に笑顔で、優しく接していた。それが茜のいい所だって思ってはいたけど、嫉妬してしまう自分もいたからさ…」

 

「優…」

 

「ヤミーは絶対、俺が倒してくる。だから、海未は安心して待ってくれればいい。」

 

そう言って、優は海未の頭を優しく撫でた。

 

「(私は、優のこういった優しさに惹かれていったのですね…私だけじゃない、他のみんなも…)」

 

「えっと…それで、返事…だよな?」

 

優は少し戸惑いながら、海未に言った。

 

「いえ、返事はまだいりません。」

 

「えっ?」

 

「私はスクールアイドルですし、少なくとも予備予選を勝ち進んで、決勝大会が終わるまでは返事は大丈夫です。」

 

「分かった。それまでに、考えとくよ…」

 

 

優がマネージャーを務めるµ’sには、優に想いを寄せる人物が7人いる。その7人でも、好きという想いの形はそれぞれ…自分の気持ちに気づいているものもいれば、気づいていないものもいる。

 

その中でも、1番自分の気持ちに鈍感で、1番恋愛に疎いのは、園田海未。そんな海未が、1番に優に想いを伝えたのであった…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 海未〜

 

まさか、自分の気持ちに気づいた日に、想いを伝えることになるなんて、自分でも思っていませんでした…

 

ですが、本当に良かったのでしょうか…?穂乃果やことりたちも、優に好意を向けているのは薄々気づいていました。そんなみんなに抜け駆けして、私の身勝手な欲望で優に迷惑をかけた私が、告白してしまって…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 優〜

 

まさか、海未が俺の事を好きだなんてな…返事は考えとく、そう答えたものの、俺が海未と付き合う訳にはいかないよな…

 

仮面ライダーとしての戦いで、ただでさえ危険な目に合わせてしまっているのに、俺と付き合うことで更に戦いに巻き込んでしまうわけにはいかない…茜の、時みたいに…

 

それに、今の俺は極アームズに変身したことで、着実にオーバーロード化が進んでいる。その内、俺は人間じゃなくなる…そんな俺なんかが、海未と付き合う訳にはいかない。海未は優しいし、可愛いし、真面目だし…海未には、俺なんかよりももっといい相手がいるだろうしな…

 

〜side out〜

 

 

 

 

~三人称視点~

 

優と海未が帰っている頃、2人と別れた映司たち3人はクロッカーについて話し合っていた。

 

「まさか、真木博士のように紫のコアメダルを取り込むやつが現れるなんてな。」

 

「はい…それに、財団Xが普通のコアメダルだけじゃなく、紫のコアメダルまで復元出来るなんて…財団Xは、俺たちが想像してる以上の科学力を持っているのかもしれませんね。それと、もう1つ気になることが…」

 

後藤が言ったのに続いて、映司がそう言った。

 

「どうした、火野?」

 

「これまで、欲望の変化でヤミーが分裂したことはありましたけど、途中で欲望が変わって、一体のヤミーの行動が変わったことってありましたっけ?」

 

「……確かに、思い返してみるとないな…」

 

「俺がアンクと出会ってオーズになって間もない頃、お腹いっぱいになるまで食べたいって欲望からカザリが生み出したネコのヤミーがいたんですけど、途中でもう食べたくないってその親は思ってたんです。それなのに、ヤミーの行動は止まらなかったことがありました。」

 

「なるほどな…確かに、今回のバハムートヤミーはかなり特殊みたいだ…恐らくそれには、恐竜じゃないもう1つのコアメダルが絡んでいるだろうな。」

 

映司と後藤が話している間、一言も喋らなかった伊達。いつも少しふざけたことを言うことが多い彼が、深刻な表情を浮かべて口を開く。

 

「話は少し変わるが、どうやら紫のコアメダルを取り込んでいるのは、そのクロッカーっていうやつだけじゃないようだ。」

 

「伊達さん?」

 

「どういう意味です?」

 

2人に問われた伊達は、衝撃事実を口にする。

 

 

「仮野優。あいつも、紫のコアメダルを取り込んでる。」

 

 

 




次回のμ‘sと仮面ライダーの物語!

「俺はお前に感染したバグスター。お前の体に変化があったら、俺にも分かる。」

「穂乃果ァァァァァァァァ!」

「比奈ちゃん!?」

「優くんが、グリードに…」

『プ・ト・ティラーノ・ザウルース!』

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」

次回、『110話 優の身体と悪戯と紫のコンボ』




いかがでしたか?まさかの優に紫のメダルが…気づいていた方もいらっしゃるかもしれませんが…そして、優と映司の久々の再開!伊達さんと後藤さんも登場しましたね!

あと、今回から次回予告を仮面ライダーの予告っぽくセリフだけにしてみました!でも、映像がないのでなんなのか全くわかりませんね(笑)まぁ、これはこれで面白いかな、と…

では今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想、あと質問などもあれば頂けると嬉しいです!次回も是非見てください!



次回は出来るだけ早めに投稿できるよう頑張ります!


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110話 優の身体と悪戯と紫のコンボ

はい、110話です。

皆様、またまた投稿が遅れてしまい、本当に申し訳ありません!!2週に1度は投稿したかったのですが、まさか1ヶ月ぶりの投稿…ほんと、すみません…
では110話、スタートです!


〜μ‘sと仮面ライダーの物語、前回の3つの出来事〜

 

1つ、優は仮面ライダーオーズ、火野映司。バース、後藤慎太郎。バース・プロトタイプ、伊達明と出会う。

 

2つ、海未の優が好きという欲望からヤミーが生まれ、海未の気持ちを優が知った。

 

そして3つ、伊達が優の体内に紫のコアメダルがあると気づき、それを映司と後藤に告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

~三人称視点~

 

「仮野優。あいつも、紫のコアメダルを取り込んでる。」

 

映司、後藤、伊達の3人でクロッカーがコアメダルを取り込んでいる事について話し合っている中、伊達が衝撃的事実を述べた。

 

「えっ…?どういうことですか?」

 

「そのまんまの意味だ。後藤ちゃん、何か思い当たる事ないか?」

 

「そういえば、さっきグリードが現れた時に何故か気配を読み取って、居場所まで分かっていましたね…」

 

「グリードの気配を…?それってまさか!?」

 

後藤の言葉を聞き、映司は自身の過去の経験から心当たりが生まれた。

 

「あぁ。アンコがヤミーが現れたとき、気配を読み取ってたのと同じだ。それから、グリード化したお前もな、火野。」

 

「優くんが、紫のコアメダルを…」

 

「まぁ、本人は気づいてないようだけどな。でも、すぐに嫌でも気づくだろうな。その内、あいつはグリードのように、味覚や視覚、聴覚などが感じられなくなるだろうな…」

 

「優くんが、グリードに…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ただいま…」

 

「あっ、お兄ちゃんお帰り!」

 

「優、お帰り!」

 

海未を家まで送り届け、俺が帰宅すると優奈とラビリーが出迎えてくれた。

 

 

 

それから夕食を食べ、風呂に入った俺はラビリーに話があると言われ、ラビリーの部屋に行った。

 

「で、話ってなんだ?」

 

「優。最近お前の体、どっか変わったりしてないか?」

 

「えっ?」

 

「俺はお前に感染したバグスター。お前の体に変化があったら、俺にも分かる。」

 

「……やっぱ、気づかれてたか…その通りだ。少し前、極アームズに変身して、俺の体は少しずつオーバーロード化してるんだ。」

 

「オーバーロード?」

 

「簡単に言うと、知性を持ったインベス。俺の体は徐々にオーバーロードとなるってことだ。」

 

「それってやばいだろ!?」

 

「大丈夫だ。別に暴走とかはしないだろうし、生活にはそんな影響はないと思うから。あっ、このことは絶対誰にも言うなよ?じゃあな。」

 

俺はそう言い残して、逃げるように部屋から出て、自室に戻った。まぁ、生活に影響がないってのは嘘なんだけどな…味覚とかを感じなくなるんだし…でも、余計な心配をかける訳にはいかないしな…

 

 

あっ、そうだ…姉ちゃんにあれ頼んどくか…

 

その後、俺は姉ちゃんの部屋に行き、姉ちゃんにあるお願いをした。

 

~side out~

 

 

 

 

 

~三人称視点~

 

翌日…

 

昨日の告白の件で優と海未は少し気まずそうにしていたが、優たちはいつも通り授業を受け、ラブライブ最終予選に向けて練習した。

 

「優くん!」

 

練習後、穂乃果、希、凛は優に呼びかけたが、その顔はどこかイタズラをする子供のような顔だ。

 

「ん、どうした?」

 

しかし、優はそんなこと全く気づかない。

 

「これ、(うち)の饅頭の試作品。良かったら食べて感想聞かせて!」

 

「おぉ、ありがとう。じゃあ、いただきます。」

 

優は受け取った饅頭を口元に運んでいく。その様子を見ている穂乃果、凛、希は『にししっ』と笑みを浮かべている。

 

「穂乃果ァァァァァァァァ!」

 

その時、海未が真っ赤な顔をして部室に入ってきた。

 

「優!それを食べてはいけません!」

 

海未は慌てて優にそう言ったが、優は既に饅頭を口の中に入れ、モグモグと味わっていた。

 

「ん?…うん…美味いぞ。」

 

「「「「えっ?」」」」

 

優の言葉に、4人はそう声を漏らす。その時、優の携帯に1件の通知がきた。

 

「悪い。蓮から屋上に戻ってきてくれって連絡きたから、ちょっと行ってくる。」

 

優はそう言い、部室から出ていった。

 

「穂乃果…優に渡したのって、私に渡したのと同じ激辛饅頭ですよね…?」

 

「うん…そのはず、なんだけど…」

 

「穂乃果ちゃん、本当に激辛にしたのかにゃ?」

 

「入れ忘れたんとかとちゃう?」

 

海未、穂乃果、凛、希がそう話す。穂乃果たち3人は、海未に激辛饅頭を渡すというドッキリをし、海未はまんまと引っかかった。それを優にも仕掛けたのだが、特に表情を変えることなくそれを食べた優に、4人は驚きを隠せない。

 

「優くんって、辛いもの強かったっけ?」

 

「いえ…合宿の時のカレーも、甘口、中辛、辛口の3種類から中辛を選んでいましたので、そんなに強い訳では無いと思います。それも、先程のような激辛饅頭…私は今でも口がヒリヒリしています。」

 

「あっ、海未ちゃん…」

 

「だいたい、あなた達はいつもいつも…」

 

穂乃果、凛、希の3人は、海未から長いお説教を受けることになるのであった…

 

 

 

「はぁ…実を言うと、さっきの饅頭ほとんど味感じなかったんだよな…極アームズの影響って、こんな早くくるものなのか…?でも、穂乃果の家の饅頭だし、美味いに決まってるだろうな…」

 

優が1人そんなことを呟きながら歩いていると、屋上に到着した。

 

「蓮、どうしたんだ?」

 

「あぁ、話があるのは俺じゃなくて…」

 

「私が話があったから、呼んでもらったの。」

 

そこには、蓮と秀夜だけではなく、優の姉である優香がいた。

 

「俺に?」

 

「うん。ほら、昨日の件について。」

 

「あぁ、わざわざ悪い。」

 

「ううん。急いだ方がいいと思ったから…」

 

そう言いながら、優香は近くの机の上に持ってきたノートパソコンを開く。

 

「海未ちゃんがバッタカンドロイドで撮影してくれた映像を元に解析してみたんだけど…」

 

優香はノートパソコンに、バハムートヤミーを映し出す。

 

「優くんが火野映司さんから聞いた通り、このヤミーは紫のコアメダル…恐竜メダルのグリードが、他のコアメダルを取り込んだことで生まれたヤミー。」

 

「それで、そのコアメダルを取り込んでるのが、クロッカー…」

 

「そのヤミーの親が、海未ちゃんというわけね…」

 

優と優香の言葉を聞いた蓮と秀夜は、事前にクロッカーが紫のコアメダルを取り込んだということを説明されていたので驚きはしないが、冷や汗を流す。

 

「しかも、そのもう1種類のコアメダルがかなり特殊というか…」

 

「特殊?メズールのコアじゃないのか?」

 

恐竜系のコアメダルのグリードから生まれるヤミーは恐竜のヤミー、もしくは空想上の生物のヤミー。空想上の生物であるバハムートのヤミーが恐竜メダルのグリードから生まれても不思議ではないが、バハムートは伝説の魚なので水棲系のコアメダルも取り込んでいるグリードが生み出した。優はそう思い込んでいたのだ。

 

「うん。確かに恐竜メダルだと器物からしかヤミーは生まれない。でも、メズールのコアを取り込んでいるのだとしたら、大量の卵をどこかの巣に隠しているということになる。だから、バハムートヤミーのように1体のヤミーが海未ちゃんから生まれるというのは、辻褄が合わない。」

 

「じゃあ、なんのコアを…?」

 

「メズールとは違う、もう1つの水棲系のコアメダル。」

 

「もう1つの水棲系のコアメダル…?」

 

「うん。サメ、クジラ、オオカミウオの3種類の水棲系コアメダル。」

 

「サメ、クジラ、オオカミウオ?」

 

「そんなコアメダル、あったか?」

 

優香の言葉に、3人は疑問符を浮かべる。

 

「3人は知らないわよね…かく言う私も、今回の件でしっかりと調べるまでは認知はしていたものの、ちゃんと理解していた訳では無いからね。」

 

「姉ちゃんでも、知らなかったのか?」

 

「えぇ。サメ、クジラ、オオカミウオの3枚の水棲系…まぁ、区別するためにこっちは魚類系とでも呼びましょうか。魚類系のコアメダルは、本来まだこの世界に存在しないの。」

 

「まだ?……ってことは、まさか未来で!?」

 

「そう。魚類系のコアメダルは、未来で生まれるはずだった5種類のコンボのコアメダルの内の1つ。なんで未来で生まれるはずのコアメダルが現代にあるのかはわからないけど、もしかしたら、それを現代で創り上げてしまったのかもしれないわね…」

 

「じゃあ、財団Xは歴史改変したってことか?」

 

蓮が優香に問う。

 

「間違ってはいないけど、少し違うかな。財団Xが歴史そのものを変えた訳じゃなく、財団Xが本来の歴史以上の科学力を持ったってこと。」

 

「難しくて全然分かんねぇ…」

 

「要は、財団Xに歴史改変する力自体はないけど、財団Xの力がこれまで以上に強力になって、歴史そのものが変わり始めてるってことか?」

 

蓮とは違い、秀夜は話のあらましを理解してそう言った。

 

「うん。元々、5種類の未来のコアメダルの内、今回の魚類系は唯一過去に存在したことがあるの。今から6年ほど前、仮面ライダーポセイドンが未来から大量のコアメダルを抱えてやってきたの。」

 

「仮面ライダーポセイドン?そんなライダーいたか?」

 

「ううん。ポセイドンは、魚類系のコアメダルと同じく未来で存在することになる仮面ライダー。未来で魚類系の3枚のコアメダルを使って、ある青年が変身した仮面ライダーよ。」

 

「コアメダルを使うってことは、オーズと同じってことか?」

 

「全く同じってわけではないけど、ベルトのシステムが違うだけで似ているわ。でも、優くんたちが今使っているコアメダルと未来のコアメダルとでは、決定的な違いがある。未来のコアメダルは、本来意思を持たないわ。」

 

「意思を持たない?」

 

「そう。純粋に欲望のパワーだけを利用するから。でも、6年前現代のコアメダルが全て黒い渦に吸い込まれた。そのコアメダルがたどり着いたのが、仮面ライダーポセイドンのいる時代…それも、運の悪いことに仮面ライダーポセイドンに大量のメダルが入り、変身者の体を乗っ取り意思を持ったグリードと同じような存在が生まれてしまった…」

 

「じゃあ、財団Xはそのポセイドンからコアメダルを奪ったってことか?」

 

「ううん。その後、戦いを求めたポセイドンは2011年の時空にワープし、オーズである火野映司に倒されてるわ。けど、その時当時の財団Xの幹部…レム・カンナギがサメ、クジラ、オオカミウオの3枚を奪い、財団Xを裏切ってその力を悪用した。」

 

優香はそう言いながら、パソコンにレム・カンナギの顔写真を映した。

 

「それを火野映司含む仮面ライダーたちが阻止した時、3枚のコアメダルは行方不明となったはずなんだけど…それを財団Xが秘密裏に回収した、もしくはデータを取って作り直してかってところね…レム・カンナギが裏切ったとはいえ同じ財団Xだし、データ回収ぐらい出来ると思うから…」

 

「確かに、財団Xは壊れたコアメダルの復元をして、カザリたちグリードを復活させてる。」

 

「データを元にコアメダルを作るのも可能かもしれないな…」

 

優香の説明を聞き、秀夜、蓮が言った。その言葉をきっかけに、優があることに気づく。

 

「ん…?データ…そういえば、まだコアメダルが作られていないだけで、データとかならどこかにあるのかも…映司さんなら、何か知ってるかもな…俺ちょっと聞きに行ってみようかな。」

 

「今から?」

 

「早い方がいいし、アポ取れたら今から行くよ。」

 

「悪い。俺と秀夜、ちょっと別件で行けそうにないんだ。」

 

「そうか。分かった、じゃあ俺1人で行ってくるよ。」

 

優はそう言って、屋上から出ていった。

 

「それで、俺たちだけに話ってなんですか?」

 

優が屋上から出ていくと、秀夜が優香に聞いた。蓮と秀夜は、事前に2人だけに話があると言われていたのだ。

 

「……さっきクロッカーが恐竜メダルを取り込んだって言ったけど、それは10枚ある中の5枚…半分だけだったの。それで、残りの5枚がどうなっているのか、ダメ元で探してみた…」

 

「ダメ元?」

 

「私たち女神も、万能ってわけじゃない。天界にある恐竜メダルの数少ないデータを持ち帰って、優くんの家からメダルの反応を探してみたの。けど、データが少ないから近くに反応がないとキャッチ出来ない。だからダメ元だったの。」

 

「なるほど…」

 

「でも、キャッチ出来たの…恐竜メダル5枚分の反応が…」

 

「マジか!?誰から?」

 

蓮が驚いて言ったが、秀夜は何かに勘づき冷や汗を流す。

 

「……優香さん。まさか、この話を優抜きでしたってことは…」

 

「…………うん。優くんの、体内から…」

 

「はっ…?優の体内から…?」

 

「優自身は、知ってて俺たちに黙ってるんですか?」

 

「ううん。多分気づいてないと思う…それとなく探ってみたんだけど、なんにも気づいてなさそうだったし…」

 

「そうですか…」

 

「じゃあ、優が気づかない内に、財団Xが体内に恐竜メダル5枚を入れ込んだってことか…?」

 

「多分、そういうことだと思う。」

 

「くそっ!ふざけやがって…!」

 

怒りが込み上げ、蓮は屋上の壁を殴る。秀夜も跡が残るほど手を握りしめている。

 

「私は優くんの体内からコアメダルを取り除く方法がないか、天界で調べてみるわ!」

 

「俺たちにも、何か出来ることありませんか?」

 

「蓮くんと秀夜くんは、これまで通り優くんと接してあげて。」

 

「えっ?」

 

「これは、優くんの姉としてのお願い。」

 

「そんなの、お願いされるまでもありませんよ。」

 

「そうそう!俺達は何があっても、3人一緒です。なんたって、転生してもまた巡り会えたぐらいなんですから!」

 

優香の頼みに、秀夜と蓮は笑顔で返事した。

 

 

 

「分かりました。じゃあ、今からそっちに向かいます。」

 

一方優は、予め電話番号を聞いていた映司に電話をかけ、会う約束をした。

 

『スペシャル召喚 ライドインフィニティ!』

 

「さてと、行きますか!」

 

優はヘルメットを被り、ライドインフィニティを発進させた。

 

 

 

「全く…あの3人はいつもいつも…」

 

穂乃果、凛、希にお説教していた海未は、罰として3人には部室の掃除をしてから帰ることを命じ、1人先に帰っていた。その時、近くから悲鳴が聞こえた。

 

「っ!?」

 

海未は悲鳴が聞こえた方に走り出した。

 

「あれは昨日の!?」

 

そこにはバハムートヤミーとタコガウルヤミーが、1人の女性に襲いかかろうとしていた。

 

「ふんっ…にゅ!」

 

すると、襲われそうになっていた女性は、近くに置いてあった巨大なドラム缶を持ち上げ、2体のヤミーに投げつけた。

 

「あんな巨大なドラム缶を1人で!?」

 

あのドラム缶は人が1人で投げることなど出来るわけがないほどの重量がある。それを1人で持ち上げたことに、海未は驚愕したが、すぐに女性に駆け寄った。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「うっ、うん…」

 

「早く逃げてください!」

 

「何言ってるの!?あなたも逃げないと!」

 

女性は海未にそう言うが、海未は音叉を取り出して前に出る。

 

「私は大丈夫です。」

 

海未は音叉を手にあて、顔の前に持ってくる。

 

「はぁぁぁぁ…たぁ!」

 

海未は仮面ライダー響鬼に変身した。

 

「仮面ライダー…!?」

 

女性が驚く中、海未は2体のヤミーとの戦闘を開始した。

 

 

 

「お待たせしました。」

 

優は映司、伊達、後藤が待つ鴻上ファウンデーションの一室に来ていた。

 

「それにしても、なんで鴻上ファウンデーションで待ち合わせなんですか?こんな有名な会社と、関わりが?(そういえば、凄い有名だけど何してる会社なのか知らないな…)」

 

「うん。ここの社長の鴻上さんがコアメダルの研究とかもしてて、色々とサポートもしてくれてるからね。」

 

「へぇ…」

 

「それで、俺たちに話って?」

 

 

 

優は、映司たちに優香から聞いたことを説明した。

 

「まさか、あの男が未来のコアメダルを取り込んでいたとはな…」

 

「こりゃ、想像以上に厄介みたいだな…」

 

優の説明を聞いた後藤と伊達が、以前会ったポセイドンのことを思い出しながらそう言った。

 

「それに、復活したグリードたちのコアメダルを復元したのも、財団Xだったんですね…」

 

その時、部屋の窓をつつく音が聞こえた。

 

「タカちゃん、ヤミーが見つかったの?」

 

窓の外にいたのは、映司の頼みでヤミーを探しに出ていたタカカンドロイド。映司の問いにタカカンドロイドは頷く。

 

「とにかく行こう!」

 

「はい!」

 

優、映司、伊達、後藤はタカカンドロイドの案内の元走り出した。

 

 

「海未!?」

 

優たちがタコガウルヤミー、バハムートヤミーの元に到着すると、響鬼に変身した海未が戦っていた。

 

「映司くん!」

 

さっきドラム缶を投げ飛ばした女性が、映司に話しかける。

 

「比奈ちゃん!?とにかく、危ないから下がってて。」

 

「うん!」

 

そして、優はインフィニティドライバー、映司はオーズドライバー、後藤と伊達はバースドライバーを巻き付ける。

 

「変身!」

 

『タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!』

 

優は仮面ライダーインフィニティ、映司は仮面ライダーオーズ タトバコンボ、後藤は仮面ライダーバース、伊達は仮面ライダーバース・プロトタイプに変身した。

 

「屑ヤミー!?」

 

すると、屑ヤミーがぞろぞろと現れてきた。

 

「火野、仮野くん。ここは俺と伊達さんに任せてくれ。」

 

「ヤミーはお前らに任せたぜ!」

 

「はい!」

 

「お願いします!」

 

後藤と伊達に屑ヤミーを任せ、優は海未と共にバハムートヤミーと、映司はタコガウルヤミーと戦闘を開始した。

 

「海未、遅れて悪い!」

 

「いえ!大丈夫です。」

 

優はインフィニティソードで斬り、海未は音撃棒から炎を飛ばしてバハムートヤミーへ攻撃する。しかし、バハムートヤミーはそれを容易く防ぐ。

 

「だったら!」

 

「はぁぁぁぁ…てやぁ!」

 

優は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに、海未は仮面ライダー響鬼紅に変身した。

 

「はぁ!」

 

「たぁ!やぁ!」

 

2人は更に攻撃するが、全く効かない。

 

「ぐぁぁぁ!?」

 

「きゃっ!?」

 

バハムートヤミーの反撃を受けた優と海未は、強制変身解除に追い込まれる。その時、同じくタコガウルヤミーから反撃を受けた映司も、強制変身解除に追い込まれた。

 

「くっ…」

 

そして、優の前にタコガウルヤミーが立ち、トドメを刺そうとする。

 

「うっ…」

 

その時、優は一瞬意識を失ったように俯いたが、すぐに顔を上げた。その優の目は紫色に変化し、2体のヤミーを睨みつけ威圧し、紫のオーラを放った。それにより、2体のヤミーは後退る。すると、優のインフィニティブレスからオーズドライバーが呼び出され、腰に巻き付けられた。

 

そして、優の体内から3枚のコアメダル…プテラ、トリケラ、ティラノのコアメダルが飛び出し、オーズドライバーに収まる。優の意志とは関係なく、自動的にオースキャナーがコアメダルをスキャンする。

 

『プテラ!トリケラ!ティラノ!プ・ト・ティラーノ・ザウルース!』

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」

 

「これは、一体…?」

 

「優くんが、プトティラコンボに…」

 

優は仮面ライダーオーズ プトティラコンボに変身し、自身の意識を手放してしまった…

 

 




次回のμ‘sと仮面ライダーの物語!

「いいわ。教えてあげる…」

「いつも信じてあげているのが、1番なんじゃないかなって私は思います。」

「俺は、この手で掴める命があるなら絶対に掴む!」

「これが、グリードの完全体…」

「優が辛い時は、少しでもいいから私たちは力になりたいです!」

「まずはμ‘sと…仮野優、だっけか?やつらを殺すとするか。」


次回、『111話 紫の力とグリードの死と映司の想い』





はい。2度目の意味不明な次回予告でした(笑)

そして、オーズ編も残すところ1話です。次回もお楽しみに!



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111話 紫の力とグリードの死と映司の想い

はい、111話です。

ついに夏休み突入!これからは少しでも多く投稿できるように、と考えています。まだ分かりませんが…
そして今回、オーズ編完結です!

では111話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

『プテラ!トリケラ!ティラノ!プ・ト・ティラーノ・ザウルース!』

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」

 

「これは、一体…?」

 

「優くんが、プトティラコンボに…」

 

優が仮面ライダーオーズ プトティラコンボに変身し、その影響で自我を失ってしまった。

 

「うぅぅ…!」

 

海未と映司が戸惑う中、優は後藤と伊達が戦っている屑ヤミーの群れに方向転換する。すると、優は冷気を放って屑ヤミーを全て凍らせた。

 

「ふんっ!」

 

優は尻尾であるテイルディバイダーを伸ばし、一気に屑ヤミーを全て倒した。

 

そして、次に優の標的となったのは、タコガウルヤミーだ。

 

『スキャニングチャージ!』

 

優はオースキャナーでベルトのコアメダルをスキャンし、両肩のワイルドスティンガーを伸ばしてタコガウルヤミーに突き刺した。

 

「あぁ!」

 

優はワイルドスティンガーを縮め、タコガウルヤミーに急接近して右手で握り潰し、一瞬で倒した。それにより飛び散ったセルメダルの1枚を優はキャッチし、地面に手を入れてメダガブリューを作り出して取り出した。

 

『ガブッ!ゴックン!』

 

優はメダガブリューにセルメダルを1枚飲み込ませ、バズーカーモードにした。

 

『プ・ト・ティラーノ・ヒッサーツ!』

 

「うぁぁ!!」

 

優はメダガブリュー バズーカーモードからエネルギー弾を吐き出し、バハムートヤミーに命中させ倒した。屑ヤミーとあんなに苦戦したヤミー2体を、ほんの1分程度で倒したのだ。しかし、それでは全てを無にするプトティラコンボの闘争心は収まらない。

 

「うぅ…」

 

優はゆっくり、後藤と伊達の方を向く。

 

「後藤ちゃん…このパターン、やばくね?」

 

「ですね…」

 

「うおぉ!」

 

後藤と伊達の予想通り、優は2人に襲いかかった。

 

「優!どうしたんですか!?」

 

「プトティラコンボは、変身者の意思とは関係なく、目に映るもの全てを破壊しようとしてしまうんだ…」

 

驚く海未に、映司が説明した。

 

「そんな…」

 

「「ぐぁ!?」」

 

海未が映司の説明を受けていると、後藤と伊達が優の攻撃を受けて強制変身解除に追い込まれた。

 

そして、優はメダガブリューを2人に向かって振り下ろそうとした。

 

「海未ちゃん!?」

 

その時、海未は優に向かって走り出し、後藤と伊達の前に立って庇うように手を広げた。

 

「優ダメです!」

 

すると、奇跡的に優の動きが止まった。

 

「私には、人を守るために傷ついている優が、どれほど辛い思いをしてるのか、想像もつきません…でも、私たちは少しでも優の力になれたらって思っています!私たちは隣で一緒に悲しんだり、一緒に楽しんだりするぐらいしか出来ないかもしれません…でも…それでも、私たちは少しでもあなたの力になりたいんです!だから、元に戻ってください…!」

 

海未が涙ながらに訴えると、

 

「うっ…海未、悪い…」

 

優の変身が解け、意識を失った。

 

「優!」

 

「優くん!」

 

倒れた優に、その場にいた4人が駆け寄った。

 

 

 

戻ってきた映司たちは、鴻上ファウンデーションのさっきの一室に優を寝かせた。

 

「優…」

 

心配して言葉が漏れた海未。

 

「あの…優は、大丈夫なんですか?」

 

「……うん。優くんも今は気を失ってるだけだろうし、すぐ目を覚ますと思うよ。ただ、あのコンボは優くんの意思とは関係なく、変身してしまうんだ。だから、また暴走してしまう危険はあるから気をつけて。」

 

「分かりました…」

 

「もう辺りも暗くなってきてるし、そろそろ帰った方がいいんじゃない?」

 

「そうですね…」

 

「はい、これ俺の連絡先。もし何かあったら、これに連絡して。」

 

映司は自分の携帯の電話番号を書いた紙を、海未に渡した。

 

「ありがとうございます。あの、優をよろしくお願いします。」

 

「うん。」

 

「私、送ってきます。」

 

海未は比奈と共に、部屋を出た。

 

「なんか、仮野って火野に似てるよな。」

 

海未と比奈が部屋から出ていくと、唐突に伊達が映司に言った。

 

「そうですか?」

 

「あぁ…だからこそ、余計に心配になる。紫のメダルを取り込んでるってことがな…」

 

「……」

 

伊達のその言葉に、映司は答えなかった…否、どう答えたらいいのか、分からなかった…

 

 

 

「やっぱり、驚いたよね…」

 

「はい…あの優が暴走して、人を襲うなんて思ってもいませんでした…」

 

夜道を歩きながら、比奈と海未が話している。しかし、さっきの件もあり海未の顔色は優れない。

 

「実はね、さっきの映司くんも、昔あのメダルで暴走したことがあるの。」

 

「えっ?」

 

「その時は、私もどうすればいいのかわからなくなりそうになった時もあった…けど、映司くんはいつも誰かのために戦ってた。どんなにボロボロになっても…」

 

「(優と、同じ…)」

 

「だから、いつも誰かに手を伸ばそうとする映司くんの手を、今度は私が繋ごうって思ったの。それぐらいしか、私には出来ないから…」

 

「手を繋ぐ…」

 

「あの優くんって子がどんな子なのか私はあまり分からないけど、なんか映司くんと似てるなって思ったの。」

 

「優が、火野さんと?」

 

「うん。海未ちゃんにとって、優くんはどういう人なの?」

 

「優は…優は、自分のことは二の次で、いつもボロボロになっても誰かのために戦ってます…それでも、いつも私たち部員のことをサポートしてくれる…私…いえ、私たちは、いつの間にかそんな優に惹かれていきました。優は、私たちにとって大切な人です!」

 

「そっか。だったら、いつも信じてあげているのが、1番なんじゃないかな?」

 

「信じる…」

 

「うん。っていうより、海未ちゃんはもう優くんのことをすごい信じてるんでしょ?海未ちゃんだけじゃなくて、私は会ったことないけど部活の仲間の子たちだって。信じてないと、自信を持って大切な人だなんて言えないでしょ?」

 

「っ…!はい。もちろん、私は優のこと信じてます!」

 

「それにしても、優くんが羨ましいな。こんなにも想ってくれてる子がいるなんて。」

 

比奈は『ふふっ』と笑ってから、海未にそう言葉をかけた。

 

「うぅ…//」

 

比奈の言葉に、海未の顔はトマトのように赤面する。

 

「あっ、ここが私の家です。」

 

「へぇ…おっきいね!」

 

海未の家に着き、比奈が少し驚いたように言う。

 

「私の家は、日本舞踊を営んでいるんです。なので、道場も含まれています。」

 

「日本舞踊…すごいね!」

 

「いえ、そんなことは…」

 

比奈の言葉に、少し照れて再び顔を赤くする海未。

 

「よければ、寄って行きますか?送って頂いたお礼もしたいので。」

 

「お礼なんて…私はそんなに大したことしてないよ。それに、私もそろそろ帰らないと…兄の夕飯も作らないといけないから。」

 

「お兄さん?」

 

「うん。警察官の仕事で忙しいのに、私の事いろいろ考えてくれて…大切なお兄ちゃんなの。」

 

「素晴らしいお兄さんですね。」

 

「うん!じゃあ、私は帰るね。」

 

「はい。ありがとうございました!」

 

比奈との別れを告げ、海未は家に帰った。

 

 

 

 

 

「迷惑かけて、すみません…」

 

その頃、映司たちが看病していた優が目を覚ましていた。

 

「大丈夫。俺も同じ経験してるから、よく分かるよ…」

 

「俺の体内に、コアメダルがあるって事は、徐々にグリードに近づくってことですよね…?」

 

「うん…言い難いけど、グリード化が進めば人間が感じる感覚…視覚だったり、聴覚、味覚とかが感じられなくなる…」

 

「そうですか…でも、暴走さえしなければ大丈夫です。」

 

「えっ?」

 

「感覚がなくなっても、戦えますから。俺は人を守るために戦えたら、それでいいんで。だから、暴走だけはなんとかしないと…」

 

「おい、そんな考えは寄せ。」

 

優の言葉を聞いた伊達がそう言い、後藤が続けて話す。

 

「欲がないと、ただグリード化が進むだけだぞ。以前の火野のように…」

 

「欲ならありますよ。さっきも言った通り、人を守るっていう…」

 

「そんなの、自分の欲とは言えないだろ。ちゃんと自分の欲を持て。」

 

「そうそう。後藤ちゃんの言う通り、自分の欲を持たないと取り返しがつかなくなるぞ。」

 

「自分の欲…」

 

後藤と伊達の言葉に、優は迷いを見せる。

 

「それにもしグリード化が進むと、お前が心配してる暴走が酷くなるかもしれないんだぞ。」

 

後藤の言葉を聞き、優の顔が更に暗くなる。辺りが重苦しい空気に包まれる中、それを打ち消すかのように機械的なゴリラの鳴き声が聞こえた。

 

「っ!?こんな時にまたかよ!」

 

音を鳴らすそれを見た伊達が、そう怒り混じりに言った。音の発生源はゴリラカンドロイド。グリード、又はヤミーが現れたため、自動的に起動したのだ。

 

「とにかく行きましょう!」

 

映司がそう言い、4人は部屋を飛び出した。

 

 

 

「なんだ、屑ヤミーだけか…」

 

優たちが現場まで駆けつけると、そこにいたのは屑ヤミーだけ。とはいっても、数はかなりいる。そして、優と映司はオーズドライバーを、後藤と伊達はバースドライバーを巻き付けた。

 

「「「「変身!」」」」

 

『タカ・トラ・バッタ!タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!』

 

『シャチ・ゴリラ・コンドル!』

 

優は仮面ライダーオーズ タトバコンボに、映司は仮面ライダーオーズ シャゴドルに、後藤は仮面ライダーバースに、伊達は仮面ライダーバース・プロトタイプに変身した。

 

「はぁぁ!」

 

優はトラクローを展開し、屑ヤミーを斬り裂き、映司はゴリラアームで殴り飛ばし、伊達と後藤はバースバスターで撃ち抜いていく。

 

『『スキャニングチャージ!』』

 

『『セルバースト!』』

 

4人は同時に必殺技を放ち、全ての屑ヤミーを倒した。それを確認し、優たちが油断しているところを、ウヴァが突然現れ4人を攻撃した。

 

「「ぐぁぁぁぁぁ!?」」

 

それにより、4人は変身が強制的に解除され、優からはトラ、バッタ、タコが、映司は自分の持つ全てのコアメダル(タカ、クジャク、コンドル、トラ、シャチ、ウナギ、ゴリラ)が飛び散った。

 

「フハハハ!ついに…これで俺は、完全復活だ。」

 

「ウヴァ〜、俺とメズールのメダル取っちゃダメェ!」

 

ウヴァが落ちたコアメダルを全て拾い上げたところに、ガメルがそう言いながら走ってきた。

 

「俺は別に他人のコアは興味ない。欲しいならくれてやる。」

 

ウヴァはそう言ってゴリラ、シャチ、ウナギ、タコのメダルを投げてガメルの体内に入れた。そして、ウヴァ自身も奪ったコアメダルを取り込んだ。

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」

 

それにより、ガメルとウヴァは完全体になった。

 

「これが、グリードの完全体…」

 

優は初めて見る完全体に冷や汗を流す。映司、後藤、伊達も数年前グリードの完全体と戦った時に、その驚異を知っているため、息を飲み込む。

 

「映司さん。これ、使ってください。」

 

「えっ?」

 

優は映司に、紫のコアメダル以外で自身が持つ最後のコアメダルである、タカ、クジャク、コンドルのコアメダルを渡した。

 

「完全体2体を相手にするなら、3人じゃ敵いません。」

 

「それって、優くんは紫のコアメダルを使うってこと?」

 

「……はい。」

 

「ダメだ!今の優くんじゃ、絶対に暴走する!」

 

「えぇ。だから、グリードを倒しても暴走していたら、俺を殺してでも止めてください。」

 

「そんなこと!」

 

優は映司の制止の言葉を聞かず、グリードに近づいていく。

 

「お前ら、俺が相手してやる!かかってこい!」

 

「ふんっ!生身の人間が、俺たちに敵うわけないだろ!望み通り、殺してやる。」

 

ウヴァはそう言い、優に襲いかかった。が、優はそれを避けようとせず、目をつぶった。

 

「オラァ!」

 

そして、ウヴァが自身の手の爪を優に突き刺そうとした時、

 

「うっ…」

 

優の目が紫色に変わり、体内から5枚の紫のコアメダルが飛び出し、ウヴァを攻撃した。そして、そのうち3枚のコアメダルが自動的に優のオーズドライバーに入った。

 

『プテラ!トリケラ!ティラノ!プ・ト・ティラーノ・ザウルース!』

 

優は仮面ライダーオーズ プトティラコンボに変身した。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!」

 

優は一気にガメルに詰め寄り、襲いかかる。既に優の意識はないようだ。

 

「ちっ…火野、後藤ちゃん、今はとにかくウヴァを倒すことに集中するぞ!」

 

「「はい!」」

 

「(アンク…お前のコアメダル、使わせてもらうよ!)」

 

「「「変身!」」」

 

『タカ!クジャク!コンドル!タージャードルー!』

 

映司は仮面ライダーオーズ タジャドルコンボに、後藤は仮面ライダーバースに、伊達は仮面ライダーバース・プロトタイプに変身した。

 

「はぁ!」

 

映司はウヴァにタジャスピナーから炎を吐き出したが、全く効かない。

 

「その程度か…オーズ。ふんっ!」

 

「ぐぁ!?」

 

「火野!はぁぁぁ!」

 

「オラァ!」

 

後藤と伊達もウヴァに攻撃を仕掛けるが、投げ飛ばされてしまう。

 

「くっ…やっぱり、完全体の力は半端じゃねぇな…」

 

 

「はぁ!」

 

その頃、ガメルと戦う優は、メダガブリューをガメルに振り下ろしていた。

 

「ふんっ!」

 

しかし、ガメルはいとも簡単にメダガブリューを手で掴み、セルメダルに変えてしまった。そして、優を殴り飛ばす。

 

「ぐぅ…うぉ!」

 

倒れていた優はすぐに起き上がり、再びガメルに飛びかかるが、パワーと防御力が格段に上がったガメルに、腕を掴まれてしまう。

 

「ふんっ!」

 

「っ…な、に…?」

 

しかし、優は肩のワイルドスティンガーをガメルに突き刺し、足元に冷気を放ちガメルの動きを封じた。そして、優は地面に手を突っ込み、再びメダガブリューを生成した。

 

『ゴックン!プ・ト・ティラーノ・ヒッサーツ!』

 

優はほぼゼロ距離から、メダガブリュー バズーカーモードでガメルを撃ち抜いた。それにより、ガメルは爆発し、倒れた。

 

「うっ…あれ…?俺の、コアが…メズール…!これ…」

 

そう言ったガメルの手には、棒付きキャンディーが握られていた。しかし、力尽きて実態を保てず、大量のセルメダル、ガメルの9枚のコアメダル、そしてシャチ、ウナギ、タコのコアメダルが辺りにこぼれ落ちた。

 

そして、その内の1枚、ガメルの意識が入っているサイのコアメダルが砕け散った。

 

 

そして、ウヴァと戦っている3人は…

 

「火野、俺と伊達さんでどうにか隙を作る。」

 

「その隙に、でかい一発頼むぜ!」

 

ウヴァには聞こえない程度の声で、後藤と伊達が言った。

 

「分かりました。」

 

「何をこそこそとしている。」

 

そう言い、ウヴァはゆっくりと3人に近づいていく。

 

『『ブレストキャノン』』

 

後藤と伊達は、ブレストキャノンを装備し、バースドライバーに出力限界になるまでセルメダルを投入していく。

 

「後藤ちゃん!今だ!」

 

『『セルバースト』』

 

「「シュー!」」

 

2人はウヴァが攻撃を仕掛ける前に、ブレストキャノンからビームを放ち、ウヴァに浴びせた。

 

「ふんっ…この程度の攻撃で、俺を倒せると思…っ!?」

 

『スキャニングチャージ!』

 

「セイヤーッ!!」

 

2人が攻撃を仕掛けている間に上空に飛び上がっていた映司は、ウヴァがブレストキャノンからのビームを防いで身動きが取れない状態のところに、プロミネンスドロップを放った。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!?」

 

それにより、ウヴァは爆発して、大量のセルメダルと共に、自身の9枚のコアメダルと、タカ、クジャク、コンドルコアメダルが1枚ずつとトラコアメダル2枚が辺りに飛び散った。

 

「ふぅ…何とかやったな…」

 

「いえ、伊達さん。安心してる暇は、なさそうですよ…」

 

後藤の視線の先には、ガメルを倒した優が次の獲物を狙うかのように映司たちを見ていた。

 

「伊達さん後藤さん。ここは俺に任せてください。」

 

「火野?」

 

「優くん!こっちだ!」

 

すると、優は映司をメダガブリューで斬りつけようと、数回振り回す。それを映司はギリギリ避け続ける。そして、映司は強めに地面を踏み込み、ジャンプして少し優から距離をとる。

 

「優くん、決して君を死なせたりしない!俺は、この手で掴める命があるなら絶対に掴む!優くんの暴走も、止めてみせる!あの時、あいつが止めてくれたように…」

 

そして、映司は優に向かって飛んだ。

 

「はぁぁ!」

 

そんな映司に向かって、優はメダガブリューを振り上げた。それを映司は、右手で掴んで止めた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

優の動きが抑えられている間に、映司はオーズドライバーを水平に戻し、優を変身解除させて3枚の紫のコアメダルは優の体内に戻った。それと同時に、映司も変身解除し、倒れる優を抱きかかえた。

 

「はぁ…はぁ…映司、さん…?」

 

「優くん、大丈夫?」

 

「はい…すみません…」

 

 

 

しばらくすると、優も落ち着き、立ち上がれるようになった。

 

「本当に、ご迷惑かけてすみません…ありがとうございました!」

 

時間も遅いため、帰ることになった優は頭を下げ、3人に言った。

 

「ううん。でも、紫のコアメダルは本当に危険だから、気をつけてね。俺もサポートしたいんだけど、最近前に居候していたクスクシエの近くとか、鴻上ファウンデーションの近くとかで財団Xが生み出したヤミーが暴れてて…」

 

「えっ…?ヤミーが?」

 

「うん。少し前から、突然現れるようになって…」

 

「そうなんですか…紫のコアメダルのことは、俺がなんとかします。なので、こっちのヤミーのこと、お願いしていいですか?」

 

「うん。もちろん!」

 

優の言葉にそう答えた映司は、握手を交わそうと手を差し出した。優はその手を握り、2人は握手を交わした。

 

「そうだ。これ…」

 

そう言って映司が取り出したのは、コアメダル。ウヴァのコアが9枚とガメルのコアが9枚、タカ、クジャク、コンドル、シャチ、ウナギ、タコが1枚ずつ、トラが2枚、そしてガメルの意思が入った真っ二つに割れたサイ・コアメダル。

 

「俺はタジャドル、サゴーゾ、ガタキリバに変身するためのコアを1枚ずつと、トラ1枚あればいいから、残りのメダルは優くんが持ってて。」

 

「えっ?でも…」

 

「それに、ウヴァのコアの1枚には意思が入ってるものがある。それは優くんの方が厳重に管理できそうだし。」

 

確かに、天界で保管していた方が安全か…

 

そう思った優は、映司からコアメダルを預かった。

 

「分かりました。責任もって預かります。そうだ…このガメルの意思が入ってた割れたコアはどうします?映司さんが持っていた方がいいんじゃないですか?」

 

反対に、割れたコアメダルは映司さんが持っていた方がいいのではないか、と俺は割れたサイ・コアメダルを差し出した。

 

「えっ?俺が?」、そう疑問を口にした映司。

 

「はい。映司さんが復元しようとしてるアンクのコアメダルも、2つに割れてしまってるんですよね?もしかしたら、それの手がかりになるかもしれませんし…」

 

「あっ、なるほど…ありがとう。じゃあ、これは俺が鴻上さんに預けて調べてみる。」

 

そう言って、映司はサイ・コアメダルを受け取った。

 

「分かりました。じゃあ、俺はそろそろ…」

 

辺りも暗くなり始めているのを確認した優がそう言った。

 

「あぁ、そうだな。紫のコアメダルには、十分に気をつけろよ。」

 

後藤にそう言われ、優は頷いて「はい。」と答えた。

 

「優。紫のメダルを制御するためにも、とにかくお前自身の欲を持て。お前の欲、見つけろよ。次会った時は、俺にも聞かせてくれ。」

 

伊達は、いつしか映司にかけた言葉をかけた。それを聞いた優は、強く頷いた。

 

「優くん。グリードたちみたいな怪物と戦えるのは、自分みたいに変身できる数少ない人だけ。だから人を守らないとって、焦る気持ちはよく分かるよ。」

 

映司はかつての自分と重なる部分があるのか優にそれを伝え、「でも…」と更に言葉を続ける。

 

「これだけは覚えておいて。どれだけ手を伸ばしても、一人では掴めない命がある。」

 

それを聞いて、優は少し不安な表情を浮かべる。映司はそんな優の肩に手を置き、優しい笑みで語りかける。

 

「大丈夫!優くんには、心強い仲間がいるんだから!一人で掴めない命でも、仲間となら掴めるはずだよ!」

 

その映司の言葉には、これまで数々の戦いを乗り越えてきた重みが篭っていた。

 

 

 

 

 

それから数時間後。先程ウヴァ、ガメルと優たちが戦った場所では…

 

「ガメル…」

 

ガメルが散り際に落としたキャンディーを拾い上げ、そう呟いたのはメズールだ。

 

「早く私も完全復活しないと…待ってなさい、オーズの坊やたち。」

 

そう言い、メズールは拾ったキャンディーを、投げ捨てた…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

映司さんたちと別れ、鴻上ファウンデーションから出た俺は、召喚したライドインフィニティに跨り発進させようとしていた。

 

 

一人じゃ掴めない命もある、か…

 

確かに、そうなのかもしれない…それも、数々の戦いを乗り越えてきた映司さんが言うんだから尚更だ。

 

でも、μ'sのみんなは極力戦いには巻き込みたくない…

 

それに、俺の体内には紫のコアメダルが入ってる。紫のメダルは俺の意思とは関係なく、強制的に変身して暴走する。

 

思い返してみれば、最近妙に味覚とかを感じてなかった。極ロックシードの影響だと思ってたが、それだけじゃなかったんだな…極アームズだけならともかく、暴走するプトティラコンボだなんて…

 

俺はもう、これ以上みんなと関わるべきじゃ…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 映司〜

 

「大丈夫ですかね…優くん。かなり危ない状態、ですよね…」

 

「あぁ…以前のお前みたいな感じだしな。」

 

「前の俺って、あんな感じだったんですね…」

 

後藤さんに言われ、初めて紫のコアメダルが体内にあった頃の俺がどういう状態だったのか実感した。

 

「それで、火野。お前はこれからどうするんだ?」

 

「俺は今まで通りこの周辺で暴れてる財団Xを止めるため戦います。あと、財団Xの基地というか…拠点を探してみようと思います。」

 

伊達さんの問に俺がそう答えると、後藤さんが「拠点?」と復唱して聞いてきた。

 

「はい。財団Xがコアメダルの復元だけじゃなく未来のコアメダルを創り出すことが出来るなら、その資料とかも拠点にあるかもしれません。それを手に入れることが出来れば、アンクのコアを復元できるかもしれませんし。」

 

俺の言葉に納得している2人に、俺は「それに…」と言葉を続ける。

 

「コアメダルの力は危険です。一刻も早くそれの資料を奪って、これ以上財団Xにコアメダルを創らせたり出来ないようにしないと…」

 

「確かにな…俺もしばらくは日本にいる予定だ。手伝えることがあったら言ってくれ。」

 

伊達さんもしばらくは日本に滞在するらしく、協力してくれると言ってくれた。

 

「俺も今暴れてる財団Xたちが落ち着くまでは、バースとして鴻上ファウンデーションでもまた働かせてもらってる。俺も手伝えることがあれば協力する。」

 

刑事に復帰してから数年経ち、これまで刑事としてたくさん活躍してきた後藤さんも、かつてのバースとしての活躍と再びヤミーやグリードがこの辺りで暴れている危険性を考慮し、現在は特例措置として警察官でありながら鴻上ファウンデーションでもバースとして働いているそうだ。

 

俺は伊達さんと後藤さん、心強い2人とともにこれからも戦っていく。

 

 

 

 

 

それから伊達さんと後藤さんと別れた俺は、夜道を歩いていた。

 

「仮面ライダーオーズ、火野映司よね?」

 

そんな俺に、仮面ライダーとしての名も含めて呼んできた女性がいた。

 

「そうだけど…君は?」

 

俺は少し警戒しながら、そう聞いた。

 

「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。すぐに終わるから。」

 

女性はそう言うと、一瞬で俺に近づいてきた。

 

「っ!?」

 

俺が驚いている間に、女性は俺の頭の上に手を乗せた。

 

そして、女性はしばらく乗せていた手を離した。

 

「君、本当に何者?それに、今何をした?」

 

「あなたが知る必要はないわ。また機会があれば、会いましょ。」

 

そう言って、女性は消えていった。

 

「なんだったんだ…?」

 

俺はこの時、また何か嫌な予感がした。

 

でも、俺は今俺に出来ることを、今俺が届く手を繋ぐことに変わりない。そして、いつかお前のコアも復元してみせる。

 

だから、またいつかの明日で会おう。アンク…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

それから日を跨ぎ、午前6時…優は羽田空港にて、ガリュサと対峙していた。

 

「約束通り、来てくれたのね。」

 

「お前のために来たわけじゃない…」

 

「ふふっ…随分と大きな荷物持ってるのね?」

 

ガリュサが言ったように、優は肩に大きめのかばんをかけていた。

 

「そんなことどうでもいい…それより、俺の過去について知ってること全部話せ!」

 

「ここじゃ他の人間たちもいるし、場所を移しましょうか。」

 

そう言ってガリュサが手を前に出すと、ガリュサと優はどこかの廃工場に移動していた。外では雨が降っており、時折雷が落ちる音なども聞こえてくる。

 

「場所を移すぐらいなら、なんでわざわざ羽田空港に来させたんだよ…」

 

「どうしてだと思う?」

 

「はぁ?疑問に思ってるのは俺の方なんだが?」

 

ガリュサの余裕綽々といった態度に、少しイラッとする優。

 

「ふふふ…羽田空港は、あなたにとって因縁の敵を倒したところでもあるでしょ?」

 

「因縁の敵…アデュサのことか。」

 

「そうよ。」

 

「やはりお前は、アデュサと関係があるみたいだな…」

 

「あら、気づいてたの…」

 

「あぁ。まぁ、半信半疑ってところだけどな…お前の能力が人の記憶を覗くってことを聞いた時、何か引っかかっていた。しばらくして思い出したよ。アデュサが、人の記憶を見る能力を持っていたってことをな。人の記憶を覗いたお前と同じ能力ってことは、お前とアデュサは何か関係があるんじゃないかってな。」

 

「その通り。流石ね、仮面ライダー。」

 

「まぁ、お前はその上人の記憶を操ることも出来るってことは、お前の方が能力値は上なんだろ?」

 

「えぇ、そうなるわね。」

 

「で、肝心のお前とアデュサの関係ってなんなんだよ?」

 

「私は…アデュサの姉よ。」

 

「っ!?なるほどな…俺を呼び出したのは、妹を殺された復讐ってとこか?」

 

「そんなくだらないことどうでもいいわ。私たちにとって、姉妹なんて飾りの関係でしかない。ただ、気になったのよ。」

 

「気になった?」

 

「えぇ。あの子があそこまで執着した、仮面ライダーインフィニティってのがどんななのか。確かに、興味深い過去を持ってるようね…あの子が執着した理由も分かるわ。」

 

「なんだよ。その俺の過去って…」

 

「以前、黒崎秀夜との決戦の前に、あなたが思い出した前世での過去。あれはあくまで一部。だけど、あなたはその時少し感じたんじゃない?俺は転生しても、最低な大馬鹿野郎なのかよ、って。」

 

「あぁ。ずっと気になってた…お前、知ってんのか?だったら教えろ!」

 

「いいわ。教えてあげる…」

 

そう言ったガリュサは、不敵な笑みを浮かべながら優の頭に触れ、優は苦しみ出した…

 

 

 

 

 

「はぁ…ようやく外に出られたか…あいつら、俺をこんな目に遭わせたこと、後悔させてやる…そのためには、まずはμ‘sと…仮野優、だっけか?やつらを殺すとするか。」

 

ある場所で、μ‘sと優の命を狙うという発言をした謎の男。この男は何者なのか…この男の影響で、再び優とμ‘sとの関係に大きな亀裂が入りかけることになる。そんな中、彼らは再び新たなレジェンドと出会うのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ジョーカー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラブライブ最終予選まで、あと20日…

 

 

 

 




『第5回!何故、私がこのライダー?』

優「皆さんお久しぶりです!このコーナーの、司会進行を務める仮野優です。前回はゲストが凛だったこともあり、司会進行は凛を愛してやまない蓮が務めましたが、今回からはまた俺が帰ってきますよ!では早速、今回のゲストはこの方!」

希「決めゼリフは運命はスピリチュアルやね!音ノ木坂学院3年、東條希です!」

優「いや待て、そんな決めゼリフ初めて聞いたぞ?」

希「まぁ、ウチも初めて言ったからね。今日のために、せっかくやから考えてみたんよ。」

優「いや、でもなんでまたそんな決めゼリフ?」

希「仮面ライダー剣のテーマといえば、『運命』。そしてウチといえば『スピリチュアル』やからね。でも、あんまりしっくりこなかったから今回限りかなぁ…」

優「自覚はあったんだな…まあということで、改めて今回のゲストはμ‘sの一員であり、仮面ライダー剣として共に戦っている東條希さんです。ではまず、仮面ライダー剣の簡単な説明から。本来の仮面ライダー剣に変身するのは、剣崎一真さん。俺たちは前に会ったよな?」

希「そうやね。やっぱり、本物ってだけあって、すっごいかっこよかった!」

優「あぁ。でも、彼も仮面ライダーとして色んな苦悩があったそうだ。ジョーカーアンデッドである相川始さんを信じていた彼は、そのことで仲間と衝突したり…」

希「そっか…アンデッドである始さんを封印するって言う人も、おったんやね…」

優「それでも、剣崎さんは人を守るためにアンデッドと戦い続けたんだ。でも、最終的にジョーカーアンデッドである始さんを封印することなく、他のアンデッドを全て封印するため、キングフォームに変身し続けて彼自身もジョーカーアンデッドとなり、彼は仲間の前から姿を消した…」

希「なんか、切ない最終回やね…」

優「メタい事を言うとそうだな…平成ライダーの最終回の中でも、かなり切ない終わりだった…」

希「ところで、このコーナーの趣旨でもあるけど、なんでウチが変身する仮面ライダーが、ブレイドになったん?まぁ、何となく予想はつくけど…」

優「あぁ、それは…ブレイドはトランプがモチーフで、ラウズカードを使って変身し、戦っている。そして、希といえば占い。その中でもタロットカードをよく使ってるイメージがあるからな。その共通点から、作者は選んだらしい。」

希「やっぱりそれか…で、他には?」

優「えっ?ないよ?」

希「えっ?ほんとに?」

優「うん。特に、それといった理由は他にないな。」

希「嘘…」

優「そう落ち込むなって。今となっては、希が戦っている姿を見て、希がブレイドに変身してよかったなって思うぞ?」

希「本当に?」

優「あぁ。危険だから1回しか使わなかったけど、まさかキングフォームに変身して戦えるなんて、凄いことだぞ?」

希「そっか…ウチが凄いか…まぁ、理由が少ないことぐらいええかな。これからウチが活躍してけばいいだけやし!」

優「そうそう!その意気だ!(ふぅ…何とかなってよかった…)じゃあ、そろそろ次回予告に行きますか!」

希「そうやね!」

優「あっ、前々回から仮面ライダーらしい次回予告をしたいということで、新しい次回予告をしてましたが、多分みなさんもですが、作者も何か違うなぁ…と感じていました。そんな時、ジオウの次回予告見て『あっ!テロップないじゃん!』と気づいたそうなので、今回からはテロップを入れています。」

希「では、今回はこの辺で…」

優・希「「次回も、お楽しみに!」」



次回、μ‘sと仮面ライダーの物語!

「うわぁっ!おっきい風車!」

「これが、俺の過去…?そうだ…思い出した…俺は…俺は…」

─ついに思い出した優の過去…

「俺はこの街を守る仮面ライダー、ジョーカー。」

─仮面ライダージョーカー、現る。

「俺の、大切な仲間をこんな目に遭わせて絶対に許さない!」


─そして…

パリンッ


次回、『112話 さらば、優…』




はい、ということでオーズ編完結。本日、ジオウ本編では仮面ライダーアクアが登場し、明日のパンツを持っていたのにはテンション上がりました!

そして、次回予告では仮面ライダージョーカーが…?と、まさかそのタイミングで来週のジオウで大道克己こと仮面ライダーエターナルが登場するとは…これは決して狙った訳ではありませんよ?僕自身、めちゃくちゃビックリしてますが、それよりもやっぱり嬉しいですね!

皆さん、ジオウもクライマックスなのに次々と登場するレジェンド、そして新仮面ライダーゼロワンを楽しみにされていると思いますが、その片隅で少しでもこの小説を楽しみに待っていてくださると嬉しいです!

あっ、それと次回は結構凄いことが起きる。かもしれません…

現在、お気に入り登録して下さった方が99人。ここまで登録してくださった皆様、本当にありがとうございます!100人まであと一人…よければ、お気に入り登録や感想、評価お願いします!では次回もお楽しみに!


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16章 過去とのケジメ編
112話 さらば、優…


はい、112話です。

どうも、CSMブレイバックルで遊びまくってるシーチです!

皆さん!!ついにお気に入り登録して下さった方が100人突破致しました!本当に本当にありがとうございます!!1つの大きな目標を達成することが出来て、本当に感謝しています!

最近投稿頻度が落ちてしまっていますが、出来るだけ早く投稿できるよう頑張りますので、これからも読んでいただけると嬉しいです!

あと、100人突破記念と言ってはなんですが、前から作りたかったTwitterアカウントを作りました!!この小説の小説情報の所にリンクを貼っておいたので、是非フォローよろしくお願いします!!

では112話、スタートです!


〜前回のラブライブ!、μ‘sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 仮野優)

 

バハムートヤミー、タコガウルヤミーを倒すため、俺は映司さん、後藤さん、伊達さんと共闘するが、苦戦してしまう…そんな時、いつの間にか財団Xによって俺の体内に潜り込まされていた紫のコアメダルの5枚のうち3枚が、強制的に俺を仮面ライダーオーズ プトティラコンボに変身させた。強大なパワーを持つプトティラコンボに変身した俺は、2体のヤミーを撃破…しかし、俺は力を制御できず暴走してしまった…

 

映司さんのおかげでなんとか変身解除できた俺は、映司さんたちと別れ、ある決断をするのであった…

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

「よーすっ。」

 

放課後になり、俺は秀夜と凛と花陽と真姫と一緒に部室に入った。俺と秀夜はみんなに怪しまれないよう普段通りにしているが、内心はかなり焦っている。昨日、優の体内に紫のコアメダルが入っていると聞かされたからだ…

 

「あれ?優はどうしたんだ?」

 

部室には3年生3人と2年生3人全員揃っていたが、優だけが見当たらない。

 

「うーん…今日朝から来てないんだよね…おやすみじゃないかな?」

 

休み…?あいつが連絡もなしに休むのか…?

