戦姫絶唱シンフォギア -聖遺物に取り憑かれた太陽- (ぬヰ)
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聖遺物再来

不定期ですがこれからよろしくお願いします


これは、切歌、調、クリスがギャラルホルンへ飛び込み、ウェル博士と会い、妖刀ムラマサの力を宿ったノイズ殲滅に当たっていた時の話。

 

「素晴らしいッ!シンフォギアと言うものはよく出来ている!」

 

ウェル博士が調達の戦いを見て関心を抱いていた。

調と切歌は少々ウェル博士という外見で顔を引きずるが、現実世界のウェル博士とはまるで別人のような振る舞いで接してくるため内心では危険ではないと分かっていた。

 

「…!?なにか…来ます!!」

 

ウェル博士は目の色を変えて周辺を見渡す。

すると向こうから見覚えのある物体が近づいてくる。

 

「あれは……!」

 

「ネ、ネフィリム…デスか…!?」

 

道の先から現れたのは完全聖遺物のネフィリム、現実の世界でウェル博士の右腕に付いていた"アレ"だ。

調はそう解釈すると、身震いした。

 

「ムラマサのせいで強くなってるとか無きゃいいけど……」

 

調がそう言うと切歌が飛び出す。

 

「見てるだけでも鳥肌立つデス!さっさと片付けるデス!!」

 

切歌に続いて、調、クリスもネフィリムに攻撃を仕掛ける。

 

「喰らうデース!!」

 

切歌は背後から槍を振り下ろす。

その時、ネフィリムはこちらを向き、切歌を対処しようとした。

頭に槍が突き刺さりダメージを与え切歌が着地した時、事は起きてしまった。

 

「デデデデース!?」

 

ネフィリムとは思えないほどに硬く、切歌の槍はキーンという金属音のように鳴り響いて、そのまま弾かれてしまった。

仕方なく切歌は体制を立て直しながら着地しようとした。

ネフィリムの目の前に着地した切歌は足が地面に着いた時には背後からネフィリムが口を開けていた。

 

「切ちゃん!危ない!!」

 

「馬鹿!離れろ!!」

 

調とクリスは切歌に向かって叫ぶ。

クリスは切歌とネフィリムを離そうと矢を放つ。

しかし、ネフィリムは鋼鉄のように硬く、クリスの矢は全て弾かれてしまう。

 

「嘘だろ!?」

 

切歌はすぐに動く事は出来なく、右腕がネフィリムの口の中へと入ってしまう。

ネフィリムはそのまま口を閉じ、切歌の右の上腕殆どが食いちぎられた。

 

「切ちゃん!!!」

 

調が助けに行くため走り出す。

切歌は何が起こったのか状況を把握しきれていない状態だった。

 

「私の右手が……!」

 

切歌はようやく今の状態が分かった。

右腕からは血が滴り落ち、切歌は目の前がフラッとなりその場に座り込んでしまう。

調が走って助けに来ているが、切歌は考える事もままならない状態であったため、調を見ることしか出来なかった。

 

「し…らべ………」

 

上にはネフィリムが口を開けて切歌を食そうとしていた。

 

「切ちゃん!!逃げてッ!!」

 

調が手を差し伸べる。

切歌はその手に捕まろうと手を伸ばしたが、もう遅かった。

調が切歌の手を握ると、ガシッ!!と調の目の前で切歌の姿がネフィリムの口で消えた。

その場に残ったのは切歌の左腕だけ……

 

「切ちゃん……嘘…嘘でしょ……?ねぇ、切ちゃんッ!!」

 

ネフィリムはゴクリと飲み込むような素振りをした。

調とクリスは目を丸くしてその場に立ち尽くしてしまう。

 

「フフフ……フハハハハッ!」

 

突然ウェル博士が笑い始めた。

 

「成功だ!聖遺物を食する事が出来たぞ!ネフィリム!」

 

「存在を知られていた事には驚いたが、結果は出た!フハハハッ!」

 

やはりネフィリムを手懐けていたウェル博士は本性を表に出す。

 

「お前か、ネフィリムを使ったのはやっぱり!!」

 

クリスは怒りに満ち溢れて使える弾全てを使いウェル博士にぶっぱなした。

しかし、ウェル博士に特殊な力なようなものでガードされてしまう。

 

「さあさあ!残りの2人も食べてしまいなさい!!」

 

その瞬間、ネフィリムの様子がおかしくなった。

何処か苦しそうにもがいていた。

 

ドォォン!

 

と轟音が鳴り響く。

気付くとネフィリムは半分に引き裂かれて、倒れる。

 

「き、切ちゃん!!」

 

中からは食べられたはずの切歌が、その場に立っていた。

どうやら切歌は柔らかい体内から無理矢理引き裂いたらしい。

 

「そんな…馬鹿な……ネフィリムが……」

 

ウェル博士はこの数分で天国と地獄を見たような気がした。

 

「うぇぇ、気持ち悪いデス…」

 

切歌は何事も無かったようなテンションで歩き始める。

食いちぎられた右腕はいつの間にか戻っていて、調が握った左手も戻っていた。

切歌の体には所々液体が付いていた。

 

「きりちゃん!大丈夫なの!?それに右腕だって……!」

 

「あぁ、なんか食べられたあとなんか右腕が戻ったんデスよねー…よく分からないデスけど」

 

「アイツどーするかー…」

 

クリスは跪いているウェル博士を指差す。

 

「とりあえず面倒事になる前に撤収するデスよ!」

 

「私達にどうしようも出来ないし、放置放置」

 

切歌と調はウェル博士を睨みつけた後、クリスを連れてその場から撤退した。

 

ギャラルホルンのゲートへ戻った3人はギャラルホルンを通じて現実世界へ戻る事にした。

現実世界に戻るとそこはいつものような景色があった。

 

「あ!切歌ちゃん、調ちゃん!それにクリスちゃんも!おかえりー」

 

通りかかった響が調達の存在に気付いた。

 

「あぁ、その前に切歌のメディカルチェックをさせてくれ」

 

そういい、クリスは切歌を連れてメディカルルームへと向かわせた。

響もどうしたのかと思ってついて行こうとしたが生憎トレーニングルームに行く予定だったため仕方なくその場で見送った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クリスはメディカルルームへ足を運ぶとそこにはエルフナインが居た。

 

「あ!皆さん、帰っていたのですね!」

 

「あぁ、でも少し向こうで厄介な事が起きてな、それに切歌が巻き込まれたんだ、診てもらえるか?」

 

「了解しました!それでは切歌さん、こちらに」

 

「じゃ、しばらくの間さよならデース!」

 

エルフナインに指示された場所へ移動した切歌は調とクリス、主に調に伝えた。

調は手を振り、メディカルルームからクリスと共に立ち去った。

 

調とクリスは司令室へ向かっている途中、クリスが口を開く。

 

「調、気づいたか…?」

 

「はい、なんとなくは……」

 

 

 

エルフナインは切歌の体を見た時愕然とした。

それはエルフナインの今の知識ではどうする事も出来なかったからだった。

エルフナインはこの事を切歌に伝えたが、切歌はやっぱりという顔をして、素直に受け止めた。

 

 

「アイツ、切歌の体にネフィリムが寄生しているとはな…」

 

 

「切歌さん、ここからは僕も言いたくないのですが、伝えた方が良いですか……?」

 

「しょうがないデスよ、今の状況を全て理解するでデス」

 

「世の中には知らない方がいいことだってありますし…」

 

「大丈夫デス、言うデスよ」

 

「では…………………………………」

 

エルフナインの宣告に切歌は目を大きく見開いて、エルフナインにもう1度問う。

 

「今、なんて………」

 

「何度も言わせないでください、僕だって何度も言えるような事じゃないんです!」

 

「それは本当デスか…?」

 

「はい、長く見積もってもそのくらいかと……」

 

「そう、デスか……」

 

 

 

この時は調もクリスも理解していなかった、切歌が思っている以上に重症だと言うことに……

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
この物語は調、切歌は主人公ではなく主人公はオリキャラとなっています。(まだ出てきてないけど)
基本はきりしら中心で話を書いていきます。
よろしくお願いしますm(*_ _)m


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全てを見抜く謎の男

こちらは2話となっています。


「切歌さんの体はもって1ヶ月でしょう……」

 

エルフナインからそう伝えられた切歌は自分の体を見つめる。

 

「私の中にネフィリムが……」

 

エルフナインは1ヶ月もすれば切歌の体はネフィリムに乗っ取られ、理性を失うと切歌に告げた。

クリスと調は当然そんなに重症だとは気付いておらず、なんとかなるだろうという思考しかなかった。

 

そして、クリスと調から事情を聞いた風鳴弦十郎は向こうの世界にはクリス、調、切歌以外の3人に行ってもらうことにした。

 

クリスと調はその事を伝えに切歌の元へ向かった。

 

「切ちゃん……大丈夫…?」

 

「およ?調にクリス先輩じゃないデスか」

 

「体調大丈夫なのか…?」

 

「大丈夫、とは言えないデスねー…」

 

「やっぱりネフィリムが体に…?」

 

「やっぱり知ってるデスよねー」

 

切歌はエルフナインから聞いたこと全て、1ヶ月しか居れない事も全て隠さずに話した。

 

「1ヶ月……?」

 

「マジかよ…」

 

「でも、治す術はあるはずデスからなんとかなるデスよ」

 

「って言ってもな……流石に応えるぞ今のは…」

 

クリスが考え込むように腕を組み下を向く。

 

「とりあえず私は切ちゃんに食べさせられるようなご飯作るね」

 

「分かった。じゃああたし達は少し外に出るか」

 

「そうデスね」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ウオオアアアアアアアーッッッッッッッッ!!」

 

外に出ると男の悲鳴が聞こえた。

何事かと切歌とクリスは聞こえた方へ向かう。

 

「ないないないない!!!」

 

悲鳴をあげた男は地面に這いつくばって何かを探しているようだった。

 

「ど、どしたデスか…?」

 

切歌が声を掛けると男は存在に気づいたのか切歌にしがみついてくる。

 

「頼むッ!!助けてくれぇ!!」

 

「デデデデース!?」

 

その瞬間切歌にあの力が発動してしまった。

両肩を掴んだ男はその力によって後ろへ吹き飛ばされてしまう。

 

「ごめんなさいデス、大丈夫デスか…?」

 

切歌は手を差し伸べると男はありがとうと手を掴み立ち上がる。

 

「驚いたなー、すげぇ力だ」

 

「こ、これはここにいる人達みんな持ってるデスよー?」

 

切歌は目をそらすように言う。

 

「それより、だ!俺の100円知らないか!?」

 

男は焦るように切歌に問う。

切歌が困っていると、クリスが目の端で光るものが見え、それを手に取り声を上げる。

 

「なぁー、100円ってこれか!?」

 

クリスの手には100円玉がキラリと光っていた。

 

「それだー!!ありがとう!!巨乳ねーちゃん!!」

 

「きょ……!!」

 

「これでなんとか足りる!!」

 

切歌とクリスは色々困惑しながらもその男を見つめた。

 

「それはそれでっと。そこのデスガール」

 

「デス!?」

 

切歌は完全に怒らせてしまったと思い、申し訳なさそうにしていた。

 

「その力、みんな持ってるってのは嘘だな?」

 

「なんで…そんなこと言えるデスか…?」

 

「それは、分かるからだよ」

 

根拠もなく言っているように聞こえたクリスは切歌の前に出て言い放つ。

 

「悪ぃけど!こっちはお前が知らないレベルにピンチなんだよッ!」

 

「あー悪かった悪かった。根拠はある」

 

そう言うとクリスは言ってみろという顔をして男を睨んだ。

男は話し始める。

 

