Aqoursと失われた記憶 (ねぎぼうし)
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【第一話】Aqoursと失われた自分の世界

自分で分かるぜ駄文だコレッ!でも読んでくれると助かります!基本的最初は週一配信します。
それではどうぞ。お楽しみください。





失うものなんて僕にはなく、自殺を考えたこともたびたびあった。

だが、光が、輝きが、僕の前にちらつき、いつも死なせてくれなかった。

その光は……

 

 

 

「っ!?」

「あ!起きた!」

「大丈夫?」

 

痛った……ここは……砂浜?

頭に強い衝撃が走り、目が覚めると僕の目の前に二人の女の子がいた。

一人はオレンジ色の髪の子。

一人は……桜色?の髪の子。

 

「こんにちは!」

 

オレンジ色の髪の子が……って

 

「すいません。あなたは……?」

 

僕この人知らない。

 

「え?あぁ初めまして!浦の星女学院二年、高海 千歌です」

「同じく二年、桜内 梨子です。あなたは?こんな砂浜で倒れてどうしたんですか?」

「私は……私は?」

 

あれ?あれっ?

 

「私は……誰……でしょう?」

「「え?」」

「いえ!ふざけてるのではなく……思い出せない……」

「……記憶喪失かしら」

「え!?あれって現実でも本当にあるの!?」

 

記憶喪失……

 

「すい……ません……ほんとに何も覚えてなくて……」

さっきから何かを思いだそうするけど……ダメだ……

「……だったら大変ね……千歌ちゃん!」

「はいっ!?」

「病院に連絡を!」

「合点承知!」

 

病院……ね……

 

「あの……診てもらう分にはいんですが……お金は?」

「「え?」」

「いえ……さっきもしかしたらと思いまして探したんですが身分証明書とか……ないですよ?」

「そっか……鞠莉さんにお金かしてもらう?」

 

鞠莉さん?あぁ多分友人の名かな?

 

「おっけー!鞠莉ちゃんお金かしてっと」

「ラインでそれは状況が伝わらないでしょ……」

 

梨子さんに全く同意見だ。アホかな?

 

「そっか!じゃあ……会いに行こう!」

 

電話の発想がないのか?教えてやるか。

 

「……電話すれば」

 

「え?でも電話でこの状況を説明して鞠莉ちゃんしんじるかな?」

 

うっ……

さっきアホ呼ばわりした人に正論言われた……

 

「と、いうわけで!いくよ梨子ちゃん!」

 

仕方ない……か。

記憶喪失……どうしようか。

僕たちは鞠莉さんなる人の家に足を運ぶことにした。

 

 

 

 

 

「WAO……記憶喪失ね……」

「はい……基本的なことは覚えるんですが、名前、住所、身分とか大事な部分はまったく……」

 

現在、鞠莉さん宅なのだが……

 

「あの……凄い豪華ですね?」

「なにが?」

「……いいですもう……」

「?」

 

金持ち感溢れでる家だなぁ……

これで何が豪華なの?のレベルとは……

こっちは記憶喪失で一文無し同然なのに……

 

「さて、騒いでる向こうはほっといて本題を」

 

ちなみに、騒いでる向こうとは、

 

「すごーい!金の鞠莉ちゃん像だ!」

「なんのためなのよこれ……」

 

千歌と梨子さんのことだ。

なお、千歌についてはあんなキャラなので勝手に呼びすてだが……いいだろう。

さて、話を戻して、

 

「お金!くださいっ!」

「貸して。ではなくて?」

「返せる目処がたつまでは言えないですねッ!」

「正直ね……」

 

だって後で「返して?」なんて言われても困るしぃ!?

 

「いいけど……家は?」

「そこもついでにっ!」

「だめです。ホテルはお金で運営するものですから!」

「ですよねぇ……」

 

どうする?旅館、ホテルは金がかかる。そうなると支援しきれないかも……支援切れたら生きれないし……

 

「だったら!」

 

後ろから聞いたことのない声が聞こえて振り向く。

そこには黒髪で緑色の目をした美人さんがいた。

 

「私の家で預かりますわ!」

 

美人さんが……え?

いま預かるって……

こんな美人さんの家に過ごせるの?

落ち着いて言葉にして今の状況を整理しよう。

 

「えええええええっ!?」

 

この言葉が一番、今の状況にふさわしいよな。

 




さてと……展開はあらかた決まってるが駄文だなぁ……
まぁアドバイスくれると上手になると思うんで!ね!?
成長する作家として今後、よろしくお願いいたします。


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【第二話】Aqoursと失われた真実

まさか続きを書くやる気が出るとは思わなかった第二話!さぁさぁ勢いだけで書いたので耐えながらお読み下さい!どーぞ!




「えええええええっ!?」

「どうしたのですか!?」

「え?いや僕、男ですよ!?」

「え、えぇ……」

 

だったら!

 

「男を自分の家に泊めるってことですよ!?」

 

普通の女子高生はしないでしょ!?

 

「…………鞠莉さん?もしかして説明はまだだったり……」

「That rights!さっすがダイヤ!理解が早いわね!」

「どうかんがえてもそれを一番に話しておくべきでしょう!?」

 

なになに?

話?聞いてないけど?

 

「はぁ……仕方ありませんわね……お話しますわ。と、その前に」

 

ダイヤさんはこっちを向きなおし、

 

「初めまして、浦の星女学院三年、黒澤ダイヤですわ」

 

浦の星女学院三年……千歌と梨子さんの先輩か。

まぁそれよりも……

名前が……珍しいな……

 

「ダイヤですか……」

「えぇ……言いたいことは分かりますがその反応も見飽きましたわ……」

 

名前がダイヤとはお母様はどのようなセンス持ちなのだろう?

まぁそれはおいといて、

 

「初めまして。吾が輩は記憶喪失である。名前はまだない」

「あら?夏目漱石?」

「えぇ、覚えてる記憶のひとつです」

 

と、軽く挨拶を済ませ、本題にはいる。

 

「いろいろ言いたいんですがまず僕はあなたの家に住ませていただくんですよね?」

「そうですわね。病院に行けない限りは……」

 

え?

 

「ちょっ!待ってください!病院に行けないとは……?」

「ほんとに何も話してないのですわね……」

 

ダイヤさん、鞠莉さんを一瞥、そして殺気。

 

「Sorry……」

 

鞠莉さんに大ダメージ、効果は抜群のようだ。

 

「話を戻しますわ。なぜ病院に行けないか、ですわね?」

「えぇ……」

「危険だからです」

「……は?」

「考えて下さい。あなたは何処で目覚めたのですか?」

「ええっと……砂浜ですが?」

「そして……」

 

ダイヤさん、次はこちらを見て

 

「服が濡れていない。これは異様ですわ」

 

……話が見えてきません。

 

「まだわからないのですか?あなたは、『砂浜で起きたら記憶喪失』なのですよ?普通じゃありえませんわ」

 

そういえば……

 

「身分証明もなく、砂浜にいたにも関わらず、濡れていない。都合がよすぎる……」

 

いや、ある意味悪いのか。

 

「そのとうりですわ。これがなにを指すかはもうお分かりいただけたでしょうか?」

 

マジかぁ……

それはいくらなんでも最悪過ぎやしませんかねぇ……

 

「つまり……人為的に記憶喪失にさせられた、と」

「えぇ。しかも記憶喪失なんてこと、狙ってできることではありません。それをしたということは、相当大きな組織かも……病院に行くということは身分バレですから記憶喪失どころではすまないかもしれませんね。まぁ問題点はそこではないのですが」

「え?どういう……」

「あなたは病院に行けません。そして記憶喪失です。最悪、脳の異常で死ぬかもしれないですわ」

「っ!?」

 

恐ろしい事実だ。詰みじゃん!

 

「そこで、黒澤家があなたを引き取り、その根源を割りだそうというわけですわ。わたくしの家は網元でして、書斎が大きいので調べものは良くできます」

「それって結局死ぬ解決作にはなってないんじゃ……」

「最悪の場合といったでしょう?本当なら記憶喪失ではなく、死亡していた所です。それがないということは……」

「記憶喪失で大丈夫なレベルだった……そして記憶喪失は死なない」

 

なるほど、記憶喪失で殺すなら最初から殺してるってことね。

 

「そういうことですわ。と、いうわけで家に来ていただけますでしょうか?」

 

まぁ……しかたない。

 

「よろしくお願いします。ダイヤさん」

 

こうして僕は新しい住み場所ができた。

にしても……

 

「鞠莉さん?なんで僕は説明をされてなかったんでしょうか?」

「Wait!まって!話せば分かるわ!だからその目やめて!?」

「事情説明はしておいてくださいといいましたわよね?」

「ひっ!?……ダイヤ?」

 

いいことを聞いた。

 

「あーいわれてたんだー。僕聞いてないけどなー?」

「そーいえば鞠莉ちゃん!これ落ちてたよ!」

 

さっきまで遊んでいた千歌が紙を出す。

それを素早く梨子が奪って黙読。

 

「……ダイヤさんこれ……」

 

ダイヤさんに手渡された紙を見てみると、

『記憶喪失の理由』

といちばん上に大きく書かれていて、その下にさっきダイヤさんが話したことがまるごとのってある。

これって……

 

「鞠莉さん?まさかこれ落としたから説明忘れた。とかいいませんよね?」

「確かわたくしに電話したさい、メモ取るから待てと言われましたわよね?」

 

鞠莉さーん?

 

「あっははは……Sorry」

 

逃げた!?

 

「いよっしダイヤさん!一回説教タイムですね!千歌、梨子さん!捕まえるの手伝って!」

「「ええ!?」」

「もう許しませんわ!いつもしっかりしろといっているでしょう!お待ちなさいな!」

「冤罪よ!ギルティ判決は待って下さーい!」

 

ふざけんなあああああっ!




どうでした?耐えきれました?今回は2000字にしてみたんですが多いですかね……?次回は主人公の名前を決めようと思います!あと推しは曜ちゃんです!まだ登場してないけどね!?ストーリー上こうなったんや……
というわけで!次回も読んで頂けたらと思います!


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【第三話】Aqoursと失われた名前

今回は書きたいこと多すぎて気づけば2800字!でもとうとう曜ちゃんだせたぁ(満足)ノリノリで書いたんで執筆中の自分を覚えていない……怖いぜ……
前置きはこのぐらいにして、本編どうぞ!


「うわぁ……!」

 

僕は思わず感嘆の声が出た。

 

「ここ1人で!?」

「えぇ、どうぞ」

 

やったぜ!

思わず嬉しさにガッツポーズ。

ここはダイヤさんの家。

あれから鞠莉さんを無事、説教し、辺りが暗くなったので、ひとまず帰ることに。

そして今、ダイヤさんに個室を案内してもらっている。

感想はたった一言でたりる。

めっちゃ広い。

鞠莉さんとまではいかないまでも流石網元だ。

 

「さて、個室も案内してもらったんで次はあそこ教えてください!」

「あそこ?」

「書斎です。さっさと調べて」

「ぶっぶ~ですわ!」

「うおっ!?」

 

急にダイヤさんが叫ぶものなのでつい声が出た。

 

「調べることはしなければなりませんが今は休んでください!あなたは記憶喪失なのですよ!」

「は……はい」

 

あまりに凄い気迫に押されて返事をする。

ぬぅ……一刻も早く知りたいが仕方ない。

 

「おにいちゃん?」

「……え?」

 

後ろから声が、というか不審な単語が聞こえたので振り返る。

そこには、

 

「おにいちゃん?」

 

赤髪の少女がいた。

なにこの可愛い子。妹にした覚えないけど。

 

「あら、ルビィ」

「ルビィィィィィッ!?」

「わたくしの妹ですわ」

 

姉妹揃って宝石!?

 

「おにいちゃん、いいたいことは」

「あぁうん。その先は分かった。ところでなんで俺がおにいちゃんなのよ?」

 

その反応も飽きたんだろ?

それより俺は兄になった覚えねぇぞ。

と、暗に伝える。

 

「おにいちゃんは家族だからおにいちゃんです」

「おっしゃってる意味がよくわかりません」

「あら?そうかしら?あなたはもう家族というルビィなりの歓迎ですわ」

 

ふーん。てことは、

 

「君はダイヤさんの妹で俺の妹なわけね。よろしく、ルビィさん」

「ルビィでいいです!」

「んじゃよろしく、ルビィ」

 

家族が1人増えました。

若干嬉しそうなのは兄が欲しかったからだろうか?それとも気のせい?

 

「にしても……名前がないと不便ですね……」

 

自己紹介もなんか変な感じだ。

 

「でしたらつけましょうか。そうですね……パール、サファイア、プラチナ……」

 

ダイヤさんも血筋だったー!?

 

「ええと!そ、そうだ!千歌たちにきめてもらいましょうよ!」

 

この人に決めさせたらダメだ!

 

「そうですわね。わたくし1人より皆で……そうですわ!Aqours全員で考えましょう!」

 

良かった……宝石パターンはないようだ。

 

「……あれ?Aqours?み、水ですか?」

 

あ!分かった!スイミングスクールね!

 

「そういえばあなたにはAqoursのこと話してなかったですわね」

「スイミングスk」

「スクールアイドルのこと……すいません今なんと?」

「なんでもないです」

「スイミング」

「なんでもないです」

「いえでも今」

「なんでもないです」

「……そうですか」

 

スクールしかカスってねぇじゃん。

恥っず、穴ないかな?まぁもっと気になることがあるから聞いてから入るけど。

 

「スクールアイドルってなんです?」

「……あなた、常識は覚えているのにそれは知らないのですね」

「あのね?スクールアイドルっていうのは、学校でアイドルをすることなの!」

「ごめんルビィ、それホント?」

「え?はい」

「だったらさ……あの千歌と梨子さんがアイドルやってんの?」

 

確かに可愛いけども、あの子たちが歌って踊る……

 

「そうですよ。ちなみに私たちもAqoursです」

「わた……」

 

したちいいいっ!?

 

「見たい見たい!どんなの!?」

 

綺麗美人なダイヤさんと!

可愛い少女ルビィが!

歌って踊るとは!

是非とも見てみたい!

 

「では明日みせますわ」

 

マジで!?

 

「なので今日はお休み下さい」

「了解しましたッ!」

 

こうして僕の1日は終わった。

スクールアイドルが楽しみでその夜が眠れなかったので少し調べたがμ's、という伝説のグループがあるらしい。

学校を救ったらしいけどなんてアニメの主人公?

そんな感じで夜ふかしして気づけば1時をまわっていた。

 

 

 

 

 

 

結局ほぼ眠れなかったが次の朝は

 

「おはようございます……」

「もう昼ですが……」

 

遅起きでした。

 

「あ、今日の昼千歌さん達をよんでいますわ」

「昼?あの今さっきなんと」

「昼ですわ。早くしないと皆さん待ってますわよ」

「は、はい!」

 

待たさせてた!やっばい!

服!は、ねぇよ!倒れてたんだよ!?

 

結局、僕は昨日の姿のままダイヤさんに皆の場所へつれていってもらった。

 

 

 

 

 

「あ!来た!」

 

と、扉を開けると千歌の声を合図に、

 

「ラグナログの影響?ふっ!面白い!」「大丈夫ずらか?徐霊とかいいずら?」「千歌ちゃんと梨子ちゃんが見つけたんだよね?記憶って何が残ってるの?」「うーん……見たところ千歌たちと同い年かな……」

 

質問攻めが来た。

人気者になる気はないので本題に。

 

「あーそれは後で答えるとして、自己紹介を……」

 

「あっはは……ごめんね?えっと、わたしの同級生で灰色の髪の子が曜ちゃん」

 

と、梨子さんの言葉で曜さんがお辞儀をする。

 

「こちらは果南さん。果南さんはわたくしと鞠莉さんの同級生ですわ」

 

と、ダイヤの説明にも果南はお辞儀。

 

「こっちは花丸ちゃん、そして善子ちゃん」

「ヨハネ!」

「ルビィの同級生です」

 

と、ルビィさんの説明にも花丸さんはお辞儀、そして善子、あーいやヨハネ?さんは胸を張っていたがお辞儀の雰囲気に逆らえず、渋々お辞儀。

 

「僕の名前は……」

「それを今から決めます」

「はーい。ってえ?」

「あなたはAqoursが名付け親です」

「まぁ……いいですけど」

 

別に問題はないし、ダイヤさん意外なら。

 

「この私がリトルデーモンにふさわしい名を!」

「「「「「「「「却下!」」」」」」」」

「なんでよ!」

 

全員唱和って……

と、ここで果南さんここで

 

「うーん……梨子ちゃんつけてよ。ほら東京で最先端の名前とかさ!」

「「却下」」

 

千歌と曜さんがとめた。

 

「ひどい!二人とも」

「スリーwww」

「マーメイドww」

「それはなしっていったでしょ!?」

 

次は鞠莉さん、

 

「シャイン、ハピネス、どれに……」

「なんで全部カタカナなんですか!?日本語で!お願いします!」

「えぇ……」

 

次は花丸さん。

 

「阿弥陀、観音、うーん……」

「僕は仏ですか!?もっとこう……普通はないんですか!?」

 

どうしてこのグループはこうも……

その時、

 

「記憶喪失……喪……内浦、海が青で、喪だから……蒼、で、Aqoursで……輝く……蒼輝?」

「……え?」

 

曜さん?

 

「蒼輝、どうかな?安直?」

「蒼輝、そうき……いえ!それにしましょう!」

 

僕は大きく息を吸い、

 

「はじめましてっ!黒澤蒼輝です!以後お見知りおきを!」

 

と宣言。

部屋はキョトンとしたあと、

 

「よろしく!蒼輝くん!」

「「「「「「「よろしく!」」」」」」

 

と返事が返ってくる。

どうやら異論はないらしい。

 

「さて、これで日常問題はなくなりましたね!」

 

名前、衣食住。問題なし!

ってあれ?

 

「花丸さんと鞠莉さんは?」

「あっちですわ……」

ダイヤさんが指差しした方をみると……

 

「阿吽、運慶……」

「シャイング、アクアリム……」

 

あの二人は……

 

「いつまで考えてるんですか!?」

「ええっ!?もう決まった(ずら)『の』!?」

「…………」

 

本当にあの名前つける気だったのか……

僕はこの中では、まともなツッコミでいようと、固く決心した。




今回は流石に長かったですか?
個人的には時々ハーレムしながらやっていくつもりですが、やっぱりガッツリこのまま今のスタイル貫いてミステリーすべきですかね?
文字数も含めて意見ほしいんですが……(コメ稼ぎ)
まぁあらすじ決まっているうちは更新早いと思うのでお待ちください(フラグ)
ではまた次回!


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【第四話】Aqoursと失われた学校

5話のよしりこは良かった……尊い。梨子ちゃん美術部なのにりきゃこの犬で笑った。
さて、そっちは置いておいてですね、今回はなんか重めになっちゃいました。
ほぼノープランですからこんなのよくあるんですよね……
そんな回をどうぞ!




どうもこんにちは。

黒澤蒼輝、たぶん17歳、男の子です。

今、僕は夢の体験をしております。

それは……

 

「千歌ちゃんの彼氏?」「いや梨子ちゃんじゃない?東京っ子だし……」「ねぇねぇ!二人とどういう……」

 

女子高でキャーキャーいわれてます。

世の中の男子諸君、さぞうらやましいことだろう?いいだろう?そんな哀れな君たちに一言。

 

うん、これね?

全っ々嬉しくねぇッ!

 

おっと男子諸君!そのグーにして振り上げている手をやめようか!?

まだ殴り飛ばすには早いと思うんですよ!?

事の発端は名前が決まった日にですね?

 

 

 

 

「蒼輝は浦女に行くべきだわ!」

 

あらかじめ千歌たちから浦女は女子高と知っていた僕は絶句。そして、

 

「……鞠莉さん?正気で言ってるなら教えて上げます。僕、男です」

「I know!関係ないわ!」

 

なるほど、僕は手を鞠莉さんの前にだして、

 

「…………グーとパー、どっちがいいです?」

「ストップ!?OK!説明するわ!武力こーしはダメよ!」

 

説明?

 

「まず1つ!病院同じく、他校では情報が漏れることが心配ですわ」

「でもそれは浦女だって変わらないですよね?」

「え?あ、あぁ言ってませんでしたわね。実はこの鞠莉さん、浦女の理事長ですわ」

「イッエーース!私が理事ty」

「なるほど、で?2つ目は?1つといったからにはあるんですよね?」

「無視!?結構驚きの設定だったわよ!?」

 

鞠莉さんあなた……

 

「あの豪邸をもっているひとが目の前にいて!?自分は記憶喪失で!?女子高に行くべきと話している今!理事長だったぐらいで驚くと思います!?」

「あぁうん、今さらだったわね……」

 

記憶喪失の時点でなにがあっても今さらなんだがな……

 

「は、話をもどしますわ」

「はい。どうぞ」

 

横でキャラがへった……と落ちこんでいる鞠莉さんをほったらかし、話を続ける。ほったらかしても果南さんがなんとかしてくれるだろう。

 

「2つ目ですが……これは個人的な事情なのですが……その、浦の星女学院は生徒数が減ってきているのですわ。それで」

「廃校になるからその時は共学にしよう!というときの言い訳?」

「……はい。廃校の話は誰から?」

「いえ?自分の考察だけどあってました?でもそれなら却下で」

「んな!?なぜですか!?」

 

なぜですか?ってそりゃ……

僕は敬語をやめて

 

「その考えがいただけない。廃校になったとき?いいよ?僕の推理を話そうか?」

 

僕は大きく息を吸って、

 

「そもそも、さ?記憶喪失の人なんて僕なら助けないねー?だって面倒くさいもん。適当に理由でっち上げでほったらかすよ?」

 

とまくし立てる。

シリアスな空気になるがお構い無しに僕続ける。

 

「でもあなたたちは僕助けた。何で?お人好しなんでしょ?えーでもでも!お人好しの人が母校の廃校を黙って待ってるかなー?」

 

一同に緊張が走る。

 

「ましてここには理事長がいるんだよ?なんとかできそうじゃなーい?僕なら、そだなぁ……スクールアイドルとかして人気集めたり!」

 

シーンと静まり返る部屋に僕の声だけが響く。

 

「……そうやってスクールアイドル、始めたんじゃないですか?なのに『廃校になったら』?拾ってもらった恩は感じますが、その考えは好きではありません」

 

変わらず部屋は静寂そのもの。

つまり本当にそうしてなったということ。

僕は部屋をでて、9人で話し合ったらほうがいいと思い、扉の方に足を向けて

 

「違う…………」

「……千歌?」

 

静寂は崩したのは千歌。

これは……予想外。

 

「私達は……そんなんじゃない」

「へぇ……じゃあ一体なんです?」

「私達は……廃校も阻止して、人気を集めるのもホントのこと。でも……」

「でも?」

「私達は、私達がスクールアイドルになったのは!輝くため!」

 

千歌の言葉に全員が顔をあげる。

 

「みんな輝きたくて!奇跡を信じたくて!そして今!スクールアイドルをしてる!人気とか廃校とかそんなのは後付け!私達は……蒼輝くんのいってるようなのじゃないっ!私達の目標は、いつだってひとつ!」

 

「「「「「「「「「輝きたい!」」」」」」」」」

 

意外だ。

まさか千歌が導いてくるとは……

 

「それが……聞きたかった。いいです。浦の星女学院。入りましょう」

 

 

 

 

 

そんなわけで浦女に今いるんですがね?

男で一人でいると女関係めっちゃ聞かれる。

かといって記憶喪失と言ったら病院同じく、だ。

ということで僕は

 

「すいませんっ!」

 

屋上に逃げ込むことにした。

あとは……千歌と梨子さん、曜に任せよう。

あ、曜さんは呼び捨て許可もらいました!まだ慣れてないからたまに曜さんって言っちゃうけど……さっきみたいに。

 

「だれも……いないか」

「いますわよ」

「ダイヤさんですか」

 

屋上にはダイヤ以外いないので質問攻めはない。

僕は安心して寝転ぶ。

そこにダイヤさんが近づいてきて、

 

「……どうしてあんなことを?」

「あんなこと?あぁ考えがいけすかないってやつ?あれはまぁ半分本気だったというか……」

「半分?」

「えぇ、ほんとはスクールアイドルに不満持ってる人がいたらやめさせる煽りみたいなもんでしたけど……みなさんやってて楽しいんですね。スクールアイドル」

「ええ、とても」

「でもまさか千歌さんが言うとは……あれはリーダーの本心を聞くための罠でしたが……ダイヤさん辺りがいうと」

「確かに千歌さんはリーダーっぽくないですわね。でも……」

「えぇ確かに……」

 

輝きは、感じた。

 

「ところでダイヤさん?鞠莉さんところ行かなくていんですか?昨日今日で入学した僕のことできっと仕事たまってますよ?」

「あっ……」

 

ダイヤさんは立ち上がって駆けていった。逃げないのはさすがのスピリッツ。

僕も質問攻めを覚悟し、帰ることにした。

千歌に任せっきりはつらいだろうからな。

 

この数秒後、千歌の悲鳴が聞こえ、僕は再度屋上に上がることにした。

どんな尋問なんだよ……

数秒前の考えを変えるとは……

千歌とは違い、僕の意思は弱いようだと痛感した。 




どうでした?千歌ちゃんの主人公感を出したくて……
にしても女子にキャーキャーいわれて嬉しくないとかホントに蒼輝殴り飛ばしていいですか!?
しゃべることなくなったんでこの辺で終わりましょう。
次回は……来週のこの時間には出てます。多分。
お待ちください!


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【第五話】Aqoursと失われた手掛かり

どーもっ!金土日の三連休に続き創立記念日で火曜日が休みだったのにも関わらず書くのをサボっていた斜め構えるですっ!
このままではさすがに駄目だろうと思い、ミステリー回を一気に書きました!
どうぞっ!




浦女にかよって一週間、たくさんのことに慣れた。

ということで、そろそろ時期だろう。

 

「ダイヤさん、書斎、案内してください」

 

僕は過去を探ることにした。

 

「……いいのですか?知らないほうが幸せかもしれませんわよ?」

「まぁ……人為的な記憶喪失ですからね……でも、知らなきゃ始まらないと思うんです」

「そうですか……では、ついてきて下さい」

 

ダイヤさんと屋敷を歩き回り数分後ごある一室の前に。

 

「ここは……書斎ではないですがこちらのほうが書籍も多いでしょう。我が家の倉庫ですわ」

 

そういってダイヤさんは大きな扉をひらいて……

 

「うわっ……」

 

僕は二重の意味で驚いた。

一つは本が余りに多い。

こっから見つけ出すのは不可能じゃね?

二つ目はダイヤさんには悪いが……

 

「散らかりすぎ……ですね」

「……もう十年はだれも入ってませんから」

 

酷い惨状だった。

本棚は倒れてホコリは舞い上がり、Gがいそうで入るのをためらうレベルで。

だがなぜか……

 

「本の管理すごいからプラマイゼロですね」

 

そう、まさにプラマイゼロだった。

前記で環境が酷いのはおわかりだろう。

だがそれをゼロにする本の徹底管理。

具体的には……

 

「種類別にばっちり本棚にあるし、倒れてある本棚には本がない。しかも抜け本がないって十年前が見てみたい」

 

さぞ綺麗だったろう。

 

「と、それはいいとして、どっから当たっていきます?手掛かりがないんじゃしらみつぶしですが何せこの量ですから」

「そうですわね……今蒼輝さんは17才と仮定して、生まれた年から今までの内浦での大きな出来事を当たりましょう」

 

事故の可能性をまずは疑うか。

まぁ手掛かりがないんじゃしかたない。

 

「近年の歴史書ですか。場所分かります?」

「はい。こちらですわ」

 

ダイヤさんはずんずん奥に進んでいく。

奥に進むたびに散らかった本棚につまづいて転びそうになる。

まぁ僕はころばないからいいけど。

と思いつつ歩いているとふと気になるものが目にうつり、

 

「ダイヤさんこれ……」

「はい?きゃっ!?」

「ちょっ!?ダイヤさん!?」

 

ダイヤさんは僕の声に、反応して振り返ろうとして、つまづく。

地球の法則にしたがってダイヤさんは僕の胸に倒れ込むわけであり……

 

「っと!危ない。怪我はありませんか?」

 

ダイヤさんをその……ハグする形になり、支える。

 

「あ、はい。ありがとうございます……」

「いえ、それよりも、ずっとハグの形とか恥ずかしいんですが」

「え?」

 

ダイヤさん、やっと置かれてる状況を理解したのか慌てて僕から離れる。

 

「すすすすすいませんっ!」

「あぁいえダイヤさんは悪くないですし……」

「果南さんでハグに違和感を感じなくなってきてますわ……」

「なにやってすか果南さん……」

 

っと!それよりもだ。

 

「この本見てください」

「これは……ここに?」

「はい」

 

見せたのは『科学のひみつ』という幼児向けの本。

呼び止めたのは単に国語系の本棚にあったからで。

他の本が揃っているのに違和感を感じただけなのだ。

 

「とりあえず科学系の本棚に入れときましょうか」

「はい。たしかその近くに近年の歴史書が……」

 

お!一石二鳥!

 

「んじゃいきましょうか!」

 

 

 

 

 

「だーめでした!」

「当たり前ですわね……なにもヒントがないのですからしかたありませんわ」

 

まぁそうだけどさ……

あれから二時間、ずっと調べていたわけだが手掛かりゼロ!