 

『アイドル研究部の皆さん、至急理事長室まで来てください。繰り返します。アイドル研究部の皆さん、至急理事長室まで来てください。』

 

校内放送で、理事長が俺たちに招集をかけた。

 

「あれ?私たちだ…どうしたんだろ。」

 

「とにかく行かなきゃ!」

 

みんなが理事長室に向かおうとした時、俺のスマホに着信がきた。

 

「ん…?悪い俺だ。なんか急ぎの用事みたいだし、先に行っててくれ。」

 

「分かった!」

 

穂乃果たちが部室から出ていくと、俺は電話に出た。

 

「もしもし?あっ、優香さん。どうしたんです?」

 

すると、俺は信じられないことを耳にする。

 

「えぇ!?」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

俺はμ‘s9人と共に理事長室まで来ていた。

 

「突然ごめんなさいね。」

 

「いえ、それでどうしたんですか?」

 

穂乃果が代表して理事長に聞く。

 

「それが…」

 

理事長は1枚の封筒を取り出し、その中に入っている紙を取り出した。紙を机の上に広げ、それを俺たちは覗き込む。

 

「嘘だろ…!?」

 

「えっ…!?」

 

「何よこれ、どういうこと!?」

 

その紙は退学届…それも、優の名前が書かれていた。

 

「どういうことなんですか!?」

 

「お母さん!」

 

「私も分からないの…今朝、学校に来てポストを見てみたら、これが入っていて…」

 

優…お前、何考えてんだよ…!

 

「みんな!」

 

その時、蓮が焦った様子で理事長室に駆け込んできた。

 

「蓮くん大変にゃ!これ見て!」

 

凛が優の退学届を蓮に見せた。

 

「マジかよ…こっちまでそんなことに…」

 

「こっちまで?どういう意味だ?」

 

「さっき優香さんから電話があって、昨日の夜優香さんや優奈ちゃんが寝てる間に、優が必要な荷物だけまとめて出ていったって…」

 

「はぁ!?」

 

「どういうことよ…」

 

 

 

いつまでも理事長室に居座る訳にもいかないので、心が落ち着かないまま俺たちは部室に戻ってきた。

 

「退学届や荷物もまとめてるってことは、とりあえず優くんが戦いに巻き込まれて帰れてないってことじゃないよね…」

 

「あぁ…これは明らかに計画的だもんな…」

 

花陽の意見に俺は同意見だと示す。

 

「……すみません。少し席を外します…」

 

「海未ちゃん?どうしたの?」

 

「少し、御手洗に…」

 

そう言って、海未は部室から出ていった。今の海未の表情、明らかにトイレじゃない…気になるな。すると、同じことを思ったのか、蓮と目が合い頷き合う。

 

「悪い、俺もちょっとトイレ…」

 

「あっ、俺も。」

 

俺と蓮はそう言って、部室から出た。

 

 

 

海未は部室前の廊下の曲がり角のところで、誰かと電話しているようだ。

 

「そうですか…でも、やっぱり優がいなくなった原因の1つは、昨日の暴走ですよね…」

 

暴走!?

 

「おい、蓮。暴走ってまさか…」

 

「多分、紫のコアメダルのことだよな…?」

 

俺と蓮がそう話していると、

 

「分かりました、すみません。ありがとうございました。」

 

海未は電話を切っていた。

 

「海未…」

 

「蓮、秀夜…聞いていたのですか?」

 

「あぁ。暴走って、まさか紫のコアメダルのことか…?」

 

「っ!?知っていたのですか…?」

 

「優の体内に、紫のメダルがあるってことはな…けど、変身して暴走したってのは知らなかったよ…」

 

「昨日、怪物が現れた時に…優はその時初めて、自分の体に紫のメダルがあることを知ったみたいですが…」

 

「そうか…っていうか、誰に電話してたんだ?」

 

「仮面ライダーオーズの、火野映司さんです。昨日優と一緒に会ってたんです。そういえば、映司さんから人探しならとおすすめしてくれた人がいるんです。」

 

「「ん?」」

 

 

 

俺たちは海未がオススメされたという人を頼り、優の捜索を開始することにした。

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

時は遡り、蓮たちが優の捜索を開始した時から数時間前…

 

「あっ…あぁ…」

 

ガリュサによって、失った記憶の一部を見た優は驚愕していた。

 

「思い出した?これが、前の世界での橋本拓真としてのあなたの過去。」

 

「これが、俺の過去…?そうだ…思い出した…俺は…俺は…くっ…俺は…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

優は倒れ込み、膝を地面について苦しみ叫んだ。

 

「ふふふ…(予想通り、過去を思い出したインフィニティは壊れそうになってる…さて、ここからあなたがどう乗り越えるのか、楽しみにしてるわよ…)」

 

ガリュサは優に背を向け、去っていった…

 

 

 

そして時は戻り、蓮、穂乃果、海未、真姫、絵里は優の捜索ため、映司に勧められたある人に会うため電車に乗り、都外のある街に来ていた。他のメンバーは秀夜を中心に、音ノ木坂周辺を捜索している。

 

「うわぁっ!おっきい風車!」

 

穂乃果はこの街のシンボルである風車、風都タワーを見てそう言った。蓮たちがやってきたのは風が吹く街、風都だ。

 

「えっと…今いるのは風都駅だから…」

 

蓮はスマホのマップアプリを見ながら、目的地を探している。

 

「誰かに聞いてみましょうか?映司さん曰く、この風都では有名な人らしいので、聞いてみたら知ってる方がいるのでは?」

 

「そうだな。よし、あの人にでも聞いてみるか…あの、すみま…」

 

「にゃーお!」

 

蓮が黒い中折帽子を被っている男性に声をかけようとした時、その男性は突然近くの花壇の方を向いて猫の鳴き真似をし始めた。

 

「にゃーお!にゃあ!にゃ?」

 

「えっ?えっ?どうしたのあの人…?」

 

「あの人、やばいんじゃない…?」

 

その様子を見た穂乃果と真姫を初めに、その場にいる全員が困惑する。

 

「にゃーお!にゃ…おー、よしよし…!」

 

すると、男は花壇の方に隠れていた猫を抱き上げた。

 

「あっ、猫を呼んでいたのね…」

 

「ようやく捕まえたぜ…ん?どうかしたかい?お嬢ちゃんたち。」

 

すると、蓮たちに見られていることに気づいた男は、そう声をかけた。

 

「あっ、まさか俺の華麗なる猫ちゃんの抱き上げ方に、惹かれたのか?」

 

確かに引かれていた。字が違うが…

 

「いっ、いえ…そういうわけじゃなく、道を聞きたくて…」

 

「あぁ、なるほど。俺でよければ力になるぜ。」

 

男がそう言った時、悲鳴をあげながら人がこちらに逃げてきた。

 

「ん?おっと…ドーパントか。お嬢ちゃんたち、ちょっと下がってな。」

 

数体のマスカレイド・ドーパントが迫ってきているのを見て男が言った。

 

「えっ?あなたも危ないですよ!早く逃げてください!」

 

「俺は大丈夫さ。悪い、ちょっとこの子猫ちゃん頼む。」

 

「えっ?」

 

男は蓮に抱いていた猫を渡し、ロストドライバーを腰に巻き付けた。

 

『ジョーカー!』

 

「変…身…!」

 

『ジョーカー!』

 

男は仮面ライダージョーカーに変身した。

 

「俺はこの街を守る仮面ライダー、ジョーカー。」

 

ジョーカーはそう言い、マスカレイド・ドーパントとの戦闘を開始した。

 

「あの人、仮面ライダーだったんだ…」

 

蓮たちが驚いてる間に、ジョーカーはマスカレイド・ドーパントを次々に倒していく。

 

「さあて、お片付けだ。」

 

『ジョーカー マキシマムドライブ!』

 

「ライダーパンチ…!」

 

ジョーカーは残りのマスカレイド・ドーパントにライダーパンチを繰り広げ倒した。

 

「ふぅ…」

 

ジョーカーは変身解除し、蓮たちの元に戻った。

 

「あんた、仮面ライダーだったのか…」

 

「あぁ。俺は左翔太郎、ハードボイルドな探偵さ。」

 

「左翔太郎!?」

 

「おっ、おぉ…そうだけど、それがどうかしたのか?」

 

「いや、ちょうど左翔太郎って探偵を探してて…」

 

「俺を?あっ、お前らが映司の言ってたやつか。事務所まで案内するから、着いてきてくれ。」

 

 

 

そして、蓮たちは翔太郎に案内され鳴海探偵事務所までやってきた。そこで待っていた依頼人に子猫を返し、翔太郎は蓮たちの話を聞き始めた。

 

「映司から大体は聞いてる。優が行方不明なんだって?」

 

「はい…あれ?優を知ってるんですか?」

 

「あぁ。前に1度会ったことがある。確か、紫のコアメダル?かなんかの力で暴走したんだっけか?相棒がいればその辺の検索も頼もうと思ったんだが、生憎今ここの所長と一緒に別の調査で出かけちまってるんだ。普段はあんま出かけないんなけどな…」

 

「暴走!?」

 

「それってどういうことですか!?」

 

翔太郎の言葉に蓮と海未は苦い顔を浮かべるが、他の3人は驚く。

 

「…あれ?これ言っちゃまずかったか?」

 

「……まぁ、みんなにもいつかは知られることだろうしな。俺もその時一緒にいたわけじゃないから…海未。説明頼めるか?」

 

蓮は優が暴走した時に一緒にいた海未に説明を頼んだ。

 

「はい…昨日、私は怪物に遭遇し変身して戦いました。そこに優と他の仮面ライダーの方も駆けつけ、共に戦いました。しかし、その怪物は強力な力を持っていて苦戦してしてたんです…その時、優の体からメダルが出てきて紫色の仮面ライダーに変身しました。それで優は自我を失い、怪物だけじゃなく他の仮面ライダーも倒そうとしたんです…」

 

「なるほどな…まぁ、仮面ライダーに変身するのは強大な力がいる。そんなライダーの中には暴走しちまう力もいくつかある。実際、俺たちダブルもあったからな…映司から聞いた感じだと、そういう力があるのは優自身知ってた。だが、いざ自分が暴走しちまって負い目を感じたんだろうな…」

 

翔太郎の言葉を聞いた蓮たちは、更に重苦しい空気になる。

 

「優くんは私たちと一緒にいると危険な目に遭わせることになるって思ったから、いなくなったんだよね…」

 

「はい…そうだと思います…」

 

優が穂乃果たちμ‘sのマネージャーになってからまだ数ヶ月。だが、毎日のように一緒にいた穂乃果たちには優の考えも大体分かるようになっていた。

 

「とりあえず、俺への依頼は優の捜索ってことだな?」

 

「はい。やっぱり、学生の私たちだけじゃ優を探すのにも限界があります。だから、探偵のあなたに依頼させてください。」

 

「お願い!優を探して!」

 

「このままじゃ優くん、本当に二度と会えなくなるような気がして…だからお願いします!」

 

『優(くん)を探すのを手伝ってください!』

 

絵里、真姫、穂乃果が言った後、最後はこの場にいる5人全員が翔太郎に頼んだ。

 

「ったく…優のやろー。こんなにも沢山の美少女を困らせやがって…この街は俺の庭だ。お前らはこの街の人じゃねぇが、わざわざここまで足を運んでくれた。その依頼、引き受けたぜ。」

 

翔太郎の言葉に一同の表情は明るくなり、『ありがとうございます!』と礼を述べた。

 

「さてと…じゃあ早速聞くが、手がかりとかはあるか?優が行きそうな場所とか…」

 

「いえ…」

 

「まぁ、手がかりがあったら探偵は頼らねぇよな…」

 

 

 

その頃、音ノ木坂周辺で優を探してる秀夜たちは…

 

「どうだった?」

 

「ううん…全く見つからない…」

 

「そうか…」

 

手分けして探していた秀夜、ことり、凛、花陽、希、にこは一旦集まり状況を報告し合っている。

 

「μ‘s…ってのは、お前達か…?」

 

その時、ボロボロの服を着た男が来て、そう言った。

 

「そっ、そうですけど…?」

 

「そうか…だったら、死んでもらおう。」

 

その言葉を聞いた瞬間、全員の警戒心が上がった。すると、男は禍々しい見た目の怪人に変化した。

 

「なんだあれ…?いや、今はそんなこと考える時間はないか…」

 

『変身!』

 

秀夜は仮面ライダーイボルブに、凛はアギト グランドフォームに、ことりは龍騎に、にこはファイズに、希はブレイドに、花陽は電王 ソードフォームに変身した。

 

「はぁぁぁ!」

 

全員が謎の怪人を取り囲み、一斉に攻撃を仕掛けたが、謎の怪人は1歩も動くことなく防いだ。そして6人は反撃を受けて吹き飛ばされてしまった。

 

「くっ…」

 

「だったら…凛ちゃん!」

 

「分かったにゃ!」

 

ことりは龍騎サバイブに、凛はアギト バーニングフォームに変身した。

 

「はぁ!」

 

凛は一気に謎の怪人に接近し、炎のエネルギーを纏った手で殴りかかるが、ビクともせず再び反撃を受けてしまう。次にことりがドラグバイザーツバイから炎を吐き出したが、謎の怪人はそれを受け止め、ことりに跳ね返した。

 

「きゃっ!?」

 

「(これ以上はみんなが危ない!?)」

 

『スペシャルアタック スモーク!』

 

秀夜は辺りに煙を出し謎の怪人の視界を防ぎ、その隙に全員を連れてその場から離脱した。

 

「逃げたか…まあいい。まずはやつから殺すとするか…仮野優。」

 

謎の怪人は人間体に戻り、そう言った。

 

 

 

「みんな、大丈夫か?」

 

「うん。なんとか…」

 

なんとか逃げ切り変身解除し、全員の無事を確認した秀夜は胸を撫で下ろす。

 

「(それにしても、さっきの怪人は命を狙ってきた…俺ならともかく、財団Xはμ‘sの命は狙わない…なのになんで…それにあんな怪人、俺が財団Xにいた頃にも見た事ない…一体何者なんだ…?)」

 

 

 

その頃、翔太郎に少し調べるから待つようにと言われている蓮たち…

 

「……」

 

「穂乃果?」

 

蓮の隣で座っている穂乃果が手に拳を作り、苦い顔を浮かべていた。

 

「穂乃果、優くんに酷いことしちゃったな…」

 

「えっ?」

 

「昨日ね、優くんにドッキリしようと思って穂乃果が作った饅頭って言って激辛饅頭を渡したの…でも、顔色1つ変えずに美味しいって食べてたから変だなって思ったんだけど、味を感じてなかったんだね…それなのに、穂乃果を気遣って美味しいって…多分他にも、穂乃果たちはいっぱい優くんに負担かけてた…」

 

そう言いながら、穂乃果の目から涙が零れる。

 

「穂乃果…でもな、それだけ優にとって穂乃果たちμ‘sのことが大切だったってことだ。あいつ、昔から超不器用なんだよ。穂乃果たちの事が大切すぎて、危険な目に合わせないように自分だけがいなくなるってことを選んだんだと思う…ほんと、そういうとこはバカ野郎だ…」

 

そう言った蓮の表情はどこか悔しそうで、手を強く握っていた。

 

「蓮くん…」

 

「大丈夫だ。あの馬鹿野郎は、絶対みんなの元に連れ戻す!ハードボイルドな探偵さんの力も借りてるんだし、な?」

 

「うん…ありがとう、蓮くん!」

 

「やっぱ、可愛い子には笑顔が似合うな。俺も引き受けたからには絶対優を見つけるぜ。っていうか、もう見つかりそうだぜ?」

 

『えぇ!?』

 

翔太郎の言葉に全員が声を上げる。

 

「今ネットを見てたら、数分前に『神田明神でμ‘sのマネージャーっぽい人がいたけど、なんか暗い顔してて声掛けられなかった…』って投稿されてたぜ。」

 

元々、翔太郎は報告書を作る際などにタイプライターを使うなど、現代のスマホやパソコンのような電子機器は疎いほうだった。しかし、時代の流れとともにスマホなどが普及し、SNSなどに情報が出回るようになり今回のように相棒がいない時に活用できるよう、SNSなどは人並み程度には使えるようになったらしい。

 

「マジかよ…俺は風都にいるし、秀夜は神田明神にいてもおかしくないけどほかのμ‘sメンバーといるからファンならそっちに目が行くはず…なら、このμ‘sのマネージャーは優のことで恐らく間違いない…優はまだ神田明神の近くにいる可能性が高い!」

 

「でも、私たち神田どころか東京からも出てきちゃってるわよ?」

 

「そうだよな…」

 

「どうしよ…」

 

絵里の言葉に、蓮と穂乃果が頭を抱えるが…

 

「っていうか…」

 

「音ノ木坂学院の近くにいる秀夜たちに連絡して、探してもらってる間に私たちも向かえばいいのでは…?」

 

真姫に続き、海未がそう提案する。

 

「「「あっ!その手があった!」」」

 

「いや、逆になんでそこに気づかなかったのよ…?」

 

穂乃果、絵里、蓮に呆れながら真姫が言った。

 

「とりあえず、秀夜に連絡を…」

 

蓮はスマホを取り出し、秀夜に電話をかけた。

 

「もしもし秀夜か?」

 

『蓮、か…?』

 

「そうだけど…秀夜?どうかしたのか?」

 

普通の人なら気づかないかもしれないが、蓮と秀夜は幼馴染。秀夜の声が少し荒く、息が切れているのに気づいたようだ。

 

『あぁ…かなりやばい敵が現れた。』

 

「やばい敵?強いってことか?」

 

『あぁ。かなり強い。もしかしたら、これまで戦ってきたどの怪人よりも、強いかもしれない…』

 

「マジかよ…」

 

『それに、そいつは何故かμ‘sの命を狙ってた…とにかく、そっちも気をつけろ。』

 

「あぁ、分かった…」

 

『それで、お前の要件は?』

 

「あっ、そうだ!今そっちはどこにいるんだ?」

 

『どこって…まだ音ノ木坂学院の近くだが?』

 

「よかった…!神田明神で優の目撃情報があったんだ!俺たちもすぐに向かうから、その周辺を中心に先に探しててくれないか?」

 

『っ!?分かった!すぐ探しに行く!』

 

「頼む。俺たちも出来るだけ早く向かう!」

 

そう言い、蓮は電話を切った。

 

「よし…秀夜たちが探しに行ってくれた。」

 

「分かった!じゃあ、穂乃果たちも行こう!」

 

穂乃果がそう言い、蓮たちは鳴海探偵事務所から出ていく。翔太郎も着いていくため、蓮たちの後に続いて出ていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「はぁ…」

 

そうだったな…俺の、橋本拓真としての過去は…

 

なぁ、優…お前は、俺なんかがお前と一緒になって、本当に良かったのか…?

 

ガリュサから前の世界での俺のことについて聞いた俺は、元々こっちの世界にいた優に対し、ふとそんな疑問を投げかけた。もちろん、その疑問に対する答えなど帰ってくるわけないのだが…

 

「俺は、どうすれば…」

 

「優くん!」

 

突然名前を呼ばれた俺は、反射的に振り返った。

 

「ことり…!?」

 

「はぁ…はぁ…やっと、見つけた。」

 

走ってきたのか、ことりは息を切らしていた。

 

「なんで…?」

 

どうして、俺なんかを探して…?

 

「それはことりたちのセリフだよ!」

 

「っ…」

 

「なんで、ことりたちの前からいなくなったの?」

 

「それは…」

 

「もしかして、優くんの体の中にコアメダルっていうのがあるから?」

 

「っ…!?知ってたのか…」

 

「うん。秀夜くんから、さっき聞いた。でも、ことりたちはそんなこと気にしないよ!」

 

「違うんだ…それだけじゃ…」

 

「もしかして、転生の事とかに関係あること?」

 

「……あぁ。思い出したんだ。この世界に来る前の俺が、どんなやつだったのか…」

 

「……そうなんだ…」

 

「あぁ…俺は前の世界で、本当に最低なヤツだったんだよ…だからもう俺を探すのは止め「関係ないよ!!」えっ…?」

 

「優くんが昔どんな人だったとか関係ない!ことりは、今の優くんといる日々が好き!優くんたちに支えてもらいながら、μ‘sの活動をしてる日々が大好きなの!たとえ、優くんが暴走しちゃっても、優くんが…怪物になっちゃったとしてもそれは変わらない!」

 

普段より何倍も大きな声で話すことりは、息を吸い込んで更に大きな声で言う。

 

「何があっても、優くんはことりたちの仲間だよ!」

 

ことりは俺にそう訴えて、いなくならないで欲しいと願っているのを表すかのようにギュッと強く、けど優しく抱きしめてきた。

 

「っ…ダメだ…今、そんなに優しくされたら…」

 

 

 

俺はみんなから、俺なんかが過ごしていいはずがないほどの幸せな日々から、抜け出せなくなってしまう…

 

 

 

「大丈夫だよ。」

 

「ことり…?」

 

「優くんが辛い時は、いつでもことりたちに言っていいんだよ。もう、強がらなくてもいい。もっともっと、ことりたちに頼ってもいいんだよ?」

 

 

ことりの言葉を聞いた瞬間、俺はある言葉を思い出す。

 

 

『今は、遠慮なく泣いていいのよ?弱音ぐらい、私が聞いてあげる。』

 

絵里に転生のことを話した時に、言われた言葉。

 

 

『優が辛い時は、少しでもいいから私たちは力になりたいです!』

 

意識が薄れている中、プトティラコンボの暴走を止めるために海未が俺に言った言葉。

 

 

そうだ。俺は、頼らないと思いながら、いつもみんなに頼ってたんだ…絵里や海未だけじゃなく、μ‘sのみんなにいつも頼ってたんだ…

 

「ことり…でも、俺は…俺は…」

 

これ以上、頼るわけには…

 

「優く… 」

 

ことりが再び俺に何か言おうとした、その時、

 

ピピピピッ

 

俺の腕に着いてるインフィニティブレスから、敵の出現を知らせる警告音が鳴り響いた。

 

「っ!?」

 

「優くん?怪物が現れたの!?」

 

「あぁ…それも、音ノ木坂学院に…」

 

「えっ!?」

 

「とにかく、俺は音ノ木坂学院に向かう…」

 

俺は隣に停めてあるライドインフィニティに跨りながら、ヘルメットを被る。

 

「優くん!ことりも行く!」

 

「……分かった。後ろに乗れ。」

 

俺はことりにヘルメットを渡し、それを被ったことりを後ろに乗せてバイクを発進させた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

音ノ木坂学院に現れた敵は、先程秀夜たちを襲った謎の怪人。風都から音ノ木坂に戻ってきていたメンバーは、調査の関係で翔太郎とは別行動だが、蓮、穂乃果、絵里、海未、真姫は音ノ木坂学院に駆けつけ、変身して戦っていた。そこに、手分けして優を探していた秀夜、凛、花陽、希、にこが合流し、同じく変身して戦っている。

 

『ぐぁぁ!?』『きゃあ!?』

 

しかし、謎の怪人の強大なパワーに圧倒され、全員強制変身解除に追い込まれた。

 

「くっ…お前、何者だ。」

 

「答える義理はない。俺の目的は、μ‘sと…そして仮野優を殺すだけだ。」

 

「μ‘sと優を殺す…?」

 

「そんなこと、させてたまるかよ!」

 

蓮、秀夜は立ち上がり、再びドライバーを巻き付けた。

 

「「変身!」」

 

『アース!』

 

『イボルブ!』

 

蓮は仮面ライダーアースネイチャー、秀夜は仮面ライダーイボルブに変身した。

 

「全ての悪は俺が倒す!」

 

「俺の正義が燃え上がる!」

 

蓮と秀夜は走り出し、怪人に攻撃する。しかし、怪人はビクともしない。

 

「ふんっ!」

 

怪人は秀夜を突き飛ばし、

 

「はぁぁ…はぁ!」

 

「ぐぁぁぁぁぁ!?」

 

更に手にエネルギーを溜め、蓮に攻撃した。それにより、蓮は強制変身解除。

 

「だったら…はぁぁぁぁぁぁ!」

 

秀夜は再び立ち上がり、怪人に何度も攻撃していく。

 

「はぁ!オラァ!はぁ!」

 

「ほう…攻撃する度に力が上昇しているな…だが俺には及ばない!」

 

「ぐぁぁ!?」

 

状況に応じて常に進化することができるイボルブの力でも、怪人には全く効いていない。逆に反撃を受けた秀夜は強制変身解除に追い込まれる。

 

「さてと、まずは邪魔なお前から殺してやる。」

 

怪人は倒れている秀夜の前に立ち、トドメの一撃を放とうとする。

 

「秀夜くん!?リュウタロスさん!」

 

『うん!花ちゃん行くよ!』

 

『「変身!」』

 

『ガンフォーム』

 

花陽は咄嗟に仮面ライダー電王 ガンフォームに変身した。

 

『お前倒すけどいいよね?答えは聞いてない!』

 

リュウタロスはそう言い、デンガッシャー ガンモードで怪人を撃つ。

 

「倒されるのはお前だ。俺もお前の答えは求めてない。はっ!」

 

怪人はエネルギー砲を放ち、それにより強制変身解除になった。他のμ‘sのメンバーや蓮も先程のダメージで立ち上がることが出来ない。

 

「さてと…今度こそトドメだ。」

 

 

ブゥーン!

 

 

「はぁっ!」

 

その時、1台のバイクが怪人を吹き飛ばした。

 

「優!?」

 

「優くん!?」

 

そのバイク…ライドインフィニティに乗ってきたのは、仮野優と南ことり。優は気まずそうに、驚いているμ‘sや蓮の方を見る。

 

「優、気をつけろ!そいつ、かなりやばい…」

 

「分かった…」

 

「お前が仮野優か?」

 

「あぁ。」

 

「そうか…だったら、死んでもらおう!」

 

「いや、倒されるのはお前だ。こんな俺を何度も励まして、助けてくれたみんなを…こんな俺でも、仲間だと言ってくれたみんなを…俺の、大切な仲間をこんな目に遭わせて絶対に許さない!」

 

「優くん…!」

 

優は凄い剣幕でそう言い、インフィニティドライバーを巻き付けた。

 

「変身!」

 

『オリジン!』

 

優は仮面ライダーインフィニティオリジンに変身した。

 

「俺の強さは、超次元をも超えてやる…!」

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

「はぁっ!」

 

優はインフィニティソードで怪人に斬り掛かる。怪人はそれを片手で止めた。

 

『スペシャルアタック コピー!』

 

「オラァ!」

 

優はインフィニティソードを2本に増やし、2本目で怪人の腹部を突刺す。

 

「何っ!?」

 

「ふっ…この程度か…」

 

怪人はインフィニティソードの攻撃にビクともせず、優の腕を掴んだ。

 

「なるほど…これがライダーのベルトを呼び出す道具か。こいつとそのボトルは貰うぞ。」

 

怪人は優を蹴り飛ばすのと同時に、片手で優の腕のインフィニティブレスを、もう片方の手でベルトのオリジンデータボトル掴んだ。それにより、インフィニティブレスとオリジンデータボトルを怪人に奪われてしまい、優は強制変身解除。

 

「くっ…まだだ!変身!」

 

『レッドメモリー!』

 

優は仮面ライダーインフィニティ レッドメモリーズフォームに変身し、μ‘s、蓮、秀夜たちのいる方に粒子を放出させた。

 

「傷が回復した…?」

 

優はレッドメモリーの回復能力を使い、再び怪人に向かっていく。

 

「はぁ!オラァ!」

 

優は炎を纏った手で怪人を殴る。

 

『レッドメモリー!』

 

そして、再びインフィニティソードを取りだし、それにレッドメモリーデータボトルを差し込んだ。

 

「はぁぁぁぁぁ!ファイヤースラッシュ!」

 

優は炎を纏わせたインフィニティソードで、怪人を斬った。それにより、怪人がいた所で爆発が起こる。

 

「やったか…?」

 

優がそう言って爆発が起こったところを見てると、そこから再び怪人が飛び出してきて、優に飛び蹴りをくらわせた。

 

「ぐぁっ!?」

 

それにより、再び優は強制変身解除。

 

「優…いったん、引くぞ…!」

 

「馬鹿言え!ここは音ノ木坂学院だぞ、こんなバケモンここに放置できるかよ…!」

 

蓮の言葉にそう反論した優。

 

「ようやく仮面ライダーを殺せるんだ。邪魔をするな!」

 

怪人はそう言い、手から縄を出して蓮、秀夜、μ‘s全員を縛った。

 

「さて、仮面ライダーインフィニティ。お前の力はこの程度か?このまま大人しく、俺に殺されるか?」

 

「まだだ…俺には、こいつがある…!」

 

そう言って、優はノーマルデータボトルを取り出した。その時…

 

「優!ダメ!」「優くん!ダメ!」

 

何かに気づいた絵里とことりがそう叫んだ。

 

パリンッ

 

「えっ…?」

 

その時、何かが割れる音が響いた。

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 絵里〜

 

「まだだ…俺には、こいつがある…!」

 

そう言って、優は変身する時に使うボトルを取り出した。

 

 

『あともう1つ…俺はこのノーマルデータボトルが壊れると、消えてしまうんだ。』

 

『えっ?』

 

『転生したけど、俺はこの世界の仮野優と、前の世界の俺が融合したという特殊な転生者。だから、ちゃんとした形で実体を保つのに時間がかかる。それまでは、このボトルにデータを入れてるから…』

 

 

あのボトルって、確か優が前にそう言ってた…

 

その時、分からないはずの怪物の表情が、笑ったように見えた。

 

「優!ダメ!」

 

私は出せる最大限の声で叫んだ。私は優の元に駆けつけようとしたけど、縛られてるため動けない。

 

パリンッ

 

その時、何かが割れる音が響いた。

 

そんな…嘘、でしょ…?優!!

 

〜side out〜

 

 

 

〜side ことり〜

 

「まだだ…俺には、こいつがある…!」

 

優くんはそう言って、また違うボトルを取り出した。

 

 

『それと…俺はこのボトル…ノーマルデータボトルが壊れたら、消えちまうんだ。』

 

『えっ?』

 

『俺の転生方法は特殊だから、実体をちゃんと保つまで時間がかかる。だから、それまではこいつに俺のデータを組み込んで実体を保ってるから…』

 

 

あのボトル、前に優くんがそう言ってたのだ…

 

その時、怪物の表情が何故か笑ったように見えた。

 

「優くん!ダメ!」

 

私は縛られて動けないため、今出せる最大限の声で叫んだ。

 

しかし、私のそんな願いも虚しく、

 

 

パリンッ

 

 

何かが割れる音が響いた。

 

そんな…嘘…優くんが…

 

〜side out〜

 

 

 

〜三人称視点〜

 

パリンッ

 

「えっ…?」

 

辺りに何かが割れる音が響いた。その何か、とは…優が取り出したノーマルデータボトルだ。怪人の指先から放たれたエネルギービームがそれに命中し、割れてしまったのだ。優は一瞬何が起こったのか分からず、戸惑いの声を漏らした。

 

そして、優の体は次第に薄れていく…

 

「(しまった…もう、ここまでか…)」

 

「優!」

 

蓮、秀夜、絵里、ことりはなんとか縄を解き、立ち上がって優の元に駆け寄る。それに続いて、状況を把握出来ていない他のμ‘sのメンバーたちも縄を解いて駆け寄る。

 

「蓮…秀夜…この世界と、みんなのこと、頼んだぞ…」

 

蓮と秀夜の方を見て、優は言った。

 

「みんな…俺のことはいいから、ラブライブ!…頑張、れよ…!」

 

μ‘sに向かってそう言った優。そこで、優の体は粒子となって消えていった…

 




次回のμ‘sと仮面ライダーの物語…

「なんで優が消えたのよ!」

─困惑するμ‘s

「そんなふざけたこと言ってていいの?仮野優を殺し、μ‘sの命を奪おうとする。これがどういうことか、分かってるでしょ。」

─怒るガリュサ

「俺と優と秀夜は…転生者。別の世界で一度死んでいるんだ。」

─明かされる事実


「まだチャンスがあるかもしれない!」


次回、『113話 マネージャーの秘密』





ということで、112話でした。失踪した優を見つけたものの、まさかの死んでしまうという展開…フォーゼ、ドライブ、ゴーストなどであった平成ライダーお馴染みの展開といえば展開ですが…果たしてどうなることやら…

そして、ついに平成ライダー最後の作品、ジオウが最終回を迎えましたね。関西在住の僕は東映特撮ファンクラブで見ましたが、平成最後に相応しい最終回だったんじゃないかなと思います!平成ライダー、本当にありがとう!!

しかし、平成ライダーはビルドNewWorldのグリス、冬の劇場版ジオウ×ゼロワン、ジオウのVシネマのゲイツとまだまだ終わりませんのでそれを楽しみにしつつ、来週からのゼロワンを楽しみにしていきたいと思います!

でも、平成ライダーが終わっても『μ‘sと仮面ライダーの物語』の時空は平成なんですけどね…皆さんも来週からの新ライダーゼロワンを楽しみにしてると思いますが、その片隅で少しでも『μ‘sと仮面ライダーの物語』を楽しみにしていただけると嬉しいです!

お気に入り登録、評価や感想などお願いします!!ではまた次回…


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113話 マネージャーの秘密

はい、113話です。

久しぶりに前回の投稿から1週間以内に投稿出来ました!ジオウロスと平成ライダーロスを紛らわすために勢いで書いちゃいました。それと前話を投稿した後、久しぶりに感想を頂いたので嬉しくてすぐ書き上げちゃいましたね。人って本当にモチベーションで行動力上がるもんですねぇ…

では113話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

「みんな…俺のことはいいから、ラブライブ!…頑張、れよ…!」

 

そう言い残し、優は粒子となって消えた…

 

優が死んでしまったという事実を受け止めきれない蓮、秀夜、絵里、ことり。

 

穂乃果、海未、真姫、凛、花陽、希、にこは目の前で何故優が消えたのか分からず、戸惑っている。

 

「えっ…どういうこと…?なんで、優くんが消えちゃったの…?」

 

穂乃果がそう声を漏らす中、

 

「ククク…フッハハハハ!!やったぞ!仮野優を殺した!これで奴らの望みを絶ってやったぞ!」

 

怪人は高笑いしながら言った。

 

「さぁ、後はμ‘s…お前らを殺すだけだ。グッ!?何…?」

 

μ‘sに近づこうとした怪人に、何者かが攻撃した。

 

「脱獄したと思ったら、やってくれたわね。フィンディッシュ。」

 

フィンディッシュと呼んだ怪人を攻撃し現れたのは、優の記憶を取り戻させた張本人、ガリュサだ。

 

「ガリュサか…久しぶりだな。ボスのお気に入りのお前がわざわざお出迎えか?」

 

「そんなふざけたこと言ってていいの?仮野優を殺し、μ‘sの命を奪おうとする。これがどういうことか、分かってるでしょ。」

 

「もちろん。だから俺は、仮野優を殺した。」

 

「そう…だったら、今度は牢獄じゃなく、地獄に連れて行ってあげるわ。」

 

「この俺をそう簡単に倒せるとでも?」

 

「それはこちらのセリフ。あなたの肉体がどれほど強化されていても、私に勝てるかしら。それに、あなたは最強のデビュラーと呼ばれる私だけじゃなく、財団X全体を敵に回した。あなたはもう終わりよ。」

 

「だったら試してやる!はぁぁぁ!」

 

フィンディッシュはそう言って、自身の手からガリュサに強力なエネルギービームを放った。

 

「ふんっ…!(これは、想像以上の力ね…)」

 

それをガリュサは余裕そうに防いだが、内心では少し動揺していた。

 

「行きなさい!」

 

フィンディッシュの攻撃が収まり、ガリュサが声をかけるとマスカレイド・ドーパンド、屑ヤミー、ダスタードたちが現れ、フィンディッシュに襲いかかっていく。しかし、フィンディッシュはその怪人たちを一蹴した。

 

「これ以上ここで戦うのはまずいわね…れ…宮崎蓮!」

 

「…!?なっ、なんだ…?」

 

優が消えたことに蓮だけじゃなく、μ‘sや秀夜も放心状態に陥っていたが、ガリュサの言葉で蓮は気がついた。

 

「私がフィンディッシュをここから引き剥がす。その間に、μ‘sを安全な場所に連れていきなさい!」

 

「なんであんたが…?」

 

「仮野優にはまだ消えてもらっちゃ困るのよ。いいから早く!」

 

「ちっ…お前らのためじゃないからな!秀夜!」

 

「あぁ…」

 

『スペシャルアタック スモーク』

 

『スペシャルアタック ワープ』

 

蓮が辺りに煙を発生させ、その隙に秀夜がμ‘s全員と蓮を連れてワープした。

 

「さて、あなたとここで戦って、ここを壊されたらたまったものじゃないわ。悪いけど、あなたを倒すのはまた今度ね。はっ!」

 

ガリュサは白い光をフィンディッシュへ飛ばし、それに飲まれたフィンディッシュは見知らぬ草原へとワープさせられていた。

 

「まずいことになったわね…ひとまずボスたちに報告しないと…」

 

そう言って、ガリュサも去っていった。

 

 

 

「どういうことなの!?」

 

「なんで優が消えたのよ!」

 

一旦全員蓮の家にワープしてきた一行。そこで、蓮と秀夜は事情を知っているであろうと考え、真姫とにこを筆頭に絵里とことりを除くμ‘sメンバーが問い詰める。

 

「それは…」

 

「蓮。」

 

彼女たちに真実を告げようか告げまいか迷う蓮の肩に手を置き、秀夜は首を振った。それを見て、もう伝えるしかないか…と、蓮は腹を括った。

 

「みんな。今から話すことは、信じられないかもしれないけど、本当のことなんだ。」

 

蓮の言葉を聞き、μ‘sは息を飲む。

 

「俺と優と秀夜は…転生者。別の世界で一度死んでいるんだ。」

 

 

 

蓮と秀夜は自分たちの分かる範囲で、この世界に来た全ての真相を話した。

 

 

 

「優くんも蓮くんも秀夜くんも、みんな1度死んでて別の世界から来た…?」

 

「優は転生が不完全な形で、この世界に元々いた優の身体に魂が入った…?」

 

「あぁ…」

 

「その通りだ…」

 

まだ半信半疑なのか、確認するように穂乃果とにこが呟いた。それに蓮と秀夜が答えると、再び沈黙に包まれた。

 

「ことりと絵里は、知っていたのですか…?」

 

その沈黙を破った海未の言葉に、全員が驚く。蓮、秀夜、絵里、ことりはなぜ気づいたのか、他のメンバーはなぜ2人が知っているのかということに。

 

「海未ちゃん…どうして…?」

 

「あなたたち2人は、優のボトルが壊されると真っ先に気づき、それを必死に止めようとしました。まるで、あのボトルが壊れたら優が消えてしまうことを知っているかのように…」

 

「……さすが海未ね…えぇ、そうよ。私とことりは、あのボトルが壊れると優が消えてしまうことも、優たちが1度死んでこの世界に来たことも知っていたわ。」

 

「えっ!?」

 

「ごめんね…穂乃果ちゃん、みんな。でも、優くんはことりたちだから教えた訳でもないし、穂乃果ちゃんたちだから教えなかったわけじゃないの。本当は誰にも教えたくなかったの。」

 

「でも、私とことりの時は教えざるを得なかったの…仕方なかったの。本当にごめんなさい…」

 

「ううん。そんな話、簡単に話せることじゃないから…優くんも、ことりちゃんも、絵里ちゃんも、誰も悪くないよ…」

 

穂乃果がそう言って、一先ずこの話に決着が着いた。それにより、辺りには重苦しい沈黙が訪れる。

 

しばらくして、蓮の家のチャイムが鳴りその沈黙が破られた。蓮が玄関まで行き、扉を開けると…

 

「蓮くん!」

 

かなり焦った様子の優香が蓮の名前を呼んだ。

 

「優香さん!」

 

「優くんのノーマルデータボトルが壊れたって本当!?」

 

「……はい…」

 

蓮の返事を聞き、優香はその場に崩れ落ちた。

 

「優くん…」

 

そう優の名前を呟いた優香はしばらくそのままへたり込んでいた。なんとか少し状況を把握し直せた優香は立ち上がり、リビングまで移動した。

 

「優香さん、2度目の転生って出来ないんですか?」

 

リビングに入ってきた優香に、秀夜がそう聞いた。その問いに、優香は更に暗い表情に変わる。

 

「転生は2度はできないわ。第一、1女神である私に勝手に人を転生させることは出来ない。仮面ライダーに変身してもらうため優くんに転生してもらう時も、優くんを見つけたらある人物に確認を入れてたから。」

 

「じゃあもう、優は…」

 

「と、思ってたんだけどね。」

 

『えっ?』

 

今度は蓮、秀夜だけでなく全員が疑問の声を上げた。

 

「人間は転生してようがしてまいが、これから転生する予定の人でもそうじゃない人でも、魂と体が分離され、体はある所に保管されて、魂はある場所に集められる。そこで人間がよくイメージしてる、天国に行くか地獄に行くかという選別が行われる。転生者はその前に別の場所に送られるわ。」

 

初めて知る天界の事情に、全員興味津々に聞いている。

 

「今回の場合の優くんも、例外じゃなかった。ノーマルデータボトルが壊れたら、こっちの世界で死んだ優くんと別の世界で死んでこの世界に来た優くん、2人の魂がそこに送られるはずだった。」

 

「だったってことは…?」

 

「うん。優くんのノーマルデータボトルの反応が途絶えた時、真っ先に調べたんだけど、いつまで経っても2人ともの優くんの魂は送られてこなかった。更に言えば、体が保管されるところにも体が送られてこなかった。」

 

優香の言葉に、全員が『えぇ!?』と驚くが…

 

「それって大丈夫なのかよ!?」

 

「財団Xがなにかしたんじゃ…」

 

「いえ、それはないと思うわ。あそこの警備は天界で最もと言ってもいいぐらいに厳重なの。そこに介入できる者なんて、たった1人ぐらいしかいないもの。だからそこは安心していいわ。」

 

それを聞いて一先ず安心したが、そのたった1人とは誰なのか、安心できる人なのか、など新たな不安要素も生まれた。だが、女神である優香が安心していいと言うのだからそれを信じようと思い、これ以上言及はしなかった。

 

「優くんがまだそこにおくられてないってことは、まだチャンスがあるかもしれない!」

 

優香がそう言うと、全員が『そうなんですか!?』と飛びかかる。

 

「えぇ。優くんがなんでノーマルデータボトルで実態を保っていたのかは、ノーマルデータボトルにそれぞれの世界で過ごしてきた2人の優くん…仮野優と橋本拓真のデータと、転生してからの優くんの記憶が入っていたから。」

 

「記憶?」

 

「えぇ。これまでこの世界で過ごしてきた優くんの記憶。」

 

「じゃあ、そのチャンスってもしかして…俺たちの記憶を元に、再び優の記憶(データ)が入ったデータボトルを作るってことですか?」

 

「流石秀夜くん。その通り、優くんがちゃんと元に戻るには、こっちの世界での記憶を入れたボトルが必要。最低でも7割は必要。7割以上あれば、自然と他の記憶も戻るはずなの。そこで、μ‘sのみんなには…」

 

優香はそこまで言うと、μ‘sがいる方に向かって頭を下げた。

 

「優くんに戻ってきてもらうために協力してほしいの。お願いします!」

 

「そんなの、お願いされるまでもないですよ!」

 

「ことりたちだって、もっともっと優くんと一緒にいたい!」

 

「そのためなら、なんでも協力します!」

 

穂乃果、ことり、海未がそう答えると、ずっと焦っていた優香の表情が、少し緩んだ。

 

「そうね。私も、もっと優と一緒にいたいもの!」

 

「あっ、真姫ちゃんがデレたにゃー!」

 

「ヴェッ!?なっ、何よー!」

 

「でも、それは私たちも同じだよ!ねっ、凛ちゃん!」

 

「うん!かよちん、凛も同じだよ!」

 

「それに、ウチらはずっと優くんや蓮くん、秀夜くんに支えてもらってるから!ねっ、えりち。」

 

「そうね。まっ、それを言っても、支えてもらってるのは俺の方だ、とか言って認めないんだろうけど…」

 

「ほんと、ウチのマネージャーたちは素直じゃないんだから…特に優は。」

 

にこの言葉を聞き、その場にいた蓮と秀夜はギクッとした。

 

「大丈夫ですよ。優香さん。みんなはこれまで、仮面ライダーに変身して数々の困難を乗り越えてきたんです。」

 

「そんなみんなの力なら、きっと優を戻って来させることだって出来ます!」

 

「みんな…本当にありがとう!」

 

蓮、秀夜が言うと、優香は再び深々と頭を下げた。その様子には、優香が心から喜んでいるのが感じられた。

 

優と優香の関係は、最初は転生者と転生させた女神というだけの関係だった。でも、共に協力していく内に姉弟としての絆が強くなり、今では本当の姉弟のよう…否、本当の姉弟以上の絆が生まれていた。

 

「でも、穂乃果たちの記憶を抜き取ることなんて出来るんですか?」

 

「……方法はある。記憶を引き出すための装置を創る。実は、最近別件で偶然そういうこと関係の資料を天界で見つけたの。だから、それを元に創り出すしかない。でも、記憶を操る装置だから、かなり複雑な構造になる。とにかく、私は咲も呼んでその装置を作ってくるわ!」

 

優香がそこまで言うと、今いるリビングの扉がガチャりと開いた。

 

「その必要はないわよ。」

 

「お前…さっきの!?」

 

「どうしてここに!?」

 

突如蓮の家に入ってきたのは財団Xの幹部、ガリュサだった…

 

「フフフ…」




次回のμ‘sと仮面ライダーの物語

「俺たちがそう簡単に信じると思うか?ボスのお気に入りであるお前をな。」

「なんとなくだけど、こいつは信用して大丈夫って気がするんだ。」

─意外な協力者

「フィンディッシュは長い間自分を閉じ込めていた私たち財団Xを、相当恨んでいるんしょうね。それで、私たちの目的の邪魔をしようとしている。」

─謎の強敵、フィンディッシュの目的


「YF大作戦、絶対に成功させよう!!」


次回、『114話 YF大作戦』



ということで、優はまだ生き返る可能性があるようです。まぁ、主人公ですしね(笑)そしてついに、μ‘s全員が優たちが転生者だということが知られましたね。

物語もついに佳境に向かいつつあります。

お気に入り登録、評価や感想などよければお願いします!では、次回も早く出せるよう頑張ります!



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114話 YF大作戦

はい、114話です。

仮面ライダーゼロワンめっちゃ面白い!というわけで、ついに始まりましたねゼロワン!脚本がエグゼイドの高橋さんという時点で期待大でしたが、1話を見た感じこれは面白くなりそう…!と感じています。皆さんもこれからのゼロワンを楽しみにされてると思いますが、その片隅で少しでも『μ‘sと仮面ライダーの物語』を楽しみにしていただけると嬉しいです!

では114話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

「フフフ…そんなに警戒しなくても、今は何もしないわ。それより、自己紹介がまだだったわね。私は財団Xの幹部、ガリュサよ。よろしくね。」

 

突如財団Xの幹部、ガリュサが蓮の家に入ってきたことに驚きながらも、蓮と秀夜はμ‘sを庇うように前に立つ。

 

「お前とよろしくするつもりはない。さっき助けてくれたことには一応礼は言うが、俺たちはお前に構ってる暇はない。何の用だ?」

 

「仮野優を蘇せるために、記憶を引き出すための装置を作るんだったかしら?そんなのする必要は無いわよ。」

 

「やっぱり俺たちの邪魔をしに来たってことかよ!?」

 

ガリュサはそれを阻止しに来たのかと思った蓮は、そう怒鳴る。

 

「そういう意味じゃないわ。話を最後まで聞きなさい。そういう所、あなたの悪い癖よ?」

 

「おっ、お前なんかに言われたかねぇよ。」

 

「まあいいわ。それより本題に戻るわよ。そんな機械を創らなくても、私がいればできるわ。」

 

ガリュサの言葉を聞き、全員が『えっ?』と言葉を漏らした。

 

「園田海未ちゃん。私があなたに会った時にした事、覚えてる?」

 

「…?あっ、私の朝食を当てました!」

 

「えっ?あぁ、うん。まぁ、間違ってはいないわね…」

 

海未の言葉に、μ‘sと蓮、秀夜はポカーンと頭にはてなマークを浮かべる。

 

「要するに、あなたの記憶を覗き込んだってわけよ。私は記憶を操る能力を持っているからね。」

 

「じゃあもしかして、その記憶を操る能力でウチらの記憶を引き出すってこと?」

 

ガリュサの言葉を聞き、希がそう言った。

 

「その通り。記憶を操れる私は、記憶を引き出してそれをどこかに移すことだってできる。記憶に関して、私の右に出る人は1人も…いや、1人いたわね…1人しかいないわ。」

 

「その1人ってのが誰かは今は置いておく。だが、俺たちがそう簡単に信じると思うか?ボスのお気に入りであるお前をな。」

 

「えっ!?秀夜くんそれ本当!?」

 

「はい。こいつは財団Xのボスのお気に入りです。こいつは自分の目的か、ボス直々の命令でしか動かない。そんなやつに協力されると、何されるかわかりませんよ…」

 

「あら。酷い言われようね。」

 

「事実だろうが…」

 

ガリュサの言葉に、悪態ついたように秀夜は言った。

 

「私たちからすれば、あなたは裏切り者なのよ。それなのに協力してあげようってのに、態度が大きすぎるんじゃないかしら?」

 

「その協力が信用ならねぇって言ってんだろうが…!」

 

ガリュサと秀夜の言い争いが激しくなってきた時、

 

「ちょっ、落ち着けって!今お前ら言い争ってるだけ、時間の無駄だろ?で、あんた…ガリュサだったか?」

 

そう蓮が止めた。

 

「えぇ。」

 

「ガリュサは優を復活させるのに協力してくれるってことでいいんだな?」

 

「そうよ。」

 

「おい蓮!こいつを信用するのか?」

 

「あぁ。なんとなくだけど、こいつは信用して大丈夫って気がするんだ。」

 

「何を根拠に…」

 

「根拠はないけど、なんかそう思える。みんなはどうだ?」

 

「うーん…穂乃果も大丈夫だと思う!」

 

「ことりも、穂乃果ちゃんや蓮くんが信じるなら信じてみる!」

 

「まぁ、今は優を復活させるのが最優先ですしね。」

 

「うん!凛も大丈夫にゃ!」

 

「わっ、私も…今は敵だとしても、信じて協力してもらうのがいいと思う、かな。」

 

「まっ、裏切った時は私たちで倒せばいいわ。」

 

「そうね。裏切ったら承知しないわよ!」

 

「真姫ちゃんやにこちゃんだけやないよ。ウチら全員、容赦せんからね!」

 

「だからお願い。絶対に最後まで、優を助けるために協力して!」

 

穂乃果、ことり、海未、凛、花陽、真姫、にこ、希、絵里。μ‘s全員、ガリュサの協力に賛成した。

 

「……わかったよ…みんながそこまで賛成するなら、俺も賛成だ。一時休戦でガリュサに協力してもらう。」

 

秀夜も賛成の意を示した。

 

「優香さんはどうです?」

 

「私は…そうね。いつまで優くんの魂が、さっき言った魂が集まる場所に行かないようにあの人が引き止めているのかも分からないしね。装置を創る時間がどれぐらいかかるかも分からないし、賛成よ。それとガリュサ、1つ聞いていいかしら?」

 

「何?」

 

「私とあなた、どこかで会ったことないかしら?」

 

「っ……さぁ、私は知らないわ。でも、同じ女神だしどこかですれ違ったことぐらいはあるかもね。まっ、今はそれより仮野優の件よ。」

 

「そうね…優くんがこの世界に転生してからの記憶といっても、7割以上となるとμ‘sのみんなに、私と蓮くんと秀夜くんだけじゃダメよね…」

 

「μ‘sが結成される前の記憶の頼りになるといえば…優香と妹の優奈ちゃん…だったかしら?」

 

「ちょっと待って!優奈を巻き込むつもり!?」

 

ガリュサの言葉に優香は慌てて聞き返す。

 

「巻き込むって…少し記憶を見せてもらうだけよ。それに、7割以上もの記憶を集めるなら、妹である彼女の記憶は必要不可欠よ。」

 

「わかった…ただ、余計なことは絶対にしないでよ。優奈の知らない記憶を引き出すようなことは…」

 

「分かってるわよ。それから、μ‘s結成前の記憶で欠かせない人があと2人いる。1人は矢澤にこ、あなたよ。」

 

「にっ、にこ?」

 

ガリュサに名指しされ、にこ本人は少し戸惑う。

 

「えぇ。μ‘s結成前に仮野優と仲が良かった人といえばあなたでしょ。それからもう1人は、この中に入ってる彼女ね。」

 

「レッドメモリーデータボトル!?あなたそれどこで?」

 

「仮野優が消えた時その場で落ちたものを届けるために、私が親切に拾ってきてあげたのよ。茨城茜の記憶は、この中ので大丈夫ね。」

 

「μ‘sのみんなに、私、優奈、蓮くん、秀夜くん、茜ちゃん。それから、ラビリーにも協力してもらうとして…全員の記憶を合わせて7割以上…足りるかしら?」

 

「無理でしょうね。」

 

優香の言葉をキッパリと否定したガリュサに、全員が驚き、中には睨むようにガリュサを見る人物も…

 

「そんな怖い顔しなくても、ちゃんと考えた上での発言よ。彼はスクールアイドル部での活動は、だいたいがμ‘s全員の記憶で大丈夫。家での記憶は優香と妹の優奈ちゃん、最近だとラビリーの記憶で大丈夫ね。ただ、彼は仮面ライダー。他の仮面ライダーと共闘することも度々ある。」

 

「なるほど…優が会った他の仮面ライダーの記憶もいるのか…」

 

「えぇ。」

 

「じゃあ、その仮面ライダーたちに会いに行くしかないか…」

 

「いえ、その必要はないわ。」

 

そう言い、ガリュサは机にデータボトルの様なものを何本か置いた。

 

「それって、データボトル…?」

 

「まぁ、その様なものよ。私専用であなたたちは使えないけどね。これは私がこれまで見た記憶を保存するためのデータボトルよ。」

 

「そんなものが…」

 

「ここにあるのは、剣崎一真、相川始、モモタロス、野上幸太郎、左翔太郎、火野映司、操真晴人、葛葉紘汰、呉島光実、泊進ノ介、天空寺タケル、宝生永夢、鏡飛彩、檀黎斗が仮野優と会った後に私が覗いた記憶よ。」

 

「あんた、その全員の記憶を…?」

 

「えぇ。別件だけど、記憶を見させてもらう機会があってね。まぁ、葛葉紘汰や檀黎斗、野上幸太郎みたいに大変な人もいたんだけどね…」

 

「っ!?なんの目的だ…?」

 

「今は余計な詮索はしないでくれる?」

 

今の話を聞き、ガリュサが何か企んで記憶を集めていることは丸わかりだったが、今回の作戦にガリュサの協力が必要不可欠なため、蓮たちは何も言えなくなった。

 

「……わかった。これ以上はしない。」

 

「そう。賢い判断よ。」

 

「とりあえず、少しでも多く優くんをよく知ってる人の記憶がないといけないわね…蓮くん、最近咲と会った?」

 

優香は独り言のように呟き、蓮に聞いた。

 

「いえ…最近、天界の仕事とか色々忙しいらしくて全然帰ってきてないんです。」

 

「そう…とりあえず咲の記憶もあった方がいいわね。連絡しておかないと…」

 

「その必要はないわよ。」

 

再び必要ないと話すガリュサ。

 

「どういうことよ?」

 

優香が聞くと、ガリュサは仮面ライダーたちの記憶が入ったデータボトルより色が薄いボトルを取り出した。

 

「私、前にあなたたちが咲と呼んでる女神から記憶を覗かせてもらったことがあってね。まっ、本人は気づいてないようだけど…で、このボトルに宮崎咲の記憶から仮野優と会った時の記憶だけを保存しているわ。」

 

優香、蓮、秀夜はガリュサが咲の記憶までも所持してることに驚いた。一体ガリュサはどれだけの記憶を持っているのかと警戒心がより一層高まったが、ガリュサの機嫌を損ねて協力関係を打ち切られたら困るため、とりあえず言及しない。

 

「じゃあ、今から仮野優を蘇らせるための作戦を説明するわよ。」

 

全員がガリュサの言葉に耳をすます。

 

「作戦と言っても簡単な話。まずここにあるデータボトルに入ってるライダーたちの記憶を、仮野優を蘇らせるための記憶をまとめる器の役割を果たす装置に入れる。そして、あなたたちの記憶を見た私がそれをコピーしてその器に入れる。その記憶を元に、仮野優が再び人間界で生きるためのデータボトルを創り出す。」

 

「なるほど…」

 

「作戦の実行場所は音ノ木坂学院よ。」

 

「音ノ木坂学院で…?」

 

「えぇ。仮野優のノーマルデータボトルが壊れ、死んだ場所は音ノ木坂学院でしょ?そこにデータボトルが壊れた際に飛び散った記憶の残りがいくつか残っているかもしれないから、それも使いたいから。」

 

「なるほど…作戦の実行はいつなんだ?」

 

「できるだけ早い方がいいわ。明日が1番ベストね。」

 

「明日…となると放課後だな。」

 

「あぁ、そうだな。ことり。悪いが、明日の放課後、音ノ木坂学院の校庭を使わせて貰えないか理事長に聞いて貰えないか?」

 

秀夜のその問いに、ことりは「うん!」と答えた。

 

「これで場所の確保は大丈夫ね。ただ、その間にフィンディッシュが嗅ぎつけて襲ってくる可能性があるわ…」

 

「っ!?確かに、あいつが殺した優を復活させるための作戦だし、邪魔しに来る可能性が高いな…」

 

「ん?ちょっと待てよ…ガリュサは見た記憶をデータボトルに保存できるんだろ?なら、全員の記憶をデータボトルにしたら、その間俺たちも戦えるしそんな危険ないんじゃないか?」

 

「残念ながらそれは無理よ。私にだって、あなたたちでいうライダーエナジーのように1日で使える能力にも限界がある。今私が持ってるデータボトルに入ってる記憶は15人分。更にここにいる人たちから記憶を取らなければいけない。わざわざ私が記憶を見てデータボトルに保存して、それを器に移すなんてしてたら体力が持たないわ。」

 

「なるほど…」

 

「私が今からデータボトルに記憶を保存して、明日器に記憶を移せるのはせいぜい3人か4人ね。だから仮野優、高坂穂乃果、絢瀬絵里の妹だけならできるわよ。どうする?」

 

「うん…雪穂には危険な目にあってほしくないから、お願いしようかな。」

 

「私も、亜里沙には危険な目に遭わせたくないわ…」

 

「そうね。私も同意見ね。」

 

穂乃果、絵里、優香がそう言い、

 

「じゃあ、この後あなたたちの妹に会わせてもらうわよ。」

 

ガリュサがそれぞれの妹に会うことになった。

 

「さて、作戦の概要としてはこのぐらいね。何か質問はあるかしら?」

 

「1ついいか?」

 

ガリュサの問いに、秀夜が手を挙げた。

 

「えぇ、いいわよ。」

 

「優を殺した怪人、フィンディッシュだったか?やつはあんな強大な力を持っていながら、俺が財団Xにいた頃名前も聞いたことがなかった。一体何者なんだ?」

 

「まぁ、知らなくて当然よね。でも彼は、あなたが財団Xに入る前までは幹部だったのよ。けど、1つの実験で彼の人生は大きく変わった。」

 

「実験…?」

 

「えぇ。我々財団Xは様々な企業、組織などに資金援助をしてきた。例を挙げれば、ガイアメモリを作っていたミュージアムとか、ゾディアーツスイッチなどを作っていた我望光明などね。もちろん、資金援助したわけだから見返りとして、その技術も持っている。」

 

「なるほどな。だから倒されたはずの敵だったり、新たな敵だったりを俺たちと戦わせたりできるってわけか…」

 

「えぇ。まぁ、それも1つの理由よ。そして我々は組織を更に強化するために、肉体教科の人体実験をすることにした。その被験者として名乗り出たのが、フィンディッシュ。元々強かった彼が自ら被験者に名乗り出るなんて、財団Xからしたらとても有難い話だったわ。」

 

ここまで普段通り話していたガリュサだが、次の一言を発してから表情が少し暗くなる。

 

「でも、それが間違いだった…彼は我々が想像する以上に、闘争本能が高かった。フィンディッシュは強さを求めて、実験途中で人間の限界量を遥かに超えた肉体強化剤を勝手に投与した。それだけじゃなく、彼は本来投与するはずの強化剤以外にも、遺伝子の一部を入れ替えて体を変化させたり、体の内部に武器を仕込む実験などもしていた。」

 

「そういえばあいつは、手の中から縄を出してたな…」

 

「えぇ、それも体の中の武器の1つよ。でも、そんなことをすればいくら肉体を変化させて体の中に武器が入るようにしたとしても、元が人間である彼自身の身体が耐えられるはずがない。彼は死を迎えるはずだった…」

 

「はずだった…?」

 

「彼が投与したものの中に、かつて仮面ライダーWに倒された仮面ライダーエターナル、大道克己が率いてたNEVERという組織が投与していた、死者蘇生兵器になるためのものがあった。」

 

「死者蘇生兵器?」

 

「NEVERとは、簡単にいえば死人の集まり。正式名称はNECRO OVER。NEVERは死体に投与すれば、肉体が強化され蘇らせることが出来る…とは少し違うわね。蘇るとはいえど、特殊な酵素を投与しないと肉体を保てないし、体は冷たく徐々に人間性も失われていく。まさに死者蘇生兵器ね。でも、これはあくまで死体に投与するもの。」

 

「それをフィンディッシュが生きたまま投与した…?」

 

「そう。それが、彼が投与した何らかの薬と反応したのか、彼は死なずに済んだ。最凶の怪物としてね…まぁ、それだけならまだ良かった。けど、もうその時には彼の理性なんて残っていなかった。彼はただ全てを破壊したい。人間も一人残らず殺したいという欲求でいっぱいだった。そんな彼は私たちの野望に邪魔だと考え、厳重に警備された牢獄に閉じ込めた。」

 

「で、脱獄してきたというわけかよ…」

 

「そう。フィンディッシュは長い間自分を閉じ込めていた私たち財団Xを、相当恨んでいるんしょうね。それで、私たちの目的の邪魔をしようとしている。」

 

「なるほどな…お前らにとっても、フィンディッシュは邪魔な存在。この際やつを倒して貰った方が有難い。優を蘇らせるのは、そのついでってことか?」

 

「まぁ、そう考えてもらっても構わないわ。さて、フィンディッシュについてはこのぐらいね。他になにかあるかしら?」

 

ガリュサの言葉に、全員特にないというように首を振った。

 

「じゃあ、そろそろ解散にしましょうか。みんな、今日は早く寝た方がいいわ。明日の作戦は、私たち財団Xにとってもそうだけど、あなたたちにとっても失敗できないでしょうから。」

 

「そうだな…」

 

「みんな!」

 

今日は解散しよう話すガリュサと蓮が言った後、穂乃果が全員に呼びかける。

 

「優くんが死んだのは悲しい…でも、今は落ち込んでる場合じゃない!明日のYF大作戦…」

 

「ん?YF大作戦?」

 

「うん!優くん復活大作戦だから『Y(優くん)F(復活)大作戦』!!」

 

「なるほどな…」

 

「YF大作戦、絶対に成功させよう!!」

 

『うん!!』

 

 

 

 

ガリュサの協力の元作戦を実行することが、今後吉と出るか凶と出るか…

 

何はともあれ、μ‘sたちにとって失敗はできない、優復活のための作戦が始まろうとしていた…

 

 




次回のμ‘sと仮面ライダーの物語

『ほら、俺調子乗ってミスしたりすることも結構あったし、俺自身の歯止めが効かなくなった時はいっつも2人に頼ってたから…』

─蓮の不安…

『明日の作戦が成功して優が戻ってきたら、2人に謝らなければならないことがあります。』

─海未の悩み…


『固い絆があれば、きっと俺たちの仲間を…仮野優を呼び戻せるさ!』


次回、『115話 μ‘sと秀夜と蓮、そして…』



ということで始まったYF大作戦!
その作戦に敵であるはずのガリュサが協力する理由とはなんなんでしょう…

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115話 μ‘sと秀夜と蓮、そして…

はい、115話です。

今回の話で勘違いされそうなので最初に言っておきます。蓮と秀夜はホモではありません。
あと、お気に入り登録して下さった方が105人になりました!本当にありがとうございます!