「見る限りお前さん方2人は同じペンダントをしているみたいだ、そのペンダントからは異様なオーラを感じ取ったんだ。つまり、そのペンダントに何らかの力があるってことだな。だが、デスガールが発したさっきの力はそのペンダントとは違かった。それにデスガール自身ペンダントとは違う異様なオーラを放っているしな」

 

「そんなこと、どうやって…」

 

切歌は目の前にいる男にほぼ見抜かれていることに恐怖を抱いた。

 

「俺には分かるんだよ。なんとなくだけどな、おそらくもうそんな生きてられねぇんだろ?」

 

「お前ッ!いい加減にっ!!」

 

クリスは堪忍袋の緒が切れたのか男に殴り掛かる。

しかし、シンフォギアを纏っていない状態のクリスは多少特訓している女子高生と何ら変わりがない。

男は身構えてクリスの拳を左手で受け止めるがその時男は驚いていた。

 

「いやいやいや、弱すぎだろ!なーんかすげぇ力あるんだと思って身構えちまったじゃねぇかよ!」

 

「うっせー!」

 

クリスのパンチは全てガードされてしまい、やがてクリスは諦めて殴るのをやめた。

 

「あーとにかくだなーおいデスガール、お前の体に居る奴を自分でコントロールする、それが唯一の生きる方法だ」

 

「お前はなんでそこまで分かるデスか…?」

 

「そーゆー体質なんだ。人のオーラが見える、まあ普通の人に見えないものが見えるんだ」

 

切歌とクリスは半信半疑だったが、切歌の状態を完璧に当てた男は本当の事を言っているだろうと予測していた。

 

「あ!ちなみにお前さん方の下着は見えねぇからな!?見たくもねぇし!」

 

「ほほぅ…さては見たいんじゃないデスか…?」

 

切歌が疑いの目で見つめてくる。

 

「いや、俺はそーゆーのに対しては好きじゃないんだ」

 

「変わったやつだな、男なのに下着とかに興味無いとか」

 

「巨乳ねーちゃんは男をどー分類してるんだか…」

 

「とりあえずおっさんに事情を説明しないといけないな、切歌!一旦コイツ連れて戻るぞ」

 

「ラジャーデース!!」

 

クリスと切歌は外で会った男を連れて本部へと戻った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「うーむ、詳しく聞かせてもらおうか」

 

(風鳴弦十郎……マジか…)

 

切歌とクリスに連れてこさせられた男は風鳴弦十郎と対面した。

 

「あーまずだな、そこのデスガールは何らかの力が外部から無理矢理体ん中にある状態だろ?」

 

「あぁ、その通りだ。それは完全聖遺物のネフィリムと呼ばれる物だ」

 

「んじゃ、そのネフィリムって奴がデスガールの中に居ると」

 

「まずお前の名前を聞こうか、俺は風鳴弦十郎。簡単に言うとここの司令官だ」

 

「俺は利奈坂(りなざか) (れい)。単なる男子高校生だ」

 

「ほう、礼君か。それで、治す術はあるのか?」

 

「あぁ、あのデスガールがそのネフィなんとかの力を制御、まあコントロールみたいなもんだな、それが出来れば体に負担は出ないはずだ」

 

「なるほどな、そこまで分かるとは何者なのだお前は」

 

「ただの男子高校生だ、平凡の。もし何なら俺がデスガールの暴走時止めてやるよ」

 

「我々にはこの2人以外にも数人装者が居る。お前に頼る訳にはいかない」

 

「つまりあんたは俺の力を許容していないと」

 

礼という人物は組んでた腕を外し、制服のポケットに入れた。

 

「ただの男子高校生に任せるわけにも行かないのでな、よしわかった。俺が相手してやろうッ!」

 

弦十郎は手を握りしめて胸の前で拳と拳を合わせた。

 

「ちょッ!おっさん本気か!?コイツはただの男子高校生とか言ってる奴だぞ!?」

 

「逆にそのただの男子高校生が切歌君を守ると言っている。多少の腕が無いと出来ない内容だ」

 

「だからって…」

 

「司令、本気でやるつもりデス…」

 

弦十郎に連れてこられた礼とクリスと切歌、そして途中から話を聞いていた調はトレーニングルームに集まった。

 

「ほぇ…こんな所が」

 

「遠慮は要らん、無論俺も手を抜くことはない」

 

「分かった」

 

そして、礼は迅速の速さで風鳴弦十郎との距離を詰めた……

 

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
今回はこの話の主人公である男「礼」という人物を登場させ、次回は司令との戦闘となっています。
この話は罪人の方とは違って短編で終わる可能性があります。
よろしくお願いします。


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風鳴弦十郎との決闘

この話は3話となっています


「……………」

 

料理を作ると言ってキッチンに来た調だが、切歌の寿命があと1ヶ月と聞いて正直信じられなかった。

冷凍庫を開けるとそこにはあまり食材の在庫が無かった。

それを見た調は無意識の間に切歌の思い出と照らし合わせていた。

 

「切ちゃんの記憶もこんな感じに無くなるのかな……」

 

そう考えていると、外から切歌とクリスが誰かを連れて司令室に向かっている音が聞こえ、後から着いて行った。

 

「さて、久しぶりに頑張るかー」

 

そして今に至る……

切歌を守ると言った男、利奈坂 礼。

そして、シンフォギア装者をも倒す風鳴 弦十郎。

2人がぶつかる時だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「行くぜ!師匠さん」

「フン、どっからでもかかってこい!」

 

礼はそう言うと弦十郎目掛けて走り出す。

 

「ハッ!!」

 

礼は左足の力強い蹴りを弦十郎の右の脇腹狙って繰り出す。しかし、弦十郎はそれを右の前腕で受け止める。

礼は力で押し切ろうとしたが、生憎弦十郎の力に勝てず、体を回転させる。そしてその回転を応用して威力を付けると今度は右足の蹴り上げをお見舞する。

だが、それも弦十郎は左手で抑え込み、礼の右足を掴んだ。

 

「やべッ!」

 

掴んだ足を持ち上げた弦十郎は2回ほどグルグルと回しハンマー投げのように礼を飛ばした。

 

「どうしたッ!この程度で切歌君を守ると言っているわけでは無いだろうなッ?」

 

「へへ、無論だな」

 

すると礼はまた弦十郎目掛けて突っ走る。

 

「あの礼って奴結構やるデス…」

 

「あぁ、あのおっさん相手にちゃんと立ち回ってやがる…」

 

かなりいい戦いになっていたがやはり実力差が激しく、弦十郎はかすり傷、礼はかなりボロボロになって息切れもしていた。

 

「そろそろ終わりにしようかッ!」

 

弦十郎がそう言うと初めて自分から動き出した。

立つことが精一杯の礼に最後の一撃を放つ。

強烈な拳は礼の顔に直撃し、礼は後ろへ吹き飛ばされてしまった。

 

「おい!おっさん!!やりすぎだ!!」

 

クリスが止めると弦十郎は大丈夫だといい、説明し始める。

 

「いまの傷はこの戦いが終われば無くなる。このトレーニングルームのシステムでそうした」

 

「な、なんか凄いデス……」

 

吹き飛ばされた礼は仰向けに倒れていた。

弦十郎は立ち上がるか否か様子を見ているところだ。

 

「こりゃつえぇ……」

 

あの攻撃を受けて礼は意識を保っていた。

それに上半身も軽々と起き上がらせた。

 

「うそ……あの攻撃でまだ大丈夫なの…?」

 

流石に調もクリスも切歌も驚いていた。それもそのはず、弦十郎の全力の一撃をまともに食らったのだから。

それでも尚起き上がり、立ち上がる。それに軸もしっかりとしていた。

 

「まだ立てるか…」

 

弦十郎もここまでとは予想していなかったらしく表情に余裕が無くなった。

 

「これは、いっちょやるしかないな」

 

そう言うと礼は右手になにか持つような仕草をして、その手前に左手を持ってきた。まるで、刀を持っているかのようなポーズをとる。

すると右手に黄色い光が集まり、その光が刀の形へと変化した。

光が解かれると右手にはしっかりと刀があった。

 

「なん…だと…!?」

 

「さてと、第2ラウンド行くぜッ!」

 

刀を持った礼は同じように走り出す。

弦十郎は警戒し、礼の攻撃に対応するために礼をしっかりと見た。

礼は刀を振りかざすのではなく、突き刺すように手を伸ばした。

見切りやすかったため弦十郎はその刀を手で抑えた。

 

つもりだったが………

 

その刀は弦十郎の手をすり抜けそのまま腹部を貫いた。

 

「グハァッ!!」

 

ここで初めて弦十郎がまともに攻撃を喰らった。

後ろに下がる弦十郎は貫かれた部分を確認すると刺された後は無く、痛みも刺された痛みではなくじんじんと殴られたような痛みが広がっていた。

 

「どういうことだ……?」

 

「どーなってやがる!?」

 

弦十郎に刺された痕が無いことに気付いたクリスは状況を把握出来なかった。それはここにいる礼以外全員そうだった。

 

「これが俺の戦闘スタイルだ」

 

「その刀は一体なんだ…」

 

虚像剣(きょぞうけん)

 

「なに…?」

 

「この刀の名前だ。俺は俺の中にあるオーラを自由自在に操ることが出来る。ちなみに人のオーラを吸い取って自分の物にも出来る」

 

「つまり、その刀はお前のオーラで作り出した偽物…」

 

「その通り、この刀は刀であって刀ではない。虚像なんだ」

 

「だから刺されたのではなく殴られたのか…」

 

「さて、まだ続けるか?」

 

「いや、もう大丈夫だ。お前は充分強い」

 

「じゃあデスガールの件、やらせてくれるな?」

 

「俺は問題ない、後は切歌君次第だ」

 

礼は切歌の方を向くと切歌がこっちを向いた。

 

「私はごめんデスよ!?自分の力でなんとかするデス!クリス先輩も調もいるデス、なんとかなるデス!!」

 

「んあぁ、もーそーゆーと思ったー」

 

「まぁ、切歌君だって強い。多少は解決出来るだろう」

 

「あなたに手伝ってもらわなくても切ちゃんは私が守るから問題ない」

 

「そうかいそうかい、ならいいんだがな」

 

そう言うと礼は深追いはせず、その場から去ろうとした。

 

「あ」

 

出ようとした時に礼が立ち止まる。

 

「まーだなんかあんのか!?」

 

クリスが呆れたように言うと礼が駆け寄ってきた。

 

「なんか食わせてくれ!!」

 

「は?」

「デス?」

「えぇ?」

 

3人の装者はあまりにも寄らない言葉が飛んできたため返事に困った。

 

「俺の家系貧乏でさ、俺一人暮らしだし。上手いもん食いてぇんだよ…」

 

「なんだそーゆーことかよ」

 

「切ちゃんを守ってくれるって言ってくれたのは嫉妬したけど嬉しい気持ちもあったから私が作ってあげる」

 

調が素直にお礼を言った後料理をしてくれると言ってくれた。

 

「天使黒髪ツインテ様ぁ!!」

 

礼は拝むように調の前にしゃがんだ。

クリスと切歌はその状態を微笑してやり過ごした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

調が作った料理を口にした礼は美味いと絶賛して、調も喜んでいるようだった。

 

「そーいやー、お前さん方の名前を聞いていなかったなー」

 

「あたしは雪音クリスだ。コイツらの先輩だ」

 

「暁切歌デース!調とは小さい頃からの友達デース!」

 

「私は月読調。切ちゃんは私が守るから!」

 

「ほう、じゃあゆきねぇにデスガールに調様だな」

 

「ゆ、ゆきねぇ!?」

 

礼にあだ名を付けられて照れている半分喜んでいた。

姉さん的な名前を付けられたのは初めてだったため、顔が真っ赤になった。

 

「なんで私だけ変わってないんデスか…」

 

「え?デスガールってゴロ良くね?」

 

「私は認めないデス!」

 

「俺は呼び続ける!」

 

「ぐぬぬ……」

 

「私はなんで様付け?」

 

「可愛いし、ツインテだし、料理出来るし、可愛いし」

 

「可愛い2回言ったデス……」

 

気付けば切歌、クリス、調は礼とかなり打ち解けあっていた。

 

「今日は色々とすまなかったな、いきなり押しかけちまって。ま、何かあったらまた呼んでくれ。電話番号これだから」

 

礼は弦十郎に電話番号のメモ用紙を渡してこの場を去った。

 

「おっさん、アレは本気だったのか?」

 

一緒に見送ったクリスは彼が見えなくなった後に問いかける。

 

「あぁ、本気だ。本気で倒そうと繰り出した拳だったが、あいつは立ち上がった……」

 

「一体何者なんだ?利奈坂 礼って…」

 

「分からない、ただかなりの実力者なのは間違いないだろう」

 

そう言うとクリスは切歌と調に呼ばれて弦十郎の側から離れた。

 

「利奈坂 礼………」

 

 

「りなざか………ッ!?」

 

 

 

「まさか…………ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「……りなざか……かざなり……!?」

 

 

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!

