プリキュアドリームスターズ×仮面ライダー ー仮初の戦士達ー (風来のがばお)
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プロローグ

はじめましての方ははじめまして。ご存知方はお久しぶりです。今回の作品はプリキュアメインの仮面ライダーサブとなる作品となります。


完全にやっつけ小説です。ご注意下さい。


「はあ…はあ…」

 

ここはかつて、多くの人々が笑顔が溢れていた豊かな世界だった。しかし今ではその光景が嘘のように荒れ果てていた。

崩れ去る建物、ひび割れゆく大地、暗雲立ち込める空。まさに崩壊した世界と言ってもいい。

 

「まだ…まだぁ…っ…!」

 

そんな中、三人の少女達は息を切らし、ボロボロながら目の前の巨大な影の前に立っていた。プリンセス、魔法つかい、パティシエ。それぞれを司る伝説の戦士は、この事態を引き起こした元凶と戦っていたのだ。

 

「おや。まだ立ち上がるというのか。既にお前達以外の仲間は全て私と一つになったのだ。さぁ…大人しく私のものとなり、あらゆる世界を喰らい尽くす力の糧となるのだ」

「そんな事…させない!」

 

うさ耳のパティシエの戦士は、言い放った。

 

「私達の力は皆に笑顔を届ける為に使うの!そんな事の為に使うんじゃない!」

「ホイップの言う通り…私達の力をそんな事に使わせる訳にはいかない…!」

「だから私達は…諦めない!」

 

続いて魔法つかいの戦士、花のプリンセスの戦士も同様に立ち向かう。

 

「ほう…諦めない、か…だからこそその力が欲しいのだ。純粋で美しい力をな。ここまで抗ったのだ。取り込む前に最後に面白いものを見せてやろう」

 

巨大な影は三人に手をかざす。すると三人の周囲に様々な仮面の戦士が現れだした。

 

「何なのこれは…!」

「これは以前喰らった異界に存在する仮面戦士の力より生み出した存在だ。お前達と同じく平和の為に戦った者達だ。これに潰されるのも悪くないだろう?」

「この人達も私達と同じ…」

「こんな事に使うなんて…なんて事を!」

「どうとでも言え。やれ、お前達」

「っ!」

 

巨影の掛け声と共に仮面の戦士達は三人に襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「………」

「かなり粘ったようだが…良く頑張ったと言うべきだな」

 

あれからしばらく経ち、幾人かの仮面の戦士を倒していたが、三人の少女達は遂に力尽きてしまった。

 

「では喰らうとしよう。伝説の戦士の力、戴くぞ」

 

仮面の戦士を消し、手のひらから黒い触手を出現させる。意識を失い、抵抗する術を持たない少女達に黒い触手が絡みつく。花のプリンセス、魔法つかいの戦士は巨影に取り込まれ、パティシエの戦士も取り込まれようとしていた。

 

その時だった。

 

《テレポート・ナウ》

「っ!遅かった!」

 

笛と剣が一体となった武器を持つ金髪の少女が魔法陣と共に現れた。

 

「おや。これはこれは…まさかお前まで異界を超えてくるとはな。だがもう遅い。既にこの世界の戦士は私の力となった。最早お前の力では私を止めることは出来んお前では無理だ」

「止めてみせます。無理してでも!」

 

《チェイン・ナウ》

 

金髪の女性は腰にある手のひらの形を模したバックルに右手をかざすと巨影の周囲に魔法陣が現れ、更にそこから鎖が現れ巨影に巻きついた。

 

「ふん。この程度の拘束、どうということもない」

「更に重ねがけを!」

 

《シールド・ナウ》

 

女性が更にバックルに手をかざすと、巨影の足元に魔法陣が現れ、光り輝き出した。

 

「封印の魔法か。だがどうやらここまで来るのに力を消耗しているようだな。そんな状態ではお前の父親にすら及ばんぞ」

「くっ…!」

 

だが力が足りないのか、封印の力が秘めた魔法は十分に効果を発揮出来ていなかった。

 

「ついでだ。セレスティア・スカーレット…貴様も喰らいスカーレットの血族に終止符を打つことにしよう」

「っ…!諦めません…彼女達が最後まで諦めなかったように…私も諦めません!」

 

金髪の女性…セレスティア・スカーレットにも黒い触手が伸び、彼女をも取り込もうとした、その時だった。

 

「むっ!?な、何だ…!?」

 

突然巨影の身体がひび割れ、様々な色の光が溢れ始めた。

 

「これは…彼女達が持つ…力…?取り込まれてもなお抗っているのですか…?」

「むうぅぅっ…!ふざけた真似ぉぉぉっ!!」

 

巨影は叫び、全身が光り輝き出す。そしてそれに留まらず世界が光に包まれる。

 

「っ!ここは…!」

《…・ナウ》

 

全てが光に飲み込まれる直前、セレスティアはとある魔法を使い、この空間から離脱した。

 

そして

 

 

「ウオアアアアアッッッッッッッッッ!!」

 

 

 

全てが光に飲み込まれ、この"世界"は消滅した。

 

 

 

 




セレスティア・スカーレット

・イメージCV:坂本真綾

・容姿イメージ:ジャンヌ・ダルク(Fate/Apocrypha)


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壊れる世界

やっつけ小説についていただきありがとうございますm(_ _)m

本編第1話の始まりです。




《~♪~♪》

「うーん…」

 

とある部屋で、目覚ましの音が鳴り響く。ベッドの上で少女は、その音にうなされていた。

 

《♪~♪~》

「うーん…も~っ!やっ!」

 

その音に耐えきれず、少女は目覚まし時計を乱暴に投げつけたと同時に時計は落ちた衝撃で音がなりやんだ。

 