では115話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

『もしもし。どうした?予定より連絡遅かったが、何かあったのか?』

 

「実は…」

 

秀夜以外がそれぞれ家に帰って行った後、蓮は途中で別れた翔太郎に電話をかけていた。

 

 

『嘘だろ…優が死んだのか…』

 

蓮は電話越しに、翔太郎に今日の出来事を説明した。

 

「そういえば、翔太郎さんは優と会ったことあるんですか?」

 

『あぁ、前に1度な…それで、優を生き返らせるために優と会った事のあるやつの記憶が必要ってわけか…』

 

「はい…」

 

『で、俺の記憶はあるんだっけか?』

 

「はい。ガリュサっていう財団Xの幹部が、前に翔太郎さんの記憶を覗いだことがあるって言っていました。心当たりありませんか?白いワンピースを着た女の人に、体を触られたこととか…」

 

『白いワンピースを着た女…?……あぁ!そういえば、何ヶ月か前にそんなことあったな…すっごい綺麗な女の人にぶつかって、大丈夫かって手を握られた。まさか、あの時の美女が財団Xだったなんて…』

 

「そうですか…(手?ガリュサは、頭以外からでも記憶を見ることもできるのか…)」

 

『とりあえず、俺の記憶を見る必要はないんだな?』

 

「はい。」

 

『よしっわかった。じゃあ、蓮たちがその…データボトル?を作るために記憶を取っている間に、優を殺した怪物が邪魔しにきた時のために俺がボディガードを務めるぜ!』

 

「えっ!?いいんですか?」

 

『当たり前だ。せっかく俺のとこまで依頼に来てくれたのに、見つけることができない上に、死なせてしまって本当にすまん!』

 

「いや、翔太郎さんが悪いって訳じゃ…」

 

『それに、俺は仮面ライダーだからな。黙って見過ごすなんて絶対出来ねぇ!』

 

「翔太郎さん…ありがとうございます!」

 

『気にすんな。ある仮面ライダーが言ってたぜ。ライダーは助け合いでしょ、ってな。じゃ、また明日な。』

 

「はい。よろしくお願いします!」

 

そこで電話は切れた。

 

「翔太郎さんなんて?」

 

蓮の近くにいた秀夜がそう聞いた。

 

「明日の作戦のボディガードしてくれるって言ってくれたよ。」

 

「それは心強いな。」

 

「なぁ、秀夜。お前はあのガリュサってやつについて、どのぐらい知っているんだ?」

 

「俺もあまり知らない。知っていることといえば、みんながいる時に言った通りやつは財団Xのボスのお気に入りで、やつが動く時は大体がボス直々の命令か、自分のやりたいことをする時ぐらいだな。」

 

秀夜の言葉を聞き、蓮は顎に手を当て少し考える。

 

「うーん…尚更なんであいつが協力するのか分からなくなった…要は、あいつはボスの命令か自分の意思で今回協力してるってことだろ?」

 

「あぁ…まぁ、俺が財団Xにいた頃から何を考えてるのか分からないやつだったが、今回ばかりは本当に分からない…」

 

「財団Xの狙いはμ‘sを捕まえることだから、μ‘sのみんなは殺さないってのは聞いたけど、優を生き返らせるのに協力する理由なんてあるのか…?」

 

蓮がそう言うと、少しして秀夜は何かを思いつき表情を変える。

 

「……待てよ…もしかしたら、財団Xの狙いはμ‘sに加えて優も必要なんじゃないか…?」

 

「確かに、それなら作戦に協力する理由にもなるけど…」

 

「そういえばガリュサが…」

 

 

『彼は長い間自分を閉じ込めていた私たち財団Xを、相当恨んでいるんしょうね。それで、私たちの目的の邪魔をしようとしている。』

 

 

「って言ってたな…その後、俺が優を蘇らせるのはフィンディッシュを倒してもらうついでなのかって聞いたら、そう考えてもらってもいいとは言ってた…でも、本当は優本人にも何かあるのか…?思い返してみると、俺が財団Xにいた頃も蓮を殺せという命令は出てたが、優は殺さなくていいって言われてた…」

 

秀夜のその説明を聞き、蓮も気づいた。

 

「じゃあ、財団Xの本当の狙いは…」

 

「μ‘s9人に加え、優もってことだろうな…」

 

「でもなんで…?」

 

「そんなの分かったら苦労しねぇよ…でも、たとえ財団Xの思うつぼだからって、優を蘇らせない訳にはいかない。とりあえず今は、優を蘇らせることに集中するのが1番だろ?」

 

秀夜にそう言われ、蓮は自分の考えを捨てるため首をブルブルと振ってから、

 

「そうだな…」

 

そう答えた。

 

「じゃ、俺も帰るわ。」

 

「帰るのか?」

 

秀夜の言葉を聞き、蓮はつい聞き返した。

 

「いや、帰るだろ。明日は絶対に失敗できないんだから、早く寝た方がいいだろ。」

 

「いや、てっきり泊まってくのかと思って…」

 

「はぁ?なんで急に…そういうのは凛に言っとけ。」

 

「はっ、はぁ?//」

 

「なんだよ蓮、らしくないな……もしかして、不安なのか?」

 

「っ…ちっ、ちが…いや、そうかもな…本当はずっと不安だった。前世で拓真と秀夜と離れ離れになってから…ほら、俺調子乗ってミスしたりすることも結構あったし、俺自身の歯止めが効かなくなった時はいっつも2人に頼ってたから…」

 

そう話す蓮は、少し表情が暗くなっていた。

 

「蓮…」

 

「けど、俺は2人がいなくなっても悠斗と一緒だったし、年下だけどあいつに頼ったりしてた…それから、この世界に転生してきて、仮面ライダーになって変わろうと思った…でも、結局復讐心で暴走して優や凛たちに止めてもらって、みんなに頼ってばっかだった…俺、本当に頼ってばっかで、何も恩返しすることが出来ないまま…このまま拓真と…いや、優と二度と会えないなんて絶対嫌だ!」

 

手を強く握り、額に汗を一筋垂らして蓮は言った。

 

「そうか…でも、きっと大丈夫だ。」

 

それを聞いた秀夜は、笑顔で蓮に答えた。

 

「えっ?」

 

「俺たちなら大丈夫だ。前の世界で親友だった3人が、別の世界でこうしてまた会えたんだ。それに、今はμ‘sのみんなや、優香さんや咲さんだっているだろ?μ‘sのみんなと俺と蓮、そして優との固い絆があれば、きっと俺たちの仲間を…仮野優を呼び戻せるさ!」

 

「っ!あぁ、そうだな!」

 

秀夜の言葉を聞き、蓮も笑みを浮かべて答えた。

 

「じゃ、また明日な。」

 

そう言って、秀夜は蓮の家から出ていった。

 

「「優…お前は絶対、俺たちが生き返らせる!!」」

 

蓮の家の外で秀夜が、家の中で蓮が誓った。

 

 

 

 

 

「ここが私と妹が住んでるマンションよ。」

 

亜里沙の記憶を見るために来たガリュサに、絵里がそう説明した。

 

「そう。じゃ、早速行きましょうか。」

 

穂乃果と優香は先にそれぞれ自分の家で待っていることになり、帰って待っている。

 

「亜里沙に変なことしたら、許さないわよ。」

 

亜里沙の部屋の扉の前で、絵里はガリュサに疑いの目を向けていた。

 

「分かってるわよ。」

 

興味なさげに答えたガリュサに、疑いが晴れない絵里だが、亜里沙の部屋の扉をノックした。

 

「亜里沙、ちょっといい?」

 

「あっ、お姉ちゃん!おかえり!」

 

絵里の声を聞き、部屋から出てきた亜里沙が言った。

 

「ただいま、亜里沙。」

 

「お姉ちゃん、この人は…?」

 

「ちょっとごめんなさいね。」

 

亜里沙がガリュサを見て誰かと尋ねようとした時、ガリュサがそう言って亜里沙の頭に手を乗せた。すると、そこから少し光が出て、亜里沙は意識を失って倒れた。

 

「亜里沙!?ちょっと亜里沙に何したの!」

 

「安心なさい。必要な記憶を見て、私と会った記憶を消して眠らせただけよ。ただ寝てるだけだから、そのままベットに運んであげなさい。」

 

「そっ、そう…」

 

「じゃ、私は次の家に行くから。」

 

そう言い、ガリュサは絵里の前から去っていった。

 

 

 

「いらっしゃいませ〜。」

 

次にガリュサは穂乃果の家であり、和菓子屋の『穂むら』に来ていた。

 

「ほむまん、6つ入りお願い出来る?」

 

ガリュサは店番の雪穂にそう頼んだ。家で待ってると言っていた穂乃果はこの場にはいないようだ。

 

「かしこまりました!」

 

雪穂はガリュサにそう答え、穂むらの看板饅頭であるほむまんを6つ、箱に詰め始める。

 

「ただいまキャンペーン中で、6つ入りをお買い上げになられたお客様に特製コースターをお付けしていますので、入れておきますね。」

 

「えぇ、ありがとう。」

 

一体なんのキャンペーンなのかよく分からないが、雪穂は穂むら特製コースターをほむまんが入った箱と一緒に紙袋に入れた。

 

「980円になります。」

 

「じゃあ、これで。」

 

ガリュサは雪穂に千円札を渡した。

 

「1000円お預かりします。20円のお釣りになります。」

 

ガリュサはお釣りを貰い、雪穂からほむまんの入った紙袋を受け取った。その際に、紙袋を持つ雪穂の手と、それを受け取ろうとするガリュサの手が触れ合った。普通はすぐ離れる手だが、ガリュサは少し時間が経ってから紙袋を受け取った。

 

「…?ありがとうございました!」

 

ガリュサが紙袋を受け取るまで少し時間があったことに、雪穂は少し疑問を持ちながらも笑顔でお礼を言った。

 

「えぇ。ありがとね。」

 

そう言って、ガリュサは穂むらから出ていった。

 

「(さて、これで高坂雪穂の記憶の保存も完了ね。絢瀬亜里沙に比べると、少し仮野優に関する記憶は少ないわね。まぁ、2人ともあくまで姉と部活が同じ人ってぐらいの関係だし、こんなものね…)」

 

穂むらから出て、そう考えながら歩きだそうとした時、

 

「ガリュサさーん!」

 

穂乃果が出てきてガリュサを呼び止めた。

 

「あら、穂乃果ちゃん。」

 

「お店の方の入口から来るなんて思わなかったよぉ…もう雪穂の記憶を…なんだっけ?」

 

「保存ね。」

 

「そうそう!保存し終わったの?」

 

「えぇ。饅頭を買って、それを受け取る時に手を触ってね。」

 

「頭じゃなくても大丈夫なんだ…あっ、そうだ!ありがとうございます!」

 

「それは何に対するお礼かしら?」

 

「えっと…一応穂乃果たち仮面ライダーの敵なのに優くんを助けるために協力してくれることと、雪穂を危険な目に遭わせないように協力してくれることと、あと…(うち)のほむまんを買ってくれたこと、かな?」

 

「そう…でも、あなたの妹の件はともかく、仮野優を蘇らせるのは私たちにとっても必要なことだし、饅頭はただ食べたかったってのもあるから、お礼を言われるほどじゃないわ。」

 

「でもでもっ、穂乃果がお礼を言いたいの!」

 

「そう。じゃ、受け取っとこうかしらね。」

 

「あっ、そういえば1人で6つも食べられるの?こんなこと言うのはあれだけど、賞味期限とかそんなに長くないよ?」

 

「大丈夫よ。1人じゃないから。」

 

「あっ、そうなんだ!」

 

「えぇ。じゃあ、私はそろそろ行くわ。仮野優の妹の記憶も保存しないといけないからね。」

 

「うん!じゃあね〜!」

 

穂乃果はガリュサの姿が見えなくなるまで、手を振っていた。

 

「(高坂穂乃果…面白い子ね。それに、やっぱり彼女に似てる。μ‘s9人は、本当に私たちの──なのね…)さて、次は仮野優の妹ね…」

 

 

 

 

 

「来たわね。」

 

「あら、わざわざ外で待っていたの?」

 

ガリュサが優の家の近くに着くと、外で優香が待っていた。

 

「言い忘れてたことがあったからね。優奈には、優くんが死んだことを伝えていない…万が一明日の作戦が失敗したら、伝えようと思うの。だから、優くんのことは言わないで。」

 

「わかったわ。」

 

優香の言葉にガリュサが答え、2人は優の家に入った。

 

「ただいま。」

 

「お姉ちゃんおかえり!あれ?その人は?」

 

優香が帰ったことに気づいた優奈は、玄関まで出迎えにきた。

 

「あっ、この人は私の知り合いの人なの。」

 

「よろしくね。」

 

ガリュサはそう言い、握手を求めるように手を差し出した。

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

優奈はそれに応じ2人は握手し、しばらく時間が経つと優奈は気を失った。

 

「記憶を保存して、一応私に関する記憶は消しておいたわ。もしこの子に私が敵だと知られた場合、今日のことを覚えてると色々面倒くさくなるでしょ?」

 

「そうね…ありがとう…」

 

「じゃ、私は帰るわ。」

 

そう言ってガリュサは優の家から出ていき、優香は倒れている優奈をベットまで運んだ。

 

 

 

 

 

時は少し遡り…穂乃果の家にガリュサが来るまで少し時間があるため、蓮の家から出た穂乃果、海未、ことりは共に帰路を歩いていた。しかし、優が死んでしまったため普段のように明るい雰囲気ではなく、3人ともただ静かに歩くだけだった…

 

「穂乃果、ことり。」

 

そんな沈黙が続いていた中、海未が2人に声をかけた。

 

「海未ちゃん?」

 

「どうしたの?」

 

「明日の作戦が成功して優が戻ってきたら、2人に謝らなければならないことがあります。」

 

海未は真剣な顔付きで2人に話した。

 

「謝らなければならないこと?」

 

「はい…」

 

海未の真剣な顔付きから、真面目なことで謝られるのだろうと2人は悟った。

 

「そっか…それがどんなことなのかは分からないけど、それを聞くためにも絶対に優くんを生き返らせないとね!頑張ろうね。ことりちゃん!海未ちゃん!」

 

穂乃果その一言で、さっきまでの雰囲気が変わり、3人は決意した笑顔に満ち溢れる。

 

「うん!」

 

「はい!」

 

3人は優を助けることを固く誓い合った。

 




次回のμ‘sと仮面ライダーの物語

『116話 だから、私は…』





115話、どうでしたか?今回は少し短めでしたね。

ところで、ついにスクスタリリース来ましたね!僕は最近忙しくてまだあまりプレイ出来ていないので、早くプレイしたいです!

では、今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想などお願いします!次回もぜひ見てください!


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116話 だから、私は…

はい、116話です。

今回は書くのが難しいエピソードだったので、いつも以上に苦労しました。なので、今回は特にガバガバな文になってしまっているかもしれません…すみません!

では116話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

「優くん…」

 

蓮の家から自宅に帰ってきた希は、ふと優の名前を呟いた。

 

「まさか優くんが1度死んでて、別の世界の優くんとこの世界の優くんが1人になってたなんて、思ってもなかったな…記憶がなくなってたらしいし、昔のウチのことを覚えてなくて当然やね…この前思い出してもらえたのは、奇跡やね…」

 

そう1人言葉を発した希。

 

「優くんは、ずっと1人でその悩みを抱えてたんやね…」

 

 

『けど、これだけは信じて欲しい。優はみんなを騙そうとしたわけじゃないんだ…ただ、話したら嫌われるんじゃないかって、ずっと悩んでたんだ…』

 

 

希はその時、優たちが転生者だと蓮から説明を受けた時に言われた言葉を思い出した。

 

「そんなことで、ウチらが優くんを嫌うわけないよ…優くん…まさか、もう会えないなんてことないよね…私たち、絶対に優くんを生き返らせることが出来るよね?」

 

希は普段の関西弁ではなく、素の希の口調で目に涙を溜めながら言った。その言葉は、どこか自分自身に問いかけるように…

 

「私、まだ優くんに言えてないことがあるんだよ?小学生の頃会った時からずっと…あの時も言えないまま離れ離れになってしまった…また言えないままお別れなんて、絶対にいや!だから、ウチは…」

 

 

 

 

 

「優くん…」

 

希と同じく、家に帰ってきた花陽は、自室で1人優の名前を呟いていた。

 

『花陽。』

 

「モモタロスさん…それにみんなも…」

 

花陽の部屋に、砂状態のモモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスが入ってきた。

 

『すまねぇ…俺たちにあの怪物を倒せるぐらいの力があれば、優を死なせるようなことなかったのに…』

 

「モモタロスさんたちは悪くないよ。私が、弱かったから…だから、ずっとモモタロスさんたちにも迷惑かけちゃって…」

 

『それは違うよ、花陽ちゃん。』

 

「えっ?」

 

ウラタロスに言われた言葉に、思わず聞き返した花陽。

 

『ボクたちは花ちゃんのこと、すっごい強いと思ってるよ!』

 

『せや。俺らはお前が強いと思ったから、一緒に戦うって決めたんや!』

 

「リュウタロスさん…キンタロスさん…でも、私には戦うほどの力は…」

 

『強いつっても、ただ戦う強さってわけじゃない。お前は気弱で大人しいが、いざって時には自分の意志を曲げない強い芯を持ってる。俺たちは、そんな花陽だから一緒に戦うって決めたんだ!』

 

「モモタロスさん…」

 

『それは、きっと優くんも同じなんじゃないかな。優くんも、花陽ちゃんが強いって思ったから一緒に戦ってる。優くんが本当に危険だと感じてるなら、絶対に花陽ちゃんに戦わせたりしないと思うよ?』

 

「っ…!」

 

ウラタロスの言葉を聞き、花陽の表情が少し明るくなる。

 

『花陽が強いってのは、俺らも優も感じてる。せやから、自分の力をもっと信じ!』

 

『花ちゃんたちμ‘sなら、きっと優を生き返らせることができるよ!』

 

キンタロス、リュウタロスも花陽に励ましの言葉をかけた。

 

「そうだよね…それに、今は不安になってる場合じゃない…花陽たちは、また優くんに会いたいんだ!だから、私は…」

 

 

 

 

 

そして、ガリュサと別れた絵里は眠った亜里沙をベットまで運んでから、リビングの椅子に座っていた。

 

「くっ…」

 

絵里は悔しそうに手を強く握り、唇を噛んでいた。

 

「あの時、あの怪物が優のボトルを壊そうとしたことに気づいたのに、私は動けなかった…私が動けていれば、優がまた死ぬことはなかったのに…!」

 

絵里はそう言い、悔しさのあまり軽く机に手をぶつけた。

 

「優はずっと自分が転生者だということがみんなに知られたらって悩んでたのに、結果みんなが知ってしまうことになった…ごめんなさい…優…」

 

そう言った絵里の目から、涙がポロポロと零れ落ちた。

 

 

『何泣いてんだよ?』

 

 

「優…?」

 

その時、絵里を慰めようとするような優の声が聞こえた。

 

「って、そんなはずないわよね…」

 

しかし、優がいるわけない。これは正真正銘、絵里の空耳。しかし、絵里にはその言葉に聞き覚えがあった。

 

「そういえば、優と初めて会った時も…」

 

 

『お前、1人なのか?こんな所で、何泣いてんだよ?』

 

『あなたは…?』

 

『俺?俺は仮野優!よろしくな!』

 

 

「あの時、優と出会って私は救われた。そうだわ。私は昔から、優に助けられっぱなしだ…今は泣いてる場合じゃない!優に恩返ししたい!優ともっと一緒にいたい!だから、私は…」

 

 

 

 

 

「真姫ちゃん、おかえり。」

 

「ただいま…」

 

家に帰ってきた真姫は、出迎えにきた母に小さな声で挨拶を返した。

 

「何かあったの?元気ないわよ?」

 

「えっ?あっ…うん、ちょっとね…」

 

「そう…」

 

何かを察したのか、真姫の母親はそれ以上言及しなかった。

 

「晩御飯出来てるわよ。」

 

「ありがとう…」

 

真姫はそう答え、リビングに入った。

 

「真姫、帰ったのか。」

 

「パパ?今日は早いわね。」

 

真姫の父は病院の医院長を勤めているため、普段の帰りは遅い。

 

「あぁ、今日は仕事が早く終わったんでな。お前は最近帰りが遅いようだが、何かあるのか?」

 

「っ!別に、何んでもないわ…」

 

真姫のスクールアイドル活動は、父に内緒で始めたこと。そんな父にスクールアイドル活動のことがバレてしまうわけにはいかないため、父の言葉に真姫は少し戸惑いながら答えた。

「そうか…」

 

 

それから、夕食を食べ風呂を済ませた真姫は、自室に戻った。

 

「ねぇ、キバット。」

 

『なんだ?』

 

真姫は近くで羽を休めているキバットに声をかけた。

 

「キバットは、知ってたの?」

 

『優が転生者だってことか?』

 

「うん…」

 

『いや、それについては俺様も初耳だ。まっ、あいつの姉ちゃんが女神だから、何かしらあるとは思ってたが…』

 

「優香さんが女神だってことは、知ってたの?」

 

『あぁ。なんたって、俺様は父ちゃんのデータから、優の姉ちゃんに生み出されたからな。だから、優の姉ちゃんが女神だってことは知ってる。』

 

「なるほどね…」

 

『それで、本当は他に何か言いたいことがあるんじゃないのか?』

 

「えっ?いや、それは…」

 

『怖いのか?明日、優を蘇らせることができなかったらって…』

 

「……私は…私たちは、スクールアイドル活動でも、戦いの中でもずっと優に助けられてきた…蓮や秀夜がいるとしても、私たちだけであの強い敵と戦いながら、優を蘇らせることが出来るか分からない…」

 

『なるほどな。じゃあ逆に聞くぞ。真姫は、μ‘sのみんなは、なんで優を助けたいんだ?』

 

「なんでって…理由なんて、沢山あるわよ…」

 

『じゃあ、その中で1番の理由ってなんだ?』

 

「1番の理由…もっと優と一緒にいたいから。優、蓮、秀夜、μ‘sのみんなと一緒にいたいから!」

 

真姫の本心からのその言葉を聞いたキバットは、少し笑ってから答える。

 

『だったら、それでいいだろ?』

 

「えっ?」

 

『真姫がそう思ってんなら、そのために思う存分戦えばいい!真姫、俺様はお前に感謝してる。』

 

「えっ?」

 

『俺様は人間じゃない。元々俺様たちキバットバットの一族は、本来ファンガイアのクイーンに仕えているんだ。』

 

「えっ?そうだったの?」

 

『あぁ。でも、父ちゃんもじいちゃんも人間を守るために戦っていたんだけどな…俺様は父ちゃんたちと違って優の姉ちゃんに生み出された。でもその後、財団Xに攫われた。そこにはファンガイアもいたし、俺様はファンガイアと共に戦わされるのかと思った。』

 

「じゃあ、なんで私の前に現れたの?」

 

『それは、財団Xから逃げることが出来たからだ。なんでか分からないが、さっき蓮の家で会ったボインのねーちゃんに逃がしてもらったんだ。』

 

「蓮の家で会ったボインのねーちゃん…?ってガリュサのこと?」

 

『あー、確かそんな名前だったな。』

 

「あなた、そんな認識してたのね…」

 

キバットのガリュサに対する認識に、真姫は呆れてそう言った。

 

『俺様から見て、人間というのは不完全な存在だ。人間は感情で動き、罪を犯したりもするからな…でも、その感情は時に人を強くする。俺様はそんな人間が、羨ましかった。』

 

「キバット…」

 

今まで聞いたことのなかったキバットの本心に、真姫は感銘を受けていた。

 

『そんな人間の心を持つ仲間と共に戦っている父ちゃんやじいちゃんも羨ましかった…そんな時、真姫は俺様と一緒に戦ってくれるって言ってくれた!だから、俺様は真姫に感謝してるんだ!』

 

「キバット…それは私も。私に戦う力を、人を守るための力を与えてくれたあなたに感謝してる。だから、その…あっ、ありがとう…//」

 

『真姫…お前なら大丈夫だ。優を助けたい、一緒にいたいって強い気持ちを持って戦えば、絶対に大丈夫だ!絶対に、優を復活させることができるぜ!』

 

「そうね!頼もしいコウモリさんもいるしね。じゃ、そろそろ寝るわ。」

 

『えっ?ちょっ、真姫!さっきのもう1回言ってくれよ!』

 

「もっ、もう言わないわよ!//(優…普段は恥ずかしがってこんなこと言わないけど、私はまだまだあなたと一緒にいたいの!)」

 

心の中でそう願った真姫は、手を強く握った。

 

「だから、私は…」

 

 

 

 

 

『もしもし?』

 

「ごめんね、蓮くん。忙しい時に、急に電話かけて。」

 

家に帰り、入浴と夕食を終えた凛は、蓮に電話をかけていた。

 

『大丈夫。それで、どうしたんだ?』

 

「うん…ちょっと、蓮くんの声が聞きたくなって…」

 

蓮には見えていないが、顔を赤くしながら凛は言った。

 

『へっ?俺の声を?』

 

その言葉を聞いた蓮も、顔を赤くする。

 

「うっ、うん…ダメ?」

 

『いやいや!俺も、凛の声、聞きたかったし…』

 

「そっ、そっか…!」

 

この2人は、何時も赤面しながらイチャイチャしないと話せないのか、と読者の皆様に思わせたところで、凛の声色が真剣なものに変わって蓮に話しかける。

 

「明日の作戦、成功できるかな…?」

 

『……それは、正直分からない…そもそも今回の作戦が成功する確率も低いらしいし、フィンディッシュが邪魔してくるかもしれない…今の俺たちで、フィンディッシュが倒せるかどうか、分からないしな…』

 

「……そうだよね…」

 

蓮の言葉に、凛は更に不安に思う。

 

『って、さっきまでは思ってた。』

 

「えっ?」

 

『俺たちはこれまで、スクールアイドル活動の中でも、戦いの中でも、何度も困難に陥った…でも、そんな困難を、何度でも乗り越えてきた!そんな俺たちなら、今回だって大丈夫だ!』

 

「っ!」

 

蓮の言葉を聞き、凛は目を見開いてハッとする。

 

『って、今は根拠の無い理由しか言えないから、あんま説得力ないかもしれないけどな…』

 

「ううん、そんなことないよ!凛もそう思うにゃ!ねぇ、蓮くん。」

 

『ん?』

 

「これからも、凛と…凛たちと一緒にいてくれる?」

 

『あったりまえだろ!俺も、秀夜も、もちろん優も、もっとμ‘sのみんなと一緒にいたいと思ってる!』

 

「蓮くん…!ありがとにゃ!」

 

電話越しで見えてはいないが、今の蓮の顔が満点の笑みだということが、凛には何となく伝わった。

 

『こちらこそ、俺たちにマネージャーを任せてくれて、ありがとな!じゃ、そろそろ…』

 

「うん!また明日ね、蓮くん!」

 

凛は満面の笑みでそう答え、電話を切った。同じく電話越しで顔は見れないが、それは蓮にも感じられたことだろう…

 

「(凛とかよちん、真姫ちゃんがμ‘sに入った時は、まだ穂乃果ちゃん、ことりちゃん、海未ちゃんの3人と、マネージャーの優くんだけだった…でも、それからにこちゃん、絵里ちゃん、希ちゃんが加入して、蓮くんと秀夜くんもマネージャーになってくれた…凛たちが今こうして、スクールアイドル活動が出来ているのは、優くんがずっと凛たちや、色んな人たちを守っていてくれたから…今度は凛たちがそれを返す番。)」

 

「だから、凛は…」

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

妹のこころ、ここあ、虎太郎を寝かしつけたにこは、風呂に入って息を一つ吐いた。

 

「優…あんた、ずっと1人でそんな秘密抱えてたのね…それなのに、にこたちのこと気遣ってくれたりしてたのね…」

 

そう呟いたにこは、ふと2年生の頃のことを思い出した。

 

 

〜回想〜

 

「あっ…えっと、矢澤だっけ?」

 

茜が優を連れてきてからしばらくしたある日、にこが夕飯の買い出しをしている時に優と会った。これで優と会うのは二度目だ。

 

「あんた…確か、優だったかしら?あんたも買い物?」

 

「あぁ。夕飯のな。そういう矢澤も、夕飯買いに?」

 

「えぇ、そうよ。もしかして、あんたが夕飯作ってるの?」

 

「まあな。姉ちゃんは仕事の時が多いし、大体は俺が作ってる。姉ちゃんと妹の3人暮らしだから。」

 

「へぇ…大変ね。」

 

「まぁ、世話してもらってる姉ちゃんや可愛い妹のためを思えば、大変でもないよ。そういう矢澤は?」

 

「私も妹たちの夕飯作らないといけないの。マ…お母さんは仕事だから。」

 

「矢澤も大変だな…」

 

「私も可愛い妹たちと弟のこと思えば、どうってことないわよ。」

 

すると、優のスマホから着信音が鳴った。

 

「あっ、ちょっと悪い…もしもし?優奈?」

 

優はにこに一言言ってから電話に出た。どうやら、妹の優奈からのようだ。

 

「うん、うん…あぁ、分かった。大丈夫だ、楽しんでこいよ。」

 

しばらく会話して、優は電話を切った。

 

「どうかしたの?」

 

「あぁ、妹が今日は友達の家で夕飯食べてくることになったから、晩御飯いらないって…今日は姉ちゃんも仕事で帰ってこないし、買い物する前に知れてよかった。」

 

その時、再び着信音が鳴り響く。

 

「あっ、私にも電話だ…もしもし?」

 

今度はにこの携帯のようだ。

 

「えぇ!?分かりました!すぐ行きます。」

 

「矢澤?どうかしたのか?」

 

電話の最中驚いていたことを疑問に思い、優は電話を終えたにこに尋ねた。

 

「弟の虎太郎が幼稚園の友達とトラブルになって、怪我しちゃったみたい…」

 

「えっ!?」

 

「早く行かないと…でも、妹たちの夕飯も作らないといけないし…」

 

悩んでいるにこを見た優は、少し考えてある提案をする。

 

「……俺でよかったら、夕飯作りに行こうか?」

 

「はぁ?」

 

「ほら、俺の妹今日は友達の家で夕飯食べてくるって言ってたから…」

 

「いやでも、会って2回目のあんたにそんなこと頼むわけには…」

 

にこは遠慮半分、ほぼ初対面の優を信用していいのかという疑念半分で断ろうとしたが…

 

「……やっぱり、お願いしていいかしら?」

 

今は虎太郎のことも心配だし、にこの数少ない信頼出来る友人である茜が信頼する優のことを信じて、頼むことにした。

 

「もちろん!矢澤は早く、弟の所に行ってあげて。」

 

「えぇ!」

 

にこはそう答え、慌ててスーパーから出ていった。

 

 

 

ピンポーン

 

「はーい。」

 

優がにこから聞いたマンションに到着すると、小学3、4年生ぐらいの姉妹が出迎えてくれた。

 

「初めまして、俺は仮野優。君たちのお姉ちゃんの矢澤…じゃなくて、にこちゃんが急用で2人の夕飯作れないから、代わりに来たんだけど…」

 

「あっ、あなたがお姉様の言っていた方ですね!」

 

「お姉ちゃんから電話で聞いたよ!私は矢澤ここあ!こっちが双子のお姉ちゃんの…」

 

「矢澤こころです。よろしくお願いします、お兄様!」

 

「あっ、あぁ…よろしくね。(あの矢澤の妹なのに、随分礼儀正しいな…)」

 

優は突然のお兄様呼びに少し戸惑いながらも、笑顔で挨拶を返した。

 

「どうぞ、お上がりください。」

 

こころに言われて、優は家に入らせてもらった。

 

 

「もう日も暮れてきてるし、2人ともお腹すいてるんじゃないか?」

 

「うん!お腹すいたぁ!」

 

優の問いに、お腹を押さえながらここあが答えた。

 

「よし!じゃあ早速作るよ。そういえば、2人ともアレルギーとかあるか?」

 

「私もここあもないです!」

 

「分かった。じゃあ、ちょっとだけ待っててね。」

 

そう言って、優は2人の頭を撫でる。

 

「はい!」「うん!」

 

 

 

そしてしばらくして…

 

「はい、お待たせ。」

 

「カレーだ!やった!」

 

優が作ったカレーライスを見て、目を輝かせる2人。

 

「2人ともカレー好きか?」

 

「はい!大好きです!」

 

「私も大好き!」

 

「そりゃ良かった。さぁ、冷めないうちにどうぞ。」

 

「「いただきまーす!」」

 

手を合わせてそう言い、カレーを食べ始めた。

 

「んん!美味しいです!お兄様!」

 

「うんうん!凄い美味しい!」

 

「それは良かった。」

 

「お兄様は食べないんですか?」

 

「えっ?俺?(でも、今日は姉ちゃんは天界の仕事だし、優奈も友達の家…どうせコンビニとかで買ったもの食べることになる予定だしな…2人がいいって言うなら、俺も食べてくか…)じゃあ、俺も食べようかな。」

 

そう言い、優はご飯とカレーを更に盛り付け、

 

「いただきます。」

 

こころとここあの正面に座って食べ始めた。

 

 

 

それから全員が食べ終わると、優は使った食器類を洗い始めた。

 

「お兄様!何かお手伝いできることはありませんか?」

 

「私も手伝うよ!」

 

「えっ?じゃあ、俺が洗った食器とかの水を拭き取ってくれるか?」

 

「分かりました!」「分かった!」

 

そう答え、2人は言われた通り食器類を拭き始めた。

 

「2人とも偉いな。手伝ってくれるなんて。」

 

「いえ!食べさせてもらったんですから当然です!」

 

「(本当にしっかりした子たちだな…矢澤がしっかりとしているということなんだろうな…それに比べて、(うち)の優奈と来たら…)」

 

 

『お兄ちゃんご馳走様!じゃあ私ゲームの続きしてくる!』

 

 

「(って感じで、ご飯食べたら部屋に直行だしな…俺ももう少し厳しくした方がいいんだろうか?…………いや、無理だな。)」

 

 

「よし、これで最後!ねぇねぇ、お兄ちゃん遊ぼうよー!」

 

「ダメですよ、ここあ。宿題しないと。」

 

洗い物が終わり、遊ぼうと誘うここあにこころが注意する。

 

「えぇー…」

 

「じゃあ、宿題やってから遊ぶのはどうだ?わからないとこがあったら、俺が教えるからさ。」

 

「ほんと?じゃあやる!」

 

ということで、わからないところは優に聞きながら、こころとここあは宿題をやり始めた。

 

 

それから宿題を終わらせた2人は、優とおままごとなどで遊んでいた。そんな風に優と過ごしている間に時間は進み、にこが虎太郎を連れて帰ってきた。

 

「お姉様!虎太郎!おかえりなさい!」

 

「お姉ちゃん!虎太郎!おかえりー!」

 

それに気づいたこころとここあは、玄関の方へ出迎えに行った。

 

「ただいま。こころ、ここあ。ちゃんと良い子にしてた?」

 

虎太郎をおんぶしながら、にこが聞いた。

 

「もちろん!宿題も終わらせたよ!」

 

「えっ、宿題終わらせたの?」

 

「はい!お兄様が教えてくれました!」

 

「そう…いろいろ悪かったわね。」

 

こころたちから話を聞いたにこは優に言った。

 

「いや、2人とも凄い良い子だったから助かったよ。」

 

「そう…」

 

にこは安心したように呟いた。

 

「虎太郎くんは大丈夫だったか?」

 

「えぇ。幼稚園で遊んでいたブロックを友達が横取りしてきて、その時友達に取られたブロックが虎太郎の頭に当たったのよ。怪我と言っても大したことないそうよ。」

 

「そうか、良かった…」

 

「ほら、虎太郎。お兄さんに挨拶して。」

 

にこはおぶっている虎太郎にそう言う。

 

「ボク、コタロー…」

 

「俺は仮野優、よろしくね。ほら、2人ともお腹減っただろ?2人も夕飯食べたらどうだ?」

 

「悪いわね。じゃあ、頂くわ。」

 

優は皿にご飯とカレーを装い、テーブルに置いた。

 

「いただきます…」

 

にこと虎太郎はスプーンにカレーライスを掬い、口に運んだ。

 

「……美味しい…!」

 

「おいしー!」

 

にこも虎太郎も気に入ったようだ。

 

「それは良かった。」

 

「ねぇねぇ、お兄ちゃん!次は何して遊ぶ?」

 

「えっ?そうだなぁ…2人は何がしたい?」

 

「んー…じゃあ鬼ごっこ!」

 

「鬼ごっこは…家の中だから難しいな…また今度、外でしよっか。」

 

「本当!?絶対だよ!」

 

苦笑を浮かべながら優が提案すると、ここあは満面の笑みで喜んでいる。

 

「じゃあお兄様、このパズル一緒にやりませんか?難しくてまだ完成できてないんです…」

 

「よし、じゃあ一緒にやろうか。」

 

こころの言葉にそう答え、優たちはジグゾーパズルを組み始めた。そんな様子を見たにこは、こころとここあがここまで優に懐いていることに驚いていた。

 

音ノ木坂学院内でにこが内心1番信頼している茜が信頼している優だからと言っても、やはりまだあまり信用していなかった。いくらお人好しそうな優だからと言っても、適当に夕食を作って、こころとここあに食べさせて終わりだと思っていた。それなのに、食べ終えた食器類やテーブルは綺麗に洗ってあるし、こころとここあに宿題を教えて遊び相手までしているとは、にこは微塵も思っていなかった。

 

 

 

「ご馳走様でした。」「こちそーさまでしたー…」

 

「はい、お粗末さま。こころちゃん、ここあちゃん。ちょっと後片付けしてくるから、ちょっとだけ2人でやっててくれないか?」

 

残りピースの少なくなったパズルを中断し、優はこころとここあに言った。

 

「はい!分かりました!」

 

「うん!分かった!」

 

その言葉を聞いた優は、にこと虎太郎が食べ終えた食器類を片付けようとした。

 

「ここまでしてもらったんだから、後片付けぐらいにこがやるわよ。」

 

「じゃあ、俺も手伝うよ。2人でやった方が、早く終わるだろ?」

 

「……そうね。じゃあ、お願いするわ。」

 

2人は洗い物を始めた。

 

「今日は本当に助かったわ。ありがとう。」

 

食器を洗っている最中、にこが優に礼を言った。

 

「気にしなくていいよ。茜先輩から『にこちゃんはいつも妹さんたちや弟さんのお世話をしてて大変なの。』って聞いてたし。」

 

「茜のやつ…余計なことを…」

 

「でも、こころちゃんもここあちゃんと本当に良い子だな。矢澤の教育がしっかりしてる証拠だな。ちっちゃいのに凄いな、矢澤は。」

 

「なっ!?ちっちゃいは余計よ!そうだ…材料のお金、まだ払ってなかったわね。」

 

「あー、別にいいよ。俺も一緒に食べたからな。」

 

優自身、この家に来てからにこの家庭が決して裕福でないことぐらいすぐに気づいた。自分は一度死んだのに、女神である優香のおかげで何一つ不自由してない暮らしをしている分、夕食1食分の食費ぐらい良いと思ったんだが…

 

「そういう訳にはいかないわ。」

 

にこはそう断る。

 

「でも、そんな大したもの作ってないし…カレーだぞ?」

 

「あんた、もしかして(うち)が貧乏だからとか思ってる?」

 

「別に貧乏だとも、貧乏だからとも思ってないけど…」

 

「とにかく、それじゃにこの気が済まないの!」

 

「はぁ…茜が手を焼いてる理由がなんとなく分かったかも…」

 

決して意志を曲げようとしないにこに、優はため息混じりに言った。

 

「どういう意味よ?」

 

「もう少し人に頼ったっていいんじゃないのか?人の家の事情にまで口を出したりはしないけど、手伝えることがあるなら俺はこれからも手伝いたい。多分、茜もそう思ってると思うぞ?」

 

「……」

 

「人に頼ることは決して悪いことじゃないと、俺は思うけど?」

 

「……そうね、そうかもしれないわね…ありがと、優。」

 

「あぁ、矢澤。」

 

「にこでいいわ。」

 

「えっ?」

 

「矢澤じゃなくて、にこでいいわよ。」

 

「下の名前で呼ぶのか…?」

 

にこの提案に戸惑う優。

 

「何よ嫌なの!?」

 

「嫌ってわけじゃないけど…怖いというか、恥ずかしいというか…」

 

「茜のことは下の名前で呼んでたじゃない!(あれ?にこ、もしかして茜に嫉妬してる…?いや、まさかね…だいたい嫉妬する理由がないわ。)」

 

「いや、あれも最初は恥ずかしかったんだよ…でもまぁ、分かった。改めてよろしくな、にっ、にこ…」

 

「えぇ。よろしく、優。」

 

〜回想終了〜

 

 

 

「ったく、人に頼ってないのはどっちよ…バカ…」

 

当時のことを思い出してそう言ったにこの目は、少し潤んでいる。

 

「優がにこの事を下の名前で呼ぶのに躊躇った時、なんでか茜に対して嫉妬してしまった理由が今なら分かるわ…人って、失ってから大切なことに気づくのね…私は…にこは、ずっと優のことが好きだったのね…」

 

自分の気持ちを自覚したにこは、切なげな表情を浮かべる。

 

「スーパーアイドルにこにーが、恋をするなんて…それに、優は茜の彼氏なのにね…」

 

自身の気持ちに戸惑い、にこはそう呟いた。

 

「でも、今はそれは置いとかないと…明日の作戦は絶対に失敗できない!あの時、偉そうに頼ることは決して悪いことじゃないって言ったんだから、戻ってきたらもっとにこ達に頼ってもらうわよ!あんたには、返さなきゃいけない恩がまだまだあんのよ、優!だから、にこは…」

 

 

 

 

 

「お母さん、お願いがあるの。」

 

家に帰ってきたことりは、夕食の最中母に言った。

 

「どうしたの?」

 

「お母さんが理事長だからと言って、特別扱いしちゃいけないっていうのはもちろん分かってるんだけど…でも、大切なお願いなの!」

 

「そう…とりあえず話してみて。」

 

ことりの真剣な眼差しを確認して、ことりの母は持っていた箸を一度置き、話を聞き始める。

 

「明日の放課後、音ノ木坂学院を貸し切れないかな?」

 

「貸し切る?どうして?」

 

「実は、今日他の生徒や先生たち、お母さんも帰った後学校に怪物が現れたの。その戦いで、優くんが…死んじゃったの…」

 

「えっ!?仮野くんが…?」

 

「うん。でも、実は優くんは仮面ライダーにも変身してるし、普通の人じゃないの…だから、生き返ることが出来るかもしれないの。その作戦の実行には、優くんが死んだ音ノ木坂学院じゃないとダメなの…勝手なのは分かってるよ…でも、他の人を危険な目に遭わせないために他の生徒や先生たちが学校にいちゃダメなの…お願い!ことりは…ことりたちは、まだ優くんとお別れしたくないの!」

 

ことりの言葉を聞いた母は、そう…とだけ答えて目を瞑る。その状態で少し考えた母は、ゆっくりと口を開く。

 

「私は理事長。さっきことりが言ったように、娘であるあなたを特別扱いは出来ないわ。」

 

厳しい顔の母から出た返答を聞いたことりは、そうだよね…と答えたものの、その顔は暗く俯いてしまう。すると、母は表情を一変させて思いついたよう話し始める。

 

「あっ、そういえば明日の放課後は緊急の工事が入っていて、生徒や先生たちは帰ってもらうと通達してたわね…」

 

ことりはそんなのあったかと疑問に思う中、ことりの母は話し続ける。

 

「でも、その工事会社の人たちが明日はこれなくなったってさっき連絡が来たのよ。明日は放課後完全下校で生徒たちや先生が帰るのはもう変更できないから、こっそりと残っていた生徒がいても気づかないかもね…」

 

母がそう言い終わると、疑問に思っていたことりは言葉の意味に気づき顔を明るくした。

 

「お母さん…!ありがとう!」

 

「なんのことかしら?私は元の予定の通り動くだけよ。」

 

ことりの母はふふっ、と笑みを浮かべながら答えた。

 

「今から言うのは独り言なんだけどね…私は仮野くんたちが戦ってるのを見てることしか出来ないから、出来る限りのサポートはしたいの。」

 

「お母さん…」

 

「ことり、これだけは約束して。ことりも、μ‘sのみんなも、宮崎くんも、黒崎くんも、全員生きて仮野くんを連れ帰ってきてね。」

 

「うん!」

 

ことりの目をしっかり見つめて言った母に、ことりもしっかり目を見て答えた。

 

「ありがとう、お母さん。」

 

ことりは最後にそう言って、自室に戻っていった。

 

 

「優くん…ことりね、優くんが転生者だって聞いたのに、何も出来なかったのが凄い悔しかったんだ。1人で大きな秘密を抱えてずっと戦ってきた優くんの力になれないのが、本当に本当に悔しかった…多分優くんにそれを言っても、今一緒に戦ってくれるだけで充分だ。とか、俺は勝手に戦ってるだけだ。とか言うんだと思うけど…だったら、ことりはことりの勝手で優くんを助けたい!だから、ことりは…」

 

 

 

 

 

「優…あなたは本当に、1人でなんでも抱えすぎですよ…」

 

家に帰ってきた海未は、自室で1人そう呟いた。

 

「私の勝手な恋心のせいで暴走して優の命を狙った怪物がいても、あなたは私の気持ちを受け入れてくれた。本当に、嬉しかったです…そんなあなたを、私は信じています。」

 

 

『いつも信じてあげているのが、1番なんじゃないかなって私は思います。』

 

 

海未は先日会った泉比奈のことを思い出しながら言った。

 

「ですから、今は私たちのことを信じて待っていてください。必ずあなたを生き返らせます!ラブライブで勝って、その…返事も聞かなければなりませんし、ね。だから、私は…」

 

 

 

 

 

「優くん…」

 

自室で1人、穂乃果は優の名前を呟いた。

 

 

『ダンス、俺で良ければ教えるぜ!』

 

 

『あぁ、よろしくな!俺は仮野優だ!』

 

 

『歌ってくれ!俺にはこんなことしか言えないけど、お前達3人が、どれだけ辛い練習を重ねてきたことを俺は知ってる!だから、その努力を無駄にして欲しくない!それに、ここに1人は見てる人がいる!俺はすぐ側で見てるから!』

 

 

『穂乃果、ことり、海未、花陽、凛、真姫、にこ、希、絵里。改めて、俺をμ’sのマネージャーにしてください!』

 

 

 

穂乃果の頭にこれまでの優との様々な思い出が浮かんだ。

 

 

『みんな…俺のことはいいから、ラブライブ!…頑張、れよ…!』

 

 

「いいわけ、ないよ…優くんも、穂乃果たちにとって大切な仲間の1人なんだよ?ラブライブ優勝を目指すのは、優くんも一緒じゃないとダメだよ…!」

 

「穂乃果にとって、ことりちゃんも、海未ちゃんも、花陽ちゃんも、凛ちゃんも、真姫ちゃんも、にこちゃんも、希ちゃんも、絵里ちゃんも、蓮くんも、秀夜くんも…そして、優くんも、みんな誰一人欠けちゃいけない大切な仲間なんだよ!μ‘sが優勝するには、優くんの支えもないと嫌だよ!この12人みんなで優勝したい!だから、穂乃果は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、ウチは…」

 

「だから、私は…」

 

「だから、私は…」

 

「だから、私は…」

 

「だから、凛は…」

 

「だから、にこは…」

 

「だから、ことりは…」

 

「だから、私は…」

 

「だから、穂乃果は…」

 

 

『絶対に優(くん)を助ける!!!』




次回、μ'sと仮面ライダーの物語

「優くんにはまだ、消えてもらっちゃ困るものね。」

「よし、YF大作戦…開始だ!!」

─YF大作戦、始動

「……回りくどい言い方ですね。ここには俺と神様しかいないんですし、もうはっきり言ったらどうです?俺の死因が…」

─優の秘密


「あぁ、初めましてだったな。簡単に言えば、俺はお前の姉である優香の上司で、全女神を従える天界のトップ的存在。所謂、神だ。」


次回、『117話 神、登場』





今回はμ's9人の話を書きましたが、次回は死んだ優がある場所である人物と出会うことになります。

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117話 神、登場

はい、117話です。

今回、タイトルにもある通りついに神が登場します!そして、優の意外?な死んだ理由が発覚します!

では117話、スタートです!


〜side 優〜

 

ん…?確か俺は………そうだ…!ノーマルデータボトルが壊れて…ってことは、また俺は死んだのか…っていうか、ここは…?

 

俺はそう思い辺りを見渡すと、ここはテレビや冷蔵庫などが置いてある謎の白い空間だった。

 

「おっ?ようやくお目覚めか?」

 

そんな俺に呼びかける声が聞こえたので振り返ると、ソファに座る1人の男の人がいた。その男の人の隣には、すっごい美人の女の人も座っている。ってかあの女の人、デカイな…何がとは言わないけど。

 

「おっ、美人だってよ。良かったじゃねぇか!それに、ここも大きいってさ!」

 

大声で女の人にそう言うと、男の人は女の人の…その…胸を思いっきり掴んだ。

 

あんな堂々とセクハラを…!?あれ?ってか俺心よまれた!?

 

「やめてください!セクハラで訴えますよ!」

 

「ごめんごめん!」

 

「っ!あなたも、セクハラで訴えますよ!」

 

「うぇ!?すっ、すみません!」

 

女性は俺にも睨みを利かせて言ってきたので、思わず謝る。

 

「それにしても、いい加減少しは反省してください!そんなんだから、女神たちに反乱されたんですよ。」

 

えっ?女神たちに反乱って…

 

「ごめんごめん!反省してるしてる、お前は俺のかーちゃんかよ…」

 

「何か言いました?」

 

悪態ついて言った男の人に、女性は再び睨みを利かせて低い声で言った。ひぇぇ…怖っ…

 

「ひっ…!?すっ、すみません…」

 

そんな女性に怯えた男性は、さっきまでの堂々とした態度とは打って変わって縮こまって謝る。

 

「それより!彼に話があったから、掟を破ってここまで連れてきたんじゃないんですか?」

 

「まあそうだけど…ってか俺は神だから、掟を破っても大丈夫大丈夫!」

 

神と名乗った男性はサムズアップしながら呑気に言った。えっ、ってか神ってマジの…?

 

「全くあなたは…」

 

「あっ、あの…神っていうのは…?」

 

女性が神(仮)に呆れている中、俺は恐る恐る尋ねた。

 

「ん?あぁ、初めましてだったな。簡単に言えば、俺はお前の姉である優香の上司で、全女神を従える天界のトップ的存在。所謂、神だ。」

 

「ちなみに、私は女神です。」

 

うわー…イメージと全然違う…神様ってもっとしっかりした人だと思ってた…それに対して、女神様は結構真面目そうな人みたいだ。

 

「もっとしっかりって…失礼なやつだな!」

 

「全く持って間違った意見ではありませんよ。」

 

「ガーン!?」

 

女神様の言葉に、神様はよくアニメとかで見るひし形の口をして驚いている。

 

うん。ほんと、イメージと違う…それにしても、こんな風に心をよまれると、姉ちゃんと初めて会った時のことを思い出すな…

 

「とりあえず、今はお前と話さないとな、仮野優。」

 

「俺…?」

 

「あぁ、悪いが君は席を外してくれないか?2人で話がしたい。」

 

「わかりました。」

 

女神様はそう言って、少し頭を下げてからこの部屋?空間?から出ていった。

 

「さてと、改めて初めまして。仮野優。」

 

「えーと…初めまして、神様。その…さっきの女神様が掟を破って俺をここに連れてきたって言ってましたけど…」

 

俺はまず気になっていた掟を破った、ということがどういう事なのか神様に尋ねた。

 

「あー、それのことか。人間は一度死ぬと、その後天国に行くにしても地獄に行くとしても、転生するにしても一度魂と体を分けて別々の場所に送られる。それは今回死んだお前も例外ではない。だが、そんなお前の魂と体を切り分けずにここ、神の間まで俺が連れてきたってわけ。」

 

「なるほど…でも、どうして掟を破ってまで俺を…?」

 

「お前にはまだ死んでもらっては困るからだ。」

 

「えっ?」

 

死んでもらっては困る…?俺が仮面ライダーだからか…?

 

「まっ、今はそうとしか言えないな。それから、ついでにお前と話をしようと思ってな。だから、ここまで来てもらった。」

 

「俺と話を?」

 

確かに俺は転生して仮面ライダーとして戦ってるが、態々神様直々に話すことなんてあるのだろうか…

 

「まっ、あんま気にしなくていい。」

 

「……わかりました。」

 

俺はとりあえず、神様の言葉に従うことにした。

 

「こんなことを聞くのは不謹慎かもしれないが、どうだ?2度目の死を味わった気分は。」

 

「どうって…」

 

俺は神様の突拍子もない質問に、思わず言葉を詰まらせた。

 

「1度目に死んだ時の感情と、今の感情は全く同じか?1度目の時と違い、本当は死を冷静に受け入れることが出来ないんじゃないか?」

 

「……」

 

神様の質問に当てはまる所があり、俺は答えられなかった。

 

「沈黙は肯定とみなすぞ?まぁ、普通の人間は死を冷静に受け入れられなくて当然だ。だが、1度目の転生の時のお前…いや、橋本拓真は違った。橋本拓真としての記憶を取り戻したお前なら、その理由は分かっているよな?」

 

「……はい…」

 

「お前は轢かれそうな子供を助けるために死んだ。そうお前を転生させた女神…お前は優香と名付けたんだったな。優香も未だにそう思ってる。だが、神である俺まで欺けるとは思わない方がいい。」

 

「別に欺いたつもりはありません。俺自身、ガリュサと会うまで知りませんでしたし…」

 

これ自体は事実だ。俺自身つい昨日までそんな記憶はなかったし、欺いたつもりなんてさらさらない。

 

それを汲み取った神様は、それもそうか…と言って話を続けた。

 

「お前は前世で自分の行いを悔い、そして絶望を味わった。まぁ、俺からすればあれをお前が悔やむことは必要は無いと思うがな…」

 

「でも、俺のせいで彼女は…!」

 

「まぁ、あの件をどう感じようがお前の勝手だ。それより問題は、その後の行動だ。お前の死は、結果的に1人の子供を救った。お前はその子供や母親からすれば英雄となり、客観的に見ればお前は子供を助けるために死んだということになる。まぁ、お前もあの時は、本気で子供を助けようと思ったのも事実だしな。」

 

俺は神様の回りくどい言い方に、少し苛立ってしまった。

 

「……回りくどい言い方ですね。ここには俺と神様しかいないんですし、もうはっきり言ったらどうです?俺の死因が…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 蓮〜

 

秀夜が帰ってしばらくして、入浴を済ませた俺は、今は凛からの電話を終えたところだ。すると、玄関の方でガチャりと扉が開く音がした。

 

「ん?鍵閉めたはずだよな…ってことはもしかして!?」

 

俺が驚いて玄関まで行くと…

 

「蓮くん、ただいま。」

 

「咲姉ちゃん…!久しぶり。」

 

咲姉ちゃんが久しぶりに帰ってきた。

 

「ごめんね、長いこと帰って来れなくて…」

 

「大丈夫。天界の仕事、忙しいんだろ?」

 

「うん、ちょっとね…」

 

俺の質問に、咲姉ちゃんは苦い顔をして答えた。余っ程大変なのか…?