ーキャラ紹介ー

利奈坂 礼『りなざか れい』
紺色の髪の毛で短くもなく長くもない。
人のオーラを感じ取ることが出来、自分のオーラを自由自在に操る事が出来る能力を持っている。
知り合った人には大抵あだ名を付ける。

ざっとこんな感じです。
今回は戦いメインで書いてみました。
戦闘シーンは結構難しかったです汗
わかりにくい部分があるかもですがお許しを……


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太陽の暴走

この話は4話となっています


「切ちゃん、体調は大丈夫…?」

 

「大丈夫デスよ、調!」

 

「ま、何事も無ければそれでいいんだけどな」

 

弦十郎の提案でギャラルホルンのゲートが開いてる最中ではあるが切歌の状態を悪化させない為にも学校に行ってみることにした。

 

私立リディアン音楽院に着いた切歌、調、クリスはそれぞれのクラスへ向かう。

切歌と調は同じだったがクリスは別なクラスだった為クリスは調に後を任せた。

切歌と調は教室に入ると教室に居た生徒達の目線がこっちに集まった。

切歌と調はクラスの人にあまりいいイメージを持たれていないため、面倒事や陰口など言われることが多かったが今回はその雰囲気がかなり強かった。切歌が自分の席に着くといつもされているようなイタズラがされていた。

普段ならばいつもの事だと流す事が出来たのだがネフィリムに寄生した今の切歌は心を閉ざしたが為にネフィリムの力が発動してしまった。

切歌の右腕は多少灰色っぽくなっており、自分の机を前に吹き飛ばした。

 

「切ちゃんッ!ダメッ!!」

 

調が止めに入るが切歌は聞こえていないようだった。

異常事態に教室にいた生徒達は悲鳴を上げて廊下へ逃げ出した。

 

「切ちゃん!落ち着いて!!」

 

調が必死に叫んで切歌を呼び戻そうとする、しかし切歌には聞こえずに机や椅子が宙を舞ってグルグルと飛んでいく。

窓ガラスをも割れ、教室は無残な姿へ一気に変わる。

 

「何があった!?」

 

なにか騒がしい事に気付いたクリスは急いで切歌と調の元へ駆けつける。

切歌は何かに乗っ取られたような顔をしてクリス目掛けて歩き始めた。

 

「………コ…ワ……ス……」

 

とても切歌の声ではない呻き声が聞こえ、クリスは後ずさる。

 

「切ちゃん!もう辞めて!!私の事忘れたわけじゃないでしょう!?」

 

クリスの前に立った調は切歌に呼びかける。

切歌はスピードを変えずに迫ってくるが調は説得を続けた。

 

「自我を保って!!切ちゃん!!」

 

残念ながら調の言葉は通じず調は首元を捕まれ上に持ち上げられた。

 

「切…ちゃ……く…くるし…っ」

 

「おいッ!やめろッ!!」

 

クリスが切歌に止めさせようと近づくが宙を舞う机や椅子が飛び交い、容易に近づけなかった。

切歌は調を持ち上げながら窓の方へ向かった。

そして切歌は調の体を外へ出した。

調は踠くが切歌の力は尋常じゃないくらいに強く、調の力では到底離れることはなかった。

 

「おい…まて!ここは4階だぞッ!?落としたらガチで死んじまうッ!!」

 

グシャグシャになった調の髪の毛が切歌の右腕に絡まるぐらい踠いた調だったが遂に切歌が手を離してしまった。

 

「切…ちゃん……」

 

調は落ちている瞬間切歌との思い出が蘇ってくる。

生憎ペンダントも無く、返信した後着地するということも出来ないため、調の体は徐々に地面に吸い寄せられていく。

 

「切ちゃんを守る事が出来なかった……ごめんね…切ちゃん……」

 

調の体は既に2階から1階に差し掛かっていた。

数秒後、調の体は地面に叩きつけられたはずだったが…

 

そんなことは起きなかった。

 

「あぁあぁ、綺麗な髪がグシャグシャじゃねぇか」

 

そこにはあの男、利奈坂礼が調をしっかりと支えていた。

 

「あなたは……」

 

「異様なオーラを感じてな、行ってみればこれだ」

 

「私……あなたの言ったことをさし退けて切ちゃんを守るって決めたのに、何も出来ていない……」

 

「んな事は後だ後」

 

そう言うと礼は1階、2階の窓を器用に使い4階まで上がってきた。

 

「おいおい、これまた物騒なぁ」

 

礼は宙を舞っている机や椅子を見て恐怖心を抱いた。

 

「はあぁぁぁぁぁ………ッ」

 

礼は弦十郎と戦った時に使った虚像剣を作り出し、切歌に力を使う。

貫いた刀は光となって消え、切歌に向かって衝撃を与える。

 

「これでよしっと……」

 

腹部に衝撃を与えると切歌は気を失った。

その途端に宙を舞っていた机や椅子もガラガラッと下に落ちた。

礼は切歌を横にさせると調に話しかける。

 

「調たんはさっきこう言ったな"あなたの言ったことをさし退けて切ちゃんを守るって決めたのに、何も出来ていない"って」

 

「たん……?」

 

「調たん、1度も俺はデスガールを守らないって言ったか?」

 

「え…?」

 

「俺はデスガールはお前に任せる、とか言ったか?」

 

「……言ってない…」

 

調は昨日のことを思い出す。

 

「調たん側から見たらこんな奴に助けられたくないとか思われてるかもしれないけど、俺は昨日と今日の出会いで、一緒に飯食って分かった」

 

礼は初めて目線を落とした。

 

「俺からすれば尊いんだよ。みんな、俺の……今は亡き妹みたいに……」

 

「妹……だと…?」

 

クリスは立ち上がりながら聞き返す。

 

「俺には妹が居たんだ、丁度お前さん方ぐらいの妹だったんだがな。小さい頃、あいつはまだ物心が付いていない時だったな…離れ離れになっちまったんだよ」

 

礼は話を続ける。

 

「まぁ、暗い話は置いておいて、調たん。俺が言いたいことは端的に言うと"俺にも切歌を助ける手助けをさせてくれ"だ」

 

「切ちゃんを助ける手助け…?」

 

「迷惑かもしれない、突然やってきて変な奴だと思うかもしれない。でも、俺に出来るのはこれぐらいしか出来ないから…」

 

「私の力では多分切ちゃんの力には勝てない。きっとクリス先輩も居たって勝てるかわからない…本当は私が守ってあげたいんだけど…その力がない……」

 

「なら、俺が特訓させてやる」

 

「え?」

 

「調たんだって俺ぐらいに強くなれる。シンフォギアとかいう奴を纏わなくても」

 

礼はそう言うと、切歌を抱え調に持たせる。

 

「切歌には俺が助けたって言わないでおいてくれ。その方が俺にとって都合がいい」

 

「分かった」

 

「じゃあ本部に戻るのか…?調は」

 

「クリス先輩も一緒に」

 

「あぁ」

 

クリスと調は切歌を抱えて本部へと急いで戻って行った。

それになんとなくだが礼も着いて行った。

 

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
今回は少しばかり難しい内容にさせて頂きました。
この文で理解出来ない部分がありましたら感想で対応いたしますので遠慮なく書いて下さいm(*_ _)m

そして一向に謎が深まる主人公話を重ねる毎に過去や正体が徐々に明らかになるところが見どころです!!


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礼と言う人物、そして月の決意

この話は5話となっています


本部へ戻ったクリス、調、切歌そして礼の4人は事情を説明して、調はエルフナインと切歌の面倒を見るためメディカルルームへ向かった。

 

「まさか、そんな事があったとは……」

 

「気晴らしのはずが、逆効果だったな」

 

「きっといつもなんとも思ってない雰囲気を出してたが気に持ってたんだな、いじめとか色々」

 

弦十郎とクリスと礼は司令室で話していた。

 

「うーむ、切歌君は無理してでも元気にいつも話しているからな、その精神が崩れたらネフィリムも自由ってことか……」

 

「ゆきねぇも調たんもペンダントを持ってなかったもんな、持ってたとしてもそのペンダントの力では到底沈められなかったかもしれないけどな」

 

「あ、そうか、お前はまだシンフォギアの存在を知らないのか…」

 

「それより、礼君」

 

「ほい?」

 

弦十郎は鋭い目で礼を見つめる。

礼はそれに怯えること無くいつものように返事した。

 

「お前の名前は利奈坂 礼じゃない。そうだな?」

 

クリスは弦十郎のその言葉の意味が分からずに冷静に話を聞く事にした。

 

「俺は利奈坂 礼だ。学生証にだってそう書いてある」

 

そう言うと礼は学生証を出して見せた。

確かに学生証の名前のところには利奈坂(りなざか) (れい)と書かれていた。

 

「かつて、風鳴家に1人の男の子がいつの間にか誕生していた。少しは成長していたが誰の子かも分からなかった当時はそいつの名前を【ぜろ】と付けた。そのぜろは育てられ、中学生ぐらいの時には育て親に反論し、家を出ていってしまった。そいつはそれっきり帰ってきていない。そんな事が起きたんだ」

 

「なるほど?」

 

礼は動揺せずに弦十郎の話を冷静に聞いている。

 

「お前の名字、【りなざか】は反対から読めば【かざなり】となる。そして、名前の【れい】は数字の0と於けば別の読み方をすれば【ぜろ】となる。つまり、お前は風鳴家を出た【風鳴(かざなり) (ぜろ)】そうだな?」

 

クリスはその話を聞いて嘘だろと言う顔をしながら礼を見つめる。

 

「流石風鳴弦十郎、鋭いな」

 

礼は話の風潮も態度、表情何一つさっきと変わらずに話す。

 

「確かに俺は風鳴家に小さい頃住んでいた。弦十郎のおっさんにも()()()とも会った事がある。言った通り【りなざか】という名前は風鳴家から見つからないように考えた名前だ。【れい】も同様。安直過ぎたけどな」

 

「何故お前はまた俺のところに現れたッ?」

 

「それは偶然だ。デスガールに異様なオーラを感じたから助けてあげたい一心で上の奴に会いに行けばまさかの風鳴弦十郎あんただったってワケダ」

 

「だが謎だな…何故お前は切歌君にこだわる…?」

 

「………なんとなくだ」

 

弦十郎に正体を見破られた利奈坂 礼、いや風鳴 零はここで初めて目が少しだけ泳ぐ。

 

「これが事実ならば風鳴家に伝えなければならない。それでもいいならそのまま黙っててくれ」

 

弦十郎がそういい、発信器に手をかけようとした時礼の口が開く。

 