 

「これ……記憶もどらないんじゃないんですかね?」

「随分軽いですわね……気にならないのですか?」

 

そりゃまぁ……

 

「気になりますけど知ったところで危なそうですし……機会があれば知りたいぐらいですね」

「……今日はやめましょうか」

「賛成です。こんなところにずっといたら体に悪そうですし」

 

さっきからGをちょっと見かけるしね。

 

 

 

 

 

 

というわけで今日は調べることをやめて部屋を出た。

 

「空気が綺麗……」

「さっきまでホコリだらけでしたし、しかたありませんわ」

 

うーん、手掛かりゼロはつらいな……

 

「……浜辺にいきましょうか」

「え?ダイヤさん?」

「確か倒れていたのは浜辺なのでしょう?」

 

そうか……忘れてた……

 

「手掛かりあるかもそれないですね……!行きましょう!」

 

 

 

 

 

「綺麗……」

「内浦の美点ですわね」

 

倉庫で二時間読書して、浜辺に来たのだ。

勿論昼などとっくに過ぎており、

時間帯は夕暮れで場所は浜辺。

夕焼けで海が光って……

あとは言うまでもないだろう

 

「何か落ちてないですかね―?」

「そんな簡単に……あれ?」

 

おっ!?何か手掛かりが?

 

「ペン……ダント……?」

「!?中は!?家族とか!?」

「いえ……抜かれています」

 

えぇ……

いや!なにかの手掛かりかも!

 

「ダイヤさん、さっきの言葉どういう意味ですか?」

「はい?」

「ないではなく『抜かれている』?」

 

思い過ごしならいんだが……

 

「あ、はい。これ、何か入れた跡がありますわ」

 

僕はペンダントを覗き込むと、

確かに、写真の左端の部分が少しだけ残っている。

上手く抜けなくて乱雑に抜いたのだろう。

だが空しか写っていなくて判断できない。

 

「……帰りましょう収穫はありましたし、これ以上は暗くて見つけられそうにないですし。あ、ペンダント預からして下さい。多分僕のですんで」

 

僕はペンダントを受け取り帰ることにした。

はたして僕が過去を知る日が来るのだろうか……

部屋に帰ってペンダントを一人で見ているとそんな考えが浮かぶ。

でも……

 

「知らなきゃ納得できない」

 

僕はペンダントをにぎりしめ、布団に入って考えることを止めた。

そして寝ようと……

 

「ああああっ!ハグが頭をよぎるううっ!」

 

寝られるか!ダイヤさんとハグだぞ!?

とかなんとか長いことしてるうちに寝てしまい、

そのまま次の日は遅刻した。

ダイヤさんに起こしてくれなかった理由を聞くと

 

「さて?昨日蒼輝さんが眠れなかった理由以外私は何も知りませんわよ?」

 

と笑顔で言われた。

聞かれてたのか……まぁ叫んでたし……

と悶絶していたらAqoursの皆に理由を聞かれ話そうとしたらダイヤさんが止め、何かあったという疑惑が僕たちにはつき、誤解をとくため、結局全てを話してしまい、ダイヤさんも悶絶しましたとさ。




こんな感じでしょうか。
ミステリーとか分からんっ!
とりあえず近いうちに日常回も書けたらと思います。
六話は土曜の朝二時ぐらいには書き上がるかな……?
それはそうとして果南がハグしようとするたび思い出して赤面するダイヤさんがみたい。
それではまた次回!
あーやっと寝れる!(現在一時半)


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【第六話】Aqoursと失われた部活

第六話にもなって「感想きてないかなー?」と30分おきに確認する残念作家、斜めにかまえるです。
感想が生き甲斐です。
常連のソレノイド様に助けられてるようなもんです。
はい。露骨な感想稼ぎは置いておいて本編どうぞ。





今回は過去語りから始めさせていただこう。

嵐の前の静けさ。

誰が考えたのかしらないが実に的を得ていると思う。

その日は平和で、記憶喪失のことも忘れ、のんびりと学校生活をしていたわけだが……

 

「蒼輝くん部活は?」

 

とまぁこの千歌の一言で察しのいい人は今後の展開が分かるだろう。

だがしばらくお付き合いいただきたい。

 

「ない……な。まぁ別に早く帰れるし問題ないけど」

「だったらさ……」

 

はい、もうバカでも分かるだろう?

それでは次の千歌のセリフを皆さん当てていただきたい。それではご一緒に。

せーのっ!

 

 

「スクールアイドル部!入らない!?」

「…………は?」

 

 

 

 

 

 

「却下」

「なんで~?楽しいよ!スクールアイドル!やろうよ~」

「却下っ!」

 

と同じ会話を延々千歌とする。

さて、これはどうしたものか……

 

「あのな千歌?僕男だしアイドルとかないし」

「だからマネージャーとして~」

「アイドル知らない僕が何マネジメントするのさ?」

「うっ……」

「素直にいえば?人数増えたら部費も上がるって」

「そ、それは……」

 

図星かよ……

そもそも僕は早く帰ってあの倉庫の本を片っ端から読んでいるのだ。

部活の時間帯なんてないし。

まぁ手掛かりは相変わらずペンダント一個なんだけど。

 

「むーしかたない!」

「そうしかたない!あきらめろ?」

「いやだっ!」

「……じゃあどうするよ?」

「形だけでも籍をおくとか……」

 

バカ千歌だな……

できたらやってるし。

 

「あのな、部員にお堅いダイヤさんもいるんだ。形だけでもとかやってたらいずれ来いっていわれるぞ?」

「うっ……」

 

そもそもやる意味がないのにやれと言われてもなぁ……

 

「……わかった。でも見に来るだけでいいから来てみてよ。スクールアイドル部。屋上でやってるから」

「……行くのは強制?」

「しないよ。でも絶対に来た方がいい」

 

……だめだなぁ。こういうの弱いんだよ僕。

千歌の真っ直ぐな瞳に見つめられ、今日は部活見学することになった。

 

 

 

 

 

 

屋上に果南さんがリズムを取る手拍子が響く。

「ワン、ツー、スリー、フォー」

 

素人目からしたら十分Aqoursは上手にみえる。

でもこれで地区予選落ちたそうだ。

確かにμ'sとはあきらかというわけではないがなんとなく違うというのは分かる。

あと思うのだが…

 

「千歌さぁ……間違いすぎじゃね?」

「うっ……」

 

ステップ間違えるリズム間違える……

素人の余計なお節介かもしれないが。

 

「ここをこうして……」

「あーもう違っ……こうじゃね?」

 

その場で軽く見よう見まねのステップをする……なんで皆さんこっち向いてるんですかね?

すると曜が皆の代表のように

 

「驚いたよ!蒼輝くんはダンスも出来るんだね!」

「はは……少しだけです」

 

と、曜さん……ああいや、曜は誉めてくれているが……

呼び慣れねぇー…………

もう心の中は曜さんでいっか。

とりあえず説明すると、

ぶっちゃけ部活ない分の運動を家でするにあたり、教えて貰ったμ'sを一人で踊ってただけという……

だが千歌は

 

「凄い人材だよ!これならコーチとしてでも」

「おいそこ!勝手にコーチにしようとするな!」

「……蒼輝さん。ユメノトビラー♪、はい」

「……梨子さん?歌えと?」

「えぇ。ユメノトビラー♪、はい」

「……ユメノトビラー♪」

「…………コーチにしましょう」

「梨子さん!?」

 

いや確かに音楽の点数はいいけどそこまでだったかな!?

 

「……千歌ちゃん?蒼輝くんを見習って」

「梨子さんやめてくださいぃぃぃ!そこまで言われたら逆に恥ずかしいからぁ!」

 

これ以上追撃をかけるなぁ!

 

「蒼輝?代わりに入部届け鞠莉にだしとくよー」

「果南さんはなに勝手にしてるんですかああああ!」

「いいよー出しといてー」

「千歌も勝手に決めるな!」

「許可しマース!」

「鞠莉さんものらないでえええっ!」

 

ああもう……

 

「家に帰りてぇよおおっ!」

 

 

 

 

 

 

「どうでしたか?」

「あの時の千歌の誘いに乗った自分をいまとてつもなく殴りたいです」

 

帰り道、ダイヤさんと二人きり、ルビィはどうやら花丸さんと本屋に寄り道するようだ。

 

「つまりスクールアイドル部は退屈だった、と?」

「……どうでしょう?」

 

そこんところは自分でもよくわからない。

 

「……楽しかったでしょう?」

「………………え?」

「蒼輝さん、踊ってる時、人を惹き付けるような素敵な笑顔をしていましたわ」

 

……まだイジる気ですか?

 

「さすがにこれ以上は穴掘って出てこない領域ですよ?」

「いいえ、そんなものではありませんわ。楽しかったのでしょう?スクールアイドル部が」

 

……かもしれない。

 

「……楽しかったらやってみて、それから考えればいいの」

「そう簡単に言われて……あれ梨子さんなんでここに?」

「蒼輝をコーチにしようと思って」

「よし、穴掘ってください。入ります」

「冗談!えっとなにか蒼輝くん悩んでたから」

 

……悩む?

 

「私、その顔知ってる。あの頃の私みたい」

 

あの頃……

 

「もしかして……」

「もしかするの。考えてるとおり、私はスクールアイドルなんてなる気はなかったんだけど……」

「なら……」

「私が続ける理由なにか、でしょ?今日で分かったんじゃない?」

 

……確かに、踊ってるとき梨子さん、いや、皆、輝いてた。

そうか……少し意地をはらせていただこう。

 

「悩んでるならやってみて?きっと……」

「いえ、梨子さん。『絶対』です。きっと輝けるではなく、絶対に輝いてみせます」

 

負けず嫌いになっていいよな?

だって僕だって……

 

「僕だってAqoursの一員ですから」

 

 

 

 

 

嵐の前の静けさ。

誰が考えたのかしらないが実に的を得ていると思う。

その日は平和で、記憶喪失のことも忘れ、のんびりと学校生活をしていたわけだが……この日から、少し、日常が騒がしくなった。

そんな日常で僕は輝けているのだろうか?

答えは『Yes』何故かって?

それはだな……

 

「さてと、練習メニューやるぞー!」

「了解コーチ!」

「コーチじゃなくておればマネージャーだっていってるだろ千歌!いいからランニング行け!」

「蒼輝くんの鬼ー!」

「はいはい。さっさと行くぞー」

 

こういうことだったりする────




歌もダンスもできる蒼輝さん。ボロ出す回はちかいかも……?まぁ予定決まってないですけど。
それなりにミステリーしつつこんな感じの日常回も増やしていこうかと思います。
次回は……アニメの勢いで明日でるかも……もしくは来週……?
一週間に一話は確定ですのでお待ちください。


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【第七話】Aqoursと失われたもう一人

タロットカード占いとやらをデパートでしていたので希を思いだししてみたら運命の車輪(ホイール・オブ・フォーチュン)の逆位置でした。
これはどうやっても執筆がうまくならないと言う運命があると言うことでしょうか?斜めにかまえるです。
今回はミステリーの序章でかるく短く書いてみました!
面白くするするつもりなのは次回からなのでまぁ肩慣らしっぽくどうぞ





「すいません、皆、今日は早めに帰らせてくれ」

「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」

 

僕の発言に部室の全員が同じ返答をした。

 

「なにか用事?」

「あー用事と言えば違うけどまぁいるというか……」

「何?釈然としないけど」

 

果南さんが若干強張って喋る。

果南さん、こういう遠回しな言い回し嫌いだもんなぁ……

 

「えっと……これをそろそろ」

「それは……」

 

それはいつぞやのペンダント。

でもこれ、

 

「なにそれ?」

 

千歌たちには話してないんだよ……

説明めんどくさいから遠回しな言い回しをしたんだが……

もうダイヤさんに丸投げでいいな?

 

「ダイヤさん説明しておいて下さい。早く帰ってこれで調べたいことがあるんです」

「えぇ、わかりましたが……調べたいこと?」

「はい、そろそろですんで」

「そろそろ?……何がですか?」

「それはですね……」

 

 

 

 

 

 

部室をダイヤさんに任せ、僕は一足早く帰路につくことにする。

帰路と言ってもバス停まで歩くだけなのだが……

田舎者なら分かるだろうか?

バス停に早くつきすぎるとバスまでの時間、一人でいるのは相当暇なのだ。

よってちょうどよい速度で歩くことが必要となる。

その成果に、バス停について一分もしないうちにお目当てがくる。

バスにのり、これもいつも満席の都会では分からないであろう。

『いつもの』席に座る。

都会とは違って基本的どんなときも全空席の田舎のバスはもう座る席が決まっている。

決められているのではないが、勝手に決めるのだ。

ちなみに僕は後ろ乗りして、後ろから数えて三番目の前から見て左の席だ。

特に理由はないが、あげるとすればよく空いているので二席占領して荷物がおけるぐらいだろうか。

目的地までこうやって窓越しに景色を見るのもいつものこと。

通りすぎる山、山を抜けた先にある綺麗な海、そしてそこで倒れている人……

うん、実に綺麗でいつも通り……

 

「ストオオオオオップ!」

 

待てや!一個おかしかっただろ!

海で倒れる人なんてそうそういてたまるかゴラァッ!

 

「ど、どうしました!?」

 

運転手さんが慌ててバスを止めてくれる。

都会じゃありえないだろうがここは田舎。

頼めばこんなこともできる。

 

「ここでおろして下さい!飴置いとくから黙っててね!」

 

飴賄賂。

少しおばさんくさいがルビィ釣りに使うので飴常備は基本である。

これで変な所で降りたと学校に告げ口もないだろう。

ってそんなこと考えてる場合じゃねぇっ!

急いでさっき通りすぎた海辺に向かう。

するとやはりそこには……

 

「大丈夫ですか!?起きて……」

 

胸に耳を当てて心臓が動いているかどうかを確認する。

あ、別に女性じゃないからセクハラではない。

 

「よし、生きてる!起きてます!?いや起きてねぇから今起こしてんだろ起きろぉっ!」

 

何言ってるんだ僕ぅっ!

落ち着け!さっきから言ってることがワケわからんぞ!

 

「っ!?」

「起きた!?」

 

良かった!

 

「よかったぁー!あぁ、死んだらどうしようかと」

「……っ!?!?!?」

「……え?」

 

倒れていた男が僕を見て、急に後退りする。

なんで?僕悪いことした?

いや、思い付か……

 

「俺は……誰だ……?」

「………………え?」




続き気になります?
おもっきし引きを強くしたんですが……
あと今回Aqours出番なかったね……
記憶喪失したからタイトル詐欺ではないよね(震え)
次回は早めに出します!


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【第八話】Aqoursと失われた二人目

面白い作品が書けるようになりたいけどなれないのでとうとう生まれ変わったほうがいいかと思うようになりました。斜めにかまえるです。
「残された時間」凄かったですね。
スゴくラブライブしてました(謎語彙力)
それは置いておいて二人目の記憶喪失しますよ!



「俺は……誰だ……?」

「………………え?」

 

きき……間違い?

 

「……君、名前は?」

 

恐る恐る質問をする。

 

「……わからねぇ……誰だテメェ」

 

ウソ……だろ……

これって……

 

「……僕は黒澤蒼輝。率直に言う、君は記憶喪失だ」

「記憶喪失……?」

 

二人目か……

 

「君は名前、住所、個人情報は全く覚えていないのに常識は覚えてる。違う?」

「……なんでわかる」

「僕もだからだよ」

 

その言葉を引き金に男の目付きが変わる。

……釣れたか。

 

「おいで、君は来ないと名前を取り戻せない」

「テメェ……信じると思ってんのか」

「信じないのなら勝手にどうぞ。少なくとも僕はそうしたら面倒みないぞ」

「……チッ!」

 

舌打ち一つでついてくる。

釣れたからついてくるのはわかってたけど。

僕は電話で緊急集合をつたえる。

ただし、全員ではない。

なぜかは……

 

 

 

 

 

 

 

「スゴイことになったね」

果南さんの呟きに場にいる全員が頷く。

ここは十千万旅館。千歌さん家。

そこにいるのは五人。

千歌、曜さん、果南さん、の三人と記憶喪失二人。

他のメンバーはある理由で除外してある。

その理由とは……

 

「こいつの名前を決めようか!」

 

無断で勝手に名前を決めようの会ー!

改めて除外メンバーを確認しよう!

ルビィ、花丸、善子、梨子さん、鞠莉さん、ダイヤさん。

ルビィを除外したのはさすがに気がひけたがダイヤさんに言いかねないし、同じ黒澤家の血だ。

ネーミングもアレだろう。

 

「一人ずつあげていこう。僕は……」

「まって、そこじゃないよね」

「え?」

「まず名字だよ。どこに泊まるの?」

「ハァ!?俺は野宿でもするから泊まるなんてまっぴらだ!」

 

無視して、話を続ける。

 

「旅館、ホテルは論外、……ダイビングショップで働かせる?」

「それもいいけど……私の家はダメ。いまで十分回していけるのに給料はらうのは……」

「タダ働きさせれば?」

「それしちゃうと鞠莉や千歌と一緒だよ。働かせるならお金を。お店の絶対規則。千歌ならわかるでしょ?」

 

千歌が頷く。

なら残るは……

 

「曜しかいないよなぁ……」

「私!?」

「当たり前でしょ。黒澤家は四人目とか無理だし、ホテル、旅館、ダイビングショップは無理。善子のところだってペット禁止の家だ。人がこれ以上増えるとか無理だろ。花丸もお寺だし、梨子さんところだって言っちゃ悪いが三人で過ごせる金があるか……曜なら船長のコネでなんとかできるだろ」

「長い説明をありがとう。そしてやっぱり私?」

 

そうだな。名字は渡辺か……

 

「オイ!俺の意見を聞けよ!」

「お?なにか名前の候補?」

「ちげぇよ!なにかってに俺があいつん家に泊まることになってんだよ!?」

 

そんなこと言われましても……

 

「……善意?」

「そんな善意いらねぇ!俺は一人で何とかする!ほっといてくれ!」

 

男は立ち上がって部屋を出ていく。

 

「……ほっとくわけねぇよなぁ?」

 

俺をほっとかなかったお人好しだもん。

全員が頷く。

千歌も立ち上がって

 

「よし!レオくんを捕まえにいくよ!」

「……誰?そのレオってやつ?」

「あの子のこと!蒼輝くんとは違ってオレオレいってるからレオくん!」

「へぇ……渡辺 レオね……」

 

意外としっくりくるな。

よし、

 

「それで決まりだな。あいつ、レオを捕まえにいくぞ!」

「うん!」「ヨーソロー!」「もちろん!」

 

三者三様の返事。

僕たちは旅館を飛び出し、レオを追うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

あてがない捜索と思うだろうか?

だが意外とこれが絞れる。

まずここは内浦。バスなんてそうそう通らない。よって遠くへいけない。

二つ、僕がAqoursを信用したのは明らかに敵意がない発言と、行動があったから。今回も同じなのに対してレオは信用出来ないといった。性格からみても頭は良くない。よって凝った場所にはいない。

三つ、記憶喪失なのだからこの辺りの地形を無理に進むと迷いかねない。迷った場合、バカは決まって知っている方向にいこうとする。倉庫の本で読んだだけだが……これを信用するとレオが知っている場所は一つ。

 

「海……だろ?」

「テメェ……なんでここが分かった?」

「近所で海が見える場所を手分けしてさがした」

 

なぜ海と特定したかは長いので説明しない。

 

「なぁ、なんで僕たちにそんな警戒するんだ?彼女たちも敵意なんかないだろ」

「……テメェはどうなんだよ」

「は?」

「記憶がないのに怖くねェのかよ!?」

 

えぇ……今さら?

 

「怖いよ。未知はこの世で一番怖いものだと思う」

「だったら」

「でもな?未知ってのは同時に楽しんだよ」

「……どういうことだ?」

「僕だって彼女たちを警戒したよ。でも彼女たちは今を精一杯輝こうとしてる。だったら僕も精一杯今を、未知を、知ることを楽しもうって思った。君はどう?このまま明日の見えない不安を持って生きるの?それとも明日の見えない楽しみを持って生きる?」

「……んだよそれ……」

 

うーん、これでも納得しないか。

 

「あーっ!レオくんいたー!」

 

あっ千歌!

連絡いれるの忘れてたな……

 

「レオ……誰だそれ?」

「君の名前さ。どうだ?見ず知らずの他人に勝手に名前をつけられて、頼んでもないのに面倒までみてくれて」

「大きなお世話だ」

「だろ?そんな彼女たちだからゾクゾクする」

「はっ?」

「ふふっ、千歌ー!」

「な~に?」

「こっちこーい!」

 

掛け声一つ、犬のように走って言われた通りに来た。

 

「なぁ千歌、なんで僕たちの面倒みるんだ?」

「……?困ってるから以外の理由なんてないけど?」

「…………」

 

レオは口を開けて唖然としている。

あー最初僕もこうだったんだろうなぁ……

 

「な?面白いだろ?ゾクゾクするだろ?ついていって、いや、肩を並べて走ったら、とんでもないものが見れそうだろ?彼女たちはそれを奇跡とよんで、起こそうとしてる」

「奇跡……」

「君はその瞬間に立ち会えるかもしれないんだ。記憶喪失なんて、一旦おいといてさ、どう?一緒に来ないか?」

「……いいのか?」

 

なにを今さら。

 

「もちろんだよ、君を歓迎する」

「いいんだな?俺はレオ、輝きを食いつくしてなお輝く王だ。お前らも食いつくすぜ?」

「はっ!洒落たことを……やってみやがれ、だったらくらい尽くせないぐらいこっちは輝いてやるよ」

 

僕は手をレオに差し出す。

レオはその手を握り、宣戦布告のように笑う。

 

「……どういうこと?」

 

一人状況が理解できない千歌。

困惑するわな……

まぁ要約すると、

 

「このレオがなんでもしてやるってことだ!ところで名前つけたの誰だ?」

「私だけど?」

「へぇー百獣の王の名前を選ぶとはいいセンスじゃねぇか!」

「え?私はオレオレいってるから……」

「ストーップ千歌!それ以上はやめよう」

 

せっかくだし、王様気分にさせておこう。

だが……

 

「ホントに……いい名前だな、レオ」

 

レオ、零を(れーお)……ってところか?

Aqoursらしい、0からの、記憶喪失からのスタートだ。

精一杯楽しめよ、レオ。

さて、家に帰るか。

……あれ?なんか忘れてるような……

 

「あっ、あーーーーーーーーっ!」

「うわっ!?なに蒼輝くん!?」

「忘れてたああっ!部活早退したのはなんのためだよ!」

 

ペンダントのこと完っ全に忘れてた!




11人目のAqours! どうなるんでしょう!?
作者にもわからん!(馬鹿)
オレオレ系のレオと比べてわかったんですが蒼輝チャラくね?おなじセリフ言わせてみても

「いや、そんなことはねぇよ……」
「いーや?そんなことはないけど?」

ほらね!?いや書きわけ楽だからいいけど……
次回更新は一週間以内早めに!


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【第九話】Aqoursと失われた百獣の王

小説が上手く書ける!という本をみかけ、立ち読みしていると自分には無理だと悟りました。斜めにかまえるです。
小説が上手くかけなくてもお気に入り20もあるし!と逆に開きなおることにしました。ミステリーでごまかすしかない!だって日常とかハーレムとか書きたいけどドヘタだもん!


「ペンダント?あぁダイヤさんから聞いたあれ?」

「そう、それ。バスは?」

「えぇーと、この時間だと……二分後?」

「ちょぉ!?千歌!曜に連絡!死んでも泊めさせろ!AqoursメンバーにLINE!レオのこと話して明日昼にダイヤさんの家に集合かけろ!僕は今すぐ帰るッ!」

「えっちょ!?もう一回言って!」

 

そんな時間があるわけないだろ!?

このバス乗り過ごせない!

そんなわけで浜辺の砂に足を取られながらも、なんとか間に合い、家に帰れた。

さて、すこし前にそろそろと言ったのを覚えているだろうか?

なにがそろそろかと言うと、

 

「おっ!届いてる!」

 

ポストの中にある封筒を手に取る。

そこには……

『完全一致』

 

「よっし!」

 

したのは指紋鑑定。

この結果を知りたくて早く帰ってきた。

ぶっちゃけ20分ですむが田舎にはないらしく、遠くまで指紋を送るのに3日もかかった。

この指紋鑑定が実は13万近くした。

あの時鞠莉さんの苦笑いを初めてみた。

さ、さすがに捜査とはいえ13万は働くべき……?

 

「これでこのペンダントは晴れて僕のものだと証明された、あとは……」

 

隅の写真の切れ端。

どこか判別出来れば大分正体に近づくけど何せ空じゃなぁ……

とりあえず明日の昼、レオの話を聞こう。

僕と違って何か覚えてるかも知れないし。

 

「……あれ?ちょっと待て、僕は僕でレオは……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日───昼

 

「へー、その子が二人目ずらか?」

「お兄ちゃん……ではないですね、同学年?」

「また記憶喪失とは……」

「ちょ、ちょっと反応薄くねぇか!?」

 

レオが涙目で問う。

えー!?みたいな反応を期待してたのだろうか?

だが答えは悲しきかな諸行無常。

 

「蒼輝くんで慣れたし……」

「事前に聞いていましたし……」

 

ラインで連絡を千歌に頼んだし……

 

「……き、気を取り直して!これから何をするんだ!?」

 

話題の変え方強引だな。

こちらとしても早く話題を進めたいからいいけど。

 

「自己紹介ターイム、黒澤蒼輝でーす。記憶そーしつ持ちー」

「高海千歌ー、ふつーかいじゅー」

「渡辺曜ー、ようそろー」

「え?えーと、桜内梨子ー、作曲たんとー。……これでいいの?」

 

曜さんの対応力はさすが、僕と千歌のフリを見事に流した。

梨子さんはまだ慣れないらしい。

 

「黒澤ルビィー。がんばるびぃー」

「国木田花丸ー。ずーらー」

「ヨハネー」

「こと津島善子ちゃんずらー」

「ヨハネ!えーと、だてーん」

「小原鞠莉ー。しゃいにー」

「松浦果南ー。ハグー」

「さ せ ま せ ん わ!不埒ですわやる気を出しなさいな!黒澤ダイヤですわ!」

 

以上Aqoursでした。

 

「おまえらやる気あんのか……?渡辺レオ」

 

最初のフリでひどい自己紹介になったけどまぁこんな感じで自己紹介は終わった。

 

「本日のラインナップは

・レオの記憶喪失について

・レオの設定について

・僕の気になる所と見解

となっております。どれからいく?」

「妥当に言った順だね、レオの記憶喪失について」

 

果南さんの言うとうり。

まぁそれが一番大事だ。

代表して、同じ境遇の僕が聞く。

 

「何故記憶喪失になったかは、」

「もちろん覚えていないぜ」

「んじゃ何か覚えていること。何でもいい」

「一晩中やろうとしたが全くだ」

「やっぱり処理は完璧か……なぁ、好きな本は?」

「え?」

「いいから答えて。好きな本は?」

「えっと、記憶にあるのだったら道草とか」

「……花丸、分かる?」

「夏目漱石ずら。有名だけど最近は若者は読まない本ずらね」

「レオくん意外と渋いんだね」

「いや、千歌、これはいいこと聞いた」

 

レオの好きな本は夏目漱石。

思った通り。

 

「いいこと?」

「こっからは別のテーマ。僕の気になる所と見解。まずさっきの会話はおいておいて僕とレオ、どちらも同じ記憶喪失なのになのにたいして、明らかに違うところがあります。なんでしょう?」

「えー!?クイズー!?」

「当たり前だ。お前らもちょっとは頭を動かせ」

 

と、言ったものの出る気配がない。きれ者のダイヤさんが出ないなら当分出そうにない。

 

「しかたない。ヒント、僕は僕だがレオは……?」

「???蒼輝くんは蒼輝くんでしょ?」

「うーん、違う」

「えー!?」

「蒼輝は蒼輝ではない?でもレオは?うーん……」

「そうそう、善子、そうやって悩め」

「だからヨハn……ああっ!」

 

おっ!?

 

「そういうこと!?てことは私はヨハネってことね!?」

「おーそうそう。正解だ」

「んもー!さっきから二人だけで納得しないでよー!」

「千歌も考えろー?僕は僕で善子はヨハネ、んでレオは?」

「「あっ!」」

「おっ!?二人来たみたいだな。ダイヤさん、梨子さん、こっちに来て答えを耳打ちしてください」

「なるほど……確かにこれならレオさんとは違いますわね」

「何かクイズ番組みたいで楽しいかも♪」

 

二人の答えを聞き、二人に正解を伝えた僕は残ったメンバーを見渡す。

 

「うーん、ヒント2だすか。この中ではルビィ、花丸が異質だな。レオもまぁ異質に入らないこともないけど」

 

残りメンバーは千歌、曜さん、ルビィ、花丸、果南さん、鞠莉さん、レオの6人。

それぞれがそれぞれを見渡し、たっぷり熟考。

 

(マルが皆と違ってルビィちゃんと同じ……)

(ルビィが皆と違って花丸ちゃんと同じ……)

 

「「あっ!」」

「おっ!その反応は答えは聞くまでもないな。多分正解だろ」

 

ルビィと花丸が抜ける。

 

「んじゃ最終ヒント、『レオは逆』だ」

「レオは逆……?レオ、レオ……」

「「!!わかった!」」

「おー!納得した?」

 

曜さんと果南さんが頷く。

 

「なるほど……確かにあの中じゃルビィと花丸は異質だね」

「善子ちゃんもヨハネだし」

「もー!なにー!?全然わかんない!」

 

千歌が駄々をこねるように叫ぶ。

しっかり頭回してんのか?