「ふぅ…おやすみなさぁ…」

「イチカ~?起きてる~?」

 

少女は再び眠りに就く。と、少しして部屋の扉が開き、そこから別の少女が現れた。

 

「うわっ、やっぱり寝てた。もうイチカ!早く起きてよ!学校に遅刻しちゃうよ!」

「ええ~…ミライ~…今日は日曜日だよ…まだ少し寝かせてよ~…」

「今日は月曜日だよ!ほら、見て!」

「へ?」

 

と、ミライが手に持つ時計に記された日時、そして曜日を確認するイチカ。そこには"MON"の英字三文字が並んでいた。二度三度、目をこすって確認するイチカ。何度見ても変わりなく"MON"の三文字が並んで表示されていた。

 

「な…な…何ですと~!?」

 

兎上(とがみ) イチカは、自分が寝坊したという状況に気づき、親友である朝田(あさだ) ミライの協力を得ながら急いで支度をするのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

イチカの家の玄関前にて、一人の少女がイチカとミライの二人を待っていた。彼女の名は春瀬(はるせ) ハルカ。イチカとミライの親友である。

 

「お待たっ…うわっ!」

「うわぁっ!?」

 

イチカの家の扉が開くと同時に、イチカは躓き転んでしまい、ハルカに向かって頭から突っ込んでしまった。

 

「うう…はっ!?ごめん!大丈夫ハルカ!?」

「いててて…だ、大丈夫だよイチカちゃん。イチカちゃんこそ大丈夫?」

「もー!イチカは慌てんぼさんなんだから!」

 

互いの心配をしている中、ミライがイチカの鞄を持ってゆっくりと駆けてきた。ミライと合流したので、三人は学校に向かい歩き出す。

 

「えへへ~ごめんごめん。でも助かったよミライ。ミライのお陰で遅刻せずに済みそうだよ」

「でもどうして寝坊なんかを?イチカちゃんご寝坊なんて珍しいし」

「しかも月曜と日曜を間違えるなんてね」

 

ミライとハルカは不思議に思った。いつものイチカなら学校に寝坊したりする事は無かったのに珍しく、しかも曜日を間違えるのは1度も無かったのだ。

 

「うーん…よく分からないんだけど、なんか変な夢を見ちゃってね…」

「変な夢?」

 

うん、とイチカは頷く。

 

「私がね、魔法少女みたいな格好で戦ってて、大きな敵にやられちゃうって夢なんだけど…」

「うわっ、何それ。変な夢…って言いたいけど、実は私もなんだよね…しかもほとんど同じ」

「えっ!?ミライちゃんも?実は私もなんだよね…」

「二人も!?三人が同じ夢を見るなんて…なんか不思議というかなんというか…」

「「「うーん…」」」

 

不可思議な現象に三人は疑問に感じた。果たしてこれは偶然なのか、または何か不吉な事が起こる前触れなのか。不安すら感じた。

 

 

そんな三人の不安は、的中する事になる。

 

 

 

ドォォォン!!

 

 

突然、街の至る所で爆発音が響き、所々で火柱が立ち始めた。

 

「えっ!?何なの!?爆発!?」

「分かんない!だけど…」

「うん、行ってみよう!」

 

三人は爆発が起こった場所へと走り出した。この時の事を三人は何故向かったのかは分からなかった、と答えていた。本能的に、向かわなきゃ行けない、そんな事を三人は言っていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

三人が爆発地点に到着すると、そこには白を基調としたものや、機械人形のような兵隊、神話に登場しそうなものの怪人達が暴れ回っていた。周囲の人々は混乱し、怪人達から逃げ回っていた。

 

「何あれ~!?」

「分かんない!けどまずは…」

「街の人たちを避難させなくちゃ!」

 

三人は急いで救助活動を始めた。老若男女問わず三人は様々な人々を安全な場所へと避難させていった。

 

そんな三人をある二人の戦士が目をつけた。

 

「あの三人…あの方の仰っていた方々ですね。ではご命令通りに…」

「ウィ」

 

二人の戦士は三人のいる方へと向かっていく。

 

「皆さんこっちです!」

「安全な場所へ早く!」

 

三人の活動のお陰で、殆どの人々が避難できていった。そんな三人の近くに光弾が撃ち込まれる。

 

「っ!?何あれ!?」

 

イチカ達は撃った先を見る。そこには黒いオーラを纏った二人の戦士がいた。一人は赤と青の隻眼の、まるでゲームに登場するキャラような黒い戦士。もう片方は金色の体と角を持つ赤き複眼の戦士。二人の戦士はゆっくりと近づいていく。

 

「他のとはちょっと違うみたい…」

「ボンジュール。あなた達があの方が求めてた人達ね」

「あの方のご命令です。あなた達を拘束させていただきます。抵抗するようでしたら…力尽くで」

 

二人の戦士は構えた。

 

「私達を狙ってる…?」

「どうして…なんで私達を?」

「ノン。知る必要は無いわ。あなた達も私達と同じようにあの方のモノになるのよ」

 

そう言って黒い隻眼の戦士は斧と銃を合体させたような武器を三人に向かって構え、光弾を放った。光弾は三人の隙間を縫うようにして通り抜け、背後の建物に当たり爆発した。

 

「あなた方を傷つけたくは無いのです。さぁ、抵抗せずに私達と共に来るのです」

「お断りよ!私たちの街をこんな目に合わしたあなた達なんか信用出来ない!」

「ウフ…やっぱりこうなるみたいね。じゃ、仕方ないわね」

 