 

「今日はどうするんだ?泊まってくのか?」

 

「そうしようかな。お風呂入ってもいい?」

 

「あぁ。俺もう入ったから、栓抜いといてくれ。」

 

俺の言葉にはーい、と答えて咲姉ちゃんは洗面所に向かおうとリビングの扉から出ていったが、

 

「あっ、そうだ。お土産あるから後で食べない?」

 

ふと思い出したのか、顔だけをこちらに覗かせて言った。

 

「よっしゃ!食べる食べる!」

 

俺はお土産を楽しみに、咲姉ちゃんの戻りを待つのであった。

 

 

 

咲姉ちゃんが風呂から上がってくると、俺たちは温かいお茶を入れて、咲姉ちゃんの土産の饅頭を食べながら少し話すことにした。

 

「あのさ、咲姉ちゃん。優が…」

 

優が死んだことを伝えようとすると、俺の表情は自然と暗くなってしまった。

 

「うん…聞いたよ、みんなの記憶が必要なんだよね。私のはガリュサっていうデビュラーが持ってるんだよね?」

 

それに気づいた咲姉ちゃんも、暗い顔をして聞いてきた。

 

「あぁ…ってあれ?あのガリュサってやつ、デビュラーにも変身できるのか?」

 

「えっ?あっ…多分ね。偶然天界の仕事でデビュラー関係のこと調べてたから、そうなんじゃないかなぁって思ったんだ。あくまで予想よ?」

 

「なるほど…」

 

確かに、ガリュサは変身しなくてもあの強さで、ビームなんかも出してた…なら、デビュラーに変身出来てもおかしくないか…

 

「ごめんね。本当は明日、私も現場で協力したいんだけど、天界の重要な仕事があって…」

 

「大丈夫。明日は俺たちが絶対に作戦を成功させるから、咲姉ちゃんは安心してその仕事に取り掛かってくれ。」

 

申し訳なさそうに言ってきた咲姉ちゃんを元気付けるため、俺は笑顔で言った。

 

「蓮くん…ありがとう!」

 

「絶対に優を連れ戻してくるよ!優…今死ぬなんて、絶対にさせないぞ…!」

 

俺が強い決意を込めてそう言うと、咲姉ちゃんも笑みを浮かべて言う。

 

「そうね…優くんにはまだ、消えてもらっちゃ困るものね。」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「もうはっきり言ったらどうです?俺の死因が…自殺に似たものだってこと。」

 

「お前は前世で自分自身に絶望していた。そんな時、トラックに轢かれそうな子供がいた。絶望で生きることを諦めかけていたお前は、最後に誰か助けたいという想いから、子供を助けて自らの死を選んだ。」

 

「……その通りですよ。」

 

流石は神様、この神様には全てがお見通しなんだと実感した俺は、観念してそれを認めた。

 

「まぁ、お前は轢かれても、子供を助けたことに喜んでいたのには驚いた。。人間がトラックに轢かれて感じる痛みは、想像を絶するほどの痛みだ。その痛みを味わっても尚、子供を助けられたことに喜んでいるなんてな…」

 

「別に、あの子を助けるために飛び出したんですから、目的の通りになって喜ぶのは当然でしょ。」

 

俺がそう言うと、神様はため息を1つついて話を再開する。

 

「そういう考えが間違ってると言ってるんだよ。お前は、余りにも自分の命を軽く見すぎてる。二度も死んだ今でもな。」

 

「べっ、別に軽くなんて見てません!」

 

「俺にはそうは見えないぞ。人を守ることだけを考えて、自分の命を投げ出してでも戦おうとするお前のことはな。」

 

「っ…でも、俺が戦わないといけないんです…!怪物と戦えるのは、仮面ライダーしかいないんですから。」

 

俺は拳を固く握り締めて言った。

 

「お前が今いる世界には、たくさんの仮面ライダーがいるだろ。」

 

「確かに、先輩の仮面ライダーはたくさんいます…でも、今まで俺が会ってきた仮面ライダーの方々は、これまで色々な苦悩を乗り越えて人間を脅かす存在と戦ってきた人ばかりです。」

 

自分がグリードに近づいていきながらも人のために戦い続けた映司さんや、人間も、始さんも助けるためにアンデッドになる道を選んだ剣崎さん。他にもたくさんの苦難を乗り越えてきた仮面ライダーたちのことが、頭に浮かんだ。

 

「これまで他の仮面ライダーが数々の敵と戦ってきた分、今は俺が財団Xと戦わないといけない!それが、俺がこの世界に転生して、仮面ライダーの力を手に入れた意味だと思うんです。」

 

俺は、戦うためにこの世界に来たんだから…

 

「なるほどな…お前の意思は分かった。でも、これまで戦ってきた仮面ライダーは、仲間と共に戦ってきた者がほとんどだ。お前にも、そんな仲間がいるだろ?」

 

「……はい。蓮も秀夜も、それにμ‘sのみんなも一緒に戦ってますよ…」

 

「本当にそうか?」

 

「えっ…?」

 

「お前はあの9人を危険な目に遭わせないために、できるだけ危険な戦いから遠ざけようとしてただろ?今回μ‘sの前からいなくなろうとしたのも、それも原因の1つだろ?それは本当に、μ‘sと共に戦ってると言えるのか?」

 

俺は神様の言葉を聞き、額に冷や汗を垂らし、目を見開いた。

 

「っ…でも、μ‘sのみんなは転生した俺とは違って、普通に暮らしてる高校生なんです!しかも、スクールアイドルをやっている…俺はそんな穂乃果たちを、危険な目に遭わせたくないんです!」

 

「その気持ちは分からなくもない。でもな…」

 

今まで落ち着いて話していた神様だったが、初めて声を少し荒らげて言う…

 

「仲間なら、信じてやれよ!!危険でも、互いを信じ合って、共に助け合いながら戦う!それが仲間だろうが!」

 

詰め寄ってきながら言った神様に驚き、俺は少したじろいだが、神様の言葉を聞いてハッとした。

 

「っ…!互いを信じ合って、共に助け合いながら戦うのが仲間…」

 

「そうだ。それが仲間だ。お前は橋本拓真としての前世での経験や、茨城茜の件から人と深く関わるのを心の中で恐れている。それが自分の中で大切な人になればなるほどな。そんな思いから、大切な人を自分のせいで危険な目に遭わせたくないという考えが強くなった。違うか?」

 

「……多分、そうだと思います。」

 

「それは決して間違いではない。でもな、彼女たちが戦ってるのは決してお前だけのためとも、ましてやお前のせいとも思ってないぞ。忘れたのか?彼女たちは全員、自分の意思で戦ってる。」

 

「っ!」

 

俺は神様の言葉を聞き、ある記憶が蘇る。

 

 

『穂乃果は…それでも、危険な目に遭う人をただ見てるなんて出来ない!穂乃果は誰かの笑顔を守るために戦うよ!』

 

『ことりも、みんなを守るために戦いたい!』

 

 

『ライダーの力を手に入れたからと言って、2人が無理に戦う必要も無いし、中途半端な気持ちで戦ったりもして欲しくない。俺としては、みんなを危険な目には遭わせたくないのもあるし…それを踏まえて、どうする?』

 

『そんなの決まっています。私は人を守るために戦います!これは決して中途半端な気持ちではありませんし、私の意思で決めたことです!』

 

『私も同じよ。だいたい、私たちが戦わないって言うと思う?』

 

 

『悪いけど、にこは優がなんて言おうが戦うわよ。』

 

『でも!それじゃにこが…』

 

『あんた、私の夢知ってるでしょ?』

 

『えっ…?宇宙ナンバーワンアイドルか?』

 

『そうよ。今のにこがそうじゃないことぐらい分かってる…でもにこは、いつかは絶対に宇宙ナンバーワンアイドルになってみせる!これはにこの大切な夢なの!私は人のそんな大切な夢を守るために戦う!!』

 

 

『私のことはいいから、行きなさい。これまで優は、ずっと1人で頑張り続けてきた。だから、これからは私たちも少しずつ恩返ししていきたいのよ。だから、ここは私に任せて行って!』

 

 

『おい、どけ…俺は宮崎蓮を……殺す。死にたくなけりゃ、お前はどいてろ!』

 

『嫌!!蓮くんは、凛にとって大事な人なんだにゃ!凛は、変身は出来ないけど…それでも、凛の大事な人を傷つけるなら、凛は戦う!!』

 

 

『やっぱり、ウチにはまだ…ううん、諦めたらダメや!ウチは…ううん、私は何度も優くんに助けられてる…だから、今度は私が優くんを守りたい!!』

 

 

『優の戦いを見てきてんならわかると思うが、俺たちの戦いってのは、怪我をする時もある。怪我どころじゃすまない時もある。常に危険と隣り合わせだ。それを分かって、言ってんのか?』

 

『はい!私は、それでも戦います!これまで、優くんや蓮くんがずっと戦ってきてるのを見て思ったんです。なんで、関係ない人のために、ボロボロになるまで戦えるんだろうって…

 

でもそんな2人が、私が今まで会った事のある人たちの中で1番かっこよく見えたんです。けど、私が勝手にそう思っていても、2人は戦って怪我してる時や辛い時ばっかりだと思うんです…

 

だから、私はそんな優くんたちを少しでもサポート出来るようになりたいって思ったんです。それだけじゃなく、優くんの様に仮面ライダーとして、いろんな人を守りたいって思ったんです!だから、お願いします!私と一緒に戦ってください!!』

 

 

穂乃果、ことり、海未、真姫、にこ、絵里、凛、希、花陽が仮面ライダーとして戦うことに対する自身の覚悟を語った時の情景が、俺の頭に浮かんだ。

 

「そうだった…みんなは、自分の意思で戦おうとしてたんだ…それなのに、俺は…くっ…」

 

俺の目から、悔し涙が零れた。

 

「泣かなくていい。お前のその優しさは、彼女たちにしっかり伝わっているさ。」

 

神様は優しい笑みを浮かべてそう言い、また真剣な顔で話し始める。

 

「仮野優。さっきも言ったが、お前が転生前のことや、茨城茜の件を悔やむのは決して間違いではないし、悪いことでもない。だが、それを乗り越えることも大切だ。」

 

「乗り越える…」

 

「あぁ。俺にも昔大切な友を、俺が原因で亡くした経験がある。300年ほど経った今でも俺はその事を悲しんではいるが、後悔こそしていない。あいつはそれを、自分の選択だから気にすんなと言い残して死んだんだ。それに多分、あいつは悔やんでいる俺の姿なんて見たくないだろうからな。茨城茜だってそうだろ?」

 

俺は再び、ある記憶が頭に浮かんだ。

 

 

『お願い…私が死んでも、優くんは生きて、ね…これからも、みんなを守り、続けてね…今まで…本当にありがとね…

優…くん…大好きだよ…!』

 

 

神様の言葉を聞いた俺は、茜が死に際に残した言葉を思い出した。

 

「それに、お前は今生徒会副会長をしているな?」

 

「はい…」

 

「お前が以前副会長になった時に、茨城茜は生徒が楽しめる学校にするにはまず自分が楽しむこと、って言っただろ。お前は今、それが守れているか?」

 

俺はその言葉を聞き、再びハッとする。

 

「っ…!出来てないです…茜からレッドメモリーデータボトルを貰った時も、再確認したはずなのに、また俺は忘れて…」

 

俺は太ももの横にある拳を、固く握り締めて呟いた。

 

「それともう1つ…仮野優。お前はオリジンデータボトルを手に入れたが、まだその時を超える能力を使いこなせてないよな?」

 

「はい…俺の意思で時間を超えることは、まだ出来ません…」

 

「なんでか分かるか?」

 

「えっ?俺のライダーエナジーが足りないとか、単純に弱いから、とかですか…?」

 

俺の言葉に、神様は首を振って答える。

 

「違うな。お前のライダーエナジーなら、1度ぐらいならもう自分の意思で時を越えられる。」

 

「じゃあなんで!?」

 

「お前たちが使っているインフィニティドライバーやフォースドライバー、データボトルの力は、装着者の気持ちや想いによって大きく変わる。」

 

「気持ちや想い…?」

 

そういえば、前に姉ちゃんがそんなようなことを言ってたな…

 

「時を越えるということは、人間誰しもが憧れることだろう。だが、悪用しようとしたら歴史がひっくり返るほどの大事件を起こしかねない危険な力だ。さっき言ったように、お前は前世でのことや茨城茜の件を相当悔やんでいる。過去ばかりを見てるお前には、オリジンデータボトルは、その能力を使わせてはくれないぞ。」

 

「じゃあ、どうすれば…」

 

「簡単な話だ。過去ばかり見ている自分を変えろ。」

 

神様の言葉を聞き、俺は不安になる。そんな不安が伝わったのか、神様は優しい笑みを浮かべて言った。

 

「別に、全てを忘れろというわけではない。時には過去を振り返るのも大切だ。死んだ茨城茜のことは、お前がしっかりと覚えておいてやらないといけないしな。でもな、過去に縛られすぎるな。お前には、今があるだろ。お前には、µ‘sと過ごす大切な日々があるんじゃないのか?それとも、彼女たちもお前のことを裏切るんじゃないかとでも思ってるのか?」

 

「そんなわけない!穂乃果も、ことりも、海未も、花陽も、凛も、真姫も、にこも、希も、絵里も、こんな俺のことを仲間だと受け入れてくれて、心配してくれる…そんなみんなが、裏切るなんてこと絶対ないです!」

 

「だったら、μ‘sと過ごす現在(いま)を見ろ。現在(いま)を見て、未来(その先)に進め!そうすれば、オリジンデータボトルの能力を使いこなせるようになるだけじゃなく、お前は仮面ライダーとして更に強くなれるだろう。」

 

「仮面ライダーとして、更に強く?」

 

「あぁ。死を全く恐れないのが強いんじゃない。死を恐れる気持ちがないと、本当の意味で強くなれないんだ。」

 

死を恐れる気持ちも持ってないと、本当な意味では強くなれない…そうか、そうだったのか…

 

「死に対する恐れがないと、無鉄砲に突っ込んでいって負けるだけだ。死に対する恐れを持つのも大切だ。」

 

そこで、神様は真剣な表情を緩めた。

 

「まっ、俺からの助言はこんぐらいだな。」

 

「神様、ありがとうございました!神様の話を聞いて、俺の未熟な部分を知り、更に強くなれると思います!それに、穂乃果たちのことも、もっとしっかり考えようと思います!」

 

「そうか…それはよかった。まぁ、もう二度と、自分の命を投げ出すようなことはするな。」

 

「はい!」

 

俺は神様の目をしっかり見て、自分を改めると言葉を返した。

 

「あれ?っていうかその前に、俺生き返れるんですか?」

 

俺は今更ながらの質問をする。

 

「さあな。」

 

「さあなって…」

 

せっかく助言してもらったのに、もう死んだのでそれを実行することは出来ませんなんて、笑えないぞ…

 

「それはお前の仲間たちの頑張り次第だ。」

 

「仲間の頑張り次第?」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「今日はよろしくお願いします!翔太郎さん!」

 

「あぁ、任せとけ。」

 

時は過ぎ、作戦実行の放課後になった。蓮は音ノ木坂学院まで助っ人に来てくれた翔太郎と話していた。

 

「理事長先生。ご協力、本当にありがとうございます!」

 

そして優香は、ことりの母である理事長にそう話していた。もう既に音ノ木坂学院の生徒や先生は全員下校し、ここに残っているのはμ‘sと蓮、秀夜、翔太郎、優香、ラビリー、理事長。そして、ガリュサだけだ。

 

「いえ、仮野くんには、何度も音ノ木坂学院の生徒たちを守ってもらっています。こんなことでよければ、いくらでも協力します。」

 

理事長が優香にそう答えると、そこに秀夜がやってきた。

 

「理事長先生、ここは危険なのでそろそろ…」

 

「いえ、私はここに残るわ。大事な生徒が頑張っているのに、私が安全な場所に避難するなんてできない。なんの力にもなれないかもしれないけど、最後まで見届けるわ。」

 

「分かりました。でも、せめて理事長室から見ててください。まだ安全だと思いますので、せめて…」

 

「分かったわ。」

 

そう答え、理事長は校舎に入っていく。

 

「ラビリーもありがとね。」

 

「何言ってんだ。俺ももっと優と一緒にゲームしたいんだ。もちろん協力する!」

 

優香の言葉に、ラビリーが答えた。

 

「うわぁ!大っきい!これが優くんを生き返らせる装置なの?」

 

穂乃果は校庭に置かれた、椅子が5つ付いた巨大な装置を見てガリュサに聞いた。

 

「そうよ。この装置に4人か5人座って、私が仮野優に関する記憶を集めていく。そして、ここに置いてある空のボトルにそのデータ(記憶)を入れて新たなデータボトルを創り出すわ。」

 

ガリュサが穂乃果に説明し終えると、

 

「よし、みんな!」

 

蓮が声をかけ、全員が集まる。

 

「チャンスは1回、失敗はできない作戦だ。危険な面ももちろんあると思う。でも、絶対に成功させよう!」

 

『うん!!』

 

蓮の言葉に、全員が答えた。

 

「よし、YF大作戦…開始だ!!」

 

『おぉぉーー!!』

 




次回のμ'sと仮面ライダーの物語

「やぁ、翔太郎。待たせたね。」

─駆けつけるレジェンド

「これは、俺も本気を出そう。」

─更に強大な力を得るフィンディッシュ


「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」


次回、『118話 二人で一人の仮面ライダー』





さて、次回予告にもあった通り、ついにあの二人が並び立ちます!

そして今回は神が登場し、優が死んだ本当の理由が発覚しました。意外、でしたでしょうか?
優の自殺の理由については、次の次の話ぐらいで明かす予定です。

そんな中、最近投稿頻度が遅くなってしまい本当に申し訳ありません…ただ、三連休の最終日ということもあり、明日…いえ、日付も変わってるので今日ですね、11月4日にもう一本投稿します!ですので、お時間のある方はぜひ読んで下さい!午前10時頃投稿の予定ですが、午後、もしくは夜になってしまう可能性があります…ですが、必ず明日中には投稿しますので、読んで下さると嬉しいです!

では、今回も読んでくださりありがとうございました!お気に入り登録、感想や評価なども是非お願いします!


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118話 二人で一人の仮面ライダー

はい、118話です。

まず初めに、10時投稿とか言ってたのに1時間半も遅れてしまい申し訳ありません!あと、前回言い忘れてましたが、先日この『μ'sと仮面ライダーの物語』が2周年突破致しました!ここまで読み続けて下さっている方も、最近読み始めて下さった方も、本当にありがとうございます!これからもゆっくりですが投稿していく予定なので、よろしくお願いします!

それと今回、初めて挿入歌を入れてみました!と言っても聴けるわけではもちろんありません(笑)やっぱり仮面ライダーの戦闘シーンで用いられる挿入歌がまた一層盛り上げてくれますよね!なので、挿入歌 曲名〜〜と書いてる所があるので、その曲を知ってる方は想像してみたり、聴いてみたりしてください!

では118話、スタートです!


〜三人称視点〜

 

「YF大作戦…開始だ!」

 

『おぉぉーー!!』

 

YF大作戦が始まり、ガリュサが装置に18本の優に関する記憶が入ったデータボトルを入れた。そして、装置の5つ中3つの椅子に穂乃果、ことり、海未が座ってコードが繋がっているヘルメットを被った。

 

「さぁ、始めるわよ。」

 

ガリュサは装置のデータパネルを触って操作し始め、3人とデータボトルから記憶を保存し始めた。

 

「なんか不思議な感じだねぇ…」

 

「これで穂乃果たちの記憶が保存されてるんだぁ!」

 

「あまり痛みなどは感じないんですね。」

 

装置に座っていることり、穂乃果、海未がそう話している。その時、装置の周りでフィンディッシュの襲来に備えている翔太郎と秀夜の表情が険しくなる。

 

「空気が、変わったな…来るぞ。」

 

「みたいですね…みんな、気をつけろ!」

 

秀夜がそう言うと、上空からフィンディッシュが飛び降りてきた。

 

『変身!』

 

『コンプリート』

 

『turn up』

 

『CAST OFF』

 

『ソードフォーム』

 

『ジョーカー!』

 

『パーフェクトトレジャー!』

 

『アース!』

 

『イボルブ!』

 

凛はアギト、にこはファイズ、希はブレイド、絵里はカブト、花陽は電王、真姫はキバ、翔太郎はジョーカー、ラビリーはラビリンス レベル99、蓮はアースネイチャー、秀夜はイボルブに変身した。

 

「その装置、壊させてもらうぞ。」

 

「させるかよ!」

 

全員フィンディッシュに向かって走り出し、各々が攻撃し始めた。

 

「ふんっ!」

 

しかし、フィンディッシュのエネルギービームを受けて全員倒れる。

 

「だったら…花陽、凛、行くわよ!」

 

「「うん!」」

 

『ガンフォーム』『バッシャーマグナム』

 

花陽は電王 ガンフォーム、真姫はキバ バッシャーフォームに変身した。

 

「行くにゃ!」

 

凛は自慢の駿足でフィンディッシュに一気に近づき、肉弾戦攻撃を繰り広げる。

 

『フルチャージ』

 

『バッシャーバイト!』

 

花陽(リュウタロス)はパスをベルトに翳し、真姫はバッシャーマグナムをキバットに噛ませた。

 

『お前倒すけどいいよね。答えは聞いてない!』

 

「はっ!」

 

その隙に遠距離から花陽(リュウタロス)と真姫は銃を放ち、フィンディッシュの腹部に命中させた。

 

「…その程度かァ?」

 

「嘘!?」

 

『しっかり命中したはずなのに…!』

 

2人の必殺技が命中したのにも関わらず、全くダメージを受けていないフィンディッシュに驚く一同。

 

『アックスフォーム』

 

『ドッガハンマー!』

 

続いて凛はアギト フレイムフォーム、花陽は電王 アックスフォーム、真姫はキバ ドッガフォームに変身した。

 

『フルチャージ』

 

『ドッガバイト!』

 

「2人とも、行くわよ!」

 

「うん!にゃあああ!!」

 

『俺の強さは泣けるで!はぁぁぁぁ!!』

 

「やぁぁぁぁ!!」

 

凛と花陽(キンタロス)はそれぞれフレイムセイバー、デンガッシャー アックスモードでフィンディッシュを斬りつけ、真姫はドッガハンマーで殴りつけた。

 

『ダイナミック・チョップ!』

 

「足りないなぁ…」

 

『なに!?ぐあぁぁぁぁっ!?』

 

しかし、やはりフィンディッシュには全く効かず、反撃を受けてしまう。

 

「だったらこれよ!」

 

『ロッドフォーム』

 

『ガルルセイバー!』

 

次に凛はアギト ストームフォーム、花陽は電王 ロッドフォーム、真姫はキバ ガルルフォームに変身した。

 

「にゃあああ!!」

 

まず凛が風を纏ったストームハルバードでフィンディッシュを斬りつけ、

 

『ガルルバイト!』

 

そして真姫がガルルセイバーを口にくわえて飛び、フィンディッシュに回転斬りを放った。

 

『お前、僕に釣られてみる?』

 

『フルチャージ』

 

花陽(ウラタロス)はそう言って、ベルトにパスを翳した。

 

『はぁっ!やぁぁぁぁ!!』

 

そして花陽(ウラタロス)はデンガッシャー ロッドモードをフィンディッシュに投げ刺し、そこへキックを放った。

 

「その程度か…」

 

『えっ!?』

 

「その程度じゃ痛くも痒くもねぇ。相手を殺すための攻撃ってのは、こうするんだよ!」

 

フィンディッシュはそう言い、辺りで爆発を起こし、3人だけじゃなく周りで構えていた蓮たちも吹き飛ばした。

 

『言うねぇ…だったら、こういうのはどう?凛ちゃん、真姫ちゃん、まだいける?』

 

「もちろんだよ!」

 

「当たり前よ!」

 

『モモ・ウラ・キン・リュウ クライマックスフォーム!』

 

『バッシャーマグナム!』『ドッガハンマー!』

 

凛はアギト トリニティフォーム、花陽は電王 クライマックスフォーム、真姫はキバ ドガバキフォームに変身した。凛はクロスホーンを展開し、構える。

 

『フルチャージ』

 

『ウェイクアップ!』

 

3人は同時に飛び、フィンディッシュへキックを放った。それにより、フィンディッシュは爆発した。

 

『やったか!?』

 

モモタロスが爆発した所を見ながらそう言ったが…

 

「あぁ……?」

 

フィンディッシュは爆煙の中立ち上がった。

 

「はぁっ!」

 

フィンディッシュは一気に花陽、凛、真姫に接近し蹴った。それにより3人は強制変身解除してしまった。

 

「よし…穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん、終わったわよ!」

 

その時、装置を操作していたガリュサは穂乃果、ことり、海未の記憶を取り終えた。ガリュサの言葉を聞いた3人はヘルメットを外し、椅子から降りて走り出した。

 

「蓮くん!凛ちゃん!花陽ちゃん!真姫ちゃん!優香!交代よ、座ってヘルメットを着けて!」

 

ガリュサに言われた5人は装置に座って、ヘルメットを取り付けた。

 

「「変身!」」「はぁぁぁぁ…たぁ!」

 

そんな5人と入れ替わりに椅子から降りた3人はそれぞれ、穂乃果はクウガ マイティフォーム、ことりは龍騎、海未は響鬼に変身し、フィンディッシュとの戦闘を開始した。

 

「ことりちゃん!海未ちゃん!」

 

「うん!」「はい!」

 

『サバイブ』

 

「響鬼装甲!」

 

ことりは龍騎サバイブ、海未は装甲(アームド)響鬼に変身した。

 

『シュートベント』

 

海未は炎を纏った装甲声刃で斬り裂き、ことりはドラグバイザーツバイから放った火炎をフィンディッシュに浴びせた。

 

その隙をついた穂乃果はライジングタイタンに変身し、ライジングタイタンソードでフィンディッシュの胸部を突き刺した。

 

「えっ!?」

 

しかし、フィンディッシュは手でライジングタイタンソードの剣先を握り、

 

「ふんっ!」

 

肘で衝撃を与えて折った。そして穂乃果、ことり、海未を吹き飛ばし強制変身解除に追い込んだ。

 

「っ!?だったら、次はウチの番や!」

 

『フュージョンジャック』

 

希はブレイド ジャックフォームに変身した。

 

『マッハ』

 

希はスペードのカテゴリー9、マッハ・ジャガーの能力で加速する。

 

「ふんっ!その程度の速さか!」

 

しかし、それと同じ速度でフィンディッシュも動き出した。

 

「一気に決めるよ!」

 

『スラッシュ』『サンダー』

『ライトニングスラッシュ』

 

「やぁぁぁぁ!!」

 

希は電気を纏わせたブレイラウザーでフィンディッシュを斬りつけようとしたが、

 

「ふんっ!」

 

フィンディッシュはそれを跳ね返し、希は強制変身解除してしまう。

 

「希!絵里、行くわよ!」

 

『コンプリート』

 

にこはファイズ アクセルフォームに変身した。

 

「えぇ!クロックアップ!」

 

『スタートアップ』

 

『CLOCK UP』

 

絵里とにこは高速で移動し攻撃しようとしたが、

 

「はっ!」

 

それと同じ速度でフィンディッシュも移動し2人に反撃した。

 

「ワームの力も取り入れた俺には、アクセルフォームもクロックアップも通用しない。はぁ!」

 

「「きゃあっ!?」」

 

『タイムアウト』『リフォメーション』

 

『CLOCK OVER』

 

フィンディッシュの反撃を受けた2人も強制変身解除してしまった。

 

「後ろにいるのは分かっているぞ。はっ!」

 

フィンディッシュは何もいないように見える背後へ後ろ蹴りをすると、そこからラビリーが現れダメージを受けた。

 

「なんで…分かっ、た…?透明化の力で姿を消していたはずなのに…」

 

「気配でわかる。お前も終わりだ。はぁっ!」

 

フィンディッシュは倒れているラビリーに追い討ちをかけるようにビームを放ち、強制変身解除させた。

 

『ライダー!イボルブシュート!』

 

そこに秀夜がイボルブアローからイボルブシュートを繰り出したが、それにフィンディッシュが手を翳すと矢は反対方向を向き、それが命中した秀夜も強制変身解除してしまう。

 

「くっ…そんな、ことまで…!?」

 

『ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 

「ライダーキック…おりゃあああああ!!」

 

そして、翔太郎がフィンディッシュにキックを放つが、フィンディッシュの反撃で逆に翔太郎が強制変身解除してダメージを受けてしまう。

 

「これで邪魔者はいなくなった。そろそろその装置を破壊させてもらうぞ。」

 

フィンディッシュが装置に歩みを進めようとしたその時、音ノ木坂学院の校門を飛び越え大きな車がフィンディッシュを妨害した。

 

「リボルギャリー!?」

 

その車、リボルギャリーを見て翔太郎が驚く。そして、リボルギャリーが開き、中から1人の男が出てきた。

 

「やぁ、翔太郎。待たせたね。」

 

「フィリップ!?」

 

その男とは、左翔太郎の相棒であるフィリップだ。

 

「まだ行けるかい?相棒(翔太郎)。」

 

「当たり前だ。行くぜ、相棒(フィリップ)。」

 

そう答えた翔太郎は、フィリップの並んだ。2人で1人のレジェンドが並び立ったのだ。

 

そして翔太郎は、さっき腰に巻き付けていたロストドライバーとは違い、更にメモリスロットが1つ付け足されたダブルドライバーを巻き付けた。すると、フィリップの腰にもダブルドライバーが巻き付けられた。

 

「君、僕の体お願いしていいかな?」

 

フィリップは近くにいる秀夜にそう言った。

 

「えっ…?あっ、なるほど。分かりました!」

 

秀夜は一瞬考え、ダブルの変身プロセスを思い出して答えた。

 

『サイクロン!』

 

『ジョーカー!』

 

「「変身!」」

 

まずフィリップがメモリスロットにサイクロンメモリを入れた。すると、サイクロンメモリがフィリップのダブルドライバーから翔太郎のものに移り、フィリップは意識を失って倒れた。その体を秀夜が支えた。

 

そして、翔太郎はジョーカーメモリをダブルドライバーに入れ、2つのメモリスロットを展開させた。

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

翔太郎とフィリップは、仮面ライダーW サイクロンジョーカーに変身した。

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

 

 

Wは左手でフィンディッシュを指しながら言った。

 

 

 

 

 

挿入歌 Cyclone Effect

 

 

 

 

 

「はぁ!」

 

Wはフィンディッシュに向かって走り出し、少し飛んで左手で殴った。

 

「よし…絵里ちゃん!にこちゃん!希ちゃん!ラビリー!黒崎秀夜!交代よ、座ってヘルメットを装着して!」

 

Wが戦闘を開始した頃、記憶を取られ終えた蓮たちは椅子から降り、ガリュサの言葉を聞いた5人が交代で座ってヘルメットを装着した。

 

「これで最後…もう少しで全員の記憶を保存出来る。左翔太郎!そのざ…フィリップ!もう少し時間を稼いで頂戴!」

 

「おう!時間稼ぎだけじゃなく、こいつ倒しちまうかもだぜ!はぁ!」

 

そう言ってフィンディッシュを殴った翔太郎だが、その手を掴まれてしまう。

 

「くっ…ってあっつ!アチアチ!離せこの!」

 

すると、フィンディッシュの手が急激に熱くなり、Wは慌てて離れた。

 

「はっ!」

 

そんなWに、フィンディッシュは追い討ちをかけるように炎の弾を投げつけていく。

 

「くっ…あっちぃなぁ!」

 

「翔太郎、だったらこれで行こう。」

 

「あぁ。」

 

『ルナ!』

 

フィリップはダブルドライバーのサイクロンメモリを抜き、代わりにルナメモリを差し込んだ。

 

『ルナ!ジョーカー!』

 

仮面ライダーW ルナジョーカーに変身した2人は、右手を伸ばして炎を躱していく。そしてWは、その伸ばした右手でフィンディッシュの右肩を掴み、一気に相手に近づいた。

 

「っ!?」

 

奇妙奇天烈な技を繰り広げてきたWに驚いているフィンディッシュ。

 

「次はこれで行こう。」

 

その間にフィリップは再びメモリを変える。

 

『ヒート!』

 

『ヒート!ジョーカー!』

 

続いて仮面ライダーW ヒートジョーカーに変身した2人は、炎を纏った手で目の前のフィンディッシュを殴る。

 

「こいつでいくか。」

 

『トリガー!』

 

『ヒート!トリガー!』

 

今度は翔太郎がメモリを変え、仮面ライダーW ヒートトリガーに変身した。

 

「はっ!」

 

Wはトリガーマグナムから炎の弾を吐き出し、フィンディッシュに命中させていく。

 

『サイクロン!』

 

『サイクロン!トリガー!』

 

更に仮面ライダーW サイクロントリガーに変身し、トリガーマグナムから風を纏った素早い弾を連射していく。

 

『ルナ!』

 

『ルナ!トリガー!』

 

「一気に行くぜ!」

 

トリガーマグナムにトリガーメモリをセットし、

 

『トリガー!マキシマムドライブ!』

 

「「トリガーフルバースト!」」

 

トリガーマグナムから無数の追跡弾を、フィンディッシュへ撃ち放った。

 

「くっ…流石、これまで何度も財団Xを邪魔してきたW…中々やるな…だが、まだまだだぁ!」

 

そうフィンディッシュが大声を上げると、Wの周りで爆発が起こる。

 

「くっ…!?だったら!」

 

『メタル!』

 

『ルナ!メタル!』

 

「おらぁ!」

 

仮面ライダーW ルナメタルに変身したWは、メタルシャフトの両端を伸ばしてフィンディッシュに攻撃していく。

 

「翔太郎、もう一度サイクロンでいこう。」

 

「あぁ!」

 

『サイクロン!』

 

『サイクロン!メタル!』

 

仮面ライダーW サイクロンメタルに変身し、Wは一飛びでフィンディッシュに接近し、風を纏ったメタルシャフトで攻撃する。

 

『ヒート!』

 

『ヒート!メタル!』

 

『メタル!マキシマムドライブ!』

 

「「メタルブランディング!」」

 

仮面ライダーW ヒートメタルに変身したWは、火を吹くメタルシャフトでフィンディッシュに打撃攻撃をした。

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

「一気に決めるぜ、フィリップ!」

 

「あぁ!」

 

『ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 

再びサイクロンジョーカーに変身したWは、ベルトのマキシマムスロットにジョーカーメモリを入れた。すると強い風が吹き、Wは浮遊していく。

 

「「ジョーカーエクストリーム!」」

 

Wはフィンディッシュに向かって下降し始める。

 

「「はぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

Wは体をサイクロンとジョーカーで分離させ、上空からフィンディッシュにジョーカーエクストリームを放った。ジョーカーエクストリームをもろに受けたフィンディッシュは爆発を起こしたが…

 

「アァ…?」

 

「まだダメか…しぶとい野郎だな…」

 

再び立ち上がったフィンディッシュを見た翔太郎が悔し交じりに言った。

 

「その程度か、Wの力は…」

 

「言ってくれるな…」

 

「翔太郎、僕が行こう。」

 

「了解だ。」

 

そう言って、翔太郎がダブルドライバーを閉じて、2人は変身解除した。そして、再び翔太郎とフィリップは並び立つ。

 

「変身を解くなんて油断しすぎじゃないの…かっ!」

 

フィンディッシュはフィリップに向けて、光線を放った。

 

「フィリップさん!?」

 

それを見た蓮が叫んだが、鳴き声を響かせながら現れたファングメモリがフィリップを守った。ファングメモリを手に乗せたフィリップは、メモリ状態に変形させた。

 

『ファング!』

 

『ジョーカー!』

 

「「変身!」」

 

『ファング!ジョーカー!』

 

2人は仮面ライダーW ファングジョーカーに変身した。

 

『アームファング!』

 

「はぁ!」

 

Wは右腕にアームセイバーを出現させ、フィンディッシュへ斬撃攻撃を繰り広げていく。

 

「はぁ!やぁ!」

 

『ショルダーファング!』

 

「はっ!」

 

続いて右肩にショルダーセイバーを出現させたWは、それを取り外しフィンディッシュにブーメランのように投げて攻撃した。

 

『ファング!マキシマムドライブ!』

 

Wは右足にマキシマムセイバーを出現させ、上空に飛んだ。

 

「「ファングストライザー!」」

 

Wは上空から、右足のファングストライザーでフィンディッシュに回転蹴りを浴びせた。

 

「くぅ…おらあぁぁぁっ!!」

 

しかし、フィンディッシュは両腕でそれを防ぎ、その手を突き出してWを吹き飛ばした。その影響で、2人は強制変身解除してしまう。

 

「くっ…」

 

「だっ、大丈夫かい?翔太郎。」

 

「当たり、前だ…フィリップ、一緒に行くぜ!」

 

「あぁ!」

 

「「変身!」」

 

『エクストリーム!』

 

フィリップはエクストリームメモリに吸い込まれ、2人は仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリームに変身した。

 

『プリズム!マキシマムドライブ!』

 

Wはプリズムビッカーを取り出し、プリズムソードにプリズムメモリを入れた。

 

「「はぁぁぁぁ!」」

 

フィンディッシュはプリズムソードによる攻撃を両腕で防ごうとするが、防ぎきれずに吹き飛ばされた。

 

「すげぇ…!初めてフィンディッシュにちゃんとダメージを与えた…」

 

その様子を見た蓮は驚いている。

 

「ぐぅ…!?いいぞ…いいぞ仮面ライダーW!流石はレジェンドライダー!こんなに楽しい戦いは久しぶりだ!」

 

倒れたフィンディッシュは起き上がり、笑い声を上げながらそう言った。

 

「これは、俺も本気を出そう。」

 

「っ!?本気、だと…?」

 

フィンディッシュは謎の禍々しいデータボトルを取り出し、それを自身に差し込んだ。

 

「うぅ…ぐあああああああああああああああああああぁぁぁ!!!」

 

苦痛の叫び声を上げたフィンディッシュは、黒い煙に包まれ、その煙が晴れるとさっきよりも更に禍々しい見た目のフィンディッシュが現れた。

 

「おいおい…冗談だろ…更に強くなったってのかよ!?」

 

それを見た翔太郎が、驚きの声を上げた。

 

「でも、やるしかねぇ…はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そう言い、翔太郎がプリズムソードで斬り掛かるが、いとも簡単にフィンディッシュに止められ、少し後ろに飛ばされてしまう。

 

「翔太郎…」

 

「フィリップ…?」

 

Wの右の複眼が光り、フィリップの声が聞こえたが、普段よりも低く同様したような声に、翔太郎は疑問に思う。

 

「敵の、全てを閲覧した…けど…」

 

「どうしたんだ?」

 

フィリップがフィンディッシュに関する全ての情報を閲覧したと話すが、その声のトーンは先程と同じく明らかに低い。

 

「この状態は元々強化を重ねた体のフィンディッシュが、更にさっきのデータボトルを注入したことで、有り得ないほどの力と能力を得ている。こんなに強大な力だと、いくら敵の行動を先読みしたとしても、防ぎきれないし避けきれない…!」

 

「くっ…でも、やるっきゃねぇだろ!」

 

そう言って、Wは再びフィンディッシュに攻撃を仕掛けに行った。

 

「よし…これで絵里ちゃんたちの仮野優に関する記憶は全て保存できた。後はデータボトルを作り出すだけよ。」

 

その時、優に関する全ての記憶を保存し終えたガリュサがそう言い、絵里たちはヘルメットを取って椅子から降りた。

 

「わかりました!」

 

絵里がそう言い、にこ、希、ラビリー、秀夜も走り出そうとした。

 

「ラビリーと黒崎秀夜は残って!」

 

ガリュサに呼び止められ、秀夜とラビリーは慌てて戻った。

 

「みんな、私たちも探偵さんたちの援護をするわよ!」

 

絵里がそう言い、

 

『変身!』

 

再び全員変身し、フィンディッシュに攻撃を仕掛けに行った。

 

「どうして俺たちを残らせた?」

 

秀夜はガリュサに尋ねた。

 

「まずラビリー、実は、あなたはこの作戦の軸なの。」

 

「えっ…?」

 

自身が重要な役割を担っていると説明され、ラビリーは驚く。

 

「仮野優から生まれたバグスターであるあなたには、血液の情報や体の作り、細かな細胞の一つ一つの情報まで、仮野優に関する情報が秘められているの。だから、仮野優を蘇らせるためのデータボトルを創り出す際には、あなた自身が装置内に入っておかないとダメなの。」

 

「分かった、俺に任せろ!」

 

ラビリーは笑顔で答えた。

 

「この装置はガシャコンバグヴァイザーのように、バグスターを吸収することが出来る。もう吸収してもいいかしら?」

 

「あぁ、じゃあ頼む。」

 

ガリュサは装置のパネルを操作し、ラビリーを吸い込んだ。

 

「で、俺は?」

 

「黒崎秀夜には、仮野優のデータボトルが壊れた際に辺りに飛び散った、記憶(データ)の残りを集められるだけ集めて欲しい。」

 

「どうやって?」

 

「このカードを使って。」

 

そう言い、ガリュサは1枚のカードを渡した。

 

「分かった。」

 

「それと、もう少しエネルギーが欲しい。記憶(データ)を集め終えたら、記憶(データ)と一緒にあなたのライダーエナジーを貰えるだけ欲しいの。ライダーエナジーが復活するまで数日間、あなたは変身できなくなるけどいいかしら?」

 

「もちろん。優を復活させるためなら、いくらでも使ってくれ。じゃ、俺は辺りに飛び散った記憶(データ)を集めに行く。変身!」

 

秀夜は仮面ライダーイボルブに変身し、腰のアタックバックルにガリュサから貰ったカードを入れた。

 

『スペシャルアタック!メモリーコレクト!』

 

「はぁぁぁぁぁぁ…」

 

秀夜が上に手をあげると、辺りで光り出した青い粒子が秀夜の手に集まっていった。

 

 

 

『はぁぁぁ!』

 

その頃、翔太郎、蓮、μ‘sの9人はそれぞれフィンディッシュに攻撃を仕掛けていたが、更に強化された最凶のフィンディッシュには全く通用していなかった…

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ…もっと…もっと優の記憶(データ)を!集まれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

秀夜は更に優に関する記憶を集めていく。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!(優…お前を絶対、連れ戻す!!)」

 

「よし…黒崎秀夜!それで今集められる全部よ!」

 

「了解!」

 

秀夜は巨大な青い粒子の塊を、装置の方に投げた。すると、装置がそれを吸い込んだ。更にガリュサが装置の電子パネルを操作し、秀夜のライダーエナジーを吸い込んだ。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

ライダーエナジーを吸われ変身を維持できなくなった秀夜は、変身が解けて地面に倒れた。

 

「よし、これで集めた記憶(データ)を、空のデータボトルに入れるだけね…優香、あなたは蓮くんを呼んできて。」

 

「分かった!」

 

ガリュサの言葉にそう答えて、優香はフィンディッシュと交戦している蓮の元へ向かった。

 

「ぐぁぁっ!?」

 

すると、フィンディッシュの攻撃を受けた蓮が強制変身解除していた。

 

「蓮くん!?大丈夫?」

 

「優香、さん…?どうしたんです?」

 

「ガリュサが、あなたを呼んできてって…」

 

「ガリュサが…?分かりました!行きましょう!」

 

優香は蓮を連れ、ガリュサの元へ戻った。

 

「今から、私が仮野優の記憶(データ)をデータボトルに注入して、データボトルを完成させる。その間に、あなたにはこのカードを使って天界と通じる扉を開いて欲しい。」

 

ガリュサは蓮にも1枚カードを渡した。

 

「えっ、俺が?そんなの、できるのか…?」

 

「分からない。あなたの力と、仮野優に対する想い次第よ。」

 

「俺次第…分かった!絶対に開いてみせる!」

 

ガリュサの言葉を聞き、蓮は強い決意を込めて言った。

 

「任せたわよ!優香、女神であるあなたの力も貸してあげて。」

 

「えぇ!蓮くん、いきましょう。」

 

「はい!」

 

蓮と優香は装置から離れて、扉を創りに行った。

 

「さて…ふぅ…」

 

一つ息を吐き、ガリュサは再び電子パネルを操作する。

 

「よし、注入…開始!」

 

ガリュサが記憶を注入し始めるためのボタンを押すと、装置に置かれた空のデータボトルに、記憶(データ)が注入され始めた。

 

「よし、こっちも天界との扉を開くか…」

 

その様子を見ていた蓮は、貰ったカードをアタックバックルに入れた。

 

『スペシャルアタック!ヘブンズゲート!』

 

蓮が目の前に手を翳すと、そこに少しずつゲートが形成されていく。

 

「くっ…これは、かなりのパワーがいるな…でも、優を…優を絶対、連れ戻す!はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「私も、優くんを連れ戻すために…!!はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

優香も手を翳し、ゲート形成に協力する。

 

 

 

『きゃあ!?』

 

その頃、フィンディッシュの攻撃を受けたμ‘s9人は、強制変身解除してしまっていた。

 

「ふん…口ほどにもないな。」

 

そう言い、フィンディッシュが装置の方へ歩こうとする足を、穂乃果が掴んだ。

 

「行かせないよ…!」

 

「なに?」

 

それに対し、フィンディッシュは更に低い声を発した。

 

「穂乃果たちは、絶対に優くんを生き返らせる!」

 

「いつも私たちや街の人たちを命懸けで守ろうとする優を、今度は私たちが助け出すんです!!」

 

「あなたなんかに、絶対に邪魔させない!!」

 

そう言った穂乃果、海未、ことりに続いて、μ‘s全員が立ち上がり、フィンディッシュの前に立った。すると、穂乃果たちの体が光り出した。

 

「えっ?なっ、なにこれ!?なんか光ってるよ!?」

 

「そういえば、私たちが初めて変身した時も…」

 

そして、μ'sを纏っているその光は、蓮が作っているゲートの方に伸びていく。

 

「もしかして…ゲートを創るには穂乃果ちゃんたちの力も必要なのかも…」

 

「そうなんですか?」

 

優香が言った言葉に、蓮が聞き返した。

 

「なんでかは分からないけど、そうかもしれないわ…」

 

「なら…翔太郎さん!フィリップさん!」

 

「どうした?」

 

「フィンディッシュの足止め、2人だけでも行けますか?」

 

「へっ…あぁ!」

 

「こっちは僕たちに任せて!」

 

蓮の言葉にを聞き、仮面の下で笑みを浮かべながら翔太郎とフィリップが答えた。

 

「ありがとうございます!穂乃果たちはこっちを手伝ってくれ!」

 

「分かった!」

 

穂乃果たちは蓮の元に駆けつけ、共にゲートを形成させ始めた。

 

「させるか!」

 

「それはこっちのセリフだ!」

 

邪魔しに行こうとしたフィンディッシュに、そう言ってWが立ち塞がる。

 

『エクストリーム!マキシマムドライブ!』

 

エクストリームメモリを再び開閉したWは、上空からフィンディッシュにキックを放った。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

「ぐぅぅぅぅぅ…!?」

 

フィンディッシュは、それをなんとか防ごうとする。

 

『やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

そして、穂乃果たちが創っているゲートもだんだんと完成に近づいていく…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「なっ、言っただろ。お前の優しさは、彼女たちに対する想いは、ちゃんと伝わってるって…」

 

「はい…」

 

神様の言葉にそう答えた俺は、再び目に涙を浮かべた。今俺は、みんなが俺を生き返らせるための作戦に挑んでいる様子を、神様に見せてもらっていた。

 

「彼女たちの作戦が成功すれば、もうすぐここに向こうの世界と繋がるゲートができる。そこを通れば、お前は生き返れる。今度こそ、命を大切にな。」

 

「はい!」

 

「そうだ…ほらよっ。」

 

そう言って、神様は何かを俺に投げ渡した。

 

「これは、データボトル…?」

 

「そうだ。こいつを使えば、あのフィンディッシュとかいう化け物も倒せる。もう二度と死ぬな。人々の”希望”になってやれ。」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「あと、こいつは生き返ってゆっくりした時にでも読め。」

 

更に神様は、表紙には白く何も書かれていない冊子をくれた。

 

「まっ、俺からの餞別ってとこだ。」

 

「ありがとうございます!」

 

それに対し、俺は頭を下げて礼を言った。

 

「気にするな。俺は神だ。女神たちが反乱したのは俺の責任だ。本来なら、女神たちも、財団Xも俺が止めなければならない問題なんだ。それをお前たちに任せっきりで、本当に申し訳ない。」

 

「そんなことないですよ。俺だって、目の前で襲われたり、殺されたりする人なんて絶対に見たくありません。それに、最終的に戦うと決めたのは俺ですから。」

 

「……本当に似てるな…」

 

「えっ?」

 

俺の言葉を聞いた神様は、聞き取れない大きさの声でそう言った。その顔は、どこか寂しそうで、何かを懐かしんでいるような表情だった。

 

「いや、なんでもない。頑張れよ。」

 

「はい!本当に、ありがとうございました!」

 

「おう。じゃ、俺は仕事に戻るわ。」

 

そう言って神様はこの空間から出ていき、入れ替わるように最初この空間に飛ばされた時にいた、神様を叱ったりしていた女神様が入ってきた。

 

「さっきの、女神様…」

 

「神に、あなたが無事元の世界に戻るまでついてやってくれ、と言われたので…どうです?神と話した感想は。」

 

女神様は、そう俺に聞いてきた。

 

「最初は、イメージの神様とは全然違うチャラチャラした人だなって思いました。でも、話している内に本当は真面目で、本当に良い神様なんだなって感じました。」

 

俺がそう言うと、女神様は柔らかな笑みを浮かべて、再び話し始める。

 

「よく見てるんですね。その通りです。普段はチャラチャラして、可愛い女神を見る度にナンパしたりセクハラしたりしていますが、いざという時にはしっかりと神の威厳を見せる方なんです。私やあなたの姉のように、よく神の近くにいる女神はその事に気づいてますが、他の女神はよく思わなかったのでしょう…だから、反乱を起こしたんだと思います。」

 

「そうなんですか…」

 

「えぇ。ああ見えて、神はいつもあなたのことを心配していたのですよ。自分のせいで女神が反乱を起こし、財団Xの活動が活発化してしまった。そのせいで、あなたたちを戦いに巻き込んでしまった、とね。」

 

そういえば、別れ際にも言ってたな…

 

「そう思いながら、あなたたちを見ていました。見守ることしか出来ない自分が情けないと言いながら。それにね、さっき神が過去ばかり見るな、とあなたに注意していたと思いますが、神自身もとても悔いてる過去があるんです…」

 

「えっ…?」

 

「彼は、過去に大切な友人を無くしているんです。それを自分がしたことのせいだと、当時は神も悔やんでいたんです。だからこそ、あなたにはそんな負い目を感じてほしくなくて、ああ言ったんだと思います。」

 

「そうだったんですか…でも、俺は神様に感謝していますよ。神様のおかげで、この世界に来れた。この世界で、μ‘sのみんなや音ノ木坂の人々、憧れていた先輩の仮面ライダーの方々に会うことが出来ましたから!」

 

俺の言葉を聞いた女神様は、再び柔らかな笑みを浮かべた。

 

「次神に出会った時、伝えてあげてください。きっと喜びます。まっ、気づかれないよう誤魔化そうとするでしょうけどね。」

 

「よく知ってるんですね、神様のこと。」

 

「まぁ、今いる女神の中では、一番付き合いが長いので。」

 

「今いる女神様の中?」

 

俺は女神様の含みのある言い方に、思わず聞き返してしまった。

 

「えぇ。一番付き合いの長い女神は、昔人間界に降りてしまって以来、戻ってきていませんので…」

 

俺はその言葉を聞いて疑問が生まれたが、何か事情がありそうなので深追いしないことにした。ただ、前から気になっていた聞きにくいことを聞くことにした。

 

「あの…1つ、いいですか?」

 

「えぇ、どうしたの?」

 

「姉ちゃんとか咲さんとかって、俺や蓮と初めて会った時は名前がなかったんです。」

 

「……女神には、名前が付けられないんです。あなたが先程話した神の、先代の神がそう決めたんです。その神はとにかく自分本位の考えで、他の女神たちを差別し、時には奴隷のように扱うこともありました…今の神とは、本当に真逆の最低な神でしたね…」

 

「そんな、神様が…」

 

俺はそんな神様がいた事に、驚愕した。

 

「でも、何百年前かに今の神が就任し、女神たちへの酷い扱いはなくなりました。まぁ、先代の神では格下に見ている女神にナンパする、などまず有り得ませんでしたしね。」

 

「あはは…」

 

その事には、俺も苦笑いしかできない…

 

「でも、今でも名前が付けられない、というのは当時の名残りがあるからです…今の神が神の座に就くとき、それも変えようと思ったのですが、先代がそれをどうしても許しませんでした…女神への差別的な態度を無くすことでさえ、今の神と先代が激しくぶつかって、なんとか今の神が意見を通しましたから。ということで、今の名前が付けられていないんです。」

 

「そんな理由が…」

 

「でも、人間もそうですが、女神もみんな欲深いと思います。」

 

「えっ?」

 

「だって、今の神に変わって女神に対する待遇が良くなった時は、あれだけ喜んでいたのに、世代が変わっていくとまた今の神に不満を持ち、反乱を起こした者たちがいるんですから。」

 

女神様の言葉に、俺自身も思うところはあった。

 

「……確かに、そうかもしれません…正直、姉ちゃんから財団Xの協力者は神に対して反乱を起こした女神様たちだと聞いた時は、神様は非人道的な方なのかと思っていました…でも、まださっき少し話しただけですけど、あの神様がそうだとは思えませんから。」

 

「ふふっ…」

 

「えっ?」

 

俺の言葉を聞いて、少し笑い声を上げた女神様に、俺は聞き返した。

 

「いえ…(少し話しただけで、ここまで神の事を真っ直ぐ信じるなんて…流石、彼の子孫ですね。)」

 

「あの、名前がないのに、女神様同士で呼び合う時ってどうしてるんですか?」

 

「女神には、それぞれその女神を表す数字があるんです。だから、それで呼んだりしています。」

 

「数字…?」

 

数字で呼ばれるって…なんか、言い難いけど…

 

「人間界での囚人みたい、と思いました?」

 

「いっ、いえ…その…」

 

図星をつかれた俺は、口ごもってしまう。

 

「今の神も囚人みたいで冷たいその呼び方を嫌っていて、極力私たちを数字で呼ぶことはしません。先代の神も死にましたし、段々先代の圧力も少なくなってきているので、そろそろ女神にも名前を付けるようにしようと考えていたんです。そんな時に、多数の女神が反乱を起こしてしまったんです。」

 

「やっぱり、あなたも数字の呼び名は嫌いですか?」

 

俺はおずおずとそう聞いた。

 

「……まぁ、好ましくはありませんね…人間にとって名前というのは自分を示すための誰にでもある、当たり前にあるものだと思っていると思います。でも、我々女神にとってはその当たり前のものがないんです。だから、あなたの姉…優香が優さんに名前を付けてもらった時は、本当に喜んで私に話してくれました。」

 

そうだったのか…正直、姉ちゃんの名前を俺が名付けて良かったのか、今でも偶に悩むことがあった俺にとっても、それが聞けて嬉しかった。

 

「だから、やはり欲しいかといえば欲しいですね。あっ、そうだ!良ければ優香のように、優さんが私の名前も付けてくれませんか?」

 

「えぇ!?俺でいいんですか…?」

 

「もちろん。優香があんなに嬉しそうに話すんですもの。きっと、素晴らしい名前を付けてくれると思いますし!」

 

姉ちゃんの名前、俺の名前の『優』と『香』で、なんか綺麗な人って感じになりそうだから『優香』って名前にしたなんて言えない…

 

「えっと…じゃあ…うーん……」

 

「そんなに難しく考えなくていいですよ。優さんが私を初めて見た時の印象などで決めてください。」

 

そう言って微笑む女神様。初めて見た時の印象か…やっぱり、上品で美しい人って感じだよな…

 

「よし、決めました。『綾乃』でどうですか?その、女神様は綺麗で女性らしいと思ったので…」

 

「綾乃…凄くいい名前です!ありがとうございます!」

 

どうやら『綾乃』という名前は気に入ってくれたようだ。うん。綾乃さんが浮かべる綺麗な笑みを見た俺は、本当に美しい人だ…と感じる。

 

「前散々自慢されたので、今度優香に会ったらたくさん自慢します!」

 

綾乃さん、その時のことめっちゃ根に持ってんな…姉ちゃん…どんだけ自慢したんだよ…

 

「あっ、そろそろですね…」

 

「えっ?」

 

俺の背後を見て言った綾乃さんの言葉を聞き、俺は後ろに振り返った。するとそこには、恐らく元の世界と繋がる扉が出現し始めていた。

 

「優さん。財団Xの目的がなんなのか、未だにわかっていません…でも、彼らが着実に計画を進めていっているのは確かです。もしかしたら、既に計画の最終段階に入っているという可能性もあります。」

 

確かに、ここ最近は財団Xの連中と遭遇しない日はないよな…

 

「本来なら、私たち天界の者が対処しなければいけない問題です。私たち女神の使命は、あなたたちの住む生命で満ち溢れた素晴らしい世界の均衡を保ち、秩序を守ることですから…でも、私たちでは仮面ライダーの力は使えない。だから、私たちはあなたたちに頼ることしかできない…」

 

「綾乃さん…同じことを、何度も姉ちゃんに言われました。それにさっき、神様にも…でも、俺は神様や姉ちゃん、綾乃さんのお陰で転生してμ‘sのみんなと出会えた。それに、姉ちゃんたちのサポートがあるから戦えてます。俺も皆さんに感謝しています。だから、そんなに気に病まないでください。と言っても、難しいかもしれませんが…」

 

そう言った俺は、恥ずかしくなり頬を掻きながら、最後に「皆さん優しいですし…」とつけ足した。

 

「なので…これからも俺たちの戦いのサポートは、綾乃さんたちにお願いしてもいいですか?」

 

俺の言葉を聞いた綾乃さんは、一瞬驚いたような表情になったが、すぐに笑みを浮かべて答える。

 

「はい!もちろんです!」

 

すると、そこで俺の目の前には光りの輪の中に黒い空間のあるゲートが完成した。

 

「時間ですね…」

 

「じゃあ、行ってきます。」

 

「あっ、優さん。もう一つ、神が伝え忘れたことがあるそうです。」

 

ゲートを潜ろうとした俺を、綾乃さんが引き止めた。

 

「伝え忘れたこと?」

 

「優さん、これからは今までと違って、データボトルで体を保つというわけではありません。普通の人間の体に近づくということです。今までのように無茶な戦いはできません。ライダーの強化フォームを連続で使用したり、オーズのコンボに変身したりすると今まで以上にライダーエナジーを消費し、肉体への疲労もより溜まることになります。どうかお気をつけて。」

 

「わかりました。ありがとうございます!」

 

綾乃さんにそう答えた俺は、ゆっくりとゲートの中へ足を踏み入れた…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「よし…これでデータボトルは、完成ね…」

 

装置の上に置かれた完成したデータボトルを見て、ガリュサは安心したように呟いた。

 

「いや、まだ安心は出来ないわね…」

 

そう言って、ふとゲートを作っている蓮とμ‘sのいる方を見たガリュサ。そこには、もう少しで完成されそうなゲートがあった。すると、突如装置に置かれている完成したデータボトルが光を帯び始めた。

 

すると、光を帯びたデータボトルは勝手に浮き上がり、完成間近のゲートの方に移動し始めた。

 

「これは…?」

 

その光景に動揺する蓮たち。

 

「大丈夫よ!このままゲートを完成させて!」

 

「っ!みんな!このまま一気に、行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

蓮の掛け声で、μ‘s9人も更に手に力を込める。

 

『やあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

「っ!?させるか!」

 

ゲートが完成されそうなのに気づいたフィンディッシュは、止めにかかろうとする。

 

「それはこっちのセリフだ!」

 

『サイクロン!ルナ!ヒート!ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 

Wはプリズムビッカーに4本のガイアメモリを差し、フィンディッシュを止めるため斬り掛かる。

 

「「はぁぁぁぁぁぁ!」」

 

しかし、フィンディッシュはそれを防ぎ、Wを吹き飛ばす。

 

「はぁぁぁ!」

 

フィンディッシュは一飛びでμ‘sたちの方に向かい、自身の指を鋭い針に変えて刺そうとした。そして、その攻撃がμ‘sに当たりそうになった時、フィンディッシュは何故か吹き飛び、爆発を起こした。そして、爆煙が晴れると…

 

「ゆっ、優くん!?」

 

「待たせたな。」

 

仮野優が立っていた。




次回のμ'sと仮面ライダーの物語

「…!?おっ、俺…?」

─もう1人の優!?

「フフフ…また一段と強くなったみたいね。」

─新たな力


「仮面ライダー、ホープインフィニティ!俺の強さは、超次元を超えた!」


次回、『119話 希望の力』



ということで、優の一大事に翔太郎とフィリップが駆けつけました!ついに仮面ライダーWが登場!Wはオーズ×フォーゼの映画以降2人ともが本人登場することは無かったので、文章ですが登場させることが出来て嬉しいです!

そして次回、復活した優が前回神から貰った力で、新たな姿に変身します!次回予告でチラッと言ってましたが、相変わらずのネーミングセンスです(笑)

あと、初めての挿入歌は仮面ライダーW サイクロンジョーカーのテーマソングのCyclone Effectでした!Wの曲どれも良い曲ですよね!これからもその時その時にイメージできる挿入歌を入れていく予定なので、イメージしたり、聴きながら読んでみてください!

では今回はこの辺で…読んでくださりありがとうございました!お気に入り登録、感想や評価などもよろしくお願いします!


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119話 希望の力

はい、119話です。

皆さん、長らくお待たせしてしまい本当に申し訳ありません…最近本当に忙しくて、いつの間にか今年最後の日…これは投稿せねば!と急いで投稿しました。

あと、今回の話の序盤回想シーンが多いです。正直、これまでの話の振り返りなので飛ばしても大丈夫です。

では119話、スタートです!