 

「はぁ……。『レオは俺』ってこと」

「え?レオくんはレオくん、あっ!」

「はい千歌抜けー!あと鞠莉さん……いいやもう」

 

ふとみると鞠莉さんはぐっすりだった。

難しい話はお嫌い?

とまぁそんなことはさておき、

 

「答えあわせだ。千歌、答えは?」

「一人称!」

「正解っ!」

 

ヒント2はあのなかでは、ルビィと花丸だけが一人称が『わたし』ではないということ。

ヒント3はレオの逆、つまりそのままひっくり返してオレ。つまりレオは俺。

そういうことだ。

 

「さて、では僕の見解だけど同じ記憶喪失なのに一人称が違うんだ」

「ん?なにかおかしいの?」

「おかしいさ。同じ記憶喪失なら自然とレオの一人称も僕のはずだ」

「たしかに……おかしいですわね」

「思い過ごしだといいんだがここで僕はある仮説を考えた」

「どんなの?」

「頭を回せって言ってるだろ?僕がさっき聞いたのは好きな本だ」

「なるほど……つまり、性格はある程度残る、と。」

「さすがダイヤさん。同じ記憶喪失が同じ夏目漱石が好き。うーん、怪しすぎないか?しかも坊っちゃんとかならまだしも道草だぜ?どんだけコアだよ?」

「それだけコアな作品で同じ好みは珍しいですわね」

 

覚えているだろうか?

僕がダイヤさんに初めてあったときの自己紹介を。

 

『我輩は記憶喪失である。名前はまだない』

 

あの時は何かいい言葉がないか探していると出てきた。

同じく、好きな本と限定して、無理矢理レオに探させたのだ。

 

「性格はある程度残る。となると」

「怪しいのは……。二人の共通点……」

「「「「「「「「「「「夏目漱石!」」」」」」」」」」」」

 

これに手掛かりがきっとある!




クイズでは鞠莉さんは海外留学のレベルなのだから早めに……いやでもこれは頭の柔らかさだからなぁーと考え抜いたあげく、寝させることにしました。にしても善子は意外と頭いいと思うんですよ。……イタイけど。


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【第十話】Aqoursと失われた姉

十話になるのに一話から全く成長しないことで少し傷付いた、斜めにかまえるです。
浦ラジのあと、Twitterのトレンドがラブライブ!だからけでひそかに喜んでました。あ、作者もフォローしてね(売名)
斜めにかまえるで出てくるよ(二度目の売名)
それでは第十話!やっていきましょう!


「「「「「「「「「「「夏目漱石!」」」」」」」」」」」

 

これに手掛かりがきっとある!

ってあ、あれ……?

 

「鞠莉さん!?起きてたの!?いつから!?」

「同じ記憶ソーシツが同じMr.夏目が好き。うーん、ベリベリ怪しーですねー?しかも坊っちゃんとかならまだしもー道草だぜ?どんだけコアだよ?のあたりかしら?」

「その中途半端な訛りかたで僕の真似されると絶妙にむかつきますね。一回絞めましょうか?」

「思ったんだけど私に対してだけちょっと厳しくないかしら?」

 

なんだろう?

学校に一人はいるいじりたいやつというのだろうか?

 

「そんなことより3つ目の話題。レオの設定についてだ」

「俺の?」

「そう。例えば僕だと両親は海外で働いていて、昔お世話になったダイヤさんに泊めさせてもらっている。年齢は17の高校二年。名字の黒澤はダイヤさんに借りさせてもらっていて、本当は田中、と、こんなところ」

 

実は本当の名字の件でダイヤさんの血筋が発揮され、田中で妥協させるまで相当時間がかかったりもしたのだが……。蛇足なので今回は話さないでおく。

 

「さすがにレオくんは私に昔、お世話になったー、とかは怪しまれるよね?」

「俺は記憶喪失って言えば……」

「え?曜説明してなかったの?」

「う、うん。ほら昨日急に言われてバタバタしてたから忘れちゃって……」

「あぁごめん。急に泊めろなんて言わせたこっちもこっちだった。えっとなレオ?記憶喪失とばらすと───」

 

 

 

 

 

 

 

「───というわけだ。君は記憶喪失と悟られないよう、暮らす。OK?」

「分かった」

「あれ?何の話してたんだっけ?」

 

おいおい千歌……

 

「なんで記憶喪失を隠さないといけないか」

「いやレオくんの名字についてだよね?なに勝手に変えてるの?」

「あっ……」

 

つい忘れてた……

 

「ご、ゴホン!そうだ。話を戻そう」

「強引だね……」

「やかましい!」

 

改めてまして、

 

「レオの年齢は……まぁ僕の一個下の16でいっか」

「あぁ!?なんで俺がてめぇの下だよ!?」

「ルビィに同学年言われたんだからそうなんだろ。背もそんぐらいだし」

「くっ…………」

「んでこっちの名字だな。どうする?」

「私の弟って設定は?」

 

レオが曜さんの弟……?

 

「ふっ……」

「おい今なんで笑ったか言ってみろ」

 

いや、考えたらあり得そうでありえないなって思ってつい……

 

「なんでもない。えっと、ふふっ……」

「こいつ絞めましょうぜマリー!」

「OK!関根の恨みでーす!」

「ちょ!?おまえらっ、やめっ、やめろ!あと積年だ!関根で俺はなにかした覚えねぇよッ!?」

 

つっかかってくるレオと鞠莉さんをいなし、話題を戻す。

ていうかレオはマリー呼びなのな。

いつのまにそんな関係に……?

 

「従兄弟というのはどうでしょう?」

 

と口を開いたのは梨子さん。

そのアイディアに少し考え、

 

「それだ!!」

 

むしろこれしかないのではないだろうか?

 

「よし!レオは曜の従兄弟だが海外転勤のため引き取ってもらっということで!」

 

完璧じゃね!?

 

「……怪しいことにかわりはありませんがまぁ許容範囲ですわね」

「レオ、オーケー?」

「OK。つまりこういうことだろ?」

 

どういうことだ?と聞き返す前にレオは曜に面向かって、

 

「曜ねぇちゃん」

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

なっ…………

 

「そ、そうか……従兄弟なんだから敬称呼びか!だがレオがお姉ちゃんだとっ……!?」

「どちらかというと姉貴とか選びそうなのに姉ちゃんですって……!?こ、これがギャップ萌え!?」

「お、おい梨子さん蒼輝どうした?ちょっと落ちt」

「花丸ちゃん、ルビィも端から見たらこうなの!?こんな恥ずかしいことしてるの!?」

「ルビィちゃんは元が可愛いから違和感ないずらがこれは異常ずら!梨子さんのきゃっぷもえというものは知らないけどなんとなく分かった気がするずら!」

「は、花丸?ルビィ?」

「大変ですわ!わたくしは今までルビィになんということをさせていたのでしょう!?」

「おおおおおお落ち着いて!?そうだダイヤ落ち着こう!?まずはハグして落ち着いてどうルビィちゃんに謝るか考えよう!」

「果南さんがまず落ち着いてくださいよ!?ダイヤさんが慌てすぎてルビィにハグしてますって!」

「どうしよう善子ちゃん!?弟!弟だよっ!?初めてなんだけどどう()でたらいい!?」

「ヨハネ!とかそんなのあとでいいわ今はこの状況をどうするかよ!手始めに全員を私の力で眠らせて……!」

「愛でるな他人だろ!?善子にいたってはマジか違うのかわかんねぇよ!?」

「わたしの家で引き取る!私もお姉ちゃんって呼ばれたい!」

「だったら私が引き取るわ!千歌の所よりずっと充実してるわよ!」

「できてたらやってるよ!お前は旅館とホテルだからダメって聞いたわッ!」

 

だんだん酷くなっていく部屋で、レオは……

 

「おまえら……落ち着けえええええええええええっ!」

 

一人、悲痛な声をあげた。

 

 

 

 

 

 

────────少し時を進める。

 

「えー、皆さんの意見を総合し、レオのお姉ちゃんは事情を知らないやつの前だけするということで」

「俺がやめようとしたら猛反発してきたからな」

 

あれをやめさせるのはもったいないだろ。

 

「さて……次なにする?」

 

まだ一時間しか経っていない。

まだ真昼である。

 

「妥当に、夏目漱石の手掛かりを追うか?」

「でしたら……」

「図書館ずらっ!」

 

僕と梨子さんの会話の間に入り、花丸は堂々と宣言した。

 

「夏目漱石!図書館ツアーずらー!」




さてはて、とうとう十話かぁ……
まだ失踪してない驚き。
これからもこの調子で駄文執筆ヨーソローな感じでいこうと思います!
これからもご愛読よろヨハネッ!


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【第十一話】Aqoursと動き始めた運命

お気に入り一個増えるたび、ガッツポーズする小さい作家、斜めにかまえるです。
お気に入り一個増えるたびプレッシャーが半端ないです。
頑張ってプレッシャーに勝ち、いい作品を作ろうと思います。
題名変わった第十一話!行きましょう!


「と、図書館ツアー?」

 

とすっとんきょうな声をあげる。

 

「奇跡ずらー!」

「それ私の!」

「なに千歌のって?」

「千歌ちゃんいわく持ちネタだって」

 

曜さんの言ってることが意味不明すぎる。

 

「千歌の持ちネタの件は一旦置いておいて、何奇跡って?」

「今、沼津では7つの図書館を巡るキャンペーンをやってるずら。それを……」

「なに?手掛かりを探すために7つ巡れって?日がくれるわ!」

 

図書館はかたまりづらい。ある程度離れた上でのキャンペーンなのだろう。

真昼とはいえ、1日で巡るのはつらい。

 

「それについては4つはもう終わってるずら。あと3つならまわれるずら」

 

都合よすぎじゃね?

このタイミングでキャンペーンだったり、もう4つまわってあったり……

なにかが起こる予兆?まぁなんにせよ……

 

「することないし、とりあえず動くか。図書館めぐりしよう」

「「「いってらっしゃーい」」」

「そこ!逃げようとするな!お前らも一緒だ!」

「いやだー!読書とかつまんなーい!」

 

千歌と果南さんと鞠莉さんが逃げそうな所をひきとめ、僕たちは沼津に出かけた。

 

 

 

 

 

 

──────…………

 

「図書館かぁ……基本的本は買う派なんだよね」

「意外、曜さんは水泳一筋!って感じでした」

「スポーツするひとは案外読者家だよ。果南さんのダイビングはスポーツっていうより、仕事だから読書は苦手なんじゃないかな?」

 

なるほど。果南さんが読者苦手なのはスポーツのような集中するシーンがないからか。

と、本人の果南さんをさがしていると、

 

「あれ?花丸は?」

 

ふと、花丸がいないことに気づく。

 

「もうルビィちゃんと先にいきましたよ」

「はやっ!?しかたない。僕らも行こうか」

 

足を進めて、図書館に入る。

いざ、正体を知るために!

 

「あぁーあったけぇー」

「蒼輝くんだらしないよー」

「千歌もなー」

 

さすが図書館。読書の妨げにならないよう、室温はしっかりしているようだ。

 

「んじゃ僕は夏目漱石探しにいく。ついてくるやつは?」

「あれ?自由行動していいの?みんなで探すんじゃなくて?」

「そうしてもらえると助かるんだが、三名ほど使い物にならなさそうだし、正直全員で探すほど手掛かりは大掛かりじゃないとおもう」

 

それに偶然の可能性もまだ否定できない。

せいぜい五人ぐらいでいいだろう。

 

「「「私たちは自由行動だね!」」」

「息あいすぎだろ……まぁそうだけどさ……」

「じゃあ私も自由行動で……」

「梨子さんも?いいですけど……」

「ごめんなさい、いきたいところがあって……」

「へえー、純愛物の小説とか探したり?」

「ま、まぁそんなところね。うん、純愛、間違ってない」

「なら行くやつは……僕、レオは確定として花丸もついてくるよな、情報源だし。あと二名ほど欲しいな……」

 

残りのメンバーだと……

 

「わたくしもいったほうがよさそうですわね」

「はい、ぜひ」

 

知識豊富なダイヤさん。

これは確定。

 

「あと……曜だな」

「わたし?」

「ん、僕もレオと同意見。一応レオの保護者だし」

 

読書好きともいってたしな。

 

「じゃあルビィは善子ちゃんと一緒にいます」

「あぁ、図書館まわる時間を考えて一時間後またここに」

 

こうして僕らは別れた。

 

 

 

 

 

─────────…………

 

「まず考えられるのは地名だな」

「ヒントとしては一番分かりやすいですわね」

「それならマルが全部覚えてるずら」

「じゃあ花丸はそれを書き起こしていってくれ」

「他によくあるのは登場人物とか」

「それじゃあ言い出しっぺってことで曜、頼みました。」

「敬語はいいよー」

「じゃあ、頼む」

「まずはこの二つを調べましょう。レオさん、花丸さん、曜さんは地名を。蒼輝さん、わたくしは登場人物を洗いますわ」

 

ひとまず、ダイヤさんの言うとうり別れることにしたのだが、

 

「僕はあっちの本とってきますね」

 

という言い分でまず逃げた。

いや、調べないというわけじゃない。

正直に言えば梨子さんの反応が気になったので見に行こう。

と、いうわけで梨子さんを見つけたのだが……

 

「んんっ……」

「うわー少女漫画かよ……」

 

背伸びしてた。少女漫画みたいに。

本棚に手を伸ばしてた。

さて……正直可愛いと思ってしまったのでこのまま見ていたいのだが……。

 

「……しゃーないか」

 

男だしな。

 

「いよっ!」

「へ?あ、ありがとうございます!」

 

あ、そうだ、この際本を見てしまうか。

 

「えと?題名は……?」

 

バッ!!

と擬音ではなく、本当にその音が聞こえた。

 

「……あれ?本は?」

「ここにあるのでいいです!」

「ん?そうか……」

 

題名見れなかった……残念だ……。

 

「あの、本をとって頂いてありがとうございました。なにかお礼を……」

「いやお礼とかいい……。そうだ!んじゃ一つだけ!一つだけお願いを聞いてもらえる?」

「あ、はい。それぐらいなら。あ、でも本は見せませんよ?」

 

おっとぉ!早速あてがハズレてたっぽい!

まぁ二つ目も考えてあるけどね!

 

「僕にたいして敬語をやめてくれるかな?」

「……え?」

「え?じゃないよ。同級生なのに敬語ってむずむずするんだよ。ほら!僕も今敬語やめてるだろ?」

「は、はい。では……」

「はいじゃないでしょ、うんでしょ?」

「う、うん」

「よっし!あぁ、やっべダイヤさん待たせてた!んじゃね!」

 

このあと、結局もどって調べたのだが横読みとか暗号とか市販の本にあるはずもなく……。

 

「もう一時間。次、まわろうか」

 

こうなるわけだ。

予想通りっちゃそうなんだが。

残念だなー。

と、肩を落としていると……

 

「あ、あなた、もしかして雷斗くん!?」

「……は?」

 

僕を指して、そう叫ぶ、図書館の店員さんがいた。




純愛物(男女とは言ってない)
書くことないので更新ペースの話でもしましょうか。
今のところ週一更新最低で調子いいときは、二話投稿します。
気長にやっていきます。十二話もお楽しみください。


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【第十二話】Aqoursと動き始めた真実

最近更新ペースが早いのは暇すぎて死にそうなだけです。斜めにかまえるです。
だったらもっといい設定考えろという意見。なるほど、不可能なことをいうなッ!
てことで十二話始まります。


 「あ、あなた、もしかして雷斗くん!?」

「……は?」

 

雷斗?誰それ?僕は蒼輝で……

 

「って違うだろ!」

「え?違いました?」

「あぁいやあなたの言うことが違うんじゃなくて……。え?雷斗って僕ですか?」

「え、えぇ……違った?」

 

……怪しいぃーーー!!

ないでしょ、ないでしょ!

え?なに?偶然僕が指紋鑑定で早く帰って?偶然レオを拾って?偶然その過程で夏目漱石に気付いて?偶然図書館行くことになって?偶然前の僕を知ってる人がいた?

あり得るかッ!?

 

「ちょっ、ちょっとお待ちくださいね?」

 

と逃げて、一旦話し合う。

 

「……怪しくね?」

「偶然……にしては出来すぎですわね」

「やった側かもしれないずら」

「……それは僕らを記憶喪失にした側という解釈でいいな?」

「ずらっ!」

 

ならどうしようか……?

一応、話を聞いてからにするのが一番かな?

 

「えと、こんにちは。黒澤蒼輝です」

「え?あ、やだ!人間違い!?」

「いいえ。ふかーい事情というやつです」

 

 

 

 

 

 

───────…………

 

「記憶喪失……」

「驚きました?」

「はい。とても」

「では、率直に、何者ですか?あなたは?」

「へ?」

 

うしろからざわめきが聞こえるがこれも僕なりの話術。

文句は言わせない。

 

「あやしすぎなんですよねー?もしかして、やった側?」

 

と、手掛かりを知っているように話す。

ブラフは基礎中の基礎。

 

「何者……?ただの店員……」

「嘘だね」

 

店員さんの言葉を遮る。

 

「だってあなた、僕が記憶喪失って言ったとき驚かなかったですよね?口角が微動だにしてなかった。それにまだ名前さえ聞いてないのも気になるな―?」

 

と、たたみかけ、相手の反応を伺う。

結果は、

 

「……え?私、疑われてます?」

 

腑抜けた返事がかえってきた。

それを聞いて、

 

「良かったあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

僕は腰を抜かした。

だって明らかに焦ってない。

これが演技なら相当だ。

見破ったふりさえ、やりすごすのだから。

つまりそれは僕らにたいして敵意はないということで。

 

「なに?どういうことですか?」

「あぁ、気にしなくていいっすよ。さっきの、全部ブラフとハッタリなんで」

 

後ろの「なに危険なことしてんだ」という視点が痛い。

別にいいだろ?危険な橋は渡ってなんぼだ。

 

「さて、で?誰ですか?その雷斗という人は?」

「だからあなたです。あなたは津螺技 雷斗。私の同級生よ」

「僕の同級生?レオは知ってる?」

「え?レオ?」

「あ、俺のことっス」

「……すいません。記憶にないわ」

「レオは知らないのか……」

「はい。すいません」

「そんな謝らないでください!……ってことはやっぱり偶然の重なり合いか」

「あの、私、田中 うみといいます」

 

後ろで千歌とルビィとダイヤさんが反応する。

うん、言いたいことはわかるよ?

あれだよね?名前だよね?

でもそんなことにいちいち構ってられない。

こっちも挨拶はしなければ礼儀としてどうかしている。

 

「どうも、仮名ですが、黒澤蒼輝です」

「同じく仮名、渡辺レオ」

「本名の高海千歌です!うみっていい名m」

「はい次!」

「ちょっと!?」

 

んなこと話してる場合ではない。

なぜならさっきから花丸が次の図書館に行きたそうにしてるからだ。

大事なところだけ聞いて、後で連絡先でも交換して翌日詳しく話をきくのが最良だろう。

 

「レオの宿娘。渡辺曜です」

「ちょっと待て。それだと語弊があるぞ」

 

まったくもってそうだ。

レオが宿にしている家の娘。

それを宿娘と略すのは一体どういうつもりだろう?

 

「本物の宿娘は私です」

「そうだけどちげぇよ!」

 

確かに千歌は偽物の宿娘の曜と違い本物だな。

家が、宿という意味でだが。

 

「桜内梨子です」

「黒澤ダイヤですわ」

「ダッ!?」

「……ね?」

 

わかった!ダイヤさん分かったから、またこの反応……みたいな目いいから!

 

「黒澤ルビィです」

「あら?妹さん?」

「……ね?」

 

わかった!分かったから、いつもルビィは驚かれないのですわ……みたいな目やめろぉ!

 

「ヨハネよ……」

「津島善子ちゃんずら」

「よろしくね?善子ちゃん」

「……ね?」

 

分かった!分かったから善子さんの名乗りもまぁまぁショックですのに……みたいな目なんなの!?

 

「国木田花丸ずら」

「小原鞠莉です」

 

あ、年上に関しては敬語なんだ。

いつものとうり、「マリーって読んで♪」とか「マリーデース!」とかじゃないんだな。

 

「松浦果南です」

 

なんかよく自己紹介するな最近。

と、それはおいておいて、

 

「僕ってどんな感じでした?その……同級生時代は?」

「そうね……本ばかり読んでたわ。夏目漱石がお気に入りだったみたいだけど」

 

全員が顔を見合わせる。

 

「あの、僕たち、夏目漱石に手掛かりがあると思ってここに来たんですけど」

「あぁ、でも単純に好きなだけだったし、意味深なこともいってなかったわ」

 

なにそれ、ただの骨折り損じゃん。

 

「……あなたは真実をしる勇気がある?」

「え?」

「あなたは真実を知っても後悔しない?」

 

これは……あれだろうか?重大な秘密握ってるパターンだろうか?

 

「教えてください。真実を」

「いいわ……いい?あなたは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺人犯よ」




少し話は変わりますが、別の小説を投稿したのでそちらもぜひご覧ください。まぁ仮面ライダーなんですけどね?
ライバーは意外と仮面ライダー好きな人多いですし……。
まぁ何が意外となのかは自分でも分からないですけど。
やんわりAqoursじゃ出来ないミステリーしてます。
興味があるかたはぜひ。


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【閑話】こんなこともありました

どうも、黒澤蒼輝です。
あ、本編じゃないですよ?前書きです。
作者のななかまさんね、インフルエンザ中にこれ書いたんですよ?バカじゃないですかね?

「やかましい!こちとらずっと寝てて暇なんじゃい!」

お、バカじゃないですか。インフル大丈夫?

「大丈夫な訳あるかい!」

だよね。まぁ閑話書いただけいいか。お前はそこで寝てろ。んじゃ閑話いってみよう!


【第五話】失われた手掛かり、後書きより、

 

「ダイヤー!」

「あ、果南さんどうしました?」

「ハグー!」

「ハイハイいつものですわね……はっ!?」

『っと!危ない。怪我はありませんか?』

 

バッ!

 

「ちょっ!?なんで避けるの!?」

「あっ、その、これには深い事情がありまして……」

「私とハグは嫌だっていうの?」

「そういうわけではありませんが……」

「じゃあなにさ?」

「その……恥ずかしいといいますか……」

「ダイヤが顔を赤くしてる。蒼輝くんと何かあった?」

「ああああありませんわっ!」

「……え?マジ?冗談だったんだけど」

「違いますわああああっ!」

 

 

 

 

【第十話】失われた姉より

 

「わ、悪かった。ねぇちゃん呼びはやめる」

「は!?おまっ、ふざけんなよ!?」

「そうだよ!せっかくしっくり来てるんだから!」

「で、でも流石に俺も恥ずかしいし」

「却下ぁ!お前の言い分はない!」

「ひどくね!?」

「曜、お前も賛成だな!?」

「え、私も流石に人前で呼ばれるのは……」

「なんだと!?千歌!行け!」

「了解!お願い曜ちゃん!」

「そ、そこまで言われたら……」

「曜、堕ちるな!頑張れ!俺もまっぴらだから!」

「堕ちろ!堕ちろ!」

「じゃあ妥協してよー!」

 

 

 

同じく、【第十話】失われた姉より

 

「僕はダイヤさんの親の知り合いの息子ってことか?なぁるほどね。じゃあ名字は借りてるってことか」

「そうなりますわね」

「じゃあ本当の名字決めましょうか」

「考えてありますわ」

「え?あっうん、あれ?このパターンって……」

「金剛ノ蒼輝」

「ちょおおおおっと待ったああっ!」

「な、何か問題でも?」

「金剛ノってなんですか!?金剛石かけたんですか!?ないですよっ!」

「で、では、絢瀬」

「絵里か!まだマシになったけどダメですっ!」

「それでは」

「普通に田中でいいですって!」

 

 

 

同じく、【第十話】失われた姉より

 

「十万位貸してください!」

「なにか昔同じこと聞いた気がするわ……でも、今回はくださいじゃなく貸してなのね」

「一応衣食住安定しましたし、それぐらいなら返せるかな~?と」

「何に使うの?」

「指紋鑑定?」

「何に使うのそれ?」

「これですよ」

 

チャラッ

 

「ペンダント?」

「手掛かりです」

「こんなのに十三万ね」

「お願いしますっ!」

「……こういうのはマンガで読んだことアリマース!『地べたに這いつくばって請いなさい』ってやつですねー?」

「どんなのよんでんだ!?」

「あれやってみたかったんデース」

「やったら貸してくれます?」

「イエス♪」

「……お、お願いします」

「爽快デース!」

「な、なにやってるのさ?」

「あ、果南さ……」

「も、もしかして私、お邪魔?」

「ち、違いますううううっ!そういうプレイじゃないですってえええっ!」




作者の脳内設定ではこんな感じになってます。
あと活動報告ですが、私、受験生なのでこれから忙しくなります。
なので誠に申し訳ないのですが一ヶ月ほど執筆を止めさせていただきます。
失踪ではないので戻ってきます。
ではまた、お会いましょう


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【第十三話】Aqoursと動き始めた黒幕

ただいまっ!
復活は1月と言っておきながらサンシャイン最終回に感化されて大晦日に投稿する不届きものこと、斜めにかまえるです!
劇場決定おめでとう!最終回、涙ボッロボロでした!
なんか感動して言葉荒ぶってますがどうぞ!本編です!


黒澤蒼輝こと僕は、

 

「殺人犯らしい」

「おまえ…もうちょっとドラマ的な落ち込む素ぶりをだな……」

「え?なんで?」

 

過去のこといちいち気にしてたらキリがなくね?

 

「それに、」

「それに?」

「ほら」

 

レオが指さす方向には9人の女子高生。

まぁいつも通りのAqoursならいんだけど。

 

「千歌?うずくまってどした?」

「フフ……昨日寝ないでした≪蒼輝くんを励まそう会議≫が無駄になって脱力してるだけ」

「あっそう。お疲れ!」

 

僕の言葉でまた9人が肩を落とす。

あれぇ?なんか僕、間違えた選択したかなぁ?

 

____________

 

 

 

 

 

「殺人犯よ」

 

重苦しい雰囲気でうみさんはつぶやいた。

全員が言葉の意味を理解し、数々のことを考える。

だが長い沈黙が訪れると思われたその瞬間は

 

「あ、やっぱり?」

 

あっけなく僕の一言で破られた。

 

「そ、蒼輝?知ってたのか?」

「え?知らないとでも思ったの?」

「思ってたよッ!!みんながみんなおまえみたいに頭回ると思うなよ!?」

 

ええええええええっ!?

うっそでしょレオさん!?

 

「…………どういうことか説明してくれくださいますか?」

「ええええ……。そうだなぁ、あれでしょ?被害者は僕の親?」

「その通りよ」

「ま、まさか記憶が戻って」

「ません。んなはずないでしょ。そうだったら重大過ぎるわ」

 

全員がかたずをのみ、僕を見つめる。

 

「あのな?まず違和感をおぼえろよ。ここにッ!記憶喪失の!人がいるのに!政府はともかくうううぅ!?親でさえ動かないイイ!?んなわけねぇだろッ!」

「せ、政府ってそりゃ病院さえ行ってないんじゃ」

「あたりまえだと?だからおまえはバカ千歌なんだよ分かれよ!僕を記憶喪失にしたのはぁ!?ハイ、ダイヤさん!」

「わ、わたくし!?えっと、正体不明の大きな組織……。あっ」

「そういうこと!ではなんで!?ハイ、善子ッ!」

「ヨハネ!なんでって……何かの実験?」

「じゃあその実験になんで僕を選んだ!?ハイ、曜!」

「…………殺人?」

「正解ッ!理解できない奴挙手ッ!」

 

千歌が自信満々に、鞠莉が笑顔で、果南がおずおずと手をあげる。

下級生になるにつれ理解力が上がるとか大丈かこいつら?

つまり、だ。

 

「親が動かないってことはさ、その親はいないか興味ないかの二択だろ。そんで、僕がなにか犯したら、親は見捨て、僕は孤独になる。そしたらあとは、生活金渡すとか言って実験で記憶けしゃいいじゃん?でもま、どこかの企業がその技術を持ってて、乱用。なんて危なすぎるだろ。つまり、少なくとも、最強の組織でないといけない。ま、バックは政府じゃない?」

「だ、だったらそれを告発すれば……!」

「すれば?推理の告発なんざシラきられて終わりだろ。残るのは記憶喪失の週刊誌のカモ。うっかり殺されたらどうすんの?」

 

と、まくし立てたところで全員に沈黙が流れる。

 

「あ、図書館で長く店員と話すのもアレですし、お話は、後日伺います。予定があきましたらこの電話番号にご連絡ください」

 

僕が先行し、この日は図書館を去った。

 

 

 

 

 

 

────────……

 

「そもそもさぁ?僕そんな落ち込んでなかったでしょ?」

「いや……強がってるとか思うじゃん……」

「いや、そんなわけ…あ、お前バカ千歌だったな」

「けなさないで!」

「そんなことより面白いもの見つけたぞ?」

 

鞄からあるものをだす。

一番に食いついたのは、

 

「ピギッ!?」

 

ルビィだった。

 

「僕の使わせてもらってる部屋の天井裏から出てきた。いやー!なんだろうな?コレ?」

「人形?」

「ぶっぶーですわ!」

「ちょっと蒼輝さん!わたしくしを真似ないでくれますか!?」

 

いや、初めて見たときからやってみたかったんだよね。

 

「人形。に、見えるよなぁ?でもさ、よーく考えてみ?」

「それ、昔ルビィがよく遊んでた人形。で、でも」

「そう。押し入れではなくあったのは天井裏。ホイ、千歌!」

 

人形を放り投げる。

 

「っと!」

「よく見てみ?」

「よく見て……?うーん……。え?」

「どうしたんですか?」

 

ルビィが覗く。

千歌は人形の首を指差して、

 

「ここ。縫い目?」

 

そう。普通なら綿詰め用は背中にあるのにだ。

 

「怪しすぎじゃない?多分僕のことと関係ないけど調べたいじゃん」

 

ずっと殺人だの記憶だのでしんどいし。息抜きがてらさ。

 

「でも情報足りないよ?」

「だから縫い目だろ。触感で綿が入ってるってことは熱でバレないように。てことは中に入ってるのは恐らく熱を持つもの、もしくは熱を伝えるもの。ぐらいしかまだわからないな」

「その縫い目破いちゃう?」

「いいかルビィ?」

「大丈夫です」

 

こんなこともあろうかと!