黒い隻眼の戦士は先程の武器を銃の形態から斧の形態へと変え、三人に接近する。それに合わせて金色の戦士も三人へと向かった。

 

《イエス!サンダー!アンダスタンド?》

 

と、その接近を阻むように突然緑色の電撃が二人の戦士に直撃した。

 

「ぐっ…!誰!」

 

電撃が飛んできた方向を向くと、そこには白いローブをした指輪をした戦士がいた。ローブを着た戦士は、三人の前へと立つ。

 

「大丈夫ですか?」

「は、はい…」

「うん…」

「大丈夫です…あなたは?」

 

ハルカは名前を訪ねようとするも、ローブの戦士は振り向かずに言った。

 

「ここでは話せません。少し場所を…っ!」

 

《パーフェクトクリティカルフィニッシュ!》

 

黒い隻眼の戦士は、ベルトに刺さっていたデバイスを武器へと差し込み、強力なエネルギー弾を放ってきた。

 

《リフレクト・ナウ》

 

ローブの戦士はすかさず手のひらを模したバックルに手をかざす。すると突然地面から壁が現れ、エネルギー弾を防いだ。そして、壁が崩れ去ると同時にローブの戦士とイチカ達三人の姿は消えていた。

 

「逃げましたか…」

「問題ないわ。あの方が言ってた通りなら、あの白いローブの魔法使いは私たちの前に現れるでしょうね」

 

二人は深追いすることもなく冷静に考え、その場を離れるのだった。





今回の二人の戦士の配役に「これは違うのでは?」と思う方がおられると思いますが、再び言いますが、《やっつけ小説》なので、多少の違和感は無視して行くつもりですので、ご了承ください。




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『この世界』

やっつけ小説にお付き合いいただき、ありがとうございます。


第2話です。今回は説明回となります。


「どうぞ、こちらへ」

 

とある屋敷の地下。イチカ、ミライ、ハルカの三人は金髪の女性、セレスティア・スカーレットに連れられ、この場所へとやってきた。

 

「助けてくれてありがとうございます。えっと…あなたは?あっ、自己紹介がまだでしたね。私は兎上 イチカって言います。イチカって呼んでください」

「私は朝田 ミライです。私もミライって呼んでください」

「春瀬 ハルカです。私もハルカで」

「兎上…朝田…春瀬…やはり世界再構築の影響が…私はセレスティア・スカーレット。はじめまして、プリキュアの皆さん」

 

と、セレスティアは頭を下げて名を名乗った。

 

「プリ…キュア…?」

「何なんですか…?それは…」

 

聞き慣れない言葉に首を傾げる三人。

 

「やはり…あなた方は覚えていないのですね。プリキュアの事を…そしてあの戦いの事を…」

「戦い…?うっ…!?」

 

イチカは呟く。と同時に突然頭痛が起こった。

 

「イチカっ!?うっ…!?痛っ…!?」

「二人共…痛っ…!?」

 

それに釣られるようにミライとハルカの二人も頭痛が走る。そして三人の脳内にあるビジョンが映った。

 

魔法少女の姿となり、様々な怪物との戦い、そして多くの人達を救い、苦悩しながらも交流を深める日々。まるで走馬灯のように流れていった。

 

「何…これ…」

「昔の…記憶…?でもそんな事…あったっけ…?」

「セレスティアさん…私達って…一体…」

 

頭痛が少しずつ収まり、三人はセレスティアに問いかける。

 

「まずは椅子に座って下さい。少し長くなりますしね。まずはそうですね…プリキュアについて話をしましょう」

 

 

プリキュア。それは古より伝わる聖なる力を秘めた伝説の存在。同じプリキュアの仲間達と力を合わせ、邪悪な存在から世界を守る為に戦う世界の守護者。それがプリキュアなのだと。掻い摘んだ説明ではあるものの、プリキュアがどういう存在かは理解したものの、三人はピンと来なかった。

 

「私達が…プリキュア?」

「はい。正確には、『だった』が正しいでしょう」

「だった?って…どういう事ですか?」

 

ミライは質問する。

 

「ええ。事の発端は…私の一族の問題です」

「一族?」

「はい。この『世界』とは違う『世界』で、私の一族…スカーレット家は魔法を操る魔法使いの一族でした。そして私達は古くから存在していた『ある怪物』を封印し、その封印を護っていました」

「怪物って?」

 

怪物の正体を聞かれ、セレスティアの表情が曇る。

 

「"ラプラス"。あらゆるものを自身の力とし、世界をも飲み込まんとする…まさに悪魔のような存在です。ラプラスの封印が解かれ、私の世界や…他の仮面ライダーの世界をも飲み込んでしまったのです」

「仮面ライダー…さっきの人達の事ですね。セレスティアも仮面ライダーって事ですか?」

「はい。仮面ライダーは人間の自由を護る世界の守護者。私も仮面ライダーワイズマンとして怪人達と戦ってていました。しかしラプラスは飲み込んだ力を歪める事が出来るのです。その影響で守護者たる仮面ライダーの多くが…ラプラスの影響で闇の戦士に変質してしまったのです。封印が解かれなければ…こんな事には…!」

「セレスティアさん…」

 

自分の力の無さを悔いているのか、セレスティアは震えるように拳を握りしめる。

 

「…話を戻しましょう。あなた方が何故プリキュアだった、でしたね。元々あなた方はプリキュアとして世界を護っていました。その本質としては仮面ライダーと同質です。ラプラスはプリキュアの力を欲し、あなた方の世界へと侵攻を始めたのです」

 

セレスティアは続けて言った。

 