〜side 優〜

 

「わかりました。ありがとうございます!」

 

綾乃さんに別れを告げ、俺はゲートに入った。そこには、虹色に光る空間が広がっていた。

 

「これは…?」

 

すると、俺の目の前に壊れたはずのノーマルデータボトルに似たボトルが浮かんでいた。

 

「とりあえず、進むか…」

 

俺はデータボトルを掴み取り、歩みを進めていく。

 

 

『あなたにはこれから、転生してもらいます!!』

 

 

「ん…?これって、確か姉ちゃんと初めて会って、転生しろって言われた時の…」

 

突如俺の目の前に姉ちゃんと初めて会った時の映像が浮かび上がり、その映像は俺の中に吸収された。

 

 

『あれ?なんで私お姉ちゃんの部屋で?まぁ、いいや!お兄ちゃん!おはよう!』

 

 

これは…優奈と初めて出会った時…

 

すると、その映像も俺に吸収されていく。

 

 

『僕は宝生永夢、聖都大学附属病院の小児科研修医なんだ。』

 

 

『ありがとう!良かった〜じゃあ改めてよろしくね!』

 

 

『今日から共学化試験生として、この音ノ木坂学院に入学することになりました。仮野優です。よろしくお願いします!』

 

 

それに、永夢さんと初めて会った時、茜の生徒会の勧誘を受けた時、俺が音ノ木坂学院の共学化試験生になった日のこと、俺がこの世界に来てからの記憶が流れ込んでくる。

 

「もしかして、元の世界に帰るために、俺が転生してからの記憶を…?」

 

俺の予想通り、その後も次々と俺が転生してからの様々な記憶が流れ込んできた。

 

 

 

 

 

挿入歌 SENTIMENTAL StepS

 

 

 

 

 

『やろう!歌おう!全力で!』

 

『穂乃果…』

 

『だって、そのために今日まで頑張ってきたんだから!歌おう!!』

 

『穂乃果ちゃん!海未ちゃん!』

 

『えぇ!』

 

3人だった頃のμ‘sの、初めてのライブの時…

 

 

『私、小泉花陽と言います!1年生で、背も小さくて、声も小さくて、人見知りで、得意なものも何もないです…でもっ、アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです!だから、μ’sのメンバーにしてください!』

 

 

『それで、2人はどうするの?』

 

『『え?どうするって、えっ?』』

 

花陽、凛、真姫がスクールアイドルをやると決意した時…

 

 

『いい、アイドルってのは笑顔を見せる仕事じゃない!笑顔にさせる仕事なの!それをよーく、自覚しなさい!』

 

にこに仲間が出来た時…

 

 

『でも、今更私がスクールアイドルやりたいなんて言えるわけないわよ…』

 

『そんなこと、ないんじゃないですか?な、高坂?』

 

絵里がようやく本当の気持ちに気づいた時…

 

 

『占いで出てたんや。このグループは9人になった時、未来が開けるって。だから、付けたん。9人の歌の女神。μ’sって。』

 

μ‘sの名付け親であり、9人が巡り会うきっかけを作った希が、満を持してμ‘sに加入した時…

 

 

『なんかね、この服を着ているとできるっていうか、この街に来ると不思議と勇気が貰えるの。もし、思いきって自分を変えようとしてもこの街ならきっと受け入れてくれるような気がするんだ!だから、好きっ!』

 

作詞に悩んでいたことりが、自分の気持ちに気づいた時…

 

 

『ゆっ、優くん!』

 

『東條先輩…あの…』

 

『『ごめんなさい!』』

 

希と仲違いしてしまっていた時…

 

 

『変身!』

 

『えっ、優くんが仮面ライダー!?』

 

『えっ、嘘!?』

 

『優くんが怪物と戦っている仮面ライダーだったなんて…』

 

俺が仮面ライダーということを、みんなが知った時…

 

 

『クロノス…お前を攻略する。』

 

『乗ってやろうじゃねぇの!』

 

『全てのバクスターをぶっ潰す!』

 

『人類の未来のために!』

 

『俺たちは戦う!』

 

永夢さんたちと協力して、クロノスを倒した時…

 

 

『あなたがそんな人だとは思いませんでした…最低です…あなたは…あなたは最低です!!!』

 

ことりの留学をきっかけに、穂乃果と海未の関係に亀裂が入った時…

 

 

『さぁ、皆さん!ご一緒に!』

 

『μ‘s!ミュージックスタート!』

 

再び集結したμ‘sが、講堂でライブした時…

 

 

『これは、ただのデータボトルじゃねぇんだよ!これには、俺と優、凛たちμ’s…そして、咲姉ちゃんと優香さん、みんなの想いが詰まったボトルだ!だから、絶対に負けない!』

 

新たにマネージャーに加入した蓮が、再び戦うと決意した時…

 

 

『ほら、今は誰も見てないわ。今は、遠慮なく泣いていいのよ?弱音ぐらい、私が聞いてあげる。胸ぐらい、私が貸すわ。だから、はい。』

 

絵里に転生者だと話した時…

 

 

『だって、私はお兄ちゃんがいるから、ずっと幸せに暮らしてきたんだよ。自分が危険な目にあったとしても、人のために仮面ライダーとして戦ったり、厳しいけど私のために勉強教えてくれたり、どんなに忙しくても、私や忙しいお姉ちゃんのために家事をしてくれたりしてくれるお兄ちゃんが…例え本当の兄妹じゃなくても、ずっと大好きだよ!』

 

本当の兄妹じゃないと知った優奈と、本当の兄妹以上の絆を再確認出来た時…

 

 

『最初に言っておく。俺はかーなーり強い!』

 

『テディ。』

 

これまで戦ってきたレジェンドライダーである桜井侑斗さんと野上幸太郎さんの強さに、圧倒されてもっと頑張らないとと思うきっかけになった時…

 

 

『私、このままでいいと思うんだ。A‐RISEがすごくて、私達もなんとか新しくなろうと頑張って来たけど…私達は、きっと今のままが1番良いんだよ。だって、みんな個性的なんだもん!普通の高校生なら、似たもの同士が集まると思うけど、私達は違う。時間をかけてお互いの事を知って、お互いの事を受け入れ合って、ここまでやってこれた。それが一番、私達の特徴なんじゃないかな?』

 

『私はそんなµ’sが好き!』

 

穂乃果がμ'sの魅力に気づいた時…

 

 

『俺はこの力を正義のために使う!こんな俺でも、仮面ライダーとして認めてくれるやつもいる。そいつの、期待に応えるためにも!』

 

敵だった秀夜が、正義のために仮面ライダーに変身すると決意した時…

 

 

『俺は、そんなことないと思う。ポッピーやパラドみたいに良いバグスターもいると思う。お前も、そんなバグスターになれると思うぜ。』

 

『俺が…』

 

ラビリーも人間と共に生きているバグスターになると、仲間になった時…

 

 

『エボル、フェーズフュージョン。完了。』

 

『俺たちの強さは、宇宙最強だ!』

 

並行世界から来た石動仁と共に、謎の敵に立ち向かった時…

 

 

『だが、これを使えば、お前はこれまで通りじゃいられない。お前に、その覚悟はあるのか?仮野優。』

 

『…えぇ、もちろん。俺は、誰かを守ることが出来るなら、自分がどうなろうと、どんな力にだって手を伸ばします!』

 

『……そうか。だったら、これをお前に授ける。』

 

始まりの男である葛葉紘汰さんに、極ロックシードを授かった時…

 

 

『私には、人を守るために傷ついている優が、どれほど辛い思いをしてるのか、想像もつきません…でも、私たちは少しでも優の力になれたらって思っています!私たちは隣で一緒に悲しんだり、一緒に楽しんだりするぐらいしか出来ないかもしれません…でも…それでも、私たちは少しでもあなたの力になりたいんです!だから、元に戻ってください…!』

 

 

『優くん、決して君を死なせたりしない!俺は、この手で掴める命があるなら絶対に掴む!優くんの暴走も、止めてみせる!あの時、あいつが止めてくれたように…』

 

 

プトティラコンボに変身して暴走した俺を、海未と映司さんが必死に止めてくれた時…

 

 

『優くんが昔どんな人だったとか関係ない!ことりは、今の優くんといる日々が好き!優くんたちに支えてもらいながら、μ‘sの活動をしてる日々が大好きなの!たとえ、優くんが暴走しちゃっても、優くんが…怪物になっちゃったとしてもそれは変わらない!』

 

『何があっても、優くんはことりたちの仲間だよ!』

 

勝手にいなくなった俺をμ‘sのみんなが探し、ことりが涙ながらに言葉をかけてくれた時…

 

俺が転生してからの全ての記憶を吸収すると、俺の前にある物が出現した。

 

「これは…?」

 

俺が手に取ったそれは、以前蓮がサンダーフォームに変身する際咲さんから貰っていたネイチャーギアに酷似した物だった。ただ、色が緑ではなくインフィニティのベースカラーである水色に変わり、中央にはインフィニティのシンボルマークである『∞』が記されていた。

 

そういえば、咲さんがネイチャーギアを蓮に渡した時、それには転生してからの蓮のデータが入ってるって言ってたな。じゃあ、これには俺が転生してからの記憶(データ)が入ってるということか…ならこれは、インフィニティギアと言ったところか…

 

それにしても…

 

「この世界に転生してから俺が出会った人は、本当に温かい人ばかりだな…それなのに俺は、1人周りを見ずに戦って、勝手にいなくなって…本当に、馬鹿野郎だな…」

 

さっき吸収した記憶を振り返りながら、一人そう反省していると…

 

「まっ、それがお前らしいけどな。」

 

「えっ…?」

 

誰も居ないはずの空間の中で、突然声が聞こえ驚いて振り返る。

 

「…!?おっ、俺…?」

 

そこには、毎朝洗面時に見ている顔…この俺、仮野優と同じ顔をした人物が立っていた。

 

「俺の顔を見て自分かと反応してくれるなんて、なんか嬉しいな。ほれっ。」

 

そう言って、俺の顔の男は手鏡を投げ渡してくれた。「それで自分の顔を見てみろ。」と言われ、鏡越しに自分の顔を見てみると、その顔はもう1年半ほど見ていなかった転生前の俺…橋本拓真の顔があった。

 

「なんで…?」

 

「今俺たちは元の俺たち、仮野優と橋本拓真に分離している。どうしても話したくて、神様にお願いしたんだ。お前が意識を失っている間に、こそっとな。」

 

そう説明した俺こと優。ここ一年いつも見てる自分の顔が目の前で話してることに違和感を覚えながら、神様なら出来るか、と俺は納得した。

 

「あっ、この状態でははじめましてだな、拓真。と言っても、一年以上自分だったから、あんまそういう感覚にはならないけど…」

 

「確かに、毎朝見る顔だったしな…」

 

「さてと、この先を通ればお前は…いや、俺たちは生き返ることが出来る訳だが…その前に、お前に言っておかなければならないことがある。」

 

真剣な表情で言った優に、俺は緊張して冷や汗を垂らす。

 

「ありがとう。」

 

「えっ…?」

 

俺の勝手な行動で再び死んでしまったことについての非難かと思っていた俺は、思いもしなかった言葉に思わず声を漏らす。

 

「俺はお前に、本当に感謝している。いくら姉ちゃんの力が足りなくて拓真の体ごと転生出来なかったからと言って、俺の魂や記憶まで融合して生き返ってもらったのは完全に俺の我儘だからな。」

 

「いや…でも俺はお前のおかげで転生出来たのには変わらないし、お礼を言うのは俺の方だよ。それなのに、俺の勝手な行動でまた死んでしまった…本当にごめん!」

 

俺は頭を下げて言った。

 

「頭を上げてくれ。多分、俺でもああしたと思う。穂乃果たちを守るために。元は違うが、今は俺はお前、お前は俺の一心同体だからな。」

 

「そうだな。」

 

笑みを浮かべて言った優の言葉に、俺も思わず笑みを浮かべて答えた。

 

「さてと、姉ちゃんから聞いたと思うが、俺にはこの世界でやり残したことがあるんだ。でも、拓真はそれがなんなのか知らないよな?」

 

「あぁ、聞いてないな…」

 

「拓真は最近、昔の俺についての記憶を取り戻し始めただろ?」

 

優の言葉を聞き、俺にも思い当たる節がある。

 

「あぁ、小学生の頃希と会っていたこととか…」

 

「今回話す機会を儲けたのは、拓真にお礼が言いたかったのとは別にもう一つ、記憶を取り戻し始めたことだし、そのやり残したことのヒントをあげようと思ったからでもあるんだ。」

 

「ヒント?答えじゃダメなのか?」

 

俺の目の前にいる優自身は、やり残したことについての記憶が失われてないというような口ぶりを聞き、ふと疑問に思って聞いた。

 

「答えは言えないな…生き返って自分自身でしっかり思い出さないと、どこか他人事のように思えてしまうかもしれないだろ?」

 

「なるほど…言われてみれば、確かに…」

 

「さてと、じゃあヒントを言うぞ。心して聞いてくれ。」

 

心して、なんて言われて少し緊張しながら次の言葉を待つ。

 

「仮野優は死ぬ前に、μ‘s9人全員と会ったことがある。」

 

「えぇ!?μ‘s9人!?希以外にも会ってる人はいるかも、とは少し思っていたが、まさか全員とはな…」

 

「とは言っても、希と絵里を除いた本人たちが、俺と過去に会っていると思い出すのは不可能に近い。だから、今回直接話すことにしたんだ。」

 

なるほどな…ってん!?なんか今、しれっともう1つ重大な情報言わなかったか!?

 

「本当は俺の事情に拓真を巻き込みたくなかった…本当にすまない。」

 

「何言ってんだよ。もう1年以上同じ体で過ごしてるんだぞ?今となっては、死ぬ前の優の問題も、俺の問題みたいなもんだろ?気にすんなよ、水臭い。」

 

言ってる途中自分でも恥ずかしくなった俺は、優から目線をそらし頬を掻きながらそう言った。っていうか、俺はもう気にならないが、同じ体で過ごすって第三者が聞いてれば凄い気持ち悪いだろうな…

 

「そう言って貰えて助かる。本当にありがとう!」

 

優は笑顔で礼を言った

 

「さて…そろそろ、大切な仲間たちが待つ世界に帰らなきゃ、だろ?」

 

「あぁ、そうだな!」

 

優に言われ、俺はそう答えて元の世界に帰る扉のある方に歩き出そうとしたが…

 

「あっ、その前に一ついいか?」

 

優が俺を呼び止めたので、俺は足を止める。

 

「一つ、頼みたいことがあるんだ。」

 

その言葉に続き、俺は優からあることを頼まれた。

 

 

 

 

「そんなことで良ければ、お易い御用だ。」

 

「悪い、ありがとう!」

 

優からの頼みを聞き入れた俺は、再びゲートの出口の方を向かう…

 

「あっ、優!」

 

前に今度は俺が優を呼び止めた。

 

「ん?」

 

「今までありがとう!それから、これからもよろしくな!」

 

俺がそう言って笑うと、優も笑って答える。

 

「あぁ!こちらこそ、これからもよろしくな!」

 

そして、俺と優は同時に虹色の空間から出る扉をくぐった。

 

 

 

と、思ったら何故か扉をくぐる瞬間に爆発し、何かに体当たりしました。いや、もっと安全にくぐらせろよ!?

 

 

 

「ゆっ、優くん!?」

 

「待たせたな。」

 

爆煙が晴れ突然現れた俺の姿に、穂乃果たちは驚き、数秒して涙ながらに歓喜の声を上げる。

 

いってて…ってかなんで扉くぐる瞬間に爆発するんだよ!?その爆風でフィンディッシュにぶち当たるし、何とか爆煙が晴れる前に立ち上がったから良かったものの…やっぱ、こういう時はカッコつけて登場したいってのが男じゃん?

 

当たりが感動ムードに包まれてる中、俺は内心登場の仕方に悪態ついていた。

 

まっ、何はともあれ戻ってこれてよかっ

 

「ぐぉっ!?」

 

俺が戻ってこれたことにほっとしていると、μ‘sのみんなが俺に飛びついてきた。

 

「ちょっみんな!?」

 

「もう…どれだけ心配したと思ってるの!」

 

そう言った穂乃果の顔を見ると、目に涙を溜め、頬を赤く染めていた。他の8人や蓮、秀夜、姉ちゃんたちを見ると、同じく涙を流したりしていた。

 

「みんな…本当に心配かけたな。悪い。」

 

「まぁ、それは今に始まったことではありませんし…」

 

「とにかく優くんが戻ってきてくれて、本当に良かったよ!」

 

海未とことりが、笑顔で俺に言ってくれた。

 

「でも、本当に心配したのよ。」

 

「そうやね。だから優くんには、これからもっと一緒にいてもらうよ?」

 

絵里と希が、流した涙を拭き取りながら言った。

 

「真姫ちゃんだって、優!って泣きながら心配してたんもんねぇ?」

 

「なっ、泣いてないわよ!それはにこちゃんの方なんじゃないの!?」

 

いつもの様に弄るにこの言葉に、顔を更に赤くして反論する真姫。

 

「あはは…2人とも元気になって良かったにゃー!」

 

「そうだね。にこちゃんも真姫ちゃんも、ずっと元気なくて泣きそうだったもんね。」

 

その光景を笑いながら見ている凛と花陽が言った。花陽の言葉を聞いて、にこと真姫は顔を赤くして「はっ!?」と反応していた。すると、花陽が「まぁ、それは私たちみんななんだけどね…」と付け足した。

 

すると、蓮と秀夜がゆっくりと近づいてきて…

 

ポコッ

 

と、軽く俺の頭を殴った。

 

「ったく…どれだけ心配したと思ってんだよ…」

 

「ほんと、もう二度と死ぬんじゃねぇぞ。」

 

「あぁ、ありがとな。」

 

俺が蓮と秀夜にそう答えると、ドンッと俺の背中から誰かが抱きついてきた。

 

「優くん…良かった…本当に、良かった…」

 

俺に抱きついてきた姉ちゃんは、涙ながらにそう言っていた。俺はゆっくりと180度回転し、姉ちゃんを抱きしめ返す。

 

「姉ちゃん…本当にごめん。それと、ありがとう!」

 

「うんっ!お帰り、優くん!」

 

「ただいま。」

 

笑顔で言ってくれた姉ちゃんの言葉に、俺も笑顔で返した。

 

「どうやら、作戦は成功したようだね。」

 

「本当に良かったぜ。」

 

姉ちゃんから離れた俺にかける声が聞こえて俺が振り返ると、そこにはフィリップさんと翔太郎さんが立っていた。

 

「フィリップさん!?翔太郎さん!?」

 

「2人とも今回の件を聞いて、作戦中のフィンディッシュからのボディガードを引き受けてくれたんだ。」

 

俺がそれに驚いていると、蓮が説明してくれた。その言葉を聞き、改めて2人を見ると、頬や腕に傷がついていた。

 

「フィリップさん、翔太郎さん、本当にありがとうございます!」

 

「気にしなくていいさ。」

 

「ライダーは助け合い、だからな。」

 

「いつまでお喋りしている…!」

 

すると、倒れていたフィンディッシュが起き上がり、戦闘態勢に入っていた。それに気づき、俺が一歩前に出る。

 

「優くん…」

 

そんな俺を心配するように、穂乃果が呟いた。

 

「大丈夫だ。今度は絶対に死なない。だから、ここは任せてくれ。」

 

穂乃果は死ぬ前の俺との表情の違いに気づき、「うん!」と返事した。

 

「フィンディッシュ、今度こそお前を倒す!」

 

「ふんっ…一度俺に殺されたくせに、よくそんな大口を叩けるものだな。」

 

「悪いが、今の俺はこの前とは違う!」

 

「まあいい。今度はせいぜい、俺を楽しませてから死んでくれよ。」

 

「悪いな。お前は楽しむ暇もなく、俺に倒される。」

 

そう言った俺の隣に姉ちゃんが来て、俺が死んだ際に落としたインフィニティドライバーを渡してくれた。

 

「ありがとう、姉ちゃん。」

 

俺はインフィニティドライバーを腰に巻き付けた。

 

「神様、使わせてもらいます!」

 

俺はそう言い、神様から貰ったデータボトル…ホープデータボトルを取り出した。ホープデータボトル…なるほどな、だから希望になってやれ、か。

 

俺は一度深呼吸し、ホープデータボトルのレバーを入れ、構える。

 

「変身!」

 

『ホープ!』

 

インフィニティドライバーにホープデータボトルを差し込み、カバーが閉まる。そして、俺の姿が白く変化していく。

 

顔の複眼は『∞』の形を表し、赤く染められている。複眼の中心から伸びている金色の装飾は二本から三本に増えている。

 

両肩の五角形のアーマーは星型に変わり、それぞれの頂点から伸びている線は中点で交わっている。色は端から白、赤、水色、黄色、銀色に変わっている。

 

胸部には『∞』の形をした『インフィニティサークル』が黒い線で象られており、中は金で塗られている。両肘両膝のアーマーは銀から金色に変わっている。

 

両腕には金色の装飾が施されており、そこから細長い円形の棒が肘辺りまで伸びている。両太ももには水色、赤、黄色、白、銀色の五本の線が伸びており、両膝下には銀色で『∞』と斜めに象られている。

 

そして、白いボディとは対極的な黒いマントが、背後でなびている。

 

「仮面ライダー、ホープインフィニティ!俺の強さは、超次元を超えた!」

 

俺は新たな姿、仮面ライダーホープインフィニティに変身した。そして俺は、一瞬でフィンディッシュに近づき殴る。

 

「ぐっ!?速い!?だが、パワーは俺より劣っている。その程度の力、ならば…!」

 

俺の速さに驚いていたフィンディッシュは、俺に向かって手をかざす。すると、俺に重力がのしかかり身動きが取れなくなる。

 

「なるほどね…だったらこっちは…」

 

そんな中、俺が指を鳴らすると、フィンディッシュの重力操作がなくなった。

 

「何!?」

 

「このホープインフィニティの能力の1つは、相手の特殊能力を打ち消すことが出来る。」

 

驚いているフィンディッシュに、俺はマスク越しに笑みを浮かべながら説明した。

 

「なら、特殊能力を使わなければいいだけだ!はぁぁぁ!」

 

叫びながらフィンディッシュは俺に急接近し、殴ってくる。俺はその手を掴んで防ぐ。

 

「あぁぁぁぁ!っ…何!?」

 

すると、俺が掴んでいるフィンディッシュの手から、エネルギーが俺の方に吸い寄せられてくる。俺の体内に入ったそのエネルギーは、インフィニティサークルに溜まっていく。

 

「ホープインフィニティのもう1つの能力。それは、相手のエネルギーやライダーエナジーを吸収し、己の力とすることが出来る。」

 

「くっ…!」

 

俺の言葉を聞いたフィンディッシュは、慌てて後ろに下がる。

 

「今度はこっちから行くぞ!」

 

そう言い、俺は新たな召喚カードをアタックバックルに入れた。

 

『スペシャル召喚 インフィニティバスター!』

 

俺は黒い新たな武器、インフィニティバスターを召喚した。

 

「はぁぁぁ!」

 

俺はインフィニティバスター 大剣モードでフィンディッシュに斬り掛かる。

 

「はぁ!やぁ!オラァ!」

 

俺は3度斬りつけ、それによりフィンディッシュは吹き飛んでいく。

 

「次はこれで…」

 

俺はモードチェンジさせ、インフィニティバスター 大砲モードで起き上がったフィンディッシュを撃った。

 

「ぐぁぁぁっ!?」

 

「これで終わりだ。」

 

俺は新たな必殺カードを取り出し、アタックバックルに入れた。

 

『スペシャルアタック!ホープフィニッシュ!』

 

「はぁぁぁ…」

 

俺は必殺技待機の構えをし、上空に飛んだ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

俺は上空から下降し、フィンディッシュを蹴り込む。

 

「こんな所で…こんな所で…終わる訳には…!ぐぁぁぁっ!?」

 

フィンディッシュはそう言葉を残し、少し爆発を起こし消滅した。

 

「ふぅ…」

 

フィンディッシュを倒したことを確認した俺は、息を吐き出し変身解除した。

 

「やったね!優くん!」

 

満面の笑みの穂乃果たちがそう言いながら、俺の元に駆け寄ってくる。

 

「あぁ、そうだな。」

 

そんな穂乃果たちに、俺も笑顔で答えた。

 

「優!」

 

そこに、後ろの大きな装置から、バグスターウイルスのオレンジ色の粒子が出てきた。その粒子は段々と人型を形成していき、ラビリーの姿になった。

 

「ラビリー!お前も協力してくれてたんだな。ありがとう!」

 

「何言ってんだ。俺たちは相棒だろ?助けるに決まってる!」

 

「そうだな!ありがとう!」

 

ラビリーと俺が話していると、ある人物が近づいてくる。

 

「フフフ…また一段と強くなったみたいね。」

 

「ガリュサ…」

 

近くにいたガリュサが俺に話しかけてきた。こっちに戻ってきてから気づいてはいたが、邪魔する様子もなかったのであえて触れずにいた。

 

「ゆっ、優くん。ガリュサさんは、今回の作戦に協力してくれたの!」

 

「そうか…それについては礼を言う。」

 

ガリュサを見た俺の険しい表情を見た穂乃果が慌てて説明してくれ状況を理解した俺だが、もちろん警戒している。

 

「別にいいわ。私も自分やボスの目的のために動いてるだけだから。それよりも、過去についてはもう大丈夫なのかしら?」

 

「あぁ、まあな…」

 

「そう。まっ、これからもせいぜい足掻きなさい。」

 

そう言ったガリュサは、俺に何かを投げ渡して去っていった。

 

「これは…」

 

ガリュサが俺に投げ渡してきたのは、レッドメモリーデータボトルだった。なるほど…これのおかげで、茜といた時の記憶もあったのか…まっ、今回ばかりはあいつに感謝だな…

 

ん?ってか元はと言えば、あいつが俺の記憶を元に戻したのが原因じゃん!いや、まあいつかは思い出さないといけないことだったし、やっぱり少しは感謝しとくか…

 

「優くん!」

 

「ん?」

 

内心ガリュサについて突っ込んでいると、穂乃果の声が聞こえた。それに反応して俺が振り返ると、μ‘sのみんな、蓮、秀夜、姉ちゃん、ラビリーが立っていた。

 

『おかえり!』

 

全員が声を合わせて、俺に言った。

 

「っ!ただいま!」

 

俺は目に涙を溜めながら答えた。

 

 

こうして、俺は再び仲間の元に帰ることが出来たのだった!




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

『話すよ、俺の過去について。』

─ついに明かされる橋本拓真の過去…

次回、『120話 拓真の過去』



はい、というわけで次回、生き返った優がついに(橋本拓真の方の)過去が明かします。そして、次回は年明けてからの投稿となります。

ということで、今年も読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!今年は投稿ペースが一気に落ちてしまったので、来年は今年よりも投稿できるように頑張っていくので、是非読んでください!お気に入り登録、評価や感想などもよろしくお願いします!

今年一年、本当にありがとうございました!来年もよろしくお願いします!


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120話 拓真の過去

はい、120話です。

明けましておめでとうございます!(遅せぇよ!!)ということで、長らくお待たせして大変申し訳ございませんでした!!

では120話、スタートです!


〜side 優〜

 

「優くん、本当に大丈夫?」

 

「あぁ。全部話すことにする。転生のことだけじゃなく、思い出した過去についても…大事な仲間だから。」

 

俺が生き返った日の夜、俺は姉ちゃんにそう言った。

 

「そっか…」

 

「姉ちゃんもそれでいいか?」

 

「もちろん!優くんの判断なら、私はそれを尊重する。頑張ってね。」

 

「あぁ!」

 

 

 

そして翌日…

 

「みんな、練習前に集まってくれてありがとう。」

 

放課後、スクールアイドル部の部室にμ‘s9人と蓮、秀夜に俺の過去について話すため、集まってもらっている。ちなみに、何故退学届けを出した俺が音ノ木坂学院に来れているのかについてだが、それは昨日に遡る。

 

 

 

〜回想〜

 

「仮野くん、無事戻って来れたのね。」

 

作戦が無事終了した俺たちの前に、理事長がやってきた。

 

「理事長…はい。理事長も、協力して下さりありがとうございました。あと、今まで共学化試験生として入学させてもらったのにも関わらず、何の挨拶もなしに退学届けを出してしまい本当にすみませんでした。今更戻らせて下さいと身勝手なことは言いません…今まで、本当にありがとうございました!」

 

本当はもちろん戻りたい。でも、そんな勝手なことは許されない。自分の気持ちを押し殺して言った。

 

「優くん…お母さん!お願い!優くんの退学届け、なしに出来ない?」

 

頭を下げている俺を見て、ことりがそう談判した。

 

「ことり。何言ってるの…?」

 

「っ…」

 

いくら親子関係だからと言って、特別扱いは出来ないからなのか、理事長は少し厳しめの口調で言った。と、思っていたが…

 

「私は退学届けなんて受理していないわよ?」

 

『へっ…?』

 

理事長の言葉に、この場の全員が声を漏らした。

 

「そういえば、前に学校のポストに誰かからの退学届けが入っていたけど、退学届け出すなら直接出して挨拶ぐらいするのが筋でしょうし、あんな不躾なもの破り捨ててしまったわ。」

 

「お母さん…!」

 

そう言う理事長の顔には少し笑みを浮かべており、それを見たことりも笑顔を浮かべる。

 

「理事長…!本当にありがとうございます!」

 

俺は頭を下げ、心から礼を言った。

 

「なんの事か分からないけど、一応どういたしまして。じゃあ、仮野くん。また明日ね。」

 

「はい!」

 

ほんと、あの理事長は日本一仕事ができる理事長なんじゃないだろうか…俺はそう思いながら、感謝してもしきれないほどの感謝を送っていた。

 

〜回想終了〜

 

 

 

というわけで、俺は学校に復帰することが出来たのだ。

 

話は逸れたが、俺はμ‘sのみんなに話し始める。

 

「多分、俺が死んだ時になんとなくは聞いたと思うけど、俺は転生者…一度死んだ人間だ。」

 

既に聞いていたことなのでそこまで驚いてはいなかったが、やはり本人の口から聞いたからか、少し驚いている。

 

「転生してからの俺は、別の世界で死んだ橋本拓真と、この世界で死んだ仮野優という人間の2人が融合して生き返った状態なんだ。」

 

「あの…」

 

すると、凛が何かを聞きたそうに手を挙げた。

 

「どうした?」

 

「前に優くんと蓮くんと秀夜くんは幼なじみって言ってたけど、それはこの世界の優くんなの?それとも、拓真くんなの?」

 

「拓真の方だ。」

 

「じゃあ、蓮くんと秀夜くんも、一度死んでるの…?」

 

俺の言葉を聞き、おずおずと花陽が尋ねてくる。これに関してはそれぞれ本人たちが説明した方がいいと思い、俺は蓮と秀夜に目で合図した。

 

「あぁ。俺も優と同じく、一度死んでいる。でも、優と違って誰かと融合したわけじゃなく、前の世界の俺のまんまこの世界に来た。」

 

そう蓮が説明した。

 

「俺は死んでいない。前の世界に偶然来ていた財団Xが、俺を拾ってこの世界に飛ばした。」

 

続いて秀夜が説明した。

 

「で、ここからはここにいる誰も知らない話になるんだが…今回、俺が突然みんなの前からいなくなった理由についての話だ。この話は、聞いて気分の良い話じゃない。聞いたら俺の印象がガラリと変わるかもしれないし、俺のことを嫌いになると思う…それでもいいなら、話すよ。」

 

「優くん、ことり言ったよね?優くんが昔どんな人でも関係ない。今の優くんと一緒にいたいって。」

 

「そうです。私たちは、今の優と一緒にいる日々が好きなんです。」

 

「だから話して。どんなことでも、全部穂乃果たちにぶつけていいんだよ、優くん。」

 

ことり、海未、穂乃果がそう言うと、他のメンバーも同意するように頷いている。

 

「ありがとな、みんな。じゃあ話すよ、俺の過去について…」

 

俺はそこで少し深呼吸をして、再び話し始める。

 

「その過去、というのは橋本拓真の過去についてだ。2日前、俺が死ぬ日の朝、ガリュサに会ったんだ。その時、やつの能力で拓真としての過去の記憶を取り戻した。俺が前世で死んだ原因は、トラックに轢かれそうな子供を庇ったから…記憶のなかった俺は、転生時そう聞かされた。でも、それは少し違った…俺が死んだのは、本当の理由は…」

 

俺はそこで、話すのを少し躊躇い唾をひとつ飲み込んだ。

なに迷ってんだよ…話すって決めたんだから、話さないと…

 

「俺は、轢かれそうな子供がいたとか以前に、自分から命を投げ出そうと考えていたんだ…」

 

『っ!?』

 

俺の言葉を聞いたμ‘sは、驚きのあまり言葉も出ていなかった。

 

「俺はその事を思い出して、人の命を守るため戦っていた俺が…命の大切さを理解して戦っていたと思い込んでいた俺が…自分から命を投げ出すようなことをしてたなんて…自分が分からなくなった…そんな俺が、みんなと一緒にいていいはずがない、そう思ってみんなの前からいなくなった…それでまた死んで…やっぱり、俺は命の大切さをちゃんと理解してなかった…」

 

俺の言葉を聞いたみんなは驚き、辺りには重苦しい空気が流れた。その沈黙を破って、秀夜が口を開いた。

 

「……前世で俺と蓮、それに悠斗と一緒にいた頃の拓真は、その…自殺、なんかを考えてる素振りはなかった。だから、俺たちと離れ離れになった中学生の頃に、何かあったってことか…?」

 

「まぁ、そうだな…」

 

「聞かせて、くれるか…」

 

今度は蓮が、恐る恐るそう尋ねた。

 

「あぁ。全部話すよ。」

 

 

 

 

 

〜回想〜

 

「あいつら、今頃何してんだろうなぁ…」

 

なんとなく空を見上げ、俺はふと呟いた。

 

俺の名前は橋本拓真。特に何の取り柄もない、普通の中学二年生。今俺は、小学校を卒業する時に離れ離れになった幼馴染3人のことを思い出していた。

 

「蓮、秀夜、悠斗…3人とも元気にしてるのかな…」

 

中学への通学路を歩きながら言ったボソッとした声には、自分で言うのもなんだが、俺の寂しさがこもっていたと思う。去年の年末、俺の母さんが死んだ。たった3人の友達と別れた俺にとって、母の死は本当に悲しかった。

 

俺にとって親しく話す信頼出来る人である母親や蓮、秀夜、悠斗がいなくなったことで俺はひとりぼっち同然になった。

 

父親は?と思う人もいるかもしれないが、父は俺には無関心で平日は夜遅くまで仕事、休日もずっと自室にいる父とは会話という会話もない。学校でも特に友達という人がいない俺にとって、今話すような人は1人しかいない…

 

「あっ、橋本くん。おはよう!」

 

「えっ?あっ、成瀬さん。おはよう。」

 

俺に挨拶しながら後ろから走ってきたのは、同級生の成瀬(なるせ)みのりさん。さっき話した、今の俺が唯一親しく話す人物。そして、俺の初恋の相手だ。中学に入学した時、出席番号が前後ということで俺の前の席だった成瀬さん。可愛いくて優しい成瀬さんに、俺は一目惚れをした。

 

2年に上がっても同じクラスになり、1人でいる俺によく話しかけてくれる。

 

「どうかしたの?朝から浮かない顔してるけど…」

 

「へっ?いや、なんでもないよ…ちょっと、母さんや幼馴染のことを思い出してて…」

 

「あっ……無神経なこと聞いちゃったよね、ごめん…お母さん亡くなってから、まだ4ヶ月ぐらいしか経ってないし寂しいのは当然だよね…」

 

「きっ、気にしないで!今はその…親しい人とか仲良い人とか全然いないけど、成瀬さんが話しかけてくれるし全然寂しくないよ!」

 

全く寂しくないといえばもちろん嘘だが、成瀬さんのおかげで寂しさが軽減されているのは事実だ。

 

「そっか…私なんかでよければ、これからもいっぱいお話ししようね!」

 

「うん!ありがとう!」

 

俺は成瀬さんの、こういう何気ない優しさに惚れた。こういう風に、何気ない会話ができる日々が続けばいいのにな…

 

 

 

それから一年が経ち中学三年生になった頃、そんな日常の崩壊が、ちょっとしたきっかけから、やってきてしまった…

 

普段人と話していることなんて滅多にない俺が、成瀬さんとだけ毎日話している。それを疑問に思った同級生が、俺が成瀬さんのことが好き、あるいはその逆、あるいは2人は付き合ってるんじゃないか、と根も葉もない噂を流したのだ。まぁ、俺の片想いについては当たってるんだが…

 

とにかく、突如そのような噂が流れ始めたことにより、俺と成瀬さんの間には気まずい雰囲気が流れてしまい、三年生になってクラスも離れてしまった俺と成瀬さんは、話すことが出来なくなってしまった。

 

ただ、それだけならまだ良かった…

 

「なんでお前みたいな根暗が、成瀬さんと!」

 

「お前なんかが、調子こいてんじゃねぇよ!」

 

可愛くて優しい成瀬さんは、男子の間でも人気があった。そんな成瀬さんと交際関係にあると嘘の噂が流れ始めたせいで、俺は陰でイジメに遭い始めた。付き合ってないと否定しても、やつらは聞く耳を持たない。俺は黙って、殴られて蹴られて、罵倒されるしかなかった…

 

「いてて…今日も派手にやられたな…」

 

学校からの帰り道、殴られた腹をさすりながら呟いた。本当なら仕返ししてやりたいが、そんなことはしない。きっと彼らなら、そんなことしないと思うから…

 

俺が言う彼ら、とはこの世に存在しない架空の人物だ。俺は仮面ライダーというテレビ番組が大好きだった。中学生にもなって、と思われるかもしれないが、人のために悪と戦う彼らに俺は憧れていた。

 

「はぁ…俺も仮面ライダーみたいに凄い力が使えたらな…」

 

そんなことをボヤきながら、俺は家に帰った。

 

 

 

そして再び時は流れ、夏休みがやってきた。これで少なくとも1ヶ月とちょっとの間は、虐められないな…俺はそう安堵していた。

 

俺は一学期の間、毎日のように暴力を受け続けていた。家では父親との会話も特になく、学校では陰に隠れてやられているから誰にも気づかれない。

 

ただ、一学期の終盤にいじめを受けたりしていないかを書く、いじめアンケートなるものが配られた。それにいじめられていると書いてみたが、結果は変わらなかった。なぜなら、俺をいじめている生徒は、金井新一(かねいしんいち)。その金井は、成績優秀で親が大企業の社長だからだ。そんな金井の親と荒事を起こしたくない教師共は、見て見ぬふりをすることにしたようだ。教師なんて、そんなものか…

 

「あれ?橋本じゃねぇーか。」

 

夏休み初日、暇だからコンビニでも行こうと思い歩いていた俺は、偶然金井に遭遇した。ほんと、夏休み初日からついてねぇな…

 

「ちょい付き合えや。」

 

そう言われ、仕方がないため金井に着いていく。

 

 

しばらくして金井が足を止めたのは、路地裏だった。なるほど…ここなら人目につかない、ってわけか…

 

「さて、なんでお前をここに呼んだか、分かるよな?」

 

「……どうせ、俺を痛めつけるためだろ…」

 

「へへっ、分かってんじゃねぇか。早速1発、オラァ!」

 

下卑た笑みを浮かべながら、金井は俺の腹を殴る。

 

「ぐぅっ!?」

 

「けけっ、間抜けな顔だなぁ…あっ、そうだ。夏休みだし、多少人目に付く場所を殴ってもいいか。ほら、立てよ。」

 

金井は俺の胸ぐらを掴み、無理やり立たせる。

 

「お前のそのうぜぇ顔面、殴ってやりたかったんだ、よォォォ!」

 

金井は俺の顔を殴ってきた。

 

「俺はなぁ、成瀬のことが好きなんだよ!2年の終わりに告白もしたんだよ!なのに、成瀬は他に好きなやつがいるって断ってきた。それはお前のことなんじゃないの、かっ!」

 

言葉の最後を言うと同時に再び俺は殴られるが、胸ぐらを掴まれるため倒れて痛みを逃すことも出来ない。

 

「はっ?なわけないだろ、何度も言うが俺と成瀬さんはただの友人だ。いい加減覚えろよ…」

 

「なんだよその口の利き方?てめぇはほんとムカつくなぁ!」

 

それからも、俺は何度も何度も殴られ続けた。

 

 

そして、約一時間ほど暴行を受け続けていると、気が済んで飽きたのか、金井は帰っていった。

 

「いっててて…いつも以上に痛てぇな…顔とかも殴られたし…」

 

しばらく倒れて動けなかった俺は、ようやく立ち上がることが出来た。

 

「はぁ…どんな怪我でも、一瞬で治せるような力があればいいのにな…」

 

そんな幻想じみたことを呟きながら、俺が路地裏から出ると、思わぬ人物に遭遇した。

 

「あっ…橋本、くん…」

 

「成瀬さん…」

 

もう3ヶ月も話していなかった成瀬さんだ。

 

「ってどうしたの!?凄い怪我してるよ?」

 

「いっ、いや…これは…」

 

成瀬さんの言葉に俺が吃っていると、ふと成瀬さんの腕に痣があるのが見えた。

 

「って成瀬さんも腕に痣あるよ!?」

 

「あっ…うっ、ううん。大丈夫大丈夫、さっきちょっと転んだだけだよ。」

 

「でも早く手当しないと!あっ、家すぐそこだから…」

 

「えっ、でも…」

 

俺の言葉に戸惑っている成瀬さんを見て気づいた。そうだった…今日話したのが久しぶりなぐらい、今気まずい状態なんだった…

 

「あっ、ごめん。嫌だよね、俺の家なんか来るの…俺のせいで流れた変な噂で、成瀬さんも嫌な思いしてるだろうし…」

 

「そっ、そんなことないよ!」

 

「えっ…?」

 

「その…私、橋本くんと一緒にいるの全然嫌じゃないよ!橋本くんと一緒に話してるの凄い楽しいし、最近話せてなくて凄い寂しいんだ…」

 

そうだったのか…てっきり、もう嫌われてしまっているのかと思っていた俺は、内心とても喜んでいた。

 

「俺も!その、最近話せてなくて凄い寂しかった…」

 

「っ…」

 

久しぶりの会話でこんな小っ恥ずかしいことを話した俺たちは、思わず俯いて顔を赤くしてしまう。

 

「あっ、そうだった!早く手当しないと、とりあえず家来て!」

 

「うっ、うん、ありがとう…」

 

この恥ずかしく気まずい空間から早く抜け出したい思いのあまり、俺は成瀬さんの手を引いて家に向かった。

 

 

 

「ここが、橋本くんの家?」

 

俺の家の前で足を止めた俺に、成瀬さんが尋ねた。

 

「うん、そうだよ。」

 

「あっ、その…」

 

俺が彼女の問いに答えると、彼女は困ったような顔で何かを言おうとする。

 

「ん?どうかした?」

 

「いや、その…手…」

 

「手?」

 

そう言われ、俺は自分の手に目をやると、成瀬さんの手を握ったままだったのに気づいた。

 

「あっ!ごっ、ごめん!ほんとごめん!」

 

俺は慌てて手を離した。

 

「だっ、大丈夫…恥ずかしかっただけで、嫌じゃないよ…」

 

「えっ?そっ、そう…?あっ、その、入る…?」

 

「そっ、そうだね…」

 

俺は成瀬さんを家に招き入れた。恐らく、この時の俺の顔は真っ赤だっただろう。

 

 

 

「よし、終わり。これで後は、安静にしてればすぐ痕も消えると思うよ。」

 

俺は救急箱を取り出し、成瀬さんに一通りの治療をした。

 

「ありがとう…あっ、橋本くんも治療しないと!橋本くんの方が、酷そうだし…」

 

「俺はいいよ。こんなの寝たらすぐ治る。」

 

それに、またいつ殴られるかも分からないし…

 

「駄目だよ!私がするから、じっとしてて。」

 

そう言われ、無理やり治療を始める成瀬さん。しばらく話してなかったけど、やっぱり優しい成瀬さんのままだな…

 

「はい、終わったよ。大丈夫?キツくない?」

 

成瀬さんは包帯を巻き終わり、巻き具合を確認する。

 

「うん、大丈夫。ありがと。」

 

「ううん、こちらこそありがとう。」

 

礼を言った俺に、成瀬さんは礼を言い返した。

 

「「……」」

 

今日の俺たちの会話は基本勢い、その勢いがなくなると突如現れる恥ずかしさの沈黙、その沈黙が再びやってきた。やべぇ…ただでさえ対話力もコミュ力もない俺が、好きな人と何話せばいいんだよ…

 

「あっ、あの…」

 

冷や汗を垂らしながら焦っていた俺に、成瀬さんから声をかけてきた。

 

「へっ?」

 

「いや、その…そろそろ、帰ろうかな…」

 

「あっ、そうだね…」

 

そうだ…もう目的の治療は済んだんだし、帰るのは当然か…一人で浮かれてた俺が馬鹿みたい…

 

内心そう思いながら、俺は成瀬さんを玄関まで見送る。

 

「今日はありがとね…その、出来たらまた、こうしてお話ししたいな…」

 

「っ…!俺もっ!俺も、また成瀬さんと話したい!」

 

思わぬ言葉をかけられ、俺はつい大声で答えた。

 

「っ…良かった…」

 

「えっ?」

 

「私だけがそう思ってるのかなって、ちょっと心配してたから…じゃあ、また今度ね。」

 

そう言って、成瀬さんは帰って行った。

 

「天使…」

 

玄関で一人、俺はそう呟いた。ちなみに、俺はこの後ずっと浮かれてたことは、言うまでもない。

 

この時俺は、また成瀬さんと楽しく話したりできる日々が戻ってくるんじゃないか、と一人期待していた。もっと酷い現実が待っていることを知らずに…

 

 

 

はぁ…今日からまた学校か…

 

あの後、無事夏休み中金井やその取り巻きと会わなくて済んだが、今日からはまた虐められる日々か…でも、また成瀬さんと会える!登校日は、結局会えなかったから本当に久しぶりだ!

 

俺がそう不安と密かな楽しみを抱きながら学校の下駄箱に着くと、

 

「あっ…」

 

偶然成瀬さんが靴を履き替えていた所だった。

 

「成瀬さん、おはよう!」

 

夏休みの一件で俺も気まずいとか気にする必要はないんじゃないかと思っていた俺は、思いきって笑顔で元気に挨拶してみた。

 

「っ…うっ、うん…おはよう…じゃあね。」

 

しかし、成瀬さんの方は控えめに挨拶を返し、教室に向かっていってしまった。

 

「あれ…?」

 

やっぱり俺、嫌われてんのかな…

 

 

 

そう再び不安に思っている内に始業式が終わり、俺は帰り支度をしていた。

 

「新一!一緒に帰ろーよ!」

 

そんな時、大きな声で金井に話しかける声が聞こえた。あぁ、福本か…

 

福本麻耶(ふくもとまや)。彼女はこのクラス…この学年の女子のカーストトップ的存在。男子カーストトップである金井とよく連んでいるが、恐らく福本の方は金井に気があるのだろう。彼女も金井と同じく社長令嬢で気が強く、自分勝手な性格をしているが、顔だけはいいので男子からも人気はあるようだ。あっ、でも金井は成瀬さんが好きとか言ってたから、福本の片思いか…

 

「あー、ごめんね麻耶。今日ちょっと用があって…」

 

そうしていると、福本は金井に断られていた。やっぱ、金井からすれば福本はただの友達なのか…まっ、どーでもいいけど。

 

「えー、分かった…じゃあみんな、帰ろ。」

 

断られた福本は取り巻きたちと帰って行った。その様子を横目に荷物を全部学生鞄に詰め終わった俺に、金井が近づいてきた。

 

「おい橋本、ちょっと付き合えや。」

 

なんだよ、用って俺への虐めかよ…俺は渋々、金井に着いていって、空き教室で金井の気が済むまで殴られ続けた…

 

 

 

そして再び時は流れ…

 

「はぁ…」

 

あれから2ヶ月経ったが、この2ヶ月再び成瀬さんと話すことはなかった。やっぱり、なんかまた避けられてるような気がするし…

 

成瀬さんには避けられるは、虐めはどんどんエスカレートしていってるし、ほんと良い事なんて何も無いよな…

 

俺は一人悩みながら、公園のベンチに座ってさっきコンビニで買った○後の紅茶を飲み始めた。まっ、今は午前だけど…

 

「ゴクゴクゴク…んっ…」

 

「あれ?」

 

そんな俺を見て、声を上げる人物が一人。

 

「橋本じゃーん!」

 

「あぁ、福本か…」

 

偶然会った福本が、珍しく俺に声をかけてきた。

 

「偶然だね、隣良い?」

 

俺が座っているベンチを指差しながら福本が言ってきたので、俺は少し横に寄りどうぞと促す。

 

それにしても、なんで俺に話しかけてきたんだ…?俺は金井やその取り巻きの男子陣には虐められているが、女子とはほとんど関わりがないため、話しかけてくる理由の検討がつかない。

 

「俺に話しかけてくるなんて珍しいな、何の用だ?」

 

「んー、特に用っていう用もないんだけどね…」

 

「用ないのかよ…」

 

「あっ、そうだ!前から聞いてみたいことあったの忘れてた!ねぇねぇ、橋本ってみのりと付き合ってる噂あったよね?あれほんと?」

 

ふと思いついたように聞いてきた福本に、俺は少し戸惑ってから答える。

 

「いや、あれはデマだ。俺の片想い、成瀬さんは俺に恋愛感情なんて抱いてないよ。」

 

「ふーん…じゃあ、橋本はみのりのこと好きなんだ!」

 

「まぁ…」

 

「告んないの?」

 

「えぇ!?いや、俺なんかが告っても…」

 

「そう?みのりもあんたに気がありそうだけど?」

 

やけにグイグイ来る福本を少し疑問に思いながら、俺はそれを再び否定する。

 

「ないない!俺なんかを、成瀬さんが好きになるなんて…」

 

「でもさ、ちょっと可能性あるなら、告ってみるのもいいんじゃない?あたしらもうすぐ卒業だしさ、どの道別れるなら想いを伝えるのもありだと思うけど?それで付き合えたらラッキーみたいな!そんぐらい楽に考えた方が、楽しいんじゃない?」

 

言われてみれば、一理あるかもしれない…福岡の言葉を聞き、俺の考えがそういう風に変わった。

 

「なるほど…確かに卒業したら離れ離れになるしな…告白してみるのも、ありか…なんかありがとな。福本のおかげで、ちょっと悩みが軽くなった気がする。」

 

「それなら良かったよ!あっ、でも振られたからってあたしのせいにしないでよ?」

 

「あぁ、それはもちろん。」

 

「じゃ、あたしはそろそろ行くわ!」

 

そう言って福本は立ち上がり、どこかに走っていった。嵐みたいなやつだな…でも、あいつのお陰でなんか元気出たな…話したことはあんま無かったけど、金井と同じくカーストトップのあいつに正直良い印象はなかった。でも、意外に良い奴なのか?

 

卒業したらどうせ離れ離れ…ならいっそ、ダメ元でも告白してみようかな?福本のお陰で、俺は少しポジティブな考えに変わっていた。

 

あれ?っていうか、福本は結局何しに来たんだ…?まあいっか…

 

 

 

 

 

福本との一件からしばらく考えた俺は、成瀬さんに告白すると決心した。もちろん、それで付き合えるなんて思ってもない。でも、福本が言ったようにこのまま卒業して会えなくなるなんて嫌だ。どうせ会えなくなるなら、想いを伝えてからの方がいい。

 

「じゃあ冬休みの間、怪我せず過ごせよー。受験生らしく、勉強もしっかりするように。」

 

担任が2学期の終わりを告げる。俺は今日、告白するつもりだ。現在時刻は午前11時。11時半に体育館裏に来て欲しい、と福本に伝えてもらっている。お願いしたら、福本はノリノリで良いと了承してくれた。やっぱ、あいつ意外と良い奴なのか?

 

「さて、そろそろ行くか…」

 

まだ時間的には早いが、絶対に待たせる訳にはいかないからな…帰り支度を済ませた俺は、教室を出て体育館裏に向かった。それにしても、体育館裏って凄いベタな場所だよな…

 

 

 

俺が体育館裏に来て少し経つと、足音が聞こえてきた。やはり、早めに来ていて正解のようだった。

 

「あの、橋本くん…」

 

「成瀬さん、突然呼び出してごめん。あと、来てくれてありがとう。」

 

「ううん…それで、話って…?」

 

何故だろう。やはり、成瀬さんは恐る恐る俺と話しているような感じがする。やっぱり、告白しないでおこうかな…いや、怖気付いてどうする!決めただろ、俺!

 

俺は心の中で自分に喝を入れ、話し始めた。

 

「あの…成瀬さ…」

 

いや、告白の時ぐらい、俺がずっと憧れていた呼び方でもいいよな…?話すの、最後になるかもしれないし…

 

「みのり!」

 

俺の突然の名前呼びに成瀬さんは目を見開き、驚いたからか、俺なんかに名前呼びされて怒りが沸いたのか、頬が少し赤く染った。

 

「1年生の時からずっと1人だった俺のことを、たった1人、あなただけが気にかけてくれて、話しかけてくれた。その事が本当に嬉しくて、俺の心の支えでした。」

 

ドクン、ドクンと心臓の音が段々大きくなってきて、額にはつーっと汗が一筋流れる。

 

やべぇ、身体の震えが止まらねぇ…でも、ちゃんと言わないと…!

 

「あなたの事が、好きです!!」

 

言えた…!

 

俺がその言葉を伝えると、成瀬さんはまず目を見開いた。そして、頬を赤く染めて目を潤ませた。俺が少し目線を下げると、手を強く握り締め震えているのが見えた。

 

これは、どういう反応だ…?

 

俺は緊張しながら、身体を震わせながら、成瀬さんが言葉を発するのを待つ。心臓の音が今までにないほどの音量で聞こえ、とにかく時間の流れが遅く感じる。何十秒、もしくは数分経っただろうか、ようやく成瀬さんが口を開く。しかし、その声は…

 

 

 

 

 

「あーあ…最悪…」

 

俺が今まで話し、接してきた成瀬さんからは想像もつかないほど低く、震えているようにも聞こえた。

 

「えっ…?」

 

成瀬さんから出た言葉が『ごめんなさい』でも、ほとんど期待していなかったが『はい』でもなく、『最悪』という言葉だったことに俺は思わず声を漏らす。

 

俺が知っている優しい成瀬さんは、たとえどんなに嫌いな人からの告白だったとしても、『ありがとう。でっ、でもごめんね…』と困ったような笑顔で断るだろうと思い込んでいた。しかし、困惑する俺をよそに、成瀬さんは顔は俯かせながら更に低い声で言葉を発していく。

 

「ほんと最悪…あんたなんかに、告白されるなんて…」

 

なんで…?なんで、そんなふうに言うんだ…?俺が知ってる成瀬さんは、そんなことは言わないのに…

 

「大体、惨めなあんたに、嫌々接してあげていたのを…真に受けて好きになるとか、ほんとダサい…」

 

やめてくれ…君にそんなことを言われたら、俺はこれから何を支えに生きていけばいいんだ…?

 

「っていうか、名前で呼び捨てって…あんたなんかに名前呼びされるとか、ほんと気持ち、悪い…」

 

気持ち、悪い…?

 

俯いて、手を握り震わせながら言葉を発していく成瀬さんに、俺の精神はどんどん削り取られていく。そして、俺が1番聞きたくなかった言葉を、聞いてしまう…

 

「あんたなんかと、二度とっ…二度とっ、話したく、ない!!大っ、きらい…」

 

「っく…うぅ…ごめん、なさい…さよなら…」

 

俺は耐えきれず目から涙を零し、掠れ声でそう言い残し走り去った。今の俺の顔は、誰がみっともないというだろう。涙と鼻水を流しながら、呻き声を零しながらただ走っていく。幸い他の生徒は既に部活に行くか帰るかしているのであまりいないが、それでも何人かいた生徒たちは俺を異様なものを見るような目で見ていた。しかし、そんなの今の俺は気にする余裕もなかった。

 

「はいストップ!」

 

そんな俺の前に、金井がニタニタ笑いながら現れた。

 

「見てたぞ〜今の!くくくっ…ゆっくり感想伝えてぇから、ちょっと来いよ。」

 

俺の力ない手を無理やり引っ張って、金井は夏休み初日にも連れてきた路地裏まで来た。

 

「さてと…いやぁ、今のはスカッとしたわ!やっぱりお前なんか、成瀬と釣り合うわけねぇよな!成瀬も、やっぱりお前をウザがってたんじゃねぇか!ぷっはははははっ!こりゃ傑作だわ!」

 

俺は金井の笑いながら言う言葉を、黙って聞くことしか出来なかった。

 

「さてと、精神面でたくさんたくさん傷ついた橋本くん!精神面でこれだけ傷つくと、肉体的にも傷つかないといけないんじゃないかなぁ?というわけで…オラァ!はっはっはっ!」

 

金井は俺を笑いながら殴り飛ばした。

 

「ぐぉっ!?」

 

「ぐぉって、ほんとお前気持ち悪いな!オラオラっ!」

 

金井は倒れている俺を、そう言いながら踏んづけてくる。

 

「お前なんかが、今まで成瀬と話せただけでも奇跡みたいなもんだ!お前なんてなぁ、生きる価値ねぇんだよ!」

 

生きる価値がない…?

 

「お前なんか、生きててもしょうがねぇ、どうしようもないクソみたいな人間なんだよ!」

 

クソみたいな人間…?

 

「そういえば聞いたぜ?お前、その歳にもなって仮面ライダーが好きなんだってな?馬鹿じゃねぇの!なに人を救うヒーローに憧れてんだよ!お前なんかが、誰も救えるわけねぇだろ!!」

 

誰も救えるわけない…?

 

「はぁ、お前本当に惨めなやつだなぁ!ぷっはははははっ!」

 

そう高笑いしながら、金井は俺を蹴り飛ばして路地裏から去っていった。

 

 

ポツ…ポツ…ポツ…

 

 

その時、空から雨が降り始めた。それは次第に激しくなり、倒れている俺の体はずぶ濡れになっていくが、今はそんなことどうでもよかった。

 

「金井の言う通りだ…ほんと、惨めだな俺…たった3人の友達と離れ離れになって、母さんを失い、たった1人の味方だと思っていた好きな女の子には、本当は気持ち悪がられてた…俺って、ほんとなんのために生きてるんだろ…」

 

俺はよろっと立ち上がりながら、1人そう呟いた。

 

「成瀬さんにも、俺みたいな気持ち悪いやつが話しかけたせいで、辛い思いしてたんだろうなぁ…成瀬さん…本当に…本当に、ごめんなさい…!」

 

俺は唇噛み締め、目から雨なのか涙なのか分からない水滴をいくつも流しながら言った。

 

「なぁ、神様…俺、なんかしたかな…?なんで、俺がこんな不幸な目に遭わなきゃいけないんだ…?」

 

『お前なんてなぁ、生きる価値ねぇんだよ!』

『お前なんか、生きててもしょうがねぇ、どうしようもないクソみたいな人間なんだよ!』

『お前なんかが、誰も救えるわけねぇだろ!!』

 

そうか…俺が生きる価値のない、クソみたいで、誰も救えるはずのない人間だからか…

 

「そうだよな…俺なんかが、仮面ライダーに憧れても、人を救えるような存在になれるわけないよな…生きる価値もないのに…うっ…うぅ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺はただ1人、誰もいない路地裏で泣いた。目から溢れ出た涙で顔はボロボロになり、雨で体はずぶ濡れになっていた。

 

 

 

「はぁ…もう、どうでもいいや…」

 

泣くのにも疲れた俺は、路地裏から出て歩き出す。

 

はぁ…もう、俺なんか生きててもしょうがないよな…もういっその事…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死のうかな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の中にそんな考えが芽生えた時、

 

「隼人!!」

 

女性の叫び声が聞こえた。それと同時に、ブーッ!!!とクラクション音が鳴り響く。それを聞き俺が顔を上げると、赤信号の中飛び出してしまった5歳ぐらいの男の子が、走ってくるトラックに轢かれそうになっていた。そこから先は、考えより先に行動だった。

 

 

 

こんな俺でも、1人だけは救えたかな…?

 

 

 

俺は最期にそう思いながら、轢かれそうな男の子を反対側の歩行者道路の少し柔らかそうな草むらに向かって突き飛ばした。

 

 

 

ドンッ!!

 

 

 

自身とトラックから鈍い音が鳴った。

 

 

 

これでようやく、誰かを助けることが出来た…

 

 

 

そこで、俺の意識はなくなった。

 

 




次回の、μ'sと仮面ライダーの物語!

「優くんのバカ…!」

─穂乃果たちの想い

「それよりも今は、絵里だな…」

─絵里の秘密…!?


「っ……あぁ、ただいま!!」


次回、『121話 あったかい人たち』



はい、ということでついに橋本拓真の前世が明かされました。拓真が死んだ理由も前々から述べられた通りではありましたが、その前の出来事を知ると少し見方が変わった方も多いかもしれません…ちなみに、以前拓真の生まれは関西と書いていたので関西弁で書こうかなとも思っていたんですが、それで読みにくくなるのも嫌だったので、とりあえず周りの人たちもいつも通りの口調で書きました。

あと、この小説は一応全年齢対象で書いてるのでグロい虐め描写などは書かないで、少し優しめに書きました。(まぁ、子供が見てるとは思いませんが笑)



そしてここで、告知致します!

次回予告では121話を書きましたが、この120話には番外編があります。ということで、本日2月24日午後8時に、『120.5話』を投稿します!それを読むとこの話の見方も変わると思うので、是非そちらも読んでみてください!

ちなみに投稿が遅れた理由の一つはこれでもあります。過去編を1話にまとめたのでただでさえ長かった今回の話に、更にもう1話分同時期に投稿しなければいけないので大変でした…


では今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想なども是非よろしくお願いします!番外編『120.5話』もぜひ読んでください!


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120.5話 拓真の過去〜真相〜

はい、120.5話です。

ということで、初の○.5話を書くことになりました!今回の話は拓真の過去編の、別視点での話となっております。多分、これを読んだら『120話』の見方も変わるかと思います。

そして、お気に入り登録してくださった方が115人になりました!本当にありがとうございます!

では120.5話、スタートです!