 

「テッテレー!ハサミー!」

「絶対最初から破いちゃう気だったでしょ」

「否定はしない」

 

勘のいい千歌は嫌いだよ。

それはさておき、さっさと破いて中の綿をだす。

暫くすると、

 

「お?見っけ!って、鍵?」

 

なるほど、熱伝導、鍵か。

 

「おかしいですわね……。黒澤家は特別入れない部屋はありませんわ」

「考えられるのは二パターン。黒澤家の鍵ではない。もしくは黒澤家の隠し部屋。僕は後者を推すけど」

「理由は……まぁ蒼輝のことだし、あるのよね?」

「もちろん!ってあれ?どうした皆?」

 

Aqoursの視線が何故か僕と梨子さんに集中する。

失言でもしたっけ?

したならヤバい。バカ千歌呼ばわりしたとたんの失言は笑えない。主に僕が。

だがどうやらそうではないらしく、

 

「リリー?あなた蒼輝のこと……」

「え?どうかしたの?」

「呼び捨てデシタ……」

「え、えぇ……」

 

鞠莉さん、善子が呟く。

そういや図書館でタメ口とか言ったなー。

 

「まぁ、それは置いといて、」

「結構重要だと思うんだけど!?」

 

騒ぐ千歌をほっておく。

 

「さてさて、僕が隠し部屋と予測したのは前者のメリットがないからだ。そこを踏まえた上で、どこにあるのか……」

 

黒澤姉妹は腕を組み長考。

僕も考える。

 

「………………」

「蒼輝くん、どう?」

「鍵、隠す、意味、隠し部屋、違和感…………違和感?」

 

キーワードを反芻すると引っ掛かる。

熟孝し、ヒントのピースを当てはめて……

 

「………………………………………あ、解けた、」

「え?」

「そ、そうか!解けた!そうだよ!」

 

謎が解けてはしゃいでいると、ダイヤさんがおずおずと聞いてくる。

 

「そ、蒼輝さん?説明を……」

「それは黒澤家で!行きましょう!」

「な、なぜ?」

「なぜって……」

 

 

 

 

「隠し部屋を開きに行くんですよ!」




アニメは終わってもこっちはまだまだするよ!
ちなみにAqoursの頭が悪いわけではありません。
蒼輝くんの頭が推理特化型なだけです。
普通なら私だってAqours側ですよー!
さて、テンションMAXですし、もう一話、今から書こうと思います!
それではまた、次回!


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【番外編】明けましておめでとう!

「はぁ……最っ悪だ……」 

 

自室で1人、布団に入って呟く。

現在1月1日。僕、黒澤蒼輝は、病で突っ伏しました。

39度3分ですって!

いやーめでたいわクソッタレがぁっ!

 

「今日は練習で北海道のスクールアイドルがくるんだっけな?」

 

じゃあお見舞いはないな……。

別にこられてうつしちまったら悪いし。

仮にもアイドルだ。

だがやっぱり…

 

「年始からボッチて……」

 

年男を恨み倒してやる。

そう決めて布団から出る。

 

「昼飯……」

 

カップラーメンでいっか……。

ここにおいてあるのか知らんが。

台所へぶっ倒れる寸前のまま行くと、

テーブルの上に、

 

「……あぁ、きっといい嫁さんになるんだろうなぁ……」

 

『暖めてお食べください。お体を大事に。

            

                  

                   ダイヤ』

 

と、置き手紙と共に、ラップがかけてある料理。

やっさしいなぁ……。

もう妻にしたい!ハイハイ変態ですよそうですよ!

ちゃちゃっと食べ終わり、布団に戻る。

 

「さてっと……」

 

布団から隣を見ると大量の本。

記憶戻す手掛かりないかと思ってダイヤさんに持ってきてもらったがお腹一杯で眠気が……。

 

「はぁ……おやすみぃ」

 

目を閉じ、睡魔に従うことにした。

 

─────────

 

「んん……」

 

……今何時?

時計を見るため周りを見渡すと、

 

「あ、おきたのね」

 

そこには……。

 

「よ、善子!?なんでいんの!?」

「ヨハネ!お見舞いよ……。三人でね」

「そうか、さんきゅ……。いやお前らアイドルなんだしうつしたら困る。無理して来なくても」

「余計なお世話よ。来たくてきたんだから」

「でもさ」

「善子ちゃんの言う通りずらー」

「ヨハネ!」

 

花丸……。

 

「あんまり気にしすぎなのは悪いずら。ね?ルビィちゃん?」

「うん!あ、これ、のっぽパンです」

 

のっぽパンが、二、三個はいったレジ袋を渡してくる。

体感ではまだ昼食べたばかりなんだがな。

改めて考えるとお腹すいているな。

 

「三人とも……ありがとうな」

「別に。言ったでしょ、来たいから来たって」

「そんなこと言ってー、来るかどうかですごく悩んでたじゃん」

「ルビィは余計なこと言わないでいいの!」

「マルたちが一緒にって言ったらついてきたんだよね?」

「ズラ丸まで!」

 

みんな優しくて涙が……。

 

「……ねぇ、あんたは二年生のこと、どう思ってるの?」

「二年生?千歌たちのことか?どうして急に?」

 

恋バナはないぞ?

 

「私達、後からAqoursに入ったじゃない?だから二年生に少なからず感謝してるのよ。でもAqoursとしていられるのはもう少しじゃない?だから……」

「僕にとってのAqours、二年生を知りたい、ね」

 

三人がうつむく。

そうだな、確かに、あと踊れるのは決勝だけだもんな。

 

「そうだな……。おもえば、僕を拾ったのは二年生二人だったよなぁ」

 

梨子と千歌。

初めて会ったときは、超警戒して、どう逃げようかとか考えてたっけ。

 

「ホントに、あいつらに拾われてよかったよ。Aqoursに出会えて、巻き込まれて、今記憶なくして高熱とか最悪の状態だけどさ、」

 

一度息を吸い込んで、おもっきし笑顔で!

 

「最っ高に楽しいよ!二年生はその場所を作った、最高の三人だと思う!友達関係を見るのも楽しいしな♪」

「好きなのね、二年生のこと」

「異性としてではないぞ。でも、否定はしない」

 

ていうか何気に超恥ずかしいこと言ってんじゃん。

 

「そう。っと、私達はこれで帰るわ」

「ん、そうか。ありがとな」

「いいわよ。ルビィもついてきなさい」

「なんで?」

「話したいことがあるのよ。黙ってついてきなさい」

「うん!」

 

テクテク出口へ三人が向かう。

なんかアレだな。善子が普通に喋ってると違和感凄いな。

三人が出ていったあとのっぽパンを食べながら考える。

 

「二年生か……。あ、のっぽパンうめぇ!」

 

空腹だと何でも上手くなる理論はマジだった。

叫んでちょっと体力えぐれたけど。

ちょうど三本目を食べ終わった頃、玄関のチャイムがなる。

 

「あ、はいはーい!どうぞー!」

 

すると玄関から、

 

「蒼輝くーん!大丈夫ー?」

 

ありゃ?この声は……

 

 

「千歌!に、梨子、曜さ……じゃなくて曜!」

「もうクセになってるね。もう曜さんでいいよ?」

「あ、マジですか?」

 

いつも釣られるから助かる。

 

「まさかとは思うが……お見舞い?」

「そのまさかよ。千歌ちゃんが行くって聞かなくて……」

「せっかくだから三人できたんだ!!ハイ、これヨキソバ!家で作ったんだー!晩御飯まだでしょ?」

「うわー!おいしそー!じゃねぇわ!熱うつるぞ!?アイドルだろ!決勝近いんだし」

「いいから!千歌が来たいから来たの!」

 

なんか同じ台詞を前に聞いたな。

似てるなぁ……。

いや、問題はそこじゃない。

問題は……

 

「ヨキソバさんきゅーな。ハハ……」

「食べて食べて!」

「い、いま?」

「いま!」

 

さっきのっぽパン三個食べてお腹一杯なんだけど貰わないのも悪いしなぁ。

ヨキソバを貰って、ラップ外してその場で食べる。

あぁ、腹一杯できつぅい!

 

「……ねぇ、三年生のこと、どう思う?」

 

…………。

 

「どうしたの?急に周り見渡して?」

「いや、隠しカメラでもあんのかなと思って」

「何言ってるの?」

「なんでもない。それより何で?」

「私達はAqoursを作ったのはダイヤちゃんから聞いた?」

「聞きましたよ。たしか二代目でしたよね」

「それで、私達にAqoursってつけてくれたのも三年生なんだよね。でも三年生がAqoursでいられるのは」

「決勝で終わり、か」

 

また同じような話を……。

 

「そうだな、三年生か……」

 

過去がいろいろあったって聞くなぁ……。

 

「なんかさ、お前ら人間関係エグいよな」

「……どういうこと?」

「なんでもない。三年生ねー?何気にダイヤさん、家で凄いスクールアイドルの話をするんだよ?ルビィに隠れてね。そのたび、スクールアイドル好きなんだなって、感じるよ。でも結果、悲しい顔して、終わる、とか言って、いえいえ!弱気ではいけません!とかなんか情緒不安定になるんだよ。めんどくさいけど、大好きなんだよ。Aqoursが」

 

まーた恥ずかしいことを語るなぁ僕。

本心だけど。

 

「あーもう、帰れ帰れ!いつまでもいられちゃ迷惑だ!恥ずかしい!」

「ハイハイ。帰ろっか」

 

またもゾロゾロ玄関へ。

 

「んにゃろ……。あー恥ず」

 

ホントになんなの今日?

 

「ただいま帰りましたわ」

「あ、ダイヤさん。お帰りなさ……」

「あ、蒼輝、大丈夫だったー?」

「あ、果南さーん♪大丈夫でしたよー♪ってなんできてんだよッ!」

「ワォ!ノリツッコミデースネー!」

「そーですねー!もう聞く気も失せるデジャビュですからねー!?」

 

お前らアイドル以下略!

 

「お待ちくださいね、晩御飯用意しますので」

「あっ、ダイヤさん、僕は」

「熱39度3分だっけ?大丈夫?」

「あっはい!元気ですよ?ダイヤさん、ぼくのっぽパ」

「ホスピタルは行きましたか?」

「あ、いえ、ただの熱なので。ダイヤさーん?僕はヨキソ」

「ホントに?インフルとかだったら」

「大丈夫ですって!ダイヤさん!僕はもうお腹いっぱ」

「でも一応さ」

「だああああああああっ!大丈夫だっつってんだろ!喋らせろやっ!」

「蒼輝さん!お客様ですわよ!」

 

あ、なんかしゃべりにくい雰囲気になった。

おまけに料理始めてるし……。

もう、いいや……。

すると果南さん。

 

「……ねぇ、一年生のこと、どう思う?」

 

ガバッ!!

 

「……どうしたんデスカ?急にスタンダップして?」

「いや、割りとマジで隠しカメラねぇかなって」

「ワッツ?」

「なんでもないですよ。はぁ……もういいや……。一年ね、ハイハイ」

「なんかヤケクソになってない?」

「なってますよ!」

 

なんたって三回目だからなぁ!?

 

「もういいや。何で急に?」

「私達はもう卒業する。三人バラバラになっちゃう。そんな中、花丸とルビィは内気だし、善子はアレだし」

 

アレて。

 

「私達がバラバラになったあと、大丈夫か心配で……。一応先輩だし」

「一応でも、立派な先輩じゃないですか」

 

チラッとダイヤさんを見て、声を細める。

 

「じつはルビィですが、ダイヤさんがいない間、僕によく言うんですよ。卒業して離れても、自分だけで大丈夫だからお姉ちゃんには心配してほしくない、って」

 

つまり、僕はダイヤさんとルビィの相談を同時に受けているわけで。

たまにおんなじこと言ってんなぁとか、思って笑いを堪えるこっちの気持ちを考えて欲しい。

 

「安心していんじゃないっすか?Aqoursに触れて三人は、きっと成長してますよ」

 

以前の三人、知らないけどね。

 

「それよりまだこんなとこにいていいんですか?」

「え?」

「終バス。もう外暗いですよ?」

「あぁっ!?」

「鞠莉さんは大丈夫だな。果南さんは送って貰ったら?」

「そうするよ。また明日ね!」

 

ゾロゾロと以下略!

 

「はぁ……。なんかもう疲れた」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫でないです……」

 

だってまだダイヤさんの料理を……。

 

「コーヒーですわ。心を落ち着かせみては?」

「……え?晩御飯作るんじゃ」

「いえ、洗い物に皿の跡がありましたので、ひょっとしたらもう食べたのかと」

 

あ、ヨキソバの皿……。

 

「一度横になってください。新しいタオルですわ」

 

ダイヤさん……。

 

「……いい嫁さんだなぁ」

「は?」

「ダイヤさん嫁にしたら絶対幸せだわ」

「そ、蒼輝さん!?どうしたんですの急に!?」

 

心の声がダダ漏れなだけです。

 

「もう!一度横になって下さい!」

 

可愛いのはさておき、言われた通り横になる。

こんな年始もいいなぁ……。

ツッコミまくった疲れが一気に僕を襲って意識が遠退く……。

 

「よっと……」

 

コツン、とおでこに衝撃を感じ、意識を戻すと、至近距離にダイヤさん!

ヤバいヤバい!顔と顔の間5cmぐらいしかないって!

 

「ち、近い!近いですよ!」

「あ、す、すいません!いつもルビィにしていたもので……///」

 

顔真っ赤にしないで恥ずかしいから!

と、パニックになっていると扉近くからポトッと音が。

振り向くと、顔を赤くしたルビィがカバンを落としている。

 

「……お、お邪魔しました」

 

スーっとドアから出ていくルビィ。

ダイヤさんと僕は顔を見合せ……

 

「うをおおおおおい!?違うってルビィイイイイッ!?」

「キス……お姉ちゃんと蒼輝さんがキス……」

 

スッゴい勘違いしてるー!?

普段僕のことお兄ちゃんって呼んでるくせになんで今は蒼輝さんなんだよ!?

慌てて出ていったルビィを二人で追いかける。

 

「ルビィ!お待ちなさい!これは蒼輝さんを襲っているのではなくて!いえ口説かれはしましたが!」

「ダイヤさああああんっ!?」

 

待って!ホント待って!?口説いた記憶ないし、ルビィも襲ったとか言ってないよね!?

なんかダイヤさんの中で凄い誇張されてる!?

 

「二人とも一回落ち着……いて……」

 

ふと意識が遠のいて……。

 

「ピギッ!?そ、蒼輝さん!?熱があるのに無理をしますから!」

 

ダイヤさんがピギッって言った!?

じゃねぇ!ダイヤさんのせいで無理してんだよ!!

ていうか!

 

「気が付いたらなんだけどさぁ!?僕いまダイヤさんの胸の中にいるんですけどぉ!?」

「倒れかけたのでつい……」

「ルビィ、花丸ちゃん家で止まるから!」

「ダイヤさんとめてええええ!ゼェ…ゼェ…!」

 

前言撤回!もう……こんな年始は嫌だよおおおおおっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拝啓 神様。

明けましておめでとうございます。

記憶を失って少したちますが、こちらはドタバタ元気にすごしております。

記憶は失いましたが、Aqoursと出会え、そう悪いことだけではないようです。

最後に、こんな素晴らしい運命に巡り合わせていただいた神様へ一言。

 

正月ぐらい、楽に過ごさせろよクソッタレッ!




明けましておめでとうございます!
中学生の妹が、「年明けた瞬間に投稿してよ」とか抜かしまして、大急ぎで書き上げたものがこちらになります!
時間軸としては、2期10話がこれです。
ヨハネの話したいことは、アニメ内でのツンデレ台詞だとお考えぐさい!
通常は5~8話辺りで、進行しています!
それではまた!今年もよろしくお願いいたします!


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【第十四話】Aqoursと動き始めた謎

お気に入り30件!本当にありがとうございます!
お気に入り100件越えしている方には到底及びませんが、こんな小説をお読み頂き、ただただ感謝でございます!
そんな小さな幸せをしっかりと噛みしめ、今回、作品で一番の謎解きに挑戦しました、斜めにかまえるです!
それでは本編、参りましょう!!



黒澤家の廊下にて、歩きながら説明をする。

 

「まず、この謎は僕とダイヤさんしか、解けない」

「わたくしと蒼輝さんだけ?」

「そう。なぜなら手がかりは僕とダイヤさんしかしらないから」

 

しばらく歩いたあと、ある一室の扉を開ける。

全員が覗きこむと

 

「うわぁー!」

 

花丸が歓声をあげる。

他の皆さんは引いている。

安心してください、花丸さんが異常なだけです。

 

「ここ……この前案内した倉庫ですか?」

「そうですよ。僕がダイヤさんをはg」

「わぁー!わぁー!」

 

ダイヤさんが慌てて僕の口を抑える。

なにこれ、周りの目がアレなことを気にしないぐらいダイヤさんが可愛いんですけど。

ちょっと涙目じゃん。僕は事故だったんだしいいけどなぁ?

 

「話がそれたな。ここでこの前、おかしなことがおきた」

「あら?ありましたか?」

「あったんだよ。覚えてますか?僕がダイヤさんにハg……ごめんなさい!」

 

一瞬ダイヤさんから凄い殺気が放たれたのでよしておく。

 

「えっと、いろいろあったとき、ある一冊をダイヤさんが持ち出しました」

 

全員の視線が僕からダイヤさんに移る。

視線が変わったダイヤさんは少々戸惑いを見せたが、すぐに立ち直り、思い出す仕草をする。

 

「……『科学のひみつ』ですか?」

「そう、それ。まだあります?」

「えぇ、たしかこの辺りにっ……」

 

ダイヤさんが本棚へ視線を走らすとすぐ一冊をとる。

 

「ありましたね。それがヒントです」

 

全員キョトーン。

 

「どうした?」

「どうしたって……ただの本じゃ」

「違うし。よーく考えろ?人形に鍵を隠す奴だぞ?」

「それが?」

「つまりは、少しの違和感を感じ取らないといけない奴しか解けないんだよ。それ前提で鍵を隠した」

 

人形の縫い目なんか「偶然じゃん」の一言で終わりだ。

だがあえてそこに隠したということは……。

 

「挑戦だよ。誰かこの謎を解いてみろってな。だって違和感を感じ取って調べるやつなんか推理好きなだけだよ」

 

まぁ僕の場合は単なる息抜きだけど。

 

「さて、話を戻すぞ」

「では話し手交代しますわ」

 

お?ダイヤさん?

 

「まず皆さんに一つヒントを与えます。まず今回感じ取らないといけない違和感はこの本。周りを見渡してください」

「汚いね」

 

バカ千歌……。

注目すべきはそこじゃなくて、

 

「管理が行き届いてる……」

「曜さん正解、その通りですわ。ですが、この本は……」

 

来た道を戻り、ある位置で止まり、本を近くの本棚に少し差し込んで、

 

「ここにありましたわ」

「あれ?そこって国語系の本棚だよね」

「その通り。まずこれに違和感を覚えないといけません。なのでおそらくこの本にさらなる隠し部屋のヒントがあると……」

 

今言いたいこと全部言われた。

僕の見せ場ぁ……。

 

「コホン!こっからはアドリブだ。全員考えろよ」

 

ダイヤさんから本を受け取り、一ページずつ開く。

数ページめくると、ルビィがある場所を指差し、

 

「ここ!マーカーが引いてあります!」

 

それからまた数ページ。

果南さんがストップをかけ、指差し、

 

「またマーカーだね。なにかあるのかな?」

 

ほかにもめくっていくと数ヶ所マーカーがある。引いてあったのは、

 

『ナトリウム+塩素→塩化ナトリウム

 

 銀+酸素→酸化銀 

 

 →水素+酸素

 

 酸化銅→酸素+銅』

 

「化学式ばっかだな……。しかも中学生レベルの。中学生にも挑戦出来るようにしただけかそれとも……。所々線で消してあるのはヒントか……?」

 

全員長考……ってあれ?

 

「千歌は?」

「あそこに……」

「はっ!!」

 

曜さんが指差した先には本棚の前で声をあげてぴょんぴょんする千歌がいた。

 

「……なにやってんの?」

「違和感!」

「……………はぁ?」

「あれだよ!」

 

千歌のぴょんぴょんした先、それは

 

「なるほど、グッジョブ千歌ァ!いよっとぉ!」

 

千歌の1.5倍ぐらい高くジャンプして本棚の一番上の段から一冊を抜き取る。

 

「…………しれっと結構跳ぶよね。っていうか何でも出来るよね、蒼輝君って」

「なにを今さら?コーチになったとき歌、運動神経は見せたろ。推理も随分と前からしてるし自分で頭の良さは折り紙付きだと思うよ」

 

ほんっと。記憶失う前の僕は何してたんだろうな?

スペック高すぎて自分でも引くことあるし。

 

「これが取りたかったんだろ?ってか……」

 

抜き取った本を見て、

 

「原子記号50選……。またコレ系か」

 

おいてあったのは数学分野。

千歌は違和感をキチンと察したらしい。

ジャンプしなきゃ届かない高いところにある違和感を察するって変なところだけ察しいいな。

 

「こっちには……マーカーはなし」

「可能性は2つ、ミスリードかヒントかね」

「梨子さーん、ドヤ顔で語っているとこ悪いんですが、皆分かってますよー?」

 

本に顔を埋めてツッコむ。

さてさて、そろそろ本題に戻ろう。

どういうことかマジサッパリ。

 

「ぐぬぬぬ……」

 

千歌がうめいているが元から当てにしていません。

 

「ダイヤさん、どう?」

「わからないですわ……」

 

ダイヤさんが視線を上げて、順番に顔を伺うが……。

全員黙って首を横にふった。

 

「しっかし以外だねぇ」

「なにが?」

 

曜さんが上を見上げて背伸びしながら呟くので問う。

 

「ほら、こういうホコリが溜まっているところって歴史書とかそんなんじゃない?まさか化学の本が置いてあるなんて……」

 

そうだな。確かにいが……い……?

 

「ッ!?」

 

あることに気が付いて手元の本を見る。

間違いない。『科学のひみつ』だ。

 

「科学……?イヤイヤ!オイオイオイオイ!キタぞ、キタぞぉ!」

「蒼輝君?」

「ナイスだ曜!そうだそれだぁ!」

 

勢い余って曜さんを呼び捨てする。

だがいまはそれどころではない。

脳をフル回転させて、答えを導く。

 

「花丸!その本!」

「ご、50選ずらか?」

「そうそれっ!水素、酸素、銅、銀、塩素、ナトリウムは何ページ目だ!?」

「え、えっと、酸素が10ページ、銀が30ページ、水素が2ページ、ナトリウムが3ページ、塩素が7ページ、銅が6ページずら」

 

さすが花丸、本をめくるのが早い。

すぐさま脳内で推理を組み立てる。

 

「……で、だから………うん、うん!」

 

脳内で歯車がガッチリ噛み合うのを感じ、

 

「よっしゃぁ!この挑戦、ぼくの勝ちだな……!」

「勝った、って……」

「勿論、解けたよ」

 

聞いた善子でさえ呆然とする返しをし、僕は隠しきれない笑みを溢した。




今回の謎解きの挑戦は、読者様に対してでもあります。
しっかりとヒントはちりばめました!
ぜひ、蒼輝君になったつもりで謎解きしてください!
まぁ学生が考えた暗号なので、さほど期待しないでくださいね?
ここでいくつかヒントを読者様にだけ。

1、この一話に誤字は一切、ない。
2、50選はミスリードでは、ない。

さて、お考えください!
それではまた!次回!


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【第十五話】Aqoursと動き始めた女心

前回お気に入り30で喜んでたら一週間しないうちに5件増えてました。理由を切実にしりたい作家、斜めにかまえるです。
あ、もしかして推薦とかされた!?いや、さすがにないですわ……。うん、自分で言っといてこれはない。
あ、そういえば『芸能人格付けチェック』で俳句のBGMにMY舞がカラオケで使われててつくづくラブライブの凄さを知りました。
いやー、曲聞くとカラオケでもテンション上がるよね!
それはそうとタイトルの規則性キツすぎてタイトルで10分使うって何をしてるんですかね?
てなノリで、増刊号の第十五話、いっくよー!


「解けたって……」

「あぁでもコレ……えぇ?」

 

今更ながら自分のだした答えに不安になる。

 

「ま、まぁ一応解説。まず今回のキーワードは?」

「違和感!」

 

すかさず千歌が答える。

 

「そう。で、曜が言った言葉」

「えっと……『化学の本があるなんて意外』、だったっけ」

「そうそう」

「それが……?」

 

全員まだ違和感に気付いていない様子なので、本を顔の横に持っていく。

 

「『科学のひみつ』……?うん?科学?」

「おっ?レオ?きた?」

「『科学のひみつ』確かにおかしいな……」

 

レオが一番に気付くとは意外だ。

でも時間の問題かな?

 

「『科学のひみつ』……。え?科学って……?」

「果南さん、答えをどうぞ」

「もしかして……これ、表紙が違うんじゃないかな?」

 

はい、正解。

 

「ど、どういうこと?」

 

代表で善子が問う。

 

「これは科学じゃない」

「じゃ、じゃあ何よ?」

「かがくだ」

「はぁ?」

 

またも全員キョトン。

まだ気が付かないのか?

 

「音声に捕らわれすぎだ。ルビィ、かがくって何?」

「えっと、原子の化合、分解等の総称……ですか?」

「ほら、固定概念に捕らわれてる。果南さん、かがくって何?」

「生物、植物の生態系の総称だね」

「あっ……」

 

全員がハッとする。

 

「そゆこと♪電気はまためんどくさいから説明しないけど……。鞠莉さんなら分かりやすいだろ?ルビィのかがくは英語で?」

「化学、chemistryね」

「じゃあ果南のかがくは英語で?」

「科学、scienceよ」

 

ま、簡単な言葉遊び。日本語ならではの暗号。

 

「つまり、『間違い』を『変換』するんだ。さて、暗号に戻るぞ。この斜線。まぁ一般的に斜線っていうのは間違いをさす。今回もだ」

「化学式は間違ってるってこと?」

「そうだ。正しくいえば、計算が間違いだ」

「計算?」

「『変換』だよ。全部それに変換するんだ」

 

それ、とは。

 

「原子記号50選……?ページ数ずら!?」

「いいね、花丸も脳が動いてきたじゃないか。さっき花丸に聞いたよな?ページ数。それを加えると、こうだ」

 

スマホをとりだし、

あ、鞠莉さんがくださいました。お古だそうです。

そのスマホで、メモを開き、素早く打つ。

 

『ナトリウム(7)+塩素(3)→塩化ナトリウム

 

 銀(30)+酸素(10)→酸化銀 

 

 水→水素(2)+酸素(10)

 

 酸化銅→酸素(10)+銅(6)』

 

「ず、ずら?」

「ま、そうなるよな。まぁこれは一旦置いておいて、まずは単純な連想ゲームだ。お題はその本」

「原子記号50選で何を連想すればいいのよ……?」

 

善子がまた着眼点がズレた答えを言う。

 

「連想すべきは50のほうだよ」

「50?50というと……50音ですか?」

「ビンゴ!梨子さん冴えてるね!化合は足し算、分解は逆算とすると、こう!」

 

『ナトリウム(7)+塩素(3)→塩化ナトリウム (10)

 

 銀(30)+酸素(10)→酸化銀 (40)

 

 水(12)→水素(2)+酸素(10)

 

 酸化銅(16)→酸素(10)+銅(6)』

 

「そんで、でた数字を五十音化すると……」

 

『ナトリウム(7)+塩素(3)→塩化ナトリウム (10、こ)

 

 銀(30)+酸素(10)→酸化銀 (40、よ)

 

 水(12、し)→水素(2)+酸素(10)

 

 酸化銅(16、た)→酸素(10)+銅(6)』

 

「『こよした』、なんのことだろ?」

「残念ルビィ、コレはまだ続きがある。厳密には、修正点だがな」

「修正点?」

「……分かったかも」

「曜さ……、あぁまた……曜!どうぞっ!」

「二つ目の化学反応式、コレは化合だから両方の原子の数が揃わなくちゃいけないんじゃない?」

 

おお!頭良さそうな出だしだ!

元気一杯ヨーソローは本気だしたら知的に見えるのは初耳だ!

 

「で、酸素と銀の化合の割合は3:2だから本当は銀(15)+酸素(10)→酸化銀 (25、の)じゃないかな?」

「おおー!よーちゃんすごい!」

 

千歌が歓声をあげるが一番に解いたの私です。

大切なことなのでもう一度言うと、一番に解いたの私です。

 

「これで暗号は『このした』この下?」

 

善子が床をみる。

この屋敷は1階建てと聞くので、

 

「地下だな……」

「え?」

「千歌じゃない。反応するなよ。地下室ってことだよ。このしたの」

「ですが階段が……」

「んなもんあったらそれを暗号化しますって。つまりコレは……?」

「コレは?」

「ぶっ壊せってこと!!鞠莉さん!」

「手配したわ!」

 

早い!