「結果はプリキュア達の敗北。三つのプリキュアのチームはラプラスによって飲み込まれてしまいました。しかしプリキュアの持つ特有…奇跡の力がラプラスの存在を変質させたのです。その結果はラプラスは世界と共に破壊され、世界は再構築されたのです。それが『この世界』なのです。ですがプリキュアの奇跡の力の代償は大きく、あなた方はプリキュアの力だけでなく、存在自体が変わってしまったのです」

「だからプリキュア『だった』って訳ですね」

「はい。更に本来の世界とは異なる特異世界が複数生まれ、プリキュア達も様々な世界に散り散りに飛ばされました。そしてラプラスも消えた訳でも無く、散り散りに存在が別れ、また復活を目論もうとしているのです。もしかすると…他の特異世界にもラプラスの影響が…」

 

と、その時。天井に衝撃が走り、砂埃が落ちた。怪人達と闇に堕ちたライダー達がすぐそこまで迫ってきているのだろう。

 

「まずいですね…ここも長くは持ちそうにないですね」

「ど、どうすれば…」

「……イチカ、ミライ、ハルカ。あなた方にお願いがあります」

 

そう言ってセレスティアは懐からあるものを取り出した。それは透明に光る水晶の欠片のような石だった。

 

「私と共に、戦ってくれませんか?」

 

セレスティアは、手にした石を三人に差し出すのだった。



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変身

やっつけ小説にようこそ。第3話となりますが、投稿してなんですがあまり納得のいく文章ではありません。

ご指摘があれば、よろしくお願いします。


「んん…この辺りのはずなのだけどね」

「ええ。彼女の魔力の反応はこの辺りからですし、この近くに潜伏している可能性がありますね」

 

先程イチカ達を襲った二人の闇に堕ちた戦士、仮面ライダーアナザーパラドクスと仮面ライダーアギトは、怪人達を引き連れ、セレスティアの持つ魔力の残滓を頼りに四人を探していた。

 

「辺りの建物は怪人達に倒させてはいますが…それでも出てこないという事は…」

「ウィ。何処か地下にアジトを作って隠れてるって訳ね」

 

そう考え、アナザーパラドクスは怪人達に命令出した。

 

「皆!この辺りの建物だけじゃなくて地面ごと破壊しなさい!」

「「グゥオォォぉぉ!!」」

 

命令に従い、怪人達は破壊活動を再開し、各地で悲鳴が起こり、周囲はより酷い状態になっていった。

 

「こうなればイヤでも出てくるでしょうね」

「ええ。彼女もこれまでの戦いで疲弊している事でしょうし、倒すのは簡単でしょう。それにあの三人をあの方に捧げれば、あの方も喜ぶでしょうね」

 

怪人達の破壊活動に二人は参加し、セレスティアとイチカ達をあぶり出そうとした。その時であった。

 

「お探しの相手はこちらですよ」

《エクスプロージョン・ナウ》

 

突然瓦礫の間から光が漏れ出したかと思うと、爆発が起こり、瓦礫は跡形もなく吹き飛んだ。その爆心地には、隠れていたであろう地下への隠し穴、そしてセレスティア・スカーレットの姿がそこにはあった。

 

「やっと出てきたみたいね」

「あなたから出てくるとは、探す手間が省けましたよ」

「黒いパラドクスに…アギト…ラプラス…!」

 

《ドライバーオン・ナウ》

 

どちらも正義の仮面ライダー。それを闇の戦士に堕とされた事に怒りながらセレスティアはバックルを変身ベルトであるワイズドライバーへと変え、レバーを操作した。

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン…シャバドゥビタッチヘンシーン…》

 

「変身…!」

 

《チェンジ・ナウ》

 

セレスティアは左手のチェンジウィザードリングをベルトにかざし、白い魔法使い…仮面ライダーワイズマンへと変身した。

 

「たった一人で私達に立ち向かうつもりですか?」

「流石のあなたでもこの数と私達二人を相手にするのは無理があるんじゃないかしら?」

「ちょ〜っと待った〜!」

 

と、隠し穴から声が響き、そこからイチカを先頭にミライとハルカの三人が出てきた。

 

「現れましたね。プリキュアの皆さん」

「…イチカ…」

「ん?どうかしましたかパルフェ?」

「いえ…何でもないわ。あの方の命令が大事よ…(何かしら…さっきもちょっと思ってたけど…あの子を見てると…何故か…戦うのを躊躇っちゃうような…)」

 

イチカの姿を見て、アナザーパラドクスは何故かは分からないが、まるで共に過ごした親友のような感覚に軽く躊躇いを感じた。

 

「何だかあの黒いの…私を見てるような…それに何か…会ったことのあるようなないような…」

「何だろう…私はあの金色の仮面ライダーに何か…親近感ってのかな…そういうのが…」

「私は特に無いけど…」

 

イチカとミライの二人もアナザーパラドクスと同様に何かしらの絆のようなものを感じていた。ハルカは特に感じられなかったが。

 

「力を失ったプリキュアを出したところで何になるのですか?」

「それはどうでしょうか?皆さん…あまり時間はありませんでしたが、行けますか?」

「はい!石から使い方のイメージが流れ込んできてなんとなくは使い方は分かりました!」

「あとは戦いながら!」

「二人共…行こう!」

「「うん!」」

 

《ドライバーオン・プリーズ》

 

三人はワイズマンの前に立ち、イチカハンドルのついたドライバーを腰に、ミライは右手にセレスティアが使用した指輪を填めてバックルにかざし、ハルカは刀のような物がついたドライバーを腰に装着した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「これは何ですか?」

 

ハルカは差し出された石の一つを受け取って尋ねた。

 

「これは仮面ライダーの力が込められた魔法石です」

「魔法石ですか?」

「ええ。二人もこれを」

 