〜side みのり〜

 

私の名前は成瀬みのり、普通の中学3年生。私には、1年生の頃から好きな男の子がいる。彼の名前は橋本拓真くん、入学した時偶然後ろの席だった男の子。彼は人付き合いが苦手なのかずっと1人でいたけど、話しかけてみるととても素敵な人だった。

 

彼は何気ない気遣いができる優しさを持ち、彼自身人付き合いが苦手だと言うのに話が面白い。そして何より、彼といる時間が私の中で1番楽しくて、落ち着く時間。そんな彼に、私は惹かれていった。

 

でも、そんな彼と1年2年と一緒だったクラスが、3年から離れることになってしまうことが今日の始業式で分かってしまった。

 

はぁ…今年も同じクラスが良かったなぁ…

 

内心落ち込みながら、私は少ない荷物を学生鞄に詰めていく。全て片付け終わり、帰り支度を済ませた私は教室から出ていった。

 

「ねぇ、みのり。ちょっと良い?」

 

そんな私に話しかけてきたのは、福本麻耶。確か今年は橋本くんと同じクラスで、この学年の女子では一番カーストが高い女の子。私とはそんなに話したことなかったけど、何の用だろう?そう疑問に思いながら、私は彼女に着いていく。

 

 

 

「それで、話ってなに?」

 

彼女に連れてこられた空き教室で、私はそう尋ねた。

 

「あんた、2年の終わり新一に告られたって聞いたけど、ほんと?」

 

「新一…?」

 

彼女に言われた名前を自分の記憶の中から探り返していく。新一…あっ、金井くんのことか!確かに、彼女に言われた通り2年の終わり、私は彼に告白された。

 

「うん、そうだけど…」

 

「チッ…」

 

彼女の問いに答えると、舌打ちが聞こえた。

 

「なんであんたなんかを…」

 

彼女は小さく言葉を零すと、

 

パシンッ

 

と乾いた音が鳴り響き、私の頬に痛みが走る。

 

「えっ…?」

 

私は声を漏らすとようやく、自分が彼女に叩かれたことに気づいた。

 

「私、昔から新一のこと好きなんだよねぇ…なのに、なんでぱっとしない地味なあんたなんかが告られるのよ!」

 

「そんなの私に言われたって…」

 

「うるさい!」

 

福本さんはそう叫び、今度は私のお腹を殴ってきた。

 

「うぅ…」

 

「私に逆らうのは許されない!それがこの学年…いや、この学校の生徒のルールよ!」

 

なんと自分勝手なことだろうか…しかし、普段同じ学年の女子を何人も引き連れている彼女に、私一人如きじゃ逆らえないことは目に見えている。

 

「まっ、今日はこのぐらいでいいわ。これからあんたは、私のサンドバッグ決定よ。覚悟してなさい。あっ、そうだ。」

 

空き教室から出ていこうとした福本さんは、何かを思い出して立ち止まる。

 

「あんたって、橋本のこと好きなの?」

 

「あなたに言う必要ないでしょ…きゃっ!?」

 

再び私は頬を叩かれる。

 

「まだ分かってないようね。あんたが私に逆らうことは許されないのよ。」

 

「っ…好き、です…」

 

「そう…」

 

私の答えを聞いて、福本さんは不敵な笑みを浮かべる。

 

「お願い!橋本くんには酷いことしないで!」

 

「別に橋本に恨みはないから、あいつには何もしないわよ、直接はね。」

 

そう言い残し、福本さんは教室から出ていった。

 

 

 

翌日から、私は福本さんから虐めを受けるようになった。そしてもう1つ、橋本くんとの会話がなくなってしまった。何故か私と橋本くんが付き合っている、という噂が流れ出したからだ。恐らく、福本さんが流した噂だろう。直接何かしない、というのはこういうことか…

 

 

 

それから私は、福本さんや福本さんと一緒にいる女の子たちから、虐められる日々を送った。単純に暴力を受けたり、水をかけられたり、酷い時は上靴に画鋲が入っていた時もあった。あの時は事前に気づけて本当によかった…

先生は勘づいていたようだけど、虐めをしているのが社長令嬢の福本さんなので何も言わない、見て見ぬふりをしている。

 

 

 

そして時は流れ、待ちに待った夏休みを迎えた。ようやく彼女たちに虐められずに済む日々がやってきた。そう思っていた私は、運悪く初日から福本さんに遭遇した。

 

「あんた、ほんと運悪いね。夏休み初日から私に遭遇するなんて…さっ!」

 

そう言って、彼女は私のお腹を殴ってきた。その衝撃で、私は地面に踞る。

 

「まっ、私としては良いストレス発散だから嬉しいけどね。ププッ…」

 

それから私は、普段通り目立たないような所を殴られたり、叩かれたりした。

 

「ふぅ…まっ、今日はこのぐらいでいっか…じゃ、また会ったらよろしくね、サンドバッグちゃん。ふんっ!」

 

最後に福本さんが私の腕を蹴り、去っていった。

 

「いたたた…はぁ…夏休み初日から、本当についてないな…」

 

私は福本さんに連れてこられた人気のないコンビニの裏道から出て、蹴られた腕を押えながら歩いていた。そんな時、偶然通りかかった路地裏から、ある人が出てきた。

 

「あっ…橋本、くん…」

 

私の想い人、橋本拓真くんだ。

 

「成瀬さん…」

 

約3ヶ月ぶりに彼と話すことに心躍る私だったが、彼の顔の傷を見て驚いて声をかける。

 

「ってどうしたの!?凄い怪我してるよ?」

 

橋本くんの口元に傷があり、そこから血が出ていた。更に腕にも傷がある。

 

「いっ、いや…これは…」

 

何故か言葉を詰まらして答えない橋本くんが、ふと視線を下げると私の腕に目がいった。

 

「って成瀬さんも腕に痣あるよ!?」

 

「あっ…うっ、ううん。大丈夫大丈夫、さっきちょっと転んだだけだよ。」

 

私はつい嘘をついてしまった。本当のことを話すと、優しい橋本くんは私を助けようとして、彼まで酷い目に遭ってしまいそうだったから…

 

「でも早く手当しないと!あっ、家すぐそこだから…」

 

えっ!?橋本くんの家、行っていいの!?

 

「えっ、でも…」

 

ずっと行きたかった彼の家への誘いを受けた私は、驚きのあまり言葉が出てこなかった。そんな私を見た彼は、表情を暗くして言う。

 

「あっ、ごめん。嫌だよね、俺の家なんか来るの…俺のせいで流れた変な噂で、成瀬さんも嫌な思いしてるだろうし…」

 

私の曖昧な態度が、橋本くんにあらぬ誤解をさせてしまった。

 

「そっ、そんなことないよ!」

 

「えっ…?」

 

「その…私、橋本くんと一緒にいるの全然嫌じゃないよ!橋本くんと一緒に話してるの凄い楽しいし、最近話せてなくて凄い寂しいんだ…」

 

弁解しようとつい本音を言ってしまった私は、顔を赤くする。

 

「俺も!その、最近話せてなくて凄い寂しかった…」

 

「っ…」

 

嬉しい…橋本くんも、そう思ってくれてたんだ…

 

「あっ、そうだった!早く手当しないと、とりあえず家来て。」

 

「うっ、うん、ありがとう…」

 

そう答えると、私は彼の手に引っ張られて行った。

 

 

 

「ここが、橋本くんの家?」

 

彼がある一軒家の前で足を止めたので、私は彼に尋ねた。

 

「うん、そうだよ。」

 

彼がそう答えると、私は自分の手に温もりがあるのに気づき、彼に手を握られっぱなしだったことを思い出した。

 

「あっ、その…」

 

「ん?どうかした?」

 

「いや、その…手…」

 

「手?」

 

彼も忘れていたのか、私に言われて視線を手に移した。

 

「あっ!ごっ、ごめん!ほんとごめん!」

 

彼は慌てて私の手を離した。

 

「だっ、大丈夫…恥ずかしかっただけで、嫌じゃないよ…」

 

嫌なわけがない。むしろ、もっと握っていたかった。

 

私のより一回り程大きい手の温もりを思い出し、名残惜しく感じていた。

 

「えっ?そっ、そう…?あっ、その、入る…?」

 

私の言葉を聞いて少し戸惑った彼は、家のドアを開けて家に入るか聞いてきた。

 

「そっ、そうだね…」

 

 

 

「よし、終わり。これで後は、安静にしてればすぐ痕も消えると思うよ。」

 

彼の家に招き入れられた私は、彼から腕の治療を施された。

 

「ありがとう…あっ、橋本くんも治療しないと!橋本くんの方が、酷そうだし…」

 

「俺はいいよ。こんなの寝たらすぐ治る。」

 

むぅ…橋本くんは優しいけど、自分のことに関しては少し無関心なところがあるんだよなぁ…

 

「駄目だよ!私がするから、じっとしてて。」

 

彼を無理やり座らせた私は、まず顔の傷の手当てをして、次に腕の手当てをした。

 

「はい、終わったよ。大丈夫?キツくない?」

 

私は腕に巻き終えた包帯の巻き具合を彼に尋ねた。

 

「うん、大丈夫。ありがと。」

 

「ううん、こちらこそありがとう。」

 

「「……」」

 

お互いにお礼を言い合うと、さっきまでの色々と恥ずかしい会話を思い出し、沈黙が流れる。

 

「あっ、あの…」

 

沈黙に耐えきれなくなった私は、考え無しに声をかけてしまった。

 

「へっ?」

 

「いや、その…そろそろ、帰ろうかな…」

 

なんでそんなこと言っちゃったの私!?せっかく橋本くんの家に来れたのに…

 

「あっ、そうだね…」

 

 

 

「今日はありがとね…その、出来たらまた、こうしてお話ししたいな…」

 

玄関まで見送ってもらった私は、恥ずかしがりながらも今の私の気持ちを伝えた。

 

「っ…!俺もっ!俺も、また成瀬さんと話したい!」

 

「っ…良かった…」

 

彼も同じ気持ちだったことが分かり、私はつい安堵の声を漏らした。

 

「えっ?」

 

「私だけがそう思ってるのかなって、ちょっと心配してたから…じゃあ、また今度ね。」

 

私は別れの言葉を告げて、彼の家を出ていった。

 

はぁ…久しぶりに橋本くんと話せて、楽しかったなぁ…!今日ばかりは、福本さんに遭遇して良かった、かな…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 麻耶〜

 

いや、夏休み初日から成瀬を殴れて、良いストレス発散(暴力行為)になったわぁ!

 

私、福本麻耶は同級生の成瀬みのりと偶然会い、ストレス発散をしてからその辺をぶらついていた。

 

「ん…?成瀬?」

 

すると、さっき会った成瀬がある家から出てきて、上機嫌にスキップして行くのを目撃した。

 

「ここって…?」

 

成瀬が出てきた家の表札を見ると…

 

『橋本』

 

へぇ…あいつ、橋本と仲良くしてんだ…私の新一を奪ったくせに、ウザイなぁ…これは、もっとお灸を据えてあげないとね…!

 

〜side out〜

 

 

 

〜side みのり〜

 

「あんた、橋本と結構仲良くやってんの?」

 

私は夏休みも終盤に差し掛かった登校日の帰り際、いつもの空き教室に呼び出され、福本さんからそう聞かれた。

 

「えっ…?」

 

「私見たんだよねぇ…夏休み初日、橋本の家から笑顔でスキップしながら出ていくの。」

 

しまった…

 

福本さんの言葉を聞いた瞬間、私の頭は真っ白になり、サーっと血の気が引いた。

 

「なんで…私の新一を奪ったあんたの恋が成就すんのよ!ふざけんじゃないわよ…」

 

「そんな!私は金井くんを奪ったつもりもないし、橋本くんとも付き合ってるって訳じゃなくて…」

 

「うるさい!とにかく、あんたはこれから橋本と会話するな!」

 

「嫌ッムグッ…!?」

 

私が反対しようとした時、福本さんに口を塞がれた。

 

「あんた本当にバカねぇ!私に対する答えは、はいしかないんだよ!あんた、これからは橋本と関わるんじゃないわよ!もし破ったら、橋本にも危害が及ぶと思いなさい!」

 

そう言って、福本さんは空き教室から出ていった。

 

「そんな…うぅ…橋本、くん…」

 

一人残された私は、その場に崩れ落ちた。

 

 

 

そして2学期初日、下駄箱で靴を履き替えていると、

 

「あっ…」

 

私は橋本くんが来たのに気づいた。

 

「成瀬さん、おはよう!」

 

橋本くんは笑顔で挨拶してくれた。嬉しい、今すぐにでも挨拶を返したい。でも…

 

『あんた、これからは橋本と関わるんじゃないわよ!もし破ったら、橋本にも危害が及ぶと思いなさい!』

 

「っ…うっ、うん…おはよう…じゃあね。」

 

私は逃げるように教室へ上がって行った。

 

ごめんね…本当に、ごめんね…

 

 

そして、再び橋本くんを避けながら、福本さんに虐められる日々が始まってしまった…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side 麻耶〜

 

ほんと、橋本と話せなくなってからの成瀬最高!めっちゃ落ち込んでるし、私に歯向かうとどうなるか、ようやく理解してきた頃かしら?

 

でも、まだ足りないわね…新一を奪ったあいつを、もっとどん底に落としてやらないと気が済まないわ!となると、やっぱり利用できるのはあいつが好きな橋本よね…

 

ある土曜日の午前中、そんな考え事をしながら歩いていた私は、通りかかった公園のベンチに件の橋本が座っているのを目撃した。

 

あっ…良い事思いついた!私って天才じゃない?

 

「あれ?橋本じゃーん!」

 

私はそれを実行に移すため、橋本に声をかけた。

 

「あぁ、福本か…」

 

私に気づいた橋本は、興味なさげにそう言った。

 

この私に声をかけてもらったのに、その反応…ムカつく…まっ、一応この作戦はこいつも酷い目に遭うだろうし、これぐらい許してあげる。

 

「偶然だね、隣良い?」

 

すると橋本は、ベンチの隣を開けたので私はそこに座った。

 

「俺に話しかけてくるなんて珍しいな、何の用だ?」

 

「んー、特に用っていう用もないんだけどね…」

 

変に疑われないように、まずはこう言っとこ…

 

「用ないのかよ…」

 

「あっ、そうだ!前から聞いてみたいことあったの忘れてた!ねぇねぇ、橋本ってみのりと付き合ってる噂あったよね?あれほんと?」

 

私が成瀬と仲良いという風に思わせるために、呼び方もみのりに変えてそう聞いた。

 

「いや、あれはデマだ。俺の片想い、成瀬さんは俺に恋愛感情なんて抱いてないよ。」

 

やっぱり、こいつも成瀬のこと好きなのね…

 

「ふーん…じゃあ、橋本はみのりのこと好きなんだ!」

 

「まぁ…」

 

「告らないの?」

 

「えぇ!?いや、俺なんかが告っても…」

 

「そう?みのりもあんたに気がありそうだけど。」

 

「ないない!俺なんかを、成瀬さんが好きになるなんて…」

 

くっ、じれったいなぁ…

 

中々良い流れに持っていけず、私は少し苛立っていた。

 

「でもさ、ちょっと可能性あるなら、告ってみるのもいいんじゃない?あたしらもうすぐ卒業だしさ、どの道別れるなら想いを伝えるのもありだと思うけど?それで付き合えたらラッキーみたいな!そんぐらい楽に考えた方が、楽しいんじゃない?」

 

我ながら良い言い回し。これなら橋本も…

 

「なるほど…確かに卒業したら離れ離れになるしな…告白してみるのも、ありか…なんかありがとな。福本のおかげで、ちょっと悩みが軽くなった気がする。」

 

よし、乗った!

 

「それなら良かったよ!あっ、でも振られたからってあたしのせいにしないでよ?」

 

「あぁ、それはもちろん。」

 

「じゃ、あたしはそろそろ行くわ!」

 

そう言って、私は橋本と別れて走っていった。

 

よし、これで作戦の第一段階クリアね!

 

 

 

それから少し経ち、12月の初め…私は橋本に呼び出され、成瀬に告白する決心をしたと聞いた。そして、橋本は2学期の終業式の後、成瀬を体育館裏まで呼んで欲しいと頼んできた。

 

これで作戦は上手く行きそうね!今から楽しみ!成瀬の絶望に落ちる顔を見れるのが…

 

〜side out〜

 

 

 

〜side みのり〜

 

2学期も残り僅かとなった今日、私は福本さんから空き教室に呼び出された。いつも通り虐められると思っていたが、今日は私に話があるだけだそうだ。

 

「私さ、面白いこと聞いたんだよねぇ…橋本、本当にあんたのこと好きなんだって。」

 

「えっ…?そんな、嘘だよ…まさか、橋本くんが…」

 

「嘘じゃない、私直接聞いたから。」

 

えっ…?本当に…?

 

私は嬉しさのあまり頭が真っ白になり、思わず口を手で塞ぐ。

 

「でさ、橋本があんたに告りたいから2学期の終業式の後、体育館裏に来て欲しいんだってさ。良かったね、念願の橋本と付き合えることになって!」

 

「えっ…?行っていいの?」

 

「もちろん!私さ、ちょっと反省したんだよね…これまで、あんたに酷いことしすぎたなって…だから、橋本と付き合って幸せになってきな!」

 

嘘、あの福本さんが虐めをやめる、幸せになれって言ってきた…?……やったぁっ!ようやく、虐めが終わる…それに、橋本くんと付き合えるなんて…

 

「福本さん、ありが「なわけねーだろ!」えっ…?」

 

福本さんにお礼を言いかけた時、それを遮って彼女がいつものような下卑た笑みを浮かべて言った。

 

「なに自惚れてんの!私から新一を奪ったあんたを、許すわけねぇじゃん!あんたにはこれから、もっと絶望してもらうよ!」

 

そんな…やっぱり、福本さんが優しくなるなんてこと、あるわけなかった…

 

「あんた、橋本の告白を断りな!それも、あいつを罵倒して嫌われてきなよ!」

 

「そんな…絶対嫌だよ!」

 

「あんた、本当に学習能力ないねぇ…!答えは『はい』しかないんだよ!もし断ったら、橋本にも痛い目見てもらうよ。精神的にだけじゃなく、肉体的にもね!」

 

「っ…!?……分かり、ました…」

 

「ププッ…じゃ、終業式の日、楽しみにしてるから。」

 

そう言って、福本さんは教室から出ていった。

 

そんな…せっかく橋本くんに告白してもらうのに、こんなのって…

 

「こんなのって…ないよ…」

 

私は1人、座り込んで泣いた。どれぐらい泣いていたのか分からないけど、気づいたら外は暗くなっていた。

 

 

 

そして、終業式の日がやってきてしまった…

 

「あの、橋本くん…」

 

体育館裏に着いた私は、橋本くんに呼びかける。橋本くんは気づいてないみたいだけど、橋本くんの後ろの物陰から福本さんがニヤニヤしながら見ている。やっぱり、断らないとダメなの…?

 

「成瀬さん、突然呼び出してごめん。あと、来てくれてありがとう。」

 

ダメだよ、橋本くん…今から私は、あなたに酷いこと言うのに…そんな私にお礼なんて、言っちゃダメだよ…

 

「ううん…それで、話って…?」

 

本当なら夢にまで見た話を聞くのに、こんなにも聞きたくないなんて…そう思いながら、橋本くんに尋ねた。

 

「あの…成瀬さ…」

 

私の名前を呼びかけた橋本くんは、何故か止めた。

 

「みのり!」

 

私は突然の名前呼びに、目を見開いて驚く。念願の、橋本くんからの名前呼びに…

 

「1年生の時からずっと1人だった俺のことを、たった1人、あなただけが気にかけてくれて、話しかけてくれた。その事が本当に嬉しくて、俺の心の支えでした。」

 

 

「あなたの事が、好きです!!」

 

 

っ……嬉しい、涙が零れそうなぐらい…本当なら、すぐにでも私もと答えたいのに…

 

私はしばらく、零れそうな涙を堪え、俯いていた。それを不安げに橋本くんが見ているのが、何となくわかる…そして、私は意を決して口を開いた。

 

「あーあ…最悪…」

 

「えっ…?」

 

自分でも、驚くぐらい低い声が出た。橋本くんも、それに驚いている。

 

「ほんと最悪…あんたなんかに、告白されるなんて…」

 

最悪なわけない、本当は最高なのに…

 

「大体、惨めなあんたに、嫌々接してあげていたのを…真に受けて好きになるとか、ほんとダサい…」

 

嫌々なわけがない!橋本くんと過ごす日々は、私の15年の人生の中で一番楽しかった時間なのに…

 

「っていうか、名前で呼び捨てって…あんたなんかに名前呼びされるとか、ほんと気持ち、悪い…」

 

気持ち悪くなんかない!ずっと、呼んで欲しかった名前なのに…

 

もう嫌だよ…こんなの、言いたくないよ…

 

「あんたなんかと、二度とっ…二度とっ、話したく、ない!!」

 

違う!これからも、もっともっと話したい!話したいのに…

 

そして私は、一番言ってはいけない言葉を口にする。

 

「大っ、きらい…」

 

大嫌いなわけ、ないのに…もう、嫌だよ…

 

「っく…うぅ…ごめん、なさい…さよなら…」

 

橋本くんは涙を流しながら、走り去ってしまった。

 

橋本くん、本当にごめんなさい…どれだけ謝っても許して貰えないと思うけど、本当にごめんなさい…!!

 

「あーあっ、ひっどーい!」

 

わざとらしい、福本さんの声が聞こえる。

 

「せっかく橋本が告ってくれたのに、あんな酷いこと言うなんて〜!成瀬、最低だねぇ!あっはっはっはっはっ!」

 

そう言って、福本さんは去っていった。

 

 

 

ポツ…ポツ…ポツ…

 

 

 

それからしばらく、私がその場に座り込んでいると、空からいくつか水滴が落ちてくる。それは次第に激しくなり、土砂降りの雨が降ってきた。

 

「うぅ…橋本、くん…本当にごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさーーいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

私は今まで経験したことの無い程の涙を流しながら、してもしきれない後悔を胸に、そう叫んだ。

 

 

 

それからしばらくして、私は橋本くんが死んだと聞いた。死因は、トラックに轢かれそうな子供を庇ったからだそうだ。

 

最後まで、優しい橋本くんだった…それなのに…私は…私は、そんな橋本くんを裏切ってしまった。

 

橋本くんをもう二度と見ることすら出来ない。もう謝ることだって出来ない。私は、なんてことを言ってしまったのだろうか…

 

橋本くん、本当に…本当に、ごめんなさい……




いかがでしたでしょうか?拓真の過去の裏では、こういうことが起こっておりました。

僕自身こういう雰囲気の話を書くのも、同じ話を別視点で丸々1話書くのも初めてだったので、この『120話』と『120.5話』は書くのに苦戦し、ちゃんと完成させるのに時間がかかってしまいました…ラブライブ要素も仮面ライダー要素もない話自体初めてでしたからね…

しかし、次回からはμ'sのみんなもちゃんと登場致します!次回も楽しみにして頂けると嬉しいです!お気に入り登録、評価や感想などもよろしくお願いします!では、ここまで読んで頂きありがとうございました!


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121話 あったかい人たち

はい、121話です。

毎度恒例、皆様…大変お待たせしてすみません!!!2ヶ月ぶりの投稿になってしまい、本当に申し訳ありません…

更新が遅くなってしまった理由の一つに、評価0を頂き、その方からメッセージも来たので理由を聞いてみたところ、僕の作風自体が気に入らないなどというような意見を頂いてしまい、直し用もなかったのでどうすればいいのか色々と悩んだりしてしまいました…

まぁ、元々ラブライブ!と仮面ライダーという世界観が全く違う作品のクロスオーバーで、過去ライダーに変身できるお祭り作品モチーフだったり、スクールアイドルであるμ'sが変身したりしますので気に入らないと感じる方も少なくないとは思っていましたので…でも、この作品でも読んでくださっている方に少しでも面白いと思って頂けるように、そして最初は気に入らないと思っていた方でも、読み続けてみると最近意外と面白いな、と少しでも思っていただけるように、これからは今まで以上に頑張っていこうと思いました!

ということで、長くなってしまいましたが…

では121話、スタートです!


〜side 優〜

 

橋本拓真としての俺の過去を聞いたみんなは、驚愕していた。

 

「これが、橋本拓真としての俺の前世での過去だ。俺は、俺なんかが成瀬さんに話しかけたせいで気持ち悪い思いを、辛い思いをさせてしまったことが許せなかった。そしてなにより、自分から死を選んでしまったことが許せなかった…そんな自分がみんなと一緒にいていいはずがない。結局転生しても、みんなに辛い思いをさせることには変わりないって思うと怖くなった。だから、みんなの前からいなくなったんだ。」

 

過去を話し終えた俺のその言葉を聞いたみんなは、目を見開いてさらに驚いていた。

 

重苦しい雰囲気の中、しばらくみんな言葉を発さなかったが、最初に穂乃果が口を開く…前に、俺に抱きついてきた。

 

「えっ…?えっ?ほっ、穂乃果…?」

 

「優くんのバカ…!穂乃果たちが、優くんを気持ち悪がるわけないじゃん…!穂乃果たちが、優くんと一緒にいて辛いと思うわけないじゃん!!」

 

「穂乃果…」

 

穂乃果は涙を流しながら言った。すると、更に絵里も俺に抱きついてきた。

 

「そうよ!私たちは、優といる日々が本当に幸せだと感じてるのよ!」

 

「絵里…」

 

更に、ことりも抱きついてきた。

 

「優くんの過去を聞いて、優くんが不安に思うのはわかるよ…でもね、ことりたちは絶対にそんな風には思わない!そんな事はしないよ!」

 

「ことり…」

 

そして、海未と凛も抱きついてきた。

 

「そうですよ。私たちが、優と一緒にいて嫌だと感じるわけがありません。むしろ逆です。」

 

「凛たちは優くんに支えてもらいながらスクールアイドル活動をするのが幸せだし、優くんと一緒にお話ししたりするのが楽しいにゃ!それに、優くんと一緒に戦うと安心するにゃ!」

 

「海未…凛…」

 

そこに、真姫も抱きついてきた。

 

「私だって、普段は素直になれなくて言えないけど…その…優と一緒にいるのが楽しいし、優と一緒にいる方が幸せになれるわ!」

 

「真姫…」

 

更に、希と花陽も抱きついてきた。

 

「優くんの過去のトラウマが、どれほど大きくて、辛い事なのかは凄く分かった…でも、ウチらはいつでも優くんの味方!」

 

「そうだよ!私たちは、絶対に優くんを裏切ったり、優くんが嫌だと思うことはしないよ!だから、優くんも私たちを信じてくれたら、嬉しいな…」

 

「希…花陽…」

 

そして、にこも抱きついてくる。

 

「私たちは全員、優のことを大切な仲間だと思ってるわ!それだけは、忘れないで。」

 

「にこ…」

 

なんで、もっと早く気づかなかったんだろ…みんながそう思ってくれてたことぐらい、もっとちゃんと見てれば気づけたはずなのに…

 

俺、こんなに優しくされてたのに…

 

そう思うと、俺の目から涙が溢れてきた。

 

「ゆっ、優くん!?」

 

「あったかいなぁ…本当に、あったかい…」

 

溢れる涙を抑えようと、天井を見上げながら俺はそう言葉を零した。

 

もしあのまま、前世で1人だったら感じることが出来なかったであろう温もりに、俺の目からは更に涙が溢れてくる。

 

「俺、記憶にはなかったけど、無意識の内にまた前世みたいになったらどうしようって、怖がっていたんだ…みんなにもっと踏み込んで行って、最後に拒絶されたらどうしようって…でも、俺もみんなと一緒にいる内に、みんなが拒絶したりするはずないって思うようになっていった…けどやっぱり、どこかでは怖がっていたんだと思う。結局、みんなの優しさに気づけないままで…本当にごめん!」

 

「優くん…」

 

「でも、もうそんな風に思ったりしない。俺も、もっとみんなと一緒にいたい!だから、こんな俺だけど…もう一度、みんなの仲間に、スクールアイドルμ'sのマネージャーにしてください!」

 

俺は誠心誠意、みんなに頭を下げ…ようとしたけど、みんなが抱きついているのでできないため、気持ちで頭を下げた。

 

「もちろんだよ!優くん、またよろしくね!」

 

みんなを代表して、穂乃果が俺の胸元ぐらいにある頭を上げて、満面の笑みでそう言ってくれた。俺の周りを見ると、同じく抱きついてきているみんなも満面の笑みを浮かべていた。

 

笑顔で迎え入れてくれた穂乃果たちを見て、また涙が溢れそうになるのを堪えて、俺も最高の笑顔で言う。

 

「っ…ありがとう!!」

 

それを見たみんなは、満足気に俺から離れた。すると、俺の前に顔を俯かせた蓮と秀夜が立った。

 

「っ…?」

 

しばらく無言だった2人だが、蓮が俺の頭にコツっと拳を当てた。

 

「……馬鹿、野郎…」

 

力が込められていなかったため頭に痛みは感じなかったが、何故か心が痛くなった。すると、蓮が力なくそう言った。

 

「なんで、連絡寄越さなかったんだよ…!」

 

続いて、秀夜がそう言った。

 

「そりゃ小学生で離れ離れになったけど、俺たちが親友なのには変わりなかっただろ!」

 

「連絡くれれば、いつだってお前の元に飛んでいったのに…」

 

っ…!そうだ…本当は、距離は遠くても、もっともっと近くにいたんだ…離れ離れになったけど、俺にも親友がいたんだ…

 

「蓮…秀夜…ごめん…」

 

「……まっ、またこうして3人集まれたから、チャラにしてやる…」

 

蓮が俺から目線を逸らし、小さめの声でそう言った。

 

「その変わり、これからは何かあったらすぐに俺や蓮、μ'sのみんなに言うこと!」

 

秀夜は釘を刺すように鋭く、しかし優しい視線を向けてそう言った。

 

「あぁ………ありがとう!」

 

本当に、みんなあったかいな…それに、こんなに温かいのはμ'sのみんなや、蓮や秀夜だけじゃない…優奈や姉ちゃんもだし、雪穂ちゃんや亜里沙ちゃん、音ノ木坂のみんなに理事長、先輩の仮面ライダーたちだって…この世界には、あったかい人たちばっかりだよな…ほんと、なんでもっと早く気づかなかったんだろう…この馬鹿野郎()

 

「よしっ、みんな!」

 

穂乃果がそう呼びかけると、全員が俺の前に立った。ん、なんだ…?

 

「優くん!」

 

『おかえり!!』

 

「っ……あぁ、ただいま!!」

 

こうして俺、仮野優は再びμ'sのマネージャーになった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 穂乃果〜

 

優くんから衝撃的な過去を聞いた後、穂乃果はことりちゃん、海未ちゃんを家に招き入れていた。

 

「はい、お茶だよー。」

 

穂乃果は2人に温かい日本茶を出した。

 

「ありがと、穂乃果ちゃん♪」とお礼を言ってからお茶を一口飲んだことりちゃんは、今回私たちに集まりをかけた海未ちゃんに向けて話す。

 

「それで海未ちゃん、謝りたいことって…?」

 

そう。今日3人で集まったのは、前に海未ちゃんが優くんが生き返ったら話すと言っていた謝りたいこと、を聞くためだった。

 

「その…薄々は気づいていたんですが、穂乃果とことりは優のことを、異性として好きなんですよね…?」

 

「えっ…?うん…」

 

「そうだけど…」

 

突然聞かれたことに戸惑った私とことりちゃんは、少しの間顔を見合わせてから答えた。それにしても、海未ちゃんって人の気持ちには気づけるのに、なんで自分の気持ちには気づけないんだろう…同じことを思ったのか、ことりちゃんも少し苦笑していた。

 

「それでですね…実は、私も優の事が、好きになり…いえ、好きだということを自覚した、という方が正しいですね。」

 

「「っ!?ゴホッゴホッ…!」」

 

顔を赤くしながら言った海未ちゃんに、私とことりちゃんは驚きのあまり咳き込んでしまった。

 

「2人とも、どうしたんです…?」

 

事の張本人である海未ちゃんは、その様子に首を傾げていた。

 

「いっ、いやぁ…ついに海未ちゃんも、自分の気持ちに気づいたんだぁって思ってね。」

 

「ついに…って、穂乃果もことりも私の気持ちに気づいてたんですか!?」

 

私の言葉を聞いて、海未ちゃんは目を見開いて驚いた。ほんと、海未ちゃんって表情豊かだよね…ババ抜きの時とかなんてもっと凄いし…

 

「まあね…」

 

「本人が気づいてない気持ちに気づくっていうのも、変な話だけどねぇ…」

 

私とことりちゃんは、苦笑いしながらそう言った。

 

「でも、海未ちゃんが謝りたいことって…?」

 

「それが…2人の気持ちに気づいておきながら、勝手にその…優に想いを伝えてしまいました。」

 

「「…………えっ?」」

 

私たちは予想外の言葉に思わず聞き返した。

 

「いや、ですから、優にその…告白、してしまいました。」

 

「「…………えぇ!?」」

 

「なんですか今の間は…」

 

いやいや、急展開すぎでしょ!?自分の気持ちにだけ超鈍感だった海未ちゃんが好きだと自覚しただけじゃなくて、告白まで!?

 

同じことを思ったのか、ことりちゃんも凄い顔をしていた。それはもう、言葉では表せないぐらい本当に凄い顔…ことりちゃんのそんな顔、10年以上一緒にいるのに初めて見たよ…

 

「というか、そこまで驚くことですか?」

 

「いやだって、ねぇ…」

 

「うん…」

 

「「あの海未ちゃんが、ねぇ…」」

 

海未ちゃんの問いに、私とことりちゃんは顔を見合わせ、同じタイミングで同じ言葉を発した。

 

「どの私ですか…まぁ、私が恋をするなんて、自分でも変だと思いますが…」

 

「そんなことないよ!」

 

ことりちゃんが顔を一気に近づけて言ったことに、海未ちゃんは戸惑って後退る。

 

「そうだよ!確かにあの鈍感な海未ちゃんが私やことりちゃんよりも早く告白したことには驚いたけど、海未ちゃんが恋するのは全然変じゃないよ!」

 

私がそう言った後ろで、ことりちゃんもうんうん!と首を縦に振っていた。

 

「それに、私たちは怒ってないよ。ねっ、穂乃果ちゃん?」

 

その言葉に私がうん!と答えると、ことりちゃんは話を続ける。

 

「私も穂乃果ちゃんも優くんが好きで、お互い恋敵(ライバル)ではあるけど、それと同時に海未ちゃんの恋も応援してるんだよ!矛盾してるかもしれないけどね…でも、それでも応援するよ!だって…」

 

「「友達だもん!」」

 

私は最後の一言をことりちゃんと同時に言った。

 

「穂乃果…ことり…そうですね…!私だって、優のことが好きですが、穂乃果とことりの恋ももちろん応援しています!」

 

笑顔でそう言った海未ちゃんに、私とことりちゃんも微笑み返した。

 

「まぁ、応援しているけど、もちろん手は抜かないよ!穂乃果も全力で優くんにアピールするよ!」

 

「もちろんことりも!」

 

「えぇ!私だって、手加減しませんよ!」

 

「ことりちゃん、海未ちゃん。頑張ろうね!」

 

「うん!」「はい!」

 

多分、私たちの全力のアピールも、鈍感な優くんは気づかないんだろうなぁ…でも、鈍感な優くんでも好きになってくれるように、頑張るぞぉ!

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「ただいま。」

 

「あっ、お兄ちゃん!」

 

みんなと別れ俺が家に帰ると、リビングの方から優奈の声が聞こえ、それからこちらに向かってくる足音が聞こえた。

 

「おかえり!」

 

優奈は、帰ってきた俺を玄関まで出迎えに来て、そのまま抱きついてきた。俺がそんな優奈の頭を撫でると、嬉しそうに目を細める。

 

「あれ…?」

 

すると優奈が、何かに気づいたように声を上げた。

 

「どうした?」

 

「いや、いつもなら早く私から離れようとするのに、頭まで撫でてくれるなんて…何かあったの?」

 

確かに、いつもならすぐ離れようとしてるっけ…?でも、あんなことあったからかなぁ…

 

「まっ、まぁたまにはな?」

 

俺はそう誤魔化して、改めて優奈を見ると、何故かエプロンをしていることに気がついた。

 

「それより、なんでエプロンなんてしてるんだ?」

 

「フッフッフッ…まぁまずは荷物を置いてから、リビングに来てよ!」

 

「…?分かった。」

 

変なテンションの優奈を疑問に思いながら、俺は言われた通り荷物を自室に置きに行った。ちなみに、俺が一時的に死んだことを優奈には伝えていないのは、既に姉ちゃんから聞いている。

 

 

「優奈ー、荷物置いてきたぞ。」

 

俺がそう言いながらリビングに入ると、テーブルの上に既に夕食が用意されていた。

 

「これは…?」

 

「実はね、いつもお世話になっているお兄ちゃんのために、今日の夕飯は私が作ったんだ!元々料理は苦手だったから、あんまり手の込んだものは作れなかったんだけどね…作り方はお姉ちゃんに教えてもらったんだ!」

 

初めて会った時は料理どころか、卵一つ割るのにも失敗してた優奈が、形は少し崩れているもののオムライスを作るなんて……

 

「ありがとな…!」

 

俺は感動しながら、優奈の頭を撫でて礼を言った。

 

「へへへ…さっ、お兄ちゃん、冷めないうちに食べよ!」

 

「そうだな。」

 

俺は優奈に促され、椅子に座った。

 

「いただきます。」

 

手を合わせてそう言ってから、俺は優奈が作ってくれたオムライスを一口分スプーンで掬った。紫のメダルの影響で味覚を感じにくくなってるのは残念だが…折角優奈が作ってくれたんだ、出来るだけ味わって食べよう。

 

そう思いながら、俺は掬ったオムライスを口に運んだ。

 

「っ…!?」

 

「……どう?お兄ちゃん。」

 

「うっ、美味い…」

 

「ほんと!?良かったぁ…」

 

俺は驚きが隠せなかった。フィンディッシュに殺される前に食べたものより、はっきりと味を感じるからだ。

 

「美味い…こんな美味いの、久しぶりに食べた…」

 

「おっ、お兄ちゃん!?泣くほど!?」

 

俺は感極まって、涙を一筋流していた。

 

「えぇ!?お兄ちゃん、泣くほど美味しいの!?」

 

「あぁ。優奈も成長したなぁ、って思ってな…」

 

ただでさえ可愛い妹が作ってくれたご飯なのに、久しぶりに味を感じたからな…まぁ、流石にそんなこと優奈には言えないけど…

 

「えぇ…こんなことで泣くなんて、それだからシスコンとか言われちゃうんだよ…」

 

「うぐっ…!?そう言われると、否定できない部分もあるな…」

 

「まっ、私もそんなお兄ちゃんとお姉ちゃんが、大好きだけどね!」

 

「優奈…」

 

俺は感動しながらスマホを取り出し、スピーカーを優奈の方に向けた。

 

「お兄ちゃん?」

 

それを疑問に思っている優奈に、俺は一言発する。

 

「録音するから、もう1回言ってくれ。」

 

「っ…!はっ、恥ずかしいから止めてよ!お兄ちゃんのバカ!」

 

「ばっ、バカ!?優奈に、バカって言われた…………ゴクッ…美味い…」

 

俺は落ち込みたがら再びスプーンで掬ったオムライスを口に運んだ。

 

「優奈。」

 

気を取り直して立ち上がった俺は、再び優奈に声をかける。

 

「どうしたの?」

 

「優奈が妹で本当に良かった、ありがとな。」

 

そう言って、俺は優奈の頭を再び撫でた。

 

今回フィンディッシュに殺されて、仮面ライダーとして戦う俺はいつ死んでもおかしくない状況なんだと改めて実感した。神様と話して、生き返って、μ'sのみんなの言葉を聞いて、今の俺は絶対に死にたくないと思っているが、それでも危険なことに変わりはない。だから、優奈にも日頃の想いや感謝を伝えられるうちに伝えておこうと思った。

 

急に改まってそんなことを言った俺を、優奈は不思議そうに見つめている。しかし、少し時間が経つと優奈も笑顔でこう言った。

 

「私も、お兄ちゃんがお兄ちゃんで本当に良かったよ!ありがとう!」

 

 

 

 

 

優奈が作ってくれたオムライスを食べ終え自室にいると、扉をノックする音が聞こえた。

 

「どうぞ。」

 

俺がそう答えると、部屋の扉が開いた。

 

「あっ、姉ちゃん。帰ってたんだ、おかえり。」

 

俺は部屋に入ってきた姉ちゃんに、そう声をかけた。

 

「ただいま。それでその…」

 

姉ちゃんは言いにくそうに、一瞬口ごもった。

 

「μ'sのみんなに、話、出来た?」

 

「あぁ。なんか、悩んでた俺が馬鹿みたいに思えたよ。穂乃果たちがこれまで俺をμ'sのマネージャーとして活動してたのが嫌々じゃないことなんて、冷静に考えれば簡単にわかる事だったよ…」

 

「……優くん…いや、拓真くんの前世での出来事は、運が悪かったでは済ませられないことだけど…でも、拓真くんも、今の優くんも、本当に素晴らしい人間よ。前の世界でも、出会う人間が良くなかっただけ…拓真くんの素晴らしさに気づけない人だっただけ。」

 

姉ちゃんは悲しそうにそう言った。

 

「でもね、そんな前世でも拓真くんの素晴らしさに気づいてた人はいるよ。蓮くんや秀夜くん、優奈…あっ、当時は美穂だね。それから、悠斗くん、だっけ?みんな、拓真くんの良い所をいっぱい知ってるよ。それと、成瀬みのりちゃんもね。」

 

「えっ…?成瀬、さんも…?」

 

「うん。………本当は、話すかどうかすっごく迷った。拓真くんに優くんとして転生してもらった時から、いつか来るであろう記憶を取り戻してしまう時に、真実を話すかどうかずっと迷ってたんだ。」

 

「真実…?」

 

俺は姉ちゃんが言った言葉の意味を、理解出来ずにいた。

 

「でも、やっぱり優くんはこれを知っておくべきだと思う。神と会って、過去ばかり見ないで未来を見ろって言われたんでしょ?」

 

「あっ、あぁ、言われたよ。」

 

「だから、やっぱり伝えるね。これを伝えないと、優くんは本当の意味で未来には進めないと思うから。成瀬みのりちゃんが、拓真くんの告白に対してあんな酷い断り方をしたのには、理由があったの。 」

 

「えっ…?」

 

 

 

そして俺は、成瀬さんが俺と同じく虐めを受けていたこと、だから俺の告白に対して成瀬さんが普段使わないような言葉で返事をしたということ、それから、成瀬さんの本当の気持ち…

 

「そう、だったのか…じゃあ成瀬さんは、本当は俺のことを…?」

 

「うん。みのりちゃんは、本当は拓真くんのことが好きなんだよ。」

 

「そっか…っ…」

 

その時、俺の右目からつーっと一筋涙が流れ落ちた。

 

「優くん…」

 

「ごめん、大丈夫だ。」

 

俺は服の袖で涙を拭き取り、再び話を続ける。

 

「でも、やっぱり前世での後悔は残るかもな…」

 

「優くん…」

 

「だって、俺が成瀬さんへの虐めに気づいてたら、せめて成瀬さんだけでも助けられたかもしれないのにって…」

 

「それは優くんのせいじゃな…「でも…」

 

姉ちゃんがその言葉を言い切るのを遮り、俺は話を続ける。

 

「でも、神様と約束した。これからは未来に進むって…だからと言って、過去を全て忘れるわけじゃない。前世で成瀬さんを助けられなかった分、この世界で穂乃果たちが困ってたら、この世界の人が怪人に襲われていたら、今度こそ助けるって!それにさ、やっぱりまだ迷ってるんだ…」

 

「迷ってる?」

 

「穂乃果たちが仮面ライダーとして戦うこと。みんなは、元々は戦いとは程遠い位置にいたんだ。神様も、みんな自身も戦ってるのは自分自身の意思だって言ってるけど、やっぱりみんなが仮面ライダーの力を使うのは怖い…ほら、姉ちゃんたちが本来開発してない力まで、みんなは使い始めただろ?」

 

「確かに、どうやって生まれたか分からない力だし、危険よね…」

 

本来、穂乃果の金のクウガやことりのサバイブ、海未の装甲響鬼に凛のシャイニングフォームに希のキングフォームの力は開発されていなかったものだ。そんな力が何故穂乃果たちに宿ったのか…

 

「特に、穂乃果は金のクウガに変身してるし、希に至っては一度とは言え13体のアンデットと融合したキングフォームに変身している。もし今後、アンデットになったりするような事があったら…」

 

「ないとは言いきれないわね…それに、やっぱりμ'sのあの9人には何か秘密があるはずよね…もちろん、本人も知らないと思うけど…」

 

「だよな…響鬼の装甲なんて凄い修行が必要なのに、海未は変身出来ている。もちろん、あの海未の事だし、修行はしているんだろうけど…それに穂乃果だって、金のクウガをほぼ時間制限なしで使ってる。普通じゃ、ありえない…」

 

俺がそう言うと、姉ちゃんはだよね…と言って俯いた。

 

「でも、みんながあんなにはっきり戦うって言ったから、そう強く決断したから、俺はそれを応援する。何より、大切な仲間だから!」

 

俺は神様の、仲間なら信じてやれという言葉を思い浮かべながら言った。

 

「優くん…そうだね、優くんがμ'sのみんなのことを信じて、そばにいるならきっと大丈夫だよ。私に出来ることがあったら、なんでも言ってね。」

 

「姉ちゃん、ありがとう。あっ、そうだ…そういえば、優…元々この世界にいた俺から、頼まれたことがあるんだ。」

 

俺はそう言って、その概要を姉ちゃんに話した。

 

 

 

「……そっか。うん、いいと思うよ。」

 

優から頼まれたことを話してみると、姉ちゃんも賛成してくれた。

 

「じゃあ、明日は翔太郎さんの所に改めてお礼に言いに行くから、明後日にでも行ってくるよ。」

 

ラブライブ!最終予選も近いのに復帰早々、練習に2日も出れないっていうのは凄い申し訳ないんだけどな…

 

「あっ、そういえば…」

 

俺はふとあるものを思い出し、1冊の冊子を取りだした。

 

「優くん、それは?」

 

「神様と別れる時に、ホープデータボトルと一緒に貰ったんだ。まだ読んでなかったけど、何が書いてあるんだろう…」

 

俺は冊子の1ページ目を開いて読み始める。

 

 

やぁやぁ、仮野優くん。これを読んでるということは、君は無事生き返ることが出来たんだね、おめでとう。そんな君も色々と多感な高校生。そこで、君にこれを送ろう。是非使ってくれ。

 

 

開いて最初の右のページにはそう書かれており、次の左のページには、裏向きの写真がセロハンテープ1枚で止めてあった。

 

「使ってくれって、この写真のことか…?」

 

俺はそう思い、その写真を表向きにして…

 

「ぶっっ!?」

 

驚いて一瞬で裏向きに戻した。

 

「って使えるか!!」

 

「ゆっ、優くん?どうしたの…?」

 

突然叫んだ俺に、姉ちゃんが心配して声をかけてきた。

 

「いっ、いやなんでもないなんでもない!」

 

俺は慌てて本を閉じた。あんのぉ神様ァァァ!なんつー写真入れてんだよ!

 

神様が使ってくれ、と言って入れてたのは、明らかに神様が盗撮したであろう綾乃さんのパンチラ写真。ほんと、もし姉ちゃんに見られたらどうすんだよ…

 

「はぁ…」

 

俺はため息を一つつき、とりあえずもう一度本を開いた。決してさっきの写真が気になった訳ではなく、次のページからは本当に重要な何かが書かれているかもしれないから、その確かめのためだ。って俺、誰に言い訳してんだよ…

 

 

いや、さっきのはほんの出来心だ。すまないすまない(笑)

 

 

こいつ、反省する気まるで感じられない…あっ、思わず神様に対してこいつって言ってしまった…次のページに書かれいた神様の文を読み、俺は更に呆れていた。

 

 

さて、本題に入ろう。今回君にこの本を託したのは、オリジンデータボトルについてだ。

 

 

「っ!?やっぱり、真面目な話なんじゃねぇか…」

 

 

あの時は話さなかったが、俺は先代の仮面ライダーインフィニティ、オリジンデータボトルで変身していたインフィニティを知っている。だが、俺の知ってる限り当時のインフィニティには時を越える能力はなかった。

 

 

「どういう事だ…?当時のインフィニティにはなかった力ってことは、俺が変身して生まれた能力ってことか?」

 

 

だから、俺も時を越える能力について詳しくは知らなかった。そこで俺なりに調べてみたんだが、インフィニティの力はその変身者の感情に大きく左右される。オリジンの時を越える能力は、過去ばかり考えるお前に逆らおうとして上手く使えなかった。ここまでは天界でも言ったな?

 

 

 

「はい…って、俺文章なのに何返事してんだ…」

 

 

正直言うと、今現在はっきり分かってるのはこれだけだ。ただ、能力を使いこなすための策は思いついた。次のページに挟んである封筒の中身を見てくれ。

 

 

「封筒って、これか…?」

 

俺は封筒を傾け中身を出した。

 

「これって、アタックカード…?」

 

封筒の中に入っていたのは、俺が技を繰り出す時などに使うアタックカード…だが、技名などは表示されておらず、普段その技などを表す絵などが書かれている所には時計とその周りに歪んだ矢印などが書かれているが、ボヤけて色がついてない状態だ。このカードについて気になった俺は、冊子の続きを読む。

 

 

そのカードはまだ未完成だが、神である俺が持つ時間を越える力を分け与えたカードだ。神には、時間を越えたり記憶を書き換えたりと特別な力が使える。今では、天界でこの力を使えるのは俺一人だ。実は、お前が転生する時に記憶を色々変えたのも俺だ。

 

 

「姉ちゃんじゃなかったのか…」

 

「えっ?」

 

さっきから貰った冊子を読みながらブツブツ言っている俺の口から、自身に関する話題が出たため、姉ちゃんが疑問の声を上げた。

 

「あー、いや…神様には時間操作や記憶操作の力があって、俺が転生する時に記憶を変えたりしたのも神様だって書いてあったから…」

 

「あー、その件ね…そうよ、記憶の操作は神が行ったわ。」

 

「てっきり姉ちゃんがやったんだと思ってたよ。昔話した時もそんな感じで話してたり、姉ちゃんのエネルギーが足りなかったとも言ってたし…」

 

「私自身のエネルギーが足りなかったのは確かよ。ただ、誰かを転生させる時には、必ず神が一度転生者について色々確認するのよ。主に記憶面について…いくら女神だからと言っても、記憶は操れないの。もし女神みんなが記憶を操れたりしたら、財団Xとの戦いももっと大変になってると思うわ…」

 

姉ちゃんに言われて気づいた。確かにそうだ…今回ガリュサが記憶を操っただけでも厄介だったってのに…

 

「それに、転生時優くんの魂を分離させたり移したりしたのも神よ。」

 

「へぇ…そういう特殊能力みたいなのが使えるのって、神様だけなのか?この冊子には、今では使えるのは俺だけだって書いてあるんだけど…」

 

俺はふと疑問に思い、姉ちゃんに尋ねた。

 

「私も詳しくは知らないんだけど、昔はいたってのは少し聞いたことがあるわ。記憶操作や時間移動、魂の分離だったり並行世界への移動、神が持つ様々な能力を一つずつ持つ特別な女神たちがいたはずよ。」

 

「今はいないのか?」

 

「えぇ、そうみたい。なんでなのかとかは私も知らないんだけどね…謎が多すぎて噂ばかり広まっているから、天界では最早都市伝説的な扱いになってるのよ。」

 

天界にも都市伝説みたいなのあるんだな…

 

「あっ、とりあえず続き読んでみるよ。」

 

俺は姉ちゃんにそう言って、再び冊子に目を落とした。

 

 

俺の時を越える能力を分け与えたそのカードに、お前のオリジンの力を込めることでお前の意思で時間を越えることが出来るようになるはずだ。ただ、それにはお前は何度か時を越えなければならない。まだ自分の意思で時を越えられないお前には、難しいし危険だとは思うが、そこはお前の覚悟次第だ。やる気があるなら、必要な道具を渡すから優香に俺のとこまで来るように伝えてくれ。

 

 

そこで、冊子は終わった。

 

「覚悟次第、か…」

 

確かに今の状態で俺が時を越えるということは、どの時間に時を越えるのか分からないということになる。そして、いつ戻ってくるのかも分からない。危険なかけになるな…

 

「でも、それでも…」

 

俺は未来に進むって決めたから…!

 

「優くん?」

 

一人拳を握りしめて呟いた俺に、姉ちゃんが声をかけた。

 

「姉ちゃん、頼みがある。」

 

「どうしたの?」

 

「オリジンデータボトルの力を使いこなすため、協力して欲しい。」

 

「オリジンデータボトルの力って…時を越える力のこと?」

 

姉ちゃんの言葉に、俺は静かに頷いた。

 

「神様によると、このカードにオリジンの力を込めると、時を越えられるようになるかもしれないらしい。それに必要な道具を神様が姉ちゃんに渡したいらしいから、取りに行ってくれないか?」

 

「……分かった、明日行ってくるね。」

 

「悪い、ありがとう。」

 

「ううん…あっ…そういえば、オリジンもそうだけど、あの新しい力も凄いね!」

 

姉ちゃんの言う新しい力、とはホープデータボトルのことだろう。

 

「あぁ、そうだよな。敵の特殊能力を打ち消したり、エネルギーを吸い取って自分の力にできる、なんてほぼチートだもんな…流石神様からもらった力だ。」

 

俺は苦笑いしながら言った。

 

「でも、その分弱点もあるんだけどな…」

 

「弱点?」

 

「あぁ。他者からエネルギーを吸い取れる分、最初のスペックが強くないんだ…だから、相手からエネルギーを奪えなかったらそんなに強くない。いくら神様から貰った力でも、それを使う俺は人間だからな…強さにも限度があるんだ。それに、消費するライダーエナジーも多いから、長時間の変身もできない…」

 

「へぇ…あの姿にそんな弱点があったんだ…」

 

姉ちゃんはまだまだ興味が尽きていないのか、興味深そうに言った。

 

「あっ、そうだ。はい、これ。」

 

ふと思い出して姉ちゃんが俺に渡してきたのは、レッドメモリーデータボトル。

 

「この中の茜ちゃんの記憶もあったから、優くんを生き返らせることが出来たんだ。」

 

「そっか…」

 

ありがとな、茜…

 

俺はレッドメモリーデータボトルを握りしめ、心の中でそっと言った。

 

「じゃ、私は戻るね。」

 

「あっ、姉ちゃん…」

 

部屋を出ていこうとした姉ちゃんは、俺の声を聞いて再び振り返る。

 

「改めて、俺を生き返らせてくれてありがとう!姉ちゃんが俺の姉ちゃんで、本当に良かった!」

 

「優くん…私も、優くんが私の弟で本当に良かったよ!」

 

そう答えて、姉ちゃんは部屋から出ていった。

 

「それにしても、今回ガリュサが俺を生き返らせるために協力してたのは謎だよな…ガリュサ自身の目的なのか、財団Xの目的なのか…どちらにせよ不可解だな…まっ、今はあいつに警戒するしかないか…」

 

誰もいない自室で一人そう呟いた俺は、スマートフォンを取り出して再び口を開く。

 

「それよりも今は、絵里だな…」

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「仮野優がまた進化しましたか…」

 

「えぇ。それに、μ'sの中でも半数弱が我々の望む進化まで辿り着いているわね。」

 

未だ正体が謎に包まれている、白いズボンに白い服、白いローブを身にまとった薄い金髪のジェフリーという男と、ガリュサが話していた。

 

「そろそろ、君以外の最高幹部にも動いてもらうとしましょうか。」

 

「そうね。そろそろ頃合かしらね。」

 

「逆にガリュサ、君には次の任務を終えたら、しばらく戦いから離れて元の任務に戻ってください。向こうに怪しまれたら少し厄介ですからね。」

 

「えぇ、分かったわ。」

 

ガリュサがそう答えると、ジェフリーは満足気に微笑んだ。

 

「ところで、そろそろ君も、力の予備を預けてくれやしないかい?」

 

話を切り替えたジェフリーは、先程の笑みよりもどこか胡散臭く感じてしまうような笑みを浮かべて、ガリュサに尋ねた。

 

「残念だけど、ボスの言うことでもそれはまだ聞けないわ。」

 

「そうか…まぁ、今はいいでしょう。しかし、作戦実行の日までそう遠くない。それまでには、力を分けてくれることを願っていますよ。」

 

そう言って、ジェフリーは部屋から出ていった。

 

「……私にも、悠長にしている時間はないわね…」

 

一人そう呟いたガリュサ。

 

 

橋本拓真の過去がついに明かされ、更なる進化を遂げた優。

 

しかし、財団Xにも、μ'sにも、そして優にもまだ解き明かされていない秘密が残されている。それらが解き明かされるのはそう遠くない未来。それを知った優たちは、果たしてどうなるのか…優たちの未来は、果たしてどうなるのだろうか…

 

その秘密が少しずつ紐解かれることになる最初の事件は、もうすぐ目の前まで迫っていた。その事件で優たちと再び協力することになるのは、二人で一人の仮面ライダー…

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」




次回、μ'sと仮面ライダーの物語!

W編、始動!!

『今回来てもらったのは他でもない、財団Xの件について色々分かったから、直接話したいと思ってな。』

─翔太郎が掴んだ情報とは…

『はっはっはっ!素晴らしい!この力で俺は、組織を復活させそのトップに立つのだ!』

─謎のドーパントの目的とは…


『おいっ、絵里!?絵里ぃぃぃっ!!』


次回、『122話 Gの目的/風の街、風都』





ということで、『16章 過去とのケジメ編』の最終話でした。いかがでしたか?この章では拓真の過去が判明したり、優が更なる進化をしたりだとか色々ありましたね。ちなみに、ホープインフィニティはエグゼイドでいうムテキ、ビルドでいうジーニアスなどの最終フォームの立ち位置となります。あくまで例えなので、もう新しいフォームは出ないとは言いきれません。

そして、次回からは新章に入ります。タイトルは、『17章 ラブライブ!最終予選編』です。はい、そのまんまです。ラブライブ最終予選までの2、3週間の話を書いて、そこからアニメにもある最終予選の話を書いていこうと思います!

そんな17章の一発目は、16章でも登場した仮面ライダーWのメイン回!それから、17章からは投稿ペース改革を本格的に行っていこうと思います。少なくとも、この外出自粛期間はあまりすることも無いので、出来るだけ短いペースで投稿していく予定です。

更に、これからは章の中でもひとまとまりの話は2日起きぐらいに投稿していって、それが終わったら執筆時間などの関係で少し時間を置いて、またひとまとまりの話を2日起きぐらいに投稿していこうと思っています。というのも、この「μ'sと仮面ライダーの物語」はひとまとまりの話で大体3、4話です。今回の16章は、章全体でひとまとまりになってしまったので例外になってしまいますが…

その3、4話を数週間、もしくは1、2ヶ月置きに投稿していると、読者の方も前の話を忘れてしまうと思いますので…という事で、これからは例えばW編だと、W編の1話を投稿した翌日か翌々日にその2話目を、そのまた翌日か翌々日に3話目を投稿して行くという方式に変えていくので、どうかよろしくお願い致します。

ということで、またW編の1話目が投稿出来そうな日が近くなりますと、Twitterの方でも報告したいと思っておりますので、アカウントを持っている方は是非そちらのフォローもよろしくお願い致します。と言っても、最近はあまり更新できていませんが…Twitterの方も、これからは少しずつ更新していこうと思っていますので、よろしくお願い致します。

後書きが長くなってしまいましたが、今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想など頂けると嬉しいです。ではまた次回、122話でお会いしましょう!


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17章 ラブライブ!最終予選編
122話 Gの目的/風の街、風都


はい、122話です。

今回より4話にかけて、W編がスタートします。丁度10周年のW。現在風都探偵が連載中ですが、僕はまだ7巻までしか読めていないのでもしかしたら辻褄が合わないことが出てくるかもしれませんが、そこは温かい目で見て頂けると嬉しいです。

では122話、スタートです!


〜前回までのラブライブ!μ'sと仮面ライダーの物語!〜(ナレーション 仮野優)

 

アイドル研究部の仲間たちや他の色んな人達の協力のお陰で、俺はこの世界に戻って来ることが出来た。それと同時に新たな力、ホープインフィニティを手に入れた。更に橋本拓真としての過去をμ'sのみんな、蓮、秀夜に話すことで、俺はみんなの優しさに改めて気づいた。

 

そして、俺は人を守る仮面ライダーとして、マネージャーとして再出発することを決意した!