そして出来んのかよ!?

 

「数分後には爆破隊が到着するわ」

「いやそこまで派手にしなくていいからっ!?」

 

そこまで出来なくていいって!

 

「なんかこう、レスキュー隊とか!」

「OK、かけなおすわ」

 

というかレスキュー隊でよかったのだろうか?

テレビとか見てると結構有能だから大丈夫だと思うが……。

 

「んぬぬ!はぁー!」

「背伸びはいいけどオッサンか」

 

千歌がぐーっと腕を上に伸ばし、かるく背伸びする。

まったく……お前そんなに頭使ってないだろ。

 

「あーしんどっ!」

 

善子も本棚にもたれかかる。

 

「そういう……。ッ!?善子あぶねぇっ!?」

「へ?キャッ!?」

 

慌てて善子を抱き寄せる。

すると次の瞬間、爆音と共に埃が舞い散った。

 

「コホッ!あぶねぇぇ……」

「なにが……」

 

起こったのか?問うより先に目の前の光景で察する善子。

そこには床を突き破った本棚があった。

 

「私がもたれかかって本棚が倒れたのね」

「あぁ、不幸中の幸いと言うべきか……」

「あったわね……」

 

突き破られた床の先には、予想した通り、部屋があった。

善子が巻き込まれていたら落下と下敷きのセット。笑えねぇ……。

 

「で、どうするんだよ?行くのか?」

 

レオが穴に近寄りながら聞いてくる。

いや行くのか?ってさぁ……。

 

「もう行く気満々じゃん。僕もだけど、さっ!」

「二人とも!?」

 

レオと同時に穴から飛び降りることで、千歌が声をあげる。

まぁ天井の高さから落ちるし、距離はあるな。

本当ははしごをもって降りるのだろう。でも、僕とレオの運動神経があれば、

 

「ほっ!」

「っと!」

 

受け身を取ればなんとかなるだろ。

……とか思ってました。楽観視してました。

仮にも天井の高さから落ちたんだ。

 

「痛ったぁ……」

「ッッッ!?!?!?!?」

 

足にものっ凄い衝撃がぁ。

ジンジンするけど歩けないことはない。

右のレオは足首押さえてるけど

 

「ダイジョブ?挫いた?」

「いや、大丈夫……。受け身ちょっとミスった……」

 

なにやってんだよ。

とにもかくにも周りが暗いのでスマホのライトをつける。

すると、地下室の正体が。

 

「オイオイオイ、倉庫イン倉庫かよ……」

「いや、どっちかっていうと倉庫アンダー倉庫じゃね?」

 

どっちでもいいわ。

上とほぼ同じ。たくさんの本が隙間なく並べてある。

こりゃまた謎解きか?

とかおもったら上から千歌の声が、

 

「二人ともだいじょーぶ!?」

「足がジンジンすること以外は大丈夫だよ!お前らは来んなよ!」

「な、なんでー!?」

「お前らスクールアイドルだから足ケガしちゃダメだろ!それに、どうせこの高さから降りて来られな……」

「よいしょ!意外と高いねー!」

「おっととっ!まぁケガとまでは行かないんじゃない?」

「えぇ………………」

 

来られるのかよ。

いや、コイツら絶対おかしい。

曜さん、果南さん、勢いよく落ちてきたのは分かるけど埃払うよりも先に足を痛がるべきだと思うのですが。

痛くねぇのかよ。

この二人を見ていると僕が異常と勘違いしそうになる。

あれ?もしかしてそうなの?

 

「こ、このヨハネも堕天を……」

「張り合わなくていいずら。あの二人は異常ずら」

 

ですよね!おかしいのは二人ですよね!

というか、しれっと毒吐く花丸怖ぇぇ……。

 

「降りて来られるのは四人か。残りは後からはしごでも使って降りてこい!」

 

天井に向かって一喝。

だがしかしこれは愚策だった。

なぜならはしごを取ってこいと言われたらすぐさま取りに行くのがあいつらなわけで。

その下の部屋に僕らはいる。

隠し部屋なんだから掃除はしていない。よって天井にはゴミ一杯。OK?

それを踏まえて聞こう。

千歌が走ったら、下の部屋、どうなると思う?

 

「ゴホッ!ゴホッ!」

 

こうだ。

埃が落ちてきて、呼吸がっ!

 

「ゴホッ!……クッソ、服が埃まみれだよ」

「全くだ……。あれ?曜は?」

 

周りを見渡すがいない。

近くにいた果南さんへ視線を向けるが首を横に振る。

どこ行ったよ?

 

「おーい!こっちこっち!」

「あ、いた。いつの間に……」

 

数メートル先本棚の陰からこちらに走ってくる女の子。

周りが暗くなかったらドラマのヒロインだろうに。

 

「なにしてたんだよ?」

「ちょっとね……」

 

ちょっとって何?歯切れ悪いな。

 

「どうする?まとまって移動をする?」

「一人で動こう!別れようよ!」

「な、何急にそんな気迫溢れる言い方してんだよ?」

 

レオが焦る。

気迫溢れる、面白い表現でさらに的を得ている。

だってぶっちゃけ溢れていた。さっきの曜の発言でコトッ…って音がなった。

なにかが倒れたりしたのだろう。

まぁそれが原因じゃないと思うんだけど。

あ、正しくはたぶん鬼気迫るだ。みんな間違えんなよ!

 

「一人でって、まさか単身行動?」

「うん……」

 

申し訳なさそうに曜が頷く。

だがさすがに

 

「それは危険だ。隠し部屋だしな。妥協して二人で行動、二手に別れよう」

「……………わかった」

 

何がそんなにおきに召さないのだろう?

 

「俺は曜ねぇちゃ……曜と行く」

「オイこらちょっと待てや」

 

しれーっと言い直してなかったことにしようとすんな。

 

「え?いま曜姉ちゃんって」

「ひ、人前で呼びすぎてついな……」

「へ~呼ばれてるんだぁ♪ちょっと蒼輝、私のこと果南お姉ちゃんって」

「よ び ま せ ん よ!?どさくさに紛れて何言わそうとしてるんですか!」

「あはは、ゴメンゴメン!」

「果南さんはほどほどに、いやそんなことは後だ!レオお前さらっと曜と一緒に行こうとしてんじゃねぇよ!」

「え?なんでだ?」

「周り!暗い!美女と野獣!」

「誰が野獣だ!」

 

要は、レオ、暗闇で変なことすんなよ?と。

 

「お前だって果南さんと一緒だろうが!嫌なのか!?」

「んなわけねぇだろ!ただ、美少女と暗闇で二人きりに耐えられない自分が怖いんだよ!普通なら男と女で分けるだろうがッ!!」

「お前そんなキャラだったか!?」

「うるせぇ!記憶失って推理が出来る超人でも一応高校2年の男の子なんだよ!今まで美少女JKの家にいてまだ貞三(ていそう)は無事だよ!ちょっとは誉めろオラァ!」

「自分で超人いうナルシストなんざ誉めるかよ!こっちだってクソ可愛い女の子の家で泊まってんだよ!そのくせ家では無防備なんだよ!どれだけ俺が苦労してると思ってんだ!」

「いま僕が激かわJKと肝試しデートを強要されそうな危険に比べりゃまだまだだろうがァッ!」

「お互い超可愛い子とペア組めるじゃんよかったな!」

「そうですね!とはいかないんだよ!なんたってアイドルが男女二人きりで暗闇はどう考えたって展開が展開だろ!」

「お前は現実とAV混同してんだろ!いいか!?可愛い子はいつだって純粋なんだよ!」

「だからやばいということをわかれ!ぶっちゃけヒロイン選択みたいになってるがどっちも攻略してぇんだよ!でも美少女アイドルなんだからさぁ!」

「二人ともストーーーーーーーーップ!!」

 

ヒートアップしてきたところで果南さんが止める。

せっかく盛り上がってきたのに。

 

「なんで止めるんですか!」

「私達の……体力が…………持たないから……」

 

いやどっちかっていうと僕らが争ってるんだから体力えぐれるの僕らなんですけど。

 

「あー暑い。耳まで暑いよ」

「顔真っ赤ですよ?熱ですか?」

「誰のせいだと思ってるの!」

 

え?僕らのせいですか?

さっきの美少女トークの中に暑くなる要素があったのだろうか?

男には分からん。曜さんに助けを乞おうと……。

 

「……曜?」

「ファイッ!?」

 

うずくまって髪をいじっているところに声をかけると聞いたことのない奇声をあげる。

ファイッ!?ってなに?戦うの?ゴングなの?

 

「……?こっち向けよ」

「いや、直視できないかな……」

 

僕なにか悪いことしましたぁ!?

んー?なにかなにか……。

 

「…………解けた」

「え?」

「曜、お前熱あるだろ?」

「は、はぁ?」

「さっきから顔が赤いんだよ。だからうつさないように僕のほうを向かない。完っ璧な推理!」

「…………。はぁ………」

 

ため息ってなに?

ありゃ?もしかしてはずれた?

じゃあ答えは何?

 

「さっきから激かわだの美少女だの……。聞かされるこっちの身になってよ……」

「果南さん?何かいいました?」

「…………なにも!」

 

なんかちょっと不機嫌!?

 

「ま、まぁ何はともあれ、私は曜と行くから!蒼輝、レオを頼むよ!」

 

女の子からの願い。どう断れと?

 

「了解しました。僕らはあっちを回りますんで」

「私達は曜がさっき行ってたし、あっちを」

 

適当に役割分担を決めてからレオの首を引っ張り連れていく。

しばらく歩いているとレオがポツリ。

 

「なぁ」

「うん?なに?へんなもん見つけた?」

「女心ってわかんねぇな」

「……秋の空より厄介だということは確かだよ」

「違いない」

 

必死に本棚へ視線を走らせるなか、暗闇に僕らの会話は消えていった。

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「ねぇ果南ちゃん」

「なに?」

「激かわだって」

「曜さっきからそればっかり……」

 

仕方ないじゃん。

だってレオくんだって蒼輝くんと並ぶイケメンなんだよ!?

私がすこーしくらい喜んだって……

 

「曜はレオのこと好きなの?」

「……え?」

「異性として、どうなの?」

「まさかぁ!弟に誉められて嬉しいだけだってー!それに、アイドルは恋愛禁止、だよっ!」

 

あれ?スクールアイドルはどうだっけ?

まぁいっか!

 

「果南ちゃんは?好きな人いないの?」

「え?蒼輝だよ?」

「………………え?エエエエエエエエエエエエ!!!!!????」

「アッハハ!冗談だよー♪でも、イケメンとは思うかな♪」

「な、なーんだ……」

「曜」

「な、なに?」

「女の子ってめんどくさいよね!」

「………そうだねっ!」

 

私達は笑った。

それこそ、蒼輝くんにまで聞こえるように。

でも気になるのが……

 

「果南ちゃん?さっきから後ろに隠れて……もしかして暗闇、怖いの?」

「わ、私は全然平気だよ!」

「あ、お化け」

「え!?ハグーーー!!」

「嘘だよー♪さっきのお返しー♪」

「あ、やったなー!」

「またお化け!」

「ヒイイイイッ!?」

「アッハハハハハハ!」




「なんかラブコメに走り始めたな~」とか思ってるであろうそこの君!残念!作者の技量不足でラブコメは出来ないね!
じゃああの〆なに、だと?…………書きたかったんです許せ。
今回増刊号にした理由?さぁ?書きたいことを収めたらこうなったし。推理パートで一旦きってもよかったことを後から気付くが男に二言はない!15話記念で増刊号じゃい!
おかげで次回マジでネタがなくて困る大失態!アホかな?(アホです)
だから一週間で次回を書き上げられるか……。
失踪しないように頑張ルビィ!


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【第十六話】Aqoursと動き始めた地下室

今回本気で失踪しようと考えた作家、斜めにかまえるです。
いやだよぉぉっ!!もう記憶喪失とかいいじゃん!ミステリーとかせずにのんびり番外編みたいにラブコメ日常したいよぉぉ!!よし、この作品終わったらラブコメ書こうそうしよう!

蒼輝「でもミステリー以外お前の作品全部駄作じゃん」

やかましいっ!てかなんで知ってんの!?

蒼「いやフォルダにあんだけラブコメかいときゃ知ってるわ。どれもこれも主人公転校しやがって」

わー!この話やめよう!な!本編いこう本編!

蒼「あ、でもこの『ツンデレ曜ってよくないっすか?』ってのはなかなか……」

本編スターーーーート!!


「しっかし、何にもないな……」

「本棚には本がびっしりだけど……っと!『ラプラスの悪魔の証明に挑んだ男』ね……伝記とかばっかだな……」

 

それも研究者ばっか

周りを見渡しても、

 

 

「ゲーテルの不完全性定理、エントロピー増大則、マクスウェルに、第三永久機関。変人だなぁ……」

「なにいってんだ?」

「どうせ読書しないレオにはわかんないだろ」

「バカにしてるのか!?」

「してない。こんなの知ってるのは一部の物好きだけだよ」

「じゃあお前は物好きでいいな?」

「そうだが面向かって言うな。目の前で『abc理論の証明』の凄さを延々語るぞ?」

「脅しなのか?それ?」

「一部にはご褒美かも……。それより話してる場合はなさそうよ?」

「はいはい。どうする?」

 

話してる場合はない理由。

それは目の前の暗闇から音が流れてきているということ。

曜さんたちとは逆ルートだからなにか仕掛けだろうか?

どっちにしろ足を止める理由にはならない。

 

「正面突破。下手に警戒するのも疲れるし、手掛かりくれるならこいよってこった」

「素手でいくのか?」

「広辞苑でも持っていくの?」

「そりゃご勘弁ねがいたいな」

 

だろうな。

広辞苑は辞書だし、用途が違う。

よく鈍器と間違えられるがあれは辞書だ。よく覚えておくように。

 

「さてさて?鬼がでるか、蛇がでるか……」

 

出てきたのは……

 

「あれ?蒼輝?」

「果南さん。え?あっちから来たんですか?」

「うん、一本道だったし……」

 

こちらも一本道。

てことは、

 

「通路は円形か。また謎解きの予感がするなー。めんどくさい…」

「でも特に怪しいものは……」

 

なかったらしい。

じゃあ最後の手段。

 

「このした。の下って可能性は?」

「……地下二階?」

「が、あるとしたら。まぁさすがにないだろうけど、ねッ!!」

 

おもいっきり床を蹴る。

ダン!!!と、想定通りの音が鳴る。

 

「この音で下があるなら隠し階段かなぁ……」

 

曜さんがボヤく。

まぁそうだろう。結構床が分厚くなかったら鳴らない音だ。

 

「ま、今はどうしようもないんじゃね?」

「じゃあどうするの?」

 

果南さんが問うが別に普通に、

 

「待つだけですよ。ダイヤさんたちが来てから、話をすすめましょう」

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「蒼輝さーん!果南さーん!どこですか~?」

 

倉庫内に声が響く。

梨子さんの呼び声なので迎えが来たようだ。

 

「こっちだよー!っと、誰いるの?」

 

本を読んでいるから迎えが誰かを問わないとわからない。

 

「全員いますよ。ところで……」

「なにか?」

「この状態はなんでしょう?」

 

この状態?

周りを見渡すと本に埋まって寝ている果南さんとケータイとにらめっこする曜さん、そしてパラパラと本をめくる記憶喪失組。

 

「……なにか聞きたいことでも?」

「全部聞きたいわよ!」

 

おおう、善子がツッコむとキレがあるな。

梨子さんがツッコむと思ってちょっとふざけてみたのだが。

仕方ない、めんどくさいけど教えるか。

本から視線をあげ、到着組と目をあわせる。

  

「エントロピー増大則」

「は?」

「要は物は積み上げるのは時間がかかるが崩すのは一瞬、ってこと」

「なにいってるの?」

 

そんな善子を無視してレオに視線を送る。

しばらく本に集中していたが、視線に気付き、

 

「……第三永久機関。人類が到達することができない、完全なエネルギー。不可能と立証された人類の夢」

「れ、レオ?」

「ったく……考えたやつは厨二かよ。曜!次!」

「え、えーと、ラプラスの悪魔。物理学で未来の決定性を論じる時に仮想された超越的存在の概念……」

「センスない説明だなー。ウィキ〇ディアそのまま読んでるだろ。レオみたいにかっこよく言えないのか?」

「まず理解が追い付かない……」

 

でしょうね。

 

「あー、簡単にするからよーく聞け?ラプラスの悪魔ってのはな、ある瞬間の全てを知ることが出来ればすなわち、未来を知ることが可能である、って理論だ」

「一旦現在の状況の説明を要求しますわ」

「現在の状況……ね。皆がくるまでそこら辺にあった本を読みあさってたんだけど果南さんは読書苦手みたいであぁです」

 

果南さんを指す。

結構騒いでるからもう起きてもいいと思うんだけど……。

 

「曜も果南さんほどではないですが読書苦手みたいでウィ〇ペディア使って解読状態です」

 

そして意外だったのは、

 

「レオは読書得意だったみたいで。よく考えれば夏目漱石の知識があったんで当たり前ですけど。それで記憶喪失組で速読しながら待ってました」

「なるほど……」

「で、あっちです」

「は?」

 

指差した先には大量の本。

 

「ノルマです。全員頑張って読みきりましょう!」

 

全員ドン引き。千歌にいたっては逃げる準備してる。

ちなみに本の内容は上から、マクスウェルの悪魔、シュレディンガーの猫、多分岐……

 

「蒼輝、嫌がらせはやめとけ」

「……ありゃ、バレてた?」

「バレてなくても言ってた。おまえが推理を語らず行動させるとか今まであったか?」

「あー、そういやそうだね。レオも推理向けの頭になってきて嬉しいよ」

「俺はお前の子供かよ。それよりもこの理論なんだけどさ……」

「それならココと繋げて考えると逆説的だな……」

「マクスウェルの悪魔か?あー、熱力学で考えるのか!」

「………………」

 

一冊の本であーだこーだと議論。

視界の片隅でダイヤさんと曜さんの

 

(なんの話ですの?)

(今に始まったことじゃないからコレ……)

 

というアイコンタクトがうつる。

やかましいわ。確かにココで読んでて数回したけどさ。

 

「で?どうすんの?」

 

話を戻す。

 

「どうするって……なにを?」

「なにをじゃないだろ。ココになにしに来たと思ってんの?」

「暇潰しだよね?」

「そうだけどその暇潰しに何をしに来たかを聞いてるんだよ」

「たしか隠し部屋があることがわかって、ってあれ?」

「………………………あっ」

 

全員が顔を見合わせる。

 

「え、えーと、正直にっ、しょーじきに言えよ?忘れてたやつ挙手……」

 

全員挙手。

し、しかたないよね……。

ポケットからあるモノを取りだし苦笑い

 

「これ、結局使ってねーじゃん……」

 

それを振るとチャラ、と金属音が響く。

使うところあったかな?いや、ないよな……。てことは、

 

「地下二階?」

「てことは……」

 

全員が苦笑いする。

さっき否定したばかりの地下二階だが隠し階段への鍵といえば床の厚さも解決出来る。

そう、てことは、

 

「謎解きチャンス再度とうら~い♪やったね♪」

「嬉しいのは蒼輝くんだけだよ……」

 

千歌がうなだれる。

 

「ま、王道なら本棚の裏に隠し扉が~とかだよな」

「じゃあ全部の本棚倒そうよ!」

「「は?」」

 

レオと僕がハモる。

いや全部倒そうぜって……

 

「千歌さぁ、脳筋プレーとか寝言は寝て言え。言ったでしょ?これは『挑戦』だって」

「だったら俺らが正々堂々、正面から解いてやるのがスジだろ」

 

喧嘩は売られたら買うでしょ理論だ。

今回は暇潰しで始まったけど思った以上に謎が深い。

てことはそれなりに頭がいい人が考えたということだ。

それを脳筋プレークリアはあまりにも残念すぎる。

 

「というか来てもらって悪いんだけどさ、僕もう上に上がりたい。ここ埃臭いんだよ」

「ではいったん上に上がりましょうか」

「ですねー。レオ、そこまでだ」

「ん、これ読み終えたら行く」

「うわーめんどくせぇ……」

 

読書あるある、『読み終わったら』理論だよ。

僕も数回やったから分かる。これ、読み終わるまで結構かかるパターンだ。

だがこういうときの対処法は僕と同じ。

 

「なら家に帰って読んだら?」

「いいのか?仮にもここの本だろ?」

「何が仮なのかよくわからんがいいだろ。黒澤家の本だから許可さえあれば、ね?」

 

ダイヤさんを見る。

すると、もちろん、みたいな感じで微笑んでくれた。可愛い。

 

「んじゃ僕も何か一冊……、これかな?」

「二人ともそれを読んで何になるの……?」

「「さぁ?」」

 

それこそ作り話なんて読んで何になるの?だ。娯楽なら僕らの場合も娯楽じゃね?

なんにせよ知識は蓄えていて損はない。

まぁでもここの本は損ではなく無駄になりそうだが。

 

「じゃあ上がりましょ。曜、いつもの」

「いつもの?」

「意識したら分からないのか?アレアレ!」

「………!一階に向かって全速前進~?」

「「「「「「「「「「ヨーソロー!」」」」」」」」」」

 

やっぱりコレがないとね。

 

 

 

 

_________

 

「日の光が久しいぜっ……!」

「おまえは囚人か」

 

即座にツッコむレオ。

なんだろう、最近よく息が合う。

 

「いま何時だ?」

「えっと……4時50分です」

 

ルビィがスマホをだして答える。

さて、終バスまではまだあるな……。

 

「なにする?推理のまとめ?読書?」

「どっちも嫌かな……」

「コーチだったらせめて練習を選択肢に入れようよ……」

 

それぞれいろんな落胆。

そういやコーチでしたね。忘れてた。

 

「今から五キロほど走ると丁度いい時間になるな……」

「よし!推理のまとめしよう!」

 

千歌が逃げ出す。

どっちも嫌とはなんだったのか。

 

「まぁ冗談はさておき、」

「冗談の雰囲気じゃなかったよ!?」

 

あ、五キロは半分本気だったよ?

 

「実はやりたいことがあるから解散したいんだよね。賛成の人~」

 

全員挙手。

よくよく考えれば今日だけでAqoursが落ち込み暇潰ししようと提案し推理からの善子下敷き回避して地下見つかって。

そりゃ疲れるわ、早く帰りたいだろう。

 

「全会一致、解散!」

 

元気よく叫ぶとそれぞれが散る。

終バスまであるからカフェで歌詞作りでもしてるだろ。

さてさて、僕はしたいことをしなきゃな♪

 

「レオ」

「ん?なんだ?」

「本、読みたいでしょ?」

「は?」

 

 

___________

 

暗い倉庫に自分の足音だけが響く。

時間はあまりない。早くこれをおいて……

 

「なにしてんのさ?」

「!?」

 

突如後ろから声が聞こえて私は焦る。

 

「トイレ貸してもらうんじゃないのか?そうダイヤさんから聞いたが?」

「ちょ、ちょっと気になることがあって……」

「こんなところに?曜が?へぇ……」

 

私の名前を呼び口角をあげてニコリと蒼輝が笑う。

思わず冷や汗が流れる。

あの顔をするときは蒼輝くんが「なんでもお見通しだ」って時。

早く退散しないと時間が……!

 

「あぁ、時間?レオには本沢山渡したし今頃読書没我じゃないかな?ダイヤさんには僕と談話してたって言うから安心していいよ?」

 

思考を読まれてるッ……!

 

「曜さん、教えてくださいな?ココで何を知ったか?」

 

曜、ではなく曜さん。

穏やかで軽々しい口調でも迫力があった。

以前経験したことがある。

図書館でうみさんに対してした、ブラフの空気。

つまりそれは私を警戒してるということ。

それでもなお知らないふりを通す。

 

「なんのこと?」

「………………ここの本棚、本がびっしりそろってんだよ」

 

周りを見渡すとどの本棚もギチギチに本が入れてある。

 

「なのに曜が叫んだ、あの別れようよ!ってやつな?あん時コトッ……って鳴ったろ?ありえないんだよ。この本棚でそんな音は。誰かが本を抜かない限りは、な」

「偶然抜けてた可能性も」

「ないね。気になってばっちりさっき調べた。ある場所だけ一冊分だけ抜き取られていた。しかも両隣の本には埃がなかった。つまり、さっき抜き取られたということ。その場所がなんと、曜さんが最初に駆けてきた所だったんだよね。つまり、」

「……………やっぱバレてる?」

「もちろーん♪なんか本を取ったんだろ?隠し事するような本を」

 

……あたり。

困ったな、これは話さないと警戒を解いてもらえそうにないよ。

しかたない。

 

「ホントは教えたくないんだけどね……」

 

手元の本を蒼輝君になげる。

………乗り越えてよ、蒼輝くん。

 

 

 

 

__________

 

曜さんから投げられた本を受けとる。

本を観察。タイトルはなく、本、というよりはメモだ。めくると中身は全て手書き。

そのまま、速読。

手書きなのでところどころ読みにくいがなんとか読める。

内容は……

 

「……………!?」

 

ページをめくり、そこにある一文に思わず手を止めた。

だが次の瞬間、我を忘れ、次々ページをめくる。

その一文とは……

 

「人為的記憶喪失研究、著・黒澤……玉髄(ぎょくずい)………だと?」




蒼「なぁ、『千歌と曜が俺のことで修羅場なんだが…』って作品」

本編終わって続けるんじゃねぇ!俺のライフはもうゼロよ!

蒼「なんでこんなにラブコメあって投稿がミステリーなんだ?」

あぁ、それ。ひとえに言うと、仮面ライダーWの影響なんだよね。 

蒼「でもクオリティ低くね?」

聞こえな~い!さぁ次回もお楽しみに~!


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【第十七話】Aqoursと動き始めた"蒼輝"

個人的なニュース多すぎ系作家の斜めにかまえるです。
順番にいきましょう。

まずは読者様への感謝ですね。
お気に入り40件ありがとうございます!前30件で喜んでからそんなにたってないのに伸びててホントに嬉しい限りでございます!これからも頑張ります!


次!かよちん誕生日おめでとう!
まぁ推しは真姫ちゃんなんですけどやっぱりメンバーが誕生日って嬉しいでしょ!?
今日は『まきぱな』でSS調べて過ごそうとおもいますよ!

はい3つめ!『WATER BLUE NEW WORLD』『WONDERFUL STORIES』どちらも名曲すぎでしょ!
無事、フラゲしましたよ!聞きまくりましたよ歌詞覚えましたよ!

以上3つ!もっと個人的な話はあるんですけど早く本編いかないとしつこいですしね。
本編参りましょう!


「人為的記憶喪失研究、著・黒澤……玉髄………だと?」

 

人為的記憶喪失。脳に一定の信号を与えることで一つの物事を完全に記憶から消去する。

そう記された本にはそのための方法、理論がこと細かく書かれていた。

ほとんどが数式で理解不能だが、わかることがひとつ。

 

「黒澤玉髄……ダイヤさんとルビィさんのご先祖様……?」

 

愕然とした。

なんてことだ。運命か否か、僕は

 

「暇潰し、なんて言っといて、凄い物を発見しちまった……」

 

玉髄……なんかの宝石の和名?だったような……。

いやいや、そっちじゃねぇだろ。

 

「曜、お前、全部よんだ?」

「うん。一応」

「こればっかはいつも通りヘラヘラしてらんねぇぞオイ」

 

記憶喪失前?殺人犯そうが記憶ないんだからセーフだセーフ!

たがそれを取り戻すとなれば話は変わる。

 

「つまり僕は……」

 

元凶の住んでいた家に、泊まっているということ。

黒澤。ダイヤさんいわく、先祖代々大きな網元らしい。

ではなんでそんな網元が……

 

「いや、違う。網元じゃない。兄弟に網元任せりゃいい。てことは……」

 

黒澤の家系で兄弟を調べる……。

いや、名前が出てるんだ、必要はない。

そもそも……

 

「………………クッソ、これが一番有力な推理だ?ふざけんなよクソッタレ……」

 

思わず悪態をつく。

これをどうするか相談を……。

周りを見渡すと気付けば曜はいなくなっていた。

……好都合だ。

 

「こっからは、僕一人だ。Aqoursの手も借りない、一人で暴いて見せる」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、僕は、皆と出会うのを避けた。

 

 

 

 

 

____________

 

意味もなく、海岸に来ていた。

いや、訂正しよう。現実から目をそらすため、海岸にきている。

あれから浦女にもいかず一週間、ダイヤさん家に戻らないで一人で過ごした。

曜が気をきかしたようで、探しにくるような野暮なやつはいない。

それでいい。これは僕の問題だ。

それにラブライブの予選もあったのだ。

探しにくる暇などないだろう。

一昨日が予選だったが、まだ結果は知る気になれなかった。

あの9人のことだ。僕がいなくても優勝するレベルまでは特訓してやったし、きっとどうにかなる。

浦女も、ラブライブも。

改めて呼吸を調え、口にだし、いまの状況を確認する。

 

「この本から察するに、記憶喪失の元凶はおそらく、黒澤玉髄、黒澤姉妹の先祖さん。てことは少なくとも二人は記憶喪失に関係あるということ」

 

そこを偶然拾われた。あり得るか?否。

 

「可能性はない訳じゃない。でも限りなく低い。この状況で一番可能性がある推理は……」

 

────Aqoursが、黒幕。

 

全ての辻褄があうのだ。あってしまうのだ。

うみさんがちょうど図書館にいた理由も、ダイヤさん家においてもらえた理由も、監視だと考えれば……

 

「あああっ!!!クッソがあぁぁっ!!」

 

たまらず叫ぶ。

記憶喪失になってずっと信じてきたものが実は黒幕?