セレスティアに促され、イチカとミライも魔法石を手に取った。

 

「この石をどうするんですか?それに私達…戦う事なんて出来るんですか?私達がプリキュアだったのは…まぁ分かりましたけど、それでも世界が変わったせいで力を失ったんどすよ。そんな私達に戦うのなんて…」

 

イチカの言うとおりである。伝説の守護者であるプリキュアとはいえ、力を失った今ではただの人である。そんな状態で戦うなど自殺行為である。

 

「…確かに…そうでしょうね。ですがその仮面ライダーの力が込められた魔法石の力を借りれば、あなた方は仮面ライダーの力を得て、怪人達と戦う事が出来るでしょう」

「私達が仮面ライダーに?」

「これであの怪人達をやっつける事が出来るんですね?」

「…頼んでおいて申し訳ないのですが…いいのですか?この戦いは危険が付きまとう…下手すれば命の危険性もあります。それでも戦いますか?」

 

セレスティアは改めて三人に質問した。いきなり世界を守護する存在だったと言われ、更に世界を守る為に危険な戦いに参加してくれと言われれば、何を言っているのか分からないだろう。それにいきなり危険な事に参加してくれ等と言われれば普通はNOと答えるだろう。

しかし三人は違った。

 

「うーん…よく分からないんですよね。いきなりあんなのと戦ってって言われても…普通は嫌だし、怖いですよ。でも何だろう…それ以上に戦わなきゃ、って…守らなきゃって思っちゃうんです。私達がプリキュアだったから…なのかな…でも…皆が笑顔を守るためなら…戦います!」

 

イチカの答えにミライとハルカも頷く。どうやら二人も同じ考えのようだった。

 

「セレスティアさん。どうすれば仮面ライダーになれるんですか?」

「私達に…戦う力を…!」

「…分かりました。その魔法石に強く願ってください。本当に世界を救いたいと願えば…その想いに魔法石は応えてくれます」

 

イチカ達の強い意思を感じ、セレスティアは方法を教えた。イチカ達は教わったとおり、目を瞑り、石に念じた。

 

(お願い…!)

(私達に…!)

(世界を守る…!)

(((力を…!!)))

 

三人の強い願いに呼応するかのように、魔法石は光り輝き、三種類の仮面ライダーの顔の指輪に変化した。

 

「変わった…!」

「では三人共、私のバックルにかざしてください」

 

三人はセレスティアの指示に従い、セレスティアの手形のバックルに指輪をかざした。

 

《ビルド・ナウ》

《ガイム・ナウ》

《ウィザード・ナウ》

 

指輪をかざすと、それぞれの指輪は三つのドライバーへと変化した…

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「テュリゴール!?それは…!」

「ドライバー…!?」

 

《オレンジ》

「エンゲージ!」

《ロックオン!》

 

三人がドライバーを取り出した事に驚くアナザーパラドクスとアギト。それに気にせずハルカは懐からオレンジを模した錠前を取り出し、ロックを解除し、ドライバーに錠前はめ込んだ。するとハルカの頭上からオレンジのような鎧が現れた。

 

「フレイム」

《シャバドゥビタッチヘンシーン♪シャバドゥビタッチヘンシーン♪》

 

ミライは赤い指輪を左手に付け、ドライバーのレバーを倒した。ドライバーからは軽快な音楽が流れ出した。

 

「戦車と兎を…!」

 

《ラビット!》

《タンク!》

《ベストマッチ!》

 

イチカはボトルのようなものを振り、ドライバーに二本ずつ装填した。

 

「変身!」

「変身!」

「変身!レッツらまぜまぜ!」

 

ハルカはドライバーについた刀を倒し、ミライは左手の指輪をドライバーにかざし、イチカはハンドルを回して叫んだ。

 

《オレンジアームズ!花道・オンステージ!》

 

《フレイム・プリーズ》

《ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!》

 

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!》

 

ハルカはフルーツと鎧武者の二つを掛け合わせた戦士"仮面ライダー鎧武"に、ミライは絶望を希望に変える指輪の魔法使い"仮面ライダーウィザード"に、そしてイチカは兎と戦士の意匠を持つボトルの戦士"仮面ライダービルド"へと変身した。

 

 

今ここに、仮面ライダーの力を借り受けた三人の戦士が並び立つ。




感想お待ちしております。次回もよろしければ…


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悪に染まるプリキュア

やっつけ小説にようこそ。

第5話となります。もうそろそろでプロローグストーリーは終わりとなります。


「イチカ達が…」

「仮面ライダーに…」

 

アナザーパラドクスとアギトは驚いていた。まさか力を失ったとはいえプリキュアでありながら仮面ライダーの力を使うとは。しかしそれと同時に、やはりとも思っていた。仮面ライダーであるセレスティアが干渉すれば、イチカに何かしらの力を与えるだろうと。

 

「うわっ!凄い凄い!私仮面ライダーになっちゃった!」

 

ビルドになったイチカは、自らの身体のあちこちを触り、自分が仮面ライダーに変身した事を再認識する。

 

「凄い…力が溢れてくる!」

「これなら何とか出来る!」

 

ミライとハルカも自分達の姿を見て、気持ちが昂る。

 

「皆、やっちゃって!」

 

アナザーパラドクスは怪人達に指示をし、四人の仮面ライダーへ攻撃を命じた。

 

「皆さん!来ます!」

「はい!えっと…これだ!」

「私は…これだね!」

 

《コネクト・プリーズ》

 

「私のは…刀と…オレンジ?」

 

セレスティアの掛け声で、三人の仮面ライダーは各々の武器を取り出した。鎧武に変身したハルカは、二振りの武器の内の大橙丸の形状に少し困惑したが。

 