「あんたの答えはまだ20点だ」

 

「なんだと…?」

 

「その答えは俺の正体の20%ぐらいまでにしか至っていない。あんたは分かるか?俺が何故風鳴家に突然現れたか」

 

礼はそう言うと凍りつくような空間が作り出された。

クリスは口を開く事も出来ずに話を懸命に聞いている。

 

「お前は何が言いたい」

 

「それが分からないなら伝えても無駄だろ、それは俺にしか分からない事。誰にも知られる事は無い」

 

「お前は一体何者なのだ…?」

 

「時が来たら教えてやるよ、俺は調たんの特訓に付き合う事になってんだ。デスガールも気になるしな、だからここら辺で御暇するよ」

 

そう言うと礼はポケットに手を入れながら司令室を後にした。

 

「利奈坂………礼………」

 

「まさか風鳴家に関係してたとは、真剣に聞いちまった」

 

クリスがふぅーっと息を吐き、落ち着いた所で話し出す。

 

「アイツはまだ何か隠してるって事だよな?」

 

「あぁ、間違いないだろう」

 

このあとクリスと弦十郎の間で言葉が飛び交う事は無かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「これで大丈夫でしょう、休めばきっと目が覚めると思います」

 

「ありがとう、エルフナインちゃん」

 

「しかし、気絶するぐらいの腹部へと衝撃がありながら骨が1つもひびすら入ってないとは、驚きました……」

 

「切ちゃんを傷付けずに守ってくれたんだね…」

 

調とエルフナインが話していると扉がウィィンと開いた。

 

「よぉ、調たん。デスガールは大丈夫か?」

 

外からは利奈坂 礼が入ってきた。

 

「はい、休めば元気になるらしいです」

 

「おーそれは良かった良かった」

 

「調さん、この方は…?」

 

エルフナインは礼と会うのが初めてで誰だか把握していなかった。

 

「俺は利奈坂 礼。ただの高校生だ」

 

調が紹介する前に礼がエルフナイン自己紹介し、彼女は名前を聞いて納得した。

 

「あなたが切歌さんを守ってくれたんですね。僕はエルフナインです。よろしくお願いします」

 

「ほぇーボクっ娘かぁーんじゃぁ……エルくんだな!」

 

「える…くん?」

 

「この人、人にあだ名を付けたがるんです…」

 

「ま、まぁ呼びやすい名前でお願いします…」

 

エルフナインはペコっと頭を下げる。

 

「それはそれとして、調たん。さっき言った特訓をしたいんだが、今から出来るか?」

 

礼は調に特訓を誘った。

 

「い、今から…!?まぁ、できますけど…」

 

「じゃあ決まりだ、トレーニングルーム借りよう」

 

そう言うと礼は調の手を握り、トレーニングルームへ走っていってしまった。

 

「なんか…凄く好かれそうな性格ですね……」

 

エルフナインが微笑すると切ちゃんが起きた時用のお粥などを作り始めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ、あのー礼さん」

 

「礼でいい、あと敬語じゃなくてもいい、そんでなんだ?」

 

「本当に私にもあなたみたいな力を手に入れられるの…?」

 

動きやすい格好になった調は20メートルほど離れて立っている礼に向かって話す。

 

「お前さんなら行ける。そんなオーラがあるからな」

 

「でも、どうやったら……」

 

「まず、自分の体にオーラがあると思い込むんだ」

 

調は言われるがままに想像した。

目を瞑り、自分の体全体に光があるように、その光が血液と共に体を循環しているように想像する。

 

「ん、いい感じだな」

 

調は徐々に想像を膨らませ、何色のオーラがあるのか、どんな雰囲気のオーラがあるのかを想像した。

 

「その調子だ、次に右手にオーラを集めるようにしてみて」

 

調は右手にオーラが集まる事を想像し、右手に力を入れる。

しかし、上手く調が考えてる光を右手に持っていくことが出来ない。

 

「無駄に力を入れちゃだめだ、力を抜いて、水みたいに少しずつ溜めていくイメージで」

 

調は力を抜き、言われた通り水を溜めるみたいに少しずつ指先から光を溜めるイメージを膨らませた。

 

「そして、目的を決めよう。その力をどのようにして使うのかハッキリした方が力が溜まりやすい……そうだな……まあ物を壊す目的にしようか」

 

調はこの力で机や椅子を壊せるようなイメージを持った。

そしてやがて調の右手にオーラが溜まる感覚を覚え調は目を開く。

すると、右手にだけ力が溢れているような感覚だった。

 

「遠慮なくその右手を俺にぶつけてみな、走る時もさっきのイメージだ。両足にオーラを集め目的を決めるんだ、俺はそれを全力で受け止めるから躊躇する事はないぞ」

 

調はこれも言われるがままに行動する。

精神を研ぎ澄まし、脚に光を集め、速く走ると言う目的を決めた。

そして調が走り出すと本人も驚く程のスピードが発揮し、礼に近寄る。

礼も調と同じように行う。

調は思いっ切り右手を礼の顔目掛けて繰り出すと、礼の前には何か光が集まり、何かを作り出した。

調の右手は礼が作り出した光の塊に受け止められるが、5メートルほど礼の体を後ろへ持っていくことが出来た。

 

「ぐぁッ…はぁ……はぁ……」

 

調は感じた事の無い感覚に驚きを隠せなかった。

 

「結構な手応えだな…」

 

「自分の限界を……遥かに越えた……感じがした……」

 

「あー、それは違うな」

 

「え……?」

 

「調たんの限界がコレだ。普段はこんなに思いっ切りやらずに体力を温存しつつ戦うだろ?」

 

「つまり、これは私の体力を力にしている…?」

 

「そう、体力を削り、一瞬にしてその体力分の力をぶつける。それがこの戦い方(スタイル)だ」

 

「でも、私の限界を…あなたは止めた…でも息切れ1つ……してない……それは体力が多いってこと……?」

 

「こればっかりは鍛錬だな…調たんはまだ駆け出しだ。最終手段として使うまでだな」

 

「想像してる時、自分の事を忘れて、目的のままに動いていた……それが少し怖かったかも…」

 

調は礼の言われた通りに動いていたのは調の脳は礼の声と目的しか受け付けていなかったからであり、傍から見ると何かに取り憑かれたような雰囲気だった。

 

「調たんのガチな目、魅力的だったなー!」

 

「これからも少しずつ教えて欲しい……これで切ちゃんが守れるのなら、私は習得してみせる…!」

 

「無論だな、調たんが俺ぐらいになるまできっちり特訓させてやる!」

 

その時、メディカルルームでは切歌が何事も無かったかのように目を覚まし、エルフナインから貰ったお粥を美味しそうに食べていた。

 

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
今回は主人公、礼の明らかになった過去と調の特訓をメインに書きました。
今回は2本立てという事もあり話が長くなりました。
基本は2500文字程度なのですが今回は3500ほど書いてしまいました(汗)
調たんと礼の下りは次回に回そうとしたんですが、調たんと礼の絡みを書きたかった、まあ書きたかった、書きたくてしょうがなかったので書きました(笑)


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太陽を守る為の力

この話は6話となっています


「切ちゃん、大丈夫!?」

 

礼との訓練を終えた調は切歌が目覚めたと耳にし、急いでメディカルルームへ足を踏み入れた。

ベッドの上には切歌の姿が合ったが、どうやらまた寝てしまったようで、エルフナインがシーっと口に人差し指を当ててジェスチャーを送る。

 

「ふぇー、もう食べられないデース………」

 

寝言を言っている切歌を見て調はホッとした。

エルフナインから聞いたところ目を覚ましたが、お粥を食べたらまた寝てしまったらしい。

 

「切ちゃん、絶対に私が守ってあげるから……」

 

調は聞こえもしない切歌に向かってそう言うと、メディカルルームから去っていった。

 

「調さん……」

 

エルフナインは調を見て少し心配しながらも仕事に戻った。

 

 

「デスガールはどうだった?」

 

メディカルルームから出ると外には礼が腕を組んで壁に寄りかかっていた。

 

「ご飯を食べてゆっくり寝てたよ」

 

「そか、それは良かった…」

 

礼が微笑むと調にもう一頑張りだと言い、トレーニングルームへ向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

トレーニングルームに着くとクリスと弦十郎の姿があった。

 

「あれ、ゆきねぇにおっちゃん、なんか用か?」

 

礼はさっきあった事なんて気にしないぐらい明るい雰囲気で2人に話しかける。

 

「ちっとばっかし気になってな、あとお前にシンフォギアを見せておかねぇとなんか気がすまねぇ」

 

クリスがそういいペンダントを手に持つ。

 

「俺はそのついでだ。要望があるなら答えてやろう」

 

と言いつつも弦十郎は体を動かしていた。

 

「ほぉー、それは有難いな。調たんの特訓にもなる」

 

そして、クリスはイチイバルの詠唱を唱え、シンフォギアを纏った。

 

「これがシンフォギアだ」

 

「へぇー、武装するって感じかー」

 

礼が変身したクリスを感心しているとクリスはいきなり礼に向かって攻撃を仕掛けた。

それは矢の様なもので礼は一瞬の判断でその矢を手で食い止めた。

 

「おぉぉーおっかないおっかない…」

 

「やっぱり普通じゃねぇな…」

 

「あッ!そうだ!調たんとゆきねぇちょっと戦ってみてくれよ!」

 

礼はいきなりそう提案する。

両者とも別にいいけどと言う返答が帰ってきたため礼は内容を詳しく説明する。

 

「ゆきねぇはそのシンフォギアを纏った状態でいいだろ、だが調たんはシンフォギアを纏うのは禁止だ」

 

「はぁ!?お前何言ってんだ!?いくら特訓だからって鬼畜にも程があるぞ!?」

 

クリスは礼の馬鹿な提案に半ギレした。

しかし、調はやると言ったためクリスはその怒りを抑えた。

 

「け、怪我しても知らねぇぞ?」

 

「それはここのシステム使えば何とかなるだろ、なぁ?おっちゃん」

 

「あぁ、それは問題ないが……お前が思っている以上にシンフォギアは性能が良い、生身の人間とぶつかればすごく危険だ」

 

「んなこと分かってるわ、調たんなら大丈夫だから言ってるんだよ」

 

クリスと弦十郎は礼のぶっ飛んだ考えが理解出来ないままその提案に乗った。

 

そして、クリスと調が向かい合う。

 

「クリス先輩、手加減しなくていいですからね」

 

「んな事言われてもなぁ……」

 

「手加減したら……怒りますよ…?」

 

調が久しぶりにクリスに鋭い目線を飛ばしたのがクリスに伝わり、クリスはどうにでもなれと自分に言い聞かせて、全力でやる事にした。

 

「調たーん、さっき教えた通りに、何事にも焦らないで落ち着いてやるんだ」

 

礼がそう呼びかけると調はコクリと頷き、体勢を低くする。

 

そして弦十郎の口から始めッ!!と合図が下ると先行でクリスが弓を射る。

 

調はさっき礼がやって見せた光の塊を想像した。

 

(礼はあの時右手を前に出して、まるで盾みたいに私の攻撃を防いだ……つまり、掌を盾と見れば…出来るかもしれない……)

 

調は掌にオーラを溜めるようにして、攻撃を受け止めるという目的を決めた。

調が目を開くとその目は礼とやり合った時と同じように何かに取り憑かれたような眼差しで、右手を前に出した。

すると、礼のように光の塊が盾のように展開され、クリスが放った矢を弾き飛ばした。

 

「紫の光……か……あれが調たんのオーラの色彩…」

 

礼は初めて調のオーラをまともに見て、素直に驚いていた。

礼は過去にこの戦い方を何人かに教えて来たが、教えて来た人皆が色を想像しろというと礼のオーラの色の黄色を思い浮かべ、想像が豊かではなかった。

しかし、調はその黄色に囚われずに紫という自分自身の色を具現化させた。

 

「しかも、あれは俺がさっき調の攻撃を受け止める時にやったもの……いや、すげぇな……」

 

遠くから見物していた礼は思っていた以上に調に素質がある事に気付いた。

 

「嘘だろ……ッ?お前、今何を……」

 

クリスは到底今の出来事を理解出来ずに混乱していた。

 

「ここら辺で締めかな…」

 

礼は調の体力が限界だと悟り、立ち上がる……が、調はさっきみたいに息を切らしていなく、しっかりと軸が安定していた。

それを見た礼はもう少し見てる事にした。

 

「こ、これならどうだッ!!」

 

クリスは手加減無しに巨大ミサイルを2つ調に飛ばした。

 

「待てッ!それは流石に危険すぎるッ!!」

 

弦十郎が叫んで止めようとするがその2つのミサイルは既に調に向かって発射されていた。

発射した後にクリスは調が生身だという事に再度気付き、やべッ!と声に出す。

だが、調は逃げようともせず目を瞑っていた。

 

(流石にこれは受け止める事が出来ないかもしれない……なら…ッ!)