ハッ!笑えないね!今時のミステリーはもっといい展開用意してるぜ!?

 

「千歌が拾うのも!計算済みだったか!?だったら地下室見つけるのも計算に入れやがれ舐めてんのかッ!!」

 

もしかしたら見つけるのも計算の内だったのかも。

そして僕をこうして路頭に迷わせることすら、監視対象……。

 

「だったら曜さんが本を隠した意味は?計算と悟られたくなかった?」

 

なんとでも考えられる。

考えれば考えるほどAqoursが怪しく思えてきた。

考えたくなかった。考えざるをえなかった。

そんな状況を打破したのは、ある一本の電話だった。

 

「こんなときにっ……!」

 

うみさんからだった。

最悪だ。推理があってたらつまり、監視されに来いと言ってるようなものだ。

ノコノコ出ていくはずはない。

 

「ノコノコは、な……」

 

つまりは、ノコノコしていかなければよいのだ。

ばっちり用意して、必要な情報をききだしてやる……。

 

 

 

 

 

___________

 

前とはうってかわり、今回は人目が少ない公園。

 

「雷斗くん?どうしたの?随分痩せて……」

 

ここ最近、ダイヤさん家帰ってないからちゃんとした飯を食べてないので痩せるのはあたりまえだ。

だが下手に会話にのるのはよろしくない。なにせ警戒対象だ。

 

「何の用ですか?」

「家からこれが見つかって……」

 

ある一枚の長方形の封筒を手渡ししてくる。

中身、確認すべきか?

警戒して、太陽で透かすのが一番だな。あとで確かめよう。

 

「この前いた10人は?」

「縁を切りましたよ。用はこれだけ?」

「そうだけど……なにかあったの?喧嘩?」

 

だったらどれだけいいものか。

結局その質問には答えず、その場を後にした。

しようとした、だが……

 

「蒼輝くん」

「ッ!?」

 

唐突に後ろから名前を呼ばれ、振り替える。

 

「さっきまで"雷斗"だったのにッ……」

 

皮肉にも、このタイミングで、うみさんは僕を"蒼輝"と呼んだ。

9人がつけてくれた、名前を。

 

「僕は雷斗です。蒼輝じゃない!」

「あら?そのわりには振り向いたみたいだけど?」

「うるさいですよ!僕は!僕はッ……!」

 

津螺技 雷斗だ。

叫ぶつもりで、言葉がでなかった。

理由なんてわからなかった。

ただ、自然と、叫んだらダメな気がした。

それはAqoursと過ごした日を否定するようで。

たとえ嘘だとしても、楽しかった思い出だから。

 

「……あーマジ死にてぇ♪」

「は?」

「蒼輝が雷斗だったころの口癖よ。よく死にたいって言ってたわ。なんで?って聞いてもこんな人生つまないし、リセットしたい、ってそう返すばかり」

 

僕が、死にたい……?

 

「いまはどう?死にたいの?」

 

聞かれて困った。

正直、記憶喪失になってからは、とにかく、『なるようになれ』で貫き通してきた。

そこへ『死ぬようになるなら死ぬのか?』ときやがった。

……いや、もしかしたらそうなれば死ぬのかもしれない。

でも、確信を持って言えない。何故だ?

 

「……あぁ、いらねぇことはよく分かるのにこんなときだけ分からないときた」

 

最悪だ。なにこのクソゲー、

やはり、雷斗と同じように、人生なんてつまらないものかもしれない。

でも、そう信じたくない自分がいる。

どうすればっ……!

 

「あら♪そろそろ用事があるから帰るわ♪」

 

うみさんが急に喋りだしたので僕は黙って頷く。

用事?そんなものはないだろう。

あるなら僕を蒼輝とよびとめる必用はないはずだ。

でもこの場から抜けてくれるならそれでよい。

空を見上げる。

曇り、曇天。

今にも雨が降りそうだ。

これでは封筒の透かしが出来そうにない。

それよりもこれからどうするかだ。

浜辺にもどる?いや、雨がふるのにそれはどうなのか?

それでは、

 

「雨宿り場所……探すか……」

 

ゆっくりと歩きだす。

結局、うみさんの質問にはすべて答えられなかった。

悔やんではいないが……。

 

「路頭に迷う、か……」

 

いまの僕はまさにそれだ。

船は灯台の輝きを目指し進む。

輝きを見失った僕はさしずめ、

 

「海を漂う枯れ木だな……」

 

───みじめだった。

泣きそうだった。

分からなかった。

いろんな思いが胸に渦巻き、もう口をきくこともままならなかった。

いやに景色が僕の目に綺麗に写った。

それは僕を皮肉っているようで。

だが不思議と惹かれた。

なにか人を惹き付ける魔力でもあるようなこの場所は……。

 

「内浦、綺麗すぎるだろ……」

 

その言葉は誰にも届かず、ただただ、景色に溶け込んでいった。



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【第十八話】Aqoursと動き始めた"蒼い輝き"

神様はどうにも僕を嫌っているらしい。

曇天で不安ではいたが、予想的中。見事に大雨だ。

だがまぁそれだけならいい。

 

「台風並みの豪雨は聞いてねぇし……」

 

曜さんの体感天気予報が羨ましい。

見るテレビもなく、知るメディアは携帯のみ。

その携帯でさえ、Aqoursとの連絡線を断つためここ数日見てない。

おかげでコンビニは閉まってるは、車は……元から通りかからないか。

まぁとにかく雨宿り不能と行動不能のセットに襲われている。

そんな僕がいまどこにいるのかというと、

 

「結局、ここかぁ……」

 

そう、室内であり誰にも迷惑がかからない場所、浦の星女学院である。

だが今は平日の昼間、玄関で雨宿りしているが教師に見つかったらもれなく鞠莉さんのもとへ直行だろう。

というわけでいつまでもここにいるわけにはいかない。

さてさて?どこへいこう?

教室は論外、窓があって人目につかない場所……。

 

「……体育館?」

 

おお!それだ!我ながらナイスアイディア!

いざとなれば倉庫に隠れられるしなにより一学年一クラスだからそうそう授業で人は来ないだろう。

よし、さっさといこう!

そう思い体育館へ向かって歩いていくが、

…………………暇。

………………ガッツだ!BAKU BAKU Wave♪

 

「変わったんなら結果出してみて♪」

 

そうだWave!変わったんだ♪

───いやなに口ずさんでんのさ僕ぅ!?

あっぶねぇ!完全に無意識だった!

ってそういやこの曲で予選だったな……。

結局どうなっt…

 

「はぁっ…はぁっ……!今のステップ!もう一回しよ!」

 

………………は?

 

「ですが千歌さん!さすがに休憩を」

「関係ない!やろう!ダイヤちゃんお願い!」

 

…………待って、シンキングタイムを下さい。

なんで体育館から聞きなれた声がするんですかね?

えっ、授業中でしょ?

落ち着いて聞き耳を立てる。

 

「千歌ちゃん、無理矢理開けてもらってるんだから倒れたら先生があとあと……」

 

曜さんの声。

うん?無理矢理?話が見えてこない。

いるのはAqours二年生と三年生、そして一ね……

 

「あれ?花丸がいない?どこだ?」

「ここずら♪」

「え?あっ……」

「盗み聞きはよくないずら」

 

後ろにいた~!

ヤバい、不登校してたから顔合わせるの気まずい。

 

「なにしに来たずら?」

「…………雨宿り。なんでいるの?授業は?」

「今日は大雨で学校はお休みずら。そこを無理を言って、Aqoursが使わせてもらってるずら」

「使わせて……じゃあやっぱ予選突破か」

「………………………………ずら」

 

なにいまの溜め?

 

「でも…………浦の星は……」

 

え?浦の星『は』?

 

「なくなっちゃう……ずら」

 

…………………………………………今なんと?

え?浦女がなくなる?

なんで?予選突破したんだろ?

まって何で!?

全く理解できない。

 

「せ、説明を……」

「マルが言えるのはここまでずら。今からは蒼輝くんに決めてほしいずら」

 

また、"蒼輝"と呼ばれた。

違うんだ。僕は雷斗だ。

そう自分に言い聞かせ、離れていく花丸を追おうとするが

 

 

────蒼輝くんに決めてほしいずら

 

「ッ!!」

 

つまり、答えは花丸ではなく、蒼輝として考えろと。

つまり、どうするのかは自分で決めろと。

花丸は暗黙にそう言ったのだ。

だが"雷斗"ではなく"蒼輝"に決めてほしいだと?

そんなの……

 

「なるようになれ、だ……」

 

そうだ。なるようになればいい。

それなら千歌のように、考える前に、

 

「ああああああああああああああああああああああっ!!」

 

動きだすのもいい。

大声を出して大雨に僕は飛び込んだ。

なぜそうしたかは分からない。

ただ、体が動いた。

何も考えられなくて叫んだのかもしれない。

途中でいきたい場所があることに気づいた。

とにかくそこへ向かって走り出した。

なぜそこへ行きたいのかは分からないままで。

 

 

走った。Aqoursが報われないのがくやしくて。

 

 

 

走った。自分が何をしたいのか分からなくて。

 

 

 

後ろから呼び止める声がした。

 

 

それでも走った。追ってきて欲しくなくて。

 

 

豪雨で何度も転びそうになった。

 

 

だけど走った。どうしても、あの場所に行きたくて────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……!」

 

ついた先は

 

 

──────最初の砂浜だった。

 

もちろん海は大荒れ。

髪も服もびしょ濡れで荒い呼吸まま海を海を見つめる。

 

「なにやってんだ僕…………」

 

考えずに来たからAqoursのことも気になるままだ。

よく分からんが浦女は統廃合。

結局、

 

「無駄な努力だったか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────そんなことないよ!」

 

後ろからの声に振り向く。

そこには……

 

「無駄じゃない!まだ、無駄じゃない!」

「ち、千歌!?それに皆も!?」

 

この豪雨のなか僕をついてきたのか!?

 

「はぁ、はぁ、蒼輝くん、速すぎ……」

 

こんな息切れしてまで…………!?

 

「ラブライブで優勝して、浦の星の名前を消えない歴史に残す!そう決めたんだ!だからまだ、無駄じゃない!」

「…………出来ると思うのか?」

「出来る!」

「いいや出来ないッ!!体育館のアレはなんだッ!!千歌が変に意地を張ってもう一回と言い出し他のメンバーの体力を、心配を、『関係ない』と切り捨てたッ!そんなやつがリーダーで優勝なんか出来ないねッ!」

「ッ!ぐぅ……ッ!!」

 

千歌が悔しそうに歯ぎしりをする。

さらに僕は畳み掛ける。

 

「その結果が統廃合じゃないのか!?いいか、はっきり言ってやるッ!お前らは異常なんだよ!」

 

僕の叱咤するような追撃は続く。

 

「勝手に拾っておいて恩人気取りか!?じゃあ聞くぞ!?僕はなんだ!?」

「蒼輝くんは蒼輝く…」

「じゃあ『津螺技 雷斗』って誰だよ!」

「誰って蒼輝くんじゃ……」

「つまり蒼輝イコール雷斗でいんだな!?だったら聞くぞ!?何故殺人犯と一緒にいられる!?」

「そ、それは……」

「統廃合を阻止して!ラブライブに優勝して!そんなことが本気で出来るとおもってたのか!?」

 

もうただの八つ当たりだった。それを分かっていながら問い続けた。

 

「綺麗事言ってりゃμ'sみたいに伝説になれると思ったか!?答えろよ()()()()ッ!!」

「………………………………!!」

 

普通星人?普通なら僕なんかを助けたりはしない。

だからそんな異常者を皮肉を込めて僕は()()()()と呼んだ。

 

「わからねぇよ!お前らはなんだ!?」

 

最後の問いかけを行う。

自分を問い続けた僕の、他人を問う質問。

叫んだ瞬間、目から零れた物は、雨と共に流された。

それは止まらず、堪えられなくて。

いつまでも続くかと思われた沈黙は、意外なヤツの一言で破られた。

 

「コイツらが何かなんて、俺にもわからん」

 

レオの言葉にAqours9人が視線を集める。

 

「分からないんだよ。俺には」

「だったらなぜ一緒にいられるんだよ!」

 

泣きながら掠れる声で叫ぶ。

その渾身の問いをレオは鼻で笑い、

 

「じゃあお前はコイツらが分からないから一緒にいないのか?」

「そうだよ!お前は違うのか!」

「お前なぁ……よく聞けよ?千歌ー!」

 

レオは近くにいるにも関わらず、遠くの者を呼ぶように千歌を呼ぶ。

千歌はすこし動揺するが聞き手の姿勢にはいる。

 

「なぁ千歌、なんで俺らの面倒みる?」

 

この……質問……って……。

 

『─────なぁ千歌、なんで僕らの面倒みるんだ?』

 

確か……。

 

「『……?困ってるから以外の理由なんてないけど?』」

 

あの時と千歌がダブって見えた。

 

「こんなゾクゾクする未知に出会ってほっておく?あり得ないだろ」

 

『な?面白いだろ?ゾクゾクするだろ?』

 

「記憶喪失なんか一旦おいておけよ。今、最っ高の輝きが見れそうなんだぜ?」

 

『肩を並べて走ったら、とんでもないものが見れそうだろ?』

『記憶喪失なんて、一旦おいといてさ』

 

「もう一回さ、」『どう?』

 

「『一緒に来ないか?』」

 

レオは……あの時の僕を……。

未知は楽しいと言ったあの時の僕を……。

 

「……統廃合阻止して!ラブライブに優勝して!そんなことが本気で出来るとおもってたのか!?…………私ね、本気で思ってた。でも、出来なかった。でも違う輝きがちょっとだけだけど、見えてきた。だから……」

 

そこで千歌は口ごもる。口では言ってるがやはり統廃合が悔しいのだろう。

今にも泣きそうなのを堪え、豪雨でかきけされそうなか細い声で呟いた。

 

「だから、まだ、足掻き続けてみたい……」

 

と。

それに呼応するように

 

「まだ!足掻きたりないの!」

「だから!スクールアイドルじゃなくなるその瞬間まで!」

「学校がなくなっても!」

「浦の星のスクールアイドルだった、って!」

「Aqoursだった、って胸を張って言えるような!」

「そんなスクールアイドルになれるよう、足掻きたい!」

「たとえ浦女がなくなっても!」

「ハッピーでシャイニーな思い出だったって言いたいから!」

 

梨子さん、曜さん……。それに善子に花丸、ルビィ。果南さんとダイヤさんと鞠莉さんまで……。

 

「蒼輝くんは蒼輝くんだから……、殺人犯だとしても……私達にとっては『なんでもできて、私達を小バカにするけど実は優しい』蒼輝くんだから……っ!だからっ!!」

 

「戻ってきてっ………!!」

 

千歌の声を聞いた僕は全てを理解した。

なぜうみさんに言い返せなかったか。

なぜこの場所へ来たがっていたのか。

さっきより涙は多く流れた。

千歌達は僕を蒼輝だと言った。

だったら黒澤の末代を恨んでどうなるんだよッ!!

自分に向かう怒りは涙に変わり、頬を流れた。

 

()()くんっ……Aqoursに……戻ってきてくれますか……?」

 

千歌の問いに顔が上げられなかった。

涙でぐしゃぐしゃになった顔を見られたくなかったから。

でも伝えなければならない。

この気持ちを伝えなければ後悔するから。

 

「あぁっ……!()()()()っ!Aqoursに戻ってやるよ!」

 

震える声で泣きながら伝えた。

もう否定なんてしない。

僕は誰だ!?

教えてやんよ!僕はっ!

 

「ほっとくと無茶するなら止めてやる!この、黒澤蒼輝がっ!!」

 

Aqoursの9人が堪えきれないように泣きだした。

 

「なに泣いてんだよ……いつも通りになっだけだろ?」

「うんっ!いつも通りにっ!」

 

千歌は泣きながら答えた。

その表情は幸せそうにわらっていた。

 

「帰ろう。風邪ひくしな。んで明日練習だ!」

「うん!コーチっ!」

「そこは蒼輝でいいよ……」

 

なんて軽口を言いながら砂浜を去る皆を追う。

僕も追い付こうとAqoursに向かって駆け出し……

 

「ん?」

 

砂浜に白い羽が落ちていた。

それが無性に気になった僕は羽を拾い、天に掲げた。

 

「羽ばたこう。……今度は皆で!」

 

いろんな思いを込めたその言葉は誰にも届かず、ただただ、景色に溶け込んでいった。

 

 

 

 

─────空には大きな虹がかかっていた。

 

 

 

 

 

 




斜めにかまえるです。
番外編含めこの話が20作目。
1話の駄文から少しは面白く書けるようになれましたでしょうか?
最終回も30話を予定しているので刻一刻と迫っています。
蒼輝くんの物語を書けるのもあと少しと思うと感慨深く……。
ここまで読んでくださってる方に多大な感謝を。
それでは次回、一週間後をお待ちください。


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【第十九話】Aqoursと動き始めた勘違い

この作品に読者がいるのが自分の中での最大のミステリー。
ミステリー作家の斜めに構えるです。
誰にも見てもらえないでいいから書き溜めておくのももったいないし投稿しようと思っていたらいつの間にか読者がいました。
ありがたやありがたや。
さて、本編行きましょーか。


「ふぅーーー」

 

目を瞑り、大きく息を吐いて心を落ち着かせる。

ゆっくりと目を開けてるとそこは自室。

正座で黙って熟考する。

すると後ろから声が。

 

「お兄ちゃん?なにやってるんですか?」

「ん?ルビィか。いや……」

 

そこで言葉をにごす。

ルビィも不思議に思ったのか首をかしげる。

 

「なぁルビィ、もしおまえがダイヤさんから大事な秘密を教えてもらったとする」

「う、うん」

「それをダイヤさんから『誰にも知られないように何かに記録しろ』なんて言われたらどうする?」

 

よくわからない問いにルビィは少々困惑するがおずおず答えだす。

 

「例えば……どこかに隠すとか」

「でも偶然見つかったら?」

「それは……重要な所だけ暗号にするとか」

「重要な所?」

「お姉ちゃんの名前とか……ルビィが書いたこととか……」

 

ふむ……。

……で、だったら……

 

「これがこう?いや、そうじゃない。」

「ちょ、ちょっとお兄ちゃん?」

 

一人でブツブツ言う僕に恐怖を覚えたらしい。

 

「悪い悪い。あ、そこの上着に僕の携帯あるから取ってくれないか?」

 

遠くの上着をさすと「わかりました!」といいながら小動物のように駆けだして言った。

なにあれ超可愛い。

っと、他人から見たらシスコンだのなんだの言われそうだ。

 

「どうぞ!」

「ん。さんきゅ」

 

携帯を受け取ってラインを開く。

グループ名は『Aqours』。

 

『あー、みんないる?』

 

数秒後に既読八がつく。

 

『あれ?Aqoursで九人、蒼輝くんとレオくんで十一人だよね?二人足りなくない?』

 

千歌が真っ先に返信。

これに僕が補足。

 

『いや、ルビィは僕の携帯で一緒に見てるからあと一人だ。まぁ多分言わずともがな……』

 

リアルのルビィを見ると苦笑している。

だって、ねぇ?

 

『…………点呼』

『ヨハネ降臨!』

『千歌います!』

『梨子います』

『曜います!』

『果南いるよ』

『鞠莉イマース!』

『レオいるぞ』

 

 

 

 

 

『はなまるいるずら』

 

花丸返信おっそ!しかも自分の名前変換できてないし!

いや、それよりもだ。

 

『あれ?ダイヤちゃんは?』

 

そう、これだ。

あと一名は黒髪の金剛石さん。

理由は、

 

『あ、そういえば……』

 

あ、善子からの返信。何気にタイピング速いな。で、何々?

 

『ダイヤちゃんってガラケーじゃ……』

 

はい気付いたー!

そうなんだよ!実はダイヤさんの文明レベルって花丸より下だったんだよね!

 

「……しゃーない。ルビィ、行ってきて」

「はい!」

 

テテテー!と扉に向かって小走りする。

か わ い い。

 

ティロン♪

 

ん?通知音?まだ会話続いてたのか。

視線をルビィから画面にスライドさせ……。

 

『……シスコン』

『ちょっと待って善子おまえエスパー!?』

 

僕なにも情報与えてないよね!?

なんで画面越しにシスコン宣言できるの!?

 

『あんたならそうすると思ったからよ。当たってた?』

『ええ当たってましたよ。シスコン以外はねッ!』

『早く要件を言いなさいよ』

 

まさかのガン無視!?

 

『あー、まずはその……ごめん』

『どうしたのよ急に?』

『あの時冷静になれなくてAqoursを疑った。だから、ごめん』

 

よくよく考えればあり得ないのに。

 

『過ぎたことはいいよ。なんでそう思ったのかは聞きたいけどね』

 

果南さんから説明要請。

いわずともする気だったが。

 

『じゃあ打ち込むと長いんで直接会いましょう』

『どこで?バスあるの?』

『大丈夫ですよ。僕らが集まるのは……』

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「ゼェ……ゼェ……」

 

扉を今にも死にそうな顔つきで開けるみかん色の髪の女の子。

さてさて、ここがどこかと言いますとですね、

 

「おー!結構早かったな」

「はぁ、はぁ、お、鬼ー!」

 

浦の星の屋上でございます。

切り出してみたが「バスない!」と言われたのでじゃあ走ってこい、なんていったらマジで来た。

人間やればなんでもできるんだね。

 

「鬼だぁ?なんとでも言え」

「悪魔!人でなし!」

「はいはい」

「…………紅八朔!日南1号!」

「絶妙に分からないみかんの品種で攻めてくるのやめてくれる?」

 

紅八朔とか誰がしってんだよ。

 

「蒼輝くんがっ…!紅八朔っ……!!ふふっ……!」

「え、ちょっと待って曜さんウケてんの?」

 

分かったの?んで相当面白い弄られ方してんの僕?

 

「ま、まぁいいや。全員いるな?」

「うん。千歌ちゃんが以外は車で来たから」

「ええ!?だったら曜ちゃん乗せてよ!」

「ごめーん!なんかスゴく頑張って走ってたから……」

「そんな~……」

 

また話題がそれた。

 

「さてと、まずは現状確認だな。曜からどこまできいた?」

「それが……なにも」

「え、話してねぇの!?」

 

曜を見ると苦笑いし、

 

「一応蒼輝くんが私たちといたくないって話したけど具体的には……」

「な、なんで?」

「深く喋りすぎると……千歌ちゃんじゃない?」

「ああ……」

 

「千歌ちゃんじゃない?」これで通じるんだよなぁ……

つまり千歌なら「なにそれ!」とか言って無理矢理きそうだ。

まぁそれでも千歌ならなんとかしそうだが。

 

「あー、んじゃこれは?」

「book?」

「イエースッ!地下一階で曜が見つけた。内容はなんとー?」

 

 

パラッ

 

「人為的記憶喪失……ってええ!?」

「しかも著・黒澤玉髄って……」

「なんか同じ名字聞いたことあるよなぁ?」

 

メンバーの視線が2人に向く。

 

「ダイヤちゃん……ルビィちゃん……!」

「わー!ごめんごめん!言い方悪かったから落ち着け梨子!そもそも怪しすぎるだろこの本!」

「怪しい?」

「冷静に考えろ!そもそもこんな本書くなら……」

 

 

 

「名乗るかな?」

 

思わず首がちぎれそうなほどの速度で振り向く。

だってその声は……。

 

「ち、千歌?どした?熱でもあるのか?」

「ないよ!どうしたの急に!?」

「いやだってあの千歌が的を得たことをいうから!」

「私が言っちゃいけないの!?」

 

僕の中での衝撃度は小学生がエントロピー語りだしたときぐらいでかい。

よくわからない例えだがまぁとにかくすごいショックだということだ。

やべぇ、千歌のアホキャラ消えたじゃん。

……いや!まだ推理してない可能性がある!

 

「千歌、そっから説明してみ?」

 

千歌は一瞬唖然とするがすぐに気を取り直して話し出す。

 

「えっと……ルビィちゃん」

「はい?」

「もしルビィちゃんがダイヤちゃんから大事な秘密を教えてもらったとするよね?」

「う、うん」

 

なにこれすっげぇデジャビュ。

 

「それをダイヤちゃんから『誰にも知られないように何かに記録しろ』って言われたらどうする?」

 

なにこれ完璧にデジャビュ。

 

「えっと……」

 

ルビィが顔を引きつらせながらこっちを見てくる。

ああうん。答えてあげて、でないと多分進まないから。

 

「例えば……どこかに隠すとか」

「でも偶然見つかったら?」

「それは……重要な所だけ暗号にするとか」

「重要な所?」

「お姉ちゃんの名前とか……ルビィが書いたこととか……」

 

うわ返答まで完璧一致かよ。

もしかすると記憶喪失前は千歌と兄妹だった可能性が……ないか。

 

「ルビィちゃんの言う通り普通なら名前を誤魔化すはず。でもここでは?」

「黒澤玉髄、まんまだな」

 

千歌の話に割り込み話し手を変わる。

推理当番は僕の役目だ、誰にも取らせない。

 

「てなわけで多分この名前はウソ。ミスリードだな」

 

全員がほっとする。

オイオイ、黒澤の汚名は晴れたが僕の手がかりが一つ消えたことも忘れんな。

 

「さぁ本題にはいろう!」

「今のが本題じゃ……」

「いや違う。本命はコレッ!」

 

懐からバッ!とでも鳴りそうな勢いで取り出した物は、

 

「封筒?」

「うみさんにもらった♪」

「中身は?」

「みかいふー♪さてさて、鬼が出るか蛇が出るか……」

「どっち転んでもダメじゃん……。っと、これは……」

 

視線を落とし封筒を開け、中身を取り出すと……

 

「写真かぁ……千歌どう思うよ?」

「左端が破れてるの気になるね?」

「だな。みんなはどう思う?」

 

………………。

 

「……?みんな?」

 

そういえば全員さっきから黙りこくっている。

封筒見せたあたりから僕千歌としか話してないじゃん。

 

「なぁ、どう思うって……」

 

返事がないのでみんなを見ると……。

 

「……何やってんの、そんな離れて」

「いや~蒼輝と千歌がズイブンloveloveだったから~」

「「はぁ!?」」

「息ピッタシ♪相性もso good♪」

「殴りますよ!?」

「よーちゃんもこっち来て!梨子ちゃんも!」

「そんなこと言って~ホントは来てほしくないくせに~」

「私たちは千歌ちゃんの彼氏が蒼輝くんだったとしても友達だから」

「違うから!そんなんじゃないから!なんでこんな紅八朔と!」

「誰が紅八朔だ!たとえはよくわからんが馬鹿にされてんのはわかるぞ!」

「紅っ……八朔っ……!」

「曜そこでひとりウケないッ!」

「スクールアイドルが恋愛というのはどうなのかしら?」

「じゃぁ調べてみる?スクールアイドル、恋愛っと」

「ダイヤさん真に受けないッ!果南さん調べないッ!」

「あら?オッケーらしいわよよかったわね」

「なら善子じゃねぇわ!ちげぇっつてんだろ!」

「いまのは『良し』と『善子』をかけて……」

「花丸は解説すんな!恥ずかしいだろ!」

 

やばい、封筒どころじゃない!

 

「ルビィ、なんとかして静かにさせて!」

「えっと、えっと……」

 

もうなんでもいい!この状態を止めるんだルビィ!

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃんの彼女さんはお姉ちゃんだもん!!」

 

 

 

 

 

 

───時が止まった。

いや、正確に言おう。場が凍った。

時間にして1秒あったかなかったか。

だがそれは確実に僕を殺すための時間であったことは間違いない。

全員が意識を戻す前、僕が最も早く意識が戻ったのだが結局無駄だった。

なぜならどれだけ早くても

 

「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

動揺が襲ってくるからだ。

それから遅れてみんながたたみかける。

 

「蒼輝くん……ほんと?」

「まぁひとつ屋根の下だし……」

「ルビィちゃんが襲われないようみんなで守らないと……」

 

ヤバい!真に受けてる!

ダイヤさん赤面しないで誤解が進むでしょ!

ああもう取りかえしがつかないことに……

 

 

 

「ぜえええええええええええいんッ!黙れッッッ!」

 

叫んだのは僕ではない。

では誰か?

それは唯一最初から無言だった人。

 

「推理は聞くがそれ関係ないだろ!さっきからごちゃごちゃごちゃごちゃ!」

 

レオがキレた!

 

「いいか!一つ言うぞ!!」

 

大きく息を吸い、

 

「本ぐらい静かに読ませろオラッ!」

「「「「「「「「「「は、はい……」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

結論:レオを怒らせないようにしましょう 読書中はお静かに



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【第二十話】Aqoursと動き始めた記憶……ってあれ?

受験シーズン真っ只中忙しいのに投稿してる暇があったら勉強しろと友人に罵られました。学生作家の斜めにかまえるです。
もしかしたら一週間投稿に限界がくるかもです。
一週間すぎたら『あ、受験とスクフェスがんばってんなー』ぐらいに思ってください。
本編どーぞ。って第20話じゃん!めでたいじゃん!
まぁいいや。本編どうぞ。


激おこのレオが凄い気迫で愚痴る。

 

「ったく、読書中に関係ないことを……現状確認!蒼輝ッ!」

「は、はいっ!」

 

あまりの勢いに年下に返事をしてしまう。

僕ダセェェェェ……。

 

「えと、これが封筒から出てきて……」

「写真……ですわね。左上が破れてますが」

「何だろこれ?砂浜?」

「にしても小さいね。普通写真なら10×15cmくらいのだとおもうけど」

「5×5ぐらいかな?何だろう……」

 

うーん……?