《チェイン・ナウ》

 

「はっ!」

 

セレスティアはチェインの魔法を発動し、周囲の怪人達を鎖で拘束し、一箇所にまとめた。

 

「時間はかけません。すぐに終わらせます!」

《エクスプロージョン・ナウ》

「グゥオォォォ…!!」

 

そしてセレスティアは一箇所にまとめた怪人達に対して爆発の魔法を放ち、怪人達は爆発とともに消し炭にされた。

 

「次!」

 

セレスティアは笛と剣が一体となっている武器"ハーメルンケイン"を構えて、別の怪人達の元へと向かっていった。

 

「セレスティアさん凄いなぁ…」

「私達もやろう!」

「うん!」

 

セレスティアの強さに圧倒されつつも、イチカ達は怪人達へと立ち向かっていった。

 

「やぁっ!」

 

ドリル型の武器である"ドリルクラッシャー"を構えたビルドは、次々と怪人達をなぎ倒していく。

 

(分かる…!仮面ライダーになった事もないのに…自然と身体が動いてくれる!)

 

初めての実践のはずなのに、次に相手がどんな動きをしてくるのかが予測出来、対処していくビルド。

 

(それに私…覚えてないけど…こういうのと戦ったことあるんだ…!)

 

そして記憶には無いが、自身がこういった戦いを経験していた事をイチカは直感した。それはミライとハルカの二人も仮面ライダーの力を通じて同じ思いを抱いていた。

 

《ビッグ・プリーズ》

 

「えい!はぁぁっ!!」

 

ウィザードはビッグの魔法を使い、右手を巨大化させ怪人達を薙ぎ払う。

 

「フローラ!」

「分かった!はぁっ!」

 

ウィザードの攻撃で飛んできた怪人達を鎧武は大橙丸と日本刀のような武器"無双セイバー"を繋げ、薙刀モードへと合体させ、流れるように切り伏せていった。

 

「ナイスフローラ!」

「そっちこそミラクル!って…あれ?ミラクル…って?」

「あれ…?フローラ…って…何で…?」

 

息の合った連携が上手く決まり、ハイタッチをしたウィザードと鎧武。が、同時に互いに"フローラ"と"ミラクル"と自然と無意識に発した事に動揺した。少しずつ、二人はプリキュアとしての記憶が戻りつつあった。

 

「(少しずつプリキュアの記憶が蘇りつつありますね…)二人共!まだ来ますよ!」

「は、はい!」

「今は目の前の敵に集中しなくっちゃ!」

 

セレスティアに促され、二人は戦いに集中させた。

 

「たった三人増えただけで…しかも変身したてなのにこんな…」

「力を失ったとはいえ…ミライ達はプリキュア。流石は、といったところでしょう」

 

二人の仮面ライダーは、変身して間もない三人の戦士の活躍によって怪人達が一掃されていく様を見て驚いていた。力を失ったとはいえ、プリキュア。戦闘に関しては慣れているのか、借り物の仮面ライダーの力も少しずつ使いこなしていた。

 

「あれ?フェリーチェ…あなた…」

「そういうパルフェも、そうなんですよね?」

 

 

 

 

そして気がつけば、怪人達はほとんど居なくなり、残るはアナザーパラドクスとアギトの二人のみとなってしまった。

 

「あとはあなた達二人だけよ!」

「…正直ここまでやるとは思いませんでした」

「ウィ。でも私達はあなた達が倒した怪人達とは訳が違うわよ!」

 

アギトは左腕が青く染まり専用武器ストームハルバートを持つストームフォームへと変身する。アナザーパラドクスは同じく専用武器であるガシャコンパラブレイガンをアックスモードに切り替え、二人は近接戦闘の構えに入る。

 

「まずは…これね」

 

アナザーパラドクスが上空に手をかざすと、周囲からメダルのようなアイテム"エナジーアイテム"が現れ、4×4の正方形の並びで上空に並んだ。

 

「これをこうして…うん!パルフェ!」

 

《高速化!》

《高速化!》

《マッスル化!》

《マッスル化!》

 

まるでパズルゲームのように操作し、アナザーパラドクスは選択した四枚のエナジーアイテムを自身とアギトに付加させ、強化した。

 

「三人共、来ますよ!」

「「「っ!」」」

 

セレスティアの号令で構える三人。しかしその瞬間に二人のライダーの姿が消えてしまう。

 

「ロン!」

「っ…!きゃっ!」

「うわっ!!」

「きゃあっ!!」

 

高速化の能力により、イチカ達は二人の高速の攻撃を食らってしまう。セレスティアは何とか攻撃をハーメルンケインで防ぐ事は出来たが、マッスル化の効果で攻撃力が上昇している為、反撃に転ずることが出来ずに防戦一方でいた。

 

「このままでは三人が…くっ…!」

 

《リフレクト・ナウ》

《リフレクト・ナウ》

《リフレクト・ナウ》

 

イチカ達が倒れてしまうのを防ぐ為、セレスティアは三方にリフレクトのバリアを固めて防御の体勢に入った。

 

「セレスティアさん…!私も!」

 

《ディフェンド・プリーズ》

《ディフェンド・プリーズ》

《ディフェンド・プリーズ》

 

ウィザードもそれに重ねる形で力は弱いがディフェンドの魔法で防御力の補強を行った。

 

「これでなんとか…!」

「ですがあくまで一時しのぎの防御です…!何とか反撃に講じなければ、一方的に攻撃を受けるだけです!」

 

何とか二人のライダーの攻撃を防いで入るものの、少しずつバリアにヒビが入りはじめていた。

 