 

そんな中、色んな人の記憶があったお陰でこの世界に戻ってこれた俺は、絵里に関するある事を思い出していた…

 

 

 

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「さて、じゃあ君はそろそろあの街に向かってください。昨日も言いましたが、この任務が終わればしばらくは元の任務に戻ってくださいね。」

 

目の前のガリュサに向かって、そう言ったのは謎の男ジェフリー。

 

「えぇ。ただ、今日の任務が終われば一日休暇をくれるっていう話は、忘れてないわよね?」

 

「それはもちろん。明日は自由にしてもらって構いませんよ。」

 

そう答えたジェフリーに、ガリュサは満足気な笑みを浮かべた。

 

「それはそうと、あの組織のある情報を入手したんですよ。」

 

「あの組織っていうのは、あなたも前に所属していた1つ目の財団Xの事かしら?それとも、この2つ目の財団Xから抜け出した男が創った組織の事かしら?」

 

「後者の方ですね。」

 

「へぇ…それはとても貴重ね。未だに動きをみせないあの組織の情報なんですもの。」

 

ガリュサは少し驚いたように言った。

 

「それで、その情報って?」

 

「このUSBメモリに入っているんですが、ある計画についてのようですね…ですが、ロックがかかっていて今のところタイトルしか分かりません。そこで、あなたはあの街での任務の空き時間に、これのロックが解除できないか試して欲しいのです。向こうの拠点を使ってもらって構いませんので。」

 

そう言って、USBメモリをガリュサに差し出すジェフリー。

 

「相変わらず人使いが荒いわね。まぁいいわ。」

 

そう答え、ガリュサはUSBメモリを受け取った。

 

「ありがとうございます。」

 

「ところで、その計画のタイトルって…?」

 

「えぇ…確か、『仮面ライダー、リーパー計画』。そう表記されていましたね…」

 

「仮面ライダー、リーパー…?ということは、やっぱりあの組織もライダーシステムを開発していたのね。それにしても、不気味な名前ね…」

 

計画名を聞いたガリュサが最後にそう言葉を零すと、ジェフリーはよく理解できなかったのか不気味?と聞き返す。

 

「いえ、なんでもないわ。特に深い意味もないでしょうしね。それじゃ、私はそろそろあの街…風都に向かうわ。」

 

「えぇ、よろしくお願いしますね。メモリの方は、もう被験者に渡しているんでしょう?」

 

「えぇ。既に少し暴れたようよ。やっぱりあのメモリの能力は強力ね、楽しみだわ。」

 

不敵な笑みを浮かべ、ガリュサはその場から立ち去って行った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

俺が生き返って2日…橋本拓真としての過去をμ'sのみんなに話した翌日、俺は朝から駅に来ていた。俺を生き返らせるための作戦に協力してくれた翔太郎さんとフィリップさんにちゃんとお礼を言うため、風都に向かうためだ。それに、どうやら2人も俺に話したいことがあるそうだ。

 

ラブライブ!の最終予選も近い中、復帰してそうそう練習を休むことにはなるが、みんなの練習のサポートは蓮と秀夜に任せて向かうことにした。

 

はずだったんだが…

 

「いや、なんでいるんだよ…」

 

何故か改札の前で、秀夜、絵里、ことり、花陽が待っていたのだ。

 

「今日練習あったはずだろ?なんで4人がここにいるんだよ?」

 

「それがね…先月末に期末テストあったでしょ?」

 

絵里の言葉に俺はコクリと頷く。

 

「それで穂乃果と凛が、取っちゃったのよ…」

 

「取った…?……ってまさか…!?」

 

絵里の言葉を聞いた俺の頭に、嫌な考えが浮かんだ。

 

「多分、そのまさかよ。穂乃果と凛が、赤点を取っちゃったのよ…」

 

俺の嫌な考えが当たってしまい、俺は思わず手で頭を押さえてしまう。

 

「マジか…」

 

「一学期の時に赤点回避してからのテストも、全部ギリギリ大丈夫だったんだけどね…」

 

それでもギリギリなのな…

 

ことりの説明に俺は内心突っ込んだ。

 

「それで、ラブライブの最終予選も近いし、理事長の配慮で今日の夕方に軽いテストをして合格点を超えるだけで、とりあえず良くなったの。」

 

「それで今日凛ちゃんと穂乃果ちゃんは、海未ちゃんのお説教を受けながら勉強することになったんだ。」

 

絵里と花陽の言葉を聞いて、俺は苦笑いするしかなかった。

 

「それで穂乃果の勉強を海未が、凛の勉強は真姫が見ることになったんだけど…蓮とにこも赤点ギリギリでね、蓮は凛と同じく真姫に、にこは希に見てもらうことになったのよ。」

 

蓮もにこも赤点ギリギリだったのかよ…まぁ、ギリギリでもしっかり赤点は回避してるってとこは、にこらしいけどな…

 

「それはわかったけど、4人はなんでここで待ってたんだ?」

 

俺のその問いに、ことりと花陽が説明し始める。

 

「それがね…私も穂乃果ちゃんの勉強の手伝いしようと思ったんだけど、ことりは穂乃果を甘やかすので今日は私一人で見ます。って海未ちゃんに言われちゃって…」

 

「私も…花陽は凛を甘やかすからダメよ。って真姫ちゃんに言われちゃったんだ…」

 

あー、なんか凄く納得してしまった…

 

「それで、せっかくだし俺たち4人も、優と一緒に翔太郎さんたちにお礼を言いに行こうと思ってな。」

 

「そういう事か…それならそうと、連絡ぐらいしろよな…」

 

「まっ、ちょっとしたサプライズにしようと思ってな…」

 

そう言いながらニヤッと笑みを浮かべている秀夜を見た俺は、ため息を一つ着いた。

 

「まぁ、事情はわかったよ。じゃあ行くか!」

 

 

 

それからしばらく電車に揺られ、俺たちは風都までやってきた。

 

「「うわぁっ…!でっけぇ(おっきい)風車!」」

 

風都のシンボルタワーである風都タワーを見た俺とことりは、同時に言葉を発した。

 

「ふふっ…穂乃果もここに来た時同じことを言っていたわ。」

 

その様子を眺めていた絵里はそう言って微笑んだ。

 

俺もなんだかんだで一緒に活動を始めてもうすぐ1年になるし、ことりに関しては幼馴染だしな…ふと出る言葉が似てきたのかもな。

 

 

『いやーっ、今日もパンが美味い!』

 

 

いや、それはなんか嬉しくないな…

 

俺は穂乃果が毎日のように言っている言葉を思い浮かべながら、そう考えた。

 

「確か、この中で翔太郎さんに依頼に行ったのは、絵里だけだったっけ?」

 

「そうよ!道案内は私に任せて!」

 

自信満々でそう言った絵里に案内してもらい、俺たちは鳴海探偵事務所に向かうのであった。

 

 

何故だろう…なんか、とても嫌な予感がする…

 

そして案の定、今日二度目の俺の嫌な予感が的中してしまった。

 

「あれ?おかしいわね…こっちだったはずなんだけど…」

 

自信満々で俺たちを案内していた絵里だったが、途中から顔色が変わり焦りだした。まぁ、簡単に言えば迷ったのだ。

 

二度目の合宿の辺りから絵里のポンコツな面が段々と見え始めてたとはいえ、まさか本当に迷うとは…生徒会長でμ'sを認めないって言ってた頃の絵里からは考えられなかったなぁ…

 

「絵里ちゃん、もしかして…」

 

「まっ、迷ってないわよ!迷ってない!ちょっ、ちょっと考えてただけよ!」

 

ことりに疑念の目を向けられた絵里は、焦ってそう答えた。

 

「いや、そんな焦ってたらバレバレだから…迷ったなら素直にそう言えよな。今どきスマホで調べれば一発なんだから…」

 

呆れながらそう言った俺は、スマホの地図アプリで鳴海探偵事務所を調べた。

 

「ほら、出たぞ。って……こっから真逆なんですけど?」

 

 

 

 

 

「翔太郎さん、こんにちは。」

 

「おー、よく来たな!」

 

それから俺たちは、地図アプリ通り道を引き返して何とか鳴海探偵事務所に辿り着いた。

 

「ちょっと座って待っててくれ。フィリップも呼んでくるから。」

 

俺たちは翔太郎さんに言われた通り、探偵事務所の入ったところにある赤いソファに俺と絵里とことりが、その隣に用意してくれた2つの椅子に秀夜と花陽が座った。

 

すると、帽子が飾られている扉が開き、フィリップさんが現れた。

 

「やぁ、昨日はあまり話す時間がなかったから、改めて久しぶりだね。優くん。」

 

俺はフィリップさんに挨拶を返すため立ち上がる。

 

「はい。お久しぶりです、フィリップさん!翔太郎さんも!」

 

「おう!生き返ったばっかで言うのも変だが、元気そうで何よりだ。μ'sのみんなも、改めてよろしくな。」

 

翔太郎さんの言葉に、μ'sを代表し絵里が「はい。」と答えて2人は握手を交わす。

 

「そういえば、一昨日からずっと気になってたことがあるんですけど、いいですか?」

 

ふと何かを思い出したことりが、そう言った。

 

「どうした?」

 

翔太郎さんはことりの方に振り向いて、そう言葉を返す。

 

「翔太郎さんとフィリップさんって、二人で一人の仮面ライダーに変身してますよね?あれってどうなってるんですか?」

 

「あっ、あーそれのことか…」

 

「そういえば、前に優くんも蓮くんと変身してたよね?」

 

過去に俺と蓮もWに変身していた事を思い出して言った花陽の言葉に、翔太郎さんは少し驚いている。

 

「あー、確かエアー…エアー…?なんだっけ…?エアーポッツ?と戦った時のこと?」

 

「エアスな…」

 

ことりの間違いに俺は呆れ混じりに言った。

 

ことりがそんな間違えするなんて珍しいけど、なんで敵をイヤホンと間違えるんだよ…しかもそれならポッズだしな…

 

「あー、私あれ欲しいのよね…ことりも欲しいの?」

 

いや絵里、それ以上に突っ込むとこあるでしょ!

 

「それよりことり、今はWの仕組みについてだろ?」

 

「あっ、そうだった!えへへ…ごめんなさい。」

 

これ以上話が脱線しないため言った俺の言葉を聞き、話の議題を思い出したことりは顔を少し赤らめながら言った。

 

その様子を見て声を出して翔太郎さんが笑っていた。

 

「翔太郎さん?」

 

「いや、悪い悪い。なんか安心してな、優にもちゃんと仲間がいるところを見れて。」

 

「えっ?」

 

翔太郎さんの言葉を疑問に思った俺は、つい聞き返してしまう。

 

「ほら、前にあった時はダチになろうって言った弦太郎に対して、その…ちょっと素っ気なかっただろ?」

 

少し言いにくそうに言葉を詰まらせながら、翔太郎さんが聞いてきた。

 

「あっ…いや、その…あの時はまぁ、いろいろあって…」

 

今の俺にとっては少し黒歴史みたいに感じていることを聞かれ、言葉を詰まらせながら答える。恐らく、今の俺の顔は少し赤くなってることだろう。

 

「まぁその…あれだ、近いうちに弦太郎にも会いに行ってやれ。心配してたぞ、優のこと。」

 

「弦太郎さん…ありがとうございます、また顔見せに行ってきます。」

 

一人で勝手に人と関わるべきじゃないと考えていた俺が、本当に色んな人に心配をかけていたことを俺は改めて実感した。

 

「そういえば、Wについてだったよね?」

 

フィリップさんが元の話に戻そうとそう言い、Wについての説明を始めた。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

「とまぁこんな感じで、僕の意識が翔太郎の身体に移って、二人で一人の仮面ライダー、Wに変身しているんだ。」

 

それからWについての説明を受けたのだが…

 

「えっと…」

 

その説明に、ことり、花陽、絵里、秀夜全員がぽかんとしている。正直な話、Wに変身したことのある俺ですら原理についてはよく分かっていない。

 

「まっ、一回聞いても分からないよな…百聞は一見にしかず、なんて言うが、俺なんて何度も変身してるけど未だに全部は理解しきれてねぇからな…」

 

翔太郎さんも頭をポリポリ掻きながら言った。

 

「さて、そろそろここに来てもらった本題に入ろうか?」

 

持っている本をパンっと音を鳴らして閉じ、フィリップさんが言った。俺たちはそんなフィリップさんの方に向き直る。

 

「今回来てもらったのは他でもない、財団Xの件について色々分かったから、直接話したいと思ってな。」

 

薄々そうだろうとは思ってたが、翔太郎さんの言葉を聞いて未だ多くの謎に包まれている財団Xの存在に近づけるかもしれないと思い、心臓がドクンッと音を鳴らした。

 

「まず…最初に言っておくが、今から話すことはこれまで戦ってきた優たちには、ちょっとショックなことかもしれない…」

 

翔太郎さんは息を一つ吐き、ゆっくりと話した。

 

俺たちにとって、ショックなこと…?

 

「実は、財団Xは今3つに分裂した状態だ。」

 

「3つに分裂…?」

 

確かにそれが本当なら、敵が増えるという意味でかなりショックだな…

 

「あぁ…フィリップ、説明頼む。」

 

翔太郎さんに「あぁ。」と答え、フィリップさんが説明を始めた。

 

「僕達が財団Xの存在を掴んだのは7年ほど前だけど、本当はそれ以上も前から暗躍していた組織なんだ。勿論、結成当初は1つの組織として活動していた。」

 

「それが、今は3つの組織に…?」

 

「あぁ。もう優くんたちも知っているとは思うが、今君たちが戦っている財団Xは本来この地球にはいない、天界にいる女神たちと手を組んでいる。」

 

「っ!?知ってたんですか…?」

 

俺は驚き、慌てて聞き返した。

 

「僕の脳内には、地球(ほし)の本棚という地球の全てと言っていいほどの情報を知ることが出来る空間があるんだ。だから、女神という存在が地球に来て、財団Xと手を組んでいることも知っている。地球外である、女神が本来暮らしている場所、天界のことについては全く分からないけどね…」

 

地球の本棚で、そこまで調べることが出来るのか…ってことは、まさか…!?

 

「もちろん、君が女神の力で別の世界から転生してきた人間だってことも調べ済みだよ、優くん。」

 

やっぱり…それも分かってるのか…

 

「悪いな、優。勝手に調べたりして…」

 

申し訳なさそうに翔太郎さんが言った。

 

「いえ、大丈夫ですよ。」

 

その言葉に、俺は笑って返事した。

 

「それで、その3つに別れた財団Xっていうのは?」

 

秀夜がそう聞き、フィリップさんが話を戻す。

 

「その元々一つだった財団Xから、10数年ほど前ある男が脱退した。その時は多数の女神が地球に降りてくる前だったが、その時から地球にいる女神も少し存在していたようだ。その男はその内の何人かの女神と手を組み、第二の財団Xを立ち上げた。」

 

俺は反乱が起こる前から女神様がこの世界にいたことに驚いた。

 

「でも、それじゃ二つですよね?」

 

秀夜の問いに、フィリップさんが頷きながら答える。

 

「三つになったのはつい最近、2年ほど前の事のようだ。しかし、その理由についてはキーワード不足でまだ分かっていないんだ。」

 

「二つ目の組織については、まだ何の手がかりも無い…そこで聞きたいんだが、優たちがこれまで財団Xと戦ってきたなかで、もう一つの組織について何か手がかりは無かったか?」

 

「もう一つの組織…」

 

「あっ!仁がこの世界に来た時戦ったのって、財団Xとは違う組織だったよな?」

 

翔太郎さんの言葉を聞いて考えていた秀夜が、仁がこの世界に来た時に戦った組織のことを思い出した。

そういえば、あの時グラスが…

 

 

『スーツを着た男…?見ての通り、私たち財団Xは白服を着ているので、財団Xではないでしょう。心当たりがないこともないですが、正確には分かりませんので、今は私の口からは言わないでおきましょう。』

 

 

とか言ってたな…心当たりあるってことは、何か関係はあるのかもしれない。ということは、ニュートがいた組織が3つ目の組織なのかもしれないな…

 

「どうした?何か知ってるのか?」

 

「そういえば以前、並行世界からある仮面ライダーを連れてきて、その仮面ライダーの持つパンドラパネルっていう物を奪おうとしてた連中と戦ったことがあるんです。それについて財団Xに聞くと、別の組織だが以前関わりがあった、というようなことを言ってたんです。」

 

「なるほど…確かに、その組織が3つ目の組織の可能性があるね。もう少し詳しく、その組織について教えて欲しい。」

 

俺の言葉を聞き、フィリップさんは顎に手をつけながら言った。

 

「そうですね…あの組織の人間は、財団Xとは対照的に黒いスーツを身にまとってましたね。あと、敵幹部の女が、財団Xの女も変身していたデビュラーという怪人に変身してましたね…」

 

とりあえず思い付く2つを挙げた。そして更に考えると、ある一つのことを思い出した。

 

「そういえば、その組織の敵についてなんですが…普通財団Xのドーパントやヤミーなどの敵にしろ、財団Xと関係のない他の敵にしろ、ダブルやオーズ、俺が変身するインフィニティなど、どんな仮面ライダーでも倒せるじゃないですか?」

 

「あぁ、そうだな。」

 

俺の言葉に翔太郎さんはそう言って納得し、フィリップさんも横で頷いている。

 

「でも、その組織が送り出した敵は、その仮面ライダーの力でしか倒せないらしいんですよ…」

 

「その仮面ライダーの力でしか…?」

 

「例えば、その時の敵はビルドっていう仮面ライダーの敵のスマッシュだったんですけど、インフィニティに変身して戦っても倒せず、ビルドの力を使って倒したんです。」

 

「その仮面ライダーの力でないと倒せない敵…興味深いが、実に厄介だね。」

 

「ダブルにしか変身できない俺たちが、その組織の別のライダーの敵といくら戦っても倒せないってことだもんな…」

 

苦い顔を浮かべ、フィリップさんと翔太郎さんは呟いた。

 

「そうなんですよね…俺たちも並行世界から来た仁がビルドの力を持ってなかったら、太刀打ち出来ませんでしたから…」

 

「なるほどな。とりあえず、今貰った情報も頼りにまた色々探ってみるか…」

 

翔太郎さんがそう言った時、探偵事務所の扉が大きな音を立てて開いた。

 

「翔太郎くん!フィリップくん!」

 

扉を開け手入ってきたのは女性。その女性は焦った様子で2人の名前を言った。

 

「亜樹子?」

 

亜樹子、と呼ばれた女性はドアから事務所内の段差を駆け足で降りて翔太郎さんの元まで来ると、俺たちの方を見る。

 

「あれ?もしかして依頼人?」

 

「いや、まぁ前の依頼人だな。ほら、亜樹子がフィリップと調査に出かけてた時に来たって話しただろ?今日は色々と他の件の報告をするために来てもらったんだ。」

 

俺たちについて聞いた亜樹子さんに、翔太郎さんが説明する。

 

「あー!聞いてるよ!君たちも翔太郎くんたちと同じ仮面ライダーなんだよね?私はこの事務所の所長の、照井亜樹子。よろしくね!」

 

笑顔でハキハキとした声でそう言われた俺達も、笑顔で挨拶を返しながら頭を下げる。

 

「それより随分と焦っていたようだけど、どうかしたのかい?アキちゃん。」

 

「あっ!そうだった大変だよ!ドーパントが暴れて、大勢の人たちが倒れてるの!」

 

「何!?」

 

「翔太郎さん!」

 

亜樹子さんの報告を聞き、翔太郎さんと俺は頷きあって探偵事務所を飛び出した。その後ろを追って、秀夜、絵里、ことり、花陽も飛び出した。

 

 

 

「はっはっはっ!素晴らしい!この力で俺は、組織を復活させそのトップに立つのだ!」

 

俺たちが現場に到着すると、全身白くもやもやした煙のような見た目で、黄色い複眼の怪人がいた。しかもその見た目のように、体から白い煙がふわふわと上がっていた。そんな謎のドーパントが、いかにも悪が言いそうなセリフを叫んでいた。

 

だが、問題はその周りで倒れている老若男女問わない大勢の人。

 

「こんな大勢の人を…」

 

「アァ…?なんだ貴様ら?」

 

俺たちに気づいたドーパントは、首をねっとりとこちらに回し低い声で言った。

 

「この街の人を泣かすヤツらは許さねぇ…!」

 

ドーパントの問いには答えずそう言った翔太郎さんは、ダブルドライバーを腰に巻き付けた。

 

「行くぜ、フィリップ!」

 

翔太郎さんはこの場にはいないフィリップさんの名前を呼んだ。恐らく、ダブルドライバーを巻きつけたことで、探偵事務所にいるフィリップさんと会話をしているのだろう…

 

その様子を見たドーパントはピクリと反応したため、それで翔太郎さんの正体には気づいたようだ。

 

「お前ら、仮面ライダーか?しかもそのドライバー…お前が風都の仮面ライダー、ダブルかァ…」

 

『ジョーカー!』

 

翔太郎さんはジョーカーメモリを起動させた。

 

「「変身!」」

 

翔太郎さんが変身と掛け声を言った瞬間、本来翔太郎さんにしか聞こえないはずのフィリップさんの声も重なって聞こえたような気がした。

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

翔太郎さんは転送されてきたサイクロンメモリを差し込み、更にジョーカーメモリも装填しドライバーを展開させた。そして翔太郎さんとフィリップさんは、仮面ライダーW サイクロンジョーカーに変身した。

 

「行くぜ。はぁぁぁっ!」

 

Wはドーパントの方へ走り出し、戦闘を開始した。

 

「優!ぼうっとしてないで、私たちも行くわよ。」

 

Wの戦闘に気を取られていた俺は、絵里に言われはっと気がついた。

 

「あっ、あぁ。そうだな、行こう!」

 

そう言って、俺はインフィニティドライバーを巻き付けた。

 

「あっ、悪い…俺、この前使ったメモリーコネクトってカードの影響で、しばらく変身できないんだ…」

 

「あっ、そうなのか…よしっ!俺のために使ってくれたカードだし、ここは俺が頑張らないとな!」

 

秀夜の言葉にそう答え、オリジンデータボトルを取り出した。

 

『オリジン!』

 

「「「「変身!」」」」

 

『CAST OFF』

 

『ガンフォーム』

 

俺は仮面ライダーインフィニティオリジン、ことりは仮面ライダー龍騎、絵里は仮面ライダーカブト、花陽は仮面ライダー電王 ガンフォームに変身した。

 

『スペシャル召喚 インフィニティソード!』

 

『ソードベント』

 

俺はインフィニティソード、ことりはドラグセイバー、絵里はカブトクナイガン クナイモードを取り出し、近距離戦でドーパントに攻撃していく。電王は少し離れたところから、デンガッシャー ガンモードでドーパントを撃っていく。

 

「はぁっ!」

 

俺がドーパントに斬りかかると、攻撃が命中したはずのそのドーパントは消え、その場にはさっきまでやつが体から出していた煙がふわふわと舞い上がってるだけだった。

 

「どういうことだ…?」

 

消えたドーパントに困惑し俺たちが行方を探してると、Wの背後にドーパントが現れ、首を掴んだ。

 

「くっ…!?これまた、トリッキーな能力を使う、ドーパントだな…」

 

「翔太郎さん!」

 

俺はドーパントの手からWを救出しようと、インフィニティソードを構えるが…

 

「動くな!」

 

そう叫んだドーパントは、俺が今いる位置からインフィニティソードをどう振り下ろしても、Wを巻き添えにしてしまう位置で捕まえている。要は、人質だ…

 

人質を取られたことで動けない俺たちだが、その中で一人、絵里はゆっくりと手をベルトの右側へ動かそうとしていた。恐らく、クロックアップでWを救い出すつもりのようだ。

 

しかし、それを見逃さなかったドーパントは、空いている手で絵里に少し触れた。それに気づき、絵里はビクッと震える。

 

「絵里!」

 

「あぁ…そういえば、お前はクロックアップとやらが使えるって組織が言ってたな…」

 

っ…どうにかして絵里とWを助け出さないと…

 

「……理由は知らないが、まー、一人ぐらいならいいか…」

 

そう意味の分からない言葉を一人呟いたドーパントは、「ふっ…」と笑ってから言う。

 

「絢瀬絵里…お前は厄介だ、そこで倒れてる人間たちと同じようにしてやる。」

 

そして、ドーパントは絵里に触れている手を絵里の顔の前に移動させた。

 

「っ…」

 

その瞬間、絵里のベルトからカブトゼクターが外れた。

 

「絵里!?」『絵里ちゃん!』

 

強制変身解除してしまい、その場に倒れた絵里を咄嗟に抱えた。

 

「おいっ、絵里!?絵里ぃぃぃっ!!」

 

俺は必死に声をかけるが、絵里は意識を失ってしまっている。

 

「何しやがった!?」

 

怒りを顕にした翔太郎さんが、ドーパントに言った。

 

「へっ…だったら、お前も同じようにしてやる。」

 

絵里と同じようにドーパントがWの顔の前まで手を動かすと、ダブルも強制変身解除して倒れてしまった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「翔太郎!」

 

その頃、鳴海探偵事務所ではWが変身解除してしまった影響で意識が戻ったフィリップが、飛び起きて翔太郎の名を叫んだ。

 

「フィリップくん!?」

 

その様子を見た亜樹子が驚いているのを気にも止めず、フィリップは悔しそうに、固く握りしめた拳を地面に叩きつけた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「翔太郎さん!」

 

その倒れた翔太郎さんを、ことりと花陽が抱える。

 

「っ…てめぇ…何が目的だ!」

 

俺のその言葉に、ドーパントは少し笑って答える。

 

「俺の目的か?まあいいだろう、教えてやる。俺はこの力を使って、ミュージアムを復活させる!!」

 

「ミュージアム…?」

 

「そうだ。ミュージアムを復活させ、園崎の代わりに俺が新たなトップに立つ!そのためにはまず俺の力を知らしめて、財団Xに認められるのさ!」

 

そう豪語するドーパントに、俺の怒りは更に大きくなった。

 

「そんなことのために…無関係な人を何人も…?絵里も翔太郎さんも、そこに倒れている人たちも、それだけのために襲ったのか!」

 

「あぁ、そうだ。まっ、別にいいだろ。どうせ普通の、くだらない人生を送る人間ぐらい襲ってもな。偉大なるミュージアムの復活ための犠牲になるんだからな!」

 

「……ことり…絵里を頼む…」

 

俺は倒れてる絵里をことりに頼み、ホープデータボトルを取り出した。

 

『ホープ!』

 

俺は仮面ライダーホープインフィニティに変身し、ドーパントに飛び蹴りを浴びせた。しかし、それを先程のように煙を残して消え、俺の背後に現れ、俺に触れようとしてきた。恐らく、絵里や翔太郎さんの意識を失わせたのと同じことをしてくるつもりだろう。

 

「っ!?気づいてたのか…」

 

しかし、最初から背後に回ってくることを予想していた俺は、ドーパントが伸ばしてきている手を止めるため、手首を掴んだ。俺はこのドーパントに対する怒りのあまり奴の手首を掴んでいる手の力を更に強め、そこからドーパントのエネルギーを吸収していく。

 

「っ…!?これは…力が吸収されていってる、だと…!?くそっ……っ!?」

 

ドーパントは再び消えて俺から逃れようとしたのだろうが、出来なかった。

 

「なんで、消えられないんだ…!?」

 

「このホープインフィニティがお前に触れている限り、お前の能力は使えない。」

 

「くそっ!」

 

俺はドーパントを掴んだまま、取り出したインフィニティソードでドーパントを斬り裂いた。

 

「俺は、約束したのに…」

 

さっきの攻撃で倒れたドーパントを再び掴み上げながら、俺はそう言った。

 

「アァ?」

 

なんの脈絡もなく突如こぼした俺の言葉に、ドーパントが低い声を漏らす。

 

「絶対に俺が守るって、約束したのに…!」

 

誰にも見えない仮面の下で、俺は歯を食いしばりながら言葉をこぼした。

 

「それに、絵里だけじゃない…くだらない野望のために、関係のない何にもの人を襲ったお前を、俺は絶対に許さないッ!!」

 

俺はその言葉を言い終わるのと同時に、掴んでいるドーパントを蹴り飛ばした。

 

「へっへっへっ…いくらお前が俺を許さなくても、お前の仲間も、他のやつらももう助からねぇんだよォ!」

 

「本当にそうか…?お前のメモリをメモリブレイクすれば、倒れてる人たちも元に戻るんじゃないのか?」

 

「あぁ?何夢見たこと言ってやがる。そんなわけないだろ。」

 

「何…?」

 

最初はそう疑問の声を漏らした俺だが、ある考えが頭に浮かんだ。

 

そうだ…よくよく考えれば、このドーパントを倒したからって絵里たちが元に戻るとは限らなかった…最近現れる敵は、ニュートのように敵自身を倒せばその能力も解除されたり、解決するための何かが現れることがほとんどだった。思えば、それはただ幸運だっただけだ…普通なら、そんな都合のいいことなんてない。

 

「もうお前に、その女を助ける術はない!はっはっはっはっはっ!!」

 

現実を突きつけられた俺は、手の力がぬけてインフィニティソードを地面に落とした。その隙に、高笑いしながらドーパントは煙となって消えた。ドーパントが消えたその場所を、放心状態の俺はただ見つめることしか出来なかった…

 

 




μ'sと仮面ライダーの物語

「さぁ、検索を始めよう。」

「俺に質問するな。」

「ガス・ドーパント、反撃といかせてもらうぞ!!」

次回、『123話 Gの目的/サイクロンの力』

これで決まりだ。





という事で、W編1話でした。W編1話にして、翔太郎がまさかの意識不明状態に…果たしてどうなるのやら…

という事で、今回はこの辺で…次回は明日の18時に投稿予定です。そちらも是非ご覧下さい。お気に入り登録、評価や感想なども是非よろしくお願い致します。ではまた次回、お会いしましょう。


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123話 Gの目的/サイクロンの力

はい、123話です。

では123話、スタートです!


〜side 優〜

 

ドーパントが逃げた後、倒れた人たちは全員病院に運ばれた。俺、ことり、花陽、秀夜は絵里が運ばれた病室にいる。

 

「くっ…」

 

解決策どころか、あのドーパントが何をしたのかも掴めなかった俺は、椅子に座り悔しさのあまり右手の親指の爪を、左手にぎゅうと押さえつけていた。

 

「待たせたね、優くん…」

 

そこに、ガララと音を立てて扉が開き、フィリップさんと亜樹子さんが入ってきた。しかし、相棒である翔太郎さんも意識不明なため、当たり前といえばそうだがフィリップさんも暗い。

 

「落ち込む気持ちは分かるけど、そんな暇はないよ、優くん。」

 

俺の肩に手を乗せ、フィリップさんが言った。

 

「あのドーパントは助ける方法がないと言ったが、まだそうと決まったわけじゃない。まずは、あのドーパントの正体を探ろう。」

 

「そうですね。まだまだ諦めるには早いですよね!」

 

フィリップさんだって辛いのに、俺は元気づけられてしまった。俺よりも何倍も長い間戦ってきた先輩はやはり凄い、俺は改めてそう感じた。

 

「さて、まずはあのドーパントについて検索してみよう。」

 

そう言ったフィリップさんは、両手を横に広げて目を閉じた。

 

「さぁ、検索を始めよう。キーワードは、『消える』。『意識不明』。ん…やはりこれだけのキーワードじゃ、なかなか絞れないね…」

 

俺たちには分からないが、フィリップさんが入った地球(ほし)の本棚では、あのドーパントについて検索が行われているようだ。しかし、フィリップさんは中々情報が絞れず苦戦してるようだが…

 

「……そうだ、あのメモリの流出源は確か…続いてのキーワードは、『財団X』。」

 

あのドーパントがガイアメモリをもらった組織である、財団Xをキーワードに追加したようだ。しかし、元々ミュージアムに資金援助をしていた財団Xに関わっているメモリも多いため、絞りきれない。

 

「まだダメか…他に何か、手がかりは…」

 

キーワードか…何かあのドーパントについての情報………そうだ!

 

「フィリップさん、確かあのドーパントって体から煙みたいなの出してましたよね。」

 

「なるほど、次のキーワードは、『煙』。」

 

そう言ってしばらくすると、フィリップさんが目を開いた。どうやら、情報が出たようだ。

 

「なるほど…あのドーパントのガイアメモリがわかったよ。メモリの名前は、『ガス』。そのメモリで変身したのが、さっき戦った『ガス・ドーパント』さ。」

 

「名前から察するに、ガスの力を使うってことですか?」

 

俺がそう聞くと、フィリップさんは「そのようだね。」と言って頷き、再び説明し始める。

 

「あらゆるガスの能力を使えるようだ。それに、ガス以外にも空気中の気体なども操れるようだ。翔太郎たちが倒れたのは、超強力な毒ガスの影響のようだ。あの毒ガスは排出されてからすぐに消えてしまうが、その一瞬の間に吸ってしまった人への影響がかなり大きいようだ…」

 

「毒を、消す方法は…?」

 

俺の言葉に、フィリップさんは苦い顔で首を横に振った。

 

「方法は書いてない…少なくとも現代の普通の医学じゃ、治す方法はない。それも、あの毒ガスを受けた人物は、毒を受けてから1日で死ぬ。」

 

「そんな…じゃあ、今日中になんとかしないと…」

 

落ち込んだ俺だが、そこで一つ考えが浮かんだ。

 

「そうだ…!レッドメモリーならもしかして…」

 

俺はレッドメモリーデータボトルを手に取って呟いた。

 

レッドメモリーデータボトルには治癒能力があるが、この力を手に入れた当初は俺の保持してるライダーエナジーが少なかったなどの理由から大きな傷や病気の治癒は出来なかった。でも、今ならもしかして…

 

「なにか思いついたのかい?」

 

「はい…俺の変身する姿の一つに、治癒能力を持ってる姿があるんです。強力な毒を除去できるかは分かりませんが、もしかしたらできるかもしれません…」

 

「……うん、確かにやってみる価値はありそうだね。」

 

俺はそう言ったフィリップさんに頷き、インフィニティドライバーを巻き付けた。

 

「とりあえず、やってみます。変身!」

 

俺はレッドメモリーデータボトルをベルトに差し込んだ。そしていつも通り変身していく…はずだったんだが、ベルトからレッドメモリーデータボトルが弾き飛ばされ地面に落ちた。

 

「ってて…」

 

「優くん!?」

 

「大丈夫!?」

 

倒れた俺にことりと花陽が駆け寄って声をかけた。

 

「あっ、あぁ…悪い、大丈夫だ。ってなんで…!?レッドメモリーズフォームに変身するために使用するライダーエナジーぐらいなら、まだ残ってるはずなのに…」

 

俺は変身出来なかったことを疑問に思いながら、落ちたデータボトルを拾い上げた。

 

「っ!?球体の部分が、白くなってる…?」

 

俺はデータボトルを見て驚いた。本来レッドメモリーデータボトル本体の上についている赤く炎を象ったような形をした球体が、白いただの球体に変わっていた。

 

「どういうことだ…?」

 

「詳しくはわからないが、緊急事態のようだね?」

 

「はい…この前まで変身出来てたはずなんですけど、何故か変身出来なくなってしまって…なんでだろ…」

 

「今は理由を考えても仕方ない。変身出来ないなら、別の解決策を考えるしかない。」

 

「そうですね…別の解決策、か…」

 

フィリップさんの言葉に、再び頭を悩ます。

 

「こうなったら、姉ちゃんの力を借りるしかないか…」

 

「優くんのお姉さん…ってことは、女神かい…?」

 

フィリップさんの問いに、俺は頷いて答えた。

 

「女神?優くんのお姉さんが?」

 

しかし、この場で唯一俺について詳しく知らない亜樹子さんが、その言葉を不思議に思い首を傾げている。

 

「えっ?えっと、いやぁ…その…」

 

それに俺が戸惑っていると、

 

「僕も聞いたことしかない話なんだけど、優くんのお姉さんは女神のように美しいらしいんだ。」

 

フィリップさんが上手くフォーローしてくれた。それを聞いて「私も会ってみたい!」とフィリップさんに話している亜樹子さんを見て、もし会って期待に添えなかったらどうしよう…と別の不安が生まれてしまったが…

 

それから俺は、一度フィリップさんたちに断りを入れ、病室から出て姉ちゃんに電話をかけた。

 

『もしもし優くん、どうしたの?』

 

「それが…風都でドーパントと遭遇して…」

 

 

 

〜〜〜

 

『そう、そんなことが…』

 

俺は諸々の事情を姉ちゃんに説明した。

 

「その…なんとか治療することは出来ないか?」

 

『そうねぇ…現代の医学じゃ治せないとなると、神なら何とかできるかもしれないけど私じゃ無理ね…と言っても、何もしない訳には行かないわ。とにかく私も、すぐ優くんたちのいる病院に向かうわ!そっちで何か解決策がないか調べてみる。』

 

「わかった!」

 

『あっ、でもちょっと待って。ドーパントが変身に使ったガイアメモリがあれば、何とか出来るかもしれない…メモリブレイクした状態でも大丈夫だから、回収しておいてくれる?』

 

「わかった、こっちは任せてくれ!解毒役の調査は頼む。」

 

俺はそう言って電話を切った。

 

「くそっ…さっき俺がドーパントの言葉に気を取られてなければ…」

 

そう呟いた俺は、拳を強く握りしめていた。

 

 

 

 

 

「どうだった…?」

 

俺が病室に戻ると、不安そうにことりが聞いてきた。

 

「今のままじゃ治す方法はないけど、あのドーパントが変身に使ってるガイアメモリがあれば出来るかもしれないらしい。」

 

「ガイアメモリか…それって、メモリブレイクした状態でもいいのかい?」

 

「はい、大丈夫みたいです。」

 

「よし…なら、とにかく今はあのドーパントを倒すしか方法はないようだね。倒れた人たちが毒ガスを受けたのは午前11時頃だから…リミットは明日の午前11時頃だね。それまでにドーパントを倒そう。」

 

「はい!」

 

俺がそう答えた時、病室の扉が開いた。

 

「残念だが1日もない。」

 

そう言いながら、赤い革ジャンを着た男性が入ってきた。状況が状況なため、俺と秀夜は警戒してことりと花陽を庇うように前に立った。

 

「竜くん!」

 

しかし、亜樹子さんが嬉しそうに男性に駆け寄り、抱きつきながら声をかけたので、知り合いだと分かりほっとした。

 

「今朝ぶりだな、所長。」

 

革ジャンの男性はそう言って、亜樹子さんの頭を撫でた。

 

「あの…あなたは?」

 

「俺は照井竜、風都署の超常犯罪捜査課に所属している。」

 

革ジャンの男性…照井さんは警察手帳を見せながら答えた。

 

って、警視!?見た目若そうなのに…

 

俺が警察手帳に書かれていた階級を見て驚いた時、亜樹子さんが照井さんの腕に自分の腕を絡ませ、肩に頭に乗せて言う。

 

「そして、私の旦那さんでもあります!」

 

満面の笑みで言った亜樹子さんを見て、さっきの所長呼びに不服そうだった理由がわかった。

 

「あっ、俺は仮野優です。よろしくお願いします。」

 

今度は俺が自己紹介すると、秀夜、ことり、花陽も続いて挨拶した。

 

「ところで竜くん、さっきの1日もないっていうのは?」

 

「昨晩、あのドーパントに4人の警察官が襲われ、内3人はあの毒ガスを受けている。時間は22時頃だ。」

 

「なら、今日の22時までに解決しなければならない、ということのようだね。」

 

顎に右手を添えながら考えていたフィリップさんが言った。

 

「とにかく今は、ドーパントを急いで探すしかなさそうですね…」

 

そう言った俺は、4枚のカードを腰のアタックバックルにスキャンし、ライオンハイパーメカアニマル、ホークメカアニマル、シャークメカアニマル、ペガサスメカアニマルを召喚した。

 

「あっ、その動物さんたち召喚するなら、ことりたちもやろっか?」

 

「そうだね!」

 

「俺もそれぐらいなら出来そうだな…」

 

俺がサポートメカアニマルを召喚したのを見て、ことりはシープハイパーメカアニマル、花陽はディアーハイパーメカアニマル、秀夜はバットハイパーメカアニマルを召喚した。

 

「みんな、お願いします!」

 

花陽の言葉を合図に、召喚したメカアニマルたちがドーパント捜索に向かった。

 

「優くん!今のは何だい?」

 

それを見ていたフィリップさんが、意気揚々とした様子で聞いてきた。

 

「あれはメカアニマルと言って、俺たちのサポートをしてくれるメカです。」

 

「おぉ!それは実に興味深い!是非調べたいところだが…」

 

興奮していたフィリップさんだが、この状況で聞くべきではないと思い引き下がった。

 

「とりあえず、僕たちも手分けしてドーパントを探そう。」

 

ということで、俺とフィリップさん、照井さんとことり、秀夜と花陽に別れてドーパントを探し始めた。亜樹子さんは病院に残ることになった。

 

 

 

「もしもし、穂乃果か?」

 

病院から出た俺は、ドーパントを探す前にフィリップさんに一言断りを入れて穂乃果に電話をかけている。

 

『優くーん!助けてぇ、海未ちゃんが鬼だよぉ!』

 

一番に穂乃果の叫ぶ声が聞こえてきて、少し耳がキーンとする。それから、電話越しに海未の叱咤する声も聞こえてきた。

 

「大変なところ悪いが穂乃果、緊急事態なんだ。」

 

『……どうしたの?』

 

真面目な話なんだと気づいた穂乃果は、海未から逃げ回るのを一旦止め、落ち着いた声で聞いてきた。

 

「実は、絵里が敵にやられて意識不明の状態なんだ…」

 

『えぇ!?じゃあ穂乃果達もすぐそっちに…』

 

「いや…悪いんだけど、穂乃果たちはそっちに残ってて貰えないか…?」

 

仲間の絵里が大変な時に残っていてくれ、なんて酷なことを言っているのは承知の上だが、恐る恐る提案してみた。

 

「今日のテストを乗り越えないと、ラブライブ!の最終予選には出場できない。もしそうなったら、絵里が目覚めた時悲しむだろ?絵里は絶対に俺たちが助ける!だから穂乃果と凛は、今はそっちで勉強を頑張っててくれないか?」

 

『わかった!こっちは任せて、絶対に合格するから!優くん、絶対にことりちゃんも花陽ちゃんも秀夜くんも、絵里ちゃんも一緒に帰ってきてね!』

 

「あぁ!約束する!」

 

そう答えて俺は電話を切った。

 

「すみません、お待たせしました。」

 

電話を終えた俺は、フィリップさんの元に戻ってきた。

 

「さてと…それじゃあ、ドーパントを探し始めるとしよう。」

 

フィリップさんの言葉に頷き、俺とフィリップさんは動き出した。

 

「あれ?そういえば、翔太郎さんがいなかったら変身出来ないんじゃ…?」

 

色々あって忘れていたが、フィリップさんは翔太郎さんと二人で一人の仮面ライダーWに変身するため、翔太郎さんがいないと変身出来ないはずだ。

 

「その通り、Wには変身出来ないよ。」

 

「Wには?」

 

俺がそう聞き返すと、フィリップさんはダブルドライバーではない、もう一つのベルトを取り出した。

 

「ロストドライバー…」

 

「これは翔太郎が使ってる物なんだけどね、翔太郎が気を失っている間だけ借りることにしたんだ。それに以前、僕もこのドライバーを使って変身したことがあるんだ。だから、これがあれば一先ず変身は出来るだろう。」

 

「なるほど…」

 

「ただ、変身出来たからと言ってあのドーパントに敵うかは分からない。」

 

「……その、こんな時にとても言い難いんですが…」

 

俺は恐る恐るフィリップさんに声をかける。

 

「どうしたんだい?」

 

「俺がさっき変身したホープインフィニティは、能力が強大な分ライダーエナジーという力を沢山消費してしまうんです。さっきの戦いでライダーエナジーを沢山消費しちゃって、もうホープインフィニティに変身する分のライダーエナジーは残ってないんです。」

 

「そうか…分かった。だったら優くん、君にもう一つ頼みたいことがある。これが、今回の作戦の要だね。」

 

「今回の作戦?」

 

それから俺は作戦の概要を聞いて驚いたが、あのドーパントを倒すには現状これが一番有効的だろうと思った。そして、作戦を実行するべく俺たちはガス・ドーパント捜索に向かった。

 

 

 

 

ごめん…絵里、守れなくて。お前のことも、あの時の約束も…絵里が目覚めたらちゃんと話すから、もうちょっと待っててくれ…

 

絵里も、翔太郎さんも、街の人々も絶対に助ける!絶対にガス・ドーパントを倒して、みんなが目覚める方法を見つけ出す!

 

 

 

俺は心の中で、そう強く誓った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side ことり〜

 

私、南ことりは風都で出会った照井竜さんという警視さんと一緒に、怪物を探している。

 

けど…初めて会った人だし、なんか怖そうだし、正直緊張しています…

 

「あっ、あの…」

 

私は照井さんの後ろをトコトコ歩いてる道中、緊張しながらも照井さんに声をかけた。

 

「なんだ?」

 

「今って、どこに向かってるんですか…?」

 

恐る恐るそう質問してみたけど…

 

「俺に質問するな。」

 

少し威圧感のある声でそう返されてしまい、私は思わずビクッとしてしまう。

 

「すっ、すまん…つい口癖で…」

 

そんな私の様子を見た照井さんは、焦ったように弁解してきた。見た目は怖そうだけど、やっぱり警察官で仮面ライダーだし本当は優しいのかな…?

 

「それで、どこに向かっているかだったな?」

 

そう聞かれたので、私はコクリと頷いた。

 

「昨日襲われた4人の内毒ガスを受けていない1人が、犯人について掴んだらしい。それで俺と同じ超常犯罪対策課の刑事がそれについての資料を用意してくれたそうだ。今はその刑事のところに向かっている。」

 

そう答えた照井さんは、再び歩き始めた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 秀夜〜

 

「探すと言っても、俺たちこの街のこと全然知らないしな…とりあえず、怪しそうなとこ見て回るしかないか…」

 

「そうだね…でも、絶対に絵里ちゃんも、翔太郎さんたち街の人も助けないとだね!」

 

「あぁ!」

 

俺と花陽はこの辺の土地勘が全くないので、とにかく虱潰しに探していくことにした。

 

「ふんっ…ぬぬぬぬぬ…!」

 

俺が河川敷を見回っていると、突然花陽の声が聞こえたため振り返った。

 

「って花陽、何してんだ…?」

 

花陽は何故かマンホールを開けようとしていた。

 

「ぬぬぬぬぬぅ…くぅっ…!」

 

「うぉっと!」

 

花陽が限界で力が抜けそうになっていたので、俺が慌ててマンホールを持ち支えた。

 

「流石にこの中には、いないと思うけど…とりあえずこれ下ろすぞ。よいっ、しょっ…!っとと…」

 

俺と花陽は一先ずマンホールを横にずらした。

 

「ふぅ…って、ん…?」

 

「秀夜くん?って、あれ…?」

 

マンホールに続く地下を覗いて言葉を零した秀夜に続き、花陽も中を覗くと、何かに気づいた。

 

「この下にある通路、妙に整備されてるな…電球がついてるみたいだし…」

 

「もしかして、本当にこの中に何か手がかりがあるとか…?」

 

2人は顔見合せて頷き合い、中に入っていった。

 

〜side out〜

 

 

 

 

〜side ことり〜

 

「これが最近この街で暴れた怪物の情報をまとめた資料です。」

 

そう言って照井さんに資料を渡した中年の男性。右手に持ってるツボ押し器を肩に当ててるのが特徴的だけど、人当たりの良さそうなその男性は、刃野警部補。照井さんの部下の方で、同じく超常犯罪捜査課に所属していると先程挨拶を受けた。

 

「それから、これの最後の方に昨夜刑事を襲った怪物の情報もまとめてあります。」

 

そう言われた照井さんは、パラパラと資料を捲りさっきの怪物、ガス・ドーパントの写真が写っているページで止めた。

 

「……っ!もう奴のアジトまで掴んでいたのか…」

 

「えぇ、昨日怪物の攻撃を受けてなかった刑事がつけて行ったそうで…」

 

「そうか…わざわざ届けてもらってすまない。」

 

「いえいえ…それにしてもこんなに若い女の子と一緒なんて、隅に置けませんな〜。亜樹子の嬢ちゃんにバレたら、大変なことになるんじゃないんですか〜?」

 

刃野さんが私の方を見てニコニコしながら言ってきたので、思わず「へぇっ!?」と声を上げてしまった。

 

「冗談はよせ。それより、追い詰めたと言っていたガイアメモリの売人の件はどうなっている?」

 

照井さんは刃野さんの言葉に全く動じず、話を切りかえた。

 

照井さんのクールでしっかりとした性格からなのもあると思うけど、やっぱり一番は照井さんと亜樹子さんの間に信頼感があるからこそ、そうならないことが分かっているのだろうなぁ…私も、いつか優くんとそんな関係になれたら…

 

って、いけないいけない!今はそんな場合じゃないのに!一人妄想に浸りそうになりかけたところを何とか踏み止まり、2人の会話に耳を傾ける。

 

「あぁ…その件なら、自分の失態で取り逃してしまいまして…今真倉が追っています。申し訳ない!」

 

「失態?何があった?」

 

そう聞かれた刃野さんは、下げていた頭を上げて理由を説明し始める。

 

「それが…後一歩のところで、その売人が『ツチノコ!』と叫びまして…思わずそのツチノコを探そうとしてしまった瞬間に、逃げられてしまいました…」

 

「……そうか…」

 

えっ…?今時ツチノコに騙される人って、本当にいたんだ…

 

取り逃した理由を聞き、私は思わず顔を引き攣らせてしまった。これにも動じない照井さんは流石だなぁ…と思いながら照井さんの顔をよく見てみると、頬がぴくぴくと動いているのが目に付いた。

 

流石の照井さんでも、これには少し驚くみたい…すると、刃野さんの携帯電話から着信音が鳴り響き、「失礼します」と一言言って電話を始めた。

 

「またか…」

 

ボソッと呟いた照井さん。

 

「えっ?前にも、こんなことがあったんですか…?」

 

「あっ、あぁ…まぁ、ツチノコだったりUFOだったりに騙されていることは、何度かあったな…」

 

何度かなんだ…照井さんの言葉に、私は思わず更に苦笑してしまう。

 

「まぁでも、あれが刃野警部補のいい所でもある。みんながみんなそうでは困るが、警察官の中にはああいった真っ直ぐな刑事も必要だと、俺は思っている。」

 

そう言って少し笑みを浮かべた照井さんを見て、今回ドーパントについての資料を刃野さんに頼んだのが、ただ部下だからと言った理由だけじゃないことを理解した。

 

「警視、真倉が売人を捕まえたそうです。」

 

電話を切った刃野さんがそう言った。

 

「そうか。じゃあ、売人の方は頼む。俺はドーパントを追う。」

 

「了解しました、失礼します!嬢ちゃんもまたな。」

 

「はい!」

 

私に軽く手を振って言った刃野さんに、少し頭を下げて言葉を返した。そして刃野さんは去って行った。

 

それを見送っていた私の後ろで、照井さんは貰った資料を読んでいた。

 

「……ドーパントの正体は、後藤晴彦…7年前まではミュージアムに所属していた研究員だったが、組織崩壊してからは行方をくらませていたのか…それが今になってドーパントとしてミュージアムを復活させると暴れだした、か…」

 

そう呟いた照井さんは、誰かに電話をかけていた。

 

「フィリップか?ドーパントのアジトがわかった。」

 

照井さんは電話をかけた相手であるフィリップさんに、怪物のアジトについて説明してから電話を切った。

 

「悪いが君は、病院に戻って仮野の姉に現状の報告をして欲しい。」

 

「わかりました!気をつけてくださいね。」

 

私の言葉に頷き、照井さんはドーパントのアジトへ向かって行った。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「ん…?ほぅ…よくここがわかったな。」

 

照井の情報からガス・ドーパント…後藤晴彦がアジトにしている廃工場を突き止めたフィリップは、彼のいる部屋に侵入した。

 

「だがちょうど良い。俺の目的にお前ら仮面ライダーは邪魔だ。ここでお前も殺してやる。」

 

『ガス!』

 

後藤はガスメモリを起動させ、服の襟を捲りそこに隠れていた生体コネクタに差し込み、ガス・ドーパントに変身した。

 

「お前は相棒がいないと変身出来ないんだろ?諦めて、大人しくその相棒と同じ毒ガスであの世に行くんだな。」

 

「ふっ…それはどうかな?」

 

そう言ったフィリップは、ロストドライバーを腰に巻き付ける。

 

『サイクロン!』

 

「変身。」

 

『サイクロン!〜〜〜♪』

 

起動させたサイクロンメモリをメモリスロットに差し込み、ロストドライバーを展開させたフィリップは、仮面ライダーサイクロンに変身した。

 

「ん…?どういうことだ、そんな姿になることは聞いていないぞ。」

 

「この姿になるのもかなり久しぶりだからね。僕は仮面ライダーサイクロンだ。行くよ。」

 

フィリップは高速でガス・ドーパントに近づき、風を纏った手で手刀攻撃を食らわせた。

 

「っ…!?速い!?」

 

「この仮面ライダーサイクロンはメモリ一本で変身する分、通称のW以上にそのメモリの能力に特化している。室内で風がない分本来より少し劣ってしまうが、自分で起こす風により高速移動が可能となるというわけさ。」

 

「くっ…ぐぁっ!?」

 

フィリップの説明を聞きながら立ち上がろうとしていたガス・ドーパントの背後から、斬撃攻撃を食らわせた人物が…

 

「照井竜!」

 

「待たせたな、フィリップ。」

 

右手にアクセルの専用武器、エンジンブレードを持ちアクセルドライバーを腰に巻いて現れたのは照井竜。照井はフィリップに向かって歩き出し、その際に剣先が地面に着いているエンジンブレードを引きずってキィーッと音が鳴る。

 

「さぁ、振り切るぜ。」

 

『アクセル!』

 

照井はアクセルメモリを起動させ、アクセルドライバーに装填する。

 

「変…身ッ!!」

 

『アクセル!』

 

アクセルドライバーのハンドルを回した照井は、仮面ライダーアクセルに変身した。

 

「行くぞ、フィリップ。」

 

「あぁ。」

 

まずフィリップが高速で動き相手を翻弄し、その隙に照井がエンジンブレードで斬り裂く。更にフィリップが蹴り飛ばし、ガス・ドーパントは壁際まで吹っ飛んだ。

 

「これで決める。」

 

『アクセル!マキシマムドライブ!』

 

照井はアクセルドライバーのグリップを握り、一気に飛んだ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

照井は下降しながら、ガス・ドーパントへ後ろ回し蹴りを思い切り放った。しかし、ガス・ドーパントは当たる寸前のところで気体化してフィリップの背後に回り、殴り飛ばした。

 

「しまった!?」

 

照井が着地してそう声を上げた時にはガス・ドーパントが背後に移動してきており、彼も蹴り飛ばした。

 

「さっきは少し油断したが、気体化出来る俺の前ではその程度の速さは無意味。だが、お前らは俺を怒らせた。今にそれを後悔することになるさ。ふっはははは!!」

 

そう高笑いしたガス・ドーパントは一旦落ち着き、両手を胸元ぐらいまで上げた。

 

「俺の最強の能力で、お前たちの息の根を止めてやろう。文字通りの方法で、な。」

 

そう言い、ガス・ドーパントは胸元にある両手を合わせ、パンっと音を鳴らした。

 

「「っ!?」」

 

その瞬間、フィリップと照井の体がビクッと動く。10秒をほど経つと、倒れている2人はもがき苦しみ始めた。更に10秒ほど経つと、変身まで強制解除されてしまった。

 

「驚いたか?このガス・ドーパントは空気中のあらゆる気体を操ることが出来る。今この部屋の酸素を全て抜いた。これでもう一分もすれば、お前たちの意識は完全に失われるだろうなっ!! せいぜい苦しんで死ぬがいい!!」

 

そう声を大にして言ったガス・ドーパントは、再び高笑いした。その時だった。

 

『エレキ・ON』

 

「ライダー100億ボルトブレイク!!」

 

突如現れた仮面ライダーフォーゼ エレキステイツが、ビリーザロッドでガス・ドーパントを斬り裂いたのだ。

 

フォーゼはエレキスイッチと、先程まで透明化するために使っていたステルススイッチをOFFに戻し、通常の仮面ライダーフォーゼ ベースステイツに戻った。

 

『ロケット!』

 

フォーゼはエレキスイッチを取り外し、代わりにロケットスイッチを装填した。

 

『ロケット・ON』

 

右手にロケットモジュールを出現させたフォーゼは、左腕でフィリップと照井を担ぎ、ロケットモジュールで一気に加速し飛び、部屋の壁を壊して外に脱出し2人をおろした。

 

「……っ!はぁはぁはぁ…助かったよ、優くん。」

 

「いえ、危険な賭けになってしまいましたけど、作戦大成功ですね!フィリップさん、照井さん!」

 

礼を言うフィリップにそう答えながらフォーゼは変身解除し、仮野優の姿に戻った。

 

「あぁ、そうだな。」

 

3人がそう話していると、先程のダメージでまだフラフラしているガス・ドーパントも外に出てきた。

 

「どういうことだ!?何故お前はあの空間で普通に呼吸していた!」

 

「そりゃ、俺が今変身しているのは宇宙服みたいなもんだからな。酸素がない空間でも、呼吸ぐらい出来るさ。だからフォーゼに変身して、途中で透明化した状態であの部屋に忍び込んだのさ。まぁ、5秒で忍び込んで隠れ、また透明化して5秒でお前の前に現れるのには少し苦労したがな…」

 

「っ!?まさか、俺が酸素を抜く能力を持っていることを知っていたのか!?」

 

「当たり前さ、僕が地球(ほし)の本棚で君に関する全ての情報を閲覧した。だから、君が空気中の酸素を抜くことが出来ることも、その能力はさっきまでいたような小さな部屋でしか使えないことも知っている。」

 

フィリップの説明を聞いたガス・ドーパントは悔しそうに唸る。そして、優が話す。

 

「だから、その能力を使えないように外に移動するために、俺たちが一芝居打ったってわけだ。後はお前を倒すだけだ。ガス・ドーパント、反撃といかせてもらうぞ!!」

 

 

 

 

 

その頃、ある場所にてガリュサはある男と話していた。

 

「ここは…?何故、私が…?」

 

「悪いけど、その質問には答えられないわ。ただ、あなたに頼みたいことがあるの。」

 

そう言って、ガリュサは男に二つのアイテムを手渡した。

 

「これは…」

 

「今、左翔太郎とフィリップが少しピンチに陥っているわ。それを使って彼らを助けるのも、助けないのもあなたの自由よ。ただ、あなたがここに留まっていられるのは2時間だけよ。」

 

 

 

ガリュサと話している男とは誰なのか…

 

敵である翔太郎たちの手助けを促しているのは何故なのか…

 

ガリュサの目的とは一体なんなのか…

 

謎は深まるばかりであった。

 




μ'sと仮面ライダーの物語

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

「全て…振り切るぜ!」

「お久しぶりですね。仮面ライダーW。」

次回、『124話 Nの復活/風を愛した男』

これで決まりだ。




という事でW編2話目、いかがでしたか?小説限定ライダーである仮面ライダーサイクロンというレアな姿も登場しました。このように、W編は少し思い切って書いたことが後いくつかございますので、お楽しみに!

そして最初に投稿した時、後書きと次回予告を書き忘れていて大変申し訳ございませんでした。

書き足した後書きのタイトルを見て頂ければわかる通り、タイトルの前半が『Gの目的』から『Nの復活』となっております。本来ダブルはひとまとまりの話中は、アルファベットの部分は変わらないんですが、今回は変えさせていただきました。どうしても変えたくて、どうしてもこの話はこれっていうのがあったんですよね…ですので、この小説オリジナル設定ということで(笑)

W編4話中、3つも前半の部分のタイトルを変えるのは結構欲張っちゃいましたね…

では今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想なども是非よろしくお願い致します!ではまた次回、お会いしましょう。


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124話 Nの復活/風を愛した男

はい、124話です。

という事で、W編3話目。今回はなんとあの人が!?

では124話、スタートです!