全員ギブアップのようだ。

かくいう僕も分かってないのだが。

 

「…………なぁお前らそれ本気で言ってる?」

「なにが?」

「いや……それが何かってことだよ」

「写真だろ?レオどうしたんだいきなり?」

「いやそうじゃなくて……え、マジ?」

「だから何!?」

「いやそれ……どう見ても『例のペンダント』じゃねェか」

 

あっ…………。

 

「あああああああぁぁぁ!!それだああああっ!」

「左端破れてて5×5までまさか思い付いてなかった!?」

「だってそんなの忘れるぐらい前だったもん!」

 

あれか!そういや左端残ってるねって話したなぁ!

 

「えっと待て待て?確か~机の引き出しに~」

「ペンダントなんだから常備しとけよ!」

「うるせぇな!」

 

ペンダントなんか浦女につけていけないだろ!

あ、いや、校則的にはグレーか?

善子はろうそく持っていってたし。

 

「とにもかくにも一旦家帰るにはダルいよな、これは一旦おいとこうか」

「じゃあ何話すんだよ?」

 

さぁ?

とりあえず、する事は決まってるが

 

「よっしゃ!じゃあ!」

「じゃあ?」

「あそぶぞっ!」

「…………はぁ?」

 

 

 

 

 

─────────

 

「まさかホントにするとは……」

「梨子はなに驚いてんのさ?有言実行、基本だろ?」

「出来れば世話ないわよ……」

 

現在TOKYO!

日はまたいでいない。

あれからのことを説明しよう。

 

──────

 

「あそぶってどこへ?」

「日本の首都!」

「東京!?」

 

果南さんが声をあげて驚く。

 

「なんでずら?」

「ふっふっふっ!聞いて驚け!」

 

その場に屈み、両手を地につく。

そしてそのまま頭を地に擦り付ける。

そう、

 

「クリボッチとか嫌ですせめて今日だけでも一緒に遊んでくださいオナシャス!!」

 

土下座である。

 

「く、クリボッ……」

「笑いたければ笑うがよいッ!だがな!これは切実な願いだッ!僕はな、クリスマス北海道に行けないんだよ!」

「え、え?なんで?」

「…………ヒント、お前らは浦の星女学院スクールアイドル」

「あ……」

 

そう。つまりは行ったところで、

「キミ男でしょ?なら女学院生じゃないよね?」

と警官につれてかれる。

ポリスメン案件だ。

でもクリスマス、家でJK抜きの黒澤夫婦と一緒にいるのもどうかと思う。

 

「てなわけで一緒に遊ぼうぜ!東京でな!」

「でも電車もないし……」

「千歌さー。たまーにへんなこというよなぁ?なぁ?なぁ?」

「え?あぁ!」

 

じーーーーっ!

 

「………え?」

「んー?可愛い後輩のお願いだよー?」

「え?え?」

「チャーターしてくれるよね♪の・り・も・の♪」

「……Wait a minutes」

 

うわケータイいじり始めた。

え?マジで出来んの?

半分冗談だったんだけど。

え?小原家スゴくね?

 

──────

 

というわけである。

 

「さぁて!楽しむぞい!」

「ぞいってなに……」

 

さぁ?でも語呂いいじゃん?ぞいぞい!

 

「んじゃ皆どうする?梨子と善子は」

「ヨハネ!」

 

「リリーとヨハネは」

「梨子!」

「でええいややこしいな!どっちでもいいだろ!」

「「よくない!」」

 

へいへい。

 

「んじゃ梨子とヨハネは僕と一緒にタイガーホールにでも」

「タイガーホール?あぁあそこね。いいわよ」

「そ、それって何処かしら?」

「……………この前の図書館さぁ!!」

「わー!わー!」

「梨子ちゃん?必死になってどうしたの?」

「千歌ちゃんは知らなくていいから!」

 

いやカバンに壁クイ本入れてりゃいつか知られるって……。

現に善子がね。

 

「ハイハイ!私は服屋に行きたいであります!」

「おう。じゃあ曜さ…曜はそれできまりだな」

「やった!じゃあ行こっか!」

「ちょっ!?なんで俺も!?」

「ヨーソロー!!」

 

あ、曜さんなレオ連れて走り去っていった。

百獣の王はどうやら一端の船長見習いより下のようだ。

 

「はなまるびぃは?」

「なんですかその略しかた……」

「しっくりは来るずらが……」

「でしょ?で、どこ行くの?」

「…………本屋?」

「あ、ルビィは千歌ちゃんと……」

「え!?」

 

花丸が物凄い勢いでルビィを向く。

いや、え!?はこっちが言いたいです。

花丸と行動しねぇの!?

 

「せっかくの東京だし、アイドルショップいきたいかなぁ……」

「あ、それいい!!」

「あれ?じゃあダイヤさんは誘わねぇの??」

「…………お姉ちゃんは果南ちゃんと鞠莉ちゃんに任せます」

 

はぁ?ダイヤさんを見ると

 

「東京………東京…………東京………………」

 

アレルギーか!

こりゃ僕も一緒になりたくないっすわ。

完全に足手まとい化確定だもん。

三年生組任せたッ!

 

「私達はダイヤ連れてブラブラするよ」

 

おお。行ってらっしゃい。

ダイヤさんのアレルギー克服させてきてね。

 

「さて、とらn……タイガーホールへいきましょう」

「言おうとしたよね?あなって言いかけたわよね?」

 

梨子うっさい。

こうして僕らは魔都を歩くことにした。




次回日常回!あれ?コイツらにとっちゃ謎解きが日常じゃ…なんてことを考えつつお待ちください。


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【第二十一話】Aqoursと取り戻した日常(前編)

遅くなってすいません。
小論文でいそがしくて……。っと、いつもの名乗り忘れてました。
えー、次回作はラブコメに変えるかミステリー続けるか悩んでいる作家、斜めにかまえるです。
皆さんはどっちみたいですか?私的にはミステリーは思いつき次第書くつもりです。
そんな遠い先の事はおいておいて、参りましょう第21話


「おー、さすが都会なんでもあるな」

 

本屋に電子機器に劇場。

歩くだけでも楽しい。

これが魔都の恐ろしさ。

とらのあなに向かう途中、梨子が思い出したように僕に

 

「そういえば蒼輝はコッチだったの?」

「梨子てめぇガチで言ってるならシメるぞ」

 

とらのあなに僕が行ったのはだな……

 

「μ'sを知りたいからな。こういうとこにはお前らのファンも……」

 

周りを見渡す。

そして二人に語る。

 

「気を付けろ……」

「な、なにを?」

 

善子が問うた瞬間、あーーーーーーっっっ!!と声が後ろから聞こえる。

 

「さぁて、お前ら準備はいいか?」

「だから何を!?」

「んなもん……」

 

後ろの声をほっておき手を地につき、尻をあげる。

それは俗にクラウチングスタートと呼ばれるものであり、

 

「Aqoursの梨子さんと善子さんですよね!?あの!サインくだ…」

「GO!!」

 

全力疾走するためのもの。

瞬時に梨子と善子の手を掴み、引っぱったまま走る。

 

「ハァッハァー!いくぞぉ!」

「なになに!?どこへよー!?」

「ふ・く・やッ!!」

「はぁ!?」「えぇっ!?」

「アイドルならするよねッ!変装!」

「普通にサインしてあげれば!?」

「ダメだッ!!サインして時間をムダにするなら服屋で盛り上がろうぜ!」

「なによそれ~!?」

 

 

 

───────────

 

「なんかさ」

「うん」

「梨子ってさ」

「うん」

「なに着ても似合うよな」

「よね」

 

変装用の服装なのであまり高いものは NG。

だから質素なものをユニ〇ロで買おうとしてるのだが……

 

「素材がいいからなんでも可愛いんだよなぁ」

「どうしようもないわね……」

「いっそダサい服で中和させるか?」

「逆に目立つわよ。それかそれすら着こなすか」

「どっちにしろ問題だよなぁ~」

 

さっきから無言で恥ずかしがる梨子を褒め続ける拷問を行うのも楽しい。

いっそこのまま服屋いようか。

というか思うのだが……

 

「善子さぁ」

「ヨハネ!」

「一歩間違えば不審者だぞソレ」

 

サングラスにニットて。

いや顔も隠れるからいいけどさ。

 

「にしてもお前もお前だよ」

「なによ?」

「不審者一歩手前でモデルみたいな着こなしだなオイ」

「しかたないわよ。自然にそうなるんだから」

「だぁぁっ!もうしかたない!多少目立ってもしゃーない。ほら、梨子サングラスかけて!帽子帽子!」

「あわわわっ!待って!自分でつけるから~!」

「そういえば蒼輝って……」

「ん?どうした?」

 

梨子を引っ張って会計を済ますなか善子が僕を見ながら言う。

 

「記憶喪失なのよね?」

「……ん?なにをいまさら?そうだぞ」

「で、今は記憶を取り戻そうとしてる」

「お、おう」

 

改めて確認されても……

 

「仮によ?」

「うん」

「記憶が戻ったらどうするの?」

「………は?」

 

記憶がもどったら、ねぇ?

 

「うーん……」

「悩むなんてあなたらしくないわね?いつもなら『さぁ?なるようになるんじゃない?』とかいいそうだけど」

「聞いたお前が言うなよ」

 

まぁ以前の僕ならそうしてたけどさぁ……。

 

「ん?あ、二人とも先行っとけ」

「なに?」

「なんでもない。ちょいと用ができた。行ってくる」

「い、いってらっしゃい?」

 

手をふって二人を離れる。

とらのあなぐらい二人でいくだろ。

ちなみに僕の用事というのは……

 

「これとこれ……んでこれ。うん」

 

ある店でものを買う。

そう。お土産だ。

それとついでに

 

「おい、そこのミカンとルビィ」

「あ、蒼輝くん!ってだれがミk」

「アイドルショップ楽しんでる?」

「はい。千歌さんにいろいろ教えながらですけど……善子ちゃんと梨子さんはどこへ?」

「ふたりはとらのあ……タイガーホールに行ったよ」

 

あっぶね。ルビィは余計なこと知らないで純粋に育ちたまえ。

というか千歌、さっきから僕をポカポカするのやめたまえ。ちょいと痛いのだよ。

 

「あ、そうだ。お前ら二人はさ、僕が記憶戻ったらどうすんの?」

「え?ずっと一緒だけど?」

「お兄ちゃんは結局お兄ちゃんですし」

 

お、おう。

なんか結構感動する返しで少し焦る。

僕チョロい。

 

「そ、そういや何買ったんだ?」

 

恥ずかしくて慌てて話題をかえる。

二人は持っていたレジ袋を笑顔であさる。

楽しんだろうなぁ……。ダイヤさん可哀想に。

 

「えっと!まずのμ'sのファイルでしょ!?μ'sの缶バッチでしょ!?μ'sのー!」

 

こいつッ……。

 

「千歌」

「んー?なに?」

「μ'sばっか人気じゃねんだぜ?」

「ほえ?」

 

急に僕がだした袋にたじろぐ千歌。

 

「お前らアイドルなんだし正体ぐらいかくしとけ。ばれない限りサインとかすんなよ」

「な、なんで?」

「一人サインすると二人欲しがるだろ。騒ぎになったら東京まわれないだろ」

「そんな人気かなぁ?」

「人気だよ。んじゃ僕はこれで」

「どこ行くんですか?」

「あ、忘れてた。ルビィの分もあるぞ、ほい。ちょいとレオを見に行ってくる。曜に無茶苦茶されたら可哀想だしな。んじゃな~」

 

手をふってその場を去る。

やっべ、ちょっとカッコつけすぎたかなぁ?

 

──────────

 

手をふって去った蒼輝くんを見送る。

そんなにAqoursが人気だってしらなかったなぁ。

ちょっと嬉しいかも。

 

「千歌ちゃん!これ……」

 

ルビィちゃんが私を呼んで袋の中を見て驚く。

なんだろ?私も袋の中身を見る。

そこには……

 

「メガネと帽子?正体隠せってこのこと?」

 

かぶるのかなぁ?

なんて思っているとルビィちゃんが一足先に!ずるい!

私もメガネをかけて帽子をかぶる。

 

カサ……。

 

「ん?」

 

かぶったらなにか変な音が。

帽子を脱いで中を見ると……

 

「なにこれ?また袋?」

「千歌ちゃん。コッチにも……」

ルビィちゃんの帽子にも入っていた銀色の小さな袋。

つまり蒼輝くんは私たちの帽子に同じものを入れたってことになっちゃう。

一体なにを……。

袋の中身は……

 

「これ……!」

「うん……!」

 

 

 

 

 

────────────

 

「次これ~♪」

「…………うぃー」

 

うっわぁ……。

久しぶりに絶句したよ。

目の前には目を輝かせて制服を持つ曜と、相対的に目を虚ろにして曜の人形と化していた警察のレオがいた。

 

「おい、そこの警察と船長」

「はい!なんでありましょう!」

「うぃー警察でーす。事件ですか?事故ですか~?」

「………曜おまえどう調教したらこうなんの?」

 

その問いに無言の笑顔で応戦する曜。

うん、ぼくが悪かった。もう聞かない。

 

「レオ、起きろっ!」

「いたっ!って蒼輝!?いつからいたんだ!?」

 

頭を叩くといつも通りになった。

いや曜マジでどんな調教したんだよ……。

 

「ほい、お前らの分」

「なにこれ?」

「ぼーしとメガネ。レオはファッションとして。曜は正体バレを防ぐため」

「必要……」

「ある。いいから黙ってつけとけ」

 

なんだかんだ言いながらもメガネだけかけてご満悦の曜。帽子はまだかぶってないな、よし。

 

「二人はさ、」

「ん?」

「なに?」

「僕が記憶戻ったらどうするの?」

「あー、どうすんだろうな?というかそれは、俺が記憶取り戻すかどうかで大きく変わるし、わかんねぇ」

「私は……多分、蒼輝くんのしたいようにさせると思う。私たちと離れたいって言うなら近寄らないとおもう」

 

辛辣ぅ……。

 

「でも、私は蒼輝とずっと一緒にいたい。これはホントだよ」

  

……………いい感じに纏められちまったよ。

一緒にいたい?僕だってそうだよ、当たり前だろ。

 

「……あ、そうだ曜」

「ん?なに?」

「……………ありがとな」

「うん?なにが?」

 

もちろん、僕を信じて、あの本を見せてくれたことについて。僕を信じて、千歌を差し向かわせなかったことについてだ。

ま、恥ずかしいから言わねーけど

 

「なんでもねーよ。梨子の所に戻る」

 

二人に背を向け、帰ろうとする。そこに

 

「蒼輝くん!」

「……どうした?」

「……………乗り越えてよ」

「………あぁ。なんどだって乗り越えてやるさ」

「二人揃ってなんの話だ?」

「レオは分からなくていい。んじゃな」

 

やはり、曜さんはいい人だ。

 

「あああああああっ!」

 

………訂正、曜さんは恐ろしい。

後ろから聞こえてきた声的に……南無阿弥陀仏レオ。



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【第二十二話】Aqoursと取り戻した日常(中編)

どうも。斜めに構えるではなく、斜めにかまえるです。漢字変換しないでださい。斜めにかまえるです。
受験の窮地を抜けたので更新ペース上がります。
それでは中編どーぞ。


引き続き魔都を歩く僕、黒澤蒼輝。

一応帽子を渡せたのは千歌、ルビィ、レオ、曜の四人。

残りのメンバーにも帽子渡さなきゃ騒ぎに……

 

「あの!サインください!」

「いいですわよ」

「写真を!」

「せーの!シャイニー!」

「握手して頂いても!?」

「ハグっ!こっちのほうがいいでしょ?」

 

………………。

もう……勝手に人気者になっとけよ……。

果南さんに至ってはファンサービスの域越えてるだろ。

 

「さて、どうしたものか……」

 

もう騒ぎになってるのは予想外だった。

無理やり連れ出すのもいいがそんなことしたら調べあげられて新聞に

 

『記憶喪失男子高校生、スクールアイドルを連れ出す!』

 

うん!ポリスメンだね!アウトアウト。

うーん、どうにか出来るものは……

 

「ん?あっ……」

 

目に雑貨店がうつり、ひとつの案を思い付く。

だがこれをすると人間としてのプライドを捨てることになる。

いいのか、僕?

うん。

 

──なるようなればいんじゃない?

 

そう僕が語りかける。

自分で言うのもなんだが無茶苦茶だよこの理論……。

うし、じゃあなるように、

 

「なれッ!!」

 

雑貨店に突撃する僕。

そこでした行動とは……。

 

 

 

 

───────────

 

さすがに……多すぎですわ。

このままではゆっくり東京をまわれません。

だから東京は恐ろしいのですわ……

 

「ダイヤどうする?多分走ったらにげられるよ」

 

果南さんが小さな声で呟きますが自分から逃げるというのは評判に……。

 

「ダイヤーちゃーん!こっちこっちー!」

 

ふと名前をよばれ二人を見ますが果南さんも鞠莉さんも私じゃないと首をふりました。

では誰が?

 

「こっちですぅー!」

 

声の方向を見ると帽子を深く被ったロングスカートの女性がいました。

髪が長いですが……金髪の知り合いは鞠莉さんのみですし……。

ふと頭に賢い可愛い生徒会長がよぎりましたがそんなわけはありません。

ではあの人は……

 

「…………ダイヤ、やるよ」

「え?」

 

今度は鞠莉さんが呟いたと思うと急にその方に手を振り、

 

「遅れてスイマセーン!sorry、友達来たからまたね。ラブライブ、応援してネ♪」

  

そういってファンを押し退けてあの方の方へ向かいます。

鞠莉さんが先陣をきり、自然と道が空いたので私たちはその間を通りました。

ファンはそのうち自然に散らばってくれました。

助かりましたわ……。

 

「あの、助けてくださりありがとうございました。見知らぬ方ですが……」

「オイオイ、見知らぬ方になった覚えはねぇぞ」

「え?」

 

女の方が出した男性の声に驚きを隠しきれせんでした。

もちろんそれは果南さんと鞠莉さんも。

なぜならその声は……

 

「ったく、なんで自覚症状ないんだお前らは」

「「「蒼輝(さん)!?」」」

 

深く被っていた帽子を脱ぐと呆れ顔の蒼輝さんがいました。

 

「ろ、ロングスカートに金髪の…カツラ?」

「いやーさすが東京。なんでも売ってんのな」

 

果南さんに凄い目でみられる蒼輝さん。

 

「安心してください。そっちの趣味はありません。ちょっと着替えるので待っててくださいね」

 

 

 

───────────

 

「ふぅー。あぁースースーしてない感動」

 

スカートいいことない。

こんなの普段着てる女子ってすごい。

 

「あの、」

「ん?どうしましたダイヤさん?」

「あの女性の声は……」

「あぁ。ん、ん゛ん゛ん゛。『これのこと?』」

「こ、声変わり!?」

「生体模写。万能の天才、黒澤蒼輝にできないことはないのです」

「monsterね……」

 

やかましい。

思い付いたとき出来るかなって思ったけどやってみて自分で引いたよ。

おもわず素で「うわぁ…」って言ったからね?

僕は以前なにやってたんだよ。

 

「そんなことはさておき、これからはコレ。メガネと帽子です」

 

さっきのこともあり、素直に受け取ってくれる。

 

「あ、ついでに恒例になってるし、聞いときますか」

「なに?」

「僕が記憶取り戻したらどうします?」

「記憶消したやつを一回シメるよね!」

「果南さん怖い。そしてそういうことを利いてるんじゃない」

 

一回シメるよね!

アイドルが言うセリフじゃない。

 

「わたくしは……蒼輝さんがなんと言おうと恐らく、雷斗としていさせるでしょう」

「どういうことですか?」

「黒澤蒼輝、というのは私たちが作った人格ですわ。記憶が戻ったら私は、雷斗さんとして、過ごしてほしいのですわ」

 

…………………。

 

「ま、一意見として聞いときますよ。でもダイヤさん!」

「はい?」

「これだけは忘れないでください」

 

三人が僕の顔を覗く。

ちょっと恥ずかしいけど、

 

「黒澤蒼輝も、悪くないですよ。皆で作った僕はきっと、僕が選んでこうなった。だからダイヤさんになんと言われても……蒼輝として生きるかもです」

 

言い終わり苦笑でシメる。

三人はポカーンとしているがそれでいい。

こんなことを言っているが実際、どうなるかはわからない。

結局、

 

「とりあえず今を生きる。今の僕にはそれが精一杯なんで。こんな答えしかでません。…………っと、着信?善子から?」

 

良いこと言ったのに空気を読まずに携帯が震える。

三人を見るとどうぞ出てくださいと言わんばかりの顔。なら遠慮なく。

 

「……はいもしもし?」

『ザァッーーー!』

「?」

 

なにかを引きずった音がしてそのまま電話は切れた。

 

「なんでした?」

「…………さぁ?」

「さぁ、とは?」

「なにかを引きずった音がして切れた。イタ電?善子が?」

 

なんだったんだ?

と、思うとまた携帯が震える。

 

「んだよまた電話……って今度はメール?なんだ善子あいつ?」

 

全員僕の携帯をみる。

そこに書いてあったのは

 

『おくみおびれつき』

 

「「「「は、はぁ!?」」」」

 

も、文字化け!?

怪奇現象じゃあるまいし……。

…………………………善子が?

 

「もう!善子おかしいよ!」

「まぁ果南さん落ち着いて。ただの電波障害かもしれませんし」

「………………違う」

「「「え?」」」

 

これ、普通に考えたら……。

そういうことだよな。

いやでも根拠ねぇし……

 

「電波障害とかだったらいいんだが。電波障害で終わるなら何万でも払えるし」

「Whats?どうしたの蒼輝?」

「なぁ、これに意味があったらなんだと思います?」

「い……み、ですか?」

「例えば……いや、やめとこう」

「文字化けも気になりますが最初の電話はなんだったんでしょう」

「ですねぇ……」

 

四苦八苦しているとダイヤさんがふと口に手をあて、

 

「ふふっ……」

 

と笑った。

 

「どうしたんです?」

「いえ、楽しくて」

「楽しい?」

「ええ。蒼輝さんとこうして話せる時間が。雷斗さんになったら、味わえないのでしょうか……」

「…………」

「やはり、東京に来て正解でした!」

「突然言い出してすいません……」

「いえ、Aqoursの練習をズラすだけの価値はありましたわ」

 

!!ズラ……す…………?

『おくみおびれつき』

 

「あ、あっ、あぁぁぁ………」

「Whats?どうしたの蒼輝?」

「そう、いう……ことで……あってたら…………まさか!まさかまさか!!」

 

素早く携帯をいじり、文字をうちこむ。

そして画面に写ったのは……。

 

「………くっそッ!!」

「蒼輝さん?」

「三人とも協力しろッ!!」

 

 

 

 

 

「あいつらが!……善子と梨子が危ねぇッ!!」




ななかまは基本書き留めはしないタイプですので書き終わるとすぐにだす感じです。ですので最終回どうなるか全くかんがえてません。あほです。そんなアホが書く次回、後編お楽しみに


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【第二十三話】Aqoursと取り戻した日常(後編)

失踪しかけました。うん。
だって仕方ないじゃぁぁぁんッ!?
ノゲノラの新刊とか映画の円盤とか竜王のおしごと!の大人買いだったり卒業関係の作業いろいろしたり色々こっちにもあったんですよ!
前回の前書き?
あー……。なんのことでしょう♪
さてさて、あまり深く追及されちゃ困る。
本編へ逃げましょう。どうぞー!






こんにちは、桜内梨子です。

蒼輝と離れたあと、無事にとらのあなへ行きました。

も、もちろんなにも買ってませんよ?

ま、まぁそれはそうとして善子ちゃんと駅へ戻ろうとしていました。

そこで少しに気になることがあって……

 

「善子ちゃん」

「ヨハネ。なに?」

「なんで蒼輝にあんなこと言ったの?」

「理由なんてないわよ。ちょっと気になっただけ」

「ほんとに?」 

「ホントよ。天界堕天法に誓って」

「なら安心ね」

 

何が安心なの?と首をかしげる善子ちゃん。

また変な考えで蒼輝が拗ねることがあったらこまるなぁって思っただけなんだけど……。

 

「おいそこのお二人さん!」

「……何かしら?」

 

急に声をかけてきたお兄さんたち三人組。

みたところ大学生ですが制服はちゃんと来ていません。

ヤンキーです。

そんな人たちにも臆することなく接する善子ちゃん。

ちょっと喧嘩腰でハラハラします。

 

「俺らと遊んでくれない?」

「ごめんなさいね。私たち彼氏がいるの」

「善子ちゃ…!?」

「だからお兄さんたちとは遊べないわ。ナンパなら帰ってくださる?」

 

もう完全に喧嘩売りました。

善子ちゃんの彼氏の存在は真偽を疑いますがそれどころではありません。

そう、

 

「ちゃんと喋れてる……ッ!?」

「私がちゃんと喋れたら悪いの!?」

「いつものギラッは!?」 

「たまに封印ぐらいするわよ!」

「なめんてんのかてめぇら……!」

 

ハッとしてヤンキー達を見ます。

逆鱗に触れたみたいで今にも殴ってきそうです。

慌てて善子ちゃんの手を握って走ろうと……。

 

「逃がさねぇぜ!」

「ッ!!」

 

なんと後ろからも三人組で挟み撃ち。

これは……。

 

 

 

──────────

 

「捕まっちゃったわね」

「どうするの善子ちゃん!携帯取られちゃったし」

「取られちゃったわね」

「手足縛られるから逃げられもしないのよ!?」

「そうね」

「落ち着いてる場合?助けは来ないのよ。私達このまま……」

 

思わず泣きそうになるけど善子ちゃんの前で泣くわけにはいきません。

ぐっと涙をこらえているとそれを見た善子ちゃん、

 

「……………訂正するわ」

「え?」

「さっき特に意味はないっていったわね。あれ、ウソよ」

「あ……」

 

言っているのはおそらく、蒼輝にしたあの質問です。

 

「不安だったのよ。蒼輝は記憶が戻って本当に幸せなのか。私達の関係が消えちゃわないか」

「そんなこと……」

「ないとはいいきれないわよ。例えば記憶が戻って警察に自首したら?」

「ッ!!」

「わすれないで。記憶喪失だからといっても私達は殺人犯をかくまっているのよ」

 

忘れがちですが善子ちゃんは意外と現実主義者。

一度厨二をやめようとしたほどに。

 

 

「さらに言うと……殺人犯の記憶を取り戻した瞬間に、私達を殺しにくるかも」

「それはないわよ」

 

──でも、わたしだって負けません。

だって、

 

「蒼輝、優しいから」

「……殺人犯よ?」

「…………善子ちゃん。蒼輝は殺人犯じゃないわ。殺人犯は、津螺技雷斗で黒澤蒼輝ではないもの」

「でも記憶を戻したら雷斗に!」

「落ち着いて。蒼輝の人格を作ったのはだあれ?」

「…………はぁ?そんなの」

「蒼輝自身よね。だったらきっと、記憶が戻っても蒼輝は……憎たらしい自信家じゃないかな?」

 

暴論です。分かっています。

でもそう思っているのは事実ですし、

 

「それでも納得できないなら……もっと別の証拠だそうかしら?」

「別の証拠?」

 

理論的にも説明できますし。

 

「以前性格は少し残るってことで夏目漱石をしらべたわよね?」

「えぇ」

「最初から素直に私たちを信じてついてきてくれたってことは、元の性格も優しいってことよ」

「じゃあ殺人犯は?」

「事故じゃないかな?数ある国民の中で蒼輝が政府の実験に選ばれるなんてほぼありえない。だったらなにか注目さるることがあったんだよ」

「………………」

 

しばらく考える善子ちゃん。

ほんと、素直な子です。

 

「そうね!あの蒼輝に限ってするわけないもの!」

「でしょ?」

「じゃあ次はリリーが訂正する番ね」

「え?」

「助けに来ない……ことはないわよ」

 

そして善子ちゃんは不敵に笑い、

 

「あの天才肌のバカに限って、それはないもの」

 

直後。

 

「「らぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」

 

 

ドオオオオオオオオン!

 

と、扉が強引に壊され、ふっ飛びました。

そこには足形がついていて……って蹴ったんですか!?