《デュープ・ナウ》

 

「聞いてください。この障壁が消えた瞬間に魔法を使って一時的に二人の動きを封じます。その隙に各々の強力な一撃を叩き込んで下さい!」

「「「はい!」」」

 

二人の分身を作り、イチカ達とセレスティアは反撃の準備を整えた。

 

「これで…」

「ラ・ファン!」

 

アギトは強力な一撃の為、赤い姿であるフレイムフォームへと変化し、刀系武器であるフレイムセイバーを手にして居合の構えで接近した。アナザーパラドクスもパラブレイガンの刃先にエネルギーを込めて急接近した。そして二人の攻撃がヒットし、障壁が破られてしまう。空かさず二人は第二の攻撃を放とうとした。

 

「今です!」

 

《イエス!グラビティ・アンダスタンド?》

 

「うっ…!?これは…!」

「身体が…重い…!」

 

セレスティアは待っていたとばかりにグラビティの魔法を使い、二人にかかる重力を強くし、動きを止めた。

 

《イエス!キックストライク・アンダスタンド?》

《チョーイイネ!キックストライク・サイコー!》

《オレンジ・スカッシュ!》

《ボルテックフィニッシュ!》

 

セレスティアの掛け声でオリジナルのセリスと三人の仮面ライダー達は飛び上がり、各々のライダーキックを放った。

 

「っ!くっ…ううっ…!」

「きゃあああっ!」

 

アギトは咄嗟に紅蓮姿であるバーニングフォームへと強化変身し、動きづらいながらもS字型の専用武器であるシャイニングカリバーで攻撃を軽減した。一方アナザーパラドクスは攻撃を察知する事が出来ずに防御が間に合わず、ワイズマンとウィザードの二人のキックを食らい、吹き飛ばされてしまった。

 

「ダメ押しに!」

 

《フレイム・スラッシュストライク!》

 

ウィザードはすぐ様追撃と言わんばかりに持っていた武器であるウィザーソードガンを使用した炎の斬撃を放った。

 

「くっ…!…うっ…!」

 

ウィザードの追撃が加わり、予想以上にダメージを受けてしまったのか、アナザーパラドクスは片膝を付き、変身が解除されてしまう。

 

「なっ…あなたは…!」

 

変身が解除されたアナザーパラドクスの変身者を見て、セレスティアは驚いた。その姿は、かつてラプラスに立ち向かっていき、そして敗れ吸収されたはずのプリキュア…"キュアパルフェ"だった。

 

「まさかあなたが…黒いパラドクスだったとは…」

「キュアパルフェ…パルフェ…ああっ…!」

 

ビルドであるイチカは、パルフェの姿を見て思い出す。かつて共に戦った大切な仲間の存在を。イチカは変身を解き、パルフェの元へと駆け寄る。

 

「パルフェ!大丈夫!?ねぇ!」

「イチカ…うっ…」

 

イチカを見たパルフェは、力尽きてその場に伏した。と同時に本来の姿の妖精キラリンへと戻っていった。

 

「パルフェが倒されましたか…でしたら…!ハッ!」

 

パルフェが倒されたのを見て、奪還の為にアギトは最強形態である光輝の姿のシャイニングフォームへと変身し、カリバーを二振りの刀に変化させる。

 

「パルフェを返しなさい!」

「うわっ!」

 

アギトはカリバーを使い、鎧武を跳ね除けてキラリンの元へと向かおうとした。

 

 

 

(待ってください。フェリーチェ)

 

と突然アギトの動きが止まる。そしてアギトの頭に青年のような声が聞こえた。

 

(ここは引いてください)

(っ…!ご主人様…しかしパルフェが…)

(いいんです。彼女を失うのは手痛いですが、あなたまで失うのはこちらとしては問題ですのでね。それに…相手はセレスティアだ。流石のあなたでも彼女相手では分が悪いです。ですので、ここは退却を)

(…分かりました。ご主人様がそこまで仰るのであれば…)

 

アギトはテレパシーで男性と交信し、退却する事を決める。そして武器を収め、変身を解除する。

 

「あなたまでもですか…キュアフェリーチェ…」

「あっ…フェリーチェ…?」

 

解除したその姿は、キラリンと同じく伝説の守護者であり、あまねく生命に祝福をもたらすプリキュア"キュアフェリーチェ"だった。黒いオーラを纏ったフェリーチェの姿を見てセレスティアは驚くが、それ以上に衝撃を受けていたのは、ウィザードであるミライだった。ミライもイチカと同様に娘のように可愛がった大切な仲間の存在を思い出したのだ。ミライは変身を解いて、ゆっくりと近づいていく。

 

「そんな…嘘だよね…フェリーチェ?」

「…ミライ…ごめんなさい。ですが私はご主人様に従わなければいけないので…次に会う時は…いくらミライでも、容赦しませんから」

 

フェリーチェの背後に灰色のオーロラが現れ、フェリーチェはは後ずさりなごらそのオーロラの中へと消えていったのだった。

 

 





男性のイメージCVは内山昂輝さんを。

感想お待ちしております。


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戦いを終えて・・・

やっつけ小説にようこそ。第6話となります。


「フェリーチェ…」

「ミライちゃん…」

 

オーロラの中へと消えていったフェリーチェを見て呆然と立ち尽くすミライ。そんなミライに変身を解除してハルカは歩み寄り声をかけた。

 

「ミライちゃん…大丈夫?」

「……うん…大丈夫…フェリーチェは…あんな事言わないもん…絶対…」

「…そう…だよね…」

 

平静を装ってはいるものの、明らかに動揺を隠しきれていないミライに対し、ハルカはかける言葉が見つからなかった。

 