〜side 優〜

 

「さて、後はお前を倒すだけだ。ガス・ドーパント、反撃と行かせてもらうぞ!!」

 

ガス・ドーパントの前に並び立った俺、フィリップさん、照井さん。

 

「ちっ…だったら、お前らァ!」

 

ガス・ドーパントがそう叫ぶと、鼻と耳にピアス、首にネックレス、指に指輪など、アクセサリーを何個も付けたガラの悪い男が2人現れた。

 

『コックローチ!』

 

『バード!』

 

2人の男は、それぞれコックローチ・ドーパントとバード・ドーパントに変身した。

 

「フィリップ、仮野。こいつらは俺に任せろ。」

 

『トライアル!』

 

「変…身ッ!」

 

照井さんは仮面ライダーアクセルトライアルに変身した。

 

「全て…振り切るぜ!」

 

照井さんはエンジンブレードを取り出し、二体のドーパントを連れて少し離れて戦い始めた。

 

「お前ら、何を勝った気でいる?俺の酸素吸収能力を防いだ程度で、相棒を失ってWへの変身能力も失ったお前が、あらゆる気体を操ることが出来る俺に勝てるわけないだろ!まぁ、たとえ相棒がいた所で何も変わらないだろうがな!俺の毒にまんまとやられた、あんな雑魚がいた所でな!!」

 

ガス・ドーパントの言葉を聞いた瞬間、フィリップさんの威圧感が強まった。

 

「翔太郎は確かにカッコつけようとして行動が空回りしたり、情に流されすぐに騙されたりしてしまったりハーフボイルドな所もある。ただ、彼は誰よりもこの街を愛し、この街を泣かせる者を許さない、僕のたった一人の最高の相棒だ!」

 

落ち着いている普段よりも何倍に張り上げた声の、フィリップさんのその言葉からは、翔太郎さんへの想いが強く感じられた。

 

「僕の相棒のことを侮辱した君を、この街の人々と僕たちの大切な後輩を泣かした君を、僕は…いや、僕たちは絶対に許さない。」

 

「フィリップさん…」

 

翔太郎さんとの相棒としての絆と、この街の人々への愛と、絵里の事を大切な後輩と思っているフィリップさんを見て、俺はつい彼の名を呟いてしまった。

 

「僕の相棒は翔太郎だけだ。ただし、一緒に戦う仲間はたくさんいる。優くん、この街の人を助けるために、仲間として一緒に戦ってくれるかい?」

 

フィリップさんはそう言って、翔太郎さんのダブルドライバーとメモリ3本を俺に渡してきた。

 

「はい!もちろんです!」

 

俺はそう答えて、受け取ったダブルドライバーを腰に巻き付けた。すると、フィリップさんの腰にもダブルドライバーが現れる。

 

『サイクロン!』

 

『ジョーカー!』

 

フィリップさんはサイクロンメモリ、俺はジョーカーメモリを起動させた。

 

「「変身!」」

 

フィリップさんがサイクロンメモリをダブルドライバーに装填させると、俺のドライバーにそのメモリが転送されてきた。俺はそれを差し込み、ジョーカーメモリも装填してドライバーを展開させた。

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

俺たちは仮面ライダーW サイクロンジョーカーに変身した。

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

 

「ミュージアムを復活させる俺に罪なんてあるか!!マスカレイド・ドーパント!」

 

ガス・ドーパントの掛け声と共に、20体程のマスカレイド・ドーパントが出現した。

 

「優くん、行くよ。」

 

脳内でフィリップさんの声が鳴り響く。

 

「はい!はぁっ!」

 

俺は風を纏った足で次々にマスカレイド・ドーパントを蹴り飛ばしていく。

 

『ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 

ジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填し、ボタンを押した。

 

「「ジョーカーエクストリーム!」」

 

数体のマスカレイド・ドーパントが集まったところにジョーカーエクストリームを放った俺たちは、着地して別のメモリを取り出す。

 

『ヒート!』

 

『メタル!』

 

『ヒート!メタル!』

 

仮面ライダーW ヒートメモリに変身した俺たちは、メタルシャフトでマスカレイド・ドーパントを次々に殴り倒していく。

 

『メタル!マキシマムドライブ!』

 

メタルシャフトにメタルメモリを装填すると、シャフトの両端から炎が吹き出した。

 

「「メタルブランディング!」」

 

炎を帯びたメタルシャフトで何体かのマスカレイド・ドーパントを倒したことで、残り僅かとなった。

 

「次はこれだ。」

 

『ルナ!』

 

『トリガー!』

 

『ルナ!トリガー!』

 

仮面ライダーW ルナトリガーに変身した俺たちは、トリガーマグナムを取り出した。

 

『トリガー!マキシマムドライブ!』

 

「トリガーフルバースト!」

 

トリガーマグナムにトリガーメモリを装填し、分裂した弾で残りのマスカレイド・ドーパントを全て倒した。

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

「これであとはお前だけだ、ガス・ドーパント!」

 

再びサイクロンジョーカーに戻った俺たちは、ガス・ドーパントに向かって走り出す。

 

「はぁっ!」

 

ガス・ドーパントに飛び蹴りを放った俺たちだが、気体化されて避けられてしまう。

 

「優くん、エクストリームで行こう。」

 

「えっ?でも、相手が俺だと流石にエクストリームはきついんじゃ…」

 

フィリップさんの言葉に、そう問いかけた俺。

 

「あぁ、変身できるかすら怪しい。本来エクストリームは、僕と翔太郎が完全調和することで変身出来る姿だ。はっきり言うけど、それを僕と君でやるのは本来不可能だ。だが、今の僕と君はお互い大切な人を救いたいという強い目的で戦っている。」

 

「でも、いくら想いが同じでも、それだけで変身できるとは…」

 

「確かにその通りだ。でも、今の優くんの中に眠る力は、前に会った時よりも遥かに強い。優くんにはかなりの負担をかけることにはなってしまうが、君の力を最大限まで引き出すことで短時間だが変身することは可能かもしれない。かなり危険だが、僕とこの悪魔のような賭けに相乗りして欲しい。優くん、君にその勇気はあるかな?」

 

「もちろん。絵里も、翔太郎さんも、街の人々も助けるためだったら、そのぐらいやりますよ!」

 

俺の答えを聞いたフィリップさんは「ふっ…」と声を漏らした。すると、倒れているフィリップさんの体を、飛んできたエクストリームメモリが吸い込み、こちらまで飛んできてダブルドライバーに装填された。

 

「……行きましょう。」

 

俺は今の自分に出来る最大限の力を引き出そうと、意識を集中させて言った。

 

「あぁ。」

 

フィリップさんがそう答え、俺たち2人はエクストリームメモリを展開させた。

 

くっ…やっぱり、かなり力が消耗されるな…普段こんだけの力を使って変身している翔太郎さんとフィリップさん、本当にすげぇな…!

 

『エクストリーム!』

 

俺たちは、仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリームに変身した。

 

「よし…なんとか、変身出来ましたね…」

 

「あぁ、時間が無い。行こう。」

 

「はい!」

 

俺たちはプリズムビッカーを取りだし、ガス・ドーパントに向かって一気に走り出した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「絵里ちゃん…」

 

病院に戻ってきたことりは、絵里の手を握ってそう呟いた。

 

「きっと大丈夫。絵里ちゃんも、翔太郎くんも、街の人々もきっと助かる。今は相棒がいないけど、それでもフィリップくんはドーパントを倒してくれる。それに、今のフィリップくんには(うち)の頼れる旦那と、ことりちゃんたちの頼れる仲間がついてるでしょ?だから、大丈夫だよ!」

 

ことりの肩に手を置いて、亜樹子が言った。

 

「亜樹子さん…そう、ですよね…!」

 

「うん。だから今は、私たちが信じてあげないとダメでしょ?優くんたちは今、私たちの分まで戦ってくれてる。だから、私たちにできるのは信じて待っててあげることだよ。」

 

その言葉を聞いて、ことりはハッとした。それを見た亜樹子はニコリと笑みを浮かべたが、病室の掛け時計を見て何かに気づいた。

 

「あっ!ごめん、ことりちゃん!」

 

その言葉を聞き、絵里を見ていたことりは亜樹子の方に振り返る。

 

「そろそろ春奈…娘の保育園のお迎えに行かなきゃいけないの…翔太郎くんたちは任せてもいい?」

 

「はい!任せてください!」

 

「ありがと!じゃ、行ってくるね!」

 

「ありがとうございました!」

 

ことりの言葉を聞いた亜樹子は、病室から出て行った。

 

「あっ、優香さん。薬の方、どうですか?」

 

病室の椅子に座って薬について分析していた優香に、ことりはそう尋ねた。

 

「一応、絵里ちゃんの体内の毒を解析して、解毒薬の開発に必要な材料などは大体把握したわ。けど、やっぱり細かい部分や調合方法は、ドーパントのメモリ本体がないとダメみたいね…さっき亜樹子ちゃんが言った通り、今は優くんたちを信じて待つしかないわね…とりあえず、私は咲に連絡して解毒薬に必要な材料を持ってきてもらうように頼んでみるわ。」

 

そう言って、優香は病室から出て行った。

 

 

 

しばらくして、優香が戻ってきた。

 

「どうでした?」

 

「材料はなんとかなりそうだわ。ただ、咲はどうしても外せない用事があるらしくて、綾乃…別の女神が来ることになったわ。」

 

「へぇ…そういえば、最近咲さんと会ってないですよね。蓮くんも、最近帰ったり帰らなかったりが多いって言ってましたし…」

 

ことりが不思議そうに、そして少し心配したように言った。

 

「そうらしいわね…私も最近はあまり会っていないのよね…仕事が忙しいらしくて、前は2人で仕事をする機会が多かったんだけど、最近咲は単独での仕事があると言って抜け出す機会が増えてるのよ…」

 

「そうなんですか…そういえば、優香さんと咲さんは昔からの付き合いなんですか?」

 

「えぇ。私と咲と、それから今から来る綾乃は穂乃果ちゃんとことりちゃんと海未ちゃんみたいに、幼馴染なのよ。私と咲は同い年、綾乃は私たちより少し年上でね。小さい頃は、ずっと3人で遊んでたわ。」

 

「へぇ…!女神様って、どんな遊びするんですか?」

 

普通に生きている限り出会うことのない、というかほとんどの人が存在するのかどうかすらも分からない女神がどういう生活をしているのか、ことりは興味津々に聞いている。

 

「女神と言っても、遊びは人間とそんなに変わらないわよ?例えば、かくれんぼとか良くしていたわ。あの時は普段お姉さんぶってた綾乃が、苦手なくせに暗い所に隠れてて、鬼の私が見つけると大泣きしてたのよ。あの時は驚いたけど、それでより一層仲が深まったと思うわ。」

 

優香が懐かしそうに話しているのを聞いて、ことりも自身の幼馴染である穂乃果と海未のことを思い浮かべていた。

 

「(私たちもよく3人でかくれんぼしてたなぁ…それにしても穂乃果ちゃん、ちゃんと勉強してるかなぁ…?もうそろそろテストの時間だけど、これで合格できなかったら私たちラブライブ!の最終予選に出れなくなっちゃうんだよね…でも、穂乃果ちゃんたちならきっと大丈夫だよね!海未ちゃんもついてるんだし!)」

 

少し不安になりながらも、改めて仲間を信じたことり。

 

「それから綾乃は暗いところに隠れるのをやめて、カーテンの後ろとか机の下とか分かりやすい所に隠れるようになったのよねぇ…あれ?そういえばあの時も、それ以降にかくれんぼした時も咲はどこに隠れてたかしら…?おかしいわねぇ…どれも全然思い出せない。前もそんなことあったわねぇ…まさか…!?いっ、いや、流石にまだまだボケたりするような歳じゃないわよね!?」

 

そんなことりを他所に、一人思い出に浸り、勝手に自身の記憶力を心配している優香であった。

 

 

 

 

 

その頃2体のドーパントと戦っている照井は、高速で動くコックローチドーパントの動きを探っていた。

 

「そこか…!」

 

照井がそう言った瞬間、コックローチ・ドーパントは粘液を放出させる。しかし、それは照井に当たらなかった。照井は瞬時にトライアルメモリを上空に投げ、高速で動き出していたのだ。

 

「はぁ!」

 

そして、コックローチ・ドーパントに一気に近づいて、高速で何発もT字状に蹴りを入れていく。照井の高速の動きに、コックローチドーパントは反撃することは出来ない。

 

『トライアル!マキシマムドライブ!』

 

照井は落ちてきたトライアルメモリをキャッチし、タイマーを止めた。そこには、『8.8』と表示されていた。

 

「8.8秒。それがお前の絶望までのタイムだ。」

 

コックローチ・ドーパントはメモリブレイクされ、その場には倒れた変身者と割れたコックローチメモリが落ちていた。

 

「あと一体…くっ…!?」

 

もう一体の敵、バード・ドーパンによるの空中からの攻撃で、照井は少しダメージを受けてしまう。

 

「なら、これを使うか。」

 

照井は以前フィリップによってアクセル用に再調整されたガイアメモリ強化アダプターを取り出し、アクセルメモリに取り付けた。

 

『アクセル!アップグレード・ブースター!!』

 

照井は仮面ライダーアクセルブースターに変身した。

 

「一気に決める!」

 

照井は金色に変化したエンジンメモリを取り出し、エンジンブレードに装填した。そして照井は背中からジェット炎を放出し、一気に上空に高速飛行しバード・ドーパントに近づいた。

 

『エンジン!マキシマムドライブ!』

 

「はぁっ!」

 

すれ違い様にエンジンブレードでブースターマキシマムドライブを発動させ、それを受けたバード・ドーパントは地面まで落ちてメモリブレイクされた。

 

「絶望が、お前たちのゴールだ。」

 

着地した照井はそう言って、変身解除した。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「やぁ!はぁ!オラッ!」

 

俺たちはプリズムビッカーでガス・ドーパントを三連続で斬りつける。一撃目は防がれてしまったが、二、三撃目でダメージを与えることが出来た。更にそれで隙が出来たガス・ドーパントに、

 

「はぁぁぁっ!!」

 

プリズムビッカーでガス・ドーパントの胸部を突き刺した。

 

「優くん、もう時間的に限界だ。一気に決めよう。」

 

フィリップさんの言葉に「はい!」と返事し、俺たちはエクストリームメモリを閉じて再び展開した。

 

『エクストリーム!マキシマムドライブ!』

 

俺達は竜巻に乗って一気に飛び、ガス・ドーパントに蹴り込んだ。

 

「「ダブルエクストリーム!!!」」

 

力の限りガス・ドーパントに蹴りを放ち、着地した。それと同時に変身時間も限界を迎え、変身が解除された。

 

「はぁ…はぁ…なんとか、やりましたね…」

 

「あぁ。優くん、君のおかげだ。ありがとう。さて、メモリを回収しないと…っ!?」

 

ガス・ドーパントを倒したと思っていた俺たちだが、奴から出た爆煙が少しずつ晴れていくと、そこにはまだ立ち上がっている人影があった。

 

「くっ…まさかお前らにここまでやられるとは思ってなかったが、所詮はその程度。俺には及ばなかったようだな!」

 

よろよろと歩きながら、そう言ったのはガス・ドーパント。

 

「クソっ…倒しきれてなかったのか…フィリップさん、もう一度エクストリームに…」

 

「いや、エクストリームはもう無理だ。というより、君自身もう限界だろう?」

 

俺が右手で抑えている左腕と、引きずっている右足を見たフィリップさんがそう言った。その左腕からはポタポタと血が流れ落ちており、右足のズボンにも血が滲んでいた。

 

「エクストリームに変身してここまで戦えただけでも凄いよ。後は、僕に任せて。」

 

「いや、フィリップさん一人じゃ…!」

 

「一人ではありませんよ。」

 

突如聞こえた謎の声に、俺は勿論フィリップさんも驚く。その声が聞こえた方に俺たちが振り返ると、黒いスーツを着た男性が立っていた。

 

「須藤、霧彦…!?」

 

フィリップさんはその男性…須藤霧彦を見て驚愕している。

 

「お久しぶりですね。仮面ライダーW。」

 

「何故君が!?」

 

「細かいことはいいでしょう。というか、私にもわかりません。」

 

「あの…あなたは…?」

 

俺がそう尋ねると、須藤さんは柔らかな笑みを浮かべて答える。

 

「申し遅れました。私はそのざ…いえ、須藤霧彦。ただの死人ですよ。」

 

「しっ、死人…!?それってどういう…」

 

「とりあえず、今はそれは置いておきましょう。早く彼を倒さないと行けませんからね。」

 

「協力してくれるのかい?」

 

フィリップさんの問いに「えぇ。」とだけ答え、霧彦さんはあるベルトを腰に巻き付けた。

 

「それって…ガイアドライバー…?」

 

ガイアドライバーを巻き付けたことに驚いていると、フィリップさんがそんな俺の肩に手を置いた。

 

「ここは僕たちに任せて。」

 

「すみません…お願いします。」

 

俺は左腕と右足が限界だったため、フィリップさんに言われた通り後ろに下がった。

 

「またこれを使うことになるとは…」

 

霧彦さんはナスカメモリを手に、そう呟いていた。

 

『サイクロン!』

 

『ナスカ!』

 

2人はそれぞれガイアメモリを起動させた。

 

「変身。」

 

『サイクロン!』

 

フィリップさんは仮面ライダーサイクロンに、霧彦さんはナスカ・ドーパントに変身した。

 

「助っ人が来たところで、勝つのは俺だ!そして、俺がミュージアムを復活させる!!」

 

変身した2人を見て、ガス・ドーパントはそう豪語した。

 

「行こう、須藤霧彦。」

 

「えぇ。」

 

2人は一瞬で距離を詰め、フィリップさんは手刀で、霧彦さんは剣をガス・ドーパントに振り下ろす。しかし、ガス・ドーパントは気体化して避けた。

 

「甘い。」

 

そう霧彦さんの声が聞こえた時には、別の場所に現れていたガス・ドーパントが斬られていた。

 

「ぐぁっ!?何…?」

 

「ふっ。気体化したところで、私の速さからは逃げられませんよ。」

 

霧彦さんはそう言って、再びガス・ドーパントを斬った。

 

「クソォッ…!」

 

そして、更にもう一撃ガス・ドーパントに浴びせようとしたが、気体化して逃げられてしまう。が…

 

「言ったでしょう。その程度の速さじゃ、私には及ばない。」

 

ガス・ドーパントの逃げた場所に現れた霧彦さんが、再び斬る。

 

「お遊びはそろそろ終わりにしましょう。」

 

「そうだね。一気に行こう。」

 

「クソっ…こんなところで…こんなところで負けるわけに行くかっ!!俺は…俺はミュージアムを復活させる男だ!!」

 

「最後に一つ言っておきましょう。あなた程度の男では、ミュージアムを復活させることは出来ませんよ。」

 

そう言って霧彦さんは一気に上空に飛び、下降しながらすれ違いざまにエネルギーを溜めた剣でガス・ドーパントを斬り裂いた。

 

『サイクロン!マキシマムドライブ!!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

そして、フィリップさんも一気にガス・ドーパントに近づき、風を纏った手刀で斬り裂いた。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

今度こそ、ガス・ドーパントのメモリブレイクに成功した。

 

「ふぅ…なんとか終わったね。」

 

フィリップさんは変身解除し、壊れたメモリを拾い上げた。

 

「助かったよ、須藤霧彦。それにしても、何故協力してくれたんだい?」

 

そう聞かれた霧彦さんは、「ふっ…」と笑みを浮かべてから答える。

 

「君たちには借りが出来てしまっていたようなのでね。妹を助けてもらったという、借りがね。」

 

「それは…しかし、結局彼女は全ての昨日(記憶)を失ってしまった…」

 

「私にとっては、妹が元気に生きていてくれるのが何よりも嬉しい。妹には、私の分まで元気に生きていて欲しいからね。」

 

「須藤霧彦…」

 

すると、突然霧彦さんの体から光の粒子が浮き上がってきた。

 

「どうやら時間のようだ。左翔太郎にも、礼を言っておいてくれ。」

 

「あぁ、わかった。」

 

「それともう一つ。今もこの街に変わらず風が吹き続けているのは、君たちのおかげだ。ともね。」

 

その言葉を聞いたフィリップさんは、静かに頷いた。

 

「やっぱり、いい風が吹くなぁ…風都は…」

 

空を見上げて最後にそう言い残し、霧彦さんは消えた。

 

「ありがとう。須藤霧彦…」

 

霧彦さんが消えていった空を見上げながら、フィリップさんがそう呟いた。

 

 

「さて…早くこのガイアメモリを、君のお姉さんに届けないといけないね。」

 

少しして、俺の方を見たフィリップさんの言葉に頷き、俺たちは病院に向かって走り出した。

 

俺は霧彦さんがどういう人物なのか知らない。ただ、これだけは分かった。彼も翔太郎さんたちと同じ、風都を心から愛している人間なんだ、と。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

「後藤晴彦にメモリを渡したのは間違いだったわね…まぁ、やつも無事に倒され、仮野優たちも解毒薬を創ることが出来そうだし今回は良しとしましょうか…」

 

優たちがガス・ドーパントを倒してからしばらくして、既に風都を去ったガリュサはある場所にてそう呟いていた。そんなガリュサの後ろから、同じく財団Xの幹部であるクロッカーが現れる。

 

「命令違反したガス・ドーパンを倒すために、園崎霧彦を?」

 

クロッカーはガリュサにそう尋ねた。

 

「えぇ。上手く左翔太郎とフィリップ、照井竜だけを殺してくれればよかったんだけど…あいつが命令を無視したせいで、折角殺すことが出来そうだった左翔太郎まで助ける羽目になってしまったわ…」

 

「まぁ、絢瀬絵里を失うよりかはいいだろう。」

 

「えぇ、そうね。そういえばジェフリーが言っていたけど、そろそろ他の子達も動くそうよ。」

 

「それってまさか、お前と同じ最高幹部の…?」

 

驚いた顔で聞き返したクロッカーに、ガリュサは頷いてから答える。

 

「彼女たちを動かすということは、ついに本気で動き出そうとしてるってことね。」

 

「作戦も最終段階、という事か…なら、しばらくお前は元の任務に戻るのか?」

 

「えぇ。ボスが明日一日だけ休暇をくれるって言ってたから、それが終わったらね。それよりあなた、体内のメダルの調子はどうなの?」

 

ガリュサにそう聞かれたクロッカーは、ある怪物に姿を変える。

 

「見ての通り、頗る快調だ。」

 

怪物…恐竜グリードに姿を変えたクロッカーを見たガリュサは、不敵な笑みを浮かべる。

「それにしても、最高幹部が動き出すのか…お前もそうだが、奴らは厄介な能力を持っているからな。何としてでも、まだ見つかっていない残りの奴らもこちら側に取り込みたいところだ。」

 

クロッカーはそう言いながら、人間の姿に戻った。

 

「えぇ。もうあの9人で揃うことは出来ないにしろ、あの9つの能力がまた揃えばいいわね。」

 

「あぁ、そうだな。」と答えたクロッカーは、その場から去っていった。

 

「まぁ、本当は18人なんだけどね…」

 

一人になったことを確認したガリュサは、そう呟いた。どこか寂しそうな表情で…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「うん…これだけのデータが分かれば、解毒薬は作れそうね…材料も綾乃が持ってきてくれたのでなんとかなりそう。」

 

壊れたガスメモリを解析していた姉ちゃんが、そう言ったことに俺たちは安堵した。

 

「姉ちゃん、ありがとう!綾乃さんも、届けてくれてありがとうございます。」

 

「このぐらいで良ければ、いつでも言って!」

 

綾乃さんはサムズアップしながらそう言ってくれた。

 

「よしっ!綾乃、急いで薬仕上げるわよ!」

 

姉ちゃんがそう言うと、2人はそれぞれ持参したノートパソコンで残りのガスメモリの解析を進め始めた。

 

「フィリップさんも、ありがとうございました。」

 

「いや、礼を言いたいのは僕の方だ。僕たちの街を泣かせる怪物退治を、手伝ってくれてありがとう。」

 

そう言って、フィリップさんが手を差し出してきたので、俺はそれを握った。

 

ちなみに、さっき照井さんからガス・ドーパントの変身者である、後藤晴彦の身柄を確保したと連絡があった。彼はミュージアムに所属していた頃から、熱狂的なミュージアム信者だったそうだ。そんな彼が強大な力を秘めていたガイアメモリを手にしたことで、人を襲ってミュージアムの恐ろしさを再び人々に知らしめようとしたようだ。

 

「そういえば優くん、花陽ちゃんと秀夜くんは?」

 

俺たちが握手をやめると、ことりがそう聞いてきた。

 

「そういえば、ドーパント捜索に行ったっきり会ってないし、連絡もないな…」

 

「もしかして、何かトラブルに巻き込まれたとか!?」

 

「……ないとは言いきれないけど、敵に遭遇した確率は低いと思う…もし敵に遭遇してるなら、花陽が持ってるディアーハイパーメカアニマルから通知が来てるはずだし。」

 

俺がインフィニティブレスを見ながらそう答えると、ことりは安心したように「そっか」と呟いた。

 

「でも、敵に遭遇してないだけで何かトラブルには巻き込まれたのかもしれないな…探しに行くか。ん?」

 

俺が秀夜たちを探しに出ようと思った時、スマホに着信があった。

 

「おっ、噂をすれば秀夜からだ…もしもし?」

 

『優か?』

 

俺が電話に出るとちゃんと秀夜の声が聞こえたので、ひとまず安心した。

 

「お前今どこにいるんだ?花陽も一緒か?」

 

『あぁ、花陽も一緒にいる。無事だ。それより、やばいもん見つけちまった…!』

 

「やばいもん…?」

 

秀夜の声色から、本当にやばい物を見つけたようなので、俺も思わず息を飲む。

 

『あぁ、その前にドーパントの件はどうなった?悪いな、任せっきりにして。』

 

「フィリップさんたちもいたし何とかなったよ。そっちはそっちで動いててくれたんだろ?気にしないでいい。それで、そのやばいもんって…?」

 

『あぁ…それが、財団Xのアジトを見つけて、今花陽と潜入してる。』

 

「はっ!?」

 

突如大声を上げた俺に驚いた姉ちゃんたちのために、俺は通話をスピーカーモードにした。

 

「そんなとこに潜入して、秀夜も花陽も大丈夫なのか!?」

 

『あぁ。運のいいことに、今アジトには数人しかいなかった。そいつらも大して戦闘能力がなかったから、眠らせることも出来たしな。それで、頼みがあるからこっちに来てくれないか?それに、ここをどうしてから出て行くかも決めないといけないし…』

 

「分かった。……すぐそっちに向かう。それで、頼みって?」

 

俺は一応確認のため姉ちゃんの方を向くと、当然良いといったように頷いてくれたので、その頼みというものについて聞いた。

 

『USBメモリを持ってきてくれないか?』

 

「USBメモリ?分かった。」

 

『悪い。そっちに花陽のディアーハイパーメカアニマル向かわせたから、案内してもらってくれ。』

 

そこで電話が切れた。その時、病室の扉の隙間から、秀夜が言っていたディアーハイパーメカアニマルが入ってきた。

 

「まさか財団Xのアジトを見つけるなんてね…薬の方は私と綾乃に任せて。アジトの方は、優くんの判断に任せるわ。」

 

スピーカーモードで聞いていたのは途中からだったが、大体の概要を把握した姉ちゃんがそう言った。フィリップさんとことり、綾乃さんも同じく概要を把握したようだ。

 

これは、重大な事を任されてしまったな…

 

アジトは俺の判断に任せる、ということは壊すも残すも俺が決めるということだ。俺は任せれたことの重要さを再確認し、更に身を引きしめた。

 

「優くん、僕も一緒に行っていいかな?」

 

「勿論です!ことりも着いてきて貰ってもいいか?」

 

「えっ…?うん!」

 

普段μ'sのみんなには極力危険なことをさせないようにしている俺が、アジトへの潜入を頼んだことに最初は驚いたことりだったが、笑顔で許諾してくれた。

 

多分、この前の一件がなければこんな提案はしなかっただろうな…俺は自分でもそう思っていた。

 

こうして俺、ことり、フィリップさんの3人で秀夜と花陽が潜入している財団Xのアジトへ向かった。

 

 




μ'sと仮面ライダーの物語

「その言葉…もしかして、思い出したの…!?」

「それで、いつかまた絶対に会おう!約束だ!」

「ったく…許せないな、この街を泣かせる悪党は。行くぜ、相棒。」
「あぁ。」

次回、『125話 Wよ永遠に/新たな約束』

これで決まりだ。








なんと今回、一時的にとはいえ霧彦が復活!僕含め、霧彦好きな方は多いのではないでしょうか?僕も登場させることが出来て嬉しいです。それにしても、何故彼は復活したのでしょうか…

優も何とかエクストリームに変身させることが出来ました。エクストリームはフィリップとでないと変身出来ないので、どうやるか凄い悩みました。でも、やっぱりエクストリームで本領発揮出来るのは翔太郎とフィリップの2人の時のみ。今回は何とか変身して、少し戦闘できただけになってしまいましたね。

実は、今回の話も含むここ最近の話は謎だったり、伏線だったりが散りばめられていたりする、かも…?あくまで、「かも」ですけどね。

という事で、今回はこの辺で。次回はW編4話目、ラストでございます。そんな次回124話は、本日6月1日中に投稿する予定です!恐らく夜頃かと…お楽しみに!

お気に入り登録、評価や感想なども是非よろしくお願い致します!ではまた次回、お会いしましょう。


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125話 Wよ永遠に/新たな約束

はい、125話です。

という事で、W編最終話です。

では125話、スタートです!




〜side 優〜

 

ディアーハイパーメカアニマルの案内の元、秀夜と花陽が潜入している財団Xのアジトに到着した俺、ことり、フィリップさん。

 

「ここを通るのか…」

 

俺はディアーハイパーメカアニマルがつついているマンホールを見て、そう呟いた。それからそのマンホールを開け、俺たちは中に入っていった。

 

梯子をつたって15メートルほど地下に潜ると、横幅2メートル程度の道があった。壁の所々に設置されているランタンの灯りを頼りに、俺たちは進んでいく。

 

それからしばらく進んでいくと、古びた鉄のドアがあった。

 

「多分、2人はこの奥に…」

 

俺はドアノブに手をかけ、開けた。

 

「優!」

 

中に入ると、秀夜がそう声をかけてきた。薄暗い部屋の中には、秀夜と花陽の他に財団X特有の白い服を着た男が7人ほど気絶した状態で縛られていた。恐らく、元々アジト内にいた組織の人間だろう。

 

「悪いな、急に呼び出して。」

 

「いや…ほいこれ、頼まれてたUSBメモ…」

 

『ジョーカー!』

 

「あっ、間違えた…」

 

俺はポケットからUSBメモリを取り出したつもりが、フィリップさんから預かった翔太郎さんのジョーカーメモリを取り出してしまった。

 

「何やってんだよ…」

 

これには秀夜も、他のみんなも苦笑していた。俺は恥ずかしさのあまり顔が赤くなりながらも、ジョーカーメモリを再びポケットにしまい別のポケットからUSBメモリを取り出した。

 

「ありがとな。」

 

秀夜はUSBメモリを受け取りながら言った。

 

「で、これは何に使うんだ?」

 

「あそこにでっかい機械があるだろ?あれの内部データを移すためにな。じゃ、早速やってくる。」

 

そう言って、秀夜はデータを移し始めた。それを確認した俺は、ゴソゴソと周りを見回っているフィリップさんに目を移す。

 

「ふむ…優くん、ここにはあの機械とそのノートパソコンしか、手がかりになりそうなものはないようだね。紙媒体の資料なども置いてないようだ。」

 

フィリップさんの言う通り、この部屋には大きな謎の機械が一つとノートパソコンが一つ、それ以外には組織の奴らが飲んだと思われるペットボトルのゴミや缶詰が机に置かれているだけだ。ただ、ここに飲み物や食べ物を食べた痕跡があるということは、今ここで伸びている奴らのような見張りは常に何人かいるようだ。

 

「私たちも隅々まで探してみたけど、大きな機械とノートパソコン以外には、このUSBメモリしかなかったんだ。」

 

秀夜と共にここに侵入していた花陽がそう説明した。

 

「ん?そのUSBメモリは、どこにあったんだ?」

 

「ここのペットボトルとか缶詰のゴミが置いてある机に置いてあったよ。もしかしたら中に何か手がかりになるようなデータが入ってるかもしれないから、優くんに渡しておくね。」

 

「あぁ、ありがとう。」

 

俺は花陽からUSBメモリを受け取った。

 

まあでも、そんな無造作に置いてあったUSBメモリなら、手がかりになりそうなデータは入ってなさそうだよな…それにしろ、なんでこんな所に置いてあったんだ…?

 

 

 

それからしばらくして、データのコピーが終わった。

 

「よし、後はこれとそのノートパソコン、それから花陽が見つけたUSBメモリを持ち帰って、じっくり調べるとするか。それで優、このアジトはどうする?」

 

秀夜はデータを取り込んだUSBメモリと、ノートパソコンを鞄に詰め込みながらそう聞いてきた。

 

「そうだな…このまま抜け出したら、あの機械はここに残ったままになるもんな。あれが何なのかは分からないが、一応データもコピーしたことだし、少なくともあれは壊していった方がいいよな…」

 

「そうだね。そうすれば、場所も特定されているここをアジトとして使うことも、もうないだろうしね。」

 

フィリップさんが俺の意見にそう賛同してくれた。それから秀夜、ことり、花陽もそれでいいと思って頷いた。

 

「よし…ことり、悪いがサバイブであの機械を燃やしてくれないか?幸いここは地下で、この部屋の壁は触った感じ防火壁みたいだ。そのぐらいなら周りに被害はでないだろうから。」

 

「うん、分かった。任せて!」

 

「おっと…その前にこいつらを運び出す準備しとかないとな…」

 

俺は1枚のカードを取り出し、腰についているアタックバックルに入れた。

 

『スペシャルアタック スモール!』

 

俺は財団Xの男たちを全員、手に収まるぐらいのサイズまで小さくした。

 

「ほぅ…そんな事まで出来るんだね。」

 

それを見たフィリップさんは、顎に手を添えて興味深そうに言った。

 

「この人たちは僕が照井竜に引渡しに行ってくるよ。」

 

「すみません。ありがとうございます。」

 

俺は財団Xの男たちをフィリップさんに渡した。

 

「じゃあ、悪い。ことり、頼めるか?」

 

「うん!」

 

そう答えたことりは機械の前に立った。そして、機械の液晶パネルの前に龍騎のデッキを構え、写し出したことにより腰にVバックルが出現した。

 

「変身!」

 

ことりはバックルにデッキを差し込み、仮面ライダー龍騎に変身した。そして、バックルから1枚のカード…サバイブカードを取り出したことによりドラグバイザーがドラグバイザーツバイに変化する。

 

『サバイブ』

 

ドラグバイザーツバイにサバイブカードを差し込み、ことりは仮面ライダー龍騎サバイブに変身した。

 

「みんな、下がってて。」

 

ことりの言葉を聞き、俺たちは機械とは真反対にあるドアの前まで移動する。

 

「よし、じゃあやるね。」

 

そう言って、ことりはドラグバイザーツバイから火の弾を放ち、機械に命中させた。

 

「これでこの機械は直に燃える。それに多少火は室内で広がるだろうから、もうこのアジトは使い物にならないだろう。よし、俺たちも脱出しよう。」

 

こうして、俺たちはアジトから脱出した。

 

 

 

「あっ、おかえりなさい。どうだった?」

 

絵里の病室に戻ってきた俺たちに、姉ちゃんがそう聞いてきた。ちなみに、アジトを出てからフィリップさんは照井さんに財団Xのやつらを引き渡すため、それが終わってから病院に戻ってくるようだ。

 

「あぁ、特に問題はなかったよ。アジトには大きい謎の機械が一つとノートパソコンが一つ、それから謎のUSBメモリが一本あるだけだったよ。一応機械の方は、内部データをUSBメモリにコピーしてから壊しておいた。」

 

「分かった、ありがとね。」

 

俺はUSBメモリ2本とノートパソコンを姉ちゃんに渡した。

 

「それで、薬の方は?」

 

「無事に完成したわ。絵里ちゃんや翔太郎くん、他の毒ガス攻撃を受けた人全員に投与したわ。もうしばらくしたら、みんな目を覚ますはずよ。」

 

「良かった…!これで絵里も、翔太郎さんも元に戻るのか…!」

 

姉ちゃんの言葉を聞き、俺たちは安堵した。それから少しして、落ち着いた俺が病室を見ていると、あることに気づいた。

 

「あれ?そういえば、綾乃さんは?」

 

周りに綾乃さんの姿が見えなかったため、俺は姉ちゃんにそう聞いた。

 

「綾乃は先に帰ったわよ。悪いんだけど、私も一足先に帰るわね。天界で、アジトから回収してきたものの解析をしておきたいから。」

 

「分かった。色々ありがとな、姉ちゃん。」

 

「ううん。じゃあ、また後でね。」

 

そう言って、姉ちゃんも病室から出ていった。こうして今この病室に残っているのは、眠っている絵里以外に俺、秀夜、花陽、ことりとなった。

 

「花陽、ことり。飲み物でも買いに、近くのコンビニ行かないか?」

 

すると、秀夜が突如そんなことを言った。

 

「えっ?あっ、うん。確かに少し喉が乾いたし、行こうかな。」

 

「私も…」

 

それにことりと花陽も着いていくようだ。

 

「優、お前は絵里の様子を見ててくれ。お前と絵里の分も買ってくるから。」

 

「そうか?悪いな。」

 

「いや、じゃあ行ってくる。」

 

秀夜がそう言って、3人共病室から出ていった。

 

秀夜、なんで急にコンビニ行くなんて言い出したんだろう…?よっぽど喉乾いてたのか…?

 

 

秀夜が出ていって1分程経った頃、眠っている絵里の小さな声が聞こえた。

 

「絵里!?」

 

「んっ…?ゆ、う…?」

 

目をゆっくり開いた絵里が、俺を確認してそう声を漏らした。

 

「良かった…」

 

俺は思わずそう呟いた。すると、絵里は起き上がろうと腕に力を入れていた。

 

「大丈夫か?まだ無理しない方が…」

 

「大丈夫よ。もうそんなに辛くないし、力も少しずつ入るようになってる気がするわ。それより、心配かけてごめんなさい。」

 

「何言ってんだ。謝るのは俺の方だ。本当にごめん!守ることが出来なくて…」

 

俺は頭を下げて謝った。

 

「そんな事ないわよ。守ろうとしてくれたじゃない。」

 

「それだけじゃない。約束したのに、ずっと忘れてしまっていたことも…本当にごめん。世界中のどこに居ても、絵里は俺が守る。そのために、俺はもっともっと強くなる。そう、約束したのに…」

 

俺がそう言うと、絵里は目を見開いて驚いていた。

 

「その言葉…もしかして、思い出したの…!?」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 絵里〜

 

これは今から8年前、私が小学四年生になった頃の話。

 

当時私は小学三年生まで住んでいたロシアを離れ、今も住んでる音ノ木坂学院の近くに引っ越し、少しした頃だった。

 

私は日本に来る時、今までずっと賞がとれずオーディションにも落ちていたバレエを諦める決断をして、日本に来ていたため落ち込んでいた。その上、クォーターの私はこっちでは珍しい金髪だったため、日本の小学校ではいじめっ子の男の子たちに悪口を言われたりしていた。

 

それが辛かった私は、ある日の学校帰り近くの公園で一人泣いていた。その時だ、彼と出会ったのは。

 

「何泣いてんだよ?」

 

「えっ?」

 

蹲って泣いていた私は、突然声が聞こえて顔を上げる。

 

「お前、1人なのか?こんな所で、何泣いてんだよ?」

 

「あなたは…?」

 

声をかけてきた男の子に、私は恐る恐る聞いた。

 

「俺?俺は仮野優!よろしくな!」

 

男の子は、笑顔でそう名乗った。

 

「君は?」

 

「えっ…私は、絢瀬絵里…」

 

「絢瀬絵里…?日本人なのか?金髪だから、てっきり外国の人かと思った…」

 

「わっ、私のおばあ様がロシア人だから…」

 

「へー…」

 

その時、私は学校のいじめっ子と同じように「気持ち悪い」などと言われると覚悟した。

 

「綺麗な髪だな!」

 

「え…?」

 

「それに目も綺麗!」

 

嘘偽りのない笑顔とキラキラした目で、私の髪と目を褒めてきた男の子に私はとても驚いた。

 

「それで、君はなんで泣いていたの?」

 

「それは…」

 

公園のベンチに移動し、私は泣いていた理由を話した。

 

「なんだよそいつら!こんな綺麗な髪なのに、気持ち悪いとか言うなんて…!」

 

話を聞いた彼は、拳を握って怒ってそう言った。

 

「そんなヤツらの言うことなんて、気にしない方がいいよ。絵里の髪も、目も、とっても綺麗なんだから!」

 

今まであまり良い風に言われなかった髪色や目の色をとても褒められ、私は照れて顔を真っ赤にしてしまう。

 

「絵里はこの近くに住んでるの?」

 

「うん…前まではおばあ様が住んでるロシアに住んでたんだけど、小学四年生になるこの4月から近くの小学校に転校したの。でも、私がクォーターだからってみんな怖がって、友達なんて一人もいないけどね…」

 

「……だったらさ、俺と友達になろうよ!」

 

私の言葉を聞いて少し考えた男の子は、そう提案してきた。

 

「えっ…?」

 

「俺と友達になれば、絵里は一人じゃないだろ?俺は学校も違うし住んでるところもちょっと遠いけどさ、どんなに離れていても俺たちは友達!それなら、絵里に友達が一人もいないなんてこと、なくなるだろ?」

 

私は彼の優しい言葉を聞いて、涙が溢れそうになるのを堪えて答える。

 

「うん!ありがとう、優!」

 

私がそう答えると、優は思いっきり笑った。それに釣られて、私も笑う。

 

こうして、私に日本で初めての友達が出来た。

 

「そういえば、優は遠くに住んでるって言ってたけど、今日はなんでここに来たの?」

 

私はさっきの会話から、ふと気になったことを聞いた。

 

「俺、前はこの辺に住んでたんだ。でも、両親が死んじゃってさ…それからはおじいちゃんとおばあちゃんの家に住んでるんだけど、今日は両親のお墓参りでこの近くに来てたんだ。」

 

「そうだったんだ…こめんなさい、辛いこと聞いちゃって…」

 

私はしゅんと俯いて謝った。

 

「ううん!大丈夫、俺にはじいちゃんとばあちゃんもいるし。それに、絵里とも友達になれたから!」

 

彼の言葉を聞き、私は嬉しくなって再び顔を赤く染めた。

 

「あれ?絢瀬じゃん、こんなとこでなにしてんだよ?」

 

その時、突然公園に来てそう言ってきたのは、学校で私に悪口を言ってくるいじめっ子の男の子3人だった。

 

「お前、ロシアって国の血が混ざってんだろ?やっぱりお前きもちわりー!」

 

「そーだそーだ!なんでお前の髪金色で、目も青いんだよ!」

 

いつもの様に私に悪口を言ってくる彼らだが、私ももう慣れているので俯くだけで反論はしない。しかし、彼は違った。

 

「なるほど…この3人が、普段から学校で絵里に悪口言ってんだな…?」

 

その3人が私に言った言葉を聞いた優は、さっきまでよりも低い声でそう言った。

 

「なっ、なんだよお前?」

 

優に睨まれ、少し怯えながらいじめっ子たちの一人が言う。

 

「俺は絵里の友達だ!」

 

「はっ、はぁ?こんな金色の髪のやつと友達なんて…」

 

「なんだよそれ、ふざけんな!」

 

そう怒鳴った優に、いじめっ子3人は更に怯えている。そんな3人に優は黙って近づいたと思えば、ゴツ、と鈍い音が響いた。なんと優は、いじめっ子の真ん中の一人に思いっきり頭突きしたのだ。

 

「いっ、いってぇ…!?」

 

頭突きを受けたいじめっ子は涙目になり、頭を抑えて悶えている。

 

「絵里の髪も、目も、凄い綺麗だろ!外国の血が混ざってたって、俺たちと一緒の赤い血が流れている、同じ人間だ!次絵里の事を悪く言ったら、すぐにお前らのとこに行くからな!次は、頭ぶつけるよりももっと痛いことしてやる!!」

 

優は凄い剣幕でそう言った。そんな優の勇ましい姿を見た時、私の胸がどっくんと音を立てた。

 

 

この時、私は初めて出来た友達に、人生で初めての恋をしたのだ。

 

 

まぁ、この時はこの気持ちがなんなのかは、子供の私には分かっていなかったけど…

 

「ごっ…」

 

「「「ごめんなさーい!!」」」

 

怯えたいじめっ子3人は、そう叫びながら公園から走り去って行った。

 

「大丈夫か?絵里。」

 

いじめっ子たちが去っていったのを確認した優が、先程までとは打って変わったとても優しい笑みで、そう聞いてきた。

 

「うっ、うん…ありがとう、優。守ってくれて…」

 

今日何度目かのお礼を優に言った。この時の私の顔は、とても赤くなっていただろう。

 

「絵里がもしまたピンチになったら、俺が絶対に守る。世界中のどこにいても、必ず駆けつけて絵里は俺が守る。そのために、俺はもっともっと強くなるから!」

 

「でも、優はもう強いんじゃ…?」

 

私はさっきいじめっ子を退治した優の姿を思い浮かべながら、そう聞いた。

 

「ううん、今よりももっと強くならないと…だって、この世界にはあの3人なんかよりももっと強くて、もっと怖い人達がいっぱいいる。そんな人たちからでも絵里を守れるように、もっともっと強くなる!それで、いつかまた絶対に会おう!約束だ!」

 

「うん!!」

 

こうして、私と優はお互いの小指を結び、約束を誓ったのであった。

 

この時は、子供ながらこんな大きな約束をして、守れる根拠なんてどこにも無かった。けど、何故か信じられた。彼はまた、更に強くなって私の前に現れるだろう、と。

 

 

 

それから7年…

 

「助けていただき、ありがとうございました!…………あの、あなたの名前って…?」

 

「さっきも言ったけど、俺は仮面ライダーインフィニティだ!」

 

彼は約束通り、私のピンチに駆けつけてくれた。出会った頃よりも、何倍も、何十倍も強くなって…この時はまだ、彼がこの仮面ライダーの正体だということも、彼が記憶を失っているということも、知らなかったのだが…

 

 

 

そして更に一年と半年程経ち、優はついに私のことを思い出したようだ。

 

「その言葉…もしかして、思い出したの…!?」

 

驚きのあまり、私は掠れた声でそう聞いた。

 

「うん、思い出したよ。本当にごめん!長いこと待たせちゃって…」

 

「優が気にすることじゃないわ。ただでさえ、8年も前に一度会っただけだったのに、記憶まで失っていたんだから。」

 

「でも、約束も守りきれなかったし…」

 

「そんな事ないわ。優は約束通り強くなって、去年私がピンチになった時に助けてくれたじゃない。」

 

私は優に微笑みかけながら、そう言った。

 

「それって、もしかして…(俺が初めて変身した時のことか…?)」

 

「それからだって、何度も何度も私を…私たちを助けてくれたでしょ?それにね、あの時優に出会ったおかげで私は救われたわ。あの時のいじめっ子たちもあれ以来突っかかって来なくなったし、優が友達だと思うだけでとても元気になれたわ。」

 

「絵里…」

 

私の言葉を聞いた優は、それでもまだ心細そうにこちらを見つめてきている。

 

「優との約束があったから、私は救われた。そしてあなたは、それを果たしに来てくれた。記憶があろうとなかろうと、私はそれだけでとても幸せになれたわ。ありがとう。」

 

「俺だって、転生してから絵里に何度も救われた。μ'sの中でも初めて転生者だって明かしたのが絵里だったし、それを知った絵里は俺を支えようとしてくれた。本当にありがとう!」

 

私たちがお互いにお礼を言い合った所で、私は落ち着くために深呼吸した。

 

「優、あの時の約束は今日で終わりにしましょう。」

 

「えっ…?」

 

私の言葉に、優はとても不安気な顔で声を漏らした。

 

「私ね、ずっと優と新しい約束がしたかったの。」

 

「新しい、約束…?」

 

「優、これからは私が守られるだけじゃなくて、私もあなたがピンチになったら守りたい。あなたの隣に立って、支えられるようになりたい。」

 

「絵里…?さっきも言ったけど、俺は今まででも沢山助けられたし、沢山支えられてきたよ?」

 

「もっと、あなたの支えになりたいの。おばあ様が言っていたわ。女性は、愛する男性にただ守られるのじゃ駄目。愛する男性を隣で支えて、共に助け合えるようになりなさい、って…」

 

私がそう言うと、優は驚いたのか目を見開いてこちらを見ている。

 

「絵里、それって…」

 

「そのまんまの意味よ。私はあなたを、一人の男性として愛しているわ。初めて会ったあの時は、まだこの気持ちが何なのかはっきり分からなかったけど、優と沢山一緒に過ごしてきた今なら分かるわ。優、私はあなたが大好き。心の底から愛してる。だから、私はあなたの隣で支えになりたい。」

 

「絵里……」

 

私の名前を呟くと、それから優は戸惑って言葉を詰まらせている。そんな優を見て、私は思わず「ふふっ…」と笑ってしまう。

 

「えっ…?」

 

「ううん、ごめんなさい。急に言われても、困るわよね。それに、私たちはラブライブ!の最終予選を控えているスクールアイドル。だから、ラブライブ!の本戦が終わってから返事を聞かせて。」

 

「あっ、あぁ…分かった。ラブライブ!が終わったら、ちゃんと返事するよ。」

 

戸惑っていた優だが、今度は真剣な表情でそう言った。

 

「ありがとう。でもね、約束はしたいの。私たちは8年間、ずっと結んできた約束が急になくなるのは嫌だもん…」

 

「そうだよな…」

 

「だからね、今は隣とは言わないわ。あなたの隣じゃなくてもいいから、あなたの支えになりたい。あなたの()()として、一緒に助け合いたい。2人だけじゃなくて、アイドル研究部12人で。」

 

私の言葉を聞き、優は満面の笑みで答えてくれる。

 

「あぁ、そうだな!()()として、一緒に助け合おう!12人で!約束だ!」

 

そう答えてくれた優に、私も満面の笑みになって答える。

 

「うん!!」

 

8年前の、あの日のように…

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

「本当にもう大丈夫なのか?一日ぐらい入院した方が…」

 

秀夜たちが戻ってくると、絵里はもう退院すると帰り支度を始めようとしていた。

 

「もう大丈夫よ。目が覚めてからすっかり元気になったのよ?」

 

「まぁ、絵里がそう言うなら…」

 

「ほらほら、私は着替えるから優と秀夜は外で待っててもらえる?」

 

俺と秀夜は、絵里に言われた通り外で待つことにした。

 

 

しばらく外で待っていると、隣の病室の扉が開いた。

 

「おっ?優じゃねーか。」

 

病室から出てきた翔太郎さんがそう言った。

 

「翔太郎さん!良かった、目が覚めたんですね!って、翔太郎さんももう退院するんですか?」

 

「あぁ!もうすっかり元気になったし、いつまでも寝てられねぇよ。」

 

「僕も一日ぐらい入院した方がいいと言ったんだが、聞かなくてね…それより、『翔太郎も』ってことは、絵里ちゃんもそうなのかい?」

 

同じく病室から出てきたフィリップさんにそう聞かれ、俺は頷く。どうやら、無事照井さんに財団Xのやつらを引き渡したようだ。

 

「いつまでも病室で寝てたら訛っちゃいますから。それに、ラブライブ!の最終予選だって近いんだから。」

 

着替え終わった絵里が、病室の扉を開けてそう言った。

 

「まぁ、それもそうだな。じゃあ、フィリップさん、翔太郎さん。今日はそろそろ…」

 

「あぁ、もう暗いしな。折角来てもらったのに、戦いに巻き込んだりしちまって悪いな。」

 

「いえ、同じ仮面ライダー同士なんですから当然です!あっ、それよりこれ、翔太郎さんが眠ってる間に勝手に借りちゃったんですけど…すみません。」

 

俺は翔太郎さんのダブルドライバーとガイアメモリ三本を取り出し、そう謝った。

 

「何言ってんだ。俺たちが助かったのは優のお陰でもあるんだから、礼を言うのはこっちの方だ。ありがとな。」

 

翔太郎さんは笑って、そう礼を言ってくれた。

 

「じゃあ、アジトにあったデータの解析が終わったら、また連絡します。」

 

「うん、よろしくね。優くんのお姉さんたちにも、そう伝えておいてくれるかな?」

 

「分かりました、伝えておきます。」

 

「あのっ!」

 

俺たちの話に一旦区切りがつくと、ことりが翔太郎さんとフィリップさんに話しかけた。

 

「照井さんと亜樹子さんにも、ありがとうございました!って伝えておいてくれませんか?」

 

ことりの言葉を聞いたフィリップさんは、優しく微笑んで答える。

 

「あぁ、分かった。必ず伝えておこう。」

 

「じゃあ、翔太郎さんもフィリップさんもお元気で。」

 

「あぁ、優たちもな。」

 

翔太郎さんはそこまで言うと、俺と肩を組んで耳元まで近づいて小声で話す。

 

「フィンディッシュとの戦いの時、μ'sのみんなも、蓮も、秀夜も、ラビリーも、それにお前の姉ちゃんたちも、みんなお前が絶対に戻ってくるって信じて、必死に戦ってたよ。本当に絆の強い、良い仲間を持ったな。まっ、俺と相棒の絆には少し劣るがな。」

 

最後はイタズラな笑みを浮かべながら、翔太郎さんはそう言ってくれた。

 

「はい!僕もさっきのガス・ドーパントとの戦いで、翔太郎さんとフィリップさんはお互い離れていても、とても信頼し合っているんだと改めて感じました。でも、次に会う時は、僕らもお二人に負けないぐらい信頼し合える仲間になってますから!」

 

俺のその答えを聞き、翔太郎さんは更に嬉しそうに微笑んだ。

 

「おっ、言うなぁ!じゃ、次会う時を楽しみにしてるぜ。」

 

そう言って、翔太郎さんはフィリップさんがいるところまで下がった。

 

「じゃあみんな、元気でね。」

 

フィリップさんが別れの挨拶を告げると、翔太郎さんと共に俺たちに手を振って見送ってくれた。

 

「ありがとうございました!」

 

俺は2人に頭を下げ、俺たちは帰路についた。

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side フィリップ〜

 

「さて、僕らもそろそろ帰ろうか。」

 

「そうだな。」

 

優くんたちを見送った僕らも、鳴海探偵事務所に帰るため病院を出た。

 

「そうだ、翔太郎。君に伝言を預かっているんだった。」

 

「伝言?誰からだ?」

 

「須藤霧彦から。」

 

「っ!?霧彦…?あいつは死んだはずじゃ…」

 

当たり前といえばそうなのだが、死んだはずの須藤霧彦からの伝言に翔太郎はとても驚いている。

 

「あぁ。そのはずだが、今回は一時的に復活したようだ。それで僕たちに手を貸してくれた。何故復活したのかは僕はもちろん、彼自身も分かっていなかったようだけどね。」

 

「そうだったのか…」

 

「それで何て?」

 

「妹を救ってくれてありがとう。それから、今もこの街に変わらず風が吹き続けているのは、君たちのおかげだ。と。」

 

「そうか…」

 

伝言を聞いた翔太郎は、目を閉じて風都の風を感じていた。翔太郎と同じように、この街を愛していた須藤霧彦が好きな風を…

 

それにしても、今回の件を通して僕は改めて感じた。優くんと共に戦ったのは勿論心強かったが、やはりWとして、僕の相棒として、共に戦えるのは左翔太郎、一人しかいないと。

 

「翔太郎。」

 

既に目を開いて、鳴海探偵事務所に向かって再び歩き出そうとしていた翔太郎に、僕は声をかけた。

 

「やっぱり、僕の相棒は君一人だけだ。」

 

「…?どうしたんだ急に?っていうか、そんなの当たり前だろ。俺にとってもフィリップは、たった一人の最高の相棒だ。これからも、ずっとな。」

 

最初から分かりきっていたが、翔太郎の言葉を聞いて僕は満足して笑う。

 

「これからもよろしく頼むよ、相棒。」

 

僕の言葉に、彼も笑って答える。

 

「あぁ。」

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜side 優〜

 

音ノ木坂に戻ってきた俺たち5人は、再テストを受けていた穂乃果と凛の様子を見るため音ノ木坂学院に来ていた。アイドル研究部の部室に入ると、疲れきっている穂乃果、凛、にこ、蓮と、特に普段と変わった様子はない海未、真姫、希がいた。

 

「あっ!みんなお帰り!」

 

「おう、ただいま。それで、テストはどうだったんだ?」

 

「へっへーん!凛も穂乃果ちゃんも、余裕でバッチリ合格したよ!!ねー、穂乃果ちゃん!」

 

「うん!!」

 

笑顔でそう言った二人に、俺は意外だなと思いながらも一先ずホッとした。

 

「何が余裕でバッチリよ!2人ともギリギリだったじゃない!」

 

真姫がそう言うと、2人は「ギクッ…」と声を漏らして俺たちから目を逸らす。

 

「はぁ…普段からちゃんと勉強してないからそうなるんだぞ?」

 

「うわーん!それはもう海未ちゃんに何回も言われたよ…」

 

「ったく…蓮もにこも、テストでちゃんと赤点は回避したといっても、ギリギリだったんだろ?」

 

「「うぅ…すみませんでした…」」

 

穂乃果と凛もそうだったが、蓮とにこもかなり落ち込んでいる様子を見ると、俺たちが来るまでに海未にこってり絞られたんだろう。

 

「まぁ、とりあえずテストは終わったから良しとするか…これからは、ちゃんと勉強しておくこと!いいな?」

 

「「「「はい!!」」」」

 

「全く、返事だけはいいんですから。」

 

その様子を見た海未も、呆れ顔で声を漏らした。

 

「もし次また悪い点数やったら、わしわしMAXのフルパワーやで〜?」

 

希が手をわしわし動かしながらそう言うと、4人は怯えて震えている。っていうか、なんで男の蓮までそれに怯えてんだよ…

 

「よーし!それじゃあ、みんな!明日からはラブライブ!出場目指して、練習頑張ろー!あっ…でも、優くんは明日は参加出来ないんだっけ?」

 

切り替えて穂乃果が気合いを入れようとしたが、ふと思い出して俺にそう聞いた。

 

「あぁ、2日続けて悪いな…どうしても外せない用事があるんだ。」

 

「どうしても外せない用事?」

 

「あぁ、この前の俺が一時的に死んだ時、別の世界から転生してきた俺、橋本拓真と、元々この世界にいて死んでしまった仮野優の2人がそれぞれ分離してしまったんだ。その時に優と話す機会があったんだけど、その時に頼まれた事があるんだ。」

 

「それで、その頼まれたことって?」

 

真姫のそう聞かれ、俺は優に言われた頼み事について話す。

 

「祖父母の家に行って欲しいって…」

 

 

この世界に戻ってくる直前…

 

『一つ、頼みたいことがあるんだ。』

 

『頼みたいこと?』

 

『実は俺、死ぬまでじいちゃんとばあちゃんに育ててもらってたんだ。両親は、幼い頃に死んでしまったからな…それで、多分2人は俺が転生して生きていることを知らない。だから、悪いけど2人に会ってきてくれないか?俺は生きてる、無事だって伝えて欲しい。理由とかを全部話すかどうかは、お前に任せるから。』

 

『そんなことで良ければ、お易い御用だ。』

 

『悪い、ありがとう!』

 

とまぁ、こんな会話があった。

 

 

それを聞いたみんなは、快く許可してくれた。

 

「じゃ、穂乃果たちは明日から、優くんと12人揃っては明後日から、ラブライブ!優勝に向けて、練習頑張ろう!!!」

 

『おぉー!!』

 

穂乃果の掛け声に合わせて、俺たちは全員で声を上げた。

 

 

 

それから帰る支度をした俺たちは、学院を出て帰路についた。

 

「みんな!」

 

帰り道を歩いている時、俺は前に歩いていた穂乃果たちに声をかけた。それに気づいたみんなが俺の方に振り返る。

 

「俺はまだまだ未熟だし、みんながいなかったら、今まで乗り越えられなかった壁も沢山あるし、ここまで戦い続けられてなかったかもしれない…だから、これからも何かあったら支えて欲しい。それで、一緒に助け合って、どんな壁でも乗り越えていきたい!仲間として。親友として。この12人で!」

 

急に改まって言った俺に、みんな最初は戸惑ったが、すぐに笑顔で声を揃えて言った。

 

『もちろん!!』

 

その答えに安心した俺は、笑顔でみんなの元に駆け寄った。

 

 

 

翔太郎さん、フィリップさん。次会った時には、俺たちもお二人ぐらい…いえ、お二人以上に信頼し合える仲間になってますから、覚悟しててくださいね!!

 

〜side out〜

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

場所は戻り、風都のとある場所にてマスカレイド・ドーパントが数体暴れていた。

 

そこに、既に帰路についていた左翔太郎、フィリップ、そしてフィリップから預かった財団Xの連中を風都署まで届け終えた直後の照井竜の3人が駆けつける。

 

「もうひと仕事か。行けるか?左、フィリップ。」

 

照井はそう言って、アクセルドライバーを巻き付けた。

 

「当たり前だ。ったく…許せないな、この街を泣かせる悪党は。行くぜ、相棒。」

 

そう言って、翔太郎はダブルドライバーを巻き付けた。

 

「あぁ。」

 

そう答えたフィリップの腰にも、ダブルドライバーが出現した。

 

『アクセル!』

 

「変…身ッ!!」

 

照井は起動させたアクセルメモリを、アクセルドライバーに装填しハンドルを回す。

 

『アクセル!』

 

「さぁ、振り切るぜ!」

 

照井は仮面ライダーアクセルに変身した。

 

『サイクロン!』

 

『ジョーカー!』

 

フィリップはサイクロンメモリ、翔太郎はジョーカーメモリを起動させ、2人でアルファベットの『W』を象るように構える。

 

「「変身!!」」

 

そして、フィリップはサイクロンメモリをベルトに装填し、その場に倒れる。

 

翔太郎は自身のドライバーに移動してきたサイクロンメモリを差し込み、更にジョーカーメモリも差し込み、ダブルドライバーを展開させた。

 

『サイクロン!ジョーカー!』

 

翔太郎とフィリップは、二人で一人の仮面ライダー、Wに変身した。

 

「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」

 

左手でマスカレイド・ドーパントを指しながら、ずっと街の悪党に投げかけ続けている、言葉を投げかけたのだった。

 

仮面ライダーW。仮面ライダーアクセル。この3人の仮面ライダーは、きっと風都に悪党がいる限り、そんな奴らから街の人々を守り続けるだろう。

 

そして、たとえ街を泣かせる悪党がいなくても、左翔太郎とフィリップは、いつまでも唯一無二の相棒で、探偵で、仮面ライダーWだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラブライブ!最終予選まで、あと16日…

 

 

 

 

 




はい、という事で125話でした。いかがでしたか?今回ついに優と絵里の出会いが明らかになりましたね。優が絵里と出会っていたことを、何故突然思い出したのか、予想がついてる方もいるかもしれませんが、それは次回にもチラッと触れますのでお楽しみに。

そして現在10周年でもある仮面ライダーWのエピソードも一先ず最終回。僕の想像の話ではありますが、翔太郎とフィリップが変身した話を書いて、やっぱりWは二人で一人だなぁ、と改めて感じました。

次回はレジェンド回ではありませんが、果たして次に登場するレジェンドは誰なのか…

では今回はこの辺で…お気に入り登録、評価や感想なども是非よろしくお願い致します!ではまた次回、お会いしましょう。


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