 

調は両手の指先に光を集め、この弾を防ぐのではなく跳ね返す事を目的に決める。

そして、調は目を開き両手を前に出し、その2つのミサイルを食い止める。

調の身体はズズズッと後ろへ押されるが調は両手をくるりと時計回りに拗じると、調の前にある光の塊はまるで鏡のように反射し、クリスのミサイルを跳ね返した。

その弾は右へ飛んで行き、誰もいないところで爆発した。

 

「はぁ……はぁ……出来たッ!」

 

「調たぁぁん!調たんすげぇな!!正直あの攻撃はどうする事も出来ないって俺諦めてたんだけど、調たん良く挫けなかったな!!すげぇよ!!」

 

礼は華麗な調の戦い方にテンションが上がりまくっていた。

 

「冗談じゃねぇ……アレまでも防がれるのかよ……」

 

「調君、アイツに何を教わったんだ……」

 

クリスと弦十郎は調の圧倒的な強さに驚き以上に恐怖を抱いた。

 

「クリス先輩!ありがとうございました!」

 

調は達成感に満ち溢れ、クリスに笑顔で挨拶をした。

 

「いやいやまてまて、どーなってやがる!」

 

変身を解いたクリスは礼に調に何をしたか強引に聞き出そうとした。

 

「どーもなにも、調たんに戦い方を教えただけだ。デスガールを守るために必要不可欠な事を教えたんだ、でも上出来過ぎる、流石に俺も驚いた」

 

クリスは到底理解出来ずにまた怒りが込み上げてきた。

弦十郎はこの状況を冷静に考えるが結論には至らなかった。

 

その途端、調がフラッと倒れる。

 

「おぉっと、大丈夫か?調たん」

 

「少し、疲れた……」

 

礼はお疲れさんと言い、調を抱えてメディカルルームへ連れて行った。

それにクリスも同行した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ベッドに寝かせた礼はベッドの横の椅子に座るとクリスから質問の嵐を受けた。

 

「あの力はどういう原理だ?」

 

「あれは自分の体力を力に一瞬にして大きな力を使うことが出来る戦い方だ」

 

クリスの返事を待たずに礼は話を進める。

 

「お前さんは見た限り体力が無いらしいからな、かなり難しい……と言いたいところだが、調たんも思ってるよりも体力が多い方ではない。ゆきねぇにも可能性はあるが、素質はないだろうな」

 

「何故そんなことが分かる」

 

「オーラだよ、調たんは微かにオーラに素質があった。ゆきねぇはシンフォギアを纏うとオーラが出始めるんだが、普通の状態だと皆無だ」

 

「な……ッ」

 

「もしかしたらデスガールを守りたいと言う思いが力の源になったのかもな」

 

「調…切歌を守りたいっていつも以上に言ってたな、そう言えば…」

 

「お前さんは調たんの手助けをしてやってくれ、ゆきねぇがその点では最強だからな」

 

「お前……やっぱり何者なんだ……」

 

 

 

「利奈坂 礼。ただの高校生だ」

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
今回はクリスと調の手合わせ回でした!
全力でやったクリスを圧倒的に上回った調はこれからもどんどん強くなっていきます。
そして、珍しく切ちゃんのセリフが無い!!
と思ったら寝言でセリフ言ってました……w


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3人の装者 VS 0

この話は7話となっております


調の看病をしていた礼はいつの間にか寝てしまい、気が付くと調が窓を見つめていた。

 

「んぁ、やべっ寝ちまったか……」

 

「おはよう、礼」

 

「んああ……」

 

「どうやら、他の3人が帰ってきてるみたい」

 

「他の3人っちゅーのは?」

 

「残り3人の装者、この間司令が言っていた人達」

 

「てことは翼いるか…」

 

そう言うと礼は立ち上がり、体を伸ばした。

調も元気な体になった様ですんなりと立ち上がった。

 

「きっと今頃司令とクリス先輩が話してる頃だと思う」

 

「いきなり手合わせとか来そうだな…そん時は3人同時にやるか……」

 

「私もやろうか?」

 

「調たんはまだ駆け出しだ、かなりの素質はあるがまだまだ足りない。今回は見学な」

 

「分かった…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

礼が調と共に司令室に向かうとそこにはクリスと切歌、ギャラルホルンから1度帰ってきた響、翼、マリアの姿があった。

 

「調ちゃん、おはよー!って、その隣の人が礼君…?」

 

「よっすよっす、利奈坂 礼だ」

 

礼は軽く挨拶を済ませると、切歌の様態を聞く。

ゆっくり休んだ結果、体調は戻りネフィリムの力が出る際に発症する右手の変色も治っていた。

 

「ん、大丈夫そうだな」

 

「ちょっとあなた!切歌と調に何もしていないでしょうね!」

 

マリアが警戒心を抱きながら礼に話しかける。

マリアからすれば全く知らない男の人が切歌と調に関わっていることが気に食わなかった。

 

「なーんもしてないって、調たんの特訓を手伝ってただけだ」

 

「薬とか使ってないでしょうね……」

 

「お前しつこいなぁ、嫌われるぞ?」

 

礼が態度を変えずにそう言うと響が慌ててその状況を止め、自己紹介しようということになった。

 

「私は立花響!よろしく!」

 

「私は風鳴翼だ、お前は零だと聞いた。少々聞き出したいことはあるが今のところは置いておいてやろう」

 

「私はマリア・カデンツァヴナ・イヴよ」

 

「ほぅー、じゃあ…ビッキーと翼とマリアさんだな」

 

「私はあだ名ないのか」

 

事前に礼の特徴を聴いていた翼は少しだけ気に食わなかったのかそう呟く。

 

「お前さんとは昔会ってるからな、今更あだ名とか付けても意味無いだろ」

 

「まあ確かに…」

 

そして、弦十郎がその場に話題を持ち込む。

 

「お前ら3人と礼、ここで戦ってみるってのはどうだ?」

 

「手合わせか、するなら3人一辺に来なよ」

 

「あなた、私達を舐めてるの?」

 

「まさか、その方が俺も特訓になるんだよ」

 

それに、今の3人は和装ギアの為、素早くなっている。

その存在を知らない礼に勝てるとマリア達は本気で思っていた。

しかし、その他の調、クリス、弦十郎、切歌はそれでも礼には勝てないと心のどこかで思ってしまっていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

トレーニングルームに来た響、翼、マリアは和装ギアを纏う。

 

「ほぇー、なんか変わったシンフォギアだな!」

 

礼は和装ギアに興味津々だった。

 

それぞれ、響はいつも通り拳、翼は刀、そしてマリアは細い槍を持っていた。

弦十郎はトレーニングルームのシステムを起動すると、礼が口を開く。

 

「どっからでもいいよ、かかって来な」

 

余裕の表情をしている礼にイラついたマリアは全力で礼に向かって走り出す。

 

「ほぇー、結構素早いんだねー」

 

そう言っている間にもマリアが目の前まで来て、槍を礼目掛けて突き出す。

 

「動きが大きい……」

 

マリアは大きく振りかぶるように攻撃を繰り出したため、礼はスッと攻撃を避けた。

その瞬間に2方向から響、翼が走り回っていた。

 

「はぁぁぁぁッ!!」

 

流石、慣れている翼は動きもマリアより素早く、型もしっかりしている。

しかし、読み切れるスピードであったため礼は全て的確に避ける。

その後響のラッシュが始まる。

響のラッシュは予想以上に速かったため、礼は一発喰らい後ろへ吹き飛ばされた。

 

「どわぁ!」

 

「やった!!」

 

響が喜んでいると意図も簡単に礼は立ち上がる。

 

「今のは予想外だったわ、でも…今のお前さん方はギア無しの調たんにも勝てないだろうな」

 

「なんだと……?」

 

「和装ギアだからって警戒したけどそんな感じないし」

 

「じゃああなた!そんなに大口叩くなら攻撃して見なさいよ!!生身の人間の限界を思い知る事になるわ!!」

 

「あー、マリアーフラグ立てまくってるデスよー…」

 

切歌は隣にいた調やクリス辺りに聞こえるぐらいの声量で言う。

 

「んー、じゃあ本気で来いよ戦いがいがない」

 

マリアは唇を噛み締めながら、イグナイトへと変身する。

それに続き響、翼もイグナイトの姿になる。

 

流石にイグナイトになると礼は避け切ることはできなかった。

礼は少しずつ攻撃を受け流しながら対処していく。

 

「はぁぁぁぁッ!!」

 

響が強烈な一撃を放とうと走ってくる。

翼とマリアは響に任せる事にして、下手に手を出さないようにした。

響の拳は礼の顔の前で惜しくも止まってしまう。

礼の右手が響の拳とぶつかっていたのだ。

押さえ込んだ礼は強烈な響の一撃の力を止める。

 

「どれだけ強い一撃でも止められちゃ意味がない…」

 

礼がそう言うと響の腹部に細かく鋭いパンチを喰らわせる。

 

「がぁッ………!!」

 

響は礼の攻撃を受け、ものすごい勢いで背後へ飛ばされる。

壁にぶつかり勢いが死んだ響は気を失っていた。

 

「う、嘘でしょ……?相手は生身の人間なのよ…!?」

 

マリアがそう言うと礼は足に光を集め、マリアの元へ一瞬で近づく。

 

「あまり人を見ただけで判断するのはやめようか…」

 

そして礼は斜め上から斜め下へ強烈な回し蹴りを御見舞した。

マリアのしたの地面にヒビが入りマリアは地面に擦られながら飛ばされる。

最後に翼が刀を器用に扱い、礼に攻撃を続けた。

礼は刀がまるで止まっているところを避けているように一切当たる気配は無かった。

そして、礼は次の瞬間誰も見えない速度で翼の周りを1周した。

すると翼は気を失って倒れてしまう。

 

「ふぅー…お前さん方はシンフォギアに力を頼りすぎだな」

 

この戦いは誰がどう見ても礼の圧勝だった。

司令がトレーニングシステムを解くと倒れた3人は何事も無かったの様にムクっと起き上がる。

響や翼、特にマリアは礼の強さを実感した。

 

「あなた……何者なの……?」

 

「ん?俺か?利奈坂 礼。ただの高校生だ」

 

「そんな感じには見えないわね……」

 

「おっと、そろそろ戻らないといけない時間のようだ…」

 

翼が時間を見て告げる。

そろそろギャラルホルンを抜けた向こうの世界に行く時間となり、3人はギャラルホルンへ飛び込んでいった。

 

「翼も案外弱かったな……」

 

「シンフォギア装者3人相手に響君の攻撃一発だけで終わるとは正直驚いた」

 