誰が?いえ、決まっています。

そこには……

 

「どこの奴等だボスの面だせオラァ!このレオ様直々に裁いてやるッ!!」

「あー、そこの礼儀知らずども。うちのライオンがさっきからお怒りだ。さっさと二人を返せ」

「あぁぁん!?なんだてめぇ!?」

「だれだと思う?」

「まさか…テメェコイツらの彼氏か?」

「はぁ?二人はアイドルだし彼氏なんかいるわけないだろポンコツ脳が」

 

自信家で、いつも何かを見通すような目は今、言い表すことができないほど怒りがみえていました。

そしてもう一人は最近、読者をたしなみ落ち着いてきた性格が戻るぐらい荒くなっています。

自信家は怒りを隠そうとしないままいつものように軽快な口調で話続けます。

 

「聞こえなかったかなぁ?その二人を返せって言ったの。ほら早く!」

「調子乗んなよ!!」

「お前がな!」

 

煽る蒼輝の前にレオ君が立ちふさがり

 

「らぁっ!」

「なに、その程度?」

 

突いてきた拳を左手でいなし、足を引っ掛け、相手が転んで地べたに這いつくばった所に背中に相手の腕を回し、まるでボディーガードのように組伏せました。

 

「ッ!!ガアアアッ!!」 

「おいおい………レオ、骨とか折るなよ?」

「相手の?」

「もちろん。まさかお前骨おられる心配してんの?」

「まさか?」

 

二人は軽くアイコンタクトを取り、

 

「やられたら!!」

「やりかえす!!」

 

「「倍返しだッ!!!!」」

 

ちよっと……決まってません。

 

 

 

 

 

─────そこからは光のように早い救出劇でした。

鉄パイプを振り回す敵をどこで習ったかわからない拳法のような構えで懐に入り、カウンターでレオ君が撃破。

5対1を魔法のように色んな人の声を真似て連携を崩し、蒼輝が勝利。

でも相手の声を真似て「あの女が逃げ出した!」はやめてほしいです。

殺気を込めた目で見られました。にげてません。その隙に倒せたことは事実だけど……。

 

「15人目っ!よいしょっ!」

「ガッ!」

「蒼輝、終わったか?」

「さっき15人目で終了」

「おつかれだな。大丈夫かお前ら?」

「えぇ、ケガはないわ。助けに来てくれてなによりよ」

「あの!」

「ん?」

 

戦闘後なのに息をきらしていない二人にずっと気になったことを聞きます。

 

「なんでここにいるって分かったんですか?いえ、それ以前になんで監禁されてるって……」

「あぁそれ。俺も急に呼び出されたから知りたいんだが」

「うかほうびりたお」

「は?」

「善子が送ってきたメールだ。これな?暗号なんだ」

「ノーヒントの暗号?それ解けるの?」

「解けたからいるんだろ。あとノーヒントじゃなかったしな。ったく、どこで覚えてなんで思い付いたんだ善子」

 

蒼輝君が聞くと善子ちゃんは自慢げな表情で

 

「フッ!以前ラプラスのすみかに封印の様子を確認したところで知ったのよ」

「危険だからとはいえは花丸連れてこなかったの間違いだったかなぁ?どういうことだよ暗号よりも意味わからんわ」

「つまり、前に倉庫にはいったじゃない?そのときに本棚にあった本を読んだのよ」

「あぁ、あのとき!ってなんで僕はラプラスなんだ?梨子がリリーなのは分かるがラプラスって一文字もカスってないだろ」

「ラプラスは全知……故に全てを見通す目を持つ蒼輝が!」

「それはたいそうな名前なことで……。ラプラスねぇ、まぁいっか」

「ところであの暗号の意味は……」

「んあ?すまん完全に梨子のこと忘れてたわ。えー、暗号の前に一本電話があってだな。着信履歴っと、これこれ」

 

『ザァッーーー!』

 

「これいつ……?」

「携帯とられる前にこっそりマイク部分をこすったのよ。勘づかれると不味いからすぐきったけど」

「いい判断だ。これがヒント。さっきの暗号と組み合わせると文字ができる」

「組み合わせる?どうやって?」

「シーザー式暗号だよ。けっこうオーソドックスな暗号だ」

「へぇ?シーザー式。なるほどね」

 

レオくんが納得したように頷き笑います。

 

「蒼輝の代わりに説明すると、シーザー式ってのは文字をズラして読む暗号だ。どうズラすかはめんどくさいから説明しないが、さすがにあの音で引きずる→ズラすを連想しろって無理があるぞヨハネ」

「他に手がなかったのよ。こっそりうちこむのも苦労したんだから。結果オーライじゃない」

「僕ならもっといい暗号遅れてたね!」

「知らないわよ」

 

ばっさり一刀両断。

善子ちゃん、以外とシビアです。

 

「は、話を戻すぞ?この暗号は最近……といっても結構前だが解読用のサイトができるほど有名になった。そのサイトに文字を打ち込んで、復号っと」

 

蒼輝が見せた携帯には……。

 

「えきまえびるちか……駅前ビル地下?ここ?」

「そういうことだ」

「でも助けてって……」

「書かなくてもなんで暗号かを考えたらわかる。多分、後でチェックされたとき、見つかったら困ると踏んだんだろ。だから短く、アホなら分からない暗号にした。ったく、頭の中でシーザー式暗号化とは……」

 

たいしたもんだ、そう言って鞄から袋を出して、

 

「はいこれ。帽子とメガネ。他のやつらにも渡してるから正体隠しとけ。といっても、もう日は落ちそうだし、帰らなくちゃならないがな」

 

それを受け取り、地下室を出ます。

その途中に……

 

「あ、携帯忘れてた……」

「あー、そういやお前ら取られたのか。どっかにおいてあんじゃね?」

 

周りを見ると近くの床に二つ携帯が。しかもちょっと震えています。

 

「…………もしもし?」

『梨子ちゃん!?無事なの!?大丈夫なの!?』

 

拾った携帯のマイクが壊れたと思うほど大きな声。

 

「千歌ちゃん、こっちは大丈夫。傷ひとつないわ。それよりそっちは?」

『蒼輝くんに言われて皆で駅でまってるよ。ってわわっ!……梨子さん!大丈夫ですか!?』

「ルビィちゃん……。無事よ。ちゃんと変装用のメガネと帽子も貰ったし」

『あ、その帽子なんですけど多分中に……』

「なか?」

 

言われた通り善子ちゃんと二人で帽子の中を見ると……。

驚いて蒼輝をみるともう遥か先を歩いていました。

………素直じゃありません。

 

 

 

 

─────────────

 

梨子と善子を救出した僕らはそのまま駅に向かった。

いやー、15人は多い。

骨は折ってないしレオも名乗ってたけど記憶喪失で情報ないし、お礼参りはないだろ。

 

「ただいまー」

「蒼輝さん!また危険な真似を!こういう事は警察に……!」

「ダイヤさん落ち着いて。暗号だったから確証なかったし呼べなかったんですって」

 

だからレオ呼んで乗り込んだけどさすがに危険だったな。怒られもするわ。反省します。

 

「蒼輝くんっ!」

 

千歌がニコニコしながら近づいてくる。後ろに手を回しながら。

 

「ん?どしたニコニコして?」

「これっ!」

 

千歌は両腕をだし、手にのせてあるものを見せる。

これは……

 

「えぇ?おまっ、どこでこれを……?」

「つくったの!」

「ええ!?」

 

見せてくれたのはストラップの小さな人形。

ただしそれは、

 

「僕のやつだからきっとゼロからつくったことだよな?」

 

そう、僕の人形だった。

似てるとかそんな次元ではなく、まんま僕だった。

 

「おぉ、スゲェ……!いつ?」

「さっき!大急ぎで!」

「ルビィちゃんがね」

 

千歌の伸びきった鼻を音速でへし折る曜さん素敵!

 

「これまさか……」

「うん!おかえし!」

 

全員が手に人形を持つ。

それは、

 

「気に入っていただけたらなによりだよ」

 

Aqoursの人形。

1人1人ちゃんと本人のを渡した。

ちなみにレオのはショップで売ってなかったので『Aqours』と書かれた金属のキーホルダー。

帽子の裏にコソッと袋いれたから帽子をつけたとき違和感で気づくというしゃれたサプライズだ。

 

「さて、帰ったらペンダントの…………」

「うん?どうしたの?」

「……………なぁ、海いかね?」

「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」

 

全員が?を頭の上に浮かべる。

いやペンダントそういや海と空の写真だったからいいかなぁって思っただけなのだが……。

と、次の瞬間、

 

「ぷっ……」

「「「「「「「「アハハハハハッ!」」」」」」」」

 

千歌、僕、レオ以外が大爆笑!

 

「なになに!?え?変なこと言った!?」

「いや……前に東京来たときも千歌ちゃんが同じこといってて……」

「アハハ……そ、それで千歌ちゃんが二人いるみたいで……」

 

…………。

なんか不毛だ。

 

「で、いくの?いかねぇの?」

「…………私は、早く帰りたいかな?」

 

そして千歌は笑って、だって……とつけたし、

 

 

「海は、優勝したあとにみたいんだっ!」

 

笑っていた雰囲気一気に変わる。

平然と、さも当然かのように優勝すると言う。

これがうちのセンターだ。

優勝を軽く見てる?好きなように言え。

ラブライブは遊びじゃない?ならお前らは楽しまず自己精進だけに勤めな。

あいにく、みかん髪に教えて貰ったんだ。

届きそうもない夢をあがいて掴みとるのが楽しんだってな。

距離のわかる夢なんて面白くねぇんだわ。

ま、やっぱり千歌は千歌で、

 

「はぁ……やっぱおかしいわコイツ……」

「ほえ?」

「なんでもねーよ。帰ろう、いつも通り」

 

そう、いつも通り。

あと何回あるかわからない、いつもだ。

いや、僕が記憶喪失の時点でもういつも通りは貴重なんだ。

忘れてはならない。

この一瞬を大事にしなきゃ。

だって、この11人で入られるのは多分……。

 

「蒼輝さん、電車きますわよ。行きましょう」

「…………はい♪」

 

もう少しなんだから……。








もう少しです。話数にしてあと7話。それで最終回のつもりです。もしかしたら一、二話誤差でるかもですが。
ゆったりまったりまってて下さい。
それではまた!








……………あ、シャドバ新パックだ←小説書かなかった原因


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【第二十四話】Aqoursと取り戻した手掛かり

どーも、そんなにツイートしていないのにときどきくるフォローされました通知は読者様ということでよろしいでしょうか?斜めにかまえるです。
ミステリーマジ難しい。だれか変わってください。私と君の名はしてくれる人募集中です
さて、そんなこんなで24話。もうコナンみたいに黒の組織側からひょっこり顔出してくる展開とかどうよ?
はい、却下です。そんな緊迫かける技量がないです。あるのは駄文を投稿するブレイブだけです。
では24話どうぞ。


僕、黒澤蒼輝は自室でペンダントを握りしめながら、

 

「…………!?そうか……」

 

真実に辿りついていた。

事の発端は朝。

 

 

─────────────

 

さて、ペンダントっと。

自室の引き出しを開け、さっさと写真を合わせる。

すると写真はピッタリあった。

うん、やっぱりコレか。

 

「ま、だからどうしたってことなんだけど……」

 

とくに考えてたこともないし。

暗号かなんかあるか!?

いやそれねぇわ。だって僕の私物だし。

 

「ん~?」

 

謎の声をあげながら腕を組んで悩む。

考えるのは、3つ。

何をすべきか、何が出来るか、何をするか、だ。

 

1、何をすべきか?

決まってる。自分の正体の追及だ。

じゃあそのために何をする?

謎解きだな。でも肝心の謎がないんだよなぁ……。じゃあまず謎を見つける。

 

2、何が出来る?

ふむ、結論は一緒。

謎を見つけることから。

じゃあ謎を見つけるために何が出来る?

答えはペンダントを調べる。

 

3、何をする?

ペンダントを調べるならやはり、現代の技術だろう。

前に指紋鑑定したように。

でもなに調べる?

……………。

あ、そういえば……。

 

「前にテレビで……」

 

いけるかな……?

ある行動を思いつきスマホをつける。

そしてそこでする行動、それは……。

 

「グーグルアース!」

 

をつかった、位置特定アプリ。

最近マジですごいよね。写真だけでその場所がわかっちゃう。

良い子は真似しちゃだめだぞ!

ペンダントの写真の部分だけを拡大して撮り、位置解析。

さて、どこにでる……か……?

 

「は!?は!?えっ、ええ!?」

 

あわてふためく僕。

その場でウロウロしているとダイヤさんがやってくる。

 

「どうしたんですの……?」

「そ、それが……!」

 

いまの状況を伝えようとした瞬間、ある仮説が僕の頭をよぎった。

 

「…………!?そうか……」

 

これが……真実……。

これが……僕…………。

 

「…………ダイヤさん。僕は……」

「は、はい?」

 

僕は冷静に慌てず、ダイヤさんに 自分の正体を告げた。

 

 

 

 

 

 

 

「僕は外国人だったんだ」

「…………………………………は?」

 

ポカーンとされる。当然だろう。

だが真実だ。

携帯とペンダントを見せながら僕は続ける。

 

「グーグルの場所検索で出ました」

「あ、あの……」

「くっ、なんてこった……。こんな和風な家に泊まっておいて外国人だと?」

「それは……」

「だが運動神経がいいのもアマゾンあたりの血と言われれば納得できるっ……!」

 

「なぜしたのですか?」

「……………へ?」

 

衝撃の事実に驚いているとダイヤさんが謎の質問をしてくる。

いやいや、なんのためって……

 

「そりゃ、なにか僕のヒントがあればいいなーと思って」

「あ、いえ、聞いているのは何故調べたかではなく、何故グーグルだったのかと……」

「ううん?」

 

要領を得ない質問に首をかしげる。

 

「その……海だけで何処か判別するほど技術があるのですか?あるのでしたら花丸さんではありませんが未来ですわね」

「あっ……」

 

つまり。

────海だけで場所が分かると思ってんのか考えろ、と。

暗にそう言うダイヤさんは苦笑しながらこっちを見つめる。

ほんとだね。普通に考えたらそうだよね。僕はアホかな?そうだ、今度善子に記憶消去の黒魔術をかけてもらおう。

あんだけふざけてサクッと否定されるとは……。

穴があったら……地下室に穴あいてたよな?そこに入って……。

 

「そ れ に !」

 

ナーバスになっていたところをダイヤさんが三音で元の世界に引きずり戻す。

 

 

「もし外国だとしても、私達は海外に行くお金はないですし、なにより……」

「なにより?」

 

それからダイヤさんはにっこりと天使のような笑みをうかべ、

 

「お留守番、お願いしますわ」

「…………………うぃ」

 

海外行く時間はないそうです。

それからしばらくして、Aqoursは北海道へ僕らをおいて行った。

途中めっちゃダイヤさんがへこみながら帰ってきて

 

「どうしたんですか?ってルビィは?」

 

と聞くとこっちを睨んできた。

なにやら北海道へ置いてきたようで。

心配して千歌に話を聞くとなんかはぐらかされるし。

しかたなく自分で勝手に推理をして『サプライズでなんかする』ということまでは分かったが合同ライブとは驚いた。

だが残念ながら体調が悪かったので現地にはいけなかった。

それから数日後のお正月、高熱を出してしまうのだが、それはまた別のお話。

 

─────さて、冬休みがあけ、残すはラブライブ本戦のみ。

練習は厳しさを増し、セイントスノーさんが残していったスケジュールにマネージャーとして感心しつつ時間は過ぎていった。

一方謎解きはというと。

 

 

 

 

「うーん?」

「進展なしディスカ」

 

ホテルの一室で鞠莉さんと二人っきりで話す。

お呼ばれしたのは今朝、電話で伝えられたもので昨夜は初夜ではない。

もちろん僕にその気はないし、言い寄られても断る、もとい逃げ出す気ではある。

幸い鞠莉さんは普段着で薄いネグリジェとか過激なものではないのでその気はないらしい。

まぁネグリジェでも僕をからかうとかそんな理由だろう。

 

─────話を戻そう。

なぜ僕がホテルに呼び出されたのか。

最初はからかうためだと思っていたが違うらしい。

おもむろに机をはさみ椅子に座ってから僕にこう語った。

 

「Gameをしましょ?」

「ゲーム?なんで?」

「推理ばかりじゃ頭がパンクするデショ?」

「そんなことないけどなぁ……」

「普通にやってもつまらないから……。そうね、負けた方は言うことをひとつ聞くってのはどうかしら?」

「…………へぇ?いいでしょう。そんなオプションがつくのなら」

 

最初は受けないつもりだった。

だがこの言葉が僕の闘争心を掻き立てた。

それにここで退いたら根性なしと罵られる。だが負けたらなにお願いされるか分かったもんじゃない。

大丈夫、頭脳戦ならほぼ僕の勝ち。単純な運ゲーはお互いイカサマの読みあいになる。

 

「勝負内容は……」

 

鞠莉さんは僕の言葉をまっていたように机の下に手をまわす。

なにでくる?ポーカーか?ブラックジャック?イカサマしやすいもの……

 

「これよ」

 

出したのはトランプではなく、板。

すぐに横に立体の駒が置かれる。

これは……ッ!

 

「ちぇ……!?」

 

チェスッ!?た、単純に頭脳戦!?盤上で競うチェスはイカサマはしにくい。これはつまり……。

 

「相当自信があるみたいですね?」

「そんなことないわよ。たまたま近くにあったからやろうと思っただけ」

「僕が負けず嫌いなのご存じ?」

「オフコース!もちろんよ。さて、始めましょ?」

 

そういいながら鞠莉さんは駒を動かし始めた。しれっと先手をとられたが焦らない。単純に受けきればいいだけだ。

 

 

 

 

 

 

────────あれから一時間後。

  

「チェック」

「……………………ッ!!」

「チェックメイト」

「…………参ったよ。強ぇぇぇ」

「予想外?」

「とても。まさか頭脳戦でまけるとは」

  

結果はまさかの僕の負け。

文面では伝わりにくいがお互い結構体力を持っていかれてる。

そもそも将棋と違い持ち駒を使えないチェスは割と短時間、といってもまぁ長いのだが将棋と比べはるかに短い。

初心者同士では二十分程度で決着がつく。

それが今回は一時間。熱戦はもちろんのことお互いデスゲームで負けてはならないプレッシャーを背負いながら戦う。

体力ごっそりいってしまうのはしかたがない。

 

「こういうのは小さいころからやっててね」

「忘れてましたよ。そういや海外留学をわずか一年で済ませて現理事長。普通に考えたら頭脳戦で勝てるはずが無かったわけだ」

「フフッ。さて、それじゃあ……」

「お願いね。なににします?」

「うーん何も考えてなかったわ」

「自分でいいだしたのに?」

「……………保留かしら♪」

 

考えるなかでもっとも最悪な答えだ。

好きなときに好きなことをさせられるわけだからその効力は絶大。

下手に反抗できない。

ま、だからといって投げ出すなんて野暮な真似はしないが。

 

「さて、なんか負けてやる気失せかけてるけど」

 

机のチェス盤を片付けながら種類別に駒を並べる。

そして順番に駒の横に手がかりを置く。

 

ポーンの横にはペンダント。

 

「これは多分僕のプライベートの物だから謎はないかな」

「だから最弱のポーン?」

「うーん、それもあるけど……」

 

────ポーンは終盤クイーンとなる。おそらくこのペンダントの写真の場所が分かれば……。

 

「さて、次はですね」

 

ナイトの横にはぬいぐるみ。

「あの鍵が埋まってあったぬいぐるみね?」

「はい。地下からあんな本が出てきた以上、おそらく黒澤家は何らかの形で今回の件と関係している。となればこの先手掛かりになる可能性が高い。まぁ今つかえないけど」

 

ビジョップの横に、

 

「あら?」

「意外でしょ?コレがビジョップなんて」

 

『人為的記憶喪失研究、著・黒澤玉髄』

 

「結構重要だからクイーンだと思ってたわ。なんでビジョップ?」

「ほいっ」 

 

すぐ横にクイーンと鍵。

 

「あぁ、それがあるからクイーンじゃないのね」

「ま、この鍵については地下隠し扉だとおおかた見当はついてるから一番使えるしな」

 

最後にルークの横に、

 

「……………なにも置かないの?」

「えぇ。ルークは最も手掛かりになりそうでならないからルークです」

「………?これ以上手掛かりなんて……」

 

そこで僕は立ち上がり部屋を出ることにした。

そそくさと出した荷物をしまう。

ルークをみて、少しひらめいたことがある。

 

「あら?おいとま?」

「おいとまするって帰国子女も使うんですか」

「悪い?」

「いえ。そう言えば結局なんでホテルなんですか?」

「お願い事を聞いてもらうため?」

「………………やられました。素直に敗けを認めます」

 

つまり何もかも計算されてたわけだ。

ゲームを提案することも、チェスで対戦することも、勝ったときのオプションも。

自分が勝つと分かった上で僕に勝負を挑んだ。

始まる前から負けていたわけだ。

 

「悔しいし、リベンジしますよ。いつか」

「待ってるわ」

 

バタンと大きすぎることのない、さすがは高級ホテルといった音をたてながら僕は部屋を去った。

そしてポケットから携帯を取り出して、

 

「あーもしもし?ちょっと話したいんだけどさ、今から会えるかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルークくん♪」




毎回思うんですけどあとがきってなに書きゃいいんですか?
近況は前書きで終わってますし。
長いことあとがき書く作者さんいらっしゃいますがよくそんな喋れるねと。
作者の近況といえば卒業して風邪ひいて自堕落な生活送ってるぐらいですけどね。
次回は遅くなります。
なぜって?書くことがきまってないからさ!
はいそこ「こんな終わりかたで?」とか言わない。
ルークくんは新キャラじゃないからね!?
落ち着いてのっぽパンでも食べながら待っててください。


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【第二十五話】Aqoursと取り戻した弱さ

落書きのラブコメのほうが人気でて驚いてます。斜めにかまえるです。
いやいやいや!?こっちは5ヶ月投稿してお気に入り50であっちは2日でお気に入り30ってどういうことですか!?
確かにミステリーよりラブコメのほうが需要あるのは分かるけどさすがにひどくない!?
嬉しいけど複雑ですよ!
というわけで必然的に次回作はラブコメに決まりました。
失踪はしません。多分。
まぁ終盤なんでネタを考える時間も合わさって投稿頻度は下がりますがご了承願いたいです。
あ、宣伝しときますと前記のように新作、『ハーレム?いえ、すでに詰んでいます』を投稿しました。ラブコメです。
ぜひご覧ください。そしてもう読んでくださっている方には盛大な感謝を。
柄にもなく長い前書きが終わったところで、本編をどうぞ。


女走り。

キャピキャピ♪と音が就きそうなあの走り方。

脇をしめ、適度に肘を曲げて手を肩の高さ辺りまで持っていくアレだ。

さて、そんな女走りをしながら僕は

 

「お待たせ~♪待った~?」

「待ってないキモいさっさと座れ」

 

怒濤の三連続罵倒を受けていた。

ひっど~い!

 

「ったく、ルークくんなんて呼ぶな。俺は、」

「カッコいいレオくんだもんね~♪」

「よし殴られたいならそう言え。意識他界系男子にしてやる」

「うぃ、了解です」

 

さすがにこれ以上キャピキャピしてふざけるのは体に悪い(物理)

カフェの端のテーブルで二人向かい合う。

 

「まぁいろいろ話はあるんだけどさ、」

「あぁ」

「チェスでもしながら話そうよ」

「あぁ?」

 

さっき百均でかった折り畳み式のチェスを広げる。

持ち歩き用なので駒が小さく、軽い。鞠莉さん家のようなコト……なんて音は出なさそうだ。

そんなことを考えながら駒を並べ立ているとしぶしぶレオも承諾し、黙って駒を並べ始める。

そして、試合開始。

 

「先攻はどっちだ?」

「あれ?こういうときは先手じゃない?」

「先手って将棋のみじゃなかったか?」

「そーだっけ?」

「わからねぇ。ま、どっちでもいいけど、な」

 

ポーンをすすめるレオ。

どうやら僕は後手らしい。

同じくポーンをすすめる。

そしてそのまま打ち続け開戦からまもなく。

ちょうど大乱戦になってきたころ。

 

「…………本題に入るね」

 

勝負手を放ちながら言葉で集中を散らそうとする。

だがレオはしばらく考えたあと自分の手を指し、

 

「なんだ?」

「ん、レオは記憶喪失だ」

「あぁ。そうだな」

「なんでだ?」

 

ナイトを動かしながら問う。

 

「なんでって…………俺も殺人かなんか犯したんじゃねぇ、のっ」

 

ビジョップで応手を返してくる。

 

「じゃあなんでうみさんはそれを知らないんだってこ、とっ」

「単純に知らなかっただけじゃねぇか?今の時代殺人なんていちいち覚えてねぇし、よっ」

「ふむ、そうだとしよう。では次だ。なぜ記憶喪失なんだ?」

「…………は?」

 

レオの手が止まる。

 

「いやっ………だから俺も殺人を」

「そうじゃなくて。なんで記憶喪失をえらんだ?」

「どういうことだ?あ、チェック」

「………こうかな?例えば記憶喪失なんかより洗脳装置のほうがよっぽど使い道あるだろ?」

「人権とかの問題じゃね?」

「記憶喪失と洗脳の違いに人権もクソもあるか」

「じゃあアレだ。洗脳装置つくってたら偶然記憶喪失の装置が~」

「じゃあ著・黒澤玉髄の本はなんだよ。あれは研究って書いてあっただろ。はいチェック」

「ううん?それもそうかぁ」

「それで思うんだがレオ」

「なに?」

「お前が共犯って推理はどうだ?」

「はぁ?なにその妙手?」

 

二重に驚きつつ苦笑いでチェックをかけられる。

ううん。動揺しないなぁ……。

  

「で、なんでそう思ったんだ?」

「単純に全ての辻褄が合うからなんだけど動じないね」

「…………お前はホントにどっかの誰かさんに似てるよなぁ」

「は?」

 

どっかの……誰か?

 

「自分は誰とも違う超人で誰にも悟られない。だがその本質はチョロくて誰にも予想される」

「誰それ?」

「お ま え!」

「僕ぅ!?そんなナルシじゃねぇし!」

「だったら人を見下すような発言してねぇよ。推理の時も千歌が答えるだけでおどろいて。一方あいつは……」

「あいつ?」

「そ、あいつ。自分は普通で故に誰も分かってくれない。だが本質はチョロくて皆が分かってくれるように無意識に振る舞ってしまう。おまえらはなにをしてほしんだよ……」

 

誰だよそれ?

てか聞く限り僕と真逆じゃん。

って違う違う。

そうじゃなくて、

 

「要はなんで動揺してないんだってきいてるんだが」

「はぁ……。その1、お前が落ち着いてそれを俺に告げるってことはそれほど重要じゃないってこと。その2、もしそうだとして、だからどうしたって話。その3、なるようになれはいつも言われてるし。その4、勝てそうな盤面でそんなこと言われても盤に集中してるからどうでもいいわ。以上だ」

 

そういってレオは席をたった。

絶妙な一手を残して。

 

「…………!?あ、あれ?ううん?こうこう……。え?え?れ、劣勢確実?」

「確実。どれ指してもいいが負ける覚悟はしろよ」

 

驚きの一手。

必勝だったこっちがどう動かしても必敗の盤面しか出てこない。

鞠莉さんと激戦を繰り広げた僕を話しながら数分で!?

必死に手を考えている一方でレオは帰り支度をする。

だが必敗、必敗、必敗。

どうしても読みきる事ができない。

仕方なく降参を宣言し、飲み物を片付ける。

周りをみればすでにレオはいなくなっていた。

 

必勝を必敗へと変えたその一手は

 

「ルーク。やられたなぁ……」

 

 

 

───────────

 

「というわけです」

「つまり、負けてショックだから慰めて、と」

「分かってるなら鬼にならないでくれますかぁ……?」

「黒澤に敗北の二文字は似合いませんわ」

「いや将棋で了承した僕も悪かったですよ。悪かったけれども……」

「つべこべ喋らず、まずその崩れそうな正座から何とかしたほうがいいですわね」

「和は向いていないというか……。いえ、見る分には素晴らしいのですが自分がやると全く違うというか……。ハッ!これは!」

「外国人の証拠にはならないと思いますわ。王手」

「夢は儚いですね。たった18文字で否定さました」

「あ、そういえば蒼輝さんの部屋で興味深いものを見つけて。王手」

「興味深いもの?」

「はい。王手」

「グッ……!そ、それはなんですか?」

「これなのですけれど」

 

ダイヤさんはそう言って机の上に握りこぶしを置き、ゆっくりと開く。

そこには、

 

「髪飾り?可愛いやつですね。ダイヤさんのですか?」

「いえ、私でもルビィでも、Aqoursの皆さんでもありません」

「え?じゃあ誰の?」

「…………人の家に女性を許可なく招くとはいい度胸ですわね」

「は?……………え、それってつまりこの髪飾りは僕が呼んだ女性だと?」

「十中八九そうなりますわね」

「違う違う!違いますよ!?第一僕の友人なんてAqoursとレオぐらいですって!」

 

かといってレオが買ったとは考えづらい。

なら誰のだ?

そもそも……

 

「僕の部屋から?詳しく言えばどこに?」

「ジャケットのポケットですわ。ハッ!まさか密会を……」

「してないしてない!」

 

否定はするが正直自分でもそれしか思い浮かばない。

だって僕が会う女性なんて

 

「Aqoursしかいない……え?」

 

脳内でふとあの人がよぎる。

 

「そ、そうだよ!あの人なら!会ったことあるし!女の人だし!ありえる!」

「……それは一体誰かお聞かせ願えますか?」

「いえ、いまから返しにいきます!」

「いまから?」

「都合がいいし、ダイヤさんもご一緒に!」

 

そういって勢いよく立ち上がる。

立ち上がろうとしたのだが、

 

「っとと、」

 

長い正座のせいでフラフラする。

だが無問題無問題。

ガラッ!とふすまを開け、部屋を出ようと、

 

「…………負けそうだからといって逃げるのはどうかと」

 

後ろからダイレクトアタァァァァァックッ!!

ば、ばれてた……。

 

「…………えい」

「………………まぁ確かにそれが存在すれば蒼輝さんの勝ちですが……」

 

盤面にポンと置かれたルークにあきれ返るダイヤさん。

だが将棋にルークは存在しないのでどうやっても僕が負ける。

だが世の中にはこういう言葉がある。

 

「逃げるが勝ちッ!!」

「あ、蒼輝さん!?お待ちください!」

 

さぁ、髪飾りを返しに行かなきゃ!



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