 

「キラリン…ごめんよ…まさかキラリンが…悪い仮面ライダーだったなんて…」

 

一方イチカはキラリンを抱え、動揺していた。何せ先程戦っていた相手がかつて共に戦った大切な仲間だったのだ。それが敵として現れ、互いを傷つけあっていたのだ。今のイチカは罪悪感で頭が一杯になっていた。

 

「…皆さん。一度落ち着ける場所へと移動しましょう。それにそちらの妖精さんの手当を」

 

セレスティアも変身を解除し、三人に移動の指示を出した。

 

「…分かりました。みんな、行こう」

「うん…」

「ええ…」

「それと何ですが…」

 

と、セレスティアは付け加えるように言った。

 

「皆さんの姿…」

「えっ…?あっ!」

「嘘…何で…?」

「いつの間に…」

 

イチカ、ミライ、ハルカの三人は、それぞれ自分と相手の姿を見た。その姿は、かつて自分達か変身して戦っていた姿である…プリキュアとしての姿に変わっていた。鍵のプリンセス"キュアフローラ"。宝石の魔法つかい"キュアミラクル"。伝説のパティシエ"キュアホイップ"。唯一異なっているのは、ライダーの変身のベルトをつけている事だけか。

それぞれの姿になっていた事に三人は驚いていた。

 

「「「あっ…!」」」

 

そして、プリキュアとしての姿を見て思い出した。自分自身の、プリキュアとしての…かつての自分の記憶を。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

未名世界

 

 

どこかの宮廷にて、灰色のオーロラが現れ、そこから先程の戦いから帰還してきたキュアフェリーチェが現れた。

 

「…はぁ…」

「お疲れ様です。ご無事で良かったですわ」

「あっ…スカーレット…お出迎えありがとうございます」

 

フェリーチェが帰ってくるのを待っていたのか、そこにはフェリーチェと同様…真紅の炎のプリンセスのプリキュア"キュアスカーレット"がいた。スカーレットとフェリーチェは並んで歩き出す。

 

「パルフェを失ってしまったそうですね」

「ええ…ご主人様になんと申し上げればいいのか…」

 

仲間を失った事で自軍の戦力が低下してしまった事を悔やむフェリーチェ。そんなフェリーチェにスカーレットは慰めの言葉をかける。

 

「気に病むことはありませんよ。それにご主人様はあなたを怒ってはいませんよ」

「そうでしょうか…ご主人様の側近として…このような失態をお許しには…」

「そんな事ありませんよ、フェリーチェ」

 

と、二人が歩いている前に一人の白髪の青年が現れた。

 

「ご主人様…」

「フェリーチェ。前にも言いましたが、私の事は"シン"と呼んでくださいと言いましたよ」

「はい…ですが…」

 

と、言葉を紡ごうとしたが、白髪の青年"シン"は困った顔をしていた為、言い出すことが出来なかった。

 

「…では…シン様…」

「…まぁ、いいでしょう。フェリーチェ、スカーレットの言う通り、私は怒ってなどいませんよ」

「しかしシン様…パルフェはプリキュアです。我々にとって貴重な戦力です。その戦力が失われたのは…再生怪人達が大量にいるとしても大きな損失です」

「確かにパルフェを失うのは辛いものです。しかし私の計画に支障はありません。彼女はセレスティアの手に落ちたでしょうが、パルフェ奪還の為に戦闘を行うよりも、パルフェ無しで事を運ぶ方が優先です。いいですね、二人共?」

「はい。フェリーチェ。辛いですが、ここは我慢です。いつか取り戻す機会はありますよ」

「…はい。分かりました」

 

悔しいながらも、自らの主の命令が大事なので、フェリーチェは渋々従う事にした。

 

「さて…スカーレット。あなたには先程伝えてました世界に」

「分かりました」

「それとフェリーチェ。後で私の元にお願いします。アギトでは少し戦いづらそうですし、もう一つのライダーの力を授けましょう。こちらからお呼びしますので」

「あっ…はい。申し訳ありません…ありがとうございます」

「ではこれにて…」

 

シンの言葉で二人は解散し、スカーレットは新たに現れた灰色のオーロラの中へと消えていき、フェリーチェは自身の部屋へと戻って行った。

 

 

 

 

「随分とプリキュアを手懐けてるようじゃない。とはいえ、一人あなたのお人形さんが居なくなっちゃったみたいだし、あなたの計画も完璧とは言えないみたいね」

「ほう…言いますね。ラプラス」

 

シンの背後から、突然女性の声が聞こえた。シンはその声の主…全ての元凶…プリキュア達を崩壊に導いた存在であるラプラスの挑発を軽くあしらった。

 

「計画が問題無く進む方が可笑しいですよ。私にとって計画は上手くいかない方が安心なんですよ」

「へぇ…じゃあパルフェがいなくなったのも想定の内って事かしら?」

「まぁ。本当はここでプリキュア一人でも確保出来ればよかったのですがね。しかしそれも計画自体には支障はありませんがね。全ては私の夢の為…彼女達にはもっと働いてもらわねばなりません。もちろん…あなたにも」

「勘違いしないでちょうだい。力を削られてるとはいえ、今ここであなたを食い殺してもいいのよ。あまり偉そうな態度は取らない事ね」

「はは。これはこれは…手厳しいお方だ」

 

ラプラスの放つ殺気を前にしても余裕の態度を取ったシンは、その場を後にした。

 

「…食えない男ね」

 

ラプラスはシンの反応ご期待していたものでは無かったのか、不機嫌な表情を浮かべた。そしてそのまま、闇の中へと消えていった。

 





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