「俺も驚いたさ、あとそろそろ調たんの特訓をさせたいんだけど」

 

「あぁ構わない」

 

「その為にはあんたも手を貸してほしいんだ弦十郎のおっちゃん」

 

礼はその後ゆきねぇも来てよと言うがクリスは切歌のメディカルチェックを受けさせるといい、切歌とエルフナインの元へ歩き始めた。

 

「手を貸すとは具体的にどのような事だ……?」

 

「そんなの簡単さ……」

 

 

 

「おっちゃんと調手合わせしてみてよ」

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
今回は響、翼、マリアが帰ってきて礼と戦うシーンをメインに書きました。
しっかし、礼を強くさせすぎてしまった……(ちょっぴり後悔)
最近切ちゃんのシーンも少なくなって来ていますが、よろしくお願いします(m*_ _)m


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後悔と真実

この話は8話となっています。


「手合せって………確かに今の調君ならシンフォギアよりつよいと思うが、流石に普通の女の子相手に全力で殴れねぇぞ」

 

「だーいじょうぶだっての、トレーニングルームのシステム使えばなんとかなるし、調たんだって逃げる気ないし」

 

礼はそうやって調の方を向くと調はやる気満々に司令を見つめていた。

 

「うーむ、仕方が無い…手伝ってやろう」

 

「よしゃきた」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

毎度お馴染みトレーニングルームに来た3人はいつも通りシステムを起動させ、弦十郎と調は向かい合って立った。

調はツインテールの髪を解き、後ろに一纏めにした。いわゆるポニーテールにした。

 

「は?え?調たん?可愛い」

 

礼が素直な感想を述べた。

そんな事よりと礼は顔を横に振り、正気に戻った。

 

「んじゃ始めるぞー」

 

礼の始め!の合図で調は動き出した。

まず調は礼が響に向かってやって見せた細くて鋭いパンチを喰らわせた。

弦十郎はそれを的確に手で受け止めるが調に押されてしまう状態だったため、多少は反撃しながら調の攻撃を受け流していく。

その時がしばらく続き次の動きが出た。

弦十郎の繰り出した拳が調の右頬に直撃したのだ。

まともに喰らった調は後ろへ吹き飛ばされ、壁に激突した。

その場にたおれた調はピクリとも動かない。

 

「……だからあまりやりたくなかったんだが…まあしょうがない、早くシステムを解除してくれッ!」

 

弦十郎は礼にそう呼びかけるが礼は1ミリも動こうとはしない。

礼は倒れた調をただ見つめているだけで弦十郎の話を聞こうとはしていなかった。

 

「おいッ!聞いているのかッ!?」

 

弦十郎はそう叫ぶと礼が反応する。

 

「調たんは負けちゃいねぇ、だから俺は止めないんだ」

 

「なんだと…ッ!?」

 

その時調の指がピクリと動く。

それに気付いた弦十郎は調の様子を伺う。

 

「調たんに俺の戦い方を教えたが、そればっかりに頼ってしまうのが癖だ。ならば格上の弦十郎のおっちゃんと手合わせする事によって普通の状態でも多少は戦える力を引き出しているんだ」

 

「その為に俺に頼んできたというわけか……しかし、調君はまだ高校生で容姿だけで見るとか弱い。そんな力が出せるとは思えないが……」

 

「調たんは孤児院に居たろ?なら多少の力はあるはずだと俺は踏んだ。今その力を出せるか出せないかが問題だ」

 

「出せなかったらどうするんだ…?」

 

「その時はその時でそこまでの力が無かったとしか言い様がない。その時はまた別な方法を考えよう」

 

そう話しているとフラフラとしているが調が立ち上がった。

 

「調ー!!」

 

壁に手を付けながら辛うじて立ち上がった時切歌がトレーニングルームの外から調を呼んだ。

 

「きり……ちゃん……」

 

「もういいデス!!調はもう頑張らなくていいデス!!そうじゃないと……調が……壊れちゃうデスよー!!」

 

クリスからこの特訓の話を聞いた切歌はメディカルチェックを終えるとすぐ様調の元へ向かっていた。

 

「お前もやり過ぎデス!!幾ら調を強くさせると言ってもこのやり方は傲慢デス!!」

 

「………ッ」

 

礼は何か思ったのか唇を噛み締めた。

後から着いてきたクリスも中に入ってきた。

 

「今すぐ調を辞めさせるデス!!」

 

「じゃあさ…………」

 

切歌は礼の返答を待つようにこれ以上声を出さなかった。

 

「お前……1人でネフィリムの力を制御出来んのかよ……」

 

「そ、それは…制御出来るようにするデスよ!!」

 

「学校であんな事あったのにか……?」

 

「学校の時は仕方なかったんデスよ!」

 

「仕方なかった………だと………」

 

礼は硬く握りしめるとその手から血が滴り落ちる。

体も細く震え、初めて礼はこの場で怒りを爆発させた。

 

「調たんを落とした事が仕方無かっただとッ!?意識を失ったから何しても仕方ないってかッ!?綺麗事ほざいてんじゃねぇぞッ!!」

 

「ひっ……」

 

礼の怒号に切歌は少しずつ後ずさる。

 

「お前に落とされた調たんはなぁッ!自分の力不足だったと誰も調たんを責めやしないのに全て自分が悪いかのように思い詰めてたんだよッ!少しでも切歌の事を守りたいって必死に思ってたんだッ!」

 

「おい!やめろ!!」

 

礼は切歌の元へ歩き出すとクリスが何とかして礼を止める。

正気に戻ったのか礼は状況を確認する。

 

「…悪ぃ…ちょっと気が狂った……」

 

礼は落ち着いて、切歌に話す。

 

「悪いとは思ってんだ、ってか悪いとしか思ってない。調たんを無理矢理特訓させて強くさせて、俺みたいに強くしてやろうと必死だった……」

 

「で、でも今回はやり過ぎデス…調が可哀想デスよ……」

 

「これを乗り切ればお前を助ける事が出来るかもしれない…そう焦ってしまったのかもしれない……」

 

礼は切歌に目も合わせず俯く。

 

「調たん、おっちゃん終わりだ。焦り過ぎた…今日は休んでくれ……」

 

「…いやだ……」

 

誰もが予想しなかった事を調が呟いた。

 

「私は続ける……切ちゃんが止めようと……私は最後までやる……」

 

「どうしてデス!!調はもう頑張ったデスよ!!」

 

「もう、自分の力不足で切ちゃんを困らせたくない……なら、私が強くなって……礼ぐらいになんでも守れるようにならないと…ッ!」

 

調はその途端に弦十郎目掛けて今までの2倍以上の力で殴り掛かる。

その拳は弦十郎の腹部に直撃し、爆発するように弦十郎は宙に舞い上がる。

まだ気を確かに持っていたため足からしっかりと着地した。

 

「はぁ……はぁ……」

 

調たんの姿を見ていた礼は過去の自分と無意識のうちに照らし合わせていた。

 

「俺も……昔はこんな感じに………」

 

弦十郎は調の力に驚きを隠せなかった。

その後、礼がシステム解除し何も言わずにその場から去った。

それを見た調はトレーニングルームを颯爽と出ていってしまった。

 

「礼……どこ行くの……?」

 

廊下を歩いていた礼を調は呼び止める。

 

「俺はもう用済みだ、あれだけの力があれば……切歌を助けられるだろ…」

 

「あなたは何故…切ちゃんをそんなに大切に思うの……?切ちゃんもあなたといるとどこか安心しているような感じだった。そしてさっき切ちゃんに怒った事、あれだけ怒れるのは普通に知り合った人じゃ出来ない……」

 

「はは……もう隠す必要も無くなってきたな………」

 

「隠す……?」

 

「暁 切歌は……死んだと思っていた俺の妹だ……」

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
投稿大幅に遅れました、すみません!
今回は礼が後悔をして、正体がわかった回でした!
切歌の兄、誰も予想していなかった展開かなと満足気な表情で書き終えてみました(笑)
次回は礼の過去の回です。
そしてそろそろこの話もラストになってきます。
つまり最終回も近くなってきたということです。
前回と同様10話で物語を終わらす予定です。
残りわずかですがよろしくお願いします!


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礼の過去

この話は9話となっています


「切歌は、死んだと思っていた俺の妹だ」

 

「え………?」

 

調は言葉を失った。

孤児院に居た時から一緒だった切歌に兄が居た事、その事を調に一切言わなかった事。何故かと考えれば考えるほど分からなくなってしまう。

 

「場所を変えよう、着いてきな…」

 

礼がそう言うと外に出て一際目立たない場所、建物の裏側に来た。

 

「さて、色々疑問に思っているだろうけど、最初から話すぞ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は昔、普通の家で産まれた。

1つ特徴があるとしたら父親が情緒不安定だったぐらいだった。

俺が産まれた当時は充分に可愛がられた。

 

その2年後、切歌が産まれた。

切歌は色々な事に好奇心を持ちすぐに実行する行動型の子供だった。

俺は物心が付いた時、大体6歳ぐらいの時に父親が遂にやらかした。

母親を殺したんだ。

その後自分は自殺、一気に普通の暮らしからおかしな方向へ向いてしまった。

当初切歌はまだ4歳、物心が付いているか付いていないかの狭間だったため、切歌はあまり覚えていないだろうと思う。

取り残された俺と切歌は追いかけてくる大人から逃げていたが逃げ場が無くなり俺と切歌は無理矢理離されてしまった。

そして1人になった俺に時期に切歌は死んだと告げられたんだ。

 

「とまぁ、これが俺と切歌が離れ離れになった所だ」

 

「切ちゃんはその頃からデスデス言ってたの……?」

 

「あぁ、今程ではないが殆どの語尾には《デス》を付けていたな」

 

「その後、どうしたの……?」

 

「あぁ、その後は武道を知れば切歌を殺した大人に復讐出来ると考えたんだ」

 

「それで風鳴家に侵入したの?」

 

クリスと弦十郎から話を聞いていた調はこの話に繋げた。

 

「あぁ、当分はそこで暮らしたよ。小さい時の翼やまだ若い弦十郎のおっちゃんだって居た。だけどその風鳴の武道は俺には合わなかった」

 

「それで独自の戦闘スタイルを…?」

 

「勘が鋭いね、そうだ。俺はこの戦い方をマスターし、風鳴家から脱出した」

 

俺は13歳ぐらいになると風鳴家から逃走したのだ。

元々風鳴の人じゃないから優しくしてくれた人の温もりとかいうものは一切感じていなかった。

しかし、風鳴家は俺を探すのを諦めずに何処までも着いてきたため、風鳴という苗字を利奈坂にして零という名前を礼にして、考えれば簡単な事だけど聞いただけでは風鳴だとは思わないような名前を名乗った。

俺は随分と長い時間さまよい続けた。

3年間はさまよったな。

突然、俺の人生が変わる出来事が起きた。

パソコンで父親の仕事の事を調べていると、切歌の情報が僅かだが載っていた。

娘は孤児院に送られた。と

 

「それで……」

 

「あぁ、俺は切歌は死んでいないと気付き、切歌を探すために探し始めたが、その時はもう既に俺は15歳、切歌は13歳だ」

 

「大体離れてから10年経って、切歌が死んでいないと分かったんだ。遅いだろ?」

 

礼はクスッと笑い話のように言った。

しかし、調はその話を笑って聞ける状態ではなかった。

 

 

俺は毎日特訓した、この力を完璧に得る為に。

そして毎日3時ぐらいまで切歌について調べに調べた。

 

「3時………」

 

「そして遂に、遂に見つけた…」

 

礼は右手を強く握りしめる。

 

「でも、切歌には月読 調という存在があったから俺は必要なかったんだ」

 

約2年、切歌を求めて俺は探してきた。

結局切歌を探して見つけたらどうしたかった?

もしかしたら死んでいるかもしれなかったのに何故諦めなかった?

ただの俺の自己満足だったのかもしれない……

 

「でも、なんで切ちゃんだって分かったの?」

 

「それは初めて会った時だ、語尾に《デス》を付けていたからもしかしてという期待が高まったんだ」

 

「あ、それで自己紹介した時……」

 

「あぁ、名前を聞いた時は泣きそうだったさ」

 

礼は続けて話をする。

 

「でも、この力は必要だったのか、もう普通の人間に戻れなくなった俺はここには居る事が出来ない……」

 

「切ちゃんを守るって言い張ったのは兄なりの妹を助けようと…」

 

「後は調たんに任せるよ、俺の無理矢理な特訓をこなした人物だ。相当強い」

 

「切ちゃんに言わなくていいの?」

 

「アイツ自体兄が居ることを知らない、これまで兄が居るという事言わなかったろ?それは覚えていないからだ、今更俺がお兄ちゃんだとか言うと変な目で見られるに間違いないからな」

 

そう言うと礼は調に背を向けて歩き出す。

 

「切歌を、助けてやってくれ……」

 

そう言うと礼は制服のポケットに手を入れて、1枚の写真を調の足元に飛ばした。

調がその写真を拾い上げるとそこには切歌と礼が二人並んで笑顔で写っていた。

 

「妹の為にここまでする兄って、相当居ない……」

 

調は礼が報われない人生だった事を改めて感じた。

去っていく礼の姿を調は姿が見えなくなるまで見つめていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

調が司令室に戻るとそこには切歌、クリス、弦十郎の3人の姿があった。

 

「あ、帰ってきたデス!」

 

「あれ?アイツは?」

 

「後はよろしくって帰っちゃった」

 

「調君と俺の特訓がもしかしたら最終だったのかもしれんな…」

 

「ネフィリムに対抗できるように頑張らないとデス!」

 

切歌は気合いを入れてネフィリムに対抗することを決めた。

 

 

 




ご覧頂きありがとうございます!
今回は礼の過去の回でした!
調子が良かった礼がいきなり冷めてしまう回でもありました!
残り2話3話程で話が完結します!
残り僅かですがよろしくお願いします!


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ネフィリムの覚醒

この話は10話となっております


調に礼の過去を教えた後、礼は切歌達の場所へ姿を現すことは無くなった。

切歌の様態も安定していて、いつもと変わらないような日々が繰り返された。

ある日、切歌と調とクリスはショッピングモールに買い物しに行くことになり、外に出ていた。

 

「久しぶりに私と調とクリス先輩の3人デートデース!!」

 

「デデデート…!?」

 

「なんデスかー?クリス先輩、顔赤いデスよー?」

 

「お前がデートとか使うからだろうが…!!」

 

「なんか悪かったデスかね?」

 

「デートとはちょっと違うかもしれないけれど…」

 

3人はそう話しながら、服を見始める。

 

「あたしはあんまり服には興味無いからな……」

 

クリスはキョロキョロと慣れない環境を見渡していた。

すると店員がクリスの方へ寄ってきた。

 

「なにかお探しでしょうか?」

 

どうやら見渡していたのが店員の目に入ったらしく、クリスに目を付けて寄ってきたらしい。

 

「あ……いや、なにも……」

 

「お姉様は可愛らしい方ですからこのようなワンピースなどお似合いになるかと思いますよ。あ、それかガラッとイメージチェンジをして、ボーイッシュな格好も良く似合うかと!」

 

「あー、アレデスねー。接客業あるあるデス」

 

「客にどんな手を使ってでも買わせるって言うやつ?」

 

「デスデス」

 

切歌と調は巻き込まれないようにスススッとクリスから離れ、店の外で待っている事にした。

 

「い、いやあたしは……!」

 

「そうおっしゃらずに!試着してみますか!?」

 

「えぇ、じゃ、じゃあ試着だけ……な……」

 

「珍しくクリス先輩が乗ったデス」

 

「見に行く?」

 

「デスねー」

 

切歌と調は試着室の前でクリスが出てくるのを待つ。

 

「まて!こんなの恥ずかしくて出られるか!!」

 

クリスはカーテンから顔だけ出して、切歌達に訴える。

 

「えー、絶対可愛いのに……」

 

「デスデス」

 

切歌と調はクリスが出てくるのを待ち望んでいた。

少し経つとクリスはゆっくりとカーテンを開ける。

 

「流石クリス先輩デスねー!似合ってるデスよー?」

 

「かあぁぁ!恥ずかしくてこんなの着て歩けるか!!」

 

クリスの着ていた服は

袖が広くなっていて、スカートにはフリフリなリボンが付いていてまさにアイドル衣装の様な服だった。

 

「とっても似合っていますよ!!」

 

店員がそう言うとクリスはな訳あるか!とカーテンを閉めて、普段着に着替える。

 

「もう少し、慣れたらまた来る……かもしれない…」

 

クリスはそういい、その場を後にした。

 

「クリス先輩似合ってたのにー、買ったほうが良かったんじゃないデスか?」

 

クリスはカーテンを閉めていた時、自分の姿を鏡で見て、ちゃっかりその服を気に入っていた。

 

「あ、あたしはあんなの着る主義じゃないんだよ!」

 

「どんな主義……」

 

調がハハハと笑う。

切歌は調とクリスの話姿を見ていると、こんな生活もあと少ししかないと考え込んでしまった。

 

「………ん………?」

 

「切ちゃん!?」

 

「おわぁ!な、なんデスか?」

 

「なんデスか?じゃないよ!その右手……!」

 

「…え…?」

 

切歌は調に言われた通りに右手を見る。

すると切歌の右手は灰色に染まっていて、ネフィリムが動こうとしていた。

 

「…えぇ!?なんでデスか…!?」

 

「ここじゃまずい、人がいない場所に行こう!!」

 

クリスがそう言うと、切歌を背負って調と立入禁止の廃駐車場へとやってきた。

 

「さっき私、調とクリス先輩との生活ももうすぐ終わるって考えちゃったデスよ、多分その弱くなった心をネフィリムは攻めてきちゃったデスね」

 

「とにかく先輩は切ちゃんを降ろして、切ちゃんは心を落ち着かせて…」

 

しかし、ネフィリムの動きは止まらず、続いて左手も灰色に染まってきた。

 

「何故デスか!?まだ1ヶ月、いや1週間ぐらいしか経ってないデスよ!?なんで!なんで!!」

 

「おい!落ち着け!!」

 

クリスがそう言いい、切歌に近づくとクリスは衝撃波の様なもので弾き飛ばされてしまう。

 

「切ちゃん……」

 

徐々に力を高める切歌は足元からコンクリートが割れて、細かい石などが浮き始める。

切歌はこの時既に、理性を保っているか危うい所にまでいた。

物凄い速さで調に向かってくると調も礼に教わった事を元に切歌の勢いを殺す。

 

「切ちゃん…!絶対守るから!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

廃屋の鉄柱の上に乗って、パソコンを使って情報を得ていた礼は久しぶりに感じた異様なオーラを感じ取った。

 

「切歌か…だとしても速すぎる、考えられるとしたら切歌の体はネフィリムが乗っ取るに最適な体だったと言うこと……」

 

「んまぁ、俺が行かなくても、調たんが何とかするだろ……」

 

そう呟き、礼は再びパソコンへと気を戻した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

切歌と調のぶつかり合いは長期に渡った。

調は礼から教わったオーラの使い方を完璧に使いこなし、切歌の場合はネフィリムが切歌の力を乗っ取り、高めていた。

 

「ギェァアア!!」

 

ネフィリムの能力を持った切歌は再生能力も高ければ攻撃の力も強いが、調は体力が少なくなってきたため、勝機ゼロに近い状態となる。

その間にも切歌とネフィリムの体は一体化し、徐々に力を高めている。

 

「ギャァアア!!!」

 

切歌は疲れ果てて、膝を付いている調に飛びかかる。

仰向けに倒れた調は切歌に首を絞められた。

 

「うっ……く、るし………」

 

「クソッ!!やめろ!!」

 

シンフォギアを纏ったクリスは切歌にだけ弾を発射した。

しかし、切歌の姿だがネフィリムの要素を吸い込んだ体はクリスの攻撃を全て吸い取ってしまう。

 

「切……ちゃ………やめ………」

 

調の顔が青ざめ始めた時、切歌が調の上から離れた。

何かが当たったのだ。

 

「全く……全て調たんに任せる予定だったのに、やっぱりほっとけないんだよなぁ!俺ってー!!!」

 

「さぁ、デスガール。俺を殺して見ろよ」

 

 

 




ご覧いただきありがとうございます!
お久しぶりです!!!
今回はほんわかとした買い物シーンとガラッと変わり絶対絶命シーンを書いてみました。
やっぱり礼、出てきました()


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最高な人生 -終-

この話は最終話、11話となっております


「さあ、殺してみろよ。デスガール」

 

「グルルァァ!!」

 

切歌、いや切歌の姿のネフィリムは礼に鎌を振りかざす。

 

その瞬間礼は両手の指先にオーラを集める。

そして攻撃を受け流す目的を持ち、目の前に展開する。

これは調がクリスとの特訓の時に見せた技だ。

盾のようなものを作り出す、切歌の攻撃はその盾によって防がれる。

 

「おらァ!!」

 

礼はすかさずカウンターで右足を横にして切歌の腹部へ直撃させた。

切歌はかなりのスピードで石の塀にぶつかるが、何ともなかったように立ち上がる。

 

「ギャァアア!!」

 

切歌は又しても礼に突進してくる。

礼はそれを一つ一つ完璧に避けてみせた。

礼は切歌を見つめながら心の中で切歌に聞いた。

 

……なぁ切歌。覚えてるかよ、昔お前、「人を助けられるような強い力を手に入れたい」って、言ったんだぞ。

 

『にぃ!』

 

『んー?どしたー?』

 

『私、にぃみたいに大きくなったら人を助けられるような力を手に入れてみせるデス!!』

 

『ほぅー、それは心強いなー。じゃ切歌が俺を守れるようになるまで俺が絶対に守ってやる!』

 

『えへへー』

 

「くっ……」

 

礼は切歌が知らない記憶を蘇らせていた。

知らない間に礼の目は水面のように潤っていた。

礼は目に溜め込んだ涙を我慢し、切歌を見つめる。

 

『切歌君だって強い。多少は解決出来るだろう』

 

『自分でなんとかするデス!』

 

風鳴弦十郎と決闘した時の事を思い出す。

 

……お前はまだ強くねぇよ……俺が守ってやる…

 

その時切歌の左足の踵蹴りが礼の右肩に当たり、礼はバランスを崩す。

 

「ぐあッ!!」

 

右肩を抑えていると次は腹部を蹴り飛ばされる。

 

「がはぁッ!」

 

礼は地面に叩きつけられ、動きが鈍くなる。

しかし、そんな事お構い無しに切歌は倒れている礼の上へ飛び乗った。

 

「クソがァ!!」

 

礼は上に乗った切歌を振りほどき、調の前で立ち上がる。

 

「礼!私も……!」

 

「2対1は好きじゃねぇ、それにもう、終わらせる……」

 

「え、礼それってどう言う………」

 

礼は暴走している切歌の近くへ寄ると切歌はそれに気づき手を出して来た。

 

近づいた切歌を礼は足をかけて倒れさせる。

暴れる切歌の両手を片手で抑えた礼はもう一つの手で切歌の胸へ手を乗せる。

 

「ちょ、礼!?こんな時に何を…」

 

調は状況が理解出来ずに混乱していた。

 

「切歌の中のネフィリムのオーラだけを俺のモノにする!」

 

「そんな事出来るの!?」

 

「弦十郎のおっちゃんと戦った時に言ったはずだ、人のオーラを吸い取って自分の物にも出来る、とな」

 

切歌の胸に触れている手から礼独自のオーラが溢れ始める。

 

「こんな力、俺がめちゃくちゃにしてやる」

 

「アアアアアァァァ!!!」

 

悲鳴を上げる切歌を必死に抑え込んでネフィリムのオーラだけを引き抜く。

すると時期に切歌の変色した皮膚は元の肌色に戻った。

その代わり、礼の体が変色していた。

 

「な、なるほど……こりゃすげぇ力だ……少しでも気を緩ませたら飲み込まれちまいそうだ……」

 

「礼!!」

 

「ゆきねぇと調たんは切歌を安全な場所へ移動させてくれ」

 

「お前はどーすんだ!」

 

「俺は、ここで死ぬ」

 

「何で!せっかく切ちゃん、いいや妹に会えたんでしょ!?もっとそばに居てあげたいと思わないの!?」

 

「俺の目的は昔っから変わらねぇよ、切歌が楽しく生きることが出来ればそれでいい」

 

「礼………」

 

「さぁ、早く行け。俺はここでオーラを完全放出させる、つまり自爆だ」

 

「切ちゃんにはなんて言えばいいの!?」

 

「適当に帰って行ったとでも言っとけ」

 

「調、行こう……」

 

「でも……!」

 

クリスが調をじっと見つめると調は分かったといい、振り返ること無く全力で礼の場所から離れる。

 

礼はクリスと調の姿が見えなくなったことを確認すると空を見上げる。

見上げた空は雲一つない快晴で、西の空の方は紅く染まっていた。

 

「さて、終わらせるか……」

 

礼はゆっくりと瞼を閉じる。

 

「俺の人生はロクな事が無かった。なぁ切歌、もし俺とお前が別れてなかったらどーなってたんだろうな。きっとそうなってたら切歌は弱いままだったか…まぁそれを守るのが俺の生きがいになったかもしれないな……」

 

「ハァァァァッ!!」

 

礼はオーラを暴走させ、礼の体をグルグルと循環する。

そのオーラの中にはネフィリムの力があるオーラもあり、それを礼のオーラとぐちゃぐちゃに混ぜ込んだ。

そして礼は自爆出来る準備を完了させた。

 

「なぁネフィリムさんよ、今どんな気持ちか聞いてみたいもんだな……」

 

『………サイアクナキブンダ……』

 

礼はネフィリムの声だか分からないがそう聞こえた。

 

「ハハハッ!、俺もだ」

 

礼の体が黄色に光り始める。

次第に光力が上がり、眩しいほどにまでなった。

 

「切歌、最高に人生、楽しめよ……」

 

ドオォォォォォンッ!!!!

 

と遂に巨大な爆発が起きた。

爆風はかなり遠くに居たクリスと調にも伝わってきた。

 

「礼……!」

 

轟音が鳴り響くと同時に調が礼が居る方向を見た。

その方角には黒い煙がもくもくと上がる。

その瞬間に調は礼との特訓の日々を思い出すと涙が止まらずに流れ出した。

しかし、調は止まることなく切歌を抱えたまま本部へと戻った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「切歌君の様態は!?」

 

「礼の奴がなんとかしてくれた」

 

本部へ戻ったクリスと調はそれぞれ別行動していた。

クリスは弦十郎に報告、調は切歌をメディカルルームへ。

 

クリスが起こったこと全てを弦十郎に話すと、なるほど。と呟いて、それ以降話が進むことは無かった。

 

 

ベッドの上に切歌を寝かせた調は、切歌を見つめながら目を覚ますのを待った。

エルフナインが調のために紅茶を持ってくると同時に切歌が目を覚ました。

 

「おはよう、切ちゃん」

 

調はエルフナインからカップを受け取りながら切歌に話しかける。

 

「ネフィリムは……」

 

「礼が、全部終わらせてくれた」

 

「そう、デスか…、礼は何処に?」

 

「………帰っちゃったよ、切ちゃんを助けてすぐに…」

 

「お礼……言いたかったデス……」

 

調は紅茶を口に含み、カップを卓上電気の置いてあるテーブルにそっと置くと、調が予想もしなかった話を切歌か始めた。

 

「調、これは私がとても小さい頃の、まだ孤児院にも居なかった時の話なんデスけど……」

 

調は目を大きく開き、切歌の話を聞く。

 

「多分、信じては貰えないんデスけど……ね……」

 

「私には兄が居たデスよ、強くて逞しくて私をいつでも守ってくれた大好きなお兄ちゃんが…」

 

「そう、なの?」

 

調はこの時点で全てを察してしまい、涙が流れそうになるがぐっと堪えながら切歌の話を聞き続ける。

 

「そのお兄ちゃん、きっと礼なんデスよね……強くて、逞しくて、私を守ってくれて……まぁ、礼自身は覚えていないと思うデスけどね」

 

切歌が微笑しながら言うと、調は静かに涙を流していた。

 

「し、調!?えぇ?ど、どしたデスか?どこか痛いとか……?はっ!まさか私が記憶無いところで調に傷付けちゃったデスか!?」

 

「ううん……そぉんなんじゃないぃ……そんなんじゃなぁいんだけど………うわぁぁぁぁぁぁぁぁ………」

 

 

礼、あなたの人生はロクな事じゃなかったよ!あなたの事を覚えていた妹が居る!あなたの事を大好きな妹が居る!出会い方が間違っていなければ、とっても裕福な暮らしが出来たのに………

 

「あー、切歌ちゃん調ちゃん泣かしてるー!」

 

丁度ギャラルホルンから帰ってきて事情を把握した翼、マリア、響が顔を出した。

 

「珍しいこともあるものね、切歌が調を泣かすなんて」

 

「泣かすやつは許さなそうな奴なのに」

 

3人は笑いながら切歌の無事を確認した。

 

「ええええ、私は泣かせてないデスよー!調ぇぇぇ泣かないでぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はは、だっせぇ……」

 

とある男はコンクリートの上で仰向けになって呟いた。

 

 

 

 

ーTo be continued

 

 

 




ご覧いただきありがとうございました!!
これで『戦姫絶唱シンフォギア -聖遺物に取り憑かれた太陽-』は完結となります!
しかし、毎度恒例キャラクターによる感想という枠を作らせていただきますので、本編11話+1話、計12話で完全に終わりとなります。
読んで下さった皆様本当にありがとうございました!!!

To be continued、という事は………?


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キャラによる感想

この話は物語とは関係ありません。


「最後までご愛読ありがとデース!!!」

 

「今回は歌詞が題名にならなかったね」

 

「今回あたし出番少なくねぇか?」

 

「しょうがねぇだろ、主さんきりしら大好きなんだから、所詮ゆきねぇはサブだサブ」

 

「てめぇなぁ……運良く主人公貰ったからって……」

 

「あ……よ、みんな利奈坂 礼だ」

 

「ほんとに、礼お前強すぎねぇか…?」

 

「それは俺に聞かれても困る、設定したのは主さんだ」

 

「メタなことを言うな!」

 

「前回は調ピンチだったけど今回は私ピンチだったデスねー」

 

「切歌も調もめっちゃ強くなりやがって」

 

「確かに調は強くなりすぎたデスね」

 

「でも礼には叶わないよ?」

 

「そりゃあな、主人公最強のタグあるし、主人公最強じゃないと」

 

「そして今回もモブだった翼さんと響さんとマリア」

 

「結構出てきたデスよ今回は」

 

「いやーしかしゆきねぇのアイドル服は萌えたなぁ」

 

「や、やめろそれは…///」

 

「あ、照れたデース」

 

「あ、写真あるよ」

 

「どれどれー!!見せてー!!」

 

「響さんデース」

 

「なぁんでこーゆーときにお前は来るんだ!!」

 

「えー!これクリスちゃんー?プギャハハハ!!!」

 

「なかなか似合ってるじゃない」

 

「うむ、少しばかり不甲斐ないがこれもいいものだな…」

 

「おーまえらー!見るんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「それにしても俺が切歌の兄だって事気付いたやついるのかこれ」

 

「まぁいないデスねー」

 

「殆どは風鳴の人だと思ったんじゃないかな…」

 

「やっぱり?そうだよなぁー」

 

「最後の礼はかなりカッコよかったデスねー」

 

「やっぱり切ちゃんもそう思うんだ」

 

「そうだ、少しの時間だけ兄大好きキャラになってよ」

 

「礼、それはいくら何でも…」

 

「いいデスよー」

 

「えええ!切ちゃん!?」

 

「楽しそうじゃないデスか!」

 

〜ここから切歌お兄ちゃん大好きキャラ〜

 

「切歌」

 

「なぁに?お兄ちゃんっ!」

 

「うわ、キャラちげぇ…」

 

「クリス先輩が引くぐらいの出来……」

 

「お兄ちゃんカッコよかったデスよ!やっぱりお兄ちゃん大好きデス!」

 

「おお!!我が妹よぉ!そう言ってくれるとはお兄ちゃん嬉しいぞー!」

 

「なんだこれ…」

 

「でも最後お兄ちゃん生きてたデスよね!?」

 

「あ、うん、、ダサい事に………」

 

「でもお兄ちゃん生きてて良かったデス!お兄ちゃん居なかったら私何も出来ないデス」

 

「うひょぉぉぉぉぉぉおお!!可愛すぎかよ!!」

 

「でも、お兄ちゃんの事早く気づけなかったデス……私、妹失格デス!!!」

 

「そんな事あるわけないだろ、切歌は俺の大事な妹だ。見捨てたりなんてしねぇよ」

 

「お兄ちゃんやっぱり大好きデース!!」

 

「誰か早く止めろ……」

 

「お兄ちゃ……うぐッ!!」

 

「きーりーちゃーん?ちょぉぉっとこっち来ようかー?」

 

「ちょ、調、分かったデス分かったデス辞めるデスから離して……」

 

〜お兄ちゃん大好きキャラ終了〜

 

「いやー楽しかった」

 

「やりすぎだお前……」

 

「まあてな訳でな、To be continuedってことは続くんだろ?主さん頑張るな」

 

「礼の出番まだあるんだね」

 

「うぇぇ、調許して下さいデスよ……」

 

「ふん……!」

 

「ならさ、出番来るまで罪人の物語に行ってていいか?」

 

「お前は何処の人だ、物語と物語を渡るとか馬鹿なのか?」

 

「え!?行っちゃダメなの!?」

 

「ダメに決まってんだろ!それにあっちの物語は今あたしは意識不明だし切歌は重体だし、調は拘束されてるし、誰一人いねぇよ!?」

 

「えええ、まじかよ……」

 

「そろそろ終わりにするから、お前らもいい加減に機嫌なおせよ」

 

「んじゃ、最後まで読んで下さった方ありがとうございました!また俺の活躍が見れるから楽しみに待っててくれよな!」

 

「次回はこの話の続きじゃないらしいけどな」

 

「嘘だろぉぉぉ!?」

 

「えーっと、今度の主人公は調だって、またかよ!!!!てめぇどんだけ好きなんだよ!!あたし主人公来てもいいだろ!!」

 

「まぁ、所詮サブなんだよゆきねぇは」

 

「くっそーでも次回もあたし出るんだろ?ならまだ許す」

 

「次回もよろしくデース!!」

 

「よろしくね!!」

 

「お前らあたしらが上手くまとめてる時に勝手に終わらs………」

 

終わり




改めて、ご愛読ありがとうございました!!!これで本当に完結とさせて頂きます!!
To be continuedというように、続きの物語も考え中なのでまたあの男の活躍が見れるかもしれませんよ…?
自分では礼、かなり好きですw

それではまだ連載中の罪人、そして次回新しく更新する調主人公の《とても重たい》話をお待ちください!!


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